法務委員会 第3号
- 発言数
- 326 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1980/03/27
会議録
○委員長(峯山昭範君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る六日、二木謙吾君及び大鷹淑子君が委員を辞任され、その補欠として長田裕二君及び園田清充君が選任されました。 また、去る七日、佐藤昭夫君が委員を辞任され、その補欠として宮本顕治君が選任されました。 また、本日、長田裕二君が委員を辞任され、その補欠として堀江正夫君が選任されました。 —————————————
○委員長(峯山昭範君) この際、矢口最高裁判所事務総長から発言を求められておりますので、これを許します。矢口最高裁判所事務総長。
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 福岡高等裁判所長官に転出いたしました牧前事務総長の後を受けまして、三月二十二日最高裁判所事務総長に任命されました矢口でございます。よろしくお願いを申し上げます。 いまさら申し上げるまでもないことではございますが、裁判所は裁判を通じまして基本的人権を擁護し、法秩序の維持に当たるという重い責務を負荷されております。この裁判所の使命を達成することができますように司法行政の面において微力を尽くしてまいりたいと存じております。幸いにして、今日に至るまで当委員会の皆様の深い御理解と力強い御支援によりまして、裁判所は人的にも物的にも逐次充実してまいりました。今後ともなお一層の御支援を賜りますよう、切にお願いを申し上げます。 簡単ではございますが、これをもって私のごあいさつとさせていただきます。 —————————————
○委員長(峯山昭範君) 集団代表訴訟に関する法律案を議題といたします。 発議者宮崎正義君から趣旨説明を聴取いたします。宮崎正義君。
○宮崎正義君 集団代表訴訟に関する法律案提案理由の説明をいたします。 ただいま議題となりました集団代表訴訟に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。 欠陥商品、やみカルテルによる価格引き上げ等の一企業または数企業の違法行為によって無数の消費者が損害を受けているという現実があるにもかかわらず、現行民事訴訟制度は、原則的には、一対一の対等な当事者間の紛争を解決することを念頭に置いて紛争を解決するための手続を定めているにすぎないから、このような原則に基づく現行民事訴訟制度のもとでは、一対無数すなわち企業対無数の消費者の民事紛争を解決しようとしても、その訴訟追行は事実上不可能であります。すなわち、今日の消費者問題は、訴訟を通じては事実上解決できない状況にあります。これは、法制度が社会の進展に即応していないからであります。 すなわち第一に、消費者各人の損害額が少額であるとしても、集団としての消費者の損害額は巨額になると思われます。消費者集団のこの巨額な損害の賠償を企業に対して請求することができる訴訟制度を確立することなしには、社会的経済的公正を確保することはできないのであります。 第二に、企業と消費者との間には訴訟追行能力及び訴訟費用の負担能力の不均衡があるにもかかわらず、現行民事訴訟制度のもとでは、これを対等な当事者として取り扱っているため、訴訟による権利救済の方途はきわめて厳しい現実にあります。この現実を打破して、実質的に対等な当事者としてみずからの権利を行使できる訴訟制度を確立しなければならないと思います。このような訴訟制度の確立なしには、消費者主権は、裁判によって保障されない眠れる主権、幻の権利に終わらざるを得ないのであります。 第三に、企業の違法行為による無数の消費者の損害は共通の原因によって発生し、またその損害額も一般的には定型化する傾向があります。このような実態について、消費者各人の訴えの当否を個別的に審理することは訴訟経済の観点からもむだだと思います。また、企業の違法行為によって発生した損害賠償をめぐる紛争は、事実上は企業対無数の消費者の紛争と思いますので、その紛争の解決は、消費者集団と企業との間で包括的に解決することが望ましいと思います。 われわれは、消費者主権の確立のためには、このような困難を克服して、民事訴訟制度が真に機能する制度を確立しなければならないと思います。 以上の観点から、非訟裁判による訴訟信託の設定方式を採用することにより、消費者の代表者が消費者集団全員のため企業に対して提起する損害賠償の一括的請求を目的とすると訴え、すなわち集団代表訴訟を可能にするためのこの法律案を提出いたした次第であります。 以下この法律案の内容たる集団代表訴訟制度の仕組みにつきまして、その概要を御説明申し上げます。 まず第一に、申し立てに係る共同の利益を有する著しく多数の者の少額債権について集団代表訴訟による紛争の解決が適当であると認められる場合に、非訟裁判により、除外申し出をしない限り債権を一括して訴訟の目的とするための信託が設定されたものとすることができるようにいたしております。すなわち、集団代表訴訟を追行させるため、除外申し出をしなかった少額債権者たる委託者から少額債権者の代表者たる受託者へ当該債権が信託的譲渡されたものとする信託であります。なお、少額債権者の権利を保護するため、信託の設定については公告するほか、非訟裁判所が代表者たる受託者を監督するようにいたしております。 第二に、集団代表訴訟におきましては、職権証拠調べを採用するほか、重要な訴訟行為につきましては、非訟裁判所の許可を要するものといたしております。なお、欠陥商品、やみカルテルによる価格引上げ等に係る少額債権者全員の損害総額の算定につきましては、推定規定を設けております。 第三に、各少額債権者は、受益者として、代表者たる受託者に対し、勝訴判決の最初の公告の日の翌日から二年以内に通知することにより、その債権の満足を得ることができるようにいたしております。なお、請求してこなかった債権者の分は、国庫に帰属するようにいたしております。 第四に、代表者たる受託者は、集団代表訴訟の追行等に関して必要な費用につきましては、国庫による裁判費用等の立てかえ・支払い猶予制を置くほか、その他の事務費用を含めて集団代表訴訟により得た財産をもって充てることといたしております。なお、敗訴等の場合にも最終的に受託者の負担となることのないように、交付金を交付することといたしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(峯山昭範君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 —————————————
○委員長(峯山昭範君) 民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。 政府から趣旨説明を聴取いたします。倉石法務大臣。
○国務大臣(倉石忠雄君) 民事訴訟費用等に関する法律及び刑事訴訟法施行法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 民事訴訟費用等に関する法律に定める民事事件等に関する手数料の額につきましては、昭和四十六年に同法が制定されて以来今日まで改定を経ておらず、その間の経済情勢の変化等にもかかわらず長らく据え置かれていること等により、現行の手数料の額は、実質的に著しく低額になっております。このような事情にかんがみ、今般、民事事件等に関する手数料を現時点に即した適正な額に改定しようとするものであります。なお、刑事訴訟法施行法に定める刑事事件に関する手数料等の額につきましても、昭和四十六年以来今日まで据え置かれたままになっておりますので、民事事件等に関する手数料の額の改定にあわせて、適正な額に改めようとするものであります。 以下改正の要点を申し上げます。 第一に、民事事件等における訴えの提起、借地非訟事件に係る申し立て及び民事調停の申し立ての手数料の額についてその算出基準を改めるとともに、その他の民事事件等に関する申し立ての手数料の額を改定しようとするものであります。 第二に、民事事件等に関する記録の閲覧、謄写等の手数料の額を改定しようとするものであります。 第三に、刑事事件に関する裁判書の謄本等の請求の費用及び訴訟記録の閲覧の手数料の額を改定しようとするものであります。 なお、この法律案に基づく手数料等の改定の実施は、民事執行法の施行日に合わせ、昭和五十五年十月一日とすることとしております。 以上が、この法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。
○委員長(峯山昭範君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ります。 —————————————
○委員長(峯山昭範君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。倉石法務大臣。
○国務大臣(倉石忠雄君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。 第一点は、裁判官の員数の増加であります。これは、地方裁判所における特殊損害賠償事件、差しとめ訴訟事件、民事執行法に基づく執行事件、覚せい剤取締法違反等刑事事件及び労働関係民事・行政事件の適正迅速な処理を図るため、判事の員数を二十二人増加しようとするものであります。 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数の増加であります。これは、地方裁判所における特殊損害賠償事件、差しとめ訴訟事件、民事執行法に基づく執行事件、覚せい剤取締法違反等刑事事件及び労働関係民事・行政事件、家庭裁判所における家事調停事件並びに簡易裁判所における民事調停事件の適正迅速な処理を図るため、裁判官以外の裁判所の職員の員数を十五人増加しようとするものであります。 以上が裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。
○委員長(峯山昭範君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○寺田熊雄君 裁判所職員定員法一部改正法の問題についてお尋ねをしますが、これは法務省からいただいたこの法案の関係資料二十一ページ、それから二十二ページ、二十三ページ、二十五ページ、これいずれも大変われわれの参考になる表が出ておりますが、ただ、「その他」というのがありますね。この「その他」というのはかなり数が多いので、これは大体どういうものか、一応御説明をお願いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 寺田委員御指摘のそれぞれの事件の表に「その他」というのがございますが、まず二十二ページ、二十三ページの第一審からちょっと御説明を申し上げますと、二十二ページの地方裁判所の事件、こう書いてある表でございますが、この民事の「その他」というところ、まあこれいろいろございますけれども、主なものを申し上げますと、非訟事件でございますとか、仮差し押さえ、仮処分というような保全処分の事件、それから執行競売、ここら辺のところがかなり事件の多いところでございますが、そのほかにも破産、和議、会社更生といったようないろんな事件、その他雑事件というのもございますが、そういうものが含まれております。 刑事の方で申しますと、令状とか保釈というような事件が数が多いものでございますが、それ以外にも刑事補償でございますとか、訴訟費用の免除の申し立てでございますとか、その他雑事件というようなものが含まれております。 簡易裁判所の方も似たようなものでございますが、簡易裁判所の民事では、破産とか和議、そういうものはございませんで、保全執行、それから過料——いわゆる過ち料の過料でございますが、そういうものが民事その他の事件に含まれております。 刑事では地方裁判所とよく似たような令状、保釈、それから訴訟費用の免除というようなものでございます。 もとへ戻りまして、二十一ページの方の高等裁判所の方でございますが、これは余り数が多うございませんで、主なものは抗告事件というものが主なものになるかと思います。 それから家庭裁判所の方の二十八ページの「家事」、「少年」の「その他」事件でございますが、家事の方には御承知の履行勧告の申し立てというような事件、それから執行力ある正本の付与の申し立てというふうな事件が含まれております。 少年事件の方では、共助事件というものがかなりございますほか、観護状とか引致状の請求というようなものがございます。 その他いろいろございますが、主なものを申し上げたわけでございますが、大体以上のようなことでございます。
○寺田熊雄君 最近郵便物に対する税関の検査、これが憲法二十一条の二項の検閲に当たるかどうか、また税関長の処分が行政訴訟の対象になるかというようなことに関連いたしまして、裁判所がかなり注目すべき判決を出しております。たしか昨年の暮れに、最高裁で税関長の郵便物に対する処分の通知が、これ行政処分として行政訴訟の対象となるという判例が出たように思いますが、それを受けたのか最近札幌の地裁で注目すべき判決がありましたが、これについて最高裁の刑事局長、法務省の刑事局長、それから大蔵省の関税担当審議官などはどういう見解を持っているのか。これ一応お伺いしたいと思います。
○政府委員(柳川俊一君) 御指摘の札幌ポルノ違憲判決につきましては、私どもは国の代理人といたしまして大変厳しい判決として受けとめております。判決文を入手して間もないことでございますので、裁判所の御判断でもございますから十分に慎重検討いたしまして、関係行政庁と協議の上、上訴いたしますかどうかを検討したいというふうに考えております。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 札幌地裁で三月二十五日に判決をいたしましたが、その判決文は実はまだ入手しておりませんので正確なことは申し上げられませんが、新聞等で承知いたしたところによりますと、この判決の内容としましては、先ほど御指摘の輸入禁制品である「公安又は風俗を害すべき書籍、図画、」等に該当すると認められるのに相当な理由があるときに、当該貨物を輸入しようとする者に対してするその旨の通知及びこの通知についてなされた異議の申し出に対する決定が、抗告訴訟の対象となる行政庁の処分に当たるというふうにしました上で、右の通知及び決定は憲法二十一条二項に禁止する検閲に当たるから違憲、違法であるというふうにしたもののように見られるわけでございます。 ただいまの税関長のする通知及び決定が抗告訴訟の対象となる行政庁の処分に当たるという点につきましては、先ほど寺田委員の御指摘がありました昨年の十二月二十五日の最高裁判所第三小法廷におきまして同様の判示がされておるところでございます。そういたしますと、今回の札幌地裁の判決は、その最高裁判所の小法廷の判旨に従ったものと思われるわけでございます。しかしながら、その通知及び決定が憲法の禁止する検閲に当たるかどうかという点につきましては、最高裁判所の判決におきましては判断が示されておりませんところでございます。したがいまして、今回の札幌地裁判決は、その点については新しい判断を示したものと言えるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○説明員(青木英世君) まず該当通知等が抗告訴訟の対象となる旨の判示の部分につきましては、先ほど先生御指摘のとおり、昨年十二月の最高裁判決におきましても同様の判断が下されておるわけでございます。大蔵省といたしましては、最高裁の判断に従いまして、該当通知に対します不服申し立ての手続の整備を図るために関税定率法等の改正法案をこの国会に提出して御審議をお願いしておるところでございます。 それから検閲問題でございますが、これにつきましては他の事件、先ほど言いました最高裁判決に関連いたしますホンリュー事件につきまして、東京高裁では検閲ではないというような趣旨の判決をいただいておりますので、私ども基本的には税関検査は表現物の内容審査ではないという見地から、関係省庁とも御協議の上、控訴したい、このように考えております。
○寺田熊雄君 いまの審議官のおっしゃった関税定率法の改正案を提案したいというのは、今国会にですか。
○説明員(青木英世君) さようでございます。それは現在関税定率法及び関税法の一部改正を提案しておりまして、衆議院は可決して参議院で御審議をいただいております。
○寺田熊雄君 それから、法務省の訟務局長がわりあいに抽象的な答弁をなさったけれども、そうするとあなた方は、定率法の二十一条第三項の税関長の通知、これは行政処分であると。抗告訴訟の対象となる行政処分であるという点は、最高裁の判決に従ってそういう主張を裁判でなさったわけでしょう。ただ、これが憲法第二十一条第二項に言う検閲に当たるかどうかという主張については、あなた方はどういう主張をいままで展開してこられたのですか。この二点。
○政府委員(柳川俊一君) 前段の方の問題につきましては、寺田委員のおっしゃいましたとおり最高裁の判決のとおりでございましょうから、私どもとしては全く不服を申し立てる余地はないというふうに考えております。 後段の点につきましては、私どもは検閲には当たらないというふうに主張してまいったものでございます。
○寺田熊雄君 そうすると、いまの税関長の処分が検閲には当たらないという主張は、これからもあなた方は維持していくつもりですか。
○政府委員(柳川俊一君) 現在検討中でございまして、どういうふうな方向で私どもの主張を組み立てるかということは、目下検討をしている最中でございます。
○寺田熊雄君 しかし、控訴の期間が当然十四日という限られた期間だから、この十四日以内に結論出さなきゃいかぬでしょう。
○政府委員(柳川俊一君) 仰せのとおりでございます。
○寺田熊雄君 そしてもしも関税定率法第二十一条のこうした税関長の処分が許されないということになりますと、これはやはりそれなりに税関の方では十分対応ができるわけですか。別段差し支えないのだろうか、それとも税関行政としては困るのだろうか。その辺はどうなんでしょう、ちょっとお伺いしたいけれども。
○説明員(青木英世君) 外国からのこういうわいいせつ物が無制限に国内に流入するということになりますと、わが国の性道徳あるいは性秩序の維持といった観点からかなり大きな問題を引き起こすのではないか。こういう意味と、先ほど申し上げましたように、私どもが行っております税関の検査は関税法六十七条、あるいは郵便物につきましては七十六条でございますが、これに基づきますいわゆる一般的な貨物の検査の一つの態様として行っておるということで、検閲ではないというように考えておりますので、関係当局とも協議の上、できれば控訴する方向で対処していきたい、こう思っております。
○寺田熊雄君 それじゃ、審議官結構ですから。 次に、この公職選挙法の第百三十八条の戸別訪問禁止の規定ですね。この規定がやはり憲法に言う表現の自由あるいは政治活動の自由等の規定に違反する違憲の規定であるという判決が出ておりますね、たくさん。これはいままでにどのくらい裁判官がそうした判決をしているのか、ちょっとこれは一応御説明願えますか。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) 最高裁刑事局の知り得た限りでその数を申し上げますと、現在までに戸別訪問を禁止した公職選挙法百三十八条を違憲であるとした判決は、下級審におきまして昭和四十三年以後八件出されてございます。
○寺田熊雄君 一方最高裁判所の方では、小法廷、大法廷ともにこれを違憲とする上告を棄却して合憲の趣旨を明らかにしておるようですね、これは間違いないですか。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) 仰せのとおりでございます。
○寺田熊雄君 特定の事件については、これは裁判所法の規定で上級審の判断に従うということが下級審に義務づけられておりますね。しかし、すべての事件が最初は下級審に係属してくるわけで、それが差し戻し事件でない限りは下級審といえども裁判官が独自の憲法と良心に従う、法律に従って判決をするということで、これは沿わなければならぬけれども、しかし、最高裁判所の判決の趣旨と明らかに抵触するような判決をするという点、これはどう評価すべきなんだろうか。裁判官の勇気を称揚すべきであるか、良心をどこまでも貫くという点をわれわれが評価すべきか。しかし、これがやはり最高裁判所までいくあるいは高等裁判所の段階でも破棄されてしまうおそれというものはある。法的安定性の立場あるいは当該の事件の処理そのものも適切なのかどうか、そういう点をわれわれとしても考えざるを得ないわけで、これは最高裁判所の刑事局長あるいは総務局長、これは裁判官のやはり全体についての指導——行政的指導といいますか、そういうものを担当していらっしゃる、そういう立場においてはこれをどういうふうに評価しておられるのか、これちょっとお伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) ただいまの御質問でございますが、戸別訪問を違憲とする下級審の判例が、裁判例が幾つか出ておるというふうな状況のもとでございますし、具体的な事件についての裁判所の判断にかかわることでもございますので、事務当局といたしましてはこのことについて意見を申し述べることは差し控えさしていただきたいと思っています。
○寺田熊雄君 具体的事件ではあるけれども、もうすでにそれはあれでしょう、いま現に係属しておる事件でなくて、あなた方が過去においてこういう事件がありましたという御報告をなさっていらっしゃるその事件について、そういう最高裁判所の判決と真っ向から抵触するような判断を示す下級審の判決があっても、それは現行の法制上のたてまえとしてきわめて当然のことであると考えておられるのか、それとも勇気がある裁判官であると言ってこれを高く評価しておられるのか、それとも法的安定性その他の考慮からして苦々しく見ておるのか、その辺のところをやっぱり御意見を伺いたいんでね、率直におっしゃっていただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) 重ねてのお尋ねでございますので、私の意見を申し述べさしていただきますが、まあやはり最高裁判所の判断は最上級審がした法律判断でございます。拘束力という点から申しますれば、先ほど委員がお話しになられましたとおり、具体的な事件についてのみ拘束力はあるというわけでございますけれども、一般的な意味におきまして、最高裁のした判断について裁判官としてはその拘束力の有無を離れてその趣旨とするところを十分に尊重すると、そしてみずからの裁判についてそれをしんしゃく、参照していくということが、私としては望ましいのではないかというふうに考えます。
○寺田熊雄君 そういう御見解も確かに肯綮に値するというふうに考えられないでもない。一つのりっぱな説だとは思いますけれども、また一面、最高裁判所の判決が間違っているというふうに裁判官が確信した場合には、やはり裁判官も自己の良心に従って判決せざるを得ないわけで、その辺のところはあれですか、総務局長の方は裁判官に対する指導というか、最近よく最高裁判所長官が、われわれから見ていかがかなと思うような訓示など盛んに連発、乱発なさるから、私どももやはりそういう点無関心ではおられないわけですね。いまの点についてはあれですか、最高裁判所の事務総局としてはもう何らの干渉をせず、やはり裁判官の良心に任せようと、こういう方針なり態度をとっていらっしゃるわけでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 御指名でございますので立ち上がりましたが、私総務局長として、下級裁判所の裁判官に対する指導等に何らかの関係がある者では決してございませんで、そういう意味ではお答え申し上げるあれはないわけでございますが、たまたま訓示等の問題がいま出ましたので、それとの関係で申し上げますならば、歴代最高裁判所長官がいろいろの訓示をなすっておられますけれども、ただいま寺田委員がおっしゃいましたような個々の具体的な裁判について、最高裁判所の長官ないし最高裁判所が何らかの干渉的な意味合いを持ったことをするということは毛頭考えておるわけではございませんで、ただ、まあ一般論として申し上げますならば、先ほど刑事局長が申し上げましたようなことが一応言えるわけでございます。 ただ、そうは申しましても、この時代の趨勢、判例もやはり変遷していくということもあるわけでございまして、それぞれの法律家としての判断を考えました場合に、それが将来判例が変更されるような方向に向かっていくかどうかというふうな、個々の案件との関係でやはり多少その意味合いが違ってくるかというような感じもいたします。そういう意味で非常にデリケートな問題ではないかと思いますが、一般論といたしましてはいま申し上げたようなことになろうかと思います。
○寺田熊雄君 そこで、自治省のこれは選挙の総元締めのお方にお伺いしたいんだけれども、諸外国の選挙法制などを見ましても、どうも戸別訪問を犯罪とするというのは果たして適切かどうか。表現の自由というような憲法上の基本的人権を重く見ない、いささか軽く見過ぎるきらいがあるのじゃなかろうかと。いままでのいろいろなこの規定を是とする理由も検討してみたのですが、どうも釈然としないものがある。そこで、いまお話ししたように、下級審の裁判官が公然と最高裁の判決に抵抗を示すというような現象が起きてくるわけですね。 この点選挙の大元締めの自治省の担当者はどういうふうに考えておられるのか、またどういう方針を持って臨まんとするのか、その辺のことをお伺いをしたい。
○政府委員(大林勝臣君) 委員も十分御承知のように、戸別訪問の問題につきましては非常に長い歴史というのがございます。大正十四年以来禁止されまして、戦後二十五年に公職選挙法が制定されましたときに国会の中でも大議論がございまして、やはりある程度自由な方向で進むべきだということで、一部戸別訪問の認容ということをした時代もございましたが、一度選挙を経験してみますと、大変過熱化いたしまして、戸別訪問が選挙運動の中心になってしまう。そのためにいろいろ弊害ということがまた再び言われまして、二十七年以来禁止され今日に至っておる。もちろんその後いろいろ有権者感情、その他世の中も変わってまいりましたことも事実でございますし、そういったことを背景といたしまして、もうこの十数年来国会の中でも議論される、あるいは選挙制度審議会においてもこれが議論されないことはないぐらいに頻繁に議論されたわけであります。いま現在なおかつ戸別訪問の問題につきましては自由化すべき意見と、なお時期尚早とする意見とまあ伯仲をいたしておりまして、私どもも何分選挙の根本的なルール、しかもルールの中でも戸別訪問というのは一番の中心的な問題であるというだけに、やはり各党の御意見というものの推移をなお見詰めてまいらざるを得ないという気持ちでおります。
○寺田熊雄君 これはまあ、たとえばサッチャー氏がイギリスの宰相になったとき、彼女自身が各戸に走り歩いて、そうして自己に投票を求める説得をすると。成功しておる場合もあるし、必ずしも成功しているように見えない場合もある。そういう場面がテレビで映し出される。これを見てわれわれも考えざるを得なかったわけですが、アメリカしかり。そういうことを考えますと、これはやはり諸外国の法制の大体をわれわれ頭に入れておかなきゃいかぬ。大体まあ民主主義国家において戸別訪問を禁止している国家はどのぐらいあるのか、その辺のところ、ちょっと説明していただきたいと思います。
○政府委員(大林勝臣君) いわゆる先進国と言われます民主主義国家におきまして、戸別訪問の禁止規定を設けておる国はございません。
○寺田熊雄君 それにもかかわらずわが国において戸別訪問の禁止をあくまでも維持していくというその正当事由というか、根拠というか、それは選挙部長としてはどこに求めておられるのか、わかりやすくちょっと説明していただきたいと思います。
○政府委員(大林勝臣君) 確かに先進諸外国と言われますところにおきまして、戸別訪問というのは選挙運動の中心として非常に有効に活用されておるわけでありますし、またその長い歴史を持っておるわけでありますが、先進諸外国における選挙のやり方というのは、委員も御承知のように、全く政党本位、つまり政党が主体となって、候補者というのは政党の一つの機関として動いておる、そういう歴史を持っておりますから、戸別訪問の禁止ということをしてないと私ども承知しておるんでありますが、日本の場合の選挙というのは、長い間いわゆる個人本位と、もう個人が選挙運動の中心になって動くというシステムがとられておりますために、やはり戸別訪問につきましてこれを認めました場合の過熱と申しますか、全くこれが選挙運動の全面的な中心的な存在ということになることによる競争の激化、それに伴う弊害ということが特に日本の場合にやかましく議論されてきたところでございます。
○寺田熊雄君 諸外国でも戸別訪問は選挙の最も有力な方法、手段としてとられているということはあなたもお認めになったですね。確かにわれわれもそういうふうな認識を持っている。フランスしかり、アメリカしかり、イギリスまたしかり。日本の場合は、政党本位よりも個人本位である、そして過熱すると、だからいけないんだと。どうも説得力がない。過熱してどこが悪いんだろうか。過熱することはいずれの国の選挙でも大した違いはない。過熱するということがどういう弊害を生むと言われるのか、その点はどうですか。
○政府委員(大林勝臣君) いろいろ戸別訪問が中心的な選挙運動となることに伴う弊害として言われますことは、十分御承知のことと思いますけれども、過熱の余り動員合戦をする、それに金がかかるとか、あるいは候補者もまた煩にたえないとか、あるいは有権者が迷惑をするとか、いろいろ理由がいままで挙げられてきておるわけでありますし、またそういった理由を踏まえて、下級審における裁判所においてそういうことは理由がないことだという判決が出ておることも承知をいたしておりますが、まあ、いずれにしましても、こういったところはやはり現行の個人本位の選挙という実態を踏まえてのいろんな見解の相違がまだありまして、そういう面につきましてなかなか各方面の意見が一致してないということであろうと思います。
○寺田熊雄君 いま選挙部長の言われたことは、結局国民の自治なり選択に任していいんじゃないだろうか。国民が迷惑であろうとか候補者が大変であろうとか、ちょっとおせっかいに過ぎるような感じがする。候補者が煩にたえないということは候補者は承知の上で立候補しているわけで、しかもやはり選挙民に自分の名前を認識してもらう、あるいはどういう人物かわかってもらうということがなければ、それは選挙に勝利することはできない。変なことをするよりは堂々と戸別訪問をして訴えた方が公明正大であるようにも思うんですね。この点はそうすると、当面は自治省としてはこの問題を再考するとか検討するとかいう余地はないのか、それともやはり考えておられるのか、その辺はどうでしょう。
○政府委員(大林勝臣君) まあ、私どもの立場といたしましても、これは年来、選挙運動というものはできるだけ自由に奔放にやっていただくというのが理想だという気持ちは変わっておりません。したがって、その中でその都度その都度必ず議題として出てまいります戸別訪問の問題につきましては、また議論が起こるたびに各党の御意見もいろいろな場を通じまして聞いておるわけであります。まあ現在、今後の選挙運動の改善の問題につきまして、自民党の選挙制度調査会におきましても、この数カ月いろいろ議論をされておるのでありますが、やはり戸別訪問の問題が一番熱心に議論をされました。議論をされましたけれども、先ほど来申し上げておりますように、おっしゃいますような自由化の立場に立つ御意見と、なおかつ時期尚早であるという御意見というものが対立をいたしまして、なかなか調整がついてない。それほどまあ戸別訪問というのは根深いものだとは感じておりますけれども、まあ根深いだけに、私どももこの問題についての今後のあり方については常に念頭に置いておるわけでございます。
○寺田熊雄君 それじゃ、選挙部長結構ですから。 それから次は、早稲田大学の入学試験不正事件がいま捜査が進んでおるようでありますけれども、これはどの程度捜査が進行しておるのか、これをまあ一応警察庁の方から御説明いただきたいと思います。
○説明員(加藤晶君) 御質問の早稲田大学商学部入試問題漏洩事件につきましては、本年の三月六日付の新聞報道により発覚いたしましたものでございますが、翌三月七日に早稲田大学側から所轄の警視庁戸塚警察署に対しまして正式な捜査要請がありました。これに基づきまして警察は捜査に着手いたしたものでございます。 捜査を進めまして、試験問題用紙を印刷所から盗み出した印刷工一名、これを窃盗容疑で、またこの窃盗本犯をそそのかしました早稲田大学の職員二名と部外の会社部長一名、これらを窃盗教唆容疑で三月八日にそれぞれ逮捕令状によりまして逮捕いたしました。三月九日、関係個所の捜索を実施し、十日、検察庁に送致しております。そして、三月十日から今日まで被疑者らが勾留になっておりますので、その間取り調べや実況見分等、所要の捜査を進めてきておるところでございます。
○寺田熊雄君 三月八日に逮捕せられたということでありますが、そうすると、もう大分勾留が長くなっておるけれども、もうそろそろ起訴する段階ではないかと思うけれども、その点はどうでしょう。
○説明員(加藤晶君) この逮捕いたしました事犯につきましては、ただいま御指摘のとおり送致もいたしまして検察庁の方も捜査を進めておられるところでございますが、その捜査の進展あるいは勾留期限等の関連から見まして、近く検察庁の方で何らかの措置がとられ結論が出されるというふうに考えております。
○寺田熊雄君 大体警察の方はもう捜査が一段落したと見ていいんですか。
○説明員(加藤晶君) 御承知のとおり、この事案相当複雑な事案でございます。それで、そういう犯罪行為あるいはそれによって窃取されました答案用紙の流れあるいはそのコピーの流れ、あるいはその間に関係者間でいろいろ金銭の授受等があるわけでございます。そういうところまだ完全に解明し尽くしたというところでなくて若干の問題点も残っておると、それでその辺につきましては鋭意終局の詰めを現在やっておるというところでございます。
○寺田熊雄君 これは法務省の刑事局長はどうです。大体もう起訴の段階に近づきつつありますか。
○政府委員(前田宏君) ただいま警察の方から御説明があったとおりでございまして、委員も御指摘のように、勾留期間が延長いたしまして二十九日が満期ということに相なっておるわけでございます。 捜査の方は警察と検察庁とで協力してやっておるわけでございまして、いまお話のありましたように若干詰めが残っているというような状況だと承知しておりますが、いずれにいたしましても、勾留満期も近づいておりますので間もなく一応の結論は出るものと、かように考えております。
○寺田熊雄君 これは警察庁にお尋ねするけれども、窃盗を行った被疑者というのは、もう大体逮捕された段階で自白はしておるんでしょう。
○説明員(加藤晶君) その窃盗の行為等につきましては、一応の自供を得ております。
○寺田熊雄君 私が予算委員会でもその意見を述べたんだけれども、これは警察でないと実際問題としてなかなか究明ができないということはよくわかるし、また国民もその真相を知りたがっているということで、警察が鋭意調べておられることを別段異としない、これは確かにあります。しかし、考えてみると窃盗事犯で自白しているのを延々と勾留二十日に及ぶ捜査をするというのは普通の常識ではおかしいので、これはやっぱり何らかの入学試験の不正を働く罪というようなものがないと、どうもわれわれ法律家として釈然としないものがあるんです。 それはそれとして、これは結局窃盗の対象となった物の価額というのはどのぐらいに見ておられますか。
○政府委員(前田宏君) 入試問題が財物かということが議論の一つであるわけでございますが、それ自体の金に換算した価値といいますれば、それはごくわずかということも言えるかと思いますけれども、やはりその問題なりあるいはコピーなりが学生あるいはその父兄等に流れることによりまして、いろいろな多額の金も動いているわけでございます。それだけの評価といいますか、値打ちがあることというふうに一般的に評価されるようなことでございますので、そういう意味でそれが一枚幾らというような意味ではなくて財物性があると、かように考えておる次第でございます。
○寺田熊雄君 それはよくわかる。それを決して否定はしないけれども、実質的な価値というものがあればこそ大量の金が動くのであるけれども、しかし、普通窃盗罪の起訴の場合には何々として価額金何円相当と書くでしょう。これはあなた専門家だから百も承知のところと思いますがね。この場合には、そういうこれには触れないんだろうか。それともやっぱりそういう常識に従って価額というものをうたうんだろうか。その辺専門家としてどうなんでしょう。
○政府委員(前田宏君) 当該事件の処理は間もなくいずれにせよ行われるわけでございまして、起訴状なら起訴状にどういう表示をするかということになりますと、まだ警察当局といたしましても確定していないところであろうと思います。したがいまして、私からどうあるのが適当だということを申し上げるのはいかがかと思うわけでございますが、先ほど申しましたような意味で、幾らと評価するというようなことがなかなか書きにくいことではなかろうかという感じを持っております。
○寺田熊雄君 それで刑事局長ね、あなた予算委員会でも大学入試の公正を守るそういうための、それを法益とする犯罪を刑法なり大学法なりどこかへ、そういう立法技術は別として、一つの犯罪の類型に挙げたらどうだろうかという私の提案に対して、あなたは賛否いずれともお答えができないと、お答えはちょっとしにくいというような、そういうことをおっしゃったね。この犯人が逮捕の時点でもうすでに自白をしておる。しかし、その動機であるとかそれからそれを処分して幾ら報酬を受けたかというようなことを延々二十日も勾留して調べるというのは、どうも私どもいままで裁判の実務に携わっている者として釈然としないものがあるんだけれども、刑事局長はどう考えられますか。
○政府委員(前田宏君) 寺田委員のおっしゃるような問題もあろうかと思いますけれども、いまおっしゃいました動機であるとかそれによってどういう利得を得たかということは、やはり窃盗罪の大変重要な情状と申しますか、本件についての情状ということになるわけでございまして、処分を決するについて大変意味のある点ではなかろうかと思うわけでございます。したがいまして、また寺田委員の仰せになりますように、通常の金を盗んだとか物を盗んだとかいう場合と違う案件でございますので、それだけにそういう点が重みを持つといいますか意味を持つといいますか、そういうこともあるわけでございますので、その点を十分調べるということがこの事案につきましての処理を適正に行うために必要であろう、かように考えるわけでございます。
○寺田熊雄君 常にそういう態度が守られておるならば私もあえて言わないのです。ところが、一国の宰相の犯罪として検察庁が何十人という検察官をそれに充てて捜査なさった田中角榮の五億円の犯罪ね、これなどは受領したという五億円を田中角榮がどういうふうに処分したんだろうかということを私どもが幾ら質問しても、それは全然捜査しておりませんと、これは前の伊藤刑事局長の答弁だけれども、だから、そのときどきによってそういう重要な情状について、一方は延々弱い人間を二十日も勾留して締め上げる。強い人間に対しては、そういう五億円の使い道なんていうのは全く一問も聞いていない。そういう不公平があるものだからおかしいじゃないか。そういう感にたえないわけで、だから、やはり余り情状の問題を追及して二十日も勾留するというのは、決して刑事裁判の運用、刑事司法の運用面で好ましいことではないと私は考えるんだけれども、これはどうでしょう。
○政府委員(前田宏君) いろいろと御意見あるいは御評価もあろうかと思いますけれども、それぞれ具体的な案件のことでございますし、それぞれの理由があってなされた措置であると思いますので、私から片方がよくて片方が悪いというようなことを申し上げるのはいかがかと考えておる次第でございます。
○寺田熊雄君 これは警察庁の方どうです。やっぱり当該の、あなた方がぎゅっとつかむ、いわゆる答案なり問題集のプリント、それの犯罪だから、普通ならばその犯罪の一番眼目となる盗みの行為を自白をすれば、情状についてそうだが、余り勾留するということはないんだけれども、この場合はやむを得ないと、世間の関心が強いからその関心に応ずるためにはやむを得ないと考えて、一生懸命に動機やお金の使途、そういうようなものを追及しておられて矛盾を感じないかどうか、その辺どうです。
○説明員(加藤晶君) 本件事案は、なかなかその実態において複雑なものがあるわけでございます。それで、そういう関係被疑者も複数逮捕してますが、四名というふうなことでございます。そして、それらのそれぞれの犯行につきまして、確実に証拠を積み上げてその犯罪事実を確定していくということのためには、相当やはり日時が必要であると思うわけでございます。検察庁の方も同様の御判断に立たれて勾留の請求もされたということでございますが、私ども決して世間の関心の大小自体でそういう捜査を左右するということはないわけでございまして、糾明すべきものが残っておる。そのためにはやはり日時をかしてもらわなきゃいかぬということでございまして、常にそういう事態、その事案に応じまして適正な捜査を進めてきておるということでございます。
○寺田熊雄君 くどいようだけれども、しかし、盗みを働いた男、これは盗み自体はすぐ自白したというし、教唆した人間もその人間に頼んでやってもらったということを別段否認しているわけじゃないんでしょう。否認しているのですか。そんなに複雑なんですか。
○説明員(加藤晶君) 当初の段階におきましては、必ずしもそういう供述が一斉に出たということではございません。また、その供述が出ました場合でも、それぞれやはり若干の部分で食い違いがありましたり、あるいは不明な点があるというふうな状態でございます。
○寺田熊雄君 余り枝道が長過ぎてもいかぬから、この程度にするけれども、これはやはり予算委員会でも申し上げたように、私立大学といえども非常に公共性が大きい。わが国の教育というものに占める地位というものは非常に大きなものがある。そしてそれは国家からも大変な補助金を得ておる。われわれの税金が大学の維持のために非常に使われている。そういう公共性の強いもので、その入学試験が公正に行われなければいけないということは、これは全国民が望んでいる。そういう非常に大きな高い次元の法益を犯す者に対しては、やっぱり国としても刑罰をもって臨んでも差し支えないんじゃないだろうか。もっと次元の低い、法制局長官は下の下だと言って、大変皆驚いたんだけれども、その下の下の低い法益を一生懸命にお歴々が守って、警察も守ろうとしている、検察庁も一生懸命守るし、裁判官も裁判に一生懸命苦心している。たとえば競馬競走の公正であるとか自転車レースの公正であるとか、そういう次元の低いものの公正さを守るために国家権力をうんと発動さしておいて、一方次元の高いものについては放任していると。これはどうだろうかという感じがしないではない。 これはくどいようですが、刑事局長がこの当面の責任者ですからね、これはやはり検討に値する問題ではないかと思うんだけれども、どうでしょうね。
○政府委員(前田宏君) 予算委員会での御質疑の中で、先ほど委員もおっしゃいましたように、法制局長官が下の下というような表現を用いられたことは私も聞いておったわけでございますが、その趣旨は、私の理解では、競馬、競輪と並ぶような性質のものではなくて、もっと逆に高度なものなので、それと同扱いするのはかえっておかしいんじゃないかというようなお気持ちではなかったかというふうにも理解したわけでございます。といいますことは、予算委員会の質疑応答の中で大臣もお答えになったかと思いますが、やはり入学試験というものは、それを担当する学校当局の入学試験に対する認識の問題といいますか、それをどの程度厳重に管理していくかと、ぜひ厳正に管理していただかなければならないわけでございますが、それが先決だというような意味におきましても、ちょっと、競馬、競輪とは、むしろそれよりも次元の高い問題ではないかと、関係者の自粛自戒にまつところが大きいのではないかというような感じを私は持っておるわけでございます。 しかしながら、こういうような問題も起こりましたわけで、それを刑罰の面からどのように扱うかという問題もやはり一つの問題点であろうと思います。しかし、いま申しましたように、刑罰で事は足りる問題では必ずしもないような気もするわけでございますので、そちらの方も十分御検討いただき、その裏づけと申しますか、そのような立場から、刑罰の面でどのように対応できるかということはそれなりに検討したいと思いますわけでございます。しかしながら、仮に罰則を設けましたような場合に、なかなか名案が浮かばないわけでございますが、寺田委員がおっしゃいますように、たとえば単純に、入学試験の公正を害した者というような構成要件の罰則で果たしていいものであろうかどうか。要件があいまいと言えばあいまいでございますし、いろいろのものがたくさん入ってくるのではないかと。表現が不適当でお叱りを受けるかもしれませんけれども、試験の公正を害しただけというような要件でありますと、細かいカンニングまで入ってくるような気もするわけでございまして、あるいは、いわゆる裏口入学といういろんな態様もあるわけでございますが、そういうものも入ってくるのじゃないか。それも刑法で罰すべきだというお考えもないわけではないと思いますけれども、いろいろな場合も考えられますので、要件それ自体にもむずかしい点があるのではないか。検討はいたしますけれども、そのような感じを持っている次第でございます。
○寺田熊雄君 それは検討していただけばそれで結構です。 ただ私も、試験の公正を守ることを法益とし、それを害することを罪とするという、包括的に言っただけであって、その態様はいろいろ考えられるわけで、この事件でも、何か答案に他人が改ざんをして正しい解答を書いちゃったとか、それから採点を何かふやしちゃったとか、あるいは本件のような問題用紙を盗むとかいろいろ方法はあるでしょう。だから、私は何も試験の公正を害した者はというような抽象的な規定にせよというようなことを言っているわけじゃないんですよ。それともう一つは、答案に正解を書いちゃったとか、あるいは採点を水増ししたとかいうのはこれは犯罪になるんだろうか、たとえば文書の変造というようなことに当たるんだろうか、それともそういうふうにはならないのか、少なくも私が予算委員会でお話ししたように、問題集をリコピーして、そのリコピーを他人に渡したなんというのは少なくもこれは犯罪にはならないんでしょう。その点刑事局長どうでしょうか、たとえば受験者の答案に悪いやつが間違ったところを直して正しいものにしちゃったとか、それから試験官が点数をつけておるものを直して水増ししちゃったとか、こういうのは文書の変造に当たるんだろうか。
○政府委員(前田宏君) いろいろな設例でございますのでそれぞれ適切なお答えができぬかと思いますが、仮に採点をいたしまして、その採点結果表というようなものができておったような場合に、それを改ざんするということになりますと、あるいはなり得る場合もあろうかと思いますが、いま委員のおっしゃいましたような程度ではどうも問題ないのではなかろうかというふうに思います。
○寺田熊雄君 そういうふうにいろいろむずかしいから、これは検討していただくということなんで、十分ひとつ検討してみてください。よろしいか。
○政府委員(前田宏君) 先ほどもお答えしたとおりでございまして、いろんな面から検討はさしていただきたいと思います。
○寺田熊雄君 じゃ、この問題はこれだけにして、最近「法務省・日弁連〃雪解け〃」という題のもとに大変大きな報道がなされております。これは刑法や少年法の改正を対象にして法務省が日弁連といろいろ話し合いをして、刑法改正、少年法改正の促進を図ろうということのように受け取ったのでありますが、それはあれですか、具体的にどういうふうな進行をしておるんでしょうか。
○政府委員(前田宏君) ただいまのお尋ねは、過日新聞報道でお尋ねのような趣旨の記事が出ておったということについてのお尋ねであろうと思いますが、その新聞報道では、たとえば来月にもそういう意見交換の第一回が始まる、その後、月に一回程度定期協議を開くというような具体的な記事になっておるわけでございますが、実はそのような具体的な運びにはまだなっていないわけでございます。
○寺田熊雄君 そうしますと、この法曹三者協議の促進というのとは別のことですか。それとも法曹三者協議というものを活用していこうということなんだろうか、どちらでしょうか。
○政府委員(前田宏君) その点もいま申し上げましたようなことで、具体的にどういうふうなことをやっていくかということ自体が実は日弁連と話をしていないわけでございます。ただ、どうしてそういうような記事になったかということをそんたくするわけでございますけれども、いわゆる雪解けムードというようなことも背景にあると言えばあるわけでございますけれども、たまたま日弁連が座談会を持ちまして、それが法律新聞という専門紙の方に載ったこともございまして、その中でこういう改正問題についても当局側と形は別にいたしましても何らか協議をするというようなこと、話し合いをするというようなことがどうかというような意見も一部出ておったわけでございます。 一方、法務省——私どもといたしましても、御案内のとおりこの二つの問題がそれぞれ刑法は全面改正についての法制審議会の答申、少年法につきましては一部改正と申しますか、答申としては中間答申というような言い方になるわけでございますが、そういう法制審議会の答申が出ておりまして、その後それぞれ相当期間をもうすでに経過しておりますことは寺田委員も御案内のとおりでございます。で、それぞれの答申につきましては、日弁連だけでもございませんけれども、日弁連を含めましてまあ反対と言えば反対、批判的と言えば批判的、いろいろな御意見が出ておるわけでございます。そこで、そういうような状態のままで政府案を確定していくということも必ずしも適当でございませんし、事柄の性質上そういうことが好ましくないという面もあるわけでございます。したがいまして、法務省の立場といたしまして、仮にその法案を今後成案を得て国会に御提出するというような運びになります場合でも、できるだけ関係方面の御了解を得てその作業を進めるということが適当であろうというふうに考えておるわけでございますので、その方法論の一つといたしまして日弁連の御意見もまた重ねて聞くということもあってよいのではないか、また反面、いろいろと反対ないし批判的な御意見も出ておるわけでございますが、もちろんごもっともな点もあるように思いますけれども、若干私どもの説明不足というような点もあるいはあって、そのために誤解をしていただいているんじゃないかというような感じを持つものもないわけではないわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、なお私どもの考えを十分関係方面に御説明することも必要であろうというふうに考えておるわけでございます。そういうような感じでございますので、新聞報道のようには事は進んでいないわけでございますけれども、何らかの方法によりまして私どもの意見も十分御説明し、また関係方面の御意見も改めて聞くという機会が得られるということは決してむだではなかろう、かように考えているわけでございます。
○寺田熊雄君 それはそれということで終わりまして、次は競売に暴力団が介入するというようなことをしばしば私ども新聞紙上で見るわけでありますが、これは最高裁の方にどの程度の報告が下級審から参っておりますか、この点まず御説明いただきたいと思うんですが。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 最近三年間の報告でございますが、昭和五十二年度には一件、それから五十三年度に二件、五十四年度に三件、五十五年度は三月までの間に三件という報告を受けておるわけでございます。
○寺田熊雄君 まあそういう好ましからざる現象があるとしますと、これは最高裁としてもこれに対応する有力な手だてを講じていただかなければいけないわけですね。これはどういう対応の仕方をしておられますか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 委員がおっしゃいましたように、これに十分対処していかなければならないというふうに考えておるわけでございますが、新聞報道などがありましたときには、随時その点についての調査をして各庁からの報告を求めておるということがございます。そのほかにそういう事故が未然に防止できるような体制をとっておく必要があるというふうなことから、まず裁判所で行われております協議会におきましてもいろいろな例を参考にいたしまして、裁判所の内外で不法または不当な行為をすることのないような指導を執行官に対して、及び執行官を監督する監督補佐官あるいは監督官というものに対して協議を重ねておるわけでございます。そういたしまして、実際の不動産競売期日におきましては、現実に競売手続を主宰いたします執行官が手続を厳正に遂行するように日ごろ注意を喚起しておりますし、競売場内の雰囲気をよく見ておれということを指導しておるわけでございます。同時に、執行官は手続を遂行しております関係でなかなか手が回らないというふうなこともございますので、各裁判所の首席書記官とか、訟廷管理官とか、主任書記官といった執行官の監督補佐官に競売場の立ち会いをしてもらいまして、出入りする人の行動について注意をしてもらうというふうに指導しておるわけでございます。 そのほか先ほど御指摘ありましたようないろいろな問題のケースにつきましては、警察に連絡をして警官の配置をお願いするというふうな手を打っておるわけでございます。 そういうことが現状でございますが、もう一つは売り方の問題にもかなり工夫を必要とするというふうなことで、従前は競り売りが主でございましたが、それはややもすれば脅迫行為などを誘発しやすいという欠点もございますので、可能な限り入札を採用するというふうに現況においても努めておるわけでございます。 以上でございます。
○寺田熊雄君 入札それ自体を妨害したような何か事件があったという新聞報道があるわけでしょう。ですから、入札にしたから大丈夫だというわけにはいかないんじゃないでしょうか。これは福山の場合は入札した者をおどかして、そして結局は入札させなかったということになっておるようですが、これは把握しておられませんか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) まさに御指摘のように、入札に切りかえたからといってそういう弊害が除去されるというものではございません。で、ただいまの福山支部も恐らくはそういうことであったろうというふうに思われます。そういうふうなことから、手続をどういうふうに変えても悪巧みは防ぎ切れないということでございます。結局はそういう入札をする場合に、一つの例としてはそばに立っていて入札をさせないようにおどかすとか、あるいは入札価格を変わったように書けというふうにおどかすというふうなことになってまいりますものですから、そういう入札をする際に妨害行為の起こらないように監督官の方で、あるいは執行官が警戒をするということが必要であろうというふうに考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 それからこれはある日刊紙の記事で、これは東京信用金庫の元管理部補佐の松崎という職員が、何か裁判所を欺いて競売の配当金三千万円を不法に受け取って着服したと、配当金を二重に受け取っていたものであるというような報道がありますが、これは把握しておられますか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 正式な報告を受けてはおりませんが、新聞記事等で承知しておるわけでございます。
○寺田熊雄君 これは事実ですか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) ただいま資料がございませんので確言はできませんが、事実ではなかろうかというふうに考えております。
○寺田熊雄君 これは、そうするとどういうふうに処置をなさるわけですか。
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 多分その事件といたしましては、一たん配当を受けたものを何といいますか、債務名義に配当を受けた金額が記載されているのを削った、あるいはそれを改ざんしたというふうなことで二度にわたって別な配当を受けた事例ではなかったかというふうに考えておりますが、そういたしますと不当利得の関係として処理せざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。
○寺田熊雄君 余り細かいことだからこの程度にして。 次は金の取引で被害を受けた主婦が各地にいるようですね。私自身もこの商品取引まがいの取引に巻き込まれまして何百万円も損害をこうむったと、一千万円近い損害をこうむったということで、ある主婦から訴えを受けたのでありますけれども、これは法務省の刑事局長にお伺いするけれども、検察庁はこれをいま詐欺として対応をしておられるようですね。こういう詐欺事件というのは全国的にたくさんあるんでしょうか。
○政府委員(前田宏君) いま統計的な数字は十分把握しておりませんけれども、かなりと申しますか、ある程度の事件があるように承知しております。
○寺田熊雄君 これはあなたの方で把握できますか、金の取引被害による刑事事件というのは。 それから、それを大体調査して資料をこの委員会に提出していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(前田宏君) 私どもも検察庁で扱いましたものにつきましては調査すればできないことはございませんが、むしろ寺田委員のお尋ねの御趣旨に沿うものとしては、警察当局の方の調査によりますものの方が適当ではないかと思いますので、警察とも相談をしてみたいと思います。
○寺田熊雄君 それでは警察と連絡をとって、あなたの把握できる程度のもので結構だから提出してください。いいですか。
○政府委員(前田宏君) 先ほど申し上げましたようなことで、警察ともよく連絡をとりまして、できます限度で資料を用意したいと思います。
○寺田熊雄君 これは詐欺で立件できるものですと大変いいわけですが、これは商品取引所法の八条の違反になるかならぬかという点では、あなた方の見解はどうなんでしょうか。
○政府委員(前田宏君) 商品取引所法の八条の問題でございますが、条文に一応即して申しますと、第八条は「何人も、先物取引をする商品市場に類似する施設」「を開設してはならない。」と、こういう規定になっておるわけでございます。これだけを見ますと、この規定の適用対象が相当広いような感じもするわけでございますが、それぞれ定義規定がかぶってくるわけでございます。と申しますのは、この法律の二条に定義規定がございまして、「商品」あるいは「商品市場」あるいは「先物取引」という言葉につきまして定義規定が設けられております。その中でも、特に「商品」という言葉の定義が第二条の二項に掲げられておるわけでございまして、その「商品」に当たるものにつきましては、具体的に「政令で定める物品」という規定の仕方に相なっております。そこで、「政令で定める物品」でございませんと「商品」に当たらないわけでございまして、その定義規定が御指摘の八条にも関係してくるということから、いま問題にされております金というものは、二条の二項に言う「商品」には当たらないということにならざるを得ない。そうしますと、それとの関係におきまして、八条の類似施設の開設という規定に当たるということは無理があるのではないかと、かように考えておる次第でございます。
○寺田熊雄君 次は、ロッキード事件に関連する小佐野の公判ですね。 この小佐野の公判では、きょう東京地方裁判所で公判がまた開かれておる。そして小佐野が受け取った二十万ドルについて、これをK・ハマダなる者の賭博による債務の支払いに充てたという問題について、この証拠の扱いがまた論議されるようですね。これはきょうの公判廷ではどういうふうな進行になるんでしょうか。
○政府委員(前田宏君) いまのお尋ねの問題でございますが、その前提といたしまして、去る三月六日に検察官側から冒頭陳述の補充訂正というものが行われたわけでございます。それとあわせて、若干の証拠申請もなされておるわけでございますが、その中で、いま寺田委員のおっしゃいました賭博による債務ということは触れていないということを、まず前提としてお断わりしておきますが、それはそれといたしまして、この三月六日の冒頭陳述の補充訂正に対します被告弁護人側の意見、また検察官から申請いたしました証拠についての意見、これが次回公判、つまり二十七日ということになる順番であるわけでございます。しかしながら、きょうどのような対応が被告弁護人側の方でなされるかにつきましては、まだきょうのことでございまして、私としては承知してないわけでございます。
○寺田熊雄君 そうすると、三月六日の冒陳では、つまりK・ハマダの単純な債務の支払いに充てたということであって、賭博による債務という点は明らかにしてなかったわけですか。
○政府委員(前田宏君) そのとおりでございます。
○寺田熊雄君 新聞紙上でわれわれはやはりこれを見ざるを得ないわけですが、公判廷で傍聴をすればいいんだけれども、そのいとまがないので新聞紙によることになりますが、そこでは浜田代議士の借金の総額が百五十万ドルで、最終的には百二十万ドルに割り引いてもらったと、その全額を小佐野被告が引き受けて払った。で、その債務なるものはラスベガス所在のサンズホテル、それが債権者である。同時にカジノの帳簿類であるとかホテルの支配人が書いた書面など関係資料十四点の証拠申請をした、こういう報道になっていますが、それは間違いないでしょうか。
○政府委員(前田宏君) ただいまいろいろと仰せになったわけでございますが、細かく申しますと若干違っているわけでございます。 まず第一に、寺田委員が冒頭、浜田代議士がとおっしゃいましたけれども、三月六日の冒頭陳述の補充訂正書におきましては、単にK・ハマダ——Kはローマ字でありますし、ハマダはかたかなでございますが、そういう表示の仕方でなされているだけでございまして、国会議員であるとか日本人の姓名と申しますか、そういうものは表示されていないわけでございます。 それから、先ほども申しましたように、その問題になっている債務と申しますものは、ただいま御指摘のサンズホテルが債権者だと、これはそのとおりでございます。 それから、百五十万ドルが百二十万ドルになったという点でございますが、これは冒頭陳述の補充訂正書の上ではそこまでは書いてございませんが、証拠申請をいたしましたものの一つの立証趣旨ということではそういうことは若干触れられてございます。 それから、いま帳簿類あるいは支配人の云々と、こういう御指摘でございましたが、広い意味では帳簿類に当たるかと思いますし、また支配人という言葉が当たるかどうかと思いますが、サンズホテルの関係者のメモと申しますか、経過を取りまとめたような物あるいはいわゆるサンズホテルの帳簿というような物、これらにつきまして検察官から取り調べ請求をしていること、これは事実でございます。
○寺田熊雄君 局長ね、新聞報道ではカジノという表現があるでしょう。サンズホテルというのはそのとおりだというあなたの御答弁だったが、カジノの帳簿類、そのカジノという表現は検察官の冒陳なりあるいは証拠申請書の立証趣旨の中にあるんですか。
○政府委員(前田宏君) その点に限って申しますと、冒陳の補充訂正書そのものには出ておりません。証拠申請の立証趣旨のところにカジノという字は一部出ているようでございます。
○寺田熊雄君 局長にお尋ねをするわけだけれども、カジノという固有名詞が——これは一般名詞かな、カジノという、これはあれですか、この証拠申請書の立証趣旨の中に出てきますと、論理的、必然的にこれはやはり賭博の関係だということがわかるじゃありませんか。これはどうでしょうか。
○政府委員(前田宏君) その前にお断りするようでございますが、先ほど来申しておりますように、現段階は、三月六日に冒陳の補充訂正が行われて、若干の証拠申請をしたという段階のまま本日に至っておるわけでございまして、先ほど申しましたとおり、それに対します被告弁護人側の対応はまだなされていないわけでございます。したがいまして、当然のことながら裁判所の証拠に関する採否決定もない。これも、本日行われるかどうかわからない。こういう状況でございますので、私が現段階で申し上げられますことは、冒頭陳述の補充訂正書に掲げられている表面的な記載、また証拠申請の書面に書かれている表面的な記載をそのまま申し上げる以上のことは私としては困難であるわけでございます。
○寺田熊雄君 なるほどね、それは冒陳にはうたってないと。しかし、検察官が裁判所に証拠申請書なり証拠調べ請求書というのは、これは提出なさったんでしょう。
○政府委員(前田宏君) それはそのとおりでございます。
○寺田熊雄君 だから、検察官は裁判所にすでに提出した書面、その書面の中にカジノの帳簿類というようなことをうたってあれば、検察官としてはこれはやはり、そうした舞台で生まれた債務であるということは前提にしてないとおかしいでしょう。どうですか。
○政府委員(前田宏君) 同じようなお答えになって恐縮でございますが、三月六日の冒頭陳述の補充訂正で検察官側が主張しておりますことは、問題の二十万ドルの授受に関して、その裏づけ、さらにもう少し具体的に言えば二十万ドルの使途ということになるわけでございますが、そのことを間接的に立証したい、それが立証事実であるわけでございます。したがいまして、そのもとになりますのが被告人の支払い保証であるということ、それからまたさらに、そのもとになるのが百二十万ドルの債務、こういうことになるわけでございまして、その債務の内容が何であるかということは当面の立証事実ではないわけでございます。したがいまして、そのことを、それがいかなる理由によって出た債務であるかということはさしあたっての問題ではない、検察官の主張としてはさしあたっての問題ではない、こういう立場にあるわけでございます。したがいまして、冒陳なり証拠の取り調べ請求の中で、それがカジノならカジノによるものであるというふうな事実として摘示はしていないわけでございまして、そのサンズホテルの損益計算書というものが請求した証拠の中に含まれておるわけでございますが、その一勘定科目として「カジノ売掛金勘定」という表示があると言うしかさしあたっては申しかねるわけでございます。
○寺田熊雄君 もう一遍。ちょっと何か聞き取れなかった。カジノ売掛金勘定とおっしゃったんですか、いま。
○政府委員(前田宏君) 先ほども申しましたように、この債務がどういう原因で起こったかという意味での記載はないわけでございまして、外形的な勘定費目の表示として「カジノ売掛金勘定」という文字が記載されている、こういうことでございます。
○寺田熊雄君 それから、あなたはK・ハマダという表現を使っているということをおっしゃったね。もちろんあれでしょう、そのK・ハマダというのは検察官としては実在の人物として把握しておられるわけでしょう。架空の人間だなんて思っておられないでしょう。
○政府委員(前田宏君) 先ほど申しましたように、この債務の発生原因の中で「K・ハマダなる者が」という言い方をしておるわけでございまして、その債務の発生原因といいますか、その事実は先ほど申しましたように、立証事実からすればさらに間接の間接と、こういうことになるわけでございますので、まあ現段階では、今後どういうことに相なるかは今後の問題でございますけれども、現段階ではそれがだれであるかということは、直接の立証事実でもないわけでございますので、そういう名前の人の債務というものが一応あって、それの支払い保証を被告人がしておったということ、その支払い保証の履行として二十万ドルが支払われたと、そこの方に重点があるわけでございまして、なかなか表現がむずかしいかもしれませんが、K・ハマダという人がどういう人であるかということは、さしあたってのこととしては、さして問題でないというふうに御理解をいただきたいわけでございます。
○寺田熊雄君 どうしてそういう回りくどいことを言われるのかちょっとわからないですね。あなたがやっぱり大宮人だからそこはみやびた表現で言われる、その苦心のほどはわかるけれども、やっぱり国民はこれだけ大きく報道された問題についてあんまり煙幕を張られると困るので、そういう国民のやはり期待を私どもは背に受けて質問しているわけだから、いかにそれが立証趣旨——あなたの言われる、それは犯罪の本体なのか情状なのか、どういうふうに説明されるのかは別として、そのK・ハマダなる人間が実在の人間であるというところまでは疑っておられないんでしょうね。
○政府委員(前田宏君) 私もこの問題につきまして、国民の御関心が深いということ、またそれだけにこうやってお尋ねも受けているということは十分承知しているつもりでございます。ただ、遺憾ながらと申しますか、裁判所との関係もございます。公判審理との関係もあるわけでございまして、現段階で申し上げられることは、先ほど来申しておりますように、三月六日にこういうことがあった、そのこういうことがあった中身としてはこういうことであるということを申し上げるのが現段階では限度であるわけでございまして、別に何かこう、意図があって隠しているというような気持ちはないわけでございます。つまり、この冒頭陳述の補充訂正というものは、検察官側としての主張でございまして、それに対して被告弁護人側でどう対応をされるか、また裁判所がどういう御判断をされるかということは、本日以降の公判の問題でございまして、それがまだ進んでいない段階で、その中身につきまして具体的に申し上げることは、そういう公判審理との関係で適当でないと、こういう趣旨で申しておるわけでございます。
○寺田熊雄君 いやいや、裁判所はどういうふうに理解するとか、受け取るとかいうことを私は伺っているわけじゃない。検察官がそれを証拠申請をした以上は、そして小佐野がそういう債務を支払ったという、その債務者がK・ハマダだとおっしゃるから、それじゃそのK・ハマダなる者は実在の人物だとあなた方は把握しておられるのかどうかと、その点だけを伺っているんです。
○政府委員(前田宏君) 検察官側といたしまして、これだけの事実を立証しようということを申しておるわけでございますので、全く架空のことであるという前提にはないわけでございます。
○寺田熊雄君 刑事局長ね、余りはぐらかさずに、要するに、質問に答えてもらいたいんですよ。その事実が架空かどうかということじゃないんですよ。また私も架空とは思わない。真実だと思う。だからその債務者が、K・ハマダなる債務者が実在の人間だというふうに把握しているのか、実在せざる人間だとして把握しているのか、そのことを伺っているわけですね。
○政府委員(前田宏君) 私どうも説明が不十分でおしかりを受けて恐縮でございますが、別にはぐらかしたつもりはないわけでございまして、架空でないということは、委員の御指摘のとおり一応実在の何人かが、K・ハマダというふうに表示されている何人かがいるということを前提にしているということは事実であろうと、こういうふうに申したつもりでございます。
○寺田熊雄君 そうすると、新聞紙上言われております浜田幸一代議士、そのK・ハマダが浜田幸一なりや否やという点は、全くあなた方はその事実かどうかということはお調べにならなかったんだろうか、検察官は。その点調べたのか、調べないのか。どうなんです。
○政府委員(前田宏君) これもまたおしかりを受けるかもしれないのでございますけれども、従来から一般論的なお答えといたしまして、どういう人を調べたかとか、どういうことを捜査したかということになりますと、それが公判に出ました段階では、もちろんこういうことが明らかになりましたということは御報告もし、御説明もしているわけでございますが、まだ公判に出ていない、いわばこのもの、このことも広い意味での捜査段階でのことでございますので、現段階では御説明をお許しいただきたいわけでございます。
○委員長(峯山昭範君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午後零時二分休憩 —————・————— 午後一時五分開会
○委員長(峯山昭範君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、宮本顕治君及び長谷川信君が委員を辞任され、その補欠として内藤功君及び真鍋賢二君が選任されました。 —————————————
○委員長(峯山昭範君) 休憩前に引き続き、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○寺田熊雄君 K・ハマダの問題でまた刑事局長に重ねてお尋ねをいたしますが、K・ハマダなる者がサンズホテルに負っていた百二十万ドルの債務、その支払いを四十八年の一月十五日に五十万ドル、それから四月二十八日ごろ二十五万ドル、七月十二日ごろ二十五万ドルを支払い、残額は二十万ドルとなっていたところ、それを四十八年の十一月二十万ドルを払って完済したという事実が報道せられておりますが、検察官が立証せんとして冒陳で陳述した要旨、それから証拠調べ請求書で立証趣旨を解明した内容というのは、そういういま私がお尋ねしたような内容と伺ってよろしいか。
○政府委員(前田宏君) そのとおりでございます。
○寺田熊雄君 そうしますと、その百五十万ドルの債務、そしてそれを百二十万ドルにまけさしたというその債務、この発生時期というのは、やはり検察官はいろいろ帳簿類とかそういうことで明らかにしておられますか。
○政府委員(前田宏君) 債務の発生時期といたしましては、一九七二年十月という表示がございます。
○寺田熊雄君 ちょっと、私はこのごろ年をとって耳が少し遠くなっているので、もう一遍おっしゃってください。
○政府委員(前田宏君) 債務の発生時期という趣旨で証拠調べ請求の立証趣旨の要旨というところに、一九七二年十月という表示がございます。
○寺田熊雄君 いま天下の大問題になっておりますので、そういう冒陳とかあるいは証拠調べ請求とかいうものは、当然法務大臣、これは関心をお持ちだと思いますが、そういう検察官が小佐野について——小佐野の審理事件について、検察官がそういう冒陳をしたとか証拠調べ請求をしたとかいうことは大臣も御存じでしょうね。
○国務大臣(倉石忠雄君) 概略の話は受けております。
○寺田熊雄君 あなたはそれで、K・ハマダなる者がいま満天下の国民が浜田幸一であるということを信じておるのですが、それが浜田幸一なりや否やという点については関心をお持ちになりませんでしたか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほど刑事局長が申し上げておりますように、表に出てきておりますのはK・ハマダというので、これはどういうことであるかということについては、別に分析して承ってはおりません。
○寺田熊雄君 分析するかどうかは別として、あなたも関心はお持ちになったでしょう。浜田幸一であるとかないとかいうことをワーワー言っているのに、全然関心をお持ちでないというのは解せないことなんで、関心をお持ちになったかどうかをまず伺っておる。
○国務大臣(倉石忠雄君) 関心を持たなかったと申せばうそになると思います。しかし、その人が現実にどういう人であるか、先ほど刑事局長も申し上げたとおりに、言われておるように国会議員であるとかないとかというふうなことについて公判に出てきておりませんから、そのことは。それを私どもが何かいろいろそんたくしてお答え申し上げることはできないと思います。
○寺田熊雄君 そうなんです。あなたがそんたくしておっしゃるのは適当でないかもしれませんが、あなたはそれが浜田幸一かどうかということは知っていらっしゃいますか。知っていて、そしていま公判に係属しておることだし、まだ裁判所が採用してない段階では言えないとおっしゃるのか、それとも、浜田幸一本人なりや否やということを全く御存じないのか、どちらですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) いま公判が進行しているときに出てきた話でありますので、私どものような立場の者からはこれ以上のことをお答えできないと思います。
○寺田熊雄君 そのお立場は私も理解します。ただ、そうすると、やっぱり大臣としてはもう浜田幸一本人なりや否やということは御存じではあるわけですね。御存じだけれども言えないというんですね。
○国務大臣(倉石忠雄君) これは、そういうことについて私どもがとかくのことを申し上げることは御遠慮すべきではないかと思っております。
○寺田熊雄君 いや、わかるんです。だからその立場は私もわかりますと申し上げているんですよ。しかし、大臣は心の中で、あるいは頭の中で、それが、K・ハマダなる者が浜田幸一なりや否や、その事実はどちらかということはもうわかっていらっしゃるのかどうかということを伺っているんです。
○国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたしました以上に何かを申し上げろというのは、ちょっと私の立場としては困るわけであります。
○寺田熊雄君 いや、どうして大臣がお困りになるんでしょうか。大臣がいま立場上言えないという、そのことは私も理解したわけです。だから、言えないというんならもうそれ以上私は伺わないわけですが、大臣が知っていて言わないのか、それとも全く知らないから言わないのか、どちらかということを伺っているわけですよ。知っているというのは、何も浜田幸一であるということを肯定して私は知っているということを言えということをお尋ねしているわけじゃありません。浜田幸一でないという否定の立場も含めて、あなたはそのいずれかであるということを御存じなのかどうか、それとも知らないのかということを伺っているわけなんですが。
○国務大臣(倉石忠雄君) K・ハマダという者が出てきておるだけで、これがどういう人物であるかということの解説はありませんと、こういうことでありました。
○寺田熊雄君 そうすると、刑事局長からもその点の解説は聞いていらっしゃらないということなんでしょうか。
○国務大臣(倉石忠雄君) K・ハマダ、先ほど刑事局長の御説明にもありましたように、KはKで、HAMADAとローマ字だということは承っております。
○寺田熊雄君 くどいようですが、そのことは了解しますよ。だからそれが浜田幸一なりや否やという点についての説明は、そうすると刑事局長から受けてはいらっしゃらなかったわけですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) いま申し上げましたように、K・ハマダだと、こういうふうに承っております。
○寺田熊雄君 いや、それはわかったんですよ。ただ、それが浜田幸一なりや否やという点については刑事局長から説明を受けなかったのですかと伺っていますよ。
○国務大臣(倉石忠雄君) そこまでは承っておりません。
○寺田熊雄君 では終わります。
○宮崎正義君 最初に、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案につきましてはお伺いをいたします。 国家公務員の定員削減計画につきまして、「昭和五十五年度以降の定員管理について」ということで閣議決定が、大臣、されておりますね。それでこの計画について法務省としての——この計画によりますと、「五年間に、新たに昭和五十四年度末定員総数の四・二%を目途に削減するものとする。」というふうになっておりますが、大臣のこの定員削減のことについてのお考えを、法務省としてのお考えを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま仰せの閣議決定がございましたことを承知いたしております。しかし、裁判所がこの政府の定員削減の方針に拘束されるものでないことは、申し上げるまでもなく当然のことでございます。しかし、裁判所は政府の定員削減計画の趣旨を理解されまして、司法行政部門の職員について裁判部門の活動を妨げないよう考慮しながら定員削減をすることとされたと承知いたしております。
○宮崎正義君 大臣は、いま裁判所の方も理解されて協力をしているというような御答弁のように聞き取れたんですが、大臣としては何にも、いまお話しのとおりで、裁判所の方に対して要請をするとか話し合いをするとかということはございませんでしたですね。
○国務大臣(倉石忠雄君) 別段ございませんでした。
○宮崎正義君 裁判所の方でこの公務員の定員削減計画について、これに同調していくということで削減というものをお考えになったかどうか、今度はその点を伺っておきます。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 先ほど宮崎委員仰せになりましたように、昨年の秋に政府の方で定員削減に関する閣議決定が行われまして、裁判所の方には、二つ閣議決定がございますが、官房長官から最高裁判所事務総長に対しまして、この閣議決定に協力を依頼する趣旨でこの閣議決定を参考送付してこられたわけでございます。 裁判所といたしましては、先ほど大臣も仰せになりましたように、この閣議決定に拘束されるものではございませんが、ただ、裁判所の中におきまして、実際に裁判を行っております部門につきましては、裁判所の本来の使命である裁判を迅速適正に行うという見地からいたしまして、この削減に御協力申し上げるということはできないわけでございますが、司法行政部門につきましては政府の方の行政と似通った面もあるわけでございますので、その点につきましては政府の御方針に、その範囲で、特に裁判に影響を及ぼさない範囲で行政部門について御協力を申し上げるというふうに裁判所の方で考えますので、そういう趣旨で削減に御協力するということにいたしたわけでございます。
○宮崎正義君 それに基づいて、五カ年計画とこう言っておりますね、その五カ年計画について、やはり同じように削減計画というものを、いま御答弁ありました中の様子を踏まえておやりになったかどうか。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) お手元に資料として差し上げております参考資料の十五ページのところをごらんいただきますと、昭和五十五年度におきましては司法行政部門で裁判所事務官三十二名を削減するということにいたしておるわけでございますが、まあ政府の方でも五カ年計画ということでおやりになるようでございますし、裁判所の方といたしましても、五十五年を最初の年といたしまして、五カ年計画でほぼ五十五年と同数ぐらいを毎年削減していこうと、そういうふうに現在のところ考えておるわけでございます。
○宮崎正義君 いま、十五ページの件ですが、裁判所事務官がマイナス一になっております。いままで、過去三年のあれを見てみまして、一回もそういうことはないわけですね。今回一名の減というものがありますが、これに、この人——この人ということになりますか、一名ですから、一というんですから。どういうふうな立場の人かどうか。 それからもう一つは、五カ年計画でどんなふうな人の立場を具体的にはお考えになっているのか。一般の行政の事務の方だというお話もありましたけれども、早く言えば、定年退職とか、そういうふうなものも含めての考え方なのかどうなのか。その点もひとつ。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) ただいま御指摘のように、昭和五十五年度におきましては裁判所事務官がトータルでマイナス一ということになっておりますが、その一方、裁判所書記官がプラス十六ということになっておりまして、全体としては十五名の増ということになるわけでございます。 で、この裁判所事務官を現実にそれではどういうところでどういう形で削るのかという、そういうお話でございますが、この資料の十九ページのところをごらんいただきますと、裁判所、これ幾つか職種がございますが、全体としては昨年の十二月一日現在で百五十六名の欠員があるわけでございます。この欠員は常時これ動いておりまして、まあ四月ごろにはかなり埋まるということになるわけでございますが、そういうふうに、一方においてはどんどんやめていく、一方においては採用すると、そういうことがあるわけでございまして、その意味におきまして、一方においてやめていった後を埋めます場合に、実際問題としては事務官を一人少なく埋めるということに理論上はなるわけでございますが、これは、そうは申しましても、裁判所は全国にたくさんございまして、こちらでやめこちらで採用するということで、常時多少の欠員はこれはやむを得ないところでございますので、現実に一名の削減をいたしますためにだれかを無理やりにやめさせると、そういうことにはならないわけでございまして、実際、自然にやめていった後、採用します場合に、この一名減を頭に置いて採用していくと、こういうことに相なるわけでございます。
○宮崎正義君 もう毎年この定員法のことにつきましてはごちゃごちゃやっておるものですから大体わかりますんですが、ただ、いま私の心配するのは、三権分立の立場の上から、大臣もおっしゃっておられましたけれども、行政の方に左右されるというようなことがもし仮にあった場合、これはゆゆしきことだと思います、そういうことはあり得るわけありませんけれども。そういうことから考えていきまして、過去三年の分を見ていきましても、裁判官の判事補が八名ふえ、これは五十三年度ですね。それから五十四年度では五名ふえている。そして五十五年度、今年度ですか、今度は二十二名ですね。テンポがすごい勢いでふえて、非常に裁判がスムーズにいけるような形にだんだんなってきていると思うんですが、仮にふやし方の率からいったら五十六年度はどんなふうな考え方になっておられるのか、お考えをひとつ伺っておきたい。 それと削減との兼ね合い、これはもう関係ないと思いますけれども、どんなふうな考え方で来年度は考えておられるのか。毎年毎年補充しながらふやす、また補充しながらふやすということでやっておりますので、こういうふうな裁判官、判事だけを考えてみましても二十二名ですから、八、五、二十二というような行き方だと、五十六年度はどんなふうになるのかなというように思うんですが。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 増員を含みます裁判所の予算につきましては、当委員会からもかねがね御支援をいただきまして、裁判所としても努力を続けまして次第に状況はよくなってきておりますが、この席で改めてお礼を申し上げたいと思います。 来年度、昭和五十五年度は判事二十二名で、五十六年度についてはどうなるかというお尋ねでございますが、ここら辺のところは事件数の動向、それから事件の質がどうなるかということとの兼ね合いもございますし、一方において、特に裁判官につきましてはどの程度、つまり増員が行われました場合にどの程度充員できるか、実際にその定員を埋めることができるかということの関係もあるわけでございます。 で、ごく大ざっぱに申しまして、最近次第に裁判官が十分埋まるように、つまり欠員が少なくなってまいりまして、判事も次第に埋めることができるような状況になってきております。事件数もお手元の資料からごらんいただきますとおわかりいただけますように、最近数年をとってみますと、若干ずつではございますが事件増の傾向になっておるわけでございます。 そういうことを考えますと、五十六年度におきましても、今年度と比べてどうなるかということをここで具体的な数字、これは内閣の方と折衝するわけでございますので、何とも申し上げるわけにはいかないわけでございますが、そういうふうに裁判官についても埋めることができるようになったという状況にもございますので、来年度も今年度に負けないような努力をひとつ続けていきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
○宮崎正義君 いろんな事件が複雑で、事件数がどんどんふえてきておるというお話でございますが、このいただいた資料二十五ページの「9 昭和五十一〜五十三年における地方裁判所の特殊損害賠償訴訟事件数」というのがございますが、その備考のところに書いてございますが、この内容について、早く言えば現在までの既決、未決といいますか、そういった現況の何か一覧表のようなものがございますか。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) この二十五ページの九表は、特殊損害賠償訴訟事件の毎年十二月三十一日現在の係属事件数を示しておるわけでございます。実はどれだけ新受があってどれだけ既済になったかということを逐一確実に把握しておりませんので、ちょっとむずかしいわけでございますが、各年末のそれぞれの事件、公害の中で申しますと、ここにございますような大気汚染とか水質汚濁、それぞれの種類の事件の未済件数がどうなっておるか。それから「その他」欄というのがございますが、「その他」と申しますのは、医療関係の事件、医薬品関係の事件、労働災害の事件というような事件がございますが、そういう種類別の未済事件数、係属事件数というものは毎年とっておりますので、そこら辺のところは資料をつくりまして差し上げることができると思います。
○宮崎正義君 大変な数になるんじゃないかと思いますが、ともあれ集団的民事訴訟というものが非常に増加しております。そうした中でわが国における民事訴訟の集団化の傾向というものは、四十年ごろから例の高度経済成長、あのひずみからくる各種のいろんな問題が一つのあらわれの様相というふうにも思われるわけですが、こうした中でますます複雑多岐してくるんじゃないかと、このように思いますが、この中でどういうふうな裁判所側として機構、組織、そういうものを考えておられるのか、その点について御説明を願いたいと思うんです。現状のままでいいのか、それともこういう集団訴訟のふえていく状態から考えていってみても、しかもこの予算書の中にございますね、予算書の中に東京高等、地方、簡易裁判所の合同庁舎の新営なんかが必要経費として出されておりますね。こうした合同庁舎の中にも、裁判に集団の訴訟を起こす代表者が決められる、それ以外の自分たちがその被害を受けているという人たちがいっぱい集団ですからいるわけですが、その傍聴にも今日の裁判所の状態ではなかなか大ぜいの人が入って傍聴ができない。身近に自分たちの問題を直接聞くことができない。そういったような点なんかも考えてみまして、今度の合同庁舎なんかをおつくりになるときには、そういう裁判所の設備といいますか、施設といいますか、そういうもののお考えがどんなふうになっておりますか。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) いわゆる公害関係の事件、まあ特殊損害賠償事件でございますとか差しとめ訴訟事件等におきましては、宮崎委員御指摘のとおり、当事者——特に原告が数百名、場合によっては数千名になるというような事件もあるわけでございまして、そういういわゆる多数当事者の事件というものが多いということは御指摘のとおりでございます。そういう多数当事者の事件を、現事に法廷でどういうふうに審理していくかという問題についてはいろいろむずかしい問題があるわけでございますが、いま例としてお挙げになりました庁舎、特に法廷等をどういうふうにするかという御質問についてお答えいたしますが、法廷はこういう当事者がたくさんおる事件につきましては、できるだけ大きな法廷があって、たくさんの方々が入っていただけるということが望ましいわけではございます。ただ、そうは申しましても、余りにも大きな法廷になりますと、本来法廷と申しますのは落ちついた雰囲気の中で慎重な審理をする場所でございますから、むやみにこれを広くしてしまうということは裁判官の訴訟指揮が十分行き届かないというふうな逆のデメリットもございまして、そこら辺のところの兼ね合いが非常にむずかしいわけでございます。ただ、そうは申しましても、最近、先ほど申しましたように、こういう当事者が多い事件がふえてきておりますために、新営庁舎をつくります場合には従前よりもかなり大きな法廷をつくることを心がけておりまして、現にいま御指摘になりましたような東京高、地、簡の合同庁舎をつくる場合にも、従来よりも大きな法廷を幾つかつくるということも考えておりまして、先ほど申しましたような裁判官の訴訟指揮が行われる限度においての広さということもございますし、もう一方余り大きなものをつくりますと数が少なくなる、法廷の数が少なくなるということともございますので、そこら辺の兼ね合いもあるわけでございます。ただ、御指摘のように、こういう多数当事者の事件について審理、特に傍聴人の方に御迷惑をかけないような程度の法廷をできるだけつくっていくと、そういう努力は続けたいというふうに考えておる次第でございます。
○宮崎正義君 よく言います開かれた裁判所、国民のための裁判所というこの立場の上から考えていろいろおやりになっていただいていると思いますけれども、まだまだ特別なところじゃないかというふうに国民は思っているわけです。そこで今度は自分たちが被害者になって、そして行きたくても裁判所が狭くて身近な自分の問題を取り上げられるのにもごく限られた人間しか行かれないという非常に憂いがある。そうなりますと、やっぱり開かれた国民のための裁判所というふうなことにならなくなっているのじゃないか。で、御答弁がいまありましたように、いろいろな角度の上から、しかし私もわかります。余りだだっ広い講堂のようにしてもこれはしようがありませんし、いろんなむずかしい点があるでしょうけれども、そういうことを一応踏んまえてお考えを願いたいと思います。これは私の要請でございますけれども、いかがでございますか、もう一度。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) ただいま宮崎委員仰せになりましたように、開かれた裁判所ということで法廷は公開するということになって憲法上保障されておるわけでございまして、そこら辺のところも念頭に置きました施策というものを考えていきたいと思います。
○宮崎正義君 いま私、手元にあるのは「集団的民事訴訟の増加とその対応策」という財団法人の日本法律家協会会長吉川大二郎さんという人が書いておるものがあるんですが、これをお読みになりましたでしょうかね。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 吉川先生にそういう御著作があるということは存じておりますが、申しわけございませんが、まだ読んでおりません。
○宮崎正義君 この集団的民事訴訟の問題については、この方もう大分前からおやりになっておるのですね。これはこの方ばかりじゃありません、相当研究をなさっておる方々があるわけですが、いずれにしましても、この文の中の一つ、二つ拾いまして、どうあるべきかということが出ておりますので申し上げてみたいと思います。 先ほど申し上げましたように、この方もこういうふうにおっしゃっています、「わが国における民事訴訟の集団化の傾向は、戦後、労働事件などにおいて些かその片りんが現われていたのであるが、昭和四十年頃からのわが国の高度経済成長によるひずみから生じた各種公害事件の発生を契機として、俄然、その質量共に拡大するに至った。そして、国民の法意識の高揚とマスコミや政党、文化人などの支持とも相俟って、各種公害事件のみならず、その他の集団的民事訴訟事件の多発化はいよいよ拡大し、今後もかような傾向は益々増大かつ多様化することは必至と思われる。」と、後は長い文章ですから省略をいたしますが、「かような集団的民事訴訟事件の増大に対応すべき裁判所側の機構組織は殆んど見るべき改正は行われず、」、私も先ほど質問をいたしましたけれども、これに対する御答弁がございませんでしたけれども、「改正は行われず、旧態依然たる状態であり、また、これを規整するための手続法たる民事訴訟法自体も、僅かに、選定当事者制度」、これは四十七条、四十八条でございますか、これの御説明もひとつしていただきたいんでありますが、この程度のものしかないんじゃないかというような説もあるわけなんですが、いかがでございますか。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 多数当事者の事件を処理する一つの方法、方策といたしまして、ただいま御指摘になりましたように、民事訴訟法に選定当事者の制度があることはそのとおりでございます。そのほかに、これはもう申し上げるまでもないことでございますが、多数当事者がおられましても、本人訴訟ではなくて、代理人を選任されます場合には代理人が出頭されて全体の代理をするということが行われているわけでございまして、そういう意味で事実上出頭される方は代理人その他ごく一部の当事者ということで、全員が出頭しなくても訴訟が進行できるという制度は、そういう訴訟代理ということで賄えるということになるわけでございます。
○宮崎正義君 それはわかっているのですがね、裁判所の機構、組織がほとんど見るべきものがないという、こういう点についてのお考えはどうなんですか。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) まことに恐縮でございますが、吉川先生がその書物で書いておられます機構、組織というものの意味が、実は私ちょっとそれを読んでおりませんので、十分に理解できないわけでございますが、まあ裁判所といたしましてはこういう多数当事者の事件の審理、訴訟の運営ができるだけスムーズにいきますような実際上の手当てと申しますか、たとえば裁判官同士が研究をいたしますとか、研修会を開きますとか、そのほかにいろんな書類等がスムーズにつくれますような、つまり補助機構と申しますか、書記官、事務官等の補助機構、それから器具、機械というようなものをできるだけ整備いたしまして、こういう多数当事者の事件ができるだけスムーズにいきますような、これは事実上の問題でございますが、そういう手当ては講じておるわけでございます。
○宮崎正義君 この人はこういうふうにおっしゃっておるんですがね、「公害等の集団訴訟を審判する特別裁判所(憲法七十六条二項の特別裁判でないことは固よりである)」と書いてありますが、「又は、少くとも、特別部を新設するとともに、法廷の構造にも」、法廷の構造というのは私がさきに質問いたしましたけれども、そういうものの配慮というもの、そういうふうなことを考えなければいけないんじゃないのかというような意見が述べられております。これを私は読みましてから、いまお話の御答弁がありました、いろんな人的、人為的なもの、そういうもので調整をしているというようなお話を伺ったんですが、この人の言われるような特別部みたいなものを、集団訴訟というものはこれは複雑なものがあるわけです。さっき四十七条、四十八条と言いましたけれども、四十八条なんかで薬害による方々がその集団訴訟をしているうちに病気で亡くなっちゃうという方たちがいるわけですね。それはまあ交代をすればいいんだということになりますけれども、その裁判中に亡くなっていっている人たちも見受けるわけですね。そういったような非常にテクニックといいますか、やり方につきましては相当むずかしい問題が集団訴訟の中には複雑化したものが出てくると思うんです。そうなりますと、やはりそれを適切に裁判するのにはやはり何か一つの部なり課なりを設けて、それを処置していくというお考えはあるかどうかですね。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) まず前段の方の特別裁判所を設けてはどうかという問題につきましては、憲法との関係もございますし、むしろ裁判所と申しますよりは政府の方で立法上お考えいただくべき問題ということになろうかと思いますので、それは別といたしまして、特別部の問題につきましてはこれは裁判所として考え得るものでございます。御承知のように、現在各種の事件について特別部というものを大きな裁判所において設けておるものがあるわけでございます。強制執行の事件でございますとか、会社更生等の事件でございますとか、保全の事件でございますとか、そういうもので特別部をかなりの数設けております。 問題は、こういう特殊損害賠償事件でございますとか、差しとめ訴訟事件、こういう公害関係の事件について特別部を設けることはどうかということになるわけでございますが、特別部を設けます一つのメリットといたしましては、同種類の事件を一つの部にまとめて行います審理、裁判を行いますことによるメリットがいろいろあるわけでございますが、それにはやはり共通の問題点というものがあるのがメリットを得るために望ましいわけでございます。公害関係の事件につきましては、一つの裁判所におきましても、特別部を現実につくるだけの事件数、全体としてそれだけあるかどうかということが一つございますし、それから公害関係の事件の中にもいろいろな種類の事件がございまして、一つ公害事件ということでまとめてみるだけのメリットがあるかどうかということも、やはり一つ検討しなければいけないのではないかという感じもいたします。ただ、だんだんそういう事件がふえてまいりまして、大きな裁判所におきまして何らかのそういう特別部を設けて、特別部ないしはその種の事件は全部そこへ集中するという、集中部というふうに呼んでおるんですけれども、そういう部を設けてやることができる時期もあるいは来るかもしれませんが、現状においてはまだそれだけの事件数というものはちょっとないのではないかという感じもいたしますが、そこら辺のところは事件数の推移等見ながら検討さしていただきたいというふうに考えます。 もう一つ、これちょっと御趣旨がよくわからなかったんですが、こういう多数当事者の事件におきましては、途中で原告において亡くなる方もあって相続が行われる。訴訟の上では承継というふうに呼んでおりますが、普通の事件よりも承継が行われる場合が多いということがあるいはあるかもしれません。ただ、そこら辺のところは訴訟法上も一応の手当てはあるわけでございまして、ただそれ以外にもっと立法上手当てをすればなおうまくいくというのはあるのかもしれませんが、一応現在のところは民事訴訟法に承継の規定がございまして、それで一応相続人の方に承継していただくということができるような、そういう最小限の手当ては現在の訴訟法の中でもあるわけでございます。
○宮崎正義君 関係資料のさっきの説明の「その他」のところですね。「医療、薬品・食品、航空機・船舶、労働災害、自動車(欠陥)等に係る事件数を計上した。」と、こうありますが、先ほど資料を出していただけるようになりましたので、またそれをいただいてからいろいろ御説明も受けなきゃならないと思っておりますが、この「9」の中でも五十一年が二千二百六十六、五十二年が二千四百七十八、五十三年が二千六百十一と、その他の分におきましても相当事件数が上がってきておりますね。ですから、早く言えば、国民が自分たちの今日までいろいろな面で被害を受けてきたことが公に今度は訴訟ができるんだという意識がだんだんだんだん出てきて、いろいろな問題が、それこそいいのかなと思われるようなものも考えの中に集められて訴訟が起きてくる要因を考えてくる時代じゃなかろうかと私は思うんですが、いずれにしましても、非常に特殊損害賠償訴訟事件数という特殊という問題点を挙げられている点から考えて、もっと適切な考え方をしていかれるように私は重ねて要請をいたしておきます。 それから最後に、欠員のことでちょっとお伺いをしたんですが、身体障害者雇用率の状態が法務省、裁判所関係は——法務省関係の達成状況といいますか、これについてのひとつ御説明を願いたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 私どもの調べでは、裁判所におきます身障者の雇用率は一・八%弱でございます。
○宮崎正義君 これは法務省の方はどういうふうになってますか。
○政府委員(枇杷田泰助君) 私どもいま手元に資料がございませんので、的確な数字はまた後刻調べてお答えいたしたいと思います。
○宮崎正義君 人事局長、欠員の充足の方法として、当然これは考えられていらっしゃるだろうと思うんですが、どうなんでしょうか。この欠員の充足に当たっての問題をどんなふうにこれからお考えになっておるのか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) ただいま御指摘の点からの雇用といいますか、の問題について申し上げますと、実は、私先ほど申し上げました雇用率の一・八%弱といいます数字は、残念ながら法定雇用率一・九%を下回っているわけでございます。法の趣旨に従いまして、私どもといたしましては、できるだけ法の精神に従った運用をしていきたいとは考えております。大変、先を越して恐縮でございますが、裁判所の場合のなぜ低いかという理由をいろいろ考えてみたわけでありますが、雇用促進法制定前を見てみますと、身障者が比較的少なかったのではなかろうかという点、それから欠員補充の点でございますが、私どもの職員の採用は、原則として正規の試験合格者から大多数の者は採用しているわけでございます。そうしますと、合格者名簿に登載されない限り採用はないということになります。受験者の中に身障者が——もちろん、その前提としまして、受験資格として身障者を欠格者というようなことにはしておりません。これは当然のことでございますが。どうしても試験合格者から採るというたてまえをとっておりますので、いま御指摘の欠員補充についても、身障者がふえるといいますか、身障者がふえる率が非常に高くないというような状況でございます。この点は繰り返しになりますけれども、法の趣旨に従いまして、身障者なるがゆえに採用しないというようなことはもちろんするつもりもございませんし、将来とも十分この点について考えて運用いたしていきたいと考えております。
○宮崎正義君 御答弁ありましたように、一・九に対する率に対して一・八弱ということで、人数にするとどれぐらいのあれになるんですか、不足、充足数ですね。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 五十四年の十二月末現在で、法定雇用率達成に必要な人員数は二十九でございます。
○宮崎正義君 お話がありましたように、身体障害者の方々というのは、やはりお考えをもう一歩深めていただいて、御答弁がありましたような二十九名という方をさらに強く要請を、一時も早くそういう方々を雇用されるように私は希望したいと思いますが、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 御趣旨はよく承りまして、先ほど申し上げましたように、その運用につきましては十分検討いたしたいと存じます。
○宮崎正義君 先ほど四十七条、四十八条の「選定当事者」、「選定当事者の一部の資格喪失」、この四十七、四十八条以外に集団代表訴訟法という法を考えられておいでになるかどうか。この二つだけあればたくさんだと、この四十七条、四十八条だけあれば集団訴訟の問題については処理ができると、こういうふうにお考えであるかどうか、伺っておきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 集団訴訟の運営につきまして、この選定当事者、それから訴訟代理があるということを先ほど申し上げたわけでございますが、宮崎委員、本日も集団代表訴訟に関する法律案御提案をしておられまして、こういうことも一つの考え方だというふうには思いますが、特別の法律をつくってやっていくのがいいものかどうかという点につきましては、十分検討したわけでもございませんし、ちょっと意見はこの際差し控えさしていただきたいと存じます。
○橋本敦君 刑事局長がお越しになるまでに、議題となっております定員法に関連をいたしまして家庭裁判所の調査官問題について、まず最高裁にお伺いをしたいと思います。 きょういただきました関係資料の一番最後のページを見ましても、家庭裁判所の家事・少年新受件数を見ますと、五十一年から家事事件が横ばい的でありまして、一向に減っていない。特に、少年事件では保護事件が五十一年から五十二年に三万三千件、五十二年から五十三年へ四万三千件、五十三年で五十三万八千八百三十四件というように急増している状況でございます。この傾向は五十四年、そしてまた、五十五年度へと減ることはないという状況のように私は思いますが、まずこの点いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(栗原平八郎君) ただいま委員御指摘のとおり、そのような傾向をたどるのではなかろうか、このように私どもも考えております。
○橋本敦君 最近少年非行問題が大変大きな社会問題になってまいりました。それに関連をして少年事件の急増ということも出てくるわけです。そういうことで、この保護事件の増大ということに対して、この内容は主としてどういうところに原因があると最高裁ではつかんでおられるでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(栗原平八郎君) 委員の方で十分御承知のとおりだと思いますが、少年非行の原因というのは非常に多岐にわたっておりまして、少年自身が持っております問題性のあることはもとよりでございますが、やはり、社会環境その他もろもろの要因が重なってこのような現象に相なっておるのではないかと思います。特に、価値の多様化と申しますかあるいは生活環境等の急激な変化に、少年の心身的な発育が十分対応していけないというようなところにも一つの大きな非行の原因があるのではなかろうかと、このように考えている次第でございます。
○橋本敦君 そこで、少年事件に限りませんが、家庭裁判所の調査官の配置を見ていただきたい。資料の十九ページ、これは人事局関係です。これによりますと、家裁調査官は家庭裁判所で現定員が一千四百六十四、現在員が一千四百二十六、欠員が三十八あります。これは書記官の欠員あるいは秘書官の欠員、事務官の欠員等に比べても著しく高い数を示している。なぜ家裁調査官がこれだけ多くの欠員のまま定員割れになっているのか、どういうことでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 調査官、家庭裁判所調査官の欠員につきましては、ただいま御指摘のとおりでございます。この点も御承知かと存じますが、家裁調査官は、最初家裁調査官補として採用いたしますが、上級甲の試験を受けてもらいまして、それで採用しております。裏返して申し上げますと、いわば資格を要求しておりまして、かつ家庭裁判所調査官研修所に入所させた上で、一人前の調査官として働いてもらっております。この統計表は十二月一日現在でございますので、特に、年度後半時における欠員数でございます。例年のことでございますが、このあたりの時点になりますと、大体このような欠員数が例年出てまいります。またさらに新たに採用をさせていただくつもりでございますので、その点は、いわば試験採用であるということを前提にして、年度途中の欠員というふうに御理解いただきたいと存じます。
○橋本敦君 そう簡単には理解できないんです。ほかと比べて家庭裁判所の調査官の欠員が多いではないかという指摘をまずしたでしょう。だから、年度途中という、年度末とかいう条件であればみんな同じなんですよ。 もう一つは、家裁調査官はそういう、いまのお話があったように、専門官的素養と専門的知識、これを要しますから、だから、それなりに最高裁が力を入れて、家庭裁判所調査官の育成と採用、ここのところにうんと力を入れませんと、あなたがおっしゃるようなことでは、毎年どこかの時点で三十数名の欠員を持って、またちょっと埋まる、これを繰り返しちゃいかぬわけですね。私が言っているのは、この欠員を全面的に、せっかく定員があるんですから、それを埋めるということについて、基本的に埋めたいという、埋めようという方針はお持ちなんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 欠員を充足するという方針につきましては、仰せのとおりのつもりでおります。
○橋本敦君 その方針に基づいて、せっかくの具体的な努力をしなくちゃいけないと思いますね。 私、この間、大阪の家裁に行って、ちょっと統計調べてみたんですが、大阪の家裁で、もう一遍少年事件に帰りますけれども、五十年から五十三年までとってみますと、配置人員は五十年で三十名、そして五十三年で三十三名、三名ふえております。三名、大阪の家裁。ところが、少年事件は五十年が六百六十一件であったのが、五十三年になりますと三百件もふえて、九百九十一件になっておる。在宅で調査あるいは審判する必要がある少年の数になりますと大変なふえ方でして、五十年は七千九百五十五件、五十三年は一万二百二十六件、大阪だけでもう三千件の増大を見ておる。これはもう大変な仕事がふえるということは、この数字から見ても明らかですが、定員は三名しかふえていない、こういう現状であることが大阪で明らかですが、これは最高裁、大阪の実情として私が指摘した状況は間違いございませんか。
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 大阪の家庭裁判所の調査官の定員、手元に資料がございませんが、橋本委員よく御承知のことでございまして、ほぼそれに間違いないのではなかろうかという感じはいたします。
○橋本敦君 その家庭裁判所の、特に少年事件あるいは家事事件を扱う調査官等は、専門的な知識を持ち、科学的な調査あるいは教育的配慮、多面的な考慮をしながら仕事をしておりますね。私が聞いたところでも、家事部の科学調査室、ここで心理検査結果報告書というのを調査官がお書きになるわけですが、これまた、裁判官にとって重要な資料になる。この資料を書くのも、いま言った件数がふえていきますから、どうしても持ち帰り仕事をしなくちゃならぬという状況が増大をしてきておる、こういうふうに私は聞いてきました。 それからさらに、年度途中で、大阪では二名もの病死者が出たということも聞きました。 それからまた、アンケート調査によりますと、ほとんどの職員の皆さんが何らかの身体的な障害をアピールしておられる。たとえば腰痛、肩こり、背中の痛み、慢性疲労、それによる体の変調とか、これはいまの社会環境自体が悪いものですから、過度の労働密度が高まれば当然やっぱり集中的にあらわれてくるんですが、労働組合としては、こういうアンケートで職員の健康状態を把握しようとしておりますが、裁判所としては、こういう事件増大、定員がふえない、そこからくる職員の健康状態について特段の調査、配慮等されたことがあるでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 職員の健康管理につきましては、私どもの所管でございます。 御指摘のとおり、仕事をしたために、そういう身体障害が非常に多くなっているということでありますれば、ゆゆしきことでございます。健康管理の面からは十分いろいろな配慮をいたしているつもりでございます。 なお、具体的に大阪の家裁の場合にどうであるかという点につきましては、なおよく調査させていただきたいと存じます。
○橋本敦君 いま調査するということを言ってくださいましたので、私もぜひ調査をお願いしたいと次に言おうと思っていたんですが、ぜひお願いしたいと思います。 それで、こういった試験を受け、そうして教養、知識を高め、専門官として調査官が仕事をしていく。そういう調査官に対する今度は待遇の面でどうかという問題について最高裁の考えを聞きたいのですが、たとえばこの調査官の人たちが三等級になるということは、これはなかなか容易じゃない。そういう実態があるように思いますが、事実そうですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) いわゆる家裁調査官の三等級の問題につきましては、私どもはよく承知しているつもりでございます。
○橋本敦君 そこで、四等級から三等級になるのに大体何年かかりますか、家裁の調査官について。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 改めて申し上げますと、先ほど申し上げましたように、調査官は上級甲の職員でございますので、一般職のほかの省庁におきます上級甲の職員と同じような昇級、昇格の運用をしているつもりでございます。最初に大変詳しくなって恐縮ですが……。
○橋本敦君 簡単でいいです。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 四等級になりますのは、大体採用後十年ぐらいで四等級になります。現在、調査官の三等級は主任家裁調査官のポストになっておりまして、適格者を主任家裁調査官として昇任いたす際に三等級の昇格を行っているということでございまして、四等級から三等級になる年限につきましては、的確に何年ぐらいで三等級になるというようなお答えはできかねるわけでございまして、結局、主任家裁調査官の適任者として任命された者が三等級に昇格するという、こういうのが現状でございます。
○橋本敦君 私の聞いている範囲では、九年ないし十年というふうに聞いているのですが、その主任調査官というポストにつかなくとも、どんどん年限はたっていく、仕事はベテランになっていく、そこで、その主任調査官にならなくても、いわゆる三等級に昇格をして優遇するという、こういう意味で、平三等級の暫定定数ということを設けて措置をしている状況はありますね。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 三等級の暫定定数ということで獲得していることは事実でございます。
○橋本敦君 五十三年あるいは一番最近の五十四年で、その暫定定数は何名ですか。そうして実際の運用は何名ですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) いわゆる平三等級につきましては、五十三年度が六、五十四年度が八、御指摘のとおりでございます。運用につきましては、五十三年度は三、五十四年度は現在までのところ二を発令したという実績になっております。
○橋本敦君 せっかく、いま言ったように、暫定定数で予算定数を六ないし八取りながら、実際の運用で三等級にしてもらえる人がわずか一名とか二名とか、こういう現状になっている。ここらあたりの効果的な運用をもっとやるという必要が一つはあると思いますが、もう一つの問題は、私が聞いたところでは、主任調査官ポストにならないで、ごく数少ないいま言ったような暫定定数で平三等級にしてもらう人について、退職することを間近に控えておる、そして、退職することを事前に平三等級にしてもらったら、しばらくしたら退職する、何カ月後には退職すると、こういう約束がないと、それも、数少ない運用の中のその暫定定数にも入れてもらえない、こういう実情だと私は聞いてきましたが間違いありませんか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) この三等級のポストにつきましては、先ほど申し上げましたように、主任家裁調査官のポストとしてあるわけでございますが、これは御承知と存じますが、標準職務表上、いわゆる平調査官につきまして三等級の獲得は私ども努力しているつもりでございますが、現在の標準職務表というものの関係で、なかなか実現を図れないような状態でございます。平三等級の運用につきましては、ただいま御指摘のように、退職含みということで運用させていただいているのが現状でございます。ただ、職員側の要求が非常に強いところでございまして、私どもも努力しておるつもりでございますが、なかなかここで将来とも明るい見通しを持っているというふうにはお答えいたしかねるのが実は現状でございますが、なお一層努力を続けてまいりたいと思っております。
○橋本敦君 今後、職員の要求を満たすために努力をするというお話はそれでいいんですが、私は、平三等級にしてあげるのについて、もう退職しますと、そういうことを当局との間で内々約束しなければしてもらえない、これは残酷じゃないかと思うんですよ。だから、私はしばらくまだまだ元気だから、調査官としての仕事に生きがいを感ずるからやりますと言ったら、どんなに古くなっても、最高裁は、退職の約束をしないんだから平三等級に運用上してくれない。やめると言えば、何とかやめるときの直前の、何というのですかね、お情けみたいなことで、それを条件にして平三等級にしてやる。私は最高裁判所ともあろうところが、職員の退職を約束さした上でなければ勤務条件の向上ということをやってやらない、これは問題だと思うんですね、こういう制度は。いかがですか。やめるということを言わなかったら平三等級にしてやらぬぞ、私は元気だから、もっともっと調査官として生きがい感ずるから仕事やりますと言ったらいつまでたっても四等級だと、最高裁がこういうような退職強要に近いような扱いを職員に対してしてよろしいものでしょうかね。私は疑問がありますが、どうお考えですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 現状をざっくばらんに申し上げますと、平三等級につきましては、暫定で認められているということは、実は標準定数としては認められていないというのが現状でございます。その意味で、この標準定数への突破ということが私どものいろいろな問題のある中の一つの大きな重要な問題であることは認識しておるつもりでございます。これは、先ほどから申し上げておりますように、標準職務表という共通的なものがございますので……
○橋本敦君 わかってます。わかってます。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) その突破のために、先ほどから御指摘いただいております調査官の職責の特殊性、重要性というものを主張し続けてまいっておりますけれども、なお一層この点につきまして、先ほど申し上げましたように、努力いたしていきたいという所存でございます。
○橋本敦君 その努力する中に、私がいま指摘したようなそういうことのやり方はやめて、いいですか、やめて、つまり、首を切りますよと、それをのむならば平三等級にしてあげるという、こういうやり方をやめて、もっと基本的に正しい立場に立った努力を、最高裁としてはもっと抜本的に進めるような努力をしてもらわなければいかぬ。いいですか、こういう意味で言ってるんですよ。努力をするとおっしゃったけれども、まだ私が指摘した問題については、今後とも改められる御意思ないわけですか。首切り条件でなければやりませんか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) この三等級ポストの問題につきましては、先ほどから繰り返して申し上げておりますように、なかなか実現困難な問題でございます。でございますから、この席上で、それでは現在の暫定定数をやめて、最高裁の独自の権限で平三を増設するということは制度的にはできかねるような状態でございますので、基本的な問題として、平三の標準定数としての獲得ということについて努力いたしたいという趣旨でございます。
○橋本敦君 暫定定数というのは、首を切られる、やめるまでの暫定というように運用しているわけですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 先ほど申し上げましたように、この運用につきましては、退職の目途がついた方に対する運用をしているわけでございます。
○橋本敦君 だから、退職するということを目途に運用するというのは、これは一体最高裁が独自で決めたんですか、それとも他省庁との関係、あるいは大蔵との関係でそうさせられたんですか、どっちなんですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 運用自体は最高裁の責任でやっております。
○橋本敦君 だから、最高裁の責任でこういった問題を抜本的に改める方向で、先ほどあなたがおっしゃった標準定数も結構ですが、検討をせっかくこれから努力してもらいたい。そして、いま言った定員を埋めることはもちろんですが、定数の増大やそういったことについて、非常にいま困難な条件であることはわかりますけれども、最高裁の今後とも一段の努力を私は強く期待をしておきたいと思うんです。いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 私どもそのつもりで努力いたす所存でございます。 —————————————
○委員長(峯山昭範君) この際、委員の異動について御報告いたします。 ただいま、加瀬完君、阿具根登君及び宮之原貞光君が委員を辞任され、その補欠として高杉廸忠君、大木正吾君及び坂倉藤吾君が選任されました。 —————————————
○橋本敦君 いまの問題はそれで終わりますが、私は、裁判所が退職強要に近い形でしか職員の優遇処置を講じないという運用をやっているのは、これはやっぱり改めるべきだと思いますよ。今後ともひとつ御研究いただきたいと思います。 刑事局長お越しいただきましたんで、お尋ねをさせていただきたいと思いますが、三月の六日に補充冒陳を裁判所で行われた。この補充冒陳という検察官がおやりになったねらいは、これは検察官が最初の冒頭陳述で主張された、二十万ドルを受領したということを、これを小佐野側が強く否定している。しかし検察官としたら、二十万ドルを小佐野がロス空港で受領したという事実は、証拠によって事実として確信をしておられる。そこで小佐野の否定を打ち破るために、その使途を含めて補充的に具体的な立証をするための冒陳をなさったというように私は理解しますが、間違いありませんか。
○政府委員(前田宏君) おおむね御趣旨のとおりでございます。
○橋本敦君 そこで、この補充冒陳をなさった冒頭陳述の中に、四十八年の十一月三日、いわゆるロス空港でアタッシェケースから——二十万ドル入りのアタッシェケースを持って小佐野が貴賓室から出てくると。で、その後、冒陳によりますと、小佐野は同行者とともに午後五時過ぎのロス発の便でラスベガスに着いている。そして、小佐野はそのころその二十万ドルをサンズホテルに対する残債務として支払いに充てたと、こういう主張がしてある。この問題について、このときに同行者が何人いたんですか。この数はこれは言っていただけるでしょう。同行者があったということは主張されているんですから。
○政府委員(前田宏君) 正確な数をちょっと記憶しておりませんし、正確な数がいままでの法廷で出てはいなかったように思いますが、複数の同行者であったと思います。
○橋本敦君 複数というのは、小佐野プラス一でも複数ですが、小佐野プラス一ではなくて、同行者自体が複数だというようにいまの答弁は理解したんですが、それでよろしいですね。
○政府委員(前田宏君) そういうつもりでございます。
○橋本敦君 その同行者の一人がこの公判廷で証人に出た竹中工務店の専務の大橋賢治さんであったことは、これは公判廷の証拠調べで明白ですが、間違いありませんね。
○政府委員(前田宏君) そのとおりでございます。
○橋本敦君 もう一人の同行者に浜田幸一代議士がおられたということも間違いないんじゃないですか。
○政府委員(前田宏君) その点は、私の記憶によりますと従来の公判廷では明らかになっていなかったと思います。
○橋本敦君 弁護側の証人として出た大橋竹中工務店の専務が、公判廷で、四十八年十一月のラスベガス旅行、つまり二十万ドル支払いしたときに浜田幸一衆議院議員が同行したと、これはもう公の法廷で証言しているじゃありませんか、こういう証言があったことは新聞にも書いてあるし、先日、私が根來課長に聞いてもそういう証言があったことは知っていると、こうおっしゃっている。だから局長ね、このときの同行者の、あなたが複数とおっしゃった一人に浜田幸一衆議院議員がおられたということは公判廷でもう明らかになった事実だ。大橋証言を検察官が否定なさるなら別ですよ。それはもう矛盾だからね、間違いないでしょう。
○政府委員(前田宏君) 先ほどちょっとあいまいなことを申しまして恐縮でございますが、御指摘の事実はいままでの証言の中で出ております。
○橋本敦君 だからしたがって、同行者があったという主張をなさり、その中に竹中工務店の大橋専務と浜田幸一衆議院議員がいたということは、これはもう局長もいま御答弁なさったとおりである。その浜田幸一氏がラスベガスへ小佐野と同行したそのときに、債務二十万ドルが小佐野から支払われている。 そこで、先ほどの債務の発生原因にさかのぼって伺いますが、この債務の発生原因である四十七年十月、時期は四十七年十月に百五十万ドルの債務が発生したと。これは確認しますが、間違いございませんね。
○政府委員(前田宏君) そういう主張になっております。
○橋本敦君 その保証したのが小佐野であって、その債務を発生させたのがK・ハマダという人物である、これは間違いありませんね。
○政府委員(前田宏君) そのとおりでございます。
○橋本敦君 四十七年十月にK・ハマダなる人物が百五十万ドルもの債務を発生させた。この債務はだれに対する債務かというとサンズホテルに対する債務と、こうなっていますが、これはホテルの宿泊費が百五十万ドルかかるわけはないんでね、サンズホテルが債権者ではあるけれども、これは検察官が法廷に出された証拠資料であるカジノの売掛金勘定、これがその債務の具体的内容を示す証拠だと、こうなるんではありませんか。
○政府委員(前田宏君) そのように御理解をいただいて差し支えないと思います。
○橋本敦君 だからしたがって、カジノというのは世界でだれ知らぬ者もない賭博場、一般にカジノと言うわけですから、サンズホテルに債務と検察官は書いているけれども、これはそういう扱いとしてされたので、実際はその実質的中身はカジノにおけるいわゆる賭博の債務だと、こうなるのがこれはもう当然である。売掛金というのは、カジノでやって負けた債務をみんな売掛金ということで勘定上処理するんで、賭博代金なんて書きやしません。これは間違いないでしょう、これはもう常識ですから。
○政府委員(前田宏君) あえて否定するわけではございませんけれども、三月六日の段階では「カジノ売掛金勘定」という表示があるという程度でございます。
○橋本敦君 おっしゃるとおり、常識的にあえて否定できない性質のものなんですね。だから、まさに賭博に負けた金の債務をK・ハマダが発生させ、小佐野がそれを保証した。そこで百五十万ドル、円貨にして約四億五千万円、こういった途方もない金を賭博で負けて、その金を保証するということになりますと、保証してやる人と保証してもらうK・ハマダという人との間の関係は、これは検察官にとってどういう関係なのか、これはもう重大な関心をお持ちだと思うんですが、いかがですか。並みの関係じゃないですね。
○政府委員(前田宏君) それだけのいわば多額な金の保証でございますから、それなりの間柄であろうということは当然言えるかと思いますが、先ほども申したかと思いますけれども、その両者の関係がどうだということは、この冒陳の補充訂正の主たる立証事実ではないということに御理解いただきたいわけでございます。
○橋本敦君 冒陳の主たる立証事実でないけれども、情状関係の具体的な内容として、将来検察官は立証する必要が出てくるかもしれないし、その場合には立証できる用意があると私は思っておりますが、いかがですか。検察官の捜査というのは、そこまで進んでいると私は信頼している。
○政府委員(前田宏君) 今後の公判の推移との関係でございますので、この段階で何とも申しかねるわけでございますが、また一面、いま情状というお話がございましたけれども、改めて申し上げるまでもないことでございますけれども、この本件の公訴事実は偽証ということでございまして、そのまた主たるところが先ほど来お話のあります二十万ドルの授受ということでございまして、普通の犯罪事実の情状というような意味での情状ということではないのではないかというふうに思います。
○橋本敦君 先ほど今度の補充冒陳をなさった理由が、小佐野が二十万ドルの受領を否定した、だからそれをさらに具体的に立証する必要から補充主張をなさったと、こうなりますね。そこで、この補充冒陳についても依然として小佐野は否定する。そして、K・ハマダなる者のばくちで負けた債務百五十万ドルの保証をしてやった事実はないと否定する可能性がいまの公判ではあるんです。これはもう明晰な局長おわかりのとおり、私でもわかるんですから。そうなりますと、いいですか、この二十万ドルを使途として具体的に立証する上では小佐野が保証した事実について、保証するに至った経過について、いいですね、そして両者がどういう関係にあったかについて、具体的な情状を超えた背景事情あるいはこの主張事実に密接に関連する事項として検察官は将来立証しなきゃならぬ、主張しなきゃならぬ必要性が生じ得る可能性がある。そのときにも、検察官はここまで確信を持って主張されているんだから、確信を持って主張かつ立証なさる、こういうたてまえにおありだと私は思って聞いているんですが、いかがですか。
○政府委員(前田宏君) 先ほど申しましたように、今後の公判の進行がどうなるかということに関係することでございます。橋本委員のような考えで、被告人がこの冒陳の補充訂正の事実をまるまる否認するということもあり得るかもしれませんし、また一部を認めて一部を争うということもあるかもしれませんし、また可能性ということになりますと、全然争わないという可能性もないわけではないということになるわけでございますので、何分にも被告弁護人側の応対ぶりということは検察官側といたしまして当然関心を持ち、その対応に対してまたどのように対応するかということはそれなりに考えているべきものと思いますけれども、まだそこまでは至っていないという状況にあるわけでございます。
○橋本敦君 形式的なうまい答弁されるけれども、実際突っ込んだ話として、具体的にいまの公判状況から私は指摘しているんですよ。だから先ほどからも議論になったけれども、検察官はこういう補充主張をなさるについては確信を持っておられる。証拠を持っておられる。だからこそなさったわけですからね。K・ハマダという人物が架空の人物だったらこんなことは話にならないんで、実在の人物だと。いいですか。だから将来法廷の、当事者主義ですからどうなるかわからぬとおっしゃるけれども、推移いかんによっては、具体的にこの補充主張をなさったこれについて、書証その他での立証で足らない場合は、ここにK・ハマダなる者とわざわざ指摘されたこの人物を将来証人として取り調べる必要が生じる可能性がある、将来の推移いかんによっては。これはお認めいただけますね。
○政府委員(前田宏君) 検察官といたしまして冒陳の補充訂正をしたわけでございますから、その補充訂正で今後主張しようという事実につきましては最善の努力をすることは当然でございます。
○橋本敦君 その最善の努力の一つとして、場合によってはK・ハマダなる人物の実名で証人申請をするということもあり得ると。これは常識として当然じゃありませんか。
○政府委員(前田宏君) まあ仮定のことと言えば仮定のことになりますが、あると言えばあるし、ないこともあり得るということであろうと思います。
○橋本敦君 余りかばっちゃおかしいんだな。まあしかし、あり得るということをお認めになった。 そこでもう一度大橋証言に戻りますが、大橋証言は、浜田幸一代議士とラスベガスへ行ったのは二十万ドル受領の四十八年十一月だけではないと。彼は四十八年、四十九年四回ラスベガスへ行っているが、そのうち二回浜田幸一代議士と一緒だったと、こう証言をしておる。これは局長も御存じですね。
○政府委員(前田宏君) ただいま御指摘のとおりに理解しております。
○橋本敦君 そうなりますと、浜田幸一衆議院議員はまさにこのK・ハマダなる人物だということがもう状況的にますますはっきりしてくる。この問題が公になったときに浜田幸一氏自身は新聞記者との一問一答で、ラスベガスには行ったと。行ったけれども、ロッキードに関する金は受け取ってはおらぬと、こう否定している。しかし賭博やったかと言われて、国会議員として恥ずべきことだが、五十ドル、百ドルの賭博をやったことまで否定しませんと、こう本人が言っておる。こういう新聞報道があったことは局長も御存じと思うんですね。大臣いかがですか。ここまで詰めていきますと、まさに浜田幸一衆議院議員がこの検察官の冒陳に絡んで最大の問題になっている人物であるという、そういう状況にいまあることは大臣もお認めいただけますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) これは先ほど申し上げましたように、私のただいまの立場といたしましては、やはりK・ハマダということで、そこまで承知いたしておるというふうに御理解願います。
○橋本敦君 K・ハマダなる者という冒陳が出てきたからには、K・ハマダという名前が検察官が新たに証拠申請をした証拠資料の中にその名前が出てくる人物であることは間違いない。だから先ほどのカジノ売り掛け勘定元帳あるいは十四点の申請を証拠資料としておやりになっておられます。ホテルのリチャード・ダナー氏作成のK・オサノとの取引と題する書面、こういった証拠資料の中にK・ハマダという名前が出てきておる。これは間違いありませんね。どこに出ているか私知りませんよ。証拠資料の中に出てきている名前であることは間違いないですね。
○政府委員(前田宏君) そのとおりでございます。
○橋本敦君 イニシアルがK、そしてハマダ。そして大橋証言でも同行者が十一月の三日では浜田幸一だと、こう言っておられる。これはもう絶対間違いないですね。 局長に伺いますが、このK・ハマダなる者という検察官の書き方は、証拠資料の中に出てくる名前はフルネームで出てきておるんだけれども、特段、当面の立証上フルネームで出す必要がないので、イニシアルKにしてK・ハマダと、K・ハマダなる者というようにお書きになったんで、証拠資料の中にはフルネームで出てきておる部分がある。いまそれはお出しになっていないが、と私は理解しておりますが、どうですか。
○政府委員(前田宏君) ちょっとお尋ねの趣旨をとり違えているかもしれませんが、私の理解しております範囲では、検察官の証拠請求目録等に出ていることにとどまるわけでございますので、その限度ではK・ハマダということになっておるわけでございます。
○橋本敦君 証拠資料の中まで局長検討されて、全部K・ハマダということで一貫しておりますか。フルネームの部分もあるけれども、冒陳にお書きになるについてK・ハマダというようにされたんじゃないんですかと、こういう質問なんです。
○政府委員(前田宏君) 先ほど申しましたように、検察官の請求証拠目録があるわけでございますが、それはすべてK・ハマダということになっておるわけでございます。
○橋本敦君 繰り返しになりますが、これが実在の人物である。実在の人物である限り、将来証人申請の可能性は否定なさらぬ。そうなると、実在の人物でフルネームがどういう名前で、そしてどこに所属して、住所がどこであるか、職業は何であるか、そこまで検察官はつかんでおられるということでなかったら話が合わぬのですが、これはもうわかっておるんでしょう。実在であるというだけじゃなくて、どこにどういうように実在しているかはわかっていますね、検察庁は。
○政府委員(前田宏君) これまでのお尋ねにもお答えしたかと思うわけでございますが、同じようなことで恐縮でございますけれども、さしあたっての問題としては二十万ドルの授受が一番の問題であり、その使途といいますか、裏づけということでこの前の冒陳の補充訂正が行われたというわけでございまして、それのもとになる事情と申しますか、そのことについては当面の立証事実ではないということでありまして、現段階ではその程度しか申しかねるわけでございます。
○橋本敦君 先ほど同行者複数とおっしゃったが、その一人が大橋さん、その一人が浜田幸一衆議院議員。これは四十八年十一月。それ以外にも同行者があった。同行者は複数とおっしゃったけれども、この二人だけではないと。これは間違いありませんね。
○政府委員(前田宏君) そのとおりでございます。
○橋本敦君 あとの同行者の中に暴力団関係者がいると私どもの調査でつかんでおりますが、局長も御存じと思いますが、いかがですか。
○政府委員(前田宏君) ただいま出ました名前以外の方が同行者の中にあったとは記憶しておりますが、それが御指摘のような暴力団関係者であるかどうかまでは明らかでなかったように思います。
○橋本敦君 明らかでなかったという意味は、いま局長はわからないという意味ですか。調べてわかっておるけれども、いまあなたはわからないという意味なのかどうなんですか。
○政府委員(前田宏君) そこまで特に特定していなかったというふうに理解しておるというつもりでございます。
○橋本敦君 これは徹底的に私は調べてほしいと思うんですがね。 大臣に伺いますけれども、浜田幸一衆議院議員という問題が具体的な問題になってきて、国会への証人喚問という要求が私ども共産党はもちろん野党からも出されている。いま国対で話し合ったりしている。そして、自民党の中でも三木さん福田さん中曽根さんは、これはもはや避けて通れない問題だと、だから喚問に応ずべきだということを総理に言われたということも連日のように新聞報道に出ている。だから、大臣の属されておる自民党の内部でそこまで具体的な問題になってきている。 そこで私は大臣に伺いますが、幾ら検察官に聞いても、状況的にはっきりしていても、浜田幸一衆議院議員だとは検察官の立場では言えない、こうおっしゃるわけです。いいですか。大臣も法務大臣の立場では言えないと、こう言う。しかし、大臣が一たび国会と大臣との関係に立ち返ってお考えいただいたら、大臣はロッキード被告の青天白日なることを期待するとおっしゃって問題になったが、もういまはそんなことは問わずに、全力を挙げて追及するということで職務を遂行されていると思うんですよ。国会にはロッキードの徹底究明という異例の衆参決議がある。そうなりますと、このK・ハマダなる人物が小佐野と一緒に行った浜田幸一衆議院議員だという、こういう状況がこれだけはっきりしてきているときに、国会が徹底究明決議の線に沿って浜田幸一衆議院議員を国会に喚問しよう——当然の要求じゃありませんか。しかも、三木さんも福田さんも中曽根さんも喚問すべきだと言っておられる。浜田幸一氏を国会に喚問すべきだというわれわれの主張や多くの声について、法務大臣は政治家としてロッキード決議を踏まえてお答えいただきたいんですが、こういう状況ならば浜田幸一衆議院議員を証人に出てきてもらって、このK・ハマダなる人物が実はあなたかどうかを、検察官の立場じゃありません、国会として国政の場ではっきりさしていくのは当然の国会の任務だと私は思っておりますが、大臣のお考えはいかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 国会において国会の意思が決定されればもちろんそれに服するのは当然のことでございます。
○橋本敦君 決定されればという中に、自民党の国対筋で反対されておるから決定できないという状況があることもあなたは御存じでしょう。大臣として当然浜田幸一氏を国会に喚問すべきだという、そういう声について大臣の見解を聞きたいと私、言っておるんです。形式的に国会が一致したら——そんなものもうわかっています。それでも証人喚問に応ずべきでないと言ったら、あなた、大変なことじゃないですか、大臣そんなこと言ったら。いま私が指摘した状況で浜田幸一氏を国会に喚問するという問題について政治家としての大臣のお考えを聞きたい、こういうことです。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私は、国会の決定になりましたならば、もちろんこれはそれを尊重して服従するのはあたりまえでございますけれども、いま大変この委員会等で多忙なものでありますから、党の方の話はちっとも聞いておりませんけれども、新聞によれば各党でそれぞれ担当者が話し合いをいたしておるようであります。そういうようなことで、われわれの行動は拘束されてまいるものであると考えております。
○橋本敦君 大臣、局長の答弁もお聞きになったでしょう。百五十万ドルもの賭博で負けた債務の保証をしてやる、肩がわりで払ってやるという、こういうことを小佐野氏が言う。それとK・ハマダなる者との間の関係はただならぬ関係なんですよ。通常の関係ではあり得ないことですよ。それなりの関係があるということは局長もお認めになった。それなりの関係といった問題は、小佐野の偽証公判でさっきから言っていますように、検察官の立証事実は偽証かどうかということに局限されてくるんで、まさに国会として追及すべき問題じゃないですか。そのために私はいろいろな布石をもって質問をしてきた。一体K・ハマダなる人物がだれであるか、そしてK・ハマダとロッキード被告の小佐野とがどういう関係にあってこういう債務の保証までやったのか。そして、ロッキードの金でどういういきさつで支払いがなされたのか、これを究明することは当然国会の責務であるということは御理解いただけるでしょう。いかがですか。国会決議から見たってあたりまえじゃないですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 改めて決議がなくても、国会の空気というものはわかってまいります。そういうときには特にいろいろなことを考えるまでもなく、国会の意思がこういうことであるということになれば、自然に党議も決定するでありましょうから、それを尊重するのはあたりまえのことだと考えております。
○橋本敦君 ちょっと答弁が筋違いになりましたね。自民党の御意向を聞いたんじゃない。このK・ハマダなる人物がだれか、なぜ百五十万ドルも債務肩がわりしてもらったか、小佐野との関係はどうなのか。こういう経過について検察官の立証問題じゃなくて、国会が証人喚問して究明するというのは、当然国会としてやるべきことだと、こうお思いになりませんか。そう聞いているんです。当然でしょう、これは。
○国務大臣(倉石忠雄君) そういうところまでの発言は御遠慮いたしたいと思います。
○橋本敦君 なぜですか。やっぱり青天白日を願うからですか。そうじゃないでしょう。これは押し問答ですからやむを得ません。しかし、これは当然国会に喚問すべき重要な事項ですよね。 局長にこの問題について最後に伺いますが、小佐野が最後にこの二十万ドルの支払いをK・ハマダなる者のためにやった。その最後の支払いをしてもらったときに浜田幸一衆議院議員が同行した事実も認められた。このときなぜ浜田議員は同行したんですか。その理由は明らかになっておりますか。
○政府委員(前田宏君) その点は明らかになっていないように承知しております。
○橋本敦君 これは自分の債務の最後の支払いをやってもらうから行ったんでしょうね、単純に考えたら。そして立てかえてもらった金は、K・ハマダなる者は小佐野に支払い済みですか。それとも立てかえ払いをしてもらったままですか。ここまで捜査しておりますか。
○政府委員(前田宏君) その点は今後どうなるかと、先ほど来お話がありましたことにも関連することでございますので、いわば広い意味での捜査の内容ということに当たるかと思うわけでございます。したがいまして、現段階では御答弁を差し控えさしていただければありがたいと思います。
○橋本敦君 それじゃ、わかっておられるわけですね。 最後にもう一点聞きますが、小佐野が百五十万ドルを保証したのが四十七年十月、債務発生時期、こうおっしゃった。その四十七年の八月二十二日に児玉と小佐野が話し合い、コーチャンと話し合い、小佐野を引き込むならば五億円必要だと児玉がコーチャンに言って、コーチャンがこれを認めて児玉のトライスター問題の報酬に五億円を追加上乗せをして契約修正が結ばれた。この事実は間違いありませんね。
○政府委員(前田宏君) 児玉被告人に関する冒頭陳述書の中にそういう事実を記載してあったと思います。
○橋本敦君 だから、したがって八月に小佐野は五億円入るめどがついている。で、十月にK・ハマダがばくちに百五十万ドル負けた。そういう五億円入るというめどがあるから保証してやるという、こういうロッキードとの密接な関連においてこの保証というのは行われたと私は見ているんですが、検察官のいままでの捜査の関係でその点のいきさつはどうなっていますか。
○政府委員(前田宏君) 橋本委員の推理というと失礼かもしれませんが、そういう見方があり得るかなと思って拝聴しておったわけでございますが、従来の捜査の過程ではそういうつながりと申しますか、そういうことは必ずしも明確になっていなかったように承知しております。
○橋本敦君 それじゃ、刑事局長ありがとうございました。これで一応冒陳問題は終わります。 最後に二、三点、検察審査会の問題だけ伺って終わりたいと思います。 私は検察審査会という制度は非常に大事な国民の司法参加という意味でも重要で尊重すべき制度だ、この制度をうんと育成をしていかなくちゃならぬ、こう思っておりますが、最高裁の基本的お考えはいかがですか。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) 委員御指摘のとおり、検察審査会の使命は大変重要なものと考えておりますので、これを指導し育成するという点については全く同様の考えを持っております。
○橋本敦君 著名な事件では、鬼頭事件という問題に絡んでも検察審査会が重要な役割りを果たし得るということが社会的にも明らかになりましたですね。 それで、検察官が不起訴にした場合に、起訴相当あるいは不起訴不当というそういう判定なり処置なりが出たというのは、大体、全体件数の中でパーセントで言うとどれくらいになりますか、いままでの実績で。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) 検察審査会の法施行以来の総計によって見てみますと、全件数が五万七千八百五十八件ございます。そのうち、起訴相当、不起訴不当ということで処理をなされたものが四千五百六十六件、パーセンテージにいたしますと七・九%ございます。
○橋本敦君 検察官がその判断に基づいて起訴したものはそれより数が少ないと思いますが、どれぐらいになっておりますか。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) 同様、法施行以来の総計によって見てまいりますと、起訴相当、不起訴不当事件四千百八十五件のうち、起訴という事後措置がなされましたものが七百九十五件、一九・〇%、不起訴を維持するという事後措置がなされましたものが三千三百九十件、八一・〇%ございます。
○橋本敦君 それなりに、これは言ってみれば、法の素人と言われるような方たちが選挙人名簿で抽出をされてりっぱに仕事をされておるわけですが、一般にこの検察審査員というのがどれだけ大事な仕事をすることになっておるか、余りPRが最高裁自身の責任でなされておらぬのじゃないかと私は思うんです。先年度で結構ですが、PRのための広報予算どれだけありますか。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) ただいま先年度と仰せられましたが、手元に昭和五十五年度の予算がございますので、この数字で申し上げますと、八百七十二万二千円という数字でございます。
○橋本敦君 全国の検察審査会、それを中心にPRするにはとてもじゃないがそれだけの程度の予算では足りない。だから、したがって検察審査員のOBである検察審査会協力会、ここからかなりPR予算が出て、その協力会がやっているPRの仕事に、実際、検察審査会の事務職員が協力をして、自分の仕事のようにしてやっておるという実情があるように私聞いておりますが、そういう実情御存じですか。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) 検察審査員あるいは補充員の職を経験されました方々が検察審査制度の広報の大事なことを御理解くださいまして、検察審査会制度の普及徹底のためにいろいろと御協力をくだすっておるという事実はございます。
○橋本敦君 職員がその協力会のPR予算でPRの仕事を実際やっておると。裁判所予算だけで足りませんからね。そういう実情があるということを私は指摘したんですよ。 どっちにしても、このごろはマスコミ、テレビの時代ですから、テレビでの適切な宣伝、これも含めてもっと広報予算をとってPRをするという必要が最高裁、私あるように思うんですがね。たとえば小中学校の教育の中でも入れてもらう。それからまた一般のPRをテレビあるいはマスコミを通じて行う。もっと予算をふやしてやるというお考えありませんか。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) 御指摘のような方法も十分頭に置きまして、広報予算の増額につきましては今後とも努力をしたいと、こう存じます。
○橋本敦君 実際審査員となった人がどれだけ苦労しているかという実情は御存じでしょうかね。たとえば、二つ、三つの子供、あるいは乳飲み子を持った婦人が審査員あるいは補充員になって、朝十時から四時過ぎまでの会議に出なくちゃならぬことがある。そうすると、その人は急に当たったものですから、若い夫婦だったら家にだれもいませんから子供を連れていく。裁判所の職員が子守りをしてやっている。そういうことだってあるんですよ。働いている人は日当幾らでしょう、いま。一日ここへ行って、そして小さな町工場だったら欠勤扱いにされて、自分の所得にも満たない、こういうことになりますね。旅費の計算、私調べてみますと、キロ数計算で一キロ二十三円でしたかね。実際バスに乗っていくと足りないんですよ。急ぐからタクシーに乗ったら足りないんですよ。実費出してもらえないんですよ。これは本当に国民にとって気の毒なんですよ。だから広報予算だけじゃなくて、そういう実情から、この委員の日当や旅費の実費支給に近い形を裁判所が努力してあげる、そうして国民に協力してもらう、こういう姿勢を示す必要があるんじゃないでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) 検察審査員あるいは補充員の方々がいろいろと御苦労いただいておるということは、委員の御指摘のように私としても認識しておるつもりでございます。そして、それらの方々に対する手当あるいは旅費等の支給につきましても、予算の面でできる限り今後とも努力をしてまいりたい、こう思っております。
○橋本敦君 努力していただきたい。 最高裁に伺いますが、本当に言葉どおりにこの検察審査会を最高裁重視しておられるだろうか。この専用会議室が、検察審査会としての会議をやるための専用会議室が大津の地裁では建物を建てるときに設けられていた。ところが、いつの間にかそれがなくなって何に変わったかというと、応接室に変わった。外来客の応接室に変えられちゃった。それで、検察審査会の会議は週に一回、あるいは多いときで二回ということでどこかの会議室を使ってやっている。わざわざ検察審査会を重視し専用会議室をつくったのに、それをいつの間にか変えちゃっている。こういう事実知ってますか。知っているか知ってないかでいいです、もう時間がないから。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) 一部の地方を除きましては、検察審査会議の会議室は裁判所の施設と共用になっております。
○橋本敦君 いや、私が指摘した事実をあなた知ってますかと、こういうこと。専用会議室があったのに応接室に変わっちゃった、なくなったというのを知っていますか。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) 具体的にはそのような事実は承知しておりません。
○橋本敦君 じゃ、調べてください。 大阪の場合、私、見に行ったら、もともと倉庫なんです。窓も何にもない。倉庫で検察審査会、何人かほうり込んで十時から五時まで。換気はないから空気は悪くなるし、やっと内装をして部屋らしくした。もともと検察審査会を重視してないという姿勢があることを私は問題にしているんですよ。こういうことではいけないんじゃないんですかね。 それから職員についても、このうち検察審査会の局長になる人はもう退職間際の人が、大阪あたりを私調べると来る。本当に仕事に意欲持てません。そして、普通なら係長は四等級で係長ですが、検審では係長になっても五等級である。四等級係長はいない。これはやっぱり裁判所が検察審査会全体を軽視しているあらわれじゃないでしょうか。どうお思いです。
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 人事の面でございますので、私から答えさせていただきます。 検審の係長は、御指摘のとおり全定数が五等級でございます。もちろん検察審査会につきましては、ただいま御指摘のように非常に重要な機関でございますので、この係長の四等級増設という点につきましては、私どもの仕事といたしましては、この検審の係長の職務評価を高めるということで努力いたしたいと存じます。
○橋本敦君 改善の努力約束されましたから本当にそうしてくださいね。建物も職員の待遇も軽視していると私は思わざるを得ないですよ。それじゃ、そういうことで検察審査会制度に最高裁せっかく力を入れて、本当に国民の司法参加の大事な機関ですから努力していただくようにお願いをします。 最後に一点伺いますが、こういう大事な検察審査会を扱うのに、最高裁の内部では担当は局長で担当なさっておる方がありますか。課長でしかありませんか。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) 検察審査会関係の事務は、最高裁判所におきましては刑事局の所管になっております。したがって、他の刑事局の所管事務と同様に、私、刑事局長が責任を負って処理をしておるということでございます。
○橋本敦君 たてまえはそうだが、実際担当官は検察審査会関係は係長しかいないんじゃないですか、最高裁。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) もう少し詳細に申しますと、刑事局の第一課において検察審査会の事務をとり行っておりますが、第一課長のもと課長補佐、課長補佐のもと第一係、第二係という係長がそれぞれ二名、係員が計三名、こういった陣容で行っております。
○橋本敦君 課長はあるんですか。
○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) 第一課長が検察審査関係をとり行っております。
○橋本敦君 じゃ、終わりますが、そういう最高裁の内部機構の点でもひとつ重視をしていただくようにお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
○委員長(峯山昭範君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(峯山昭範君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(峯山昭範君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三分散会 —————・—————