農林水産委員会 第10号
- 発言数
- 298 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/05/08
会議録
○委員長(青井政美君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨七日、亀長友義君、増岡康治君、高平公友君及び河田賢治君が委員を辞任され、その補欠として田原武雄君、熊谷太三郎君、鈴木省吾君及び渡辺武君が選任されました。 また本日、宮田輝君が委員を辞任され、その補欠として伊江朝雄君が選任されました。 —————————————
○委員長(青井政美君) 農地法の一部を改正する法律案、農業委員会等に関する法律等の一部を改正する法律案及び農用地利用増進法案、以上三案を一括して議題といたします。 右三案の趣旨説明は前回聴取しておりますので、これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○村沢牧君 ただいま議題となりました農地関係三法について質問いたします。 まず最初に、大臣にお伺いしますが、提案された農地関係の法律案に対して衆議院で多くの修正をされたわけでありますが、特に農用地利用増進法では、第一条の目的に「耕作者のために」行うことを追加をされ、また、「農業経営の規模の拡大」を「農業経営の改善」という文句に修正されたわけであります。政府の提出した法律案を国会で修正するということは常にあることでありますが、その法律の目的を修正されたということは余り例のないことであります。大臣はこれをどのように受けとめているのか。 〔委員長退席、理事片山正英君着席〕 あちこち修正をされたことによって、農水省が意図した構造政策の考え方に変更をもたらすものであるというふうに思いますが、どのように考えますか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 確かに私どもは、法案を提出をさせていただきます場合には、それがベストであるという考え方でお出しをするわけでございます。しかしながら、やはり私どもはベストと考えておりましても、国会で先生方の御審議によりまして、よりよい、おまえたちが考えるよりももっとこうした方がいいのではないかということにおきまして、やはりそれがいい考えである場合には、私どもは率直に立法府のそういう審議を尊重いたしまして、修正をされることに対しては私どもは異議をはさむべきものではないと考えておるわけでございます。 今回の修正につきましても、いま御指摘のように、目的まで変えられたのではないかという御指摘でございますけれども、私は、よく考えてみますれば、今度のその目的の中で変えられましたところは、いわゆる規模拡大というものをもっと大きく農業の改善と、全体の改善に資するようにと、こういうふうに修正をされたわけでございまして、私どもの経営規模の拡大も当然含まれて、それ以上にもっとやはりこの法律を考えていくべきであるということで私は修正がなされたと思うわけでございます。その点については、やはり構造政策としては、農地の流動化だけでなくて、あるいはその有効利用の増進だけでなくて、裏作の問題であるとか、あるいは複合経営をどう考えていくとかということもやはり農地の流動化とは関連をしておるわけでございますので、そういうものも含めての農業の改善と、こういうことであるならば、私どもの考えていることと決して基本的には間違っておるわけではございませんので、そういう面で私どもは、修正については尊重さしていただきますと、こう申し上げたわけでございます。
○村沢牧君 修正された内容は、農林省の意図しておった精神と余り変わらない、こういう趣旨の答弁があったのでありますが、この法律の目的、しかも、その基本的な字句を挿入された。あるいはまたこの法律の柱とするところの「規模拡大」という字句を修正された。このことは、この法律全体の流れをやっぱり変えるものだというふうに思うんです。したがって、この修正されたような考え方に立って皆さんはこれからこの法律を運用していかなければいけないし、これから行われる参議院の質疑の答弁においてもそういう立場で答弁をしてもらわなければならないというように思いますが、どうですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 「農業経営の改善」ということの中には、当然私どもはこの経営規模の拡大が入っておると、こういう解釈をいたしておるわけでございまして、実質的にはと申しますか、基本的に、先ほど申し上げますように、もう少し私どもの考え方よりも大きくお考えをいただいたと、こういうふうに私は考えておるわけでございますので、決して趣旨が違っていないと、こう考えておりまして、私どもといたしましては、まあ全く衆議院と違った方向で御答弁をするというような気持ちはいまのところ、まあこれはいろいろ御質疑をいただく中でございますけれども、何かこう変わったような答弁というようなわけには全く考えていないわけでございます。
○村沢牧君 大臣が暫時席を外されるようでありますから、ちょっと基本的な問題については後ほど大臣が参ってから質問いたしますが、以下質問を続けてまいります。 そこで、農地制度の改正に当たっては、従来進めてきた構造政策の成果と欠陥の反省の上に立って、これからどういうふうにしていくかということを提案しなければならないというふうに思うのであります。農業基本法は、所得政策、生産政策、構造政策の三本の柱から成り立っておるわけでありますけれども、その一番の目玉は何といっても構造政策であったわけであります。そして、この構造政策の中心的な課題は、自立経営の育成と協業組織の推進であったことは改めて申すまでもないというふうに思います。 農奏法が発足してから二十年たったわけでありますが、この二十年間に構造政策は、またその中心的課題であった規模拡大はどのような成果を上げたのか。まず、自立経営農家の育成でありますけれども、発足当時は八・六%であった自立経営農家比率は、五十三年度で八・九%、二十年たってもほとんど同じであります。また一農家当たりの平均耕地面積は、昭和三十五年〇・八ヘクタール、昭和五十年では一・一三ヘクタール、これは微増にとどまっているわけですね。さらにまた協業化についてでありますが、協業化の推進のために政府の補助金もあって、一時的には規模拡大につながるかというように思われたわけでありますけれども、今日協業組織や集団栽培組織が減少している。このことは白書も指摘しておるところであります。 このように、農基法農政の構造政策は成功しなかった、明らかに失敗をした。このことについてどのように反省をしておるのか、計画どおりに進まなかったその原因は何か、御答弁を願います。
○政府委員(杉山克己君) 農業基本法を制定いたしました後、経済的な条件、高度経済成長というようなことで、他産業の就業機会がきわめて増大してまいったわけでございます。そのことによりまして、農業の面では兼業化が大きく進行するという点が見られました。これは農家の所得という面から見れば向上に寄与した面もあるわけでございますが、農業構造という面では、改善には結びつかない点があったと考えております。この間、農業生産の省力技術の普及、そのほか各般の施策によりまして生産性の向上が図られてまいったわけでございます。特に、畜産だとか園芸等の部門におきましては、中核農家の生産シェアはきわめて高いというような結果を生み出している面もあるわけでございます。 しかし、稲作を主体とする土地利用型の農業におきましては、高度経済成長下における地価の高騰、それから農地の資産的保有傾向、こういったことから、当初期待したほどの農地の流動化は進まず、規模拡大もおくれたわけでございます。他方、兼業農家は農村に定住して社会的な安定層を形成して、地域社会の維持、発展にも寄与いたしております。しかも、これらの兼業農家が農地の貸し手となるような事例が多く出てまいっております。 今後は、このような動きをさらに助長し、農地の流動化を図ることが課題であろうと考えております。このため、これらの兼業農家を含めて、地域農業生産の組織化を図りながら生産性の高い農業経営、これをできるだけ育成していく、そして、地域農業の維持発展を図る必要があるというふうに考えたわけでございます。そういう観点から、今国会に、五十年の農振法改正により設けられて着実に増加しております農用地利用増進事業、これを発展させて、地域の実情に応じて農地の流動化と有効利用を促進する農用地利用増進法案、これら一連の農地法制の改善、整備を意図したところでございます。従来からの構造政策をさらに前進させなければいけないという考え方のもとに、ただいま申し上げましたような反省を含めて今回の法案提出ということで御審議をお願いしているわけでございます。
○村沢牧君 局長並びに農林省側に要請しておきますが、私の持ち時間は三時間ありますけれども、いろいろなことを質問しますから、質問したことに答弁してくださいよ。 そこで、局長の答弁を聞いておりましても、いままでの構造政策が失敗であったという反省がないんですね。なぜ失敗したのか、その反省の上に立たなければこれからの新しい構造政策は出てこないんですが、どうなんですか。
○政府委員(杉山克己君) 兼業化の進行ということについて、高度経済成長の見通しを必ずしも十分につけていなかったという点においては、私どもその点は反省すべき点があったというふうに思うわけでございます。それから、協業の問題につきましても、やはり高度経済成長の影響もございますし、それから農家自身の行動原理といいますか、そういったものについて必ずしも十分な見通しあるいは対策の展開について十全であったというふうには思わない点もあるわけでございます。それから、地域の実情、特に兼業農家の位置づけといったようなことについても十分今回検討を加えていく必要があるのではないか、そういった点については具体的な反省も織り込んで、私どもは新しい考え方のもとに今回の法案の提出をお願いしているところでございます。
○村沢牧君 農林水産省がいかに弁解しようとしても、いままでの農基法農政のもとにおける構造政策は成功しなかった、これははっきり言えるというふうに思うんです。農基法制定当時考えていたあるべき農家のモデルは、平均〇・八ヘクタールの農家の面積を二・五ヘクタールぐらい、三倍にしよう、それから兼業農家をなくそう、こういうことであったというふうに思うんですけれども、しかし農林水産省のこのような考え方、認識は、あるいは指導方針は誤りであったということを現実が、結果が物語っているわけなんです。規模拡大も思うように進まなかったし、あるいは米づくりの農業に見られるように、仮に二ヘクタール、三ヘクタールの比較的大規模の農家でも今日では兼業化になっているわけなんです。 そこで、農林水産省は近年、生産性の高い中核農家を育成をする。そのために農地を流動化して、大規模農家をつくるんだというふうに言っているわけなんですけれども、今回提案された法律もその促進を図るためのものであるという答弁もあったわけなんです。 そこで伺うことは、今回の農地制度の改正は、従来農水省が進めてきた構造政策の路線の上に立って、つまり自立経営農家を育成することのさらに効力をあらしめようとするものであるのかどうか、あるいは構造政策の転換、新たな前進を期待するものであるのか、どうですか。
○政府委員(杉山克己君) 転換と言いあるいは前進と言い、言葉の使い方かと思いますが、私どもは従来の構造政策それ自身を特別に変わった姿で進めるということではなくて、進めてまいったところのやり方に反省を加えながらこれをさらに前進させようという方向で考えているところでございます。
○村沢牧君 政府の意図したように構造政策は進まなかった。しかし、農民の間には、みずから生産と所得を高めるために自主的な動きが芽生えて、それが地域農業をある程度支えているわけなんです。そのことが、たとえ農地法に抵触することがあっても、農振法に触れることがあっても、構造の変化は確実に地域から具体的に進んできているわけですね。ところが、こうした条件変化に対して農水省の考え方や法体系が追っつかない、ついていかない、これが実態であろうというふうに思うんです。 そこで、今回の法律改正は、そのような欠陥をカバーすることができるに足るものであるかどうか、その辺はどういうふうに考えますか。
○政府委員(杉山克己君) まさに先生の御指摘のような点を私どもも検討をいたしまして、特に五十年来の実績等にかんがみまして、そういう実情に合うように、地域の農家の方々の合意のもとに地域農業のあり方を組み立てていくという考え方で今回の法案を提出しているところでございます。
○村沢牧君 その趣旨はわかるんですが、いろいろ条件変化が起きてきてますね。それをカバーしていけるに足るものであるかどうか、どうなんですか。
○政府委員(杉山克己君) もちろん、そういった状況変化に対応していくためには、こういう制度だけでなくて、ほかのもろもろの農林水産省の政策とかみ合わせていかなければならないと考えますが、私どもとしては対応していける、またこういう制度改正を核にして対応していかなければいけないというふうに考えているところでございます。
○村沢牧君 そこで、農地を流動化して生産性の高い中核農家を育成をしよう、こういうことをおっしゃっているわけなんです。 そこで、まずお伺いしますが、中核農家というのはどういう農家を指すんですか、その定義からひとつ説明してください。
○政府委員(渡邊五郎君) 中核農家の定義、具体的に統計上の定義で現在戸数なりを調べております定義の方から先に申し上げますと、統計上自家農業に年間にいたしまして百五十日以上専従する青壮年男子——大体十六歳から五十九歳、六十歳未満ということになりますが——のいる農家としてとらえております。統計上はこれを定義といたしまして、中核農家といたしまして、この中核農家が今後の農業生産力の発展の担い手となり、かつ効率的な農業を実現して、将来にわたる国民食糧の安定的供給者と私どもは期待しております。おおむね五十四年の実績では約百万戸程度と考えております。
○村沢牧君 統計上の定義は年間百五十日以上農業に従事をする六十歳未満の専業農業者のおる農家、そういうことはいま説明があったところでありますが、この法律で言っている中核農家とは、そういう百五十日以上農業に従事する農業専業者がおる、それだけのことを指して言うんですか。たとえば中核農家ということはそれだけのものか。経営規模なりあるいは生産の所得なり、地域におけるリーダー、担い手、これらも含めて中核農家と言うのか。その点と、いままで皆さん方が言っておりました自立経営農家とこの中核農家との違いはどこにあるんですか。
○政府委員(渡邊五郎君) 先に中核農家について申し上げます。 統計上の定義を先に申し上げましたので失礼いたしましたが、これらの中核農家は当然地域のリーダーなり今後の農業生産の中心的担い手であるというふうに期待するということで中核農家というものをとらえておるわけでございます。したがって、今後の構造政策なりを進める中心的な担い手であろうと考えておるわけでございます。ただ、具体的にとらえます際の統計上はそういう定義でとらえているということを申し上げたのでございます。 なお、自立経営農家ということは基本法以来ございます。これは周辺の非農業部門の所得と均衡する農業所得を上げ得る経営というふうな考え方がございまして、農業のむしろ非常に専業的な考え方があったかと思うわけでございます。私どもの方から申し上げますと、専業的だけではなく、たとえばこの中核農家、先ほど約百万戸と申し上げましたが、その中には、従来の専、兼業別の分類では入らない、たとえば第二種兼業でありましても、ただいま申しましたように、地域の中核となって、年間相当数の農業に就労される中心的な若い担い手を持っているという農家は、当然地域の中心となってこれからの構造政策の中心を担うものであろう、このように考えまして、中核農家というものを現在中心に構造政策を推進する担い手と考えていきたい、このように考えておるわけでございます。
○村沢牧君 それでは、いまお話のあった生産性の高い中核農家を育成をしていくためには何を一番重点とするんですか。もちろん各種の農業策をもってしなければいけないわけでありますが、この法律との関連において何を一番重点にして中核農家を育成しようとしておるんですか。
○政府委員(渡邊五郎君) 御質問の御趣旨に合うかどうかわかりませんが、現在中核農家につきまして私の方が問題としております問題点について先に御説明申し上げたいと思いますが、これは中核農家が持っております、先ほど申しましたように、戸数にして全農家数の約二一%になっておりますが……
○村沢牧君 そんなこと聞いているんじゃないですよ。そんなことは知ってますよ。
○政府委員(渡邊五郎君) 御説明させていただきますが、施設野菜とか酪農等の部門におきましては、先ほど構造改善局長から御説明いたしましたように、園芸的な部門あるいは酪農なり畜産の部門におきましてはかなり大きいシェアを持っております。たとえば施設野菜ですと八九%、酪農につきましては九一%程度のシェアを持っておりますが、問題は、構造政策の観点から言いますと、土地利用型の農業におきますシェアがきわめて低いということが私どもの中核農家における問題点だろう、むしろ中核農家を中心にいたしまして、今後土地利用型の農業をどう発展させて生産性の高い農業経営を構築していくかというのが私どもの重要な課題であろう、こう考えておるわけでございます。
○村沢牧君 法律をつくって、土地を流動化して中核農家を育成していこうという限りにおいては、いまの官房長の答弁だけでは足らないと思うんですね。やっぱり中核農家に土地を流動して規模拡大をしていこう、そのことが最大の皆さんのねらいではないんですか。
○政府委員(杉山克己君) その点は御指摘のとおりでございます。この法律との関連から申し上げますと、この法律で意図しておりますのは経営の改善ということでございますが、主として規模拡大を中心にした土地利用の集積、流動化ということでございます。中核農家だけが対象のすべてではございませんが、おのずとやはり政策の重点あるいは実体的にも、そういう中核農家が一番主になって取り上げられてくるということになろうかと存じます。そういう中核農家に対して規模拡大を図っていく、そのための利用権の集積ということが構造政策上一番重要な柱になるというふうに考えております。
○村沢牧君 構造改善局長から答弁があったように、法律のねらいは、最初この法律を提案しようとしたねらいはそうであったというふうに思うんです。しかし、この法律は冒頭申し上げたように衆議院で修正をされた。その修正の内容は「経営の規模の拡大」を「農業経営の改善」という文句に変えられたわけですね。 〔理事片山正英君退席、委員長着席〕 ですから、私が冒頭指摘をしたように、皆さん方の考え方の流れも変えなきゃいけない。規模拡大が一辺倒じゃないんですよ。その辺はどういうふうに解釈するんですか。
○政府委員(杉山克己君) 私ども、規模拡大だけがというふうには考えておりません。確かに条文の表現上、規模拡大のためということになっておったわけでございますが、そういう場合でも、当然規模拡大以外に、生産の組織化でありますとか、複合経営というような形への移行とか、種々の形での農業生産の育成ということは考えられておったわけでございます。ただ、目的の表現としては、規模の拡大が一番中心になるものでございますからそういう形であらわしましたが、それでは十分覆い切れていない、もう少し正確に表現するならば、農業経営の改善ということの方がいいのではないかというお話でございますので、それはごもっともな御修正であると考えて、私どもこれに即してさらに政策を進めたいというふうに考えているところでございます。 ただ、表現の問題は確かに御修正を受けましたが、私ども実体的に規模拡大だけというふうに当初から考えておったわけではございませんので、その点では、実体的には考え方としては大差はないというふうに考えております。ただ、種々、御修正そのもの、あるいは論議の過程におきまして承りました御意見は、それなりに十分身に体して、今後その御意向に沿うようなことを考えていかなければならないというふうに考えております。
○村沢牧君 五十四年の農業白書によれば、五十四年の一月現在、中核農家は全農家数の二一%で九十九万戸存在をする。しかし、この中核農家の全農家数に占める割合は年々減少してきておるのです。御承知のとおりだと思います。この中核農家は全耕地面積の四割強、それから農業生産額の六割を占めておることも白書で報告されております。そして、農業生産額におけるシェアは、酪農、野菜等は九割、米は三割を中核農家が占めておる。こうした現状の中から、いままで答弁のあった、中核農家にどのように政策の担い手になってもらうのか、中核農家はどれだけつくっていこうとする期待を持っているんですかをお聞きをしますけれども、全農家数の中に占める中核農家の割合、あるいはまた全生産額の中に占める中核農家の割合、そのシェアについて具体的にひとつ答弁をしてください。
○政府委員(渡邊五郎君) 中核農家はただいま御指摘のように、酪農、養豚、養鶏、施設園芸等の部門におきましては非常に高いシェアに達しておりまして、御指摘のような数字になっておりますが、他方、稲作を主体にいたします土地利用型の農業におきましては、地価の高騰とか農地の資産的保有傾向等から規模拡大がそれほど進んでいないことも事実でございます。これからはこの中核農家の育成が最も中心になるだろうということで現在検討を進めております。現在の農政見直しの作業におきましても、農産物の長期自給見通しの策定と関連しまして、これらの農業構造全体の姿を明らかにする検討の途中段階で、具体的なシェアなりを申し上げられませんが、私どもめどといたしましては、少なくともこの種の土地利用型の農業が生産シェアの半ばを超すような形に持っていきたいということで現在検討を進めている段階でございます。
○村沢牧君 法律を提案するには、その前提として、こういう農家をつくりたいからこういう法律を提案するんだというものがなくてはならないというふうに思うんです。その基本的なものは、後ほど大臣が参りましてからさらに指摘をいたしますけれども、いまの官房長の答弁も私の質問に答えておらない。私の質問は、この法律をつくって中核農家を将来全農家数の何割ぐらいにしよう、あるいは全生産額の何割ぐらい中核農家に背負ってもらおうと、その期待を聞いているんです。答弁できませんか。
○政府委員(渡邊五郎君) ただいま具体的な数字をもって御答弁できる段階でございませんが、私ども、現状の中核農家を中心にしてさらに拡大をしていく、特に中核農家の持っております生産シェアというものが、土地利用型農業におきましてはきわめて低い段階になっております。これが生産シェアの半ばを超すようなことをめどに進めてまいりたいというふうに考えておるということでございます。
○村沢牧君 くどいようですが、この中核農家を育成しよう、育成しようと事あるごとに言って、総理の施政方針演説もそう、農林大臣の所信表明もそうですよ。一体中核農家をどれだけつくっていくという目安がなくて何を言っているんですか。またそのことは追及しますよ。 それから、中核農家を育成するために規模拡大をしようとするんですけれども、規模拡大の目安、適正な規模拡大というのは、中核農家はどのくらいあればいいと思うんですか。
○政府委員(杉山克己君) 一般に農業経営の適正規模という場合、地域の実情だとか経営作目、それから技術水準、賃金水準、そういったことによって規定されるものでございますから、それからまた地域の中でも、作物の組み合わせをどうするかということによってこれまた違ってくるというようなこともありまして、生産が多様化していることもあって、一概に示すことはこれはなかなかむずかしいというふうに思っております。ただ、国としては、農業生産力の発展の担い手となる生産性の高い農業という意味で中核農家ができるだけ安定した経営ができるよう、ほかのもろもろの生産対策なり価格対策と相まって、今回の法制整備を初めといたしまして対策を講ずることによって経営規模の拡大に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。 ただ、それだけでは余りにも漠然としていて、どのくらいのものを具体的な数字として示せるのかということになりますと、これはまさに先ほど申し上げましたように、何をつくっているか、その地域の実情はどうであるか、組み合わせばどうであるかということによって差があるので、一概には申し上げられないのでございますが、一般に私ども一つの考えとして、夫婦二人の労働力を基本として、これが農業でほぼ就業できる経営規模というものを想定いたしますと、一つの考え方として、農地を周年的に利用する土地利用型農業主体の場合は、北海道はこれは別でございますが、都府県の場合はおおむね三ないし五ヘクタール程度の経営ということが望ましいというふうに考えております。
○村沢牧君 農業白書を見れば、規模拡大の動向と経営発展の実績を具体的というか、かなり述べておるわけですね。そういうことから判断をすれば、地域によって、経営の形態によってあるいは投下資本によって適正規模は違うでしょうけれども、おのずから皆さん方がこのくらいの規模があれば中核農家と言える、農業の担い手になれる、そういうものがあってしかるべきだし、また出てくるというふうに思うんですね。いま局長は、北海道は別として三から五ヘクタール、これが適正規模だというふうに答弁があったわけですけれども、そういう考え方に基づいてこれからもまた質問してまいります。 そこで、次は中核農家と兼業農家との関係なんですが、規模拡大を重点にして中核農家を育成をしようとするとなれば、兼業、小規模の農家は切り捨てになるのではないかという心配もされるわけなんです。一昨日、この委員会で参考人の意見聴取もしたわけでありますけれども、その中で北海道農民連盟の溝書記長が、北海道で農業所得だけで生活するには水田は七から八ヘクタール、あるいは畑地は十五から二十ヘクタールが必要とされるというふうに言っているんですね。いま局長の答弁のように、北海道は別として、他の府県でもって五ヘクタール、そのくらいな中核農家を育成をしようということになると、四百七十四万いま農家があるわけですね。その五ヘクタールにすると、大体百万戸前後、百十万戸ぐらいな計算になってくるわけですね。こういうことになってくる、耕地面積が決まっているんですから。そうすると、四百七十万戸から百万戸ないし百十万戸引いたあとの農家は一体どうなるかということなんですね。他の産業にひとつ従事してくださいといったって、そんないま経済情勢ではないわけですね。その方途がない限り、幾ら法律改正をして中核農家に農地を集積しようなんて言ったってできることじゃないんです。一体兼業農家はどうするんですか。
○政府委員(杉山克己君) すべての農家が五ヘクタールの規模になれば、百万戸あれば日本の耕地面積はみんな取ってしまうではないかというのは、計算としてそうなりますが、私ども、中核農家すべてが五ヘクタールの規模になるというふうには考えておらないわけでございます。それは土地利用型の農業経営だけでなく、施設型の農業経営もございますし、それから組み合わせの姿もいろいろであろうと考えております。したがいまして、兼業農家もそれなりにやはりその存在意義を持って、今後ともある程度の並行した存在を続けていくというふうに私どもは考えております。中核農家が一番その政策の対象として重点になり、それからこのような制度改正等を行って施策を進めていきます場合、実際的にも一番その受け手としてあらわれてくるのは中核農家である、実際にそういったところへ土地流動化が大部分の場合集積するだろうというふうに考えられますが、要は、小さい経営の農家でもあるいは兼業経営の農家でも、農業について意欲を持ってやる農家であるならば、それはやはり今後とも政策の対象としてもとらえ、安定した経営が続けられるように措置していかなければならないというふうに考えております。 今度の法律におきましては、特段にそういう特別な中核農家だけを対象として取り上げるんだというようなことはいたしておりませんで、やはり地域の合意といいますか、全体の意思、そういったものを尊重するということになっておりまして、そもそも利用権の設定等促進事業につきましては、強権的に行うということにはいたしておりません。関係権利者全員の同意ということが前提となっているわけでございまして、二種兼農家あるいは零細農家の意に反して農地を提供させるというようなことでは考えておらないところでございます。
○村沢牧君 すべての農地を中核農家に集積しようということは、これは当然できることじゃないし、私もそのことは考えておらない。 そこで、先ほど中核農家を中心にして一体日本農業はどのくらいな農家でもって担ってもらおうとするのかという質問を官房長にしたけれども、答弁が返ってこなかった。局長のいまの答弁から推して、四百七十四万戸ある農家を、中核農家も含めて、兼業農家も含めて一体どのくらいで日本農業を担ってもらったらいいのか。構造改善局長としてはどういうふうに考えますか、あなたの立場で。
○政府委員(杉山克己君) 構造政策の立場もございますが、ほかの農林水産省全体の政策との関連で慎重な吟味、検討を要する問題でもございます。ただ、中核農家の数自身は、私は今後もある程度減っていくという傾向にあるというふうに考えます。それから兼業農家等も、農地を手放して離農するというものもこれはある程度出てくる。全体としての農家数は減って総体的な経営規模は規模拡大が図られていくというふうに考えております。具体的な数字については、先ほど来申し上げておりますように、営農の形態とか地域の実情とかもろもろのことが関連いたしてまいりますので、まさにそういうことを農政審議会におきましても御検討いただいているところで、数字的に申し上げることはきわめて困難でございます。
○村沢牧君 それではその兼業農家の位置づけですね、現在第二種兼業農家は全農家数の七〇%を占めており、経営耕地面積は兼業農家が五〇%を占めておる。しかし、農業生産額は三四%である。このように兼業農家が圧倒的多数を占めておるけれども、しかし白書を見れば、生活面では兼業農家が専業農家よりも安定しておる、こういう報告もされておるわけなんです。農水省は従来から兼業農家、特に二種兼業農家をなくして専業農家を育成しようと。専業は善であって兼業は悪であると、極端に言うとそういう考え方を持っておったわけですね。こういう先入感があって今日まで構造政策を進めてきた。しかし、兼業農家は簡単になくせるものではない。したがって、兼業農家の存在を認めて、中核農家も含めて農業の担い手としなければならないわけですけれども、この兼業の位置づけをどういうふうに考えるのですか。
○政府委員(杉山克己君) 兼業農家は農村に定住して社会的な安定層として健全な地域社会の発展に寄与しているということでその存在意義があるというふうに考えております。それから二兼農家等は飯米の確保や野菜等の自給あるいは高齢者の生きがいとしての農業を継続するというようなことはございますが、その大半は安定した仕事に従事しているいわゆる安定兼業農家が多いわけでございます。そして、農外所得や年金等で生計を維持しながら農地の一部を貸し出すというようなこともできる農家、そういうことによって地域農業の振興に協力していくということも期待されるわけでございます。ですから、別に追い出すとか、意に反してということではございませんが、出してもいいというその兼業農家があるならば、そういったところから土地を提供していただくということは、これは考えられてしかるべきであろうと思うわけでございます。私ども今後とも農村地域において安定した就業機会を創出していく。そして専業農家だけでなく、兼業農家、非農家を含めて連帯感を醸成いたしまして、生活環境の整備なども図りながら地域の農業全体の振興に役立つようなことをいろいろ仕組んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○村沢牧君 答弁を聞いておりましても、兼業をなくするために強制的に離農しろということじゃないけれども、しかし、相なるべくは兼業農家の第二種兼を、特に第二種兼の農地を中核農家にひとつ集積してください、そういう期待を持っているということに受けとめるわけですけれども、しかし、私はこれからの地域農業をつくっていく場合において、専業農家あるいは中核農家、それと兼業農家との間で密接な補完関係をつくって、そうして兼業農家も意欲を持っている者の生産能率を高めていく、そういうやっぱり生産共同組織というか、そういう地域づくりをしていかなければ農業は発展してこないではないか。兼業を含めて日本農業のあるべき姿を、これをこの法律とともに出すべきだというふうに思いますが、その考え方はどうですか。
○政府委員(杉山克己君) 私どもは今回の法律全体といたしまして、いま先生の言われたような趣旨がそれなりに反映されているというふうに考えております。農用地利用改善事業、その地域の関係者の団体をつくりまして、そこで合意を得て、作付体系、土地利用のあり方、そういったものについて兼業農家も含めた地域全体の営農を考えていく、そういうことを一つの前提といいますか、方向づけとして考えているところでございます。 流動化の問題も、そういった地域の合意の中で実現できるものは流動化に乗せていくということで考えておるところでございます。
○村沢牧君 大臣が参りましたから、また基本的な問題に戻って質問いたしますが、今回の農地制度改正の法律を提案するに当たって、農水省は、今後の農政の基本を確立するために農地の流動化の促進、地域農業の推進を図らなければならない、そのために農地制度を改善整備するのだというような説明をされておるわけなんです。今後の農政の基本を確立するためには、私は単に農地制度を整備しただけで農業の再編成ができるなんという単純なものではない、そのように思うわけなんです。つまり、農政全般にわたって、生産対策なりあるいは価格対策なり、輸入の問題、流通、さらには農村の整備あるいは雇用、福祉など総合的な施策があってこそ初めて農業の再編成ができる、そういうふうに考えるわけでありますけれども、大臣の見解はどうか。それからまた、そうした総合施策を確立することが必要であるとするならば、農水省はそのためにいかなる取り組みをしているんですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 今後の農業の基本的な方向を位置づけるためにも、しっかりした政策をつくり上げなければならないことは当然でございまして、その政策には、いま先生御指摘のとおりで、構造政策のみならず、生産政策あるいは価格政策、あるいは何といいますか、農村の社会の福祉政策、あるいは一方においてはその農村で生産されたものの流通、加工、こういったような面についても思い切った一つの方向を打ち出しまして、そういうものが総合的になされていくときに初めて私は日本の農業の体質が強化され、また食糧が安定的に供給されるという役目が果たし得ると思っておるわけでございまして、いま御指摘いただいた点は私は全く同感でございます。 そこで、それではそういうものに対してどう取り組んでおるのかということでございますが、これは一つは、生産対策といたしましては、いま農政審議会で議論をいただいております六十五年を目標とした長期見通しをしっかりとつくり上げたい。そして、この間から国会で御決議も衆参両院でいただきましたので、その需給見通しの中には、ある程度、もう少し日本の食糧自給度を高める形において私どもの最初十一月に出しました第一次試算の見直しができないかどうかという問題も含まれております。それからまた、万が一国際的な情勢がいろいろと変化をしたり、あるいは油の値段が非常に上がってきておりますが、今後また油の値段が上がっていった場合に、外貨事情から言って、日本の食糧を確保するためにいま小麦やその他大豆、トウモロコシといったような飼料作物を買っておりますけれども、一体そういう買うだけの外貨があるのかどうかということさえ将来非常に不安ではないかということもあるわけでございまして、そういう場合にはどう対処するのかというような問題も含めて、改めていま農政審議会に実は御議論をいただくようにお願いをし、またそのためのいろいろの資料につきましても作成をするように私から事務当局に指示をいたしたわけでございます。そういうようなことが、生産計画としては、今後考えられていく生産計画を決める上においての私どもの対処の仕方でございます。 それからそれと関連いたしまして、やはり価格政策というものについても、従来確かに農畜産物関係の約八割は価格政策が実施されておりますけれども、一体その中身についてはいまのままでいいのかどうか。やはり生産意欲をもっと燃やしていただくためにはもっとたとえば高くした方がいいという意見もありますでしょうし、あるいは逆にいけば、国民から農業が理解をされるためには、しかしそう価格だけをどんどん上げてもいけないということもこれは一方においてはあると思います。その辺の価格を一体どう持っていくのか。よくここでも議論がなされましたけれども、いわゆる生産意欲をなくさないということと、一方において需給関係からなかなか上げられないといういままでも二つの意見があるわけでございまして、その辺をどう持っていくかというところが、どうするかというのがやっぱり価格政策の一つのいま大きな焦点になっておるわけでございます。 それから農村の整備という点においては、従来からやってきておりますけれども、私どもいろいろ村落集落特別対策事業とかというような予算をやったら、あれはどうも百億はけしからぬじゃないかという御議論もありますけれども、少なくとも私はそうではなくて、都市と比べてみますと、農村の社会施設が非常に立ちおくれておるわけでございますから、そういう点において、社会施設なり生活環境整備なり、これはもうどんどんやっていかなきゃならないのではないかと、どの程度までやっていくかということがやはりこれからの方向を見定めなきゃいけないということで、これも議論をいただいておるわけでございます。 あるいは流通、加工の面から申しますと、どうも生産手取りと消費者の購入価格と比較をいたしますと、他の生産物と比べると、どうも農業の場合には生産手取りに比べて消費者価格が割り高であるような印象を受けるものがあるわけでございます。そういう面については、もう少しメスを入れて流通、加工の面で合理化をしていったら、せっかく生産者が苦労しているんだったら消費者はもっと安く手に入るとか、消費者がそれだけ高く手に入れているんなら生産者の手取りがもっと多くなっていいのじゃなかろうかと。もう少し生産者と消費者との間の合理化を進めることによって、その辺が生産者の手取りが多くなるのか消費者が安くなるのか。あるいは消費者がそのままならば生産者の手取りが多くなり、あるいは生産者の手取りがそのままならば消費者はもっと安くなる、こういうようなことがもっとできないのかとか、いろいろのことをいま実はそれぞれの農政審議会の部会において議論をしていただいておるわけでございまして、問題点は、大体そのようなところをやっておって、これを何とかひとつ七、八月ぐらいまでにはいろいろと御議論いただいたものをまとめていただいて、そしてそれを踏まえて、私どもが政策をつくり上げていきたい、こう考えておるわけでございます。
○村沢牧君 いま大臣の答弁は、こういうことが重要だと思って考えておるということで、その話は私はこの委員会で何回もお聞きをしたわけなんです。なおかつ、「農業の動向と農政の検討方向」、五十四年六月二十二日に農水省が農政審議会に諮問をしたときの、そこにもそういうことが載っているんですよ。そんな抽象的なことを私は聞いているんじゃない。提案された法律の審議に当たって、今後の日本の農業はどうなるんだ、このことときわめて重大なかかわりを持ってくるわけなんですね。また大臣は、衆議院の審議の際、この三つの法案は今後の農政の受けざらになるという答弁もしておるわけなんです。そうだとするならば、この法律の審議に当たって、今後の農政の展望が示されなければならないというふうに思うんですよ。八〇年代にいかなる農業、どのような農村環境をつくっていくか、そして農業の再編成を図ってビジョンをつくり出していくんだ、そのために農地を流動化して規模拡大をしなければならないというならば話はわかるんです。ところが、大臣のいまの説明を聞いておりましても、先日の委員会で私の質問に対しましても、八〇年代の農政のビジョンは農政審議会の答申待ちだ、農政審議会にお願いしている、それだけであなたは逃げているんですよ。農政審議会の答申は、当初の計画では三月末には出す予定であった。なぜできないんですか。農政審議会に諮問をしたのは農水省、あなたなんですよ。しかし、その場合においては、農水省の見解があってしかるべきである。たとえ農政審議会に諮問をしなくても、農水省は日本農業の将来目標について、展望について見解を持ってしかるべきだと思うんですよ。特に、食糧自給強化の国会決議等もあったわけなんです。それらを踏まえて、大臣は今後の農政に対してどういう見解を持っているんですか。もっと具体的に答弁してください。
○国務大臣(武藤嘉文君) なかなか結論めいたものが正直、具体的な数字としては出ていないものでございますから、おしかりをいただく点はおしかりをいただくといたしまして、衆議院でも、そういう点においてそれがはっきりしないうちにどうしてこれだけ先にやるのかという議論も正直あったわけでございます。しかし、問題は、受けざらと申し上げましたのは、大体の方向は、先ほど申し上げたような具体的な数字がないだけでございまして、抽象的ではございましたけれども、大体こういう問題点はあるということをいま申し上げたわけでございまして、その問題点に基づいてどういう方向というか、結論というものについてはまだ実は出ていないわけでございます。ただ、その問題点の中で、たとえば構造政策の中で特に土地利用型農業においては、先ほど来議論がございますように、施設利用型農業と比べますと非常に生産性が低いわけでございまして、そういう点において、土地利用型農業の生産性を高めるためには、規模の拡大を図っていく方向だけは必要であると、こういうことだけははっきりいたしているわけでございます。 確かに、全体のものがまだできておりませんけれども、そういうものができてきてからまたやるんじゃなくて、やっぱりそういう一つの方向の中に経営規模拡大は入っておるわけでございますから、その経営規模拡大を図るための受けざらとしてこういう政策が取り得るような仕組みだけはつくっておいていただく必要があるのではないか、こういうことでこの法律をお願いをいたしておるわけでございますので、具体的にはなかなかまだ数字が出ていないのはけしからぬということかもしれませんけれども、私ども鋭意、確かに少しテンポがおくれておりますけれども、このテンポがおくれましたのも、先ほどちょっと触れましたように、私どもは第一次試算で出しましたよりはもう少し、たとえば、稲作面積もそんなに減らす必要はないんじゃなかろうかとか、小麦はあのときに一九%という目標を出したけれども、せっかくいま小麦の転作奨励をやっているのだったら、もう少しこの自給率は高くならないかとか、ということを私どもやっておるわけで、数字はそういう点で個別には具体的にありますけれども、なかなかまだ全体的には、ひとつもう少しお待ちをいただきたいということでお願いをいたしておるわけでございますので、この点はぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。決して逃げるわけじゃございませんので、出てまいりましたときには必ず私どもは一つの明るい方向を打ち出したい、こう思っておるわけでございますので、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○村沢牧君 今日農政を取り巻く環境の中で問題点があることは十分承知をしています。大臣のおっしゃったような問題点のあることも承知をしておる。しかし、私たちや、あるいはまた実際農業をやっている人が政府に求めることは、そういう農業の中から、一体日本の農業はこれからどういうふうになっていきますかということを皆さんに教えてもらいたい、また出してもらいたい、そのことを求めておるわけなんですよ。ですから私は、具体的に何%になるという、そんな数字をまで求めようとしているんじゃない。しかも、大臣の答弁は、衆参両院において国会であのような特別決議を行った後における答弁としてはもう少し私は足らないと思う。あの決議を受けてどういうふうにしようとしておるのか。たとえば、具体的に申し上げれば、当初農林水産省が農政審議会に諮問をした食糧の自給率は、現在は三四%であるけれども、六十五年には三〇%になりますという見通しなんです。さらにまた、米の減反政策についても、六十年代八十万ヘクタール減反しなければならないよと、こういう見通しなんですよ。それが、ああいう国会決議やあるいは国際的ないろいろな情勢を受けて変わってきておるのかどうか、その辺はどうなんですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私どもこの間農政審議会の主要なメンバーの方に実は御相談をいたしましたときには、国会決議を踏まえまして、先ほど申し上げますように、緊急的な事態が発生した場合を考えて、急にそのときに耕地をつくろうと言っても無理でございますから、ある程度の耕地だけはやはり確保していかなければならないということははっきり申し上げておるわけでございます。そしてそういう耕地を利用して、緊急な事態が発生したときには生産をしていただく、その場合の自給率はどの程度であるかとか、あるいはそのときには米の稲作の面積はどのくらいであるとかいうようなものは、一つの案としてはお示しをしておるわけでございます。
○村沢牧君 その案を言ってください。
○国務大臣(武藤嘉文君) 細かい数字は、それじゃつくった官房長の方から御説明さしていただきます。
○政府委員(渡邊五郎君) お答えいたします。 現在大臣の方から指示を受けまして、全体の自給率につきましては、現状における場合と——これは平時の場合でございますが、その他港湾スト等異常な事態におきます輸入食糧の制限される場合、あるいは先ほどの外貨事情等その他国際的な状況から変動した場合、これらにつきまして、二分の一程度輸入量が減少した場合あるいは三分の一程度減少した場合に、どの程度の耕地面積なりあるいはカロリー水準を要するかというようなことで、概算を大臣からの指示に基づきましていたしました。耕地面積では約六百十万ヘクタール程度が必要となろう。現実にその場合の六百十万ヘクタールで、削減された輸入量で維持されるべきカロリーは、おおよそ二千三百カロリーから二千四百カロリー程度の水準でございまして、現状がおおよそ日本の場合には二千五百カロリーが現状でございますが、これよりも若干低まる、百ないし二百カロリー落ちるだろうということに考えられます。その場合、穀物の自給率は六割前後の——先ほどのお話は三十数%というお話でございますが、穀物自給率は六割前後の自給率を維持しなければならない。主食用の穀物自給率につきましては八割程度を国内で自給していかなければならない。一つのエマージェンシーと申しますか、想定される事態についての供給体制の検討の指示に基づきます、これはまだ概算的な計算でございます。
○村沢牧君 いま官房長の答弁はどこか新聞かテレビでも私も見たような気がするんですけれども、その資料をひとつ出してください。委員長お願いします。いいですか。後ほどでいいです。 そこで、いま答弁を聞いておりますと、当初農水省が試算をしたこの資料によると、昭和六十五年自給率は三〇%になるであろうというような見方をしておりますね。これでは全然話にならないですけれども、これを、いまお話があったような八〇%、六〇%はいかないとしても、穀物自給率をどのくらいまで持っていこうとするんですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) いま官房長から数字をちょっとお示しをいたしましたものは緊急的な場合でございまして、私どもはノーマルな状態の場合と両方分けて実は考えておるわけでございます。そこで、ノーマルな場合には、穀物も、従来のようにトウモロコシもマイロもある程度は外国から自由に買えるという前提に立っておるわけでございますが、そうなりますと、非常に、トウモロコシなどの価格が御承知のとおりトン三万円前後でございまして、日本の国内ではとても出てこないような安いものでございますので、日本の畜産を考えた場合には、やはりこれは外国に依存せざるを得ないということを考えておるわけでございまして、そういう点では、残念ながらノーマルな場合には穀物自給率はどうも三〇%そこそこしかいかないということを考えておるわけでございます。先ほど官房長の申しましたのは、しかし万が一のときはそういうものも買えないわけでございますから、その耕地だけは確保していかなければいけないという考え方を持っておるわけでございます。
○村沢牧君 だって、万が一のことを考るということは、万が一のこともあり得るというようなことで心配して考えるんでしょう。いまから三〇%しかないんだと、万が一が来たら六〇%に自給率を高めなければならないと言ったって、そんな簡単なぐあいにはいかないですよ。ですから、穀物の自給率をあるいは総合食糧の自給率を高めていくんだと、この姿勢が皆さんにあって、農政審議会でもそれを高めるためにはどうするんだということが検討されなければならないと、そのように私は思うんですが、それはまたさらに後ほど伺ってまいります。 そこで、大臣にちょっと聞いておきますが、先ほど私が申し上げましたように、農政審議会待ちだ、これも一つ大事でしょう、大事なことだとは思いますよ。思うけれども、農政審議会の答申が、農林省や政府の意図するようなことと違ったような形で答申が出た場合においても、あなたたちはそれを尊重してそのとおりに農政を持っていくんですか。あるいは農政審議会は財政その他耕地いろいろ関係がありますから、農林水産省、農林大臣の意図する以外のものはそんなに出てこないと思うんですが、農政審議会の答申も大事だけれども、あなた自身のやはり日本農政に対する見解を持たなければだめだ、そのように思いますが、農政審議会との関係はどうなんですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 農業基本法に、やはり農政審議会の意見を聞いてやらなければいかぬと書いてあるわけでございますし、またその農業基本法では、それを、出てきたものを尊重していろいろな施策をやっていくと、こういうことになっておるわけでございますので、その点はやはり法律を私ども守っていかなければならないので、農政審議会の答申というものはやはり尊重しなければならないと考えておるわけでございます。 ただ、私どもの考え方と全く違ったものが出てくるというようなことは私はあり得ないと思っておりますことは、この間もやりましたように、ときどき私ども意見の交換をしながら、よく十分お互いの考え方を率直に話し合ってやっており、そして私どもはこういう考え方でございますと大体の方向というものは話し合っておるわけでございますから、全く違った方向というものは私どもは出てこないと、こういう判断をいたしておるわけでございます。
○村沢牧君 私は、大臣が国会で、この委員会で答弁をしたことが必ずしも農政審議会の審議を拘束するものではない、私はそのように思うんですよ。したがって、この農政審議会が検討している農政のビジョンは非常に多岐にわたっておりますけれども、この法律を審議するために必要な前提条件として、私はいま食糧自給率の問題をお伺いしたわけですけれども、さらに具体的にこの農地流動化のための前提となるものは、一つは地域農政をどういうふうに推進をしていくかということであろうと思います。地域農政に対する農水省の考え方、それから価格政策、これについても大臣から大事だというようなお話があったんですけれども、一体どういうふうにしていくのかというこのことですね。あるいは農産物の輸入に対する考え方、いろいろありますけれども、この法律審議に当たって必要なんですから、もっと具体的に答弁してください。
○国務大臣(武藤嘉文君) 地域農政については局長の方から答弁をさせていただきまして、輸入対策また価格対策について私からお答えをさせていただきますが、輸入対策につきましては、私どもはやはりこれからとも国内で賄えるものは極力国内で賄っていくという姿勢をとっていきたいと考えておるわけでございます。ただ、先ほども申し上げますように、しかし余りにもかけ離れたものでございますと国民の理解が得られない。たとえば飼料穀物のような場合でございますけれども、こういうものは国内でできれば賄っていただきたいのでございますけれども、いま国内でそれじゃトン三万円というのはもうとても出てこないわけでございまして、私もこの間、飼料稲につきましても何とか国内でトン十万円以下ぐらいにならないだろうかというような考え方から、千五百キロぐらいというものが一つのめどとしてそういうものができないだろうかということで、一生懸命いろいろの人に聞いておるわけでございますけれども、いまのところなかなかそこまで正直出てきていないわけでございます。他の作物から考えましても、なかなかいまのトウモロコシなどに匹敵するようなたん白質を持っておって価格もそれ相応のものというものはなかなか見当たらないものでございますから、こういうものはやむを得ないと私は考えておるわけでございます。 しかし、これも先ほど申し上げますように、緊急な場合にはやはりそれが半分ぐらいに減っていく場合もあり得ると、それをどう代替するかということはやはり考えていかなければならない。そのときには高いものを国内で賄わなければならぬということになるわけでございますけれども、そのときは国民の理解を求めて、高いものでも緊急の場合はこれをつくっていかなければならないと思うのでございますが、輸入政策としてはそういうことを考えておるわけでございます。 それから、価格については、先ほども申し上げますようにまだ結論が出ているわけではございませんけれども、私どもとしては、需給関係とそれからやはり再生産意欲を持っていただくというものをうまく調整をしていく、そのうまく調整をしていくのはどの点かと言えば、そのときそのときやはり考えていかなければ仕方がないんではなかろうか、こう考えておるわけでございます。
○政府委員(杉山克己君) 地域農政についてどう考えるのかというお尋ねでございますが、地域農政という言葉は人によって若干受け取り方の差はあろうかと存じますが、私どもは制度の運営のあり方なりあるいは予算の組み方、あるいは精神運動といいますか、人間の気持ちの持ち方、そういった総体を地域を重点にして考える、そういう行政運用を地域農政と言うのではないかというふうに考えるわけでございます。その意味では、ここ数年来、私ども農林水産省といたしましても地域の自主性、創意工夫を重視するということを行政の柱として打ち出すようになってまいっております。名前自身も地域農政特別対策事業というような予算も組んでおりますし、一般的な公共事業にいたしましても、あるいは構造改善事業にいたしましても、従来以上にその地域、特に集落段階にまで入っての住民の合意、全体的な連帯感の醸成というようなことを組み立てながら施策の運営に当たっているところでございます。その点につきましては、今回の法案もまさにそういうことを裏打ちする、農用地利用改善事業はそのための組織づくり、地域の団体もつくるというようなことをねらっているわけでございます。そういうことで、今後とも地域農政はさらに充実発展さしてまいりたいと考えております。
○村沢牧君 私は、いままで基本的な問題について大臣に質問してまいったわけでありますけれども、その答弁はどうしてもしっくりいかないわけですね。たとえば一つは、農政審に対してその後もいろいろ検討をお願いしているんですから、その検討の内容だってやっぱりもっと国会に明らかにしてもいいと思うんですよ、そのこと。それから、穀物自給率を高めなければならないと言いながら、平時においては三〇%ぐらいしか仕方がないんだというような言い方、あるいは長期見通しについてもはっきりしたことをおっしゃっておらない。輸入についても、大臣の答弁はいままで言ったことと何にも変わっておらない。輸入はもっと最近ふえて、国会の決議においても、農畜産物の輸入の増加によって自給率が下がったということを国会の決議で言っているんじゃないですか。それに対して大臣の考え方は少しも変わってない。あるいは価格についても、大臣の答弁くらいでは、とても農地を流動化して何をつくっていけば価格が保証されて農民の生産が上がっていくんだということが出てこない。それから、先ほど私は中核農家についても質問したんですが、中核農家を育成するために農地を流動化しようとしても、一体中核農家をどれだけつくるんだ、どんな農家をつくるんだといったってすっきりした答弁が来ないわけですね。これじゃこの法律を一体、審議をすることはできないんだ。もっと具体的な答弁できますか。 委員長に要請しますが、私はこの程度の答弁では、法律を審議する前提ですから、もっとはっきりした答弁を求めるか、あるいは十三日もこの委員会があるようでありますから、その席でもってより具体的に私の言ったことを同僚議員の質問に答えるか、その辺についての取り計らいをひとつお願いします。
○国務大臣(武藤嘉文君) まあ衆議院でもそういう御議論がございまして、私ども大変恐縮に存じておりますけれども、できるだけ、農政審議会にいろいろ議論をしていただいていることで私どもがある程度承知をしておることは極力申し上げておるつもりでございまして、この資料もそういうことでお出しをするわけでございますし、しかし、まだまだその議論が全くまとまっていない点も相当各部会の段階でまだおやりをいただいておるわけでございまして、なかなかまとまっていないものでございますから、御不満はあろうかと思いますが、先ほど申し上げますように、これは今度の法律は、とにかく構造政策の中で生産性を高めていくためには経営規模を特に土地利用型においては拡大をしなきゃいけない、こういうことだけは構造部会で、すでに農政審議会でもそういうことを決めていただき、私どももそういう方向は正しいものであると意見が一致しておるわけでございまして、それに基づいて出しておるわけでございますので、確かにその他の生産対策なり価格対策なり、そういうものが全体にしっかりしてこない限りはどうもおかしいんじゃないかという御議論でございますけれども、あくまで構造政策はその一環でございますし、また経営規模の拡大というのもその中のまた一つでございまして、それの受けざらをつくっていくということだけは私は必要なことであると、こう思っておるわけでございますので、ぜひそういう点で御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○川村清一君 議事進行について。 休憩してください。
○委員長(青井政美君) 先ほど村沢委員から、大臣以下理事者の関係者が、本法律案の審議のためにより具体的な問題を御提示願いたいということと、ただいま川村理事から休憩のことが出てまいったわけでございます。今後の審議の問題もございますので、その点理事者の関係の方々十分御相談をいただいて、本議案が速やかに進行しますように御配慮を賜りたいと思います。
○川村清一君 議事進行について。 ちょっと私の方の委員間で打ち合わせすることもございますし、けさほどの理事会でも私は発言しておいたんですが、国会末期に至ってこれほど重要な法案を審議しておるのにかかわらず、責任与党の自民党さんとしては、委員長を除いて三人しか現在出席されておらない。法案を成立させたいという御熱意があるのかないのか、われわれ野党ではちょっと解しかねるというような事情もありますので、出席方を督励していただきたいことが一点と、わが方のこの委員三人でちょっと打ち合わせがありますから、暫時休憩をしていただきたいということを要求いたします。
○委員長(青井政美君) ただいま川村委員からの御発言もございますので、若干、理事会を開催いたしましてその問題について検討いたしたいと思います。 暫時休憩いたします。 午前十一時三十六分休憩 —————・————— 午前十一時五十八分開会
○委員長(青井政美君) 農林水産委員会を再開いたします。 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することといたしまして、休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 —————・————— 午後一時九分開会 〔理事片山正英君委員長席に着く〕
○理事(片山正英君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、久次米健太郎君及び熊谷太三郎君が委員を辞任され、その補欠として高橋圭三君及び石本茂君が選任されました。 —————————————
○理事(片山正英君) 休憩前に引き続き、農地法の一部を改正する法律案、農業委員会等に関する法律等の一部を改正する法律案及び農用地利用増進法案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○村沢牧君 農地を流動化して規模拡大をし、生産対策としては何をつくらせるという期待を持っているんですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) やはり私どもといたしましては、いま水田利用再編対策でぜひ稲作にかわってお願いを申し上げたいと言っております麦、大豆、飼料作物、この特定作物はぜひお願いをしたいわけでございますが、稲作につきましても、しかし全くなくなるということでは困るわけでございます。私どもはあくまで今後も米が日本人の主食であるという考え方で対処してまいりたいと思っておるわけでございますから、稲作についても、当然そういう地域が拡大するところによれば相当生産性は高まると思っておりますので、もちろん稲作もお願いをしなきゃならぬと、こう考えておるわけでございます。
○村沢牧君 いま大臣から答弁のありました、その種の作物を生産をする場合においては、先ほど来申し上げておりますように、価格の体系が伴わないと、せっかく土地を流動化してその種の作物をつくったとしても、結局生産的にあるいは農家の経営的に行き詰まってしまうというように思いますが、価格問題について改めてお伺いをしたい。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私といたしましては、中核農家を中心としてこういう形で規模の拡大をやっていただけますれば生産性が高まってくるわけでございまして、生産性が高まってくるということは結果的にコストは安くなるわけでございますけれども、そのコストの安くなった分をまた生産者に転嫁できないようなことになりましては、生産者は再生産意欲は持ってないわけでございますから、やはりわれわれといたしましては、あくまで生産者が本当に喜んで再生産しようと思っていただけるようなところまでやはり価格は今後は十分考えていかなきゃならない、そういう価格を考える上において国民の理解も必要であろうと思いますので、生産性を高めるために規模の拡大を図っていただきたい、こういう考え方を持っておるわけでございまして、当然そこでスケールメリットが出てまいりました分については相当量私は生産者にそれは還元されるべきである、こういう考え方を持っておるわけで、そうなればいまより生産者の手取りは相当ふえる、こういうことになるわけでございまして、ぜひそういうことによって結果的に中核農家を中心とされるそういう方々が、本当に生産に意欲を持ってやっていただけるような価格はそれによって私どもは保証できる、こう考えておるわけでございます。
○村沢牧君 先ほど私は、この法律審議に当たってその前提となる問題、基本となる問題について質問し、満足すべき答弁も得られなかったし、それから資料も提出がなかったので休憩になったような形になりますけれども、資料の提出ができたらひとつ提出をお願いしたいというふうに思います。 もう一つ、大臣の方でさらに答弁に補足する問題があったら補足をしてもらいたいというように思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) 資料は私どもの方から提出をさせていただきます。 それから、その資料にも関連をいたしますけれども、資料はそのエマージェンシーの場合でございますが、それ以外にも、先ほど来いろいろと御議論の中で私も多少申し上げたのでございますが、もう少しはっきり申し上げるべき点があったのは、御承知のとおり、いま長期需給見通しの中で第一次試算で出しましたものは、今後水田利用再編対策を進めていく最終目標は大体八十万ヘクタールぐらいであろうと、こういうのが長期需給見通しの中で最初言われておったことでございますけれども、私はどう考えてみても、いま米の消費拡大を一生懸命私ども政策的に努力をいたしておるわけでございますし、またいろいろ過去のデータを見ておりましても、非常に経済成長率の高いときは確かに米の消費が落ちてきておるわけでございますが、わりあいに経済の成長が低いときには米の消費は余り減っていないわけでございます。これからの日本経済というものは、もう高度経済成長というのは考えられないわけでございますから、そういう点からいけば、米の消費は、私はこれだけ消費拡大運動をやっていけばそんなに落ちないのではないか。私はどんなことがあっても一千万トンだけは下っちゃいけない、それはやっぱり一つの最終目標ではないか、こういうことを強く言っておるわけでございまして、それを実現できるとなると八十万ヘクタールが七十六万ヘクタールで済む、こういうことにもなるわけでございます。これについてはぜひそういう姿で最終的にまとめたいという私の強い期待でございまして、農政審議会にもそのようにお願いをいたしておるわけでございます。 それから、中核農家を土地利用型において——まあ施設利用型と申しますか、園芸あるいは畜産、特に養豚、養鶏などの畜産関係については中核農家のシェアは非常に高いところへ来ておるわけでございますけれども、土地利用型農業においては依然として三〇%ぐらいでございますので、これを土地利用型についてもやはり五〇%ぐらいのところへ持っていくような形に農家の形態を持っていきたいというのがもう一つの私の考え方でございます。 それから価格政策で言えば、先ほども御答弁申しましたが、とにかくこういうスケールメリットをできるだけ生産者の方に還元するように努力をいたしまして、そして結果的には生産者の手取りが相当ふえ、それによって生産者に再生産意欲を持っていただく、こういうやはり価格対策をしっかりとつくり上げていかなきゃならない、こう考えておるわけでございます。
○村沢牧君 次に進みますが、やはり流動化の前提として考えなければならない問題の一つとして地価対策があるわけです。所有権の移転を前提にした農地の流動化が期待どおりに進まなかったことは、地価の高騰あるいは兼業農家の農地を資産として固定化していく、こういうことがあったことは否めない事実であります。地価対策を農林水産省だけで考えるということは無理である、そのことも承知をいたしておるところでありますが、一般的な地価対策として現在政府が地価対策関係閣僚懇談会なるものでもって進めておる施策、これでもって大臣は地価が抑制できていく、そのようにお考えになっていらっしゃるかどうか、そのことが第一点。 それから次は、農水省としては、農用地として利用される土地について地価を抑制するためにどのような対策を行っており、さらに行おうとしておるのか。 まず二点について見解を求めます。
○国務大臣(武藤嘉文君) この間うち私ども地価対策閣僚懇談会を開きまして、国土利用計画法の問題なり、あるいは遊休土地の活用なり、あるいは農住組合法案を含みとする問題なり、あるいは都市再開発の促進という形での今度の都市再開発法の改正案を含みとする問題なり、いろいろと、七項目でございましたか八項目でございましたか、土地対策について私ども決めさせていただいたわけでございますが、正直申し上げまして、これで地価が必ず抑制されると私は考えておりません。しかし、全くそういうものを打ち出さないよりは効果があるとは思っておりますけれども、その効果について一〇〇%これでもう今後は地価が全く上がっていかないとは考えておりません。 ただ問題は、私ども非常に、この地価対策をやります場合には、結局土地というものは、もうほかの生産物とは違いましてそう簡単にできるものではないわけでございますから、こういうものについては幾ら自由主義経済体制の中ではあるとは言いながら、何か規制すべきであるという考え方は私どもの内部にもあるわけでございます。しかし、なかなか憲法の問題とかいろいろございまして、非常にその辺の土地の私有権にどこまで公的な制約が加えられるかという議論をまだ正直続けておるわけでございまして、今後ともその辺の議論を踏まえながらできる限りのことをやっていかなきゃならないと思っております。この間の一応の当面の土地対策としては七つか八つの項目で終わりましたけれども、今後引き続いてそういう一つの、どこまでほかのものとは違って土地というものに対して制約が加えられるかどうかということは一つの考え方と、もう一つは、何としても、いま上がっておるところというのは大体が三大都市圏を中心としたところでございますから、そういう点において、やはり日本国土のいま総合開発という観点からいろいろとやっておるわけでございまして、やはりたとえばいまも三全総というものをどう進めていくかということをやっているわけでございまして、そういう点からやはり人口分散ということを図っていかなければ結果的には土地の価格というものはなかなか安定してこないのではないかということもあるわけでございまして、そういう長期的なものについては引き続き私どもは検討を続けていくわけでございます。 それから、農林水産省としてはどういうことをやっているかということでございますが、これは今度の農地法の改正をいま御審議願っておるわけでございますけれども、この農地法の改正の中でも、あくまで農業以外に農用地が転用されるということは極力私どもは今後とも抑制をしていきたい、結果的にはそれは地価の安定にもつながると、こう考えておるわけでございます。 それからいま一つは、農振法あるいは都市計画法、こういうものによって地区区分をやっておるわけでございまして、こういう面を今後とも強力に進めながらわれわれはわれわれの範囲内で地価の抑制、特に農地の地価の安定に役立つような政策を進めていきたいと、こう考えておるわけでございます。
○村沢牧君 地価全般についての論議をしておりますとずいぶん時間もかかりますから、その点はまた別の機会に譲りまして、農地に限って重ねてお伺いいたしますけれども、農地を買って農業として経営が成り立っていく、そういうやっぱり農地価格にすべきだというふうに思うわけであります。また、農地の財産的所有、これをやっぱり少なくしていくような農政のあり方でなくてはならないというふうに思うんですね。そうするならば、農業以外から農地を侵食されない、そのためには農地法を緩めない、農地法を骨抜きにしない、このことがやっぱり大事だというように思うんです。農地法の原点に返ってやはり一面においては厳密に施行しなければならないんではないか、そういう関係と、今回の農地法の適用地域の除外を拡大をするというような問題、これはどういうふうに考えるのか。さらには、いまお話もあったわけですけれども、農振法の的確な運用を図っていく、これも必要だと思いますが、それらと地価対策はどういうふうに考えておるんですか。
○政府委員(杉山克己君) 地価対策につきましては、大臣からお答えしたとおり、一般的な地価抑制の対策の中で農地価格の抑制も図っていかなければならないわけでございます。その場合、従来所有権の移転は農用地利用増進事業の対象にしておりませんでしたが、私ども、やはり地価対策の安定を図るとともに、所有権の移転もこの事業によってできるだけ促進を図ってまいりたい、そういう観点のもとに今回対象の権利としてこれを取り上げることといたしておるわけでございます。 それから、地価抑制の手段として農地法なり農振法の厳正な運用いかんということでございますが、実は農地制度の今回の改正に当たっての検討の際には、農地法自身の抜本的な改正が必要ではないかというような意見も一部にありましたが、私どもといたしましては、優良な農用地を確保する、また農地の価格を安定させるということのためには、農振法だけではなく、現在の農地法による転用規制、これがかなり有効な機能を果たしているという認識のもとに、外部資本の進出、乱開発の防止という観点から農地法の全面改正は行わない、今回のような特例的な場合に、市町村が間に立って権利の移動なり利用権の設定を考える場合に例外的に農地法の規制を緩和するというような考え方のもとにこの新三法を提案することにいたしておるわけでございます。そういう意味で、農地法の転用規制のこの厳格な運用ということについては今後一層努力していかなければいけないというふうに考えております。 同様に、農振法の運用につきましても、これが開発規制の効果を大きく持っておる、そのことから外部資本の導入が相当程度防げているというふうにも思えるわけでございます。今後とも、この開発規制を強化して、農業の用に供されるべき土地を確保するということに努めてまいりたい、そして農地価格の安定にも一層の役割りを果たしていきたいというふうに考えております。
○村沢牧君 農用地の流動化を図って規模拡大をしていくということも中核農家をつくる一つの方法であるというふうに思いますが、同時にやはり土地条件を整備していくこと、このことを農林水産省としては忘れてはならないというふうに思うわけです。そのことがやっぱり農地の流動化を促進する一翼にもなるというふうに思うわけです。 そこで、そうした点からまず最初に三点ほどお伺いいたしますけれども、一つは、傾斜地あるいは山村地域における土地基盤整備をどうするかということなんです。わが国は、御承知のとおり傾斜地が非常に多い。したがって機械化農業あるいは生産コストを下げようとしてもなかなかできない状態になっているわけであります。政府の施策も、平たん地の基盤整備についてはかなり力を入れているけれども、条件の悪いところ、これは放任されておるわけです。つまり、平たん地の場合においては国営、県営、補助率もいい。しかし、急傾斜地なんかについては補助率も悪い、条件も悪いということになっていますが、こうした土地の基盤整備を一体どういうふうに進めていくかということが一つ。 それから第二点目には、平たん地であっても至るところに建築物等ができて虫食い状態になって、やっぱり大規模農業なんて言っても、土地を集積することができないわけなんです。このような状態を今後どういうふうに考えていくのか。 第三点として、水田の転作に関連をして、田畑輪換の土地改良基盤整備をさらに積極的に進めなければならないわけでありますが、農水省当局の考え方は、水田は水田として基盤整備をしていくんだということが依然として行われているというふうに私は思うんですけれども、それらについてはどのように考えていますか。
○政府委員(杉山克己君) 第一点の傾斜地、山間地等の基盤整備についてどう考えるかということでございますが、もちろん面積的には平たんな地域の基盤整備の方が大きい、金額的にも多いわけでございますが、傾斜地といえども、狭い国土の日本でございます、最大限農用地として使えるところはこれを整備して使っていくということが必要でございます。 そこで、そういうことのために、土地改良総合整備事業などにおきましては、これらの中山間地域の基盤整備につきましては、採択基準なり補助率について一般の場合より優遇するというようなことで対応いたしております。補助率の場合は、一般の場合は四五%でございますが、山村過疎地にありましては五〇%にするとか、採択基準を一般の場合は二十ヘクタール以上のまとまった面積でなければ採択しないのを、山村過疎の場合は十ヘクタール以上でも採択するというようなことを措置いたしておるわけでございます。それから、例はたくさんあるのでございますが、五十五年度予算の場合におきましても、特に小規模な団地、これが傾斜地とか山間に多いわけでございますが、そういう小規模な団地を対象とするところの農村基盤総合整備事業でありますとか、それから土地改良総合整備事業につきましては、一般の予算が前年横ばいで総額を抑えられている中では、かなり対前年伸ばすような措置をとっておるところでございます。やはりそういう傾斜地、山間地におきます基盤整備は今後とも重要であると考えておりますので、その積極的推進を図ってまいりたいと考えております。 それから二番目の、平たん地におきましても虫食い等が起こって大規模な効率的な基盤整備が行われ得ないのではないかというお話でございますが、これは基盤整備以前の問題といたしまして、やはり利用区分をきちんと立てる。先ほど申し上げました農振法なりあるいは都市計画法、これらの適正な運用による線引きをきちんと行いまして、優良農用地を確保する、そして集団的に基盤整備が行い得るようなそういう条件を整えていくということが重要であろうかと考えております。主として農振法の厳正な運用により、そういう集団的な農地をできるだけまとめて確保していくということを図りながら、その地域の基盤整備を進めていくということを考えております。 それから、田畑輪換でございますが、これは私ども従来から排水事業は、一般的な基盤整備事業の中でもかなり重点を置いて進めてまいっているところでございます。特に転作とも絡みまして、私ども排水事業、できるだけたんぼの水位を下げて、単に水稲だけではなくて、ほかの農作物も栽培し得るようにする等、この事業につきましては予算的にもかなり充実を図ってまいっております。具体的には、これは五十四年度からでございますが、圃場整備事業が完了したところでありましても、排水条件が十分でないところにつきましては、緊急に改良する必要がある地域につきまして、排水対策特別事業というものを実施することにいたしております。こういう事業におきましては、採択条件を緩和して、実質上受益者の負担を軽減するというようなことも行われているところでございます。今後とも水田の汎用化、輪換が可能なような水田をつくっていくということで、それを積極的に進めてまいる所存でございます。
○村沢牧君 耕地を流動化するためにも、やっぱり山間地、さらに傾斜地の基盤整備を充実して機械化ができるようにする、そのことは特に今回の法律提案についても、これから留意していかなければならない、力を入れていかなければならない問題というふうに思うんです。構造改善局長から答弁があったわけでありますが、やっていることは認めるけれども、しかし、いままで力の入れ方が足らないというふうに思うわけですね。ですから、積極的にこれからとり行っていくように、この点は答弁要りませんから、要請をしておきます。 次に、規模拡大の必要性は十分認めておるわけでありますけれども、現在ある耕地の中で、また現状の農地利用体制の中で、特定の農家の規模拡大をしようとすれば、他の農家の耕地が少なくなってくる。先ほど指摘をしたとおりなんです。そこで、もっと耕地をふやすこと、土地利用の効率化を図ること、このことが同時に行われなければならないというふうに思うんです。私ども日本社会党は、中期経済計画の中で、農用地百五十万ヘクタールあるいは放牧地百二十万ヘクタールの造成を公共事業として国費で行うこと、このことを主張しておるわけなんです。その程度の開発可能地域はわが国は十分あるわけです。ところが、この法案の説明や、いままで農林水産省の答弁を聞いておりましても、新たに耕地を造成しようとしている意欲はほとんど見受けられておらないわけです。いまここに資料をもらったわけでありますけれども、たとえば穀物自給率を六割から七割程度上げるためには六百十万ヘクタール程度の耕地が要るというふうに出ておるわけですね。わが国の耕地は五百四十七万ヘクタールですか、白書の発表によれば。したがって、どうしても新規に耕地をつくらなければならない、こういうことが出てくるわけなんですけれども、その辺についての考え方はどうなんですか。
○政府委員(杉山克己君) 土地改良長期計画という計画がございまして、これで基盤整備、それから新規の農用地の造成というようなことを行ってまいっております。その土地改良長期計画の中では、一番重点を置いて、また予算の配分も大きいのは、率として一番高いのは農用地造成事業でございます。それはそういう事業の中では比較的伸びているのではございますが、ただ全体として見ました場合、従来、造成面積を上回るような農地の壊廃があったというようなことで、特に高度成長の時期においては年々十万ヘクタールも十一万ヘクタールも壊廃が進んだというようなこともありまして、農用地の面積は減少を続けてまいりまして、いま先生御指摘のように、今日では五百四十七万ヘクタールということになっております。 ただ、私どもこれからの農用地開発につきましては、開発の適地が、適地と言うよりは可能地と言うべきでございましょうが、その中で経済採算が引き合うかどうかというようなことも見きわめてさらに適地を選定していかなければなりませんが、全体の可能地は二百八十二万ヘクタールほどあるわけでございます。これらにつきまして、実態をよく調べまして、最大限の開発を考えてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
○村沢牧君 大臣にお尋ねしますが、先ほどの質問で改めて資料をいただきました。これを見ると、穀物の輸入量が二分の一になった場合においては、カロリー計算で現在よりも落ちるけれども、しかし六百十万ヘクタール程度の耕地が必要だと皆さんの資料に出ているわけですね。そうしてみると、どうしても耕地を新規につくらなければならない、こういうことも出てくるわけなんですが、ただ、こういう耕地が必要だという目安としての資料なんですか、何かやろうという意欲があってのこういう資料なんですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) もちろん、私どもといたしましては、この間の国会決議をいただきまして、とりあえずこれつくったわけでございますが、つくったものはまるで夢であると私は考えていないわけでございまして、やはりこういうものでいろいろ議論をした上で、ぜひこういうことであるとなれば、当然それに対していわゆる潜在耕地面積と申しますか、そういうものをやはり考えていかなきゃならぬことは当然だと思うのでございます。しかしながら、そうは言うものの、いま現実には五一四、五十万しかない、一体その差額をどうするのかと、こういうことでございまして、いま局長からも答弁がございましたように、私どもは従来以上に新規な農地の開発ということに対しては力を入れていかなきゃならないと、こういう考え方でいるわけでございます。
○村沢牧君 先ほど私はわが党の中期経済計画に基づいた構想を申し上げたんですが、これもただ夢で、架空なものを出しているわけじゃありませんから、これもやはりわが党はわが党としての調査の結果こういうことになっておりますから、ひとつ政府の方でももっと的確な方向づけをして耕地拡大に取り組むべきだと、そのように思うわけであります。 同時に、私は規模拡大とともに、土地の有効利用、これを図らなければならないというふうに思うんです。わが国の土地利用は、昭和三十年ごろには六百万ヘクタールの耕地が年に一・四回回転をしていったわけですね。つまり、一四〇%の利用率があった。現在はどうか。現在は一〇三%弱という非常に低い利用率になっているわけなんです。つまり、裏作が遊んでいる。裏作の可能地は西日本を中心にして百三十万ヘクタールもあるんです。このように低利用になってしまった土地利用率をどのように高めていこうとされるんですか。農地三法を改正することによって、耕地の有効利用ということも考えなければなりませんけれども、そのことがまた流動化にもつながってくるというふうに思いますけれども、この利用の改善方法はどうなんですか。 〔理事片山正英君退席、委員長着席〕
○政府委員(杉山克己君) 土地利用率が御指摘のように最近におきましては下がってまいったわけでございますが、この原因を考えてみますと、一つは裏作作物の収益性ということがございます。それからいま一つは、裏作の時期の労働力の燃焼の問題、要するに具体的にもっと有効な就職の場がある、兼業の機会があるということになりますと、これは出かせぎも含めてでございますが、なかなか裏作に労働力が向けられない。それからいま一つは、技術的な問題といいますか、米の生産期間、成育期間と麦の成育期間が重なるような時期がかなり出てくる。これは品種改良の一つの成果ではありますけれども、利用率の観点から見るというとこの点はマイナスに働くというような事情もありまして、なかなか裏作を含めての土地利用率というものは上がるような傾向にはなかったわけでございます。 これを何とかしてできるだけ今後とも利用率を高めていくということを考えます場合、やはり労働力の燃焼ということをひとつ有効に向けるようなことを考えるべきではないか。その点から言いましても、流動化を高めて、中核農家にできるだけ農地を集積するということは利用率を高める一つの手段になり得るかと思います。 それからいま一つは、生産基盤の整備であろうかと思います。やはり裏作作物にも十分有利な条件が確保できるように、特に地下水位の引き下げ一低下を図るというようなことは必要であろうと考えております。それから、作目の選定の複合化等、農業経営上の技術的な問題についての検討を深めるというようなことも必要であろうと考えております。これらの点について慎重に対策を講じながら利用率の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。
○村沢牧君 土地の利用率が悪いということはわかっているわけなんですよ。構造改善局長の言われる原因はわかる。それじゃ一体どういうふうに対処しようとするんですか。どういうふうに対処していこうとするんですか。先ほど私は、基本的な問題について大臣にも質問した際、農地を流動化して麦だとか大豆だとか飼料作物等をつくってもらうんだという話があった。しかし、いまの話では、裏作をやっても収益性が悪い。つまり、これは価格政策にも関係してくるわけですね。一体、収益性も悪い、さらにまた技術も悪い、そういう現状の中でもって、農地の流動化だけしたとしてもなかなか生産は上がってこない。利用率が悪いということについてどういう対策を講じているんですか、講じようとしているんですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) いま構造改善局長からいろいろ基盤整備の問題、地下水位を低下させる問題、いろいろそういう構造改善局としての話がございましたが、私はやはりそれ以外に、いまの裏作をしてもなかなかそれによって収益、所得がふえないということではだめではないかという御指摘でございます。この点につきましては、一つはやはり技術的にと申しますか、品質改良も含めまして、裏作の麦なら麦のやはり反収を私はもう少し上げなきゃならないのが一つであろうと思います。これは私どもの技術会議の方の問題でございますけれども、やはり技術会議においていまそういう点についても極力品種の改良、技術の改良、こういうことに力を入れて研究を進めておりまして、なるべく早いうちにこれが普及されるようにしていかなきゃならないだろう。同じ価格にしても、反収が多いと少ないによって違うわけでございますから、そういう点においてはこれは当然ひとつ考えなきゃならないと思いますが、もう一つ、ある程度反収が上がってまいりますれば、いま転作奨励金を加えておりますと、私は米の収益性より高いと思うのでございます。非常に収益性の低い麦をつくっていただいておりましては、これは米と比べてもなかなか収益性が高くないのでございますけれども、いまの奨励金を加えておれば、ある程度その反収が上がってくれば私は相当の収益になるのではないかと思うわけでございまして、できる限り今後とも転作奨励金は維持をしていき、そして反収をよくしていく。たとえばこれは麦の例でございますけれども、そういうような方向にいくということでいまの基盤の整備とあわせてやっていくならば、私は土地利用率が今後向上していくのではないかと、こう考えているわけでございます。
○村沢牧君 この法律の改正によって、従来農振法によって適用しておった地域よりもさらに拡大をして農地の流動化を図ろうとしておるわけですね。そこで、そういう期待の反面、遊休農地というのがいまずいぶんあるわけなんです。都市やその周辺の観光地等の農地の中においては、企業やデベロッパー等の買い占めによって農地が荒らされている。あるいは遊休化されている。こういうのがずいぶん放任をされておるわけでありますけれども、こういう実態をどのように把握しておるんですか。それで、法律だけ改正して流動化しようと、そのことも一つの方法であるかもしれぬけれども、こういう遊んでいる土地をもっと利用したらどうなんですか。
○政府委員(杉山克己君) 昭和四十年代の後半に、農外者による農地の取得、これがかなり進んだことは事実でございますが、ただ実態は正確にはわかっておりません。国土庁の調査によりますと、四十四年から四十九年にかけて取得された土地、これは農地を含まない、むしろ林地等でございますが、これは八十八万ヘクタールあるということに推定されております。それからまた農業会議所の調査によりますと、昭和四十四年から五十年にかけて農外者によって取得された土地は約二十八万ヘクタール、そのうち農地は二万ヘクタールというふうに聞いております。これらの土地が農業的な利用に供すべき土地である場合には、当然農業的利用に供されるように必要な対策を講じなければなりませんし、そのように図っているところでございます。すなわち、これらの土地が農振法の農用地区域内にある場合には、農業用地として確保するため、農振法の開発許可制の厳正な運用を図る、開発規制を行って、ほかの用途に振り向けられないように図るということを考えておるわけでございます。 それから、農地保有合理化法人、これが農地を買う機能を持っているわけでございますので、この合理化法人によりまして買い戻しを行わせる、そして農用地として使わせるような売り渡しを図っていく、そういうことが考えられるわけでございます。 それから、いま申し上げましたような土地が、農業適地ではありましても農用地区域外にある場合には、これはまず線引きでもって農用地区域内に含めるようにしなければ、先ほど申し上げましたような対策が講じられないわけでございます。そこで、線引きの見直しというようなことをやってまいりたい。 それから、そういった、いま申し上げましたような措置にあわせまして、これらの土地が農業上の利用の促進を図ることが適当である場合には、土地所有者の同意を得ながらできるだけ利用権設定等、今回のといいますか、五十年来行っておりますところの利用増進事業、特に利用権の設定等の促進事業に乗せていくように指導してまいりたいと考えております。
○村沢牧君 次は、農用地利用増進法に関連をしてお聞きをしますが、まず前段として大臣に質問いたしますが、農用地利用増進法は、この法の流れから言って、貸し手のことを大変に配慮をしている法律である、そのように見受けられるわけなんです。そのことも悪いとは言いませんけれども、ところが、今度衆議院の法律改正によって、「耕作者のために」ということで、目的をわざわざ挿入されたんです。したがって、この増進法を耕作者を保護していくという立場に立ってどのように見ていくのか。総括的にひとつ決意というか、見解を述べてください。
○国務大臣(武藤嘉文君) やはり私どもは、この法律によりまして農地が出てくるという、そしてそれを耕作者が今度は安心して耕作ができるということがやはり耕作者の立場を考えるということではないかと思っておるわけでございまして、そういう点に努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
○村沢牧君 水田利用再編対策は、米の減反の定着化を図るために、転作田の固定化だとか、土地利用の集積を目的とした地域ぐるみの計画的な転作制度がいま導入されておるわけなんです。そして今後の水田再編対策として、白書も指摘しておるところでありますけれども、地域農業の組織化を通じて地域農業内部に転作作物を定着さしていくことであるということのようであります。そこで、減反政策は三年間固定をするという約束を政府は破って、五十五年は五十三万五千ヘクタール拡大をされて、さらに六十五年には八十万ヘクタールというのが、先ほどの大臣の答弁では七十六万ヘクタールぐらいになったようでありますけれども、これまで拡大しようとしているわけであります。つまり、こうした流れの中から見てみますると、農用地利用増進法というのは、結局は米の減反を拡大をしていくその受けざらをつくる、そういうために必要であるとも見られるわけですけれども、その辺の見解はどうなんですか。
○政府委員(杉山克己君) 農用地利用増進法案は、これは水田利用再編対策との関連を直接意図したものではございません。一般的に農地の有効利用を図る、それから、作付についての合意のもとにルール化を図っていくというようなことを考えているわけでございます。 ただ、当然水田転換が行われているところでございますと、転作田の団地化だとか麦や大豆等の作付規模の拡大、こういったことを進めるための土地利用の調整が必要になってまいります。その調整の円滑化とか、転作に関連いたしまして農作業の受委託というような問題も起こってまいります。その促進等を通じまして、水田利用再編対策等の転作の円滑な実施にも役立つというふうに考えておるわけでございます。
○村沢牧君 そこで、集団的な集落の体制を整えていくというのが一つの法律の目的ではありますけれども、現実に言っていまの集落の体制はどうかということなんです。昭和三十五年には農家率五割以上の農業集落が八九%を占めておった。五十年にはしかしこれが七五%に減少しているわけです。その結果、かつての村ぐるみの共同作業やあるいは相互扶助組織は崩れてしまって共同体的な構造は大きく変化をしているわけなんです。 それから、集落全体の農用地の有効利用を流動化によって図っていこう、こういうねらいもあるようでありますけれども、集落のすべての土地所有者が、その集落の中で、部落の中でわずかな中核農家を育成しようとする気持ちを持っているわけではない。つまり、二種兼業農家は週休二日制の実施等によって、コストはなるほど高いかもしれないけれども、自分で自分の耕地を耕していこうというのが出ているわけですね。つまり、中核農家を育成をしようということはこれは国の期待であって集落の期待じゃないんだ、兼業農家の論理ではないんですね。こういう中で、部落全体の集団的行動を図っていくということがどの程度やっぱり期待ができるかどうかということですね。だから、中核農家をつくるんだから二極兼業農家の耕地をひとつ移動してください、こういう論理は成り立たないわけですね。集落の現状から、集団的な行動に対してどのように考えていますか。
○政府委員(杉山克己君) 二種兼農家にもいろいろあると思います。二種兼農家の中でも、結構中核農家としての実体を備えているような農業生産上大きなウエートを占めるものもございましょうし、あるいは安定兼業化して、できるだけ農地はほかの人に貸してもいいが、いつかまた必要なときには安心して返してもらえるようなことを期待したいというような向きもあるに違いないと思います。現に、そういう向きがあって、農地を貸してもいいというところにおいて、むしろ自然発生的にといいますか、事実が先行して流動化が進んでいる、それを組織化して今回のような法案に仕組んでいるというのが実態でございます。やはり地域もいろいろその地域によって実情、差がありましょうが、全体として見れば、農地を全体として有効に活用することが、これは中核農家にしても、安定兼業農家にしても、それは共通の利益になる話ではないかと思うわけでございます。 今日、昔と違いまして集落の調整機能というのは失われてきておりますけれども、やはり最近の農業をめぐる厳しい情勢、あるいは転作の問題にいたしましても収益性の問題にいたしましても、種々お互いの合意づくり、そして作付のルール化を図っていくということの必要性が認識されてまいっておるわけでございます。そういったことを進めて、全体としての農地の総合的な有効利用を図る、そして相互の利益になるように、お互いの話し合いで妥協点といいますか、一致点を見出していくということを考えているわけでございます。その意味で、何か兼業農家を追い出す、そのために強制するというようなことを仕組みの上で全く考えているわけではございません。関係者全員の合意というものをその事業の推進の前提といたしているところでございます。
○村沢牧君 増進計画を策定する場合に、市町村に対してこの計画の趣旨徹底等を図らなければならない、指導性を持てというようなことまで法文上は規定をされたわけです。増進計画は、これは地域が自主的にやるものだと皆さんおっしゃっていますけれども、そのことはそれとして、やっぱり農林水産省としても、この土地を流動化していく、集落ぐるみの体制ができるようなPR、指導、このことが必要になってこようと思いますが、どのようにお考えですか。
○政府委員(杉山克己君) 御指摘のとおりでございます。この事業は単に制度をつくったということだけでうまく動くものではございません。その趣旨を本当に関係者によく理解してもらう、そうして農地を提供する人は安心してそのたくさんの農地を出すような気分になっていただくということが必要でございますし、それから集落として、地域として営農についての作付体系の集団化とか土地利用についての有効なあり方とか、そういう合意を得るためには、本当にその全体としての理解が必要であると考えます。そのためには趣旨の普及を図るということは当然必要でございますし、私どもそのためにも、従来からもそうでございますが、地域農政特別対策事業の中等におきましても、そういう理解を進めるためのいわゆるソフトの事業、これを仕組んで、それなりの予算上の措置も講じているところでございます。
○村沢牧君 先ほど局長は、この事業は決して強権的なものじゃない、こういう答弁があったわけなんです。そうあってはならないというふうに私も思います。しかし、利用増進事業を集落ぐるみ、市町村ぐるみで行うということ、また、農地の流動化を積極的に行った地域に対しては補助金の上積みをして優先配分をしていくというふうなこと、これは一つの誘導的な仕事であり、あるいは逆に見ればペナルティーとも言えることなんだというふうに思うんです。つまり、村のため、部落のためにという名によって農地の流動化やあるいは転作を強制されることになるのではないか、そういう心配はないんですか。
○政府委員(杉山克己君) 御指摘のように、公共事業なりあるいは構造改善事業等の採択なり予算の配分に当たりまして、農用地利用増進事業が進められるところについては優先的な採択あるいは配分を考えるということを行っております。 ただ、これにつきまして私ども格段にむずかしい条件をつけているわけではございませんで、たとえば現在農用地利用増進規程、これの整備を必要といたしておりますけれども、大体約三千ほどの市町村の中で、すでに規程を整備しているところは五十四年現在でも千七百くらいに上っております。それからそういう増進規程がまだ整備できないところにおきましても、その規程を整備するための意図といいますか、将来の見込みをお出しいただけるならば、それはそれでもって取り扱うということにいたしておりまして、むしろ利用増進事業を進めるための、何といいますか、運動奨励策としてこれらの補助事業についての取り扱いをいたしているわけでございます。それからまた、それらの補助事業の性格自身が、やはり地域全体として合意ができて全体としての事業が有効に進められるという条件の整ったところから採択していくというのは、これは一般的、基本的な考え方であろうかと思います。そういう意味で、採択についてやはり効率の高いこういったところからとっていくというようなことになるわけでございます。 市町村等が、補助金がほしいために、無理無理してこういう利用増進事業について本来同意していない人まで強制してその意に反するようなことをさせるというふうなことは考えておりませんし、またそういったことがあってはなりませんので、十分この制度の趣旨なり運用の仕方については関係団体等を指導してまいりたいと考えております。
○村沢牧君 米の減反政策を進めていく過程において、たとえば構造改善事業をやろうとしても、減反はどれだけ進んでいるかというようなことも一つのこれは表面的、裏面的は別として、基準にもなって、あるいはそのことも要求されてきたわけですね。今回この法律ができることによって、いまお話があったように、流動化はどのぐらい進むのか、計画はどれだけできているのかということが、単なる村で補助金を欲しいからということだけでなくて、そういう補助金のために、あるいは上乗せ配分のために、流動化はしたくない、あるいは他に貸したくないという人までも、村のため、部落のためにということでそのような形の中へ巻き込まざるを得ない、そういう形になりはしないかということなんです。法律的にはなりませんけれども、そういう心配はないですか。
○政府委員(杉山克己君) 一般的に事業を進めるに当たって、関係者の熱意の余り行き過ぎというような事態が全くないとは言い切れません。そういう意味では、私どもこの事業の趣旨が正しく受けとめられるように十分指導の徹底を図っていかなければならないと考えております。 それから、私ども構造改善事業とか公共事業の採択あるいは予算配分に当たりましては、やはり一般的にその事業の効果が有効に発揮できるような条件の整ったところということになりますと、地域全体としての有効な土地利用なり作付についての合意ができているようなところが対象になってくるというのは、これはごく普通のあり方、考え方でございます。そういうようなことでもございますので、この補助事業を一つの武器にして何か好まない人に強制するというようなことは本来意図しているところではございませんし、そういうことをさせないように十分指導を徹底してまいりたいと考えております。
○村沢牧君 先ほど私は、集落の中における兼業農家のあり方についても前段質問したわけなんですけれども、利用増進事業による農地の流動化は、中核農家にウエートを置くとしても、中核農家だけを対象にするんではなくて、農業に希望と意欲を持っている兼業農家、これらも対象にすべきだというふうに思うんです。兼業農家の実態もいろいろあるわけでありますけれども、兼業であるからといって、すべて中核農家と言われる農家あるいは専業農家に劣っているわけではないんですが、この辺の流動化に対する考え方はどうなんですか。
○政府委員(杉山克己君) 利用増進事業は、対象を限定して中核農家だけの土地集積を図るということにはいたしておりません。いま先生おっしゃられましたように、兼業農家であっても、また兼業農家にも中核農家としての能力、資格を備えているものもかなりあるわけでございます。兼業農家を含めまして、本当に意欲を持って農業をやっていこうという人を育てる、そういう人たちのために農地の流動化、規模拡大を図る、あるいは経営の複合化を図る、そのほか農業経営の改善についてお手伝いをするということでこの制度は運用されるべきだと考えております。
○村沢牧君 そこで、農地流動化利用増進についての骨子というべきものが大体明らかにされてきたわけでありますけれども、それではそういう期待でもって、今後この事業によって農地の流動化はどのくらいできるという期待を持っているんですか。やってみなきゃわからぬということなんですか。 それから、この事業は全国でどの程度の市町村で実施をされるというふうに思いますか。あるいはまた、実施区域が農用地以外の区域にも拡大されるこのメリットとその対象となるような面積、どういうことを期待をしているのか等について、あわせて答弁してください。
○政府委員(杉山克己君) まず、市町村数でございますが、全国で三千六十の農業振興地域整備計画策定市町村があるわけでございます。このうち現在、規程、今回の新しい法案によりますと方針ということになりますが、農用地利用増進規程を作成いたしておりますものは約千七百あるわけでございます。この数はなお増加を続けておりますので、それより相当多い市町村において行われるというふうに考えております。 それから、どの程度の数量の流動化が実現するだろうかということでございますが、これは先ほど来申し上げておりますように、何か計画、目標を定めて、それを強制的に権力をもって実現を図るというようなことを意図しているわけではございません。その地域の条件の許すところで農地の提供を求め、それを有効に活用していく人があるならば、そういう人たちの農業経営にゆだねていくということでございますので、出てきたものを受けとめるということになりますので、多々ますます弁ずるということはありますが、数量的にどのくらいというようなことをはっきり描いているわけではございません。ただ、従来の実績からしますというと、初年度はほとんどなくて、二年目、三年目、数千ヘクタールの実績が上がっておりましたが、五十四年度は十二月末までですでに一万七千ヘクタールの相当大きな実績を上げて伸びを見せておるわけでございます。こういった傾向からいたしますと、面積的にも、特にこの制度の趣旨が理解されるにしたがってかなりな程度の流動化が実現していくのではないかというふうに考えます。 それから、地域について、従来は農振法の農用地区域だけに対象地域を限定しておりましたが、これを限定を外す、市街化区域でも、それ以外の地域の農業経営と一体的に行われる必要のある地域は対象とするというようなことも含めまして、どの程度の面積がふえるかということでございますが、対象面積総体で新しく対象になってくるところが九十万ヘクタールほどふえることになっております。そういうようなことで、一般的な総体的な件数の問題もございますが、現実にそれぞれの地域におきまして今日問題点を種々聞いております中で、同じ村の中にも農用地区域とそうでない区域がある。そして、農用地区域の分だけについて利用増進事業をやるわけにいかない、その区域外のところも一緒にやれればいいんだがというような事例もあるというふうに聞いております。そういったところでは具体的に一括した流動化が進められるというふうに、効果はかなりあるものというふうに期待いたしております。
○村沢牧君 今回法律制定に踏み切った一つの動機は、従来からやっておりました農振法の農用地利用増進事業が比較的成果を上げてきた、これにヒントを得たというようなことも見受けられるわけでありますけれども、なるほどその実績は認めるものでありますけれども、それでは、従来の農用地利用増進事業が新たな賃貸借ができたとすべてみなしていいかどうかということなんですね。私はこれには疑問があると思う。なぜならば、農地移動の中身を分析してみますると、利用増進促進対策の補助金もある、それを得るために従来からあったやみ小作がこの事業に乗っかったということ、あるいは農協の受託事業等がうまくいかなくて利用増進事業に切りかえてきたということですね。これらいろいろな中身があるというふうに思うんです。ですから、いま局長がおっしゃった実績は、すべてこの事業に乗っかって新たにできたものだとは私は考えない。一体、その中でこういう事業に基づいて新たにどのぐらいできたのか、どのぐらいなパーセントを示しているのか、その辺はどんなふうに考えられますか。
○政府委員(杉山克己君) その点は御指摘のとおりでございまして、全部が全部新たに農地の提供があって賃貸借契約が結ばれたというものではございません。従来からやみ小作なりあるいは請負耕作というような形で行われておった賃貸借が、これが合法的に表面化して出てきたというものも一部ございます。ただ、私ども全体としてその数量がどのくらいかということは掌握できておりませんけれども、個別事例、たとえば新潟県、石川県、岡山県、徳島県といったようなところの市町村について調べたのがあるのでございますが、これらについて見ますというと、むしろ意外なくらいに新規のものの割合が多い。奨励金に引かされてやみのものが表面化したというよりは、地域の合意によって新規のものが出てきたというものが意外に多いというような実態が見受けられます。一つ一つ事例を申し上げておりますと繁雑になりますので省略いたしますが、相当程度新規のものがあるということだけを申し上げておきたいと思います。
○村沢牧君 そういうことから、新たな法律はどの程度期待ができるかということは、やってみなきゃわからぬけれども、ともかくいままでよりもはるかに流動化が期待できる、そのように受けとめていいわけですか。
○政府委員(杉山克己君) はい、それで結構でございます。
○村沢牧君 そこで、この種の事業を行ってその結果がどうなってくるのかという、やっぱり検証が必要だというふうに思うんです。私は先ほど、従来進めてきた構造政策についての反省等も求めたわけでありますけれども、今回のこの制度を運用するに当たって、農地がどれだけ流動化してきたのか、その検証を行い、できればこれを国会に報告するというような形、制度をつくるべきであるというふうに思いますが、どうですか。
○政府委員(杉山克己君) いま先生御指摘の点につきましては、実はさきの衆議院の農林水産委員会におきます附帯決議におきましても御指摘をいただいております。私ども、今後農用地利用増進事業の流動化の実績等につきましては、農業白書によりまして国会へ報告することとして、本事業の運用に当たっては実情を的確に把握し、所要の点検、改善に努めて万全を期してまいりたいと考えております。
○村沢牧君 それではぜひ白書でもって正確な数字を今後発表してください。 続いて、先ほど冒頭に申し上げました耕作者の立場、耕作者の保護ということについて質問を続けてまいりますけれども、従来の利用増進事業の利用存続期間は大体三年から五年が一番多くて、農水省の資料によれば七二・五%を占めておる。つまり短期間の契約が多いわけです。しかも今度の場合、この農地法第十九条の賃貸借の法定更新の規定が適用除外されておりますから、利用権の設定期間が終了すれば、貸し手は離作料を要求されず自動的に農地が返還されるということになるわけなんです。このことは、貸し手にとってはいいけれども、借り手にとっては不安ではないか。つまり、借りた土地に対しての投資意欲や経営計画に支障を来してくるのではないか。こういう面から、耕作者の経営の安定に対してどのような配慮をしているのか。先ほど大臣から答弁もあったわけでありますが、改めて局長の方からも答弁を求めます。
○政府委員(杉山克己君) 期間の問題は何に比べて長いか短いかということが一つあろうかと思います。確かに、耕作者の経営の安定という観点からすると、三年ないし五年は一応の経営存続の期間ではありますけれども、もっと長い方が望ましいに違いないわけでございます。ただ、何といいましても肝心の土地が出てこなければ耕作者自身にとって有利には動いてこない。その土地を安心して出してもらうためにはどの程度まで期間を長くしたらいいのかということになりますと、長くなればなるほど土地は出てまいりません。そういったこととの兼ね合いでいままでできるだけ長くというようなことで個々の事例についての指導を図ってまいったわけでございますが、三年ないし五年の層に大部分落ち着くというような実績になっているわけでございます。ただ私ども、耕作者の経営の安定を図るためには、できるだけこれが更新して、その後も引き続いて契約できるようにする、そうして実質当初から長期間借りたと同じような効果を持たせるようにしてまいりたいと考えております。そのことは、やはり実績を積んで所有者が安心して貸せるんだという認識を持っていただくことによって初めて実現可能なのではないかというふうに考えておるわけでございます。初めのころ事業を実施したところでは、すでにそういう更新期が来ているところがございます。かなり安定した形で更新が行われているやにも聞いておるところでございます。 それからもう一つは、三年ないし五年、この間に安心した経営ができない、農業投資も行えないというようなことがあっては困りますので、それらについての手当て、具体的には有益費についての取り扱い、あるいはその調停等のことについても利用増進計画の中で決めるというようなことで、その間の調整を図ってまいりたいと考えております。
○村沢牧君 局長の答弁は、期間が終了したときは新しい計画で改めてその農地なりあるいは他の農地を借りることによって農業経営の安定を図っていくことを期待をするという意味の答弁だったというふうに思うんですが、その保障は法律上どこにもないわけですね。また新規に仮に借り入れたとしても、経営面積は大差がないとしても、従来耕作していた土地あるいは場所とは異なる場合が往々にしてあるわけなんです。やっぱり不安が伴うわけですね。局長の答弁は答弁として、期限が来たらまた借りかえるんだ、あるいは他に同じような面積を求めるんだといっても、この保障はどこにあるんですか。
○政府委員(杉山克己君) 法律的にきちんとした保障は与えられておりません。これは先ほども申し上げましたように、事実の積み重ねによって貸し手が安心して貸せるという、そういうお気持ちになっていただくことが一つ必要であろうかと考えております。しかし、そういうことに単に手放しで期待するというのでなくて、この事業自身が、市町村なり農業委員会あるいは農業団体等が協力して推進に当たるわけでございますので、そういったところの指導等も含めまして、できるだけ安定して同じところが引き続いて借りられるように、さらには一層拡大して借りられる規模が大きくなっていきますように、そういう耕作者の立場を考えた運用というものを考えていかなければならないと考えております。
○村沢牧君 どうも自信のないような答弁なんですけれども、今度は別な面でお伺いいたしますけれども、賃貸借の契約をしたけれども、その契約期限の到来以前に貸し手の都合によって返還を求められた、この場合は一体どうなるのか。この場合は利用増進法の枠から外れて農地法に戻るんだということがあるんですけれども、まあ言われているような面もあるようですけれども、それは法文上どのように解釈してそういう理論が成り立つんですか。
○政府委員(杉山克己君) 利用権設定等促進事業によって設定された賃借権の契約期間、この期間がまだ存続している間に貸し主の方から返還請求する場合は、農地法第二十条の規定が適用されることとなります。この場合、貸し主はこの二十条の規定に基づきまして、都道府県知事の許可を受けなければ返還請求はできないということになっております。都道府県知事は次に申し上げます四つの条件にかなう場合でなければ許可することができないということになっております。その四つの条件というのは、一つは借り主が信義に反した行為をした場合。二つ目は農地等以外のものにすることが相当と認められる場合。三つ目は貸し主が自作することが相当と認められる場合。それから、その他正当の事由がある場合ということになっておりまして、そこは一方的に貸し主が解約できるというものではない。都道府県知事がはっきり許可するという場合でなければ解約は認められないということになっております。
○村沢牧君 契約期間が満了した場合、借り手の投資をした分の残存貸しを回収できるかという問題であります。つまり、民法上規定をされている有益費について、先ほども局長から少し答弁があったわけでありますが、どのようなルールでこれを償還するのですか。また、そのような紛争が生じた場合にはだれがこれを調停するのですか。
○政府委員(杉山克己君) 投下資本の回収の問題は借地経営にとって重要な問題でございますが、その処理につきましては、民法それから土地改良法に規定がございます。それによりますと、本来当事者間の協議でもって処理されるべきということになっております。このため、貸し手、借り手の双方が安心して利用権の設定等を行い、この問題が公正に処理されるということのために、農用地利用増進計画におきましては、利用権の条件を決めます場合、その中身として、一つの項目として有益費に関する事項を決めることといたしたいと考えております。その中で土地改良事業の参加者、それから投資費用の分担方法、それから利用期間終了後の債務の承継等の問題、これらについて所有者と利用権者で十分に協議して明確化しておくこととしたいと考えております。 それからまた、事後においてその償還額等について当事者間で協議が調わないで、トラブルが起こったときは、市町村または農業委員会がその処理に当たるということを定める等の指導をすることにいたしております。こういったことを通じまして、各地域、各投資類型に応じた有益費の償還ルールが形成されてくるものと考えておりますし、現時点においてこれを画一的に法制化するというようなことまでは考えておりません。
○村沢牧君 有益費については利用計画の中で決めていくということ、そのことは不十分だと思いますね。単なる指導方針でもだめだと思うんです。ということは、農地法は、地主から土地を取り上げられないという権利として耕作権を保護しておる。したがって、賃貸契約も簡単に解約できない仕組みになっているわけなんです。農地法だけだと、従来有益費の回収も余り問題にならなかった。しかし、今度の農用地利用増進法は農地法の十九条の適用除外になったわけですね。そこで、有益費等が改めて大きな問題になってくるわけなんです。民法にもちろん規定がありますけれども、しかし、民法の規定だけであるからといって法制上の措置をしなくていいのかどうか。先日この委員会で参考人の意見聴取をしたときに、東京農工大の梶井参考人は、つまり、昭和四十五年度の農地法改定の際有益費はすでに法制上やっぱり措置をすべきものであったと。これは民法に規定はしてあるけれども、やっぱり農地法上あるいは利用増進法上問題になってくる、こういう参考人の意見も述べられておるわけなんです。局長、自信を持って、民法に規定があるからこの利用計画の中でうたっておけば大丈夫だと言い切れますか。
○政府委員(杉山克己君) 自信を持って大丈夫かという問題になりますというと、トラブルが起こらないようにそこは万全の予防ができるかということと、トラブルが起こった場合に解決が図り得るかという二様の段階があるかと思いますが、トラブル自身は、これは場合によっては避け得ない問題であろうと思います。問題はその処理の仕方、それから処理に当たって耕作者の方からどういう権利が行使できるかということでございましょう。これにつきましては、まさに先生自身がおっしゃられましたように、民法上その法律的な権利は保障されているわけでございますが、これは借り手だけでなくて、貸し手の側にもこのことについての対立する権利はあるわけでございますが、そういう基本的な法制のもとにおきまして、この利用増進計画でもろもろの取り扱いのことを定めておけば、私はそれなりにトラブルの調停解決に十分貢献し得るものというふうに考えております。
○村沢牧君 トラブルがあることを想定して有益費の問題を論ずるのでなくて、法律の性格として有益費の償還を認めていくんだというこの法体系の中において、この法律の中へどこかにこれをうたうべきものだと、私はそのように理解するんですが、どうですか。
○政府委員(杉山克己君) この法律を定めますことによって有益費の償還請求権がなくなるというわけではなくて、本来的には民法なり、それから土地改良投資を行った場合のその有益費につきましては土地改良法にはっきりした明文の根拠があるわけでございます。そういう意味では権利はあるわけでございますし、それが有効に行使される手続、手段をどう考えていくかということならば、私はやっぱり公的機関が介在するということによって担保され得るのではないかというふうに考えております。
○村沢牧君 法律理論になってきて技術的になってまいりますから、なかなか意見がかみ合わないというふうに思いますが、しかし、これは将来に問題を残すことだと思いますから、私も時間がありませんから法律上の問題はこれ以上申し上げませんけれども、十分皆さんの方でも将来にわたって検討してもらいたいというように思います。検討すべきことだというように思います。 次に進んでまいりますけれども、農地法の関係ですけれども、今回農地三法を改正する過程で、農地法の抜本的改正をしようという意見が農林省内部にもあったということを聞いておるわけなんです。現在、学者あるいは官界、財界の一部には、農地法があるから規模拡大も農業発展もできないのだというような主張をする人もあるんです。私は農地法が農業の発展を妨げているとは思わない。なぜならば、現在の農地法は農地を農地として売買することを禁じてはおらないし、あるいは所有面積の制限も撤廃をされておるわけなんです。売買による規模拡大が進まないのは、先ほど来申し上げておりますような地価の高騰でありあるいは農地を資産として保有しておることであり、将来に対する不安なんです。したがって、農地法があるからいままで農業がうまくいかなかったという理論は成り立たないというふうに思うんです。 そこで今度は、売買では農地が移動をしないので、借地によって流動化を図ろうということでこういう法律をつくったわけでありますけれども、そうして農地法の適用除外となる分野を拡大をした。こうした事業が全国的に実施をされてくる、皆さんは実施をされることを期待をしておるわけですけれども、そうすると農地法が必然的に骨抜きになってくる心配があるんです。また農地法の自作農主義という目的に反するものになってくるんではないか。農地法の位置づけというものをどういうふうに考えますか。大臣が答弁してください。
○国務大臣(武藤嘉文君) 確かに、農地が流動化し貸借が進んでまいりますと、いわゆる自作農主義との関係がどうかという御指摘は、御指摘は御指摘として確かにそういう御心配はあろうかと思いますが、私どもはやはり農地法というものはいろいろ議論をそういう学者の中にはされる方がございますけれども、先生御指摘のように、農業者間での農地の流動化は何も農地法でも規制をしていないわけでございますから、そういう面において私は農地法というものは、今後とも農業以外の面に農用地がどんどんどんどん蚕食されるということを防いでいくという意味において、私は農地法というものは大変大切な法律であると思っております。今後ともそういう意味においては、先ほども申し上げましたが、特に農地の地価抑制という面についてこの農地法というものをしっかりと堅持していきたいということをお答えをしたわけでございますけれども、それじゃこの農用地利用増進と農地法との関係、その精神においてそれは崩れないかということでございます。考えてみますと、中核農家にいたしましてもあるいは二種兼の中で農業を一生懸命やろうという方で農地を借りておやりになる方というものは、面積の大小はあろうと思いますが、自分の面積をお持ちになってその上に人の面積をお借りになっておやりになるわけでございますから、全くその自作地がないという方は私は皆無ではなかろうかと思っておるわけでございます。そういう面において、あくまで自作地を中心としながらその経営規模拡大を図っていくという意味においては、この農地法で決められております、「耕作者みずからが所有することを最も適当である」という原則だけは私は踏み外さなくていけると、こういう判断をいたしておるわけでございます。
○村沢牧君 そこで、今回の農地法の改正の一つの柱として小作料の関係があるわけでございますけれども、農地法は小作料の定額金納制を規定をしておることは申すまでもないわけです。 そこで、政府は、最近物納が多くなったから定額金納制をやめて物納に改めるように法改正をしようということで法律を提案したけれども、衆議院段階で修正になって、もとにおさまったという——いままでとは若干違いますけれども、そういう形になった。このことは私は正当な措置だと思う。 そこで、農水省が、物納が多くなったという資料として全国農業会議所の調査表を用いて、この調査表によると昭和四十六年以降物納が四〇・六%にもなっている、そういうことを皆さんは宣伝しているわけですね。この調査資料は、農水省として正確な資料であるというふうにお認めになりますか。
○政府委員(杉山克己君) 物納あるいはやみ小作といったものについて、それ自身を網羅的に調査した統計というものはございません。その意味では、農業会議所の調査は、ほかによるべきものがない現在の状況のもとにおきましては、一応物納小作料の実態を反映しているものというふうに受けとめております。
○村沢牧君 農地法を堅持し、この適確な法の施行をしていくのは農水省、あなた方だと思うんです。四十六年以降、こんなに物納があるということを承知しながら、あなたたちはどういうふうに現状を認識しておったんですか。知っていたんですか、知らなかったんですか。
○政府委員(杉山克己君) その点はなかなかお答えのしにくいところでございますが、やはり現実の社会的なあるいは経済的な要請として、そういうことを必然とする実態が存在しておったということから、事実も発生してきたということは認めざるを得ませんし、私ども、知っておったかと言われれば、全く知らなかったということは言えないわけでございまして、大変申しわけないのでございますが、その点は、では先の措置をどうするかということを含めて対応すべきであるというふうに考え、今日におきましては、いたずらに法令どおりに厳格に——罰則まで適用になるわけでございますが、これを農地法違反として摘発するということよりは、そういう実態のある背景を把握して、それなりの、それを合法化する、是正する措置をとってはどうかということで、定額金納制の現在の規定についての改正を提案したところでございます。
○村沢牧君 物納が小作料として行われていることは、私も全然知らないわけじゃない、承知はしておるんです。しかしですよ、しかし農水省のいままでのいろんな施策を見ても、法律違反に対してはかなり厳しくやっているわけですね。農地法の運用にしてしかり。ただ、法律に基づかない制度の問題といったって、一つの事業を採択しようったって、これは合わないからだめだとか何とか言って厳しくやっているんですね。こんなに農地法の違反をしておって、これは知らなかったわけでもないと言うんですけれども、どういうふうにしたんですか、法律上。この責任はどういうことになるんですか。
○政府委員(杉山克己君) 過去においてそういう問題がありましたことについては、法律を預かる立場としては、おわび申し上げるしかないのでございますが、むしろ前向きの解決策として、今回のこの法案を御承認いただき、その是正措置を図るということによって責任を果たすようにとってまいりたいというふうに考えております。
○村沢牧君 大臣、法律の問題ですから、現実は現実として確認をしておきたいんですが、大臣も農地法は厳格に守っていきたいという答弁があったわけですけれども、この種のことが現実に行われておったんですけれども、今後物納をうんと取り締まれということじゃないですよ。法律は法律としてやっぱり厳格に施行すべきだというふうに思いますが、どうですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 過去のことについては大変遺憾に存じておりまして、今後は法律の運用は適正に行ってまいりたいと思います。
○村沢牧君 さてそこで、今度は小作料を一部物納でもいいということになったわけですね。物納の範囲というものをどのように考えるんですか。やはり、米の場合にとってみれば、米は食管法によって規定をされておるわけですね。ですから、米で物納する場合においてどの程度の範囲を認めるんですか、基準は。物納にするならば、たとえば、飯米程度、そういうことも一つの基準であろうというふうに思いますが、それはどういうふうに考えますか。
○政府委員(杉山克己君) 衆議院の修正によりまして、定額金納制の原則といいますか、現行規定は存置して、例外的に定額金納によらない小作料の授受というものも認められることになるわけでございます。この場合、その基準といたしましては、小作料として金銭にかえて支払われるものが、まず第一に作目、品種、等級等、小作地において通常収穫されるものであることということが考えられます。それから、これは物ではありませんが、現実やはり慣行的に行われているものとして、水田裏作のうない返し、こういったようなことも考えられます。耕作者がその支払いに特別の困難を伴わないものということが一つの前提になるわけでございます。それから、金銭の額に換算した場合、その額が賃貸借期間を通じて小作料の減額勧告の対象にならないと見込まれるものであることなども考えられるわけでございます。 いま先生が、どの範囲までかという場合、飯米に限定して認めることは考えられないのかという御指摘でございますが、この検討もいたしましたが、私ども現実に物納小作を要請する声というのは、自家飯米を求めるというのが大部分でございまして、それを超えての小作料としての物納が出てくるということはごく例外的な話であろうというふうに考えておりますのと、それから農地法の規制の趣旨から言いますと、これは貸し手側の飯米に供されるかどうかということと、耕作者の経営安定に支障を生ずるかどうかということとは必ずしも関連がないということもございます。 それからもう一つ、飯米に限定しようとします場合、実務技術上きわめて困難な事情がございます。たとえば、複数の小作契約に基づいて小作料として米を受け取る場合、各小作契約ごとに飯米用の米穀をどう分け持っていくのか、それからまた、貸し手の世帯員の増減があるというようなこともございますと、その都度変更を必要とするのかどうかというような技術的にむずかしい問題がございますので、現在の米の需給の動向等から見ましても、先ほど申し上げましたように、飯米を超えて出てくるものは例外的ではないかという実態からいたしましても、私ども、この点は特に飯米に限定するということはなかなか困難であるというふうに考えております。
○村沢牧君 米を小作料にかえた場合においては、これは食管法上との関係だって出てくると思うわけです。金納を原則とするけれども、農業委員会の承認を得れば物納でもいいということになっているわけですね。じゃ農業委員会はどういう基準でもって承認をしていくか、大変困るというふうに思いますね。いままでの農地法でもって小作料は物納はいけないのだと、金納でなくちゃいけないと決めておっても四〇・六%も物納をやって法律違反をしているんですね。この農業委員会でもって、今度は一部農業委員会の承認を得ればいいということになると、果たしてそれが農業委員会の力としてできるかどうか。どういう基準をもって、どういう形でもってそれを示すんですか。
○政府委員(杉山克己君) 先ほどもその点には触れたわけでございますが、何をもって小作料の支払いに充てるかというのは、まず基本的にはその当事者の合意だと思います。そこは耕作者の方が現物でもって支払うのはいやだ、金銭をもって支払いたいということならば、何も物納でなければいかぬということではなしに、むしろ金銭の方が原則なわけでございますから、そういうことで取り決めることもできるわけでございます。 それで、農地法上特に金納原則を外して物納してもいいということを認めるのは、先ほども申し上げましたように、耕作者の立場に経営上不利にならない、そういう判断がある場合に限られるのだろうと思いますし、現に法文上もそういうことを規定いたしております。それから、物としては、収穫物、通常収穫される収穫物あるいは水田裏作のうない返しのような、その支払いに特別な困難を伴わないものというようなことが基準として考えられるわけでございます。そういうようなことで、直ちに食管法上の立場から物納の範囲を限定するというようなことでなく私どもは考えておるところでございます。
○村沢牧君 それで、ちょっと変わった問題について一点だけ聞いておきたいんですけれども、農地は農業に使用することが原則であるけれども、しかし、地域によってはやむを得ない事情によって公共用地に転換をしなければならないような事態も現に発生をしてきておるわけですね。その場合、農地を虫食い状態にさせないためにやはり何らかの基準というものを設けるべきだと、もちろんいままで基準はあるわけですけれども、この考え方について二点ほど伺っておきます。 市町村及び土地開発公社が直接代替地が取得ができるように法律を変えてもらいたいという要請が、これは農水省にも来ているというふうに思いますが、国会にも出されておるわけです。この点についてどのように考えるか。 二番目には、土地開発公社が地方公共団体にかわって公用地を取得する場合、その取得した土地の使用目的がはっきりしている場合には、この土地開発公社に農地を取得することができるようにすべきではないか。 この二点について伺っておきたいというふうに思います。
○政府委員(杉山克己君) 前者の代替地の問題については、これは農地保有合理化法人という組織がございます。この組織において取り扱うことができるということになっております。 それから、土地開発公社、これらの市町村にかわっての公有地の取得、それから造成その他管理の事業、これをやっておるわけでございますが、その内容は、市町村からの要請を受けて行う要請業務と、それからみずから行う単独業務に分かれておるところでございます。そして、要請業務につきましては、これは市町村が公用または公共用地に供するために公社において農地等の権利を取得するよう要請するものでございますが、これは公社は農地等の権利を取得するものの造成事業は行わない、あるいは造成事業は行うものの、みずからその転用目的に供することなく要請者に譲渡するというものでございまして、遊休地化を防止する観点から、転用のための権利取得者が、みずから転用事業に供する場合に、その必要性及び転用土地の条件に応じて転用許可を行うこととしておる現在の農地転用許可制度から見まして——非常にごたごた申し上げましたが、一般的に転用許可を行うことは問題があるわけでございます。しかしながら、公社が市町村から要請を受けて、公用または公共用地に供するための転用計画が明らかであって、しかもその転用目的を実現するための予算措置が市町村において明らかな転用事業であるような場合には、公社みずからは転用事業に供しない場合であっても、その事業の性格上支障がない場合もあると考えられますので、これは現在一定の要件のもとに許可してはどうかというようなことで、そういう方向で検討しているところでございます。
○村沢牧君 局長みずからもいま言葉の中にありましたように、いろいろごたごたお話を聞いたわけですけれども、そこであと後段でお話があったようなことが現実的には必要になってきておりますから、いま検討中ということでありますから、前向きになるべく早く結論を出していただくように要請をしておきます。 あと農業委員会関係について二、三伺っておきますけれども、農業委員会の活動を見ますると、一般的には農地の権利移動の許可機関としての色彩が強いわけです。しかし、今度の法律改正等によって農業委員会の果たす役割りもいろいろと決められてきたわけですね。そうしてみますると、農地の流動化対策あるいは担い手対策、地域農業の振興など重要な課題を積極的に農業委員会にも担ってもらわなければならないということにもなろうというふうに思うんですけれども、農業委員会の活動のあり方をどのように考え、指導していこうとされるんですか。
○政府委員(渡邊五郎君) 御指摘のように、これまで農業委員会はどちらかと申しますと農地関係の権利調整の分野が多かったかと思いますが、今回農地法制の整備に伴いまして、農用地の利用増進法案におきまして農地の流動化に果たす役割りも位置づけられてまいりました。かつ、農地法の今回の改正案でもかなり農地等の権利関係の調整分野が広まってまいることになっております。したがいまして、その権限なり責任が強化されるということになりまして、地域におきます構造政策の推進にはやはり重要な役割りを担ってくるものと考えております。したがって、私ども農業委員会の担当といたしましては、これからの職務に対する自覚と責任を高めて、適正な業務が行われるようにさらに指導の徹底を図ってまいりたいと、市町村なりとの協力関係を維持しつつ構造政策の重要な推進の機関として業務を進めてまいりたいと、このように考えております。
○村沢牧君 地方自治体の中には、農業委員会は自治体行政の枠の中における行政委員会である、こういう考え方から、農業委員会のあり方についていろいろな提言がなされております。私は、農業委員会は行政地域における委員会ではあるけれども、この法律のもと農民の利益を守って農業を発展をさせていく性格を持った組織である、やっぱりそのためには機能を充実しなければならないというふうに思うのであります。したがって、公選による委員の数を減らしたりするようなことはむしろ農業委員会制度の後退につながるものである。この農業委員会の機能の強化あるいは市町村との連携、業務の調整、これらを特にこの法律改正にあわせてどのように考え、また今後どうしようとされるんですか。
○政府委員(渡邊五郎君) 農業委員会につきまして、市長会なりあるいは町村会などの地方公共団体側から御指摘のような御意見が出ておることは承知しております。しかし、やはり農業委員会はそれぞれの市町村におきます農民の代表機関としての基本的な性格を有しております。これら地方公共団体の意見自体は意見として承りましても、基本的な性格については私ども変える考えはございません。構造政策の推進の機関として必要な業務上の処理を今回いたしたわけでございます。そうした意味で、農業委員会が地域の農民の代表機関といたしまして構造政策を進めていくということは、同時に、市町村のそれぞれの部局が自治体の行政といたしまして農業の振興施策を進めていくのと表裏一体となって、むしろ相協力して農業者の利益を図っていくことが重要だろうと、こういうふうな考え方に立っております。今回の利用増進法案、農地法の改正を踏まえまして、さらにこうした協力関係を一層強めると同時に、農業委員会も、この際その職務と責任を自覚いたしましてさらに体制を強化いたしたい、また私どもの指導もさらに徹底さしてまいりたいと、このように考えております。
○村沢牧君 農業委員会の機能を十分に発揮するためには、執行体制あるいは事務局の充実強化を図らなければならないわけであります。そのためにも政府は補助政策を強化すべきであるというように思いますが、財政的裏づけが弱いためにこれが地方自治体の超過負担となって、こうしたことから、農業委員会のあり方についても自治体の側からいろいろと論議をされておるわけなんです。この農業委員会の財政的な裏づけ、その中心となる自治体の超過負担をなくする、このことについてはどのように考え、どう措置をされますか。
○政府委員(渡邊五郎君) 農業委員会に要する経費の助成体系は、御承知のように農地法関係の業務等の法令業務に関しましては、委員手当、職員設置等は国の義務的負担といたしましてすべて国が負担いたしておりますが、その他の農業委員会としての活動業務につきましては、必要な経費の一部を国が補助するとともに、地方交付税の積算にも算入するというような助成体系をとっております。しかしながら、御指摘のような問題がございます農業委員会に要する経費について、地方公共団体の負担を軽減するようという意見も強く、これまでも実態調査等もいたしまして補助の改善に努めてまいりました。今後ともこの制度改正を機にいたしまして、これからの活動分野もさらに広がると思います。そうした実情をよく調査の上改善に今後とも努力してまいりたいと、このように考えております。
○村沢牧君 官房長、今後調査をして超過負担をなくするためにも努力するというお話だったんですが、これは官房長の手を煩わさなくても、手をかりなくても、いろいろ資料ははっきり出ていますから、一、二申し上げますと、現行の補助内容は、御承知のとおり、会長手当が一日三千三十円、委員手当が二千五百二十円ですね。一年大体十五回出勤を基準にして農林省から補助が出ているんですね。ところが、現在の経済情勢の中で一日二千五百円程度でもって農業委員の皆さん出勤してくださいというのはこれは無理なんだよね。また出勤回数も年十五回なんというものじゃなくて、たとえば私は長野県の例を調査したんですけれども、長野県の場合でも委員が年間平均三十五、六回出勤している、こういうデータが出ているわけですね。職員はどうか。職員は一市町村平均一人という基準ですね、基準というか、そのぐらいの数しかない。多くの職員を抱えている農業委員会もあるわけですが、そうしたところもやっぱり負担が多くなってきているわけです。あるいは職員に対する給付の基準も、皆さん方の役所における新規採用者並みのベースというか、基準なんですね。農業委員会の職員なんというのはベテランが非常に多いわけなんです。こういう実態であるから超過負担が大変に生じてくる。じゃその足らない分については交付税で処理をしておりますということを言われるんですけれども、この交付税の積算の基礎も非常に低い。 こういう現状の中からこの法律改正をして農業委員会の権限も強めよう、また果たすべき役割りもふやしたということになりますから、これらの内容について改定をしなければならない、その辺はどういうふうに考えますか。
○政府委員(渡邊五郎君) 確かに御指摘のように、五十五年度会長単価が三千三十円、委員単価が二千五百二十円というのが五十五年度の予算で積算に入れられた額でございます。実態を申し上げますと、これまで年々私どもなりには改善に努めてまいったわけでございますが、なお十分でない点は職員の点についても同様にあろうかと思います。これらの点についてはすでに四十九年あるいは五十二年の三省での共同実態調査結果を踏まえて改善に努めてきたところでございますが、なお不十分な点はあろうかと思いますが、こうした点については私どももさらに改善に努めてまいりたい、こういう考えでございますので、今後とも私どもの努力によって実態に合わせて超過負担を解消するように努めてまいりたい、このように考えております。
○村沢牧君 時間が参りましたから、最後に大臣に一点だけ質問して私の質問を終わりたいというふうに思います。 いま農業委員会の制度について、時間がありませんから、わずかな問題について質問したところでありますけれども、法律の改正によって農業委員会の果たすべき役割りも大きくなったし、さらにまた一層活動してもらわなければならないというふうに思います。したがって、農林省としては農業委員会に対して指導強化をさらに強めるとともに、財政的な裏づけについても改善を図っていく、ぜひそのようにしていかなければならないというふうに思いますけれども、大臣の答弁を求めて私の質問を終わります。
○国務大臣(武藤嘉文君) いま御指摘のとおりで、この法律が施行になりますと、農業委員会の役割りというのは大変いままでより以上に重要なものになってくるわけでございまして、私ども五十六年度以降の予算の中においては、その辺を十分配慮しながらひとつ予算づけが十分なされるよう懸命な努力をしていかなきゃならない、こう考えております。
○原田立君 農地法の第一条には、「農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認めて、耕作者の農地の取得を促進し、及びその権利を保護し、並びに土地の農業上の効率的な利用を図るためその利用関係を調整し、もって耕作者の地位の安定と農業生産力の増進とを図ることを目的とする」、かようにあるわけでありますが、「農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当と認めて」、また、「耕作者の農地の取得を促進し、及びその権利を保護し、」と、こういうことが農地法で定められているわけでありますけれども、さあ今回出されております農用地利用増進法、これはこの精神から言って果たして合致しないんじゃないか、このような考えを持つわけでありますが、農林水産大臣いかがですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) いま目的をお読みになりましたが、目的の中にも、農業上の効率的な利用を図るということ、農業生産力を高めるということもあるわけでございます。確かに、いま一方、農地というものはその耕作者そのもの自体が所有するのが望ましいということもはっきりあるわけでございます。先ほども御答弁いたしましたように、私どもはその二つの考え方からまいりまして、やはり今後とも農地の効率化を図っていくということは農地法にも何も反していないわけでございます。また、農業生産力を高めていくということも農地法上からも問題ないわけでございます。ただ、一体それじゃ今後はその経営規模の拡大をする、自分の持っているよりは人のを借りているいわゆる借地農業が多くなるではないか、こういう御指摘かと思うのでございますけれども、中核農家あるいはこの農地利用増進事業によりまして兼業農家の中でも相当農業をやりたいという方はやっていただくわけでございまして、そういう方は、確かに借地もふえますけれども、あくまで自作地を持っておってそれを拡大をしてそして耕作をされるというのが私は普通の状態であると考えておるわけでございまして、そういう点においては全く自作農主義がなくなるというわけではない、あくまで基礎になるのは自作農農地である、こういう考え方において私は許されるものである、こう考えておるわけでございます。
○原田立君 いろいろと問題点をはらんでおりますので、若干質問をしたいと思います。 一般的に日本農業は、過剰と不足が共存するという矛盾がますます増大しつつあると言われておりますが、基本的な考えとして長、中期見通しに基づいての価格対策、生産流通の基盤整備、さらには雇用、後継者対策等の諸問題の解決が先決だと思うわけであります。いかなる理由で農地三法の改正を急がなければならなかったのか、その点はいかがですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私ども、今後の日本の農業の基本政策としては、やはり農業の体質を強化をし、総合的な食糧自給力の向上を図る、そしてそれによって国民生活の安定に寄与すると、こういう方向にいかなきゃならないと思っておるわけでございます。それで、その中において当然その食糧の自給力の向上を図るという面からまいりますと、それぞれの需要に応じたものをより供給をしなければ食糧の自給力は高まらないわけでございまして、需要に応じて供給を高めていくということになりますと、なかなか問題は、先ほど来議論されておりますように、生産政策、価格政策、構造政策などがうまくかみ合っていかなきゃならないわけでございます。そのうまくかみ合っていく上においての一つの構造政策の中で、問題点として従来から農政審議会の構造部会においても指摘されてまいっておりますし、また私どもがいろいろと統計を見ておりましても感じますことは、土地利用型農業においては規模のスケールメリットがどんどん出てくると、規模が小さいのと規模の大きいのと比べると、非常に規模の大きい方が生産性は高くなっておるということは事実でございまして、そういう点から、構造部会においてもやはり経営の規模の拡大を図っていくべきであると、こういうことを言っておるわけでございます。 私どもはもちろんそういう全体の問題として、先ほどから申し上げておりますように、生産計画、価格政策などと絡めていかなきゃならないわけでございますけれども、その絡めていく構造政策の中の一環としては、やはり経営規模の拡大の図れる受けざらはつくっていく必要があると、こういう形においてこの農地三法をお願いをしておるわけでございます。
○原田立君 具体的なこれらの諸問題をなおざりにしておいて農地関係法律の改正を急ぐからには、この法改正によって日本農業の将来展望は万全である、あるいはまた健全な日本農業の発展が確保できると、こういうふうに確信してこの法案を出されたんですか。いかがですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) いまも申し上げましたように、もちろん生産計画と価格政策と構造政策、これが有機的な関係において総合的にうまくいかなければ、日本の農業の将来は私は発展はあり得ないと思うのでございます。しかし、その三つがうまくいったときには必ず日本の農業の発展はあると、こう信じておるわけでございまして、それは先ほども御指摘いただいておりますが、まだその点までの青写真がすっかりでき上がってはおりませんけれども、着々そういう青写真をいまつくりつつあるわけでございまして、その一環としてこれもお願いをしておるわけでございますので、ことしじゅうには私どもすべての青写真をしっかりつくり上げて、農業に従事していただける皆様方が本当に希望を持って将来に向かってやっていただけるような農業政策を打ち出していきたいと考えておるわけでございます。
○原田立君 ことしじゅうに青写真をつくるということでありますので、その点は了とするところでありますが、農地三法の改正により、どの程度の農地の流動化が見込まれると考えておられるのか。また農林水産省は、法改正に伴い、今後の日本農業のビジョンとしてどのような農業規模を考えてこの法改正を進めていられるのか。先ほど北海道の例とその他の地域との若干の違いがあるというようなことを言われておりました。ただ、学者なんかの意見とちょっと違う点もありますから、それらも含めて御答弁いただきたい。
○政府委員(杉山克己君) まず、農地関係三法案によって農地の流動化がどの程度進むかという見込みの問題でございますが、これは計画をもってどれだけ達成するというようなことを目標にしているわけではございません。実態からいたしまして、兼業化によって労働力が不足している、あるいは老齢化が生じているというようなことから、自分では十分に耕作できないで、しかも農地を手放したくない、資産として保有する、むしろ活用を図ってまいりたいという農家が一部にあるわけでございます。それから、一方には農業に意欲的に取り組んでいて、もっと経営面積をふやしていきたいという農家があるわけでございます。そういう農家と農家との間の話し合いを市町村、農業委員会等が間に立ちまして、農地の流動化や、それから有効利用を円滑に進めるということを考えている制度でございます。したがいまして、流動化の目標については、先ほども申し上げましたように、具体的に幾らというようなことを申し上げるわけにはいかないわけでございますが、ただ、従来の実績を考えますというと、特に五十一年より二年、二年より三年、特にこの五十四年度に至りましては、従来のペースから大きく伸びて、年間一万七千ヘクタールの利用権の設定というような、賃貸借の成立というような実態が見られているわけでございます。そういうテンポは今後とも続いていく、むしろそれを上回る水準で流動化の実績が出てくるのではないかというふうに考えております。 それから、規模の問題については大臣の方からお答えいたします。
○国務大臣(武藤嘉文君) わが国農業のビジョンと関連しまして、いまの構造政策の中の経営規模の問題もありますので、私の方からお答えをさしていただきたいと思います。 農業経営の規模をどのくらいにするかということでございますけれども、これはいろいろその耕作といいますか、つくる作目によっても違うと思いますし、また、地域によってもいろいろ違うと思うのでございます。だから一概には言えないと思いますけれども、平均的に言えば、私は考えておりますのは、やはりせっかく中核農家を中心としてやられるのを、いま統計を見ておりましても、二種兼業の方が実際農業専業でやっておられる方よりも所得が多いということが現実でございまして、やっぱりその辺は問題があるんじゃなかろうか。農業を一生懸命やっている方の所得をもっとふやすような考え方でいかなきゃならないと思うわけでございまして、そういう面からいけば、そのスケールメリットの出てくる意味において経営規模の拡大を図っていただく。また一方において、私どもとしては、先ほど来議論いたしておりますけれども、やはり需要に見合ったものを適正に生産をしていただいて、いわゆる需給状況において、需要に対して供給が過剰になるというようなことをなるべく生産政策においては避けていく。 それから価格政策においては、できるだけ再生産意欲を持てるような形にまで価格をある程度保証をしていく。保証という言葉にしますと非常に問題があるのでございますけれども、法律的に保証するというよりは、裏づけをしていく、こういうことでございますけれども、そういうような形でいくことによって、少なくとも農家の所得が、そういう中核農家などの所得が相当上回っていくような形にまで持っていきたいというのが私どもの考え方でございます。 それで、そういうためには、少なくともこの経営規模拡大によってどれくらいを図るかと言えば、先ほど局長も答弁をいたしておりましたけれども、内地においては三ヘクタールないし五ヘクタール、私は五ヘクタールぐらいがいいんじゃないかと思っておるのでございますけれども、その辺を目標にすべきではなかろうかと、こう考えておるわけでございます。
○原田立君 日本農業の農家経営の実態を見ると、兼業化の動きは鈍化しているものの、第二種兼業農家は、総農家戸数の 〔委員長退席、理事片山正英君着席〕 七割にも達しており、このうち、農業専従者のいない農家が約八割にも達するという数字を農業白書は示しているわけでありますが、今後の日本農業にあっては、第二種兼業農家を除いての対策など考えられない。農地の流動化を含めた日本農業の展望をどのように考えていくのか。また、二兼農家の二割が専従者を抱えていることからも、二兼農家による貸借も考えられると思うわけであります。単なる数字のみで二兼農家や小規模農家を単純に切り捨てるようなことはすべきではないと思うわけでありますが、これらについての政府の見解はいかがですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私ども今度の農業白書は、従来の白書と多少ニュアンスが違っておりまして、二種兼農家を全く排除するような考え方は持っていないわけでございます。二種兼農家も、やはり農村に定住して、社会的安定層としては健全な地域社会の発展に大変に寄与していただいておるわけでございますし、また二種兼農家の中には相当農業に意欲を、農業の生産をやろうという意欲を燃やしていただいている方もあるわけでございます。 そこで私どもは、しかし一方において考えますと、二種兼農家の中でも安定した職場と申しますか、たとえば役場に勤めておるとかあるいは農協に勤めておるとかあるいは近くの工場に常用で雇われておるとか、そういう方々も二種兼の中にはあるわけでございまして、そういう二種兼の場合には、相当農業専門にやっている方よりも所得も多い方もあるわけでございますので、そういう方方がわずか飯米程度ぐらいの農業を自分の田畑を使っておやりになっておるというような方には、ひとつできるだけその農地を貸していただけないだろうか、こういうことを私どもお願いをしておるわけでございます。そして、やはり専業的に農業をやる人と、そうやって貸していただけるような方々と、それから農業者以外の方々も一緒になってやはり農村の地域社会を健全に育てていくという意味においては、われわれ混住社会と申しておりますけれども、混住社会を健全にしていくということにおいて、そしてその一翼をこういう方方も担っていただくという意味においては大変存在意義のあるものである、こう私どもは評価をいたしておるわけでございまして、今後もそういう考え方で対処してまいりたいと思っておるわけでございます。
○原田立君 強制的にこういうたとえば農業専従者のいる農家二〇・三%、こういうふうに白書には出ておりますけれども、これらの人たちのところもわっと押し込んでやるようなこと、そんなことはまずないだろうと思いますけれども、確認の意味でお聞きします。
○国務大臣(武藤嘉文君) 繰り返して申し上げておりまして恐縮でございますが、私どもは今度のこの法律案は、あくまで市町村や農業委員会が中へ入るわけでございますけれども、貸し手、借り手のあくまで合意という、話し合いによって合意を得るということがやっぱり前提であるということを考えておりまして、われわれが強制的にしむけるというようなことは全くあり得ない、こういうふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○原田立君 農地の流動化については、過去に進められてきたが、思うような進展を見ておりません。今日のような兼業農家の増大は、農地の資産としての保有への志向によるものであり、その原因は、政府の土地政策に対する欠落にその因がある、こう思うのであります。土地政策なくして単なる法改正のみでは効率的な運用は望めない。地価対策を含めての土地対策についての具体策はいかがでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 確かに、私ども高度経済成長によりまして予想以上に地価が上がったことは事実でございまして、そのためにその影響は農地にまで及んでまいり、農地を一つの資産として保有しようという気持ちが、非常に二種兼業農家あるいは後継者のいない農家においても強いことは事実でございます。そういう点において、やはりこれからの農地の流動化を図っていくためには地価対策が大切であるということも御指摘のとおりでございます。 そこで、一体地価対策としてどういうことをやっていくかということでございますが、先ほども申し上げておりますけれども、当面の地価対策として、この間私ども土地対策関係閣僚懇談会で、国土利用計画法の活用なり、そうしてそれによって遊休土地をせいぜい活用するなり、あるいは町の都市開発を進めるなり、あるいは現在市街化区域にございます農地を、一部は農地、一部は宅地として、農住組合をつくっていろいろと建物を建てていただこうとか、いろいろなことを言ったわけでございます。しかし、それによって必ずしもこれで地価が必ず安定していくかといえば、そうではないと思うわけでございまして、今後ともこの地価対策というものについては、全国的な一つの総合開発計画の考え方の中で人口の分散を図るとか、あるいは地価というものをもっと公的なものであると考えて、何かもっときつい、それこそ凍結をできるような施策はとれないだろうかとか、いろいろまだ議論を続けておるわけでございます。 あわせて私ども農林水産省としてできる範囲は、農地法を厳正に運用してまいるということ。また、農業振興法あるいは都市計画法における市街化調整区域、こういうところにおける農地というものについて厳しい規制を今後とも堅持をしてまいりまして、それによって極力地価抑制を図っていかなければならない、こう考えておるわけでございます。
○原田立君 現行の農用地利用増進事業は、昭和五十年に実施されてから五年が経過しているわけでありますが、その実績を見ると、本事業による利用権設定が継続されている面積は二万四千四百三十九ヘクタール、こうなっております。この数字は、実施区域内農用地面積二百六十五万ヘクタールから見ると、わずか〇・九七%にしかなっていないわけでありますが、過去五年間の実績としては余りにも少ないんじゃないか、こんなふうに思うんですが、どういうふうに評価なさいますか。
○政府委員(杉山克己君) 従来から流動化対策をいろいろとってまいっているわけでございます。いま御指摘のように、農用地利用増進事業の実績は五年間で二万四千ヘクタールということになっております。これは確かに農地全体の面積、これは大きゅうございますから、それと比較しますと流動化率ということではきわめて小さな数字になってしまいますが、ただ、いままでの各種の流動化対策の実績なりあるいは正規の農地法上の規制のもとにおける流動化の実績というものを比較してみました場合、相当程度の実績だということが言えるのではないか。しかも、最近におきましてはかなりこの制度は普及安定を見まして、貸し手、借り手が双方の信頼を得て着実な伸びを見せつつあるというふうに評価いたしております。 それからまた、全体ということでなく、地域的にこれを見てみますというと、利用権の設定面積割合別の市町村の数を見ますと、利用増進事業による利用権設定が行われている九百三十一市町村のうち、流動化率一〇%以上の利用権設定面積割合の市町村が二十一ございます。それから五ないし一〇%のものが八十一、三ないし五%のものが百二十一ということで、全体というよりは、行われている市町村の利用権の設定面積の割合を見ますというと、それなりに相当高い水準にあるものもあるわけでございます。いずれにしても、今後この事業を積極的に推進することによって利用権の設定は増大していくものと考えております。
○原田立君 局長、あなたそう言われるけれども、五年間で〇・九七%、また中国、四国関係が一・五三%、北海道が一・四七%、沖繩が一・二四%、東北の方面においては〇・五五%、こんなような実情になっております。 〔理事片山正英君退席、委員長着席〕 ばらつきがあるわけでありますが、あなたはいい方のことをちょろっと言っているわけでありますが、現実に悪いところもあるわけなんです。どう認識なさるんですか。
○政府委員(杉山克己君) これはやはりその地域地域の農業を取り巻く諸条件、これによって大きく影響を受けると思います。ごく概括的に申し上げれば、東海、近畿の地域でありますとか関東地域は、これは比較的安定就業の機会も多いというようなことで、農地を出してもいいと思う農家がかなりあるわけでございます。逆に東北地方とか北陸地方のようになりますというと、これは借りたい、もっと面積をふやしたいという農家は多くあっても、なかなか安定就業の機会が少ないということで出し手は少ないということになるわけでございます。そういった地域差があるわけで、そういう条件のむずかしいところは確かに今後ともそんなに大きく伸びるというふうには考えられませんが、私ども、伸びる要素のある、期待できるところについて伸ばしていくという考え方のもとに、そういうところではある程度の今後実績が出てくるのではないかという期待を持っておるわけでございます。
○原田立君 要するに、五年間やってみて〇・九七、要するに一%ぐらいで、それでも大変うまくやっているんだと、こう評価なさっていられるようだけれども、ちょっと大変おくれているんじゃないかとぼくは指摘しておきたい。 さて次は、農家の中には、農地法第三条許可に基づく賃借権の設定にも農用地利用増進事業による利用権の設定にもくみせず、所有権の侵害を恐れて、あくまで私的契約であるやみ小作や請負耕作が発生していると聞くわけでありますが、どの程度の農地がやみ小作なり請負耕作の形をとっているのか、実態把握はできているのかどうか。先ほど何だか余りできていないような答弁だったけれども、再度御答弁いただきたい。
○政府委員(杉山克己君) いわゆるやみ小作、請負耕作、こういったものの実態それだけを特別に調査した調査結果というものはございません。ただ、これまでの農地法の許可の実績でありますとか、それから農業調査結果、こういったものから推計をいたしてみますというとある程度の見当はつけられるわけでございます。どの程度かといいますというと、私どもおおむね二十万ヘクタール程度というふうに理解いたしております。これらの農地法の規制の外にある耕作関係のものは、その耕作者は農地法による耕作者としての保護は一切受けることはできませんので、きわめて地位が不安定なものでございます。それからまた、正常な賃貸借の促進にとってはこれはマイナス要因になる。なかなか安心して借りるということはできない。そういうマイナス要因を持っていると思うわけでございます。したがって、貸し手と借り手が安心して貸借できるように、農用地利用増進事業を推進することによって、これまでやみ小作、請負耕作などの形で潜在しておりました利用関係のものを含めて、担い手農家に土地利用が集積されて農地の効率的な利用が促進期待されるわけでございますし、それから地域の土地利用秩序の確立と正常な賃貸借関係の成立がこれまた期待されるものというふうに考えております。以上のような実態把握並びに今回の提案によるそれらの解決策を考えているところでございます。
○原田立君 農用地利用増進事業の実績に対しては、それまでやみ小作なり請負耕作の形をとっていた多くの農地が正式に本事業に組み込まれたものだとの指摘もされているわけでありますし、いま局長も、正式にそれを組み入れたんだと、こういうふうに言われております。これが新規の利用権設定をどの程度促進させたかとなるとはなはだ疑問が残るわけでありますが、どう認識されていますか。
○政府委員(杉山克己君) 確かに、やみ小作、請負耕作であったものがこの農用地利用増進事業に乗っかって正規の賃貸借の形をとるようになったというものもございます。ただしかし、私ども全国の全体の調査をしたわけではございませんが、各県からの事例を徴収したところによりますと、かなり新規のものもある。むしろ大部分がやみ小作あるいは請負耕作の顕在化かと思いましたが、そうではない事例が各県とも出てまいっております。それからその事例も、契約が新しくなるに伴いまして、ますます新規の貸し借りが行われるものが多いというような傾向が見られるわけでございます。それと私ども、やみのものが顕在化するということも、違法関係がこれが救済されるということもございますが、そういう契機を通じてさらに一層の新規のものを誘い出す、そういう呼び水効果もあろうと考えますし、それからやみの関係のものは、先ほども申し上げましたように、耕作者の立場からすれば非常に不安定であったわけでございますが、それが安定化していくということで、それ自体正規のものに転じていくということもまた政策的に意味のあることであろうというふうに理解いたしております。
○原田立君 今回の利用権設定等促進事業の前身である、現行の農用地利用増進事業が創設される際にも議論されたのでありますが、短期の利用権の設定で果たして耕作者の経営の安定が図られるのかどうか、非常に疑問が残るわけでありますが、この点についてどう考えておられますか。余り長くなると貸し手の方が大変心配する、返してもらえないんじゃないかと心配するだろうし、今度は借りる方としては、短期で返さなきゃいけないとなると、うまくつくったのにとうとうまたぽろりと持っていかれちゃうかと、こういうふうなことになって、そこら辺のところが大変むずかしい問題であろうというふうに思っているわけであります。これらについてはいかがお考えですか。
○政府委員(杉山克己君) 先生御自身がその問題を分析されましたように、余り短期ですと耕作者の立場が非常に不安定になる、逆に長期になりますというと出し手が出てこなくなるということで、現実はやはりそこら辺を見合っての市町村等の介在による折れ合いといいますか、妥当なところが実績として出てきているのではないかと思います。その妥当なところというのは、おおむね三年ないし五年という期間の賃貸借でございます。三年、五年は確かにそれほど長い期間ではございませんが、一応の経営の単位の期間というふうに考えられますし、いまのやみ小作、請負耕作等から見ればそれなりに安定している面はあるわけでございます。これを耕作者の立場から考えると、さらに長期化していくことを考えなければいけないわけでございますし、私どももそういう方向で物事は考えておるわけでございます。 ただ、これは制度的に強制するようなものではなくて、貸し手、借り手のお互いの安心感、理解のもとに、貸し手が引き続いて貸してもいい、安心して貸せるというような御気分になっていただくことがまず前提として必要であろうかと考えております。こういう事業を運営していく過程において、そういうものを逐次実現してまいりたい、できるだけこういう制度の中で耕作者の経営が安定するように長期化を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○原田立君 局長はうまくいくだろうというふうに言うんだが、どうもそこが心配な点の一つですね。 利用権存続期間別件数並びに面積の比率を五十四年十二月末現在で見てみますと、一年から二年のものについては件数として二丁二%、それから三年、四年ないし五年に至ってはこれが七七・四%、六年から九年は〇・六%、十年以上が〇・八%と、こう六年以上になるとがくっと減ってしまうわけですね。それからまた面積の面におきましても、一−二年のものが一二・三%、三−五年のものが七二・五%、合計八四・八%と、こういうふうなことになるんですが、大多数の農家が五年以内の契約であり、同契約の面積も八四・八%と、その大部分を占めているわけであります。このように短期的な利用権設定は、経営の永続性が最も重要と言われている農業経営にとって非常に不安定と言わざるを得ない。特に土地に対する積極的投資が十分できるのか。今後、水田利用再編対策に関連し、田畑輪換等の土地基盤整備事業の実施と相まった農地の流動化が期待されるが、利用権設定等促進事業の推進に当たって、耕作者の農業経営の安定に対しどう配慮するのか、その点はいかがですか。
○政府委員(杉山克己君) 先ほどお答えしたことと重なるわけでございますが、耕作者の経営を安定さすために、ただ長期化すればいいということで長期化を制度的に保障するようにいたしますれば、これは一番大事な貸し手からの農地が出てこないということにもなりかねないわけでございます。そこで、貸し手がますます安心して貸せるように理解を求める、そして市町村なり農業委員会あるいは農業団体の責任ある仲介が信頼できるんだという考え方を持っていただければ、私は、それは更新の際にまた引き続いて貸していただける、そういうことが十分期待できますし、現に最近、初めのころにスタートしたものの更新期が来ている事例があるわけでございますが、そういったところでは、引き続いて貸すことを継続するというようなのが行われているのが見られるわけでございます。今後、そういったことを関係者の理解のもとにさらに進めるように指導してまいりたいというふうに考えております。
○原田立君 土地改良法による三条資格者には所有者と利用者のいずれがなるのか。さらに、有益費の償還はどのようなルールのもとに行われるのか。また、その紛争等に際してはだれが調停に当たるのか。政府の指導方針をお伺いしたい。
○政府委員(杉山克己君) 土地改良事業はその効果が一般的には長期に及びますし、事柄自体が長期的な性格を持っているものでございます。その参加資格につきましては、その長期性から見まして、投資決定を適切になし得、かつ利益を受けるという者が保有するといいますか、参加資格を持つべきであるというふうに考えるわけでございます。利用権設定等促進事業によりまして設定される利用権は、先ほど来お尋ねのありましたように、形式的には短期のものが中心になるということはこれは一般的であると思います。当該利用権に係る土地に土地改良投資を行うとすれば、いま申し上げましたような考え方からして、一般的にはやはり土地所有者がその土地改良事業の参加資格者になるということになるのが一番スムーズではないかというふうに考えられるわけでございます。ただ、短期でありましてもある程度の土地改良事業への投資が引き合うというように考えられる場合、あるいは土地所有者がそういう土地改良投資を好まないというような場合で話し合いのつくような場合、それらの場合には、やはり現実に即して耕作者、借り手がその土地改良投資を行うということもあり得るとは思います。しかし、一般的にはやはり所有者というのが通常であろうと考えております。
○原田立君 ちょっと何かおしまいの方がよくはっきりわからなかったんだけれども、三条資格者には所有者と利用者のいずれがなるのかというのに対しては、利用者がなるということでしたね。 それから、有益費の償還はどのようなルールのもとに行われるのかということについては、何か答えがなかったように思うんです。また、その紛争等に際してはだれが調停に当たるのか、これも返事がなかったように思うんですが、いかがです。
○政府委員(杉山克己君) 後段の御質問に対しては、答弁を落としましたので補充して申し上げたいと存じます。 まず、有益費の償還のルールをどう考えるかということでございますが、これは民法なり土地改良法に規定がございまして、耕作者、利用権者が有益費を負担した場合はその償還請求ができるということになっております。ただ、そのできる根拠に基づいてどんな手続をもってどんなふうにそのことについて処理を図っていくのかということについては、これは農用地利用増進計画の中にその基本的な考え方を明らかにしていくことが必要ではないか、そのことによって有益費の償還のルール化が図られていくというふうに考えております。 それから、トラブルが生じた場合だれがその調停に当たるのかということでございますが、やはりこれも市町村なり農業委員会といったところがその調停の任に当たるというのが望ましいし、そのようにしていくように指導してまいりたいと考えております。
○原田立君 借地農の拡大は必然的に本法案による単なる利用権ではなく、耕作権の設定強化が求められてくるようになると考えますが、そのとき政府はどう対応なさるんですか。
○政府委員(杉山克己君) 一般的に農業経営の規模を拡大した場合、それに見合った経営施設等を整備する必要があるし、それからまた、その保有する経営施設等を最も効率的に稼働させられる経営規模、こういう条件を維持するということが重要であると考えます。そういうことから考えますと、借地によって規模拡大をした農家が耕作権の安定を望むということは、私はこれは当然であろうと思います。今回提案しておりますところの農用地利用増進事業による利用権の設定は、当面は比較的短期の賃貸借が主体となるものと考えざるを得ませんが、しかし、その貸し手は兼業化あるいは老齢化によって農地を十分耕作できない農家であるというような場合が多い、そして存続期間が満了しても再びみずから耕作するという見込みは少ないということならば、繰り返し利用権が設定されることが期待されるわけでございます。そういうことで、本事業が市町村等の公的機関の介在によって適正に行われ調整が行われるならば、返還する場合が生じたとしても、ほかの農地の借り入れということもございましょうし、事実上は借り手にとって経営がそんな不安定になることはないように措置できるのではないかというふうに考えておりますし、私どもそういうふうに指導をしてまいりたいというように考えております。
○原田立君 耕作権の設定強化が求められてくる、これをどう考えるのかということに対して、いま、当面は短期だけれども、繰り返し利用権が設定できるように期待しているというのが答弁だったように思うんですが、そうなると、先ほど三年ないし五年というふうなことを言っていたのが、そうじゃなくてもう少し長くなることを政府としては希望していると、こういうことになるわけですね。
○政府委員(杉山克己君) 御指摘のとおりでございます。一回一回の賃借期間は三年ないし五年でも、それを繰り返すことによって、六年、十二年あるいは十五年、二十年というような長期のものに実質上はなっていくことを期待しているわけでございます。そしてできるだけそのように、貸し手にも安心してもらってそういう方向に動いてもらうように指導してまいりたいというふうに考えております。
○原田立君 大臣に質問しようとしたらどこかへ行っちゃったからあれなんだけれども、いまの問題と絡んで、本法案が実施され、将来借地農が広範囲に出現した場合、農地法との関係は一体どのようなことになるのか。冒頭にも質問したわけでありますけれども、農地法の目的規定である自作農主義と、現在農地制度の近代化と称し進められている借地農の育成の方向との背反をどう説明されるのか。これは局長から聞くより、大臣はトイレにでも行ったんだろうから、どうせ帰ってくるだろうと思うから、大臣のきちっとした答弁もお伺いしたい。まず局長。
○政府委員(杉山克己君) 自作農主義が農地法の基本でありますし、そのことは今回の新しいこの制度改正によりましても変わらない、維持されているというふうに私ども考えております。まあそれは、一つは法形式的にも、それから実態的にもそうだと考えるのでございますが、法形式的には、私ども従来の農地法の自作農主義に基づく諸規定をそのまま存続するという形をとっておりまして、今回の農用地利用増進、この法案にかなうような、特定の場合に例外的にその規制を緩和するという考え方をとっております。やはり基本は自作農主義にありまして、それにつけ加えて農用地の有効利用、活用という観点から、流動化、それを主として賃貸借の形で促進するということで考えているわけでございます。 それから、日本の農業経営の実態といたしまして、現在すでに大部分が自作農経営でございますし、それから今回の措置によりまして借地関係が出るにいたしましても、それが今後の所有関係といいますか、権利関係の大半を占めるような形になるとは思えないわけでございます。 それから、現に借地を持って経営を営む農家にいたしましても、基本にはやはり——まあ例外的なものが全くないかどうかということはいろいろございましょうが、基本にはやはり自己保有の農地を持っておって、それに付加的に借地を加えて規模拡大が図られるというのが一般であろうと考えております。そういう意味で、従来の農地法の考え方は十分に維持されている、貫かれているというふうに考えております。
○国務大臣(武藤嘉文君) ちょっとトイレへ参りましたときに、私に対してもう一度、自作農主義とこの農用地利用増進事業との関連について答弁をしろと、こういう御指摘があったようでございます。 これは私先ほど申し上げましたように、あくまで農地法の、「農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当である」というこの考え方はいささかも変えるつもりはございません。そういう意味において、それじゃ経営規模をどんどん拡大していけば借地農になるではないかということの御指摘があるかもしれませんけれども、先ほどもお答えをいたしましたように、たとえそれが中核農家であれ、あるいは現時点においては第二種兼業農家の方もいらっしゃるかと思うのでございますけれども、いずれにしても、この経営規模拡大のための増進事業によって農地の規模を拡大をされる場合には、自分の持っておられるいわゆる自作地があってそれに加わっていくわけでございますから、そういう面において、私は先ほど申し上げましたように、自作農主義というものがこれでなくなるということではあり得ないと、こう考えておるわけでございます。
○原田立君 本法案によると、事業実施区域が農用地区域外にまで拡大されておりますが、拡大されたことのメリットはどのようなものか。また、その対象面積はどの程度と計算されているのか。さらに、実施区域から市街化区域を外した理由は一体何なのか。その点はどうですか。
○政府委員(杉山克己君) 今回の新法案におきましては、利用権設定等促進事業の実施を従来の農用地区域に限定しないこととしておりますが、これによって事業対象となる農地面積は原則的に市街化区域内農地を除いた全農地に及ぶこととなるわけでございます。事業対象を農用地区域内農地に限定しております現行の農用地利用増進事業と比べました場合、面積で約九十万ヘクタール、対象となる可能な農地が増加することになります。 それからまた、農用地区域内の農地とそれ以外の農地を保有している農家にとって、これは全体の面積というよりは、個別のその地域の実態に対する回答ということになるわけでございますが、そういう農家にとって、その農地をまとめて利用権の設定等を行うことができるようになる。従来は、半分だけどうも、その農用地利用増進事業に乗っかるのはどうもということでちゅうちょしておった向きも、農用地区域外の農地もあわせて一括してこの利用権設定ができるならというようなことで、全体として流動化の促進に役立つことが期待されるわけでございます。 それから、市街化区域について依然として対象外としているのはなぜかということでございますが、これは都市計画法の市街化区域内では、「すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」という市街化区域の性格によりまして、ここを農用地利用増進事業の一般的な対象にすることは適当でないというふうに考えているからでございます。 しかしながら、市街化区域内の農用地でありましても、農業上の利用の面から見て市街化区域外の農用地と一体的な利用が行われているときには、これは細い道路一本、みぞ一本でもって線引きが行われているような場合、そういう実態が間間あるわけでございます。そういう農用地の全体としての有効利用を図るためには、市街化区域内であっても農用地利用増進事業を行い得るというようなことにいたしております。 —————————————
○委員長(青井政美君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、渡辺武君が委員を辞任せられ、その補欠として河田賢治君が選任されました。 —————————————
○原田立君 農用地利用増進計画においては、利用権の設定に伴う借り賃、または所有権の移転の対価及び支払いの方法等を明記することになっており、また三条一項においては、増進計画の準則となる実施方針においては、市町村が借り賃、または所有権の移転の対価等の算定基準を定めることとしておりますが、この場合、借り賃についてはいかなる算定基準が用いられるのか。
○政府委員(杉山克己君) 利用権設定等促進事業におきます借り賃につきましては、これは農業委員会が、その区域内の農地について定めておりますところの小作料の標準額、これを基準としまして、当該農地の生産条件等を勘案して定めることになるというふうに考えております。
○原田立君 借り賃についてはいかなる算定基準が用いられるのかという、その点の質問をしているんですよ。
○政府委員(杉山克己君) 標準小作料の考え方でございますが、標準小作料は、これは農地のいわゆる残余方式といいまして、粗収益から経費を差し引いて、そして残余の部分を地代として算定するという算定のルールが一応通達によって示されておるわけでございます。 その算定につきましては、農業委員会が、たとえば労賃の単価のとり方については、地域の適正な他産業労賃をとるとかというようなことについて通達で細かく示しているところでございます。
○原田立君 最近においては、土地所有者が負担している土地改良費等が小作料に加算されている事例や、水田利用再編奨励補助金等が小作料を大幅に引き上げているという意見もあるわけでありますが、このような場合、小作料の算定にいかなる配慮を考えておられるか。 また、利用権の設定期間が長期にわたる場合においては、途中において借り賃の変更が行われるのかどうか。その点はいかがですか。 水田利用再編奨励補助金をもらって、それでしっかりやって、そしてそれが小作料を大幅に引き上げるだなんというのはどうも私は納得がいかない点の一つなんです。二つの例をいま申し上げたわけでありますけれども、御答弁いただきたい。
○政府委員(杉山克己君) 転作奨励金は、これは転作を行った者が受け取るということになっておりまして、直接小作料そのものを規定するものではございません。ただ、農地の需給関係、経営のあり方等からして実質的な影響があり得るということは考えられますが、私ども小作料の標準額を算定するにつきましては、先ほど申し上げましたようなルールに基づく残余方式ということで算定することにいたしておるわけでございます。 それから、土地改良水利費を土地所有者が負担することとなるときは、この額が小作料の額に上乗せされて支払われるということになるわけでございます。 それから、長期の契約の場合、途中での変更はあり得るかということでございますが、これは当初の決め方によりまして変更も可能であるというふうに考えております。
○原田立君 現在農地の売買価格に対しては何らの規制もなく、当事者の自由な契約にゆだねられているわけでありますが、利用権設定等促進事業による場合、何らかの基準により適正な価格が形成されるよう指導措置が講ぜられるのかどうか、この点はいかがですか。
○政府委員(杉山克己君) 所有権移転の場合の対価につきましては、これは農業上の利用を目的とする近傍類似の土地の売買価格から比べて適正な時価を基準として当該土地の生産力等を勘案して定められるというふうに一般的には考えております。現実の取引につきましては、これは耕作目的の通常の売買価格を著しく超えるような価格での取引がありますと、これはいろいろ問題もありますので、地域の農業者の自主的な話し合いを行うというようなことで適正な水準での実現を図ることが望ましいと考えております。ただ、行政的に幾らにしなければいけないというように強制することはできませんので、これはいま申し上げましたように、自主的な話し合いを通じて適正水準を出していく。そしてそれについては農業委員会等を通じてまあ指導を図っていくということで対処することになろうかと考えております。
○原田立君 法律の修正後の第十一条に「(農用地利用規程)」というのがあるわけでありますが、この中に「三分の二以上が構成員となっている」、それから衆議院の修正によって「農事組合法人その他の団体」云々と、こういうふうにあっているわけでありますけれども、この団体の区域の基準やその性格等はどのようなものになるのか、いかがですか。
○政府委員(杉山克己君) 農用地利用改善事業を行う団体は、集落等一定区域内の「農用地に関し権利を有する者の組織する団体」ということになっております。多くは集落等を単位とする農事実行組合等の任意団体になると考えておりますが、地域によっては共同利用施設の設置または農作業の共同化に関する事業を行う農事組合法人が実施団体になる場合もあろうかと考えております。 それから、団体の区域についてでありますが、この事業が集落等の一定の地区で関係者の話し合いにより地域全体の農用地の有効利用を推進しようとするものであって、そのためにはどうしても一定の地縁的なつながり、広がりを対象とする必要があるわけでございます。この場合の広がりとしては、事業のねらいからいたしますと集落、大字等の単位で行われることが多くなろうかと思いますが、場合によっては地域の関係者の意向を反映してもっと大きくなるというようなことも考えられます。これらについては、市町村が実施方針で——まあ市町村の中の実態を一番よく知っているわけでございますから、その実施方針で明らかにするということで対応してまいりたいと考えております。
○原田立君 現在の農村社会にあっては混住化が進み、かつてのような村落共同体としての意識が希薄化している状況のもとで、農地の権利関係の調整等を含む農用地利用規程を策定できる団体が果たしてどの程度出現するか、疑問に思うわけであります。また、団体要件として、当該地区内の農地についての権利者の三分の二以上が構成員となることと、こうしてあるわけでありますが、本事業の実効を上げるため、第二種兼業農家等を含めできるだけ多くの農家が参加する必要があると思うのであります。また、この団体においては、全員の意思が反映されるような民主的な運営も要請されているわけでありますが、こうした点に対し、どのような指導方針で臨むおつもりか、お伺いしたい。
○政府委員(杉山克己君) 最近は、確かに先生おっしゃられるように、混住化というようなことが見られて、そのために、農村の共同体意識も従来よりは衰えてきたというようなことは見られるわけでございます。ただ、一方におきましては、農地の地域としての有効利用を総合的に考えるあるいは効率的な営農を考えるというような観点からして、地域間の話し合い、集落としての合意づくりが必要であるというような認識も一面高まってまいっております。農林水産省におきましても、従来からその総合推進のための方策を講じておりまして、たとえば地域農政特別対策事業というような、ソフト関係のその他の事業を五十二年度から実施しております。こういったことも通じまして、地域全体意識の醸成と地域ぐるみによる農業振興への取り組みが最近はかなり活発になってきているというふうに思われるわけでございます。 それから、特に新農業構造改善事業の実施地区におきましては、地域の農家の方々の合意による作付栽培協定というものが次第に定着を見ておりまして、これが今後の農用地利用改善事業の一つのモデルといいますか、端緒になっていくものというふうに考えられるわけでございます。 それから、そういうその地域の合意づくりを行うには、単に中核農家だけでなく、兼業農家も含めてできるだけ多くの参加を得たらいいではないかということはまさにそのとおりでございまして、できるだけ多数の地域全体の総意がまとまるような、そういう兼業農家も含めた合意というものを期待いたすわけでございます。 それから、民主的な運営、全体意思が本当に正しく反映されるような民主的な運営ということは、これはおよそ組織のあり方として基本的に必要なことでございます。市町村、農業委員会あるいは農業団体等を通じて十分そういったことが実現されるように指導してまいりたいと考えております。
○原田立君 団体の組織や運営等に対し、市町村、農業委員会、農業協同組合その他農業関係団体はいかなるかかわり合いを持つのか。さらに、この団体の構成員が農用地利用規程に基づき各種事業を実施するに当たっては、国の施策としてのメリットが与えられるのかどうか、その点はどうですか。
○政府委員(杉山克己君) 市町村それから農業委員会、農業団体、こういったものの役割りということでございますが、この事業は本来的に行政機関である市町村が行う事業でございます。それが農業委員会やそれから農業団体の協力を得て行うということになっているわけでございます。地域によって農業委員会の活動の態様あるいは農業団体の活動のあり方、それぞれ差もあろうかと思いますが、ごく原則的に言えば、行政としては市町村が中心になる。そして、農地法の番人としての立場から、さらには農用地の有効利用という観点から、農業委員会が、農地の出し手、借り手の掘り起こし等を通じて全体的な合意づくりに貢献していく。それから農業団体は、みずからが経済活動を営む主体でもありますし、同時に、経営についての受託事業も行っているというようなことで、この事業との直接的なかかわり合いもございます。農業者の経済行為について指導をしていくということも含め、そういう合意づくり、全体としての農業経営のルールづくりにこれまた貢献していくという立場であろうかと思います。 それから、そういうことに対して、財政上といいますか、メリットが何か国の施策の上であるのかということでございますが、これらの団体が規程を定めるに従いまして、利用関係の改善を一体的に進めるためには、それなりに国の指導あるいは手当てというものが必要になってまいります。そこで、昭和五十二年度から実施しておりますところの地域農政特別対策事業、これを拡充いたしまして、五十五年度予算におきましては、新たに農用地の有効利用と地域の総合的な農業生産力の増進を図るための土地利用についての合意づくりを行う集団の活動に対する助成措置、こういう名目で、一集団当たり二年間実施するものとして、毎年十万円の事業費を手当てするというようなことも行っております。それから、地域農政整備事業に新たに集落型事業地区を設けまして、土地利用についての合意形成を行っている集落等を対象に、小規模な土地基盤の整備、機械、施設の導入、営農活動等の促進について助成することにいたしております。 そのほか、法案の第十五条におきましては、「国及び地方公共団体は、地域の農業の振興に関する施策を行うに当たっては、農用地利用増進事業の円滑な推進に資することとなるように配慮するものとする。」という規定が設けられておるところでございます。
○原田立君 農用地利用増進事業に対する助成措置については、昭和五十年度以降種々実施されてきており、五十四年度以降は地域農政特別対策事業の一環として、農用地高度利用促進事業が新設され、本事業等の推進に資するため、農地流動化推進員の設置や農地流動化奨励金の交付等が実施され今日に至っておりますが、これに関連して、本法案においては、第十四条の「(援助)」という項目で国及び都道府県の援助、第十五条で本事業と他の施策等の関係を規定しており、今後本事業の推進に対し、いかなる優遇措置が考えられておるのか、その見解をお伺いしたい。
○政府委員(杉山克己君) 農用地高度利用促進事業で、出し手と受け手の掘り起こし活動だけでなしに、実際に賃貸借の利用関係の設定を見ましたものにつきましては、これは期間に応じてでございますが、単価一万円、これは三年ないし五年の期間のものに対して助成するということになっております。それから、五年を超えるものについては、単価二万円を助成するということにいたしております。 先ほども申し上げましたように、最近、利用権の設定の実績が大変多くなっております。財政的にもかなり多額の負担を必要とするというような事態になっておりますが、私どもいま申し上げました掘り起こし活動の事業費なりあるいはこの奨励金について、必要な額は措置できるように予算上の手当てもいたしておるところでございます。 そのほか、先ほども申し上げましたが、地域農政整備事業に集落型事業地区に対する助成というようなことも行われているわけでございますが、これらについても年々予算上の増額措置がとられてまいったところでございます。
○原田立君 第十四条には、「国及び都道府県は、農用地利用増進事業の円滑な実施のために必要な助言、指導、資金の融通のあっせん、経費の補助その他の援助を行うように務めるものとする」、こうあるのだけれども、まだ細かいことは決めていないんですか、考えていないんですか。
○政府委員(杉山克己君) ただいまの十四条の規定は、一般的なそういう国なり、都道府県なりの努力を要請する規定でございます。先ほど来申し上げておりますように、従来の予算措置なり、あるいは種々の行政上の対策の中で、それらのことは従来からも配慮されているところでございます。今後とも必要に応じ、必要な予算上のあるいは政策上の手当ては講じていくということで、今後逐次さらにその充実を見るということで考えているところでございます。
○原田立君 さらに充実するということだが、これが総括的な決め方だと言うから、今後省令か何かで決められていくのだろうと思うが、それらがいつごろまたできていくのか、また、つくっていこうと考えているのか、その点はどうですか。
○政府委員(杉山克己君) ただいま申し上げましたことを繰り返すことになりますが、これは一般的な規定でございます。直ちにこれを受けて省令とか何かで具体的な措置を規定するということではなくて、むしろ、そのお考え方のもとに予算なりあるいは行政運営上の手当て——必要な助言なり、指導なり、そういったことを講じていくということでございます。したがいまして、従来からもその点はかなりの程度努めてまいっているところでございますが、今後とも円滑な実施のために必要なものを講じていく、援助措置を講じていくということでございます。
○原田立君 こだわるようだけれども、いままでやっていないとは私は言っていないんですよ、いままでもやっていたわけですから。ただし、十四条で、ここで「経費の補助その他の援助を行う」、こういうふうに言っているわけですよ。だから、じゃ何らかのメリットがあるんじゃないのかというふうに思っているわけです。あれですよ、局長の答弁は、形式的にこれをくっつけたんだというのだったら、これは重大なまた発言ミスになると思うんですよ。やっぱり中身があるからくっつけたのだろうと思うんですよ。いままでのはわかった、今度は、この法律をつくるに当たってはどうなのかということを聞いているわけなんです。
○政府委員(杉山克己君) 何度も同じことを繰り返すようで大変恐縮でございますが、これはまさに一般的な、そういう努力について考えるべきだということを規定しているものでございます。現に私ども、先ほども申し上げましたように、こういう法律案を提出するのと関連いたしまして、五十五年度予算措置におきましても、従来以上にこれらの経費の補助その他の援助については努めているところでございます。 それから、「必要な助言、指導」は、これはまさに必要に応じてそれなりに措置を図っていくということでございます。 それから、「資金の融通のあっせん」、これはたとえば、ほかにも税制とか、いろいろな問題がございますが、これらの事業の実施の進展に伴いましてそれなりに検討してまいるこれからの課題ということで考えておるところでございます。
○原田立君 じゃ、これからの課題で取り組むと最初から言えばいい。そうすれば大体了解するんだ。 農地法の改正案では、定額金納制を廃止し、一部物納等を認めることになったわけでありますが、これは地主と小作人との関係から見て、非近代的な農地改革以前の従属関係に戻すものであり、自作農主義と相入れないのではないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
○政府委員(杉山克己君) 農地の所有者と耕作者の関係、これはかつての、戦前の地主と小作人というような関係とは根本的に異なってきていると思います。耕作者のやはり経済的、社会的地位は向上しておりますし、雇用機会も増大している今日におきましては、物納小作料を認めたといたしましても、戦前のようなそういう従属関係あるいは具体的に高率の小作料が発生するというような懸念はまずないものというふうに考えております。 それから、衆議院の修正によりまして、定額金納制の原則は維持しつつ、耕作者の経営の安定に支障を生じない範囲内において、しかも農業委員会の承認を受けた場合に限って物納小作料を定めることができるということで、このことによりましても耕作者の経営の安定は確保されるものとなるというふうに考えております。
○原田立君 残存小作地の実態について、その主張により、十万とか十一万ヘクタールとかあるいは十五万ヘクタールとかあるいは二十万ヘクタールと、おのおのまちまちでありますが、どのように掌握なさっていますか。
○政府委員(杉山克己君) 農地改革の残存小作地につきましては、これまでの各種の調査やそれから農地法の許可実績等から推計いたしますと、おおむね十万ヘクタール程度であるというふうに見られております。
○原田立君 農地の流動化を阻害している最大の要因としてこの残存小作地を挙げ、農地の貸し借りをめぐる不信感、農地法アレルギーの象徴的な存在とさえ言っている人もいるわけでありますが、非常にむずかしい問題ではあるが避けては通れない問題であります。政府の残存小作地に対する基本的見解はいかがですか。
○政府委員(杉山克己君) 残存小作地の賃借権は、これは農地改革の際保有小作地として残された経緯があります。それから、その後耕作権保護法制等からこれは社会的にその権利性がきわめて強いものと認識されるようになっておるわけでございます。そのことから、一たん小作に出すと、つまり農地を貸すとなかなか返ってこないんじゃないかと、貸し主はなかなか安心して貸すことができないという、そういう阻害要因になっていることがないとは言えませんが、しかし、最近におきましては四十五年の農地法の改正が行われまして、賃貸借の更新につきましても、たとえば十年以上の期間の賃貸借については更新拒絶の通知を許可不要とするというようなことも図っておりますし、一般的にその点については、従来ほどの権利性についてのそのほかへの影響というものはそれほど強くなくなってきている、かなり一般的な認識は改まってきているというふうにも考えられるわけでございます。 そういう社会的認識の浸透もありますのと、この法律案全体について御説明申し上げておりますように、労働力不足とか老齢化のために自分では農地を耕作できない、人に貸すために出してもいいという農家が出ている傾向も強まってきているわけでございます。そういう実態からして、残存小作地が農地の流動化を阻害する心理的な要因として全くないとは言えませんが、それほど重大な阻害要因だというふうには考えておりません。 ただ、どう対処するのかということについては、これはできるだけ今後とも解消を図ってまいりたいというように考えているところでございます。これはかなりの期間を要するとは思いますが、その方向で対応すべきだと考えております。
○原田立君 できるだけ解消する、時間はかなりかかるだろう、こういうことですけれども、そのめどはどうですか。
○政府委員(杉山克己君) 残存小作地につきましては、その小作農の保護と経営の安定を図るということを基本に置きながら、農業委員会のあっせん等によって、地域の慣行やそのほか実情に応じまして当事者間の円満な話し合いによって解消を図るということが原則でございます。今日までもその考え方のもとに指導してまいりましてかなり減ってまいっているわけでございます。減ってきた現況が先ほどのようなおおむね十万ヘクタールというようなことでございます。 それから五十五年度から、残存小作地の小作農が当該小作地を取得する場合には、つまり借りている人がその小作地を自分の物として買い取るという場合には、農地等取得資金について、通常の場合でしたら二百万円の枠を七百万円まで貸付限度を引き上げるというような措置をとっております。そういうことで、話し合いを進める、それから買い取る際の貸し付けについては優遇措置を講ずるというようなことも講じているところでございます。 どのくらいかかるかということになりますと、何分にも社会的な長い経緯のあった問題でございますのと、それから買い取るという場合には資力の問題もなかなか深刻な問題でもございますので、そういつまでの間にこれが解消できるというような具体的なめどはなかなかお示ししにくい、かなり長期間かかって逐次減っていくというふうに考えているところでございます。
○原田立君 全国農業会議所が、昨年四月一日を調査時点として統制小作料に関する実態調査を実施し、発表しているわけでありますが、ことしの九月三十日で期限切れを迎える統制小作料から標準小作料制度への移行に伴い紛争のおそれがありはしないかと。五七%の農業委員会では、紛争やそんなのはないと思うと、こういう答弁。だから逆に言うと、四三%の農業委員会では紛争のおそれがあると、こういうふうなことを言っているのが報道されているわけでありますが、この点についてどのような見解と対策をお持ちですか。
○政府委員(杉山克己君) 統制小作料は、確かにこの九月いっぱいをもって一切制度的になくなるわけでございます。ただ、これは当該小作地にかかる賃貸借の解除、解約等の規制が廃止されるわけではございません。ところが、世の中には単なる統制小作料、小作料自身の統制がなくなるというだけでなしに、いま申し上げましたような賃貸借の解除、解約の規制までなくなるのじゃないかというふうに考えているように、誤解される向きもあるやに聞いております。そういうことがありますとこれは紛争が発生しかねませんので、私ども、まずその趣旨の徹底、実際の意味やそのまた内容はどうであるかということについて、全国的に理解を求めるようにすることが必要であると考えております。そのために、団体等に対してもその指導の事業費、事務費をそのまま措置するというような手当ても講じております。したがって、いままでのところ私どもとしては、全体的にはそれほど大きな混乱は生じないというふうに見ております。農業会議所の調査結果の数字もお示しございましたが、これは紛争の起こった場合、責任を持って処理する立場として、それからいま申し上げましたような普及事業活動を行っていく立場として慎重にそういう見方もされたものと思うわけでございます。 そういう場合の混乱と紛争の原因は何かというと、やはり小作料水準の問題が一つ出てまいるかと思います。これはただ十年間の経過措置を講じてきておりますことや、それから標準小作料制度があるわけでございます。この趣旨を徹底させる、指導を図るということで極力紛争を回避するように指導してまいりたいと思います。 それから、それらの措置を講じましても不幸にして賃貸借当事者間の紛争が生じたというような場合には、農業委員会による和解の仲介、それから農事調停、こういった点において当事者間の円満解決が図られるように、これは都道府県知事それから農業委員会、十分指導してまいりたいと考えております。
○原田立君 ちょっと何というか、楽観的な見方をしているような感じがするわけでありますが、昨年、三千三百十八農業委員会を対象に行い、そして五七%の農業委員会では紛争などは起きないだろうと言う、逆に言えば四三%は紛争のおそれがある、こういう逆説的なことを言っているわけでありますが、確かにそんな変な紛争が起きないことを望むわけです。そうあってしかるべきだと思うのでありますが、余り楽観視していると問題が大きく広がっていくおそれがあるので、なおそのようなことのないようにしていただきたいと思います。 したがって、残存小作地問題の解消策にはいろいろの問題が含まれているわけでありますが、残存小作地の賃貸契約の打ち切り、小作料の中身あるいは離作補償の適正基準等々の問題があるわけでありますが、これらについて再度具体的に御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(杉山克己君) 一番初めの原田先生の、残存小作地の問題についてはそう楽観することはできないのではないか、そこは慎重にした方がいいという御意見、これはごもっともでございます。私、楽観しているわけではございませんで、地域によってはかなりむずかしい問題のある地域もあるというふうに理解いたしております。できるだけ趣旨の普及を図る、指導の徹底を図るということによりまして、最大限そういう紛争の防止を図ってまいりたいというふうに考えております。 それから解消策としてどういうことを考えていくのかということでございますが、農地改革が終了した当時は、保有限度等で残存することとなった小作地は全国で約五十万ヘクタールあったわけでございます。その後現在までの間に各種の手段を講じてその減少を図ってまいったわけでございます。その減少を図ってまいった措置を今後もできるだけ続けるということになるわけでございますが、たとえば、昭和三十年代の小作地解消運動などが契機になりまして、当事者間の話し合いが進められて、耕作者の小作地の買い取り、離作料の授受を伴う小作地の返還、または小作地の折半、そういったようなことで解消が進んだわけでございまして、先ほど申し上げましたように、現在では約十万ヘクタールということになっているわけでございます。 残存小作地の賃借権は、農地改革の際に保有小作地として残された経緯がありますし、その後の耕作権保護法制等から、その権利性はきわめて強いものと認識されておりますので、画一的に指導方針を示してその解消を図る、どっちへつければいいんだというようなことを一義的に申し上げることはきわめて適当でないというふうに考えております。したがいまして、残存小作地につきましては、その小作農の保護とその経営の安定を図るということを旨にして、農業委員会のあっせん等によりまして、地域の慣行などその実情に応じて当事者間の円満な話し合いを進めるということで解決するように図ってまいりたいと考えております。
○原田立君 統制小作料が九月三十日に撤廃になるということは先ほど申し上げたのでありますが、これによって耕作者の経営安定にとって支障はないかどうか、その点はどんなふうにお考えですか。
○政府委員(杉山克己君) 先ほど申し上げましたように、統制小作料がなくなることの実質的な意味、その性格といったことについての趣旨の徹底に努めるわけでございますが、ただ、その統制小作料がなくなったことに伴って、新しい水準の合理的な小作料の取り決めということが交渉事項として上ってくることは考えられます。ただ、この小作料水準につきましては、現在も標準小作料制度があるわけでございます。私ども、標準小作料が一つの基準になると考えられますので、統制小作料の廃止に伴って一遍に上げるというようなことは問題でございますし、いままでの十年間も、その間徐々に緩和措置はとられてきたと思いますが、それらのことも考慮しながら農業委員会等から適切な指導をしてまいるように考えてまいりたいと考えております。
○原田立君 田の例をとってみますと、現在の統制小作料は五千六百六十四円、それに比べ標準小作料は平均で二万四千六百二十一円、また作付地実勢地代は三万二百五円とかなり高くなっているわけでありますが、急激な小作料の上昇があるんじゃないかと大変心配をしているわけであります。急激に上がるようなことはないだろうというふうな局長のお考えだけれども、実際問題、いま例示したような金額の大きい差があるわけなんですけれども、これらについてはどうお考えですか。
○政府委員(杉山克己君) 確かに標準小作料と統制小作料の間には相当の差があります。また、それから実勢小作料は標準小作料をかなり上回っているという地域もあるわけでございます。したがいまして、統制小作料がなくなれば、一般的には小作料水準は上がるのではないかというふうに考えられておるわけでございます。ただ、十年間の猶予措置、この経過期間を設けました過程におきましても、かなりその点については調整が図られてまいったと思いますのと、それから残存小作地が経営面積のすべてであるというような形にはなっておりませんで、その残存小作地を借りている小作人も、かなりな面積を持っているその一部として残存小作地、安い統制地代の小作を行っているということになろうかと思います。そういうことから言いますと、経営全体としての負担は絶対的にたえられないものがそう出てくるというふうにも思いませんが、しかし、上がるということについては、これは急激な変化をできるだけ避けるように指導の段階で十分考慮してまいりたいというふうに考えております。
○原田立君 指導の段階で十分に考えていきたいと言うんだが、やっぱり机上の計画と実際現場とは大変受けとめ方が違うのではないかと心配するわけであります。 農業生産法人は、三十七年の創設以降、四十五年の大幅な改正を経て今日に至っているわけでありますが、その設置数の推移を見ると大きな伸びを示していない。すなわち、四十六年に三千六十九、それが五十四年には三千五十七と、むしろ減少の状況になっているわけでありますが、農林省はこうした実態をどう認識しているのか。さらに、今後の地域農政の展開過程においてこれをどういうふうに育成していくつもりなのか、その点はいかがですか。
○政府委員(杉山克己君) 農業生産法人は、畜産、米麦作、果樹、こういった作目を中心に設立されてまいっておりますが、その数は四十年代後半の三千五百、この程度がピークになりまして、近年停滞傾向にあるわけでございます。現在では三千を若干超えるというような水準になっております。 農業生産法人による大規模経営を一般的に期待することは、なかなかこういう経験からいたしまして困難な事情がある。どういう点かと言いますと、まず、農業経営を共同で行うことに対して、家族単位での自由な営農活動が制限されることへの抵抗があるということ、それから労働評価の基準が困難であるということのため、これをめぐって関係者間でトラブルが起こりやすいということ、それからさらに、農民の土地保有意識から見て、法人への所有権の出資でありますとか、賃借権の設定等については心理的にも抵抗があるということ、それらの事情からするとなかなか意図どおりには伸びないで、生産法人の数は停滞ぎみでとどまっているということにならざるを得なかったわけでございます。 しかしながら、農業生産法人の制度は、後継者等が新しい部門などで規模の大きな経営や資本集約的な経営を共同して行うやり方としては、これは有効なやり方であるというふうに考えられますので、各地には優良事例もたくさんあるわけでございます。これらを参考にしながら、成功し得る条件がある場合には今後ともその育成を図ってまいりたいと思っております。 今回の農業生産法人の要件緩和も、いま申し上げましたような趣旨から、農地を所有していない農業後継者等が、農業生産法人制度を活用して規模の大きな農業経営を営むことができるようにするということをねらいとしているものでございます。
○原田立君 四十八年が三千五百六十三と一番多かったといまもお話がありましたが、農水省としては、この農業生産法人の組織づくりを進める気なのか、それとも現状維持でいいのか、その点の考えはどうなんですか。先ほどはどうもあんまりこういう点、ああいう点とまずい点ばっかり挙げて、前進しないのはしようがないんだというふうな弁解のようにとれたのでありますが、その点はいかがですか。
○政府委員(杉山克己君) 確かに伸びない実態についてどう考えるかということで原因分析を申し上げました。その点消極的な意見というふうに受け取られたわけでございますが、ただいま答弁の中でも申し上げましたように、条件の整ったところではそれなりに伸びていく要素も見られるわけでございます。優良事例もあるということで、私どもとしてはこれを伸ばしていきたい、そういう観点から今回の役員要件の緩和等も踏み切ったわけでございます。さらに、これらの農業生産法人の活発な活動あるいはその増加を期待していくためには、税制だとか融資の面での手当てもさらに必要ではないかというふうに考えております。これらの改善方についても徐々に努力をしているところでございますし、そういう施策の総合的な推進によって農業生産法人が伸びることは、そんな飛躍的にということはなかなかむずかしゅうございますが、条件の整ったところでは可能というふうに考えております。
○原田立君 今回の農業生産法人の業務執行役員の要件の緩和について、いろいろと法案で述べられているわけでありますが、農地の提供者と農作業の常時従事者が完全に分離するといった事例が出てくると思うが、その点はどう考えるか。 また、この場合、農地法の自作農主義に大きな変更を与える懸念はないかどうか、二点についてお伺いいたします。
○政府委員(杉山克己君) 農業生産法人は、農業基本法制定のときに、これと関連いたしまして昭和三十七年の農地法の改正で設けられた制度でございます。その構成員が農地や労働力を持ち寄って規模の拡大及び経営の近代化を図ろうとするというところのものでございます。その後、四十五年の農地法改正によって、集団的生産組織の育成と土地の効率的利用に資するということのため、農業生産法人の要件を実情に即してかなり大幅に緩和したところでございます。今回はこれに加えて、農地を所有していない農業後継者等が、農業生産法人制度を活用して規模の大きな農業経営を営み得るようにするということのために、先ほども申し上げたところでございますが、業務執行役員の要件を緩和することにしたわけでございます。制度的には御指摘のようなことも考えられますが、つまり労働の提供者と農地の提供者が分離するというようなこともあるわけでございますが、農村の実情から見て、このことによって、農地や労働を合理的な形で持ち寄って共同経営を行うという制度の基本的なねらいがむしろ達成しやすくなるというふうに私ども考えているわけでございます。 それから、生産法人としては農地を全く持っていないというようなことは考えられず、生産法人自体がやはりみずから農地を持って耕作を営むんだという人格を持つことになりますので、その点は自作農主義ということはやはり貫かれているというふうに考えるわけでございます。
○原田立君 基本的には地主と小作双方の円滑な合意が最も望まれるところでありますが、スムーズに事が運ぶためにも、行政の側からの積極的なてこ入れとあわせて農業委員会の強力な対応が必要だと考えるわけであります。そうすると、農業委員会の充実にそのかぎがあると考えるわけでありますが、強化充実策はいかがですか。
○政府委員(杉山克己君) 一般的な農業委員会の権限の強化、制度の拡充ということにつきましては農業委員会の方で手当ていたしておりますが、私ども、農業委員会の活動範囲が従来よりより大幅に広まるということの一つとして、今回の農地法改正の中で、農地等についての権利移動の許可権限を、従来都道府県知事段階のものであったものを農業委員会に幾つか委譲することにいたしております。 それから、市町村が策定いたしますところの農用地利用増進計画、これにつきましては農業委員会の決定を経なければいけないということで、農業委員会はその計画について重大なかかわり合いを持つことになっております。そして、そのことは新しい法律上課せられた農業委員会の責務である、事業であるということにして、農業委員会法の改正も行うということにいたしております。 そのほか、農業委員会に対しては、今回の利用増進法なり農地法との関連におきまして、大幅な組織の拡充、権限の拡大ということが要請されているところでございまして、単に制度的な手当てだけでなしに、実態的にも、この農業委員会が十分な活動をなし得るよう責任を自覚してこの新しい要請にこたえられるように努めてもらいたい、私どもとしてもそういうことのために、全国農業会議所等を通じて十分な指導を図ってまいる必要があろうと考えております。 一般的な農業委員会の組織等の問題につきましては官房長の方からお答えいただくことにいたします。
○原田立君 要らない、もう時間がないから。 いま局長の方からは、農業委員会をしっかり充実させるために努力するし、またそうしなきゃいけない、こういう話でありますが、まさにそのとおりであります。農業委員会の事務局体制の強化について、事務をつかさどる職員は市町村の職員と兼務であったり、あるいはまた二、三年で交代するなどで不安定であります。職員の地位向上、事務局の強化がぜひ必要だと思うのであります。職員の地位の向上あるいは権限の強化等についての具体策をまず示してもらいたい。 それから、これは大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、何か自治省あたりの意見では、この農業委員会を諮問機関的方向にすべきだというふうな意見があるというふうに聞かされているわけでありますけれども、諮問機関なんかにするだなんていうことになると、これはちょっと問題だと思うんですよ。だから大臣としての見解はどうか。農地を守る立場からも当然反対すべきだと私は思うのでありますけれども、大臣の所見をお伺いしたい。
○政府委員(渡邊五郎君) 農業委員会の事務局体制につきましては、私どもも今回の改正におきまして、利用増進事業におきます重要な一環を担うということに相なりますことと、農地法上の各種の権限なり責務をゆだねられるということからも、農地関係、構造政策の重要な機関として、やはりそれなりの事務執行体制をとっていかなければならないというふうに考えております。そうした意味での今後とも体制の強化、整備のための助成等については十分努めてまいりたいと考えております。 職員につきまして、確かに兼職等の問題が御指摘のようにあることは事実でございまして、平均いたしますと、いま一農業委員会当たり三・四人のうち、専任職員が二・三人、兼務が一・一人というような実態でございまして、また御指摘でも、非常に短期間であるというようなこともございます。そういう事例も確かにあろうかと思いますが、一般的に勤続年数なりを見ますと、平均いたしますと五年程度になっておりまして、比較的長い例もございますが、御指摘のように短期の場合も決してないわけではございません。要は、農業委員会に有能な職員を確保していくということが必要であろうということから、職員の資質の向上を図るための各般の施策にもこれからも努めてまいりたいと、こうした形で新しい構造政策の推進の機関としましてその体制の整備に努めてまいりたいと考えております。
○国務大臣(武藤嘉文君) 確かに全国市長会あるいは全国町村会などから、公選制をやめたらどうかとか、あるいは諮問機関化したらどうかという御要望が出ておることは承知をいたしておりますが、私どもはやはり今後この構造政策を進めていく上における農業委員会の重要な役割りからいたしましても、そういう基本的な問題というものはなかなかいまここでおいそれと簡単に応ずるわけにはまいりませんので、今回のこの改正におきましても、枠組みは基本的に私どもはそのまま維持をしたと、こういうふうに御理解をいただきたいわけでございます。
○原田立君 今回はそんなことはしなかったと、それはいいんです。了解します。だけれども、市長会や自治省はそう言っているけれども、基本的にそういうふうなことは農林水産省としては受け入れないと、こういうふうにはっきりとした返事ができるんですか。それとも、いや、ことしはやらなかったけれども、来年あたりはふらふらっとするんだと、こういうことですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 決して私どもの方は、今後においてもそのような、簡単にそういう要望に応ずる気持ちはございません。
○下田京子君 今回、農地流動問題でもっていろいろ農地関係法が出されておりますけれども、この大きな目的というのは、やっぱり前々から言われておりますけれども、中核的農家に農地を集積する、同時にまた生産性の高い農業経営をしていくんだと、こういうふうに繰り返し言われておるわけです。しかし、この問題につきましては、農基法制定以来、もう農政の柱としてやられてきたことではないかと思うんです。同時にまた、農地法に当たりましても、三十七年、四十五年と二回にわたって改正もしておりますし、それから五十年に当たりましては農振法の改正もして、そういう中で、農用地の利用増進事業も入れて農地法のバイパスというふうなこともやってきたわけです。ところが、にもかかわらず、政府が考えるような形での規模拡大というのが進まなかった。そもそもの原因はどこにあるというふうにお考えなのか。一部、農地法が問題であるというふうなことも言われているように思うわけなんですけれども、まずその点についてお聞きしたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) 端的に言えば、やはり私ども農業基本法ができまして以来そういう考え方を進めてまいりましたのがうまくいかなかったのは、やはり一番端的に言えば、ちょうど農業基本法を制定をし、実施に入ろうとしたころから、日本の経済が高度経済成長になり、それがやはり地価、その他にも影響したということ、あるいは相当雇用関係が変化を来したということ、そういうようなことが、やはり端的に言えば一番大きな原因ではなかろうかと思っております。
○下田京子君 いまお話しのように、いろいろな経済状態等もあるというふうなことでございますけれども、現在の言ってみれば農地の所有形態というもの、これは本当に戦後農地改革以来、自作農というかっこうでもって維持されてきたことだと思うわけです。そうしますと、そういう中にあって、その農地の流動をどういうふうにして図っていくかという、その全く大前提とでもいいますでしょうか、そのことは、いまも大臣ちょっとお話しになりましたけれども、貸し手にあっては雇用状態の問題、あるいはまた年金を初めとする福祉の問題であるとか、賃金などのいろいろな労働条件のこともあると思います。それから同時にまた受け手、借り手の側に当たっては、これからの農業をどういうふうにやっていったらばうまくいくものだろうかという、その希望がなければやれないわけですね。 ですから、端的にいま大臣がお話しになられましたけれども、そもそもそういうふうなことがあるとすれば、やはりその農地の流動化とおっしゃいますけれども、こういったことを基本的にやっていくということ、これが大事なんではなかろうかと、こう思うわけなんです。これは全国各地のいろんな形でのアンケートなんかにも出ておりますけれども、現状維持というのが大半を占めているという状況なんですね。こういう中にあって、実際これからどうするのかという点でまたお聞きしたいわけです。
○国務大臣(武藤嘉文君) やはり日本の農業の体質を強化をしていくためには、けさほど来お答えをいたしておりますように、生産政策、価格政策また構造政策、そういうものが有機的、また総合的に実施されなければもちろんいけないことは当然でございます。ただ、その一環といたしまして、構造政策の中で、構造部会の方からも、やはり経営規模の拡大を図ることが日本の、特に土地利用型農業の進展のためには必要である、こういうことが指摘をされておるわけでございますし、私どもといたしましても、いろいろの統計の数字から見ておりましても、構造政策において経営規模の拡大を図っていくことがやはり必要であると、こういう判断をいたしまして、いろいろの総合政策の一環として、やはりこの農地の流動化を図っていかなきゃならないし、そのためには今回お願いをしておるこのような法律が必要であると、こういう考え方に立っておるわけでございます。
○下田京子君 経済的な問題やら農業全体の問題もあるけれども、とにかく農地の流動化ということが大事なんだということでやられてきたというんですね。このやり方が、大変私、現地も見まして、皆さんからお話も聞いたり、いろいろな資料等も見まして、非常に問題があるんじゃないか。つまりどういう点での問題があるかと言えば、成績だけ上げればいい、農地の流動化だけ進めばいいというかっこうでいっている点が見られる。 その具体的な例としては、たとえば地域特対事業になりましても、これは十ヘクタール、あるいはまた五%の流動化がなされれば、小規模の土地改良をやりますよ、あるいは集会所をつくってあげますよと、いろんな形でメニューがあるわけですね。これはやっぱり皆さんが流動化云々の以前に、小規模の土地改良をしてほしいという要望等も大変あるわけなんです。そのことがまず前提になりまして、無理をしてその流動化のためにいろいろと施策を進めていくというのが一つ見受けられました。 それから、二つ目に、これも具体的な事例ですけれども、農地の高度利用促進事業、このことにつきましては、年限を区切って、言ってみれば土地を貸した人に対して奨励金がついているわけです。これ自体を私は否定するつもりは全くないわけですけれども、しかし、こうやって奨励金がもらえるからといって、一回限りですね、これは。そういうかっこうで短期の賃貸がされているというふうなことが見られるわけなんです。地方によっては、これはその地方の非常に名誉を傷つけることになりますから、具体例は挙げませんが、ペーパーだけでそういうものもやられている、こんなお話まで聞いているわけなんです。とすれば、これは本当に基本的な、先ほど大臣も申されましたいろいろな条件、つまり貸し手と借り手という相互のそういうまず大前提となるべき問題、そういうものを考えずしてやられていくというところにもやはり大きな問題があるのではないかというふうに思うわけなのです。
○政府委員(杉山克己君) 農地流動化が奨励金欲しさあるいは補助事業の牽制、そういったことのために、本来的なあり方とは別にペーパープランだけでもって進められている点があるのではないかという御指摘でございます。私どももそういった例が全くないとは思いませんが、むしろこの事業が実態的に、農地を貸したいけれども安心して貸せる先はないだろうかとか、農地をもう少し借りて経営規模を拡大したいと思っていてもなかなか貸し手がない、そういう、地域によって両方の供給と需要がありながらうまく結びつかない、それを結びつける仕組みは考えられないかというそれぞれの地域の要請を受けてスタートした事業でございます。それから考えますと、すべての地域がそういう奨励金欲しさとかなんとかということで行われているのではなくて、一般的にはそれなりに本来の趣旨に従って実行されているのではないかというふうに思うわけでございます。ただ部分的に、おっしゃるようなことでやや動機不純でこの事業に踏み切ったというようなところがあるかもしれませんが、私どもとしては、奨励金は、御指摘にもありましたように、まさに一回限りのものでございます。これがむしろ呼び水となって関係者に理解が深まり、その後継続して本当の意味での利用権の設定を続けていこうという気が起こればそれは幸いであるというふうに考えております。 それから、補助事業、小規模の基盤整備等のお話があったわけでございますが、私どもはまさに、小規模の基盤整備がうまく入っていくには、地域においての全体としての事業の効果がうまく実現できるような地域、そういったところから採択していくというのはこれは当然であろうかと思います。そういう意味からして、有効な地域全体としての土地の活用が考えられるようなところ、もろもろの事業について合意づくりが容易なところ、あるいはまたそういったことの一つの実行の条件として、流動化の事業が計画されあるいは行われているところというようなことを対象に、採択の際にいろいろ考慮するということにいたしておるわけでございます。これもむしろある意味でそういう小規模の基盤整備を導入するための一つの方策というような考え方もできるところのものでございます。
○下田京子君 具体的にお尋ねしますと、「農地利用の集積の促進について」ということで昭和五十四年三月二十二日付で構造改善局長通達が出ておりますね。この通達の趣旨はそうするとどういうことになりますでしょう。
○政府委員(杉山克己君) もう本来の趣旨は、申し上げるまでもございませんが、今日地域の実態に応じて農地の流動化と有効利用を促進するということが重要であるということはたびたび申し上げているとおりでございます。そういう観点から、私ども五十四年度から圃場整備事業、それから新農業構造改善事業等の補助事業の実施に当たっては、地域農業の振興を図る上で重要である農地の流動化施策に積極的に取り組んでいる地区を優先的に採択するといった等の措置を講ずることによりまして、地域農業の振興に資することといたしておるわけでございます。この措置は、農地の流動化量というよりも、市町村の地域農政への取り組みの熱意いかんという観点を重視して、農用地利用増進規程の作成など、これに熱心に取り組んでいる地区に対してほかの地区よりも先駆けて取り上げるというようなことにしているところのものでございます。したがいまして農用地の利用増進規程をつくらなければ補助対象にしないとか新規の採択は行わないというようなものではございませんし、それからまた農地の流動化は、地域の実情に応じてかつ地域関係農業者の合意を基礎としつつ推進するということにしておりまして、強制的に行わせる趣旨のものではございません。この通達が各種事業導入のための農地流動化を強権的に行っていくためのものということにはなりませんし、それから市町村が補助事業の導入のためにその実績を無理やりつくり上げるということにはならないというふうに考えております。
○下田京子君 いろいろ説明されておりますけれども、要は大きく二つの問題が指摘されていると思うのです。一つは圃場整備事業の新規採択については農用地利用増進規程を定めているものをまず優先する。差別しませんとか押しつけませんとかいろいろ言っているけれども、まず新規採択にはこういう形での増進規程を決めていれば優先するのだとこう言っているのです。そして、定めていない場合には早急に増進規程を定めるなどのまず念書を出しなさい、こうまで言っているのです。強制でないとおっしゃっておりますけれども、これだけ強い形での通達をお出しになっていますし、それからまた予算配分でも、まず増進規程をつくっているところを優先する、こういうふうにもまた言っているわけなのです。一方で、増進事業というものは市町村の自主的なものでありますから決して強制するものでございませんと、こう言っておるのですが、一方では念書までとってやられている。 そもそもいろいろな各種国の事業というものは、その土地の言ってみればこういう増進規程や事業が計画されているかどうかということとはまた別個に、特に土地改良事業なんかというものの優先順位というものをどこから決めていくかと言えば、最も必要な地域、最も要望のある地域、そしてまたそのためのいろいろな申請等の条件の整っている地域という形で採択していくべきではなかろうか、こう考えるわけなんです。大臣、この点いかがでしょう。
○国務大臣(武藤嘉文君) いろいろこれはケース・バイ・ケースで違うと思うのでございますが、やはり何というか、条件が整ったところを基盤整備をしていくということであろうと思うわけでございまして、いまの具体的な例、私もちょっといま恐縮でございましたが、原則的にはやはり条件の整ったところと採択をしていくということであろうと思うのでございます。
○下田京子君 ちょっと確認したいのですけれども、どちらが条件が整ったと大臣はおっしゃっているわけですか。私は、二つの意味があるので確認したいというのは、つまり農地の利用増進事業につきましても、これは常々お話しになっておりますように、貸し手と借り手のいろいろな話し合いがなされた上でという条件というのも一つあるわけですよ。それから、いろいろな国の補助事業というものであっても、要望が強いとかいろいろな条件があるわけです。どっちを指しているのか、念のために確認したいのです。
○国務大臣(武藤嘉文君) それは結局、貸し手借り手がうまく話がいくということは、当然その裏づけとして土地の基盤整備をやらなければなりませんので、そういうときも優先的になると思いますし、また逆にいけば、そういう基盤整備をやることが結果的に流動化を促進するという場合もこれはあり得るだろうと思うのでございます。だから、どちらが優先というよりは、どちらにしても、地元のそういう非常に空気が熟してくるところをやはり採択をしていくということではなかろうか、こういうふうに申し上げているわけで、なかなか、どっちが先というものではないのではないかと私は思うのでございますけれども。
○下田京子君 どっちが先ではないのだとこうおっしゃっていますね。だから、つまりいま大臣が言っていることといままでやってきたことは反しているわけですよ。念書までとって、まず、言って見れば増進事業の計画を立てなさいと、そういうものが先に立てられたところに優先的に新規のいろんな事業の予算をつけますよ、こういうことを言っているわけです。それはおかしいんじゃないでしょうかと、こう私は聞いているんです。 さらに、どういう点でおかしいかと、こういうものはぜひ撤回していただきたいと、こう思うわけなんです。それは五十年の、言ってみれば、農振法の一部改正で増進事業がなされたときに、どういうふうにしてその増進事業は進めるべきなのかということでの話が通達にやはり出ているんですね。「農用地利用増進規程の認可」という際の第一のところで、「相当面積の農用地につき利用権の設定が継続して行われる見込みが確実であること。」とか、そのほかいろいろ双方の話し合いでとか出てくるわけなんです。こういう規程から言っても、つまりいろんな事業をまずやらせるというふうなかっこうでやったり、それから念書をつけて、そうでないところはやらないなんてことになると問題じゃないか。こういう通達はやっぱり変えていかなければならない。撤回するお気持ちがないか。
○政府委員(杉山克己君) 大臣の申し上げたのは、土地自身について、土地改良を必要とする物理的なといいますか、実態があるかどうか、そういうことは単に要望とか何とかということだけでなしに、その地域全体としてその事業を有効に受けとめていくだけの条件、その一つとして農地の流動化についても熱意を持っているかどうか、そして全体の合意づくりがきちんと行われるかどらかということを考えていかなければいけないという意味で申し上げたわけでございます。その意味で、農地の流動化のことについてを先にとか、地元の要望が強いからそれを先にとかいうことでなしに、全体として考えるという意味で申し上げかというふうに私は理解いたしております。 強制と考えるかどうかということでございますが、私どもこれは一つの精神運動的なものも込めた、そういうことを推進していくための奨励措置としてこの補助要件の中に書き込んでいる、優先採択ということをあらわしているわけでございますが、それが即強制であるというふうには理解していないところでございます。
○下田京子君 強制と理解するしないにかかわらず、それだけ全く差をつけているんですよ。まず農地の利用増進事業を立てなさいと。そうやって念書までとって差をつけているわけなんです。精神規定だなんておっしゃったって、新規の事業のときに、まずその事業を設定したところを優先にやると言っているんですよ。そういうやり方は、一つはいろんな国の補助事業を進めていく上でも問題ではないか。それから二つ目の問題としては、言ってみれば、本当に増進事業をやっていく、農地の流動化を進めていく上でも、どちらかと言えば強制的な内容を含むんじゃないか。精神的で大した問題がないというのだったらそれはもうやめるべきだと思うんです。私が言ってること、わからないことじゃないでしょう。
○政府委員(杉山克己君) むしろそういう運動、そういう流動化の事業を進めていくことを奨励するための措置として精神的な面を持っているということを私は申し上げたわけでございます。 それから、優先採択ということの内容いかんでございますが、私ども確かに、そういう利用増進規程をつくりなさいと、つくったところを優先的に採択しますということにしているわけですが、つくれない事情のあるところもある。若干おくれざるを得ないというようなところについては、それは規程がつくれてなくても、そういうことについての方向づけができれば、つまり念書という形でも差し支えないということにしているわけでございます。そして、現実、こういった規程をつくっているところは三千六十市町村のうち、すでにこれは五十四年現在で千七百以上に達しておりまして、私どもこういう利用増進規程をつくるということがそれほど市町村にとって拒否的なもの、ぐあいの悪いものというふうには考えていない。むしろ、基盤整備などを合理的に効果的に進めていくためには、そういうこともあわせ行うことが必要であるというふうに受けとめているというふうに理解いたしております。
○下田京子君 いまの数字でもわかるように、六割のところは出たわけですよね、具体的には。計画を立ててきたわけですよね。しかし、そうじゃないところは、いろんな国の事業等でいっても差がつけられるわけです。 これはまたお話しするとしまして、いずれにしましても、こういう形で流動化ということを一つの構造政策というものをまず打ち出して、本当に貸し手と借り手の中での話し合いをこれからどうするかというようなことが十分なされない中で、一応念書をとっておけばいい、念書が出たらば新規事業を優先しますよというやり方は、余りにも流動化ということを中心にした自己目的じゃないかということなんです。大臣おわかりになりませんか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 地域農政につきましても、その他の基盤整備の事業につきましても、流動化をやっていないところ一切予算の配分をしていないということはないはずでございまして、ただやはり一つの農業の政策として、できるだけ農地の流動化を図っていただきたいということをお願いをしておるわけで、その政策に協力をしながら基盤整備をやっていただけるというところと、協力をまだしないところでやはり基盤整備をやるところと、どちらを先にやるかとした場合は、やっぱりそういう政策に協力をしてくれるところを先にやろうという、そういう優先的という考え方でありまして、ペナルティーみたいにして、全然その農地の流動化をしていないところへ一切そういう予算配分をしないということはやっていないはずでございますから、そういう点は、たとえば金というものはある程度金額は制限がなされているわけなんで、それをやはり配分するのに優先的にどちらをやるかと言えば、そういう政策に乗っかってやっておられるところへやはり先にまずいこう。しかし、その後は、またそういうものばかりじゃないわけですから、そういう農地の流動化をやっていないところだって、場合によれば基盤整備の予算はつけているわけですから、そういうふうに御理解をいただいたらいいんじゃなかろうかと思うのです。
○下田京子君 御理解も何もないんです。私は大臣に理解していただきたいんですよ。ペナルティーでないと言ったって、本当に増進事業計画がまず出たところに新規に予算をまず優先しますよということで差をつけているんですよ。そうしますと、現地でいろいろ話を聞けば、本当にいわゆる農地の流動化という増進計画事業そのものの話云云の前に、とにかく言ってみれば地域特対事業やら何やらやりたいから、だからまずつくりましょう、事業計画を出しましょう、念書だけつくっておけやというかっこうになってきている。こういうことから見ても、やはりこれは政府の、言ってみれば政策を進めていく上での自己目的にしかならないのじゃないか。本来的に言って事業の進め方から言っても間違っている。私はそのことを指摘しておきたいと思います。 次に、とにかく農振法の中の増進事業がスタートしてまだ五年ですよね。そういう中にあって、今回単独法としなければならないと、こういうふうに御認識されている理由は何なんでしょうか。
○政府委員(杉山克己君) 今回の農用地利用増進法案の中におきましては、従来の農振法の中で行っておりますところの農用地利用増進事業、これを大幅に各種の面で拡充いたしております。その最大のものは、従来対象地域を農振の農用地区域に限定しておりましたが、これをそれ以外の区域にも広げることができるようにすることとしております。これが第一でございます。もっとも市街化区域は原則的にこれは対象外とするということになっておりますが、農用地区域以外の一般的な農地にも及ぼすことができるようにしております。この面積は全体として約九十万ヘクタールに及んでおります。 それから、従来はその対象となる権利は利用権の設定ということでございましたが、今回は改めて、やはり所有権の移転ということ、これは困難ではあるにしても、地域によっては、たとえば北海道でございますが、ある程度の所有権移転も実現し得る。それはそれとしてできるだけ奨励促進していくことが必要であるということで、対象の権利として乗せております。 それから対象の地目として従来は農用地でございましたが、あるいは採草放牧地ということになりますが、今回は混牧林地でありますとか開発用地あるいは農業用施設用地といったようなものも対象として地目を広げております。 それから、従来は権利の受け手は農業者ということでございましたが、今回は農業年金基金あるいは合理化法人こういったものもその対象とし得るということにいたしております。 こういった点がやはり従来の農振法の体系の中では措置し切れない、改めて単行法をもって制定することを必要とするに至った理由の主なものでございます。そのほか利用改善事業でありますとか、権限の問題でありますとか、各種の問題を伴っておりますので、全体としてやはり単行法の体系の中でこれを手当てするということにいたしたわけでございます。
○下田京子君 そういった具体的な中身については、常々政府が説明されているように、地域のいろんな相互の話し合いと納得の上で進めるというふうな点から言って、下から具体的な御要望等は上がってきておるわけなんですか。
○政府委員(杉山克己君) これはすでに五年間、各地でもって各種の利用改善事業を進めておりますが、それらのところから直接上がってきた、市町村なりあるいは農業団体なり農業委員会なり、さらには都道府県知事からの具体的な要請が背景にあったわけでございます。その意味では、私ども霞が関の机上でもって、プランニングでもってそれをこしらえたというようなものではなくて、具体的なかなり根強い要請を受けた作業であったということを申し上げられると思います。
○下田京子君 具体的な御要請がかなりあったということなんですけれども、私どもで実際にそれじゃ下からいろいろ希望があった中身を知らせてくれないかと、各県別にと言って資料をいただいたわけです。その資料を見ましたら、区域拡大の御要望というのが四件、それから混牧林地三件、所有権の問題が二件、それから農業地の施設の方が一件、それから開発予定地関係が二件というふうなことで、非常に件数を見ても少ないし、それからこれを単独法で通してもらいたいとかなんだというふうな、いま御説明のような強い御要望というものは感じられないわけなんですけれども、この点大臣どう見ているわけですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私どもの承知しておるのでは、団体等からも非常に強い御要望をいただいておると聞いておるわけでございまして、団体というのはやはり全国のそれぞれの方々のお集まりが団体でございますから、そういう意味においては私どもは全国の御要望が強いと聞いておるわけでございます。 なお、私どもといたしましても、また何回も繰り返しておるようでございますが、この法律というのはやはり経営規模の拡大を図っていくことが日本の今後の農業にとって大変大切であり、それは農業者にとっても大切であると、こういう考え方から、その受けざらをつくっていくためにはこういう法律が必要であると考えておるわけでございまして、われわれの方がこの法律によって何か強制的にどんどん農地の流動化をやっていこうということではないわけでございまして、あくまでやはり農業者の方がその辺を自覚をしていただいて、やはり今後の日本の農業の発展のためには、特に土地利用型においては経営規模の拡張を図り、そして生産性を高めるということがお互い自分たちのためにもなると、こういう自覚を持っていただいていかなきゃならないのではなかろうか。しかし、そういう自覚を持っていただいたときに、仕組みにおいて、制度においてそれができないということではいけないので、制度、仕組みにおいてそういう可能性だけを私どもはつくっていこうと、こういう考え方であるわけでございます。
○下田京子君 大臣、これいただいた資料なんですよ。この資料は全く不備だということですか。とすれば、こういう不備な資料をお出しいただいたんでは納得できませんね。それからもう一つ、いま大臣のお話の中で、これは押しつけじゃございませんと、みんなから強い要望なんだと、こうおっしゃっていながら、一方で自覚を促していくんだと。みんなが自覚を高めたときに制度がなくては困るんで、だからまず制度を整備するんだ。これまたちょっと問題があるかと私思うんです。もう時間もありません。私は問題の指摘にしておきます。 具体的に福島県の霊山町の事例でお話を進めていきたいんですが、これは政府も非常によく御存じのところではないかと思います。霊山町の取り組みの特徴をざっと御紹介申し上げます、大臣はちょっとおわかりにならないかとも思いますので。 一つは、村づくりの運動の中で、集落を基礎にした話し合いをもう徹底的にやったということですね。三年間で百回ぐらいやったとか、あるいは二百回以上だとかという話が出るぐらいなんです。そういう形で、とにかく農家の人たち自身の意向、意見を尊重した形で増進事業を進めていく。 二つ目には、国のいろんな地域特対事業等も利用はしているんです。しかし、その利用をしていく上にでも、たとえばこの規程そのもの一つ決めるにしても、霊山方式というかっこうで組みかえているんですね。貸借期間の問題一つとりましても、県の方では四月からそして三月末、こういうふうな形でおやりなさいと言われているのに、霊山の場合には毎年一月一日から十二月三十一日までということで期間も設定している。それから、貸借期間の実際の区切り方ですけれども、三年、六年、そして九年、十二年と四つのグループに分けられているんですね。新たに増進計画を申し出たそういう地域があれば残余の期間とすると、こういうことまで設けられておりまして、これは更新時期を考えておやりになっているわけなんです。 それからさらに三つ目に、農用地の利用組合をつくっておりますが、この利用組合が大変私たち非常に学ぶ点が多いなと思ったその一つを申しますと、借り手側からたとえば組合長が出れば、貸し手側から組合長代理を出すというふうな形で、貸し手と借り手が対等な立場で話し合いをするんだと、こういうことを決められておりました。 それから四つ目に、こうした話し合いづくりのために、町の産業課はもちろん、それから農業委員会、農業委員会の事務局の方——もう本当に産業課なんかは、残業課と言われるぐらいに必死になってみんなの話し合いの中心になって熱心にやってきたというふうなことがあるわけなんです。私は、これは一つの農振法のいわゆる増進事業を実施していくという上でも非常に重要なものを持っているんではなかろうかと、こう思うわけなんですが、この点についての農林水産省としての、政府の評価をひとつお聞きしておきたいと思うんです。
○政府委員(杉山克己君) 霊山町の内容について一つ一つ御説明申し上げておりますと、これは下田先生よく御存じのところですから省略させていただきまして、全体的な評価だけ申し上げます。 非常に霊山町というところは基盤整備もおくれておりまして条件の悪いところでございます。そういったところで、先生がいまお話しになりましたような、そういう流動化のモデル市町村と言われるような実態をこしらえ上げてきた、そのことは非常に私どもとしても感銘を受けるぐらいりっぱなことであるというふうに評価いたしております。特に徹底した町村の話し合い、さらには組織づくり、特に農用地利用組合というような集団をつくってそれが自主的な活動をしているというようなこと、それから今日におきましてさらに、本当に市町村が一体となって心魂傾けて取り組んでおられるということ。私、こういう事業は特に新しい事業であるということもありますのと、何といっても農家の個々の権利関係に深く突き刺さるような仕事をやるわけでございますから、そういう人の熱意というか、ひざ詰めでもって説き明かすような、そういう努力が必要であると考えております。単なる制度とか金、事業というようなことだけでなしに、そういう人間の熱意というものに大きく依存する、期待するところがあると思っておりまして、その点、霊山の事例というのは非常にわれわれにとってもうれしい、ありがたい事例であるというふうに評価いたしております。
○下田京子君 地元の方もいまのお話で大変お喜びになると思うんですけれども、それではお聞きしたいことは、こうした霊山のような利用組合が実際につくられて、その上で増進規程の作成をされたりあるいは計画を立てているというふうな市町村は全国の中でどのぐらいございますでしょうか。
○政府委員(杉山克己君) そういう数を調査するというようなことでの調査は行っておりません。優良事例として私どもが聞いております幾つかの事例がそれはあるわけでございますけれども、たとえば豊岡村でありますとか、あるいは山梨県の白州町でありますとか、そういったところにおいては、そういう組織づくり、特に白州町あたりではそれが活発に行われているというような事例も聞いておるわけでございます。ただ、その内容がどんなものであるかということになりますと、そこまで徹底したものであるかどうかは別といたしまして、現在利用増進の規程がつくられておりますところの市町村数千七百五十のうち、農用地管理事業対象集落の数が全体として四万七千四百七十六あるわけでございます。この四万七千余のうち、農用地利用調整協議会というお互いが相談をする自主的な話し合いの組織、これを設けているものの数は七千四百五十七でございます。この程度がどの程度まで徹底したものであるかということは別にいたしまして、全体の協議会の数は四万七千中七千余であるということになっております。
○下田京子君 いま優良事例しかつかんでいないというようなことで、何らかの組織はあるのが四万七千中七千ぐらいだという話なんですけれども、これはちょっと問題だと思うんです。なぜならば、これは五十年、実際にこの事業を進めていくときに通達をお出しになっておりますね。どういう通達の中身かと言えば、増進規程を作成するときには、まず、何といってもその地域の人たちで構成される組織の意見を十分聞くことというのが第一になっているんです。組織の意見をまず十分聞くことということになっているのに、その組織自体が四万七千のうち七千ぐらいだと。また、その大変すばらしいという福島の霊山のような優良利用組合ですか、こういったものの事例は幾つかしかわからぬと、こういうことでは実際に本当にこの事業を進めていく上に問題ではないかと思うんです。 そこで、私は具体的に改善を要望したいんですけれども、一つは、この五十年のときに出された通達に沿いましてこれから実施計画をつくるわけですね。その実施計画を策定するときなんかには、まずこういった組織、利用組合をつくってもらって、本当にいままで皆さんがおっしゃるように、貸し手と借り手が納得のいくような話し合いの場としてのその組織を通じて、皆さんの意見も聞き、その上でもって実施計画を進めていくということをきちんと押さえでいただきたいと、こう思うわけです。
○政府委員(杉山克己君) この事業は、御存じのように、まだ五年という年度も新しい事業でございます。私どもは、いま先生の言われましたような組織づくり、集落段階での合意を形成していくということ、このための組織づくりはきわめて重要な事業であると考えております。それで従来からも、地域農政特別対策事業の中におきましても、そういったことに貢献し得るように、ソフト経費といいますか、そういう話し合いのための組織づくり、そのための予算措置というようなものも講じてまいっているところでございます。 特に今回の農用地利用増進法案の中におきましては、新しい事業として農用地利用改善事業というものが仕組まれることになっております。これは地域のまさに関係者でもって構成する団体でございます。これがそういう組織づくりの母体になっていくというふうに、母体といいますか、組織そのものになるというふうに私ども考えておるわけでございます。ただ、じゃ組織ができなければどうかという、これまた強制みたいな話になってもいけませんので、そういう条件の整ったところを指導によってだんだん結成させていく、できるだけその結成は数多く心がけて指導してまいるというようなことで臨んでいくべきかというふうに考えております。
○下田京子君 組織はないよりあった方がいい程度のものじゃないでしょう。ずっと皆さん方が、農振法の改正でこの増進事業をやられていく上で、まず貸し手と借り手の十分なる意見を聞きなさいと、そして利用組合等のそういう組織を通じていろんな申し出も承りなさいよと言って具体的なこういう通達をお出しになっているわけでしょう。通達の中身、もちろん御存じでしょう。そういうふうな形でこれからも進めるべきじゃないかと、こういうことを言っているんですよ。あれこれを聞いているんじゃないんです。いかがですか。
○政府委員(杉山克己君) 私が申し上げておりますのは、四万七千中七千しかできていないではないか、それが通達に比べてどうなんだという御指摘が初めにありましたものですから、そこはやはりそういう通達を出して組織づくりを指導してまいりましても、現地の実情によってなかなか組織づくりというところまではいかないというようなものもあるという意味で申し上げたわけでございます。組織をつくってその意見を整理する、そして組織として代表されてきたところの合意を尊重するということは、これは当然必要なことでございますし、それ自身に努めていくことは何らやぶさかではございません。
○下田京子君 基本をしっかりとやっぱりつかんでいないからそういう答弁が来るんですよ。そもそもなぜ組織をつくるかと言ったら、貸し手と借り手が双方が対等な立場で話し合いをして、民主的に、貸し手の方も利がある、そして借り手の方も安心して長期的にやれると、そういう方向での土地の流動化ということでもって通達もお出しになっているんでしょう。そういう組織というものが必要じゃないですか。そういう点で大事なんではないかと、こういうことを私は申し上げているわけなんです。
○政府委員(杉山克己君) 組織があれば意見を取りまとめるのにきわめて有力な手続というか、プロセスになるということで、組織が必要だということは御指摘のとおりです。ただ、関係者が一人でも二人でも、組織というほどには足りない場合でも、利用増進計画を市町村が組んでそれを対象に事業を行っていくということは可能でございます。そういうことも含めまして、組織が実際にできないところでも、別に組織がないから事業の対象にしないということまで言っているわけではない、必須ではないという意味を申し上げただけです。
○下田京子君 そういうことを言っているんじゃないんです、私は。まず組織で、それが必要最低の条件だよということで通達を出したとかどうのこうのじゃないんですよ。本当にそこの地域全体が農地を安心して貸し借りができるような状況を保障していく上では対々ということだけれども、いま具体的に霊山のことでお話ししましたら、りっぱだと、こう言われたでしょう。そういう形での利用組合というものをおつくりになって進めていけば本当に安心して進められるんじゃなかろうかと、こういうことを言っているわけなんです。大臣、どうでしょうか。
○政府委員(杉山克己君) 変わっていることを私言っているとは思いません。組織自体についての評価は先生と同じだと思います。ただ、組織を必須の要件にしているわけではないし、組織というのはその地域地域によってかなり差があるということを申し上げているわけでございます。むしろ、画一的に組織を強制するということになってもいかがかという気持ちもあって、組織自体をむしろ積極的に推進したいのですが、強制的なことはなかなかできないだろうと。若干先のことをおもんぱかっての答弁になったかもしれませんが、そういう意味で申し上げておるわけでございます。
○下田京子君 私は強制的につくれとかつくらなくていいとかということを言っているんじゃなくて、そういう民主的な利用組合といいますか、組織というものが本当にこれは今後の増進事業も進めていく上で大事なんだと、そういうことを御認識されてこれから進めるべきではなかろうかということを言っているわけです。なぜそれが問題ですか。大臣に御答弁いただきます。
○国務大臣(武藤嘉文君) ちょっと私途中の経過を聞いていなかったのであれですが、霊山町でそういう非常にうまくいっているものがあると。それを私の方の局長は、よそへそれと同じことを押しつけるというのはいかがなものであろうかということを申し上げているんじゃないかと思うんですね。しかし、たとえばそういうようなうまくいっているところと同じような仕組みがやはりうまくいくところがあれば、そういう仕組みをおやりになることは一向に私ども差し支えないわけでございまして、だから今後パンフレットなんかをつくる場合に、一つの例として、たとえば霊山町はいまも局長も非常に感謝していると、こう言っているわけですから、福島県霊山町はこんなような例をやっておりますよというようなことは、私は、パンフレットなんかに御紹介することは一向に差し支えないし、大変結構なことではなかろうかと思うのでございますが、こういうものを、しかし全く違う地域の実情にあるところもあると思いますから、そういうところへ同じ仕組みを押しつけるということはやはりできないと、こういうことを申し上げておるんじゃなかろうかと思うんです。
○下田京子君 押しつけるとか押しつけないかじゃないんですって言うの。この通達の中ではっきり皆さんがお出しになっているわけですよ、運用上の問題として。それをやっていくときに、農用地の利用増進規程の作成をする際に、こうあってほしいということで通達を出しているわけ。つまり、さっきから申し上げていますけれども、それは貸す側とそれから受ける側と、そういう人たちの意見はもちろん、それから、こういう人たちでもって構成される組織の意見を十分聞くとともに、ということで、その他の組織名もいろいろ挙げている。団体ですか、の話なんかも言っているわけですよ。そういう立場で仕事を進めていくことが必要じゃなかろうか。ところが、さっきの局長の話だと、実態はよくわかりませんけれども組織らしいものがあるのは四万七千のうち七千程度だと、こういう話なものだから、そういう民主的な利用組合といいますか、貸し手と借り手のそういうものをつくって、この通達の線に沿ってやっていくべきじゃなかろうか、どうなんですかと、こう言っているわけです。大臣に聞いてます。
○国務大臣(武藤嘉文君) それはいろいろと、いまの御指摘でございますと、たとえばそれは農協ということもあり得ると思いますし、いろいろ農業団体であることもあるし、いまの農用地利用組合でございますか、そういう場合もあると思いますし、それは一向に私ども差し支えないことだと思っておるのでございます。
○下田京子君 差し支えないとか何かじゃないんです。そういうふうな利用組合等のようなものを、組織をきちっとつくる問題とあわせて、そのほか、いま大臣が言った、農業委員会や農協や土地改良区その他農業団体の意見を十分聞いて協議する云々というのは、また別に出てきているんです。だけど、実際はそういうふうな方向になっていないし、本当にこれから、いま進めている事業もやっていく上で、こうした霊山のようなものが必要じゃないか。それから同時に、実態はつかんでいないと、そして優良事例だけしかわからないような話をされたから、こういうことについて積極的に実態をつかんで、そしてまたどんどん指導されていくというか、援助していくという立場が大事なんではないかということを言っているわけなんです。 それで、私はこれは、もう時間があれなんで、いま言ったことをきちっと押さえてやっていただきたいということで、要望しておきます。 それから、いまの霊山の話をもうちょっと進めますと、さっき局長からも話がございましたけれども、この地域は大変な山間地帯なんです。そもそもなぜこの事業を始めようと思ったかというと、当時、六十ヘクタールほどの荒れ地があった。この荒れ地を何とかして解決しなければならないというところから話し合いを始めたというんですね。そういう山間部の非常に条件の悪いところでこういう事業に取り組んだわけですけれども、結果としてどうだったかというと、確かに農地は流動化されたんですが、実態としていまもなお約六十ヘクタールの荒れ地は残っているんです。なぜなんでしょうかということが問題になるんです。 そこで、新たな御要望としていろいろ出されましたのは、一つは、たとえばこの地域は山間地帯ですから、圃場整備事業もわずか六%というような状況なんですよ。それから道路の整備もおくれているわけなんですよ。同時に、いろんな施設ですか、特に私、女性の立場から聞いた点で心を痛めたのは、母子センターといって妊産婦の方のお産をする施設があるんですが、そういうものは最近むしろやっていけなくなって閉じざるを得なかったとか、あるいはまた、そういう状況の中でですから、なかなか農業に希望を持って規模拡大といってもやっていけないために、確かに農地は流動したんですけれども、即規模拡大、そして経営の安定という方向ではなくて、なかなか新たな問題を抱えて悩んでいらっしゃるわけなんです。後継者はいるけれども嫁さんの来手がないということで、これは具体的な調査された結果も出ているんです。 こういう事例を見ますと、やっぱり農地の流動化という問題が、件数では流動化されたけれども、中身を見たら本当に農地の効率的な利用だとか、あるいはいままで言っているような規模拡大という方向に行ったんだろうか、それから将来に対しての新たな希望が持てたんだろうかというと、非常に問題があるわけなんです。この点についてひとつ御答弁いただきたい。 それからもう一点、霊山のことで、これまとめてお話し申し上げますと、ここの町長さんから具体的な御要望を出されました。一つは、いろんな事業をやっていく際に、桑園の造成事業を一つやるにしましても要らない事業がくっついてくるというふうなこともあるんで、もっと地域に合った形でいろいろ事業が選べるようにしてもらいたいと、こういうお話もございました。それから、いろいろ言われておりますが、いわゆる構造政策としての農地の流動化だけじゃなくて、つまり本当に農業に希望が持てるという方向でのいまの小規模な土地基盤整備の問題等でいけば、たとえば国営が一番補助率が高くて、次は県営、そして団体営というかっこうで本当に問題が多いわけですね、こういった点にも改善をしていただきたい、こういう御要望もございました。まとめて大臣の方から御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(杉山克己君) 実態の話を大分含んでいるわけでございますので申し上げます。 霊山町の利用権の設定の面積は、これは最近の実績で六十七・九ヘクタールとなっております。それから不耕作、まあ荒れ地のまま放棄してある土地、これが約六十ヘクタールあるというように聞いておりますが、ここがなぜ利用増進事業を進めても荒れ地のままになっているのかということでございます。ここは、まさにその点が今回の改正の主眼にもなるわけでございますが、農振計画における農用地区域ではないところなわけでございます。したがいまして、従来の農用地利用増進計画による種々のメリットが受けられないという点が難点になっておったのが主眼だというふうに聞いております。あとは谷地田であって条件が悪いとか、それから私全く六十ヘクタール全部が農用地区域外であるかどうかということをさらに確認したいと思っておりますが、一部の地域が最近においては農用地利用増進計画に取り込まれたというような話も聞いております。全体としてはある程度進んでいる中で、そういう農用地区域外であるとか、谷地田であるとか、条件の悪いことのために、増進計画の中に取り込まれないで荒れ地のまま放置されているという事例があるというように承知いたしております。もう少し実態を聞いた上で、ここら辺も適切に相談に乗れるものは乗るようにしてまいりたいというふうに考えております。 それから圃場整備、それから桑園の整備というようなことについて、実態に即した地域の実情を配慮した助成事業が考えられないかということでございますが、農林水産省の公共事業にいたしましても、あるいは構造改善事業等の基盤整備にかかわる事業は、その点は特に最近におきましては、地域農政という観点から地域集落の意見を尊重する、特に市町村長の意見を一つの基礎にして事業を仕組んでいくということで臨んできているわけでございます。そういった点、霊山の町長さんのお話も承りましたが、県等も通じてさらに実態をよく調べてみたいと思います。
○下田京子君 先ほどは霊山のことはよくわかっているとおっしゃったじゃありませんか。実態を調べるなんということを改めておっしゃらなくとも、この地域が非常に山間地帯であるということは局長自身がお述べになりましたでしょう。そして、しかも山間地帯であるからこそ圃場整備事業がわずか六%しか進んでいないと。いまいろいろ、なぜ六十ヘクタールの荒れ地が残っているかということで農用地区域外だみたいにおっしゃいましたけれども、それだって、すべてがどうかということを改めて調べるみたいなお話でしょう。私は実際によく知ってるんです、あの地域は。で、お話を伺ってきているわけです。数字もあらわしているんです。問題はやっぱりこういうふうな山間地帯の小規模な圃場整備事業も含めて、本当に土地条件を整備していくということがなかったらば、安心して農地を借りて規模拡大をやって農業をやれるというふうに言い切れるかという問題なんです。大臣、これは何も霊山に限った話じゃありません。山間地帯でみんなが持っている問題なんです。そういう状況の中で具体的な要望を聞くなんて、具体的に私は要望を聞いてきていま話しているわけです。やはりそういうところを受けて立つような形での、山間地域における特別な基盤整備のあり方ということは考えなきゃならないというふうに思うわけなんです。これはもう大臣からお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) 従来から、基盤整備につきましては山間地域の場合は特別に採択基準その他で緩和措置もとっているわけでございます。まあ霊山というのは私も実は実態よく存じませんし、いまの特に六十ヘクタールの荒れ地がせっかく農地流動化という考え方がそこから出てきたということでございますが、一体それは農地なのかどうか、私もよく実はわからないので大変恐縮でございますが、もし農地であるならば、従来からそれが農地であるならば、基盤整備がうまくいくように何か考えてあげなきゃいけないんじゃないかという感じが私はいたします。その辺が農地であるかどうか私よくわかりませんのであれでございますが、いずれにいたしましても、今後ともそういう山間部のやはり基盤整備その他についてはできるだけ配慮を加えていくということが必要であろうと、こう考えておるわけでございまして、この霊山の問題も含めてそういう方向でこれから努力をしてまいりたいと、こう思っております。
○下田京子君 配慮していきます程度では納得できませんから、私はたとえば基盤整備のあり方一つとっても、本当に平場地帯優先というかっこうだけじゃなくて、総合的にまず条件の悪いそういう小規模な山間地帯、こういったところから進めるべきだということを主張しておきたいと思います。 それから、せっかくですから、いま私が紹介した例あるいは現地からお話を伺って、個々の問題で相談に乗ると言っておりますから、これはこれで相談に乗っていただきたいということも御要望申し上げておきたいと思います。 それから次に利用関係の問題でお話を進めたいんですが、まず貸し手と借り手の利用関係の調整にとって一番大きな問題というのは借り賃の問題だと思うんですね。この点で農水省はどのようにお考えになっているか。
○政府委員(杉山克己君) どの程度の水準かということが大きな問題になるんだろうと思います。一般的には、目安として標準小作料という制度があるわけでございます。私ども、市町村が利用増進計画をつくる際は、それは当事者同士の話が一つのベースになりますけれども、目安としてはやはり標準小作料を頭に置いたそういう水準の借り賃というものの設定が一番ある姿だろうというふうに考えております。
○下田京子君 そうしますと、実際の増進計画ではどのような借り賃を設定しようと思っていらっしゃるのでしょうか。標準小作料との関係ではどういうふうにお考えになっておりますでしょうか。
○政府委員(杉山克己君) それは当事者間の話し合いを一つの基礎にしまして、標準小作料を基準にして市町村なり農業委員会なりが判断して適正な基準等を決められる、考えられる水準を決めるということになると考えております。
○下田京子君 そうしますと、借り賃の水準の問題なんですけれども、当事者間でということですが、たとえば東北の場合ですとどの程度になっているか、十アール当たりのたんぼの場合、御報告いただければと思います。
○政府委員(杉山克己君) 標準小作料と実勢小作料いろいろあるわけでございますが、標準小作料について申し上げますと、全国平均が二万四千六百二十一円に対して、東北の場合は三万三千六十四円、十アール当たり円ということでございます。
○下田京子君 これまた具体的な事例なんですけれども、会津高田町というところで、これは福島県庁にもあるいは県の農業会議にも行って、皆さんりっぱにおやりに——いろいろ苦労されているよということで御説明があったので伺ったわけなんですが、この会津高田の場合どういう状況かと申しますと、実勢小作料が大体四俵、これはお金に直しますと一俵一万六千円として六万四千円だと。ところが、標準小作料はどのくらいかというと、六百三十キロとれる最も生産力のあるところでもって四万五千円というかっこうですね。で、三割増しまではということなので、一三〇%掛けにすると五万八千五百円と。しかし、それでも実勢小作料との差が五千五百円ほど出てしまう。これじゃ契約ができないということで、実際の数量は約六百九十キログラムとれる。そこで、その差六十キログラムを標準小作料として見まして約四万九千円とした。その三割増しだからといって六万三千七百円、そのほか土地改良負担等は地主が持つとかということで、ここでは実勢小作料を六万五千円と、こう定めた。こういう定め方をしていいかというふうなお話を、これは現地の農業委員会の皆さん方がいろいろ苦労しまして、構造改善局——農水省の担当の方に問い合わせをしてオーケーということをいただいたので始めたと、こういうふうなわけなんです。こういうことで大変苦労しているというのが実態なんですね。 私はこの報告を基礎にしながらまずお尋ねしたい一つは、この三割増しという、言ってみればこの根拠ですか、どこにあるんでしょうか。
○政府委員(杉山克己君) 統制小作料ではなくて、標準小作料でございますから、それを基準にしてある程度幅があるということは、これは具体的な取り決めはやむを得ないというふうに思うわけでございます。その場合どの程度の幅まで許容されるかということでございますが、これは客観的な算定根拠ということではなしに、およそ世の中一般の平均価格とそういう個別価格との乖離について、常識的に許容されるのはおおむねその程度であろうということを考えたわけでございます。これにつきましては、やはり地域としてできるだけ水準一本化が望ましいには違いありませんけれども、やはり個別、その田ごとの、一枚一枚ごと、一筆一筆ごとの小作料水準を決めるというわけにもまいりませんので、そういうことで、基準にしておおむね三割程度ということで許容し得る範囲を決めているわけでございます。通達ではこういう書き方をいたしております。「小作料の額がその農地の属する農地の区分に係る標準小作料に比較して著しく高額であるか否かの基準は、農業委員会においてあらかじめ定めておくものとする。」と、基本的には農業委員会に委任しているわけでございます。「なお、この基準は、農地の区分の定め方、標準小作料の水準等により異なるが、その小作料の額、その農地の収量その他の生産条件等を勘案のうえ標準小作料に比準して適正と認められる小作料水準よりもおおむね三〇パーセントを超えない範囲内に定めておくものとする。」と、こういう言い方をしておるわけでございます。
○下田京子君 通達によっておおむね三〇%を超えないというふうなことになっているわけですね。ところが、現地ではその三〇%がぎりぎりだというふうになっているわけですね。農業委員会の人は本当に苦労されまして、もしそれを超えてしまうと、いわゆる農地法の二十四条の三の小作料の減額勧告というふうなことに触れるんではないかということで心配をして、また組み直してやっているというふうなことが実態であると思うんです。その小作料の問題で聞きますと、今度こういう標準小作料の見直しといいますか、五十五年度中におやりになると思うわけなんですが、そういった際の基本的な考え方というものはどういうものなんでしょうか。
○政府委員(杉山克己君) 標準小作料の算定に当たりましては、従来から、地域の実情を反映させ耕作者の経営の安定を図るということを旨として定めるように指導しているところでございます。特に五十五年度の改定に当たりましては、まず第一に、投下労働に対してはその地域において通常社会的に認められる労賃を確保させるということ、それから農業機械の償却と物財費については、それが十分に充足されるとともに、資本利子と一緒に経営者報酬が確保されるようにして、それからまた三番目には、土地残余方式によって算定する経営階層の取り方も地域の主要な借り手階層とするということなど、それぞれの地域の実情を反映させる、そして適正な標準小作料が設定されるということについて指導してまいりたいと、このように考えております。
○下田京子君 いまのお話なんですが、これは大臣も含めてしっかり押さえていただきたい点は、一つには現在ある標準小作料というもの、これを充実させていく方向を考えていただきたい、そして権威を持たせていくということが大事ではなかろうか。 それから二つ目には、お話にもいまございましたように、実際にそこの家族労働なんかをどういうふうに見るか。やっぱり家族労働をどう見るかということは非常に大事だということが私はこの高田に行ってわかったわけなんです。時間がなくなっちゃっていて、もうせっかく聞いてきたのに言えないのですけれども、機械利用組合をつくってやってきているのです。もう本当に更新時期がくるのだけれども、その機械の更新もできかねるというふうな話が出ておりまして、小作料は高くなるわというようなかっこうで、まあ減反は押しつけられるわ、そして米価は据え置かれるわ、これじゃもう農地借りたけれどもどうしていっていいかわからないというような話が本当に切実に出されたわけなんです。だから、全く損しているということにはならぬ、つまりどうしてかと言えば、家族労働を食っているということなんです。ただ働きというようなかっこうですか、そういうふうな状況でもって何とか農地を受けてやっているんだと、規模拡大しているんだ、こういうようなお話がございました。ですから、私は特にこの標準小作料を決めていく際に、家族労働費をどういうふうに見るかということをしっかり押さえていただきたいと思うのです。 会津高田の場合は、五十二年の十二月段階なんですけれども、実際に家族労働費を標準小作料を決める際に一日四千円として見ているんですね。しかし、その近辺、福島県内でどういう状況かと申しますと、屋外の労働者の場合で、土木関係ですと約四千六百五十九円、あるいは機械なんかの特殊な人たちだと思うのですが、五千九百六十六円というふうなことで、やっぱり差があるわけなんですね。そういう点で、家族労働費というものをしっかりとこう押さえた形でもって考えていただきたい、こう思います。御答弁。
○国務大臣(武藤嘉文君) 御趣旨の点は十分勘案して適正に決めるように努力をしてまいります。
○委員長(青井政美君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十四分散会