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91回国会参議院1980/03/18

農林水産委員会 第4号

発言数
202
登壇者
21
会派数
5
開催日
1980/03/18

会議録

青井政美自由民主党・自由国民会議

○委員長(青井政美君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る三月七日、小笠原貞子君が委員を辞任せられ、その補欠として河田賢治君が選任されました。  また、本日、三治重信君が委員を辞任せられ、その補欠として藤井恒男君が選任せられました。     —————————————

青井政美自由民主党・自由国民会議

○委員長(青井政美君) 農林水産政策に関する調査のうち、昭和五十五年度農林水産省関係の施策及び予算に関する件を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 私は、大臣の所信表明に関して質疑を行いますが、特にきょうは、この質疑が終わりましてから、農業協同組合合併助成法あるいは漁業協同組合合併助成法、これの趣旨説明並びに採決等があることになっておりますので、この農漁業の系統機関の問題を中心にして質問を申し上げたいと思うわけでありますが、ここ数年、農民あるいは漁民の組織である系統機関、しかも、それは法律によって大臣が主管し、大臣が監督の責任のある系統機関、つまり連合会ですが、頻繁に不祥事、不正経理であるとかあるいは北海道漁連における空売りとか、ああいったような不正が頻発しておるわけです。これは大変な問題でありまして、組合員である漁民であるとかあるいは農民に対しまして非常に強い不信感を持たせておる。ひいては農政あるいは水産行政の推進にも甚大な影響を与えると思うわけであります。  そこで私は、たくさんありますけれども、特に例を引きまして、農業については農業共済組合連合会、いわゆる全共連ですね、それから林業につきましては北海道森林組合連合会、略称道漁連、漁業につきましては北海道漁業協同組合連合会、略称道漁連、この問題を挙げていろいろお尋ねをしたいと思うわけでありますが、まず第一に、これを所管しておる責任者の大臣の意見を聞きたいわけであります。大臣はこの具体的な内容についてはもうすでに部下の方から御聴取になって承知されておると思いますので、こういう事件がこれらの農業なり漁業の系統機関に起きておるということに対して、所管大臣として責任があるわけですから、どう感じておられるか。これについての大臣の忌憚のない、いわゆる責任のある御見解をまずお伺いしておきたいと思うわけであります。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 先生御指摘のように、ここ数年来それぞれ各組合におきまして大変残念な事態が起きていることはまことに遺憾に思い、私どもとしては本当に農民、漁民に対して申しわけがない気持ちでおります。特に、今後いろいろと農林水産行政を積極的に進めていかなければならないときには、当然団体の協力も不可欠でございますが、その団体が農民なり漁民と遊離した形になっておったのでは行政も進められないわけでございますし、何とか一日も早く、組合法にはそれぞれ農民、漁民の立場に立ってそれに奉仕をするという気持ちでやらなければならないと書いてあるわけでございまして、一日も早く法律にのっとった正しい団体になっていただくように極力今後指導してまいりたい、こう考えておるわけでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 大臣は五十五年度における農政の基本方針あるいは基本的な政策について表明されたわけでありますが、それを推進するに当たっては、当然のことながら農民、漁民の協力を得なければならない。それは農民の組織である農協であるとか、漁民の組織である漁業協同組合、これの協力を得なければとうていこれは実現不可能であります。そこで、そのためにも農民や漁民が自分の組織に対してやはり信頼感を持ち、そしてその組織の指導者のいろいろ指導されることを理解し、協力すると、こういう形をとらなければ、いかに大臣がここでりっぱなことを述べられたところで、その実行、実現というものはこれは不可能であるわけですね。ところが、いま私が申し上げましたようにこういったような不祥事が続出をする、これは大変なことなんですね。そこで大臣は、ひとつりっぱな指導行政を行うということを言われておりますが、その指導行政を推進していくに当たってまず基本になることは何なのか、どういうような姿勢と具体的な態度をもってそれに対応しようとしておるのか、重ねてそれをお伺いしたいわけです。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) いま申し上げましたが、私は協同組合のあり方というものは、当然農民、漁民のために、そしてその農民、漁民に奉仕をするという立場で組合というものがなければならないし、また、組合員の総意によって組合の運営はなされなければならないわけでございます。かりそめにも、そういうことを忘れて、何かこう商売をやっておるような感じになっておるような組合があったためにこの不正事件が起きたのではないかと思うわけでございますけれども、そういう点はひとつ大いに各団体とも反省をしていただきまして、かりそめにも今後はそういうことの起きないように強く指導してまいりたいと、こう考えておるわけでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 まだ後ほどお尋ねしますけれども、私も北海道の人間ですが、これは農林漁業を大宗産業とする地域でございますので、いろいろこう回って歩いて、そしていろんな組合に寄って、組合長その他役員の方々の御意見なども聞いて歩いておりますけれども、どうも組合の首脳部である幹部、これらの人と、それから一般の浜の漁民、そして生産に携わっておる農民、この個々の方々との間には相当乖離したところの感情、考え方というものがあるような気がしてならないわけでございます。私としましては、まず信頼される組合になるためには、やはり幹部の方々がある意味においてはえりを正していく、本当に組合員の信頼にこたえるような、そういう指導をなされなければならないと思うのですが、その点はいかがでございますか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 北海道の組合の指導者には私はまだお目にかかっていないのでございますが、いま先生の御指摘の北海道とは違いますけれども、私がたまたまお目にかかりましたのは、全共連の会長が交代をされたときに新旧会長が来られましたので、そのときに私は申し上げたのでございますけれども、全共連というものは、農民がみんなでお金を預けて、そして自分たちの将来、たとえば災害が起きたときにやはり保険がもらえると思ってこれはやっているわけであって、そういう点を、その金がどこかへいっちゃうようなことになったのでは、これは掛けておる農民に大変申しわけないのじゃないかと。本当に農民の信頼を回復をして、やっぱり全共連で掛けておれば、自分たちに万一災害が起きたときには自分たちはそれで助けてもらえるんだと、こういうみんなが気持ちであって初めてうまくいくのであって、そういう点において大変農民から信頼を失うようなことになったらどうするんですかと。ぜひともひとつ会長のこの交代を機に、本当に農民に理解される、農民の支持の得られる全共連にならなければ困るんじゃないですかと、こういうことを私は申し上げたわけでございますが、すべての農業団体の指導者に対しても、私は同じ気持ちで、ひとつ問題があるところについてはそれぞれそういう気持ちで指導してまいりたいと、こう考えておるわけでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 それでは、全共連の問題はまた後ほどいろいろお尋ねすることもあろうかと思います。きょうは時間の関係もありますので、まず第一に林野庁の長官にお尋ねいたします。  北海道森林組合連合会、道森連、これは道内の百六十の森林組合の連合体であるわけです。これが七億円を超える巨額の欠損金を出して、ついに役員が責任をとって退任をしたということを聞いておるのでありますが、総会の議決を経ないで非組合員業者に貸し付けを行う、いわゆる定款違反行為等もあったというようなことも新聞などに報道されておるわけでありますが、林野庁は、この道森連の問題についてよく調査はされていると思います。そこで、これは連合体でありますから、法律上当然農林大臣の監督権のある団体であります。林野庁としてはどういうような指導行政を行ってきたのか。そして、こういう不始末を起こしてからどういうような処置をとられて、この道森連は現在どのような状態になっておるのかということについて、概要だけで結構ですから、ここで報告していただきたいと思います。

須藤徹男林野庁長官

○政府委員(須藤徹男君) お答えいたします。  ただいま先生から御指摘ございましたように、北海道におきまして喜茂別町森林組合及び湧別町森林組合が相次いで経営不振に陥ったことに伴いまして、北海道森林組合連合会の円滑な事業運営が憂慮される事態になったことにつきましては、林野庁としましてもまことに遺憾なことと考えておるのでございます。  北海道庁からの報告によりますと、道森連が喜茂別町、湧別町両森林組合に事業資金として貸し付けている金額は、喜茂別町森林組合に対しましては三億五千四百万円、湧別町森林組合に対しましては一億八千三百万円、合計五億三千七百万円ということになっておりますが、この貸付金については相当額が回収困難というふうに思われておるのでございます。また、道森連には別途に、これら森林組合の経営不振と関連して発生いたしました固定化債権等がございまして、それらを含めました回収不能債権額は約七億から九億というふうに見込まれる状態でございます。  道森連はこのような事態に対処いたしまして、部内に再建特別委員会を設置いたしまして、その再建計画を検討してきたところでございますが、再建問題は、組織、財務、事業の全般にわたって検討を要することから、北海道庁、金融機関及び道森連の実務者によりますプロジェクトチームによりまして、その具体的な作業が進められておったのでございます。特別委員会によります再建計画の素案は、三月一日の理事会におきまして一応了承されたということでございますが、道森連といたしましては、今後これをもとに会員の協力を求める等の措置を講じまして、四月中に開催予定の臨時総会において決定することを予定いたしておるのでございます。  林野庁といたしましては、北海道庁と密接な連絡をとりつつ、直接担当係官も派遣いたしまして、現在の特別委員会でいろいろ御検討をいただいております内容につきましても事情を聴取いたしまして、必要な指導を行っておるのでございますが、先ほど申し上げましたように、臨時総会におきまして再建計画が決定されました暁には、今後とも林野庁として当然指導すべき部面につきましては積極的に指導してまいりたいというふうに考えておるのでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 北海道知事の監督下にあるところの町村の森林組合、喜茂別町の森林組合それから湧別町の森林組合、この二つの組合の問題がいま長官から報告があったわけですが、この森林組合につきましては、従来森林法の中にあったものでありますが、先年、森林法から分離して森林組合法として特別立法された、こういう組合、いわゆる漁業協同組合、農業組合と並立する森林組合というかっこうになったのであります。したがって、こういう単独立法になった組合に対する指導というものにつきましては、今日までの経過もあるわけですから、林野庁としましてはもっとしっかり指導行政を強化していただかなければならないと私は考えておるわけであります。  先年喜茂別の森林組合の問題が大きく出たときに、私は当委員会においてこれを質問いたしました。当時はまだ事件の全貌が解明されておらなかったので、調査したならば報告してくれということを言っておいたはずなんでありますが、今日まで全然御報告がなかったわけでありまして、これは遺憾であります。  この喜茂別の森林組合の問題につきましては、これは町費が流用されておったといったようなこともあり、刑事事件にまで発展いたしまして、町を挙げててんやわんやの混乱を生じたこれは組合であります。それから湧別町の森林組合は、年間の事業量が約三十三億三千万と聞いておる、日本一の組合であると聞いておるわけであります。これがいろんな経理の不始末、あるいは不正と言わないまでも不良貸し付けあるいは売掛金の回収が困難といったようなことでこういうようなことになった。それをひっくるめて道森連があるわけでありますが、したがって、こういう組合の財務の状態が道森連の経理の方にも大きく影響したのだと思いますが、これはやはり大変な問題なんです。もっとしっかりこれ、指導してもらわぬければ困るわけでありますが、一体農協や漁協と同じように、林野庁はいわゆる検査官を派遣して、そういう経理の検査とか業務の検査であるとか、そういうことをなさっておるのかどうか、これをひとつ明らかにしていただきたいと思うわけであります。

須藤徹男林野庁長官

○政府委員(須藤徹男君) ただいま先生から御指摘ございましたように、喜茂別町森林組合につきましては、昨年の五月の二十四日の当委員会におきまして先生から御指摘がございまして、事態の判明次第御報告するようにという御要求がございましたが、実はまだ全面的な解明が済んでおらない実態でございまして、まことに申しわけないと思っております。  ただいまございましたように、一昨年の森林組合法の制定によりまして、監査士制度が設けられまして、それぞれ監査指導を強化するということに相なっておるわけでございますが、たまたまこの喜茂別町森林組合につきましては、昨年の四月の事件発生ということでございまして、まことに遺憾と思っておるわけでございます。  四月の事件発生後、北海道庁が数回にわたります検査、調査を実施したわけでございますが、その負債額は、五十四年の十二月現在におきまして、帳簿上の負債額は五億四千三百万、資産額が九千八百万ということでございまして、差し引き欠損見込み額四億四千五百万。ところが、これ以外に帳簿外の負債がございまして、未決済融通手形が二億九千五百万、借入金が二億三千三百万円、この二億三千三百万の中に喜茂別町よりの借入金一億三千九百万円が含まれておるということでございまして、帳簿外の負債が合わせまして五億二千八百万ということに相なっておるわけでございます。なおこの帳簿外の負債につきましては、現在の組合執行部は、顧問弁護士の指導のもとに否認をしておるという状況にあるわけでございます。  それから組合の再建問題につきましては、現在、道警の捜査が継続中であることから、いまだ具体的には進展していないのでございますが、当面不要資産の処分を進め、一部債権の弁済を行っておりまして、今後は主たる債権者であります道森連に対します債権を長期間たな上げする方向で債権問題に取り組むということにいたしておるのでございます。  なお、この組合はすでに活動を停止しておるわけでございますが、従来喜茂別町森林組合がやっておりました造林その他の事業につきましては、隣接の組合がこれに当たっておるという状況にあるわけでございます。  また、この湧別町森林組合につきましては、五十四年の七月、道庁の常例検査によりまして、固定化債権の存在、架空資産の計上等が判明いたしましたので、道庁はその是正につきまして組合を指導してきたところでございますが、昨年末に至りまして、当組合が不渡り手形を出しまして金融機関の取引停止となりました。組合事業も停止の状態になっておるのでございます。  北海道庁はこの事態を重視いたしまして、当組合の財務内容を精査いたしましたが、その後の組合の調査によりますと、これは二月十六日現在でございますが、負債が十九億四千三百万、資産が四億二百万でございまして、差し引き欠損見込み額が十五億四千一百万であることが判明したのでございます。  このような事態に対処をするため、当面北海道庁は、関連企業の倒産を防止するための倒産関連資金の融資を行ったり、また湧別町は解雇職員に対する生活資金の貸し付けを行っておるのでございます。  当組合の再建問題につきましては、債権者への対応、手形の確認等、未整理の問題が多いことから、当組合としましては、これらの推移を見ながら、金融機関、湧別町、道森連、北海道庁と協議の上対処することにいたしておるのでございます。  なお、債権者への対応につきましては、組合は弁護士の指導のもとに、二月十六日債権者集会を開催いたしましたが、債権者の了承を得ることとならなかったのでございまして、今後は和議法に基づく和議手続により組合の再建を図る方向で準備を進めておるという現状でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 詳細承りましたが、要すれば、いわゆるこれらの問題を起こす森林組合というのは、森林組合の設立されておる、いわゆる森林組合というものは何をなすべきものなのか、一体森林組合というものはだれの組織でだれの利益のために働くものなのかというその原点を忘れておる。これは先ほど大臣がおっしゃっているとおりだと思うのであります。その森林組合も、商売いちずに、要すれば加工、販売、そういう事業に走って、本来的に本当にりっぱな山をつくっていくんだ、山づくりをするのが森林組合のこれは目的なんだというその目的、精神、原点、これを忘れたところにそういうような問題が起きる私は根源があると思うわけです。  ですから、そういう意味において、やはりその組合の衝に当たっておるそういう幹部に対して、しっかりした指導をやってもらいたいということを強く私は要望しておきます。  次に水産庁の長官にお尋ねしますが、これは北海道漁業協同組合連合会、道漁連の問題でございますが、これは大変な問題になっておるわけでございます。私もこの問題をいろいろな方々に会って調査をいたしました。いろいろ御意見を聞きました。幾ら聞いても私は理解ができないのであります。端的に言って、実物があって——いわゆる魚転がしということがよく言われましたが、これは実物があるので、それを転がしてだんだんもうけを積み上げていくわけでありますが、これは物がないんですね、空売り、つまり空気を買って空気を売っているようなものです。そんなようなことがどうしてできるのか。しかも、これはいわゆる道漁連の北海道営業本部の一課長の単独の犯行である、行為であると、こう言われておるんです。一人でそんなことができるものかどうか。しかも、七年も八年も前からやっていることがわからなかった、こういうことは、どう考えても私の常識ではこれは理解できないわけであります。  そこで、水産庁はその問題を究明するために検査員を派遣していろいろ検査をしたと思うのでありますが、この事件の真相というものが究明されたかどうか、解明されたのかどうか。これをお聞きしたいんです。  この道漁連に対しましては、これは日本一の大きな組合連合会ですから、御案内のように、北海道の水産の生産というものは全国の二五%を占めておる。こういうところにある漁連、漁業協同組合だけでも百六十七ですか、これらの連合会です。ですから、取り扱っているその額も非常に大きい、巨大な額を取り扱っておる。そこで、これの経理監査には中金からは常務理事が一人行っているわけです。それから水産庁からも、もちろん水産庁はおやめになっておりますが、道漁連には常任監事ということで一人が行っているわけです。こうして経理の正確を期していろいろやっていると思うのですが、こういう環境の中でどうしてこんなことができたのか。これがわからない。  そこで、長官、ひとつ水産庁が調べた、調査したそのことについて、いわゆる真相はこうなんだということをここで解明していただきたいと思うんです。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 今回の道漁連の事件はまことに重大な問題でございまして、私たちも、かかる事件が起きましたことをまことに遺憾に存じておるわけでございます。事件が起きまして以来、道漁連は道漁連としていろいろ調査をいたしましたし、また、浜の代表でいわゆる十人委員会という委員会をつくりまして真相の究明に当たり、また水産庁としましても、今年一月以降鋭意調査及び検査をいたしておるところでございますが、まさに先生御指摘のように、こういう事件が一人の担当者によって起こされたということはまことに常識では考えられないということは御指摘のとおりでございます。  現在までの事件の概要といたしましては、昭和四十七、八年ごろに、営業本部の担当職員が、ニシンの共販の際に、販売先に対しまして相場が下落した場合には損失を補てんするということを約束をいたしまして、その後相場が下がった際に損失分を相手業者から架空物を仕入れたことにして補てんしたということを発端にいたしまして、その補てんと同時にその架空物を他の業者に転売をいたしまして、手形を受け取ることによって、空売買をカムフラージュしたと。さらに、その架空物を数業者にわたって転売さした後に買い戻すということを繰り返したわけでございますが、その間に介在をいたしました業者は、手数料上乗せをいたしまして転がしていきましたために、手数料は複利的に増大をいたしまして、約百三十億に達したということでございます。  この事件が七年間にわたって発覚しなかったのはなぜだということでございますが、空取引が数多くの通常取引と同じ手続あるいはまた同じ態様で行われておったということ、それから、空取引が、売り先を見つけてから仕入れるという売りつなぎ買い取り方式をとっておりましたために、在庫が生じていなかった。それから、代金決済が空売りの買い戻しの時点で確実に道漁連から行われていたために、取引上のトラブルが生じなかったということが理由ではないかと思われますが、いずれにしましても、この取引は非常に巧妙にといいますか、巧みに仕組まれていたことが事件の発覚をもたらさなかったということではないかと思います。  私どもは、この事件の真相につきまして、鋭意調査、解明をいたしておるところでございますが、問題は二つございまして、一つは、道漁連の内部においてそういう一担当者が膨大な空取引を行っていたことを知らなかったということは、いかにもこれは常識的ではないわけでございまして、上司は一体何をしておったのかという疑問でございます。第二の点は、そういう空取引の相手方が事情を知っておったかどうかということ、あるいは、場合によっては共謀をしておったのではないかという問題でございます。  第一の点は、これは基本的には、私は道漁連管理者の責任感の欠如であり、執行体制の不備であり、人事管理の不徹底であり、現物、金、書類の三者のチェックの内部牽制がなっていなかったということが問題であろうと思います。  第二点の、関係者はどの程度事情を知っておったのか、あるいは道漁連という、それを信用して、全く通常の取引だと思ってやったのかという問題でございますが、これはなかなか究明がむずかしゅうございまして、相手方の協力を得なければそういうことは明確にできないわけでございます。同時にまた、相手方がそれを認めるということは共犯であったということを認めたことにもなるわけでございますから、相手方がなかなかそれを認めるということはないわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、本事件の問題の解明はきわめて困難な状況にあるわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、できる限りの手段、方法を通じまして、この事件の解明をいたす所存でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 ただいまの長官の御答弁を聞いて、はなはだ不満であります、端的に言って。あなたはいま、この事件が起きた問題点として二点挙げられた。第一点は、内部でわからなかったということ。第二点は、その関係者が共謀したかどうか、こういったようなことがわからなかったと。なかなか解明がむずかしい、困難である、こういうことなんだ。一体、水産業協同組合法、いわゆる水協法に明示されておる農林水産大臣の責任というものは、どうお考えになられているんですか。法律に明らかに、いわゆる主務大臣はこの連合会に対しては年一回の検査を行うということが義務づけられておるはずですよ。いわゆる監督権は農林水産大臣にあるわけですね。水産庁に責任があるわけでしょう。水産庁の責任は一言もお述べにならないで、これじゃおかしいと思うんです。  だから、先ほど私が申し上げましたように、これに対しましてはいわゆるメーンバンクである中金からも役員が行っておると。水産庁からも、これはおやめになった方ですが、常任の監事が出ておる。これはやはり、水産庁に責任があるから、そういうような処置もなされてはおるんでしょう。年一回の検査を法律どおり実行されたかどうか。検査というものは、ただ帳面だけ検査して済んでおるのかどうか。すべての商業簿なんかにおきましては、必ずその決算のときには在庫というものがきちっと明示されるわけでしょう。たな卸しというものをやるわけですね。ところが、倉庫には何もないわけですから、これは空気だけなんですから、それがちゃんと帳面の上にはあることになっておるわけだから、七年でも八年でも続いておるのだ。これが検査できないとわからなかったというのはこれはどういうわけなんですか。まあいろいろな事情があるでしょう。だから水産庁も責任があるでしょう。農林水産大臣にも責任があるでしょう。だから、責任者の農林水産大臣の発言を一番先に私は求めておる、これを明確にしていただきたい。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 漁業の協同組合が真に漁業者のために機能をするということの、そういう使命を果たすように指導監督をいたすことは私たちの務めでございまして、また、御指摘のように、検査を通じましてその業務が適正に行われておるかどうかということをチェックをし、誤っておる点はこれを正すべく指導をすることは私どもの責任でございます。  北海道漁連につきましても、昨年十一月に検査をいたしたわけでございますが、その際の検査におきまして、空売りの実態を明らかにできなかったということは、まことに私たちとしても残念に思っておるところでございます。そのときに、通常、検査の場合におきましては帳簿と現金の出納というのはチェックをするわけでございますが、それと同時に、在庫のチェックということはいままでいたしておりませんで、そういう関係から、御指摘のような空気の売買ということの実態を把握するに至らなかったわけでございますが、そういう検査のやり方そのものの問題につきましては私たちも十分認識をいたしておるわけでございまして、全体的な在庫を調査するということ、これはもうなかなか大変でございますが、抜き打ち的にある一定時点の在庫というものを、帳簿と現金と在庫という一連のものとしてとらえるような検査のやり方ということにつきましてはそういう方向で改善をいたしたいと思っておるわけでございます。  年一回の常例検査ということをしなければならないと水協法には決めてございますが、検査対象が非常に多うございまして、現実問題としては二年に一回というふうな形になっておるわけでございますが、そういう検査体制の整備につきましても今後十分留意をしてまいりたいと考えておる次第でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 いままで七年間、八年間の間に、一回でも、二回でも、抜き打ち的で結構です、在庫検査をしておったら、こんなものははっきりわかったわけですね。やっていないから、その間長い間ごまかしがきいておったという、結論的に言えばそういうことになるんでしょう。だとすれば、やっぱり水産庁の責任というものはあるということは認めてもらわなければいけない。そういう責任感の上に立って今後はどうするか、こういう間違いが絶対に起きないようにどういうような行政を行っていくかというものが出てくる、当然ね。それを認められなければ問題でないわけですから、これははっきり申し上げておきます。  それで、聞くところによれば、検査対象が百何十もあって、そして、それを検査する検査員が八名だかしかいないというようなことを聞いておるのですが、それじゃ問題にならないと思うのですが、長官、検査対象が幾つあって、そしていま検査員というのは何人いるのか、これ端的に言ってください。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 水産庁の行います常例検査の検査対象は百十九ございます。検査員は現在八人でございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 大臣、これじゃとてもじゃないけれども、いかに検査官が超人的なスタミナのある人であったってできっこないわけですね。法律には年一回と義務づけておるが、年一回なんかできるはずがないですね。この点はひとつ大臣、善処していただきたいと思います。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 確かに今度の問題を見て、いま長官からも御答弁を申し上げましたけれども、金の動きと帳簿の動きだけを見て検査をしておったわけでございます。これがもし物の動きまで見てやっておれば、こういう問題は早く発見できたわけでございまして、その点はいまのお話で、百十九の調査対象の組合があり、それをわずか八人、その八人もたしか去年から、五十四年度で八人になったんじゃないかと思うのでございますけれども、その前は七人でございます。そういう点では確かに検査体制が十分でないという点は私ども反省をいたしまして、今後やはり検査体制を充実していくということもひとつ考えていかなきゃならない。あわせてそういう体制をつくることによって、物の動きも今後はチェックするような考え方で検査をしていかなきゃならない。特にもう一つは、やはり先ほど来議論は出ておりませんけれども、私はやはり員外利用のあり方というものについても、十分もう少し考え方をしっかりしていかないといけないのではなかろうか。そういうような点をひとつ重点に置いて、今後検査体制を充実をしてまいりたい。そして、こういうことが二度と起きないようにしっかりやっていきたいと、こう考えておるわけでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 私たちの常識でわからないことは、東京営業本部の課長一人でやったということがまずわからないのですが、これはいろいろな機関が入って今日まで精力的に調査を続けてきているはずです。道漁連の内部におきましても、あるいは非常勤理事の代表者であるとか、あるいは浜の代表者であるとか、当然ながら水産庁、そして中金、そして警察も入っておると、こういうことも聞いておる。しかし、その真相は何なのかということがいまだに解明されておらないと。これでは、これから漁連をどう持っていくかと言ったところで、一体漁民が納得しないわけですよ。漁民が納得しないところに今後の漁連の進み方というものも決定しないわけですね。漁民を納得させる第一点は、何といいましても、この事件の真相というものが究明されなければ何が何やらわからないと、そして、ただそこに二百億の不良負債をしょってしまったと、これでは浜の漁民は納得しない。浜の漁民には何にも関係のない空売りであり、そしてまた、この北商の倒産によるかずのこの商売の欠損であるということなんですから、ですから、これはこれ以上に解明できないのかどうか。警察も入っておるというのだが、まだわからない。一体これわからないのですでは、これはとても漁連の今後の方向を決める上において大きな支障になるわけですね。  今日まで、たとえば報道機関はずいぶんこれを調査して毎日のように報道されておりますが、よくこれまで調べていただいておると、私は報道機関に携わっておる方々に敬意を表し、感謝をしておるわけですが、警察まで入っておって、いま報道されている以外にわからないものなのか。わからないではこれは済まないわけですね。これをどうするのか、これは大臣ひとつお答えいただきたいんですね。これでもうこの事件は幕が引かされるのか。後は道漁連は、いわゆる再建するかやめるか、これはもちろん浜の漁民の自主的な判断によって決めることでありますけれども、あくまでも漁民の総意によってこれは決まっていくわけでありますが、仮に再建に向けて進むとしても、この点が一番大事な問題だと思うんですが、これはいかがですか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) これは当然のことでございまして、漁民の皆様方の信頼を回復するためにも、やはり真相がはっきりしてこないと、なかなか、いまのお話で、自分たちに無関係のことでおれたちの組合はつぶれてしまうじゃないかと、こういうことになるわけでございますので、その点については今後とも徹底的に究明を図っていきたいと考えておるわけでございます。  ただ、どうもいずれにしても膨大ないろいろ検査をしておる量のようでございますので、正直、私自身ももっと早く何とか解明できないのかと、こういうことを言っておるのでございますが、現実にはなかなか大変な量のようでございまして、少し時間がかかっておるということではなかろうかと。決してこれでもう幕引きにしようというような気持ちは毛頭持っておりません。その点は御理解をいただきたいと思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 共謀者の問題でございますけれども、私は、その課長と一緒になってやった者が漁連の内部にいるかいないか、これはわかりませんけれども、外部に必ずあると思う。それは何かというと倉庫業者です。まあ新聞報道によれば、東京水産冷蔵株式会社というのが出ておるわけです。これは一社なのか、これ以外にないのか。とにかく倉庫業が共謀しなければそんな空売りなんというものはできるわけがないわけですからね。  そこで、この倉庫の方は、これは倉庫法によって規制があるわけで、この問題は当然運輸省の方でこれは調査されておると思うので、運輸省の係の方から、簡単でいいですから、説明していただきたい。

後出豊運輸省港湾局倉庫課長

○説明員(後出豊君) 御指摘の問題につきましては、運輸省におきまして、倉庫業法に基づきまして鋭意調査中でございます。  現在までの調査によりますと、東京水産冷蔵株式会社の豊海工場におきまして、同社の職員三名が道漁連の職員の依頼によりまして、道漁連の水産物の取引に関連いたしまして、電話による在庫の照会に対して虚偽の回答を行う、あるいは虚偽の在庫証明書を発行し、あるいは道漁連あてに虚偽の入庫報告書を発行したという事実があったとの一応の調査結果を得ております。

川村清一日本社会党

○川村清一君 倉庫課長にお尋ねしますが、そういう事例はいままでもあるわけですか。私どもは、在庫があるかどうかということを、取引する場合には当然、結局冷蔵庫にその品物があるかどうかということを確めて取引するわけですね。そのときに、在庫証明であるとか、あるいは名義変更の書類であるとか、そういうものを必要としない。ただ単に電話ぐらいで、あるかどうかといったようなことを聞いて、それで、あるということを確認して商取引をするといったようなことが、それはできるものなんですか。

後出豊運輸省港湾局倉庫課長

○説明員(後出豊君) 場合によりますが、通常の取引におきまして、電話によりまして荷主が倉庫会社に在庫の有無を照会すると、冷蔵倉庫会社側においてそれに対して回答するということによって取引が成立するというようなこともあるようでございます。また、その場合におきまして、倉庫会社側が、いわゆる本件のような虚偽の回答をするというようなことにつきましては、倉庫業の適正な運営としてはあってはならないことだというふうに考えております。

川村清一日本社会党

○川村清一君 そうしますと、今回の場合は虚偽の回答があったのですね。それで虚偽の回答をしたそういう者については、しかるべき措置がとられたと、こういうふうになっておるわけですか。

後出豊運輸省港湾局倉庫課長

○説明員(後出豊君) 先ほど申し上げましたとおり、現在運輸省におきましては調査中ということでございまして、今後必要な補完的な調査を行う、あるいはいまお話にありましたように、全般的な調査というものが進行中でございますから、そのような情勢の推移に応じまして、私どもとしても調査を追加するというようなことにしてまいりたいと思います。で、同社に対しまして調査が終了したと認められる段階におきまして、しかるべき処置を講じたいというふうに考えております。

川村清一日本社会党

○川村清一君 それからこの架空取引に関係したところの業者が二十八社とか三十社とか言われておるんですが、この中に、築地市場のいわゆる会社としての四つの大手会社ですね、中央魚類、東都水産、大都魚類、築地魚市場、こういうものが含まれておるということも報道されておるんですが、これが事実かどうか。これは水産庁を通して調べられたと思いますから、ひとつその報告をしていただきたいことと、それからその二十八社なり三十社なり、くるくる空売りでこう回っているわけですが、そのときに、それの関係した会社は全部品物を扱わないわけですから、ただ帳簿だけで、帳簿だけだけれども、そこで何%かの利益を皆取っているわけですから、何にもやらないで関係業者は皆これはもうけていっている。これは確実ですね。そうすると、会社のその架空の取引の中でもうけたその関係会社の利益というものは、これはどういうことになるんですか。

森実孝郎農林水産省食品流通局長

○政府委員(森実孝郎君) ただいま御指摘を受けました築地の四社につきましては、現在卸売市場法の規定に基づいて、法令に基づく検査を実施しているところでございます。帳票書類も相当膨大でございますし、数社にまたがっておりますために、検査はなお相当の時日を要すると思いますが、検査の結果を待って、私ども最終的な判断をしたいと思っております。  そこで検査に入ります前に、私ども実は昨年の暮れ以来事情聴取を行っております。これ以外に東京都も必要な検査を実施しております。こういった点を総合してみますと、現時点までの状況では、たとえば受け渡しの法的手続を了している、それから第三者売却の許可を受けているという卸売市場法に違反するというふうなケースの問題ではないと思います。ただ、先生やはり冒頭御指摘のように、冷凍水産物につきましては、市況商品でございますし、それからかなり長期の保管にたえる商品でございますので、仲間うちで頻繁にこの種の取引が行われていることは否みがたいと思いますけれども、卸売市場の卸売人を介在いたしましてこういう取引が行われるということは、本来の卸売業務の正常な運営にも悪影響を来すということも考えられますので、卸売市場の業務全体の問題として今後どう持っていくかということは、調査の結果を待ちながらしかるべき行政判断をしたいと思っております。  そこで問題は、最後に御指摘がございました手数料の収入をどう考えるかという問題でございます。これは一応、当事者間において、民法的に見て売買が有効に成立しているかどうかということが法律判断としては基本になるだろうと思います。いままで状況を聴取したところでは、道漁連に売り先についての希望を伝えられて売買に参加しておりますけれども、道漁連の荷主としての圧倒的な地位なり取引信用から見て、まさに空売買とは思っていないで売買に参加しているようでございますし、先ほど申し上げましたように、一般の商慣習、それからもう一つは法的手続との関係から、一応売買としては有効に成立しているのではなかろうかというふうに判断しておりますが、こういった点もなお十分に検査の結果をもって判断さしていただきたいと思います。

川村清一日本社会党

○川村清一君 いままで数点お尋ねしましたが、農林水産省の方も運輸省の方も、みんな調査中、調査中でございまして、こうだというような御返答がないわけです。調査中、調査中でいつまでも調査をやっておると、そのうちに一体漁連はどうなるのかと、この点まで考えてもらわなければ、もう漁連はすっかり信用を失墜いたしまして、もう相手にしない。どの会社も、漁連に魚を売ったら、とてもあんな危ない会社からはもうキャッシュでなければ、現金でなければ取引できないと、手形はお断りだといったようなことになってまいりまして、漁連の本来の機能を発揮できなくなった場合に、これは浜にどういう影響を及ぼしますか。いわゆるこれは浜、北海道で言えばコンブであるとかホタテガイであるとかは漁連が取り扱っておりますが、これは一体もう買ってくれない。いままで買っておった、取引しておった会社も、そんな危ない漁連とはもう一切取引はやめたなんといったようなことになれば、これはどういうことになるんですか。これらのことを私は心配しているわけですがね。  ですから、これはもう精力的にやって早く事件の真相を解明していただきたい。そしてそれをこの委員会にやっぱり報告していただきたい。きょうはずいぶんだっているんですよ。何を聞いたって調査中だ、調査中だじゃ、これは話にならないわけですから、これは早急にやって、そしてその真相の態様をこの委員会に報告をしていただくということを、大臣、お約束できますか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほどもお答えをいたしましたように、何にしても大変な、どうも長い間やっていたことをいま調査をして分析をして分析と申しますか、その辺の関係をしっかりしなければいけないということでやっておるわけでございまして、相当の量のようでございますので、私ども決して怠けているわけではございませんけれども、物理的にもやはり限度があるわけでございますので、今後とも精力的によく調査をいたしまして、いずれにいたしましても、調査の結果がはっきりいたしましたときには委員会に報告をさしていただきます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 重大な問題をひとつお尋ねしますが、これはいま私が初めて言うことではなくて、先般小笠原委員がここで質疑されました問題ですが、道漁連は韓国の馬山に一部一〇%出資している北菱という会社があることは私も承知しておるわけです。その会社ができた経緯から私は承知しておりますが、しかし、その北菱が持ち船を持って、その持ち船がいま北海道でもう数年前から大問題になり、私もこの委員会において、一九七七年、二百海里時代に入りましてから歴代の農林水産大臣にすごく訴えてきた韓国船の無謀操業、この無謀操業の船団の中に入り込んでそういう漁労をやっておったということ、さらにはその無謀船団がそういうような操業をやって揚げたところの漁獲物、これはスケソウが主なんですが、これを韓国の北菱の加工工場において加工して、その製品を道漁連が取り扱っておったといったようなことが報道されておるわけです。これがもし事実とするならば、これはもう大変なことであって、もう浜の漁民は、おれたちはだまされたと言って心からもう怒っております。私自身も本当にだまされたなと思って怒りにたえないわけですが、これは一体重大な問題なんで、漁連の会長はそういうことは絶対にないということを現地で言明されておりますが、水産庁として調査されたかどうか、そういう事実があったかどうか、これを簡単でいいですから、明確にお答え願いたい。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 私どもが道漁連その他を通じまして調べましたところ、道漁連が出資をしております御指摘の韓国の会社であります北菱の持ち船が北海道周辺海域で操業しているという事実はございません。また北菱はスケトウダラの加工会社でございまして、その加工原料でありますスケトウダラがどの海域で漁獲された物を北菱が買っておるかということは、道漁連においても調査をいたしましたけれどもまだ明らかではございません。また、北菱が加工した製品が、これはフィッシュブロックでございますが、これは外国、アメリカ向けでございまして、これを北海道漁連が購入しておるということはございません。

川村清一日本社会党

○川村清一君 そうすると、そういうことはないということですか。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) ただいま申し上げましたように、道漁連が出資をしています韓国会社の北菱の持ち船が北海道周辺海域で操業しているということはございません。ただ、その北菱への出資者であります会社の、これは出資者のうちの一つでございますが、東遠産業というのが、これは北菱の株主でございますが、この会社の持っておる船が北海道沖に来ておるということはございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 製品の取り扱いもしていないんですね。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) それはございません。

川村清一日本社会党

○川村清一君 そういうことがあったらこれは大変なことであって、もうこれは漁民——道漁連がもしそんなことをやっておったとしたならば、漁民を裏切ることはなはだしいものであって、一体漁連というものはだれの組織だか、これはもう本当にあきれるばかりでありますから、まあないと私も信じておりますが、ひとつこの点はもっと徹底的に、単に漁連から聞いたなどということだけじゃなくて、もっと徹底的に私は調べてもらいたいということを要求しておきます。  それから、今後の問題もありますのでお尋ねしますが、漁連の商売ですが、昭和五十一年が取扱高の総計が三千五百億でございましたが、昭和五十二年になると一遍にこれが上がりまして四千八百五十九億というふうに上がったんですね。これは、五十二年という年は例の二百海里に入った時代で、いわゆる魚転がしだとか魚の価格の高騰とかといったようなことで、これに乗ったんだと思います。そして、五十三年は四千百億と若干減りましたが、そこで私は大臣にお尋ねしておきたいことは、これはいま言ったのは取り扱いの総額ですが、漁連のいわゆる傘下の浜の生産漁民の生産したものを漁連が取り扱って、そして漁連の持つ販売網にこれを流通して、そしていわゆる商売をやる。漁連自体の組合員の生産物を取り扱ってのこれは商売になる。これが五十一年のときには大体六〇%ぐらい。それから員外漁業、いわゆるいま言ったようなことではなくして、魚を買って売るというこの商売ですね、中には外国から輸入して買ったり売ったりといったようなこと、いわゆる漁連の組合員以外のものを取り扱っているのが員外漁業ですが、この員外漁業率が五十一年が三六%、五十二年になったら四一%になり、五十三年になったら四四%、いわゆる水協法では半分というふうに、二分の一ということになっているのですが、二分の一に近い四四%まで員外漁業の取り扱いがあったと、この事実を一体大臣はどういうふうに把握されるか。これは今後の漁連のあり方に大きな示唆を与えるものでございますので、これについての大臣の考え方をひとつ明らかにしていただきたい。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 御承知のように、水協法は五〇%となっておりますが、農協法の方は二〇%でございまして、これはやっぱり魚の特殊の事情でそういうことを認められておると私は思っておりますけれども、しかしそれはあくまで限度でございまして、それだけいっぱいやるのが当然であるということでは私はないと思うのでございます。やはり組合の漁民のものを扱うというのが原則でございまして、私はそういう点において、何か商売となればどこのものを扱ってもいいという考え方で員外漁業に走るということは決して好ましいことではないと、こう考えておるわけでございます。今後そういう点も、先ほども申し上げましたが、今後のあり方としては、そういう員外漁業のあり方というものも含めてひとつ検討したいと私は考えておるわけでございます。

川村清一日本社会党

○川村清一君 もう時間がございませんのでまとめたいと思うのですが、いま漁連では、役員の方々が会長を先頭にして一生懸命浜回りをして、そして漁民に対して申しわけなかったと言って謝罪をし、さらに再建の方向に向けて協力をお願いしたいということで回っておりますが、まあ大勢としては、漁民の理解を得て再建の方向に向かっていくのではないかと私も考えております。再建の方向に向かったとしましても、私はこれは容易なことではないと思うんですね、二百億の漁業債務を負ってこれを再建するということは。そこで、再建へ向けてこれは水産庁としてはどういうような協力をしてくれるのかということが大きな問題になりますね。やはり金融機関としてはもちろんメーンバンクの中金、あるいは同じ系統の道信連、漁信連ですね、こういう機関の全面的な協力を得なければとうていできるものではないのでありますが、それらに向けて、農林水産省としてはどういうような指導をしてもらえるのか、協力してあげることができるのか、この辺をひとつお答えをいただきたいと私は思うわけです。  そしてもう一点は、このような不祥事が再度起きては大変ですね。そこで、いわゆる漁連が水協法第一条の目的にかなった、その目的を達成する、そういう機能を十分に発揮できる、間違った方向にいかない、そういう漁連の体質改善をすることが最大の問題だと思うわけです。あくまでも協同運動の原点を忘れないで、漁民組織である協同組合組合員である生産漁民の利益を守ることを第一義にすることを忘れない、そういう体質をつくることが大事ではないかと思うんです。私は端的に言いますと、この問題は東京本部で——東京本部、この大都会の東京本部、しかもそれは築地にあるわけです。毎日毎日会っている人たち、仕事をしている環境、その環境そのものが、まさにこれはもう何といいますか、浜に無縁なものなんです。北海道の浜で魚をとって苦労している漁民の感情、気持ちなんというものをわからない、漁民から乖離した、無縁の一つの環境の中で仕事をしているうちに全く漁民離れをしてしまった、そういうことがこれらの問題を起こした大きな原因ではないかと。たとえば、全国共済組合連合会がああいう問題を起こしたとしても、これは東京にあるわけです。保険事業をやっておる、大きな保険会社で働いている人と同じような感情になってしまう、感覚になってしまう。それで農民から離れちゃう、農民の気持ちを忘れてしまう。そういうことがこれらの問題を起こす大きな原因になると私は思うわけです。この点を、原点を忘れない、いわゆる商社化しない漁業協同組合であるという、そのことを忘れないようにしっかりした指導をし、その上に立って再建策を立てていかなければならないと思うわけであります。  もう一つ大事なことを申し上げますが、いわゆる漁連もこれだけ大きな組織になりましたから、働く人たちがもう五百何十人もいるわけですね。その中のいわゆる管理職の立場にある人にもちろん責任があるわけです。しかし、下で働いている人たちには何も責任もないわけであります。ただ上司に言われて仕事をやっているだけの話であって、この不祥事には何も責任がないわけです。ところが、再建策を立てて再建をするために、こういう人たちのあるいは生活権を奪うというようなことになったら、これまた大変なことですから、こういう点を十分考えて再建へ向けての指導をやっていただきたいということが私の最後の質問であり要請でもあるわけであります。  これに対して大臣のお答えをいただいて、時間が参りましたので、これで質問を終わりたいと思います。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) やはり基本的には、この水協法の目的にかなったような形になければならないのは当然だと思います。そういう点においては、あくまで漁民、その組合員に奉仕をするのであって、法律にも書いてあるように、営利を目的とした事業は行ってはならないと、こう書いてあるわけでございまして、その点が少し、私は今回の事件を見ておりますと、何かその法律を逸脱をするというか、法律の気持ちを忘れた行為があったのではなかろうかと思うのでございます。  で、やっぱりこれから再建をしていくということは、私どももこの道漁連が北海道の漁民の生活を守り、その社会的地位を高めていくという点においては必要な組織であると、こう考えておるわけでございまして、できる限り再建については協力体制をとらなきゃならないと考えております。しかし、一番大切なことは、やはりその漁民の皆様方が、自分たちはもちろん関係なかったということではございますけれども、自分たちの組合でございますので、やはり自分たちの組合をひとつ再建しよう、こういう気持ちをお持ちいただくことも大変大切かと思いますし、そして、そういう漁民の気持ちをしっかりつかんだ執行部の体制といいますか、幹部の方々はそういう人になっていただかなきゃならないんではなかろうかと、こう思いますし、また、先ほどの話ではございますが、東京本部というものが現実には員外利用が約九割ぐらいであるというようなこの状況というものも、私はやっぱり反省しなきゃならないのではなかろうか。東京本部のあり方についても、やはり再検討をしてもらわなきゃならないと思います。  いずれにいたしましても、私どもでできるのは、農林中金などとよく話し合いをしながら、資金的にできるだけ農林中金に応援をさせるようにし向けていくことは当然かと思いますが、私どものそういう方向と、それから漁民の熱意と、それからしっかりした指導体制ができ上がると、こういう形において再建を考えていかなきゃならないんではなかろうかと。  それに関連して職員の問題にもお触れになりましたけれども、まあそういう失業というようなことのないよう、起きないような形で再建策が考えられることが一番望ましいものであるということは私どもも考えておるわけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 私は養蚕問題にしぼって質問いたします。  本日、繭糸価格の引き上げと蚕糸振興政策確立のための全国の生産者大会が九段会館で盛大に開催されております。  養蚕はわが国の伝統的な産業であり、かつて生糸は輸出産業の花形であったわけであります。しかし、最近では繭生産の減退や、生糸、繭価格の低迷、あるいは輸入の増加等によって、養蚕を取り巻く情勢は、内外ともに大変厳しいものがあるわけであります。しかし、八〇年代の農政を展望する中において、また米の大幅な生産調整とも関連をさして、蚕糸業はもっともっと発展をさせなければならない、このように私は思うわけであります。蚕糸業を発展をさせるためには生産者の意欲を高めることが必要である。しかし、繭の値段が安くて再生産を償わないようなことであっては生産者の意欲は高まってまいりません。  そこで伺いますけれども、昨年は実勢糸価が大変低迷して、基準糸価の一万四千四百円を割る寸前まで落ち込み、このために平均繭値も前年対比二・八%に低落するという、こういう厳しい情勢であったわけでありますけれども、糸価低迷の最大の原因は何であるというようにお考えになりますか。

二瓶博農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(二瓶博君) ただいま先生からお話ございましたように、五十三年度におきましては、生産、流通、各段階におきます在庫投資等によります大きな仮需要によりまして生糸の消費は大幅に伸びまして、蚕糸繭業界が比較的好況に恵まれた年であったわけでございます。  ところが、五十四年度に入りまして大分さま変わりをいたしております。その要因は何かというお尋ねでございますが、五十四年度につきましては、絹織物の末端消費の伸び悩み、これが大きな要因であろうかと思いますが、これに加えまして、前年度在庫の食いつぶし等によりまして生糸消費が減少をいたしたわけでございます。  さらにまた、絹織物の在庫増その他京都室町の織物卸商等の信用不安、金利高騰によります先行き不安等によりまして糸価が低迷したのではないかと、かように見ておるわけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 昨年糸価が大変に低迷したということは、消費の伸びが悪かったということ、それから在庫が非常に多くなったということ、業界の信用不安、この三つを挙げられたわけであります。  そこで、私はその中で以下お伺いしてまいりますけれども、在庫が多くなったということは、私に言わせればこれは輸入が多過ぎるということなんです。五十四年度の生糸の国内生産量は二十六万五千八百二十九俵で、これはほぼ前年並みですね。これに対して総需要の方は二十九万九千七百二十四俵、前年と比べて八五%に落ちているわけであります。単純計算でいけば、この需要と生産との差、約三万四千俵くらいですけれども、これだけ輸入をしておれば需給の均衡は保たれる、こういうことになるわけでありますけれども、しかし、実際にはこの倍近い生糸を輸入している。さらに、いまお話があったように、従来からの在庫が加わって、十二月の末の在庫は実に蚕糸事業団、一般を合わせまして十万二千百六十一俵、特に事業団の在庫は前年に比べて二八五%も伸びているんです。需要が減少したのであるからそれに見合う輸入をするのが当然である。輸入がそのままでありますから、在庫がふえるのはこれは当然なんです。  そこで、この輸入について一元輸入の措置をとっているのでありますけれども、この貿易協議において、国内の需給がこういう状態であるので、これを厳正に考慮してその数量を削減すべきであった。さらには、二国間の協定、中国、韓国、協定以外の国からも輸入されておるんですけれども、これらについてはもっと積極的にこれを減らすという、そういう措置をとるべきであった。これらの対策について手落ちはなかったのかどうか。同時に、今後においては事業団保有の在庫がなくなるまで生糸の輸入は停止すべきである。私はそのように主張しますが、どうですか。

二瓶博農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(二瓶博君) ただいまお話ございましたように、生糸なり絹製品につきましては、秩序ある輸入を行っていくということが必要であろうと考えます。  そこで、まず、二国間の取り決めの関係でございますけれども、五十四年度の生糸、絹製品の二国間の取り決めにつきましては、それぞれ韓国及び中国と交渉をいたしまして、五十三年度前年に比べますと約一割方の削減をいたして取り決めを結ぶということにいたしたわけでございます。その他、絹糸なり絹製品等についての輸入調整措置、これにつきましては通商産業省の方で所管してやっておられるわけですが、こちらの面につきましても、こういう輸入調整措置の強化をやっていただいておるわけでございます。  なお、中国、韓国という二国間取り決めをやっていきます以外の国、これからの輸入量につきましても、極力削減ということを考えております。これらにつきましては、大体輸入量も全体から見ると一割弱というシェアでございますので、特に問題はないと、かように考えておるわけでございます。  そういう面では、五十四年度につきましては、この秩序ある輸入というのを図るために相当努力したつもりでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 局長、局長の答弁を聞いておっても、きわめて楽観的な見方ですね。二国間の協定の輸入については一割程度減らした。あるいはその他の国についても、それほど心配した輸入ではないと言う。しかし、需要は二五%減少しておるんですよ。需要が二五%減少して、国内の生産は前年並みだとするならば、もっとやっぱり二国間協定においても、これは強力に話をして輸入を削減すべきである。この点についてもう一回質問すると同時に、先ほど私が質問したもう一点の問題は、今後においては、事業団の保有する輸入生糸がなくなるまで、二国間協定であっても輸入はもっと減らすべきである、停止をすべきである。その点についてはどうですか。

二瓶博農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(二瓶博君) 五十五年度の二国間取り決め、これはこれからの問題でございますけれども、この取り決めに当たりましては、きわめて糸価も低迷しておる、在庫も多いという、そういうわが国の需給事情を十分勘案しながら、相手国の理解と協力を得まして、双方にとりまして受諾可能なものとなるように、最大限の努力をいたしたいというふうに考えております。  それから、先ほど答弁が落ちまして申しわけございませんが、事業団の在庫が非常に多い、こういう在庫がなくなるまで輸入を停止したらどうか、とめたらどうかというお尋ねでございます。生糸は、先生御案内のとおり、三十七年に自由化をいたしておるわけでございます。貿易の自由化をいたしておるわけでございます。そういう貿易の自由化をいたしておる中にありまして、四十九年の八月から一元輸入という制度を実行いたしておるわけでございます。しかし、これも一元輸入ということでございまして、一元輸入禁止ではないわけでございます。一つの秩序ある輸入を図っていきたいという観点から、一元輸入ということをやっておるわけでございます。したがいまして、この一元輸入の運用に当たりまして、事業団在庫がなくなるまで輸入を停止するというような一方的な措置をわが国の側からとれるかということになりますれば、これは従来の経緯、国際的な情勢、そういう問題からいたしまして、そういう措置はとれないと考えるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げました二国間取り決めという面で、極力相手の方にわが国の事情も御納得いただいて、受諾可能な線で妥結をしたい、こういう心がけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 どうも局長の答弁を聞いておりましても、五十四年度の輸入が多かった、結果から見てですよ、二国間協定であっても。そのことについての見解なり反省が一言も述べられておりませんが、それはどうなんですか。

二瓶博農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(二瓶博君) ただいま申し上げましたように、生糸につきましては、貿易の自由化を行っておるわけでございます。したがいまして、IQ品目のように、輸入をどのくらいの枠を出すというような性格のものでないわけでございます。ただ、秩序ある輸入ということをやりますために、四十九年の八月から、日本蚕糸事業団による一元輸入措置ということをとりまして、それによって秩序ある輸入をやっていきたいということでございます。したがいまして、相手の国の方といたしましては、当然これは一元輸入であり、一元輸入禁止ではないわけですから、当然どんどん買ってもらいたいということになるわけです。  ただ問題は、どんどん買ってもらいたいという、それだけでは困りますので、そこはやはり、中国、韓国というのがわが国の生糸輸入の九割以上を占めておりますので、その二国間とそれぞれ従来の実績もございますけれども、そういうものを見たり、わが国の需給事情というものも率直に訴えながら、各年度ごとの数量を取り決めていくというやり方をやっているわけでございます。したがいまして、その面は五十四年度は大体一割減という成果をおさめたわけでございます。  ただ問題は、国内のわが国の生糸の需要、こういうものが、景気の変動、その他もございますけれども、昨年の場合は、先生おっしゃるように、相当落ち込みが激しかったということは事実でございます。そういう面からすれば、総体的には輸入数量といいますものが大きくなっておるということは総体的な面ではこれは否めないかと思います。事業団在庫もそういうような関係で、この二月末で国内糸も含めて八万九千俵という在庫になっておるというのは、そういう関係からであろうかと思います。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 生糸の需給のバランスをとるためには、生糸と同じ影響力を持つ撚糸、絹織物あるいは乾繭の輸入を制限しなければ成果を上げることができないわけなんです。  そこで五十四年度のこれらの輸入を見てまいりますと、絹撚糸は三万四千四百六十四俵、それから絹織物は生糸換算にして六万五千六百十五俵、合計いたしまして十万俵以上の輸入をしておるのです。これは国内生産の約四〇%近い数字なんです。そこでこれらの輸入に対しては、事前許可制なり、あるいは事前確認制などを行っておるけれども、これは成果を上げたのかどうか、結果から見てどうなのか。いずれにいたしましても、撚糸、絹織物の輸入が多過ぎて、わが国の蚕糸業に重大な影響を与えていることは皆さん御承知のとおりです。たとえ自由化品目であろうとしても、輸入を削減をするような行政指導をもっと強めなければならないけれども、今後はどうしていくのか。これは通産省にお聞きをします。

村田文男通商産業省生活産業局通商課長

○説明員(村田文男君) まず絹糸につきましては、生糸の一元輸入を補完するために、私ども世界の百四十二カ国を事前許可制の対象にいたしております。同時に、その他の国を事前確認制ということで、世界を輸入のコントロール下に置いておるわけでございます。そういう管理の結果、昨年の輸入量は、先生おっしゃいましたように、三万四千俵でございまして、これは対前年比八五%ということで、一五%の削減と、減少ということになっております。  それから絹織物でございますが、これにつきましては、主要供給国でございます中国、韓国、この両国との二国間協定をベースに管理いたしております。またあわせまして、これを免れるような第三国経由あるいは第三国加工——青竹と言われまして、去年あたり一時騒がれたものでございますが、こういうものにつきましては、貿管令に基つきます事前許可制ということで対処いたしておるわけでございます。また、一昨年来輸入が非常にふえました香港、台湾につきましては、昨年の九月以来事前確認制をしきまして、輸入動向を厳重に監視いたしますとともに、両国に目下協定の締結を呼びかけておるところでございます。こういうような措置もございまして、昨年の九月以降は絹織物の輸入は毎月対前年比二〇%から三〇%の減ということになっております。昨年一年をとりましても、面積では——私ども輸入管理を面積でやっておりますが、協定も面積でございますけれども、面積では三千六百万平米でございまして、対前年比五%以上の削減ということになっております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 通産省の答弁を聞いたわけですが、しかし、養蚕業を取り巻く現状から見れば、決してその程度の削減ではまだまだ不十分だと思うんですよ。今後の行政指導はどういうふうに高めていくんですか。

村田文男通商産業省生活産業局通商課長

○説明員(村田文男君) 基本的には、織物について申しますと、協定がベースになっておりますので、先ほど二瓶局長がおっしゃられましたように、国内の需給と相手国の事情等も勘案して、できるだけ国内の需給に影響を与えないような形でやってまいりたいと思っております。絹糸につきましても、同様、そういう形で管理をしてまいりたい、国内需給を十分勘案して管理をしてまいりたい、こういうふうに考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 大臣にお聞きをしますが、国内の需要が減少して、養蚕家も製糸家も絹織物関係者も大変に苦しくなっているときに、生糸にしても撚糸にしても、あるいは絹織物にしても、あるいはまた乾繭にしても——繭ですね、非常に輸入が多過ぎる。大臣はこのように思いませんか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 国内の需給関係から見ますと多いという感じはいたします。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 大臣も輸入が多いということをお認めになったわけでありますけれども、わが国の蚕糸業を発展をさしていくためには、この多い輸入を削減をするということが最大の課題だというふうに私は思うのです。そのために政府として強力な対策を講じなければならないわけです。  大臣も御承知のように、昨年八月二日に全国の養蚕、製糸、絹織物関係者が千五百人ばかり集まりまして、危機突破全国蚕糸絹業者大会を九段会館で開催した。そのときに大臣は、自民党の繊維対策特別委員長として出席をされて、激励のあいさつを贈っておられる。全文は省略しますけれども、その一部を紹介しますと、   今、蚕糸、絹業が危機に直面している原因は、外国から絹織物の輸入が急増しているからである。先進諸国は貿易自由化を叫んでいるが、実は農業や軽工業においては輸入規制を実施している。なぜ日本だけが「貿易自由化」の美名のもとに輸入規制ができないのか、日本国内が混乱しているとき、強力な輸入規制は当然である。   私は繊特委員長としてここに思いを新たにし、思い切った輸入規制が実現できるよう一生懸命努力することをここに誓う。  大衆の前でこういう演説をされておるわけですね。そのときは、大臣はむしろ商工関係の繊維対策特別委員長。あなたは繊維対策特別委員長としてもこういう発言をしているのですから、ましてや農林水産大臣になって、これだけ養蚕が苦しいのですから、どうしても大臣、思い切って輸入規制をしていくという措置をとらなければいけませんが、どうなんですか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 確かにそういうことを申し上げましていろいろと努力をしてまいりましたし、その間においては、生糸の一元輸入だけでなくて、絹織物も含めた一元輸入もすべきではないかということにおいての議論もいたしました。  しかし、日本の国全体の現在の国際経済社会における立場からいたしまして、非常にそういう完全な製品、いわゆる工業製品である絹織物について一元化輸入をするということは、とてもガットの場で認められないであろうと、こういうことで、それは一応そのままの状態で現在なってしまっておるわけでございまして、私もこの役所へ参りまして、より一層この問題について何とか解決をしたいと考えておりますけれども、何分、先ほど局長からの答弁もございましたように、自由化しておるものをいま一元輸入という形で、特にこれは一次産品であるということにおいて生糸はガットの場でも認めておってくれるわけでございまして、そういう気持ちはございますけれども、実際問題、どういう仕組みでやっていくかということになると、本当にむずかしい問題でございまして、やはり二国間協定の中国あるいは韓国との間は幸いそういう仕組みになっておりますから、ひとつ五十五年度においては、五十四年度と比べてもっと厳しい姿勢で、厳しいというか、強い姿勢でやはり二国間協定に臨むというのがいまのところ私どもにでき得る範囲ではなかろうかと、こう考えておるわけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 大臣、農林大臣に就任されたらばかに弱気な発言になっちゃったんですけれども、きょうも、先ほど申しましたように、大会は開かれているのですよ。そこで、委員長も行かれるかどうか知りませんけれども、いろいろな自民党の対策委員長も出るでしょうね。責任与党として大衆の前で言うには、もっと、先行きむずかしいようなことまで言ってやっぱり国民を安心さしちゃだめですね。言ったからには責任を持ってもらわなきゃならぬ。  そこで、大臣も何とかしなければならないという気持ちを持っておるのですけれども、しかし、行政的立場ではできない。一面には、大臣御承知のとおり、行政の立場ではできないから、議員の方でひとつ何か一元化輸入をとったような措置をしなければいけないというような動きのあることも事実。立法措置と申しますか、そういう場合には大臣はこれに抵抗するのじゃなくて——抵抗はしませんね、大臣は。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 国会の場で議員の皆様方が御議論をいただいて、そして与野党を通じてこの法律を通そうと、こういうことになってまいりましたときに、私がそれに対して反対をするというようなことができないことはこれは当然だと私は思っております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 そこで、繭の値段は生糸の市場価格を基準として決められる、御承知のとおりだと思うんです。この基準となる市場価格を決める主要な資料として、需給関係と在庫量をあらわしている「繊維統計速報」というのがあるわけであります。この資料は、生糸の価格を決めるについてきわめて重要な資料なんです。この統計資料をつくっているのは通産省なんですけれども、実は五十三年の一月から五十四年の十一月までの間において、二カ年にわたってこの資料に対して重大な誤りを犯している。一例を申し上げます。五十四年の十一月の絹織物の在庫は、実際は八千三百四十四万七千俵であったけれども、この資料では一億三百四十四万七千俵という、二千万俵も多く在庫の資料を出しているのですよ。しかも、これは絹織物だけでなくて、綿織物あるいは毛織物全部について、五十三年一月から十一月まで全部数字が違っている。通産省の調査統計部長ですか、お見えになっているというふうに思いますが、この事実はお認めになりますか。

渡辺全光通商産業大臣官房調査統計部長

○説明員(渡辺全光君) 御指摘のとおりでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 そこで、通産省はことしの二月十五日、いま申しましたように、五十三年一月から五十四年十一月に至る数字について修正をすることにした。このように長期にわたり数値に誤りがあったことについて深くおわびをしますという文書を出しているのですね。  生糸の実勢糸価や繭値が低かったということは、在庫が非常に多い。それも先ほど来指摘をしていることなんです。この在庫を示す政府の資料が違っておったということは重大な問題なんです。この数字が糸価に与えた影響は大きいんです。そこで単に、間違っておりましたから謹んでおわびをしますなんという、そんなことで済まされる問題ではない。またこの文書によれば、この間違いは卸売業者の報告ミスなんだと言って、責任を卸売業者に転嫁をしている。政府の統計が二年間も間違っておって、さかのぼって訂正をしたというこの責任は、統計法上から見てもどういうふうに考えるか。いかなる措置をとったのですか。

渡辺全光通商産業大臣官房調査統計部長

○説明員(渡辺全光君) お答えをいたします。  ただいま先生が御指摘のとおり、十二月分の「繊維統計速報」の保有者別の在庫の数字を発表いたします際、十一月からさかのぼりましてほぼ二年分の数字が誤っておるのを発見いたしましたので、これを訂正をした次第でございます。  訂正発表に至りました経緯といたしましては、流通統計の関係の数字がどうも在庫の実感に適合しないのではないかというような問い合わせ等がありましたこともあり、これを機に、本省のサイドにおきまして、公表済みの数字につきまして、各申告義務事業所の個票を早急に全部チェックをいたしたわけでございます。そしてあらゆる角度から検討を加えまして、今回発見をいたし、公表に踏み切ったと、こういう次第でございます。  先生御指摘の統計法上の責任でございますが、これにつきましては、御承知のように統計法十九条に関係の罰則がございます。一つは、申告義務者が虚偽の申告をした場合、それから指定統計の調査の事務に従事する者がその結果をして真実に反するものたらしめる行為をした場合、所要の罰則が規定をされておるわけでございます。本件についての原因は、一部の申告義務を持っております事業者が、この期間、私どもではけたずれと呼んでおりますが、千平方メートルの単位で書いていただくというものをこれを無視をいたしまして、千平方メートル以下の三けたの数字まで、この二年間、当該申告票のすべての欄にわたりましてけたずれをして書いておったと、これが原因なわけでございます。そういうことによりまして、関係の業者の者が絹、絹紡織物のみならず、一部、数字は微細でございますが、綿、毛関係も扱っておることからこのような訂正になった次第でございます。  先ほどの責任の問題でございますが、法律上の問題といたしましては、私ども法務省の方にも見解につきまして問い合わせを申し上げたわけでございますが、先ほどの各条文につきましてはいずれも故意を要するということでございます。本件の場合、いま御説明を申し上げましたように、調査をしましたすべての期間にわたりまして、申告義務者がけたのずれを起こしておりますので、積極的に故意の数字を申告をするというふうには認められないと、かように考えておる次第でございます。統計の作成につきましては、申告義務者に始まりまして、最終的には私どもの調査統計部でこれを審査、集計をして公表するわけでございますが、その過程におきまして、いわゆる審査につきましての数字を曲げるという故意もこれまた存在しないわけでございます。そういうことで、これはいま先生のお尋ねございました法律上の責任ということには問題があろうかと、このように結論を出しておる次第でございます。  しかしながら、先ほどから先生のるるの御質問のとおり、その社会的影響は決して小さくないわけでございまして、私ども正しい数字を常に世の中に供給をするという立場からしまして、これはまことに今回の件につきましては遺憾なことと、このように存じておるわけでございます。事態の発見、発生と同時に、私ども内部的には直ちにその経緯を徴し、上司にも報告を行ったところでございます。この件につきましては、そういう経緯を踏まえまして、私どもの通産大臣を初め関係上司から、私調査統計部長以下関係者が厳重な注意を受けております。またそれと同時に、このような問題が二度と発生することがありませんように、本統計調査を初めすべての統計調査につきまして総点検を行うとともに、事故の再発防止対策を厳重に講じ、万全を期するということで命令を受けておる次第でございます。また、この統計は指定統計でございますので、道府県に集計等をお願いしている関係もございます。そういう意味合いにおきまして、私ども関係の都道府県に対しましても即刻その関係の部局を呼び出しまして、これにつきましても厳重な注意を行い、二度とこのような問題が発生することのないよう再発防止に万全を期せられるよう注意をし、指示を申し上げたわけでございます。  また、関係の事業所でございますから、そういうことでございますので法律上の責めを問うわけにはまいらないと存じておりますが、やはり原因の大もとでもございますので、関係事業所に対しましても、このような長きにわたりまして報告ミスを続けたということで世間を騒がせたことに対し、関係都道府県を通じ厳重に注意を行うとともに、二度とかような報告ミスを行わないように指示をした次第でございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 いずれにしても在庫が一億立米あるところで二千万立米のミスがあったということは非常に大きな問題ですよ。こんな重大な問題を、業者が悪かったとか、都道府県が悪かった、そんなことで済まされる問題ではないんだ。通産省、あなたみずからの問題ですよ。  そこで農林水産大臣に要請しておきますが、このようなミスを通産省では犯しているんですよ。今後再びこのようなミスのないように、あなたは閣僚として通産大臣に強く要請してもらいたいんですが、どうですか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) この問題については、通産省がすでに遺憾の意を表明して、私どもの方にも連絡をしてきておりますけれども、いま先生の御指摘でございますから、今後——そのときも私どもの方からは、こういうことは決して二度と起きないようにということは念を押してございます。念を押してございますが、せっかくのお話でございますので、もう一度念を押さしていただきます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 次に進みますが、蚕糸業の振興を図っていくためには、先ほど来申し上げておりますように、需給の均衡を図るとともに、同時に採算を償う価格が保証されなければならないわけなんです。ことしの基準糸価決定も今月中に行われるわけでありますけれども、全養連を初め全国の養蚕団体は、ことしは五十五年度は基準糸価を一万五千五百円、基準繭価二千三百円以上を統一要求としており、私どもの長野県なんかでは、実勢繭価を二千五百円以上にしてもらいたいという要求をしておるんです。こうした運動は全国的に大きく盛り上がっておるわけでありますけれども、特にことしは、蚕糸業の将来を見ると一つの正念場であるというふうに思うんです。最近における労賃だとか燃料、その他の資材費の高騰から見れば、これらの要求は当然であり、むしろ控え目過ぎるというふうに私は思うんです。私ども日本社会党も、蚕糸対策特別委員会を設置をして、これらの運動に積極的に支援をし、取り組んでおるところでありますが、農林水産省はこの要求を素直に受けて、これにこたえるような措置を講ずべきだ。これから作業を進めていくというふうに思うんですけれども、今年の糸価決定についてどういう見解を持っているんですか。

二瓶博農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(二瓶博君) 五十五生糸年度に適用いたします基準糸価等の行政価格でございますけれども、これにつきましては今月末に決定をしなければならぬものでございます。ただいまのところはその算定のための資料等の収集をやっておる段階でございます。いずれにいたしましても、蚕糸業振興審議会繭糸価格部会の意見を聞いた上で、今月末までに繭糸価格安定法に基づきまして適正に決定をしてまいりたいと、かように考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 基準糸価並びに繭価は今月中に決定されるわけでありますけれども、私はその算定方法に問題があるというふうに思うのであります。昨年も指摘したんですけれども、農林水産省の統計情報部の繭の生産費と皆さんが決定をする安定法適用の繭の生産費との間には大きな開きがあるんです。すなわち、基準糸価もあるいは基準繭価も統計情報部の生産費よりも低く抑えられている。たとえば、五十四年度を例にとってみれば、一キロ当たりの繭の生産費は、統計情報部の資料によれば二千六百七十二円であるけれども、これを安定法上では八三・九%に抑えて二千二百四十一円六十九銭というふうに生産費をはじき出しておる。したがって、基準繭価も二千百十二円であって、統計情報部の生産費から見ればこれは七九%程度になっておるんです。糸価だとか繭価というのは、実勢に即した数値をもって計算をして、しかもその再生産が可能な水準にするようにしなければならないけれども、統計情報部の算定方法にも問題はある、そのことは後ほど指摘をいたしますけれども、統計情報部の資料をなぜこんなに修正するんですか。農林水産省部内におけるところのこの情報を皆さんがなぜ信用してそのまま適用しないんですか。

二瓶博農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(二瓶博君) 基準糸価につきましては、先生御案内のとおり、繭糸価格安定法、これにおきまして、生産条件、需給事情その他の経済事情を参酌して決めるという角度になっておるわけでございます。その際に、ただいま先生からお話ございましたように、生産条件ということにおいてその生産費というものが非常に大きなファクターをなしておりますとともに、その他需給事情その他の経済事情も参酌するというような角度で、五十五年度の基準糸価等についてもその線に即してやったわけでございます。  ただいまのお尋ねは、そういうことで算定をいたしました際の上繭一キログラム当たりの生産費これにつきまして、統計情報部で公表しておりますもの、それに対しまして実際に行政価格を決めるその際に適用をしたものと乖離があると、さらに基準繭価というようなものとの間に乖離がある、これはどういうわけかということでございますけれども、これは統計の方で公表しましたものから蚕糸業審議会の専門調査委員会等で検討していただいた、すでにルール化している算定のやり方がございます。それでもって、まず統計情報部で公表したこの生の生産費、こういうものをさらに組みかえをいたします。そして、その上に立ちまして物価修正等もやりまして適用生産費というものをはじいてございます。その際には、物価修正のほかに、土地生産性の問題なりあるいは労働生産性の面で調整をするというようなこともやりまして適用生産費を決めておるということでございます。  いずれにいたしましても、蚕糸をめぐる情勢きわめて厳しいという関係からいたしまして、需給事情その他の経済事情の参酌ということで、結果的にはただいま先生からお話ございましたような適用生産費、基準糸価の水準に相なっておると、こういうことでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 局長、統計情報部の資料を経済情勢を勘案して組みかえて皆さん方は決定すると、そういうお話あったわけでありますが、そこで一つ質問し、要請をしておきますけれども、統計情報部の繭の生産費の資料は、ことしの場合でいけば五十三年十月より五十四年の十月までの一年間のものだ。その後、経済情勢は大変に違ってきておるんですね。特に、最近は石油を初めとして、近くは電力・ガス料金等、いろいろなものが上がってくる。そうするならば、組みかえ修正をするのなら、ことしの場合、去年の十一月以降今日に至るまでそれをさらに加味すべきものである。しかも、繭をつくるというのはことしの五月以降ですよ。その一年間の事情を思えば、そういう面に、いい面に組みかえしなくて、あなたたちは減らす方の組みかえをしているんだよ。どうです、これ。

二瓶博農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(二瓶博君) 五十四生糸年度に適用します基準糸価の算定に当たりましては、物価修正というものもやったわけでございます。それで今度、このたび五十五生糸年度に適用する基準糸価、これを今月いっぱいに決めなくちゃならぬわけでございますけれども、その際に物価修正というものをやるかどうかということにつきましては、これは先ほど申し上げましたように、関係資料収集中ということで、現段階では確たることは申し上げるわけにいかぬわけでございますけれども、ただ、従来の例等も考えますと、調査期間がただいま先生からお話ございました線でございますけれども、それ以下の十一月から一月といいますか、直近三カ月の平均の物価水準に修正をするということを過去にやった例もございます。そういうことも念頭に置いてさらに検討を深めたいと、かように考えております。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 そこで、特に農林水産省で修正をする問題点として労働費があるんですね。労働費は御承知のとおり繭生産の六〇%を占めているんです。これを昨年の例で見ると、これもまた統計情報部の資料は圧縮されている。統計情報部は一キロ当たり繭を生産するについて二・三一六時間というふうに出しておるんですけれども、皆さんはこれを修正して、一・九二五時間というふうに圧縮しておるんですね。これはなぜ圧縮するんですか、一番大きなウエートを占める労働費を。

二瓶博農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(二瓶博君) 五十四年度の基準糸価の算定の際に、ただいま先生お話ございました労働時間の修正をいたしております。これの基本的な考え方といたしましては、先ほど申し上げました.需給事情その他の経済事情を勘案してというその立場に立ちまして、現在の厳しい需給情勢等を背景にいたしまして、このような算定をいたしたわけでございます。これにつきましてはいろんな具体的なはじき方があるわけでございますが、これはやや技術的な話になりますので省略をいたしますけれども、背景といたしましては、そういう面で労働生産性の向上が何といっても急務である、それを一層価格の面からも進めていきたいという、インセンティブを与えるという趣旨からこのような措置を講じた次第でございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 大臣、ことしの糸価、繭価は最終的に大臣のところで決定するというように思うんですけれども、私は先ほど来需給関係なりあるいはまた価格決定の問題点について指摘をしたんですけれども、いまお聞きのとおり、統計情報部の資料についても、きょうは時間がありませんから申し上げませんけれども、実態に即さないものがある。これは農業団体から要求しているから御承知のとおりだと思うんですけれども、これをさらに修正をする。別な言い方をすれば、基準糸価、繭価なんというものは最低をもう決めておいて、それに合わせるように逆算していろいろな数値を使って合わしているんですよ、いままでの例から言えば。こんなことがあっちゃいけないんですね。  それで、せっかく武藤大臣就任されておりますから、ことしあたり、思い切ってやっぱり養蚕を振興させるという立場に立って、いままでの繭価、糸価のとり方についても再検討を加えていく。再生産が償うような措置を講じてもらいたいし、講ずべきだというふうに思うのですが、大臣の見解をひとつ聞きたい。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほど局長が答弁をいたしましたように、三月末に審議会の意見を聞いた上で私どもの方で適正に決めるということになっておりますが、繭糸価格安定法にもございますように、生産条件というものを見なきゃいかぬことは当然でございます。そのとり方という問題でいま御議論なさっていただいているわけでございますけれども、しかし、一方需給関係というものも見なきゃいけないということも書いてあるわけでございまして、私どもその辺を十分にらみ合わせながらひとつ適正な価格を決めていきたい、こう考えておるわけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 最後に、時間が参りましたから、一問だけ伺って私の質問を終わりますけれども、大臣に要請しておきますが、適正な価格という非常にいい発言ですけれども、どういうふうにもとれる発言ですけれども、しかし、やっぱり養蚕を振興さす、意欲を持たせるという立場に立って価格を決めていく前向きの姿勢をぜひ大臣あらわしてください。  そこで、最後に一点だけお聞きをするんですけれども、水田の大幅減反に伴って、その転作作物として桑も奨励しているんですね。ところが、この桑園に対しての助成期間、奨励金の助成期間は三年ということになっている。この桑は蚕のえさなんです。えさだとすれば、ほかの飼料作物と同じような取り扱いをしていいし、永年作物とするならば五年以上にすべきだと思うんですが、これも長く要求しているんですけれどもなかなからちが明かない。一体こういうことについては前向きに検討しているんですか、あるいはまたどういうふうに考えているんですか。

二瓶博農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(二瓶博君) 桑等の永年性作物の転作奨励補助金につきましては、一応交付期間というものを限っております。果樹等が五年、桑が三年というようなことで決めてございます。で、これは従来水田利用再編対策という五十三年度からスタートした対策以前にも、これに似たような対策が、生産調整的な対策があったわけでございますが、その従来の対策と同じ期間を交付対象期間というふうにいたしておるわけでございます。  考え方といたしましては、永年作物につきましては育成期間が必要であると、しかも、その育成期間中は育成のための費用も相当かかるということがあるわけでございます。その反面、また成園となりますれば、これは相当の収益が期待でき、しかも、定着性も高いというような実情にかんがみまして、奨励補助金の水準を高くする。現在も一般作物は四万円口でございますが、永年性作物はいわば五万五千円口ということで奨励金の水準を高くする、その一方対象期間を限定をする。成園になりまして相当の収益が上がる、それまでの間にということで期限を切りまして、対象期間を限定するということにいたしておるわけでございます。  したがいまして、ただいま先生から、この期間をさらに延長するというような角度で検討をしておるようだがその辺はどうかということにつきましては、さらに延長するということにつきましては非常に困難であると、かように考えるわけでございます。

村沢牧日本社会党

○村沢牧君 局長の答弁きわめて不満足でありますけれども、時間が参りましたから、その問題はまた後日に譲って質問を終わります。

青井政美自由民主党・自由国民会議

○委員長(青井政美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時十六分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会

青井政美自由民主党・自由国民会議

○委員長(青井政美君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査のうち、昭和五十五年度農林水産省関係の施策及び予算に関する件を議題として質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

下田京子日本共産党

○下田京子君 大臣所信に対して前半ありましたけれども、後半部分、いま非常にもう農家の皆さん頭を痛めておりますが、五十三万五千ヘクタールのいわゆる水田利用再編に絡んで、転作作物は何をつくったらいいのかというふうなことで、いよいよもう農作業開始というところで頭を痛め苦労をされておることは大臣も御承知だと思うのです。  その点でお尋ねしたいわけなんですけれども、この米の生産調整も、四十四年からありますが、本格的に実施されてきたのは四十六年かと思います。五十五年度まで、来年度まで入れますと実に十年間になるわけなんです。十年間かかって本当にそれじゃこの米の過剰問題はどういうかっこうになっているんだろうかということを改めてさかのぼって考えてみたい。その点でひとつ、奨励金、補助金がどのぐらい使われているか、農林水産省にお尋ねしましたところ、おおよそ一兆七千億円だと聞きました。それからまた、それらに関係しての事業費ですね、いろいろ事業予算のとり方、名目等も変わっているけれども、大まかに言って約一兆二千億円になるだろう、こういうお話です。そうしますと、合計三兆円という財源を投資して、米過剰問題、いわゆる過剰問題を営々と考えてきたわけなんです。しかし、さきにも申しましたように、ますます事態は深刻です。農家の人は、本当に何をつくったらいいのかって頭を痛めております。  最初にお尋ねしたいんですけれども、昭和四十六年から開始された稲作転換対策のときには、米からの転作作物について一定の制限等ございましたでしょうか。

二瓶博農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(二瓶博君) 四十六年度から五十年度の間、米生産調整稲作転換対策というのをやりましたが、この際に、転作対象作物につきまして対象外としたものは、五十年に新植の温州ミカン、これにつきまして対象外にしたというのが一つあるだけでございます。それから、面積を制限したものは特にございません。

下田京子日本共産党

○下田京子君 そうしますと、この稲作転換事業のときに初めて五十年に温州ミカンの制限が入ってきた。五十一年から五十二年のあの水田総合利用対策事業のときにはどうだったでしょうか。対象作物と、また面積制限等ございましたら……。

二瓶博農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(二瓶博君) 水田総合利用対策、五十一年、五十二年の二カ年でございますが、対象外としたものは温州ミカン、ブドウ、桜桃、パイナップル及び茶が一つございます。それからもう一つのグループといたしまして、でん粉及びアルコール原料用のカンショ及びバレイショ、生食用以外のでん粉と、アルコール用としてのカンショ及びバレイショはこれは対象外ということにいたしました。  それから、面積を制限したものといたしましては、一つはコンニャクでございます。それからもう一つは小豆、北海道の小豆でございます。以上でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 五十三年度から始まりました水田利用再編対策においてはどうなっておりますでしょうか。

二瓶博農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(二瓶博君) 水田利用再編対策におきましては、ただいま水田総合利用対策で申し上げました対象外としたもの、面積を制限したもの、これと同様でございますが、ただ、一つ新しく追加をいたしたのは、対象外という中で晩柑類。新たに水田総合利用対策のときよりも追加をしたというのが晩柑類だけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 それは五十五年度以降も変わりないでしょうか。

二瓶博農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(二瓶博君) 五十五年度は一期三年目でございますので、これはこのままで考えております。五十六年度から第二期が始まりますけれども、これにつきましては、全体の仕組みなり等につきましてさらにこれから検討をしていくわけでございますので、こういう対象外とするもの、あるいは面積を制限するもの等につきましても見直しを行い、さらに最近の需給情勢等も見て検討をしたい、こう思っておるわけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 五十五年度は変えないでやっていきたいということなんですが、どうなんです、野菜の方を私見ましたら、五十三年に農蚕園芸局長とそれから食品流通局長が出した通達によりますと、「水田利用再編対策における野菜への転作の推進について」、ここのところでこう書いているんですね。「最近における野菜の需給事情にかんがみ、転作により野菜を導入する場合には、野菜の地域的、時期的需給動向に十分配慮し、導入する野菜の種類及び作型について十分検討すること。」と、こう言ってました。ところが、いま五十五年も変わりがないよと言われたんですけれども、野菜については五十五年一月三十一日付で、これは地方農政局長あるいは沖繩総合事務局長、北海道知事あてに食品流通局長名でお出しになっている。「昭和五十五年度における転作を含む野菜作付けに関する指導について」のその中には、「野菜への転作面積を全体として現行の水準以上に増大させないよう指導すること。なお、地域の実情等からやむを得ず転作の増加が避けられない場合にあっても、」さきに述べたように野菜の作付面積全体を現行の水準以上に増大させないと、こう言っているんですね。つまり、指導通達だと言えばそれまででしょうけれども、これも制限じゃないでしょうか。  そういう点で、これ大臣にお尋ねしたいのは、どんどんどんどんこうやって制限されてきているんです。本当に何をつくったらいいのかということについてどういうお考えでしょうか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) いま転作奨励金でも三つありまして、特定作物という形で五万五千円、これは麦、大豆、それから飼料作物等とこうなっているわけですが、いま農政審議会にもお願いをいたしておりますけれども、私ども長期的な将来の農業生産の再編成というか、やはり自給力を高めていくにはどういうものをひとつ考えていくべきなのか、どういうものについてはある程度生産を抑制ぎみに持っていくべきなのか、そういう点において六十五年を一つのめどとして長期的な需給の見通しを立ててもらおうと、こういうことでお願いをしておるわけでございまして、その中でも、私ども試算を出しましたときにも、麦、大豆、飼料作物というものはこれは今後とも自給力を高めていかなきゃならないものとして試算も出してあるわけでございます。そういうものをおつくりをいただけるならば、これは必ず間違いなくその後余剰になることはないと、こういう判断でおるわけでございます。  またいま一つは、各県各県のそれぞれ事情によりまして、特にその特性を生かした花卉、種苗、その他のものを御検討いただいておりまして、そういうものも転作奨励金の中で考えようというシステムになっておるわけでございます。いろいろとそれぞれ地域の特性に応じたものをお考えであるようでございます。これはまあ全国的というわけにはまいりませんけれども、そういうものも転作作物としてつくっていただけるならば、決してこれも過剰ぎみになるということはあり得ないんではないか、こう考えておるわけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 大臣は、麦、大豆、飼料作物等は幾らつくったって心配ないからつくっていただきますよと、それから、まあ地域特産物のようなものを考えてもらっている、まあ具体的目標等についてはいま農政審の方にかけているんだということですね。これいつも大臣がずっとこの期間お話しになっていることだと思うんですね。そしてまた所信の中でも、いまお述べになったような趣旨のことを言われております。つまり、地域の特性に応じて、農業者の創意と自主性を生かして需給の動向を見て考えてもらいたいと、こう言っているわけなんですね。  だけれど大臣、五十五年度の問題はもう始まるんです、農業、作付が。そういう中で、もう五十六年のことも農家の人たちは心配しているわけなんです。一方では、農政審でいま検討中ですからまあしばらくお待ちくださいということを繰り返し言われておりました。ここに対しても農家の皆さんは大変不安と怒りを持っているんですね。それから同時に、地域特産といいますけれども、ざっとこれは大臣も御存じだと思うんですよ。先ほどのお話にもありましたけれども、私のところの福島県はたばこで日本一なんです。でも、このたばこについても五十三年から面積制限が入りまして、お米のようじゃありませんけれども減反になってきているんです。コンニャクはどうかというと、群馬に次いで第二位なんですけれども、これとてさっきのお話のようにもう面積制限があるんです。その上また最近は、熊本の方で地域特産物と言われるようなイグサですね。これは今後も転作作物として認めるよとは言っているけれども、もう新聞等で騒がれているように、自主廃棄なんということをしなきゃならなかったんですね。そうしていきますと、その上に今度残るは畜産ですが、御承知のように、酪農をごらんいただければわかると思います。乳牛の淘汰問題が出ております。豚はどうでしょう。種豚の屠殺問題も出ておるんです。本当に何をつくったらいいかというのがみんなの声なんですね。これはまさに創意と工夫あるいは需給を見てなんて言ったって、逆に言えば政府は非常に無責任じゃないかなというのが率直な意見なんですね。  これ、私の住んでおります福島県の苦労話をちょっと聞いていただきたいんですが、ちょうど十年前に、四十五年当時に、何をつくろうかといろいろ相談して、これなら大丈夫じゃないかって始まったのにエリザベスメロンがあったんです、二・五ヘクタール。三年でだめになっちゃった。それから、ことしちょうど十年になるわけなんですよ、五十四年に。今度はハウスメロンを二・五ヘクタール入れた。でもこれとて、あっちへ行ってもこっちへ行ってもその話を聞くんでどうなるんだろうかと、やっぱり心配している。何をつくったらいいか聞きましたら、改良普及所ではリンゴをつくれと、こう言っていると。大臣、大丈夫でしょうか。農家の人は改良普及所がリンゴをつくれと言っても、これはミカンの二の舞になるんじゃないかと、そう心配しているんですね。高収益性だということでアスパラやなんかつくったりもしているんですが、とにかく定着しないんです。  それで会津坂下町というところと湯川村の例なんですが、もう坂下町というところは見通しがなかなか持てないということで、この際だからもう本当に転作面積、もう通年施行分を除いても五十四年度だけで百九十九ヘクタールになるんですね。それで奨励金が高い、何とかということで収益も上げなきゃならないということで特定作物をいろいろ奨励した。全体で、転作面積の中で特定作物の比率は七四%、五十四年度の場合ですね。五十五年度は面積そのものが約四六・八%ふえたんです、この町では。全体で三百二十九ヘクタール。そこでいろいろ考えたけれども、やっぱりないということで、これまた特定作物やろうと、全体の中で八三%が計画されております。しかし、問題はその収益性が議論になっているんですね。  これを裏づけるような話がお隣の湯川村というところで実証されている。村役場の産業課の方が、いろいろと作物別に所得がどのぐらい上がるかということでずっと計算されている。村単独でも奨励金をつけたりしていろいろ苦労もされている。で、大豆の場合を例にとってお話ししたいわけなんですけれども、この産業課の計算上の話ですと、四俵は大丈夫だろう、二百四十キログラムとれると仮定して、国の補助金をもらって、村の六千円の補助金をプラスしますと十アール当たりでおよそ十一万六千八百四十円になると。これとても、お米に比べますと、この地域はササニシキが大変とれる、米単作地帯と言えるようなまさに山が全然ないところなんですよ。そういうところで、ササニシキが平均でも十一俵とれるんです。そこではですから、実際に十アール当たりこれはもう十四万五千六百五十九円という収益になるんで、単純に比較しても約三万円、特定作物といえどもこれは減収になると、こういう実態なんです。  これは計算ですよ。実際にはことしつくってみてどうだったかといったらもう本当に驚きました。大豆の作付は七百二十九アール、実際の販売数量が何とわずか九俵で五百四十キログラム。販売金額は、計算すれば御承知のように三万八千円。十アール当たりの素収入が何と五百二十円です。こういう実情で、まさに緊急避難として奨励金を当てに仕方なく、目標はとにかくどんどん来るんですよね。水田総合利用のときには二十一万五千ヘクタールだったのが、これが再編対策になったら三十九万一千ヘクタール。三年間は変えませんと言っていたのに、一方的に約束を破っちゃって、もうその三年目から五十三万五千ヘクタール、実に四国、九州にも匹敵するような大面積。それはもう全国で、どうぞ皆さん御相談されてください、創意と工夫を発揮しておやりください、こう言っている中で、何とも仕方なくなって以上のような結果が出てきているんです。  大臣、こういう実例をお聞きいただいて、いま言いました大豆も含めた特定作物、緊急避難じゃなくて、本当に定着していくような方向というのはどういう形で進めていこうという御決意なのか、まず聞きたいと思います。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) たとえば小麦を例にとりますと、いまでも相当転作奨励をしてやっていただいておりましても、まだ五、六百万トン毎年買っているわけでありますから、そういうものは、もし小麦に転作していただければ、少なくともそれだけは問題なく買っているわけですから、その分が買わなくて済むということになるわけでございますから、そういうものはどんどん転作していただいて、私どもは決して余るというようなことにはなり得ない、こう思っているわけでございます。  これは一つの例でございますけれども、先ほど来いろいろ例をお引きでございますが、やはりその物によっては、常に需要供給という関係でこれはできてくるわけですから、消費がそんなにないものをみんながわっとまたつくっちゃえば、これは当然余ってくるわけでありまして、その辺のところは、私どももできるだけ指導していかなきゃならないと思いますが、残念ながら、私どもは計画経済のたてまえをとっておりません。農業は普通の経済よりはある程度計画経済の考え方も多少取り入れておりますけれども、完全な計画経済じゃございませんから、どうしても農家の方のお気持ちを私ども尊重しなきゃならないわけでございまして、だから、一つの目標だけは私ども立てますけれども、あとはある程度農家の方の一つは判断、まあこれは特に私ども農業団体にそういう点をよく指導していただきたいということをお願いをしておりますけれども、そういう、やはり私どもの一つの目標と、その中でどうやっていくかというのは、ある程度主体性を持っておやりをいただいているわけでございますから、われわれの方では、それじゃこれだけは、だからここの地域はこれだけつくりなさい、あなたのところはこれだけつくりなさいとまでなかなかいかないところが非常にむずかしい問題じゃなかろうかと、こう思っているわけでございますけれども、たとえば、いま小麦の例を私は取り上げましたが、そういうものであれば相当全国的に、これは麦のとれない、特に非常に湿田のところなんかはなかなか小麦がとれないと思いますけれども、それ以外のところでできるだけ小麦をおつくりいただければ、現に六百万トンぐらい毎年買っているわけでございますから、それだけの自給力が高まれば大変結構なことでございますから、そういうことをおやりいただければ私どもは大変ありがたいと。それだからこそ、それは特に高い、特定作物として奨励金も出しておると、こういうことだと御理解をいただきたいわけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 ある一定の目標と、それから特定作物に、どんどん需給の動向を心配なくつくってもらえる、そういうために高い奨励金もつけているというお話ですね、大臣。現在はまさにそうなんですけれども、農家の人たちが心配しているのは、財政的な点でのかなり大蔵サイドからの締めつけも大きいわけですね。  お尋ねしたいんですけれども、財政審議会の報告、この中には、「転作等にかかる単位面積当たりの財政負担は米を売買する場合のそれを上回り、一部の作物では過剰米処理に伴う発生損失にも匹敵するものとなっており、」と、いろいろ指摘されているのは御存じだと思います、もちろん。で、その「一部の作物」というのは何かというと、これは大蔵の資料にやっぱり出ておりますけれども、いまお話しになっている大豆、小麦なんか、一ヘクタール当たりで見ると、小麦の場合、転作すると、実に百二十三万円かかる。あるいは大豆の場合には八十九万四千円もかかる。こんなにかかっていいんですかというようなことを言っているんですね。  それから、その報告を受けて、今度は建議の中でも繰り返し同じようなことを言っているわけなんです。特にいま問題になっている奨励金単価の問題ですね、これはその「水準」だとか、「交付期間の見直し、」あるいは「休耕的手法の導入等水田利用再編対策の基本に遡った検討を行う必要があろう」、こういうことを言っているわけなんです。そうしますと、このくらい財政審の方から言われますと、ただならない。みんな心配しますね。大臣、こういう財政審の報告、建議に対してどういう態度で臨んでおるのですか。一つは、五十五年度はどうなのかということをまず聞いておきたいと思うのです。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 五十五年度は、五十三年度からの三年間の第一期の、現在私ども進めさせていただいております水田利用再編対策の中でやっておりますので、これは問題はないわけでございます。いまの方針どおりでやっておるわけでございます。ただ問題は、五十六年度以降の問題ということでその財政審のいろいろな建議との関連が出てくるわけでございまして、これについては予算委員会でも御議論がございまして、私と大蔵大臣と両方からお答えをいたしておるわけでございます。私は、予算委員会でもお答えをいたしましたのは、とにかく農林水産省の立場からいけば、いまこの水田利用再編対策というのは、必ずしも米の生産を抑えていただきたいということだけではなくて、いま申し上げておりますように、小麦について——ちょっと後で私正確な数字を申し上げますが、先ほど五、六百万トンと言っておりましたが、正確には五十三年度五百六十六万二千トンの輸入を小麦はしておるわけでございます。そうしてそれに対して国内でできているのは、わずか三十六万七千トンなんです。ですから、ほとんどを外国から、まだ小麦の場合には輸入をいたしておるわけでございまして、そういう点において、私どもは米の生産を抑えるというだけではなくて、そういう日本でより必要とするものをつくっていただきたいということが水田利用再編対策の私ども一番大きな目的である、こう考えておるわけでございます。  そういう意味において、今後も水田利用再編対策を進めることによって、そういう米から小麦、その他への日本の必要とする自給力を高めなければならないと言われておるものへの定着をお願いをしておきたいわけなんです。そうすると、定着をお願いをするときには、当然米の収益性と絡めて、米の収益性、いわゆるふところへ入るお金がお米よりも物すごく少ないんじゃ、だれだってやってくれと言ったってやらないわけですから、そういう点で、これはもうある程度米の収益性との相対的な考え方で転作奨励金というのを出しておるわけなんです。そうすると、いまの財政審議会の御建議は、そんなことをやるくらいならば、金ばかりかかっちゃうじゃないかと、こういうことで御指摘をいただいておるわけです。しかし、私どもは、一方においては、この国会でも今度は農地法あるいは農地利用増進法案というものを提案をしておりますのは、とにかく土地利用型の農業というものは、どうしたってコストが高いわけです、日本の場合、耕地が狭いから。そこで、ある程度やっぱりコストを下げることもやっていかなきゃいかぬ。そのためには、土地利用型の農業は経営規模の拡大を図っていただきたいと、こういうことをお願いしているわけで、そういう努力も農民の方にもお願いをしようと。そうして、コストを引き下げるように努力はしていただかなければならないけれども、しかし、米の収益性と考えて、非常に低い形で転作奨励金を出していったってこれはやっていただけないから、それはある程度米の収益性とも相対的に考えて転作奨励金というのは考えていかなきゃならぬだろうと、こういう考え方でいるわけでございます。  そうすると、それでは値段が非常にもったいない、米よりももっと高いじゃないかと、こういう話になるわけですね。しかし、これは米よりもっと高いというのは、お米が主食でどんどん売れていくというときには確かにそういうことになるのですけれども、いま現在六百五十万トン余っているわけでして、これは将来えさ米なり輸出米なりで処理していかなければならない。そういう過剰米の処理のコストから見れば、まだ小麦や大豆の転作奨励金を出した方が安いわけなんです。その辺を相対的に考えていかなければならないだろうというのが私ども農林水産省の立場でありまして、財政当局と五十六年度以降の問題についてはそういう立場に立って議論をしていきたいと、こう考えておるわけです。

下田京子日本共産党

○下田京子君 五十五年度は問題なくて、五十六年度はとにかく水田利用再編の目的に沿ってやっていきたいということを繰り返し私たちも聞いておりますけれども、大臣、五十五年度に本当に問題はないかということで、私は資料をいただいて見ましてちょっと問題があると思うんですよ。なぜかといいますと、これは五十五年度の態様別転作等面積の資料なんですけれども、特定作物、永年性作物合わせて、五十四年の場合には二十七万九千ヘクタール、五十五年は二十八万四千ヘクタールで、伸び率わずか一・八%です。大臣、一・八%しか見込んでいないんですね、逆に言えば。これじゃもう伸び率ゼロと言ったって同じような状態なんです。一方で、一般作物等、管理転作、土地改良通年施行、これが八三・二%の伸びになっているんです。大臣は、それは今後本当にもう特定作物を伸ばしていくんだとおっしゃっているけれども、五十五年度の予算要求のときにやられたんだと思うんですよ。それがこのぐらいしか見ていないんです。これじゃまるで、本当に農林水産省としては大蔵に対してきちんと財政問題も含めてやっていると言ったって、五十五年度の予算要求の時点でこれは後退しているんじゃないですか。それはまさに今度は大蔵サイドが言っていることとかみ合ったかっこうになっちゃっている。つまり、これは参議院の大蔵委員会でうちの渡辺議員が質問されました、この奨励金の問題で。そのときに官房審議官がこういうことを言っているんですね。いまのような問題で指摘したら、最近の動きとして、単なる計算ではなくて、一般作物や保全管理、通年施行、このいわゆる四万円口が五十五年度かなりふえる、そう見込んで予算を設定したと、こう言っているんです。まさに農林水産省と大蔵の見通しが一致したというかっこうになるじゃないか。伸ばすと言っていながら後退している。予算編成の要求段階でそういうことを言えるんじゃないでしょうか。この点どうですか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 私が先ほどから申し上げているのは、五十五年はもう問題ないというのは、いまの五十三年度からの一つの制度のもとでやっております。私が先ほどから申し上げてぜひと言っておるのは、五十六年度以降のことをより強力に私は申し上げておるつもりでございますが、もちろん五十五年度においても、五十三年度からやってきております中に、麦、大豆、飼料作物は特定作物としておるわけでございまして、特定作物としておることは、よりそれを強力に進めていきたいという気持ちは私どもは持っておる。ただ、先ほど申し上げましたように、しかし農家の自主的なお考え方で伸ばしていただけるかどうかはこれはわからないわけでございまして、そこで、それじゃ農家もその気持ちになってやっていただけたというときには、それじゃ財政措置はしていないじゃないかというお話かと思うんでございますけれども、これは私どもはそういう点は転作奨励金はこういう形でやりますと、こう言っておる以上は、もしそういうことで予算的に十分でないものが出てくれば、当然財政当局と話し合って財政措置は将来していかなければならないと、こう私は考えております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 五十六年度の話はこれからだと言いますけれども、実際にもう五十五年の八月ごろからいろいろ検討していかないとやれない問題なんですよね。そのときのことの姿勢の問題で言っているのですが、五十五年度は問題なかったと言っていますけれども、単に予算上の技術的なあれこれじゃなくて、数字的なことから言っていま言ったようなことが裏づけられるのですよ。もっともっと伸びるというふうな見通しを持って、あるいは伸ばしていくんだという見通しを持って、そうして大蔵に五十六年度はだからこういう想定と、そしてこういう実績のもとでやるんだという、そのぐらいの気構えがなかったら、これはとてもじゃないけれどもだめなんじゃないですか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) これは五十五年度の分と五十六年度以降とひとつ切り離してお考えをいただきたいと思うのでございますが、五十六年度以降については、先ほど申し上げましたように農政審議会で御議論もいただいておりますし、私どもやはり将来の、いわゆる米の生産から新しいものに転換をしていただいて、それを定着をしていただきたいというものについては、より強力に進めていきたいと、こう考えておることを申し上げました。  それから五十五年度については、いま申し上げておりますように、確かにそういう特定作物としておるのですから、よりそういうものをつくっていただきたいという気持ちは持っておりますけれども、しかし、生産者の方で幾らおつくりになるかもわからない。そこで、そのパーセンテージは確かに伸びていないかもしれませんけれども、もし伸びたときは必ず先ほどのように、私の責任において財政当局と話をし、もし不足ができてくれば当然その予算措置というものはしなければいけないと、こう思っておるわけでございますから、その点は私は農民の方に御信頼いただいておっても決して間違いはない、こう思っておるわけです。

下田京子日本共産党

○下田京子君 大臣、五十五年と五十六年と切り離しているなんていうのは、それは勝手な政策上の問題で、農家の人というのは農業を続けていくのです。ですから五十五年度においては、いまおっしゃるように、つくったものについてはきちんと財政的な、足りない点があれば補てんするよと言っています。全くそうして下さるでしょう。そうなると思います。ただ、五十六年度の問題について、おっしゃるように五十五年までつけてきた奨励金はちゃんとつけて下さるのですか。そういう気持ちで大臣は大蔵に折衝しているのですか、いこうとしているのですか、そこが問題なんです。そこどうですか。五十六年です。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 五十六年度以降については、いま申し上げましたように、農政審議会といろいろいま議論をしておる、私ども議論をお願いしておりますし、私どももいろいろ申し上げておるわけでございまして、それを踏まえて五十六年度以降のことは対策を立てていきたいと思っておるわけでございまして、もちろん私ども農政審議会の結論というものもことしの夏前に出していただけるものと、こう判断をいたしておるわけでございますから、農家の方に御迷惑をおかけするようなことにはならないと、こう考えているわけです。

下田京子日本共産党

○下田京子君 いいですか、その手続上のことでは八月までには間に合うだろうということですが、一体奨励金は継続してやるという、その立場で、あるいはいままで進めてきたそういう施策を、いわゆる第二期見直しの五十六年度からも、本当に農家の人が安心して、先ほどから言われているように水田利用再編のその目的、趣旨に沿ってやられる方向でとにかく続けていくという立場で農政審にも話をし、あるいはまた財政当局にも今後働きかけていくのかどうか、この点はどうなんですか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) これは私予算委員会でも答弁をいたしておりますが、当然、いまの水田利用再編対策というのは五十三年度からおおむね十年間という形で進めてきておりますので、第二期に当たる五十六年度以降についても、転作奨励金についてもこれは考えていかなければならないものと、こう私は判断をいたしております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 五十六年以降第二期もその奨励金は考えていかなければならないと。それはもう当然なんですね。ただ、財政当局が、さっき言ったようにもう財政審の建議なんかで非常に見直しを迫っているわけです。すなわち、奨励金の補助金の単価にしても、面積にしても、やり方についても見直せ、こういう迫り方をしているわけですよ。ですから、よほど大臣、腹をくくってやらないと、それは大蔵でお金さえくれればいいよじゃだめであって、実際にいま日本の農業の再建というか、その方向で穀物の自給率向上をどうするかという立場から、米にかわって高収益性のいまの特定作物、大豆、麦、こういったものを本当に奨励していくということを腹に据えてかからなかったら大変だということを私は申しておきたいわけなのです。  ちょっと時間があれなので、大蔵がせっかくお見えになっていますから聞きたいのですけれども、さっきいただきました「態様別作目別転作等面積」で、食管をめぐる諸問題の資料を見ますと、五十四年度の当初想定が、これは特定作物でいきますと三万九千ヘクタール、それから実績見込みで五万三千ヘクタール、こう見込んでいるのです。これの五十五年度の当初想定というのはどうお立てになっていますか。それから、ついでですから、この資料の根拠は大蔵で立てたものですか。

二瓶博農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(二瓶博君) 五十四年度の財政審に対しまして大蔵省が提出いたしました五十四年度の当初想定、実績見込み、この面についてのお尋ねでございますが、この資料を出されたことは大蔵省の御判断で出されたわけですが、ただ、基礎資料としての当初想定なり実績見込みなり、この面につきましては、農林水産省の方も連絡を受けてこんなふうなことですというふうなことで打ち合わせをしたものでございます。ただいまお話にございました当初想定三万九千、実績見込み五万三千……

下田京子日本共産党

○下田京子君 これは麦ですね。

二瓶博農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(二瓶博君) 麦でございます。麦につきましては、五十四年度の当初想定のときに三十九万一千ヘクタールという全体の面積をどう割り振るかという際に、五十三年度の実績見込みなりそういう面等の情報等も一応参考にして、麦につきましてはこの程度の見方で至当なのではないかというようなことで見込んだわけでございますけれども、実際ふたをあけてみますと、農家の方は相当麦については作付意欲、転作意欲が強くて、五万三千というふうにふえてきておる、こういうことでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 これでも問題があるのですよ。せっかく大蔵省に聞いたのにあれだが、実はなぜ大蔵に来てもらったかというと、資料要求したら農林水産省で出してくれなかったのですよ。五十五年度の想定はどうなっているのだと言ったら、知らないというのですね。で、大蔵を見たらこうなっているから、それじゃ大蔵から聞こうといって。で、いまお話聞いたら、大蔵と農水と相談してやったというのじゃないですか。資料要求のときには、これは質疑ですからよろしくお願いしたいと思いますけれどもね。  まあそれは別として、これは想定で大蔵でこういう数字を出されて、麦だけ見ましても、三万九千見込んだのに五万三千になったと。大蔵省の見方は逆なんですよ。こんなに少なく見込んだのにこんなにたくさんかかったじゃないか、問題だと指摘しているのです。それを農林水産省が話し合いの中で、見込みは少なく見積もったけれども実績はこれだけあるのだから認めろと、これは後退した要求なのです。話し合いの中でもっと積極的に、これだけ実績があるのですから、なぜ想定を低く見積もらなければならないのですか。それは大蔵省との財政的ないろいろな技術的な問題はあると思いますけれども、そういう予算編成上の技術的な問題じゃないと思うのです。根本的な問題だと思うのです。大臣、そこのところをきちっと据えていただきたいと思うのです。  六十五年の見通し問題についても、これは当初の六十年見通しから比べたら非常に後退しているという点の議論はまた後ほどやりたいと思うのですけれども、あわせて最後に一つ。こういう姿勢をやっぱり、指導するしないは別としまして末端では敏感に感じておるのです。  これは岩手県の花巻市なんですけれども、市農協とそれから農業改良普及所が一体になりまして資料を提示しているのですね。その中で、転作にいま推奨している麦、大豆等々について何ということを言っているかというと、こう言っているのです。「わが国の小麦、大豆の自給率は、四%、三%と食糧でもっとも低く、国においては、水田利用再編対策事業で、特定作物に指定し、奨励金を加算し、作付を奨励しています。しかし、現在の技術水準、土地条件、価格では、稲作に匹敵する高収益性が確保できる作目としては、多くの問題があり、広く、安全に普及推進するためには、まだ多くの課題があります」、具体的にこう言っています。「流通面においても、生産量が多くなれば、麦は食管赤字(五十三年四百八十七億)、大豆は「大豆なたね交付金暫定措置法」による交付金(五十二年十億)の増大となり、第三の「米」として、クローズアップされる心配がある。したがって長期の展望にたってみれば、大面積の定着の安定性は低くなり、産地化できる作目として、位置づけがむずかしい」、はっきりこう言っておる。しかし当面は所得の向上という点から生産拡大に努めなければならない、と。どうです、こういう受け方をしているわけなんです。  ですから、私はここで聞きたいのは、まず大蔵に、農林水産省のいろいろお話があると思うのですけれども、よく大臣が言っているような立場からこれはもう作業を進めていただきたい、こう思うわけです。そういう立場から、大臣、ぜひ五十六年度も、さっきお述べになったような立場で奨励金あるいはいろいろの諸条件の整備等も含めて水田利用再編の目的に沿うようにこれを定着させていただきたい、その決意を聞きたいと思うのです。

的場順三大蔵省主計局主計官

○説明員(的場順三君) 農政上の水田利用再編対策というものが大問題であり、かつまた日本の農政が非常に大事なものであるということは十分に承知をいたしておりますし、農林水産省と十分に話し合っております。ただ、私どもの立場から申しますと、歳出の節減合理化というのはこれまた別の意味での至上命令でございまして、その辺も含めまして来年度以降真剣に検討いたします。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほど申し上げておりますように、私どもはこれからの日本の農業のあり方としてはやはり需要のあるものをつくっていかなければいかぬわけでございまして、そういう意味において、小麦だとか大豆というのは、今後とも相当国内でつくっていただいても十分それに対しては需要がある、こういう判断でお願いをしておるわけでございます。そこで、それではコストの面その他でもって非常に問題があるのではないか、いまの話でまた第二の食管になるとか、いろいろお話がございますが、そういうこともあるものでございますから、当面は私どもできる限り米の収益性との関連において転作奨励金を確保するように財政当局とやってまいりますが、将来の問題としては、農家の方もコストを安くする。安くすれば結果的にはそういう転作奨励金がなくたって自分の方で収益が上がるわけでございますから、そういう意味において私どもは、できるだけコストを安くするために、どうしても土地利用型の農業というものは経営の規模を拡大をしていただかなければいけない、こういうことも一方においてお願いをしていきたいと思っているわけでございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 経営上の問題、コストを下げる問題というのはまた別な問題でいろいろとお尋ねもしたいわけです。これは一面で道理のあることですが、私が聞いていることは、大臣、繰り返しますけれども、五十六年度以降も今後とも本当に過剰問題も心配ないといいますか、むしろいまの需給動向を見まして必要な特定作物の定着化に向けてやってほしい。  簡単にこれ一点聞きたいのですけれども、事務当局でも結構なんですが、通年施行をおやりになっているところからいろいろ具体的な御質問が出るのです。これは実際に通年施行をおやりになっていて、もし工事を夏場やりましたら、その場合には事前転といいますか、工事が始まる前に、たとえば飼料用作物なんかを作付することも可能でしょうし、工事が終わってから、あるいは裏作麦なんていうのも作付するのも可能だと思うんですね。現実にこれは全国的に見ればおやりになっていることなんですよね。といいますのは、一つの面は、何といっても土地利用という面ですね。水田の高度利用という面もありますし、それから圃場整備をきちんとやるということは一方で大きな任務ですけれども、農家の所得を減らさないということで当然だと思うんです。ただ、これは福島県の会津地方なんですけれども、そういうものを聞いているんだけれども、本当にやれるのかという問い合わせが来たんです。ですから、そういう問い合わせ等に、ありましたらひとつ答えていただいて、具体的に御指導、援助いただきたいと思うんです。当面は、福島県等に対してよろしくお願いしたいと思うんですけれども、どうでしょうか。

二瓶博農林水産省農蚕園芸局長

○政府委員(二瓶博君) ただいまのお話は、土地改良事業で夏季施行をするということがございます。その際に、夏季施行をする工事前あるいは工事の後に転作作物の作付を行われるということがございます。そうした場合には、通年施行の奨励補助金というものの交付条件にも該当いたしますし、また前作として、ただいまお話しのあった、たとえば飼料作物ということでございますれば、これもまた交付要件に該当すると。したがって、農家といたしましては、どちらの補助金をもらうか、これは農家はどちらか一方もらえるわけでございます。したがいまして、通年施行の場合は四万円口でございますし、飼料作物であれば五万五千円ということになるわけでございます。  こういう扱いになっておるということにつきましては、これは水田利用再編対策の内容、全体の一環として、このこと自体、都道府県、市町村を通じて農家にも周知するようにいたしておるわけでございます。ただいま福島県の場合で、十分その辺徹底していない、問い合わせがあれば答えてほしいというお話でございますが、その面につきましては十分県の方とも連絡して周知するようにいたしたいと思っております。

下田京子日本共産党

○下田京子君 最後に、本当に時間がなくなってきてしまったんですが、大臣、端的に三点ほど聞きたいんです。  いまずっとお話ししてきました中で、当面、やっぱりなかなか大豆や何かの特定作物が定着しないということは一方で現実だということ、おわかりいただいているわけなんですが、そういうふうな中で、飼料用稲の問題で、これは農政審でもいま議論中でございますと、こう言っているんですが、お尋ねしたい第一は、農政審に対してどういう立場から働きかけてきたのかということなんですね、一点は。  それから、大臣はいままでのお話の中ですと、もうあちこちでやられているところに出かけていって、そしていろいろ調査してきますと、こう言っているんですけれども、調査するといってもその立場があると思うんですね。私はちょっと具体的に言いたいのは、秋田県ではもうこれは実際に始まっているんです、秋田県秋田市、横手市、それから湯沢、あるいは本荘、研究を始めることになりました。それから、河辺町というところでは三カ所実際に試験田をつくることになりました。それから、鷹巣というところでは二カ所の実験田、そのほかも協和町、羽後町なんというところでも、これは町議会で請願を採択して、いよいよ今度は研究という段階になりました。そういう中で、農林水産省では、いままで全農がやってきましたいわゆる飼料用稲の実験事業といいますか、あると思うんですね。これは地方競馬会なんかを通じて二千四百万円くらいのお金を出しておやりになっている。その事業をこれから続けていく、それから積極的にやる、こういうお立場でその調査なりあるいは農政審で審議されているのかどうか、その点お聞きします。

渡邊五郎農林水産大臣官房長

○政府委員(渡邊五郎君) 農政審の審議にかかわることもございますので、私の方からお答えいたしますが、農政審におきまして、えさの問題につきまして、やはりこれの持っております長所、短所の問題が当然あるわけでございます。稲作技術が活用できるとかいうメリットの反面、やはり収益がきわめて低いというような問題、識別性の問題等もございますが、いずれにしてもえさ米というような問題を取り上げますと、今後の転作対策の方向について非常に大きな影響を及ぼすものではないかと考えられます。そうした視点から農政審議会に御相談しておりますが、技術的な問題からの各種の問題が出ております。本格的な品種の改良等を伴ってあるいは技術的に確立いたすべきだと、あるいは現在の転作の方向をさらに推進すべきだというような意見もあることを御紹介いたしておきます。  御指摘の西日本のいま三県で、たしか岐阜、島根、福岡の三県で全農が中心になっていたしておりますいわゆるえさ米の契約栽培方式の問題でございますが、当面本年度実施いたしましたのは、五十五年度におきましても引き続き事業を実施するよう、関係者と現在検討を進めておる段階でございます。

下田京子日本共産党

○下田京子君 大臣に一言。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 私どもの役所でやっておりますいろいろの研究は今後も進めてまいります。  また私が、どこへまだ視察に行くかは決めておりませんが、できるだけ有効なところを視察してまいりたいと考えております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 大臣にお尋ねいたします。  沖繩は、日本の唯一の亜熱帯地域でありまして、したがいまして、沖繩は国土開発の一環という立場から非常に重視してもらわなければいけない、このように考えております。  そこで大臣、日本農業の立場から、沖繩の農業をどのように位置づけて考えていらっしゃるか、まずその基本的なとらえ方をお聞きしたいと思います。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) いま御指摘のとおり、日本では唯一の亜熱帯農業地帯でございます。私どもはやはり沖繩の農業の振興が沖繩の地域社会の発展につながると、こう考えておるわけでございまして、その特徴を生かした形で沖繩の農業をひとつ今後とも振興していきたいと。幸い最近は、サトウキビだとか畜産だとか野菜などを中心といたしまして農家の生産意欲も非常に高まってきておると、こういうふうに承知をいたしておりますので、今後ともこの傾向を定着させるために、基盤整備その他についても積極的にひとつ推進が図られるように私どもも協力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 いま大臣の御答弁によりまして、その着眼、とらえ方は適切であると理解いたしております。  それで最近、特にいまおっしゃいました野菜、花卉類の増産があるわけですが、それがこの本土との輸出において航空貨物が非常に急増しておる、こういう状況でございます。その輸送面に対してどのような御配慮を持っておられるか、それをお伺いいたします。

森実孝郎農林水産省食品流通局長

○政府委員(森実孝郎君) 御指摘のように、三月一日から航空運賃の値上げが実施されております。値上げ率は大体二〇%強となっております。一例で申し上げますと、たとえばサヤインゲンの例で申しますと現在粗収入が千三十七円、航空運賃は八十七円だったものが百四円というふうに約二十円ばかり値上がりしておることは事実でございます。しかし、御案内のように、沖繩の冬場の蔬菜生産というのは、高級品を主体として、地形上の特質を生かした商品でございますので、全体の野菜の流通経費に占める比率はそう大きくないという事情にある点は御賢察を賜りたいと思います。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 航空運賃の値上げと関連いたしまして、非常に量がふえてきたということとこの輸送コストの問題、これは非常に重大な関連を持つわけでありますが、その量とコストの問題について、今後に対してどのような御配慮がありますでしょうか、またないのでしょうか、ありますか、それをお尋ねいたしたい。

森実孝郎農林水産省食品流通局長

○政府委員(森実孝郎君) 野菜等の輸送の問題につきましては、まあ特殊な一部高級品はやはり航空機利用という形になると思いますが、やはり長期的に言いますと、主力を占めるものについてはフェリーの利用というふうな点も積極的に考えていく必要があると思うのであります。現にようやく軌道に乗りつつある。私どもといたしましては、各種の事業を実施しておりますが、特に特産野菜の生産団地育成事業の活用による流通施設の整備、それから輸送合理化推進事業という事業で、大型コンテナとか保冷施設の導入等を考えることにしておりますが、その活用。さらに野菜の広域流通加工施設整備事業、これは広域にわたる産地に集出荷のためのキーステーションを設置するための事業でございますが、こういった事業を、補助事業を活用いたしまして、合理的な輸送が実現できるようなシステムを産地としての沖繩につくっていくということに努めてまいりたいと思っております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 いま合理的なシステムとおっしゃいましたが、もっと具体的な案がありましたらひとつ。

森実孝郎農林水産省食品流通局長

○政府委員(森実孝郎君) 先生御指摘のように、沖繩の野菜の作付面積ももうかなりふえてきております。生産量もすでに九万トンという状況になっております。そこで、やはり一方においては、沖繩内部において市場整備等を進めることによって、沖繩県内部における流通条件の整備を図っていくことがあるわけでございます。もう一つは、やはり京阪神市場、東京市場を念頭に置きまして集出荷体制を整備するということがやはり基本にあるだろうと思います。そのような意味で、私ども先ほど申し上げましたように、保冷施設の導入とかキーステーションの整備、あるいはまた冷蔵コンテナの設置等の助成事業をできるだけ活用していただきまして、いわば計画的な出荷体制をつくるということをまず中心に置くべきではなかろうかと思っております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 私が冒頭に申した、日本の中における沖繩が特殊の亜熱帯地域であるというこのとらえ方は、国土開発の一環としてそれをとらえてほしいということは非常に重大なことだと思いますね。いわゆる沖繩のために開発するということも大事でありますが、国民の側に立って、沖繩の特殊地域における農業生産を国民のために供給する。すなわち無限の太陽エネルギーがあるわけですから、それを利用して本土のいわゆる端境期に年じゅうやろうと思えば何でもつくれるわけですね。それを国民が困っておる時期時期に沖繩側から提供してあげると、こういう考え方に立つということが私は国土開発の一環としてそれをとらえてほしいということと、そして本土にない時期に、端境期にそれを提供すると、こういう立場を踏まえるならば、その輸送コストの問題、まあ量の問題もいろいろと考えられてくるわけでありますが、そういう見解に立ってひとつ今後沖繩の農業開発を考えてもらわなければ国民の立場からもいけないのではないかと、こう思って申し上げるわけでありますが、そこで、現地に対するこれらの生産指導をどのように考えておられるか、その点ひとつ具体的にお聞きしたいのです。

森実孝郎農林水産省食品流通局長

○政府委員(森実孝郎君) 御指摘のございましたように、豊富な太陽エネルギーを活用いたしまして、内地とは異なって、加温を伴わない簡易ハウス栽培で生産の増大がかなり期待できると思っております。今日の石油情勢等も考えると、今後ともますます端境期における沖繩の野菜生産基地としての地歩は増強されていくと思っております。そういう意味で、野菜の集団産地の育成事業、それからもう一つは、例の沖繩の農林漁業構造改善緊急対策事業、さらに土地改良事業による畑地総合土地改良事業の積極的実施、またさらに技術指導の面におきましては、沖繩の条件に適した品種の開発、導入、野菜栽培技術体系の確立、こういった点を重点にいたしまして、積極的に端境期における野菜の生産基地としての沖繩の地歩の確立ということに努力してまいりたいと思っております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 いまの問題に関連いたしましては、どうかひとつ、繰り返すようでありますが、今後もこの基盤整備の問題あるいは圃場整備の問題、土壌改良の問題、品種改良の問題、機械化の問題、あるいは水資源の問題、いろいろとあるわけでありますが、そういった広い視野に立って、沖繩農業、亜熱帯農業を最大限に育成していくと、こういう見地に立って沖繩を見つめてもらいたいと強く要望するものでありますが、大臣の御所見を承りたいと思います。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) いま食品流通局長からも御答弁申し上げておりますように、私どもできる限り沖繩のその地域の特性を活用した形で沖繩の農業の開発に御協力をしていきたいと。そしてそれは何も必ずしも沖繩の県の地域の発展のためだけでなくて、日本の国全体としても大変プラスであると考えております。特に私ども、今後石油の価格が非常に高騰してまいりますし、農業もいま相当油を使っておるハウス栽培その他内地にはあるわけでございます。そういう点について、こういうものが今後ともどんどん伸びていけるかどうかという点は、非常にそういう点で石油状況から見て心配されるわけでございます。でございますから、いま省エネルギーあるいは石油代替エネルギーによってやろうというようないろいろ研究もしておりますけれども、沖繩が非常に基盤整備されて野菜その他のものがより多くでき上がるということになりますと、これはそういう施設野菜にかわるべきものとしてのまた道もあるのではないかと、こう考えておるわけでございまして、ひとつ沖繩県のためにも、また日本の国全体のためにも、沖繩県の農業の開発のためには極力私どもお手伝いをしていかなきゃならないと、こう考えております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 じゃ、次に移ります。  次は漁業問題に関して、最近日本の南端、沖繩の南端、台湾に近い与那国町周辺をめぐる漁業問題で重大な問題が起こっております。すでに御承知かと思いますが、与那国島はしばしば台湾漁船の領海侵犯によって非常に漁場が荒らされておる、こういういままでも問題を醸してきたあの与那国島であります、与那国町であります。そこは零細漁民でありまして、漁民の数も約百名足らず、七十名ですね。それから装備も二トン未満、さらに沖繩独特のサバニというあのくり船みたいなのですね、サバニ、こういった零細漁業をやっておるわけなんです。特にカジキ、カツオのこれから漁獲期になるわけでありますが、たまたまこの島が、漁民が悲鳴を上げて死活問題だと大騒ぎしておる事件が起こっておるわけですが、そのことについては御存じでありましょうかな。まず、その点をお伺いしたいと思います。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) ただいま先生のお話のございました、与那国の周辺におきまして本土の漁船が流し網漁業を行って網が切れまして非常に御迷惑をかけたというのは、沖繩タイムス等の新聞で承知をいたしております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 どうもいまの御答弁では非常に心細い受けとめ方だと思います。実は死活問題が起こっておるというその事実は、大目流し網、この網で本土の大型漁船が一週間ないし二週間の長期にわたってこの近海で操業しておるわけなんです。もっと具体的に申し上げますと、あるいは関係者の方もおられるかもしれませんが、岩手県の漁船ですね、第一大祥丸六十六トン、その大型漁船が一、二週間にわたってその近海で操業をし、そうして大目流し網を使って、いわゆる一網打尽にその近海のカジキ、カツオを漁獲しておるわけなんです。たまたま網が切れて与那国島南西のリーフに十二キロにわたって押し寄せて、漁民のそのささやかな漁船のプロペラにその船がかかりはせぬかといって三日ほど海に出ることを中止して、そうして船長さんと押し問答をしてトラブルを起こしておる事実があるわけなんです。その網の回収作業で七時間にわたって約千二百メートルの網を回収をして大騒動しておる事実があるわけなんですね。与那国漁業協同組合長は、まかりならぬと、この岩手県の第一大祥丸を漁業権の侵害だと、こういうことで石垣海上保安部に告訴しておると、この事実は御存じでしょうかどうでしょうか。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 岩手県の第一大祥丸六十五トンでございますが、それが与那国島の南西十五海里沖で大目の流し網を操業中に、この網の一部約六千五百メートルが切れまして同島の近くのリーフにひっかかって、地元の漁船の通航に支障を来して、そのために地元が非常な大騒ぎになったということは承知をいたしています。三月九日に地元漁民の協力を得まして大目流し網を回収をしたわけでございますが、船主は、十日、地元組合長の請求によりまして四十三万円を送金をいたしております。地元では七日、八日、九日の三日間出漁できなかったということでございますが、現地では第一大祥丸の船長を保安部に告発をいたしましたが、十二日、これを取り下げております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 事実の確認も何かしらこうまだ不十分な点があるやに受け取れますが……。  そこで、この与那国町の漁民といたしましては、もうまさに青天のへきれきといいますか、死活問題であると。そこで早急に法律で規制してほしいという強い要望がありますが、この要望に対しては政府とされてはどういう見解を持っておられますか。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) カジキとかカツオあるいはマグロを対象にいたします、いわゆる大目流し網漁業の操業は、昭和四十八年の八月七日付の農林省告示によりまして、漁場、操業期間等が規制されておるわけでございますが、四十八年当時は八重山近海のうちの西表島あるいは与那国島近海におきましては、カツオ、マグロ漁業の操業規模が小さかったので、大目の流し網漁業との漁場競合もおそれがないというふうに判断されまして、当該地域の規制措置がとられなかったわけでございます。当時は、沖繩県からも別段の御要望もなかったというふうに承知をいたしておりますが、与那国島の漁業形態がこの告示を制定いたしました当時から変化を生じておりまするし、また、カジキをめぐる競合の度合い等、漁業調整上に著しい支障がございますれば、県の意見もよく聞きまして、規制措置につきまして前向きで検討いたしたいと思います。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 まあいまおっしゃるのは、よく漁民あるいは県側のそれに対する要望があれば、その意思を尊重して対策を講ずると、こういう用意があると、こういうふうにとらえていいんですね。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 県からもよく状況をお聞きをいたしまして、前向きで検討いたしたいと思います。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 まあ前向きで検討していただくさらに具体的な裏づけにもなればと思いまして、私次のことを申し上げたいんですよ。  このカジキ等流し網漁業は、網の幅が十から十五メートル、長さが十二キロと、いわゆる大規模な漁獲になるということで、昭和四十八年の省令によって漁業禁止区域が広範囲にわたって設定されておりますね。ところが、この与那国漁業者の率直な意見によりますと、どういう理由か知らないが、与那国近海はその操業禁止区域から除外されておると、フリーゾーンになっておると。そもそもここに問題があるわけなんですね。その近海がフリーゾーンになったと、禁止区域から外されたという理由は何でしょうか。

今村宣夫水産庁長官

○政府委員(今村宣夫君) 確かにそこの部分が外れておりますが、大体カジキの流し網漁業は台湾の南からシナ海にかけまして主漁場でございまして、四十八年制定当時におきましては、いま先ほど申し上げましたように、与那国島近海におきましては、カツオ、マグロ漁業の規模もそれほど大きなものではなかったわけで、まあ大目流し網漁業との漁場競合はそれほど起こらないのではないかということで外れておるというふうに承知をいたしています。故意にその部分を外したわけではございません。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 いまの問題についてはちょっと不十分なので、政府の態度を裏づけるために申し上げたい点もあるわけですが、時間もありませんので、次のことを申し上げて終わりたいと思うのでありますが、県の農水部でも、県側が何か要望があればというさっきお話がありましたが、それに基づいて検討をして前向きでというお話がありましたが、県といたしましても、県近海漁業の秩序と漁場を確保して県内漁船の操業を保護すると、こういうたてまえから、近海をカジキ等流し網漁業の禁漁海域——漁獲を禁止する海域ですね——という地域にする必要があると、こういうことを十分認めております。ですから、県としても十分そこをフリーゾーンにしてはいけない、外してはいけない、守る必要があるという意思があるということを私からも強く申し上げまして、ぜひこれを守ってほしいということを強く要望いたしまして、最後に一点だけ尋ねておしまいにいたしたいと思います。  それは日本全体としても言えるんですが、農地が都市化のために非常に狭められつつあると。沖繩の場合には、さらに軍事基地による農地の接収の特殊事情から、非常に狭い沖繩の農地にさらに基地、それにさらに追い打ちをかけるように沖繩本島の中部の都市化によって農地が非常に狭められつつある、狭くなりつつあります。その農地確保、特に沖繩の場合にそれが痛切にいま中部一帯において問題になっておると感ずるわけでありますが、その農地確保の策として、国としてどのようにこれを守っていくか、その見解をお聞きしまして、時間が参りましたので終わりたいと思うわけでございます。

杉山克己農林水産省構造改善局長

○政府委員(杉山克己君) 御指摘のように、都市化の進展によりまして農地の壊廃が年々の造成を上回るというようなことで、ここ数年来農地の絶対面積が若干減少を続けてまいっております。ただ、そういう中で、先ほど先生も言われましたように、沖繩は農業については恵まれた条件にもあるというようなこともあり、また私どももいろいろ努力してまいっているわけでございますが、農地の壊廃は比較的最近は小さく少なくなってまいっております。絶対面積でわずかながら増加の傾向が見られるわけでございます。今後とも開発適地を最大限開発いたしまして農用地の確保に努めてまいりたい。特に大規模の県営農地の開発事業でありますとか、農用地開発公団の行います事業、これらを中心に開発を一層進めてまいりたいと考えております。

原田立公明党

○原田立君 五十五年度予算案について見ますと、総額三兆五千八百四十億円で前年度比三・五%の増で、五十四年度の伸び率一三・三%に比べるとかなり低いものであります。また、国家予算全体の割合は八・四%でありますが、全体的に見て、五十五年度予算案に対して大臣はどのように受けとめておられるのか。要するに、ずっと小幅な状態になっていて、そんなことで今後の日本の農政を推進していくことができるのか、大変危惧を持っているわけです。お考えをお聞きしたい。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 確かに、五十四年度の五十三年度との比較と、五十五年度の五十四年度との比較などを見てみますと、伸び率が非常に低いものでございますから、先生は御心配をいただいてそういうお話をされているかと思うのでございますが、御承知のように、この五十五年度の予算というのは、財政再建元年だということで、非常に厳しい予算の編成の姿勢で行われたわけでございます。しかも、その中で国債費が三割以上の伸びを示しておったということ。それから地方交付税の交付金が大体二三・四%のたしか比率であったと思います。そういう画と、それから景気の面で、昨年までは景気刺激を財政面からやってきたわけでございまして、公共事業は非常に伸びが高かったわけでございます。今回は逆に、物価の動向が非常に心配されるものでございますから、そういう面から公共事業は非常に抑制をしていこう、財政的にも問題であるし、物価の問題からも問題があるしということで、御承知いただいておりますように公共事業は伸び率ゼロと、こういう形で予算編成に臨んだわけでございまして、そのあおりを実は農林水産省は食っておりまして、農林水産省の予算の大体四割は公共事業でございますので、いま申し上げたようなことからまいりますと、確かに五十四年度の予算を五十三年度と比較した場合と、五十五年度の予算を五十四年度と比較すると、どうも伸び率が低いんじゃないかということでございます。  しかし、私どもはいろいろと新しい施策をやる上においての予算というものにおいては、新規の予算はほとんど全部私どもつけたわけでございまして、そういう面においては、今後農林水産行政を推し進めていく上において必要なものは確保したと、こう判断をいたしておるわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 大変なことはわかるのですけれども、対前年比三・五%の増となっておりますけれども、補正後の予算案では逆に三百七十七億八千万円の減となっております。そういうようなことについては大臣の見解はいかがですか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) これは、大体私ども予算というものは当初予算と前年度の当初予算と比較をいたしておりますが、確かに五十四年度と今度の予算で千二百九億でございますか、補正後は千五百八十七億ですね、補正に行ったのでございますが、これは食管会計の関係での小麦の輸入が高くなってまいりまして、そういう面の補てんと、それからもう一つは野菜の関係で、非常に指定野菜の価格が暴落をいたしましたために、野菜生産出荷安定資金の造成のための金とか、そういう面で補正予算を組まざるを得なかったわけでございます。今後当然私どもは、いまの当初予算で五十五年度の予算がこれで成立すれば、それでやれるものとしてやってまいりますけれども、しかし、万が一またその途中において何らかの予算措置が必要であるというときには、当然これは財政当局とまた折衝いたしまして予算の確保はしていかなければならぬと考えておりますので、一応当初予算と当初予算の比較でお考えをいただいて、私ども万が一出てきたときは、またそれはそれなりに五十五年度は補正予算を組むなり、予備費を支出するなり、必要な財源だけは確保していきたい、こう考えております。

原田立公明党

○原田立君 非常にそれは誠意はわかるんですよ、言うていることは。だけども、補正後では逆に三百七十七億八千万円の減だなんていうことは大変了解しがたいんですよ。また、そのときには、しっかり補正を組むということだからどうも余りこううんと言うわけにはいかないけれども、それはそれでいいでしょう。  で、個々の予算では地域農業生産総合振興対策の強化あるいは農業改良資金の充実、離農給付金制度などが認められている反面、多年度にわたる継続事業、構造改善事業等の進捗率がいずれも五%ないし七・五%カットされているわけでありますが、この継続事業については生産農家からも事業の進捗率が低いとの苦情が多く、これでは農家の要望に逆行する農政になりはしないか、こう思うんですが、いかがですか。

渡邊五郎農林水産大臣官房長

○政府委員(渡邊五郎君) 予算全般にわたりますので、便宜私の方からお答えいたします。  五十五年度の農林水産予算につきましては、ただいま大臣からお話がございましたように、大変厳しい財政事情のもとで、極力最近における農林水産業をめぐります諸情勢に対処いたしまして、必要な新規施策を初め重点施策の推進の予算は確保いたしましたのですが、この構造改善事業等のいわゆる施設整備地区につきまして数年間にわたりまして実施します施設整備事業、通称すだれ事業と称しておりますが、これらの事業の進度率の調整につきましては、結果だけ申しますと、来年度におきましては既定進度五%を後年度に回すと。それから構造改善事業については七・五%の進度調整を図ったということで、これは財政事情等からやむを得ない点はございましたが、それぞれの地区の張りつけと申しますか、要望なりには十分沿うように各担当局では対処するということで私どもやむを得ない措置と考えておりますので、その点を御理解いただきたいと存じます。

原田立公明党

○原田立君 それは理解しないんですよ。その財政面のことばっかりあなた方、口を開けば言うんですよね。そして、農民の、農家の方々の苦情のあることは承知しているけれどもと、こういうふうに言って御理解をというのだけれども、それは理解をしないんです。農家の声というものはもっと率直に受けとめていただきたいと思うのであります。  水田利用再編対策に伴う転作を強力に推進する必要があると思うのでありますが、そのためには農業基盤整備の強力な推進は欠かせないものであります。水田利用再編対策の受けざらとしての生産体制の整備充実を最重点に置いての予算であるべきだと思うのでありますが、ところが、農地関係の農業基盤整備費は一%増にも至っていない。これではもう、先ほどからよく理解してくれとかなんとかいうけれども、本気で取り組んでいるとははなはだ思えない、そういう気持ちが強いんです。いかがですか。

杉山克己農林水産省構造改善局長

○政府委員(杉山克己君) 大臣から、それから官房長からもお答えいたしましたように、一般的にことしの財源のきつい中では、私ども公共事業、農業基盤の整備はかなり重点として努力したつもりでございます。その結果、伸び率わずかではございますが、若干前年を上回るような予算になっておるわけでございます。  それから農業基盤整備の中では、特に水田利用再編の推進と転作の定着ということに重点を置いております。したがいまして、この予算全体の中で、公共事業の予算の全体の中でめり張りをつけるといいますか、特に転作の受け入れに貢献するような水田の排水条件を緊急に整備する事業、これは五十四年からそのための排水対策特別事業というのを行っておりますが、これを大幅に一一二・五%と前年に比べてかなり伸ばしております。そのほか圃場整備事業、土地改良総合整備事業等、これは水田で畑作もできるようないわゆる水田の汎用化というような事業でございますが、それに資するような事業に配慮して重点的に予算配分を行っているところでございます。

原田立公明党

○原田立君 局長、あなたは確保したと言うけれども、五十四年度当初は八千九百六十九億、今度は五十五年度は八千九百七十四億、伸びたのは五億三千九百万です。これじゃ余り少な過ぎるでしょう。中身の点でこう変えたと、だから重点的に施策したとあなたは言いたいんだろうけれども、これでは、先ほども言ったように、本気で取り組んでいるとは思えないという気持ちは、いまの局長の説明では私は理解しがたい。  ところで、それはそれだけ指摘しておきまして、次に進めたいと思うのでありますが、農林水産省ではいわゆる長期見通しを立ててやっているわけでありますが、だんだん修正していく中で八〇年代の農業の枠組みというものを考えようとしているわけでありますが、たび重なる米需給見通しの修正は、農業生産の再編成を根底から崩すことにつながる。正しい長期見通しの必要性はもう当然あると思うのでありますけれども、その点はいかがですか。

渡邊五郎農林水産大臣官房長

○政府委員(渡邊五郎君) 御指摘のように、これまでの長期見通しに問題がなかったわけではございません。率直に申しまして、六十年の長期見通しでは、経済の安定成長への移行という観点から、食生活の変化もかなり鈍化すると申しますか、そう大きな変化はないだろうというふうに見込みましたが、策定後の動きを見ますと、消費構造の変化が相当著しかったと。具体的に申しますと、カロリー全体の伸びは約二千五百カロリー程度で鈍化して、見通しよりもかなり下回ると。かつその中で畜産物、油脂の消費の増大と、他方、これとトレードオフと言われますが、置きかえるように、米の消費の減退が依然として続いているというふうな、こうした需要見通しにつきましての問題があったことは事実でございます。    〔委員長退席、理事片山正英君着席〕 したがいまして、ただいま農政審議会に諮っております長期の需給見通しにつきましては、これが、先生御承知のように今後の農業生産を誘導する目標となるものであることと、かつ今後の政策展開の指針となるというような性格でございますので、私どもとしましては、米についても三たび大幅な生産過剰を来さないように、食生活の変化を可能な限り正確に見通しまして、的確な見通しを作成してまいりたいと、こういうことで現在審議会で熱心にお諮りいただいておるということでございます。

原田立公明党

○原田立君 審議会の皆さんがしっかりやっていただくのは大変ありがたい話でありますが、この六十五年需給見通し試算によりますと、六十五年における米の総需要量は九百三十万トンから一千万トンと、こう表明されております。したがって、そのために八十万ヘクタールの転作面積が必要となっているわけでありますけれども、その九百三十万トンとか一千万トンの目標値はどのような考えで試算がされたのか、その点をお聞きしたいんです。

松本作衞食糧庁長官

○政府委員(松本作衞君) 現在計算をいたしております六十五年度長期需給見通しにおきます米の需要量を、ただいま御指摘のように、九百三十万トンないし一千万トンというふうに一応計算しておりますけれども、この積算の考え方は、この消費の中心でございます食料用の部分につきましては一人当たりの消費量の従来の傾向を織り込みまして、その推定値に人口増を加味して計算をいたしました。そのほかに加工用とか種子用というようなものをプラスして計算をしておるわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 米の消費拡大を強力に図ることが必要であろうと思うのでありますが、九百三十万トンあるいは一千万トンと見込んでいるこの数字の中で、消費拡大の努力がどのように位置づけられているのか、お伺いしたい。

松本作衞食糧庁長官

○政府委員(松本作衞君) ただいま申しましたように、米の消費の将来の見通しにつきましては、従来の消費が減少をしておるという現実がございますので、これを無視しては考えられないわけでございますが、ただ、その減少のテンポをどのように見るかということにつきましては、ただいま御指摘のような消費拡大の努力というものも織り込んで考えていかなきゃならないというふうに思っておるわけでございます。現在の段階では幅を持って考えておりますので、九百三十万トンないし一千万トンと考えておりますけれども、この中央値でございます九百七十万トンというものは、年率にいたしますと減少率が二・一%となってございます。しかし、従来の減少率は年率二・四%ほどになっておりますので、この中央値をとってみましても、従来の減少率よりも減少が少ないということを前提に計算しておるわけでございますが、さらに意欲的に消費拡大の努力を織り込めるのではないかというようなことから、幅を持って、現在は九百三十万トンから一千万トンまでの幅で考えておりますが、この幅の中でできるだけ消費拡大の努力も織り込んだ推計値に固めてまいりたいと考えております。    〔理事片山正英君退席、委員長着席〕

原田立公明党

○原田立君 消費拡大に努力いたしますと言うんだけれども、その中身としてはどういうことが考えられていますか。

松本作衞食糧庁長官

○政府委員(松本作衞君) 消費拡大の努力の中身といたしましては、一つは、都道府県なり市町村を初めといたしまして、関係の食糧関係ないしは消費団体等も含めた米に対する正しい知識の啓蒙、普及活動を強化するというのが第一点でございます。それから第二点は、学校給食に米飯を導入するということを促進してまいりたいということで、給食用の米穀につきましての値引き売却ないしは給食施設についての助成をするというようなのが第二点でございます。第三点は、米の新規用途の開発を図っていくということで、この新規用途につきましては、必要な研究用の米穀の無償給与等も行っております。  しかし、これらのことを含めまして、全体として米の消費を拡大いたしますためには地域ぐるみの消費の拡大が必要であるというふうに考えておりまして、五十五年度からは市町村において地域ぐるみの消費拡大対策を実施することといたしまして、市町村、農業団体、米の販売業界、消費者団体等を一丸とした消費拡大運動を全国的に展開をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、先ほどの学校米飯給食の価格につきましては、今年二月からの消費者米価の引き上げがございましたが、この米飯給食につきましは、一般値引き分について前年度価格を据え置くというような施策も行っておるところでございます。

原田立公明党

○原田立君 六十五年農産物需給長期見通しの欠陥は、一言で言えば、人間が食べるものはおおむね六八%程度確保しているからいいではないかと政府は言っているわけでありますが、しかし全体を見れば、六十年見通しで三七%台しか見込んでいない。その原因は飼料穀物の低下であり、アメリカ等の輸出攻勢の圧力に原因があると一般的には言われているわけでありますが、総合的な自給率の向上とあわせて、安易な輸入は断固抑えるべきであろうと思うのであります。大臣はかねがね、国内で生産できる物は大いに生産し、そして足らざるは外国から輸入すると、こういうことを言っている。それは公式的にはそのとおり十分わかるわけなんですけれども、何かむなしいものを感ずるわけです。もう少し実のある御返事をいただきたい。

松浦昭農林水産省経済局長

○政府委員(松浦昭君) 農産物の輸入に当たりましては、農林水産大臣が当委員会でもたびたび御発言なすっておられますように、わが国の食糧の安定的確保という観点からその需給動向等を踏まえまして、国内農業の健全な発展と調和のとれた形で行われることが基本的に重要であるという観点から、やはり国内で自給が可能な物、相当に生産ができる物につきましてはできるだけ国内生産をいたしていく、それでもなかなか自給ができない物、あるいは先ほど先生の御指摘がございましたような中小家畜等の飼料といったような、どうしても国内で自給ができない物につきましては、外国からの安定的な供給に仰ぐという考え方のもとに処置をしてまいっておる次第でございます。したがいまして、諸外国からの輸出攻勢に対しましては、このような観点から、わが国の農業生産やあるいは農家経済の安定に重大な影響を与えないよう十分配慮して対処してまいったつもりでございますし、また今後とも対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 私が常に申し上げておりますことは、いま局長も答弁を申し上げましたように、やはり将来特に世界的に食糧の需給が非常にタイトになる。また、この間のアメリカの対ソ穀物輸出停止というように外交的に食糧が使われるようになってきたと、こういう事態を踏まえて、今後できる限りやはり国内でできる物はつくっていく、こういうことで努力をしなきゃいけないんじゃないかと、こういう考え方から、よりそういう方向を強めていきたいと思っていま努力をいたしておるわけでございます。  ただしかし、そうは申しましても、たとえばいまの飼料穀物というものを一つ例にとってみますと、大変外国の物は安いわけでございます。トン当たり大体三万円するかしないかということでございまして、なかなか日本のいまの農業の実態からいけばそういうものはつくり得ないと、こういうことでございまして、将来畜産物は幾ら国内で高くてもいいからと、こういうことになれば別でございますけれども、なかなかそれは国民の合意が得られることがむずかしかろうと、こういうことで、そういう物はなかなか国内でできない以上は外国から買わざるを得ないと、こういうことになるわけでございますが、現時点において国内でできる物は極力やはり外国から買わないようにしなきゃいけないということで、たとえばいま豚肉という問題などを取り上げてみますれば、差額関税をかけまして、なるべく国内でできる物に脅威を与えないような形で極力努力をいたしておるとか、あるいは乳製品などにつきましてはいまなお残存輸入制限品目としてIQをやっておるとか、いろいろ努力をいたしておるわけでございまして、今後ともそういう方向でなお一層努力をしていきたいと考えておるわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 大臣に特に強く要望しておきたいのは、真に食糧自給率を高め日本農業の確たる未来を確立するためにも、大臣自身が内外の圧力に対して毅然たる姿勢を貫くとともに、農産物輸入政策の再検討とあわせ、農産物輸入の確たるルールづくりをすべきであろうと思うのでありますが、見解はいかがですか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) なかなかルールづくりといっても、いま申し上げましたように、たとえば飼料穀物などにつきましてはなかなかまだむずかしい問題がございますが、この間私どもの農林水産省で十一月に出しました六十五年の見通しの中でも、まああれは一つのたたき台として出したわけでございますけれども、あの第一次試算と申しますか、あるいは中間的なものと申しますか、とにかくいま農政審議会で議論いただいておる、たたき台になっておる数字を見ておりましても、たとえば米はもう完全な自給でございますし、また小麦につきましてもパン関係、いわゆるパンなどに使われる分はまだ自給ができないけれども、めん類についての小麦は大体自給という考え方で立っておりますし、野菜、果実、あるいは豚、鶏、卵、こういったような関係は一応自給自足という考え方でたたき台は出しておるわけでございまして、なおそれをより充実したものにしていきたいということで、いま農政審議会と私どもといろいろと議論をし合っておると、こういうことでございます。

原田立公明党

○原田立君 このまた長期見通しの問題で申し上げますけれども、過去三回尋ねたのでありますけれども、第一回、第二回のときには高度成長のさなかで、需要の内容的変化、量的な伸び等があって、これを想定し得なかったことはずさんな計画であったからだと思うのであります。また耐用年数三年の長期見通しだと、こういう悪口を言われているんですよ、大臣。  それで、五十三年からの水田利用再編対策事業による米の需給見通しの狂いは、第一次三カ年の三十九万一千へクタールを三年目には五十三万五千ヘクタールに大幅に修正したと。第三回目の六十五年需給見通しにおいても、米の需要量千二百十万トンの想定が、実際には五十二年にはすでに千百四十八万トンと落ちているわけです。過去の需給見通しの教訓が今回の水田利用再編対策による米の需給見通しにどう生かされたのかが重要な問題でありますが、二、三年で再修正などという無責任な計画は二度と許されるものではないと、こう思いますが、いかがですか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 確かに、いままではどうも見通しが狂い過ぎて非常に御迷惑をおかけしておるわけでございますが、まあ私は思いますのに、やはりあの高度経済成長のとき、あるいはその後のオイルショック、それから狂乱物価、ここを見ておりますと、社会的な経済情勢が大変変化をしたわけでございまして、やはりそれ相応の外的な要因というものが私は非常に影響したのではないかと思っておるわけでございます。  今後の見通しにつきましては、特に今度の米の水田利用再編対策でもあらわれておりますように、見込みよりは米の消費が案外伸びなかったというようなことでございまして、私は思いますのに、いまたたき台として出しておると申し上げましたが、あの第一次試算の中身を見ておりましても、相当私今度は農林水産省として厳しいシビアな見方であのたたき台をつくったのではないかと、こう考えておりまして、まあこれは狂うことがないだろうと、こういう私は期待をいたしておるわけでございます。しかし、今後もまだ石油事情その他非常に経済情勢がどうなるか非常にわからないわけでございますから、とにかく不透明時代、不確定時代とこう言われているときなので、何とかいままでの汚名を挽回するつもりで、せいぜい農業の見通しぐらいは不透明、不確定時代にひとつしっかりしたものであると、こういうものをつくりたいと思っていま努力をしておるわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 いま外務大臣は大臣を一年間でかえるからだめなんだと言うが、あなたもそのとおりの口だね。  それはそれとして、国民食糧の安全保障を確保するためにも、わが党はかねて食糧基本法を制定し、自給率向上を目指すことを基本としての長中短期の需給計画を策定すべきだと思うのでありますが、それについての明確なる御答弁をいただきたい。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 前々から公明党で御検討いただいております食糧基本法でございますか、私ども読まさしていただいておりまして、敬意を表する次第でございますが、必ずしもしかしそれがなければいまできないかということでも必ずしもないわけでございまして、私ども、いまの農業基本法の精神をいまの時代に合わせて生かしていくならば、今後食糧自給の向上に農民の方に努力をしていただくための農政を強力に推進していくことはできると。農業基本法の精神も、食糧の自給を高めていくという精神は十分あるわけでございまして、まあせっかくの御意見でございますけれども、いま直ちに食糧基本法を制定するという考え方は持っていないわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 すぐやれとは言っていませんよ。だけれども、そんなそっけない返事じゃなしに、少しぐらいは検討するぐらいのことを考えてたら、検討したらどうですか。  それはそれとして、今後世界の食糧事情は八〇年代の後半から九〇年代にかけて逼迫傾向となり、特に二十一世紀に入るころには危機的局面を迎えるとさえ予測されているわけであります。しかしながら、このような厳しい予測にもかかわらず、わが国は飼料穀物を中心に二千八百万トンもの穀物を諸外国に依存しております。将来いつまでも安い穀物が大量に輸入できる見通しは全くございません。六十五年長期見通し試算を見る限り、世界の食糧事情の長期的展望に立った国民食糧の安全保障という観点が全く見られない。大臣はその点どういうふうにお考えですか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 確かに飼料穀物についてはほとんど外国に依存するという形になっておるわけでございます。これは先ほども申し上げましたけれども、とにかく日本ではとてもトン当たり三万円ぐらいで飼料穀物ができない状態なんでございます。これはもう御承知いただいておりますように、アメリカのトウモロコシの産地は大体四百五十ヘクタールぐらいでトウモロコシをつくっておるわけでございまして、日本では幾ら逆立ちしてみてもそれだけの耕地を確保するということは、これはもう至難なわざでございます。そういう点を考えれば、いま現在のそのようなコストで日本でつくることはできない。しかし、将来国民の合意を得て、それはもう幾ら高くてもいいから外国から買えないんだから国内でつくれと、こういうことになってくればこれは別でございますけれども、私どもなかなかそういう点は国民の合意は得られないのではなかろうかと、どうしてもそういう安いえさについては外国から買わざるを得ないのではなかろうかと、こういう判断に立っておるわけでございます。  しかし、もちろん先ほど申し上げますように、世界的に非常に国際情勢は食糧関係については厳しい方向に行くことだけは間違いないわけでございますから、いまはそういう気持ちでございますが、今後ともそういう何かいいものがないかは積極的にひとつ開発に努力はしていきたいと思っておりますが、非常にむずかしいということだけは御理解をいただきたいと思うわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 九〇年代から二十一世紀にかけての日本農業のあり方、また世界の食糧事情の長期予測等を離れて六十五年長期見通しを提示したとしても、わが国農業の最重要課題である国民食糧の安全保障にとって何の意味もないと思うのであります。かえってこの見通しが将来の日本の農業と食糧事情にとってマイナスにさえなりかねないと考えるわけでありますけれども、見解はいかがですか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 農業基本法にもございますように、やはり長期的な見通しを立てて、それを指標に置いて私どもいろいろの政策を進めていくことがこれ必要でございまして、それこそ毎年毎年何も一つの方向がなくてその都度やっていくということでは、これは一貫性がございませんので、長期的な見通しだけはやはり立てていかなければならないと、こう考えていま取り組んでおるわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 大臣は、「総合的な食糧自給力の向上と国民生活の安定を図る」と所信表明の中で言っておられるわけでありますが、世界的な食糧事情等を考え合わせ、わが国の食糧自給率の理想というか、最も望ましい目標をどの程度と考えておられるか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) いま私ども、それこそ農政審議会で実は議論をいただいておる一番大きなそれが問題でございまして、今後どのくらいが望ましいかということは、より現状よりは自給率が高まっていく方が望ましいことはもちろんでございます。しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、飼料穀物ひとつ取り上げましてもなかなかむずかしい問題があるということで、いま議論をいろいろといたしておる最中でございまして、もうちょっとお時間をいただいて、農政審議会の方々との議論を踏まえながら、ひとつことしの半ばまでには何とか方向を打ち出したいと、こう考えておるわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 自給率の実態を明確にする意味でお伺いするわけでありますが、米の需給均衡を前提とした場合、現在の総合自給率、穀物自給率、主食用穀物自給率及び飼料自給率と、六十五年見通しでの各自給率を聞きたいわけですけれども、これは答弁できますか。

渡邊五郎農林水産大臣官房長

○政府委員(渡邊五郎君) お答えいたします。  五十三年の食用農産物の総合自給率は七十三%でございます。現在の第一次試算の六十五年見通しでもほぼ七三%程度と見込んでおります。五十三年度の主食用の穀物自給率は六八%程度、六十五年見通しの第一次試算におきましても六八%程度と。  穀物の自給率でございます。これは主食用穀物に飼料用の穀物、中小家畜等の飼料用穀物を合わせました穀物自給率は、五十三年度三四%、六十五年のいまの第一次試算におきましては三〇%程度と考えております。飼料用穀物だけの自給率ということでございますが、五十三年度はまだ確定的な数字はございませんが、見込みとしては二%程度であろうと、六十五年の試算でも二%程度と、このように考えております。

原田立公明党

○原田立君 結局は大臣は所信表明の中で総合的な食糧自給率の向上をうたっているわけでありますけれども、いまの説明のように、向上ではなく現状維持と、下手すると減反するかもしれないというおそれすら感ずるわけでありますけれども、御見解いかがですか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほども申し上げておりますように、たとえば主食である米は必ず自給ができますし、野菜、果実、あるいは豚、鶏関係、こういうものは自給ができるわけでございます。  そこで、ただ問題は、小麦、大豆、あるいは飼料穀物と、こういったようなものが残念ながら非常に困難ではなかろうかと、こういう判断でいまの試算が出されておるわけでございますが、私が所信表明で言っておりますことは、とにかく先ほど官房長から御説明いたしましたように、いまの試算は横ばいでございます。しかし、少しでもそれが横ばいよりもある程度は上回ることができないのか。これはひとつもう一度、そういうアメリカの対ソ措置とかあるいはFAOの二〇〇〇年の見通しとかいろいろ言われておる今日、あの第一次試算はあれは試算として、ひとつもう少しそれを上回る数字ができないのかということでいま議論を実はいたしておるわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 大臣、もう御承知だろうと思いますけれども、一九六〇年、すなわち昭和三十五年にフランスの自給率は一二〇%、それから西ドイツでは八〇%、イギリスでは五〇%。これが一九七五年、すなわち昭和五十年には、フランスが一五・二%というふうに三二%向上していますね。それから西ドイツはこれは横並びで八〇%。イギリスでも六四%で一四%増と、こうなっているわけでありますが、ヨーロッパ諸国は穀物自給率を落とさず引き上げておるわけでありますが、わが国の場合にはもう八三%から四〇%に、逆に低下の方向を示している。六十五年長期見通しでは少なくとも穀物自給率向上のための長期計画に改めるべきであろうと思うのでありますが、いかがですか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) なかなかその点について、私も本当に何とか自給率を高めたいと思っているのでございますが、これたまたま私もこの間数字を見ておってびっくりしておりますのは、各国と日本の農用地面積をこう比較をしてみますと、たとえば農家一戸当たりの日本の農用地面積は一・一ヘクタール、アメリカはまあこれは極端でございますが、百五十七・六ヘクタール。いま御指摘の西ドイツ、フランス、イタリー、イギリスを見ますと、西ドイツが十三・八ヘクタール、それからフランスが二十四・五ヘクタール、イタリーは七・七ヘクタール、イギリスは六十八・五ヘクタールと、すべてもう全くこの経営規模が違うわけでございます。ですから、日本の国民が——そういう経営規模が小さければ、これは当然コストは高くなるわけでございますが、そういうコストが高くなってもよろしいという国民の合意が得られますと、私ども農業政策をこれから進めていくには大変やりいいんでございますけれども、なかなかそこまでまだ国民の合意が得られていないわけでございまして、そういう点においてなかなか自給率を高めていく。いわゆる先ほどの飼料穀物でも、それじゃトン二十万かかってもよろしい、あるいは三十万かかってもよろしいということになればこれは幾らでもできると思うのでございますけれども、そういう点ではやはり国民的なコンセンサスというのがいまのところ得られないものでございますから、私は自給率を高めていくことはぜひやりたいと思っておるのでございますけれども、国民のコンセンサスを得るような努力をしながら、その中でどれだけ自給率を高めていくかということで実は苦慮いたしておるわけでございまして、今回の農地関係のいろいろの法制整備も、そういう観点で私ども取り組んでおるような次第でございまして、極力今後ともやはり国民の合意を得られるような形で、ひとつ農業の生産性を高めていき、それでそれによって自給力も高めていくと、こういうことで努力をしてまいりたいと思っているわけでございます。

原田立公明党

○原田立君 食糧自給率、穀物自給率、しっかり上げるように努力すると、まあ明確な御答弁でございますけれども、衆議院段階におけるわが党の武田一夫委員の質問に対して、大臣は、六十五年には三〇%ぐらいまで低下するんじゃないかというふうに答弁したことが議事録に載っていますけれども、それは本当ですか。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) それは私が答弁したかどうかは存じませんが、もし答弁しているとすれば、先ほど申し上げました第一次試算でございますね、農政審議会にいま私ども農林水産省で十一月に出しました第一次試算が、実は穀物自給率が三〇%になっているわけでございます。それをお答えをしたのではないかと思うのでございますが、そのときにも私は衆議院でも申し上げておりますが、それはそれとして、第一次試算で出しておるけれども、それ以上に自給率を高められないかいま検討いたしておると、こういう答弁を私はしておるつもりでございます。

原田立公明党

○原田立君 九州農業は、第三次全国総合開発計画でもわが国の食糧供給基地として位置づけられておりますが、その地位を確立するためには抜本的な対策と重点投資が必要であることを痛感する次第であります。  それで若干質問するわけでありますが、国は昭和五十年五月、すなわち昭和六十年度における農産物の需要と生産の長期見通しを明らかにしたところでありますが、その後水田利用再編対策の実施、温州ミカン及び牛乳の生産調整を実際は余儀なくされているわけであります。このような情勢に対応して、生産者が安んじて農業生産に取り組むことができるようにするため、農畜産物需給の長期展望を品目別に明らかにするとともに、総合自給率を強化するための具体的振興方策の確立を要望するわけでありますけれども、その点についていかがですか。

渡邊五郎農林水産大臣官房長

○政府委員(渡邊五郎君) 全国にわたります長期見通しにつきましては、先ほどから御答弁しておりますように、現在作業中でございます。これを今後の食糧基地と言われます九州にどう反映していくかということは、これからの課題になるわけでございます。各農政局長会議等におきまして情報交換等をしながら、今後その振興策を詰めなければならないと思いますが、幸い九州にもその地域振興計画等広範なものもございます。こうしたものに、これからの見通しとのすり合わせ等もあろうかと思いますし、反映いたしまして、九州農業の振興策なりは今後九州農政局が中心になりまして検討をすることになろうと思います。

原田立公明党

○原田立君 官房長、これ私が持っているのは五十四年七月の実は要望書なんです。だから、五十五年度の予算には当然反映されたんだろうと思うんですけれども、あんまり大ざっぱな御答弁だったけれども、これはどのぐらい反映されているんですか。

渡邊五郎農林水産大臣官房長

○政府委員(渡邊五郎君) 私どもは、昨年の七月に九州地方の知事会から要望書が出て、いただいたことは承知しておりますし、またこの各種事業につきましては、担当原局の方にそれぞれ私どもを通じまして周知しております。ただ、具体的に事業の採択とか具体的な各種の地区の問題がございます。これらは五十五年度予算の成立後私どもで対処する点でございますので、こうした要望は尊重いたしまして、各事業担当原局においてそれぞれ対応いたすことになろうと考えております。

原田立公明党

○原田立君 土地基盤整備事業は他の地域に比較して著しく遅れているのが現状であると、こういうふうにあるわけでありますが、食糧の確保及び高能率農業の確立のため、土地基盤整備の早期完成が緊要であると思うのであります。ここに三項目、「一地区当たりの事業費枠を拡大し、早期完工を図ること。」、二つ、「採択基準を緩和すること」、三つ、「国庫補助率を引き上げること」、こういう要望が出ておりますけれども、この点についてはどういうふうにひとつ対処されますか。

杉山克己農林水産省構造改善局長

○政府委員(杉山克己君) 九州の土地基盤整備状況は、水田について見ますと、確かに先生おっしゃられるように全国平均に比べてかなり遅れております。ただ、畑地でありますとか樹園地はむしろ相当進んでおりまして、これはそれなりに九州の特殊な事情を反映していくものだというふうに考えます。ただ、九州がわが国の食糧基地としてきわめて重要であるということは私どもも十分承知いたしておりまして、特に最近におきましては、土地基盤整備事業の配分に当たってはその点重々配慮してきているつもりでございます。  それから、いま具体的に三点ほどお尋ねがございましたが、まず、「一地区当たりの事業費枠を拡大し、早期完工を図ること」というこの九州知事会の御要望の第一点でございますが、これにつきましては、地元の要望額、それから残事業量等を総合的に勘案いたしまして、地区別の事業費配分をいま行っているところでございます。できるだけ九州地区の要望にはおこたえしてまいりたいというように努めているところでございます。  それから二番目の、採択基準の緩和を図ることということでございますが、土地基盤整備事業につきましては、これは公共事業としての性格上、一定の採択基準を定めておるところでございます。しかし、従来から振興山村それから過疎地帯、そのほか自然条件等に恵まれていない地域につきましては、各種団体営事業について採択基準の緩和を図っております。  それからまた、水田利用再編対策の円滑な推進を図るため緊急に排水条件を整備するということで、五十四年度から排水対策特別事業を創設いたしまして、この場合の採択条件につきましては大幅な基準緩和を行っているところでございます。  それから、「国庫補助率を引き上げること」ということでございますが、これは、国庫補助率は受益の程度、それから負担能力等を考慮して決められるわけでございます。また、受益農家の負担につきましては、長期低利の融資措置等が図られているところでございます。  それから、先ほども採択条件のところでも申し上げましたが、補助率につきましても、振興山村、過疎地域、こういったようなところにつきましては、特に要望の強い一部の事業につきまして補助率を引き上げております。  それから、先ほど申し上げました排水対策特別事業は、採択条件の緩和を行ったことによりまして実質上かなりの補助率の引き上げということになっておるわけでございます。今後ともこういった点についてさらに努力してまいりたいと考えます。

原田立公明党

○原田立君 九州における昭和五十五年以降の鉱害残存未復旧農地は約五千四百九十ヘクタールを数え、二千四百四十一億円の復旧事業費を必要といたしております。しかるに、これまでの復旧事業速度では残存期間に完了することは困難視されるので、昭和五十五年度以降も積極的に予算の確保が図られるよう措置すること、また、未確認地区がかなりあるので、その早急な認定をしてもらいたいと、こういう依頼があるのですけれども、その点はいかがですか。

杉山克己農林水産省構造改善局長

○政府委員(杉山克己君) 鉱害農地の復旧につきましては、これは昭和二十七年制定されました臨時石炭鉱雪覆旧法に基づきまして実施しているところでございます。特に昭和四十七年の法改正以降は、鉱害履旧長期計画、これは十年間の計画でございますが、これに基づいてその推進を図ってきているところでございます。しかし、いま御指摘になりましたとおり、かなりの事業量が残っておりますし、まだ未確認の状態のものもあるというような状況でございます。残された期間でこれらを消化するということは困難でございますので、私ども残したままでそのままでいいというふうには毛頭考えておりませず、関係者に御迷惑をかけることのないよう、できるだけ事業量の消化を図りますとともに、今後の手当てにつきましても通産省と相談しながらその推進を図っていきたいと考えております。  なお、この臨時石炭鉱害旧復法の所管はこれは通産省でございますが、私ども聞いておりますところでは、通産省としては復旧を完了することが困難な状況から、同法の延長につきましても検討を進めているというように承知いたしております。

原田立公明党

○原田立君 畜産振興にとって環境汚染防止対策は不可欠なものでありますが、これに要する投資は大きく、零細な畜産経営にとっては大きな圧迫となっているので、次の対策をお願いするというふうに言われてきておりますけれども、それは「畜産複合地域環境対策事業の補助対象に施設用地の造成費を加えること」、二つには、「畜産経営環境整備事業の補助率を引き上げること」、この二点が要望されておりますけれども、この点はいかがですか。

犬伏孝治農林水産省畜産局長

○政府委員(犬伏孝治君) 畜産経営に起因いたします水質汚濁、悪臭、害虫発生等の環境汚染問題につきましては、地域住民等から種々の苦情等が出てまいりまして、その発生件数は、昭和四十八年をピークにいたしましてその後は漸減をいたしております。しかしながら、畜産経営の健全な発展を図るためには、地域住民の生活環境に配慮をしながら進めてまいるという必要は当然あるわけでございまして、これに対する対策といたしまして、畜産団地の育成対策を基本とした対策を講じておるわけでございます。いま御指摘のございました畜産複合地域環境対策事業もその一つでございますが、それ以外に、公共事業で畜産経営環境整備事業等もやっております。  ただいまお話のございました、施設用地を対象にすべきではないかという要請でございますが、種々検討いたしましたが、この事業におきます施設用地の造成につきましては、建物に必要限度の整地、敷地整備は対象といたしておりますけれども、それを広げて施設全体の土地の整備を対象とすることにつきましてはなかなかむずかしい点がございます。たとえば、どこまでその対象にするか限界が決めにくい、あるいは用地の造成自体が土地の価値を高めるということになるために補助対象とするにはなじみにくいというような事情で、他の事業におきましても同様な考え方で対象とされてないわけでございます。  施設用地につきましては、畜産経営複合整備事業、これは公共事業でございますが、これは移転を伴う畜産団地の形成でございます。この場合は施設用地それ自体を整備するということでございまして、施設用地の造成を補助対象といたしておりますので、個々の具体的な地域の実態に応じてこの事業をとり得るかどうか、それらを含めて地元県等と相談をしてまいりたいと考えております。

原田立公明党

○原田立君 最後に大臣にお伺いするわけでありますが、転作に協力して、なおかつ自然的要因により発生した予約限度数量超過米に対しては、政府が全量買い入れするようしてもらいたいという強い要請が出ているんですけれども、それに対するお考えをお伺いしたいと思います。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 食管法の規定に基づきまして、われわれは、米の政府買い入れにつきましては、国民の消費需要にとって必要な限度において買い入れることになっておるわけでございます。そこで限度数量を決めておるわけでございますけれども、いまの御指摘は、転作に協力をして、たまたま豊作であって米ができたと、一体その超過したものはどうするかと、こういうことだと思うのでございますけれども、せっかくの御指摘でございますが、やはり食管の健全な運営からいきますとなかなか直接買い入れということは困難でございますが、われわれといたしましては、自主流通のルートに乗りまして十分集荷がなされ得るように指導をしておるところでございまして、今後もそういう形でそれぞれの集荷のルートでひとつやっていただきたいと、こう考えておるわけでございます。

青井政美自由民主党・自由国民会議

○委員長(青井政美君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     —————————————

青井政美自由民主党・自由国民会議

○委員長(青井政美君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、宮田輝君が委員を辞任せられ、その補欠として小林国司君が選任せられました。     —————————————

青井政美自由民主党・自由国民会議

○委員長(青井政美君) 農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案及び漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  まず、両案について提出者から趣旨説明を聴取いたします。衆議院農林水産委員長内海英男君。

内海英男自由民主党・自由国民会議

○衆議院議員(内海英男君) ただいま議題となりました衆議院農林水産委員長提出の二法案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案について申し上げます。  農業協同組合合併助成法は昭和三十六年に制定され、その後、昭和四十一年以来四回にわたる改正により、同法に基づく合併経営計画の認定制度について、その適用期間の延長措置を講じてまいりました。  その間、農業協同組合の合併は、関係者の努力により一応の成果をおさめてまいったのでありますが、現在、なお、正組合員戸数五百戸未満の組合が相当数存在しており、これらの小規模の組合につきましては、今後さらに合併を推進し、最近の厳しい農業情勢の中で、その経営基盤の強化と体質の改善を図っていくことが必要と考えられるのであります。  このような実情にかんがみ、この際、昭和五十三年三月末日をもって期限切れとなっている、同法に基づく合併経営計画の認定制度の適用期間を、この改正法律の施行の日から昭和五十七年三月三十一日まで、復活、延長するとともに、この認定を受けて合併した農業協同組合に対しては、従前の例にならい法人税、登録免許税、事業税等の軽減措置が適用されるよう、関係法律について所要の改正を行い、合併促進の一助にするため、ここに翻案を提出した次第であります。  次に、漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案について申し上げます。  漁業協同組合合併助成法は、昭和四十二年に制定され、その後二回にわたり延長措置を講じ、昭和五十五年三月三十一日をもって、その期限が到来することとなっております。  その間、本制度をてこに漁業協同組合の合併が進められてまいったのでありますが、最近における国際規制の強化等により経営不振に陥っている組合が少なくなく、また、いまだに経営基盤の脆弱な組合が相当数存在しているのが実情でありまして、今後引き続いてこれら漁業協同組合の合併を促進し、適正な事業経営を行うことができる漁業協同組合を育成する必要があると存ずるのであります。  このため、同法に基づく合併及び事業経営計画の提出期限を、さらに、五年間延長し、都道府県知事により計画の認定を受けて合併した漁業協同組合に対して、従前の例にならい法人税、登録免許税及び事業税等の軽減措置並びに漁業権行使規則の変更または廃止についての特例措置を講じ、合併促進の一助にしようとして、ここに本案を提出した次第であります。  以上が両法律案を提出した理由及びその主要な内容であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

青井政美自由民主党・自由国民会議

○委員長(青井政美君) これより両案の質疑に入ります。——別に御発言もないようですから、これより両案の討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もないようですから、これより採決に入ります。  まず、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

青井政美自由民主党・自由国民会議

○委員長(青井政美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

青井政美自由民主党・自由国民会議

○委員長(青井政美君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

青井政美自由民主党・自由国民会議

○委員長(青井政美君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

青井政美自由民主党・自由国民会議

○委員長(青井政美君) 次に、農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。武藤農林水産大臣。

武藤嘉文自由民主党・自由国民会議農林水産大臣

○国務大臣(武藤嘉文君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。  農業者年金制度は、農業者の経営移譲及び老齢について必要な年金の給付を行うことにより、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与するとともに、国民年金の給付とあわせて農業者の老後の生活の安定と福祉の向上に資することを目的とするものであります。  その実施状況を見ますと、現在加入者数は約百十万人となり、年金受給者数も十二万六千人に達しておりまして、早期の経営移譲が行われることにより、農業経営の若返り、農地保有の合理化に役立っております。また、離農給付金も、発足以来約二万三千人に給付され、農地の流動化と農業経営の規模拡大に寄与しております。  農業者年金制度の内容につきましては、昭和四十九年以来逐次改善充実を図ってきたところであり、昭和五十四年におきましても、国民年金に準じて年金給付の額の物価スライドの特例措置を講ずるとともに、加入時期を逸し加入できなくなっている後継者の加入の救済措置を講じたところでありますが、さらに本制度の一層の改善充実を図るため、今回、改正を行うこととした次第であります。  本法律案の内容は、次のとおりであります。  第一は、年金給付の額の改定措置であります。  国民年金等において、昭和五十五年度に財政再計算が実施され、給付の改善等の制度の充実が図られることとされておりますが、農業者年金においても、国民年金等の印金額が改定されることにかんがみ、国民年金の老齢年金の額が改定される月分以後、特別に年金給付の額の引き上げを行うこととしております。  この場合、引き上げの率は、昭和五十四年度の消費者物価の上昇に見合うものとしております。  第三は、離農給付金制度の改正措置であります。  現行の離農給付金制度は、農業者年金に加入できなかった者が離農した場合に一時金を支給するもので、今年五月までの措置として十年間実施してきたものであります。  今後は、農業者年金に加入できない安定兼業農家等の保有する農地等の専業的な農家への移譲を誘導するため、経営移譲の要件を手直しした上、さらに十年間実施することとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

青井政美自由民主党・自由国民会議

○委員長(青井政美君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二分散会      —————・—————

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