農林水産委員会 第3号
- 発言数
- 189 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1980/03/07
会議録
○委員長(青井政美君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る二月十九日、村田秀三君が委員を辞任せられ、その補欠として山崎昇君が選任されました。 また、昨三月六日、河田賢治君及び高杉廸忠君が委員を辞任され、その補欠として小笠原貞子君及び目黒今朝次郎君が選任せられました。 ―――――――――――――
○委員長(青井政美君) 農林水産政策に関する調査のうち、昭和五十五年度農林水産省関係の施策及び予算に関する件を議題といたします。 本件につきましては、前回すでに説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○村沢牧君 武藤農林水産大臣の所信表明演説で、八〇年代の農政のビジョンが聞かれるであろうということを期待をしておったわけでありますけれども、率直に申し上げて、いままでと余りかわりばえのしない演説であって、ちょっと期待外れになったわけであります。いま、農民や農業団体、そして私も含めて大臣に率直に聞きたいと思っていることは、これからの農業の長期展望と政府の基本施策についてでありますけれども、これらについては、すべて大臣の説明は農政審議会の答申待ちということで逃げておるわけです。だから、衆議院の予算委員会を見ても、さらにまた農林水産委員会を見ても、どうもその論議がすれ違ってかみ合わない。もちろん農政審議会の答申も必要でありますけれども、この農政審議会に対して原案を提案したのは農林省であり、農林大臣、あなたであるわけです。したがって、答申を待つまでもなく、あなたは八〇年代の農政のビジョンを当然持っているというふうに思うんです。また、八〇年代のわが国の農業をいかに発展をさせるかという、そういう展望が明らかにされない限り、この国会で提出が予定をされております農業関係の重要法案や、さらに五十五年度予算案の審議についても支障を来すことになるわけです。そこで、大臣、八〇年代の農業の展望と、その目標を達成するための課題、あるいは政府の基本政策について、もっと活力のある明快な所信をひとつここで明らかにしてもらいたい。 と同時に、農政審議会の答申は、従来五十五年の三月末までに得るようにというような説明が農林省当局からされていたわけでありますけれども、大臣の所信表明の中では、この審議会の答申も本年半ばごろをめどとして答申をいただくというようなことを言っておるわけですけれども、この農政審議会の審議のおくれている理由は一体何ですか。これらについてまずお聞きをします。
○国務大臣(武藤嘉文君) 八〇年代のビジョンについて、どうも所信表明でははっきり出していないではないかという御指摘でございまして、大変恐縮に存じておりますが、いまお話のございましたとおりで、農政審議会でいま議論をしてもらっておりますときに国会で私が申し上げれば、それを、これはまあ国会で御審議をいただくわけでございまして、そこで決まっちゃいますと、農政審議会はそれじゃ必要がないということにもなりかねないわけでございまして、その点、大変恐縮でございますけれども、私どもまた国会でいろいろ先生方からいただく議論も踏まえて、農政審議会の中でいろいろ議論し合いながら、ひとつ八〇年代のビジョンをつくり上げていきたいと、こう考えておるわけでございます。 ただ、何もないのかということでございます。これは必ずしもそうではございませんので、たとえば、私どもは最近の国際情勢の中で見ておりますと、いままで以上に食糧というものを国の安全保障という観点からより強く考えていかなきゃならない。これは私は従来の日本の農政の中で考えられていたよりも相当強くこれは考えていかなきゃならないと思っておるわけでございます。 これなどは私は大きな変化の一つの点ではなかろうかと思うのでございますが、そういう点から言って、たとえば六十五年を見越しての長期の需給見通しというものについて、農林水産省が農政審議会でたたき台として中間報告的に出しております数字が、先生御承知のようにあるわけでございますが、私はいま審議会に対しても、また省内でも言っておりますことは、当然こういう事態を踏まえて考えれば、あの当時つくったものとおのずからある程度違っていいのではなかろうかと。そして特に、たとえば米の消費拡大であるとか、あるいは農業の構造改善政策、その他いろいろといま新しい農業でりっぱに農家の方々がやっていただけるようにしていこうということで政策を進めている以上においては、やはり農業者の生産意欲を高めていけば、当然自給率というものは私は変わってきてしかるべきではないかということを議論をいたしておりますけれども、そういうような問題は、まだここでこうでございますとなかなか言い切れないものがありますので、残念ながら今度の所信表明の中には入れてございませんけれども、私としては、そういう政策的な手段を使った場合の一つの長期需給見通しというものは、統計数字上から、ある程度出してきたものとある程度違って、幅があっていいんではないかと、こういう考え方を持って対処いたしております。 そういう点は、御指摘がございましたけれども、私は私なりに前向きに取り組んでおるつもりでございまして、確かに農政審議会のある程度答申が出てくるまで表に出し得ないかもしれませんけれども、もう少しひとつその点は時間をおかし願いますと、ある程度、将来に対してのビジョンをはっきり農民の方にもお示しをすることができるんではないかと、こう考えておるわけでございます。
○村沢牧君 大臣、八〇年代の農政の展望について、国会の場で大臣が余りはっきりしたことを言うと、農政審議会の審議をもう拘束するというようなことになるというお話があったんですけれども、しかし、この農政審議会の審議も大事にしなきゃいけないけれども、国会の論議をまず優先すべきだというふうに思うんです。皆さんは農政審議会の結論が出れば、それでもって八〇年代の日本農業の展望であるというふうにすぐお示しになるんですか、国会の論議も得なくてなるんですか。ですから、私は皆さんの農政に対して批判ばかりするわけじゃないですよ。日本の農政をよくしたいという気持ちから少し掘り下げた論議もしてみたいというように思いますし、そのことも農政審議会にもひとつ検討してもらいたいというように思いますから、これからの質問について、余り農政審議会の答申が出るまでははっきりお答えができないということじゃなくて、もう少し突っ込んだ御答弁もいただきたいということを最初に要請をしておきます。 そこで、その前にまず一点お聞きをしておきますけれども、大臣も、非常に農政発展のために意欲を持って取り組んでおられるわけでありますけれども、ことしというか、五十五年度の政府予算案を見ますると、国の総予算に占める農林予算は八・四%、国債費を除いても九・六%というように、ついに農林予算が総予算の一割を割って、率では過去最低になったわけです。また、財政投融資計画の農林漁業団体関係の伸びは、財投総額の伸びに比べて四・一%も低くなっております。なるほど、農林予算の中で水田利用再編対策費が三三%増あるいは食管費の六・七%増等が目立っておりますけれども、これはもちろん減反強化に伴う経費であって、新規の政策ではないわけです。八〇年代幕あけの五十五年度予算としては、その総額において、中身においてどうもビジョンがない、展望がないというような気がするんですけれども、これをどのように反省をされますか。
○政府委員(渡邊五郎君) 予算にかかわります数字につきまして私の方から御説明申し上げます。 先生御指摘のとおり、本年度、五十五年度のただいま要求しております予算は、国全体の予算の比率で見ますと八・四%でございます。五十四年度が九・〇%でございますので、これより低下したことは事実でございます。 御承知のように、五十五年度予算におきましては、国債費、地方交付税が非常に大幅に増加したと、こうした要因を含んでおりまして、国債費三〇%、交付税二四%程度の増加がございまして、あわせて一般公共事業費、これは農林水産予算ではその四割が公共事業に占められておりますが、この公共事業が前年とほぼ同額というふうに国の財政全体の方針としてなりました。そうした影響から、相対的に比率は八・四%となったということでございます。仮に国債費なり地方交付税等を除いた比率で見ますと一一・七%程度になりまして、これは前年の二・八%とほぼ同程度の水準ではないかと、こういう計算はございますが、いずれにいたしましても、五十五年度の農林水産予算につきまして、私どもといたしましては、厳しい財政事情の中で必要な農林予算は確保するということで、農林水産省として最大限の努力を払って必要な予算は確保し得たと思いますし、また今後ともそういうことで重点的な予算の確保を図っていきたいと、このように考えております。
○村沢牧君 五十五年度予算の内容については、後日また時間があったら論議をいたしたいというように思うのであります。 そこで、大臣の所信表明の中で、特に食糧自給度の向上を強調していることは従来よりも前向きの姿勢であると私は思うんです。食糧の自給度を高めることは、国民生活の安定はもちろんのこと、国の安全保障にもつながる重要な問題であることは申すまでもないわけです。 特に、最近アフガニスタン問題から発展をしたアメリカの対ソ穀物の禁輸措置などは、食糧が武器として、また戦略物資として使われておることを証明したことなんです。私は、食糧を戦略物資に使うということについては賛成できかねるものでありますけれども、こうした実事や、それから将来の世界の食糧事情等から見て、わが国でも食糧の自給度を高めるということを国政の重要施策としなければならない。改めてこのことを再認識をし、確認をしなければならないというふうに思うんですけれども、その点について大臣の見解を聞きたいわけです。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先生御指摘のとおりでございまして、私どもも従来は、食糧が戦略物資といいますか、外交手段と申しますか、そういうものに使われるということは好ましいことでもございませんし、そういうことは起きないであろうと思っておりましたが、今回はからずも起きたわけでございます。また、いま御指摘のように、将来の見通しにつきましても、この間うち伝えられるところでは、まだ公式ではございませんが、FAOが二〇〇〇年の見通しとして、現在よりも食糧の増産を五割しなければ需給がうまくいかないと、こういうことも指摘をいたしておるわけでございまして、私どもは従来以上にこの食糧の自給度を高めていくということを、非常に大きな国のやはり基本にかかわる問題でもございますから、私はやっぱり日本の国全体の中の政策として一つの大きな柱にしていかなきゃならないと考えております。
○村沢牧君 従来、総理や農林大臣の所信表明なり施政方針演説を聞いておると、食糧の安定的確保ということをまず打ち出したわけですね。今度の所信表明では食糧の自給度を高めていくということを表面に出しておって、そのことは大変に結構だというふうに思いますし、私も同感でありますから、ぜひそういう態度でもって農林水産政策を出してもらいたいというふうに思うんです。 この際私は、アメリカのソ連に対する制裁措置としてとった穀物の禁輸措置、それに対するわが国の対応について一言お聞きをしておきたいんです。 このことは、アメリカ政府からソビエト向けの穀物の輸出を制限をする、その一部を日本に買い取ってもらいたいということが正式に要請をされて、政府部内で検討をし、あるいは決定したものであるかどうかということ、それから、わが国がアメリカのソ連に対する禁輸穀物の一部を引き取らなければならない理由は何かということ、この辺についてまずお聞きします。
○国務大臣(武藤嘉文君) アメリカ政府から正式に日本政府に対して、アメリカが対ソの制裁措置としてとりました穀物の禁輸措置、その部分を引き取ってくれないかという要請はございません。ただ、新聞でも御承知をいただいておりますように、アメリカの議員団が参りましたときに、その議員の人たちから大平総理にも、何とかひとつおれのをこうやってストップしちゃったんだから引き取ってもらいたいと、こういう要請があったことは事実でございますが、アメリカの政府から日本政府に対してそういう要請があった事実はございません。ただ私どもとしては、ですから何もこういうふうにしなきゃいけないと決めてはおりません。この間うちからいろいろ国会でも議論がなされておることにつきましては、そういうことで議員も言っておるし、もしそのうちに向こうからもいろいろまた言ってくるかもしれない、そういうときに、こちらの対処の仕方だけはひとつ考えていこうではないかということでわれわれ検討を進めておるわけでございまして、まだわれわれとしてはこういうことことをしますということも決めておるわけではございません。 ただ、その検討しておる中身が時たま新聞に報道されておりますので、誤解をお与えしておる点があるかもしれませんので、ここでひとつはっきりと御説明をさしていただきますけれども、もし私どもが協力するとすれば、できる範囲はおのずから政府としてできることと民間でできることと、これは分けて考えていかなきゃいけないんではなかろうか。政府でできることは、まあ食糧庁において小麦は毎年相当量買っておるわけでございまして、ある程度の前倒しして買うことはできるんではないか。しかし、それは結局こちらの収容能力の問題であると。収容能力の問題からいけば、十万トンぐらいが限度であろう。 それから配合飼料供給安定機構でいま約四十万トンのトウモロコシの備蓄をいたしておりますが、昭和五十五年度の予算においてはこれを約十万トン増加をする計画を立てておるわけでございます。これを、やはりもし何だったらそれだけはいつでも早く買えるわけでございますから、予算さえ成立すればいつでも買えるわけでございますから、これも十万トンは考えられるんではないか。 それから、これは外務省の予算でございますけれども、KR緩助でことし七十六億、五十五年度の予算で増額を予定をいたしております。これももしそれを大半を、KR緩助物資の予算の増額分の大半を食糧に振り向けて考えていくならば、たとえば小麦であれば十万トンぐらいはこれで考えられるのではなかろうかということで、政府としてはやれる範囲はせいぜい限度いっぱいやって三十万トンぐらいであろう。 あとは民間の問題でございまして、民間でどれくらいできるのかということで、これも私が商社の人たちを呼びまして議論をしたわけでございます。その呼んで議論しましたときに、めどはどのくらいかというような話もありまして、それはこちらとしては三十万トンしかできないんだから、あと七十万トンあなたの方がもし買うということになれば合計百万トンになるんではないかというような話をしたことはございます。 しかし、この点についても、民間で検討をしてもらっておるわけでございますけれども、いま現在の時点では非常に消極的な意見しか出てきていないというのが現状でございます。それは商社の連中も相当先まで買い付けをしておって、それ以上買い付けをするとなると、それはどこかにストックしていかなければいけない。そうなると、日本国内にも備蓄の設備はいまはもうなかなかないし、あるいはアメリカにおいても、ランニングストックぐらいの程度の倉庫はあるかもしれないけれども、相当量の備蓄をするための倉庫というのはないんではなかろうか、こういうような判断があるようでございまして、この点についてなかなか民間側もいまのところ消極的な姿勢であると、こういうのが現状でございます。
○村沢牧君 いま大臣の答弁をお聞きをして、アメリカ政府から正式に要請されたものではなくて、一部の人から要請というか、話があったことであると。それに対しては日本政府の対応というのはきわめて早いわけですね。まだ向こうの政府から要請もないうちに、もう何万トンぐらいはできますというようなことを検討しておられる。それだけ早くほかの行政も全部やってもらうと非常にいいわけですけれども。しかし、それまで検討しておるということは、日本の国はこれだけ受け入れますからアメリカ政府からもう要請してくださいと言わんばっかりのことなんですね。しかし、一体何の理由でそんなに早く検討して引き取らなきゃならないのか。いまお話がありましたような財政措置はどうするのか、あるいは商社なんかの備蓄能力はどうか、あるいはそれに対する政府の危険負担はどうなるか、そこまでひとつ検討されて引き受けていくんですか、承知の上で。
○国務大臣(武藤嘉文君) いま御説明をさしていただきましたように、現在の予算、いま御提案いたしております予算の範囲で政府ができるのはせいぜい三十万トンであろうということでございますし、また商社の分については、私どもが何か予算的に措置をしてやるからということは言っていないわけでございまして、民間ベースでできるだけこの際、どうせ日本はたくさん買っているわけでございますから、それをより前倒しで買うということはできないのかと、こういうところから話が出たわけでございまして、私ども国が補助するからおまえたち買ってくれないかということは言っておるわけではございません。ですから、財政的な措置は何らいま現在の予算の中に盛られておる以上のことは私ども考えていないわけでございます。
○村沢牧君 ソ連のアフガニスタンの軍事介入は、これは非難をすべきことは当然ですけれども、しかし、わが国外交としては積極的にソ連を追い詰め、その不安感を刺激するような行動は私はとるべきでないというふうに思うんです。アメリカの政策に追随をすることがソ連に対してどのような影響を与えるかということも農林水産省としては配慮しなければならない。現にサケ・マス漁業交渉も近く始まるわけです。その他二百海里問題等のことも配慮に入れなければならないですけれども、この辺の心配はないのか。そういうことを配慮に入れてのアメリカのソ連に対する穀物を一部引き取るのか。その辺はどうなんですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私といたしましては、今後の対ソ関係というものについても深刻に受けとめておりまして、特に漁業交渉においては、昨年の日ソ漁業委員会におきまして、ソ連側からは、ことしはマスは不漁年である、サケ・マスの資源は非常に乏しいのであるというような注文もつけられておるわけでございます。そういう点からいけば、今度は相当厳しい漁業交渉になる可能性は強いという判断をいたしておるわけでございます。 ただ、これはどこまでかわかりませんけれども、この二月――いつでございましたか、二月に、ソ連から初めて、日本側からいままで漁業に対する損害を補償しろということを強くソ連側に申し入れておりましたのに対しまして、わずか四万八千円という金額ではございますけれども、それに対しての補償の意思表示があったわけでございます。こういう点についてはソ連側が何か前向きのような感じもございますので、非常に私どもソ連の態度というものに対しては推測しかねておる状況でございます。しかし、ソ連に対して漁業交渉を控えまして慎重な態度でいかなければならぬということは当然でございまして、穀物の問題についても私どもが率先してそういうことをやろうというわけではございませんけれども、正直政府部内の多少不統一的なところがあるのかもしれませんが、たとえば、この間うち外務委員会においても、相当外務省当局は前向きの姿勢でこういう問題を堂々と言っておるものでございまして、われわれとしては、逆にそういうことがどんどんそちらだけの話が出ていってしまわれたのでは、これはかえってそれこそ大変なことにもなりますので、私どもはそれから見れば大変数字的にも小さいものを打ち出しておるわけでございます。どうかその辺のところは御理解をいただければと思うわけでございます。
○村沢牧君 大臣、アメリカも大事だしソ連も大事ですから、その辺のことは農水省としてはぜひ慎重に配慮してやっていただきたいということを要請をしておきます。 さてそこで、食糧の自給度を高めなければならないということも大臣は強調されたわけでありますけれども、わが国の穀物の自給率は、先進資本主義諸国の中でも御承知のとおり最低なんです。農林水産省は昨年の十一月、昭和六十五年農産物の需要と生産の長期見通し、この試算をまとめて農政審議会にいま諮問をしておるわけです。この試算を見ると、六十五年度の総合食糧の自給率は現状並みである。しかし、穀物は三〇%程度に低下するということになってむしろ後退した試算ですね。 そこで、大臣、現在の食糧事情を将来の展望から見て、さきに十一月に示した農政審議会に審議してくださいと言ったこの試算を、さらに私は改めて見直して、そうして農政審議会で審議をしてもらうべきものではないかというふうに考えますけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、私といたしましては、この試算よりももう少し政策目標を織り込んだ需給見通しをつくるべきでないかということをいま議論を持ちかけておるわけでございます。それは、この国際情勢もございますし、また農民の皆様方により努力をしていただく、それが実ってこなければいけないのではなかろうかと、そういう点において自給率をもう少し高めていく考え方が必要ではないかと、こう思っております。ただ、いまの穀物自給率の問題は、これはぜひまた国会においてもこれから議論をしていただき、私ども真剣に考えていかなきゃならない問題だと思っておりますことは、この穀物自給率が低下をするというのは、先生御承知のとおり、飼料穀物が大きな影響を与えるわけでございまして、この自給率にもございますように、ある程度畜産物の需要は高くなっていく、こういう数字が出ておるわけでございます。畜産物がある程度多くなってまいりますと、それに使われるえさも多くなるわけでございます。その多くなるえさがまたいまのように全部外国からの輸入に依存する。まあ全部というわけではございませんが、少なくとも濃厚飼料の大半を依存するということになりますと、これは結果的に自給率が下がるということになるわけでございます。 そこできょうも御議論があるのかもしれませんが、毎々えさ米をどうのとかいろいろ議論がなされておるわけでございまして、こういう穀物自給率の問題については、そういう濃厚飼料の原料であるトウモロコシあるいはマイロにかわるべきものが国内で生産がされるということになれば、この穀物自給率は決してこんな数字ではなくて、もっと高くなるはずでございます。その辺をわれわれいま議論をしておる最中であるということでございます。
○村沢牧君 さきに農林水産省が農政審議会に諮問をした長期見通しについても、さらに政策的に検討を加えて見直すというか、強めていくという大臣の姿勢は私はそのまま受けとめて、ぜひそういうことにしてもらいたいというふうに思うんです。 そこでこの見通しについての考え方ですが、これは単なる需要と生産の傾向を示したものではないというふうに思うんです。つまり、政府の立てる見通しというものは農産物の供給計画であって、その目標が達成をできるように政策的に誘導をしていかなければならない責任があるというふうに思うんです。すなわち、需要に対しては、これだけ国内供給をするのだというこの枠をつくり、それに対しては国境、保護措置をきちんとして、国内でこれだけするのだと、その他の輸入はどうなんだと、だから、輸入の問題についてもそういうぴしゃっとした計画を立てなきゃならないというふうに思うんですけれども、この見通しについての国の責任、単なるこういう傾向になりますというものじゃないというふうに思うんですけれども、それはどうなんですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) これはもう農業基本法にありますように、長期的な一つの指標でございまして、私どもそれを十分尊重いたしまして今後の政策を立案をしていかなければならないと考えております。
○村沢牧君 この政府の示した見通しによると、米の消費量が将来減ってくるから、六十年代には八十万ヘクタールの水田の生産調整をしなければならない、このようにうたってあるわけです。いままでも米の生産調整を行って水田利用再編成対策を行ってきたけれども、これは米の減反政策、つまり米減らしを最大の政策としておったために、率直に言って、水田の再編成対策というのは前進をしておらない、期待をするように伸びておらないと思うんです。 そこで今回六十年になって八十万ヘクタールのさらに生産調整をする。八十万ヘクタールといえば、全国水田の約三割、北海道と東北六県を合わせたような水田面積にも等しいわけです。今後こんなに大きな面積について生産調整をしなければならないとするならば、農産物の品目別に見て、長期的な展望を示す、あるいは確固たる農業再編の誘導方向を示して、本当に水田の再編になるような政策を打ち出さなければならないわけですが、これは六十年を待たずしていまからそのことをしなければならないのですけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 実は試算で見ておりますのは、たとえば麦でございますと、麦類で六十五年では十二万二千ヘクタール、これは五十四年の実績見込みが麦類は五万三千ヘクタールが十二万二千ヘクタールになる、二・三倍でございます。それから大豆が五十四年の実績見込みが七万一千ヘクタールを十五万九千ヘクタール、二・二倍と見ております。それから飼料作物につきましては十二万三千ヘクタールを二十六万二千ヘクタール、二・一倍というような形を見ております。そういうように、一応この間の試算についても、これはまだこれからいま申し上げましたように政策目標を私は入れていくべきだと思いますから、ある程度変わっていくと思いますけれども、一応この間の試算の根拠の数字はそういうものも当然考えておるわけでございます。
○村沢牧君 そのようになるということは、そのようにやっぱり政策的にしむけていかなければならないというふうに思うんですよ。 そこでこの水田再編対策を今後とも進めていくであろうというふうに思いますけれども、この再編対策は、農業再編の目標あるいは転作作物や転作面積の全体的な計画、さらに年次別にどういうふうに進めていくのか、そこまでの具体的なやっぱり手順を明らかにして、先ほど大臣が言われたように、農業者が意欲を持って農業に取り組めるようにしなければならない。そのことをする責任が農林水産省にあるというふうに思うんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) なかなか農業というものにつきましては、生産においても天候的なものがございますし、従来の食生活の変化の状態を見ておりましても、消費部門においても十年全く同じ軌道でいくかどうかという点においては疑問がございますし、ですから長期の見通しは長期の見通しを立てながら、やはり私はそれに中期の見通しもその都度立てていかなければいけないのじゃないか。それでその微調整といいますか、そういうものをやっていってこそ、私は農民も安心ができるし消費者にもいいんではないかと、こう考えておるわけでございまして、多少そういう点は、従来の農政の中にはそういうきめの細かさがなかったのではないかと思っております。今後のひとつ農政の中には、そういう一つの計画というものも、やっぱり長期的な計画と中期的な計画と、そういうものを十分調整をしながらやっていく必要があるのでありまして、いまの水田利用再編対策というのは米の生産を抑えるということにおいて大変おしかりをいただいておりますけれども、私はこれは災い転じて福となすというものにもなり得るのではないか。このやはり日本の耕地のあり方というものを大きく変えていく上において、これが本当に日本の需要に応じ切れないでいるものを国内でつくっていただけるようにもしなっていくならば、それが定着していくならば、大変いままでにない一つの大きな農業政策として成功するのではないかと実は私は思っておるわけでございます。この点についてはおしかりはいまいただいておりますけれども、私は将来を考えた場合には、非常にこの米の生産調整を別の日本の需要に、日本の消費者が必要とするものをよりつくっていただくことができたならば、私は大変いいことになるのではないかと思っておるわけでございます。 そういう点において、この水田利用再編対策というのは三年ごとに見直しをしていくという、大体五十三年に決められたときにはそのような感じで進められておるわけでございまして、たまたま五十六年、来年はまた見直しをしなきゃならないときにきておるわけでございまして、そのときには十分いろいろの角度から検討さしていただいて、ひとつ見直しをやらしていただきたいと思っておるわけでございます。
○村沢牧君 先ほど来お話がありますように、農政審でいろいろ検討しておりますけれども、いま大臣の話がありましたように、転作作物等の全体計画を立てる、さらに中期の計画を立てる、あるいはまた単年度ごとの手順を決めていくと、そういうことをぜひこの農政審議会の中で検討し、方向づけをしてもらいたいと、このことは要望しておきます。 そこで、一般に将来大面積の転作をしなければならない、その一般の人たちが言われる中に、一体米のかわりに何をつくれっておっしゃるんですかということなんですね。その政府としての、農林水産省としての、米を八十万ヘクタール生産調整をして、その戦略作物として何をどのようにつくっていくのか、そのことをひとつわかりやすく明快にしてください。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほどもちょっと数字を申し上げましたように、麦類とか大豆とか飼料作物とか、こういうのは、相当いまよりも二・何倍とかあるいは三倍とか、こういうふうにしていただきたいという、この間の試算の中にも出ておるわけでございまして、やはりそういうものが一番主たるお願いをすべきものであると思っております。ただ、しかしそれじゃ全国どこでもそういうものができるかと言えば、必ずしもできない地方もあると思うのでございます。そういう点においては、一方において私どもここ昨年ぐらいから、地域農政の振興という形で、地域ぐるみでいろいろとひとつ自分たちで何をつくっていったらいいのかということを、国全体の中での自分たちのところはどういうものをつくったらいいのかということでいろいろと御検討いただきたいと。これには市町村が中心でやっていただいておりますが、あるいは農政局も場合によっては入って御相談にあずかる仕組みにもなっておりますので、そういうところで国全体と自分たちの地域のそれぞれの生産というものがこの需給見通しの上に立脚したものになることが望ましいと思っております。 そういう意味において、よく御相談をいただきながらやることと、しかし、そういう、たとえば水田利用再編対策の特定作物をいま申し上げたわけですが、その特定作物にいま表示されているもの以外にもあるのではないかと。たとえば花卉であるとか種苗であるとか、まあいまいろいろと地方地方で言われているようでございますが、私は、これはもう全く私案でございますが、水田利用再編対策の五十六年度以降の見直しのときには、ひとつその特定作物の中に知事さんに一つぐらいずつ――もう非常に地方の公共団体、地方自治体にこれお世話になっているのでございますから、私は知事さんに一つぐらい、あなたのところの県に一つでもいいから特定作物を何かつくりなさいと、それはひとつ考えようじゃないかというようなものも私は入れたっていいのじゃなかろうかと、これは本当に私のまだ私案でございまして、これから事務当局と十分打ち合わせをしなきゃならぬと思いますが、私は、やはりせっかく都道府県に非常に御迷惑をかけており御協力いただいているのなら、そのぐらいのことは考えて、いいのではないかということも思っておるわけでございます。そういう点は主体性を持っていただいて、何かいいものができてくれば当然そういうものをどんどんおつくりいただくというのも一つの私は考え方ではなかろうかと、こう思っておるわけでございます。
○村沢牧君 転作の戦略作物は、どっちかと言えば土地利用型の作物になってきて、特にお話があったような麦だとか大豆だとか飼料作物なんかになってくるというように思うんですね。そこで、現在のあるいは将来の需要の動向に照らし合わしてみて、生産の拡大を図る作物と言えば、その筆頭としてどうしても飼料穀物を挙げざるを得ないと思うんですね。従来農林水産省当局の飼料穀物に対する考え方は、これは国内生産については、ほとんど考えていないとは言わないけれども、余り考えないような方向であったわけですね。したがって、穀物の自給度を高めるという面からも、あるいは畜産政策の向上の面から見ても、飼料穀物に対して考え方を変えなきゃいけない、そのように思うんです。 そのことが一つと、特にその中でいろいろ言われておりますえさ米ですね。これについても、きわめて農林水産省は従来は消極的な姿勢であったけれども、これらについても、その栽培技術あるいは品種、コスト、財政負担、これらを検討して前向きにやっぱり取り組んでいく必要があるのではないか、このことについて見解を求めたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほども申し上げましたように、従来とも、飼料穀物についてはどうも輸入に依存をしておるのが現状でございます。今後もコストの面から言って、なかなか日本ではトウモロコシなりマイロはこれをつくり得ないであろうと、いまのような輸入しているものの価格に匹敵するような形ではつくり得ないであろうと、こういう判断から、先ほどの御指摘のとおりで、穀物自給率が下がるであろうといういまの数字になっておるわけでございますけれども、そこで、たとえばえさ米というものが飼料穀物にかわって国内で相当量できるということになれば、これはもう穀物自給率は当然上がってくるわけでございます。そういう点については大変期待をすべきものでございますけれども、いま御指摘ありましたように、まあ従来からコストの面と、それからやっぱり一応米でございますので、流通において識別――いわゆる主食用の米とどう識別をするのかと、こういう主として二つの点から、農林水産省としては消極的であったと思います。 しかし、まあ私もまだ積極的に転じたわけではございませんが、非常にあちらこちらで御熱心に研究をしていただいている方もございますし、また私ども農事試験場においてもこれは研究を進めておるわけでございますし、ただ、だめであるということだけでなくて、もしそれがうまくいけば、この水田をそのまま利用できるという、また稲作技術については相当日本は進んでおり、農民もなれておるわけでございますから、もし本当に相当コストの安い、ということはまあ反収がもう物すごく多くなるということでございますけれども、そういうような品種がもしでき上がる、開発されるというようなことになれば、これは大変私は日本の国にとって望ましいことでもあると思っておるわけでございまして、ひとつ私自身が現地へ出かけていって、直接そういう御苦労いただいておる農民の方の、あるいは技術者の意見を十分徴しまして、そして検討する前に、まず私自身が一度私自身の判断――事務当局からだけの説明ではなくて、そういう現地で直接やっている方の説明を聞いた上で私は判断をしていきたい、こう考えておるわけでございます。
○村沢牧君 大臣が、最近野菜の生産地や市場を、現地へ出ていっていろいろ調査をしたり見聞をしているということは、これはある面で非常に好評を博しているのですが、えさ米についてもぜひそんなつもりで前向きに取り組んでください。 それから次は、麦にしても大豆にしても飼料穀物にしても、大臣からお話があったような、知事の特認として特用作物をつくるにしても、やっぱり価格が伴わないと生産は伸びないわけなんですよ。米の生産者価格も決して高いものではありませんけれども、米の生産性が非常に伸びたということは、価格が保証されてきたからこういうことになっているのですよ。ですから、米以外の作物についてもやっぱり米に匹敵するような価格政策をとらなければ、幾らこのように伸ばしてもらいたいという期待を持ったって伸びないですよね。したがって、転作の重点作物、保護すべき作物あるいは必要量を確保しなければならない作物についての価格政策をどのように打ち立てることが大事かというのですね、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) まあ転作をしていただくためには、当然所得において、米をつくっていたときよりも減るということではこれはお願いができないわけでございます。そういう意味において、転作奨励金というのは、やはり従来も米の収益とのバランスを考えながらつくられてきたと私は承知いたしておるわけでございまして、今後も見直しをするときにも、その点はやはり十分考えてやっていかなければならないのではなかろうかと思っておるわけでございます。
○村沢牧君 いま転作奨励金という話が出たんですけれどもね。この奨励金は、米をつくらないということで所有者に金を出すのですから、これは現実を見ると、ある程度これが転作作物を誘導していくというよりも、むしろ水田所有者の地代化、地代のような形になっておるんですね。私はそういうことでなくて、もうちょっと価格としてやっぱり補償しなきゃいけない。そうでなければ、この転作作物を生産を伸ばしていくという誘導にならないというように思うんですが、この奨励金と価格との関係をどういうふうに考えますか。
○政府委員(二瓶博君) ただいま先生から、転作奨励補助金、これはむしろ地代化しているのではないかという角度のお話があったわけでございますが、転作奨励補助金につきましては、これは自分の所有地で転作する者、これは当然その人間にいくわけでございますが、それは特に地代水準とは関係がないのではないかと、かように考えられます。 それから、借入地で転作をするという方もおられるわけでございますが、その場合におきましては、土地の使用収益権者でございます借入者に転作奨励金を払うということにいたしております。そういたしますと、その借入者が転作奨励金をもらいまして、そして別途適正な地代を貸しておる方に支払うということで十分でございまして、これによって地代をつり上げておるとか、あるいは地代化しているということには必ずしもならないのではないかと、かように考えております。
○村沢牧君 奨励金として継続すべきか、あるいは価格とすべきか、これは論議の分かれるところであって、短時間でここで方向づけすることはむずかしいと思うんですよ。 そのことはまた後日論議をするとして、この奨励金は水田利用再編政策上不可欠の要素だと、しかし、奨励金はそのときの財政事情によってやっぱり異なってきてもやむを得ないというふうに思うんですけれども、今後大規模な転作をしていく場合において、奨励金は今後とも継続をする、五十六年度予算においても七年度予算においてもさらに後退はさしていかない、国の財政事情のいかんにかかわらず続けていくという、こういう決意と自信をお持ちですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほども申し上げましたように、私どもはお米をつくっていただいておりました方に転作をお願いをする以上は、米のときの収入とバランスがとれるような形でやらなければ、結果的にやっていただくわけにいかないわけでございますので、そういう意味において、米の収益、それとのバランスを考えながら、今後とも奨励金というものについてはやっぱり必要な形で出していかなければならないと考えております。 ただ、私ども今度の国会にもお願いをいたしております、仮称の農用地利用増進法案というのも、あるいはまたいままで農振法で進めてまいりました農用地利用増進事業もそうでございますが、どうしても土地利用型の農業においては規模の拡大を図っていただいて生産性を高めていただくということがやはり必要であろうと考えておるわけでございます。これはやはり国民のより理解を得るためにもそれは農民にもそういう点はひとつ御協力を願いたいと思っておるわけでございまして、そういう御努力は願わなきゃならぬと思っておりますが、いずれにいたしましても、米と比べて収益が非常に落ちるような形ではこれはもう転作をお願いするわけにいきませんので、そういう点においては奨励金という制度については今後とも私は必要であると、こう考えております。
○村沢牧君 水田再編対策を進めていく限りにおいては奨励金は必要だということは承知しているんですけれども、必要な奨励金を将来にわたって確保していくんだという、その決意と自信のほどを示してください。
○国務大臣(武藤嘉文君) 奨励金が必要であるという考え方を持っている以上は、これは財政当局と折衝しなければなりませんけれども、私は必要な奨励金のトータルの額については確保するように全力を挙げると、こういうつもりでございます。
○村沢牧君 そこで、この奨励金について一つ具体的な事例でもって質問をしてお聞きをしたいんですけれども、水田の裏作麦の作付奨励補助金というのがありますね。この補助基準が、昨年までは五アール以上作付をすれば補助の対象になったわけでありますけれども、ことしの何か予算折衝の中において、これが三十アール以上にならなければ補助対象にならないというふうに変更されたというふうに聞いておるんです。そのために、作付をしたけれども対象にならない農家がずいぶん出てまいりまして、たとえば長野県の場合には、補助金で三千万円も減額をしてしまうという形になってきたんです。作付が終わってからこういう基準を変えちゃったんですね。ですから、このことに対しての不合理を追及するとともに、本年度は、せめて本年度だけ、運用の面で何とか従来と同じような形にできないものかどうか、すべきだというふうに思うんですが、どうでしょうか。
○政府委員(二瓶博君) いまのは水田裏作麦作付奨励補助金の支給基準の点についての御質問かと思います。 先生御案内のとおり、この裏作麦作付奨励補助金、これは五十一年度から交付をして現在に至っておるわけでございます。そこで、五十五年度の予算要求の段階におきましては、まだ五十四年の個別農家の生産規模等の調査結果も出ておりません段階でございましたので、とりあえず、八月末の概算要求の段階におきましては、五アール以上という従来のラインでもって要求はいたしたわけでございます。ただ、その後この調査結果等も出てまいりましたし、それから先生御案内のように、麦作の面につきましては、五十三年産麦は前年に対して作付面積三割増し、五十四年も三割増しというような伸び率でもございます。したがいまして、非常に麦作規模も広がりつつあると、またそれを今後とも促進しなければならないということもございます。そういうことの関係もございまして、むしろこの際は、この交付基準を規模拡大に資する角度から引き上げてはどうかと。他面またそういう量がふえるということにおいて、物流対策なりあるいは規模拡大の関係での省力の機械施設の導入なり乾燥調製施設の導入の方が非常に重要であるというようなこともございまして、予算編成時におきましては、最後的には三十アールというのに繰り上げたわけでございます。 で、問題は、その間におきまして五十五年産麦のまきつけを農家の方がやられるわけでございますが、その間の情勢といいますものにつきましては、それぞれ麦対策のブロック会議等におきまして、そういうことになるよというような情勢は十分伝えまして、その辺は農家の方にも規模拡大するようなまきつけ方をするようにという指導もやったわけでございます。 まあそういうことで、最後的にはこれは予算折衝の結果、ただいま申し上げましたような結論になったわけでございますけれども、そもそも予算は、大体概算要求したものが必ずしも一〇〇%つくということはこれはレアケースでございますので、むしろこういう形で交付基準の方は引き上げて規模拡大に資する、そして品質向上なり物流問題なり、そういう面の方に重点的に予算を投入したいということで考えたわけでございます。 麦全体といたしましては、対前年比一五%増しの予算を計上しておるわけでございます。
○村沢牧君 明年度からこの基準が上がりますよという指導をしたということですが、この指導が徹底しておらないんですね。徹底しておらないし、農民は知らないんですよ。ですから、作付をしてから基準を変えちゃったんです。将来はそういうふうにすることもやむを得ないとしても、そういう特殊事情があるので、本年度だけは何か運用の面で配慮すべきだというように思うんです。いま局長から答弁のあった内容は知っていますけれども、そういう事情があるんだから、皆さん方が一方的に変更したんだから、農家はそれを知らないし農業団体も知らなかったんだから、本年度だけは何とかすべきだというふうに思うのですけれども、それはできないんですか。
○政府委員(二瓶博君) 基準が引き上がったということにおきまして、私たちの段階といたしましては、この辺の情勢等につきましては県等を通じて徹底を図ったわけですが、不十分なきらいはあったかと思います。 ただ、問題は、先ほども申し上げましたように、概算要求そのものというものが一〇〇%認められるということはレアケースでもございますので、これはやむを得ないものであるというふうに思います。 運用面でさらに何か考えられないかということでございますけれども、運用面におきましても、これはやはりこういう線で考えたものでございますので、特別の運用は考えられないと思っております。ただ、従来からもこの補助金の交付要件につきましては、特別の団地化要件というようなものをさらに課しておるというようなことはございません。したがいまして、複数の農家が麦作経営を共同経営するとか、一農家が他の農家の麦作経営を受託して行う場合でも、交付要件を満たす、要するに三十アール以上になるというような場合は、当然これは奨励補助金は交付できるということでございますので、その辺は団地化要件というような特別の要件はございませんので、そういう運用はこれはできますけれども、そのほかに特別にそういうことを考えての運用は困難かと考えます。
○村沢牧君 局長、予算折衝の中で査定をされることはあり得ることなんですよ。総額を査定されてもやむを得ない。しかし、従来五十一年度からやってきた基準をこれだけ変えるということですね。まさにこれは農林水産省の政策がネコの目農政と言われているようにくるくる変わっちゃうんですよ。農家は来年変わるということを承知していればいいんですよ。それを知らない間に変わちゃうんだからこういう形になっちゃう。これについては、運用の面で考慮することが大変にむずかしいような答弁ですけれども、各県それぞれ実情もありますし、具体的な問題についてはやっぱり配慮しなけりゃいけないと思うんですよ。だってこういう補助金規定がありますよと言って決まっておるにかかわらず基準を変えちゃうんだから、一番迷惑するのは農家なんですよ、農業団体なんですよ。ですから、このことを私は認めるわけにいきませんから、さらに検討してください。 それから次は、いかにこの自給度を高めていくということを強調しても、さっき申しましたように価格の問題、それからもう一つ大事なことは輸入の関係があるわけですね。やっぱり国内において自給度を高めていくためには、従来輸入に頼っていたものを国内で生産をしていくんだ、自給を向上していくんだという形になってくるわけですよ。そこで、農産物の輸入に対してどういう見解を持っているのかということについて、残念ながら大臣の所信表明では触れておらない。特に六〇年代から七〇年代にかけてわが国に対する外国農産物の輸入は激増したと、八〇年代はどうかと。これは日米農産物交渉において見られますように、ことしから輸入枠の拡大がされてくる、あるいは東京ラウンドのジュネーブ議定書に基づく関税引き下げの問題もありますけれども、これも八〇年代当初から引き下げがされてくるわけですね。そうすると、八〇年代はますます外国農産物の輸入が増加してくるのだ。いかに国内の自給度を高めるといったって、輸入が増加すれば自給度は高まりませんよ。これは八〇年代農政を展望する中において、輸入問題というものに対して基本的にどういうふうに考えているんですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私は、基本的には国内で生産できるものは極力国内で生産をし、どうしても国内で賄い切れないものを輸入に依存すると、これが基本的な姿勢でございます。ただ、いまお話ございましたように、MTNの今度の農産物交渉においても、一部関税の引き下げが行われたものがあったことは事実でございます。そういう点においてけしからぬではないかという御指摘かと思うのでございますが、これは私の承知をしておるのでは、しかし、今度の交渉におきましても、わが国の農業生産や農家の経済の安定に重大な影響を及ぼすようなものについては十分配慮をしたと承知をいたしておるわけでございまして、問題のあるものについてはオファーをしなかったり、据え置きそのままにしておったりするわけでございます。またたとえば、いますでに輸入の自由化になっております豚肉などにつきましても、差額関税制度が設けられておりまして、六百六十八円以上でなければ輸入ができないということになっておるわけでございまして、そういう点においては私はやはりいろいろの仕組みを考えておるのではなかろうかと、こう思っておるわけでございます。 しかし、もちろん私は、農家を保護し、そして農業の自給率を高めていくということは今後も努力をしていくつもりでございますけれども、しかし、日本国民全体から理解を得るためには、農家にもやはり御努力を願わなければならぬ点があるのではなかろうか、こう考えておるわけでございまして、そういう政策はいろいろとまた進めていきたいと、こう思っておるわけでございます。
○村沢牧君 八〇年代の農政の展望を論議するについては、いま答弁のあった輸入問題についてもさらに掘り下げた論議をしなければならないし、農産物の自給度を高めていくための農業経営をだれが担当していくのか、どういう農家が担当していくのか、こういう問題も大事だし、あるいはまた地域の農業をどういうように振興さしていくか、これも課題であろうというように思うのです。しかし、これも残念ながらきょうは余り時間がありませんから、これらの論議はまた後日に譲ります。 そこで、次の問題に入りますけれども、通産省、電気料金の値上げですが、電力八社が平均六四・四二%という史上最高の料金引き上げをいま申請していることに対して、政府・自民党の筋では、物価の問題や参議院選挙等も考慮して五〇%以下に抑えたいというような方針であるということが伝えられておるわけです。われわれ日本社会党も、この電気料金について独自の試算を行い、すでに公表しておるところでありますけれども、電力会社の水増しを抑えて節約していったならば、電力八社で平均三二・五%、この程度に圧縮できるのではないかというように私は主張しているんです。この基礎データについては時間がありませんから申し上げませんけれども、いずれにしても、今回の電力会社の値上げ申請は余りに過大です。物価に与える影響も大きいわけです。したがって、通産省としては、この値上げ幅を圧縮させよ、こういう国民の世論にこたえて査定作業等を進めていくべきだというように思うのですけれども、通産省の基本的な考え方についてお聞きをしておきたい。
○説明員(堀田俊彦君) 電力八社は、この一月の二十三日に、ただいま御指摘のございましたように、六四・四二%、平均でございますが、かなり高率な値上げ申請を行ってまいりました。電気料金の改定申請に当たりましては、電気事業法等でいろいろな手続が求められておりまして、公聴会の開催あるいは物価安定政策会議の特別部会へ付議することなど、いろいろ手続が決められておるわけでございますが、公聴会等の手続が完了いたしまして、ただいま原価の諸要素につきまして慎重の上にも慎重にということで審査を行っておるところでございます。
○村沢牧君 今回の改定申請は、値上げの幅が非常に大幅な上に、さらに農業関係にとっては、農事用の電力制度の廃止並びに夏季料金制度を新しく設ける等、農業にも重大な内容を含んでおるわけです。これが申請どおりに認められていくとするならば、土地改良や基盤整備あるいは施設園芸等に対して与える影響はきわめて大きいわけなんです。農林水産省も、農業構造改善事業やあるいは水田利用再編対策等を進めており、さらに今後積極的に進めようとしているわけでありますけれども、農林水産省は、今回の電力八社の電気料金の改定の申請をどのように受けとめておるのか。つまり、具体的に通産省なりあるいは経済企画庁なり電力会社に対してどのような要請を行ってきておるんですか。農業に与える影響等、今日までとった措置についてお答えを願いたいというふうに思います。
○政府委員(二瓶博君) 今回の電気供給規程の改正につきましては、農林水産省といたしまして、国民食糧の安定的供給の確保の観点あるいは農家経営に及ぼす影響というような面からいたしまして、電力料金につきましては極力値上げ幅を圧縮していただきたい、圧縮するようにということをお願いしておりますとともに、特に農事用電力という制度が従来から認められております。これにつきましては、申請内容では、本則から落として附則に回すというような形での申請内容になっておりますけれども、この面につきましては、従来どおりやはり本則にぜひ残してほしいということを強く主張をいたしておるわけでございます。 なお、夏季電力料金制度につきましては、これは今回新規にこういう料金制度を導入したいということで、七月から全体的に上げます際に、それをへそにしまして、七月から九月の分について一割増し、その他の方はその分減らすという形の、いわゆる電力料金が夏場に集中している、これをむしろ是正するということで料金の体系にも取り入れたいという申請でございます。この面につきましては、灌漑排水なり等で関連するところはございますけれども、なかなかこの趣旨からいたしますと、これから外すという問題につきましては、いろんなバランスもございまして困難ではないかと、かように思っております。ただ、農事用電力制度、これにつきましては、灌漑排水の農事用電力を重点にしながら、ぜひその他のものも含めて本則に残してもらいたいということで、強く通商産業省等と折衝ないし話し合いを現在とり進め中でございます。
○村沢牧君 通産省も御承知のように、いま農蚕園芸局長からも答弁があったように、わが国の農業に対して電力の影響というのは非常に大きいわけですね。反面電力会社の供給量から見れば、農業用電力ってそんなに大した、と言っては失礼ですけれども、パーセントから言えばそんなに高いものじゃない。したがって、今回の電力会社の申請のように、すでに契約してある者については既得権として農事用電力を認めるけれども、新たに農事用電力の契約は行わない、こんなことはとんでもないことであるというふうに思うんですね。したがって、私は、従来のこの制度は認めるとともに、さらに適用範囲を拡大をして存続すべきだ、こういう意見を持っておりますし、同時に、通産省の査定の段階においてそのように査定をしてもらうように要請もするわけですけれども、これに対しての考え方はどうでしょうか。
○説明員(堀田俊彦君) 農事用電力につきましては、八社が申請いたしました背景には、原価上の基礎などいろいろ理由があるわけでございますけれども、先ほども申し上げました公聴会でございますとか物価安定政策会議の特別部会等で、本件につきまして数々の御要望がございました。また、農林水産省の方からは、かなり以前から私どもにいろいろお話が参っておりまして、私どもも、制度の趣旨なり内容を十分御説明するとともに、農林水産省の方から農業の実態については詳しくお話を伺っておりまして、審査の段階で十分そのような御意見あるいは話し合いの結果といったものを生かしてまいりたいと存じております。
○村沢牧君 すでに北海道電力については、申請が査定を終わって決定したんですけれども、これについては農事用電力についてはどういう扱いをしたんですか。
○説明員(堀田俊彦君) 北海道電力の料金改定につきましては、この二月一日に認可をいたしまして、二月の十二日から実施されておるわけでございますが、会社の申請では、農事用電力を附則に移して、既存の需要家のみ適用対象にするということでございましたが、これも各方面からの御意見それから農林水産省からの御意見を取り入れまして、本則に移して、新しい需要家にも適用ができるようにいたしたところでございます。
○村沢牧君 北海道電力をそういうふうにしたんですから、他の八社についても横並びにそういうようにするのは当然と思いますし、ぜひそんな考え方で査定をしてもらいたいと思うんですが、ただこれも、通産省、単なる灌漑排水だけではなくて、これには育苗だとか栽培、脱穀等農事用にいろいろあるんですよ。それらについてもやはり拡大して適用していく、従来どおり。従来どおりというか、適用範囲を拡大すると。そのことについてもぜひ私は要請をしておきますから、検討してください。 それから夏季料金についても話があったわけですけれども、やはり農業用として夏場に使う電力もかなりあるわけなんですよ。これを一〇%かさ上げするということも、これまた農業に対して影響が大きいですね。たとえば電力料金がそれだけ上がったからといって、農産物にすぐ転嫁するわけにいかないのです、農業の場合は。それらもありますから、これについてもぜひ農業面について配慮をするように、通産省にはこれは要請をしておきます。 次の問題に入りますけれども、大蔵省に一点お聞きをしたいんですが、それは補助金の有効な運用についてであります。 具体的に申し上げますけれども、国の畜産振興の方針に基づいて畜産振興事業団から補助金が支出をされておりますけれども、税法上、この補助金について圧縮記帳の制度が認められておらないために、税金の対象となって、せっかくの補助金が有効に使われておらない。一例を申し上げますけれども、長野県の飯田中央農協は、五十三年度事業として、肉用牛施設近代化事業と養豚経営施設近代化事業の二つの施設をつくった。この事業費が一億四千三百余万円ですけれども、畜産事業団からこの施設に対して事業費の五〇%相当の七千百四十七万余の補助金が交付されております。ところが、この補助金に対して法人税あるいは地方税、約三五%、二千五百十何万の税金がかかってきておるわけです。そうすると、せっかく畜産事業団から出した補助金も、税金の対象になって、そのまま使えないということになってしまうわけですね。これらは国の法律に基づいてこういうふうに補助金を出しているんですから、これは圧縮記帳を認めて損金算入にすべきだ、これは畜産振興事業団だけではないんです。農林省関係には蚕糸事業団もありますけれども、これらも法律改正によって補助金を出すことになっている。事業団から出した補助金について、税金の対象にすべてなってしまうということになるんですがね。これらについて、大蔵省としても法改正をすべきなり、運用の面で何とかすべきだというように思うんですが、その辺の見解はどうでしょうか。
○説明員(内海孚君) ただいま村沢委員から御指摘の件でございます。 これは国または地方公共団体から補助金が支出されまして、それを法人が受けて固定資産を取得する場合には、法人税の計算上圧縮記帳という特例が認められている制度がございます。こういった特例を認めるにつきましてはきわめて厳しい要件がございます。第一点は、国もしくは国が全額出資した法人の出すものでなくてはならないということ。第二番目には、その原資の全額が国の資金であるということ。第三番目に、これが予算等によりまして厳格にその使途が特定されているということが必要でございます。 お尋ねの畜産振興事業団の問題、私どもも前から伺っておりましていろいろ勉強しておりますが、なかなかむずかしい問題がございます。第一点は、まず全額出資の法人ではないために、国そのものと見ることはできないと思います。それから第二番目に、原資の全額が国ではなくて、御存じのようにほとんどのものは牛肉等の輸入の差益金でございます。それから、これは予算にも計上されておりませんので、そういった面でのチェックも受けていないということで、同じように取り扱うわけにはなかなかいかないのではないかと思っております。
○村沢牧君 大蔵省、いままでもこの種の要求は予算編成のつどされてきたというふうに思うんですね。しかし、なかなか大蔵省が法律改正というかあるいは施行令改正に踏み切らない。また大蔵省としては、少しでも税金を取った方がいいかもしれませんけれども、この畜産振興事業団にしても蚕糸事業団にしても、いずれにしても法律に基づいてこういったことをやっているんですから、これらについていますぐ税法の中においてどうするということはできないとしても、これからのひとつ改正の中で十分検討しなきゃいけないというふうに思うんですけれども、いままでそういう検討をしたことはないんですか、いかがですか。
○説明員(内海孚君) この問題については、かつて農林省から税制改正要望があったことはございます。今度の五十五年度税制改正については、恐らく農林省もそういった趣旨を理解されてのことと思いますが、要望も出されておりません。いずれにしても、従来も検討してまいりましたけれども、この問題の検討にはかなり慎重を要する要素があるということも御理解いただきたいと思うわけでございます。
○村沢牧君 農林省にお聞きしますが、ことしの予算編成のときにかなりこの種の問題は農業団体から強く農林省にも要請があったというふうに思うんですけれども、いまお聞きすれば、農林省から大蔵省に対し何らの要請もなかったというお話なんですけれども、農林省というのはそんな無責任なものなんですか。
○政府委員(渡邊五郎君) 税制の問題、ちょっと私も担当でございませんので、よくその事情は調べて御報告いたしたいと思います。
○村沢牧君 調べて報告というか、これは畜産局長なり、担当はずいぶん苦しいんです。その陳情書を何回も受けているんですよ。それに対して皆さんが陳情を受けっ放しで、せっかく事業団から補助金をやっても、その三五%は税金で取られちゃうんですよ。それを大蔵省に何らの要請もしないなんということは、きわめて大臣、こんな態度じゃ農林省はどうも信用おけないんですが、どうなんですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 税制改正の問題でございまして、先生御承知いただいておりますように、税制改正は、予算の時期というよりもう少し早くから税制調査会、政府の税調並びに党の税調といろいろ議論をしまして、そして税制改正の方向を打ち出すわけでございます。私もちょっと、まだここへ来る前の話でございますので、その事実関係がはっきりいたしませんけれども、従来でございますと、農業団体からの要請というものは当然党の税調でまずその農業団体の要請を受け、あるいは農林水産省からの要望を受けまして、それでそれを議論をし、それに対してイエスかノーかの結論を出す、こういう形をとってきておるわけでございまして、いまの問題も当然ことしの税制改正の議論の中にはあったんではなかろうかと私は思うんでございますけれども、それでその議論の中で結果的にことしはノーであったと、こういうふうではないかと思うんでございますが、なお一層私も事実関係をはっきりさせまして、よくまた私自身も勉強さしていただいて、来年というか、五十六年度の税制改正を、ことしのまた大体十月ごろからこれは入っていくわけでございますので、よく対処してまいりたいと思います。
○村沢牧君 大臣、この問題については私も社会党の方でもいろいろ検討しておりますが、お聞きをすれば、自民党のその種の委員会でも検討をかなり進めておるようなんですよ、きょう始まった問題じゃないですから。農林大臣として、ぜひ積極的にこの問題について今後の問題として対処してもらいたい、要請しておきます。 次に、余り時間がありませんが、林業問題について若干お聞きをしたいと思うんです。 最近林業を取り巻く情勢があらゆる面で大変厳しくなってきたわけですね。そこで、林業生産活動が停滞をした、これは御承知のとおりでと思うんですけれども、したがって、林産物の需要と供給の長期見通し、あるいは森林資源の整備の目標も、あるいは皆さん方が森林法によって示しております林道の延長の目標も大きな相違が生じた、狂ってきたんですね。こうした現実をどのように見ているかということですね。したがって、私の言わんとするところは、過去の実績を土台にして八〇年代を予測して二十一世紀に向けてわが国の林業とさらに国の政策を明らかにするためにいろいろな計画を林野庁としても林業問題についてすべて見直さなければいけない。農業に対しても見直しをしているんですけれども、林業に対しての諸計画の見直しはどのように考えているか、あるいはまたどのように進んでいますか。
○政府委員(須藤徹男君) 林業の基本計画の見通しでございますが、現在改定作業を続けておるわけでございますが、改定に当たってのまず基本的な考え方でございます。 資源基本計画につきましては、森林の機能を最高度に発揮し得るように森林資源の整備を図るという基本的な考え方は現行計画と同様で変える必要はないという考えに立ってやっておるわけでございますが、一つは国土利用計画その他国の計画との整合性の検討、それから造林、林道等の整備の目標の数値、達成進度の見直し、いま先生御指摘ございましたそういうものの見直し、また、将来の木材需要の多様化と森材の公益的機能の確保のための森林施業の検討、それから所要労働力の充足性の検討などを行いまして、これらの目標達成を図るための施策の方向を盛り込むことにいたしておるわけでございます。 それから、林産物の需給の長期見通しでございますが、新経済社会七カ年計画の経済成長率等を参酌いたしまして用途別に需給を見通すほか、特に外材が大きな問題になっておりますので、世界の木材需給の動向あるいは海外産地国におきます資源内容、森林政策、輸出政策などをできる限り把握するように努めておるものでございます。 また、現在進めております改定作業につきましては、大蔵省、経済企画庁、国土庁等関係省庁との所要の調整を行っておるわけでございまして、その上、林政審議会に正式に諮問いたしまして答申を得て閣議決定に持ち込むという考えでおるわけでございます。
○村沢牧君 林業についても諸計画をすべて見直し作業を進めておるという答弁があったわけですけれども、そこで、農業の見直しは今年半ばごろまでにめどをつけたいという大臣の所信表明であります。この林業の見直しはいつごろをめどとしてこの方向づけをしていくんですか。
○政府委員(須藤徹男君) いま申し上げましたように、各省との協議をいま鋭意進めておりますので、それが済み次第、林政審議会に諮問いたしまして答申を得て閣議決定ということに持ち込みたいと思っておりますので、できれば四月ごろまでには何とかめどをつけたいというふうに考えております。
○村沢牧君 四月ですか。
○政府委員(須藤徹男君) はい。
○村沢牧君 四月までには林業全般について見直しをすると。はい、わかりました。 そこで、国有林について若干お伺いいたしますが、国有林の事業の改善を図るために、一昨年、国有林野事業改善特別措置法を制定して、昭和五十二年以降二十年間にわたる国有林の再建整備を、方向を示して現在取り組んでおるというふうに思うんです。同時に、農林省の設置法の一部を改正する法律を制定したわけですね。いろいろ私どもも議論がありました。そしてこの結果、北海道の五つの営林局を統合して四つの支局にする札幌営林局を北海道営林局にするという方向も出したわけです。さらに閣議の決定なんかに基づいて、その後、営林署や事業所の統廃合を、計画を出して現在進めている。このように、国有林に関して、その改善を図るために行政改革がある程度軌道に乗りつつあるのではないかというふうに私は理解するんですけれども、農林水産省なり林野庁はどういう見解を持っていますか。
○政府委員(須藤徹男君) ただいま先生から御指摘ございましたように、五十三年六月に制定されました国有林野事業改善特別措置法に基づきまして改善計画を策定いたしまして、その改善計画の中に、いまお話ございました組織、機構の統廃合につきましては、北海道の五営林局の統合、それから営林署につきましては内地の九営林署の統合をすでに実施いたしておるわけでございますが、今後さらに内地の営林署につきまして、五十二年の十二月の閣議決定に基づきまして、約一割の営林署を統廃合することになっておるわけでございます。これにつきましては、改善計画期間中に統廃合を実施するということに相なっております。そのほか、営林局あるいは営林署の内部機構の簡素化ということを計画に盛り込んでおるわけでございまして、そういう意味では、いまお話ございました行政改革の先取りをして現在やっておるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
○村沢牧君 国有林の改善を図るために、その計画を立てて、国有林の所在地の地元の反対もあり、あるいは国有林に働く労働者の反対もあったり、私どもの意見もある中においてもそういう作業を進めているわけですよ。 そこで、大臣、そういう作業を皆さんが進めている中において、今回やはりこの行政改革の一環として、営林局の統廃合ということが何か行管から要請をされているような報道があるんですけれども、これに対して大臣の見解はどうなんですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私ども閣議決定の中で、行革の一環として、各省のそれぞれ地方支分部局の一局削減というものをうたっておることは事実でございますが、それに関連して、いま御指摘のような営林局の統廃合というような形において、行政管理庁から正式に私のところへ、そういうことでひとつ営林局の統廃合について検討してほしいと、こういうような要請はまだございません。
○村沢牧君 正式に行政管理庁から要請はないけれども、いままで進めてきた国有林の改善に合わせて、すでに報道されておるのですから、大臣としてはどういう見解を持つかということです。営林局の統合についてですね。
○国務大臣(武藤嘉文君) まだ要請がありませんので、私はそういうことはないものと思っておるのでございますけれども、もしそういうことがあった場合にどう考えるかと、こういうことで、私の個人的な見解としてひとつお許しをいただいて申し上げますが、私は、いまいろいろ議論の中にもございましたように、せっかく五十三年にそういう法律もつくってもらいまして、そしていま進めておるのは、これは合理化計画でございます。言ってみれば、行政改革が現実にすでに行われておると私は考えておるわけでございまして、それが何かまだ行われていないというもし認識が行政管理庁にあるならば、私はその認識を改めさせるのが大切でございまして、少なくとも国有林に関する限りはこの計画に基づいて今後とも合理化計画を進められていくものでございますし、それを万が一にも阻害するような形のものがあってはいけないと。この間、総理も、たしか安井先生の質問への答弁であったかと思いますけれども、行政改革というのは単に組織いじりが目的ではないんであって、行政の効率化を図っていくというのが行政改革の本旨でありますと、こう総理も答えておるわけでございますから、この問題においては私はすでに行政改革が進められておる、それを営林局のそういう統廃合という問題が起こって、それによってかえってそれが阻害されるようなことならば逆行することになるわけでございますので、これに対しては私はどうも合意しかねると、こういう考え方を持っておるわけでございます。
○村沢牧君 行政管理庁。国有林について、営林署あるいは営林局は地元との関係が非常に深い。したがって、たとえば営林署一つ統合するについてもなかなか地元からも根強い反対があるわけですね。すでに、行政管理庁でもって営林局の統合を計画しているというような報道が伝わると、各県でいろいろな反応を示してきて、たとえば私は長野県ですけれども、長野県の議会のように、県議会は営林局の存続をしてもらいたいという意見書を超党派で全会一致で可決をして、すでに皆さんのところへもお願いをしておるということですね。 そこで、行政改革は私は実行すべきだというふうに思うのですけれども、しかし、その内容において、一律に地図を引くあるいは画一的に一省一局削減という単なる行政組織的な対応は、特に国有林をあずかる営林署、営林局のような場合においては、こういう現業官庁においてはなじまない、私はそのように思うんですよ。すでにお話があったように一国有林の改善については、皆さんから指摘をされる前、国会でもさんざん論議しました。論議して、ああいう法律もつくって、改善計画も認めて現に作業に入っておるんですよ。そういう段階であることは皆さんお認めになっておるというふうに思うのです。しかし、過日の新聞報道によれば、三月三日ですか、一部の新聞の報道によれば、行政管理庁は、農林水産省の地方ブロックの統合については名古屋営林局を長野営林局に併合すると、こういう方針であるということが報道されておるんですね。そこまで行政管理庁としては地方ブロックの整理について作業が進んでいるのか、この種の報道は真実であるかどうかということですね。まずそのことをお聞きをいたしたい。 それから、農林水産省大臣は、まだ行政管理庁からそのようなお話がないというお話であったのですけれども、行管としては、営林局を統合するという対象に入れて検討の作業をしているのか。そして、その作業は三月いっぱいなんということを聞くんですけれども、その場合は、たとえば農林水産省に対して一局減らしてくださいと言ってその判断を農林水産省に任せるのか、あるいは行管がみずからこういうところを統合しなさい、合併しなさいというふうに示すのか。これらについて、行管の態度あるいはいままで進めている作業、これらについてひとつ明快な御答弁を願いたい。
○説明員(渡辺修君) 昨年の年末の行政改革に関します閣議決定で、国の出先機関の中でブロック単位に設置されているものにつきましては、各機関の設置数、管轄区域、事務内容等個別に検討の上で、今年度末を目途に整理、再編成に関する成案を得るということが決められているわけでございます。いまこの閣議決定に基づきまして、私ども行政管理庁内部で幅広い検討を行っている段階でございまして、一部新聞等に報道されましたような具体的な整理、再編成案というものを得るに至っておりません。したがって、農林水産大臣からお話ございましたように、具体的なお話し合いに入るということはこの段階ではしていないわけでございます。 それからもう一点、先生から、一律的な削減というような単純なやり方はすべきでないというお話でございますが、営林局について私ども検討をする過程で、おっしゃいますように、営林局の配置は他の通常のブロック機関と違いまして、国有林野の分布状況といったものに密接に絡んでの長い経緯のある設置形態がとられているわけでございます。決して単純に、ある地方に二つ、三つあるから一つにすべきだというような議論をするつもりはございません。 さらにもう一点、行政管理庁から各省にどういう形で協議が行われるのかという点でございますが、この点は、冒頭申し上げましたように、いまなお三十数種類にわたります各種のブロック機関全般についての幅広い検討を行っている最中でございまして、そこまで具体的な方針がなお固まっておりませんことを申し上げたいと思います。
○村沢牧君 最後に、時間が参りましたから、行管に特に要請しておくんですけれども、私はこの行政改革について、総論賛成、各論反対なんて、そんなけちなことを言っているわけじゃないですがね。ないですけれども、しかし、御承知のように、先ほど農水省当局から答弁があったように、行革を出される前に農水省としては自主的にこの国有林については作業を始めておるんですね。そこへもってきて皆さんがまたそういうことを出すとするならば、悪く解釈すれば、農水省がちょっと早飛びし過ぎたと。三年前にやるんじゃなくて、いま皆さんの方針に合わせてやれば、それで顔が立ったんじゃないかとも言いかねないんですね。ですから、この営林局の統合については、いま答弁あったように、きわめて慎重にというか、皆さんの権限でおやりになることであるけれども、相当根強い反対もあるし、問題もある。そのことを私は指摘をしておきますから、そうした立場に立ってこれからの作業を配慮してください。 以上をもって、時間ですから終わります。
○降矢敬雄君 昭和五十五年度の予算の編成に当たりまして、大変厳しい国家財政の中でございましたが、今様の農政を満たすために武藤大臣先頭に立たれまして、特に印象の深かった点は、農林漁業構造改善村落特別対策事業とか、農用地利用増進事業等を初め、もろもろの事業に、私どもが考えておりましたような相応な予算づけがなされました。高く評価をいたしておるところでございます。 そこで、先般表明されました大臣の御所信の中に、私は従来、私もそう考え、そうあってほしいという点が多々ございました。その中の二、三取り上げまして、特にその問題に徹してひとつ行政に当たってほしいという期待を込めて御質問を申し上げます。実は大変時間が狭められまして、意を尽くさないかもしれません。賢明な大臣にひとつ御了承の上で御答弁をいただきたいと思います。特に、私は大臣の体の中に脈々として生きておられる、生なひとつ御答弁をお願いできたら大変ありがたいと、こう思うわけでございます。 最初に、私は食糧の安全保障の問題につきまして、いみじくも大臣が御所信の中で、農林水産業は、国民生活の安全保障にとって最も基礎的な食糧の安定供給という重要な使命を担っておると、こういうふうにおっしゃっておられます。全くそのとおりに思うわけでありますけれども、この食糧の安全保障の姿勢に、かつて総理大臣の所信表明にもございましたが、総理大臣以下政府がこれに徹していくならば、いま騒がれております三K、食管会計の赤字なども農林水産省一省が負うべき性格のものではなくなってくる、これは理の当然でございます。 そこで私はお伺いいたしたいのでありますけれども、従来農林水産省は古米の適正在庫量というような表現で一応はじいておられます。食糧の安全保障というものに徹していくならば、これは在庫量ではなくて、もっと積極的に、これは国民食糧の備蓄量と変えていくことの方がより積極性があり、より国民のコンセンサスを得る方法ではなかろうかと思うのですが、この表現を、言いかえれば表現だけでなくて、姿勢を変えられる御意思がございますか。まず大臣にお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) 従来、私どもの方で適正備蓄量というのは大体二百万トンという形で来ておるわけでございます。いまの御指摘はこの適正な備蓄の、適正備蓄量というものをひとつ思い切って変えてみたらどうかと、こういうことかと思うのでございますが、先生御承知のとおり、これは私もそう思うのでございますけれども、日本の農業技術の中で、私は米のいわゆる稲作の技術というのは一番すばらしく成長してきたものだと判断しているわけでございます。そういう稲作技術が非常にすばらしいものになりましたために、よほどの災害なり、台風その他のものがございましても、結果的にそんなにその数量が落ちないわけでございますね。ですから、そういう点から考えると、二百万トンというのは適正な在庫、備蓄としては適正な量ではないかと思っております。 ただ、今後のこれは農政の、先ほど来議論しておりますように、もっと基本的な農政の考え方の中で見ていかなければなりませんけれども、将来小麦もなかなか生産量がふえない、その他の物もふえなくて、どうもお米しか主食としては残らないんだということになれば、これはまた私は別の話かと思うのでございますが、われわれは一方においては、従来はややもすれば自給率が低下しておりましたが、小麦についてもよりひとつ自給率を高めていきたい。たとえばいま六十五年の見通しで農林水産省が出しました試算でも、一九%という小麦の自給率を見ておるわけでございます。これは日本でできるめん類の原料はすべてひとつ六十五年には自給で賄うと、こういうところから一九%が出ておるわけでございますが、私はこの間からまだ言っているのは、もっとふやせるのではないかと。それは従来、日本ではパンというのは硬質小麦であって、軟質小麦はだめだと、こう言われてきたわけでございますが、私この間うちからいろいろ聞いておりますと、フランスパンはどうも軟質小麦を相当使っているようでございます。そうすると、フランスパンというのは、私はコスト的にどうなるのかよくわかりませんが、たとえばフランスパンを相当日本でこれから軟質小麦を使ってつくるというようなことになれば、もう少し小麦の自給率は高めていいのではなかろうかと、こういうことを私はこの間から大分やっているのでございますけれども、そういうような議論をしてまいりますと、国内で小麦も相当できるということになります。食生活がとにかく非常に変わってきたのでございまして、なかなかそれをまたもう一回米食中心に、もう小麦なんか全然要らなくて、ハンもうどんも食べるなともなかなかこうも言い切れないものでございますから、そういう点では、そういうものが、国内でもっと小麦なども生産されるというふうなことになっていった場合には、私はいまの米の二百万トンの備蓄量というものは適正なものではないかと、こう考えておるわけでございます。
○降矢敬雄君 私が申し上げております点は、むろんこれは小麦を初め雑穀等にも影響がございますけれども、少なくとも食糧の安全保障というものを大きな姿勢として、農水省が各省庁についても国民についても、この姿勢というものを強めていくことによってあらゆる政策がうまくいくのではないかと実は思っておるから重ねて申し上げるわけでありますけれども、くしくもいま大臣が二百万トンの備蓄量というふうにおっしゃいました。恐らく、私承知しております限りにおいて、大臣が備蓄という言葉を使われたのは初めてではないか。大変意義深く私は印象強く受けとめるわけであります。 おこがましいようになりますけれども、シナの古語に、三年蓄えなければ滅ぶという、これは当然凶作と防衛というものを意味しております。いま古米が余ってどうのこうのと騒がれておりますけれども、少なくとも食糧の安全保障というものを中心にするならば、一年間くらい、そうすると一千一百万トン前後、半年にいたしましても六百万トン弱、一遍に古米は備蓄に変わってしまうわけでございます。私は食糧の安全保障というものを、今度のアフガニスタンの問題につきましても、事は逆でありますけれども考えられることでありますので、大臣のおっしゃられます食糧の安全保障という姿勢をひとつ厳しく受けとめ貫いてほしいと思いますし、できれば備蓄という意味で在庫もひとつ改定する方向でこれは御検討をいただきたい。また、その必要があるというふうに思うわけであります。 さらに進めますが、輸入農産物につきましても当然安全保障ということについては関連を持ってまいります。村沢君の質問に対しても大臣お答えになりました。国内でつくれるものは極力つくって自給を上げていく、足りないものは輸入すると、こうおっしゃいましたし、また、従来そういう姿勢で農水省はやってまいりました。けれども、私は端的に申し上げまして、不足する食糧こそ輸入をしない。たちどころに農家は対応して自給率を上げてまいります。いわゆる総合農政の効果というのはたちどころに上がってくると私は考えている。食糧の安全保障というたてまえからいきますとまたそうあって当然であるというふうに考えますけれども、この点につきましても大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) まず、先ほどもう少しつけ加えなければならなかったと思いますが、従来以上に食糧の安定供給というものについては真剣に考えていかなければならない。それは先ほど来御議論のございますように、アメリカの対ソ穀物の輸出停止というような事態、あるいは先ほど申し上げましたが、FAOの、非公式ではございますが二〇〇〇年における見通しなどを見ましても、私は今後世界的に食糧の需給関係というものはいま以上にタイトになっていくことは間違いないと思うのでございます。そういう点から言って、石油以上に大切な問題ではなかろうか。石油というのはそれはある程度減ってもこれは生きていけますけれども、食糧というのは本当に自給ができなかったら生きていけないわけでございまして、私はそういう面において、基本的な問題として国の安全保障にとって一番大切な、特に国民生活を守るという立場から言って一番根本的な問題であると、こう考えております。 それからいまの第二点でございますが、私は、確かにおっしゃるとおり、小麦もあるいは大豆も、その他できる限り、いま輸入に頼っているものを、そういう安全保障という考え方からいけば、できるだけ自給自足に持っていくようにするという努力をするのは当然かと思うのでございます。ただ、しかしながら、大変むずかしいのは、国民のこれは理解が必要でございまして、よく国民の側から見ますと、米も高い、小麦も高い、何も高い。なぜそういう高いものをわれわれは買わなきゃいけないのかというお小言が出ていることも事実でございまして、私はそういう面から言って、これからそういう方々にこたえるためにも、やはりコストダウンを図ることは、先ほど申し上げましたが、農家の方に私は御努力を願わなきゃいけないのではなかろうか。 しかし、幾ら努力をしても、日本がいまたしか農家一戸当たりの平均耕地面積が一・一ヘクタールだと私は承知をいたしております。アメリカがたしか百五十七・六ヘクタールだったと思います。西ドイツにおいても十三・幾らでございます。極端に日本は一農家当たりの耕地面積が低いわけでございまして、耕地面積がこれだけ低いことになれば、当然そのコストが高くなるのはこれはやむを得ないことでございます。日本はもう国土が狭いし、しかも山が多い国でございますから、今後とも幾ら耕地面積を努力しても大きくなる限度はあると思うのでございますけれども、しかし努力はすべきではなかろうかということで、農用地利用増進法案というのを、仮称でございますけれども私ども出して、ひとつ土地利用型農業の規模の拡大を図っていただく。それによって、私ども耕地面積単位当たりの利益というものを見ておりましても、非常にやはり土地利用型農業で、経営面積の多い方と低い方とでは極端にコストが違っておることは、これはもう統計上はっきりしておりますので、私はぜひひとつ経営面積を大きくしていただけばそれだけコストが安くなるわけでございますから、そういうことを努力をしていただく。そういうことによって、多少国際価格よりも高くても、これはもうそれだけ努力しているんだから、国民よわかってくれよと、こういう形で国民の合意が得られるときに、私は本当に思い切って国内でより多くの自給ができるのではないか。こういうやっぱり相まった政策をこれから強力に進めていかなければならないのではないか。 要は、目標は先生御指摘のとおりで、私はより多くのやはり食糧を国内で賄っていくというのが当然の姿かと思うのでございます。しかし、それにはまたそういう政策的により強力に進めていかなければならないものがあるわけでございまして、そういう政策を進めながら、その中で国内、国民の御理解のもとに私は自給力を大いに高めていくということをしないと、いまここですぐそれじゃ輸入をストップしてしまって、幾ら高くてもいいからつくらせろというわけには、なかなかこれまだそこまで国民の合意が私は得られていないと思うわけでございまして、私は気持ちはよくわかっておりますけれども、やはりその政策を強力に進める形の中で国民の合意を得ながら自給力を高めていきたいと、こう考えているわけでございます。
○降矢敬雄君 大臣のおっしゃられますことはよくわかります。両々相まっていくべきだろうと思います。ただ、私はこの際、ひとつせっかくの食糧の安全保障ということでございますから、この点を強く申し上げておるわけであります。いままでのように足りないものは輸入をするということでありますと、どうもこれはマンネリ化してまいります。ですから、やっぱりいざという場合には、国内の自給、頼るものは日本の農家以外にないという面のいわゆるキャンペーンと理解を求める努力をされて、私は、少なくとも不足する食糧、不足する農産物であっても極力輸入は抑制をして、いわゆる自給力の向上に資するという程度までは農水省ひとつ変えてほしいというような感じがするわけでありますが、これは御検討の課題といたして、ここで御答弁いただけますか。
○国務大臣(武藤嘉文君) これは表現の問題でございまして、私はもう極力国内で生産のできるものは生産をしていく。ただ、先ほど申し上げますように、全く国民の合意の得られないような形でまではできませんけれども、私は国民の合意の得られる限りにおいては国内で賄えるものは極力賄っていくというのが前提でございまして、何もただ自然体で、政策を強力に進めないで自然体で、国内で生産できるのはこれだけであって、あと足りないのは全部輸入すればいいじゃないかというような考え方は毛頭持っていないわけでございます。極力国内で生産するように努力をひとつ、われわれも政策を進め、農民の方にも御努力いただき、それで極力国内の供給量を高めていく。しかしどうしてもそれでも間に合わない分はやむを得ないから輸入に頼ると、こういうふうにひとつ御理解をいただけると大変ありがたいと思うのでございます。
○降矢敬雄君 ありがとうございました。 ただ、私はここでちょっとこの問題は触れませんけれども、第二次世界大戦後、あのガット体制、OECDの、これも軌道修正されなければなるまいとこう考えておりますが、これは長くなりますので、また後日の機会に譲りたいと思います。 そこで、大臣からも御答弁がございました、農家ができることはやっていかなきゃならぬという。そういう意味で、大臣の御所信の中にも経営規模の拡大ということがうたわれております。全く私もそう思います。ただそこで、兼業農家の収入というものが大きく農家経済を支えてきたこと、これはもう言をまちません。ですから、これはどうしても今後もこの方向というものは、兼業というものは重く見ていかなきゃなりませんが、ただ大臣が言われます、生産を上げコストを下げていくのは、これはどうしても専業農家、中核農家に頼らざるを得ません。そうなると、どうしても規模の拡大を図り、農地の流動が図られていかなければならないわけです。 そういう問題で大変大臣も力をいたしておるわけでありますが、さあそこで、従来この農地の流動についていろいろ規定をしております農地法、これは昭和二十七年の制定と記憶しております。それから農業基本法、いろいろ改正はされてきておりますけれども、この法律が農地の流動化を阻んでおるという、これはもう否めないと思うわけです。またそういう意味でつくられてもおるわけであります。ですからこの両方はもう間尺に合わない。ですから、新しい、今様の一つの法制というものが図られなきゃならないと思いますけれども、これのお考え、また御準備等がございましたら大臣の御所見をお伺いしたい。
○国務大臣(武藤嘉文君) 確かに農地法などが、ある程度農地の流動化を阻害している面もないとは言えないと思います。ただ、私どもは五十年に農振法の改正を行いまして、農用地利用増進事業というのを進めてきたわけでございます。進めてまいりまして、その効果が相当出てきておるわけでございます。この十二月現在で――まだ推定の数字でございますけれども、二万四千ヘクタールぐらいこの農用地利用増進事業で実は出てきているわけでございます。そこで私どもは、この出てきたのをより進めていきたいと。たとえば、農振法の農用地利用増進事業は、たしか農振地域でなければならないことになっているはずでございますけれども、もっとこれを拡大してみたらどうだろうかと。非常に広い範囲でどんどん農用地がこう集積してくれば、中核農家に集積してくれば大変結構なことなんでございますから、そういうものを進める上において、もう少し思い切って拡大をしてみたらどうだろうかと。 そうすると、やっぱり新しい法律をそういう面においてはつくっていく必要があるんではないかということで、現在やっておりますいろいろ借り手と貸し手の間に市町村が入っていただいたり農地委員会が入っていただいたりしておりますが、そういう仕組みに加えて、もっと地域を拡大をするとか、あるいはいろいろいままで議論されておりますのは、山すそと申しますか、いわゆる地目が必ずしも田畑になっていないところもひとつ対象に入れたらどうだろうかと。そうすると、もう特に複合経営というようなことからいけば、そういうのは非常に私はプラスになるだろうと思うのでございますけれども、そういうようなこともひとつ含めて法律をつくってみようということで検討を進めております。そうなると、農地法の適用除外をしていただかなきゃならぬものはもちろんございますけれども、そういうような形で置きながら、農地法についてはいまのところそう大きな改正というものは、やはりいろいろ議論を、誤解を招くおそれもありますので、そういう点については多少慎重な態度をとっていきたいと、これがいま私の大体考え方でございます。
○降矢敬雄君 確かに、いま大臣がおっしゃられておりますように、農地保有合理化法人等のいろいろ推進等によりまして、おっしゃるように二万四千くらい。ただ、それにいたしましても売買等も相当の実績を上げておるわけであります。ですから、そういう中で、いま大臣が言われますように、もうちょっと集落へおろしていく、こういう方向全く大賛成でございます。 私は一つの私案を持っておるわけでありますが、大臣もいまおっしゃられましたように、その集落、部落、町村等でこれから流動化を図っていくために、一つの方向として私は農用地銀行、農地銀行というようなものの設立はいかがであろうかと。これは当然権利が伴いません。銀行ですから定期に、土地を五年定期なりといいますか、農業委員会が主でございます。委員会の方が五年間の定期でまた貸し付ける。権利が伴わずに、比較的安心をしてその土地の流動、コミュニケーションが得られる。大臣が今度のあれでも言われますように、やっぱりその地域のこれから合意づくりを図っていくというようなことを御自身でも言われておられます。一つの方向として、農地銀行等の指導をしていくということは大変効果があると思いますし、現に効果を上げているところもあるわけであります。同時にまた、これは農業委員会の制度等の見直しがいま行われておりますけれども、農業委員会にやらせますことによって、これは農業委員会の財務的な一つの基礎にもなるのではないかという考えがします。農地銀行等のあり方についてはいかがでございましょう。
○政府委員(杉山克己君) 大臣がさきに御答弁申し上げましたように、私ども農地法制、これは単行の農用地利用増進法と、それから農地法の一部改正というような形でその整備を考えているところでございますが、その内容は、従来から行っておりますところの農用地利用増進事業、これを対象地域なり、対象となる人間なり、対象となる農地あるいはそれ以外の土地、広げまして従来以上の拡大した形でこれを実行してまいりたいと考えております。その際、主たる内容となりますのは、いま先生も御指摘になりましたところのそれぞれの地域における合意形成、やはりその地域の農用地を地域全体として最も有効に使うということのためには地域の合意ということが大前提になると思います。そのため、市町村とか農業委員会がリードいたしまして、地域でどういうふうにやったら、まただれにやらせたら一番うまく農地が使えるだろうかということについての相談をする。そして、合意されたものを規程というような形でオーソライズしていく。それに基づいて農用地の流動化も実現していくということを考えておるわけでございます。 先生がおっしゃるような農地銀行というのは、名前は違いますが、私どもが今度の新しい制度の中で考えておりますところの、地域の団体をつくって、そしてその中で、いま申し上げましたような流動化を促進していくということとほぼ合致する性格のものではないかと存じます。そういう事業を今後とも拡大して進めてまいりたいというふうに考えております。
○降矢敬雄君 だんだん時間がなくなってきまして、まだ実は農村社会における連帯感の問題につきましてもいろいろ御所信を伺いたいわけでありますが、これは割愛をいたします。 そこで私は、先ほど村沢委員からも御質問ございました電気料金の値上げの問題につきまして、これを一足飛びに御質問を申し上げます。 今度、電力料金の値上げの申請がございますが、私ども農業サイドから見ますと大変心配の点が多いわけであります。三つに分けまして、一遍に御質問申し上げたいと思います。 一つは、農事用電力の料金は、農林水産省の姿勢として通産省にいろいろと御相談を願い、対応をしていただくわけでありますが、料金は据え置きさせる姿勢なのか、ないしは上げるぐあいによってこれも当然上がっていくという、これはやむを得ぬというふうにお考えでございますか。これが一つ第一点の質問でございます。 ちなみに、総電力量、使用電力量は四千億キロワットアワー以上でございます。農事用の電力量はわずかに十五億キロワットアワー、〇・三八%ぐらいですから、電灯会社の経営に大きく支障のあるような量とは思われません。したがって、これは農水省としては、農業サイドから見てひとつはっきりとした姿勢でこれは通産省と対応すべきであろうと考えます。 第二点は、従来の料金の特別措置は存続させる、当然させてほしいわけでありますが、この姿勢につきましてこれもお伺いをいたしたいと思います。なかんずく、先ほどもございましたように、本文方式、附則方式等がございまして、北海道は附則の意思を本文にもとに戻させたという事例もございます。この点もお伺いをいたしたいと思います。 特に私は、考えます点は、この適用の範囲についてでありますが、従来稲作重点、水田重点でこの農事用電力制度がおおむね生まれ、経過をしてきたように考えますが、さて、現在総合農政を推進をしていきます今日的な一つの農政の事情からいきますと、やはりこの範囲につきましても、稲作だけでなくて、やや広まっていっている地域もありますけれども、やっぱりこの範囲も農水省としては一つの姿勢を持つべきではないかというふうに思うわけであります。この三点につきまして、これは局長からでも結構でございます。御答弁をいただきたい。
○政府委員(二瓶博君) 三点ほどのお尋ねでございますが、まず農事用電力料金、これにつきましては据え置かせるというのか上げるのかということでございます。 この面につきましては、農事用電力ということで認められておる、本則で認められておる、これを附則に落とすという申請内容でございますが、これに対しては本則に残しておいてもらいたいという要請をやっておるわけでございます。したがいまして、今回の電力料金の改定の際には、この本則に残された農事用電力料金、これにつきましても引き上げというものがあるわけでございます。この点は一般的な電力料金の値上げ申請に対する一般的な査定ということにおいて考えられないかということで、現在の料金に据え置いてくれという角度の要請は特にいたしておりません。 それから、第二点の特別措置はというお話につきましては、ただいま申し上げましたように、本則に残してくれということでの要請を強くいたしておるということでございます。 それから、第三点の適用範囲の拡大でございますが、これにつきましては、この農事用電力制度というものができましたのが灌漑排水というものが軸で出てまいっております。その後、脱穀調製なりあるいは育苗施設なり、若干の電灯の関係等も認められて現在に至っておるわけでございますが、今回のこの料金改定の際に、さらにこれ以外に適用範囲を拡大して農事用電力の対象にしてくれという面につきましては強い要請等も受けていない面もございますが、また、今回の料金改定というのが非常に厳しい情勢でもございますので、むしろ現在のこの農事用電力の守備範囲、これをむしろ確保するということで当たりたいということで現在通産省の方とも話し合いをやっておるわけでございます。
○降矢敬雄君 これは通産省にもお残り願ったわけでありますけれども、どうかひとつ現状につきましては、大変厳しい中でありますけれども、農業用電力につきましてもひとつ配慮をしていただきますことを期待をいたしておきます。 それから、最後にでございますが、いまの野菜の高値につきまして、これは内閣でも大変心配をされ、特に一月以降の消費者物価の押し上げには大きな悪い意味での寄与をいたしておるようでありますが、私は、いろいろあるんですけれども、端的に、まあ原因とかその他はすでにもう国民にもある程度理解をされておるわけでありますが、特に現地へ行って畑買いというのを業者がいたします。同時にまた、中央市場に来たものが逆にまた地方市場に帰っていく、これは必要があってそういうものが行われてくるわけでありますが、この二つがなかなかくせ者ではないか。で、ここに投機買い的な一つの要素はなかったのかあるのか。ただ、まあ市場でもって需給の中で相場が形成されておりますから、べらぼうなことはできないのではないかと思いますけれども、やはりこの辺が行政指導をするめどではないかと思うわけであります。この二点につきまして、これは十分指導をしていただきたいし、ないことを望むわけでありますけれども、この点の農林省のキャッチしておる面、姿勢につきまして、極力消費者物価の問題も考えまして、これは輸入も含めてこの問題は低廉化の方向に努力をすべきであるという、提言的な気持ちを含めて御質問申し上げるわけでありますが、以上御質問を申し上げまして、終わります。
○政府委員(森実孝郎君) まず畑買いについて申し上げます。 これは商人系出荷の一つの態様としてあるわけでございます。農家と仕切る際はそのときの大体市場価格で仕切っているものでございます。その後、商人が出荷をするわけでございます。これはやはり卸売市場を通して出荷するわけでございまして、そのときの需給なり価格の形成には関係がないというふうに私どもは見ております。ただ、問題がもしあるとすれば、これはたとえば十二月に立毛中に農家からそのときの価格で買い取って、一月に値上げ後に、値上がった後で収穫して出荷するということでございますが、農家に属すべき利益がむしろ商人に帰属したという、農家の自覚なり系統の指導力の問題というふうに私ども思っております。基本的には、やはり系統出荷のシェアを各般の施策を通じて高めていくことが基本だろうと思います。 それから転送の問題につきましては、これははっきり申し上げますと、品ぞろえ、それから量の確保という視点で、どうしても大都市の中央市場が集荷力がまさっておりまして、まあ今日の地方都市の生活においても消費が多様化してまいりますと、品ぞろえ、量の確保が問題になりまして、そういった意味で集荷力のあるところから分けてもらうという形になっておりますが、これは大体一つの取引ルールができ上がっておりまして、最近入りました中央市場の価格に大体標準的なマージンを加えてあるいは経費を加えて出荷するという形になっておりまして、このことが特に価格を押し上げているというふうなことにはなっていないと思っております。
○委員長(青井政美君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分再開することにいたしまして、休憩いたします。 午後零時十九分休憩 ―――――・――――― 午後一時十三分開会
○委員長(青井政美君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査のうち、昭和五十五年度農林水産省関係の施策及び予算に関する件を議題として質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○原田立君 午前中もいろいろと質疑が交わされたわけでありますが、八〇年代の幕あけとともに、わが国農業をめぐる諸情勢は非常に厳しいものがあるのは大臣も御承知のとおりであります。近年、財界、労働界を中心に、多方面から農政、農業問題に対する活発な議論が展開されているのを見ても明らかであります。お米を初めとする農産物需給の不均衡、それから食糧の自給率の低下、農産物輸入に対する外圧、世界食糧需給の逼迫傾向、また食糧品価格に対する消費者の価格意識の高まり等々、枚挙にいとまがございません。これら困難な諸課題に対し、大臣はどのように解決策を求めていくのか。基本的な方針をまずお伺いしたいのであります。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私どもは最近の国際情勢を振り返りまして、今後やはり国民の食糧を確保するということが一番大切な政策であると考えております。この国民の食糧を確保するという基本的な政策に立ちまして、国内において極力生産のできるものは国内で生産をしていただく。どうしても、幾ら国内で御努力願ってもなお不足する分については、これは輸入に仰がなければならない。そうなれば、その輸入に仰ぐにはやはり安定的に供給をしていただけるような形に常にその相手国と協調を図っていかなければならない。 なお、食糧の国内で生産を高めていく上においていま一つ大切なことは、農民の皆様方により生産性の高い形で、ということは結果的にはコストが安くなるわけでございますけれども、生産性の高くなる農業に努力をしていただきたい。そのためには、施設型農業の場合には相当もう生産性は高くなってきておりますけれども、土地利用型農業においては、残念ながらまだ非常に生産性は低いわけでございます。そうしてそれはなぜかと言えば、規模が相当小さい。先ほども申し上げましたけれども、日本の農家の一戸当たりの耕地面積が平均一・一ヘクタールでございます。アメリカが百五十七・幾つ、それから西ドイツは十三・八ヘクタール、これが大体平均の一農家当たりの耕地面積でございまして、そういう点から考えても、経営規模の拡大を図る、そのためにはやはり農業を一生懸命やっていこうとされる中核農家を中心として、そこへなるべく農地が集積化するような形も私どもは努めていかなきゃならないし、また、農家の方がそういう気持ちで御努力願うためには、その生産の基盤整備のみならず、生活の基盤整備についても充実をするように努力をしていかなきゃならない、こういうふうに私は基本的に考えておるわけでございます。
○原田立君 またいろいろとお尋ねしたいと思うんですが、ただいまの大臣の話の中に、生産性の高くなる農業に努力してくれと、現在規模が小さいし、一・一ヘクタールだ、経営の規模の拡大をしろだとか、こういう話があるんだけれども、じゃ一体どのくらいのものを考えておられるのですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 必ずしもまだ、どれぐらいがいま一番いいのかということは私はまだ決めてはおりません。けさほども御指摘をいただきましたが、どうも農政審議会の議論を余り踏まえないで議論をしろとおっしゃっていただきましたけれども、やはり農政審議会でその問題も実は議論をいたしておるわけでございまして、その話題の中では、たとえば五ヘクタールとかいろいろ議論はなされておるわけでございますけれども、いろいろの、国会の議論も私どもは十分承り、そうして農政審議会の中において委員のいろいろ意見も承りながら、その辺は最終的にこの辺が望ましかろうというものを打ち出していきたいと思っておるわけでございます。
○原田立君 わかったようなわからないような感じがするのですけれども、要するに、日本の農業は確かに仰せのように小規模の農家が多いことは事実です。これは何らかの手当てをしなければいけないことも事実だろうと思うんですけれども、いわゆる小農切り捨てというような、弱い者がばかを見るような、そういうようなことだけは決してあってはならない、こう思うがゆえに聞いているわけです。どうかひとつ、そういう正直で力の弱い農家、小農の人たち、そういう人たちが本当にばかを見るようなことのないように、その点はひとつ十分考えていただきたいと思うのであります。 一九七四年、ソ連の凶作による小麦の大量買い付けで世界の穀物需給は逼迫し、わが国の世論は国民食糧の安全保障を自給力の向上で図るという盛り上がりがあったわけでありますが、しかしながら、現在各方面から依然根強い国際分業論が頭をもたげてきております。ことしの半ばまでには、農業の長期展望と基本政策のあり方について、大臣もただいまお話があったように、農政審議会の結論が出るやに聞いているわけでありますが、国民経済全体の中におけるわが国農業の明確なる位置づけ、それは非常に重要だと思うのであります。八〇年代は本格的な農業再編成のときに来ていると私も受けとめておりますが、国民的合意を図り、どう位置づけしようとしているのか、方針をお伺いしたい。
○国務大臣(武藤嘉文君) いまも申し上げましたように、とにかく食糧というものを安定的に確保するということは、国の基本的な政策であると私は考えておるわけでございます。でございますので、国民経済の中におきましては、この農業の置かれておる位置というものは大変重要なものであると考えておるわけでございます。しかしながら、それに甘んじておってはいけないわけでございますので、国民の理解を得られるように、より強力ないろいろの諸施策を進めてまいりたい。そして、国民の理解のもとに、長期的な観点に立てば、できる限り日本の国内において自給力を高めていくというのが私の基本的な考え方でございます。
○原田立君 大臣は所信表明の中で、「農林水産業は、国民生活の安全保障にとって最も基礎的な食糧の安定供給という重要な使命を担う」と、このように言っているのでありますが、大変表現はきれいではございますけれども、いわゆるきれいごとというふうな感じを持つわけです。現行の農業基本法は、経済第一主義、合理主義一辺倒のものだというふうに私は思うのでありますが、大臣が、「国民生活の安全保障にとって最も基礎的な食糧の安定供給」と言うのであれば、国民食糧の安全保障を確保するため、実はわが党が以前から主張している食糧基本法のようなものを制定し、自給率の向上を図るべきだと思いますが、見解はいかがですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私は農業基本法の現行のもとにおきましても、農業の健全な発展を通じながら生産性を高め、食糧の安定供給を図っていくということは決して矛盾していないと思っておるわけでございます。ですから、いますぐに農業基本法を変えて、何か、食糧基本法でございますか、食糧基本法にしろということにまですぐ飛躍的にはなかなか私としては考えられないわけでございます。
○原田立君 じゃどういう面で考えられるか。その点はどうですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私の申し上げますのは、いまの基本法の考え方のもとにおいても、食糧の自給力は当然高めていくことができると考えておるわけでございまして、いま御指摘の食糧基本法というものがなければ食糧の自給力が高められないということではないのではないかと、こう考えておるわけでございます。
○原田立君 それでは、本論的なことは後回しにして、野菜の問題について若干お伺いしたいと思います。 さきの補正予算案の質疑のときにも指摘した野菜の価格問題でありますけれども、予算委員会では余り時間がなかったので飛び飛びで質問をしたので、再度本日お伺いするわけであります。 初めに確認の意味で伺っておきますが、昨年暮れ以来の秋冬野菜の異常高騰の原因、これはどこにあったと認識なさっておられますか。
○政府委員(森実孝郎君) 御案内のように、昨年再度の台風が秋ございまして、縦断する台風でございました。これ以外に長期の長雨があったわけでございます。そういった影響下で病害も十一月になると大発生いたしまして、収穫量、特に反収が三割から五割方主要産地で減少をした。こういった点が供給要因だろうと思います。 一方、消費の立場から見ますと、加工用、特につけもの用等の需要以外は、営業用も家庭用もなかなか消費が、価格が高騰しても落ち込まない、こういった事情がやはり高騰の原因と考えております。
○原田立君 要するに、台風、長雨、それが主原因であって、ほかにこれといって説明を加えるものはありませんね、局長。
○政府委員(森実孝郎君) 基本的には、昨年及び一昨年の二カ年の豊作が続きまして価格が暴落した経緯がございます。こういった意味で、野菜作全体に農家の再生産意欲が阻害を来したということはある程度否めないと思います。ただ、この結果、作付面積にどういう影響があったかという点から申し上げますと、茨城の白菜等を除けばそう影響はなかった。大体、昨年の七月から九月にかけてのいわゆる重要野菜の需給協議会での数字を見ましても、大体平年作で需要を充足するだけの作付が計画されていたという状況でございます。
○原田立君 この異常高値を続けている野菜価格の安定策として、じゃどういうことをやったのか。その結果、どの程度の出荷量がふえ、価格に対してどの程度の引き下げに影響を及ぼしたのか、具体的に御説明願いたい。
○政府委員(森実孝郎君) 御案内のように、冬野菜につきましては作型の制約がございます。昨年十一月に私どもは肥培管理の適切な実施や再播種、再定植を指導したわけでございますが、なかなか、施設野菜については災害復旧という問題があって、後でつくるものは春野菜になってくる。また、露地野菜についても、冬野菜の穴のあいたものはなかなか出てこないで春野菜になってくるという事情がございます。そういった状況下ではございましたが、実は、従来出荷しておりません規格外の商品の出荷の督励、さらには鹿児島、沖繩等で実施しております契約キャベツの一部放出等を行いましたが、率直に申し上げまして、全体として追加的供給を図ることはかなり困難でございまして、二月までは価格の高騰を続けたわけでございます。 一方、その後、春野菜の作付、生育状況を見ますと、作付も大体過剰であった昨年並みでございますし、生育も順調、特に再播種、再定植のものが順調に生育しているという状況もございますので、端境期に向かって緊急対策を講じたいということで、去る二月の中旬に緊急対策を発表し、実施したわけでございます。 その内容は、一つは、出荷督励チームの派遣による産地における若取り出荷等の督励でございます。 それから二番目は、前進出荷の督励、具体的には若取り出荷の督励以外に、施設野菜につきましては、温度管理を上げまして生育促進を図るという措置を講じたわけでございます。 これ以外に、契約キャベツの集中的放出、それから輸入についても、輸出国側の価格が上がってきた事情も考慮いたしまして、三月末までの輸入については一定の条件のもとに欠損を出した場合は赤字補てんをするという措置、さらに、小売価格の一層の抑止ということを呼びかけたわけでございます。 幸い、三月に入りまして、特にこの二、三日、かなり出荷量がふえまして、価格はようやく全般として下げ基調に転じたという状況でございます。
○原田立君 下げぎみになったと言うのだけれども、じゃ具体的に比較して御報告願いたい。
○政府委員(森実孝郎君) 実は、できるだけ新しい数字で申し上げた方がいいと思いますので、神田市場の価格で恐縮でございますが、日計をとっておりますので、これで申し上げます。 問題になった野菜について申し上げますと、まずホウレンソウにつきましては……
○原田立君 キャベツと白菜と大根でいいです。
○政府委員(森実孝郎君) 実は、これ、御了解を得なきゃならないのでございますが、私ども八野菜をやっておりまして、月によって消費ウエートが非常に変わるものでございますから、三月の消費ウエートの高いものについて御報告しようと思っているわけでございますが……。 簡単に申し上げます。
○原田立君 時間がないから、だらだらと説明されたんじゃ困るんですよ。ぼくが聞いたのは、白菜、キャベツ、大根、それからタマネギ、こういうふうなところは重要野菜に特別指定されているでしょう。ですから聞いているんです。だから、ホウレンソウも要らないと言うんじゃないけれども、重要なものの方だけ言ってください。
○政府委員(森実孝郎君) まず大根について申し上げます。大根は、高値は百四十円でございましたものが、きょうの価格で言いますと、百三十円ということになっております。 それからキャベツは、高値が四百三十円前後であったものが、きょうの価格では二百円ということになっております。 タマネギは、大体六十五円のラインで、これは趨勢値価格をはるかに下回っておりますが、くぎづけという形でございます。 白菜は、高値が大体二百五十円でございましたものが、きょうの価格は、これはまだ日計なので平均が出ておりませんが、高値が二百円、安値は恐らく大体一割減の百八十円ぐらいじゃないかと思いますが、高値で二百円ということになっております。
○原田立君 この高騰を続けている野菜価格の高値は、三月いっぱいにはできるというような大臣発言が前にあったことを記憶しているんですが、いまの報告では若干下がってきたようなことでありますけれども、恐らくまだまだ高値が四月に入ってもずっと続くんじゃないかと、こんなふうに思うのであります。農林水産省もようやく重い腰を上げて取り組んだということで、ちょっと遅きに失したんじゃないかというような感もするわけでありますが、今月中に価格の安定も図るし、出荷量も十分確保できる見通しが立ったと、国民の皆さんに安心してくれと、こういうふうに言い切れるのかどうか、これは大臣からお答え願いたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) 白菜につきましては、もうとにかく品物もそうないわけでございますので、今後私どもは、もうこれは端境期と申しますか、これからは白菜の需要はどんどん落ちてくると、こういうふうに判断をしております。ですからこれからとも国民がこれまでの冬と同じように白菜を欲しいとおっしゃいますと、これだけはちょっと私は自信がございませんけれども、その他のものにつきましては、量的にも相当確保ができる見通しが立ちましたし、というのは、相当全国的に、生産地を調査をいたしますと、相当作付は順調にいき、また作柄も、いま天候のせいもありまして順調に伸びてきておりますので、これは私は量的に確保できると。 それから価格については、いま局長からも答弁を申し上げましたように、わりあいいま下がりぎみでございます。いま先生は、また上がるのじゃないかという御指摘でございますけれども、私ども、やはりこの野菜の価格というのは需給によってもう相当影響するわけでございまして、やっぱり需要に対して供給が間に合わないときは高くなるし、需要に対して供給が非常に潤沢であれば値段は下がっておるというのがいままでの例でございますので、こういう形でどんどんこれから出荷量がふえていけば、私は価格は必ず下がってくると、こういうふうに見ておるわけでございまして、それは、どうも約束をしろと、ここで何か国民に対して約束しろというお話でございますが、私は、いままでの野菜の動向、いわゆる野菜の価格の決定される動向からいけば、必ず安くなりますと、こう言えるわけでございますが、しかし、何かまたこれから起きてくるかどうか、私もよくわかりませんのであれでございますが、少なくともいままでの動向からいけば、必ず安くなるということだけははっきり申し上げられるわけでございます。
○原田立君 農政を預かる大臣が、そんな自信のない、言葉は悪いけれど、へっぴり腰みたいな答弁ではちょっといただけませんね。 それは生産量がふえてくれば当然値段が安くなるのは、そんなことはあたりまえの話ですよ。それから、白菜はこれからはなくなるんですから、何もそれをまた従来どおり出荷できるようになんて、そんな無理なことを言っているんじゃない。だけれども、要するに政治の手で、行政の面でもう少し手をつければそんなに高くなくて済むんじゃなかったのかと、あるいはもっと適正な生産ができたんじゃないのかと、こういうような点で大変心配するわけなんです。ですから、ひとつこれは謙虚な反省のもとに、今回の高値野菜についての御意見なりお伺いしなきゃいけないし、また、今後そういうようなことはしないと、しないように努力すると、そのぐらいのことは言ってもらわなければ、返事になりませんな。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私の申し上げましたのは、いまの時点で申し上げておるわけでございますが、今後の問題につきましては、もちろんこういう反省の上に立ちまして、今後もう生産の段階から極力計画的に持っていかなきゃならない。 先生御承知のとおり、今度の重要野菜需給調整特別事業につきましても、いま御指摘の四つの品目につきまして、できるだけ作付の段階で全国的にある程度余裕のある作付をしてもらおうと。そして、それによって今度は生産のときにある程度調整をすればいいわけでございまして、ある程度余裕のあるひとつ作付をしていただいて、とにかく供給が需要以上に行い得る、こういう生産体制をつくっていきたいと、こう考えておるわけでございますし、その他も、あるいは従来もやってまいりましたけれども、集団野菜団地の育成だとか、あるいは従来からございます野菜価格安定法につきましてもその適用の範囲の拡大であるとか、いろいろあわせてやってまいりますけれども、いずれにしても、今回の反省の上に立って、ぜひ二度とこういう国民に御心配をかけないような形で、ひとつ野菜を安定的に供給できるように努力をしていきたいと考えておるわけでございます。ですから、もちろん国民に対しても、そういうことをやってまいりますから、今後は二度とこういうことの起きないようにひとつ努力をしてまいりますと、こういうことだけははっきり申し上げられるわけでございます。
○原田立君 局長、ぼくはこれ二月の十三日の新聞を見ているんですけれども、そのときに、キャベツ一個五百円、それから白菜は一株八百円、それから大根は一本三百円、こういうふうに報道されているんですけれども、あなたの言った金額と大変違うんだね。もちろん、二月といまとは大分違うんですと言えば言えるんだけれども、こんなに差がついたんですか。
○政府委員(森実孝郎君) ただいまの御指摘の数字は小売価格ではないだろうかと思っております。小売価格については、一番高値の時期はその価格があったことは事実でございます。 で、卸売価格で仮に申し上げますと、大根が、大体一キロのものが、高値が百五十円から二百円の時期があったわけでございますから、まあ大体一本二百円という形になるわけでございまして、小売価格が二百五十円から三百円ということになるだろうと思います。それからキャベツにつきましては、大体標準品が一キロと考えますと、卸売価格は高値の時期は四百五十円から五百円に近い数字があったわけでございますから、これはやはり五百円から六百円という価格があったことも事実でございます。それから白菜につきましては、実は大きさがまちまちで、なかなかわからないんですが、標準品を見ますと、大体二キロとお考えいただいていいと思いますから、高値の時期は、二百円もある時期超えたわけでございますから、卸売価格で大体二キロで四百円から四百五十円と。したがって小売価格が大体二キロのものであれば六百円ぐらいと。それで、さらに三キロ等の大きいものなら八百円とか、八百五十円という価格を呼んだこともございます。
○原田立君 私もちょっと勘違いしたようでありますが、先ほど局長が言った数字は、じゃ卸売価格でしたね。まあ若干の食い違いがあったと思いますが、いずれにしても余り安くなっていませんな。 ところで、野菜の価格安定対策に対する五十五年度予算案を見ますと、かなり心配な点があるんです。というのは、五十四年度では約百五十八億五千五百万円に対して、五十五年では百十一億七千九百万円、三割近くカットされている。先ほども質問があったのでございますが、さらに問題なのは、これだけ国民に迷惑をかけている秋冬期重要野菜計画生産出荷特別事業、十八億四千三百万円が全額カットされているのでありますが、これで果たして万全な態勢で野菜対策ができるのかどうか心配するのでありますけれども、いかがですか。
○政府委員(森実孝郎君) 二点御指摘があったわけでございます。 野菜の価格安定対策の予算は、確かに当初予算としては五十四年度百十五億に対して、五十五年度八十億ということになっております。しかし、実は野菜の価格安定制度につきましては、国庫債務負担行為を計上しておりまして、これは五十五年は増額を図っております。これ以外に、実は先般成立を見ました補正予算において五十七億円の手当てが行われておりまして、五十四年度中の資金の取り崩しに係る分についての再造成のために、この予算の中で二十九億円予定しております。こういった状況から、実質はむしろ拡充されておりまして、全体といたしましては指定消費地域も四都市拡大しておりますし、交付予約数量も三十万トンふやしております。品目も拡大をいたしております。こういった意味では、実質的には総額として確保が図られているというふうに御理解を賜りたいと思うわけでございます。 次に、御指摘の第二点の、秋冬期の重要野菜需給調整特別事業の取り扱いでございます。これは端的に申し上げますと、五十二年、五十三年、先生御指摘のように大豊作で価格が下落したわけでございます。農家の所得は市場価格にやはり直結しておりますので、再生産意欲が後退してきていることは否めなかったわけでございます。やはり基調としては、過剰に転じつつあるという基調はあったわけでございます。こういった基調変化の中で、従来の秋冬期特別事業というのは、いわば出荷段階で廃棄等を通じて必要な調整を行うための必要な経費を支出する道を欠いていた、仕組みを欠いていたということで、やはり過剰生産につながるものとして、需給の安定と生産サイドから見ると矛盾する側面を持っていたことは否めないわけでございます。 こういった意味で、実は五十五年度からは秋冬期の重要野菜需給調整特別事業はやめましたが、新たに重要野菜需給調整特別事業を実施することとしております。この事業につきましては、適正な需要量を見込んで、ある程度ゆとりを持って作付を実施させ、出荷段階において廃棄等を通じて出荷調整を行うということを念頭に置きまして、これに必要な経費を初めて予算的に支出できるような基金を、二カ年計画で主要生産者団体に造成させてまいりたいということなわけでございます。私どもはむしろ、従来はどうもあの事業だけでは価格の動向がストレートに作付に反映する。これを今度の新しい事業では、生産段階、作付段階と出荷段階にいわば緩衝する仕組みをつくるという形によって、より今日の需給基調のもとでは生産を安定化させるのに役立つのではないだろうか、このように思っているわけでございます。
○原田立君 農蚕園芸局が約二十年近くの長期にわたって地力保全の基本調査を実施し、その結果をまとめたものが報告されているわけでありますが、その中で、畑地におきましては不良土壌の面積は六八・六%、水田については約四〇%、これが不良土壌となっているわけでありますが、こういうようなことが生産力の阻害の要因ではないのかと。この不良土壌面積、不良土壌をば、もっと地力を回復する、培養する、そのために今後しっかりとした対策をとるべきではないかと、こう私は思うのでありますけれども、その点いかがですか。
○政府委員(二瓶博君) ただいま先生からお話ございましたように、地力保全基本調査の結果で、水田、普通畑につきましてはただいま先生のお話のとおりのパーセンテージになっております。したがいまして、地力の培養といいますか、この面につきまして力こぶを入れていかなけりゃならぬかと思っております。 そこで、具体的にはどういうようなことをやっているかということでございますが、一つは、五十年度から全国的に土づくり運動というものを展開をいたしまして、何といいましてもやはり農家の土づくりに対する意欲の高揚、これが大事だということでやってまいっておるわけでございます。それとともに、これにあわせまして、農家の方々が地力培養というものに力を入れていかれるように、一つは地力診断、これを農業改良普及所等を軸にしまして地力の診断事業というものをやっておるというのが一つでございます。 それから堆肥センター等の設置等の助成によりまして、やはり農家の方が堆肥を増投する、あるいは稲わらなり麦稈等をすき込むというようなこと、あるいは耕種農家が畜産農家との連携をとりまして堆厩肥を増投をするというようなことをやっていきたいというのが第二点。 それから第三点といたしましては、先ほどございました、畑地等におきましては相当不良土壌といいますか、多いわけでございます。したがいまして、土壌改良資材の施用等を進めていく、あるいは、所によりましては深耕をする、浅層排水等の関係も進める、こういうものの機械導入の助成も強化していくということ。 それから第四点といたしましては、やはり県なり農業団体、そういう指導組織を通じまして、化学肥料の施用につきましても、これは適正な施用をしていく、あるいは不適切な連作、こういうものの回避をするための適正な輪作体系の導入、こういうものを技術的な指導もやっていくというようなことで、総合的にいろいろその面は取り組んでもきておりますが、今後ともさらに力こぶを入れていきたいと、こう思っております。
○原田立君 局長、じゃ地力培養のための大体総予算額はどのぐらいですか。
○政府委員(森実孝郎君) 地力培養関係の予算は各局にまたがっておりますが、まず農蚕園芸局関係……
○原田立君 合計でいい。
○政府委員(森実孝郎君) ちょっと合計は出しておりませんが、じゃ、大ざっぱに大項目だけで申し上げます。 調査とか地力培養の実施奨励事業として約二億二千万、それから作物別の生産対策の一環といたしましては、いわゆる地域農業の生産振興対策として、地力対策関係が三十二億、それから、特に野菜につきましての集団産地の育成関係で全体といたしまして約十二億五千万円、それからもう一つは、大きな柱といたしまして、畜産経営の環境保全の一環として行う地力培養関係で、県営、団体営、複合地域の対策事業をすべて含めまして約七十五億円の予算が計上されております。
○原田立君 大臣、先日は神奈川県の三浦の方に行かれて、生産農家の皆さんの直接の声を、生の声をお聞きになったのでありますけれども、その御感想はいかがですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) まあ私はとにかく野菜をより多く出していただきたいという気持ちで行ったわけでございますが、そういう点においては十分理解を示していただきまして、とにかく今後ともできるだけ協力をしたいということ、それからまた先ほども、なぜ品薄になったかという理由において、台風が二回も来たとか、長雨があって非常に病虫害が出たとか、いろいろ話がございましたが、そういう中にあっても、特にあの三浦半島においてはそれ以外に、塩害と申しますか、台風のときに非常に潮風によってやられたのが大変あるということを聞きました。その潮風にやられた大根の葉っぱのあれを洗い落として、そして何とかひとつ生き返らせたという苦労話なども承りまして、非常に感謝をしながら、そしてまた三浦半島は、正直、私は大変優等生ではないかと思ったのでございますが、大半が農協という系統出荷でございまして、三浦半島に関する限りは私は大変よい印象を受けて帰ってきたわけでございます。
○原田立君 実は私も現地に行きたかったのでありますが、行けなかったので、実は秘書を千葉県と茨城県の方に行かせまして、現地調査さしたんです。そうしたところが、今回の異常高騰の最大の原因は、第一番目には、いまも指摘しているように、地力の低下、それから第二番目には二年続きの暴落に対する農政不信からの自己防衛、こういうようなことをあけっ広げにいろんなお話があったと。台風や長雨ということをさっき森実局長は言っていたけれども、それもないとは言いませんよ。だけども、それよりか、いまの地力の低下あるいは農政不信、ここいら辺が非常に大きな原因になって今回のようなことになったのではないか、まあ私もそう思うし、また、現地もそういう意見が強かった。こういう点についてはお聞きになっているだろうと思いますが、大臣いかがですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 正直、三浦半島へ参りましたときには、地力の低下というお話は実は出なかったわけでございます。それから、暴落の影響ということについても、そういうことにおいては出なかったわけです。ただ、価格について、いろいろ言われるけれども、あの暴落をしたときは大変私どもつらい立場でございましたと、しかし、そういう本当に全くコスト的に合わないような形であったということであったけれども、いま努力をしてやってまいりましたと、だから、いま高い高いと言われるけれども、そういうこともひとつ御理解いただきたいという話は出ましたけれども、それによって生産意欲が減退をして野菜の品薄になったという、直接のそういう説明はございませんでした。
○原田立君 それは三浦ではなかっただろうと思いますけれども、いま私の言った例は千葉県と茨城県の話なんです。ちょっと場所が違うから意見が違うんだろうと思いますけれども、だけども、大臣にはそこいら辺ぐらいしか言わなかったんだろうと思う。だけど、本心はそんなものじゃないですよ。だから、もしそうだと思ったらば、大臣非常に甘いと思うんですよ、認識が。 これも実は茨城の方の話なんですけれども、農家の方が地表二、三十センチを機械で耕し、化学肥料の多投によって土地がすっかりかたくなってしまっている。まあ地表三十センチほどを取り除き、ハンマーでたたくと土がカンカン音がすると言うのです。そんなことを秘書が言うから、そんなばかなことを言うなと言ったら、本当だと言うんです。カンカン音がすると。また雨が多くなると、そんなふうに下がかたいですから、上の方はもう畑がだぶだぶになっちゃって水があふれ、そして病気が発生したらば畑全体にひっかかってしまう。だから、少し強い台風が来たりあるいは雨が降ったりすれば、病気が多発したり、今回の不作、高騰につながると。これが現在の野菜農家の実態であり、これほどまで地力が低下しているという具体的実例、ほんの実例にしかすぎませんが、大臣、こういう地力の低下、化学肥料の投入によって地力が低下していること、これは重大な問題だろうと思うんですよ。どういうふうに認識なさっておられるのか、あるいは今後こういうような問題に対してどういうふうに対策を講じようとなさるのか、その点をお伺いしたい。
○国務大臣(武藤嘉文君) 畑の地力が非常に低下をしているということについては御指摘のとおりだと私も思います。正直、今後やはり土壌の改良をやり、そして思い切って地力を強めていかなきゃならないということは当然でございまして、先ほど局長から答弁を申し上げましたように、現在においてもいろいろの施策を講じておりますけれども、今後よりその点については強力に進めていって地力を回復させなきゃいけないと、こう考えております。
○原田立君 土づくり運動の中で最も重要な点が指摘されているのでありますが、それは有機物施用の減少傾向――ここに文書があるんですが、「最近における有機物施用の減少傾向はこの運用効果とは逆に徐々に生産力水準を低下させ、また異常気象年次における極端な収量の低下につながるものとして深く憂慮されるのである」というのがあるのでありますが、秋冬野菜不作の原因は、台風や長雨、もちろんそれもあるでしょう。だけれども、気象条件が直接の原因というのではなくて、むしろその前に、いまも何度も指摘するように、地力の低下であり、第二番目には農政不信というものであり、台風や長雨はそれを増幅させた一条件にしかすぎないと、こう私は思うのであります。大臣は土づくり、土壌改良、地力の回復については措置を講ずるというふうに言われましたけれども、再度お考えをお聞きしたい。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私自身がどうも野菜の価格との関係、野菜の価格が高くなり、それは供給が不足したと、それは地力の低下によるものであると、どうもそこまでストレートになかなか議論がいかないのでまことに恐縮でございますけれども、しかし、そう言われればそういう点も私はあったのかもしれないとは思います。いずれにいたしましても、野菜だけでなくて、田畑の地力をより強力なものにしていかなければいけないことは、これは農業の将来振興にとっても当然のことでございまして、そういう意味で、先ほど申し上げましたように今後ともより強力にそういう政策は進めていきたい、こう申し上げたわけでございます。
○原田立君 野菜価格の安定について別の角度からお伺いするのでありますが、白菜を例をとってみますと、不作からの品薄により高値につながる。こんなときよく行われる現象として、産地のいわゆる畑買い、青買いが横行するわけでありますが、このような行為は野菜の高騰にますます拍車をかける結果が生ずると思うのでありますが、こういうような点についての実態把握、つかんでおりますか。
○政府委員(森実孝郎君) 御案内のように、青果物の出荷につきましては、系統出荷と個人出荷と商人出荷の三つがあるわけでございます。共選が不要で、比較的包装資材の要らない地場の白菜とか大根等についてはどうしても個人出荷の比率が高く、商人出荷の比率もかなり高いと、商人出荷が大体二割ぐらいあるだろうという状況でございます。 御指摘の畑買い、青田買いは、収穫前、直前に買うのが通称畑買い、立毛中に買うのが青田買いと言っておりますが、かなり行われていることは事実でございます。 本年度の例については、私ども実は茨城、群馬等について調査を十二月来行っております。概況を申し上げますと、茨城の畑買いは大体十二月で終わっている、群馬は大体一月中旬まで行われたという事情がございます。ただ、価格はどうやって仕切っているかと申しますと、まあここに具体的な数字もございますが、たとえば群馬の例で言うと、十二月の中旬は二十万円で仕切った、一月の中旬は六十万円で仕切ったというふうに、大体それぞれのときの中央市場の卸売価格を基準として農家は仕切っております。そこで、結局立毛中にその時点の価格で仕切っておりますから、その価格が高騰いたしますと、その分が農家に帰属しないで商人に帰属するという、利益の帰属の問題があるということは事実だろうと思います。しかし、商人が買ったものにつきましても、収穫後速やかに市場を通して売却することは青果物流通一般の例でございまして、卸売価格自体にそのことが影響しているというふうには思っておりません。
○原田立君 群馬県の邑楽・館林地区では、昨年暮れからことしの初めにかけて業者が入り込み、十アール単位で買い付けるといういわゆる共販崩しが相次いでおります。茨城県でも同じようなことが行われ、反当たり四十万ともあるいは六十万とも言われておりますが、このような行為は価格に影響することは当然じゃないかと私は思うのであります。価格安定の立場からこの点に対する見解はいかがですか。要するに、何かいま局長は三種類あるから云々というようなことを言っておるけれども、こういうような畑買い、青田買いみたいなようなことは認めておられるんですか。
○政府委員(森実孝郎君) 先ほども申しましたように、結局値上がりした時点で収穫して出荷すれば、農家に利益が帰属するものが商人に帰属しているという実態は明白にございます。この問題は、はっきり申し上げるならば、これは結局農家の自覚なり、系統、特に末端の単協の指導力が大きく物を言うと思います。現に私ども調べたところでも、単協の共販率が高いところではほとんどこういう事例はないわけでございます。 元来、青果物の流通は自由でございますし、先ほど申し上げたように、個人出荷が総じて言えば四割、系統出荷が四割五分ぐらい、商人出荷が一五%という実態もあるわけでございます。しかし、先生御指摘のように、野菜の需給と価格の安定を図るためには、やはり系統出荷比率を高めることが当面の私ども課題だと思っております。そのような意味で、実は野菜の価格安定制度のカバー率を上げて系統出荷をバックアップしていく。それから集団産地の育成を図りながら、それを系統出荷に結びつける。さらに、先ほど大臣からもお話し申し上げましたように、本年から実施します重要野菜の需給調整特別事業で、系統を中心にいたしまして、作付から出荷に至る調整の体制をつけ、十分ゆとりを持ってつくりながら出荷段階で調整する方法をつくると、こういう努力を続けておるわけでございまして、こういった努力を着実に積み重ねることによって、系統出荷が主要産地において決定的な支配力を持てるような実態をつくることが基本ではなかろうかと思っているわけでございます。
○原田立君 結局私結論として言いたいのは、地力が衰えている、不良土壌がある。そういうようなところが生産量の確保ができないことにつながっていくと。だから、もちろん直接の原因は長雨あるいは台風等もあったでしょう。これは私は否定はしませんけれども、もっとその前にやらなければいけない問題は、地力の培養等をやらなければいけないのじゃないかという点を強く指摘するわけなんです。この点は十分考慮するというお話ですから、それ以上は言いませんけれども、ただ単なる長雨や台風だけに原因を押しつけるということでは私は断然承服しがたい。その点の反省をしてもらいたいと思うのであります。 余り時間がありませんが、次にえさ米の問題についてお伺いしたいのでありますが、飼料米の今後の位置づけについてはどのように考えていくのか。また水田利用再編対策に伴う転換奨励の対象に入っている飼料作物の中に飼料米を含めるのかどうか、その点はいかがですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 飼料米につきましては、現在までのところ、転作奨励金の対象に入れるというのは農林水産省としては考えてきていなかったわけでございます。しかしながら、国会におきまして、いろいろの方々から、えさ米についてもっと前向きに取り組めと非常に強い御要請を受けたわけでもございますし、また全国的にも、私どもの農事試験場でもやっておりますが、十一県の農業試験場でもいま試験がなされておりますし、また個人においても相当熱心にこの研究に取り組んでおられる方がいらっしゃることを私どもも承知をいたしておりまして、また一方飼料穀物はほとんどいま輸入に依存をいたしております。そして今後とも、養豚なり養鶏なり、その増加分に伴うまた飼料穀物を輸入せざるを得ない。これが結果的に長期の見通しにおける全体の穀物自給率の低下につながっているわけでございまして、そういう観点からすれば、もしそれにかわるべきものがあれば大変いいことでございます。 そこで、飼料米がそれにかわり得ないのかと、こういうことでございまして、いまのところは非常にコスト的にかわり得るようなところまでいかないと、こういう話になっておるわけでございますけれども、また識別の問題もございますが、私といたしましては、しかしせっかくそういう御熱心に研究していただいている方もございますし、一度ぜひ現地において直接そういう御苦労いただいている方のお話を承りながら、私としてこの問題について判断をしていきたいと、こう考えておるわけでございます。
○原田立君 今後主食用の米麦については、麦の方は需要が横ばい、米は減るという見通しがあるようでありますが、総カロリーとしての維持は、牛乳、乳製品及び肉類という畜産食品にそのウエートが移ってくるのではないかと思うのであります。穀物の総合的自給率向上のため、特に飼料用穀物の生産対策をどう考えていくのか。
○国務大臣(武藤嘉文君) いまも申し上げましたように、いわゆる養鶏、養豚、その他畜産関係はある程度今後とも消費がふえると見込んでおるわけでございます。それに対して、それじゃ飼料穀物を増産をしていくかどうかという問題は、いまお答えをいたしましたように、現在の時点においては飼料穀物は輸入に従来どおり頼らざるを得ないだろうと、こういう判断に立っておるわけでございます。しかし、国内でできるだけ自給できるものは自給しなきゃいけないというのが私どもの基本的な考え方でございますので、もし海外の飼料穀物と比べて相当コスト的にも見合うようなものができるならば、国内で自給をしていくのは当然であると、こういう考え方に立っておるわけでございます。
○原田立君 現在検討されているえさ米をやるかやらないかによって水田利用再編対策の内容が大きく変わってくるのではないかと思うのでありますが、実現する方向であるのならば、早急に本格的な検討を加え、何年までにどういう明確なめどを立てるか、そういうふうなことをもっとはっきりしていくべきではないかと思うんです。先ほどは大臣は直接研究者に意見を聞いてそれから決めたいというようなことでありますが、やっぱりこれは一大臣の考え方によって決まるような問題でなくて、日本全体の農政という大きな観点から決められるべき問題だろうと思うのでありますが、お聞きしたい。
○国務大臣(武藤嘉文君) この問題についても農政審議会で議論をしていただいておるわけでございますけれども、率直に申し上げまして、従来の姿勢としては非常に消極的なのでございます。消極的ということは、とても特定作物には考えられないという方向の方が正直強いわけでございます。しかし、それではいま一生懸命やっておられる方々に対してもまことに申しわけございませんし、非常に、現在までやってまいりました稲作技術を活用するという点においてもプラスでございますし、また、なかなか乾田にならない、湿田でなければならないところも相当全国的にあるわけでございまして、そういうところの活用にもなりますし、本当にできないのかどうかを私自身が判断をひとつしてみたいと、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○原田立君 次に、転作奨励補助金の問題でありますけども、何か大蔵省は財政の逼迫を理由に切り下げなどを考えているというふうに聞いておりますが、農水省はどのように受けとめているのか。大蔵省の言いなりになって補助金の切り下げなどは断じてすべきではないと、こういうふうに私は思うのでありますが、お考えはいかがですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 五十六年度から水田利用再編対策の第二期ということになるわけでございまして、当然奨励金その他についても、その前に私ども検討を加えなきゃならないと考えておりますが、そしてその辺においては、けさほども御答弁を申し上げましたように、米の収益性との絡みを十分考えていかなきゃならないと思っておるわけでございます。それで、具体的に何かこう、すでに金額についての検討が、大蔵省から何か言われておるのではなかろうかということでございますが、私の承知しておる限りは、そういうことは何もいまのところございません。
○原田立君 ないということをはっきり大臣は答弁なさっているんですけども、まあ大臣がそう言うなら間違いなかろうと思うんですが、じゃ、局とか課とかあるいは官房長のところへ内々に言ってきたとか、そういうことはないんですか。
○政府委員(渡邊五郎君) そのような事実はございません。
○原田立君 そういうようなことはないということがはっきりしたようでありますけれども、もしそう言ってきたらどうしますか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 先ほどからお答えをいたしておりますように、五十六年度からの第二期の対策を考えていく場合においては、当然奨励金についても考えて見直しをするわけでございますが、米の収益性との絡み、またその水田利用再編対策の進みぐあい、いろいろの観点から考えていかなきゃならないと思っておるわけでございます。いずれにしても、そのときに出てきた数字、どうしてもこれだけは奨励金として確保しなければならないと出てまいりましたものについては、財政当局に対して強くそれは要請をし、その確保について万全の措置がなされ得るように努力をしていく考え方でございます。
○原田立君 大臣、簡単で結構だけども、引き下げるようなことはしないという断言はなさっていないんです、いまの答弁は。その時点になって考えると、こう言っている。私は下げるべきではないと、こう言っているんですけども、そこに答弁と質問とのかたいギャップが出ている。もう一遍、再度お伺いしたい。切り下げるようなことはしないと、こういうふうに受けとってよろしいですか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 大変恐縮でございますが、まだそれは私は引き下げるとも申し上げていないわけでございまして、その時点で十分検討をさしていただきたいということで、いま引き下げないと言えばもう金額はそれで出ちゃうわけでございます。私としては、いま現在においてまだその金額を申し上げるような検討もいたしておりませんし、そういう時期ではないということで、ひとつこれだけはお許しをいただきたいと思うわけでございます。
○下田京子君 お尋ねします。 大臣、農業の発展の保障というのは、何といってもやっぱり農業経営の安定、同時に農業所得の安定的な確保ということが私は基本ではないかと思うんです。ところが、驚きました。このまま行ったら五十四年度の農業所得はマイナス成長に転落する結果になると思うんです。といいますのは、昭和五十五年二月二十九日公表で、農林水産省統計情報部の「農家経済収支」というのを見ましたら、これは五十四年四月から十二月の九カ月でございますけれども、この累積値を見ますと九十二万六千四百七十七円で、前年同期比でもって五・九%減少しているんです。残すところあと三カ月なんですけれども、もう、農業資材の値上げがどんどん相次いでいるという状況を野放しにしておいては、これは近年にまれというような農業所得のマイナス成長、転落ということは確実になってしまう。これでは、農林大臣が所信の中でも決意として述べられておりますけれども、農業の発展、そしてそれに携わっている皆さん方に将来希望を持っていただくために全力を傾ける覚悟でございます、こういうふうにお述べになっているんです。私は、具体的にお願いしたい点は、この御決意、御覚悟を実際にいますぐ行動に移していただきたいという点で、先ほどから議論になっておりますけれども、これら農業所得の安定という点で大事なのは農業生産資材の値上げを抑えていくという点かと思うので、その点でのいわゆる電気料金問題です。 一つは、農事用電力の制度の存続をということです。これは北電の場合には本則供給規程の中に残りました。ですから、残り八電力も当然だと思うんです。 同時に、先ほどから、局長答弁ございますけれども、農事用電力料金の値上げも抑えてほしい、あるいは農事用電力の範囲を拡大してほしい――さほど多くの皆さんの要望でないようなお話があったんですが、それじゃ決してありません。全国団体はもちろんですし、福島県にありましても、農業会議あるいは県中央会等含めて十三団体、連絡会をつくりましてやっておるんです。ですから、私は、局長答弁ではなくて、大臣に、この点についての具体的な御決意と見通しをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私どもといたしましては、農業者が農業生産をやっていただく上において電力料金が上がるということはなかなか大変なことでございまして、極力抑制する方向に努力をしていかなければならないのは当然でございます。 そこで、農事用電力が、いま本則にあるのが附則に回されて、結果的には、従来の方はともかくとして、これから新規の方は高い料金を払わなきゃいけないというようなことではこれは大変困るわけでございますので、その点については本則にそのまま残るように私としても極力努力をしたい、こう考えております。
○下田京子君 いま三つ私はお尋ねしたんですけれども、大臣一点のみしかお答えありません。それはまた後でお聞きすることにします。 通産省の方、じゃお尋ねしたいんですけれども、私、事実の確認について通産の方に御確認をいただきたいと思います。 申請どおりにもし実施されますとどうなるかということで、具体的な事例で東北電力の場合を例にとりたいと思うんですけれども、特に農事用電力の中の灌漑排水を例にお尋ねします。 これは、福島県農業会議が試算したものなんですが、供給電圧が二百ボルト、契約電力が五キロワットで、一カ月の使用電力量が七百キロワットアワー、力率が九〇%の場合、ただし、夏季使用あるいは低圧電力は電気税を除く、という場合の計算なんですけれども、現行でいった場合には、灌漑排水用電力の場合に、一カ月五千二百八十円かと思うんです、それで計算しますと。ところが今回の――大臣よろしいですか、具体的なことなんですが、基本料金の値上げとそれから電力量料金のアップという、それだけでもこれが九千九百三十九円と、実に、現在に比べまして八八・二%のアップということになって、平均よりも大変高いものになります。それからさらに、いま大臣もお答えになりましたけれども、本則規程から外されるということになった場合には、灌漑排水用電力の場合、これは新規分全部が特別料金の単価が適用になるはずなんです。となりますと、基本料金でも、これは一キロワットで三百六十円のものが実に千六百円になります。それから電力量料金は一キロワットアワーで五円十銭のものが何と二十五円十七銭ですね。計算しますと、これは二万五千二百十九円と実に四・八倍にもなると。この試算は間違いないかと思うんですが、どうでしょうか、御確認いただきたいと思います。
○説明員(堀田俊彦君) ただいま先生から前提としてお示しいただきました数字の中で、力率等につきましで私はっきり伺いませんでしたけれども、大勢として、仮に申請値がそのまま認められた場合にはその程度の大幅な値上がりになるということで、正しいと思っております。
○下田京子君 通産の方、ありがとうございました。 大臣、いまのお話のとおりなんですが、申請どおりにもし認められると大変なアップになるという御確認は、具体的な事例として御認識いただけたかと思うんです。 さらに、福島県の個別の事例で恐縮なんですけれども、会津の塩川町の土地改良区に行きましたら、十アール当たり六百六十九円というところもございます。ところが、片やそうも遠くないところで、高田町というところがございます。そこの場合には十アール当たりが五千八百八十二円、こういうところもあるんです。非常に格差は全国的ばらばらでありますけれども、高いところは現行でも十アール当たりこれほど払っているわけなんです。 ということを改めて御認識いただきました上に、さっき私が尋ねました本則に残すというのはこれは当然かと思うんですけれども、同時に、電力料金のアップという問題にも問題が残されておりますし、先ほど来からいろいろ議論になっておりますけれども、総合農政という問題やら、いまの水田再編対策という中で、農事用電力への適用拡大をというのは、多くの農家の皆さんのこれは希望であると思うんです。そういう点で再度大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) 総体的に極力抑えるように努力することは当然でございます。 それから、いまの本則に残すというのは、私先ほど答弁を申し上げました。適用拡大についてもこれは努力をしていかなきゃならぬということは当然でございまして、なかなかこの最後の問題は、新しい問題でございますから非常にむずかしいかと思うのでございますけれども、努力はしていかなきゃならぬと思っております。
○下田京子君 私、この件についての最後の私のお願いを申し上げたいんですけれども、決意のほどはわかりました。聞けば二十一日に閣議決定というふうなお話なんです。ですから、いまの決意に沿ってぜひ皆さんにこたえられるような、そういう結果を期待したいと思うんですが、あえて私は一点指摘しておきたいんです。 公共料金の問題につきましては、わが党の場合には凍結ということを主張しております。特に、この電気料金の問題については、いまお話ありました農事用電力に限らず、一般国民に、一般家庭に大変な大きな影響を与えるといっていま大問題になっております。特に査定を厳密にしてもらいたいというのが大方の皆さんの希望であります。 私はあえて申し上げたいんですけれども、東北電力の場合には、燃料費の場合一つとりましても、たとえば原油が一バレル当たり三十ドルと。ところが、これはそれで計算できるのに、さらに大変な額で計算されているということでの水増しの問題、あるいは過大見積もりの問題、内部留保のこと等ございます。そういう点をきちっとこう据えていて通産並びに関係者と交渉をしていただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わります。
○小笠原貞子君 道漁連の問題について伺います。 百三十億という欠損金が出たということなんですけれども、ずばりお伺いしたいんですけれども、大臣、この百三十億の欠損というのは西村課長の空売りがすべてであるというふうにごらんになっていらっしゃるかどうか、簡単にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) 赤字百三十億というのは、道漁連の関係はもう一つ例のかずのこがございますので、その内訳について私はよく承知をいたしておりませんが――百三十億そのもののあれが全部道漁連の例の西村課長に関係したものであるか、そこまで私は実は十分には承知をいたしておりません。
○小笠原貞子君 それじゃ次に伺っていきます。 本当にこの問題は非常に大きな問題になっているわけなんですけれども、大きな問題になっているのにもかかわらず、私がいろいろお伺いしたりしておりますと、本当に水産庁は本気になって真相究明をやろうとしていらっしゃるかどうかという点、非常に私は残念に思います。道漁連がこれまで出していらっしゃる報告書について資料を出していただきたいというふうに申し上げても、水産庁からお出しいただけませんでした。そして、道漁連がいまのところ一応公にしているのは、道議会に提出いたしました「あらまし」というものでございます。この「あらまし」というのがあるわけなんですね。しかし、この「あらまし」というのは肝心なところが抜かされている問題があるわけなんです。私たちいろいろ調査しております中でこういうのをいただきました。道漁連営本事件地区代表者調査委員会というのが出しております、この資料を見ました。この資料の中から抜けている問題がたくさんあるわけなんですね。この資料の中で抜かされている問題というのは何かということを出していきますと、第一に、内部決裁のあいまいさ、形骸化という問題が指摘されております。同時に、取引カードの、参事、担当部長の決裁がなされているかどうか、経理部、担当部との間に意見の食い違いがある、こういう大事な問題が第一の問題です。それから第二の問題として、伝票の仕入れ起票の即日払いの容認、空売りに係るものがほとんどそうされていたという問題がここに指摘されております。それから第三に、昭和五十二年から五十四年に不正取引の情報が集中してもたらされているということもここに指摘されております。それから第四に、昭和五十四年四月から十月まで、営本員外取り扱い高の四百二十四億円の七〇%が仮空取引と推定されるという、ざっとこの四つの点など、これはまだ一部と言ってもいいと思いますけれども、この重要な指摘の事実がございます。水産庁とされましていろいろ御検討もされ、調査もされていると思いますけれども、この百三十億が本当に空売りによって出された金額だというふうにお考えになっていらっしゃるかどうかという問題、お伺いしたいと思います。
○政府委員(今村宣夫君) 今回の道漁連の空売りによる欠損問題につきましては、私たちとしましてはまことに遺憾に存じております。したがいまして、この問題の全容を明らかにするということにつきましては、道漁連自身もそうでございますが、私たちとしましても全力を挙げて取り組むつもりでございまして、決してあいまいな態度で対処するつもりはございません。調査の過程でございますから、いろいろと説明が不十分であり、またその点について御不満であるということはわかるわけでございますが、問題は非常にむつかしゅうございまして、しかも長期にわたる事件でございますから、これについての解明はきわめて困難な事情にあるわけでございます。 現在までの私たちの、あるいは道漁連におきます調査によります空売りの損失が約百三十億でございまして、これは数字的には私はそんなに動かない数字であろうと思います。若干あるいは動くかもしれませんが、まず大体その程度の数字であると思います。それの欠損が、要するに担当者個人の空売りによって生じたものだけではないのではないかというふうな御指摘でございますが、私たちの現在までの調査によりますと、大体その空売りによって生じた欠損であるというふうに把握をいたしております。
○小笠原貞子君 この重要な指摘がされている報告書によりますと、空売りの発端というのは、冷凍ニシンなど、昭和四十八年から五十二年の五年間にわたって五億ないし十億の欠損が出たというふうに書かれているわけなんです。これは五年間で五億ないし十億という非常に大ざっぱな数字が出ているわけですね。ここで、空売りの始まった時点での、スタートしたときの金額、まあ元金と言いましょうか、出発の金額というのが幾らであったかということが非常に私は大きな問題になると思う。これがたとえば五億であったか一億であったかというところから動いていきましてそして百三十億になったということになるためには、この元金が幾らだったかということが非常に問題になります。これによって、この百三十億という欠損が出たという中身もいろいろ変わってくるわけですね、いまおっしゃったように、空売りだけなのか、ほかの要素が入ってくるか。ということになりますと、これは本事件の非常に重大な性格を左右する問題だと、私はそう言わざるを得ないわけなのです。それはもう御承知のことだろうと思います。 そういう立場からいたしますと、この四十八年時点で、西村課長個人が言うことではニシン、というところから始まっているとすれば、この時点で調査する必要があるのじゃないか。われわれが調査いたしましたところでは、昭和四十八年当時、東京支所の取り扱い高はわずかに十億円にすぎません。しかも、冷凍ニシンなどの取り扱い高が当時一体幾らだったのかというところが問題になるわけでございます。もし仮にその欠損が一億程度だったとすれば、とうてい百三十億にはならないわけです。だから、いろいろとむずかしいとおっしゃるけれども、四十八年時点で東京営本の取り扱い高十億、その中で冷凍ニシンというのは一体幾らだったとかいうことは調べられるはずなのです。まず、そこのところを調査していただきたい。調査する気があるか。していただけますか。時間がございません、簡単にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(今村宣夫君) 問題になりました発端は、四十七年当時の千七百万円の二重売りの補てんのための空売り、それから四十八年ごろのニシンの販売に対して相手方に与えた損失をカバーするための架空の取引、そのほか、冷凍ダコであるとか鮭鱒等における生じた損害をカバーするための架空取引ということでございますが、この御指摘の時点におけるそれぞれの損失額は幾らであったかということは、私たちも調査の必要性を認めて調査をいたしておりますが、その当時の書類は残念ながらないということで、本人の記憶に頼らざるを得ない。本人のいろいろな供述といいますか、申し述べるところによりますれば、あるいは十億と言いあるいは五億と言いまして、その点は判然と現段階ではいたしておらないわけでございます。
○小笠原貞子君 いろいろとなすっていらっしゃるけれども本人があいまいだということなのですけれども、私はできると思う、やり方によって。それは時間があれしますから私はまた後に戻しますけれども、ここのところを押さえなければ、百三十億になったのか、何が入っているのかわかりませんから、ここのところをしっかり調査する必要があるということだけ指摘しておきたいと思います。それで、やる気はあるとおっしゃるのだからやっていきたいと思います。 それから、さらにこの空売りの金額、五十二年以降急激にふえていると巷間言われております。二百海里元年、魚価高騰の時期でございます。五十三年には、逆に魚価が下がりました。暴落です。業界全体が経営苦にあえいでいたときでございます。こうしたとき、空売り以外のものがこの仕組みに便乗しもしくは上乗せされていったという事態が可能性としてあり得るということも、この報告書にも書かれているわけなんです。そういう意味から、大変なのはわかっていますよ、わかっているけれども、やっぱり本気になってやるという姿勢をはっきりさせていただきたいと思う。何としてもいまの姿勢は弱気です。そして、まあまあこれで何とか早くおさめたいというような姿勢があります。 大臣にお伺いしたいと思います。非常に疑惑があります。そして非常に性格的に問題が大きいから、もう真剣に真相究明に取り組む、具体的に進めるという大臣としての御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) こういう事件が起きたことはまことに遺憾に存じておりますし、一日も早くその真相を解明することは当然かと思っております。そういう点については、私ども農林水産省といたしましては全力的に取り組んでまいりたい、またできるだけ早く解明ができるように努力をしたいと、こう考えております。
○小笠原貞子君 そこでお伺いしたいのですけれども、業界に関して、今回の事件で水産庁として業界から事情聴取をなさいましたでしょうか。
○政府委員(今村宣夫君) 関係する業界につきましては事情聴取を始めておりますが、今後も引き続き実施をいたしたいと思います。
○小笠原貞子君 それでは水産庁、空売りストップの時点で関与した業界と業者、つかんでいらっしゃいますか。売り上げ、仕入れ別に何社であるか。
○政府委員(今村宣夫君) つかんでおります。
○小笠原貞子君 何社ですか。売り上げ、仕入れ別に分けてと、合計。
○政府委員(今村宣夫君) 空売買が停止された時点におきます本件の売買にかかる仕入れないし売り先となっている会社でございますが、本件売買にかかる仕入れ先であったものは十八社でございます。それから売り先であったものは二十七社でございますが、会社全体として、まあ出し入れがございますから、会社として数を言いますと三十社でございます。
○小笠原貞子君 私ども調査いたしまして、売り上げ二十八社、仕入れ十八社、合計三十社。しかしこれは空売りストップのときに関係した業者でございます。その事前ということから調べてまいりますと、この三十社含めて四十社以上になります、私ども調べたのは。これは私の方で押さえております。この業者をずっと調べた中でこれに大手が入っている。この大手が入っていることは、その役割り、社会的な責任から考えますとこれは放置できない問題だと思います。あえて名前をはっきりさせますと、大手水産会社としては、マルは大洋というのはいままで言われておりました。それから日魯がございます。それから極洋がございます。宝幸水産がございます。それから大手荷受け、この中には東水、東都水産、それから中央魚類、東京築地魚市場、それから大都魚類、それから船橋マル中、それからトーメン水産というのがございます。水産庁、確認できますか、いま言った名前。
○政府委員(今村宣夫君) 関係をした会社の名前は私の方はわかっておりますけれども、どの具体的会社ということは、具体的にどの会社であるということはちょっと申し上げることを差し控えさしていただきたいと思います。
○小笠原貞子君 申し上げることを差し控える必要はないと思います。私いま申し上げました会社は私の方で調査いたしました。当然皆さんのところでも調査されていると思います。これは確認したいのです。いかがですか。
○政府委員(今村宣夫君) 恐縮でございますけれども、先生のおっしゃった会社を確認をいたしますことは、会社の名前を役所として公にしたと同じ効果を発揮するものでございますから、したがいまして、その確認につきましても差し控えさしていただきたいと思います。
○小笠原貞子君 押し問答する時間はありません。大変残念です。私どもこれはきちっとした具体的な資料で確認をしております。 いま言いましたような業者は、空売りは知らなかったと言っていらっしゃいます。私の調査ではそうではないが、知らないはずはないと思うんですけれども、仮に百歩譲ったとしても、結果的には空売りの中に入っていたということですね。そうすると、この業界に協力を得て、そして業界からも力をかしてもらわなければ私は解明というのはできないと思う。道漁連と業界との間がいま断絶しております。そういう中で解明しようといってもこれは困難ですから、だからやっぱりそこのところに水産庁が出ていく必要がある。農林水産省としても、やっぱり道漁連と業界の間を取り持って、そしてみずからの責任もはっきり持つとおっしゃるならば、当然この業界と道漁連の間と一緒になって調査を進めていくということがない限り、私は口でおっしゃっても調査は進まないと思います。その責任においてやっていただけますか。
○政府委員(今村宣夫君) 非常に困難な調査でございますが、できるだけの努力をいたしたいと思います。
○小笠原貞子君 困難だから業界と水産庁とそして道漁連と一体になって調査してほしいというのが私のいまの質問だったんですよね。それはやっていただけますね。
○政府委員(今村宣夫君) いま御指摘のように、業界と道漁連の関係は非常に冷えておるということはいまのお話のとおりでありましょうし、それから関係会社としましても、まあ空売りに関係をしておってもまあ事情を知らなかったということを言うわけでございまして、もちろん水産庁が両者の中に入りその調査をやるということを行いましても、精一杯の努力はいたしますけれども、非常にむずかしい調査であるということを申し上げたいと思います。
○小笠原貞子君 いや、むずかしいだろうというのが先になったんですよ、おたくの見解というのは。だから、むずかしいからとこのままほっといては進みませんよ。おっしゃったように、業界と道漁連の間というのは冷えておりますよね。これいつ暖まるんですか、このままだったら。暖まりませんね。そうしてこの問題を考えるのにもやっぱりここの協力を得なければできない。その協力を得ながら――やはりそこに水産庁としての責任を私は本当に感じていらっしゃらないと思う。この問題の重要性というもの、性格についても重要性を考えれば、そんなに、やるつもりだけれどもこれは因難だと思いますなんというのがくっつくんじゃ、私はだめだと思う。大臣、ちょっとお答えいただきたい。そういう困難だなんてびびっているんじゃなくて、やっぱりこれは責任においても、業者と道漁連との間のこの冷えたのを取り持って、責任においてこの真相究明について努力するという姿勢をはっきりさせてください。
○国務大臣(武藤嘉文君) 実際にやっているのは水産庁でございますのであれですが、できるだけ私としても水産庁を督励いたしまして努力をさせるようにいたします。
○小笠原貞子君 大手荷受け四社はすでに東京都が調査に入っていますね。昨年十二月段階で市場課は要請を都に行ったということを聞いております。とすれば、事実上関係業者の調査に入っていることになるわけなんですけれども、農水省として、今後卸売市場法四十八条に基づいた検査になっていくのだろうかどうだろうかということと、それから他の地方卸会社、これについてどういうふうに考えていらっしゃるか。どちらにも属さない関係者にもこうした点に準じて調査すべきではないかと思うんですけれども、いかがですか。
○政府委員(森実孝郎君) 道漁連に対する調査のほか、かかわり合いを持ったとされております中央卸売市場の卸売業者に対しては事前の事情聴取は実は行ってきております。一方、開設者である東京都も監査を実施しておりまして、この報告を待ちたいと思っております。私どもといたしましては、東京都、水産庁と十分な連絡をとりながら、卸売市場法に基づく検査を近く実施したいと考えております。地方卸売市場あるいは一般の問屋につきましては、これはやはりただいま水産庁長官からも御答弁がありましたように、状況に応じてそれぞれ協力を求めていくという形で必要に応じて調査をしていかなければならないと思っておりますが、これらについてはまだ概貌も私どもはつかんでおりません。
○小笠原貞子君 いろいろ申し上げましたけれども、調査の取っかかりがないということは言えないと思うんですよ。非常に困難であるということは私もわかります。しかし、困難であるからといって避けて通るわけにはいきません。そこはやっぱり農林水産省としても水産庁としても、その責任において、さっき言ったようにこの性格というのは非常にいろいろな性格が入ってまいりますと、これは道漁連だけの問題じゃございませんので、これは後でまた次々私はただしていきたいと思いますから、そういう点においてしっかりと御調査をいただきたいということを重ねてお願いをしたいと思います。 それじゃ運輸省、お伺いいたします。 東京水産冷蔵の在庫証明というのが新聞に出ておりましたが、通常はコンピュータである、ところが、空売りのものは手書きによっていたということになっておりますね。そうしますと、事実の確定のための調査ということは非常ににやりやすくなってまいりますね。 それから、退職させられたという三人がいらっしゃるわけですけれども、これもぜひ事情を聞いていただきたい、そう思うのですけれども、いかがでございますか。
○政府委員(鮫島泰佑君) ちょっと第一段の御趣旨がよくわからない点がございますけれども、通常の在庫証明というのはコンピュータで打ち出されているものでございます。そして会社の方で関係しました者から聞き取りましたところによりますと、この点関連いたしまして出た在庫証明なるものは、このコンピュータの中に入っていないものであって、手書きであったという報告になっております。 なお、つけ加えて申しますと、その関係の写しというようなものは残っていないという報告を受けております。それから二点目の、元職員の三名から直接運輸省が聞くべきではないかという御趣旨の御質問でございますか。――私ども運輸省で調査を行っているわけでございますけれども、これは倉庫業法の二十七条に基づいての調査を行っております。これでは、当然のことでございますけれども、倉庫業者に対して報告をさせることができるということでございますので、現在退職をしております三人から直接事情聴取というのはこの範囲外であるかと考えております。
○小笠原貞子君 手書きであるということが空売りの在庫証明ということになれば、非常に問題は明らかにしやすうございますので、ぜひ手書きによっているというその在庫証明についての御調査もいただきたいと思います。三人について立場上なかなか聞けないとおっしゃいますけれども、それじゃ、それはこういう問題について、農水省の方でも、水産庁の方でも事情聴取するということはぜひやっていただきたいと思うわけですけれども、農水省として、市場関係の荷受けの調査にも、在庫証明があれば当然この手書きになっているはずだと思いますね。そうすると、これも一つの大きな手がかりになると思うんです。それで、私たち調査いたしまして、これは確認はしたんですけれども、昭和五十三年、五十四年にかけての大手荷受けなどについては、必ず在庫証明をつけているというふうに言われておりまして、これははっきりいたしました。そうすると、農水省としても、在庫証明というものから、この手書きのものというものから、ここはまた一つの突破口となって調査できるのではないか、調査していただきたいと思うんですけれども、いかででございますか。
○政府委員(森実孝郎君) 検査に当たりましては、運輸省の御協力も得まして、判断資料の一つとしてその件も調べる必要があるのではなかろうかと思っております。
○小笠原貞子君 それじゃ、ぜひそういうことで御調査いただきたいと思います。 時間がなくなりましたが、次に水産庁の検査体制、その水産庁としての責任問題についてお伺いしたいと思います。 道漁連として中期経営計画というものを策定をしております。そして、昭和四十八年から五十年に第四次、そして、昭和五十一年-五十三年に第五次、第六次と次々と出されているんですけれども、そのうち、ずっと調べてまいりましたら、第四次中期経営計画というのがあるわけです。ここのところに、つまり、道漁連に段階的に商社機能を導入していくというふうに書かれているわけなんです。商社機能を導入していくというようなこのことが、この事件になって考えられますことは、この方針のもとに道漁連は商社機能を拡充していって、そして員外取引は急増したと。そういう中で西村課長が空売りに走らされるというような、こういうことに結果的にはなってしまったという点から見ても、この商社機能を強化するという問題がどうだったのかという点です。 それからもう一つ、外国に対する投資というものが事実今度は外に向かって行われているわけです。四十八年以降、たとえば四十九年、韓国の北菱に対して道漁連は一億円出資しております。それから四十九年に組織を改組いたしまして東京営本が設置されたわけです。このようにみずから商社機能を担いながら実際やってきたという道漁連のあり方、これについて、いままでいろいろと監査をなすった中でどういうふうにごらんになっていたか。 時間がないので続けて私申し上げますけれども、四十七年以降常例検査の主要な指摘事項というのを出していただきました。これを見せていただきましたけれども、道漁連が商社化していくという、非常に大きな問題になりますね、これは。こういう問題については何ら触れられておりません。 北光という道漁連一〇〇%資本の子会社が出ております。これは商社機能の最たるものだと私は見ておりますけれども、歴代営業本部長が社長兼任、道漁連幹部も役員で送り込まれていると。そして今度の空売りにも大きな役目を果たしているということから考えまして、この商社機能へずっと進んでいったというところから、私は水産庁としてどういうふうに見てこられたかという問題が大きな問題だと思います。 それから、先ほど言いました韓国につくられた北菱というところですね。この北菱という会社に一億円出資しております。この問題も非常に私は理解に苦しみます。たとえば北菱というのは、釧路、北文、三菱商事の出資会社。フィッシュブロック――スケソウの冷凍の肉です――この生産ですけれども、一方で釧路の北市、これは御承知のとおり道漁連五五%出資の会社ですが、同じものをつくっているわけです。この北菱という会社が韓国でスケソウの原魚を買い付けしているわけです。その韓国でスケソウを買い付けしているというそのスケソウは一体どこから来たのかというと、これは北海道近海でいま漁民が非常に苦しんでおります。水産庁長官にも私何回も質問もいたしましたし、御努力もいただいております。韓国漁船で非常に苦しめられている、この北海道へ韓国漁船が行ってスケソウをとって、そして韓国の北菱という会社に売っているということから考えますと、これはもう沿岸漁民が聞いたら私は本当にすごく腹立たしいことに思うと思うんですね。こういう外国への一億の出資をしてきておりますね。 こういう問題から考えましても、国内で商社化するんだよという方針を出し、そして実際商社化に走り、そして外国へもこういうような資本を出して漁民の利益を全く損うというような結果を招いてきていると、こういう点を考えて、この監査、検査の中でこれをいままで一つも指摘されてこなかったのは一体何だという一つの責任としての問題をお伺いしたい。 そして責任云々ではなくて、現実にこういう事態が明らかになったときに、これはどういうふうに反省して対処されるのかという点が二つ目の問題です。 そして最後に、私は時間がないから最後にまとめて言いますけれども、私たちもこれ何とか再建したいですよ。その再建するためにこそ真相を明らかにしなければ、形だけの再建では後必ず次々と問題が出てきます。だから、本当の再建を私は願うゆえにこそ、きちっとした姿勢で真剣に取り組んでいただきたい。そしてこの再建に関しては、漁民の皆さんがかずのこも入れて二百億からの欠損をわれわれにかぶせる気かと。また、働く人たちは、一体自分の職場がどうなるんだろうと、やりきれない気持ちで怒りと一緒にいまもうこれを非常に注目しているわけです。そういう意味において、はっきりした真相解明をやっていった中で本当の再建ができるという姿勢をとっていただきたいと思います。 きょうは時間がありません。もうほんのとば口だけにしました。あと、いろいろと政治がらみの問題だとか、たくさんの材料がそろいましたら次々とやっていきたいと思いますけれども、いまのところは、どうか真剣な取り組みで真相究明ということについてきちっとやっていただきたいということを切に希望して、質問を終わります。
○政府委員(今村宣夫君) 道漁連の第四次の中期経営計画の中に御指摘のような表現があり、その後、北海道漁連といたしましては商社的機能を導入しましてそういう活動方向に走り、それが結果として今回のような事件を引き起こすということになりましたことにつきましては、まことに遺憾に存じておるわけでございます。私たちとしましては、北海道の漁連が本当に漁民のためあるいは海運のための連合会であると言われるような、そういう観点から今後の北海道漁連のあり方というものを考えていきたいと思っております。 そういう観点からいたしまして、いま御指摘のありました北菱その他の外国への出資につきましても、それが適当であるかどうか、また、必要性があるのかどうか、そういう問題について全部一々洗いまして、その過程で適切な処理をするようにいたしたいと思っておるわけでございます。再建につきまして、あやふやなままに再建をしたら禍根をまた残すではないかという御指摘はまことにごもっともであると存じます。したがいまして、私たちとしましては、全体につきましてその内容を解明すると同時に、先ほど申し上げましたような、本当の浜の熱意を受けてその要望を満たせるような連合会にしていくような努力を続けていきたいと思っております。
○委員長(青井政美君) 本件に関する質疑は本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十八分散会 ―――――・―――――