地方行政委員会 第4号
- 発言数
- 207 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/03/25
会議録
○委員長(後藤正夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○佐藤三吾君 十八日のこの委員会でずいぶん議論したんですが、きょうは大臣が見えておりますから、そういった観点で再確認をしておきたいと思うのです。 一つは、立入検査の問題でございますが、御存じのとおりに、この立入検査というのは一歩誤れば憲法三十五条に抵触する、そういう内容でございまして、必要性についての議論と同時に、そういった危険性を持つ条文でございますから、これまでもかなり議論をしたのですが、なかなかここら辺が明確になっていなかったわけでありますが、もう一度こういった問題についてただしておきたいと思います。 先般の質問の際に、私は少なくとも消防法四条なり、さらにまた憲法三十五条ともかかわりを持って、必要な限度というものをやっぱり明確にする必要がある。さらにまた、本人の承諾、四十八時間前の事前通告、日の出から日没までの時間、こういった問題をきちんと総理府令なり、必要な措置を何か警察庁で一方的に決められるものでなくて、きちんと規定化して、そして乱用が防止できる体制をつくるべきだということを主張したのでありますが、これについてひとつまず警察庁の明確な御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(塩飽得郎君) ただいま御指摘のありました立ち入りの問題でございますが、これにつきましては、今回の改正によりまして盗難の防止、その他危害予防上の観点から銃砲の保管の設備、方法の基準というものを総理府令で具体的に定めることにしているわけでございます。 特に猟銃につきましては、その危険性から、所持許可を受けた者などが、猟銃を法令の基準に従って収納しているかどうかということを確認し、そして立入検査によって基準の励行または違反の是正措置をさせることにより、盗難の防止、その他危害予防の徹底を図ろうと、そういう趣旨で定めたものでございます。したがいまして、この立ち入りというのは重大な問題でございますので、実際運用する場合に当たりましては、人権侵害その他のないように十分留意してやらなければならないものと考えております。 なお、その辺の基準その他につきましてはなおよく検討をし、運用上誤りのないように措置していく所存でございます。
○佐藤三吾君 ちょっと後段がよくわからなかったのですけれども。
○政府委員(塩飽得郎君) 実際の運用に当たりましては、厳格に、人権侵害等のおそれのないように十分注意して運用するように指導もしてまいりたいと思います。
○佐藤三吾君 それは、保安部長としてそういう決意なり、こういった点については理解できるのですけれども、法というのは成立しますとこれはひとり歩きしますからね。あなたが生涯ずっと保安部長をやるわけじゃなし、法律をつくった方がそのままおるわけじゃなし、そういうことの危惧もあるわけですから、どのように具体的に明確化していくのか、その点についてひとつお聞かせください。
○政府委員(塩飽得郎君) 立入検査のような人権上慎重に行われなければならない問題につきましては、厳格に法の枠内でその運用が行われるということは当然のことであります。したがいまして、法文上も、立入検査の要件としまして、盗難の防止、その他危害予防上調査する必要がある場合であって、あらかじめ関係者に通告した後でなければならない。しかも、立ち入りに当たっては、その必要な限度は超えてはならないという厳重な要件を定めているわけであります。そういったことからも、実際の運用に当たり、内部的な通達なり基準なり、あるいはそういった立ち入りの要件その他を明確にした何らかの基準というふうなものを決めまして、それに従って運用していかなければならないというふうに考えております。
○佐藤三吾君 その点は、何らかの基準というのは、総理府令か国家公安委員会の規則か、そういうものというふうに理解していいんですか。いかがですか。
○政府委員(塩飽得郎君) 銃刀法上は、立ち入りの実施の要領につきましては、特に総理府令で定めるという特別な委任規定はございませんけれども、しかしながら、警察官が立ち入るに当たっての実施要領につきましては、総理府令あるいは国家公安委員会規則、いろいろ考えられますけれども、厳格に決めるという意味で総理府令で決めることを検討してみたいと考えております。
○佐藤三吾君 ぜひひとつそこら辺は、事は人権にかかわる問題でもございますから、きちっとしていただきたいということをひとつつけ加えておきたいと思います。 そこで、第二点の問題は、五条一項六号の、いわゆる警察の相当と認める範囲の問題ですね。これは先般の委員会で同僚議員からも指摘がございましたように、たとえば岐阜県警のように、調査カードの中に、夫婦仲が悪いとかいいとか、親類づき合いがどうであるとか、そういった節々の、まさに戦前を思わすような内容等が出されておるわけですね。しかも各県の状態を見るとこれはばらばらですね、各県の場合に。これらについて、私どもはきちっと統一基準を出して、そしてそれが人権にわたらないと、こういう点を明確にすべきだと思うのですけれども、この点についてどういう基準で統一基準をつくるのか。その点をひとつ明確にしてもらいたい。
○政府委員(塩飽得郎君) 銃砲の所持につきましては、法の第五条及び第五条の二に定める基準に従いまして、慎重な審査を経て許可されることになっているわけでございますが、御承知のとおり、五条一項六号の基準の適用につきましては、特に綿密な調査と慎重な判断を必要とするわけでございます。 そこで警察庁におきましては、内規をもちまして一般的な認定基準を定めて各都道府県警察に示すつもりでおります。また、現在もそういうふうな運用を期しておるわけでありますが、ただ、梅川事件の発生あるいはその後の猟銃使用の犯罪、あるいは事故の実態、また、本改正案の国会審議の経緯なども踏まえまして、従来の内規でありますとか、あるいはこれでは足りないような面につきまして、早急に見直しを行うことはもちろんですが、さらにより具体的な基準を定めるなどして統一を推進してまいるつもりでおります。
○佐藤三吾君 その統一内容、案がございますか。
○政府委員(塩飽得郎君) これは現在、これから検討するということでございまして、よりよい案にしたいと、先ほど御指摘のありました個人のプライバシー絡みのいろいろな問題も含めまして、十分検討をした上で適切な案をつくってまいる予定でございます。
○佐藤三吾君 それは少なくとも岐阜の案に示されております——これは先般の委員会の際に保安課長には、評価するというようなことをちょっと聞いたように記憶しておるのですけれどもね、私はむしろこの問題、個々に統一基準をつくるという意味は、こういった行き過ぎた内容についてチェックしていくと、そういったことも含めて言っておるわけどすからね。この点については確認できますか。
○政府委員(塩飽得郎君) ただいま御指摘の岐阜の例でございますけれども、これは当時梅川の事件がありました直後の一つの基準、試みとしてはそれなりの評価をしたわけでございますけれども、ただ、内容をしさいに点検してみますと、御指摘のような御疑問を生ずる可能性もないわけではないと思います。ただ、ああいった基準を並べる場合に、あれを全部一律に適用するというものではないと思います。審査あるいは調査をする項目としては、考えられる限りいろいろな要素というものを検討するのはこれは当然だと思いますけれども、個々の許可するしないの審査に当たりまして、その中の大事な項目を適用する、関連ある項目で調査をするということでございますので、内容についてはもちろんプライバシーの侵害にわたらないように十分気をつけて、項目について考えてみたいと思いますし、また、実際に調査する手順、方法、そういったものにつきましても適切な方法がとれるように検討してまいりたいと思います。
○佐藤三吾君 こういった法案というのは、危険性を持つだけに規制の部分もたくさんございますけれどもね、言うなら、犯罪者を捜査する法律ではないわけですからね。健康なスポーツの面を持つ銃砲、猟銃もちゃんと国家が認めておる内容ですからね。そういった問題については私はやっぱり、警察当局が規制の面で心配する点はわからぬことはないと思うんですけれども、しかし、ライフルがあり、猟銃があり、いろいろこうある内容のものですからね、そういう関係団体にも十分意見を聞いて、今度のようにいろいろそごが起こらないように、事前に十分調査した上でやるべきだと思うんですけれどもね。今後、そういった基準をつくるにしても、そこら辺の問題はひとつ十分聴取をして、そうして事が人権にかかわるようなことのないような、そういった面についての留意を、私の方からもひとつこの際要望しておきたいと思います。 いまの二つの問題について、大臣の見解をひとつお聞きしたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、日本の治安が欧米各国に比べてわりにうまくいっているその原因は、二つあると思っているんです。 一つは、やはり同一民族、同一国語。つまり同質性ということが一つ。もう一つは、銃砲、刀剣の所持が、諸外国に比べて大変厳しくなっております。この二つが比較的治安がうまくいっておる大きな原因であると、こう考えておるわけでございます。 そこで、銃砲、刀剣の所持許可の法律は、諸外国に比べてはきついと思います。ただ、従来の法律のままでは、最近猟銃等の所持許可を与えた人間による凶悪犯罪が頻発をするといったようなことで、なぜああいう者に許可を与えてあるんだという厳しい世論もございます。そういうようなことで、問題は、非常に危険なものである、しかしながら、同時に、他面社会的にも認められ、有用なものでもある。その調和をどこに引っ張るかということで、絶えず治安当局としては気を使っておるわけでございますが、今回はそういうことでできるだけ許可基準というものも前歴者等については厳しくする。同時に、有用性のなくなっておるいわゆる眠り銃はできる限りひとつ排除をしようと。同時に、保管管理等も、いま少しくややルーズに流れている点がございますので、厳しくしようと。こういうことでお願いをいたしておるのですが、さて、他面、先ほど来の御質疑のように、立ち入りの問題であるとかあるいは許可基準の決め方であるとかといったことはやはり、そういった一方をにらみながらも、十分人権上の配慮もしなければなりませんし、必要最小の限度にとどめるべき筋合いのものでもあろうということでございますので、御質疑等の点は十分踏まえまして、できる限り合理的な取り扱いができるような基準等もつくって、皆様方の御心配のないようにいたしたい、かように考えております。
○佐藤三吾君 十一条五項の問題をちょっと聞きたいんですが、いま大臣から出ましたが、眠り銃の判定基準というのはどういう内容を持っているんですか。
○政府委員(塩飽得郎君) 眠り銃につきましては、これは銃にはそれぞれ許可された用途目的がございます。狩猟あるいは有害鳥獣の駆除とか、あるいは標的射撃という、その目的に従って必要であるということで許可をされているわけでございますが、その用途目的に実際に使わないままで長い間放置されているということは、これは銃の必要性がないと認めざるを得ないわけでして、この改正の場合は、三年間用途目的に供しない場合は取り消すことができるという規定で、できるだけ不用の銃を排除してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○佐藤三吾君 たとえば所持者が病気、長期療養になったとか、長期の出張であるとか、そういう事例等もたくさんあると思うんですけれどもね。そういったもの等はどういうふうに考えているんですか。
○政府委員(塩飽得郎君) やむを得ない事情があって銃を使わなかったというふうなことで、将来その人がまた銃を再び使うということが確実である場合、十分推測される場合、そういった場合につきましてはこれはあえて取り消すまでもないというふうなケースが多いだろうと思います。そういう意味では、そういった特殊な、特に病気とかその他の事情というものは運用の面でこれは考慮してまいるつもりでございます。
○佐藤三吾君 私も、そこら辺はひとつ誤りないように、何か一律的にやるのじゃなくて、よく実情を調べて、言うならやむを得ないというか、正常なものについては運用を誤たないように、ひとつぜひ注意していただきたいと思います。 それから、ライフルの件でございますが、今度は教習所については備えつけということになっておるわけですが、私が調べた内容を見ますと、全国の指定教習所というのは二十二だと思うんだけれども、保安部長は二十五だとこう言っておるんですけれども、それはまあいいでしょう。いずれにしても、各県に一つはないわけですね。しかも、内容を見ますと、その状況を見ると、私と県と、まあ公共の射撃場ですか、二つございますけれども、ほとんど集中的に人数が多く使用しておるのは公共ですね。県が管理しておるとか、県の委託を受けて市が管理するとか、いずれにしてもそういうところが管理しておる。で、管理者を見ると、大体体育保健課とか一部に林政課とかございます。言うなら、銃と余りかかわりのない、もちろん銃も持っていない、単なる設置者であるから管理者と、こういうところにあるようですね。しかも今度の法改正は、こういうところに備えつけ銃を置いてそうしてやれということになりますと、実際問題としては管理の方も大変だろうし、常駐者はわずか五人しかおらぬですね。五カ所しかない。そうしますと、ライフルを所持しておる方々が一体どこに預けていいのか、非常に法の運用上実際とかけ離れた内容になっておると私は思うんです。しかも、東京とか各地の中には自衛隊の射撃場を使っておるところもある。まあこれは指定になっておりませんけれども。そこは自衛隊の隊員が管理者みたいなかっこうになっておるわけですね、言うならば。責任者になっている。だからこれは指定になってないんだと思うんですが。たとえば朝霞などは全国で一番多いですね、利用状況が。こういったところに銃を備えつけてそれを使わなきゃならぬのだということになると、これは大変利用者にとっては不便なものになると思うんです。そこら辺の観点から、協会の皆さん方はできれば設置の管理者と別に教習所の管理者を置いてもらいたいという要求も強い。そうすればその管理者が銃を保管できまずから、したがってそこで十分活用できるという言い方をしておる。それができなければ、銃の保管の方法をこの際ひとつ検討してもらわなければ、この改正法ではまさにライフル関係の愛好者は事実上もう使用不可能に陥ると、こういう危惧を持っておる。こういった点についてどういう見解なのか、聞きたいと思うんですけれども。
○政府委員(塩飽得郎君) ライフルの教習射撃の問題ですが、議員御指摘のとおり、ライフルの射撃場は数が少のうございます。私どもの調べでは二十五カ所と、こうなっておりますが、おっしゃるとおり、確かにそのうち公営のものが十二ございます。県が設置しておるものが十カ所、それから市が一カ所、それからあと県の教育委員会というのが一カ所ありまして、管理の状況も、およそは民間に委託をしたり維持を委託する。あるいはまた運営だけ委託すると、いろいろな形があるようです。それから管理者につきましても、大体がライフル射撃協会の方が管理をしております。それから、そのほかは県の保健体育課で管理というのが一カ所あるようでして、いろいろの形があると思います。 そこで、この保管、あるいは銃の備えつけの問題につきましては、個々のライフル教習射撃場の実態にもよると思うのですが、まず新しく銃を購入するにしましても、受講者の数その他からして、大体備えつけが必要と思われる銃もそうたくさんの数ではない、まあ一丁あればいいというところも多いと思います。そういうことで、一般的には購入資金の負担をお願いしなければならぬことになるわけですが、特にこの保管の設備につきましては、夜間などにおきまして監視者のあるかないか、そういったことで基準を区分して考えなければいけないんじゃないかというふうに思いますし、また、射撃場以外で人のいる場所に保管できるようにすることも考えてまいる所存でございます。したがいまして、具体的なケースに応じて指導をしていきたいというふうに検討をしておるところです。それから、射撃場の管理者以外、たとえば副管理者的なものを置くかどうかという問題につきましても、これは最も現実的に管理責任を果たし得る人を管理者とすべきだと思うわけですが、実際には必ずしもそういっていない面がないわけではありません。そこで、新しい制度の発足を機会に、設置者と管理者について見直しを指導してまいるつもりでおります。備えつけ銃の保管につきましては、管理者の保管責任を果たし得る限度でその補助者あるいは代行者の運用につきましても前向きで検討してまいりたいと考えて、なるべくその射撃場関係者に負担がかからないように、現実と余りにもかけ離れたことにならないように注意して指導して運用してまいりたいと思います。
○佐藤三吾君 弾力的な運用で実態とそごを来さないようにすると、こういうことであるんですが、その中で、いま常駐者というのは五人しか公営の場合にないわけですね、五カ所しか。そういった場合には、いまあなたの答弁では、外に保管場所を認めることも考えたいということを言ったんですが、それはどういうことを考えておるんですか。
○政府委員(塩飽得郎君) 実際の場合は、まずその管理者の自宅ということもあり得ると思います。それからまた、場合にもよると思いますけれども、公営のものであればその事務所といいますか、役所の中ということも、これはケース・バイ・ケースでしょうけれども、そういった点もあり得ると思いますし、その辺は一番保管に適した場所ということで考えていく必要があろうかと思います。
○佐藤三吾君 実際問題として、このライフルの愛好者の皆さんが常時使う場合に、いまその実態と余りそごを来さぬように、実情に合わして弾力的な運用をすると、そのための基準をひとつ検討したいし見直したいと、こういう答弁というふうに理解してもよろしいわけですね。よろしいですか、それ。
○政府委員(塩飽得郎君) 結構でございます。
○佐藤三吾君 ぜひそういった点を配慮してもらって、そうして円滑な運営がどきる方途をひとつ講じていただきたいと思います。 きょうは長官は見えていないのですか。
○説明員(鈴木良一君) きょうは長官は衆議院の方に出席いたしておりまして、欠席しております。
○佐藤三吾君 私の質問時間がもう終わりますから、ひとつ最終的に大臣にお伺いしておきたいと思いますが、私、先般の質問の中で、今度の改正法で、三年以上の前科のある場合に十年の期限をつけて万全を期したいと、こういった警察庁長官の答弁があったわけですけれどもね。梅川の場合、あれが九年七カ月ですね。それから今度三重でありましたあの七人殺しの事件ですね。これの場合にはもう十年をとうに過ぎているわけです、前科から。また、今度大阪でやりを投げた仲村というのですか、彼もやっぱりそういう前歴を持っているわけですね、少年時代に。中学二年のときですか。そういう点見ると私は、この十年というものは、どこに線を置いてあるかわかりませんけれども、ちょっと甘いんじゃないかと思っておるのです、これは。そこら辺の問題について、警察庁長官は、いや、これでもって万全で、今後こういう事件を再び起こさないことを確信持っていますということを強調しておったのですが、ぜひそうありたいと思います。しかし、やはりこの事例を見ますと、なかなかそうでない実態があるんですけれども、ここら辺についてひとつ大臣の見解を承っておきたいということが一つ。 もう一つは、そういう事件が、許可銃に基づく事件が起こったことを理由にして、国民の基本的権利が侵されるということであってはならぬと思うので、こういった問題について万全の運用をひとつ十分注意してやってもらわなきゃならぬと思うんですが、それらを含めて、ひとつ大臣の見解を聞いて質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) 猟銃等を持って凶悪犯を犯した後十年という決め方についてどうなんだと、こういうことでございますが、実は私も、最初この案を事務方から説明を受けたときに、これで果たして十分かなという疑問符を打った一人でございます。ただ、やはり事務当局としましては、過去のいろんな事例、梅川事件等のあれから見ても、まず十年ということであるならばおおよその目的は達せられる確信がございますと。何といいましても、こういった凶悪犯を犯したからといって、終生持たせないということは、やはりそういった人であっても十分更生している人もあるしするので、そこまで決めることは人権上いかがなものであろうかといったようなことでございまして、ともかく当局としてはこれだけ決めていただければまず治安上心配はないと思いますと、こういうことでございましたので、私もそれならばよかろうと、こういうことを申したわけでございますが、これは、何年に決めるかというのは、ちょっと実際問題として、基準みたいなものはなかなか出にくいものでございますが、この法案をお認めいただいた暁には、これによって十分当局としては治安上の責任を果たしてくれるものと、かように考えております。 同時にまた、しょせんこういった法律というものはもろ刃のやいばでございますから、やはり人権上の配慮というものは十分気をつけて運営をしてもらうように、公安委員会としても当局に要望もいたしますし、また当局も、国会等の御論議を踏まえて、そういった点間違いのない運用をしてくれるものと、かように考えておるわけでございます。
○上林繁次郎君 最初に私がお尋ねしたい点、それは、まず大臣にお尋ねをしたいんですが、今回のように銃刀法の改正案が出る、法律ができる。そうすると、当然それに関係した多くの人たちがおるということは間違いない。で、その法律ができたことによって多くの関係者に不利益という問題が起きてはならないということ。しかも、その法律の効果がりっぱに上がるようになっていかなきゃならない、これは当然だろうと思うんです。しかし、その法律ができたからといって、目的が達せられればその他の面においてはマイナス面が出てもやむを得ないんだというような考え方はこれは許されないと私は思う。この点について、まず大臣のお考えをお聞かせ願いたい。
○国務大臣(後藤田正晴君) もちろん、御説のように、マイナス面が出ちゃどうにもならぬわけですから、できる限りそういったマイナス面の出ないような配慮をしながら、さてどこまで効果が発揮できるようなたてまえのものをつくるかと、ここが苦心のあるところでございます。しかしこの問題は、制度のみならず私は運用の問題にかかってくると思いますから、そういった点を十分配慮してやりたいと、かように考えております。
○上林繁次郎君 まあ前回の委員会からいろいろな角度でこの問題が審議されてきたわけです。そこでいまも同僚議員から、その問題点と考えられるもの、いわゆる問題が何点か再確認の意味で質疑が行われたわけです。私も前回の委員会でどれだけかのお尋ねをしたわけですが、なかなか結論が出なかった。そこでこのままですと、法律案、いわゆる改正案が出ている、その法案の内容は、前回審議したときと今回審議やって何も変わりがない。このままですとこの法律に関係のある人たちの不安というものが解消されないということが言えると思うんですね。そういう意味で、やはりある程度具体的な、いま大臣がおっしゃった運用面、これからいろいろと考えていく問題もあるでしょうけれども、しかし、今後これだけの法律、これを実施していこうという限り、運用面でもどれだけかの考え方があると私は思うんです。 そこで、私が前回特に強調した点があるわけですが、いわゆるこの仮許可の問題。この仮許可の問題にいたしましても、この法律案によりますと、このとおりではうまくないんじゃないかということをお尋ねしたわけですね。特に前回私が問題にいたしました点、法律のもとにすべて平等でなきゃならない。そういう立場から、この法律ができることによってマイナスを生じる、弊害を受けるということがあってはならない。だからこうすべきじゃないかという話をした。そのことについて、具体的に運用面でどういうふうにしていくんだというその点をひとつ明確にお聞かせ願えれば幸いだと思うんですがね。
○政府委員(塩飽得郎君) ただいま御指摘の仮許可の問題、これは備えつけ銃制度ということで御審議いただいているわけですが、その運用につきましては、まず猟銃を教習射撃場に備えつけさせることに伴う負担が過重にならないように、教習射撃場の管理の実態等に応じた保管基準を定めることにしたいと考えております。 それからまた、射撃教習のための資格認定の申請に際しましては、許可を得た後所持することを予定する猟銃の種類、型式等を記載させまして、また必要に応じて譲渡承諾書等を添付させることにより、その者について射撃教習を受ける必要性の有無を判断する資料として、猟銃入手の見通しなどを掌握するとともに、こういった措置を講じまして、猟銃の購入、販売に際して不均衡が生じないための配慮をいたす所存でございます。 と申しますのは、これは先般も御議論いただきましたように、備えつけ銃制度とした場合、実際上の問題として、射撃教習を終了した者が許可を得て猟銃を購入する場合について考えますと、教習射撃場を併設する銃砲店とそうでない銃砲店とでは、どうも前者の方が相当有利な立場になるということも十分予想されるわけでございますので、備えつけ銃制度を運用するに当たりましては、この点を配慮すべきものと考えている次第でございます。 そこで実際、具体的にどうするかという問題を若干申し上げますと、従来の仮許可の場合と同様に、総理府令で定めるところによりまして、射撃教習を受ける資格の認定申請書の様式の中に、許可を得た後所持しようとする猟銃の種類、型式等を記載させることにするほか、譲渡承諾書等を必要に応じて添付させるように指導することを考えておるわけでございまして、こういった措置を実際の運用で適切にやることによりまして著しい負担、不公平というふうな問題は軽減される、なくなるというふうに期待をして、十分注意して運用してまいりたいと思います。
○上林繁次郎君 そうすると、申し上げたいことはいっぱいありますけれども一言要点だけ申し上げますが、いまのお話ですと、法律案によりますと、いままでは仮許可でもって銃を購入することができた。しかし、今度の改正案によりますとそれができなくなる。それを今度は幅を持たせて、仮許可があった場合にはその銃を購入すること、ややこしいことは言いません、購入することが認められるんだと、こういうことになりますね。その点どうですか。
○政府委員(塩飽得郎君) まあ従来ですと、仮許可があったときに自分の銃を買って、それで練習をするということになっておりました。したがいまして、最初に銃を買っておりました。今回の場合も、ただいま御説明しましたように、昔の仮許可が資格認定ということになります。内容はほとんど一緒でございます。それで、資格認定の申請があった時点で銃は買うことはできます。ただ、その銃は、買った銃砲店にそのまま預けておいて、それで実際の練習は、教習射撃場に行って備えつけ銃で練習をするという制度になりますので、銃を買うところまでは従来と同じで結構だと思います。
○上林繁次郎君 その点はわかりました。 次に、立入検査の問題ももうすでにお話出ました。出ましたけれども、これは、一番関係者が心配するところは、何でもかんでも立ち入られたんじゃたまったものじゃないということがあるんですよね。ですから、私は、運用面でそれは配慮されるということであるけれども、やはりこういう公の場で、これからもっともっと突っ込んで、そういう人権侵害だとかそういったことになってはならないという配慮のもとに、もっともっと考えていかなくちゃならない問題点があると思いますが、大体予想できる、こういった場合にのみ立ち入りをさしてもらうんだ——これはさしてもらうんですからね。その辺のところですね。こういうケース、こういう場合に立入検査というものは行われるんだということですね。そういった点がやっぱりこういう場を通して公にされていった方がいいと思うんです。それによってやっぱり納得も得られますしね。その点ひとつ。
○政府委員(塩飽得郎君) 立入検査をするのは、盗難の防止その他危害予防上猟銃の保管の状況を調査する必要があると認められる条件が備わっている場合に限られているわけでございまして、たとえば第十条の五第一項の規定によりまして、保管の状況について報告を求めたにもかかわらず報告がなされなかった場合。また、あるいは報告の内容によって保管状況が適切であるということを十分納得できなかった場合。また、第十三条の規定によりまして検査をすることができるわけでございますが、検査の要求に応じなかった場合。また、近隣で空き巣、忍び込みなどの盗難事件が頻発している場合。あるいは、家人が猟銃をもてあそんでいたとか、また、保管庫に収納していないというふうな事情がうかがわれる場合など、猟銃の保管状況について立入検査によらなければ的確に把握することができない場合がこれに当たるというふうに考えております。
○上林繁次郎君 これも出ましたけれども、資格審査の場合ですね。資格審査の場合、たとえば前回同僚議員が岐阜県の例等を挙げて話がありました。あれを見ますと、極端な表現ですけれども、くしゃみをしてもだめ、だというようなね、そういう感じの審査内容。これでだれも資格を得られる人は出てこない、こんな感じがするわけです。そのことによって、梅川事件が起きてあのときを一〇〇として今日と比べますと、銃砲店の売り上げは何と大変なダウンの仕方ですよ。これ、大臣もおわかりになっていた方がいいと思うんです。そうすると、これは余談になりますけれども、経済の発展とかなんとか言っているけれども、警察庁が経済の発展の足を引っ張っているようなものですよ、法律をつくって。そういうことにもつながるということでね、そういうことがあってはならない。 それで、資格審査の基準というものを明らかにするということをはっきり言いましたね。それと同時に、それが明らかになればこんなことはないと思うけれども、念のためにお尋ねをしていくんですけれども、梅川事件以来というものは、申請をいたしますと二カ月、三カ月、長いのは半年というふうに大変な日数を要するというのです。何をやっているんだろう。これはかえって警察庁が不信感を買う大きな原因になりますよ。これはいわゆるいやがらせというか、ひいては事務怠慢ですよ。やらなくちゃならないことをやらない。また一面では横暴と、こういったことになります。そういったことがあってはならない。それで国民から信頼を得ようと思ったって信頼得られるわけがない。ですから、この審査の日数といいますか、これはもっともっと——許されているんですから、それならばやはり適切な日数といいますかね、これを考える必要があるだろう。二カ月も三カ月も半年もほったらかしておいていいんだというものではない。その点を私ははっきりすべきだと、こう思いますがね。この点ひとつ、どういう考えでいますか。
○政府委員(塩飽得郎君) 梅川事件以後、審査についてかなり時間をかけたということで、いろいろとまた御批判もあろうかと思いますが、あれはあれなりに、十分調査しようということで慎重にやった結果、ずいぶん時間がかかった向きがあったやに聞いております。ただ、今後の問題といたしましては、これは審査があった以上、これはできるだけ早く許可をするかどうかの結論を出すということが基本だろうと思いますが、申請の場合に、いろいろ本人からの申告あるいは書類を出していただくということになっておりますから、その辺に基づいて出しても可能な者にはできるだけ早く出す、疑わしい者についてはこれはまた十分時間をかけるということにしてまいりたいと思います。大体基準から言えば一カ月ぐらいで何とか許可を出せるように今後とも運用をしてまいるつもりでおります。
○上林繁次郎君 まあそれが妥当だと思いますね。一カ月ぐらいでもって結論が出るということがね。それを期待しております。 最後に、時間がありませんので、大臣にお尋ねいたします。 前回の委員会から私たちもいろいろな角度で、あっちにへっこみがあったり、こっちに出っ張りがあったり、そんな法律案では困ると。ですから、やっぱりすべてが法のもとに平等という、その利益について平等に享受できる、そういったものでなければならぬだろうと、こういう立場からいろいろと論議をしてきたわけです。で、この委員会というものは、まあ法律案が出た、しかしわれわれ考えて、その法律案の中に盛られているよりもわれわれが言っている方がもう一歩進んでいるではないかというふうに、だれが考えてもそう考えられることがうたわれないということでは、私は何のための委員会であり、何のためのいわゆる審議機関であるかということがわからなくなっちゃう。そこで、私大臣に確認をしておきたいのですけれども、委員会とは何をやるところなんだ。審議というけれども、審議というものは何のためにやるんだと。この辺のところを明確にしておかないと、委員会をやってもむだになってしまうんじゃないか。極端な言い方かもしれませんがね。だけれどもそんな感じもしないではない。片一方は、これ以上どうにもなりませんよ、幾らいい意見を出してみたってこれ以上は私たちのメンツがあります——そうは言わない、言わないだろうけれども、だめですと。何でも運用面からそれは配慮しましょうというだけのことだ。それでは私はまずいんじゃないか。やっぱり直すべきものはえりを正して、その考え方については、一歩進んだものについては、それは大いに取り入れるというものが私はなければならぬだろうというふうに思うのですが、その点、ひとつ最後に、締めくくりに、今後のことも含めまして御答弁願いたい。
○国務大臣(後藤田正晴君) 私ども、政府としては、これが最善であるということで法律案の御審議を願うわけですけれども、委員会としてはまたいろんな角度からそれを御批判なさって、修正を必要とするときは修正をしていただくなり、これは通さぬというならばこれはまた当然の国会のお役割りですから。ただ、私どもとしては最善と思って出しておるのですが、委員会で法律案をお認めを願ったといたしましても、委員会でのいろいろな御議論、これは当然その法律成立後の運用面において十分配慮してやらなければならぬと、かように考えておるわけでございます。したがって、十分ひとつ御審議をいただきまして、私どもの足りないところは、御指摘をいただけば私どもとしてはそれを守って合理的な適切な運営を図っていきたいと、かように考えております。
○委員長(後藤正夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、加藤武徳君が委員を辞任され、その補欠として三浦八水君が選任されました。
○神谷信之助君 まず、国家公安委員長にお尋ねします。 この法改正の重要な契機というのは、いわゆる梅川事件の発生にあることは明らかでありますし、しかもその後の警察庁の調査によりましても、凶悪犯罪者あるいは暴力団の組員が許可をされて銃を持っているという、そういうのも多数存在をするという状況ですから、これらの規制が必要であるということは言うまでもないし、また国民はそのことを期待をしているというように思うんです。しかし同時に、銃を持っている銃の所持者の大多数の方々は、健全なるスポーツの愛好者であり、あるいはまた猟によって生活を立てている人であるわけですから、これらの人に不便を与えたり、あるいは規制を加えられるということがあっては、あるいはいろんな不安、恐れを持たせるということがあってはならぬというように思うんですが、この点についてまず公安委員長の見解をお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) おっしゃるとおりでございます。 今日、銃を持ってスポーツといいますか、あるいは狩猟といいますか、いろんなことをなさっていらっしゃる大部分の方は、これは本当はこんなものなくたって一向に差し支えないものだと思います。ただ、もともと危険なものであることだけは間違いがございませんので、それを持っている人のいかんによっては非常な社会的な害悪を流すということでございますので、梅川事件等が一つの契機になったことは間違いありませんけれども、私どもの気持ちの中にはいま一つあるんです。それは暴力団です。暴力団の反復取り締まり。これは、何といいますか、幹部の検挙、もう一つは資金源、もう一つはやはりこういった銃砲、刀剣の取り締まりということでございまするので、そういった銃砲等を持って犯罪を犯す危険性が非常に多いという者を対象にして運営をしていきたいと、かように考えております。
○神谷信之助君 そこで第二の問題は、資格取得に当たっての調査あるいは許可を与えるに当たっての調査ですね。この点の基準については、第四条の二で四項目挙げられて、その第四項では、「その他総理府令で定める事項」、この中身については先般の委員会でも保安部長の方から具体的に明らかになりました。したがって、一般的には大多数の人がこれに基づいて資格を与えてもいいという認定をする、あるいは所持の許可を与えるということで大半は済むんだろうと思うんですが、そうじゃありませんか。
○政府委員(塩飽得郎君) 許可の申請のときに提出していただく資料、これでどの程度わかるか。基本的なことはわかりますし、それから調査をする場合の手がかりというふうなものがわかりますが、これだけではそのままでは許可していいかどうかという判断はむずかしかろうと思います。したがいまして、それに基づいてなおよく調査をするという二段階が当然出てくると思います。
○神谷信之助君 そこらの、これでよくわからぬでさらに調査をするという場合問題なんですがね、たとえば前科、前歴についても問題がない、あるいは病歴についても問題がない、住所もちゃんと固定をしている、しかるべき社会的地位といいますか普通の正常な生活をされているという状態は、あなた方の総理府令に基づくそういう基準で添付される資料で一応は見られるわけでしょう。問題は、前歴とか病歴とかあるいは住所を転々としておるとか、いろんなそういう問題がそこからうかがわれる場合に必要な調査をするということが起こるということじゃないんですか。
○政府委員(塩飽得郎君) 御指摘のとおりでございまして、最初に、たとえば住所につきましても、どういう住所歴があったと、それだけではまたこれはちょっとわかりかねる部分もありますから、必要とあれば前の住所に行って事実であるかどうか確認することも必要だろうと思いますし、また、申請をして、その添付書類その他が事実そのとおりであるかどうかということを確認する必要もあるわけでございまして、そういったことから申請書類の内容を十分検討して、それからまた本人についていろいろ調査をするというふうなことが必要かと思います。
○神谷信之助君 まあ角をためて牛を殺すようなことがあってはいかぬと私は思うんですよ。確かに申請書類があってそれが事実であるかどうか調べなければならぬでしょう。そうすれば、大体事実であれば、前回問題にしたような、いろいろな個人の生活態度とか夫婦仲がいいとか悪いとかというに至るまで、あるいは職場でどう思われているとかというようなことに至るまで細かく調べる必要はないんでしょう。大体一般的には、多数の人は善良な人が出すんですよ。問題は、その中に暴力団の組員やとかあるいは前歴のある者、あるいは病歴のある者とかいう者が含まれておるかどうかというのをピックアップして、その点について事実かどうかを確かめていくということでいいんじゃないですか。その点はどうなんですか。
○政府委員(塩飽得郎君) 申請をしてきた人の大部分がこれは善良な市民であると、これはまあ事実だろうと思います。その場合に、審査をするときに、ある人についてはどうも住所歴が疑わしい、それからある場合はどうも職歴で少し不審な点があるとか、個々のケース・バイ・ケースでいろいろ不審点が出てくると思います。そういう不審点がなければ、これはもう当然許可をすべき対象でございますから、その人には直ちに許可をする。しかし、不審点がある、あるいは病歴がちょっと調べる必要があるということになれば、その点について十分調査を遂げざるを得ないというふうに思います。
○神谷信之助君 私は公安委員長、だからその点で余り神経質になり過ぎてかえって審査がずっと長期にわたって、そして何か疑われているようなね、長期にわたるということは疑われているということでしょう。これは危ないぞということになるわけですよ。そういうような印象を与えるようなことがないように、この点ではひとつ運用の点では厳しく指導をしてもらいたいというように思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) おっしゃるとおりだと思います。不審のあるところだけ調べればいいのであって、そうでないものはどんどんやって一向差し支えないと、かように考えます。
○神谷信之助君 それで、不審な面について調査をするというのは当然でありますけれども、その場合の調査項目については、先ほどからも、また前回にも指摘をいたしましたように、いわゆる人権侵害あるいはプライバシーの侵害にわたるようなことのないように、この点はひとつ十分なにしてもらいたいと思うんですね。岐阜県警の例を出しましたが、あれはとにかく一律にああいう調査をする形式になっている、様式がね。だからそうじゃなしに、一定のこういう部分について疑問のある場合にはこの点まで調べなければならぬとかというように特定をし限定をするというようにしないと、これは健全な愛好者にとって不利益をもたらすということになりますから、その点をひとつはっきりしておいてもらいたいというように思います。
○政府委員(塩飽得郎君) 調査に当たりましては、御趣旨を体しまして十分人権侵害にわたらないように注意してまいりたいと思います。
○神谷信之助君 それから第二の問題は、教習射撃場における備えつけ銃の問題です。これは私は前回も備えつけ銃制度をやらなきゃならぬという理由をいろいろ聞きましたけれども、やっぱり納得することができないですね。だから、今度の法改正あるいは警察庁の方の考え方の基礎には、とにかく不必要な銃は持たせないという考え。不必要な銃を持たす必要はないと私も思います。ところが、それが余り強度になりますと、逆に、もうできるだけ銃を所持することを制限をする。銃の愛好者をもうこれ以上拡大をしないということになってきますと、スポーツとしての射撃が発展をしないことになりますね、これは。だから、そこまでいくとこれは大変なことになる。この考え方がこの教習射撃場の備えつけ銃制度を発想する根底に私はあるんじゃないかということを非常に心配するんです。 第一何でしょう、まあ私も軍隊の経験がありますが、そのときに初めて自己の銃というやつを持ちましたけれども、自分の銃として持ち、手入れをしあるいは分解をしたりしてなれ親しむというのが、実際には射撃の確度を上昇させるし、それから銃の安全操作の上でも非常に役に立つ。このことははっきりしておるのじゃないかと思います。ですから、資格を認定されてそしてみずからの銃を購入しても、まだ安全操作その他について不十分なんだから、その点ではみだりに実包の所持は許さない。それで教習所へ行って実包を持ってそして練習をする。で、家へ持って帰って、今度は実包はないわけですから、装てんをしないままでみずからいろいろ掃除をしたり手入れをしたりしてその銃になじんでいく。これは教習の目的が銃の安全操作を第一にしている限りは、その安全操作に熟達をする上でも自宅で復習をするというのはいいことでしょう。だから、そういう教習自身の目的からいってもその方がいい。それから盗難とか危害という防止から言えば、これは弾がなければ事故は起こらぬわけですからね。ですからそういう方法でもとれる。 ところが、あえて備えつけ銃制度をとって、そして新たな経済的な負担をかけ、あるいは管理その他について新たな出費を求めるというのは、これはまさにその点ではちょっと行き過ぎの面があるのではないかというように根本的に私は思うんです。この点、公安委員長いかがですか。——もう部長の意見はこの間聞いておりますから。
○国務大臣(後藤田正晴君) 議論の分かれるところじゃないでしょうか。今回改正をお願いしておるのは、ともかく銃というのはやはり危険なものである、これはもう間違いありませんね。それを、銃を扱ったことのない全くの素人がいきなり買って家に持ち込んでおる。なるほど弾は云々とおっしゃいますけれども、これまた実際問題としてなかなか弾の規制というのは容易でないわけですね。しかも、銃の操作になれることは必要でしょうけれども、初心者がいきなり危険なものを買ってきて家の中で練習をせられたのでは、私はこれはやっぱり危険を伴うのじゃなかろうか。そこで今回は、一定の教習所に備えつけて、そこでまず銃にある程度なれていただいて、同時にまた心構え等も、これは当然教習所で教えると思います。そういうことをした上でひとつ銃というものを購入をしてもらいたいと、こういうことですね。私はこの方がいいと思います。 ただ私は、率直に言いまして一つ心配は、教習所というものの実態ですね。これが人家を離れたところ等にある、そのときの訓練銃の保管の点について、この点をよほど今回の改正案では気をつけてやらなけりゃいけないのじゃないか。この点を私はむしろ心配しておるのですが、御質疑の点は、やはりなれる必要はあるでしょうけれども、いきなり家に持ち込まれるということは避けていただきたい、かように思うわけでございます。
○神谷信之助君 公安委員長、ちょっと認識が違うんですね。仮許可時代、まだ一年そこそこしか制度ができてからありませんけれども、仮許可の時代に犯罪なり事件が起こったことはないんです、一件も。事件は全部許可もろうてからですよ、起こっておるのは。だからそういう事故もないのに、それこそ何とかにおびえてそして備えつけ制度をするというのは、私はその意味からも納得できない問題なんですね。 時間がありませんからその次に行きますが、先ほど同僚議員の質問で、そういうめんどうなことになれば教習所の設置あるいは教習所の認定はもうやめると、返上するというような危険、おそれ、心配とかですね、それから、管理者と実際の教習の指導員ですか、そういう人とかがおられるわけですね。それで、教習完了の証明をするというのは管理者がやらないかぬ。今度は管理者が銃の保管の責任も負わないかぬということになっていますね。こういった点については、先ほど補助者とか代行者を検討するということがありましたから、これはひとつ実情に即して、トラブルというか新しい不便が起こらないように、あるいは現状で改善すべき点がまだあるようですから、そういった点についても含めて善処してもらいたいというように思いますが、その点はいいですか。
○政府委員(塩飽得郎君) このたびの備えつけ銃制度の運用に当たりましては、射撃場設置者の経営の実態でありますとか、それから立地条件などを踏まえまして、実情に沿った運用を図ってまいりたいと思います。 具体的には、備えつける猟銃の数については、射撃場の規模であるとかあるいは受けに来る人の数に応じた備えつけをする。あるいは、保管管理の方法につきましても、管理能力あるいは個々の射撃場の特色その他をいろいろと考えまして、著しい経済的負担のかからないように運用の面で十分考慮し、指導してまいりたいと思います。
○神谷信之助君 次の問題は、立入検査の問題ですが、先ほど必要と認める内容について総理府令で定めることを検討しておるというお話でしたが、これはやっぱり公安委員長、大多数は先ほど言いました健全なスポーツ愛好者あるいは猟を業とする人たちであるわけですから、これの乱用は厳に慎まななきゃならぬ。この点は提案者の方も強調はされております。したがって、これを内部的通達で必要と認める範囲を決めるということであれば、これは国民の前にわからぬわけですね。だから、総理府令で明らかにしておけば、一般に、われわれ善良な者にはその問題は関係ないということがより明らかになります。そしてまた、乱用を戒める国民的コンセンサスを得る面でもかえっていいと思いますから、この点ひとつ公安委員長の方も、総理府令で必要と認める内容、限度ですね、必要限度といいますか、これを明らかにするように努力をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 普通の法律の場合には、最後の条文で、この法律施行のために必要な事項は政令で定めるとかといったような、いわゆる施行政令のセービングクローズとでもいいますか、があるんですが、これはないんです。そこで私は、実は、これ総理府令で決められるかという疑問を持っておりました。ところが事務方に聞いてみますと、禁止規定がないからそういったのは総理府令で決められますということでございますので、それならよかろうと、こういうことにいたしております。したがって、御質疑の点は総理府令で決めたいと思います。同時にまた、運用上は当然十分注意をしてまいりたいと、かように思います。
○神谷信之助君 以上で終わります。 —————————————
○委員長(後藤正夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、夏目忠雄君及び小山一平君が委員を辞任され、その補欠として北修二君及び村沢牧君が選任されました。
○江田五月君 同僚の委員の皆さんからいろいろと御指摘があった点、私もそれぞれに論点だとは思います。しかし、銃を持っておる者大部分の人は善良な人だということでありますが、それはそうには違いないんですが、国民という観点から見ると、国民のそれこそ大大大部分は、銃を持ってもいないし、銃に関心もないわけでありまして、この銃砲刀剣類所持等取締法というのは、銃砲を持つ者の利益の調整を図る業法とはいささか趣を異にする法律であって、議論がいろいろと細かなところに入ってまいりますと、どうしてもこの法律の一番基礎は一体どこにあるのかというところに立ち戻って考えていかなきゃならぬ。その点で、銃砲、刀剣類の所持ということの利益について、一体どの程度の権利性をお認めなのか、どういうものとお考えなのかということを伺っておきたいと思うんです。とかくこうした法律が議論になるときには、その法律に直接いろいろの利害関係を持つ者の声は強くなりますが、一般の国民の声というのはどうしても弱くなりがちな点があって、幸い私はこの法律についてはどこからも幸か不幸か陳情も何も受けておりませんので、ちょっとそういう点を聞いてみたいと思います。 一部に、国民には憲法上武装する権利があるんだとか抵抗権があるんだとかいうようなことを論拠にして、銃砲を持つ基本的な権利が、たとえば表現の自由とか集会、結社の自由とかと同じように、武器に対して所持の基本的権利があるんだというような主張があるわけですけれども、こういう主張と、いままで同僚委員が基本的人権ということをおっしゃっていますが、これとは関係がないんだと思いますが、公安委員長の御見解をちょっと伺っておきたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、最初御質問にお答えいたしたように、銃砲というものは本来危険なものであるという基本の物の考え方は持っております。ただ今日、一部の方が職業あるいは業務のために持っておる。しかし、持っておる人の大部分はスポーツでございますね。そうしますと、そういった社会的に銃を持ってスポーツとして楽しんでいらっしゃる方が多数あるというのも、これは否定し得ない現実でございます。その数は、まあ一人で何丁も持っている人もおるのかもしれませんが、大体今日八十万丁ぐらいだと思います。そうしますと、そういった社会的実態、これを否定するわけにもいきませんので、そこで、一方非常に危険なものであるという原点は私どもは考えております。しかし、他方いま言ったような点もございますので、そこの調和をどう図っていくかということ。その調和を図る際に、何といいますか、いわゆる規制の際のいろんなやり方の面で人権上に十分な配慮を加えなきゃならぬと、こういうようなことでお答えをいたしておるわけでございます。したがって、私どもこの法の根拠は、やはり一方には危険なものですよと。国民の大多数はそれは縁がないのかもしれない。しかし、八十万という方がこれでともかくスポーツとして楽しんでいらっしゃるんだというこの事実もこの際はやっぱり認めなきゃならぬ。こういう調和の上に立ちまして今回の改正もお願いし、同時にまた、この法律のもともとの立法理由はそこにあるのだろうと、かように考えております。
○江田五月君 私が聞いたことの主要な点といまちょっとずれているんですけれども、最高裁判所の判決でも、国民の基本的人権として銃を持つ権利というようなものが特に認められるわけじゃないんだということははっきりしていると思うんですが、その点を明確に答弁願っておいた方がいいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) 先ほどの御質疑で答弁を忘れましたが、国民は武装をする権利がある、抵抗権の一つのあれとして武装するんだと、これは私は認められないと思います。さような意味合いで銃を認めるというわけにはまいりません。
○江田五月君 そうしますと、銃砲、刀剣の所持に関しては、何といいますか、普通の財産権の多くても範囲内以上のものではあり得ないと。そうしますと通常の財産権としても、いまもお話しの、銃砲、刀剣というものが非常に危険なものであると、善良な所持者は別にどうということはないわけですけれども、しかし、銃砲が危険なものということに着目しますと、銃を持つ者がいわば文字どおり社会的な強者になるわけですね。これを持たない者に向ければ、それで一発で人を殺傷できるわけです。持っていない者は弱者になるわけです。少なくともそういう危険がいつもはらまれている。抽象的危険性というものを持っているわけであります。そうしますと、銃を持つ者、あるいは銃に特別の利害を持っている者は、そうした抽象的意味で社会的な実力的な強者になるという点から、もう一度公平を回復しようと思うと、やっぱりいろんな規制を受けるごとはやむを得なくなってくるのではないか。そこに、銃を持っている者が重い保管責任を課せられるとか、あるいはいろいろと報告をしなきゃならぬとか、立入検査を甘受しなければいけないとか、あるいは銃を持つ場合に自分の性格であるとか病歴であるとか、あるいは過去の前歴であるとか、そういうことに至るまでいろいろと調査を甘受しなきゃならないということが出てくるのではないか。そういうことが基礎にあるのじゃないかということですね。これをどういうふうにお考えになるか。
○政府委員(塩飽得郎君) 銃の権利がどういうものであるかとか、その辺の基本的な考え方につきましては、財産権であるかあるいはまた幸福追求の自由権であるか、その辺の御議論があろうと思いますけれども、確かに社会的に危険なものを所持するということで、いま御指摘のありましたような受忍義務、あるいはいろいろな問題を甘受する義務が生じてくるという点も、おおよそそのようなものであろうかと思います。現在の銃刀法も、許可を受けた者、あるいは許可の申請につきましても、かなり厳しい態度で規定されているわけでございますので、そういった点から、銃そのものの国全体から見た管理というものは、うまく運用すればこれは大変効果があり、適切な運用が可能であろうというふうに考えております。
○江田五月君 その国の基本的態度として、銃砲、まあ銃ですかね、スポーツとしての銃の発展ということについて一体どういう態度をおとりになるのか。わが国民は狩猟民族じゃありませんので、私も銃を持って山野を駆けめぐってドンと撃つというのは多分気持ちのいいことだと思うし、やってみたいというような気持ちもしますけれども、まあ狩猟民族でないので、それほど銃に特別のセンチメントを持っている民族じゃないだろうと思います。さらにまた、狭い国土でありまして、みんなが銃を持って駆けめぐるようになったらこれは危なくてかなわぬ。あるいは、同一民族ですから、そこはやはりお互い同士、武装といっても余りそうそんなことは考えなくてもいいお互いの間柄じゃないか。あるいは、国の治安、先ほど公安委員長がおっしゃっていたとおり、非常にいい国でありますし、どうも銃砲の産業によって国の経済を発展させるという考え方もいかがなものかと思われるようなことでありまして、スポーツとしての銃の発展もありましょうが、国民一般が銃に親しむことを目指すべきだとか、あるいは正しい銃の扱い方をみんなが知るべきだとかいうような態度を特におとりにならなくてもいいんじゃないか。むしろ、もし銃をお持ちになるならば、もし銃にいろいろと御関心がおありになるならば、これだけの厳しい規制を守ってやりなさいよという程度でいいんじゃないでしょうかということを伺っておきます。
○政府委員(塩飽得郎君) 銃は、一部愛好家が大変おられるわけでございますが、やはりスポーツとして見た場合、これは健全なスポーツの一つであろうと思いますし、そういった意味では、スポーツとしてそれなりに発展を遂げるということもそれはそれで結構だと思います。ただその場合、やはり十分な指導を受け、また安全に注意をしてという義務は当然生じてくるだろうと思います。そういうことから、一般的には確かに危険物なのでない方がいいという意見も出ると思いますし、少なければ少ないほど治安上はいいんだという意見も一部では出てくると思います。そういうことで、管理された形で十分安全性、危険性というものに注意した形でスポーツとして発展する、あるいは楽しむということは、これはあり得る話だと思います。しかし、本質的には危険なものであるという認識は、これは当然持つべきであろうと考えております。
○江田五月君 どうも、何か答弁がちょっと歯切れが悪いみたいな気がしますが、野党の同僚委員の皆さんの中でバランスをとるために多少角度を変えた方向から質問をしてみましたが、角をためて牛を殺すというお話がありましたが、何が角で何が牛であるかということをひとつ間違わないようにやっていただきたいと最後に申し添えまして、質問を終わります。
○衛藤征士郎君 今回の法改正で一番懸念されているところは、先ほど公安委員長からの御答弁もございましたように、教習射撃場に備えつけるいわゆる銃の管理、保管の問題でございます。教習射撃場に保管するなりあるいはそれにかわる場所に保管、管理するなり、この点につきましては十分慎重にお取り組みをお願い申し上げたいと思うわけでございます。 また、今回の法改正によりまして、教習射撃場の設置者あるいは設置及び管理者、さらに利用者間における、いわゆる従前どおりの利益がバランスをとって維持されるように、特に運用についての実態に即した措置をお願い申し上げたいと思うわけでございます。とりわけ、新制度になりますと備えつけ銃で、たとえば検定試験を受ける場合でもそういう実態も出てくると思います。特にライフル銃等におきましては、射撃の照準を正確に合わせ、また正確なる射撃が要請されるわけでございますが、現在の検定試験におきましては試射数が少し少ないんじゃないかというようなこともあろうと思うわけでございまして、現在検定につきましては試射数が十発以内、それから、いわゆる検定の数が二十発ということになっておるわけでございますが、備えつけの銃でこれからそういうものが、検定が要請されるということになりますと、こういったことにつきましても特に運用についての配慮が必要である。そこで、現行のいわゆる検定における試射数を十発以内から少なくともこれを三十発ぐらいにふやす、それは私は必要じゃないだろうかと、このように考えておるわけでございます。これが一点。 第二点は、具体的なことですが、すでに同僚議員から出ておりました、いわゆる教習射撃場の設置者それから管理者、特に管理者を、補助要員とかあるいは複数の管理者を置くようにというような要望が出ておるわけでございますが、私は特に防衛施設を利用するときの防衛庁側との詰めというものを特にお願い申し上げたいと思うわけでございます。この点につきましては詳しく答弁をお願い申し上げたいと思います。また、御案内のように、その射撃が、いわゆる教習が終了したとなりますと、射撃教習終了証明書というものが出るようでございますが、これにつきましても特に防衛庁の施設を利用したときにはいろいろとすでにトラブルがあったようでございますし、いま一歩というところにきておったのが詰めがなされていないというようなことも承っておるわけでございまして、この制度の改正に当たりまして、この詰めをなしましてから制度の改正というものにつきましての踏み切りをお願い申し上げたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。 すでに同僚議員から出ておりました、ライフル銃等の所持許可に際しましての手続に係る調査といいましょうか、これがすでに出ておりましたが、きわめて長いと、中には半年以上というものもあるというようなことで、非常に不満もあるようでございますので、この点につきましては、許可できるものにつきましては速やかに許可をしていただきますように。まあおおむね一カ月というような保安部長の御答弁ございましたが、そのことにつきましても、何とぞ速やかに所持許可ができますように御配慮賜りたくお願い申し上げたいと思います。 以上の点につきまして、保安部長から御答弁をお願い申し上げたいと思います。
○政府委員(塩飽得郎君) まず第一点の、ライフル銃の所持許可に絡む問題でございますが、ライフル射撃につきましては、御指摘のような事情も勘案いたしまして、検定に際しては試射数を現行のものより多くすることを検討しております。具体的には、御指摘のとおり、大体三十発を目途に増加するように検討するつもりでおります。 それから、防衛庁の施設を使用しての問題でございますが、これは練習、訓練その他でかなり使用している向きがあると思いますが、詳細につきましては担当の課長から説明をさしていただきたいと思います。 なお、所持許可の問題でございますが、所持許可に際して手続が相当手間取っている、早くせよと、こういうことでございますが、銃砲の危険性ということから、許可をするには、本人の平素の行状であるとかいろいろな調査が必要なわけでございますが、特に十年もの長い間にわたる欠格期間につきましての欠格要件の調査というのは、慎重の上にも慎重にやらなければならないという点もございます。そういった意味で時日をかなり要する場合もありますけれども、大体一カ月程度の期間を目途に調査あるいは審査を行いまして、その結果、欠格条件に該当するかどうか疑いのある者につきましてはともかくとしまして、明らかに欠格条項に該当しないと認められる者には速やかに許可をするよう指導してまいりたいと思います。
○説明員(佐野国臣君) 自衛隊施設を射撃教習場にする問題に関しましては、法律的に申し上げますと、自衛隊法のいろいろな規制を受けます射撃場というものと、それから銃刀法の規制を受けます射撃教習というもの、これの調和ということになりますと、法律論としてもいろいろ衝突する部分、あるいは解決しなきゃならぬ問題がございます。したがって、一般的には自衛隊の射撃場というのは、射撃場としては指定されておりますが教習射撃場としての指定はいまのところございません。したがいまして、さらにそれを教習射撃場という形で今後持っていくということになりますと、なお自衛隊の管理権の問題なり、あるいはこちらの方から委任なり、まあ契約でも結構だろうと思いますが、そういった使用権限の問題、こういったものをどの程度まで移譲していただければいいのかという問題、これについてまだ相当慎重に検討してまいりたいと、かように考えております。 なお、先ほども御質問がございましたように、教習につきましていろいろ支障が生ずる部分につきましては、極力検定の場面でそういった不都合を代替していくというふうな措置なども考えてございますので、その点御了解いただきたいと、かように考えております。
○衛藤征士郎君 すでに質疑が行われておりますが、全国にある教習射撃場の数がきわめて少ないわけでございまして、この法改正によりまして、さらに混乱が若干生ずるんじゃないかと思います。しかるに、こういう自衛隊の射撃場を教習射撃場として活用していくという道をこの法改正によりまして開いていただきますように特にお願い申し上げまして、終わりたいと思います。
○委員長(後藤正夫君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(後藤正夫君) 御異議ないと認めます。 神谷君から委員長の手元に修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。 この際、本修正案を議題といたします。 神谷君から修正案の趣旨説明を願います。神谷君。
○神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対して、射撃教習用途の猟銃の備えつけ制度に関する改正点と、銃砲の保管に関する規制の強化についての改正点について、削除を求める修正案を提出するものであります。 本改正案が出された重要な契機は、昨年一月、大阪の三菱銀行北畠支店においての猟銃殺人事件であり、犯人である梅川が、過去に凶悪な犯罪を犯していたにもかかわらず、法の不備によって銃の所持許可が与えられていたということからであります。しかも、その後の警察庁の調査でも、凶悪犯罪者にいまなお多数銃の所持許可が与えられているという事態から見ても、当然これらの者に許可を与えるべきではありません。 なお、付言するならば、銃刀による犯罪の大部分は、何よりも暴力団などによる銃の不法所持による犯罪であり、その根絶こそ真の解決の道であることを強く主張するものであります。 現在、銃の所持許可が与えられている大多数の所持者は、健全なスポーツとして愛好している人たちであります。しかるに、本改正案の中身には、これらのスポーツ愛好者に対してまでも不当な規制が加えられるおそれがあることであります。しかも、この改正部分は、五十三年度に仮許可制度として改正されたばかりであり、この制度によって何ら事故が起きていないにもかかわらず、仮許可の段階では銃を所持させる必要はないという理由のみで、備えつけ銃以外の銃での教習を禁止することはきわめて問題であります。銃のスポーツ愛好者にとって、自己の銃で教習を受け、かつ実包などを装てんせず、分解手入れなどの復習をすることは、銃の安全操作を主とする教習の意義から見ても当然であります。 さらに、教習射撃場に銃の備えつけを義務づけることは、保管庫の設置、管理体制などに多額の費用を要するため、必要な教習射撃場さえも廃止に追い込まれるおそれもあり、また、公共施設の場合には、管理、保管の面で新たなトラブルのおそれもあります。 第二の問題点は、保管状況を点検するため警察職員の立ち入りを認める点であります。もちろん銃の保管を厳格にすることは当然でありますが、その効果と必要性はきわめて疑問であります。確かに立ち入りは、銃刀所持者にあらかじめ通告した上その必要の限度においてと限定されております。しかし、警察庁資料によっても、保管中の盗難はわずか十数件であり、また、厳重に保管しておれば絶対に盗難はないとも断定できません。むしろ現行法の報告、検査制度などを厳正に運用することによって十分実効が上がるものと考えます。 以上が修正案の提案理由であります。 何とぞ、慎重審議の上、御賛同賜るようお願いいたします。
○委員長(後藤正夫君) それでは、ただいまの修正案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。 それでは、これより銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案について採決に入ります。 まず、神谷君提出の修正案を問題に供します。 神谷君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(後藤正夫君) 少数と認めます。よって、神谷君提出の修正案は否決されました。 それでは、次に、原案全部を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(後藤正夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 佐藤君から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤君。
○佐藤三吾君 私は、ただいま可決されました銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党及び参議院クラブの各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法施行にあたり、当委員会の審議の経過をふまえ、次の諸点に留意し、その実効に遺憾なきを期すべきである。 一、暴力団に対する取締りを一層徹底し、銃器使用犯罪の絶滅のため万全の対策を講ずること。 二、銃砲による危害を防止し、公共の安全を確保するため、猟銃用火薬類の不正流出防止の徹底を期すること。 三、射撃教習を受ける資格の認定及び銃砲刀剣類の所持許可の際に行う調査については、統一基準により、且つ必要な限度えお超えないよう指導すること。 四、猟銃の保管場所に対する立入検査等の権限の行使については、明確な基準に基づき運用し、関係者の承諾、四十八時間以前の通告、日出から日没までの時間内を原則とする等、私生活の平穏を害することのないよう特に慎重を期すること。 五、射撃教習に用いる猟銃の備付け制度の実施にあたつては、資格認定の申請の際に、許可を得た後所持することを予定する猟銃を特定し、その入手についての譲渡承諾等の内容を記載した書面を添付させるなど、銃砲販売業者間の公平に十分配慮すること。また、猟銃の備付け、管理、保管などにおいて、実情に即し対処すること。 六、いわゆる眠り銃の許可取消しについて、病気、長期出張など正当な理由がある場合は、これを配慮すること。 右決議する。
○委員長(後藤正夫君) ただいま佐藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(後藤正夫君) 全会一致と認めます。よって、佐藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、後藤田国家公安委員会委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。後藤田国家公安委員会委員長。
○国務大臣(後藤田正晴君) ただいま銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案について、慎重御審議の結果採決をいただきましてありがとうございます。 ただいまの附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、法律を運用してまいる所存でございます。
○委員長(後藤正夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(後藤正夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(後藤正夫君) 地方行政の改革に関する調査を議題といたします。 地方行財政、消防行政、警察行政等の基本施策に関する件、並びに昭和五十五年度自治省関係予算及び警察庁関係予算に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○志苫裕君 私は、後藤田さんが自治大臣になられて初めてでありますから、ひとつ自治大臣としての認識について、少し冒頭にお伺いをしたいと思います。 いわゆる地方の時代、地方の時代論と言ってもいいかもしれませんが、クローズアップされまして、しばしば本委員会でも議論をされておるところです。自治大臣も、たとえば昨年の十八次地方制度調査会の総会においてのあいさつ、あるいはこの九十一国会における地方行政委員会での所信に幾らかその辺について触れてはおるのでありますが、改めていわゆる地方の時代という、まあいまは言葉程度のものかもしれませんが、そういうものがにわかに登場をしてきた背景について、どのような認識を持っておられるか。で、その中身は地方分権でありますということを歴代の大臣がお答えになってはおるのでありますが、内閣の一貫性という意味では恐らくその辺に異存はなかろうと思うけれども、この地方分権と言われるものについての認識もこの際に改めてお伺いをしたい。悪口を言うようで恐縮でありますが、あなたの歩いてこられたいわば官僚としての道は、余り地方分権とか地方自治にはなじまないような印象を受ける大臣でありますから、この辺はしかと承っておきたい、こう思うわけであります。
○国務大臣(後藤田正晴君) 実は、私は両棲動物でございまして、地方分権といいますか地方自治の仕事に携わってきた者でございます。ただ御質疑の点は、戦後地方分権が非常にやかましく言われるようになったわけで、そこで今日の地方自治制度の根幹がつくられておると思います。この今日の地方自治の根幹、これは私は、制度として見た場合にはよくできていると思うんです。そして同時にまた、戦後の地方自治、それなりに進展もし定着もしてきていると思います。しかし、その中身をしさいに見ますと、依然として中央集権といいますか、そういったような傾向が強過ぎる。一例を挙げれば、補助金の制度一つとってみましても、これを通じて過度の地方に対する、何といいますか、関与が多過ぎると、私はさように実は今日の事態をながめておるのです。したがって、これから先の地方自治というのは、名実ともにいわゆる地方の時代にふさわしいような姿に漸次持っていかなきゃならぬ時期になってきた。というのは、国もいままでのようなやり方でなるほどやってきたんだけれども、しょせんこれ以上は、最近の国民全体の価値観の変化とでもいいますかそういったようなことを考えた場合に、いまのようなやり方ではなかなか全体の統治作用とでもいいますか、それがうまくいかなくなってきているのではないか。そこで見直しをしようという時期に入ってきていると思うんです。 そこでいわゆる地方の時代、これは人によっていろいろの見方がありましょう。ありましょうけれども、そういった考え方で、私はいまのやり方をもう少し地方団体が、自分の身近な仕事というものはこれは地方団体みずからの手で住民の意思というものを強く反映させながら処理をしていけるような仕組みに変える必要があるのではないか。同時に、そういった仕組みに変える以上は、それを自分の手で、地方自治なんですから、やることができるような裏打ちがなければならない。つまりは地方に対する税財源の配分、こういうものも、現在のままでは実際問題として地方が自分の仕事を自分の手で、自分の力でやるということができないのではないかと、かように考えておるわけでございます。 そこで、そういった観点に立って、今日国、地方を通ずる行財政の改革という問題が大きく浮かび上がってきておる機会でもございまするので、行財政改革の際にいま少しく実のある地方分権、地方自治の推進をやっていく必要があるだろうと、かように考えて、そういった仕事に取り組んでいきたい、こういうようなのが私の基本的な物の考え方でございます。
○志苫裕君 御答弁は、率直に言って大変申し分のない答弁だと思うんですが、ただ、その程度のことなら、戦後憲法をつくり地方自治法を制定した理念の中にやはり含まれておったと思うんです。しかし、それがそのとおりには進んできておらないところに問題があるわけでありますが、明治百年、まあ一口に言えば中央集権の時代であった。集権型行政というものは何もかにも悪いかというと、そうではないわけでありまして、集権と分権の座標の軸の置き方が絶えず問題になる点だと思うんですね。特に最近その座標の軸を分権の方に大きく移そうという、これが国民的合意になりつつあるわけでありまして、それにはそれなりの背景があるわけだと思うんです。そういう点についてはどのような理解をしていらっしゃいますか。
○国務大臣(後藤田正晴君) その背景というのは私が、実際心配しておるのは、どうもこれ以上中央がもうめんどう見れなくなったと、だから地方ひとつやってくれよと、こういった考え方で今日の声が出ておるのでは大変だ。それは私どもとしては認められない。やはり地方分権を進める以上は、先ほど言いましたように実の伴った、つまりは税財政の改革が私は根本になければならぬと思っているのですが、そういう意味合いでやってもらわなければならぬなと、こう思っております。 で、なぜそういうことが起きたんだと言えば、いま言ったようなことでは心配ですが、やはり何といいましても、これは国民全体の私は意識の変革があるのじゃないのかなと思います。やはり身近なことはもうおれたちにひとつやらしてもらいたいと、いわゆる住民参加とでも言いますかね、そういう物の考え方が基本にありはしないか。ただし、私は今日の住民参加のやり方全部を容認しているわけではありません、行き過ぎの面がございますから。しかしながら、基本はそういうところにあるのではなかろうかなと、かように私は考えております。
○志苫裕君 その点は、おいおいとまたお尋ねいたします。 ところで、あなたは大平内閣の閣僚の一員でもあるわけで、ちょっとそういう視点でお伺いをしたいんですけれども、大平さんはこれからは文化の時代だと、文化の時代は地方の手によってその多くを達成をしなければならぬ。したがって、文化の時代は地方の時代である。で、それを進める手法の一つとして、田園都市構想というものを提唱をされておるわけであります。この田園都市構想については、私はこれが提唱されるとすぐ当委員会でも、またしかるべき場所でもいろいろやりましたけれども、どちらかと言うとまだ理念の域を出ておらない。大きい転換の時期に試行錯誤や模索があるのは当然でありまして、まだ具体的な手法を持っていないからそれが悪いなんという、それほどの短兵急のことを言うつもりはないんですが、この大平総理の提唱する田園都市構想、それが実はいつの間にか田園都市国家構想というふうに何となく名前も変わってきておるいきさつがあるんですが、とにかく、田園都市国家構想あるいは田園都市構想に対する大臣の評価といいますか、認識といいますか、これはいかがですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 大平さんの言っておる田園都市構想というのは、一つの政策の方向とでもいいますか、基本理念といいますか、哲学であると思います。この大平さんのお考えは、これから先の国づくりといいますか、それは中央の手がどんどんいままでやってきたんだけれども、そういう手法ではなくて、何といいますか、地方を中心にしながらそれぞれ特色のある地域づくりをやっていく、その特色のある地域づくりの集大成でもって新しい国づくりをやる必要があるだろう。そうすることによって都市には、何といいますか、潤いとでもいいますか、地方、田舎には活力、こういったものを与えることができるような新しい国づくりの手法をやっていきたいと、これが大平さんのお考えだろうと思います。私は、その考え方には賛成でございます。 ただ、これは考え方、哲学でありまして、それを具体的にどうするんだということになると、御案内のように、今日私は率直にいって縦割り行政の弊が出てきておると思います。この大平さんの考えが出た途端に、各省それぞれおれのところはこういう案だというようなことで、自治省もその中の一つでございますが、これは逐次改めてもらうつもりでおりますが、広域市町村圏構想というものがある、国土庁ではモデル定住圏構想というものを持ち出す、建設省には生活圏構想というものがある、農林省は何々構想というものがあるといったようなことで、受ける方の地方は一つの受けざらでございますから、今日、私はとまどいがあると思います。ただしかし、こういった新しい政策手法というものが出たときに、各省それぞれそういった立場で仕事をやっていくという意気込みに燃えてやることは、現実の行政の進め方としてはそれなりの効果があると思っています。したがって、いまはそれでよろしい。しかし、先行きはこれはやはり一つに統合せられたものでなければ実際的な効果は上がらないし、ばらばらになる恐れがある。この点は十分これから先政府としても気をつけて、いわゆる縦割り行政の弊がこの構想実現の過程で出てこないように注意をしてまいりたいと、かように考えております。
○志苫裕君 それで、あなたにこれを聞くのはまずいんですが、まあ評価をされておるようですから。大平さんは、最初田園都市構想と言っていたんですよ、田園都市構想と。これは確かに一つの理念でありまして、都市の持つバイタリティーと田舎の持つ潤いといいますか、自然といいますか、そういうものを高次に連結をして彼は田園都市構想というものを提起をして、それは個性のある地域づくりという視点に立てば当然地方自身の手にそれがゆだねられる。それらをとらえて、たとえば自治省の幹部あたりでも、これで従来の集権型国土開発の発想から分権指向型の開発に向くんだというようなコメントなども加えておったいきさつがあるわけです。そういう前提でここでいろいろやっておったんですよ。 ところが、それが、しばらくたったら国家構想というふうに変わってきたわけですね。これは、地域づくりは同時にそれが集まっていけば国づくりだから、国家構想と言っても不思議じゃないけれども、そういうものとはちょっと違うような気がしてならない。どこらにそういう発想があるのかなと思ったら、「田園都市国家の構想 総論の検討を終えて」という、政策研究会・田園都市構想研究グループという大平さんの諮問機関ですな、これがこういうことを言うているんですよ。ちょっと参考のためですから。「我が国は、西欧先進諸国の工業力水準、所得水準に追いつくという明治開国以来の長期国家目標を達成した。」、まさにこれは国家目標だ。「いまや我が国は、物質的豊かさと便利さ、自由と平等、高い教育と福祉の水準、発達した科学技術、大小無数の都市による国全体の都市化、そこにちりばめられた高度の生産施設や生活関連施設、それらを結ぶ交通通信網などを整備拡充してきている。」、これは事実です。「とりわけ、新幹線網、テレビ、自動車の普及などは、」——以下が問題なんです。「農村生活を根本的に変化させ、都市と農村との伝統的な格差、対立は急速に消滅に向かいつつある。」という認識なんですね。「これらは、われわれが日本全体を一つの大きな国家都市として把え、田園都市国家の建設という、より深みのある、より成熟した新しい文明の段階へ挑戦することを現実に可能にしている重要な資産である。」という認識があります。この認識というのは、むしろ都市と農村との差が開いちゃって、そこにいろんな悩みや問題を提起するようになったという発想ではないんですね。都市には都市の問題が出て、農村には農村の問題が出て、それぞれを何とか解決しようという発想ではないんですね。むしろこれは都市と農村との伝統的な格差、対立が急速に消滅をして、これらを、われわれが日本全体を一つの大きな国家都市ととらえていくに好都合な条件になったという認識がここの前提にある。 こうなりますと、まさに国家構想という名前がつくにふさわしくなってくるわけでありまして、これは実は、この国家構想という名前がつく以前に、大平さんの提唱を受けて、自治省も仲間になって、関係省庁で田園都市構想というのはこんなものだというようなことを勝手に解釈しましてつくり上げましたな。ああいうものと少しニュアンスを異にしてきているような気がしてならない。こういう線が強く貫かれていきますと、私は分権というものとは少しあべこべになってくるので、やっぱり国が地方の時代を配給するようなそういう方向に行ってしまえば、これは依然として中央集権の延長であります。いわば中央集権のもとでこの潤いのある社会をつくると、こういう発想になってきますと、大臣先ほども熱心にお答えになった、もともと文化というのは個性があるものですからね。その担い手がだれだということが非常に重要になってくるわけであって、地方自身の手でという、これがずいぶん取られてしまう。私は、国家構想という名前がついたのは単なる言葉のあやじゃない。地域づくりをまとめれば国づくりだという、そういう単純な結びつけではないのではないか。分権というものに対する発想の転換が依然としてないのじゃないか。国という全体を見て、この生々しい町づくり、都市づくりというものを上からながめているのではないかという気がしてならぬのですけれどもね。この点大臣どうですか。 それが証拠には、これだけの膨大なものですけれども、自治省の息のかかった者が入っておるのかどうか知らぬけれども、これだけの中に「分権」の「分」はないんです、一言も。言葉のあやとして、個性のある地域づくりとかなんとかありますけれどもね。地域社会の創造というのはあるけれども、それの担い手がだれであるのかということはおよそこの中にないという点で、自治省は一人合点で、ようやく地方の時代がきた、おれが所管をする、おれの出場がきたみたいな調子のいいことを言ってはおれない。まあちょっとにおいをかがされただけであって、集権の方へまたふっと行くのじゃないかという気がするのです。この点いかがですか。
○政府委員(久世公堯君) 先に、ちょっと経過的なことがございますので、御説明をさしていただきたいと思います。 ただいま志苫委員から御指摘のあった点でございますが、田園都市国家構想というのは、大平内閣が昭和五十三年の暮れにでき上がりまして、そのときに、田園都市構想ということが言われた当時から、実は総理のお言葉として田園都市国家構想という言葉もあったわけでございまして、私ども当時関係省庁の会議のときにもすでにその言葉は示されておりました。しかし、一般的には、そのときに田園都市構想といい田園都市国家構想といい、考えておりますのは、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、いわばそれは都市づくり町づくり、そしてそれは大きくは国づくりに通ずるというような意味で、田園都市構想といい田園都市国家構想というのは同じ理念だというふうに私どもの方の会議でもそれを把握いたしまして、そして当時国土庁を中心としてやっていたわけでございますが、一般的には田園都市構想ということで文書等は書いていたわけでございます。 そこで、いま志苫委員から御指摘がございましたこの田園都市構想というのは、昭和五十四年の四月に、総理の、学者、役人を加えた研究グループにおきまして、「田園都市国家の構想 総論の検討を終えて」ということで、実はこの研究会は現在もなお各論をやっている状態なのでございますが、そのいまお示しになりました文書の表題として、「田園都市国家の構想」というようなことになったわけでございます。しかしながら、田園都市構想といいまた田園都市国家構想といい、その理念とするところは、先ほどから御指摘もございましたように、暮らしの中に豊かな人間性あるいは参加と連帯に生きるふるさとを取り戻すことによって今後の長期間にわたっての地域づくり国づくりの道しるべとすると、こういう考え方のもとに田園都市国家構想、それは同時に田園都市構想でもあるわけでございます。 それからまた、いまいろいろと御指摘があった点でございますが、確かに分権というその言葉自身はないかもしれませんが、中に大きな項目といたしまして、「個性ある地域社会」というところがございまして、その中にも、「田園都市国家構想は、新しい地域主義の提唱である。」という言葉が書いてございますし、また、従来「中央集権、中央集中の流れを見直し、政治的にも経済的にも文化的にも、諸機能の分散多極化の方向を目指すものである。」と、こういうような表現になっておるわけでございます。ここで言う「諸機能の分散多極化」というものがいわば分権というふうに理解されているわけでございまして、「新しい地域主義の提唱」というのも分権そのものを目指すものにほかならないわけでございます。したがいまして、私どもも田園都市国家構想というものは田園都市構想と全く同じ理念であるというふうに受け継いでいろいろと検討を進めている次第でございます。 以上でございます。
○志苫裕君 それはその部分もありますよ。その部分もありますけれどもね、この「新しい地域主義の提唱」というのは、別のところに、しかし昔のような閉鎖社会に戻るんじゃないんだということをまた熱心に注釈もつけておるわけでありまして、それはそういうくだりもありますけれども、しかし、私は全体としてこの国家構想という名が示しますように、上からですね、上から地方の時代をつくろう、個性のある町をつくろうという発想が何ともこれには強過ぎる。たかがその辺の学者が言うておることだと言えばそれまででありますけれども。こういうものが生きてくるということになると、私どもにとっては、地方の分権あるいは地方の時代というようなものを久しく主張をし、少しでも環境がそう向いてきたのであればどん欲にそれに食らいついて、年来の主張や理念を少しでも実現をしていきたいと考える者にとっては、田園都市構想というのは一つの食らいつき場所ではあったわけですが、それがにおいだけかいでまた集権化の方向に戻るということになれば、これは人をごまかすもはなはだしいと、こうなってくるわけでしてね。 しかし、私が言いましたように、集権と分権というようなのは絶えず引っ張り合っておるテーマでありますからね、この辺はこれからどんな形でさらに具現化をしていくのか。その辺の官庁は、勝手に自分のやってきたことをああこれだこれだとか言っておって、余り発想も何も変えてはいませんけれども、しかしそんなものがいつまでも通用するわけがないんで、これが歴史的なキーワードだとすればこれはいやおうなしにそう向いていくわけでありますからね。大臣、そういう点についてはもう少しやっぱり自治省あたりがしゃきっとしてなきゃだめですよ、これは。改めてひとつ所見を。
○国務大臣(後藤田正晴君) 余り志苫さん御心配なさることはないんじゃないでしょうかね。大平さんの提唱していらっしゃるのは、先ほど言ったような物の考え方です。したがって、上からこういったものを押しつけてやっていこうというのでは私はないと思います。やはり現在の都市の悩み、地方の過疎の苦しみ、これらを踏まえながら、ひとつ新しい地域主義に立って、そして地方を中心としながら、その集大成としての新しい国づくりの手法でやっていこうではないかと、こういったことではなかろうかと思います。大平さんの国会での答弁等も私横で聞いておりますし、また総理が国会の外でもいろんな発言をせられておるのですが、従来の総理とは大分考え方が違うなというふうに私自身は考えておるわけでございます。 ただ、この文章を見ますと、これは新幹線網とかテレビ、自動車の普及、こういったことで都市と農村の生活の様式等が大体均質化してきておるのじゃないかというようなことを言っているのだろうと思いますが、「対立は急速に消滅に向かいつつある。」という、この「対立」という意味も、そういった意味を指しておるのであって、今日の都市と農村との格差そのものがなくなりつつあるんだなんというような認識でこれは書いておるのじゃなかろうと思います。もし、そういう認識で書いておるなら、これを書いた人はよっぽどどうかしておると、私はそう考えます。 しかし、御指摘のように、こういった新しい手法を本当に政策化していくというのには容易ならざる事業であるし、また容易ならざる抵抗もあると思います。それだけに自治省としては、そういう点も踏まえながらやってまいりたい。中央集権といい地方分権といい、しょせんは国民の幸福増進の手段としてどういう方向がいいのかということでございますので、余り観念的な議論をしても私は始まらない。もう少し現実に即して田園都市構想を実現化していこう、それには自治省は自治省なりの努力をしていきたいと、かように考えております。
○志苫裕君 このテーマは、まさに歴史的な時代的なテーマでありますから、大平さんが言い出そうと言い出すまいと、あるいは大平内閣が残っていようとやめていようと、これは絶えず追求していかなければならぬ課題でありますから、ただそのときどきの衝にある者がそういう歴史の動きの足を引っ張らぬようにせめて努力をしてもらいたいと思うんです。 そこで、次へ参りますが、そうは言うけれども、大臣、地方分権地方分権と言うが、地方分権は言葉ばっかり頭の上をすうすう行っておって、ちっとも手順が——私もこの間のときは地方制度調査会の委員でしたがね。ここにいらっしゃいます、佐藤君なんかもそうでしたけれども。まあ頼まれるからせっせと議論をして、いろんな手順まで出すんですが、これはまあ去年に限らないんだ。何十年もやっておるんだ。で、実行する側になりますとさっぱりうまくもいってないんですが。大臣、さてそれなら、先ほど来高邁な御意見も聞きました。言葉に関する限り共鳴いたしました。で、その分権の手順ですね。一遍にできないんですから。どこからどういう手順でいきますか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、一つはやっぱり補助金制度の改正をやらなきゃならぬと思いますね。それからもう一つは、いま機関委任事務というものが大変なことになっていますね。これもやっぱり手をつける必要があるだろう。もう一つは、細かな問題ですけれども、依然として地方事務官なる名前のもとにいろんな問題がある。これに手をつけなきゃならない。しかし、一番重要なことは仕事の配分ですから、仕事の配分が中心でなきゃなりません。そこで、それには今日の法令の見直し、これが一番肝心だろう。そして、いわゆる許認可事務等については十分整理をする必要があろうと、かように考えておるわけでございます。しかし、これも口で言うほど容易でないことは百も承知をしております。中央官庁すべてが恐らくや抵抗するであろう。これは十九対一。自治省はその一でございますから、それだけの覚悟がなければできないなと、かように考えております。
○志苫裕君 その一が本当に一しかないからだめなんですよ。財政規模では半分持っているんですからね。もう最終支出で言えば七割持っているんでしょう。それが一ごときでおるからだめなんです。自治大臣が大体本会議で座るのだって一番末席じゃないか。その辺からよくないんであって…… そこで、本会議で聞いてあなたお答えにならなかったからこの際伺いますが、十七次答申のところでいろいろごちゃごちゃ書きました。そして、ひとつこれをやっていく推進体制を内閣につくれと、それから地方自治体にいろいろかかわりの出てくる法令制度というようなときには、自治体の方も仲間になって考えるようにさせろという二つの意見がついていますね。これはいままでにない、十七次答申の中のあれは特筆される部分なんだ。それについてのコメントは全然ないんですがね。いかがですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) その点は実は論議をしたんです。それで、新しいそういった推進の機関をつくるかどうかという問題の議論がありまして、これは、国としてもいま行財政の改革に乗り出しておりますから、その際に新しい機関をつくると、とかく機関をつくったというだけで終わりになってしまうではないか。それよりは実効のある方法をとろうということになったわけでございます。従来、こういった仕事を進める場合には、各官庁が事務方でそれぞれ甲論乙駁やって、そしてその議論を積み上げていく。その過程で議論の合わないというものは関係閣僚で決めていくという物の考え方ですが、今回はそれも避けよう。むしろ、基本の決め方は関係閣僚で決めてしまおう。そして、その基本方針を一たん下へ下げて、そしてお下げ渡しを受けた事務方でその基本方針に従うて論議を詰めていこう。さらに、その論議で決まらないものはの関係閣僚で決めていこう。こういう従来の手法とは変えたやり方でやろうと。その常任の関係閣僚としては、官房長官と大蔵と行管というものになって、しかし、しょせんは、行政のそういった改革であるとか、こういった構想を具体化するのには、どんなことをしたってこれは地方に関係がありますから、そこで地方に関連のある事項、これについてはそれなりに自治大臣が加わって基本方針を決めようではないかということで、今日こういった申し合わせで処理をしておるというのが実情でございます。
○志苫裕君 いや大臣、それが気に食わぬのです。地方に関連のあることは自治大臣が加わってというのじゃだめなんです。自治大臣というのは政府機関です。政府そのものなんです。だから、その仕事の分野として、ほかのずいぶん集権的な頭の大臣よりは気がきいておるというだけであって、これはやっぱり国家機構なんです。そうでしょう。ですからこれは、ここには余りきついこと書かぬで——私らが言った意見はもっときつかったんだけれども、まあそういう、地方にかかわりのあるときは、地方公共団体の意向が反映されるよう適切な措置を講じろと言っておって、余り制度的なものまで書き込まなかったのですけれども、ここで言う、言うなら自治体の参加ですね、国政への参加。これについてはもうちょっとましな扱いをこれはするべきですよ。もうちょっと気のきいたことをすべきですよ、従来よりは違った。それぐらいやらなければ、もう毎年毎年よけいな手数かけて、また今度——大体十七次も何もせぬくせに十八次をまたつくったりして、もうこれ要らぬと思うぐらいにずいぶんむだなことしておると思うんですけれども。そうでなかったらね、せめてその辺の分については芽を出すべきですよ。これは非常に議論のあったところで、自治体の激しい希望もあったところなんですから。いかがですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) おっしゃる意味はわからぬわけではございません。ただ、地方団体三千三百あるわけですから、そこで私どもは及ばずながらも地方団体の意向というものを踏まえて、自治省というものが的確にそれの意思を反映するという仕組みになっておるわけでございます。そこで自治省としては、そういった考え方を決める際には、地方団体に意見を聞くこともありますし、いわゆる地方六団体、こういうものがあるわけでございますので、常時それらの意向を踏まえながらやっておるつもりでございます。
○志苫裕君 余り進歩ないな、これは。まあこれはいずれまた出てくることですから、時間もあれですから……。 それから、先ほど聞きますと、補助金から機関委任からいろいろありますが、私はやっぱり、毎回言うことですが、天下りですね、俗に言う天下り。あなた首かしげておるけれども。天下りからまた天上がってきた人たちもおるけれどもね。私は、人間の素材というのは皆同じくても、それぞれ置かれた場所によってずいぶん変わっていきますし、経験の積み方も変わりますから、ひとつ国の規模でいろいろ豊富な経験を積んだ人を地方にちょっと貸してくれぬかと。地方にいる者は、たまには国に来て勉強もするという意味で、いろいろそういう人事の交流を否定しているのじゃありません。ありませんし、またそれが必要な部分が、それぞれマクロな目で見ればあることも結構だと思うんです。ただ、いまのように、自治省なら自治省、国土庁なら国土庁、もう国の官庁の人事政策として、第何年次のだれだれ君はどこの地方課長にとか、それ二年たったらどこどこへ持っていこうとか、こういう人事政策としてぴちっと組み込まれておるようないまの天下り政策は、やっぱりこの辺で考え直すべきだ。むちゃくちゃな天下り全廃なんていうことは言いません。しかしいまのようなシステムは、これはやっぱり少し風穴をあけて変えていかなきゃ、地方の時代もへったくれもないとこう思うんですが、この点はあなた少し手をつけたらどうです。
○国務大臣(後藤田正晴君) 志苫さんも、別段、天下りといいますか、天上がりといいますか、全部がいかぬとは言っておらぬのだと、こうおっしゃるお言葉がありましたが、やはりほどほどということじゃないでしょうか、これは。要は、ともかく何年次がどうだこうだというので、中央の人事政策で今日私は受け入れられているとは思いませんよ。で、地方もなかなか最近はそういった点は厳しい態度をとっておるように思います。私どもの自治省の関係についてだけ見ても、なかなかそう簡単なものじゃありません。同時にまた、地方も、私はやはり地方だけで育ってそれで終生いくというのは、本当の意味ではぐあいが悪いなと。これはやはり中央との人事交流ということも私は必要ではなかろうか。したがって、それは中央で採用した人だけが下がっていくのじゃなくて、地方で採用した人も中央に上がってくるといったような交流をある程度しないと、血が新しくならない。血が凝固した場合には、その役所の発展性というものはこれはある程度停滞せざるを得ないと、かように思いまするので、この人事政策、人事交流の考え方は、基本としてやっていきたいなと、こう思っております。ただ、先ほど言いましたように、ほどほどだなと、県の部長が仮に七人おるときに、地方の人は一人しかおらぬなんというのもなきにしもあらず。これは私は行き過ぎだと思います、こういう点は。こういう改革をせにゃならぬ点はあると思いますけれども、基本は、やはり絶えざる交流ということが必要であろうと、かように考えております。
○志苫裕君 いや、あなたは、私が少し逃げ道つくって言うと、その部分だけを非常に評価をするけれども、私は、人事交流もたまにあってもいいというのが中心じゃないのであって、もうきちっと、第何年次はどこと、俗にキャリア組と称する人のライフサイクルがもう決まっておるような、そういうばかなことはもうそろそろ見直しなさいと。それはいろいろ経験のある人があちこち行き来しますことが、それはお互いに役に立っていることはわかりますよ、私は。わかりますけれども、現実はそうじゃないんだ。そうじゃないという意味で、これはしばしば出ておるテーマだけれども、こういう時期にもうちょっと踏み込んだ方がいいですよということを申し上げておきます。 で、こんなことは言いたくないけれども、松浦何がしさんという人が、今度参議院選に出なさるそうですね。これもちょっと、選挙ほどほどにしておいたらいいですよ。あなた、いま、ほどほどという話もあったけれども。一々が何だと言いません、みんな一生懸命やっているんですから。私らもときどき足を踏み外してやるんですから、まあ余りめんどうなことは言いませんけれども。めんどうなことは言いませんが、自治省からおいでの知事さんとか副知事さんとかね、あるいは自治大学を出た者はみんな集めるとかね、天下りの人はそれぞれ任務につくとかというふうな、どこかに指揮命令系統があるような、ちょっと、余り目につくことはお控えになった方がいいと思うんですね。その点どうですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 松浦君が立候補したいということは、これは間違いがございません。しかし、それは実際は、本人は最後までいやがっておったんです。しかしながら、まあ諸般の事情から立候補ということでございます。ただ、あくまでもこれは私ども自治省という役所とは別でございます。これは峻別をして、彼は彼なりに、自由民主党の立候補予定者として党において全力を挙げて応援をすると、こういうことでやっておるように思います。したがって、私どもとしては、この全国区の選挙運動に伴って、自治省関係者が間違いは起こさないというように、十分戒心をしてまいりたいと、かように思います。
○志苫裕君 まあ選挙のことはね、それぞれやっておることですから私もそんなに言いませんが。ただ、まさか自治大臣の名前を松浦何がし後援会だとかに出して、それこそ自治体のしかるべきところに——まあ自治大臣というのは政治家ですから、構わぬといえば構わぬですが。しかし、同時に、自治省のOBに自治大臣がついて、自治省、地方行政の系列を通じていろいろ物が運ばれるということになれば、何となく自治大臣がものを言われたような——いや、物というのは文書とかそういう意味ですよ。あっちの物じゃないですよ。これはやっておらぬと思うのですが、知事名とかそういうものを使うのは、やっぱりお控えになった方がいいと思うのですね。知事、まして自治大臣名があればなおさらですけれどもね。ということは、私はこれはただ意見としてだけ申し上げておきまして、どこどこで何があったというようなことは申し上げませんが、まあ少し、皆さん自治省はおよそ関係がないと、こうおっしゃられるんでしょうが、動きの態様から見ますと、ああ自治省やっておるんだなということがこう響きますからね。余り響くとこっちも黙っちゃおれないということになりますので、まあほどほどのところで皆さんの方もやっておいてもらいたいと、これは要望です。 次に、地方公務員の定年制の問題ですが、まあ地公法改正でしょうか、これはいまどんな準備になっていますか。それから国公との関係どうなっていますか。
○政府委員(宮尾盤君) 定年制法案につきましては、国家公務員の定年制法案、これは去る二十一日の閣議決定を経まして国会に提出をいたしております。地方公務員の定年制につきましても、国家公務員についてそういう定年制度が設けられるということになりましたので、同じ日に閣議決定をしていただきまして、今国会に法案を提出をいたしておる段階でございます。
○志苫裕君 そこで、わかりましたが、いろいろこれからこの法案が単独で議論されるんですからあれですが、定年というのは、自分の意思いかんにかかわらず、ある日に、あるときに、自分の働く権利が、まあこれは中断されるというのですかな、ということですわ。働く側からすると、まさに自分の生命にかかわることでもあるし、生命を維持するための自分の権利に非常に大きい制約を受けることでありますから、これは大変なことです。で、労働条件の決定にかかわる交渉権限はどうなりますか。
○政府委員(宮尾盤君) 公務員の勤務条件につきましては、これは地方公務員法でも定めておりますように、交渉事項ということになっております。したがいまして、いわゆる団体交渉あるいは協約締結をするような形のものではございませんが、組合から、職員団体からの求めがあれば、当局側としては、職員の勤務条件について応ずる地位にあるということになっておるわけでございます。
○志苫裕君 そこで、そういう宮尾さんのお話のような軽いものではなくて、まあ月給一号上げるかとか、そういうのとはちょっと違った意味で、おまえやめてもらうと、こういうことですから、そうなりますと私はこれは、労働者が自分の労働条件について使用者と話をして決めるという、交渉して決めるという、こういうものがしっかり約束をされていないと、一方的にやってしまうということになると、これはずいぶん片手落ちな——ぼくは定年制を憲法論から持ってきて、ある日に働く意思がある者をやめさせるのはけしからぬという議論は一方にありますけれども、これはまあおきましょう、こっちに。そんなことを言えば民間労働者だって同じことです。よく民間の労働者だって定年があるじゃないかと、役人よりもっと早い定年だってあるじゃないかという議論があります。しかし公務員と違うのは、そこには労働協約、労使が話し合って、わかりましたというこの納得に基づく一札が双方とも入っているわけですね。これが言ってみれば条例や法律に相当するものなんですよ。とすれば、それが当然国公なり地方公務員にも約束をされるべきであって、それが整備をされておらないとすれば、これはやっぱり片手落ちだという気がしますが、大臣、その点どうですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 交渉の対象になるということはそのとおりじゃなかろうかと思いますが、やはり今度の決め方自身が、無理な決め方ならいざ知らず、六十年に六十歳、一般の基準が、まあもっと長い人もありますけれども、今日の地方公務員の平均の退職年齢は大体五十七歳ないし八歳ですね。それを六十年までの間に六十歳にすると、これは今日の老齢化に向かいつつある社会としては、私は合理的な物の考え方ではなかろうかと、こう思います。 ただそこで、いまのような御質問に対しては、一般の民間の場合と国の公務員なり地方公務員との違いが一つあるのじゃないか。それはやはり原点が税金だということにあるのじゃなかろうかと思うのです。つまり、全体の奉仕者として自分の職責を果たし、それに対する報酬というものは税で支払っておるのだと、ここのところを踏まえてお考えを願わなければならぬな、かように考えております。
○志苫裕君 いや、それはちょっと答弁の質が違うんだな。私の言っているのは、年齢が六十とか、五十八とか六十五とかいうようなことを私はいま提起しているわけではないわけね。いまの労働法体系からいけば、働くことをやめるという、これほど大きい労働条件の決定はないわけでありますから、当然これは労使が交渉をして取り決めをするという、こういうものが一方で保障されておる。そういうものがなければ、やはり法律といえどもあるいは条例といえども一種の強制という効力を持ってくるわけであって、この点はやっぱり少し問題になる。で、年齢やその他の問題については、それは六十がいいのか五十八がいいのか、いま五十五でやめているところからすれば逆に五年もおらなきゃならぬという話になるかもしらぬけれども、私はいまそのことを言うているのじゃない。これはいずれまた法案の過程で議論をしますが、いま地公法体系の中でも交渉を受ける立場にあるという、そういう言い回しじゃなくて、交渉事項であり取り決めをする事項だというふうにすることが同時に整備をされるべきでないですか。その点どうですか。
○政府委員(宮尾盤君) 先ほど大臣からお答えを申し上げましたように、公務員は全体の奉仕者として公務に従事をしておりまして、その給与というものは国民の税金で賄われておるわけでございます。そういう公務員の地位の特殊性というものから、地方公務員の勤務条件につきましては基本的には法律あるいはこれにかわる条例で定めると、こういういわゆる勤務条件法定主義というたてまえがとられておるわけでございます。したがいまして、今回のこの定年制度というものも、これは広い意味での分限という公務員の身分にかかわる基本的な事項でございますので、そういうものにつきましては、先ほど申し上げましたような、現在の地方公務員法の基本的な考え方に立ちまして、法律あるいはさらにそれに基づく条例で定めていくと、こういうたてまえにいたしております。 もちろん、この定年制度に関する問題というものは勤務条件の一種であることには間違いございませんから、それは職員団体との交渉ということはあるわけでございまして、当局といたしましても職員団体からの求めがあればそれに応じて十分交渉は行う必要があると考えますけれども、民間と同じような考え方に立って労働協約を決めて、それに基づいてその制度を決めていくと、これが現在の地方公務員制度、これは国家公務員についても同様でございますが、現在の公務員制度の基本的な考え方からはとれないというふうに私どもは考えております。
○志苫裕君 まあ現に法律が出ているわけですから、ここでは深追いをいたしませんが、いまの公務員部長の答弁では非常に、労働者の最大の労働条件を保障をするに十分でないという意味で私は申し上げておる。どうもその税金論、原点が税金だという税金論については私は納得はしない。じゃ、民間は税金を使ってないから権利がたくさんあって、税金で食っている者は権利が少ないかと。そんなばかげた議論はないわけであって、これはこれで別に議論はいたしますが、法定主義とか条例主義といったってそれはまた考え物でありましてね、使用者が勝手に振る舞うなと、権力を持っているからといって勝手に振る舞うなというので法の支配を受けるという意味で条例主義や法定主義を説く立場だってあるわけでありますから、それは何でも労働者に都合の悪いように読まなくたっていいわけです。これはいずれまた議論をいたしますが、私は、せっかくこういうことをいろいろ議論をするのであれば、こういう際に地公法の法体系、地公法の労働権についての法体系の見直しも含めて定年制も考えるというぐらいの検討があってもいいような気がしたのです。だから、一つの制度を持ち込む場合には既存の制度についても見直す。考えてみる。そっちの方はさっぱり考えてみぬで、税金でもらっている者は六十でやめて何の文句があるかというような、こういう言い方で持ってくることは私は余り同意できない。これはいずれ法案審査でただすことにいたします。 次は、これは大臣には私も含めて何人かお聞きをしておるようですからわかると思うのですが、いわゆる三月の特別交付税の中からやみ給与などを払ったところは銭差し引いたと、それに対して、制裁じゃないか、ペナルティーじゃないかということで若干の論議があったわけでありますが、かいつまんででいいです、ごく簡単に、どういうことをやったんですか。
○政府委員(土屋佳照君) この三月の特別交付税の配分に当たりまして減額をいたしましたのは、国の支給率を上回って支給された期末勤勉手当、あるいは実質的にこれに相当するものについて従来と同じ方法で財政的に余裕があるということで減額対象にいたしたわけでございます。
○志苫裕君 大臣、あなた食事する暇がないという話だが、行ってもらっていいですよ。しばらく財政局長とやりとりしますから。あと、結びがありますから来てくださいよ。 それはちょっと財政局長、そういう木で鼻をくくったようなことを言わぬで——じゃ、もう一遍言いましょう。団体名、金額、削る対象とした給与や手当の種類、こういうものを総まとめで言ってくれませんか。
○政府委員(土屋佳照君) 失礼いたしました。端的に言えということで、結論だけ申し上げました。 この三月で五十四年度の特別交付税の際に減額をいたしましたのは、一つは、先ほど申し上げましたいわゆるプラスアルファの支給団体でございまして、それが全体で三百七十四団体になっております。そして、特交の減額の対象として算定された額は三百十一億、対象になったものが三百十一億ということでございます。これは、期末勤勉手当等条例で決められたもの以外に、プラスアルファとして、時間外勤務手当とか、研究研修費とか、特地勤務手当といったような名目で支給されました、いわゆる世間で言うやみ給与も含まれておるわけでございます。それはしかし実質的にプラスアルファと認められるものとしてとらえたものが含まれておるわけです。それは三百七十四団体の中に四十団体含まれておりまして、支給額は——支給額と申しますか、支給されたもので減額の対象になったものは五十四年度分で四十一億でございます。
○志苫裕君 そうすると、四十団体、四十一億円を、特交としてやるべきところから差し引いたということですね。 〔委員長退席、理事金丸三郎君着席〕 それ、四十団体名は挙げられますか。いまここで四十読まれちゃ困りますが、提出できますか。
○政府委員(土屋佳照君) 私どもといたしましては、たびたびいろいろなところで答えておりますように、この措置そのものは特別交付税を配分いたします際に共通の財源でありますものを配るわけでございますから、財源的に余裕のあるものに対しては支給をしない、こういう趣旨で、いわゆる制裁的な意味ではなくて、まあ財源的に余裕があるというかっこうで特別交付税の支給の場合にそれを差っ引くということでございますから、そういった趣旨から見ますと、個々の団体のいろいろ申告に基づいてやっておる措置でございますから、一々そういう団体を世間に制裁的に発表するということは考えておりません。
○志苫裕君 発表しない……。 差っ引かれたと思う団体からすると、ああ幾ら引かれたなということはわかるようになっていますか。
○政府委員(土屋佳照君) いろいろ調査をした結果に基づいておりますから、自分のところはこれだけ対象になっておるということはおわかりになると思います。
○志苫裕君 ちょっと私、事務的なことがわからないんですが、あれは、何々分幾ら、何々分幾ら、何々分幾ら、締めて何億何千万というふうに行くんですか。それとも、項目だけあって、締めて幾ら幾ら何千万円と、こうなって行くんですか、自治体には。ちょっとその点を。
○政府委員(土屋佳照君) 細かい積算内容をつけて交付するものではございません。最終的に幾らということで交付をいたしております。 〔理事金丸三郎君退席、委員長着席〕
○志苫裕君 そうすると、当該団体としては、取られたなというようなことはわかっても、幾ら取られたということはわからないわけですか。
○政府委員(土屋佳照君) 正確にはわからないと存じます。と申しますのは、御承知のように、このプラスアルファだけではなくて、いま交付税の算定上余裕があるものとして考えておりますのが、財源超過団体における財源超過額、あるいはいわゆるギャンブル団体におけるギャンブル収入、そういったものをみんな合わせてやっておりますから、そういったものを引きます際にも、たとえば災害復旧費的なもの、災害復旧費などからは差っ引かない。いわゆる減額対象にならない項目もございます。まあそういったいろいろなことを、算定の手順を経まして差っ引くわけでございますから、結果的にはこの分が幾らこの分が幾らとというのは明確にはわからないと存じまちす。 ただ、私どもとしては、そういう各団体がどういった支給をやられたかということは、条例等でプラスアルファとして書いておられるものは、これはまあ申告によってはっきりわかるわけでございますが、それ以外のものも、それぞれの団体からこれだけやったということを事情を聴取してやっておるわけでございますから、総体として幾ら引かれたということはわからないにしても、減額をされたということは、これは対象になったということはおわかりのはずでございます。
○志苫裕君 これは、あなたもいま一度ばかり使われたが、特別交付税というのは財源の余裕があるところにはやらない仕組みだからと。大臣は、本会議で私に対する答弁では、まあプラスアルファなど出しておる団体は財源に余裕のある団体だから、交付税というのは余裕のあるところないところをうまく調整する仕組みのお金なんだから、したがって余裕のあるところには行かないんだと、こういう論理になっていますね。そうでしょうか。財源に余裕があるかないかはプラスアルファだけではわからぬでしょう。自治体の財政はプラスアルファだけ払っているんじゃない。全体的な政策意図に基づいていろいろこうやられておるわけですね。あるところは、給与を切り詰めてでも道を直そうかというところがあります。また、あるところは、橋を少し先へ延ばしてでも職員に勤労意欲を持ってもらおうかというところもあるわけですね。その片々を見つけて、これは財源に余裕があるという認定にはなりません、こんなものは。そうなってきますと、当該自治体の財政運営全体についての検討というものがそこに出てこない限り財源余裕論議というのは出てこないと思う。 私は、まあいろいろのルールがありますから、一々ここで細かいことまで申し上げませんけれども、特交というのはそんなにえらいことを考えているんじゃなくて、交付税の需要算定のときに、そのときはまだ捕捉されていなかったとか、その後思わぬ災害が起きたとか、そういうふうなもの、言うなら当初気がつかなかったものですね、そういうふうなものに手当てをするために、全体の交付税の中から一部分はねておきまして調整をしておるのであって、こういう自治体の財政運営全体を見て余裕があるかないかという、こういうところまで厳しく査定をして使う金として自治省に付託はされていない、そう思うんですが、どうですか。
○政府委員(土屋佳照君) 御承知のように、この特別交付税の額の算定については、地方交付税法十五条に規定があるわけでございますけれども、前段にいろいろ書いてございますような、普通交付税における「基準財政需要額の算定方法によって捕そくされなかった特別の財政需要があること、」とか、「基準財政収入額のうちに著しく過大に算定された財政収入があること、交付税の額の算定期日後に生じた災害等のため特別の財政需要があり、又は財政収入の減少があることその他特別な事情があることにより」と、そういうことが前提になりまして、その算定方法の画一性のために生じてまいりますこの財政需要額の算定過大とか財政収入額の算定過小というものを考慮しても、「なお、普通交付税の額が財政需要に比して過小であると認められる地方団体に対して、」「当該事情を考慮して交付する」と、こういった趣旨があるわけでございます。もちろんその万般の事情を全部、おっしゃるように、これは私どもが地方団体の余裕があるかないかというものを全部拾い上げて対応するということは、これはもうとても神わざでもできないと存じますけれども、基本的に、全地方公共団体の共有の財源でありかつ財源調整を目的とする特別交付税の配分ということでございますので、ある一定のものについてはこれは財源的な余裕があるという見地から引いても差し支えない。その一つがこのいわゆるプラスアルファ的なものでございます。 それから、先ほど申し上げました財源超過額とかあるいはギャンブルによる非常に多大の収入があるといったようなことは、これはまあある程度財源的に余裕があるものとしてとらえていいであろうということで、細かいものをいろいろ検討するとすればそれ以外のものもあることもわかりますけれども、そういったものは従来からこの規定の趣旨に従ってやっておるわけでございまして、私どもとしては、そういった法の趣旨から見ても特にこれが問題があるとは思っていないところでございます。
○志苫裕君 いままでも引いておったわけで、それを今度全部引いたからというので改めて問題にするのもどうかなと思いますけれども、ただ私は、いま問題になっておる、どうもこれは余り常識的に見ても適当でないなという給与の支出とか、そういうふうなものが皆さんの方から見てある。しかし、自治体には自治体の事情があったのかもしれない。そういうものが仮にあるとしても、そういうふうなものは、それこそ地方の時代論じゃないけれども、自治体自体の自律性にまつべきものでありましてね。また、客観的にそういう条件がずっと整っていけば、まさに自律回復作用で自治体も正常化をするはずであって、そういうまあ制裁のようなもので是正をされるものじゃないし、そういう相互関係というのが自治省と自治体の間にでき上がることも望ましくはない。そのために行政当局は行政当局の方で、いろいろ、それこそ権力にわたらない助言もなさっているんだろうし、自治体は自治体なりにまた研さんもするんでしょうから、こういうふうな形で行われたということが私は遺憾だと言っているんですよ。まあいままでも引いていなかったわけじゃない、引いてはおったわけでしょうけれども、そういう当該自治体の自律性というようなものを余りにも尊重をしない。言うてみれば信用しないといいますかな。大体自治体のやることは何でも信用できぬという、こういう発想が——先ほど冒頭で大臣うまいこと言った、いろいろと。だから私はここへ持ってくるために前に長々と聞いたわけじゃないけれども、まさに地方の自主制、自律性というようなものに多くをゆだねて新しい時代をつくっていこうと、こういうにしては、ごくささいな金額だ。しかもこれは四十一億円ですか、そういうふうなもので非常に権力的に振る舞うというのが、非常にいびつな形に私には映るわけですよ。直接効果論というものから言っても、あるとは思えないですよ。自治省から四十団体が四十一億円、まあならせば一団体一億円だわね。これ削られたからもうやめましょうやということにはならぬのであって、そういうものではない。もう少し別の、自治体の議会もあれば住民もおれば職員もおれば、さまざまな、自治体全体の中でそういうふうなものは是正をされていく。あるいは足らなければ、ラスパイレスの低いところがあればそれなりに加えられていくというふうなことをむしろ期待をすべきなのであって、どうも権力的に振る舞うというこの所作、しぐさがこっけいなんだな、私から見ると。これは後ほど大臣来たら聞きますが、大臣の補弼の任に当たっている皆さんは、一部の報道等によると抵抗したそうだけれども、抵抗したけれどもだめだったら、今度はばかにそれが正当であるような御説明をされるのは、まあつらいことわかるが、余り納得できぬな、これは。率直に言って。自治権との関係から言っても望ましくないし、特交の性格から言ってもそれは、違法とは言いませんけれども妥当じゃないと、こういう気がいたしますので、この点についてはどうも大臣の意向がきつかったようだから、大臣が飯食ってきたら、この点はただすことにいたします。 次に、非常にささいなことで恐縮ですが、過疎法が今度期限切れになりまして、新しく、少し衣がえをして出てくるんですが、しかしそう大きくいまのシステムが変わるわけではない。対象事業がふえたり、団体の認定の基準が少し変わったりする程度ですから。そこで、過疎債は、法の施行令五条二項二号で、観光、レクリエーション施設をつくる場合に対象になっていますわな。ところがこれは、レクリエーション施設をつくる、そこへほかからお客さんが来るといいますかね、そういうことを一応予定をする施設なんだ。ところが、同じレクリエーション施設、グランドだったりなんかであったりするんですが、農林省が所管をしている定住構想の、ちょっと名前は忘れましたけれども、やっぱりレクリエーション施設があるんですよ。これは、定住構想という名前から言いますように、そこに住んでおる住民の観光、レクリエーション施設なんですね。そうするというとこれは過疎債の対象にしてくれないと、こういうわけだ。これは、やっている方は区切りをつけているんでしょうけれども、自治体の側からしますとね、外から来るお客さんの観光、レクリエーション施設であろうと、そこに住んでいる人が日曜日に駆けっこをする施設であろうと、これは同じことなんだ。同じことなんだけれども、片や過疎債の対象になり、片や過疎債の対象にならないというのは、全くこれはおかしげな話なんですよ。 この辺は、今度たまたま法が新しくできて運営が行われるそうで、自治省だけに言ってもしようがないんだけれども、この辺まとめて同じ物差しでめんどうが見れるというように直してもらえませんかね、これ。いかがですか。
○政府委員(土屋佳照君) いまお示しのございましたように、従来は観光またはレクリエーション施設という場合は、区域外の観光客を対象としておったことはそのとおりでございます。今回いわゆる過疎法が期限切れになりまして新しく過疎地域振興特別措置法案というものが準備されておりますが、その十二条でも、過疎債の対象事業として、「観光又はレクリエーションに関する施設」という規定がございます。この運用につきましては、私どもとしては法が成立しました時期を見て内容を定めるということにしたいと思っておりますけれども、現行の過疎法というのが、御承知のように人口の過度の減少を防止するという見地から基盤整備の施策に重点を置いてきた。したがいまして、過疎債の配分はそういった事業に重点を置いてきたわけでございますけれども、今回の過疎振興法案の趣旨というのが地域振興を中心としておるということでもございますので、私どもとしては、当然過疎債の運用についても変わる部分があってもよろしいと思っておりますので、御質問がございましたような、区域外の観光客だけでなくて区域内の住民のレクリエーション施設をも対象にいたしたいというふうに考えております。
○志苫裕君 この点はありがとうございました。いろいろやって、一時間半でたった一つ前向きですね。一時間半で一つぐらいしかいい返事が出ないようじゃ困るんだな、これは。 大臣まだお見えになりませんか。——じゃ、自治省関係終わりまして、ちょっと警察の関係。 きのう、私決算委員会聞いておりまして、いま問題になっておるK・ハマダなる人の、小佐野賢治から二十万ドル渡った例のくだりですけれども、その前段に、小佐野一行がラスベガスへ行ってばくちを打った。そこでK・ハマダずいぶん負けたんだそうですけれども。小佐野一行と行ったのは、K・ハマダじゃなくてこれは浜田幸一というのははっきりしておるわけですが。そこに主題があるんじゃないんです。その一行に暴力団、相当名のある暴力団の幹部も同行されたんじゃないですかという質問が同僚議員からありました。そうしたら、暴力団の幹部が何かアメリカの西海岸あたりにあらわれたという情報はありましたと言って、まあ余りはっきりこの辺お答えにならなかった。そこでふっと思い出したんですが、私が五十三年十月の予算委員会と同じく地方行政委員会で、当時の小林刑事局長に、染谷政務次官のパーティーにこれも名のある暴力団の幹部がずらりとお出になったそうだがと言って確認を求めたら、いたようないないような御返事だったものだから、暴力団というのは、特に組織暴力団は、これは常時監視団体になっているんじゃないのか。それが行ったか行かぬかわからぬようじゃ困るじゃないかという話をしましたら、まあ若干の答弁があったんですけれども。で、私が申し上げたいのは、わかっているんだけれども何となく隠すようなニュアンス、雰囲気で臨んでおられるのか、あるいはわからぬのか。その辺に非常に重要な問題があると思ったので、ちょっとその点をお伺いしたい。
○説明員(漆間英治君) ただいま御質問の件につきまして、報道等でそのような事実があったことは承知いたしておりますけれども、警察といたしましては一切把握をいたしておりません。
○志苫裕君 そうするとあなた問題なんだな。暴力団でしょう。暴力団というても、その辺で、町でゆすりたかりしているようなんじゃなくて、常時監視団体でしょう。そのお歴々がくびすを連ねてアメリカくんだりまで行くという、それまで把握できないということになると、常時監視体制はどうなっているの、これ。
○説明員(漆間英治君) 警察といたしましては、暴力団犯罪を捜査する必要とのかかわりにおいて、いろいろと一般的な情報収集なりあるいは事案の態様に応じましてかなり密着した監視体制をとるわけでありますけれども、それは対象において実にさまざまなものでありまして、このケースの場合のように、暴力団がたまたま海外に渡航するといったような事柄のすべてにまで監視の手を伸ばすわけにいかないわけでございます。御承知のように、暴力団の専従員と申しますのは数千人でございますので、十万何千人います暴力団のすべてを、その動向を一々監視するということはおよそ不可能でございます。したがいまして、対象に応じまして重点的にその動向を把握する。直接把握する場合もあれば、国民の協力を得まして間接的に一般情報収集という形で把握する。その両方を活用しまして、できるだけ暴力団の動向をつかんでいきたいというふうに考えています。
○志苫裕君 あなたはそれ以上のことは言わぬでしょうけれどもね。染谷次官のパーティーのときに、なぜそういう変な態度をとるのかと言うて聞いたら、結局まあ最後は、行きましたと、行きましたけれども、行ったとも行かぬとも答えなかったのは、あそこに、染谷パーティーに暴力団幹部が行ったことは、即犯罪とは関係がないことであったと。犯罪とは関係がないことで行ったの行かぬのということを言うことになるとプライバシーとのかかわりも出てくるので申し上げなかっただけであって、つかんでいないのではありませんということで、あのときは小林刑事局長は一件落着だったんだ。まあなるほどそういうものかなというふうに、われわれには言えなくても——しかし、あなたは親分が三千数百名とかおると言ったけれどもね。三千数百番のことを言っているんじゃない、一番のことを言っているんですよ、私は。一番がどこへ行っているかわからぬで三千番がわかるかいな、あんた。それはやっぱりわかっているんだと思うんですよ。むしろ私が言いたかったのは、なるほど染谷パーティーのときはそれでも結構でした。しかし、小佐野一行のあれで、これは知っているんだけどもプライバシー云々で言えないということになると、少し事情が違うのではないか。いまや綱紀粛正の問題や、あるいは司法当局が必死になって処理をしようとしておるロッキード事件にかかわりがある挙動なんですから、これはむしろ警察当局が積極的に、行っていましたということを言う方が、役割りとしては全うできるような気がしたものだから、染谷パーティーのときの御返事の趣旨からいっても少し違うがなという印象がしたのでね。あなた、そこにおられたかどうかわからぬが、そんなことを地方行政委員会で言うておったというて偉い人に言っておいてくださいな、これは。 大臣、最後ですが、先ほど、特別交付税を三月にいわゆるやみ給与を払った団体に減額をしたいきさつや、ちょっと内容の細かいやりとりしました。聞くと、四十団体で四十一億円減らしましたという内容わかりましたが、私が最後に大臣に言いたいのは、それはいろいろあるんでしょう。あるにしても、そういうものは自治体の自律性に任せなさい、四十団体で四十一億円削ったからといって、それで問題が決まりがっくという、そういう考え方自身が非常に時代にも合わないし、大臣、冒頭にずいぶんと地方の時代論を論じたにしちゃ、ずいぶん品位に欠ける話でもあるから、ひとつその辺の点を大臣からお答えいただいて終わりにしたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) 私も、こういったことをできればやりたくないという気持ちはあるんです。ただ問題は、私は、本当の意味での地方の自治を守り、育てていくという意味合いから、あえてこういう措置を自治省としてはとっておるのだという点を御理解をしていただきたいと思います。このままの状況を放置をしておきますと、今日の厳しい役所のやり方、あるいは公務員の行動、こういうものに対する批判、これはもう否定できないほどの国民的な盛り上がりがあると思います。それにやはり適切にこたえていかないと、これは本当の意味での健全な地方自治が育たないんじゃないか。こういう意味合いから、従来からやっておったような、ペナルティーではないけれども、余裕財源がある団体と認定をして、共通の財源を共通のそれぞれの団体に有効に使ってもらわなきゃならぬと、こういうことであえてやっておるのだと、かように御理解をしていただきたいと思います。
○志苫裕君 ちょっと、やめようと思ったけど、それじゃ……。 それはそういう答弁がありましたよ。その発想がやっぱり国が自治体を律するんだという発想なのであって、自治体をもっと信用しなさい。なるほど高度経済成長の時代に少しいい気になっていろいろなことをやったという事実、そういうものが積み重なった反省の上に地方の時代というものが飛び出してきているわけですよ。とすれば、私はそういうのは全体の中なら中で自治体自身が自律的に解決をしていく問題だから、自治省がそう出しゃばって、世の中の流れとあべこべのことをするべきじゃないということを言っておるので、これはひとつそういう主張をしておきます。 どうもありがとうございました。
○委員長(後藤正夫君) 午後三時から再開することとし、休憩いたします。 午後一時四十八分休憩 —————・————— 午後三時十三分開会 〔理事金丸三郎君委員長席に着く〕
○理事(金丸三郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、地方行政の改革に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○上林繁次郎君 実際問題、何をお尋ねしたらいいかなということで迷っているんです。ということは、大臣が新しい大臣として就任されて初めての所信だと思いますね、これ。いろいろとしゃべるだけはしゃべらしてもらおうと思うけれども、戦後三十五年たつわけですね。その中でいろいろ曲折はあった。しかし、何とか地方自治というものを現在のように一応の形を整えてきた。その間、経済の高度成長期、それから現在のような低成長というか安定成長というか、こういうような全く反対の状態がいま生まれてきた。そういう中で、地方行政の今後のあり方はどうなくちゃいけないかということについて、これは一番大きな問題です。そのことがいままでもうその都度その都度論議の的になってきたわけです。いまここでこれからまた論議をするということについては、やはりそういったところに触れざるを得ないということになるわけですね。ですから、私が言うまでもなく、地方行財政制度の改革、それ自体が重要な問題になると思う。ところが、そのことについての抜本的ないわゆる将来に向かっての改革、こういったものが明確ではない。こういう論議も前々から言われていることですけれども、特に新しい大臣が所信を述べていらっしゃるんですから、そういう意味でまた蒸し返しのようだけれども申し上げるわけです。 そういったことで、当然、新しい大臣でありまたその大臣が所信を述べるんですから、そういう重要な問題を踏まえて、私は何か新しい——新しいと言ったって、言われてきていることはもうみんな同じようなことを言われてきているわけですからね、何か大臣としての一つの確信、こういうものに立って、今後の行財政というものがこうなくてはならない、そうしてそういうものが五十五年度のあり方にこう反映してきているんだというようなものが所信の中に私はあってほしかったと、こう思うわけですね。ところが、これを拝見いたしますと、何もそんなものはありませんね。失礼な例かもしれないけれども、胃腸の悪い人に胃腸薬を飲ました、頭の痛い人に頭痛薬飲ました、すり傷した人にはばんそうこうを張ったというようなことしか、私はこの大臣の所信の中からはうかがえないわけです。そんなことはもういままで当然、当面の問題どうするかということについてはだれしもが考えている問題であり、また考えなくちゃならない、そして対処しなければならない、措置をとらなきゃならぬ。当然です。だけれども、それはそれとして、やはりこういった、どうしても地方行財政というものは抜本的に、その制度を含めて改革をしなきゃならないというときに、新しい大臣としてそういうものが何にも盛られてないということについては私はさびしく思うわけです。 ですから、そういう意味でこれから、大臣が言われていることはもういままで言い尽くされてきたことで、どうなくちゃいけないかということ、それについてはもう大臣はよくおわかりのことなんですから、最も問題とされている点について、それを中心にして大臣の今後のいわゆる改革に対する確信、こういったものを私はお聞かせを願いたいと、こう思うんです。そうして、お答えの中からまたどれだけかお尋ねをしてみたいと、こういうふうに思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、今日的な課題は、やはり一つは国、地方を通じた行財政の効率化、簡素化、改革と、こういう問題であろうと思います。これはやはりいまの仕組み全体の中のことですから、国だけとか地方だけという問題ではないので、国、地方を通じて、お互いに理解と信頼と協力をしながら改革に取り組んでいかなきゃならぬ、これが一点。それからもう一点は、そういった改革の過程で、今日までの仕組み、仕事のあり方等を振り返ってみて、どうもいままでのやり方では、少し国という立場が強過ぎはしないのか。やはり盛んに言われておる大きな変革の時期、地方の時代とこう言われておるわけですから、地方分権の推進と、こういうことではなかろうか、かように考えますが、さて、この両問題とも、いま内閣としては全力を挙げて取り組もうとその第一歩をいま踏み出しつつあるわけでございますが、こういった問題は、これは私は余り特効薬はないんじゃないか。やはりこういった目標を決めれば、じみちにそれを毎年毎年方針を変えないで、そうしてやれるところから手をつけていくということが現実的な解決の道に通ずる、かえってその方が近道であろうと、かように考えておるわけでございます。したがいまして、そういう心組みで私どもとしては二つの課題に今後とも取り組んでまいりたい、かように考えております。
○上林繁次郎君 非常に簡単なお話ですけれども、いま大臣がお答えになったことについては当然やっていかなければならない問題でしょう。昭和五十年から今日六年経過するわけです。膨大な赤字を抱えて毎年地方財政が四苦八苦してきた。その中で論議されてきたことは、やっぱり将来を見通して抜本的に改革をしていくという見地からいろいろな論議が展開されてきたわけです。そうすると、もうすでに六年今日たつわけです。その中で、それではいままで論議の的になってきたような問題がどのように解決されてきているのか。いま大臣がおっしゃったように、やれるところからと、こういうお話があった。これは簡単な言葉だけれども、そのやれるところからという大臣のおっしゃること、私もよくわかります。無理に一遍でそういうものができるものではないということ、そういう認識も私にはあります。だから、大臣の言う、簡単な言葉ではあるけれども、やれるところからという問題は、非常にこの言葉は意味がある、意義があると思う。 じゃ、この六年間何をやってきたのか。やれるものとは何なんだということになりますと、私は皆無ではないかと思う。だとするならば、大臣が新しく就任されてまずそのやれるところ、何をやれると考えていらっしゃるのか。それで何をやろうとしているのか。その点をひとつお話し願いたいと思うんですがね。
○国務大臣(後藤田正晴君) これは、午前中にもちょっとお答えをいたしたように思うんですが、やはり一つは仕事の見直し、つまり、仕事を見直してしたがって法令を見直さなきゃならない。そうすることによってまず現在の複雑な許認可事務は整理した方がいいだろう、これが一点。それからもう一つは、補助金の整理統合。補助金は私は性悪説だとは思っておりません。必要なことは申すまでもありませんが、補助金を通じての過剰介入、あるいは補助金事務を通じての複雑膨大な事務処理機構、こういうものに手をつけるという意味で補助金の問題を取り上げなきゃなるまい。それからもう一つは、第一点で申しました法令の見直しの際に、いわゆる機関委任事務、これの中には、これはやっぱり団体委任にしていいんじゃないか、そうすれば地方の関与が十分できるような仕組みになるわけですから、そういう点がありはせぬか。それからもう一点は、いま地方の住民の側に立ちますと、なるほど地方団体それぞれ努力をしてよくやってくれておることは間違いありません。しかしながら、やはり一部にいろんな点についての批判が厳しいことも事実でございます。これに対応するために、この地方の事務を地方自身の手によって監査の機関というものを充実して民意を反映するようにしたらいいのではないか。これをどうするかといったような問題。もう一つは、戦後三十三年、「当分の間」という名のもとに今日続いておる、本来これは私は地方の事務にすべき問題があると思うんですが、まだそういったところまで踏み込んでない、いわゆる地方事務官の改革の問題、これが一つあるのじゃないか。もう一点は、いま地方の財源不足がはなはだしいわけですから、この問題はこれは国と同じ悩みがありますから一挙にいきません。いきませんが、少なくともいまの借金財政、これからどのようにして切り抜けていくことができるのか。いわゆる地方財政の再建対策、これをどうして手をつけていけばいいのか。 こういったことが当面の課題ではなかろうかなと、かように考えているわけでございます。
○上林繁次郎君 いま大臣がおっしゃった、それはいままでの大臣もそういった後藤田自治大臣と同じようなことを言われてきているわけです。そこに一つも進展がないところに、われわれはどういうことになるのかという−だから、大臣がかわるたんびに同じことを聞いてみる。そうすると、同じようなことを言う。それじゃ、いつの時点でそういった方向性というものが確立されていくのかという、やっぱりそういう一つのめどみたいなもの、こういったものをわれわれとすればお尋ねできればお尋ねしてみたいということが一点ですね。 そこで、いま大臣がおっしゃったように、財源の不足という問題がありましたね、これは国も地方も同じように苦しんでおる。その解決策としていろいろなことが言われてきておりますよね。そこで、まず何といっても地方交付税法の六条の三の二ですね。これにうたわれているように、もう六年間も赤字続きですから、当然こういう状況を踏まえて、やはりその法律の精神というものがそこにあると私は思うんです。ですから、当然税財政制度の改革というものがいまこそなされなければならないときである。そういったことについて、それがやっぱり根本の問題だろうと、こういうふうに思うわけですよね。 そういった点について、それをやるためにはまたいろいろな要素があるでしょう。税の再配分であるとか、あるいはまた行政事務の再配分というか適正な配分ですね。いろいろある。それはまあおっしゃったんですけれども、やっぱりそういったものが両々相まって行われなければできないだろう、そういうものは。一つだけぱんとやろうとしてもなかなかできないかもしれない。そういう点をどういうふうに考えていらっしゃるのかなということをどうしてもお尋ねしてみたいなと、こう思うわけです。 いまお尋ねをした点ですが、二点なんですけれども、まあ同じような堂々めぐりのような話になっちゃう可能性は強いんですけれども、とにかく新しい——自治大臣とすれば、おれは何も新しいなんという感覚はないかもしれないけれども、私たちから見れば初めて大臣としてここにお目見えしたという、そういう受けとめ方ですから、その大臣に対する期待というものは大きいわけですから、私たちだけではなくて国民すべてが。ですから、やはりそういった基本的な問題を明確にできるのかできないのかと、こういった点をやっぱりお尋ねする必要があるだろう、こう思いますのでね、できるところ、やれるところというか、その辺から明確にひとつお答え願いたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) 一つは、交付税の改正をどう考えているかと、こういうことだと承りましたが、交付税の問題は、本来これは、いまの三二%を上げなきゃならぬことはよくわかっております。しかし、他方、国の財政状況から見れば、いまの国税三税のままで、しかも経済界がこれだけ激動しているときに、恒久的な交付税率を上げるということは実際問題としては困難であろう。そこで五十三年の改正で、あれを一つの制度だと、こういうたてまえで、借入金の二分の一は国が持つんだといったようなことで、当面のいわば一種のびほう策だと思いますが、それで解決をしてきたわけでございます。しかし、これはしょせんは基本的な問題の解決にはなってない、私もそう思います。 そこで、基本的な問題の解決はどういうめどだと、こういうことになるんですが、私は、財政再建に絡んで国会の御決議等もあって、いま政府としては、これはやはり国会決議の線に従って財政再建に取り組まなきゃならぬと、こういうことです。そこで、行財政の改革といいますか、経費の節減といいますか、できるだけのことをいまの制度でやってのけよう。そして、一応の減量経営をやった上で、さて最後の帳じりがどうなるかということを見た上で根本的な、いつの日にか国も地方も税財政の改革ということが課題になってくるのじゃないかと、そう思います。そういった際に、私は交付税の税率を上げるということが考えられるのか、それが考えられないとするならば、もう一つ別の、国税の中の幾らかを地方に分与してもらうといったようなことでこの問題は解決する以外方法がなかろうと、私自身はさように考えております。 もう一つの地方税源充実の問題も、いま言った一環として、これは私は先行きの問題だと思います。というのは、いまやらなきゃならぬ減量経営の問題がございますから。私は、個人的な意見でまことに恐縮ですけれども、いま増税論議が去年来ありましたね。それからまた、五十六年どうかというような御意見もあります。私は反対でございます。いまのままで、これは何といっても高度成長経済で水ぶくれしているんです、これは。国も地方も。このままの形でここで増税ということになると、水ぶくれのままのまたやり方になるおそれがありますから、やるだけのことは先にやった後での帳じりだという考え方を基本に持っております。 そこで、そういった際に、国と地方の税源配分という問題が起きてきますが、ただ、地方の場合は泣きどころがあると思いますよ、私は。それは、各団体、三千幾らの団体に、経済力に差があるんですから。幾ら税源をもらってみたところで、過疎の地域でその税が入ってくるわけのものじゃありませんしするので、そこらはよほど考えなければならない。私は、地方の一般の税源といいますか、それの充実ということを考える場合には、やはり交付税と地方税と両者をあわせた物の考え方で拡充を図っていくべきであろう、かように考えます。 いずれにいたしましても、この問題は私はここ一、二年の課題ではないなと。一、二年の課題は何かと言えば、私どもは経費の節減、合理化が第一だ。しかし、それをやっても、地方は財源不足に悩むことは私はもう大体予想せられますから、その際に、地方が仕事に困らぬだけの財源充実、これは全力を挙げてやらなきゃならないと、かように考えております。
○上林繁次郎君 最後の質問にしたいんですが、いまの体制の中で、その体制を今後こういうふうに変えなきゃならぬ、ああ変えなきゃならぬという論議がいままでに出てきているわけですね。しかし、経済の高度成長時には、いまの体制の中でそれが十分賄っていけた。賄うだけでなくてどんどん膨張してきた。膨張するだけの力があった、財力が。それがあったわけですね。ところが、こういう時代を迎えて、もうそういう力はなくなったということですね。これからの将来に向かっての地方行財政というものは、いつまでも高度成長時代のいわゆる夢を追っていたのではもうおくれをとってしまう、破綻してしまう。だから早い機会に現在の経済の動向またこれからの経済動向というものを見きわめつつ——もう予想はつくわけですからね、ですから現在はそれを踏まえて、やはりどうなくてはいけないかということを考えなきゃならぬ。経済の動向というものは非常に大きな影響を与えるということですね。 そうなると、やはり私たちが聞いてみたいことは、自治大臣ですから専門大臣ではない、大蔵大臣ではありませんからね。それは上っ面の話は聞いていますよ。五十五年度は六%成長だとか何だとかと言っています。だけどそれも果たしてどうかわかりませんけれども、そういった今後の経済の動向というものが、地方も国も含めてそれは大きな影響力を持っているということ、そういう立場からするならば、やはり経済に対する見通しというものも、自治大臣としても、自治大臣の立場からのそういう見通しというものも私は考えてしかるべきではないか、こんなふうに考えるわけですね。ですからその点を、言うならばある意味では基本的な物の考え方に入るかもしれませんからね。そういった点を、大臣のお考えになっている点をお尋ねして終わりたいんです。
○国務大臣(後藤田正晴君) 私どもとしましては、五十五年度、来年度の見通しというものは、やはり政府でお決めになった例の経済の見通しの案がございますから、これを基礎にして、この程度のこと、つまり消費者物価が六・四ですか、実質成長が四・六%、この程度の経済の伸びは確保できるであろう、また確保させなきゃならぬということで、地方の関係の税の見積もりなりあるいは経費の支弁の、この予算の立て方なり、これは全部それによってやっていますので、私どもとしてはそれが実現できるものと、かように考えているわけでございます。 ただ、中長期ということになりますと、よく国会等で御審議のある例の六十年度までの経済の見通しの案がございます。それを直さなならぬというので、まあ暫定試算ということになっていますが、これは経済企画庁がああいった長期の見通しをお立てになって、それを基礎に六十年度の姿を税財政の上に翻訳してみればかような姿になりますといったものではなかろうかなと私どもは考えております。それを五十五年度の地方財政計画と機械的に結びつければ毎年度こうなりますといったようなことでございますけれども、これはそういう意味合いにとどまるのであって、私はあれはいわゆる財政計画とは言えないと思います。しかし、一応の、何といいますか、目安みたいなものであることは間違いない。しかし、私どもとしてはああいったことも頭に描きながらも、やはり毎年の経済の見通し、そしてそれに伴う国の予算、地方の財政の計画、税収の見積もり、こういったもので毎年度具体化していきたいと、かように考えておるわけでございます。
○神谷信之助君 大臣には、就任以来、いままで政治姿勢の問題それから今日の地方財政の危機を打開する基本的な問題について議論をしてまいりました。それを土台にして、きょうは地方財政の窮迫の一つの大きな原因になっている超過負担問題ですね、これについて少し議論をしてみたいというように思います。 それで私は、法律で国が負担をするということが決まっているこの負担を十分に負担をしないで、そのために自治体に超過負担となって負担を与えているというのは、これは法治国家のわが国においては許すことのできない事態ではないかというように思うんです。特に、地方財政法の第十八条には、「必要で且つ充分な金額を基礎として」算定をするということをわざわざその点でもはっきり明確に規定をしてある。ところが、いままで自治省も努力をなさってはおるけれども、しかしなかなか超過負担の解消が現実に進んでいない。この超過負担の早期解決について、まず大臣の所見を伺いたい、こういうふうに思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) この超過負担というのは、財政秩序を乱すわけですから、これはやはり是正をしなきゃならぬということはもう当然のことでございます。そこで自治省は、大蔵省、それから関係省庁と一緒になって実態調査等も行って、実は毎年改善措置は講じておることは間違いがございません。ただしかし、依然としてそれが残っておるじゃないかと、こういうことでしょう。今後ともこういう点については毎年の予算編成の際に是正措置は講じていきたいと思います。ただ私は、たとえば補助金を出すといったような場合にも、これは予算補助だから国の方はこういう見積もりだよ、おまえさんの方がそんなことをしたっておれの方は知らないよといったような態度が、これは過去において国になかったとは言えません。これは最近私は改まってきておると思います。しかし、手綱を緩めるわけにはもちろんいきません。そういった単価のはじき方あるいは積算の規模、こういう点において実情に合わないというようなものはどんどん直していきたいと、かように思います。 それからもう一点は、もうさいの河原の何とかというので、幾らやってみても超過負担が残るんですね。これは、超過負担には、いま言ったような国のはじき方の不十分という面が一つございます。これは否定できません。しかし同時に、基準以上の、同じものをつくるならひとつもう少しいいものをつくろうといったような空気が、地方にないとはこれまた否定できませんね。この両々相まって私は今日の超過負担の問題が起きておると思いますので、これはやはり両面から攻めていって財政秩序の紊乱というものを正していきたいと、かように考えます。
○神谷信之助君 それじゃ、事務当局でいいですが、五十五年度の予算で改善をされた超過負担の改善事項ですね。あるいはその金額。概略の金額でいいですからそれについてお述べいただきたい。
○政府委員(土屋佳照君) 超過負担については、毎年関係省庁と相談をして是正をしておるわけでございますが、御承知のようになかなか意見が食い違うわけで、私どもとしては最近は実態調査をやって納得の上で改善をしておるということでございまして、五十三年度の実態調査に基づいて五十四年度におきましては保育所関係等の給与の格づけを初めとしてかなりな是正をいたしておりますが、五十四年度においては、全体の超過負担の解消といたしましては、事業費ベースで五百二十九億、それから国費ベースで三百六十億ということでございまして、さらに五十五年度におきましては、社会福祉施設あるいは警察施設その他いろいろと項目はございますが、額としては、合わせまして事業費ベースで二百四十二億、それから国費ベースで百七十三億の是正を図ることにいたしております。
○神谷信之助君 地方六団体が地方自治確立対策協議会、それから地方超過負担解消対策特別委員会ですか、が、「地方超過負担の解消に関する緊急要望」というのを五十三年の十二月五日付で出していますね。自治省の方で、いまの大臣の話じゃありませんが、基準をはるかに上回るようなものを土台にして超過負担と言っても問題だというような意見もあることは事実で、したがって、この六団体の側の出している資料及び要望事項というのについて、自治省の立場から見るとどういうように評価をなさっているか、この点をまずちょっとお聞きしたいと思います。
○政府委員(土屋佳照君) 五十三年の十二月の地方超過負担の解消に関する要望については、主体としては保育所の超過負担問題が非常に多いわけでございまして、それに関して、特に私どもが要望が多いと思っておりますのは、措置費の算定基礎である職員の給与単価を実態に即するように改善をしてもらいたい。それから保母の増員を図る、特に長時間保育とか乳児保育に係る保母の増員を図ってもらいたい。それから、施設整備について、知事の認可を受けた公立の保育所をすべて国庫負担対象とするということにしてもらいたい。こういったものが主な要望と承知をしております。 こういった問題につきましては、私どもとしては、基本的にはいろいろと、保育問題については幼児教育と児童保育の問題もございますし、また、公的な保育と家庭内保育との関係をどう考えるか、いろいろ住民との間のコンセンサスというものが必要な面がまだまだあると思うこともございますし、また、国の政策的判断に係る問題であるということもございますので、すべてを超過負担の問題としてとらえることはできないと思っておりますけれども、私どもとしては、地方団体のこういった声を踏まえまして、今後とも社会経済情勢の変化とかあるいは住民のニーズの推移等に配意をしながら、国庫補助負担基準というものが適正な水準となるように努力をしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
○神谷信之助君 昨年の「地方財政」の八月号ですが、その三十一ページに、超過負担を解消するために各省への申し入れをした、それについての説明がなされています。それを見ますと、「地方財政法第十八条に規定する「必要で且つ充分な金額」を基礎として算定しているかどうかについて合理的な説明をなし得ないものが厚生省関係の国庫補助負担金等に多い。」という指摘があるんです。これは具体的にどういうことを指しておるのでしょうか。
○政府委員(土屋佳照君) 恐縮でございますが、いま御指摘の点が、たくさんの文章の中で、どの点でお尋ねになったのか、私ども大変わかりにくかったものでございますから……。
○神谷信之助君 「地方財政」の三十一ページ。「2 補助基準の改善」というのが下の方にあります。その上です。——わかる人が答えてください。
○説明員(津田正君) いろいろなものがあるわけでございますが、たとえば五十五年度、今回改善を見ましたいわゆる駐在所、派出所等が従来まではっきりしておらなかった……
○神谷信之助君 いや、厚生省です。
○説明員(津田正君) ちょっと厚生省関係はいま……
○神谷信之助君 これ、なかなか勇気ある指摘ですよ。率直に厚生省関係には説明が通らぬようなそういう超過負担が多いという指摘を大胆にされているんですからね。ぼくはそれぐらいびしびし具体的に指摘をしないと直らぬと思いますね。それに対して地方団体の方も監視をしていかなければいかぬ。各関係省庁に猛省を促すとともに、地方行政関係者も十分監視をしていく必要があると言って呼びかけて、それで自治体もひとつ十分監視して、そういう地方財政法に違反をするような超過負担は改善せいと、その一番悪いのは厚生省だと、こういう指摘です。具体的にどういうことがありますか。
○政府委員(土屋佳照君) 私どもとしては、関係省庁にそれぞれ要請をしておるわけでございますが、ただいまのその厚生省関係の中でも保育所の関係について、さっきいろいろと地方団体の要請等を指摘を申し上げたわけでございますけれども、人件費補助等についてもまだ完全に直っておるとも言えませんし、措置費等の算定基礎である保母等の職員数についても実態に即するように改善をしてもらいたいと思っておりますし、細かい点を挙げればいろいろございますが、基本的にまだそういった改善されてない点が残っておるというふうに考えておるところでございます。
○神谷信之助君 大臣、自治省の事務当局の方も、こういう公開された雑誌、月刊誌ですね、これで具体的に、厚生省関係の国庫補助負担金に合理的な説明のできないものが多いと具体的に指摘もして猛省を促しておられるわけです。そして、全体の超過負担の中でもとりわけ保育所の措置費関係というのは超過負担の対象金額が多いということもあるわけです。したがって、私はきょうはその問題を中心に具体的に少し話を進めていきたいと思うのです。 この保育所関係の超過負担の額の約八五%、これは人件費ですね。人件費が大きいわけです。たとえば、五十二年度の決算額で公立保育所の措置費を調査した資料が六団体の方で出ておりますが、それを見ますと、一保育所当たり実際の国の基準による支弁額は二千三百六十四万三千円余り。それから、それに対する対象経費支出額は、超過負担の額が八百四万九千六百八十一円です。そのうち人件費が六百八十三万六千円余りということですね。構成比が八四・九%、約八五%。この人件費による超過負担が非常に大きいわけです。この人件費の超過負担には二種類あって、給与関係ですね、給与単価。もう一つは保母さんの人員の問題ですね。人員差。この二つが大きいんですね。 そこでまず人件費の方、給与の単価差、これについてお伺いしたいと思うんですけれども、先ほど局長の答弁で、五十四年度に若干改善をされたと。これは、五十三年度の実態調査に基づいて五十四年度に若干の改善が給与単価においてなされています。ところが、実際に見てみますと、それでもなお現実の実態から言うと非常に低いというのが私は事実ではないかと思うのですが、この辺について自治省の方ではどのようにごらんになっておりますか。
○政府委員(土屋佳照君) どうも恐縮でございます。細かい数字でちょっと見つけにくかったわけでございますので……。 たとえば施設長一つとりましても、五十四年度に五の六から五の八に引き上げたわけでございますけれども、地方団体の調査等によりますと、実態は、施設長の場合は五の十五ぐらいまで行っておるといったような資料がございます。その他一々申し上げませんが、先ほどお示しの、地方自治確立対策協議会等の要望の中にはそういった数が示されておるわけでございます。 私ども具体的に、それぞれの団体の保育所について詳細には承知しておりませんけれども、こういった資料等から、まだ実態には若干離れておるのではないかと推察いたしております。
○神谷信之助君 それでは厚生省の方、この給与単価の問題については実態に合っているというようにお考えか。実態に比べてどのように評価をしておられるかお伺いしたいと思います。
○説明員(伊藤卓雄君) お答え申し上げます。 保育所の運営費につきましては、その改善につきまして特に従前から意を用いてまいったところでございますけれども、ことに三省の合同調査という形で、三、四年ごとぐらいに実態把握の調査等をやっておるわけでございます。そういった結果を踏まえまして、できるだけ実態に即した形にしたいという考えでやってまいっておりまして、施設職員の給与格づけの是正とか、あるいは非常勤の保母の常勤化といったような改善を逐次講じてきておりまして、かなり実態に近づける努力をしてまいったつもりでございます。
○神谷信之助君 いやいや、現在は実態に合っていますか。
○説明員(伊藤卓雄君) 五十三年度の三省合同調査の結果によりまして、施設長及び主任保母につきましては是正措置をしたところでございますし、それから保母につきましては、ほぼ実態に即しておるという前提で、五十四年度の是正措置には入っておりませんが、その以前の是正によって実態並みになっておるというふうに考えております。
○神谷信之助君 それでは自治省にお尋ねしますがね、先ほど言いました六団体の方の超過負担解消についての緊急要望ですね、これはお持ちですか。——先ほど局長もおっしゃっていましたからお持ちでないかと思いますが、たとえば、市町村の実際の給与の実態ということだけで一概に国の基準と比べて超過負担だと言うのは、自治省の立場からいってもそのままにはいかぬだろうというのはわかりますわね。そこで六団体側は、施設長、主任保母、一般保母について、これは五十二年二月分の実績に基づいて、ラスパイレスによって算定し直して出しているんですね。ラスパイレス一〇〇にして。いわゆる自治省が国に準じということで指導されているそのラスパイレス指数で算定をし直して、施設長が月額十九万三千六百五十四円、それから主任保母で十五万九千四百三十八円、一般保母で十万三千九百九十二円。これは五十二年の分ですからいまの給料表に直すともうちょっと上がると思います、給与改定がありますから。それ等を見ましても国の基準と——その当時の国の基準ですから五十四年の改正は入っていません。しかし一般保母は五十四年改正はありませんからね。それでいくと、それぞれの超過負担率というのは、三五・九%、二六・六%、あるいは一般保母の場合は二・六%というように、これ五十二年の調査ですが、そういう事態が起こっています。 それで、私は、これは自治体の財源にとっても非常に大きな負担になってきて、京都市のなにで見ますと、五十四年度の見込みで超過負担が、保育所の措置費関係だけで二十五億二千七百万。公立が三十七、民間が百九十七カ所の保育所の分ですが、それだけがあります。そのうち民間の分が十七億二千八百九十八万円。ですから公立の方が約八億円の超過負担というのが京都市の状況なんですね。しかも、民間の十七億の超過負担の中で、いわゆる単価差、公立保母との差ですね。この給与改善費というのが二億四百二十六万円、五十四年度で予算化しているわけですね。大体こういう状況が出ているんですね。ですからこれは、給与の単価が実態に合わないということが非常に大きな超過負担を生む原因になっている。 それで、これは給与の水準というのはそれはいろいろおっしゃるようにあるでしょう。しかし、いま六団体側が計算しているラスパイレスで算定して、いわゆる国の基準として自治省が指導をされている金額に経験年数その他で直してみてもそれだけの差が出てくるということになれば、これは私はひとつ問題じゃないかと思うんですね。だから、先ほど厚生省は三年か四年にと言っていましたけれども、大体三年に一回はやることになっているんでしょう、三省の実態調査というのは。だからこれは三年に一回ということじゃなしに、できるだけ早くもう一遍実態調査をやって、そして実態に基づく給与単価というのを決めてもらう。三年間動かぬということになりますと、その間超過負担というのはますますふえていきますから。給与改定とともに、ベース改定とともにですね。そういうことになりますから、この点ひとつ自治省の方でも努力をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
○政府委員(土屋佳照君) 職員の給与単価を実態に即するように改善すべきであるということは、地方団体の強い声でもございます。そういったことで、実は先ほども申し上げましたように、三省庁で実態調査もやって変えたわけでございますけれども、なかなか、国の政策的判断に係る問題でもございますし、またそれぞれの保育所に現実におられる、配置されておる人の年齢その他いろんな問題がございますから一概には言えないわけでございますけれども、やはり実態に合っていないという声があるということは事実でございますので、私どもとしてもなるべくそういった点に耳を傾けまして適正な水準となるように努力をしてまいりたい。いままでも実態調査をしてまいったわけでございますが、何年に一度どうするということではなくてやはり絶えず見直しをする必要がございますので、関係省庁とまた実態をどういうふうに把握するかということについてはよく協議をしてまいりたいと思っております。
○神谷信之助君 いまの点、厚生省はいかがですか。
○説明員(伊藤卓雄君) 実態の把握につきましては、私どもも鋭意意を用いておるところでございますけれども、この点につきましては、私どももいろいろ事情を私どもなりに把握している事情を相互に提供し合うという形で、できるだけ実態に即した形にしていきたいと思っております。 なお、先ほど先生の御指摘いただきました調査につきましては、公立の施設を中心に非常に数の少ない限られたものに基づいておやりいただいておりますので、私どもが三省合同調査で、全体の約一割ぐらいの施設を全国的な人口分布あるいは施設の規模に応じた全体的な構図の中で選んでやった調査とは若干の違いが出てくるのは、あるいはやむを得ないかという感じがいたしております。私どもは公立、民間含めた全体の中での調査ということを心がけておるつもりでございますので、念のため申し添えさしていただきます。
○神谷信之助君 そこがごまかしなんですよ。これは大臣もよく御承知のように、保育所というのは当初はお寺とか教会とか、そういうところで慈善事業的に始まっていますわね。だからきわめて奉仕的な形で、出発したときはそういう状況になっている。ですから非常に低い賃金で、労働条件もよくないわけですね。これが、公立保育所がずっと広がっていく中で、公立保育所の場合は一般職の給料表に基づいて、ちゃんと経験年数あるいは資格に基づいて給料体系ができた。それに対して民間の保母さんの賃金というのは物すごい低いですからね。いまこれを漸次引き上げるという努力をしておるわけだ。だから、厚生省が措置費八割負担をするわけですから、国の基準で少なくともそういう低賃金の婦人労働者をたくさん置いておくというのはいいことじゃない。だから少しでも公立の保母の給与体系に近づけるように努力しているんですね。だから京都市なんかは、民間の保母さんのいろいろ賃金差ありますが、それ全部プールをして、この措置費には昇給制度がありませんから、だから、そういうのをプールして、それぞれに京都市の保母さんと同じ給料が出せるようにして、それに合うような昇給制度をつくってやっていく。そのためには、先ほど言いましたように、京都市自身が物すごく持ち出しをせんならぬですね、十七億からの。先ほど言いましたが、給与改善費だけで二億からの持ち出しをしなければならぬ。そうやって婦人が労働する権利を保障し、そしてその地位を高めていく、そういう努力を自治体はやっているわけですね。 ところが、厚生省のいまの言い分は、そういう低い賃金の保母さんの給料も込みにして平均してやりますからね。そうしたら公立の保母さんの水準と低いところの間になるんですわね、どうしたって。これが実際の実態に合わない状況なんです。いま都市の方では、そういう公立の保母の給料と、そして民間の保母の賃金をできるだけ統一をする。そうしないとやっぱり保育の条件が違うということになってきますからね。質的な相違が生まれる。だから、そういう努力を自治体がそれぞれ身銭を切ってやっているんですよ。だから厚生省、そういう低いのを含めてやって、そしてそれではこれと違うでしょうとおっしゃれば、まさに低い賃金のそういう保母さんをつくり出すことになるんですよ。私はそこのところが一つの大きな問題だというように思うんですよね。この辺は自治省の方も厚生省の方もひとつ考えてもらいたいと思うんですがね、よろしいですか。
○説明員(伊藤卓雄君) 私が御説明いたしたかったのは、保育所の実態、運営費の実態を見るためには、公立だけではなくて私立も十分勘案して考える必要があるという意味でそういう調査をやっているというふうに申し上げたわけでございまして、決して低い方に合わせるというような趣旨、ねらいではございません。今後とも私どもとしてはその実態をできるだけ正確に把握いたしまして、従来も努力しておりますけれども、改善の努力を続けるつもりでございます。
○神谷信之助君 時間がありませんから。ひとつ改善の努力をやってもらいたいというように思います。 その次は、退職手当が措置費の対象になっていないことについて、厚生省はどういう見解ですか。
○説明員(伊藤卓雄君) 公立の場合でございますけれども、御質問の趣旨では公立の場合を御指摘だと思いますけれども、保育所の職員の方も地方公務員としてお働きになっているわけでございますので、その中で、ある職場においては退職手当が出、あるところでは出ないという考え方はあり得ないわけでございますので、地方公務員として処理をされておるというふうに考えておるわけでございます。
○神谷信之助君 自治省の考え方はどうですか。
○政府委員(土屋佳照君) 保育所等の児童福祉施設に要する経費につきましては、国がその経費の全部または一部を負担するということにされておりまして、この場合に保母等の人件費も当然国庫負担の対象になっているというふうに私どもは考えておるわけでございまして、現在、人件費のうちの退職手当等一部のものについて対象から除外されておるということについては、私どもかねがねこれは国庫負担の対象とするように文書で申し入れをしておるところでございます。残念ながらまだ実現はしていないわけでございますけれども、今後とも善処方をぜひお願いをしたいと思っております。
○神谷信之助君 大臣、これは自治省毎年要求しているんですよ。ところがなかなか厚生省はうんと言ってない。それでいまおっしゃるように地方公務員じゃないか、地方公務員になるとだれでもつくじゃないか。だからそんなもの補助対象にする必要はないと、こう言う。ところが、退職手当も賃金の、言うなら給与の一部ですからね。いま局長が説明をしたように、私は当然措置費の対象に入れるべきだ。たとえば補助職員、職員の給与についての補助の対象になっているものにはいろいろありますが、たとえば農業委員会の職員の給与ということになりますと、確かにこれは農業委員会だけにおらぬで、あっちに行ったりこっちに行ったりしますね。だけれども、保母さんの場合は、ほとんどの人がその保育所に、あるいは保育の仕事におるわけです。まあそれは例外的に別の職場へ移る場合もあるかもしれませんよ。これはきわめて例外的であって、だから保母やめるときは大体保育所をやめるわけです。そういうことですからね、まあ農業委員会の事務職員で退職手当まで負担するのはおかしいといういわゆる理屈は理屈としてわかりますけれども、保母さんの場合はもう大体保育の仕事にずっと——まあ保育所自身は変わるかもしれないが。こういうものじゃないかと思うんです。 それから、しかもそれは公立だけであって民間は除外するということであれば、これももう一つ私は筋が通らぬというように、同じ立場からいくなら。そういうように思いますので、これは大臣、ひとつ政治力を発揮をして、厚生大臣と話をしてもらって、なかなかこれは話のつかぬ問題で、たしか毎年のように要求をされているんですからね。この点、ひとつ努力をお願いしたいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 確かに保育所の関係は保母さんの数の面が一つ、それと、御質問になっていらっしゃる単価ですか、あるいはまた全体の経費の中に退職手当が入っていないとか、いろいろ問題がございます。これは地元の超過負担といいますか、これの多い面の一つだろうと思います。学校にもございます、警察にもございますがね。こういったところを漸次直してもらいたいと、こう思っております。ことにいまおっしゃった退職手当の点は、確かに保母さんというのはほかへ移らないんですね。だからこれは先ほど厚生省当局からもお話しがありましたけれども、そのとおり自治省としてはああそうですかと言うわけにはいかないので、これはやはり将来の検討課題として改善をしてもらうように、強く厚生省に今後とも働きかけていくつもりでございます。
○神谷信之助君 次は、保母さんの人員の問題に移りたいと思います。 これは先般の予算委員会の総括質問のときに少し触れておいたんですが、ことしは国連婦人の十年の中間点で、国際的にも会議をやられて、前半五年間の総括と、また後半の五年間の計画が立てられることになっています。世界行動計画の序章のところにも、男女平等を促進をするかぎだとして、保育施設の整備というのが挙げられていることはすでに明らかにしたわけですが、現実には、働いていても結局結婚をし出産ということになりますと、婦人が職場をやめなければならないという状態が起こっている。約二割の婦人労働者がそういう状態です。そういう理由でやめざるを得ないというのは、この間労働大臣も答弁をしておったところです。そういう状態をなくさないことには本当に婦人の働く権利が保障されないわけです。婦人が働く場合には、もちろん一つは生活設計上、生活上働かざるを得ないという人もおるでしょうし、同時に、国民の半分を超える構成員が婦人になっていますから、社会の進歩に婦人が積極的に貢献をするという立場から、職場にどんどん進出をするという状況もふえておるわけですね。ですから、これらを保障していくというのは、やっぱり日本の社会進歩にとっても私は重要な課題だというように思うんです。 ところが現実には、とりわけ出産をした後、産後の休暇を終わってさて働こうとすれば、乳児を預かってもらわなけりゃならぬ。特に核家族化している状況の中ですから、あるいは地方から都会に出てきて親戚や親もおらぬ、預けるところもない、こうなりますと、保育所に頼まないかぬ。ところが、乳児保育の点で、なかなかその要求にこたえるだけの保育所の状態が生まれていないんですね。そういう状態が今日現実にあります。そこで、このごろの若い人たちの話を聞きますと、子供を産む時期というのは大体十月やと。四月、五月に子供産んだんでは、保育所にはとってもらえませんからね。もう四月で保育所満員やから。そうするとだれかのところへ預けないかぬ。無認可保育所へ預けるかあるいは営利的な保育所−営業でやっている保育所も出てきていますから。そういうところへ預けざるを得ぬ。これは大変な出費になって、せっかく働いてももう賃金は吹っ飛んでしまう。だから、十月以降に出産をすれば、産後の休暇を終わってちょうど四月のときに預かってもらえる。そういう出産の時期にまでみんな気を使わなければならぬという状態が現実起こっているんですよ。だから、この乳児保育の問題というのは私は非常に大事な問題で、したがってこの点で今日の状態について私はもっと実態をまず把握をするということが必要でないかと思うんですね。 その辺で厚生省にお伺いしますが、こういう保育に欠ける子供、それから無認可保育の状況、あるいはいま言いました営利的な保育の実態、こういったものについて調査をなさる意思はないかどうか。まずこの点をお伺いしたいと思います。
○説明員(伊藤卓雄君) ただいまの御質問の、保育に欠ける乳幼児に関することでございますけれども、この把握の方法というのは非常にむずかしいわけでございまして、特にこれは、われわれ保育に欠ける児童を保育所等でお預かりすることになっておるわけですけれども、単に外見的に保育に欠けるというのじゃなくて、現実の問題としては母親の就労状況あるいはそれ以外の保護者のいわば保育に関する状況、そういった状況まで見ないと本当の意味で保育に欠けているかどうかという把握が非常にむずかしいわけでございますので、なかなかその保育需要の把握というのはむずかしいわけでございます。五十一年に私どもが保育需要の実態調査というものをやりました段階では、学齢前の児童の数に比しまして一八・六%ぐらいであろうというふうに見込んでいるわけでございますけれども、やはりその後の婦人労働の変化というようなことも考え合わせますと、厳密な意味ではわからないということでございます。 なお、先生御指摘の、最近いろいろなところで出てきておりますいわゆる無認可施設というものは、これはまさに法律の対象になっておらないものでございますので、態様はいろいろあるだろうというふうに思われ、そういったことも耳にするわけでございますけれども、対象の限定ができないという意味でこの実態把握が非常にむずかしいということでございます。 私どもとしては、むしろ従来からやってきております本来的な保育所の整備を推進するということで、従来は大規模なものを中心に進めてきておりましたけれども、最近では三十人程度の小規模のものも進めるということで、やはり児童福祉法で児童の福祉を守るという観点から求められている認可保育所の整備ということに力を注いできているわけでございます。したがいまして、いわゆる無認可の調査というのはなかなか困難じゃないかというふうに考えております。
○神谷信之助君 いや、困難だからできないということ、実態が把握されなければその対策はできないわけでしょう。それは全国的に全部一斉にやらないかぬというわけでもなし、一定の大都市、あるいはその近郊を中心にして必要なところを自治体に協力してもらってやるとか、あるいは実際に民間団体で保育所運動を進めておるような組織もありますから、そういうのに協力をしてもらうとか、いろいろ知恵を働かせれば調査をする条件というのはあるわけでしょう。ですから、私はまず実態を調査をしてもらいたいということを重ねて要求をしておきます。 それからもう一つは、特に営利的な保育所ですね。これはバスでぐるっと子供を集めて回るわけです。あるいは親が保育所まで持っていっても中には入れない。中は見せないんですね。それで、預かった子供は蚕だなみたいに寝かされておる。保母の資格のある人がおるわけでもなし、とにかく、まあ子供預かり所ですね。それがいわゆる保育所として募集をしておる。しかしこれは児童福祉法に基づく保育所になろうとはしていないわけだ。児童福祉法に基づく保育所ということになれば、これは一定の保母なり何なり、それから庭なり、いろいろな遊具なり全部そろえなければいかぬ。そんなことはもうせぬということですからね。そうすると、これは一応子供さんを預けているという状態になっておる。それで実際上は保育に欠ける子だけれども、それに対する措置がなされていない状態のままで置かれているわけですね。こういう実態なんかもひとつはっきりして、それについてどうするかという方針も出していかないと、何といいますか、きわめてそういう商業主義的な、営利主義的なことでいきますと、子供の健康にとっても子供の将来の成長にとってもよくないことになるというように思うので、特にこの点ひとつ厚生省の方に検討してもらうように、調査について検討してもらうようにお願いしたいと思うんですがね。
○説明員(伊藤卓雄君) ただいま先生の御指摘の問題は、最近新聞あるいは他の報道でなされております、特に乳児を対象としましたベビーホテルとか、そういったものが念頭におありの御質問かと思いますが、この点につきましては、私どもも乳児の生命の安全あるいは健康保持というような点から関心を寄せておることは当然でございまして、何らかの形でアプローチができないかということで実は研究委員会みたいなものを昨年設けておりまして、家庭保健基本問題検討委員会というようなものを設けておりまして、ここでも検討項目になっております。ただ、三人預かったり五人預かったり、どこで預かっているかわからないというような形で、そういうところは、先ほど御指摘のように、決して保育所の認可を取ろうなどという考えはもちろんないわけでございますので、こういったものをどういった形で引きつけていくか。あるいは、何らかの形の行政指導が必要だろうというふうに思うんですけれども、この辺も先ほど申し上げました検討委員会の結果等を踏まえて、今後さらに検討を進めていきたいというふうに考えております。
○神谷信之助君 ひとつ検討してもらいたいと思います。 もう一つ次の問題は、乳児保育特別制度というのがありますね。それで、五十四年度以降所得階層D2までの保護者の乳児については三人に一人の保母を配置をするというようになっておるようですが、この点は、結局乳児については、乳児三人について保母一人が必要だということを認めているということではないのかどうか、この点はいかがですか。
○説明員(伊藤卓雄君) 私どもは、確かに乳児を預かって保育をやっているわけでございますけれども、これは中央児童福祉審議会でもかなり議論がなされたところでございますけれども、乳児というものは疾病とか事故に対して非常に無力でありますし、年齢的に言いましても、将来の人格形成期に非常に大事な時期にあるということで、乳児の立場から言いますと、できるだけ家庭で母親の手で保育することが望ましいという考え方に立っております。最近、乳児保育を進められる側から、母親の労働の機会を与えるためというようなことが非常にうたい文句になるんですけれども、私どもとしては、声なき乳児の立場に立ちまして、やはり家庭でできれば母親が、必ずしも母親じゃなくてもできるだけ保護者の手で育てていただくということを基本的にお願いしているわけでございまして、そういった観点から、余り乳児保育の拡充ということだけに踏み切るわけにもいかないわけでございます。したがいまして、従来どおり、基準といたしましては三歳未満児につきましては六対一という保母さんの基準がございまして、これでめんどうを見でいただくという考え方でございますが、やむを得ず低所得者の方々で働かざるを得ない、そういう方々の子供さんを預かった場合には、それを預かった保育所がオーバーワークになることも考えられますので、措置費の面でカバーをするという観点から、三対一という特別の基準を採用しているわけでございます。
○神谷信之助君 ちょっと労働省にお伺いしますけれども、乳児の健康なり成長、これがとりわけ医学的にといいますか、そういった点から、あるいは教育上の見地から言いましても、乳児の場合はできるだけ母親の保育が望ましいというのは一応の意見としてありますわね。しかし、それは労働婦人にとっては非常にこれ問題になってくるんですけれども、実際に働いている婦人が普通の勤務をしますと八時間労働で、それに往復時間一時間ずつとっても十時間になってきますね。そうすると、現実には、保育所が預かってくれるのは八時あるいは八時半から午後の四時となりますと、それはもう毎日遅刻で毎日早退せないかぬ。だからやめざるを得ない。やめて結局パートなり何なりでしんぼうせないかぬ。そうすると、今度は乳児を預かってくれるところがない。あるいは保育料が高くなる。そうするとパートをやったのが何のためかわからぬようなことにもなってくるというような状況が現実にありますね。私は、確かに乳児もできるだけ母親のそばにおる方がいい、しかし、母親自身も今日の社会進歩に貢献をするために労働参加をするというのもこれはだんだん、単に経済的理由だけじゃなしに、そういう社会進歩の面からもふえていくであろう。そういった点について、婦人の労働時間を男性と同じように八時間制じゃなしに婦人は六時間制にするとか、いろんな問題も母性保護の面も含めてあるだろうし、そういった点については労働省の方ではどういうふうにお考えなのか、ちょっとお聞かせ願いたいんですがね。
○説明員(佐藤ギン子君) いま先生から御指摘ございましたように、女性も働く方が大変ふえてまいりました。特に有配偶の婦人がふえきておりますので、子供を生み、有てながら自分の仕事もしていきたい。最近は教育水準も大変上昇をしてきておりますので、結婚までの一時的な腰かけという方はだんだん減ってきているわけでございます。いま先生御指摘ございましたように、保育所の時間はかなり限りがあって、職場で長い時間働いた場合には、なかなか子供を育てながら働くということはむずかしいという御指摘ございました。特に女性については短くすべきじゃないかという話があったわけでございますが、ただ、現在非常に国際婦人年を直接の契機といたしまして強く要望が出てきておりますのは、雇用における男女平等を促進してほしい。ただ女性であるがゆえに雇用の場で男子と、ほかには何の理由もなく、異なった扱いをされるということについては非常に不満を持つ方も出てきておるわけでございまして、そういう意味では雇用の場でどのように男女の平等を確保していくかということは非常にむずかしい問題でございます。女子にだけ短い時間にしたらいいかどうかというのは、まあ母性保護との関係もあり大変むずかしい問題でございますが、現在私どもでは、婦人少年問題審議会でこの問題を総合的に御検討いただいているわけでございますので、その御検討の結果を待って時間等についても必要な措置を考えていきたいと考えております。
○神谷信之助君 教員とかそれから保母さん、看護婦さんなんか、まあ公務員の方は育児休業制度というのが法制化できましたね。ただ民間の方で、労働省から御報告いただくと、育児休業制度の実施事業所の割合というのはまだわずか六・六%で、そのうち有給の事業所の割合というのはわずか三九%ですね。だから、全体の事業所でいうと、実際には二%ないし三%程度が有給、そういう状態です。働いておって出産をし、そして育児をするためにその間休んで育児に専念し、そしてまた働く。そこでは男性と何の差別もなしに扱ってもらえるという状態になれば、これは確かに保育所ばかりに頼らなくてもいけるという状況が生まれる。もちろん母子家庭とかあるいは低所得で働かざるを得ぬという、いろんな条件がありますから、一定の保育施設というのは必要ですけれども、そういう状況が生まれるだろうと思うんです。ただ現実にはそれがないわけですね。それがなければ何とかしなきゃならぬ。それで、児童福祉法の二十四条では、保育に欠ける子については市町村長がその保育をせないかぬ、措置せないかぬと決めています。それで、児童福祉法の第二条では、国と地方公共団体は、保護者とともに子供の保育をせないかぬということを義務づけています。そういうことで、国の責任はその場合一体どういう役割りを果たすかと言えば、保育所の運営費の八割をいわゆる措置費として補助して、市町村の財政に大きな負担がかからぬようにしていく、国もその点で財政負担を負いましょうと、こういうのがいまの児童福祉法の保育の仕組みでしょう。ところが現実には、先ほど言いましたように、育児休業制度とかいうようなものが普及をしておりませんから、したがって、どうしても保育所あるいはどこかにとにかく乳児を預けなければいかぬという事態が現実に起こっている。 私はだからこの点、厚生省だけにもっと乳児保育所をつくれと言うことだけでは、あるいは長時間保育をやりなさいと言うことだけでは、実際には婦人の労働権と同時に、厚生省がいま言ったように、子供自身の権利もありますから、だからその点での調和というか、調整がうまくいかぬだろう。だからこの辺は、自治省、それから労働省、厚生省など、関係するところが協力をして、そういう点で当面の措置、それから恒久的な屋望した措置というものをどうしても考える必要があるだろうというように私は思うんです。この点ひとつ検討しておいていただきたいと思います。 しかし現実には、いま言いましたように、長時間保育の要求が強いんです。それで京都市は、いよいよことしの四月から長時間保育を全面的に実施をする。この二、三年ずっと、数年ほどは試験的に幾つかのところでやってきたんですけれども、ことしから全面的にやろうと。で、七時五十分からですか、門をあけるのは。それで大体六時くらいまでということです。まあ通勤時間を入れますと、五時に終わって六時までに保育所へ子供を取りに行くという条件では、郊外のところは非常に困難で、六時半くらいまであけておかなければ実際にはお母さんが戻ってこれませんからね。だから、そうなりますと、今度はどうしても保母をふやさなければならぬですね。現実に、いままで試験的にこの数年京都市でやってみますと、やっぱり長時間保育をやっているところと八時半から四時までやっているところでは、職業病といいますか、疾病ですね、保母さんの疾病の発生状況というのは、長時間のところでずうっと出てきています。妊娠障害、それから腰痛、これが圧倒的に多いです。これはもう歴然と差が出てきます。ですから今度全面的にやるとすると、そういう事態を避けるためにも、保母を京都市の自前で出さないかぬ。厚生省の方は配置基準でもうそれ以上は、それでなくても足らないのにさらにふやしてくれるという状況にはないわけですね、いま。そういった点があるんですが、厚生省の方はこの点はどういうようにお考えでしょうか。現実にそういう長時間保育をやっているところは職業病がふえてきているし、それから母親の要求から言うと長時間保育をしてもらいたいと、こういう要望が強い。自治体としてはそういう要求にこたえて、そうして労働する権利、それからまた子供が成長する権利もまた保障されなければいかぬ。こういうところでそこへ踏み切らざるを得ないところへきていますがね。そういう点について、厚生省としてはどういう措置をなさるおつもりか、お答えいただきたいと思います。
○説明員(伊藤卓雄君) 私どもは、児童の福祉を預かるという立場からは、長時間保育というのは決して好ましいものとは考えておらないわけでございます。先ほど先生がお触れいただきましたように、児童福祉法というのは、国、地方公共団体の児童育成責任も規定しておりますけれども、その前に親の責任というものを規定しておるわけでございますから、やはり親がもう一度自分の子供に対する看護の問題というものを篤とお考えいただきたいということを常に強調しておるわけでございます。 ただ、今日におきます婦人労働の実態等を考えますと、余り厳密にそれだけを貫くわけにはいかないということもございますし、それから保育所の概念自体につきましても、原則として八時間の開設時間ということを最低基準で定めておりますけれども、地域の労働の実態等に応じては前後に延ばすこともあり得るというたてまえになっておりますので、その若干の延ばしの部分につきましてはやはり特別に加算をするというような形で、たとえば非常勤の保母をつけるという形で対処してきておるわけでございますけれども、そういう形でどんどん延ばしていくことが果たしていいことかどうか。便利になれば、たとえば六時からでも入れてくれるということになりますと、それにまたお母さん方が合わせて、眠い子供を引きずり起こして連れていくというようなことがあっては、果たして母にとっても子にとってもいいことかどうか、この辺は皆さんによくお考えいただきたいというふうに私どもは申し上げておるところでございます。したがって、保育所の弁護をするわけではございませんけれども、保育所に働いておる保母さんたちもやはりまたお母さんであることがあるわけでございますので、やはり一定のところで調和を図っていただくということで、どの時点から預かるかというような問題につきましては、十分保母さんなり施設長さんなり、それから地域のお母さん方とも話し合って、受け入れを決めていただくようにお願いしておるわけでございます。 ちょっとくどくなりましたけれども、そういった若干の延ばし部分につきましては非常勤の保母の加配というような形で対処しておるわけでございます。
○神谷信之助君 それじゃ、保母さんの配置基準は少し検討をされますか。たとえば、かつては毎年保母の配置基準を変えていましたね。三歳未満児は四十年度八対一、四十二年度に七対一、四十三年度には六対一、それがこのまま今日まで変わっていません、基本的には。三歳児の場合も、四十二年度三十対一、四十三年度二十五対一、四十四年度二十対一。それでこのまま今日に来ていますね。四歳児以上、これはずっと変わらずに三十対一と、こういう職員の最低基準なんです。だから現実には、私は、この基準以上に実際には保母が配置されているというのが実態だというように思うんですが、どのようにごらんになっているんですか。
○説明員(伊藤卓雄君) 現行の保母の定数基準につきましては、ただいま先生が御指摘のような比率におきまして、数次にわたる改正の後に昭和四十四年に達成したこれをずっと引き継いできておるわけでございます。専門家の意見等を徴しまして定めた基準でございまして、当面改定する考えはございませんけれども、先ほど申し上げました婦人労働の変化といったような問題に対応いたしまして、さらによりよいものを求めるというようなこともございまして、前後の延ばしであるとか休憩保母の対策であるとかそういったことも含めまして、予算措置としては今後とも拡充を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○神谷信之助君 現実には、予算措置として保母の人員を決めて、そしてやるわけですわね。そうすると、たとえば三歳児未満が二十二人おりますと、国の基準による保母の配置の数というのは三・七人と、こうなるんですね。金が来るのは。三・七人といったって、三人は保母さんだけれども、〇・七人の保母さんというのはどないするんですか。だからその保育所には四人の保母さんがいます。二十二人の三歳児未満がおれば自治体では四人の保母さんをつけるわけですよ。こういうのが幾つも出てくるんです。四歳以上ですと、四十九人おるところは一・六人というのです。そうすると、それは実際には二人保母さんを置かざるを得ぬ。端数の人間というのはおりませんからね。だから予算措置で、金の問題ではそれは計算は〇・六も出てくるでしょう。しかし、もらった金で実際に人を配置するのは、生身の人間、保母さんを配置するんですよ。だから私は、これは実態にそぐわぬ。これはずっと重なってくるわけですからね、小さいその保育所保育所ごとに。個所が多ければ多いほどそういうのがたまってくるわけですよ。 だからこういう点は実際問題として不合理なんで、次に給与の実態調査をなさるときは、保母さんの国の基準による最低基準と実際とは一体どうなっているんだというのを含めてこれは調査してもらわぬと、自治省、大蔵省それから厚生省と一緒に三省で調査をなさるとすればそれをやってもらわないと、これはにっちもさっちもいかぬというふうに思うんですが、自治省はどうですか。
○政府委員(土屋佳照君) 乳幼児保育の問題については、先ほど厚生省からいろいろお話もございましたし、なかなかそこの公的な保育ということと家庭内保育といったこととをめぐってもいろいろ問題があると思っております。ただ、いずれにいたしましても、社会情勢の進展に応じまして、長時間保育に必要な保母の数等についての国庫負担基準について、いろいろ地方団体としても引き上げを求めておるといったような実情もございます。そういったこともございますので、私どもといたしましても、国の政策的な判断にかかわるものであるという点はございますけれども、今後社会経済の進展や住民のいろいろな要請の変化等に即応しまして見直しを行うということはしなけりゃならぬと思っております。 そういった意味で、給与の問題も先ほど御指摘をいただきましたけれども、なかなかこの実態は把握がむずかしい。保育に欠けるというのは一体どうなのか、そこらむずかしい点があろうかと思いますけれども、御指摘の問題等も踏まえまして、よく関係省庁と相談をしてみたいと思っております。
○神谷信之助君 もう時間が過ぎたようですから、最後に大臣に要望しますが、先ほど冒頭に指摘をしましたように、自治省でも、厚生省関係の補助の問題については、合理的な説明ができないようなそういう超過負担がきわめて多いというて公然と指摘もしているわけです。現実に自治体が行政をやる上で、特に大都市そして近郊都市ですね、人口の急激に増加をしているところ、こういうところでは核家族化が一層進んでいるし、そして保育の要求というのは非常に根強いし、そしてまた、共働きの家庭もうんとふえてきておりますしね。さらにはまた社会進歩に貢献をするという、そういう腰かけではない婦人労働者もどんどんとふえているわけです。そういう状況で、国の基準に基づく措置費だけではもうとうていたえ切れないということで、どこの自治体もみずからの財源を出してその要求にこたえているのが実態なので、ひとつぜひこの給与単価の問題、それから保母さんの人数の問題、これらの実態についても調査をしてもらって、そして、こういう地方財政法十八条に違反をするような措置が国の行政の中でまかり通っているというようなことのないようにしてもらいたい。 しかもこれは婦人の労働権、特に婦人が男子と同じような社会的地位、それから職務上の地位といいますか、そういったものも含めて向上する運動が全世界的にも行われているわけですから、そういう点で政府の方も関係者の方は努力をされているわけなんで、そういった点も含めて、この辺ひとつ大臣に積極的に、厚生大臣や労働大臣あるいは大蔵大臣に話しかけて、ひとつ事態の——毎年ちょびっとずつは改善されているんですよ、だからそれは否定しないんです。この時期にやっぱり思い切って前進をさしていただくことを要望したいと思うんですが、最後にひとつお願いをしておきます。
○国務大臣(後藤田正晴君) 幼稚園の問題、保育所の問題、おのおのこれは交通整理もして、ことにまた保育所の問題については大変住民の需要が多い、それになかなかついていけない。ことに乳児保育等の問題をめぐっては、御説のような長時間保育、それに伴っての人が足りない、あるいはまた保母さん自身の待遇も不十分だと、まあいろいろの課題がたくさんあるように思います。これらの点については、御説を踏まえまして、また関係省庁とよく相談をしながら検討をし、逐次改善措置を講じてまいりたいと、かように思います。
○理事(金丸三郎君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。 —————————————
○理事(金丸三郎君) 地方税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。後藤田自治大臣。
○国務大臣(後藤田正晴君) ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨につきまして御説明を申し上げます。 明年度の地方税制につきましては、現下の厳しい財政事情と地方税負担の現状にかんがみ、税負担の適正合理化と既存税制による税源の充実確保を図ることを基本として、個人住民税の課税最低限を引き上げるとともにその減収に対処するため市町村民税の所得割の税率適用区分に所要の調整を加え、個人住民税均等割及び事業所税の税率を引き上げ、不動産取得税の非課税等の特別措置の整理合理化を行い、ガス税の免税点を引き上げる等の措置を講ずることとするほか、地方道路譲与税の譲与の基準を改めるとともに、公社有資産所在市町村納付金に係る納付金算定標準額の特例について整理合理化を図る等の必要があります。 以上がこの法律案を提案いたしました理由でございます。 次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。 第一は、地方税法の改正に関する事項であります。 その一は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。まず、個人の所得割につきましては、低所得者層の負担の軽減を図るため、課税最低限の引き上げを行うこととし、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除の額を二十二万円に、老人扶養控除の額を二十三万円にそれぞれ引き上げるほか、新たに同居老親等扶養控除を設け、その額を二十六万円とすることといたしております。また、障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除の額をそれぞれ二十一万円に引き上げるとともに、特別障害者控除の額を二十三万円に引き上げることといたしております。なお、これら課税最低限の引き上げ等による減収に対処するため、市町村民税の所得割の税率適用区分に所要の調整を加えることといたしております。 さらに、短期譲渡所得の課税の特例につきましては適用期限の定めを廃止することとし、長期譲渡所得の課税の特例につきましては昭和五十六年度以後、特別控除後の譲渡益の金額の区分及びこれに応ずる税額算定の方法を改めることとした上、適用期限の定めを廃止することといたしております。 次に、個人の均等割につきましては、地方公共団体の行政サービス水準の上昇、物価水準の変動等を考慮して、道府県民税の標準税率を二百円、市町村民税の標準税率を三百円それぞれ引き上げるとともに、市町村民税の制限税率を四百円引き上げることといたしております。 その二は、不動産取得税についての改正であります。不動産取得税につきましては、国民の持ち家志向にこたえつつ、より良質な住宅への住みかえを促進することにより居住水準の向上を図るため、一定の要件を満たす既存住宅及び土地について新築住宅の課税標準の特例措置等に準ずる措置を講ずることとする一方、標準的な水準を超える新築住宅及びその土地を特例措置の対象から除外する等、特別措置の整理合理化を行うことといたしております。 その三は、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税についての改正であります。たばこ消費税につきましては、たばこの定価改定に伴って予想される税収の変動の平準化を図るため、昭和五十五年度及び昭和五十六年度における製造たばこの売り渡し本数について、所要の補正を行うことといたしております。 その四は、固定資産税及び都市計画税についての改正であります。固定資産税及び都市計画税につきましては、外国貿易用コンテナに係る課税標準の特例措置等の整理合理化を行うほか、原油備蓄施設に係る課税標準の特例措置の適用期限を延長することといたしております。 その五は、電気税及びガス税についての改正であります。 まず、電気税につきましては、産業用電気に係る非課税措置の見直しを行い、二品目に係る非課税措置を廃止することといたしております。 また、ガス税につきましては、住民負担の軽減を図る見地から、免税点を一万円に引き上げることといたしております。 そのほか、専修学校において直接教育の用に供する電気及びガスを非課税とすることといたしております。 その六は、自動車取得税についての改正であります。自動車取得税につきましては、地方道路財源の確保を図るため、軽自動車以外の自家用自動車に係る税率等の特例措置の適用期限を三年延長することといたしております。 その七は、事業所税についての改正であります。事業所税につきましては、都市環境整備事業に係る財政需要の増大等の状況を考慮して、資産割に係る税率を一平方メートルにつき五百円に、新増設に係るものの税率を一平方メートルにつき六千円に、それぞれ引き上げることといたしております。 その八は、国民健康保険税についての改正であります。国民健康保険税につきましては、被保険者の所得水準の上昇等を勘案して、課税限度額を二十四万円に引き上げることといたしております。 第二は、地方道路譲与税法の改正に関する事項であります。 地方道路譲与税につきましては、現行法上、地方交付税における収入超過団体について一定の譲与制限が行われておりますが、収入超過団体における財政状況等を考慮して、その譲与制限のうち、前年度の譲与額に政令で定める率を乗じて得た額を譲与の限度としている部分を廃止することといたしております。 第三は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正に関する事項であります。 日本国有鉄道に係る市町村納付金につきまして、車庫関連構築物に係る納付金算定標準額の特例措置の縮減を図るほか、日本国有鉄道が政府の補助を受けて、なだれ、落石等による災害の防止または海岸等の保全のために敷設した構築物について特例措置を講ずることといたしております。 このほか、地方税制の合理化を図るための所要の規定の整備を行っております。 以上の改正の結果、明年度におきましては、個人住民税の課税最低限の引き上げ等により九百五十四億円の減税を行う一方、市町村民税所得割の税率適用区分の調整、個人住民税均等割及び事業所税の税率の引き上げ等により二千百二十二億円の増収が見込まれておりまするので、差し引き千百六十八億円の増収となる見込みであります。 以上が地方税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○理事(金丸三郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。石原税務局長。
○政府委員(石原信雄君) ただいま説明されました地方税法等の一部を改正する法律案の主要な内容につきまして、お配りしております新旧対照表により、補足して御説明申し上げます。 第一は、地方税法の改正であります。 まず、道府県民税の改正であります。 第三十四条第一項第六号から第九号までの改正は、障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除の額を現行の十九万円から二十一万円に、特別障害者控除の額を現行の二十一万円から二十三万円にそれぞれ引き上げようとするものであります。 第三十四条第一項第十号及び第十一号並びに同条第二項の改正は、基礎控除及び配偶者控除の額を現行の二十一万円から二十二万円に、扶養控除の額を現行の二十万円から二十二万円に、老人扶養控除の額を現行の二十一万円から二十三万円にそれぞれ引き上げようとするものであります。 なお、基礎控除の額等の引き上げによって、住民税の課税最低限は、夫婦子二人の給与所得者の場合、現行の百四十九万円から百五十八万四千円に引き上げられることとなります。 第三十四条第三項及び第五項の改正は、扶養控除の額が基礎控除及び配偶者控除の額と同額となることに伴い、配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族に係る扶養控除を一般の扶養控除に吸収するとともに、新たに、同居している自己または配偶者の直系尊属が老人扶養親族に該当する場合には同居老親等扶養控除二十六万円を適用しようとするものであります。 第三十八条の改正は、個人の均等割の標準税率を現行の三百円から五百円に引き上げようとするものであります。 次は、事業税の改正であります。 第七十二条の二十二第四項の改正は、環境衛生同業小組合を特別法人に加えようとするものであります。 次は、不動産取得税の改正であります。 第七十三条の五の改正は、農用地開発公団から譲り渡しを受けた八郎潟新農村建設事業に係る土地及び石炭鉱業合理化事業団が買収する鉱業施設の取得に係る非課税措置を廃止しようとするものであります。 第七十三条の十四第一項から第四項までの改正は、新築住宅に係る課税標準の特例措置の対象を一定の要件に該当する住宅に限定するとともに、借家等の居住者が取得する一定の既存住宅について、新築住宅の課税標準の特例措置に準ずる特例措置を講ずることとし、この場合、これらの特例措置は、住宅の取得者からこれらの特例措置の適用があるべき旨の申告があった場合に限り、適用しようとするものであります。 第七十三条の十四第六項及び第十二項の改正は、森林組合等が林業等振興資金融通暫定措置法に基づく資金の貸し付けを受けて取得する一定の共同利用施設及び日本勤労者住宅協会が取得する一定の業務の用に供する土地について課税標準の特例措置を講じようとするものであります。 第七十三条の二十四の改正は、新築住宅の用に供する土地に係る不動産取得税の減額措置の対象を一定の要件に該当する住宅に係る土地に限定するとともに、一定の既存住宅の用に供する土地についても、新築住宅の用に供する土地の不動産取得税の減額措置に準ずる減額措置を講ずることとし、この場合、これらの減額措置は、徴収猶予がなされた場合等を除き、土地の取得者からこれらの減額措置の適用があるべき旨の申告があった場合に限り適用しようとするものであります。 第七十三条の二十五から第七十三条の二十七までの改正は、既存住宅の用に供する土地についても、その取得の日から一年以内の期限を限って、減額相当額の徴収猶予を認めようとすることに伴う規定の整備であります。 次は、狩猟者登録税の改正であります。 第二百三十七条第一項の改正は、道府県民税の所得割額の納付を要しない者のうち一定の被扶養者を軽減税率の適用対象から除外しようとするものであります。 次は、市町村民税の改正であります。 第三百十条の改正は、個人の均等割の標準税率を、人口による市町村の区分に応じて、現行の千七百円、千二百円または七百円からそれぞれ二千円、千五百円または千円に引き上げるとともに、その制限税率をそれぞれ二千六百円、二千円または千四百円に引き上げようとするものであります。 第三百十四条の二の改正は、道府県民税と同様でありますので説明を省略させていただきます。 第三百十四条の三及び第三百二十八条の三の改正は、市町村民税の所得割について、税率の適用区分に所要の調整を加えようとするものであります。 次は、固定資産税の改正であります。第三百四十八条第二項の改正は、農林漁業団体職員共済組合の保健施設の用に供する固定資産に係る非課税措置を廃止しようとするものであります。 第三百四十九条の三第二項、第十六項及び第二十五項の改正は、車庫関連構築物及び一般自動車道構築物に係る課税標準の特例措置を縮減しようとするものであります。 次は、電気税及びガス税の改正であります。 第四百八十九条第一項の改正は、硫化鉱及び二硫化炭素に係る電気税の非課税措置を廃止しようとするものであります。 第四百八十九条第九項及び第四百八十九条の二第二項の改正は、専修学校において直接教育の用に供する電気及びガスについて非課税としようとするものであります。 第四百九十条の二第二項の改正は、ガス税の免税点を一万円に引き上げようとするものであります。 次は、特別土地保有税の改正であります。 第五百八十六条第二項及び第六百一条第一項の改正は、過疎地域対策緊急措置法の失効等に伴う規定の整備をしようとするものであります。 次は、事業所税の改正であります。 第七百一条の四十二の改正は、資産割の税率を一平方メートルにつき五百円に、新増設に係るものの税率を一平方メートルにつき六千円にそれぞれ引き上げようとするものであります。 次は、国民健康保険税の改正であります。 第七百三条の四第四項の改正は、課税限度額を二十四万円に引き上げようとするものであります。 次は、附則の改正であります。 附則第四条及び第五条の改正は、個人の道府県民税及び市町村民税について、株式等の配当所得に係る課税の特例措置を三年度間、証券投資信託の収益の分配に係る配当控除の特例措置を三年間それぞれ延長しようとするものであります。 附則第八条及び第九条の改正は、租税特別措置法の改正に伴う規定の整備であります。 附則第十条の改正は、地方住宅供給公社から当該公社が組織変更前に取得していた住宅及び土地の譲り渡しを受けた場合の不動産取得税の非課税措置を廃止しようとするものであります。 附則第十一条の改正は、不動産取得税について、特定船舶製造業安定事業協会が特定船舶製造業者から買い入れる一定の不動産に係る課税標準の特例措置を廃止し、農業委員会のあっせんによる農地の交換分合に係る農地、日本自動車ターミナル株式会社が直接その本来の事業の用に供する家屋、都市計画において定められた路外駐車場の用に供する家屋及びフェリー埠頭の用に供する家屋の取得に係る課税標準の特例措置を縮減するとともにその適用期限をそれぞれ二年延長し、たばこ耕作組合等が日本専売公社の補助を受けて取得する共同利用施設に係る課税標準の特例対象に土壌改良用施設等を加え、国の行政機関の作成した計画に基づく政府の補助を受けて取得した農林漁業者の共同利用施設に係る課税標準の特例措置の適用期限を二年延長しようとするものであります。 附則第十一条の二の改正は、第七十三条の二十五から第七十三条の二十七の改正に伴う規定の整備であります。 附則第十一条の三の改正は、昭和四十八年度において農地保有合理化法人が水田買い入れ事業として農地を取得した場合における不動産取得税の納税義務の免除に係る期間をその取得の日から九年以内としようとするものであります。 附則第十二条の二の改正は、昭和五十五年度分及び昭和五十六年度分の道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税に限り、課税標準算定の基礎となる額に乗ずべき製造たばこの本数については、製造たばこの本数に一定の率を乗じて得た本数としようとするものであります。 附則第十五条の改正は、外国貿易用コンテナー、カーフェリー埠頭、職業訓練法人の職業訓練施設及び野菜供給安定基金の保管施設に係る固定資産税または都市計画税の課税標準の特例措置を縮減するとともにその適用期限をそれぞれ二年延長し、原油備蓄施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を二年延長しようとするものであります。 附則第三十一条の二第二項の改正は、旧過疎地域対策緊急措置法による過疎地域内における一定の工場用地について、同法の失効後も引き続き特別土地保有税を非課税としようとするものであります。 附則第三十二条の改正は、自動車取得税について、地方生活路線バスに係る非課税措置の適用期限を二年延長し、自家用の自動車の取得に係る税率及び自動車の取得に係る免税点の特例措置の適用期限を三年延長しようとするものであります。 附則第三十二条の三第二項の改正は、地域振興整備公団が造成した土地の譲渡を受けて設置した事業所等に係る事業所税の非課税措置の適用期限を昭和五十六年十一月十二日まで延長しようとするものであります。 附則第三十四条から第三十四条の三までの改正は、長期譲渡所得に係る道府県民税及び市町村民税の課税の特例について、昭和五十六年度以後、特別控除後の譲渡益四千万円以下の部分は道府県民税百分の二、市町村民税百分の四の税率により、特別控除後の譲渡益四千万円を超える部分は譲渡益四千万円を超え八千万円までの部分の二分の一と譲渡益八千万円を超える部分の四分の三との合計額を総合課税した場合の上積み税額により課税することとした上、適用期限の定めを廃止しようとするものであります。 附則第三十五条第一項の改正は、短期譲渡所得に係る道府県民税及び市町村民税の課税の特例について、適用期限の定めを廃止しようとするものであります。 附則第三十五条の二の二第一項の改正は、個人の市町村民税について、農業生産法人に農地等を現物出資した場合の譲渡所得に係る納期限の特例措置の適用期間を昭和五十七年度まで延長しようとするものであります。 第二は、地方道路譲与税法の改正であります。 第二条第三項の改正は、地方交付税法における収入超過団体に係る地方道路譲与税の譲与基準について、前年度の譲与額に政令で定める率を乗じて得た額を譲与の限度としている部分を廃止しようとするものであります。 第三は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正であります。 附則第十七項の改正は、日本国有鉄道の車庫関連構築物に係る市町村納付金の納付金算定標準額の特例措置を縮減するとともに、政府の補助を受けて敷設するなだれ、落石等対策のための構築物に係る納付金算定標準額の特例措置を創設しようとするものであります。 以上でございます。 —————————————
○理事(金丸三郎君) 次に、地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。後藤田自治大臣。
○国務大臣(後藤田正晴君) ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案の提案理由とその趣旨を御説明申し上げます。 今般の電気料金の改定に伴い、住民負担の軽減を図るため、電気税の免税点を二千四百円から三千六百円に引き上げようとするものであります。 この改正により、平年度百五十五億円の減税を行うこととなります。 以上が地方税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○理事(金丸三郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。 両案に対する質疑は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十分散会 —————・—————