社会労働委員会 第6号
- 発言数
- 188 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1980/04/09
会議録
○委員長(久保亘君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨八日、山中郁子君が委員を辞任され、その補欠として橋本敦君が選任されました。 —————————————
○委員長(久保亘君) 次に、労働問題に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○安恒良一君 労働行政一般についてきょうは質問をする日でありますが、御承知のように春闘がまさにたけなわという状況でございますので、きょうは主として、私に七十分の時間が与えられておりますから、まず春闘問題を申し上げ、時間があれば労働行政全体について御質問をしたいと思います。特にお忙しい中に官房長官に御出席を願っておりますから、官房長官にかかわることだけ先に取り出してやるのは大変やりにくいんですが、一応官房長官の時間もありますのでそういうやり方で少しちぐはぐ、相前後することがあると思いますが、その点は御了解を願いたいと思います。 昨日も衆議院の社労委員会の中で、これは主として労働大臣に対して春闘問題についての質疑が同僚委員から展開をされています。新聞によりますと、きょう金属共闘全体に対する、いわゆる鉄鋼、電機、出動車等々に回答がされる、こういうような状況になっていますが、きょうの新聞を拝見しますと、何か公労協に対する回答も少し早めるようなお考えのようでありますから、まず、政府関係に関係しますところの公労協等の回答についてはいつごろおやりになるつもりか、またどんなお考えをお持ちなのか、このことについてちょっと先にお聞きをしておきたいと思います。
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。 いま公労協のお話が出たわけでございますが、関係各省の担当者集まりまして、いま春闘についてどういう情勢になっているかというようなことの報告とかがありましたことを私も聞いております。 回答でございますが、これは三公社五現業の方からそれぞれ大臣の方に出てくるわけでございますが、それを閣僚協でみんな関係大臣で持ち寄って、それに対して返事をするということに私は現実の問題としてなると思うわけでございます。大体いまのところは私鉄あるいは金属労協、その他民間の労組との交渉の結果が出てくるわけでございますから、そういうものを参照して適当な時期にそういうお答えをするということになるんではなかろうかというふうに思っているわけでございますが、まだ最終決定はしておりませんので、いつどうだとぴっしゃりは申し上げかねるのでございます。要するに金属労協の答えも出る、民間の団体の交渉の結果も出てくるというものを踏まえまして、いまのその辺のところで適当なときを見計らってそういうお答えをするということになるだろうと思いますが、何日の午前だ、午後だとか、そういうことまではまだぴっしゃりは決めておりません。
○安恒良一君 きょうの朝刊を拝見しますと、何か関係閣僚の皆さん方もきょう金属労協に対する回答が出ることは事実だ、問題は、私鉄の回答が回答指定日である十日に出るかどうかわからぬけれども、場合によっては、それは出なくても、公労協だけは十一日なら十一日に回答するようなことが報道されています。それは間違いですか。
○国務大臣(伊東正義君) ぴっしゃり何日の午前とか午後とか決めているわけでなくて、これから労働大臣その他関係大臣とよく御相談をして決めなければいかぬというふうに思っておりますが、大体先生のいま御質問になりましたことも有力な意見として出ているわけでございまして、ぴっしゃり最終決定ではございませんが、先生のおっしゃったことは非常に有力な意見として出ておりますということだけは確かでございます。
○安恒良一君 そこで、春闘全体と政府の関係について御質問したいのでありますが、昨日も衆議院の社労におきまして賃金問題の決定に対する政府の介入について労働大臣から、そういう事実は全くない、またそういう意思もないと、こういうお答えになっております。しかし、過去の春闘で、これは私自身もまだ議員になって新しくて、春闘の渦中におった者の一人でありますが、御承知のように公労協の賃上げがさらに国家公務員の賃上げに影響してくるわけですね。これを抑制するため、それと重要な関連のある産業、たとえば私鉄の賃金を運輸省、労働省の幹部が抑え込みにかかる、こういう介入の事実をよく私は身をもって感じたことがあるわけです。特に私鉄の労使交渉の中で経営者の口から、運輸省とか労働省からの介入とは言いませんけれども、指導といいますか、そんな言葉が出て実際は回答がしにくいんだと、こういうことがしばしば出るわけです。でありますから、こういう点についてあなたたちは介入はしないとおっしゃると思いますが、指導という事実があるのかどうか。いま言ったように公労協、公務員にはね返るという意味で、たとえば私鉄の賃金なら賃金に対して、監督官庁である運輸省を通じたりもしくは賃金全体の所管庁である労働省にそういう動きがあるのかどうか、この点が一つ。 それからいま一つ、これもお聞きをしたいのでありますが、たとえばきょう鉄鋼に回答があるんでありますが、これも鋼材値上げ二%との関連で、鉄鋼をできるだけ低目に抑える。そうすれば自動車、電機とこれを連動させる。そうしまして、それはさらに電力、私鉄の賃上げ抑制という形で進めていけるということで、結局いまの時期に鋼材の値上げ一一%、これはいろいろ問題があると思います。ありますが、そういうものが出てまいりますと、それをいいことにという表現がいいのかどうかわかりませんが、それとの関連の中に、どうも政府は介入しない、しないと言いながら、たとえばいま言ったような鋼材値上げと鉄鋼の賃上げという問題についてのいろいろな介入があるやに私どもは聞いているわけですが、以上の点についてひとつ官房長官、労働大臣の所見を承りたいと思います。
○国務大臣(藤波孝生君) 賃金問題は、言うまでもなしに労使の間の自主的な交渉によって解決されるべきものでございまして、あくまでも労使の話し合いによって合理的な解決を見出すというために、それぞれのお立場で御努力をいただくわけでございます。 いまお聞きをいたしておりまして、なるほど介入するとすればそういう介入の仕方があるのかなと、教えていただいたような感じがいたしますけれども、そういうような気持ちは全くいままで事実もありませんし、また介入してはならないというふうにむしろ厳に戒めて、労使の交渉を見守るという立場を厳正に守っておるつもりでございます。 また、お話のございました、指導と称するいろいろな別の形の介入のような形もあるのかもわかりませんけれども、そのことにつきましても指導と称して、労使のそういった自主的な話し合いに入っていく気持ちは毛頭ありませんし、あくまでも労使の話し合いを見守る、こういう立場で従来もきておりますし、今春闘におきましてもそういう姿勢を厳正に守っていきたい、このように考えておる次第でございます。
○国務大臣(伊東正義君) いま労働大臣から名答弁がございまして、なるほどうまい答弁だなと思っております。そういう介入の方法もあるのかなと、教えてもらったような名答弁があったのでございますが、私も初めての経験でございまして、いままでこういう問題にはかかわったことがないのでございますが、労働大臣からおっしゃったとおり介入すべきものじゃございませんし、それこそ労使の間で自主的に決められることでございますし、私もそういう意思は全然ございません。そういうことをやって、公務員の賃金にいかにも影響させることがあるかのような御質問があったのですけれども、公務員は御承知のように人事院の勧告がございますし、これを尊重していくという立場でございますし、労働大臣と同じ考え方でございます。
○安恒良一君 そういう答弁は名答弁と言わないでおとぼけ答弁というわけですね、これは私の意見ですが。 そういうことになりますと、しばしば私鉄の労使交渉の場において、いわゆる運輸省からの指導とか労働省からの指導ということがあることは、これは全部経営者がうそを言っている、こういうふうに受けとめていいわけですね。これは去年もありましたし、ことしはまだこれからやるんですが、去年もおととしも常にそういう言葉が正式の労使交渉の場でもいろいろ出てくるわけです。そうすると、それは全く私企業の経営者が運輸省や労働省をダシにしてうそを言っている、こういうふうに受け取っていいわけですか。
○国務大臣(藤波孝生君) 政府といたしましては、労使の交渉に介入したり指導したりするという事実はいままでなかったと思いますし、今春闘におきましても十分そのように心得てまいりたいと思います。
○安恒良一君 いや、私が聞いていることは、過去においてそういうことが交渉の席上でしばしば言われているが、それは一方的なうそを言っているというふうに思っていいんでしょうかと、そのことを聞いているんです。
○国務大臣(藤波孝生君) どういった具体的な話し合いが行われ、どういった発言が行われておるかということを詳しく存じておりませんけれども、政府といたしましては介入をした事実はございませんし、これからもそのようなことは厳に心得てまいりたいと思っております。
○安恒良一君 それでは、まだ介入問題は後続きますが、ただ官房長官はお忙しいようですから、官房長官にかかわることだけ先に一つだけやって官房長官には御退席願って、その問題をさらに続けていきたいと思います。 実は、春闘共闘の代表が大平総理に物価問題、これは国民的要求の重要な課題、物価問題で会見申し入れをしています。これは槇枝議長を初め中立労連の竪山さん等春闘共闘の幹部。そうしましたら、一度は要請を受け入れられたわけです。ところがその後になりまして、春闘の闘いの一環としての行動の中で会見はできない、こういうことで申し入れを拒否をされたという事実がございます。ところが一方、大平総理は政策推進労組会議と会見をされていますし、また官房長官も統一懇ですね、これはいま総評の中で組織実態の問題でいろいろもめているわけですが、組織実態が不明だということで。これと二回もお会いになっています。 私は、大平総理が政策推進労組会議とお会いになったことをけしからぬと言っているんじゃないんです。私は非常に結構なことだと思うんです。また、官房長官がそういう判断をされたというのは、そのことは官房長官なりの判断だろうと思います。にもかかわらずに物価問題でこれは三月の十九日ごろですが、非常に電気料金その他重要な問題があったときですから、どうしてもいわゆる政府側と、総理とお目にかかりたいということに対して、闘いの一環なんて言って、ストライキをやっているわけでも何でもないわけです。ストライキに入ったのは四月からですからね。そういうときに、しかも一遍オーケーを与えておきながら、どこからどう横やりが入ったか知りませんが、お断りになった、これは大変私は遺憾なことだと思うんです。 皆さん方は、春闘には介入しないと言っても、しばしば春闘が円満に解決できるようにと、特にことしの場合に物価との関係等があって春闘が円満に解決できるように、これは総理以下官房長官もお持ちだと思うんです。そういう中で、この物価問題で会いたいということに会われなかったという点については大変遺憾であります。私は、起こってしまったことはやむを得ないと思いますが、今後は機会を見て、それから問題点によってどんどん総理がお会いになる、そして広く意見を聞かれて事態が円満に解決できるような努力をされるべきだ、こう思いますが、一連のいきさつと、特に起こったことは、いままでのことはやむを得ませんから、今後のあり方について官房長官の御意見を承りたい、こう思います。
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。 私の名前も出まして、統一懇にお会いしたというような御質問があったのですが、私はたてまえとして、だれでも来られる方はどこでも会いますよと言って、私はだれにでも会っているのでございますが、たまたま地元からの陳情があるから来てくれと言われまして、地元の陳情を伺うのだと思って行ったところが、それが次の日の新聞に、統一懇に会ったといってでかく出ましたので、ややと思って、後で私は驚いたのです。そういうわけじゃなくて、地元の陳情だということで実は行ったのでございます。しかし、それはそれとして終わったことでございますからそんなことはどうでもいいのですが、私はなるべくお会いして御意見を聞くということをやっておるわけでございます。 たまたま三月十九日は、春闘共闘の方々には私がかわってお会いをしたのでございます。総理のところにはその前に各党の国会対策委員長でしたか、お見えになりまして、その話を総理は聞いたわけでございますが、またそれからしばらくたって、同じ問題でございましたので、総理が都合がございましたので、私がかわって実は春闘共闘の方にお会いをしたわけでございます。総理の都合のつく限りなるべく、いま先生おっしゃったように、話を聞けとおっしゃることはよくわかりますので、総理に安恒先生の御意向をそのままきょうこれから伝えます。ただ、なかなか総理も忙しいものですから、私がかわってお会いすることが多い、そしてその御意向を総理に伝えるということで大体いままではやっておりますので、過去のことは申し上げませんが、いまの御希望の点は、こういう御意見があったということは総理にそのままお伝えしますし、また将来も、なかなか日程がとれぬで、私がかわってお会いすることがあっても、けしからぬと怒らぬようにひとつお願いを申し上げます。
○安恒良一君 いや、私も総理がお忙しいことを知っていますし、総理がお目にかかれないときに官房長官がお目にかかられることを決してけしからぬと言っているわけじゃないんです。ただ、御承知のように春闘共闘八百七十万、それから政策推進労組会議五百万なんですね。同じ物価問題で懇談を申し入れたときに、私は政策推進労組会議の皆さんと懇談されたのは非常に結構だと思いますが、一方、春闘共闘の方だけは、率直に言ってわが党の国対委員長を通じてお話しをして、よかろうということになっておったんです。それがその後、急速に総理の御都合がつかないということであなたになったわけです。 そうしますと、それには非常な何か差別があるんじゃないかという印象を持つことは、私は大平内閣のためにもよくないと思います。そう思いますから、おやりになるなら公平にそういうことはおやりになるし、そしてできるだけ問題も、物価問題でお目にかかりたい、国民的要求課題でお目にかかりたいと、こういうことに限定をして申し入れをしておりますから、このときにどういう御都合があったか知りませんが、総理が断られて官房長官になった点は、大変春闘共闘側としては遺憾の意を持っておることは事実なんです。そういう意味で私は申し上げておるわけでありますから、どうか今後は機会を見て、それから問題によって、それは政府の立場でお目にかかれない問題もあることは私もよく知っています。しかし、こういう物価問題とか国民的な諸課題とか、そういう問題については機会をとらえて会って十分話し合う、これが私は一番いいことだと思いますから、そういう角度でひとつ御努力を願いたい、こういうことを言っているわけです。
○国務大臣(伊東正義君) 一言だけお答え申し上げておきます。 政策推進労組会議にお会いしたのは、これは党の方の部会や何かの関係もありまして、党の方も実はお会いしたのです。それで、党もみんな役員が会っているので、総裁としてもということでお会いしたのでございます。 それから、春闘共闘の問題は、いま先生もお話が出ましたように、国対の委員長を通してお話がございまして、それが各党の今度は国対委員長と何かお会いするというような、いろいろな話があのときこんがらがって、そして、結局先生のおっしゃったような結果になったわけでございまして、何も片方は会う、片方は会わないという、そういう他意のあることじゃなかったことだけは御了承願いたいと思うんですが、今後の問題につきましては総理にも御意向はよく伝えておきます。
○安恒良一君 それじゃ官房長官、結構でございます。 そこで、官房長官には御退席を願ったのですが、私は政府の春闘介入問題の具体的な実例の一つとしてひとつ問題をお聞きをしたいんですが、いまも、全く介入する気はない、あくまで労使で自主的に決めてもらいたい、こういうことでありました。 そこでお聞きをしたいんですが、通産省がお見えになっていると思いますが、電気料金の大幅値上げをめぐりまして、賃金の算定について、料金算定について賃上げ予算を七・五ないし七・三、これはどちらが正確なのかわかりませんが、そういう申請を出しておった。ところが、通産省は査定の段階で電気料金の中の賃上げ分を五・五%に削減をされた。その結果、いま電気の労働組合はこの春闘の中で、賃闘と言っていますが、賃上げ闘争の中で労使交渉が進められている中で、当初考えておったのが料金査定の過程において五・五に削減をされたということで大変交渉がいま難航している、こういうふうに私どもは聞いているわけなんであります。でありますから、介入しない、しないと言いながら——それはなぜかというと、電気の賃上げが幾らになるかということ、これも非常にまだ私鉄にも関係しますし、それから公労委の作業をされるときに一つの作業要素のウエートの中に大きい要素を占めているわけです。こういうところが幾ら上がるかというのは公労委の作業のときに大きな作業要素の一つになっているわけですから、こういう意味からいいまして、どうもあなたたちは模範答弁的に、そんな道があるのかなあととぼけておきながら、現実には各省を通じてそういうことが行われていると思いますが、この電気料金の査定をめぐっての賃上げ問題についての通産省のとった態度、考え方、こういうことについて聞かしてください。
○政府委員(安田佳三君) 今回の電気料金の査定におきます人件費のあり方について御説明申し上げます前に、電気料金全般についてちょっと触れさせていただきたいと思います。 電気料金は、国民生活にきわめて大きな影響がございます。そういうことがございますので、私どもといたしましては、電気事業の健全な発達を図るという観点と同時に、電気の使用者の利益を保護するという観点も非常に強く意識したわけでございます。また、物価問題が非常に大きな国民的な問題となっておりますだけに、この電気料金の取り扱いにおきましては、政府部内におきましても、特に経済企画庁と事前に十分協議をいたしまして査定を行ったところでございます。そういうことでございますから、原価要素の各項目にわたりまして、これはどちらかと申しますと電力会社にとっては非常に厳しいと思われるような厳正な査定をいたしたところでございます。人件費につきましても、これは他の諸経費と同様に厳正に査定をいたしました。 査定の内容といたしましては、基準賃金の上昇率につきまして、五十五年度におきましては主要公共料金関連事業の五十四年春の平均決定値というものによりまして査定を行ったわけでございます。申請は七・三%の申請でございました。そして、その査定の方針はいま申し上げたとおりでございますが、具体的な数字が何・何%であるかという点につきましては、これはいろいろ影響するところもあろうかと思いまして、なるべくこれを申し上げるのを控えさせていただいているところでございます。そういう状況でございますが、実際の貸金というものは、先生御指摘のように、あくまでも労使間の話し合いというものによりまして決定されるべきものだというふうに考えております。 では、料金にはどうしてそういう数値を入れたかということでございますが、これは料金上の見込み値でございます。これは料金原価を算定するための、それだけを目的といたしまして想定した値でございまして、労使間の話し合いを拘束するというようなものでないことは言うまでもないことでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この料金の査定結果を新聞発表等をいたします場合におきましても、そういうことを意識しまして数値についても申し上げませんし、また、賃金自体は労使間の話し合いで決まるということを説明としてつけ加えたわけでございます。 なお、現在行われております電力労使間の話し合いの内容については、当省はそういう観点から全く関与いたしておりませんし、また内容も承知いたしておりません。
○安恒良一君 私は、電力料金が原価主義ということで国民生活に影響を与えるから厳しい査定をされた、そのことについて意見を言っているわけじゃないんです。それは私は、そういう態度を貫かれると。ところが、賃上げを予算で七・三%の申請に対して通産省は査定段階で五・五%に削減をされたと。あなた言いたくないと言うけれども、国会ですから、ここで原価主義の議論をしているんだから。五・五%に削減をされた、そして、それはいまあなたが言われたように五十四年の賃上げの平均ですか、それをとったということですが、そこのところをもう一遍ちょっと説明してください。五十四年の主要な産業、どういうところの賃金の平均をとられたのか、そのことについて。
○政府委員(安田佳三君) まず、その査定値につきましては、私鉄等の主要公共料金関連事業の五十四年春の平均決定値を料金査定上の基準賃金のアップ率として採用したわけでございます。 なお、原価主義についてお話しになりましたので、原価主義について申し上げますと、これはあくまでも五十五年度の想定値でございます。これは人件費ばかりでなしに、そのほかの項目につきましても、企業に対しまして最大限の経営努力を求めるという観点から、たとえば卸売物価の上昇見込み等につきましても通常の数字よりは相当厳しい数字をとっております。
○安恒良一君 時間がないから聞いたことだけ答えてください。電気料金のことを審議しているわけじゃない。そんなことはよう知っているんだから。 私が聞いていることは、五・五という査定は、いまあなたが言われたように主要公共料金関連事業の中で査定をした、こういうことですね。そうすると、そこでもう一回念を押しておきますと、それはあくまでも電力料金を計算をするためのこと。というのは、五十四年の平均値で五十五年の賃金を見るというのはもう無理な話なんです、状況が全然違っているんですから。五十四年と五十五年では状況が全然違っています。ですからそのこと自体が無理な話だから……。 そうすると、あなたの御説明では、それはあくまでも電力料金を算出するためにそういう方便をとっただけであって、五十五年度賃上げがどう決まるかということとはもう全然関係がない、あくまでも賃上げは電気の労使で決められることである、こういうことでいいわけですな。——はい、わかりました。そういうことだということですが、事実上、電気の経営者側は、通産省の査定がこういうことになったということが五十五年度の電力料金の中で人件費の上昇分はこれだけだ、こういう説明になってくるわけですね。ですから私は、やはりこういう点についてもよほど注意をしてやってもらわないと、いわゆる介入という問題に私は、してない、してないとこう言いながら、現実の姿としてはその方向になるというふうに思います。これは私の意見として言っておきます。 そこで私は、労働省側に介入をするならしてもらいたいことはたくさんあるわけです。またやらなきゃならぬことがあるんですが、そういう点になるとすぐあなたたちは行政指導と、こう逃げる。 たとえば、一つの例を挙げますと、きょう時間があれば後からいろいろ申し上げようと思っていますが、中高年齢者の雇用問題です。その一つの大きい問題として定年延長問題とかそれから身体障害者の雇用率の達成の問題とか、それから中高年齢者の雇用率達成の問題とか等々、私は積極的に労働省自体がやってもらいたい。これは時間があれば後から、たとえば定年延長をあなたたちが六十年に六十歳までにするということを計画で決められて、行政指導でやると言われても、現実に行政指導だけではなかなかこれは進みません。そういうような問題である。もしくは、それは審議会にかけている、審議会の答申を待ってと、こんなことを衆議院の社労でいろいろ答弁されていますが、それだけでは私は実際に六十歳定年が六十年に実現はできないだろうと思うんです。ですからこういうことこそ積極的に、たとえば一つの例を挙げますと、私たちは年齢差別法案とか中高年の雇用安定法案とか、そういうものをみずからが国会の場において決めるべきじゃないかという意見を実は私は持っているんです。ところが、そういうことのやりとりになると、いわゆる日本的労使慣行、終身雇用制、こういうことでこれは主として行政指導でやった方がいい、やった方がいいと言っている。ですから、むしろこんなことこそ私は積極的に介入をして、特にこの八〇年代は不透明の時代においても人口の高齢化、高齢者雇用対策というのは労働行政の重要な柱だと思うんです。あなたたちはややそういうところになると行政指導、行政指導になるんですが、そこらの点はどうですか。
○国務大臣(藤波孝生君) いまおっしゃるように、労使の話し合いの中に賃金交渉とは別に、賃金だけではなくっていろんな制度の要求が出されて、労使の間でそれぞれの話し合いが進められているわけでございます。そういう意味からいきますと、たとえばいま御指摘がございましたように、高齢者の雇用率の達成でございますとか、あるいは身体障害者の雇用率の達成でございますとか、さらに定年の延長でありますとか、あるいは週休二日制を中心とした労働時間の短縮でございますとか、これは労働省はずいぶん大きな声で実は物を言っているわけでありまして、労使の方の使の方から見ますると、それは労使のいろいろな話し合い、仕組みの話し合いに労働省は介入してきているじゃないか、こういう話が使用者側から実は出るぐらいでありまして、ちょうど時期を同じゅうすると全くそういう感じに受け取られるぐらいに、常にそういった制度につきましては労働省は非常に強い姿勢で経営側にもお願いをして、強い行政指導を進めてきているところでございます。 いま御指摘がございました、法律に基づいてやるべきではないかということにつきましては、いまなぜ法律によらないかという理由も先生がおっしゃってくださいましたので私から重ねては申し上げませんけれども、日本の終身雇用、年功序列の社会の中でこれらを実現していこうと思いますと、労使の粘り強い話し合いの中で労使双方の工夫と努力によって一つ一つその仕組みを積み上げていくのでなければ、名実ともに働く人々にとって安心をして働くような形の定年制であったり週休二日制であったりということにはなかなかならない。したがいまして、十分労使の話し合いをお願いをしますと、こういうことで行政指導を進めておるわけでございます。くどいようでございますけれども、そういった一連の労働条件につきましては、ぜひひとつそれぞれの企業で御採用願い、前進をしてもらいたい、こういう強い姿勢で呼びかけておりますし、これからもそういったことにつきましては強く行政指導を進めていきたい、このように考えておる次第でございます。
○安恒良一君 労働大臣、声が大きいということが介入ということではないんです。たとえば現在昭和六十年までは五十五歳から六十歳までの階層が増大します。それから昭和六十年以降になりますと、今度はこの階層がさらに六十五歳の階層へ移動していくわけです。そういう問題について終身雇用制があるから労使で自主的にと言われてもなかなか進まないだろう。これは労働大臣も御承知だと思いますが、高齢化社会への移行は国際的な趨勢ですから、ILO自体でも非常に大きい問題になっています。そして昨年のILOの総会で中高年労働者の労働と引退について国際文書をつくる第一次討議が行われていますし、ことしの総会で第二次討議が終わり、この中でいま申し上げたような中高年労働者の労働及び引退についての国際文書、それから条約、こういうものが勧告という形で出されるのではないだろうか、私はこのように思っています。 こういう中で、たとえば一定年齢に達したということを理由に退職を強制する法令について再検討しなきゃならぬとか、さらに中高年労働者に対するための雇用の機会と待遇の均等化について保障する問題の条項であるとか、老化を防止し健康を保持するための労働条件や作業環境についての保護措置をやらなきゃならぬとか等々の問題が非常な大きいテーマになっているわけです。ですから、日本の労使慣行のように安い賃金で若年労働者が採用される、年功序列を経てきてだんだん賃金が上がってくる、不況等になりますと、そこがねらい撃ちにされて退職をされる、こういうやり方は私はやはり年齢による差別だと思うんです。ですからそういう問題を考えてまいりますと、ただ単に労使の話し合いとか、日本的な年功序列型賃金があるからそういうことでやれるということじゃなくて、私はもう労働省みずからが少し発想の転換をやらなきゃ、あなたたちが言う六十年六十歳定年制の実現というのはできないと思う。 その発想の転換というのは何かというと、一つは、やはりILO自体が国際的な視野においてそういう法令化の問題について去年も議論しことしも議論する、こういうような状況ですから、私たちは労働省みずからが意欲的にそういう問題を国政の場に出して議論する、ただ単に労使に任しておけばいい、もしくはあなたたちが声高に六十年六十歳定年移行、移行ということをしゃべっておけばそれでなるというような状況じゃないじゃないか、いま少し発想の転換というものを意欲的に労働省がお持ちになるべきじゃないかということを言っているんですが、その点どうですか。
○国務大臣(藤波孝生君) いろいろな方策を講じて少なくともその定年の問題を考えます場合には、いま御指摘のように六十年度六十歳定年ということを目標にいたしまして努力をしておるわけでございますけれども、声高に行政指導と称して呼ばっておるだけではなくて、そして労使の話し合いをぜひお願いしますと言っているだけではなくて、やはりそれを促進するためのいろいろな具体的な手だてもまた講じているわけでございます。 たとえば中高年齢者雇用開発の給付金の活用、奨励を図りまして、中高年齢者の雇用創出に努めてきておるところは御高承のところでございますけれども、さらに急速に高齢化していくこの社会の中で定年延長の促進を図ることがどうしても必要である、こういうふうに考えまして業種別の労使会議等を開催をいたしまして、定年延長についての労使間の合意の形成を労働省自身が積極的に乗り出して促進をしていく。あるいは定年延長奨励金などの助成措置の活用、奨励を図るように各方面に呼びかけ、またそういった仕組みを活用をしていく。さらに雇用率の達成に関しまして計画の作成命令、提出命令など強く指導をしている。高年齢者雇用開発協会で指導していただくように助成をしていく。 これらは、決して労使で話し合ってくださいと言っているだけではなくて、一緒にひとつ積極的に政府自身も取り組む、こういうことで来ておるわけでありまして、こういった機運をぜひ一般化していくということをとにかく積み上げていきたい、こう考えておるものですから、決して法制化を忌避しているわけでもありませんし、国際的なILO等の意見を無視していこうと言っているわけでもないんでございますが、両々相まってひとつ前進をさせていくようにいたしたいと、こう考えまして努力をいたしておるところでございますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
○安恒良一君 この問題はまた改めていたしますが、私が言っていることは、雇用審議会に任せるとか労使に任せるんじゃなくて、積極的にこの年齢による雇用差別について歯どめをかけるということの制度そのものについて、もう検討すべき時期に来ているということを申し上げているわけでありまして、衆議院であなたがいろいろ答弁されたことをまたここで繰り返されると時間がたってしまいますから、そういうことは承知をした上でありますので、また改めてこの問題は議論することにして、私の意見はそういうことで申し上げる。 そこで、経企庁にもお見え願っておりますが、春闘と物価の関係というのは非常に重要なのであります。すでにこれは予算委員会の中で物価問題の集中審議をやりまして、私の同僚委員の大木委員がかなり関係大臣とこの問題について議論をやっています。私はそのことをここでまた繰り返そうと思いませんが、実は率直に言って、この政府の物価見通し六・四、こういうものが非常にむずかしい時期に来ているんじゃないか、六・四ではおさまらぬのじゃないか。 これはなぜかというと、きのうも機内自民党幹事長が、丸の内の東商ビルで開かれました日本青年会議所政治委員会の講演の中で、六・四%は達成が困難だと、こういうことを与党の幹事長みずからが実はしゃべっておられます。このことも、きょうの日経新聞にそのことが報道されているわけです。 そこで私は、まずお聞きをしたいのですが、野菜とか土地、運賃——運賃もきょう国鉄運賃の答申が出ました。それからすでに電力、ガスが値上げが決定をされました。予算委員会で議論しておった後にこれが来て決定をされた。それの波及の影響というようなことを考えますと、まず六・四というのが非常にむずかしくなったんじゃないか。この物価の見通しの問題についてまずひとつ考え方を聞かしてください。
○政府委員(藤井直樹君) 五十五年度の消費者物価につきましては、経済見通しの一環として六・四%というふうに数字を置いておるわけでございますが、この消費者物価につきましては、昨年来の原油を初めとする海外原材料価格の上昇の影響がだんだん末端の方に及んできているということによりまして、またその中には電気料金、ガス料金に対する影響も含まれるわけでございますが、そういうこともございまして、五十五年度には五十四年度の消費者物価よりは上昇する要因が多くなるということでございまして、われわれとしてはそういう海外物価、さらには国内の生産、雇用、個人消費、設備投資というような需要面との関係も考えまして六・四%という数字を出したわけでございます。 最近に至りまして、一月以降また海外商品相場が上昇するということがございまして、ロイター等の上昇も見られたわけでございますが、二月中旬ぐらいからやや鈍化の兆しも出てきております。しかし、一方また円安も進むということでございまして、今後の海外価格についての動向については十分見守っていかなければならないと思いますが、われわれといたしましては、海外要因によります国内価格への影響についてあらゆる努力を講じて、その影響が最小限になるようにしようということでございまして、そのために三月の十九日にも第三次の総合物価対策を講じたところでございます。 総合物価対策におきましては、総需要管理というマクロ的な面と、それから個別的な物資に対する対策というミクロ的な面と両面を二本柱といたしまして、政府全体としてこれに取り組んでいこうということにいたしております。こういう努力によりまして、非常に厳しい状況ではございますけれども、何とかして六・四%の目標を達成するように努力をしていきたいと考えております。
○安恒良一君 そんな抽象的なことを聞いているわけじゃないんです。櫻内さん自体が六・四%は達成が困難だと、こういうことを自民党の幹事長がお述べになっている。一方、御承知のように消費者物価の上昇は二月で全国平均で八%、東京都の区部は三月で七・三%、こういうことになっているわけです。ですから、それはもう予算委員会でも議論しましたように、インポートインフレからホームメイドインフレになりつつあるじゃないかということで、私も予算委員としてかなり議論しているんですから、そういう中で、たとえばあなたが六・四%は何とか何とかと言われておりましても、円の関係だけ見ましても二百六十円台です。当時六・四%をあなたたちが査定されたときの円は幾らで計算されておったんですか。恐らく相当違っていると思うんです。そういうような状況の中で、しかも大体二百六十円台前後に張りつきというようないまの状況が続いていますね、これは率直なところ。 そういうような中から言うと、私が聞いていることは、それは六・四%何とか何とかと言っても、現実にもうすでにいろんな要素一つ一つを考えていくと六・四%の達成が非常に困難になったんじゃないかと、こういうことを聞いているのであって、その総合物価対策がどうだこうだと言って、もう繰り返しはいいわけです。そんなことは百も承知したしで、現実に二月、三月の物価の動きの中から、さらにその後土地の物すごい騰貴という問題が出てきています。そういうような問題の中からこの六・四%ということについて、だからこそ私は、櫻内さん自身が正直にどうも六・四%は達成困難だと、こういうことのあれになったんじゃないかと思います。やっぱり物価というのはすぐ結果があらわれてくるわけですからね。そこのところを聞いているわけです。
○政府委員(藤井直樹君) 最初に円レートのことでございますが、経済見通しにおきましては二百三十七円ということで、ちょうど見通しを作成する前一カ月のレートの平均をとっております。そういう意味で、最近の円安というのはかなりその状況とは異なっているということは言えると思うわけでございますが、レートについては、フロート制のもとでございますので、非常に変動が国際情勢その他によって大きいものでございますから、われわれとしては現在の時点でのレートを前提としてすべて判断していく必要はないのではないかと考えております。 それから、六・四%の問題につきましては、年度が始まったばかりでございますが、われわれとしてはその達成のために総合対策を強力に進めていくということで達成を図っているわけでございますが、ただいま御指摘になりました野菜の価格につきましては、これが確かに二月、三月の消費者物価を大きく押し上げていた要因でございまして、三月には昨年の同期に比べて六五%程度上昇しております。この野菜につきましては緊急対策等農林水産省でとられたことと同時に、春物の生育が非常に順調であるということもございまして、三月に下落の傾向が出始めましたが、四月に入って大部分の野菜が昨年並みの水準になるのではなかろうかということで、農林水産省も昨日野菜価格の見通しを発表しております。そういうことで、ここ数カ月間消費者物価を押し上げておりました野菜価格の安定ということは期待できるわけでございます。そういう高値是正ということも一面において考えられます。 一方で、電気料金等の波及の影響について極力便乗値上げ等を抑える、さらに生産性向上によって抑えるというようなことを総合対策等やりまして……
○安恒良一君 簡単に答えて。
○政府委員(藤井直樹君) やりまして、六・四%の達成に努めていきたいのが現在のわれわれの立場でございます。
○安恒良一君 これでまた時間をとって悪いですが、そこで今度は労働大臣にお聞きをしたいんですが、現在八%要求ということで八%から一二・五%ぐらいの要求が出ています。実際私は八%というのは大変控え目な要求だというふうに思っています。しかし、いまのような状況でまいりますと、賃上げがたとえば八%、こう満額解決をしましても、全く賃金というのが物価の後追いになってしまっているわけです。現実にはきょうあたり回答は六%から七%という回答が多いようですけれど、こういうことになっている。だから率直に言って、コストプッシュ・インフレというような見解を日経連側がとっていますが、私は今日の物価の動向と賃上げの動向から考えてそういう考えは全く誤っている思いますが、このことをどういうふうにお考えになるのか。 それから、いま一つは、これも予算委員会の中で論争したんでありますが、やはりGNPの中で五五%が個人消費に期待をされる。そしてその中で、御承知のように、政府といたしましては雇用所得の伸びは名目九・七%、そしてことしの経済成長が達成できる、こういう試算になっているわけです。でありますから、私は、賃上げが経済の整合性からきちっとしたものが決まらないと逆にスタグフレーションになりはしないか、いわゆる物価上昇と賃上げの関係からそういうふうに実は思うわけです。特にことしの経済成長率、それから物価の達成率、それからGNPの達成率等々の五十五年度政府の経済見通し全体を横目に見ますと、どうもそういう印象を受けるんでありますが、そこらの点について労働大臣としてどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(藤波孝生君) 賃金交渉で、要求を掲げている金額の高い低いの問題でありますとか、あるいはその要求を受ける経営側のいろいろな意見の中身とかにつきまして、労働大臣として評価をしたり判断をしたりすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、先生御指摘のように、ことしの春闘に入るに当たりまして、労働側が非常に自制をした、しかも八%を中心とした数字で横並びに要求が出そろったということについては、労働側が今後インフレになっていくこと等も懸念をして自粛をした形で控え目の要求をしたというふうに発言をしておられることの中身については、私どもも素直に評価をさせていただいて、この春闘に入るところで非常に先行きを実は心配しながら来ておったところでございます。 問題は、産労懇で労使双方から一致して、政府は物価の抑制に額に汗してもっと働けと、こういう強いアピールが出ましたことに象徴的にあらわれておりますように、やはりいま政府に要求されておるものは何といっても物価抑制だということで、先ほど来物価局長から御答弁申し上げておりますように、いろいろな角度から物価の抑制に取り組んできておるところでございます。 今後物価は上がっていくし、不景気に突入をしていくし、そういった非常に暗いスタグフレーションに向かって進んでいくのではないかということにつきましては、いろいろお考え方があろうと思いますけれども、私どもがいま考えておりますことは、やはり政府が適時適切な経済運営の手を打っていくということだと思うのです。そういう意味では、与党の幹事長さんが何か六・四%が困難だというお話があったようでありますが、それは非常に厳しいという表現でおっしゃったのではないかと私は思うのです。全く否定をされるような発言をいまなさるとは思えないものですからそう思うのですが、とにかく政府は、総理自身が大きな声で六・四%程度で抑え込むようにあらゆる努力をいたします、こう言っていまも各方面で明言をして物価対策に取り組んでおるわけでございまして、この三、四、五のところでとにかく物価を抑え込む、そして企業の方も生産性を上げて、できる限り海外要因をのみ込んでいくということで努力をしていけば、必ず六月から七月へかけては山の中腹に出る、平たん部に出ると。 そこで一回、景気をどうするかということも考えてみなきゃならぬと思いますが、そのときにはまたそのときの経済運営の手を打っていかなければならぬだろう、こういうふうに考えておるわけでありまして、そういった内外のいろいろな条件の中で、この春闘が経営側としても労働者の実質的な生活を守るために十分な配慮をしてもらうし、労働側としても、賃金をいたずらに押し上げていくということになると、結局はインフレに持っていくことになるのではないかと心配しながら八%要求として出そろうてきたところを、途中で挫折をすることなく、やはり政府も六・四%でがんばっていきますから、みんなががまんのし合いをし、がんばり合って、日本の経済をみんなでひとつうまく持っていくように努力をし合っていく、こういうふうな形でぜひ、お願いをしたいものだと考えている次第でございます。
○安恒良一君 いま労働大臣は、八%要求として出そろったから途中で挫折することなくというのは、八%は最低必要だと認められたというふうに私は思うものです。 私がお聞きしていることは、政府の経済見通しで国民総生産の名目九・四と実質四・八%と、それから消費者物価の六・四と、こういうようないわゆる五十五年度経済見通しを全部横並びに見ていきますと、私はいま言ったように最低八%というものが崩れると、この政府の五十五年度経済見通し自体が、全体が狂ってくるでしょうということを言っているわけです。なぜかというと、何回も言いますように、GNPの中に占めるところの個人消費の割合は五五・六%なんです。しかも、政府の雇用所得の伸びはこの指標の中では名目で九・七%見込まれている。ですからそういう意味から言うと、この八%要求なんというのは最低の要求であって、決してこのことがコストプッシュ・インフレになるはずがないわけです。逆に私は、最低八%が達成されないと政府の経済見通し全体が崩れるでしょう、そういう点はどうお考えになってるのですかと、こういうことを私は聞いてるんです。それから、そのことが崩れることは、今度はスタグフレーションになるでしょうと、そういうことについて労働大臣の所見を私はいま聞いてるわけなんです。
○政府委員(細野正君) 経済計画全体の問題は私ども専門でございませんので、私どもの知っている範囲でお答えをさしていただきたいと思いますが、先生も御存じのように、五十五年度の見通しで国民所得一人当たりの率は七・三%という形になってるわけであります。この七・三%自体も先生御案内のように、この中の実際に定例給的なものが占めている割合というのは、五割程度でございますから、したがって、この数字自体が直接たとえば春闘の賃上げ率と結びついてじかに論ぜられるというべき性質のものでないことも先生よく御案内のところでございます。いずれにしましても、経済の問題というのは全体的なバランスの問題があるというのは先生の御指摘のとおりであります。そういう意味ではバランスのとれた国民経済的視野に立って労使がお話し合いをいただくということを私どもは期待しておるわけであります。
○安恒良一君 そんなことを聞いているんじゃないんです。いいですか、八%という要求は私から言わせると本当に控え目でぎりぎりだと思ってるんです。そういう中で、物価との関係なり国民総生産の伸びなり、それからいわゆる民間の消費支出の問題なり、それからいま申し上げたような雇用所得の伸び、これも政府が発表してるんですからね。雇用所得の伸びは名目で九・七、実質で三・七と、こう発表してる。そういうのも全部政府は発表しているわけですから、そういう中においていま私が聞いてることは、とてもとても八%要求などというものはコストプッシュ・インフレにならないと思うんだが、どうなのか、それから、賃上げが余り低目に決まると政府出体の経済見通し達成が困難になりはしないか、そうするとそのことがスタグフレーションになりはしないか、こういうことなんです。 そこで、そのことに答えていただくと同時に、いま一つお聞きしておきますが、六・四については労働大臣も、政府は一生懸命やってるということですが、それなら聞いておきますが、あなたは、おれたちも一生懸命やる、賃上げの方もひとついろいろと、そこまで言われると、それならば六・四を上回ったら物価調整減税やりますか。それだけ労働者側に節度ある賃上げをやってくれと、おれたちは六・四を一生懸命いまからやるんだと。それじゃ六・四を超えたら物価調整減税をやりますか、そのことについてお答え願います。——労働大臣に聞いてるんです。
○説明員(高橋毅夫君) 前半の、経済見通しとの関連の問題についてお答え申し上げたいと思います。 最初に、先生が雇用者所得九・七%とおっしゃいましたけれども、政府見通しでは雇用者所得は八・七%でございます。先生が九・七%とおっしゃいましたのは、民間の最終消費支出の名目の伸び率が九・七でございますので、その点は御了解いただきたいと思います。 全体のバランスの問題でございますけれども、先ほど労政局長からも御答弁ございましたように、人当たり雇用者所得、政府見通しでは御承知のように七・三%でございます。しかし、これは春闘の賃上げ率とは直接的につながる数字ではないということを先ほど労政局長はお答えになったわけでございまして、その中には先生がよく御存じのようないろいろな項目がほかに入っているわけでございます。これは景気との関連で動く所得要因でございますので、私どもとしては、景気の動向と、それから物価の動向がバランスを崩さないということを、この五十五年度一年間を通じましてやっていくようにすることがスタグフレーションに陥らないために必要だ、こういうふうに考えて見通しの数字を出しているわけでございます。そういう意味において、先ほど物価局長からも御答弁ございましたけれども、当面の初年度の四—六月期間というのが物価の正念場であって、そこを乗り切るということが一つは景気を崩さないということにもつながってくるわけでございますし、景気の面から見ますと、現在は先生御案内のように民間設備投資、輸出、それから消費も堅調でございまして、この上半期の現在の景気の情勢はかなり根強いものがございます。これを崩さないようにしながら、同時に物価の安定を図っていくというのが五十五年度政府経済見通しの姿でございます。 それから、なお一言つけ加えさせていただきますと、現在の物価上昇の背景にございますのは、OPECの大幅な石油値上げによるいわゆる所得移転ということがございますので、その所得移転分をできるだけ少なくするために、五十五年度につきましては石油の消費節約七%ということで、エネルギーの面からの生産性の向上ということもあわせて考えているわけでございます。
○国務大臣(藤波孝生君) 勤労者国民の生活を実質的に低下させないように守ってまいりますために、政府はいろんな手だてを適時適切に講じていかなきゃいかぬ、こういうふうに考えるわけでございますが、御指摘の物価調整減税がそれでは行うことになるかということにつきましては、今日の非常に厳しい財政事情の中で減税という方向に踏み切っていくということにはなかなかならないだろう。これは具体的にまだまないたの上に上った議題ではありませんけれども、そのようにいまの段階ではお答えをしなければなるまい。それよりもむしろ政府は、六・四%程度で物価を抑え込むようにあらゆる努力をしてまいりますと選手の宣誓みたいな話でございますが、そのことに大きな決意を持って取り組んでいく、こういうことで努力を重ねてまいりたいと思います。
○安恒良一君 もうだんだん時間がなくなってきましたから、私は言っておきますけれども、どうもあなたたちの言っていることはちぐはぐなんです。六・四%は一生懸命やりますと、私は非常にそのことが困難だと言っている。これは後から答えがわかること。それからいまも経企庁が答えたのですが、海外要因だけじゃないんです。きのう日銀の支店長会議がありまして、物価先高感の中で非常に製品値上げがずっと続いてきている、こういう中で物価問題は非常に日銀としても、国内商品がずっと上がってきているということがきのうの日銀の支店長会議でも問題になっているわけです。だから、もちろんそのよって来る原因は、石油が上がったということも一つの原因です。しかし、すでにいまやもうインフレが国内の問題にもなっていることは事実なんです。だからいまここでインフレ論争をやる気はありません、きょうは労働問題ですから。そういう状況の中で、私は六・四がもしも守られなかったときには物価調整減税をやるのかと、それは当然だと思うんです。六・四を守ります、賃上げの方もひとつ節度を持ってやってくださいと言っておきながら、六・四を超えたときには、いや、これは今度は財政事情でやりません、そんなばかな議論はもう全然ありませんからね。私はそういうつじつまの合わないことは言わないでほしいと思います。これは意見として言っておきます。 そこで、最後に一つお聞きしたいんですが、実はきのうもいろいろ衆議院で問題になりました労働省労政局労働組合課が五十四年の民間主要企業の賃上げ要求、妥結状況というのを、これは毎年発表されるわけですね。この中をこう、衆議院側でも議論になって見ているんですけれども、非常にいわば第三次産業といいますか、たとえばホテルとか銀行とか商社とか保険、こういうものを除外をして、製造業を中心に——製造業だけでありませんが、中心にこの統計表がつくられている。そして、たとえば昨年の場合賃上げ率がいわゆる六%、算術平均の場合ですね。金額で九千九百五十九円、こういうふうにこれが発表をされるわけです。しかも、この一覧表は人事院勧告、人事院はこれを使ってやっている。だから、単なる行政サイドの内部資料ではない。いわゆる賃上げの継続的な資料として各界に使われている。また国際的にもこれが発表されている、こういう状況なんです。 ところが、いま申し上げたように、これにとられている一から二十二までの業種がありますが、業種の中でいま私が言ったようなところが抜けているというところについて非常に奇異を感じるわけです。そうすると、きのうのやりとりを聞きましたら、いや、それは実はそういう業界は協力してくれないんだと、こういうやりとりを衆議院でやっています。協力してくれないからといって、たとえばお聞きしますけれども、労働政策について、もう労働省みずからが第三次産業を重点に労働政策を考えなきゃならぬところに来ているということを発表されています。たとえばいまの労働基準法自体がいわゆる製造業——第二次産業を中心につくられている。しかし雇用の増大の観点からいって、就業の実態から見ても第一次産業がだんだん減って、第二次産業もほぼ横ばいもしくは減りつつある。そして第三次産業の分野がどんどんふえている。そこで労働行政も大きく第三次産業を中心にする労働政策へと転換をしなきゃならぬ、これはまさに私は発想として正しいと思うんです。 ところが、一方ではそう言っておきながら、賃上げのいま言ったように対内外に発表するやつの中に、いわゆる第三次産業とも言われる製造業ではないところのホテルとか銀行とか、商社とか保険というものが除かれた統計で、そしてそれが公労委に使われたりもしくは人事院勧告のときに実際使われたり、諸外国に日本の賃上げの状況ということで発表されるということについて、この表は私は公正妥当を欠いておると思いますが、その点労働大臣どうですか。それからこれを今後どういうふうに具体的に改善しますか。
○政府委員(細野正君) 御指摘にございました中で、まず公労委や人事院がお使いになっておるというのは、これは私どもは事実ではないと思います。公労委や人事院は独自におやりになっておりまして、私どもの調査を使って、いるというふうには考えておりません。 それにしても、内容的に少し割愛じゃないかという御指摘でございましたけれども、私どももこの調査対象を選ぶ場合に、一つは正確性、それから一つは継続性の問題、それからもう一つは、これが先生御指摘のような産業構造の変化みたいなものについてもある程度の反映が必要じゃないかというふうなことで従来からやってきているわけでありまして、かつてやはり先生の御意見と同じように、三次産業の比重を高めるべきだというふうなことが内部でも問題になりまして、それで五十二年からスーパー、五十三年から商社、証券、ですから商社や証券はもうすでに入っております。そういうものにつきまして調査に含めまして、調査対象企業の中の三次産業の割合も徐々に高まってきているというのが現状でございます。 ただ、先生御指摘のように、銀行、保険関係は、先ほど先生の御質問の中にもございましたけれども、それは正確な情報を把握することが困難、つまり一つは、私どもがやっている調査と向こう側のやっておられるものとがかみ合っていないという点が一つ。それから向こう側の、こういうものに合わした調査をしてこちらに報告をくれということに対して、それはできませんということで、それが把握が困難な状況にございます。そういう意味で、銀行、保険については御指摘のように現在のところ調査対象から落ちておるわけでございます。しかしながら、先ほども申しましたように徐々にいま三次産業の割合を高めて、そういう意味では産業構造の変化に対してもある程度の適応をしている、こういう状況でございます。
○安恒良一君 証券は入っていますけれども、これは私、去年のやつを一から二十二まで見ていますけれども、たとえばホテル、銀行、それから商社、保険、こういうのが除かれているんです。こういうところは率直に言って毎年の春闘で賃上げ額はかなり両目に決まっているんです。そういうところを除いて、日本の賃上げの状況がこうなっているということで、公労委は独自だと言うけれども、私ども聞くところによると、人事院は独自でやりながら、こういうものについても十分に参考にされていると聞いています。 それから、すでに単なる部内資料じゃなくして、継続的なものとして毎年これを発表されるわけでしょう。そうすると、私は当然ホテルとか銀行とか商社とか保険とか、そういうところにおいて、この調査対象が平均年齢、平均家族はどうなっているか、現行ベース、要求と妥結、こんなものが政府として出さそうとして相手が出されないはずはないんです。統計として正確にやろうとすれば当然、いまあなたも言われたように第三次産業のウエートが非常に高まっているわけですから、そこにおける賃上げがどうなったかというのを対内外に発表するときには、それを当然入れて発表されるのが正しいんじゃないですか。そういう策をしっかりとされるべきであって、いや、相手が協力しないから協力したところだけ入れて発表すればいいということでは、国際的にも誤解を与えるじゃないですか。そのことを私は言っている。だからそのことについてはぜひ労働大臣、ことしからの分についてはそういうところに協力を求められて、私はそれらを入れて発表されるのがしかるべきじゃないかと思いますけれども、それはどうですか。
○国務大臣(藤波孝生君) 何かこう、数字を意図的にどっかへ誘導しようとして相手を選んでつくったという統計では、いろいろ聞いてみましたけれどもないようでありまして、昨日の衆議院におきましてもお答えをし、いま先生の御意見も伺って、私も確かにもっと公平を期すような感じを、やっぱり努力してみなきゃいかぬというふうには考えるわけでございます。いろいろ依頼をしてもなかなかうまく返事が返ってこないというのが担当者の意見でございますが、できる限り広範囲に資料を集めて一つの結論を得るようにしていかないと、誤解を生んでもいかぬというふうに思いますので、さらにいろいろ研究もし、努力をして御趣旨が生きるようにいたしたいと思います。
○渡部通子君 昨年の十月でございますか、社会保障制度審議会が「高齢者の就業と社会保険年金」ということで総理大臣に建議をしていらっしゃいます。それは今後の高齢化社会に対処していくために、六十五歳になるまでは自分で働いて食べていけるよう高齢者の雇用確保策をより国で確立する、こういうことになっています。社会保障制度審議会がこういった雇用問題に対して言及しているということは、非常に社会保障という点から見ても雇用の解決ということが大事だということだと思うんです。この中で、六十五歳までをはっきりと就労人口としてとらえているというところが非常に特徴的だと思うんでございますが、国としてこの制度審議会の建議をどのように受けとめていらっしゃるか、またはどう対処しようとしていらっしゃるのか、まず伺いたいと思います。
○国務大臣(藤波孝生君) 社制審の建議の中で、先生御指摘のように、雇用政策と年金政策の間にすき間があってはならぬ、特に六十五歳という数字を頭に置いて労働生涯というものはずいぶん長くなっているということについて御指摘があったことについての所見をお求めになったわけでございます。 どれぐらいのところで実際に労働界から引退をしていくのかということにつきましては、これは今国会でいろいろなところで申し上げてきておるところでありますが、人によって、あるいはその人の生活するいろいろな環境等によっても異なるわけでございますのでなかなか一概には言えませんけれども、やはり六十五歳ぐらいまでは平均して働く意思、能力をお持ちになって生涯を生きていくということはいろんな調査の結果出てきているわけであります。 行政にとって一番大事なことは、行政の側から一人一人の人間の意思を見るというのではなくて、やはりお一人お一人の国民の生涯のそれぞれお進めになっていかれるのにどう行政が対応するかということでなければ行政を誤るわけであります。そういうことで考えてみると、人生五十年の寿命の時代から今日七十年になり、八十年に延びようとしているという感じの中で、非常に大事な雇用政策と年金政策との絡み合いの政策課題が大きく浮かび上がってきているというふうに申し上げなければならぬと思うわけでございます。 そこで、高齢者のその能力を有効に活用するようないろいろな仕組みをつくり上げることが非常に重要であるということをこの社制審の建議の中で御指摘になっておられるわけでありまして、雇用政策、年金政策が密接な連携を図り、しかも効果的に接続をさせて、いま申し上げたようにお一人お一人にとってすき間があるということのないように段取りをしていく、そういう必要を御提言になっておられるわけでございます。 このような考え方につきましては、これから労働省、厚生省が取り組んでいかなければならない一番大事な問題点を御指摘をいただいたというふうに私どもとしては受けとめさせていただいておりまして、いま一連の高齢者雇用対策を講じて力強く推進をしておるところでございますけれども、それらの中でこの社制審の御提言の精神、趣旨を生かしていくようにきめ細かく努力をしていかなければいけない。労働街としてはそのように社制審の御建議を評価し、かつそれを受けとめて努力をしていくようにしたい、こう考えている次第でございます。
○渡部通子君 日経新聞が昨年の暮れにまとめた記事でございますが、定年制の実態調査という、これを拝見いたしますと、企業の定年の平均的年齢は、いま各民間企業も非常に定年延長に努力をしておりますが、やはり五十七歳ぐらいと出ておりました。一方、厚生年金の支給開始年齢が六十歳で、今日においても現実の定年と支給開始の間に大変なすき間があるわけでございますが、大変話題になりました厚生省が考えておりました六十五歳支給開始、これに対して労働省としての見解を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(藤波孝生君) いま申し上げましたような意味で、雇用政策と年金政策は常に密接な関係を持たせて進んでいかなければいかぬ。そういうことで従来も、特に労働界から引退をしていく実態等を冷静に把握をし、長い間働いてこられた方々が退職金であるとか、あるいはお働きになってこられた間に蓄えた資産であるとかというようなことも頭に置き、かつその後の年金生活がどのように進められていくかということも頭に置いて十分リンクしていくように政策を確立をしていかなきゃいかぬ、そういう立場に立って厚生、労働両省の協議を重ねてきたところでございます。 年金財政等の関係から、厚生省が六十五歳受給年齢といったような方針も打ち出されかかりましたので、さらにその協議を密接に重ねましていろいろ相談をしてきたところでございますが、厚生省の方のお考えはいまのところは少し後退をして、いずれ時期を見ていろいろ御検討いただいていくことになろう、こう思うのでありますけれども、労働省といたしましては、そういったような厚生省の側の意見も今回打ち出されたこと等もございまして、従来よりもさらにひとつ、中年から馬齢者へかけての雇用政策を重視いたしまして、年金政策の方がどのように動いてまいりましょうとも、雇用政策と年金政策の間のすき間のないように十分ひとつ、労働政策としてはさらに従来よりも力を入れてそこのところに重点を置いて取り組んでいくようにしなければいけない、こういうふうに考えておる次第でございまして、今後ともさらに高齢者の雇用対策、特に定年延長を中心にいたしました一連の施策につきましては最重点の施策として取り組ませていただきたい、このように考えておる次第でございます。
○渡部通子君 労働大臣の力強い御決意のほどはよくわかったんですけれども、なかなか財政という面の圧力は強うございますし、実際金がないと言われてしまえば弱いものでございますから、そういった点ではこれから御苦労があると思うんです。そういった点はがんばっていただきたいと思うんですが、それにつけてもこの定年延長の法制化ということが非常にこれもまた議論に上っているところでございまして、法律で決めれば何でもできるということでもありませんけれども、法制化するということはこれまた大きな前進であり、罰則を伴うというような観点から大変な覊絆力を持つようになると思うんです。わが党は社会、民社両党とともに三党案というものをつくりました。御存じのとおり、定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案、これを共産党にも加わっていただいて提案することになったわけでございますが、これに対する労働省のお考えを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(藤波孝生君) 三党がいろいろお話し合いになられまして法律案をおまとめになるというお話は伺っております。しかし、最終的に詳細なものをまだ拝見をいたしておりませんので、そのお考えについての御意見を申し上げることはいまの段階で控えさせていただきたいと思いますが、従来政府としましては、いま御指摘をいただきましたように、昭和六十年度六十歳定年の一般化ということを目指しまして行政指導という形でこれを実現をしていきたい、そしていろいろな奨励金等はできる限りお手伝いをして誘導をしてまいりまして、労使の話し合いの中から工夫をして定年延長に向かってぜひお願いをします、こういうことで一般化をしていくように努力をいたしておるわけでございます。 いま、先生がお話しになりましたように、日本の終身雇用の慣行の中で年功序列でずっと動いていっているという中で、なかなか定年延長するということ自体は大変なことだと思うのです。大変なことを労使がよく話し合って、従来の年功だけに頼って動いていくというような形のいろいろな見直し等も進めながら定年延長に持っていくというような努力が重ねられていきませんと、形の上だけ定年が延長します、こういうことになりましても、実際に会社に残る、企業に残って何か窓際でただ席はあるけれども、つらい気持ちでいなきゃいかぬというような形ではやっぱりいかぬわけでありまして、名実ともに働く場所というのがお年を召してから延長されるという形が労使の話し合いの中から生まれなきゃいかぬというふうに思うものですから、そういう意味で、ただ法律をつくってこういうふうに決まりましたから、それぞれ企業、団体は守りなさいよということだけで、なかなか本当に実の伴った定年延長というような形になるかどうかということにいろいろ問題点を懸念をするものですから、政府としては従来そういった考え方で努力を重ねてきておるところでございます。 しかし、審議会にその法制化の問題も政府からは御諮問を申し上げまして、どのようにしたらこの定年延長が最も効果のあるやり方で進めることができるかということについての議論を進めていただいておりますので、当然三党から新しい法案が出されるというようなことになり、国会でいろいろな御論議が進められるということになりますれば、そういった法律案や御意見は十分また参考にさせていただくことになるというふうには考えますので、最終案を見せていただきませんとわかりませんけれども、いろいろな角度からみんなが努力をして、何とかこの定年延長が一般化をしていくように労働省としては心から期待を申し上げておる、こういう立場を御理解をいただきたいと思うのでございます。
○渡部通子君 御理解をいただきたい、こうお立場はよくわかりますけれども、なかなかこの定年延長問題というのは行政指導でうまくいくかというと、それはいかないとは言いませんけれども、守られるようになるというのは非常にむずかしいことだと、私も現場の人たちの意見をいろいろ聞いてみて思います。だから、確かに労使の慣行の中でそれができればそれにこしたことはありませんけれども、それがなかなか困難だからこそ、行政指導では及ばないからこそ、法制化をしようという動きが出てきているわけでございますね。 案を見ていないからということでございますけれども、大体想像のつくようなもんでございまして、法制化という点について、藤波労働大臣は大変ナイーブな方でいらっしゃいますから、その辺を勇敢に取り組んでいただきたいと思うわけでございます。それはこれからの議論になってくると思うんですけれども、雇用審議会に諮問をなすった、その回答は、答申はいつごろ出てくる御予定でございますか。
○政府委員(関英夫君) 雇用審議会に対しましては、昨年におきます国会の与野党の合意を踏まえまして、昨年六月に定年延長の実効ある方策について立法化の問題を含めて意見を問うという形で諮問をいたしました。諮問をいたしました際に、当時の労働大臣といたしましては、定年延長問題は業種、業態等によっていろいろむずかしい問題を重ねているので十分慎重な御議論をしていただきたい、二、三年を目途に御論議をしていただきたいということを申し上げましたが、その後昨年の間は、雇用審議会の総会の場におきまして国会におきます審議の状況なりあるいは昨年の各党の提案の法案の説明なり、あるいは定年延長の現状あるいは定年延長の阻害要因についてたくさんの資料についての分析、問題点の検討ということをやってまいりました。本年に入りまして定年延長部会というものを設けまして、業種別にヒヤリングをやっていくということをやっております。 今後の審議日程でございますが、決まっておりますのは、その定年延長部会で鉄鋼とか私鉄とかその他いろいろな形で業種に応じて労使から意見を聞くというような形のものをことしの秋ごろまでに部会でやって、総会にその結果を報告するというところまで決まっております。その後の日程はまだ決まっておりません。
○渡部通子君 済みません、いまちょっと最後聞き損なったんですけれども、秋ごろまでに……。
○政府委員(関英夫君) 定年延長部会におきます各業種その他いろいろな形でのヒヤリングを秋ごろまでに部会で終えて、その結果を総会に報告するというところまで日程は決まっております。その後どういう形でさらに議論をしていくかというような日程、これはまだ決まっておりません。したがって、いつ答申が出るという形の日程がはっきり決まっているわけではございません。
○渡部通子君 じゃ、答申の方はまだちょっと先になりそうな形でございますが、この三党案の国会提出というものはなるべく私たちとしては精力的に進めたい、そういう気持ちでおりますので、ひとつ法制化という方向に向かって御努力をいただきたいということをお願いしておきます。 確かに労使の慣行とか、あるいはそういった点で実質的な前進をすることの方が大事だという御意見でございますけれども、ここのところの二、三年の皆さんの努力や労働省の御努力もありまして、大変その辺の意識は高まってきておりますし、もうそうならなきゃならぬという国民のコンセンサスもかなりでき上がってきていると思うんですね。だから、もう法制化にそろそろ考えを一歩前進させていいときではないかと思いますし、私はそういう高齢者対策というものが進むのとあわせて婦人対策というものも進んでくるわけですね、やっぱり弱い立場というところでは同じでございますから。そういった意味で法制化に一歩踏み出すということは大きなメリットをもたらすもんだ、こう考えるもんですから、それに対しては強く御要望を申し上げておきたいと思います。 次に、勤労者の財産形成促進制度の問題について多少お伺いをしておきたいと思います。 これは昭和四十七年、労働省の大変な宣伝でございました。そしてまた、金融機関の加入合戦等もございましてスタートをいたしましたこの勤労者財産形成貯蓄は、その後今日までに加入者数、それから財蓄の残高はどのように推移をしてきておりますか、まず伺います。
○政府委員(寺園成章君) 本年一月現在で財形貯蓄の契約者数は約一千万人でございます。貯蓄残高は約三兆五千億となっております。
○渡部通子君 一千万人が加入して貯蓄残高が三兆五千億、かなり大きな実入りがあったというと言葉がおかしいですけれども、加入者があったと思います。この財形貯蓄についてはいまおっしゃっていただいた加入者、貯蓄残高、この増加という、いわゆるお金を集めるという金融機関にとっては非常に都合のいい量的指標以外に、何か特筆すべき成果を得ていらっしゃいますか。
○政府委員(吉本実君) 財形貯蓄は、先ほど申しましたように貯蓄残高が約三兆五千億で順調な伸びを示しているわけでございます。これは要するに、従来からわが国におきます貯蓄性向が高いということが第一だと思いますが、さらに、財形貯蓄が事業主の払い込み代行というふうな形で簡便に預入ができる、こういったようなこととか、あるいは税制上の優遇措置、そういった形で財形制度全体に対する期待もあった、こういうところに原因があってこういった推移できたと思います。 財形制度は、御承知のように勤労者の財産形成を促進することによりまして勤労者の生活の安定を図るとともに、国民経済の健全な発展に寄与する、こういうふうな目的に資しておるところでございまして、こういった勤労者の貯蓄の増加ということが貯蓄面での勤労者の資産の形成、こういうふうになって、そういった面で貢献しておりますし、これが勤労者の期待にこたえる制度になっているというふうに私ども考えております。
○渡部通子君 いま、貯蓄形成ということで勤労者のお役に立っている、満足だというような御答弁でございましたけれども、これは貯蓄をするためのものは、財形というのが一番の目的だったわけですか。
○政府委員(寺園成章君) 局長からも御答弁申し上げましたように、この制度は勤労者の財産形成を促進することによりまして勤労者の生活の安定、それから国民経済の健全な発展に寄与するということを目的といたしております。 財産形成の中身でございますけれども、この法律の立て方と申しますか、私どもの考え方といたしましては、勤労者が他の階層に比べて財産面でおくれが目立ちます金融資産、それと住宅、この二つを柱として財産形成促進政策をとっておるということでございます。
○渡部通子君 貯蓄とそれから住宅、これを目的となさっているという、私もそう理解しております。ところが貯蓄ばかりふえまして、しかもその預金が年々目減りしている、こういう状況の中で、確かに勤労者の財産形成に役立っていると御判断ですか。
○政府委員(寺園成章君) 財形貯蓄の残高は順調に伸びております。したがいまして、その面ではこの制度の所期の目的に対してそれなりの効果を発揮をしておるというふうに考えておるところでございますが、目減りの問題につきましては、財形貯蓄のみならず貯蓄一般について大変大きな問題だろうと思います。せっかく貯蓄をいたしましたものが目減りをしないような形での物価対策ということは、政府を挙げて取り組むべき事柄であろうというふうに思っております。
○渡部通子君 大変苦しい御答弁だと思うんです。それは住宅にしてあったらずいぶんいまは財産形成になっているんですけれども、そこまではなかなかいかなくて、貯蓄だけがふえていって、しかもつましい貯蓄がふえている、それが目減りをしている。それは国全体の問題だから責任はないとおっしゃるけれども、それなら普通の貯金にしてもいいわけでございまして、何もこの制度で貯金をしなくたっていいわけでございますから、それは非常に苦しい御答弁だと思います。 では、貯蓄残高に対して融資はどのように推移をしてきているんですか。
○政府委員(寺園成章君) 財形貯蓄を原資といたしまして還元融資制度をとっておりますが、現在までの還元融資の貸付額は約七百億円でございます。
○渡部通子君 融資残高というのはどうなるんですか。七百億円だけお使いになった、融資をなすった、その残りが三兆ということですか。
○政府委員(寺園成章君) 財形融資制度は、財形貯蓄を原資といたしましてそれを還元をするということでございますが、現在までの財形貯蓄を原資とした還元融資である財形融資は、貸付額が七百億ということでございます。
○渡部通子君 伺っておりまして、やっぱりいまの制度では月に六百億円程度、それを増加する財蓄の残高、このふえ方ですね、大体は。それから融資に向けられる額との割合というのは近づくことはあり得ない、どんどん離れるばかりだと思うのですけれども、そうしますと、どう考えても金融機関の預金蓄積といいますか、それに役立つ財形貯蓄であって、勤労者の財産形成に役立っているとは思えないんですけれども、どうですか。
○政府委員(寺園成章君) 財形貯蓄が順調に伸びておるということは、金融資産の面ではこの制度が勤労者の期待にこたえておるというふうに考えるところでございますが、御指摘の融資につきましては、率直に申し上げまして停滞が見られるというふうに考えるところでございます。したがいまして、財形融資を一層その利用を促進しますためにこの制度の周知徹底を図りまして、この制度の利用促進になお一瞬の努力をしてまいりたいというふうに考えます。
○渡部通子君 利用促進にといいますけれども、利用できないんです。これは私、昔、昔って……質問をしたことがあって、そのときから危惧している問題ですけれども、これに入っていても家は建たないというのが現実なわけです。貯蓄残高五十万以上の貯蓄者に対して、その残高の三倍までを貸し付けるということになっておりますので、いま家を建てるのにはちょっとしたことでも最低一千万かかるわけです、どんなところに建てようと思いましても。そうしますと、五百万の貯蓄残高がなければ千五百万円は借りられないわけですね。勤労者がこれで五百万貯金するなんていうことはいまはとうてい考えられないというこういう状況の中で、制度の出発のときからこういう状況になるであろうということは目に見えていたわけです。だから、確かに貯金もふえる、それから企業の方でも手伝ってくれる、あるいはこれに入っていれば行く行くは家は建てられるんだ、こういう形で鳴り物入りでスタートしたわりにはいまはおっしゃるように融資の方は滞っている。それをなるべく促進したいとおっしゃるけれども、借りたい方では借りられないというつまずきがきていると思うんですが、そうお思いになりませんか。
○政府委員(寺園成章君) 財形融資につきましては分譲融資と個人貸しと二つございますが、先生御指摘の、五十万以上の残高に対して三倍まで貸し付けるというのはいわば個人融資の方でございます。現在勤労者の貯蓄の状況を見てみますと、最近発表されました貯蓄動向調査を見てみますと、これは世帯単位の調査ではございますが、勤労者につきましては平均四百万円程度の貯蓄がございますし、また、同じ調査で見てみますと、五百万円以上を貯蓄している方が二二%あるという実績も出ておるところでございます。いずれにいたしましても、住宅を建設いたしますために平均的には一千万以上かかるというのは現実だろうと思います。財形貯蓄をしている勤労者につきましては、財形貯蓄を含めました貯蓄を頭金といたしまして、その他の財形を含めた公的融資を活用するなどによって持ち家をつくっておるというのが現実であろうというふうに思っております。
○渡部通子君 いま貯金が四百万ためている、それから五百万以上の人が二〇%何がしかとおっしゃいましたけれども、そういう平板な見方をされますと、本当に私はこういう制度というものが生きないと思うんです。これは物価対策でも何でも同じですけれども、数字の上で平均にしてしまうと、一番いま住宅が必要なその階層に国の施策が行き渡らないという結果が出てくると思うんです。いま本当に家を建てたいという三十代、三十代、そのサラリーマンが四百万という貯金は、それは平均すれば日本国民として持っているかもしれませんけれども、とうてい持っているものではありません。親の資産でも受け継いでいる人なら別でございますけれどもね。本当に建てたい人が、それも都市のサラリーマンが財形貯蓄を使えるかどうかその辺に焦点をしぼって国が考えていただくのでなければ、せっかくつくった制度が死んでしまうではないかと、これを私は申し上げたいんです。もう少しその辺は実態を知っていただきたいと思うんです。本当に公務員でのんびり先行き不安なく暮らしている人にとっては、地価の上昇とかそういったことがびんときてないんじゃないか、こう思われてもいたし方ないと思うんです。 木造の建築費ですらいまここのところ三倍ぐらいにはね上がっておりますので、最も住宅の欲しい階層に財形貯蓄が使えるようにしていただきたいというのが私の願い。平均して四百万貯金を持っているなんて、そんなところで勘定されたらたまらないと思うんです。そういうわけでございますから、何もかもが制度発足当時の二倍になっていて、貯蓄額は地価、建築費との関係でどんどん目減りをしている。もう貯金の利子が七%、八%、こんな程度ではとても追いつかない。こんな中でとうてい勤労者の財産形成などということは私はこの貯金を通じてできない、これが結論として申し上げねばならないことでございます。いまはこの財形というものが、ある意味では預金の吸い上げ運動になってしまっているんではないかと思うんです。ですから、財形貯蓄が住宅政策について持ち家だけを考えている考え方を改める必要に迫られているんではないかと思いますが、いかがでございますか。
○政府委員(吉本実君) ただいまいろいろ御議論ありますように、いわゆる資産形成ということではいいのでございますけれども、いまお話しのように持ち家の問題につきましては必ずしも融資が進んでおらない、こういうことでございます。一般勤労世帯におきましてそういった住宅の取得ということが非常にポイントということでございますが、ただ現在の状況から見ますと、やはり勤労世帯におきます持ち家の比率ということを考えますと、自営の世帯が八〇%であるのに勤労者世帯では五〇%程度でございます。そういうことで、財形政策におきましても当分はやはり住宅面で持ち家中心にやっていった方がよろしい、こういうふうに考えておる次第でございます。 ただ、いろいろこれらにつきましては先ほどのような問題もございますので、現在財産形成審議会の中に基本問題懇談会というものを設けまして多角的ないろんな検討をお願いをし、またそういった点を現在御審議していただいているというような現状でございますので、そういった結果を踏まえましてこういった問題について対処してまいりたいというふうに考えております。
○渡部通子君 労働大臣、お聞きのとおりでございまして、私は何回も繰り返しますけれども、零細な勤労者の貯蓄を集めて、しかもその価値がどんどん目減りをしておって、財産分配の不公平を助長していると言えると私は思います。わが国の制度が発足のときの本来の趣旨に逆行しているんではないか。これは政府全体として責任を感じていただかなきゃならないことだと思うんですが、そういう意味から現行制度の抜本的改革をして、勤労者にお金を何らかの形で還元する方法を考える必要があると思いますけれども、いかがでございますか。
○国務大臣(藤波孝生君) 財形制度についてのいろいろな御心配をいただき、御意見をちょうだいをいたしましてありがとうございます。いろんなところで申し上げているんですが、八〇年代の労働行政をどう進めるか、それには従来の行きがかりを越えて、全く実情を冷静にながめてみて、将来に展望を立てながら全く新しい発想で一回見直してみなきゃいかぬ。先ほども安恒先生から幾つかの点について新しい発想を持てという御指摘をいただきましたが、行政というのはともすると、十年前が五年前になり三年前になり、年々積み上げていくということだけでどうしても流れていってしまう。思い切って新しい観点から光を当ててみるということが非常に大事だというふうに考えております。そういう意味で、具体的には財形制度というものは先生御指摘のように本当にこれが生きているのかということを一回ひとつ見直してみよう、こういうことを省内にもいま呼びかけているわけでございます。 金融資産の形成につきましては、これはやっぱり成果を上げてきたと、三兆を一千万超えてという数字は、これは悪いことをしているとは思わないので、その効果を上げてきたのではないかと思うのですけれども、持ち家制度の方など考えてみると、なかなかこの制度が生きていかない。生きていかないというのは仕組みにまずいところがあるのか、PRができてないところがあるのか、いずれにしても生きていかない。しかも、どうぞお使いくださいといったって使っているので総額七百億でございますと、こういうことでありますから、これは客観的に生きているとは言えないと申し上げなきゃいかぬと思うんです。どんなふうにして魅力のあるものにしてこれを生かしていくかと、いろいろないま局長から御答弁申し上げましたように、審議会の基本問題懇談会でも御議論をいただいておりますが、これなどもこういう視点でひとつ意見を述べてくださいというような少し問題点を懇談会の中に持ち込むとか、あるいはいつまでにある程度の結論を出してくださいというようなお願いをするとか、少しこの懇談会に対しての具体的な行動を起こしてみたいというふうに考えております。 それから、なかなか労働省だけでひとり歩きができないところがありまして、建設省とか大蔵省とかいろいろ政府の中で調整もしていかなきゃならぬものですから、ではありますけれども、しかし、少なくとも勤労者の立場に立って財産形成をしていこうという場合に、どのようにしたら持ち家というのが本当に手に入るのか、あるいは先生が御指摘のように、家だけではなしにもう少しいろいろな財産形成するというようなことに、少しその周りにも、そういった気持ちが充足されるように持っていくにはどんな仕組みがあり得るのかといったようなことについて思い切った検討をしてみたいと思います。 いま、具体的な話を申し上げますと、婦人少年局で勤労青少年のいろんな考え方、生活の仕方等について実態を踏まえて新しい対策も立てていかなきゃいかぬという中で、たとえば勤労青少年が自分の生涯を考えてみたときに、何を一番要求するかというようなことを逆に婦人少年局から省内に向かって呼びかけてみたらどうだと。それは必ず財形の仕組みについての意見が出てくるはずだというようなこともいま実は議論をしておるわけであります。 たとえば家なんかでも、もう一代で金を借りて返さなくっても、二代で返そうというぐらいにしてでも持ち家ということを実現をしていこうという時代に入っているわけでありますから、特に勤労者という立場で思い切って何かそういう仕組みがとれないか。これは国際的に見ても日本の労働者というのは何とか小屋というような話がすぐ出てくるような話でありまして、いつまでもそんな比喩に使われるというようなことでは、勤労者生活の福祉の問題から見て大きな問題だというふうに問題意識としてはとらえさせていただいておりますので、少しお時間をいただきまして真剣に取り組んでいくと、これまた選手の宣誓みたいなことで、そんな話ばっかり申し上げて恐縮でありますけれども、なるべく時間を切って議論を重ねて一つの成案を得るように努力をしてみたい、このように思います。今後ともいろいろな御意見をぜひお寄せをいただきまして御指導をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。
○渡部通子君 終わります。
○委員長(久保亘君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 正午休憩 —————・————— 午後一時五分開会
○委員長(久保亘君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。 午前に引き続き、労働問題に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○橋本敦君 私は、きょうはまず労働省の基準行政の問題、特に基準監督官の増員が非常に重要ではないかという問題で御質問さしていただきたいと思っております。 実は、この問題はもう古い話ですが、五十年の二月二十六日の参議院におきまして私この問題を取り上げました。当時労働大臣は長谷川峻先生でございましたけれども、特に監督行政の重要性にかんがみて増員の問題、それから監督官に対する検査等の出張に要する費用増大、あるいは検査器具の充実改善、こういった問題については真剣に前向きに取り組むという御答弁をいただいておりまして、それなりの努力は労働省としてもしていただいたと思うんですが、今日の情勢の中では労働省自身も悩んでおられることかと思いますが、その方向がなかなか思うように前進していないように思います。とりわけ近年におきましては、労働省の職安行政にしても基準行政にしても、その業務量というのがますます特に顕著に増大しているのではないか、こういうように思っておりますが、その点の御認識は労働省いかがでございましまうか。基準局長で結構でございますけれども。
○政府委員(吉本実君) ただいま先生の御指摘のように、定員の問題につきましてはなかなかむずかしいところでございます。私ども需要の方は増大しておるという実態の中で、先生御指摘のように私どもなりに努力はしております。そういった形で今後ともやってまいりたいと思っております。
○橋本敦君 そこで数字の問題ですが、労働基準法の適用事業場総数が、あるいは労働者数の増が、資料によりますと近年はどれくらいふえておりますでしょうか。
○政府委員(吉本実君) ただいま御指摘の適用事業場数でございますが、五十年代に入りまして三百万台の適用事業場数になっております。
○橋本敦君 四十年代はどのくらいだったですか。
○政府委員(吉本実君) 四十年で二百十七万、それから以後ずっとふえておりまして、五十年が二百九十一万と、こういうことになっております。
○橋本敦君 かなりの急増ですが、労働者数を見ましても四十年で二千六百三十万、それが五十年代に入りまして五十二年は三千六百五十九万、三九%増というように私は数字で伺っておりますが、間違いないと思いますが、いかがですか。
○政府委員(吉本実君) そのとおりでございます。
○橋本敦君 特に近年は第三次産業ということで、これの増大が一つは労働行政のあり方、労働政策にとっても重要な問題となっておりますし、基準行政についてもこの第三次産業問題というのが非常に大きな課題になっているのではないか。そういう点で労働省の労働政策の重点もこの第三次産業に重点を置く方向が望まれるし、特に基準監督行政についても、この第三次産業については非常に細かいところから大きなところまで多種多様でありますし、業務形態は多種多様だし、勤務形態も多種多様ですし、この問題について特に重点を置き、関心を払う必要があるのではないでしょうか。
○政府委員(吉本実君) 就業構造の変化等に伴いまして、ただいま御指摘のように第三次産業の占めるウエートが多くなってきているわけでございまして、基準行政の面でも、一般的に従来製造業中心でございます。これについては変わりはないと思いますが、第三次産業につきましてもそういったいろいろな問題もございますので、そういった方面についての行政をさらに進めていかなければならない、このように思っている次第でございます。
○橋本敦君 そういう業務量の増大に対応して基準監督官の数は一体どのような推移をしておるであろうか、こういうことで労働基準局あるいは監督署、ここを中心にして考えてみたいんですが、全労働省労働組合がまとめました「労働行政の表裏 労働行政ミニ酷書」というパンフレットがございます。ここでこういう指摘を組合はしているんです。昭和二十四年の監督官定員は二千七百十五人、適用事業場数が五十九万六千、したがって監督官一人当たり適用事業場数二百十九、こうなっている。四十九年になりますと、監督官は三千十人とふえたけれども、つまり四百十二名増員はされているけれども、しかしながら事業場数がずっと大きく伸びておりますから、四十九年監督官一人当たり適用事業場数九百六十七と、こういうことになる。したがって、四ないし五倍に増加した。つまり逆にこれを言うならば、監督官定員だけを見ても、労働基準行政の主体的能力といいますか体力といいますか、それは昭和二十四年当時の四ないし五分の一に低下していることになるのではないか、こういう指摘があるんです。こういう指摘に対してどういうお考えでしょうか。
○政府委員(吉本実君) ただいま御指摘の点でございますが、監督官の数並びに適用事業場数の推移は先生おっしゃるとおりでございます。
○橋本敦君 監督官の人員は、昭和四十三年と五十三年この十年を比較しましても二千六百五十三人から三千百三十人、確かにこうふえておるわけです。ところが、事務官の方がどうなっているかということになりますと、四十三年の六千四百二十九人から五十三年の五千五百九十人と約二三%も減っている。事務官がこのように減っていることは事実ですね。
○政府委員(吉本実君) おっしゃるとおりでございます。
○橋本敦君 したがって、監督官が権限を持って重要な監督行政ができるだろうか。つまり監督官がその権限を持って自分の職務に専念できるだろうかという問題が出てくるわけです。この問題について、実態は、監督官がさまざまな雑事事務を処理しなくちゃならない、そしてまた、署によっては事務量の増大で臨時に嘱託職員を採用して内勤で事務をやってもらわなくちゃならぬ、こういうゆがんだ形が出ている事実があるようですが、こういう事実があることは局長御存じですか。
○政府委員(吉本実君) ただいまの御指摘でございますが、いわゆる嘱託職員と申しますが、そういった費用でもって行っている事実はございます。
○橋本敦君 そういうことは当然、次にどういう結果をもたらすかといいますと、監督実施状況の低下ということには当然かかわってくるわけです。私が労働省からいただいた資料で見ましても、昭和三十年は監督実施率が二五・五%ございました。それが五十三年になりますと何とわずか五・七%、こういうところへ激減をしてくるわけです。これは大変な問題だと思います。特にいま第三次産業には重点を置くとおっしゃいましたが、産業別定期監督実施状況を見ますと、五十一年で工業関係が一一%、これに対して非工業はわずか一%でございます。五十二年これが〇・九%に下がる。五十三年は同じ〇・九%、こういう数字になってくる。 だから、お言葉のように第三次産業関係における監督の強化をしたいとおっしゃるが、実態はここがずっと減ってきておる。全産業別に見ましても三十代に比べて五分の一の監督実施率の低下、こういう実態になっている。これは非常に私は、日本の労働行政にとっては根幹にかかわる重大な問題になりつつあるのではないかという認識を持ちますが、この現状を大臣どう把握なさいますでしょうか。
○国務大臣(藤波孝生君) いま先生から御指摘になられましたように、三十年代、四十年代、五十年代それぞれ時代を経て今日に至っておるわけでありますが、その間に急激に事業場数が伸びてきたということは一つ言えると思います。それからそれに対応して、いま先生から御指摘をいただきましたように、二五%、三〇%と監督指導して回れるような数字に持っていこうと思えば、それだけずつ監督官を増員してこなければならなかったわけでありますけれども、なかなかそれも容易なことではなかった。そういうような中でいろいろな努力をして、できる限り増員に持っていくように努力をしてきたことや、あるいは機動力などをもっと駆使することや、あるいは重点的に監督指導を進めることやいろいろなことを努力をしてきておるところでございますけれども、実質的に監督指導の業務が低下をしておるのではないかということを考えますと、これは非常に大きな責任を痛感をする、こういうふうに考えるわけでございます。 時代を経て、それだけいわゆる労働基準に対する認識が労使双方で深まって一般化されて、ごく短時間あるいは何年間に一回の指導でぴんとみんながくるというようなレベルに達しておってくれればというのがそこでの願いであるわけでありますけれども、なかなかそんなに甘く考えておるわけにもいくまいというふうにもまた考えるわけでございます。今後とも監督官の増員につきましては、勤労者の権利を守り、そして明るい労働環境あるいは健康な労働環境、安全な労働環境をつくってまいりますためにも努力をしてまいらなければなりませんし、さらに人員で少ないところを補うような、いろいろなパンフレット等を通じて認識を深めさせるとか、いろいろなことを努力をしていかなければなるまい。いま御質問に対しましてはそんな感じを抱いているところでございます。
○橋本敦君 そこで、増員要求となりますと、第五次定員削減計画との絡みで大臣も本当に深刻な立場に立たされているという状況だと私は思うのです。政府平均が四・一七%削減、労働省がこれより上回って五・五一%、そこのところでいまおっしゃった増員にどうやって努力するか。この問題については大臣もすでに御存じのとおり、中央労働基準審議会等から定員削減については基準監督官のような問題は形式的、一律的削減になじまないものとして重視をして十分手当てをするようにという答申が出ております。したがって、この点で大臣にも思い切って努力をしてもらいたい、これが一つ。増員に努力をしてもらいたい。 それから第二番目は、行管庁がやっておりますいまの行政整理関係で、三月十日には労働本省で事情聴取があり、大臣の御意見も開披されたかと思っておりますが、これ以上基準監督署を減らす、あるいは局のブロック化、こういった構想で統廃合を進あるという状況にはない、労働基準行政を考えますと。これは食いとめていかなくちゃならぬ、こう思っておりますが、この二点について大臣の御意見をお伺いさしてください。
○国務大臣(藤波孝生君) 今後とも増員につきましてはあらゆる努力をしてまいりたい。よく労働基準監督行政が非常に多様化し、事業場数が増加し、そして余り高度成長の時期でない時期に入っていくわけでありますから、いろんな面で指導監督をしていかなければならぬ部分が多くなっているということを関係省庁と接触をいたしまして努力をしていくようにいたしたいと思います。行政改革には当然、これは政府全体で取り組んでまいらなければならぬという国家的な課題でありますけれども、同時にこれは単に員数合わせであるとか、あるいはブロックなり県なりで幾つの機関を減らしたらそれで効果があるとかないとかというような問題ではなくて、行政全体の中でより機能を発揮をして、行革の目的とするところを達成をしていくかということがねらいでなければいけないというふうに考えるわけでございまして、単純に員数合わせで進められるようなことがもしあるとするならば、労働省は労働省としての立場でそれぞれの部門の重要性を強く主張をいたしまして進んでまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○橋本敦君 二番目の点、もう少し明確に大臣のお考えをお伺いしたいんですが、私が言いました都道府県労働基準局の廃止や地方労働局の設置、こういったいわゆるブロック化構想といわれておりますが、こういうことに対して大臣としてどういうお考えで対処されるか、これは明確におっしゃっていただきたい。
○政府委員(谷口隆志君) ただいま御質問ございました行政改革のうち府県単位機関につきましては、昨年末の閣議決定で御承知のように、行政監理委員会の審議結果を待って五十五年六月末を目途に整理合理化案を立案するということになっておるわけでございまして、私どもの方では御存じのように都道府県労働基準局と婦人少年室がございます。それぞれ都道府県労働基準局で見ますと、この府県単位の行政機関……
○橋本敦君 済みません、結論を。
○政府委員(谷口隆志君) 中間管理機関というよりは広域的な問題とかあるいは重大な災害、職業病とかあるいは最賃の問題とか、いわば第一線的な業務も相当やっておりますので、ブロック化にするということについては私ども納得できないということで対応いたしたいと思っております。
○橋本敦君 わかりました。 それでは、次の問題として私は何度も議論されておりますが、看護婦さんの労働条件の向上の問題についてお伺いしたいと思います。 労働省はさきに、「病院における看護婦等の労働条件に係る調査的監督の実施結果の概要」を五十五年一月に発表されました。この資料を拝見いたしまして、大変な調査だったなということは敬意を表するわけですが、これを見ましても病院関係の労基法違反率が高い、そしてまた、この裏返しとして看護婦さんの労働条件がかなり過酷である、こういうように私は見ておるんですが、労働省としてこの調査結果、看護婦さんの労働条件について労働基準法違反率が高い、労働条件がかなり重い、こういうように認識しておられるかどうか、まずこの点をお伺いいたします。
○政府委員(吉本実君) ただいま御指摘の病院に対する監督指導結果でございますが、五十三年の十月から五十四年の三月までの半年間におきまして実施した結果でございますが、看護職員の深夜業を含む一カ月の平均夜勤数は十日以下の者が九六・八%、それから全体的に過度の夜勤日数削減の見地から改善傾向が見られますけれども、一カ月の夜勤日数が最も多い者について見ますと、十日を超える者が二一・一%、こういうふうなことになっておりまして、なお改善を要するものが少なくないというふうに思います。
○橋本敦君 いま一つの夜勤日数を例として今後改善を要するということを御指摘になったわけであります。労働基準法の違反率の問題にしましても、四十九年四月発表分では八八・五%、五十年五月発表分で九〇・七%、五十五年一月、いま指摘しました調査でも八六・二%、これが主として労基法違反ということで出てきておるわけであります。ですから、夜勤に限らず、労基法違反という、法違反という実態もまだまだ減っていないという事実の認識が一つは大事であろう。 それから、具体的な看護婦さんの交代制勤務、この問題が非常に大変なんですね。私は大阪でございますので大阪赤十字病院を調査をいたしました。ある看護婦さんのことしの三月の一カ月の勤務実態をずっと書いてもらって拝見をしたんですが、この病院を例にとりますと、日勤は朝八時から十六時、準夜勤が十六時から二十四時、深夜勤が零時から午前八時、これは大体ほかの病院も同様でしょう。この看護婦さんの三月の実績を見ますと、日勤が十四日あります。早出が三日、準夜勤が四日、それから深夜勤が五日、週休が五日、こうなっているわけです。そこで深夜勤、準夜勤を足しますと九日になります。日勤が十四日ですから、平常にいわゆる人間らしく八時から夕刻まで勤務するのが月の半分、こういう状態で後は夜勤、準夜勤とこう連続していくわけです。 大阪の赤十字病院の場合は、早出、日勤、遅出、準夜勤、深夜勤、こういう五組の交代制というシステムでやられています。これが連動していきますから、看護婦さんはこの連動の関係で十分家に帰っておれないという状態も出てまいりますし、それからゼロ時に勤務に入る、あるいは早朝に入る関係で遠くから通えない。そこで私、このあたりを歩きまして、大阪赤十字病院では看護婦さんのたくさんの方が病院の近くに集中して集まって住んでいらっしゃるというのに気づきまして、細工谷という町なんですが、このことを看護婦さんたちは、私たち細工谷村に住んでいる、こういう表現で言われております。居住の自由もないという実態だと思うんです。 こういう勤務実態をどうやって解決するかということになりますと、これは厚生省の所管ですが、第一には、何としても看護婦さんの増員というのを、厚生省の計画はなかなか達成できませんが、これをやっていかなくちゃならない。 それからもう一つ、そういう増員に見合いながら、交代制勤務問題をもっと労働省は真剣に取り上げて、具体的に言うならば、この看護婦さんの勤務について、勤務と勤務の間のオフの時間を十六時間以上確保する、こういうことが必要ではないかと思いますが、この点の指導は労働省としては、どうおやりいただけるでしょうか。
○政府委員(吉本実君) ただいま看護婦さん等の病院に勤務する方々、の問題でございますが、私どもは先ほどのような御指摘もございますし、基準行政の一つの大きな中心といたしましてここ数年来、病院を監督指導の重点対象ととらえまして、最低労働条件の履行確保ということに努めてきているわけでございます。 かつてから私どもは、深夜業を含む夜勤日数が一カ月の三分の一を超えるもの、こういうことを対象にいたしまして順次その日数の減少を図って改善させるようやっている次第でございますが、こういった点につきまして今後とも指導を強めてまいりたいと、いうふうに思っております。 特に、御指摘の交代制勤務のオフ時間を最低十六時間といいますか、いまはそういったところをきちんともう少し余裕のあるようにしろというお話でございますが、その点につきまして具体的にどういうふうにしていくかということになりますと、やはりそれぞれの医療機関で勤務時間の設定の仕方ということにかかってきます。そういった勤務時間の設定につきましては、当該地域におきます医療上の要請だとか医療機関の実情はいろいろございますので、一律にはなかなかいかないと思いますが、そういった実情に合わせながら労使でいろいろ相談をしていただく、私どももそれに対するお手伝いをしていく、こういうような形で進めてまいりたい。また、厚生省に対しましても私ども常々この点についてもひとつ積極的に取り組んでほしいということを前々からも言っておりますが、ことしに入りましてもそういった点についてのお願いをしていくというようなところでございます。
○橋本敦君 私はオフタイム十六時間ということを申しましたが、一遍に十六時間にというのは容易じゃありませんが、合理的なオフタイムをとるように指導を強めるということはやっていただけますか。
○政府委員(吉本実君) まさに御趣旨としてはそのとおりでございますけれども、必ず画一的にそういった点についてきちんとするというところまではなかなかむずかしいんじゃないかと思います。
○橋本敦君 労働省がむずかしいとおっしゃると、なかなかこれは、労働組合の運動としてがんばりますけれども、経営者が聞かなかったらそれまでということになりまして、改善されませんね。これは指導の観点としては交代制勤務の問題を研究し、オフタイムは合理的にとるという方向で指導するという姿勢は、要るんじゃないんですか。局長、どうですか。局長、いまの答弁のまま変わりなかったら、大臣にひとつ答えてほしいですね。
○政府委員(吉本実君) 交代制勤務の問題につきましては、大変問題が多いということで、私どもも部内でそういった研究会をつくりましていろいろ検討をしているところでございます。
○橋本敦君 その部内の研究会に、私が取り上げた看護婦さんの交代制勤務問題も当然検討対象として入れていただいておりますか。
○政府委員(吉本実君) そういった点も含めて考えていきたいというふうに思っております。
○橋本敦君 それじゃ、そういう検討委員会に、現実に働いている労働者の立場を代表して労働組合の意見も聞く機会、これは持っていただけますか。
○政府委員(吉本実君) 現在、そういった検討委員会で検討してございますそういった過程の中で、当然関係者の御意見も十分聞きながらやってまいりたいというふうに思います。
○橋本敦君 そこで大臣、労働時間短縮というのは世界的な趨勢ですが、この問題でずばりと申し上げまして、要するに八時間の変形、これをできるだけチェックしていくということが大事です。そういう意味で私はこの際、労基法の四十条に関連をいたしますが、労働基準法施行規則の問題の二十七条、つまり九時間労働問題、この二十七条は、これは直ちに廃止するという方向で思い切って労働省は進んでいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(吉本実君) ただいま労基法四十条並びにそれに基づきます同規則の二十七条の観点でございますが、この点につきましては、特例業種の労働時間ということで従来からこういった点に、原則の八時間労働制になるように指導してまいっておる次第でございますけれども、またそういった実際の姿も改善が見られるところでございますが、私どもといたしましては、この特例制度というものを基本的には廃止をするという方向で、現在それに取り組んでいる次第でございます。
○橋本敦君 わかりました。これは具体的には今年度じゅうに廃止というめどでおやりいただけますか。
○政府委員(吉本実君) ただいま、先般の調査結果等も参考にしながら集計をしておるところでございますが、そういったまた各方面の御意見も聞きながらやってまいりたいと思いますが、ここで、いつまでにそれをやるかということは現在のところまだはっきりしておりませんので、その点はひとつ御了承願いたいと思います。
○橋本敦君 しかし、そう長いことであっては困りますので、せっかくの御検討ですから、できれば年度内にはもう結論を出していただきたい。 時間が参りましたので、最後に、細かいことは質問できませんが、こういう変則的な勤務形態、そして十分なオフタイムがとれない、通勤も遠距離の人は特に大きな負担をこうむる、いわば人間的なルーチンな生活形態というのはとれないわけで、その上に年休の取得率がこれはまた労働省の調査によっても看護婦さんは低いです。 そこで、その結果どうなるかといいますと、看護婦さんたちに、大阪市立大学の看護婦白書を見てもその他の白書を見てもわかるんですが、全般的に胃腸障害とか疲労、倦怠感、腰痛、それから流産、いろんな健康障害があるんです。そこで私は、こういう看護婦さんたちの勤務条件とこういう健康状況との関連で、この問題の健康実態調査をひとつ、労働省は年休取得率だとかあるいは基準法違反率だとか、これは調査なさっておりますが、看護婦さんについて労働条件とそれから健康状況との実態調査を研究をしておやりいただくように一つはお願いをしたい。 看護婦さんの実態が同時に家庭全体にどれだけ影響があるかは、労働省の職員がつくられた、今度は映画になりますね、「看護婦のオヤジがんばる」というなかなか前評判がよろしいようです。これは大臣も局長もお忙しいですけれども、一遍見てあげてほしいと思うんです。こういう家庭生活とのかかわりで健康実態調査もぜひやってあげていただきたい、私はこう思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(吉本実君) 健康問題につきましては、私ども大変われわれの行政の重点にもしているわけでございます。先ほどもちょっと申し上げましたが、交代制労働をめぐる問題というものについてなかなかいろいろ問題が多いので、そういった点について研究を行っているところでございますが、その中で調査の方もやってみたいというふうに思っております。
○橋本敦君 じゃ、時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
○柳澤錬造君 私のお聞きしていきたいことは、労働組合法の立法精神というか、基本的な考え方をどういうふうにして統一した見解をお持ちかということを聞いてまいりたいと思うんです。 第一には、組合法第一条に——労働者はだれでも労働組合を結成することができる。それで、結成すれば第六条で団体交渉権を持つわけです。労使は対等の立場でもって労働条件の交渉をしなさいと。そこで、この法十七条で一つの事業所に複数組合があったときに、四分の三以上の多数派組合が労働協約を結べば、それは少数派組合にも右へならえで波及をする、適用されるということが明らかになっている。これはもう無条件で適用になるんですということで理解してよろしいかどうか。
○政府委員(松井達郎君) 先生のいま御指摘の問題は、実はなかなか学説の中でも議論の対立がございますし、一方、判例の方は比較的少ないわけでございます。それで、どんなふうに解するかという問題になってまいりますと、実は私ども労働省の方では、いまから約二十五年前に行政解釈をこの問題について出しているわけでございます。この問題につきましては、多数の、四分の三以上の労働組合があって一つの労働協約を結んでおった、他方四分の一以下の労働組合もあって労働協約を結ぼうというときに、それは労働協約は結ぶことはできるのだ、しかしながら、多数の労働組合が結びまして、労働組合法十七条によりまして拡張適用された場合には、その限度において少数組合の労働協約の効力は停止するのだという解釈をとっておるわけでございます。これは先生も御存じのとおりかと思います。 ところが、学説の中にはこれと反対の立場をとる説もなかなか有力でございまして、その立場に立つ場合には、複数の労働組合がある場合には、それぞれの労働組合の団結権、団体交渉権というものは尊重しなくちゃいかぬということで、いわゆる拡張適用というのは複数の組合がある場合には及ばないのだという考えがあるわけでございます。 それで、判例はどうかと申しますと、判例は労働省と同じような考え方に立つものもございますし、それから一方、少数組合が独自の協約を結んた場合には、それは拡張適用は及ばないのだという考えを持つものもありますし、さらにいわば折衷的なものとして、多数組合の労働協約の中に少数組合にとっても有利な条項がある場合には、それだけは及ぶんだというようなものもございまして、分かれているようなわけでございますが、どちらかと申しますと、少数組合には及ばないのだというのが最近の判例であるように私は考えております。
○柳澤錬造君 そうすると、法十七条は死文化しているということですか。
○政府委員(松井達郎君) この点につきましては、未組織の労働者がある場合にはこれは及ぶわけでございまして、この点については最高裁の判決もはっきりしております。つまり四分の三以上の従業員を組織する労働組合がある場合には、その組合が労働協約を結んだ場合には、未組織の労働者に対しても労働協約のその条項は及ぶのだという点は、最高裁の判例でも確立されておりますので、これは十七条は死文化されているわけではないのでございます。
○柳澤錬造君 そうすると、少数派組合が、その多数派組合が協定を結んだけれども、それは不満だというかっこうで交渉していって、独自な労働協約を結んでよろしいというふうに解釈していいの。
○政府委員(松井達郎君) これは、少数派労働組合も労働協約は結ぶことができるわけでございます。それは差しつかえないわけでございます。それで労働省の解釈は、多数派組合と労働協約がぶつかっている場合には、その間において効力が停止しているということでございます。言いかえますと、仮に四分の一を上回ることになってきた場合には、停止されておった協約の効力は復活して有効になってくるというふうな考え方をとっているわけでございます。ですから、結んで差し支えないし、効力は停止されている。しかしながら、効力が出る場合も考えられるということでございます。
○柳澤錬造君 その辺の見解というものは、そうするといつごろから定着して一般的に理解されるようになっていますか。
○政府委員(松井達郎君) この見解を出しましたのは、実は昭和二十九年の行政解釈でございます。それで、昭和二十九年の行政解釈を出す以前の判例の傾向を見てみますと、どちらかと申しますと労働省の考え方と同じく、沿ったものがあったわけでございます。ところが、その後いろいろな判例が出てまいりまして、労働省のとっています行政解釈が必ずしも通説的な立場ではなくなったということが言えるのではなかろうかと思います。したがって、先生のおっしゃるように、労働省の考え方が解釈として定着しておるかという観点からまいりますと、残念ながら必ずしも定着していないのではないかというふうに私どもは現状を理解いたしております。
○柳澤錬造君 昭和二十四年に戦後のいまの労働組合法が大改正をして、その後も部分的な改正は行われていったんだけれども、いま言った昭和二十九年それからその前は昭和二十三年ですか、労働省として行政解釈をいろいろ出された。しかし私の気憶では、いまのような明確な形ではあのときは出されていなかったと思うんです。だから、多数派組合との間でもって労働協約を結んでしまうと、少数派組合がそれを不満としていろいろ交渉をやってくる。現実にあるいはストライキをやる。そういう形になっても経営者の方としては、それは応じるわけにはいかないんであって、結局ストライキをやられても打たれっぱなしでもって、そのままじっとなにして、それで交渉をやらぬと言えば、すぐそれはもう不当労働行為だということになるから交渉に応じざるを得ないんで応じている。しかし修正回答は出すわけにはいかないというかっこうで、そこに言うならば無用なトラブルが少数派組合と経営側との間である期間続くということだけでもって、それでいま言われたような昭和二十九年にそういう行政解釈を下したというんだけれども、そういう行政解釈で実際に行われている労使関係を私は余り知らないんですけれども、あるんですか。
○政府委員(松井達郎君) この行政解釈の存在につきましては、やはり実務家の人は御存じなわけでございます。ところで、その後、先ほど申しましたように、幾つも行政解釈とは違った立場に立つ判例が出てまいったわけでございます。それで、私どもにもそう頻繁ではございませんが、たまにこの件について御相談があることもあるわけでございまして、私どもとしましては具体的事情をよくお伺いして、そしてこういうような判例もございますということで、判例の動向もお教えしながら、具体的実情に即した私どもの考え方を申し上げておるのが現在の状況でございます。
○柳澤錬造君 私が申し上げたい点もそういう意味で、だから何というんですか、労働三権——団結権、団体交渉権、罷業権というものはきちんと確立をしておかなければいけないけれど、現実の問題としていまの労働組合法というものが非常にふぐあいですから、そういう意味でもって私が検討していただきたいなと思っていたのは、いまの御答弁の中であらまし解消されるわけです。 といいますのは、私が長い間の、ずっと見て不合理だと思う点は、それは労働組合は労働者が自由につくれなくちゃいけない。それで、労働組合をつくったならば、団体交渉権を持つか持たないかは労働組合が自主的に判断をして、それでもし団体交渉権を持つならば、それは多数派組合とは関係なしに、独自に労働協約を結ぶということを認めてやらせる。それから、多数派組合のそれの波及効果の及ぶ拡張適用を求めようと思うならば、それはもう団体交渉権は持たない、そういうことでもって、それは無条件に多数派組合が決めたものは一切そのまま波及効果が及んで拡張適用してもらう、そういうことにでもしなければなかなか片がつかないじゃないかという気がするわけなんです。ですから、この点は昭和二十九年の行政解釈でというならば、それはその辺でもう一度御検討をいただいて、そしていまの労働組合法でその行政解釈が生かされるのかどうかということを御検討いただきたいと思う。 それで、いま私も言っているような、そういうことが生かされるということになるならば、それで問題はないんだけれども、もうちょっときちんとしていただかなければ、その辺のところの、私が知る限りではいまのようなそういう理解は一般的には理解はされてないんですから、その点きちんとしておいてください。
○政府委員(松井達郎君) いま先生がおっしゃいましたように、少数組合にも団体交渉権はある、争議権もあるということになりますと、団体交渉拒否の問題とか、あるいは争議が起こった場合にどうなるかということでいろいろな問題が出てくるわけでございます。たとえば団体交渉の問題につきましても、このような少数組合について労働協約を締結しようということで団体交渉を求めた場合に、これはおまえの方は少数組合だから団体交渉を拒否しても不当労働行為にならないんだよという解釈があり得るわけだと思います。ところが、実際に労働委員会の命令を調べてみますと、これを不当労働行為でないというふうに言う命令は少のうございまして、やはり少数組合といえども、このような場合についても団体交渉することができるんだ、拒否することができないのだというような命令が幾つか出ておるわけでございます。 それから、先ほど申しましたように、労働組合法十七条の解釈だけにつきましても、最近はいろいろな判例が出てきておるというわけでございます。私どもとしましても、実務の面でございますので、判例理論の何と申しますか、統一と申しますと大げさでございますけれども、最高裁で出していただけば一番ありがたいのでございますが、全体の判例理論が安定するという傾向をとることが私どもとしましても望ましいので、できればそういう傾向が見えるようになるときを待ちたい、一刻もそういうような時期が早く到来するのを望むというような気持ちでおるわけでございますが、一方先生がちょっとお触れになりましたように、これを制度改正というような方向で考えるかというふうになりますと、これまた幾つか問題が出てくるのじゃなかろうかというふうに思います。それで、私どもとしましては、できましたら労働組合法十七条の解釈の問題ということではっきりさせていければというふうに思っております。 現状につきましては、先ほど私が申し上げましたように、いろいろと照会がありました場合、具体的な事情もよくお聞きしまして、そして判例の動向なり命令の傾向なり、こういうものをお伝えしまして、そして具体的な実情に即した考え方を、御相談にいらっしゃった方、あるいは私どもに照会をされた方にその辺の実情についておわかりいただけるように指導いたしておるつもりでございます。
○柳澤錬造君 私が言いたい点は、そういう御相談に来たらどうこうじゃないんです。個別の事例ならば幾らでも持ち込んできて、いまあなたが言われているようなことと全く違ったことになっているんで、どうあなたが言われようと法十七条の解釈からあるいは未組織労働者の場合には適用になるんであって、組織労働者だったらそこにもう労働組合があるんだからこの法十七条の拡張適用はありませんよなんということは、だれがあの法を読んだってそんな理解はつかないわけだ。学者さんたちはそういうものをもてあそんでいるのだから、適当にああでもないこうでもないと言って学説を並べているだけであって、だから要は、現行の労働組合法のあの十七条なら十七条をそういう解釈にしようとするならば、だれが読んでもそういう解釈のできるように法改正しなくちゃいかぬです。 私が言っているのは、どっちがいいか悪いかじゃないのです。大多数というものは、私が心配するようなことでもって、そして現実に経営者も少数派組合から交渉を持ち込まれて、拒否すれば不当労働行為になるというのでこれは応ずる。応じて、不満だと言ったからといって少数派組合に増額回答するわけにはいかぬから、だめです、だめです、と言っているにすぎない。そうしたら、そのうちに今度は少数派組合はストライキをやる。ストライキを打たれたってどうにもならないのです。そういうふうな状態のままに放置をしておって、そしていま私が聞けば、いや、それはこうこうしかじかの解釈だったと言ってもそれは通用せぬのですからね。ですから、もうそこのところはそういう誤解の起きないように合理的な解釈を下されて、だれが読んでもそうなんだという理解ができるように労働組合法の御検討をいただきたいと申し上げている。 それから、もう一つの大事な点で関連して、私はこれも基本的な関連からずっと聞いていきます。 今度は、一つの事業所に一つの労働組合、そこにちゃんとできている。組合員の中でもってそこの執行部のやっていることの方針に不満だと言って脱退するということをした、人数は何人でも。そうしたときに、その脱退ということは執行部の承認を要するのかどうなのか。その辺について労働組合法は何か判断を持っているかどうか。
○政府委員(松井達郎君) 労働組合法としては、その場合に相当するような規定はございません。しかし、この面につきましては、判例の考え方はほぼ確立しておると見ていいのではないかと思います。 先生のおっしゃった脱退につきましては、これは個人の自由の意思によって決めることができるので、執行部とかあるいは大会とかその他の機関の承認を経なければ効力が発生しないというような規定が仮に規約にあったとしても、その規約の規定は効力を持っていないというのが、いまや判例におきましても通説的なものになっているというふうに私どもは考えております。
○柳澤錬造君 そのとおりだと思って……。ですから、そんな規約を私はまだ見たことがないけれども、規約の中に、脱退するときには執行部の承認を要すると仮にあっても、その場合には執行部の承認なしに文書か何かでもって脱退という手続さえとれば、それでそれは有効であるという判断でよろしいわけですね。
○政府委員(松井達郎君) 手続的なものであれば別でございますが、承認が効力要件みたいなふうに規約に書いてあれば、そのような規定はもう効力がない。先生がおっしゃるとおりでございます。
○柳澤錬造君 続いて、そういうぐあいでもって脱退をしていった。そうすると一般の組合費や何かは、まとめて持っている組合の財産だからどうにもならぬけれども、よく組合員の個人名義で闘争資金なんか積んでいる。そういうものはそういう形で脱退だといって飛び出していった者にでも返還しなければならないものだと思うんだけれども、その辺の判断はどうですか。
○政府委員(松井達郎君) 先生のおっしゃるように組合に納める金は、たとえば組合に納めちゃったというような場合と積み立てたような場合と大別すれば二通りあり得るのではないかと思うわけでございます。組合に支払う金はいろいろな名称がついていると思いますけれども、個人名義というようなこと、そして個人名義の積立金というようなことが実態から見てもはっきりしているというようなものであれば、これは返還請求ができるというふうに私どもは従来から考えてきておりましたし、それから昭和五十年になりまして、最高裁がこの点についてはっきりした見解を出しております。先生のお考えのとおりに考えてよろしいと思います。
○柳澤錬造君 それはもう返還請求しなくても返さなければいかぬものだと思うわけですね。 それから、その次の段階に入っていって、今度は労働組合としてはいま言ったように一つの組合を結成をしているんですから、そこから何人かが脱退をしていくというならば、労働組合側では団結を保持するために臨時大会を開いて除名という処分をする。そうしたときに、その除名処分ということについてはどういうことになるのですか。
○政府委員(松井達郎君) 脱退をした後で、それを追いかけて除名するということを先生は例としてお挙げになったのじゃないかと私は理解いたします。脱退すればすでに組合員の地位はないわけでございますので、追っかけて除名をする、そして除名の決議をした、あるいは除名の通知をしたということがありましても、それはもう効力は持っていないというふうに私どもは考えております。
○柳澤錬造君 そうすると、まさか脱退する前に除名なんていうことはあり得ぬことだから、あとは何か破廉恥罪でも犯したとかということになれば話は別ですが、一般的な労働運動の面から言えばそうなる。そうすると普通は、脱退した、執行部側としてはそれはけしからぬ、そういうことだったらもうこれらは除名だという形になっていくのが一般だけれども、いまおっしゃったように、いまの御答弁だと、もう除名だということをやる前にその人たちは脱退をしている。脱退をしているから組合員の資格はない、だからそれはもう効力なしということですね。 そうしてくると、そこは一つの労働組合だからユニオンショップを結んでいる。ユニオンショップを結んでいるから労働組合側としては、これこれは除名をいたしました、ですから解雇をしてください、それも意味なしというわけですか。
○政府委員(松井達郎君) ユニオンショップの場合と申しますのは、先生御存じのようにその組合の組合員でないともう今後は従業員としての身分を失わせるのだと。組合員でないということを考えてみますと、未加入の場合と脱退の場合と除名の場合と三つ組合員でない状態というのはあり得るのじゃないかと思うわけです。大方の組合につきましては、なかなか完全なユニオンショップというのはないの、だろうと思うのでございますが、よく脱退についてあるいは除名した場合についてもう組合員でなくなると、今度は従業員としての身分をなくするように、解雇するようにしなければいかぬというのが多いようでございます。 それで、先生のいまお挙げになった例、これはその組合の規約に脱退の場合と除名の場合と並べて書いてあるのか、あるいは脱退の場合が抜けちゃって除名だけ書いてあるのか、そこはちょっと先生の御質問のところで私よくうかがい得なかったわけでございますけれども、いずれにしましても脱退した場合には、それはそのユニオンショップの対象にならないのだ、除名だけなんだというようなことになってきますとちょっとケースが違ってくるのじゃないかと思いますが、脱退も除名もいずれにしてもユニオンショップの適用があるのだというふうなことになりますれば、それは脱退したときからもう組合員でなくなり、かつ使用者としてはその従業員の首を切らなくてはいかぬ、解雇しなければいかぬというふうになってくるのではないかと思います。
○柳澤錬造君 普通、会社が採用して大体三カ月くらいの一定期間を置いたらそれは組合員にするんだと言っている。そのときに入ってこない場合、それから脱退をした場合、それから組合が除名をした場合、大体そういうときはこれはもうやめさせるというふうな形になっているのが一般の通例です。 ですから問題は、私がいまはっきりしておきたいと思うのは、脱退というのは規約にどうあろうと組合員個々人がその意思を表明した瞬間に、瞬間にといっても手続をとってなにしたときに効力を持つ、規約にどうあろうとも、それはそうだと思う。しかしそういうふうなことであったからといって、それじゃ組合側として団結を保持するためにそういう人たちを除名にしようと思っても、それは除名をすることもできないんだという、その辺の理解がどの辺のところから出てくるのかなということが少しわからないんですけれども、もうちょっとそこのところを。
○政府委員(松井達郎君) いま私が申しました考え方は、脱退というのは個人の自由な発意に基づいてできるということを前提にしているわけでございます。それでいつ脱退の意思が表明され、どんな形で組合にいくかという手続問題が起こってくるだろうと思います。所定の手続き、たとえば届け出書をどこどこに出すとかそういうようなことが終わったということになれば、そこでもって脱退の意思が実現される、効力が発生するということになってまいるのではないかというふうに考えます。そうしますと、組合員の地位はそこでなくなってしまうということでございますので、組合員の地位のなくなった者にさらに追っかけて除名ということはこれはあり得ないのではないか。したがって、そのような仮にさらに除名するというような措置をとったとしても、その行為は、つまり除名処分というのは効力を持たないのではないかという考え方に立っているわけでございます。
○柳澤錬造君 そうすると、ユニオンショップの協定を結んでおってもオープンショップのままで置いておいても、団結権を保持する上については実態から言ったらほとんど変わりがないんだという判断になるわけですか。
○政府委員(松井達郎君) 私どもとしましては、このユニオンショップの場合につきましても先ほど申し上げた考え方は同じように当てはまると思っておるわけでございます。それでユニオンショップの場合には、通例脱退または除名した者についてはこれは使用者としては解雇する義務を負うんだということになっておりますので、脱退した場合についてもそれからさらに脱退はせずに積極的に組合が除名した者についても、使用者はその該当者を解雇しなけりゃならぬことだというふうに考えています。
○柳澤錬造君 もう時間が余りないですから、最後に大臣の方にお願いしておきたいんだけれども、いまの関係にしましても、組合の執行部が除名をしようというには少なくとも大体大会を開く形になっている、そんな簡単に執行部だけで決めてなんということはできないようになっている。そうすると、少なくとも大会を開いてそこに議題としてかけて、除名という問題というのは三分の三以上にはなっているのですが、かなりな時間がかかるわけです。組合員個人がもうおれは飛び出したいと言ったら、紙一枚脱退届けを出してそれですぐ即刻効力を持つんです。 ですから、この労働組合の性格からいろいろありますけれども、労働組合法で労働者の言うならば地位の向上のためにああいういろいろの点で保護を与えている、また行き過ぎもあっちゃいかぬからいろいろの制約があり、昭和二十四年の大改正も行われたわけですけれども、時間がないからきょうはこの二つの大きな点だけ私は取り上げてお聞きに参ったわけですけれども、まだほかにもあるわけです。ですからそういう点で昭和二十四年には大改正一回やって、それから後はやってないんです。 あれからもう三十年からたつんですから、今日的な日本の産業界というんですか、労働界の実態に沿ってあの労働組合法というものをもう一回再検討をして、それで不合理な点があったり、理解がまちまちな点やいろいろそういうものがあったり、そういうものが単に学説、こういう学説があります、ああいう学説がありますということだけでは済まないんであって、そういう点についてやはりきちんとしておくのが法なんですから、そういうことについても再検討をやってみるという気がないかどうか。私から言うならば、二度この辺でもって再検討をして全面的に手を加えることをお考えになった方がいいと思うんです。労働基準法の関係なんかもあるけれども、きょうは労働組合法のことだけで終わりますけれども、その点で最後に大臣の見解だけ聞いておきます。
○国務大臣(藤波孝生君) いろいろ先生の御質疑をお伺いをしておりまして、私も申しわけありませんけれども余り専門知識はないものですからお聞きをしておったわけでありますけれども、いまも担当官と話をいたしておりますが、やっぱり時間はたっておりますからいろいろ検討しなきゃならぬところもあるのだろうと思います。しかし、いま外向けにまだ検討するということになるという構えにはなっておらぬわけでありまして、少し部内で私も勉強もしたいと思いますが、それぐらいのちょっと軽い気持ちでとにかく一遍よく勉強させていただきたい、こう思いますので、その程度の御答弁で御理解をいただきたいと思います。
○柳澤錬造君 終わります。
○前島英三郎君 雇用促進法が昭和五十一年に改正されましてもう四年たとうとしているわけでありますけれども、しかしながら心身障害者の雇用という実効は依然上がっていないというのが現実だろうと思うんです。 国及び地方自治体の身体障害者雇用状況についてお伺いしたいと思うんですが、国、都道府県、市町村、それぞれにつきまして雇用率未達成の機関というのはどれくらいあるのかお伺いしたいと思います。
○政府委員(関英夫君) 国及び地方自治体の身障者雇用の状況でございますが、まず国につきましては、現在国の機関は雇用率は平均しまして二・〇一%、達成しているわけでございます。都道府県が一・五三%、これは未達成でございます。市町村全体では二・〇一ということで達成しております。一番率の悪いのは都道府県でございますが、都道府県の中をさらに割ってみますと、知事部局は一・九八%で達成いたしております。結局法定雇用率を達成していないのは都道府県の非現業的機関ということになりますが、この原因を探ってみますと、教育委員会の関係の雇用率が非常に低いため、すなわち中学校なり高等学校の教職員に採用される身障者が特に少ない、こういうことが理由になっております。いずれにいたしましても国なり地方公共団体は率先して身障者を雇用すべき立場にあるわけでございますので、そのような意味から雇用率達成に向けて格段の努力を払っていきたいと思っております。
○前島英三郎君 都道府県の雇用率の中で、特に教育関係のところで達成率が悪いということをいまお伺いしたわけなんですが、この対策についてはどう考えておられますか。
○政府委員(関英夫君) 昨年六月一日のそのような状況にかんがみまして、私の名前で先ごろ都道府県あるいは教育委員会あて、特に来年の国際障害者年を迎えて雇用率達成のために努力をするように要請をいたしたところでございます。また私どもの出先に対しまして、採用に当たっての措置を、どんなことをそれぞれ都道府県で考えておるかいろんな事例を報告するように指示をいたしたところでございます。そういった事例などを私ども十分調べまして、そういうものの上に立って具体的な今後の達成指導をやっていきたいと考えておるわけでございます。
○前島英三郎君 業種別の除外率を見ますと、小学校が七五%、高等教育機関——大学とか高等専門学校ですね、五〇%、盲学校を除く特殊教育諸学校六五%となっているわけなんです。相当高く設定されているんです。にもかかわらずなかなか門戸が開かれていない。この背景には、障害者が教職につくことは余りあり得ないし無理であろうという先入観みたいなものがあるのではないかというふうに私は思うんです。体育を含む全教科を担当する小学校についてはまだ私理解はできるんですけれども、高等教育機関あるいは大学も含めましてなぜ五〇%の除外率にする必要があるのか。中学校、高等学校というのは除外率がないんですから、当然そこにならってやらなければならないのではないかという気がするんです。 実は、その学校の教員にもっと障害者の進出を図るべきであるというふうにも私は思うんですが、これにつきましては、教員養成の問題とかあるいは教員採用試験のあり方など文部省に働きかける必要があるというふうに思うんです。たとえば特殊学級でも、本当なら盲学校には視力障害の先生がついた方が本当に子供の立場をよく理解できるんだけれども、実際は校長先生がなるべく視力障害の先生は派遣してほしくない。たてまえではどんどんそういう試験は受けさせるけれども、合格はできませんよというような暗黙の取り決めみたいなものがあったりするわけなんで、この辺はむしろ文部大臣に、私は大臣の方から積極的に働きかけていただきたい、こう思うんですが、大臣の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(藤波孝生君) 結果として、身体障害者の方々が教育職員への道がなかなか狭い。御指摘のように、教員養成のところに問題があったり、また入り口の採用試験でありましたり、あるいはせっかく試験に受かっても、実際にそれを採用決定をしてどこかの学校に決める場合に、校長さんと教育委員会とのいろいろな話し合いとか、これは勝手に想像するわけにはいきませんけれども、幾つもの難関があるような感じを率直にいたします。身体障害者の方々が、それぞれ個性と能力に応じていろいろな職につく。わけても、身体障害者の方々も障害児もたくさん教育界におるわけでありますから、そういった中で、そういった先生方も御一緒に仕事を進めていただくということの意味は、逆に非常に大きなものがあるというふうに私も考えるわけでございます。 今後御趣旨を踏まえまして、文部大臣とよく相談をしてまいりたい、このように考えます。
○前島英三郎君 市町村についてはかなりでこぼこが、この雇用率の問題ではあるように思います。しかしながら、神戸市とか広島市のように別枠で採用を進めているところもありますし、あるいは東京都下の幾つかの市では報告の基本的なルールさえ守らなかったケースというのもございます。つまり本人が知らないうちに、とにかく雇用率達成、雇用率達成ということだけにただ奔走しておりまして、実は本人の知らないうちに障害者手帳が交付されていた。で、カウントされていたというような、ただ員数合わせ的な部分というのが、この四年近くたっている今日は、いろんなところから出てきているわけなんです。 地方自治体は住民に最も近い役所でありますし、さらにそれだけに、地域住民に対する直接的な影響力等を持っているわけですし、しかも未達成であっても納付金を納めることがないわけでありますから、むしろ都道府県あるいは市町村、国、いずれの機関でも未達成のところがあったら、一般企業に余り雇用しないなら公表しますよというようなことをやるんではなくて、率先してこうした国、都道府県、市町村の未達成のところは、むしろここを一つは公表して、そしてさらに一般の企業の方への雇用の啓蒙を図るという手だてがそろそろ必要ではないかというような気がするんですが、その官公庁の未達成の公表という問題はどうでございましょうか。
○政府委員(関英夫君) お説のとおり、官公庁というものは民間に率先して身障者を雇うべきだと思いますし、いま御指摘のありました東京都の事例などは、法律の趣旨をよく知らずにつじつま合わせというところで、悪意はなかったろうと思うのですが、また実際調べてみますと身障者は雇用している。ただその証明方法等十分に知らずにやってしまったというようなところも見受けられるわけでございます。私どもそういう意味で市町村に対しまして具体的な法の周知徹底、指導というものを強めて、民間の範となるような採用をやっていってもらうように努めていきたいと思いますが、地方公共団体につきましても最近特段の努力をするようになってまいりましたと思いますし、また特に私、来年の障害者年を控えましてここが非常に身障者の雇用促進の上で大事だと思いまして、都道府県知事あてあるいは教育委員会あて、いろいろ手紙を出しまして、具体的な採用計画、それの達成の御努力をお願いしているところでございます。 法律上、官公庁は率先垂範ということで雇用率も高く決めてあるわけでございまして、逆に雇用率を達成していないところについては、すべて計画をつくって達成するように、こういうたてまえになっておりまして、民間のようにその後の勧告、公表といったような制度がございませんので、いま直ちに公表というようなことを考えるのはどうかと思いますが、ようやく都道府県においても市町村においても、身障者の雇用に熱意を見せてきたところでございますので、私どもも大いに努力いたしまして、いましばらくそういった状況を注意深く見守って努力していきたいと思っております。
○前島英三郎君 三年の雇用計画ということが義務づけられていますけれども、もうすでに四年になろうとしているわけで、一向にその数字が上がらないとなれば、むしろ一般企業のしりをたたく前に、私はこうした官公庁を公表というような思い切った形で責めることが必要ではないか、そういう時期に来ているのではないかというような気がするわけです。 民間企業の障害者雇用について見ますと、相変わらず大企業ほど雇用率が悪いというのが通説になっておりますが、業種別では金融、保険業などの雇用率が低いということを言われているわけなんです。しかし、最近では非常に金融機関がよくなった。金融機関に対する希望者も多いんで、金融機関は副頭取がその雇用促進委員長みたいな形になって、銀行のキャップたちがそれぞれ委員会などをつくって、率先して前向きに雇用に従事しておるというふうなことを聞くんでありますが、その辺はいかがでございますか。
○政府委員(関英夫君) 御指摘のとおり、金融、保険関係の実際の雇用率は非常に低いわけでございまして、私どもも重点業種の一つとして指導しておりますが、金融機関が身障者の新規採用に非常に熱意を持ってまいりまして、社内にそういった御指摘のようなものをつくったり、あるいは社員に命じて知り合いを頼って身障者の雇用を進めているような例もございまして、確かに金融機関も前向きになってきたと思います。五十三年の六月から五十四年の五月までの一年間に新規に雇い入れた身体障害者総数のうち、金融、保険、不動産業で一七%を雇っておる。前年から比べますと非常にふえておりまして、全体の中に占めるパーセンテージも非常に上がってきておりまして、まだ全体の雇用率は低いわけですけれども、新規雇用には非常に熱意を持ってきたということが言えると思います。
○前島英三郎君 まあしかし、雇用率を引き上げなければならないということは確かなんですけれども、いまの御答弁を伺っていますと、若干、非常に買いかぶった金融機関への評価だと私は思うんです。 率ばかり問題にしますと、つまり員数合わせのために従業員の中から障害者探しをしたり、あるいは軽度の障害者ばかり雇い入れるという傾向になりがちだと思うんです。そればかりか、ある意味で雇用差別と言われるような実態が生まれているんです。銀行が前向きになってきているだけに、銀行においてそうした傾向が幾つか出てきておりますので、ちょっと問題提起したいと思うんです。 実は、下肢障害二級の大学卒の青年が去年ある銀行に勤めることになったんです。ところが、事務補助の嘱託という身分で、一年契約で毎年契約を更新する形なんです。つまり、その給与も額面八万七千五百円という低額で、さらに休暇等についても正行員とは大変差がある。その銀行が雇用率を達成していない場合には、この青年を雇い入れたことによって、彼は重度障害者ですから三人分カウントされるわけです。月額六万円の納付金を納めなくて済むということになるんです。そうしますと、銀行は実質二万七千五百円の月給で雇っていると同じことになると私は解釈するわけです。その上給与から一万円、二万円と強制的に預金を勧告するようです。青年は結局退職してしまったんです。この銀行では、正行員として雇われている障害者よりもむしろ嘱託として採用している障害者の方がずっと多いんだ、こういうことを人事部の責任ある方が私への回答として出しております。また、ほかの銀行でも同じような傾向があるんだ。つまり、嘱託だという形のものが大変銀行は多いんです。非常に夢と現実というものがかけ離れています。銀行とか金融関係が障害者に非常に理解を示してくれた。で、「働く広場」というようなところでも、それぞれ有名な銀行の代表者が座談会をして、率先して企業ではこういう身体障害者雇用委員会みたいなものをつくってやっておりますよという太鼓を鳴らしている。それ行けというんで障害者が行くと、通常の新卒者の中で入ってくるならばほかの人たちと同じ扱いはするが、身体障害者雇用促進法によって来るとつまり一年ごとの契約ということなんです。臨時雇用、嘱託ということなんです。 そこでお尋ねしたいんですが、労働省は、社員として雇われていたか嘱託として雇われていたか、その実態というのはつかんでいるんですか、いないんですか。
○政府委員(関英夫君) 私どもは職業紹介をいたします場合に、できるなら期間の定めのない常用雇用というのが一番望ましいと思いますけれども、とかく金融関係では新規の学卒者は一定期間の正社員として登用していく、中途採用については嘱託とするというような慣行のあるところがあるんではないかと思っております。一般的に言いまして、身障者であるから嘱託にする、健常者であれば中途採用であろうと正社員にしますというようなことで、身体障害者であるがゆえに何か雇用上の差別があるとすればこれは問題でございまして、そういうことのないように指導はしたいと思いますが、ただ日本の終身雇用慣行のもとで、中途採用の場合にある一定の形式をとるということが一般的に行われているとしますと、それを改善していくということは非常に企業全体の問題になってまいりますので、簡単にはいかない問題ではなかろうかと思います。 いずれにいたしましても、身障者の雇用を促進していく場合に、雇われさえすれば何でもいいんだということではいかぬわけですし、特に身障者の場合には雇い入れ後の状態というものまでもフォローしていくことが必要であろうかと思いますし、ただいま先生が御指摘になりましたものが具体的にどんなものか、私どもも具体的にお名前が後でわかれば十分調査し検討してみたいと思っております。
○前島英三郎君 その資料は後で提出するといたしまして、通常の雇用関係というのは期間の定めのない雇用契約ということが言われております。しかし、嘱託として一年の契約期間が切れて契約更新をしなかった場合、雇用促進法八十条の「解雇の届出」というものは当然適用されると思うんですけれども、その辺はどうなんでしょうか、適用されるんでしょうか、されないんでしょうか。
○説明員(若林之矩君) 身体障害者の再就職は一般に困難でございまして、新たな職につくまでに比較的長い期間を必要とするわけでございまして、このために、事業主が身体障害者を解雇しようという場合にはその旨を速やかに安定所に届けてもらいまして、あらかじめその方に適した求人の開拓、職業指導等を積極的に行って早期の再就職を期する、こういうような必要がございまして、このような観点から法律の八十条で解雇の届け出義務が定められているわけでございます。契約期間が仮に一年と定められまして、これが何回か更新されて、その次に更新されないといったような場合にこれが解雇になるかどうかということでございますけれども、これは個別の事例で、それが、何と申しますか、実質的に期間の定めのない労働関係と認められます場合にはこの八十条の解雇に当たる、こういうことでございます。
○前島英三郎君 その一年契約の者が「解雇の届出」に適用されるならば何も嘱託にする必要がないというふうに思いますし、適用されないなら、解雇事由の雇用関係というのが障害者であるということにもつながるだろうと思うんです。新規学卒者として入社試験を受けて入行した人と全く同じにしろということは私は言えないと思います。しかし、少なくとも身分は安定していなければならないと私は思うんです。身分は安定してほしいと思うんです。 たとえば、一〇〇が普通の行員の能力だとして、その人が松葉づえをついていて三〇のハンディキャップがあったら、それは七〇の職業能力という評価は仕方がないけれども、しかし、それが一年ごとに契約をしなければならない、有給休暇も満足にとれない、組合にも入れない、何ら自分の主張することができない、一年でいやだったらやめていってくださいということのような形の雇用で、金融機関が雇用率が非常によくなったというような気持ちを私は労働省に持ってもらいたくない、そういうふうに思うんです。 そういう意味では、今後、そうした金融関係には正しい指導をやってもらいたいというように思います。このままでは障害者イコール下層労働者群といった状態に私はなりかねないと思うんです。雇用者の雇用を急ぐ余りそうした状態をつくることになっては、長期的にも大変マイナスの面が出てくるだろうというふうに思います。そういう意味では、今後の行政指導というものを十分にやっていただきたいと思います。つまり、そうう意味では雇用後の諸問題についてきめ細かなフォローアップをする必要があるのではないかというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(関英夫君) 身障者の雇用を促進していく場合に、先生の御指摘のような観点から十分指導していくことが必要だろうと思います。いままで公共職業安定所におきましては事業所の入口まで、つまり紹介までが担当で、その後のことは、たとえば労働基準法違反があれば基準局の関係であるというような形で、それだけではないんですが、とかくそうなりがちでございまして、就職後の指導といったものは身障者に限らず一般的に必要でございましょうが、特に職場適応というようなことに問題のあるハンディを抱えておる身体障害者あるいは中高年の人たちにつきましては、やはり就職後の行政指導といったことも非常に大事なことだろうと思います。 そういう意味で、安定所の機能を再編整備いたしまして、従来一律に求職者を扱っておったわけでございますが、自主選択で、安定所の職員と一々相談しないでも就職できる人は自主選択コースでどんどん就職していただく。就職相談が非常に必要な人は特別の相談コーナーで十分相談していく。それからまた、そういった再編整備の中から雇用主の指導関係の専門官も配置して、雇用主関係の指導を専門にやる職員も置いていくというような形で、少ない職員の中でですが、全国的にこの四月から安定所の中の再編整備をいたしまして、そういう再編整備の実際の効果を上げて事業主指導にもこれから努力していきたいと考えております。
○前島英三郎君 私はかねてから、新規雇用のみならず、雇用の維持のための対策も政府に要望してきたわけなんですけれども、身体障害者雇用納付金制度ができたのが昭和五十一年度、その以前から障害者の雇用に先駆的に取り組んできた企業がずいぶんございます。労働省のモデル工場として指定されている多数優良事業所があるわけなんです。今日のような助成制度もない中でがんばってきた。ところが、そういうところがいまや青息吐息という現実があるわけなんです。いま順調な企業でも経済変動のあおりを受けて、いつ危なくなるかわからないという非常に経済の見通しの暗い時期でございますが、そうなったら企業も困るんでしょう。何よりもそこで働く障害者がやはり路頭に迷うということになると思うんです。 法改正前の旧モデル工場と現在では、実に大変大きな私は差があると思います。一番大きな違いは、旧モデル工場は融資を受け、つまり借金であるのに対しまして、現在では助成金であって、これを返済しなくてもよいということになります。旧モデル工場は元金と利子を返済しなければならないばかりか、融資を受けてつくった施設は担保になっておりますから、いざというときにはそれを担保にして金を借りることができないんです。ところが、昨今の法改正になりますと、それはもう返さなくていいんですから、担保物件もないわけですから、さらにまた別の形で担保に入れることができるというようなことで、大変その差というものは大きいと思うんです。 第二の点は、旧モデル工場は雇用の維持に手いっぱいで、新規雇用が望めないということ、したがって新規雇用のための助成制度の適用が受けられないというようなことも問題になっているわけなんです。そしてその助成制度を拡大したり、要件を緩めたりした結果その格差はますます昨今大きくなるばかりなんです。確かにいろいろな意味でそういう先駆的な役割りをし、労働大臣表彰とか、あるいは皇太子殿下御夫妻が視察したとかというのを非常に自慢げに話す姿の中に、実はいま首が回らないんです、しかし障害者は解雇できません、もう担保にすべてが入っていてどうにもなりませんというようなことがあるんで、そういう意味におきまして、今後助成の中で、専門家が知恵をしぼればよい方法が見つかると思いますから、こうした業種転換、あるいは受注の変動に対処する方法など助成制度の上で検討する時期に来ているだろうと思うんです。その辺をひとつ真剣に検討していただきたいということを問題提起したいんですが、大臣いかがでございましょうか。
○国務大臣(藤波孝生君) 心身障害者雇用モデル工場として、いまおっしゃったように、旧モデル工場と言いましょうか、いま助成を受けてやっていく仕組みが出発する前に、いわゆる融資のような形で出発をする、先駆的な非常に大事な役割りを果たしてきてくれたわが国心身障害者の雇用という非常に大事な仕事、一番大事な仕事を引き受けてきてくださった方々ではないだろうかというふうに私ども理解をいたしておるわけでございます。 ところが、その工場の実情は、いま先生が御指摘になられましたようなことが実に多く、先般もそういった関係の方々から私も直接いろいろお話も伺いまして、実は省内で何とかいまの仕組みに切りかえるなり、乗っけるなりという知恵が出ないのかとずいぶんいろいろやってみたんですけれども、なかなか思うようにさかのぼっていまの助成の中へ乗っけて、いくということが非常にむずかしいものですから、当面はそれらの企業が少なくとも倒産をしていくようなことだけは何とか防がなきゃいかぬ、こういう気持ちに立ちまして、労働省としてできる限り、ちょっと立ち入った話ですけれども、いろいろな御相談に乗るような形で接触をずっと重ねさせていただいておるわけでございます。 しかし、それもある時期のことでございましょうから、やはり何らかの形でこの助成を受けるような形に何かいい方法を考えて切りかえて、そのレールに乗っけていただくことができるような方向でいろいろ知恵を出してみたいということで、省内でも検討を重ねておるようなことでございますので、少し時間をいただきまして、よく関係の企業の方々とも接触を重ねつつ検討を進めさせていただきたい、このように思いますので、御理解をいただきたいと思います。
○前島英三郎君 健常者ですと、いままで右寄りのことをやっていたけれども、ちょっと経済変動があるから左のことをやろうと、これはすぐ左を向くことができますけれども、なかなか障害者が右でやっていたことを、さあ、じゃ次はこういう業種でちょっとやろうと言いましてもなかなかむずかしい問題があります。そこにまた悩みも多いし傷も深くなるだろうというふうにも思います。 時間になりましたので、最後にもう一つ問題提起として大臣に伺っておきたいと思います。 国際障害者年の大きな国際的な行事としてアビリンピックが計画されております。各国に正式案内状をそろそろ出されるだろうと思いますけれども、アビリンピックのあり方について、身体障害者技能競技大会という名称になっておりますが、技能を競うという面が前面に出ますと、能力の高い者が優位に立つのが当然という感覚ですべてが処理されてしまうというおそれがあると思うんです。障害者の雇用促進に関して言えば、そうした競争の論理でやっていくことはむしろ戒めるべきだというふうに私は考えているんです。たとえば、車いすの私が手仕事で労働大臣と競争をいたしましてもそれは意味がないことなんです、つまり、私は下半身は麻痺でありましても上半身は全く大臣と同じなわけですから。そういう意味では、手仕事などで競い合うというような形になってしまいますとそれは何らその意味がない。しかも、そこにおいて金メダルだとか銀メダルだとかというような形になってしまうと非常におかしなことになるというふうに私は思うんです。 私の例をいまとりましたけれども、私の障害は下半身だけですから、上半身についてなら身体障害者技能競技大会ではなくて、ただの技能競技大会にこそ出るべきだというようにも思います。障害があってそれを克服して技能を習得したとしたら、そのこと自体に価値があるのでありますから、そういう意味ではほかと競い合う必要は本来あってはならないというようにも思っております。流した汗がひとしく評価されるべきでありまして、流した汗に優劣をつけるようなやり方は厳に戒めるべきだというふうにも私は思います。アビリンピックの基本的なあり方の問題としてこうした点を十二分に考慮に入れて、来年の国際障害者年の中でも、労働省の中で、労働行政の中で目玉と言われるこのアビリンピックに対して正しい認識を持ってひとつ取り組んでいただきたいことを最後に切望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○国務大臣(藤波孝生君) 身体障害者の方々にとって一番大事なことは、お一人お一人がみんな違った個性と違った能力をお持ちになっておられて、それぞれの個性と能力に応じて働き、生活し、生きていくということにみんなが深い理解を持っていくことだと思います。 言うまでもなく、身体障害者の方々が技能というものを競い合う、と言うと言葉はおかしいですが、技能をお互いに発揮し合うというための大会といたしましては、一人一人のそういった持ち味が力いっぱいに発揮されるということがやっぱり中心でなければいけない、それが競い合うとかあるいは無理な競技になっていくということであっては、せっかくの趣旨がかえって崩れてしまうというふうに考えるわけでございます。先生が御指摘になられました趣旨を間違うことのないように、大会の趣旨として何回も何回もかみしめて来年の大会に向かって準備を進めていくようにいたしたい、このように思いますので、今後ともお気づきのところをどうぞ御指導いただきますようにお願いをいたしたいと思います。
○下村泰君 私も身障者関係について御質問をしようと思ったんですが、前島君がほとんどしゃべってくれまして私のしゃべることがなくなってしまいました。まことにどうも結構なことだと思います。いままで社労で私一人が孤軍奮闘しておったんですが、今度は専門家が参りました。 そこで、ちょっと伺いますけれども、雇用促進事業団法というパンフレットがありますが、この中をちょいと拝見したんですが、これはどうなんでしょうかね、ここの言葉、字句をちょっと変えていただけば、いま前島委員の言ったことは全面解決するようにも思うんです。それぞれ項目がありまして、最後のこれは十九条三項の三号ですが、「身体に障害のある者を雇い入れる事業主に対して、身体に障害のある者の作業を容易にするため必要な施設又は設備の設置又は整備に要する資金の貸付けを行なうこと。」、ただいまのが三号です。次が四号です。「心身障害者を多数雇用するものとして政令で定める事業所の事業主に対して、当該事業所の事業の用に供する施設又は設備の設置又は整備に要する資金の貸付けを行うこと。」、この「貸付け」というところの字をちょいと変えていただけば、全部これ事が済むように感じるんですね。 私はいつも思うんですが、この国会へ来て私は六年たつんですが、この六年間の間に感じたことは、なぜ法というのはもう少し運用というものがないのだろうか。法というのは確かにわれわれが現在社会生活をする上においてなくてはならないもんだと思うんです。だけどこれはあくまでも活字であって、この中に全然血肉が通ってない。やっぱり社会情勢に応じてこういうものは変わっていくべきなのが法のあり方ではないかと思いますけど、大臣いかがでしょう。
○国務大臣(藤波孝生君) 法律というものは、やっぱり運用の妙を得て、特に法律の場合に国家の発展や国民の幸せが増進するというふうに生きていかなきゃいかぬと基本的にはそのように考えるわけでございます。ただ一つ一つの法律にはそれぞれ歴史があり、それぞれの何といいますか、そのときそのときの構えがあるもんですから、なかなか後からさかのぼってそれをうまく運用するというところにつきまして、一つ一つ壁があるもんですからいらいらして、なかなかうまく運用ができないというような感じを抱くことが多いわけでございますが、基本的には先生おっしゃるように、何とかひとつ運用の妙を得るような方向に向かって進むべきものであるというふうには考えております。
○下村泰君 大臣がいらいらするくらいですから、こっちはまだいらいらするわけです。いらいらというよりはかっかするわけですね、こっちの方は。 運用という言葉がありますが、運用が本当に当を得て初めて活用という言葉も生きてくるんじゃないかと思うんです。それだけにいま前島委員の申し上げていたような内容は、すべてこの運用によって活用されてくるのではないか、こういうような感じがするんで、どうぞひとつ大臣、お願いをしておきます。大臣の在任中にやってください。これはころころ大臣がかわるとすぐ詰まっちゃうから。 それと、これは安定局長の方に伺いますけれども、厚生省の方ではその症状によって何級何級という障害を決めますね、すると労働省の方がたとえば採用する場合、身障者をどういうふうにやるんですか、その基準みたいな決め方は。やはり厚生省のあの判定あるいは認定の等級によって内容を決めていくんですか、症状によって決めるのか、どっちですか。
○政府委員(関英夫君) 御質問の意味は、私どもで助成措置等で重度の場合と、それからそうでない身体障害者の場合とで区別がございます。重度の場合には手厚い助成措置を講じたい。その判定を何でやっているかというところだろうと思いますが、それは厚生省の方の身体障害者の等級をかりて私どももいたしております。
○下村泰君 そうしますと、そこに大きな間違いが出てくるわけなんですね。 この間、私、小平の身障者の職業訓練校に行きました。これは予算委員会でもたしかお話し申し上げたとおりですけれども、実にあそこの先生方はよくやっています。そして残念なことに、職業安定所なんというのはあってなきがごとしです、言って悪いですが。失礼ですけれどあそこではあなた様のところはへの突っ張りにもなっていません。 と申しますのは、いまお話を伺っていたらちらっと安定局長が言いましたけれども、入り口までは御案内申し上げます、こう言っています。まさにそのとおりで、後、全然フォローしてないんです。ところがあそこの先生方は、先生みずからが企業主を呼んで、そして集団見合いをさせたり、この身障者にはこういうお仕事が合うんです、現実に見てください、こういう仕事をやっていますと仕事の内容までびしっと見せて、おたくのお仕事にはどの人が合いましょうかというふうに直接現場指導をして、そして就業率が一〇〇%ですと得意満面な顔をして言っているんですね。ところがここでお答えになっている皆様方は、ただもう上にあらわれて、どこか下の方から報告したやつだけをべらべら読んで、これこれこういうふうになっておりまして、あとは検討させ、そればっかりでしょう。こういうところに私は血肉の通わない行政があると言うんです。何かといえば行政指導、行政指導、ちっともしていないじゃないですか。 私は、実際に職業訓練校で自分の目で見てきて、一体労働省というのは何をやっているんだ、ここへ来るというとすぐ、行政指導がどうとか、きつく指導いたしますとか、やれ私の通知をもちまして、いま安定局長言ったでしょう。私の通知をもったって向こうは全然こたえていませんからね。そういうところをどういうふうに解釈しているか、本当に言いたくなるんです。 実は、ここにこういうのがあるんです。ことしの一月二十一日の月曜日の神奈川新聞ですけれども、「作業工程の工夫で身障者職場を拡大」、こういうことで「作業工程分析」というパンフレットを発行したんですが、これは労働省の方に行っていますか、私はまだ見ていないんです。
○説明員(若林之矩君) 私ども神奈川県から報告を受けております。
○下村泰君 そうですか。それをごらんになって、どういうふうにお感じになりました。
○説明員(若林之矩君) このような身体障害者を雇います場合には、どういう障害の方がどういう職場に適しているか非常に大事な問題でございまして、最近、企業の心身障害者に対する雇用の理解が深まってまいりますとともに、こういうような資料の重要性が改めて指摘されているところでございます。そういう意味で、今回の神奈川県の努力もそういう線に沿ってなされたものでございますけれども、私ども大変にいい資料だと考えておりまして、これも一つの参考にして、これまでもこういったような形での障害者を雇用する場合に、どういう障害者の方をどういうところに雇用したらいいか、相当資料が集まってまいりましたので、ただいま研究会を設けまして、もう一度それを再編成するという作業を続けているところでございます。
○下村泰君 大臣、私、ちょっとここにコピーがございますのでお読みしますが、大臣、まだごらんになって、ないでしょう。
○国務大臣(藤波孝生君) はい。
○下村泰君 これは、 東工大の秋庭教授ら十九人の専門家で結成する障害者雇用促進研究会に作業工程の分析を依頼。同研究会は、手や足の動き、目や耳などの感覚的機能を三十項目にわけて必要度をチェックする「作業工程分析表」を作成した。今回まとまったのは、この分析表を配布した一千社のうち、身障者に適するとして各企業が作業工程を分析した六百四作業。それによると、現状のままの作業では、「指、手を使わない」「上肢(し)を使わない」でも出来る作業は一つもなく、逆に「下肢を使わない」でも出来るのは七・四%。また目が不自由でも出来る作業はわずかに一・七%しかないが、口が不自由でも出来る作業は六五・二%、耳が不自由でも出来る作業は五〇・七%あることがわかった。現在使っている手と反対の手を使ったり、目を使っていたものを手ざわりに置き代えたりする〃身体機能〃の代替をした場合についてみると、視覚障害などを除きほとんどの障害で、就業可能率が高くなる傾向を示している。特に「指・手のどちらか一方だけを使う」作業では、就業可能率は現状の三・〇%から一気に三二・九%へと飛躍的な伸びをみせているし、現状のままだと全くなかった「指・手を使わない」「上肢を使わない」でも出来る作業もそれぞれ一つずつだが出て来ている。作業内容の一部を他人に代わってもらう場合では、就業可能率はさらに高まる傾向を示している。視覚障害での伸び率は低いが、特に「下肢を使わない」でも出来る作業の就業可能率は現状の七・四%から三二・五%に、また「身体を動かせない」場合も、九・三%から三六・九%にそれぞれ急増しているのが目立っている。 このほか、ちょっとした道具その他を使ってもできる仕事がたくさんあるということがここで分析されているわけなんです。 その一例といたしまして、また小平の問題になりまするけれども、あそこへ参りましたときに、片方の腕、左の腕しかない人がわれわれのはくくつ、これをつくっていらっしゃる。そうすると、右の手が使えないために、くつの上の甲の皮がありますね。あれをとめたり、穴をあけたりすることができないわけです。ところが、それを一つ何かした補助器具を使いますと幾らでもそれが可能なんです。そして、片腕しかない人がくつをちゃんと仕上げる工程を経ることができるんです。そうやってみると、ちょっとした心遣い、ちょっとした労働省の皆さん、係のお役人さん方のお心遣いでその方たちが本当に喜んで仕事ができる体制になる。 そこへいきますと、労働省の方の「心身障害者の雇用促進のために」というガイドですね。このガイドを見ますと、事業主に対して、精神薄弱者あるいは身障者を雇った場合、「一人一カ月一万三千円(重度障害者は一万五千円)の奨励金を一カ年間(重度障害者は十八カ月)支給するものです。」と、こういうふうに書いてあるんです。小平の教職員の先生方はこれを言うんです、指導者は。こんなこれだけのお金を渡すなら、このお金で、その人たち一人一人が就職するときにその就職先へ持っていく補助器具をなぜつくってくれないんだろうかと。補助器具です、そんなにお金のかかるものじゃないんです。たとえば、いま私が申し上げたくつの甲をつくるとき、このくらいのタコ坊主みたいなこんな丸い道具なんです。ただこれだけのものなんです。それで皮をなめすことができるんです。そして今度は、一つの型があります。そこへ皮をちょっと置くだけで、歯どめをつくっておいて片方の手でぽんぽんとできる、それだけの道具なんです。そういう道具は幾らもするものじゃないんです。そういうものを持たせて就職先へ出してやれるような方法が当学校でできないんだろうか。この出てくる補助金でそういうものが幾らでもできるんです。これをどうぞひとつ訴えてくださいというのが、その訓練校の現場にいる先生方の声なんです。 たとえば、ミシンにしてもそうなんです。普通の場合、電動ミシンというのは大抵左の方なんですね、それを左の足がなくて右足だけの人は右につけてもらえばいいんです。そういうふうにちょっとした機械を変えるだけでその人は十分に就職できるわけなんです。そういうのはここに何にもないんです。ところが、ここに一万三千円から一万五千円渡すという条項があるんです。私が言っている法の運用というのはここのことを言うんです。そうすることをそういった職業訓練校の先生方に御指示なさるか、あるいはやってもよろしいよとか、あるいはそのぐらいの予算は出してやるというようなことをひとつおっしゃっていただければ、その人たちが十分にやれるということなんですが、さていかがでしょうか。
○政府委員(関英夫君) 国立総合リハにおきましては、厚生省と労働省と一緒になっていわば全国のトップのモデルとして非常に私どもそこでの運用の実績を期待しているわけでございまして、そこでの経験を次第次第に私ども全国に広めていきたいと思っているわけでございます。 一般的に身体障害者を紹介いたします場合に、安定所の窓口で職業訓練を経ずして直ちに紹介する場合と、それからどうしても、職業訓練をしてその上で職業紹介をする場合とやはり違ってまいります。安定所で直ちに紹介できます場合に、それもいきなり就職ということでなくて、職場適応訓練ということで、事業主のところでしばらくの間訓練をしてもらって、その後雇用してもらうようなことも必要である。それから訓練をした上で訓練校の先生方と安定所と一緒になって職業紹介をする場合もございます。 訓練の場合に限らず、安定所の職業紹介につきましても、新たに雇い入れる事業主に対しまして、先ほど先生御指摘の奨励金を出して雇用の促進を図るほかに、身体障害者を雇うに当たりまして、機械、設備等を改善せねばならぬ、あるいは工場の中の通路とか階段とかあるいはその他のいろんなものをどうしても改善せねばならぬ、あるいは工具をちょっと必要とするというようなものは助成金の対象として、事業主の方に必要なものを改善するに必要な費用を助成金として支給するようになっておりますので、ただいまのお話は、十分に事業主の方と安定所の職員と相談して、こういうものがどうしても必要だとなれば助成金の対象として申請を出すように指導をよくしていきたいと思います。
○下村泰君 それはいま安定局長のおっしゃっている意味はよくわかるんです。ただそれをそのとおりにいきますと、そこに時間の空費が非常に大きいわけなんです。お役所仕事とよく昔から言われるように非常に期間が長いわけです。そうしますと、その人があしたから行って仕事ができるのにできないわけです。それを訓練校の方では、これこれこういうふうにした場合にはというふうに、つまり即そういう状態にして出してやりたいのが親心なんですね。ですから、それが可能なような方法を何とか許される範囲の中で、この法の中の活用の中でそういうことができないだろうかというのが私の願いなんですが、いかがでしょう。
○政府委員(関英夫君) そうなりますと、特定の雇用先の事業主が決まる前に、身障者自身が自分のものとして何かちょっとしたものを持つことを勧めるということになりますが、その辺も雇用促進事業団で取り上げている仕事の一つでございます。ただ、実態としてはまだ十分活用されておりません。小平の非常に進んだ職業訓練の中でそういうことが出てまいりましたわけでございますから、雇用促進事業団を通じて十分そういう制度を活用して、身障者の方々の就職に少しでも役立つように努めていきたいと思っております。
○下村泰君 大変うれしい言葉でございます。それに引きかえて雇用促進事業団の役員というのは、やめると退職金もらいますね、がぼっと。びっくりしたな、これ見て。三年十カ月で千二百四十四万三千四百円と。この金もったいないと思いますな、私は。こういう金をほかへ生かしてくれればどのぐらい助かるかと思います。まだまだ身障者のことについてはお聞きしたいことたくさんございますけれども、時間もだんだんなくなってきたので……。 それから、先ほど伺っておりますると、一番の問題はやはり六十歳定年は夢のような話で、これも結構なんですけれども、やっぱり五年間の空白というのは大きいですね。これは別にどうのこうのと言うのじゃなくて、あの話を聞きながらふとこういうことを思い出したんです。これは気が休まるような話ですから、そのまま聞いていてください。 実は、東宝株式会社という会社があります。ここもやはり五十五年定年です。東宝演芸場という寄席がございまして、そこの寄席の支配人がやはり五十五歳で定年になったわけです。ところが寄席というような仕事場というのは人間が主軸になっておりますから、いわゆるそれは芸能人ですね。われわれの社会に行くと芸人と言いますが、この芸人を相手にする商売。ですから、物を生産する商売とはわけが違うんです。これが五十五歳の定年になったときに、そこに出演している連中、当時名人と言われた桂文楽あるいは古今亭志ん生、柳家三亀松、関西の漫才作家で秋田実、三遊亭圓生、こういう人たちに私が諮りまして、この人間をやめさせないようにしようじゃないか、もしこの人間がやめたらわれわれは出演料をアップしようじゃないか、こういう打ち合わせをしまして、そして筆の立つ人にこうずっと書いていただきましてね。 その中身は簡単なんです。この人間は東宝株式会社にとっては宝に等しい人である、この人をやめさせることによって出演者一同は出演料のアップを要求するであろう、ですから、この人をやめさせる、やめさせないは、あなたの会社にとって大変な損害を与えるわけです、このままこれを雇っておけば、会社にどういうルールがあるか知らないけれども、そのルール以外の何か会社の手厚い保護をしてやればあなたの会社はどのぐらい得するかわからぬよ、というようなことを書きましてね、簡単に言えば。そしていま申し上げた人たちの全部連判状を書きまして、これを東宝の株式会社に持っていったんです。そのときの社長が馬淵さんという方ですが、あるいは森岩雄さんという方もおりましたが、びっくりしまして、こんなことをうちの社員が言われたのは初めてだと。この人がそれから嘱託で十年間勤めまして、六十五まで勤めたことがあるんです。 こういう一つの例を私はいま引用するわけなんですけれども、人間と人間の感覚というものはすべて条文だけで片づけられるものではないし、同じ六十歳に定年して六十五歳から年金を支給するとなれば、この五年間の空白というものは、その状態に置かれる人間が必死の叫びをここへ持ってくるのではなくて、労働省側あるいは政府全体がそのくらいの手だてをしてから、これこれこうでこういうふうになるから六十五歳から年金支給であるが、この五年間はこうなるから安心してくださいというような手だてがあってこそ、私は初めて国民が納得できるものじゃないかと思うのですが、労働大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(藤波孝生君) おっしゃるように、お一人お一人の身になって政治というものあるいは行政は進められていくようにしなければいけない、これはもう大鉄則だろうと思います。そういう意味で、何歳で定年になる、年金は何歳でなければおりてこない、その間にすき間がある、その間をどうやって生活するのだと。そこで、すき間で非常につらい思いを国民の皆さん方にしていただかなければいかぬというような行政ではどうにもならぬ、御指摘のとおりだと思います。そういう意味で、年金財政という立場から厚生省は六十五歳の支給年齢問題というのが出されてきたわけでありますけれども、政府部内で各方面いろいろ話し合った結果、なおいろいろ配慮しなければならぬところがある、こういうことで、今日の時点では六十五歳への繰り上げについては見直すということで一つの結論を出したわけでありまして、今後とも、いま先生からお話しになりましたような御趣旨を踏まえて、一つ一つの仕組みについて十分留意しながら進んでいくようにしなければいけない、このように考える次第でございます。
○下村泰君 いつも思うことなんですけれども、労働省は労働省なりに一生懸命やってくださっている。たとえば身障者の問題でも、いまこうして取り組んでいらっしゃる皆様方の姿勢というものは、巷間伝うるところの、労働省は横を向いているとか、そっぽを向いているとかという態度では決してないと私は思うのです、この場でのお話を伺っておりますれば。しかし、これが伝えられないというのはどういうことなんでしょうかと私は自問自答したくなるのですね。これはその弊害としては、縦割り行政が余りにも縦割り過ぎて横の連絡がないからこういう結果になるのではないかと思うのです。いつも私は申し上げておるんですが、労働省と通産省なりあるいは厚生省なりが本当に横に連絡さえきちんとつけば、こういう問題は起きてこないのじゃないかと思うんです。少しでも解決が早まるのじゃないかと思うんです。それが変な、何ですか、この間の長野県と富山県と岐阜県のああいう殺人が二件も三件も起きる、それも県警同士のなわ張り争いというような変なけちくさい根性を持ってお互いにやっておる、そういうところが私はいつでもあらわれてくるような気がするのです。少なくとも労働大臣、これを在任中やってください。横との連絡をきちんとしてください。この間も私は頼んだのですよ、橋本さんと藤井さんのときに。何とかして両方で、労働省と厚生省は連絡をとってくれと。そして作業所だ、やれ授産所だというような変な分け隔てなく、分けたら分けたでもいいからその間に何かの連携がなければいかぬと。一番弱い立場に置かれている人たち、人が手を差し伸べてやらなければどうにもできない人たちのめんどうはそうしなければ見られるものではないからお願いしますということをくどく申し上げたのですが、どうぞひとつそれだけはお忘れなくやっていただきたいと思います。
○委員長(久保亘君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 —————————————
○委員長(久保亘君) 次に、労働安全衛生法の一部を改正する法律案及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題といたします。 まず、両案について政府より趣旨説明を聴取いたします。藤波労働大臣。
○国務大臣(藤波孝生君) ただいま議題となりました労働安全衛生法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 わが国の建設業は国民経済の中で大きな比重を占めておりますが、最近の労働災害の発生状況を見ますと、特に建設業において多くの労働災害が発生しており、その死傷者数は全産業の三分の一、死亡者数では半数近くを占めるという状況となっております。また、その労働災害の内容も、他産業と比較して大規模かつ重篤なものが多数見られるところであります。 政府としては、このような状況にかんがみ、建設業における全般的な労働災害防止対策を進めることとし、その具体的方策につき中央労働基準審議会に検討をお願いしておりましたが、そのうち法律改正を要する事項について先般結論が得られたところであります。政府は、その結論をもとに同審議会に改正法案要綱を諮問し、全員一致の適当である旨の答申をいただきましたので、ここに労働安全衛生法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主な内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。 第一は、建設工事の計画の安全性に関する事前審査制度の充実強化であります。 その一は、工事開始の日の十四日前までに労働基準監督署長に対して届け出されることになっております工事計画のうち、特に危険性が高い大規模な建設工事の計画については、より適正な事前審査を行うため、工事開始の日の三十月別までに労働大臣に対して届け出させることとすることであります。 その二は、危険性が高い特定の建設工事につきまして、事業者が届け出を行うべき工事計画を作成する際に、工事の安全性を確保するため、安全衛生に関する一定の資格を有する者を参画させなければならないこととすることであります。 第二は、重大事故が発生した場合において新たな労働災害の発生を防止し、もって関係労働者の安全を確保するための措置を定めることであります。 トンネル工事等を行う事業者に対して、爆発、火災等が生じたことに伴い労働者の救護に関する措置がとられる場合における労働災害の発生を防止するため、必要な機械器具の備えつけ、訓練の実施等を行わせることとすることであります。 第三は、下請混在作業現場における安全衛生対策の充実強化であります。 その一は、元請と下請の労働者が混在している作業現場において、混在による労働災害の発生を防止するため、元請事業者に機械、設備等の配置を含め仕事の適切な段取りを行うようにさせることであります。 その三は、元請と下請の労働者の混在による労働災害を防止するため、一定の元方事業者に元方安全衛生管理者を選任させることとし、元方事業者の講ずべき措置のうち技術的事項について、統括安全衛生責任者の指揮のもとに、これを管理させなければならないこととすることであります。 以上、この法律案の提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げました。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 ただいま議題となりました中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 中小企業退職金共済法は、中小企業の労働者の福祉の増進と中小企業の振興に寄与するため、昭和三十四年に制定されたものであります。この法律に基づきまして、現在、中小企業の常用労働者を対象とする一般退職金共済制度と、建設業及び清酒製造業に期間を定めて雇用される労働者を対象とする特定業種退職金共済制度の二種類の制度が設けられております。 これらの制度に加入している事業主の数は約三十一万、加入労働者数は約三百十万人に達しており、本制度は、中小企業労働福祉対策の主要な柱の一つとなっております。 ところで、中小企業における退職金制度の現状を見ますに、その普及状況及び内容は、いまだ必ずしも十分なものとは言いがたい実情にあります。このため、本制度をさらに充実強化し、中小企業にとってより魅力あるものとすることによって、その積極的な普及を図ることが要請されております。特に本制度における掛金及び退職金等の額については、昭和五十年の法律改正以降の一般の賃金及び退職金の水準の動向に対応して改善を図る必要があるものと考えております。 政府は、このような観点から、本制度について所要の改善を行うこととし、先般中小企業退職金共済審議会に諮問し、その答申をいただきましたので、ここに中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。 第一は、本制度の対象となる中小企業者の範囲の拡大であります。 現行制度では、本制度の対象となる中小企業者の範囲は、その雇用する従業員の数が三百人以下であること等従業員規模によって定められておりますが、中小企業施策としての整合性を高めるため、中小企業基本法等に合わせ、これに資本金規模を加味し、本制度の対象となる事業主の範囲を拡大することとしております。 第二は、一般退職金共済制度における掛金月額の引き上げ、国庫補助の増額等による退職金給付の引き上げであります。 その一は、掛金月額の引き上げであります。 現行制度では、掛金月額の最低額は八百円、最高額は一万円となっておりますが、賃金の上昇等に合わせ、掛金月額の最低額を千二百円、最高額を二万六千円にそれぞれ引き上げることとしております。 その三は、退職金給付に対する国庫補助の増額であります。 現行制度では、退職金給付に関し、掛金月額の最低額である八百円に対応する退職金について掛金納付月数に応じ一定率の国庫補助を行っておりますが、掛金月額の引上げに対応して、この国庫補助の対象を掛金月額千二百円に対応する退職金に引き上げることとしております。 その三は、掛金月額が増額された場合のいわゆる掛け捨て、掛け損の解消であります。 現行制度では、加入後に掛金月額を増額した場合に、被共済者が増額後二年未満で退職したときは、増額部分に対応する退職金は、その年数に応じ不支給又は掛金総額を下回る額の支給となっておりますが、このような掛け捨て、掛け損の解消を図るため、原則としてそのような場合にも掛金に相当する額を支給することとしております。 なお、これに伴い退職金給付について所要の調整を行うこととしております。 第三は、一般退職金共済制度における加入前の勤務期間の通算制度の新設であります。 現行制度では、事業主が本制度に加入した後の勤務期間のみを対象として退職金が支給されることとなっておりますが、実際の勤務期間に応じた退職金を確保できるようにするため、新規に本制度に加入する事業主が、その雇用する従業員の加入前の勤務期間について所定の過去勤務掛金を納付した場合には、十年を限度として加入前の勤務期間を加入後の掛金納付月数に通算して所定の退職金が支給されるようにすることとしております。 第四は、特定業種退職金共済制度における掛金日額の範囲の引き上げであります。 特定業種退職金共済組合が定款で定め得る掛金日額の範囲は、現行制度では「六十円以上三百円以下」となっておりますが、賃金等の上昇に合わせて、これを「百二十円以上四百五十円以下」に引き上げることとしております。 この法律案の主たる改正内容は以上のとおりでありますが、この法律の附則におきましては、この法律の施行の際被共済者である者に関して、最低掛金月額までの掛金月額の引き上げについて一定の猶予期間を置くこと、本制度加入前の勤務期間を加入後の掛金納付月数に通算することができることとすること、退職金についての国庫補助の引き上げは施行日以後の期間について行うこととすること等の経過措置を定めるとともに、その他これらの改正が円滑に実施されるよう所要の経過措置を規定しております。 以上この法律案の提案理由及びその内容につきまして御説明申し上げました。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(久保亘君) 以上をもって両案の趣旨説明の聴取は終わりました。 両案の自後の審査は後日に譲ります。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時十五分散会 —————・—————