建設委員会 第12号
- 発言数
- 158 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/05/08
会議録
○委員長(大塚喬君) ただいまから建設委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨七日、上田耕一郎君及び最上進君が委員を辞任され、その補欠として小巻敏雄君及び土屋義彦君が選任されました。 また、本日、上田稔君が委員を辞任され、その補欠として下条進一郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(大塚喬君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 増岡康治君の委員異動に伴い理事に欠員を生じましたので、この際、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大塚喬君) 御異議ないものと認めます。 それでは、理事に増岡康治君を指名いたします。 —————————————
○委員長(大塚喬君) 明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○内田善利君 先日、この法案について参考人の三人の方に来ていただきましていろいろ貴重な御意見をお伺いし、さらに前回の委員会におきまして同僚委員の質問があったわけでございますが、私も、この法案につきまして明日香村の歴史的風土の保存及び生活環境の整備に関する問題について御質問したいと思います。 まず、最初に、質問したいことは、明日香村の歴史的風土を保存することに関して問題になったのが、昭和四十五年九月、歴風審で答申があり、昭和四十五年十二月閣議決定して以来、昭和五十四年の七月、約十年後、歴風審の答申があって、今日、この法案の提出となったわけでございますが、この特別措置法が今日までおくれた理由をまずお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 昭和四十五年ころ、高度成長期の開発の波が明日香に押し寄せまして、同年五月に、当時の佐藤総理が現地視察を行いまして、明日香保存が世間で大きな話題になった年でありますが、歴史的風土審議会から同年九月十一日、飛鳥地方における歴史的風土の保存に関する当面の方策について内閣総理大臣に答申が行われたわけでございます。これがいま委員が御指摘された点でございまして、この答申の中で「特別立法については、早急に検討すること。」とされておりましたが、その後、四十五年十二月に、この答申に基づきまして閣議決定が行われ、各般の施策が講じられることとなり、飛鳥保存財団も設置されましたので、それらの成果を見た上で特別立法を検討するのが適当であると考え、閣議決定に基づく各種の施策の実施に重点を置いて努力してきたところでございます。しかし、閣議決定後、十年を経まして、閣議決定内容もほぼ予定どおり実施され、その間、地元からの特別立法に対する強い要望もありましたので、このたび歴史的風土審議会の答申を受けて本法案の提出を行ったものでございます。 これが経緯でございますが、昭和四十五年の段階での歴風審の堀木会長から内閣総理大臣佐藤榮作殿あての中で、実は、特別立法につきましてなるほど御指摘をちょうだいをしておるんですが、それは主に文化財保護法、その他現行の法律で歴史的風土の保存を図ったり文化財を保護しろ、こういうことで書かれておったわけでございまして、当時といたしますと、現在考えておられるような住民対策を含めた形での総合的な立法をこの歴風審が期待しておったかどうかについては十分承知するものではありませんが、この答申を受けまして、いま御答弁申し上げましたように、行政的サイドでできる限り努力してみようという形で、その後、閣議決定をいたしました諸事項につきまして政府としては鋭意努力をしてきた。しかしながら、住民対策も含めて総合的な立法を考慮してほしいという地元の強い要請もありまして、今日、ようやくこの法律を提出するに至った経緯でございますので、私どもといたしましては、その間、十カ年を経過することに相なりましたが、それぞれの所要の施策は取り得てまいりましたものの、さらに一段とひとつこの際総合的な立法を考えるべきだ、こういう考え方に立ちまして法案を提出さしていただいておるような次第でございます。
○内田善利君 私も、委員派遣で参りまして、明日香村の方々の意見をお聞きしますと、所要の施策は確かに講ぜられておると思いますけれども、飛鳥財団とか、あるいはいろんな行政面の措置が行われておるにもかかわらず、村民の方々の不満といいますか、そういうものが非常に強かったように思うんですが、しかも、この特別措置法の提出がおくれている、そういったことを強く感じたわけです。 この法案についても、第一条の目的に「住民の理解と協力の下にこれを保存するため、」と、このように強くうたってあるわけですが、この法案を定めることによってどの程度住民の理解と協力が得られる、あるいは進むと考えられるのか、あるいは言いかえれば、どのぐらい地元の理解が本法案に組み込まれているのか、こういった点についてお聞きしたいと思うんです。
○国務大臣(小渕恵三君) 地元の御理解の程度、こういう御質問かと思いますが、私どもといたしましては、この法律案を提出いたしまするに当たりましては、奈良県及び明日香村から繰り返して行われてまいりました特別立法制定の要望を背景といたしまして、歴史的風土審議会の答申に基づきまして、その歴風審におきましては奈良県知事、明日香村長それぞれが委員または専門委員として参加をいたしておりまして、審議会の審議の過程におきましても地元住民の要望等にも沿った形で行われてきたという確信をいたしておる次第でございまして、そうした観点に立ちまして、政府といたしましても、地元の方々の総意というものを十分挿入しながら立案したものと考えておる次第でございます。 したがいまして、本法案には、歴史的風土保存について住民の理解と協力を得るための方策が満足できる形で組み込まれておると考えておりまして、また、施行後におきましても、本法案で定めておる諸施策が適切に実行されることによりまして歴史的風土保存について住民の理解と協力が一層深まるように、執行の段階に当たりましても、十分心がけていくことは申すまでもないことだと存じております。
○内田善利君 もう一つ大臣にお聞きしておきたいと思いますが、第二条で明日香村歴史的風土保存計画は明日香村全域にわたっておりますし、また、かなり広範囲にわたっているわけですが、当面の施策、約十年間ということですが、当面の施策も重要ですが、長期的なビジョンがなければならないのは当然だと思うんですね。この点について大臣の所信を伺いたいんですが、明日香村の将来をどうするのか、三十年後、五十年後、百年後の明日香村の未来をどうしようとしているのか。歴史というのはどの時代も私は大事だと思うんですね、そういった意味で、今日の明日香村、また未来の明日香村、この未来像をどのように描いてこの法案ができたのか、担当大臣としての御所見をお伺いしたいと思うんです。住民の心は私は規制はできない、住民はやはり近代生活の中で未来像を描いて生活していくと思うんですが、どういうビジョンに基づいて、明日香村の未来像をどのように描いてこの法案をおつくりになったのか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 大変むずかしい御質問でございまして、適切にお答えし得るかどうか危惧するところでございますが、言うまでもありませんが、明日香村を中心としたこの地区を歴史的風土保存地区としてこれを守り抜こうとすることは、わが国のかけがえのない文化遺産が形のあるものとして遺跡その他で残されているものと同時に、あの風致景観というものを一木一草に至る間、当時の姿をしのばせるものとして残されてきておるわけでありまして、その地区を守るために現在の明日香村民あるいはその先祖の皆さんが大変な犠牲と御苦労の中に、それを保ち、保存してきたことに対して深い敬意を表しておりますが、同時に、大変な御苦労のあったことについても認識をしておるわけでございます。 したがいまして、この法律の企図いたしております地元住民の生活を安定させると同時に、日本文化の源泉であるこの地域を守り抜くという、この二つの目的をいかに調和、調整することができるかということがこの本旨でございまして、そういった意味でこの二つの目的を合致させまして、今後とも、村あるいは村民が生活を維持し得るような形として将来にわたってすばらしい村づくりをしていっていただくことが長期的ビジョンでございまして、そのいずれをも損傷しない形で、日本国民全体の願望と地元住民の意思が一致した形で保存し、かつ生活が維持できるという形が最も望ましい村のビジョンであると思いまして、そのためにはいかなる施策を講じ、いかなる住民の努力を願うかということは、もちろん、政府としても、今後、将来永劫にわたって努力を傾注することは当然のことながら、やはり地元住民の自立的なお力によって、賢明な村民のことでございますので、みずからの将来に対する村のビジョンを描きつつ、私はすばらしい村形成の姿というものを描き得るものだというふうに考えております。したがいまして五十年、百年後の明日香村の姿いかんという御質問でございますが、これは村を初めといたしまして国民全体が力を合わして、申し上げましたような所期の目的を達成し得た姿がそのビジョンと、こういうことではなかろうかと考える次第でございます。
○内田善利君 わかりました。 それでは、この法案の中身について御説明願いたいと思いますが、まず、総理大臣の明日香村歴史的風土保存計画、これはどの程度進んでいるのか、もうすでにでき上がっているのか、六項目の内容だけでは細かいことがよくわからないですが、第三項の官報はいつごろの予定か、本法成立後の公布の日はいつごろを予定しているのか、わかっている点お伺いしたいと思います。
○政府委員(清水汪君) ただいまのお尋ねの保存計画でございますが、これは法案では第二条に、内閣総理大臣が、奈良県それから明日香村及び歴史的風土審議会の意見を聞くとともに、関係行政機関の長にも協議をして定めるというふうに手続が書いてございますが、現在、総理府といたしましては、この法律を成立さしていただきましたならば、できるだけ早くそういう手順を踏むべく事務的に鋭意検討中でございます。 ただ、この法律が成立いたしました場合には、この法律の施行のために幾つかの事柄が政令で定められるという問題がございます。たとえば、保存とうらはらと申しますか、保存をしていく場合には当然規制に対して許可でいろいろ処理をしていくという、そういうことにこの法律でなっておりますけれども、そういう許可の基準ということが一番具体的な問題として出てくるわけでございます。そういうことも一緒に視野に入れまして保存のあり方というものを詰めていくわけでございます。 ただ、大づかみで申しますれば、保存計画の中にどういうものを盛り込むかということは、この第二条の第二項に幾つかの種類のことが書いてございますけれども、その眼目と申しますれば、むしろ第三条に、一種の地区はこういうもの、二種の地区はこういうものというようなことの基本的な理念と申しますか、方向づけということが書いてございます。したがいまして保存計画というものをつくる場合にも、明日香村の全域についてこういうような考え方、三条に書いてあるような考え方で保存を期していこう、こういうことになるわけでございます。 で、そういう法律の規定と、現在の状態が明日香村の場合には御案内のとおり特別保存地区というのがいまの古都法のもとで定められておりまして、これが行く行くはこの新しい特別法によりますとおおむね第一種歴史的風土保存地区の主たる内容になってくるというふうなことで、それ以外の部分が現在はいろいろの形で協力を得ながら保存されつつあるわけでございますが、そういうものの現状を踏まえたところで、また、将来への影響等も勘案したところで、第二種地区についての保存のあり方ということが定められていくわけでございます。そういう法律で書いてある基本的な方向づけ、それと見合う形で現在の状態がいろいろございます。そういうものを踏まえて、いわばそういうものを今度は保存計画という表現の方でうまく表現していくことが必要になるわけでございますが、そういうような観点から、どういうふうに書いていくかということを現在検討中でございますが、全体的には、法が施行になりました後、できるだけ早く、さっき申しましたほかの政令案などとの進行状況もにらみ合わせながらやっていきたい、このように考えております。
○内田善利君 ほかの政令などと見合わせながらということなんですけれども、この内閣総理大臣の保存計画というのが、この法律で言えば、一番根っこになると思うんですよね。その根っこになる保存計画を政令といったものと見合わせてやる、こういうことのようですけれども、保存計画がやっぱり一番根っこですから、これが早く決まらない以上は、あとの政令にしても、あるいは内閣総理大臣が決める整備基本方針ですね、そしてまた、これに基づいて奈良県知事が決める計画、そして村長さんが具体的に施行していくということになるわけですが、これはどちらかというと上からの論理でずっとおろしていくという、そういう法案のようですから、やはりこの保存計画がはっきり決まらないと、村長さんもいろいろ腹案があると思いますけれども、また奈良県知事もいろいろ腹案があると思いますけれども、やはり根っこのこの保存計画がきちっと決まらないと決まらないんじゃないかと思うんですが、二条では、いろいろ審議会の意見を聞いたり関係行政機関の長に協議してとありますから、この段階かと思いますが、根っこは早く決めていただきたいなと、そういう感じがいたします。 そこで、第三条の2の一で第一種歴史的風土保存地区と第二種歴史的風土保存地区とに区分するということなんですが、こういう分け方で村全域の風土を把握するということのようですが、これはどのように決めるのか、具体的に示してもらいたいと思います。 古都保存法の特別保存地区が第一種地区になるということなんですが、この具体的な決め方、そして古都保存法の特別保存地区というのは明日香村ではいま現在幾ヘクタールなのか、それがそのまま第一種保存地区になると理解していいのか、この点お伺いしたいと思います。
○政府委員(升本達夫君) 第一点のおただしでございますけれども、第一種歴史的風土保存地区及び第二種歴史的風土保存地区の定め方のおただしでございましたけれども、御提案申し上げております法文の第三条第一項におきまして、それぞれ都市計画においてこの地区を定める、こういう書き方をさせていただいております。第一種、第二種いずれの地区につきましても都市計画法上の都市計画の地域地区制の一つとして定めさせていただく予定をいたしておりますので、これを定めます場合には、当然、都市計画法の定める手続によって定めていただくということになるわけでございまして、具体的には、この場合、奈良県知事が明日香村の御意見を聞かれてその都市計画の案を公衆の縦覧に供する、この縦覧に供した上、都市計画審議会の議を経て決定するという手続によるわけでございます。 それから第二点のおただしでございますが、現在、古都保存法に基づきます歴史的風土特別保存地区といたしまして明日香村において指定をされておりますのは、飛鳥宮跡地区九十七ヘクタール、石舞台地区五ヘクタール、計百二ヘクタールという現状でございます。 そこで、今回、第一種、第二種に区分してどのような定め方をしてまいるかという点のおただしでございますけれども、第一種の保存地区は、ただいま審議室長からもお話がございましたけれども、法文の第三条の第二項におきまして定め方の基準が書かれておるわけでございますけれども、歴史上重要な遺跡や建造物などの文化的資産と周囲の環境とが一体となって明日香村における歴史的風土の中心的な部分を構成している地域という基準によりまして、その現に存する歴史的風土をその状況において保存する必要のある地域を対象として定めることを予定いたしておりまして、したがいまして、性格的には、この第一種保存地区は現行の古都保存法の歴史的風土特別保存地区に相当するものというふうにお考えいただいて結構かと思います。したがいまして具体の地区につきましては、この第一種保存地区は現行の歴史的風土特別保存地区とほぼ同じ区域を対象として定めることを予定いたしておりますが、部分的に現状の特別保存地区に若干、まあ十ヘクタール程度これに加えて指定していただくということを予定いたしております。ほぼ現在の特別保存地区とイコールというふうにお考えいただいて結構かと存じます。
○内田善利君 この三条の三項ですね、「第一種歴史的風土保存地区及び第二種歴史的風土保存地区は、それぞれ古都保存法第七条の二後段の特別保存地区とする。」ということなんですが、これは今度の法改正で出てくるようですが、この第七条の二を見ますと、第一種保存地区も第二種保存地区も古都保存法による特別保存地区とすると、こういう内容ですね。ところが、第一種保存地区が大体いまの都市計画法によると古都保存法の特別保存地区になります、こういうことなんですね。この辺がどうもわかりにくいんですが、この点はどうなんですか。
○政府委員(升本達夫君) ただいまのおただしの点でございますけれども、おただしのように、今回の改正によりまして古都保存法の一部改正をあわせ行っておりまして、第七条の二を挿入させていただくということにいたしております。したがいまして、このたびの明日香法に基づきます第一種なり第二種の特別保存地区は、いずれも古都保存法の新七条の二の規定によりまして古都保存法の特別保存地区という受け方をしていただくということでございますが、このことの意味合いは、ここで受けていただくことによりまして、端的に申し上げますと、古都保存法の八条の規定がこの第一種なり第二種の保存地区の双方にかかわってくるわけでございまして、第一種保存地区も第二種保存地区も同様に古都保存法上は特別保存地区ということになりますので、この古都保存法の八条の規定によりまして、政令の定めるところによりまして、この地区内の行為の規制が行われるということになるわけでございまして、その場合に、この政令の定め方におきまして第一種、第二種のそれぞれの地区内における行為の規制の態様をそれぞれ書き分けて定めさせていただくということを予定しているわけでございます。 これは条文上もこの七条の二の規定の挿入の改正の次に、古都保存法の八条の規定の一部改正を行いまして、新たにこの八条に三項を加えるという改正をいたしておるわけでございまして、これはお手元の法案の十四ページのところにございます七条の二の規定によりまして「市町村の区域を区分して二以上の特別保存地区が定められたときは、前二項の政令は、その区分の目的に応じてそれぞれ特別保存地区ごとに定めることができる。」という規定を置かしていただきまして、この結果、先ほど御説明申し上げましたように、この政令で規制の態様を書き分けるということを予定いたしておるわけでございます。
○内田善利君 どうも私にはよくわかりにくいんですが、古都保存法の特別保存地区というのは、第一種、第二種ともに古都保存法では特別保存地区になるということですね。そして今度の第一種特別保存地区は規制の面において特別保存地区の規制をかける、こういうことですね。
○政府委員(升本達夫君) 特別保存地区の法律的な効果としては、その地区内の行為が規制を受けられるということが一つございます。あと損失の補償でございますとか土地の買い入れといろいろございますけれども、まず第一次的には、保存地区を指定されますと、その地区内の行為が、無条件ではなくて、許可を要するというような一般的な規制が受けられる、その一般的な規制を受ける根拠となるのは古都保存法の方の条文による、こういう立て方をいたしております。 したがいまして古都保存法上の特別保存地区ということがその規制を受ける場合の条件というふうにお考えいただければと考えるわけでございまして、新しい明日香法によります第一種、第二種の保存地区といえども古都保存法上の特別保存地区なるがゆえに、その地区内の行為について規制がかかる、その関係は古都保存法の方の規定からまいります、こういう立て方にいたしておるわけでございます。具体の規制の内容は政令で定めさせていただく、こういうことでございます。
○内田善利君 都市計画法の規制はわかりましたが、規制の面での規制はどのようになりますか、規制の面での第一種、第二種、第三条の二項に書いてありますけれどもね。
○政府委員(升本達夫君) 具体的な規制内容のお尋ね……
○内田善利君 そうじゃなくて、古都保存法の特別保存地区と今度の都市計画法による第一種、第二種の分け方、そういった点はわかりました。規制の面でどのようなことになるのか。この七条の二と二条の二項の一との関係ですね、この辺がよくわからないんです。
○政府委員(清水汪君) ただいま建設省の方からお話しになったことの続きになると申しますか、いま先生のお尋ねの点は、都市計画という形で一種地区、二種地区が定められるということがまずいまの説明で出たと、果たしてしからば、その一種地区、二種地区それぞれにどの程度の規制がかかるのか、適用されるのかという趣旨の御質問だと思いますが、いまのお話でもう一つ別の言葉を補足いたしますれば、そこは要するに許可制度のもとに置かれる、こういうことでございます。 つまり、いまの古都保存法の中で第八条という条文がございますように、特別保存地区ということになると、それはいまの都市局長のお話で規制を受けるというわけですが、別の言葉で言えば許可制度のもとに置かれる。今度はそれが一種地区だけでなくて、二種地区も、両方とも許可制度のもとに置かれる、その古都保存法の八条で言う許可制度のもとに置かれる、こういうことである。しかしながら、その一種の地区における許可の基準と二種の地区における許可の基準とはそれぞれ使い分けて定めてよろしいぞということが新たにその第八条の三項として加えられたということでございまして、普通は、特別保存地区というような一つの言葉で呼んだ場合に、その許可基準が何か場所によって二種類あるというようなことはちょっとのみ込みにくいわけでございます。ところが、今度の特別立法では、そのことがまさに実態に合わせるために必要だということから、そういう法制上の整備をした、そこにこの特殊性があるわけでございます。 そういうことでございまして、さて、その政令を定めるということになりますと、したがいまして一種地区についてはどうするか、実は、この事務は建設省の方で主として御立案をいただくことになっておりますけれども、私の方で理解しておるところでごく要点を申し上げますれば、先ほどからも話にありますように、一種地区は大体現在の特別保存地区並みの扱い方でいこう、こういう精神でございます。それから、その他の地区というのは今度二種地区になりますが、そこは余り大きな変化を招かないようなことで保存を図っていこう、こういう精神でございます。それは先ほどの第三条の二項にそういうことが書いてあるわけでございまして、ですから、それをベースにしまして、ある程度の使い分けをした許可基準を定めていく、こういうことになろうかと考えております。
○内田善利君 了解しました。 次は、第四条ですが、総理大臣の「明日香村整備基本方針」これはどういうものなのか、奈良県知事にいつ示される予定か、その基本方針の柱はどういうことか。奈良県知事の「明日香村における生活環境及び産業基盤の整備等に関する計画」の素案はもうできているのかどうか、それから明日香村の素案はできているのかどうか。 この法案を見ますと、総理大臣の基本方針が知事に示され、知事は明日香村の意見を聞いて計画を作成し、内閣総理大臣の承認を得て初めて施行になるということになりますが、この承認がなければ第四条の三項にあるいろんな生活環境の整備等はできないんじゃないか、相当に明日香村の自治活動が制限を受けることになるんじゃないか、生活環境全般にわたってそういう法案になっているように私は思うんですが、この点どうなんですか。
○説明員(中嶋計広君) まず、この整備の基本方針でございますが、これは奈良県知事が明日香村の区域につきまして「明日香村における生活環境及び産業基盤の整備等に関する計画」を作成するに当たりましての基本的な事項を示そうということでございます。具体的な計画は、ただいま申し上げましたとおり、奈良県知事が明日香村の意見を聞きまして計画を作成することになっておりますので、国の方でお示しをいたします基本方針は、できるだけ奈良県知事の自主性を尊重するという意味から、言うならば本当の基本的な事項にとどめまして、余り詳細にわたらないように心がけてまいりたいというふうに考えております。そのような線に沿いまして、ただいま事務レベルで案を検討中でございます。 時期でございますけれども、明日香村の歴史的風土保存のために住民の理解と協力を得ていくという意味から申しますと、明日香村の保存計画とそれから生活環境の整備等の計画、これが言うなれば車の両輪のようなものかと思われますので、保存計画が定められる時期と大体同じくらいの時期にこの基本方針も示せるように進めてまいりたいということで、ただいま作業を進めているところでございます。 次に、奈良県知事の方の計画でございますけれども、これも奈良県知事が国やあるいは明日香村と常時意見の交換を図りながら案の作成を進め、最終的には計画をおまとめになるということでございますが、明日香村の方の腹案のようなものを内々聞きながら現在作業を進めておられるという段階でございます。具体的な計画を定めるに当たりましては、やはり将来におきます明日香村の公共施設その他のあり方というものと、またその周辺市町村における同種の事業の進み方、進捗状況との兼ね合いというもの、さらにまた、明日香村がこのうち担当します事業につきましては、将来における明日香村の財政との兼ね合いといったようなことも考えてまいらなければならぬものでございますから、奈良県の方で、ただいまそのようなことをいろいろ考えながら、いろいろと案を練っておられるという段階でございます。 それから、最終的に、奈良県知事が計画を作成いたしまして内閣総理大臣の承認を受けるという手続をとることになってございますが、承認をお受けになりますと、以後、その計画を明日香村整備計画と呼ぶことにいたしております。 ただ、この内閣総理大臣の承認を受けまして明日香村整備計画にするというのは、言うなればこの法律によりまして、第五条で、明日香村整備計画のうち一定のものにつきましては財政上特別の助成措置を講じまして、それらの事業が円滑に推進されるように特別の取り計らいをしようというようなことを考えております。また、第六条におきましては、奈良県や明日香村がこの整備計画に基づきまして進めます事業につきましては、地方債の充当につきまして、長期低利の資金を優先的に充当するような配慮もしていこう。さらにまた、第七条では、財政上、技術上の配慮も加えていこうと、いろいろ国といたしましても、この明日香村整備計画が円滑に達成されるように、ほかの地域とは異なりまして特別に手厚い助成をしていこうということを考えているわけでございまして、それらの特別の助成を引き出すために、そういう特別の助成の対象とするために、あらかじめ国の方でも計画の内容を承知しておく必要があるということから、内閣総理大臣の承認にかかわらしめたわけでございます。 で形式的に申しますと、内閣総理大臣の承認を仮にお受けにならなくても、通常ベースの仕事として明日香村がそれらの事業をお進めになることにつきましては別段何らの制約もございませんで、それはお進めいただいて結構なんでございますけれども、せっかくこのような法律が制定されるわけでございますので、明日香村といたしましては国の方で用意いたしております各種の助成策に乗っていただいて、せっかくつくります計画が円滑に推進されるということが期待されるわけでございます。そういう意味におきまして、奈良県知事が計画を作成いたします段階で、明日香村はもとより、国とも十分意思の疎通を図っていただきまして、そのせっかくおつくりになった計画が万一にも内閣総理大臣の承認が受けられないというようなことのないように、その間、国、県、村、相互の意思疎通を十分に図りながら計画をおつくりいただき、また、私どもも、そのような線で指導し、協力もしていきたいというふうに考えております。
○内田善利君 第四条の三項ですが、これは十一ございますが、ほとんど生活環境に関するのが多くて、産業基盤の整備に関する事項は九と十一だけのようですが、この点はどうなのか。それから十一の「特に必要と認められるもの」これは何を想定しているのか、お聞きしたいと思います。
○説明員(中嶋計広君) 明日香村の産業のあり方につきましては、先生方からも御指摘がございましたとおり、将来の産業構造としまして農業立村ということで明日香村が考えていかれるということになろうかと思われます。そういう意味におきまして、明日香村の産業基盤の整備というときに、まず何よりも農業関係、まあ農林業関係と申しますか、そういう施設を取り上げなければならないであろうということで、九号といたしまして「農地並びに農業用施設及び林業用施設の整備に関する事項」というのを計画に盛り込んでいただくということを予定したわけでございます。ああいう土地柄でございますので、大規模な工業とか商業が立地するということは現在時点では余り期待し得ないんではなかろうか、やはり農業中心になるんではなかろうかというふうに考えているわけでございます。ただ、将来、この明日香村の歴史的風土と調和するような形である種の工業なり商業なりが立地するということを別に否定するわけではございませんで、そういうものが歴史的風土との調和を図りながら立地するということが可能であれば、これは結構なことだと考えられるわけでございます。現在のところ、やはり明日香村の将来像としては農業中心、農業立村ということでいくのではなかろうかということで、九号に農業関係のことを書いたわけでございます。 それから十一号で、その他「特に必要と認められるもの」ということで、言うなれば十号までに列記いたしております各号に予定されていないことで、将来必要なものがあればいろんなものを書き込めるように用意しているわけでございます。 現在、この条項で特に必要と認めてこの整備計画に盛り込まれるのではなかろうかと考えられますのは、これは奈良県知事がお決めになることでございますから、私どもいま確定的なことはちょっと申しかねるわけでございますけれども、大体、いま予想されるものといたしましては、一つは、明日香村の場合、簡易水道によりましてかなりの上水の供給をするという計画のように伺っておりますので、そういたしますと簡易水道の整備に関する事業といったようなものはここに言う「特に必要と認められるもの」ということに該当するのではなかろうかということでございます。それからもう一つは、農村関係で、農村環境の基盤整備といたしまして生活環境施設の整備など、これは農林水産省の御尽力によりましてお進めいただいておりますが、そういったものが該当するものだとここでお決めいただくということになろうかということが予想されるわけでございます。
○内田善利君 農業立村ということですが、明日香村の産業別就業人口、これは現地調査報告にもありましたが、昭和四十五年までに第一次産業に占める割合が四九・四一%と比較的高水準であったわけですが、これが五十四年十月には二八・五%と大キくダウンしているわけですね。また、全戸数の五六%を占めている農業戸数を持ちながら専業農家はわずか一五%にすぎなくなっている。こうした現状から、農業立村をする、こう言っても非常に時代にも逆行するようなことにもなろうし、大変至難のわざと思われるんですが、この農業立村についてどのような対策を考えているのか、この法案作成について農林水産省は明日香村の農業振興の実態調査をどのように行われたのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
○説明員(川村浩一君) ただいまの御指摘の問題、二つの側面があろうかと思いますが、まず第一に、農林省が明日香村の農業の実態についてどのような調査をし、どのように把握をしているのか、その上で今後明日香村の農業の振興の方策なり、あるいは方向をどう考えていくのかという二点かと思います。 まず、前者につきましては、実は、四十八年度に農業振興地域の整備に関する法律に基づきまして農業振興地域としての指定をいたしておりまして、それに基づきまして奈良県、明日香村と御相談の上、明日香村における農業振興の方向づけもしてまいったわけでございます。特に四十八年と九年と二カ年にわたりまして、これは関係省庁が一緒に行いました明日香村についての総合調査に、農林省としても近畿農政局のスタッフが奈良県と一緒にいろいろな形で現地調査等も行い、また農業者の意向調査等もしてまいったわけでございます。このような過程を経まして、五十二年度に明日香村の農業振興地域の整備計画というものが策定されまして、五十三年度以降、このための計画に基づくいろいろな振興施策を進めてまいっております。たとえて申しますと、地域農政特別対策あるいは新農業構造改善事業、さらには農道等の整備等もしてまいっているわけでございます。 で、今回、法律案の立案に当たって、特に新たな調査はしてございませんが、しかし、明日香村御当局あるいは奈良県の農政関係の方々にも何度かおいでいただきまして、現段階における明日香村あるいは奈良県のお考えというものも十分拝聴いたしながら対応してまいったところでございます。特に参考人として明日香村の村長が農業立村ということも委員会の席上でお話しになったようでございますが、われわれもそういう村のお考えあるいは県のお考えというものも十分承知いたしておりますので、いろいろむずかしい問題もございますけれども、明日香村の農業振興に対しては積極的な助成をしてまいりたいという考えでございます。 その具体的な中身といたしましては、われわれは四点基本的な方向として考えてございます。 まず、第一には、この法案におきまして初めて農業の生産基盤の整備あるいは農村の環境整備という部分が特別助成の対象にしていただいたわけでございまして、こういう形で農林業の基盤整備の面ではしっかりした体制整備を整えていくということがまず第一の問題でございます。 それから第二につきましては、今後はやはりそういう基盤整備の上にしっかりした施設を整備し、あるいは生産の体制をつくっていく、また作物の団地をしっかりつくり上げていくということが重要でございますので、そういう非公共事業の側面につきましても、地元の御要望によりましてこれを積極的に進めてまいるつもりでございます。その際、この非公共事業につきましては、この法案に基づきまして将来設置されます基金の果実の運用の面で総理府とも御相談の上、できる限りこれを積極的に活用してまいるということが大事ではなかろうかと思います。 それから第三番目といたしましては、この公共事業あるいは非公共事業につきまして明日香村御当局から要望のあります事業につきましては、その採択について農林水産省としては優先的な配慮をしてまいるというつもりでございます。 それから、さらに四番目の問題といたしましては、明日香村の農業振興と言いましても、やはりこの歴史的風土の保存との調和ということが一つの基本的な課題でございますので、そういうような一つの制約要因がございますけれども、建設省御当局と十分御相談の上、特に第二種の歴史的風土保存地区におきましては、やはり都市近郊農業としての立地条件の有利さをできる限り生かすような農業振興のあり方、これはたとえば果樹農業の問題、あるいはハウスを利用した施設園芸の問題、さらに地区によりましては花卉花木あるいはシイタケ栽培なり、きめ細かい農業振興が可能になりますように、規制面と農業振興との調和ということについても建設省御当局と十分相談してまいりたいというふうに考えております。
○内田善利君 明日香村の農業振興についてのいろんな基盤整備あるいは施設整備等々のお話をいま承ったわけですが、明日香村においては特にこの歴史的風土の保存との調和ということが問題になるんじゃないかと思うんですね。 そういった面で規制がかかってくる。農地というのは生産するためにあるのに、その生産を抑制するような規制が次から次にかかっておる、こういうことで明日香村の農業の衰退があったんじゃないか、こう思うんですが、やはり明日香村独特の農業政策の施行ということが望ましいんじゃないかと思うんですね。それにもかかわらず、規制はどんどんしていくということなんですが、ビニールハウスが悪いとかということですけれども、私は個人の考えですが、ビニールハウスは生産するための農業振興を図る上ならば何も疎外することはない、このように思います。むしろ土地を削ったり開拓したりすることの方が景観を阻害していくんじゃないか、こう思うわけですね。かわらにしても、黒いかわらということですけれども、飛鳥時代はカヤぶきとか、わらぶきの屋根だったんじゃないかと思うんですが、黒一色にする。これも黒一色はかえって陰気になって、黒がいいという見方もあるかもしれませんが、私は、どちらかと言うと、黒一色になると暗い感じがするんじゃないか、むしろ明るい緑色とか、そんな方がいいんじゃないかというように個人的に思うわけですね。レンゲ畑はいいのに赤れんがは悪いというようなこと、私はそういうことよりも、もっともっと明日香村の今日の歴史的風土を保存してきた農家に対する配慮、ということは、どうやって生産意欲を起こさせるか、そして歴史的風土を守ってきた農家に対する配慮をしていくということが大事じゃないか、こう思うわけですね。 規制ばかりかけて、いままでそういう農家の皆さんがよかったというようなことはなかったんじゃないか、このように私は思うわけですが、いま農林水産省の方からるる今後の計画等のお話がありましたが、もっと農業立村にするという、そういう村長さんの理想もお聞きしました。農業立村にするということであるならば、もっと規制の面で、そういったどちらかというと枝葉的な規制じゃなくて、私は、規制という面からいけば、埋蔵文化財が農地の下に遺構として残っておるとするならば、むしろそちらの方でもっと規制面を強化していくべきじゃないか、何センチ以下は掘ってはいけないと。 ちょっと私も見てきたんですが、旧石器時代の文化財は一メーター以上の深い下部層にあるそうですね。それから縄文時代の埋蔵文化財は数十センチ浅黒い土の下底、それから弥生時代の埋蔵文化財はわれわれの生活立地と重なっておる、こういうことですが、どういう埋蔵文化財が明日香村の地下に眠っているか、その辺私はよく知りませんけれども、そういった面でむしろ規制をしていくべきじゃないか。上に出ているビニールハウスは、これは壊すことはできるわけですから、埋蔵文化財ということをむしろ私は規制をかける面では考慮に入れるべきじゃなかったか、このように思うわけですね。そういった面でひとつ農業立村については温かい配慮をお願いしたい、このように思います。 それと同時に、いま文化財のお話をいたしましたが、この明日香村は、学者の皆さんの参考人の御意見を聞いたりいたしますと、非常に埋蔵文化財が広範に眠っていると想像されるというお話でありましたが、この法案によりますと、第四条の三項の十に「文化財の保護に関する事項」と、たった一行出ているわけです。これは整備計画についての文化財に関する事項ですが、これはどういうことを意味しているのかお聞きしたいと思います。
○説明員(中嶋計広君) ここに予定いたしております「文化財の保護に関する事項」でございますけれども、私ども考えておりますのは、明日香村が村といたしまして文化財保護のために遺跡範囲の確認の調査をいたしましたり、あるいはまた史跡地の買収をするとか、あるいは史跡地の環境整備をするとかといったような史跡地の調査あるいは管理をいたしております。そういう事柄につきまして、将来、明日香村として、この村の中でどのような事業を予定するのか、どういうことをやろうとするのかということをお決めいただこうということを考えているわけです。
○内田善利君 参考人の御意見を聞きますと、明日香村は非常に広範囲に埋蔵文化財が眠っている、しかも、いま先ほどお伺いしましたところでは、二カ所だけ百二ヘクタールでしたか、特別保存地区がなされておる。私は、この二つの事柄から、なかなか埋蔵文化財の発掘調査というのは厳しいんじゃないか。住民の皆さんの気持ちからしても、学術調査にしても緊急発掘調査にしてもなかなかやりやすい状態にはないのではないか、こう思うんですが、ちょうど調査に関する事項ということでしたが、こういった点についてはどのようにお考えなのか、これは文化庁ですか、お聞きしたい。
○説明員(山中昌裕君) いま先生の御指摘にありましたように、文化庁の方では、特に重要な遺跡を包蔵している地区として文化財保護の面で文化財保護法によって行ってきたわけでございます。これは相当の成果を挙げてまいりましたが、現在の状況は、おっしゃるとおり、文化財の保護は進んだけれども、住民の生活がむしろ守られていないのではないかという地元の御不満も相当強くて、かえって文化財保護の円滑にも支障を来すような状況にもなっておった、こういう事実があるわけでございます。 このたび、住民生活をも配慮して、この歴史的風土の法律が特別法としてできますと相当の助成措置の強化がなされ、これによってまた住民のそういう文化遺産保護に対する理解も非常に強まってまいりますならば、私どもが文化財保護法によりまして遺跡の整備等を行います面がよりやりやすくなるという意味で非常にありがたいことと理解いたしておるわけでございます。 なお、先生御指摘の、この法律の中に文化財保護に関することが余りないではないかというお話でございましたが、文化財そのものにつきましては全国の文化財との関連、研究という面もございますので、従来同様、文化財保護法で厳密な規制が行われておりますので、それに即して適切にやってまいりたい、このように考えております。
○内田善利君 農業のことについて一言お聞きしておきたいと思いますけれども、明日香村は非常に良質な米がとれるということなんですが、文化財を守ってきた農家に対する配慮という意味から、生産調整というようなことは考えられないのか。これは衆議院でも附帯決議がついておりますけれども、生産調整をするということはできないような答弁があっておりますが、現在、県あるいは明日香村での配分調整もある程度はされておるということのようですけれども、明日香村は特殊事情があるので、何とかこういった点についても配慮がなされるべきではないかと思うんですが、この点はどうでしょう。
○説明員(吉國隆君) 明日香村におきます水田利用再編対策のもとでの米から他作物への転換の問題に関連をいたしまして、ただいまお尋ねがあったわけでございます。 この対策におきましては、全国の農家の方々の御理解と御協力をいただきまして、米の需給均衡等、農業生産の再編成を図るということで進められておることは御案内のとおりでございます。そういった状況の中で、明日香村の特に規制を受けておられます関係地区の皆様方には困難な状況のもとである程度転作もお進めをいただいておるという状況になっておりますが、先生からもお話のございましたように、奈良県御当局及び明日香村御当局では、独自の御判断でこの関係地区への転作目標の配分に当たりまして若干の調整を加えておられるというふうに伺っておる次第でございます。 国の段階で特別な扱いをできないかというお尋ねの趣旨かと存じますが、こういった地域ごとの農業の特殊事情ということにつきましては非常に実はたくさんな問題がございまして、いろいろな角度からの御要請を私どもいただいておるわけでございます。湿田地帯の問題でございますとか、あるいは飯米農家の比重が非常に高い地帯でございますとか、あるいは山村でございますとか離島でございますとか、もろもろの社会的経済的条件のもとで非常に転作の実施が困難であるといった特殊事情についていろいろな訴えがあるわけでございます。私どもといたしましては、地域ごとのそういった特殊事情につきましては、国の段階で目標配分に的確に反映をさせるということもなかなか技術的困難もございますので、国の段階では一定の客観的な基準に従いまして各都道府県間に目標配分させていただく。あとは、地域ごとの実情に応じました配分につきましては、地域の実情に精通をしておられる都道府県知事、市町村長にお願いをするという考え方で進めておる次第でございまして、国の段階で明日香村について特別な取り扱いを先決めしてしまうということについては非常に困難があるという事情を御了解いただきたいというふうに思う次第でございます。
○内田善利君 農業立村という理想を実現させるために、それにこたえる意味で国としても積極的にこの農業振興を図っていただきたい、そういう施策を講じていただきたい、そのように思うわけです。国全体観に立った御答弁でございますけれども、やはりそういった特殊事情がありますので、ある程度現地に任せて調整をさせるとか、そういった配慮と振興策を図っていただきたい、そのように思います。 生産米を全部買い上げるというようなことなどはできませんか。
○説明員(松山光治君) お答え申し上げます。 米の政府買い入れの問題でございますが、現在、政府といたしましては、国民食糧の安定供給という観点から必要な米につきまして、御案内のように予約限度を設けて買い入れを行っておるわけでございますけれども、これは現在の大変な米の供給過剰事態に対応いたしまして、食管制度を健全に運営していくという観点から必要な措置ということで全国の生産者に御理解をいただいておる、こういう関係にございます。 で予約限度数量の配分につきましては、国が県に配分し、県知事が各市町村に配分していくということになるわけでございますけれども、その場合の要素としましては、過去の販売実績、それからいま話の出ました転作目標というものを基礎とするということになっておりまして、そういう意味では、いわば転作の扱いとのうらはらの関係と申しますか、非常に密接な関係があるわけでございます。で転作の取り扱いにつきましては、いま農蚕企画室長の方から御答弁したところでございますけれども、目標の配分に当たりまして、現地の具体的な事情を勘案した一定の配慮が行われておるということでございますし、そのことはそのまま限度数量の配分にも反映されておるわけでございまして、私どもとしましては、そういう事情の中でひとつ明日香村の関係の方々の格別の御理解を賜っていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○内田善利君 農地も含めて土地を買い上げられる場合に、明日香村は周辺市町村に比べて非常に価額が低いということですが、この古都法で買い上げの場合の配慮、固定資産税あるいは譲渡税、そういった課税に対する配慮等は考えているのか、この点お伺いしたいと思うんです。
○政府委員(升本達夫君) おただしの、土地の買い入れにつきましては、古都保存法が直接の根拠の規定になるわけでございますが、古都保存法の条項に基づきまして政令で土地の買い入れ価額の算定方法を規定いたしております。 申し上げますと、この買い入れをする場合には、その場合の「土地の価額は、近傍類地の取引価額等を考慮して算定した相当な価額とする。」この場合の価額の算定に当たりましては「不動産鑑定士その他の土地の鑑定評価について特別の知識経験を有し、かつ、公正な判断をすることができる者に評価させなければならない。」という規定になっておりまして、この規定に基づきまして、現状におきましても適正に執行をいたしておるわけでございます。私どもの調査をいたしております範囲におきまして、格別にこの価額についてその価額自体が問題になったというようなことは承っておらないわけでございます。 そこで、この買い取りに当たって何らかの優遇措置が講じられてしかるべきではないかというおただしの御趣旨かと存じますけれども、現在におきましても、この特別保存地区内の土地の買い入れに当たりましては、買い入れ価額——土地を売られた方の譲渡所得につきまして二千万円の特別控除が措置されております。今後にわたりましても、同様な措置を講じさせていただく予定でおります。
○内田善利君 文化財保護法で買い上げる場合は、どういうふうに方法がとられますか。
○説明員(山中昌裕君) ただいま都市局長が申されたと同様な措置でございます。
○内田善利君 次に、第五条「(特別の助成)」この政令の内容がわかっておれば教えていただきたいと思います。
○説明員(中嶋計広君) いろいろ政令で定める事項がございますが、特別の助成の交付の仕方につきましては、五条の二項によりまして「通常の国の負担割合を超えて国が負担し、又は補助することとなる額の交付に関し」ましては、これは政令でその交付の仕方を定めるということにいたしております。 ここで予定いたしておりますところは、他の類似の制度と同様に、国がその通常の負担割合を超えまして、あるいは通常の補助率を超えまして、いわゆる補助率が増高する分、補助率がかさ上げになる分につきましては、これはいろいろ事務的な手続もございますので、翌年度交付をするというようなことを定めるように予定いたしております。したがいまして通常の補助率までの分は当該年度に交付、支出をいたしまして、通常の補助率よりも高くなる分についてだけ翌年度に交付をする、このような手続になるわけでございます。そのような規定を予定いたしております。
○内田善利君 その次、第六条の「(地方債についての配慮)」のところで「特別の配慮をするものとする。」ということですが、具体的にこれは何を指しているのか。
○説明員(中嶋計広君) これは奈良県とか明日香村が明日香村整備計画に基づきまして行います事業につきましては、できるだけ長期低利の資金で地方債をお引き受けするのが事業を円滑に進めることに役立つであろうということから、国の方は財政状況の許す限りにおきまして地方が起債をできますように、国の方の資金事情もあることではございますけれども、 〔委員長退席、理事増岡康治君着席〕 そのような資金事情の許す限り、資金運用部の資金でございますとか、あるいは簡易生命保険あるいは郵便年金特別会計の積立金といったような長期低利の資金をもって地方債を引き受けるように特別に配慮していこうということを考えております。
○内田善利君 第七条の「(財政上及び技術上の配慮)」のところで「国は、」「明日香村整備計画が円滑に達成されるよう、財政上及び技術上の配慮をしなければならない。」とありますが、この「財政上及び技術上の配慮」の「技術上の配慮」というのは何を考えているのか。
○説明員(中嶋計広君) これは明日香村が特に埋蔵文化財の多い地域でもございますので、特に地元の方で御要望の強いのは、埋蔵文化財の発掘調査に当たりまして国の方から技術上の各種の援助をしてほしい、いろいろ技術上の指導を受けるとか、あるいは技術上の助言を受けるとかいったふうなことを初めといたしまして、場合によりましては国の方の技術者を派遣したり、あるいは技術者の指導を受けるといったようなことを考えてほしいといったような要望がございますので、そういうことを中心といたしまして村の方で技術上いろいろ国の援助を求めてきた場合に、国が優先的にそのような援助に当たるべく配慮していこうということでございます。
○内田善利君 最後に、明日香村の整備基金が今回第八条に盛られたわけですが、この整備基金の運用の面について国、県、村がどのように協力していくのか、その協力関係をお聞きしたいと思います。
○政府委員(清水汪君) この整備基金につきましては、まず、明日香村が地方自治法第二百四十一条に言う基金としてこれを置くという手続をとっていただくことが前提でございまして、つまり恐らくそれは明日香村の条例によって設けられるものと思います。と同時に、これは私ども明日香村から聞いているところでございますが、明日香村としては、その設置の条例という形だけでなくて、その果実の運用、果実によってこの法律にあるような村民対策をやっていくわけですが、そういう運用、そういう使い方等についての規範といいますか基準といいますか、そういうようなものも自主的につくっていく、そうして公明適切な運用を図るということを申しておるわけでございますが、しかしながら、同時に、国の方から考えましても、非常にこれは大事な措置でございますし、全国民も注視をしている措置でございます。したがいまして、この法律の八条に定めてあるような趣旨にのっとって、適切にそれが使われていくというためには、やはり拠出をいたします国の方もいろいろ関心がございます。 そこで、できるだけ自主性を重んずるというたてまえをとりつつ、なお、そのようないま申しましたような適切にいっていただくためには、やはり相互に意思の疎通をよく図りまして適切な運営を期していくということが非常に大事だろうと思っておりまして、村の方も、ぜひその点は県、国を含めてよく相談をして遺憾なきを期していくようにしたいということを申し出てきておられます。そういうことでございますので、法案が成立いたしました上は、そういうお互いの立場で協力し合ってやっていきたい、このように考えております。
○内田善利君 やはりこういった財源といいますか金が出てまいりますと、非常にスムーズにいく場合とスムーズにいかない場合と出てくると思いますので、国、県、村が非常に慎重にその運用面については対処していかなければならない、このように思います。 いままであった飛鳥財団、これが運用がうまくいったのかいかなかったのか、その辺いろいろ問題があろうかと思いますが、まず、収支決算及び事業内容はどうなっているのか、今後、この整備基金との関係はどのようにしていくのか、分担あるいは役割り、機能、そういった面についてお伺いしたいと思います。
○説明員(山口周三君) 最初の御質問の飛鳥保存財団の収支決算について御説明申し上げますと、飛鳥保存財団が発足いたしましたのは昭和四十六年度でございまして、五十四年度までの収入の合計額が約二十八億七千五百万円となっております。それから支出の方はほぼ同額でございますが、主な事業といたしましては高松塚の壁画館の建設及びその管理運営でございます。それから研修宿泊施設を建設いたしまして、その管理運営を行っております。それから飛鳥駅前におきまして総合案内所を建設いたしまして、明日香村を訪れる人々に対しまして広報活動を行っておるところでございます。 〔理事増岡康治君退席、委員長着席〕 それからもう一点のお尋ねの基金との関係でございますが、基本的には住民対策に関する事業は基金によりまして行うのが適当かと考えておりますけれども、財団は、したがいまして先ほど申し上げましたような高松塚壁画館の経営ですとか総合案内所の経営ですとか研修宿泊所の経営ですとか、そういう歴史的風土の保存に関する事業を中心に進めていくのが適当かと考えております。 ただ、基金ができますのは本年度からでございまして、造成が完了するまでには五年間かかりますし、その間は財団におきましては基金に対しまして助成と申しますか出捐をいたしまして、できるだけ基金で一元的に住民対策が行われるようにするようにしたいというふうに考えております。ただ、基金ですべての住民対策に関する事業が行えるものとは限りませんので、そういう部分につきましては、従来と同じように、直接財団から住民に対して必要な費用が支出できるようにいたしたいというふうに考えております。
○内田善利君 今日まで昭和四十六年から約十年たっているわけですが、この財団の支出ほぼ二十八億、そのうち二千四百二十八万円で住民対策を講じてきたということのようですが、今日までの実績で住民対策は万全であったのかどうか非常に疑問を持つわけです。十年間の実績で住民対策が万全であったかどうか、この点どうでしょう。
○説明員(山口周三君) お答えいたします。 先生ただいま二千四百万程度の住民対策の事業を行ったというふうにお話しになられましたけれども、私どもでは、住民生活の向上に関する事業と申しますのは、文化財の保存に関する事業でございますと分類されておる事業の中でも、たとえば道路の修景の助成、これは道路の周りに植樹をするような助成事業ですとか、それから史跡地の清掃をするいろいろな団体がございますが、これに対して報奨をするとか助成をするとか、そういう事業が保存に関する事業の方で分類されておりまして、そういう村とそれから住民生活に対して出しました事業を全部合わせますと、約七千六百万円ほどあるというふうに考えておりまして、これは十分な金額ではないかもしれませんけれども、財団としてはできるだけのことをいままでやってきたと考えております。
○内田善利君 次に、時間の関係で埋蔵文化財に少し入りたいと思いますが、文化庁にお聞きします。 明日香村の埋蔵文化財の基本的な保存対策はどうするつもりなのか。積極的に学術発掘調査をしていくのか、出てきたとこ勝負で緊急発掘調査をしていくのか、ばらばらに保存していくのがいいのか、地域全体を保存していくのがいいのか、この辺どのようにお考えなのかまずお聞きしたいと思います。
○説明員(山中昌裕君) 文化財がわが国の歴史、文化の理解に不可欠の教材になる、あるいはまた将来の文化の発展とか現在の住民生活をゆかりのある潤いのあるものにしていく上でかけがえがないことはどなたも御承知のとおりでございまして、その保存と活用の調査をうまく行うことが大事になってまいります。 保存の方法には、いま先生のお話にも出てまいりましたが、現状でそのまま保存するものと、それから調査して記録を作成して保存するものと、この二通りになるかと思います。すべての文化財がそのままの形で残せるかというと、これはなかなかむずかしゅうございます。また、その必要も必ずしもあるとは言えないと思っております。しかしながら、学術的にも価値が高くて、わが国の歴史の理解に不可欠のものにつきましては、やはり現状のままこれを保存して、それからそういうもので整備活用することによりまして上歴史的に由緒のある住民生活、さらには将来の文化の発展の基礎とする、こういうふうな形でいかなければならないと思っております。これ以外のものにつきましては、少なくとも関係の学術研究に支障を来さないというために調査して記録を明確にとっておく、こういう形で対処することが必要であると思っております。 具体的に、それではどこの部分は現状のまま保存し、どこの部分は記録で保存するかという判定の問題でございますが、これはたとえば古墳、貝塚、宮跡、城跡等一つ一つの文化財の状況によりまして、文化財保護審議会において権威ある専門家の御判定をいただいて、そして後世に残すべきものについては史跡に指定していく、こういう形で処理しているところでございます。地下にございますものについては、ことに何がどのような価値を持つかということが発掘調査の結果、歴史学、考古学の学問研究の上で相当の討議がなされませんと十分判定ができないわけでございまして、一つ一つそういうものを調べていくという非常に手数のかかる仕事になってまいります。 明日香村の場合に、ここにございます遺跡はきわめて重要であるということは認識されておりますが、たとえば平城京あるいは藤原京、こういったように宮殿が一カ所にまとまって相当長い年月営まれたということでないために、村内に点在して存在しているところが特徴でございます。そういう遺跡が後世に残すべきものとして判定されましたものについては、個々にその土地所有者の方々と話し合ってまいるということが必要になります。その御了解を得て、十分に協力していただけるということになったものについてはこれを史跡に指定して、公有化して整備保存をしてまいる、このような形で考えてまいりたいと思っております。
○内田善利君 明日香村の農地の地下遺構と農耕との関係はどのようにお考えですか。
○説明員(山中昌裕君) 先般も、参考人の末永先生から御説明があった際にも指摘されたことでございますが、わが国の地下にございます文化財については、水気の多い地下に安定して保存されておくのが一番保存上はよいわけでございます。ただし、それでは研究できませんので、それを発掘調査するということが必要になってまいります。ただ、いまのままの農地でそのまま受けるかと申しますと、発掘調査した結果本当に後世に残すべきものということが明らかになったものにつきましては、やはり国民全体の文化遺産として整備活用していく、今後の文化発展に資するという面が大事になってまいりますので、そういうものにつきましては所有者の方々とお話し合いして、公有化して整備活用する、こういう方向をとる必要があるかと考えておりますが、それ以前の段階において、安定して農地が営まれておりますならば、将来調査するのに差し支えないわけでございまして、建物等が建つ場合でない限り、にわかにそこを急がなくてもよいというのが考古学の一般的な通念になっております。
○内田善利君 これは一般的な問題なんですが、国では、たとえば文化庁の町並み保存、それから国土庁の伝統的文化都市環境保存地区の指定制度、建設省の歴史的市街地保全整備計画等々、類似の事業が非常に多いわけですが、それぞれの施策の見直しが必要ではないかと思うのですが、地方でも、そのために社会教育課、文化財保護課あるいは観光課、都市計画課等、ばらばらの行政が見られるわけですが、こういった実情をどう思われるのか、国務大臣の立場で、担当大臣に御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) これらの施策はそれぞれに目的を持ちまして、また、その必要性に応じてそれぞれ所管官庁が法律を所掌してその執行の実を上げておるものと理解をしております。しかし、それぞれに古都における歴史的風土の保存というものに関して関係がないというわけではなく、皆密接なかかわり合いを持っておることも御指摘のとおりだろうと思います。 したがいまして、今度の法律を成立さしていただければ、総理府がこの法律を所管していくことに相成るわけでございますので、今後とも、この歴史的風土保存という立場に立って関係省庁と密接な連絡をとりながら、それぞれの省庁が所管しておる法律が全体としてよりよき行政効果が高められるように十分な配慮をしていかなければならない、このように考えておる次第でございます。
○内田善利君 もう一度文化庁にお聞きしますが、国が指定して買い上げた土地について、太宰府町でも私はよく見ているんですけれども、管理の面が非常に手薄である、そのように思うわけですが、福岡県の場合は、県が三百万円、太宰府町が二百万円を出して古都太宰府を守る会に一部事業を委託しておるわけですが、こういった国の公有地、買い上げた土地の管理を、今後、どのようにしていくおつもりなのかお聞きしたいと思います。
○説明員(山中昌裕君) せっかく史跡に指定して公有化した土地が尊ぼうぼうの場合があって管理が不適切ではないかという先生の御指摘でございますが、そういう御指摘が実は大分各地で恥ずかしいことでございますが出ておりまして、その状況をよく調べてみましたところ、一つは、たとえば土地所有者とのお話し合いで進めます場合に、関係します所有者の方々全部と御了解がつけば一括してできるわけでございますが、なかなかこれがむずかしゅうございまして、どうしてもその一部の方はお話し合いがついて、そこの部分は公有化を進め、残りの方は根気強く説得しなければならないというために、いわば虫食い状に公有化が進むという場合が現実にあるわけでございます。そういたしますと、ところによっては、整備計画をせっかく立てましても、それに着手できないために放置されておった、その結果草ぼうぼうになり、冬になって枯れると火災の心配があるとか、あるいは害虫の発生があってそこが根源になるとか、こういうものから住民の苦情がずいぶんついたわけでございます。 それで、私どもも、これではいけないということで、整備の予算の充実をこの数年非常に力を入れて伸ばしてきておりまして、これによって各地方公共団体の整備計画の促進を図りますとともに、それでもなお整備に至らない、いわば未整備の史跡公有地があるわけでございます。これについては、少なくとも除草とかいったような管理面の適切を確保するようにということを地方公共団体に強く指導いたしました。これはまさに先生おっしゃいますように、せっかく買い上げたものがこういう状態ですと、文化財に対する理解と協力という住民のそういう大事な面が阻害されますので、これはあってはならないと考えて、いまその改善に努力しておるところでございます。 なお、自治省においても、その趣旨を非常に理解してくれまして、地方交付税による財源措置の充実という面で非常に協力してくれておりますので、太宰府等で先生がごらんになった状況は年々改善されると思っております。私どもも、なお、その改善に最善の努力をいたしたいと考えております。
○内田善利君 環境整備事業としては、国でも予算化して五〇%の補助で整備をやっているわけですが、土地利用等が行われておるわけですが、車ぼうぼうといったそういった面の管理ですね、整備事業が進めば管理は大丈夫というようないま答弁だったと思いますけれども、これは太宰府に限らず、私たちも文教委員会等で視察に行った場合でも、草がそのときに生えていたというようなこともあるわけですが、やはり管理面で県あるいは市町村で管理費を出して年に一回とか二回とかの草刈りをやったりしておりますが、こういった管理費等の予算化はできないものか、この点はどうですか。
○説明員(山中昌裕君) 整備を急速に進めましても相当の時間がかかりますので、いま申しましたように、整備以前の史跡地についての管理の強化を図ることが必要と考えておりまして、この点は、こういう公有地は県有地あるいは市町村有地になっておりますので、その所有者である県、市町村の経常費の形になります。こういたしますと、国庫補助になじみませんので、地方交付税による財源措置によってそれを厚くするという方法になってまいります。昨年、自治省の方にそのことを強く要望し、自治省の方でも大幅な交付税措置の増額をいたしてくれております。そのことを各県、市町村にも伝えまして、草ぼうぼうで非難を受けることがないようにということでいま協力して進めておりますので、早急に改善を図ることができるものと理解いたしております。
○内田善利君 時間が参りましたので、最後に、大臣にお聞きしますが、莫大な財力と時間と人間をかけてこの明日香村を守っていくという画期的な法案でございますので、今後の運用の面が非常に重要なことになってくると思いますが、その決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) お話にありましたように、この法律につきましては、いま画期的というお話がありましたが、私どももそのように理解をしておるわけでございまして、最初の御質問にありましたように、昭和四十五年段階での歴風審の答申の中では、いささか、文化財というものに対して既存の法律をもってこれを守り抜くことに対してなお足らざる点は特別立法という考え方もありましたが、昭和五十五年の段階におきましては、地元住民の生活を守りつつ、かつ、この文化財を保護するという意味での特別立法がいままさに御審議をちょうだいをいたすようになったという時代の変遷と、国民がそれを認識する時期に際しておることだと思います。 お話にありましたように、国も資金を援助しながらこうした基金を設定して、住民の理解、協力のもとにこの文化財を守りつつ、地元住民の生活も安定さしていくという画期的法律のことでございますので、今後とも、この法律が制定の暁におきましては、十分国としても配意をしながら、あらゆる点にわたって心配りをしながらこの法律を守り抜くという姿勢を堅持していくことは当然のことと理解し、全力を挙げてまいりたいと考えている次第でございます。
○委員長(大塚喬君) 本案に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩をいたします。 午前十一時四十五分休憩 —————・————— 午後一時一分開会
○委員長(大塚喬君) ただいまから建設委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○小巻敏雄君 明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法を提案されたわけでありますから、まず第一条からお伺いをしたいと思うんですが、「歴史的風土」というのは一体何かというような問題はまず明らかにされる必要があるだろうと思うんです。 明日香における遺跡、文化的遺産、周囲の環境が一体化されて昔をしのばせる歴史的風土、これを保存するんだというのが趣旨になるわけですが、具体的に言いますと、明日香にはどんな文化遺産があり、そしてどんな環境があり、そうしてこれを保存することによって国民的にはどういう利益を得るというふうに考えておられるのか、立法された方からお伺いしたい。
○政府委員(清水汪君) まず、この「歴史的風土」という言葉でございますが、これはこの特別措置法では格別に定義などいたしておりませんで、この特別措置法の母体になっておりまする現行の古都保存法の用語を受けているというふうに申し上げるわけでございまして、その古都保存法の用語でございますが、これは同法の第二条に定義といたしまして書いてございますが、「わが国の歴史上意義を有する建造物、遺跡等が周囲の自然的環境と一体をなして古都における伝統と文化を具現し、及び形成している土地の状況をいう。」というのがその定義でございますが、一応、こうした意味で使われておりまする歴史的風土という言葉を使っているわけでございますが、この明日香特別措置法におきましては、ただいま御指摘のように、そういう言葉を使いつつ、なおその上に加えまして、その意味内容と申しますか、それをもう少し第一条冒頭の二行で浮き彫りにしているという書き方をしているわけでございます。 それはつまり一般の古都保存法で考えているような歴史的風土に比べますと、基本的には歴史的風土という意味においては共通する面がございますけれども、この特別措置法でとらえようとするものは、さらにその意味内容が特殊な意味というか、重要性と申しますか、そういうものがあるという認識に立っておりますので、そのことをまず冒頭で明らかにしたいということから第一条がこういう書き方をしているわけでございます。 で、ただいまの御質問で、じゃどういうような風土がそこにある、あるいはどういう遺産があり、環境があるのかということでございますが、結局、周囲の環境というのは、そこに目で見る環境ということになろうかと思いますが、その周囲の環境と一体をなす関係にありますところの歴史的文化的遺産にどういうものがあるかということ、これにつきましては、個々具体的なことにつきましては省略させていただきたいわけでございますが、総括的に申し上げれば、いまみんながあそこの飛鳥の地方の一つの文化的な遺産あるいは史跡、それからさらに遺跡という言葉でございますから、これはその地下に埋蔵されているものも概念としては含み得るというふうに解しているわけでございまして、そういうものがたくさんあるというふうに言われておる。もちろん調査済みのものもあれば未調査のものもあるわけでございますが、それらを含めて、そこでの遺跡等の歴史的文化的遺産というふうに観念されるわけでございます。それらが「周囲の環境と一体をなして、」云々と、こういうふうに考えてよろしいと思っておりまして、そこに特色があるということ、その特色がここで言うある特定の時代の中心的な地域であったことをしのぶよすがになる、こういうことになるわけでございます。 そういう意味でございますので、くどくど申し上げましたけれども、総体としての現在の明日香の地上並びに地下に埋蔵されているものもその視野に入れた形で明日香村の歴史的風土というものをとらえよう、こういう考え方でございます。
○小巻敏雄君 母法といいますか、古都保存法の方では第二条に定義を掲げて、いま読み上げられた二項に先立って、「古都」とは、往時の政治、文化の中心地で歴史上重要な地位を有する京都、奈良、鎌倉というようなのを挙げておるわけです。飛鳥というのはそれに先立つ時期になっておると私は承知をしておるわけですね。 そしてこの「歴史的風土」の中で触れているのは、まず第一に建造物を挙げて、それから遺跡を挙げておるんですね。京都、奈良、鎌倉、まさに建造物を中心にしてその周囲と一緒にして保存をしていこうということになっていますし、ヨーロッパ諸国なんかでも大体建造物が中心になって挙がってくる。今度、新たに設けられた明日香の場合にも当然これを受けておるわけですから、常識的にその用語をもって説明をされておるんですが、この明日香の文化財としていってみると、奈良、京都、鎌倉とはかなりにその点で遺産の内容について違いがあるんじゃないかと私も思いますし、学者諸君もそう言うわけですね。 具体的に律令国家時代というものを想起させるような遺跡、保存すべき遺跡というのは、文化庁の方にお伺いしたいのですが、どんなものが建物としてはあり、その他史跡は何があるのか、それが具体的に律令国家の形成時の何を物語っておるのかというようなことをごく簡潔に二、三例を挙げて説明をしてもらいたいというふうに思います。
○説明員(山中昌裕君) 明日香村に関係いたします文化財のうち、建造物関係については重要文化財になっておりますものが二件ございます。一つは平安時代の石塔婆でございます、一つは桃山時代の仁王門でございます。それ以外につきましては大体史跡に指定されておりますものが中心でございます。 例を挙げますと、たとえば特別史跡になっております高松塚古墳、石舞台古墳あるいは川原寺の跡、飛鳥寺の跡、大官大寺跡というように最古の官寺の跡が幾つかございます。さらに、大化の改新の舞台になったと言われております飛鳥板蓋宮の跡と伝えられる遺跡がございますし、それからまた飛鳥浄御原宮に関係いたします飛鳥浄御原の推定地ではないかと言われます飛鳥水落遺跡あるいは飛鳥稲淵宮殿など、ちょうど律令国家形成期に関係する宮殿寺院跡あるいは古墳というようなものがこの地区に濃厚に存在しているのが特徴でございます。
○小巻敏雄君 平城京以降のものは、範囲も、そこにある建造物も、それから埋蔵文化財さえも文献資料との照合も確かで、そして非常に限定をされたものが登場してくるわけだと思うんですね。ところが、いま言われましたように、古都法で重要な要素である建造物となると、平安と桃山が出てくるので、ちっとも律令国家時代のものは出てこぬわけですよ。だから建造物を保存したからというて、それは想像力を働かしてやればどうかわかりませんけれども、科学的な意味で当時をしのぶものはない、すべてこれは地下に埋蔵されておる。しかも、それが文献、史跡と照合をして科学的な日が当てられているのはいま進行途上であるというのが今日の明日香の持っておる文化財的な意味の非常に大きな内容になっておる、ここが特徴ではなかろうか。その限りでは、この明日香保存法は奈良、京都、鎌倉の保存とは新たな観点、より広くて深い観点がなければその目的を遂げることがむずかしいんじゃなかろうかというふうに思うわけです。 しかも、これがよく遂げられるならば、私どもがわずか三十年か五十年前に歴史として学び、日本の古代の姿を頭に浮かべたものよりははるかにありありと当時の状況を知ることができる、そのことによって文学的な遺産もまた新しい光を浴びて生き生きと登場してくる、そういう関係になっておるだろうと思うんです。その限りで、私は、明日香における歴史的風土の特色は何よりも地下の埋蔵文化財に特色がある、その点にウエートを置いて文化財保存の観点では立法をし、そしてその法律を運用していく必要があると思うんですが、いかがですかね。
○政府委員(清水汪君) 御指摘のとおり、明日香の場合の歴史的風土保存の問題といたしまして、地下の関係が非常に大事であるということは全くそのとおりだとわれわれも理解をいたしております。これを全体としてできるだけ現状を壊さないで保存していこうというようなことが全体の眼目になろうかと思います。 そういたしますと、手法といたしましては、やはりこの法律でこれから二条以下に出てまいりますいろいろ全体的にその保存のための計画を立てていくという問題がございますし、それから個々には、先ほどもお話のありました文化財保護法というような法律によって、個々あるいはその都度さらにそれに手厚く保存を講じていくというようなことが両方組み合わされて、今後、運用されていくのがいいんじゃなかろうか、このように考えておるわけでございます。
○小巻敏雄君 運用の問題はまた別途お伺いをするとして、まず第一に、ここで言う歴史的風土の概念ですね、歴史的な文化遺産というふうにここでうたわれておる中身としては、当然、建造物、遺跡と出てくるわけですが、建造物は実質的に実がないわけですからね、ここで言う場合には、古都法に言う遺跡の方にウエートがあり、その遺跡も、埋蔵されておるものの中にこの立法で触れるところの歴史的風土というのが大きな意味がある、こういう点について、そうだというふうにお答えいただいていると思うんですが、それでよろしいですか。
○政府委員(清水汪君) それは目に見えている建造物は、先ほどのお話のように、ほかの古都の場合に比べればむしろ非常に少ないと申しますか、そうしておのずから重点が地下の遺跡あるいは埋蔵文化財というところにあるという認識は、もう御指摘のとおりだというふうに解しております。
○小巻敏雄君 それで結構です。 そういうふうに考えてみますと、この法律の運用においては、それに見合うだけのさまざまな実際効果のある措置が必要になってくると思うわけであります。この点でお伺いをするわけですが、参議院の審議に先立って、衆議院の附帯決議の中でも、これについて政府は実効ある措置を行うようにというようなことも述べ、実効ある措置をとることを大臣の方からも約束をしてこられたかと思いますが、明日香のここに言う歴史的文化遺産を保存するために、ここで挙げる住民との調和問題が引き続いて出てくるのですが、とりあえず真っすぐにその保存、破壊から免れるための措置、それからこれを発掘調査するための措置、これに人的に財政的にあるいは組織的にこの機会としてどういう前進が見られるのか、こういうことをお伺いしておきたいと思います。 続いて、一緒にお伺いしておきましょう。この古都法自身にも第一条で、「文化的資産」は「国民がひとしくその恵沢を享受し、後代の国民に継承される」ものとして「ひろく文化の向上発展に寄与する」こういうふうにありますね。これの中身は、それは青年、学生がやってきて、ながめて印象にとどめて帰るというようなことにとどまらず、特にこの明日香の場合には、発掘調査なども学問的に十分に行われて、そして日本の律令国家時代の姿を明らかにして学問的な発展に資するというような点は大きなウエートになるだろうと思うんです。そういう点も含めてお伺いしておるんです。文化庁の方もあわせてお答え願いたいと思います。
○説明員(山中昌裕君) 明日香の文化財につきましては、従来から文化財保護法によってその調査、整備を進めてきておりますが、私ども、これを進めてまいります場合に、文化財についてはきちんとできる自信はございますが、それを進めていきます上で不可欠なのは住民の方々の理解と協力でございます。従来、この面が、どうしても私ども文化財以外について余り知識がございませんし、不十分であったかということを反省いたしております。その面を進めようといたしましても、各省の御協力という形でそれが必要になってまいります。 今回、こういった形で地上の風土も都会化される状況でなしに、いまの自然の状況をそのまま残していただけるということでございますと、こういう遺跡なんかを調査の上、整備保存いたします場合にも、都会地の谷間の中でぽつんぽつんと点在するということでなしに、本当に歴史的な由緒のあるゆかしい雰囲気の形成ができるという観点で非常にありがたいと考えております。また、そのことによってこの文化財が本当に国民の方々に歴史を知る上で生かしていただけるのではないか、このように考えております。
○小巻敏雄君 この点では、特に遺跡分布もまだ定かでないということがありますね。この明日香の中には入っていないけれども、藤原宮というのが日本で言えば初めて唐の長安の都にならったような姿で大極殿等が形成されておる、これは橿原にあるわけですよ。そして板蓋宮はその前のもので、実際にはまだ学者の先生に聞くと、板蓋宮であろうという段階であって、板器官だとは言われないわけですね。こういったふうなものの研究等に速やかに進むのでなければ、こうして古都保存法の中で、とりわけ立法をしていく上の意義も不十分なものになるんじゃないかと思うんです。特に遺跡というのは、宮殿跡にしろ寺院跡にしろ、一つずつの個別調査というよりは、それが相関連して全体の姿を明らかにしてくるところに大きな価値があると思うんですが、本法案の中自身では、この発掘調査等を進めていく上での前進面は法文上はまだ保証していないわけですね。 これと関連しながら、それでは文化庁と総理府と連絡をとってどうやっていただけるのか、たとえば、ここには福原考古学研究所もあれば奈良の文化財研究所もあるわけですね、これらのところと現地の受けとめる村長さんとの関係、あるいはこれの進行と現地の関係、こういうものについては特段に強化をするなり充実をするなりの考えは持っておられるのか、こういうような点もお伺いしておきたいと思います。
○説明員(山中昌裕君) 文化財保護法におけるこれらの遺跡の整備あるいは調査研究は非常に厳密に学問的に行われますので、私どもの方で保護法によって責任を持ってこれを進めてまいってきているわけでございますが、問題は、この調査を進めます際に、住民の方々の今後の生活がどうなっていくのかという不安があるわけでございます。そういう生活の不安の面と文化財の保護を進めていきます面の調整を文化財の保護だけでやろうとしてもきわめてむずかしいわけでございます。村の将来の姿というのが一つ大きく関係してくるかと思っております。 その意味において、いわば地上の風土についてあるいは住民生活について、このような特別法によってこういう配慮がなされ、それによって広い意味で文化財についての住民の理解が高められますならば、私どもが行っております文化財保護についても住民とのお話し合いの中で理解が深まり、より理想に近づいた形の保護ができるのではないかと期待いたしております。
○小巻敏雄君 そこで、今度の法律案の目玉になっておるのは、学問的な発掘調査を進めるにしても、あるいは周囲の景観を保存していくにしても、住民との協力が最も重点になる、 〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕 こういう問題に入っていきたいと思うんですが、環境保全の方にしても、大体、今度立法される側としては、これをどのように保存をしようとされるのか。 保存と言えば現状凍結というふうに考えるのが常識だと思うんですね、これ以上変化を進めないように。とりわけ建造物であれば崩壊なり建てかえなりを規制するということになるでしょうし、埋蔵的な史跡であればそのまま置いておくか、発掘調査をするか、現状保存、凍結だと思うんですが、特に、その場合、周囲の環境を現状のまま凍結をして保存するというのは、生きた人間との関係でなかなかむずかしい問題であり、諸外国のものを見ても、そこのところに最も意を用いているように思うわけです。今度の場合は、そこのところはどういうふうに考えていかれるわけですか。
○政府委員(升本達夫君) 御指摘のように、周囲の自然状況を含めたいわゆる歴史的景観を保存していくという命題に対しましては、現にそこが一定の方々の生活の場でもあるという状況にかんがみますと、大変むずかしい問題であろうかと思うわけでございます。 おただしの、守るべき歴史的景観と申します場合に、これは一口に歴史的景観と申しましても、いろんな態様があるということが言えようかと思うわけでございまして、たとえば明日香村全域を対象に考えました場合に、そこで村の生活活動が現に営まれている、その営まれている地域全部を包括して、広域的に見てその全部を対象として考える場合に、そこを歴史的景観という視角からながめる場合のとらえ方、それからさらには、先ほど来いろいろ御議論がございました特定の歴史的な文化資産そのものを歴史的景観ととらえる場合、いろいろな態様があると考えられるわけでございます。したがいまして、また、そういった歴史的景観を保存するに当たりましても、その態様に応じましていろいろな対応が考えられなければいけないというふうに考えるわけでございまして、その態様によりましては、その現状をできるだけその状態において保存すべき場合、また、もっと積極的に生活活動あるいは生産活動等と調和を図りながら保存すべき場合、いろいろ対応のありようも考えられるかと思うわけでございます。 そこで、ただいま御議論になっております明日香村におきます歴史的景観の保存におきましては、これは歴史上重要な遺跡などの文化的資産と周囲の環境が一体をなして明日香村における歴史的風土の枢要な部分を構成している地域というふうに認められる地域を第一種歴史的風土保存地区というふうに考えまして、この地区についてはほぼ現状保存的に諸規制を行ってまいりたい。それから、村域のうちその他の地域につきましては、これを第二種歴史的風土保存地区というふうに考えまして、この地区につきましては生活活動を十分に織り込みながら、その歴史的景観の保存を図るというふうに考えて整備をいたしてまいりたい。したがいまして御懸念、御心配になっておられる、直接の御心配の対象でございます現状保存的な規制を行うべき区域の範囲というのは、可及的に、限定に考えまして、その他については第二種保存地区として生活、生産活動を織り込んだ保存方式を考えていくという視角から対応してまいりたい。そういうふうに歴史的景観の態様に応じまして対応のあり方も考えさしていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
○小巻敏雄君 いまの御説明だと、第一種と第二種の地域区分をするから、第一種の方はやむを得ないものとして厳格に取り扱っていくけれども、第二種の方はかなりフリーなんだというふうにも聞こえるわけですね。 しかし、私も、何回か住民の意見を聞くために現地も訪れたわけですけれども、必ずしも第一種の地域だけが不自由をしておるわけではない。たとえばお百姓されておって、自分は五反百姓だが、今度規制されると、いままでどおりでも苦しかったのに現在以上どうなるのかというような声とか、若い人が後を継いでこなくなって後継者ができなくなるとか、機械はどこまで入れられるのか、何よりも地価が安い、こういうような問題を言っておられますけれども、第二種の場合でもお隣の福原などと比べればはるかに状況は違いますし、そこのところが第一種であれ第二種であれ住民の了解を得ながら規制をして、そして産業の基盤を保証しながら現状を変更しないという状況をつくり出していくところに今度の目標があるんだろうと思うわけです。そういう点を考えてみますと、第二種だからいわば規制は緩やかだというふうな御説明をいただくと、これまた保存上非常に不安を感じるわけですね。それから第一種のところでやむなく厳格にやっていくという場合には、どこで住民との合意を保証されるのか、その辺についてもう少し具体的にお伺いしたいと思います。
○政府委員(升本達夫君) 第一種の地区については規制は強化されるけれども、限定的な範囲だからというふうに申し上げたわけでございますけれども、それは限定的な範囲であるからがまんしていただいてもいいという趣旨で申し上げたわけではございませんで、私が申し上げたかったのは、守られるべき歴史的景観の態様、度合いに応じて必要な規制措置を考えていくべきだという、そういった視角から仕分けをさしていただくということが適切なのではなかろうかという意味で申し上げた次第でございまして、具体的な規制の内容につきましては、政令をもって定めさしていただきます場合に、歴史的風土審議会の御意見を承り、関係各省とも十分御相談をし、地元の県、村とも十分御相談をしながら、この法律第一条の目的に資するように規制措置を具体に検討さしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。 ただいまのところ、考えております規制の内容の概容を申し上げますと、第一種の保存地区につきましては、現在すでに古都法によりまして特別保存地区として指定をされております区域に行われております規制内容とほぼ同様の内容のものを考えておりまして、これに、現状におきましても行政指導という形で御協力をいただいております建物の意匠、形態の制限等につきまして、現状の規制の対応レベル、水準程度のものを現在の特別保存地区に対する規制措置に加えさしていただく。したがって、実態的には、現在の特別保存地区において行われております規制措置とほぼ同内容のものを第一種の保存地区の規制の基準とさしていただきたいということと、それからいろいろ御議論が出ておりますビニールハウスにつきましても、これは一種地区についてはおよそビニールハウスは一切認めないというのもこれまた言い過ぎの話でございまして、これにつきましては、先ほど来申し上げておりますこの地区の指定の趣旨に沿う範囲におきまして支障のない限りビニールハウスも一定の条件のもとに許可の対象にしていく、認めていくということに考えさしていただきたいと考えております。 それから、第二種の保存地区につきましては、これは一言で申し上げますと、建築行為あるいは工作物の新築行為等を通じまして周囲の歴史的景観と著しく不調和にならないという範囲で許可という形で規制をさしていただきたいというふうに考えております。たとえば建築物で申し上げますと、かなり高い建物、一定の高さ以上の高い建物でございますとか、あるいは意匠、形態がきわめてその風土に即しないというような極端なものでございますとか、そういった形で規制をさしていただきたいと、こういうふうに考えておりまして、最初に申し上げましたように、基盤はやはりそこに生活をされておられる方の生活を不当に妨げるようなことのないように十分配慮をしながら必要な規制措置を考えさしていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
○小巻敏雄君 第一種は、大体従来どおりと、ビニールハウスについても、具体的な構造によって差し支えないものと、ぐあいの悪いものとがあるというようなお話なんですが、実際に村民が期待しておるところは、従来どおりでは困るということなんですね。 ずいぶんしんぼうしてやってきた、そろそろ限界が来ておる。特に立地からしても、その周辺というのは産業都市大阪との距離も非常に近くて日に日に開発されておる。こういう中で忍んでいくという点についても、十年前と今日と十年後とでは大変な違いだから従来どおりでは困るんだ、こういうことなんですね。今度の場合で、どこがよくなるかということを言ってもらわないと、いままでは耐え切れたけれども、先々の保証はできないぞという気持ちがずっと強く感じられるわけです。 私は、今度の措置の一番目玉は、村長も非常に努力をされて、いままでは村民は誇りを持ち、理解と協力を惜しまなかったから、それにこたえて具体的な援助措置を政府がどのくらいしているか、このことでいままで維持してきた理解と協力はさらに続けることもできるし、それ以上になると限界が来るぞ、それだから具体的な措置をしてもらいたいというのが、これが現地の最も強い要望であったと思うわけですし、そこに期待を集めて今度の整備計画に基づく整備基金の問題があると思うんです。従来耐え忍んでおった村民に対して、この整備基金というのは何を保証し、何を改善するか、こういう点についてひとつ説明していただけますか。
○説明員(中嶋計広君) この基金でございますが、いま先生がお話しのとおり、これまで住民が歴史的風土の保存に対しまして非常に協力をしてきていただいたわけでございますが、住民の方から、これまでいろいろと努力をしてきたけれども、自分たちの生活ということもあり、この際、国において特別立法の措置を講じまして、−一つは、明日香村の歴史的風土を保存していくということが、国家的にといいますか、国民的にといいますか、国という広い立場から見てきわめて意義のあることであるということを認めてほしい、国というような広い立場から見て保存に意義があることに自分たちが理解し協力をしていくということに誇りを持っていきたいということが一つ。それからもう一つは、そういう中において生活をしていく村民のために国、県等がいろいろと援助の手を差し伸べてもらいたい、その規制の中で生活が成り立つような方策を考えていただきたいという御要望があったわけでございます。 それに基づきまして、具体的にそれではどういう方策を講じることが地元の御要望に沿うのであろうかというような相談もいろいろいたしまして、歴史的風土審議会にもお諮りをした上、一つの方策といたしまして、歴史的風土の保存のため、あるいはそれと住民の生活との調和を図るため、さらにはまた地域住民の生活環境施設といいますか、身の回り施設と申しますか、そういうもので、言うなれば公共事業に半たらないようなきめ細かい施策というものを実行していく必要がある。そのきめ細かい施策を実行していくにつきましては、やはり村の中に、言うなれば村の手で、村民自身の手で運営できるような財源というものを持ちまして、村民の自発的自主的な運用によりましてきめ細かい施策を講じていきたいという御要望がございました。それには村に基金を設け、その運用益を村民の手で運用していただくのがよろしかろうということで基金を設けたわけでございます。 そういう趣旨で発足しております基金でございますので、運用益の使途につきましては、法案の第八条に三号にわたりましてその項目を並べてございますが、要するに、村民の生活に密着したきめ細かい施策にお使いいただくということを考えているわけでございます。
○小巻敏雄君 すでに、この基金に対して何に使いたいかという点では、政府に対して提出をされた要望書が出ておるんじゃないかと思うんです。私もコピーをいただきましたら、現地ならではの大変きめの細かい具体的な要望が挙がっております。この八条以降、この規定があるわけですが、その具体的な問題の運用について村民の意思が生きて利用されるのかどうかということが、今度の法律が実効あるものになるのかそうでないかの一つの大きな決め手になるんじゃなかろうかと思うんです。 ここで現地の村から出た要望を見ますと、まず、規制に伴い住民が受ける負担を軽減するための助成事業がやりたい。それがあって、第一に建築等のデザイン規制、これが当然行われるんだから、これの助成事業に対してこのお金が使いたいというのがありますね。二番目には、景観維持に係るあぜ、畔、築堤のための助成事業というようなものを求めておられますが、こういうものは保証されますか。
○説明員(中嶋計広君) 村の方でこの基金の運用益をどういうふうに使いたいかということで要望しておられる事業がございますが、具体的に基金の運用益をどういう用途に使い、その予定されます運用益をどのように配分していくかということは、おいおいこれから村の中におきまして村の条例で定め、さらにまた毎年の事業計画につきましては、各年度の村の歳入歳出予算に計上して、村議会で審議をされるという過程を経て決めていかれることになろうと思います。もちろん、その過程におきまして、国の方といたしましても、奈良県とともに明白香村といろいろと御相談をし、また私どもの意見も申し上げ、あるいは村の方の御相談にも応じたい、いろいろ相談をしながらやってまいりたいということを考えているわけでございます。したがいまして、いまのところ、まだ具体的にどこにどういうふうにお使いになるというところまで煮詰まった案ではございませんが、これからそういう手続を経ましてだんだんと固めていかれる。その段階におきまして、基本的には村の条例なり、あるいは毎年の歳出につきましては村の歳入歳出予算に計上されるというような過程で村民の意向というものも十分に反映されていくものというふうに考えております。
○小巻敏雄君 この点につきましては、いまも御説明があったように、村の条例で決めて、まさに村が主体的に使っていく、そして村の歳入歳出予算を見ます。それじゃ村が思うように使っていいのかと、それに対して、政令で定めた目標に従って、それは政府資金ですから、それについては筋道があると思うんですし、県が直接的にはこれを御指導になると思うわけですが、この点は具体的にはどういう関係になっていきますか。
○政府委員(清水汪君) この法律の第八条にごらんいただきますように、この基金の果実の使い道につきまして大きな項目として三つ掲げてございます。したがいまして法律の立場から言いますと、こういう大枠の中で、あとは村の自主的判断、責任で運用をしていただくべきものと、こういうふうに考えているわけでございます。 ただ、もう一つそこへあわせて申し上げれば、先ほども担当参事官から御説明申し上げましたように、ある年の金額の果実があるとして、具体的にそれじゃ何に幾ら助成していくかという使い方ということになりますと、その段階では、県にも当然御相談があるでしょうし、また私どもの方も何らかの形でそういう方針についてもお話を承って、そして国の立場からもあるいは希望があるかもしれませんので、そういうようなことを事前的に意思の疎通を図りながら、結果としてそのときどきにおいて一番公平妥当、適切な使われ方がしていくというふうに期待をしているわけでございます。ですから、法律の関係では基本がそういうふうに定められており、あとはその運用の上でいまのようなぐあいにやっていく、こういうことだろうと思います。
○小巻敏雄君 条例をつくるというのは、基金の使途が乱脈になったり野放しになったりしないために条例できっちりとした制約を設けて使っていくということだろうと思いますし、その点については県を通じて国からも御指導があるだろうと思うんですね。 しかし、その際に、いかにこれは筋を立てながら具体的に村民に満足ができるものになるのかということは、一つは、政令がつくられる際に、これが実情を反映したものになっておるかどうかということと大きくかかわってくるだろうと思いますし、もう一つは、これを実行していく村の側に運用体制や事務費なんかで一般会計からの持ち出しになるというような苦労がないかどうかというような問題もあると思うんです。 また、一つ政令についてお伺いをしておきたいと思うんですが、政令では第一種、第二種特別保存地区における規制など、いろいろ政令でもって具体的に作成されますが、この段階では明日香の現地の農民、農協、生産組合、こういった人の意見が反映される保証はあるのかどうかというのが一つですね。それから、もう一つは、村の基金運用形態に際して、要る費用に対して、地方交付税の算定の際に、これらの問題についても配慮されるような用意があるのかどうか、こういうような点もお尋ねしておきたいと思います。
○政府委員(升本達夫君) 前段のおただしでございますけれども、一種、二種の保存地区内におきます行為の制限を定める政令を制定いたします場合には、あらかじめ歴史的風土審議会の御意見を伺わなければならないことになっておりますけれども、この歴史的風土審議会には、先生御承知のとおり、地元の代表という形で明日香村の村長さんが専門委員としてお加わりいただいているわけでございまして、この政令案につきましても十分村内の各界の御意見を踏まえた上で御意見をお述べになるだろうというふうに期待をいたしておりますし、また、専門委員の先生方の中には文化財保護の専門家というような方もお入りいただいておることでもございますし、諸先生方の御意見を十分伺わせていただく過程で、各専門家の御意見、さらに地元の権利者の方々の御意見が伺えるものというふうに考えております。 また、具体に政令の案をつくりますに当たりましては、私どもの行政事務当局といたしましても十分に事前に地元の調査を行いまして、関係行政機関と協議、地元の御意見を十分伺いながら、慎重に案をつくり対処をいたしてまいりたいというふうに考えております。
○小巻敏雄君 すべての問題がこの歴風審までいくというのは、私は、やっぱり歴風審自身が大き過ぎて、具体的な問題についての相談には適切な対応に欠ける点があるのじゃなかろうかという心配を感じるんですけど、どうでしょうかね。古都法があって今度はここに特別措置法が出されてくる。したがってここに基金が設けられ、これがある意味では今後同様なケースが出てくるものに対しても一つのテストパターンになるだろうと思いますし、この運用については歴風審の中に明日香のための特別審議機関のようなものが具体的になければ、現実の対応ができにくいだろうと思うんですが、どうですか。
○政府委員(清水汪君) 私の方からお答えいたしますが、先ほどの具体例で言えば一定の行為のときに歴風審に諮るということを申し上げたわけでございますが、その諮る事柄の種類といいますか、性格ということもあると思いますが、それらは一応別にいたしましても、ただいまおっしゃいましたことについてずばり考えてみますと、こういうことが申し上げられるかと思います。 現在の歴風審の構成におきまして委員あるいは専門委員という制度がございまして、そうした中には地元の県知事さんあるいは村長さんというような方に就任をしていただいておりますが、そういう形で一つの意見の吸収というものがあるわけでございますが、さらに、そういうことだけでなくて、実際に会議を行います場合には、必要に応じまして学識経験者の方とか、あるいは地元のしかるべき方というような方をお呼びいたしまして意見を述べ、あるいは説明をしていただいて、そういうものを審議に反映させていくというようなやり方が、これは実際にも行われているところでございますし、今後もそういうことは十分行われ得ることでございます。 それから、さらに申し上げれば、この明日香の特別法のための審議を昨年の三月から七月にわたって行っていただきました。特別法というよりは、特別法を制定する問題についての御検討をいただいたわけでございますが、そうした場合の運営を拝見しておりますと、審議会自身の御決定によりまして、何人かの一つのいわば部会というようなものをつくりまして、つまり審議会自身の意向としてそういうような運営の仕方をいたしまして、いわばそれは特別部会ということに実質的になるわけでございますが、そういうところで回を重ねた御審議をいただいて、その結果を総会に出していただいて、歴風審の総会の名において七月に御答申をいただいたと、こういうこともあるわけでございます。したがいまして先生の御指摘のことは十分生かせていけるんじゃなかろうか、このように考えておるわけでございます。
○小巻敏雄君 この特別法案を歴風審の中で審議するに当たっても、実質特別部会と言ってもいいような実を備えた、個別の参考人と申しますか、こういう者も加えて検討されてきたという実績に立って、私が申し上げるような特別部会というような趣旨は生かすことができるし、そういうふうに運営をしていくと言われていると聞いていいんですか。
○政府委員(清水汪君) 歴風審のことは、私どもの総理府だけでなくて、建設省と御相談をして運営をやっておるわけですが、いま申し上げた点について言えば、審議会自身の御意思、御決定においてそういう運営が行われるということは過去に一つの例があったことから類推して、将来についてもそういうことは十分期待できる、期待していいんじゃないかということを申し上げたわけでございます。
○小巻敏雄君 これから先五年、十年と運用が重ねられていくわけですね、この基金自身がその段階で足りるか足りないかというような問題もあるでしょうし、この基金の用途も保存のために使用される場合と、それから民生と申しますか、農民生活に対する補助で利用される場合とその他の場合、いろんなケースが出てくるわけですね。それから規制の方でも、具体的なビニールハウス問題がしばしば出てくるわけですが、遺構のつくり方にしても、問題は、皆実情をよく知っており、概念ではなくて具体に処理をでき、そして住民の意向が反映しながら、同時にまた学者、研究者の意向も反映していく、そういう場が保証されるかどうかにあるわけだと思うんです。これがうまく進むか進まないかにかかってくる。 いまの御答弁では、そういう必要はあると思うし、これは歴風審のことは歴風審が決めることだけれども、そういう必要があると思うし、期待もできると、そういうふうに答弁されたと聞いてよろしいですね。
○政府委員(清水汪君) 結構でございます。
○小巻敏雄君 この問題についても、具体的な実施が成否を決めていくということになると思うんです。下の意見を反映するということは、体裁よく話が済んでも、本当に運用してみないとわからぬ点があるわけですね。こういう点で、ぜひ現地の村を中心にしながらひとつ気をつけてやっていただきたいと思うんです。 そこでお伺いをするわけですが、実は、奈良の県議会で、私どもの方の県会議員からこの基金の使い方について質問をしたわけですね、これはいつ、どのように決まるのかと。そうすると、県で——決してそれは悪い意見だなどというわけではありませんけれども、かなり具体的な答えをしておるわけです。これは三月十三日の奈良県議会です。滝さんという総務部長から、利息の三割は風致景観の保全に使う、さらに三割は村内の農家の農業振興に使う、また三割は歴史的保存のために使う、残りの一割はその他の諸事業に充てる、細部についても八月ごろまでに具体化する、こういうような答えがされているんですが、こういう状況で進んでいるんですか、現在。
○説明員(中嶋計広君) 村の方といたしましては、いろいろ腹案をお持ちだろうと思いますし、また、現在、どういう事業にどのように使うか現地で練られているところだろうと思いますが、したがいまして、いま現在、村の方でどういう事業計画をお考えになっているかつぶさに私ども承知はしていないわけでございますけれども、初年度、これは最初は金利が非常に少のうございますので多額のものにはなりませんが、その使い方につきましても、現地におきましてもいろんな御意見があるんだろうと思われます。したがいまして、いまから一律にこの事業に何%と、こう決めてしまうことはないんじゃなかろうか、村の意向というものを十分尊重しながらそのときどきに応じまして必要性のあるものを検討し、相談していけばいいんじゃなかろうかというふうに考えております。
○小巻敏雄君 総理府は、この話は相談を受けているわけじゃないのかというのが一つと、どうも、私、村でこういうふうに進んでいるんですかというようなことをお伺いしてみると、この話は聞いていませんなというようなこともあるんですね。私は、この中身のよしあしは別として、やっぱり物事を進めていくときに、そもそも明日香村整備基金の運用というのは地方自治法の第二百四十一条に基づいて村の条例で決める、こうなっており、村人たちとの調和を図りながらやっていく問題と。これがおおよそ輪郭が上からおりてくるような運営がすでに始まっているんじゃないかということを懸念するわけですね。この点については、ひとつ実情を聞いて一遍私の方に報告していただきたいと思うんですが、どうでしょうかね。
○政府委員(清水汪君) お話の問題につきましては、私どもとしては、基本的には法律に示してあるラインで御活用いただくということが前提であり、もう一つは、その場合に村の自主的な立場でお決めいただくべきことだと、こういうふうに考えているということでございますが、しかし、その過程におきましてお互いに意思の疎通を図って適切、妥当な使われ方になるようにということを期待しているということを申し上げているわけでございます。 具体的に、現在、村がどこまでどういうふうに構想を練っておられるかということにつきましては、実は、新しいところではまだその話を聞く時間がございませんので、まだ聞いておりません。おりませんけれども、いろいろの機会にどういうものに使いたいかというようなことの気持ちはもちろん全く知らないわけではございません。そういうことでございますから、今後も、村及び県当局とも随時接触がございますので、そうした過程におきまして知り得た状態につきましては適当な形でまた先生の方にも御連絡申し上げさしていただくというふうにいたしたいと思います。
○小巻敏雄君 私が、ここで特にわざわざこういう問題——終わりがよければいいのですけれども、過程で聞いてみると懸念を感じるわけです。 すでに現地の村の方では、住民対策あるいは助成事業その他について非常に具体的な課題をたくさん抱えている。課題に対して金は必ずしもたくさんあるわけじゃありませんから、いろいろ考えておられるときに、枠づけがもう頭からおりてきたりするような出発をすることはいかがかと。その限りで、国及び県は基金の運用方法についてどこまでも村の自主性を尊重してやるというふうにしていただきたいと思うんですが、その点は原則的に確認されますか。
○政府委員(清水汪君) おっしゃいますように、村の自主性をたてまえにした法律だと解しております。ただ、いままでも申し上げた中でおくみ取りいただけるかと思いますが、私どもとしては、村がこの基金を条例によって設定するということがまず最小限ありますけれども、そうした条例の手続によって設定するということを含めまして、やはり運営のいわば大綱と申しますか、基本ラインというか、そういうようなものというのは当初物事を始める前に何か明らかになさって、そうして後は年々の必要と果実の量との大きさの中で具体的な配分は毎年自主的に相談なさって執行していかれるというようなことが一つの枠組みとして望ましいのではないかというふうには考えております。そういうことを含めて、よく意思の疎通を図って遺憾のないようにやっていきたい、このように考えているわけです。
○小巻敏雄君 住民の非常に大きな期待を担った基金の使用ですので、これがどこまでも具体的に現地の満足できるように、協力がしやすくなるように進めていただきたいと思うわけです。 私は、やっぱりこの明日香保存というのは大きな意義があるものだと思っておるわけです。少なくとも発掘なり調査なりが進んだればこそ、いまから五十年も前に私が習ったころの学校の歴史の本もずいぶん書きかえられ、世界史と並んで日本の位置づけも明らかになり、いろんな意味でロマンと一緒に科学が進んできていると思いますので、住民との協力を得ながら、どこまでも全国民的な課題である発掘調査、文化財の保存というのは進められなければならぬと思うわけでありますが、これが地上の景観と地下の埋蔵文化財の一体的な保存であるということから、住民と行政のパイプのほかに、専門家のパイプが常に同一平面で必要になってくるんじゃなかろうか。この点の組織的な保証が弱いという点に私は大変心配を感じるわけです。 私は、京都で行われた歴史的風土保存に関する国際シンポジウムというのも建設省、ユネスコ協力でやられたわけですね、こういうような資料も読んでみますと、諸外国の場合でも日本の場合でも、開発と歴史保存の関係、テーマは同じことですね、どこで悩むかというのも大変よく似ておる。そこのところで日本の場合は決しておくれていないと思うんですね。保存については昔からわれわれは熱心な要素がありますからね、文献学を進める点とか、それについての立証というのは、まだ近代科学が確立する前からかなりの遺産を持っておる。そういう点はあるんですけれども、ヨーロッパと比べて一番おくれているところは、私は、住民参加とか、研究者と住民とが民主的討議を行って、いたずらな対立をせずにこのところで双方が理解し合って進んでいくという要素が不十分だと思うわけです。私は、ここでこの立法に当たって住民投票をやれというようなかなり強烈な意見があったことも承知しています。しかし、いまの状況で、もしこれが民主的に専門家と住民と行政とが手を組んで進むなら、住民投票をやらなくても、前の方へ向かって進むんじゃないかという期待を持っているわけですね。 そういう点で、私、特にここでお伺いしておきたいのは、住民から文化財の開発、学者・研究者のやる仕事に対する理解を進める、それから研究者の方は住民生活に対して理解を進めていくという協力関係をやっていくために、どのように広い範囲の関係者が参加されるかという点であるわけです。こういう点については、どういう考えを持っておられますか、法の運用上。文化庁の方はどうですか。
○説明員(山中昌裕君) 文化財の場合には、重要な遺跡について発掘調査いたします場合には、まず、その土地の所有者の方々に理解を得なければ調査ができないという前提がございます。また、調査したものについて公有化、指定史跡として整備しますときに、やはりその趣旨について十分御理解いただかないとこれを売っていただけないという問題がございまして、まず第一に、その土地の所有者の方々、あるいはその近くの市町村の方々、これが第一次的にやはり国民の共通の文化財として愛していくという気持ちになっていくことが必要でございます。これは個別にその状況によりまして、すでに家の建っているところあるいは農地あるいは山地と、その文化財の状況によりまして一つ一つ千差万別でございますけれども、いま全国各地において、そういうものを具体的に進めていく話し合いは当然住民の方々といたしておりますし、今後も、さらにそのコミュニケーションを深めてまいりたいと思っております。
○小巻敏雄君 この点が一番上のところまで来ないと、住民の意見と専門家の意見との接点がないわけですね。行政が真ん中にいて住民と専門家とを両手でコネクトするというような関係になっておるのがもう少し現地、下の時点でつながらないか。 その点、私、感心したことの一つなんですが、現地に行きまして村長さんの方にお伺いしてみると、村長さんは、村の中で学者の方の風土並びに景観と地下遺構の保全と住民の生活向上との調和というのを両者で調和していくために文化財保護委員会という諮問機関を村に設けて学者などの意見を聞いていると、こういうふうなこともやっておられるわけですね。現に学者に委嘱をして現地で連絡をとってやっておられるわけなんですね。この基金の使用についても、現実の発掘と村の関係についても、この点については非常におくれておると思いますので、ひとつ御要望申し上げておきたいと思うんです。 特に文化庁の方に御要望しておきたいのは、今度の立法はだんだん深められてきておるけれども、出発点は景観から出発をしておって、現実には発掘調査の問題は追求される中で理念的に受け入れられておるのであって、実際行政が指向していくものの中には、本法律に発掘調査なし、それから埋蔵文化財に対する方策がないんですね。それから文化庁の方から見ていけば、必ずしも飛鳥領域というのは明日香村に限るものじゃないわけでしょう、この点は。飛鳥文化というのは、現実に藤原宮一つ見たって橿原市にあるわけですからね。こういう点を考えると、総合的に文化庁のサイドから、明日香の文化財の調査、発掘研究の推進、そうして保存の推進という計画を持たれて、これがダブりながら進まなければうまくいかぬと思うんですね。村民の方には、わずかなところ橿原に生まれればよかったというようなことになったり、橿原の方から言えば、あんな法律が絶対にこっちまでこないようにしてもらおうとか、こういう関係になってしまうと思うんですね。 この点については、いまの法律案の持っている弱点は、どこまでも景観中心に出発をして、そうしてこれを国民に見せる、すなわち観光開発をやるところに推移をしてきたのが実績であって、今度設けられたものには一定の基金の積み上げがあって理念の前進がありますけれども、ずいぶん欠落があると思うんで、その辺のところは法の不備として、それからこの運用を、とりわけ先ほど申し上げましたような特別部会的な性格の運用等の中で充足をして実行していかれる必要があるだろうと思うんです。その点について総理府と文化庁と両方の方から御意見をお伺いしておきたいと思う。
○説明員(山中昌裕君) 先生の御指摘のありました文化財と歴史的景観の問題は、古都保存法そのものができましたときにも同じような問題があったわけでございますが、諸外国の場合をいろいろ見てまいりますと、都市計画行政の中ですでにそういったものが盛り込まれている場合が非常に多うございます。これはたとえばパリの旧市街地の建築その他についての景観規制というのは非常に厳しゅうございまして、石造の建築物が文化財の主体をなしますヨーッパにおきましては、わりあい地上の景観保全の問題と文化財保護の問題が同時並行的に起こるわけでございます。わが国の文化財の場合には、石造のものよりむしろ木造、紙といったものが多いために、多くは遺跡として地下に埋蔵されているという形になっております。このため、これの保護を行います場合にもそれだけで済まない、その上に生活する人々の生活から生業の問題まで関連してくるわけでございます。従来、私どもが昭和四十五年の閣議了解に基づきまして文化財の保護に力を入れ相当進めてきたわけでございますが、住民生活の問題で絶えずこの協力関係にぎくしゃくが入らざるを得ないような状況にまで今日至ったわけでございます。 ちょうどその面において、古都保存法の特別法としてこの明日香の地域も歴史的に由緒のあるゆかしい地域づくりというものが地域立法としてできますならば、私は、文化財の保護と両々相まってよりよい状況が確保され得るものと期待いたしております。その意味におきまして、文化財保護の面におきましても、ことにこの明日香地域については総理府、建設省ともよく連絡をとり、この法律、文化財保護、この両面がうまく調整をとって成り立つようにしてまいりたいと思っております。
○政府委員(清水汪君) ただいま文化庁からのお話がございましたように、私ども考えております。文化財行政の充実と相まちまして、よりよき成果を上げるように努力をいたしたい、このように考えております。
○小巻敏雄君 最後に、飛鳥保存財団の問題についてお伺いをしておきたいと思うんです。 昭和四十六年に発足をして以来十年たつわけですが、これまでの段階では、政府の飛鳥地区の文化財保存対策は実際上この財団任せであったというふうに私ども受け取っておるわけですが、この手で行われたかなりの額の投資というのは駅前広場であり国際の家であり、こういうような観光施設につぎ込まれておって、私の聞くところでは支出の総額約二十八億円、この中で村または地域住民に行った助成金というのは七千六百万円というふうに聞いておるわけです。国民に開かれた文化財の活用という点で正しく運用されれば、私は、この財団というのはなかなか味のある基金だと思うわけですが、特に観光開発と住民生活というものが前向きに手を取り合って進むという点ではどうすればいいのか。ここでも、私は、もっとこの財団が村民の意見と合わせて学者、専門家の意見を反映してもらいたいと思うわけです。国営飛鳥公園というようなものに対して、かなり村民は冷たい目で見ていますよ、こういうものに対しては。村民には厳しく現状変更を規制しながら、一方で現状変更を進めておる、こういうような状態があるわけです。 この飛鳥保存財団の寄付行為を読んでみたんですが、ちゃんとこの中には一項目地域住民の生活の向上というのが設立目的に入っているんですね。この点は、いままでの状況と今後の展望の中で、地域住民の生活の向上という目的がどのように生かされてきたか、また生かされるべきかという点についてひとつ見解をお伺いしておきたいと思うんです。
○政府委員(関通彰君) 飛鳥保存財団は、設立以来、先生お触れになりましたように、総額二十八億の事業を実施してきたわけでございます。事業は大別して三つに分けられると思いますが、一つは、施設の建設、運営でございます。それから一つはシンポジウムの開催、その他明日香の歴史的風土の意義の普及と申しますか、そういう事業でございます。それから三番目が地元の助成、村民の生活向上の事業等でございまして、これは、金額的には、先生お触れになりましたように、約七千六百万円の事業が行われているわけでございます。 地元の助成の事業として、これまで行ってまいりましたものを例示的に申し上げますと、村道舗装の住民の負担の軽減のための助成、あるいは公民館建設費の助成、あるいは小規模の土地改良事業の助成、大規模なものでございますと県あるいは国の補助金が入るわけでございますけれども、小規模のものは財団の方でその土地改良の助成をいたしております。それから、わら屋根のふきかえの助成、あるいは無住社寺、住職のいない無住社寺の修復の助成、あるいは地元の方々が実施しておられます史跡等の清掃事業の助成、こういうような事業を実施してきたわけでございます。 これからの展望ということでございますが、今回の立法が行われますと新たに整備基金が設立されるわけでございまして、財団の事業等ともやっぱり関連が出てくるかと考えております。村の整備基金が設立されますと、現在まで保存財団が行ってまいりました、いわゆる住民生活の向上のための事業のかなりの部分は新しい基金によってカバーされるというぐあいに考えております。したがいまして基金が発足しまして正常な軌道に乗ってまいりますと、保存財団の方は、どちらかといいますと、施設の管理、運営、あるいは明日香の歴史的風土の意義の知識の普及といったものを主体に行っていくということになろうかと考えております。 しかし、すでに財団あるいは村当局とも御相談しておりますのは、新しい整備基金も三十億でございますが、五年間で積み立てるということになっておりますために、最初のうちは利子等も少ない、したがいまして、保存財団は、引き続きまして、そういう住民の生活向上の事業が行われますように村に補助をする等の方法によりまして、事業が継続できるようにしていこうということ、あるいは今後村にできます基金で対応できないような住民対策事業が出てまいりますと、これは引き続き財団の方でそういう事業を実施していこう、こういうぐあいな考え方をいたしておるわけでございます。
○小巻敏雄君 ちょっとやっぱり聞いておって心配になる点があるんですね。整備基金ができたと、そうすると従来住民対策に少ないながらも幾らか出しておった、こういうものも肩がわりされて、あとはフリーになるというようなふうにも聞こえて、そうならないようにひとつ御指導いただきたいと思うんです。 私は、この整備基金の方は条例で規制されておって、かなり小回りがきかないというんですか、そういう点に対してこの財団の方の基金というのは、弾力的運用もやりようによってはやりやすいものじゃなかろうかと。やっぱりここの目標については大もとは一緒なわけですから、この点は弾力的に専門家や現地の意向をよく反映しながら運用していかれることが民間なるがゆえ一層喜ばれる運用が可能になるんじゃなかろうかと思います。いまではまた施設と知識普及のためにというふうにもあるわけですが、この明日香整備基金の創設を契機に住民対策が軽視されたり打ち切られたりすることがないように、これは現地の要望としても聞いてまいっておる意見ですので、むしろ住民対策を拡充する方向で御指導いただきたいというふうにお願いをしておきますが、いかがですか。
○政府委員(関通彰君) ただいまの先生の御意見を念頭に置きまして、今後も、財団の指導に当たってまいりたい、かように考えております。
○小巻敏雄君 それじゃ質問を終わるに当たって、ぜひとも総理府並びに文化庁の方にお願いをしておきたいわけです。 私は、明日香は文化財の宝庫だと、率直にそう思っておりますし、日々発掘されれば驚きがあるわけです。高松塚古墳なんていうのはいままでの歴史観をかなり大幅に修正させるような発掘でありましたし、いま進んでおる板蓋宮でも非常にドラマチックな舞台になったものとして文献には出てくるものがようやく発掘の緒についておって、それ自身一部は史跡外にあるわけですね。そして、この旧飛鳥というのはその領域も局限されるものではない、日々進行しておるものだというふうに思います。もっと史料が出てきたら万葉集の作者の名前でも変わってくるんじゃないかと思うくらい、さまざまな発見のあるものだと思うんです。ぜひひとつ現地とそれから学問と行政の三位一体でこれを運用していただきたいということをお願いしまして、質問を終わります。
○国務大臣(小渕恵三君) 最初から委員の御意見を交えた御質疑につきまして傾聴いたしてまいりました。私どもといたしましては、先ほど来強く御指摘のありました遺跡、遺構、この文化財を保護しなければならないという御主張をいささかも軽んずるつもりはないわけであります。が、しかし、この法律は、最初の質問にもございましたように、そうしたものを守り抜くと同時に、それが一体となりまして、歴史特に古代史におけるロマンというものをしのばせる歴史的風土というものの一体感の中にそれを維持していこうという、住民と国との意思の結合というものがこの法律の中に生み出されようとしておる、画期的な思想に裏づけられた私ども法律と、こう理解をしておるわけでございます。 したがいまして単なる風致景観というものを残すということでなくして、歴史の重みを深々とその中に秘めたそのもの、その中には当然遺跡、遺構というものが存するわけでありまして、その調和した形の地域を守り抜くというのがこの法律の目標であろうかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、先ほど来御指摘の点につきましても、十分われわれも認識を新たにいたしまして、この法律制定後におきましては十分心を配りながら執行いたしていくことをお約束いたしたいと存じます。
○栗林卓司君 議題となっております明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法、これはわが党として賛成でありますし、賛成というよりもむしろその成立を積極的に要望してきたところでありますから、本法が提案されたことをまず歓迎をしたいと思います。 ただ、審議を通して政府の答弁を伺いながら、幾つか不安の点もあるものですから、重複を避けながら、若干の点についてお尋ねをしたいと思います。 まず、長官にお尋ねをしますけれども、率直に言って、明日香の村民についてどういう印象を持っておいでになりますか。
○国務大臣(小渕恵三君) いわゆる明日香地域、歴史の遺産の大きなものの存するこの地域の住民の皆さんが、それをそのままの姿としてでき得る限り保存しようという意思を持って今日まで日本の文化的遺産を守り抜いてきたことに対して、深い敬意と感謝をささげておるところでございます。 しかし、そのためには、古都保存法の適用等もございまして、かなりの点におきまして、いわゆる現代社会人としての生産活動を行うことによって生活を維持していくという立場においては、それ相当の規制も受けざるを得なかったということに対しては、まことに、その犠牲を甘受しながら遺産を守り抜こうという姿勢を持ち続けていただいたことに対しては、日本国民の一人として、深い感謝を申し上げるとともに、御苦労に深い敬意を表しておるというのが率直な気持ちでございます。
○栗林卓司君 私も別に変わるつもりはありません。 法案の第一条を見ますと「明日香村の全域にわたって良好に維持されて」きた、この点について村民の皆さんの御努力をまさに多としたいと思います。良好に維持されてきたものを、今後、さらに住民の理解と協力のもとにこれを保存したいということがこの法律の中心を流れる思想でありますけれども、言いかえますと、明日香における歴史的な風土の保存というのは、明日香の村民を抜きにしてはあり得ない、まずそう考えておくのが間違いないと思いますが、重ねてになりますが、御答弁を求めます。
○国務大臣(小渕恵三君) 申すまでもないことでございまして、全く地元住民の理解と協力なくしては保存し得ないことは言うまでもないと理解しております。
○栗林卓司君 ちょっと言葉の質問で恐縮なんですが、では「歴史的風土」というのは、言葉の意味としてどういうことなんだろうか。先ほど御答弁もありましたけれども、質問の都合上重ねてお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(清水汪君) 「歴史的風土」という用語につきましては、私どもとしては、この法律のベースになっております現在の古都保存法に一つの定義がございます。したがいまして、その定義を踏まえて考えていくのが、これは当然のことだと思います。 ただ、この法律では「歴史的風土」という言葉は、そのままそれをかりて使っておりますけれども、この法律が眼目とするところの意味をさらに浮き彫りにするというような趣旨から、先ほどちょっと触れましたように、第一条の目的の書き方に工夫をいたしているわけでございまして、この第一条の冒頭の二行半ばかりのところで、全体としてこれがこの明日香村においていまや保存の対象になっているところの歴史的風土だと、こういうふうに理解をいたしてまいりたい、そのように考えております。
○栗林卓司君 そのとおりだと思いますけれども、重ねて言い直してみますと、これは古都保存法を踏まえているわけですから、その「歴史的風土」という言葉をそのまま使って何ら差し支えありません。御答弁のとおりです。 で第二条の2を見ますと「遺跡等が周囲の自然的環境と一体をなして古都における伝統と文化を具現し、及び形成している」これは前の言葉でありまして、言いたいのは「土地の状況をいう。」ですから、歴史的な風土というのは土地の状態なんです。ということは物なんです。これはそう理解して言葉の意味としても間違いないところだと思うんですが、では、この保存と不可欠の関係にある明日香村民、この村についてはどういうものだとお考えになりますか。
○国務大臣(小渕恵三君) ただいまも室長が答弁申し上げましたように、「歴史的風土」というのを、この言葉だけとればヒストリカルランドかもしれませんですね。しかし、その前に、この明日香村の中にいわゆる飛ぶ烏の飛鳥というものに印象づけられる地区とすれば、それを越える地域があるわけですけれども、したがって、この法律がいろいろ企図された段階におきましては、いわゆる明日香村という現在における行政地区の一つの地域の中だけを目的にする法律でなくて、いわゆる歴史的な飛鳥地区を対象にすべきだという議論も世上あったことも私ども承知をしておるんです。しかしながら、実際法律をつくるということになりますと、しからば飛鳥とは何ぞやという問題になりまして、なかなかそこまで入れないという問題があります。 そこで、この歴史的風土の問題につきましては、いわゆる現在の明日香村の中にほとんど占められておる旧飛鳥の文化遺産というものと、いわゆる唯物的な視覚に訴えられるものばかりでなくて、その中には万葉に歌われておるようなロマンとか、そういうものも含まれた、大きなものが含まれた地区としての風土というものを概念の中に置きながら、この明日香地区の保存の問題が出発点としてはあっただろうと思うんです。しかしながら、現実に法律を作成する段階の中で、現在の明日香村の中での一つの区域というものを設定した中で、現在の行政の範囲の中で生活をしておる人たちを守りながら、かつ、その地域にある歴史的な遺産というものを守り抜くということとの調和をいかに図っていくかということにおいて、現憲法下において考えられる、調整できる範囲の最高のものだと、こう御理解を実は願いたいということなんでございまして、飛躍するかもしれませんが、その土地そのものに対しても、すべて体制が異なって、国有地であり、かつまた住民の生活等についても職業選択の自由その他が自由でない地区で行われる法律制定ではなくて、現在の憲法の中において調和を求めていく姿としては、私ども、現時点ではこの法律をもって最高のものだと、こう理解しておるわけでございまして、ちょっとよけいなことを申し上げたかもしれませんが、地域としては現在の明日香村ということで考えておるわけでございます。
○栗林卓司君 ちょっと聞き方が不親切だったと思います。いまの角度でお尋ねしたんではなくて、従来、明日香村では約九割がいろんな形で規制がかかっておる、まことに困るということが言われておりましたけれども、その九割かかっていたころ、いまもそうですけれども、それは全部物に対する規制なんです。文化財保護法にしても古都保存法にしても、その対象とするのはあくまでも物なんです。今度は明日香村全域が対象になりまして、初めて村が出てきたわけです。 村というのは、御承知のとおり、もともと群れからきているわけです。村というのは生活共同体なんです。したがって風土の保存という、いわば物をどう守るかという世界に人の集団、生活共同体が出てきて、しかもそれが一緒になってドッキングをした。これは冒頭お尋ねした、またお答えにもありました、明日香村民を抜きにして明日香の歴史的風土の保存はあり得ない、この認識がやっぱり一緒になっているわけです。したがって、従来は物で考えていた歴史的風土の保全に人の問題、これが一緒になったのがいわばこの法律案の最も新しい点なんです。私はそう思うんですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(小渕恵三君) 理解が間違いであったら、またお許し願いたいと思いますが、従来、古都保存法等におけるいろいろの制約そのものは、同じ村の中でも、一部だけであったことはそのとおりだろうと思うんです。しかし、今度の法律の目的といたしておるところは、一つは、歴史的風土を保存するということですが、一方では、住民の対策ということをもう一つの柱に強く打ち立てておるということをもっていたしますれば、そのことが明日香村全体に今度は規制もかかることでもあるし、同時にまた、住民に対する各般の措置も明日香村民全体にかかわることに相なりますので、私も、御指摘のとおりと理解をいたしております。 〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕
○栗林卓司君 先ほど歴史的風土について古都保存法から引用したんですけれども、もう少し言葉そのものでさらに質問してまいりますと、では「風土」というのは一体何なんだろうか、これはお答えを求めません。たまたま和辻さんが書かれた本の中で、風土とはこうだと書いてありますから、御紹介するにとどめます。風土というのは、ある土地の気候、地質、地味、地形、景観などの総称であると。正確だと思います。問題は、この風土と人間がどうかかわり合いながら歴史をつくってきたのか、社会ができてきたのか。自然と言わないで風土と呼んでいるのは、実は、そこに人とのかかわり合い、その意味で歴史的風土の風土というのは明日香村民の生活と深くかかわり合いながらある。そういう実態というものをはしなくもこの法律は、いろいろな経過はありましたけれども、つかまえてしまった、こういったことを申し上げたんです。 風土と人間とのかかわり合い、あるいは風土と複数の人間のかかわり合いを考えてみますと、私は、常に一定不変のものではないと思います。たとえば暑い寒い、冷暖房を入れたらそれは変わります。山がある、上を切ってならしてしまえば台地、平地になる。海岸がある、埋め立てれば変わります。日本では米を食ってきた。いまはほとんど日本で生産できない麦を主原料としたパンが国民の食卓に入っている。昔は四季それぞれの野菜しかなかったけど、ビニールハウスが入ってくると年がら年じゅういろんなものが食べられる。その意味では、風土と人間とのかかわり合いというのは一定不変なものではない、これは間違いないと思います。しかも、風土と人間とのかかわり合いが歴史になり、歴史をつくるわけです。これもそのとおりだと思います。 そこでお尋ねしたいのは、「歴史的風土」と一口に言っていますけれども、言葉の正確な意味で考えると、実は過去にあった歴史だけじゃなくて、歴史的風土は日々つくられていく。飛鳥の風土と明日香村民とのかかわり合いというのは、この毎日毎日新しい、歴史的風土をつくっていく、明日香に限らず。本来そういったものだと思いますが、いかがお考えですか。
○国務大臣(小渕恵三君) 明日香にかかわらず、風土というものが単なる自然的な事象だけでなくて、常に人間とのかかわり合いの中で形成されていかれるという諸説については、私も、そのとおりだと存じます。
○栗林卓司君 実は、そこにこの法律の問題がある。毎日生々発展していくのが村の、群れの命です。ところが、ここで一言っている「歴史的風土」というのは、過去の一時期の歴史的風土を保存しよう、したがって明日香に関しては時よとまれ、こうなるわけです。これが一番この法律が持っている、しかも再三同僚議員からも質問しました問題点になるわけです。 したがって、かつての律令国家が成立したころの飛鳥。で文化財ということでつかまえますと、これは個々ばらばらですから物との関係でいけばよろしい。しかし、この法案が言っているのは、明日香全村を対象にしながら、しかも日々それは風土とのかかわり合いで新しい歴史ができているというのに、たとえば全部をビニールハウスにしたいとか、これは従来の制限された風土をよりいまの生活様式、生産様式に近づけようという努力ですからね、それは困るんだ。ということは、過去の一時期の歴史的風土。で古都保存法が言っているのはこの世界。それを全村を対象にして押しつけていく。これはどう見ようと、この法案の性格というのはそういったものにならざるを得ない。この点の認識はいかがですか。
○国務大臣(小渕恵三君) なるほど御指摘のように、この法律の企図しておりますのは、西暦六世紀−八世紀時代、日本が日本の国号を名のり、万葉の花開いた時代でありますし、律令国家発祥のその時代のものでありまして、そのことを深くしのばせる意味で、その風致景観を残していきたいということであります。 したがいまして、厳密に申し上げれば、先刻来御質疑の中にちらっと申されましたが、全くその当時そのままにということになりますれば、遺跡を発掘いたしましても、そこに板蓋宮も、伝とか跡とかいうことでなくて、そのものをまた同様のものを打ち建てていかなければ相ならないわけなんです。しかしながら、一方では、現在生活しておる人たちの生活を守るということでございまして、私は、そのことで全く歴史をある一時点に休止せしめて、現在の人が古代人としてのままに生きよと、こう申し上げていることではなかろうと思います、そのことは許されるはずでもない。したがって現在生活しておる明日香の人たちも、さらに文化的ないわゆる近代社会の中での生活が確保されるような道も保障されていかなきゃならない。まさに、そこの調和をいかに求めるかというところが苦心の要るところであるわけであります。 そういった意味では、最大公約数的に言えば、村長さんのおっしゃっているように、やはり当時をしのべば二次産業、三次産業、ともかく煙突から黒い煙がたくさん出て、近代的ビルディングが建ち並ぶというような姿でないという意味では、一次産業の農業を中心にした産業として村が生きていく、こういうところは最大公約数的にその産業を基としながら、住民が生活を享受していくようにしていかなきゃならない。そのために国としても最大の努力を払うというところで御納得がいき、この辺が最大限お互い理解し合える点ではなかろうかということで、この法律が私はつくり上げられてきたものだと思いますので、お説はわかりますが、決して歴史を一時点で休止させようということでもありませんし、が、しかし、全く風土は国民とともにつくられるという形で、将来にわたって他の地域と同じように開発を進めて、より能率的、効率的、物質的な生活を求めていくということであっては、日本国民全体もその地区にそうあってほしいと願ってないという意味で、住民にも御理解いただくと同時に、国民全体も税負担をしてこの地区を守り抜こうというのがこの法律の趣旨ではないか、こう御理解いただきたいと思うわけでございます。
○栗林卓司君 そういう頸木を明日香村の皆さんにお願いをするということは内閣総理大臣の名前で出るわけですね。ということは、なぜなんだろうか。要するに、極論すれば昔を復元するわけだけど、そうじゃなくて、あそこで風土と人間のかかわり合いで社会が生々発展するというバイタリティー、エネルギーはちょっと御遠慮いただく、どうしてもそうなるんです。だけど、そのためには税金も負担しましょう、保護もしましょうということは一つの方法だと思います。したがって、この法律案には賛成なんだけど、ただ、歴史的風土というものを物として考えますと、これまでの法体系というのは、だったら買い取りましょう、民族的な価値と個人の利益が衝突した場合には、では買い取りますということでバランスをとってきた。今度は村なんです、生活共同体が対象なんです。そのときに、では三十億積みますからこれで勘弁をということだけで済むんだろうか。 私は、この法律は冒頭申し上げましたように賛成なんですよ。もう九割かかっちゃっているんで、どうしようもないからやってくれとお願いしておりますけれども、私は、これが通ってから問題が始まると思っている、恐らく。では、三十億も積んで何が不満があるんだと言われたとしても、それではだめなんだ。なぜかと言うと自由がない。結局、明日香村から奪ったものは自由なんだ。 その意味で、私の主張だけ申し上げますと、この法律案は賛成ですけれども、これは緊急避難です、ある意味では。将来はどこまで残すのか、規制は極力最小にしながら見直しをぜひ進めていただきたいと思います。これは先々後継者が出るかどうか、あの村の生きがい、働きがいというのは一体どこから出てくるんだろうかと考えてみますと、よほど深刻に見詰めておいた方がいい問題だと私は思います。 たとえて言いますと、いまあそこの人口は七千百人です。いま政府は七千百人が大幅に減ること、大幅にふえることを歓迎することとして考えておりますか。
○国務大臣(小渕恵三君) 御懸念のありますように、この三十億円で村を買うのではないか、あるいはその自由を拘束するのではないかという御懸念の存することも、そういう意見も聞かないではありませんでしたが、私どもとしては、やはり現在の日本の法体系の中で、いわゆる私権、私の権利というものと公共的なあるいは国家的なそうした要請というものをいかに調整を図るかという一つの手段として、こうした基金制度というものについて私は村民の皆さんにも深い御理解を願えるものだと思っておるわけでございまして、また、村民の皆さんにも長い御苦労をいただきましたけれども、しかし、向後、明日香村民は単に明日香村民みずからの生活の場所としての地域としてお考えなされるのみならず、日本国の、いわゆる律令国家発祥の地として、日本一億一千七百万の国民のいわばふるさとと思われる地域を守り抜くという崇高の精神によって私は支えられているからこそ、今日のこうした法律が制定されるに至る時期まで守り通していただいたものだと思います。 したがって、村民の中にも正直申し上げて、いろんなお考えを持っておられる方があるかと思いますけれども、私は、若い人たちともお話しした機会がありますけれども、その中の有志の皆さんには、いろいろ制約もあるけれども、しかし先ほど申し上げたような趣旨を十分理解して、この村を守り抜くことが同時に日本のその原点を守り抜くんだという、大変尊敬すべき思想に燃えてその地域を守り抜いていただけるということに深く期待も寄せておりますし、私は、賢明な明日香村民には十分そのことを認識をしていただいて、あの地を保存し、守り抜いていただけるものと確信をいたしておるわけでございます。 したがいまして、いろいろの手段は十分講じましょう、その一つとしてこの基金のことにつきましても、双方合致した考え方、村の御意思もそこにあったということでこの基金制度を設けることに相なった次第でございまして、なるほど先生のような御懸念も浮かぶことも否定はいたしませんけれども、ひとつ前向きな形でこの法律が生きていくようにお互いこれから執行していかなきゃなりませんし、なるほど、法律ができてもその後が心配だと言われることも十分理解いたすわけでありますので、きめ細かい配慮をもって、同時に国民全体が同じような気持ちを持つという意味で、国の法律をもってこのことを行っていこうという趣旨もそこにあるのではないか、このように御理解をぜひ願いたいと思う次第でございます。
○栗林卓司君 もともとこの法律は、九割も規制がかかっちゃってということから始まったわけですけど、確かに、見ますとそれはすさまじいんですよね。県条例を含めていくと確かに九割になる。私、私見ですけど、奈良県はちょっとかけ過ぎると思います。そこまで必要だったんだろうかと私自身は首をひねりながらこう見ているわけで、その意味で、どの程度の規制が住民との関係で適正なのか、一度見直しをしていただきたいと思います。 ただ、いまお答えの中にありました、いわば民族文化の原点であるということなんですけど、その原点ということで思い出すのは万葉集なんです。ところが、万葉集というのは、いまこれも歴史的文化財——文化財と言いますと、ちょっと精神文化の方ですから、言葉としては不適当かもしれませんけれども、この万葉集は保存されているんだろうか。これが保存されているというのは、恐らく国民がその存在を知っていること、読んでその値打ちが理解できること、これがないと古典は保存できない、あとはただの紙っぺらなんです。その意味で、万葉集はいま豊かに保存されているとお考えになりますか。
○国務大臣(小渕恵三君) かなりこれもむずかしい御質問で、私ごときがお答えできるかどうかわかりませんが、ほぼ感覚的に受けとめられるのは、最近とみに万葉に対する、いわゆる四期に分けられる万葉に対しての認識は私は深まっておると思っておりますが、しかし、それを完全な形で読み、理解をし、味わい得る者がいまの国民の中でどのくらいおるかというようなことは私には計数としては理解し得ませんけれども、しかし、少なくともこの法律に万葉集がかかわりがあるなんということは十分御承知をされておることから考えますと、やはりこの法律が昭和五十五年の段階において国会において議せられて議論し合えるということに至ったということについては、昨今のいわゆる古代史ブームとか明日香に対する歴史の再発見とか、また、高松塚の発見というような新しい事象も起こって、そういうものがもろもろこういう時点に達したことでもありますし、いわゆる戦後の物質文明追求の時代から、いま一度精神文化の原点であるそうした万葉の問題についても触れて、国民がひとしく理解をしようというムードが生じてきたればこそこうしたものに結実してきたものだという理解を私はいたしておるわけでございまして、 〔委員長退席、理事茜ケ久保重光君着席〕 御質問のことは十分わかりかねますけれども、私は、いま一度国民全体がある種の物質的な満足感を超えて、より万葉のようなものの日本古来の文化にあこがれも持ち、再び深く味わおうという時代に来たという認識はいたしておるつもりでございます。
○栗林卓司君 私も、そうあってほしいと思うんです。 で、最初、子供たちには学校で教えるわけでしょう、万葉集のことは。ところが、学習指導要領では、万葉集そのものを扱うように指導していない、残念ながら。小学校三年でせいぜい十首から十五首ぐらいが紹介されているだけ。これは万葉集の歴史的実態を伝えるものではない。中学の一、二年になりますと、天平文化の一部に万葉集が載っている。したがって飛鳥との結びつきは教えてない。それから白鳳時代といいますよね、正確ないま学界の名称はどうかは知りません。それはどうかというと、中学一、二年の教科書の八社中二社がちょろっと書いているだけ。万葉集についてこの程度のあしらいをしておいて、片一方でわれわれ民族文化の原点なんだ、頼むぜと明日香村民に求めるのはいかにもちぐはぐじゃないか。 私は、問題提起として言っている。あそこに残してほしい、また残されている文化的な遺産というのは相当な犠牲を払ってでも守っていただきたいと本当に思いますよ。思うからには三十億だけじゃなくて、あそこにある歴史的風土、文化的遺産の価値というものをやはり一億一千万がこれはわかったということでなければ、何のためにおれたちはこんな苦労をするんだということになりますし、しかも万葉集をここまで粗末にするくらいですから、本当は文化的遺産の中で——もう時間がないから言っちゃいますけれども、一番値打ちが高いものの一つが日本語でしょう。 日本語というのは、文化的な伝承をそのまま象徴しているものです。しかも、ときどきに変化する、変化していいんです。この日本語というものを歴史的な伝承をたたえた文化の傑作の一つなんですという理解で、いまでは国が扱っているわけです。日本語というのは要するにコミュニケーションの手段として役に立ちゃいい、漢字なんか覚えなくてもどうでもよろしいというのが最近の傾向でありますから、まごまごすると、御存じのとおり、世代間で対話に事欠いているんです。言葉の意味が世代間でもう変わっちゃっているんです。 というものをほうっておきながら、この明日香村の歴史的風土の保存については七千百人の村民に負うところ大であると言いながら、その後継者がその気になるんだろうかと考えてみると、私がなぜこの法律はできてから後の方が問題が大きいということを申し上げているか少しおわかりいただけると思うんです。したがって、これは問題提起だけ私はしておきます。三十億積んだから銭金で始末がつく問題では私はないと思います。住民の理解と協力を求めるのであれば、一億一千万の理解と感謝がなければだれが苦労するものですか。 そこで、最後に、お尋ねしたいのは農業問題なんですけれども、農業振興地域の整備に関する法律がございます。これはもう明日香村も対象になっているわけですけれども、そこの中で農業振興に関する基本方針第四条、あるいは整備計画第八条、中を見ますと、生産基盤の整備及び開発、これが中心課題のようです。そこで、お尋ねしたいのは、土地の形質の変更を伴わないでどこまでこれができるのか。生産基盤の整備及び開発というのは選択肢がいろいろ広いと思うんです。ところが、歴史的風土の保存との調和ということになっておりますので、それを言いかえますと土地の形質の変更を伴わない。そうすると、農業振興地域の整備に関する法律で明日香村が指定され、その法律を活用して農業振興を図る、こう言ってみても、事実上は多くを期待できないのではないんだろうか、その辺の御判断を聞きたいと思う。
○説明員(川村浩一君) ただいま御指摘の問題は、確かに明日香村におきましてはいろいろ農業の生産基盤あるいは環境基盤等の整備をいたす場合にも十分配慮していかなければならない問題であるとは考えております。しかしながら、この種の農業の基盤整備につきましてはやはり明日香村における民生の安定の上での農業の非常に重要な役割りがございますので、農業の振興なり生産性の向上を図ります場合には、さらには農村部における住民の方々の生活環境の整備というものを考えてまいります場合には、一番やはり基礎的な一つの手段でございますので、その歴史的風土に及ぼす影響については十分に配慮しつつも、やはり農業振興、農村整備の観点から、この基本的な基盤づくりという観点で県あるいは村御当局の御意見も聞きつつ、できる限り進めてまいる必要があるのではないかというふうに考えております。
○栗林卓司君 進めてまいる必要性をお尋ねしているんではなくて、どういう展望があるかと聞いているんです、具体的に。努力をしてなおかつやっぱりだめでしたと。だって、ほかの条件がなければ相当広い選択肢の中で生産基盤の拡充、開発ができるわけでしょう。ところが、土地の形質の変更は基本的には好ましくない、このたがをはめられたら、ほかの地域ではできることでもできない。したがって、努力はしますけれどもよくよくこれはえらいことだというのが本音じゃないですか。
○説明員(川村浩一君) ただいま御指摘の問題についてでございますが、農林水産省として、現在、理解しております限りでは、歴史的風土保存の観点から本法案及び古都保存法の関連でいろいろな一般的規制がございますが、農業生産基盤の整備に伴う区画形質の変更につきましては、第一種保存地区におきましてはやや一つの厳しい調和の問題が出てまいりますけれども、第二種地区におきましては基本的には規制の対象にはならないというように理解しております。
○栗林卓司君 第一種だから、第二種だからということを伺っているんではないんです。 別なことでお尋ねしますけれども、いま兼業農家が六百一世帯だと思います、六百二戸とありますけれども。で二百七十ヘクタール。専業が百八十戸で九十八ヘクタール。この兼業農家についてお尋ねするんですけれども、この兼業農家というのは行く行くは専業になるか、あるいは専業の人に土地を渡すか、いずれにしても専業としての農業基盤をつくっていきたいということが農林水産省のかねての念願だと思うんです。そうしますと、この六百一世帯、二百七十ヘクタールの兼業農家、これは今後どうしていったらいいとお考えになりますか。
○説明員(川村浩一君) 専業、兼業の問題は、御案内のとおり、明日香村に限らず全国的にも非常に農業情勢が厳しくなる中でむずかしい問題を抱えているわけでございますが、明日香村の場合には、特に歴史的風土の保存との調和という観点からの多くの制約要因もありまして、農業でいわば生き抜いていくということに通常以上の困難性がございます。 しかしながら、やはり一方都市近郊地帯という立地上の条件もございますので、今後、農林省といたしましては、農業で生き抜いていけるような人、これは専業農家と、それから兼業農家の中でも第一種兼業農家で、特に六十歳以下の男子労働力が農業に専従しているような場合、この両者を含めて担い手農家というふうに考えておりますが、つまり担い手農家をできる限り育成をしていく。 その際に、明日香村におきまして、これからの方向としては、一つは、やはりハウス等を通じまして一つの施設園芸で野菜を中心に生産拡大をしていく、団地化を図っていく。それから果樹につきましては、温州ミカンについては御承知のような減反問題がございますけれども、晩柑類への切りかえを考えていく。さらに、これは新しい農地造成も一部考えまして、特に巨峰なり大房系のブドウの生産団地の育成というものもその振興対策の中に取り込んでいく、そういう新しい一つの方策をいわば平場地帯を中心に考えてまいりたい。それから山間部につきましては、これは特定の作目での担い手づくりというのはなかなかむずかしゅうございますので、花卉花木あるいはシイタケ栽培、そういうものと林業経営というものを組み合わせた農林業の複合経営という形の中で、周年農林業で地場でやはり所得を上げて暮らしていけるような担い手をつくっていくということを農林省全体として幅広い立場で考えてまいりたい。そういう形の中で、農林業で生き抜いていこうとする人、さらにはそういう後継者を育てることについても、今回の明日香法案に基づきます基金の果実の活用、さらには基盤整備についての特別助成等も活用いたしまして、農林省としては、今後、積極的に明日香村の農業振興に御支援をしてまいるつもりでございます。
○栗林卓司君 それで、農業で生き抜いていこうとは考えていない兼業農家の場合、通常ですと、土地を処分する、転業する、こうなりますね。土地を処分すると、処分した土地は大体開発される。転業する場合は、やはりある開発行為が転業の裏側では出てくる。これは都市周辺の農村部ではごくありふれた風景ですから、明日香村でもほうっておけば同じことなんです。 〔理事茜ケ久保重光君退席、委員長着席〕 ところが、この開発行為はそれぞれに規制を受けるわけです。しようがないから、とりあえず兼業を続けよう。しかも、兼業農家の場合には、米作というのはいまやそう手間がかからないんです。米作が手間がかからないから兼業農家でやってこれるんです。ほかに移れと言われたら、とてもじゃないが人手がないからどうしようもない。そうすると、いまの置かれた環境の中で、明日香の村というのは、ほかの地域に比べて、どうしても米作によらざるを得ない特殊性がある。この点はお認めになりますか。
○説明員(川村浩一君) ただいま御指摘の問題は、特に明日香村に限らず、日本の農業構造全体として、稲作が第二種兼業農家を含めて兼業農業という形で維持できるように、ある意味においては技術あるいは機械も進歩して、そういう兼業と一番結びついたパターンとして稲作が推移してまいり、これがまた同時に米の供給が構造的に過剰になる要因にもなってまいっている問題でございます。 しかしながら、明日香村の問題を含めまして、やはり農業で今後の振興を考えます場合に、これは土地の問題につきましても御指摘のような問題はございますけれども、優良な集団的農地につきましては、この農振制度の中で農業区域という形で長期的にも保全する土地利用計画というものを立ててまいりまして、そこで生産基盤の整備をした上でそういう担い手農家が効率的に生産をしていく、同時に、米以上に、より反収の上がる作目等への生産の転換なり切りかえということも考えていく、そういう形で農業振興を図っていくというのが基本であろうかと思います。そういう意味におきましては、兼業農業という形での明日香村の現在の実態ということは、これはもちろん否定できませんけれども、今後はやはり農業立村を考えていく場合の農業振興の方向としては、稲作以外のいろいろな新しい作目を取り込みつつ農業でより所得を上げていくあり方というものを県あるいは村も今後お考えになると思いますし、われわれもそういう方向での御支援は積極的にしてまいりたいというふうに考えております。
○栗林卓司君 文化庁にお尋ねしますけども、古都保存法で農業地が対象になっているところというのは私は余り例がないんじゃないかという気がちょっとしたんですが、その点どうですか。
○説明員(山中昌裕君) 文化庁は文化財保護法を所管しておりまして、古都保存法は総理府とは建設省で所管いたしております。
○政府委員(升本達夫君) 京都の嵯峨地方等に若干あるようでございますけれども、おおむね関係がない地域というふうに御理解いただいて結構でございます。
○栗林卓司君 私も、そうだと思うんです。明日香村みたいに農業がとにかく少なからざるウエートを占めて、しかも将来は農業立村を考えていくしか道があるまいと、そこまで思い詰めながら、してその農業はと見直してみると、米に対する依存度がどうしても高くなってしまうだろうし、ある意味ではその土地の中で転業の自由さえ奪われかねない規制下にあるわけですが、そこで、かねて問題の減反のことを聞こうとは思いません。先日、来られて、とってもだめだってさんざん聞かされました。 だから、別な聞き方をしますけど、いま言われた明日香村の農村の振興についていろいろ考えておる、その振興状態とリンクさせながら減反の問題も特別に配慮していく。しかもここだけですよ、歴史的風土保存のへったくれというかっこうで農業が往生こいているのは。ほかにないですよ。まさに全国唯一。となったら、特例扱いを求めても私はおかしくない。で、どうしてもここで米しかつくれないというんなら考えようがあるというのかもしれませんけど、だったらそうやって法律を直しちまおうかとさえ思ったんですけどね、だからその意味でくどくはお尋ねしませんけれども、今後の農業振興の状態を勘案しながら、十分慎重に配慮するよう国並びに県への指導として考えていただきたいと思いますが、いかがですか。調子悪いことだったら答えなくていいですよ。
○説明員(吉國隆君) 今後の農業振興のあり方につきまして、ただいま先生からの御指摘のございました地区別の事情に即しつつ、地元の方々と十分対話をしながら検討を進めていくべきことであるという点につきましては、御指摘の趣旨を体しまして、先ほど地域計画課長からも御答弁申し上げましたように、最大限の努力をしてまいりたいというふうに思います。 その過程で減反、転作目標の配分との関係にもお触れになったわけでございますが、この点につきましては、なかなか全国的に農家の御協力をいただきながら進めるという非常にむずかしい面もございますので、そういった減反の問題ともうまく調和のとれるような方向での農業振興のあり方というものを私どもとしては可能な限り追求するという気持ちで、地元の方々との御相談も進めてみたいというふうに考えておる次第でございます。
○栗林卓司君 では、これで質問を終わります。 ただ、最後に、これは御答弁要りませんが、再々申し上げたことですけれども、この法律というのは通ってから問題がいよいよ具体的に出てくる。恐らく村長さん、村の関係者の皆さんが一番苦労される点ではあるまいかと思います。したがって、この法律はできたから終わりではなくて、これから問題が始まってくる、ある意味では緊急避難の性格が非常に強いということで、別途、規制の必要性、妥当性を十分考えられながら、明日香の村民のいわば生活共同体の発展の問題と、それから物としての歴史的風土の保全の問題とまさに調和が図れますように一段の御努力をおねがいしたいと思います。 以上で質問を終わります。 —————————————
○委員長(大塚喬君) 委員の異動について御報告いたします。 本日、土屋義彦君及び亀井久興君が委員を辞任され、その補欠として北修二君及び新谷寅三郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(大塚喬君) 速記をとめて。 〔午後三時二十分速記中止〕 〔午後三時三十八分速記開始〕
○委員長(大塚喬君) 速記を起こして。 他に御発言もないようですから、質疑は終局をいたしたものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法案を問題に供します。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大塚喬君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、茜ヶ久保君から発言を求められておりますので、これを許します。茜ヶ久保君。
○茜ケ久保重光君 ただいま可決されました明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党及び民社党の各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講じ、その運用に遣憾なきを期すべきである。 一、明日香村における文化財の保存については、特に埋蔵文化財の保存とその活用の重要性にかんがみ、政府は実効ある措置を講ずること。 二、国及び奈良県は、明日香村歴史的風土保存計画、明日香村整備計画の策定にあたり、明日香村と十分協議するとともに、明日香村に対し住民の意向の集約に努めるよう指導し、併せて、明日香村の庄民と文化財保存の専門家の協力関係の発展に努めること。また、第一種、第二種歴史的風土保存地区の範囲及びその地区内における建築物、生業形態等に対する規制については、住民生活への影響を勘案し慎重に対処すること。 三、国は、明日香村整備基金について、将来著しい経済変動が生じた場合には、適切に配慮すること。また、同基金による運用益は、住民の意向を反映して適正に使われるよう明日香村に対し指導、助言を行うこと。 四、国は、飛鳥保存財団の運営、事業等について、歴史的風土審説会の答申を踏まえ、一層適切に行われるよう指導、助言に努めること。 五、住民の理解と協力の下に歴史的風土及び文化財の保存の目的を達成するため、遺跡分布の学術調査及び緊急発掘調査を速やかに行いうるよう政府は財政上、技術上及び体制上の十分な援助を行うこと。また、建築物の建築許可申請の簡略化、迅速化を図り、保存地区の土地買取り請求に対しては、速やかに応じうるよう指導すること。 六、国及び奈良県は、明日香村における歴史的風土の保存と民生の安定に果たす農業の重要な役割にかんがみ、明日香村の農業の振興、農村環境の整備のための施策について特段の配慮を払うとともに、地区の特性に応じた農業振興のあり方について積極的な指導、助言に努めること。 七、国、奈良県、明日香村は、朋日香村を訪れる人々の、歴史的風土及び文化財の保存に対する深い理解と協力によつて、観光公害防止の実効があがるよう努力すること。 右決議する。 以上でございます。
○委員長(大塚喬君) ただいま茜ヶ久保君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(大塚喬君) 全会一致と認めます。よって、茜ヶ久保君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 この際、総理府総務長官から発言を求められておりますので、これを許します。小渕総理府総務長官。
○国務大臣(小渕恵三君) ただいま明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法案について慎重御審議の結果、御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。 ただいま決議になりました附帯決議につきましては、御趣旨を体し、十分検討いたしてまいりたいと存じます。ありがとうございました。
○委員長(大塚喬君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大塚喬君) 御異議ないものと認め、さよう決定をいたします。 —————————————
○委員長(大塚喬君) 次に、都市再開発法の一部を改正する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。渡辺建設大臣。
○国務大臣(渡辺栄一君) ただいま議題となりました都市再開発法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。 都市の既成市街地における都市環境の未整備、災害の危険性、職住の遠隔化、交通混雑等の問題は、依然として深刻な状況にありますが、これらの問題に対処するためには、市街地の計画的な再開発の一層の推進を図ることがきわめて重要であります。 このため、都市の再開発に関する方針を一定の大都市について明らかにするとともに、市街地再開発事業制度について、施行主体の拡大、施行区域要件の緩和、事業手法の拡充等を行う必要があります。 以上が、この法律案を提案する理由でありますが、次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。 第一に、人口の集中の著しい政令で定める大都市を含む都市計画区域については、都市の再開発を特に計画的に推進するため、都市計画法に定める市街化区域の整備、開発または保全の方針において、都市再開発の方針を定めなければならないこととしております。 第二に、市街地再開発事業の施行主体につきましては、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び地方住宅供給公社を新たに施行主体に加えるとともに、個人施行者制度を拡充し、土地の所有者または借地権者以外の者であっても、事業計画及び権利変換計画について、関係権利者全員の同意を得て第一種市街地再開発事業を施行できることとしております。 第三に、市街地再開発事業の施行区域の要件につきまして、区域内の耐火建築物の率の算定に当たり、耐火建築物であっても建築面積の小さいもの及び都市計画決定された公共施設の区域内のものは耐火建築物に含めないこととするとともに、第二種市街地再開発事業の施行区域の面積が三ヘクタール以上であることを要することを改め、一ヘクタール以上であることで足りることとするなど、その緩和を図ることとしております。 第四に、市街地再開発事業の施行者の負担の軽減及び事業の円滑化を図るため、事業によって建築すべき建築物のうち、施行者がその全部を取得するものの建築を第三者に行わせることができることとするとともに、政令で定める公共施設の整備を当該公共施設の管理者等に行わせることができることとしております。 その他、第一種市街地再開発事業の権利変換手続の特則の拡充を図ることなど、所要の改正を行うこととしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに、御可決いただきまするようお願い申し上げます。 以上であります。よろしくお願い申し上げます。
○委員長(大塚喬君) 以上で趣旨説明は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 本日はこれにて散会をいたします。 午後三時四十八分散会 —————・—————