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91回国会参議院1980/03/26

決算委員会 第5号

発言数
286
登壇者
14
会派数
6
開催日
1980/03/26

会議録

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る二十五日、北修二君、橋本敦君及び下村泰君が委員を辞任され、その補欠として塚田十一郎君、内藤功君及び喜屋武眞榮君が選任されました。

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  穐山篤君の一時委員異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、理事に穐山篤君を指名いたします。

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) 次に、昭和五十一年度決算外二件を議題といたします。  本日は、法務省及び裁判所の決算について審査を行います。

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) 質疑通告のない矢口最高裁判所事務総長は退席していただいて結構であります。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。佐藤三吾君。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 私は倉石さんは初めてですね。御高名はつとにお伺いしておるんですが、初めてな大臣でございますから、いろいろの角度から御質問申し上げたいと思います。  大臣が就任直後に、ロッキード裁判の田中さんが友人であるということを前提としながら、白日のもとになることを願うというような御発言がございまして物議を醸しましたですね。結果的にはお取り消しになったわけですが、私はあの発言を新聞で読みまして、また本会議で大臣の釈明を聞きまして、率直に感じたのは、中身はともかくとして、なかなか率直に物を言う大臣だなと、こういう実感を持ったんです。  御存じのとおりに、こういう委員会で質問をしていろいろ討論をしますけれども、なかなかその物事についてはわかりながらもはぐらかしたり隠したり、そういう大臣、局長の答弁というのが非常に多いわけです。やっぱり国づくりというのは、国民に率直に国会を通じて明らかにしていく明らかにできない国防上の問題とかいろいろあるでしょう、しかし、できる限り明らかにして、そうして率直に語りかけて、その中から国民全体の理解を得て国づくりをする、これが基本じゃないかと思うんで、その率直さについては私は高く評価しておるんです。ぜひひとつそういう意味で、大臣も物事にこだわらずに、率直なこの委員会における討論というか、そういうものにひとつ心がけていただきたいということを、まず冒頭にお願いしておきたいと思います。  そこで、第一に聞きたいと思いますが、刑法の一部改正案が御存じのとおりに昨日衆議院で委員会を通過しましたですね。これは主として自民党の皆さんが与党でなかなか反対しておったんですが、三年ぶりに、これは大臣の努力もあると思うんですが、全面改正のいわゆる刑事罰の強化であるとか、この問題がけさのテレビでは、これも野党や弁護士会やいろいろな反対する部分については、この際ひとつ残しても刑法改正に今国会で踏み切るべきだと、こういう法務当局の考え方等が出されたと報じておりましたけれども、大臣、率直にあなたの考え方なり、いつ国会に上程していくというめどを持っておるのか、そういうことを含めてひとつお話しいただきたいと思うんです。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 御指摘のように、昨日衆議院の法務委員会におきまして、刑法の一部改正案を満場一致で通過していただきました。ただいまのお話のように刑法はわが国の法律の中でも基本法の大切な一つであります。そういうものにつきまして、やはり改正案、法制審議会においていままでもいろいろ審議検討いたしておるわけでございますが、これにつきまして政府としていまそういうものを国会に提案申し上げて御審議を願うかどうかというそういう方針を決めたわけではございませんで、いろいろそのときの社会情勢等勘案いたしましてどのように対処すべきであるかということにつきましては慎重に検討中でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 政府として決めたわけじゃないと思うんですが、これは主管大臣として法務大臣にお伺いしておるわけですけれども、全面改正の問題については野党やいろいろな反対部分はあったとしても、この際ひとつ早期に改正を成立させなければいけない、こういう気持ちを持っておると思うんですけれども、そういった意味の作業は進めておるんでしょう。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) いま申し上げましたように、長い間検討はいたしておるわけでありますが、まだ最終的にどういうふうにするというふうなことについては、意思を決めたわけではございません。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そうしますと、きょうのマスコミの報道というのは間違いで、同時にまた刑事局長の国会におけるそれに類する答弁というのは、これはそうじゃないと、こういうことですか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 刑事局長の発言のことでありますが、いろいろ含みのある率直な見解を一部述べておりました。そういうことにつきましては私はよく理解をいたしておるわけでありますが、法務大臣として、いまこれをどのように法務省として扱うつもりであるかという最終的、決定的なことを申し上げる段階ではございませんということを申しておるわけであります。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 にわかにまた慎重な発言になりましたね。しかし、私はきょうここでこの問題をそう深追いする考えはないんですが、いずれにしましても、長年の懸案でございますからね。しかも、こういった重大な法案がいつまでも法務省の中に閉じ込められて日の目を見ないというのも問題だと思うんで、対立する部分についてはこれは早急に話し合いをして、そういった点は残してでも刑法の全面改正をやり遂げたい、今国会で日の目を見たいと、こういうきょうのマスコミ報道というのは私はそれなりに評価をしておるわけですけれども、そういった努力を、きょうはここで聞こうとは思いませんけれども、ぜひひとつ進めていただきたいと思うんです。  それから、いま問題になっておりますK・ハマダの件でございますけれども、これはロッキード裁判の中で、検事の論告の中へ出てきた内容だと承っておるわけですが、これは言うならば小佐野氏が二十万ドルを、何というのですか、もらったもらわないというものと重大なかかわりがあるということで検察側が決め玉として出したということで、非常にいま問題になっているわけですけれども、これは法務大臣としてどうなんですか、検事が出したこの資料というのはきわめて資料としてはあいまいなもの、事実に相違するもの、そういうお考えを持っていますか。それとも、いやしくもアメリカの司法省を通じての資料でございますから、これについては確信を持っておるというのが検事の主張なんですけれども、これについて率直な大臣の見解を聞きたいと思うんです。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまお話のございました裁判で検察官は冒頭陳述におきまして、K・ハマダという人がサンズホテルに対して百二十万ドルの債務を負担した旨を主張しておりますけれども、このK・ハマダという人がどういう人物であるかということはわかりませんで、ただいまそういう状態であります。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 K・ハマダという人が自民党の浜田幸一さんかどうかわからないということは大臣の言いたい点だと思うんですけれども、この事実は間違いないですね。これについては法務省としては確信を持っておるということは言えるんじゃないですか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 裁判の進行中でございますので、私どもの立場からそれ以上のことを申し上げることはお許しを願いたいと存じます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 しかし、これは検事が確信を持って冒頭陳述に出した中味であるし、その主管大臣として法務大臣がそういう点はやっぱり素直に国民の皆さんに語っていいんじゃないですか。そうして、疑念がない、確信が持てるなら持った条件というものをきちんと明らかにしていく、そのことは私は大事なことだと思うんですね。大平さんのまねをするんじゃなくて、そこは主管大臣としてはきちっとした方がいいと私は思うんですが、なかなか公判途中で言えないというならこれ以上追及しませんが、しかし当日、日付を見ても、それからホテルの宿泊人の名簿を見ても、それが自民党の浜田さんであるということは明確ですね。本人もそのことを認めてますね。ただ百五十万ドルのかけをやったことはないけれども、百ドル、二百ドルのかけは当日やったということを言ってますね。その点はほぼもう明らかになってきておるし、小佐野一行の皆さんが現地に宿泊していることも事実なんですから、そこら辺はむしろ主管大臣として明確にした方がいいんじゃないですか。いかがですか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) いわゆるK・ハマダという人がどういう人であるかということを公判において検察もそれ以上のことを何も申しておりませんし、そういう点から申しますと、私どもにはK・ハマダが日本の国会議員であるというふうなことにつきましては何にも明白になっておりませんのでございまして、したがってこれ以上そのことについて私どもが申し上げることは御遠慮いたすべきではないかと、こう存じます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 なかなか慎重ににわかになってきたからこれ以上は押さえませんが、しかし検事が冒頭陳述で出すということは、単に資料だけで確信を持ったことじゃないと思う。やはり現地の状況で、だれだれが宿泊したかということはもうお調べの上での確信を持って出しているに相違ないと私は見るんですけれども、まあきょうはそれ以上は追及しませんが、いずれにしても、あなたは大臣就任のときのように率直な気持ちが少し薄らいできておるんじゃないですか。もっとやっぱり物をずばっと言う大臣の特性というのは、私は一面では評価しておるんですよ。物事を素直に言うというのは、中身は別にしましてですね。だから、そこら辺はひとつ今後とも、ロッキード事件が自分の友人が被告になっておる、青天白日を願う、こういうような気持ちでもって法務大臣を務められておるんじゃなかろうと思いますけれども、だからといってK・ハマダの問題をあいまいにするわけにはまいらぬわけですから、その点はひとつ今後ともそういう立場を堅持してやっていただきたいということをつけ加えておきます。  それから三つ目に、二つほど聞いておきたいと思うんですが、一つは、去年の十月選挙前後からいわゆる特殊法人や大蔵省や環境庁、もうほとんど各省と言っていいぐらいに、いわゆるカラ出張、宴会政治、そういう醜悪な実態がマスコミを通じて明らかにされて会計検査院を通じて確認されて、最後は一いま最後になるかどうかわかりませんが、現在は郵政省で二人の高級官僚が逮捕されているのですね。こういった一連の高級官僚を中心にして政、官庁のいわゆる不正というのが続けられておりますが、乱脈経理がまた明らかにされておりますが、こういったいわゆる腐敗の実態について法を預かる法務大臣としての見解を一言承っておきたいと思うんですが、いかがですか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) いろいろな事件が特殊法人等に出ておりまして、これは警視庁が担当してやっておるものもありますし、いろいろあるようでありますけれども、要はやっぱり私どもはいまの政府の立場から考えまして綱紀の粛正に全力を挙げなければならないと、こういう考えでありますし、また捜査の段階において検察は——警察ももちろんそうでありますが、検察におきましては、これは不偏不党で厳正な態度で捜査に当たるものと考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 これらの事件はほとんど内部告発が主体になっていますね。それに基づいて会計検査院が乗り込んで調査をする、実態が出てきたと、こういうのが報道されておりますけれども、この公務員の内部告発というものについて法務大臣の見解をいただきたいと思うんですが、どう思いますか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) これは個々のケースでそれぞれいろいろな形があるんではないかと思いますが、要するにやっぱり気の緩みと申しますか、とにかく大事な仕事を、特殊法人でありますから、特に政府のいろいろな協力を得て仕事を遂行していっておられるところでありますので、特段にやっぱり気を引き締めてやっていただかなければならぬと思うわけでありますが、内部告発のお話もいろいろマスコミ等で、いまあなたのお口からもありましたけれども、いずれにいたしましても内部で告発をされてそれが事件になるようなことというのは、やはり経営担当者がそれだけの欠陥があるんではないかと思うんでありますが、まずもって私どもといたしましては、綱紀の粛正に力を入れ、それでもなお出てまいりました事案につきましては、先ほど申しましたように厳正公平に処分をするという立場でやってまいりたいと思っておるわけであります。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いや私が聞いておるのは、内部告発がこういう事件を明らかにしておる。公務員で仕事をやっておるわけですから、そういう事実は常に見たり聞いたりしますわね。そういう中でたとえば不正であるなということがわかりながらも黙っておるということは、逆に言えばある意味では不正に加担しておるわけですね。そうしなきゃこんなカラ出張がもう何十年も続いたとか、何年も続いたとか、こういった問題が出るはずがない。いまあなたが言うような姿勢だったら初めからそういうことはあり得るはずがない。ところが現実にそういう問題が出てきたということは、正義感に燃える職員から、これはやっぱりけしからぬという気持ちが告発になって出てきたのだと、そういう観点を考えてみますと、職員の内部告発というものは必要である、また不正が起こったときには当然すべきだと、こういう考えに私は立つんでありますけれども、大臣の見解はいかがですか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) これはいわゆる法務省所管というわけでもございませんから、私が独断でいろいろ申し上げる立場にはないかもしれませんけれども、政府をお預りいたしておる、つくっております内閣の一員の閣僚として、やはり先ほど来申し上げておりますように、どうしてこういう事案が出てくるのかということの根底を突きとめて、綱紀の粛正に全力を挙げる必要があるということを考えておる次第であります。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いや私が聞いておるのはそうじゃなくて、内部告発に対して法務大臣として法の番人という立場からどういう評価をされておるのか、それを聞きたいんです。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 政府といたしましては、こういう問題に対処しまた綱紀の粛正をいたしますにつけて、政府としての統一見解を発表いたしたことがございますが、私どもといたしましてもその方針で政府の一員として綱紀粛正に最大の努力をしなければならぬと、こういうことを申し上げておるわけであります。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 まあこれは意識的にどうも大臣がすれ違い答弁を承知の上でやっておるような気がしてならぬですけれども、あなたはそういう場合には、公務員に不正があったときには明らかにするのは当然だというのが私はあなたの答弁であってしかるべきだと思うんですけれども、なかなかそうおっしゃらない。おっしゃらないということは、後ろから耳打ちされて急に引っ込んでみたりしておるんじゃないかと思うんですが、ここはやっぱり法の番人として私はきちんとしていただきたいと思うんですよ。たとえば国防の問題でどうしても各国間の関係で表に出せないような問題とは違う。一番国民がいまふんまんに思っておるのは綱紀粛正の問題。言わずもがなのことであって、これから申し上げます行政改革の問題でもそうなんです。  いずれにしても、これだけ高級官僚がやっておることが長年にわたって腐敗が続いて、そうしてとうとういま言うようにKDDのような、また郵政省のような事態というのが起こってきた。しかし、あの郵政省の二人の逮捕の問題とか一それから郵政省の内部の実態がいまごろごろ出ておりますけれども、国民はそう思ってませんよ、あれは本省の全部、法務省も含めて全部ああいう状態だろうと思っておるんですよ。法の番人である法務省もそういうことを大同小異やっておるに相違なかろうと、そう見ておるわけですよ。その不信感が政治不信につながってきておるわけです。だから、政府の一員という立場に立つなら、もっとそこら辺はきちんとして国民の前に明らかにして、理は理、非は非として、そういう立場を望んでおるわけでしょう、自民党の圧力があろうがなかろうが。K・ハマダの問題にしてもそうです。そういった問題についてきちっとする、そのことが求められているんですよ。だから、あなたの親分に当たるのかどうか知らぬけれども、福田さんも三木さんもきちっとしなさい、これでは選挙は戦えぬと、こう言っておる。それが正常な感覚だと私は思うんですよ。ましてや法務大臣はやっぱりその先頭に立つべきですよ、この際。そうじゃないですか。法務大臣は、私がさっき一番冒頭に言ったように、まあ中身としては問題があっても、あなたはなかなか率直に物を言う、国民に向かって。その意味では評価しておるんです。その率直さをなぜこういう問題できちっと出さないんですか。どうですか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 私の誤解でなければお許しを願いたいんですが、たとえばKDDの問題につきましても、これは警視庁が、警察が担当いたしまして徹底的にいろいろ捜査をいたしておることは御存じのとおりであります。そして今度はさらに検察もこれに協力をいたしてやっておる。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、検察は全く不偏不党で厳正中立の立場でこの捜査に当たっておるということを確信を持って申し上げておる次第であります。ですから、捜査当局としては本来の任務をいま鋭意遂行いたしておるということに間違いありません。  そこで、いわゆるK・ハマダというのでありますが、これはあなたも御存じのように、公判廷において冒頭陳述に補充の資料として出されたもので、これは私がさっきからお答えいたしておる以上のものは出てきておらないわけであります。でありますから、いわゆるK・ハマダというものについて私がここで想像を交えて申し上げることはできませんので、現実に出てきておってこういう席でお答えのできますのは、K・ハマダという者の債務云々のことだけしか、つまり公判に出てきておることの以外は申し上げられないということについては御理解をいただけるんじゃないかと思うわけであります。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いや、私は検事が論告で冒頭陳述を出しただけに、法務大臣としてはこれは確信を持っております、ただそれが自民党の浜田さんかどうかと、こういった問題についてはいま公判中だから言えないと、こういうふうに私は受け取っておるわけです。そうでしょう。  同時に、さっき言った内部告発の問題は、これは法でも明確になっておるんですよ。ですから、何もあなた遠慮なさることはない。内部告発は不正を見たらやっぱりすべきだ、それが公務員の当然の義務だと、これがどうして言えないんですかね、あなた。法務大臣の私は常識を疑いたくなりますね。そうじゃないですか。——  顔見ておってもなかなか言いそうにないからもう次に行きますが、いずれにしてもこういった問題はひとつきちんと、何も周囲を見ることはないんですよ。そこら辺はやはり前の法務大臣はなかなか歯にきぬ着せぬでずばずば言うところは言いよった、自民党に対しても。そういうやはり法務大臣になってもらわなきゃ国民はたまったもんじゃないし、ますます法に対する不信が出てくると思いますから、ひとつつけ加えておきたいと思います。  そこで行政改革の問題に入りたいと思うんですが、これはいま大平政権の目玉にもなっておるわけですが、先般地方制度調査会が開かれて行政改革の問題で官房長官と自治大臣を呼んで議論があったわけですが、その中で学者先生を初め鋭く政府に追及があったのは、いまやられておるこの行政改革というのはまさに愚劣きわまる。なぜか、何のための行政改革かというのが明確でない。どうして明確でないか。いま国民の皆さんが行政改革に非常に関心を持ち強い要求をしておるのは、言うならばこういう一連の公費天国というこの実態、高級官僚を中心とする実態、そこに腐敗が生まれてきておる。同時に、その腐敗の原因をたどってみると、国家予算の三分の一の十四兆円近い補助金ラッシュ、その補助金をめぐって陳情政治、宴会政治、こういった実態がもう明らかにされてきておる。しかも地方の段階では住民の皆さんが選挙で選んだ議員、市長、知事、市町村長がおる。それに対して国が二重、三重の行政でやられておる。こういった点は何とかならないか。この二重、三重行政というのは何とかならないか。そうしてしかも知事にしても、市町村長にしても、保育所を一つつくるにしても、それから橋をかけるにしても、道路をつくるにしても、全部国まで行かなければそれができない。しかも、それが一回じゃない。たとえば一つの橋をつくるのに、ある県で調査した結果、国にその橋をつくるというスタートから完成するまで三十三回ヒヤリング、陳情、ヒヤリング、陳情を繰り返してでき上がっている。こういうあり方に対してもっと国民の立場に立った行政改革ができないかというのが国民の皆さんの政府に対する強い要求なんですね。こういったことに対してこの行政改革のありようというか、あり方についてまず大臣の見解を聞いておきたいと思うんです。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 行革のことにつきましてはそれぞれ担当の閣僚もおりますので、私が批判がましいことを申すのは遠慮いたしたいと思いますが、一人の国会議員として、やはりいまお話のありましたように、なかなか自治体だけの努力で橋一本かけることも困難でありますので、そういう意味では、これをどのように行政組織を改めるべきかというようなことについて、いまここで私どもは何か述べる立場にはございませんけれども、御指摘のように、自治体を預かっている人たちがなかなか苦労しているのは事実であります。そういうようなことの中で長年の習慣で今日のようになってきておるものもたくさんありますので、そこで排除して片づけてしまってもいい場所は、これはそういうところを通さないで仕事ができればそれにこしたことはないのでありますから、そういう意味で、国民の利益のために長年の間蓄積してある今日の機構をどのように改めたら負担が軽くなる、いわゆるよその国の言葉で言えばチープガバメント、そういうことができるだろうかということは、長年の間考えてきた、歴代の政府もみんなそういうことを考えておったわけでありますけれども、なかなかそれができませんでした。今回は思い切って、ひとつ多少の不便はがまんしていただいて、そして政府の経費を節約すると同時に、国民の希望いたしておる仕事はできるだけ簡便に実行することができるためには一体どのような改革をしたらいいかということで政府は力を入れたわけでございます。いろいろ批判はございますかもしれませんけれども、私どもといたしましては、政府が考えました行政改革については、多くの国民の皆様に不便をかけないように努力をしながら、できるだけの機構改革をして、いわゆるチープガバメントに向かっていくことのできるような努力をいたしておりましたことは買っていただきたいと思っておるわけであります。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 言うならば私は、その行政改革という基本ですね、何のために行政改革をやるのか、それを大臣の見解を伺いたいと思っておったんです。いまあなたのお話を聞きますと、まあ言うなら、言わんとするところは、行政のむだをなくす、そうしてまあ長年かかってきたけれども、今度はひとつ思い切ってやるんだと、こう言っておるように私は聞くんですけれども、しかし、もう一つの面は何かと言えば、国民のためになる行政に、この際ひとつむだをなくすと同時に正していく、この面が私は抜けておるんじゃないかと思うんですね。ですから地方制度調査会の中でも議論が出たのは、たとえばブロック機関を廃するということは何かというと、二重、三重行政という観点で、たとえば北九州の財務局や南九州の財務局に行って用は足さない、足さないからほとんどいま交通の便もいいから本省に直行していく。そういうことでブロックの財務局は全部つぶした方がいいんじゃないかと、こういうのがまあ国民の声だと思う。それを南か北か、南北戦争かというふうにすりかえる、問題を。こういうやり方に対して非常に強い不満を持っておることは、この地方制度調査会の中でも指摘されたわけですけれども、私は、やっぱりむだをなくすという観点に立つことは何かというと、いわゆる当然自治体があり、そしてそこで選挙民でもって、住民が選んだ首長がおり、議員がおる。そこでできる問題はそこにさせる。それを二重、三重に国がその出先機関をつくっておって監査していくというんじゃなくて、そういう点はそこに移管し、事務を移譲させる、こういった点を私は望んでおると思うんですよ。いかがですか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 事柄は、法務省の関係のことを考えてみましても、私どもは地元の方々の御意見を十分尊重して、そうして地元の御意向を承りながらやってまいるというのがたてまえでございます。ことに、御存じのように、私どもも現場を見ましても、たとえば登記事務、これは日本経済が強化され、伸びるに従ってその事務量というものはえらい勢いで加重されてまいっております。本当に職場へ行ってみると気の毒だなあと思うほど資料が山積しておって、それを処理するのは大変な労力である。そういうことについて、行革という考え方だけで、そういう急激にふえていく事務童についての理解を持たないような行政では私はだめだと思うのでありまして、そういうことについては十分私ども一の担当者は意を配ってやっております。  それらの登記所もそうでありますし、もう一つは入管事務というのが、これがまた大変なふえ方でありまして、その現場を見ましてもまことに従業しておる担当者に本当に申しわけないなあという感じを私は現場を見てきて思った次第であります。  なかなかしかし、そういうことについては行管も理解を持ってやっていただいてはおりますけれども、われわれから見て十分ではありません。まあ一方において行管のできるだけの協力はしますけれども、いま申し上げたような状況でありますので、そういう関係で、地元の方々の御意向を十分承りながら、それに配慮しながら担当者は苦労いたしておるということをひとつ御了解いただきたいと思います。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 それでは単刀直入に入りますが、いまあなたがおっしゃった登記所の問題ですね。登記所の問題でやられておるのが、この四十七年の民事行政審の答申に基づいて統廃合をやられておると私はお聞きしておるのですが、いかがですか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 民事局長からお答えいたさせます。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) そのとおりでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 この民事行政審の答申の中身ですね。これは統合基準一から四までございますが、その中身、これがまあいわゆる統合の基準というか目安になっておると言ってよろしゅうございますか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 仰せのとおり、それが目安になっております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 その四点はどういうふうな理解でやられたんですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) この内容をかいつまんで申しますと、第一に「一年間の登記甲号事件数」−甲号事件と申しますのは、謄抄本の請求あるいは閲覧等を除いた登記簿に記入を要する事件でございますが、「甲号事件数が五千件に達しない登記所であって、その登記所の管轄区域内の各市町村の中心的地区から受入庁までの一般の交通機関による通常の片道所要時間が、おおむね六十分程度の範囲内にあるもの」、これが一つでございます。それから第二といたしまして、「事件数が」——先ほどの甲号事件でございますが、「事件数が二千件に達しない登記所であって、その登記所の管轄区域内の各市町村の中心的地区から受入庁までの所要時間が、おおむね九十分程度の範囲内にあるもの」。第三といたしまして、「交通至便の地域にある登記所」、ただし二万件を超える庁を除きますが、そういう「登記所であって、受入庁までの所要時間が、おおむね三十分程度の範囲内にあるもの」、それから四つ目といたしまして、「同一市区町村内にある登記所」、これが基準になっておりまして、この基準のどれかに該当する登記所は、「その地域における中心的地区に所在する登記所に統合する」と、かような基準を述べているわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 その四つ目の意味は、どういう意味ですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) これは、たとえば同じ市の中に二つある、同じ町の中に二つあるというような場合でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そうすれば、同じ町に一つある場合は、この四つ目の条件には加わらないと。言うならば、趣旨としては、同じ町に二つ三つある、市に二つ三つあるのを、できれば行政単位に一つにまとめたい、そういう意味でいいんですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 同じ町の中にあるというような場合にはなるべくまとめる。ただしこれは同じ町の中にあれば、通常は交通も便利でありましょうし、住民の便利から言いましても、これをいたずらに分けて置くよりも一つに統合した方がよろしかろうという判断であろうと思うわけでございます。ただ、これにも例外はございまして、非常に事件数が多くなりまして過大——過大と申しますのは、非常に事務量の大き過ぎるような庁がありました場合には、これは必ずしもこの基準に該当するからと申しまして統合の措置をとっていないという現状でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 言うならば、何というんですか、一、二、三とさっきあなたがおっしゃった中で、この基準よりうんと件数が多くて、仕事が繁雑で、そういう場合には同じ町、市であっても一つには限らないんだと、しかしもう一つ裏を返すと、同じ町内に二つあるものとか、市内に二つあるものについては、できるだけ一、二、三の条件の範囲内なら一本にしたいと、こういうふうに理解していいんですね。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 四の条件を満たせば、仮に一、二、三に該当しませんでも、四の条件によって、それが統合の基準になるという趣旨でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 ですから、私が言ったことと同じじゃないんですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 同じ趣旨だと思います。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 わかりました。  で、二の場合というのは、事件件数が二千件に達しない登記所というのは、これは一人庁ということが基本ですから、言うならば、一人庁については、とにかくこの際、町村が離れておっても同じ町内に一つというわけにはいかぬと、こういう意味ですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 一人庁は、なるべくこれは望ましくないということでございますから、九十分程度の範囲内であれば、この基準に該当する庁として統合を進めたい。九十分を超えるということになりますと、これはいかに一人庁でございましても、住民の方に非常に不便をおかけするということで、それは別でございますけれども、九十分程度の範囲内であればがまんをしていただく、こういう趣旨でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そうすれば、一人庁の場合は、逆に言えば町村に一つということでなくて、九十分ぐらいのところまでは数町村を含めて合併庁にしていただくと、こういう理解ですね。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) そのとおりでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そうすると、三の場合はどういうことですか。交通至便の地域にある登記所というのは、「事件数が二万件をこえるものを除く。」とあって、「受入庁までの所要時間が、おおむね三十分程度の範囲」と言うのですが、これは、たとえば交通至便というのは、どういうものを指して言うのか、お伺いしておきたいと思うのです。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) これは、その周辺の交通が不便ではない、特に不便な事情がございますと、これは除いて、特殊の考慮をしなければならない。その地域の交通状況が便利であるという場合でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いろいろ交通所要時間がこう書いてありますが、これは何ですか、四十七年のときにつくったらしいのですが、これは自家用車という意味ですか。バス、汽車とか、そういうことを言っているのですか、どっちなんですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 当時、通常の交通機関ということでございますので、最近は自家用車をかなり利用される方が多くなっておりますが、その地域の状況に応じまして、通常は、バス、鉄道という場合、それを考慮する場合が多かろうと考える次第でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そうしますと、バス、汽車の時間表を見て、大体三十分であるとか九十分であるとか、まあ法務省が、通常の中に、バス、鉄道じゃなくて、自家用車が原則だというふうな考え方を持っているんじゃないかと思って、ちょっと確認しておきたいのですがね。そうじゃないのですね。バス、鉄道ということで理解していいですね。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) そういう普通の交通機関がある場合には、それを度外視いたしまして、自家用車だけを考えるということはございません。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そこで、第二の登記所の適正配置に対する留意事項の中で、一、二、三、四、五とありますが、そのうち、一、二、三、四について、ひとつ説明してください。どういう意味ですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) これは留意すべき事項をかなり具体的に書いてございますので、一、二、三、四、それぞれについて御説明いたします。  第一は、これを読んでみますと、「地域の自然的地理的諸条件(たとえば、離島、島しょ部)」というようなものが例示されておりますが、そういった諸条件、社会経済的な諸条件、これは、たとえば「巨大開発地域」というのが例に上がっておりますが、「地域住民の生活指向等、地域の実情に十分配意すること。」要するに、地域のいろいろな諸条件等に十分配意をすることというのが第一でございます。  第二につきましては、適正配置を実現するにつきましては、「単に、既存の登記所に他の登記所を統合するという方法のみにとらわれることなく、地域の実情に応じ、既存の登記所を併合して新たに登記所を設置し、あるいは、統合に際し登記所の管轄区域を調整する等の措置を講ずること。」これは、いわば吸収するという方法もございますが、両者が対等の立場と申しますか、両者を二つの登記所を廃止いたしまして一つのものにするというような形も考えられるわけでありまして、現にそういうような形態で統合の措置をとっている例も多数ございます。なおその際に、管轄区域等について調整をする場合があるということも、これも当然でございます。  第三番目には、「登記所の管轄区域は、市町村の行政区画に即するように配意すること。」これは管轄区域の定め方で、いろいろ市町村の一部だけで、またほかの市町村の一部も取り込んでいるというふうに、必ずしも市町村の境界と管轄区域の境界とがでこぼこになっているというようなものがございまして、そういったものは統合廃止するに際してなるべく行政区画の境界線に一致させるように管轄区域を決めた方が、住民の方に御迷惑をかける、住民を迷わせるというようなことがないだろうというような考慮でございます。第四番目に、「地域住民に対し、登記所の適正配置の趣旨および目的について十分の説明をし、七の理解と協力を求めるとともに、統合後における登記所の位置等具体的な実施方法については、地域住民の意見をできるだけ尊重して決定すること。」これは重要な留意事項だと私ども考えておりますけれども、地域の方々に対しましては、登記所を適正に配置するために、一部を統合せざるを得ないという事情を十分御説明いたしまして御理解を得る、その上で実施をするということと同時に、統合後におきましても、いろいろ住民に御不便をかけないように、いわばアフターサービスに努めるということで、これはいろいろ考えられ、また実行されているわけでございますけれども、地域住民が登記所をより一層利用しやすくするためのきめ細かな諸施策というものが必要になってくるわけでありまして、統合されて登記所がなくなった、そういう地域につきましては、統合庁から出張いたしまして、登記相談所というようなものを開設いたしますとか、謄抄本の交付について予約制をとるとか、いろいろそういった意味でサービスの向上につながるような施策を御相談をして、統合の際に、どういう方法によってできる限り、統合された、廃止された方の地域の住民の方に御不便をおかけしないようにするかということを十分考慮するということでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 わかりました。  そこで、もう一遍、この統合の一に戻りますが、この中では五千件に達しないもの、そしておおむね六十分と、これが基礎になっておりますね。そういうことでいいですね。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 仰せのとおり、それが中心的な基準でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そこで大臣、さっきあなたおっしゃったように、地域住民の意見を十分聞きながら、法務省ではこの登記所の統廃合、行政改革を進めておるんだと、また進めるべきであると、こういうお話だったのですが、そしてまた答申の趣旨を見ると、わざわざ留意事項ということで、先ほど局長から説明のあったように、四点にわたって細かくそういった点がつけ加えられておりますね。ところが、実際やっておる内容を見ると、言葉とすることが大分違うんですね。  そこで、大臣にお聞きしたいと思いますのは、いまあなたが冒頭に、行政改革のありようというか、法務省ではこうやっておると、こういったことがこの登記所の際にも貫かれておるのかどうなのか、その点をちょっとお聞きしたいと思います。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 私どもの気持ちは先ほど申し上げたとおりでありますが、個々のケースにつきましては、やっぱり事務当局それぞれ苦労してやっておるようでありますので、個々の問題につきましては事務当局からお答えをいたしたいと思います。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) これも行政改革の一環ということになっていることはそのとおりでございますけれども、登記所の統廃合につきましては、やや特殊事情と申しますか、特に切実な理由があるということを申し上げたいと思うのでございます。  佐藤委員つとに御承知のことでございますけれども、実は登記所の統廃合という問題は、昭和三十年代からすでに起こっていることでありまして、その後中断をいたしまして、四十六、七年から再びこういう措置をとることになったのでございますけれども、これは登記所特有の切実な理由というものをどうしても無視するわけにまいらないのでございます。御承知のとおり、登記所には、一人庁、二人庁、三人庁というような庁が非常に多うございまして、昭和四十七年当時におきましては、一人庁から三人庁合わせまして、七〇%ないし八〇%がそうであった。つまり八〇%近くの庁が職員三人以下という状況でございます。そういう状況でございますと、確かに一般的な行政改革の理由とされますところの人員配置上のむだ、予算効率上のむだということもあるわけでございますが、特にそういった小規模庁が多いということになりますと、事務処理の機械化、能率化を図るということも非常に困難になってまいります。また、職員が一人であり二人であるというようなことになりますと、職員の相互協力による事務処理の適正ということを期待することが非常に困難でございます。それに、何よりも私どもが考えなければなりませんのは、職員の勤務条件が通年にわたる拘束勤務という実情、それはやむを得ない状況にあるわけでございまして、職員の負担は、事件数とは別に、いろんな意味で非常に過重になっているということでございまして、そういった点どうしても何か解決をしなければならない。  ところで、こういった小規模庁がたくさんございますのは、明治時代に登記所が開設されまして、当時の交通その他の状況を前提として配置されておりましたのが、そのまま昭和三十年代に至るまで引き継がれていたという結果でございますが、その後におきまして非常に交通機関が発達いたしましたし、地域社会も変貌いたしました。そういった状況に照らしますと、ほかの官公署の数に比べて登記所が非常に多い。市町村数に比べましても半数以上の登記所があるという状況は、これは何としても解決をせざるを得ないということになったわけでございまして、そういったことを考えますと、確かに数が多いのに比べてその当該地区の住民の方に若干の御不便はおかけをするということは、これは私否定することはできないと思うのでございますけれども、やはりその反面、一人庁が三人庁になり、二人庁が五人庁になるというようなことを考えますと、それはいわば提供するサービスの内容の点で非常に違ってくるのではないだろうか、こういうふうに考えるわけでございまして、そういった面にこの統廃合のメリットということを認めざるを得ない、そういった特殊庁がございます点をひとつ御理解願いたいと思うのでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 いまお配りしました資料、大臣見ておわかりのように、あなたの言うのと大分やることが違っておる。だからまたこういう問題が起こってきた。一つはなぜかといいますと、この九重町の問題は、前ここに旧時代にこの四町が合併しているわけですが、このときには二つあったんですね、登記所が。そして、いまこの答申の趣旨にあるように、行政区一単位ということでそれは協力しましょうということで協力したわけですね。そして一つに、いまここの旧野上町というのに二重丸をしていますが、ここに登記所を真ん中ですから置いたわけです。ですから、その意味ではこの町は素直に協力してやっておるわけです。その際に、まず第一に法務局との間にこれに協力していれば今後これをまた再統合ということはしませんという確認が第一ある。  それから今度起こったのはどういうことかというと、こっちの丸の中には九重町と玖珠町というのがこうある、で、この玖珠町とを合併しようというのが今度の合併の趣旨なんですね。しかもこの庁舎を玖珠町に持っていく、こういう内容になっているわけです。ところが、いまここでさっきから確認しております一、二、三、四の四点を見ると、いずれも九重町の場合には該当しない。いわゆる第四の一つの町に二つあるわけじゃない、一つにまとめて今後合併はもうしないから協力してもらいたいということで協力した。それから二番目の二千件に達しないという登記所でもない、一人庁でもない、二名ですね。それから三番目の「交通至便の地域」かというと、ここに時間表にございますように、四町が合併して大変これは広いんです。ここにありますように、面積は二百七十一・六二平方キロメートルというのがありますように大分県では一番大きな町ですね。こういった町で、しかも留意事項にございますように、いわゆる大分県のいまの開発地域です。第一項の留意事項の「自然的地理的諸条件」、これにも当てはまる。それから「社会経済的諸条件」、「巨大開発地域」、これにも当てはまる。そういう地域です。いま時の問題であるエネルギーの中では地熱開発ではここが一番全国的にも焦点になっておるところです。そこで、その三番目に当てはまるのかといえばこの交通状態からいって四時間から五時間かかるところです、そして過疎ですから、バスや汽車の時間表をごらんのように、とてもじゃないけれど三十分とか一時間という状態じゃない。それでは一点目に当てはまるのかと言えばもうすでに六千件を超えておる。そしてしかも、これからどんどん伸びていくそういう地域です。恐らくここ二、三年のうち一万件を超えるでしょう。そういう状態であることはだれもが認めている。ですから、この四つの統合条件に当てはまらないにもかかわらず、ここでこういう事件が起こったわけです。  一つは、去年の八月に法務局が来て町民の皆さんに集まってもらって、約三百名、各家代表が。そこで統合の話が出た。で、そのときに言ったのは、法務局は一の五千件の問題だけ。そうして、五千件を超えれば−いま皆さんのところは大体超えるでしょうと、それを超えれば皆さんのところは統廃合の対象から除外しますと、これについては私が責任を持って中央と話をしますということで帰っておられる。四十六年から云々と言いますけれども、具体的な話があったのはこれが第一回、町民の皆さんにですね。そこで、皆さんも法務局に協力しようということで協力し合って、そうして六千件を超えるという状態をつくって、いま申し上げたように将来展望としては一万件に間もなくなってくるんじゃないかというそういう状態にある。ところが、法務省の方は今度は条件を変えてきまして、いや、一の問題は片づいたと、しかしまだ条件は三つあるんだと、おたくの場合には三に当たる、言うならば交通至便なところだと。そんなことはこの時間表その他を見ればわかりますように、実感として皆さんがどうしたって理解できないそういうことをもって合併をやるんだと。そこで、それはおかしいじゃないかということで一月二十八日に町長、議長を初め法務局に訪ねて話し合いをして、そしてわかりましたと、それならひとつもう一遍検討しましょうと、こういう話であった。ところが、その翌日の二十九日にはもう玖珠の方に土地を確保してしまった、法務局が。そこからこの新聞に出るような大騒動になったわけです、余りにも人をばかにしておらへぬかと。  第一に、北山田の登記所を廃止して一本にするときには、これをもし実現できれば今後はそういうことをしませんと約束しておる。今度の行政答申を見てもあるように、一町に一つということだからしません。——それが今度は次には去年の八月になったところが、いや、一の事項に該当すると、しかし住民の皆さんから突き上げを食って、もし五千件を超えればこれは私が責任を持って統合しないように中央と折衝しましょうと、そうして今度十二月になって、いや、一だけじゃなくて、実はあと三つあるんだと、条件が。その条件の中の三に該当する、交通至便なところに該当すると。それはけしからぬじゃないかということで一月二十八日に行ったところが、わかりました、九重町の熱意もわかりますから、ひとつ本省と相談して御趣旨を検討しましょうと——検討しましょうと言った翌日にはもう玖珠に行って土地を確保すると、こういうやり方をやっておるんだから、住民の皆さんが大変憤慨して、けしからぬと、法務省がこういうペテン行為をやるならもう徹底的に闘えと、こういうことになっていま町議会も全員一致、そして抗議反対行動に立ち上がっているわけです。  で、玖珠の方に聞いてみましたところが、玖珠もやっぱり二人庁です。そうしてでき得るなら存続をしてほしいと。玖珠も条件があるわけですからね。しかし、法務省の方がどうしてもそれはできぬのだと、こういうことになって、そうしてあなた方ぐずぐずしておるとこれは隣の九重町に持っていくぞと、こういう誘いというんですか、ゆすりというんですか、やられたものですから、そんならということであわてて土地を確保したと、こういういきさつなんです。それもまた住民の皆さんの中に明らかになってきた。こういったことがあなたがおっしゃる住民の意見を尊重して、そしてやることになるのかどうなのか。私はこの四つの条件からいっても九重町の場合に当てはまらない。無理に解釈すれば別ですよ。黒を白と言いくるめてという言葉がございますが、そういう言い方をすれば別ですけれども、そうじゃなくて素直に、この四つの条件が統合の基準で、これで進めておるというさっきからの説明でございます。そして二番目の留意事項についても、これはもう十分ひとつ留意してやらなきゃならぬといういうことを考えておりますということをさっき答弁した。であるなら、この問題はこういうペテン行為をやってまで強行するような内容ではない。大臣、いかがですか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 個々のケースにつきましては事務当局が大変苦労してやっておりますことでありますので、できるだけ住民の皆さんも御協力願いたいんでありますが、いま御存じのように全国的に、これは法務省だけではありませんが、行管の意思を受けてやっておりますわけでありますので、その個々の問題について私は報告は受けておりませんけれども、その辺はひとつ法務省の担当者と地域の方々が十分に理解し合っていただいて、そして決めました方針についてはやはりこれを尊重していただくように、これは一般論でありますけれども、そういうことを念願いたしておるわけであります。ただいまお話の出ております問題については私特段の知識を持っておりませんので、またよく事務当局から話を聞く機会もあると思いますけれども、一般的にはひとつぜひ御協力を願いたいと、こういうことを私の立場からはお願いをいたす次第でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 あなたは何か予算委員会に十分ほど出てくれという要請があるようでございますから、その間ひとつ民事局長とやりますから、どうぞひとつ予算委員会の方に行って、十二時にはひとつ帰ってきてください。それまでによくそれを読んでいただいて、そしてまたひとつ御答弁をいただきたいと思っておりますから。  そこで民事局長、私はこの四つの条件に合致しないと思うんですが、いかがですか。

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) 法務大臣が予算委員会に出席要求がありますので、これから十二時まで中座をいたします。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 非常に無理な弁解だとおしかりを受けるかもしれませんが、私どもは一応この基準といたしましては第一と第三に該当するという考え方をとっているわけでございます。五千件と申しますのは、この答申におきましては原則として過去三年間程度の年間平均事件数によるということでございまして、野上の事件数は昭和五十年三千百六十一件、五十一年三千二十二件、五十二年三千三百十二件、五十三年四千三百六十五件、五十四年六千百二十五件、これは御指摘のとおりでございます。ただこれで将来どうなるかとか、あるいは現在の事件の分析はどうかというようなことも検討いたしたわけでございますけれども、五十四年度の事件につきましては、いわゆる特殊登記事件と一般の登記事件というものを私どもは区別しているわけでございまして、特殊登記事件につきましてはこれは応援体制で賄う。それで応援を出したところは賃金職員等によって賄うというような考え方をしておるわけでございまして、特殊登記事件というものが、これは公共事業、主として公共事業の関係でございますけれども、こういったものにつきましては、これは非常に波がございますので、将来を予測する材料といたしましてはそういったものを一応度外視して考えているわけでございますが、そういったものがこの六千百二十一件の中には相当、約半数近くそういった特殊事件がございます。たとえば国鉄の資産整備関係の事件が千五百件程度あるようでございますが、その他種々のものがございますけれども、一般の登記事件についてはそれほど大きな変動はないようでございます。  それと、過去数年の平均ということになりますと、やはり五千件ということにはならないのではないかと。また五千件ということ自体、これは一応の基準でございまして、五千件を少しでも超えたら、これは統合対象から外すとか、あるいは五千件を少しでも割ったら、これを統合候補地としての対象にするというようなことではないわけでございます。それから、確かに交通至便という点につきましては、いろいろ場所によりましては各地域ともそれぞれ不便な地域というものも若干あるかもしれないと思うのでございます。確かに野上のあります九重町あるいは玖珠町でも同じでございますけれども、面積はかなり広大でございますので、その周辺からは確かに若干不便な地域があるかとも思いますけれども、しかし一般的に申しまして他の機関、たとえば高等学校等を見ましても玖珠町にございますようですし、九重町から玖珠町へ通勤するという方もかなりあるようでございます。そういった点から考えまして交通至便の地で三十分程度という基準にも該当するのではないか。一と三に該当するものというふうに私どもは考えている次第でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 局長、あなたもう発言する前に断っておったから恐らくそういうことを言うんだろうと思ったけれども、まずこの交通の便からいきますと、この人口分布を見ればわかりますように、旧四町というのにずうっと固まっておるわけですね。一ヵ所に集中してないんですよね。これがここの特徴なんです、この町の。だから、そのおのおのの町からこの旧町から見ていかないと、時間の測定というのはなかなかむずかしい条件を持っている、地理的な条件。だから、それが一つと。それを見ますと、ここにもございますように、それぞれもう僻地ですから、バスはそう通ってない。時間表はこういうふうになっていますからね。そのバスをつないで、汽車をつないで行ってみると、大体東飯田の場合には八時にバスに乗れば十一時にしか着かない。それから、この飯田地区の場合でも、八時に乗って十時に着く。それから野上地区の場合には九時に乗って十一時に向こうに着くという、一日仕事ですよ、もし統合地に行くとすれば。だから、九重町の真ん中の野上にということになれば大体一時間ぐらいで行けるということで、あなたがおっしゃったこの第三の「交通至便」という中にこれを入れるということに対して、実態を知らないのにもほどがある、こういう意味での反発が強いわけなんです。それが第一。三月四日の地方行政委員会における一課長の答弁は主として第三だと言っている、交通至便な地区だと、こう言ったんです。そして十五分間で大体行けると。あなた現地へ行ったことあるのかと、行ったことありませんと。どこでそんな測定したのかと言ったところが、いえ役場からつないでみたと。これは役場というのは旧飯田の一番玖珠に近い町の境界線のところにあるんですね。ですから、そこから行けば確かに十五分かもしれぬ。しかし、いま言ったように、この分布から見て、そんなことが言えるのかと追及したところが、結果的にきょう今度は局長が出てきたら、いやに三は余り言わぬで一を今度は強調している。  そこで今度は一の問題ですけれども、いわゆる「五千件」の問題で今度は理屈を出してきましたね、特別な件数というんですか何か知りませんが。そんなことはどこに書いてあるんですか、ここに。特別件数何ぽとか書いてないんじゃないの。「以下、「事件数」」ということは書いておるけれども。そんなことに今度はまた論拠を変えてきた。しかも過去三年ということは一体何を意味するんですか。過去三年ということは大体三年で通算するということは、逆に言えば大体ここの庁の場合に、件数が恒常的な一つの目安としてその平均値を出した方がいいんじゃないかという意味だと私は理解しておるんだ、これは。そうすれば、ここの地域のいまの実態、大分県で唯一の開発地域、しかも登記事件数がこれから累増することは必至、こういうような条件を持ったところから見れば、統合するのは過去に向けて統合するわけじゃないんだから、これからどうかということが物差しになるわけだから、そういった点を留意事項の第一項の中にちゃんとわざわざ入れておる。ちゃんとここら辺は留意しなきゃいけませんよということを入れておる。そういう言い方でなく、もっと素直になったらどうなんですか、いかがですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) お説のとおり、この答申の基準の中には特殊登記とか通常登記というような区別はいたしておりません。ただ、過去三年間というようなものについて考えるわけでございますけれども、将来の予測というような点につきましては、やはり一般の登記事件というものを中心にして考えざるを得ないわけでありまして、各地の件数について今後の見通しをはかるというような場合にはいずれも通常事件というものを基本にいたしておりますし、予算等の面におきましても別途な扱いをしておるわけでございまして、将来の展望ということから考えますと、やはり一般通常事件というものが伸びる庁、これがやはり将来事務量として事務量の膨大化ということを考えなければならない庁であると、かように考えている次第でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 答弁になっていないじゃないか。局長、あなたのはいま答弁になっていないんだよ。  私は第一に言っておるのは、この交通の利便さという問題は第三に、この実態を見てもなおあんたは強引に当てはめようとするんですか。これはもうこの事実を見ても何か特別に、合併したらバス会社との連携をとってもっとこううまくつなぐようにバス会社にさせるとか、法務省特製のバスを配置するとか、そういう考えですか。どうなんですか、三に固執しているようだから。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) もちろん私どもの力で交通状況を変えるなどということはむずかしいことでございます。それは十分承知しております。ただ交通状況につきましては、これは個別的にはいろいろこう不便な地域が区域内にあるという事情はどこの庁を見ましても、統合しております庁を見ましてもこれはなくはないわけでございまして、不便なところからは現在の庁にまで出てくるにもある程度の時間がかかるわけでございまして、その現在のあるところの庁と統合庁との間が近いという場合にはそれにプラスされる時間というものも比較的少ないということで御辛抱いただかなければならないというようなことも考えられるわけでありまして、現に北海道などにつきましては、これはこちらとは違いましてかなり不便なところも一応統合の対象としてそういう措置をとっておるわけでございまして、個々の部落、いろんな周辺地域というようなところから半日かかるというような例外的な場合はございますと思いますけれども、そこはやはりこの基準によりまして統合をさせていただいているというのが現実の状態でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 私は、お願いしますとかなんとか、実態がどうだとか、どこどこにはお願いしていますとか、そういうことを聞いておるんじゃない。あなた方がこの三の事件数が交通至便な地域でおおむね三十分程度の範囲内の中にこれを入れておることがいまこの数字を見ても言えるんですかどうですかと聞いておるわけだ。言えないでしょう。はっきりしなさいよ。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 私どもは三の基準に該当するものであると、かように考えております。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 この時間を見なさいよ。これを見てどうして言えるんですか。だから私は言っておるでしょう。法務省の方で特別バスをつくるんですかと、それとも運輸省に頼んで三十分に近づけるように、「おおむね三十分」と、こう書いておる。その中に当てはめるようなそういう所要の措置ができておるんですかと、こう聞いておるわけだ、入れると言うならば。しかしそうでないならはっきりしなさいよ。事実が数字が出ておるじゃないですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 第三項の三十分というのは、登記所から受入庁までの所要時間でございますから、本件に即して申しますと、これはそれほどの時間はかからないと、この三十分に相当するところはきわめて短時間であるということになるわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 あなたこの答申の趣旨を大事にしなきゃいけませんよ。こういう庁の実態がある、そのためにわれわれ所定図の人口分布まで出しておるわけだ。そうして、その時間表まで出しておるわけだから、何も役場から行くという議論にはならぬでしょう。登記所に行くのに住民の皆さんというのは全部役場に寝泊まりしておるんですか。そんなもうわかり切った感覚でどうして……。ここの答申の留意すべき事項のさっきあなたが読み上げた中にありますように、地域住民の皆さんに具体的な内容を説明して十分理解と協力を得なきやならないと。こういったことは理解できますか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 基準の解釈を申し上げてもなかなか御納得はいただけないと思いますが、第一の基準は、登記所の管轄区域内の市町村の中心的地区から受入庁までの時間をおおむね六十分というふうに見ているわけでございますが、第三の基準は統合庁と受入庁との時間の所要時間をとらえまして、ただ結局それを一律に適用いたしますと、地域全体が交通不便だという場合にはそれは酷であるということで、交通至便の地域にある登記所というしぼりをかけているわけでございまして、所要時間が登記所から登記所までの時間を三十分というふうに制限を、制限と申しますか基準を設けていると、かような関係になるわけでございます。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、統合される、廃止される庁までの時間にプラスするところの時間が三十分以内であれば、これは統合の基準に該当するというような考え方になっているわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 あなたの説明を聞いておって、理解しようにも仕方がないと思うんですがね。何でそういうことに固執しなきゃならぬのですかね。やっぱり素直にこういう事実が出たら事実として——あなた自身は現地に行ったことはないんでしょう。局長、行ってないんでしょう。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 現地に参りたことはございません。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そうでしょう。だから、こういう数字が事実であるかどうかということについてあなたに確認する必要があるかもしれぬ。しかし、こういう時間表なり時間の測定というのが事実とすれば、当然これは第三項から除外すべきじゃないでしょうか。そう思うのが当然でしょう。あなた自身もさっきから落ちつかないのは、やっぱりそういう心、気持ちとあなた自身の心との葛藤があるんでしょう。やっぱりこれを見れば率直に言ってこれは認めざるを得ぬなあと、第三項に入れるのは無理だなあと思うけれども、しかし後ろから室長が一生懸命つつくものだからやらざるを得ぬと、こういう心境じゃないんですか。もっと素直にこの事実を、数字を見ればこれはやっぱりちょっと無理だと、おれが聞いておったのと大分違うなあと、こういう気持ちでしょうが、いかがですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 決して無理だと知りながらお答えを申し上げているわけではございません。いろいろ各地の状況に応じまして御不満あるいは若干の御不便というものをおかけしているところは多々ございます。またこれにつきましては昭和四十八年ごろから長く地元と御折衝申し上げているわけでございまして、いろいろその間説明に不十分な点あるいは対応に不適切な点があるかと、決してそういった私どもとして足りないところが全くなかったなどと申し上げる自信はございません。ただ、先ほども申し上げましたように、登記所の適正配置というものが、これは法務行政のためにぜひとも、これはある程度推進をせざるを得ないという気持ちでございまして、これは何とか地元当局の御理解を得まして統合の措置をとるようにいたしたいと、こう考えている次第でございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 素直に認めたらどうですか、第三点は。あなたが少々無理をしてとか、住民の皆さんに協力を願うとか言ってみても、これは無理がきける状況じゃないでしょう。しかもこの第三点のいわゆる基準から見たらここは当てはまらぬということだけは事実としてわかるじゃないですか。それは素直に認めたらどうなんですか。なぜそんなに強情に否定するのですか。この数字が間違いかどうかあなたが確めることは結構ですと言っておるんですよ。しかし、このバスの時間表なり、それからキロの時間のはかり方なり、そういうことについて議論があったとしても余りにもかけ離れておる。この実態をあなた自身は今度は役場からの距離だなどという——後ろからまたいま伝言がきたけれども、恐らくそういうことが書いてあると思うんだよ。そういう感覚でこれをやるなんていうことはもうまさにこれは役人の最たるものです。住民の感覚など全然もう頭に置いてない。そんなことはぼくは言いたくない。住民の皆さんはこういう地域に旧四町という形成過程からこういうところに存在しておるわけだから、それから見て若干これは第三に当てはめるのは無理だなと思うなら、数字を確めるのは別にして、このくらいは事実とすれば確かに無理であるということを率直になぜ言えないのか、なぜあなたはそんなに……。局長でしょうが、直接の責任者でしょうが、なぜしっかりしないんだ。どうですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) いろいろ資料もいただきまして、いま直ちにこの資料がどうであるこうであるということを申し上げるだけの材料はないのでございますけれども、とにかくまあ現在の時点におきまして野上の出張所の管内の方が野上に出られる時間、それと玖珠に出られる時間との間には、これは資料の上からはさほどの時間の相違がない。つまり両庁間の距離が非常に近いということでございますので、もちろんこれは玖珠の現在の庁舎に野上を統合すると仮定した場合の時間でございますけれども、その差というものは比較的短時間であるということがございますし、また現在たとえば高校生の通学状況を見ましても、野上町内の高校生の方が玖珠町まで通学をされるという状況もあるわけでございまして、これが異常に常識とかけ離れた無理な、そもそも考えることが無理な統合であるというふうにはとうてい考えられないわけでございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 大臣、あなたが留守中にこういう資料——出る前に資料を見せましたね。これを見ればおわかりのように、もし統合庁に行くとすれば、旧四部落から、いわゆる旧四町、これは二ページ目にございますように、いまでもこういう人口分布ですから、旧四町にはそれぞれ支所を置いておる、役場も。言うならば本庁一本でいけない、そういう分布でございますからね。ですから、そういう配置をしておるところを今度は玖珠町に行くということになりますと、いわゆるバスの時間表、汽車の時間表を見ても、過疎ですから、こういう実態なんです。その中をつなぎ合わせていけば四時間ないし往復を考えると一日かかる、こういう実態がこの第三項の交通至便な三十分程度の範囲内という中に当てはまらないことは明確なんです。にもかかわらず、まだ局長自身は、これを見るとやっぱりいま確かにそういうことが言えないこともないということを言いながらも、なお固執しておるんですが、大臣はこの時間表を見て、これが皆さんの方でまだ確かめてないから確かめた上でなければ最終的な判断ができないことはよく承知していますよ。しかし、この時間表がもし事実とするならば、これは第三項はちょっと当てはめるのは無理だなということについては御理解いただけますか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 私は一般的に申しまして、法務省といたしましても、御存じのように、整理統合をしなければならない個所がたくさんございまして、地元の住民の方々とも接触しておる人たちが登記所の役人としてやっておるわけでありますから、個々のケースにつきましてはそれらの人々が住民の方々とそれぞれの手続を経て接触もいたしておるのでございますので、個々のケースにつきましては、私は登記所の職員並びにこれをやっております人々を信頼して任せておるわけであります。そういうことにつきましては御理解いただけると思うんであります。  で、ここで短時間の間に私がこれを見ましてどう判断をするかというふうなこともいたしかねるわけでありますので、これは私どもは民事局の人人がこの結論を出しますまでにはかなりそれぞれ苦労して持ってまいりました案でございますので、これに信頼をいたしておるわけであります。しかし、もちろん人間のやることでありますから手落ちもあるかもしれません。そういう場合にはこれは注意をいたして、そういうことのないようにしなければなりませんけれども、私はいま問題になっておりますところにつきましては、そう詳細な報告は聞いておりませんけれども、やっぱり民事局の人たちのやりましたことにつきましては、できるだけ各方面の地元の方々に御理解をいただいて御協力を願うようにいたしたいと思っておるわけであります。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 この問題は、三月四日の地方行政委員会の中でも取り上げて、自治大臣の方から法務大臣によく話をする、こういうことになっておるんですが、自治大臣から聞いていませんか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) そういうことはあったかもしれませんが、それはきっと私の都合で民事局の者がかわりに会っているかもしれませんが、そういうことはしばしばございます。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 それでは、いま私がこの具体的な数字を出して、なかなか大臣は読む暇がない、まだそこまで。信頼しておる部下がやっておることだから間違いがないということで信頼しておるんだけれども、もし間違いがあればそれはひとつ検討しよう、こういうふうに私は受け取っておるんですが、しかし、新聞にございますように、この九重町ではこの問題で一切国に対する非協力という態度を決めようとしておるわけです。そうなりますと、いま言うエネルギーの大きな期待を担っている地熱発電についてもダムの建設についても、これはもう全く非協力という態度に出ざるを得ない、町を挙げて。こういう事態になっておるわけですから、これはやっぱり大臣が地元のことについては何も知らないということではもう済まされない。やはりこの事情を聞いた上で、大臣としての判断をしなきゃならぬ時期に来ておると思うんですね。私は先ほどからあなたの留守中に言っておるように、そもそもこの統合基準のこの四点に当てはまらないものを無理やりに当てはめようとしておる。そしていま局長の答弁を聞くと、交通至便であるかどうかというのは、これを見れば一遍にわかる。それはわかるのに、後ろからつつかれると、ある面ではわかるようなわからぬような答弁に終始せざるを得ない。しかし、それでもなおかつ固執しておる、こういうことでは事態の解決は一向に私は出てこないと思うのです。  それから第一点のいわゆる五千件の問題にしても、過去三年ということを盛んに強調なさる。しかし、これは先般の四日の委員会の際にも第一課長の答弁でも、むしろウエートを置いたのは三にウエートを置いたのです。一の問題は確かにもう六千件を超えて、将来見通しとしてもこの枠を外れていくことは明確な事実があるだけに、それを認めざるを得なかったと思うのですよ。ですから、そういう面から見ると、無理にここの場合には統合しなければならぬという理由がないんです、この基準から言ってみても。しかも、この留意事項の中にある開発地域にも入っておる、自然的地理的条件の中にも入っておるということで、特別に留意しなければならぬ地域。それを無理にするという一番大きなあれは何かといえば、恐らく今度の五十五年度予算の中に庁舎の建設費としてそれを計上した。だから、何とかしてメンツにかけてもやり遂げなければならぬのだ、民事局長の答弁によると、住民に少々の不便をかけても協力していただかなければならぬのだ、こういう言い方になっておるのじゃないかと思うんです、背景が。しかし、これも問題がある。なぜなら、この土地の確保というのはいつやったかというと、一月の二十九日なんです。そのときは国会に予算案が出た直後で、まだ代表質問のさなかです。そのときにもう土地を確保する。こういうやり方も国会軽視の最たるものですよ。そこまで無理をして、無理から無理を重ねてやっていくのが法務省の行政改革の姿勢ですか。どうなんですか、大臣。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 具体的のことを余りはっきり私も理解しておりませんので、お答えがなかなかむずかしいのでありますが、やはり整理統合ということは時代の進展に伴っていろいろな地域の状況も変化いたしますから必要がありましょうし、それからまた業務量が非常にふえたとか、あるいは全然そういうことに遠ざかってしまったとか、いろいろ条件が変わってまいるでありましょう。いろいろそういうことに即応して、政府の出先の小さな機関でも変更、変化が出てきた場合に、それに即応した行政機構をつくってまいることは当然必要なことだろうと思いますが、そういうことについて私がさっき申しましたのは、出先も地元の方々とできるだけ接触して、そして地元の御意見も理解し尊重して、またこちらの希望もよく理解をしてもらって円満にやっていくように指導はいたしておるつもりであります。しかし先ほど来お話になっておりますところにつきましては、私まだ十分その詳しい解説を聞いておりませんので何とも御返事のしょうがないわけであります。  ただ一般的に申し上げられますのは、民事局もそういう問題について大変苦労しておりますので、できるだけ地元におかれてもそういうことについての御理解をいただいて御協力を願いたいと、こういうことを私どもが念願といたしておるところでございます。もちろん地元の方々との接触も大事でありますけれども、そういうことにして相互で理解をしていただいてやっていただくのでなければ行政機構の改革などということはできないのでありますから、その辺については苦労しておるわけであります。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 大臣の答弁は結果的に実情がよくわからないと、ここの問題は。基本的には理解をしていただくかわりに法務省の方も地域の実情を理解しなけりゃならぬ、相互理解の中で進めていかなきゃならぬものだと、そういうふうに私はいま受けとめたんですが、よろしいですか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) そういうつもりでやっておるわけであります。

佐藤三吾日本社会党

○佐藤三吾君 そこで大臣、もう時間ございませんから、私の質問はきょうの段階はこれでやめざるを得ませんからやめますが、しかしいま出した資料というものをよく読んでいただいて、そしてここは四つの条件の中に合致してない、にもかかわらず予算がついたということを理由にして押しまくっていくということは、これは私はいまあなたが言ったこととはかけ離れていると、こう思うんです。そしてここの経緯で言えますことは、やはりどんなに現地の法務局長なりここにいらっしゃる直接担当の三宅さんにしろ、余りにも麻生町長が反対一本やりだったから話をするのがなかなかおっくうだった、こういう言い方をしておりますけれども、しかしいやしくも町長であり町議会の代表の議長ですからね、総体的にはやっぱり地域住民のためを考えて物を言ってまた行動をしておるわけですから、やはりそれをペテンにかけるようなそんな行為はもう不信の第一ですよ。やっぱり正々堂々とぶつかって議論をし合って、そして理解をしていただく、またこの地域の皆さんの意見も聞いて無理かどうかを判断していく、こういった姿勢が行政改革のときにはとりわけ私は必要だと思うんですね、統廃合の問題のときには。それをいま言うようにこの趣旨の中にもいわゆる統合庁をつくる場合の考え方も出ていますね。いわゆる住民の意見をよく聞いて、現在あるところとかいうことにこだわらずに新しいひとつ統合をしなきゃならぬというようなことを指摘していますけれども、むしろそういう問題についても両町の問題ですから、仮に統合するというような問題にしても大方そこら辺の話ができ上がって、そこでさてどうしましょうか、土地はどこら辺にしましょうかということで両町を入れて話し合うならともかく、一方的に、しかも二十八日に行って検討しましょうと言っておって、翌日もうぱっと土地を一方的に決めてしまう、こういうやり方をやりますと、これはもう不信しか残りませんよ。信用ならぬと、法務局の言うことは。こういう形になるからエキサイトしてくるわけですね。それがまた住民の皆さんから見ると、それならひとつ徹底的にやれというかっこうに私はなってきておると思うんです、現状は。だからそういう問題ですから、私はここら辺の取り扱いについては、これはひとつ大臣、よく調べていただいて、そしてできればひとつ町長の言い分も——自分の信頼する部下の言うこともそうだろうけれども、町長の言い分も聞いて、その上でこの問題に対して最終的にひとつ結論を出す、こういった方法をぜひとっていただきたいということを私強く要望しておきたいと思うんです。もしこの取り扱いがこのまま推移しますと、恐らく私はいま言ったように国に対する非協力という行動は具体的にどういうことを意味するのか、それについては今後九重町の中で考えていくと思いますが、事が全町民、町議会を含めて、保守、革新も含めて一致してこの闘いに立ち上がっておる内容から見るとかなり抵抗すると思わなきゃならぬと思いますし、大変な支障が起こってくるだろうと私は想像します。ですからまずやっぱり不信を取り除くこと、そして第二には四つの条件に厳格に照らし合わせて見てもここの場合には適合しないわけですから、その場合には仮に予算がついておってもこの際一応の問題が円満に解決するというめどがつくまでたな上げする、こういう方向をひとつ含めて検討していただきたいということを私は要望して質問を終わりたいと思います。

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      —————・—————    午後一時三十四分開会

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和五十一年度決算外二件を議題とし、法務省及び裁判所の決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。和泉照雄君。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 私は、本日、刑務行政についてお伺いをするわけでございますが、まず最初に、監獄法の改正作業の中で一番問題になっております代用監獄制度についてお伺いをいたします。  身柄を拘置された被疑者は、本来拘置所に移さなければならないにもかかわらず、監獄法第一条第三項によって警察の留置場を監獄として代用することを認めております。これは、監獄法制定当初、拘置所のない地域など、万やむを得ない場合の例外措置と言うべきものでございまして、今日のように拘置施設が整備された段階においては廃止さるべき性質のものであると存じます。しかし、監獄法制定以来七十年を経た現在もこの制度は全国的に残っております。一日平均五千人の起訴前の被拘束者が留置場に収容されております。にもかかわらず今日の監獄法改正に当たってもこの代用監獄制度は存続されると聞いておりますけれども、存続理由はどこにあるのかお伺いをいたしたいと存じます。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 代用監獄を今後どのように取り扱っていくかということは、お話のございました現行の監獄法の改正作業に関連する問題でございます。  そこで、監獄法改正につきましては現在法制審議会において鋭意審議を続けておる最中でございますが、同審議会の答申を受けましたら、その趣旨に沿って対処する所存でございます。  ちなみに申し上げますが、法制審議会の答申は本年じゅうに出されるものと考えております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 その答申の内容を大体聞いたところでは、存続をするという方向のようであるというふうに私たちは受けとめておるんですが、その辺のところはいかがですか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 法制審議会の監獄法改正部会では、代監問題につきまして制度的改善を加えた上に存置すべきであるといったような御意見が出ておる模様であります。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 新しい受刑者の人員の推移を見てみますと、四十七年には三万人前後であったものが、五十一年には約二万四千人に減少しておるようであります。それ以降は横ばい状態でございますけれども、一部の累犯者を除いては再犯率も低下していることがはっきりあらわれておるようであります。加えて今日、行刑施設として本所が七十四ヵ所、支所が百十五ヵ所あります。代用監獄を使用しなくても被疑者の拘置は十分行えるのではないかと存ずるわけでございますが、そういうことで、したがいまして代用監獄制度というものを存続をするということには意味が薄弱のように思うんですが、大臣の所見はいかがですか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 大分法律技術的になりましたので、事務当局からお答えいたします。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) お答えいたします。  私ども一の行刑施設−刑務所、拘置所でございますが、これに収容しております人員の総数は、現在五万ないし五万一千の人数でございます。そのうち九千から一万ぐらいの人数が、これがいわゆる未決拘置、拘置所ないし刑務所の拘置区に収容されておる人員数でございます。  御指摘の問題は、この未決拘置を、現在の警察代用監獄に拘束しております被勾留者、これをそちらへ引き取って収容すればどうかというお尋ねであろうかというふうに思うわけであります。  大勢的な点を最初にちょっと申し上げておきますと、確かに戦後の大変大ぜい拘禁した時期と現在を比べますと収容者は減っておるのでありますけれども、五十年以降収容者の数は全体的に見ますと増加の傾向にございます。  そこで、現在の収容定員なんでありますけれども、未決拘禁者の収容定員が約一万五千名でございます。そういたしまして、一日の最大収容人員、現に収容した人員の中で最も多い一日は幾らであったかと申しますと、一万二千名ぐらいでございます。そういたしますと、計算上約三千人の収容余力があることになるわけでありますけれども、実際問題といたしましてこれはまあトータルで言えることなんでございまして、ある地域に%きましては代用監獄に入っております被勾留者をすべて拘置所へ収容できない地域がもちろん多々あるわけであります。そういった地域ごとのバランスを考えて収容ということに相なりますと、現在ほとんど収容余力がない、未決拘禁者を代用監獄から私どもの拘置施設へ引き取る収容余力はほとんどないという状況でございます。したがいまして、収容につきましては収容施設を増設しなければならぬという問題があるわけでございます。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 さらにこの代用監獄制度の持つ問題に、被疑者の人権問題があろうかと存じます。  被疑者が送検後も身柄が警察にとどめられてその支配下に置かれているということは、自白の強要とかあるいは拷問などにつながる危険性が大きいと言わざるを得ないと思います。現に過去の冤罪事件においても、うその自白のほとんどが警察に拘束されている期間に生まれていることからも明らかであると存じます。一たんこのように誤審によって破滅させられた人生のやり直しはできないわけでございます。簡単に補償し得るようななまやさしい問題ではないのでございます。このことは、いわば刑事訴訟法上の一方の当事者である捜査当局が相手方の身柄を拘束して管理するのは法のたてまえからしても私はおかしいと思うのでございますが、御所見を伺いたいと思います。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) いわゆる被疑者の取り調べの問題でございますが、この側面は実は私ども矯正を預かっております者の所管するところからは離れておるのでございますが、監獄法改正の議論の中でその点に触れて論議がなされておりますので、監獄法改正部会等の議論を御参考までに申し上げたいというふうに思います。  御指摘のように、警察留置場を代用監獄として利用し、いわゆる勾留のついた後の者を代用監獄に拘束しておりますと警察の調べは大変便利がよくなるという側面があるわけであります。この便利がよくなることがいいのか悪いのかが一番論議の分かれるところでございまして、御指摘のように、すぐ捜査担当者がそばにおりますところに被疑者の身柄が拘束されておる、しかるがゆえに人権侵害が行われるんだという御指摘に対して、人権侵害があるとは考えられない、人権侵害があるというデメリットよりは捜査が完全に遂行できるというメリットがきわめて大きいんだと。そういう意味で代用監獄は、そういう捜査遂行上も必要な制度なんだという意見が一方ではあるわけであります。現実の捜査上、果たして人権侵害があるのかどうか、またそれが代用監獄であるがゆえに人権侵害があると言えるのかどうかという点は私どものつまびらかにし得ないところでございますけれども、論議としてはそういう両側面からの論議があるということを御紹介しておきたいというふうに思います。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 そのように捜査の便宜上代用監獄制度が有利に作用するんだというような考え方は、私は被疑者の人権の立場からは大変な考え方じゃないか、このように思います。  また過去に、冤罪の問題にしても、そういううその自白というのが起こったのは、代用監獄の警察の留置場でやられたということがほとんどの実情のようであるということから考えますと、やはり被疑者の人権というものを尊重するためには留置場を代用監獄制度、そういうことから離してやるということが大事ではないか、こういうふうに思えてならないわけでございます。  そういうことで、代用監獄制度ということは人権の墓場であり、また諸悪の根源あるいはまた権力犯罪の温床とさえ言われておるのはそういうことから私は言われておるんじゃないか、このように思うわけでございますが、第十二回の国際刑法学会で禁止の決議がなされたのも当然かと思います。わが国の刑法学者の中にも廃止論者が非常に多いようであります。にもかかわらず、法制審議会監獄法改正部会においては存続が決定をされているというのは、一体わが国の刑事政策はどうなっているのかと、私は非常に疑いを持たざるを得ないと思います。部会において審議が尽くされた結果だと、こういうふうに言ってしまえばそれまででございますが、部会の委員の四十名の出身別を見ますと、警察、検察、法務関係が十八人、裁判官六人、合計二十四名であります。そのほか弁護士、学者等が十六名となって、過半数は警察、検察、法務関係、裁判所の二十四名になっておるようであります。  こういう構成メンバーで見る限りには、結論はすでに決まっている、このように思えてなりません。しかしながら、立法は妥協である、このようにも言われております。そういうことから、対立両者が折り合っていろいろこの問題を話し合うことはできなかったものか、一方的にそういうふうに存続を決めつけるという方向ではなくて、もう少し妥協の所産があってもいいのではないか、私はこのように思います。  ですから、拘置所の早期整備は一日も早く実現をしなければならない、こういうことは大方の御議論でございますが、それまでの対応処置としてこの代用監獄の警察の管理というものを法務省の職員にゆだねることなども一つの方法ではないか、こういうふうに思うのですが、この点はいかがお考えでしょうか。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) 初めに警察留置場を法務省の職員の管理のもとにゆだねるのが一つの方法ではないかという点につきまして、最初にお答え申し上げたいと思います。  現在の警察留置場にはおよそ三種類のものが収容されておるわけであります。その第一の類型は、これは当然のことなんでありますが、いわゆる警察が逮捕いたしまして拘束取り調べをしております四十八時間内の被疑者であります。これは警察留置場へとめ置くのが当然のことでございまして、警察に留置場がなければ困るわけでございます。そのほかにも、いわゆるトラ箱的な意味での留置施設というものも必要なわけでございます。  問題になりますのは、勾留がつきました後の被疑者あるいは勾留がつきました後の被告人を警察留置場に留置しておくこと、それから第三種の類型といたしまして、受刑者を警察留置場にとめ置くこと、これが適当かどうかという問題があるわけであります。  御質問の趣旨は、この警察留置場を全面的に法務省の役人で管理をしたらどうかというお尋ねのようなんでありますけれども、警察としては被疑者留置の施設として留置場を割くということは、これは不可能なことでございます。  で、まあ考えられますのは、結局被勾留者を代用監獄でなく本来の拘置所に収容するという方途を考えるということに落ちつくわけでございます。その方途につきましては、実は今回の監獄法改正の議論の中で附帯要望事項というのがございまして、その要望事項の中で、法務省が管理するところの拘置施設を増強すべしという附帯要望事項がついております。これは従来の考え方と大きく転換した点であろうというふうに思うわけであります。つまり入れ物がなければ入れようがないという問題、これが監獄法サイドの最大の問題でございまして、その点について配慮をしろという決議でございますので、これは大きな前進であるというふうに考えております。議論の中ではいろんな多種多様な議論が部会で出ております。たとえば弁護士会から出ました、否認をしておる者はこれは拘置所へ持っていく、認めておる簡単な事件だけ留置場へ置けばいいじゃないかというような意見などもあったわけでありますけれども、およそ監獄法サイドの問題として考えます場合に、施設の増強というのが第一義的な問題であり、そのことを満足させるよう努力をする。それじゃそれまでの間代用監獄が残るではないか、それに対してどうするかという問題がございますので、当面受刑者のもう収容はやめてしまうということを一つ考えております。  それから、入っております被勾留者につきまして、その処遇は拘置所の収容者並みにしていく、つまり適正な処遇を確保していくということを考えるべしということに相なっております。たとえば法務大臣が刑事留置場の運営、これはいわゆる代用監獄でありますが、警察支配の代用監獄につきまして法務大臣が必要な事項の通報を求めたり、あるいは処遇について意見を述べたりする機会を設けよう、それから、国家公安委員会が未決拘禁者の処遇に関しまして規則をつくります場合に法務大臣と協議をさせよう、それから、拘置所に関する規定はすべて警察の代用監獄に適用をしよう、それからさらに、これは附帯要望事項の中にあるわけでございますけれども、警察当局は、いわゆる取り調べを担当します刑事警察官は収容にタッチをしない、未決拘禁者の収容にタッチします警察官は捜査に関係のない人間をしてそれに当たらしめる、それから、そういう処遇に当たる警察官の教養訓練の充実に努めるといったようなことも附帯決議でなされております。これらの問題は、改正点は大変現実的な対応として多くの方の賛成があったところで、まあ絶対的な多数で、そういうやり方を部会としては決定をしたという経緯に相なっております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 代用監獄の問題はそれだけにしておきますが、次は、受刑者に対して行っている職業訓練についてお伺いをいたします。  まず、昭和三十一年の三月の十七日付の法務大臣訓令によって、受刑者職業訓練規則、これが出されておりますが、これによりますと、「刑務所、少年刑務所及び拘置所において、受刑者に対し、職業に必要な技能を習得させ又は向上させるための職業訓練を適正に行うこと」、つまり受刑者の社会復帰をよりよくするために職業訓練を実施することを目的としているというふうに述べられておると、私はこのように確信をしておりますが、まず、この御見解を伺いたいと思います。  さらに、この規則の目的というのは、労働者と受刑者の大きな違いはありますけれども、職業訓練法の目的である労働者の職業に必要な能力の開発向上のための内容の充実強化、職業の安定と労働者の地位向上という、労働者の雇用安定に職業訓練を行うことと、このようになっておりますが、こういう精神と受刑者の職業訓練は相通ずるものがあると思うのでございますが、その辺のところの御見解をお聞かせ願いたいと思います。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 受刑者の職業訓練は、釈放後の生計に必要な技能を習得させまたは向上させることを目的として、受刑者の性格、刑期、学力などを勘案いたしまして適当な訓練種目を選定して行っておるところでございます。  なお、詳細につきましては事務当局から御報告いたさせます。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) 委員御指摘の点は大変重要な問題でございまして、私ども受刑者を処遇します場合にも当然目標といたしておるところでございます。そういたしまして、先ほど御指摘のございました一般社会の労働者についての職業訓練の目的、そういうものと受刑者の場合との径庭というのは基本的には私はないというふうに思います。まさしく社会生活上有用な職業を身につけさせるということが受刑者にとっても必要なことだというふうに考えております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 そこで、受刑者が刑務所で受けられる職業訓練は現在どのように行われているか、お伺いをいたします。  まず、職業訓練の施設はどのようになっているのか。たとえば受刑者が収容されているその施設で受けられるのかどうか、外に出ていかなけりゃならないのかあるいはその中で受けられるのかどうか、あるいは希望する人全員が受けられるような施設になっているのかどうか、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) 数字が、五十三年度の数字で御了解いただきたいと思うんですが、五十四年度の数字がちょっとまとまっておりませんので、五十三年度におきまして千八百三十九名の受刑者につきまして三十四種目の職業訓練を実施いたしております。木工あるいは製版印刷、あるいは左官あるいは機械あるいは板金あるいは船舶職員科、そういった科目、これは代表的なものでございます、がございます。そういたしまして、職業訓練の場でございますけれども、職業訓練の場は刑務所、刑事施設内におおむね持っております。しかしながら、施設外でそういう職業訓練を行うのが適当だというようなものもございます。たとえば土木機械の操作を職業訓練するというようなことに相なりますと、これは広い原野で行うというのが適当な場面があるわけであります。あるいは船舶職員の場合にいたしましても、船の訓練をいたします場合には海上へいわば解放いたしまして、そこで訓練をするということが必要になるわけであります。したがいまして、たとえば函館の少年刑務所におきましては船に乗せまして、海の上で船舶職員訓練をするといったやり方をいたしております。これは施設内ではございません。しかし、木工とか製版とか左官とか機械とかいったような作業の大半は施設内で訓練を行っております。  それで、先ほどの要望に十分沿っておるかどうかという御指摘でございますけれども、私どもはある一定の条件を設定いたしまして職業訓練を行っております。で、条件にはいろいろございまして、先ほど大臣から答えられたようなことなんでありますけれども、たとえば一年に満たないような短期の受刑者につきましては、職業訓練の期間として不足でございますので、訓練の実施のしようかないという問題がございます。それから、本人が幾ら勧めても職業訓練を希望しないというのもかなり多いわけでございます。だれもがわれもかれも職業訓練を受けたいと言うて申し出てくるような状況の中で人を選ぶ場合ですとかなり選びやすいのでありますけれども、むしろ施設側で、おまえは社会へ出たときに身に職をつけておく必要があるんじゃないか、もともとおまえはかなり高度の知識を持っているんだからすぐに技術が身につくだろうから、こういう職業訓練を受けたらどうか、というようないわば勧告といいますか、勧めをいたしまして、そして職業訓練につかせるという場合も少なくないという状況でございます。そういった要素を加味いたしまして、現在先ほど申したような千八百三十九名、二千名足らずの受刑者について職業訓練を実施いたしておりますが、これはさらに強化してまいりたいというふうに考えております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 昭和五十四年度の犯罪白書の新受刑者の性別・年齢別構成比によりますと、男子の場合は四十歳と五十歳代以上合わせますと全体の大体三〇%。女子の場合が大体、四十歳代が三二%、五十歳以上が一七・三%、四九%——半数が四十歳代以上でありますが、受刑者職業訓練規則第三条第一項第一号によりますと、職業訓練が受けられる受刑者の年齢が四十歳未満の者となっておりますけれども、四十歳以上のいわゆる中高年齢属の方々はその対象から外してありますが、これはどういう理由に基づくものであるか、御見解をお聞かせ願いたいと思います。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) 御指摘のとおりの規定に相なっております。そういう規定になっております基本的な理由は、実は国際的な矯正思潮といいますか、矯正の上での考え方といたしまして、若年者に対して有効な職業訓練を行えという思想があるわけでございます。たとえば、国際連合の犯罪防止の会議で作成し、各国がそれを守るということにいたしております被拘禁者処遇最低基準規則というのがあるわけでございますが、その七十一条の(5)を見ますと、「職業訓練は、それにより効果をあげることができる受刑者および特に若年者に対して行なわなければならない。」という規定を置いておるのであります。そういう趣旨を受けまして若年層の職業訓練というものを重視した結果がそういう規則に相なっておるんだというふうに理解をいたしております。  しかしながら、委員からも御指摘がございましたように、中高年齢者に対する職業訓練の必要性というのは私どもも十分意識いたしておりまして、いま申した規則の中でも第二項の規定の中で、右の要件を満たさない者についても職業訓練が行えるんだという、いわば原則を外した規定な置いております。その規定に基づきまして、実際にも四十歳以上の者に職業訓練を実施しておるという実情でございます。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 法務省が提出をしました昭和五十三年における全受刑者に占める四十歳以上の者の割合を見ますと、全受刑者の数が四万一千三百十九人、四十一歳以上の受刑者数が一万二千六百八十八人となっており、四十歳以上の受刑者は実に全受刑者の三〇・七%を占めている状態であります。にもかかわらず、規則によって四十歳以上は職業訓練を受けられないということでありますから、ここに言う一万二千六百八十八人の受刑者はただ決められた刑務の作業をするだけで、自分の腕に技術を習得するという道は閉ざされているわけでございますが、いまおっしゃいましたが、そのパーセンテージはきわめて低いパーセンテージでございますが、これでは受刑者を更生をさせて社会復帰をさせ、そして生活を安定をさせるという大臣のお答えに反すると思うのでございますが、法務省みずからが中高年齢層のそういうような方々に対してみずから社会復帰あるいは生活安定の道を閉ざしておると言われても仕方がないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) 先ほどもお答え申し上げましたように、原則規定の中では四十歳未満の者という条件を付しておるのでありますけれども、特に必要があると認めるときはこれによらない、前項によらないことができるという二項の規定を設けておりまして、その規定によりまして四十歳以上の者の職業訓練も実施しておるわけであります。で、若年層の職業訓練が行刑上は大変重要なことだという意識は現在でも変わらないんでありますけれども、しかし、一般労働事情を考えてみますと、四十歳以上の者でも社会復帰が可能であるという人たちに対しましてはやはり積極的に職業訓練を施す必要があると私どもは考えております。現在四十歳未満の者の比率が非常に高いのは事実でございますけれども、今後四十歳以上の者につきましても、さらに職業訓練の度を高めていきたいというふうに考えております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 いま御答弁がございましたとおり、受刑者職業訓練規則第三条第二項には、「施設の長は、特に必要があると認めるときは、前項によらないことができる。」と、こういうことになって、そういうようなことが行われておると思いますけれども、しかし、五十三年度における四十歳以上の受刑者の中で職業訓練を受けている人の割合を見ますと、四十歳以上の受刑者が一万二千六百八十八人、このうち職業訓練を受けている人はたったの百五十五人でございます。全体のわずか一・二%にすぎないのであります。こういうことで本当の刑務行政が行われているとは言えないのではないか。受刑者のために親身になって社会復帰更生を考えているということは私は疑問視せざるを得ないのでございますが、この点はいかがですか。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) 受刑者が四万一千名いるという御指摘はそのとおりなんでありますけれども、そのうち職業訓練に適する人間がどれぐらいいるかということになりますと、四万一千がすべて職業訓練に適するという状況ではございません。さらに言うならば、職業訓練を欲する人間というのはきわめて限定された数であるというのが実情なんであります。その中から職業訓練をむしろ勧めてやらしておる、それが約二千名足らずであるという実情でございます。その二千名足らずの中で四十歳以上が百五十五名しかいないというのが多いか少ないかという論議に相なりますと、私どもはこれが十分な数字であるとは決して考えておりません。しかし、四万一千名の中の百五十五名という御指摘を受けますと、それは数字的にやや問題があるというふうに考えます。やはり二千名ほどの予算で認められました、また、実際に職業訓練に従事する資質、能力、あるいは社会更生の余地のあるそういう人たちの中で、百五十五名が多いか少ないかという論議に相なりますと、必ずしも私はこれが多いというふうには思わないんでありますけれども、なお努力する余地があるというふうに考えておる状況でございます。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 いま中高年齢層を一応離れまして、受刑者の有職——職を持った人、あるいは無職の別を見ますと、昭和四十年度には有職者が六二・九%、無職者が三七・一%あったにかかわらず、五十三年度には有職者が五五・二%に減りまして、無職者が四四・四%と、このように増加をしております。この数字を見ますときに、受刑者全体のものでございますけれども、やはり職を求める、腕に職の技術を仕込みたいという、そういう受刑者が非常に多いんではないか、こういうふうに思います。そういうことで、刑務所における職業訓練の必要性が非常に増しておると思うのでございますが、この点は大臣はいかがお考えでしょう。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) いま、受刑者の中で職業訓練を受けておる方の割合のお話がございました。私はいろんな事情があると思いますけれども、これはやっぱり役所の方でもできるだけ奨励、選択をいたしまして、社会に復帰した後の生計安定等に協力してやる結果を生ずるような職業訓練というものに力を入れることが必要ではないかと存じております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 法務省は華やかな法の改正はぼんぼんこのように打ち出していく、そういう傾向があるようでございますが、国民の目に触れない規則などは余り改正をする意欲をお持ちでないような感じがしてならないわけです。いまこの四十歳以上の方々には職業指導をやらないというこの規則の問題にしましても、また、今度監獄法を改正をして、模範囚には外泊を許可するというような、受刑者の社会復帰に関しては非常に関心を持っておる反面、刑期を終わって出た人たちの社会復帰あるいは生活安定を本当に定着をさせるというような細かい配慮が、この規則の改定によって私はなされなければならないと思うんですが、大臣、この規則の、訓練規則第三条という年齢の制限をやはり外すべきではないかと思うのでございますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) 多少技術的な面にわたりますので、私からお答えさしていただきます。  おっしゃいましたように、四十歳未満という条件がぎらぎらするという御指摘でございますので、その点は訓令を修正することはやぶさかでないという態度でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、若年層の職業訓練を重視せよという意味は、やはり社会復帰の可能性の高い、またそういう必要度の高い者をやはり重点的に矯正教育しろという、そういう世界的な指摘なんでございまして、その面をつぶしてしまえという御趣旨でありますならば、私どもは必ずしも賛成しがたいのでありますけれども、おっしゃいます四十歳以上の者を制限してしまっておるというふうにこの規則が読み取れるならば、その点は修正するにやぶさかではございません。  それから、最近無職者がふえてきておるという実情を先ほど御指摘いただいたんでございますが、実はここ数年覚せい剤取締法違反者が激増いたしておりまして、その中身は何かと申しますと、実は暴力団が大多数でございます。そういった意味で無職者がふえておるという状況で、しかも一これらの者は一年以下のきわめて短期のものが多うございまして、職業訓練を施す上で非常に問題がある部類であるという状況がございますので、付言さしていただきます。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 大臣は。

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) 大臣、いまの点について所見ありますか。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 規則改正。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 大切なことでありますので、考慮いたしたいと思います。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 次は、例の問題になっておりますレポ船の問題について御質問をいたしたいと思います。  二月の十二日に、わが国の防衛関係の文書などをソ連に渡すなどして逮捕された根室市のレポ船主に、公安調査庁旭川地方公安調査局の課長が公安関係の資料を流していたというショッキングな事件が明らかになりました。この事件は、さきの一月十七日に発覚した自衛隊のスパイ事件と並んで、国民に大きなショックを与え、国を守るべき自衛隊と法を守るべき法務省のそれぞれの幹部がスパイ活動を行っていたということについて、国民は何を信じればよいのか、わが国には法秩序というものはないのか、このように疑わざるを得ない状態であります。この際、今回の事件がどういう背景で行われたのか、あるいはまた捜査の現状かどのようになっているのか、説明を願いたいと存じます。

西本昌基公安調査庁次長

○政府委員(西本昌基君) お答えいたします。  公安調査庁は捜査には関係しておりませんので、捜査の実情につきましては他の所管の方からまた御説明があるかと存じますが、いまの御指摘の点についてしぼってお答えいたします。  公安調査官の調査は全く任意の調査でありますので、いわゆる公然資料、または公然資料を取りまとめた程度の部内資料を渡して、それ以上の情報をとるということはやむを得ない場合もあるのではないかと考えております。  御指摘のレポ船の関係について申しますと、捜査当局からの連絡によりまして、私どもの方で承知しているところによりますれば、右翼団体の動向に関するものでありまして、そして具体的にはビラとかあるいはポスター、街頭宣伝の際の主張など、いわゆる公然資料を取りまとめたものを渡しているように伺っております。決してこれは秘密に該当していないとこちらの方は考えております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 まあ逐次事件の内容については聞いていきますけれども、その前に明らかしておかなければならないのは、さきの自衛隊のスパイ事件と同様に、ソ連に流出した情報の源は法務省の幹部ということであるようであります。まして情報を流していた課長は、釧路地方検察庁から事情聴取を受けており、今回の事件に対する法務省の責任というものは重大だと言わざるを得ないと思いますが、この点について大臣の御所見を伺いたいと思います。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) これは公安調査庁がいま参っておりまして御説明を申し上げましたけれども、私どもへの報告も、いまありましたような報告を受けておる次第であります。

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) 刑事局の人は来てないですか。——来ていませんね。刑事局の方で来ておったら、それ答えてください。—−来ていませんか。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 今回の事件の情報流出の源である船山課長は二月二日に自殺をしております。この自殺の原因は、二ヵ月たったいまでも不明なようでありますが、実際不明なのか、責任を感じての自殺ではないのか、法務省の御見解をお聞かせ願いたいと思います。

西本昌基公安調査庁次長

○政府委員(西本昌基君) まず自殺の経緯を申しますと、船山第二課長は、二月二日の午前七時半ごろ、旭川市内の公務員宿舎で自殺しているのを妻が発見したわけでございます。そして遺書はございません。  ところで、船山課長は以前から慢性胃炎、高血圧症の持病がございまして、それに加えて本年の一月五日から一月十八日まで声帯ポリープ手術のために入院していたというような事情もございまして、そのような点から、病気を苦にした自殺だと推定されるものと考えております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 のどの手術をされて、体が弱くて、そういうことが積もり積もっての自殺だとあなたはおっしゃるけれども、その前にこのレポ船の関係で検察庁に取り調べを受けておるということが重なってのやっぱり責任を感じての自殺じゃないんですか。

西本昌基公安調査庁次長

○政府委員(西本昌基君) 御指摘の点ですが、ただいま先生の方から検察庁からの取り調べがあったのではないかという御指摘でございます。    〔委員長退席、理事穐山篤君着席〕 しかし、取り調べではなくて、一月の三十一日に、破壊活動防止法の二十九条にいういわゆる情報交換を行っているわけでございます。伺っているところによりますと、警察と検察庁と公安庁の職員である船山課長が、和気あいあいのうちに情報交換が行われたと、このように聞いておりますので、その点は自殺には関連がないというふうに考えております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 一部の情報によりますと、船山課長という方は、四十七年、八年あるいはまた五十年ごろからレポ船主と関係を持っていたということであるようでございます。こういううわさは船山課長の前勤務地の釧路あるいは現職当時の旭川でも知る人ぞ知るというほとんどの方が耳にしておったような情報だそうでございますが、法務省は、ソ連への情報の流出は今回明るみになるまで全然知らなかったのか、外部にも、前任地あるいは四十七年とか四十八年ごろあるいは五十年のころからそういうとかくのうわさがあったという、言いますと言葉は適当でありませんが、そういううわさのまつわりついた課長であったということなんですから、それぐらいのことは公安調査局あたりは知っておらなければ職務は私は遂行できないと思うんですが、そこらあたりはどうですか。

西本昌基公安調査庁次長

○政府委員(西本昌基君) 御指摘のように船山課長は釧路地方公安調査局の前々二課長でございました。ただ、一般的に申しますと、公安調査庁の設置法十七条によりますと、調査官は必要があると認めるときは管轄区域外においても職務を行うことができるという趣旨の規定がございます。特にいまの北海道の特殊事情から、北海道局を挙げまして各二課長が連携を保って情報活動をいたしておりますので、旭川の課長が釧路局管内のレポ船に関して接触しておったことは職務上これはやむを得ないことだと考えております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 職務上そういうような接触をしておるということは関知しておられたわけですか。

西本昌基公安調査庁次長

○政府委員(西本昌基君) 特にレポ船と限定するわけではないわけでございまして、地域住民広くから情報を収集しておりますので、その情報収集先の人があるいは漁業関係者であるということもあり得るわけでございます。したがって、その中にあるいはレポ船の関係者がいたということもこれは十分考えられると思います。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 とかくいろんなうわさが、そういうことが民間の間に流れておるということになりますと、調査局としてもほうっておくわけにいかないから、ちょっと事情を聞くなり、そういうようなことは手を打たれたんですかね。

西本昌基公安調査庁次長

○政府委員(西本昌基君) これは先ほども答弁いたしましたが、地域住民広くからの情報を収集しておりまして、情報収集先云々について細かい指示、指導はしていないわけでございます。また、情報収集先がいかなるものであるかということは余り当庁としてはわからない次第でございます。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 では大臣にお尋ねをしますが、公安調査庁の内部資料管理についてはどのような体制になっておるんでしょうか。釧路地方検察庁の笹岡検事正は記者会見で、船山課長は上司に無断で渡した、資料を無断で渡したと、このように発表されておりますが、こんなことは私は言語道断のことではないか、上司に無断で資料を渡したということは許せない行為ではないかと思います。船山課長の担当分野ではないにしても、右翼関係の情報が同じ公安調査庁内部とはいっても簡単に入手できる体制、閲覧ができた状態にあったということはいろいろな新聞の報道から見ても大体察しがつくわけでありますが、このような公安調査庁の中で情報とかあるいは書類の管理がほかの官公庁に比べて何となくずさんのような報道でありますけれども、この点も含めてどうなっておるのかお聞かせ願いたいと思います。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) ただいまのお尋ねのことは、捜査当局からの連絡によって承知いたしたところによりますれば右翼団体の動向に関するものでございますが、具体的にはビラ、ポスター、街頭宣伝の際の主張、そのほか何人も見聞きできる公然資料を取りまとめたものであるというふうに報告を受けております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 しかし、今回の旭川地方公安調査局の船山課長がレポ船主に流したその情報というのは、最終的にはソ連に渡っていた情報でございます。この資料について法務省は、公安調査庁内の内部検討資料でマル秘文書ではない、一般文書だと、このような主張をしておられるようではありますけれども、この内部の検討資料というのはどういうような種類であったのか御説明を願います。

西本昌基公安調査庁次長

○政府委員(西本昌基君) その御指摘の書類と申しますのは、公然資料または公然資料をまとめた程度のものでございます。さらに具体的に申しますと、これはあくまでも捜査当局からの連絡によって承知しているところでございますが、右翼団体の動向に関するものでございまして、具体的にはビラとかポスター、街頭宣伝の際の主張などいわゆる公然資料でございます。  さらに、先ほど先生の方から御指摘がございました点について補足して申し上げますが、公然資料または公然資料を取りまとめた程度の部内資料の処理につきましては、主管課長の判断に一応任せているわけでございます。これは公安調査庁の内部規程に基づくものでございます。ただ、御指摘の秘密漏洩の点についてでございますが、秘密にわたる文書の取り扱いにつきましては、法務省及び公安調査庁長官の秘密文書の取り扱いに関する訓令などに基づき、各取り扱い責任者において厳重に管理しておりますので、書類の管理には何ら怠っている点はないと考えております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 また、船山課長が流した情報の中には公安調査庁が内閣調査室など関係機関と交換をした各資料のコピーが含まれていたとも聞いておりますが、他の機関と交換して入手した資料ならば公安調査庁独自で資料の公開あるいはまた非公開の判断ができないはずでございますが、そういうような判断ができないものもその書類の中にあったはずでございますし、またマル秘文書もあったのではないかと疑われるのですが、その辺はいかがですか。

西本昌基公安調査庁次長

○政府委員(西本昌基君) 捜査当局からの連絡によって承知している範囲でございますが、秘密文書はございません。これは先ほど申しましたように右翼団体の動向に関するものでありますけれども、これはいわば公安調査官の執務の参考資料として作成し配付したものでありまして、他官庁と情報交換の結果公安庁において作成したという資料ではございません。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 機密書類はない、一般文書だという御主張が多いようでございますが、しからば機密書類というのはどういうようなことを基準にして機密書類とおっしゃるんですか。機密書類でないから一般文書であって、それで国家公務員法違反ではない、こういうような判定の仕方であるようでございますけれども、その機密というのはどこを準拠にしてそういうふうにおっしゃるんですか。

西本昌基公安調査庁次長

○政府委員(西本昌基君) この機密の点についてでございますが、公安調査庁の秘密文書等取扱細則というものがございまして、一応秘密文書の指定者という者が定められております。そして秘密の区分は極秘と秘と二つになっているわけでございます。それも先ほど申しました法務省秘密文書等取扱規程の第三条によって定められております。先ほど指定者ということを申しましたが、指定者は、公安調査庁の本庁あるいは公安調査局あるいは地方公安調査局によってそれぞれ指定者は異なっております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 いままでのやりとりの中で判明したことは、法務省は、旭川地方公安調査局の船山課長の行動はつまりレポ船主に右翼関係の情報を流して、その見返りとしてソ連の情報を入手していた情報活動だ、このようにおっしゃっておるようでございますが、    〔理事穐山篤君退席、委員長着席〕 法務省は情報活動の一環だと、このような行為をそのようにおっしゃっておるようでございますが、公安調査庁というところは、みずからの資料を相手に渡してその交換として相手方の秘密資料を入手するというやり方が常套手段なのか、私たちに言わせれば、そういうこそくな手段を行って情報の収集をするのが公安調査庁のやり方なのか、法務大臣は秘密でなければ公安調査庁の情報は外部に流してもよいというふうに考えておられるのか、情報収集の手段についてはどのように大臣は考えておられるか、また情報の取引が公安調査庁の職員によって公然と行われている事実を肯定しているのか、この三点についてお伺いをいたします。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 破防法二十七条に基づいて公安調査庁はそれぞれの活動をいたしておるものであると存じております。わが国の現存しております国際的立場の中、また地理的条件も、そういう日本国のあります状況を踏まえまして、いろいろな意味において破防法に指定してあるような事柄については公安調査庁がある程度外国とも接触をいたしていろいろ情報をとるかもしれません。そういうことについて、私どもいま御指摘のようなことについて一々法的に分析していま御説明申し上げるほどの知識を持っておりませんけれども、とにかく公安調査庁が破防法によってできておる国の機関でありまして、そこがわが国の安全のためにいろいろな情報を収集することについては、これはもちろんその任務の遂行でありますからとがめるべきほどのことでもありませんけれども、どのようなことが今度行われたのであるかということについては、実は私どもにもよく本体をつかめられておりませんので、その点についてのお答えはなかなか困難でありますけれども、これは当事者の申しておることを信用する以外にないことだと思うのでありますが、要は、公安調査庁の仕事は、破防法によって法律に指定されてあります団体、またわが国の安全のために必要と考えられる国際的情報等を集めるということは公安調査庁の任務ではなかろうか、こういうふうに理解をいたしておる次第であります。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 しかし、任務とはいいながら、一般文書とはいいながらやはり官庁がそういうふうに集めた文書を、しかもまた関係の内閣調査室あたりのそういう文書も、公開、非公開の文書等も含めて、やはり相手方に渡してその反対給付を受けるということになると、何となく宮永事件と類似するようなスパイ行為という印象は私はぬぐえないわけでありますが、その辺はどうお考えですか。

西本昌基公安調査庁次長

○政府委員(西本昌基君) 役所の資料を渡しましてそれ以上の情報をとるという情報収集の方法でございますが、これは決して公安庁の情報活動の常道ではないわけでございまして、むしろ例外に属する場合でございます。すなわち、いわゆる公然資料かあるいは公然資料をまとめた程度の部内の資料を渡してそれ以上の情報をとるというのは、やむを得ない場合、特に北海道という特殊地域などを考えた場合にやむを得ずそういう手段をとる方法もあるかと考えているわけでございます。決してこれは常道ではございません。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 じゃレポ船の関係はこれで終わりまして、次は最後の刑務所の移転問題、これは鹿児島刑務所の移転問題でございますが、この移転問題についてお尋ねをしますが、この問題は私も去る五十三年の三月三十日、内閣委員会で質問をいたしました。時の大臣は、積極的に市長とひざ突き合わせて話し合うということで五十三年の八月に来下をされて話し合いが持たれたわけでございますが、国、市で専門家会議を持って五十三年の秋までに結論を出すということが合意されたようでございますが、一年半を経た今日も予算措置も何らされておらないようでございますが、このような状態では当初計画の五十三年までの移転ができないのではないか、このように思うわけでございますが、その後の話し合いを含めての経過について報告をしていただきたいと思います。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) 鹿児島刑務所の移転問題につきましては、早く和泉委員から御指摘のあった点でございます。それで、この移転問題につきましては昭和五十三年の八月に法務大臣と鹿児島市長との間で、同所の移転を円滑に進めるために専門家会議を設けることになりました。そこで、鹿児島市それから鹿児島刑務所及び鹿児島財務部におきまして担当者を指名して専門家会議を構成いたしました。それ以来八回にわたりまして協議をいたしました結果、昭和五十四年の三月にこの移転は建築交換方式による特特会計で実施するということで、なお代替施設の建設業務を国が市の委託を受けて行うということになり、それらの諸点で基本的な合意に達したわけであります。昭和五十五年度予算要求の際には法務省として予算要求を行ったのでありますが、その後鹿児島市におきまして、刑務所移転の跡地でございますが、跡地の取得につきまして国の評価による時価額で購入することを確約しなかったという事情がございまして、現在御審議をいただいておる昭和五十五年度予算にはのらなかったという状況でございます。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 経過はよくわかりましたが、要するに一年半も過ぎてもなお合意に達しなかった主なる理由についてはどういう点があるんでしょうか。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) 基本的には、移転をするかどうかという点がまずございまして、法務省といたしましては現地改築、現在おりますところへ改築をいたしたいという要望が強かったわけであります。それに対しまして、鹿児島市当局におかれては、その場所はぜひあけてほしいという御要望が強く、代替地につきましては各所鹿児島市当局において御検討があったわけでありますけれども、最終的には、現在鹿児島刑務所が農場を持っております、往年、霧島農場といった農場でございますが、吉松町にございます、吉松町の農場のところへ移転をする。これは吉松町側が受け入れに非常に協力的であったという事情があるわけでございまして、そういうことで基本的な合意が成立したわけでございます。鹿児島刑務所を廃止して吉松に刑務所を設ける。ただ拘置支所につきましては、先ほどの代用監獄の議論じゃございませんけれども、拘置所は裁判所の近傍に必要だということで、これは現地に残すという基本的合意になっておるわけであります。  そういたしまして、特特会計につきましては営繕方式をとるか、あるいは先ほど申した建築交換方式をとるかという論議がございまして、結局は建築交換方式で折り合うということで折り合ったわけでございます。それからなお、市当局が実際の建設業務を進めるというのがなかなか大変なことでございますので、これは国が市の委託を受けて建設業務に携わるという方式をとろうということで合意に達した。いま申したような諸点がかなり議論の過程で難航したといいますか、詰め合った大きな問題点であるというふうに理解しております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 私の聞くところでは、国の刑務所の跡地の地価の評価、これが国と市との評価の差が余りにも大きかったので合意に達しなかったと、このように聞いておるんですが、国の評価は何を基準にしておられるんでしょう。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) 実は国有財産の処分及び処分に伴います評価の事務はすべて大蔵省の所管事項でございまして、私の方でお答えする由がないんでございますけれども、一般的に申せば、もちろんこの鹿児島刑務所の跡地についてもそうでございますが、同所におきまして持っております適正な基準に基づきまして、時価額で評価されたというふうに聞いております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 私の聞いた中では、国の評価というのは実勢価格で評価をしておられる、鹿児島市の方は国土庁の示した、公示した公示価格を示したと、こういうふうに聞いておるんですが、その点はいかがですか。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) 私、国の評価方式につきましてはつまびらかにいたしません。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 それは財務の方かもしませんけれども、やはりこういうような話の持っていき方は、法務省もタッチをしておるわけでございますから、こういうような公式な場で答弁はできにくいとは思いますけれども、やはりそれだけの答弁では私は納得いかないんですが、国は実勢価格を基準にして示したと、こういうふうに理解してよろしいですか。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) 実は私どもは施設を持っております関係で、市との折衝の一当事者ではございますけれども、土地の評価につきましては関与の余地はまるっきりございません。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 実勢価格で国の方は示したと、私はそのように理解をして問題を進めますが、実勢価格ということになりますと、あの辺の市民の思惑買いということも含めてのものが入るわけでございます。そういうことになりますと、国と市とのそういうような売買ということになりますと、やはり国土庁の公示価格が私は当然だと思うんですが、これは一般論としてどうお考えですか。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) 私は価格の点については全く素人でございまして、答弁の余地はございません。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 だれか答弁できる者はおらんのかな。

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) ちょっと、これは全く法務省は関係をしないわけですね。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) はい、しないことになっております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 じゃ大臣にもお聞きをしますが、当時の大臣は早く解決をしようということで鹿児島までわざわざ行かれたわけですよ。そして秋口にはもうすぐこの問題は済ましましょうと。ところが、一年半たっても依然として進まない。その一番の最大のネックというのは、いま申し上げた地価の評価の差が余りにも大き過ぎると。それは法務省の方も後に大蔵が控えておるものだから、やはり高く売りつけたい、市の方は安く買わないと地方財政を圧迫する、そういうようないろいろかみ合わない要素があるから、そういうふうに一年半も長引いておるわけでございますけれども、やはり現在地方財政というのは非常に苦しい状態に追い込まれておるわけでございますし、またあの地域が土地区画整理の指定地域になっておるわけです。ですから、建築もやはり制限を受けるというようなそういうようなところでございますので、やはりこのあたりは国の方で法務省の方が少し柔軟な姿勢をとるべきではないかと、こういうふうに思うんですが、大臣の率直な御意見を聞かしていただきたいと思います。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 私の方はもう御存じのように予算で決められておるものでありますから、代替地をどのようにということにつきましては、恐らく担当者に聞いてみなければわかりませんけれども、大変むずかしいんではないかと思っております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 柔軟な、頭の柔軟な方向づけを、かたくななそういうようなことじゃなくて、むずかしい、むずかしいと言うんじゃなくて、そういう地方財政も考えて、もう少し柔軟な姿勢をとっていこうという希望的なそういうあれはないんですか、そういうことも。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) 経緯を見ますと、五十四年の三月三十日に合意に達しておるわけであります。その後、確約書を出すという段階でいまのような価格の御議論があるんじゃないかというふうには思うんでありますけれども、この問題につきまして法務省に譲歩といいますか、価格的な対応をというふうに求められましても、これは私に不可能だというふうに考えております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 いま現に刑務所が建っておるそういう用地というのは、やはり法務省の方で、おたくの方でちゃんと所管をし、評価をする、そういうふうなことはやはり一切全部大蔵に任しつばなしということですか。

豊島英次郎法務省矯正局長

○政府委員(豊島英次郎君) これは国有財産法の規定上、国有財産の処分につきましては法務省はタッチの余地がないわけでございます。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 じゃ最後に大臣にひとつ。非常に困難性があるように私も答弁の中で察知をしますけれども、やはり地方財政が相当に逼迫しておるということも御勘案になって、やはり前向きでこの問題が早く決着するように、ということは差が少なくなるということでないとなかなか決着をしないわけで、市当局の方にも譲歩を求めるような話し合いを私もしますけれども、そちらの方もやっぱり前向きでやっていただきたい、こういうふうに思うんですが、最後の答弁を求めて、終わります。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 大変むずかしい問題だと思います。法務省だけで計らえないことはもう予算の関係よく御存じのとおりでありますが、私いままでの折衝の過程を聞いておりませんので、一遍よく聞きまして調べてみたいと思っております。

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) 和泉君の質問は終わりました。  次に、内藤功君。

内藤功日本共産党

○内藤功君 まず法務省にお伺いをいたしますが、これは一般論としての質問でありますが、刑法の賄賂罪の中で請託という概念がたびたび出てまいります。この請託というのは黙示的なものも含めているのかどうかという点についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、まずこの点をお伺いしたいと思う。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お尋ねに即して申しますと、黙示的な場合でもなり得るということであろうと思います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 これはかなりよく知られた大審院の判例、それから東京高裁、それから最高裁の判例があるということは、もうこれはあなたに申し上げるまでないと思うんです。「一九七条第一項後段にいわゆる「請託」とは、公務員に対して、その職務に関して一定の行為を行うことを依頼することであって、必ずしも事前に明示的にされることを必要とするものではなく、賄賂を供与すること自体により黙示的にその依頼の趣旨を表示することをも含むものと解すべきである。」いま私の読んだのが東京高裁の三十七年一月二十三日の判決であります。これは法務省内部、検察実務の中で、この判例だけではありませんけれども、こういう考え方に基本的には立ってお仕事をしておられると、かように伺ってよろしいか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 先ほども申しましたように、一般論ということでございましたので、一般的、抽象的に申し上げたわけでございますが、請託があったかなかっかということが問題であるわけでございますので、黙示的な場合も一つの一例でありますので、やはりそれだけでいいというわけじゃなくて、いろいろな態様のもとにおいてやはり結論的に請託があったと認定されなければならない、これは当然だと思います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 日本税理士政治連盟の一部の幹部が、昨年の総選挙の際に国会議員約百名の方々に最高——特というのが五百万ですか、一番安い人でCというのが五十万、そういうお金を贈ったということについて、贈賄あるいは収賄、刑法の罪ということで告発がされ、また、それが事実と反するというので逆に謹告の告訴がされるということがいま大きな問題になっておるわけであります。  そこで伺いたいのは、現在この事件の捜査について検察当局がどういうような体制でこの事件、相当重要な意味を持つ事件でありますが、対応しておられるのか、その概況をまず御説明願いたい。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お尋ねのいわゆる税政連関係の事件でございますが、いま御質問にもございましたような告発が東京地検の方になされているわけでございます。このことにつきましてはいろいろと国会でも御議論が現にあるわけでございますので、検察当局といたしましては、事件の内容にかんがみましてそれなりの体制を整えて捜査に当たっている次第でございますが、いまお尋ねの中にもございましたように、関係者も多数に上るというようなことでございますので、所要の検察官あるいは事務官をそれに振り向けている次第でございます。

内藤功日本共産党

○内藤功君 関係者が多数であることは多くの論をまちません。そこで、もし本気でこの捜査をやるのであれば、可能な限りのやはり検事の配置、要すれば他の部からの応援、それに照応する事務官の配置というものを当然なされていらっしゃるわけでありますが、具体的にどういうふうに対応しておられるか、お伺いしたい。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) ただいまお尋ねにありましたような趣旨で、東京地検におきましてとりあえず特捜部が中心でございますけれども、他の部の検事等も若干動員をいたしまして捜査に当たっておると、かように聞いております。

内藤功日本共産党

○内藤功君 この事件の問題について、さっき私が黙示の請託でも賄賂罪の請託の要件に当たるということを局長からいま確認いたしましたが、そうすると、この告発状などに出ておる日時にお金を贈った側が受け取った側に対してその時点で何を言うたかということだけではなくて、調べの対象範囲というものは、時間的にはこの問題の法案が国会に出されてから以後、あるいはそれよりも前の法案提出の準備段階、そのころから以後のいろいろな事象ですね、関連する事象を調査の対象、捜査の対象に当然これはすべきである、検察のこれは捜査の常道だと思うんです。いろいろな事件をやっておられる専門の地検として、そこらあたりの点は私が聞くまでもなく抜かりなく捜査をやってきておられると思いますが、いまの点はいかがでございますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 何分にも具体的な捜査中の事件のことでございますので、地検がどのように具体的な対応をしているかということは、性質上も申し上げるのは適当でないと思いますけれども、御趣旨のようなことは十分踏まえているものと私どもとしては理解しております。

内藤功日本共産党

○内藤功君 そこで、いま言ったように法案が提案されてからの一定の時間的な時期について、捜査、調査の対象としているんだけれども、また半面、その目的の金員を渡したそのときの模様もまたこれはもう重要な捜査の対象事項になるわけだと思うんですね。そこで、その時点において直接にこの日税政連の一部幹部で名前の出ておる人、この人が渡される側の議員の秘書に対して渡したのか、それともワンクッション置いて地方の税政連の幹部などを仲介にして渡したのか、たとえば、こういうような問題、これについては当然この捜査上関心を持って調べるべき事項だと思いますが、いかがですか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 具体的にお尋ねでございますので、事件の内容についての具体的なお答えはそれとして適当でないと思いますけれども、事件の捜査一般について申しますならば、事実関係を明確にするということは当然のことでございます。

内藤功日本共産党

○内藤功君 そういうことになりますと、いわゆる賄賂性、これが賄賂事件では大きな焦点になってまいりますが、金を贈る側が金をもらう側に直接ダイレクトに渡すという場合と、それから第三者を介して渡すという場合では、一般に直接に渡す方がその賄賂の趣旨その他が明確になる場合が多いというふうに考えられますか、いかがですか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お尋ねの趣旨がどの辺にあるかちょっと理解しがたいような点もあるわけでございますけれども、賄賂性の立証につきましては、両当事者の関係あるいは認識ということが問題になるわけでございますので、ダイレクトであるかないかによって、片方はなる、片方はならないというわけではないというふうに思います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 それでは端的にお聞きをしたいと思うんですが、直接に渡した方が、この金はこういう趣旨ですよ、あなたにこういうことを頼むんですよ、こういうことをやってくださいよということを言葉なりあるいは態度なりでもって相手にじかに知らせることがやりやすいでしょう。そういう意味で、もちろん逆の場合もありますよ、例外的な場合も。しかし、一般的にはダイレクトの方が賄賂性の認定においては強いということはいかがです。捜査の常道、常識というもので答えていただいて結構なんですよ。いかがですか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 先ほどお答えいたしましたのも、渡し方が直接か、間にだれが入っているかというだけでどう違うかというふうなことであれば、必ずしも差異はないということを申したわけでございますが、要はやはりその趣旨が当事者間にどのように理解されておったかという事実認定の問題でございますので、まあお尋ねに対してあえて言えば、お尋ねのようなことは一応言えるのではないかという程度のことであろうと思います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 報道によりますと、昨年の九月に、日税連の四元専務理事が政治家の人に渡すべきお金、これは小切手のようでありますが、これを地元の税理士政治連盟を通して渡すように用意をしたんだが、特に、特、Aというところに属する大きな金額の相手に対しては自分で直接持っていったということが関係者の話で言われておる、こういう報道がなされております。お読みになったかと思いますが、いままでは税政連側、金を贈った側はすべて実務担当者によって配付され、リスト作成に関係ない地元の役員などが持参したもので、税理士法をお願いすると言ったことは全くなかった、推薦料という性格の陣中見舞いで事務的に処理された、四元専務理事、と説明していた。  ところが、直接授受のルートが出てきちゃった。この直接授受ルートについては同専務理事らが税理士法改正の働きかけを通じて、交際の深い政治家へは地方税政連を通さず渡した、また、改正案成立に重要な地位を占める政治家に献金の趣旨を印象づけるため、直接授受の方法をとったとの可能性も考えられる、こういう報道がなされておって、局長もあるいはお読みになったかと思いますが、私はこの報道の真否、可否ということをあなたに聞こうとするものじゃない。それなりの根拠があって報道機関はやられておるわけです。これはこれなりに尊重しなければならぬが、かような情報、報道というものに対して、いま捜査当局は、これを目にした場合に、これを重要なる参考として捜査を進める、こういうことでよろしいんでしょうね。こういう態度でしょうね。それとも、もうすでにわかっておって、このような報道を見るまでもなく、その点はもう検察当局はすでに調査をしておると思うと、こう言うんですか。どちらですか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 何分にも捜査が進行中の事件の捜査の内容のことでございますので、私どもといたしましても余り詳しいことを聞くのはいかがかというような立場で、詳しくは聞いていないわけでございます。したがいまして、そういうことを検察庁が知っておるかどうかということも詳しくは承知しないわけでございますけれども、ただいまお尋ねのようなことでございますので、当然検察当局も報道を見ておると思いますし、またそれにかかわらず、いま御指摘のような問題は事実を確定していく上で必要な事項であろうというふうに思います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 そこで、いま私は名前を挙げたのですが、この日税連の四元さん、それから加茂さん、このお二人に、わが党の佐藤昭夫参議院議員が二十一日の日に面会を申し入れましたところ、この二人ともう一人、山本義雄氏、三人に面会を申し入れましたところ、先方の答えは、山本氏は所在不明、現在居所不明、四元、加茂両氏とも入院ということで、佐藤議員の面会が断られたというふうに私ども承知をしておるわけでございます。  そこで、この三名は被告発人でございますし、また証告罪におきましては告訴人で、捜査はここから始めなければならぬ方でありますが、このようなことについて昨日同僚議員が、渡辺議員がほかの委員会で質問しましたところ、法務省のお答えは、それは承知をしていないが調べてみる、確かめてみたいと、こういう趣旨のお答えがあったやに聞いておるのであります。そこで当然、きのうのことでありますから、御報告も受け、それなりの対応もなさいましたと思いますが、いかがでございますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) ただいま名前を挙げられました人がいまどういう状態にあるかということにつきましては正確には承知しておらないわけでございますが、私の記憶では、たしかその中の方に入院中の人がいるという報告を受けております。

内藤功日本共産党

○内藤功君 それはいま私の言ったように、四元さん、加茂さん、このお二人が入院中だということを報告を受けた、こういうことでございますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) そのお二人であったかどうかはちょっと定かでございませんが、たしかそのような税政連の幹部の方の中で入院中の人がいるということを聞いております。

内藤功日本共産党

○内藤功君 かような重要な事件において、重要な立場にある方が入院をされたという場合に、一般的に検察庁としてとるべき常道は、本当に入院しているのかどうかということを確認をし、かつ病状が本当に、いわば変な話ですが、病気を仮装したりしていないかどうかということも調べなければならぬ。それから次に、病気だとした場合に、任意出頭に耐え得るや否やを調べなければならぬ。さらにそれもかなわぬという場合には、臨床尋問に耐え得るや否やを確かめなければならぬ。かようなことのほかに何かありますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 事案にもよると思いますけれども、おおむねお尋ねのようなことであろうと思います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 こういうことはどうですか。東京地検が数年来おやりになったロッキード事件ではどうか。児玉、小佐野というのは大事なときになると病気になりました。入院したり、自宅で静養していましたね。それから昨年のグラマン、ダグラス、日商岩井関係の事件でも、元総理の秘書であった人が、大事なときに病気になりました。ドイツの医者の診断書を送ってきて、参議院予算委員会の証人喚問が流れたこともある。海部も入院をするとかしないとか言っておったことがあります。パーレビ国王も病気であっちこっち行っておるが、どうもこれは怪しいと。まあこれはよけいなことを申しましたが、こういうふうに後ろ暗いところがあると捜査のときに病気になる人が、日本人だけじゃなくて外国にもある。これは検察庁はそういうものにだまされないで調べていく力と眼力を持っていると思いますが、いかがでしょう。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お尋ねのように、病気を仮装して捜査の追及を免れるというようなことがあってはならぬことはそのとおりでございますが、まあ病気であれば、やはり病気でございますのでそれはそれなりにやむを得ない場合もあろうと思います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 病気と称していろいろな証拠隠滅工作を行って、それを病院から指示し、あるいは病院から抜けて指示するという例も、検察の中では恐らく幾つか経験しておられる、こういうことがありますから、いまのこの病気ということに対して適切な処理、つまり捜査遅延、捜査の妨害ということに、結果としてならぬようにおやりいただきたいと思いますが、いかがでしょう。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 先ほど申しましたように、不当に捜査が引き延ばされるということは適当でないことば言うまでもないわけでございますが、やはり人権の問題ということもございますので、本当に病気である場合にはそれなりのことは考えなければならないと思います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 特に、蛇足ですが、複数の人間が、特に三人が追及の対象となり得る場合に、その三人のうち二人もがほぼ同時に病気になり入院するということは偶然でしょうかね、これは。偶然とは言えないこともありますから。これはお答え要りません。そういうこともよく考えていただかないといけません。  それから次の質問に移ります。  賄賂事件で、起訴時点で起訴される人が否認のまま、これは授受の事実にせよ、趣旨にせよ、あるいは請託の有無にせよ、否認のまま起訴されるというケースは全体の中で、あなたの大きなお感じでいいですが、多いと思うんですがね、どのくらいの割りです。全部白状して起訴されるという場合と、否認のまま起訴されるという場合と、賄賂事件で。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) まあ統計的な率等はちょっと正確に申し上げかねるわけでございますが、否認のままで起訴される場合もあるということでございまして、むしろ少なくとも捜査段階では認めている場合が多いのではないかと思います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 そうするとこうですか。起訴段階では、自分の感じでは認めている場合が多いと思うが、公判になるといままでの自白を変更して否認するというものがかなりあると、こういうことですか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) まあそういう場合が目につくといいますか、ある程度あるということでございます。

内藤功日本共産党

○内藤功君 そうすると、賄賂事件の起訴については、相手が否定しているからとか、相手が受け取りませんと言っているからとか、相手がいやこれは賄賂じゃなくて純粋の政治献金だと言っておるからといって弱気を起こすということは、検事としてはよくないことですね。職責を果たすことにはならないですね。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 被疑者の立場にある人がいろいろな主張なり弁解をするわけでございまして、それにつきましては、検事としてはそれが本当の弁解のとおりのまた事実であるのか、あるいは単なるいわゆる弁解であるのかということは、当然明らかにしなければならないものと思います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 さて、十二月十日と思いますが、第一回目の告発があって、それから十二月十八日に二回目の告発があって、これは贈賄罪だ、収賄罪だということで告発があった。そうして二十二日に誣告の逆告訴があったわけでありますが、この告発の時点、つまり捜査の端緒の時点より約三ヵ月半ぐらいたっているわけですね。そうすると、十二月ごろのあなたの御答弁では、何しろいま告発があったばかりですからなかなか申し上げにくいということをおっしゃって、きょうもなかなか口がかたいんで少し困っております、が、どうでしょう、三ヵ月たつと、専門の検事がやっておられるこの事件について、いままでどういうような範囲、たとえば地方の税政連の幹部のお話は聞いたとかあるいは四元さん、加茂さん、山本さんなど中央の税政連のお話は聞いたとか、あるいは政治家の方のお話も、名前はともかくとして、お聞きしたとかというような大ざっぱなところで、いまここまでやっておりますということは言えてしかるべきだと。いかがでございましょう。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) この件に限らず最近いろいろと事件がございまして、国民の皆さん方の御関心が高まっておるということ、また国会においてもこういうように御論議がされていることは、私どもまあ検察当局も十分承知しているわけでございます。  そういうわけでございますので、私といたしましても現時点における捜査の内容ということを、できるものなら申し上げたいような気もするわけでございますけれども、そのことを知りたいと思っておられる国民の中には被疑者の立場にある人も含まれておるようなことでございますので、そういう意味も含めまして、捜査の内容が途中で明らかになるということは、いろいろ捜査の進行につきまして、また人権の問題等も含めましていろいろと適当でない面があるわけでございます。  したがいまして、先ほどある程度漠然としたことでもどうかということでございましたけれども、その程度のことにいたしましてもやはり捜査の進行に影響するというふうに私どもとしては考えておりますので、御答弁は差し控えさしていただきたいわけでございます。

内藤功日本共産党

○内藤功君 法案が金で買われたかどうか、議会制民主主義が金で汚されたかどうか、今後かようなことを繰り返すようなことがあってよいかどうかという大問題であります。  そこで、あなたの個人的な、あるいは秘密を守るという心情はわかりますがね、どうですか、そうすると約三ヵ月半の間、これは請託に当たるのかどうかとか、これは賄賂になるのかどうかとか、これは事前収賄になるのかどうかとかいうことを法律の本でも前にして議論をやって三ヵ月たっていたわけじゃ、失礼ですがないでしょう。事実の調査も進めてきた、事実の捜査も進めてきた、人的な物的な両面もちろん含みます。こういうふうに伺っていいですか、それとも、いやなかなかむずかしいんで法律論で明け暮れしておるというのですか、どうなんです。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お尋ねのとおりでございまして、別に法律論だけで明け暮れしているわけではございません。

内藤功日本共産党

○内藤功君 そこで私は、いまどういうような段階にあるかということを国民の前に法務当局として明らかにしていくべきだというふうに思うんですね。  それじゃ伺いますが、この事件は非常に難件ですか、刑事事件として。相手がわりと、百人であって、国会議員がいるなんということを除けば、事件の立件として、事件の捜査としては、難件ですか。ロッキード事件やグラマン・ダグラス事件と比べるのは多少問題かもしれないけれども、ああいうような捜査に比べてむずかしいでしょうか。むずかしいとすればどういう点がむずかしい事件なんです、これは。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 難件かどうかということのまあ評価といいますか、それもそれ自体むずかしいわけでございますが、いまお尋ねのように、じゃどこが問題かということになりますと、そのことを申し上げますこと自体、どこかその事件についてまあいわゆる難点があると言うことになろうかと思いますが、そのようなことにもなりかねないわけでございますので、そういう意味でももうしばらくお待ちいただきたいと申し上げるほかないわけでございます。

内藤功日本共産党

○内藤功君 もうしばらくといいますと、どういうふうに理解をしたらいいんでしょう。捜査はいま続けているが、その内容の具体的な報告、さらに詳細な報告をもう少し待ってくれというのか、あるいはまだ捜査というものが動きを持っていないからここで報告することはないというのですか、どっちなんです。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 要するにまだ捜査が進められている段階でございますので、結論が出ておりませんのでその内容について申し上げる段階ではないと、こういうことでございます。

内藤功日本共産党

○内藤功君 これは賄賂事件一般にそうですけれども、追及する側は、これは賄賂である、つまり一定の見返りを求めてお金を渡したのだと、これに対して相手の方は、いや一定の見返りではない、これは純粋の政治献金で、何のこれは負担も見返りもないものだと、これが焦点になってくるわけです。この日税政連の場合には、非常に私は特色としては公然性があるというか、犯行というとちょっときめつけになるけれども、行為自体が非常に公然性があるんです。つまり、金を贈る方がいつ金をだれに幾ら渡したかということを全部発表しちゃっているわけです。少なくとも自分の団体の中には発表している。それからそれは法対策資金だと、ねらいもいろんな機関紙などで言っているわけです。法対策資金というのは、法律改正のための資金だということを、たとえば五十三年十月十日付の「税理士界」という機関紙で日税連の幹部自身が言っております。それから、前に献金をやっておるというけれども、その前の献金よりもはるかに上回る規模、金額で行われている、いままでの通例、慣行の献金と比べたら数倍にやはり上るものであるというようなこと、それから献金の場合に、うんと貢献した人物、職務権限の大きなもの、こういったものでこのランクづけをやっているというようなのは、非常に珍しいこれは賄賂告発事件になっておると私は思うんですね。  こういう点からさっき私はあなたにむずかしいかどうかと聞いたんですよ。決してロッキードやダグラス、グラマンのような、どこにどういう黒幕がいてどうつながっていくかということのえらい捜査、調査を必要とする、労力を必要とする、そういう事件ではない。もう焦点は大きく言ってこの金の趣旨、客観的にどういう趣旨か、それからこの金の趣旨をお互いに理解していたかどうかということにしぼられてきていると思うんです。相手が、国会議員が百人いるからというだけの話であって、それだけの話であって、あとこれを抜きにしたら、事件としては非常に私は明快な事件で、検察としてはこれは早急にまた精力的に結論をつけやすい事件だと私は思うんです。これはやっている方々の御苦労を知らないでというお気持ちもあるでしょう、お聞きになってそういうふうに思われるのももっともです。やっている方は御苦労だと思う。しかし、私はロッキード、グラマン、ダグラス、ああいうものに比べたら短期においてこれは決着を見ることのできる案件だと思います。この点はいかがですか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 事件はいろいろな態様、内容でございまして、それなりに捜査当局の苦労はあるわけでございます。したがいまして、別な内容の事件についてその比較というものは困難であろうと思いますが、それではいまお尋ねの事件についてそうむずかしい点はないではないかということでございますが、その点について問題がないと申し上げたり問題があると申し上げたりしますと、そのことが事件の内容にもわたってきますし、捜査の進行あるいは問題点ということが明らかになってくるという関係にもあるわけでございますので、その点は御容赦いただきたいわけでございます。

内藤功日本共産党

○内藤功君 私は、焦点はひとつにしぼられてきて賄賂性の有無というところに結局はなってくる。そうすると、相手はそれにはならぬという弁解をしているわけですから、もう捜査をしても検討してもこれ以上はお互いにもう見解の違いという最終ぎりぎりの決着の壁にこういう捜査はぶつかる時点が来ると思うんです。そのときにやっぱりこの事件をどうすべきか。相手はこれは賄賂じゃない、これは日本の議会制民主主義を別に侵すものじゃない、あたりまえの話だと、こういうことを言い張っている相手ですから、これに対してはやっぱり国民の前にはっきり全貌を明らかにして決着をつけるという態度を法務当局は私はやるべきものだと思うんです。法案が金で買われていいということになる、そんなことはわれわれは認めるわけにいかない。この事件をもし完全に起訴をしない、公判にかけないということでもし済ますようなことがありますと、これは今後日本の議会政治というものと、金に全くきれいに日本の政治が運行されていくという国益というものにも響いてくる、やはり重大な段階だと思いますね。私はそういう点について、この事件の重要性、それから事件に臨む法務当局のお考えをひとつまず局長から伺っておきたい。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 先ほど中間的なお尋ねに対してお答え申しましたように、この件につきまして国民の関心が高まっているということ、また国会でも御議論があるということは、検察当局としては十分承知しているはずでございます。しかしながら、刑事事件の捜査処理という形での扱い方が、私どもの立場といたしましてはやることでございますので、その意味において限界がおのずからあるということもまた御理解いただきたいわけでございますけれども、先ほど申しましたような意味合いを含めまして、検察当局といたしましては最大限の努力を尽くすものと、かように考えております。

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) 内藤君、実は予算委員会の方で法務大臣の出席をまた求められておりまして、予算委員会の方では十五時三十分ごろからという希望なのですが、法務大臣にもしありましたら。

内藤功日本共産党

○内藤功君 じゃ、法務大臣に一問。  法務大臣、いまずっとお聞きのとおりです。私はきょうはこの点は聞きませんが、あなたもリストの中に名前と金額が書いてあって、お返しになったという答弁でありますけれども、そういう御関係のある方です。それなるがゆえに、失礼ですが率直にお聞きしたいんですが、この事件の捜査について迅速に厳正にこれをやるということについてあなたはそういうことを全面的に支持される、いやしくもどっかからか政治的な力でこの厳正な審判というものが妨害されるということに対しては、あなたは法務大臣として厳正な態度を処置して、検察がさっき局長が言ったような最大限の努力をするということを支持されますね。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 私は検察を全面的に信頼をいたしております。厳正公平な態度で処分をいたすものだと確信しております。

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) じゃ、法務大臣は予算委員会に出席を求められておりますので、各位の了解をいただいてほぼ四時をめどに中座をいたしますので御了承願います。  法務大臣、どうぞ退席いただいて結構です。

内藤功日本共産党

○内藤功君 次に、同じく刑事局長にお伺いいたします。  これも一般論でありますが、賄賂罪の場合に、公務員のためにその人が負担している金銭債務を第三者が弁済をする、これは賄賂の目的になりますかどうですか。賄賂の目的になると解釈してよろしいですか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) その債務者と第三者の関係もちょっと不明確でございますけれども、恐らくお尋ねはその債務者のために第三者が弁済するということがいわば財産上の利益の供与になるかということであろうと思いますので、そういうことにおいてはそのとおりであろうと思います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 これも御承知のとおり、事前に通告をしておかなかったので、私の方から言いますが、大審院の大正十四年五月七日という古い判例があって、公務員のために同人の債務を第三者が弁済することも賄賂の目的となるという判旨が確立をされていると私ば思います。そこで、そういう一般論のお話をいただいた上での御質問であります。  いわゆるK・ハマダと言われておる人、これは浜田幸一議員であることにほぼ間違いないというのが多くの人の見方のようであります。そこでお伺いしたいんですが、東京地裁の過日の公判で、冒頭陳述の訂正申し立てが行われた、関連をして、それを立証するための証拠申請が追加をされたというふうに伺っております。十四点の書証が出されたというふうに伺っております。この中にはリチャード・G・ダナー・サンズホテル副社長の供述調書ですとか、押収に係るK・ハマダに対する個人別貸付勘定元帳カード、補助元帳、それから二十万ドルの支払い受領証と、それからアメリカ司法省のリチャ一ド・ベックラー検事から吉永特捜部長あての書簡などが入っておるというふうに報道されておるんですが、この十四点のほかのものの中には、いわゆるこのK・ハマダ、あるいはハマダという人の調書というものは入っていますか、入っていませんか。調書あるいは電話聞き取り書でも結構です。そういう、その人を調べた関係書類は入っていますか。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お尋ねの点につきましては、含まれていないと承知しております。

内藤功日本共産党

○内藤功君 そうすると、このK・ハマダというのがだれであるかというのは、検察側の申請した証拠では明確になる部分がありますか、どこかの供述調書の部分に。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) いま委員が仰せになりましたように、去る三月六日に冒頭陳述の補充訂正が行われて、いま御指摘のような証拠申請をしたことはそのとおりでございますが、この補充訂正につきまして、被告人弁護人側の意見の開陳もまだなされておりませんし、また、検察官側から申請いたしました証拠についての被告弁護人側の意見も出ていないわけでございます。したがいまして、当然のことでございますが、裁判所の証拠決定もまだなされていないと、こういう状況にございます。したがいまして、申請はいたしましたけれども、その内容が公判で証拠になるかどうかということもわからない段階でございますので、内容については申しかねるわけでございます。

内藤功日本共産党

○内藤功君 では、また数日後に恐らく公判が開かれて、証拠決定がされると思いますから、その段階でまた質問をしたいと思います。  その浜田幸一氏の証人喚問をやるべきだと、少なくとも真相をこの国会で明らかにすべきだという声は、野党の中だけじゃなく、自民党の中にも出てきておると言われておる。少数だが出てきておると言われている。毎日の新聞、ラジオの国民の世論を見ますと、本当にみんな頭へきていると言っていいでしょうね。怒っておりますよ。特にこういう人の議員としての資格を失わせるのがあたりまえじゃないか、自分でやめなければ所属しておる党がこれはやるべきじゃないかという厳しいやっぱり意見があります。当然だと私は思うんです。きょうは法務省の関係ですから、前田局長、もしこのK・ハマダのやったような賭博をわが国の国内で、ラスベガスじゃなくてわが日本国内でやったら、これは何罪になるんです。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 賭博行為であれば賭博罪の要件に恐らく当たるだろうと思いますので、賭博罪が成立するということになろうと思います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 またこれは外為法の違反、外国で債務を発生させたということにもなりますな。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) 外為法の関係は非常に複雑な仕掛けになっておりますので、一概にも申し上げかねるかと思いますが、外為法違反の問題は起こり得る問題であろうと思います。

内藤功日本共産党

○内藤功君 そうして自分がすった四億五千万を小佐野賢治氏にかわって払ってもらったと、ホテルに。これはさっきのお話ですと、国会議員が自分の借金を他人に払ってもらったと。賄賂罪の可能性はどうです。

前田宏法務省刑事局長

○政府委員(前田宏君) お尋ねがK・ハマダなる人が国会議員であるという前提に立ってのお尋ねであるように思いますけれども、そのことは先ほど来申し上げておりますように、まだ公判の過程におきましてその点には全く触れられていないことでございますので、それ以上のことは申しかねるわけでございます。

内藤功日本共産党

○内藤功君 国会議員であるとしたらこれは成立するというお含みがあったといま承っております。  それで、私はこの事実を一つ指摘したいんです。われわれの調べでこういう事実があるんですね。この浜田幸一さんという人は、昭和五十年の一月に箱根の湯本富士屋ホテルで、これはロッキード事件の発覚の一年前であります、国際興業グループの幹部社員の新年会が開かれた、そこでこういうあいさつをしている。これはもう相当多数の人の集まった会合であります。私は自民党小佐野派である、いわば国際興業の扶養家族の一員であります、会長が右と言えば右、おっしゃるがままに政治を動かしております、こういう発言をしておるということを、直接聞いた人からわれわれはこれを聞いておるわけでございます。つまり、あの政商と言われた人のやっておる会社の扶養家族の一員だとみずから位置づけて、会長、つまり小佐野氏が右と言えば右、おっしゃるがままに政治を動かしておる、これは聞き捨てならぬことであります。公務員、国会議員というのは全体の奉仕者である。一部の奉仕者ではない。国政というのは国民の厳粛な信託によるものであると、まあこういうふうに憲法に書かれておる。こういうような態度でおる人であります。このような関係を小佐野賢治と持っておる人であります。私は、いまここでこれらの罪が成立するとかなんとかということをあなたに答弁求めるわけじゃない。法的に見れば、ばくちをやれば賭博罪、負けて借金をつくれば外為法違反、借金を払ってもらうと賄賂罪と、こういうような関係になろうかと思います。私は、かかる人物ですから、真相をはっきりと国民の前に究明する、この追及に及び腰になっちゃいかぬと思うんです。はっきりさせなきゃいかぬ。  それから、やはり彼の属しておる与党というものは厳格な態度をもって臨まなければならぬ、これが国民の声であります。もしこれをやらない場合は、日本の議会制民主主義というものは、さっきの税政連の事件と同じような大変な危機というものが私は招来されることを憂うるのであります。  私の時間の関係で、遺憾ながら次の質問に入ります。最高裁判所当局来ておられますか——まずお伺いしたいのは、最近の裁判所の刑事公判における裁判長、裁判所、あるいは裁判官側の法廷における訴訟指揮の中で非常に目に余るものが幾つかあるんです。私は、たまたま裁判官訴追委員の一員でありますが、裁判官訴追委員会の中で聞き得た事実はこれを私は漏らすわけにはいかない。また記録にもならない。罷免をするかしないかということが裁判官訴追委員会の仕事でありますからね。しかし、これは罷免には値しないが、この訴訟指揮はひどいなと思うことにぶつかることがあるんです。私の同僚の議員たちもそういうことを漏らす人がおります。しかるがゆえに、具体的な訴訟の内容で答えられないという答弁があるいは返ってくるかもしれぬが、私は一つ申し上げて、できるだけの御答弁を最高裁当局に求めたいと、かような意味で申し上げます。  一つは選挙違反の事件、これは戸別訪問と文書違反で問われた事件の勾留理由開示公判で、これは東京の地方裁判所です。弁護人が弁論中に、勾留は却下し、釈放さるべきであるという陳述中に、政党の名前を挙げた、具体的に政党の名前を挙げた。選挙違反事件ですから、これは政党と私は不可分だと思う。ところが政党の名前を言うなということで、発言制限、そして発言禁止、そしてそれに対する異議を申し立てれば退廷ということが昨年の九月に起きております。かようなことをやった理由として当該裁判官が説明なさるには、選挙の公示期間中であるからして、特定政党の名前を出すということ、あるいは批判をするということは選挙運動になると、こう言ったそうであります、選挙運動と。法廷の中でありますよ、法廷の中で弁護人が限られた時間でやる陳述で政党の名前を言ったから選挙運動になると。弁護人の弁論が、たとえばだれを支持してくれとか、だれに投票してくれって、そんなあほなことを言う人はおりませんよ、それなら選挙運動になるかもしれませんがね。ある政党の名前を出したというんです。ある政党を批判をし、あるいはある政党が正当な正しい政策を掲げている政党だということに触れただけなんですね。これが果たして訴訟指揮として私は許されるものかどうか。これはもう昔のお白洲あるいは帝国憲法下の昔の法廷というものならいざ知らず、かようなことは例外的だと思うけれども、十分にやはり訴訟指揮の行き過ぎというのがないようにしていただかにゃなりません。裁判というのは円滑に、関係者が仰いで公平、青天白日のものだと、それこそだれかのせりふじゃないが、本当にそう思われるようでなきゃいけない。  もう一つ、時間がないので申し上げますが、やはりこれも東京の八王子の支部の刑事の裁判官でありますが、この人は弁護人から異議の申し立てを受ける、たとえば法廷の使用の問題、録音機の許可の問題、そういった問題で弁護人と十分に話し合って決めた前任者との協定がありますのに、それを無視して録音機や法廷の使用に制限を加えてきた。異議を申し立てた弁護人を次々発言禁止、退廷というふうにやっているわけですね。暴力行為や暴力行為類似のものがあった場合、これは退廷もやむを得ないでしょうね。しかしそうじゃなく、言論で弁護人が対抗する、これはもう弁護人の使命であって、これはあたりまえのことだ。これに言論中止、退廷を命ずるということは、これはもう私はよほどの暴力的な段階にいくまでは裁判官の自制すべきものだと思うんですね。  こうして、私は時間がないので具体的に一々申し上げられませんが、退廷命令が相次ぐ法廷が約七回続いたというふうに私ども聞いておるわけです。これはいろいろ訴追委員である私に陳情などが出ましたので、私は知り得たわけでありますが、こういう最近の刑事事件における裁判官の退廷なりあるいは発言禁止処分について、これをむしろ積極的にやるべくそういうような何らかの指導をよもや最高裁当局はしておられないと思うけれども これらの現象について何かあなたの方でお感じになるところがありましたら申していただきたい。またかような訴訟指揮というものはわれわれ絶対許せないということをここで申し上げておきたいと思うんですが、いかがですか。

柳瀬隆次最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(柳瀬隆次君) お答え申し上げます。  ただいま御質問の冒頭にございましたように、いずれも具体的な事件にかかわることでございますので、この事件の関係ではお答えを差し控えさしていただきたいと存じます。  それから裁判官の訴訟指揮がどうあるべきかということについて御高見を拝聴いたしましたが、裁判官としては訴訟指揮が適正に行われるように常に自戒しながらやらなければいかぬと、このように思っております。  また、ただいまお示しのような事例を前提となさって、そのような点についての指導を何かやっておるのではないかどうかという趣旨のお話がございましたけれども、私どもといたしましてはそのようなことは毛頭いたしておりません。

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) 内藤君時間ですから……。

内藤功日本共産党

○内藤功君 最後に、人事局長せっかく来ていただいたんですが、判検事の勾留問題について具体的に質問したかったんですが、私の手持ち時間がもうありません。これは次回に譲ります。

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) 次に円山雅也君の質問になるのですが、予算委員会との、大臣の出席の時間の関係もありまして、このまま暫時休憩をいたします。    午後三時四十五分休憩      —————・—————    午後四時二十八分開会

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) 委員会を再開いたします。  質問を続けます。円山雅也君。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 大臣がお戻りになったばかりでまことに恐縮でございますが、最初にごく一般的な御質問を大臣にさしていただきたいと思います。  大体、私の少ない国会での経験からも、歴代の法務大臣が真っ先に胸を張って言われるのは、日本は法治国家である、法治国家の威信が傷つけられたとか、法治国家の威信にかけてとかいう言葉をお口にされます。果たしてそうだろうか、どうだろうか。  少し具体例で大臣にお考えを、御所見をいただきたいと思うんですけれども、たとえば強盗、それから数十人の殺人、放火、強姦、もうあらゆる悪の限りを尽くした極悪犯人がつかまうたとします。この犯人、自白をして、もう弁護人なんか要らない、どうせ死刑だからと言っておる。ところが、こういう社会に大害悪を流した極悪犯人でも、私どもの税金でもって国選弁護がついて権利の保全に十分な処置がとられております。もう無罪の推定が働く以上これは結構だと思うんです、それでも。  それからさらに、たとえばうんともうかっている大企業が一千万円の焦げつきを出したとします。そうすると、取れなくたって回収しなくたって損金で落とせば同じことなんです、もうかっておるんですから。ところが、どうでもいい取り立ての一千万円については弁護士が群がって、やはり取り立て裁判を一生懸命になってやってくれます。これも結構だと思うんです。  それからさらに、時の権力者が汚職か何かでもって法廷の場に立たされますと、きのうまで検事総長、検事長、検事正といって、けしからぬ、国家の機構を壊滅する汚職なんというのは断固厳罰に処すべきだと法廷でどなっておられたお偉い法務省の検事さん方が弁護人になって、くつわをそろえて時の権力者の弁護に当たります。これも結構だと思うんです。やはり無罪の推定があったわけだから、一応。  ところが、そういう極悪犯人とか大企業のどうでもいい損金の取り立てとか権力者の弁護とか、そういうものは確かに法治国家として万全の体制をとられておりますが、これに比べまして、たとえばここになけなしの貯金三万円を持っている男がいたとする。友人が困って訪ねてきたので、気の毒だと思って三万円貸した。その友人がずるくて返さない。その場合、この男は当然にいまの法律では、貸し金ですから返還請求権がある。裁判所にも訴えられる。裁判でもって強制執行して回収ができる。たてまえ論ではそうなっておりますけれども、実際面では三万円の取り立てを受認する弁護士というのはなかなかおりません。見つけるのは骨だと思います。というのは、三万円の取り立てのために裁判を起こし、強制執行をし、競売をかけて、そして回収するなんということは、まず三万円の足を出しちゃうと思うんです。  そうしますと、いまの法治国家のそういう現実は、大金持ちとか権力者とかそれから極悪犯人には万全の体制をとっているけれども、多くの一般庶民の、本当に善良な、なけなしの三万円を善意で貸したこの取り立てについては、権利はあっても絵にかいたもちでもって実行が図られていない。これでもって、このままこういう状態でよろしいのでしょうか。これでもまず法治国家と日本は胸を張って法務大臣がいばれるのでしょうか。その辺まずお聞かせをいただきたいと思います。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 大変大事な問題を御指摘いただいたと思いますが、諸外国の制度につきましても検討はいたしております。私どもそれぞれの国の社会情勢、それから国民性、司法制度の仕組み等がそれぞれ異なるに従って法律扶助の内容も大きく左右されるわけでございますから、単純にその間の優劣を比較することは困難ではないかと考えますが、しかし、貧困者に対する、いまお話しのございましたような訴訟援助は、これはきわめて重要でありますから、直ちに扶助を必要とするものが救済されないという事態が起こらないように、今後ともこの制度の安定充実に努力する必要があると存じます。  そのための人権擁護局、日弁連、法律扶助協会などの間で研究会を設けまして検討いたしておるところでございますが、私どもの少ない知識で判断をいたしましても、私は、日本はいま御指摘になりましたようなところにやっぱり目を注いで、改善すべき点は速やかに改善すべきではないかという気持ちを持っておるものであります。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 ありがとうございます、大変結構な御答弁。  そこで、いままさに大臣から法律扶助という用語が出ました。結局いまも私が申し上げたような点を救済するとしたならば、他の法治国家として誇っておる諸外国のやることは、結局かなりの国家予算を法律扶助制度につぎ込んで、そしてそういう権利が絵にかいたもちにならないように実現を図っておるわけでございます。ところが日本も、現在も大臣がいま言われましたように、法律扶助協会というのがございまして、弁護士が献身出血サービスでもってこれに当たっておりますが、その日本の法律扶助協会というものがありながら、これに対する国家の取り組み方、法務省側の取り組み方というのは、予算一つとりましても全くスズメの涙でございます。  たとえばこれは日本の予算が他の諸外国に比べて少ないからとか、そういう意味ではございませんで、たとえば人口比で、一体他の国が人口一人に対して、国民一人に対してかけている扶助費と、日本が一人に対してかけている扶助費と人口比でそういうふうに比べてみたところで何百分の一というわずかなものです、日本は。それからさらに国家の総予算と、それから扶助に注ぐ扶助費とこの比較をしましても、やはり百分の一とかそういうような違いでございます。余りに違い過ぎる。  しかもこの扶助費については、法律扶助協会が一生懸命に当たりながらも、なおかつ毎年のように法務省側に、国家に、何とかもう少し増額をしてもらえないか、活躍の場が開けるのだと、そうすればそういう矛盾が防げるのだ、少額訴訟、貧窮者の訴訟の実現ができるのだと何回お願いをいたしましても、十年一日のごとく——これは補助金の形で出ておりますけれども、予算が減ってもふえはしない。  そして、じゃ一体それに対する国側の答弁、大蔵省側の答弁はどうなのか。これからひとつまさに担当者の人権局長にその実態をお聞きしますが、大臣もぜひ聞いていただいて、先ほどの御発言のように真剣に取り組んでいただきたい。日本の扶助制度の実情をぜひとも御認識いただきたいと思うんです。  そこで人権局長にお尋ねいたします。  いま私が指摘しました法律扶助協会の補助金、これはもう十年越し扶助協会から増額をしてくれ、してくれと言っている。ところが、総額においては減りこそすれ少しもふえておりません。今年の予算だって扶助協会からは二億二千三百万円必要だと、詳細な申請書をつけてお願いをしたのに、結局やはり前年と同じ七千四百万円しか出ておりません。なぜ、どこがネックになってこの増額が認められないんでしょうか。いまも大臣の御発言のとおり重要な問題だ、法治国家にとっては重要な問題だという御答弁いただいているにもかかわらずなぜこれが認められないのか、その点のまず理由をちょっと御説明いただきたいと思います。

中島一郎法務省人権擁護局長

○政府委員(中島一郎君) お答え申し上げます。  一般的に申しまして法律扶助の需要というものがございますが、私どもはこの需要に現在の法律扶助制度というものが十分にこたえ得ているかどうかという点については常に重大な関心を持っておる点でございますが、この評価と申しますか、判断というのは非常にむずかしい困難なことであろうかというふうに考えます。  私どもといたしましては、先ほど大臣も申し上げましたように、真に法律扶助を必要とする国民に対して、扶助を資金の不足ということの理由のために拒否するというような事例があってはならないという観点から考えておるわけでありますが、真に扶助を必要とするケースについて、資金不足のために扶助を断ったというような事例があれば、それはひとつ人権擁護局の方に連絡をしていただきたいということをかねがね申し上げておるわけでございますが、そういう事例につきましてもいまのところはっきりとした御連絡もない。それからそういうケースにつきましては、支部の拒否の判定に対しまして不服のある人は、その上部の機関であります地区の協議会に対して不服の申し立てをすることができるということになっておりますが、この不服の申し立てがあったという事例も現在のところないというようなことでありますので、一応ぜひとも必要な人々に対する法律扶助というものは需要にこたえ得ているのではなかろうかというふうに理解をしているわけでございます。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 まさに局長がお話しになったように、資金不足のために絵にかいたもちの権利をつかまされているとしたならば、これはもう絶対許せませんですね、法治国家としては。これは大変結構だと思うんです。ところが、法律扶助協会の現状は、たとえば、こういう指示を出しているんです、最近は。保証金、つまり仮処分の保証金とか、そういう裁判所に保証金を積むような事件は、保証金がないから受けないでくれと指示を出しています、金がないんだから。それからさらに、扶助決定に当たっては、資金量を考慮して、緊急性、重要性の高いものから順次やってくれと。ということは、いま二点だけからとらえましても、こういう指示をなぜ出さなければいけないか、全国の支部に、扶助協会の。  ということは、金さえあれば全部片づいた問題なんです。資金があれば。だから、資金不足だと。局長の、本当に困っている人に対しては十分に行き渡っているはずだという御発言は、これは全く扶助協会が聞いたら烈火のごとく怒って、とんでもない、そのためにもこうやって法務省に出した予算にもその点は指摘してあるじゃないかと言われるだろうと思うんですがね。本当に人権局長、いまの七千四百万の補助金で足りると、しかも十分に貧困者の少額訴訟の救済は足りてると思っていらっしゃるんでしょうか。もう一回御答弁いただきたいと思います。

中島一郎法務省人権擁護局長

○政府委員(中島一郎君) ただいま御指摘の通知と申しましょうか、書面が本部から各支部に出されたということは事実でございます。日付は昭和五十三年十月二十七日になっておったかと思いますが、内容は、おおむねただいまおっしゃったようなことでございますので、私どもはこれは容易ならぬ内容であるということで、どうしてこういう通知が出されたのかということを調査いたしました。そういたしました結果、判明いたしたのでありますが、実は昭和五十二年度の年度末におきまして、扶助協会では、扶助費の銀行借入金が約一千三、四百万円であったかと思いますが、ございました。それが五十三年度に持ち越されまして、五十三年の九月、十月に及びました。  扶助費について、こういう銀行借入金があるということは、財政の健全化ということでいかがなものであろうかということで、扶助協会ではこれを一挙に五十三年度じゅうにゼロにするということをお決めになりまして、そして、それを実行をされた。その結果、五十三年度の十月の二十七日付の通知でありますから、五十三年の十二月と五十四年度の一月、二月、三月と、ここへ来て一千何百万の扶助費を圧縮をすると申しましょうか、従来扶助費として予定をしておりました金額を圧縮するということになりましたので、そういう無理が起こったのではなかろうかと。でありますから、ただいま御指摘の事例は、きわめて例外的なと申しましょうか、事例ではなかろうかというふうに私ども考えておるわけでございます。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 たとえば、会社を経営します、企業を経営します、国家を運営します。金があり余っている人が借金をしますか。日本国が裕福ならば、国債なんか発行しないでしょう。足りないから銀行借り入れをする。法務省から銀行借り入れまかりならぬというから、そうしたら減らすしかないじゃないですか。結局はないから、足りないからでしょう。じゃあ扶助協会の担当の弁護士たちが、銀行から借りた金を着服して足りないというなら、それはけしからぬですよ。だけど、逆に、扶助協会から一銭だって皆役員が、担当者が給料をもらっていますか。みんな自腹でもって、自分ちの事務所の事件を犠牲にしてまでも弁護士はこれをやって、それでも足りないから銀行から借りたんでしょう。  そうしますと、ぼくは一番問題なのは、一体扶助制度というのは法務省はその本質をどう考えておられるのか。たとえば、貧窮者の救済のための恩恵的措置とお考えになっているのか。それとも、国民のだれもが平等に裁判を受けるところの実質的な権利を保障するための制度なんだと、法治国家の当然の責務だとお考えになっているのか。憲法論は別です。憲法三十何条の平等の権利で、憲法違反とか何とかの問題は別としまして、法治国家の政策として、現在の日本の法務省は法律扶助制度を貧乏人に対する恩恵的救済と考えるのか、それとも、いや法治国家の責任だと、保障するのは、担保するのが。どちらのお考えをおとりになっておりますか。

中島一郎法務省人権擁護局長

○政府委員(中島一郎君) 私どもは、法務省設置法の中に人権擁護局の所掌事務の一つといたしまして、貧困者に対する訴訟援助という項目がございますので、貧困者に対する訴訟援助としてとらえておるわけでございますけれども、事柄は、憲法のいわゆる裁判を受ける権利の実質的保障につながる重要な問題であるというふうに理解をいたしております。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 もしも裁判の実質的保障につながる問題だとお考えになるならば、少なくとも他の国との比較においても、それは確かに法務大臣が言われているように、国情の違いがあるかもしれません。あるかもしれませんけれども、予算の比からしても何百分の一、人口比から見ても何百分の一で足りるとお考えになって、それで国家は完全に実質的な権利の保障をしているというふうにお考えになること自体が私にはおかしいと思うし、銀行借り入れをしなければならない現状を御承知になりながら、もう銀行借り入れをじゃ埋めるためには扶助事件を受けざるを得ないという現状を御承知でありながら十分に足りているという御返答が出ることがわからない。  つまり何とか、たとえば、じゃ今度、ことしの予算でも扶助協会から二億二千三百万の請求が出た。法務省は大蔵省に対してこの補助費について何億で御請求になったか、お答えをいただきたいと思う。

中島一郎法務省人権擁護局長

○政府委員(中島一郎君) 扶助費、調査費合わせて約一億の要求をいたしたと記憶しております。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 そうすると二億二千三百万円を一億に削られたという根拠、それからさらに、従来の補助費が七千四百万であったのに、法務省自身が上乗せをして一億必要だとやられた根拠。これは削られた根拠はまず何ですか、一億で足りると考えられたのは。

中島一郎法務省人権擁護局長

○政府委員(中島一郎君) 私の方の予算要求は、扶助協会の予算要求を削るとか何とかという形ではございませんで、人権擁護局において独自の計算方法に基づきまして数字を算出するという方法をとっております。したがいまして、扶助協会の要求を削ったというような記憶と言いましょうか、つもりはないわけでございます。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 しかしやはり、七千四百万円じゃ足りないだろう、だから一億にしようという認定で一億にされたんでしょう、それは。

中島一郎法務省人権擁護局長

○政府委員(中島一郎君) 一億につきましては、それなりの根拠になる数字を準備して要求をしたということでございます。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 私はこの質問に立つ前に、この補助金を算定する大蔵省の窓口の方にも来ていただきまして大蔵省としてはどう考えているのだという意見を聞いたのです。そうしましたら、大蔵省としては、あの補助金の交付七千四百万円が立てかえ金になっているのだ、一応。渡しっきりではないのだ、そうすれば何年も累積すれば、当然に立てかえなんだから、回収していって、資金がプールされるじゃないか、だからそれで十分じゃないか、だからそういう全額立てかえ金として出されている限りは回収が当然なんで、大蔵省としてはそんなに毎年ふやす必要はないという見解につながるのだ、だから出せないのだという御回答をいただいたんですがね。法務省としても全くそれと同じ考え方でございますか。立てかえ金でプールされたのだから、そんなにふやすことはないという。

中島一郎法務省人権擁護局長

○政府委員(中島一郎君) 立てかえ金であるということはおっしゃるとおりでございますが、でありますから、その性質に基づいての計算はいたしますけれども、だからといってふえることは必要ない、ふやすことは必要ないということは考えておりません。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 ぜひその点も、非常にもうこれは法務省、釈迦に説法ですけれども、事件は確認訴訟とか、離婚だけとか、認知だけとか、被告事件とか、判決があっても相手から取れないということで弁護士費用を協会が立てかえたって、必ず金銭債権みたいに入ってきて、その中から取り立てる事件ばっかりじゃありませんからね。  そうすると、ぼくは大蔵省の考え方自体が、最初からそういう確認事件も受けちゃいけないというなら別ですけれども、確認だとか、つまり、お金にならない、全く無形のそういうものの事件も当然受けるとなれば、最初から全額回収だという立てかえという考え方自体がおかしいので、二割なり三割なり占める事件の比率でもって、これは回収できないんだからといって未回収金を最初からその補助金の中にある部分見込まなきゃいけないだろうし、そうすると、見込むとすれば今度はさらに回収ったって素直にさあっと払ってくれる人もいないんだから、結局は取り立てに費用がかかる。その回収の費用も見込んでいただかなきゃいけないわけですね。そういうようなきめ細かい御配慮をしていただかなきゃいけないと思うんですね。それをぜひひとつ法務省の側から今後の予算折衝についてお取り次ぎをいただきたいと思うんですけれども、その辺。つまり、全額が回収されるという前提であの補助金が出されたら、これはもう全然最初から話が違う。  それからもう一つ、立てかえ金じゃなくてもらいっきりにするという諸外国のそういう例もありますけれども、もらいっきりにするということはできないんですか、技術的に。それをちょっとお願いします。

中島一郎法務省人権擁護局長

○政府委員(中島一郎君) おっしゃるとおり渡しきりと申しましょうか、償還を求めないという方式の制度もあるというふうに聞いておりますけれども、現在の国家財政の事情を前提にいたしましてもやはり貴重な国費を使用するわけでありますから、その効率的な利用ということから考えまして償還制度ということはやむを得ないんじゃないかというふうに考えております。  ただ、償還と申しましても、これは全額償還ということは事柄の性質上むずかしいことでありまして、そこは猶予制度というものもあり、免除制度というものもあり、これらの制度を適切に運用していくということが必要ではなかろうかというふうに考えております。

円山雅也参議院クラブ

○円山雅也君 ひとつ、何か協会と法務省とで一緒になって実態調査をされて、最近その調査結果が出るということで積極的に取り組んでいただき始めたんで大変結構だと思うんですが、ぜひその調査結果が明らかになりましたら、それに基づいてより積極的な取り組みをお願いをしたいと思うんです。  それから大臣に最後にお願いを申し上げます。結局この扶助制度というのは、特定の業種、団体が得するわけでもございません。弁護士が得するわけでもない。それから一定の地域の国民、一定地域だけが得するわけの制度ではありません。全国民に適用する法律を絵にかいたもちにしないため、または特定の先ほど前提で申し上げた大企業とかそれから権力者とかそういう者だけが保護されるのじゃなくて、むしろ一般その他の多くの庶民全部が適用される制度でございます。しかも、それがりっぱに果たせることによって、初めて本当の意味の法治国家というのができ上がる制度でございます。  ぜひともこの際真剣に法務省の関係を叱咤御激励いただきまして、何とか日本を一人前の——少なくとも他の点で経済大国だなんて言われていますけれども、こういう法律の扶助制度一つとらえましたら全然話にならないくらいおくれております。この点も御検討いただきたい。これは全国民のむしろ大多数を占める庶民の願いだろうと思います。ぜひとも御検討いただくことを要望いたしまして、最後に御所見を伺って終わりにしたいと思います。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま大変大事なことを御指摘になりまして、私どもも先ほど申し上げましたように、関係者で協議をされるようでありますので、そういう御意見も一応いただきました上で善処してまいるようにいたしたいと思います。

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) 円山君の質問は終わりました。喜屋武眞榮君。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 大臣にお尋ねいたします。  最初に、私は先日法務省に対して、日本の混血児の実態はどうなっておるかということを資料を要求いたしましたら、この資料が出てまいりました。それには、政府としては、いわゆる混血児としての調査はやっておりません、こういう付せんをつけて私にこれが出てまいりました。これは事は重大だと私は思っております。一体やらぬでもいいと思っておられるのか、それとも余りにも混血児問題に対して無関心でおられるのか、まことに冷たさを感ずるわけですが、大臣、このことをいかが受けとめておられますか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 事務当局からお答えいたさせます。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 混血児問題が重要な問題であるという認識は私ども一持っておるわけでございますが、ただ法務省といたしましては、結局入国管理の面あるいは戸籍の面というところから把握せざるを得ないわけでありまして、全戸籍について調査をするということはとうていこれはできないことでございますので、とりあえず入国管理局の方におきまして外国人登録の面について調査をいたしておるわけでございます。もちろんこれは外国人登録の面から見まして、血統の点が必ずしも十分に、カードをめくって調査をするということでございますので、絶対正確で間違いないと申し上げる自信はないのでございますが、その数字は私ども承知いたしております。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 それでは私要求します。混血児の実態は一体どうなっておるか。その中で無国籍の実態はどうなっておるか、早目に実態調査をすべきであると思うが、いつごろまでにその実態が調査できますか、それを答えてほしい。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 混血と申しましても、これはたとえば人種的な面で調査をするということはとうていできないわけでございます。そういう調査というものはおよそできませんし、またそういうことをやるのが適当であるかどうかという問題もございます。結局国籍上の問題として日本国民と外国人との間に生まれた者として把握せざるを得ないわけでございますので、これが人種的に申しまして混血児になっているかどうかという点はまた別でございますけれども、現在沖繩の管内におきまして在留しているそういった人々につきまして外国人登録によって調査をいたしたところによりますと、米国籍の方が四百九十九人、これは主として父が米国人で母が日本人であるという方でありまして、これはもちろん大人も含んでいるわけでございます。  それからフィリピン国籍の方が百四十八人、これも主としてフィリピン人の夫と日本人の妻との間にできた子、まあ子と言いましても大人も含んでいるわけでございますけれども、そういった方方、それから無国籍につきましては現在沖繩で外人登録で把握されておりますのが六十四名でございまして、そのうち十七歳までをとりますと十人、二十一歳までとりますとあと一人、十一人というような数字になっておりまして、その内訳は、米国系が六人、フィリピン系が二人、あとはごく少数の中国系その他がございますけれども、そういった状況になっているわけでございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 どうしてそういう調査がありますのに調査をやっておりませんと付せんをつけてあるかということを……。いや、もう答弁要りません、このこと。じゃ、その実態を後で資料としてもらいたい。よろしいですね。  じゃ、次に進みます。  大臣に尋ねます。沖繩のいわゆる混血児あるいは無国籍児というのは結局戦争の落とし子であり、しかも、沖繩における膨大な基地が続く限り、外人あるいは米軍人、軍属が駐留する限り、この混血児の問題あるいは無国籍の問題はこれはずっと続く。こういうことに対して、これは国の責任で解決すべき問題であると思いますが、大臣、いかがお考えですか。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) これは非常に専門的になりますので、民事局長からお答えいたしたいと思います。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 ちょっと大臣、いまの問題は大臣に答えてもらわぬと困りますよ。

倉石忠雄自由民主党・自由国民会議法務大臣

○国務大臣(倉石忠雄君) 事務当局が発言いたしましても法務大臣が責任を負うているんでありますから、事柄が早く氷解するためにもやっぱり事務当局に意見を述べさしていただいて、その方がいいと思います。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 もういいです、大臣答えてもらったから、その点は。問題が次々ありますから、結論だけ聞けばいいです。  沖繩の混血児の特徴は、アメリカやフィリピン人の父親に遺棄されておる、それから離婚された母子家庭であること、これが特徴の一つ。次には生活状態が、扶養費もなく、二、母親は混血児を育てるために経済的に貧困、三、生活保護世帯が多い、こういう生活状態です。次に無国籍の状態は、いまだに婚姻届がなされていないもの、二、アメリカ人父親の行方が不明、三、出生届ができないもの、四、アメリカ人の夫がベトナム戦で戦死したまま置き去りにされておる、こういう実態なんです。この実態を踏まえて、これはまさに人権問題、人道問題、こう言わなければなりません。国際問題ですから、むずかしいことはよくわかります。わかるけれども、むずかしい、むずかしいといってこれはほうっておくべき問題ではない。  それで次のことを尋ねます。離婚問題で那覇家庭裁判所で調停あるいは仲裁をした結果が、家裁の判決の結果、扶養料が月三十ドルから五十ドル、慰謝料が二百ドルから二百五十ドル、こういう判決が出されておるんですよ。ところが、その判決を言い渡しされておるが、それを履行せずに行方不明になっておる。国はこの判決に対して履行させる責任があると思うのですが、いかがですか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) お尋ねの点は、民事裁判の執行の問題でございまして、これは現実に国内の裁判におきましても、裁判に勝ちましても相手方が資産を持たない、あるいは所在不明であるというような場合には、国内の問題といたしましても、いろいろ実効を上げるのは非常に困難である。それでお困りになる方が多いということは確かに間々見られることでございますけれども、この場合もその例に漏れないわけでございまして、ただ相手方がたとえば軍人であるという場合に、これは非常に執行が困難であるということでございますが、これはたとえば給料をもらったときに有体動産として差し押さえるというような道が開けてはいるわけでございます。  ただ、非常に困難であるということはお説のとおりでございまして、これは一般の問題としてまことに残念でございますけれども、民事裁判の執行を常に確保するということは非常にむずかしいことであるという点を御理解願いたいと思うわけでございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 困難であるということと不可能であるということとは別ですよ。姿勢の問題です。まさにこれは人権問題、人道問題ですよ。それで「沖繩の混血児実態調査報告書」という膨大な、沖繩県教育振興会、沖繩協会、こういう報告書が出ております。  その具体的な事例、法務省の肺臓をえぐりたい気持ちで例を読ましていただきます。十二例ありますけれども一.一例だけ。  「ベトナム戦争のために入籍なく放置」。「K君は白人系の混血児で現在十歳、沖繩市に住んでいる。母は一九六三年にマリン兵と結婚したがK君が生まれた時は彼が未だ十八歳だったので、米国の国籍法の事件を欠いていたため出生届けができず、日本人、米国人いづれの国籍も認められなかった。そのために入籍のないままいまも放置されている。不幸にも、父親はベトナム戦争に参加して頭に重傷を負った。ついに精神病院に送られ、やがて米本国に送還、その後音信が途絶えたままとなっている。」という一つの事例です。  もう一つ。「離婚手続なく無国籍」。「Y子さん(三十歳)はいま具志川市に住んでいる。彼女は二十二歳の時、米空軍の兵士と結婚した。基地メイドをしていた。二人の子供ができたころ夫が南カロライナ州の航空隊に転勤した。一緒に渡米したのだが、夫は他の女と親しくなり生活費もくれない。逆に妻に対し「金を盗んだ、男友だちをつくった」などといって裁判を有利にもっていった。子供は夫側にひきとられ、自分で働いて帰国の旅費をつくって沖繩へ一人で帰ってきた。帰国後に生まれた子もいるがこの子は正式な離婚手続きが整ってないために、籍がつくれない。」。  こういった、まさに悲劇、人道的なケースが沖繩にはたくさんあるのですよ。このことを思うときに、私は提唱したい。この理由も聞きたいんですけれども、もう時間もありません、聞くまい。結論は、困難、困難と、こうおっしゃいましたが、これは人権問題、人道問題でしょう。公民〉しての、人間としての。それは放置できないはずであります。そうであるならば、法は何のためにあるかということなんです。これは金科玉条ではないはずですよ、法というのは。いいように改めていけばいい。絶対的なものじゃないでしょう。  そこで、これを救うためには国籍法の改正をすべきではないかと、こういうことなんです。まず内容を申し上げますならば、父系優先血統主義を父母系主義に改める、こういう法の根本問題が去るわけなんですね。このこと、どう考えておられるか。

貞家克己法務省民事局長

○政府委員(貞家克己君) 確かに先生御指摘のしおり、そのような趣旨の国籍立法がもし可能であれば、これは問題の大部分を解決することになるということは、これはそのとおりでございます。ただ、国籍法の男系主義を両系平等主義に改めるという点は、これは非常な大問題でございまして、世界各国でそのように進んでいる例もございますし、またそれをちゅうちょしている国もございます。この場合にいろいろむずかしい問題点が起こる。ことに、わが国の置かれておりますこの近隣諸国との関係におきましては、非常に十分慎重でなければならないと思うわけでございまして、この問題につきましては、私ども決してそれがおよそ適当でない方向であるなどということを考えているわけではございませんけれども、相当慎重に今後検討し、また近隣諸国のこの問題に対する取り組み方ということも十分見守りながら、この問題を検討しなければならないと思うのでございます。  ただ一方、先生おっしゃいますように、沖繩の戸籍の問題というものは、いまや人道的な問題となっているということも、これはよく伺っているところでございます。そこでこの問題、やはり国籍の問題、戸籍の問題という点が一つの大きい要素であると思います。しかし、同時にこれは児童の福祉でございますとか、そういったわれわれ以外の官庁の所管に属する面もございます。もちろんございます。しかし私どもといたしましては、戸籍、国籍というものをお預かりしておりますので、その面から十分努力をしたいと思っているわけでございまして、たとえば帰化の申請手続もそうでございますし、さらに広く国籍、戸籍に関連する問題がございますので、社会福祉法人国際福祉沖繩事務所等とも十分連絡をとりまして、また在沖繩のアメリカの総領事館というようなところとも、これまた連絡をとりまして、従来から私どもの出先でございます那覇の地方法務局におきまして打合会あるいは説明会というようなものをやっておるわけでございます。  また、帰化の点につきましては、簡易な帰化を認めるというたてまえになっておるわけでございますけれども、私どもは実情に応じた特別な配慮を払うように現地に十分な指示をいたしているつもりでございます。さらにこれは、私ども民事局関係の国籍、戸籍だけというわけにまいりませんので、これは若干、私どもの法務省の所管ではございますけれども、人権擁護の関係もございます。そういったところとも十分連絡をとりまして、打合会のみならず、積極的にさらに役所においでを願うということ以外に、役所の外でも大いに相談に応ずると、国籍に関連するような問題点について不満の点が、どういう点に隘路があるのか、どういう方法をとるということが考えられるかというような点につきまして御相談を申し上げるというような計画も現にあるわけでございます。  私どもは十分、もちろん根本的な改正ということが考えられればこれは問題は非常に変わってまいりますけれども、現段階におきましても十分そういった努力をいたしたいと、かように考えておりますし、また現に現地においてそういうような努力をいたしているわけでございます。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 いまるる述べてもらって、そして人道的立場ということをおっしゃったが、私、そういったお気持ちで前向きで検討してもらいたい。わが身をつねって人の痛さを知れ、わがものと思えば軽しかさの雪、こういうことでよそごとと考えてくださらぬで、本当に人道的立場からという前提に立つならば決してむずかしい問題ではない。  それで、参考までにもう一つ国際福祉沖繩事務所の側からの法改正の提案としては、子は十五歳から二十歳までの間に外国人父親の国籍か母親の日本国籍にするか選択し、外国人父親が認められない場合には日本国籍が与えられること、こういう内容がこの組織からは具体的に提案されております。それも御参考までに申し上げておきます。  時間ですので、厚生省見えていますか。——厚生省に対しては、沖繩戦被災当時の六歳未満にも適用せよという、こういうことで去る三月四日の衆議院予算委員会の第三分科会で、野呂厚生大臣は、この援護法適用は適用の方向で実態調査を行い、検討するよう指示された、そうして現在援護局と県との間で話し合いを進めていると、こう報道されておりますが、援護局と県との話し合いの結果は一体どうなっておるのであるか、調査は進んでおるのであるか、そのことをまずお聞きしたいと思います。

楠本欣史厚生省援護局援護課長

○説明員(楠本欣史君) お答えいたします。  こういった沖繩の六歳未満の戦争犠牲者に対する援護措置に関してでございますけれども、先生御承知のとおり、戦傷病者戦没者遺族等援護法におきましては、軍の要請により戦闘に参加した者を準軍属として私ども処遇しているところでございます。そういった準軍属戦闘参加者という者に該当するか否かにつきましては、沖繩については戦場と化した、そういった特殊事情を踏まえ、その戦闘に参加したと言えるかどうかということについて、先ほど御質問にありました、沖繩県と話し合いを現に進めておるところでございます。ただ、これはいま申し上げましたとおり、新たに立法措置を講ずるあるいは予算措置を講ずるという問題ではございませんで、既存の制度、遺族等援護法、これの適用について検討するということでございますので、これについての特別の実態調査ということは考えておりません。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 大臣の指示を受けて、それぞれの担当部課が前向きで検討されつつあることを私はうれしく思います。実は、きのう野呂大臣が私に対して、そのことは喜屋武さん大丈夫だからとわざわざおっしゃったんですよね。  それで、結論、もう時間ですから。援護法も、過去も、いきさつも申し上げません。結論。援護法は全面的に適用してもらいたい、これが第一。現行法で適用が無理なら、法改正をしてでも適用すべきである、適用してもらいたい。この二つを申し入れて、それに対する答えを求めて、私、質問を終わります。

楠本欣史厚生省援護局援護課長

○説明員(楠本欣史君) お答えいたします。  まず最初の、遺族等援護法において六歳未満の方々を全面的に適用したらどうかという点につきましては、先ほど申し上げましたとおり、この法律が国との間に使用関係があった、国との間の関係のあった方々に対し、すなわち軍人あるいは軍属、準軍属——御質問の方々は戦闘参加者という準軍属でございますけれども、そういった趣旨の援護法の範囲の中で、この戦闘参加者という、六歳未満でございましても、戦闘参加者というふうに評価される者については、すべてぜひ処遇されるよう検討してまいりたいと思います。  なお、一般的にすべて援護法を改正してでもということになりますと、これは非常に大きな問題でもございましょうし、また現行遺族等援護法というものが大きな枠といたしましては、申し上げました軍人、軍属、準軍属と、こういった国との間に一定の関係があった者、これについて国家補償の精神に基づいて援護を差し伸べる、こういう趣旨の法律でございますので、一般にこれを広げる、そういう方向で法改正をするということは、これはきわめて困難な問題であると思われます。  以上です。

喜屋武眞榮第二院クラブ

○喜屋武眞榮君 ちょっと一言いまの。最後に申し入れておきます。  責任ある大臣の指示でありますから、それをまともに受けとめて、そしていわゆる分析してというお言葉がありましたが、これは沖繩における六歳未満のこの戦傷者というのは類別ができない、全部これは平等の立場で受けとめてもらわなければいけない。このことをまず私、強く要望いたしておきます。  それで結論は、そういう前向きになって誠意をもって粘り強く当たれば道おのずから開ける、このことをひとつ政府の皆さんに強く要望をして、完全解決、円満解決してもらうことを強く望みます。終わり。

志苫裕日本社会党

○委員長(志苫裕君) 他に御発言がないようですから、法務省及び裁判所の決算についてはこの程度といたします。  次回の委員会は三月二十八日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会      —————・—————

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