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91回国会参議院1980/04/01

外務委員会 第4号

発言数
185
登壇者
17
会派数
4
開催日
1980/04/01

会議録

石破二朗自由民主党・自由国民会議

○委員長(石破二朗君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る三月二十八日、熊谷弘君が委員を辞任され、その補欠として二木謙吾君が選任されました。     —————————————

石破二朗自由民主党・自由国民会議

○委員長(石破二朗君) 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカナダ政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の紛争の解決に関する改正の受諾について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更に関する第四確認書の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書(千九百七十九年)の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第六条、第十六条及び第二十三条の解釈及び適用に関する協定の締結について承認を求めるの件、貿易の技術的障害に関する協定の締結について承認を求めるの件、民間航空機貿易に関する協定の締結について承認を求めるの件、政府調達に関する協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定の議定書の締結について承認を求めるの件、輸入許可手続に関する協定の締結について承認を求めるの件、以上十三件を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。大来外務大臣。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) ただいま議題となりました原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカナダ政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  現在、わが国とカナダとの間には、昭和三十四年に署名され、その翌年に発効した原子力の平和的利用における協力のための協定が締結されております。わが国は、この協定の発効以来、わが国の原子力発電に必要な天然ウランの大半をカナダから購入しておりますが、カナダは、昭和四十九年五月のインドの核実験を契機として、自国産のウラン等に対する規制を強化する政策をとり、わが国等の諸国に対して原子力協定の改正を申し入れてまいりました。政府は、カナダのこの新政策を勘案しつつ、わが国の原子力の開発と利用を促進し、また、天然ウラン等の核物質供給に関する両国の協力関係を維持し、さらにこれを拡大するとの基本方針で、カナダと交渉を行いました。その結果、昭和五十三年八月二十二日に東京において、園田外務大臣とカナダ側ホーナー通産大臣との間で現行協定を改正する議定書の署名を行った次第であります。  この議定書は、第八十七回国会及び第八十八回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。  この議定書は、本文七カ条から成り、これによる主な改正内容は、次のとおりであります。すなわち、現在規制の対象となっている核物質、原子炉等に加えて、濃縮、再処理等に関する情報をも第三国移転に関する規制の対象としたこと、ウランの二〇%を超える濃縮及び一定の核物質の長期にわたる貯蔵を供給国の事前同意の対象としたこと、協定の対象核物質を盗難、不法な奪取等から防護するための措置をとることとしたこと、いわゆる平和目的の核爆発に使用するものを含め、協定の対象核物質をいかなる核爆発装置の製造にも使用してはならないことを明示的に規定したこと、核拡散防止条約に基づく保障措置協定による保障措置が適用されることを明示したこと等であります。  この議定書の締結によって日加両国が原子力に関する協力関係をさらに発展させるための基礎を整備することは、核拡散防止のための国際的努力に協力しつつ、わが国の原子力平和利用推進に必要な天然ウラン資源を確保するとの観点より、きわめて大きな意義を有するものと考える次第であります。  よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。  次に、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  海洋環境保全の必要性なかんずく産業活動等の活発化に伴って生ずる海洋汚染を防止することの必要性は、つとに認識されてきたところでありましたが、海洋の汚染原因の一つである海洋投棄の規制に関する条約を作成することにつきましては、昭和四十七年六月にスウェーデンのストックホルムにおいて開催されました第一回国連入間環境会議におきましてもその重要性が強調されました。この条約は、昭和四十七年十一月にロンドンにおいて開催されました条約作成会議において採択され、わが国は、昭和四十八年六月にこの条約に署名いたしました。  この条約は、昭和五十年八月に効力を生じ、現在フランス、ドイツ連邦共和国、ソビエト連邦、連合王国、アメリカ合衆国を含め四十を超える国が締約国となっております。  この条約は、第八十七回国会及び第八十八回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。  この条約は、人の健康に危険をもたらし、生物資源及び海洋生物に害を与え、海洋の快適性を損ないまたは他の適法な海洋の利用を妨げるおそれがある廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染を防止することを目的とし、海洋投棄の禁止及び規制、違反行為を防止するための措置等締約国がとるべき措置について規定するとともに、地域的取り決めの締結、技術等の分野での援助等国際的な協力についても定めております。  わが国がこの条約を締結することは、わが国の沿岸海域を含むすべての海洋の環境の保全に資することになるとともに、この分野における国際協力の推進のためにも望ましいと考えます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  次に、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の紛争の解決に関する改正の受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約は、その締約国協議会議において、同条約の解釈及び適用に関する紛争の解決のための手続について検討する旨規定しております。この改正は、以上の規定に基づく検討の結果昭和五十三年十月にロンドンにおいて採択されたものであります。この改正は、条約の締約国の三分の二がこの改正の受諾書を機関に寄託した後六十日目の日に、この改正を受諾した締約国について効力を生ずることとなっており、まだ発効いたしておりません。この改正の受諾につきましては、第八十七回国会及び第八十八回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。  この改正は、条約の解釈または適用に関する締約国間の紛争であって交渉その他の方法によって解決することができなかったものについて、紛争当事国間の合意により国際司法裁判所に付託しまたは一方の紛争当事国の要請により仲裁に付託すると定めております。また、その仲裁の手続については、紛争当事国が別段の合意をしない限り、新たに追加された付録に定める規則に従うと定めており、付録において仲裁裁判所の構成、費用の負担、裁判手続等について規定しております。  わが国は、従来から、条約の解釈または適用に関して発生することが予想される紛争が公平かつ確実に解決されることが望ましいとの見地から、これらの紛争が最終的に国際司法裁判所または仲裁裁判に付託されるべきであるとの立場をとって、きておりますが、この改正の内容は、このようなわが国の立場に合致するものであります。  よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。  最後に、関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更に関する第四確認書の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書(千九百七十九年)の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第六条、第十六条及び第二十三条の解釈及び適用に関する協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定の議定書の締結について承認を求めるの件、貿易の技術的障害に関する協定の締結について承認を求めるの件、輸入許可手続に関する協定の締結について承認を求めるの件、民間航空機貿易に関する協定の締結について承認を求めるの件並びに政府調達に関する協定の締結について承認を求めるの件につきまして、一括して提案理由を御説明いたします。  貿易に関する障害の漸進的な撤廃を通じて世界貿易の拡大及び一層の自由化を達成することを目的として昭和四十八年に開始されました多角的貿易交渉すなわち東京ラウンドにおきまして、ガット史上第七回目の関税の引き下げのための交渉及び非関税面の貿易障害の軽減のための交渉が行われてまいりましたが、これらの交渉の妥結により、関税引き下げ交渉に関連してジュネーブ議定書が、また、非関税面の貿易障害に係る交渉に関連して関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定を含め七の協定及び一の議定書が作成されました。また、この関税引き下げ交渉を推進する上で新たな確認書の作成が望ましいとの認識から交渉が行われました結果、第四確認書が作成されました。  これらの議定書、協定等は、関税及び非関税の両面にわたる貿易障害を軽減し、今後の国際貿易の一層の拡大、長期にわたる開放貿易体制の基盤強化を図る上で最も基本的かつ包括的なものであります。  以下、簡潔に個々の内容について御説明いたします。  関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更に関する第四確認書は、現在のわが国のガット税率の品目の分類を組みかえたものであり、そこで掲げられた関税率が東京ラウンドでの関税引き下げの起点となっております。  関税及び貿易に関する一般協定のジュネーブ議定書は、各国の関税引き下げを収録しておりますが、この中でわが国は、工業品約二千四百品目及び農産品約二百品目の関税引き下げを約束いたしました。参加国全体の関税引き下げ品目の貿易額は、昭和五十一年の実績によれば、工業品千百億ドル、農産品百五十億ドルとされております。  関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定は、ダンピング防止税について一般協定第六条の規定の解釈を明確にするとともに、この規定の適用に関する詳細な規則を定めたものであります。  関税及び貿易に関する一般協定第六条、第十六条及び第二十三条の解釈及び適用に関する協定は、相殺関税及び補助金について、一般協定第六条、第十六条及び第二十三条の規定の解釈を明確にするとともに、これらの規定の適用に関する詳細な規則を定めたものであります。  関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定は、一般協定第七条の規定の実施について国際的に一層画一性及び確実性を与えるため、関税評価の方法を国際的に統一するための規定を設けております。また同協定の議定書は、同協定実施について開発途上国に一定の特例を認めたものであります。  貿易の技術的障害に関する協定は、産品に係る規格及び認証制度が国際貿易に不必要な障害とならないようにするための規則を定めたものであります。  輸入許可手続に関する協定は、輸入許可手続が貿易の阻害要因とならないよう、その公正かつ衡平な運用について定めています。  民間航空機貿易に関する協定は、民間航空機等の関税の撤廃その他民間航空機貿易の公正かつ平等な競争の機会を確保するための規定を置いております。  政府調達に関する協定は、政府調達に係る国内法令、手続等に対して内国民待遇及び無差別待遇の原則を適用すべきことを定めています。  これらの議定書、協定等は、多角的貿易交渉の枠組みの中で作成されたものとして、また、ガットの目的である関税その他の貿易障害を実質的に軽減し、及び国際通商における差別待遇を廃止することを目指したものとして、相互に実質的に密接な関係を有しております。したがって政府としては、これらの議定書、協定等を同時に締結することとした次第であります。  多角的貿易交渉の成果であるジュネーブ議定書、協定等を早期に締結しかつ誠実に実施することの必要性につきましては、昨年六月に東京で開催されました主要国首脳会議においても確認されたところであります。また、国際経済が困難な局面にある中で、保護主義の圧力を抑えて世界貿易の安定的な発展を図るためには、各国が交渉成果を早く実施に移し、開放貿易体制の基盤を揺るぎないものにしておくことが急務となっております。このような意味からも、特に多角的貿易交渉の主要な推進国であるわが国の早期締結は、強く期待されているところであります。  よって、ここに、関税に係る第四確認書及びジュネーブ議定書並びに非関税面の貿易障害に係る七の協定及び一の議定書の締結について御承認を求める次第であります。  以上十三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことをお願いいたします。

石破二朗自由民主党・自由国民会議

○委員長(石破二朗君) 以上で趣旨説明は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 グローバルな時代に、それにふさわしいような貿易関係の協定等も推進されてきておりますが、一番おくれているのは、今日においては各国間における総合的な理解が深められておらず、外交、防衛等の問題においてきわめてちぐはぐな動きがなされている点であります。こういう問題に関連して大来さんは先般アメリカ訪問もなされたのでありまして、この問題に関してはまだ多くの人からいろいろな質問がなされることと信じますが、私は、現在世界の有力な国々及び発展途上国等において、経済的利害や宗教やイデオロギーの違いにおいていろんな理解を欠いた行き過ぎが行われていると思うのであります。これでは平和共存への道というものが険しい道になってしまって、われわれ先進国間においてなされているベネチア・サミットへの道も、なかなかそこに至るまでの間、道中においていろいろな問題が起きるのではないかということ、それが心配であります。しかしながら、この二、三日前に、二、三日前というか去る三十日に、イランの最高指導者ホメイニ氏にカーター米大統領が親書を寄せられた旨の発表がありました。このアメリカにおけるカーター大統領の率直な反省と見られるような発言に対しては、世界の人々が目をみはっておるのであります。あらかじめこのことは日本政府においてもすでに察知していたことと思うのでありますが、大来外務大臣はいつごろからこのことを知っておられたのか。日本側においては伊東官房長官が三十一日、ゆうべの記者会見で、大平首相がこのほどイランのバニサドル大統領に対し、アメリカ大使館の人質の早期解放が可能な方向へ導くよう努力してほしいという親書を送られたことを明らかにしたということの発表がなされておりますが、外務大臣はいつごろからこのことはおわかりだったんでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) いまのお尋ねの件につきましては、政府に対して正式な通報はございませんので、私どもも最近のニュースによって承知するという状況でございます。ただ、せんだってワシントンに参りましたときに、バンス長官がイラン問題は何とかして解決しなきゃならないということを強く言っておったことは記憶にございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 伊東官房長官の発表によりますと、大平首相はこのほどイランのバニサドル大統領に対し、アメリカ大使館の人質の早期解放が可能な方向に導くよう努力してほしいという親書を送っているということでありますが、伊東官房長官のこれは発表ですが、このことは大来外務大臣ともあらかじめ御相談の上において出されたのか、それとも独自な形において大平首相並びに伊東官房長官の手によってそういう親書が出されたのか、この間のいきさつを承りたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) これは重要な外交案件でございまして、外務省、私の方にも相談の上出されたものでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 重要な案件であるというふうに外務大臣も受けとめておりますが、これは大平首相なり大来外務大臣が自主的な意思によってこれをなされたのか、それともアメリカ側の懇請に基づいてなされたのか、その間の事情を承りたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) これは自主的な意思によって出されたものでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 伊東官房長官は、人質問題の解決が長引いたのでアメリカ側でもいらいらしているので、米国や西欧諸国がイランに送ったメッセージと同じような趣旨でこれを送ったというのでありますが、同じような趣旨というのでは、欧米諸国の国々の人々と御相談の上にこれは歩調を合わせてやったものでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) ただいまの件につきましては、日本政府といたしましても欧州諸国と絶えず情報を交換いたしておりますので、そういう意味では相互の連絡がとられてまいったわけでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 また伊東官房長官の御見解によると、六月のベネチア・サミットでエネルギー問題にイランの人質問題が中心課題となるということを憂慮して、そこで西側先進国と足並みをそろえて解決を図りたいという共通の意思によってその行動に出たんだと述べておりますが、大来外務大臣も同じような見解でしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) その点も理由の一つでございまして、官房長官と同じ意見でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 カーター米大統領は二月十六日にすでにアメリカの雑誌編集者との会見の際に、一、アメリカが過去のイラン政策について自己批判をする、二、内政に干渉しないようにする、三、パーレビ元国王を訴追するイランの権利を認めること、この三つを挙げて自分の心境を吐露しておりますが、そのころからカーター米大統領は今日のような行動にやがて出たいということを考えておったものと思われるので、必しもとっぴな行為ではないと思いますが、アメリカの大統領が今回ほど率直に自己批判をして、過去のことに対しては余り触れないでもらいたいがという念願も秘めながらも、過去においてアメリカがいろんな、自分とは関係がないが、誤解を生むような行動にも出ておった。それはそれとしてそういう微妙なあばき立てはしないが、まあ事を円満に運んでいくためにお願いするという、アメリカとしては珍しい謙虚な姿勢でこのメッセージというものは送ったと思うのでありますが、そういうそこまで苦悩しそこまで決断するまでにはいろんなプロセスがあったと思うんですが、アメリカの大統領としてアメリカのいままでのプライドをあるところまで捨てて、これまでに真実に訴えをなして、相手国の行き方に対していろんな批判もしないで耐え忍んでとにかく人質問題にしぼって問題を打開しようというような試み、これはアメリカ外交の中においてはいまだかつて例を見ないようなやり方と私は思うのですが、こういう動きに対して日本では、前に国務長官からお会いしたときに話はあったと言いますが、大来さんもすでにこのことは察知しておられたでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) アメリカ政府といたしましては、国連のワルトハイム事務総長のあっせん、それによる調査委員の派遣というようなことによっての事態の解決を望んでおったと思うのでございますが、御承知のようにこの調査委員会の派遣が十分な成功を見ないで帰って戻ってまいったわけでございまして、その後にさらに引き続き何とか解決をしなければならないということが今回のような動きになったのではないかと考えております。私どもとしても自国の国民、大使館が占領され五十人の人質がこれだけ長期にわたって取られておる状況におきまして、米国政府が忍耐強く交渉の態度を維持してきたということは高く評価すべきものだと考えております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 私も二月に欧州会議の代表者十二名と日本の国の代表者、国会の代表者十二名とでストラスブールで話し合いをしましたが、そのときの空気を見ても、ソ連のアフガンに対する軍事的な進出に対してはこれに反対であるが、しかしアメリカのイランに対する人質問題は重要であるにしても、いきなり経済封鎖、食料断交あるいはオリンピック反対という矢継ぎ早のこの一連の強圧に対してはそのままうのみにできないというような良識がみなぎっておったと思うんです。ソ連のアフガン問題に対しては、欧州議会においてはそれをデタントの方向へ戻すように決議を、イギリスの外務大臣の熱心な努力等を通じて全体的な合意を得たのでありますが、それと同時にアメリカのいきり立つ気持ちはわかるが、何か力ずくで押さえつけようという行き方においては問題解決にはほど遠いものになるんじゃないかという憂慮があったようであります。この間において、アメリカの軍部関係の人や何かは、とにかくアメリカとソ連との対立抗争が激化したならば日本は軍事的な意味の協力も必要である、もっと軍備を責任を持って強化しろというようなアメリカからの要請、その他貿易の面でも食糧の面でもああいう荒っぽい押しつけ方だと、これはいまイランに対しては人質問題で謙虚な形で反省に出ておりますが、力を持っているアメリカは時としては感情的に何をやらかすかわからないというような不安感を国民が抱いた点においては、ソ連と同様の私は不信感を国民の中にまき散らしたと思うんです。  大来さんがアメリカに行き、これから大平さんもアメリカへ行くが、自動車の関係で大平さんも初めから余り行きたくなかったようですが、どうも民間側において承知しないからと、民間にだけ責任を転嫁するわけじゃないでしょうが、アメリカに都合のよいようなことだけを言って相手をひねりつぶそうというやり方に対しては、国民の中にもにがにがしい感情というものがいま横溢していると思うんです。アメリカではそれをやってみて後まずかったらまた謝るという手も、今度を見ればアメリカの手はいろいろ損だということはわかりましたが、こういうくせがついてしまうとなかなか日本のいままでのような卑屈な外交なり折衝においてはアメリカになめられるばかりであって、アメリカ自身も相手の立場などということを考慮なしに暴走していくと、ソ連と同じように、私は世界の人から孤立する危険性があると思うんです。  パートナーシップというのはやっぱり言うべきものは言い、そうしてアメリカに改めてもらいたいことは改める。人質を取ったから、人質が大変だからこの辺で平謝りに謝ってイランの怒りを避けようというような、そういう小手先だと、アメリカへの不信感というものはさらに私は強まっていくと思うんですが、その問題はなかなか言いづらい点があるけど、けさのニュースの報道を聞いて、大平さんも余り行きたがっていなかったけれども、大来さんでもあの程度やられるんだから、まあベネチア・サミットの後でもあれば別だけれども、もう少し日本の国民の感情や何かというものもくみ取ってやらなきゃ動きが取れぬというところへ来ているんじゃないかと思いますが、大平さんのことまで測定することはあなたにはできないかもしれませんが、やはりあなた自身もアメリカへ行って非常に苦労してきたと思うんです。言いたいことを言わしておくのは勝手ですが、そういう言いたいことをやたらに勝手に言うという悪いくせに対しては、こっちではこれに対するこたえべき言葉がなくなってしまうんじゃないかと思うんですが、その辺は苦労人の大来さんはどういうふうに打診してまいりましたか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) アメリカのお国柄、一つには言論の自由があり、いろいろな方面の人が自分の考えをある意味では勝手に発言するというような事情もある。これはまあデモクラシーの一つの性格、特質でもあると思いますが、同時にやはり長い目で目れば違った意見に対して寛容だというデモクラシーの長所も持っておるように思うのでございまして、イランの問題につきましても西欧諸国なり、日本なりいろいろな形で意見を従来からアメリカ政府にも伝えてまいったわけでございますが、多少そういう西欧なり日本なりの意見というものもアメリカ政府の政策に影響を与えておるように私どもは感じておるわけでございます。世界の問題についてもいろいろ違った見方、立場があるわけでございまして、この各国の間での意見交換が率直に行われるということが大きな危険を避ける意味で非常に大事だと感じております。  ただいまの日米関係につきまして、自動車問題あるいは防衛問題等について非常に圧力が一方的にあるのではないかというお話もございました。これは確かにいろいろな方面でいろいろな意見が言われておることではございますけれども、しかし政府の当局者はかなり日本の立場についての理解に基づいた発言をいたしておる。日本の国内の問題あるいは平和憲法の問題あるいは自動車問題につきましても、今度の会談の節も、先方で、これはアメリカの自動車工業が大型から小型に切りかえるタイミングと決断を誤ったためにこういう結果になったんだということをアメリカ側の高官が発言いたしておりましたけれども、まあ一方的に意見を押しつけるということにはならないように日本側としてもできるだけ日本の立場、見方というものを先方に伝える、今回もそういう努力をやってまいったつもりでございます。非常に破壊的な何でも反対ということではやっぱりコミュニケーションがうまくいかないと思いますが、筋の通った問題については違った意見を率直に向こう側に申し述べるという努力は、今後も日米関係においてきわめて重要だと思いますし、米国もそれに聞く耳を持たないという態度ではなくて、かなりの程度そういう意見を聞きながら考えていこうという態度はあるように思います。問題によりまして非常に国民の感情が高ぶる、人質問題、そういう場合に先方の政府としてもなかなかむずかしい問題があるようでございますが、基本的にはやはり他人の意見、違った意見にも耳を傾けるという態度はあると私は感じておるわけでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 いま大来さんが言うように、ソ連から見ればアメリカの方がずいぶん表現はラフな表現であっても、話せばわかるという面は多少あると思います。ソ連だって全然わからないことはないと思います。今度のアフガンに対する軍事的進出はやはりひいきの引き倒しでソ連の軍隊を、戦車をあそこに導き入れることによってアメリカの先制攻撃を封じるんだというような一部の人たちの考え方がソ連のアフガン問題を誤らせた原因ではないか。アメリカがまたパキスタンやその他における陽動作戦においてペルシャからアフガンをつこうというようなアフガンの一部の軍部を抱き込んでのやり方というようなものが過大に見られたところもある。そういう点、どうもアメリカとソ連はあれだけ話し合いができているのになぜ問題を突っ込んであそこまでいけないでほうり出してしまったかというのには、どちらも相手と話し合いができるようなかっこうだけはしているけれども、どちらも相手をやはりけ飛ばしていけという本能的なものがひそんでいるところに、そういう一つの相互理解を欠いて対立の方向へ一気に持っていくような、勇み足というか、そういうものも出てくるんだと思います。  そういうところに、私は中国のようにいきなりソ連とアメリカは覇権主義の国家だというふうにまでは言い切れないにしても、それに近い面が今度はソ連においてもアメリカにおいても露呈して、それが各国のひんしゅくを買い、警戒を持たれたという点においてはアメリカもソ連も非常に損をしているし、損をしたことによってそれをとことんまで言わないで、これがアメリカから今度見られるような反省となり、ソ連からも、やがてがんこと言われながらもやっぱり一つの孤立した形において独走すると危険だということの危険信号が感ぜられるようになれば、暫定的にしろやはり今回における災いを転じて福となすことも若干できると思うんですが、それにもかかわらず軍縮の問題なり原子兵器の制限の問題なり軍備の拡張の問題なり、お構いなく一面においては相手を仮想敵国のように考えて、そうして近所隣にも迷惑をかけて暴走していく限りにおいては、今度よりももっと私は不信感が強い災いが起きないとも限らないと思うんですが、大来さんも日本における防衛費をもっと増額しろという点において、外務省は〇・九%から一%まで持っていくのも大変だ、大蔵省もそれに呼応して慎重論を説いた。外務省はNATO並みの計算だと軍人恩給というようなものも入れてとにかく一・五%程度の軍事費が日本においては積み重ねられているんだというような発表もしていたが、最終的にはやっぱり一%に、アメリカの言うことに応じないと貿易その他の方も緊張しているので、あれもだめだこれもだめだというのじゃやはりどうにもならないから、この辺で適当に妥協し手を打とうかという考え方に戻ってきてしまった。行きはよいよい帰りはこわいで重荷をしょってきたようですが、その辺のいきさつは非常に微妙な点がありますが、大来さんはそれで仕方がないと思っていますか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) このアメリカ側との会談、今夏参りましたのは、別に交渉して物事を決めてくるというわけではございませんで、意見の交換ということを目的に参ったわけでございます。そういう意味では特別に一%とか具体的な問題について約束をして帰ってきたわけではございませんで、アメリカ側が日本に対して希望しておることを率直に聞き、こっちも日本の立場を率直に申すということで帰ったわけでございます。今度は一%という問題は向こう側から出なかったわけでございますし、こちらからも言わなかったわけでございます。ただ、防衛庁の持っております中期業務見積もりというものを前倒しといいますか、一年短縮して実現してもらえると望ましいと思うというような希望の表明があったわけでございますが、私としてはこれは日本政府全体、特に総理大臣なり防衛庁当局なり財政当局なりの十分な検討を経なければ何も決まったことは言えない問題だと、したがって、そのアメリカ側の希望は承って、これをそれぞれいまのようなところにお伝えいたしますということで帰ってきたわけでございまして、そういう意味では約束をしてまいったわけではございません。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 そういうふうな行き方においては、アメリカの大使のマンスフィールドさんにしても大来さんにしても非常に経験豊かな練達の士であるから、相手の考え方を全部無視しないで相手の言うことも聞き、こっちの言うことも言い、そして慎重な形で問題をまとめていこうという考え方の模様ですから、人によっては向こう側はこう考えているんだというのを率直に伝言するので、何だそんなことを押しつけたり、のんできたんじゃないかという誤解も招くようですが、いまの話を聞いて、やはり非常に慎重な配慮がなされているということを承ってやや安心なのですが、現在世界の動きの中で私たちがEC九カ国の人々の代表と接触した感じでも、ヨーロッパにおいては各国の利害が錯綜して、言いたいことは言っているが、しかしその限界点ははっきりしておって、そしてお互いにチームワークをとってむずかしい問題もざっくばらんな話し合いを行って、お互いの合意を得て共同の行動に出ようというような新しい一つのルールが確立し、いままでの議会主義において足りなかった面が九カ国という拡大された範囲内においての共同の合意というものをつくり上げるためにうまく運営されていると思います。その点がかつてお互いに血を流して戦ったドイツとフランスの中においてもわれわれが想像する以上な融和ができておる。それから見ると日本はアジアにおける唯一の先進国であり、中国とのパートナーシップはアメリカと違う意味においてつくり上げられたが、なかなか物の考え方や行動においてもそれから発展段階の相違においても、今後、むずかしい面が、ヨーロッパ並みとはいかないような、先進国同士の間における相通ずるものとはそのまま同じような形じゃないものがやはり出てくる危険性はあると思うんです。  ソ連に対してでも、あれほどアメリカ以上に憎しみを持ってソ連を警戒した中国が、最近においてはイデオロギー的にはやはりソ連の共産主義の内政というものは高く評価しなけりゃならないというような意見もずっと出てきているし、それによって果たして近代化の道というものがうまくいくかどうかということは、次の実験において問題が展開されるんでしょうが、イデオロギーや宗教に対してわれわれは関与すべきではないけれども、今日はイデオロギーや宗教というものの全体主義的な、絶対主義的な物の考え方がどちらかと言えば薄らいで、何が国民のために、国民の繁栄のために必要か、何が平和への方向づけを行っているか、きわめて具体的な政策を通じて政治がわれわれの生活に、人民の心に直結した具体的なものに変わりつつあるときに、全体主義かあるいは民主主義かというような議論はさておいて、やはりそこに外交上においてもいろいろな錯綜した動きがあると思うんですが、私たちはアメリカとのパートナーシップの中において、アメリカに迎合するんではなく、アメリカに対しても時として苦言をも呈する。中国においてもしかり。ソ連においても、いたずらに警戒し、敵対的な、仮想敵国的な形に持っていくのでなくて、ソ連も変わらざるを得ないというような——変わらないかもしれないけれども、変わらざるを得ないという信念を持って、相手の一つの、人民という名においていつも物を言っているけれども、何といっても全体主義的な国家、絶対主義的な政治哲学というものが根底をなしているんだから、そういう点においてナチと同じにソ連を見ることはできないにしても、危険は、私たち民主国家からするならば、われわれが危険と見るような面はなきにしもあらず。どこか薄気味の悪いところがやはりちらちらするのは事実だと思うんです。ざっくばらんに物の言えない、そしてフリーな形において、自由があるんだ、これが本当の自由だと力んでみても、何かサハロフの問題でもさわらない方がいいかもしれないが、とにかくミリタントなヒューマニストを遇するの道というのはやはり欠けている点がある。  こういう点において、ヨーロッパ諸国においても民主主義と全体主義の対立においては、ソ連とはなかなか溶け込めない面がある。しかし、それを戦争へという方向へ持っていくことは御免だというところで、まあいろいろな押し合いがなされていると思うんですが、日本においては、ヨーロッパ以上に非常な単純な形で敵か味方か、直ちに仮想敵国にしてわれわれは軍事的な力で相手をやっつけようなどという考えを起こしておったのでは、やはり一つのナチズムの復活であり、ファシズムへの方向づけであり、非常な危険なものに日本自体が見られて、世界から孤立する危険性もあると思うんです。その辺のことは今後の外交の歩みにおいてもデリケートな問題ですが、やっぱり率直に私は相手と話し合って、われわれの考え方に敵なしというだけの明朗濶達な、一つのおずおずしない外交路線をつくり上げてもらいたいと思うんですが、大来さんはその方にくみすると思うんですけれども、やはりデタントへの道を歩む以外に、戦争への道を歩むことによってわれわれの運命は開けないんだということの信念を国民全体が持ち、内閣も政党も、いまのようなわけのわからない、とにかくばくち打ちまで国会でのさばるというような、こういう変な世相を根絶させるところへ持っていかなけりゃやっぱり人は信用しないんですから、そういう点を外交上においても、いいかげんというのはチャランポランという意味で、かげんがいいという意味じゃないんですから、そこいらはきちっとすべきところはきちっとしていかないと、うんだのかつぶれたのか何かわからないような八方位外交だと、日本は一体何を考えて何をやっているんだろうかという不信感を買う危険性も出てくると思うんですが、大来さんはそれをどういうふうに見ておりますか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) 私も今回も先方で申してきたことでもございますけれども、日本はやはり第二次大戦後選んだ、日本国民の世界の中での生き方というものがある。たとえばそれはまあ基本的には平和的に世界の中で生きるということでございまして、防衛という問題を取り上げても、あくまでもこれは自分の国を守るという専守防衛の立場、この基本的な立場から踏み出すことはできないし、また踏み出すべきでない。平和憲法というものを持っておる国民でございますし、そういう大きな枠組みを日本人が現在変える意思はない。その大きな枠組みの中でいまやれること、やるべきことがあれば、これは国民のコンセンサスのもとにやっていくべきことだと思うという趣旨のことはブラウン長官にもバンス長官にも直接話したわけでございます。  やはり一つは、日本が各国の公正と信義に依存して憲法第九条を設けたということでございますが、まあ世界情勢全体として必ずしも武力を外交の手段に使わないという保証、他の国々が武力を外交の手段に使わないという保証、現実の人間社会の動きというものがまだそこまでどうも行っていない面もある。武力を外交手段に使うケースはしばしば起こっておるということを踏まえて考えますと、他の国が仮に日本に対して武力攻撃をするような場合にも、それは非常に高くつくという意味での抑止力。こちらは絶対に他の国に攻撃する意思はない。これはもう日本国民の決意だと私は思いますが、しかし、他の国の国家なり国民がすべて日本と同じような考え方をしているかどうかということは、やっぱり第二次大戦後三十数年の世界の動きを見ますと、どうもまだ人間社会、そこまでは達していない。武力を外交手段に使うケースも起こってくるかもしれないということに対して最小限に備えるということは、よその国から言われることではなくて日本人自身がいかにして基本的にわれわれあるいはわれわれの子孫まで含めての安全を確保するかと、そういう立場から考えるべき性質の問題だろうと思います。そういうことで、いわゆる専守防衛に徹してある程度の備えをしておくということがこの日本の防衛問題の中心でございまして、世界的な防衛戦略といいますか、軍事戦略の一環になっていくということは日本国民の願わないところだろうと思います。そういう意味で、日本のとるべき道はあくまでも自主的な国民の安全という立場、この点は繰り返しアメリカその他の国々に対しても主張するといますか、日本の立場を明らかにすべきことだろうと考えるわけでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 いま、この前に起きた事件としては、イランの国王がアメリカの言うなりになる国と思われているパナマ国からエジプト国へ移った事実を世界の人々は奇異な感じでながめておりましたが、私は、エジプトに行きまして、エジプトにおける最高の知性人と言われているカイロ大学の総長のターレブ国会議長と三回ほど会い、いろんなお話も突っ込んでいたしましたが、アラブ全体にはやはりアラブの大義、回教国圏においては共通の物の考え方が、キリスト教的な世界観とは異なった形において、一つの法律分野においても物の考え方においても存在しているのが事実だと思うのであります。パーレビ元の国王を庇護するという形でなく、やはりイランにおいて王並びに王を取り巻いた、祖国を裏切った腐敗政治に対してアメリカがこれに加担をしておった、アメリカの重要な人物、これこれの人物が加担しておったということをすでに発表し、イギリスの帝国主義的なアラブ分裂政策の支配に対する不信感と同様に、イギリス帝国主義にかわったアメリカのやり方に対しては相当露骨に暴露戦を行ってきております。しかしながら、このアメリカ大使館の人質問題をめぐって問題が展開されてきたのは、法治国家として法において裁くというような声明もなされておるので、それがワンクッションになってやはりアラブの大義、アラブの人たち、回教徒の人たちがイランの人々をも含んで納得するような一つの法的なものを基礎として問題を追及しようという構えが出てきている。それには、アラブの国において一番律法者が多いエジプトにおいてなされることが一番妥当でないかというような考えもひそんでおるのじゃないかと思われる節もあるのです。  御承知のように、アレクサンドリアの文化というものの中には、キリスト教社会において通用しなかった独善的な宇宙観に対しても、コペルニクスやガリレオの地動説は大体アレクサンドリアの学者からすでにいち早く提示せられておったし、その後の実証主義的な学問というものもなかなかやはり近代への道において貢献するところは多かった。われわれはアラブという国よりもキリスト教的な世界観に影響されるところが多いが、キリスト教自体のつくり出してきたキリスト教徒のルネッサンスなり宗教革命なり、あれほどの残虐な形において民族的な要求と結びついてボヘミアの僧を十字架にかけたり、神の名によって宗教戦争を農民の苛斂誅求を糊塗しながら断行したり、ずいぶん中世紀においてでもえげつない、われわれが見るようなルネッサンスのいい面だけじゃなく、えげつない面もあったと思うんです。今日、第一次世界戦争、第二次世界戦争の間におけるイギリス帝国主義の行き方、ドイツの帝国主義やナチの行き方、あるいはアメリカの行き方が非常に美化されて表現されておるけれども、虐げられた民族にとってはなかなか納得のできない面が多々あるので、それを具体的に指摘して、そのことをある意味において率直に受けとめなければ問題解決の糸口は解けないと思って、カーターが行った今回の勇気というものは、カーターは変わり身が早過ぎるんでまたかという感じはしますけれども、私は、素朴なアメリカのやはりいい面を、軽率と思われる面もあるが、気取った面じゃなくて、率直に悪いことは悪いこととして反省しようという意図があの中にはひそんでいるという善意な解釈もできるんですが、私は、やはり今後の舞台はイラン及びアフガンだけでなく、ソ連及びアメリカの両強大国だけじゃなく、戦争と暴力革命と恐慌で非常な苦しい経験を持っているヨーロッパと、敗戦によって絶望的なところにまで追い込まれた日本、こういうものの反省の中から新しい私は世界秩序への方向づけが生まれてくるんじゃないかと思うんです。  それについては、やはり外務省の情報網というものは表面に場合によって出せないものもあるでしょうが、なまはんか、変な賄賂をもらいながら買ってくるような飛行機には魂が入っていませんから、あんなものを余り並べるのよりも、戦争をなくさせる方向に対してもっと積極的なとりでを外務省は持っていくことが必要だと思うんです。この経験を見ても、アメリカさえも変わるんだ、ソ連ですらも変わらざるを得なくなったんだということになると、変な戦車を並べるよりも、航空母艦を持っていってアメリカよ帰れと沿岸諸国から言われるよりも、もっと私はその方が今後の日本にとっては重要なことだと思うんですが、これは外務大臣ぐらいになると、われわれ野党の人間のようにざっくばらんに物を言うと、物を言わばくちびる寒し秋の風だけじゃなく、春の風も寒いと思いますから言えないでしょうが、どうなんです、この点はもっと正確な情報をキャッチしないと、まあ園田君なんか、イランに入ろうという意気込みもいいが、入らなくてよかったんじゃないか。やっぱり自主的に中東の人たちが、ひとりよがりじゃなくて、やはり近代国家をつくることというのがいかにむずかしいか、それから、けんかはやすいけれども、戦争まで持っていったら収拾がつかぬ、どうやってこれを、融和点を見出すかということで苦労しているときにはそれなりの苦労をさせて、わきからそれに対する協力をやっていくということで相手の自主体制を崩さないでいく方が私たちは成果が上がるのではないかと思うのですが、あんまり余計なおせっかいをし過ぎるとかえって変なものも派生的にしょい込まなきゃならないと思いますが、外務大臣、みずからはどう考えておりますか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) ただいま御指摘のように、各国、各民族の動きがございまして、特に第三世界の人々が国際社会の中で自己の存在、独立性というものを要求する、これはやはり世界の、歴史の大きな流れの方向だと思うのでございまして、世界の強大国がそういう第三世界の意思を無視して他の国に押しつけるということ、これは十九世紀は当然のこととされておったと思うのですけれども、二十世紀後半のいまの時代、これはたとえアメリカであろうとソ連であろうと、自国の意思を他の国々に押しつけるということに対しては世界の広い範囲での反発があるのではないかというふうに思いますので、中東の問題も含めてそういう地域の人々の欲するところ、願っておるところに対して協力していくということが特に日本のような立場にある国としてはとるべき大きな方向だろうと考えます。  外務省の情報につきましてはいろいろ不十分な点もあるわけでございますが、私も外務大臣になって五カ月ばかりの間、各地からの電報に目を通しておるわけでございまして、決して十分とは言えませんけれども、しかし、出先もかなり努力して情報を集めておるということは感ずるわけでございます。こういう情報の時代ですから、ある意味では多過ぎる情報の中から何が正しい情報か、何がバリュー、価値のある情報かという選択をしていくことも大変重要なことだと、そういう意味では単に情報を集めるというだけでなくて、情報をしっかり分析するということをやはり日本の外交の面でもこれから充実していく必要がある。ですから、そういう意味ではむしろ東京における、日本における分析能力を高める、これも公開された資料の持つ情報も非常にたくさんあるわけでございますが、そういう面の努力も必要だろうというふうに考えておるわけでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 キッシンジャーの回想録なんかを読んでみていても、やはり彼は、メッテルニヒが西ドイツ、ラインの沿岸から出て神聖ローマ帝国の伝統を守っていくが、オーストリアの国家の宰相になった、あのようなけんらんたる宰相としての役割りをやはり理想としているかと思われる節もありますが、中国でもやはり六国が個々に戦国時代に滅ぼされたときにおいても、秦の始皇帝の覇権主義をめぐって蘇秦、張儀のような人が合従連衡の策を提案してそうして戦国時代の一個の謀略屋として最高の地位を占めたが、しかし、蘇秦、張儀などによってどれだけあの秦の始皇帝の時代に中国の民衆が苦悩を重ね悩まされたかわからないんで、ああいう十八世紀においてならば通用したような権謀術策のけんらんたる外交よりも、やはり日露戦争に負けたときに軍部や何かの野心家が収拾がつかなくて、野にあったウイッテ伯を起用してポーツマス条約において小村寿太郎にひけをとらない外交展開をやらせたのを見ればわかるように、私はいまのアメリカにおいても、キッシンジャーでもシュレジンジャーでも相当な人であるに相違ないが、やはり自分たちの能力、学識、やらんかなの精神を過大評価して、そうして世界をやはり何かの実験場のように騒がせている一つの人物が輩出しているのは、やはり大統領なり一国のリーダーなりに、さっき、情報に対する選択なり操作の問題を大来さんは挙げておりますが、そのステーツマンシップ、リーダーシップというものがないから、こういう権謀術策主義の中に事が過たれていくんじゃないかということをしみじみと私たちはいま感じさせられています。  いまの日本においても非常に危ないのは、やっぱりこの力の政治、力の外交、押しの政治、押しの外交、相手の立場に対する思いやりというもの、相手の言い分も聞こうという側隠の情がないところに——徳の最たるものは側隠の情ですが——非常に相互の不信感というものを不必要ほど私はまき散らしているんじゃないか。そういう意味ではもっと、いま外務大臣や何か世界を飛び歩いていますが、トインビーが言っているんじゃないけれども、やはり体で接触して、触れ合って、そうして相手をいたわる気持ち、相手の立場をも理解する気持ちが浸透しなければ、私は外交において一番大切な信義というものも確立しないのじゃないかと思っておるのであって、いまいろんな意味における外交献策はいろいろ出されておるけれども、そういうのは二流、三流の政治屋がやることであって、やっぱり一流の政治家というものはもっと大きく世界の中における日本のあり方、また、日本の一挙手一投足がどういうふうに影響して万波を生ずるかということまでの配慮がなされなければ、真の外交の成果というものは上がらないんじゃないかと思います。  そういう意味において、今度のベネチア・サミットにおいては、石油の問題代替エネルギーの問題、通貨の問題、基準通貨の問題あるいは貿易に必要な通貨の安定の問題、いろいろ私は出てくると思いますが、特に欧州において重視しているのは水の問題です。環境整備の問題です。きれいな環境をつくるためにはきれいな水を流していかなけりゃならない。下水を整備していかなけりゃならない。また、本当にインディビデュアルな精神、自由をたっとぶ精神、人間を愛する精神を培うためには、やはり自分で責任を持つような個室を子供たちにも与えるような住宅政策が整備されていかなけりゃならない。そういうものが、生活環境における暮らしを健全にさせる方向づけが文明生活の要素として現実に要請され、具体化されているが、日本はECの官僚が皮肉ったように、ウサギの寝床みたいなところに住まっている。そこに何か一つの人間的な、都市生活においても潤いかない。モラルが欠けていく。人を殺すなんかは何とも思わなくなってしまうというような、一つの内部的な崩壊がいま出てきていると思うんですが、そういう点において、日本がいまのようなアセスメント法案を、いいかげんなものを出し、今度できるやつだって、財界の一喝を食らってよろめいてつくったんだから、できていいやら悪いやら、わけのわからないような不完全なものができるんじゃないかという心配もありますが、それは外交の問題とは離れているようですが、一事が万事、一番重要な自分たちの日常生活、そういうところに心が至っていないというところが、相手から、文明国、先進国として、サミットの会なんかで大口をたたく資格がないんじゃないかという軽べつ感で見られる危険性もあると思いますが、外務大臣並びに環境庁における責任ある人の答弁をいただきたい。ベネチア・サミットにおいては、意外にそういう面で、私は日本は、この国が先進国の資格ありやなしやというようなABCの問題で——このころはどうも大学の入学まで賄賂を取って片づける時代になっとるんだからあれですか——そういうところで恥をかくんじゃないかと思いますが、そういうところは万般、ベネチア・サミットへ、油の問題だけで夢中になっておると、これは逆な面から恥をかく点があることになるんですが、外務大臣並びに環境庁の責任ある人からその答弁を聞きたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) ただいまの問題につきましては、一九七二年のストックホルム環境会議、まあ私もあの会議に出席いたしましたが、あの前後、日本の環境政策の取り組みに対する国際的批判はかなり出ておったように思います。日本は環境を守るためのコストを節約して、産業に投資して、それによって国際競争力を強くしているんじゃないかというような議論がスウェーデンの学者などによっても書かれたことがございますが、ここ数年間にやはり日本が環境、特に大気汚染等に対してとった政策、それが実際上かなりの成果も上がってきている面は最近かなり国際的に評価されておると。私どもよく合う外国人が、まあ日本はスモッグで東京は大変だと思ったが、来てみると、案外空気もいいじゃないか、富士山も見えるじゃないかというようなことも言われることがございます。日本人は、とにかく何かやろうとするとかなり一生懸命にやる面もございまして、近年この点も徐々に改善しておるとは思います。  ウサギ小屋の問題もございますが、住宅はまだ余り自慢にならないわけでございますけれども、しかし、農村まで含めて住宅の質の向上というのはかなり日本の場合起こっておるわけでございまして、環境問題、あるいは国民生活の福祉の問題、こういう問題が同時にその国の国際的なイメージにつながるという意味で、ご指摘のように、ある意味では大切な外交上の問題でもあると私も考えておりますが、同時に、やはり生産的な面での努力というものが非常に怠られるということになりますと、これはまたこういう資源のない国でございますし、国民の生活の維持ということにも困難を起こすということになってもいけないかと思いますが、生産面における努力、あるいは技術の進歩、環境の改善、こういう面で努力を続けていくことは外交面における日本の立場もそれだけ高めるといいますか、評価を受け得るような条件になると考えております。  なお、具体的な点につきましては環境庁の方の御答弁にまちたいと思います。

平尾多久雄環境庁企画調整局環境管理課長

○説明員(平尾多久雄君) 御質問の問題につきましては国際的な関係があるわけでございまして、すでに一九七四年の十一月でございますが、OECDの環境担当閣僚会議といったものが開かれまして、重要な公共及び民間事業の環境への影響の分析に関する理事会勧告というものが採択され、勧告されているわけでございます。これを受けまして、その後引き続きOECDでもいろいろ検討がなされまして、昨年の五月八日に、環境に重要な影響を与える事業の評価といいますか、OECD理事会の勧告が出されているわけでございます。このOECD理事会の勧告の中には、OECD加盟国が環境影響及びその他の影響の評価をすでに実施しているか、またはこれを組み込み得る多様な法律的、制度的及び行政枠組みを有していることを認識し云々ということがございまして、各国のそういう法律なり、行政なり、そういった仕組みの中でそれぞれの各国において検討をすべきものと、こういうふうなことで具体的な提案がなされているわけでございます。  わが国におきましては、すでにもう五年前からこの環境影響評価制度の確立といったことで関係省庁の間でいろいろ検討が行われてきておりますし、また、中央公害対策審議会の方でもいろいろ御検討いただきまして、実は昨年七月十日に答申をいただいておるわけでございます。わが国の実情に即した実効ある制度として答申をいただいておりまして、現在この中央公害対策審議会の答申の趣旨に沿いまして鋭意努力いたしておるわけでございます。この制度をどういうような仕組みにするかということにつきましては、現在関係省庁の間で詰めておりますし、また、各方面の御意見もありますので、十分それを踏まえて努力してまいりたいと、かように考えている次第でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 私は二つの事例で感心したんですが、フランスのストラスブールはラインの下流にありまして、ローマの植民地時代から二千年の古い歴史を持っております。人口はわずか三十三万とか四万程度だということですが、水の都として、古都として非常な理想的な町づくりをやろうというので、町の財政だけではやり切れないところを国からも大きな援助があって、そうしてきれいな水を流し、池を残し、緑地地帯を設け、水には水鳥が浮かび、緑地地帯には大木が保存される。町においては古いいろんな記録や何かを掘り下げて、古い建物を、新しい建物をつくる以上の金をかけて復活さしていくというような形で、一つのフランスの理想的な町づくりをやっております。やはり私の友人である数学者の吉田洋一君、吉田夏彦君の弟さん夫婦ですが、何かもうパリよりは、やはり若いときに留学したトスラスブールの生活というものが本当に楽しい、あそこへ行って泊ることにしていると言いますが、かつてアルザス・ロレーヌのドイツ、フランスが入り乱れて、血を流してきたいやな歴史が残っているところにおいてすら、そういう一つのドイツとフランスの融和の上に、自然と人間との調和というものをつくられてきております。日本は、京都でも奈良でもりっぱなところがありますが、東京の近くにも鎌倉なりあるいは利根川べりなり、そういうようなところに、霞ヶ浦でもそうですが、もっと私たちは自然と人間とが溶け合っているような美しい環境をやはり保存するために努力しておかなければならないんじゃないか。これはストラスブールで感じたことの一つであります。  またもう一つは、やはりイギリスのケンブリッジを一番で出た——一番で出ようがびりで出ようがそのことは問題じゃないが、イギリスの社会主義の影響を受けたリー・クアンユーがシンガポールでやっている政策の重点は住宅政策です。徹底してあの貧民窟をなくさせて住居の改革をやった。りっぱな建物に入っていると、こっぱずかしくて淫売なんかできなくなる。あるいは麻薬なんかを吸うこともできなくなる。やっぱりここでは健全な働きがいのある仕事をしないと近所隣に対してもかっこうがつかないというような形で、居が人間の生活に新しいモラルをつくり上げていく。しかも水を大切にし、緑地を大切にし、かつてのジャングルを保存していくというようなことを一都市国家のモデルとしてりっぱなものをつくり上げてきたので、シンガポールには前から幾たびか行っておりますが、こんなに短かい間にこうも改革したのかなあと思ってびっくりしている。変な金を使わなくても、リー・クアンユーの党は、とにかくこの住居も、この公園も、この緑地帯もわれわれがつくったというだけの具体的事実を市民に知らせるだけで、野党なしのすべてが与党になってきてしまった。  こういうふうに、具体的な事実をつくり上げるということがいまの新しいタイプの政治においては必要なのじゃないか、ということをつくづく私感じておりますので、そういう点を、やはり外務大臣にしても非常に国際的な感覚を持っている方ですから、あるいは環境庁なんかも百聞は一見にしかずで、びりぐそをたれ流しのインドネシアからやはりシンガポールの土地、一衣帯水の地に存在してこうも違うのかという感を深くするのですけれども、そういうちぐはぐな形の東南アジアにおいても、日本がもう少し現地の人々と協力していくならば、もっと理想郷の拡大というものができるのじゃないかと思うので、そういうことは、やはり今後外交においても、技術・経済協力においてもあるいは環境整備の問題でも私たちはしてもらいたいということをお願いする次第です。  それからエジプトにおいても、世界一の観光地は、イタリアよりも、エジプトから昔のカルタゴのあたりじゃないかと思いますが、いまヨーロッパではやはり肉食は害がある、たばこは四十以上は余り吸っちゃいけないというような形で、肉よりも菜食が勧められているが、日本同様野菜は高くてなかなか買えない。果物を食べろと言う。果物はスペインや南仏やイタリアだけでなく、地中海のかなたのアフリカのかつてのカルタゴのあたりから、やはりずいぶんおいしい果物が送られてくるというふうに、食生活の変化も出てきているんですが、やはり環境整備ということは、生活の変化に対応しながら、やはりそれにふさわしい環境づくりということが重要でして、生活がきれいになると心もきれいになるので、外交の方も変なつまらない権謀術策をやるだけの外交じゃなく、明るい太陽のようなやっぱり光り輝く外交というものが精彩を放つときがくると思うんです。  そういう意味において、外務省あたりも、外務大臣が来ているからあれですが、環境庁あたりは寄せ集めの感じがして、意欲はみんな持っているが、意欲を発散すべきチャンスに恵まれていないというような点がありますけれども、やはり今後は、一つは外交上の問題と、もう一つは自分たちの日常生活における原点としてのそこに婦人その他が参加して、市民闘争が直接政治につながるものとして活発になり、西ドイツのグリーンパーティーのような動きというものが新しい青年、婦人、インテリ、そういうような人からやはり起きてきて、いままでのような薄汚い政治と違ったフレッシュなものが出てくるんじゃないかと思いますが、ひとつ外務大臣あたりもいまの中東の問題の後は東南アジアの問題にもなり、また日本をひっくるめてのアジアにおける環境整備の問題にも問題が転換してくる。その一番発火点は、水の都ベネチアのサミットから起きるのではないかと思いますが、そういう点で、ベネチア・サミットへ行くまでの道、これは険しい道ですが、中東の若い経験を基礎とし、そしてアジアの現実をながめて、ヨーロッパのように先進国的な基盤の上に立っていないまちまちの面があるアジアにおいて、ただASEAN体制と言うけれども、スローガンだけかASEAN体制で、足が地に着かないようなASEAN体制では何にもならないと思うんですが、そこいらはやはりアジアにふさわしい連帯をつくり上げてもらいたいと思うんですが、外務大臣から、ベネチアへ行ってから考えてもらっても差し支えないんですが、水の都で心を澄まして、油だけに埋没しないで、われわれの水、われわれの生活、われわれの平和、そういうものを保つことが大切だという先取りをやはりいまから考えて臨んでもらいたいと思いますので、外務大臣から最後の質問としてこのことを承っておきたい。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) ただいまの問題、まあいろいろ広範な問題があると思いますが、私も東南アジアへ従来何度も参りまして、いろいろ向こうの人たちとも話し合う機会が多かったのでございますが、環境の問題については、特にこの一部の国ではシフティング・カルティベーションといいますか、木を切ってそれを畑に変える、その後が浸食をしてまいる、土壌が流れ去る、あるいはまあ漁業資源、森林資源等につきましての将来どうなるかという問題等もございますし、水の有効利用、土地の有効利用、これは日本もいままでずいぶんいろいろな経験を積み重ねてきました点でございまして、これからやはり他のアジア諸国でも、そういった意味でのコンサーベーションといいますか、これがだんだん重視される時代に入ってまいるように思います。そういう面でも日本の技術なり経験が役に立つということになれば、これはやはり外交の面にもいろいろな影響も出てまいると思いますが、日本は何といってもアジアの一国でございますし、このアジア地域との関係というものを日本の外交でも重視していかなければならない。最近この数カ月、少しほかの方がいろいろ問題が出てまいりまして、足元のアジアに多少注意が十分回らないというような点もあるかと思いますけれども、ただいま御注意がありましたように、私どもとしてもアジア諸国との関係をさらに重視してまいりたいと存じます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 一つ言い残した問題があります。ほかの人からも問題は提示されると思いますが、この間日本の有力な石油関係の会社において海上に廃棄物を投棄したということが問題になっております。二百海里問題が今後の国際会議において重要な課題となって論ぜられるときに、あのようなことを、小さなところならいざ知らず、相当の国際的な情勢がわかっていると見られるような大会社で平気で行うということは、大切なときにおいてひどいことをやるものだという印象を諸外国にも与えると思うのですが、あと私の持ち時間は十分ほどですけれども、この海上における廃棄物投棄の問題を列国において非常に重要視しているのは、前と違って日本以上にみんな魚を食べる習慣がついてきたからです。それでヨーロッパ諸国においても、また地中海においても、海上汚染の問題に対しては非常に神経質になっておりますね。そういう問題に対して日本でも十分役所でいままで注意を払ってきたんだと思いますが、これは会社のでたらめさか、それとも役所の監督の不行き届きが、どういうところに関係があったか、それをひとつ外務省関係の人なりあるいは環境庁の人から一応御説明願いたいと思います。

井口武夫外務大臣官房外務参事官

○説明員(井口武夫君) ただいまの御質問に対しましては、これは内容的には環境庁、海上保安庁の方からお答えいただく筋合いのものだと思います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 ではまた後の機会に。よその人からも当然これは出てくると思いますが、日本のお役所というのは守備範囲がどこからどこまでかどうもわれわれにはわからないところがありますので、やっぱり専門専門もありますから、専門家が出てきたときに、次には午後という時間もありますから、そういうこと、当面の問題はやはり一応そろえてこれに対処しないと能率が上がらないんじゃないかと思います。  いずれにしても、隅田川やロンドンのテムズの川がきれいになってあの臭さがなくなって魚もすむようになったので、エジプトのナイルの川なんかもずいぶんきれいになって、早く戦争が終わったら世界一の観光地をつくろう、ナイルの川のあの中島あたりに世界一のホテルをつくろうというような考えも深いようですが、やっぱりわれわれは今後において、油の問題でがっくりときて、中東の問題では油びたりになってしまったのでありますけれども、今後において、砂漠の中から石油が出てきたという奇跡の中にアラブの人々の近代国家をつくり上げようとする意欲、そこにはいろんなちぐはぐなものはあると思いますけれども、これはやはり理解するだけの特に外交関係においては陣容を固めてもらいたい。私たちが会った範囲内においてはすばらしい意気込みを持って問題と取っ組んでいるのでありますが、たとえばあのチュニジアにおける、チュニスにおけるカルタゴの遺跡というものでも、カルタゴの遺跡と言っても掘り上げたものはほとんどない。カルタゴを残虐に滅ぼした後、そのまま気候がいいのでローマの人が植民した、それを掘り返しているのにすぎないので、カルタゴはこの下にいまだに眠っているというのが正しいのかもしれないし、民族闘争の苛烈な戦いの中に見る影もなく破壊されているのかもしれませんが、やはりアラブ、イスラエルの戦いは、遠藤周作さんがキリストを描いているように、あの苛烈な皆殺し的な民族闘争のいやな思い出をユダヤもエジプトも繰り返している中に、あの砂漠として滅んでいくような運命もあったのだと思うので、いつも私はピラミッドを見て、スフィンクスを仰ぐときに考えさせられるのは、あの辺の王様にだけはなりたくない、王様になったら、死んだら金を——ツタンカーメンはわからなかったから金がついていたけれども、どろぼうが入ってすぐに墓の中から死骸を掘り出されて、金をはぎ取られる。それをどろぼうが市に出して、今度は次の王様が死んだらそいつにかぶせる。死んでからまでこれだけの侮辱を与えられなければならない王様になぜなったんだろうということをいつも私は奇怪に感ずるのでありますが、本当に民主的な基盤の上に立って、他民族を殺略して自分の民族だけ生き残ろう、うまいことをやろうなんて考えている者は死んでも浮かばれないような一つの苦しみをなめていかなけりゃならない。  やはり私はいつも考えさせられるのは、民族闘争のあれほど苛烈な、モーゼの戒めをも裏切ったような諸民族の中にいまだにそれが最後まで怨念として続いているのを見ると、早くこの世界から脱出しなけりゃならないというのがアラブもイスラエルでも心ある人の共通の理念で、アジアにおけるルネッサンス、アジアにおける宗教革命は、宗教やイデオロギーというものを乗り越えて、もっと明るい文化なり政治というもの、私はいままでにないようなものをあの苦悩の中から生んでいくのじゃないか。そういう意味において、今度のイランあるいはアフガンに起きた諸問題は、ソ連、アメリカに対する反省を促すだけじゃなく、破壊はやすいけれども近代国家をつくることはいかにむずかしいかということをアラブの人にも現実に教えるいい教訓の場じゃないかと思っております。  そういう意味において、とにかくエジプトの人も日本に対しては非常に好意を持っています。やはりモハメッド・アーリーが明治天皇のようにすばらしい、まあ、近代国家への方向づけをやった王様であったが、しかしながら六千年の歴史を持っていたエジプトが、日本と比較してどうしてこうもおくれてしまったかということをいま反省して、われわれは考えているのだということを言われたときに、やはり私はエジプトやイスラエル、宗教的な民族的ないろいろな立場はあるでしょうが、あの辺における良識ある人々というのはいままでのような観念じゃなくて、新しいルネッサンス、新しい文芸復興をどういう形でつくり上げなけりゃならないか、平和の基盤をどうやってつくらなけりゃならないかというのを真剣に私は考えているんじゃないかということの感銘を非常に深く受けてきたんです。それが証拠にエジプトの人々も、われわれは西洋とアジアと分かれたときに中東と言われているけれども、西の方に住むアジアの民族であり、日本は東の方に住むアジアの民族である、やはり西洋における中世のあの暗黒時代のような、あるいはわれわれの古代における殺略を事とした民族闘争のようなものをなくさせて、やっぱりもっと安らかな世界をつくり上げなけりゃならないということを感じさせられているという言葉の中には、言葉の意味じゃなくて民族そのもののざんげが込められている。いまのカーターが、アメリカというプライドがなくて自分たちの過去のことは言いたくないが、われわれも自分たちが悪いことをやっていたということ、反省しなければならないということを、一国のアメリカの大統領でそういうことを勇気を持って話す人が出たということは、私はカーターさんも、先祖は馬車引きか何かわかりませんけれども、やっぱりいいところあるなと感じたんですが、いいところは何でもいいからソ連のものであろうが、アラブのものであろうが、アメリカのものであろうが取って、日本人の胃袋のように何でも食あたりしないでおいしいものは食べるような脳みそを日本人は持たないと、好ききらいが多いと変な変質者が出るようになるから、なるたけ変質者を政治の世界にも外交の世界にもつくらないで、ノーマルな人間を今後つくって、そうしてもっと明るい住みよい時代を迎えたいと念願します。答えは要りませんが、特に外務大臣やこの環境庁の人は絶望を感じないで、いや、まあ絶望を感ずるようないやなことが多いと思うけれども、三度も四度も同じようなことを繰り返してさらに前進しないこのアセスメント法案なんかというものと取り組んでいると、本当にいやになってしまうと思いますけれども、飽きないで、ひとつ粘り強くやっていってもらいたい、そういうことを期待して私は質問を終わります。

石破二朗自由民主党・自由国民会議

○委員長(石破二朗君) 午前の審査はこの程度として、午後一時まで休憩いたします。    午後零時七分休憩      —————・—————    午後一時九分開会

石破二朗自由民主党・自由国民会議

○委員長(石破二朗君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカナダ政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件外十二件を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

小野明日本社会党

○小野明君 前回二十七日に、大臣、私は訪米について、一体ブラウン国防長官あるいはバンス長官からどういう要請を受けられたのか、あるいはその会談の詳細な内容を出してもらいたいと、こういうふうに御質問を申し上げた。ところが、その際は、ちょっと私の理解するところでは非常にあいまいといいますか、明確でない大臣の御説明があったわけです。大臣は明確なとおっしゃるかもしれませんが、どうも私は一体どういう内容であったのか、よく理解することができませんでした。しかし、着実な防衛力の整備増強には応ずるけれども、顕著なものには応じられないということであったと、これはまあ新聞報道で出ておりますが、そういう内容のことはございましたが、どうもはっきりした御答弁はありませんでした。ところが、その夜ですね、外務省首脳が、二十七日の夜ですが、防衛庁の中期業務見積もり、中業というのは、これは部内資料である、それを、まあ実質的な五次防であることは間違いありませんが、政府の正式な計画といいますか、国防会議の議を経あるいは閣議の決定というようなオーソライズされたものとすべきであると、こういう発言をなさっておられますね。これは私の質問の意図ときわめて相反するわけでして、そうすると、アメリカでの大臣とブラウン国防長官あるいは国務長官との会談の内容、アメリカからの要請というのは、この防衛庁の中業を五次防に格上げせい、あるいは同様の取り扱いをせいと、こういう要求があったのでございますか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) その点はちょっと御説明が必要だと思うんですが、要するにそういう要請はありませんでした。アメリカ側から中期業務見積もりを政府の正式計画にしろという要請はございませんで、記者懇談におきまして、防衛について何か中期の計画があることは望ましいかという質問がございまして、それは何かあった方が対外的説明にもやりいいかもしれないと思うという趣旨のことを申しましたのですが、それが多分ああいう形で報道されたのではないか。これは私の意見を実は聞かれたものですから、これは政府部内の意見も別にまだ相談してないし、本来こういう問題は防衛庁の問題なんだがと、対外的な説明には何かの中期の計画があった方がいいかもしれないという趣旨でございまして、この問題ブラウンとの話し合いにそういう形で出たということは全然ございませんので……。

小野明日本社会党

○小野明君 そうしますと、大臣の御見解として、この中業を五次防に格上げした方が望ましいと、大臣の個人としての御判断といいますか、それに基づいてそういう御発言になったと、こういうことですか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) 私の記憶では五次防に——五次防ということも私は一言も言っておらないのですが、それからその中期業務計画そのものを政府の計画にすべきだということも言っておらないので、先ほど申しましたように、中期の計画がある方が望ましいと思うかという質問に対して、それはあった方が対外的な説明にもやりやすいかもしれませんねという、そういうことを申したわけでございまして、それ以上ではないわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 普通に考えますと、国防、防衛力の増強をアメリカに行って求められた、帰ってこられて、大臣は、アメリカでは着実と、これには着実な増強というのは応じられるが、顕著な増強には応じられないというふうに応対をなさった、そういうふうに伝えられておりますわね。しかしその後ですからね。その後ですから、そして二十七日、私が質問した後ですから、どうしてもアメリカでの会談の中でこの防衛庁の中業という問題をアメリカとしては評価すると、こういうお話はございましたよね。とするならば、五次防に格上げあるいは政府決定と、こういうふうに大臣が、そういうニュアンスで御発言になれば、当然これはそのアメリカとの会談とのかかわりでしかとられませんわね。で、しかしその上に、私が申し上げたように、防衛庁の内部資料である中業というものをアメリカが評価する、大臣がそれを認められたということになればこれは内政干渉になるんじゃないかというふうに私は申し上げたんですが、どうもその辺のかかわりが私にはすっきりしなかったので、きょう再度お尋ねをしたわけです。再度、アメリカでの会談、そして今回の二十七日夜の大臣の御発言の真意というようなものをひとつお話をいただきたいと思うんです。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) この会談の中で、中業についてはこちらから話したわけではございませんけれども、向こうからの発言がございまして、まあ一つの希望的な表現としてこれを一年繰り上げてといいますか、そういう早期にといいますか、そういうことができると望ましいと思うという表現はあったわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 向こうでね。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) ええ。で、それに対して私の方からは、早期に急速な引き上げはできません、日本の国民のコンセンサス、それから平和憲法その他のいろいろなたてまえからいってその大枠を崩すことは日本政府は考えておらない、それからいまの四年といいますか、達成というような問題については、これは外務省のことではなくて、防衛庁自体の問題あるいは総理大臣を含む内閣の問題であるから、私は日本に帰ってそれをそれぞれにお伝えします、ということを申したわけでございます。その後御指摘の記者会見がありましたときに、いまの中期の計画があった方が望ましいかということを聞かれたので、それは私一存でそれはあった方が対外的説明はしやすいと思いますということを申したわけでございまして、多少そういう前後関係で誤解を招くような点もあったかもしれませんが、事実はいま申し上げたようなことでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 大臣、そこでこの中業の見積もりの達成に要する費用といいますかね、どれぐらいのものになると試算をされておられますか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) これは防衛庁関係のことでございますし、正確でない数字を申し上げてもいけないですが、きょうは防衛庁から出席しておりますか——もしおられないようでしたら、これは不正確であれば後で訂正いたしたいと思いますが、私ども聞いておりますのは、中期業務見積もりで正面装備関係が二兆七千億円、それ以外全体の見積もりはないというふうに防衛庁から聞いております。正面装備だけで二兆七千億程度ですというふうに聞いております。

小野明日本社会党

○小野明君 正面装備でそういう金額というのは、大体当たっていると私も見ています。ですから、大臣はまあ一方経済の専門家でもあるわけですが、新経済七カ年計画で大体五・五%の実質成長を見込んでいますね。そういう中で正面装備二兆七、八千億というものが果たして可能なのかどうか、あるいはいまの財政状況から見てそういうことが望ましいかどうか、中業見積もりについて触れられる以上は、その辺も踏まえての御発言であったと思うのですが、いかがですか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) もう一つは昭和五十一年の国防会議及び閣議決定がございます。防衛費は当面一%を超えない程度に考えるという閣議の決定がございまして、まあ中業を五年で達成するとした場合には、その五年後に一%程度という見積もりであったと承知しております。ですから、その意味では五十一年の閣議決定の枠を超えていない、その枠内の見積もりだろうと思うのでございますが、できるかできないかということになりますと、これはやっぱり政府の優先問題あるいは国民のコンセンサス、国際情勢と、いろいろな面で規定されてまいるわけでございまして、当面の問題としては、明年度の予算の審議という過程でいろいろ論議が行われるのではないかというふうに見ておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 政府計画からいきますと、実質五・五%の実質成長率、それをはるかに上回る防衛費の増強ということになりますよね、この中業見積りを一%にやるということは。そういうことがアジアのASEAN諸国あるいは福田総理の軍事大国にならないというそういう約束、あるいは現在、大平総理もこれには慎重な態度をとっておられるという中で、周囲の情勢が云々という話もあるかもしれませんが、外務大臣がそれを積極的に誘導するような、防衛力増強を誘導するような御発言というのは私は納得できないわけですが、大臣いかがですか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) 現在GNPの〇・九%でございまして、五十一年の閣議決定の一%を上回らないということになりますと、もしそれを達成しようとすれば経済成長率よりやや高い成長というか、支出の増加が必要になる、それはお話のとおりでございます。しかし仮に中業というものがフルに達成されたとして、五年後にGNPの一%ということになるわけでございますが、現実の問題として財政事情その他御指摘もございますようになかなか一%にいくのは困難な情勢が多いのじゃないか、これはやっぱりこれからの政府のいろいろな政策の考え方によるわけでございましょうが。そうだとすれば、これはこの前申し上げたかもしれませんが、アメリカがGNPの五、六%、西ヨーロッパ諸国が大体GNPの三、四%、ソ連がGNPの一二、三%を国防費、軍事費に使っているという国際的なことから見ても、一%以下の防衛支出で軍事大国になるとは言えないのではないか、基本的な日本の立場にそれほど大きな変化をもたらすことではない、従来の方針の継続、大体その範囲と見てよろしいのではないかというのが私の判断でございます。

小野明日本社会党

○小野明君 私は大臣ともちろん見解を異にするんですが、それでは私は一%、防衛庁の中業というのは私は顕著な要求に応じたと、顕著な防衛力増強に応じたということにしかならぬと、こう申し上げたいわけです。特にASEANその他第三世界の非同盟諸国あたりに対する配慮あるいはアメリカの一部にも日本にこれ以上防衛力増強をさせることはどうかと、いかがかという意見もあるんですが、この防衛力増強を促進するような御発言はひとつ慎んでいただきたいと要請したいと思うんです。  次に、アメリカに行かれたときに自動車問題が出たと思うんですが、アメリカにおいて大臣が会談をされた中で、これはアスキューさんですか、どなたか、大臣の方から御説明をいただくとして、自動車問題に関してアメリカの国内の動きをどういうふうに把握をしてこられたわけでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) 自動車問題につきましては、これも交渉ではございませんので、基本的にはいま日本車の売り上げが急にふえたということは、アメリカの自動車メーカーが大型から小型への切りかえがおくれた、タイミングを失したということが基本的原因だと思うということ、それから日本政府としてはできれば日本の自動車メーカーの対米投資を勧めているけれども、最終的な決定は経営者が決めるべき性質の問題だと思う、というふうに申したわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 おっしゃるように、わが国自動車工業、企業としては、対米進出についてかなりのリスクを感じておられるようですね。それもわかるけれども、大臣としては今後ともアメリカの要求のように進出するように説得をされるおつもりなんでしょうか、いかがですか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) これは企業の決定に任せるべき性質のものだと存じます。まあアメリカの国内にも現在いろいろな見方がある段階でもございますし、それからGMその他アメリカの自動車メーカーが数百億ドルの新規投資をやりまして、大型から中型への転換の計画に取りかかっておるわけでございまして、三、四年後にはアメリカ産の中、小型車が大量に出回るようになると予想されることでもございますし、そういういろいろな情勢を踏まえて経営者が判断すべき問題だと考えております。

小野明日本社会党

○小野明君 それは企業としての論理に従うという大臣のお話ですが、それで事が終わるような問題であるかどうか。あるいはきのうきょうの報道によりますと、総理訪米までには決着はむずかしいというような判断に立ったというふうな話も伺いますが、大臣としては五月に総理が訪米なさる、大臣も行かれるわけでしょうが、その際にこれがどういうふうに解決を見るのか。解決を見てないためにさらに摩擦を大きくするというようなことが予想されるのではないでしょうか。大臣のその辺の御見解を伺いたい。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) まあこれからの日本車の売れ行きがどうなるか。アメリカのメーカーでも小型車生産は非常に需要に追いつかないで右から左に売れるということで、昨年一年の実績でもアメリカの国内生産の小型車は四六%売り上げがふえている。日本車は三〇%の増加で、アメリカの大型車は一〇%ないし一五%ダウンと、こういう事情であったわけでございまして、まあアメリカのメーカーの小型車生産能力がふえるに従ってその国内からの供給分がふえていくだろうと思いますし、まあ場合によると日本車の急増は一時的な面も、要素もあるのじゃないかということもございますので、もう少し実績を見守っていく必要もあるのじゃないかと。また、アメリカの各方面にいろいろ違った意見もあるものですから、こういうものの成り行きも見た方がいいのではないかと。まあいずれにしても今度総理が行かれるとすれば、五月の初めという時期ではそういう結論が出ることにはならないだろうと一応判断いたしておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 日米間の経済摩擦というのは、これはやはりもう深刻に受けとめなければならぬ問題とは思うんです。しかし、根本的にはこれは日米貿易の不均衡というところにあるわけでしょうが、経済摩擦ということになれば、自動車だけではなくて牛肉、オレンジあるいは政府調達、問題には事を欠かないわけですね。次から次にあるわけです。しかし、日米間の経済摩擦といいましても、それぞれの国内産業との関係で問題が解決されなければならぬ、そこに帰着するというふうに思われるわけですね。結局、わが国としても国内産業の犠牲の上に立った解決策というものが長続きしないということは、これはもう言うまでもないと思うんですが、日米間でいわば恒常化したといいますか、慢性病化したとも言えるような経済摩擦の長期的な解決策について、エコノミストとしての大臣の長期的な展望といったものをお聞かせいただきたいと思いますが。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) 自由貿易を基礎にしてまいっております世界経済では、やはり基本的にはよくて安いものができる、それが輸出に向かっていくという大きな流れがあると思うのでございますが、日本の産業が技術を改善し、生産性を高め、能率を高めていくに従いまして、いろんな分野で国際競争力を持つようになってまいったわけでございます。初めは造船、それから鉄鋼、テレビその他のエレクトロニクス、それから現在は自動車、さらに将来はICというような高級なエレクトロニクスの分野、だんだん高度の工業分野で日本産業が競争力を持つことになってまいりまして、それがアメリカあるいはヨーロッパの既存産業との競争関係に立つ面があるわけでございます。ただ、同時に日本はまた他の開発途上国特に中進国と言われるような国々からだんだんいろいろな分野で、いわゆる労働力集約型と言われるような人手に依存することの多い分野では日本の産業が競争力を失い、そういう日本の周りの開発途上国からの輸入がふえてまいるというような結果になってまいるわけでございまして、私どもはこれを動態的国際分業論、経済の発展段階に応じて分業関係が変わってくるということで、この大きな流れをやっぱり世界経済全般として無視することはできない。まあアメリカの労働組合などには低賃金で生産したものは輸入する必要がないという議論がございますが、そうすると貧しい国々が工業化して繊維、雑貨等の輸出をだんだん伸ばしていく道をふさぐことにもなるわけでございますし、また先進国としても、そういう発展する国々の輸出が伸びれば所得がふえ、外貨収入がふえ、より高度の工業製品をそれらの国に売ることが可能になるわけでございまして、アメリカとしても一方において日本がそういう高度の工業製品の分野に競争者として出てくる、日本は同時によりおくれた国からの競争にさらされる、それに対して国内市場を次第に開放していかなければならない、そういう全体の姿が考えられるわけでございまして、アメリカとしてこれは経済の理屈から言えばさらにより高度の分野に進む、あるいはアメリカが国際分業上非常に有利な農業製品というようなものの輸出とかあるいはきわめて高度の工業製品あるいは航空機などで輸出を伸ばす、あるいは日本のような国は工業製品について市場を開放する、これは東京ラウンドの目的でもございますし、アメリカ側からもたとえばわれわれは日本の自動車を二百万台去年買った、日本はわれわれから二万台以下しか買わないのでは余りに不均衡ではないかというような議論も出てまいるわけですが、できるだけ日本としても海外からの輸入を一面ではふやすという形での国際経済の拡大均衡、発展的な均衡というものを目指すことが基本的には望ましいのではないか、そういうふうに考えておるわけでございます。

小野明日本社会党

○小野明君 終わります。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 私は東京ラウンドの国会承認を求められている件について、きょうは本当に二、三点だけ、発展途上国に関連したところでお尋ねしたいと思っておりますけれども、ただいま小野委員が触れられました日米間の経済関係の中でこの自動車の問題を出されて、総理大臣が訪米なさる前には、日本の自動車の工場をアメリカに持っていく問題については、いまのお答えですと、企業が決定するのに任せてその前には決定しないだろうということをお答えになっておりますが、実はけさの朝日新聞にちょっと、総理大臣が出かけられる前に自動車の輸出の問題並びに電電公社の調達開放問題を中心として、外務省の安川対外経済担当政府代表が総理と昨日お会いになって協議をなさった。そうして大平首相はこれに対して「五月のカーター大統領との会談で電電公社の話をする必要がないよう責任を持ってやってほしい」というふうに言われたと。つまり日米首脳会談の前にこの電電に関する政府調達、この問題はもう片づけて決着をしておけという方針を出されたのでしょうかどうでしょうか、そのことを一点お伺いしておきます。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) この点につきましては、総理がどういうふうに言われたのかまだ直接確かめておりませんので確実なことは申し上げられませんが、牛場・ストラウス共同声明によれば、一九八〇年末までにこの電電公社の問題を解決するということでございまして、その意味ではまだ数カ月残されておるわけでございます。ただ、アメリカ側にこの問題について早くめどをつけたいという意向があることは事実でございますが、何かの糸口ということになればあるいは可能かもしれませんが、私のいまの判断では、総理訪米までに電電公社の問題の決着をつけるというのは事実上むずかしい、困難ではないかと思っております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 ちょうど昨年大平訪米の前にもこの問題が非常に騒がれて、事実上その政府調達開放の問題はそのままお預けになっていたと思いますね。それでそんなに取り急いで大平訪米前におみやげとして何か決着をつけるなんていうようなことをしないで、やっぱりこれは日米経済関係についてもっときちっと自主性を守っていただきたいということを御要望いたします。  実は東京ラウンドに関して昨年仮調印の当時に私やっぱり御質問したのですけれども、これもその当時、ガットの加盟国九十九カ国のうち三分の二、八十カ国が発展途上国、そして非常にこの東京ラウンドに対しては不満を持っていた。それであの当時、仮調印の当時はアルゼンチン一カ国、中進国ですね、しか調印しないという状態だったと思いますが、今度幾つかの国が調印はしていますけれども、非常に少ないと思います。三月二十五日の読売新聞の記事の中で、ジュネーブにいる特派員から電報としてUNCTADの事務局長コレアさんが東京ラウンドの評価に関する報告書を出した。その中で何点か不満を述べています。それでその第一点は、途上国に対する優遇措置が十分ではないというふうなこと。第二点は、東京ラウンドの承認手続に疑問がある、だから見直しが必要だ。第三点は途上国をねらい撃ちした保護貿易措置が今後増していくのではないかという警戒の念と、この三つが簡単にこれは報道されているのですけれども、外務省はこのコレア事務局長の報告は手にしていらっしゃるかと思いますが、これを説明していただきたいのです。まず第一に途上国に対する優遇措置が不十分だという不満ですね、これはどういう点を不満としているかということを少し具体的に。そして、いや実は今度は東京ラウンドの各国のその承認に当たっては相当途上国の不満は解消したのだという御説明が政府委員の方からありましたけれども、どうなんでしょうか、その辺を御説明いただきたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) この点は政府委員からまず御説明を申し上げます。

手島れい志外務省経済局長

○政府委員(手島れい志君) 実はコレア事務局長の報告というもののテキストが私の手元にございませんので、私がなぜ発展途上国が不満だというふうに考えているかということを御説明をさせていただきたいと思います。  一言で申しますと、途上国側が不満としておりますところは、恐らくこの東京ラウンドの結果、期待していたほどの利益が得られなかったということではないかと思います。たとえば関税法一般を取ってみましても、日本を初めとしましてほかの国もできるだけ発展途上国の利益を考慮いたすように、七三年の東京宣言に沿いまして努力をしてきたところではございますけれども、ただ発展途上国の方の要請が、たとえば農業産品ですとかあるいは中小工業の産品ですとか、なかなか私どもの経済にとりまして受け入れ困難なものが多かったわけでございますので、この点一〇〇%彼らが満足しておるということはないのだろうというふうに思います。そのほか私どもがやりましたことは、たとえば熱帯産品につきまして、これは優先的な分野としてすでに数年前に全体の東京ラウンドのパッケージが組まれる前からもう実施に移しておりますけれども、この点につきましても多々ますます弁ずと申しますか、多ければ多いほどいいという発展途上国側の希望には、もちろん必ずしも全部合致をしていなかったのではないかというふうに考えます。しかしながら、この東京ラウンドのパッケージは、昨年の十一月の末のガットの総会におきまして、ガットの加盟国全部、発展途上国をも含んでおるわけですが、このガットの加盟国全部によりまして満場一致で了承をされておりますし、それから、先ほど先生が御指摘になりましたように、アルゼンチンのほかに、たとえばブラジルとかインド、インドネシア、香港というような発展途上国合わせまして二十二カ国がすでにパッケージの一部を署名し、受諾したり、あるいはみずから何らかのオファーをすることによりましてその参加の意図を明らかにしておるわけでございます。そのほか、今回御審議願っておりますいろいろなコードがございます。このコードの中にもそれぞれ発展途上国の優遇措置というものが書き込まれてございます。  それで、これはやはり交渉でございますから、発展途上国の要望というものが全部認められているというわけにはまいらないかもしれませんけれども、先進国側としましては、最大限発展途上国の要望を取り入れるかっこうで交渉をまとめるように努力をしたつもりでございます。ただ、先生も御指摘のとおり、発展途上国の問題がガットの枠内においてすべて解決されたかと申しますと、これは決してそうではございませんので、今後東京ラウンド後のガットの作業計画におきましても、途上国の産品に対する保護主義的な動きの検討も含めまして、途上国の貿易問題の検討に大きな優先順位を与えるのだということを決定をいたしておりまして、われわれとしてもこの作業に積極的に参画をしていきたいというふうに考えております。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 特に優遇措置が不十分だといって不満を述べている一番の大きな不満は何なんですか。全体的に不満だということでしょうか。

手島れい志外務省経済局長

○政府委員(手島れい志君) 申しわけございませんけれども、先ほどお断りいたしましたように、実はこの報告をちょっと私まだいまのところ読んでおりませんので、具体的な不満があるのか、あるいは一般的な不満があるのかはさらに勉強しました上で答えさせていただきたいと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 それではそれはまた改めて伺いますが、東京ラウンド承認の手続に疑問があるというのはどういうことを意味しているとお思いになりますか。そしてその手続は見直すべきだと書  いてあるんですね。思い当たられますか。

手島れい志外務省経済局長

○政府委員(手島れい志君) この点につきましても、これは報告を検討させていただきました上で報告したいと思います。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 第三点の途上国、今後世界的に先進国は経済的に非常に問題を抱えているわけなんですけれども、日本などもそうだと思いますが、今後貿易輸出をどんどんふやしていこうという努力をせねばならないような状況に追い込まれている。それで、自分の国の産品に対する保護貿易措置がふえていって、そして途上国の物を買い入れないという、そういう心配があるというんです。これらはちょっと見通しとしてそういうことがあり得るのではないですか。どうお思いになりますか。

手島れい志外務省経済局長

○政府委員(手島れい志君) 確かに、途上国の産品はどちらかと申しますと労働力を多く要する産業の産品でございますし、特にこういった産品というものは先進国の市場におきましても、たとえば中小企業が中心となってつくっておるようなものである場合が多いわけでございます。これが先進国の中の経済の発展が順調に行われているときはよろしいわけでございますけれども、経済的な発展が停滞しているような段階におきましては、えてして保護主義的な要求の対象になりやすいものでございます。他方、発展途上国の一部は、御承知のように、最近騒がれておりますNICSと申しますか、中進国が中心になりまして、これらの工業製品の輸出国になりつつあるわけでございます。  この関連におきまして、東京ラウンドの枠内ではセーフガードの規律をいかに定めるべきかということについて交渉が行われたわけでございますが、この交渉の過程におきまして一部の先進国の方から、このセーフガード措置というものを選択的に発動をすることを認めるべきであるという主張がございました。で、この主張に対して発展途上国側は、これは一部の発展途上国をねらい撃ちにするものではないかという危惧を持ちまして、非常に強く反対をしたわけでございます。このセーフガードの交渉は、結局東京ラウンドの終結までに交渉がまとまりませんで、一応継続審議ということになり、また新しい規則ができるまでは従来どおりのガットの十九条に従った手続をとっていくことが合意をされたわけでございますが、このような動きに対しまして発展途上国側は、先進国側の保護主義的な動きによって今後被害を受けるのではないかというふうな危惧の念を持っているのではないかというふうに考えます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 日本はどうなんですか。いまのセーフガードですね、選択的セーガードといいますか、緊急輸入制限の導入について、これは一番主張したのはEC諸国だと思いますけれども、相手国の同意なしに発効できるというその関税の障壁みたいなものですね、日本はどういう立場をとったんですか。そして、日本は全体として発展途上国の側に立ったのか、先進諸国の側に立ったのか、まずそれだけを伺います。

手島れい志外務省経済局長

○政府委員(手島れい志君) セーフガードの交渉と申しますのは、非常にむつかしい側面を持っておることは先生御承知のとおりでございます。すなわち、関税その他の貿易障害を軽減していくためにはですね。しかし、いざというときには必要に応じて速やかに何らかの措置がとられるという保証がない限り、関税その他の保護措置を減らしていくことができないという側面がございます。他方、このセーフガード措置を安易にとることを認めますと、せっかく下げました貿易の障壁というものが結局努力が無に帰してしまうという面がございます。したがいまして、セーフガードの交渉をいたしますときには、必要なあるいは合理的な場合にはこれを発動ができるような仕組みにしておかなければならないという面があるわけでございますけれども、私どもとしましては、さりとてその援用、セーフガード措置の利用というものが安易に行われるということであってはせっかくの東京ラウンドの効果を無効に帰する面が多いわけでございますから、最終的には交渉に参加する各国の間での合意ということを頭に置きながらも、乱用の防止が行われないということを最大の交渉の目的として交渉に参加をしてきておりましたわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 ちょっといまのお答えでは緊急輸入制限に賛成なさったのか反対だったのかがちょっとわかりませんが、もう時間があれですから。  そこで、大臣にお伺いしたいと思うのですが、昨年五月に大平さんがマニラのUNCTADに行かれました。そのときには、途上国に今後大いに協力をする、特に人づくりに関して協力するということをおっしゃいました。私いま大臣のお考えを聞きたいと思っておりますのは、国際社会の中で、あらゆる国連関係のすべての機関で、発展途上国が新国際経済秩序というのを主張してきておりますね。この新国際経済秩序というのは、つづめて言えば、かつて植民地として搾取されてきた国々が新しくみずからを開発していくときに、これまで植民地国からどんどん資源を勝手に収奪してきた先進諸国に対して、自分たちにある意味では特恵的な待遇を与えてもいいのではないかと、そうもしなければ平等にならないので、これまでのような経済秩序を直せという要求かと思います。  実は、ことし国連婦人の十年の真ん中で、五年前の七五年、メキシコで開かれました国際婦人年のときも、メキシコ宣言の中で、男女の平等というのも、国連を形成している百五十数カ国の三分の二が発展途上国、第三世界と呼ばれている国なんだけれども、そういう国々の安い労働を搾取した上で、あるいはそういう国々の資源を勝手に収奪した上で成り立つ先進国の男女平等というものに対して反対する、だから、これは新国際経済秩序を打ち立てなければ真の意味の世界的な男女平等はない、つづめて言えばそういう意味の宣言や決議がたくさんされております。  それから、昨年秋、私、カラカスでありましたIPUの総会に出ましたときにも、私は技術、文化、マスコミュニケーションの分科会に出ておりましたが、そこにおきましてもマスコミにおける国際新秩序、先進諸国から途上国に対してマスコミも平等には入ってこない、伝達されないからこれにおいても新秩序を打ち立てることの要求が出ましたし、それから技術の移転ということについても新秩序という、非常にそういう強い要求が出ておりました。それで、やっぱりこういう考え方は世界全体にある正義とか人権の思想がいま本当に大きく主張されていて、いままで弱い立場にあった者に対する正義が行われなければならないという立場の主張だと私は思いますが、そういうことに対して外務大臣は、理念の問題ですけれども、どういう立場をおとりになるかということ、新国際経済秩序を支持なさいますかどうですかということ、経済だけでない、あらゆる面における新秩序の要求をどのようにお考えになりますかということです。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) 新国際経済秩序というのは、一つは固有名詞のものと、それから一般的に言う場合と両方でございまして、固有名詞の新国際経済秩序というのは一九七四年の国連第六回特別総会でしたか、これは石油危機の直後に開かれて、一名資源総会とも言われたものでございまして、その内容は、かなり資源保有国がその国内の資源について一〇〇%の自主権といいますか、こういうものを認める。それからたとえばその国の資源開発についてこれを国有化する権利を持つとか、それから一次産品の価格についての他の工業製品との価格との均衡を保つ問題とか、資源主権の問題、それから資源輸出の条件、交易条件と言っておりますが、そういうことを主として盛り込んだ新国際経済秩序でございましたが、いまお触れになりましたいろいろな広い面での問題については、必ずしも七四年の宣言に含まれていない面もいろいろあるかと思います。  ただ、基本的には、途上国の中で、いままでの国際秩序は金持ちの国におのずから有利になるような秩序である、したがってこれを貧しい開発途上国の発展を促進するような秩序にだんだん置きかえていかなければならないという基本理念があるように思うのでございます。ただ、そういう具体的な政策になりますと、途上国の主張している政策が必ずしも途上国自身の利益になるかどうかという場合もございますし、それから市場メカニズムを全面的に否定するようなことになる場合もございまして、たとえば途上国の中で中進国的な国々は、むしろ、やはり自由競争の要素のある秩序の方がいいという考え方もあるわけでございまして、世界経済全般の能率的な運営ということから考えますと、つまり能率と公正とをどうやってバランスをとって達成していくかというのが基本の問題だと思うのでございます。そういう意味では自由競争だけ、全くのフリーハンドの自由競争だとやっぱり金持ちで力の強いところが得をするという結果が出やすいわけでございますが、しかし先ほどの動態分業論などからいうと、かえって貧しい国の方が繊維、雑貨など競争力を持ってくる、これは安い賃金を利用して不公正ではないかという、また逆の議論も出てまいりますが、途上国としてはもともと貧しくて賃金も低い、しかし同時に生産性も低い、技術も低いということでございますので、一定飛びに賃金だけ上げてしまうと今度はつくった物が非常に高くて売れないという矛盾もございますので、私どもとしては、そういう全体としての世界経済の発展のプロセスを合理的に進めていくような新経済秩序というものが望ましい。いま出ておりますのは、発展途上国の方から見た不満を先進国に対してぶつけておるという点が非常に強いわけでございますけれども、次のステップは先進国の立場も、ある程度同時に考えたような世界経済の新しい秩序というもの、あるいは計画経済諸国、社会主義諸国も含めたような秩序というものがこれから必要になるのではないだろうか、というふうに考えておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 経済秩序の問題だけでなくて、先ほど触れましたように、全体として、国際的な世界で、いままで先進国がすべて主導権を持っていた問題について、新しい秩序への要求というのが発展途上国から出ているという問題については、一般的に言って大臣はその方向を支持なさいますでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) 先ほどお話のありましたマスコミの問題も、これは永井道雄さんも委員になって参加されて、報告も出ておりますし、報道機関が従来主として先進国に占められておって、途上国側の意見が十分に表面に出てこないという点もございます。全般として、やはり国際的な公正という意味で、途上国の要求しておる考え方は大きな筋としては認めていくべきではないか、やはり先進国だけで世界経済なり世界全体の秩序を維持していくというか、リードしていくということはできない世界にだんだんなりつつある、いわゆる第三勢力といいますか、こういう国々と共同で世界全体の運営を考えていくといいますか、そういう時代にだんだん世界が移りつつあると基本的には考えておるわけでございます。

田中寿美子日本社会党

○田中寿美子君 そういう認識でぜひ今後の外交も進めていただきたいと思います。  私、経済協力のことをお伺いしたいと思っておりましたけれども、次に譲らしていただきます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 今回、日加原子力協定を結ぶに当たりまして、若干確認をさしていただきながらお尋ねをしたいと思います。  原子力の平和利用については、特にわが国においては原子力発電というものに象徴されていると言ってもいいと思うわけであります。まあ、それだけに石油にかわるべきエネルギー源として、あるいは現実対応として欠くべからざるエネルギー源ではあるまいかと、こんな印象を持つわけでありますが、まず第一に、わが国としてはいま申し上げたような観点に立ってのいわゆる濃縮ウランあるいは核燃料というものの供給を受けなければならないということに今後も引き続きなるであろうということが予測されるわけであります。さまざまな問題を提起していることも事実でありますが、まず今後電力の需要というものが一層増大するであろうということは十分予測されることでありますし、油に依存する度合いというものが今後何年一体続けられるのかということの問題点もございましょうし、今回のように油の値上がりという外圧によって電力料金あるいはガス料金の値上げというものに踏み切らざるを得ない。いろいろこう考えてみると国民生活にも重大な影響を及ぼす。さて、そういった問題の解消というものをあるいは今後原子力に求めるべきものなのかどうなのかという点もさまざまな議論を呼ぶ課題であろうというふうに思うわけです。  そこで、今後特に電力を中心として考えてみた場合に、原子力発電というものはあと何基ぐらい増設が必要とされるのか。これは人口の増加であるとか、あるいはその建造物の増設であるとか、あるいは大量に電気を食うであろう新幹線の増設ということを考えますと、ふえこそすれ減ることはないであろうと、一体どの辺に飽和点を考えたらいいのか、そういった点について、まずこれは原子力局の方から答弁願った方がいいのでしょうか。

熊野英昭資源エネルギー庁長官官房原子力産業課長

○説明員(熊野英昭君) 御承知のように、私どもの方で通産大臣の諮問機関といたしまして電気事業審議会というものを持っております。この電気事業審議会で昨年長期のエネルギー需給あるいは電力に関して、どういう電源で将来考えていくかということについて検討した結果が、昨年の十二月七日の需給部会の中間報告で出されております。これに従いますと、御案内のように現在原子力発電につきましては約千五百万キロワットの能力、二十一基でございますけど、二十一基千五百万キロワットのものを持っております。それで、六十年度末二千八百万キロワットないし三千万キロワット、六十五年度末五千百万キロワットないし五千三百万キロワット、七十年度末七千四百万キロワットないし七千八百万キロワットというのが現在私どもが持っております長期的なターゲットでございます。  ただいまお尋ねの何基かということでございますけれど、これは一発電所のキャパシティーをどのぐらいに考えるかによって変わりますけれど、最新の原子力発電所の規模は百十万キロワットが最大のものでございます。ただ、必ずしも百十万ばかりではございませんで、たとえば八十万キロワット等のものも新しいものでやっておりますし、それから場合によってはもっと小さい六十万キロワット程度のものもございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 いま現状というものと、それから中期展望というものに立って必要とするであろう電力の量、また現在稼働中の状況。ただ、いまおっしゃった中期展望なりを考えてみた場合に、それに見合うだけの供給源というものを当然必要とすることは言うまでもありませんね。火力が満杯、そうするとどうしてもいまの考え方としては原発に頼らざるを得ない。まあ一基百十万キロワット出せるのもあれば、あるいは五、六十万キロワットしか出せないものもあるかもしれない。で、いまおっしゃった最終七十年に七千万キロワット、現在の原子力発電の状況では間に合わないわけでしょう。

熊野英昭資源エネルギー庁長官官房原子力産業課長

○説明員(熊野英昭君) 先ほど御説明申し上げましたように、現在稼働しておりますのは二十一基千五百万キロワットの能力でございます。これに対しまして、七十年度末の目標といたしまして、七千四百万ないし七千八百万キロワットの能力を目標として持っておるわけでございます。したがいまして、現在千五百万でございますから約六千万から六千数百万の新しいものを七十年度まで今後約十五年間の間に設置をする必要があるということになろうかと思います。  なお、原子力発電の構成比でございますけれど、能力ベースで申し上げますと、六十五年で二二、三%程度のものを考えております。また、七十年度末で二六%ないし二八%程度のものを考えております。他方、キロワットアワーで申し上げますと、六十五年度が三〇%前後、七十年度につきましては四〇%弱のものを原子力発電に期待するかっこうになっている次第でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 重ねて確認しておきたいのですが、現在建設中のものがありますね。それから審議会で決定をされたものが何カ所かございますね。たしかそれを全部入れて総合計いたしますと三十五カ所ぐらいになるのですか。

熊野英昭資源エネルギー庁長官官房原子力産業課長

○説明員(熊野英昭君) 現在二十一基で、建設中のものが七基、それから建設準備しておりますものが七基でございます。したかいまして、御指摘のように合計いたしますと三十五基ということになります。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 ただ問題は、いろいろ原発設置については、しばしば地域住民とのトラブル等があり、果たしていま立てられたこの展望に立って円滑に推進できる見通しというものが考えられるのかどうなのか。

熊野英昭資源エネルギー庁長官官房原子力産業課長

○説明員(熊野英昭君) 私どもといたしましては、常に申し上げておりますように、石油代替エネルギーの主力をなします原子力発電につきましては、何よりも安全性を重視しつつ地元住民の御理解を得ながら進めてまいりたいというふうに考えております。現在のところ手がついておりますのは、先ほど先生御指摘のように、二十一基プラス十四基のものが何らかのかっこうで具体化が進められている次第でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 確かに、いま答えられましたように、地域住民との合意を得るという問題、これはもう長い間いろんなトラブルの繰り返しが今日までずうっと続いてきている、言うなれば思うに任せなかったという推移があったであろうというふうに思えるわけです。ただし、その点についても、恐らくかわるべきエネルギーというものか見当たらなければ次善の策として核融合が実用化されるまでの段階としてのつなぎ的なそういう役割りを果たさなければならぬではないだろうかという気がしないでもない。  そこで問題は、いつも俎上に上るように、安全性ということが最優先されなければならないことは、いまお話があったとおりだと思うんですね。さて、この安全性という問題について、しばしば科技特の委員会あるいは商工委員会でも繰り返し何回も何回もその辺の確認を迫られてきているわけでありますけれども、もちろん学者の見解というものは絶対に、いわゆるパーフェクトに安全ということは一言も言えないし、まあ確率から言えば九九%ぐらいと言った方がいいのかもしれませんな。そうした中で、ほとんど常識的に考えるともう完全に近い、そういう印象を受ける場合がそうした人たちの言明を通じて感じられないわけではないのですけれども、その反面に、こうちょくちょく事故が発生する、その都度また安全性というものに対して大丈夫かしらという一つの危惧感というものが常にまつわりついて、なかんずく地域住民の頭から離れないというようなことで、設置に対して非常に戸惑いと、その具体的なスケジュールに見合わないおくれというものが出てきているのであるまいか。その辺の今後の見通しというものは十分成算あっての取り組み方をなさっておられるのでしょうか。

熊野英昭資源エネルギー庁長官官房原子力産業課長

○説明員(熊野英昭君) 大変むずかしい御質問でございますけれども、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、石油代替エネルギーとしては最大の期待を持つべきものといたしまして、石炭火力発電と並びまして原子力発電の推進が必要なことを十分国民に御理解いただきますとともに、安全性につきましては何重にも努力をいたしまして、そのことによって地元の方々の御理解も得て進めてまいる必要があると考えております。また、単に安全性のみならず、地元の御理解を得ますために各種の立地の推進をやさしくするような方策をいろいろとっておるところでございます。

宮本二郎科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(宮本二郎君) ただいま渋谷先生から、原子力の安全問題につきましての御質問がございましたわけでございますが、安全問題につきましては、一昨年でございますが、原子力基本法の改正で原子力の安全性の確保を旨とするという一部改正がございまして、それ以来原子力安全委員会が発足いたしまして、原子力の安全確保が原子力開発上の大前提である、こういうかっこうで進めておるわけでございます。  特にこの際申し上げたい点は、先般米国での事故がございました。これは今後の原子力利用に対します大きな警鐘である、こういう考え方で、この教訓をわが国の安全確保に生かしたい、こういうことで、原子力安全委員会といたしましては、特別委員会へ学識経験者を大ぜい集めまして、今後のこの安全確保をさらに高めるという観点からいろいろ五十二項目指摘いたしまして、その一部を実行にすでに移しておる最中でございます。原子力安全委員会といたしましては、行政庁の審査をさらにもう一度厳重にチェックする、こういう点から慎重にも慎重を重ね、今後とも安全性の確保に最大限の努力を尽くしてまいりたい、このように考えておるところでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 確かに、いま御指摘のとおり五十二項目にわたっての厳重なチェックというものが今回設けられた。確かに、その管理体制を考えると日本はすぐれたそういう機能というものを私は持っているのであるまいか。いま、スリーマイル島の事故の問題、今後に警鐘を打ち鳴らしたということで、非常に重大な参考にすべきであろうと、わかるんですが、これはアメリカの管理体制とまた日本の場合全然違うだろうとぼくは思うんですね。日本の方がよりすぐれた、非常に緻密なそういう体制の中で厳重にやっているはずなのにということがあるのが一つ。もう一つは、国民の、と言うよりもむしろ地域住民の十分な理解を得るための啓発も必要だろうし、十分納得を与えるだけの説得力というものも必要になってくるだろうと思うんだけれども、果たしてそういう点についての手当てというものがいままで十分なされてきているのかなあと。それは国会で論議している場合においてはそれは理解できる場合と、また疑問が残る場合と、さまざまある。こういう委員会でやっている場合でもそういう状況が考えられます。いわんや、全然専門知識がお互いにないわけですからね。そういう方々に対して、これは絶対安全だということを一体どういう形で説得するのか、非常に私は素朴な疑問を今持つわけですよね。  それで、かつて電力会社の方々に申し上げたことがあるんです。あなた方の啓発の仕方というのは、非常にわかっている人がつくったチラシにしてもリーフレットにいたしましても、ある程度の素養のある人が読めばわかるだろうと。極端な例は、この間もよく私の部屋へ来て雑談を科技庁の方々とやったときにも申し上げたんです。極端な言い方かもしれないけれども、おじいさん、おばあさんか読んでもわかる——たとえば一つのチラシにしてもですよ、あるいは中学程度の学力があれば十分理解ができるというくらいのものをつくって、そういうまた説得に努めるとか、さまざまな私方法があると思うんですね。公聴会もその一つの例だと思うんです。公聴会については後で申し上げますけれども。そういう点での取り組み方というものが何か一方交通的ないままで印象が非常に私にとっては強かった。これではなかなか地域住民の合意を得るまでには相当道のりがあるなあという感じをしばしば持ったことがあるんです。この点では、これはどっちがいいかな、通産省の方ですか。

石塚貢科学技術庁原子力局調査国際協力課長

○説明員(石塚貢君) 御指摘のとおり、政府作成のものを初めといたしまして、原子力関係のパンフレット、資料等には用語のむずかしいものがあるということにつきましては、国民の方々の御理解をいただく上での障害になるものであるというふうに考えております。そこで、われわれといたしましては、なるべく専門家の書いたものを工夫をこらしまして、平易に書き直すという努力でございますとか、あるいは場合によりましては漫画のようなものを手段として使いまして、それで極力わかりやすい表現というものを使うように配慮をいたしておるつもりでございますが、なおその努力の余地があるということは御指摘のとおりでございまして、今後ともその用語を含めパンフレット等が十分わかりやすいものとなるよう努力を続けてまいりたいと思っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 それは言われるとおりなんですよ、私はしばしばそのことを強調してきたのだけれども、さっぱり進まないんだ。だから、やる気があるのかないのかという問題が一つあるわけですね。何といったって、当局としてもこれは安全性というものについては神経を細やかにしながら、常にそういうことの抵抗意識が生まれないようにという配慮は常になさっているはずなんですね。しかし、現実はそうはいかない。まあ、一ころよりも大分全体的には緩和されてきたような印象がないではないんです。  ただ一方において公聴会、この間も福島原発の増設問題をめぐってですか、現地でやるやつを何か小名浜でやった、全然違ったところへ持っていっちゃったらしいのだ、これじゃやっぱり地域住民の——それはぼくらの記憶違いかどうかわかりませんよ。何かずいぶん離れたところへ持っていっちゃって公聴会をやった。だから、集まる人も非常に少なかったというようなことがあったらしいということも聞いている。そういうことじゃやっぱり公開の原則にも反することになりましょうし、地域住民の方々の立場を考えれば、難儀してそこまで行かなくちゃならぬ、聞きたいけれども行くに行けない、忙しい、いろんな問題が絡んできます。やっぱりそういう状況なんかも避けてもらう必要があるんではないかなと、この点、公聴会のあり方なんかどうなっているんですかね。

宮本二郎科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(宮本二郎君) 公聴会のお話が出ましたので私からお答え申し上げますが、先般、東京電力の福島の発電所の、公開ヒヤリングと申しておりますが、これにつきましては福島市で開催いたしたわけでございます。発電所の所在地は海岸地帯の大熊とか双葉とかこういうところでございますので、約百キロ近い距離はあるわけでございます。私どもといたしましては、公開ヒヤリングはまず地元で開くというのを原則にいたしておるわけでございまして、この一月の関西電力の高浜の発電所につきましては高浜町で開催いたしましたわけでございますが、公開ヒヤリングの開催につきましては、現実の問題といたしまして地元市町村に非常な負担をかけるわけでございます。私ども同意いたしましても、地元自治体の御協力がありませんと公開ヒヤリングが開催できないわけでございまして、その点で福井県の方は高浜でできたのでございますが、福島発電所につきましては、そういう観点でいろいろ県及び地元自治体ともさんざん御相談したあげく結局福島市で開催する、こういう事態になりまして地元の方々がバスでおいでになる、こういう御迷惑をかけた次第でございますけれども、できるだけ地元で開催するという基本方針は私ども常に考えておる次第でございまして、今後とも地元で開くようにできるだけの努力を尽くしてまいりたい、このように考えておるところでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 せっかくずっと努力を積み重ねてきまして、ひょんなちょっとしたことから、それはいろんな地方自治体の事情がおありになったかもしれませんけれども、やっぱりそういうところでまた反発を買うということになりますとせっかくの努力が水泡に帰してしまうという、そういうことも今回のいまの福島の例に見るまでもなく、さまざまな経験をいままで積まれてきているはずでございますし、やはり地元を中心にした公聴会、できるだけ大勢の人が、反対、賛成、やはり両方の意見を聞きながらそこに正当な判断を下していくという、これは貫いていっていただきたいなというふうに御要望申し上げておきたいと思うのであります。特にこれから非常に問題になりますのは、使用済みの核燃料についてどういう処理の仕方をするかという問題、これはやはり気になりますね。これはどんなふうに考えていらっしゃいますか。

熊野英昭資源エネルギー庁長官官房原子力産業課長

○説明員(熊野英昭君) 発電所から出てまいります使用済み核燃料の問題につきましては、基本的には再処理をいたしまして処理をする必要があるわけでございます。現在再処理につきましては、動燃事業団の東海村の施設あるいは英国、フランス等への海外委託等によりまして、一九九〇年くらいまでの需要は賄えるということになっております。それ以降が現在のところ手当てはございませんので、先生御案内のように去る三月一日、日本原燃サービス株式会社というものが、電力業界を中心といたしまして民間約百社の出資により設立されております。この日本原燃サービス株式会社が一九九〇年ごろの運転開始を目標に、いわゆる大型の商業再処理工場を運転開始するということで、これから具体的な準備に入っていく状況でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 この日本原燃サービスについてはアメリカの合意を得られたんですか。

矢田部厚彦外務大臣官房審議官

○説明員(矢田部厚彦君) 第二再処理工場の建設につきましては、将来の問題でございますので、まだ米国と協議はいたしておりません。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 先ほど通産省の御答弁を伺っておりましても、いままではイギリスとフランスで、再処理のために日本から積み出してそれを処置した、現在も継続されているとぼくは思うんです。その一部は動燃でやっている。しかし、行く行くは日本で再生処理工場というものをつくって、日本の国内でそれを賄うという方向にいままでも鋭意検討もされ、あとは問題は、いま矢田部さん答弁のように具体的にはこれからアメリカとの折衝にまたれるであろう。しかし、いままでの長い経過の中でアメリカは非常にガードがかたいですよね。それはプルトニウムが再生処理の段階において抽出される、それが原爆の材料になるという、そういった過程があるものですから、なかなか核不拡散というこういう前提に立った場合に日本に再生処理工場を設けるということはいかがなものであろうかという、端的に申し上げればそういう考え方に立って、非常に日本に対して国内における再生処理ということはまかりならぬという、一言にして言えばそういう方針が貫かれてきた。その点について、アメリカが核不拡散という原則を貫く限りにおいて果たして日本のそういう要望というものが受け入れられるかどうか、その見通しなんかどんなふうに持っていますか。これは外務省の方がいいのかな。

矢田部厚彦外務大臣官房審議官

○説明員(矢田部厚彦君) ただいま先生御指摘のように、米国政府は核不拡散の確保という観点から、再処理につきましては非常に慎重な政策を持っておるわけでございます。その点につきましてわが国は、エネルギー政策の一環としての原子力開発計画の遂行のために、先ほど来御説明がございましたように、再処理が必要であるという立場に立っておりますので、米国とその点では必ずしも意見の一致を見ておらないわけでございますが、先生御案内のINFCE作業というものが二年半にわたって行われまして、ここでいろいろな核燃料サイクルの実施に伴う核不拡散上の問題というものを技術的に分析してまいったわけでございます。その結果作成されました報告の中にこういう一節がございます。それは、核燃料サイクルといたしましてはいろいろなタイプのサイクルがあるわけでございますが、そしてアメリカは、その中で、再処理をしない、いわゆる使い捨てサイクル、ワンス・スルー・サイクルと申しますか、それが核不拡散上最もすぐれているという立場をとってまいっておるわけでございますが、この報告では、どのような燃料サイクルが核拡散のリスクに関して、現在、将来ともにわたって妥当するような、そういう単一の評価というものは下し得ませんということをこの報告書が申しております。つまり、言いかえますれば、アメリカの言うワンス・スルー・サイクルが核不拡散上一番メリットが高いのだということにはなりませんということが、技術的な評価としてINFCEの結論になっておるわけでございます。  INFCEは、申し上げるまでもなく、政府間交渉ではございませんので、その結論がそのままアメリカ政府を拘束するわけでは毛頭ございませんし、アメリカ政府はまた独自の再処理に対する意見を恐らく持っているかと存じます。しかしながら、将来のこの問題についての日米間の折衝では、ただいま申しましたようなINFCEの技術的な評価というようなものも踏まえまして米国の理解が得られますように、私どもとしては最大限の努力をいたしたいと、かように存じております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 私はいま努めて聞き漏らすまいと思って聞いておりましたのですが、ちょっと聞きづらい点がありましたのでよろしくお願い申し上げます。また、そちらの方で私の質問がわかりにくい点がありましたらおっしゃってください、声は幾らでもオクターブ上げますから。  いま御答弁を伺いますと、いろいろその経過、またアメリカの考えている点というようなものをずっとお述べいただいたと思いますが、これは通産省としてはどうですか。やはり国内で再処理工場を持つのが一番理想的であるという判断をお持ちになっているのではないかというふうに思いますが。

熊野英昭資源エネルギー庁長官官房原子力産業課長

○説明員(熊野英昭君) 先ほど申し上げましたとおり、原子力の利用を推進してまいります場合に核燃料サイクルの確立が非常に重要なわけでございますけれど、この核燃料サイクルの中でもかなめでございます再処理事業についてはぜひとも国内で確立する必要があるというのが通産省の考えでもございますし、日本政府の一致した考え方であると思っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 そこで大来さん、まあこれからもしばしば訪米される機会もおありかと私存じます。いまやりとりをお聞きいただきまして、これは将来にわたって大変必要な事項だと私ども判断をいたしております。まあ、いろんなその折衝を通じて、中身は多岐にわたる場合があろうかと思いますけれど、やはりエネルギー源確保という観点に立てばこれはもうやはり最優先されてしかるべき問題ではなかろうかと、こんなふうに考えるわけですね。いまもうこれはどちらかといいますと差し迫った問題なんです。たまたままた約十日間ぐらいの御予定ですか、今度四月三十日からまた五月八日にかけて大平さんに同行されていらっしゃるわけです。当然やっぱりあらゆる機会を通じてアメリカの理解が得られるような方向に向かって話し合われる御用意がいまおありになるかどうか。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) 今回の、この次の旅行につきましてまだ議論する議題が固まった段階ではございませんけれども、恐らく私の場合にはまたできれば国務長官なり外交担当者との話もあるかと思いますので、その際、場合によってはこの問題も検討して話し合う必要もあろうかと思います。また、カナダにも一応行く予定にいたしておりますので、特にその点、御注意の点はよく考えてまいりたいと思っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 今度この再処理工場が国内に設置されるであろうということを予想しながら考えられるのは、そこからまた排出されるであろう気体、液体、固体という廃棄物が大量に実は出ることがデーターの上から明らかにされておりますね。こういった処理について、これも安全という非常に大きな課題を含んだ問題でありますだけに、その辺の対応というものは当然考えながら、これを並行さして取り組んでいく必要が私はあろうかと思いますけれども、その点についての方針といいますか、考え方といいますか、どのようにいま取り組まれていらっしゃいますか。

宮本二郎科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(宮本二郎君) 再処理工場に伴います放射性廃棄物の処理、処分の問題でございますが、この放射性廃棄物の対策につきましては昭和五十一年に原子力委員会が基本的な方針を打ち出しておりまして、二つに分けまして、低レベルの放射性廃棄物と高レベルの放射性廃棄物とこの二通りになるわけでございますが、高レベル放射性廃棄物につきましては、これを安定的な形態で固定しまして、一時貯蔵した後処分をすると、こういうことでこの固化処理及び貯蔵についてはこの昭和六十年代までに何か実証試験を行いまして、今後その地層処分につきましてさらに検討を行っていく、こういう方針で進んでおる段階でございますが、現在この固化処理につきまして動燃事業団におきましていろいろと研究開発をやっておる段階でございます。したがいまして、現在、高レベルの放射性廃棄物につきましては動燃の地下のタンクにおきまして貯蔵しておる。まあ、量的にそう多いものではございませんので貯蔵しておる状況でございます。それから、低レベル放射性廃棄物につきましては、先生御案内のとおり、最終的な処分法として海洋処分とそれから陸地処分を組み合わせて考えるということで、海洋処分につきましてはまず試験的な処分を行おうと、こういうことで現在そのプロジェクトをいろいろと水産界等の理解を得るという前提でお話をしておる最中でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 これはもう申し上げるまでもなく、当局者側としては十分知り尽くしている問題でありますけれども、いま申し上げた再処理工場から出るであろう廃棄物というのは、一日分の廃棄物の量というのが原発一年分から出る廃棄物に相当するというふうに言われているのだそうですね。大変な量じゃないんですか。これは将来それを考えると一体どないなるんだろうなと、もう本当に気が気じゃないという一面、またそういう問題で、近い将来、国内の再処理工場の設置がいよいよ本格化する、恐らく遠い将来ではないだろうと私思うんですね、当然諸外国の例というものも十分導入しながら、いまおっしゃったように研究開発に着手されておられるであろうと思うのですけれども、そういったことを含めて、もう十二分に安全という上から再処理によって排出されるであろうさまざまな廃棄物についての処理はもう万全を期することができるという方向へ向かうことができるのでしょうか。

宮本二郎科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(宮本二郎君) 見通しでございますが、これにつきまして、高レベルの廃棄物につきましては、現在その固化処理をしよう——まあカラスで固化するわけでございますが、こういう形にいたしますと、大体年間百万キロワットの発電所がフルに稼働いたしましてそこから出てまいります使用済み燃料を全部再処理いたしますと、高レベル廃棄物は大体ガラスで固化いたしますと、まあ三立米か四立米というような、そういうような数量といわれておりまして、こういうような数量でございますので、最終的な処分方法を確認するまではこういう固化体という形でこれを保管していこう、こういうことで現在固化処理をやっておる最中でございます。  この最終処分方法につきましては、なかなかこれはむずかしい問題でございまして、国際的にいろいろと、諸外国では岩塩の坑の中に考えたり、あるいは海洋の、海底の中に穴を掘って中に投入をする、こういうようなことを現在いろいろと研究開発をやっておる段階でございます。その見通しとしては十分そういう最終処分も可能である、こういう考え方に立っておるわけでございまして、その間固体化いたしましてこれを保管をする、こういう体制で進んでいる次第でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 最後の締めくくりとして、またいずれ科技特委員会で申し上げることもあろうかと思いますので、再処理工場、通産省の意向というものも伺いつつ、あるいは今後の日米間の交渉を通じての理解が得られるという方向に立てば、そう遠くはない将来において工場建設ということが考えられるであろう。かつて徳之島あたりにそれを持っていこうなんていうことで、大分地域住民の猛烈な反対でさたやみになったという経過があるようですけれども、どこかほぼ目安というものをつけていらっしゃるところがあるんですか、全くもう白紙の状態ですか。

熊野英昭資源エネルギー庁長官官房原子力産業課長

○説明員(熊野英昭君) ただいまの御質問のございました民営再処理工場の立地問題につきましては、先ほど申し上げましたとおり、この主体となります日本原燃サービスが本年の三月一日に設立されたばかりでございますので、目下のところ立地問題については白紙の状況でございます。今後この日本原燃サービス株式会社が自然環境とか社会環境とかあるいは地元の御理解といったような種々の立地の要件について検討してまいりまして、具体的に検討を進めていくことになろうかと思います。政府といたしましてはこれらの検討の結果、ある進展した段階で原燃サービスから当然報告なり何なり聴取いたしまして、必要な助言なり指導なりをやってまいりたいと考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 それでは原子力の問題一応ここで締めくくっておきまして、次に海洋投棄防止条約にかかわる問題を少しくやらさしていただきたいと思います。  これは当然の帰結といえば当然の帰結でこういう条約ができるわけでありますが、年々海洋が汚染されているということは大変心の曇る思いであります。これは海上保安庁の方から出されたデータかな、この一年間、昭和五十四年摘発された件数を見ましても、いかがなものかと思わしめるようなものがあるんですね。たとえば船舶からの廃棄物排出禁止規定違反ということで送致された件数が八十三件、それから廃棄物の投棄禁止規定違反等によって送致された件数が四百四十八件、決して少なしとしない数ではなかろうかというふうに思います。この内容どんなふうになっているんですか。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) お答えを申し上げます。  昭和五十四年度の実積でございますが、船舶からの油の排出禁止規定違反、これは海洋汚染防止法四条違反でございますが、四百七十七件、それからビルジ排出防止装置設置義務違反、これが十八件、それから油濁防止管理者という者をタンカーには設けなければなりませんが、また油濁防止のマニュアルを制定しなければなりませんが、それを設置せずあるいは制定せずという違反が八件でございます。それから油については積みつけそれから処理、すべての記録を記載し保存しなければなりませんが、その規定違反が百三十二件、それから船舶からの油以外の廃棄物の排出禁止規定違反、これが八十三件、それからすたれ船と申しますか、用途をなさなくなった船を規制に違反して捨てたというのが三百三十三件、その他条項が四十三件でございます。小計いたしますと五十四年度千九十四件の海洋汚染防止法上の違反がございます。  その他海上を舞台として行われました水質汚濁防止法とそれから廃棄物処理に関する法律とかあるいは都道府県で定められております条例とかそういったものの違反を全部ひっくるめますと、先ほどのものを含めまして千七百七十二件となります。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 一年間でともあれいろんな法律に照らし合わしてみて千七百七十二件、端的に言うならば何か海がごみ捨て場になっているみたいなそういう印象を受けるのはまことに残念なことだと思いますね。これはどうなんでしょうか、もうどうにも防止ができないという状況の中で、これは繰り返しこういうものが行われているのかどうなのか。五十二年度、五十三年度と比較すると件数においては若干減ってはいるものの、そう激減というほどじゃございませんね。毎年のように二千件近いそういう違反が行われている。しかも日本は周囲海に囲まれた海洋国であるなんというふうに言われておりましても、みずからの手でその海洋を汚してしまうということは全くもう言語道断と言わざるを得ないのでありますが、これはどうですか、いままでいろいろと調査をなさって、よって来る原因というものを考えてみた場合に、それはどこにあるのかということが一つ。どうすれば本当に防止ができるのか。これはまあ国民のいろいろな道義的な意識の高揚ということに最終的には通ずるのだろうと思うのですけれども、そればかり、抽象的な、観念的なことを言っていても始まらぬわけですから、現実的な対応としてどうすれば激減する方向へ持っていくことができるのか、あるいは皆無に等しい状態にできるのかできないのか。その辺の展望といいますか、いままでの御経験の上からどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) 渋谷先生仰せのとおり、五十四年の千七百七十二件という数字は、五十二年の千九百八十一件、五十三年の千九百三十一件に比べてわずかではございますが減少させ得た数字だと私ども思っております。まあ海を汚すことを防止するということの基本は何かというのは大変むずかしいご質問でございますが、やはり海の再生能力といいますか、そういうものに対して余りにも無限の信頼を従来置き過ぎておったという意識を変えていただく、国民全般が変えるということが必要なことかと思います。その上で法律等の適用も厳正にやって、罰すべきものは罰し、指導すべきものは指導して減少の努力を重ねてまいりたいと思っております。当然わが方の監視能力というものも高めていかなければならないと思っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 そうしますとあれですね、原点を探ればもう教育問題あたりからもう一遍その辺を考え直してというのか、よく子供のころから十分その辺の理解というものを強めてもらうということが一番の得策であろうということになるんでしょうけれども、いまその議論をしても始まりませんので、そこでこれからもいろいろと監視体制を強化されながら、そういう不法行為というものについてのチェックと申しますか、引き続き推進されていくんだろうと思いますけれども、海上保安庁が直接のそういう面の責任をお持ちになっている部署であろうと思うんです。現体制で十分取り組めますか。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) 海上保安庁におきましては、実は五十二年から新海洋秩序と申しますか、海洋二法が施行されるという状況を迎えまして、実は五十二、五十三、五十四、五十五とこの四年間にわたりまして海上保安庁発足時にも匹敵する船艇、航空機の大増強をやったわけでございます。まず、これらの増強された勢力というのは単に数だけの問題じゃございませんで、非常に性能といい、航続距離といい、あるいは中で私どもの職員が仕事をする環境といい、非常に旧に倍した勢力と考えてもよろしいかと思います。それで、これは主として漁業水域あるいは領海警備ということに向けられるわけでございますが、傍ら非常にこれらの勢力というものが海洋における監視能力というものを高めておることは間違いございません。  なお、五十五年度におきましても船艇、航空機の増強を引き続き予定いたしておりますが、今後につきましても鋭意勉強いたしまして、さらに一層の監視能力の向上に努めたいと思っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 私があえてそのことをいまお尋ねした理由があるんです。かつて北方四島を視察に参りましたときに海上保安庁の方にもお目にかかりまして、現状をいろいろと御報告をいただきました。それで非常にはだ寒いものを感じたんですよ。配備状況それから船艇自体の非常に隻数が足りないということ、それからヘリコプターですね、こういった航空機の配備状況も非常に手薄であると。これで本当に実際の監視というものができるんだろうか。しかもあれだけの広いところをやるわけですからね。それでその後、視察を終えて、外務委員会か沖繩北方問題の特別委員会だったか忘れましたけれども、強力に申し上げたんですよ。とにかくこれでは現状じゃだめだと、もういまのせめて倍ぐらいにふやすぐらいの取り組み方をしない限りは万全は期せられない。それでいま御答弁を伺っていますと、ちょうど倍ぐらいにふえたということで、まあ倍にふえたっていままで少な過ぎたんです、はっきり申し上げて。その点、非常に最近の複雑な経済社会を考えてみた場合に、一方においてはそういう領海の監視もやらなきゃならぬ、片っ方においてはこういう違反者の取り締まりもやらなくちゃならぬというようなことで、職員の問題、数の問題もございましょう。船艇そのものが大変優秀性を誇るものが逐次配備されたということは大変結構なことだと思うのですけれども、果たしていかがなものであろう。やはりどんなに、そういう網の目のように警備体制というものを敷いても、やるやつはやはり網をくぐってまでやるという場合がございますので、完璧をということはなかなか言うべくしてむずかしいかもしれません。しかし一方において、それだけ厳しくなってくるということになれば、これは当然もう海洋に投棄するということは大変なことだという意識をきわめて強く持たせる効果があるであろうという面から、せっかくこういう条約締結に際しまして、やっぱりそれと並行しながら、特に日本は膨大な、太平洋を初めとして海洋を抱えているわけでございますので、その責任というものは一層倍加するであろう。それに伴って、やっぱりその辺の体制というものをもっと整備していく必要がありはしまいかということからいま申し上げているわけです。いかがですか。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) 私ども現在の勢力で決して十分であると申し上げておるわけじゃございませんので、まあその船艇、航空機の力をふやしていくということと同時に、この際申し上げたいのは、やはりいろいろと原因を調べてみますと、取り扱い不注意とかなんとかというような話もちょいちょい出てまいります。また、私どもの方のいろいろと、たとえばスラッジあたりの陸揚げの追跡調査をやるとか、いろんな面での勉強もいたしまして、今後とも一層海洋汚染の防止には努めてまいりたいと思います。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 御承知のとおり数日前も、あれは徳山丸ですか、あの船長だとか航海士だとか、あるいは請け負った清掃会社の人はともかくとして、最も船に責任を持たなければならない船長、航海士あたりが、見て見ぬふりなのかどうなのかわかりませんけれども、資格を疑われるような言動があったというふうに伝えられております。これはまことにけしからぬ話だと思うんですね。やはりその辺、どういうかかわり合いの中で引き受けてあれを運んだのかどうかわかりませんけれども、それはともかくとして、会社側自体にも問題はあるでしょうし、また船長自体あるいは航海士自体にも責任の重大な一面を担うものがあるのではないか。やはりそこらあたりの、まあ再教育といったってもういいかげんの大人ですからいかがなものかと思うし、やっぱり厳重にそういう事犯に対しては、再びそういう問題を引き起こさないというような何か対応の仕方が考えられないのかなあと、いましきりに何か取り組んでいらっしゃるみたいなことも伝えられておりますけれども、その辺いま具体的にどういうふうに進められていらっしゃいますか。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) それでは徳山丸のおおむねの現在の捜査状況を申し上げます。  徳山丸にかかわる容疑は、昭和五十五年二月二十九日、徳山港を出港し、三月六日相生港に入港したタンカーの徳山丸が、四国沖付近において入渠前のタンククリーニングを実施した際、同船のタンククリーニング作業を請負った内外産業の従業員が発生したスラッジ約千六百袋、これはトン数にいたしまして六十四トンになりますが、これを数回にわたって海洋に投棄したというものでございます。  違反容疑の適用法令は、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律第四条一項「油」——これは油性混合物でございますので油でございます。  それで捜査の経過といたしましては、三月二十一日に捜査に着手いたしました。それから三月二十四日に徳山丸ほかひっくるめて四カ所について捜索をいたしました。それから二十八日に、スラッジを海洋に投棄した現場主任と作業班長、これに対して逮捕状を執行いたしました。それから三月三十日に身柄を送致いたしまして、三月三十一日に山水商事東京本社その他のところを補充的に捜索差し押さえいたしました。  以上でございます。  今後の問題といたしましては、タンカーから出るスラッジの量というものは非常なものでございますので、タンカーが入渠前のタンククリーニングをやるという情報を努めて的確に把握いたしまして、先ほどから申しましたようなスラッジの陸揚げ量というようなものの追跡調査をやるということ、それからもう一つは、蓋然性の高い海域と申しますか、四国沖であるとかそういったところについては、航空機なり船艇を優先的に配置いたしまして違反を未然に防止するという体制をとってまいりたいと思っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 海洋汚染という問題はいろいろな発生源があるだろうというふうに思うんです。いまずっと海上保安庁さんの方に最近の事例を通してお尋ねをしたような場合はもとよりでありますが、その所轄する役所がそれぞれに分かれて大変な、これはどこでどういうふうに整理されていくのかなあという場合もないではない。あるときは環境庁であり、あるときは厚生省であり、あるときは地方自治体である。そういうような状況の中で、特に海洋汚染についての防止というものが果たして十分な効果というものを上げ得るのだろうかというささやかな疑問を私なんか持たざるを得ない。特に経済発展を遂げた日本においては、その反面にこれが文化国家の姿かと思わしめるような、一例を挙げれば終末処理場なんというのはほとんどの地域にできていない。いま中都市あたりでも終末処理場一基をつくろうとすれば五十億以上かかる。もう財政難の折から赤字を抱えるような一地方自治体はとてもしょい切れない。つまりたれ流しという状況が続いている。特に海洋に面している日本としてはかっこうの場所ですね。海洋に捨てる、流す。これなんかもしばしばいままで伊勢湾の問題を初め東京湾あるいは瀬戸内海ということで、赤潮の発生源等々初めとするそういうような汚染源追放という立場に立っての追及はずいぶんなされてきましたけれども、多少はよくなったとしても、いまだにこの問題の解決はほど遠いものがあるのではなかろうかという感じがしてならないわけですね。家庭から出るごみはもう恐らく後を絶たないでありましょう。それが粗大ごみと言ってだんだん形が大きくなっている。その処理に困れば一番適当な、海洋に面しているところは海に捨てるのが一番たやすいという、そういう感覚で捨ててしまう。台所から出る汚水はどんどん海洋に流されてしまう。最近では合成洗剤の問題もしきりに人間の暮らしというものを守るという観点に立って追放しようではないかと。もうすでに鳥羽の近くにある神島なんというところは、村長さんが先頭に立ってそれで合成洗剤を使うことはやめようと、これは琵琶湖よりも、実は滋賀県が条例をつくるよりも早かったはずだと思うんです。それで、生活の知恵と申しますか、ともあれ、海を汚さないという、あるいは湖を汚さないという観点に立ってそれなりの努力をしているわけですけれども、さあ、国全体が一体どういう交通整理をしながらそういう汚染についての防止に本気になって取り組んできたか、いささか疑問を禁じ得ない面もないではない。  そこで、せっかくきょう環境庁さんおいでになっていらっしゃいますので、これは直接今回の条約そのものにはかかわり合いがないかもしれませんけれども、しかし、やっぱり海の水は海流とともに動きますから汚れては困るわけだ。そういう点に立って、日本列島を取り巻くいま申し上げたような観点に立って、どういう状況なのか、かいつまんで大ざっぱで結構ですから、どうすればそれが解消できるかという展望、これをあわせてひとつお述べをいただければありがたいと思います。

原健彦環境庁水質保全局企画課長

○説明員(原健彦君) お答えさしていただきます。  先生御指摘したように、海洋汚染の原因となりますものは、ただいま御審議の対象になっております船舶からの廃棄物のほか排出される油、こういう船舶に起因いたすもののほかに、また、陸上から直接あるいは河川を通りまして海域へ発生いたします工場とか事業所とかそういうところからの排出水あるいは家庭からの生活排水、そういった陸上からのものもあるわけでございます。わが国の沿岸海域の水質という面を環境基準の達成状況から見てまいりますと、これは五十三年度のものでございますが、海域の環境基準の達成状況というのは七五・三%でございまして、これは河川の五九・五%あるいは湖沼の三七・六%に比べまして達成率は高くなっております。しかしながら、東京湾でございますとか伊勢湾でございますとか、内湾、内海等の閉鎖性水域におきましては、まだまだやはりそういう閉鎖性水域でございますので水質の改善がはかばかしくございません。その達成率は海域の平均よりもぐっと下回るようになっておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、こういった特に閉鎖性水域を中心に重点を置きまして水質の規制をしてまいりたいと考えておるわけでございます。  その一つは、五十三年でございますが、水質汚濁防止法の改正をいたしまして、水質汚濁の著しい瀬戸内海、東京湾、伊勢湾を対象といたしまして、こういった閉鎖性水域につきまして総量的に規制をする、水質汚濁負荷量を総量的に規制するということにいたしたわけでございまして、これにつきましては昨年総量削減基本方針を各都道府県に示しまして、この三月に総量削減計画、これは各都道府県でつくったものでございますが、これを承認し、総量規制が行われることになったわけでございます。  もう一つは、先ほど先生も御指摘のございましたように、富栄養化の問題でございます。燐あるいは窒素といったような栄養塩類がこういった内海、内湾にふえまして富栄養化現象——赤潮の発生でございますとか、あるいは貧酸素状況、そういったものが問題で、漁業等に被害を及ぼすような事態がございます。瀬戸内海につきましては瀬戸内海環境保全特別措置法が設けられまして、五十九年度を目標年度といたしまして燐の削減対策を目下実施しておるところでございます。また、東京湾、伊勢湾につきましては五十五年早々に関係都県と連絡会議をすることにいたしておりますし、また、必要な調査の実施もいたしまして、栄養塩類削減のための具体的な対策をすることにいたしております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 いまの御説明のように、本腰をいまようやく入れたという段階なんですね。さてこれからの先々というものを考えてみた場合に、果たしてわれわれが期待し得るような海洋の浄化というものが——先ほどの海上保安庁さんの御答弁、そしていま環境庁さんの御答弁を伺っておりまして、率直に申し上げて、決して努力をしていないということを申し上げているわけじゃないんです。あるいは手がけたのが時期的に遅かったのかどうかの問題は残るにいたしましても、さて本当に私たちが期待し得るような状況に、どうですか、環境庁さんとしては十分に達成し得ると、それはいろんな総量規制だとか何かあることは知っていますよ。そういういろんな廃棄物について、あるいは汚水について、あるいは工場から出るであろういろんな排水なんかにいたしましても、これは規制がそれぞれ設けられているわけです。にもかかわらず依然として赤潮の現象というものが解消されないとか、いま言われたような問題点がまだ依然として残っている。さあそこで、本当に自然の姿の海洋、浄化された海洋というものが、いまのような取り組みというものによって十分これはでき得ると、まあできないとは言わないかもしれませんけれども、その成算いかがですか。

原健彦環境庁水質保全局企画課長

○説明員(原健彦君) 私ども総量規制につきましては、五十九年度を目途といたしましてその総量の削減を徐々に段階的にやってまいりたいと思っております。また、瀬戸内海の燐の削減計画につきましても、五十九年度というのを目標に置いてやってまいりたいと思っております。この水質の改善は、単に工場あるいは事業場等におきます排水の規制だけではございませんで、下水道の整備あるいは屎尿浄化施設の整備、そういった面あるいは漁業におきます養殖漁業につきましての指導の適正化、指導の強化、あるいは合成洗剤の使用につきましての指導、こういった諸々の対策を講じてまいりたいと存じておるところでございまして、私どもその目標を達成できますように努力してまいりたいと考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 確かにそのとおりだと思うんですよ。決して私は絶望はしてないつもりなんですけれども、ただ現状を見るときに、大変深刻です、もう十分おわかりのとおり。というのは、いま答弁の中にもあった屎尿処理場にしても下水処理場にいたしましても、どうですか、これは率直に申し上げて、大都市を中心として中小都市に至るまできちっと整備されている状況じゃございません、はっきり申し上げて。そういう整備されてない状況の中で、依然としてたれ流しということはこれからも続くであろう。その行く先は、川に注がれ、そして海に流れていくと。これのまた繰り返しが行われるその状況というものは、工場排水にかかわらず、いま申し上げた屎尿処理が十分でない、あるいは下水処理が十分でないというところから、どうしても解消されるまでには相当の時間がかかるんじゃないか。そこに財政的な措置をきちんと加えない限り、弱小の地方自治体においてはとてもじゃないけれどもバンザイです、はっきり申し上げて。その実態は十分御存じだと私思うんですけれども、どうですか、日本全体考えていただいて、たとえば下水処理場について、一つ例に挙げて申し上げますが、その整備状況は何%ぐらいだと思っていますか。

原健彦環境庁水質保全局企画課長

○説明員(原健彦君) ただいま下水の整備の全国的な普及率でございますが、たしか二七%であったと記憶しております。現在の七カ年計画では、その普及率を五五%に引き上げるよう努力してまいる形になっておる、これは建設省の方が担当しておりますので、私正確には存じませんけれども、そういうような計画になっております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 大体その数字は当たらずとも、そう違わないと思うんです。かつてNHKが全国的に抽出したデータを集めて報道したことがあるんです。それで私は三六%と記憶しているんです。ところが、今度アメリカとこれを比較いたしますと、アメリカの方がこの下水処理なんかについてもレベルがはるかに高いですね。そういうところと比較をすると日本というのはずいぶんおくれている国だなという感じがするわけ。それは確かに所管が建設省に違いない。違いないけれども、環境を整備する、その立場から考えてみた場合に、そっちはそっちの方でやってもらわなければ困りまっせというようなことじゃ、これはやっぱり一元化された行政というものはそう言うべくして進まないのではないかというところに私は不安感を感ずるわけ。また土屋さんお招きしますからね、篤とそのとき、また政治的な判断を交えて一遍やりとりしてみたいなと、こう思っています。だけど、実際はそうでしょう。あなたがいまおっしゃった二七%ということを考えてみたって、それは何年度ですか、五〇%にしたい、それは大変なことですよ。それに引き上げるためにはどのくらいの金がかかると思いますか、莫大な金ですよ。

原健彦環境庁水質保全局企画課長

○説明員(原健彦君) 現在、十八兆二千億ですか、そういった数字になっておるはずでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 そうでしょうね。その数字を考えてみたって、いま財政が大変窮屈だと言われているときに、これからわずかな短期、中期の展望に立って果たしていかがなものだろうなと、これは専門家ならずともやっぱりちょっとどぎまぎしてしまうのではあるまいか。恐らく大来さんはお聞きになっていらっしゃっても、本当に大丈夫かいなという、そういうことがきちんと整備されていかない限りは、海洋に投棄する廃棄物によるところの海洋汚染のみならず、ネジを締めなかったならばいつまでたったって海洋汚染というものは私は続くであろうと、広義の意味に考えてみた場合に。これは日本としては大変屈辱的な、恥ずかしい状況ではないか。手がけたのが遅過ぎたんですよ、はっきり申し上げて。下水とか屎尿処理なんというのは一番最初にやらなくちゃならぬ問題が一番後手に回っちゃった。それで、産業開発の方に重点を置いたものですから、あべこべになっちゃった。まあいまそんなことをとやかく言ってみたって始まりません。ともあれ、もう時間もありませんので、海上保安庁さんあるいは環境庁さん、いま述べられたような方向に向かって、どうかひとつ、せっかくこうした条約が締結されるに関連いたしまして、なお日本が不断の努力を続けて、まず日本がその模範を示せるような方向へぜひお取り組みを願いたいという要望を込めて終わるわけですが、何か大来さん所感があればおっしゃっていただいて私これでおしまいにいたします。済みませんね。

大来佐武郎外務大臣

○国務大臣(大来佐武郎君) 私も勉強を兼ねて承っておりましたので、ことにこの海洋投棄の問題は一九七二年の国連の人間環境会議のときに議題になりまして一つの条約になったわけでございまして、同時に外務省のいまの井口海洋法本部副本部長も出席いたしておりまして、日本側の発言がかなりこういう協定成立に影響を及ぼしたというような経緯もございますので、日本がその張本人でございますから、できるだけの国際的な責任も果たすという方向でいくべきだろうと思います。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 結構です。

立木洋日本共産党

○立木洋君 いま議題になっております条約に入る前に、前回との質問でちょっとお尋ねしておきたい点があるのでお尋ねさしていただきますが、三月の二十八日の新聞の報道によりますと、バンス・アメリカ国務長官が、二十七日にアメリカの上院外交委員会で、八〇年代のアメリカ外交方針を説明した、その中で、日本駐留の米軍が中東などに出動できるよう日米安保条約の適用範囲を広げるよう日本に事実上要請したという報道があるんですけれども、この事実関係について最初に御説明いただきたいと思うんです。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) バンス国務長官は、アメリカ時間において三月二十七日でございますけれども、上院外交委員会において当面のアメリカの外交政策について証言いたしました。その中でいろんなことを述べているわけでございますけれども、まずいま立木委員が言及されました部分だけについて事実関係を申し上げます。バンス長官は、まず日本とアメリカとの関係について次のように述べております。  日本と密接な提携、同盟は、経済上の強固な結びつき及び安全保障上の共通の関心を反映するものである。両国の防衛協力は拡大しつつあり、日本の自衛隊は目下着実な改善を図っている。米国は日本の指導者に対しこれらの計画を日本の憲法が定める限度内において拡大するよう慫慂した。さらにその後少し飛びまして、東アジアにおける米軍は、同地域におけるアメリカの安全保障上のコミットメントを強化しているだけでなくて、これらの米軍は、その機動性によって、たとえばペルシャ湾のようなアメリカ及びアジアの同盟諸国がそれらの地域に持っている共通の利益を保護することに役立つということを述べて、さらに欧州及びアジアにおけるアメリカの同盟は、長い間米国にとって防衛上の重要な優先事項であったと、しかしこれらアメリカの同盟の周辺地域における、どこがその同盟の周辺地域で、アメリカが利害を有するかということについては必ずしも明確な規定がなかった。しかしアメリカとしては、その同盟国以外の地域における侵略に対する抵抗能力を強化するための用意もしておかなければならない。しかし同盟地域以外にアメリカが軍事力を投入するかどうかということは、そのときの具体的な状況、危険に侵されているアメリカ、あるいは同盟国の利益の重要性、あるいは緊急性、脅威の根源、性質、それからさらに当該地域内外において友好国及び同盟国が関与する可能性、米国が関与した場合の成功の見通し、さらに支払うべき費用等によってその対応は決める。したがって自動的に兵力を多用するものでないということを述べておりまして、いま述べましたように、これはアメリカが侵略に対する能力を今後とも強化していかなければならないという趣旨を述べたものでございまして、安保条約の地域の拡大解釈でないということは、わざわざ三月の二十八日にアメリカの国務省がこの日本における新聞報道はバンス長官の真意を歪曲しているんだという声明を発表しておる。それぞれ事実関係です。

立木洋日本共産党

○立木洋君 この問題についての解釈のやりとりをまたやっておりますと、これは大変長くなるし、また大臣にいろいろお尋ねするとまた議論を展開しなければならなくなると思うので、これ改めてやりたいと思いますが、いまの外務省の仮訳か何かいただけますか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○政府委員(淺尾新一郎君) 仮訳そのままでございますけれども、もう少し正確にした方がいいんじゃないかと思いますので、ちょっと時間かしていただきたいと思います。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それでは本題に入らせていただきます。  先ほど問題になりました、つまり現在の海の環境ですね、これを整える、保全する、あるいはこれ以上の汚染から海洋を守るというふうな点については、国際的にもいろいろ議論されてきたところでありますし、まあ国際的にもほぼ一致した認識が得られつつある。何とかしなければならないという状態になり、条約等々も出されてきているわけですけれども、これは先ほど大臣もおっしゃいましたが、日本が率先して提案した面もあるという趣旨のお話でしたが、日本が海洋国であり、そして同時に日本のこれからの水域に依存しておる漁業という面から見ても、この問題は非常に大切ではないだろうかと思うんですが、そこで国内の問題に移る前に、いわゆるこういう条約を承認を求めて、今後こういう海の環境保全やあるいは汚染を防止していくという、海洋の新しい秩序を求めていく一環についての外務省の今後の対外的な姿勢といいますか、考え方といいますか、その点を最初にお伺いしておきたいと思うんです。

井口武夫外務大臣官房外務参事官

○説明員(井口武夫君) 海洋環境の保護、海洋汚染防止に関しましては、これは確かにわが国がいろいろな意味で海洋に依存していると同時に、また汚染という問題についても十分にその防止というものに積極的に対処していかなければならない立場であるということは先生のおっしゃるとおりでございまして、実はこのまさにストックホルムの人間環境会議でも、海洋汚染防止というか、環境の保護に関しまして、第七項というところで、日本も参与いたしまして、実は自国の沿岸のみならず、国際的な公海等においても、やはり各国が積極的に汚染防止のための措置をとらなければならないということをうたったわけでございます。  したがって、この現在出されております海洋投棄規制条約というものは、公海における投棄を原則として禁止するあるいは規制するということでございまして、これは中世以来の公海の自由、ハイ・シー・フリーダムというものを実は変えているわけでございまして、こういうものについてわが国は積極的に協力するという立場でございます。国内法の整備等で批准が予定よりおくれたことも事実でございますが、毎年の締約国会議にはオブザーバーを送りまして、わが国として可能な限り国際的な努力をしておるわけでございます。その他たとえば国連の海洋法会議、これが近いうちに終わると思いますけれども、海洋環境の保護、汚染防止に関する条項がございますが、わが国はたとえば海洋汚染防止ゾーンというものについても、当時先進国ではきわめて前向きの立場をとりまして、たとえば排他的な汚染防止水域というようなものを、当時の環境庁その他関係省庁と協力しまして、積極的に提案したという経緯もございます。それがたとえば二百海里の排他的経済水域において汚染防止の排他的な水域ができるということになってまいりましたが、外交的には、海洋環境の保護という観点では、その他の国際会議のフォーラム等も含めまして、積極的な立場で対処しているというふうに了解しております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 先ほどの環境庁からのお話もあったんですが、まあ海洋汚染の原因がですね、陸上汚染源とそれから海上における船舶の汚染源と、それはたとえば船舶の事故等も含まれるでしょうし、あるいは陸上の汚染源には、先ほど述べられた以外にも、今後問題になるであろう放射能の投棄ですね、これらの問題があると思うんですが、いま海洋を汚染しておる現状は、どういう汚染源が最もひどいのか、それから今後の経緯を見る場合には、どういう汚染源に対する対策が最も重要視されなければならないのか、そのあたりについてのお考えはいかがでしょうか。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) 最近のデータで申し上げますと、たとえば昭和五十四年、これは船舶に原因があるもの、これが八百三件、陸上が二百二十九件、不明が四百四十四件、その他一、合計千四百七十七で、このうちやはり船舶が半数以上を占めておるということでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 これは私は、海洋汚染の問題というのは件数でははかれない点があるだろうと思うんですよ。これは一件の場合とそれから継続的に行われている問題もあるでしょうし、先ほど問題にされておりました陸上汚染源からの問題を見た場合に、工場からの排水、これは一定の基準が決められますけれども、それがいわゆる量的に系統的にやられていくならば、それのもたらす影響の問題だとか、いまだにまだ赤潮等々の問題がどうして問題になるのかということなんかの問題とも関連があるでしょうけれども、だから今後のいわゆる海洋汚染源はどういう角度、どういう面を特に重視していかなければならないか。たとえば原子力なんかの問題で、一つでは地下に埋めるというふうなこととかあるいは海に捨てるとかというのがありますわね。海に捨てるよりも地中に埋めた方が安いからなんて言って変えたところもあるようですけれども、ところが陸地の狭いところはなかなかそんなことができないから、やっぱり海に捨てるというようなことになるだろうと思うんですよ。そうすると、ある程度エネルギーを原子力に依存するという度合いがどんどん強まっていくような状況が生まれてきた場合に、こういう問題がどの程度の比重を占めていくのか、海洋汚染なんかの問題を考える上で。前回は放射能の海洋投棄の問題が相当大きな問題になった時期がありましたよね。だから今後の展望を考えた上での海洋汚染に対する対策というのは、何を重視してやらなければならないと思っているのか、その点をお聞きしたいんですよ。件数だけ挙げてもらったんでは、件数なんていうものはわからないんですよ、これは数字の魔術みたいなものでね。件数が多かったら、それか汚染源の最もひどい根源になるかといったら、そうでない場合もあるわけですから。そこら辺の研究データなんかはどうなんです。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) 私どもといたしましては海を所管しておる官庁でございまして、それからやはり船と非常に近うございますので、やっぱり船を重点に当分はやっていくということは変わらないのじゃないかと思っております。

井口武夫外務大臣官房外務参事官

○説明員(井口武夫君) 国際的な立場でわが国の対処ぶりを補足させていただきますれば、実は海洋の環境保護に関してやはり包括的な立場で議論されているのは海洋法会議でございまして、海洋の汚染の一番大きな原因は一応陸上汚染源ということになっておるわけでございます。もちろんタンカー等の排出の問題もございますし、事故の場合等もございますが、それから海洋投棄、故意の投棄という問題もありますけれども、陸上汚染の場合が非常に率が多い。海洋法会議で陸上汚染源そのものを対象とすべきかどうか議論されたわけですが、わが国はやはりこれも基本的に条約の対象にすべきであるという立場で対処したわけでございまして、現在の海洋汚染防止というものは陸上汚染源含めて各国とも努力すると、あるいは地域的な基準をつくることに努力する、さらに国際的な基準もそれぞれのいろいろな会議、機構で打ち合わせるということになっておりまして、あらゆる汚染源をやはり抑えなければ海洋環境の保護というものは万全を期し得ないという立場で対処しております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 その点で海洋法会議で結論はまだ最終的には出てないでしょうけれども、こういう汚染源を防止するという観点で、具体的にはどういうふうな点が論点に最近なってきていますか。

井口武夫外務大臣官房外務参事官

○説明員(井口武夫君) 海洋汚染に関しましては、実は今週までニューヨークの第九回海洋法会議の第九会期で議論されておりますが、汚染防止の問題についてはもうテキストがほぼ固まったという立場でございます。いま申し上げたように陸上汚染の場合には、やはり各国の協力という義務をうたいまして、あるいは開発途上国についてはその経済的な能力に応じて配慮する、あるいは地域的な基準をつくることに努力するというような規定でございまして、むしろ法的にやはり権利義務関係で明確に規定されているのは、船舶起因汚染あるいは沿岸国の管轄権に関する規定でございます。  沿岸国の海洋環境の保護という立場からは、従来領海だけが沿岸国の直接取り締まりの対象になっておりましたが、新しい海洋法条約では御存じのとおり二百海里の経済水域ということが確立するわけでございまして、今後は二百海里の経済水域において国際基準に従って沿岸国が外国船に関する一定の取り締まりを行うことができるということになっております。  またこの海洋投棄に関しましては、さらに二百海里以遠の大陸だなの上における投棄というものも沿岸国が管轄権を行使し得るということになっております。  それから公海上の投棄に関しましては、むしろ今回の海洋投棄規制条約で補足するという立場で、公海の自由ではあるけれども、その他の国際法の取り決めに従う、こういう規定になっております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それで、今度のこの条約に加盟すること、つまりこれは放射性物質などの海洋投棄を国際的に結構だということを、低レベルだから構いませんということでどんどんやっていくというようなことをやることではなくて、これはやっぱり投棄による海洋の汚染を防止するということが基本的にはねらいだと思うんですね。ですから、特に放射性廃棄物の海洋投棄の問題については、北太平洋は漁業の生産性が高くて、わが国の依存度も非常に強いわけですし、利用度の高い海域であるわけですし、さらにこの海洋処分の問題に関しては、事前にいろいろな安全評価を行うというだけではなくして、いわゆる国際的にも国内的にも社会的な了解をとりつけておくことが必要ではないだろうかというふうに考えるわけですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

井口武夫外務大臣官房外務参事官

○説明員(井口武夫君) この公海における投棄という問題に関しましては、確かに地域的な閉鎖海といいますか、特定の海に関する地域協定はあったわけでございますが、包括的な海洋投棄に関する規制の条約は今度の海洋投棄規制条約というのが初めてでございまして、それ以前は原則としては公海の自由があり、各国の旗国の責任においてむしろ自発的にどれだけ海の汚染を防止するかということは自主的な判断にゆだねられていた面があるわけでございますが、この条約によって有害物は原則としては禁止あるいは無害化を施すということによって特別な許可を与えられる、あるいは無害なものといえども一般的な許可基準というものによって投棄するということになって、むしろ従来自由であったのが原則としては規制されるということになったわけでございます。しかしながら公海の自由というものがありますから、原則は旗国が取り締まる、条約に加盟しても取り締まりそのものは公海上においては旗国ということになっておるわけでございまして、その場合にお互いにいろいろ違反について相互に通報し合うということが規定されておりまして、実は締約国会議では、今後公海上における相互の通報とかそういう取り締まり強化というものの協力の仕組みを現在いろいろ検討しているということでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 ではいま、これまで放射性廃棄物の海洋投棄を実施している国はどこどこですか。

宮本二郎科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(宮本二郎君) ただいままでに海洋投棄しております国につきましては、一九六七年以来イギリス、オランダ、ベルギー、スイス、この四カ国が昨年まで約五十三万キュリー、場所は大西洋のスペイン沖でございます。水深五千メートルのところに投棄いたしております。このほかドイツ、フランス等も最初に一度か二度投棄いたしておりまして、その後は中断をいたしております。なお米国は大西洋とそれから太平洋両方に一九四六年から六九年まで投棄いたしております。約六万キュリーと言われております。現在は中断をいたしております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 この海洋投棄がやられてから十年余りがたって、北太平洋における現行投棄場所の適合性を検討する専門家会議が開かれましたね。これは経済協力開発機構の原子力局の主催によるものだと思うんですが、このときでの議論の内容というのはどういうふうな議論になって、結論はどうなりましたか。

宮本二郎科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(宮本二郎君) 先生おっしゃいますのは、たしか一昨年のOECDにおきます環境影響評価に開する会議のことであろうかと思いますが……。

立木洋日本共産党

○立木洋君 七八年の十二月。

宮本二郎科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(宮本二郎君) はいそうでございます。  OECDのNEAの多角的な協議監視機構これは一九七七年に設立されたのでございますが、五年ごとに投棄海域について適合性を評価するということで一九七八年に第一回がございましたが、日本からオブザーバーが出ております。この会議では海洋投棄の実施自体への反対はなかったのでございますが、中の海洋投棄につきましての実施国が出しましたいろいろの資料の中にきわめて記述が不十分な点がある、こういうような問題点がございまして、七九年のときは暫定的に認めるということで、もう一度七九年の秋、昨年の十一月に再度専門家会議が開催されました。その結果、前回指摘のありました資料は追加されまして、関係国もここに同意をいたしまして、今後この大西洋の海域におきまして五年間にわたって投棄を行っていく、こういうことが承認されたということでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 これは太平洋でかなりの漁獲を上げておるポルトガル、カナダとそれから海洋投棄しておる二カ国が参加しなかったようですけれども、スイスとベルギーですか、との間での意見の対立があったというのは主にどういう点ですか。

宮本二郎科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(宮本二郎君) スイスとベルギーの間に対立があったという点につきましては……

立木洋日本共産党

○立木洋君 いやいや、スイスとベルギーじゃないです。ポルトガル、カナダとスイスとベルギー。海洋投棄を行っている国と太平洋での漁獲を上げておる国との間での意見の対立があったという話。

宮本二郎科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(宮本二郎君) その事実につきましては、私ちょっと申しわけございませんが耳にしておりませんので、後日調べまして御報告申し上げます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 これは十年間放射性廃棄物の海洋投棄がやられてきて、そしてそれが検討されて、やはり一年間結論を延ばして一応結論を見たということになっているわけですけれども、しかし、今後本当に放射性廃棄物が投棄された場合の安全性、それからさらには今後のいわゆる何といいますか、海洋の完全な環境の保全と海の汚染の防止ということを総合的に考えていく場合に、私は一つの大きな問題といいますか、問題になっていかざるを得ないだろうと思うんですね。やはりエネルギーが原子力に依存していくという度合いが強まっていけばそういう問題も問題になってくると思うんですが、太平洋の周辺国でこの放射性廃棄物を投棄するというふうにいま考えておる国はどういう国々があるでしょうか。

宮本二郎科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(宮本二郎君) 日本のように具体的なプロジェクトを持っておる国は現在ないと、こういうぐあいに私どもは考えておるわけでございます。ただ、当然原子力発電をかなりやっております国におきましては、将来当然こういう問題が出てくるであろうということは予想されるわけでございまして、そういう点から考えますと、日本以外と言えば韓国とか台湾とか、こういうようなところは将来の問題として考えるであろう、このように考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 太平洋の周辺国で投棄に原則的に賛成していないというふうな国はどういう国がありますか。

宮本二郎科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(宮本二郎君) 実はこのような太平洋におきましてこういうプロジェクトを立案しておりますのは日本だけでございまして、これは日本もOECDの国際原子力機関の多角的監視機構に加盟をいたしまして、その監視のもとに投棄をしよう、全部国際的な基準に合致さした上でやろうということでございますので、当然そのOECDに日本におきます太平洋の安全評価をしました書類を提出するわけでございますが、まだそういう事態に至っておりませんのでございますので、このプロジェクトというものがまだ十分に認識されておるというような環境にあるとは考えられません。したがいまして、この太平洋におきましてこれをはっきり現在までに国際会議その他で反対を表明した、こういう国というのははっきりまだわれわれとしては認識しておらぬ点がございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 もちろん公式に発表されなくても大体想定はつくだろうと思うんですが、先ほど言われた試験的な投棄がいつごろから実施されるのか、それからいま言われた多国間協議及び監視機構にいつごろ加盟する予定にしておるのか、その点はどうでしょうか。

宮本二郎科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(宮本二郎君) OECDのこの多角的監視機構のルールに従いますと、投棄実施前一年前に通告をすることになっておるわけでございます。特に海洋投棄の新しいサイトにおきましては、その間に安全評価を多国間協議の場に乗せる、こういう必要性がございます。そういうタイミングを考えますと、この海洋投棄規制条約につきまして御承認いただきまして、一方、いま実は国内の水産界といろいろ話し合いを御理解を得べくやっておる最中でございまして、これがいつになるのか必ずしも判然としない点はございますが、当方の希望といたしますればこの夏ぐらいにはその辺の御了解も得た上でOECDの多角機構に加盟をいたしたい、こういうように考えておる次第でございます。そういたしますると、それから先一年というものを考えますと、来年のまあ大体夏から秋というときに試験的な海洋処分をまずやってみたいと、こういうように考えている次第でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 いま言われたOECDですね、これについて大西洋ではこの機構のもとに地域的な検討をやっているわけでしょう。いわゆる先ほど言われた、つまり太平洋の側ではまだ問題提起をしていない、日本が初めて投棄すると。だから、まだ提起してないから、どこの国から異論があるかまだはっきり態度表明はもちろんないと。だから私は、太平洋においてそういう投棄が行われる場合ですね、日本の国が行う場合、これはやっぱり関係諸国との間でいろいろ協議していくといいますか、話し合いをし、了解を得ていくというか、そういうふうなことが私は必要だろうと思うんです。つまり、OECDに参加したからその関係国だけでやってもらえばいいというふうな筋合いのものではなくて、やっぱり汚染の状態は先ほど言われた閉鎖性があるとかというふうな話がありますからね。何しろ海は一つとして考えるのではなくて、大西洋は大西洋、太平洋は太平洋だということになってきますと、やはり地域的な了解を得るとか、地域的に検討されるというふうなことが当然必要になってくるんじゃないかと私は思うんですが、そこらあたりの対応というのは考えているんでしょうか。

宮本二郎科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(宮本二郎君) 大西洋におきましては各国がOECDという場でお互いに協議をいたしまして、それて国際基準——まあこの国際基準は実は国際原子力機関でも基準が出ておるのでございますが、その基準にのっとりまして相互に監視をしながらやっておるわけでございます。もちろん大西洋におきましても陸地において十分廃棄物の処分ができる国、あるいは原子力発電をやっていない国等で海洋投棄を反対している国もないわけではございません。したがいまして、太平洋におきましてやはりそういう国が出てくるであろうことは一応想定されるわけでございます。そういう場合におきまして、まあOECDの国際会議でもそうなんでございますが、安全評価書をその点で十分検討して、長い試験と研究の上でつくって、昨年の暮れに原子力安全委員会で決定したものがあるのでございますが、こういうものをその求めに応じまして、そういう関係国には担当官を派遣するなどして説明いたしまして、その理解を十分得た上でやっていきたい、こういうように考えておる状況でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それでは、放射性廃棄物の点とは問題を変えまして、海洋の汚染が非常に広がっているということで、この間水産庁の方から資料をいただいたのによりますと、水質汚濁による突発的な漁業被害というのが大変な被害が出て、五十三年度の海面だけでも二百十件、約八十二億円を超える漁業被害が出ておると。ですから、海洋汚染の防止という点はわが国の沿岸沖合い漁業の振興にとっても引き続き非常に重要な問題になっているだろうと思うんですけれども、この点についての御認識はいかがでしょうか。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) 海洋汚染が直接響くのは漁業だと思いますけれども、いろんな意味で海洋汚染、これは国民生活に関係することが大いにございますので、防止には一段と力を入れなきゃならないと思っております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 日本の沿岸沖合いにおける問題、つまり船舶による汚染のうち外国の船舶によるものが非常に高いということですが、いわゆる外国の船舶による汚染の度合いが非常に高いというのはどういう状況になっているのか、説明してくれますか。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) 海上保安庁で、わが国周辺海域において確認しました船舶による海洋汚染の件数は、昭和五十二年八百四十七件、五十三年七百十七件、五十四年八百三件となっておりますが、このうち外国船舶による汚染は五十二年二百七十二件、五十三年百九十二件、五十四年二百三十九件ということになっております。大体三割程度でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 外国の船舶による海洋汚染が全体の約三割。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) はい。

立木洋日本共産党

○立木洋君 これは五十四年度、八月にもらいました件数によりますと、五十三年における外国船舶の入港隻数による汚染の状況を見ますと日本船舶の八倍以上になっておるというふうに書かれてありますが、これはどういうことですか。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) 外国船と日本船の汚染の状況というのを直接に比較するのにいろいろな方法はあろうかと思いますが、私どもでその数字を出しましたやり方は特定港——大きな港ですね、そこへ入る船舶数というものをそれぞれ日本船と外国船に分けてみます。それで外国船による汚染、それから日本船による汚染を分子といたしまして、先ほどの入港隻数の分母で割る、そうしますと得られた結果が、大体外国船による汚染の頻度としては八倍程度という数字が出てまいります。

立木洋日本共産党

○立木洋君 これはここに述べてあるのは特定の港の数で割り出した数字なんですか。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) はい。

立木洋日本共産党

○立木洋君 全体の数字から言った——いま換算をすると全体の三割という数字ですか。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) いいえ。まず汚染の数字は絶対数でございます。それで、分母として適当な数字がほかにございませんので、特定港への入港した隻数というものを分母にいたしました。大体同種の船が入ってくるということで分母に選んだものでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 外国船舶による海洋汚染の確認件数。これは五十一年、五十二年、五十三年という資料もいただいているんですが、パナマ国籍による船の件数、五十三年が五十二件、リベリアが三十一件、韓国が二十二件、ギリシャが十四件、イギリスが十三件、こういうふうになっているんですが、こうした外国船に対してはどのような対処をしてまいっているんでしょうか。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) まず、領海内における外国船の違反というものについては事件送致をいたしております。領海外におけるものにつきましては、旗国に対する通報を行っております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 通報を行った件数はどれぐらいになっておりますか。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) 四十六年から条約の根拠ができたものですから、それ以来旗国通報を行っておるわけでございますが、五十四年までに百二十五件の通報を行っております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それについての回答というのはどういうふうになっていますか。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) 二十六件でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 その回答するというのは、当然これは油による海水汚濁防止条約の第十条によれば回答しなければならないことになっていると思うんですけれども、それでその二十六件というのはきわめて少ない。先ほど、副本部長ですか、必ず通報して回答を受けるというふうなことも言われているんですけれども、この回答の状況が非常に悪いというのはどういうことなんですか。つまり問題は、こちら側が通報して、旗国主義ですから、その国籍のあるところに、おたくの船がこんな被害を出していますよと、だからこれはけしからぬからと言って通報するわけでしょう。そしたら、それについて何らかの回答がなければならないわけです。回答しなければならないと書いてあるわけです。回答しなければならないのにかかわらず、いまの件数によりますと、まさに何ですか、回答は五分の一ぐらいですか。これは全く回答が来ない場合には、今度はどういう対応をしているんですか。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) 回答が来ないというのは非常に残念なことでございます。したがいまして、やや間遠な話ではございますけれども、私どもIMCOの海洋環境保護委員会という場がございますので、わが国が行った旗国通報の回答が少ないということを発言しておりますが、今後もこの委員会で回答を、もっと率を上げるということについて迫ってまいりたいというように考えております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 回答の催促は何回かしているわけですか、来ない場合には、どうなっているんだということで……。

沼越達也海上保安庁次長

○政府委員(沼越達也君) いたしております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 もう時間がないので、最後に大臣に申し述べてあれですが、つまり一つは海洋汚染の防止、今回は投棄に係る問題ですけれども、海洋汚染を全体的によく防いでそして海の環境を整えていくという点で、国際的に言えば陸上からの汚染源の問題がやっぱり最大限と考えられておるということがあると思うんですね。これは先ほど来も問題になりましたように、やはり今度こういうような条約をきちっと、こういう条約に加入してやっていく体制としては、先ほど言われたように、いろいろな各省庁がそれぞれ対応するのではなくて、きちっとこういう日本の沖合い、沿岸等々、全体の海に対するいわゆる海の保全や、環境の保全や汚染の防止ということを総合的にやっぱりやっていく、そういう体制をきちっと持っていく必要があるのではないだろうかと思うんですよ。それぞれの個々の省庁で先ほど幾つかお尋ねしても、十分に回答が得られないというふうな点もあるわけで、こういう点をぜひ改めてほしいということが一つと、それからもう一つの点は、これは外国に向けても、先ほで来出されております日本に入港した船が非常に汚染事故があったにしても、通告しても回答すらないというふうなことをそのまま放置しておいては、これはやはり問題にならないだろうと思うんです。これはもう時間がなかったから申しませんでしたけれども、いただいた資料によりますと、リベリアは四十一件の件数のうち、返事があったのが七件だけ、パナマなんかは三十二件問題が起こっておりながら一件の返事もない、こういうような大変な事態があるんですね。リベリア、パナマと言えば大体、便宜置籍船なんかでいろいろ問題になってきたところですし、こうしたことがきちっと対応されていかないと、やはり条約に加入しても、国際的にも責任ある態度を日本としては外交上とっていくという点からも問題がやっぱり残らざるを得ないのではないだろうか。条約に加入するというのは、ただ単に条約に加入しておればいいということではなくて、きちっとそういう目的が達成できるような努力を国内的にも対外的にも果たしていくということが非常に大切な点だろうと思うんです。まあ、時間がありませんからこれ以上述べられませんけれども、そういう点、最後に大臣の御所感を述べていただいて私の質問を終わりたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○外務大臣(大来佐武郎君) 日本の行政機構で縦割り行政が基本になっておりますために、いまの海洋の問題全体をとらえてどうなっているかというようなことが全貌がつかみにくいということは、確かに御指摘のとおりだと思います。これはいわゆる各省庁間の連絡、何らかの形で連絡をとること、あるいは総合的な立場にある役所が全般的な情報をつかんでいくことが必要だろうと存じますので、これは内閣全体の問題であると思いますけれども、適当な機会に他の閣僚にも申し入れいたしたいと思います。  第二の、通報したけれども回答が来ないということは、確かに遺憾なことでございます。相手の国の行政能力とか、そういう点もいろいろあるかと思うのでございますが、海洋というのは世界各国協力して、人類共通の資産でございますので、この汚染を防止するということはますます将来重要でございますので、日本もみずからやるべきことはやって、同時に他の国々に対する関心喚起に努めると、それが一つのやっぱり国際的な責任でもあるかと思いますので、御指摘のような点もさらにいろいろな国際的な会合の場で注意を促すというような努力を続けてまいりたいと思います。

石破二朗自由民主党・自由国民会議

○委員長(石破二朗君) 本日の審査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時十七分散会      —————・—————

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