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91回国会参議院1980/04/23

科学技術振興対策特別委員会 第5号

発言数
150
登壇者
12
会派数
3
開催日
1980/04/23

会議録

塩出啓典公明党

○委員長(塩出啓典君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、永野嚴雄君、長谷川信君及び後藤正夫君が委員を辞任され、その補欠として遠藤政夫君、山本富雄君及び上條勝久君が選任されました。     —————————————

塩出啓典公明党

○委員長(塩出啓典君) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 いまの二法案につきまして若干の質問をさせていただきたいと思うのです。  まず最初に、原子力基本法の改正の際にも私は討論で申し上げたと思うのですけれども、わが国の原子力政策に関しての長期展望というのがどうも甘いのじゃないか、しかも原子力開発に関して、具体的な原子力発電を行っていくに際してのいろいろな問題が発生して出てきている、こういうことについての予測ですとか、あるいは基本的な研究体制ですとか、もっと先まで突き詰めて言いますと標準化の問題とか、そういったような問題が非常に甘かったのじゃないかということを私はその際に申し上げたと思うのです。  そこで、今回のこの海洋投棄について、これもまたいわゆる放射性廃棄物の処理処分の問題、これについて当時の原子力発電を実施しようとする時点においてこれらの問題が起こるということについて十分な討議あるいは検討がされておったかどうか、その点からお伺いしたいと思います。

石渡鷹雄科学技術庁原子力局長

○政府委員(石渡鷹雄君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、事の初めから十分起こり得る事態を想定してそれなりの対応をしてきたかということでございますが、御質問の廃棄物関係につきましては、昭和三十年代から原子力委員会がこの問題に着目いたしまして、各種の専門部会を設け検討を進めてきているという実態はございます。もちろん、それで今日の時点から見て十分であったか、十分なものであるかどうかという点については御批判はあるかと存じますが、当然問題意識を持って検討を進めてきていたという実態はあるということをまず御報告申し上げられると思う次第でございます。  三十六年の原子力開発利用長期計画では、廃棄物の発生量が増加していくであろう、そういう事態を想定し、それに備えるための研究開発を推進するという方針が示されたわけでございまして、その後、四十二年あるいは四十七年の長期計画におきまして見直しが行われ、それらの成果を集大成した形でわが国の廃棄物対策にかかわる基本方針を五十一年に原子力委員会が決定したという経過をたどっているわけでございます。  五十一年の決定におきましては、四十七年策定の長期計画の考え方を踏襲いたしまして、低レベルの廃棄物の処分については事前に安全性を評価し、試験的処分の結果を十分踏まえて慎重に進めるという方針が出されておりまして、こういうことを踏まえまして海洋処分と陸地処分とをあわせて行うという考え方が出てきているわけでございます。現在、この五十一年の決定に基づきまして試験的海洋処分及び試験的陸地処分を実施すべく所要の措置を講じているというのが今日までの歴史でございます。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 五十一年になって放射性廃棄物対策というのが、具体的にこういうふうにすべしということがこの参考資料にも出ておりますけれども、初めてこういうふうなはっきりした内容のものが提示されていると思うんです。実際に原子力発電の商用発電といいますか、そういうものが行われたのはいつだったですか。

石渡鷹雄科学技術庁原子力局長

○政府委員(石渡鷹雄君) 日本原子力発電におきますガス炉が四十一年、そしていわゆる軽水型炉が、美浜の発電が四十五年ということでございます。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 そういうことですから、当然その時点で本来は廃棄物が出るということははっきりしているわけですから、この対策を十分考えた上で実施していかなければならないと私は思うんですけれども、さっき冒頭に申し上げた、原子力開発に関する政策の中でどうもその辺が一貫していない、先行きの見通しといいますか、計画性がないというふうに申し上げたのはそういうわけなんですが、しかし、現在もうすでに行われているわけですから、当然放射性廃棄物が出てくるということで今回この法案の改正、これを提出されたのだと私は思うんです。  そこで、この法案の提出の理由を読んでみますと、趣旨として、海洋投棄規制条約、これはロンドン条約と言われていますが、これを批准するための規定の整備である、こういうふうに書かれておるわけなんです。この条約は、何も放射性廃棄物だけを対象とするのじゃなくて、生物資源あるいは海洋生物の保護、さらに海洋環境保護というものが目的であるというふうに私は理解しておるんですが、その点いかがでしょうか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、この条約は海洋投棄されるあらゆるものを対象にした条約でございまして、目的といたしましては、先生おっしゃいますように環境の保全を図るという目的で国際間で規制し合うという趣旨ででき上がった法律でございます。その中に放射性廃棄物の規定がございまして、低レベルのものは政府の確認を、特別な許可を受けなければ捨てることができないように規制しろということがございまして、この原子力二法の改正をお願いしておるということでございます。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 そうなってきますと、放射性廃棄物がもたらす環境への影響、たとえば投下したものが時間がたつにつれて拡散していくというふうなこと、そういうことがどうも問題にもなるであろうけれども、それについてはさておいて、それよりももう一つ考えなければいけないのはやはり海洋生物、これと海中に投下したものの関係、これがやはりある面では非常に重要な問題じゃなかろうか。恐らく水産関係者の方もそれを懸念しているのじゃないかというふうに考えておるわけなんですが、海洋投棄は放射能の問題だけでなくて環境保護の問題として一つの大きな問題として取り上げられるというふうに私は考えておるのですが、その点、水産関係との話し合いとか、そういうものがもうすでにある程度行われているかどうか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 先ほど原子力局長が御説明いたしました、五十一年に原子力委員会が放射性廃棄物の日本における基本的な考え方を出したわけでございまして、低レベルにつきましては陸地処分と海洋投棄をあわせ行うという方針を出されたわけでございます。これを受けまして、私どもさらに所要の調査研究の強化を図ってきたわけでございます。  そこで、投棄物の健全性等の調査が一段落しました時期に、水産関係者に、将来海洋投棄をいたしたいと考えておる、これこれの計画でやりたいと考えておる、その計画に従えば、こういう安全上の配慮を払って行えば海洋資源等への影響はこういうふうになっておるという安全評価書の内容とともに御説明いたしたいということで、漁業者の関係機関に御説明をしておるわけでございます。ただ、最初に大日本水産会を通じまして三年ほど前にお願いいたしましたときは、たまたま「むつ」問題を契機にいたしました原子力安全行政の見直しが強く叫ばれておりまして、関係法案として原子力基本法等の改正を国会に提出してまだその成立を見ていなかった段階でございましたので、それが済むまでは聞くわけにはまいらぬというのが水産会のお立場でございました。その後、一昨年基本法の改正が国会で通りまして、改めて水産関係者に、体制の整備等も図ったというようなこと、あるいは原子力安全局が作成しました安全評価書に対する原子力安全委員会のダブルチェックも済みました時期に再度お願いに参りまして、その後は、現在大日本水産会に加入しております下部の漁業者関係二十数組合あるいは連合会等へお話をしておりまして、近くそれの意見の集約を図っていただくようになお説得しておるというのが現状でございます。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 いま評価ということをおっしゃったんですが、評価されたのは原子力安全委員会ですか。この評価というのは一体どういうやり方でどういう内容の評価をされたのか、それについて説明してください。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 試験的海洋処分の安全評価につきましては、昭和四十七年から昭和四十九年度までに行われました海洋調査の結果等に基づきまして、五十一年に科学技術庁がまず一次の評価書を作成しております。科学技術庁の行いました評価書につきまして、さらに万全を期するため、安全委員会にこの問題を検討する特別な専門部会をおつくりいただきまして専門家の御検討をいただいたわけでございます。その際に、原子力安全委員会におきましては、第二次の海洋調査が五十二年から再度開始しておりましたので、そういう調査の結果並びにその他の投棄物のいろいろな諸試験の結果等も取り入れまして、昨年の十一月に部会の報告書をまとめて原子力安全委員会に報告されたものでございます。  科学技術庁の評価につきましては、どちらかといいますと、海洋というものを非常に大きなモデルで想定しまして、そこで海洋投棄をいたしました低レベルの放射性廃棄物がすべて海底につくと同時に壊れてしまって、中に入っております放射性物質が全量海洋中に溶け出してくるということを前提にして海洋の拡散等の想定を厳しい想定をいたしまして、それから来る漁類等への影響、あるいはそれを食べる人間への影響を評価したものでございます。  安全委員会の方の評価につきましては、科学技術庁のは大筋において結構だという御判定をいただいたわけでございますが、なお、安全委員会の専門部会でございますが、みずから局地的な影響、あるいは魚類がプランクトンを食べて、またその小さな魚類が大きな魚に食べられるという食物連鎖の最近のデータの影響等も加味して評価して、科学技術庁の行った安全評価をチェックしたというのが一口に申しましての安全委員会の評価書の内容でございます。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 そうしますと、その評価についてですが、たとえば魚類との関連、これについては、やはり専門家にそれぞれ委嘱されて、その専門家の手によって想定をされたということに解釈してよろしゅうございますか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 御指摘のとおりでございまして、実は、私ども役所では海洋におきます事象についていろいろ評価、検討する能力がございません。したがいまして、科学技術庁におきましても、農林水産省あるいは運輸省の関係の研究機関あるいは大学の先生等を中心にしまして、科学技術庁における評価ではどういうふうに評価するのが最も合理的かというようなことを踏まえましていろいろな御議論をいただいて、まず報告を出したわけでございます。それを踏まえまして、別のまた専門家の方が安全委員会におきまして、それぞれの御専門の立場から科学技術庁のやりました評価を一々チェックなさいまして、不足しているものについてやってみて、それに対する評価をしておるということでございます。若干の評価の差はございますけれども、たとえば人間に対する放射線の影響につきましては非常に少ない、若干の違いはけた数のオーダーでは大体合っておるというようなことでございましたので、一応最終的な御判断は、科学技術庁が行った安全評価の考え方で大筋でよろしいという御結論をいただいたということでございます。そういう報告を受けられまして、安全委員会としては、さらに安全性に十分配慮しつつ、また所要の研究を進めつつ試験的な海洋投棄を十分注意して行うことは結構であろうという御結論をいただいた次第でございます。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 そこで、私もいろいろそういう点について聞いたことがあるのです、魚とそれから投下された金属との関係。前の委員会でも御答弁されたと思うんですが、たしかセメントで詰めてしまって、その周りをドラムかんで後から巻くのかどうか、後でまたそれはお伺いしますけれども、どういうふうな手法でやられるのか知りませんけれども、一番外側が鉄ですね。大体鉄の周りには魚族がたくさん集まってくるという傾向があるわけなんです。そういう点と、それからまた、その投下されるものがどの地点に投下されるかということとの関連とか、そういう問題が多少水産関係と関連を持ってくるのじゃないかと私は考えておるわけなんですが、先ほどの放射性物質のディフュージョンについては、これは投下されたものが長期間そのままの状態で保存されるという確証があれば、これは二義的なこととして考えていいのじゃないかと私は思うんですけれども、そういった面でいまどういう経過でいわゆる海洋生物との関連について検討されたのかをお伺いいたしたわけなんです。  そこで、そういう観点から見まして、低レベル放射性固体廃棄物について、現状どの程度の量があるかというのは、この参考資料に表が出ておりますからそれでわかりますが、二十一万三千六百というのがドラムかんの数で、五十四年三月末という数字が出ておりますけれども、これが昭和六十年ごろ、将来原子力発電をさらに推進されるというわけですから、それをされたとした場合の予測ですね、どのぐらいたまっていくものか、それについてお伺いしたいと思います。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) ただいまのところ、もちろん最近におきましては原子力発電施設等から出てまいります低レベルの廃棄物をできるだけ減容しようという計画が進んでまいりまして、その影響等も逐次出てきておりますわけで、従来の発生原単位と申しますか、それでは必ずしもいかないと思っておりますが、いずれにしても昭和六十年ごろには累計といたしましてドラムかんの数にいたしまして数十万本の量に相なろうかというふうに考えております。六十万本程度を想定しております。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 そうしますと、いままでのペースそのままでずっといくということじゃないということですが、このたまったドラムかんを海洋投棄しようというわけなんですけれども、試験的海洋処分というのがまず最初に行われるのだということをおっしゃっておるわけですが、これについて、大体いつごろをめどにされる予定なのか、その当時までに一体どのくらいドラムかんの数がたまってしまうのか、その点についての見通しをひとつお聞かせいただきたいと思います。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 私どもの計画は、現在のところ五十六年に投棄いたしたいという希望を持って水産関係者の方々にお話し合いを進めておるところでございます。五十六年といいますのは、その理由は、ただいま御審議いただいております法律改正をお通し願って、当然ロンドン条約の批准ができたときに私ども、OECDの下部機構でございます国際的な監視機構がございますが、そこに加入するつもりをいたしております。ここは、各国のこういう海洋投棄の計画につきまして、まず概要の計画を一年前に出さなければならないようになっております。それを出した後、また半年前にさらに詳細な安全評価書等を出すというふうな規定がございまして、いずれにしてもそういう手続を進めるのに一年はかかるわけでございます。そういうことも考えあわせまして、早ければ五十六年には海洋投棄をいたしたいのだということで水産関係者に御説明しておるところでございます。また、そのための諸般の準備は予算的にも計上させていただいておるということでございます。  なお、それまでの間の発生量でございますが、最近の発生量は、大体六万本前後年間に発生しておる実績でございます。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 そうしますと、最初に試験的な投棄をやる時期になりますと、二十七万から八万本ぐらいにたまってしまうということになるわけですね、ドラムかんが。  そこで、さっき私は鉄との問題というのを懸念したと申し上げましたけれども、深いところでしたらそう影響ないかもしれませんけれども、たとえば二十万本投下すると十万平米になるんです、鉄の面積にしますと。ですから、相当の面積を持つ鉄が投下されていくということになりますので、その辺が魚族の環境に変化を与える可能性があるというのでさっきお伺いしたのですが、さて、これは前の委員会でも恐らく答弁されたので重復するかもしれませんが、投入予定海域、これは資料に四つ挙がっています。この前はBを最初にというふうなお話があったと思うんですが、もう一度それを確認しておきたいと思います。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) この海洋投棄を予定しております地域の海洋調査を進めるに当たりまして、一応、候補予定地をつくって重点的に調査をする必要があったわけでございます。そこの選定に当たりましては、漁業が余り行われていない、あるいはその辺の海域に重要な魚の稚魚が少ないところ、それから海洋投棄をいたしますときにはできるだけ下が平らであることが望ましい、しかも海底土が相当あるようなところが望ましいというようなこと、あるいはその地点が火山地帯でないところが望ましいというような、選定に当たりまして数項目の基準を設けた上で海底地図等を専門家に見ていただきまして、それでA、B、C、Dの四つの地点を選考いたしまして、その地点の細かい調査に入ったわけでございます。そういたしますと、このB地点というのが非常に平らであって、しかも海底土等の沈でんも相当あるというようなことがわかってまいりまして、この四つの地点の中では非常に平たんであるという点について特にB地点が優良であったということでございますので、ここを第一候補にしたらいいであろうというのが専門家の方々の御意見でございます。しかし、この海洋投棄を進めるに当たりましては、地点の選定ということにつきましては科学技術庁長官が告示で地区を指定することになっております。その指定につきましては、まだ告示が行われておらないわけでございます。この辺につきましては、私どもといたしましては、水産会との話し合いが進んだところで告示をして地域指定をいたしたいというふうに考えておるところでございます。  なお、先生の鉄を非常に多量に投下するということでの影響ということでございますが、通常ドラムかんの中にセメント固化した低レベルの廃棄物が入っておるわけでございますが、さらにその上に塗料を塗りまして投下するというのが一般的方法であると私ども思っております。そこで、健全性につきましては、模擬固化体で六千メートルぐらいのところへ落としまして、また引き揚げるというような実験をやって健全性を確認しております。先生御懸念の鉄のさびていく状況その他の問題でございますが、残念ながら日本では腐食試験というのを机上でやっておりますけれども、完全に深海底を模擬できるものではございませんけれども、いずれにしても十年以上はもつというふうなデータも原研等で出されておるところでございます。また、アメリカで最近行いました、過去二十年以上前に行いましたものを、これは深さは二、三千メートルのところでございますが、潜水艇を使って引き揚げておるのですが、その状態は、約二十年たったぐらいのものであっても一部一〇%程度のさびが生じておった、塗料がはげてさびが進行しているのが一割ぐらいあったというようなデータもございます。そういうようなことから類推いたしますと、深海底六千メートルの比較的海流の流速の少ないところであれば相当健全性は確保できるのではないか。また、放射性廃棄物のうち特に原子力発電所から出てまいりますものは、セシウム等長いものは約三十年以下の半減期でございますので、その低減効果等も考えますと相当安全に処理し得るというふうに考えておるところでございます。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 投棄されたそのドラムかんが壊れてディフューズするのがどうのこうのと私申し上げているのでなくて、それについては大体私も理解しているつもりなんですけれども、魚と鉄の関係ということで、いわゆる漁業の、逆に魚礁になってしまわないかという懸念ですね。ただ深さがありますから、深いところには魚が少ないということであればそれについての懸念はなくなると思うのですけれども、恐らく水産会との関係ではそういった問題がこれからある程度論議されてくるのではないかということでいま申し上げたわけなんです。ですから、その点。  それからもう一つ、ちょっと私疑問に思っている点があるのです、一つだけ。海洋投棄について、A、B、C、Dという海域を調査された、恐らくこのいずれかのところが条件に適当であるというので指定されるだろうと私は思うのですが、たとえば、これは国外の船がどんどん持ってきてそこへぼんぼん捨てるということ、そういうことも考えられる。といいますのは、いわゆる領海外であれば公の海ですから、これはどこでも捨てていいということになるわけです。それらについて国際的な何らかの話し合いをして、それを規制していこうというような動きがあるのかどうか。そういったようなことがどうもこの条約並びにその他を考えましても出てこないんです。ですから、どんどん持っていって、日本の場合は業者その他を指定して、捨て方その他場所まで指定してやるのだとおっしゃいますが、外国の船がどんどん来て捨てられたら困るという面があるし、もしかそれが関係なければ、何もこんなところへ捨てなくたってアメリカの沖へ行って捨ててくればいいんです。ですから、そういうことも考えられる。その辺が国際的に一体どういうふうな動きがあるのか、これを最後にお伺いいたしたいと思います。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) この条約に加盟いたしますと、海洋投棄を許されるのは政府の特別の許可を受けた者でなければ許されるわけではございません。それと、投棄するに当たっては安全評価を行うことを各国ともに義務づけられるわけでございます。そういたしますと、先生御懸念のような、日本が一生懸命海洋調査したところに公海であるので捨てに来るということは、締約国から見ますとなかなかそういうことはあり得ないと実は私ども考えておりますけれども、いずれにしましても、御指摘のとおり、私どもが考えております海域を指定いたしましてもそこは公海でございますから、国際法上他の国がここへ捨てたいと言ったときに一応は許されるわけでございます。しかし、そのような点に関して、投棄国がこの条約に入っておりますと、いろいろな紛争解決の規定もこの条約の中に入っておるわけでございますので、そういう点で話し合いが行われ得るというふうに考えております。  ただ、締約国以外のところが捨ててき出すといろいろな問題が起きてくるおそれはあるわけでございます。そういう意味では、私どもとしては、投棄に当たりましては十分に環境の保全ということを考え安全評価を十分に行って国際法的な基準を十分守って海洋投棄を実施するという姿勢、たてまえをとっておけば、もし他国がいいかげんな投棄をやろうというようなときには十分世界各国の理解を得つつ注文を出していけるというふうに考えられるところでございます。また、一部批判的な国がないわけではございませんので、そういうところの国々の御理解も得やすいのじゃないかということを考えておりまして、ぜひ国際間で協調を得られるような安全対策を十分とって進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 昨今、放射線利用という分野が大変多様化してまいりましたし、それによってもたらされる恩恵というものも多大なものがあるであろう、しかしその反面にまた危険が裏合わせになっているのではあるまいかという心配もまたあるわけであります。数的にも量的にもどんどん昨今ふえつつある現状を考えますと、特に放射線については目に見えないだけにきわめて厄介である。その管理というものは厳重にしていかなければならないはずでありますけれども、やはり人間のやることでございますからパーフェクトというぐあいになかなかいかない。たまたま事故が起きますと大変な社会問題にこれがつながっていく、こうなりはしまいか。科学技術の進歩に伴う一つの反射的なそういういろいろな問題というものが当然考えられはしましょうけれども、われわれにとってみれば、完全というそうした方向に常に取り組まなければならないということが課題であろう、こう思うわけであります。  そこで、あるいは前回の委員会等においても問題になったのかもしれませんけれども、きょう私が初めに確認を込めてお尋ねする一つは、大阪において日立造船非破壊検査会社の、端的に申し上げると大変ずさんな管理のもとに被曝をした職員がおった。これは大変けしからぬ話だというふうに思いますし、いち早く科学技術庁の方でもこの問題に対する見解も表明されていることを報道等によっても知っておるつもりでございますが、なおこうした問題はやはり二度と起こしてはなりませんので、この機会にその当時の状況、また過去においてこのような事故がどのくらいあったのか、件数等について、いま資料がありませんければ、十年間の間にこのくらいの事故があったという程度でも結構でございますから、できればそうしたときの事故の模様等についてもあわせてお伺いできればというふうに思います。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 最初に、日立造船非破壊検査株式会社の被曝の問題について御説明いたします。  これは日立造船非破壊検査株式会社の大阪事業所桜島作業所というところで起きたものでございます。そこに非破壊検査に使いますために照射室を設置しておるわけでございますが、ここで一定のラジオアイソトープの使用許可を得てそういう非破壊検査をやっておるわけでございます。そこで、五十四年の五月でございますけれども、作業員は、照射作業をいたしまして作業を終了いたしますと線源を格納容器の中にしまうわけでございますが、それがしまわれておると誤判断いたしまして、その作業室の中にほかの目的で、と申しますのは、次の作業の段取り等をするために作業員が何人か立ち入ってしまいまして、五月の十日ごろから二十八日までの間に従業員延べにいたしまして二十二名の人が被曝を受けてしまったということでございます。その理由は、先ほど申しましたが、線源収納が行われていなかったというきわめてお粗末な事故でございます。私ども直ちにその事故の報告を実は受けたわけでございますが、当時、フィルムバッジ等の検査によりましたところでは法令で定めた許容線量以下の被曝であるという報告を実は受けておりまして、これは十分注意してこういうことがないようにということで厳重注意、それから施設の不備については改善するように指示しておったところでございます。  ところが、その後、会社で作業者のうちの一部の人はもっと多量に受けたおそれがあるのではないかという疑いを持ちましていろいろなチェックをいたしました。それはどういうことかと申しますと、ある作業者の一人は収納されなかった線源の真上に座りまして次の作業の話し合いをしておったということでございます。したがいまして、線源をまた下に置いた状態であったということでございますので、胸につけましたフィルムバッジは、体を通ってきますので余り感光しなかったということでございました。そこで、直ちにそういう時間がどのくらいあったかというようなことから、生殖腺等にも被曝がどのくらいあったかというようなことをチェックするために血液検査あるいはリンパ腺の検査並びに精液の状況等を調べたところが、全身被曝として被曝線量十二レムという法定の許容値を上回る被曝を受けたと想定せざるを得ないということで報告がことしの二月に出てきたわけでございます。それを聞きまして、さらに科学技術庁としても十分その間の事情の取り調べを始めたところへ、また同様の、線源が戻らないで数人の方が被曝したというようなこともございました。二回目のあれはそれほどの被曝を幸い受けなかったわけでございますけれども、そういうようなことでございます。医学的には、健康管理をしております医者が放射線医学総合研究所の専門医と連絡をとりつついろいろ健康診断をその後ずっとやっておりますけれども、最近、たとえば生殖腺は一時非常に精子が少なくなりましたけれども順調に回復しておるということで、それほど懸念されるあれではございませんけれども、いずれにしても、そういうような規定にございます線源を収納しないでそれで作業室に入っていくというような非常に法令的な違反がございますので、先般、法律的にも違反があるということで処分する必要な聴聞を開きまして、いま関係省庁とその処分についての協議をしておりまして、近く、多分営業停止の措置をとる必要があろうかと思っておりますが、処分を行いたいというふうに考えておるところでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 いまお伺いしておりましても、われわれは専門家じゃありませんので、大体いまわかりやすく御答弁をいただいたと思うのでありますが、なぜというのがまたはね返ってくるんです。非常に厳重な管理体制のもとでそういうものがチェックされていかなければならない会社の性質であろうと私は思うんです。申し上げるまでもございません。当然法律的にも放射線障害防止法という法律もあるわけでございますので、それに抵触するかしないかぐらいのことは経営者自身も十分それを承知しているはずである。にもかかわらず、経験不足なのか、技術的に未熟なのか、あるいは管理体制が不備なのかというような、われわれとして常識的に直ちにそういうことが想定されるわけでございます。要するに、そういうよって来る原因というものがいま申し上げた以外にあったのか。いま申し上げたような幾つかの考え方を私申し上げたわけでありますが、一体どうして起こったのか。起こさせてはならないことが起こっている。これは科学技術庁としても当然検査もおやりになった、厳重な忠告も与えたという経緯にかんがみまして、十分その辺も御調査をなさっていらっしゃると思いますので、その辺のくだりをひとつお伺いさせていただきたいと思うわけでございます。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 今回の事故の原因をいろいろ調べてみますと、設備的な不備が原因になって線源が中に入らなかった、あるいはその線源を表示するランプがちゃんとついておればまだ中にしまっていないというのが表示できるようになっているそのランプが切れておるとかいうようないろいろな原因がございます。それを詰めてまいりますと、先生おっしゃいますように、管理体制の不備がまず第一でございます。  それからもう一点は、そういう作業者が安易に線源の位置を確認しないで入り得るようなことになっておった。また二回目の事故などではまさにそうでございますけれども、入ってしまうというような作業者の教育訓練の徹底と申しますか、これにも私は不備があるのじゃないかというふうに考えております。ですから、一番の問題は、施設を規定のとおり整備して、その上で安全な作業をできるように管理する、この点が欠けたためにこういう事態を起こしてしまったというふうに考えておるところでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 伺いますと、日立造船の傍系会社であるという大変な、会社そのものから見れば機構的にも整備された、われわれも安心感の持てるというふうに受け取りたいところでありますけれども、ここらあたりがこういう状況でありますと大分思いやられるなあという感じがいたします。  冒頭に申し上げたように、工業用だとか、あるいは医学的利用方法だとか、あるいは野菜の照射ということで大変利用度が高くなってくる、その取り扱いをなさる方々もふえてくる、こういう状況にかんがみますと、やはり確実に安全というものが保証されるということが緊急であることは言うまでもないことであろうと思います。このデータは果たして正確であるかどうかわかりませんが、伝えられるところによりますと、こうした種類の業務を行っている会社が全国に三十二社ですか、六十事業所ばかりあるそうです。この十年間の間に十五件もの事故を起こしているということが言われているのだそうでありますけれども、数にしてみて一見すると少ないじゃないかという感じがしないでもありませんが、やはり先ほど申し上げたようにゼロにしなければならない、これは当然だと私は思うのです。過去において起こったそういう事故というものは種類が違うであろう、また発生の背景というものも違うであろうし、一概に言えない面もあろうかとは思いますけれども、十年間で十五件の事故が起こったその内容はどういうものであったのか。またぞろこれから先五年、十年先に起こるであろうということを考えさせられるようなことがないかどうか。この辺も、将来展望を踏まえながら過去のそういう経過に基づいて科技庁としての御判断をひとつ明らかにしていただければありがたいと思います。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 過去十年間に事故等がございました件数は六十七件に及んでおります。そのうち民間機関が二十六件、それから研究機関が十九件、医療機関が二十二件でございます。ただ、これは被曝以外の紛失であるとか、盗難であるとか、溶液をちょっとこぼしたとか、いろいろ細かいものも含めての数字でございまして、被曝に限って見てまいりますと、過去十九件ございます。そのうち民間が十三件でございまして、ただいま先生が御指摘なさいました非破壊検査の数はその半分の七件を占めております。それから研究機関で六件でございます。  そういうふうに民間の特に非破壊検査の関係の業界が比較的こういうことを起こしていることは統計上も非常に高い。これは非常に作業の実態が、現場でいろいろなエックス線検査をするとか、ガンマ線を使いましての溶接の仕上がりを見る検査をするというようなことで線源を移動する回数が非常に多いわけでございます。特に過去に起きました先ほどの日立造船よりもさらに大きな障害を与えておるものもございますが、これも非破壊検査でございました。そういう点からも、先生御指摘のように民間、特に非破壊検査の安全確保というものはこれからさらに十分規制をしていかなければいけないと思っておるところでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 いまお述べになりましたように、この十年間で民間を含めて六十七件という数は決して少なしといたしません。その中にはもちろん被曝事故も含めてということで、それ以外の盗難、紛失等々もあったようにいまお伺いをしたわけでありますけれども、こうしたことを考えますと、先ほども質疑のやりとりの中で申し上げもし、またお述べになったように、その管理体制がしっかりいたしませんとまたぞろ同じことの繰り返しが起きる危険性が十分にあるであろうということが一点。  さて、そうした問題について処分方法はいろいろあるであろうと私は思います。業務停止であるとか、あるいは主任の資格を剥奪するとか、いろいろそういう手厳しい処置というものもあるのだろうと思いますけれども、どうでしょうか。こうした事故を再び繰り返さないためにどういった対応といいますか、これはそれぞれの機関で、それぞれの会社で管理しながらやる仕事でございますので、なかなか目が届かないという主務官庁としてもうらみが残るかもしれませんけれども、しかし、何かがここで一つの拘束性を持たせたようなあり方というものがいいのか、ともあれこういう一見するとずさん、またかというようなことになりますと、こうした問題に対して大変国民的にも恐れを抱く方面にむしろ効果がかえって増幅されていくであろうということでありますので、何とかここで歯どめをかける一つの方法というものは考えられないものかどうか、この辺いかがでございますか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) ただいまの御質問にお答えする前に、先ほど事故の件数を申し上げましたが、申しわけございません、三十三年からの二十年間の数字を申し上げましたので、御訂正いただきたいと思います。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 了解しました。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) それから管理体制を今後十分にさせるための措置ということでございますが、特に今回この事故を起こしました会社に対しましては、非常に厳しく私どもも指導しております。その結果、会社側は自主的にすでに社長並びに担当の役員二人を入れかえをなさっております。それからこの取り扱いに当たって定める保安規定と申しますか、規定類の抜本的な見直しをやらせておるところでございます。それから主任技術者は別に選任させるように自主的にやっておるということでございます。そういうような会社側の非常に今回の事故に対しての恭順の意と申しますか、今後しっかりやりたいということでの姿勢は非常に強く出ておると判断しておりますが、何分にも法律違反の事実は明確でございますので、先ほどもちょっと御説明しましたように、行政罰としては一番重い営業停止処分をいま考えておるところでございます。こういうようなことをやりました後、特に非破壊検査業界の全体の問題でもあろうかという御指摘もあったわけでございますが、私ども、こういうことに対処いたしまして処罰の後、こういうことがあったから厳重にしろということを各機関に通達を出したいというふうに考えておるところでございます。また、立入検査につきましては、特に重点的に本年度計画に組み入れて、こういう点の洗い直しを進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 最後におっしゃったように、確かに立入検査が時に応じて私も必要ではなかろうかと思いますが、果たして現在の科技庁の機能をもってして十二分に効果を上げることのできるような取り組みができるであろうか。これは人員の問題がある、いろんな問題がありますので、願わくはやはり時折そうした立入検査等も励行していただきまして、事前にこうした事故の再発を防ぐという面に科技庁としても不断の努力を傾けていただければというふうに思うわけでございます。  持ち時間も余りありませんので、次に、海洋投棄の問題一点だけちょっと確かめておきたいのでございますけれども、先ほども同僚議員の質疑の中にもあったのですが、十年ぐらい前までは房総沖あたりの海にアイソトープなんかも廃棄処分したというような例が取り上げられているようでございます。ですから、この海洋投棄というのは、一つの理想である反面にまたいろんな矛盾が絡んできはしまいかという心配もないではない。そうしたことをいろいろ考えてみて、起きてはならぬことが起きるということがこの世の中の常でもありましょうから、特に広い海洋においてますます拡大されるであろう利用度の高いアイソトープなんかの廃棄にいたしましても十分な監視が必要になってきましょうし、これはやはり何といっても国際的な交流の中ででき得ることならばこの監視体制というものを国際的に何とかつくり上げて推し進めていくということが必要ではあるまいかという感じがいたしますのも、私自身にとっては当然のことじゃないかという感じがするのです。先ほど来いろんな角度から御答弁を伺っておりましたけれども、果たしてそれで十分なのだろうかという疑問と、その疑問を解消するためには、これからいろいろ国際的な話し合いの中でこの監視機構というものがむしろつくられた上で、厳重な監視体制というものを国際的にもやっぱりつくっていく必要があるのではないだろうか。この点についての御見解はいかがでございましょうか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 現在、国際的な監視機構といたしましては、OECDの下部機関のNEA、原子力機関と言っておりますが、この中に多国間監視機構というものがすでにできておるわけでございます。ここで、各国が海洋投棄をいたしますときには事前にその計画並びに安全評価書をチェックしてもらいまして、安全であることを確認するようなシステムになっております。それから実際に投棄いたしますときには監視員が参りまして実際の船に乗り込みまして、規定どおりの投棄をしておるかどうかを監視するような制度がすでにできておるわけでございます。わが国はこのOECDにも参画しておりますので、われわれも早急にこのNEAの監視機構に加盟したいというふうに考えておるところでございます。先生の御指摘は、さらにもっと多国間的なということでございますが、いまの体制では国際的な基準は原子力国際機関がつくっておりまして、それの環境評価のガイドライン等もIAEAが出しておるわけでございます。そういう点で私どもとしてはそれがより広がることが望ましいとは考えておりますけれども、国際的な動きとしては、いまこのOECDのあれが唯一のものでございます。先生の御趣旨等、こういうのが広がってくると本当にいいと私ども思う次第でございます。  それからIAEA等のそういう基準その他環境評価の仕方等につきましては、日本としてはさらにもっとよりよい評価をしようではないかという努力をやっておりまして、現に行いました評価につきましても、私どもとしては世界的に一つもひけをとらない評価をしたという自負心は持っておるつもりでございますが、このロンドン条約でも言っておりますように、投棄後五年ごとにその海域が本当に大丈夫かどうかというような評価をするようなことも規定があるわけでございますので、さらに調査研究等も引き続きやりまして、安全な投棄を行うように努力してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 最後に、先日の委員会でも若干触れまして、これは科技庁さんの方から御答弁をいただいたのですが、きょうは厚生省の方もお出かけをいただいておりますので、一点だけ確認しておきたいと思うのでありますが、すでに医師会の方からも、医学用のアイソトープの多くは非常に半減期が短い、これを安全性を十分確認した上で法的に他の放射性廃棄物と取り扱いを別にしてくれないかというような趣旨の申し入れがあったように伺っておりますけれども、この点を受けて厚生省としては科技庁といろいろと連携をとりながら今後の対応をいまお進めになっていらっしゃるというふうに伺っております。その経過と、今後そうした医師会の要請にこたえられる方向でお取り組みになるのかどうなのか、それについてお伺いしておきたいと思います。

森幸男厚生省医務局総務課長

○説明員(森幸男君) 先生御指摘のように、去る三月十一日付で日本医師会長から厚生大臣あてに先生御指摘のような文書が参ってございます。いまお話しのございましたようなことで、低レベルのRI廃棄物につきまして、その特性と申しましょうか、そういうものを十分に検討して、将来の放射性廃棄物対策に遺憾のないように配慮してほしい、こういうような御趣旨であったように思います。  いまのような御指摘と申しましょうか、御意見につきましては、私どもの立場でも、将来の基本的方向といたしましては十分検討すべきものだというふうに考えております。この点につきましては、国民感情の動向、推移というような観点もございますほかに、私どもの所管しております医療機関、特に病院でございますが、病院におきますこの問題についての対応体制と申しましょうか、そういうようなものとの関連もございますので、今後、厚生省の立場といたしましても、科学技術庁と十分連携をとりながらこの問題に検討を加えてまいりたいというふうに考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 いまおっしゃったように、恐らく厚生省としてもかねてからそういうことを想定しつつ取り組んでいきたいという方向性をお持ちになっておられたようでございますが、恐らく近い将来において、医師会といいましょうか、そういう趣旨を十分体して実現の方向へ持っていくと理解してよろしいのかどうなのか。恐らく、いまおっしゃったような病院やなんかで使う注射器だとか、びんだとか、これは年々ふえていくだろうと思うんです。そのふえる反面に半減期が非常に低いというそうしたことから、最も安全というものを確認しつつその処分方法についてはもっと合理的にということになるであろうというふうに私ども素人なりに理解しているわけでございますが、できればやはり早い方向でこの実現がなされることが望ましいと思いますが、それを締めくくりとしてひとつ御答弁をいただければと、こう思います。

森幸男厚生省医務局総務課長

○説明員(森幸男君) 先生御指摘のように、医療機関におきますRIの使用量、これは非常に急速に伸びてきておるのは事実でございます。それで、いま先生の御指摘の問題につきまして、私どもとしましても、先ほど御答弁申し上げましたように十分検討していくつもりでございますが、ただ、先ほどお話し申し上げましたようなことで、病院におきます対処の体制、たとえば低レベルのものと高レベルのものをどうやって仕分けをしていくかというような問題等々ございますので、この辺は私ども、専門家の方の御意見を伺いながら、また科学技術庁とも連絡もとって十分検討してまいりたいと思います。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 終わります。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 OECD・NEAによるヨーロッパ諸国の放射性廃棄物の海洋投棄に関しては、NEAが一九六七年に安全評価を行い、さらにその後一九七三年に再評価を行っておることは御存じのとおりです。  そこで、お尋ねいたしますが、いただいた資料の中には、投棄の国であるとか、投棄されたキュリー数とか、そういうものが簡単に述べられておるのですけれども、このNEAの評価の内容の主要なものはどういうものなのか、最初にお聞きしたいと思います。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 一九六七年にNEAが安全評価をしておる点につきましては御指摘のとおりでございますが、海を無限のものと考えまして実施するということでは科学技術庁が行いました方法と全く同じではございませんが、考え方においてそれほど大きな違いはございませんけれども、私どもの調べた範囲では、わが方の安全評価の方がよりきめ細かくやっておるというふうに専門家が言っておるのを聞いたことがございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 結果的に、NEAの評価内容というのは、条件が満たされれば低レベル廃棄物の海洋投棄の安全性というのは保証されるのではないかということなんです。ところが、御承知のようにまだ投棄の歴史というものが非常に浅いわけですし、その調査も全面的に、徹底的に行われた調査ではないわけです。加えて、北大西洋という条件と、今度日本で考えておるのは日本から九百キロ離れた太平洋ということで、気象条件、海洋の条件も非常に違っておるわけです。したがって、その評価が直ちに今後の世界のどこの海洋にも適用できる安全評価ということにはならないということは当然な話です、しかも短期間であるわけですし。そういうことで、私は安全性が保証されるという評価はきわめて疑問であるし早計であるというふうに思うわけです。そうであるならば、改めて独自の調査も評価も不必要なわけなんです。そういう点で、私は条件が満たされればという中には非常に多くの仮定があるわけですし、大体その条件というものも人間が設定したものですし、さらに満たされればというけれども、満たされるという保証そのものが本来ないわけですから、そういう点で私は今日まで行われてきた評価、それから原子力委員会なり安全委員会、その他の専門審査会を幾つか設けられて今日までいろいろな審査や評価が行われてきておりますけれども、私はそういう評価というものはまだまだ調査研究の途中の段階であるというふうに思っておるわけです。そういう点で、私は条件が満たされればというそれはあくまでも仮定ではないか、いままでの部分的な調査、評価に基づく私は仮定だと思うんです。そういう点で、その評価についての評価、これはどの程度確実なものというふうにお考えになっているんですか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘のように、海洋、特に深海底を含めました海洋の性状というものはなお海洋学的にも未調査のものもあることは事実でございます。先生御指摘の日本の評価と、それから大西洋で行っておるOECD各国の評価との違いでございますけれども、私どもはOECDの評価と同じ手法をそのままやるつもりは毛頭ございません。われわれはわれわれの調査研究をベースにして別個に評価を行うという姿勢でいままでも来ておりまして、今回行いました調査も全くそういうあれでございます。ただ、IAEAが海洋調査を踏まえての環境評価の指針等も考え方が出されておりますので、これは国際的にも考えなくてはいけないわけでございますから、そういう点でのチェックはしつつ私どもとしては独自に環境評価をしておるつもりでございます。  それから先生御指摘の条件等につきまして、まだ研究調査が不十分であるからこの評価自体まだ不確実ではないかという点の御指摘でございますが、私どもの評価の進め方に当たりまして、調査研究が不十分だと判断された場合には、その放射線の影響がシビアに出てくるサイドの条件設定をつくりましてそれで評価するという姿勢で臨んで、その上で相対的に判断するという、安全評価上のはっきりしないものは余分にマージンを見て評価するという姿勢で評価をしておる次第でございまして、したがって、いろいろな調査研究がどんどん進んでくればもっと合理的な影響評価ができるようになることは事実でございますけれども、そういう不十分な段階のデータであれば、そのデータを使うときにはもっと安全サイドに、安全率を掛けた上で評価するという方法で評価をやっていただいておるというふうに私どもは理解しておるところでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 いまのお話の中でシビアに考えて安全係数をさらに高めるのだというお話なんですが、その安全係数自体に対する考え方が学者によって非常に差があるんです。これは後ほどお聞きしたいと思うんです。  そこで、まず日本における試験的海洋投棄というものについて過去どれぐらいの期間、どの海域にどのくらい投棄してきたのかということを、まず最初にお聞かせ願いたいと思います。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 過去に日本は昭和三十年から四十四年にかけまして、放射性同位元素を使用しておる事業所から出たRIの廃棄物を十五回にわたって海洋投棄をした経験がございます。これは日本アイソトープ協会という現在の日本放射性同位元素協会が法律的に廃棄の事業者の許可を受けておるわけでございますが、そこが各事業所から出てまいりました廃棄物を集めまして、ドラムかんの本数でこの十五回の実施に当たりまして約千七百本、放射能の量で総量四百キュリーのものを館山の沖で投棄した実績があるわけでございます。館山の沖合い四十キロメートル、水深は約二千六百メートルの海域でございます。この海洋投棄の実績は、その後、海洋投棄というものはもっと人間環境あるいは漁業等への影響の少ないところへというような国際的な流れ等々もございますし、また一部の反対の方々の意見等もございまして中止しておるわけでございます。  こういうようなことはございましたが、われわれとしては、その後、この地域の海洋調査につきましては、一般的に行っております放射性物質のレベルにつきましての全国的な海洋調査にこの投棄地点の調査も加味いたしまして、毎年この地域の近傍の放射線の影響量等を調べておるところでございますけれども、幸いにして現在までのところ放射能レベルは他の地域と同様の値を得られておりますので、何とか安全に処理し得たというふうに考えられるわけでございます。しかしその後、私どもとしては基準の設定に当たりましても、当時のRI障害防止法の規則で基準は水深二千メートル以上であることということでありましたものをその後四千メートル以上というようなこと、あるいはその他の投棄の必要な技術基準を強化いたしましたので、現在、その後は海洋投棄は行われていないということでございます。われわれとしては、RIの廃棄物を含めまして五十一年に定めました原子力委員会の方針に沿って十分環境安全評価を行った上で投棄をするということを前提に方針の変更をいたしておりますので、そういう手続等が済むまでは海洋投棄を実施しないという方針でいるわけでございます。したがって、私どもの希望としては五十六年を初めにいたしまして試験的海洋投棄をいたしまして、その後の海洋調査、影響調査等を踏まえまして、安全を確認した上で本格的な処分に移りたいという方針に切りかわっておるところでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 ずいぶん前の話ですが、五五年から六九年まで約十五年間にわたって四万キュリーの海洋投棄をやった、その後毎年調査をやっておるということなんですが、調査の内容、方法がどのようなものなのか。海流もあるわけですし、したがって表面だけをとってみてもしようがないわけですから、どういう調査内容、どういう方法で、いつからいつまで行われてきたのか。と同時に、それについての評価はどのように下されたのか。それをわかったらお聞かせ願いたいと思います。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 先ほど私御説明しました放射能の量は四百キュリーでございます。もし間違っておりましたら訂正させていただきます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 失礼しました。四百キュリーです。間違いないです。四百六キュリーです。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) それから海洋調査につきましては、昭和三十八年ごろからずっと毎年やっております。やっておりますのは、その近傍のプランクトン、それから海産生物を採取いたしまして、それの放射能バックグラウンドの測定をやると同時に、近くの海水をとりまして、それの放射能量の測定もあわせて行っております。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 いまの説明ですと、付近の海水をとってということですけれども、付近というものがどの程度なのか、流れておりますから、したがって出てこないところの水をとってやってみたってこれは調査にならぬのです。だから、海流に合わせて最も出そうだという場所というものがおおよそ推定できると思うんです。そういう点で、投棄をした真上でとってみたって結果が出てこないのは当然だと思いますから、だから、どういう方法、内容で調査をやられたのかということをお聞きしておるわけです。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 海水については、いまちょっと正確なデータがございませんが、相当離れたところの海水をとっておるようでございます。ちょっとデータ持っておりません。  それからプランクトンと海産生物は投棄地点の南北二十キロぐらい離れたところの二カ地点でとって測定しておるようでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 これから予定される試験投棄と、それからこの前いただいている専門部会等の中間報告書との比較検討ということもありますので、いまの話の試験投棄の内容と、それから調査のやり方、方法等のまとまったものがあるわけでしょう。ありましたら、それを資料としていただきたいんですが、よろしいですか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 早速作成しまして御提出します。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 私どもが一番心配いたしますのは、繰り返し申し上げてきておりますように、現段階ではとにかくこの放射性廃棄物に対する抜本的な処理処分というものについていまだ現代科学は万全な対策というのを講じていない、環境からいかに隔離をするか。完全に隔離できればこれは問題がないわけですけれども、その完全隔離というものがいまだ方法的にも技術的にも確立されておらないところに非常に大きな問題があるわけなんですけれども、そういうことで、私はいま海洋投棄をやっている国を見ますと、原発をもちろんやっている国で、イギリス、フランスあるいは西ドイツ等、原発サイトが狭くて、出てくる放射性廃棄物というものをもうサイトでは積み切れないというところから海洋投棄をせざるを得なくなってきているわけなんです。だれが考えても海洋投棄よりもむしろ陸地の方が望ましいのじゃないかなんというのは、多くの学者もやっぱりそういう考え方じゃないかと思うんです。だから、必要に迫られて私は海洋投棄せざるを得なくなってきているのが現状だと思うんです。  そこで、私は、今度の海洋投棄の場合、抜本的には解決されていないにもかかわらず、低レベル廃棄物では心配がありませんと、この前も指摘しましたように科技庁の監修に基づくあのパンフレットではとにかく海洋投棄は絶対大丈夫ですという宣伝を盛んにあのパンフレットの中ではやっているわけです。私はそこが危険だということをこの前も申し上げたと思うんですが、根本的に解決されていないものを低レベルならば心配ないということで海洋投棄をやって逐次そのレベルというものを上げていく、そしていつの間にかなし崩し的に危険な廃棄物までが海洋投棄されていくという、その歯どめが私はなくなっていくのじゃないかと思うんです。そもそも低レベルとかハイレベルという区分自体がきわめてあいまいである。単なる線量率によって低だとかハイだとか言ってみたり、核種によってIAEAの定義では今度もう少し厳密になってきておるのですが、従来は単に線量率によって低だとか高だとかいうことを言ってきたり、あるいは大まかに原子力発電所の作業等に用いた衣服とか洗たく液とかそういうものが低レベルであって使用済み核燃料というものがハイレベルであるというふうな、そういう非常に大まかな区分というものがあったわけで、高から低に移る段階での明確な定義とか科学的な基準というものが余りはっきりしていなかったということはこれは事実だろうと思うんです。そういうことで、これから日本で出る放射性廃棄物の量も、皆さんからいただいた資料では、考えようによってはあれが倍になったり半分になったりちっとも明確にならないわけなんです。  そこで、お尋ねいたしますけれども、原子力発電所から出る固体廃棄物のいま低レベルと言われるものの発生量というのは、一万キロワット単位でもいいですし十万キロワット単位でもいいですけれども、それで一体一年間何キュリーになるのか。そしてそれは核種によってトン当たり何キュリー以内が低レベルというふうなあれがあるわけですから、そういう点で出てくる低レベル廃棄物の量をもう少し厳密に説明してもらわないと、年間ただ十何万本だとかそんな程度では、稼働率や設備利用率によっても大幅に違ってくるわけですから、そういう点でもうちょっとそこのところを明確にしていただきたいんです。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) これは先生も御指摘のように、必ずしも発電所当たりでどのくらい出てくるというのが確定できるものではございません。定期検査をしたようなときに機器の改造その他に大幅なものがございますと、当然作業の過程で出てまいります低レベルの放射能量もふえるわけでございますが、いま私どもが最近の原子力発電所から出てまいります低レベルの廃棄物の発生量をチェックしておりますが、たとえば百万キロワットの発電所で、私どもの試算では一年間に二百リットルのドラムかんの数でございますが、PWRでは千五百本から三千本程度の幅の中に入っておるというふうに踏んでおります。それからBWRは比較的量が多うございまして五千本から六千本というのが現状でございます。そこで、先ほども御答弁申し上げましたところでございますが、いまできるだけ減容化してドラムかんの数を減らそうというふうな努力をしておるところでございますが、ドラムかんの数を減らしましても放出のキュリー数は変わるわけではございませんわけでございます。大体百万キロワット級の原子力発電所から出てまいります低レベルの固体廃棄物のキュリー数は、平均いたしまして数百キュリー程度であるというふうに承知しております。     —————————————

塩出啓典公明党

○委員長(塩出啓典君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、渋谷邦彦君が委員を辞任され、その補欠として内田善利君が選任されました。     —————————————

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 IAEAの高レベル放射性廃棄物または物質の定義というのは、一トン当たりのキュリー数が次の値を超えるものというふうなことで、半減期が五十年以上のアルファ放射性廃棄物についてはトン当たり十キュリー、ただし、ラジウム226の場合は一投棄地点の投棄量が百キュリー・パー・イヤーというふうに定められておる。さらにベータ線、ガンマ線の場合、あるいはトリチウムの場合がどうというふうに定義があるわけです。  そこで、この海洋投棄に関して、低レベルというものをどのようにきちっと定義づけるといいますか、定めておるのか。高でないものが低だという言い方はきわめて危険であるわけです。そういう点で、ここで言っている低レベルというものをもう少し厳密に科学的に定義づけたらどういうことになるのか教えていただきたいと思うんです。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 先生おっしゃられましたIAEAの基準でございますけれども、あれはたしか……

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 皆さんの方の基準なら皆さんの方の、IAEAの基準を皆さんが入手されているなら、それはそれでおっしゃっていただいて結構なんです。それに対して日本のものがどうなのかということさえはっきりしてもらえればいいんです。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) IAEAは七五年と七八年に勧告しておりまして、アルファ核種の点だけがその後十分の一になっておりますので、日本もその新しい基準の方で規定しております。  海洋投棄をします固体廃棄物の放射能の濃度をこれ以下であることという規定を定めておるわけでございますが、放射性物質の種類はIAEAの国際基準をそのままとっておりまして、放射能濃度も固形物の一トン当たりの内蔵放射能量をそのままとっておるのが現状でございます。したがって、IAEAの基準どおりをやっております。あれは固化体の比重等がまた別に基準として設けられておりますので、したがってドラムかん詰めにされたコンクリートの一トン当たり何キュリーという処理の技術基準にしてあるわけでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 私が一番心配いたしますのは、核種によってキュリー数が違うわけですから、したがって、原子力発電所から出てくる固体廃棄物がドラムかんに詰められた場合、厳密な意味でそれぞれの核種ごとに分離されてドラムかんに詰められるわけじゃなくて混在するわけです。したがって、いま言ったような基準が厳密に一体守られるのかどうなのか。線量率計でもってドラムかんの上からはかって、これは何ミリだからいいとかというふうなことではだめなわけです。私が心配するのは、繰り返して申し上げますが、そういうふうに混在しているものを厳密に一体チェックできるのかどうなのか、そういう体制があるのかどうかということ。いまお聞きしてもわかりますように、一年間に百万キロワットで何千本も出てくる。三百万、五百万キロワットということになってきたら何万本も年間に出てくるものを、一体そういうふうに厳密にチェックできるのかどうか、そういう体制があるのかどうかということについてお聞かせ願いたいと思います。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 原子力発電所で出てまいります廃棄物は、当然一時的には保管されるわけでございます。保管されたものをその処理の状況によりまして、セメント固化したものであれば、ただいまその基準に従っておれば海洋投棄もできるような基準をつくっておるわけでございますが、そこで保管いたしますときの基準がすでに規則で定められておりまして、廃棄施設に保管する場合には、当該放射性廃棄物を容器に入れるときに当該容器の数量であるとか、比重であるとか、保管廃棄物の量と申しますか、その放射能量、そういうものを随時記録しておかなければならないように規則で定めております。  実際の管理を申し上げますと、そういうことでその容器自体に常に経歴書がついておるということでございますけれども、実際の作業に当たりましては、そういう規則がございますので、事業者としては、こういうところで出てくるのは通常低レベルの放射能廃棄物が出てくるという作業の管理の仕分けというのは当然しておるわけでございます。そういう廃棄物の特徴であるとか発生源に着目した分類を行った上で、現場の作業というものは放射能、放射線の管理が行われておるわけでございます。  そういうことでございますので、各工程から出てまいります廃棄物を処理するに当たりまして、この廃棄物がいつどのくらいのレベルで出てきたかというのを記録する制度がございます。そういうような確認を行いつつ最終的には固化物に持っていくということでございますので、通常原子力発電所から出てきたものは十分素性がわかっておる。もし作業の工程で何らかの高レベルのものが出てくれば、その作業に、作業と申しますか、そういう出てくること自体が異常でございますので、その異常を確認するようなことを当然やらなくてはいけないシステムに私はなっておるというふうに理解しております。  それから発電所の中でも必ずしも全部が低レベルと私どもは申し上げていないわけでございまして、たとえば冷却水を常々洗浄ろ過しております。こういうようなろ過をいたしますときの樹脂等は比較的高くなる可能性があるわけでございます。こういうものについては特別の放射線管理をして、その素性を別にいたしまして処理をするというようなことで、仕分けができるようなシステムをつくらせておるわけでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 いまの説明を聞いておっても私はやっぱりまだ不安が解消できない。というのは、たとえば、この間の高浜であるとか玄海の原子力発電所の事故で、一次冷却水というものが大量に出てきて、そしてその一次冷却水というものを薄めて流しておるというのが私の質問に対する皆さん方の答弁で出てきておるわけです、これは科技庁でなくて通産・資源エネルギー庁からですけれども。とにかく薄めて流したということはこれははっきりしているわけです。そういたしますと、あの中には幾つかの核種が含まれているわけです。一つでは核種の試験をやったんですが、一つでは核種の検査というのはやっていないんですね。そういう点で私は非常に危険だと思うんです。ですから、それは事故等の特殊な場合だということですけれども、しかし同じ半減期にしても、プルトニウム等の二万何千年というのは別にいたしましても、三十年、五十年あるいは何百年、大体数百年以内ならいいというふうな考え方もあるようなんですけれども、しかし私は非常に違うと思うんです。そういう点で、事故のときは厳密にやるけれども日常的にはそんなに厳密にやっていない。と言っても半減期の長いものばかりでもない。そういう点で、私はやはりどういう核種が含まれておって、それがどの程度この低レベルの中に含まれておるのかということがチェックできなければ、単にドラムかんの中に入れて、先ほどから繰り返し申し上げますように、キュリー数だけでもって言ってみたってこれは非常に危険だと思うんです。そういう点で、いまお尋ねしてもそれ以上の答弁は出てこないようですから、これ以上お聞きいたしませんが、そういう心配、不安があるのだということをひとつ考えておいていただきたいと思うんです。  先ほどNEAあるいはIAEAの基準というもの以上に日本の場合には厳重にやっているのだ、安全係数というものを非常に大きくとっているという説明もあったんですけれども、しかし御承知のように、内部被曝の場合には低線量の人体に及ぼす影響についてICRPのいろんな勧告が出ておりますけれども、まだどのように環境に振る舞うのか、人体に影響を与えるのかという定量的なしかも決定的な結果というものが今日の段階ではまだ出ていないんです。それだけに私は取り扱いというものはきわめて慎重にならなければいけないというふうに思うわけです。たとえば三宅、猿橋両氏の計算によるものとOECDの計算によるIAEAの値というものを比較をしてみますと、許容濃度というものが三宅さんたちの場合には二ないし四けたも非常に厳しい値になっているわけなんです。そういう点で、私はこのOECDの例、ここに計算に必要な溶出率から、あるいはこの報告書にもあります水平・鉛直拡散係数、あるいは深層最上部濃度に対する表層濃度の割合、あるいは希釈係数、いろいろずっと係数があるわけです。OECDのその仮定の数値、これに対する三宅、猿橋両氏の係数というものを見た場合、非常な差があるんです。そういう点で今度の考え方の中には、先ほど厳しいとおっしゃっているんですけれども、厳しいという言葉の厳しさではなくて、幾つか論文も出ているわけですから、あそこには評価もされておりますが、基本的にはどの辺を考えておいでになるんですか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 科学技術庁の環境評価をいたしましたときの専門家の中に、先生ただいまおっしゃられました猿橋先生、これは気象研究所の主任研究員の方でございますが、気象研の方々、猿橋さんだけでなくてほかの先生も含めまして気象研あるいは水産庁の水産研、海上保安庁の水路部の方々、こういう海洋調査をいろいろやっている方々を入れまして、どういう前提で評価するかモデルづくりから始めたわけでございます。そういうようなことで、私どもの行いました点は非常に慎重な評価の仕方をしたと思っておるわけでございます。  たとえば海洋投棄をいたします場合に、海流が水平に当然動いておるわけでございます。流れがあるわけでございますが、たとえばそういう流れはないものといたしますと、局部的に非常にラジオアイソトープ等が濃縮されるわけでございます。濃い状態が長く続くというと環境に与える影響は強くなるわけでございます。そういう流れが全くないと仮定しておるようなこと。それから上への拡散につきましては、これは今度は流れとは別に、できるだけゆっくり拡散すると申しますか上に上がってくる方が——早く上がると想定するのが厳しいわけでございますけれども、その流れを、実際の測定とかいろいろなデータよりもこれも十分厳しい条件で、早く放射線が海底から上に移流するというふうな想定をしておるわけでございます。そこで、たとえばそういう移流等のあれにつきましては、実際の観測値のたとえば十倍であるとか百倍ぐらいの移流を考えるとか、水平拡散係数につきましては、理論値が一秒当たり十の十乗スクエアセンチのものを約一千分の一の十の七乗スクエアセンチ・セコンドというふうなことで、水平の拡散はなかなか行われないという想定をとっております。  それから鉛直の拡散係数につきましては、湧昇流が相当あるというようなこと。湧昇流の調査については、底から上まで通したような湧昇流がまだ実際には観測されていないわけでございますが、それがずっとあるというようなことで、そういう観測値の一けた以上厳しい拡散をするというような想定をする等、実はこの拡散モデルを使いましてそういう拡散係数を使うというようなことは、私ども非常に安全サイドの解析をしたというふうに言えるのじゃないかと思っておるところでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 外務省の皆さん、もうちょっと待ってください、すぐお尋ねいたしますから。あと二、三分くらいでお尋ねいたします。  そこで、確かに報告では、ドラムかんが直ちに投棄と同時に壊れた場合を想定したり、厳しいいろいろな場面を想定しているというふうなことなんですけれども、仮に十倍厳しくしても決して厳しいことにならないというのは、投棄されたドラムかんが破損して周辺海底の泥であるとか、そういうものが廃棄物からの放射性核種で汚染されているということがアメリカの試験投棄の場合わかっているわけです。環境保護庁EPAの調査潜水艇の何回かにわたる調査によってわかっているわけです。七四年から七五年にかけて東海岸、西海岸の水深九百メートルであるとか千七百メートル、二千八百メートルというところで観察と海底泥の分析を行って、セシウム137であるとかプルトニウム239、240が通常レベルの数倍から数十倍という数値が出ているわけですから、一けた厳しくすると言っても、一けたでは追いつかないそういう状況というものも出てくるわけです。特に半減期が短いものは結構です。たとえばストロンチウム90の場合は大体半減期が三十年というふうなことですから、こういうものやセシウム137の場合それはどうということはないと思うんですけれども、いわゆるプルトニウムであるとかあるいはラジウムというふうなことになってまいりますと、半減期がプルトニウムの場合は二万四千年、それからラジウムの場合が千六百年ということですから、まさにわれわれが今日の状況で数千年や数万年先のことなんて予想できないわけですから、隔離という考え方はそもそも成り立たないわけです。  そういうことで、次の点について皆さんどう思っておいでになりますか。  容器についてはいろんな実験をされているようですけれども、現にアメリカのは投棄した場合にはほとんどみんな壊れちゃっているんです、腐食はするし。そういう点でドラムかんの容器については自信があるのかどうなのかということ。  それからすべての核種について、投棄した場合の海中での振る舞いがどのようになっているのかということは、私はまだ十分解明されてないと思うんですが、それはわかっておりますか。これが第二点。  それから現在の基準ではいいと思っても、さらに今後の実験等やいろんな実態から、現在の基準ではやはりだめだということが後でわかっても、投棄したら回収が不可能ですから、そういう場合には一体どうするのか。海の底、六千メートルの底をさらってやるというふうなことを考えておいでになるのかどうなのか。そんなことは不可能だと思うんです。  そういう点で、とりあえず、まず三点、もうちょっと厳密にお聞かせ願いたい。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) まず第一に、容器の問題でございますが、先生御指摘のように、私ども海洋投棄を実施するに当たりまして容器の健全性を確保するというのが非常に大きな研究項目でございます。そこで、研究といたしましては、われわれは六千メートルぐらいの深海底に捨てようとしておりますので、模擬固化体で特殊な高圧水槽を用いまして最大七百気圧の加圧試験等をやってその容器の健全性を確かめておるところでございます。これは電中研並びに原研で実施しております。その試験結果でも規定どおりの、現在規制法で定めております基準どおりつくったセメント固化体は十分健全性を保つというデータを得ておるわけでございます。  それから実際の臨海実験としては、これは放射性物質を入れておりません模擬固化体でございますが、B海域でカメラ等をつけましてドラムかんを海底までつるして観測し、またそのドラムかんをさらに回収いたしまして健全であることの確認もいたしております。  それから容器の腐食の試験でございますが、これはなかなか深海底の海水の量を模擬するのがむずかしいわけでございますけれども、できるだけ模擬しつつ、温度、水の流速、溶存酸素を深海底の模様に模擬した、これは圧力はかかっておりませんけれども、腐食試験なども行っておりまして、その結果では容器の表面積が一〇%腐食するのに約十年かかるというふうなデータも入手しておるところでございます。このような実験結果を踏まえて、容器はちゃんと規定どおりつくれれば十分数千メートルの海底に投下しても直ちに壊れるようなことはないというふうに判断しておるところでございます。  なお、アメリカの実験で、先生御指摘のEPAの調査、私どももいろいろ情報を入手しておるところでございます。これはアメリカが二、三十年前に行いました計画でございまして、当時のアメリカの基準としてもそれほど厳密に基準化されていない時代のものもあったとも思われますけれども、先生御指摘のように、あるものは腐食によって壊れたものの、近くには放射性核種で、たしかセシウムであったかと思いますが、測定されたということも聞いております、スポット的に測定されたと。少し離れるともうないというようなことでございますので、私どもが想定しておるような、着底してすぐぶっ壊れるというふうなことではなかったのではないかというふうに考えておるところでございます。  それから放射性核種のそれぞれの振る舞いでございますけれども、先生の御指摘のような趣旨の振る舞いではあるいはないかもしれませんけれども、原子力研究所でドラムかんを裸にいたしまして、セメントの中に同位元素を入れまして、それがどういうふうに海水等に漏れ出してくるかというような実験はやっておるところでございます。それで通常発電所から出てまいります低レベルの放射性の核種の中のセシウムというのは、コンクリートが水にさらされますと比較的浸出しやすいというようなデータも出ておりますが、その浸出量というものはそれほど大きくないというデータでございます。  また、プランクトン等に捕食されて、プランクトンからまたそれよりも大きい魚に行って人間が食べる魚に動く食物連鎖の面での放射性核種の濃縮等につきましては、日本でもいろいろ研究も進んでおりますし世界的にも進められておりまして、一応文献等で想定できるまでになっておりますので、農林水産省等の研究も加味いたしながら、食物へのこういう放出核種が連鎖していく数値等につきましては、そういう専門家の間の御議論も踏まえつつ、外国での研究論文その他も加味して想定ができるまでにしておるというふうに私は理解しておるところでございます。  それから最後の御質問でございますが、いずれにいたしましても、深海底五千メートル以上のところへ投棄いたしました場合には、これは回収するということを前提には考えられないわけでございますので、私どもとしては、慎重な事前の試験的海洋投棄というものを踏まえて、その上で投棄後の評価等もいたしましてから本格投棄に移るというふうな姿勢で臨んでいるところでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 次に、外務省にお尋ねいたしますが、この前も幾つかの点でお聞きいたしておりますけれども、この規制法は日本独自の立場で国内的な条件整備を図ったものであるということで、利害関係国の事前の了承を求めて行われておるものでないことはこれは確かだろうと思うのです。そこで、外務省としては、ロンドン条約の批准、それから国内法の整備に伴って、関係国に対して日本の放射性廃棄物の海洋投棄に関して今日まで何らかの了解を求めるような、そのような工作というものを行っておいでになったのかどうか。とりわけ、環太平洋諸国の中にはまだ批准していない未加盟国も相当多いと思うんです。いただいた資料の中では加盟国の数が少ししか書いてありませんからよくわからないんですけれども、未加盟国は、オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン、インドネシア、メキシコ、チリなど、こういう環太平洋のほとんどの諸国というのは加盟していないのじゃないか、加盟している国の方が少ないのじゃないかと思うんですが、そこのところをもう一回お聞かせ願いたいと思いますし、それからいま言ったように、そういう関係国にこの問題に関して事前に工作といいますか、話し合いを行ってきたとしたら、どういう内容で話をされてきたのか、それに対する相手国の反応がどうであったのか。この前は日本の海洋投棄に関しては余り賛成できないという国もあるということは承知をいたしておりますというふうな趣旨の答弁はこの前あったと思うんですが、その点がどうなっているのか、もう一回お聞きしたいと思います。

井口武夫外務大臣官房審議官

○説明員(井口武夫君) 実は、太平洋諸国の中では、確かに先生のおっしゃいますように、必ずしも批准している国は現在のところ多くはございません。ただし、ニュージーランド、フィリピンというところは批准しております。オーストラリアは署名はしておりまして、実は締約国会議、これは毎年ロンドンで開かれますが、加入の意図は表明しております。特に批准していない国というものに対する通報とか、そういう形のことは行われていないということは事実でございますが、わが国もなるべく締約国会議には毎年オブザーバーを送っておりますし、ことしは正式に晴れて参加したいというふうに考えておりまして、太平洋の国も、実はこの条約の事務局でございますIMCO、国際海事協議機関のメンバーでございます。太平洋の国ほとんどが国際海事協議機関に入っております。したがいまして、今後恐らく入ってくるということは期待できると思っております。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 この前もちょっと、必ずしも日本の投棄に対しては賛成しない国もあるということはわかるというふうなことをおっしゃったんですが、予想される国はどこですか。

金子熊夫外務省国際連合局原子力課長

○説明員(金子熊夫君) 前回、先生の御質問にお答えいたしましたときに申し上げましたように、太平洋の当該地域にあります国々とか島々の間でいろいろ不安な気持ちでいるということがいろいろな形で私どもの耳に入っておりまして、そういう意味におきまして、こういう国にこういった懸念があるのではないかということはわれわれとしても事実として知っているということを申し上げたわけでございます。ただ、具体的にどういう国がどういう形で懸念を表明しているのかという点につきましては、これは科学技術庁の方から御説明があったと思いますけれども、まだ日本政府として、こういうことでいつ試験的な投棄をしますということを実はまだOECD・NEAの場で言ったわけではございませんで、いろいろな形で、日本政府のパンフレットとか、あるいは学者の集まりとかというようなところで研究されるものを見て知ったこれらの国々の専門家の方々がそれについていろいろな機会にそういった懸念を表明していることでございまして、したがいまして、私どもとしましても正確にどの国がどういう懸念を表明しているかということはわからないのでございまして、したがいまして、そういう国々、島々に対してどういう形で御説明、説得工作をしたかということはまだ現時点ではないわけでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 海洋投棄による汚染が生じた場合、仮に被害国と言ったらいいのでしょうか、被害者と言ったらいいのでしょうか、そういうものに対して国際法上の責任というものがどうなるのか。それは全然関係ないというふうにおっしゃるんですか。その辺はどうなりますか。

井口武夫外務大臣官房審議官

○説明員(井口武夫君) 先生のおっしゃっておられます太平洋の沿岸諸国の一部が新聞等で懸念を非公式な形で表明している向きもあるようでございますけれども、この条約自身が低レベル放射性というものの投棄を認めておるわけでございまして、加盟国であればこの条約に基づいてやっておるわけでございますから、法的な立場から反対できないということでございます。  それから非加盟国の場合には、むしろこの条約というものの外に立っているという意味では、実はむしろ現在の国際法では公海の自由というのがあるわけでございますし、投棄行為というものがそういう意味では国際法違反ということではございませんので国際法的には問題がない、あるいは先方がそういう意味でのこちらに対してクレームを提起できるということではないというふうに了解しております。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 条約に加盟した国は、逆にそういう汚染が生じた場合であっても、条約が投棄を認めたのだからそういうことにならないのじゃないかというふうにもちょっと聞こえるんですけれども、私はそうは思わない。海洋投棄をやる場合には汚染が出てはいけないという、出ないことを前提にして投棄を認めるというのが私はこのロンドン条約の精神だろうと思うんです。それだけに厳しいいろんな条件、制限というものを付しておるということになるわけです。ですから、被害国から損害賠償請求が出た場合、あるいは国として出なくても外国の漁業者から損害賠償が仮に日本国政府に対してなされた場合に、これはどういうことになるのか。そんなものは知ってはいない、捨てていいということになっているのだから損害賠償の責めに応ずることにはならぬという立場ですか。それとも、ロンドン条約の精神はもともと、海洋を汚染してはならぬということで無制限の無条件投棄を禁止して、とにかく汚染をしないというそういう趣旨のこれは条約であって、本来であるならば全面禁止すべきところなんですが、そうはいかないものですから条件つき制限ということになったわけですね。全面禁止にはならなかったわけです。ですから、被害が出ないことを前提としているわけです。汚してはならぬことが前提になっているわけです。だから、現実に被害が出た場合、これは当然損害賠償の問題が私は国際的問題として出てくるのじゃないかと思うので、そのときに現実に仮に請求が出たら、外務省としては条約上そんなことには応じられませんという態度になるのですか。どういうことになるんですか。

井口武夫外務大臣官房審議官

○説明員(井口武夫君) 先生の提起なされた問題は仮定の問題でございますけれども、確かに第十条では、「締約国は、」「他の国の環境又は他のすべての区域の環境に与える損害についての国家責任に関する国際法の諸原則に基づき、投棄についての責任の評価及び投棄に関する紛争の解決のための手続を作成することを約束する。」ということでございまして、公海上の投棄に関する損害について何らか将来国際的な手続をつくりたいということでございますが、まだ締約国会議でもこの点は審議されておりません。そもそも過失責任、無過失責任、あるいは原状回復、損害賠償、こういうような問題については、まだ実際国際法自身も実は十分発達しておりませんで、この第十条というものは将来の確かに努力目標でございますが、現段階では未作成でございます。ちなみに、実はもう一つ、海洋法条約も現在国際的に固まりつつはございますけれども、環境汚染とか海洋の環境損害に関する国際法というのは、今後やはりその責任あるいは損害補償の問題を含めて国際的にいろいろ交渉しようということでございまして、この段階ではまだそこまで具体的な国際法の規則はできていないということでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 法的にあるいは国際法上そういう事態に対してどうするのかというのが整備されていないというのはおっしゃるとおりだろうと思うのです。だから、問題が出た場合に、私がいま言っているように損害賠償の事態が出てこないなんということにはならないのでして、そういう点で特に未加盟国がもし日本の投棄によって海が汚される、あるいは何らかの影響が出たということで魚が売れなくなったとか、いろんな問題が出て損害賠償請求というものが出た場合、その場合に現実に応ずるのか応じないのかという問題が当然出てくるわけです。仮定の問題じゃないですよ。そういう場合に外務省としては、これはまだ国際法上整備されておりませんから、それは応ずるわけにはいきませんという答弁になるのか、現実に出たのだから検討せざるを得ないということになるのかということをお聞きしているんです。

井口武夫外務大臣官房審議官

○説明員(井口武夫君) ただいまの実は御質問ですが、確かにかなりむずかしい問題ございますけれども、少なくともこの条約に違反した行為ではないという意味で条約の違反ということは全くないわけでございますが、それから先仮定の問題になりますけれども、今度は二国間レベルでそういう問題が提起されるときには、またその段階で慎重に検討しなければならないと思います。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 国と国の問題でなくて、漁業者が直接に日本政府を相手に損害賠償をやってきたらどうなりますか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 個人が、これはたとえ外国人であってもでございますが、確かに海洋投棄によりまして原子力による被害が生じた場合には、わが国の原子力損害の賠償に関する法律が当然適用されるわけでございます。これは風評等で損害というのはこれはだめでございますが、明らかに原子力災害として法律の適用がある事象が起きた場合でございますが、そういうような場合にはこの賠償法の規定に基づきまして事業者に無過失の賠償責任が負わされるということになっております。したがいまして、原子力事業者は原子力損害の賠償に関する法律に基づきまして、あらかじめ損害賠償措置を講ずるように義務づけられておるところでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 その場合、この法律をつくったのは日本政府であり、日本政府の認めた基準に従って海洋投棄をやったということですから、その場合には直接的にはだれが損害賠償をやるということになりますか。それは事業者ですか、運搬した人ですか、日本政府ですか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 事業者でございます。廃棄物を排出した事業者でございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 私は、その点やっぱり若干問題が出てくるのじゃないかという気がしてならないんです。これは、たとえば廃棄物を陸上輸送してそして事故を起こしたという場合でも、何が原因で事故が起きたのかというその因果関係によって、私は損害の責めを負う者というものが違ってくると思うんです。したがって、いまの場合も単に事業者ですということで片づけることができるのかどうか、私は非常に大きな問題が出てくるのではないかというふうに思うんです、これは国が認めているのですから。しかも国の定めた基準をパスしたわけですから。ちょうどスモン病のように認可をしたのは厚生省であって、製薬会社というのは国の許可に基づいてやっているのでしょう。だから国の損害賠償の問題も当然出てくるわけです。これは事業者だなんて簡単に片づけることにはならないわけです。そういう点で薬と廃棄物という違いはありますけれども、私はそう簡単に割り切ってはいけないと思うのです。そんな割り切り方でよろしいんですか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) わが国の原子力損害賠償法は、原子力災害が起きました場合に事業者に無過失の賠償責任を負わせておるわけでございます。したがいまして、事業者に責任が集中する形になっておりますので、先生がお話しの御懸念は全くないというふうに考えるところでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 ここへは厚生省見えていないですから、ちょっと厚生省に聞くわけにいかない。  薬の場合どうなっていますか。たとえば、ずいぶん問題になっているわけでしょう、この前から薬害が。あの場合どうですか、全部事業者に負わされていますか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 厚生省の方がただいまおられませんので、後ほどでも調べまして御報告したいと思います。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 外務省の方、もうちょっとお聞きもしたいと思うのですが、時間の関係がありますから、これ以上聞いてもまた仮定の問題だなんという話になって、なかなか明確な答弁も得られそうもありませんから、最悪の事態に備えてその辺はぜひ検討しておいていただかないと、私は何か起きるような気がしてならぬものですから、これはひとつ要望しておきます。ということで、私に関しては外務省の皆さんはお帰りいただいて結構です。  次に、航空機による廃棄物の投棄はどうなりますか、この場合。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 航空機による場合もこの条約の規定に基づきまして規制されるわけでございますが、実際問題としては航空機による投棄というものはまずあり得ないと考えております。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 あり得ないということとやってもいいということは違いますし、飛行機からは考えていないのだ、認めないのだということになれば法上当然除外を明記すべきなんですが、その辺どうなっていますか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 規制法等におきまして、航空機からの投棄というのは現在認めておりません。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 認めていないというのは、航空機によるものは認めないと明示してあるということですか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 航空機から低レベルの放射性廃棄物を投棄することは認めていないということでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 認めていないということは、航空機からの投棄は認めないと法上に明記されておりますかと聞いているんです。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 政令それから規則等でその辺を定めておりまして、投棄できるのはいわゆる船を使って海洋に投棄することだけを認めておる次第でございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 それでは禁止したことになりませんよ。そういう除外規定というものが書いてなかったらやったって差し支えないということになるんじゃないですか。それでは罰則規定がありますか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 今度の法改正で一般の海洋投棄の禁止をいたしておりますので、そういう点でできなくなるということでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 ちょっとそこがあいまいですよ。航空機による投棄は認めていないのならばこれは明示すべきです。法上何ら明示されておらないで、何か政令にゆだねてどうとかこうとかということも書いてありますか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 海洋投棄に関します技術基準を定めておるわけでございますが、そこで、その基準に合致しておるということを国が確認しなければ海洋投棄をさせないという法文の体系をとっておりますので、結局、先生御懸念のようなことはできないということで法文上も担保できていると私ども考えておるところでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 法上規制は二つあるのです。書いてないからやれるという場合と、それから——いいですか、私が一番心配しているのはここなんです。そういう点で、法文上だめなものはこれこれというふうに明示するか、あるいは書いてあるもの、こういうもの以外は禁止するというふうにそこで明示するか。ただ、これこれこれこれによってできますという場合には書いてないものはやってはいかぬということとは違うんです、これは。そういう点で、いまの答弁では非常にあいまいなんです。航空機だってできるのです、いまの説明ですと。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 今回の法改正によりまして、これは六十一条の二の二で海洋投棄を行おうとする者は技術基準に従い、しかも政府の確認を受けなければ捨ててはならないという規定を設けさせていただいておるわけでございますので、それぞれのそういう違反事項がございましたときには当然法律の違反にもなりますし、十分規制できておるというふうに考えております。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 禁止されているのか、ただ法上はできないと思うというふうにお思いになっているのかどうかちょっとわかりませんけれども、そこをはっきりさせておかないと必ず問題が出てきます、これは。

宮本二郎科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(宮本二郎君) 原子炉等規制法におきましては、原子力事業者は事業所外の廃棄につきまして、海洋投棄はそれに含まれるのでございますが、確認を要することになっておりまして、原子力事業者以外は、いま改正をお願いしております法律によりまして事業所外の海洋投棄は禁止する、こういう条文になるわけでございます。したがいまして、航空機からの投棄というのを確認すれば法文上の形としてはあり得るわけでございますが、廃棄の事業所外の海洋投棄の基準につきましては政令及び府令によりまして全部基準が整っておりまして、その場合航空機から、低レベル廃棄物を積み込みまして投棄できるような基準というのはそこには全く合致しないわけでございます。したがいまして、そういうものを認める余地は全くない、原子力事業者だけが確認ということであり得る、観念論的にはあり得るわけでございます。現在の基準はそれには全く合致しておらない、こういうことでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 だから、局長の答弁といまの次長の答弁では違うんです。違いますよ、はっきり言って。やればやり得るのだけれども、政令ではこうだという言い方になっているんです。  じゃ、政令では飛行機の場合には云々というふうに明示されていますか。私、そこまで政令を読んでいないから詳しいことわかりませんけれども、どうなんですか。

宮本二郎科学技術庁原子力安全局次長

○政府委員(宮本二郎君) 航空機から云々という文言は出ておりません。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 そうすると、いまの次長の答弁、政令を見てもそれが書いてないということになればやり得るんです。これは私はほかから指摘されて、飛行機ではこれができるんですねと言われて、そういうことでいま質問しているんです。明示がなかったらあれできると言うんです、法律学者に言わせますと。そこで聞いているんです。私は飛行機から投棄していいという意味で言っているのじゃないんです。ただ、法体系として整備をするので、制限をする以上これはできないことはないと言うんです。そういうことでお聞きしているんです。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) そういう意味では技術基準に、規則におきまして航空機によるあれはできないとは書いてないことは事実でございます。しかし、この技術基準の確認行為をしなければ、政府の確認を受けなければ海洋投棄ができないわけでございますので、しかも、その海洋投棄ができるのは原子力事業者のみでございますので、先生御懸念のようなことに私はならないと思います。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 だって、原子力事業者のみと言ったって原子力事業者が飛行機を使ってやることだってあり得るでしょう。だから法文上は制限がないと言うんです。飛行機は規制の対象にならないと言うんです。やれるということを言っているんです。実際にやるかどうかの問題は別ですよ。法規制上は飛行機だってやり得るということを私は指摘しているのであって、そのことさえ認めてもらえばいいのです。だから、飛行機は将来やらないのなら、いずれそれでは政令で明らかにしますとかということをおっしゃってもらえばいいので、法文上はできるのに実際はやらぬからできないのだということとは全然筋道が違うので、私は聞いているんです。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 確かに先生の御指摘のとおりであろうかと思います。ただ、私どもはそういうのをやろうと思っておらないものですから、ちょっと御返事があれしたわけでございます。条約上も船舶、航空機もしくは人工海洋構築物等から海洋投棄することについて規定しておりまして、その中での範囲では確かに航空機も許されておるわけでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 ですから、私は何も重箱のすみをつつくようなつもりで言っているのじゃないので、飛行機もこのままでいくとできることになると思いますので、飛行機でやるつもりはないのだということになれば、その点の法の整備はいたしますと一言答えてもらえばいいんです。できるのをできないできないと言ってがんばっておいでになるので、こうやって論議が錯綜するんです。では、そういうことで、その点できるということをお認めになったわけですから、そのことは余り好ましくないわけですから、そういう点では今後その整備等やっていただきたいということを要望しておきます。  その次に、海難事故等非常の場合には湾内等で投棄するとか、近海で投棄せざるを得ないという、そういう事態が生ずるのですけれども、投棄をした場合、事後の措置というのはどのようにされるんですか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 私どものただいまのところの考え方は、海洋投棄をいたしますときに船が海難事故等にできるだけ遭わないように、事前に十分気象状況等を考えて、海の穏やかな時期に、しかも長期的な予報も十分判断して海難事故を起こさないような投棄の実施をさせるように指導するつもりでございます。万一やむを得ない場合は、この条約によりましても緊急避難の面からの投棄が許されておるわけでございますが、私どもとしてはそういう事態にできるだけならないように配慮してまいりたいと考えております。また、それが緊急に投棄しなくてはならないような事態が起きたときに、比較的浅いところで起きたような場合にはできるだけ引き揚げるとか、そういうような事後の処置を万全をとってやっていかなくてはならないというふうに考えておるところでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 長期予報にも、その日の予報にも出ていないたとえば突風であるとか、たつまき等現に被害があるわけですから、私は、そういう非常の場合に備えて事後措置をどういうふうにするのか、これはまさに災害ということに私は匹敵すると思いますから、そのこともひとつ十分対策を講ずることで検討していただきたいと思うんです。  それから投棄作業中の被曝というのは輸送中の被曝よりも非常に大きくなると思われるのですが、どの程度までを考えておいでになるのか、資料、説明書等にも出ておりますけれども、どうもあの程度でははっきりいたしませんので、単に一航海といってもいろいろ日数もありますし、そういう点でもうちょっとそこのところを詳しくお聞かせ願いたいと思うんです。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 海洋投棄を実施いたします際に、投棄地点に参りまして、船が低速で走りながら落としていくわけでございます。そういう際にクレーンにドラムかんをつるして落としていくというような作業をいま考えておるわけでございます。そういたしますと、確かにクレーンがちゃんと投棄物をつかんでおるかどうかという確認、あるいはそういうつかむときの補助作業として自動化ができない面が若干ございます。そういうときに作業者は、ドラムかんを積んだ作業場所と申しますか、そこへ行って作業しなくてはなりません。そういうような作業者の被曝が予想されるわけでございます。それをできるだけ低減化するようにいま盛んに調査あるいは措置を検討はしておりますけれども、いずれにしても、ただいま私が申し上げましたような作業で若干の被曝はやむを得ないのじゃないかというふうに見られておるわけでございます。  そこで、安全委員会では、特に海洋の投棄に当たっての安全評価をしましたときに、従業員が多量に浴びるのは望ましくないという立場から、現在の計画につきましての被曝量の推定を実施したわけでございます。その結果が、三千本の投棄をやった場合に、それを一航海当たりでやるわけでございますけれども、被曝する被曝量は従業者一人当たり約二百五十ミリレム程度になるという算定をしたわけでございます。これは放射線下の従業者の線量限度の二十分の一ぐらいになっておるわけでございます。しかし、これがいつもこういう量を受けるというのはそれほど望ましいことではございませんので、一航海と申しますと三日ないし四日の間にあれするわけでございますので、この低減化というのは、これからの試験的な海洋投棄を実施して、その結果を判断しつつさらに低減化するいい方法を考えていきたいというふうな検討課題の一つになっておるところでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 被曝線量に対する基本的な考え方については、ICRPと日本の場合には非常に違うと思うんです。これは後ほどの放射性同位元素等の改正の際の質問で私の考え方を述べたいと思っておりますけれども、ここでお聞きしたいのは、とにかく一航海、わずかの期間の間に二百五十ミリという線を抑えておっても私はこの二百五十ミリではおさまらないのじゃないかという感じがしますし、日本の場合には許容線量というのはそこまで浴びていいという考え方がこれは原発なんかの場合は政府の考え方にもあるんです。ここはICRPの考え方と抜本的に違っている。そこまで浴びていい数字であってはならないんです。ところが、そういう考え方なんです。そういうことで私はこの線量というのは非常に高いというふうに思っているんです。さらにこれは下げるべきだと思うんです。これを将来私は下げるべきだと思うんです、非常に高いし。しかもこれでおさまることはどうも考えられない。もっと浴びるのじゃないかという私は心配を持っているんです。この点どうですか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) これも実は作業環境を想定しての被曝予想量でございまして、四、五人の作業員が三千本ぐらいを投棄するときに一番浴びたとしてもどのくらいになるだろうかというこれも机上の計算でやっておりますので、先生御指摘のように、これよりふえるかどうか。私どもはこれ以下に下げ得るのじゃないかというふうに、わりあい厳しい条件で算定されたものでございます。いずれにしましても、先生の御指摘のできるだけ浴びない方がいいわけでございますので、自動化等を図りつつ低減化の努力をしなければならないことは御指摘のとおりでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 もう一つ、私はこの海洋投棄は反対なんです。反対ですけれども、この法案が通れば皆さん方おやりになるでしょう、これは来年ごろからということをおっしゃっているわけですから。ですから、そこで、いまのうちに厳しく注文しておいた方がいいと思うので申し上げておるのですが、つい先般例の廃棄物の海洋投棄で、投棄してはならないものを、スラッジを投棄したということでずいぶん報道もされ国会でも論議をされたところです。あのときに、もう少し時間があったら私は質問者がもうちょっと突っ込んでやる予定だったのじゃないかと思っておりますことの一つに、こういうことがあるんです。あそこに働く労働者というのがまさに下請労働者であって、たとえば山谷であるとか釜ケ崎等からいわゆる手配師と言われる人たちが募集して、そして船に乗っけて、そしてあの作業をやらしたということで、これは私も確認しておるわけじゃないわけですし、そこまでのことはわかりませんが、うわさとして聞くところによれば、船の上でこれはおかしいと言った人が船が帰ってきたときにはいなくなっちゃった。つまり水葬にされたといううわさを聞いているんです。その調査は警察でもなかなかできないだろうと言われておるんです。しかも、この廃棄物を担当する下請業者の多くというものが、いわゆる暴力団組織が非常にここに入っておるということはこれは確かなんです。  そういうことで、私は、この放射性廃棄物についてもこれはいやですから、結局、その辺の住居不定のような労働者を駆り集めてそして使っていくということで、まごまごすると指定の場所まで行かないで適当なところでほうり投げちゃうなんという事態だって起こりかねないのじゃないか。そんなことをうっかり漏らしたら途中で水葬にされちゃうなんという、そんなことがあったら大変だと思うんですが、現にそういううわさが流れておったわけですから、この間の事件に関しては。想像もできなかった、そんなことはないと否定されておったことが現実にあった。しかも、そこに働いておった労務者が、ひそかに前々からそのうわさを聞き込んでおって、あるいは自分も何回かやらされたものですから、今度はカメラを持っていってひそかにその写真を撮ってきた、これが動かせぬ証拠になったわけですけれども、現に行われているわけです。  そういうことで、私はこのきわめて危険な放射性廃棄物というものが仮にもそんなことになったら大変だというふうに思いますので、これは大臣、特にそういうことにならないような厳重な監視体制というものを私は設けるべきではないかと思いますので、その辺の大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

長田裕二自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○国務大臣(長田裕二君) 私どもは、原子力の研究開発、大変大事なこの問題についての前提は、安全性につきましての国民の理解と信頼を受けること、それが一番大事だ、そのように考えております。  なお、いまの御指摘の問題は別ですが、今後の低レベルの廃棄処分の問題は、国の職員も、それからOECDの原子力関係の職員も、ともにその船に乗り込んでやるという構えでございますし、先ほどのお話のようなことは絶対に起こさない、そのような決意でもおりますし、そのような体制も整っている、そういうふうに考えております。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 それでは、この原子炉等規制法の改正案については一応私の質問は終わりまして、次に、放射性同位元素等による放射線障害防止法改正案について幾つかお尋ねいたしたいと思います。  最初に、放射性同位元素の利用というものが年々拡大されてきておるわけですけれども、その状況についてお尋ねいたします。  まず第一点として、障害防止法施行当時取扱事業所数というものがどれくらいであったのか、そしてそこでは主として何を取り扱っていたか。  第二点としては、利用分野が基礎的なものから応用的なものに飛躍的に拡大されておる中で事業所数も約四千というふうに非常に多くなってきているわけです。そこで、四千という数字であっても、非常に大がかりなものから簡単な、単純なものというふうにあるわけですので、利用分野別の取扱事業所数というものがそれぞれどんな割合になっておるのかということ。  第三点として、RI装備機器は現在一万台というふうになっておりますけれども、特に今回規制の対象にしてより強化しなければならぬというふうに思われる分野といいますか、これはどういうふうに分類されるのか、最初にお聞かせ願いたいと思います。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 障害防止法が施行されました三十三年度の年度末のラジオアイソトープ等の取扱事業所数は合計で五十一事業所でございました。その内訳は、教育機関が二機関、それから研究機関が五、医療機関が三十七、民間企業が六、販売事業所これはRIを販売する事業所でございますが、一の、五十一事業所でございました。  先生おっしゃいますように、三十三年当時は日本でも一般的に使われ始めた草分けの時代でございましたので、その使い方も非常に小規模であり、また研究的な要素が大部分でございました。たとえば医学面ではラジウムであるとかトリチウム、コバルトというようなもので照射の治療等の研究に使うというような程度でございました。また企業面ではイリジウムあるいはセシウム等で、これは比較的非破壊検査というようなことに早くから利用がされる手法がすでにあったわけでございます。それから研究用としては、これは農業、工業、医学等で研究機関がいろいろとコバルト60を用いましたり、その他の放射性核種で放射化分析あるいはトレーサー実験等を行っておったわけでございます。  その後、急激に利用の増大が続きまして、最近におきましては毎年数%の増加を見ておりまして、先生の御指摘のように現在は四千事業所を超えるような利用の拡大があるわけでございます。その量的なあるいは質的な変化が生じております面につきまして特徴的に申しますと、最近の傾向といたしまして、利用分野の拡大のうち、たとえば公害分析であるとか製品の品質管理等にRIを使用しました機器類が相当大量に使われるようになったことがまず第一点に挙げられようかと思います。それから先ほどからも出ておりました病院の利用、すなわち診断、治療に短寿命のアイソトープを使う分野が非常にふえてきております。このうち、最初に申し上げました公害分析であるとか製品の品質管理に用います代表的な装置は、たとえばガスクロマトグラフィーという分析装置でございますけれども、これらは工場等の製品の品質管理に相当使われております。また同様に、物の厚さをはかる厚さ計であるとか、水分の量をはかる密度計、あるいは公害物質の硫黄を測定するというようなことでのRI装備機器が特に普及が激しいわけでございます。たとえば、この装備機器類は四十九年度で約五千台でございましたが、わずか数年、五十三年度末にはそれが一万台と、四年間で倍増しておるようなふえ方をしておるわけでございます。それから病院でがんの治療、あるいは物質に放射線を当てるという大量のラジオアイソトープの照射装置、これはただいま、いままでに申し上げましたよりは伸び率は低うございますけれども、大線量のRIを使う事業所も着実に伸びてきておるところでございます。  それからもう一方、医療機関で、アイソトープではございませんで、放射線発生装置をがんなどの治療に盛んに使われております。こういうような発生装置の使用も相当の増加を示してきております。最近の、これも四十九年度と五十三年度を比較いたしてみますと、約三百三十台程度のものが四百十台ぐらいにふえておる、約三割ぐらいは増加しておるというようなことで、毎年一〇%以上は着実にふえておるというのが現在の実情でございます。  それで、私どもといたしましては、特にRIを装備したそういう計測器等が非常にふえてきておりますが、現在の規制法ではある一定量以上のアイソトープを使う場合には使用の許可をとる必要がございますが、その使用の許可を同じ型式のものでも一々使用許可を与えなければならないということで、非常に事務の煩瑣な処置を必要としておりますので、こういう計測器等で、あるメーカーが大量に製造いたしまして同一の種類のものが大量に使われているものは規制の仕方を今回若干変えさせていただきたいということで、RI装備機器の型式承認の制度を障害防止という観点から行わせていただきたいということも含めまして、規制の強化並びに合理化を図る法律改正をお願いしておるわけでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 それから今回の法改正で放射線取扱主任についていろいろな点で規制が強化されたりしておるわけですけれども、現在の有資格者数はどれくらいなのか、それから毎年どれくらい受験者があるのか。それから資格取得で、今回の改善内容というのはどういう点があるのか、これらについてお聞かせ願いたいと思います。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 現在の放射線取扱主任者は、第一種と第二種とに分かれておるわけでございます。第一種と第二種の違いは、第一種の方が線量の多いもの、やや危険なものを扱う事業所に置かなければいけない制度でございます。それ以下のものを第二種、ある一定量以下のものを第二種にしておるわけでございますが、現在までにその主任者の資格を取っておる方は、試験を受けて合格しました方が二万五千五百十四人おられます。法律制定時に認定制度というものがございまして、試験によらないで認定をした方が三百五十一名おりますので、これは二年間でやめておりますけれども、それを加えまして二万五千八百六十五名になっております。  それで、最近のこの試験の受験者の数でございますけれども、毎年約一万人の方が受験を希望し、受けておられるわけでございます。こういう受験者は日本じゅうに散らばっておりますので、現在、東京、大阪あるいは仙台、福岡を加えまして四カ所で毎年試験を行っておるところでございます。この取扱主任者の問題といたしましては、いわゆる学生の受験者かふえてきたということ、あるいは学生でなくても、学生というのは通常放射線の取り扱いの実務を経験していない方が多いわけでございます。そういうような実務を経験していない方が、いわゆる自動車で申しますとペーバードライバーのような方が非常にふえてきております。これは筆記試験でございますので非常に合格率も、若くて学生ということになると比較的高いわけでございます。いまの制度ではそういう資格を持った方は直ちに会社等に入りまして主任者になれるわけでございます。そういたしますと、実務の経験がない、頭だけで物を覚えている方が主任者になるという場合に、非常に管理面で十分でないという問題点が起きてきておるという認識が一つございます。そういうような点を改善するために、主任者になる際には試験を受けて合格した上でさらに指定する講習を受けなければ主任者にはなれないという制度を新たに設けさせていただきたいというのが主任者関係の改正の第一点でございます。  それから先ほどもお話し申し上げました放射性同位元素を使った放射線装備機器類のうち、ガスクロマトグラフィーであるとか、厚さ計であるとか、硫黄計というような、それほど量的には大きくないRIを使っておる装備機器で、しかもその機器自体の中で十分放射線の遮蔽ができておるきわめて安全な種類に限定いたしまして、そういうような機器を取り扱う場合には試験を受けなくても指定した講習を受けることによりまして取扱主任者になし得るという便法もつけ加えて、強化と同時に若干緩めることも加えまして主任者の制度を改善させていただきたいというのが今回の法改正に当たりましてのお願いでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 輸送の安全規則については国際的な基準があって、日本でも相当取り入れられていると思うんですが、今回の法改正でも、さらにその規則の改善といいますか、規制で幾つかの点で強化された面もあると思いますし、簡単になった点もあるのじゃないかと思うんですが、その主要な改正点の内容、これをちょっとお聞かせ願いたいと思います。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 今回の輸送関係の安全規制につきましては、簡単にしたと申しますよりも、すべて強化の方に働いておると私は考えておるのでございますが、これはIAEAがこういう放射性物質の、核燃料物質も含めてでございますが、輸送に当たっての国際基準を定めております。その新しい規則にのっとりまして障害防止法の方の改正がおくれておりましたので改正させていただきたいということでございます。  それで、いままでの法律体系では事業所の内と外との輸送というものを一緒くたにしておりましたけれども、事業所内につきましては事業者の責任で事業者が自主的にちゃんとチェックしなさいという制度にしてございまして、一歩外に出ましたときには厳重に従来以上に管理する手法を取り入れたわけでございます。したがいまして、事業所外で運搬をいたします場合には、政令で定めます一定の量以上を輸送いたしますときには、輸送の物につきましては科学技術庁長官、それから輸送方法につきましては運輸大臣が確認しなければいけないという確認義務を新たに設けさせていただいております。この一定量以上輸送する場合でも、非常に大量に輸送するような場合は現地で検査を受けなければいけないような制度も加えまして、確認義務というものをつくったわけでございます。  また、こういうような輸送をいたしますときには政令で定める場合、これは一定量以上の場合でございますが、都道府県公安委員会に届け出を義務づけております。公安委員会は、その届け出を受けたときには一定の指導をできるようなシステムをつくってあるところでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 次に、今回の法改正の中でも非常に大きなものとして、いろんな業務あるいは検査等が大変な分量になってきておるということもあって、指定機関による業務代行制度というものが今回新たに設けられることになったわけですけれども、私が一番心配いたしますのは、全国で、先ほども最初に質問した中でも、事業所というものが四千事業所にもなっておるとかということで、それから試験等についても四カ所でやるということですが、毎年一万人ずつ受験者がふえるというふうなこともあってこれは大変だと思うんです。そういうことで、今度の指定機関というものは一体どういうふうなものを考えておいでになるのか。それから激増するいろんな業務について、果たしてそれらの指定機関の限られた人員なりあるいは機器の特に検査、こういうものについて本当にやり得るのかどうなのか。そのことを私一番心配するものですから、その点について御説明をお願いしたいと思うんです。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) この指定機関というのは、法律上はそれぞれの業務に分けまして機関をつくっておるわけでございますが、私どもといたしましては、この法律改正をお認めいただいてから直ちに一つの公益法人をつくりまして、そこに各種の指定機関の業務を代行させようと思っております。したがいまして、指定機関ごとにいっぱい法人をつくるということではなくて、できるだけ一つの能力のある法人をつくりたいというふうに考えておるところでございます。  そこで、たとえば国としてはここが厳正に業務をやれるように監督もするわけでございますけれども、何分にも初めてこういう機関をつくるわけでございますので、スタートの時点等におきましては特に助成措置が必要であろうと考えておるわけでございます。そこで、この指定機関は、業務を代行しますときに検査料等を取りまして食っていくわけでございますけれども、たとえば試験等あるいは講習を実施いたします講習の代行機関としてはいろいろな施設が必要でございます。こういう施設につきましては、本年度予算で施設建設費を国が建てるということで予算要求しておりまして、国が建てまして、それをこの指定機関に、公益法人に無償貸与するというような助成措置をとりまして、この機関の円滑な運営に資する基盤をつくってやりたいというふうに考えておるところでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 次に、放射線防護基準として一九七七年に国際放射線防護委員会、ICRPが出した勧告パブリケーション二十六が今回の改正に当たってどのように考慮されたか、これが具体的にはどこに盛り込まれておるのかということをお聞きしたいと思うのですが、その前に、先ほどの質問の最後のところでもちょっと申し上げましたが、ICRPの放射線防護に対する考え方と日本における受けとめ方、考え方というものには非常な差があるわけです。そこで、私は、この法改正の時期に際して、特に大臣や科学技術庁の皆さん方にはその点を今後真剣に検討していただきたいと思うんです。  昨年十二月七日の委員会で、私が福島原発について定期検査での被曝許容線量をどのように考えているのか、許容線量というよりも定期検査時におけるその日その日のいわゆる管理被曝線量というものを百ミリから今度は千ミリレムに上げるのではないかというお尋ねをしたところ、通産当局はそんなことは考えてもいないし聞いたこともないというふうなことで、徹底してそのときには否定されておったんです。大臣もお聞きのとおりなんです。ところが、その後、私の総理大臣に対する文書質問の中では、私の指摘したとおり、十倍の一日一千ミリレムまでは認める、認めるというよりも法規制がないわけですから、電力会社が一方的にそういう内部目安というものを決めてそれで労働者を働かせておったという事実が明らかになったわけです。私はあれを見て、これは非常に大変なことだと思ったんです。ことしに入ってからの予算委員会における私の質問に対して、同じく通産当局がどういう答弁をやったかといいますと、日本における基準というのは三カ月間三レムが許容線量になっております、したがって一日三レム浴びても、三千ミリレム浴びても三カ月間三千ミリレムにとどまっておればこれでよろしいのですという、そういう考え方を披瀝されたわけです。私はこれを聞いてびっくりしたわけです。そんな勇気のある人間、一日に千ミリレムとか三千ミリレムも浴びるのですよということを言われて働く労働者なんか一人もいないです。そんなこと知らぬでみんな働かされておったわけです、いままでは。大変なことなんです。一番よく知っている人ほどいやがるんです。  正確な数字は忘れましたが、たしか三、四年前だと思いますけれども、東京電力の労働組合が組合員に対して調査をやったのです。あなたは原発の現場で働きますかという調査をやりましたら、たしか七〇%前後の皆さんが一日も早く現場から逃げ出してほかの職場へ移りたいと答えておるんです。いろんな深刻な結果が組合側がやった調査でも出ているんです。組合側がやった調査で出ているという言い方はおかしいと思いますけれども、東京電力、いわゆる電力労連というのは原発積極推進ですから、下手なことを書いたら逆に組合員からやられるような組合ですから、そういう組合の調査ですら組合員の多くの皆さんがやっぱり被曝はいやだ、結婚してまた変な子供でも生まれたら大変だというふうなこともあって、できるだけ早くそういう職場から逃げ出したいということが端的に出たわけです。そういう点で、私は低線量被曝の影響というものに対する認識なり評価というものが、当局やあるいは電力会社を中心とする原子力を扱う管理者なり、あるいは管理者というよりも直接それに携わらない経営者、管理者、こういう者の認識が非常に薄い、甘いというよりも、実態というか、その恐ろしさというものをつかんでいない、認識をしていない、こういう点でむしろ私は背筋の寒い思いをしているんです。私は、この労働者被曝の許容線量というものはいま三カ月三レム、三千ミリレムというふうに規定され、年間五レムというふうに規定されておりますけれども、これは徹底的に下げるべきだ。  私どもの社会党の考え方では、たとえばこれは原発に限らないわけですけれども、原発の問題で言ったから原発に就労する者についてはというふうに言っているのですが、これは何も原発に限らぬわけですけれども、外部被曝で年五百ミリレム以下、健康に重大な影響を与える内部被曝についてはより厳しい基準を設けるべきであるという提案をしているんです。これはなぜか、その根拠は何かということですけれども、ICRPは、年五レムの線量当量限度で管理されていると実際には職業上の平均年線量当量は五百ミリレム以下になっていて、この値は危険度が十の四乗分の〇・五で、十のマイナス四乗から十のマイナス五乗の間にあり、職業上の容認できると考えられている危険、年十のマイナス四乗の範囲内にあると述べているのです。つまり年五レムという線量当量制限というものを設けても実際はその十分の一の五百ミリレム以下におさまっているということで、五レムまで浴びていいという考え方ではないんです。  ところが、日本での法令に定める最大許容線量に対する政府、電力会社の考え方、あるいはこういうものを取り扱う管理者の考え方は、ICRPの管理基準値に対する考え方とは異なって、ここまでは被曝してもよいという考え方なんです。また、実際にもそのように運営されているわけです。そのことは私が先ほども申し上げましたように、たとえば三カ月三レムであるから、極端な言い方をすれば一日三レム浴びたってそれは基準内におさまっておって違法ではないのだというそういう考え方があるわけですから、一日千ミリレムという諸外国では考えられもしない途方もない目安線量というものを設けて実際に炉心内の作業を労働者にさせているということが明らかになったわけです。ところが、東京電力の労働組合はどうかというと、労働交渉、労働協約の中で、協約までいったかどうかわかりませんが、会社側との交渉の中で確認しているのは、自分たちだけは百ミリレム以内あるいは三十ミリレム以内という、他の下請労働者の十分の一でもってこの管理線量を抑えているわけです。こんなばかげた差別を許しておくこと自体これは大問題であるわけです。  そういう点で、私は通産省の電力会社に対する指導であるとか、それからまた、これは大臣によく聞いておいていただきたいのですが、原子力安全委員会というのは、この労働者被曝も含めた安全性についての基準を定めたり、あるいはそれが基準に合致しないというふうな場合のとにかく原子力に関する安全性についての責任というのはこの安全委員会が負っているわけです。ところが、このような現状が放置されておるわけです。だから私は大変だというふうに思っているわけです。私に言わせれば、この年五百ミリレムの基準でさえ職業上の他の危険、さらには内部被曝、放射線の遺伝的効果による危険を考慮するとこれでも安全な数値であるとは言いがたいわけです。たとえばマンクーゾ等は、ハンフォードのデータの分析を再分析した結果、がん死亡の割合はICRPの勧告値より七倍以上高いことを発見しているわけです。ICRPの勧告値は、原爆被爆者や強直性脊椎炎患者の調査結果に基づくものであるわけです。これらの集団ががん以外の死亡率が高く短期間内に高線量の被曝をしたものであるのに対し、ハンフォードのデータは、原子力産業労働者について、がん以外の死亡率が特に高くないグループが低線量率で低線量の被曝をした場合の唯一のデータであることから、ICRPを初め各国は、勧告や法令化に当たってこのハンフォードのデータというものを十分に尊重すべきであるのです。  さらに、ここで私がつけ加えて申し上げたいと思いますのは、この外部被曝というものだけでなくて、実は他の物質との相乗効果というものが最近次第に明らかにされつつあるわけです。たとえば近年エチオニンと放射線との肝臓がん発生に対する相乗作用や、ウラン微粉末とたばこの煙との呼吸器がん発生に対する相乗作用、そういうものが明らかになってきておるわけです。これは私が勝手に言っているのではなくて、前のエチオニンとの相乗作用については、N・C・テレスほかの皆さんがウィーンで開かれたIAEAの放射線誘発がんに関するシンポジウムの中でこれは述べておるわけですし、それからウラン微粉末とたばこの煙との呼吸器がんに対する相乗作用についてはV・E・アーチャーほかの皆さんが述べておることなんです。これはジャーナル・オブ・オキュペーショナル・メディスン十五巻の二百四ページに出ておりますけれども、そういうことで相乗作用というものが最近非常に明らかになってきたわけです。そういう点で私たちとしては、単にその放射線被曝をする職場での被曝だけでなくて、いろんないま危険な物質に取り巻かれておるということからも、どんなに低く抑えててもこれでいいということはないというふうに思うわけです。  また、特に女性と幼児に対する影響というのは非常に強いということも最近明らかになっているわけです。一般公衆の中には、従来の幼児等だけでなくて、女性の乳がんに関する研究、あるいはブロス等の研究によってがんに関して特に感受性の高いグループがあるということが最近わかってきておるわけです。そういうことで、私たちとしてはこの放射線被曝についてはできるだけ抑えていくということが望ましいわけです。  まだ、これからずっと述べたいのですけれども、きょうはこの問題を中心にやるということでないわけですが、しかし、私は今度のこの法改正の趣旨というものについて、もし認識が、私が当初指摘し、現実にいまの日本の運営の中で行われているような許容線量というものに対する考え方が、ここまで浴びてもいいのだというそういう考え方であるならばこれは基本的に間違っておるし、これは大変なことだ、そういうことから多くの事故というものをまた引き起こしておるというふうに思うわけです。  そういうことを当初に申し上げておいて、今回の改正に当たっては、そういう点でICRPの精神というものがどのようにこの法案の中に反映されたのかどうなのか。ところが、一番肝心なそこが置き忘れられて単に法上の技術論に終わっておったとしたら、私はこの法改正というのはいたずらに逆に事務的に煩瑣さを増すだけであって、事業者にとってもそこに働く人たちにとってもメリットはない、むしろデメリットの方が多くなるのじゃないかというふうに思うので、ちょっと前置きが長くなりましたけれども、その点についての検討結果なり見解というものをお聞かせ願いたいと思います。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 今回の法改正に当たりまして当然新しいICRPの勧告の趣旨をどういうふうに組み込んでいくべきかということについての議論は、放射線審議会並びに安全委員会に設けました専門部会でも議論していただいたわけでございますが、先生ただいまいろいろ御指摘のございました放射線の防護に当たっての放射線の基準、数量等につきましては、これはいまの法制度の中では政令等の以降のところで規制されるような体系になっておりまして、現在放射線審議会におきましても引き続き検討を加えておりまして、この法案をお認めいただいたときに各種の政令、府令等の改正が必要でございますが、それと時期を合わせて改正すべきものは改正したいというふうな態度で臨んでおるところでございます。  なお、この法案で特にICRPの勧告と密接な関係を持って修正された面につきましては、従来から行っております放射線作業者の健康診断についての考え方が、従来は異常者の発見ということが目的になっておりましたけれども、先生の先ほど御指摘もございましたような年間五レムでALARAの精神を入れて適当に管理されておる施設では、異常者の発見という目的で健康診断を行うのは適当でない、むしろ医学的なサーベーランスとして業務を継続してもいいかどうかを確認することに置くというような点での問題点の指摘は、法律マターでございますので取り入れられております。それから今後ICRPの考え方から新たにとらなければいけない諸問題といたしまして、先生ただいま御指摘の職業人の線量当量限度、これは現在三カ月三レムでございますが、新しい勧告では年間五レムということにする勧告が出ておるわけでございます。そういうような点、その他細かい政令、府令あるいは規則の段階での改正マターにつきましては、現在放射線審議会並びに安全委員会の専門部会で引き続き検討が行われておるところでございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 最後のところで、従来の三カ月三レムから今度は年間五レムというふうに勧告も変わっておる、変えられるという説明があるわけですけれども、ですから、私は日本における受けとめ方とそれからICRPなり諸外国における受けとめ方が基本的にどうも違っているようなので、下手をすると、また基準を厳しくするのでなくて、私がさっき言ったように、三カ月三レムだから一日三レム浴びたって三カ月間その後浴びなければそれでいいのだという考え方が、今度年間五レムということになったら一日五レム浴びたって後一年間何も浴びなければいいという、とんでもないところへいく危険性があるということなんです。日本ではそこまで浴びていいという考え方。ICRPの場合にはそうじゃなくて、さっき説明したように、年間五レムとなっているのはそこまで浴びていいという考え方じゃないんです。年間五レムというふうに設定すれば実際的にはその十分の一の五百ミリレムにおさまっているという、そういう考え方なんです。だから、私はそういう点でも、もうちょっと基本的なとらえ方というものを検討していく必要があるだろうというふうに思います。  大臣、私のところに十数例資料が入っておりますけれども、管理がきわめて不十分、でたらめであったためにどれだけ被曝したのかが明確でない、しかし、これはだれが見ても放射線被曝によるものであるということがはっきりしている人たちが数人、そして現にこれはもう大変な事態になっているわけです。それから今度は、いま言う基準以内の三カ月三レムという基準内であったけれども、明らかに放射線被曝であるという例が残りの例なんです。これで見ますと、私は三レムだから大丈夫ではなくて、三レム以内の低線量であっても、やはり被曝の恐ろしさというのはだんだん最近はっきりしてきたのじゃないかという感じがするんです。その問題については、いずれこの科技特でやりますか、あるいは商工委員会でやりますか、具体的な例をもとにして私はこの問題について徹底した論議をやってみたいというふうに思っておるんですが、とにかく私がいま入手している資料ではそういうことがはっきり出てきているんです。そういうことで私は、今回の法改正でそこまでの抜本的な検討は無理ですけれども、そのことを頭に置いてこれからの法の運用、いまさら基準を変えるとかなんか言ったってこれはなかなか簡単にいかぬでしょうけれども、運用上はできるだけ低線量に抑える、被曝はできるだけ避けていくという、こういうひとつ精神で法を運用していただきたいと思うんです。  そこで、法体系の整備についてでありますけれども、まず最初に、原子炉等規制法それから労働安全衛生法との関係ではどのような点を整備すべきだと思われたのか。今回の改正ではどの点が取り上げられ、将来関連法案の全面的、統一的な改正がなされる必要があると思われる部分がどこなのか。非常に広範多岐にわたっているものですから、そういう点で関連法案と統一的に私は整備をしていく必要があるのじゃないかという観点からいま申し上げているのです。まず、その点を最初にお聞かせください。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘の原子炉等規制法並びにRI関係の障害防止法並びに労働省が所管しております労働安全衛生法等々で原子力の放射線下での作業等に関します規制が、物によりましては完全にダブっておるわけでございます。この点につきましては、原子力関係の二法におきましては事業者を規制する法律でございます。一方、労働省の法律はもちろん事業者を規制するわけでございますが、法の精神が、労働者がこういう放射線障害にならないようにという労働者の立場の面を見てからの規制ということもあります。そのやり方が基準的に整って、違っておるということはこれは望ましいことではないと思いますが、法の精神から申しまして、それぞれがダブるのはやむを得ないところではないかと感じておるわけでございます。しかしながら、たとえば厚生省の法律とうちの法律で適用除外等と申しますか、抜けておると申しますか、非常に複雑な関係でもち合っておる問題等ございます。この辺につきまして並びに技術基準を斉一化するということにつきましては、技術基準を制定しますようなときに当然放射線審議会の議を経ることに義務づけられておりますので、私どもとしては、各省庁が同一の考え方で同一の基準で、それぞれの法律の精神にもちろんのっとるわけでございますけれども、行われるようにすべきではないかということで、今後、関係の放射線審議会であるとか安全委員会での基本的な議論をしますときに、引き続き御議論をいただきたいと思っておるところでございます。現状におきましてはそういうことでございますので、できるだけ早い期間に、基準の斉一化につきましてはできるだけ早く進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。     —————————————

塩出啓典公明党

○委員長(塩出啓典君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、源田実君、玉置和郎君、中山太郎君、森下昭司君、福間知之君及び佐藤昭夫君が委員を辞任され、その補欠として降矢敬義君、増岡康治君、伊江朝雄君、高杉廸忠君、広田幸一君及び下田京子君が選任されました。     —————————————

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 それじゃ、もうちょっと具体的にお聞きしますが、RIの定義があるわけですけれども、診断、治療または予防の目的に使用されるときは医薬品として規制され、同一のものでもそれ以外の目的で使用される場合は、RIとして障害防止法による規制が行われているわけです。この整理統一ということを図っていく必要があるのじゃないかというふうに思うのですが、この点ではどのような考慮が払われたのか、また今後どのように考えていかれるのか、お聞かせ願いたいと思いますし、まずそれをお聞きしたい。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) この法律をつくりますときに、先生御指摘のように医薬品として医療——診断、治療に使いますものにつきましては、障害防止法の適用を除外しておるのは事実でございます。その理由として考えられることは、それ以外の目的に使うということは、主として研究に使うというのが大部分であろうかと思うのでございますが、こういう診断、治療のための研究ということになりますと、医者が必ずしも診断、治療に使うわけではなくて、いろいろな研究者等も入り込んでこういう研究を行うわけでございますし、また、その使い方等につきましてのいろいろな技術を新しく開発するというような行為でございますので、お医者さんが診断、治療に使うように定型的になっておるものではないというようなことから、私どもの方の障害防止法で厳重に規制するということになったのであろうと私は思っております。ただ、この問題につきましては、お医者さん等の御意見として、これほどRIを使うことが一般化してきた経緯もあって、むしろ医療法、薬事法に一括して規制した方がベターなのじゃないかという意見も出ておることは事実でございます。このようなこともございますので、今後さらに関係いたします厚生省等とよく協議して規制ができるだけ統一的に行えるようにいたしたい、そのようなことでアイソトープを使う方が混乱を生じることのないようにしていきたいと思っておりますが、今回の改正ではそういう点についての話し合いまでは至っていないのが現状でございます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 時間も余りないようですので、聞きたいことはたくさんありますが、幾つかにしぼってお聞きします。  先ほどもちょっと出ておったようですが、RI管理状況についてですけれども、ここ数年の事故の状況がどうなっておるのか。  それからRI取扱事業所における放射線検査官の立入検査実施の状況とそれから検査結果。それに基づく問題点がどのようなものかということ。  それからRI施設に対する使用開始前検査はどのような施設が予定されているのか。  それから定期検査は事前検査を必要とした施設に限定するのか。  検査代行機関と検査の基準というのは、これは先ほどお聞きしたから結構でございます。  これらについてお聞きいたします。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) ここ数年の事故の状況でございますが、放射線障害防止法の規制の対象になっております事業所で、この五年間に被曝事故が七件、それから紛失事故が九件、盗難事故が一件、その他七件で、計二十四件が報告されてきております。  私どもの現在の法律体系では、先生御指摘のように立入検査をやっておるわけでございますが、立入検査の結果は毎年集計して整理しておるところでございますけれども、事業所がすでに四千件になっておりまして、われわれが立入検査を毎年いたしますのは、最近は四百件前後でございます。その検査に当たりましては、改善を要しそうに思われる業種等にある程度重点を置きつつ実施しておるわけでございますが、五十三年度におきましては四百六十事業所について立入検査を行っております。このうち何らかの違反を指摘してまいった事業所は、入りました事業所の約六割の二百七十四事業所で何らかの違反がございます。これらは、たとえば軽いものでは、施設のうち標識をちゃんとつけろとか、注意事項を掲示しろというのがなされていないというようなことも含めての違反でございますが、そういうものは直ちに口頭でちゃんとしなさいということで指示しておるわけでございます。そのほか施設関係の違反で、作業室の床が本来汚染した場合にすぐ除染できるようにつるつるになっていることを基準に書いてあるわけでございますが、それがひび割れしておったりしておるようなところも出てくればそういう点を直させるというようなことで、ほとんどの事業所の違反は違反ではございますけれども、従業者に対しての被曝ということを守る観点の法律の趣旨から言いますと、そういう事態に至っていないのが大部分でございます。そういうものを発見次第指示しておるところでございます。  それから特に重要なのは、法令で定められております従業者の被曝の測定、放射線量の測定あるいは健康診断等が着実に行われているかどうかということについても重点的に調べておるところでございますが、ややもすると記帳が行われていないというようなこと、それから健康診断等が定期的に行われていないというのを発見するケースも多く見られておりまして、その都度厳重に注意してきておるところでございます。  それから今回の法改正で使用前検査と定期検査の義務づけをお願いしておるところでございますが、私どもとしては、どの程度以上の線量を取扱施設にこの施設検査または定期検査を義務づけるかにつきまして決めていかなくてはならないわけでございますが、この点につきましては、事務局としての案はいろいろ考えておるところでございますが、私どもとしては、放射線審議会にお諮りいたしましてその御意見も取り入れた形で実施したいというふうに考えておるところでございます。いずれにいたしましても、放射性同位元素の種類であるとか形態によりまして違ってくる、あるいは取扱量によりましても違うものと考えております。ある一定量以上のものにつきましてそういうことを義務づけたいと思っております。  それから施設検査を受けなければならないような施設は必ず定期検査をやるという考え方で進めてまいりたいと思っております。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 次に、放射線取扱主任者制度についてお伺いいたします。  実は、これは何年か前に大きく報道されたのですが、高校生がある職場にアルバイトに参りまして、そして持たされたものが実はラジウムでしたか、これは大変なしろものを預けさせられたのですが、そういう危険なものだということはちっとも言われなかったということで、それを持ち歩いて大変な事態になったということは皆さんも御承知のとおりだと思うんです。そこで、私は、この放射線取扱主任者制度については、その主任者そのものに対する教育だとか資格を厳重にするとか、いろんなことがあると思うのです。ところが、私はむしろそのことよりも、その主任者がどんなにりっぱな資格を持っておっても、その方がその事業所なり会社における組織あるいは機構上の地位によって影響力がきわめて少ないということで、たとえば工場長であるとか事業所の所長の命令によってそういう者が逆に軽視をされて十分な管理が行われないというふうなことになっては私は大変だと思います。そういうことで、私は、その取扱主任者に対する講習等、いろんな点での資格の内容を充実をすると同時に、そのことが十分任務を果たせるように、そこの最高の責任者なり直接の管理運営責任者に対する、認識を改めさせるそういう講習のようなものをむしろ義務づけることの方が重要ではないかというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) 先生の御指摘、確かに経営者の体質によりまして放射線管理の実が上がらないような場合もあり得ようかと考えますので、先生の御意見はいろいろ検討させていただきたいと思っておりますが、今回の法改正に当たりましては、そういう点もおもんぱかりまして取扱主任者の意見を尊重しなくてはいけないという規定を入れさせていただいております。  それから事業者に対しましては、従業員に教育をしなければいけない、その教育をする基準を設けさせる根拠の改正もやらせていただいておるところでございまして、そういうようなものを通じまして事業所の経営者の啓発と相まちまして万全を期していきたい。特に今回は指定機関をつくらせていただきまして、講習等を行う指定機関というのをつくるわけでございますが、たとえば、そういうようなところで経営者の講習会をやるというふうなことも十分考えられることではないかと思いますので、先生の御趣旨、十分検討させていただきたいと考えます。

吉田正雄日本社会党

○吉田正雄君 それでは、時間の都合であるいはこれが最後の質問になるかもわかりませんが、次に、従業員被曝登録制度についてお伺いいたします。  御承知のように、現在の法規制の中では、RI事業所従業員の被曝線量の測定、記録及び管理、保存についてはその事業所が責任を持ってやることになっておりますし、それからこの記録等については永久保存ということになっておるわけです。ところが、その事業所がつぶれてしまった等、倒産等によってなくなってしまいますと、その記録というものが一体どこに行くのかこれは不明確なわけです。そこで、現状ではその管理状況がどうなっておるのかということがまず第一点です。  それから第二点としては、RI事業所の従業員の、放射線影響協会のいわゆる中央登録センターによる統一的な被曝線量の記録、管理については望ましいと思うんですけれども、どのようにお考えになっているのかということ。  第三点として、中央登録センターで果たしてそのことをやり得る現在の機構、能力状況になっておるのかどうかという点。  これをお尋ねして、私の質問を終わります。

牧村信之科学技術庁原子力安全局長

○政府委員(牧村信之君) RI事業所におきます従業者の被曝線量の測定、記録、管理、また、その記録されたものの保存につきましては、法令によりまして永久保存をさせるようになっておるわけでございます。現在までのところ、そういうことできわめて残念なことでございますけれども、事業所の二件だけが、確かに倒産しまして、その記録がないものがございます。ただ、事業所を廃止したものがこの十年間で約三十一事業所ございますけれども、これは他の会社等に吸収合併ということで引き続き引き継いで保存されておりますので、ただいま申し上げました二件についてのみそういうことができなかったということでございます。われわれとしては、そういうことが今後ないように、できるだけ国が引き取ってやるとか、何かの方法を考えていくべきだと思います。そういう観点から、ただいま御質問の被曝登録センターで、私どもとしては法律的にあそこを指定いたしまして、永久保存の義務もあそこに行わせようかというふうに考えていろいろ作業を進めておるところでございます。  そこで、放射線を取り扱っております事業者は、先ほども御説明しましたが、非常に多岐にわたって数がふえてきておりますので、電気事業所で働いております従業者を登録するような、非常に大どころがやっておるということとは違いまして、非常に数が多くて一事業所当たりはそれほど多くないということでございまして、こういうものをこの登録センターに登録させる方法としてどういう方法がいいだろうかという議論を、実はいま役所も入りましていろいろ議論しておるところでございます。いまのわれわれの考え方では、こういう登録をしてそのデータを引き出す一件当たりの何らかの経費を、料金制度を設けることによってRIの事業所で働く方々の被曝データを登録できないものだろうかということで鋭意検討を進めておるところでございます。その検討をまちまして、このRI事業所の従業者の登録管理もぜひやっていきたいと思っております。おかげさまで原子力施設の登録、管理につきましては非常にスムーズにいきまして、ほぼ通常の運営状況になってきております。そこで使いました登録のシステムあるいは計算機の活用の技術等々がセンターに蓄積されてきておりますので、方針さえ決まれば比較的スムーズにいくものと考えておるわけでございます。あとは一にかかって放射線取扱事業者の方々の理解を得ることが問題ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。

塩出啓典公明党

○委員長(塩出啓典君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩出啓典公明党

○委員長(塩出啓典君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に替成の方は挙手を願います。    〔替成者挙手〕

塩出啓典公明党

○委員長(塩出啓典君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、熊谷君から発言を求められておりますので、これを許します。熊谷君。

熊谷弘自由民主党・自由国民会議

○熊谷弘君 私は、ただいま可決されました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、公明党、日本共産党、民社党及び新自由クラブ、以上五会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。     核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、低レベル放射性廃棄物の海洋処分については、その安全性に関し十分な調査及び実証のもとに行い、安全の確保に万全を期するとともに、投棄にあたつては水産関係者の一層の理解を得るよう努めること。  二、放射性廃棄物の海洋投棄に際しては、効果的な国際監視機構のもとで国際協調を図ること。   右決議する。  以上であります。

塩出啓典公明党

○委員長(塩出啓典君) ただいま熊谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

塩出啓典公明党

○委員長(塩出啓典君) 全会一致と認めます。よって、熊谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、長田科学技術庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。長田科学技術庁長官。

長田裕二自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○国務大臣(長田裕二君) ただいま、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の上御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。  私といたしましては、ただいま御議決になられました附帯決議の御趣旨を十分尊重し、放射性廃棄物の海洋投棄につきまして、その安全確保に万全を期する所存でございます。  何とぞよろしくお願い申し上げます。

塩出啓典公明党

○委員長(塩出啓典君) 次に、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

塩出啓典公明党

○委員長(塩出啓典君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、松前君から発言を求められておりますので、これを許します。松前君。

松前達郎日本社会党

○松前達郎君 私は、ただいま可決されました放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党及び新自由クラブ、以上六会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、放射性同位元素使用事業所等の従業員の放射線障害防止に万全を期すること。  二、指定検査機関等に対しては、厳正な業務実施が確保されるよう十分指導監督を行うこと。  三、放射性廃棄物の安全かつ合理的な処理処分方法についてさらに検討を進めること。   右決議する。  以上であります。

塩出啓典公明党

○委員長(塩出啓典君) ただいま松前君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

塩出啓典公明党

○委員長(塩出啓典君) 全会一致と認めます。よって、松前君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、長田科学技術庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。長田科学技術庁長官。

長田裕二自由民主党・自由国民会議科学技術庁長官

○国務大臣(長田裕二君) ただいま、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、慎重御審議の上御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。  私といたしましては、ただいま御議決になられました附帯決議の御趣旨を十分尊重し、放射線障害の防止に万全を期する所存でございます。  何とぞよろしくお願い申し上げます。

塩出啓典公明党

○委員長(塩出啓典君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩出啓典公明党

○委員長(塩出啓典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時七分散会

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