エネルギー対策特別委員会 第3号
- 発言数
- 87 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/02/29
会議録
○委員長(吉田実君) ただいまからエネルギー対策特別委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る二十三日、吉田正雄君が、また、昨日、市川正一君が委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君及び橋本敦君が選任されました。 —————————————
○委員長(吉田実君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 エネルギー対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、参考人として日本学術会議エネルギー・資源開発問題特別委員会委員岩尾裕純君、政策科学研究所理事長笠井章弘君、法政大学教授力石定一君及び立命館大学教授村田富二郎君の出席を求め、その意見を聴取することにいたします。御異議ございませんでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉田実君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(吉田実君) エネルギー対策樹立に関する調査を議題といたします。 本日は、本件につきまして、お手元の名簿にございます四君の参考人の方々から御意見を拝聴いたしたいと存じます。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、皆様方には、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本委員会は、エネルギー対策樹立に関する調査を進めておりますところでございますが、本日、皆様方から中長期のエネルギー需給見通しと供給確保策について、それぞれの忌憚のない御意見を賜りまして、本調査の参考といたしたいと存じておる次第であります。どうかよろしくお願い申し上げます。 これより参考人の方々から順次御意見をお願いいたしますが、議事進行上まことに恐れ入りますが、お一人三十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質問にお答えをいただきたいと存じます。 なお、力石参考人には三時からの出席をお願いいたしておりますので、出席次第意見の開陳を願うことといたしたいと存じます。 それでは、御出席の参考人の方々に順次御発言をお願いいたします。 まず、岩尾参考人からお願いいたします。岩尾参考人。
○参考人(岩尾裕純君) 岩尾でございます。 私、学術会議で資源エネルギーにかなり長い間タッチしておりますが、大学の方では経営学を専攻しております。したがって、技術者でございませんので、きわめて大ざっぱな意見しか申し上げられません。しかし、学術会議でずいぶんこの問題について発言してきたのですけれども、きょう初めて政治家の前で発言できるので、大変光栄に存じております。きょうのところは非常に大ざっぱな意見になりますけれども、ごく簡明に私の考えているところを申し上げておきたい。 第一に、これは当然のことでございますけれども、エネルギー問題ほど複雑で、かつ、すべての問題の基礎になるような問題はございません。非常に高次のシステム的な関連を持っておる、このように考えております。しかし、それにもかかわらず、きわめて大ざっぱに考えますと、これは二つの側面をどうしても持っております。一つは自然科学的なあるいは技術的な側面でございます。もう一つは政治経済の側面でございます。これは常に結びついておって切り離すことができません。しかし、現実にはこの二つがさまざまな形でオーバーラップして展開してまいります。たとえば、エネルギーの危機ということがよく言われるわけでございますが、これも二つの側面だと思っております。現実に、このエネルギーの資源が物理的な観点から見まして、次第に制約が強まりつつある。もちろん地球は大きいものでございますから、そう簡単なものじゃございませんけれども、さまざまな点から言ってエネルギーのコストが高くなりつつあるというのは、やはり物理的な制約の強まりという一面が明らかに存在しておる。それを自然科学者は敏感に受けとめまして、それを危機的な問題として真剣に検討されておる、そのように感じております。もう一つは、これは当然のことでございますし釈迦に説法でございますけれども、世界政治の転換なり変化なり、あるいは経済の変動、ここから来るものが両方結びついておりまして、非常な危機感としてあらわれてくるというふうに感じぜざるを得ないわけでございます。 それで、きょうのところは、宿題を与えられましたのがこの「長期エネルギー需給暫定見通し」、これはあと少し短期のものが入っているようなので混乱しておりますけれども、しかし、これについての意見を言えという点が宿題のように承っておりますので、大ざっぱに三点ほど取り上げてみたいと思います。 一つは、このエネルギーの需給見通しの中間報告についての評価でございます。それから第二点は、この中間報告にあらわれております問題点につきまして検討させていただく。第三点は、何と言いましても、エネルギーは、研究、教育の体制なり、あるいはこの問題解決には国民の参加というものを避けることができません。そのための基本的な課題はどういう点に求めたらよろしいかという点についての意見を申し上げたいと思います。以上、大ざっぱに三点について申し上げます。 まず、この長期エネルギーの需給見通しの中間報告への評価でございますが、私、遠慮なく申し上げておきますけれども、私は、これは余り、早く言えば、学者とか評論家というのはすぐ何でもけなすのですけれども、そう簡単にけなす気になれないのです。これは十五年後の見通しを現在の政治経済の条件の延長線上でとらえなければならないということなのであります。その限りでは知恵を尽くしておられる。安易に批判はできないという感じがするわけであります。そういう政治経済の条件の変化、あるいは立法府によって指揮、指導されてこういう観点でやれということになるのならまた話が違ってくると思いますけれども、現在の条件でこのトレンドを求めろということになりますと、これは大変苦労されたことでございましょうし、また調査会のメンバーも、いろんな専門家はまだ欠如しておりましょうが、それぞれすぐれた方でありますし、本当にこれらの人の御意見が一致したとすれば、これはなおさらまじめに考えなくてはいけないし、また私を含めまして、だれでも現在の条件の延長線上で作業しろと言われれば、それは数字合わせは明らかでございますけれども、これ以上何ができるだろうかという感じがしないでもありません。決してこれは通産省にお世辞を言っているわけでもございませんし、その点は忌憚のない私の感想でございます。 しかし、この中間報告には幾つかの特徴がございます。一つ取り上げてみますと、たとえば省エネルギーのパーセンテージを昭和七十年度で一七・一%と見ておられます。その上で需要量の方は倍に見ておられます。これもずいぶん苦心されたのだと思います。この省エネルギーを、経済成長に対するエネルギーの需要量の弾性値を恐らく〇・八ぐらいにこれは見積もられたのだと思いますけれども、どういうふうな省エネルギーをお考えになったか、これは大問題ですけれども、とにかく苦心されたことは間違いない。それが一点。 それから供給面での特徴は、原子力を七千八百万キロワット、一四・三%、新エネルギーを六千百万キロリットル、七・六%、これは飛躍的に増加を見ておるわけでございます。これは非常に問題点だと思います。それから他方、国内石油・天然ガス、これは一・七%にふえてはいますけれども、これは非常に用心して控え目に見ておられますし、海外石炭も一六・五%にふえてはおりますが、これも私、非常に控え目だと思います。少なくとも現在の常識から言うならば控え目だというふうに言わざるを得ない。それから輸入石油はほとんど変わらないというふうに見ておられますが、これも東京サミットの制約があるのだろうと思いますけれども、この条件が変わらない限りこれは問題点ですし、サミットでのそういう制限そのものもかなり私は問題があろうというふうに感じております。いずれにせよ、需要量を五十二年度対比七十年度は倍に見ておられるという点も加えまして、いま申し上げた非常に大きな特徴点があろうかと思います。この特徴点、つまり問題点につきまして検討してみたいと思います。 第一番に考えなくてはいけませんのは省エネルギーの問題でございます。これは幾つか問題点がございますが、とりあえず、高度成長時代の情勢というものをどのように変えていくかということが問題点であろうというふうに考えております。これはだれでも指摘されることでございますけれども、省エネルギーの対象になりますのは、さしあたりは交通問題ということになります。それで、自動車のエネルギーロス、このモータリゼーションの過度な展開というものをどのように調整すればいいかというのは、何といっても大きな問題でございます。これは環境問題もございますし、さまざまな問題がございます。この場合、輸送効率やらエネルギー効率のいい内航海運についてもさまざまに各省庁で検討が進められておるようでございます。しかし、この場合でも先ほど申し上げました二つの側面が絡んでおりまして、船舶のオーナーやら一杯船主、そういう中小零細企業をどうするか。それから港湾内の荷役作業。これは同時に、内航海運を海上新幹線という形で検討されておるわけでございますし、それに絡みまして、コンテナリゼーションやら港湾の情報システム化を考えておられますけれども、港湾の荷役作業やら、いまのような中小企業の問題が残っております。それからまた陸上の方では、貨物新幹線やらあるいは貨物特急というものが考えられておりますけれども、私は、高速道路は生鮮食料品中心にしまして、貨物は国鉄に転換したらどうだというふうにも考えておりますけれども、その場合の効果をどういうふうに見ておられるのか。しかし、その場合にも中小業者のトラック、これをどのように調整していくかということ、この議論を抜きにしてやるわけにはいかないだろうというふうに思います。これらの点が省エネルギーの一七%の比率の中に入っているかどうか私はよくわかりません。 それから、これは当然のことでございますが、省エネルギーにつきましては、エネルギーの多消費産業、これを海外立地する、あるいは石油化学のあり方やらアルミをどうするかというような問題は、これはだれでも考えることでございますけれども、いずれにしましても、産業構造の転換にいたしましても、これはやれることはどんどん進んでおると思いますけれども、中小企業なり雇用の問題、これを抜きにしましては検討できませんし、発展途上国もしくは立地転換先の協調が大前提になろうかと思います。したがって、臨海コンビナートでありますとか、あるいは海外立地の問題、これの転換というのは、これは相当大きな政治的あるいは経済的な問題と技術的な問題が絡み合わなければならないというふうに考えます。 それから送配電ロスの問題につきましても、どの程度計算されているかわかりませんけれども、どうもまだその点がはっきり、個々の要素、問題が取り上げられておりませんので検討をしかねますけれども、そのような、いずれにしましても高度成長時代における行き過ぎといいますか、ひずみといいますか、それをエネルギーの観点からどのように調整されようとしているのか、そこらがよくのみ込めない点でございます。したがって検討を要する点だろうと思います。 それからもう一つ。これは私個人のいわば持論のような主張でございますけれども、省エネルギーを取り上げますならば、その最大の問題は戦争と巨大な軍備である。戦争と巨大な軍備は、理由のいかんを問わず、それがどういうものであれ、避けがたいものであれ、あるいは聖戦であれ何であれ、巨大なエネルギーのロスであることは間違いございません。これは戦争や巨大な軍備で直接使うエネルギー源、石油や電気のことは御存じでございますが、それに必要なあらゆる兵器、装備、施設、人員、それに必要な食糧、衣服を初めとしてあらゆるものの源泉はエネルギーでございます。エネルギーに換算可能でございます。したがって、人類としましては、第一次世界戦争、第二次、数次の中東戦争、朝鮮、ベトナム、アフガン、これでどれだけのロスが展開しているのか、現在の巨大な軍備がどれだけのエネルギーロスなのか、想像もつかぬ大きさじゃないかというように考えております。最近、冷戦が復活しそうでありますし、国防問題もやかましく言われております。しかし、これは当然のことでございますが、同時に、巨大なエネルギーロスをもたらすことは覚悟しなければいかぬのです。ですから、非常に簡単に言いますれば、平和が最大の省エネルギーでございます。特に貿易依存度の高いわが国の場合、戦争になれば国民の生存というのは非常な危機にさらされる。ですから、それだけは事実として申し上げているので、決して私、政治論でああしろ、こうしろという主張をしているわけじゃない。エネルギーとの関係で言うならば、これを無視できない。たとえば世界的な原水爆の禁止協定が結ばれる。それだけでもどれだけエネルギーのロスが救われるかわかりません。なぜかと言いましたら、これは原水爆の準備がなくなるだけでなくて、国際的に技術開発の連携体制が非常に進みます。核融合の研究にしましても何にしましても、非常にこれは国際的な連帯が進みます。それを妨げているということになりますと、現在、禁止協定がないということは、この強い連帯をどうしても妨げることになるわけですから、私は非常に遺憾な問題だというふうに思っております。ですから、極端に言いましたら、一方では電気を消したりつけたりして省エネルギーをやっております。一方では、およそ計算できないほどの巨大なエネルギーのロスをあえて計画している。どうにもならない矛盾じゃないか。この矛盾はエネルギーの観点だけから私申し上げているので、解決の策は、これは政治にゆだねるほかはないというふうに考えるわけでございます。 それから次に、いま省エネルギーの問題を申し上げたわけでございますが、供給面の特徴について申し上げてみますと、どうも原子力の問題がはっきりわからないのですけれども、高速増殖炉、ブリーダーがこの時期には完成して商業炉として動いているというふうに見ておられるのかどうなのか。核燃料サイクルは完成する、特にハイレベルの放射能の廃棄物の処理も解決する、そういう前提を持っておられるのかどうか。持っておられることなしに、現在の条件のままで、多少の改善はあったとしましても、最近また国際的には核燃料サイクルの問題についての条件はかなりよくなりつつつありますけれども、そういう条件の整備を抜きにして十何倍という計算を出したら、これは日本の沿岸はほとんど原発銀座になってしまいます。その上、放射能の危険にしょっちゅうさらされるし、温排水で漁業はだめになります。そんなことをお考えになっているのかどうなのか。これはちょっと現在の条件ならば私いま首をひねらざるを得ないし、例のスリーマイルアイランドの事故ではっきりいたしておりますように、原発の安全神話はもう崩壊しております。私は安全神話も信用しておりませんし、危険神話も信用しておりません。両方とも信用しておりませんけれども、現在の条件のもとでは国民が恐らく了解しない。もう少しスケールの大きな、いわば産業実験なんだというだけのゆとりと、研究姿勢といいますか、そういうものが欲しいし、自主的な研究を楽にしてやれるように、日本の技術陣というものを私は非常に高く評価しておりますし、学術会議でその点身にしみて感じておりますけれども、それで余り焦らさずに勉強させるということが必要じゃないだろうかというふうに私は考えております。 それから新エネルギーは、これは非常にたくさん見ておられますけれども、私もここまでできれば非常にありがたいと思っておりますし、それぞれの問題につきまして期待を持ちたいと思いますけれども、まず、これだけの数字は常識的にはむずかしかろうというのが大方の見方のように感じられます。 しかし、一方では、国内石油や輸入石油、石炭につきまして積極性があった方がいいのじゃないのか。もう少し自主性を貫いて確保する方法はないものか。たとえば、これは技術者によって多少意見が違いますので、私、必ずしも絶対の自信を持って申し上げるわけじゃございませんけれども、日本の沿岸の大陸だなにつきましては、これは世界じゅうでも有望な地域なんだということを真剣になっておっしゃる学者もたくさんあります。 それから石炭につきましては、これは常識的に、石油がだめなら原子力じゃなくて石炭で二〇〇〇年まで、つまり核融合でありますとか太陽光、太陽熱が利用できるまで、あるいは海のエネルギーが十分利用できるまでの過渡的な期間は石炭だというのが、ほぼエネルギー問題をやっている人間にとりましては有力な一致した見解なんです。それにしてはちょっと少ないのじゃないか。むしろ石炭問題についていままで粗末にしていたのを反省して、輸入も多方面からやって、国内炭を含めましてあるいは閉山炭鉱を再開発する。これは非常に至難のわざだということは百も承知しておりますけれども、その研究につきましても、これはエンジニアを信頼しまして研究を進める。その上でガス化、液化、クリーンエネルギーの体制をつくる。これは容易なことじゃございません。容易なことじゃないけれども、そんなに焦らずにこれを着実に進めていく方法が必要じゃないだろうかというふうに考えております。焦りますと技術者としては何とかしなければならぬと思ってつい失敗を起こす場合も多いわけなんです。私、いままでのいろいろなこういう事故につきましては、多分にゆっくりやらさずに焦らせた点が多いのじゃないかと思っております。 国外石油につきましても、これは東京サミットでの制約があることは、先ほども申し上げたように私も知っておりますけれども、ソ連や中国やベトナム、このベトナムでも油徴ははっきりしておりますし、噴油も見られておるわけでございますし、中南米、これはベネズエラのヘビーオイルを含めまして、何とか確保する体制をもっと強力に進められないものか。これは、ただし絶対量だけ確保すればいいというものじゃない。値段がございます。値段があるということになりますと、世界的な流通独占体のメジャーのかさのもとにあっただけではとてもだめ。ですから、それと協調することは必要ですけれども、たとえばエクソンがオイルショックで有史以来最大のもうけを確保したというようなわがままなことはやらさないように処置する方法はないものだろうかというふうに思っております。 時間がありませんので少し簡単にはしょりますけれども、いまのような新エネルギーにいたしましても、エネルギー確保の方法にいたしましても、これは何といたしましてもエネルギーの研究と教育の発展、それから問題点につきましての国民参加の姿勢をつくり上げることが必要なんでございます。最近、新エネルギーの研究開発機構もできたようでございますけれども、これも私らの勧告から言わせますと、何かちょっと片手落ちのような気がしないでもございません。しかし、やらぬよりはもちろんいいことは決まっております。私ら学術会議の場合で言いますと、資源エネルギーにつきまして勧告を三本出しておりますが、そのうちの一本は一般的な問題でありまして、あとの二点につきましては、これは時間がございませんから内容については省略させていただきますけれども、それぞれ国立大学の工学部では資源エネルギー問題をやらぬところはございません。しかし、それにしてもこれは金もかかることでございますし、それから研究者を集中して十分討議させる必要がある。そういう意味でエネルギーの工学の研究所、これを提案しております。これは基礎科学と応用科学両方をリンクさせる、しかも社会科学者も参加させるような体制で提案しております。 それからもう一つは、これはかなり思い切って私どもとしてはやったつもりでございますが、エネルギー問題というのは、非常に基本的な理論的な問題でありますと同時に非常にリアルな問題だ。だとしたら、一定のルールのもとで、たとえば自主、民主、公開のルールのもとで産官学協同の体制をとろうじゃないか。大学における基礎科学の研究、現場の研究、それからありとあらゆる意見の持ち主をそこへ集中できるように、もちろんこれは政府が大きな柱になりますけれども、産官学、これははっきりしたルールがないとできませんけれども、そのもとで資源・エネルギー研究センターをつくろうじゃないかという提案をしております。これは三年前、私自身が委員長で責任を持って提案しております。しかし何の応答もございません。非常にむなしい感じがして、私そのままで引き下がっております。もちろん、何の答えもないと申しましたけれども、文部省では大学における研究体制を強化するために科学研究費をふやす、それで何とか支援するということをやっておられます。ごく最近、学術審議会ではその案を出しております。しかし、特定研究や科学研究費でただ金を振りまくというだけではだめなんです。これにつきましてのもちろんシンクタンクの動員も必要でございますけれども、基礎科学、たとえば太陽一つとりましても宇宙物理がわからなければ、深海掘削、石油をやると言っても、これは地質の専門的な研究と結びつかなければできないわけですから、そのような基礎科学と非常にリアルな問題を扱うエンジニアリングまで含めまして統一的な検討が必要でございます。そういう意味では、どうしても研究所なり研究センターの設置が必要でございますし、アメリカ、西ドイツに比べますと余りにも日本はおくれている。エネルギーの消費量については、これはアメリカに次いで第二番目でございましょうけれども、研究姿勢は余りにもおくれているということだけははっきり申し上げておかなければならないのじゃないかというふうに感じます。 それから次に、国民の参加の問題でございますが、これは具体的な方法はいろいろございましょう。その方法のアイデアをいまここでいろいろ、時間もございませんから私はあげつらうことは差し控えますけれども、省エネルギーといいましても、平和なり交通の問題をどう考えるかということが大事な問題点なんです。 それから新エネルギーや代替エネルギー、あるいは地域別のグローバルな日本全体としてのエネルギーのトータルシステムもございますし、あるいは地域単位のトータルシステム、府県別のトータルシステムというものも考えなければいかぬ。それにつきましては、その問題そのものがわからなければどうもならない。いきなり、何でも省エネルギーだからガスや電気を消しなさいということだけでは話にならない。国民のそういうエネルギーに対する教養と知識、これを高めなければいけません。そのために、私ちょっと考えてみたのですけれども、これは昭和七十年まで計算してあるのですね。七十年までといいますと、いまから約十五年なんです。十五年といいますと、いま小学校一年生の子供が十五年たつと大学を出ます。そうするなら、小学校から中、高、大学の研究、教育の体制、特に教育体制、この中にこのエネルギーの問題を一本筋金として入れる必要がある。私自身も実は学術会議の伏見会長と一緒になって、むしろ私、応援しまして、何とかそういうふうな小学校、中学校に使えるような教科書を考えようじゃないかというふうに検討してみたことがございますが、なかなかそういうふうな簡単なことじゃございません。これは小学校から大学までのエネルギー教育ということになりますと、大学の場合でしたらこれは当然のことでございますが、大学の理工学部のエネルギー教育には社会科学的な側面を同時に教えなければいけない。それから文科系の大学につきまして言うなら、その中に自然科学の講座を置くべきだ。ところが、実際やっているのです。一橋の商学部では商品学という科目の中で自然科学者が、理学博士ですが、それがちゃんと講座を持っておられるのです。聞いて、ぼくはさすが一橋だとびっくりしました。これはなかなかむずかしいのです。しかし、その程度のことができないようでエネルギーの危機とかなんとか言ったのではしようがないじゃないかというのが私の切実な感想でございます。英才教育もいろいろ検討しなければならないでしょうけれども、とてもそれだけではだめ。ですから、二十一世紀の教育といいますか、その教育の内容につきましては、あるいは研究の内容につきましては、少なくとも大きな柱としましてこのエネルギーの問題が入ってこなければいけないだろう。それを抜きにしていろいろな発言をしても、長期の問題としては非常に大きな点が抜けている。一番大事なのはやはり人間なんでございますから、通産省がそれを言うのはちょっと遠慮されたのだと思うのですけれども、その点を抜きにしてはこれらの問題の総合的な検討はできないだろう、そのように考えております。 一応、私の発言はこれで終わらせていたださます。
○委員長(吉田実君) どうもありがとうございました。 それでは、次に笠井参考人にお願いいたします。笠井参考人。
○参考人(笠井章弘君) 笠井でございます。岩尾先生から大変御高邁なお話があった後に非常に現実的な話をさせていただきます。 私が、ここに最初の課題として与えられたのは、見通しの前に、あと十年くらい先まで見たエネルギーの需給の問題について若干しゃべれというお話がございました。その辺から先に入らせていただきます。 御存じだと思いますが、国際エネルギー機関、IEAが十二月の閣僚理事会で発表した数字で、これは石油なんですが、長期的不足傾向があるということを言って数字を幾つか挙げています。一九八五年に百二十万バレル・パー・デー足りない、一九九〇年には六百二十万バレル・パー・デー足りないというのが一つの現在の最新の見通しの数字かと思います。これを信用するしないは別として、こういう傾向があるということをIEA加盟各国が了承しているところから言えば、先進国の大多数あるいは石油消費国の大多数はこの数字を認めた数字であるというように考えてもいいと思います。ということは、実は東京サミットで幾つか輸入制限目標を設定しました。この数字は細かくは申しませんが、その数字でいって果たしてあと十年間ぐらいの間に石油だけとってどうであろうかというときに、いま申し上げた数字が問題になってくる。してみると、輸入目標の割り当てというのは果たして八五年、九〇年にうまくいくかどうか、足らなければ割り当てができないのではないかという非常に単純な疑問がまず一つあります。 われわれがエネルギーの長期需要予測をやる場合は、いま岩尾先生からもいろいろお話がございましたけれども、一番日本が依存しているエネルギーソースというのは御存じのように石油なわけでございまして、石油の日本の自給率というのが大変低くて、海外依存が九九・六%とか九九・八%とかいう数字が出ますけれども、してみると、石油が果たして本当に手に入るだろうかどうかということがいまの石油危機の一番大きなもとで、こういう長期の見通しをどこに前提を置いて物を考えていくか、計画をつくっていくかということが、やはり一番重要ではないかというような気がいたします。 それから需給の見通しを十年スパンでやる場合に、供給サイドの問題でどんなことがあるかということです。その一番ネックがいま申し上げた点ですが、これは数字の予測でありまして、そのほかに幾つか供給サイドの問題がたくさんあるので、その中の重要なものだけ申し上げたいと思います。 第一次石油ショックは、ショックと言ってあれは一時的なものであったというように解釈していますが、実はその後遺症が幾つかあって、まだあの後遺症で経済成長がその前に戻らない国も相当ございます。うまくクリアしたのは西ドイツ、日本である。まあアメリカも入っておりますが、大体その三カ国であろうというのが国際的な評価なんです。日本の場合を考えてみまして、なぜ第一次の石油ショックがうまくクリアできたのかという条件なんですが、私は大体四つあるのじゃないかと思います。その第一は、石油企業が数千億をかぶった。それから財政が相当積極的な景気浮揚策をやった。それからこれはよく御存じの、輸出をプッシュして外貨をかせいで四倍上がった石油のお金を払った。それからもう一つは、これは天佑神助と言う方もいらしゃいますけれども、ドル建ての石油の値段を円高になって払うのが楽になったということだろうと思います。 ところが、去年のイラン政変以来の石油の情勢を見ていますと、どうもそういうことで果たして第一次石油ショックをクリアしたような形でうまくいくのかどうか。御存じのように財政も赤字公債をたくさん抱え込んでおりますし、それから企業も減量経営で御存じのように余力がない。それから円安の傾向も出てきている。輸出プッシュをすると貿易摩擦が起こる。いろいろなことを考えてみますと、第一次石油ショックをうまくやった条件が非常にいま弱くなっている、あるいはなくなってきているということが今度の石油危機を非常にむずかしくさせている。と同時に、もう一つは、今度の石油危機の場合、「二十ドル原油時代」、そういう本が実は去年の四月、五月に幾つか出ているわけなんです。ところが、十月以降十二月までの間に三十ドル原油が現実に起こって、スポットは四十一・五ドルというのが出ましたのです。そういうように非常に短期間のうちに相当大きな値上げ。しかもこの上げたやつが下がるだろう。いままでは一回石油ショックで上がったのが下がってくるのがあったわけです。それは石油を余り上げますと、先進国がインフレになり不況になって失業者を出して景気が停滞するから石油の需要が落ちてくる。そうすると売れなくなるから安くなるというような一つのサイクルで安くなっていた。ところが、今度は、これは去年の十月ごろから言われている話なんですが、OPECセミナーというのがウィーンでございまして、そのときからすでにOPEC諸国の代表が話している話の中に、生産を減らしていく、それで価格を維持していく。いままでは価格カルテルだとOPECは言われたのですが、ちょうどOPECができて二十一年目にことし入ったのですけれども、去年の二十年にして初めて生産調整カルテルに変わったのではないか。あるいはそういうことをやるぞという発言がOPECの首脳陣から初めて口を切って出ております。実はそのころから値段がどんどん上がって減産が行われておる。その減産というのも、OPECができて以来減産をするのは今度が初めてなんです。OPEC二十年の歴史で初めて減産をしたわけですが、たとえば、サウジがことし大体百五十万バレルほど減産するであろう。クウェートが五十万バレル。イランも大体同じ。ナイジェリア、イラク、ベネズエラ、この辺——イラクが八十万バレル、ベネズエラが四十万、UAE、アラブ首長国連邦が四十万、リビアが五十万。このうちイラン、ナイジェリア、イラク、リビア、クウェート、この五カ国は公式に発表された数字でございます。あとはロンドンの石油業界筋からの情報です。大体OPEC諸国が初めてじゃないですか、減産を発表したのは。それは価格を高価格で維持しながら生産を減らしていこう、こういうことを前提に置いた実は石油の予測というのはいままでやられていないわけですから、これから改めてやらざるを得ないということです。ただ、非常に先ほどの、後でまた触れますけれども、長期エネルギー需給暫定見通しをおつくりになったのはたしか七月、八月、これは八月の終わりに発表されたのですが、その時期といまとでは石油の情勢が非常に構造的に変化しているということが一つございます。その辺を前提とした新しい計画なり予測なり、そういうものに基づいた需給見通しをもう一回見直されるということも必要ではないか。これは私の個人的な感じでございます。 それからもう一つ申し上げますと、これも御存じのことですが、単なる石油の減産だけでなくて、中近東、あの辺の地域が非常に政情不安定になっている。イランの政変あるいはアメリカとイランの石油断交、アフガンの問題、非常に不安定になっている。その不安定になってアメリカの力が抜けた後に何が出てきたかということなんですが、これはイスラムパワーと言っていいかもしれませんが、回教圏の人たちの石油とのかかわり方、あるいはOPEC、OAPECを通じてイスラム圏の人たちの発言が非常に強くなった。これは政治的にも石油の問題でも同じように動く。こういう人たちがどういうビヘービアをとるかということは、案外日本、アメリカの先進諸国は、ヨーロッパは若干昔いろいろ植民地やなんか持っていたので詳しいようですが、どうも詳しくないので、非常に対応にちゅうちょしているというのが幾つか見られます。この状況が今後十年でさっぱりする、簡単に解決していくという見通しが非常に少ない。大体のいろいろな機関の調査研究を調べてみますと、この十年間で中近東地帯の政治的不安定は消えないだろう、逆に大きな渦が巻くのではないかという予測が、アメリカのCIAの報告もそうなんですが、幾つかの報告書の中に出ている。したがって、石油の安定供給という視点から言いますと、相当やはり困難になるだろう。 それから、いままでは、第一次石油ショックから去年の六月のサミットごろまではまだOPECの中の統一があったのではないか。というのは、統一価格あるいは二重価格でも一応価格は決まっておった。ところが、去年の十二月のカラカス総会では価格が決まらなかった。十二月の二十日の日本時間で午前一時ごろ最終的に、案は出たのですが、ずっと追跡してみますと、とうとう決まらなかった。これも初めての現象でして、どういう変化が起こったか。結局、サウジがOPECの中のリーダーシップをとれなくなった。とれなくなった状況は何が原因か。いろいろな原因の説がございますけれども、たとえば去年の三月のエジプトとイスラエルの単独和平交渉、これがアラブ産油国の反対を食っている。そちらの方にサウジも同調せざるを得ない国内事情がある。これはメッカの事件もございましたし、私もサウジに行ったことがございますけれども、外から見ているのとは大分違う状況がございます。それから御存じのように大変パレスチナ人の労働者を抱えている。そういう問題もございまして、国内の統一の問題もある。 もう一つ申し上げますと、石油だけの話でいきますと、実はある油田が相当生産能力が落ちてきている。それを補修するのには相当お金がかかる。これはわれわれ知らなかったのですが、実は去年のアメリカの議会の会議にそういう報告書が出て問題になったことがございます、去年の暮れの話なんですが。してみると、いろいろな政治的な問題宗教的な問題、国内政治の問題、国内の統一の問題、それから石油、油田自体の問題、そういうものを含めてサウジが増産——一番先に申し上げた減産数字も一番大きいわけですが、サウジ自体が石油、政治、経済含めてどうもいままでのようなことができない。それからサウジがそういうかっこうになりますと、アメリカがいままでイラン、リヤド、カイロですか、その枢軸を押さえていたやつが押さえられなくなってきた。イランがああいうことになり、サウジがそういう形になると、どうしてもOPECの内部のリーダーシップをとらせるようなサウジの行動を支えられない。これがやはりこれから石油の問題を考えていく場合、特にサウジが一番埋蔵量を持っているものですから大変大きな課題になってくる。 それからもう一つの問題点は、これはお話しするまでもなくて、最近の新聞に出ていますソ連の中近東地域への進出です。岩尾先生が、戦争は一番いかぬ、エネルギーの浪費である、これはまさにそのとおりですが、現実は、アメリカとソ連の軍事プレゼンスは、あの辺は増強の一途をたどっています。詳しい話は私は専門ではないので申し上げませんけれども、幾つかの数字もここにあります。そういう中東へのソ連の影響力が濃くなってきた、こういうような条件は、さっき申し上げた最初のIEAの長期予測をより複雑に、よりむずかしくさせている原因だと思います。 われわれがこれから問題にしなければならない長期暫定見通しの石油の依存度をごらんになればわかりますように、依存のパーセンテージは確かに下がっておりますが、数字をごらんになれば余り下がっておりません。ということは、相当大きな量を六十五年、七十年と日本は石油に依存せざるを得ないというかっこうに実はあの計画はなっております。こういうことを踏まえて供給条件の中で石油を中心に置いて申し上げたのは、石油自体が一番日本の場合一次エネルギー構成で大きなウエートを占めているからなんですが、では、これからわれわれが需要の方をどうしなければならないかということを考えなければならないのですが、これは先ほどから問題になっていますように、どうも石油のかわりをするものをつくらざるを得ない。これは先進国共通の課題で、代替エネルギー開発という言葉を使っていますが、これは石油にかわるべきものが何になるか。それは石油の持っておるウエート、そのパワー、経済性、そういうものすべてに代替できるものが果たしてできるかどうかというのが先進国共通の課題になっているわけですが、一番いいのは、そういうものが早くできればOPECの価格というのはそう上がらなくて済むわけなんですが、そこが一番むずかしいところで、石油が、結局そういう政治的な問題、経済的な問題、いろいろな条件で非常に供給が不安定になると同時に、石油自体が結局いつかはなくなってしまうものであるというのがその裏にあるわけです。可採年数で二十八年というのがありますが、OPECの長期戦略委員会がちょうど九日ぐらい前にロンドンでやられている。その情報によると、大体OPECが十五年ぐらいは石油を賄えますということを報道しています。たとえば、この間のアメリカのスリーマイルアイランドのような事件が起きてアメリカの輸入が増大すればOPECは十年しか石油を供給しませんよという報道が日本の新聞に幾つか載っておりますが、考えてみると、二十八年の確認埋蔵量があったとしても、結局OPEC自体は十五年ぐらいのスパンで供給しよう。ということは、十年ないし十五年の間に産油国は国づくりをしたいわけです。石油がなくなったら砂漠になってしまうということでは大変困るので、彼らの戦略としては当然の話で、そのお金を有効利用して国づくりをしたい、そのために先進国は何をしてくれるかということが彼らの一番のテーマで、そのうちで一番ねらっているのが技術の移転の話です。これを四月のOPECの臨時総会にロンドンで九日前にやった報告を出して、それが通ったらまず発展途上国と話し合い、その後、先進国と話し合う新しいチャンスをつくりたいというような報道なんですが、ぼくはそういう新しい話し合いのチャンスができることは非常に賛成なんです。なぜかと申しますと、先進国がこれほどエネルギー問題に頭を悩ましているのは、石油依存だからと言いますけれども、石油を買うのに値段も量もOPECが一方的に決めてやっているわけです。話し合いの場というのは一つもございません。御存じだと思いますが、いまの国際エネルギー機関ができる前に、実は産油国、発展途上国、先進国という石油消費国の三者の国際経済協力会議というのがございました。二年半ぐらいマラソン会議をやったのですが、結局結末がつかないで解散になった。そのときの最後の産油国のせりふが、問題が残ったやつは国連でやりましょうというのが最後のせりふなんですが、結局国連でやれば彼らの言うとおりになるということだと思いますけれども、今度そういう話でOPECの長期戦略委員会が出した案が四月の臨時OPEC総会を通ったとすれば、そこで初めて新しい意味の産油国主導型の発展途上国、先進国共通の話し合いの場ができるかもしれない。その辺が、現在予想されるあるいは考えられる唯一のチャンスである。それ以外は結局OPECとどういう形で先進国が交渉するかという話なんですが、さっき申し上げたように、これは技術開発をして石油の代替エネルギーをつくるしかない。日本の場合、その七五%を一次エネルギー構成で石油に依存し、その九九・八%を輸入しているとすれば何でやろうか、非常にむずかしい課題なんです。原子力が好きだとか、きらいだとか、むずかしいとか、研究体制をどうしろとかという議論もありますけれども、パワーのあるエネルギーだけ比べてみて石油の代替として先進国が考えているのは、石炭、原子力、LNG、大体その辺がみんなどこの国もねらっている。エネルギー問題で一番厄介なのは、国によって全部条件が違うことです。資源の賦存状態が違うし、産業構造が違うし、国民の価値観が違いますし、社会のでき方が違うものですから、エネルギー政策というのは共通の教科書がないわけです。そういう国の条件の違いの中で国際的変化を読み取りながら政策をつくっていく、計画をつくっていくのに一番厄介なのはぼくはエネルギー計画だと思っております。 私が長期暫定見通しについて幾つか注文を出したいのですが、岩尾先生がおっしゃったように、私もこの計画は非常にうまくできていると思いますし、日本としてこの種のものとしては一番大きいし一番考えられた計画だと思います。ただ、私なりに注文をつけるとすれば、いま一番最初に申し上げた、つくったときの経済成長率の見通しと現在とでは国際情勢が違うということ、特に石油をめぐる情勢が変わってきているということが一つ。それが見通しの成長率の見直しをしてほしい一つの問題です。 それから二番目は、個々の問題を議論するとすごく長くなるものですから——あれを実現するためのバックアップポリシーが必要じゃないか。それには二つございまして、その一つは、たとえば石炭の問題でも、開発輸入ということを言えば山を買わなければならない。石油のメジャーがお金を出して山をたくさん買っているところへ日本は買いに出るわけなんですが、山を買って、港まで道路をつくって、港に石炭専用埠頭をつくり、石炭専用船をつくり、日本の方にまた受け入れの港湾設備をつくる。それからコールセンターをつくる。それからそれを燃すとなると、ガス化、液化は別ですが、すぐ石炭を燃さなければならない場合は脱煙、脱硝の環境問題がある。これだけ申し上げるとすぐわかりますように、この政策をやるのには資源エネルギー庁、通産省さんだけではとてもできない。いろいろな省庁さんが全部かかわってくる。そういうコールセンターをつくるのには地域社会とのコンセンサスも得なければならない。ですから、こういう石炭を開発輸入するケース一つとっても、それをめぐる各省庁のバックアップがなければいけないし、そのバックアップポリシーがこのエネルギー計画とどういうようにうまく調整されているかということによってこの実現可能性が変わってくるというのが第一。 第二には、エネルギー計画でありますけれども、これは福祉計画や経済計画とどう関連するのかという問題です。岩尾先生は教育の問題に関連させてお話がありました。確かにマンパワーポリシーみたいなものも必要なので、そういうことができる技術者を育て、教育しなければならない、あるいはそれをいい研究体制に持ち込まなければならない、そのためのお金はどうするかという問題もございます。したがって、もう一つのバックアップポリシーというのは、もう少し視野の広い立場から、ほかの経済計画なり福祉計画なりあるいは地域開発計画なりとどううまく調整するか。 それからもう一つ。二番目と同じような話で、少し話を大きくしますと、調整問題で、いまわれわれはすごく値段が張った石油とすごく値段が上がった食糧を買っているわけです。それは、いま国際競争力ある自動車だとか電子工業部品だとかいろいろなものが外貨をかせいで、それで食糧と石油のお金を払う。たしか今度、輸入金額でいくと石油だけで五〇%ぐらいになるわけです。今後十年、果たしていま売れているものが貿易摩擦を突破して売れるかどうか、それだけかせげるだろうか。世界全体がこの石油の値上げで不況になったときに本当に買ってくれるかどうか。技術開発というのは、両側の先生が御専門なんですが、相当時間がかかる問題です。たとえば、いまからやって十年先にやっと国際競争力のある製品が生まれるのかもしれない。ただ、いまそういうお金が果たして研究開発投資に回されているかというと、非常に私は寒心にたえないわけでございまして、それはいままでは日本の研究開発投資というのは、ほとんどというか七割ぐらいが民間が出しているわけです。政府が三割程度。これは、日本は軍事研究がないから非常に先進国では特有な形になっています。ただ、先ほどから申し上げているように、第一次石油ショック以降、企業が減量経営でなかなか研究開発投資ができにくくなる。そういうときに、十年先の石油代金を払い、食糧代金を払うような、そういう研究開発をどういう形でやるのか、非常に大きな問題だと思います。 もう一つ申し上げると、今度の暫定見通しの計画の中に、非常に研究開発に関連した新エネルギー開発の計画がございます。これを批判するのは実は非常に楽なので、そんなものはどうなるかわからぬからやるなとか、ウエートが小さいよという言い方はどなたでも実はできるのですが、ただ、研究開発というのは、ある程度お金を集中的に出してやってみて、芽が出たところを評価して、そこから先を伸ばすということをやらないとなかなかうまくいかないわけです。したがって、代替エネルギー、特に石油にこれだけ依存していて石油に代替しようという場合には、少し無謀かもしれないけれども、もう少し研究開発の資金を前倒し的に使えるようなプランになさったらどうか。それで中間評価をして、いいものを伸ばしていく。いまこれでウエートをつけろと言われても非常に困るのではないか。 ぼくはエネルギー問題を十年ぐらいやる中で一つだけ非常におかしなことに気がついたのですが、ここに両先生がいらっしゃるのでちょっと都合が悪い発言になるかもしれませんけれども、たとえば石油の専門家というのは、石油のことは詳しいけれども国際政治のことは余りわからない。それから石油の専門家は原子力のことはわからない。ほかのエネルギーソースに関してもほとんどそうであります。原子力でも、軽水炉の専門家は高速増殖炉のことはわからない。エネルギーの専門家というのは非常に細分化されている。太陽熱の方は太陽熱しかわからない、太陽光のことはほとんど知らないというような研究者が非常に多いわけです。したがって、エネルギーの計画を進める場合に専門家という方をどういう形で生かしていくのか、あるいは新たな専門家をどういう形でつくっていくのかということも実は大変重要なことだと思います。 それからもう一つ、教育の問題。さっき出たのですが、実はこれは資源エネルギー庁さんだったと思いますけれども、二、三年前に省エネルギー月間で懸賞募集されたその一等の論文というのは小学校の先生のもので、小学校、中学校の教科書に省エネルギーという言葉が一つもないということを発見された論文が一番になっています。こちらでも真剣に議論されていますし、新聞にもあれだけ出ていますけれども、小学校、中学校の教科書に全然省エネルギーとか節約とかというのが一行もない。やっとその後、関係官庁から文部省に働きかけて指導要領を変えていただくというようなことをおやりになったという報告を聞いたことがございます。しかも、家庭における奥さんの立場というのがありまして、奥さんが家庭のエネルギーを握っているわけですが、果たしてどれだけ本当の意味の省エネルギーということを御存じかということが問題で、非常にむずかしいのは、モラルアピールというのはぼくは限度があると思います。エネルギーでどんないいことを知っている方でも、息子さんが高校受験、大学受験で夜中まで電気をつけて、消される方はほとんどいないと思います。こういうことをやられるのは、非常に制度的な物の考え方あるいは機器に対する規制、そういうものがわかるような家庭の婦人の教育というようなことも実は非常に重要なことで、専門家を育てるマンパワーの育成策も必要ですが、そういう意味で、現在もうすでに始まっている問題ですから、そういう意味の教育も考えてほしいというように考えております。 以上でございます。
○委員長(吉田実君) どうもありがとうございました。 それでは、次に村田参考人にお願いいたします。村田参考人。
○参考人(村田富二郎君) 村田でございます。 実は、おとといからちょっと流感にやられまして、まだ足が定まらないくらいなので、お聞き苦しい点があるかもしれませんが、あらかじめ御了承願いたいと思います。 それで、私は、学校の出身は応用化学でございます。きょうの中では私だけが技術屋の出身なんですが、戦争中に三池で私は石油の合成、人造石油ですが、人造石油の現場の仕事に携わっておりました。それから戦後は、会社でもって十数年間石炭化学の調査企画をしておりました。これはこの前の石炭ブームの一九五〇年代のときでございます。石炭問題については技術及び会社の企画という形で長年やっておりまして、現在は立命館大学で、先ほど岩尾先生が一橋は技術屋がいてやっているよと言っていますが、私も技術屋でございまして、工学博士のあれをもらっていますが、立命館で社会学系、人文系の学生に技術論の講義をしております。そういう点では一応やっておるわけですが、そういう経歴の人間で、ことに私は応用化学出身なんですが、技術屋の勉強よりも経済の勉強だとか歴史の勉強が好きで歴史の著作も残しておるという、ちょっと突拍子もないやつなものですから、立命館大学で、おまえ会社やめて遊んでいるのなら来てやってくれよということで、いま担当しております。 この問題に関しましては、実は前の江崎通産大臣ですか、パリからお帰りになったときに、NHKの座談会に出まして、省エネルギーは私は賛成だけども、それは資源問題じゃないよ、これは環境問題なんだ、熱汚染の問題の方が先にきっとこのエネルギー問題では制約になる、日本ということをもちろん限定してでございますけれども、そういう発言をしております。その物の考え方はいまでも変わっておりません。しかし、きょうはその熱汚染の問題は一応たな上げいたしまして、それで資源問題としてのエネルギーに対して私の考え方を話させていただきたい、そういうふうに考えております。 それで、最初に、きょういただきましたあれが長中期と書いてございますけれども、私は、前のお二人の先生と違って技術屋なんだからかもしれませんが、うまい表現ができませんで、率直にこれ間違っているよと平気で言ってしまう方でございますので、その点もひとつ了解しておいていただきたい。そういう点から見まして、長期計画とか中期計画とかおっしゃられているけれども、そういうことをおっしゃっている方たちに長期と中期とどう違うのと言うと、いや、それは年代の違いだけだというどうもお考えではないだろうか。私などは、実は長期計画と短期計画に分けているのです。皆さんがおっしゃっている中期計画というのは私は短期計画。それより早いところは計画でも何でもないじゃないか。ある石油を買ってきたり、ある石炭を買ってきたりする以外に方法がないのじゃないか。計画を立てるというからには、やはり何年か先から後にそれが生きてぐるものでなくてはいけない。言葉ですから短期と言っても中期と言っても結構でございますけれども、一応そういう考え方で私は長期計画と短期計画をこういうふうに分けて考えております。 長期計画というのは改めて研究しなければならないテーマである。これはどういうことかといいますと、皆さんもわりあいに研究というのは軽くお考えになっていると思いますが、このエネルギーの研究では、やり始めてから大体三十年かかると思わなくてはならないのです。現在アメリカでガス化の一番進んでいるという研究の一つは一九五二年に研究を始めているのです。これがまだ完成しておりません。ですから、したがってうまくいって二十年、普通には三十年から五十年を見なければいけない。それから、ルルギのガス化炉というのがいま実用炉として一つだけあるのですけれども、これは実は研究開始から二十六年目に最初の商業炉ができております。したがって、そういう形の研究というのは大体三十年かかるのだ。だから、長期計画というからには、三十年、五十年先のことをわれわれがいま何をどう研究するかということで立てていくものであろう。それより短いところは政策でもって、それをいまの技術を前提にして政策で埋めていかなければならない。これが私の言う短期で、皆さんのおっしゃる中期計画ではなかろうか、そういうふうに理解しております。 それで、そういうことが私のベースにあるわけでございますけれども、それでは現在の二度にわたって起こりましたエネルギー危機というのは——実は、私は、会社で十数年調査企画の仕事をしたので非常に人が悪くなりまして、大抵の報告に対して信用しないのです。数字の報告が出てきて、私の十何年間かの経験ではまず五〇%うそ。報告の数字は五〇%うそであって、それで五〇%正しいのだ。だから、そのどれが正しくてどれが正しくないか。それから、ここに書かれてある文章のうちのどこまでが正しいのかということを一々チェックしないと信用しない非常に悪い癖がつきまして、それで現在の原油がなくなるということについても、私はまゆにつばをつけて見たわけです。原油がいますぐなくなるよと言ったって確認埋蔵量はどんどんふえているのです。一九六一年から七〇年までは、消費がふえたと言っていながら、消費の二・五倍から二・六倍の新しい原油が発見されている。もちろん、この原油というのは数億年、数千万年ですか、原油は数億までいかないかもしれませんが、長いところで数億、新しいところで数百万年、その間の蓄積を食っているのですから、これは遠い将来になればなくなること、これは確かなんですが、現在ここで問題になるような中期になくなるようなものではないのだ。これは地下資源のいままでの推定というのをチェックしてみますと、予測より大体うんともっているのです。戦後すぐにトルーマンがやりましたペリー報告というのが、一九五二年に日本でも訳されて出ておりますが、これはその当時の自由世界の資源というので最も信頼が厚く、私なんかもそれを基礎にして物を考えたわけです。ところが、それによりますと、五二年に報告していながら、六〇年には天然ガスはアメリカでは工業用に使用できないということになっております。もう六〇年にはなくなっちゃうということになっているのです。しかし、現にそんなことはございませんですね。そういうように地下資源というのは大体悲観的に見るのが普通。これはどういうことかと申しますと、工業の方は、恐慌やなんかがあって使用の伸びが減ることを、いやなものだから入れないのです。ですから、順調に工業の消費の方は伸びをとっている。ところが、地下資源の方の発見はアンノーンファクターが非常に多いですから安全度をとる。それで割ってみるとまず大体早くなくなる。そういうことを考えに入れまして、私は原油もなくならないという見方をしております。しかし、そこは譲歩いたしまして、原油はあるいはなくなるかもしれない、だけれども、それならエネルギーは、その数百倍ある石炭があるじゃないか。そういうところで、なぜエネルギーが資源として不足するということが起こるのか。これは何か裏があるぞ。私の悪い癖で、すぐそういうことが出てまいります。ですから、この間うち起こりました。七三年のときは私ちょうど追跡していました。五〇年代に石炭のブームがあったときに、アメリカの政府は、ソ連との冷戦を背景にしてアメリカ大陸の中において液体燃料を供給しなければならない、そういう考え方から石炭の液化やなんかを一生懸命やって工業化に進もうとしていたのが一九五〇年代の終わりなんです。そのときにメジャーが政府に対して、石油はこんなにあるのだ、それなのになぜ液化なんということに政府はむだな金をかけるのだということでつぶしてしまったのが五〇年代の状況です。そのときの原油の可採年数は三十三年、現在と全く同じでございます。それでいて、よその国、日本が一番人がよかったのです。そのために日本は全部石炭山をつぶしてしまうし、研究も全部やめさせました。私、いま六十三でございますけれども、石炭の研究をやるというと、いまだに私が引っ張り出される。これはおかしいじゃないか。おまえ年寄り、もう引っ込んでいろ。研究年齢というのは三十代が実際にピークでなくてはいけないのです。四十代になったら管理者に引っ込まなくてはいけない。そういう研究の場で六十何歳の人間を引っ張ってきておれにどうして意見を言わせるのか、そのこと自体が間違いだということをあなた方が反省した上でおれに出てこいというのなら出ていくよ。実はサンシャイン計画の最初の石炭部会のときに、工業技術院の担当者に、これは私と親しいから非常に悪口を言ったのですけれども、あなた自身が石炭の研究をやめさせた張本人じゃないか、それがどの面下げてもう一遍石炭の研究をやってくれといっておれの前へ出てくるのだと言ってどなりつけたら、委員長の方が驚きましてどこかへ消えてしまったという一幕があるのですけれども、そういう研究というものはすぐには芽が出ないものなんです。そういうことの中で日本はやめてしまったのです。それから石炭の山もつぶしてしまったのです。ところが、その時期に、メジャーとそれから大きなアメリカの石油会社はアメリカの石炭山への投資をどんどんしている。これは私、文献を見ていて驚いて、私も知恵が働かなくて、なぜこんなことをしているのだ、メジャーは少し頭がおかしいのじゃないのなんて言っていたのですが、後でわかりましたのは、六九年からアメリカの石炭の炭価がどんどん上がり始めた。それに合わせて原油の値段が上がったのが実は一九七三年のいわゆる石油危機なんです。そこの目的を達したところで石油危機はなくなったわけです。七九年になりますと今度は少し状況が変わりまして、メジャーは中東の原油だけのもうけの方針からエネルギー全体に対して支配権を伸ばしていく。これは先ほども皆さんのお話にありましたように、メジャーの石炭山、ウランへの投資が進んでいるということ。これは七三年のころから進んでおりました。しかし、そういう形で進んでおって七九年の危機という形に来ている。私がこういうお話をしましたのは、結局いまのエネルギー問題というのは、決して天然的な意味の資源がないのではなくて、ここは政策の中で日本が踊らされているのだ、だから、そういう形の対策をとらない限り中期の対策というものはとれないのじゃないか、そういうことを、ひとつはっきりとしておいていただきたい。 ですから、そういうことから考えますと、たとえば、いま石油の値段が上がったから石炭だといってすぐ飛びついているのですが、七三年のときは、私のところに相談に来た会社の企画マンには、あなたのところはやってはいけないよと言ってとめた。すると来た人が面食らうのです。村田というのは石炭化学をずっとやってきて、郷愁も持っているし、その男がなぜやってはいけないと言うのか。そのときに私が申しましたのは、あなたの会社で三年ないし五年結果が出ないでも重役が研究費を続けて出してくれるのならおやりなさい。それが続かないというのがまず大部分の会社だと私は知っておりますから、そういうところでやったら研究者がかわいそうだ、中途半端で何にもならない研究に労力を費やすことになる。ですから、もし石炭というものの研究を本気でやらなくてはいけないということであるのなら、ひとつ政治家の皆さん方にお願いしたいのは、やはり三十年勝負なんだ。私は会話が非常に下手でして、海外旅行はおれ絶対にせぬと言ってがんばっていたのですが、実は会社をやめた直後に伊藤忠に、羽田から羽田まで通訳がつくからひとつアメリカに行ってくれと私言われまして、四十八年、七三年の春に渋々引っ張り出されて、石炭のガス化とタールサンドを視察してきたわけですけれども、そのときにアメリカへ行って驚きましたのは、アメリカが一九五〇年代に原油がこんなにあるよといってやめさせたアメリカにちゃんとその間研究者が育っているのです。現在の日本では、実は私の知っている研究者も、大部分が六〇年代に入ると研究の場所を奪われまして、飯を食べるために、しようがないから分析のどこかに雇われたりなんかして、研究者というのはいまはおりません。五〇年代にやった研究者では、いま北大に二人くらい残っているだけで、全然中間は切れている。こういうところで研究を云々したってむだなんだよという二とを、私は実は言い続けてきたわけです。 そういう中での研究というもので、長期計画というものの方はどうかというと、実はエネルギー資源というのは潜在的な意味ではどこの国にでもいっぱいあるのです。エネルギー資源がない国なんてどこにもないのです。それはここにあるテーブルだって燃せばエネルギーが出る。エネルギーというのは非常に普遍的な資源なんで、エネルギー資源がない国というのはない。これには、一つには経済的な今度は制約があります。それは、そこではもうすでに社会的問題になるわけです。そういうおかしなことを申し上げなくても、太陽熱だけでも世界にあれすると、世界のいまの化石燃料の大体数万倍、太陽熱が輻射熱としてだけでも地上に来ている。日本の場合には恐らく一けた違って数千倍ということになると思います、たくさん使っておりますから。しかし、それにしてもそれだけのエネルギー資源というものはございます。これは、それを使えというと、先ほどから出ているように、大変な技術だということになるのですが、実はこういうことを知っておいていただきたい。皆さんも御承知の、ドイツが第一次大戦を始める前に空中窒素の固定法をやったというのは、これは学生時代に皆さんはお聞きになっていることだろうと思うのです。これは実は資源観の大変な転換なんです。それ以前はチリ硝石しかないでしょう。いまの原油なんかに比べてもうんと火薬の原料というのは偏在していて、それでなかった。そのときの資源観に従えば、ドイツなんというのには火薬の原料がなかった。火薬の原料がなくては戦争が始められない。戦争を始めたことを私、何もほめているわけではないのですけれども、そういう必要に迫られたドイツは、それを空気中の窒素という、どこの国でもあるものをちゃんと資源に仕上げている。ですから、私は学校の講義で言っているのは、資源というものは決して物質のあるなしじゃないのだ、もっと自由度のある方から言えば技術のあるなしなんだ、そういう技術のあるなしという形で決まっていくのが、その典型的なものが私はエネルギー資源だと思っています。ですから、エネルギー資源を長期計画としては国産資源で間に合わせるのだという政策をしっかりお立ていただけるなら、それに従って、そのかわり三十年、五十年むだ金を使わなくてはいけない。研究というのは、笠井さんもおっしゃいましたけれども、これはむだ金なんです。これはある研究所の偉い方が、国の金なんだからむだをしないように研究しなくてはいけないと。これはもっともなんですが、そんなできないことを言ってはいけないのです。研究というのはむだ金なんです。そのむだ金を使うという、そういう力を持っているかどうかによってそういう大きな研究が完成されていくのだ、そういうことを特に申し上げたい。そういうことさえできるならば、五十年先のエネルギー問題については、日本だって資源がないということはなく過ごせるはずなんだ。ただし、これは最初に申し上げましたように、熱汚染の問題は抜きにしておりますから、その点をひとつお考え願いたいと思います。 それから少し具体的なところに話を移しまして、先ほどから出ておりますように、中期の計画としては石炭に代替していくことでいいわけです。ところが、石炭に代替するというと、このごろ非常におかしなことが出ておりまして、石炭に代替すると環境がうんと悪くなる。これは実におかしいデマが出ているので、私なんか不思議でしようがないのです。これは、たとえば硫黄酸化物の汚染が出ていますが、アメリカでは硫黄酸化物の汚染が石炭に切りかえれば多くなります。それは、現在使っている燃料の中の硫黄分が〇・三。それから三分の一は天然ガスでゼロです。〇・三とかそのくらい。どんなに多いのでも〇・五以下のものを使っています。ところが、日本では現在二近いものを使っています。一・八ですか、二ぐらいのものを使っています。それで、アメリカの場合には、石炭に切りかえると、現在アメリカの鉱業地区で出る石炭は一ないし二%のサルファを含んでいます。だから、これは小学生の算術でわかるように、いまの燃料を石炭に切りかえれば硫黄酸化物はふえます。ところが、日本はいま二%近い石油系の燃料を使っている。石炭はどうかというと、北海道炭は大体〇・三%です。これは世界的にサルファの少ない石炭です。もちろん北海道炭だけではいかない。九州の方は少し多いのですが、一・八から二、大体いまの石油と同じくらい。ただし、その場合には石炭には灰がありますから、灰が脱硫作業をしてその硫黄のかなりの部分を大気に出さないで抑えていきます。そういう点で、国内炭についてはサルファはむしろ減ります。それから、外国炭でも一・何%のサルファなんていうのを避けて買うことはできるわけです。そういう形からいって、サルファの問題は少しも石炭にすることによってふえることはない。もちろん、私が言っているのは、石炭にしたら公害防除設備をしなくていいよと言っていることではございません。これは公害防除設備もしなくてはいけない。特にばいじんを取るためのコットレルですか、ばいじん除去装置を完全にしなければいけない。そういうことは必要ですけれども、決していま石炭に切りかえて環境が悪くなるという根拠は、まず私の考え方の範囲では一つも出てこない。 窒素酸化物におきましても、現在の窒素酸化物は燃焼のときに空気中の窒素が酸化物になる量が大部分でございまして、石炭、石油というそういう燃料の中から出てくるものは、これはそれに比べれば非常に小さい。将来これが、空気中の窒素が窒素酸化物にならないような燃焼法ができたとき、そこで石炭中の窒素が多いということが石油系に比べてどうなのかという問題は起こると思いますが、現状ではいまそういうことはない。 それから、大体石炭を燃しますと一番気になるのは黒いばいじんです、洗たく物についてしまうとかなんとかいってよく出ますが。これは実は大きなばいじんなんです、石炭の方が石油よりも。したがって、コットレルやなんかで取れやすいのです。私はよく学生に冗談に言うのですが、君たちの除じん装置の鼻毛に石炭のばいじんならとまるだろう、だから石炭を燃していると鼻が黒くなるのだよと。だけれども、石油を燃していると鼻が黒くならないというのは決していいことじゃなくて、鼻毛を通して石油の粉じんは小さいから肺に入っているのだよ。おまけに、石油の粉じんはバナジウムだとかニッケルだとかいう体を冒す重金属がほかのものなしで、ほとんど裸の形でもって肺に入っている。これは推定でございますからお医者さんに調べていただかなくてはいけないのですが、私は、石油に切りかわった後の肺がんの大部分の原因は、やはり石油系のバナジウムやニッケルの悪さではないかというふうに思っています。石炭の中に、このごろ重金属が多いとか、ウランがあるとかいう説をなしている方があるのですが、これは皆無とは言えません。これは土の中にもありますから、これは皆無ではありませんけれども、そういうデータはもう一度チェック——これはおかしいのです。アメリカからデータが来ているとそれをすぐうのみに信じられる、おやりにならないで。そんな石炭の灰の分析なんて日本で幾らでもできるのです。アメリカの言ってきたのを私が見ておかしいと思うのは、少なくともppmオーダーでとるなら、石炭の灰なら鉄は一万ppm以上なくてはいけない。一万ppmの台になくてはいけないのが、私の見たデータでは何千ppmの台にしかなっていない。これは石炭の灰じゃないよと、私はそういうふうに考えているわけですが、こんなことは議論の問題ではなくて分析してみたらいいのです。日本の石炭なり、買おうとしている石炭なりの灰の分析をしてみたらそれがどういうことかおわかりになる。そういう実証的な形というものをそういうところに生かして、それで石炭が悪いのだと。これは本当に悪ければ、私、何も石炭屋から給料をもらっているわけではございませんから引っ込むのですけれども、そこのところが非常にいまおかしくなってきている。これはうがった言い方で間違っているかもしれませんけれども、どうも石炭は悪いといって原子力やLNGをやりたい人が多過ぎるのじゃないのということを私は言っているわけです。 それで、いまLNGの問題が出ましたので補足的に申し上げておきますと、LNGというのは非常に危険なもので、大量に貯蔵や大量に船で輸送してはいけないものである。これは船がぶつかりましたら火だるまの船ができて、それが瀬戸内海なり東京湾なりを遊よくする、その覚悟はしているのでしょうねと私は申しているわけです。それから冬の明け方にもしタンクから漏れたら何十キロ遠くまで行きますよ、そのことを頭に入れてやっているのでしょうねと言って念を押しているわけですが、不思議なことにタンクは壊れないのだそうでございます。タンクも船も絶対に壊れないのだそうでございまして、そうなのということで、一応おやりになる方がそう言っているのでほうっておきますが、それ以上にここで資源問題としてお話ししておきたいのは、LNGというのは原油以上に資源が偏っているところです。液化の装置を持っているところでなければ天然ガスを送り出せない。だから、いまLNGをたくさん売ってくれていますけれども、原油と同じようにおまえのところに売るのはいやだよと言われたら、入手には原油以上に制限を受けているということをどうもお忘れになっているのじゃないでしょうか。このことを知る一つの重要な先例としては、実は戦後すぐに、小名浜に日本水素という会社があってコッパーストチェック炉という石炭のガス化炉を導入した会社があるのです。これは技術的な問題を私、指摘しておりますが、技術問題以上に実はそれができなくなってしまったのは、常磐炭が急に値上がりしたのです。これはどうして値上がりしたのかというと、それまでは常磐炭は値段が安かった。だから、日水の幹部はその安い常磐炭が使えるのならというのでコッパーストチェック炉を入れたのですが、そうしましたら需要ができたからといって常磐炭の値段がどんどん上がってしまったのです。これはやはり、いまのLNGをお買いになっているところでも注意しなければいけない。LNGというのは、いままで売れなかったから安かった。それが売れるようになって、相手が入れなければ困るという段階になれば当然値上げする。これは商売上当然なことなんです。そういうことまでお考えになって入れているのだろうかという私は気がしております。 それから原子力の問題については、先ほどお話ししました江崎さんがお帰りになったときにも、私は反対なんですよということを申し上げておきましたが、私が反対していることでほかの方がおっしゃっていない理由だけ申し上げておきますと、技術というものには、物の形を変える技術、これが軽工業とか重工業のベースになっている。物体の形を変える技術です。それから一つ、物質の蒸留とか分離混合がありますが、これは工業の中心になりませんからちょっとおきまして、その次が科学の技術。これは専門的な言葉で言いますとどういうことかというと、原子核の外にある核外電子の結合なんです。だから、次元が違うのです、物体の軽工業や重工業の技術と。それから原子力というのは、それともっと次元が違って、原子核の中の素粒子の結合を変える技術。だから、技術として少なくともわれわれが持っている技術は三段階いまあるわけです。 それでは、歴史的にわれわれがその次元の違いにどういう対応をしてきたかといいますと、物体の技術については、たとえばアルキメデスの時代からてこの原理やなんかはわかっています。そういう形で物体についての科学は十七、八世紀ごろには一応完成してしまうわけです。それで、その前からでも一応工業としては物体の技術は成立していたわけです。科学の技術が成立してくるのはそれから何世紀かおくれた十九世紀です。これはいわゆる次元が違う技術だから当然そこでずれがある。そのことを考えに入れますと、放射能を出す原子核の中の素粒子間結合の技術というので、もし放射能をわれわれがコントロールできるようになるのはいつだろうかという推定をすれば、非常に漠然としてしか申し上げられませんが、少なくとも百年の単位で、いわゆる何世紀かかかるのじゃなかろうか。そうすると、いま原子力発電をやるということはその間放射能を出し続けますよということなんです、放射性物質を。その蓄積を一体どうするのかということ。これの方が、実は私はスリーマイル島の事故よりもうんとこわいのです。これがもし現実に何かの障害を与えた時期でやめたって、周りにうようよしてしまっているのですからどうにもならない。これは同じ科学の次元のもので、PCBを御承知だと思います。PCBだとかBHCですか、ああいうものを禁止してから、皆さんの方が御承知なんだろうと思いますけれども、五年ぐらいたってもまだ母乳の中に危険値の塩素化合物が出ております。それから、もちろん牛乳やなんかの方にも出ている。こういうように障害が出たところでやめても決してそのときでなくなるわけじゃないのです、障害が。そういうことから考えると、もっと原子力発電というものに対しては、われわれは技術者として謙虚な立場に立たなければいけないのじゃないだろうか。そういう原子力発電やLNGにそんなに依存しなくても石炭で何年ももつのだ、その間に日本は長期計画として日本の持っているエネルギー資源の活用を考えるということはできないのだろうか、そういうことを私としては考えているわけでございます。 大変失礼なお話をしたかもしれませんが、一応これで終わります。
○委員長(吉田実君) どうもありがとうございました。 —————————————
○委員長(吉田実君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、対馬孝且君及び浜本万三君が委員を辞任され、その補欠として小谷守君及び栗原俊夫君が選任されました。 —————————————
○委員長(吉田実君) それでは、これより参考人の方々への質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○丸谷金保君 大変貴重な御意見をそれぞれ伺いまして、勉強になりましたことをまず厚く御礼申し上げます。 最初に、きょう、それぞれお三方から出なかった問題なんですが、さしあたって原油がなくなるというふうな心配はないということについての話を、実はきのうジッダから帰ったばかりのカヤブキさんからいろいろお話を伺ったのです。そのときカヤブキさんが言うのには、重質油をもっと利用することを今後の日本は考えるべきだ、そのことによってストレートに原子力というふうな、地域との合意のないものにいきなり飛び込まないでも食いつなげる道はあるのだ、こういうふうにおっしゃっておったのです。この点につきまして、村田先生、言及されなかったのですが、ひとつ御見解をお願いいたします。
○参考人(村田富二郎君) 私は重油の方を直接やっておりませんので、余り細かいことを申し上げられませんが、重質油は、いまでも燃料としてならそのまま燃せるわけでございます。だから、エネルギー全体としてはいまの利用法でも私は差し支えないのじゃなかろうか。だから、軽質油が不足するということであればこれはできます。アメリカでは日本よりずっと重質油の分解が進んでおりまして、たとえばFCCというような装置を入れれば重質油からある程度のガソリンもとれます。ただ、私はどちらかといいますと、そう軽質油をたくさんつくらなくてはいけないという方が少し誤っているのじゃないだろうか、そういうふうに考えております。
○丸谷金保君 いまお話のございましたように、熱としての利用ということになれば重質油でも間に合うじゃないか、そういう点でのエネルギーの利用の方法についての総合的な研究開発、こういう点についてもっと進めるべきだというふうに思うのですが、その点についてお三方、どなたでもいいですが、お考えがございましたら、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(笠井章弘君) 私が適当かどうかわかりませんけれども、エネルギーというのは大体大きく分けますと、こういうふうに明るくしたり、物を動かしたり、熱したりするわけです。そのほかにもありますけれども、大きいものは大体。ところが、日本の場合、安い石油で電気をつくって安い電気を使う方がいいということで、そういう生活の仕方なり、たとえば簡単に言ってしまうと、灯油のストーブが非常に普及したとか、あるいは産業も石炭から石油に転換した、そういう経済性、効率性を中心にしてエネルギーソースを選んできたということが一つございます。しかし、そのときはたしかまだ高度成長期の初期でございまして、環境問題云々の前なんですが、そういう選択をして石炭から石油へのエネルギーの流体革命ということがあったのですが、いま先生の御指摘のように、エネルギーというのは、光だとか、熱するとか、動かすとか、いろいろな用途向きに向いているエネルギーというのが実はあるのです。ただ、それがいまやっているものより確かにコストが安く量があるのかということになりますと、これからの技術開発というのが必要になるでしょうし、あるいは一回設備投資したものをスクラップ・アンド・ビルドしてもう一回新しくするというだけの経済的なインセンティブがあるかどうか、ほうっておくと非常にむずかしいのです。ただ、研究としては、あるいは技術開発としては、エネルギーソースの持っている特性に従った使い方、使用目的、それを洗っていく方が合理的で、実はそういう合理的なエネルギーの使用が本来の意味の省エネルギーにつながっていくのだと思います。いま本来の意味の合理的エネルギー使用による省エネルギーということだけでは済まないような状況があるわけなんです。それは石油の埋蔵量の問題ではなくて、石油が政治的に、あるいはそういうOPECという生産カルテル的なものから量や価格を規定されているために出てきている問題だというように解釈しています。
○参考人(岩尾裕純君) 大した発言でございませんけれども、二、三申し上げておきます。 いま先生がおっしゃったように、エネルギーの有効利用の問題、これは非常に大事でございます。日本では、アメリカとソ連に次ぎましてMHD発電の有効利用につきましては非常に有効な研究が進められておりますが、これにつきましてもやっぱり研究費の制限がございます。なかなか思うようにさせてもらっていないようです。東京工大の人が主にやっておられると思います。何かにつけて、そういう非常に多元的なエネルギーの利用の仕方を思い切って研究させるという姿勢がどうも欠けているのじゃないかというふうに私は感じております。 それからもう一つ、先ほどおっしゃいました重質油の問題、ヘビーオイル。これはベネズエラに無尽蔵にあるというふうに言われております。私、確かなことは知りませんが、そう言われております。これを何とか分解できないかというので早速手を打とうとしたら、非常に日本の側の方がおくれておりまして、その間に西ドイツが入り込んで、原子力と結びつけて、この分解装置、分解操作を大体一手に握ったのじゃないかというふうに私は心配しておりますが、そういう点では、何といいますか、早く言えばメジャーさんに頼るという姿勢が余りにも強過ぎて、西ドイツあたりもどんどん原子力発電でも自分のところのものをつくってしまいますし、それからこういうヘビーオイルに至っても、すかさず原子力を輸出して、同時にそこの権益を握るというやり方をとっておりますが、政策面でもおくれているのじゃないかという感じが強く私は身にしみておるわけでございます。
○丸谷金保君 メジャーに余りにも踊らされ過ぎているのではないかという観点の問題、後半また御質問したいと思いますが、時間ですので前半の質問はこれで終わりたいと思います。
○馬場富君 政府の長期エネルギー需給見通しの点につきまして、岩尾先生、笠井先生は一応立案について苦労されたということでおほめになったようですけれども、内容的には非常に問題点のあることを指摘されている、賛成か反対かよくわからないわけですけれども。たとえば昨年、私ヨーロッパのエネルギー事情をずっと視察してまいりましたが、そういう点については、第一次オイルショックから以後、ヨーロッパにおいてはかなり政策的に、一つはエネルギーに対する転換の方法がはっきりとしてきておりますし、それについてやはり具体的な見通し等についても地についておると思うのです。そういう点で、いまおほめをいただきながら、また批判をいただいたが、この政府の見通しにつきましては、たとえば新エネルギー等についても、研究段階にあるものを見通しの中に織り込んでしまって一つはやっておる。そういうことで、ちょっと……。 それとあわせまして、原子力等についての批判もございましたが、三先生とも共通な点がございましたようですが、その点、私はやっぱりこういう見通しの立て方というのはまずいのじゃないか、こう思いますが、いかがでございましょうか。
○参考人(村田富二郎君) 私だけこれに触れなかったので、ちょっと後でまたあれですが、私は、実際こういう立て方というのは無意味なんで、立ててみただけじゃないか。実際にこういう計画を立てるということは、先ほどの私の話からくみ取っていただけると思うのですが、これは方向をちゃんと立てなくてはいけないことなんです。その結果としてこういう数字が出るのかどうか、そういう積み上げのあれなしに数字だけで数字合わせしたって。私はよく冗談に言うのですけれども、これはだれが責任をとるの、このとおりにならなかったときにだれも責任をとらない数字を出して、それで政府の数字で通るのと私は言うのですが、だれもこれは責任のとれない数字です。これをつくられました委員長は円城寺さんですか、円城寺さんがこうならなかったときにどういう責任をとるのですか。そういう責任のとれないような数字を挙げることは、これは遊戯としては結構だけれども、実際には役に立たないのじゃないか。だから、目標ですならまだいいのです。目標でこれにいかなくては困るのです、そういう希望的な数字として挙げられるのならわかるけれども、計画数字として挙げられることには、私はほかの先生方みたいにそういうお世辞が言えない、こういう意味で非常にはっきりとそういう見解を持っております。
○参考人(笠井章弘君) ちょっと違う意見を申し上げたいと思います。 私が申し上げた中の最後の方に、この計画を、もう少しバックアップポリシーをしっかりして実現可能性のあるものにしてほしいと申し上げたときに、ほかの経済計画なりあるいは社会福祉計画なりとエネルギー計画がどううまく調整されるかというのも一つの問題点であると申し上げたのですが、やはりいまの場合、現在立てる場合に非常に可変的要素が多いものですから、計画と言わないで暫定見通しという名前をつけたのも何かそんなこともあるのじゃないかと思います。これは私個人は一つの目標数字のように暫定見通しとしてとらえる。 それから経済計画と総合エネルギー政策との整合性とか調整とかという問題は、実はわれわれが毎日生活している場合の雇用問題であるとか賃金の問題であるとか、いろいろな問題に実はエネルギー問題は全部かかわってくるわけです。そういう計画との整合性があって初めてこれが意味が出てくる。ですから、前のバックアップポリシーは各省庁間の問題ですけれども、もう少し大きなバックアップポリシーとしては、経済計画の基本計画とこの計画がどううまく調整されるか、そこによっていろいろな日本の経済レベル、福祉レベルというのが変わってきはしないか。その辺を詰めていく方が実はこの計画の一番重要な点で、細かい幾つかは確かにこれから研究しなければならない数字を出しているとかという御指摘も無論できるし、私自身も見れば幾つか御指摘申し上げられるのですが、そういうことよりも、こういう計画をまずつくって石油危機のある時期を乗り切っていく。そういう姿勢がないと、当分石油事情に振り回されて日本経済全体が、あるいは日本の社会全体がふらつくのじゃないか。そちらの方の問題の方がぼくは重要に考えるわけです。ですから、暫定見通しである以上、そういう計画との調整をしながらこれを補完されていく、あるいは数字を修正される、あるいは毎年ローリングプランで変えていく、新しい研究開発の芽がわかってきたら弱いやつは落として強いやつを育てていく、そういう形でこの暫定見通しを計画のレベルまで練り上げていく方が重要だというように考えています。そういう意味で、私はこの計画は非常に画期的な計画であると思います。
○参考人(岩尾裕純君) 私も、多少お二人とニュアンスは違いますけれども、率直に言いまして非常に苦労されたという点は認めざるを得ないのです。それは現在の政治経済の条件のもとで、これは繰り返しますけれども、延長線上で考えていろいろ努力されたのだ。その枠の中で行政官として自分がお前やってみろと言われたら、やはりこういうふうな数字合わせをせざるを得ないのじゃないかという気がするのです。たとえば原子力の問題につきまして、これは私は七千八百万なんというのはとんでもないと思っております。思っていますけれども、原子力発電を進めるのだという姿勢を政府全体として持っているという場合でしたら、通産省とこの調査会のメンバーとしてはこういうふうな評価しかできないということになりましょう。それからまた、資源エネルギーの場合でもほとんど余り役に立たないのだと村田さんのおっしゃることは非常に真実性を持っているのですけれども、半世紀までとは言わなくても、二十年やそこらがまんしてもらわなければ勉強は無理です。無理ですけれども、そんなものに金を出すなと言われたらこれは困ってしまいますから、通産省としてもずいぶん苦心して何とかこの程度の努力目標を掲げたのだというふうに私は了解しておるわけです。だから、これは笠井さんがおっしゃるように計画では無理でございます。やっぱり努力目標という点でお考えになるのであって、これを批判して直せという場合には、いわば個々の問題についての政策の方向を切りかえていかなければ通産省の担当者としてはやりにくいのじゃないだろうか、私はそういう考えで申し上げております。
○竹内潔君 岩尾先生、どうもきょうはいろいろありがとうございました。 村田先生に一言。私は、先ほどのお話から原子力の問題でございますけれども、どうもやはり石油がきわめて不安定で、新しいエネルギー、クリーンなエネルギーができるまでのリリーフ役として石炭ということの比重は大変大きいと思います。しかし、先生、それだけでやっぱりリリーフ役は十分果たせるのでしょうか。それはLNGもある。この辺、やはり原子力というものも確かに安全性の問題は云々されますけれども、フランスとよく似ている日本の状況ということも聞いておりますけれども、その辺のところを先生はどういうふうに——いま、石炭ということでこれはリリーフ役ができるのでございましょうか。
○参考人(村田富二郎君) それは石炭の買い付け能力の問題だけだと私は思います。買い付け能力さえちゃんと立てれば物はたくさんあるのです。それから実際に日本の石炭である場合には、坑内にもぐって掘らなくてはなりません。これは計画してから大体二十年かかります。だけども、いま日本が外から買おうとしているいわゆる露天掘りの石炭、これは恐らく五年ぐらい、私、余り責任持った数字言えませんが、大体五年ぐらいあれば入ってくるはずなんです、契約さえすれば。物は非常にたくさんございますから、そういう点では原子力をやる必要はない、私はそういうふうに思っております。これは、ただ私の意見として聞いておいていただきたいと思います。
○竹内潔君 その場合の輸送とか受け入れ体制というものに対しては、先生、それは確信をお持ちになることはできますでしょうか。
○参考人(村田富二郎君) それは政策の問題でしょう、船をちゃんとつくって。LNGみたいなものを入れると船がそばにくっついたらうんとこわいですが、石炭の船なら沈んだって、そう言っては悪いけれども、万が一沈んだって、海が埋まってしまいますからそれは困りますけれども、そんなむずかしいことはないのです。 それで、実際にそれはどれだけエネルギーを使うかということの問題、こことの兼ね合いをもちろん考えなくてはいけません。ただ、問題は、めちゃくちゃにエネルギーを使えば、何を入れようとしたって入ってこないということになると思いますから、そういう点はちょっとやはり総合的に数字を挙げなければいけないと思いますが、大きな問題としては私はそういうふうに考えています。
○参考人(岩尾裕純君) いまの問題について若干の追加をさせていただきます。 原子力の問題につきましては、私、日本の特に軽水炉の場合、非常に不幸な出発点をしたと思っております。非常に誠実な、もちろん政治的な色合いも何もない学者が一生懸命研究しまして、炉の中にまで立ち入って研究しようとする。電力会社の方で困ると言うわけです。特許の問題があるし、ノーハウの問題がある。事故があって事実上こっちでやれても、事故があったら一々長距離電話で海外に電話して話を通じなければならぬ、こういう出発の仕方をしたということが、どのぐらい国民の信頼を裏切ったかと思うのです。だから、これを直していくとするならば、本当の意味で自分のところでやれる体制、これをしっかりしてもらわなければ困るのです。 その場合、いまのような条件のもとに約十倍に当たる数字を出しますから、幾ら何でもこれは乱暴だというふうに言わざるを得ないのです。そのぐらいやるのだとしたら、村田さんの発言をかりるわけじゃございませんけれども、これは大体ほかの国でも二〇〇〇年までは石炭というものをやはり考えておりますから、それで、船につきましては、日本は海運につきましては自信があることはよく御存じのとおりだと思いますから、私はその点はそう心配はないと思いますが、むしろ石炭を扱う技術者が非常に不足してきている。私が何でそれをやらないのだと言ったら、逆に、これは東工大の先生ですが、私に逆ねじ食わせまして、よろしゅうございます、養成しますから雇ってくれますか、どこが雇ってくれるのですと、こうなりますから。いまの条件では日本の技術陣、科学陣というやつはこれは相当なレベルです。戦前でも相当なレベルだったはずです。それが現在では非常に窮屈な、早く言えば自信のない立場に置かれているということは、どうぞ先生方も御理解いただきたいと思うのです。これは私、社会科学ですから、そう身近には感じておりませんけれども、自然科学の先生方は非常にその点では憂慮しながらやっておられるということは事実でございます。
○竹内潔君 村田先生、もう一言お聞きしたいのでございますけれども。 石炭の液化でございますが、もちろん石炭をそのまま燃すよりも液化した方がいいには決まっていると思いますけれども、しかし、現在の技術の問題、工業化の問題、それからコストの問題、私が聞くところによると、石油に比較して四十ドルぐらいならということを言われますけれども、先生、その辺のところ、御専門として一体どういうような液化に対しては見通しをお持ちでございましょうか、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(村田富二郎君) いま液化したらいいことは自明だとおっしゃいましたけれども、私は反対なんです。エネルギー問題としては液化はすべきじゃないと思っております。石炭をより有効に使うために液化やガス化の研究をすることと、それからエネルギー問題の対策として液化やガス化をすることとは、私は全く別の問題だと思っておるわけです。なぜ、そういうことを申し上げるかというと、そこに私の本をお持ちになっている先生がおられますけれども、その本にも書いてございますが、現在の技術で石炭を燃せば、同じカロリーの石油系の燃料に対して消費地で六〇%ないし七〇%の炭価であれば黙っていても会社が使うのです。それくらいの評価ができるのです。ところが、ガス化しようと思うと二五%の石炭でないと原油と対抗できないのです。液化する場合には石炭がただであっても対抗できない。石炭の液化がいわゆる燃料として、燃料を目的としての石炭の液化が成立するときは、自由経済じゃなくて、戦争かなんかで絶対に液体燃料が不足だ、だからコストに関係なしに液化をするというときしかこれは成立しないものなんです。ですから、それで石炭というのは、先ほどからお話ししているように、エネルギーを得るのなら燃せば得られるわけです。それなのに液化したりガス化したりすることは、いま言ったように価格の問題で全く差がある。ということは、実際にまだエネルギーロスの方の計算はまだだれもしていません。だけれども、価格にそれだけ差があるということは、エネルギーの浪費もたくさんあるということです、液化するために使うエネルギーの。これは一般論として申し上げておきますけれども、これだけのエネルギーをつくりましたというときに、大体忘れているのが、そのエネルギーをつくるのにどれだけエネルギーを使いましたかということを忘れているのです。使ったエネルギーより出てきたエネルギーが多いときにそれはプラスでしょう。逆の場合だってあり得るわけです。それで、いまの場合には石炭のエネルギーで液化するのですからエネルギーマイナスにはなりませんけれども、そのまま石炭を燃して得るエネルギーに比べたらうんと小さくなってしまう。それは収率でごらんになってもおわかりになると思いますが、石炭の液化で大体軽質油を得ようとするなら二〇%が限度です。それから重質油であれば四、五〇%。重質油の場合にはもう少し上げる方法もありますけれども、一般的には四、五〇%が限度、これは理論上とお考えになっていいと思います。ですから、そういうことで考えても液化やガス化がエネルギー対策でないということは申し上げられるのじゃないだろうか、そういうふうに思っております。
○橋本敦君 村田先生のお話で、わが国が石炭問題についてその研究をやめてしまったということがいまになったら非常に悔やまれるというように私も思うわけです。ところで、その石炭研究にしても、先生のお話によれば大体三十年サイクルという長期の研究を要する。そういたしますと、今後、石炭問題についてわが国が積極的にどのように研究に追いついていくか、どういうようにポリシーとしてやっていったらいいか、先生の御意見があれば、ひとついただきたい。 それからもう一つは、この暫定見通しを見ましても、国内石炭というのが二千万トンで現状と変わらないわけです。だから政府の方としても、現状から出発して国内炭をどう開発するか、これは悩んでおると思うのですが、わが国の石炭産業の今後の見通しをどう立てていくかという国民的コンセンサス、そのためには何が必要か。 それからもう一つの問題として、この暫定見通しでは海外石炭の買い付けが、五十二年度五千八百二十九万トンが七十年度には一億七千八百万トンにふえることになる。この点について、先生はいま買い付け能力さえあれば買えるだろうというような点もおっしゃったかと思いますが、先生のお話の中でも、メジャーがすでにあらゆるエネルギーに手を回しているという状況がある。そういたしますと、石炭の買い付けも、いまの石油でメジャーが支配しているこのネックにぶつかっていると同じような問題が起こるのではないかという心配もあるのですが、いかがでしょうか。
○参考人(村田富二郎君) 最初にお話がありました研究の問題でございますが、実はこれをお話しすると長くなるのですけれども、石炭というものは普通の化学の研究と違った研究方法が要るのです。それはなぜかと申しますと、複雑な高分子化合物で、しかも混合物なんです。いままでの学校で教わってくる化学の勉強の仕方というのは純粋な化合物についての取り扱いしか教わってこないわけです。だから、そういう人たちが石炭の研究をするのに三ないし四年間は、そういう研究方法がわからないで模索して、それを体質にしてから初めて本当の研究が始まる。最初の三、四年間というものは、だから勉強だと思ってやらないとこの分野に入れないですね。それにもかかわらず、石炭がちょっと要らなくなるとすぐそれをぶった切ってしまう、そういうところに私は一番のあれがある。三十年、五十年と申しました。実際に応用研究に入れば三十年で大体できるはずなんですが、石炭についてはその前の教育期間というものを見ないとこの研究は無理じゃないか。その罪はやはり六〇年代にぶった切ってしまったことだ。日本は五〇年代には石炭の基礎研究においては世界の一流になりました。これははっきり言えるのですが、応用研究ではそうはいかなかったのです。そこの基礎研究のあれからもう一度われわれはやり直さなくてはいけないのだというところに大問題が石炭では控えている、そういうことが最初の問題のお答えになるかと思います。 それから国産炭については、私はどことどこの山が開発できるのか実際知りません。これは、ですから地質の方にまた聞いていただかなくてはいけないと思いますが、二千万トンというのはどちらにしてもぼくは控え目じゃないだろうか。 それから海外炭の問題もそれに含まれますけれども、実は、申し上げるのを忘れたのですが、一九七三年のときだったと思いますが、アメリカの石炭業者が掘れと言われたときに言った言葉があるのです。これはどういうことを言ったかというと、あなた方は長期に引き取るのかということなんです。石炭というのは、やはり先ほど申し上げましたように、アウトクロップだって何年間か準備が要るわけです。それから坑内掘りになれば二十年近いそういう準備が要るわけです。それをいま石炭が足りないから買うよといって二年か三年買って、おいもう要らないよと、いままでそれを言われているというのがアメリカの石炭会社なんです。ですから、海外炭にしろ国内炭にしろ、石炭を本当に買おうとするのなら長期的にその山がなくなるまでの年数は買うのだ、そういう方針が立たないと石炭山は開発いたしません。ここのところが一つ非常に重要なことだ。 それからメジャーが海外炭に手をつけている。これはやはりメジャーというものの企画力がすばらしい。悪者だと言いたいのですが、非常にすばらしい。それに対しておくれていた。おくれたことは、もう現象として起こっておりますから仕方がないのですが、いま申しましたようなメジャーが手をつけているところというのは比較的早く開発できるところなんです。だから、おくれたということのツケが、やはりこれから開発するところを含めて長期的にどうそこと結びつくのか。そういうことができなければちょっと海外炭の買い付けも国内炭の開発も実際はやれないのじゃないだろうか。数量的なことはやはり私の専門外でございます。ことに化学からも離れまして、社会、経営学部なんかに行って講義しておりますので、これはしかるべき方からまた聞いていただきたい、そういうふうに考えます。
○秦豊君 私の場合は御答弁を含めて五分間ですから、一通話プラス二分だから、ちょっと欲張り過ぎるかもしれませんが、実は笠井さんにも村田さんにも伺いたかったのですけれども、例のOPECの長期戦略委員会の問題とか、湾岸と日本の関係とか、技術移転、私もオタイバに会ってきましていろいろ考えるところがある。お三方のお話を拝聴していて共通した私の受けとめ方は、日本のこの技術開発は総花で、メニューは何でもフルコースで重点がなくてぼやける、肺活量が少ない、もうおっしゃるとおりです。今度のサンシャインでもムーンライトでも同じ。何でも並べる。並べたい気持ちはわかる。だからますますぼやける。こうなっているので、よほど立法府がしっかりしなきゃいかぬというのでこのエネ特ができ上がったわけです。 そこで、一つ、二つだけちょっと伺わせていただきたいのですが、村田先生、最近こういう報道があります。たとえば南アフリカ、南アですね、これはああいう立地条件や背景の条件があったものだから、石炭の取り組み方がややわが国に比べりゃ集中的に鋭くやった。しかも、あの国柄ですから投入資金を思い切ってやった。その効果があらわれたのか、かなり実用化のテンポが速くなって、むしろ西ドイツやらアメリカのいわゆる多国籍研究のあれをしのいで実用の段階に入ったのか、いやそれはやはりいまだしないのか。だから、御専門のお立場からごらんになりまして、南アのレベル、これはトップクラスにあるのか、日本は三十年というお話はよく伺いましたから、そういう評価が御専門のお立場からできるのか。たとえば、いまから共同研究といったってだめですから、そういうものについて、たとえば財政との勘案がありますけれども、ノーハウの提供というふうなことについて、あの国とはいろいろ政治上問題がありますから簡単にはいかないと思うが、専門家の観点からごらんになった御意見をちょっと伺わせていただきたいのです。
○参考人(村田富二郎君) サソールのことでございますね。
○秦豊君 はい。
○参考人(村田富二郎君) 南アのサソールというのは、実は一九五〇年代の、この前の石炭ブームのときにつくられた工場なんです。これはどういうことかといいますと、私が戦争中にやっておりましたフィッシャー法という、石炭をガス化してそれから合成していく方法でござざいますが、実はあそこはヨハネスブルク、御承知だと思いますが金属製錬の盛んなヨハネスブルクがあります。そこに五〇年代の価格でございますけれども、コスト、トン三百円の石炭が出る、そういう状況があって、ガソリンの需要が非常に多い。しかしダーバンから、山脈の名前は忘れましたが、かなり高い山脈を越してガソリンを運ぶために運賃が非常に高くつく。ガソリンがうんと高くて消費地である。そこで安い石炭が出るということで一つあそこにできた。これは立地条件の非常に特殊なところでございます。それで、それでもなおかつ実は装置を入れるのに、装置をあそこで組めませんから、大きな装置にして入れるのに運賃がかかってしまってとうとうペイしなかったのです、五〇年には。だけれども、政府が援助いたしましてつくろうとしてつくりかけたら、石油会社はちょっと忘れましたが、メジャーの一つだったと思います。石油会社がダーバンからあそこまでパイプラインを引いて、それでガソリンを入れると言い出したのです。そんなことをしたらサソールがポシャってしまうということで、サソールが減価償却が終わるまでそのパイプラインを許可しなかったという非常に特殊な状況がある。これが現在に来てまた拡張するということについては、私よくはいまあれしていませんが、組み立てかなんかの技術において余り金をかけないでやれるということを入れたのじゃないかと思います。 しかし、どちらにしてもこれは世界の非常に特殊な状況の中のことであって、あそこでできたからといって日本でやれるものではございません。収率はやはり二〇%前後でございます、石炭に対するガソリンの収率は。ですから、とてもこれはペイしないというふうにお考えいただいて結構でございます。
○秦豊君 笠井さん、OPECの長期戦略委員会、オタイバなんかが希望していますのは——湾岸といったってばらつきがありますよね。だから、UAEなんかの場合には日本に、たとえば石播とか通産に対してまず常設の協議会を持とう、常設の協議会を持っておいて、そしてプライオリティーを決めて、両国の合意ができた枠内で年次計画に従ってテークオフをするための十五年間を細分化していこう、こういうプランを持っています。だから、一つ一つやりゃいいのだけれども、外務大臣が余り頻繁にかわりますし、つい向こうも不信感を持つし、実行されていないのですよ。園田特使が行くたびに、安定供給は保証しますと言うのはリップサービスですから、安定供給を保証しませんなんて追い返す人いませんから、だから、それはあたりまえなんです。そういう点が一つ一つをじみちにやってなくて、足がふわついているという感じがするのです。だから、サウジをごらんになった眼で、湾岸、サウジ、中東産油国のテークオフと日本とのつながり方、大項目で恐縮ですけれども、やっぱり御意見をちょっと伺っておきたいのですが。
○参考人(笠井章弘君) 本当におっしゃるように大項目で、私などが答えられないと思うのですけれども、私の感じた点だけ簡単に申し上げます。 四月の臨時総会で検討される長期戦略委員会の案というのは、実はいまおっしゃったように、各国でやっていてなかなかうまくいかないので、OPEC式のあれでやろうというのが何かねらいらしいです。ただ、そういうことがあっても、さっきからメジャーの話が出ますけれども、実はメジャーの力が産油国では非常に落ちてきているのは御存じだと思います。一説には、ことしじゅうに五〇%ぐらいになるだろうという説も有力な筋からあります。そういうことになって、最終ユーザーにしか売らないぞということをこのごろ言っています。だから、日本の総合貿易商社さんが行くと怒る。買う石油会社が来いというようなことを平気で言われて帰ってくる人たちが最近多いのですが、それはメジャーが入るのと同じだというような見方を産油国がしているわけです。したがって、ダイレクトディール、DDとかGG、それからスポットに回すというのも結局メジャーを経由しない、スルーメジャーでないやつをふやして自己のハンドリングで商売していきたい。日本もいわゆる中間マージンを取る総合貿易商社でなくて、政府の代表であるとか、石油公団であるとか、あるいは石油会社それ自身とか、ダイレクトで来いというようなことを言ってきているわけですから、日本としては、いままで企業がずっとやってきたわけなんですが、これからそういうことになりますと、やはり企業と政府が一緒になってちゃんとした、常設なら常設の機関を持ってバイラテラルな交渉を続けていくということになると、いまの戦略委員会に出てきている問題以外にも、技術移転の問題なんかはこれは国によってみんな違うわけですから、エネルギー事情も実は非常にあの国みんな違うわけです、御存じのように。そうすると、違いをOPECでもって横並びにやろうとしている無理というのが、バイラテラルでいくと無理がなくて済む可能性があるので、日本は何か一本やるとあとは全然やらないということをやっていますけれども、いろいろなチャンネルを設定して、その中から情報交換しながらナショナルポリシーを決めていくというかっこうの方が私は今後はいいと思います。
○委員長(吉田実君) 力石参考人がお見えになりましたので、質疑を一時中断し、早速でございますが、力石参考人より御意見の御開陳をお願いいたします。力石参考人。
○参考人(力石定一君) 私のエネルギー問題についての骨格的なお話だけさせていただきますと、まず、中近東の石油は三十年ぐらいで枯渇すると思います。あと海底油田をどんどん目がけていくわけですが、非常にコストが高くなって価格は上昇せざるを得ないと思いますが、最後は恐らく、絶対的な枯渇の前に取り出すためのエネルギーの方がたくさんかかるという段階が来ると思います。余りむずかし過ぎて、掘ってきて持ってくるまでの投入エネルギーの方がたくさんかかるという段階で、本当は枯渇ではないかと思うのですが、それは技術的な進歩との関係で、どこということは言えませんけれども、そういう段階に近づいていることは事実だと思います。 そこで、原子炉に力を入れているわけですが、原子力発電は稼働率が五割ぐらいでありまして、非常にコストが高くなります。そうすると、住民が非常に抵抗しましてなかなかやれない。スリーマイルアイランド事件の前までのアメリカの原子炉メーカーに対する電力会社のキャンセルが大体二十八起こっております。原子炉メーカーは青くなっているわけですが、石炭火力に切りかえた方がかえってコストが下がるからいい、七五%の稼働率が石炭火力だったら維持できる、こういうふうな考え方のようであります。住民の抵抗も少ない。それの方が経営的には安定しているというふうな考えのようでありまして、アメリカは電力会社が三千ぐらいありまして、お互いに競争しているものですから、非効率的な経営をやりますというとアウトです。日本のように九社独占だと、原子力発電のような稼働率の悪いものを幾ら抱えてもあと価格でめんどう見ますけれども、向こうは競争関係がありますからなかなかそうはいかない。そこで切りかえるのがふえているのじゃないかと思います。 そうすると、あと合成燃料で対抗するということですが、サミュエルソンという経済学者が数年前に書いておりましたが、オイルシェールについて、あれは夢物語じゃないかと言っているのです。カーターはオイルシェールやタールサンドや、あるいは石炭液化を主要な対抗力と見ているようですが、そういう議論もありますし。というのは、かすがいっぱい出るものですから、コロラド州なんかは風光明媚なところで、かすがいっぱい出たらとてもやれない。これを片づけろということになると、コストは非常に高くなる。だから、当分これはだめじゃないかということで、結局、OPECは足元を見てどんどん値上げできるわけであります。OPECの方としてはとにかく早く売らぬ方がいいわけで、なくなった後は砂漠ですから食っていけなくなる。そこで、細く長く売ろうというのは、これは当然だと思います。ドルにかえると目減りしますし、地下に置いておく方が有利なわけですから、こうやって供給をしぼり出したわけであります。 あと砂漠しかないと食っていけないわけですが、本当は私は水素エネルギーの輸出国にする。つまり太陽エネルギーをレンズで集めまして、液体水素をつくって、その次の段階は液体水素の輸出国。つまり液化天然ガスのような形で、あれは電力にもなるし、液体燃料にも使えますから、そういう形に向かってうまくスイッチしていくというのが一番自然じゃないか。ローマクラブの第二報告も、原子力発電をサウジなんかに教えたりすると何をやるかわからぬ、危なくてしょうがないから絶対あれを教えてはいかぬ、民度の低いところへ教えてはいかぬというようなことを言っていますが、そういう状況ではないかと思います。 それで、結局、石油供給は、第一次ショックまでは世界的に六・四%のテンポで供給を伸ばしてくれたのが半分以下に抑えてきているというふうな状況ではないかと思います。われわれはこれに調子を合わさざるを得ないわけであります。そうしますと、南の国がこれから工業化をすると、石油供給の純増分は南の工業化のためにほとんどささげないと大変失礼なことになってくる。先進国はエネルギー、石油についてはゼロ成長を早く公約しなければいかぬ段階に来るのじゃないか、こういうふうに思っております。いま購入制限が話し合われておりますけれども、こういう状況は、先進国におけるエネルギーゼロ成長の課題というのがかなり近くに迫ってきているというふうに思います。 そこで、日本の経済成長は、第一次ショックまでが石油消費の伸び率が一二%、経済成長率が一〇%、弾性値が一・二であったわけです。このような弾性値で進んでいきますと、世界の供給に足並みをそろえると大体三、四%に足並みをそろえなければならない。四%に足並みをそろえると、経済成長率は、弾性値が同じだとしますと三%強ぐらいで非常に低い成長になりまして、これはまた大変問題が起こるわけです。総需要抑制で成長率を抑えていきますと、輸出ドライブをどんどんやりますと、集中豪雨型の輸出だといって、ほかの国が低成長ですからぶうぶう怒ってきます。この前のときは、アメリカが国内の天然ガスだとかあるいは石炭に依存して、早くエンジンカントリーとして成長率を高めて世界経済を支えたわけですが、アメリカは、もうもたぬからおれはおりますと言い出しました。低成長に入っておりまして、石油問題で向こうは行き詰まってきている。そうすると、前のようにエンジンカントリーがいますと、集中豪雨型の輸出で外貨をかせいで高い石油代金を払い切るわけです。そして円高をつくって物価を安定させて進むことができたわけです。その強行突破が、アメリカがこうやっておりてきますと非常にむずかしくなる。それで値段が非常に高い。いまの輸入の半分が石油で、そして穀物、飼料とか、そういうものを入れますというと、六割、七割ぐらいはそういうものばかり買っている。そして、これを製品輸出でカバーするというのはバランスが非常にとりにくくなる。だから、円安がいま続いておりますけれども、前と同じように簡単に円高に返れると言っているけれども、どうも私はむずかしいのじゃないか。前のときはアメリカががんばってくれたから、そのしり馬に乗ってうまくかせいだわけですが、こうはいかなくなってきたのじゃないかと思います。 したがいまして、この点を考えますと、どうもうまくいかない。低成長になりますと集中豪雨型の輸出ができない。そして、バランスがとれないというとスタグフレーションが続いてくることになるわけです。そこで行き詰まって、これは余りスタグフレーションを長く続けますというと政治的に非常に問題になってきますから、何とかしなければならぬのですけれども、なかなかいい方法は見つからない。弾性値を下げるということがいまの需給見通しでは出ておりますが、昭和六十年に〇・八に下げるだとか、まあその程度の努力なんですが、これは相当低く下げないと高い成長はやれないのじゃないかというふうに思います。仮に〇・五に下げることができますと、四%のエネルギー消費の伸び率で八%GNPを伸ばすこともできるわけです。したがって、弾性値を下げて高い成長をやる。つまりエネルギーを成長の割りに使わないというやり方に大幅に切りかえていかないと、石油も買えないし、それからバランスもとれないのではないか。国内の雇用問題を考えますと、そういうことになるわけです。だから、五、六%成長ですき間を縫っていこうという考えがいまの戦略ですけれども、どうもそううまくいかないのじゃないか。五、六%成長というのは、結局、石油依存度を余り下げないで、弾性値を余り下げないで、そして低成長に追い込まれる。そして石油をたくさん使っているわけですから、エネルギー高価格を発火点とするインフレーションというのをずっと続けていくわけで、スタグフレーションを続けることになるわけです。 経済学者の中でも、現代経済というのはスタグフレーションは御の字じゃないか、サミュエルソンなんかはそういう考えなんです。デフレスパイラルとインプレスパイラルを避けていく以外にないのだから、この六〇年代というのは、クリーピングインフレーションというのは完全雇用と高成長が払わなければいかぬ代価である、こう言ってきたのです、サミュエルソンは。最近はデフレスパイラルをやって物価を安定させる、この伝家の宝刀が使えないものですから、結局、スタグフレーションというのは民主主義が払わなければいかぬ代価である。だから、インシュリンを、糖尿病はずっとインシュリンで支える以外にないのだ、こういう考え方のようですけれども、余りそれを長くやるわけにいかない。いずれかの方向に行くと思うのです。 〔委員長退席、理事竹内潔君着席〕 一つは、やはりデフレスパイラルで物価を暴落させて、失業を賭してやれというサッチャー路線、これが先進国全体で出てきますというと、恐らく世界不況になる。そして、世界不況の中で、結局こんなことになるのは石油国がこんなに暴れるからで、ああいうことになるから、だからあそこを取り押さえろ、失業の前には軍事力も行使せよという形で一九三〇年代の道へ行く。すなわち、不況と戦争の道に入っていく。こういうコースになるのではないか。そういうコースを避けたいと思えば、スタグフレーションをじわじわとある程度まで続けながら、ある一定の時点ではエネルギーに余り依存しない、ダーティーエネルギーには依存しない経済成長のコースへ入っていかざるを得ないのではないかと思うのです。その道をどう探求するかということです。 私は、第一次ショックの後ごろから弾性値を下げるために五つの柱を提唱してきました。 第一は、自動車、できるだけマイカー、 マイトラックを抑えて公共輸送体系に切りかえること。そのために、自動車の飛ばっちり費用、社会的費用は、非常に高いのに安い安いと使っているのですから、これを税金という形で負担させる。そうすると、公共輸送の方へシフトしてくるのではないか、これによってエネルギー消費をかなり下げるということです。 それから二番目は、石油合成物質の危ないやつはやめて、もとの光合成物質、つまり太陽エネルギーをもとにしたものに返す。たとえば、合成洗剤を天然のヤシ油をもとにした粉石けんにかえるということは、これは光合成物質にかえることであって、私は非常に結構なことではないかと思います。石油合成物質の危ないやつをできるだけそちらに切りかえる。 三番目は、あらゆる消費財の耐用年数を数倍に延ばす。そうすると、生産のエネルギーはがくっと落ちます。これはどうやるかといいますと、政策手段としては、もちの悪いものは、同じものでもわざと壊れやすくするとか、計画的陳腐化をいまのマーケティングではやりやすい傾向があるのですが、そういうものについては、競合製品についてもちのいいものはゼロ税率にする、そしてもちの悪いやつは一〇〇%ぐらいの課税をする。つまりヨーロッパのEC型付加価値税というのは、あれは弾力条項がありまして、 〔理事竹内潔君退席、委員長着席〕 物によって、エネルギーをたくさん食ったり、環境にストレスを起こす、もちが悪い、そういうようなものは非常に高い税金を取って、競合製品で高いように見えるけれども、社会的には非常にいいもの、これはゼロ税率にする。たとえば、合成洗剤は一〇〇%税金を取って粉石けんはゼロ税率にする。こういうふうな形をやれば消費パターンがずっと変わってくるのではないか。これはECのマンスホルトというもとの委員長がローマクラブの報告を受けた後に提唱した考えでありますが、これを私は一般消費税に対して選択的消費税という名前をつけているのですが、こういう方策をとる。 それからその次は高層ビルの建設ですが、これは地価が高いので上に上に伸ばすのですが、鉄骨とそれから空調と輸送が、エネルギーが安いものですから安くできる。そこで高層ビルができるわけです。しかしながら、エネルギー高価格時代においては非常に不経済なので、地価の安いところに中層ビルをつくるようにし、そして東京には情報将校だけ集めて、情報処理部隊は集められないように持っていく。たとえばロンドンのように、パリもそうですが、都心部は高層ビルの建設を原則禁止。床面積当たりでパリでは課徴金を取って、取った課徴金で地方に事務所をつくったやつに補助金を出す、こういう追い出し税を使っていますが、こういうふうな形をやりますと、情報将校だけでしたら一つのビルに数社入れますから、エネルギー消費というのはぐっと下がってくるわけです。エネルギー低価格時代におけるマンハッタン現象であって、これは抑えるべきじゃないか。これは過密対策にもなるのです。 それから最後に、われわれの消費の中で、若い人の消費よりも年寄りの消費を伸ばした方がいい。若い人は賃上げと減税で所得がふえるとすぐジェット機に乗って海外旅行へ行ったり、自動車を買ったり、使い捨てがあったりして非常にエネルギーの誘発が高いのです。これに対して年寄りの消費というのは、賃上げと減税は関係なくて、これは年金拡大しかない。この人が買うものは老眼鏡を買いかえたり、入れ歯を入れかえたり、電子補聴器を買ったり、非常におとなしいですから、そちらを優先的に伸ばした方がいい。だから、私は大幅賃上げ、大幅減税に反対でありまして、大幅年金拡大一本にしぼれ、こういう考えです。 こういう政策手段をいろいろな形で導入してきますというと、弾性値は〇・五に簡単に下がると思うのです。〇・五というのは、一九二〇年代の日本が弾性値〇・五です。できない数字じゃないのです。イギリスの弾性値が〇・六であります。これはどうしてかというと、ロールスロイスのように付加価値の高いものに力を入れてコンビナートはやらなかったのです。設備が足りなくなると日本から輸入する。日本が世界の公害を一切引き受けてくれるのだから日本から買えばいい、こういうやり方をとれば弾性値は低くなるのです。だから、〇・五、〇・六というのはそうむずかしい数字じゃないのです。これを私は実行に移すべきじゃないか。そして、なるべくGNPとしては高い成長をやる。この高い成長をやっている間に銀行の借金を返す。そうすると、財務内容がぐっと改善されてきますれば低成長でも黒字が出るようになるわけです。いまは借金が多いから高い成長がなければ採算がとれないのですけれども、借金を返せる時代を数年間実現する。そして、それが済んだ後はエネルギーゼロ成長で数%成長に軟着陸をする、こういう形に持っていくべきではないか。 カーターなんかも、最初のエネルギー補佐官のデービッド・フリーマンという人がいますが、いまTVAの総裁をしていますが、エネルギー補佐官のデービッド・フリーマンのフォード財団の報告書、これがかなり影響しているわけですけれども、こんなことを考えています。アメリカは、四%のエネルギー消費の伸び率で経済成長は三・六、こういうヒストリカル・グロース・コース、これを保っている。これは弾性値は一二でありまして、これはもうやれない。石油に依存すると、とにかく高いですから、貿易は大赤字になってしまって、ドルが軟調でインフレでまいってしまう。国内の原子炉に依存しようとすると住民の抵抗が強くてやれない。そこで、結局、弾性値を〇・五に下げて、エネルギー成長は一・七%で経済成長が三・五%、こういう方向へ行こう。 これはどうやるかというと、一つは大型を小型にかえればいいわけです。がぶ飲みの自動車をやめる。それから二番目は、建築物の断熱効果をきっちり義務づける。それから三番目は、エネルギーが安いから——アメリカは、国内の石油とか天然ガスというのは戦時経済のときに、原子力潜水艦に包囲されたときに使わなければいけませんから、備蓄を考えて、戦略的に値段を安く抑えているわけです。そうしますと、統制価格だから採算が合わないから掘らないわけで、これの方がいいという考えです。そうすると、石油消費はどんどん輸入にかかってくるから、貿易はパンクしてしまうわけです。そこで、この価格を上げるとこれは使ってしまう、掘ってしまいますから。だから、出荷価格は抑えておいて、生産者価格は抑えておいて消費者価格を高くする。それで石油を節約させる。そうしないと、相対的に世界に比べて安いからなかなか節約しないわけです。そこで、その価格差平衡税というのを取って、消費者は高く買わざるを得ない。生産者は安く抑えられている。こうやればエネルギー節約ができるだろう、こういう考え方を考えたわけです。これがうまくいけば、弾性値が下がって比較的高い成長をやりながら、雇用を安定させながらエネルギー問題から脱出できる、こういう考えです。 しかし、これは十年ぐらいでだめになる。十年後にはどうするかというと、エネルギーゼロ成長で、数%のエネルギー成長は〇・七%で、経済成長は三・五%、そういう成長モデルへ移行する。これは、ここまで来ると、大型から小型でもだめだから公共輸送に切りかえる。それからイギリスと同じようにコンビナートはやめて製品を海外から買う。それからノーハウとサービスで食っていく、こういうふうなモデルへ移行せざるを得ない。しかし、ここはとてもなかなかやれないわけです。第一から第二のコースへ変えるのさえむずかしい。結局、エネルギー節約法案が骨抜きになってしまって、総需要抑制という形で成長率を抑えることによって石油消費を抑える以外にない、こういうところへいま巻き込まれてきているわけです。だから、本当は省エネルギーをやればドルはこんなに不安定にならないでいけるのですけれども、なかなかこの法案が通らないわけです。というのは、生産者が値段をもっと高くしてくれと言いますし、消費者の方はガソリンなんかは、本当に自動車が足になってしまっているものですから、値段が高くてはとても生活が圧迫されてだめだからやれない。これに政治家が動かされてなかなかこの法案が通らない。それから価格差平衡税も通らない。それから大型もなかなか捨てようとしない。小型を優遇して大型から高い税金を取るといったらフォルクスワーゲンやトヨタを買うばかりじゃないかとメーカーが反対するし、どうしようもないわけです。だから、しょうがないから総需要抑制でリセッションにして石油消費を抑えている。これがいまのアメリカの姿で、おりてしまったのです。そこに基本的な問題がありまして、模索をしているのですけれども、なかなか違ったコースへ行けないということだろうと思うのです。 日本ではこういうふうなコースについてもう少し議論する必要があるのじゃないか。エネルギー成長を世界の石油供給その他と合わせて、経済成長五、六%はどうしてもやらなければいかぬ、こういう結論だけやっているのですけれども、弾性値は〇・八ぐらいに下げようというふうな、こういうふうなコースが決まってしまうのではなくて、いろいろなメニューがあって、そのメニューの中を、すぐはやれないけれども、いろいろ議論をしてみなければいかぬのじゃないか、こう思うのです。私のようなモデルをやれば、これは弾性値は下がって比較的高い成長ができますし、そして、ほかからエネルギー、穀物、飼料は余り買わないような方向へ持っていけば、これは輸出でがつがつかせがぬでも貿易はバランスいたしますから、そして円安もかなり防げるということにいけるのじゃないか。国内的に見ましても、エネルギー高価格を発火点とするインフレーションというのは、エネルギーを余り使わないわけですからだんだん鎮静をしてくるわけです。こういうふうなコースを議論する必要があるのじゃないか。その議論がどうも怠られているというふうに思います。こういう成長を、経済成長の割りにエネルギーを使わないという、こういうやり方を有機的成長と私、名をつけています。これはローマクラブ第二報告の考えですけれども、あれはゼロ成長論ではなくて、数%成長しようというわけですが、そのかわりエネルギーはゼロ成長に移行というわけです。人間の成長と同じでありまして、人間は十七歳まで身長と体重がふえたら、そこで精神的成長に移りまして大入道になりません。そのようなところへ先進国は来たのじゃないでしょうか。そういうふうな決断をするという意味で生活様式を変えること、そして、いまのように変えさえすればエネルギー依存度はぐっと下がりますから、相当やっていけるというふうに思います。そういう政策手段をどのように考えたらいいのか。たとえば予算一つ見る場合でも、こういう点の配慮はほとんどやられておりません。たとえば大蔵省は、去年、財政需要の中でエネルギーの誘発効果の高いものと低いものと財政需要を分けて、そして優先順位を考えようというようなこと、調査活動は始めていますけれども、これは石油ショック直後にすぐ始めるべきじゃなかったかと思うのです。そういう考え方でやるべきで、財政の、ケインズ理論のように有効需要の乗数効果ですか、そういうふうなことばかりを中心に考えないで、もう少しそういう点を考えたらどうなのか、こういうふうに思うのです。 そこで、いまの五つの柱について幾つかの政策的なポイントを申し上げてみたいと思います。自動車の税金でありますが、これは運輸省の方から陸上公共輸送体系整備特別会計というのが出ておりまして、自動車の税金を上げたやつを道路に幾らつぎ込んでもこれは切りがないから公共輸送の充実に向けようという話が出ております。早くあの目的税を外すべきではないか。一九七三年、交通法というのがアメリカにできましたが、あのときガソリン税を全部道路につぎ込むという法律を、一部分は公共輸送の充実のために向けてよろしいということに改正しました、ニクソン時代にやりましたけれども。こういうことを運輸省も言い出しました。これは、いまのところ上乗せ部分を公共輸送体系整備特別会計へ向けようという考えですが、私はそれもやるべきだと思いますが、既存のものについても、あの目的税を外して公共輸送の方へつぎ込むという形をとるべきではないか。これを国としてやる前に地域でかなり考えられるものがある。たとえば、田舎の国鉄なんか見ますと、隣の町へ行くのに鈍行を使いますと十五分で行けるのです。ところが、一時間に一本しかないわけです、ダイヤが。そんなものですから、みんな車を使う。道路が混雑して隣の町に行くのに四十五分かかる。こういう傾向が非常に多いのです。特急と急行ばかりのダイヤだ。そういう場合は、地方自治体で話し合って標準税率を上回る超過課税が自動車はできるわけですから、それで税金を取ってしまって、この税金で自動車の保有を抑えて、それでもってダイヤを国鉄から買えばいいわけです。そうすると、国鉄がダイヤを一本でも二本でも、キャパシティーはあるのですから、ふやしてくれれば待たないから、道路から鉄道に人間が返ってくるわけです。こうやって混雑も防げる。こういうふうな、やはり公共輸送を使った方がかえって合理的なんで、いまはどうも単細胞的にやり過ぎて、かえって輸送コストを上げているのだという自覚をもっとつくり出すように持っていくことが必要なのじゃないか。そうやってやりますと、かなりこれは効くだろうと思います。 それからトラックの方も、これは英、独、仏のように、国鉄の貨物というのはなるべくトラックを使わないように、中長距離は鉄道を使うように誘導しています。たとえば税金を中長距離は高く取るようにしている。そうすると、短距離しか使えないという形になるわけです。鉄道というのは、レール費用、安全費用、警察費用を自分で持っているのに、トラックの方は、道路を壊す費用、事故の費用、公害の費用、警察に厄介になる費用を十分に負担しないから安いと思っているだけなんで、社会的には高いものについているのだから、そういうものはちゃんと税金を取る。日本の税金に対して二、三倍税金が向こうは高いわけですが、そういうふうにやれば短距離トラックだけ使うようになると思うのです。ロンドンなんかは、都市内に夜も昼も大型トラックは入れない。だから、鉄道を使って小型トラックへ積みかえて持っていくというふうな形でやっていますし、それから通運会社は直行便。兼業を認めない。そして専業です。通運だけやる。こういう形をとっていますし、それから工場をつくるとすぐ引き込み線を入れて、それに対してドイツなんかは補助金を出しています。こういうことを日本は全然やらない。だから国鉄貨物が赤字になる。外国は、全部これは黒字であります。全貨物輸送の三割から四割を運んでいるわけです。日本は、いま一割しか運んでいないわけです。大赤字になっている。外国は、新幹線がないから旅客は大赤字ですけれども、日本は、新幹線でぼろもうけしていますから、在来線の赤字をカバーして長い間とんとんを続けました。外国の場合と赤と黒が逆になっているわけです。だから、国鉄の貨物をしっかりやれば、普通並みに黒字にすれば、例外的に旅客がとんとんに近いのだから、私は、国鉄は成長産業に変わる、こう思います。これを私はやらない手はないと思うのです。こういうふうにして、幹線部門でしっかりがんばってくれれば、過疎線の赤字なんというのは量としては大したことないのですから、抱えていけると思うのです。ですから、幹線部門の黒字転化を、トラックを抑制し、マイカー抑制によってがんばっていく。これが省エネルギーにもつながると思います。 目新しい問題を幾つか話してみたいのですが、たえとば、農業の問題でもそうですけれども、食管会計が非常に赤字で困っておりますけれども、稲をコンバインを使って刈り取り、米を石油乾燥しているわけです。それでもって、あれはもう死んでしまって発芽しないものですから、まずくなってしまって、古々米で売るときは十分の一で投げ売りしているのです。あんなことをして、個々の農家はコストは下がっても、社会的にはえらい高いものについているのです。それよりも私は、はさに干して天日で、太陽エネルギーを使って乾燥する。これは発芽する生きた米ですから、私そういうようなものを価格を優遇して、石油乾燥したやつを価格を冷遇する、こういうふうにやるべきで、品質でいま格差をつけていますが、あれは農薬や肥料をたくさん使った危ないやつほどうまいものだから、そういう矛盾が起こるわけです。だから、つくり方で格差をつける。それで、こういう発芽する生きた米の方は、米屋で売るときは生きた米という表示を認める。石油乾燥したやつは死んだ米という表示をする。消費者は、おいしいから生きた米をどんどん食べる。そうすると需給調節になるわけです。だから、もう少し生物的なやり方を考えたらどうかと思うのです。ただ、農薬や肥料をやめれば石油はざっと減りますし、それから減反効果があるわけです。減反しておいて、つくったものはおいしいから需給調節になる。農家の人は、自分で食べるやつはそういう変なやり方をしないで、ちゃんと自分の食べるやつは別につくっています。本物で勝負しないで、にせもので消費拡大なんてやっているからうまくいかないので、本物のやつをどんどん育成するようにする。消費者も非常に本物志向が強まっていますから、その波をうまく利用して、そういうふうな農産物価格の設定の仕方をして省エネルギーに努めるというふうなこと。 それから公共投資でもそうですが、砂防堰堤だとかダムだとか、いっぱいつくっておりますけれども、林野庁の方で余り独立採算ばかり言うものですから、杉、ヒノキにどんどんかえてしまう。そうすると、杉、ヒノキというのはぽろぽろで、針葉樹ですから保水力がないわけです、どんどん流れてしまって。それだから、すぐダムがおかしくなって、百年もつものが二十五年で埋まってしまう。それで、公共土木事業をばんばんやらなければいかぬ。あれは独立採算をやめて、広葉樹だとか、そこの自然植生なんかをまぜてやるようにすれば、これは手間はかかります。コストは上がるけれども、それは補助金で見ておけば、保水力は何倍も上がるわけです。杉なんていうのは、根っこは五年で腐ってしまって、それで流れてしまうわけです。それで、そのときまだ幼木でしょう、新しいやつは。だから山が崩れてしまう。これは自然植生だったら、あれはちゃんと根が生きていますから、土壌をがっと押さえていますからそんなに崩れないのです。だから、経済性を考えて近視眼的にやってしまったら社会的にえらい高い土木予算ばかり食ってしまうということになるわけです。そういうようなあたりを、もっと予算の配分についても——れは植物に保水させるのですから、太陽エネルギーを使って保水しているわけです。セメントや鉄や、それから猛烈な石油を使った土木事業でダムをつくったり、河川改修をやったり、砂防堰堤、そういうようなやり方よりずっといいわけです。過疎地の農家の人は、そういう手間がかかる森林の方で雇えばいいのです。いまは一生懸命砂防堰堤の方で雇っているわけですが、これはおかしいと思うのです。石油型の雇用をふやしているわけです。だから、生物的に頭を使えば私はかなりいけるのじゃないか、こういうふうに思っています。 時間も超過いたしましたので、この辺ではしょらせていただきますけれども、太陽エネルギーに依存するということは、日本列島は非常に太陽エネルギーが豊富なんで、これは植物を媒介するというバイオマスということをしきりに言われていますが、あの石油がなる木なんというバイオマスと言っていますが、あんなことを考える前に、もっと素直な形でやれるのではないか、こういうふうに思っています。
○委員長(吉田実君) どうもありがとうございました。 それでは、参考人に対します質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(吉田実君) 速記を起こして。
○丸谷金保君 それじゃ、先ほどに引き続いて御質問いたしたいと思いますが、一つは、大体、先生方のお話を聞いておりますと、先般、当委員会で論議した長期エネルギー需給暫定見通し、これについては見通しというよりは努力目標というふうに規定した当委員会の前回の考え方と全く似ているのではないかというように思うのですが、その点いかがでございましょうか。どなたからでも結構でございます。
○参考人(岩尾裕純君) おっしゃるとおりだと思いますが、努力目標にしては問題点が、われわれにとっては非常に確実性がない問題点が幾つかあるということを申し上げておきます。
○丸谷金保君 それを踏まえた上で、長期のエネルギー対策をどうするかという国家的な目的、ずっとお話を聞いておりまして、要約しますと、どうもこれはエネルギー問題というのを、岩尾先生は政治と経済の延長線上で条件を詰めていくと中間報告のようなことになるとおっしゃっておりましたけれども、これは経済の延長線上ということは無理なんで、エネルギー問題というのはまさに政治がどう解決するかということにかかっている。これは経済のことを言うからわかりにくくなるので、経済は関係ないのではないか、極端に言いますと本質的に。本質的にこれは経済問題じゃないというふうに思うのですが、この点について、岩尾先生、いかがでございましょうか。
○参考人(岩尾裕純君) やはり場合によりましては、それは基本的には経済問題だという見方もあり得ると思うのですけれども、先生のおっしゃように、第一に、これは政治の問題が最大の問題でございます。この問題を抜きにしてエネルギー問題を考えるというのは、非常に無理だということを申し上げておきます。
○丸谷金保君 質問の仕方がちょっと悪かったのですけれども、私の申し上げたいのは、エネルギー問題解決の道というのは経済でなくて政治だ、こういうふうに理解をしたのですが、いかがでございましょうか。
○参考人(岩尾裕純君) 全く同感でございます。
○丸谷金保君 そうしますと、われわれの責任ということであって、これはあとの質問が大変何か空漠たる議論になってしまうのですが、先ほど笠井先生からお話がありましたOPECの長期戦略委員会、ここでの話し合いのチャンスなんて、まさに政治の問題に尽きるというふうに考えるわけです。そうなると、やっぱり力関係ということも出てきます。最近、サウジの方へもおいでになったとお聞きしましたが、現在、アメリカの軍事力、主として空軍基地を中心にサウジに展開されている兵力というのはどれくらいに押さえておりますでしょうか。
○参考人(笠井章弘君) 細かい数字や具体的な情報を持っておりませんで、それは御勘弁願いたいと思います。 御存じのように、オーマンの基地、それからアフガニスタンにソ連が入ったとき、一番先に占領したのが、一番西側のイラン寄りの空港を押さえたというのは御存じだと思いますし、そういうソ連があの辺をずっと、アフリカからのこの線を押さえてきたことについて、いままでは爆撃機の距離範囲だというふうなことで文句が出ていたのですが、このごろは全部戦闘機の航続距離の中にみんな入ってしまったということで、今度のアメリカの国防白書ですか、この一月に発表されましたあれによると、カーターが全然いままでと正反対な国防白書を出しているわけです。結局、出おくれたアメリカがやっと軍事プレゼンスをあの辺に拡充しようという姿勢を初めて発表したわけで、それまでは何かほかにいる、地中海とか太平洋にいる艦隊を急遽そういうところに移すのだ、あるいは緊急投下部隊ですか、そういうものを去年から始めていますが、実はソ連が例のエチオピアのときには、二十四時間で大体一個師団ぐらいを空輸してしまったわけです、空挺を使って。そういうことはアメリカではあと二、三年かかるだろう。急遽その訓練をやっているというのがいまのアメリカの現状でございまして、それを埋めるために今度の国防白書で、今後五年間ですか、五%ぐらいにふやす。これは非常におかしな数字でして、実際の軍事研究ということじゃなくて、そのほかの軍需物資の調達ですとか、そういう予算が非常に実際は多いわけであります。それを十何年間やっていたソ連とアメリカとの違いというのが非常に出てきている。ただ、アフガニスタンの場合の事件以来、カーターが非常に強硬になって、やはり軍事をあそこへ持っていかなければだめだという判断をしたということくらいしかわかりません。
○丸谷金保君 実は笠井先生、OPECの問題を考える場合に、どうしてもサウジの政局が現状でいくかどうかという見通しが一番大きな問題だと思うのです。その場合、封建的というよりは、ここの場所ではわれわれは、異質の政治体制の国ではあるけれども、イランとの違いは、人口も少ない、教育程度も低い、それでアメリカの空軍基地を中心にした相当の兵力の展開もある、こういう現状を踏まえた場合、サウジは巷間伝えられているような政治的な危機がそう早く来るという認識をわれわれが持って対応しなくていいのではないかというふうに、これの違いによって全く今後のエネルギーに対する日本の対応の仕方が違ってくるので、ここのところ、ひとつ先生の御所見で結構ですから……。
○参考人(笠井章弘君) 大変大きな問題で……。 先ほどちょっと申し上げたのは、一番最初に、サウジがOPEC内の価格統一機能を果たしたやつができなくなってきたということを一つ申し上げたわけです。その理由は、一つは、去年の三月のエジプトとイスラエル単独和平交渉、あの決まった次の日にアラブ諸国が統一して反対声明を出したのです。あのときにサウジも入っていたのです。それからもう一つの問題は、先ほど申し上げたOPEC内での減産の数字を申し上げたわけですが、サウジが相当大きな減産の数字を初めて発表したわけです。これは一つの大きな油田の問題がある。これはちょっと秘密情報も入っているものですから確かかどうかわからぬですが、そういうことがあって初めて二十年ぶりにそういう数字を出した。それは石油の問題に関して申し上げたので、そういうことからいくと、サウジがOPEC内あるいはガルフのあの地域において石油問題に関してはいままでのような機能を果たしてこなくなった。ですから、アメリカが軍事プレゼンスをサウジにして、OPEC内の統一価格をつくるためにサウジにお願いして動かすというようなことが機能しなくなったのではないかという評価が、ヨーロッパサイドでは非常に多く出ております。アメリカの方は、自分の方がうまくいかないので何にもおっしゃっていませんけれども、それが一つあります。 ただ、軍事の方の場合は、私、専門ではないものですから、よくわかりませんので……。確かにサウジしかなくなってきたというふうに言ってしまえば非常にはっきりする。あとは御存じのように島を二つ、インド洋の島を二つ基地に使っておりますけれども、あれはちょっとした基地でして、実際の軍隊の展開ということになると、やっぱりサウジが中心になると思いますけれども、ただ、軍事だけであの辺が動かなくなってきたというのがあるのじゃないか。なぜかというと、さっきの一番最初の石油の問題で、単独和平交渉において全部のアラブ産油国が反対したということは、いままでカイロ、テヘラン、リヤド枢軸というのが壊れたという表現でぼくは申し上げたのですが、あの三つでもって押さえられるというのがアメリカの一つの基本的な戦略でありますが、その基本的戦略が崩れてしまった。その穴埋めの時期で、いまそれをどうやって穴埋めするかということで、早急に軍事プレゼンスを補強しようという形で出てきた。今後その軍事プレゼンスがどの辺で拮抗してきて、どの辺からアメリカの発言力が復活するのか、その辺の見通しは少しむずかし過ぎて私にはわかりません。
○丸谷金保君 そこで、もう一問。 向こうへおいでになっていて、恐らくお気づきになっているかと思いますが、諸外国はほとんど大統領とか首相というふうなクラスの人が常に中近東の方へ出かけているし、クイーンまで行くというふうな状態もございます。日本では非常にその点がおくれている。いま園田さんが行っていますけれども、現在は一議員です。もっと政府が中近東に対して積極的な対応をしなければ、政治の問題としてのエネルギーにきちっと構えていたということにならないのではないかと思いますが、その点、行ってこられていかがでございましょうか。
○参考人(笠井章弘君) まさにそのとおりでありまして、女王さんと言われているのは、この間退位を発表されているオランダのユリアナ王女が二週間ぐらい行ってフィリップスを売り込んでいますし、それからヨーロッパ、アメリカでも大統領、首相が何回か行っています。 サウジの人たちがぼくらに言うのは、わが国は王様が日本を訪問している、日本は天皇も皇太子も来ていないというようなことを、これはインフォーマルですけれども平気でおっしゃいます。サウジの人たちが日本をほめる言葉の中で印象に残っているのは、サミットのメンバーで白色人種でないのは日本だけだ、非常に短い期間にこれだけの技術と経済を成長させた、うまくコンバインして新しい国づくりをやった、それは大変尊敬すべきだと。 それで、石化の国づくりのナショナルプロジェクトを四つつくられて、それで、そのうちの三つをアメリカ、一つを日本に割り当てたわけですけれども、日本のあるグループが一回おりられてしまって、それについてサウジが初期のころ大変怒っていまして、その後、二年ぐらい前ですか、第何王子か日本に来て何かやりましたのです。それであるグループがいまやり始めたわけですけれども、石化プロジェクト自体の有効性だとか、経済評価だとか、フィージビリティーとかは別として、国づくり計画にどうして参加しないのかというサウジの言い方の裏には、インターナショナルテンダー、国際入札は日本がどんどん勝って商品を売り込んでいるけれども、国づくり計画の方は知らぬ顔をしている、一体これはどういうことだというわけです。 それから、二年半ぐらい前ですか、財界の大型調査団いうのとアブダビで一緒になって、私はサウジから帰ってきたときで、財界の方はこれからサウジに入られるときで、大使館の人が話してくれというので少し話をしたのですが、そのときにぼくは、サウジにこれから、われわれみたいな若いのが数人で調査に来たとは違って、偉い人が来るのだと言ったら、財界とは何であるかと。あちらには財界はないわけでございまして、財界というのは、日本で言えば財界なんですが、ああいう国に財界を説明するのは非常にむずかしかった。ということは、逆に言えば、経済の問題を経済の問題で調整できないので政治的な解決をしてきている。これはニクソン・ショック、石油ショック以来、国際的な調整はほとんど経済問題を政治的調整で片づけざるを得ないような状況になってきている。そういう意味でいくと、いま御指摘の政治的な接触、あるいは宮廷外交という名前がいいかどうか知りませんけれども、皇太子御夫妻が訪問される、そういういろいろなチャンネルをつくられる。それは政治的にやるしかないかと思いますけれども、いろいろなチャンネルをつくられるということが一つ。それからさっき申し上げたように、国づくり計画を、もし、企業グループ、民間グループにやらせるとすれば、それに参加するだけの制度金融なりバックアップを国内としてやってあげないと、民間だけではなかなか危険のある仕事ですからできないと思います。ですから、幾つかのやり方があるわけですけれども、一番最終的には政治的な調整しかないわけですから、前もっていろいろな計画をおつくりになっておいた方がいいし、先ほど御質問いただいたのですが、実は湾岸諸国も国によってみんな違う顔をしておりまして、日本は全方位外交とおっしゃるけれども、本当のことを言うと、やっぱりいろいろなウエートをつけて外交というのは展開されるべき話だろうと思います。同じ産油国でも、リビアとクウェートと同じように日本はつき合っているわけではないと思います。そういうことを日本の国内の方としてしっかり体制を持っておられないと、いざ向こうに行ってお話しになっても、なかなか実行あるいは持続性がないと信用されないものですから、そういう国内体制もお考えいただいた方がいいと思います。
○丸谷金保君 笠井先生が先ほどおっしゃっていた、民間で七〇、国が三〇というふうな研究開発に対する姿勢、こういうところから直していかなきゃならないということを踏まえてのいまお話だろうと思うのです。 一点だけ簡単にひとつ。 財界を説明するというのは大変苦労した。中東産油国での受けとめ方は、簡単に言うと、財界の人というのは商人ということに受けとめておるのではないでしょうか。どうでしょう。
○参考人(笠井章弘君) まさにそのとおりなんですが、ただ、大企業の説明をするにしても、規模が大分違うものですからなかなか説明しにくいわけです。ただ、非常に誤解されるのは、日本の商社が国際入札をやられる態度が国によって全部違う。サウジが案外日本という国を評価してくれない。たとえば、クウェートのテレコミュニケーションのシステムの入札は日本のあるグループがとった。同じことをサウジがやられた。そのときに発表した数字を見ましたら、欧米各国、七カ国ぐらいですが、大体同じぐらいの値段の幅の中に入っていたのです。ところが、日本だけは六倍の価格をつけた。これは入札というよりも失礼ではないかというのがサウジ側の意見で、ぼくらも返事のしようがなかったのですけれども、私は民間人ですから、何かローカルファクターを間違えて計算したのじゃないかぐらいで謝ってきたのです、私がやったわけでは別にございませんが。そういうことが起こるように、非常に何か商売のときは熱心だけれども、そうでなくなると全然違うことをやってくれる、それは一体何だというやつが一番接していて困った問題です。
○丸谷金保君 岩尾先生、需給見通しについて大変温情のあるような御批判をしていらっしゃいましたが、簡単に言いますと、経済成長率を五・七%、そして東京サミットの下限の三億六千六百万キロリッターというのを石油の見通しに持って真ん中にずっと数字を埋めていった、その埋めるのに苦労したということに対して大変御苦労さんでしたとおっしゃったのかどうか、そこのところをひとつ……。埋めるのに苦労されたので御苦労さんとおっしゃったのか、埋める積算をきちんとやられたのが御苦労さんでしたというのか、どちらなんでしょうか。どちらにもとれるようなので、ひとつ。
○参考人(岩尾裕純君) 国会議員の先生にはうそがつけなくて困るのですが、先生のおっしゃるとおりだと思います。おっしゃるとおりだと思いますが、しかし、埋めるにしてもやはりそれなりにずいぶんいろいろな知恵を、技術的には非常に通産の方では知識を集中していると思いますから、それを現在の政治条件のもとで生かした、それは大変だったろうということでございまして、ばかばかしい手品をしたのだというふうには思いませんけれども、しかし、率直に言って、何とか数字をつくらざるを得ない状況でつくったのだという点で御苦労さんということを申し上げたのです。
○丸谷金保君 村田先生、研究者の育成、研究に対する投資の仕方、それからリスクをしょうことに対して非常に日本の財政が憶病だというふうな点の御指摘が具体的な例を挙げてございました。石炭の技術者を生涯安心させて研究に没頭させる。数にして百人くらいでしょうか。百人としましょう。どれくらいの財政力で全く生活に心配がなくできるかできないか。とにかくむだになるかもしらぬけれども一生かけてやってくれと、百人の人間を国の財政で賄うとすると、どの程度あったらいいでしょうか。先生のお考えで結構です。
○参考人(村田富二郎君) いまの御質問の前に、ちょっと私申し上げておきたいのは、先ほどから丸谷さんと笠井さんの間でやりとりがありました政治の問題だという点なんでございますが、政治の問題だということが、すぐアラビア諸国との交渉に入ってしまったという点にちょっと私は疑義を持つわけでございます。いままでの問題では、一番ないのは何かというと、国の間の交渉が、それは先ほどからのお話のように不完全な点もありますけれども、それ以上に問題は、行く前のエネルギー政策を一体どうするのかということ、そういう意味で政策だというのであれば賛成できるのですけれども、経済といっても、ただ自由経済でなくて、一つの政治でコントロールされた経済問題だというふうに一応お考え願わないといけないのじゃないかということが、一つさっきから疑問に思っておりました。 それからもう一つ、いまのお話の件で、幾らあったらと言われてもちょっとこれは困るのでございます。だけれども、最小限考えていくのに、川口から今度筑波へ移りました公害資源研というのがございます。資源技術試験所を公害資源にしてしまったというのは、石炭が必要なくなったということでしてしまったわけなんです。それまでは少なくとも資源技術試験所で、一つの日本の石炭研究のケルンがあったわけです。それをケルンにして、各大学でも少数でしたけれども研究者は育っていっているわけです。何も、おまえ石炭で飼い殺しにするよと言ったってこれは研究者はついてこないのです。やっぱり研究できる場がどこにあるかということを政治の中で示していただかなくてはならない。そういう点から見れば、具体的なお金というのは私はそう多くないと思うのです。その中で出てきた計画をどう育てていくのかということでございます。一つというのは、私、実は川口のときも不満だったのです。研究というのは人がやることでありまして、テーマがやるのじゃないのです。ですから、同じテーマでも違った角度から人がやる。これはサンシャイン計画でも私いつでも文句言っているのですが、一つのテーマだったら何か一つやればいいじゃないかという形の予算がつく。そんなばかなことはないので、違った頭で同じテーマをやって初めて研究というものは、そこで討論が起こって進んでいく。そういう意味でいまの御質問にお答えするとすれば、国で二つぐらいのそういう研究所はやれるような体制、予算措置をとっていただいたらどうか、その程度のお答えでございます。
○丸谷金保君 実は、いまお話を承っておりまして、やっぱり政治というのは具体性がなきゃなりませんので、これからわれわれが国に対してこうしてほしいということで要望していく場合の根拠としてお伺いしたのです。 と申しますのは、全く先ほどお話のあったとおりでございまして、私は十勝ワインを開発した北海道の池田の町長を二十年やっておりました。それで、いまも、これは全く物は違いますが、ブドウの品種改良に若い連中に全力を挙げさせております。水戸の大学で稲の育種をしていた町から来た青年を、大学院まで行って教授にもらい受けて、育種の基礎的な学問があるのだからブドウと取り組んでくれ、一生の間に一本できなくてもそれは仕方がない、ライフワークとしてやれということで熱中しております。同じようなことを三人ほどやらせております。人口一万二千の町で一本出るか出ないかわからないものに生涯かける連中が、二人も三人も若者がいるのです。国が、いま先生がおっしゃった程度のことができないとすれば、これは後世に対してわれわれ本当に申しわけないことだと、もう冷や汗をかきました、お話を聞きながら。われわれも努力が足りないのだということで、実は冷や汗をかいたのですが、それを国の研究所の人たちと話しますと、池田の町長さん、あなたの町だからできるので、私たちが生涯かかって、そんなできるかできないかわからぬことをやっていたら、とてもじゃないけど農林省はほうっておいてくれない、早く成果を上げろと言われると言うのです。それがいまの国の全体の姿勢だと思いますので、具体的に百人で幾らかかるかというふうな大変失礼な御質問申し上げた真意はそこにございますので、御理解願いたいと思います。 それから私が政治の問題だと言うのは、決して経済問題でないということでなくて、解決をするのは政治の問題だというのは、エネルギー、力石先生もるるおっしゃいましたけれども、これらのことを全部含めて政治が解決しなきゃならない問題だ。政治が解決していく過程でコストの問題とかいろんな経済問題が出てきます。しかし、基本的にやはり政治の問題だと。 力石先生に最後にお伺いいたしますが、いろいろ具体的な問題を挙げて御指摘いただきました。交通総合体系を早く確立しなきゃならぬ、一つ一つ、これはやはり政治の問題に尽きるという感がいたします。そういうふうに受け取ってよろしゅうございましょうか。
○参考人(力石定一君) 結構です。政治の問題だと思います。 時間がありますれば、ちょっと補足したいのですけれども、たとえば電力問題なんかは、すぐこれはパンクするのじゃないかと思うのです。それで、これはクーラーが一番大きいのです。いまクーラー需要が電力の三割です。クーラーの世帯普及率が三五%です。日本のクーラーは恐らく、先進国でモンスーン地帯は日本だけですから、フィリピンが先進国になったと思いますが、皆買い入れますから、恐らく一〇〇%皆持ってしまうと思うのです。そうしますと、夏場の電力の七割ぐらいはクーラーのためにささげることになるのじゃないかと思います。そうしますと、これは電力は完全にパンク。OECDが石油火力発電を認めないし、石炭と原子力発電は抵抗が強くてなかなかおいそれといかない。そうすると、ここはほとんどパンクすると思うのです。クーラー需要をどうやって抑えるかというのをわれわれいま考えているのですけれども、一つの考え方は、住宅街に自動車が入るでしょう。音がうるさいし、排気ガスが出るものだから、皆閉めて生活する。閉めるとクーラーを入れるでしょう。音がうるさいから、隣が閉めてまたクーラーと、こうなるわけです。ですから、自動車を都市内の住宅街に入れなくてよくすれば、あけて暮らせるのです。外界から五度下げていま使っているあのクーラーの五度の使い方というのはまずいのです。外界から三度ぐらいが生理的にいいそうです。三度ぐらいだったら、あければ一度以上かせげるのです。たとえば、ここの関東地方なんというのは西風が強いですから、あけられさえすればがくっと温度が下がるのです。それで、同時に、自動車を排除してしまえば並木を道に入れてもいい。落葉樹を植えますと、これは夏はこんもりして冬は葉が落ちますし。それから庭にも落葉樹を植える。それから建蔽率で軒先を、一メートル以上になると建蔽率に入れてしまっているのですけれども、あれを一メートル五十まですると側壁が焼けないからずっと涼しくなるのです。それから屋根の下のふところを大きくしますと、これは断熱効果が働いてずっと涼しくなる。それから万年べいとかブロックべいをやっている。あれが焼けて、そして風通しが悪いわけです。あれを生けがきにかえます。そうすると風通しがよくなるし、それからどろぼうよけにはバラを入れておけばいいわけです。こういうふうな生物学の法則をうまく使わなければいかぬ。こういうじゅうたんを張らないで、夏ははがせるようにして木材に湿気を吸わせるわけです。それからこういうところも木材に吸わせる。それから畳に吸わせる。こうやって不快指数を下げるわけです。そうすると、私は三度はかせげると思うのです。クーラーを三度下げるのが生理的にいいとすれば、そういう努力によって三度下げられる。ここまで持っていけば、スイッチを入れるかどうかで年寄りと若い者とがけんかになるのです、年寄りは神経痛が痛いものだから入れてくれるなというわけで。そちらが勝てる条件ができるわけです。だから、住宅街に自動車を入れるかどうか。これは武蔵野市は公安委員会が、通過道路から入り過ぎるというので車どめを認めておりまして、そこに住む人にはシールを出している。そこの自動車にはシールを出す。それから荷物を持ってくる人にはシールを出している。シールつきの人はのけて入れるのです。こうやって歩行者天国を住宅街にずっとつくれば三度下げられますから、そうすると、クーラーを一斉に入れるとなるとばらばらになってしまうのです。これでかなりかせいでいかないと、夏場の電力はとにかくあそこがピークロードですから、あとは半分は使っていないわけです、ほかの季節は。そういうものをどんどんつくっていっているわけですから、そういうふうな消費者のコミュニティー、構造を変えて、自然の風と生物の力をうまく使うようにしてモンスーン地帯で生きてきたわけです。それを全部サッシドアにしてしまって、それで自動車に乗ってクーラーを入れる、こうやったらエネルギーは完全にパンクです。だから、夏場は恐らくあと一、二年であのピータ——クーラーに入ってテレビで高校野球を見ているときがピークですから、あれがだめになってしまう、あそこがショートするのじゃないかと思うのです。だから、高校野球は早く秋に延ばせということを国会で決議するということが必要じゃないかと思いますけれども、建蔽率をいじるとか、そういう細かいことをやればがさっと違ってくるわけです。だから、そでをこうやって短くするよりも、そのあたりの方が重要なんじゃないか、こういうふうに思っておりますけれども。
○丸谷金保君 どうもありがとうございました。
○馬場富君 最初に、力石先生に。 後からいらっしゃったのですが、先生の手元に総合エネルギー調査会の「長期エネルギー需給暫定見通し」というのがあると思うのですが……。
○参考人(力石定一君) まだもらっていないのです。結構ですよ。
○馬場富君 先ほど先生のお話をずっと聞いておりまして、先生が一貫して主張していらっしゃるエコロジーという考え方、まず、これから推して、いま政府が出しておる長期エネルギー需給見通しはどうかという点について、ひとつ御批判いただきたいと思います。
○参考人(力石定一君) 先ほど努力目標というようなお考えがありましたが、私は、努力目標ではなくて間違ったエネルギー計画である。経済成長論からしても間違っている。これはハード・エネルギー・パスでありまして、最近は先進国ではソフト・エネルギー・パスの方向を目指す傾向が出てきておりますけれども、日本が真っ先にそちらのソフト・エネルギー・パスを選ぶべきじゃないか。つまり需要増大に合わせていくという形じゃなくて、いかにエネルギーゼロ成長に近づけていくかという努力の方向で経済成長を組む、これが重要じゃないかと思います。 エネルギーゼロ成長をやると雇用問題はどうかというような意見がありますけれども、私は、成長率は数%成長していけば雇用はかなり確保できるのじゃないかと思うのです。つまり弾性値を下げて、高い成長をやって雇用を維持する。それで、同時に、ダーティーエネルギーをたくさん使うとどうしてもスタグフレーションで、かえって成長率が落ちて雇用問題が激化すると思うのです。だから、成長はエネルギーを使わないコースの方が雇用係数は高いと思うのです。つまり反生態学的に省力化しているのをやめて労働力を見直すとか、有機農業なんかもそうですけれども。そういう考え方とか、あるいはエネルギーで労働力を駆逐していたのをもう一遍労働力を見直すというような形が出てきまして、そういうふうな雇用係数の高いセクターを伸ばしていくことになりますから、かえって私は雇用は安定するのじゃないか。これはカーターが省エネルギーの方がかえって雇用係数は高いというようなことを言っていますが、先ほどのフォード財団でもそういうふうな雇用係数の計算をしています。雇用問題から言いましてもそちらの方がいいし、インフレーションという点ではエネルギーコストと環境コスト、エネルギーをたくさん使えば必ず環境コストは上がってきますから、このコスト圧力が弱い経済ですからコストインフレは弱くなってくる。それから賃金コストの問題でも、物を長く使うわけですから、耐用年数を長く使えば買いかえのための所得は要りませんから。それから環境がきれいになれば、きれいな空気を吸うためにどこかへ行くなんという旅費も要らなくなるし、いろいろな点で影響が出てまいりまして、かえってインフレ圧力は弱くなってくるのではないか。 それから設備の問題ですが、設備の転換できないもの、大体社会的な設備資本ストックの二五%ぐらい捨てなければいかぬと思うのです。しかし、七五%は新しい省エネルギー部門でも転換可能だというふうに言われておりまして、それを使っていくということです。 それから貿易のバランスですが、これはエネルギーを余り使わないで、これが輸入の半分以上になってきましたから、石油を節約さえすればがつがつ輸出でかせがぬでもいいわけです。もっと省エネルギー的な、新しいモノレールであるとか新幹線だとか公共輸送のシステム、あるいはソーラーハウスとか、そういうようなものでかせぐのを、ゆっくりとチャンピオンの交代を待っていればいいというふうに思います。集中豪雨を避けることができるという点でかえっていいのではないか。 だから、全般的に見まして、やれないコースではないのを、何かそんなことをやると大変なことになりそうだというふうに思っているけれども、実は戦時経済から平和経済へ転換するときと同じことで、軍需セクターをリーダーとする経済軌道から平和的な部門を中心とするセクターに移っていくというのと同じようなもので、セクターがえになるわけですから、これはローリングアジャストメントで波状調整でいけるわけです。そういうふうな基盤の上にクリーンエネルギーに全力を挙げる。つまりエネルギーゼロ成長だったらかなりかせげますから、石油でかせいでいって、そして全力をクリーンエネルギーの方に力を入れる。これも先ほど言いましたソーラーハウスのような非常に初歩的なものでかせいでいく。人海戦術を使うべきじゃないか。たとえば灯油なんかでも、値段を上げないと天然ガスを使った都市ガスの連中が安いから皆使っているのです。あれを統制しますと、そうするとパンクしてしまう。そこで、価格を今度の総理大臣のように上げていく、自由価格でしょう。こういうようにやりますと、今度は消費者が猛烈に怒ってきます。必需品というのは非常にむずかしいのです。だから、あれは統制的なやり方をしないで価格を上げざるを得ないと思います。 しかしながら、その場合、先行的に税金で吸い上げてしまって、取った税金でソーラーハウス、太陽温水器ですね、あれを買ったやつに対する税額控除に使えばいいわけです。そうすると、税金が加わって高いから都市ガスを使う人は使うし、それから、高くなって困る人は温水器を買うことによって、温水器が使えない期間を除くところで、つまり夏とか春とか、そういうところで大いに灯油を節約して、ここでかせいでおいて灯油の高いやつをがまんする、こういうふうな説得ができると思うのです。それを税制をうまくこういうふうにコントロールしないで価格統制でやろうとするとボトルネックが出るし、外すと猛烈な消費者の反抗が起こる。そういうやつをうまく波乗りしていくのが政治というものじゃないか。 だから、私はさっきカーターのブレーンが出しておりました自動車のガソリン税、アメリカでも価格差平衡税を取る。平衡税を取ったやつでクリーンエネルギーの開発に力を入れる。こうやっておりますけれども、ダーティー部門はできるだけ抑えるために税制を使う、統制手段でなくて。税制を使えば価格メカニズムも自由でいきますから、それを集中したお金でもってクリーンな部門を促進するように資源配分を変えてやる。これが全般的な政策の中心課題になってくる。いままでの経済政策は、所得格差是正とか、景気変動調節とか、過密過疎是正とか、そういうことに力を置いたけれども、これからはダーティーセクターの方からクリーンな経済活動の方に振りかえるということに資源配分の中心を置いていくような税制、これが重要になってきたと思うのです。そういう意味で、先ほどの運輸省の税体系とか、さっきのようなソーラーハウスなんかの税制とか、そういうようなものは萌芽的に新しい政策手段を示しておる。ところが、大蔵省にはそういう考え方が非常に少ないのです。大体古い古典的な経済政策理論ですけれども、新しい政策理論というのはターゲットがそこへ出てきているというふうに私は思います。ソーラーハウスもかなり冷房もうまくいくようになりましたし、初期投資だけが高いのですから、カリフォルニア州は設備費の半分が税額控除、だから、日本のメーカーはむしろカリフォルニアに売っているわけです。だから、国内でああいうものをもっと促進して、人海戦術でずっと拡大していけば、ちりも積もれば山となるでありまして、一番のボトルネックはやはり夏場の電力で狂ってくるということだから、ますますそういうところが重要なんです。そういう足元から人海戦術作戦をとっていけば、全体のエネルギーをゼロ成長にすれば石油をだんだん細く長く使っていくことになりますから、こういう模範を日本で示していく。そうすると、そういうふうな新しいセクターで技術が開発されたものはどんどん外貨をかせぐ時代に入ってきますから、これでもってかせげば、いまみたいに集中豪雨だ、何だかんだではんかには余りならないのじゃないでしょうか。南の国に対しても、そういうふうな小型の新たな素朴な技術が、外貨がないのですから売れますし、同時に、そういう天然物をいろいろ使うことによって、天然ゴムを使ったり、合成洗剤を粉石けんにかえれば、これはフィリピンからヤシ油を輸入することなんですから、太陽エネルギーを輸入しているわけです。そうやって所得を落としておいて、そこへそういうものを売り込んでいくというふうにして、OPECに外貨が偏在したのを肩透かしを食わせる。こういうふうな政策転換もやってみせる。日本が先頭を切ってこれをやりまして世界に模範を示せば、恐らく先進国は皆ついてくるのじゃないかと思うのです。そういうふうな形で日本の経済政策を考えるという点ではこれは失敗策ではないか、こういうふうに思います。
○馬場富君 そういう先生の考え方からいきますと、省エネルギーの需給見通しの点については、やっぱりこの数字は非常にまずいのじゃないかと思いますが、これはどうでしょうか。そこの中に出ています省エネルギーの需給見通しです。
○参考人(力石定一君) ですから、省エネルギーを予想されるパーセントを八%ですか、こういうふうに下げるという形で、いわゆるいままでのハード・エネルギー・パスの線を前提としながらの省エネルギーですから構造転換は考えていないわけです。消費パターンを変更するというそういう政策手段としての税制が使えるのだということは頭に入っていないのじゃないでしょうか。それを導入すればこの計数はぐっと変わってくるというふうに思いますけれども。
○馬場富君 次に、笠井先生にお尋ねいたしますが、先ほど、第一次オイルショック以後の転換については日本はうまくやった、それで、その内容については非常に恵まれた条件だったということで納得できますが、総理も第一次ショックをうまく逃れたということをよく言っておりますが、私はヨーロッパの事情を見まして、やはり第一次オイルショックの教訓というのは、世界的に中東依存を下げようということが私は第一次の教訓ではなかったか。そういう点について、ヨーロッパが集中して考えたのは、中東依存を下げたというところに私は今日の第一次に対する腹構えが日本とは違うのじゃないか。イタリアあたりはちょっとまずいわけですけれども。そういう点で、日本はその点はいまだに中東依存を高い率でもって持ってきたという点、この点はどうでしょうか。
○参考人(笠井章弘君) 確かにそのとおりなんですけれども、日本のいままでの経済成長というのは、そういう中東の埋蔵量の多いところから安い石油を買って、それをうまく使って国際競争力ある商品をつくってきた。そういうような形の工業化、それがだんだん発展して重化学工業化構造になり、エネルギー資源を非常にたくさん消費しないと発展しないというふうな形になってきたのです。そこでショックにぶつかったから非常に大変だったのですが、逆に言えば、そこでいままでやってきた工業化の力の余裕をうまく使ったのも日本ではなかったか、あれに対処して。そういう意味ではこれは外国の人も日本は一番うまくいったのだろうとおっしゃっています。ただ、それと今度の場合は構造的に違うのではないかというのが私がさっき冒頭で申し上げた議論で、確かに中東依存を変えるということは、本当のことを言うと石油から離れるということなんで、この計画も実は石油から離れるための計画であるというように私はとるわけです。そうすると、石油から離れることの一つが、いま力石さんのおっしゃったような方向の離れ方もありますし、ただ、人間の価値観をすぐ変えるというのは非常にむずかしいし、あるいは家庭においても、社会でも、産業でも設備投資してあるものを、いまの経営者がすぐ責任を持ってさっとスクラップして新しいものをつくるか。それにもやはり相当政治的なインセンティブを持たせないとやらないでしょうし、そういう新しい考え方で生活をつくっていくのにやはり相当な時間もかかるし、金もかかると思うのです。それは一つの行き方として中期にねらわれるのは結構ですが、生活というものは生き物でずっと連続的にあるものですから、そういうものをかぶりながら少しずつやはり石油からかえていく。中東依存を変えるのは、何も中東から輸入している石油をほかにシフトすればそれで済むということじゃなくて、結局、安い石油をもって発展してきた形を変える間はやはりそこに依存せざるを得ない。変えるのにはやはりリードタイムが相当ぼくは要るのだろうと思うのです。その間やっぱり生き続けていくためには、何かそういう整合性のあるプランを持っていないと、長期の理想論だけではなかなかいかないだろう。実際の経済の運営というものは。そういう形で相当苦労されたなというのが私のこれの見方なんです。
○馬場富君 その点を村田先生にもひとつお願いします。 それからあわせまして、村田先生には石炭の使用についての見解、石炭の使用につきましてかなりパーセント的な、特に経済問題に触れての御説明がございましたが、たとえば石炭をそのままたくという場合にはカロリー的に言って原油の五〇%程度ならいい、これがガス化なら二五%、液化ならただでもだめだ、こういう一つの経済性のことをおっしゃいましたが、現況のカロリー単価でいきますと、原油一に対しまして国内炭が〇・五九ぐらい、それから国外炭の一般炭が〇・三六ぐらい、こういう状況の価格比を持っておるわけです。そうしていきますと、やはり石炭を使う場合、現状からいけばやはりガス化、液化はだめだ、だからやはり石炭をそのまま使う、こういう考え方なら一つは石油の代替として十分じゃないか、こう考えるわけですが、どうでしょうか。
○参考人(村田富二郎君) 最初の御質問の一九七三年の石油危機に対して日本がうまくやったのかどうか。これは見方の相違がいろいろあると思います。私は、むしろ日本というのは手を打たないうちにどうにか片がついてしまったな、そういう感じを持っております。しかし、その問題で問題にしなければならないのは、実は一九六〇年代からの対応策が日本はしていなかった。それは西ドイツとかイギリスは国内炭を四五%使って、それは経済的には損をして使っているわけです。それを使うことによって、国内のエネルギー自給率五五%を維持していた。そのことが一九七三年の危機の中で日本ほどあわてないで、日本なぜあわてるのと言って彼らは涼しい顔をしていた。そういう形であらわれてきている。先ほど中期というのは数年から二、三十年だと申しました。その中期対策がそのときに西ドイツやイギリスではできていたのじゃないか。日本はそれがなしなので、結局すごい高いスポットの原油まで買わなくてはならなかった。これは日本がその収拾に力を尽くしたのじゃなくて、一バレル十ドル見当まで上げることがOPEC及びメジャーの政策だった。このあれは本に書いてございます。説明すると長くなりますから省略いたしますが、そこの目的を達したところで一段落ついたのであって、日本の対策云々では私はないと考えている。むしろ問題にしなければいけないのは、西ドイツもイギリスも、六〇年代の石油攻勢の中で国策的に国内で使うエネルギーはどちらを使っても同じ経済価値にあるような統制をとっていた。そのことが今後の政策の中でも私は絶対に必要なのじゃないか。 そのことは後の問題に触れていくわけでございますけれども、原油がいま一バレル二十ドルとか三十ドルとか言っていますが、これは原油をとるコストが高くなって上がっているのじゃないのです。ただ、もうけるということ、ここまで上げたって売れるということで上がっている。ここのところがどうも混乱しているのじゃないか。原価が高くなって上がったのなら、その三十ドルの原油に対抗できる石炭の値段ならいつでも売れるという形になりますが、そうじゃなくて、コストは十セントかそこらのものがただ政策的に二十ドル、三十ドルに上がっているのは、いまこれで石炭を開発して、その石炭の価格のちょうど二十ドルには対抗できるよ——それが仮に十五ドルだったとします。十五ドルに対抗できるよと言って石炭の準備をすれば十三ドルまで彼らは下げることはすぐできるわけです。それが実は一九六〇年の石油政策だったわけです。だから、そういう形の石油とか石炭の単価というのは、現在の動いている単価でわれわれは政策を決定していってはいけないのであって、下げ得る実際のコストは幾らかということを頭に入れて、そのときに相手が下げてきたらそれに対してどう対応するか。そのときに石炭を買いませんよというのは、さっき私が申し上げたように、その心配を石炭屋がしているから石炭は開かない。実際に二十ドル、三十ドルに上がった原油だって、もし、そのために原油のシェアが小さくなれば、彼らはそれで困るならそこまで下げるのだ。そのときに、また石炭を買ってくれないようなところで石炭に投資できるかということが私は真実の声なんだと思います。ですから、いま実際に、御質問のありましたように、幾らならやれるという問題じゃなくて、そこにこそ政策があるのだ。政策で石炭と原油をこれだけの比率で使うのだとすれば、そこのところで原油と石炭のコストを消費者として同じになるように政策で決めて、その統制価格を維持できるかどうか、そこに私は今度の石油危機といいますか、エネルギー危機を乗り切っていく中期の対策があるのではないか、そういうふうに考えております。
○橋本敦君 岩尾先生が最初に、石油の最大の乱費が戦争と軍備、したがって平和というのは最大の省エネだというお話がございました。私も理念的には全く賛成なんですが、実際問題として現在の日本の自衛隊が使う石油消費量、そういったものがどれくらいのものであるか、こういったことがおわかりならば、先生つかんでおられればお話を聞かせていただきたい。もしつかんでいらっしゃらないとしたら、その問題は結構です。 私は今度の暫定見通しを見ましても、全体のエネルギー構成比の中で、輸入石油、これは減らす努力をしていくわけですが、それでもここではっきり述べておりますように、やっぱり当面、安定的供給確保という方向でいかざるを得ないわけです。そういたしますと、ついこの間、アメリカのイランに対する経済制裁に日本が加担するならイランは油を売らないということを含めた報復処置をとるぞというような問題が出てくる。こういう複雑な情勢の中で日本の平和外交、自主外交といいますか、こういうものが非常に暫定見通しを裏づけていくポリシーとしてもあわせて必要ではないか、こう思っておりますが、この点いかがであろうか。 それから、さっき笠井先生のお話でも、OPEC諸国と直接の対話ルートといいますか、そういうものが必要だというお話がございました。なるほど先進諸国のサミット会議で油問題をさんざん議論しましても、そこにはOPECの代表が出ていないわけです。今後、先ほど少しお触れになりましたけれども、どういう形でこの対話がグローバルに可能になる見通しが具体的にあるだろうか。そういう場合に、私、一つの問題として、日本なりアメリカなりが、こういった産油国、産出国の資源主権をやっぱり尊重するという姿勢を国連会議その他でもう少しはっきりした方がいいのじゃないかという気もいたしますが、この点は笠井先生の御意見としていかがか、お伺いしたいと思います。
○参考人(笠井章弘君) いまの最後の意見は、まさに私も大賛成でございまして、OPECが今度やろうとしている長期戦略委員会の発想の中にも、発展途上国を加えた産油国との打ち合わせをする。その前に、四月の臨時総会でいまの案を出す。その最後の方に書かれているのは、先進国との対話をちっちゃなグループでやろう、UNCTADのような大きなところでは議論にならぬ、そういう場を設定しよう、そういう三段構えの構想のように情報を聞いております。したがって、そういうところへ出て、やはり南の国が入って、産油国、消費国と三者の会談の場が新しい形で、この前のパリの国際経済協力会議は先進国主導でつくったわけですが、今度はOPEC主導のそういう会議の案というように私は理解しております。したがって、そういうところに参加して、話し合って南の国との関係を新しい形でつくりながら、それで石油も買っていくという形に将来なっていくだろう。いまは確かに非常に過渡期で、軍事的プレゼンスの問題もあの地域にはございますし、いろいろ、アフガニスタンの問題もあるし、相当がたがたしているわけですけれども、このがたがたはずっと続くものだとは思いませんし、何らかの解決策をだれが出すだろうか、最初にそういう案として手を挙げたのがOPECの長期戦略委員会であるというように考えております。 もう一つ申し上げますと、日本の場合どうしたらいいかということで、村田さんがさっきおっしゃったように、この計画はコストが重要であって、石油が政治的な値段で上げてあるからとおっしゃるけれども、日本の場合は石油を買う場合に日本のオプションないわけですから、向こうの決めたOPECの価格を認めざるを得ないのです。問題はそうじゃなくて、ここで実は国内石炭と石油と、本当のことを言ってしまえば石油の代替に石炭がどのくらいのウエートで役割りを持っているかという話としておやりになるとこれが先ほどの村田さんの話にも通ずるわけで、実際おつくりになった方はそういう議論をされてつくっていると思いますけれども、これは表だけなので非常にコストの話が抜けてしまう。ただ、問題は、石油を買いに行くのは政策じゃなくて企業が買いに行くのだからそんなことはやらぬという話であれば別だけれども、実際は買ってきた値段が、いまのようにほかで買われないとみんな商品、製品に転嫁されるわけです。そうすると国民が全部でかぶるわけですから、価格の問題というのはそう抜かすわけにはいかないので、RアンドDのコストだけでもって国際市場で物が売り買いされていないわけです。 もう一つ重要なのは、石油の場合に一物一価の法則ではございませんで、たとえばDDの値段、スポットの値段、公示価格、いろいろな値段が多重構造になっています。ですから、その多重構造になっていること自体が実はいままでなかった話で、そういう構造に日本としてはこれからどうアプローチしていくのか、その辺がこれからの石油を買う場合の一番重要な戦略のポイントになると思います。OPECのやり方が変わったというのは、生産カルテルになって量を少なくして値段を上げるということだけでなくて、多重価格の市場の構造に変わったということ自身の方が私はこれからの石油政策を先進国、消費国がやる場合に一番重要なポイントで、どうやってつき合っていくのか、その辺がないと石油の量が——ここでおもしろいのは、六五年と七〇年度でパーセンテージは違うけれども、量がほとんど横並びになっています。ただ、この量がどうかというのが先ほど一番冒頭で申し上げたIEAの報告だと、八五年と九〇年ですか、足りなくなっているということが、すでにこういう新しい構造変化なんか起こる前の去年の暮れに発表されたわけです。今度、新しい構造変化が動き出して、冒頭に申し上げた減産などを二十年ぶりで始めることになりますと、価格の問題もそうですけれども、価格も多重構造の中でその価格をどう扱っていくかという戦略がありませんと計画にも政策にも何にもならぬと思います。その辺は新しい問題ですから、そういうことをお考えになってつき合っていく方向。ただ、中東政策という言葉がぼくは大きらいで、先ほどからも御指摘がありましたけれども、中東と言っても、みんな顔が違う国で条件が違うわけです。日本のエネルギー政策も、日本の石炭の賦存状況が西ドイツと日本は全然違うものですから、資源の賦存状況、それから産業構造の問題、国民の価値観の問題、社会のコンセンサスのあり方の問題、そういうものが全部国によって違うので、エネルギー政策というのは横並びでなかなか比較できにくいテーマなんです。それを、いま、わりとすぐ横並びで比べますけれども、その辺がやっぱり注意してごらんになっていただきたいというように考えております。
○参考人(岩尾裕純君) 簡単にお答えいたします。 私、戦争と平和の問題を取り上げましたのは、これがこのエネルギー問題とどうかかわっているかという冷厳な事実をはっきり政治並びに国民全体が理解した上でいろいろな政策が立てられるべきだということの理論的な点だけを申し上げました。第一次大戦以降どのぐらいのむだをやっているかという点について、もし計算できれば非常に私はありがたいのですけれども、これには大変な作業がかかることになりますので、私としては現在能力を持っておりませんし、現在の自衛隊が云々という場合におきましても、そういう点が資料で明示されておりません。したがって、ぼくらとしては検討の方法がない。理論的には非常にはっきりしているということだけでございます。したがって、政治問題、中近東でいろいろなトラブルが起きました場合でも、日本のとる政策というものは非常に私デリケートだろうと思うのです。たとえば、各国ともに、特に産油国の場合には原子力を欲しがっています。みんなこれは軍事と関係しております。それから油を売って一番たくさん買っているのは恐らく兵器じゃないでしょうか。そういう点の世界政治の方向というものを、何とか日本が一定の役割りを果たして世界的な省エネルギーの方向に持っていく方法はないものだろうか。これはわれわれの考えではとても進まないので、あとは政治に任せるほかないという点を強く申し上げたわけでございます。
○橋本敦君 結構です。もう時間ありませんから。
○秦豊君 私の場合は五分間ですから、力石さんにしぼりたいと思います。 たとえばソフト・エネルギー・パスとハードがある。ぼく自身の理解は、要するに、ハード・エネルギー・パスというのは中央集権だ、巨大プロジェクトだ。ソフトは、ぼくの理解では地方分権なんです。参加型だというふうにぼくは受けとめて、かみ砕いているわけです。ところが、エネルギーの専門家の意見をたまに聞きますと、そんなことを言われるけれども、われわれは産業の成長のために一定のかさ上げが必要なので、確かに必須なものは確保しなくちゃいかぬ。という場合に、ソフト、ソフトなんて簡単に言うけれども、まとまった定量を確保できない。これは実用化して産業のある部門を確かに担うなんというのは西暦二〇〇〇年以後の問題で、いま一九〇〇年代だ、だからリアルでないと、こういうことを言われるのです。ぼくは、その発想自体がやっぱり巨大型、中央集権型だと思うので、ソフトというのはできるところからやればいいと思うのです。問題は、それをどういうふうな財源配分でどういう優先順位でというのは、これは地方自治体の政治なり、また立法府のわれわれのまさにこの場にかかっているので、それは別な次元だと思うのです。だからどんどんやればいいと思う。 ところが、たとえば、いま、大体日本海沿岸から、信濃川水系から東京に電力を送るというふうな場合でも、これは専門家に一遍聞いてみたいと思うのだが、高圧長距離送電の場合、このロスのパーセンテージが物すごく大きい。ぼくは初め二〇%ぐらいですかと言いましたら、とんでもないと言われまして、四〇を超えると言うでしょう。ならば、高圧長距離送電のロスをいかにすれば軽減できるかというふうな問題も、やはり省エネとかリサイクルとかいう部門と同じで、ぼくはむしろ消極的な選択の手段じゃなくて積極的な手段に転化できると思うのです。これもまた政治の裏づけの問題、見解の転換の問題だと思うのです。 それを言い出すと切りがないから、一つだけ力石さんに伺っておきたいのですけれども、たとえば苛性ソーダ、ソーダ産業ですね、それからアルミニウりム、これは電力多消費産業という位置づけで余り評判がよくない。追い詰められている。ところが、いま関連産業を調べたら四十万人が飯を食っているのですよ、下請全部含めて。四十万といいますと、家族構成で百万近い日本の同胞が電力多消費産業で現にいま生きている。これは多消費産業だからといって切って捨てるのは、この選択もむずかしいと思うけれども、いや、インゴットで入れればいいじゃないか、ボーキサイトで入れるから問題が起こるので半製品を入れなさい、これも一つの選択かもしれません。だけど、国の産業全体の中でやっぱり位置づけがあるでしょう、電力多消費産業でも。これをどの程度保っていくべきか、ぼくは実はアイデアがないのです。それで力石さんに一つだけ伺いたいのは、アルミを頂点にした電力多消費産業、これと産業構造全体の連関の力石理論をちょっと伺っておきたい。
○参考人(力石定一君) たとえば、アルミの需要の方から見ますと、アルミかんは非常に使っております。ブリキかんと比べると物すごいエネルギー多消費なんです。あれはリサイクルするとわりとよくいくのですけれども、リサイクルをほとんどしないで、みんな使い捨てで吐いてしまっているのです。ですから、ブリキかんからアルミかんにかわったというのは、物すごいやはりエネルギー多消費に変わっているわけです。だから、かんのリサイクルをちゃんとやってくれるだけであれは全然違ってくると思うのです。 それで、同時に、いまおっしゃるように、インゴットで入れるということは、ぼくはいいのじゃないかと思います。後続産業部門で、アルミサッシ部門なんかで雇用をそちらへ転換していくというような方向がだんだん見えてきております。ですから、比較的転換しやすい。さっきのイギリスの話で、素材産業はできるだけ削っていって、付加価値の高いすぐ隣のやつへだんだんシフトさせる。だから、そういうふうな考え方を進めていく。それから素材産業で輸出しなければならぬ、これはわざわざそんなエネルギーをたくさん使って輸出することはないので、そういうものはだんだんと削っていくというふうにして、雇用転換は漸進的にやっていけばできるのではないかというふうに思っております。鉄鋼とか、そういう素材産業のウエートはだんだんこれからもやはり下がってきますし、素材産業が余り成長しなければ弾性値というのは猛烈に下がってしまうのです。この二、三年は弾性値は〇・六じゃないですか。成長率に対して半分ぐらいのエネルギー消費の伸びです。だから、弾性値は下がっているのです。これは不況によって下がっているので、トレンドとして下げるということをやるためには、素材産業への需要が余り殺到しないような構造にしていくということです。転換は、やはり先ほどおっしゃったように避けられないと思います。だけれども、加工度を高めていくというやり方はわりあいとやっています、実際問題として。最近は、サッシなんかでも外国から買ってきたやつは、これは円高の時代にえらい安く買ってきて、利益は猛烈に出ています。ですから、そういうふうなところへ雇用をどんどん転換していくようにしていけば、これは可能だと思いますけれども。
○岩動道行君 大変貴重な熱心な御意見を伺って参考になったわけでございますが、私は、最後の締めくくりに少し御出席の参考人の皆さんにそれぞれ承りたいと思うのです。 まず第一は、長期エネルギー需給暫定見通し、これに対してはほとんど同じような御意見だと思いますが、問題は、私ども日本民族は食べていかなければいけない、生きていかなければいけない、夢を食って生きていくわけにはいかないということになりますならば、やはりさしあたり、ソフト・エネルギー・パスというお考えも出されましたが、当然これらは考えていかなければなりませんが、やはり当面、石油を中心とした日本のエネルギーの確保をしていかなければいけない。となりまするならば、砂上の楼閣みたいなこの暫定見通しも何とか肉づけをしていかなければいけません。これらにつきまして、それぞれの参考人の方から、これをできるだけ見通しに近づけていくための具体的な方策は何であるかということ、そうして、その中において特に原子力の位置づけについての御所見もこの機会に承っておきたいと思います。 第二は、エネルギー政策の観点から、現在、国民の最大の関心事の一つであります電力料金、これは原価主義が基礎になっていかなければならない。第二次エネルギーを確保していかなければいけない。もちろんエネルギーを節約する。先ほど甲子園の野球の問題についてもお触れになりましたが、いずれにいたしましても、第二次エネルギーとしての電力の確保ということはきわめて大事な問題でございまするが、それとの関連において電力料金をどのように考えていくべきか、この点についての御所見。 それから第三点は、このようにしてエネルギーを確保していくためには、いわゆる環境アセスメント法案についてはどのようにお考えになっていらっしゃるか。 この三点についてお伺いいたしたいと思います。
○参考人(岩尾裕純君) 時間もないことでございますので簡単に申し上げます。 私は、この暫定見通しのうち、輸入石油をここまで抑えようとした努力については評価いたしております。しかし、原子力についてこのような大きなウエートを置くことは反対でございます。その分だけ石炭をふやすなり、あるいは省エネルギーの比率を高めるべきである、これは常識的な見解として申し上げておきます。 それから次に、電力確保の問題ですが、これも原子力問題と切り離せません。電力料金の大きな高さ、これは相当無理をして、そして稼働率の悪い原発をやるということが、これは電力料金を高めている原因の一つの大きなファクターであることは私は疑いを入れない。その点、結局、無理して原発をつくりまして、そして余り動かさずにその費用は電力料金で賄わなければならない。そうすると、世界でも非常に高い電力料金ということにならざるを得ないということになっているのじゃないかと思うのです。 それから当面どうするかというのは、これはなかなかむずかしい問題で、これは政治的に解決していただかなければなりませんが、とにかく基本問題は、私は非常にその点不満を持っています。 それから環境アセスメント法案につきましては、これは学術会議におりますものですから非常に強い関心を持っております。これは最低限度早急にこれを何とか立法化すべきであるというふうに私は考えております。 以上です。
○参考人(笠井章弘君) 私は、エネルギー問題というのは幾つか書いてしまったものですから、別にほかの違う意見を言うわけじゃございませんで、中長期には、やはり日本はエネルギー資源のない国ですから、エネルギー資源を余り使わないで大量のエネルギーを発生するようなエネルギー機構といいますか、そういうものが必要だと思います。それだけのパワーのあるものは何か。いまの石油が背負っているだけのパワーを代替できるのはやはり原子力しかないと思う。ただ、原子力がいまのままでいいかということは全然違いまして、廃棄物の処理にしても、安全性にしても、いままでと違った十分な検討をする必要があります。ただ、私の言っている原子力というのは高速増殖炉のことでして、エネルギー資源が少なくて、そこまで持っていくのにはぼくは相当時間がかかるので、いまプルーブンと言われている原子力発電所の軽水炉にしてもいろんな問題がある。だから、私が言っているのは相当超長期にやらなければならない問題で、そういうことがやはり一つ目標がある。ただ、その間を何でつなぐか。きょうのテーマは大体十年、一九九〇年を目標にして前後数年というお話なので、そういうことからいきますと、その間は何が一番力があるかと言えば、高校野球の選手ぐらいになるのが石炭であろう。それからLNGである。LNGは、実はさっき村田さんから御指摘がありましたけれども、LNGはどんどん値段が上がっていまして、石油が上がると石油と同じ値段にどんどんシフトしてきていますから、値段を覚悟でやられるということでなければ大変問題があるのじゃないか。ただ、ほかに頼るべきものが果たしてあるのかというと、やはりぼくは中間をつなぐ選手としては海外石炭とLNG。原子力は超長期でずうっとやっていくというのが私の考え方で、そのほかに水力があり、いろいろな天然ガスがあり、ここに書いてあるのは少年野球のピッチャーをたくさん並べてバックアップしていかざるを得ない。これは大体先進国はほとんどみんな同じような形です。ただ、石炭のある国とかない国、原子力の扱い方の違いは少しありますけれども、大体そんな形で先進国もいっていますし、日本はそれをまねすることはないのですが、日本のこれだけのエネルギーを使っているのを急に、力石さんの言うようにうまく使わなくて済むように転換できれば私も大賛成で、私も生物指標というものをつくって環境賞をもらったことがございますので、そういう勉強もやっていますし、うちでもバイオマスとかいろいろなことをやっているのですが、どうもそれだけのボリューム、パワー、そういうものを持つエネルギーソースというものを客観的に比較するとそう余りない。したがって、最後はウラン資源に余り頼らない形の、原子力に持っていくまでの間を何でつないでいくか。その工夫、その選択の幅、その中でどういう計画にコンセンサスを政治として集められるかが問題点です。 それから電力料金のことは、もう岩尾さんがおっしゃたので……。原子力のことをそういう言い方をしたものですから、石油にデペンドして、電力の相当なパーセンテージを石油で占めているのは御存じだと思います。ただ、これからは新しい新設火力は石炭かLNGでなければ許可しないというのが今度のこの見通しの考え方なんですが、そういう形でやって、石炭にしても実は相当コストがかかるわけでございまして、石炭なら安くいくというわけではなくて、確かに技術としてはちゃんと使える脱煙、脱硫、脱硝というのはあるのですが、それを設備としてつくるとやっぱり電力コストは上がってくるわけです。石油と石炭のコストが上がってきてどこで経営のあれをとっていくのか。原価の問題もありますが、そういう問題は、ほかの場合は全部製品に転嫁してもいいのですが、公共料金の場合は別な考え方が必要だということで電力料金の幅を御検討願いたい。 それから環境アセスメントですが、環境アセスメントがいままでどうして通らなかったかということをいまここでは言いたくないのですけれども、環境アセスメントの方法論というものもいろいろな方法論がございまして、私どもも幾つかの地方自治体、中央政府からの委託で環境アセスメントのまねごとはやってきましたけれども、もう少し方法論自体も開発する。同時に、環境アセスメントを制度化するのにはそれだけの各省庁のコンセンサスも必要だし、地域住民、国民のコンセンサスも必要なので、どういう形ですれば一番通りいいか、その辺を全然、広報といいますか、一般の人は御存じなくて問題になっているような気がします。原子力の問題もこのエネルギーの暫定見通しも、実はこんなにたくさんお金がかかるわりに国民全部が知っているかというとほとんど知らないのじゃないか。そういう意味で、たくさん税金を使うのであれば、もう少しアセスメントにしても、電力料金にしても、原子力にしても、この暫定見通しにしても、もう少し広報を工夫されて皆さんにわかるような形、さっき私、最初のときに自分の女房だとか婦人方に話しするとき非常に困るのだということを申し上げたのですが、非常にこのエネルギー問題に関する知識というのはばらばらなんです。そのばらばらの一つの原因は専門家が全部違うのだということを申し上げましたけれども、そういうことも非常に問題ですけれども、これだけの大きな計画をこれだけのたくさんの資金を投入しておやりになるとすれば、もう少し広報ということを十分考えられて、いままでとは全然違う広報をしていただきたい。それが私の希望です。
○参考人(村田富二郎君) 最初の原子力を含めた代替エネルギーの問題ですけれども、これは先ほど私申し上げました。原子力というのは絶対にしてはいけない。それは、放射性物質を処理する方法が恐らく百年、二百年先まで発見されないであろう。これは自然科学的に言って発見できない。それの蓄積を絶対にさせてはいけない。ですから、エネルギーが足りるとか足りないとかの問題以前のもっと大きな大変な問題をこれは含めているのだ。それじゃ、日本だけやらなくてほかがやったらどうか、同じじゃないかと言われますけれども、悪いことを日本が率先してやることないじゃないかというのが私の意見でございます。足りない部分については、私は先ほど申し上げているように、石炭と原油、原油というのは安い燃料でございますが、そこをプールしてどういう価格構成をつくるのかと言えば、石炭の開発というのは現在考えているよりもうんと早くできるはずです。現在それを阻害しているのは何かというと、長期の契約をしてくれない。だから、短期間では石炭に手がつけられないのだというのが石炭を持っている人の本当の気持ちなわけでございます。 それから電力価格、これは私の専門外でございまして、私、申し上げるのはおかしいのでございますが、ただ、電力の問題については、先ほど秦議員の方からお話がありましたアルミができるとき、実は私、三井におりまして、それで一応電力問題をちょうど検討しておったわけです。それで、現在の電力は政治的な価格でもって日本は安い。だから、いま原価計算すればアルミは安くできるけれども、これは自然条件を検討すれば当然高くならなくてはいけない状況にあるのだ、私はやめるべきだと言ったのですが、三井鉱山は勝手にやってしまったわけですけれども、そういう歴史を持っております。そういう意味で電力価格が日本は国際比価から見て高いということは、これはある意味では当然なんです。ただ、一度安くしてしまったものを高くするということの揺れ返しがいま問題になっている。それは政治の問題ではなかろうというふうに思っております。ただ、問題は、いまここへ来て考えなければいけないのは、九電力という大きな単位の電力組織、これが予想外に高い電力にしているのではないだろうか、これは私の疑問でございます。その例を一つ申しますれば、先ほど話に出ていた長距離送電のロス四〇%というのは、ちょっと私の聞いているのは三十何%ぐらいなんですけれども、これはどちらが正しいのか、私余り自信を持っておりませんが、普通の工業国であれば発電所のところに工場が行くのです。ところが、日本の電力原価構成だと、発電所のところで電力を使っても末端の工業地に持ってきても電力価格は同じでしょう。それだったら、ほかの便利のいい遠くへつくってしまう。そこで、こういうおかしな配電網ができてしまったのだ。そういうことを含めまして、私は九電力によるいまの統制ということが逆の作用をしているのじゃなかろうかというふうに一応推定しております。 それから環境アセスメント法案については、私は、これができても恐らく環境の本当のチェックはできないだろう。しかし、ないよりはいいので、こういうものをひとつつくりながら、徐々にそういう形での環境の改善に努めていく。それの一つの足がかりとしてやはり早くつくることを希望しております。それだけでございます。
○参考人(力石定一君) 原子力につきましては、五つばかり問題がありまして、第一の微量放射能の問題ですが、これは裁判で恐らくゼロにしろということになると思います。というのは、水銀は微量に出しておりましても、生物濃縮の過程で何倍にもなって、結局、隔膜法にかえなければいけなかったのですが、あの議論も厳密に裁判でやれば、あれはゼロにしろ。ゼロに技術的にできるという意見とできないという意見がありますけれども、それをやるだけで物すごいコストになると思います。といいますのは、いま出ているのはストロンチウムやトリチウムや沃素が煙突と冷却水で出ておりますが、あれが生物濃縮に入るからです、プランクトンのところで。冷却水は二千倍、それを食べた魚で三万倍ですか、魚を食べた鳥で三十万倍、煙突で出たやつは、昆虫で四万倍で、昆虫を食べた鳥で三十万倍、こういうふうな濃縮過程に入ってくるものは幾ら微量でもだめなんです。これは前はよかったのです。ところが、テクノロジーアセスメント時代以後になってくると、その前に原子力が始まったものですから、まあ何とかそのうちなるとやっていますけれども、これをやるだけの努力でまたコストは相当上がる。 それから二番目は、緊急炉心冷却装置が働くかどうか。スリーマイルアイルランド事件で働いたことになっているようだけれども、どうも余り当てにならぬ。計器が故障したりなんかして、もういいと思ってとめてしまったとかなんとかいうようなことが起こっておりますが、あれが当てにならぬと減肉症状やひびが入ったりして金属がやられますというと、最終保証がないから慎重にやりますから、どうしても稼働率は当然下がると思うのです。稼働率を上げようとすると今度は問題を起こしてしまうというふうなことで、問題を起こしてしまうとやれなくなりますから、大体いまみたいにあわやあわやが続いていたら、これは台数が非常に世界的にふえておりますから、一九八〇年代のいずれかの時点で私は水素爆発をやるのじゃないかと思うのです。放射能の灰がいっぱい原子炉にたまっているやつを、これは水素が爆発して灰をまき散らすわけでありますが、そうすると、ほとんど核爆発と余り変わらぬぐらいの汚染を出してしまいまして、それをどこかで、後進国か、一番だらしないのはアメリカですから、どこかでやると思うのです。そのときに恐らく終わりになるというふうに思います。 それから三番目は、原子炉の三十年の耐用年数が来た跡地が使えないでしょう。全部セメントで固めてお墓になってしまうわけで、土地の使い捨てなんです。日本みたいに狭いところでこれをやられたら、これはお墓がずうっとできていく。このセメントが割れた場合に、地震国ですから、中に放射能が残っておるわけですから、ゴジラみたいに出てきてしまうわけです。この問題がありますし、それから冷却水が火力発電の一・五倍ですから、これが水産業と衝突しますから、これで立地がなかなか得られない。それから廃棄物の処理方法がもちろんないというふうなことで、非常にむずかしい。 ウランをもうちょっと効率的に利用しようという型でプルトニウム、高速増殖炉へいくわけでありますが、いま一生懸命核拡散防止といかに矛盾なくやるかとやっていますけれも、技術的に非常にむずかしくて、恐らくプルトニウムは核ジャックに遭うか、南の国が、インドがやったように地下爆発を自分でやりましたけれども、ああいうふうなことをやるのがだんだんふえてきて、やはり核拡散につながっていくのだろうと思います。したがいまして、日本がやろうとしたら恐らく、いまは国際的にフランス、ドイツを味方にしているけれども、アメリカが国内の反対が非常に強いものですから、カーターは大統領選挙でプルトニウムを使わない公約で大統領になっているわけですから、だから、日本が使おうとしたらウランはもう売らぬ、こうくるのはあたりまえなんです。だから、濃縮を自分でやれるかというと、そんなに大量には濃縮をやれませんから、原子力は結局、将来は真っ暗ではないか。だから、早くあきらめた者が勝ちではなかろうか。そして、それを使って南の連中が戦争なんかやり出すということを非常に警戒されるわけですが、それを妨害する一番大きな手段は、クリーンエネルギーの非常に小型のいいやつ、これをお使いになったらいかががですかという形でどんどん輸出して妨害してしまうわけです。だから、輸出産業の原子炉を営業妨害してしまうのが日本の役割りではなかろうか。いままでは軍需産業にどっぷりつかっているやつが、国際競争上日本の耐久消費財に圧倒されて軍縮に追い込まれていっているわけです、ドル軟調とかなんとか言って。今後やるのは、もうこれはやれませんから、今後はクリーンエネルギーで世界のプルトニウムの拡散を妨害する。これは日本の軽電機メーカーが物すごく強いですから。たとえば東京プラスチックレンズなんというのは、これは世界のコンクールでレンズでトップをとっています、太陽エネルギーの部門で。それからシャープだとか、非晶質の太陽電池だって非常にいい線いっていますし、それからソーラーハウスもいい線いっています。そういうふうな小型のやつで、エレクトロニクスという技術を古い技術と結合して、ソフトパスでありますが、それをどんどん売り込んで営業上駆逐する。これが日本の役割りではないか。だから、そこへ資源を傾斜的に投入すべきで、原子力発電を早くやめて、そちらへ技術開発を向けるべきじゃないか。 したがって、電力料金につきましては、算定を厳しくやって、特に原子炉なんかのウエートが高ければ高いほど償却コストは上がってきますからコストが上がってくる。だから、稼働率の悪いやつを抱え込んでいるからそういうことになるので、それをできるだけ抑えて、そうして、そういう価格のところまで抑えまして、しかし、それだけで終わらないで、もう少し上積み部分を私は電気税というものでもっと取って、取った税金でクリーンエネルギーの開発に向ける。つまり価格を上げてやりますとダーティーエネルギーの供給をふやす効果があるわけです。節約効果があります、価格が上がりますと。そのかわり供給を拡大する効果がありますから、ダーティーエネルギーを供給拡大しないでクリーンエネルギーを拡大するためには、税金で横取りしてそちらへ持っていくというふうな政策をとるべきではないか、こういうふうに思います。だから、私は、サンシャイン計画が主力であるべきであって、原子力開発は主力にはならないのじゃないか、こういうふうに思います。 それからアセスメント法案の問題ですが、一番私、日本でアセスメントで欠けておりますのは、代替案をはっきり出して議論しないで、一つに決めておいて、何かちょっと部分的な修正をアセスメントと考えている。たとえば、私は、本四架橋の問題についていろいろ勉強しまして、本四架橋がもし鉄道中心の輸送体系だったら海底トンネルに切りかえることができるわけです。海底トンネルでやりますとコストが三分の一に下がります。輸送力は上で車で運ぶやっと同じぐらいなやつが皆下で運べます。というのは、レールは二本しか入らないのだけれども、一本の右側のレールを二本にしまして、新幹線と在来線と両方通すわけです。これは青函トンネルで考えている方式です。これでやりますと、輸送量が上で自動車で運ぶやつぐらいに対抗できるダイヤが組めるのです。コストが三分の一に下がる。ただ、青函トンネルが、昭和五十年価格で大体一キロについて六十二億円です。本四架橋は、一キロ単価は瀬戸大橋が二百七十七億ですから、いかに安いかです。国鉄の人は知っているのにこれを公表しないわけです。建設局で私計算してもらった数字ですけれども、こういう数字が見られるわけです。なぜこんなに橋が高いかというと、これは落ちるからです。金門橋をつくった技術者に協力した人がワシントン州のタコマにかけた橋がある。これがハリケーンでヘビ状に揺れまして、最後にねじれたときに落ちたわけです。だから、落ちないようにしなければいかぬから非常に金がかかるわけです。かえって陸上輸送をやろうとすると非常に金がかかるので海底トンネルに変えるべきではないか。三分の一のコストでいけます。これは間組で見積もりを四国の人がとったのがあるのですが、これは大体瀬戸大橋が九千億で、工期九年です。これに対して、宇野線をそのまま途中から分かれて、海底トンネルに入って高松へ上陸する、このプランで間組が見積もりをつくったら、三千億で工期が五年です。非常に安くなる。しかも輸送力は同じです。しかも海底ならあらしのときもとまらない。濃霧のときもとまりません。四国の人は、あらしと濃霧のとき困るから橋が欲しいのだけれども、橋はあらしと濃霧のときはとまってしまうわけです。だから、効率から言って海底に限る。日本のモグラ技術が世界最高でありまして、ドーバー海峡はあきらめたけれども、青函トンネルはまだがんばっている。なぜなら、青函トンネルの技術で今度ドーバーをやろうかというぐらいにうまいのですから、この技術を使っていけば輸送エネルギーはがっと下がるし、建設エネルギーは三分の一に下がってしまうわけです。だから、そういうふうなアセスメントをやって、どちらになさいますかという議論をしなければだめです。部分的に、ここはちょっと公害が多いからここは削るとか、そういうアセスメントではだめじゃないか。だから、そういうのをやろうと思ったら、事業者に自分でやらせるアセスメントじゃなくて、中立的な委員会をつくって、こういう代替案があるのだけれども、それでもなお橋をやりますか。やはり自動車は便利ですからそうでしょうかねというふうなことでみんなに呼びかける。こういうアセスメントが本当の解決だと思うのです。そういう議論は、当然経済計画でも国土計画でもやらなければいけないのです。財政の面でも、エネルギー誘発効果でずっと全部分析して国会に発表しなければいけないのですけれども、全然発表していない。だから、地元の人には、代議士の人たちは海底にすると値段が十倍かかりますと言っているのです。それは大うそであって、国鉄では三分の一でいけると言っているのです。そういうふうな議論をやれば、アセスメントというのは本当のアメリカ型アセスメントになると思うのです。ところが、日本でやられるアセスメントでは、その点が非常に欠けているので、これを織り込んだような形でこういうふうな議論が展開できるような法律案にしていただきたい、そういうことがアセスメントの一番のポイントではないかと思います。
○委員長(吉田実君) ほかに御発言がなければ、参考人の方々への質疑は本日はこれにて終了いたします。 参考人の方々には、御多忙中長時間にわたり御出席をいただき、貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして心から厚く御礼を申し上げます。どうも御苦労さまでございました。 —————————————
○委員長(吉田実君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 エネルギー対策樹立に関する調査のため、次回の委員会に参考人の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉田実君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉田実君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十二分散会