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91回国会衆議院1980/03/04

予算委員会第二分科会 第1号

発言数
440
登壇者
35
会派数
5
開催日
1980/03/04

会議録

村山達雄自由民主党・自由国民会議

○村山主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願い申し上げます。  本分科会は、外務省、大蔵省及び文部省所管につきまして審査を行うこととなっております。  なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。  昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算中文部省所管について、政府から説明を聴取いたします。谷垣文部大臣。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 昭和五十五年度文部省所管予算の概要を御説明申し上げます。  文部省所管の一般会計予算額は、四兆二千六百六十八億三千八百万円、国立学校特別会計の予算額は、一兆二千九百五十八億八千四百万円でありまして、その純計額は四兆六千四十億二千三百万円となっております。  この純計額を昭和五十四年度の当初予算額と比較いたしますと、二千七百五億二千百万円の増額となり、その増加率は六・二%となっております。また、文部省所管の一般会計予算額の増加率は五・七%となっております。  何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。  なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれまして、会議録に掲載せられますよう御配慮をお願い申し上げます。

村山達雄自由民主党・自由国民会議

○村山主査 この際、お諮りいたします。  ただいま谷垣文部大臣から申し出がありましたとおり、文部省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

村山達雄自由民主党・自由国民会議

○村山主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔谷垣国務大臣の説明を省略した部分〕  以下、昭和五十五年度予算において取り上げました主要な事項について、御説明申し上げます。  第一は、初等中等教育の充実に関する経費であります。  まず、義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の改善につきましては、昭和五十五年度を初年度とする第五次の改善計画を策定して、昭和六十六年度までに、四十五人の学級編制を四十人に引き下げるとともに、複式学級、特殊学級等の改善及び教諭、養護教諭、学校栄養職員、事務職員等の配置率の改善を図ることといたしております。なお、昭和五十五年度におきましては、この改善計画の初年度分と、いわゆる自然増とを合わせて一万一千八百二十六人の増員に係る経費を計上いたしております。  教員の現職教育の充実につきましては、教員の自発的な教育研究活動の活発化を図るための教員のグループ研究に対する補助を拡充したほか、新規採用教員等研修、免許外教科担当教員研修、教員の海外派遣、教育研究団体への助成等、各種研修を引き続き実施することといたしております。  また、教員養成につきましては、徳島県鳴門市に新教育大学を創設するため引き続き創設準備を推進するとともに、上越・兵庫の両教育大学の整備を進めるほか、既設教員養成大学・学部について、岡山大学及び広島大学の大学院にそれぞれ教育学研究科及び学校教育研究科を新設するとともに、専攻科等の新設^附属学校の新設・整備等その改善充実を図ることといたしております。なお、教育実習につきましても、教員養成実地指導体制の改善、教育実習地域連絡協議会の実施等により、その改善充実を図ることといたしております。  幼児教育の普及充実につきましては、特に私立幼稚園園児の保護者の経済的な負担の軽減を図るため、幼稚園就園奨励費補助について、保育料等の減額免除の限度額を引き上げることとしたほか、引き続き幼稚園の増設に対応する施設整備の促進を図ることといたしております。  特殊教育の振興につきましては、義務制となった養護学校教育の一層の充実を図るため、重度・重複障害児のための介助職員の増員等の措置を講ずることとしたほか、心身障害児の適正就学を推進するため、就学指導の手引の作成等を行うことといたしております。  次に、学校給食の整備充実につきましては、米飯給食の導入を一層推進するため、米飯給食関係の施設・設備の整備を拡充することといたしております。  また、児童・生徒等の健康の保持増進に資することとするため、日本学校安全会と日本学校給食会とを統合して、新たに日本学校健康会(仮称)を設立することといたしております。さらに、学校保健の改善充実につきましては、日本学校保健会が行う養護教諭実技講習事業及び学校保健活動推進地区事業について新たに補助することといたしております。  次に、公立文教施設の整備につきましては、校舎等建物の新増改築事業について、必要な事業量の確保と補助単価の引き上げを図るとともに、改築補助対象基準の緩和措置の継続、小・中学校小規模校の屋内運動場の補助基準面積の改善及び児童・生徒急増市町村指定有効年限の延長を行う等、公立小・中学校等の施設整備の促進を図ることとし、これらに要する経費として五千七百十二億七千百万円を計上いたしております。  以上のほか、義務教育教科書の無償給与に要する経費について、教科書購入単価の改訂分を含む所要の経費を計上したのを初め、要保護及び準要保護児童生徒援助の強化、同和教育の振興、定時制及び通信教育の振興、理科教育及び産業教育の充実、英語教育の振興等、各般の施策につきましても、所要の経費を計上いたしております。  第二は、高等教育の改革整備に関する経費であります。  まず、多年調査準備を進めてまいりました放送大学につきましては、その設置主体となる特殊法人放送大学学園を設立し、広く国公私立大学との連携協力のもとに、放送を効果的に活用した大学教育の実施を推進することといたしております。  次に、国立大学の整備充実に関しましては、まず、今後振興が期待される体育・スポーツ・レクリエーションの分野の指導者の養成を主眼とする新しい体育大学を鹿児島県鹿屋市に創設するため、その創設準備を行うほか、北海道大学に医療技術短期大学部を創設するとともに、鹿児島大学歯学部附属病院の創設を初め新設医科大学の整備を進め、既設附属病院についても救急部の新設等その充実を図ることといたしております。  また、筑波大学、長岡・豊橋の両技術科学大学及び図書館情報大学について所要の整備を行うとともに、新潟大学、金沢大学及び岡山大学の各法文学部の改組を初め、地方における国立大学を中心に学部、学科の整備充実等を図ることとし、大学学部及び短期大学の学生入学定員を一千六百七十五人増員することといたしております。  大学院の拡充整備につきましては、浜松・宮崎の両医科大学に新たに大学院を設置するほか、研究科、専攻の新設等により一千百三十三人の入学定員増を行うことといたしております。  国立学校の授業料につきましては、諸般の情勢を総合的に勘案し、育英奨学事業の拡充措置等と一体化した配慮のもとに、昭和五十五年度にこれを改訂することといたしております。  次に、公立大学の助成につきましては、医科大学、看護大学等の経常費補助等について、引き続き充実に努めることといたしております。  次に、育英奨学事業につきましては、日本育英会の学資貸与について、国公立学校の貸与月額を増額するとともに、新たに専修学校生徒に対する奨学金の貸与制度を創設することとし、これらに必要な経費として政府貸付金を七百七十三億円計上し、返還金等と合わせて、九百二十五億円の学資貸与事業を行うことといたしております。  また、私立大学の奨学事業に対する資金援助につきましては、学校法人に対する資金の融資対象に新たに私立短期大学を加えるとともに、学生一人当たり融資限度額を引き上げる等その改善充実を図ることといたしております。  次に、大学入学者選抜方法の改善につきましては、共通第一次学力試験を取り入れた新しい大学入学者選抜方法を円滑に実施していくため、引き続き大学入試センターの整備等を行うことといたしております。  第三は、学術の振興に関する経費であります。  まず、重要基礎研究の推進につきましては、最近におけるエネルギー問題の緊急性、重要性にかんがみ、核融合等エネルギー関連科学の推進を図るほか、宇宙・地球環境の解明、生命現象の究明など特定領域における研究を引き続き推進するとともに、地震・火山噴火予知研究についても、一層の充実を図ることといたしております。  また、学術研究の基盤を強化するため、研究所等の整備を行うとともに、独創的・先駆的研究を推進するための科学研究費については、エネルギー特別研究を新設するなどにより総領三百二十五億円を計上いたしております。  さらに、研究者交流事業及び発展途上国との学術交流事業の充実を図るため、所要の経費を日本学術振興会に計上いたしております。  第四は、私学助成の拡充に関する経費であります。  まず、私立の大学等に対する経常費補助につきましては、補助単価の引き上げ等によりその充実を図り、昭和五十四年度に対して二百五十億円増の二千六百五億円を計上いたしております。  また、私立の高等学校から幼稚園までの経常費助成を行う都道府県に対する補助につきましては、補助単価の引き上げ等によりその充実を図ることとし、昭和五十四年度に対して百億円増の七百億円を計上いたしております。  日本私学振興財団の貸付事業につきましては、政府出資金二十億円を計上するとともに、財政投融資資金からの借入金六百十億円を計上し、自己調達資金と合わせて、昭和五十四年度当初計画に比べ、五十六億円増の八百五十三億円の貸付額を予定いたしております。  また、専修学校につきましては、さきに述べましたように専修学校生徒に対する日本育英会の奨学金貸与制度を創設することとしたほか、教員の研修事業等に対する補助の充実及び専修学校に対する日本私学振興財団の貸付事業の拡大等を行い、専修学校教育の一層の振興を図ることといたしております。  私立学校教職員共済組合に対する補助につきましては、長期給付の改善を図るため、補助の拡大を行うことといたしております。  第五は、社会教育の振興に関する経費であります。  まず、公立の社会教育施設の整備につきましては、公民館の館数増と単価の引き上げを行うほか、その他各種の社会教育施設についても補助金額の増額を図ることとし、これらの施策に要する経費として百六十七億円を計上いたしております。  また、社会教育活動のかなめとなる社会教育指導者の養成・確保につきましては、派遣社会教育主事給与費の補助を行うとともに、社会教育指導員の増員を行い、指導者層の充実を図ることといたしております。  次に、国立の社会教育施設の整備につきましては、まず、国立婦人教育会館に係る組織の充実及び国際交流事業の拡充を図ることといたしております。また、計画的な設置を進めております国立少年自然の家につきまして、北海道日高町に設置するため準備を進めることとしたほか、引き続き所要の施設費、創設調査等の経費を計上いたしております。  現在特殊法人として運営いたしておりますオリンピック記念青少年総合センターにつきましては、関係法案の御審議をお願い申し上げているところでありますが、文部省直轄の社会教育施設として所要の経費を計上いたしております。  第六は、体育・スポーツの振興に関する経費であります。  国民の体力つくりとスポーツの普及振興につきましては、まず、広く体育・スポーツ施設の整備を進めるため、社会体育施設、学校体育施設について従来からの施策の拡充を図るほか、新たに日常簡易なスポーツに親しめるよう身近な運動広場の整備を進めることとし、これらに要する経費として、二百五億円を計上いたしております。  また、学校体育につきましては、格技等の指導者の資質向上、人材の確保など、その充実強化に努め、学校体育実技指導協力者の派遣事業に対する補助等の拡充を図ることとしたほか、学校体育大会の補助についても一層の充実を図ることといたしております。  さらに、体力つくり推進校を初め家庭、学校、地域における基礎体力つくり推進事業の充実を図り、たくましい青少年の育成と、明るく活力ある地域社会の形成に資することといたしております。  以上のほか、日本体育協会の行う選手強化事業及びスポーツ指導者在外研修事業等への補助を充実するとともに、国民体育大会の助成等各般の施策につきましても、所要の経費を計上いたしております。  第七は、芸術文化の振興と文化財保護の充実に関する経費であります。  まず、地域社会における文化の振興につきましては、こども芸術劇場等において、新たに離島・僻地公演を実施し、芸術鑑賞の機会が特に少ない地域における文化の普及を図るほか、各般の施策について引き続き所要の経費を計上してその促進を図ることといたしております。  芸術文化創造の援助等につきましても、芸術関係団体補助、芸術家研修、芸術祭について引き続き所要の経費を計上したほか、美しく豊かな言葉の普及を図ることといたしております。  次に、文化財保護の充実につきましては、国民の貴重な文化遺産の保存・活用を図るため、国宝・重要文化財等の修理・管理・防災等の充実及び史跡・埋蔵文化財等の整備・公有化の促進を図ることとし、また、伝統芸能等の保存伝承の充実を図るほか、歴史民俗資料館等の施設の整備を進めることといたしております。  また、文化施設の整備につきましては、地域社会における文化振興の拠点となる地方文化会館の補助対象館数の増を図ることとし、国立文化施設の整備につきましては、引き続き国立歴史民俗博物館(仮称)、国立能楽堂(仮称)の建設工事を進めるとともに、新たに国立文楽劇場(仮称)について建設工事に着手することとし、第二国立劇場(仮称)についても、設計競技に着手するほか、用地購入に要する経費の一部を計上し、その設立準備を積極的に推進することといたしております。  第八は、教育、学術、文化の国際交流の推進に関する経費であります。  まずアジア諸国等の人づくりに積極的に協力することとし、教員研修留学制度の創設等による国費留学生の大幅な増加、留学生宿舎の増設等により留学生事業の充実を図るとともに、ユネスコを中心とするアジア地域教育開発計画事業等を充実することといたしております。なお、インドシナ難民の定住を促進するための施策の一環として、日本語教育を行うため所要の経費を計上いたしております。  さらに、学術の国際協力を強化するため、日米科学技術協力事業及び南極地域観測事業等の充実を図ることといたしております。また、海外子女教育の推進につきましては、在外教育施設への派遣教員の定数改善、帰国子女受け入れ学級の増加等を行うことといたしております。  以上、昭和五十五年度の文部省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。     —————————————

村山達雄自由民主党・自由国民会議

○村山主査 以上をもちまして文部省所管についての説明は終わりました。     —————————————

村山達雄自由民主党・自由国民会議

○村山主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれ存厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。     〔主査退席、保岡主査代理着席〕

保岡興治自由民主党・自由国民会議

○保岡主査代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長谷川正三君。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 谷垣文部大臣御苦労さまです。  私、昭和三十八年の秋の総選挙で初めて衆議院に当選させていただきまして、最初から大部分の期間を文教委員を務めさせていただいております。  当時文化財保護の問題が全国に起こっておりまして、開発の進捗によって各地で文化財破壊の危機に瀕する事態が起こっております。私の地元の国分寺市でも、武蔵国分寺の史跡指定になっているところに、すでに法律の規制を越えて住宅が建ち始めておることがきっかけになりまして、文化財保護問題に大変関心を持つようになり、いろいろと御質疑を申し上げたこともございますが、最近また文化財保護問題についていろいろの事象を方々で伺いますので、この際ちょっとその点について伺っておきたいと思います。  戦前のことは問わず、まず戦後におきまして、文化財保護法がわが国においてはいつ制定されましたか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 文化財保護法は、昭和二十五年五月三十日に公布されております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 その後小さい改正等あるいはなされたかと思いますが、小委員会等を設置して大々的に検討をして大改正を加えたと思いますが、それはいつですか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 文化財保護法はその後たびたび改正をされておりますけれども、いわゆる大改正に当たりますものは、昭和二十九年法律百三十一号の改正と昭和五十年における改正でございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 一番最近の大きな改正は、昭和五十年ですね。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 はい。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 そのときの改正の、特に主要な改正点はどういう点でありますか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 いろいろな問題点がございましたけれども、埋蔵文化財につきまして、先生の御指摘のような開発の促進に伴う文化財保護の強化を図った点が大変大きな一つのポイントでございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 私もそのように記憶しておりまして、予算的にも平城宮の史跡を全面的に国で買い上げて保存するという、これは文化財保護行政としては画期的な第一歩であったのではないかと記憶しておりますが、そうですか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 おっしゃいましたとおりでございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 その後、その改正で、特に埋蔵文化財等の保存については法律の趣旨が全国地方自治体等にもかなり徹底しまして、乱暴な開発によって文化財が破壊されるということはかなりこれをとどめて、貴重なものを保護するという体制がとられたことは大変私はよかったと思っておりますが、最近各地で伺いますのは、私から言わせると、まだまだそれでもざるになっているところがあるんじゃないかという危惧を持っておるのです。しかし一般には、その反面、この法律あるいはその運用によって、開発、特に個人や工場の開発はもちろんですが、公的な学校の建築等についても、埋蔵文化財等に行き当たるためにそこがなかなか調査もできない、半年も一年もおくれていくと、その間にまた地価が上がってしまう、いろんな支障がきているという、こういう訴えが各所に起こっております。  私、先般も地元のある席へ参りましたところが、これは率直に言って保守系の議員さんで議長まで務めておられる方が、文化財保護法は天下の悪法である、こういうものがあるからにつちもさっちもいかなくなるというような非難を、文化財保護に一生懸命取り組んできた私がそばにいるということはよく知らなかったと見えて、盛んに雑談の中で言っておられたのを耳にしたのですが、しかし、これはやはり聞き逃せない反面を持っているのではないか。特に文化財保護の問題に微力ですが取り組んだ議員の一人として、ある責任をそのとき感じたわけであります。  そこで、最近、文化財保護問題について文部大臣なり文化庁長官として、いま文化財保護上一番重要な問題、緊急に処置をしていかなければならない問題、それは何だとお考えですか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 非常に重要な問題がたくさんございます。一番大事なことは、開発が非常に盛んに行われておりますけれども、開発が始まります前に、埋蔵文化財のあるようなところ、重要な遺跡のあるようなところはできるだけ避けて、計画の段階においてできるだけいいものをつくるということが大事でございます。そのために、全国三十万カ所と言われておりますけれども、その調査を進めて、いわゆる埋蔵文化財の分布状況を事前によく調べるということが第一点でございます。  しかしながら、現実問題といたしまして、掘ってみますと予想しなかったものが出てくるということがたくさんございます。その際に、埋蔵文化財に逢着しましたときに緊急にそれを調査する、これがその次に大事でございます。そのためには金の問題と人の問題がございます。文化財調査といいますものは、これはただ人足を集めてやればいいのではなくて、大変な専門家が必要でございます。そのために、現場が非常にたくさんふえておりますので、調査員の資格のある人を養成すること、これが二番目に非常に大事なことであると思います。  それから、あとはその調査をできるだけ早く実施して、建設事業そのものにもできるだけ支障を来さないようにして保護を全くするというための諸般の措置、大体その三点に尽きるかと思っております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 私も、いま文化庁長官のお答えになったその点が、実はいま一番緊急を要する対策ではないかと思う。文部省としてもそういう把握をしておいでになるということでは安心をしたのですけれども、しかし、これはそういう問題点を意識したというだけでは解決しないのであって、現実にこれに対応する制度的保障とそれを裏づける予算、そういうものが完備しなければ、せっかく問題点に気づいておられながら、事実上はその解決が遷延する。そのために各方面で非常にお困りになる。そしてめんどうくさいからというようなことでもし乱暴なことが行われれば、それはまた文化財の破壊にもつながる。  このことは、安直に考えますと、昔のことよりいま生きている人間のことを先に考えてくれてもいいじゃないか、こういうような素朴な声も出てくるのです。これは非常に危ないのでして、ある意味ではごもっともなのですけれども、貴重なわれわれの文化を保存し、これを大切にし、また、まだ明らかでないものを次第に明らかにすることは、ひとりわが国のためだけではなくて、人類の文化史全体にも責任を負う重大な問題だと私は思いますから、これについてはやはり十全の対策をとる決意を文部大臣を先頭にひとつ持っていただいて、政府としての基本方針を確立しておく必要があるのではないか。  どうも最近そういう点を強調する意見がまだ足りないのではないか。政府部内にこの問題についてもっとしっかりした基本方針というものを堅持して、そしていまお話しのように敏速に調査ができるように、そのためには、専門員の養成と全国的配置について具体的方策を立てて推進する。  いま現状を見ますと、零細な地方自治体、末端の町や村、そういうようなところに非常に大きな責任がかかる。しかも原因者負担という原則がありますから、民間の工場、会社の場合には、さらにその費用負担等がかかるということから、非常に渋滞してしまうというかなかなか思うように進まない、こういう現実があるのではないかと思います。  こういう点について、国の文化財保護という観点から見ますと、地方自治体がやる場合にも個人がやる場合にも、専門家の配置やそういうもののめんどうについて、あるいは費用負担についても、原因者負担ということを全部否定はいたしませんけれども、国の文化を保護するためにやる調査であるならば、できればある程度まではそういう配慮の必要があるのじゃないか、こういうふうに考えますが、文化庁長官並びにこれはひとつ大臣の御所見をぜひとも承りたいと思います。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 ただいま御指摘の点、まことにごもっともなことでございます。  まず第一点の人員の確保についてでございますが、二つの面がございまして、一つは現実に人を採用するだけの措置をとるということ。現実におきましては、現場は各地方に起こりますので、各地方公共団体において専門の職員を採用していただくということが大事でございます。そのための措置といたしましては、地方交付税の方で措置いたしまして各自治体で文化財専門の職員を採っていただくようにする、こういう方法をとっております。現在全国で約千七百人おります。最近非常にふえてまいりました。経年的に見てまいりますと、昭和五十年度は八百九十八人でございましたから、五年間で約二倍になっておるという状況で、おかげさまでだんだんふえてきております。もちろんまだまだ不足でございますが、今後とも努力してまいりたいと思います。その点が第一点でございます。  なお、その調査員につきましては、資格のある人、能力のある人でなければいけません。大学等で養成する人が中心でございますが、大学のたとえば考古学とか史学とかを専攻した人から供給されるのが普通でございますけれども、すぐ現場で役に立つような専門的な能力を持った人はなかなか直ちに大学からは出てまいりません。そのために、そういう調査員の活動ができるような人の養成ということを私ども心がけております。特に奈良国立文化財研究所、あそこは平城宮の現場のすぐ近くにもありますし、実際の仕事もやっておりますし、教育訓練上も適切でございますので、この研究所が中心になりまして昭和四十一年以来養成をしております。大学卒業者を連れてきて、そこで実地の研修をするというようなことをやっております。特に四十九年には奈良国立文化財研究所に埋蔵文化財センターというものが付置されましたので、ここを中心にして養成を続けております。今後ともこれをできるだけ拡充いたしまして努力してまいりたいと思っております。  発掘調査のための経費でございますけれども、これにつきましても、いまおっしゃいましたように、原因者負担にかぶせることができる場合とそうでない場合がございます。そうでない場合には国から補助をいたさなければなりません。この経費につきましても年々努力をいたしておるところでございまして、五十五年度は約十五億円計上いたしております。昨年度の十三億円に対してかなりの伸びではなかろうかと思っております。これも五年間で三倍近くの伸びを示しております。今後とも努力してまいりたいと思っておる次第でございます。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 いまの長谷川先生からの文化財保護の問題、いろいろと御苦労願っておるわけでございますが、おかげさまで、文化財保護に関しましての一般的な世論と申しますか認識が大分深まってきたように思います。私たちも地方へ参りまして困りますのは、地域開発を急ぐ問題とこの文化財保護をどうするかという問題です。地域開発を急ぐ諸君も、おかげさまでだんだんと文化財保護の重要性は認めてくれてきておるようであります。問題は、そういう案件に出つくわしました場合に迅速にこれに対応する方法を考えていかなければいけない。まず一番最初に心配しました点は、必要な専門的な知識を持っている方がきわめて少なかったということでございますが、先ほど文化庁長官の方から話をしましたように、不十分ではございますが、漸次対策が講ぜられつつあるのが現状だと思います。  そのほかには、いま申しましたような財政的な裏づけをどういう程度にまで持っていくかということであろうかと思いますが、先生が御指摘のとおりに、埋蔵文化財というものは長いその土地の歴史を持っておるものでございますので、いま正面の地域開発の問題と極力両立をさせるような努力をして、せっかくの発見されました文化財をむだにさせないような努力を今後ともに進めてまいりたい。多くの点でまだ不十分でございますが、問題点はそれぞれだんだん把握してわかってきた、こういう段階でございますので、今後とも努力したいと思います。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 いま長官並びに大臣から御決意を伺ったので、私がこういう席でこういう質問をしたということで、まだまだ問題がたくさんあるのだということをぜひともひとつ再認識されて、御努力いただきたいと思います。  そこで、この問題に関してもう一つだけ問題提起をして御検討いただきたいのですが、いま八百から千七百というふうに各地方自治体が専門職員を配置して、これは交付税でその裏づけをしてやっておるそうですが、そういうふうに非常に各自治体が文化財保護に関心を持たれまして、専門職員を置いて、それでもなかなか間に合わないということで、火の車になっているという実情を御認識いただいて、対処していただいておるわけです。  先ほどの話で三十万ですか、そういう分布図だけ考えても、今後まだまだこれ以上のものが出てくる可能性がありますし、数はまだまだ足りないと思いますが、そうかといって、文部省直轄の大調査団を用意していて、いつでもどこでもぱっと連絡があったらさっと行ってやってあげる、そういうわけにはいかぬと思っています。これはいまお話しのとおり全国に散らばっていることですから、地方自治体が主体にならざるを得ないと思うのですが、そうかといって、これは小さい零細な市町村では、なかなかまたそういう調査団を常備しておく——専門職員を一人置くだけではこれは調査できない。その周りに、いつでもさっと来ていただく専門の学者あるいは学生なり、そういうスタッフがいつも用意されていなくてはできないわけであります。  しかし、それをまた一々市町村が常時用意するというのも、これはまたできっこない話ですし、むだな話で、都道府県単位程度に文部省がかなりな援助をして相当なスタッフを常備させて、そしてその地域内で起こる場合には、市町村からの要請があれば直ちにその調査団に行っていただける、そういう体制を工夫したらいかがか、こういう声も大分あちこちで伺うのですが、この問題に対して御検討なすったことがあるか、あるいはまだ御検討ができていなければ今後検討する用意があるか、その点を最後にひとつお聞きしたいと思います。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 いま御指摘の点、まことにごもっともな点でございまして、この千七百人の職員の中でも、県の職員と市町村の職員と両方ございまして、県の職員は、直轄でやる場合のほか、管下の市町村の現場に対して指導するということもやっております。そのほかに、埋蔵文化財センターというのを各県でつくっております。そこである程度の調査なりあるいは人の養成なり訓練なりというようなことも含めて、あるいは保存であるとかいうことをやっておりますので、そういうものに対しまして私どもから補助金を出しております。五十五年度の予算で二億六千万円ぐらいの予算を組んでおりますが、これの充実によりまして、県と一緒になりましてこれを充実してまいりまして、先生がいまおっしゃったような機能をそこを中心にして果たしてもらうということも考えておる次第でございます。この点につきましても、今後とも努力してまいりたいと思っております。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 すでに緒についているというお話ですが、これは県別に見ていましても非常にむらがあるのじゃないかと思いますし、そういう点でよく指導をなさり、同時に援助をして、速やかに体制の充実を図っていただくことを強く要望いたしまして、この件についての質問を打ち切ります。  次にもう一つだけ、時間がわずかしかありませんが伺いたいのですが、実は私、いま都下三鷹市というところに住んでおります。あそこは中央線の特別快速というのがとまります。北が武蔵野市、南が三鷹市なのですが、下水、道路その他が非常に完備し、あるいは公立保育園等も非常に完備していて、若い共かせぎの都民の皆さんが住まうには快適だというので住宅が非常にふえているのですが、最近の傾向として、大きな住宅公団とか住宅供給公社の団地とか、そういうように土地はもうだんだんなくなっていますが、しかし、住宅需要は大きいものですから、いま非常に小型のマンションが、いまの法律の中で許される規模でどんどん建っているのですね。そのために全市的にばらまかれた人口急増が非常に起こっておりまして、これが各学校の児童生徒収容の上で大変な市町村の負担になっている。もう市長は悲鳴を上げておるわけです。これはいままで余り予測しなかった事態ではないかと思うのですが、この点についてどういうふうに対応するのか。  義務教育に責任を持つ文部省の対応、並びにきょうは建設省の方から都市計画課長さんにも来ていただいておるわけでございますが、これは総合施策がどうしても必要なので、新しい問題じゃないか。これはひとり三鷹、武蔵野の問題だけではなくて、全国の周辺都市等に今後十分起こり得る状況ではないか。これに対して文部行政としても速やかに先手を打った対応が必要だし、また建設省としても、そういう場合にはただ建物をある規制をすれば、許可をすればいいという指導ではなくて、自治体あるいは文部省との連携をよくとった総合施策を早目に打ち立てないといけないのではないか、こういうことを痛感いたしますので、この点を御質問するわけです。  ちなみに、ちょっと一つ例を申し上げますと、三鷹市で今年度中、第三小学校というところで確定戸数二百五十一戸、それから協議中の戸数が六十四戸、問い合わせ準備中の戸数が十六戸、これはいずれも必ず建つということが予想されている戸数ですね。第三小学校だけで今年度三百三十一戸の増加が予想される。いろいろ統計をとってみますと、大体百戸入りますと、どうしても一学級分の子供がふえるというのがいままでの傾向だと伺っております。第六小学校では協議中四十二戸、問い合わせ中二百三十五戸ある。それから第四小学校では確定した戸数が三十二戸、それから第一小学校というところでも確定した戸数が十八戸、南浦小学校でも確定した戸数が十五戸。確定した戸数が三鷹市だけですでに三百十五戸あります。それに協議中のもの、問い合わせ中のものを加えますと、六百八十二戸がこの年度中に大体ふえるのではないかと予想されます。  そういう形で、新しい学校を建てるということになりますと、学区編成をいろいろやらなければなりませんね。そうかといって、いま一つ一つの学校は、校地等も広いところでなお増設のできるところもないわけではないですが、大部分はできない。もう鉄筋コンクリートの校舎の屋上にプレハブでも建てて間に合わすか、こういうところに追い込まれている。こういう事態を一体どう解決するのかということ、これは新しい政治的な一つの課題ではないかと思います。ちょうど私の住んでいる三鷹にこういう現象がいち早く起こっております。いろいろ業者に聞いてみますと、三鷹駅周辺というのは、そういうマンション等を建てた場合に一番売れ行きがよくて、二割ぐらい高くつけて、まず建設中に全部予約で売れてしまうという。それは、いま言ったように生活環境が、下水が大変整っている、道路が整っている、保育所が全部完備している。一生懸命市が完備をすると、こういう重荷をしょわされてくるのではどうにもならぬ、行政の総合的な施策でどういうふうに切り抜けていったらいいか、これをひとつ立ててほしい、こういう要求が出ておりますので、このことを御報告をして、至急御検討願いたいのですが、もしそれらについて対応のお考えがあれば、それぞれから伺いたいと思います。

三角哲生文部省管理局長

○三角政府委員 先生御承知のとおり、文部省といたしましては、児童生徒の増に伴います学校整備を円滑にいたしますために補助金を交付をするという仕事をいたしておるわけでございまして、集団的な住宅の建設に伴います人口増について、ずっと三年前向きという形でいたしておりましたが、昭和四十八年度以降は、いわゆるばら建ちと申しますか、先生のおっしゃる小型マンション、こういった民間の開発に基づきましてふえます分につきましても、その見込みが確実にあるものにつきましては、やはり三年前向きで、三学級以上になるといったようなものについて手当てをしてまいっておるわけでございます。  ただ、いまおっしゃいましたような事例につきまして、たとえば小学校の校地が非常に狭隘であるとかいう状況に追い込まれていく、そういうことにつきましては、これはいままで私どものいたしております学校施設の整備の事業の範囲から若干はみ出しておると申しますか、それを超えておる部分がございます。土地は、これは製造するというわけにもまいりませんものでございますから、そういったことでございまして、これは御指摘のように、開発に伴う一つの問題でありますので、やはり総合的にいろいろ関係の機関とも御相談をしてまいらなければならないことであるかというふうに考えておる次第でございます。

高橋進建設省都市局都市計画課長

○高橋(進)説明員 先生御質問の件につきまして、都市計画と申しますのは、本来その都市の発展の状況とか土地利用の状況とか人口の趨勢とか、そういうことを総合的に考えてつくることになっております。したがいまして、マンションなどを建てる地域につきましても、高度利用を図るというようなところはそういったことを考えながらつくることになってはおります。  ただ、現実の問題といたしまして、御指摘にございましたような、特に人口急増地域におきましては、ほかの公共施設、公益施設との関連で非常に問題が出てくるというケースもあるわけでございます。それにつきましては、これはなかなかむずかしい問題なんでございますが、一つには、まず国としてはできるだけ公共投資というものを、建設省所管で申しますれば、下水道とか都市公園とか街路とか、そういったところに重点的に投資配分するということが基本にございますけれども、それぞれの都市におきましても、できるだけ限られた財政の中で、どこに重点的に優先なつけて事業をやっていくか、学校の配置とかそういうようなことも関連しまして、マスタープログラムといいますか、何かそういうプログラムをちゃんとつくってやっていくように、地方公共団体をしていろいろ指導はしておるところでございます。  なお、そういう現在の都市計画の枠内で非常に問題が出てくるというようなことになりますれば、基本の都市計画そのものも見直すということも場合によっては必要かと思います。そういったことを総合的にいろいろ指導しておるところでございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 時間が来ましたから、最後に一つだけ建設省の方に、こういうことを御存じだろうと思うのですが、どう対処するつもりか。  たとえば、これもいま申し上げた三鷹や武蔵野に著しく出ておるのですが、商業地域とか工業地域、準工業地域というのは一般住宅地域よりも建蔽率が非常に高くなっていますね。ところが、それに目をつけて、住宅業者が醜業地域や工業地域の土地を買いまして、そこに商業とは全く無縁の完全住宅をつくる。一階だけでも商店にすればまだいい方です。その一階の一つだけでも店にすればまだいい方です。それも都市計画審議委員等がやっとお願いして、かっこうが悪いから一階だけはなるたけ商店を入れてくださいよというような形ですが、これはまた高い家賃を取ろうとするものだからなかなかふさがらないというような状態があるようですが、大部分は高く売れる住宅にしてしまう。  商業地域、工業地域で建蔽率を高くするとそこへ逆に住宅が入ってくる、こういう現象を御存じですか。これがやはりいまの問題とずっと関連して起こっている事態なんです。政府としてやはり総合施策を立てないといけない事態だと思うが、これを御承知か、何かこれに対応する措置をお考えか、これを伺って終わります。

高橋進建設省都市局都市計画課長

○高橋(進)説明員 御指摘のとおり、商業地域あるいは近隣商業とかいうようなところ、あるいは工業地域につきましても、住宅は自由に制度上建てられることになっております。したがいまして、制度上住宅、マンションをそういう地域に建てることは構わないわけでございます。  ただ、そういう制度にしておりますのは、商業なら商業ということに完全に純化して都市形成が現実に対応できるかという問題がございまして、制度的にその商業のみに限る地域を一般的につくるとか、そういうことにつきましては非常に問題があるわけでございます。  なお、特別用途地域というような制度もございまして、本当に特殊な場合にはそういったものを条例で定めて限定することも可能な制度はございますけれども、基本的になかなかそういう純化——工業の場合には工業専用地域という純化の道がございまして住宅を禁止することができますが、ほかの制度一般について問題を含みながらも、そこを商業のみということにすることについての制度的な対応というのは、なかなかむずかしい問題があると思うのでございます。

長谷川正三日本社会党

○長谷川(正)分科員 では、この問題はまた建設委員会でゆっくり議論させていただくことにして、終わります。どうもありがとうございました。

保岡興治自由民主党・自由国民会議

○保岡主査代理 長谷川正三君の質疑は終わりました。  次に、田中昭二君。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 私は、きょうは文化行政と、青少年の犯罪について時間があればお尋ねしたいと思います。  まず、文化行政の中で、最近有識者の中で、二十世紀は物質中心の社会を形成して、最近は大変発達し過ぎた物質文明は破局への前奏を奏で始めており、それに伴い、二十一世紀は精神文化の時代になるだろうというふうに言われております。  その文化の時代の元年とも言われます歩みがもう始まっております現在において、文化庁の役割りは大きいものがあり、心ある人たちは大いなる関心を寄せております。ここで、文化行政の長期基本計画、方針として何を重点に置いておられますか、簡単にお述べいただきたいと思います。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 先生のおっしゃいましたように、文化の振興ということはいまの日本において非常に重要な課題になっておりますが、文化行政の主眼点を要約して申しますれば、一つは、われわれのすぐれた文化伝統聖保持していくこと、これを大事にしていくこと。ただし、これはただ大事にしておくだけでは意味がないのでございまして、それがわれわれの心の中で生きて新しい文化の創造へつながっていくということが大事でございます。  したがいまして、第二点といたしまして、われわれの新しい文化を創造していく、また、これが世界的な文化として発展していくための施策を講ずる、この二点が要点であろうかと思います。  ただし、文化そのものは国民全般の個人個人の力で支えられるものでございますから、行政といたしましては、そういったことが行われるような客観的な諸条件を整備するということ、これに全力を注いでまいりたいと考えておる次第でございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 ここに指摘がございますが、ちょっと読んでみたいと思います。「「物」から「人」への時代」という表題で、「真の成熟社会高度成長を契機とする都市化・過疎化による民族大移動で、日本人は、何千年もかかって積み上げてきた生活文化、地方文化を根こそぎ失おうとしている。」これは九州大学の先生方のお集まりの記事でございますが、そこで「私たちが博物館設置を提唱したのは高度成長によって日本は、欲しい「物」はあらかた作った。もうこれからは、あくせたせずに「心」を作る時代を開かないと、ほんとうの成熟社会にならないのではないか、教育や文化までが高度成長や産業活動の付属物みたいになってしまった。もっと人間らしい生活を、積極的に作っていくこと、それこそが欧米に追いつき、追い越すべきこれからの目標ではないだろうか。」私もこういう指摘を読んで何かしら感ずるのですが、大臣、お感じでもようございますが、いかがでしょうか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 御指摘のとおりに、非常に高度に、しかもスピードの速い状況で経済関係、産業関係が発達してまいりましたし、同時にまた、それに伴いまして生活環境、いろんなものが急速に変化がございました。こういうものに対応してどういうふうに落ちついた形に持っていくかという反省が当然出てきておるわけでございまして、このことが先ほど先生の御指摘になりました文化というものの尊重というものに結びついておるし、また、このこと自体を大切に考えていかなければならない、こういうふうに私たち考えておるわけでございます。したがいまして、いろんな手だてが考えられることと思いますけれども、先ほど御指摘が若干ございましたような博物館等の問題も含めまして一つ一つ考えていき、実践していかなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 五十二年の文化行政長期総合計画懇談会の報告によりますと、いわゆる地方の時代を反映しておる、その中で特色ある地方文化づくりのために、地方拠点の多極的な集中化を図るというような意味がございますが、これは大体どのような考えでしょうか、また、具体的に何を言っておるのですか、お答え願いたいと思います。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 文化が中央に偏在しておっては真の文化発展にはなりませんので、全国的な見地において、いろいろな文化施設等の立地にいたしましても考えていかなければならない。その場合に、いたずらに地方に拡散してしまうということでは本当の力のある文化施設が設けられませんので、いわゆる多極集中、全国の中で幾つかの拠点をつくって、そこにもう少し分散すると同時にそこに集中していく、こういう発想であろうかと思います。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 この懇談会でまとめられた文化の行政の現状と方向といいますか、それから改善の具体策、こういうものは大変貴重なものであり、りっぱなものであろうと思います。しかし、これは五十年から五十二年にかけてできたものでございますが、その後の政策の実行といいますか、そういうことから見てみますと十分であったということではないのではなかろうか。こういう現実もあることもお認めいただいておると思います。  さらに、ここに指摘してありますものを要約いたしますと、いわゆる「シンボルなき地域文化」そしてまた「薄い郷土意識」等が指摘されておりまして、地域の文化遺産が流出と放逸とを繰り返しておる。こういう先生方のお考え、極論になるかもしれませんが、そこにはいわゆる文化の死に絶えた風土といいますか、民衆の生きた姿が消されそうになっておるということになっております。この文化遺産のいわゆる死蔵、それから私蔵、それから破壊がこれまで大変多く行われてきた、こういうふうに指摘されておりますが、これはどうでしょうか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 地方文化の振興を考えます場合に、大きく分けて二つあると思います。一つは、文化の中央偏在を避ける意味において、すぐれた文化が地方にも普及していくようにいろいろな施設を整備する、あるいはいろいろな事業を補助するというような形でやっていくことと、第二点は、地方が文化創造の基盤になるようにする、地方の特色ある文化を育てていくという点であろうかと思います。  その第二の点につきましても、これはただ文化を中央から地方へ流していくというのではなくて、地方の方からわき上がってくる文化を育てていくということ、これも大事なことと考えまして、文化庁におきましてもいろいろな施策を講じておる次第でございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 それはそのとおりでしょうが、いわゆる文化遺産というものを、たとえば大学をとってみましても、その地域から出た遺産をただ集める、いわゆる死蔵しておる。そういう面ではどうですか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 文化遺産につきましては、これはただ保存するというだけでは意味がない。保存と活用ということを私ども常に考えております。したがいまして、たとえば埋蔵文化財にいたしましても、その出たものをいろいろな形で一般の人が見られるようにしていく、活用していくということをあわせて私ども施策をいたしておるつもりでおります。  それから、あと地方の文化財といたしましても、無形の文化財、民俗関係の芸能であるとかあるいは行事であるとか、そういったものにつきましてもこれを補助していって、積極的にその活動が国民の間で維持されていくような援助をするというようなことも努めておる次第でございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 先ほどの大臣のお答えも聞いておりまして、やはりそういう文化遺産に対する反省というものもある程度必要ではなかろうか。また、地方の時代といういわゆる時代の流れといいますか、そういうものからも、ここでまた私はもう一つ指摘を読んでみますが、これはわかりやすい指摘であれでございますが、すなわち、私たちの世代が「こんなものを残してくれた、と次の世代が語ってくれるとき、カラーテレビやステレオ、車だけじゃ困る。やはり「心の糧」でないといけない。」のではないか、それは何かというと、博物館でかえていきたい、こういう指摘がなされておりますが、この考え方は大臣、いかがでしょうか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 地方の文化の問題と全国的な、ナショナルの立場で考えなければならない問題と二つあると思いますが、先生の御指摘の地方における文化の中心という問題をどういうふうに考えていくか。文化という言葉も大変広い意味がございますけれども、たとえば先ほど来若干お話がございましたようなその地域における埋蔵文化もございますし、その地域の優秀な美術品等の収集あるいは展示というような問題も出てまいるわけでございまして、こういう国立のギャラリー、美術館とか博物館というものの要望がこのごろ非常に強くなっておることは事実でございます。文部省におきましても、これの全国的な配置その他規模をどういうふうに考えていくかということを一回基本的に見直してみようじゃないかということで、文化庁が中心になりましてその作業を進めておるわけでございます。  その地域、地域に昔からの一つの文化の中心というものがおのずからございまして、そこでは、やはり散逸はされつつあってもなお集積されたものがある。そういうものを極力散逸しないようにいたし、あるいはさらにそれをその地方の今後の文化の発展に役立たせるような、展示にいたしましてもあるいはまた陳列にいたしましても考えていかなければならぬ、そういう必要が生じてくると思います。したがいまして、博物館の具体的な施設をどういうようにするか、美術館をどうするかということを今後考えていかなければならないし、具体的にそれが誤りのないようにしていかなければならない、こういうふうに考えているわけでございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 この懇談会のまとめにもございますが、「文化施設の在り方」ということで述べてあります。その前に、小さいことですが、五十五年度の予算で文化施設の整備等の調査研究費として二千万円計上してありますが、その中で何か文化地図をつくるというようなことが言われておると聞いておりますが、それはどんなものですか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 この文化施設整備等の調査研究につきましては、これは文化地図ということではございませんので、いろいろな地域から、国立の美術施設をつくったらいいではなかろうか、現在国立の美術館、博物館等は首都圏と近畿圏に偏在しておるので、もっと別な地域にもそういう国立の施設が必要ではなかろうかという声がございます。それからまた、中央におきましてもいわゆるギャラリーのようなものが必要ではないか、そういうような声がございますので、そういった要望を全般的に検討いたしまして、いま大臣からお答え申し上げましたような全国的な立場に立って、国の文化施設がどうあるべきかということを検討していくそのための委員会でございまして、その際には、ただ国立だけではなくて、公立、私立の博物館、美術関係の施設の分布につきましても広く調べて、一体どこにどういう種類のものをさらに積極的につくっていく必要があるかということを総合的に調査する、そういう立場で調査するそのための経費でございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 いま私が話している中には、いわゆる文化の問題についてどうしてもやはり東京中心的な、中央志向的なものがあった、そういうものは当然おわかりいただいていて、そしてまたこのまとめの中にも「文化地図ともいうべきものを作成し、」と、こういうふうにありますから、私はそういう意味で申し上げたのですけれども、はっきり文化地図とおっしゃらないし、そのことはそのこととしまして、この中にありますいろいろな文化施設、大臣は細かいことを見てないと思いますが、五十年時点で国立博物館、美術館、一切こういうものを入れますと、公立のものだけでも三百四十五、四百近く、民間のものを入れますと現時点で相当な数のものがある。そうしますと、これは見る側から見れば、どこにどんなりっぱな博物館等があるかわからない、せっかくの施設ももったいない、こういうことも言えるんじゃなかろうか、こういうふうに思います。こういうたくさんの施設を、地域ごとに博物館、美術館を全部含めて総合的な体系づけをしていくことが一つの問題ではないかと思うのですが、いかがでしょう。簡単に。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、全国の文化施設につきまして全体的な体系を考えてみる、総合関係がどうあるべきかということを研究するということ、おっしゃるとおり大事なことであると思います。ただいま、この調査会におきましてもそのことも含めて検討を続けておる次第でございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 そこで、先ほどのこのまとめの中にあります「文化施設の在り方について」でございますが、最初に現状を述べてありまして、そして二番目に「改善のための具体策」その中の最初に「新たな施設の設置」こういうふうにありますが、これを読んでみますと、先ほど言うたような中央志向をやめて、そうして地域を大事にするためのいろんな施策をやっていきたい。そう言いながらも、全国的施設というのは、いま考えられておるところは、国立博物館、東京、近畿ですね。必要でしょうけれども、何かしらん私はもう少し広域の視野に立ったものが必要ではないか、こう思いますと、その次に述べてありますいわゆる「広域圏の施設」そういう中に「全国を数個の区域に分け、」これが一点ですね。それから「その区域ごとに文化振興の中核となりうる拠点を定めて文化施設を整備する」この「数綱の区域」というものはどういうものを考えておられるのか。また、ある区域ごとの「中核となりうる地点」というのはどういうようなことを検討されておるのか、わかっていれば教えていただきたい。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 この文化長期総合計画の懇談会におきましては、ここに書かれておりますとおりの長期計画を考えておりますので、まず中央でいま足りないもの、中央でつくるべきものに始まって、さらに全国的な視野において大きな計画がなされておるわけでございますが、各広域の地域において広域圏を幾つのブロックに分けるか、その中でどういう施設をつくるべきかというところまでの具体的な検討にまでまだ進んでおらないのが実情でございます。現在あります国立のものの分布状態が多少偏在しておることは事実でございますけれども、さらに地方においては、最近は地方の公立の文化施設もかなりできております。そういったものの動向等を調べた上で、さらに地方においても国立のものが必要かどうかということを検討していく、そういう段階でございまして、まだ具体的にどのブロックごとに国立を幾つというようなところまでは調査が進んでおらないのが現状でございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 何かやるとすぐ金ということで考えて、文化行政は私はそういうことだけではいけないじゃないかという気持ちもします。結論的なことをもう長く申しませんけれども、数個の区域に分けると言えば、大体日本を何カ所かに区分してということでございましょうから、要望として九州も、私九州の福岡でございますが、そういう意味では大事な拠点というふうに私たちも認識をしておりますし、そういう面での今後の努力をひとつ、もう詳しくは申し上げませんから、考えていただきたい。  特に最近、国立博物館の誘致というようなことで、二、三年前に運動がとまっておるような状態でございますが、またことしから推進会議で始まっておるようでございますし、何か今月か来月には九州全体のそういう民間団体の動きがあるようでございますから、できればひとつぜひ文化庁の方から、調査費用は二千万で少ないでしょうけれども、官房事務諸費等もありますし、いろいろありますから、ぜひひとつ目をとめていただきたいというふうに思います。  そこで大臣、私今年度の予算を見てみますと、五十五年度は四兆九千億、五兆円ぐらいの自然増収を見込んでおる。こういうときは文化行政、要る金はどんどん要求しなければいかぬと思うのですよ。財政再建とか言いますけれども、大蔵省はきょうはあれと思いますが、増税だけ考えるようなことじゃいかぬと思うのですよ。増税しようと思うなら減税しなければならぬ。減税すると自然に増税という感じになってくる。そういう意味で、文化行政というものはいまどういうふうになっておるかということも含めて、文化行政について地方の自治体の取り組みも、ここにありますように、いままでのかけ声から本番に入ってきた。自治体行政にも文化の視点を取り入れて、全国文化行政連絡会議を発展して文化行政会議と改めというふうな記事が出ておりますが、その中身は、具体的に文化のための一%システムですか、導入されていく、こういうことでございますが、国の文化行政においてもそういうものを取り入れていくべきではないかと思いますが、この御検討はなさいますか、どうでしょうか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 ただいま御指摘になりました建設費の一%の問題につきましては、この二千万の経費の中で同時にその問題についても調査をしていくということになっております。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 それは調査してもらっていいのですが、各地方にたとえば国の公共物の相当な建築等がなされると思うのです。これは私参考に申し上げておきますが、私の選挙区に太宰府というところがある。この太宰府に特定郵便局というのがありまして、その特定郵便局を数年前に普通郵便局に昇格をして、そして一番太宰府の入り口のところに建てたのです。私そのとき思ったのです。社会的なこういう遺跡を抱えている太宰府という地域の郵便局ならば、せっかく普通局に昇格して建てるのだから、少しそういうことを考えて建物を建てたらどうか、こう言いましたけれども、何か郵政の建築物が一番やかましいそうですけれども、そういうことで一向にそうされないのです。ですから私は、本当に文化庁が、これは文化庁だけではできない、総理府のようなところでやるべきかと思いますが、国の出先機関のそういう新しく建てるいわゆる公共物、官庁の建物等については、一%の予算システムというのを、やれるやれないは別にして、私は文化庁が音頭をとってでも国全体の仕事として今後やっていくべきじゃないか、いまから調査するというような段階じゃないじゃないか、こういうように思いますが、大臣いかがでしょう。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 いま田中先生から御指摘のありました問題は、実は私、文部大臣を拝命いたしまして一番先にそういう問題について気がつきました点でございますが、すでに前任者あるいは前々任者の時代からその問題が出てきておりまして、何とかこれをひとつ実現できるようにと思いまして、文化庁その他で検討をしていただいておるわけでございます。これはひとつ将来と申しますか、研究課題として十分勉強さしていただきたいと思います。少しそういう余裕があってしかるべきではないかという考え方を個人的には持っておりますが、さて、それを具体的にどういうふうにするかということになると、それぞれそういう意図を持っておられる方々の中でも少し議論があるようでございます。検討さしていただきたいと考えております。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 次に、青少年と犯罪の問題でございますが、これは簡単にしていきたいと思います。  いわゆる覚せい剤汚染が大変広まっております。しかも現在では、暴力団関係だけではなくて、普通の一般のサラリーマンとかOL、主婦、中学、高校生までも汚染されておるというふうに言われておりますが、いまやこれが大変な犯罪の増加と並行してゆゆしき問題になっておる。たとえば北九州でございましたが、ことし二人の主婦が行きずりに殺されておる。そして一人は重傷を受けるというような事件が起きておる。これはシンナー常習者でございますが、これも覚せい剤に汚染されたいわゆる行きずり殺人として大変な問題を提起しました。  問題は、やはり中学、高校、そして一般にまで広がっておりますこういう状況を考えますと、人間として大事な人生の中の基礎を培っていかなければならない青少年、中学、高校までが汚染されておるということについては、教育面でも責任ある施策を考えなければならないのではなかろうか、このように思いますが、文部省としてどのような実態把握をなされておりますか、お聞きしたいと思います。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 警察庁の調査でございますが、五十四年度中に大麻とか覚せい剤使用ということで補導された中学生が四十三人、高校生が百十六人、そのほかシンナーとかトルエンとか接着剤とかそういうもので補導されたものは中学生で六千二百八十九、高校生で八千九人という数字になっておりまして、これは五十三年度の数字と比べましてほぼ横ばいなんですけれども、中学生がたしかちょっとふえているという状況で、おっしゃるように大変憂慮すべき事態でございます。  これの過度の吸引というものが非常に大きな犯罪につながる可能性を持っておるわけでございますから、そういう意味で、文部省としましてはこういう麻薬、覚せい剤等の使用者を含めて、小中学校の非行少年の防止ということにつきましては、たびたび県の教育委員会等を通じてその補導等の措置の徹底をお願いしておるところでございます。ただこの問題は、学校において理科とかあるいは保健体育というような面で科学的あるいは衛生面からの指導をし、さらに、特別活動とか道徳といったような教育を通じて精神面での教育をするという活動を十分いたしますとともに一人一人のそういう子供について先生との接触をできるだけ密接にしてもらうというような点を配慮しておるわけですが、やはりこの問題は、学校生活だけではとても規制できない問題でございますので、学校を通じて家庭あるいは一般社会との協力ということを強く呼びかけていただきまして、家庭、学校、社会が協力してこうした少年を少なくしていく、あるいはなくしていくという努力をしていただきたい、こういうふうに指導しておるわけでございます。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 いまの数字が警察庁の方で聞いたのとちょっと違うのですけれども、ちなみに、この少年の覚せい剤による検挙実態は、警察庁の資料によれば昭和五十年度が中学生が四人、高校生が十五人であります。これが五年後の五十四年では中学生が四十三人、高校生が九十九人、高中合わせてこの五年間で約七倍にもふえております。全検挙数は約二倍であり、これと比較して高中の伸びは大変群を抜いております。この数字は検挙された数でありまして、氷山の一角であるというふうに言われておりますが、中毒者、使用者を入れますと覚せい剤に汚染された中学、高校生は大変多くなるし、しかも今後ますますふえ続けていく傾向になっております。大変子供の人格包むしばみ、犯罪の単火線になっております覚せい剤を一日も早く撲滅していかなければならないわけでございますが、特に中学、高校生が多くなっておるというこの状況にどのように対応するべきでしょうか、お考えをお聞きしたいと思います。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 数年前の資料をちょっとここに持ち合わせておりませんけれども、戦後の、いまの麻薬、覚せい剤等のケースを含めて少年非行者の数というものを見ますと、昭和二十六年というのが一つのピークだったのですね。それからずっと減りまして、昭和三十九年にまたその時期と同じくらいのピークになりまして、その後ずっと減ってきたのですけれども、おっしゃるように昭和五十三年がまたその発生率から言いますと同じくらいのピークになっておる。要するに三度のピークを迎えておるというのが警察なんかの調べでもわかっておるわけでございます。したがって、いまおっしゃるように麻薬、覚せい剤等の関係もそういうようなことになっておるということで、これはもちろん少年非行全体の問題として非常に憂慮すべきことでございます。  もう一つは、いまおっしゃったように暴力事件なんかも中学生まで低年齢化しているということが一つの問題でございますので、私どもは従来以上に小学校、中学校についてもこういう面についての指導の徹底をしていただきたいということで、教育委員会を通じまして今後一図その適正を期するように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。

田中昭二公明党・国民会議

○田中(昭)分科員 終わります。

保岡興治自由民主党・自由国民会議

○保岡主査代理 田中昭二君の質疑は終わりました。  次に、中村茂君。

中村茂日本社会党

○中村(茂)分科員 私からは二つの問題について取り上げたいと思いますが、ひとつよろしくお願いいたします。  まずその一つは、五郎兵衛新田古文書についてお伺いいたしたいと思います。  この件につきましては、昨年の分科会でいろいろお願いいたしまして、内藤前文部大臣に大変御理解をいただいて、文部省当局からいろいろとめんどうも見ていただいてまいりました。大臣もかわりましたので、この概要について簡単に御説明を申し上げて、大臣の御理解をいただきたい、こういうふうに思うわけであります。  長野県の北佐久郡浅科村を中心にして五郎兵衛用水という川が流れております。これは市川五郎兵衛という人が江戸前期の寛永年間に、大変山が多いわけでありますけれども、山をくりぬき、すそ野をはいまして、五里八町、いまのメートルに直しまして約二十四キロに及ぶ用水を開発したわけであります。この用水を中心にしていまの村落が形成されております。  そこで、古文書でありますけれども、この用水工事の様子、用水を維持してきた管理の状況、水利権、この用水に関係する全貌が古文書として残っているわけであります。そして、村が形成されたその生活や文化の記録、特に被差別部落の形成の経過などについてこの古文書は細かく現在に至るまで残っているという非常に大切な文書であります。  約三万六千点に及んでいるわけでありますけれども、そのうちの二万点が学習院大学に寄贈されていたわけです。数年前からこれを村に返還していただきたいという運動が起きまして、文部省当局の御努力と学習院大学の御理解によりまして、寄託方式という方式でありますけれども返ることになりました。正式に数カ月前にやっと調印になったわけであります。  さて、寄託方式という方式で返ることになったわけでありますけれども、その条件として、いままで村の方にあったもの、学習院大学にあったもの、合わせて三万六千点をリコピーにして大学の方へそれを送ってこれからの大学の研究に資していく、こういう方法で返還することになったわけであります。文部省当局の御努力によってリコピー代などいろいろ御援助いただいてきたわけでありますけれども、物価が上がったり不足の状態が起きております。それにあわせて、それだけの古文書を村に置いてそれを維持管理し、研究し、調査していくということになると、これは非常に大きな事業になっているわけであります。  そこでこれからも、文部省当局のいままでの御協力に感謝申し上げると同時に、財政の面、それからこれをどのように経営していったらいいかという指導、あわせて文部省当局の御見解を承りたい、こう思うわけであります。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 五郎兵衛新田の古文書が非常に貴重なものであるということは、私もよくお聞きをいたしております。文化庁の方でこの問題につきましていろいろと対応策を考えておるわけでございますので、文化庁の長官の方からあと詳しくお答えをいたしたいと思いますが、貴重な書類でございますし、私も少しはその状況も知っておりますので、十分に検討をさせて、これを大切なものとして持っていきたい、かように考えております。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 昨年の先生の御指摘に基づきまして、私ども庁、浅科村及び長野県御当局と御相談いたしまして、さしあたり五十四年度におきましては、古文書調査国庫補助事業ということの中に取り上げまして、三百五十万円の補助を差し上げております。これだけではもちろん十分ではございませんで、調査事業そのものがまだ継続していかなければならない。関係者の話ですと、少なくとも三年ぐらいはかかるだろうというようなことでございますので、今後とも地元の御意向を十分伺いながら、必要なものを可能な限り私どもの方で御援助申し上げていきたいと思っております。

中村茂日本社会党

○中村(茂)分科員 いまお話しのように三年計画ということで、五十四年度を第一年にして若干の補助をいただいて手をつけ始めたわけでありますけれども、予定の三分の一程度しか実際にはできない実情になってきております。それで、これからのことを考えると、返還についても調印されて、五十五年度から学習院大学に行っていたものを整理して順次村の方に返還されていく、それを一つ一つリコピーにしていくということになると、三年では非常にむずかしくて四年ぐらいかかるのではないか。したがって皆さんの方から御援助いただく分も、聞くところによりますと、三年間で二千五百万程度でいいんじゃないかという計画のようでありますけれども、これも非常に不足だ、また一年間延ばさなくちゃならぬということで、計画をやり直して近いうちにまた当局の方へ差し出す、こういう村の考え方のようですけれども、そういう要望が出てきたら、当局としてもよく検討していただきまして、満額何とかできるような対策をひとつ考えていただきたい、こう思うわけでありますが、御見解を承りたい。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 よく地元の御関係者の話を伺いまして、十分検討してまいりたいと思います。事柄によっていろいろ事務的な問題もあろうかと思いますので、十分検討させてまいりたいと思っております。

中村茂日本社会党

○中村(茂)分科員 じゃ、それはそれでお願いいたします。  二つ目の問題でありますけれども、長野大学の前野良、中村丈夫、両教授の不当解雇事件について大臣の見解を承りたいと思います。  若干この経過を申し上げてみたいと思うのですが、長野大学は昭和四十一年二月十一日に本州大学として設立されました。単科の大学で経済学部、それに女子短期大学を設置したわけであります。設立当初から過大な負債を抱えておりまして、また学生の数も定員に満たず、昭和四十七年に学生の数が定員の三分の一程度というように非常に負債が多くなってまいりまして、廃校するか再建するかという問題に当面したわけであります。再建することになりまして、付属として持っておりました女子短期大学の部門を他に譲り渡しまして、財産なども処分をいたしました。そして昭和四十八年六月二十五日に経済学部を学年進行により廃止し、そして四十九年四月より産業社会部を設置して現在に至っているわけであります。  そこで、先ほど申し上げました前野良、中村丈夫両教授についてでありますけれども、前野良教授は、昭和四十一年に本州大学経済学部の教授として採用されたわけであります。そして、昭和四十三年四月から昭和四十七年十月まで経済学部長の職にありました。それから中村丈夫教授は、昭和四十四年四月に本州大学経済学部の講師として採用され、昭和四十五年四月に同大学同学部の教授として現在に至っているわけであります。  そこで、この経済学部でありますけれども、経済学部はすでに四十八年の四月から学生の募集を停止して、昭和五十一年三月にはほとんどの学生が卒業して、若干の留年生も五十二年の二月までに退学して、経済学部の学生はほとんど皆無になったわけであります。ということになりますと、経済学部には学生は一人もいないけれども教授だけがいるというきわめて奇妙な経済学部がここにでき上がったわけであります。その後、先ほど申し上げました両教授の身分保障問題をめぐって争いがいろいろ起きました。それは時間がかかりますから省略いたしますが、そしてこの両教授に対して昭和五十四年、昨年でありますが、七月一日に、この学校の就業規則第十九条に基づいて一方的に解雇通告が出されたわけであります。  そうなりますと、いろんな問題が起きてまいりまして、この両教授の権利回復を訴えるということで全国的な運動が展開されまして、長野大学問題を考える前野、中村両教授の権利回復を求める会というものができまして、有名な教授、文化人、こういう人たちが六十名程度にわたる呼びかけ人で、全国的なこの権利回復の運動が起きたわけであります。また両教授は、解雇通告を一方的に受けたわけでありますから、長野地裁上田支部に地位保全等仮処分の申請を行ったわけであります。地裁支部では、申請を受けて十月八日、十一月十五日の二回の審理によりまして、ことしの一月二十一日付をもって申立人の全面勝訴の仮処分決定が行われました。ここに判決文も全部あるわけでありますけれども、そこで、こういう結果になったわけでありますから、それぞれの運動を起こしている人たち、それから、ここに労働組合がありまして、総評の全国一般労組にも加盟しているわけでありますけれども、そういう仲間の人たちから学園の理事会に対して、正式に解雇撤回をするように、そして学部に所属させて二人の権利の完全回復を図るようにという運動が起きておりますし、また、先ほど申し上げました長野大学問題を考える前野、中村両教授の権利回復を求める会からも学校当局に対しまして、「長野学園理事会は、前野良、中村丈夫両教授の解雇を速やかに撤回すること」、二として、「同理事会は、両教授を長野大学産業社会学部に専任勤務させること」、こういう要請書などが現在出ているわけであります。  私はこの経過をずっと考えてみた場合に、いずれにしても、円満に解決することが学校発展の一番の基礎になるんじゃないか、こういうふうに思いまして、内面的にいろいろ携わってきた面もあるわけでありますけれども、結果的に、一方的に解雇通告をする、生首を切る、そして仮処分が出されて、それは間違いだよという勝訴の判決が出る、こういう中でありますけれども、両教授に私もじきじき会いましていろいろお伺いしたら、昨年の春に、いずれにしてももうこの学校からは去りたい、しかし、いまのようにもう生徒もいない経済学部にそのまま籍を置くということでは他の学校へ行くこともできない、だから身分だけでもいいから産業社会学部に移していただいて、そして一生懸命自分の行く先も探したい、こういうふうにいろいろ言われておりました。そして現在こういうふうになってみると、何でおれはこういうふうになってきてしまったのかと非常に悩んでおられました。  ここまで来た時点でありますけれども、当局はまだ不当解雇は撤回しない、こういうふうに言いながら、判決で出た賃金の不払い分については払ったようであります。そしてまだ、この裁判については検討してみて上へ持っていくかもわからぬ、こういうことを言っているようでありますけれども、学園の中の自治というものもあるでしょう、しかし、一たん裁判ということでこういうものが外部へ出た以上、やはり文部省としても適切な指導をして、円満な解決を行う中から学校の発展というものを期することが一番必要な段階ではないかというふうに私はいま考えるわけであります。大臣の所見を承りたいと思います。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 先生御指摘のように本件につきましては、四十七年ないし四十八年当時の大学再建の方針に対する大学側と両教授の見解の対立に端を発しまして、長い経緯があるわけでございます。私どもも本件に関しては事の性質上、できる限り当事者の話し合いによる円満な解決が望ましいし、また、そのことはいま先生も御指摘のように、両教授の側においても一つの方向というものを持っておられたわけでございますから、そういう方向で何とか円満な解決が図られないかということで大学側にも話をし、また大学側もそうした話し合いによる解決の努力を重ねたわけであります。一時はいわゆる四者仲介と言われておりますような、外部の識者に依頼をして何とか仲介による解決の方法がないかということが当事者の間で努力をされた経緯もございます。しかし非常に残念ながら、そうした仲介の努力が実らないで、解雇あるいはその解雇に対する仮処分の決定ということになっているのが現在の事態でございます。  われわれも本件については、当事者の話し合いよる円満な解決が図られるということが最も望ましい姿であると考えております。ただ、本件で非常にむずかしいのは、通常のこの種の紛争の場合は、大学の理事者側と教学組織の間の対立ということで事が進むのが一般の例でございますけれども、本件の場合には、再建の方針をめぐっての対立というのが二教授とこの大学の教授会側との間にあり、現在の教授会と両教授との間に一つの抜きがたい不信感のようなものがあるというところに非常なむずかしさがございます。このことは、仮処分の決定においても指摘されているところではございますけれども、何とかそうした点を乗り越えて円満な解決が図られないものかと考えているわけでございます。現在大学の側は、御指摘の仮処分の決定に対してどのように対応するかということを検討している段階でもございます。私どもとしては、そうした事態のむずかしさというものを十分に認識をしながら、しばらく事態の推移を見守ってまいりたいと考えております。

中村茂日本社会党

○中村(茂)分科員 いまもお話にありました第三者機関が入った、これは私も、こういう方法で解決していただければ一番円満に解決するしいいのではないか、こう思ったわけです。ところが、理事者側がこの内容を拒否してきた。拒否するには拒否する理由があったのでしょう。しかし、それを拒否してきた直後、就業規則に基づく解雇通告が出された、こういう経過になっているのですよね。  私のところにもこの第三者機関で非常に御努力いただいた申し合わせの内容があるわけです。「(1)、両教授の身分が経済学部廃止−産業社会学部発足後ほぼ三年にわたって空白となっている点について、長野大学は責任をもって教授身分の継続の条件を整えること。そのためには、両教授を産業社会学部教授として発令するための手続を整えること。ただし、教授会へは出席せず、正規の授業課目の担当がなくてもよいことを条件とする。(2)、(1)の条件を満たすことを前提として、昭和五十五年三月をめどに他大学への転籍のため、両人はもとより、「小委員会」および長野大学は責任をもって努力する。ただし、他大学への転籍が可能となるまで長野大学は両教授の身分を保障すること。以上 一九七九年五月二十三日」、これをどうして拒否したのだろう。これが整ったとすれば、もういま昭和五十五年三月です。これをめどにしてお互いが解決していこうということです。そこで、名前を言うわけにはいきませんけれども、理事の一人に直接私は聞いたのです。そうしたらその理事さんは、(1)の項でこういうふうにすれば、五十五年三月に努力しようと言っているけれども永久にそこに居座ってしまうのではないか、いわゆる信頼関係がそこにないわけですね、そういうふうに言っている。ところが、この小委員会を構成している方々はみんなそれぞれりっぱな方でございます。しかもそれぞれの立場、三者からこの小委員会を構成されている。ですから、本人とはいろいろ問題があったでしょうけれども、これだけの人たちが心配して小委員会をつくって、それでやったものが、そこに居座ってしまうだろうというこの内容を信頼しないというところに一番問題があるのではないか。ですから、ここまで問題がもつれていますけれども、できればこの時点までそれぞれの考え方を戻して、そして円満に解決するという方法を見出すことが私はいま一番必要な段階に来ているというふうに思うのです。これは私の意見です。ひとつ聞いておいていただきたいというふうに思います。  それから、これに関連するわけでありますけれども、お聞きしたいというふうに思いますのは、経済学部、いまあるわけですね。まだ教授がいるわけですね。そういう教授がいる段階では、経済学部というものを廃部することはできないというふうに思うわけでありますが、そういう点についてはどういうふうになっているのでしょうか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 先ほど先生御指摘の経緯もございまして、経済学部は学生募集停止以来、順次学生は卒業をいたしまして、五十二年三月をもって在学生は存在しないという状況でございます。この大学の場合、産業社会学部を設置する際には当然、経済学部の廃止が予定されていたものでございますから、通常であればこの経済学部の廃止についての認可が行われる運びとなるわけでございます。しかし、二教授の処遇がペンディングになっておりましたので、五十二年の三月三十一日をもって経済学部を廃止するということの認可申請書を提出したいという申し出が大学側からございましたけれども、当時は、二教授の処遇が明確になるまでは認可申請書の提出を差し控えるように指導をし、今日に至っておるわけでございます。  私どもが学部の廃止を認可いたします場合は、もちろん関係審議会の御審議を経て行うわけでございますけれども、その際には、学生の取り扱い、教員の処遇あるいは廃止される学部の施設設備の処理、そういったものが円滑に行われるかどうかという点について十分検討するわけでございます。そういう意味におきまして、この経済学部の廃止につきましても、早急にお二人の教授の処遇について解決が図られることが望ましいと考えているわけでございます。

中村茂日本社会党

○中村(茂)分科員 経済学部が廃部にならなければ、新設したいということについても、いままでの経過と関連上、困難な状況にあるわけでございましょうか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 御質問の趣旨が多少取り違っているかもしれませんが、産業社会学部はすでに設置の認可が行われ、その際に経済学部の廃止が予定されていたという経緯がございます。もし今後長野大学がさらに、地域の要請等にこたえるために学部なりあるいは学科の新増設というものを計画する場合、この点が障害になるかというお尋ねでございますれば、その点は、問題点としてはかなり重要なものとして取り扱われることになると思います。  もちろんこの間、産業社会学部は、当初百名の入学定員でスタートをしたものが、二百名の入学定員に定員増を認められるというような経緯がありますから、この大学の新増設が全く本件によって閉ざされているというわけではございませんけれども、新しい事柄をお考えになるとすれば、まず懸案の解決を図ってほしいということは当然、私どもは申し上げることになると思います。

中村茂日本社会党

○中村(茂)分科員 この件について最後に、大臣からひとつ所見を承りたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 いろいろと問題が出てこじれてきておりますことは、大変に憂慮いたしております。両者の間で話し合いが行われて解決をされることを強く望んでおるわけでございますが、しばらくその状況を見守らしていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

中村茂日本社会党

○中村(茂)分科員 終わります。

保岡興治自由民主党・自由国民会議

○保岡主査代理 中村茂君の質疑は終わりました。  次に、中川利三郎君。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)分科員 秋田県には昼間の定時制があるということを大臣は御存じですか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 担当局の方から聞いております。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)分科員 つまり、定時制課程というのは普通は夜だというふうに理解されがちでありますが、秋田県の特殊事情からして、たとえば農繁期には一定期間休む、こういう生徒のために、非常に前向きな施策として出された昼間定時制構想だったわけです。ところが、いまは農業自体にもそういう問題がなくなりまして、全くこの課程の生徒たちは全日制の皆さんと同じに学ぶ条件があるわけですね、昼間の定時制ですから。同時に、定時制は四年ですけれども、この昼間の方々は三年課程で高校卒業単位を履修する条件にあるということも同じことなわけですね。ただ、残念ながら定時制であるがゆえに、四年間学校におらなければならないという、そういう拘束があるわけです。このことがやがてその方々の進路あるいは就職の上でもいろいろな差別としてあらわれてきておる。また三年の、あと一学期くらいで全部の課程を終わるわけですから、学校へも事実上行っていらっしゃらないわけですね。授業料だけは取られる、こういう非常に不合理な状態になっておりす。  そこでお聞きしたいのは、すべてのそういう昼間の定時制課程の皆さんを全日制に切りかえるべきではないか、こういう要求がございますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 おっしゃるように最近は、勤労青少年の勤労の条件といいますか、それが大分かつてと変わってまいりました。そこで、昼間定時制に通っておる青年もかなり時間的に余裕がある、したがって四年ということでなしに三年で卒業したいんだ、こういう希望があり、それに対応して県でも、昼間定時制というものを廃止して全日制の課程に移すということは、特に東北各県では、たとえば私の聞いているところでは青森とか宮城とか福島等やっておるようでございますから、それはやはりそれぞれの地域の実情なり生徒本人あるいは家族の希望等を考えながら、県の教育委員会当局において施策をしていただく問題だろう、こういうふうに思うわけでございます。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)分科員 県がこれに対しては施策すべきだというわけでありますが、やはり教育上の観点から一定の皆さんの見解もこの際切らかにしていただきたいと思うのです。なぜかといいますと、確かに昼間の定時制を全日制に切りかえるというのは秋田県でもやっているわけです。たとえば大館というところの東面校の場合でありますが、これは五十五年度、つまりことしから昼間定時制を全日制に移行するという措置をとったわけです。ただ、その移行措置の中でいろいろ問題が出てまいりまして、具体的に申しますと、一年生だけが全日制なんですね。ところが二年生、三年生、四年生は定時制なんです。同じ学校に同じように通いながら、こういう二本立ての運営になっているわけであります。ですから、先ほど申し上げましたとおり、全く同じ条件にありながら、制度改正が一、二年おくれたというだけで、一方は三年間で、ほかの方は四年間で卒業するということは、まさに機械的な運用といいますか、教育的でないような感じもするわけであります。  四年生は卒業するわけですからもう間に合わないですね。三年生も間に合わないという問題もあるかもわかりませんが、少なくとも二年生、三年生に対しましては、カリキュラムの編成上そういう点を十分に配慮して三年で卒業するという、そういう道筋を準備させるようにすることが非常に教育的な配慮であり、同町に大事なことじゃないかと思うのです。これをただ県が決めることだと言うだけでは済まないような感じもするわけでありまして、実態がこうなっている以上、文部省としての御見解もお聞きしたいと思うわけであります。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 先生のおっしゃるように、せっかく全日制の同校の課程にするのであれば、在校生も三年で卒業できるようにすべきだ、その方が平等だという御主張のようでございます。それは私は一つの意見だと思います。ただ、定時制は四年、全日制は三年と法律で定められておるその趣旨は、四年間に八十五単位以上を十分修得させて高校卒業の資格を与えようというものでありますから、一年から四年までのカリキュラムは言ってみれば、一年に入ったときに当然想定して実施をされるわけであります。そこで教育的な見地からすれば、定時制の一年生に入った子供はやはり四年間で終えるようにした方が無理なく高校卒業の実力をつけられるという、そういう配慮でありましょうか、いま私が申しましたほかの東北各県のそういうケースを聞きましても大体学年准行で、つまり新しく入る一年生から全日制に移すというのが普通の状況のように聞いております。ただ、制度的にはおっしゃるようにそういう学年准行でなしに、一遍に定時制課程を廃止して全日制を設け、従来の定時制課程の在学生を全日制に転籍させることもこれは可能だと思います。思いますが、そのいずれをとるかということは、いま申しましたように県の教育委員会としていろいろの事情を考えてお決めになることではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)分科員 まさにこの問題は地元では、教育問題の領域を越えまして社会問題になっておるわけですね。たとえばこれは北鹿新聞という大館地方の新聞でありますが、こういうふうにたくさん出ているわけですね。「全日制移行 大きな社会問題に」という副見出しがついているわけでありますが、「大館東高 在校生の処遇いかに衆院でも論議予想」ということを書いているわけですね。  そういう社会的な大きな問題に発展したということの経緯について若干御説明しますと、たとえばこの前PTAの総会があったそうですが、全日制移行だけはこの校長先生は一年生に言うたわけです。しかし、在校生の扱いをどうするということについては法律にそういうことは決めていないのだ。ところがそこにおった先生が、おかしいじゃないですか、文部省は制度的には問題がないということを言っているではないかと言った。そういうことをおっしゃったら、どの父兄も動かなくなったというんだな。これは大変なことだ。もうどの父兄も、きょうはそれを聞きたくて来たんだから、われわれは帰るわけにはいかないというので、校長さんやPTAの会長さんが、バスの時間がないからだめだから、これで終わりにしようと言ったら、われわれはきょうは仕事休んで来たんだから、この問題にけじめをつけてくれと言って、とうとうそのまま父兄が、座り込みではありませんけれども、そういう状況も起こったということも伺っているわけであります。また、大館東中学校という中学校では署名運動をしたそうですね。そうしたら、百二十名の父兄の中で百十何名が署名に賛成したというのです。まず、その生徒さん自体を見てみますと、自分は昼間の定時制に行っているということを、秋田の言葉で言いますと「しょし」、つまり恥ずかしくて、わざわざ行っていないふりをするというのですね。同級生と会いますと、普通の昼間の子に会いますと、ぱっと隠れるというのです。そういう状況があるわけであります。  私は、いまのカリキュラム云々という問題もありましょうけれども、たとえば私も定時制の先生をしたことがあるのですが、私の専門は国語なんですよ。ところが、当時のいろいろな状況の中で、おまえさん国語よりも社会の先生が足りないから社会をやってくれということで、勝手にそっちの方を大分長くやらさせられたり、また、私は戦前の学徒出陣の第一号でありまして、三年で卒業するやつを二年六カ月で卒業させてもらったり、そういう経過もあるわけであります。カリキュラムの問題は確かに大事なことでありますけれども、私の申し上げたいのは、やはり三年で卒業できるようなカリキュラムの再編成、そういうことにしていただかないと、ただ四年で入ったから、定時制に入ったから定時制を卒業してもらわなければ困るというのは、そういう発想では、私はやはり父兄や生徒の希望に見合わない。そういう差別的なものの解消につながらないし、本当にだれでも晴れやかに胸を張って教育を受けられる、そういうかっこうのものにするためにもぜひとも文部省から、ただ制度的にはよろしいんだ、しかし県が決めることだということはわかっていますが、制度的に問題がないならば、しかもこういう状況の上でならば、やはり皆さんの前向きな御指導があってこそ県も安心してそれができるのじゃなかろうか、こう思うのでありますが、この点についていま一度御答弁いただきたいと思います。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 最初に申し上げましたように、三年にすることによって生徒や父兄の早く卒業したいという希望を満たす、あるいは、定時制の生徒でなくて全日制の課程の生徒になりたいというそういう気持ちを尊重してというその御意見はよくわかります。しかし、重ねて申しますけれども、私どもはやはり定時制には定時制の存立の意義があり、それを全日制に変えるというのであれば、できるだけ円滑に、要は全日制になったんだからだれでも関係者は三年で卒業させるようにしろというのではなくて、やはり定時制でスタートし今日までそれなりの学習をしてきた生徒が卒業するまでに十分な力をつけるという見地から、いまの学年進行の方式をとるというのも十分に教育的に意味のあることであり、また先ほど申しましたように、東北各県のそういう問題の処理についてもみな学年進行でやっておるというのは、やはりそれなりの教育的配慮があってやっていることだろうというふうに私は思いますので、この件についておまえの考えはどうだ、はっきり言えとおっしゃいましても、それは実態をよく知っておられるのは先生の方なんで、先生は先生なりの御意見をお持ちかと思いますけれども、われわれとしては、いまのように制度上学年進行でやるということも当然認められている現状ですから、その判断は県の教育委員会にお任せした方がよろしくないか、かように思うわけです。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)分科員 もう一度念を押しますが、制度的には差し支えないですね。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 学校の設置、廃止は、県立学校については県の教育委員会ですから、県の教育委員会の判断においておやりになる分には、いま先生のおっしゃるようなことも可能だと思います。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)分科員 それでは次にお伺いしますが、秋田県と鹿児島県、全国に二つの県だけでありますが、過疎県の教職員定数最低保障制度、政令の中でこういう九八・五%条項というやつがあります。これを該当させていただきまして、本来ならば秋田県の場合、四百十三人もの先生が一度に生首を切られるという状況がせんだってあったわけであります。しかし、皆さんの方のいろいろな御努力によりましてその事態が解消されたということは、私は大変結構なことだと思うわけであります。しかし考えてみますと、九八・五%条項で救済されると申しましても、やはり一・五彩の先生方が残るわけであります。秋田県の場合で見ますと、この一・五%の分というのが大体百十六人に該当するというのですね。そういうことでありますと、せっかくのあれで私、大変感謝しているわけでありますが、しかしまだ問題がそういうかっこうで残っているということですね。  ここでぜひともお願いしたいことは、五十五年度はそういうことでありましたが、五十六年度も見てみますと、もしもそれが存続したといたしましても、九十人ばかり減らされることになるわけですね。ことしはそれであれですが、来年度もこの最低保障というものをぜひとも継続していただきたいというのが、教育関係者の願いというか悲願といいますか、そういうかっこうになっているわけでありますが、これについての大臣の御所見はいかがでございましょうか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 秋田県と鹿児島県がいまおっしゃるような最低保障にひっかかる県でありますが、来年度はどうかということですが、これは予算面で手当てがしてあるかということと、制度の面でそれを可能にするような方法があるかという二つあると思うのですね。予算の方は、先般の予算折衝の結果、来年も見るのに必要な定数を計上してございますから、これが可能でございます。法律的には、いま新しく提案をしている標準法にそれを可能にするような条文がございますから、これをできるだけ早く通していただきますと、先生がおっしゃるようなことが可能になる、こういうことでございます。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)分科員 わかりました。ありがとうございました。  なぜ秋田県と鹿児島県がこういうことになったか考えてみますと、やはり文部省の統廃合に私の方の県はまさに忠実に従ってきたということでありまして、たとえば昭和四十年度と五十三年度の比較で見ますと、小学校では百十三校減っているのですね。中学校では七十七校減っているわけでありますね。それに伴って教員も、この間だけで小学校で三百七十一人減っているのです。中学校では八百五十三人減っているわけですね。ですから、あとぎりぎりで、これ以上減らされてはたまらないというところなわけでありますので、最低保障の継続については、いま局長からの御答弁をいただいて非常に力強く思うのでありますが、ひとつ重ねてこの点について十分な御留意をいただきますようにぜひともお願いしたいと思います。  それとあわせて、昭和五十五年度予算に対する共産党の修正要求について、自民党筋からの回答が私の方へ来ておるわけでありますが、四十人学級の問題につきまして、「概ね三年後に各般の状況を勘案し、その後の計画につき検討する。」という、予算修正に関連して私の方の四十人学級問題についての回答なんですね。ですから、当面三年間の削減を進めることだけが非常に明快に回答には出ているわけですね。文部省と自民党のあれとは違うと思いますけれども……。     〔保岡主査代理退席、主査着席〕  そこで私お伺いしたいのは、十二年で四十人学級なんといういままでの考え方ではなくて、過疎県の場合は率先して四十人学級を実現すべきであるということですね。どんどん定数を削減するくらいならば、一足先に落ちこぼれのない行き届いた教育に向けて、そういう地域の特殊的な状態も踏まえて、最低でもいま自民党筋の回答にもありますように、ひとつ特段の力を入れて早めていく、こういうことについての御見解をお聞きしたいと思うわけであります。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 われわれの当初要求が九年であったことは、御承知のとおりでございますが、その後予算折衝の過程において、現在の厳しい財政状況等を勘案して、政府として十二年ということでこの計画を策定したわけでございますから、われわれとしてはその案でまいりたい、かように思っておるわけでございます。  ところで、おっしゃるように、過疎と過密では大分事情が違うということは承知をいたしております。現在でも全国平均しますと、小学校の一学級の児童数は三十三人、中学校は三十七人ということは、過疎県においては平均一学級児童生徒数がかなり低いことは事実でございます。そういう意味では、ある程度四十人学級あるいはそれに近いものが実現しておるということだろうと思うのです。ただ、制度的に過疎地域と過密地域とを時期を早めたり遅めたりということは、計画のプロセスではやっておりますけれども、恒久的にそうするということはちょっと問題があるわけでございますので、私どもとしては今回考えておりますように、一つの腹づもりとして、児童の減少傾向がすでに始まっている小学校については五十五年度から、その他の市町村については五十八年度からということでいま考えておりますので、そういう線で現在はいきたいと思っておるわけでございます。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)分科員 時間がないから次に進ましていただきますが、いま小中学校、高等学校と質問してまいりましたが、大学のことでちょっとお伺いしたいと思うのです。  かねて国立大学協会の会長から文部大臣あてに国家公務員定員削減に関する要望が出され、あるいは行政管理庁長官に対しても同じような要望が出されているわけですね。ちょっと拝見いたしますと、「わが国の将来における大学の教育・研究の役割の重要性と大学の組織運営の特殊性に鑑み、行政職職員を含め国立大学の教職員の定員を国家公務員定員削減の一環として一律に扱わないこと。」というようなことを、文部大臣あてに国立大学協会で出しているわけですね。また行管に対しては、「教官と職員が一体となって教育研究に対処しており、教官と職員を分けて後者を削減することに無理があること。職員の業務が非常に細分化しており、職員数が極めて少数であるため削減が困難な職場が多い」云々と、いろいろな文書が私の手元にあるわけでありますが、大学という学術、教育なり研究の場、これも一律に定員削減合理化だというようなことでは、やはり非常に問題があると私は思うのですね。いま私いろいろな大学に顔を出しますと、口を開いて言うことは、予算がない、定員がない、何ともならないという三ないの言い方なわけでありますが、こういう要求と今度の定員削減合理化問題についても、大学に対する文部省の合理化問題に対してせっかくこういうふうに要求を出しているわけでありますので、どういうふうにとらえていらっしゃるのか、この辺について御意見を伺いたいと思うのです。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 大学における定員削減につきまして、御指摘のように、そのことが大学の教育研究の機能を阻害することのないように細心の注意を払って対応しなければならないということは、私どももかねて考えているところでございます。一方定員削減計画は、各省庁を通じて国の方針として実施をされるものであり、そのことは国全体として対応していかなければならない大きな課題でもございます。私どもはその両方の面を踏まえて行政管理庁等と折衝を行いました。たとえば大学の場合であれば、教官あるいは看護婦については削減率ゼロの職種として取り扱うというような特別な配慮を加えながら、定員削減の計画が円滑に実施できますように各学校と協議をいたし、その実施を進めているわけでございます。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)分科員 たとえば秋田大学の事例で見ますと、四次にわたって百三名の定員が減らされたわけですね。今回三十六名削減の割り当てが来ておるわけでありますが、とりわけ秋田大学の医学部の状況を見ますと、削減計画の重点が全部行政職の(二)、つまり交換手だとか給食婦だとかあるいは電気技師の方、守衛さん、ボイラーの方、こういう一番弱いところに集中しているというのが特徴なわけであります。  御承知だと思いますが、秋田大学医学部というのは、文部省はほとんど金をかけないでつくった学校なんですね。これは県立中央病院というものがもともとございまして、それをなくして、つまり診療病院、秋田県にたった一つしがなかったものをなくして、さあ医学部をつくろうじゃないかということで、ほとんど税金も、県民挙げて金を出し合ったといいますか、そういうかっこうで大急ぎでつくった医学部でありまして、それでなくとも体制が不十分なままにやられてきたという経過があるわけでありますから、もっと充実してほしいというのが率直な意見なんですね。ところが、いま守衛さんといいますか警務員といいますか、そういう果てまで下請に出そうじゃないか、こういうかっこうの合理化が出ているわけです。新制大学を除いては、守衛さんの下請だとかパートなんというのは私、聞いたことがないのですけれども、こういう状況について一体どうお考えになるのか。そういう職務の重大性から見まして、守衛さんが下請だなんて、病院を含めた医学部のありようとして非常に問題だと思うのですけれども、この点についてどういう御見解であるのか。また、正規の職員がやめた場合にそれを補充しない、パートに任せるというやり方もいまやられようとして、地元で大変問題になっているわけでありますが、やはりそうすべきじゃなくて、こういう大学の特殊性からいいましても、これは一層充実すべきだと私、考えますけれども、一律に弱いところにしわ寄せするというやり方についての御見解をお伺いしたいと思うのです。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 御指摘のように、秋田大学医学部附属病院は県立中央病院を移管してつくったものでございます。その後、新病院の建設を行い、五十一年以降二年計画で医療設備の近代化を図る、あるいは診療科を増設をし、中央診療施設を新設をし、医療技術関係職員の増員等を逐次進めてきているわけでございます。創設当時、つまり移管の当時に十二の診療科でありましたものが、現在では十七の診療科に整備をされておりますし、また、創設当時四百八十人であった定員が、現在では五百四十三人というところまで整備をされているわけでございます。秋田大学の医学部付属病院については、こういった形で毎年その整備のための努力を私どももいたしてきております。必要な中央放射線部等の整備については、五十五年度においても定員を増加してこれに当たるわけでございます。  そういった努力を片方でいたすわけでございますが、同時に、附属病院には大変多くの業務がございます。それらの中には、特別な専門的な知識、技術を必ずしも必要としない単純あるいは定型的な業務がございます。こういったものについては、これをできる限り省力化しあるいは合理化をいたしまして、それによって既定の定員を有効に活用する、その活用によって診療機能を高め、患者サービスの向上を図る、そういう方策は私は基本的にとられてしかるべきことだろうと思います。もちろん個々のそうした対応を推し進めるに当たっては、それぞれの事情を十分に考えなければならないことは当然でございますけれども、それらの点については、それぞれの医学部あるいは附属病院において十分にお考えをいただいているわけであります。非常に厳しい定員事情の中で全国の附属病院の整備を積極的に進めながら、しかもわれわれでもできるだけの努力を内部的にして、それをさらに推進するという方向で当たっていくということが私どもの基本的な考え方でございます。

中川利三郎日本共産党・革新共同

○中川(利)分科員 時間が来ましたので、終わらせていただきます。

村山達雄自由民主党・自由国民会議

○村山主査 中川利三郎君の質疑は終わりました。  次に、小沢貞孝君。

小沢貞孝民社党・国民連合

○小沢(貞)分科員 いま予算の理事会が始まっていて、大変遅刻してしまいそうなので、色よい御答弁をいただけば四、五分で終わりますので、ぜひ政府側に御協力をいただくようにお願いをしたいと思います。  最初に文化庁にお尋ねをしたいわけですが、「歴史的街並の保存と整備」、文化財保護法に基づいて補助金を出していただいておって、私たち、その歴史的な町並みの町を歩くと大変奥ゆかしく感じて、こういう事業をやっていただいて大変ありがたく思っているわけです。私がお願いをしたいのは、この歴史的町並みの保存をしなければならないようなところは、いずこも財政的に貧困な町村が多いようであります。そこで、せっかくの事業でありますから、ぜひ補助率を——補助事業を私拝見をしておると二分の一、「補助金の額は、次に掲げる場合を除き、補助対象経費の二分の一とする。」これは重要伝統的建造物群保存地区保存事業費国庫補助要項にこういうようにあるわけです。この二分の一をぜひ三分の二にしていただきたい、こういうことなのです。ところが、例外で、「補助事業者が地方財政再建促進特別措置法に規定する財政再建団体である市町村又は過疎地域対策緊急措置法に規定する過疎地域をその区域とする市町村である場合にあっては、補助対象経費の三分の二とする。」財政再建団体とか過疎の指定を受けた地域の二種類のものは三分の二、こういうようになっていますが、私の要望したい点は、山村振興法に基づく振興山村、これも三分の二の補助対象にしていただきたいというようなことなのです。ちょっと一覧表を見たら、全国で十七カ所ですか、保存整備を急がれる地区というのがありますが、最初にそれが十四地区ですか、三カ市町村だけ削られているようですが……。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 現在対象になっております保存地区といたしましては十四地区でございます。十一町村、町村は十一で、個所といたしましては十四でございます。

小沢貞孝民社党・国民連合

○小沢(貞)分科員 ことしの補助事業の予算総額はどのくらいあるんですか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 五十五年度予算として、総額一億九千四百万ばかり計上いたしております。

小沢貞孝民社党・国民連合

○小沢(貞)分科員 そこで、私、三分の二のかさ上げの補助をもらえるところをちょっと拾い上げてみたら、過疎地域は、この四番目に書いてある南木曽町妻籠宿、それから十二番目の岡山県川上郡の成羽町吹屋というのですか、そこも過疎地域です。山村振興法の振興山村に該当するところを調べてみたらば、三番目の長野県木曽郡の楢川村奈良井宿と、ちょうどラップしておりますけれども、いまの岡山県の成羽町ですか、それが山村に指定されている。どうも私が見るとこの二カ村だけらしいのですが、たまたま十二番目の岡山県川上群の成羽町吹屋、これは過疎と山村とラップしておりますから、すでに三分の二の補助の対象になっていますから、どうもちょっと私ども調べが足りませんけれども、山村振興法の振興山村に載っておるのは全国十何カ所のうち檜川村奈良井宿だけだと思いますが、山村振興法に指定されているところはどこかほかにありますか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 いまおっしゃいました楢川村奈良井宿だけでございます。

小沢貞孝民社党・国民連合

○小沢(貞)分科員 そうすると、私の申し上げるのは全国でたった一カ所だけですから、この補助要項の二番目の項に、山村振興法に基づく振興山村、こういうのを入れていただけば、私のいま質問だか要請しているそれが終わってしまう、こういうことになる。どうでしょう、それをやっていただけますか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 具体的にはその一カ所ということでございますけれども、補助金の原則がございます。それからそれが全般的なほかの事業にも影響がございますので、なかなか簡単にはいかない問題と考えております。  補助率二分の一というのは地方公共団体、市町村に対する補助でございますから、二分の一というのが原則でございますので、これをかさ上げするということは非常に特別な理由がありませんとむずかしいことでございます。  そして、御指摘のございました過疎地域対策につきましては、法律自体でかさ上げのことをうたっておりまして、そういう特別な政策に基づいて三分の二、文化財保護という立場でなくて過疎対策という観点からそういう政策がとられておるということでございます。それからもう一つの地方財政再建特別措置法の関係も同様でございまして、そういう特別の政策のもとにとらえておるわけでございまして、山村地域振興法という法律がございますけれども、その法律におきましては、すべてそういうものについて具体的に補助率をかさ上げするというところまでの立法でございませんので、私どもの方の補助金の系列からはこれを特に補助率を高めるということは非常にむずかしい問題であると考えておる次第であります。

小沢貞孝民社党・国民連合

○小沢(貞)分科員 大臣にも後でお尋ねしたいのですが、これは法律事項ですかね。要するに、この補助要項にあるところの財政再建団体及び過疎地域、これは、この補助要項だけにこういうことが書かれているのではなくて、法律にうたわれておるわけですか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 この補助要項自体はもちろん法律ではございませんけれども、それぞれの地方財政再建促進特別措置法及び過疎地域対策緊急措置法の方でかさ上げのことが規定されておる。それに基づいてかさ上げがされておるわけでございます。

小沢貞孝民社党・国民連合

○小沢(貞)分科員 大臣にお尋ねしたいのですが、山村振興法にもやはり同様な文面が出ているわけです。たとえば第一条の「目的」のところには「生活環境の整備等について他の地域に比較して低位にある実情にかんがみ、」云々。それから同じく山村振興法の第二条の「この法律において「山村」とは、林野面積」云々ということがあって、「交通条件及び経済的、文化的諸条件に恵まれず、産業の開発の」云々、こういうようにうたわれているわけです。だから過疎地域やあるいは財政再建団体と同様に、この山村振興法というのもいろいろの面で恵まれていないからめんどうを見なければならない、こういうことでもっぱらこの法律は農業関係だけのことをうたってあるわけですから、歴史的町並み保存等の方においても、この法律の趣旨を勘案していただいて、振興山村をその中に指定していただけばいいのではないか、こう思うわけなんです。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 山村振興法におきましては、第十条で「国は、山村振興計画に基づく事業が円滑に実施されるように、関係地方公共団体の財政事情等につき配慮して、助成その他必要な措置を講じなければならない。」こういう抽象的な文言でありまして、これの実際的な運用においていろいろあるのかもしれませんけれども、これはそれぞれの山村振興という立場からの措置でございまして、私どもの方でこれに文化財の立場からこの補助率をアップするということはちょっとむずかしかろうと考えております。

小沢貞孝民社党・国民連合

○小沢(貞)分科員 大臣、大変こだわっているようですが、山村振興法だって恵まれない山村の振興を図らなければならない、目的がそうなんです。過疎地域だって同じことでしょう。財政的に恵まれない、過疎になっていく、財政再建団体は赤字の団体、こういうわけですから、どうしても振興山村を仲間に入れてはならないという特段の理由はないと思うのです。いいでしょう、大臣、補助要項にそういうことを入れて。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 大体において山村振興の地域と過疎地域とはよくオーバーラップしている地域が多いわけでございますが、法律そのものはそれぞれ目的が違ってやっておるわけです。私もいま奈良井宿の話を聞きまして、そこだけが一つ山村振興の地域で過疎地域でないという話を聞いて、ああそうかなと思っておるのですけれども、奈良井宿の方が過疎地域でない林業の一つの中心地のような形に達しているという面は、ある面から見ますとむしろ大変ありがたいところだと思うわけであります。したがいまして、この文化財の方の町並み保存の補助率を山村地域も過疎と同じようなところまで格上げしてめんどうを見ろということになると少し話が違ってまいりますので、どうも小沢先生のいまの御要望に私ここですぐよろしいなんとかいうふうにはちょっと答えかねる気持ちでおるわけでございます。

小沢貞孝民社党・国民連合

○小沢(貞)分科員 全国調べてみたら、私が要語をしようとするたった一カ村だけになってしまったのですよ。だから、この村も過疎の村です。ただ、過疎の村には一定の率があってそこまで到達しないわけなんですよね。それで、また山村振興の方には適用される、こういうことなんで、これ以上押し問答しても仕方ないが、ひとつ機会があったら、要項の改正だけでいいのではないか、法律改正じゃないと思うので検討していただきたい。何百万ぐらいの予算ですよ、何十万か。それでも村挙げてこの間大陳情に来ているわけです。どうぞ御検討いただくようにお願いをいたします。  次に私立歯科大、これは率直に申し上げますが、私は松本なんですが、私のところは一番南の端で塩尻市にある松本歯科大学から二キロ離れていないところです。それで、塩尻市は私の第二の故郷のようなところで、そこに松本歯科大学ができて地元の者は大変喜んでいるわけです。私は最初余り関心はなかったのですが、新聞にいろいろなことが出るものだからだんだん関心を持ち出したが、だれが新聞に出すかというと文部省がどんどん出しております、こう言うものだから、先般ちょっと歯科大へお寄りして事情をよくお聞きしてきました。だから、いままでどういう経過があったということを私はここで質問したりしようとはしないわけです。そこで私はぜひ定員増をお願いしたい。いま百二十名でありますが百六十名にしてもらいたい、こういう要請をこの間も聞いてきたばかりです。この間も大臣にどうだろうかとお尋ねをしたわけですが、そういう要請であります。  そこで、私がお尋ねをしたいことは、定員増をお願いする、あるいは許可を受ける手続、あるいは定員増をやるにはどういう資格、あるいはどれだけの設備、そういうような細かいことがあるのでしょうか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 私立大学の収容定員の増加につきましては学則変更が必要でございますが、その学則変更につきましては学校教育法あるいは私立学校法等の規定によりまして、文部大臣の認可を要する認可事項となっております。  この認可申請の手続につきましては、文部省令で大学の設置等の認可の申請手続等に関する規則というようなものがございまして、この三条に所要の規定が設けてあるわけでございます。この手続に従って認可申請が毎年六月三十日までに文部省に提出をされることになります。そういたしますと、定員増に伴う教育なりあるいは研究を十分に遂行することができるかどうか、つまり大学設置基準に定めるそれぞれの要件を充足しているような状況にあるかということについての審査、さらに私学法の附則十三項の規定によりまして、その定員増が特に必要があると認められるものであるかどうかについて大学設置審議会並びに私立大学審議会の御意見を聞いて判断をするということになっているわけであります。これらの関係は、もちろん大学の当局は十分に御承知のはずでございます。

小沢貞孝民社党・国民連合

○小沢(貞)分科員 そうすると、その省令なり何なりに基づいて出せば自由裁量の余地なく、その基準どおりの設備なり何なりできていれば許可がされるということですか。何か自由裁量の余地がたくさんあるかどうか、その辺はどうでしょう。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 設置基準に該当しているかどうかという点については、もちろん所要の要件を満たしているかどうかという客観的な状況が問題になるわけでございます。ただ先ほども申し上げましたように、現在はそうした設置基準の状況を満たすかどうかということのほかに、その定員増が特に必要と認められるものであるかどうかについての判断を必要とすることに相なります。  いずれにしましても、そうした客観的な条件を満たしているかどうか、さらに行別の必要性が認められるものであるかどうかにつきましては、設置審議会と私立大学審議会の両審議会の意見を聞いて判断をするわけでございますし、実質的には両審議会での御審議の結果によって私どもは措置をするわけでございます。

小沢貞孝民社党・国民連合

○小沢(貞)分科員 私、なぜこんな質問をするかというと、この大学は補助金をもらっていない数少ない大学の一つなんです。文部省は補助金をどうしてももらわせるように奨励をしているのか、補助金をもらわないで大学の自治ということで自分たちだけで運営していこうというのを好まないのかどうか、私そこがどうも根本問題があるような気がしている。文部省の干渉をなるべく受けたくない、そのためには補助金ももらいたくない。私はあそこの付近が——こんなことを言うとおかしいのですが、松本中学、いまの深志高校というのがあって、天下の三大中学だと言っていばって、われわれも中学校へ入った途端に、あの時分は旧制中学で、自治、自治ということばかり言うのを何のことだか最初ちっともわからなかったが、卒業して何年かたった後に、大学あるいは中学校の旧制時代に言われた自治というものが初めてわかるようになったが、あの付近にはそういう伝統的な自治の精神というのがあるわけです。自由民権運動もその学校あたりの卒業生が大分やってまいりました。したがって、なるべく文部省の干渉を受けたくない、教育基本法のできたゆえんもそこにありはしないか、私はこういうふうに考えるわけです。  したがって、私学のために金を出すことを文部省は強制あるいは勤めるのか、この金がないときだから、自主独立を本当に自治にのっとって運営していくことが好ましいと考えるだえるだろうか、その辺はどうでしょうか。

三角哲生文部省管理局長

○三角政府委員 小沢委員おっしゃいましたのは、私立大学等経常費補助金についてのことだと思いますが、私どもは、この補助金は当該学校法人の申請を受けまして、申請があればその申請に応じて、しかるべき配分基準に基づきまして日本私学振興財団の手によりまして配分いたしております。でございますから、数少ないとおっしゃいましたが、まさに数少ないのでございますが、補助金を取らないという学校もあるわけで、それはそれで一つの行き方であるというふうに思っております。  ただ、この補助金の目的は、私立大学等におきまして非常にいろいろな意味で経費がかかりますので、そういった面を助成をしまして、教育研究条件の充実を図って差し上げるその一助にするということと、それから修学上の経済的負担の軽減を図るということを目的としておりまして、これは議員立法で成立いたしました私学振興助成法の第一条に計いてあることでございます。  そういうことで、大多数の学校はこの補助金を受けて、そうして別に私どもの方から自主性云々ということをお感じになることなく、補助金に基づく教育研究の事業を執行していただいているというふうに私どもは思っております。現に五十五年度の予算案では、歯学部について申しますと、学生定員一人当たりほぼ百万円に相当する金額が計上されておるわけでございますので、この補助金を有効に活用することによって教育研究条件の充実を図っていくということは非常に結構なことではないかと思っておりますが、ただこれをぜひもらえとかあるいはもらった方がいいとか、そういうような扱いにはいたしておらないわけでございます。

小沢貞孝民社党・国民連合

○小沢(貞)分科員 具体的な問題に私は触れようとしませんが、私は塩尻市の一般的な良識的な意思を代表しているんだとみずから自負いたしております。塩尻市の中で私が得票率四割ですから、もう候補者五人の中で私に半分投票してくれたようなところなんです。そこのところが何で松本歯科大のことだけあんなに悪口を——記事を出しているのは文部省の方じゃないかと私は勘ぐるわけですが、地元においては山紫水明ないいところへ大学ができて、卒業生は第一回も第二回も足切りなしでほとんど一〇〇形、第一回は全員、第二回は一人か二人国家試験に落っこっただけですから、それだけりっぱにやっている。それで、建学の精神は自治というものを目標にやっている。ことしあたりも受験生が非常に多いようであります。だから、大学がみずから経営あるいは大学の自治にのっとってやっていこうという方向を傷めないようにしながら、ひとつぜひ定員増のことについては法律の手続に基づいて提出したい、こういうように考えていますので——どうして私がこんなことをいろいろ問答しているかというと、補助金を出すことによっていかに文部省から干渉されるかということをいろいろと私たちは聞いておるので、具体的にはそれにきょうは触れようとしませんが、理事会の招集が先ほど来、来ておりますので、いま要請だけさしていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。

村山達雄自由民主党・自由国民会議

○村山主査 以上で小沢貞孝君の質疑は終わりました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議

村山達雄自由民主党・自由国民会議

○村山主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  文部省所管について質疑を続行いたします。竹内猛君。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 私は、いま筑波大学に起きている幾つかの問題について、文部大臣及び関係者に質問をいたしたいと思います。  まず、開かれた大学として一九七四年の開校以来今日までにいろいろな問題があったと思いますが、いまどういう問題が大学の中に起きているかということについて報告をしていただきたい。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 筑波大学はおおむね現在の時点でいわゆる第一次の建設の計画を終える段階に来ております。所要の学群等の設置を終わり、そこにおける教育研究体制を整え、さらに大学院研究科等の整備も当初計画に従っておおむね順調に進展をしてきているところでございます。したがって、基本的には筑波大学はこれから、その第一次計画の進行状況を踏まえながら、その次のいわゆる筑波大学の建学の理想というものを具体的にどのように実現をしていくかという段階に入るというむずかしいところにある、それが現在筑波大学が当面をしている最も基本的な課題だと考えております。  現在、いわゆる問題として大学が対応しようとしている事柄としましては、先般の学園祭をめぐる学内における学生の行動につきまして、学生処分ということが課題になっておるという点がございます。さらに、これは先般の大学の評議会ですでに学長の意向表明があったことではございますけれども、学長選挙が行われ、それに続いての新しい学長になるべき候補者について、学内において一部の教官の間から問題提起があるというようなことがあるわけでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 いまお話がありましたが、一九七八年の十二月の県会議員の選挙のときには、全国的にもまれに見る、しかも集団的、組織的な筑波大学の学生の選挙違反があり、次いで七九年には、いまお話がありましたように、自主管理と自主運営を唱えた学園祭の学生の主張に対して、政治的でも宗教的でもない学生の自主的な行動が、教職員と学生との三者の協議によって決定されるはずなのに、建学の理念に反するとして協議不成立だということで一方的に不許可になった。学生にはそれが何であるか、その実体がよくわからない。学生を一方的に抑えてきているということで、七九年の学園祭運動を進めてきた二十名近くの学生を処分しよう、無期停学にしようということに対して、文部省としてはこれが妥当だと思うかどうか、調査をされたかどうか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 御指摘のように、昭和五十四年度の学園祭の実施をめぐりまして、一部の学生が学園祭の自主管理あるいは自主運営を主張をし、大学側と対立をいたしまして、十月の末に無許可の集会を開催をする、無許可のビラを配布するあるいは本部の管理棟に入ってくるというような学則なり学生規則に違反する行為があり、これに対して大学側が、事実関係を調査をしながらその学生の行為に対する措置について現在、厚生補導審議会で検討中であるということは承知をいたしております。このような事案についてどのように対応するかというのは、大学の教育方針にかかわるところであり、私どもは大学の対応苗見守っているわけでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 この問題に対して、全国の大学の学生が、これは不当だということでこの間筑波に結集をした。本来ならば学園の闘争というものを避けて、静かなところで開かれた教育をしていこうというのが筑波大学の建学の趣旨であったし、理想だったと思う。ところが、最近の全国の大学を見るとそういうものがないのにもかかわらず筑波大学にこれが行われているということは、私が去年の二月二十八日の本委員会で指摘をしておるように、筑波大学の学生規則というものが憲法に基本的に抵触する問題がある。すなわち、五日前に届け出をしてそれを許可する、こういうことが集会、結社の自由あるいは表現の自由に、基本的人権に反するのではないかということを再三主張してきたのだけれども、これについては先般も、答弁の中で、それは学校で決めることだから構わないのだということを言っております。  これは、一方において選挙権を認め、一方においては夫婦生活が認められている学生に対して、宗教とか政治という問題は一切持ち込んではならないと言っておきながら、それと関係のない学生の自主的な管理、自主運営についてもいけないということなら、学生というのは開かれていないのではないか、これは基本的に大学のあり方に問題がある、そう思うのですが、これは文部大臣どうなんです。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 私は、筑波大学の学生規則というものが、先ほどちょっとお話がありましたような非常な憲法違反ということではないと思います。集会でありますとかその他の行為が一定の制限下にあるということは、静穏な環境のもとにおいて大学の目的であります教育研究の推進を図ろうというために必要な措置であるというところから出てきておるわけでございますので、それはそれとして、大学においてこれが決定をされておるということは何ら矛盾をしていない、こう考えておるわけでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 去年の二月の私の質問に対して、佐野大学局長は、ああいう学生規則があるのは筑波大学だけだ、こう答えているのです。そういう厳しい、憲法にかなり抵触するような学生規則を持っている、そこにいま、全国各地から大学生が集まってきて、筑波大学はおかしいではないか、こういうふうに集会を持つわけがある。これは前にも、内藤文部大臣も、このことについては調査をしていろいろ話し合いをするということを言われておりますが、今度もこれを契機にして、やはりもう少し学生の規則、大学のあり方というものを調査会でもつくって再検討する意思はないかどうか、この点をもう一度確かめたいと思います。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 確かに筑波大学が現在持っております学生規則は、他の大学に見られるものよりは厳しいものでございます。このことについての昨年の当分科会における先生の御指摘につきましては、もとより大学当局は十分にそれを承知いたしております。私どもは、筑波大学が建学の理念に基づいてとっている学生の厚生あるいは補導のあり方、特にその大学の教育組織である学群、学類ごとに、学生に対するきめの細かい指導あるいは学生の意見の聴取、そういったことを積み重ねていって、全体の学生の指導のあり方、あるいはその意見の大学の教育への反映というようなものについて配慮をしていくという方向というのは十分に理解ができることだと思っております。  しかし、先般の選挙違反の事例の後に、そうしたいままでとってきている筑波大学の学生の厚生補導の特色というものがさらに十分に徹底をするように、大学が学生指導のあり方について、それをより細かいものとするように十分配慮してほしいということは要請をしておりますが、具体的にいまの学生規則についてどのように措置あってしかるべしというようなことは申し上げてございません。これは、筑波大学がこれまでの創設期の状況の上に立って、これからその次の発展を考えるに当たってお考えになるべき多くの課題の一つではございましょうけれども、それをどのように大学が整備をされていくかということは、これはまさに大学がお考えいただくことであろうと思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 この問題ばかりやっておると時間がたってしまうから本論に入りますが、二月十五日の新聞によると、次期学長に推されておるところの福田信之氏がある受験生の合格に便宜を図るように不正工作をした疑いがあるということで、渡部景隆地球科学系長、鈴木淑夫、谷津栄寿の両教授から告発をされていることが全国に報道されました。これに対して福田氏は馬上学務部長を通じて文部省に事実を否定した電話連絡をし、文部大臣は記者会見をして、文部省として直ちに調査に乗り出す考えはないということを発表されたということになっていますけれども、これは文部大臣、実際はどうなっているのですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 御指摘のような新聞記事が出たことは事実でございます。また、その新聞報道がございました際に、福田副学長から私に対して直接そのような事実はないという報告がまずあったことは事実でございます。これは馬上部長を通じてではなくて、私は副学長から直接そのことは承ったところでございます。この点については、その後学長からもそのような事実がないということは報告を受けておりますし、また、先般の評議会においても学長のそのような趣旨の意向表明というものを明らかにし、そのことについて評議会が趣旨を了解している事実もございます。私どもは、この問題はまさに大学において学内の問題として対応すべきことであると考えているわけでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 それは、自分が指摘をされたものを事実がないと言うのはあたりまえの話なんです。どういう根拠に基づいてそれを事実がないということを言ったか、その根拠を明らかにしてもらいたい。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 ただいま申し上げましたように、学長が関係者と接触をいたしまして、学長としてできる限りの調査をした結果、不正がないということを確認して評議会の了解を得た上で、今日まで推薦入試の選考で不正が行われた事実はないということを公式に表明をしているわけでございます。私どもはまさにそういう大学の学長が公式の機関において発言をしているその事実を信じたいと考えます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 このことをまず明らかにした渡部地球科学系長ですか、この人は二十九日ごろまで宮島学長と会っていない。まして福田さんとも会っているはずがない。そういうときに、ただ一方的に福田副学長、これは学長候補ですけれども、それの言うことだけを聞いて、事実がなかったということが即断できますか。それはおかしいじゃないですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 もちろん福田副学長からも報告を受けたことは先ほど申し上げたわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、本件については宮島学長が評議会の席において公式にその見解を明らかにしているわけでございます。どのような形で学長が事実の確認を行っておられるのかということについては私どもはつまびらかにいたしませんけれども、文部省としては大学の学長なり評議会の考え方というものを承っておくということではなかろうかと思います。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 そこで、二月二十二日に牛島徳次教授を筆頭とする七名の筑波大学の教授が勧告書なるものを国会の文教委員会並びに福田氏自身に送っております。したがって、この文書というものはすでに各界に配られているわけなんです。これを全部読んでみますが、  学長としての第一の要件は人格高潔たることであり(本学学長選考規則第4条)、いやしくも身辺に不正のうわさを立てられるようなことがあってはならないことは論をまたないところであります。   しかるに次期学長候補者に選ばれた貴殿について、二月十五日付けの読売新聞は、昭和五十五年度推薦入学にさいし「不正入試工作」を行つたと報じ、さらに「過去にも不正なケースが数多くあった」とも報じております。われわれは信ずべからざる事態としてこの報道に接しましたが、しかし、同時に本学地球科学系の三教授が「法廷に立っても証言する」と断言しているという記事に接し、いずれを信ずべきか、はなはだ困惑しております。   貴殿がこの不正入試工作の問題にかかわりないとすれば、直ちに三教授を名誉破損のかどで法廷に訴えるべきであります。現在それ以外に貴殿にかかる疑惑を客観的に晴らすべき方法はありません。しかるにこの途をあえて採ろうとされないならば、遺憾ながらわれわれはこの三教授の証言が真実であると判断し貴殿にかかわる「不正行為」の存在を確信せざるをえません。そしてその場合、貴殿におかれては次期学長候補者たる地位を自ら辞されるのが穏当でありましよう。   ことの重大性と社会に対する影響の甚大さを考慮され、筑波大学の名誉のためにも、早急にいずれかの措置を講じて自らの進退を明らかにされるよう勧告いたします。  以上の文書が出されております。このことについては承知しておりますか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 ただいま先生の御指摘の文書は、その写しが私あてにも送付されてきておりますので承知いたしております。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 続いて七教授は文部大臣あてに二十五日に要望書を送っております。これは後でただしますけれども、二月二十八日に、宮島学長は告発の渡部地球科学系長に面接もしないまま、福田氏の話を聞いただけで、不正の事実はない、学外の公権力の介入を要請するようなことは大学の自治をみずからの手で破壊するものだとの意向表明をされております。日本の明日を背負う教育者をつくる筑波大学のその内部にこういう不明朗なことがあってはよろしくないと私は思う。  そこで、意向表明なるものについてまたこれを読み上げざるを得ませんが、これは宮島学長の考え方です。   最近、新聞報道などを通じて、本学の推薦入試に不正工作があったのではないかとのうわさが流れているが、そのような事実は全くない。いうまでもなく、本学の入試選抜の仕組みには、不正工作が介入する余地は全くあり得ず、今日まで推薦入試の選考において、不正が行われた事実はなかった。それにもかかわらず、このようなうわさが流布されたことは、誠に遺憾である。   とくにこの件に関して、一部教官が本学の学長人事に対する学外公権力の介入を要請するような行為は、大学自治をみずからの手で破壊するものといわざるを得ない。   私は、本学の教職員が、大学内部の問題は、大学自らの手によって解決するという、大学自治の基本に立脚し、社会の疑惑や誤解を招くことのないよう、自らの言動に責任と節度を持たれることを要望する。 二月二十八日とありますが、すでにこの間に新聞紙あるいは週刊誌までこの問題を取り上げて宣伝をしております、書いております。当然のことだと思うのですね。あり得ベからざるようなことが行われておる。しかも、その中にちゃんと責任のある教授が明確に証言をし、もしそれが疑いがあるならば告発をしてそれを晴らせと言っているのに、それはさておいて本人の渡部教授にも会わないで、そして学長が一方的にそれはなかった、学園の自治を乱すものであると言うことはこれはおかしいじゃないですか。どういう証拠でこういうことを言われるのか。そこは調査したことありますか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 宮島学長は福田副学長の話を聞いただけでこの意向表明をされたものではございません。私が伺ったところによりましても、学長は学長としてできる限りの事実の調査を行った上でこのような意向表明をされたものでございます。先ほども申し上げましたように、学長がどのようにしてその調査を行ったかについては私たちはつまびらかにいたしておりません。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 そこで三月三日、昨日は当の渡部教授が宮島学長に会っているはずですね。     〔主査退席、保岡主査代理着席〕 その意向表明ですか、これは不当であるということを申し上げておるはずです。きょう、いまごろの時間にまた渡部教授が宮島学長に対して抗議をしているはずであります。こういうように内部の問題が不統一の状態の中で、そして一方的にそういうものを出して、確かに宮島学長は三月でやめるかもしれない。だけれども、それを引き継ぐ福田信之氏は、確かに教授会においては少数で破れて評議会で学長に推薦されている。ちょうど自民党の大平内閣のような形で教授会では破れているんですね。教授会で不信任を食らって、そして権力の座についている評議会の中では多数になったということで、これは実際本当はおかしいんだ。学長がこういうような中で選ばれるということは、これはきわめて不当な話だ。  文部大臣は任命権があるんですから、こういう状態にもかかわらず福田氏を筑波大学の第三代目の学長に任命されるかどうか。それをしばらく考慮して調査の明らかになるまでは代理でいくかどうか。この点について文部大臣のお考えを伺いたい。     〔保岡主査代理退席、主査着席〕

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 大平総理大臣等の例が合っておるかどうかという点の御意見がございましたが、どこが合っておるのかは存じませんが、そのことは別といたしまして、筑波大学の現学長が辞意を表明されて、そしてそれを認めて筑波大学自体におきまして正規の手続によって後任の学長が選挙をされて選ばれてきておるということは承知をいたしておるわけでございます。このところは大学の自治の上では非常に大きい眼目でございますので、その手続におきまして間違った手続をとっていないという事実が明らかでございまする上は、その手続によって選ばれました方が次期学長として手続を私たちの方でいたしますことは当然のことであると考えるわけでございます。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 もう時間が余りありませんから細かいことは申し上げませんが、福田信之氏は過去においても、本院文教委員会の五十一年五月十九日の議事録にもあるように、前に副学長の選考の際に、永井文部大臣のころでありますが、ロッキード事件にかかわる児玉譽士夫氏との関係がいろいろ言われております。これも調査しろと言われていて文部省の方でもいろいろな形でうやむやになっておるようでありますけれども、とかく背後にいろいろなうわさのある人なんだ。それで今日まで大学の中においても実力者と言われる。世界の、言ってみますれば国際キリスト教あるいは文鮮明の勝共連合にもかかわっておる。内藤文部大臣のときに、学生は政治や宗教を持ち込んではならないと言っておきながら、教授の中にそういう者があるのはけしからぬということを私が申し上げたときに、内藤文部大臣は、確かにそうだ、学生にそういうことを言うなら先生も慎まなければならぬということをちゃんと答弁されておる。  ところが、これから任命されようとする福田学長は、いまの不正の問題だけじゃない。そういうような背景を持っておる。また二月、日本各県の警察の機関誌に「エネルギー問題と原子力」という題で統一原稿を書いておる。愛知県警の「あいち」、茨城県警の「警泉」、こういうところに書いていて、これからの日本の行き方はエネルギーと力の問題だ、現在の反原子力の住民運動のねらいは社会的混乱を引き起こして共産革命を達成することだということを言っておる。こういうものを堂々と発表する。これは筑波大学の基本的な方針に合っているかどうか。合わぬじゃないですか。  学長なんというものは学問的には中立であるべきものであって、もっと慎むべきものだ。ある学者が、何百人かの学者の中で一人や二人がいろいろなことを言うことがあったとしても、少なくとも学長たるべきものがこういうことを言うのは大変なことですから、しかも、日本の教育を背負う大学の学長なんだ。これに対してもう一度大臣から——好ましからざる人物を学長に据えることについてもわれわれは反対です。だからここだけでは言いません。また文教委員会でもどこでも問題になるでしょう。これについてもう一度確たる答弁をいただきたい。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 学長の選挙の問題、学長を選ぶということは大学の自治の上では非常に大きな問題のところでございまして、大学の自治というものは、学長をどうして選ぶかということ、そのことにつきまして非常に大きく関連をしておると思っております。そういう学長自体が、筑波大学におきまして所定の手続を経てそれぞれの方々の意思が表明されて学長として選ばれておるわけでございますから、私といたしましては、それを尊重するのは当然のことであろう、かように考えております。

竹内猛日本社会党

○竹内(猛)分科員 もう時間が来たので終わりますが、私たちはこういう好ましからざる人物を学長にすることは反対であるということを表明し、院の内外で闘うことも表明して、終わります。

村山達雄自由民主党・自由国民会議

○村山主査 竹内猛君の質疑は終わりました。  次に、安田純治君。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田(純)分科員 私は、現下の経済情勢の中で学生諸君の生活が非常に圧迫されておるという問題について、まず若干お伺いをしたいと思います。  言うまでもなく、公共料金の相次ぐ値上げや国立大学を初めとする大幅な学費値上げなどによって、学生生活はきわめて苦しくなっておるわけであります。また、電力料金の値上げ、国鉄運賃値上げが次々にメジロ押しに控えておる。したがって、近い将来もっと苦しくなるであろうということは明らかだと思います。たとえば、福島大学で学生の生活の調査を生活協同組合がやっておりますが、この要点を見ますと、バイトの長期化が見られる、それから深夜労働、つまり肉体労働とかサービス業務、こうしたものに働かざるを得ない面がございまして、家庭教師などの減る傾向がある。こういう意味でバイトが勉学に大きな障害となっていることを示しておるわけであります。また、昨年十月の文部省の学生生活実態調査でも、下宿通学学生と自宅通学学生の生活費の北較で見まして、下宿学生生活をしておる者の生活費が自宅通学学生に比べて非常に大きく上回っているということが、文部省自身の調査でも明らかになっておると思うのです。その差を大きくしている原因は、食費、住居光熱費、こうしたものであるというふうに指摘し得るわけであります。このように学生の経済状態が深刻化している状況のもとで、文部省として学生生活の援助のためにどのような対策をしているか、まず伺いたいと思います。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 学生のいわゆる奨学につきましては、日本育英会の育英奨学事業がその中心的な施策として進められているわけでございます。育英会の育英奨学事業につきましては、逐年貸与人員あるいは貸与月額の拡充に努めてきておりますし、五十五年度におきましては、五十四年度の私立大学等を中心とした貸与月額、貸与人員の大幅な拡充に引き続きまして、国公立学校の貸与月額を増額する、さらに新たに専修学校の生徒に対しても奨学金の貸与制度を創設をするというような措置をとることとしてお願いをしているわけでございます。  これによりまして、現在日本育英会においては、高校から大学院までの奨学生三十七万七千人と専修学校の奨学生千人に対しまして奨学事業を行うことになり、奨学金の総額は九百二十五億ということに相なります。また、奨学金の額について見ますと、五十五年度においては学生生活費に対する奨学金の割合が国公立大学で二割から四割、私立大学で三割から四割程度に達すると見込んでいるわけでございます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田(純)分科員 おっしゃるように、日本育英会の育英資金といいますか奨学金は非常に大きな役割りを過去において果たしておりましたし、将来も果たすことになると思うのであります。しかし、先ほどの学生生活の実態、私申し上げましたけれども、この実態から見てまだまだその枠や領の面できわめて不十分と言わざるを得ないのではないかと思うわけであります。  たとえば私立大学の場合、入学するときの納付金、これが非常に大きな額を占めておりまして、それは大幅に増額される傾向にある。それから授業料の引き上げも非常に大幅なものでありまして、育英資金の存在価値といいますか、存在の意義を薄めつつあると言わざるを得ないわけであります。そのために、学生諸君あるいはその父兄は、資金の供給源として金融機関のいわゆる進学ローンとかあるいは教育ローンというものに頼らざるを得ないという状況下にあって、進学ローンがはやっておると思うわけでありますが、受益者負担という美名のもとに、結局教育の機会均等が失われつつあるのではないか。  言うまでもなく、学生が教育を受け学問の研究に励むというためには、生活が安心してできなければこれは勉強どころではございませんで、そういう点では、最低安心してやっていけるようにしてやらなければならないんじゃないかと思うわけであります。そうしますと、私学の場合入学金などの問題をいま考えますと、やはり国の援助の拡充やあるいは枠や額を学生の実情に合わせると同時に、入学金の一部について育英資金の対象とするように考える必要があるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 御指摘のように、私立大学の学生に対する育英奨学のあり方の改善を特に重点を置いて措置をする必要があるというのは、われわれも考えてきたところでございます。  先ほども申し上げましたように、五十四年度におきまして貸与月額で一万円の増を図るというようなかつてない措置もとられたわけでございますし、またここ数年、私立大学の特別奨学生の数を逐年増加をさせてきているわけでございます。  現在のいわゆる学生の五分位の所得別の階層分布の状況等を見ますと、低所得者層の出身の学生の進学の状況というのは悪化をしているわけでは必ずしもない。大体同じような状況がございますし、むしろここ一、二年の経過を見れば、やや低所得階層の学生のパーセントがふえるというような状況もあるわけでございます。しかしそれはそれとして、やはりできるだけの対応は考えなければなりませんし、いま御指摘の入学金の問題については、すでに昭和四十九年度から始められております、私立大学が奨学事業を実施をする場合に、財投の資金を活用してこれに対して融資をして援助をするという制度がございますが、この私立大学奨学事業援助の中で、入学金の分納等を認める大学に対してはそれに必要な原資について融資を行うというような措置もとっているわけでございます。育英会の問題だけではなくて、そのような私大奨学事業援助というような措置を講じながら対応をいたしてまいりたいと存じております。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田(純)分科員 確かにいろいろな御苦心はされていることはわかりますけれども、なおそういう分納を認める大学に対する援助と同時に、そういう入学金の支払いについての学生の側に対する奨学金の枠の拡大といいますか、対象の拡大ということをすべきであると私は思うわけであります。  また、低所得者層の進学率が決して落ちていないしむしろ多少増加の傾向にあるとおっしゃいますけれども、とにかくいまの日本の社会において高等教育を受けようというのは当然一般的な要求でありまして、そのために無理しても行くわけです。だから、先ほど言ったようにバイトの長期化とか、あるいは仕事がこの不景気の中でないものですから、肉体労働とかあるいは深夜のサービス業、こうしたものにアルバイトが流れていく傾向がありまして、それは単に学生がいわば経験的にやるというのじゃなくて、生活費をかせぐためにやらざるを得ないということで、それが勉学の障害になる程度に達しておるということが、福島大学なんかの生活協同組合の実態調査でも明らかになっておるわけでありまして、そういう意味では、一口に言えばいわば低所得者層は非常に無理をして進学しておるというふうに言えると思うのですね。ですから、ただ進学率が高いから決して教育の機会均等は失われていないというような表面上の結果だけではなくて、その実態、いかに苦労して学費、生活費をかせいでいるかをよくお考えいただきたいということを重ねて強調したいわけであります。  結局、分納を認めたりいろいろしますし、奨学金も原則として返すわけですから、返済能力の点もいろいろあることはわかります。わかりますけれども、要するに大学を卒業するまでにかかるお金は客観的に大体わかるわけです。たとえば慶応なら慶応で入学金は幾ら、授業料が幾ら、下宿だったら生活費幾らというのは大体平均値がわかるわけです。これはだれが入学しても一応かかるわけです。したがって、低所得者層の父兄だって安くなるわけじゃないので、どっかからかせいでいるわけです。かせげなければ、奨学金を借りられないとかあるいは奨学金の枠が非常に小さいとすれば、残りは進学ローンとかいろいろな形で一般の金融機関から借りて、結局は返しているわけです。ですから、育英資金の問題でも、たとえば枠を広げてどんどん貸しても返済能力の問題があるかもしらぬという御危惧を抱かれるかもしれませんけれども、そういう点では余り心配される必要はないのじゃないか。もっと思い切って枠の拡大、額の増大を図るべきであると考えるわけですが、いかがでしょうか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 育英奨学事業につきましては、先ほどもお答えをいたしましたように、これまで学生生活費の状況等を考えながら事業の拡充に努めてまいったわけでございます。もちろんそれが十分でないという御指摘は私もわかりますけれども、これまで重ねてきている努力によって育英奨学事業の内容がかなりなところまできていることもまた事実でございます。引き続いて育英奨学事業の拡充、あるいは私大奨学事業の整備、あるいは授業料の免除措置の活用その他さまざまの方途を講じて、学生の進学の機会均等については配慮をしてまいりたいと思います。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田(純)分科員 ぜひそういうふうにお願いしたいと思います。低所得者層の進学率が落ちてないからまあやれるだろうというようなお考えではなくて、いま伺うとそういうお考えはないようでございますが、今後ともぜひ努力をしていただきたい。  法律を見ますと、育英会の事業目的として、一つには国や社会の健全な発展に尽くすということが言われておるわけでありまして、この面で魅力的な育英会事業をするためにいろいろ考えていただかなければならない問題がまだあるだろうと思います。先ほどちょっと述べられましたけれども、返還免除の拡大について若干伺いたいと思うわけであります。  返還免除の問題は、要するに教職についておる人の場合に一定の期間働けば免除するとかいろいろ出ております。しかし、たとえば国立大学の教員といいますか、やかましく法律上の用語で言うと教職員に当たらぬで技官ということになるかもしれませんけれども、賃金のあれで言えば教員五級職というようなことになっておるわけですが、こういうことがあると思うのですね。  大学院を出て学者になりたい、また大学の方でもそういうふうに養成していく資格があると考えても、定員の枠で入れないという人がおるわけです。そういう場合に、優秀な人材がよそへ流れていくのを防ぐために、当面の定員の枠で言うと大学の教授、助教授、講師、助手といった枠は満杯だというので、いわば実習のための助手みたいな形ですが、給料表で言えば教員五級職、文部技官という形でやっている。ですから、そういう助手的な仕事をやっている人の中でも一生機械の操作や何かをやる人と、将来の学者の卵で、いま大学でプールしておかぬと行ってしまう、しかし、当面大学の四級までのポストの中にはいすがないという場合に、まあうちの大学に来ていなさいということでおって、助手のポストがあいたときにそこへ入るという人も相当いると思うわけであります。私どもちょっと各大学に聞いてみましても実は相当数いるようであります。ですから、文部省の方の形で言えばそれは文部技官なんだとおっしゃるかもしれませんが、実際に教職員の卵であり、そのほとんどの人は将来助手、助教授となっていく人であります。  ところが、いまの文部省の方のといいますか、法的形式から言えば育英会法と政令によって範囲が決まっているようでありますけれども、教職員じゃないということで結局返還免除が受けられないのです。育英会の金を全部うまいぐあいに高校からずっと借りていきますと相当な金額になりますね。満杯、借りられるだけ借りていきますと数百万円になると思うのですこれを一遍に返すのはなかなか容易じゃない。もちろん分割払いとかいろいろなことがあるのでしょうが、ポストがあって最初から先生になった人は免除が受けられる、たまたま大学にポストがなくても、わが国の高等教育あるいは研究機関においてぜひ必要な人材で、本人のためにも国家社会のためにも、学問研究、教育のためにもなる人材が横へ流れては困るというので当面プールしておく、この人たちは、大学で実際中身は助手の人たちと似たようなことをやっているわけですが、文部技官だということで返還免除が受けられない、こういう問題が一つあると思うのです。この問題について実態を認識されておるかどうかということが一つ。  それからもう一つ、その枠の拡大。もし政令の改正が必要なら政令を改正するとか、教職員という言葉を非常に厳密に解して、そういう法解釈で身動きができないとすれば育英会法の改正とかそうしたことも含めて検討すべきではないかと私は考えるわけであります。ですから、実態がおわかりかどうかということと、そういう改善の御意向があるかどうか、ぜひ伺いたいと思います。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 先生御指摘の教務職員でございますが、教育職俸給表の適用を受けて五等級の格つけをされておるわけでございます。五十四年七月現在で千六百六名の者がおります。これは国立関係でございます。御指摘のように、これらについては返還免除職には該当いたしておりません。先生御指摘のように、大学院を出てしばらくの間教務職員というポストについているという実態は確かにあるわけでございます。そこで現在の取り扱いとしては、一般的には大学を出て一年以内に免除職につかないと免除を受けられないことになっておりますが、教務職員については、この一年の期間を五年まで延長して認めているわけでございます。この措置によって、いま先生御指摘のような問題のかなりのところは救済できるであろうと思います。  ただ、それをもっと広げて返還免除職の中に教務職員を含めるかどうかということになりますと、そもそも返還免除の職を教育職あるいは研究職と定めてきている趣旨との関連、あるいは他の類似の職との関連その他返還免除制度の基本にかかわる問題でもございますので、そう容易に前向きに解決できる事柄ではございません。慎重な検討を要するところでございますけれども、御指摘のような問題点に対する措置は、いまの五年に猶予期間を延ばして対応しているということで御理解いただきたいと思います。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田(純)分科員 いろいろ苦心されていらっしゃると思うのですが、しかし、それだけでは私は不十分だと思いますし、教職員ということに免除の範囲が決まっておるということは、私先ほど言ったように、大体育英会の事業の目的は、国家社会のために有為な人材を養成して、国家社会を発展させるということが大目的なんでそのためにどういうふうに運用したらその大目的が達成されるかという観点から見るべきであって、教職員と決まっておるからしようがないというのは逆な論法じゃなかろうか。教職員というふうに決まっていて、その目的が達成できない、非常に有為な人材が結局将来教職につくのは明らかで、実際いまも大学に籍を置いて、助手と同じようなことをやっておるのに、適用を受けられないということになったのでは、おかしな話だというふうに言わざるを得ないわけであります。大目的から逆にその運用を考えるべきであって、現実に運用になっておる枠があるからというのでは、議論が転倒してしまうのではないかというふうに思うわけで、ぜひそういう点で改善を検討いただきたいということを強く大臣にもお願いしておきます。大臣よろしいですか。  ところで、また一歩踏み込んで、そういう国家社会に有為な人材を養成して、国家社会の発展のために尽くすんだというのが奨学金の制度の趣旨であるとすれば、なぜ教職員だけに返還免除の対象を限るのかという点でも疑問があると思うのですね。というのは、まあ意地の悪い人は、私が言ったわけではありませんけれども、これは文部省のなわ張りの中だけ免除しているのだというような話をする人もいるわけですよ。  なぜかと言うと、同じことでも文部省管轄の教職員の方はいいのですが、似たような幼児に接触しておる学童保育等の保母さんとか社会福祉施設の指導員とか——指導員はいいのですが、いろいろありますね、そういう仕事が。厚生省管轄の保母さんなんかも、いまや似たような仕事をやっているわけですね。確かに制度の趣旨は幼稚園と保育所は違うと言いますけれども、実態はいろいろとやっておるわけでありますが、文部省のなわ張りの中に入ってきたものだけが返還免除の対象になっておるというのは、なわ張り根性ではないかというようなことを言う人もいるわけですが、厚生省管轄であろうがどこの管轄であろうが、結局教職員に免除をしたという、この最初の趣旨が那辺にあったかということからさかのぼって考えますと、やはりそこまで拡大してもいいのではないかというふうに私は思うのですが、いかがでしょう。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 奨学金の返還免除の制度というのは、もちろん古い沿革を持っておるものでございますし、その趣旨とするところは、やはり教育に当たる教員あるいは学術研究者について、すぐれた人材を確保するということがその趣旨となっているものでございます。もちろん主流となるのは、小学校、中学校、高等学校あるいは高専、大学というところの教官が免除の主たる対象になるわけでございますが、それ以外に、たとえば少年院で小学校、中学校、高等学校に準ずる教科を授けているお仕事をなさっている方、あるいは教護院において同様なお仕事をされている方、あるいは精神薄弱児施設等で児童の指導あるいは保母等の仕事をされている方、あるいは航海訓練所の所長や教授、そういった者についても同様な趣旨をもって返還免除の職には入れているわけでございます。ただ、いわゆる学校教育の教員という基本的な考え方があることは御指摘のとおりだと思います。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田(純)分科員 それでは、この奨学金といいますか、育英会の制度があれされたときに学校教育の教員に限った精神は何だったのですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 やはりわが国は学校の教育というものを非常に大切にいたしましたし、学校の教員というものに人材を得るということがわが国の教育というものを支えていく非常に重要な施策であるということをかねて考えてきているところでございます。そういうことから、育英会の奨学金の返還免除ということによって優秀な人材を学校教育の教員として迎えるということを考えたものと考えます。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田(純)分科員 確かに学校教育というものを重視したことはわかりますけれども、教育は学校だけで行われるものでないこともまた事実であります。日本国民の資質を高めていくという面ではまさに生涯教育といいますか、いろいろな面で教育があるわけでして、学校教育だけを尊重したというのは、昔学校教育制度がなかなか定着しないといいますか、そういう時代にはそれでもよかったかもしれないけれども、いまや就学率は世界一でございまして、学校を出ない人はほとんどいないわけですね。ですから、そういう意味で、国民の教育水準を上げるための一つの機関車的役割りを学校に負わせたという時代ではなくて、もっと教育というものが広がっておる時代だと思うのですね。ですから、日本国民の資質を高めていくための職務、学校というシステムの中でなくても、そこで仕事をする人間に優秀な人材が必要なことは、まさに生涯教育ということを言っている以上は同じに考えてしかるべきものではなかろうか。全く同じかどうかは別として、少なくとも奨学金の制度についてそのくらいの配慮をしても、文化国家日本ではおかしくはないし、そういう努力をすべきではないかと思うのです。しかし、このことばかり言っていると時間がなくなってしまいますのでそういうことを強調しておいて、ひとつそういう枠の拡大について特段の御検討を大臣にもお願いしたいというふうにお願いをしておきます。  ところで、そういうわけで、公的なといいますか奨学金の制度がいろいろと実情に合わない面もあるというので、ことに高校教育の場合なんかには便利性を発揮しております民間奨学団体というものにどうしても頼らざるを得ない面が現実にはあるようであります。これは好ましいことかどうかわかりませんけれども、現実にそういう状態である以上は、借りたいという人もいるわけですから、民間団体がその事業をやっているわけでありますが、それはそれで、そういう民間団体が育英資金をやっていることについては、私はりっぱな事業をおやりになっているというふうに思います。  ただ問題は、そうした団体の中にはえてして奇妙な団体もあるようだということなんですね。この点を私は強調しておきたいわけであります。ですから、仕事の中身については大変結構なことをおやりになっているようでありますが、それでも奇妙なことをやる。しかもそれが単に民間団体の自由な一種の慈善活動的な、ボランティア活動的なものだから、まあ言論の自由もあるし、思想の自由もあるから勝手なんだというふうに言えるかもしれませんが、実はこういう団体の中では、実際問題として、強制的にと言ってはおかしいけれども、何か学校といいますか教育委員会の筋を通って学校へおりていって、そして鉛筆を買ってもらって、それで財源にするとかいう団体があるわけです。  たとえば児童憲章愛の会という団体がございます。これの事業普及についての協力を、たとえば福島の郡山市教育委員会、これは例ですけれども、全国的にやっているようですが、教育委員会がその事業普及の協力方について依頼するということで管内の各学校長に公文書で出しておりまして、そこでこの事業の目的に沿うように協力してやってくれというので、鉛筆とかいろいろなものを売ったりするというようなことの協力を求めているわけですね。そうしますと、実際教育の現場へ行きますと、そういうところから鉛筆がおりてきたということは、全く任意の街頭の赤い羽根募金とは違う印象で、強制寄付とまで言ってはちょっと語弊があるかもしれませんが、相当強い心理的拘束のもとに、ほとんど公共的な一つの事業と同じように行われておる。  さて、そういう事業の児童憲章愛の会、なかなかいいことをおやりになっているようですが、これは機関紙を発行しておるわけでありますが、このたびカンボジアの子供たちに対する協力といいますか、救援活動をしようというのでこういう新聞を出しておるわけですね、「愛の新聞」。これを見ますと、非常に大きく「飢えて死んでいる“カンボジア”の子供たち」というのは、これはもちろんカンパを求めるわけですから、大きな字で書いても差し支えないのですが、その下にまたゴシックの字で「共産革命だかなんだか知らないが家を焼かれ食糧はなく飢えて」云々という文章を見ると、そこら辺によく出ている右翼の新聞のような見出しで、ショッキングに出ているわけです。だから、非常に惨状があるということはショッキングに書いても、それはカンパを求めるんですからいいんですが、「共産革命だかなんだか知らないが」なんていうことを冒頭に書いておる。読んだ印象から言うと一種のイデオロギーあるいは政治的に偏った団体のように——実際、これをおやりになっている中身はそうじゃないらしいんですね。事務局がやったのか編集がやったのか知りませんけれども、これで鉛筆や何かをいま言ったような公的なルートを通して売ったりするわけですね。こういう意味では、私から言わせれば非常にけしからぬというふうに言わざるを得ないわけです。「共産革命だかなんだか知らないが」なんてよけいなことを書く。地震だろうが何だろうがいいじゃないですか。  公的な育英資金がいまの実情に合わないということになれば、そういうことに頼らざるを得ないことになるんですね。そうすると、背に腹はかえられないので、こういう新聞を結局教育委員会を通じてだか何だか知らないが、学校の教育現場に持ち込む、こういうことになりますので、育英資金の問題について、私が申し上げましたような実情に合う改正をすると同時に、こうした民間団体の表現の問題については、単に民間団体だから表現の自由なり何なりあるという野放しの態度じゃなくて、文部省としても教育現場に与える影響をお考えの上、厳重に御指導いただきたいということをお願いしたいわけですが、最後にその点について御答弁をいただいて、終わりにいたします。

望月哲太郎文部省社会教育局長

○望月(哲)政府委員 ただいま御指摘のございました財団法人児童憲章愛の会は、この法人の趣旨に賛同する父母に学用品や図書を購入してもらうことにより得た利益を育英奨学等の公益事業を行うための資金に充てておる団体でございまして、特別に政治的な色彩がある団体ではないと承知しております。  なお、先生御指摘のように、教育委員会あるいは校長会等がその事業について推薦をしておるケースもございますが、これはこの団体が二十数年この種の事業を続けてきたという実績に基づいて自発的にそういうところで御支援をいただいたようなことでございまして、特に強制するというような事実はないと私ども聞いております。  なお、表現の問題その他につきましては、本日御指摘のございましたような点につきましては、団体の方にも連絡をよくしたいと思います。

安田純治日本共産党・革新共同

○安田(純)分科員 時間が来ましたので、これで終わります。

村山達雄自由民主党・自由国民会議

○村山主査 安田純治君の質疑は終わりました。  次に、松本忠助君。

松本忠助公明党・国民会議

○松本(忠)分科員 大臣に、六・三・三・四制の見直しの点について、まずお伺いをいたしたいと思います。  谷垣文部大臣は、過般、二十一世紀を目指す新しいエリート教育の体系づくりをねらいといたしまして、六・三・三・四制の見直しを打ち出された、このような報道を拝見をいたしたわけでございます。これに呼応するかのように、自民党といたしましても文部大臣に同調する動きを見せております。大臣がこの六・三・三・四制の見直しを打ち出されたその真意について、まずお伺いをいたしたいわけでございます。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 私は、特に現在の六一三・三・四制の立て直しと申しますか、それを申し上げておるわけではございません。現在の六・三・三・四制は、戦後のわが国の教育に対しまして非常に有力かつ今日の状況にまで持ち来った基礎でございます。教育の機会を広く開いて平等にして、今日のようなところにまで教育の普及ができてまいりましたその基礎でございまして、これは高く評価されるべきものだと考えております。  もちろん教育の問題は、常にいろいろな問題につきましてそれの改善の方途を考えていかなければならぬことも、これまた事実でございます。しかし、戦後の教育の基本でございますこれらの制度の問題を議論をいたしますことは、これは慎重でなければならぬと思います。でございまして、私が六・三・三・四制を即座に見直してどうこうというのは、いささか走り過ぎた伝えられ方になっておるというふうに私自身は考えておるわけでございます。

松本忠助公明党・国民会議

○松本(忠)分科員 いまのお答え、私もよく理解できます。この発言が誤り伝えられているかどうか、私も直接大臣からお伺いしたわけじゃなく、そういう報道を見たわけでございます。  日教組の槙枝委員長も、一月二十四日に高知市で開催されました教育研究全国集会の席上で、後期中等教育を見直して、その中で高校を義務化し、義務教育十二年制に改める闘いを進めていきたいというような発言がございました。戦後の六・三・三・四綱のあり方を再検討する意向が日教組にもあるのではなかろうか、こう思うわけでございます。  槙枝委員長が述べられましたように、この六・三・三・四制の見直しをするかなめというのは、やはり高校の義務化だと私は思うわけでございます。見直しをする過程の中でいろいろの議論が出てくることは当然でございますけれども、高校の義務化はぜひとも私は実現をさせたい。いま、お母さん方が高校の試験で非常に右往左往しておるわけでありまして、ぜひとも高校を志望する者は全員高校に入れるようにしたい、そういう点からも義務化を私はぜひ実現させたいと思っておるわけでございますが、この点について大臣はどのようにお考えでございますか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 現在、中学を卒業いたしました者が高校へ進学いたします率が非常に高い状況になっておることは御指摘のとおりでございます。ただ、これを義務化するかどうかということは、現在の制度の非常に基本的な見直しになるわけでございますし、同時にまた、高校の場合は私立高校の受け持っておる分野が非常に多うございます。この問題もいわゆる小学、中学の段階とはすっかり様相を異にしておる点でございまして、こういう問題につきまして、いまにわかにいろいろ言われておるような高校の義務制にまで決心するかどうかということにつきましては、十分慎重に考えなければならぬところでございまして、このところで私がお答えをする段階にはもちろん至っていないわけでございます。

松本忠助公明党・国民会議

○松本(忠)分科員 確かに高校の義務化という問題は、これは大変な問題でございます。私立の問題を考えましても、一朝一夕にすぐこれが実現できるというふうにも考えられませんし、重要な問題でございますから、あくまでこれは慎重にやらなければならぬと私も思うわけでございます。  六・三・三・四制の問題は一応その程度にとどめまして、養護教育の問題についてお伺いいたしたいと思います。  学校教育法の制定以来懸案事項でございました養護学校の就学及び設置に関する義務制、これが昨年の四月一日から施行されました。万全の準備をなさって義務制に移行したと思います。盲、聾、知恵おくれ、肢体不自由それから病弱、いろいろなお方が対象になっているわけでございまして、この扱いを、混在させておくという方法、学級別にする、あるいはまた学校として独立させる、いろいろ方法もあろうと思うわけでございます。どんなにやってもいろいろな苦情が出たのではないかと思うわけでございます。  そこで大臣に伺いますが、まだ始まったばかりでございまして、約一年でございます。今後さらにこの充実を期さなければならぬと思うわけでございますけれども、その点について大臣どのようにお考えでございましょうか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 お話しのように、昨年の四月から養護学校の義務制ということをしたわけでございますが、そこで実際に義務制をやってみますと、従来非常に重い障害で学校へ行けなかったというような子供さんも学籍をとったということで、義務教育花免除されあるいは猶予されておった子供さんの数も三分の一くらいになったのですね。  そうしますと、これからわれわれは一体何をすべきか。一つは、養護学校自身の教育の内容、方法をもっと充実する。そういう意味で言いますと、障害者の養護学校における一クラスの人数というのは現在最高八人なんですね。それを今度十二年計画で七人にしよう。さらに、重度重複といいまして、障害の非常に重い子供さんは一学級の最高を五人としておりますが、それを三人にするというようなことで、手厚い教育をする。さらに、こういう障害者の教育で非常に大事な意味を持ちますのは機能訓練ですね。養護訓練というふうに総称しておりますが、発声の訓練をしたり手足の訓練をしたり、そういう訓練を充実するための教員をふやすというようなことをして、教育そのものの充実を図る。ですから、これはあくまでも養護学校という特別の学校を充実して、そういう障害者はその学校で教育をするというたてまえでございます。  そうしますと今度は、それぞれの障害に応じて、それほど障害の重くない子供は普通学校の特殊学級に行くということもあるわけでございますから、親として自分の子供をどういう学校に行かせたいかということと、行政当局としてその障害を客観的に見た場合、このお子さんはどういうところへ行って教育を受けるべきだという、その辺の意思の疎通を図ることは非常に大切でございまして、それを指導するために就学指導委員会というものを去年以来充実してきたわけでございますが、こういった就学指導委員会の機能というものが一層働くように充実をしまして、できるだけ関係者が納得して養護学校へ行ったり普通学校へ行ったりという指導を充実する、そういうことがこれからの大切な仕事だと考えております。

松本忠助公明党・国民会議

○松本(忠)分科員 いま御説明がございましたように、大変お気の毒な方々に対する特殊教育というもの、知、徳、体の著しい不均衡の方々を取り扱うわけでございます。そのような方々にどのような能力があるかということを見きわめなければなりません。そしてまた、どんなに小さな痕跡でも見逃さずに見つけ出し、引き出して、これを改善していく、こういうことでございますので、人と人とのつながりあるいはまたさらに命と命のぶつかり合い、こういうことが必要ではなかろうかと私は思うわけでございます。大変に困難なお仕事でございまして、こういうお仕事に携わっていただいている教師の方々の御苦労というものに私は本当に敬意を表するわけでございます。この特殊教育をなさる先生方にとりまして、これは本当に教育の典型ではなかろうか、原点であると言っても私は差し支えないと思うわけでございます。この教育の原点ともいうべき特殊教育の場面を教員養成課程の中で一度は必ず経験してくる、こういうことが今後の教員養成の中で大切なことではないかと私は思うわけでございますが、大臣はこの点についてどのようにお考えでございますか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 御指摘のような観点から、文部省といたしましては、教職を志望する学生に対しまして、養成の段階から心身に障害を持った児童生徒についての理解を深めさせる、そのことが大変有意義であるということを考えまして、従来から国立の教員養成を目的とする大学、学部の特殊教育に関する教育研究体制の整備を図ることはもとよりでございますが、特殊教育教員の養成課程の学生だけではなくて、小学校教員なりあるいは中学校教員なりの養成課程の学生にも特殊教育に関する授業課目が履修できるような措置をとって配慮しているわけでございます。  またもう一つ、先生御指摘のような教育愛というようなものを十分身につけさせるというか、感じさせるためにも教育実習という場が非常に大事でございます。この点については特殊教育の諸学校なり、あるいは小中学校の特殊学級で教育実習を経験させることが何とか考えられないかという御指摘がかねてよりございました。これは昭和五十三年の教育職員養成審議会の報告でも指摘をされておりますし、また日本教育大学協会におきましても、国立の教育養成大学、学部の教育実習のあり方としてそのような教員実習の効果等について現在検討をいただいておるところでございます。  およそ教員免許状の取得を希望する全学生の教育実習を特殊教育諸学校で行うということにつきましては、実習生の数あるいはその学生の受け入れ可能な学校の規模との均衡の問題等がありますから、かなりむずかしい問題が実際にはございますけれども、方向としてはできるだけ前向きで関係の方々に対応していただきたいと私どもは考えております。

松本忠助公明党・国民会議

○松本(忠)分科員 大変懇切な御説明をお伺いいたしましたが、時間が限られております。あと十五分ばかりしかございませんので……。  大蔵省の特別財産課長さんがお見えでございます。お伺いしたい点は、筑波研究学園都市の関連の跡地の問題でございます。  御承知のとおり、筑波研究学園都市計画はおおむね完成するに至っておるわけでございますが、現在、東京にあるその関連の跡地に関しましてどのように利用すべきかにつきましては、国有財産中央審議会の筑波移転跡地小委員会の試案というものが出ております。この試案につきまして、一月三十日付で東京都は、二十二件の跡地のうち試案と完全に一致またはほぼ一致した十六件については同意いたしましたが、その他の件につきましては、再検討願いたいという要望を付しまして東京都の意見を返しているわけでございます。  そこで、私は思うのでございますけれども、この移転計画によりましてできた跡地というものは、東京都の特別区にとりましては、この機会を逃してはみずからの特別区としての計画を達成することは今後あり得ないと言われるほどの貴重な土地ではないかと思うわけでございます。過密の東京におきまして緑に飢えている区民のためにもつと公園を、あるいはスポーツ施設あるいは万一の場合における避難広場を、こういう気持ちを都民は持っているわけでございます。またそれにこたえようとしているのが区当局ではないかと思います。  こうした問題につきまして、大蔵省としてはこの東京都の回答をどのようにお考えになっておりますか。この点をまず最初にお伺いをいたしたい。簡単で結構です。

高橋公男大蔵省理財局特別財産課長

○高橋(公)説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の試案につきましては、一昨年の十一月に小委員会から地元地方公共団体に提示をされたわけですが、先ほど先生が御指摘の東京都の回答を含めまして、この三月一日に地元地方公共団体からの意見が出そろいました。したがいまして、出そろった意見をなるべく早い機会に小委員会に御報告申し上げて、さらに地元の意見を踏まえて審議をしていただきたい、そのように考えております。

松本忠助公明党・国民会議

○松本(忠)分科員 私、具体的にお伺いしたい点がございます。それは板橋区の常盤台に東京教育大学寄宿舎の跡地がございます。試案によりますと、筑波大学の附属大塚養護学校の移転用地として活用する計画があると聞いているわけでございます。今回の東京都の回答は、いまも申し上げましたように、再検討をお願いしたい。地元の方も当然このとおりでございます。板橋区民はここに、先ほども申し上げましたように近隣公園、区民総合センター、区民のための施設をぜひともつくりたい、こういう悲願ともいうべき気持ちを持っているわけでございます。  具体的なこの問題につきましては、いまの御回答では、これから小委員会に出して御検討いただくということですから、現在の時点ではお答えは無理だと思いますので次に進めます。  文部省に伺いたい。筑波大学の附属大塚養護学校というものを、板橋区の常盤台の四丁目三番地にございますところの東京教育大学寄宿舎の跡地に移転させようとしている主なる理由というのは一体何なのか、私はこれをお伺いいたしたいと思うわけでございます。  私は先日、大塚養護学校を見てまいりました。地下鉄の丸ノ内線の後楽園駅に近接した高台にございます。南にはさえぎるものはございません。そしてあの有名な史跡の小石川後楽園が眼下にあります。遠くには皇居等をながめ見ることができるわけでございます。周辺は非常に閑散な住宅地、教育には絶好の場所であります。また、文京区といたしましても養護学校がここに一校あるだけでございます。こうしたことから考えますと、移転する理由というものは全くないと思うわけでございますが、その点をまず文部当局にお伺いをいたしたいと思います。時間の関係で簡単に言ってください。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 御指摘のとおり、大塚養護学校の現在のキャンパスは大変すぐれた教育環境のもとにございます。しかし、何分面積が約五千百平米しかございません。きわめて狭隘であって、運動場が狭かったりあるいはプールの設置にも困難を来しているというような、状況がございますので、またその上に現在地での拡張が不可能であるということがございまして、移転を希望しているものでございます。

松本忠助公明党・国民会議

○松本(忠)分科員 大塚養護学校の在学者の資料を私取り寄せまして調べてみますと、文京区から通学する者が十八人、これは文京区内にあるわけでございますから当然のことと思うわけでございますが、北区が九名、台東が九名、板橋が八名、新宿が八名、豊島六名、練馬五名、中野五名、足立五名、こういうふうに一つの区から五名以上通学するところだけでも九つございます。また、二十三区の中で通学していないというのはわずか三区でございまして、あと二十区は全部ここに来ている。また、多摩地区からは三市から四名、埼玉県から八名と非常に広範囲にわたってこの学校に通っている方がございます。  なぜこういうふうに広範囲から通うようになったかということは、一つは、中央部にあって交通が非常に便利だ、私はこういうところからきたと思うわけでございまして、このすばらしい特色というものを私は失ってはならないと思うわけでございます。先ほども私実際に行って見てまいりました感想を述べさせていただきましたけれども、都内には非常に珍しい、あの緑が豊富にあるところでございまして、絶好の場所だ。そうした大塚養護学校ならではの特色を失わせるのは実に惜しいという気がするわけでございます。そういう点から考えましても、私はこの大塚の養護学校はこのまま現存地に置くべきではないか、こういうふうに思うわけでございます。  時間もございませんから先へ進みますが、本来養護学校というものは、国立、都立、区立のその区別はあったといたしましても、通学者が非常に身体的にハンディキャップを負っている方々でございますので、こういうことを考えました場合には全都的、普遍的に適正配置されなければならないと私は思うわけでございます。一つの地域にのみ偏在させる移転計画案というものは、このハンディキャップを持つ通学者から見ましても黙視できるものではないと思うわけでございます。  ここに昭和五十四年十月現在の都内養護学校の設置状況の資料がございます。これを見ましても、文京区にある大塚養護学校が他に移転いたしますと、都心の千代田区、中央区、台東区といった区は現在もありません。そこへ文京区が新たに加わるということになります。東京都の中心地区にはそうした福祉施設が存在しません。福祉の後退ということになります。これは区がみずからの手で福祉の後退を行うことになるわけでございます。これは単に一つの養護学校の単純なる移転という意味にとどまるものではなくなっているのでございます。その点、文部当局としてよくよくお考えになっていただきたいと思うのでございます。  参考のために申し上げておきますが、板橋区の現状は心身障害者児のいわゆる福祉教育の行政、こういうものに対しましては非常に積極的に対応してきた区でございます。養護学校について言いましても、すでに区内には国立と都立の二校を有しております。板橋区独自でも一校あわせ持っているのであります。このように、板橋区は東京都にありまして心身障害者児の福祉教育行政については先進の区であると言っても差し支えないと思います。こうした先進区である板橋区から見まして、文部省の態度というものはまことに不可解と言わざるを得ないと私は思うわけでございます。ぜひともこの点について文部省の再考をお願いをいたしたいと思うわけでございます。簡単に答弁を。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 都心部から養護学校がなくなるという現状がある。あるいはたとえばすでに板橋の場合附属の桐ケ丘養護学校があるという点は、御指摘のとおりでございます。ただ、そういうことを考えても、なおかつ現在の狭隘な校地を抱えている教育上の問題を解消するためには板橋に移りたい。板橋の場合にも非常に交通が便利でございますので、現在地と比較してそんなに御迷惑をかけないで対応できるのではないかと考えたわけであります。しかし、先ほども御質問がございましたように、東京都から再検討を願いたいという意見が提出されているということは私どもも承知しておりますので、今後慎重に検討してまいりたいと思います。

松本忠助公明党・国民会議

○松本(忠)分科員 いまの御答弁の中で交通が便利だというお話がございましたけれども、中心部である文京区の方が板橋の常盤台のところよりも便利であるということは申し上げておきたいと思います。  時間もございませんので結論に入りますが、今回、筑波研究学園都市のこの計画によりましてできたところの移転跡地、この国有財産は本来国民の利益のために使用されてこそこの大プロジェクトの真の実を上げることができるのではないかと思うわけでございます。東京教育大学寄宿舎の跡地の問題につきまして、板橋区としましては、先ほども申し上げましたが、近隣公園、区民総合センターの用地として活用することが適切である、こういうところから各方面にお願いしてきているわけでございますが、現在検討中ということでございまして、板橋区の要望がまだ実ってないわけでございます。この点、大変残念に思うわけでございます。  板橋区といたしましては、この計画を区全体として取り上げてやってきております。昭和五十二年の十二月十五日に筑波移転跡地等対策調査特別委員会というものを設置いたしまして、翌年、四月二十一日に関係機関に要請をいたしましたのを皮切りといたしまして、同年十二月二十一日、第二回目の国並びに都に対する要請をいたしました。さらに五十四年七月二十五日に三回目の要請を都と国にいたしました。さらに年末十一月五日に第四回目の要請を都に対していたしておるわけでございます。そして五十四年の十一月十七日に板橋区の町連、商連あるいは産連、こうした各種団体に署名の御協力をお願いいたしまして、また、十二月四日には板橋区当局また区議会合同いたしまして、区内の主要施設、駅頭におきまして署名運動を展開いたしてまいりました。この署名運動の結果といたしまして、本年の一月十四日に板橋区民の総意ともいうべき十六万三千二百九十五名の署名簿を持って竹下大蔵大臣並びに谷垣文部大臣にかわりまして井内事務次官に陳情を行ったわけでございます。  当日は、区長を先頭といたしまして、議会は超党派で、国会は私松本、また自民党、共産党の議員さん、あるいは都議会議員も自民党、社会党、公明党、共産党、全員参加いたしまして参りました。区議会といたしましても、全員では大変でございますので、代表といたしまして、先ほど申し上げました筑波移転跡地等対策調査特別委員会のメンバー、それに署名に協力をしていただきました板橋区の町会連合会、板橋区商店街連合会、板橋区産業連合会といった団体の役員も参加いたしまして、板橋区の総意として陳情したわけでございます。  一口に十六万三千二百九十五と言ってもおわかりにならぬかと思いますが、ことしの二月一日現在の板橋区の赤ちゃんからおじいさん、おばあさんまで全人口が四十八万五千二百十人でございますので、全人口の三分の一を超える署名簿であったわけでございます。このことは板橋区民の総意、このように受けとめていただきたいと思うわけでございます。こういう意味合いからも、文部省でいま考えておるような大塚養護学校の板橋区の移転という問題については、ぜひ再考していただきたいということを切に私は大臣にお願いするのでございますが、最後に大臣のお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 ただいま松本先生からお話を承りましたように、板橋区民の多数の方々の署名の問題、また、各党の方々も一緒になりましてそういう要請がございましたこともよく承知をいたしておりますし、東京都の方からこの問題について再検討されたいという意見が出ておることも承知いたしておりますので、諸般の状況を十分のみ込みまして、慎重に検討さしていただきたいと考えます。

松本忠助公明党・国民会議

○松本(忠)分科員 大臣の慎重に検討さしていただくというような前向きの御答弁を私も了といたしますが、繰り返すようになりますけれども、板橋区民の総意として——私ども板橋がそういう施設を全然持ってないのじゃないのです。国の施設も都の施設もあり、板橋自体の施設もある。こういうふうに非常に協力をしている区でございます。そういう点はぜひひとつ御勘考をいただきたいと思います。  どうか、そういう意味をもちまして、板橋区民の総意であるところの運動公園、近隣公園あるいはまた総合センター、あるいは一朝非常の場合の避難広場にする、このことについてぜひとも前向きに取り組んでいただきたい、そういうふうなことを重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。

村山達雄自由民主党・自由国民会議

○村山主査 松本忠助君の質疑は終わりました。  次に、多田光雄君。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田分科員 どうも御苦労さまです。  文部大臣もすでにいろいろ聞かれて御承知と思いますけれども、北海道の小樽市にある古い運河とその周辺の倉庫群を守るという連動が広まっておりまして、すでにこれはテレビやその他のマスコミにも再三取り上げられて、全国的にいろいろ意見が寄せられている問題なんです。この運河につきまして、いま地元北海道の都市計画審議会の検討に付されているわけです。文字どおり小樽の古い伝統的な文化財がつぶされるか、それとも生き残っていくかという大変きわどい瀬戸際にいま立たされているわけです。昨年参議院で私どもの小笠原貞子議員が質問しましたけれども、再度私、こういう状態でありますから、文化財保護に責任を持っている文部大臣にひとつ御検討いただきたいということで参ったわけです。  文化財保護に責任を負う文部大臣にとって、小樽運河が依然として、国にとっても重要な歴史的文化財——この言葉は前の内藤文部大臣が国会で答えた言葉なんですが、私はそのまま使わせてもらっています。国にとっても重要な歴史的文化財であるという認識を持っておられるかどうか。私は持っていただいていると思うのですが、いかがでしょうか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 御指摘の運河並びにそれに付設してつくられております倉庫の一体の状況が非常に貴重なものであるということは、日本建築協会からも指摘をされておるところでございまして、いま申されましたような意味の文化的な価値の高いものである、このことはもう私たちもよく承知をしておるところでございます。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田分科員 この文化財保存について、一方では埋め立ててしまった方がいいという市側の意見もあるわけです。それに対して昨年の十一月、小樽市運河問題調査審議会を市につくってもらいたい、こういう直接請求の署名運動が市民の中から始まりまして、有権者十三万一千三百五十一人の中で三万七千二百八人の有効署名を集めたんです。そしてこれに基づいて、本年二月七日に小樽の市議会でこの要望について審議になったのですが、無残にもこれが多数決によって否決されてしまったわけですね。それがいま道の審議会にかかっている、こういう経過なんです。  文部省としては、現地小樽に対して再三指導すると言って、文化庁もやってきたのですが、こういう結果についていまどのようにお考えになっているか、ひとつ聞きたいと思います。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 先生ただいまおっしゃいましたように、この小樽運河の上石造倉庫群につきましての重要性にかんがみまして、私どもはできるだけこれを保存していくように市当局を指導してまいりました。そして、必要な場合には調査等についても協力するという姿勢を示してまいりました。それで一方からは、開発上の必要から道路をつくるというような必要があるということも承知しておりました。しかし何らかの形でこの間の調整を図って、文化財としてのいわゆる伝統的建造物群保存地区というようなものになっていくことを期待しておったわけでございます。しかしこの制度はあくまでも、地元の一致した意見に基づいて申請があった場合にこれを認定して、そしてそういうふうになりますればそれに対していろいろ助成が加えられるのでございますけれども、出発点がやはり地元の意思が大事でございますので、私ども希望して指導をいたしてきておりますけれども、まだそこまで地元の意思が固まっておらないということは非常に遺憾に思っております。  それで、いまお話しのようなことで、いま話が道の段階に上がっておるようでございますけれども、これは道路建設自体は道道でございまして道の事業で、最終的には道が決定すべきことでございます。道におきましても、この問題の重要性は十分認識しておるものと私ども考えておりますし、道に対する指導連絡等もいたしておりますので、この問題が慎重に進められますことを期待いたしておる次第でございます。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田分科員 普通の場合は、地元がぜひこれを文化財にしてほしいという運動が起きて、いや国が認める認めないで問題になるのです。この場合、残念ながら逆なんですよ。恐らく埋め立てようとする市の人たちの中でも、大臣は京都の出身でいらっしゃるのですが、小樽というところは同じように非常に郷土愛の強いところなんです。ですから、あれをもろにつぶしてしまえという気持ちの人はそういないんじゃないかと私は思うのです。ただ、いま長官も言われたように、開発だというのがぽんと出てくる。そして小樽という町は、いま斜陽の町なんです。かつて非常に栄えた港ですけれども、何とか生きていかなくてはならないというので、一部がその道道に飛びついていく、こういうことになっているわけです。ですから、ちょっと普通の場合と違うので、この間文化庁が大変いろいろ一生懸命にやられたということは私十分承知しているのです。  そこで、文化庁が昭和四十八、九年度で文化財の全国調査を行いましたね。そしてその初年度に小樽運河と周辺倉庫群を取り上げて調査した結果、五十年に重要伝統的建造物群として保護するのが望ましいという立場に立って、二分の一の国庫補助を用意して、そして市当局に対して学術調査をするように言った。道の教育委員会も同じように、補助を出しましょうということでやってきたのだけれども、市の方では、時間をかしてほしいということで学術調査をずっと断ってきたんですね、こういう経過なんですよ。その後、上五十三年に再度文化庁の建物物課長さんが市長にじかに会われて、学術調査をするように指導されたんですね。このとき市当局が、すでに独自の別途調査は済んでいるというふうに言っておられたと思うのです。     〔主査退席、保岡主査代理着席〕  そこで伺うのですが、市当局の独自調査とはどういう内容のものであったか、文化庁が市に学術調査をするよう指導していた内容に照らしてふさわしいものであったのかどうだったか、これを伺いたいと思います。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 詳細はもし御必要ならば課長から答弁させますけれども、いわゆる飯田案なるものができまして、一部分を埋め立て一部分を残すというような形で折衷案ができ上がったと聞いております。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田分科員 内容が違っているのですよ。文化庁は、あの運河と倉庫群は一体のもの、前の文部大臣もそういうふうに言っておられた。運河だけを残してもあそこは価値が半減以下です。あの軟石でつくった倉庫群と運河は一体のものなんですね。その学術調査を市はやっていないのです。そして出てきたものは、運河の三分の二をつぶしてしまう、その中に六車線の道路をつくるという、運河と倉庫群を全く切り離してしまう構想だったわけですね。だから、これは文化庁が要請された調査と違うものだと私は思いますが、そのとおりですね。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 おっしゃいますとおり、文化庁が考えておりました学術調査はそういう性格のものではございません。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田分科員 私は飯田構想の写しをいまここに持ってきているのですが、市の調査は北海道大学の工学部の飯田教室に四百万円で依頼したものなんです。これがどういう目的で依頼されたかというと、最初から道路をつくるのだという前提で依頼されたことがはっきりしているのです。昨年の十一月十三日の小樽の都市計画審議会で市当局が出てきて、飯田教室に道道臨港線をつくるという前提で調査を依頼したということをはっきり述べておられるのですね。だから、飯田教室もその前提に立ってこの構想をつくったのです。白紙でどうするかという調査ではないのです。しかもこの飯田構想、いろいろ中身が分かれているのですが、先ほど言ったように幅四十メートルの運河をわずか十七メートルしか残さない、あとは埋め立ててしまって自動車道路をつくるというものなんですね。作成者は小樽市と北大の飯田教室ということになっていて、表題から見ますと、一見非常に学術的な成果をまとめた報告書というふうに見えるのですが、そうじゃないのです。ちょっと大臣これをごらんになってください。写真と地図で埋めて、その余白に散文詩を書いてあるのですよ。最近、建築雑誌にそういうものがあって、私はその様式を否定するものではありませんけれども、しかしこれは学術的な検討に値するものではないことは一目瞭然なんです。  しかもこの飯田さんの同僚と思われる人がある新聞にこういう投稿をしているのです。「この運河公園の真只中、石造倉庫の家並みと、散策路の間をひき裂くように通された、六車線の自動車道路とは、一体どういうことなのだろうか。何度読み返しても、計画構想の脈絡からこの自動車道路は生まれてこないのである。  脈絡は構想の以前にあった。「構想」を委託するにあたって、自動車道路のルートは前提条件として与えられていた。計画者は最初から自由な思考をはばまれていたのである。この構想の担当者は、」これは飯田さんでしょうね。「道路ルートを含めて検討しなおしてみたい、という個人的な希望をもらしておられたが、それもかなわなかった。」こういうことを同僚のある助教授が新聞に投稿しているのです。したがって、文化庁が意図したものとは全く違った内容になっているということなんですね。私は飯田構想を批判するのが目的じゃないのです。最初から開発を目的にした道路をつくるのだ、これが大前提になっているところにこういう構想が生まれてきたのだと私は考えているのです。  そこで私、文部大臣にちょっとお伺いしたいのですが、文部省としては前から積極的に前向きに指導する、こういうふうに述べていたのですが、調査内容が全く食い違ってきている。かけがえのない文化遺産、つぶされたらもう返りようがないのです。言うならば文化遺産にとって土壇場に来ているわけです。このときに文化財保護の最高の責任にある大臣がどういう態度をおとりになるのか。先ほど小樽の文化財を認めていただくりっぱな御意見を大臣から伺って私は大変心強く思うのですが、つぶされてはなくなるこの千メートルに及ぶ数百個の倉庫群、そして建築の専門家である東大教授の村松貞次郎先生が、小樽運河と石造倉庫群は長崎南山手、神戸異人館通りと並んで日本近代史の三大景観である、こう言っているこれをつぶしてしまったらもう再生の道はないのです。そういうぎりぎりのときに、むずかしい問題ですけれども、大臣としてどういう態度をおとりになるのか、伺いたいのです。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 これは私たちがこういう問題を扱います場合によくあることでございますが、やはりその土地の人自体が自分のところの持っておる文化財に対してどういう考え方を持つのか。当然開発にいたしましても関心があると思いますが、文化財も、よその人たちが来ていろいろと啓蒙することはございますけれども、その土地の人がどういうふうに持つのかというところに、この問題の重要な問題があろうかと思います。開発の利益を受けるあるいは開発に対する対応の仕方も地元の方の問題でございますけれども、結局、こういうふうにそれぞれ問題が指摘をされておるわけであります。気がつかないということはもう過ぎていると思います。問題点は、文化財、文化的な遺跡としても非常に大切だということはすでに地元の人たちに指摘をされておる。やはりここは地元においてどういう考え方をまとめるのかというところが、考え方のポイントだろうと私は思うのです。小樽の市当局あるいは道のそういう問題に関連をしておられる方々にさらに慎重にお考えを願いたいと思います。その方々のいわば自分の郷土に対します一つの高い愛情からくる御判断に期待をしながら、しばらく見守っていくのが本当のところじゃないかと私は思います。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田分科員 それでは建設省に伺いますが、小樽運河の保存問題の焦点は、小樽の歴史的文化遺産である町並みを守って、再活用しながらどうやって住みよい地域環境を回復していくかということにあるのだろうと私は思うのです。ところが当該地区については、文化財保護法の昭和五十年の改正で、都市計画法の中に伝統的建造物群保存地区が取り入れられましたね、それから、都市計画の基礎調査が行われていないわけです。このいわゆるマスタープランというのは、例の高度経済成長の真っただ中につくったもう十年前のものなんですね。その後にこういう法の改正が行われている。建設省は昨年の参議院の予算の分科会で、都市計画の基礎調査を昭和五十五年度小樽市において行う予定と答弁していたが、その経過についてちょっと説明願いたいと思います。

高橋進建設省都市局都市計画課長

○高橋(進)説明員 都市計画一般につきまして策定する場合に、一般的に申し上げまして、総合的な観点から地元の公共団体を中心にして地元がどう考えるか、文化財の保存という問題も含めましてどう考えるかということは、総合的に考えて決まっていくべき問題であろうと基本的に思います。  いま先生御指摘の都市計画法上の基礎調査、これはおおむね五年ごとにいろいろな項目につきまして行うことになっておりまして、この当該小樽地区の都市計画につきましては、第一回は昭和四十五年から四十八年にかけまして基礎調査を行っています。それでその後、昭和五十一、五十二年度に区域区分の見直し、線引きの見直しでございますが、その際に補足的な調査をやっております。  前回小笠原先生からの御質問に答えまして、昭和五十五年度に次回の基礎調査が行われる予定であるというふうに当時道の方からも聞いておりまして、そう御答弁申し上げたところでございますが、現在のところ一般的な基礎調査としましては、当該の区域については昭和五十七年度に行う、こういうふうに道としては考えておる。若干前回御答弁しましたときと時点がずれておりますが、それはなぜかと申し上げますと、基礎調査といいますのは道が基本的に行うわけでございますが、都市計画区域にはいろいろございます。その中で、人口の伸びの激しいところあるいは市街化の激しいところ、そういったところを優先的に変化の多いところを中心に調査をやることにしておりまして、この当該小樽の都市計画区域につきましては、そういったものがわりあいと変動が少ないということで、若干優先順位ということで時期をずらしまして、五十七年度に行われるということになっております。  ただ、これの文化財関係のことにつきましては、一般的項目としてはございませんけれども、先ほど先生からもちょっと御指摘がございましたが、市でもって五十三、五十四あたりでこの建造物につきまして調査なんかをやっておりまして、都市計画を決める場合には、一般的な基礎調査のほかにそういった調査も勘案しながら決定されるものであろう、こういうふうに考えております。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田分科員 五十七年度にやられる、それまでにそういう問題も勘案してやられるということですが、仮にいま道の審議会にかかって、審議会が、こういう飯田構想も出たのですから、都市計画の変更オーケーということになって建設省に持ってくる。仮にこれが五十五年度中に持ってくるとか五十六年の早くに持ってきた。しかしそのときには道が基礎調査はやっていない。その段階ではあなた方は、それではそれを認めませんね、たとえ地元がそういう決定をして持ってきても。どうでしょうか。

高橋進建設省都市局都市計画課長

○高橋(進)説明員 実はまだ認可申請は上がってきておりません。したがいまして、その認可申請がもし出てまいりますればその段階におきまして、いろいろ地元の総合的な判断というものも十分考慮して対処してまいりたいと思います。その場合に、いま先生御指摘の五十七年度までの調査が終わらなければ認可しないのかということにつきましては、そういった要素についていろいろ市でも単独に調査をやっておるようなこともございますし、そういったほかの調査、そのほか、地元の意見等も聞きながら考えてまいりたい。したがいまして、五十七年度の調査が終わらなければ認可はしないとは、ちょっとそうはっきりは申し上げかねます。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田分科員 なかなかデリケートなあれで、では、その辺ちょっと聞きますが、建設省はことしから来年にかけて、歴史的市街地保全整備計画調査、これを全国で三カ所で行うと聞いているのですが、その目的は何ですか。

高橋進建設省都市局都市計画課長

○高橋(進)説明員 この調査の目的は、文化庁さんなどで文化財とかそういったようなものにつきましてはいろいろ御苦労をされておられるわけですが、そのいろいろ文化財の保存とかそういったような歴史的なものの建造物保存といった場合に、地域の住民の人の生活と絡み合う場合が非常に多いわけでございます。単に物だけを保存するということでなくて、そこに生活される住民の人たちとどう調整していくか。具体的にはそのためには、いろいろ都市計画的な事業も同時にやって調和を図っていかなければならぬ。そういう計画策定ですね、地域住民の人たちとの調和を図りながら、その都市計画事業をやるような場合の計画策定のモデル的なものとして、予算が認められますれば三カ所ほど選んでやっていきたい、こういうふうに考えておるものでございます。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田分科員 あえてそれを聞いたのは、やはり建設省としても、いろいろ法の改正もあるし、貴重な文化財を保存しなければならないということがもろもろの条件の一つに入っているわけですね。それは否定なさらないわけですよ。ところが、今回の小樽の場合はまさにその一つであり、その一つが大きな政争の的になっているわけです。都市計画の基準の中にもこういうものは入っているはずですね。つまり、都市計画をするときに文化財の保存というのを重要な内容とし続ける。そのために文化財保護法や都市計画法が改正されてくる。いわば新しい問題にいまぶつかってきているわけです。つまり新しい問題とは何かというと、本当にかけがえのない文化財を守らなければならないということなんですよ。これが特徴なんですよ。その特徴の一つがいま問われているときに、基礎調査も終わってないのに、出てきたならばそれは認めないということはないという発言では、何のために法の改正になってきているのか。私はそういう物の考え方というのが、多くの文化財を逸散させたり壊したりしてきていて、いわば鉄とセメントの都市づくりになっていく一つの原因になっているのじゃないかと思うのです。  そこで私は、この五十七年に基礎調査をするとするならば、ひとつ早目に調査をさせるということ。それの中には、学術調査を含めてきちんとやりなさい、これは文化庁と一緒に。そしてまた、五十七年のときどうしてもやらなければならないとすれば、それまでは先ほど文部大臣がおっしゃったように、本当に慎重に地元の住民のコンセンサスを得るように忍耐強くいろいろな検討をしてもらうというような指導を建設省が先頭に立ってしてもらいたい。建設省だけで無理であるならば、道の教育委員会、この教育委員会は学術調査費を出すと言っていたのですから、そういうところと一緒になって建設省が行政上に当たっても指導してもらいたい。このことを私はお願いしたいのですが、どうでしょうか。

高橋進建設省都市局都市計画課長

○高橋(進)説明員 先生のおっしゃいますとおり、都市計画というものは要素といたしまして、文化財の保存ということも非常に大きな重要な要素だというふうに基本的に考えております。そういう観点のもとに一般的にも、またこの問題に関しましても、そういった要素も勘案しつつ考えるべきであるという指導を地方公共団体にいたしておるところでございます。ただ、都市計画と申しますのは、先生十分御存じのことだと思いますけれども、先ほど文部大臣からも御答弁がございましたように、その地域の住民、地域の公共団体がそういったいろいろな要素を考えて、総合的に何を選択するかということによって決まってくる面があるわけでございます。そういう意味で建設省といたしましては、そういう特にこの場合の倉庫群との関係も考慮しつつ考えなければなりませんけれども、同時に、地方公共団体での判断というものも十分考慮してまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田分科員 建設省は、地元がいいと言ってきたら認めざるを得ないということをよくおっしゃるのですよね。私はそれは一概に否定しません。やはり文化財を保存する一番の力は地元だろうと思うのです。ところが、先ほど言ったように今回の場合はちょっと違うのだ。恐らく道路建設その他がなかったら、あの地方自治体もすんなり持ってきたと私は思うんですよ。これがあるからなんですよ。そういうものがあるから複雑になってきているんです。しかも、くどいようですけれども、これは一たび失ったらもう永久に返らないのです。そして、そこに道路をつけなければ絶対に道路ができないのかというと、そうじゃないんですね。保存せよと言う人たちも幾つかの案を持ってきているんです。仮にいまの道道臨港線ができると、混み合いがもっと複雑になるんですよ。ちょっと名前を言ってもわからないかもしれぬですけれども、小樽の長橋通りというところなんかもすさまじいんで、それがもっとひどくなるんです、だって六車線が入り込むんですから。ここが一番のネックなんですよ。だからそういう面も考えて、文部大臣が言われたように建設省が先頭に立っていただいて、そして本当に住民のコンセンサスを得るように慎重に対処せよという指導を建設省が出すと、文化庁がやりやすくなるんですよ。建設省は何となく文化財保護と言っておりながら、実際はそんなことは言っていないと思うのだけれども、ともかく道路をつくれなんてもし勧めていたとすれば、それはうらはらの指導になってくると思うのですよ。  そこで私は、もう時間がありませんので大臣にお願いしたいのですが、事態はこういう事態なんです。大臣は先ほど非常に慎重にやらなければいかぬ、地方自治体の考えというものが基礎になるのだとおっしゃる。私もその点は少しも異存はありません。しかしながら、これはその地方自治体が、多くの識者が日本でも非常に珍らしい倉庫群と運河の景観だと言っているのをつぶすかどうかというところなんですよ。だとすれば、ぜひひとつ文部省、文化庁が道の教育委員会に対する行政指導を強めていただく、あるいはまた、地元に対してもっと慎重にやれという指導をしていただく、そしてほんとうのコンセンサスを得るようにしてもらいたい、そういう指導をいまこそ忍耐強くやるのが問われている問題ではないか。そういう忍耐を投げるならば、文化庁はやりやすいところの市町村から上がってきたものだけ認めるというなら、本当の文化庁としての責任と自覚で十分こたえていないんじゃないかと私は思います。そういう意味で私は、建設省の決意をまずもう一度伺い、そして文部大臣の先ほど述べられた本当に文化財を守るという御決意を伺いたい、こう思っております。

高橋進建設省都市局都市計画課長

○高橋(進)説明員 先生の御趣旨は私、十分わかる次第でございまして、この問題についてもし上がってさましたら、総合的に考慮してまいりたいと思います。それから、先ほどのほかの道路との関係、これなんかも当然十分考えて判断しなければならぬ問題だというふうに考えております。道につきましても、十分総合的な観点から判断するように指導してまいりたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 建設省の先ほどの御意見の中にもありましたように、これは建設の方も、文化的なこういう大切なものの保存その他の問題も考えて都市計画について指導をしていただくことと私は期待をいたしております。当然私たちも文化庁を通じましてのこれらの指導はやっていかなければならぬと思っておりますし、こういう問題を指摘しておりますること、本日の国会においてこういう問題が議論をされておること自体が、現地においても十分評価をされていく一つの材料になっていると私は考えております。これは建設省の関係の方ともよく連絡を保ちながらやってまいりたい、かように考えております。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田分科員 たった一つ要望を漏らしたのですが、大国、何だそんなローカルな問題とおっしゃらないで、全国的な文化遺産でございますから、建設大臣ともぜひひとつまた御相談になって取り計らっていただきたいと思います。その要望を申し上げて終わります。  どうもありがとうございました。

保岡興治自由民主党・自由国民会議

○保岡主査代理 多田光雄君の質疑は終わりました。  次に、竹内勝彦君。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 私は特に給食に関して、その中でも中学校の給食の状況、その実態等をいろいろと御質問させていただき、同時に、その内容に関しても若干質問をさせていただきたい、こう思います。  そこで、中学の現在の給食は、完全じゃございませんけれども、その実施状況というものはどうなっておるのか。これは全国をやっておってはちょっと大変でございますので、一応関西関係のその実態をまず述べていただきたいと思います。

柳川覺治文部省体育局長

○柳川(覺)政府委員 学校給食の実施状況でございますが、全国的には、生徒数で申しまして完全給食の実施状況は五五・七%でございます。そこで、先生御指摘の関西地区でございますが、京都府につきまして申し上げますと、公立の生徒教でございますが、完全給食の実施状況は九・三%、大阪につきましては七・五多、学校数で申しますと、京都府の場合一八・七多、大阪府九・四%。全国の実施状況から見まして、遺憾ながら大変低い状態にあるということでございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 ついでに兵庫、奈良、和歌山、これの実態を言うてください。

柳川覺治文部省体育局長

○柳川(覺)政府委員 兵庫県につきましては、生徒数で申し上げますと二七・六%、奈良県が五四・八%、和歌山県は二五・七%という状態でございます。奈良県が全国平均にほぼ匹敵するという状態でございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 いまこの実態を述べていただきましたけれども、これでもわかるとおり、大変な格差がございます。  そこで、私は京都に住んでおりますけれども、特にこの京都あるいは大阪は、生徒数ということで見ても、京都が九・三、大阪が七・五ということで、奈良等は一応全国平均と見ても五四・八%、二けたでも相当上の方ですね、それが一けた、こういう事態ですが、これは一体どこに原因があるのですか。

柳川覺治文部省体育局長

○柳川(覺)政府委員 小学校の例の学校給食が戦後始まりましたのは二十一年、早い時期に発足いたしておりますが、中学校の学校給食の普及はそれから十年ほどおくれまして、三十年代にこれが始まっております。その小学校がすでに九九彩、完全給食のみでも九七%という実施状態に比べまして、中学校がこの十年間のおくれがそのままこのような状態になっておるということが大きな原因の一つであろうと思いますが、この三十年代に入りまして、特に近畿地区等の大都市部門では人口の社会増の問題等がございまして、その面への学校増設等の大きな課題もありまして、また、具体的に大都市圏において中学校の学校給食を開始するに当たっては、かなりの施設設備の整備あるいは調理従事員の方々の配置等の人員配置、そういう問題にかなり大きな財政負担を伴うというような事情がございますし、また、教職員の間に学校給食へのもう一つ理解を得ることが今後さらに必要であろうと思いますし、父兄の方々は給食の希望もそれなりに持っておられますけれども、小学校の発足当時と食糧事情も異なってきたというようなことの事情もございまして、今日おくれてきておるということであろうと思います。近畿地区の大都市のみでなく、名古屋とか横浜とか、東京を除く大都市につきましては同様の事情がございまして、私どもかねがね、この地域における中学校給食の普及を期待してまいったところでございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 大都市の状況というものは、いま述べていただきましたように非常に厳しい実態ですね。それでこの中でも、特にもう市内などになってくると、たとえば京都市ですね、京都府として九・三%、これは京都市内では聞いたことがないような実態なんです。京都市内では中学の給食の実態はどうなっていますか。

柳川覺治文部省体育局長

○柳川(覺)政府委員 京都市の状況が、完全給食を実施しております学校が五校、総数七十一校でございますので七%に相当いたしますが、これは京都市に合併された周辺の町村でございますので、京都市内につきましては御指摘のとおり、ゼロではないかというふうに思われます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 全くそのとおりで、周辺のところが一部、こういうことで、市内は完全にこれに乗りおくれた形で、そして地方自治体としても、いまこうしてこの給食に踏み切っていくということになりますと、助成金その他の問題でいろいろと困難がある、そういう中で今後、これは相当やっぱり考えていかなければならない問題だと思います。やはり小学校を終わって必ず中学校へ行くわけですから、そういう面から見ても、さらに児童に対する教育の問題あるいはまた同じものを同じ集団の中でいろいろ身につけていく、いろんな面での状況というものを考えても、これは実施していかなければならない状況ではないか、こう思います。  そこで、中学校の給食への補助金の実態ですね、これを簡明に、設備と人件費あるいはランニングコスト等も含めて、こういったものにはどうなっているのか、概略で結構でございますが、これを説明いただきたいと思います。

柳川覺治文部省体育局長

○柳川(覺)政府委員 学校給食の開設につきましては、すべての学校で給食を実施してほしいというたてまえをとりまして、公立文教施設整備費の中で給食施設の整備に対しまして補助するたてまえをとってきております。二分の一補助でございますが、現在、たとえば単独校で調理場を付設するという場合につきましては、一校当たり施設につきまして八百三十二万五千円の補助をいたしております。さらに、米飯給食が伴いますと九十九万九千円が加算されまして、九百三十二万四千円の施設補助でございます。それから設備補助につきましては、炊飯を含めまして三百九万五千円の補助。施設設備の補助金合わせまして千二百四十一万九千円の補助でございます。それから、共同調理場方式をとる調理の形態があるわけでございますが、これにつきましては、六百九十五人規模程度のもので、施設につきまして九百三十二万四千円、それから設備につきまして三百九万五千円ということで、千二百四十一万九千円という相当の補助が同様出されておる次第でございます。  なお、学校給食を開設いたしますと、学校給食用物資に対する助成措置が講じられております。小麦粉の流通のための補助、あるいは、米飯を導入いたしますと、米飯につきまして六〇%の割引措置が講じられる等の物資に対する助成措置が行われておる次第でございますが、人件費につきましては、交付税の方で給食の基準に基づく所要人員の数が確保されるよう単位費用に積算されておるという状態でございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 そこで、この問題に関して大臣の見解を伺っておきますが、大臣も京都出身でございますし、この前、私は京都の状況を——これは京都だけではございません、大都市の状況というものは、父母の要望等も八〇%以上が中学の給食を早く実施してもらいたいというアンケート等も出ておるのは御承知のとおりでございます。ところが、さあそれに踏み切っていくとなりますと、いま助成金の話がございました、二分の一等々のいろんな中での説明がありましたけれども、実際においてはもう御承知のとおり、超過負担その他の問題で、実質二分の一というようなことにはなっていなのがこれは実態でございます。しかも地方の財政というものは年々悪化してきておる。こういう中で、ひとつこの中学の給食という問題に関して大臣として、今後子供たちへの知育、体育すべての面を含めてやはり完璧なものに持っていく必要があると私は考えますけれども、この中での可能な範囲で何らかの形で助成金等をもっとこういう問題に特別にある程度のものをやっぱり考えていくというようなそういう御見解を含めて、増額をしていく必要があるのではないかと私は考えますけれども、大臣の見解をまずこの面に関してお伺いしておきたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 関西、ことに京都、大阪におきます学校給食の進展が他の地域に比べて伸びていないことは、先ほど御説明をしたとおりでございますが、その地域的な問題は別といたしまして、学校給食の問題は、戦後の非常に栄養失調になっておる状況のもとで始まった当時とは状況は変わってきておりますが、しかし、児童の体位を向上させていきますためにも、また、一つの教育上の効果として、食事を一緒にする、また同じようなものを食べるということによる教育的効果はやはり私は大きいと考えます。したがいまして、今後ともに中学校も小学校もこれらの施設を拡充していかなければならないと考えておるわけでありますが、これらに対しまする補助の体制につきましても、たとえば生徒数に応じるとか、施設の基準の面積、設備費等の算定の単価等々の問題について考えていくというような点につきまして、あるいはまた、人件費等の問題も大都市におきましては大きい問題がございますし、そういうことにつきまして今後ともに改善は続けてまいりたい、かように思うわけであります。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 そこで、今度内容に関して若干お伺いしておきたいと思います。  児童の給食は成長期にとって非常に大事な問題であり、命の問題になってきます。食べ物あるいは飲み水であるとか吸っておる空気であるとか、どうしても非常に重要な問題で、しかもその中にあって成長期におる人たち、子供たちへの影響というものは万全なものでなければならない、私はこう考えるわけです。そこで、最近御承知のとおりの過酸化水素、添加物の中での弱い発がん性、こういう疑いが出て、動物実験等で重視されて、そしてそういう中からこれは使用しないという形になってまいりました。しかし、認可の食品添加物三百三十四種類ある中で、依然としてこういったものが含まれておるのでございますけれども、過酸化水素がいままで何らかの形で含まれておると思います。一体学校給食などにおいてはこういったものがどういう形で含まれておったのか、その実態を掌握しておりますか。

柳川覺治文部省体育局長

○柳川(覺)政府委員 御指摘の過酸化水素の関係で学校給食で最も大きな問題になりました点は、小麦粉を漂白粉にするか無漂白のままにするかという問題につきまして学校給食では現在、無漂白の粉を使用するということで過酸化水素による漂白は行わないということにいたしております。このことは御指摘のとおり、学校給食は安全で良質な物資を確保するということが何より大事なことでございますので、給食物資の購入に当たりましては、できるだけ良質なものを選択するよう常に配慮いたしまして、不必要な食品添加物が添加された食品、内容表示、製造業者等が明らかでないものについては使用しないように十分注意してきたということでございます。  なお、一般に過酸化水素の使用されておる食品がかまぼこ等の練り製品等にあるようでございますが、これらにつきましても、できる限り食品添加物のないものを使うという観点に立って各学校において処理されておるというように承知しております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 かなり甘い考えでございまして、過酸化水素というのは、いま御説明いただいた漂白用のものとしてと同時に、殺菌用としても使われているのです。したがって食肉、ハム、ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、はんぺん、かずのこ、シラスだとかあらゆるものに入ってきていろのです。したがって、それが学校の方で使わないようにしていますなどという甘い考えでおること自体が、当事者としてもう一歩こういった問題に非常に神経をとがらして考えていかなければなりません。いままで何も言われてなかったのです、過酸化水素は。つい本年一月問題になってきて、これは使わないようにしようということは、いままでこういったものが含まれておったということはだれが見ても御理解いただける面でございますけれども、こういう中で一つの実態を憂うるものなんです。それはこういう状態なんです。  昨年ある調査をいたしました。全国にまたがって小中高校千校を対象としてアンケート調査をしたところ、最近の児童の状態、これは新聞等で皆さんも知っておるものでございますけれども、たとえばちょっとしたことで児童生徒が骨折するという状況が出てきたのが小学校で七七%、中学校で八二%、それから、つまずいたとき顔や頭にけがをした児童生徒が小学校で七九%、中学校で八二%、朝礼などで倒れるケースが最近目立つというのが小学校で八二%、中学校では何と九四%、まばたきが鈍く、目にごみや虫が入った子供がいたというのは小学校で六七%、中学校で五八%、こういうような実態が出ております。これは御承知のとおりだと思いますけれども、こういうようになってきた。私どもの小中学校のころ給食というものはございませんでした。もちろん食糧事情というものもなかなか大変なものでございました。しかしこれほどの、たとえばいま栄養が進んでおる、食糧事情もよくなってきておる、あるいは体育の設備、体力を強化していくための設備等もいろいろ整っておる、そういう中でこのような結果が出てきておるということは、文部省としても相当この問題に関して留意していかなければならない重要な問題だと思うのです。こういったものはどういう原因があると考えていますか。

柳川覺治文部省体育局長

○柳川(覺)政府委員 いま先生御指摘の骨折あるいはけが、挫傷、裂傷の問題等、依然として児童生徒のこの種の災害があるわけでございますが、この原因はなかなか複雑な原因があろうかと思います。たとえばいま学校給食で、一日の子供に必要なカルシウムの七割を一回の学校給食でとっておるという栄養調査の結果が依然として出ております。そういたしますと、三回の食事でございますが、一回の食事で七割のカルシウムの所要量をとらざるを得ないというような状態、この面には、さらに家庭における食事において、かつて母親が小魚を食べさせた、そういう長い子育ての歴史があるわけでございます。こういうようなところが少し欠けてきたというような問題がございますし、家庭におけるあるいは地域における運動の問題と一連の学校における活動との関連において、大きくとらえていくべき問題だろうというように考えておりまして、話が飛んで恐縮でございますが、このたび日本学校健康会を新設しようとしておることも、そのような背景を考えておるところでございまして、端的に学校給食がこの面に直接に影響があるというようには必ずしも言い切れない問題であろうというように思います。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 そこでちょっと大臣に見てもらいたいものがあります。——いまお渡ししたものは、京都の同志社大学の先生で、毒性の研究、遺伝毒物、こういった専門的な研究をされている方で、私も何回もこの先生には会っておりますけれども、この人が出した「食品添加物毒性テーブル」というものがございます。見ていただければわかるとおりですが、オレンジ色になっておるのが避けるべき食品添加物でございます。それから黄色はなるべく控えた方がいいでしょうというものです。それで緑色が心配しなくてよいでしょう、こう言われておるものでございます。過去においてもいろいろなデータなりそういったものが出ておりますけれども、そういったものをまとめたものですね。昔でしたら、たとえば食い合わせで、ウナギと梅干しはいかぬとか、タニシとそばはいかぬとか、そういうような食い合わせのものはよくないということで台所に張ってあるというようなものが、現在のこの毒性テーブルという形でこういったものが出てきておりますけれども、こうやって見てみますと、緑色というのはほんのちょっとですね。この真ん中のは違いますから、この横のを見てもらえばわかるとおり、だいだい色と黄色がほとんどになっておる。  こういった実態から見て、添加物というものがいろいろございますけれども、この添加物に関して御承知のとおり、学校においては選択の自由というものはございません。子供たちは与えられたものをみんなで、その団体の中で食べていく、こういった形になるわけですね。したがいますと、主婦がいろいろ考えて、こういうものはなるべく避けようといって選択の自由を持って買ってくるものとこれはわけが違うわけですよ。そうなってくると、この児童に対して行っておる給食という面に関しては、やはり疑いのあるものはもう避けなければならない。たとえば、いまアメリカにおいてはもう禁止されている、あるいは今後禁止になるとか、カナダにおいては禁止になっている、あるいはヨーロッパでは禁止になっているものが数多くございますよね。日本ではいま三百三十四種類、これが認可になっておりますけれども、学校として給食にはこういったものは完璧に避けるべきだ、疑いのあるものは避けるべきだ。過酸化水素のように、あるいは過去のAF2のように、あるいはサッカリンその他の問題のように、後になってからそれはまずかったからはずしましょうというのでは、成長期における大事な子供たちには手おくれになってしまいますね。したがってこういったものは一切避ける必要がある、こう考えますが、御見解はいかがでございましょう。

柳川覺治文部省体育局長

○柳川(覺)政府委員 いま先生の御提示されたこれを拝見さしていただきますと、大変あらゆる食品についての危険信号というようなことでございますので、御指摘のとおり不必要な食品添加物は避けていくという努力を今後とも続ける必要があろうというふうに感じた次第でございます。  ただ、基本において、学校給食だけで避けるという問題ではございませんし、また、学校給食は日常の食生活の習慣を養うということでございますから、一般に家庭で食べておるそういうものとの連係を十分考えた食品の選択を行うということでございますので、この種の問題につきましては基本的には、厚生省の決めるところに従うという姿勢を文部省としてもとっておるところでございます。  ただ、先生御指摘のとおりいろいろな意味での食品の開発がございます。消費者の立場からの自己防衛というのを組織的にする必要があるということを私どもも感じておりまして、食品の安全性の確保のためには、日本学校給食会に食品検査室の施設を設けまして、また都道府県段階でも、それぞれ二十一カ所の都道府県にいま給食センターを設置いたしまして、そこに食品検査室というものを設け、また、学校栄養士の方、調理従事員の方々に対するこの面のよりよきものの選択眼、また選択上の注意についての指導の徹底を行ってきておるところでございまして、御指摘のとおり基本において、不必要な食品添加物についての注意をさらに図っていく必要があろうというふうに考えておる次第でございます。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 この問題は、厚生省の方を指導型に考えていくというようなそんな甘い考えではいけない。というのは、子供たちは一応、与えられたものをそこで食べていかなければならないという重大な拘束があるわけなんですよ。そういう意味から考えても、これはやはりその点をはっきりとここで決断をしていくような時期に来ておると私は考えるのです。いまの体力の問題一つを考えてみても、子供たちの体に対する変調、やはり健康な精神というものは健康な身体に宿るわけです。そのものから言ったならば、やはり体力、体というものを最も大事にしていかなければならない事態におる中で、いま給食センターの話もございましたが、こういうことももう一度考えなければいかぬです。  たとえば給食センターで一日に八千食だ、何万食だとこういうふうにやっていくときには、どうしたってマスプロですよ。そうなってくると、たとえば果物をやるにしたって、ちゃんとしたものにして農薬とかそういうものがついてないようにきちっとやることだってむずかしいし、あるいは、曲がったキュウリや曲がったいろいろなそういう野菜を切っていくのだってなかなかできませんよ。そうなってくると真っすぐのと、こうなってくると、やはり農薬をうんとふんだんに使ったいいものを使っていかなければならない。そういう意味でのかっこうだけのそういったものを使っていかなければならない。いろいろとこういう悩みというものが出てくるわけですよ。したがって私はこういった観点からも、やはり各学校一つ一つに栄養士の問題や、あるいはその中身をちゃんとチェックできるようなそういった態勢を踏まえた上で、同時に、こういったマスプロ的なものはやっていかないという、こういったものに持っていく必要があるのではないかと考えます。  したがって、ちょうど時間になりましたけれども、ひとつここで大臣に、こういった給食の内容に関してもっと厳しくチェックする機関を設ける必要がある。厚生省の認可されたものは一応それで守っていくというようなものではなくて、学校給食というものに関してやはり学校として、文部省として、児童に対する健康、命を守っていくという面でやはり厳しい態勢で、疑いのあるものは使っていかない、こういった見解で今後臨んでいかなければならない、こういった面を要望するわけでございますので、大臣の今後のお考えをお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 御指摘のとおりだと思います。現実に添加物全然なしの食品というものを選ぶことに困難がある現状だろうと思いますけれども、疑わしいものはこれを採用しないという努力を学校給食自体の立場でやっていくべきだ、その点の御説は私もそのとおりだと思います。そのように今後もやって指導してまいりたい、かように考えております。

竹内勝彦公明党・国民会議

○竹内(勝)分科員 どうもありがとうございました。

保岡興治自由民主党・自由国民会議

○保岡主査代理 竹内勝彦君の質疑は終わりました。  次に、三浦久君。

三浦久日本共産党・革新共同

○三浦(久)分科員 大臣にお尋ねいたしますが、私は部落解放同盟が狭山裁判反対、また狭山再審要求というようなことを理由にいたしまして、一月の二十八日に全国的に児童生徒を同盟休校させた事件についてお尋ねをいたしたいと思います。  部落解放同盟は狭山裁判を差別裁判だ、こういうように勝手に断定をいたしております。しかし、この事件は石川当時青年が中田さんを殺したかどうかということが争われている、そういう意味では一般的な刑事事件である。一般的な刑事事件におきましては、被告人の人権と同時に被害者の人権というものも尊重されていかなければならない、そういう性格のものだと私は思うのです。ところが、部落解放同盟は一方的にこれを狭山差別裁判というふうに規定をします。そしてこれに反対することは差別をなくすことなのだ、差別をなくすためには同盟休校させても構わないのだ、こういうような論法でこういういわゆる暴挙を繰り返しやっているわけですね。これは子供の教育にとってゆゆしい重大事だというふうに私は考えておるわけでありますけれども、文部省といたしまして今回の一・二八の同盟休校の実施状況等について御報告していただきたいと思います。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 御指摘のように同和教育というものは、文部省の立場では同和教育資料というものを出しておりますが、その中で申しておりますように、人間の基本的人権の尊重、この精神を培うのが同和教育であるというふうに考えておるわけでございますから、具体的ないまおっしゃるような社会運動のようなものと同和教育を混同するということはあってはならないことだと思うわけでございます。  そういう意味からしますと、ただいまの狭山裁判、これについて再審勝利するためにということで一月二十八日に各県で義務教育の子供に同盟休校をさせるというような動きがあったわけでございますが、これは教育的に見ましても子供が教育を受ける権利そのものの保障を破るわけでございますから、はなはだ適当でないというふうな立場に立ちまして、実は文部省ではこのような同盟休校が一月の末に行われるというような予告を聞いておりましたものですから、昨年十一月でしたか、各県の同和教育担当者を集めて、これに対して事前にそういうことのないようにという指導をいたしましたし、その後なお、問題と思われる県については電話等で連絡して、できるだけ避けるように努力をしてもらいたいということで、各府県によって対応はいろいろございましたけれども、県によってはその趣旨を受けて文書を末端に流して自重を促すというような指導もしたわけでございます。しかしながら、残念ながら結果としてはこの同盟休校に参加した実態は一府十四県、約二万五千人ということでございました。ただ、これもいささか申し上げさせていただきますならば、かつて五十一年当時に同じような同盟休校がありました場合に比べますと、参加規模等も大分縮小されてきておると考えるわけでありまして、今後もこういう姿勢でこういう問題には対応してまいりたい、かように思っております。

三浦久日本共産党・革新共同

○三浦(久)分科員 五十一年の五月二十二日にも同盟休校がありましたね。このときにやはり永井文部大臣が、こういう同盟休校という形で社会の実際的な行動に参加をするということは適切でない、ですからそれはやめるように指導をする、こういうことを言われているわけですね。そうすると、その後どういうような指導花文部省としては具体的になさったのか、この点御説明いただきたいと思います。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 いま御指摘のように、たしか五十一年の永井さんのときだったと思うのですけれども、その後もいまのようなことで同和教育と一般の社会運動あるいは政治活動というのは別ですよということ、その趣旨を徹低するために、各県の指導課長会議の折であるとかあるいはいまおっしゃった同和担当者の会議であるとか、こういうことを通じて指導をしてまいりましたし、個別にいろいろ同和の問題があるような県については電話連絡等でこの趣旨の徹底を図るということをやってきておるわけでございます。

三浦久日本共産党・革新共同

○三浦(久)分科員 そうすると、今回の一・二八の同盟休校についても同じような指導をされた、こういうふうに伺ってよろしいわけですね。ところが、実際にはいまおっしゃったように、かなりの数がこれに参加しておるということです。そこに何らか指導方法についての改善というようなものが考えられないのかどうかと私は常に考えておるわけです。  まず、いまお話の中にもありましたけれども、各県教委それから市教委等の地教委、こういうものの対応が一様じゃありませんね。別々ですね。どういうような対応のパターンがあったのか、ちょっと御説明いただきたい。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 具体的に私直接担当するわけじゃありませんから申し上げられませんけれども、報告等を聞いて感じますのは、たとえば同じ指導をしてくれと言うても、県によってはすぐその趣旨を明確に文書にして指導されるところと、そうでなくてやはりいろいろ考えて口頭でやるというようなところ、これは対応の違いだと思うのですけれども、それを一概に全部文書でやれ、こう申しましても現実の問題としてなかなかそこまでいかない、いろいろな事情があるというようなことでございますので、はなはだ残念ではありますけれどもそれぞれの県が置かれた事情のもとで最善の努力を尽くしてもらいたい、こういうことでいまやっておるわけであります。

三浦久日本共産党・革新共同

○三浦(久)分科員 いろいろな事情があるとおっしゃいますけれども、事は教育基本法上の非常に重大な問題だと私は思うのです。全く教育現場に乱暴な介入をしているということですから、そしてまた、児童の心理に対しても教育上非常に好ましからざる影響を与えていると私は思います。そういう意味ではやはり各地教委に対して文書ではっきりその見解を明らかにすべきだ。父兄の皆さんにも、こういう同盟休校は許さるべきではないのだ、そういう見解をはっきり出すべきだ。そういうような指導を文部省としてはしないと、各府県教委それからまた各地教委、そういうところの対応がまちまち、場合によってはこれを鼓舞激励しておる、そういう地教委が現実に出てきているのです。ですから、一律に文書で見解を明らかにするように指導できないとおっしゃいますけれども、それは、今後こういうことが続くというようなことであれば文書で各教育委員会の態度を明らかにする、そういう指導を文部省がすべきだと私は思うのですが、いかがでしょう。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 一般的には、教育内容、教育活動のあり方等についての指導は県の教育委員会を通じて市町村の教育委員会を指導するというたてまえでございますから、御指摘のいまの問題につきましても、今後われわれは一周県の教育委員会を通じましてその趣旨が徹底するようにひとつ骨折ってもらいたい、こういうふうに指導したいと思います。

三浦久日本共産党・革新共同

○三浦(久)分科員 その一般的な答弁じゃ私はだめだと思うのですね。やはりもうちょっと具体的に一歩踏み込んだそういう指導というものを私は強く要望しておきたいと思うのです。  たとえば、ここに東大阪市の意岐部東小学校の例があります。ここは学校行事として同盟休校をやっているのですよ。ですから、ここにもありますけれども、学年通信があるでしょう、父兄に持たせるやつ。この中に、一週間の日程を書いていますね。その中に、一月二十八日月曜日は同盟休校となっているのです。学校行事ですよ。学校行事として同盟休校をやる。そんなことは私は違法だと思うのです。こういうことを放置しておく結果にしかならないと思うのですよ、いまの文部省のへっぴり腰な指導では。  大臣、この意岐部東小学校の例ですけれども、ここでは結局学校行事としてやるわけですから、全校休んじゃうのですよ。一人残らず休んじゃうのです。たとえば未解放部落に住んでいる人とかそういうことじゃなくて、学校行事ですから全校の生徒休んでしまうわけです。そしてこのときには、そういうのに反対な生徒がおりますね。正門に行きます。そうすると、正門は用務員さんが校長の命令だといって門を閉ざして入れないのです。そうして、部落解放同盟が主催する集会があるでしょう。それにも行くのいやだ、行きません、両方とも。学校には行かれないわけですね。物理的に校長の手によって閉められちゃっているわけですから。そして部落解放同盟の集会に行かない。こういう生徒は欠席扱いになっているのですよ。こういうような教育というものがありますか。そして、その日の一月二十八日には、玄関の前にこういう立て看板をかけます。これは「狭山差別裁判糾弾 無実の石川氏奪還 差別の元凶天皇糾弾 紀元節、天皇誕生日粉砕 権力に手を貸す日共断乎粉砕」こういう内容なんです。  こういう恐るべき目的を持った同盟休校というものが学校の先生によって行われている。これは私は明白に教育基本法の第八条第二項に違反すると思うのですけれども、こういう校長や学校の先生のとった態度、どういうふうにお考えでしょうか、大臣の所見を承りたい。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 大変に残念な遺憾なことだと存じます。教育委員会を通じて指導をしていく必要があると考えております。

三浦久日本共産党・革新共同

○三浦(久)分科員 教育基本法の第八条に違反をしていると私は思うのですね。それからまた、文部省が出している「同和教育資料」、五十四年七月に出していますけれども、この中にも、同和教育を進めるに当たっては、教育の中立性が守られなければならないことは言うまでもない。政治運動や社会運動との関係を区別し、それらの運動そのものも教育であるといったような考え方は避けられなければならないと書いてありますね。これは教育基本法第八条二項の精神です。そうでしょう。そうすれば、この意岐部東小学校で校長以下の学校の先生たちがとった態度というのは、この教育基本法第八条二項に明白に違反していると思いますけれども、どういうふうにお考えですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 おっしゃるように学校行事として同盟休校をやるなどということは考えられないことでございますから、それはまあ言わば子供の教育の機会を奪って、それを一つの社会運動に切りかえたということだろうと思います。そういう意味では、基本法が言いますところのこの八条の精神に決して沿うものではないというふうに思うわけでございます。

三浦久日本共産党・革新共同

○三浦(久)分科員 沿うものではないとか趣旨に適合しないとかそんななまぬるい言い方をしているから、いつまでもいつまでもこういうことが放置されているんですよ。明白に教育基本法第八条二項に違反をしておるじゃないですか。違反をしておったら、違反をしておるとなぜ言えないのですか。部落解放同盟がこわいのですか。こわくないですよ、あんなもの。何も遠慮することないじゃないですか。教育基本法第八条二項にこれは違反しているんじゃありませんか。適合しないとかそんなことじゃないでしょう。違反をしておると私は思います。いかがですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 八条二項の条文は、御承知のように「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための」と書いてございますから、ただいま私は先生の御指摘のケースは初めて聞くわけでございますので、なおその点につきましては少し検討させていただかないと、違反するかどうかという判断はちょっとここで差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。

三浦久日本共産党・革新共同

○三浦(久)分科員 こういうことで論争していると時間をとってしまうのですけれども、これはそういう特定の政党を支持するとかまた支持しないとか、そういうことだけじゃないでしょう。「その他政治的活動をしてはならない。」と書いてあるじゃないですか。そうでしょう。「その他」、これは例示的なものですよ。「政治教育その他政治的活動をしてはならない。」とはっきり明記されてあるじゃありませんか。その上にあるものは制限的に解釈するものじゃないでしょう。例です。まあいいです。しかし、そういうあいまいな態度というものがやはり文部省の指導上にもあらわれているんだ。そして結局は教育委員会も文部省をなめてしまって、学校の先生もなめてしまって、こんないまの教育基本法の中では全くあり得ベからざるような事態が起きているということです。ですから、私はもっと具体的な厳正な指導というものを要求したいと思うのです。  たとえばどんな問題が起きているかといいますと、福岡県では、ある小学校では、黒板がありますね、黒板の上に領が飾ってある。その額には、石川さんは無罪だ、石川さんを取り戻そう、それから、部落解放とか、寄せ書き的にこう書いたものが掲示されているのですよ。そういう事態がある。こういう事態を一日も早くなくすために、私はもっと踏み込んだ具体的な指導をしていただくようにお願いを申し上げたいと思うのです。  それで、ちょっと個別的な問題に入りますけれども、この狭山裁判というのは非常に専門的な問題ですね。私も弁護士を二十年やっていますけれども、証拠をどう評価するかというのは大変むずかしい問題です。こういう問題をいま教材にしてあっちこっちで同和教育が行われているということ、これは文部省御承知だと思うのですね。彼らは大体どういうふうにやったらこの狭山裁判の問題が児童の中にすっと入っていくとか、いろいろ研究していますよ。ここに材料がいっぱいありますけれども、時間がないから一々示しませんけれども、文部省が御承知のとおり。結局は、まず石川青年が貧しい家庭に生まれたとか、それですから字が読めなかったのだ、だから正しい判断力ができなかった、そこから入っていったがいい、こんなことがいろいろ言われていますね、教員の仲間で。そうして、何にもしていないのに殺人の罪を着せられたのだ、それは字も知らないし、判断力もないので、おまえ殺したのだと言われたら、はいと、そう言いました、反論できなかったのですとか、そういうような状況をつくっていって、そして最終的には部落民だからこういう罪を着せられているんだという、そういうところに持っていっているわけですね。こういう教育というのは、まさにおたくの「同和教育資料」の中にもありますけれども、児童の知能の発達水準に応じて教材を扱い、そして教育をしていかなければならないという、そういう観点から言うと全く無謀なことだと思うのですね。  私は、こういう狭山裁判というような問題を教材として取り扱うということが正しいのかどうか、その点文部省にお伺いをいたしたいと思います。     〔保岡主査代理退席、主査着席〕

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 学校教育の現場で具体的に現在進行中の裁判の問題をいろいろ取り上げてその内容を論ずるということは、特に義務教育段階の子供の発達状況というものを考えますと、私は、非常に一般的に言えば、これは不適当だと思います。むしろ、司法の働きとかそういう原理原則的なことを取り扱うのが筋でありまして、そういう意味では、文部省の検定をいたしております教科書についてはおっしゃるような教材はあり得ないのですけれども、現実にその他の副教材あるいは副読本等においておっしゃるような事例がある、こういうことだろうと思っております。

三浦久日本共産党・革新共同

○三浦(久)分科員 大体いままでのお話で文部省の態度は、考え方はわかりました。そうなりますと、結局、教育委員会というものがこういう同盟休校を激励をするとか理解を示すとかそういうようなことは私はあってはならないことだというふうに考えているのです。これは文部省としても同じお考えですね。  ところが、私が住んでおります北九州市、ここでは、わが党の市会議員団の申し入れ、これについても何ら回答しない、逃げ回っておるわけですね。わが党の市会議員団がどういう申し入れをしたかといいますと、これはあたりまえなことです。まず、こういう不当な同盟休校には反対の態度を表明してほしい、それから子供が参加しないように指導してほしい、それから父母にもその旨を徹底させてほしい、こういう三つの要求を申し入れ事項として申し入れたわけです。ところが、これについては何ら回答しない。そして再三教育長に面会を求めたけれども、ついに一月の二十八日までの間一度も会いません。そうして、北九州市では、これは毎年、年中行事なんですけれども、予算編成期になりますと三日三晩ぐらいの徹夜での大糾弾が部落解放同盟によって行われるわけですね、これは予算獲得のためだと私は思っていますけれども。  このときも、一月の十八、十九、二十日、トヨタカローラほか企業が糾弾を受けた。五十五時間四十分にわたって糾弾を受けた。それは、市役所本庁舎の三階の大会議室、ここで行われております。それで十八、十九、二十日、三日間にわたって行われたわけでありますけれども、その二日目の十九日の夜、その糾弾が一時休憩に入りました。そのときに、対市交渉ということで市と交渉しました。そのときに十三項目の要求を市に突きつけているのですが、その十一項目目に、まず、学校教育の中に狭山問題を取り入れて学習するよう指導せよ、こういう要求が教育長に対して出された。それに対して木嶋義人という社会教育部長が校区自治会、PTA、企業などへの同和研修を強化することを約束した後に、狭山問題は学校教育の中で真剣に取り組むよう指導していきたいというふうに部落解放同盗に回答しているのです。それからまた糾弾の三日目、一月二十日には、好崎教育長、これは数少ない文部省派遣の教育長です。この教育長が糾弾の三日日、部落解放同盟から、同盟休校についておまえたちどう思うのだ、こう聞かれまして、運動体がやむにやまれぬ行動として取り組んでいる立場を理解する、したがって、この理解するということを一両日中に校長会を通じて各校長におろす、こういうふうに答えているのですね。  そして具体的には、翌一月二十一日には八幡の校長会でいま言ったようなことを述べているわけです。そしてまた一月二十二日には、小学校、中学校の校長先生が職員室でいわゆる市教委の通達だということでこういうことを読み上げているわけですね。口頭でです。文書でやると証拠が残るので口頭でやっておりますが、一月二十八日同盟休校については運動体がやむにやまれず実施するものだ、しかし支援するということではない。二番目は、子供が人権問題について正しく理解されるよう指導されたい、こういう趣旨のことですね。市教委通達と称してこういうことを口頭で学校の先生たちに言っている。  こういう市教委また校長の態度というのは、私はいまの文部省の考え方から言えば正しくないと思うのですね。これは、私は絶対にこういう教育委員会のあり方というものは正さなければいけない、そのために具体的にどういう指導を文部省の方でしていただけるのか、お伺いしたいと思います。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 狭山裁判問題を学校の具体的教材にするということについては、先ほど私が申し上げましたような見地からして、一般的に言えば子供の発達段階を考えて適切な教材ではないだろうと私は思います。  それから、いまの同盟休校がやむにやまれないものであるという、いわば容認的な発言がもし本当にあったとするならば、私はやはり適当なことではないと思いますので、なお事態を調べまして指導したい、かように思います。

三浦久日本共産党・革新共同

○三浦(久)分科員 終わります。

村山達雄自由民主党・自由国民会議

○村山主査 三浦久君の質疑は終わりました。  次に、本郷公威君。

本郷公威日本社会党

○本郷分科員 予算審議の大詰めを迎えておりますが、私は、国の文教予算が真に子供たちの教育のために使われることを要求して、文部大臣に見解を承りたいと思います。  教育の荒廃が叫ばれて久しいわけでございます。その中でも特に青少年の非行、自殺が後を絶っていないことは大臣も御承知のとおりと思います。特に青少年の自殺については、五十三年を見ましても八百六十六名に上っております。特に自殺の多い月を見ますと四月と九月に集中しておるわけですが、四月は就職あるいは進学の月でありますし、九月は夏休み明けという、子供にとりましては新学期が始まった月であります。どちらも学校問題が多くその自殺の動機になっておるわけでありますが、教育というのが青少年に夢と希望を持たせるということをねらいとしておるのに、青少年が生きる夢や希望を失っておるというこの現実、これはやはり教育そのものに原因があり、教育政策に何か問題があるのではないかと考えるわけです。ちょうどいま三月ですが、三月という月は入学試験の月であります。特に高校の入学試験が各県で行われております。現在九四%という高い進学率になっておりますが、その高校進学競争というものが現実には非常に激しく行われております。人をけ落としてでも有名高校に入ることが人生のすべてであるかのような今日の教育の姿の中に青少年の悲劇が起こっておるのではないかと考えるわけです。  文教予算が青少年の教育を中心として組まれるならば、このような青少年の悲劇もだんだん少なくなるのではないかと思うのです。いま問題になっております四十名学級の実現の問題もそうした願いの中で出てきた国民の要求でありますが、とにかく教育予算が、教育の統制あるいは教員の統制という政治的な予算が続く限りこうした問題はなかなか解消しないのではないかと思うのです。  ことしの文教予算が一般会計の伸び率は五・七%ということで、五十四年度に比べて大きく下回っておるという説明がなされております。その理由として、財政再建のための緊縮予算だからしんぼうせよ、こういうことになっておるようですが、その中で教育的に全く必要でない予算が組まれておることを私は指摘をしたいわけです。  それは現場の教師たちがこぞって要らないと反対をしておる、いわゆる教育業務連絡指導手当という名のついた主任手当でありますが、この問題について私は若干大臣の見解を聞きたいわけであります。  きょうは時間がありませんので、主任制度をめぐるいろいろな問題につきましての論議は避けたいと思うわけでありますが、とにかく主任制度が実施をされ、その主任に手当が現在支給されておる。その手当についてはほとんどの教師が要らないということでその受け取りを拒否をしたり、あるいは一度受け取ってもそれを拠出をしておる、そういう状況が続いておるわけでありますが、そういう教育現場が主任手当制度をめぐって混乱をしておる中で、やはりあくまでこの主任手当制度を続けていくのかどうか、あるいは続けていくとするならば、この主任手当制度というものは今日までもう二年ほどたつわけでありますが、どのような教育的な効果が上がっておるか、その点をお聞きしたいわけです。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 文部省の五十五年度予算につきましての総体的な御質問が一つございましたが、全体の国家予算の中におきまして国際関係あるいは地方交付税関係というようなものを除きましたあとの、いわゆる一般会計の伸び率という点から考えてみますと、文教予算というものは一般の伸び率よりもよけいに伸びておると私は考えております。また事実、そうなっておるわけであります。  それから、予算の中で特に主任手当の問題につきまして御意見を拝聴いたしましたが、これはもう御存じのとおりに、教務主任等の主任は学校におきまして各種の教育活動について連絡、調整等の仕事に当たっておるわけでございます。この職務に従事しておることに対しまする給与上の評価をしたのがこの主任手当でございます。将来もこれを廃止する考え方はございません。効果その他につきましては、局長の方からお答えさせていただきます。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 おっしゃるように、児によりましては主任手当の拠出闘争をかなり強くやっておられるところもありますけれども、県によってそれの全然ないところもあるわけでございまして、主任の制度化自身も現在、御承知のように三府県を除いて実施されておるわけでありまして、私どもはこの主任を制度化し、その主任に手当を支給することによって学校の機能がより円滑に運営されつつあるという認識に立っておりますので、今後もこの施策を続けてまいりたい、かように思うわけであります。

本郷公威日本社会党

○本郷分科員 大臣、主任は戦前からあったものですね、それは御承知のとおりと思います。その主任の中から幾つかを抜き出して制度化をし、そしてそれに現在手当をつけているわけです。その主任手当の性格をひとつ明らかにしてもらいたいのですよ。大臣から聞きたいのです。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 先ほどお答えをいたしましたとおり、主任は学校におきまして各種の教育活動におきます連絡、調整あるいは助言等の職務に当たっておるわけでございまして、これに対しまして給与上から評価をいたしましたのがこの主任手当でございます。そういうふうに私たちは考えております。

本郷公威日本社会党

○本郷分科員 非常に抽象的な答弁でありますが、そういう抽象的なことではなくて、主任手当と一般的に呼んでおりますが、教育業務連絡指導手当というこの手当は支給の法的な根拠が非常に不明確だと思うのですね。私は、実質、管理職手当的な性格を持っておると見ておるのですが、給与法の十三条の特殊勤務手当の中に、支給するのに「著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で、」とありますが、この「困難な勤務」であるのか、あるいは「著しく特殊な勤務」にこの指導手当というのが当たるのか、そこら辺をひとつはっきりしてもらいたい。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 これは制度化したのがたしか五十年の暮れで、翌年の三月に人事院が教員の給与改善に関して勧告をしたわけですね。その勧告の中で、いまの主任の業務を評価をしてこれに手当を支給するということでありますから、その手当の性格が何であるかということにつきましては、第一義的には人事院がこれに責任を持って決めていただく立場にあるわけでございまして、その後の国会の審議等で私どもが承っておるところによりますれば、いま言ったように、特殊勤務手当というのは危険、不快、不健康、困難というような仕事に対していわば御苦労の意味で手当を出すのだ、こういうことでありまして、主としてその仕事の性格がほかの仕事に比べて困難度があるというような御説明であったように記憶しております。

本郷公威日本社会党

○本郷分科員 御説明であったように記憶しておるというのじゃなくて、文部省として主任手当を出しておる、その意味というものを具体的に説明してもらいたいわけです。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 おっしゃるように、国家公務員の給与につきましてはどういう手当を出すかということは人事院の所管になるわけでございます。文部省としては、主任を制度化したからこれに適当な手当を出せるような道を検討していただきたいということを人事院にお願いし、そして人事院がいま御説明申し上げたような性格の手当を与えるのが適当であるという勧告をしておるわけですから、われわれはその人事院の意見を尊重し、大蔵省と折価して、その手当を国家公務員である国立学校の先生について予算を計上した、それに右へならえして公立学校についても同じようにやっていただいたということでございますから、その中身は、われわれは人事院の見解を尊重し、その趣旨に沿った手当を出しているつもりでございます。

本郷公威日本社会党

○本郷分科員 そういう言い方は、すべて人事院に責任を持っていって、文部省としては主任制度はつくった、それから先のことはわれ関せずというような言い方で、これはきわめて無責任な文部省の態度であると私は思うのです。現にこの主任手当を受け取らずに拠出をしておるわけですが、その金は約三十三億ほど拠出をされております。その金が現在いろいろな方面に使われておるわけです。  例を申し上げますと、高校進学予定者または在学者に奨学一時金として支給をしておる県、あるいは交通遺児や母子家庭の児童生徒への援助、あるいは社会福祉施設への援助をしておる県、それから図書一教材用具あるいはスクールバスなど小中高、養護学校への条件整備として寄贈しておる県、教育文化講演会あるいは音楽会など文化事業への助成をしておる県、教育研究活動への助成または教育研究所の創設等を図っておる県、拠出をされた金が非常に多岐多様な使い方をされておりますが、いずれにしても教師たちが政治的な背景を持ったこの主任手当を受け取るわけにはいかないというわけで拠出をしておるわけです。これらの拠出されて使われておる中には、父母から非常に喜ばれておる例がたくさんあります。奨学資金等におきましては父母から非常に感謝をされ、それぞれの県に対しましてもお礼の手紙等がたくさん来ておるわけですが、こうした現状を大臣は知っておるのかどうか、そこをまず承りたい。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 私も、そういう状況もあるということは承知をいたしておるわけであります。

本郷公威日本社会党

○本郷分科員 承知をしておれば、そういう現状に対してどのように考えますか。そういう現状が現実に起きておるわけですから、その点についてひとつ見解を……。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、主任の制度をつくり、その主任の仕事の職務の関係からくる給与上の評価をいたしましたものが主任手当でございます。主任手当としてそれぞれの主任の方にお渡しができておるものと私は考えております。それから以後の動きにいま言われたような問題も中にはあるだろうということはお聞きをいたしておりますけれども、これは主任手当としてお渡しをしておる、そういうことでございます。

本郷公威日本社会党

○本郷分科員 もちろん主任手当として支給をされておるのですが、そういう政治的な背景を持った手当は要らないというわけですね。こういうような例がいままでありますか。手当を支給せよと要求をしてそれでも手当を出すのを渋るというのが大体いままでのあり方ですよ。ところが、要らないという主任手当を無理に支給していく、そういう手当は受け取らない、要らない。三十三億という金は、これはいまの財政にとっては大変な金ですよ。それだけの金が、受け取らない、要らないということで拠出をされて、先ほど言ったように、現実に子供たちのために直接使われておるわけですよ。だから、それに対してただ支給をしておりますと言うだけでは済まぬじゃないですか。そういう現状が起きておることについて文部省としてはどう考えるかということを私は聞いておるわけです。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 先生のお話だと、全部の先生がまさか要らないと言っているわけじゃないので、これは一部だと思うのですね。現在まで、いまおっしゃった三十三億というのはいつ時点までの御計算かわかりませんけれども、主任手当支給総額というのは百八十億、二百億近いわけですから、その一部として三十億余のものが拠出されているということは、そのことはわれわれの判断では、もちろんそういうのは要らないと言って拠出しておられる方もおるわけですけれども、自分の職務に対する正当な対価としてこれを喜んでいただいておられる方もあるわけですから、その両方を考えなければいかぬわけです。そこで、私どもはいままでの評価を見ますと、やはりこれは必要だということですから今後も継続してまいりたい、こういうことでございます。

本郷公威日本社会党

○本郷分科員 私は水かけ論をやっておるわけではないのですが、現に要らないという金が三十三億というのは昨年の段階でありますから、まだこれよりも額はふえておると思うのですが、とにかくそういう教育現場の教師たちが拒否をしておるわけですから、それをあくまで受け取れという指導をしておるという、そこに問題があるわけですよ。先ほど言いましたように、現実にそういう金が子供たちの直接の教育、教材、教具として買われて学校に贈られておるわけです。そういう現実があるときに、一部の人間だというような見解だけでは済まされない問題であります。  これは昨年起きたことでありますが、そうした拠出された金で、先ほど言ったようにいろいろな使い方がなされておりますが、福岡では養護学校にスクールバスを贈るということで、受け取る受け取らないといういろいろな問題があったことは御承知だと思うのですが、最終的に県がスクールバスを県の予算で買ってそれにかえたというようなことが起きております。あるいは佐賀におきましては、拠出をされた金でいろいろな教材、教具を買って学校に帯付をした。それを使っておったら、教育委員会の方からそういうものは使うなということで、校長さんがそれを隠した。そういうような事柄が子供たちの目の前でいろいろ起きておるわけですよ。  文部省としては、そうした教師たちが子供の直接の教育のためにということで教材、教具を買って子供たちに贈るというそれをとめる指導をしておるのですか。また、そういう指導を各県の教育委員会に対して行っておるのですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 その個々の先生が御自分の俸給の中からお金を割いて学校に寄付脅されるということもケースとしてはあるのでしょうけれども、ただ、今回の場合は教組の指導によって組織的、継続的に一定のお金を毎月拠出しなさい、その命を何か教育の目的に使います、こういうことでありますので、それは本来手当を支給しておるその手当の意味からしてやはり目的に外れるのじゃなかろうか。といって、拠出すること自体は個人の任意意思でしょうから、おとめできませんけれども、それを県なり市町村の学校に寄付するというような場合には、それは本来の趣旨ではないから寄付はお断りしなさいというふうに私は指導しております。

本郷公威日本社会党

○本郷分科員 そうすれば、教師個人個人がこれを拠出するということについては、これは文部省としてはタッチするところではない、それは自由だということですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 俸給の一部を天引きというのじゃなくて、その手当の一部を拠出するということは、一人一人の先生の任意の意思に発してなされる行為であるというふうに考えられますから、そこで、それをやめろと言うてもそれはちょっとぐあい悪いでしょう。ですから、それは私どもは云々してないわけです。ただ、集めたお金について、それを教育委員会等に寄付するという場合には、そういうものを受け取らず、教育委員会自身が自分で予算措置をする努力をして条件の改善に努めなさい、こういう指導をしておるということでございます。

本郷公威日本社会党

○本郷分科員 そうすれば、教師たちが拠出をしたその金をたとえばPTAとかそういう団体に寄付をした、その金が各学校の教材あるいは教具の購入費に充てられていくということは、これはやむを得ないということになるわけですが、それはそのとおりでいいですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 おっしゃるのは、何かどこかを通じて回り回っていけばいいじゃないかというお話のようですけれども、いま私が申し上げたように、公の学校教育施設の場の条件整備等にこの手当が組織的、継続的につぎ込まれるというのは本来の趣旨ではありませんから、そういう点については関係の教育委員会等で十分注意してくださいということを申し上げておるわけでございます。

本郷公威日本社会党

○本郷分科員 先ほど、いろいろ使われておるこの使途について現在の状況をお知らせしたわけですが、奨学資金等として個人に贈られておるケースが非常に多いわけです。これに対しては現在非常に喜ばれておるわけですが、こうした問題については、文部省としても余り関係ないことだと思うのですが、その点いかがですか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 奨学資金として使われているという実態も正確に私承知しておりませんから、正確な判断はできないわけですけれども、ただ、一般的に言いますれば、奨学資金というのは一定の金が確保できるという条件があって、それが継続的に資金を受ける者に確実に給与されるということが勉学を保障する道だろうと思うわけですから、失礼ですけれども、いまのような主任手当を継続的に集まることを期待して奨学資金を恒久的なものとして運営するということは、その保障があるのだろうかというふうに私は考えております。

本郷公威日本社会党

○本郷分科員 私の聞いておるのは、その奨学資金の性格とか、そんなものをあなたに聞いておるわけじゃないんですよ。個人に奨学資金、名前はそうした意味の金でありますが、それは育英資金でもいいでしょう。とにかくそういう金として出ておるこの現実を否定するのか、あるいはそういうことはやむを得ないとしてこれは認めておるのかどうか、そこを聞いておるわけですよ。だから、私はあなたから、奨学資金はこういう性格のものでなければ奨学資金ではないとか、そういうことを聞いておるわけではないんです。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 私は、一般的に奨学資金というからにはそういう性格のものが望ましいのじゃなかろうかという意味で申し上げたわけでありますが、いずれにしましても、あるお金を特定の勉学の志ある者に対して、言ってみれば私的な契約でございますが、貸与なり給付するということはあり得ることでありましょうし、それをいま云々することではないと思います。

本郷公威日本社会党

○本郷分科員 私は、この拠出した手当がいま本当に子供のために使われておるという現状を大臣に理解してもらうために大分具体的な例を挙げて言ったわけです。だから、冒頭に私が言ったように、この文教予算というものが政治的な金として配られるんじゃなくて、子供たちに直接、教育という立場から組まれなくては今日の教育の荒廃を立て直すことはできないと私は思うわけです。  そういう意味からしまして、いま二百億に近い主任手当が出ておるわけですが、この手当を高校増設に向けたらどうですか。いま九四%の子供たちが進学をしておるのですが、高校に行きたいという子供はあとまだ大体三%か四%ぐらいおるわけですよ。私の県でも、今度入試がありますが、進学希望を見ますと、各学校とも落ちるのが一けたあるいは二けたですよ。三人落ちるとかあるいは五人落ちるという学校もある。多くて二けたですね。だから、あと一、二校、高校を新増設すればそういう子供たちが全部収容できるわけですよ。そういう方面にこの金を回せばどんなにか親からも喜ばれるし、今日の教育の荒廃を救うことができるのじゃないかと思うのですよ。  こうした点を含めまして、この主任手当の問題はこれで終わるわけじゃないのです。あなたたちが幾らこの主任手当を出して、そして教師たちを管理統制下に置こうとしましても、これに対する抵抗闘争というのは続くわけですから、ひとつ大臣も新しく就任をしたわけですから、この主任手当については再度見直しをして、本当にこうしたむだな金が国の文教予算の中に使われないように、そういう文教政策をやってもらいたい。  終わります。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 主任手当をよして高校増設に使えという御意見でございますが、高校の増設のために必要な経費は国としてもめんどう見ていく必要があると考えております。主任手当をよしてというふうには考えていないのでございます。

村山達雄自由民主党・自由国民会議

○村山主査 本郷公威君の質疑は終わりました。  次に、宮地正介君。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 私は、限られた三十分間という時間でございますので、焦点をしぼりまして、第一点は、最近の教育費の負担が御父兄の家計にいま大変な圧迫をしつつございます。そういう中で、文部省は近年、昭和五十二年度におけるところの保護者が支出いたしました教育費の調査を発表しております。その概要を端的に説明していただきたいと思います。——時間が刻々と進みますので、私の方で概要を、皆さんの調査した発表に基づきましてお話を進めさせていただきますと、特に小学校、中学校という義務教育、また大変進学率の高い高等学校の学校教育費あるいは入学時における教育費の家計に占める負担というものは、このデータに基づきましても、何と小学校においては学校教育費が年間約六万八千円でございます。しかし、小学校一年に入学するときには十六万九千円、約十七万円近いお金が支出されておる。中学校においても学校教育費が九万三千円。中学一年に入学するときには十五万七千円、約十六万円近いお金がかかる。高等学校にいたしましても学校教育費が十六万四千円、そして画校一年に入学するときには何と二十万円のお金がかかる。これも公立の学校でございます。特に、さきの昭和四十九年の石油ショック時においては大変な値上がりで家計を圧迫した過去の事例がございます。最近の原油の値上がり、相次ぐ公共料金の値上がり、消費者物価への波及、こうしたものを考えますと、まさにダブルパンチの家計への圧迫でございます。こうした年々ふえ続けている教育費の父兄負担、文部省が調査したデータでもただいま申し上げましたような数値がはっきりしているわけでございます。この点について文部大臣はどのようにお考えになっておられるのか、また、悪法二十六条の「義務教育は、これを無償とする。」こうした精神から見て、今後どう対応されようとしておるのか、この点についての大臣の見解を伺っておきたいと私は思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 家計の中に占めます教育費の重さがだんだん高くなってきてこれは大変だという御指摘でございます。物価の関係その他でまたこういう問題が影響が出てくることだと思いますけれども、これは義務教育の方といたしましては、御存じのように、できるだけ教育費のかからないような努力を続けておりますし、高校の場合におきましても、そういう努力を続け、あるいは奨学等の資金でありますとか、そういう問題で対応をいたしておるところでございます。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 国民に対して誠意のある答弁ではない、また何か自信のない御答弁のように私は伺うわけでございます。  特にその中で、この五十五年度の予算の中で、文部省は国立の高等学校全日制において月額八百円の授業料のアップ、これを見込んで三千八百円、約二六・七%のアップをこの予算に盛り込んでおります。また、国立の幼稚園においても月額六百円のアップを見込み二七・三%、二千八百円、こうした予算が盛り込まれておりますが、すでに皆さん御存じのように、この文部省の国立の高等学校あるいは国立の幼稚園の授業料の値上げが大きな引き金となりまして、すでに自治省では、各地方自治体に公立高等学校などの授業料についてのアップを黙認といいますか奨励といいますか、こうした形で、すでに全国の地方自治体の五十五年度予算の中でも、多くこれが取り上げられているわけであります。いま大臣のおっしゃった御発言とうらはらに、なぜこうした値上げがこの時期に行われなくてはならないのか。実際、こうした小中学校の義務教育あるいは公立の高等学校の父兄負担の実態調査の中で、国民の家計に占める父兄負担の割合が大変苦しくなっておる。この実態との絡み合いの中に、何か私は矛盾を感じるわけでございます。この点について大臣、率直な意見を伺いたいと思います。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 いまちょっとここにあります資料で申し上げますと、確かに父兄負担の絶対額というのは年々ふえておるわけですけれども、国あるいは地方団体において、それに対してどれだけ努力をしてきたかというその問題ですが、いまの父兄支出の問題にしましても、文部省の調査で見ますと、たとえば昭和四十一年度の父兄支出、小学校、中学校それぞれ一〇〇とし、そして公費支出もそれぞれ一〇〇として見ました場合に、五十二年度におきましては父兄支出の面でいえば小学校は四四四、中学校は四〇〇ということで、約四倍あるいは四倍半ということでございますが、公賢支出の方は小学校が六〇二、中学校で六六四というふうになっておりますので、相対的にはかなり公費の支出の増について努力をしてまいったということでございまして、今後もこういう点について一層努力をしたい、かように思います。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 いまは公立高等学校のそうした父兄負担、こうした問題について述べてきたわけでございますが、さらに、たとえばことしの春の大学の問題を考えましても、大変な値上げラッシュでございまして、医学部や歯学部、これは論外でありますが、一般文科系、理科系、こういうものを全部ならしましても、たとえば私立大学の初年度の学生納付金、この調査を文部省は行いまして、二十一日にまとめて発表しているわけでございます。この点については御説明できますか。

三角哲生文部省管理局長

○三角政府委員 先ごろ中間的な調査の発表をいたしたわけでございますが、これによりますと、私立大学の昼間部の五十五年度入学者の初年度、一年生に入りますときに納入いたします学生納付金の平均領は、授業料、入学料、施設設備費の合計で七十一万五千円でございまして、前年度に比べまして一〇・三%の上昇になっております。ただ、昨年度の場合にはこの上昇率は二・九%という数字でございました。私どものこういう調査をずっと通して見ますと、五十年度以降上昇の傾向は若干ずつ鈍化をしてきておるというふうな状況になっておるわけでございます。  なお、授業料などの改定は、私学におきましてもほとんど多くの場合に新入学生から適用されますので、前にすでに入っておる二年生以上の者は、入学したときの授業料をずっと継続するというぐあいでございますので、授業料その他の一〇・三%といったような数値は、これを四年間にならすと三%弱程度の値上げといいますか上昇になるのではないかというふうに見ておる次第でございます。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 ただいま局長おっしゃったように入学時に平場ならしてですから、これはこの数字が果たして正しいかどうか疑問がありますけれども、それにしても七十一万五千円、これは大変大きな額であろうと私は思うのです。そして前年度が一一・九、今年度一〇・三ということで、何か横ばいから下がったような感じをおっしゃっておりますが、冒頭に私お話ししましたように、石油ショック時の五年前、あのときにはちょうど三一・五%はね上がりました。恐らく、これからOPECの値上げなどに連動しまして、やはり消費者物価、卸売物価のこれからの高騰の中で、この横ばいに大きな亀裂を生じてくる可能性も十分考えられると私は思うのです。  ともあれ、そうした小学校から大学まで一貫して大変な教育費の負担が大きく家計の中で圧迫しているという事実、この厳粛なる事実に対して、やはり文部省といたしましても積極的なこの問題に対する対応、具体策、こうしたものが実行されていくことが私は大変大事なことではないか。そうしませんと、お金の貧しい家庭、あるいは現在の国民所得から見てまいりますと、この家計への圧迫は、住宅費の圧迫と同じような大変な割合を示してくる。私はこういう中で、健全なる教育の振興という面の中で、もっともっと積極的な文部省の対応策が必要ではないか。特に、庶民大衆の中に飛び込んでまいりますと、そうした直接の家計を預かるお母様方の悲痛な悲鳴というものは大変厳しいものがございます。恐らく、こうした論議を聞いている方々の中にも深刻に受けとめる方が大多数ではないかと思うわけであります。この点について、大臣の率直なる誠意ある国民への御答弁をいただきたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 教育費が家計費の中でどういう位置を示しているか、先ほどからの御議論があったわけでございますが、そのことに対しまして、また同時に、国の今日の財政の中におきまして、国が教育費に対しまして負担をいたしておりまするものを努力をしつつ伸ばしておることも事実でございまして、その点の御評価もお願いをいたしたいと思うわけであります。  先ほど局長の方から奨学資金その他の点についてもお話をいたしましたけれども、そういう対策を通じましてこれらの問題に対処してまいりたい、かように考えておるのであります。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 さらに、こうした問題につきましては、東京都においても都民生活局がこの二月二十日に、昭和五十五年度の新入学児童の入学時に準備される学用品等の費用ということで調査結果を発表をしております。そうした調査結果の概要を見てみましても、具体的に百貨店とかスーパーストアでどのような学習机、ランドセル、こうした問題等を含めまして大変にきめの細かい調査の結果が出ているわけでございます。三十九品目にわたりましたそうした調査によりましても、十三万五千円近いお金が、小学校に入学するときには付随的な備品としてもかかる、こうしたようなきめ細かな調査というものも出ておるわけでございます。  限られた時間でございますので、私は一つ一つについて論議をすることができませんが、こうした率直な客観的な調査というものをすでに地方自治体でも行っておるわけでございます。そうしたものをぜひ参考にされまして、国づくりの基本は人づくりであり、人づくりの基本はやはり何と言っても私は教育の健全なる振興であろうと思います。そういう中で、財政的な面あるいは家計的な面の圧迫がそうした教育のひずみ、偏重あるいは格差というものをつくっていってはならないと思いますし、文部省としては、こうした経済的環境の厳しさの中で健全なる教育というものをどう施していくかということについて積極的に対応を迫っていただきたい、私は強く要求をしておきたいと思います。  時間も過ぎておりますので、そうしたようないわゆる父兄負担の厳しい中で、大変残念でありますが、一つの例といたしまして、たとえば小中学校の基本的な教育環境が大変におくれている事例について、私は民の声として大臣に率直に聞いていただきたいと思うわけであります。  それは、この東京から三十キロあるいは五十キロ圏の埼玉県の西部地域におけるところの義務教育の中枢である小中学校、この小中学校の教育環境の基本的な問題、果たしてプールや体育館やあるいは教室が整っているであろうか、こうした素朴な問題について調査をしてみました。  日ごろ御父兄の皆さんからいろいろとこうした教育環境の問題で御相談を受けておったわけでありますが、調査をしてびっくりしたことには、たとえばいま申し上げましたところの埼玉県西部地域、人口約百二十万の地域でございます。年々人口の激しく急増する地域でございますが、ここには小学校が百八十二校ございます。この百八十二校の小学校の中で何と体育館のない小学校が四十三校あるわけであります。体育館がないということは子供にとって大変さびしいことだと私は思います。さらに、夏になって海のない埼玉県、この小学校の中でプールのない小学校が何と十九校あるわけであります。さらに、プレハブ校舎といって暫定的に、教室が足りないという学校が三十七校、百二の教室で何と四千五十五人の児童が、こうした夏は大変暑い、冬は大変寒いといったプレハブ校舎の中で勉強をしているのでございます。小学校、だけではございません。中学校においても、八十二の中学校の中で、いまだに中学校でさえ十五の学校が体育館が建設をされていないのであります。中学校にプールがないなんということは考えられないと言う人がおるかもしれませんが、驚くなかれ中学校においても十四の学校がプールがございませんプレハブでも二校、約百二十八名の中学生がプレハブの中で勉強しております。  合わせますと、義務教育の、本来文部省が健全なる教育環境をつくっていかなくてはならない責任のあるそうした中で、二百六十四の小中学校のうちに、いま申し上げた数を足していただければわかりますが、何と体育館のない学校が五十八、プールのない学校が三十三、プレハブを使って勉強している学校が三十九。こうした実態を私は目の当たりにいたしまして、昨年も私は内藤文部大臣にこの一部の市の実態を訴え、内藤文部大臣もびっくりして、これはいかぬということで対応を積極的にしていきたい、こういうお話をいただいたわけでございます。ちょうど一年前に御質問させていただいた時期からいままで、文部省としてどう真剣にこの地域の義務教育におけるところの教育環境整備に取り組んでこられたか、またこの実態を耳にして、大臣どういうふうにお考えになるか、所見を伺っておきたいと思います。

三角哲生文部省管理局長

○三角政府委員 ただいま宮地委員の御指摘になりましたような地域におきましては、恐らく、児童生徒の数が非常にふえるという状況下にあって、学校施設の整備にいろいろな意味で非常に困難な状況下で仕事をとり進めておられるのであろうというふうに推察をした次第でございます。文部省といたしましては、御指摘のプレハブ校舎の解消については、やはり年々の公立文教施設整備費の重点といたしておりまして、これの促進に努めておるわけでございます。従来からこれを三年以内に解消するということでやっておりまして、かなりその実が上がっておるわけでございまして、五十一年当時にございましたプレハブ教室は、全国で三千八百八十でございましたが、その九三%の三千六百二十二については五十三年度までに解消したわけでございます。なお、未解消というのが二百五十余りあるわけでございますが、これはどうしても不足の教室数が建物の一むねに満たないために、建築に適当な分量になるまで当該市町村の判断で待っておるとか、あるいは学校の分離新設を考えるために暫時プレハブでがまんをせざるを得ない、こういったような事情にあるものが残るわけでございます。  それで、この不足解消のために、児童生徒急増地域における小中学校の校舎、それから先ほど御指摘の屋体についてもでございますが、これをやはり重点的に配慮いたしまして、五十五年度の予算におきましては、金額の面でもあるいは事業量の面でも、非常に全体の財政が窮屈な状況下におきまして増額を図っておる次第でございます。  それから、プールにつきましても、個所数の増、金額の増を図りまして、市町村の努力に、国としてもこれを受けとめて、できるだけ対応できるような措置をいたしてきたつもりでございます。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 宮地先生の御指摘の地帯が実は一番問題のところでございまして、人口急増地帯に対しましての、いま御指摘のありましたプレハブ教室の解消、それから必要な体育館あるいはプールの問題に実は一番頭を痛めておるわけでございます。大変財政状況の厳しいときではございましたが、この急増地域に対しましての予算領は、約二千億円計上しております。先ほど局長が答えましたような三年間で解消するというようなスピードを保つことができたわけでございまして、今後とも、この問題につきましては、地方の財政状況もございますけれども努力をしてまいりたい、かように考えております。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 この地域における教育環境の格差を全国的な中で考えてはならないと私は思います。そういう面での積極的な対応、文部省においてもどうか深刻に受けとめていただきまして、できれば文部省のしかるべき担当官の方にこの地域を一度近々御調査を兼ね視察などしていただく、そうした誠意ある行動を起こしていただきたいと思いますが、この点について大臣の御決意を伺いたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 いま御指摘の、宮地さんの地域に人を出すというわけには直接はまいりませんが、全国の急増地帯の問題につきましては、先ほど申し上げましたとおりに頭を痛めておりますので、それぞれのところに特に気をつけるように連絡をしたい、かように考えておる次第でございます。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 最後に、体育館の補助率の問題ですが、現行二分の一の国庫負担補助率になっておりますが、これを三分の二にやってほしいという全国の知事会など多くの陳情があるわけでございます。非公式に聞くところによると、文部省はやる気があるんだが、大蔵省のどうも反対が強い、こういったような意見があるわけですが、この三分の二の国庫負担補助率について文部省はどういう見解を持っていますか。

三角哲生文部省管理局長

○三角政府委員 これは財政上の優先順位の問題でもあろうかと存じますが、児童生徒の急増地域におきましては、何よりもまずその当該児童生徒を入れる教室を整備することが最も緊要でございます。そして教室の方にかかる金額が非常に多額なわけでございます。大体体育館の七倍から八倍くらいの金を校舎の方に充てなければなりません。したがいまして、やはりそちらの分量の多い方にまず高額の負担率を適用いたしまして、急増市町村の財政状況に対応していくということで従来からもきております。  もう一つは、急増でない市町村の方が屋内運動場の保有率は全体で見ますと低うございまして、そちらの負担率との均衡の問題もございますので、私どもといたしましては、現在のシステムで今後もやらせていただきたいというふうに考えておるのでございます。

宮地正介公明党・国民会議

○宮地分科員 時間が来ましたので終わりますが、認識をよろしく改めていただきたいと思います。

村山達雄自由民主党・自由国民会議

○村山主査 宮地正介君の質疑は終わりました。  次に、細谷昭雄君。

細谷昭雄日本社会党

○細谷(昭)分科員 旧臘の予算復活折衝の段階で、非常に土壇場でありましたけれども、全国の教育を思う多くの父母や教育関係者の熱望久しい四十人学級が実現をし、わが党が長年にわたって要求を続けてきたことでありますけれども、これが曲がりなりにも実現したということは、文部大臣を初め関係当局の皆さん方、関係者の熱意、努力に対し私はその労を多とするものでございます。  制度や内容という問題につきましては、わが党としましても、与党ないしは政府との間にまだかなりの隔たりがありますけれども、これは今後の問題といたしましても、長年の懸案というものが一歩踏み出した意義というのは大変大きなものがあろうかと思います。  しかるに、四十人学級の恩典に浴せない地域というのがまだ残念ながらあるわけでありまして、これはいわゆる過疎地域でございます。私の出身地であります秋田県もまたこの過疎県でありまして、せっかく四十人学級というのを打ち出してもらいましても、いま提案されております新標準法によっては、ほとんど秋田市のごく一部の、県内における中心都市しかその恩典に浴しないという状況であります。このように、過密と過疎という両極端の社会現象というものは、ここ二十数年間多くの社会問題というのを派生してきたわけでございます。私は、過疎地域の教育と地域の崩壊をもたらした学校統廃合、これにつきまして文部当局と自治当局に最初にお伺いをしたいと思うのであります。大臣からは最後で結構でございますので、この論議を通じまして所見をお伺いしたいというふうに思っております。  まず最初、秋田県においてどのようにこの学校統廃合が推移してきたのかということについて、グラフを用意しましたので、お上げしたいと思います。これは大臣、主査にも上げてください。  このグラフをちょっとごらんになっていただきたいと思いますけれども、一枚目が小学校の統合の推移、二枚目が中学校の推移でございます。これを見ますと一目瞭然でございますが、昭和三十一年、御承知のとおり新市町村建設促准法が通過をし、同年に中教審の学校統合に対する基本方針といいますか答申がございました。この昭和三十一年を境にしまして漸次統合が進められた。しかし、秋田県においては、昭和四十年までは比較的緩やかな統廃合が進んでおります。これは恐らく全国の過疎県と言われておるところの一つの傾向ではないかというふうに思います。ところが、昭和四十五年から五十年にかけまして、この五年間の推移というのはきわめて急激でございます。小学校、中学校とも同様であります。五十年から五十四年にかけましてもその趨勢、傾向というのは全く同様であります。  細かく言いますと、四十五年から五十年においては、秋田県で、これは本校、分校を含めてでありますけれども、五年間で五十七校も小学校が減少しておる。中学校におきましても、四十五年から五十年は四十三校も減少しておるという状況でございます。合計しまして、秋田県におきましては、二十年間に小学校は百三十九校、二十三年には五百校ありました小学校が百三十九校、この二十年間に統廃合によって減少しておる。中学校は、昭和二十三年、新学制が発足した当時三百四十一校でありましたが、それがこの三十年間に百八十八校減、いわば半分以下に減少しておるという状況でございます。こうした傾向、大変な統廃合が進んでおるというこの数字を見ましても、これは地域における、単に学校がなくなったというだけではなくて、大変な問題を含んでおるのではないかというふうに思うわけです。  まず最初に、これに対します文部省と自治省当局の感想をお聞かせ願いたいと思います。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 感想を申せということですから簡単に申し上げますけれども、分校を別として、全国的な小中学校の昭和二十三年以降の数、つまり結果的には統合をどれだけ行ったかという調査を見ますと、小学校はほとんどといいますか、約千ぐらいしかいっていないのですね。中学校の方は、ちょっと数字を申し上げますと、昭和二十三年の一万六千二百八十五に対して、五十四年度は一万七百四十七ですから三分の二ぐらいになっているということで、かなり統合をされておる。しかし、時期的に見ますと、大体昭和四十九年ぐらいまでは全国的にかなり統合が進んでおりますけれども、それ以降はぐっと減って、中学校だけで申しますと、全国的に毎年三十校ぐらいになってしまっているわけですね。ということは、秋田県の場合は全国的に見た場合にはちょっと特殊なケースではなかろうかというふうな感じを、いまのお話を承りまして持ちました。

土田栄作自治省財政局指導課長

○土田説明員 全国的な事情を詳しく承知いたしておりませんけれども、傾向といたしましては、過疎県におきましては児童生徒敬が非常に減っているということから、一つ一つの学校の規模自体が適正規模を欠くというような状態になりまして統合が進んでいるのではないかというふうに承知いたしております。

細谷昭雄日本社会党

○細谷(昭)分科員 わかりました。  昭和三十一年十一月十七日に文部省は「公立小・中学校の統合方策について」という次官通達を都道府県知事並びに県の教育委員会に出しているわけです。さらに昭和四十八年九月二十七日に初中局長と管理局長通達という形で、「公立小・中学校の統合について」というのを出しておるわけであります。この両方の通達の趣旨というのはいまも変わっておらないかどうか、これをお伺いします。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 御指摘の点は、片方は次官通達で、片方は局長通知でございますから、その辺のことも含めての御質問かと思いますが、先ほどお話がありましたように、三十一年当時は地方公共団体自体の合併も進めるということもありまして、義務教育学校の適正な学校規模という点にもっぱら着目して統合についての推進を奨励したということでございますが、その後十数年実施の経緯にかんがみますと、ただ統合だけがいいのじゃない、やはり子供の通学距離の問題もあろうし、住民感情の問題もあろうし、あるいは小規模学校には小規模学校なりの先生と子供の触れ合いということもあろうし、そういうことを考えて慎重にやりなさいという趣旨でございますから、今日私どもが指導しております指針としては、この四十八年の通知の趣旨をもって個々のケースについて十分慎重に対処してもらいたい、こういうふうにやっておるわけでございます。

細谷昭雄日本社会党

○細谷(昭)分科員 大変大事なところでありますので、再度念を押したいと思うのです。  最初の三十一年の次官通達は、実は三十一年十一月五日の中教審の答申結果を踏んまえた通達でございます。この中教審の答申というのは、「学校統合の基本方針」というところで、前段がこうありますけれども、「前文の趣旨に従い、国及び地方公共団体は学校統合を奨励すること。」となっておるわけです。したがって、いまのお話では、この「奨励すること。」というのは変えた、そういうふうに理解していいわけですね。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 おっしゃるように、無条件に奨励するのではなくて、実態に応じて、必要に応じてやりなさい、こういうふうに言うておるわけであります。

細谷昭雄日本社会党

○細谷(昭)分科員 わかりました。  この中教審の答申というのは、このように「国及び地方公共団体は学校統合を奨励すること。」という基本方針があったために、その後の過疎地域における学校統廃合がかなり強引に進められたというふうに考えておるわけであります。しかしながら、文部省は、その推移を十分に見きわめながら、やはりその是正方ということで四十八年の通達となったというふうに理解しておるわけであります。その点では時期的には大変おくれたわけでありますが、通達そのものの意味というのは大きいと思います。  問題は、四十八年の初中局長と管理局長名による通達の趣旨がその後も生かされておるかどうかということになりますと、せっかくの通達が少なくとも秋田県においては有効に機能しておらない、こういうように考えるわけであります。空文化しておると思うわけでありますが、その実態はいろいろあるわけであります。小学校は四キロとか中学校六キロとか、これを最高限度とすることが適当とかいうことは前と変わらないと言いますし、規模も十二学級から十八学級が適正規模であるというふうに言われておりますけれども、秋田県の実態というのは全く無視されておるわけです。  時間がありませんので細かいことを言いませんが、一つは、せっかく通達に、住民の意思というのを尊重すべきであるということを言っておりますが、きわめて非民主主義的である。いつの間に条例が市町村の中でつくられたかわからない、こういう実態がほとんどでございます。  二つ目は、いわゆる充実した施設設備をすればよい教師が集まる、よい教師が集まれば子供の学力は向上するのだというのがキャッチフレーズであります。ですから、どんなに無理だと思いましても、その教育的な大上段に振りかぶったキャッチフレーズの前になかなか反論ができない、こういう実情。  さらには、実際の教育計画が立たない統廃合が進められておる。バス時間がありまして、バス時間によって教育活動の時間が決められておる。さらには教室がないので、教室が持ち回りで毎日毎時間ぐるぐる回っておるという大規模統合校もあります。通学距離が長いためにクラブ活動が全然できないという無理な統合校もたくさんあります。  こういうふうに考えてきますと、秋田県は五十五年度におきましても統合校が五つ控えておるわけです。あの少なくなった学校をさらに五つも統廃合しよう。なくなる学校が五つもあるわけです。五十五年の四月にですよ。さらに、五十六年度、五十七年度という計画がメジロ押しに並んでおるという状況なんです。一体全体、こういう通達を出しても具体的な歯どめがかからないというのはどういうことなんですか。文部省の対策が手ぬるい、ただ出しただけ、私はそう思わざるを得ないわけでありますけれども、文部省には具体的な対策はありますか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 具体的にどことどこの学校を統合するがどうかというようなケースについての判断なり指導というのは、文部省が直接することは非常にむずかしい問題でございますが、ただ、こういうことは言えると思うのですね。いまおっしゃったように、標準学級というのが、たとえば確かにいまの施行規則で十二学級だというと、その十二学級以下のものは統合しろというような姿勢なのか、こういうことがくると思うのですね。  その点は、たとえば今度の十二年計画で教員の定数の配置の改善を図るという、その中には、もちろん都市部における四十人学級の問題もありますけれども、異例の複式学級というようなものは、すべてこれは過疎地の学校でございまして、この複式学級の一学級の最高人員を幾らにするかというような問題は、これもやはり十二人から十人にしようということでやっておりますし、それからその過疎地の小規模学校で、中学校で言えば、やはり教員配置として一番問題なのは、教員の配置数が少ないために一人の先生が免許状以外の教科も持たなければならぬというようなことですね。  これは、どんな小さい学校でも、中学校の九教科の免許状を持つ専任の先生が持てるように改善しようということで、約二千何百人だったと思いますが、増員する計画、それから小学校で言えば、音楽とか図工とかいうような専科教員をふやすというのも、これはすべて小規模の学校でございますから、そういう小規模の学校の教育条件の改善ということについても、今度の十二年間の計画で十分考えておるということは、われわれがただ口で、全部その十二学級ぐらいまでに統合してしまえということを言っているわけでは決してないのでありまして、そういう小規模学校も、それなりの理由があります場合にはできるだけ条件の改善をしたい、こういうふうに努力をしておる次第でございます。

細谷昭雄日本社会党

○細谷(昭)分科員 問題は、いま四十名学級が問題になっている。過密をどうするか。さらにゆとりのある教育という点で、いわば日本の教育の方向というのは、過密をどうするかということに向かっているわけですね。問題は、お話しのとおり、秋田県とかいう地域というのはきわめてそういう残された特殊な地域、いわゆる過密と過疎という日本のそういう社会的な矛盾の中で別の意味で苦しんでおるというところであるわけです。したがって、確かに複式を解消する、ないしはそういう小規模校の言うなれば教員をさらに増置するとか、そういう配慮は当然お願いしなければいけないことです。ところが実情は、やはり何と言いましても教育的な配慮よりも別の要素で統廃合が進められておるというのが実情ではないかと思うのですよ。その点について文部省はどうお考えになりますか。  つまり皆さん方が都道府県に流しておる。知事に通達を出しておる。知事や都道府県教育委員会に通達をどんなに出しても、それが学校統廃合を教育的に考える歯どめになっておらないということ。教育的な配慮だけでは統廃合は歯どめがかからないというその実情をどう考えておるかということなんですよ。残念ながら文部省の意図というのが、学校設置者は市町村長ですが、この市町村長に皆さん方の教育的な配慮、そういったものが実際に通っておらない。それをどうするかということなんですよ、私が聞いておるのは。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 確かに、市町村長さんは自分の町なり村に小さな学校がたくさんあると、それを一つに集めれば学校経営もかなり合理的になるし、規模としても適正になって、教育がそれ自体見れば円滑になるという判断と、もう一つは、やはりそれによって経営の合理化あるいは経費の削減ということが念頭にあると思います、長としては。それは否定できないと思うのですけれども、やはりその点については、当事者がそれぞれの実情に応じて適正な規模というのは統合だけではないんだ、やはり本当に教育をやる上でどういう環境がいいかという判断を持ってもらう。そのためのわれわれの指導なり何なりも十分やっていかなければいかぬという問題と、それからそういう学校の運営について、運営費は交付税に積算されておるわけでございますから、そういう点についてできるだけ充実するように努力をしていく、こういうようなことでやってまいりたいと思うわけでございます。

細谷昭雄日本社会党

○細谷(昭)分科員 いま局長がお答えになった中にもありましたが、文部省だけがどんなに教育的な意味を説いてみてもなぜとまらないかというと、やはり地方財政の問題があるからだと思うのです。地域が貧困であり、市町村財政が貧困である、これが主な理由だと私は思うのです。ですから、この地域のこういった地方財政の貧困に対する裏づけ、その貧困をいわば充足していく、学校統合をしなくても、人件費、経常費その他を余りみみっちくしなくてもいいような財政の裏づけがあれば、これは大分変わると思うのですよ。  そこで、自治省にお聞きしたい。自治省はこういう観点で、一体全体いままで教育的な観点という点で市町村を指導したことがおありなのかどうか。

土田栄作自治省財政局指導課長

○土田説明員 私どもの考え方も、いま文部当局からお答えがありましたのと同じ考え方でございます。ただ、具体的にそれでは教育内容の問題についてまで指導したことがあるかということでございますれば、それは国の主管が一応文部省ということになっておりますので、文部省の方にお願いしております。  それから財政措置の問題につきましては、私どもも交付税措置を毎年充実しているところでございまして、特に小規模校のために学校一校当たりの単位費用というものを相当充実してまいっておりますので、学校統合をしなければその学校がやっていけないというような財政状況になるようなことはいたしておらないというつもりでございます。

細谷昭雄日本社会党

○細谷(昭)分科員 自治省当局にお願いしたいと思うのですが、文部省としては二回も次官通達を出し、もちろんこれは空文化しているという反面はありますけれども、一応考え方としては、四十八年はいわば軌道修正をした形ですね。何とかしたい、この熱意は私も敬意を表するわけですよ。しかし、歯どめがかからない。それはいま言ったように財政の裏づけが乏しいからだ。そこで自治省は、市町村の行政指導とあわせまして、財政の裏づけについて十分配慮をしながら、文部省の通達と同様の通達を都道府県ないしは市町村当局に出すということができないものかどうか、それを要望したいと思うのです。その点について……。

土田栄作自治省財政局指導課長

○土田説明員 これは国の内部におきます所管の問題もございますので、今後文部省とよく相談いたします。

細谷昭雄日本社会党

○細谷(昭)分科員 最後に、過疎県における教職員の定数の問題について御要望を申し上げたいと思うわけであります。  御承知のとおり、現在五十五年度予算というのが審議されておるわけでありますけれども、五十五年度の過疎県というのは鹿児島県と秋田県の二県でございます。五十六年度もたしかこの二県が残るというふうに聞いておるわけであります。五十五年度予算につきましては、両県の県民を挙げての要望に大臣を初め関係当局の皆さん方が非常に誠意を持ってこたえていただきまして、おかげさんで、今回の予算ではいわゆる最低保障が確保されるということになっておるわけであります。これに対しては県民を代表いたしまして御礼を申し上げたいと思いますが、問題は、五十六年度の問題でございます。五十六年度、あと一年しかございません。この五十六年度、一年経過しますと、これはまずまず最低保障から逃れるという状況でございますので、今後継続して省令並びに最低保障の予算を措置していただきたいということを要望を申し上げたい、こう思うわけであります。この点が一つ。  最後に大臣から、過疎地域にも、やはり子供と地域を主体にした本当の意味の教育的配慮または財政的な措置、これがなければ、地方が崩壊するということを防ぐことはとうていできないと思うわけであります。したがいまして、文部省と自治省がいわば積極的に方針を固められ、そしてその対策をしていかなければならないと私は思うわけであります。これらについて、最後に大臣の所信をお伺いいたしたい、こう思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 過疎と過密が起きておって、これが結果的には日本の今日の社会環境変化を一番端的に出しておると思います。基本的には、過疎県に人がとどまり得るように、あるいはところによれば人が戻ってくるような方策をやらなければならぬということは事実でございますし、それが基本になると思いますが、しかし、それをいま言っておっても仕方がないわけでございまして、教育の立場から見ましても、過疎県に対しましての考慮は十分払っていかなければならないと思っております。  先ほど御指摘がございましたが、いわゆる最低保障の問題と申しますか、これもできるだけ早くそれが解消されることを私たちは望んでおりますけれども、来年の、いま五十六年のことを申し上げるのは少し早過ぎることではあると思いますけれども、状況が改まらない以上、そういう問題につきましては考えていかなければならぬと思っておりますし、また、先ほど一番冒頭に四十人学級の問題に分科員がお触れになりましたけれども、同時に私たちが計画的にやってまいろうと思っております学級標準の問題等におきましても、この点は先ほど局長から付言をいたしましたように、過疎県に対しましても一つの十分な対策になり得ると考えておるわけでございます。しかし、これは地方の財政の問題が車の両輪のごとき関係に立っておりますので、自治省とも十分に連絡をとりながらやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。

細谷昭雄日本社会党

○細谷(昭)分科員 終わります。

村山達雄自由民主党・自由国民会議

○村山主査 細谷昭雄君の質疑は終わりました。  次に、草川昭三君。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 草川昭三でございます。  まず最初に、今度の予算の中で文化施設の整備等という項目があるわけでございますし、その中の文化施設整備等の調査研究で新規に二千二百万の予算がついておるわけでございます。これは文化庁の国立文化施設整備調査委員会等のいろいろな決定で調査研究がされると思うのでございますが、今年度この予算を新しく立てられた基本的な考え方はどのようなものか、お伺いしたいと思います。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 この文化施設整備等の調査研究費の項目は新しく立てておりますが、この中は二つの部分に分かれておりまして、一つの部分が国立文化施設の調査研究、全国的に国立文化施設をどのようにつくったらいいかという問題の調査研究の経費でございまして、この部分につきましては、昭和五十三年度から継続して調査を続けております。そして新たにそれに加えまして、国がつくります学校の建物の建設費の一%を芸術、文化的なものに回すという問題の調査費、この二つをあわせましてこの新しい扱いになっておるわけであります。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 たしか五十三年度は千五百八十一万、五十四年度は千五百八十四万、五十五年度で飛躍的にというのですか、かなり大きく上回って予算がついたわけでございますが、この点について実は、愛知県だとか岐阜県だとか三重県あるいは静岡県、この四県の中部地方では、一千万人以上のたくさんの方々が住んでおみえになるわけでございますが、そういう方々の文化向上と美術、芸術の振興発展の殿堂となる国立の近代美術館をぜひ愛知県の名古屋市に建設をしたいというので、促進協議会というのを官民財界あらゆる面で非常に幅広く結集をされまして、いろいろな運動をなされておみえになるわけでございますが、このような運動にこたえるような意味では当然、調査研究の対象になると思うのですが、その点はどうでしょう。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 国立文化施設整備調査研究会の課題といたしております事項は、いま先生のおっしゃいました中京地区における国立博物館、国立美術館の建設の御要望がございます。そのほかの地区からもそういう御要望がございます。また一方、美術展示施設といいますか、美術団体の公募展を行う場所が全国的なものがないからそういうものを東京につくるべきである、そういう要望も参っております。そのようないろいろな要望を取りまとめまして、果たして国立の美術関係の施設をどのようにつくったらいいかという基本問題を検討してもらうために設けた調査会でございますが、いまおっしゃいました名古屋のものもこの中に一応入っておるわけでございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 いまおっしゃられましたように、確かに名古屋だけの問題ではなくて、全国的にかかる希望が非常に多いと思うのでありますけれども、実は中部地方には、国立のこのような建物が非常にないわけでございまして、大名古屋と言われる名古屋市内にもないわけでございます。     〔主査退席、保岡主査代理着席〕 地域の方々といたしましては、特に現代におけるあるいはまた近代における代表的な美術作品を展示をしたいとか、東西の交流も行いたいとか、いろいろな強い要望があるわけでありますし、必ずしも芸術、文化の関心度を一つの数値であらわすというようなことは困難だと思いますけれども、地元の方々といたしましては、たとえばということで、日展の入場者の数の比較をしておみえになる数字があるわけでございます。たとえば東京だと十八万四千人の方々を日展の入場で動員をする、あるいは京都では五万人、大阪では六万人、名古屋では十三万四千人の日展の入場者がある。これが直ちに比較ということにはならぬと思うのですけれども、実はそれだけ多くの関心者があるわけでありますから、私としましては、ぜひともこの地元にかかるようなものを建設をしていただきたい、こういう要望があるわけであります。  そこで、ぜひそういうことでやっていただきたいわけでございますが、実はこの建物の設置場所が、地元の方といたしましては、名古屋市内の名城公園というところにぜひこれをつくっていただきたいという基本構想があるわけでございます。ところがこの場所のことにつきましては、実は国有地でございまして、これはぜひとも大蔵省の方にお伺いをしたいわけでございますが、この基本構想について、こういう案が東海財務局の方にも行っておると思うのでございますが、大蔵省としてはどのような対処をされるのか、お伺いしたいと思います。

安部彪大蔵省理財局国有財産審査課長

○安部説明員 ただいま御質問のございました名城公園内の国有地のうち、大蔵省の所管財産につきましては現在、都市公園として名古屋市に無償貸し付けしているわけでございます。この敷地に国立近代美術館を設置することにつきましては、まだ文部省側から具体的な要望がございません。したがいまして大蔵省といたしましては、文部省の方から具体的な利用計画に基づきました要望がございました段階で、公園管理者でございます名古屋市と協議いたしまして検討いたしたいと考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 おっしゃるとおりだと思いますけれども、それで、たとえば文部省の方で一つの方向が出たとした仮定の上でございますが、当面するこの名城公園というのは名古屋市が公園管理者でございますから、この実行委員会というのですか促進協議会の中には名古屋市も入っておるわけでございますし、これがもし了解をするとするならばということでございますが、当然この国立美術館については大蔵省としては無償で貸す、これは国有のことでございますから、そういうことに理解をしていいのでしょうか。

安部彪大蔵省理財局国有財産審査課長

○安部説明員 御質問の、公園管理者でございます名古屋市の方で御了解していただくということでございますれば、大蔵省としても前向きに検討いたしたいと考えております。この場合いずれにしましても、設置されます施設が一般会計に所属する国の施設でありますので、無償で使用することができることになっております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 地主さんの方からいまのような一つの態度が出たわけでございますし、調査費用も前年度に比べてこれだけ大きい幅が出たわけでありますから、そしてまた、地元の方も強い要請があるわけでございますし、地域社会における文化振興のためにも大変いいプランであるわけですから、あとは文部省の決断ということになるわけでございますから、その点について、地元の非常に強い熱情に対して、これはぜひ大臣から地元の要望についての文部省としての御返事を賜りたい、こう思います。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 大臣からお答えする前に、ちょっと状況をお話し申し上げますが、実は現在の段階におきましては、具体的に国立のものがどこで必要であるかという点にまでしぼっていくまだその前段階といたしまして、一体現在の国立の文化施設がそれぞれどういう機能を果たしておるかという問題、それから、地方ですでに公立の文化施設が大分できております、あるいは私立のものもできております。そういったものがどういう機能を果たしておるのか、そういったもので果たせない機能、どうしても国立のものでなければならない機能は何であろうか、そういったものは東京以外のあるいは近畿圏以外の地域にも具体的にどういうものがあるであろうか、そういう基本論を現在やっておりまして、これはかなりむずかしい問題を含んでおります。そういう段階でございますので、まだ具体的に名古屋なら名古屋あるいはどこどこというような場所を決めての議論にまでは、もうしばらく時間がかかるのじゃなかろうかと考えておる次第でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 では、大体いつごろのめどというような点が明らかになればお願いしたいと思いますし、また、その点についてもぜひ大臣からの御見解も賜りたいと思います。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 いまのところ、まだいつごろになれば結論が出るだろうというところまで実はいっておらない状況でございます。大変数多くの問題点が出てきておるし、それから、ただ建物をつくるという問題だけじゃないわけでございます。コレクションをどうするかという問題もございます、人の問題もあります、非常にむずかしい問題がたくさんございますので、なおこれはかなり慎重に検討しなければならないものだというふうに考えております。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 これは実はまだそう簡単に進まない段階でございます。先ほど文化庁長官の方から話をしましたように、ギャラリーでありますとか博物館でありますとか、きょうの分科会になりましても、すでに北九州の方からも同じような趣旨の要望がある。そのこと自体は私たちも大変ありがたいと思っておりますが、もう少し時間をかしていただかなければなかなか順序に入らないところでございますので、名古屋の方からもこういうようなお話がありますことは頭の中に十分入れていかなければならぬと考えておりますが、もうちょっと町岡が必要だと考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 では、この美術館の件についてはこれで終わりまして、次はオリンピック問題でございます。  時間がございませんので、ごく簡単に申し上げますと、一九八八年、大分先のオリンピックの誘致問題について質問をしたいわけでございますが、国際オリンピック委員会は、一九八八年のオリンピック誘致を希望する、すなわち立候補する都市の下調べの調査票というようなものを昨年の十一月に各国に配付をしたと伝えられておるわけでございますが、文部省の方にお伺いしますと、必ずしもそうではないというようなことも言っておみえになりますけれども、そこら辺の状況と、もしこの問い合わせが来ておったとしますと、どのような返事を出されるようになるのか、お伺いしたいと思います。

柳川覺治文部省体育局長

○柳川(覺)政府委員 先生もう御案内のとおりでございますが、オリンピックの立候補につきましては、少なくとも六年前までに行うということが規則で決められております。具体に一九八八年のオリンピック開催のための立候補締め切りにつきましては、来年の三月末日となっております。具体に候補地は、来年の九月に開催されるIOCの総会で決められるということになっております。また、具体のIOCからの立候補都市に対します幾つかの質問事項が盛り込まれた調査書が送付されます。これは立候補表明後に提出するということになっておりまして、正式の立候補以前における調査等につきましては規約上の定めはございません。したがいまして、いま先生御指摘の調査票につきまして、IOCの方から現時点でこの調査方の依頼が来ているという事実はないと承知している次第でございます。  また、したがいまして今後名古屋の立候補につきましては、オリンピックの事業はきわめて国際的な大事業でございますし、また国家財政等の諸般の事情もございますし、これにつきましては現地の計画等につきまして、いま慎重に対処存する姿勢でおる次第でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 もうこれは非常に複雑な国際情勢もあるわけでございますし、いろいろな問題点もあるわけでございますが、やはり都市の立候補とはいいますけれども、日本政府の強力なバックアップというものがなければ当然これは実現できることではございませんし、こういう時期だけに私は少しはいろいろな打ち合わせもなすっておみえになると思うのでありますけれども、実際上地元の方では手を挙げたわけでありますから、そういうものに対して、たとえば政府としてのもう少し具体的なアクションというものはないだろうか。たとえばロンドンも有力な候補都市でございましたが、ロンドンはおりたというように私ども聞いておりますが、これもロンドンがおりたかどうか確認のための御回答を願いたいと思いますし、もしこれがおりたといたしますと、あとは非常に少数の都市になってまいりまして、名古屋というのは非常に有力な候補になるのです。ですから政府として、名古屋が有力な候補になるのかならぬのか、客観的な国際的な比較論からひとつ御答弁をお願いしたいと思うのです。

柳川覺治文部省体育局長

○柳川(覺)政府委員 ロンドンが立候補を断念したということは、新聞報道で承知しておる以上に確認はいたしておりません。  なお、ベルギー等につきましても立候補を断念するというようなニュースも新聞報道に出ておりまして、先生御指摘のとおり、八八年の立候補都市としていま言われておりますのが、サンパウロあるいはオーストラリアの都市、それと名古屋というようなところにされてきておりますし、東京オリンピックが近代オリンピック史上初めにしてあるいは終わりではないかと言われるほど成功したとの評価もございますので、この辺はIOCの決定する問題ではございますが、いま名古屋の立候補問題が少数の都市の中に位置しているところでございます。またそれだけにいろいろな面で検討を要する課題でもあるというように感じておる次第でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 ブラジル、オーストラリアのメルボルン、それから日本の名古屋ということですから、非常に少数になってまいりましたので、非常に有力な候補であることは間違いないということで、ひとつ文部大臣、都市としての問題でどういうような御見解を持っておみえになりますか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 大事業でございますので、いま一体どのくらいの対応をしていくのか、財政支出はどうなるのかというような問題を実は地元と事務的にいろいろと折衝しておるというのが現段階でございまして、もちろん地元の方々の御熱意のほどは私たちもよく承知はいたしておりますが、ほかのオリンピックのいろいろな難航の状況もあわせて、いまの問題について議論を詰めていく段階にはまだ少し間があるように私は思います。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 これは非常に時期的にもありますし、一定の制限の事態があるわけですが、局長として、日本としての態度決定の最終的なリミットは何月ぐらいだと思われますか。

柳川覺治文部省体育局長

○柳川(覺)政府委員 地元の誘致をされる名古屋駅及び関係の県の立場からは、七月のモスクワのオリンピック大会がございます。その際にはIOCの会合が持たれるわけでございますので、その時点を期した政府の立候補についての承認を前提としたいということでございますので、なるべくそれ以前に政府の承認が欲しいという希望を承っております。なお、諸般の事情がございますので、その辺のところはあるいはめどになろうか。ぎりぎりとしては来年の三月の正式立候補のときに政府の承認があれば間に合うわけでございますので、それらの諸般の事情を見ながら対応してまいりたいと存じております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 どうもありがとうございました。  それでは最終に、私どもの地元にも愛知医科大学という大学があるわけでございますが、非常にいろいろな経緯がございまして、入学の寄付金もやめて、学債の発行でかなり苦しい中で健闘しておるわけでございますが、大学院の設置について昨年も申請を一応はいたしたわけでございますけれども、またことし改めていろいろな要件を整えて大学院の設置を申し出をしておりますが、一体どのような状況になっておるのか、その見通しについて対応をお聞かせ願いたいと思います。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 愛知医科大学は御指摘のとおり、昨年の十一月末に大学院新設の認可申請を提出いたしております。現在、大学設置審議会及び私立大学審議会においてそれぞれ審議が進められております。教員、組織等の審査あるいは現地の調査、あるいは私大審における法人の経営状況の調査等が慎重に進められております。両審議会における審議の結論が出ますのは、三月の中旬と考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川分科員 この前も現地の方にもう調査にもお見えになっておられるようでありますし、昨年と違って資格要件についてもほとんど問題がないというように聞いております。いろいろな生い立ち等もあったわけでございまして、この際ぜひ大学全体のグレードアップのためにも、あるいはまた、教授陣の非常に安定する要件にもなると思いますので、この点についての三月中旬の結論がぜひ早期に出るようにお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

保岡興治自由民主党・自由国民会議

○保岡主査代理 草川昭三君の質疑は終わりました。  次に、四ツ谷光子君。

四ツ谷光子日本共産党・革新共同

○四ツ谷分科員 私は文化庁に対しまして、文化財保護の問題について若干の御質問をさせていただきたいと思っております。  民族の文化遺産はその民族の血肉の一部である、このようにも考えられるのではないかと思います。それは、過去の歴史の証人でもあり、歴史的研究の対象であるだけでなく、その民族の現在の生活、文化、精神のあり方と密接に結びついており、将来の発展の重要な基礎になるものだと私は考えておるところでございます。ところが、現在の文化財関係の行政の主なエネルギーは、埋蔵文化財関係、それも開発工事で壊される遺跡の最低限の記録を残す仕事に大半が割かれているのが現状ではないだろうか、こういうふうに考えます。国民の文化財享有権、文化的環境への権利の確立を目指してどうしてもそういう点で努力をする必要があると私は考えております。  わが国の文化財保護法におきましてもその目的において、「文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もって国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献すること」というふうに明らかにされております。そしてその第三条におきまして、「政府及び地方公共団体は、文化財がわが国の歴史、文化等の正しい理解のため欠くことのできないものであり、且つ、将来の文化の向上発展の基礎をなすものであることを認識し、その保存が適切に行われるように、周到の注意をもつてこの法律の趣旨の徹底に努めなければならない。」政府並びに地方公共団体の文化財保護に対する姿勢が文化財保護法の中に明らかにされているところです。  昨年の十一月、近畿市長会が「町づくりと埋蔵文化財の現状と今後の課題」、こういうアンケートをまとめて発表しておられるわけです。このアンケートによりますと、全国での発掘状況が年々増加してきている、昭和五十一年度以降は十年前と比べて文化財の発掘が約十倍にも上っているということを指摘しています。この文化財の発掘が非常にふえているというのは、大型プロジェクトによる開発あるいは公共施設、そうしたものの建設に伴う開発によっていみじくも文化財が発掘をされてきているという、両方の状況から出てきていると思うのですけれども、とりわけ地方別に見ますと、近畿地方が昭和五十二年度で五二%となり、全国の半数を占めているというのが現状です。近畿地方、関東地方、こういうところが文化財の発掘が非常に多いところですけれども、十年間で関東地方で六・六倍、近畿は二十八・八倍、とりわけ大阪、京都が十年前の約五十倍の件数を挙げているということが明らかにされているわけです。件数の多い県別に並べてみますと、一位が大阪、二位が京都、三位が東京、四位が奈良、五位が長野で、上位五県のうちで三県まで近畿地方が多いということが非常に明らかになっているわけなんですけれども、そうしたアンケートの中で近畿市長会が最終的にまとめておられるわけです。  その中で国への要望事項というものを出しておられます。それによりますと、まず一つといたしましては指定地の買収、維持管理費に対する国庫補助、二番目が文化財専門職員、機械、事務等についての経費への補助、三番目が発掘調査費の国庫補助、それに加えまして専門職員の増員などによる文化財調査の敏速化、この四つが挙げられているところです。私は大阪府とか枚方市、寝屋川市等、実際に文化財の発掘調査に当たっている大阪府の文化財保護課あるいは教育委員会、こういうところに当たりまして実際に現地でいろいろと調査をしてまいったのですけれども、四つの点が挙げられているのですが、本日は、専門職員の増員を望む声が非常に大きいという観点から、専門職員の増員を望むそうした地方公共団体の声に対してどのように文化庁が対応しておられるのか、それをお聞きしたいと思っているわけでございます。  文化行政長期総合計画というのがありまして、昭和五十二年三月二十一日に文化行政長期総合計画懇談会、文化庁の諮問機関でございますが、その長期計画の中にも、地方公共団体における専門職員の充実を図らなければならないということをも指摘しておられますし、また、一九七五年の六月十七日に文化財保護法の改正が行われました。そのときに超党派で各党派が全員賛成をされました附帯決議の中にも、「文化財の保護について、市町村の役割を明らかにし、関係職員の確保について配慮すること。」こういうことが述べられているわけでございます。したがいまして、現在文化庁としては都道府県、市町村、こうした地方公共団体に対しまして文化財保護に関する専門職員の増員に対してどのようにお臨みになっているのか、それをお聞かせ願いたいと思います。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 おっしゃいますように、埋蔵文化財の保護ということは現下の情勢において大変重要な課題でございまして、来年度予算におきましても百七億円余り、昨年度に対する一〇%増と、こういう厳しい中でも大変努力をしておるわけでございます。  御指摘のように調査員の問題でございます。これは確かに一つの問題点でございまして、二つの面から私ども対処いたしております。  一つは、それぞれの自治体における定数を確保するということ。これは財政措置を伴いますので、自治省にお願いいたしまして、交付税の積算の中において文化財担当の職員を含めていただくということであります。都道府県関係で言いますれば、昭和四十九年度には七名であったのが五十四年度には十一名、標準団体における文化財担当の職員であります。市町村関係におきましては、四十九年度十名が五十四年度は十三名というようなことで、そういう措置を継続してとってきております。その結果といたしまして、現在約千七百名の職員が各地方公共団体において文化財関係の調査員として仕事をしておるわけでございます。この数字も五年前から比べますと約二倍の数になっております。しかしもちろん現場の数が大変多うございますので、なおなお足りないという声を聞きますので、今後とも努力いたしたいと思っております。  それから二番目に、数を確保するだけでなくて、これはやはり十分な訓練を経た人でありませんと調査ができません。ただ穴を掘ればいいというのではございませんで、それにふさわしい能力を持った人を養成しなければならないという問題がございます。基本的には、大学の史学であるとかあるいは考古学とかというところの卒業生がこういう方面の調査員になってもらうわけでございますけれども、学校で教わっただけではなかなかすぐに実務の役に立たないということで、その人たちの実務訓練、あるいは多少専門の違った面でもそういう新しい方面へ回ってもらうということで、そういう専門家の研修を行っております。奈良国立文化財研究所というのがございます。あれは平城宮跡等にも近うございまして現場もたくさんございますし、研修に便利でございますので、そこで四十一年以来養成を続けております。特に四十九年には埋蔵文化財センターというものができましたので、そこを中心に専門職員の養成、技術水準の向上というようなことに努めておるわけでございます。

四ツ谷光子日本共産党・革新共同

○四ツ谷分科員 地方公共団体の専門職員の増員のために文化庁が御努力をいただいている、それは私もよくわかっておりますけれども、地方交付税のその他の教育費の中で、たとえば標準団体の場合に文化財保護指導員手当が七十七万二千円、旅費が六十万、こういうふうな一つの資料も私、持っているわけでございますけれども、地方公共団体では現在の情勢の中では、なかなか文化財保護のために十分な人を確保するというのは非常にむずかしいのが現状ではないかと思います。それで、職員の方々の労働条件等につきましても非常に厳しくなってきている。寝屋川市等を見ましても、非常にたくさんの件数を抱えておりまして、山のような文化財の発掘事前調査に追われて、その処理にてんやわんやだ。自分の持っている十分な知識も技術も生かせるような状況ではない。ただいま奈良の埋蔵文化財センターでの研修、こういうことをおっしゃっていただきましたが、その研修にもなかなか行けないのが現状だ、こういうふうな訴えが出ております。  大阪府におきましては、他の県に比べて専門職員の数はわりあい多く持っておりますけれども、しかしそれも大阪で地方公共団体、他の市町村からの要請があってもなかなか行けない状況だ、こういうふうなことで、地方公共団体が十分な専門職員を得るというのはなかなかむずかしいのではないかというのが現状だと思うのです。文化庁がお出しになりました「文化行政の歩み」、この中にも、地方公共団体における専門職員の充実というのは非常にむずかしいのではないかということが指摘をされているわけです。そうとすればやはり国におきまして、それをカバーするだけのものがどうしても必要ではないかというふうに思います。  そこで、文化庁のこの文化財保護専門職員のいわゆる研究職の方は何人おられるでしょうか、それから、奈良国立埋蔵文化財センターでの専門職員の方は何人おられますでしょうか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 御案内のとおり、行政簡素化という基本的な線がございます。そして定員削減というような問題もございまして、定員の確保は大変むずかしい状況でございますけれども、事務的なことは簡素化しても専門家の数はできるだけ落とさないように、幾らかでもふやしていくようにという努力をいたしております。そして現在、文化庁の埋蔵文化財関係担当の記念物課の中に専門家が五人おります。これも数年前までは四人でございましたが、一人ふやしております。それから、奈良国立文化財研究所におきましては五十八名専門家がおります。

四ツ谷光子日本共産党・革新共同

○四ツ谷分科員 ただいま埋蔵文化財センターの方は何人いらっしゃいますか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 ただいま申し上げました数字は、研究所プロパーとそれから埋蔵文化財センターにおる職員と含めて、その関係の専門家が五十八名ということでございます。もちろん全体の職員は百名近くおるわけでございます。

四ツ谷光子日本共産党・革新共同

○四ツ谷分科員 それでは、本庁の方で記念物課にいらっしゃる、ただいま五名というふうにお聞きいたしましたけれども、来年度予算の中で増員の御要求はございましたでしょうか、あるいは埋蔵文化財センターについても御要求はございましたでしょうか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 現下の財政状況の大変厳しい状況でございますし、特に定員については抑制ということで、残念ながら来年度は増員要求はいたしておりません。本庁におきましても埋文センターにおきましても、両方でございます。

四ツ谷光子日本共産党・革新共同

○四ツ谷分科員 実は私も埋蔵文化財センターの方に参りまして、現地の皆さん方のお声も聞かしていただきました。このような状況で、埋蔵文化財センターの方がいま十八名おる、五十三年度にも十八名だった、ふえてない、こういうことですね。そして地方からずいぶんいろいろと技術的な指導援助をしてほしいという御要望があるそうでございます。その十八名の方も、その半数は埋蔵文化財の専門ではなくて、他の技術を持っていらっしゃる方ということになりますと、実際埋蔵文化財の問題で働ける人はその半数しかない。一年間で長い方で百五十日くらい出張している。そして文化財センターの部長さんは、地方から来てくれというのを断るのに忙しい、涙をのんで断っているのだ、こういうふうなお話があるわけでございます。また大阪府におきましても、いろいろと市町村から要求があってもそれに応じ切れない、こういうふうな現状でございます。文化庁が非常に努力をしておられることは数字の上からも明らかであるので、その御努力については認めたいと思うのですけれども、現状では本当に埋蔵文化財を大切に保護をするということ、それも発掘調査だけに追われて後の保存、整理、こういうふうなものにもほとんど手がつかないというふうな地方公共団体の現状から見ますと、ぜひとも本庁の記念物課の専門職員の方あるいは埋蔵文化財センターの職員の方を増員をしていただくような方向をとっていただきたい、このように思うわけでございます。  なお、先ほど長官のお話の中にも、専門家の養成というふうなことがございましたけれども、国公立大学あるいは私学を合わせて、ざっと年間三百人ぐらいの人が卵として出るのじゃないかというふうな大ざっぱなお話ですけれども、とりわけ国立大学におきましても、専門家養成のために考古学の講座等の充実をぜひ図っていただきたい、こういうふうに思うのですけれども、最後に文部大臣に、専門職員の増員あるいは専門家の養成につきましてお聞きしたいと思うのです。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 埋蔵文化財の問題の中で、ことに調査員と申しますか専門職員の養成が急務であるということは御指摘のとおりでございまして、私たちもそれを痛感をいたしておるわけでございます。先ほど来長官の方から申しておりますように、そういう線に沿って努力をいたしてまいりましたし、今後とも努力をいたしたいと考えております。  なお、中央あるいは地方の研究所の増員、定員増の問題につきましては、御存じのとおりのいまの状況でございまして、なかなか思うに任せないのが現状でございますが、今後ともにこの努力は続けてまいりたい、かように考えております。

四ツ谷光子日本共産党・革新共同

○四ツ谷分科員 ただいま文部大臣の方からもお答えがございましたので、ぜひその線で御努力をお願いしたいと思っております。  次に、文化財保護法の改正問題でお伺いしたいと思います。  一九七五年の改正からちょうどことしは五年目に当たるわけでございますが、七五年の改正で非常に大きな論議となりました発掘に関する許可制の問題でございます。その附帯決議におきまして、「本改正は当面の緊急課題に対処するものであり、今後、文化財保護の理念の確立、重要な埋蔵文化財包蔵地の発掘に関する許可制の実現等その根本改正に取り組まなければならない。」こういうふうな附帯決議があり、それを当時の永井文部大臣がお受けになりまして、「遺跡発見の場合における停止命令の期限の特例が五カ年とされておりますこととも関連し、抜本的改正について可及的速やかに検討いたしたい」と公式に発言をしておられます。これは参議院の文教委員会で発言をしておられますのが議事録にもはっきりと書かれておりますけれども、ちょうどことしの十月一日、それがその期限になるわけでございますが、許可制ということで法改正を検討されているかどうか、文部大臣にお聞きしたいと思います。

犬丸直文化庁長官

○犬丸政府委員 文化財保護、特に埋蔵文化財の保護につきましては、文化財を保護するという立場からいたしますれば、できるだけ強い力を持って開発事業等を抑えることができることが望ましいわけでございますけれども、一方、開発事業あるいは建設事業、そういうこと自体につきましてもその方面での要請があるわけでございます。国民生活に非常に密着した事業でございますから、その両者の調和を図るということが非常に大事なことになってまいります。そして、昭和五十年の文化財保護法の改正につきましては、埋蔵文化財の保護という立場から従来よりは大変進んだ立法がなされたわけでございますけれども、まだ保護という観点かち一〇〇%のものではない点も、いまの許可制というような問題についてあったわけでございまして、その点の御指摘があったわけでございます。しかしながら、そういう観点からいたしますと、やはり客観情勢というものを十分に見きわめた上でございませんと、もう一歩進んだ文化財保護上の規制という段階に進むことはなかなかむずかしいのではなかろうかと考えられます。現在の段階におきましても、まだ法改正を考える前に運用上、いろいろな人の養成であるとか予算の確保であるとかあるいは指導であるとか、そういうような面でカバーできる面がたくさんあると思いますし、現実にそういう点で従来よりもはるかに進んだ保護の実績を上げてきておりますので、いまのところまだ法をさらに改正しようというところまで具体的に考えてはおらない状況でございます。

四ツ谷光子日本共産党・革新共同

○四ツ谷分科員 時間がなくなってまいりましたので、ただいまの改正の要望につきましては、附帯決議でも明らかにされていますし、当時の文部大臣も、五年後の本年の十月一日ということを目指してぜひ検討したいと公表していらっしゃるわけでございます。しかもこの問題につきましては、いろいろな団体からも七五年の法改正ということでぜひやってほしいという決議が上げられております。歴史教育者協議会第三十一回大会、これは去年の八月十四日ですが、文化庁長官あてに決議が送られておりますし、また、文化財保存全国協議会第十回総会におきましても同様の決議がなされまして、これは内閣、国会、文化庁、各自治体等にも送られているところでございますので、ぜひこの問題につきましては、許可制ということで法改正の検討を始めていただくように強く要望いたしまして、文化財関係の質問はこれで終わりたいと思います。  引き続きまして、文部省と自治省に対しまして、学校関係の問題につきまして御質問をしたいと思います。  私が住んでおります大阪府の枚方市、ここは人口急増地帯でございまして、いまだに人口が二年間で約二万人はふえるという、大阪の中でも有数の人口過密地域でございます。ここでは学校の建設が非常に要望されておりまして、四年間で十三校の小学校、中学校を建てなければならない、プレハブ校舎もまだまだ九十校ほど残っているというふうな、非常に厳しい状況の中で学校教育が行われているわけなんですけれども、ところが、人口急増が始まりましたいまから二十年ほど前に建てられました学校がそろそろ故障が起こってきている、こういうことです。  いま私がお見せいたしますこの写真は、文部省の方にも大臣にも見ていただきたいわけでございますけれども、これは鉄筋校舎でございますが、天井がこのように落ちている。それから壁がこんなふうにはがれている。これは床板がこのようにはがれているわけです。これは理科室の窓の下が腐食をして、柱がもう腐ってきて、これに補強材をつけて急場しのぎをやっている。この写真は理科室の水道の写真でございますけれども、当時の水道管は鉄管のためにさびがきまして、水を出すと赤さびの出る水が出る、そのために理科の実験が行えない。もうほとんど使えなくて赤さびのまま放置されているのが理科室でございます。これは体育館の床がはがれまして、補修のしようがないというのでガムテープを張っている、生徒がはだしで体育の授業をやるとけがをする、こういうふうな状況の中に置かれているわけなんです。  これは第四中学校を一つ例にとったわけですけれども、少し資料が古くなりますけれども、五十一年度に市教委の見積もりでも、この施設補修費が何と一億近い補修費を使わなければならないというふうなことで、年々学校が古くなっていくにつれてもう材料費も上がるということで、恐らくいまではこれだけの補修をするには一徳以上のお金がかかるだろう、こういうふうに言われております。PTAも毎年要望書を市教委に出して、窓枠が壊れたあるいは床板が割れている、こういうふうなものを何とか補修してほしいという御要望が強く出されているわけですけれども、文部省の基準に合わないということで何の補助の対象にもなっていない、こういうふうなのが現状でございます。こういうものに対しまして、文部省としてはどうお考えになっているのか、また自治省としましても、地方財政が非常に困難なわけですけれども、子供たちの教育をよくしていくという観点から、自治省としてどのように対処をしていただくのか、そのことについてお答え願いたいと思います。

三角哲生文部省管理局長

○三角政府委員 学校の建物の改築につきまして補助を行う制度があるわけでございますが、これは義務教育諸学校施設費国庫負担法に基づいて行っておるものでございます。通常木造の建物につきまして、構造上危険な状態にあるものに対して一定の基準で補助をいたしておりますが、ただいま例に挙げられましたのは鉄筋の難物でございますが、鉄筋等の木造でない難物の改築につきましては、従来から大学などの専門家の鑑定をやっていただきまして、その鑑定の結果、やはり構造耐力でございますとか保存度でございますとか外力条件等に照らしまして構造上危険であるという判定が下されますれば、これは一つ一つの個別審査によりまして国庫補助の対象といたしておるところでございます。それからなお、御指摘の事例には当たらないとは思いますが、昭和五十四年度、本年度におきましては、従来はいたしておりませんでしたが、建築後おおむね五十年を経過した鉄筋建物のうち、特別の事情で非常に教育を行う上で不適当な建物になっておるもの、あるいは戦災で火が回って非常に状態が悪くなっておるものも補助対象とするというふうにいたしたわけでございます。  ただ、構造上危険な状態にまで至らないで建物の補修をするという場合につきましては、これは補助の対象とはいたしませずに、それぞれの公共団体でやっていただくということで、その経費につきましては、地方交付税の基準財政需要額の算定の中に取り込んでいただいておるというのが現状でございます。

井下登喜男自治省財政局調整室長

○井下説明員 人口急増地域の市町村におきまして、義務教育施設の整備等のために多大の財政負担を余儀なくされていることは、御指摘のとおりでございます。このため、一般的に申しまして自治省といたしましては、かねてから関係省庁とも相協力しながら、人口急増市町村対策を積極的に進めておるところでございます。  お尋ねの公立の小中学校の維持補修についてでございますが、ただいま文部省の管理局長がお答えいたしましたとおりに、これは改築ということではございませんでやはり維持補修、経常費的なものでございますので、地方交付税の算定基礎の中に含めまして所要の一般財源を算定しているところでございます。なお、その算定につきましては、これは年々改善を行っているところでございます。今後とも人口急増市町村の財政負担の軽減を図るためには、関係省庁ともども努力を重ねてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

四ツ谷光子日本共産党・革新共同

○四ツ谷分科員 もう時間が参りましたので終わらせていただきますが、最後に文部大臣に一言お聞きしたいのですけれども、いま関係の方からそれぞれ御答弁がございましたけれども、こういう事情は人口急増地を抱えている学校、これから全国的に起こってくるのではないかと思っております。文部大臣といたしまして教育上の観点から、こうした問題についてどのようにお考えなのか、簡単で結構でございます、ぜひ最後に一言お答え願いたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 具体的に御指摘のありましたのは、コンクリートづくりの校舎についての維持修理の問題でございますが、これはコンクリートの建物自体が先ほど申しましたように、木造とは違っておりますので、一般的には基準というものはできておりません。個々の対策をしておるという現状でございます。維持修繕という段階になりますと、いままだ直接改築等の対策と同じ方策がとり得ないわけでございます。コンクリートの建物に関しましては、ひとつ何らかの検討をする必要があるのではないかというふうに感じております。

四ツ谷光子日本共産党・革新共同

○四ツ谷分科員 どうもありがとうございました。

保岡興治自由民主党・自由国民会議

○保岡主査代理 四ツ谷光子君の質疑は終わりました。  次に、中野寛成君。     〔保岡主査代理退席、川崎主査代理着席〕

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 大臣が中座されております間、特に総理府を中心にまずお聞きしたいと思います。  最近のいろいろな報道や、その他私どもの周辺で起こっている子供たちに関連をする事件や事故、本当に悲しい出来事ばかりであることは、先般総括質問の際にも若干触れてお尋ねをしたわけでございます。  そこで私は、もちろん子供たちはあくまでも被害者だ、こういう気持ちを持っております。人を危めてしまった子供、これも社会や家庭環境その他から起こった子供たちの一つの病気、子供たちはその場合にも私はあえて被害者ではないか、このように申し上げたいわけであります。こういう悲しい出来事を何とかしてなくさなければならない、これが私どもの務めでもあると思います。  昨年、総理府が中心になられまして、青少年の自殺問題に関する懇話会というものをおつくりになられて、自殺防止を中心にいろいろと御検討をなさったようでございます。しかし、そのことは決して単に自殺防止だけの問題ではなくて、恐らくそのような論議をするときには当然子供たちの精神的な病について幅広く検討、論議がなされるのが本来の筋であろうと思います。この内容と、そしてその提言を受けてのポイントはどこにあるというふうにお感じになられましたか、まずお聞きしたいと思います。

阿部宏彌青少年対策本部参事官

○阿部説明員 総理府におきまして昨年の二月から青少年の自殺問題に関する懇話会を開催いたしまして、約半年にわたって検討いたしたわけでございます。懇話会のメンバーには御承知と思いますけれども大変幅広い分野で活躍されております十二名の先生方にお願いをいたしまして、多角的、総合的に検討を重ねてまいったのでございます。先先御指摘のとおり、その中でもやはり自殺問題と非行問題とは同根であるという意見も出されておるわけでございまして、同じような観点から自殺問題も深く検討していく必要があるという立場でございます。  この提言の中で、基本的な問題といたしまして指摘されましたのは教育に関する問題でございまして、家庭での教育、学校での教育、それから地域での教育を充実、拡充すべきであるということが、その提言の内容として、基本的な問題として指摘されております。  もう一つ基本的な問題といたしまして指摘されておりますのは、社会環境の整備ということでございます。いろいろとマスコミその他、健全な発育に有害な影響を与えるような環境についての整備を図るべきだということが基本的な問題として提言の中で触れられてございます。  そのほか、当面の施策といたしまして、具体的な自殺防止活動の充実、拡大につきまして述べられているわけでございまして、このような提言を受けまして、直ちに関係各省庁、それから各都道府県に連絡をいたしまして、それぞれの立場で積極的に取り組みをお願いしておるところでございまして、総理府といたしましても、自殺防止の従来の施策もございますけれども、それに加えまして自殺防止のための手引書を作成をいたしまして、現場での青少年指導者に配付いたしまして、少年の自殺その他の問題行動につき決して参考にいたしたいということでございます。  以上でございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 それでは、その出てきた提言を関係各省庁、地方自治体へお伝えをしただけでございますか、それとも総理府で具体的な何らかのそれを受けての予算措置や、または具体的な行動を計画なさっておられますか。

阿部宏彌青少年対策本部参事官

○阿部説明員 実はこの提言を受けましたのが十月二日でございます。したがいまして、予算の編成作業が事務的には完了しているというふうな時期でございました。また、提言の中で指摘されておりますものを個々に拾いますと、非常に予算措置を講じなければならない施設の整備とかあるいは研究所の設備などといったようなものも提言の中で取り上げられておりまして、そういうものにつきましては時間を置いて検討していく必要があるだろうということで、この段階ではまだ具体的なものとしては提示してございません。  以上でございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 それでは、いま御答弁がございましたけれども、その中で確かに教育の問題が重点的に述べられていると思うわけであります。家庭、そして学校、そして社会ということで分けて触れられているわけでありますけれども、学校の問題は後ほど文部省にお尋ねをするといたしまして、社会環境の中での問題であります。  ちなみに、たとえばマスコミの皆さんに御協力をいただく、このことも実は私、大変大切なことだと思っております。最近の子供たちの実態を見てみますと、結局子供たちの楽しいときは、彼らの答えによれば、四八%がテレビを見ているとき、こういう答えが返ってくるわけであります。最近のテレビ番組を決して無鉄砲に批判するわけではありませんけれども、一例として刑事ものだとか警察もの、そういうふうなものを見ておりますと、たとえばアメリカのドラマですと、FBIですとかなんとかそういうのが犯人を逮捕するときにめったやたらと銃を発砲して殺してしまうという、そういうきわめて残酷なといいますか、それは正義的な行為として表現されているわけでありますが、そういうのが非常に安易に出てくる。日本の警察ものというのはなかなかそういう雰囲気は本当はなかったのですけれども、また現実にあり得ないことですけれども、しかし、最近はその日本の警察もの自身が、警察を扱ったドラマ等が余り外国ものと変わりなくなってきた、そういう傾向をふと感じたわけであります。  あくまでも一例にしかすぎませんけれども、先般私の子供が通っている学校のその子供のクラスで、自殺だとか殺人だとかどう思うかというアンケートをとりましたら、まだ小学校四年生の子供たちは、こわいとか、または、それでお父さんやお母さんに仕返しをしてやろうと思ってやるんだろうけれども、それでは解決しないとか、なかなか正常な感覚を持っているわけです。そのような子供たちがどうして命を粗末にするのか。その子供たちのいま申し上げたアンケートの中に、せっかくもらった命をどうして捨てなければいけないかとか、または人を傷つけるということは非常に悪いとか、一人残らず答える。その子供たちの中からどうしてああいう事件が出てくるのか。いろんな理由があるでしょう。あるでしょうけれども、結局一つの社会風潮というものが子供たちに与える影響というのは大きいと思います。たとえばドラマもあります。または先般のレールの上での置き石事故、先ほど御質問の中で出てきたあれは同じ枚方市の事件でございましたけれども、それを見て、その新聞報道やテレビのニュースを見てまねをする子供が出てくるとか、ですから事件報道そのものも連鎖反応を誘因する一つの原因になったりする、自殺等も大変そのことが大きいと思います。  そういうことを考えますと、やはりマスコミ関係の皆さんへの御協力をお願いするということはかなり大きな要素といいますか、効果を上げる要素になるんではないか、このように思うわけでありますが、そのようなことについてはいかがお考えでございましょうか。

阿部宏彌青少年対策本部参事官

○阿部説明員 マスコミが少年に与えますいろいろな影響につきましては、大変困難な問題が含まれていると存じますけれども、現在、いわゆる健全な育成を図るという観点からの大きな問題といたしまして、マスコミ等を中心といたしました少年に与える環境の浄化ということを一つの大きな柱にして推進しておるところでございまして、マスコミに対するアプローチの仕方は大変慎重に対処していかなければならないと存じておりますが、現在総理府といたしまして進めておりますのは、まず関係業界の自主規制を促進するという方法でございまして、これにつきましては、毎年マスコミ関係者の方々にお集まりいただきまして、各都道府県から育成関係に携わっておられる方々を一堂に会しまして懇談会を実は開催いたしております。その懇談会の席上で、具体的なテレビ番組とかあるいは出版物なども含まれますけれども、問題を指摘いたしまして自主改善というものをお願いする、そういう場を設定いたしております。  そのほか、不良図書の関係でございますけれども、地域住民の方々によります地域活動を促進するような方策を講じるということ、それから各都道府県で青少年の保護育成に関する条例が制定されてございますけれども、その中で、そういった不良図書なりあるいは興業、映画等でございますが、そういったものに対する規制条項が実はございまして、それの運用を図って適正を期するような施策を進めていくというような形で総理府といたしましては対策を講じておる状況でございます。  なお、先ほどの自殺防止に関する提言の中でも、やはりマスコミ特に報道関係につきまして、自殺問題が安易に取り上げられますと、先生御指摘のように連鎖反応的に起こるということを特に指摘いたしております。  以上でございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 続きまして社会の責任に関する問題ですが、一つは、今度は前向きの問題として、たとえば先般も取り上げましたけれども、法務省の方でやっておりますBBS活動、ビッグ・ブラザー・アンド・シスター活動ですか、これは非行青少年を対象にした、いわゆる友達として指導していく役割りを果たしているわけでありますけれども、最近、野球ですとか柔道、剣道等々、町の中で子供たちを集めて指導してくださるボランティアといいますか、無料で好意でやってくださる大人がたくさんふえてきたという現象はあると思うのです。大変いいことだと思うのですが、そういう一種のソシアルアンクルの制度、そういう方々にある意味では実費補償ですとか、またはもし必要といいますか、よいことであれば何らかの指導員的な資格を与えるというふうなことや、それからまた、そういう活動をよりしやすくするようにするための有給休暇制度というふうなものも、たとえば最近の仕事の量と雇用の問題から、むしろ有給休暇制度等は前向きに考えた方が——仕事の分配その他から考えていろいろ提案されているわけですが、そういう現在の活動の一助にもなるかと思いますし、また、青少年団体の育成という面からも大変大きな効果を発揮するのではないかというような気がするわけであります。  このようなことを積極的に検討されて、そして実施していくということが必要ではないか、このように思うわけでありりますけれども、これはいろんな省庁にまたがるであろうと思いますので、あえて総理府の方にお聞きをしたいと思うわけであります。

阿部宏彌青少年対策本部参事官

○阿部説明員 青少年の健全育成を図るという観点から、先ほど先生から御指摘がございましたソシアルアンクルという問題も、実は私どもの方で議論いたしまして、昨年の十一月でございますけれども、全国一斉に健全育成の強調月間というものを実施いたしました。その際に、そういったいわゆるボランティアの方でソシアルアンクル的な活動をしていただく人の制度的な問題とか具体的な活動内容というものを各種青少年関係団体の人たちと議論をいたしまして、そういうものを積極的に進めようということで現在取り組んでおるところでございます。  ただ、先ほど先生がおっしゃいました有給休暇の問題とか報酬等の問題、あるいは活動の中で生じてくるいろいろな事故の問題もあろうかと思います。そういったものをやはり総合的に検討して対処していかなければいけませんので、その辺につきましてはなおこれから検討してまいりたいというふうに考えております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 いまちょうど御答弁の中で出てまいりましたね。そういう活動をしているときに事故が起こったりしたときというのは、本当は、いませっかく好意でやってくださっている人たちにとっては一番の頭痛の種といいますか心配の種なんですね。ですから、そういうものの裏づけを制度的にしてあげるということが大事だと思うわけです。そしてまた、そういう活動をしやすい環境をつくることの方が、たとえばいま話題になっている家庭の日なんかをやるよりよっぽど有意義だ、このように思うわけですが、あわせましてもう一言だけお答えいただければと思います。

阿部宏彌青少年対策本部参事官

○阿部説明員 先ほどの事故の点でございますけれども、現実にそういう事故も二、三生じておりまして、具体的な問題として現在議論しているところでございますが、ボランティアということでございますので、その身分的な保障をいたしますと、ボランティア的な性格が薄れていくという問題もございまして、大変むずかしい問題でございますので、なおその辺につきましては引き続き検討していきたいというふうに考えております。  それから、ボランティア活動を中心といたしました人たちの諸活動を積極的に推進していくということは、先ほどの非行防止なり自殺防止を図る観点からも大変重要でございますので、総理府自体の事業といたしましても、そういった側面での事業は積極的に推進いたしておるものでございますし、これからも続けてまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 どうもありがとうございました。結構でございます。  大臣がお戻りでございますから、文部省関係のことをお聞きしたいと思います。  最初に、少々とっぴなことおお聞きするようですが、これは事前にお尋ねすることを申し上げておりませんので、大臣の直感的なお答えで結構でございます。  最近、国際情勢がいろいろ変動する中で、いわゆる国家意識、言いかえれば愛国心とでもいうことになるのでしょうか、たとえば防衛の問題、外交の問題を考えるときにも、やはり日本人であることの誇りというふうな精神的なものが大変重要ですし、それが基盤になければ何ともならぬわけでありますが、先般こういう投書が新聞に出ておりました。これは以前にも実は問題になったことでありますけれども、沖縄で起こった事件で、成人式を迎えた自衛官が成人式に行ったところ、君らは入ってもらっては困ると言って一部の青年たちに押し返された。その自衛官たちにとってどんなに残念であったことだろうかと思うわけであります。  また、これは一つのアンケートですけれども、十三カ国価値観調査というのがこの前新聞に出ておりましたが、これを見ましても、日本人の場合には、国について考えたことがないというのは六二%以上いるということですし、他の国の人たちは、たとえばアメリカのようにいろいろな人種の人たちが集まってできた国家でも、国家に対して関心を持っているというのは五〇%もいるわけですね。しかしながら、日本人の場合には、関心を持っていると答えた人は四・六%と、大変残念な結果が出ているわけですけれども、これはやはり教育の問題になってくるだろうと思うのですが、このような現在の風潮に対していかがお考えでございましょうか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 大切な問題ですが、同時にむずかしい御質問だと思います。私たちの学校教育におきましても、国を愛するということは非常に大切なこととしてカリキュラムの中にも入れまして教えておるわけでございます。     〔川崎主査代理退席、保岡主査代理着席〕 先ほどもいろいろな例を持ってお話しになりましたが、国を愛するということは、これは調査でいろいろ出ているようでございますけれども、むしろ外の国へ行くなりあるいは外からの人に接しますと、かえって自分のところの国というものの意識が出てまいるという面は、私は確かにあろうと思います。ただ、日本の場合、そういう接触がわりあい少ないということもあろうかと思いますが、何と申しましても国を愛するということはやはり大切なこととして幼いときから教えていかなければならないことだ、こういうふうに考えております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 幼いときからの、たとえば親子愛とか隣人愛とか、そのことが広がって社会、国家、そして国際人としての自覚、このようなものを持つと思うわけです。そういう意味では、まず、教育の出発点というよりも教育の基盤は家庭にあるということは申し上げるまでもないと思いますし、その相手は、最近の核家族の実態を考え合わせますときに、極論すればやはり親しかいないと言うことができるだろうと思います。そういう意味で私は、家庭教育というのは大変重視しなければならないと思うわけでございます。両親教育の機会については、先般総括質問でお尋ねをして、厚生大臣の方から前向きに検討したいということでございましたので、ここでは省かせていただきますが、一つだけこの機会にお聞きしておきたいと思います。  先ほど来総理府の方へもお尋ねをしたわけでありますが、自殺にしろ非行にしろ、親と子の触れ合いが欠けておるところに一番大きな原因があるということが言えると思うのです。社会教育局の方でそういうことにお気づきになられたというか着目をされて、たとえばいま審議中のこの予算についての当初の文部省からの要求で、親と子の触れ合い活動促進事業ということで一億二百万円の要求を出しておられましたが、残念ながら大蔵省の方でゼロ査定。時間の都合でこちらから申し上げますが、全国の市町村単位に一年間に約百組、二百人を抽出して、単価三十万程度のものですが、指導者とか会場費等に充てる、こういうことのようですけれども、私は大変残念だと思うのです。確かに、このような促進事業をやっても、これに参加できるのはゆとりのある親だけかもしれません。しかし、出発点として、また考え方としてこういうものが夢として広がっていく、そこから教育の基本が始まっていくのではないかと思うわけでありますが、このことについて文部省としてどのようにお考えか。また、主計官もお立ち会いだと思います。どのようにお考えであったか、あわせてお聞かせいただければと思います。

望月哲太郎文部省社会教育局長

○望月(哲)政府委員 親と子の触れ合い活動促進事業の趣旨は、先生も御指摘のように親と子の触れ合いを通して家庭教育の充実を図るために、親と子がともに野外活動、文化活動、勤労体験活動等の活動に参加する機会を提供しようとするものでございまして、昭和五十五年度の新規事業としてこの種事業に対する国庫補助を予算要求をいたしましたけれども、このたびは残念ながら実現に至らなかったのは御指摘のとおりでございます。  ただ、文部省といたしましては、このような事業の普及を図ることは非常に大切なことだと思いますので、こういう事業の普及を図り、またその効果を的確に把握するということも念頭に置きながら、当面は、従前から国庫補助事業として行っておりますところのPTA地域活動や家庭教育学級においてこの種の事業が積極的に実施されるように指導いたしまして、できるだけ先生御指摘のような趣旨というものが社会教育の事業の中に生かされるようにしてまいりたいと思います。と同時に、地方公共団体が少年自然の家等の施設利用活動声、の他青少年のための社会教育活動において、この趣旨に沿った事業を実施するように協力を求めてまいりたいと思っておりまして、残念ながら予算の方は実現いたしませんでしたが、五十五年度、この秘の事業あるいは先生御指摘のような考え方というものができるだけ社会教育の事業の中で広く生かされるような努力をまず文部省としては十分してまいりたい、このように考えておる次第でございます。

新藤恒男大蔵省主計局主計官

○新藤説明員 五十五年度の予算の要求の中で、親と子の触れ合い活動促進事業ということで御指摘のとおり一億二百万円の要求がございました。御承知のとおり、五十五年度予算につきましては、大変厳しい財政状況の中で、国債を減らしてまで財政再建の第一歩を踏み出したということでございました。一方、交付税とか国債費とか当然増が相当ございまして、ほとんど新規に向けられるような財源がなかったという環境でございました。こういう厳しい財政状況の中でこの問題につきましていろいろ議論をしたわけでございますが、こういう厳しい財政事情の中で国が補助金を出して行うべきか否か、いろいろ議論をした結果、いろいろ問題点があるということで最終的には計上しなかったということでございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 予算は実現できなかったけれども、この趣旨を体して、文部省としてはあらゆる工夫をこらしてやっていきたいということでございますから、そこに期待をしたいと思いますが、しかし、財政再建の問題はよく承知をいたしております。私ども、行政改革等熱心に進めていきたいと念じておりますが、政治は選択でございます。この一億二百万、それだけを捻出するために、そしてこれがいかなる触媒になってどういう発展をするかわからない。私、一つの大きな夢だと思うのです。そういうきっかけのものが、すんなりいくかどうか知りませんが、削られていくという、大変残念でなりません。  こういう趣旨を、局長お答えのように何としても生かしてやっていただきたいと思いますし、同時にまた、そういうところに参加できる人よりも、本当はやはり仕事を持っておったりしてなかなか参加できない人たちのためにいかにあるべきかということを真剣に考えるというのが本来の仕事でございましょう。さすれば、先ほどのいわゆる社会活動としての有給休暇の提案を申し上げましたけれども、むしろ私は文部省から積極的に——最近の学校の事情等考えますときに、父兄参観といいますとなかなか会社を休んでまでは行けないとうい声がPTAの方からは出てくる。そうすると結局日曜日にという話が出てくる。日曜日ということになりますと、今度は先生方から日曜日出勤反対という声が出てくる。押し問答ですね。そういうときに、むしろそれこそ、もう一度申し上げますが、家庭の日を設けるよりもそのような学校と家庭とのコミュニケーションを図るための有給休暇的なものに文部省から提案して持っていった方がよほど意味がある、このように思うわけであります。これは大臣、いかがでございますか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 親と子の触れ合いが大切であるということは私もそのとおり賛成しておりますし、また、そういうことの実現をできるだけしたいと考えております。ただ、御指摘のように具体的に有給休暇の議論ということになりますと大変及ぼすところも大きいことでございまして、それだから教育的な見地からそれはよろしいというふうにすぐにはちょっと言いかねる問題であろうかと考えております。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 話を次に進めますが、幼保の一元化について、先般のこれまた総括質問以来の話をちょっと進めたいと思います。  そのときに申し上げましたので前置きはできるだけ省略をしたいと思いますが、昭和五十七年度から四、五歳児の全入制度というものが発足をするわけですね。しかしながら、私は幼保一元化というものが実現しなければその四、五歳児の全入というのは実が上がらないのではないかという気がしているわけです。  これは話が飛躍し過ぎるかもしれませんけれども、全入制度というのは大変すばらしいと思うのでぜひともそれを実現したいわけです。しかし、もちろん市町村によっては幼稚園がないところもあります。また、私立幼稚園だけのところもあります。そしてそういうところにはほとんど逆に保育所があるケースがあります。私の地元にもそういうケースが実際にあります。しかし私は、四、五歳児については幼稚園に全入とする。しかし、その中にも保育に欠ける子供さんがいらっしゃると思います。幼稚園の時間が終わって家に帰ってもだれもいない。それは小学校や中学校のようにかぎっこ子対策ということで扱うのではわびし過ぎます。幼稚園の時間が終わりましたら、そこで保育所としての役割りを持たせることができないのか。もう一つ、そして三歳児まではむしろはっきりと保育に欠ける子供を中心にして、厚生省管轄なら管轄で結構です、保育所にお預かりいただくというふうに整理ができないか。  また、そういうふうにいたしますと四、五歳児の全入というのは可能になってまいります。幼稚園に入れて、たとえば保育に欠ける子の場合に、幼稚園に行かしたのでは、幼稚園の時間が終わってから後が困るということになりますと保育所ということになるでしょう。それもその全入のうちに扱うのでしょうか、こういう問題が起こってくると思いますが、むしろ私はこの四、五歳児の全入、これは実は私がいま申し上げているような趣旨ではないのだ、希望者は全部入ってもらえるようにするのだということであるかもしれませんけれども、この際、思い切ってその可能性を広げるためにこういう制度の改革も含めて検討ができないものでしょうか。  そして、私はそのことが、たとえば幼稚園の時間が終わった後のその施設を活用できるわけですから幼稚園サイドも喜んでもらえるはずです。保育所もはっきりと役割りが残るわけですから決してクレームはつけられないだろうと思います。また、そういう施設をつくるのに四苦八苦している自治体も、せっかくある施設を有効に活用できるのですから、それは一つの行政改革といいますか、財政改革の役割りも果たすことができると思います。まして、自分たちは帰りが遅くなるからということで、幼稚園に行かせたいけれども子供を保育所に預けている人たちも、幼稚園と名のついたところに安心して子供たちを通わせることができる、親も喜ぶはずです。  こう考えますときに、このような幼保の一元化というものについて前向きに、しかも早急に御検討をなさるべきかと思いますが、いかがでございましょうか。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 この問題は大変むずかしい課題なんですけれども、まず幼稚園と保育所の機能といいますか、働きをどう理解するかということが一つあると思うのですね。幼稚園は幼児に対してやはり教育をするのだ、保育所は保育に欠ける子供の保育を担当する。そういたしますと、いま先生がおっしゃった、たとえば三歳の幼児を幼稚園と言わずに保育所で預かる、三歳までは、という御趣旨であろうかと思います。一つの提案だと思うのですけれども、ただ、これは私は幼稚園の関係の方にお聞きしますと、三歳児に対する幼稚園教育というのは、非常にやはり子供の発達段階からしてむずかしい。  そこで、いまの幼稚園の保育要領では、一日の幼稚園の教育時間というのは御承知のように四時間と決めておるわけですが、これは小学校の低学年も大体毎日の授業時間は四時間でございますね。これはやはり子供の教育を受ける負担とかそういうものを考えますと、密度の濃い教育をしようと思えば限度だというのですね、それが知的教育でなくても、情操教育であっても、徳育であっても。そう考えますと、保育所というのは、しかしその機能が親の保育に欠けるという状況に対応して保育時間が長かったりなんかするわけですから、これはやはりちょっと教育的に見てそう言えるかな、失礼ですけれどもちょっとそういう感じはするわけです。  ただ、それでは四歳、五歳となった場合に、おっしゃるように幼稚園と保育所が地域的に偏在しているという実態がありますから、だれもが同じように幼稚園を希望し、あるいは保育所を希望したらそれぞれ行けるかというと、必ずしもそうでもないという実態もございます。そこで、その辺になるとどういうふうな機能の補完的な作用が可能かということになりますと、これはおっしゃるように、確かに午前中四時間なら四町同、幼稚園として幼児教育を受ける、しかし、そのまますぐうちへ帰っても両親もいないというような子供さんについては、引き続きその幼稚園が、あるいは幼稚園に隣接する施設が保育所としての機能を発揮して保育を担当する、こういうことを現実に各地域の実情等に応じてやっているところもぼつぼつあるわけですね。私は、これは一つの方法だと思っておるわけです。思っておりますけれども、いま申しましたような幼稚園教育というものと保育所の機能というものを考えますと、これは原則的に幼保一緒なんだ、それが一元化だというわけには、いまちょっとまだいかないではなかろうかというふうに思うわけであります。  これらの問題も含めて、御承知のようにいま厚生省から御推薦いただいた方とわれわれが推薦した方で幼保懇談会というのをやっておりますので、その御検討の結果等を見ながらひとつ考えてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 それも先般の総州竹岡で五十二年から検討されているということでしたね。いつまでかかるのですかね。いまおっしゃったようにいろいろ問題点はあると思います。しかし、私は弾力的な運用をするとか、たとえば三歳児についてのいまおっしゃった問題等については、経過措置または試行期間等設けて弾力的に措置することもできるでしょうし、そしてまた四、五歳児についての役割りのあり方等についての検討の仕方もあると思います。しかし、むしろこれはそのネックには、保育は厚生省で、そして幼稚園は文部省というそこの分担がまず一つの問題になっているのではないですか。管轄が一つであれば、むしろ現在の幼稚園の教育時間が過ぎたら後は保育時間だ、その部分について文部省がめんどうを見たって別に構わないわけですよ。実際にそういうかぎっ子対策その他具体的な幾つかの事例を文部省自身が担当してやっているわけでしょう。いろいろな方法があるはずなんですね。もっと施設の有効利用だとか、そしてまた父兄が保育所だったら通わせられるけれども、幼稚園は通わせられないという実際の家庭状況というものはたくさんあるわけですよ。そういうものを解決するためにお役所のその縦割りの部分というものの壁を取り除く、そのことを前向きにむしろ御検討になられたらいかがですか。先般質問しているときにも、結局分捕り合戦だみたいな話になってくる。なわ張り意識だという声が出てくる。これは国民がみんなが持っている気持ちではないでしょうか。大臣、いかがでございますか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 先ほどの中野先生の一つの、四、五歳は幼稚園を中心にしてどうかというようなお考え方、これは幼保の一元化なり幼保問題を議論いたしますときに、提案の一つとしてそういうタイプの主張がやはりあることは事実だと思います。ただ、この問題、私も実はいろいろ保育所の諸君からの話も聞いたりいろいろやってまいっておるのですが、まだ本当によくつかめません。正直なところその結論がよく出ておりません。いま懇談会も決して怠けておられるわけではないんで、問題を十分つかまえて議論脅していただいて、そしていまのところはどうも幼保一元化という形よりも、幼保が並立しつつ、その間の調整点は何かという問題も含めて議論をしていただいておるようでございます。これは私は確かに両方の役所の持っております本来の性格が違いますので、片一方は教育論理で行きますし、片一方はそういうものではない考え方でございますと、どうしてもどっかにぶつかり合う点があると思います。ただ、先般のお話がございましたように両方で取り合っているというようなそういう感じではなしに、もっといまの家庭の非常な変化だとか、それからいろいろな社会の子供たちの環境が変わってきておることを前提にしながら、この問題はどうしていくかということは、これはまじめに考えていくべきことでございますし、私は両方の省もその問題等を除いてそれは考えていっていい問題だと思います。  ただ、正直なところ、ずいぶんいろいろ議論がありますけれども、まだなかなか、大体ここだなというものがつかめません。もう少し勉強さしていただきたいと思います。ただ、中野先生のおっしゃっているようなことが、ずっとこの議論をいたします際に一つのタイプと言うと大変失礼でございますが、そういう一つの分類の意見があることは、これはずっと議論してまいりますと出てまいります。もう少し勉強さしていただかないとこの問題はなかなか出ないというのが偽らざる気持ちでございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 実はこの話を幾つかの自治体で話をしました。そうすると、それぞれの自治体の地方の教育委員会の方は、いやあ、ぜひ進めてほしいんだと口をそろえておっしゃられました。何人かのお母さん方に話をしました。やはり進めてほしいという声が大変強く出てきました。現在の社会情勢、そして自治体の行政整理の問題または財政対策の問題もあると思いますが、私はぜひ真剣に、かつ前向きに御検討いただきたいと思います。  きょう厚生省からもお越しいただいていると思いますが、申しわけありません、時間の都合でいまの意見を申し上げたことをお聞きとりいただいたわけでございますので、ひとつ厚生省もあわせまして御検討を前向きにお願いしたいと思います。  それでは次に、この新聞のタイトルで申し上げて恐縮ですが、先般新聞を読んでおりますと、谷垣文部大臣が英才教育の体系づくりということで御発言をなさったのかどうか、これははっきりしないのですけれども、新聞報道によれば、近々事務当局に指示する、こういうことになっているわけでございます。  英才教育という言葉にはいろいろと批判もあることは御存じでございます。決して私はその言葉をとらまえて云々しようとは思いません。むしろ子供たちの能力と個性を伸ばすための教育のあり方について、単に学習指導要領をこういうふうにしました、ゆとりある教育をこうしましたということだけではなくて、もっと前向きに検討する必要があると思いますから、これは大変前向きの意味で興味深く実はこの記事を拝見をしたわけであります。このたび「あやめ二号」も失敗をいたしました。こういうものをむしろこれからは失敗しないで、大いに成功させるような人材を育ててもらわないと実は困るわけであります。また、日本は人的資源で成り立っている国だと言っても言い過ぎではないと思います。そういう意味で私は大変興味深く、大臣がこういうおつもりであるんだという報道を読んだわけでありますが、この辺のいきさつと真意はいかがでございましょうか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 英才とは何だということが第一わからないのですけれども、英才教育という言葉はどうも非常に魅力的な印象を与えるようでございます。しかし、私はそういう問題につきまして、文部省のそれぞれの諸君にその検討を命じたこともございませんが、まずそれよりも先にやらなければならぬ問題は、考えてみますと、現在の義務教育の段階等におきます今度の指導要領等で出ておりますような、子供たちの能力を育てていくというところに主眼を置いた問題をとらまえていく必要があるのじゃないか、こういうことに尽きてくるような気がいたします。そのためにこそ、余裕のある、ゆとりのあることも必要であれば、それから評価の仕方につきましてももう少し点数にこだわらないものをつかまえていかなければいかぬということにもなりますし、あるいは今度は指導要領等で、高校の指導要領等にははっきりと習熟度別のクラスを考えろというようなことを言っておりますが、これは一面、確かに出おくれた、ある科目等、特定な科目についていけないような諸君についていけるようにさせるという面がございますが、同時に、やはりその能力に応じたものをある程度考えていかなければいかぬということも含まれておると私は思います。そういうような問題をまずやってみる必要がある。その後でどういうものが出てくるのか、いろいろあろうと思いますけれども、何か英才教育の場合に特別の能力のある人をどこかに予定して、それをずんずん伸ばしていったらいいというふうに簡単に思うこと自体に、むしろ大きな問題点があるのではないか。果たしてそういうものがつくるべくしてつくられていくものなのかという問題もあろうかと思います。  戦前でも確かに通常の義務教育の課程を小学校であれば五年でも上に上がっていいとか、旧制の中学で四年終了すれば上の高等学校に入っていいとかいうような制度はあったと思いますし、それはそれなりに一つの効果を出しておるかと思いますけれども、それが当初予定されたような英才教育——果たして当時、英才教育と宿ったかどうか疑問でありますが、そういうものが生まれてきたのかということについては疑問があると私は思います。それよりも教育の機会を広く開いて、そしていろいろな条件に制約をされないで、それぞれの子供たちが勉強していき、そしてずっと伸びていく、その間に自由な学問の進展のできるようなそういう担い手をつくっていくということをまずやらなければならない、やっているうちにまたもっといいものが出てきて——あるいはいろいろなことがあるかもしれません。しかし、その段階で脱線して、この間新聞に出ているような精液銀行のようなわけにはいかないでしょうから、やはりじみちではあるけれども、一人一人の能力を見つけ出していくというその工夫を積み重ねていくべきではないか。そのことが十分できていないのに、片一方何かどこかにいい道があるように思ってしまってやることは、ある段階に来たらまた考えられるかもしれませんが、いまはじみちに各人の能力、子供たちの能力を伸ばしていく、途中で枯れさせないでそういうことをやっていくのが筋なんじゃないかという感じを私は持っておるわけであります。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 大臣のただいまおっしゃったそのことは私も全く同感です。それが正しいと思うのです。それをどうするか、どうしてそれをやるかが問題なんです。たとえばゆとりある教育と言ってやりました。やったけれども結局それは——こういう言い方は学校の先生方全般の問題ではありませんから、全体的な先生方に対する評価だと思われると大変申しわけないですけれども、たとえばそのことが、学校の先生方に単に楽をさせる、または子供の単なる遊び時間をふやすことだけだったとしたら何にもなりません。現実に文部大臣の選挙区またはお隣の選挙区が一番子供たちの塾通いが多いという実態調査も私は見たことがあります。これは大臣の責任というのではありませんよ、別の方の政治家の責任かもしれませんけれども。  ですからこれは、ゆとりある教育だって結局うっかり間違ったやり方、またそのやり方が合っていても、父兄のまたは社会の理解なりコンセンサスが得られていなければ弊害を生むわけです。ですから、これから出発しようとしている四十人学級も結構です。これも一つの方法でしょう。そしてまた学校の先生方のより一層の資質を高めていく、これも必要でしょう。しかし、学校の制度そのものも現在の六・三・三・四制の問題も含めましてもっと前向きに具体的に検討をして、その中でたとえばバイパスづくりだとか、この道を選んでみたけれども失敗だった、自分の能力はもっと別にあったのではないかというときにはその道が選べるような学制というものも必要でしょうし、いろいろな工夫が本当はなされなければならないのではないのか。結局児童権利宣言にも表現されているように、子供の力と才能が人類のためにささげられる、その子供にとってもそのことが幸せだ、そういう教育体制というものが当然必要だと思うのであります。  時間がありませんから、その学制のあり方、そして子供たちの能力、才能を伸ばすためにいろいろな工夫がなされなければならぬと思いますし、それがまた日本が繁栄し生き伸びていく最大の道だと私は思いますが、具体的に何かお考えはございましょうか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 一番初めにお話がございましたが、日本で一番大切なのは、人的資源という表現は非常に物的な感じを与えてまずいのですが、ここで生まれた子供たちから始まって、ここに住んでいる方々の能力を十分に生かしていくということ、これは科学の問題でもあるいは社会科学のような文化の問題にいたしましてもそういうことだと思います。そして世界的に伸びていく開かれたものでなければならぬと私は思うのですが、そういう人たちがなければ日本の将来は立っていけないと私は思うのです。しかし、それは同時に、自分自身を見詰め直すということだと思うのです。世界に開かれた行動もできるしつき合いもできるという人間形成の根本には、自分自身がどういうものであるかということがなければできないと私は思います。それを言葉をかえて言えば、国を愛するという気持ちという表現でもいけると思うのですが、私はそういうものだと思います。  それではいま具体的にどうかと言われて考えてみますと、やはりまだこれが十分な効果を持つかどうかはこれからやってみなければいけませんけれども、指導要領の改定をやろうとしてこの四月からやるわけですから、こういうものが本来、最初予定しましたような目的が達成されるような、そういうじみちな努力をやはりやっていくということ、何でもないようですが、足元から一つ一つ積み重ねていくことが大切なのだ、私はこういうふうに思っておるわけでございます。

中野寛成民社党・国民連合

○中野(寛)分科員 時間が来ましたから終わりますが、教育というのは、大臣の御答弁のように、どうしても抽象論的な、また精神論的なものが多くなりがちでございます。しかし、政治家です。具体的に政策として何かをやらなければなりません。指導要領の改定も大切です。しかし、そのことだけにとどまらず、むしろそれから卒業して、もっと重大な問題をわれわれは欠かしていないか、真剣に検討する必要があると思います。  それ以外に、学校開放や四十人学級の具体的な進め方、就学奨励金のこと等々、幾つか質問の通告をいたしておりましたけれども、時間が参りましたので終わります。後ほど具体的に御担当の方からお聞きをしたいと思います。ありがとうございました。

保岡興治自由民主党・自由国民会議

○保岡主査代理 中野寛成君の質疑は終わりました。  次に、岡田利春君。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 私は、医科大学関係について若干質問をいたしたい、かように思います。  まず初めに、最近の、昨年のデータでも結構でありますけれども、医科大学を卒業して、そして医師の国家試験を受けた者の合格率というものは一体どういう傾向になっているか。同時にまた、国家試験に合格した医師は、義務的ではありませんけれども、二年間の研修期間というものが設けられているわけですね。したがって、この二年間の研修を受けられるのは合格者のうち一体何%程度なのか、この傾向は最近はどうなっているでしょうか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 医師の国家試験の合格率でございますが、最近五十一年、五十二年、五十三年の春の状況で申し上げますと、五十一年の四月が八〇・四%、五十二年の四月が七七・四%、五十三年の四月が八一・二先というような状況で、おおむね八〇%程度で推移をいたしております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 このうち、義務規定ではないですけれども、研修医として残られる医師は何彩ぐらいですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 御指摘のように、医師は医師法の十六条の二によりまして、免許を受けました後に、二年以上大学の附属病院等で臨床研修を行うように努めるものとされているわけでございます。  合格した者のどのくらいのパーセントが研修医として現に研修を行っているかという数字を手元に持っておりませんけれども、相当な高率で研修を受けているものと考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 この医員研修医の二年を経て、また医員として残る人も非常に多きに上っておるわけですね。したがって、国立大学でも結構でございますから、医員研修医は予算も組哀れておりますからわかると思いますけれども、現在どのくらいの人員になっておるのか。また医員として残られておる人員はどの程度になっておりますか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 いわゆる研修医として現在私どもが予算上手当てをいたしております者の数が三千二百三十六、それから医員として手当てをしておりますのが三千五百二十七でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 この場合に資格の問題でありますけれども、研修医の場合には国家公務員の非常勤扱いと承っておりますし、また同様に、医員の場合にも非常勤扱いと承っておりますが、それに間違いありませんか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 御指摘のように、非常勤の国家公務員として位置づけております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 そうすると、この方々の社会保険の関係はどうなりますか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 健康保険に加入をしておるわけでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 それは国民健康保険、国民年金、こういう意味ですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 国民健康保険ではなくて、政府管掌の健康保険に加入しているわけでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 年金は。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 年金は厚生年金でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 そうしますと、研修医、医員の待遇条件というのは、私の方から申し上げますと、研修医の場合には一日四千二百五十四円、医員の場合には五千二百九十二円、以上の点で予算上は一人三百円ですね。これは間違いありませんか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 御指摘のとおりでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 国立病院の厚生省所管の医員研修医の場合には一日八千三百五十円、一人一カ月二十五日として予算が組まれている、こう承知しておりますけれども、間違いございませんか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 御指摘のとおり、厚生省の場合には五十四年度で八千三百五十円の単価になっております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 私立大学の場合はどうなっていますか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 それぞれの大学で決めておって、統一をされた態様ではないと承知をしております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 予算上、私立大学向けの補助金の中で、研修医の補助金は一人当たり大体どのぐらい組まれておりますか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 文部省の私立大学の経常費補助金の中には、病院の本務教員の場合には算定いたしておりますけれども、非常勤の研修医まではわが方の経常費補助金の対象になっていないと私は承知をいたしております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 私の聞いた範囲では、一人九十五万ないし九十六万支給されておる、こう承知しておりますけれども、間違いないですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 大変恐縮でございますが、私の方ではその実態をつまびらかにいたしておりません。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 いまの中で、大体常識的に十二カ月、それにボーナスが五カ月、そういう計算で見ますと、医員研修医の場合には一カ月当たり七万五千円平均になるわけですね。医員の場合には九万三千三百八十円ということになるわけですね。国立病院の場合は二十万八千七百五十円になるわけですね。私大の場合には、もし九十五、六万の補助金が出されておるとすれば大体八万円ぐらいになるのですか、これは十二カ月ですね。いずれにしても、国立大学それから国立病院の場合、同じ医員研修医でありながらこのような格差がどうして生まれるのでしょうか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 国立大学の付属病院の場合にいま御指摘のような予算上の措置を講じてきている、それに対して厚生省の側の状況が異なっておるというのは御指摘のとおりでございます。やはりこれは、それぞれの付属病院なりあるいは国立病院で研修医を受け入れ、あるいは医員を受け入れている、その経緯によるものであろうと思います。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 義務規定でありませんけれども、医員研修医の場合は期間が一応二年間ですね。二年過ぎると医員になるわけですね。国立病院の場合には研修医であって二十万八千七百五十円になるわけですね。そして国立大の医員の場合、これはボーナスも入れて同じく計算すると十三万二千三百円になるわけですね。ですから、国立病院の医員研修医と国立医科大学の医員とさらに差があるわけですね。これはどういうことでしょうか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 先ほど、答弁を間違っておりました。大変申しわけないと思いますが、先ほど御指摘があり、また私からお答えをいたしました八千三百五十円という単価は、研修医の指導者に対する給与の日額でございます。いわゆる研修医に対する給与の日額単価は、わが方の場合も厚生省の場合も四千二百五十四円ということで、同じ単価になっております。大変失礼しました。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 学校を卒業して国家試験を受けてほとんどの人が研修医としてそれぞれの学校の病院に残る。さらに二年を終わって、さらにまたあと大体四年ぐらい、通算して六年ぐらい、基礎、臨床いずれの場合も残る人が圧倒的に多いという状況にあることは間違いありませんか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 基礎の場合には、研修医の段階を必ずしも通らないで大学院に進学する者が若干おりますけれども、全体としては、圧倒的に研修医として大学の付属病院なりあるいは他の研修指定病院において勉強するという実態があることは御指摘のとおりだと思います。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 そうしますと、この研修医及び医員の待遇、この手当といいますか、日額の賃金、給与になるわけでしょう。この算定根拠というのはどういう根拠に基づいているのでしょうか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 医療職の四等級二号俸の俸給の日額を基礎としているものでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 この給与水準は、われわれは、六年間の大学卒業で国家試験に合格して、もちろん研修期間、それから医員、それぞれ別でありますけれども、余りにも低過ぎるのじゃないかと思う。特に医員の場合、五カ月間のボーナスとして計算すると九万三千三百八十円です。二年間終えて医員になって、四年でも五年でも、その間五カ月間のボーナスと見て、諸手当はつかないわけですから、九万三千三百八十円ぽっきりということになるわけですね。これは余りにも低過ぎるのじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょう。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 四等級二号俸はいわゆる研修医である医員の場合の日額の単価の基礎になっているわけでございますが、医員の場合には四等級六号俸の職員俸給を基礎としているわけでございます。  いずれにしましても、御指摘のような御批判があり得るとは思いますけれども、これについては従来からこのような積算で推移をしてきている経緯があるわけでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 この研修医の場合あるいはまた医員の場合であっても、特に医員の場合は相当の仕事量をこなしているわけですね、大学病院で。そういう実態に私もたびたび触れるわけであります。そういう面から見て、いま少しこれを改善すべきだ、こういう意見を持っておるわけです。年額にしますと、医員の場合には百五十八万七千六百円でしょう。医員研修医の場合には百二十七万六千二百円でしょう。年額にすると、三百日ですから。大臣、これは低過ぎると思いませんか。いかがですか。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 これはいままでいろいろな経緯があったのだと思います。大変古い話で恐縮でございますけれども、いまの研修医制度のできる以前は、大学の医局には大学を出た諸君が無料でずいぶんおったという経緯があって、その後研修医制度というものをやりましていまのような非常勤の形のあれをやってきた、こういう経緯があるわけでございます。その経緯によるからそれでいいかどうかという問題とは別でございますが、そういう経緯があった、こういうことでございます。  また、研修医の場合には、単なる労務提供をしておるとかいうこととは別に、研修のための期間という意味がございます。したがいまして、それは単に医療行為を手伝っておるというだけで済まない、むしろそういう研修病院あるいは大学病院等においては研修医として教育をしなければならぬというそういう立場にあるわけでございますので、少しほかのものとは比較が違うのではないかというふうに感じます。医員の問題につきましては、ちょっとまた話は研修医とは別になると思いますけれども、そういうふうに感じます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 もちろん、前の制度はインターン制度があって、二年間というのは無給だったわけですね。そうして初めて国家試験が受けられる。今日では六年間の教育を受けて国家試験に合格をした後、研修医あるいはまた医員として勤務するわけです。いずれにしても、研修医が四千二百五十四円の日額で、医員の場合は五千二百九十二円の日額である。総額は先ほど申し上げたとおりですね。国立病院の場合には、先ほど申し上げたように、これは指導員という場合であっても八千三百五十円だ。そう考えると、やはりこの点についてある程度是正すべきじゃないかと私は思うのですね。  いずれにしても、時間がございませんから、問題点として提起をして、これは本当に妥当なのかどうか、ぜひひとつ検討してもらいたい、こう申し上げておきたいと思うのです。いかがですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 確かに、医員等の役割りの重要性から見て待遇改善が必要であるということは私たちも十分に認識をいたしております。ただ何分にも、医員等の中には自己研修のために週五日勤務の者もございますし、また、週六日勤務をいたします者でも勤務の態様が必ずしも一定をいたしておりません。したがって、勤務の実態等について十分な調査、分析を行った上で、その結果に応じて処遇の改善は考えていかなければなりませんし、また、厚生省所管の国立病院に勤務する臨床研修医の手当と、先ほど答弁を間違って恐縮でございましたが、国立大学の場合にも同一の取り扱いをしてきているということもございますので、厚生省の取り扱いとわが方の取り扱いとを異なるようなものにするわけにもまいりません。十分にそういった点を踏まえて検討してまいりたいと思います。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 いずれにしても、大学生のアルバイトと最近の賃金水準はそう変わらないと私は思うのです。ぜひひとつ検討してもらいたいと思うのです。  そこで、たとえば大学の医員としておられて、医者はなかなか地方にはおりませんから、特に町村関係というのは、最近発表になりましたようにもう非常に低いわけですね。都市に医師が集中しているわけですね。したがって、派遣方をやはり大学の教室にお願いをするというのが大体一般通例のように行われているわけです。そして二年なら二年町立病院などに派遣してくれる、二年たったらまた新しい人を派遣してもらう、こういうような方向でそれぞれの町村では四苦八苦しながら教室の先生にお願いしながら医師の派遣を願って確保している、こういう実態については御承知ですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 いわゆる非常動の勤務の態様を持っております医員が外部の病院に応援に行くということはあり得ることでございますし、また、医員としての仕事に差し支えのない限りにおいては、そのことはあって差し支えないことだと思います。ただ、常勤の助手等が他の病院に出るということにつきましては、これは兼職の問題がございますので、兼職の基準に合った形でその許可を受けて出ていってもらわなければ困るということでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 それでもなおかつ、地方の病院はそれぞれの大学の教室から医師の派遣をしてもらうことに四苦八苦しておるわけです。したがって、自治体が研究費を大学の教室に出す、そういう中で医員を派遣してもらう、こういうようなことがあることを御承知ですか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 自治体なりあるいはその他のいわゆる外部から大学に対して寄付が行われることはもちろんあるわけでございますが、それは厳格に委任経理の所定の手続に従って受領をし、経理をするということでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 医員の派遣を条件にして寄付行為というものはあり得ますか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 私どもはそういうことはあってはならないし、ないと考えておりますけれども、私が実態を詳細に調査をして承知をしているわけではございませんので、あるいはそういうことがもしあれば、そのような事態は直ちに是正をされてしかるべきだと思います。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 医師の場合は学閥主義というのが非常に強いことは公然たる天下周知の事実ですね。そういうような関係で医師を派遣してもらう、そのために大変な苦労を実はいたしておるわけです。これはとめられると大変なことになるわけです。恐らく、地方の病院で医師の確保ができなくて大変な状態になるだろうと思うのです。私がここで一般論として問題を提起をしておるというのはそういう事由によるわけです。ですから、具体的にこうこうこういう事実があるということは、きょう質問でも差し控えたいと思っておるわけであります。そういう意味で、医師の確保の問題でそういうような大変な状況にあって、いわゆる大学病院がまた果たさなければならない任務の中に、それぞれの地方の情勢では、そういう教室の教授から医員を派遣してもらうということでなければ医者が確保できないのだ、そういう実態が相当数あるということについてはぜひ認識しておいてほしい、こう思うのですね。そういう上に立ってこれからいろんな点についてひとつ御検討願いたいと思うわけです。  先般厚生省から発表になったものでも、十大都市には大体人口十万人当たり百七十八・二人の医師がいるのに対して、他の市では百二十八・四人、町村では六十九・九人なんですね。この事実を見てもやはり大学病院に頼らなければならない。大学病院は、無医大県解消計画を進めた趣旨に基づいて、地域の医療のセンターであると同時に、あるいはまた、一面においては医療水準を引き上げていく、こういう任務を持って無医大県解消計画を進めておるわけでありますから、当然そういう点にもこたえなければならないという面があるのだ。そうであるならば、そういう点について、医員及び研修医の待遇改善を含めてもう一度やはり実情について文部省はぴしっと把握し、認識しておく必要があるのではないか、こう思うのですが、いかがでしょう。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 先ほど御指摘のありました医員研修医等の勤務の実態については、私どもも先ほどお答えをいたしましたように調査を進めなければならないと考えております。  なお、医師数なりあるいは無医地区の現況等につきましては、厚生省の方での御調査等について私どももそれを承知をいたしておりますし、御指摘のように、全国的に見れば医師の地域的な偏在の状況が現時点においてはかなりあるということは理解をいたしております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 北海道に北大を含めて三つの医科大学があるわけでありますけれども、昨年の五十四年度の卒業生の四月と九月、春、夏の合格率を調べてみますと、大体合格しなかったのが北大では一三%、公立医大では八%、旭川医大では四%、こういう数字が出ているわけですね。そういう意味で実は非常に注目される数字でもあるわけであります。そして、やはりいずれの場合を調べても、基礎、臨床とも大体六年間研修医、そしてまた医員として相当教、ほとんど残っている。残る人も多い。特に札幌、医大などはほとんど一〇〇%近くそういう形で残る、就職したのはわずか九名である、こういう数字が実は出ておるわけであります。そういう意味で考えますと、無医大県解消計画の第一号である旭川の成績は、この結果を見ますと非常にいいということになるわけですね。ところで、その後、沖縄の医科大学の設置、昨年設置法で決まったわけでありますけれども、無医大県解消計画の進捗状態というものは、当初計画に比べて一体どういう進捗率になっているのでしょうか。

佐野文一郎文部省大学局長

○佐野政府委員 四十八年以来無医大州の解消計画を進めてまいったわけでございます。御指摘の琉球大学医学部の設置をもちまして一応十六の国立医科大学ないし医学部を設置をいたしまして無医大県は解消をしたことになるわけでございます。しかし、現在まで卒業生を出したのは、ことしの三月に送り出すことになる三校を含めて六校でございます。他の大学はいずれも病院の創設等大きな課題を抱えてなお整備の途上にあるということでございます。  なお、これまでの無医大県解消計画の進行に伴いまして琉大医学部が学生を受け入れる昭和五十六年度には、国公私立大学の医学科等の入学定員は八千三百六十人と相なります。昭和四十七年度に人口十万人当たり百二十七・七人でございました医師数につきましても、昭和六十年を待たないで人口十万人当たり百五十人という四十五年当時に掲げられた目標を達成することができる見込みとなっております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 私は、昨年の予算委員会で内藤文部大臣に、無医大県解消計画の目指す趣旨というものは医師の養成であり、そして地域の医療センターとしての役割りを大学病院が果たす、同時にまたその地域の医療水準の向上に役立てる、三つの目的を持ってこの計画が進められてきた、だがしかし、日本列島、特に都道府県関係を見ますと、北海道の場合には非常に面積が広大であるし、そういう意味で、東北海道というのは北海道の面積の約四割である、同時にまた面積は関東七県よりも広い、また、人口的に言うと、東北海道の百十万人以下の県は十五県も存在している、こういう中で考えます場合に、北海道が一つの県としてみなされるということであっては問題があるではないかということを指摘をし、いま日本全国最低の医療水準は沖縄県でありますから、この沖縄県にほぼ近いような低医療水準の地帯が北海道の四割を占める東北海道であるということを具体的に説明を申し上げたわけです。  もちろん、医師の養成が多過ぎるという意見も医師会から出ていることは私は承知をいたしておるわけであります。だがしかし、わが国が無資源国であって、これから資源を安定的に確保し、国際的な経済協力を進め、南北の関係を人的にもあれしていくという場合に、世界史的な経験から言っても医療の充実、援助あるいは養成、こういうことが非常に重要であったということは証明されているのではないか。国内的な視野よりも、もう少しインターナショナル的な視野に立ってこの問題を考える場合に、無医大県解消計画では、まだそういう意味での真の無医大県の地域が残っているではないかということを実は文部大臣に申し上げたわけです。  しかし、財政上の問題もありますし、そういう意味では医師の養成の問題もあるから、今後ひとつそれらの計画の推移を十分勘案しながら検討したいというお話もいただいたわけですが、この点については特に北海道からも強い要望がなされておると思うわけですが、いわば無医大県解消計画の最終的な終了という点について考慮できないものかどうか、きょう重ねて文部大臣から見解を承っておきたいと思うのです。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 御指摘のように、地域的にまだ医師が足りないという状況があることは事実であろうと思います。したがいまして、いま岡田委員の御意見にございますように、北海道のような広いところではまだ足りないじゃないかという御意見が出てくることだと思いますが、先ほど来お話がありますように、全体的に見ますと医師不足の状況はすでに解消されて、いま充足の段階へ入ってきておる、こういうふうに言えるかと思います。また、先ほど御意見の中にもございましたように、北海道におきましてはすでに三つの医科大学が動いておるという事情もございますし、一応無医大県そのものはこれで解消したという段階へ入ってきておると思います。  今後、いま申しましたような、医師が充足しておるのにかかわらず、地域的な不十分、アンバランスをどうするかという問題は確かにあると思いますし、いまの岡田先生の御意見も、その意味におきましては十分私たちは頭の中に入れて考えなければならないと思いますけれども、全体的に見ますとそういう状況になっておるということでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)分科員 この問題は、全国的な状況から考えて、地域の住民がいわば割り切れない問題だということについては御理解が願えるだろうと思うのです。そういう点で、財政問題いろいろありますけれども、今後の一つの研究課題として十分御検討をお願いしたいということを申し上げて、終わります。

保岡興治自由民主党・自由国民会議

○保岡主査代理 岡田利春君の質疑は終わりました。  次に、山田英介君。

山田英介公明党・国民会議

○山田(英)分科員 公明党・国民会議所属の山田英介でございます。  きょうは、谷垣大臣を初め政府委員の皆さん、関係者の皆さんも、午前中からだと存じますが、長時間にわたり本当に御苦労さまでございます。三十分ほど質疑をさせていただきますが、よろしくお願いいたします。  私は最初に、青少年の健全な育成ということに関して幾つかお尋ね脅してみたいと思うわけでございますが、御存じのとおり、最近小中学生による犯罪が激増しておりまして、新聞、テレビ等の報道に触れるたびに、同世代の子供を持つ親にとっては他人事ではなく、不安をぬぐい去ることができないという状況がございます。  たとえば、少年による殺人事件について見ますと、ここ十年間に十二件発生し、そのうち最近の五カ年で九件、この十カ月足らずの間に小学生による殺人事件が五件も集中をしておるという事実があるわけでございます。  そこで、小中学生といえば社会の成員としての人格形成の最も大切な時期でございますし、協調性とか責任感が培われる時期でもございます。したがって、彼らのための健全な環境づくりがきわめて重要であると私は思うわけでございます。ところが現実には、一方で夫婦共働き、また核家族化の進行などがございます。家庭での子供に対する養育機能が著しく低下をしております。他方では、学校での受験競争、詰め込み教育で落ちこぼれ児童、学校ぎらい、登校拒否等が増加する、こういうような中で、子供を取り巻く環境は理想とはほど遠いものになっておるわけでございます。  そこで、青少年犯罪の激増も、一つにはこうした環境に起因するのではないかと私は思うわけでございますが、この際、谷垣大臣の御所見をぜひお伺いをしてみたいと思うわけでございます。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 いま委員がお述べになりましたようなところが、やはりこういう状況を起こしておる原因だろうと思います。世の中が急激に変化をいたしまして、そのために家庭も核家族というようなことで言われておりますように非常に変わってまいりました。また、子供自体の出生率が急激に少なくなっておりますから、このことは逆に言いますと、家庭の中における兄弟というような形が前のようなわけにいかない、あるいは外へ出ましても、子供の社会というものが昔のようなわけにはできていない、そういう基本的な変化が出てきておると思います。そういう大きな変化に対して、どういうふうに子供たちを中心にいたしました環境を整備していくかということになって、その問題に非常に苦労をしておるというのが現状だろうと思います。  やはり子供の問題でございますので、学校教育だけで律するわけにはとてもまいりません。家庭というものが非常に大切な役割りをいたすと思います。家庭が共かせぎであるからといって学校教育に依存をするという形に、これはやむを得ずなると思いますけれども、しかし、家庭の両親その他が、家庭教育というものの立場をすべて学校の教育に依存するということには無理がある。やはり家庭教育、それから、もちろん学校教育も大切でございますし、あるいは学校から出ていった後の子供たちの世界、あるいは社会教育と申しますか、そういうものも非常に重要な問題がある。そういうことはそれぞれの立場の者が相連携をしながらやっていかなければならぬだろう、こういうふうに私は考えておるわけであります。

山田英介公明党・国民会議

○山田(英)分科員 先日、中学二年生の子供たちが線路に石を置きまして、そうするとどうなるかという、その結果の恐ろしさも知らずに石を置いて京阪電車を脱線をさせるという事件が起こりました。連鎖反応的な事件の続発を私も心配をしていたのでございますが、そのやさき、昨日は、小学校一年、二年、三年生と幼稚園児の四人の子供が、小田急電車に置き石をして補導されたということが報道されております。子供たちは、「校内で友達が線路に石を置くと電車が脱線するという話をしていたのを思い出し、おもしろ半分にやった」こう言っているそうでございますけれども、まことに不幸な事件でございます。線路上の置き石というこれらの事件に対して、たとえば文部省としては具体的にどういう対応をなさっているのかということを伺っておきたいのです。  あわせまして、小中学生に対する文部省としての安全指導というのを現在どのように行っていらっしゃるのか、お伺いをしておきたいと思います。

諸澤正道文部省初等中等教育局長

○諸澤政府委員 この置き石の問題を広くとらえれば、小中学校の子供の非行防止なり補導の問題になるわけでございますが、先般の大阪の事件は、その結果として非常に多数の重軽傷者を出したという非常に大きな事件でございますから、そこでわれわれとしましては、この事件を取り上げまして、小中学校の子供に対する交通妨害の事件ということで、そういうことが今般起こり、そしてそれが非常に大きな惨事になったということを知らせ、今後の指導を十分にしてほしいという意味の通達を局長名で各都道府県の教育委員会に出したわけでございます。  具体的な中身としましては、学校におけるそういった面についての指導を一層徹底してもらいますとともに、この問題は、学校外における子供の交友関係とか、どういうところで遊ぶかとかいう、そういう学校外生活の把握というものがありますから、その点についての留意と、なお子供と親との関係、そういう面での監督といいますか、そういう面を一層適切にしてもらうようにひとつ学校からも連絡してくれというようなものが中身でございまして、これにつきましては、国鉄なりあるいは運輸省等の御希望等もございましたので、そういう措置をしたわけでございます。  それから、一般的にこういう交通問題あるいは安全の問題についてどういう指導をしているかということでございますが、交通安全につきましては、もちろん今日の社会生活において、この問題を抜きにして子供といえども考えられない。そういう意味で、子供自身の交通安全についての知識なり態度を養うということを主眼として、体育の教科とかあるいは特別活動の時間に指導しておるわけですが、それは何も本人自身の問題だけではなしに、社会生活をしていく上に、人々の生命についても、交通問題からこれを大事に考えるという、その精神を養わなければいかぬというような趣旨でやっていただいておるわけでありまして、具体的には、小中学校ともいろいろな指導資料などを使って、あるいは文部省から資料をつくって学校あるいは教育委員会に配るというようなことをやっておるわけでございますが、不幸にして今回のような事件が起こりましたので、一層そういう趣旨の徹底を図るように努めてまいりたいと思うわけであります。

山田英介公明党・国民会議

○山田(英)分科員 体育とか特別の教科等を設けて、そこを通して安全指導等に配慮しているという御答弁だったかと思うわけでございますが、私は、文部省さんが出された「小学校 安全指導の手びき」というのを読ませていただいたわけでございます。  これは私の所感ということになるかもしれませんけれども、この「総説」のところでこうあるわけです。「児童が事故の原因をよく理解し、日常生活の中にひそむ危険をわきまえて、正しい判断のもとに、これに適切に対処したり、さらに事故や災害が起こった際にも適切な行動がとれるような能力を身につけさせる必要がある。また、さらに進んで他の人々の安全に役だつ態度や能力を養うことがたいせつである。」こういうことで、「安全指導の意義」というところで述べられているわけでございます。  私はもうそのとおりだと思います。しかし、やはりこの「手びき」の中に「学級指導における安全指導の目標内容(参考例)」というところがございますが、これを見てみますと、「生活安全」「交通安全」という両方の項目ともに言われておりますことは、自己の安全の確保ということでございまして、それと表裏一体の関係にあります他人の安全確保に対する配慮ということについての指導には全く触れられていないように私は思うわけでございます。先ほどの御答弁を伺ってみましても、事件が起きてから通達とか通知とかという形で対処していらっしゃるようでございますけれども、私はこういう言い方は余り好きじゃないのでございますが、どうしても事件が起きてからそれに対して追っかけて対処する、こういう後手後手になっているのではないかという危惧を持つわけでございます。  大事なことは、常に他人の安全確保に対する配慮という趣旨の指導というものを徹底をすることに努めなければならないのだろうというふうに私は思うわけでございます。その意味で、この「安全指導の手びき」の内容は実際的には片手落ちなのではないだろうかと率直に私は感じました。自分が加害者になった場合の恐ろしさの認識とか責任とか、それから人命のとうとさというようなことこそ、私は、具体的にかつ継続的に指導をなさらなければならないと思うわけでございます。この点、谷垣大臣、どのようにお考えになられますか。  またあわせて、簡単で結構でございますが、今日、青少年犯罪が激増しております。具体的にどのような対策を大臣は講ぜられようとなさるのか、その辺についてお伺いをしておきたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 先般の京阪電車の脱線事故の問題と、いま委員がお読みになりました小学校の安全の手びきの問題とは、確かに御指摘のとおり少し違っておると思います。元来、安全の手びきの場合は、自分たちが日常の交通その他、通学その他の場合における自分を守るということを中心に書いておりますので、そういうことがあったと思います。  しかし、確かに御指摘のように、ああいう事件が起きてまいります状況を考えれば、加害者の意識があったかなかったか、そこが大切な問題でありまして、思いがけない大きなことが起きるという、交通の場合においてこういうことがあるんだということ、これは単に交通だけじゃございませんけれども、そういう教え方をやはりしなければならぬと思います。  ただ、手びきはちょっと目的が違ったものですから、御指摘のようなところで不十分な点があったと思いますが、それはそういうふうに考えていかなければならぬと思います。  あと、いわゆるいろいろな子供たちの非行の問題等に対しましてどういうふうにするかということ、これは結局は非常に抽象的になりますけれども、教育の現場において先生と子供たちとの密接な関係、これがやはり非賞に大切なことだと思います。非行の起きてきますこと、あるいは非行は本当に大変なことだよということの意味、たとえばいろいろ大麻を吸ったり何かするような問題だとか、かりそめにそういうことをやっても非常に大きな結果をもたらすのだというようなことの教えをせなければならぬと思います。

山田英介公明党・国民会議

○山田(英)分科員 ぜひひとつ大臣、ただいまの御答弁の趣旨を文部行政等に反映されるように取り組んでいただきたいとお願い申し上げます。子供の教育と言った場合には、大臣のお話にもございましたように、学校教育、家庭教育が大事でございます。それに加えて社会教育もきわめて重要な一つであると認識しているわけでございます。  そこで、社会教育法の第二条に「「社会教育」とは、学校教育法に基き、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーションの活動を含む。)をいう。」とございまして、第三条、第四条では御案内のとおり「国及び地方公共団体の任務」そして「国の地方公共団体に対する援助」が定められておるわけでございます。特に中学生以下のいわゆる少年に対して行われる組織的な教育活動というのは、現在具体的にどういうものがあるのか。それから、この法律の適用対象となる体育、レクリエーションの活動を含む少年に対する組織的な教育活動というのは、取り上げる基準があるのかと思いますけれども、その辺はどうなっておるのか、お伺いをしておきたいと思うのです。

望月哲太郎文部省社会教育局長

○望月(哲)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の社会教育法の第二条の問題でございますが、社会教育自体が、一応基本的には自発的な学習者の意欲を吸収するという形で、主として集団的な形での学習会、さらに最近はいろいろ進んでまいりまして、個人的な学習活動も盛んになってきております。そういう基本的な事柄でございますので、特に文部省としてかくかくしかじかのパターンで青少年教育を、たとえば全国の都道府県あるいは市町村でしろというような体制で事を進めておるわけではございません。そのことは基本的にお含みおきをいただきたいと思います。  ただ、私どもといたしましては、たとえば一つは、青少年のためのいろいろな子供会、あるいはボーイスカウト等の青少年団体活動のいろいろな事業というものをやりやすくするために国庫補助を行ったり、あるいはそういう団体にできるだけ多くの人がその趣旨を理解して加入するような社会的雰囲気をつくるというようなことをやっております。それからいま一つは、少年自然の家というふうな青少年のための教育施設をつくりまして、その中で子供たちが自然と親しみながら、先ほど来お話しのございましたように、きわめてきょうだいの少なくなった核家族の中で、しかも都会の中で生きている子供たちができるだけ仲間と一緒に生活して、仲間同士はだとはだとを触れ合いながら人間的な信頼感をつくっていく、あるいは協調関係をつくっていくような教育をするという場をできるだけ整備していきたい。  それから市町村あるいは都道府県が中心になって、それぞれの地域で社会奉仕のような具体的な活動に青少年をできるだけ参加させることによって地域連帯感を育てたり、あるいは奉仕の精神、協調の精神を育てる、そういうふうな事業等につきまして文部省としても補助をいたしております。そのほか、それぞれの都道府県、市町村で、地域の実態に即しましていろいろな事業もしていただいているわけでございます。  なお、私どもといたしましては、戦後しばらくの間は、社会教育というのは、むしろ義務教育の学校を終わった青少年を対象にして展開されていたというのが実態でございますけれども、御承知のように高等学校に九十何%、大学にも四〇%くらい行く時代になりましたので、これからはむしろもう一遍社会教育という網を少年にまで広げまして、少年のときからそういう活動に参加させていくということについて、いろいろ今後なお意欲的に私どもとしては検討すべき課題がたくさんあるというふうに理解しておるわけでございますが、いまやっておりますことと申しますとそういうふうなことでございます。  なお、体育、レクリエーションにつきましては、一つは社会教育のボーイスカウトとか子供会等でもキャンプをやったりハイキングをやったりいたします。そういう意味では、そういうところにもそういうものが入っておりますが、同時に体育だけを目的とするスポーツ少年団であるとか、そういう活発なスポーツをやっておる少年のための団体等もございまして、それらはそれらなりにいろいろと事業を企画しながら各地域で活動されておるというのが実態でございます。

山田英介公明党・国民会議

○山田(英)分科員 環境づくりとか協調、奉仕の精神などを培うという方向で援助しているという趣旨のお答えもあったようでございます。またスポーツ少年団、私がちょっと伺いたいと思っていたことがはからずも御答弁の中に出てきたわけでございますが、これは谷垣大臣もぜひ心におとどめおきをいただきたい問題でございます。  最近、各地域で、小中学生を中心とした少年野球などのチームが非常にたくさんできておるわけであります。大人の監督のもとで、日曜日などは非常に元気に練習等に励んでおる。私、いろいろ調べてみますと、野球というスポーツを通しまして、子供たちは他人との協調とか協力ということの大切なことを学び、またたくましくなっていく。さらには礼儀正しさを身につけ、両親を初め、近所の大人たちと顔を合わせても元気にあいさつができるようになったなどなど、非行とか自殺、暴力とか、そういう心配は全く考えられないという実態がございます。野球を初め剣道とかサッカーなど、全国的に相当の人数の子供たちがスポーツに親しんでいるということが考えられるわけですが、現在国はこのスポーツ少年団、こういう少年のスポーツに対しては全く関与してないのではないかというふうに私は認識しているわけでございます。  文部大臣にお伺いしてみたいことの一つは、少年の健全な育成のための諸施策の中で、少年野球などに見られる少年とスポーツという関係をどう位置づけていかれるのか、簡単に御所見をお伺いしたい。  それから一つの事例を申し上げますが、昭和五十一年の夏、三重県下において、子供会のハイキング中に児童が水死した事件で、引率者のボランティアの指導者が過失致死罪に問われて、昨年の十二月六日に津簡易裁判所におきまして有罪判決が言い渡されたわけでございます。大臣も御存じのことだと思います。この種の事故でボランティアの指導者の刑事責任を認めた全国で初めての判決でございまして、私としても非常に関心を持たざるを得なかったわけでございますが、問題は、この判決によりまして、単に子供会だけでなくて、青少年育成のボランティア活動全般にわたり種々の形で影響が出てくるだろうというふうに指摘されていたわけでございます。しかるべき成果を上げ、地域社会に定着しているそのような種類のボランティア活動が、この津簡易裁判所の有罪判決によりまして萎縮してしまうことを私は大変心配をしておる一人なのでございます。この判決と、それからボランティア活動に対する影響、これもまとめて簡単に大臣の御答弁をいただきたいと思うのでございます。  そこで申し上げたいことは、現在任意の団体で、先ほど御答弁にありましたスポーツ少年団という全国的な広がりを持つ組織があるわけでございます。都道府県ごとに支部が置かれ、さきに述べました少年野球チームとかサッカーチームなどが加入をしておりまして、全国では数百万人規模というふうに言われておるわけでございます。私の地元埼玉県におきましても、約四万人の子供たちがこのスポーツ少年団に入ってスポーツにいそしんでおる。ほとんど九〇%以上が小学生でございます。  子供たちがスポーツを通して健やかに成長している姿の一例は、先ほど私申し上げたとおりでございますが、この子供たちを指導している大人がまさにボランティアでございまして、全国で数万人に及ぶだろうというふうに私は承知をいたしておりますが、実は大人の指導者たちが津簡易裁判所の判決に接して非常に大きな不安を抱いているわけでございます。すなわち、スポーツの練習とか試合などチームの運営を通して万が一事故が起きた場合、一つは刑事責任を問われ得るという不安でございます。もう一つは、金銭的、経済的に賠償を求められた場合に、それに全く個人的にこたえなければならず、事故の種類によっては経済的に壊滅的な打撃を受けざるを得ない、こういう大きな二つの不安が急速に高まってきております。これは事実でございます。  事実、子供の事故に対する補償のために土地や建物などを処分したという車例も私承知しておるわけでございますが、多くの子供たちの健全な育成を願って善意と奉仕の精神を持って、その意味では多大な貢献をしている。青少年の非行とか暴力とかそういう社会的背景のもとで多大な貢献をしているこれらの指導者に対して、万が一の事故が起こったときに、少なくとも経済的な面で何らかの救済措置を講じてあげられないものだろうかと私は思っておるわけでございます。安心して子供たちの指導に当たれる環境を整備することは、文部省としても、青少年の健全な育成策の一環として真剣にぜひ取り組むべきではないかと私は考える次第でございます。  少なくとも、スポーツ少年団に対する実情の調査を早急に一度やっていただくことが私は必要だろうと思っておるわけでございます。それに、調査の価値のある実態がそこに必ず発見されるのではないかと、私はある意味では確信を持つに至っておるわけでございますが、幾つかに分かれましたけれども、ひとつ大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

谷垣專一自由民主党・自由国民会議文部大臣

○谷垣国務大臣 御指摘のとおりに、青少年活動、ことに小学校の諸君にいたしましても、スポーツ少年団あるいはスポーツを通じましての社会教育は非常に有効だと思います。先生御指摘のとおり、私たちも地域に帰りますと、実際そういう運動も手がけてきておるわけでございまして、その有効なことは私たちも重々よく承知をいたしております。ただ、これを文部省が果たしてどういうふうなつかみ方をしているかというのは、ちょっと局長の方から答えさせていただきたい、私まだよくつまびらかにはいたしておりませんが、その効果のほどは私たちもよく体験しておりますので、よく承知しております。  それからボランティア活動の場合、先ほど三重の例で申されました、大変残念な痛ましいことだと思います。これの刑事責任の問題と経済的な負担の問題とは若干分けて考えておく必要があるのじゃないかと思います。経済的な負担に関しましては、そういう青少年団体あるいは子供会と申しますか、そういう団体の職員にそういう場合の事故保険をかけさせるような指導をいたすべきだと思いますし、文部省としてはそういう指導を若干いたしておるわけでございます。もう一つの刑事責任の問題はなかなかむずかしい問題だと思います。ボランティアで好意であることはよくわかりますが、指導方法その他におきます責任の分野の認定に恐らくなってきていると思います。これはボランティアであるという善意のほかに、現実にその指導の上に誤りがなかったかどうかというような問題がやはり重要になると思います。ですから、これはボランティアが指導いたします際に、やはり指導のやり方についての周密な注意がどうしても要求されるということになる、それをどうしていくかというところに問題があるのだろう、こういうふうにいま思っております。  局長にスポーツ団体のことをちょっと。

望月哲太郎文部省社会教育局長

○望月(哲)政府委員 スポーツ少年団は体育局の所管でございますので、私も非常に細かいことまで存じ上げておりませんが、文部省ということよりも、体協その他体育団体との御縁もいろいろあるんじゃないかと思いますので、そういうところを通していろいろまた指導なり協力なりされていると思いますが、いま先生おっしゃったように、一遍その実態というものをよく調査しろという御意見につきましては、所管の局の方に十分伝えておきたいと思います。

山田英介公明党・国民会議

○山田(英)分科員 時間が参りました。最後に、大臣のいまの御答弁にまさにございました、事故保険をかけるようにと指導なされているということですが、問題点だけ簡単に申し上げて終わりたいと思うのです。  子供たちは年間三百円の保険をかけて、それでスポーツ少年団に入っているわけです。ところが、実際に死亡事故とか大変な事故が起きた場合に二百万か三百万しか傷害保険で補償されないものですから、たとえばその親から賠償請求された何千万という額との差額を、最終的に大人のボランティアの指導者が負担せざるを得ないのじゃないか、こういう不安があるわけでございます。その意味でございますが、ひとつ実態をよくごらんいただきまして、御調査いただきまして、大変な規模の人たちがこの種の活動等に従事しているわけでありますので、温かい政治の配慮というものをこの際ぜひとも重ねて要望して、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

保岡興治自由民主党・自由国民会議

○保岡主査代理 これにて山田英介君の質疑は終わりました。  次回は、明五日午前十時より開会し、文部省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時三十八分散会

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