予算委員会第四分科会 第3号
- 発言数
- 456 件
- 登壇者
- 44 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/03/06
会議録
○始関主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。 昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算中農林水産省所管について質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横路孝弘君。
○横路分科員 毎年、予算の分科会でサケ・マスの増殖の問題について農林省の応援演説をやっておるわけですけれども、きょうも、新しい五カ年計画ができたようでございますので、その内容について若干お尋ねをいたしたいと思います。 その前に、日ソのサケ・マス漁業交渉が始まるわけで、ことしは大変厳しいとも言われておりますが、どんな見通しなのか、段取りはどんなぐあいになっておりますか。
○武藤国務大臣 先日ソ連の方へ正式に在モスクワ大使館を通じまして交渉の申し入れをいたしました。それは三月中旬ごろをめどに、東京またはお互いに合意できる場所でサケ・マス交渉の会談をしたい、こういうことで申し入れをしたわけでございますが、いまのところまだ返事は来ておりません。
○横路分科員 あれは二月の十日前後でしたか、イズベスチヤに日ソのサケ・マス漁業交渉絡みの発言が、例のアフガン侵攻に対する日本の態度と絡んであったようですけれども、交渉前に余りいろいろ聞くのも問題があると思うのですが、ソ連側の態度をどういうぐあいに見ておいでになるのか。いろいろな考え方があって、日本の政府並びに国民のかなり強いいわば対ソ感情というものを逆に考えて、わりとうまくいくのじゃないかという話もあるし、どうも大分牽制をかけてきている様子から見て厳しいことになりそうだという見方もありますが、その辺のところを農林水産省としてはどんなぐあいに見ておられるか。今後の見通しはどうですか。
○武藤国務大臣 私ども昨年の十二月の日ソ漁業委員会のときにおきましては、向こうからはマスはことしは不漁の年であるとか、サケ・マスの資源は非常に悪い状態になっておるとかいろいろ言われておりまして、向こうの姿勢としては非常にそういう点においては厳しいものがある、こう受けとめておるわけでございます。しかし、また逆に言いますと、あれはこの二月でございましたか、日本側がいままで漁具、漁網の損害に対しては補償してほしい、こう言っておったのに対して、わずか四万八千円でございますけれども初めて補償するという意思表示がなされてきた。そういう点から見てこれはまたどういうことなのか。イズベスチヤの論文も新聞に出ておりましたけれども、私どもあれは必ずしも正式の政府の考え方とは受けとめていないわけでございますけれども、いずれにしてもそういうことで、どうもいま先生御指摘のとおりで、なかなか私ども向こうの考え方がつかみ切れていない、こういうのが現状でございます。 いずれにしても、われわれはいままでと同じような考え方で、この北洋漁業のサケ・マス交渉につきましては、伝統的な漁業でございますからひとつ何としても維持拡大、拡大までいかないとは思いますけれども、維持だけはぜひ図っていきたい、こういう姿勢で対処してまいりたいと考えております。
○横路分科員 早期解決を目指して、かつ毅然として交渉を行ってもらいたいというふうに思います。 五十五年度予算なのですが、サケ・マスの増殖関係、大体この予算の概略はどの程度のものなのか。それからこれによって将来回遊してきて捕獲できる費用対効果といいますか、どのくらいの効果というものを見込まれるか。先の予測はなかなかむずかしいということになれば、過去のたとえば五十三年度捕獲実績、その前の、四年前ですか五年前ですか、その予算という形でお答えいただければありがたいと思います。
○今村政府委員 サケ・マスの関連予算は、五十五年度の要求額で三十五億八千六百万円でございます。ちなみに、五十四年度予算は三十二億四千五百万円でございます。 それから投資効果と回収率といいますか、そういう関係はどうなっているかということでございますが、私の方で一応道庁等に聞きましていろいろと検討いたしましたところでは、仮に五十四年の水揚げ金額を見てみますと、北海道で四百二十億、本州で九十億でございますから、合わせて五百十億円でございます。この捕獲したサケが四年前に放流したサケであると仮定をいたしますと、五十年の当時の予算額は九億三千万円でございます。
○横路分科員 私、毎回指摘しているのですが、国の事業としては大変投資効果のある事業なわけですね。そのことを前提にして少し議論を進めていきたいと思いますが、これから資源を拡大するためには幾つかの要素があるだろうと思うのですね。回帰率も大変いままで努力して向上してきましたが、最近はやや横ばいで、特に北海道あたりはもうこれ以上ちょっと望めないのではないかという議論も技術的にあるようです。しかし、回帰率を向上するということが一つですね。それから放流量を増加していくということ、あるいはまだ利用してない未利用河川を活用するということですね。そしてそれに即応した施設や技術者などの人員の体制を整えていくということが必要だろうと思うのです。大体前期、後期、いままで立ててきた計画は、放流数から言うと大体目的達成というように考えていいのじゃないかと思いますが、いま私が指摘した個別の点について少し議論したいと思うのです。 この回帰率なのですが、上げるのはなかなかむずかしいと言われていますが、少し地域差がありますね。北海道と本州ではかなり回帰率の差があるわけです。そうすると、いままで低い生産地域を増大していくということは、全体的に高めていく、資源を増大していくということになるわけなので、いろいろな資料を見ていると本州の方は北海道に比べて相当低いようなのですが、これはどういうことなのか。北海道が四十六年-四十八年平均で大体二・二五ですか、それに対して本州が〇・八五ぐらいということですね。この辺はどこに問題があるのでしょう。また、この問題を解決していくためにどういうことをお考えになっているか。
○今村政府委員 御指摘のように、回帰率は北海道と内地とでは相当違いがございます。北海道は御指摘のように二・二%からあるいは二・五%というふうにだんだん向上してきておりますが、本州の方の回帰率は必ずしもそうでございませんで、四十六年-四十八年ぐらいで見ますと〇・八%から〇・八六%とだんだん向上はしてきておるわけですが、北海道との間では相当差がありますし、また本州の回帰率は必ずしも安定したものとなっていないのでございます。 その原因は何だということでございますが、一つは、やはり放流技術の差でありましょうし、河川等の自然条件が相当違うのではないか。それからもう一つは、魚群の回遊経路等そういうところが違うのではないかと思いますが、自然的条件によって制約されるところは別といたしまして、私どもとしましては北海道と本州とにおきます技術の差というところは、これは詰めていかなければなりませんし、また詰める可能性のある点であろうと思いますので、そういう点については今後鋭意努力をいたしたいと思っておるわけでございます。
○横路分科員 回帰率も、新しい数字はいつのが出ていますか。私の手元の資料では四十八年が二・〇二というのが一番新しいのですが、これは北海道の方も大分差があるようですね。一番いいのは二・五ぐらいから、その次の年になると四十七年が二・五で、四十八年が二・〇ぐらいですね。これはばらつきの原因は何ですか。
○今村政府委員 回帰率を見ますと、オホーツク海が非常によろしゅうございまして、続いて襟裳以東根室、それから襟裳以西、それから日本海というかっこうになるわけでございますが、その地域別に差があるのは、一つは施設内容の優劣、それから整備の状況、それから自然条件の相違、それから地場放流をしておるのか移殖放流をしておるのかということの別、あるいは技術水準の相違、国営であるか民営であるかということもございましょうが、そういう四点の程度が回帰率の差として出てきておるのではないかと見ておる次第でございます。
○横路分科員 技術差、本州及び北海道の差ということになりますと、これは皆さんの方の政策で高めることができる。つまり人員の養成をきちっと行って技術者を配置をしていくということが必要だろうと思うのです。 それからもう一つは、最近少し行われているようですが、たとえば北海道から本州に移殖する、五十四年度も七千六百万粒ぐらいですか、やっておるようですね。たとえばこれを拡大をしていくとかという具体的な方策によって本州地域の回帰率を高めることができると思いますし、それから施設のことは後でお尋ねいたしますけれども、施設の問題もかなり大きなウエートを占めていくのではないかと私は思っておりますが、移殖したり技術者を養成していくという点について、どのようにお考えですか。
○今村政府委員 北海道との卵の移殖等につきましては、これは私どもとしては今後必要に応じてやりたいと思っておりますが、原則として申しますれば、地元で採卵をして、その卵をできるだけたくさん放流するということが基本ではないかと思いますが、御指摘のような点で今後必要があればそういうことは十分考えてまいりたいと思います。 それから、技術の交流といいますか向上、特に本州におきます技術の向上につきましては、私どもとしていろいろな点を考慮いたしまして、今後、その向上については特段の努力をいたしたいと思っております。
○横路分科員 もう一つ、資源増大のためには未利用河川を利用していくことが必要だと思うのですね。たとえば五十五年度でどうなっているか、あるいはもうちょっと長期的にこの計画全体でどの程度これから拡大をしていこうと考えているのか。北海道に限って言いますと、海区で言いますと日本海区がかなりおくれておりますね。それだけに逆に言うと可能性があるということになると思うのですけれども、そこのところはどうなっておりますか。
○今村政府委員 北海道におきます放流の可能河川数でございますが、五十三年度は百四十六河川でございます。五十四年度は百五十七河川に放流いたしております。将来どの程度の未利用河川が利用できるかということは、河川ごとの環境等さらに検討する必要がございますけれども、私どもとしては可能性として二百六十九河川程度が考えられるところでございます。本州におきましては、今後、大体四十八河川程度利用可能河川があると見ておるわけでございます。
○横路分科員 この調査を、昔やられた調査もあるようですけれども、また最近の状況も状況でございますので、ひとつ調査もしっかり毎年やりながら拡大をしていっていただきたいと思うのです。 次に施設ですが、増殖の施設、卵の収容から放流までのふ化室、それから養魚池、飼育池及びその関連施設というのも若干は整備されてきた、毎年予算が拡大してきたわけですから。その点は私も認めますが、しかし、それじゃ十分かというと、なかなか回遊してくるサケの捕獲数の方が多くて、やはり施設の方が若干おくれぎみだというように感ずるのです。特に最近は飼育施設が不足しているというふうに点検をしてみると考えられるのですが、皆さんの方の前の計画には施設の整備計画もちゃんと盛り込んでおられたわけですね。たとえば現在の能力はどうか、そして目標である卵を収容するために、あるいは放流するためにどれだけの能力が必要かということでその能力差を出して、それを整備をしていくということでの計画を立てられたわけですが、今度の計画はどうもそこのところが、いろいろな指摘は中にしてあって、施設も老朽施設が多いとか、たとえば養魚池の上屋の未整備をまだ改善していかなければならないとか、問題点の指摘はあるけれども、具体的にこれだけの施設が何としても必要なんだというところがどうも今回の五カ年計画には出てこないわけですが、農林水産省の方、その辺の認識が甘いのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○今村政府委員 確かに御指摘のように計画には施設の整備計画というものは含まれておりませんが、大体五十三年度末の卵の収容能力というのは十九億粒ぐらいでございますが、それの状態はおおむね試算値に近い卵の収容施設が整備されておると考えております。五十八年度におきましては御存じのとおり二十一億五千万尾の放流を予定をいたしておるわけでございまして、それに必要なふ化場の整備水準ということを考えてみますと、それは一つは施設の合理化の程度でございますとか、あるいは回帰量の年変動等の予測しにくい面があるので、なかなか整備水準というのは推計しにくいわけでございます。 しかし、私たちの一応の試算といたしましては、収容能力を五十三年度末の十九億粒から三十一億七千万粒ぐらいまで上げるのが望ましいと思っておりますが、これにつきましては毎年度施設の実態でありますとか採卵見込み数等を勘案しまして必要な整備を検討し、行ってまいりたいと思っておりますので、決して私たちはその施設整備について、これをなおざりにいたすつもりはございませんし、今後もこの点につきましては十分努力を重ねてまいりたいと思っておる次第でございます。
○横路分科員 どうも私、横から見ておると、二百海里時代が来てサケ・マス増殖事業そのものが周りからもてはやされてというとおかしいですけれども、わいわい騒がれて、どうも農林水産省の方は少しぼうっとしておる感じがあるのではないかと思うのですね。これは皆さんの方で大きな計画を立てて、人も施設も改善しながらやる、さっき言ったように未利用河川、まだずいぶんたくさんあるわけでしょう。やればそれは私は予算だってつくと思いますよ。人だってつけられると思いますよ。どうも皆さんの方が計画をつくるということにややしり込みをしているのではないかというように思われるのですね。まだ老朽施設が残っておるわけでしょう。後で話しますが、まだ一人庁があるわけでしょう。一人でやっているのですよね、山の中で。そういう施設の状況にあるわけですね。だから、そういうところを早く改善しようと思えば、これはいまがチャンスなんですね。大蔵省の方だって、さっきのわずか九億で五百十億も利益を上げられるということですから、後で聞きますけれども、金をつけるのにそう抵抗はないはずです。だからもう少ししっかり増殖の施設について、明治時代の建物がまだありますなんということじゃなくて、あるいは雪はねをまだやらなければ毎日毎日の稚魚の管理ができませんということじゃなくて、屋根をつけるぐらいの施設をさっさとやったらいいじゃないですか。どうですか。
○今村政府委員 施設につきましては従来とも大蔵省とも予算におきまして十分協議を重ねまして、大蔵省も必要な予算につきましてはこれを認めてもらっておるわけでございますが、この時期がチャンスであるから水産庁も大いにがんばってやるべきだという先生のお話は、まことにありがたいことでございまして、私どももそういうふうに思っております。 ただ、一つは、やはり事業の着実な進展ということも同時に念頭に置いておかなければいけませんので、今度逆に、施設が十分利用されてないじゃないかとか、あるいはまた、放流種苗がそれに見合わないではないかというようなことになってもいけませんので、私たちとしては必要にしてかつ十分な事業を着実に実行していく、そういうことでございまして、決して元気を出してないわけではございませんので、その点を御了解をいただきたいと思います。
○横路分科員 しかし、もう大分前から議論しているけれども、さっぱりまだ老朽施設は直ってないし、一人庁は改善されてないし、養魚池の屋根一つまだつかぬところがありますよ。あれは大変なんですよ。北海道で雪がたとえば一晩に四十センチも五十センチも降りますと、雪かきして池のふたをあけてやるだけでも作業として大変なんですね。これは大蔵省の担当の方にもぜひ冬――夏北海道へ行って見てもらっても、仕事はみんな終わっていますし、別にどうってことないんで、本当はいまごろ行ってもらうと、いかに冷たい水の中に手を入れて苦労して作業をやっているかという姿を見てもらえると思うのですね。そうすると、施設の屋根一つちゃんとつけた池にすれば、その手間が全くかからないわけでしょう。 たとえば、ふ出率だとか放流率というのがありますね。つまり、収容した卵からどの程度かえって放流できているかというものですね。これもずっと点検してみると、施設によって大分ぱらつきがありますね。海区ごとに言っても、たとえば五十三年度で一番悪いのが根室地区ですか、一番高いのはオホーツク地区ですか、あとずっと事業所別に点検していくと、やはり大分差があるのです。その差は何かというと、やはり老朽施設のところはどうしても卵からかえらない、あるいはかえっても死んでしまうということで、かえる割合も悪いし、放流の割合も悪いということのようですね。これもやはりこういう数字にもあらわれてきているのじゃないですか。
○今村政府委員 一つは老朽施設の問題でございますが、昭和五十年度末現在で経過年数二十五年以上の老朽施設は、ふ化施設で見ますと八施設であったわけでございますが、四件につきましては昭和五十四年度までに増改築を行っておるわけでございます。今後ともサケ・マス放流事業の拡充を図りますために、施設規模の拡大、それから老朽施設の増改築を進めていきたいと考えておるわけでございます。 それから、一人庁の解消を早急にすべきではないかということでございますが、従来から必要な事業量に伴います人員数の確保につきましては努力をいたしておるところでございまして、五十四年度については七人の定員増加が認められました。さらに五十五年度には六人の定員増を要求しているところでございます。私どもとしましても、御指摘のように今後も事業量の増加に伴う必要人員の確保につきましては一層の努力を重ねてまいりたいと考えておる次第でございます。
○横路分科員 放流率の問題はどうですか。そういうことでしょう。
○今村政府委員 その施設のよしあしによって放流率が違うというのは、御指摘のとおりでございます。
○横路分科員 それで、やはり施設整備と、それからそれに伴う人員の配置というのは、大変大きな問題だと思うのですね。農林大臣、一律何%削減してやるやり方というのは、私はやはり問題があると思うのですね。やはり必要なところには人をつけて、それから行政需要も減ってきたというところの人は減らすというのがあたりまえの原則じゃないかと思うのですね。 そこで、サケ・マスの人員関係も、私たち現場で働いている人たちの意見を聞くと、やはりこれからたとえば一人庁を解消する――私の選挙区にも一カ所あるのですけれども、山の中で一人勤務ですね〇一人勤務ですと、冬の間休みもとれないのですね。そういうところはできるだけ早く解消をして、しかも、先ほど言ったように、何がしかのものになって返ってくるわけですから、効果としても上がるわけですね。だから、最近漁民の人たちも大変協力的で、期待をしているところ大なわけです。 そこで、要員のことについて現場の声を聞きますと、これからの計画に伴って皆さんの方に三十三名というような数字も出ているはずですが、そこのところは、施設がふえたから重点的にすぐ人というわけにいかないわけですね。やはり技術を要するものですから、施設整備の拡大に伴ってきちんと人の養成をしていくということが必要なわけです。ですから、最近やや人が足りなくて、やめた人たちが来て指導しているというようなケースもあるようですね。ひとつこの辺のところをしっかりやっていただきたいと思うのです。いかがですか。
○武藤国務大臣 いままでもそれぞれ少しずつは増員をしているようでございますが、いま御指摘の点、まだ一人でやっておるところがあり、休むこともできないという問題、また将来を踏まえて技術を習得しなければだめでございますから技術者を養成をしていかなければならない問題、あるいは施設の問題もお話がございましたけれども、サケ・マスの増殖事業というのは、現在二百海里時代の中で、また先ほど御指摘があったように、これからいろいろ大所高所でやっていく上においても、こちらがどんどんしっかりした事業を確立をしてまいりますと、もちろん北洋漁業の方も私どもぜひ維持をしていきたいと考えておりますが、同じ交渉をするにも、国内でそういうものがしつかりできてくればやはりそれだけ強い交渉ができるわけでございますから、そういう意味においても、私としても積極的にこの問題については取り組んでまいりたいと考えております。
○横路分科員 行管の方、来ていますね。 毎年いろいろといまの状況の中では人をつけておるというように私も思いますが、しかし、これからますます拡大をしていくということで、特に技術者の養成というのが大変大きな問題ですし、それから一人庁を解消するということも、これはどこかに集めるというわけにもなかなかいかない問題なんですね。したがって、そこのところはどうしても見てもらわなければならぬと思うのですが、皆さんのお考えも聞かせていただきたい。
○渡辺説明員 先生から御指摘ございましたように、サケ・マスふ化事業は、いわゆる二百海里時代を迎えまして特に重要性を増している事業でございまして、私どもも、たしか四十年代半ば以降ふ化場の定員は百五十五、六人で横ばいできたわけでございますけれども、五十四年度に七名、それから大変定員事情が厳しくなっております五十五年度におきましても六名という急激な人員増を認めているわけでございます。今後とも農林水産省と具体的な御計画を伺い、協議をしながら、最大限努力をしたい、こう考えております。
○横路分科員 最後に、最近私のところの札幌市内の豊平川にも、去年サケが二十何年ぶりに上がって、これはどこか千歳川のやつが多分迷って――迷ってというか水がふえたために上がってきたんだろうと思いますが、去年から放流していますね。これはことしも来年も続けていただけるのかどうか。大体いつごろから戻ってくることになりますか。
○今村政府委員 今後も続けていくつもりでございます。五十三年に放流いたしましたが、通常四年くらいですから五十七年くらいに帰ってくるというふうに考えております。
○横路分科員 河川もだんだん公害対策が進んできれいになって、そういうことで都会の真ん中の川にもサケが上る、大変うれしいニュースだと思うのですが、これは本州の方も茨城あたりまで放流すると戻ってきているようですね。多摩川で放流事業をやって戻るかどうかわかりませんが、そんなことになれば将来大変楽しい話だと思うのであります。いずれにいたしましても、努力をしてもらいたいと思うわけです。 最後に大蔵省の方に。投資効率の大変いい事業でありますし、どうも大蔵省は最近はもっぱらそこだけの観点ですから、お傘を使ってもこれだけ効率が上がるということになれば、まだまだ施設だとか人員の点でも改善すべき問題がございますので、いままでも御努力いただいておりますが、これからもひとつ将来のことを考えて見ていただきたいというように思うのです。
○的場説明員 御指摘のとおり大変大事な事業でございますので、従来からも、特に五十四年度は倍増するような予算をつけておりますし、五十五年度も一割以上、全体の計画が苦しい中で配慮しております。今後の方針につきましては水産庁とよく相談をいたしたいと思っておりますが、ただ財政当局は、大変申しわけない次第でございますが、歳出はできるだけ節減をしたい、歳入はできるだけ確保したいという観点で財政再建を考えておりますので、こういう非常に効率のいい事業につきましては、費用負担のあり方も含めて考える余地がないのかどうかという点も含めて、よく検討いたしたいと思います。
○横路分科員 民間との協力ということなんでしょうが、それは当然の前提としてひとつこれからも皆さんの方でも検討して努力していただきたいと思います。
○始関主査 これにて横路孝弘君の質疑は終了いたしました。 次に、西中清君。
○西中分科員 最初に、国の栽培漁業センターについてお伺いしたいと思います。 各県の栽培センターでは、いわゆる地先物中心の研究がなされておりますが、やはりひれ物ということになりますと、これは国家的な事業として国の栽培漁業センターの位置が重視されるわけでございます。それについて、私、昨年の分科会におきまして、日本海沿岸には国の栽培漁業センターがないじゃないかということを申しておりましたが、五十五年度予算にはこれに対応した予算を計上されているようでございまして、どういう事業をお考えか、まず御説明をいただきたいと思います。
○今村政府委員 五十五年度におきまして日本海に事業場を二カ所設置する方針で予算を計上いたしておりますが、大体北と西に分けまして、能登半島の以北では開発対象の魚種としまして、ホッコクアカエビ、マダラ、ヒラメ、カレイ、メバル等をやっていきたいと思っております。西区としましては、能登半島以西でズワイガニ、イカ、マダコ、チダイ、ヨシエビ等を対象として事業を実施したいというふうに考えております。
○西中分科員 北区の事業場、西区の事業場ということでございますけれども、これはどこの県に設置する予定でございますか。
○今村政府委員 設置場所については、技術開発に適した海洋環境等を調査しました上で適地を選定をいたしたいと考えております。
○西中分科員 個所はまだ未定であるということでございますか。要するに候補地として幾つか挙がっていると思うのですね。北区はどういうところが出ているのか、西区はどういうところが出ているのか、お伺いしたいと思います。
○今村政府委員 希望県といたしましては、北区では石川県、それから西の地域につきましては福井県、京都府が希望を提出いたしております。
○西中分科員 いま、西区では福井、京都ということでございますけれども、この選定基準はどういうことになっておるのか、御説明いただきたいと思います。
○今村政府委員 私どもとしましては、いろいろ両県につきまして、設置の場所でありますとか、あるいは両県のそれぞれの希望開発対象の魚種とか、その他各候補地の立地条件、そういう点について調査検討いたしておるところでございます。
○西中分科員 いま非常に抽象的なお話でございますけれども、御承知のように京都府では非常に熱心に誘致を要請しておるわけでございます。宮津を一応京都府としては予定をしておるわけでございますけれども、この地域について何か難点でもございますでしょうか。
○今村政府委員 京都府が非常に熱心にこの点を考えておられるということは、私も十分承知をいたしております。立地条件につきましては、先般開発課長を派遣をいたしまして調査をいたしたところでございますが、立地条件について特に問題があるというふうには聞いておりません。
○西中分科員 これは私の地元のことですから、どうしてもこちらの方がいいというような感じで物を言いたくなるわけですが、宮津市内からも大体八キロくらい、非常に近い地域にございます。それから海流等の関係も、温暖な暖流系統も入ってきておる。それから水質も栗田湾は由良川の非常にいい水が入ってきておる。そういった諸条件、それから現に海洋センターなり今度は府の栽培漁業センターが設置をされる、こういうことで上水道もすでに完備をしておる、条件的には私は非常にいい条件にあると考えておりますし、また、すぐれた条件とも言えるのではないか、こういうことでございます。 特にこういった事業については、地元の熱意もまた大きな問題であろうと思うのですね。ですから、双方が希望するのは当然でありましょうけれども、何としてでもこの京都にぜひとも設置を願いたいというように考えておるわけでございます。大臣、十分この点お考えをいただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
○武藤国務大臣 京都からは知事さんを初め大変御熱心な御要望を私のところへもいただいておりまして、先ほど長官が御答弁申し上げましたような線で、ひとつ公正に判断をして決めていきたいと思っておりますが、極力御期待に沿うような線で対処してまいりたいと思います。
○西中分科員 この栽培漁業センターの問題につきましては、先ほどから議論もございましたけれども、サケ・マスも含めまして何と言っても沿岸漁業の振興は、二百海里時代を迎えてなお一層積極的な拡大をしなければならない、こういう点ではその占める位置というのは非常に大きいわけです。現在水産庁を中心に種々この事業は推進をされておることは十分理解をいたしておりますけれども、私はまだまだこの程度では不十分ではないかと考えておるわけでございます。したがいまして、これからの栽培漁業の強化促進という面では、より総合的に日本列島全般にわたって生育場、産卵場の造成であるとか資源の管理体制であるとか、さらには思い切った研究投資であるとかいうようなことも重要になってくると思います。国民の食糧資源を確保するという点では、こういった栽培漁業というものをどんどんと強化をしていかなければならないと思います。 その意味で、わが党としましては、昨年三月に栽培漁業育成促進法案の要綱を発表いたし、要するに本格的な取り組みを考えておるわけでございまして、これに引き続きまして、今国会では、この栽培漁業法案というものをわが党として提出をいたしたいと考えております。 農林水産省として、こうした本格的な取り組みをするための立法措置をお考えになっておるかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
○今村政府委員 お話のように、栽培漁業を今後拡充、発展させていくことはきわめて重要な課題であると考えております。そういう意味におきまして、これをもう少し制度的に整備をしていくという問題は確かにございます。いろいろとむずかしい法律問題もございまして、たとえばその栽培をした魚類を漁獲をする者に対する受益者負担といいますか、そういう問題もございまして、私どもとしては一そういう法律的な事項について現在鋭意検討をいたしておるところでございます。
○西中分科員 鋭意検討ということでございますけれども、漁場の管理とかいろいろな問題で、これから種々問題が起こってくる可能性は非常に大きいと思うのです。ですから、これは後手に回らないように、先手先手で措置をしていかれた方がいいと思いますので、ぜひとも積極的に取り組みをしていただきたいと思います。どうでしょうか。
○今村政府委員 御趣旨のように十分検討をいたしたいと思います。
○西中分科員 次に、未利用河川調査事業で、五十四年度よりサケ・マス資源の増大対策調査事業をやっておられるわけでございますね。京都府におきましても、由良川におきまして、五十四年度六百万の予算で百万粒のサケの卵をふ化し、そしてこの三月の末には放流するという段階に来ておるわけでございます。今年もう一河川で、京都で計画中と聞くわけでございますけれども、この対象の河川は決まっておりますでしょうか。
○今村政府委員 京都でもう一河川そういう調査をしたいということの御希望は私たち承知をいたしておりますが、まだ具体的河川が決まっておるわけではございません。
○西中分科員 先ほど同僚委員の論議の中で、本州のサケの回帰率が低いというお話がございました。これは実は地元でも若干議論になっておりまして、いま調査費というのは国の費用で二分の一、地元で二分の一という関係でございます。ですから、調査費としてはまあいたし方ないかと思っておりますけれども、現に北海においてサケは育つわけでありますから、そして沿岸を下がってきて回帰をする、こういう流れを考えてまいりますと、これを事業化する場合には、せっかく由良川で放流したサケは、北へ上がっていってどこかの海上で順番にとられていくわけで、現実問題として、南の方、京都とか鳥取という方面ではわずかのサケしか帰ってこないんじゃないかという危惧を持っておるわけです。現に、先ほど北海道と本州の比率も出ておりましたけれども、まだ調査段階でこれは全くわかりませんけれども、これを事業化する場合には、国の補助と地元の負担金、こういう点については十分な配慮をしていただくということもお考えいただきたいと思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
○今村政府委員 確かにそういう問題がございまして、一説によれば、帰ってくるのを北海道の方でとってしまうんじゃないか、それで回帰率が高いんじゃないかという説をなす方もおられることは承知をいたしております。これははっきりわからないのでございますが……。 そこで、一つの問題は、ただいま主計官からもお話がありましたように、たとえば北海道の受益者負担の問題をどうするか、さらに広げて考えますと、先生のおっしゃいますように、国全体としてのその負担割合をどうするかという問題等もあるわけでございますが、私どもは、いまその受益者負担問題につきましてはそれぞれ各県と協議をいたしておりまして、やはりこの事業をもっと大きくするためには、国自身ももちろん力を入れなければいけませんけれども、受益者負担の問題も十分検討しなければいかぬ問題であろうと思います。 たとえば、京都のサケ・マスの放流をさらに拡充しますために、北海道にもう少し負担を持てというような話になりますと、なかなか具体的な話になりまして処理はむずかしいのでございますけれども、全体的な受益者負担という問題を私たちは十分念頭に置いて検討いたしてまいりたいと思っております。
○西中分科員 そこで、先ほど技術的なことも議論になっておりました。要するに、北海道と本州、それから、どんどん南へ下がりますとこれはかなり状況は変わるわけで、サケのふ化研究施設、こういうものはやはり本州として必要ではないかというふうに私は考えるわけですね。したがいまして、先ほどから申しておりました国営の栽培漁業センター、ここで、研究の対象品目は先ほどお伺いしましたけれども、サケ・マスを加えてはどうかと私は考えるのですが、どうでしょうか。
○今村政府委員 サケ・マスにつきましては、栽培漁業センターの放流事業とは別に、サケ・マスふ化放流事業の一環として、従来から、県等が行います放流事業に対して助成しておるところでございまして、ただいまお話の出ましたように、五十四年度からはサケ・マス資源の増大対策調査費というものを計上いたしまして、未利用河川につきましても積極的に開発を進めるということをやっておるわけでございますが、栽培漁業センターは、私は、いま日本海におきます非常に重要な魚介類でありますズワイガニとかエビ等につきまして、そういうことを対象にして種苗を大量に生産して放流する技術を開発するということは急務だと思っております。 一方、サケ・マスの方は技術開発段階ではございませんで、すでに事業化段階でございますから、これを一緒にいたしますと、かえって日本海におきますそういう重要な資源の早急な生産技術の開発ということの焦点がぼけるのではないかと思っておるわけでございまして、いまこれを対象にすることが果たして適当かどうかということについては、なお十分な検討を必要とすると思っております。 私たちとしましては、とにかく、日本海におきますそういう重要な魚につきましての大量生産放流技術を速やかに開発したいというのが現在の心境でございます。
○西中分科員 次に、アメリカからの穀物の輸入の問題についてお伺いをしておきたいと思います。 米国がアフガニスタン問題で、対ソ報復措置としてソ連向けの穀物輸出を大幅に規制しました。そのため、約一千七百万トン、二十六億ドルもの余剰穀物在庫を抱え四苦八苦をしておるわけですね。米側としては日本に対して、この小麦、トウモロコシその他の穀物等の購入を要請してきておる、こういった問題について去る二月二十一日の外務委員会におきましての質疑の中で、外務大臣、外務当局は、三月十九日に大臣訪米を控えておるわけですね、ですから、それまでに政府の考え方、民間の協力等について一応のめどを得たい、こういうように述べるとともに、農水省とも話し合いを進めておるということでございます。政府として三十万トン、商社七十万トン、計百万トン、こういう輸入を、米側の要請にこたえたいというような意向も外務省としては出ておるわけでございますけれども、農水省としてはこの問題についてはどういう対応をなさろうとしておるのか、お伺いをいたしたいと思います。
○武藤国務大臣 私、予算委員会においてもお答えをしておるとおりでございますが、いま御指摘のあったように、政府でできる範囲というものは小麦の約十万トンの前倒し、これは当然私ども食糧庁で五十五年度に輸入する計画を持っておるわけでございまして、なるべく早く、十万トンぐらいならば設備その他を考えて可能であろう。それから配合飼料供給安定機構、ここで今度の五十五年度予算では現在約四十万トンの在庫を持っておりますが、あと十万トンぐらいトウモロコシの在庫をふやしたい、こういう計画を持っております。それから、これは私どもの所管ではございませんが、外務省のKR援助が約七十六億ばかり今度の五十五年度予算でふえておるわけでございますから、そういうものを小麦などの購入に重点的に充てて、それを海外援助に振り向けていただいたらどうだろうか、こういう考え方に立てば三十万トンぐらいは可能であろう。それ以上になりますと、やはりわれわれの立場からいたしますと、米の在庫が六百五十万トンもございますし、また、いろいろの設備から考えてもとても引き受ける力がないわけでございます。 そこで、それでは民間のいまの七十万トンというお話でございますけれども、外務省がどう考えておるか、まだ最終的に私ども意見調整しておりませんが、私どもの方としても民間においても協力してもらうことが可能であればひとつ考えてもらおうということで、正直、私が商社のそれぞれの部門の責任者をお呼びして御相談したことはございます。いろいろと向こうの意見を求めたことはございますが、やはりいろいろ聞いておりますと、商社も相当先物まで契約をしてしまっておるわけでございまして、また、国内は私どもの方でもなかなか備蓄をする倉庫がないと同じように、民間だってそれはなかなかむずかしいわけでございます。アメリカにおいての備蓄というのも正直むずかしいようでございまして、現実にはいまのところ商社も非常に消極的な意見しか私どもの方へは来てないわけでございます。 ですから、外務省の方で外務委員会でどういうふうにおっしゃったか知りませんが、現実においてはなかなかそこまでも正直いかないのではなかろうかというのが現時点での判断でございます。
○西中分科員 そうすると、外務大臣渡米が三月十九日ということでいよいよ日にちも迫ってきたわけでございますが、農水省としては百万トンなどというのはこれはもうとてもじゃないが応じられない、こういう考えでございますか。
○武藤国務大臣 私どもの方としては現実問題としてそれは言うことはあれでございますが、現実に引き受けるというと、民間でもなかなか引き受けることが非常にむずかしい、こういう判断をいたしておるわけでございます。
○西中分科員 こういった経済制裁といいますか、これは非常に問題が多いのじゃないかというふうに私は考えておる。何といっても基本的には国益というものをやはり十分考えていく、こういう点で慎重であっていただきたいと思いますし、農林行政としてもこれは非常に問題が多いのじゃないか。食管特別会計の対象品物の小麦、これもすでに昨年の暮れに会計検査院から在庫が多いということで指摘を受けておるわけでございますし、それ以外の品目としてやはり適正在庫を上回るような状況に現在もあるわけでございますね。ですから、こういう行政上の問題から言って、まあ発展途上国に直通で全部行ってしまうならともかくとしてわが国にこれが入ってくるということは、結局また余剰米をふやすとかいろいろな問題につながってくるわけでございますね。そういう点で、私は慎重の上にも慎重を期していかなければならない、こう考えておるのですが、どうでしょうか。
○武藤国務大臣 私どもは、御指摘のとおり慎重に対処しておるつもりでございます。
○西中分科員 それに関連しまして、こういった穀物の関係だけではなくて、いま経済制裁を全般的に日本としてはとっておるわけですね。この日ソ関係が非常に厳しい状況の中でいよいよ日ソ漁業交渉が近づきつつあるわけでございますが、農水省としてはこの交渉について種々分析検討をされておると思いますけれども、この交渉の見通しをいまどう考えておられるか、お伺いをしておきたいと思います。
○武藤国務大臣 実は先ほどもお話があったのでございますが、私どもとしては二月の下旬、二十日前後でございましたが、正式にモスクワにある日本大使館を通じてソ連側に、ことしのサケ・マス交渉をしたい、ついては三月中旬以降にやりたいという意思表示はいたしたわけでございます。いまのところそれに対しては何らの回答が正式には参っておりません。 そこで、それじゃどんな見通しかということでございますが、昨年の暮れの日ソ漁業委員会におきましては、ソ連側からは、とにかくマスは不漁の年であるよ、またサケ・マスの資源についてもいま非常によくない状況であるよ、こういうことが指摘をされているわけでございます。そういう点からいけばソ連側の姿勢は非常に厳しい、こう受けとめておりますが、また一面、ことしに入りましてから、向こうがこちらの方へやってきて漁業をやったためにいろいろ被害が出てきておりまして、私どもその被害については相当前から相当多額の補償を要求をしておるわけです。それに対して四万八千というわずかな金額でございますけれども、補償するという意思表示を正式にソ連政府がいたしてきたわけでございまして、そういう点から見るとまた何か協力的かなという感じも持つわけでございまして、私どもその辺は全く予断を許さないので、いまのところ悲観をしてもおりませんし、そうかといって楽観もいたしておりません。非常に厳しい状況の中にあるという判断はいたしております。その判断のもとに、しかし何にしてもこれは伝統ある漁業でございますから、この北洋のサケ・マス漁業については今後も維持を図っていく、こういう観点で真剣に取り組んでいきたいと考えておるわけでございます。
○西中分科員 昨年暮れ日ソ双方で提出を約束された「沿岸及び河川のサケ・マス漁獲実績と資源状況」といったような基礎資料、これの提出期限は一月末ということでございますけれども、これはもうソ連側は提出されましたでしょうか。
○今村政府委員 まだ提出をされておりません。提出されておりませんが、私どもの方としてはこの件に関しソビエトに対してどうなっておるかという問い合わせをいたしましたところ、ソビエトの方の回答としては、これは事務的手落ちでまことに申しわけがない、できるだけ早く提出をするということでございました。これの提出がないということをもってソ連がサケ・マス交渉についてとかく考えているというふうにも思えないのでございます。
○西中分科員 いずれにしても交渉の時期等についてのこちらからの電報に対して回答がない、いまの資料の提出もない、そしてこういう取り巻く状況が非常に厳しいということでございますから、今度の交渉はなかなか大変だろうと思います。大臣も大変御苦労ですね。そういう点では私たちも非常に危惧をいたしておるわけで、五月の出漁に果たして間に合うのか間に合わないのか、それまでに円滑な交渉がまとまるのかどうか、こういう点で非常に危惧をいたしておりますが、まとまればこれは幸いでございます。まとまらない場合には、漁民に対する打撃も非常に厳しいわけでございますね。それに対してはそれなりの対策、措置、補償といった点は考えていただけるのかどうか、お伺いしておきたいと思います。
○武藤国務大臣 私どもはいまのところはとにかく最大限の努力をするという考え方でいるわけでございまして、もしうまくいかなかったときにどうかというような前提の上にまだ物は考えておりません。
○西中分科員 ではせいぜい御努力のほどを、御声援を送る次第でございます。 最後に一つだけ、もう終わりですので。ちょっと先ほどの栽培センターの問題で聞き忘れたんですが、私が聞くところでは西の方は二つの事業場にするというふうな話も聞いたんですけれども、そういう考えはないと思いますし、純技術的にやはりこれは政治絡みの判断でなくて決定をしていただきたいと思います。こういう点について水産庁にお伺いしたいと思います。
○今村政府委員 諸般の情勢を十分踏まえまして慎重に検討いたしたいと思います。
○西中分科員 終わります。
○始関主査 これにて西中清君の質疑は終了いたしました。 次に、井上敦君。
○井上(敦)分科員 私は、昨年就任早々の大臣に同僚の野間議員と一緒に米の生産調整と畜産事業の安定対策について陳情いたしました。また、暮れには和歌山県知事を初め県議会の代表、さらに和歌山県農協中央会や紀南農協組合の代表などと一緒に大臣に、たしか十二月の二十五日であったかと思いますが、暴落を続けるミカンの窮状を訴えて四項目にわたる陳情を申し上げた次第であります。 私も昨年十二月の一日、二日、有田郡市の十二の共同選果場また若干の個選を見てまいりました。さらに田辺市の紀南農協や隣の上富田町の農協にも行ってまいりましたし、御坊市にある民間の加工工場である南海加工も見てまいりました。従来ですといい値段であった二Lあるいは三Lなど大玉は出荷しても段ボール一ケース八百円から八百五十円、経費が六百五十円から七百円、経費を差し引くと農家の手取りはキロ当たり十円前後にしかならないとか、したがってジュース向けが大量にふえました。共選によって違いがありますが、和歌山県全体でジュースに回されるのは平均一七%前後ですけれども、私の回った範囲では大体三割前後が回っているという状況でしたし、御坊の南海加工それから海南、桃山町の選果場の方はいわばパンク寸前という状態でありました。 こういう話も聞きました。吉備町と言えば有田郡の中心の産地の一つですが、そこの丸御共選に行ったときに、大体二L、三Lなどはキロ十五円。これに共選経費一キロ一円五十銭を引くので、農協手取りが一キロ十三円五十銭。ミカンの収穫のための働きに来ていただいている日当は一日八千円かかる。熟練者であっても一日約百五十貫であります。大体これでいきますと貫当たり約五十円の勘定になる。そうしますと、労賃を払ってしまうと全く農家の手元に残らない。結局、肥料代や薬代や諸経費、これらがいわば借金として残る。そういう点で、ジュース原料柑の最低価格の保証、その大幅引き上げを願う農家の気持ちはきわめて切実であります。 現に有田市の市の共選では、これはこの地方で一番大きい共選ですけれども、生ミカンの価格低落を防ぐために、貫当たり八十円の価格保証を行って、ジュース原料柑に回す量を思い切ってふやしている。ここの役員の方は、これには相当な資金が必要であり、タコの足を食い合うようなものであるが、市場価格の暴落を防ぐためにはやむを得ない自衛措置であるというように語っておられました。 愛媛県の青果連でも同じ趣旨から、昨年年末に二回か和歌山県でも行われました緊急の出荷調整、愛媛の場合は十一月一日から十日までの分についてキロ十円、ことし一月四日以降のジュース向け出荷についてはキロ当たり五円の奨励金を出しているというように聞いております。 なお、緊急実施されたこれらの出荷調整措置の場合でも、カットされた大部分はジュース加工に回されております。 昭和五十年、和歌山県のミカン生産額は二百四億円、五十一年は二百八十二億円、五十二年が二百四十五億円、五十三年が二百二十二億円というように、その生産額が減っております。これが五十四年はどんなになるだろうか。 一方、大阪また東京市場に向けてのキロ当たり卸売価格を見てみますと、あの大暴落のあった昭和四十七年が、東京市場で六十一円、五十年が九十二円、五十一年が百三十八円、五十二年、これが四十七年に次ぐ暴落の年と言われた年ですけれども百十円、五十三年が百四十三円、五十四年は七十円、こういうように去年の例がいかにひどいものであったかということはいろいろな指標から見ても明らかであります。 これについて農協中央会の要望は、一点は国の生産調整目標の見直しであり、二点目は価格の安定対策を強化してほしい。特に原料柑のジュース用の買い上げの枠の拡大であり、第三は、農家または団体に対する融資の償還猶予であります。四点目は、加工工場への援助でありました。農林水産大臣は前向きに検討するというように言われておるようですがと、こう言っておりました。 また、農産物の輸入問題では、現状では和歌山県として影響は大きくない。しかし今後自由化され、大量に輸入されるならば響くだろう。特に四、五月期のものがこわい。いまこわいのはグレープフルーツジュースの輸入である。これは味と品質が類似して競合する。また、改植を進めてきたポンカン、福原オレンジ、バレンシアなどは競合する。こういうように言っておられました。 基本的には、私は、加工用原料柑の基金制度について一度見直してみる必要があるんじゃないかというように思うわけです。全国的にジュース加工を思い切ってふやす。生産工場の能力の問題等もあるようですが、大体百万トンクラスまで伸ばしていく。市場に回る生の分については二百万前後に調整する。二つは、原料柑の暴落したときだけどっさり回すというのではなくて、良質の原料柑の安定的供給と農家収入を確保するため保証価格をキロ当たり四十五円、このレベルまで引き上げる。三点目に、濃縮ジュースの調整管理によってジュースの安定と市場の拡大を図っていく。四点目には、市場拡大の一つとして、公費負担による学校給食の全面的な実施等々が考えられると思います。 改植もやった、摘果も進めたし、出荷調整もやる、なお暴落する。こういう繰り返しを避けて、需給調整の最終段階の対策として、ジュース拡大加工方式によってミカンの価格安定を図るべきではないかというように考えるのであります。これは私の一つの提案、検討をいただきたい要望事項であります。 さて、具体的な点を言いますと、今年度の政府の施策の中で要望が出ておりました、価格暴落に伴う農家経営救済のための団体営及び農家に対する融資償還の猶予措置を講じてもらいたい。第二は、生ミカンの価格安定の一貫として、ジュース用ミカンの保証基準の引き上げ及び買い上げの枠拡大について。これとの関連ですが、たとえば和歌山県の場合、二年サイクルの買い上げ枠はたしか三万八千トンであったかと思いますけれども、暴落時の臨時措置として別枠を設けて緊急出動するというような策を検討いただけないのかどうか。具体的なこの三点について、大臣の見解をお伺いしたいというように思います。
○二瓶政府委員 まず第一点の、ミカンの低落に伴います既借入金の償還猶予の措置の件でございますが、ただいま先生からるるお話がございましたような現状にかんがみまして、ミカン栽培農家に対しまして農林漁業の公庫資金なりあるいは農業近代化資金等貸し付けをいたしております。この既貸付金の償還猶予と貸付条件の緩和につきましては、去る二月二十八日付で関係機関に対しまして、この猶予の措置を必要に応じてやってほしいということで要請をいたしてございます。 それから第二点の、加工原料用果実価格安定対策事業の保証基準価格の引き上げの関係でございますが、先生御案内のとおり、この制度は二年間の業務対象期間につきまして生産者サイドと加工サイドで契約を結ばせておるわけでございます。その際の保証基準価格でございますが、これが平均価格を下回った際に補てんというのが行われるわけでございますが、この基準価格につきましては、実は五十三年度、五十四年度と二カ年でございますけれども、その際の五十三年度に保証基準価格を三十三円五十八銭、これはナショナルベース、全国ベースでございますが、三十三円五十八銭に二十九円九十八銭より引き上げたわけでございます。さらにそれを、特例的に五十四年度におきまして三十六円三十六銭というふうに引き上げをいたしてございます。五十五年度からはまた新しい業務対象年間に入るわけでございますが、これにつきましては、三年連続というわけにもまいりませんので、三十六円三十六銭そのまま五十五年度も踏襲いたしますが、現在問題になっております五十四年度のミカンにつきましては、ただいま申し上げましたような三十六円三十六銭ということで特例的に引き上げたこのラインでもって対処していくということにいたしております。 それから第三点は、その対象数量、これを別枠というようなことで考えられぬかというようなお話でございますが、ただいまも申し上げましたように、この仕組みにつきましては、当事者間におきまして二カ年間の契約というものを結ばせまして、ただいま申し上げましたような保証基準価格を大きく平均取引価格が下回った場合に、県の果実基金の方から補給金の交付をやる、こういう仕組みでございまして、その際の契約数量というのは、現在のものにつきましては五十三年の秋にすでにもう契約をやっておるわけでございます。枠が四十二万八千トンでございましたが、実際の契約実績は三十九万五千というその契約を済ましておるわけでございます。したがいまして、二年ぐらいたちましたこの五十五年の現段階におきましてこの数字をさらに修正をするということは、この制度のたてまえからいたしまして至難でございます。きわめてこれは困難であるというふうに考えておるわけであります。
○井上(敦)分科員 今年度の枠拡大は、予算上の措置としてはどうなっているのですか。契約の分の実績だけですか。
○二瓶政府委員 ただいま申し上げましたように、業務対象年間が二カ年間でございまして……(井上(敦)分科員「それを聞いてない、五十五年度どうするのか」と呼ぶ)これはただいま申したとおりです。それから五十五年度の方につきましては、これは五十万トンということでふやして考えております。
○井上(敦)分科員 大臣が時間の関係でお帰りになられるということを了承しているのですが、第二の質問は、全国八十一の沿岸用漁業無線局に対する国の助成についてであります。これは後ほど議論を少し深めておきたいと思いますが、大臣の時間の関係がありますから、これに対する見解を伺いたい。 関係漁業者の皆さんの負担あるいは関係自治体の皆さんの負担、公費負担は平均してみますと二七%、主に県の自治体関係から出されております。 漁業用海岸局を開設運用する漁業協同組合及び漁業協同組合連合会に対する水産業協同組合法の適用の特例に関する法律第四条には、この組合の行う事業のために「必要な通常経費は、当該事業を利用する組合員から徴収する賦課金及び利用料、」それから第七条の規定による剰余金による「繰越金並びに当該事業に関する寄附金又は国若しくは地方公共団体の補助金のみをもってこれに充てるものとする。」となっております。みんなこの通常経費については負担をしているわけであります。問題は、施設費に対する国の補助等がありますが、こういう経費に対する国の補助はいまのところ、現行は一円もありません。新しく農林水産省と名をつけたわけであります。これについて、二百海里時代に対応する中で、こういう沖合い沿岸漁業の皆さんのその振興を図る上で重要な課題の一つと考えるわけですが、この点に関する大臣の所信を伺いたいと思います。
○武藤国務大臣 いま、その法律にもございますように、これは漁業者が漁船漁業を営むために必要な施設として漁業者みずからが開設利用するものでありまして、その運営については自主的な責任でもってやっていただかなければならないと思っております。ただ、過去の例では昭和五十二年度において社団法人全国漁業無線協会に補助金を交付して無線局経営の安定のための方策について実施したことはあるわけでございますし、また現在も、五十四年度から漁業無線局の統合整備に必要な経費、これはやはりより充実したものにしていただこうということで、そういう経費については補助金を交付しておるわけでございますが、今後においても必要に応じて、私どもが国として援助しなければならない場合は考えていかなければならないと思うのでございますけれども、基本的には漁業者あるいは組合みずからが運営に当たっていただくというのが私ども基本的な方向であろうと思うわけでございます。
○井上(敦)分科員 それは大臣、本当は私の議論を聞いた上で皆さんがつくられた作文で答えてもらいたかったわけですが、残念であります。いまの答弁の枠は全然いままでと変わらないものであります。調査のための、それを促進するための補助を出しただけのこと、そして施設整備費に対する補助です。それ以外のものはありません。私の質問した趣旨と違う答弁であります。したがって、ぜひ改めてもう一度実態を踏まえて、後ほど述べる議論も踏まえて検討されることを重ねて要望しておきたいと思います。お願いいたします。
○武藤国務大臣 実態をまた私も後ほど水産庁の方からよく承りまして判断をしてみたいと考えております。
○井上(敦)分科員 気象庁の方にお伺いいたします。持ち時間はあと七分であります。要点だけ答えていただきたいと思います。 気象庁から見て、この漁業用海岸無線局の存在、その役割りをどのように評価しておられるのか、簡単に述べていただきたいと思います。
○浅田説明員 お答えします。 気象庁が現在行っております漁船を含めましての利用に適合した予報、警報は、現在は船舶気象無線通報あるいは気象庁で行っております気象無線模写通報というようなものによりまして、みずからの措置によりまして周知徹底を図っております。そのほか、報道機関の協力を得ても行っておりますが、ただいま先生御指摘の漁業用海岸局についてはどうかと申しますと、漁業用海岸局は最寄りの気象官署と協定を結びまして、そして主に自己の所属する漁船に対しまして気象情報の周知徹底を図り、一層効果的な利用ができるようなことを期しているのが現状でございます。また、そのほか漁船が漁業用海岸局を通じまして観測を行いましたその成果は、海上気象資料の一環として気象庁で利用をいたしております。このような業務を協力業務として行っておりますので、気象庁は毎年、部外の気象業務に対する協力者に対しまして表彰を行っているわけでありますけれども、特に功績のありました漁業用海岸局に対しまして気象庁長官の表彰を行っているというのが実情でございます。 以上でございます。
○井上(敦)分科員 海上保安庁にただしたいと思いますが、漁業無線局の果たしている役割りをどのように評価しておられるのか。海難の予防、その救助対策においては、わずかに日本周辺は海上保安庁として何とか手を打てるけれども、いわば日本の遠洋漁業が世界の七つの海に展開している、その連絡あるいは救難対策、海難の予防等々は海岸無線局が事実上全面的に担っているというように聞くわけです。海上保安庁として、その点の役割りをどういうように見ておられるのか、その見解をお伺いしたいと思います。
○佐々木説明員 遠洋漁船の遭難通信等に対する役割りと申しますか、こういった点について私ども海上保安庁といたしまして非常にこの面は御協力を感謝しているわけでございます。 まず、私どもの方の海上保安庁では、遭難通信等に対処するために全国に四十二カ所の通信所を配置し、行動中の巡視船艇が常に遭難波の聴取に一日二十四時間常時……(井上(敦)分科員「いや、海上保安庁の役割りはいいですよ、ぼくはそんなことは聞いていない」と呼ぶ)それで、私どもの方の通信の受信範囲というのは、遭難波の決められている周波数の範囲が大体二百マイルぐらいのところでございますので、それより遠距離の海域につきましては、現在、漁業無線局の通信系でございます短波の通信が必要なのでございます。これにつきましては常時連絡をとっております漁業無線局、漁船との間の通信系によりまして、海難が発生した場合にもこの系統から連絡が入るということで、私どもは漁業無線局からの連絡を非常に大事に、重要な情報源といたしまして受信いたしております。
○井上(敦)分科員 全国漁業無線協会自身のまとめた報告書の実態からしても、海岸無線局の抱える今日を取り巻く情勢がどんなものかというのは何よりもよく御存じのはずであります。農林水産大臣あるいは等々に対する要望の中にも、運営費の助成について強く要望が出ております。この点について先ほど農林大臣の答弁では、いままでの私の提起に対する答弁になっていない。今日の実態を踏まえて、これらについてぜひ前向きに農林水産省として検討していただくことを要望したいと思います。関係の局長の答弁を改めて聞きたい。
○今村政府委員 ただいまお話のございましたように、漁業用無線局が果たしておる役割りは非常に重要なものがあるということは、私どもも認識をいたしておるところでございます。したがいまして、これの適正な配置及びそれにつきましての経営問題というような問題につきましては、十分情勢を踏まえて政府としては検討してきておるわけでございます。 したがいまして、これの整理統合等につきましても、施設の補助をいたしてまいっておるわけでございますが、その運営費を補助するかどうかということになりますと、なかなかいろいろな問題があると思います。運営についての責任が、労働組合として本来持つべきものではないかという意見もあれば、あるいは、そういう公共的な観点に着目して補助を出すべきものではないかという御意見もあろうかと思いますが、先ほど大臣がお話し申し上げましたように、現実の状態をよく踏まえまして、私どもとしても検討させていただきたいと思います。
○井上(敦)分科員 私の質問を終わります。
○始関主査 これにて井上敦君の質疑は終了いたしました。 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時三十三分休憩 ――――◇――――― 午後一時開議
○始関主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 農林水産省所管について質疑を続行いたします。野坂浩賢君。
○野坂分科員 農林年金の点について初めにお尋ねをいたします。 時間がありませんから一ごく簡潔にお尋ねいたしますが、いまの各制度の報酬月額平均及び退職年金額の比較というところを資料で読んでみますと、地方公務員は退職年金が年額百四十三万一千円、以下省略いたしますが、国家公務員が百三十三万二千円、厚生年金が九十一万三千円、私学共済が百十二万六千円、農林年金が八十七万三千円、こういうふうに資料ではなっておりますが、そのとおりですか。
○松浦(昭)政府委員 そのとおりでございます。
○野坂分科員 この年金の掛金額は、いま農林年金は修正積立方式を採用して千分の九十八、私学共済と同じでありますが、厚生年金は御案内のように千分の九十一であります。いよいよ年金の再計算期に来たわけでありますが、伝えられるところによりますと、年金の掛金額を約千分の十五程度引き上げなければならぬではなかろうか、こういう話を聞くわけでありますが、その情勢についてはどのようにお考えになりますか。
○松浦(昭)政府委員 先生おっしゃられますように、農林年金の次期財政再計算が昭和五十四年度末を基準にいたしまして五十五年度中に行うことといたしておりまして、五十六年度には再計算結果に基づきますところの所要の措置をとるということになるわけでございます。このために、農林水産省といたしましても掛金を含む年金財政のあり方について鋭意現在検討いたしておるところでございますが、何分にも農林年金の財政収支の状況あるいは成熟密度が近年急速に悪化いたしておりますので、先般、今通常国会の冒頭におきまして支給開始年齢の引き上げを行ったわけでございますが、それにもかかわりませず、なおかなりの掛金率の引き上げの必要があるというふうに考えております。
○野坂分科員 いま財政は悪化しておるというお話でありましたが、現在の時点で不足財源はどの程度ありますか。
○松浦(昭)政府委員 現在の不足財源額は約一兆七千億円となっております。
○野坂分科員 この農林年金は公的年金であるということは従来から確認されております。したがって、掛金率の引き上げはやむを得ないではなかろうかという前提でお話ししておりましたが、これは組合員も経営者も政府も公的年金の性格として当然負担をしていかなければならぬ、そういうことになると思いますが、そうですね。
○松浦(昭)政府委員 そのおのおのの負担の割合につきましては、いろいろと今後検討していかなければならぬわけでございますが、本来負担をすべき、分担をするものは先生おっしゃるとおり三者でございます。
○野坂分科員 大臣がおいでになりましたのでお尋ねをいたしますが、それぞれ委員会、本会議での決議、附帯決議というものは、従来から尊重するということを各大臣が御答弁されてございますが、附帯決議は尊重してその実行を図るということは当然だと思いますが、そのとおりでしょうか。
○武藤国務大臣 尊重してその実現のために努力をするというのは当然でございます。
○野坂分科員 農林年金の財政事情は、いま局長からお話があったとおりであります。そういうことを踏まえて、昭和四十八年以降、農林水産委員会では全会一致で厚生年金並みの補助率二〇%ということが決議をされておりますが、いまだその実行がされていない、これが現状であります。これについてどう大臣はお考えですか。
○武藤国務大臣 努力をしておるつもりでございますけれども、他の年金とのバランスの問題、またその基礎になっておるいろいろの問題から、必ずしも附帯決議で御決議をいただきましたような形には正直なっていないわけでございますが、それは調整財源費でございますか、それもありますので、実質的には二〇%の国庫負担に近い形にはなっておるのではないか。しかし、それは五十四年度から同じことでございますから、五十五年度の予算においても同じではないかという御指摘かと思いますけれども、今後とも極力私どもは附帯決議の線に沿って努力をしてまいりたいと思っております。
○野坂分科員 調整費でそれを補っておるというお話でありますが、公務員共済の場合は、御承知のとおりに五十五年一月から実施をされて一%引き上げられました。農林年金は調整費を一%ではなくて〇・〇五%去年から引き上げた、一・七七が一・八二になったということであります。非常に差がありますが、しかも努力をされるわけですけれども、この補助率というのは法的な根拠がありますが、調整費というのは予算というものの裏づけだけでありまして、これを補助率の方に切りかえるという考え方でありますか。
○松浦(昭)政府委員 ただいま先生御指摘になりましたように、国共済におきましては、さきの支給開始年齢の引き上げ等の制度改正を期にいたしまして、当分の間措置することで、掛金の一%相当額の国庫負担の増額を図ったことは御指摘のとおりでございます。ただ、この措置は、本来国家公務員の共済の補助率が一五%という状態でございまして、厚生年金が二〇%の水準を保っておりましたのに対しまして五%も低かったという状態でございまして、先生御案内のように農林年金の場合には一八%、さらに財源調整費が一・七七ついていたということから、そのバランスを図って〇・〇五ということになったというふうに承知をいたしておるわけでございます。 さらに、最後のお尋ねの点でございますが、できる限り二〇%のところに近づけたいということで種々努力をいたしておるわけでございますけれども、その努力の結果につきましては先ほどの大臣の御答弁のとおりでございますし、また今後の努力のことにつきましても大臣のおっしゃるとおりでございます。
○野坂分科員 農林年金の生い立ちというのは、厚生年金から三十四年一月一日に分離独立した。そして制度改正も他の公的年金よりもおくれておるというのが実情なんです。出発をした際に、厚生年金は二〇%の補助率でありますから、それに合わせるようにというのはあなた方もお考えになったであろうし、該当者の、年金受給者の皆さんなり組合員はそう考え、国会でも議論されたということであります。そういう実情と、現在の不足財源は一兆七千億円に上っておるというこの実情、しかも年金の支給額というのは最低であるということを踏まえまして、さらに掛金は引き上げるというような様相が近くなった、濃くなったというもろもろの情勢から考えますと、当然、今度の再計算期に当たって十分配慮をして、公的年金の性格とあわせて補助率の引き上げを断行していかざるを得まい、こういうふうに考えておりますが、最後に大臣の答弁をお願いして、この質問は打ち切りたいと思います。
○武藤国務大臣 今度の五十五年度の予算編成に当たりましても、私としては最後の大臣折衝までねばったわけでございますけれども、他とのバランスということもございまして、結果的にそれが実現しなかったのはまことに残念に思っております。いまのように非常に不足の状態を財政上示しておりますので、それらを踏まえて財政再計算に当たりましても一層努力をしていきたいと考えておるわけでございます。
○野坂分科員 次の質問に移ります。 きのうの新聞にも、きょうの新聞にも出ておりますように、北海道漁連の調査等によりましても、四十七年以来七年間魚の空取引が行われておったということが明るみに出ております。この漁連の空取引に伴う事件の内容でありますが、この取引に協力をしたのは何社で、どういう会社なのか。これによって得た手数料はどの程度なのか。そして事件の全貌について明らかにしていただきたいと思います。
○今村政府委員 御指摘のように、今回道漁連におきまして営業本部職員による多年にわたる空売買によって巨額の欠損金を生ずるという事件が起きましたことは、まことに遺憾なところでございます。 事件の概要でございますが、大体四十七、八年ごろから営業本部の担当職員がニシンの共販の際に販売店に対し、相場が下落したときには損失補てんをするというふうな裏約束をしまして、その後相場が下がった際に損失分を相手の業者から架空物を仕入れることにして、補てんすることが断念されまして、その後そういう架空物の転売が行われまして、その間に介在した業者は手数料を上乗せしたということでございまして、その手数料が複利的に拡大いたしまして、約百三十億円に達しておるわけでございます。水産庁としましては、目下詳細につきまして東京の営業本部において調査中でございますが、これらの事件は七年間にわたって行われたのでございますので、その取り扱い件数がどの程度であり、その金額がどの程度であり、したがいましてその間に介在した業者は何社で、手数料が幾らであるかということは、なかなか見きわめるのが困難な状況にあるわけでございます。
○野坂分科員 新聞紙上によりますと、四千万円から数億円の手数料を手に入れていたということが明らかになっております。その調査の進行状態、今日、全然不明でありますか。
○今村政府委員 実は担当者なるものがそういう自分の行いました行為を隠匿いたしますために通常の取引の中に散在しております架空取引につきましては、この書類を抜きまして棄却したということがございます。したがいまして、それに関連いたします御指摘のような調査は、非常に難航をしておるのが実情でございます。
○野坂分科員 調査が難航しておるということでありますが、これは卸売市場法なり東京都の中央卸売市場の条例違反容疑が非常に明らかになってきたようであります。これに基づいての調査ということでありますが、農林省としては監査に踏み切ってこの違反容疑を白日のもとに明らかにしなければ、今日野菜は高騰し、物価高騰の折、消費者は非常に苦しんで奉るというのが実情でありますのに、このような空売りをして法外な利益を上げていることは許せないと思っております。で、いまだ調査が不明確というようなことでは納得できないわけでありますが、これに対応する措置としてはどのように進められようとしているのかお伺いします。
○森実政府委員 ただいま御指摘がございました中央卸売市場の卸四社につきましては、私どももかねてから事情聴取を行っておりましたし、また東京都も監査を実施してこられたわけでございます。総体として見ますと、ある程度の額の取引が道漁連から指定された相手方、または希望のある相手方との間に行われたことは事実だろうと思います。農林省といたしましても、従来の調査あるいは東京都の監査を基礎といたしまして、早々に法令に基づく正式の検査を実施したいと思っております。 なお、この問題につきましては、ただいまも水産庁長官から御答弁もありましたように、売り手方である道漁連の調査等の結果と照合いたしまして判断しなければならないので、事実がどうであるか、またその法的評価なり制度的評価はどうであるかは正式の検査の後に判断しなければならないと思っております。しかし、いま御指摘のように必ずしも現物の裏づけが明白でない仲間内取引を中央市場の卸売人が介在しまして行っていることは、本来の業務である卸売業務にも悪影響を与えると思っておりますので、そういう視点で厳しく事情を精査いたしたいと思っております。
○野坂分科員 西村という道漁連の東京営業課長は、指示は私が連絡したことであり、依頼した商社名及び担当者は次の人たちですということで、十名ないし十二名の人名を具体的に挙げて述べておりますね。水産庁長官は非常に複雑でなかなかわからないということですが、そういう点については追ってみられたわけですか。
○今村政府委員 私たちといたしましても、従来このような架空売買が正常な状態で行われたかどうかということにつきましては非常に疑問を持っておったわけでございます。したがいまして、そのうちの一社等につきましてはそういう事実を早くからつかんでおったわけでございますが、新聞等で報道されましたような範囲までは私たちとしては承知をいたさなかったわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、現在営業本部に検査官を派遣いたしまして、北海道漁連サイドにおきましてそういう関係を調査いたしたいと考えておるわけでございます。
○野坂分科員 取引に関与した大都魚類あるいは築地魚市場とかあるいは大洋漁業とか中央市場の皆さん、そういう方々のお話の中では、この空取引といいますか在庫調整というようなものについては商慣習であるというふうにお答えになっておりますね。しかも、その在庫確認は手書きで在庫証明が出されておる。本物というものはコンピューターでタイプに打っておるのだということが明らかにされておるのに、全然そういうものが確認をされないままに書類だけで行われておるというようなことはきわめて問題があろうと思うのです。したがって、水産庁なり食品流通局は、こういう行政指導がずさんではないかということを指摘しないわけにいかぬと思うのですが、この点についてはどういう指導を今日まで行っておられたのかということが一点。 それから、いよいよ来週から徹底的な検査に入るということでありますが、明らかに違反であるということは事実ですね。たとえば売り先の指定については差別をつけてはならぬということが、東京の条例五十六条違反ということが明らかになっておるわけですから、そういう点についても徹底して調査をして、今後このようなことがないように措置をしなければならぬと思いますが、その点についてはどういうふうにこれから作業を進めますか。
○森実政府委員 各般にわたる御指摘があったわけでございます。まず一つは、商慣習かどうかという問題でございます。在庫が比較的長期にわたる市況商品につきましては、いわゆるこの種の仲間内取引が一般的にあることは否めがたいし、また冷凍水産物もその例外でないことは、単に中央市場の卸系統漁協にとどまらず一般的な事実ではないかと思います。その意味では商慣習といったこともあながち、事の望ましいか望ましくないかは別として、事実ではないかと思います。 それから二番目に、いわゆる中央市場の卸の取引において手書きの名義変更通知書が確認書類として援用されたかどうかということについてでございます。この点は、私どもも新聞等を通じて非公式に情報を得たばかりでございます。これは正式の検査その他を通じて事情を明確にしたいと思います。この問題はむしろ倉庫業者自体の業務運営に属する問題、そして運輸省とも協力しながら事態の究明に当たっていかなければならぬ問題であると思います。 それから、法令違反の問題でございます。いろいろ法令違反の論議が卸売市場法との関連においてあるようでございます。私どもがいままで聴取した事情では、道漁連側が売り先を指定するとかあるいは希望して売買をやったということは事実のようでございますが、これについては一応先ほど御指摘もございましたように、名義変更通知書の数字等形式的要件も備えておりますし、卸売市場法の世界としては第三者売却の許可も受けて処理をしている模様でございまして、卸売市場法自体の違反があるかどうかはいまの段階では正確には判断できませんけれども、いままで得ました情報では、市場法の世界自体としての法令違反はあるとは断定できない、むしろ一応様式としては具備しておるというふうに判断いたしております。
○野坂分科員 しかし、こういうふうに言っておりますね。西村は、「仕入れ在庫ワクは決まっているので、それをオーバーすると道漁連本部に申請しないといけない。手続きが面倒なので、便法として、オーバー分は、次の売り先を指定した上で一時的に引き取ってもらうことにしている。」こう言って各社の担当者に持ちかけておる。この売り先指定は、場内で取引が行われる場合は、「売り先に差別を設けてはならない」という卸売市場条例五十六条に明らかに違反する、こういうふうに報じられておるわけです。そういう点についてはどうお考えですか。
○森実政府委員 これは、実は先ほど申し上げましたように市場法の世界としては第三者売却、つまり市場の仲卸人なりあるいは売買参加者に対する売却ではございません。したがって、第三者売却として要件を具備し、所定の手続をとっておるかどうかということが問題になるわけでございますが、いま先生御指摘のような世界の問題ではないというふうに一応現時点では私どもは判断しております。
○野坂分科員 いずれにしてもこのことは徹底して調査というよりも監査をして、国民の疑惑に対して明らかにしてもらいたいということをお願いをしておきます。よろしゅうございますね。
○森実政府委員 十分精査したいと思います。
○野坂分科員 時間がありませんので、次に進みます。 この間の総括質問等でいろいろ行革が問題になっております。この行革については、いま新しい問題ではなしに古くからの問題でありますが、特に食糧事務所の検査官の問題が問題になっておることは御案内のとおりであります。検査官というのは昭和二十四年には二万三千四百五十八人でありましたが、現在は一万三千二百八十人、こういうふうになっておるわけであります。米の検査の時期は非常に多忙だけれども、その他は余り何もやっていないではないか、半減したらどうかというような話までありまして、農林大臣もそれに向けて似たようなお話をなさっておる。 そこで私が質問しますのは、農産物検査法に基づく検査の量なり、あるいはそれ以外の業務なり、どのような比率になってどのように施行されておるのか、そういう点をまず第一点お伺いをし、半減をするという趣旨はどのようなものであったのか、そしてまた、それは整理をする、首を切るという意味なのかどうか、その点について明らかにしていただきたいと思います。
○松本(作)政府委員 検査員の検査業務以外の業務でございますが、これは食糧管理事業に伴います買い入れ、保管、輸送、売却というような直接的な業務及びこれらの業務を達成するために必要な諸調査、さらには生産調整等の指導、流通段階の調査等を行っておりますほか、最近におきましては食品流通関係の価格、品質の調査というようなものにも従事しておりまして、人によって仕事の量がまちまちでございますが、平均いたしますと、支所段階におきましては検査業務が大体三割程度というような割合になっておるわけでございます。
○武藤国務大臣 米の検査業務につきまして、その合理化を図っていく上において食糧検査官の半減という問題がこの間の予算委員会で議論されまして、私も半減に努めると発言をいたしておるわけでございます。 この点についてどういう考え方かということでお答えをいたしますが、私は、米の検査業務については、現在食管制度の運営改善の検討の一環としてぜひ検査の合理化を図っていきたい。そこで、特にどういう点に重点を置いていくかと言えば、従来試験的に行ってまいりましたバラ検査、抽出検査、これがたしか五十四年度においては、推定でございますけれども大体四十八万トンぐらいであろう、こう言われておるわけでございます。五十五年度についてはこれを百三十万トンぐらいにまで引き上げていきたいと考えておるわけでございますが、そういう形でどんどん一方において私ども、カントリーエレベーターとかその他構造改善事業で補助もしておるわけでございますので、できる限り農協あるいは農民の御理解をいただきながら、そういう姿でバラ検査とか抽出検査をどんどん進めていった場合には結果的に検査業務は非常に簡素化できるわけでございまして、そうなれば人間もそれだけ要らなくなる、こういうことではなかろうか。 その人間の要らなくなるのは、それじゃ生首を切るのか、こういう御指摘でございますけれども、決してそんなことを私は考えておるわけではございません。やはりそれだけの体制をつくっていくには相当の時間がこれから要すると思うわけでございまして、この一年で半分にするとかそういうようなことでは毛頭ございませんし、今後農協その他の受け入れ体制の推移を見ながら、ひとつ大体将来においては二分の一ぐらいになるような目標で努力をしていきたい、こういうことで申し上げたわけでございます。
○野坂分科員 これで時間が参りましたので終わらなければなりませんが、私は特にお聞きをしておきたいと思いますのは、いま食糧庁長官からお話しいただきましたように、米の検査は三割程度だ、あとはいまの野菜の問題とかあるいは食品加工の指導とか、国民の食糧を安定的に供給をするすべての分野、またいまお話がありましたように、魚の問題等そういう点を十分踏まえ、野菜高騰その他の問題も踏まえて十分に活用して、国民のニーズに合う体制を樹立するために検討をすべきではなかろうか、こういうふうに思うわけでありますが、その見解を長官なり大臣に承って私の質問を終わりたいと思います。
○武藤国務大臣 私どものこれからの行政といたしましては、もちろん生産者、農民のよりよい方向へ農業をやっていただくための政策とあわせて、やはり消費者に対しても食糧が円滑に供給できるような体制をつくっていくための政策も大切でございまして、そういう一環から必要な調査は今後も続けていかなければならないと思っております。要は、行政改革というのは仕事があるのに人を無理に減らすということでは決してないわけでございまして、いま御指摘のように国民のニーズに合った、現在の時代に必要な行政事務をやっていく、その中で必要でないところはやはり合理化を図っていく、こういう考え方でやってまいるつもりでございます。
○野坂分科員 これで終わりますが、仕事があれば十分必要であるという認識でありますから、それらに対応していただきますように要望して終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○始関主査 これにて野坂浩賢君の質疑は終了いたしました。 次に、松浦利尚君。
○松浦分科員 まず大臣に、これは政治的なことですから一番最初にお願いをしておきますが、御承知のように八電力会社の電力、電気料金関係が四月一日に査定を終わって公示するということがすでに発表されております。御案内のとおりに農業用電灯、電力につきましては、従来は契約種別の中に入っておったわけでありますけれども、今回は附則に回されております。しかも新規は認めないという、そういう方針のようでございます。商工委員会あるいは物特委員会等でも議論を詰めておる最中でありますが、いまの農業電灯、電力料というのは水主火従時代、水力が主力で火力が従であったときの料金体系であって、火主水従の時代になった場合は特別に政策料金を農事用に求めることは不平等である、そういう主張が今日まかり通っておるわけであります。電気料金、電灯料金が上がっては困るのでありますが、大体第二次産業につきましては稼働率を上げたり生産性を高めることで吸収できます。場合によっては価格に転嫁することができるのですが、農業の場合には、生産性を高めますと御案内のとおりに暴落、価格が大変なしわ寄せを受けますし、価格に転嫁しようとしても、全くの自由市場でありますために価格に転嫁することもできない。電力料金の今日のような上げ幅でありますと、わが国の農業は電力料が上がるたびごとに縮小してしまうという状態を繰り返すわけでありまして、そういう意味では、電力料金の査定に当たって農家の立場に立っていかなる施策で臨まれようとしておるのか。もう目前でありますから、明確にお答えをいただきたいというふうに思います。
○武藤国務大臣 いま御指摘のありました農事用電力制度につきましては、私どもとしては従来どおり電気供給規程の本則に残すということにしてもらいたい。また今度の電力料金に当たって通産省の方で考えておるようでございますが、夏季料金の割り増しというような問題についても、たとえば灌漑排水など、われわれといたしましては、夏これは幾ら倹約しようと思ってもどうしてもそのときしかやれない仕事があるわけでございまして、通産省の考え方は結局夏が一番電力が消費される、だから省エネルギーの観点から夏料金を特に高くしょうという考え方、これはこれなりにわかるのでございますが、省エネルギーをしようにもできない農業の実態というものは私もよく承知をしておるつもりでございまして、そういうものについては特別扱いをするようにぜひ考えろ、こういうことでいま事務当局同士詰めさせておるわけでございますが、時期を見て私自身もこの点についてはぜひ努力をしたい、こう考えております。
○松浦分科員 大臣は通産の大変な御経験者ですから、そういう意味では時期を得た大臣だと思いますから、ぜひその点は言われたとおり実現を図ってください。よろしくお願いいたします。 そこで、その関連についてお話を申し上げたいのですが、実はこれからの設備投資計画等を見てまいりますと、電気は水力から火力それから原子力という方向に設備投資が進むようであります。そうなってまいりますと、その設備投資にかかる負担が消費者に回ってくるわけでありまして、いまのような設備投資計画ですと、電気料金は上がることはあっても下がることは全く不可能という状況だと想定をされます。そこで幸いと言えば言葉が悪いのですが、農林水産省におきましては農山漁村電気導入促進について早くから準備をしておられたはずであります。しかも三十九年の六月に農山漁村電気導入促進法を改正をいたしまして、二千キロワット以上の水力発電についても農協なりあるいは土地改良組合が事業主体になれるように法改正をしておられるところでありますが、まさに将来の展望としては、この促進法をもっぱら活用して、農業にかかるエネルギーはこれは水力でありますからクリーンであります。しかもこれは農業だけに使われて、余剰電力は売電もできて農業の維持経営にプラスになるというメリットもあるわけでありますが、この問題について少しく農林水産省の御見解を承りたいのであります。三十六年から約二カ年間にわたりまして全国的に適地についての調査を農林省はしておられますが、この適地は全国何カ所くらいに想定されるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○杉山(克)政府委員 これは農林省の調査ではなくて、全国的におよそ水力発電の適地はどうかということでの通産省ベース、九電力会社それから電源開発会社等の調査でございますが、地点数でもって全国で二千二百三十五ということになっております。
○松浦分科員 通産の方にお尋ねをいたしますが、いま御報告がありましたように、全国的に二千二百カ所近くの水力発電適地がすでにポイントとして調査されておるわけですが、これから通産としても、クリーンエネルギーを確保していくという意味あるいは省エネ対策として、これは積極的に通産行政の面でもエネルギー庁としては農林水産省に協力をしてできるだけこの法律を生かしていくべきだと私どもは考えるのでありますが、通産省の御見解を承っておきたいと思います。
○飯島説明員 今日のようなエネルギー情勢でございますので、通産省といたしましても国産の循環エネルギーである水力の開発は積極的に推進していくべきであるというように考えております。そのために五十五年度の予算案の中では、水力開発地点の計画策定調査の予算を考えておるほかあるいは中小水力発電開発のための補助金の制度を新しく創設するといったようなことをいま国会の審議にお願いしているところでございます。水力開発促進のためには小規模なものについても極力開発することが大切でございますので、通産省といたしましてもこのような施策を活用しながら関係省庁と十分協調して推進していきたい、このように考えております。
○松浦分科員 私は、これは農山漁村の振興はもちろんですけれども、地元の環境の整備あるいは地元振興にも直接結びついた内容だと思うのです。これまでこの促進法によってすでに発電可能な状態になったところは何カ所あるのでございますか。
○杉山(克)政府委員 最近の事例といたしまして、これは富山県の早月川電力株式会社というのがございますが、そこで五十三年以来工事をいたしておったわけでございますが、この三月末をもって完成し、近く発電に取りかかるというのが一件ございます。そのほか、計画として挙がっておりますものに宮崎県日影土地改良区の計画しておる事業がございます。
○松浦分科員 大臣、せっかくこういう法律が制定されておって、しかも農業団体が、農協なり土地改良組合自体が事業主体になり得る、これからの農山漁村にとりてはきわめて有効な法律であるにもかかわらず、なぜかこれがいま御報告がありましたように今日まで進んでおらない。農林水産省のPRが足らないのか、どこに問題点があるのか、これから進もうとするのか、その点をひとつ大臣お聞かせをいただきたいと思うのです。
○武藤国務大臣 従来はわりあいに電気の供給がスムーズに来たということもあって、せっかく法律がありながらそういう努力が必ずしも十分実っていなかったのではなかろうかと私は判断しているわけでございますが、いまの現実の事態は、大変な油の高騰によりまして、水力の見直し特に小水力の見直しということが通産省の中でも議論がなされておるようでございますので、それを踏まえて考えれば、今後これは一層推進していかなければならない事業ではないかと考えております。そういう点で私どもは努力をしてまいりたいと思っております。
○松浦分科員 きょうは建設省の水利調整室長さんもおいでいただいておるわけですが、実はこの促進法というのは、この法律のたてまえからいいますと、通産省との間の協議は法律的に保証されておりますけれども、水利権を担当する建設省との関係は法律的にはございません。これは別個の形で水利権にかかわる認可事業として建設省の水政課、河川局の方で担当なさるという、結局二本立ての法律体系になるわけです、一カ所の発電をするためには。 そこで建設省の方にお願いでありますが、これは河川局自体が水利の国民的な利用――特定集団にだけ恩典を与えるのではなくて、全国民の問題として取り組んで慎重に配慮しておられることについて、私は決して否定をするものではありませんが、こういう省エネルギーという問題を抱えて、いま大臣もお話しになりましたように、これから農山村の振興のためにはどうしても取り組まなければならない促進法であるとするならば、ぜひそういう前提を踏まえた上で河川行政というものも取り組んでいただけないだろうか。特別枠にしてくれということは、これは建設省の行政に対する農水の介入ということになると困りますから、そういうことまで踏み込んで言うつもりはありませんが、国民の利益というものを農山村の振興、農漁業の振興ということを前提に考えるならば、ぜひある程度の配慮というものを建設省側でやっていただけないものかどうか、そのことを調整室長さんにお願いをし、同町に大垣には、農林大臣というよりも国務大臣という立場で、ぜひそういった問題について御考慮いただきたいということをあわせ質問をさせていただきたいと思います。
○黒川説明員 御指摘のように河川行政の立場から水利権を担当しておりますけれども、いまおっしゃられましたようにエネルギー問題というような問題もございます。水利使用の許可に当たりましても、発電事業等については従来からも十分配慮してまいったつもりでございますが、今後ともこういった新しい小規模な水利権を含めまして、審査に当たりましては十分配慮していきたいと考えます。
○武藤国務大臣 先ほど答弁したような方向で関係省ともよく連絡を密にし、関係省の理解のもとに推進できるような形に努力をしてまいりたいと思います。
○松浦分科員 それでは、これはこれからの将来展望にとっても非常に重要でありますから、大臣それから各省庁の御答弁をそのまま受けまして、御努力いただきますようにお願いをいたします。 それから次の問題は、これはちょっと苦言になりまして大臣にはまことに恐縮でありますが、御理解をいただきたいのですが、柑橘類ですね。いま御承知のように農家の皆さんはお米をつくっても、だぶつき、古米がふえ、生産調整、何をやっても、一生懸命努力をすればするほど、生産が上がって喜ぶべき現象ではなくてむしろ縮小しなければならぬ。養豚にいたしましても親豚を屠殺しなければならぬ、これは自主屠殺でありますが、そういったことをしなければならぬ状態に追い込まれておるわけであります。これはわが国農業における悲劇だというふうに言っても過言ではないと思うのであります。 その一つの例を柑橘関係にとって大臣の御見解を承りたいのでありますが、私がいただきました四十年以降五十五年まで、今年度予算を含めての柑橘類関係予算、補助金等もすべて含めてでありますが、その総額が約一千五百九十七億九千九百万に及んでおるわけでありますが、この数字に間違いはございませんですか。
○二瓶政府委員 間違いございません。
○松浦分科員 政府は何年ごろからこの柑橘について農家に植栽奨励をなさったのか、お聞かせください。
○二瓶政府委員 果樹につきましては三十五、六年でございます。三十六年にいわゆる農業基本法あるいは果樹農業振興特別措置法が制定をされたわけでございまして、選択的拡大というような条項が基本法にも第九条にございます。そのころから選択的拡大ということで、主十六年ごろから特に取り上げてまいった、こういうわけでございます。
○松浦分科員 大臣は、いま農林大臣でございますから、過去の経緯に対しての問題等については責任云々を言うつもりは私は全くありません。ただ問題点の指摘としてお聞き取りをいただきたいのですが、いま言われたように、選択的拡大ということで三十六年から約一千億近くの投資をして農家の方が柑橘類に転作をしてきた、あるいは面積を広げてきた。ところが、いま豊作過ぎるために伐採をせよと、奨励をして補助をした柑橘類、育ってきた木、十五、六年たった木をいま伐採をするということになったわけです。ということは、いままで一千億投資してきたそのことの事業は、この伐採をすることによってバランスはどうなるのだというふうに大臣お考えになりますか。いままでは奨励をして一千億近くの金を投じてきた、ところがいまそれを切り倒す、これは成功だったというふうにお考えになりますか。これは大臣です、政治的な問題ですから。
○武藤国務大臣 いま御指摘のように、ただ伐採というだけを考えれば、せっかく投資してきたものがゼロになるわけでございますから、非常に問題かと思うのでございますが、ただ問題は、投資してきたのは一年ではないわけでございまして、先ほどの話で四十年前後からずっと投資をしてきたわけでございまして、その間に相当利潤は生まれているのではなかろうかと私は思っております。それでは一千億投資してどれだけ回収できたかという点、私もちょっと数字がわかりませんのでその辺がわからないわけでございますけれども、それじゃ一千億の投資から収入がどれだけあって回収できたのか、こういう判断もしていかなければならないと思いますし、もう一つは、私どもは必ずしも伐採というだけではなくて接ぎ木をしたりいたしまして、ほかの需要のあるものにその木をかえていくということもお願いをしておるわけでございます。また、今後全く消費がなくなるということもないわけでございますので、結局その消費と生産との需給のバランスが非常に崩れたために非常に御迷惑をおかけしておるわけでございまして、今後極力生産と消費とが見合った形に需給のバランスをとるようにしていくならば、いまの一千億の回収した後の残りをまるまる損するということにもならないのではなかろうか、こう考えておるわけであります。
○松浦分科員 大臣、まさに明快であります。 それでは、事務当局で結構ですが、どこでその需給バランスが崩れたのですか。恐らく農林省が果樹等を指導する場合には作付指導なり計画指導というものがあったはずであります。一体なぜそういうふうに崩れたのか。需給のバランスが大幅に崩れた最大の理由は何なのか。その点が解明されなければ、これからの農業というのは何をやってもまた同じことの繰り返しですから、どこに原因があったのかを明確にしてください。
○二瓶政府委員 温州ミカンはこれは果樹でございまして、要するに永年性作物でございます。したがいまして、この植栽は需給バランスというものをベースにして適正に行われるということが何といいましても肝心なわけでございます。したがいまして、三十六年に農業基本法等が制定になりましたが、その際におきましても、この選択的拡大という際に、同時に制定になりました果振法の規定によりまして三十七年に長期見通しというのを決定をして、これに基づきまして植栽の誘導をするということでやったわけでございます。そのときは三万五千五百ヘクタールというのを三十七年から四十一年までの植栽目標、見通しということでやったわけでございます。したがいまして、これに沿うような植栽をということで指導いたしましたが、実績は四万九千ヘクタールほどで、これをオーバーしておる。さらに四十二年の三月に、今度は改正した果振法によりまして、第一回の基本方針、これをまた設定をし、公布をいたしたわけでございます。これが四十二年から四十六年までの五カ年間で三万ヘクタールということにいたしまして、これへの誘導を図ったわけでございます。しかし、これまた三万七千ヘクタールということで、これをオーバーする実績が出たということでございます。 というようなことで、永年性作物でもございますので、若木でもどんどん成長していくということになりますと過剰になるという心配がございます。そういうことで、適切な植栽指導ということで、四十三年の十二月にもさらに四十五年の三月にも局長通達等を出しまして、適正な植栽指導というものを県なり農業団体等にも広く呼びかけをしてまいってきておるわけでございます。しかし、なかなかその辺が徹底をいたさなかったということがございまして、四十九年にはさらに温州ミカンの新規植栽の抑制ということで、新規植栽はむしろほとんど認めないという、開墾を含めましてゼロにするというような強い線で臨んでおるわけでございます。そういうようなことで、最近の時点におきましては植栽というものはほとんどございません。 それから五十四年からは、先生御案内のとおり転換対策というものを特に強くやっております。その前の五十年からは改植等の促進緊急対策もやっておりますが、本格的には五十三年度からこの転換対策を強くやっておるということでございます。
○松浦分科員 言われることはよくわかります。しかし結果的にその指導そのもの、せっかくそういう指導をなさっても、末端までその指導が行き届かなかった。そのことが実は今日の需給バランスを崩して、その犠牲が農家の方にきておるわけですね。私は農林省の責任なしとしないのです。少なくとも計画をし需給のバランスの長期見通しを立てたら、その線に従って厳しい計画、厳しい指導というものが対応しないと、必ずツケが最終的には農家の皆さんにくるわけですね。そのときには農家の人たちにきらわれてもいいからやはり厳しく対処する、そういう指導体制というものがなければ、これから晩柑の植栽を奨励していくそうですけれども、一斉に晩柑、晩柑というふうに切りかえていけば、またいつの日かこういう状態が生まれてきて、次から次へと同じことの繰り返しですね。そのたびごとに農家は疲弊をしていく。農家が疲弊することが目的であればそれでも結構です。しかし農林水産省である以上はそうじゃないと思うのです。ですから、そういう意味では、当初の計画、その計画に対する指導、これをもっと明確にしていく。農業団体等とも十分打ち合わせをしながら、もう二度とこういった今日のような過ちを将来起こさないように、ぜひそういう意味の、これは最後は激励になるかもしれませんが、農林水産省の厳しい指導というものを私はぜひこの際要望しておきたい。そのことが農家のためになるんだというふうに思います。農林大臣の御覚悟のほどをお聞かせいただきたいと思います。
○武藤国務大臣 私どもは、今後二度とこういうことの起こらないように、極力強力な指導をしてまいりたいと思っております。ただ問題は、全くの計画経済じゃないものでございますから、命令をするわけにはまいりません。ですから、ある程度のめどをつけて、その範囲でやっていただきたいという指導は強力にしてまいりたいと思います。特にいまわれわれが今後努力をしてまいりたいと思っておりますのは地域農政の振興ということで、地域地域でひとつどういうふうにつくったらいいかということをみんなで相談してくれ、それで私どもが中央である程度のめどをつけたもの、そういうものとのバランスをよく考えながら、それぞれの地域で、それじゃこういうものをお互いにつくろう、こういうことでやってもらいたいということをいま推進をしていきたいと思っておりますが、そういうわれわれの見通しとそれぞれの地域での見通しというものがちょうどうまくかみ合ってくると、全国的によりよいバランスのとれた農業ができ上がるのではないか。ちょうど私どもいま長期見通しをつくっておる最中でございますけれども、ぜひそういう方向でやりたいと思っておるわけでございます。
○松浦分科員 それじゃもう時間がなくなりましたから、最後の問題点についてお尋ねをいたします。 それは農家の皆さんの災害事故にかかわる問題でありますが、実は昭和四十五年十二月十四日、農機審第十四号で、農業機械化審議会会長の立川さんから、当時の倉石農林大臣に対して答申が出ております。その中では、現在行われておる特別加入方式労災保険制度を利用するということについては、農業者にとってはなじみがたいと考えられる。ですから、農業機械作業に従事する農業者の災害補償については別個に制度を考えたらどうかという答申が実は出されておるのでありますが、この郷中は実態に合わない答申だったのかどうか、現在どういうふうになっておるのかということをお聞かせいただきたいのが一つであります。 もう一つは、実はいまこの制度ができ上がる前の前段として、労災保険の特別加入制度に農業従事者、農民の方が入っておられるわけでありますが、この問題については、御承知のように指定農業機械を使用する場合には一定の制限がございます。ですから、こういった圃場事業をしておるときだけの単純な農作業についてのみの特別加入が認められておりますので、同じ機械を使って起こった事故については施設園芸であれ養蚕であれ適用できるように労働省との間に話を詰めていただきたいということと、農業機械は多種多様にわたっておりますから、もし可能なら農業機械のあらゆる機種について特別加入制度を認めるような枠組みというものはできないものかどうか、この二点について最後にお尋ねします。
○二瓶政府委員 四十五年十二月に農業機械化審議会から農林大臣あてに答申がございました。その中で、農作業の災害補償について新制度を創設することについても検討をしていく必要があろうということが記述されておるわけでございます。したがいまして、この答申を受けまして以来農林水産省といたしましては、農業者を対象とする独自の災害補償制度、これを何とか仕組めないものかということで内部でも検討をいたしましたし、また全中等の農業団体ともいろいろ打ち合わせ等もやりながらこの検討を進めたわけでございます。しかし、これを検討してまいりますと、なかなかむずかしい問題であるというのが率直に言いましてクローズアップされてまいってきておるわけでございます。いろいろな問題がありますけれども、基本的にボトルネックになるといいますか非常に大きな問題と考えられますものがまず三つあると思っております。 一つは、就農の実態が区々でございまして一律でございません。そういうことから労災保険のような形の強制加入といいますかあるいは事業主を強制的に加入さしておりますが、こういう強制加入制度というものが農民に対してとり得るかどうか、この辺がなかなかむずかしい。そうだとすれば、任意加入でうまくいけないかということになります。そうしますと、任意加入によって小人数の保険ということで仕組みますと、掛金といいますか保険料の料金を相当高くしなければならない。そしてまた補償内容の方も相当充実はしたいということでございますけれども、やはり現行の労災保険制度のようなああいう年金制度というようながっちりしたものにはなかなか手が届かないというのが第二点でございます。それと、こういう制度を仕組んだ際に本当に労災として保険の対象になるのかどうかという認定がございますが、どうも農家の経営の場合には家計と経営が判然と区別ができないという面がございまして、その辺の認定技術上の問題があるということで、これはなかなか根本的な問題がございまして、保険設計なり何なりを仕組むというところまでまだいっていないというのが実態でございます。 それから第二点といたしまして、現在、労災保険で特別加入の制度があるわけでございます。これにつきましては、一つは対象機種の追加の問題、現在十三機種が対象になっておりますが、さらにその機種以外でも農作業の事故等が起きているものがございますので、そういうものを新たに対象にしたいということで労働省とも話し合いをしておるというのが第二点。 それから第三点は、農作業等に使いますものが主体になっておりますが、これが養畜分についての適用範囲の拡大、これも労働省と話し合いをやっております。 以上でございます。
○松浦分科員 少し時間を食いましたけれども、お許しください。ありがとうございました。
○始関主査 これにて松浦利尚君の質疑は終了いたしました。 次に、木内良明君。
○木内分科員 私は、最近問題になっておりますニホンカモシカの食害問題についてお尋ねをいたします。 ニホンカモシカは昭和九年に天然記念物に指定されておりましたけれども、その後その種の保存あるいは維持というものが困難になるということから、昭和三十年に特別天然記念物として指定されたわけであります。その結果手厚い保護を受けるようになりまして、その頭数というものが飛躍的に増大して、現在では山林あるいは農業というものに大変大きな被害を与えるようになったわけであります。 そこで私は、問題になっておりますカモシカによる造林木の被害並びに林業経営に及ぼしておりますところり重大な影響について、現在全国的な状況はどのようになっておりますか、お聞きします。あわせて、特に長野県下における被害が全国的にも大変大きいというふうに聞いているわけでありますけれども、この地域的な被害の状況はどうなっておるか、お聞きをいたします。そうした御説明をいただいた後、この問題に対する大臣の御所見もつけ加えていただければと思います。
○須藤政府委員 お答えいたします。 まず全国の被害状況でございますが、民有林と国有林と合わせまして昭和五十年度には千九百五十一ヘクタール、昭和五十一年度には二千五百四十三ヘクタール、五十二年度には三千二十九ヘクタールとなっておりまして、五十三年度も三千十三ヘクタール、ほぼ前年程度の被害が発生いたしております。 地域的な被害の状況でございますが、被害の大きい地方は長野県、岐阜県、岩手県でございまして、被害樹種はヒノキが大部分を占めておりまして、次いで杉、松というような順序になっております。特に長野県のカモシカの被害は昭和五十三年度には千四百二十二ヘクタール、全国被害量の約四七%を占めておるのでございます。被害は主として県の南部、中でも伊那谷西部及び木曽谷地域で発生しておる現状でございます。
○木内分科員 いまの問題、大臣ひとつ。
○武藤国務大臣 これは大変むずかしい問題でございまして、片一方にはそういう貴重な野生動物のカモシカを保護しなければならないということ、また一方においてはそういう林野あるいは田畑の食い荒らされるということにおいての被害を防止しなければいけない、それは全く相反する問題でございまして、この相反する二つの事象をどううまく結びつけるかということは大変むずかしい問題かと思いますけれども、いま私どもの林野庁と環境庁と文化庁でいろいろと協議の上、一つの方向が打ち出されたわけでございます。できるだけ早く、私は、打ち出された中で地域を限定して、そこは保護区にして、そこはもう絶対に守ってあげる、しかし保護区以外のところにはなるべく出てこないようにするというのが一番いいのではないか、そういう方向にできるだけ努力をしていきたい、こう考えておるわけであります。
○木内分科員 被害面積の推移というものを見てまいりますと、民有林、国有林合わせて昭和五十年度には千九百五十一ヘクタール、五十一年度は二千五百四十三ヘクタール、さらに五十二、五十三年度におきましては三千ヘクタール台というぐあいに、非常な増加の傾向になっているわけであります。また、長野県における民有林の被害面積の推移というものは、いま実際御説明の中で具体的な数字は、他県との比較は出ておりませんでしたけれども、四十九年度で四百三十七ヘクタール、五十年度では四百九十九ヘクタールであったものが、五十一年度から一挙に千ヘクタールを超え続けているという状況でございます。このように近年被害が急増しているわけであります。こうした被害の急増の理由について林野庁としてはどのように考えておいでか、お知らせください。
○須藤政府委員 先ほど来先生からお話しございましたように、カモシカが特別天然記念物に指定されまして、符にその保護対策が決定されたということによりまして生息数が著しく増加しているということが第一の原因でございます。このために里山地帯などでも造林木を食害するというふうになったのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○木内分科員 特にカモシカの嗜好といいますか好きな樹種でございますね、この樹種別の被害の状況はどうなっておりますか。
○須藤政府委員 先ほども若干触れましたが、大部分はヒノキでございまして、そのほか杉、松等も若干被害が出ております。
○木内分科員 ただいま林野庁から被害について報告をいただいたわけでありますけれども、ここでカモシカの生息数の増大の問題に触れなくてはならないと思うのです。 そこで環境庁にお聞きするわけでありますけれども、現在カモシカの全国的な生息分布あるいは生息数というものはどういうふうになっていますか。
○高峯説明員 カモシカの生息分布、生息数でございますが、これにつきましては昭和五十二年度から五十三年度に調査をいたしまして、全国四十七都道府県中三十都府県に生息いたしております。その生息面積は三万五千平方キロメートル、全国土面積の九・五%に及ぶと推定されております。具体的な地域といたしましては東北及び中部地方の山岳地域が主たる生息地域でございまして、北海道及び中国には生息していないという結果でございます。また生息数でございますが、全国で六万頭から十二万頭の間にあるという推定の結果になってまります。
○木内分科員 報告によりますと、一時期三千頭ぐらいであったものが近年大体七万頭前後になっているのではないかということも仄聞しておりますけれども、いまお答えの中で六万頭から約十二万頭という大変な幅があるわけすね。これについてははなはだ心もとない調査の状況であるというふうに思いますけれども、この掌握調査は環境庁としてはどのような方法で行われていますか。
○高峯説明員 調査の方法といたしましては、現在用いることのできる最も科学的な方法によったわけでございます。具体的な調査の内容を申し上げますと、二つの調査に分かれておりまして、一つが生息域調査、生息の地域でございます。それから生息の密度調査、この二つを行っております。 生息域調査につきましては、昭和五十年度にアンケートによって調査をいたしました結果に基づきまして昭和五十一年度に三十都府県に依頼いたしまして、狩猟、山仕事の従事者等カモシカの生息状況に詳しい者からの聞き取り調査を実施いたしまして、五万分の一の地図に生息域を図示したものでございます。 それから生息密度調査でございますが、これは昭和五十二、五十三両年度にわたりまして、長野県を初めカモシカの主要な生息地十県におきまして百七十四地点を選定して実施したものでございますが、何分山の中で相手が動いておるものでございますので正確な数字――六万から十二万というかなり大きな誤差がございますけれども、現在の科学的な調査等では以上のような結果になろうと思っておるわけでございます。
○木内分科員 いまの御説明ですと、六万頭から十二万頭が現状における最大限正確な数字であるということでありますけれども、これは調査方法等の改善あるいは今後の研究等によって正確な数字は出し得ないものでしょうか。私、これは大変大事な問題だと思うのですね。林業に及ぼしているいろいろな被害の対策を講じていく上でも、あるいはまたもろもろの具体的措置を講ずる上からも、この生息状況、密度調査の内容というものがやはり大きな前提になってくると思うのです。その上からたとえば調整頭数ですとか具体的な方針というものが打ち出されるわけで、いわばその前提になる頭数がはっきりしないということはちょっと心配な気がしているわけでありますけれども、その点環境庁いかがでしょう。
○高峯説明員 この種の調査は今回の調査が初めてでございましたので、今後、今回の調査のいろいろ反省なり結果を踏まえまして、より正確な調査ができるように努めていきたいと思っております。
○木内分科員 具体的には、より正確な調査というのはどういう方法になりますでしょうか。
○高峯説明員 最も単純な方法でございますと調査地点をふやすということでございますが、このほかいろいろ調査技術なり知見が高まってまいることも考えられますので、そういった点を総合勘案して精度を高めるということになると思います。
○木内分科員 決して十分な御答弁とは思いませんけれども、この問題についてはいろいろな御苦労があるということもよく知っております。どうか、いわゆる予算面さらにまた研究の段階でよく詰めていただきまして、林業経営者等が納得できるような施策を講ずる上からの調査の方法というものもぜひ前向きに御検討いただきたいというふうに思います。 このように、先ほど申し上げましたけれども、特別天然記念物であるカモシカによって林業経営に大きな影響が生じているという現状に対しまして、林野庁としては今後どのように対処していかれるお考えか。今日までいろいろな対応策も実際講じられてきたと思いますけれども、今日までの対応策とあわせて、今後の基本的な考え方というものを明らかにしていただきたいと思います。また、その御答弁の後、大臣からも御決意をお願いしたいと思います。
○須藤政府委員 ただいままでとりましたいろいろな措置でございますが、やはりカモシカをとらえて射殺するというわけにまいりませんので、造林木を保護する意味で防護さくをつくりましたりあるいは防護ネットを張ったり、あるいは造林木にネットを張ったり忌避剤を塗ったり、いろいろな方法を試みてきたわけでございますが、いずれも徹底した防護ができないということでございまして、今回、この貴重な野生動物でございますカモシカの保護を図るとともに、これによって被害を防止いたしまして林業経営の安定を図るというような方向で調和をさせるというか両立させることが必要であるというふうに考えております。このため林野庁、環境庁及び文化庁の協議の上で、カモシカの保護とカモシカによる被害の防止の両立を図るための恒久対策を昨年の八月末に明らかにしたところでございます。 その対策の内容でございますが、一つは、カモシカの安定的維持繁殖を図るために、地域を限って天然記念物に指定いたしまして保護する方向で対処するということでございます。またその二つ目は、それまでの間は三庁合意の措置といたしまして、保護地域を設けることにいたしまして、この地域内においては原則としてカモシカの捕獲は認めない、また保護地域内でのカモシカの保護及び被害防止の徹底を図るために管理機関を定めまして保護と被害防止対策の実施等の推進に努めるということでございます。また三番目といたしまして、保護地域以外の地域におきましては、被害防止に努めるとともに、麻酔銃の使用等有効適切な方法によりましてカモシカの個体調整を図るということになっておるわけでございます。 現在、この対策に基づきまして、南、北両アルプス保護地域が設定されておりまして、これに伴います各種措置が行われているところでございますが、今後とも恒久的対策の適切な実施によりまして被害の防止に万全を期していきたいというように考えております。
○木内分科員 大臣、この問題いかがでしょう。
○武藤国務大臣 先ほども申し上げまして、いままた長官からも答弁があったわけでございますが、先ほど数字を聞いておりましても、天然記念物になぜなったかと言えば、一つは、貴重な野生動物であるとともにそれがだんだん減ってきたというところに保護しなければならないという問題が起きてきたと私は思います。ところが、保護したら今度は数がふえてきたわけでございまして、その辺をもう少し何か、いま三庁で八月に合意を見た線が一応ありますけれども、その合意を見た線で今後実行する上においてはその辺はやはりしっかりと、一体どれだけはいつまでも生きているように保護してやらなければいけないのか、これがいまのお話で六万から十二万というお話で、私もなかなかむずかしいのかなと思っていま聞いておりましたが、かつては何千頭という数字であったものがいま何万頭、またひょっとするともう一けた上の何十万頭という形にもなりかねないわけでございますから、保護するということも大切ではございますけれども、やはり限度があるのではなかろうか。保護する方に余りウエートがかかってしまって、林業経営者はみんな困っているというようなことも問題じゃなかろうかと私は思いますので、その辺は、保護することは保護するという姿勢は堅持しながら、しかし余りにも保護し過ぎということにならないように、林野庁も毅然とした態度で臨んでいかなければいけない、こう私は考えておるわけでございます。
○木内分科員 何か大臣は二時二十分ごろ退席されるということなので、いまお聞きしたわけであります。ただ大臣のお立場としては、被害をいかに食いとめるかというお立場での前向きの姿勢をひとつ堅持していただきたいというふうに思うのですね。いまのお話を聞いておりますと、何か文化庁の長官のようなお話でありまして、ぜひともよろしくお願いしたいと思うのです。 林野庁から対応策についてるる説明があったわけでありますけれども、いわばカモシカの食害対策がやっとスタートラインについたという感を私は深くしているわけでありまして、いまお聞きした対策では決して十分とは言えないわけであります。私の感じでは、やっとその第一歩を踏み出したにすぎない対策の状況だというふうに思います。 実は大臣、この後具体的に長野県下伊那郡平谷村の実態というものについての御答弁もまたいただきたいと思ったのですけれども、時間がございませんので、いまお話のありました文化庁、林野庁そして環境庁、この三庁合意の方針に基づいての数々の施策を講ずる上で当事者はやはり大臣でございますので、どうかひとつ積極的に取り組んでいただきたい。三庁の中における大臣のお立場というものをもう一回、退席の前にひとつおっしゃっていただきたいと思います。
○武藤国務大臣 ちょっと誤解があったかと思います。保護すべきある程度の量というものは保護してやらなければいけないだろう、しかし保護をし過ぎてどんどん量が、量というのはカモシカの頭数でございますけれども、ふえてきておる現状を見れば、そんなに数が必要なのか、何でもかんでもめちゃくちゃに保護すべきものではないと私は思うのでございます。その辺はやはりある程度、文化庁と環境庁特に文化庁でございますが、大体どれぐらいの頭数だけは維持していかなければならないかという一つのめどをつけていただいて、それ以上のものは生息しなくてもしんぼうしていかなければならないのではないか。そうしないことには林業の方がもたないのではないか、こういう考え方から申し上げたつもりでございまして、やはり天然記念物にも指定されているわけでございますから、ある程度の頭数だけは維持をする、それは林野庁としても協力しなければいけない、しかしそれ以上の頭数については必要がない、私どもはこういう判断で、今度は林業の振興という観点から毅然たる態度で臨みたい、こういうことを申し上げたつもりでございますので御理解をいただきたいと思います。
○木内分科員 そこで文化庁にお聞きするわけでありますけれども、このカモシカによる被害対策は、文化庁、林野庁、環境庁の三庁の絡みによって今後強力に推進されなければならないわけでありまして、昭和五十四年八月に三庁で合意した方針に基づいて現在どのような措置がとられているのか。保護区域、調整区域の問題も含めて、それらの措置の実施状況がどのようになっているか、文化庁にお聞きします。
○逸見説明員 御説明申し上げます。 昨年八月三十一日付の三庁の合意の当面の課題は、文化庁を中心にいたしまして、林野庁、環境庁の御協力を得ながら、全国十数地域にカモシカの保護地域を設定する、こういう課題であろうかと考えております。そこでカモシカの生息状況、被害の状況、そういったものを勘案しながら、まず最初に取り上げましたのが中部山岳地域でございまして、北アルプス保護地域、南アルプス保護地域、そしてそれに伴いまして、その周辺にカモシカの調整地域、こういったものを昨年の暮れ、これは北アルプス保護地域でございます、ことしに入りまして、一月の末でございますが南アルプス保護地域を設定いたしております。今後そういった保護地域を全国十数カ所に及ぼしてまいりたい、こういうふうに考えております。それが一つでございます。 それから二つ目でございますが、そういった保護地域並びに調整地域ができたことに伴いまして、岐阜県、長野県におきます被害の激甚地域を中心にいたしましてカモシカの捕獲申請が文化庁長官に出されております。これに対しまして、岐阜県、長野県ともども申請どおりの内容で、具体に申しますと岐阜県の場合には、麻酔銃を原則としつつ一般銃の併用を行って全部で百三十頭のカモシカを捕獲する、こういった申請でございますが、申請どおり許可をいたしております。それから長野県でございますが、これは麻酔銃だけによりまして五十頭の捕獲の許可申請が出ておりまして、これも申請どおり許可いたしたところでございます。現在捕獲の作業が進められているところでございます。
○木内分科員 いま五十頭というお話でございましたけれども、今後の状況等に応じて、これは当然拡大されさらにまた実情に即した対応が行われると受けとめてよろしゅうございましょうか。具体的に長野県の例ですね。
○逸見説明員 御説明いたします。 今回とりあえず五十頭ということでの申請でございました。私ども、そういった申請が出ますと、それで結構でしょうというふうな単純な返答を申し上げるわけではございません。そういった被害地の実地調査をいたすわけでございます。なるほど五十頭による被害が確実に起こっている、そういった状況を踏まえて、五十頭の許可をいたしたわけでございます。今後も、たとえば五十頭をとり尽くした後まだ被害が出てくる、そういった際にたとえばまた五十頭というものが出てまいりました場合に、また改めて被害の実地調査をいたしましてその上で適当な数を許可いたしたい、このように考えております。
○木内分科員 ぜひ実情に見合った対応ということを要望しておきます。いま言われた方針に基づいて速やかにほかの地域にも具体的措置が講ぜられるよう私は強く主張するものでありますけれども、その準備措置が現在どうなっているか。また全国的にこれらの措置が完了する見通しについても、時間がありませんから簡単に答えてください。
○逸見説明員 全国十数地域と申し上げましたけれども、現在具体には十四地域ばかりを考えております。それでこれを数カ年かけてということで、おおむね五、六年以内には完了したいと考えております。
○木内分科員 ここで具体的に、先ほど大臣にもちらっと申し上げましたけれども、長野県下伊那郡平谷村について申し上げます。共通した問題を抱えた根羽村、浪合村と隣接しておりますこの村は、面積約七十七平方キロメートルでその九〇%以上を林野が占めている。世帯数にして約二百三十、人口約六百五十人のうち林家戸数が全体の七六%という純山村であります。この村の塚田村長あるいは宮沢村会議長、村議会の方々など関係者の皆さんから、私はたびたびにわたって実は詳細な説明と要望とを聞いているわけでありまして、こうした村でありますが、皆さん大変意欲的に豊かな将来の村建設に取り組んでおられるわけであります。昭和六十二年を目標年次として、十カ年の長期で平谷村総合整備計画というものを策定して、その大事な一環として、農業、林業を村の基盤産業とすべく、林道の整備等とあわせ、昭和五十四年に森林総合整備地域に指定されたのを契機に集団的計画的な造林事業を実施し、村の林業振興計画などに基づいて新規植林、保育、拡大、造林を促進し、安定した林業経営を目指しているのが実情です。現在、山林の主体をカラマツからヒノキなどへと転換しつつありますが、一ヘクタール当たりの蓄積は、公有林で五十立方メートル、私有林四十七立方と、特徴として若齢林が非常に多い。いわば林業振興ということはこの村にとっては重要な生命線なのでありまして、近年のカモシカによる被害の増大は林業経営にとってもゆゆしい問題となっているわけであります。林野庁としては、今後の林業振興の観点から、こうした地域の被害に対してどのように対処される考え方か、お聞きしたいと思います。
○須藤政府委員 先ほど来御説明申し上げておりますように、被害防止につきまして、三庁合意による恒久対策、これの適切な実施に万全を期するということにしておるわけでございますが、これに基づきますいろいろな措置の実施に当たりましては、その地域の被害の状況でございますとか林業経営の現状等を十分踏まえまして、重点的に行う必要があるというふうに考えておるところでございます。また、このため、三庁間の連絡をさらに密にいたしますと同時に、関係県との連携に努めまして、被害状況に対応したきめ細かな被害防止対策を推進いたしまして、当該山村地域の林業の振興のために努めていきたいというふうに考えておるところでございます。
○木内分科員 いわば生命線ともいうべき林業の振興によって村づくりを目指している非常に象徴的な村であるというふうに私は思いまして今回取り上げているわけでありますけれども、具体的にこの下伊那郡の平谷といった点を勘案されて、どういうお考えでしょうか。
○須藤政府委員 平谷村で食害を受けたということも私聞いておりまして、実は今後の復旧の問題になろうかと思うわけでございます。一たん被害を受けまして復旧いたしましても、さらに被害を受けるということになりますと、まさに林業家の意欲がなくなってしまうわけでございます。どうしてもまずその被害防止対策を徹底するということが先決だろうと思うわけです。その被害を受けました造林地の復旧対策について、私どもはお手伝いをすることにしていきたいと考えております。
○木内分科員 ぜひともこれも前向きに取り組んでいただきたいと思います。 次に、文化庁にお聞きします。 文化財保護法の八十条で「損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。」という一項がございますけれども、いわゆる損失補償の規定があるわけであります。特別天然記念物であるカモシカの被害については当然適切な補償をすべきだというふうに私は考えておりますけれども、この点、いかがでしょう。
○逸見説明員 文化財保護法八十条五項に、御指摘のとおり損失補償に関する規定を設けております。ただ、この規定は、たとえばカモシカによる被害が生じた、したがって即それを補償する、こういう単純な定め方にはなっておりません。 と申しますのは、特別天然記念物でございます野生動物による被害、そういったものが発生いたしました場合、文化財保護法は、まずその被害者等によりまして被害防除の措置を講じていただく、これを最先端に期待しておるわけでございます。そして、その防除措置を講じてもなお被害が発生するというふうな事態を迎えました場合には、八十条の第一項によりまして現状変更の許可申請を出していただきましてカモシカの捕獲をしていただく、それによって被害の防除をしていただく、こういうことでございます。こういった手順を踏むことが補償をいたします前提となっておるわけでございます。 その場合にも、たとえばある県からカモシカについての捕獲申請が出てまいった、これに対して文化庁長官が不許可あるいは条件を付して許可をしたというふうな事態になりました場合には、そういった不許可等の処分によりまして通常生ずる損失を補償する、こういう規定になっておるわけでございます。たとえば、この点を長野県の例で具体的に当てはめて申しますと、県知事から確かに、カモシカ五十頭を捕獲したいという申請が出てまいっております。これに対しまして、その申請のとおりに文化庁長官としては許可いたしたわけでございます。そういうことでございますので、八十条第五項によります損失補償の規定は適用にはならない、こういうふうに考えておるわけでございます。 したがいまして、私ども文化庁としては、先ほど林野庁長官からの御答弁にもございましたとおり、全力を挙げて何よりも被害の防除を完全にいたしたい、こういった方向に最重点の力点を置いて施策を進めておるところでございます。
○木内分科員 全力を挙げて被害の防除にこれ努めていただくということですから、今後私も機会をとらえて、このカモシカの被害については、単に八十条五項の規定に限らずに国会で取り上げていくつもりでおります。 時間も余りございませんので、最後にお聞きするわけでありますけれども、文化財保護基金的なものをつくって、いわば保護と補償の両面をカバーしていくという、保護基金の中から補償の方法を考えるシステムについて、わが党の同僚議員の方から昭和五十三年三月の予算分科会で指摘をされております。文化庁からは、従来からこの保護基金制度については検討課題としておりました、その指摘によってさらに検討を加えるという答弁が行われているわけでありますけれども、この際、その後この問題がどうなっておるか、また今後これについてはどのような対応を考えておられるのか、これをお聞きしたいと思います。
○逸見説明員 伏屋先生から御指摘のございましたイギリスのナショナル・トラスト、この制度を私どもまず十分検討いたしました。これは、その名前にもかかわりませず純然たる民間団体でございまして、会員からの会費、篤志家からの寄付、そういったものが事業の主要な部分を占めるという形で運営をされております。そこで、事業の中身といたしましては、歴史的に重要なあるいは美しい土地や建物を直接買い上げまして、みずから所有することによって保護するということを目的としております。したがいまして、野生動物の保護あるいは被害の補てんということに関しましては、その事業の内容には入っていないようでございます。 野生動物によります被害の補てんの問題、これは文化財保護法八十条の問題を含めまして、被害査定の問題は大変複雑で困難な問題を含んでおります。それから野生動物によります被害の補てんという事業、たとえば基金制度を設けまして、会員の納める会費あるいは篤志家の寄付、そういったもので対処するということは、わが国の国民性ないしは法体系のもとではきわめて困難で、実情に即しないのではないかと考えております。 たとえば、わが国で日本ナショナル・トラスト、こういったことを自認していらっしゃいます観光資源保護財団というのがございます。これは運輸省所管の財団法人でございますが、ここの方から、日本においては、その国民性、法体系というものから、その活動にはおのずから限界があるというふうなお話も伺っております。 そういった状況を踏まえまして、私どもは、三庁の合意事項の一番最後のところに触れておりますように、何よりも、ともかく被害を起こさせない方向に最全力を挙げるのだ、被害が起こってからの補償というふうな受け身ではなくて、むしろ積極的に被害を食いとめる、それを三庁協力してやっていこう、こういった姿勢でおりますので、文化庁といたしましても今後そういう点に最重点を置いて努力をしてまいりたいと考えております。
○木内分科員 いずれにしても、このニホンカモシカによる食害の問題は、林業関係地域にとって緊急な課題であります。私も、申し上げたように今後引き続いて取り上げていくつもりでおりますけれども、今後の責任ある適切な対応を要望して、私の質問を終わります。
○始関主査 これにて木内良明君の質疑は終了いたしました。 次に、近藤豊君。
○近藤(豊)分科員 昨今エネルギー危機が再燃いたしまして、油の値段が上がり、かつ電気料金が近々大幅に引き上げになる。これはあに農業だけではなくて日本の経済全般をヒットするわけですけれども、特に、作物がぜいたくであるとか、油をうんと消費し過ぎるとか、電気を使い過ぎるとかいうことで、施設園芸のあり方について数々の批判あるいは議論がなされるわけですが、施設園芸をしている農業者たちは先行きを大変心配しております。みんな不安に思っております。 そこで、もちろん政府においても、このエネルギー難時代に対処いたしまして数々の省エネルギー対策、これは当面すぐ役に立つものですけれども、そういう省エネルギー対策あるいはもう少し長い目で見た代替エネルギーをうまく施設園芸に活用していく方法というものを検討し、かつ予算措置もしておられると思います。当面、省エネという面では今回の予算で、農林省としては大体どの程度の節約を特に施設園芸に関しては目指しておられますか。その辺を承りたいと思います。
○森実政府委員 現在、施設園芸の省エネルギー化の問題につきましては、一つは厳冬期を避けます作型の指導とか、それからもう一つは、現在の施設をベースにいたしまして、制度金融の活用等によって保温用のカーテンとか定温管理装置をつけるという改善措置、さらに若干中期的な視点に立ちましては、太陽熱の利用とかもみがらの燃焼施設の利用等、新しいエネルギー源への転換のためのモデル団地の設置等の事業を実施しております。私どもといたしましては、全体としては年率七%という節約目標を掲げておりまして、当初の段階としては先ほど申し上げましたような、厳冬期を避けた作型の指導あるいは保温用カーテンとか温度管理施設の導入等によって、それぞれの施設において二割ないし三割の節約を大体三年がかりくらいで実施して、七%の水準を達成したいと考えております。
○近藤(豊)分科員 この二割から三割の節約率というものは非常に大きなものだと思います。しかし、油の値上がりというのは恐らく二割、三割をさらに超えていくだろう。そうしますと、施設園芸農家が使う油のコストが当然上がってまいりますので、採算が悪化する。そういう採算の悪化は、油の値上がりというのは日本にとっては他力本願でどうしようもないものですから、何らかの形で経営内容の悪化した分をバランスをとる必要があるだろう、そういう点については今後何か施策を考えておられるのか、ある程度中期的な観点からお答えいただければと思います。
○森実政府委員 基本的には、やはり油価格の上昇は作物のコストとして価格で吸収していかなければならぬという性格のものだろうと思います。 昨今の状況を見ますと、実は施設野菜の中でも大宗を占めておりますキュウリ、トマト、ピーマン等については、ある程度需要自体もだんだん頭打ちの状態になっております。私どもとしては、やはり基本的にはこれら施設野菜の価格の問題として取り組んでいかなければならない。幸い、現在政府が実施しております野菜の価格安定制度の支持水準というものは、中核的農家群にとってはかなりゆとりのある水準として設定しておりますので、その点は価格を通じて実現できる状況はでき上がっておると思います。むしろそういった価格の効果を通じてある程度消費も抑制されていくという形で考えていくのが基本ではなかろうかと思います。
○近藤(豊)分科員 この施設園芸の一つの分野で、実はミカンの温室園芸があります。これは私の郷里でかなりたくさん普及している農法なんですけれども、全体のミカンの生産の中ではまだまだ少ない。ところが、この地域にしてみたらこれはかなり重要な産業になっています。この温室園芸の中でもミカンの分野については、実は使用電力が農業電力として認められていない。これは直接的には通産省の所管の問題だと思いますけれども、温室園芸あるいは施設園芸としてミカンはやらなくてもいいんだということには恐らくなっていないと思いますので、その点については農林省はどういうような見解を持っておられるか。これは農業電力の中に入れなくてもわずかな消費量なんだから構わないのだ、何とかしてくれということなのか、それともそれについての何らかの措置を通産省と協議して考えるということを予定しておられるのかどうか、承りたいと思います。
○二瓶政府委員 近年ハウスミカンという形で、電力ないしは石油等使いまして、それでミカンを早期に収穫をしてこれを夏場等に出荷するというようなことがございまして、逐次面積がふえております。ただ、農林水産省といたしましては、このハウス、ミカンと言いますものについては、ミカンの情勢等も必ずしも価格はよろしくございませんので、農家の対応としてやっておることはわかりますけれども、これを積極的に奨励することは差し控えたいということで、むしろ今後の需給の動向等もよく見定めてその辺はおやりになったらいかがですかということで、生産奨励的なサイドに立っておらないわけでございます。 それから、それと関連して農事用電力についてお尋ねでございますが、農事用電力につきましては灌排の関係が中心でスタートを切っておりまして、その後脱穀調製あるいは育苗の関係若干ございます。そういうことを現在農事用電力で特別に見てもらっておるわけでございますが、ただいま御指摘のハウスミカンといいますか、これに対する電力等につきましては、特に農事用電力として追加をお願いをするというようなことはいたしておりません。
○近藤(豊)分科員 そうすると、いまの局長のお話を承りますと、ハウスミカンというのはまだまだ高く売れるのだから、したがって別に政府が何か特別のことを考えてやらなくても何とかやっていけるだろうというお考えが底にあるように思うのですけれども、御案内のように、日米間では柑橘類の問題が一時大変厳しい対立の焦点になった。ミカン農家は、季節輸入でもとにかくオレンジが入ってくることによって自分たちの販路が狭くなるんだ、あるいは価格水準が低くなってしまう、現実に千五百円くらいのものが八百円くらいまでがたんと下がった例がある。そういう輸入との関連、日米関係の摩擦をできるだけ少なくしていこうという点からいけば、たとえ夏場に一個二千円もするミカンを食わなくたっていいんで、それを食べている物好きがいるからそういうものを相手に商売していればいいじゃないかということだけにならないような気がする。 やはりミカン農家の期待は、私住んでおるのでよくわかるのですが、ミカンをつくる以外にはなかなかほかのことはできない面があります。大体山地につくっております。そうしますと、ほかにかわれと言ってもそうかわりようがない。そうすると、露地ミカンになるしかない。露地ミカンをやっていればオレンジの輸入の問題があって、これは必ず問題になる。それから一時砂糖の代替の植物か何かを植えるという話が出たごとがありますけれども、それも結局経済性がなくてだめになった。そうしますと、彼らとしてはミカンでやっていく。ミカンでやっていくためには、その辺非常にエネルギー問題が厳しくなってきている昨今、将来は懸念されるということなんでして、この辺を考えてやりませんと、またオレンジの輸入等についてはかなりミカン農家の抵抗が激しくなってくる。政府としてはかえってさばきにくくなるのじゃないかという気がいたしますけれども、この辺局長の御見解はいかがですか。
○二瓶政府委員 ハウスミカンにつきまして夏場に二千円もするというようなことでやっていけるからいいではないかというのではなくて、むしろハウスミカンということで愛媛なり徳島等でやっておられますけれども、これはいいぞということでみんなそういう電力なりあるいは重油等を消費してやるということになりますと、あちらもこちらも始めますと、それはまた暴落という問題が起きますから、そこはよほど気をつけてやらないとまずいですよ、役所の方は特に補助なり制度融資ということでてこ入ればいたしません、農家の対応としてはどうしますか、こういうサイドに立ってやっておるということでございます。したがいまして、ただいま先生からのお話がございましたようなオレンジも、五十五年度から増枠をしていくことに農産物交渉では進めておるわけでございます。そういう情勢もございますし、その辺も頭に置いて、ハウスミカンはもうかるものだということでわっとみんなが始めますと後で大変なことになります、そういう態度で役所の方としては指導しておる、こういうことでございます。
○近藤(豊)分科員 いずれにせよ、今後国際情勢も激しく変わっていくでしょうし、エネルギーをめぐる情勢もどんどん変わってくるわけです。したがって、ハウス園芸を含めて施設園芸全体については恐らく日本の中でいろいろな論議が行われる。 そこで大臣にお伺いしたいわけなのですが、施設園芸を全体として考えて、このエネルギー難時代、あるいは化学肥料をどんどん使うことによって土壌が悪化するとか、あるいは施設園芸で出てくる果物やら野菜はビタミンが少ないとか栄養が少なくて、見た目はいいが実際は昔のものとは大違いだというような消費者サイドからの批判もあるわけなんですけれども、そうした面は改善をしながら、これは恐らく今後とも続けていかなければいけない農業の一形態だと思うのですが、農林省としてこの施設園芸というものを今後さらに継続して適切な形で振興していくのか、あるいはそういうものは場合によってはこのエネルギー難時代に、あるいは公害を後世に蓄積していかないという点から考え直して、そして露地栽培中心にまた切りかえていくのか、その辺の基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。
○武藤国務大臣 今後のエネルギー情勢いかんにもよりますけれども、現時点においては、やはり国民の食生活が大変多様化してまいりましたし、また食生活のレベルが非常に高くなってきておりまして、いろいろの野菜あるいは果物に対しての多様化した需要が相当あるわけでございまして、そういうものを踏まえて、今後、農業を考えていかなければならないわけでございます。そういう点からいけば、施設園芸についても今後とも引き続いて維持をしていかなければならないのではなかろうか。そしてその中にあってできる限り省エネルギーの政策というか対策というか、そういうものを確立をしていくというのが、まあ将来また物すごく油が上がってくるとかとても他の代替エネルギーでは施設園芸を維持できないとかいうような事態が出てくれば別でございますけれども、当面はやはりそういう考え方で私どもは対処していきたい、こう考えております。
○近藤(豊)分科員 油の問題というのは、たいて暖房用に使う油と、間接的に化学肥料あるいは農薬として使われる油があるわけなんですが、最近の議論の中で非常に注目すべきことは、要するに人間が生活をして、そしてこの地上で長い間これから繁栄をしていくためには、自然が還流することが好ましいんだ。したがって、家畜のふん尿あるいはわれわれの人ぶん、それからいろいろな有機物で現在非常に困難を感じながら、苦労しながら捨てているものがあるわけですが、そういう苦労しながら捨てていくというものは、できればこれをえさとか肥料にしてまた自然に戻してやる、それができれば非常にいい。このことは、すでに土壌が、たとえば私の郷里の東三河の施設園芸が非常にたくさんある渥美半島なんかでは大変土壌が悪くなっておりまして、二メートルも掘らないといい土が得られないというような事態になっているわけですが、これは有機肥料をもっともっと使わなければいけない。あるいはえさにしましても、実際にローカルで排せつ物を使ってえさになれば、これは非常に国民の経済全体にとって倹約になるわけです。そういうような有機物を、捨てるものを利用をしてえさや肥料に変えて還元していくという方向は、今後大いに促進しなければいけない方向だと思います。 この点、こういう方針だと私は了解しておりますが、農林省の方では、政府の方ではどういうお考えか、確認したいと思います。
○武藤国務大臣 やはり土壌をよくしていくためには無機よりも有機が必要だといういろいろな理論があることも私ども承知をいたしておりますし、農林省といたしましても、いま御指摘のふん尿の処理と肥料というものの一貫性を考えた形での対策というのは補助金も出してやっておるわけでございまして、当然そういう方向というものは今後とも努力をしていかなければならないと思っております。
○近藤(豊)分科員 現在非常に苦労してこの辺の努力をしておられることはよく承知しておるのですけれども、まだまだ不十分でして、たとえば家畜の死骸を夜、畑を掘って埋めているとか、ふん尿を処理したあとの水をこっそり川に流しているとか、それからこれは農林省に直接関係ありませんが、人ぶんの処理などでも大変困っている問題があるわけなんです。そういうことを考えますと、何と申しましても、いま触れましたそういう無理やりに苦労して、場合によってはこっそりと隠れて捨てているようなものを肥料やらえさに仕立てるということは焦眉の急である。 その場合、そういう技術の開発あるいは実用化の努力がいろいろなところでなされている。もちろん農林省の研究所でもなされておりますし、あるいは関連団体の研究施設あるいは協会等でもなされております。しかし、そういう研究は単に官だけではなくて民間でもなされておるわけでして、民間の中には非常に高い市中金利の金を借りてそういう研究開発を続けている篤志家もおります。そういうものは広く国じゅうから知恵を集めて創意と工夫のうちでいいものを見つけ出して、助成をし、促進をしていかなければいけないと思うのです。 その場合に、どうも民間の努力について政府が助成をするという姿勢がまだまだ足りないように思いますが、この辺の基本的な方針はいかがでございますか。
○渡邊(五)政府委員 畜産関係の特に公害関係の問題につきましては、畜産環境の保全という形で公共事業で補助事業等各般の施策をやっております。 御指摘の民間の研究等につきましても、こうした問題を技術会議なり試験場段階でもできるだけ吸い上げていくという体制にしておりますと同時に、応用研究幾等の予算等におきましても私どもとしてはできるだけの対処をしておるつもりでございます。まだ不十分な点はあろうかと思いますが、そうした具体的な問題については、またいろいろお話をお伺いしながら、できるだけそうした創意を吸収してまいりたい、こういうふうに考えております。
○近藤(豊)分科員 そうしますと、そういう努力の中で非常に技術的に現実性のあるものあるいは非常に今後希望の持てるもの、そういうものは農業者団体に関係なくても、民間の企業であっても、農林省があるいは通産省と協力した上で助成をする対象となり得るということですね。
○渡邊(五)政府委員 最初の御質問にも関連するわけでございますが、省エネルギー関係の技術応用化促進裏業というのを五十五年度からスタートいたしまして、一億五千万円という予算要求をただいましておるわけでございます。実施主体といたしまして都道府県なり民間団体等を考えておりまして、こうした問題でおこたえいたしますのと、また畜産関係については特に畜産環境関係の団体もございまして、そうした団体におきましてもそうした民間の各種の御提案なりを拾い上げて事業化していくという体制もとっておると承知しております。
○近藤(豊)分科員 その開運でもう一点お伺いしたいのですけれども、こういう有機物をどんどん使っていくあるいは堆肥を使いやすくして使う、あるいはえさに転化していく、そういう技術の開発が行われる場合に、一応補助対象とか助成の対象にする前に検査結果とか試験結果を見ないといけないという場合がありますね。そういう場合には、ともすると公の試験場あるいは検査機関から出たものでないとなかなか信用できないんだというのが通例だと思うのです。しかし、有機物あるいは堆肥の利用というようなことが焦眉の急である現在、なるべく民間が実際に使っていて害がないというようなことが実証されたような場合、これはあたかも新薬をラボで実験してその後で臨床実験をやるわけですが、そのラボの実験を通り越してもう臨床実験が行われてしまったような場合、これは民間のそうした検査結果や何かを、官がやることはいつも正しいが民がやることはごまかしがあるということではなくて、ぜひ活用して、そして促進に努めていただきたいと思います。この点確認をしていただきたいと思います。
○渡邊(五)政府委員 一般にそうした問題の試験研究等の結果という形で、試験場等のデータが基準になることは、特に畜産の公害の場合に、事業化する場合によくございます。最近では民間での実績なりで相当評価し得るものはそれなりの評価をしているように私どもは聞いておりますけれども、なおせっかくの御提案でございますので、関係畜産局の方には十分お伝えしておきたいと思います。
○近藤(豊)分科員 ありがとうございました。 次に、米の減反の問題についてお伺いいたします。山間の僻地の米の生産者に対して、現在のところでは一律に減反を要求しております。転作を求めております。その結果、自分が食べる分までつくれなくなったり、あるいは地域としていままで足りていたのだけれども、遠い道のりを油が値上がりしたときにトラックで運んできたのを買わなければならないという事態が、これからはどんどんあちらこちらで起きてくると思います。これはある意味では、国民経済全体から考えますとロスがありまして非常にむだである。いままでのやり方でいきますと、県とか市町村に、その地域の実情に応じて適当に調整してくれということになっているのですが、この問題については政府が本来なら責任を持って、政治の責任でやはり一つのガイドラインをつくるべき問題ではないかと思うのです。この点大臣はいかがお考えですか。
○武藤国務大臣 水田利用再編対策の転作をしていただきたいという希望面積は、いま御指摘いただいたように、どうもそういうことでは困るということかもしれませんが、われわれとしては市町村の段階の細かいところまでは目が届きませんし、それぞれの地域の実情というのはよくわかりません。そういう点においては市町村段階でやっていただかなければならないということでございまして、私どもとしては都道府県別の転作の面積だけを指示いたしまして、あとは都道府県が今度は市町村と話し合い、市町村がまた農家あるいは農業団体とよくお話し合いをしてやっていただくということでなければ、実際問題として私はできないのではなかろうかと思っております。 もう一つ、いま御指摘の点は、飯米農家などが実際自分の食べる米だけじゃないか、こういう御指摘かと思いますけれども、米の需給関係は農家の飯米も含めて全国的には数量をやっておるわけでございまして、それでは飯米農家の分だけ別だということになると、いまの需給計画そのもの自体を変えていかなければなりません。現在私どもの方は全体の需給計画を含めてやっておりますので、あとは地域の実情に応じて、たとえば飯米農家が非常に不便なところにある、そういうときにはかえってロスが出てくるのではないかという御指摘はよく理解できます。そういう点はそれぞれの地域、それぞれの市町村の段階で、できるだけそういう点を踏まえながら調整していただければ大変ありがたい、こう思っておるわけであります。
○近藤(豊)分科員 いまのような事態については大臣も御理解をいただけたわけなのですが、そういう状況にある特に山間僻地、そういうところでは大豆をつくれば虫食いが多くなるし、麦をつくれば実際は実の入ってないようなからが多くなって、そういう麦は精米所でも引き受けたがらない。精米所や精麦所にいまいろいろな地域からの麦が持ち込まれて、そしてまた新しい年間契約でこれを食糧麦として引き取ってくれという要求があるようですけれども、私がいま申し上げている山間の方、特に私の郷里の北設の方などはなかなかいい麦ができない地域です。そうしますと、鞍作するにしても、そう簡単にいいものはできっこないよということで、農民はそれならやめてしまおうかというような非常にフラストした状態にいま置かれております。そういうところは、いつまでも米が余るということにはならないかもしれませんし、そういう点をもっと理解して血の通った減反のあり方と申しますか、そういうものが必要だと思うわけですが、いま大臣はそういう点は理解できる面があるとおっしゃったので、仮にそういうような状況が非常に強く指摘されて、そして県が、あるいは市町村の段階でそういう方向に沿った調整が行われる場合は、農林省としてはこれは歓迎されると、いうふうに考えてよろしいですか。
○武藤国務大臣 いや、私はそう申し上げたわけではございませんので、地域地域の実情がおありであることはよく理解ができる。しかし、全体の面積として、それではそういうものは除外していいというような方向に私どもが行ってしまいましたら、いまの水田利用再編対策は結果的に全く失敗に終わることは明らかだろうと思いますので、そういうわけにはなかなかいかないわけでございます。しかし、私どもは何も一律に減らしていただきたいということじゃなくて、それは地域の事情がいろいろあるだろうから、あるいはカット率をもっと多くできるところもあれば、いまお話しのようになかなかカットできないところもあるだろう。そういう点はわれわれ農林省としてはそこまで把握はできないので、ひとつ地域地域においてそういう点の調整はぜひしていただきたい、こういうことを先ほど申し上げたわけでございます。 そういう地域の実情に理解は示しておるつもりですけれども、理解を示したから全体的にそういうものを除外する方向で理解を示せということになりますと、これはなかなかむずかしいところでございますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
○近藤(豊)分科員 そういう地域の事情があり得るということを理解していただいたということで、きょうは質疑を終わります。ありがとうございました。
○始関主査 これにて近藤豊君の質疑は終了いたしました。 次に、新盤辰雄君。
○新盛分科員 短時間の質問でございますし、当面している諸問題の中で、とりわけ日本の水産漁業の全般的な危機、騒然たる石油情勢の中で、輸入原油の上に構築されたわが国経済が、国際社会の動向等もあって右左に大いに揺れ動いている現状は、大臣もよく御承知のとおりであります。とりわけ二百海里時代に入りまして、漁業外交がきわめておくれておったことなどもございましたし、入漁料や漁場の確保、こうしたことにおける外圧も加わって、燃油等諸資材の高騰はもちろんのこと、高金利の経済環境という中で、魚価の低迷は相変わらず続いています。そういう観点から、実はカツオの漁業対策に関する問題を主に、燃油の問題、魚価安定、入漁料、さらにはこれからの経済基盤を立てていくために必要な諸政策について、お考えをお聞きしたいと思います。 御承知のように、カツオ漁業を取り巻く情勢が、最近の漁業用燃油の供給不安や価格の高騰等によって、きわめて破滅的な状態に追い込まれていることについて、実は先般私ども日本社会党として現地の方に調査団を出しまして、現地の諸情勢を農林水産大臣にも申し入れ事項としてお上げしておりますから、十分御承知かと思います。 そこでわが国の漁獲量が一千万トン、実際は一千七十六万トンということになっているのでありますが、それに使う燃油は五百万キロリットルだというふうに言われております。そうすると、一リットルの油で二キロの魚をとるという現状であります。その面から見まして、四十九年にも石油ショックでずいぶんと漁業界は荒れたのでありますが、この経営危機打開のために当時は経営安定基金の融資を燃油の面でも六百億の措置をして、何とか乗り切れたという状況がありました。今回はさらにそれ以上に深刻な状況でありまして、すでに昨年の暮れに燃油の関係で三百億、今年度の予算で大体五百億、燃油の特別融資の措置をお決めになっているようであります。そうした状況を踏まえて、特にエネルギー庁はこうした状況の中で安定的な供給、いわゆる需給を含めて見通しというものを策定をしておられるのかどうか。また、量的な確保はもちろんですけれども、燃油の安定価格の維持ということについてどのような対策を持っておられるのか、需給の展望とともにこの内容をお示しいただきたい。 具体的に例を申し上げますと、昨年のちょうど三月ごろにキロリットル当たり三万一千円程度しておりましたA重油が、この三月に入ってすでに七万六千から七万八千円に急上昇をしております。しかも、恐らく四月になると思いますが、八万円を超すのではないか。御承知のように、系統買いでそういう状況でありますから、スポット買いでいきますとさらに高くなっているのではないかと思います。 こういう状況を踏まえて、漁業経営がもう成り立っていかない。かつて四十年ごろ鹿児島地域にありましたカツオ一本釣りの漁船は四十隻だったのでありますが、五十五年一月ですでに二十七隻、しかも最近では八隻の休船、廃船を見ているという現状であります。どうにもならないということになったわけでありますが、こうした現況を踏まえてどのような対策をお立てになっているのか。まずエネルギー庁は総括的に、水産庁の方はこの具体的な取り扱いについて、またこれに関係するこれからの政策について、大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
○加藤説明員 お答えいたします。 農林漁業用の燃油の確保につきましては、通産省といたしましても努力を傾注してきたところでございます。農林漁業用の燃油の中でA重油が大宗を占めておりますが、A重油の需給は、今年度下期に入り節約の浸透と全国的に昨年より比較的暖かい日が続いたということもありまして、現在では落ちついた動きを示しております。 具体的な数値で申し上げますと、五十三年度におきましてはA重油全体が二千二百三十四万八千キロリットルでございましたが、農林水産用はそのうち五百二十六万六千キロリットル、全体のA重油の二三・六%を占めております。五十四年上期におきましては、A重油全体が九百七十六万六千キロリットルのうち、農林水産用A重油は二百九十九万九百キロリットルということで、全体の三〇・七%を占めております。これを前年同期比で見ますと、五十四年上期の販売は一〇三・二でございますが、十-十二月期は九六・九、一月が九九・一と期を追って落ちついた動きを示しております。また、ことし一月末の在庫は一四〇・五と、昨年の一月末在庫に比べて四割増というふうな状況でございまして、石油の需給の上からは安定した状況にあるのではないかというふうに考えております。 しかし、A重油の価格の上昇は、産油国によります相次ぐ原油値上げ等のコストアップによりまして上昇を続けております。原油代の上昇などコストアップにつきましては、私どもといたしましては、市場を通じて適正に反映されることはやむを得ないものと考えております。しかしながら、その過程におきまして不当な便乗値上げがないように、通産省といたしましては元売り会社の値上げの際の事前聴取、小売価格に関する通産局の調査等によりまして、価格動向を監視しているところでございます。また、従来から石油商業組合、元売り会社等を通じまして、便乗値上げ、売り惜しみ等の不当な行為のないように指導しております。今後ともこうした監視、指導を続けてまいりたいと考えております。 最後に、今後の見通しでございますが、A重油の需要は引き続き落ちついた動きで推移するものと考えております。先ほど申し上げましたように、在庫も高水準にございます。したがいまして、今後とも安定した需給を確保できるものと考えております。今後とも、実需に見合った供給を行うように十分指導してまいりたいと考えております。
○新盛分科員 そこで、その国内レギュラーのものを、これは系統――全漁連とかいろいろ各業種があるわけですが、それに供給する計画はあるのですか。――時間がないから、早く答えてください。
○加藤説明員 現在、たとえば全漁連におきましては、具体的な数値で見ますと、販売が五十四年上期では六十六万三千キロリットルでございますが、そのうち約七割が国産物の供給で占められております。これはちなみに五十三年の下期の数字と比較いたしますと、販売が四十五万二千でございましたが、そのうち約五三%、二十四万二千キロリットルが国内物の供給になっております。したがいまして、国内物の供給というのは期を追って増加しておるというふうな状況でございます。
○今村政府委員 石油の量的確保は、従来資源エネルギー庁ともよく連携をとりながら量の確保に努めてまいったところでございますが、価格の方は御指摘のように非常な値上がりを従来続けてきたわけでございまして、これが漁業経営、特に御指摘のようなカツオの一本釣り漁業の経営を非常に圧迫をいたしておるわけでございまして、私たちとしましては、この価格の安定をだれよりも願っているものでございます。 〔主査退席、片岡主査代理着席〕 前回の石油ショックのときには石油も上がりましたが、魚価も一定の期間のずれを伴いまして上昇をいたしたものですから、案外これを吸収できたということでございますが、今回石油はだんだん上がっていきますが、魚価はなかなか低迷を続けておるということで、非常な経営の困難に当面をしておるわけでございます。 そこで私たちとしましては、石油価格の高騰による経営安定ということで、昨年末三百億円、今年予算が通過しますれば、五百億円の資金を融通いたして、これに対応いたしたいと思っておるわけでございます。 同時にまた、今後におきましては、やはり漁業につきましても省エネの対策ということを十分考えなければならないと思います。 そこで庁内に省エネルギー推進懇談会を設けまして、これらの方策について鋭意検討しておるところでございますが、たとえば省燃油型漁船の導入につきましても、現在数十隻程度が竣工し稼働しておるというような状況でございます。
○武藤国務大臣 こういうエネルギー、特に油が非常に高くなってきておる状況の中で漁業に対してどう基本的に考えておるか、こういうことかと思いますが、私はやはり当面、急にいままでの漁業をやめるわけにはまいらないわけでございますので、油が安定的に供給されるように一段と努力をするとともに、今度は漁業者に対しましてはこういう事情をよく御理解をいただいて、いま長官からも答弁申し上げましたように、やはり省エネルギー、どうしたら油を少しでも節約できるかということについては漁業者自身が御努力を願わなければならないのではなかろうか。もちろん私どももいろいろ研究をいたしまして、研究の結果また漁業者に指導させていただくということも必要だろうと思っております。 将来の問題といたしましては、こういう二百海里の時代、それから油が大変高くなったという時代でございますので、どちらかというと遠洋へ出るよりは沿岸あるいは沖合い、こういう漁業をより重視していかなければならない、最近私ども力を入れております栽培漁業というものも、そういう観点から力を入れておる、こういうことでございます。
○新盛分科員 その省エネ対策等について、やはりカツオ・マグロ漁業等省燃油型の漁船の導入ということで、もう四十隻ほど竣工して稼働中だという話も聞いております。こうしたいわゆる沿岸あるいは沖合いを主軸にした栽培事業ということにもなるのでしょうが、一本釣りカツオ漁業というのは、これは伝統のあるものでありまして、これをもう実は政府は見捨ててしまうのではないか。これだけ油を使うような漁船はもうなくして、海外まき網の方に転換した方がいいのではないかということをお考えのようであります。これは日鰹連がそう言っているから政府がついていくというような、主体性があるのかないのかよくわかりませんが、昨年も私はこの問題を農林水産委員会で取り上げているのですが、当時では、このカツオの一本釣りはやはり守っていかなければならないし、いろいろな客観的な諸情勢もあるだろうという御回答もございました。現地では、年々こうして油で経営が困難になるというなら一本釣りはやめて海まきに転換をするという方向も、政府はそう決めているんじゃないか、仮に海まきにしても資源枯渇、いわゆるカツオはもう南太平洋方面においてどの地域でも一網打尽になってしまえば、これからの漁業政策はまた大きな転換をせざるを得ないじゃないかという、一面疑問もあります。そこについてもう一回、このことについて一本釣りを維持されるのかされないのか、海まきにすべてはもう移行していいんだというふうにお考えになっているのかどうか、そのことをお聞かせいただきたいと思います。
○今村政府委員 漁業としての能率の面からながめますれば、たとえばまき網が五百トンクラスで人員は二十人くらいになるわけですが、片やそれに匹敵する一本釣りを考えてみますと、大体三隻で、一隻に二十八人くらい乗っているわけでございますから、一隻と三隻という形になるわけでございます。 しかし、一本釣りにつきましても、これを全部まき網にするというようなことはなかなかできないわけでございまして、私たちとしましては、やはりカツオにつきましては従来のようなかつおぶし、かん詰めというような加工用向けのカツオではなしに、やはり刺身とか、たたき等の生食用にこれを向けていくような方策を考えるべきではないか。それから収益性という点から言えば、魚価の高いビンナガを何とかたくさんとって漁獲のウエートを高めたい。それから、いろいろえさを積んで赤道を越えていくわけでございますから、そのえさが途中で死んでしまうということのないような低温の貯槽装置をつくりますとか、あるいは先ほど申し上げましたようなエネルギー対策を講じますとかというもろもろの手段によりまして、カツオ一本釣りの経営安定対策を講じていきたいと思っておるわけでございます。 しかし、やはり構造的な問題をカツオ業界が含んでおることは確かでございまして、この点につきましては現在業界内部において構造問題として、まき網漁法への転換も検討をされておるわけでございます。私たちとしましては、そういう業界の構造問題でございますから、これは業界挙げての取り組みが必要であろう、したがいまして、十分業界の内部において検討をいただきまして、またその意向も十分聴取をしつつ、もしそういう方向が出るならばそれに対応していきたいと思いますけれども、同時にまたその場合におきまして一本釣りとの調整問題というのも十分あるわけでございますから、その辺の点についても十分な配慮をしながら対処していきたいというふうに考えておるわけでございます。
○新盛分科員 そうしたことから、一本釣りの共同化あるいは協業化、そうしたことを促進されるように、伝統のカツオ漁業を守っていくという立場に立ってひとつ政府としても力を入れていただきたいと思います。 次に、入漁料の問題であります。南太平洋水域にわたる入漁料問題は、いますでにニュージーランドを初めとして、それぞれの諸国が二百海里を設定してから大変高い入漁料、最近ではランプサム方式いわゆる一括総額支払い、あるいはまた入漁船の個別支払いの二本立てがありますが、どちらがいいかというよりも、むしろこの入漁料によって経営が圧迫されているという実情にあります。そのことから昨年、南太平洋漁業振興基金というのがつくられて、政府が九億、大日本水産会九億、これで発足をさせたのですが、ところが実際はこれが始動をしていない。なぜそうなったかといえば、それぞれ各国々の入漁料というのが大きな差がある、入漁条件がいろいろと変わっているというようなこともあったのでしょうが、この基金に対する魅力がないんじゃないか。業界の方も融資でありますから、その面でどういうふうにこの入漁料というのを――いわゆる南太平洋漁業振興基金でもってせっかくつくったものを活用しない、だからこれは経営が困っているんじゃないか。事業主体はこれは大日本水産会ですし、特別資金あるいは振興資金、資格要件などなど決められて、パプアニューギニアや、キリバスやソロモン、ミクロネシア、パラオとかマーシャル、オーストラリア、こういう関係の対象国を主体にした海域でとる場合はこうですとなっています。ところが、これを全然活用しないというのはどういうふうに理解するか。またせっかくこのことによって私どもは、入漁料は全額国庫負担ではないか、その背景はもうここで一々申しませんが、そう主張してきたわけであります。だから、このことについてのお考えを聞きたい。またこれからどうされるのか。まあ三億程度――拠出にたえられないのだという業界の不満があるのです。そういうことについてどう指導されているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○今村政府委員 入漁料について国庫がこれを負担すべきであるという御意見があることは私も承知をいたしておりますが、やはり入漁料は本来操業経費の一部だというふうに考えられますので、これは漁業者自身が負担してもらうべきものではないかというふうに思います。ただしかし、御指摘のように南太平洋におきましては、入漁料はアメリカなどと比べましてランプサム方式でございますから、漁獲量が少なくても返してもらえないということでございますので、そういう面ではちょっとほかのアメリカとかそういうものの関係とは違いますので、私たちとしましては南太平洋漁業振興基金を設けまして入漁料に充てる支払い外貨の資金について利子負担を軽減し、あるいはまた入漁料は支払ったけれども操業はしなかった場合等の入漁料相当額を無利子融資するというふうな事業を行っているわけでございますが、御指摘のようにこの業界からの拠出金が出ておりませんで、五十五年度予算でも三億円の追加を行うことを考えておりますが、これがうまく稼働していないではないかということは御指摘のとおりでございます。ただ、いまのところでは業界は九千万円くらいの拠出ということのようですが、それに見合って国が九千万円というふうに考えますと、さしあたってはそれで何とかやっていけるのでございますが、全体的な基金の取り扱い方をどうするかという問題はございます。したがいまして、この点につきましては私たちとしましても十分検討を加えまして、いろいろ問題はございますが、あるいはその時点で財政当局ともよく協議をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○新盛分科員 次に、魚価安定と経営危機をどう救済をするかという問題です。 先ほどから申し上げておりますように、今度の燃油の引き上げ等によりまして二百九十九トン型で一航海四、五十日かかるわけですが、年間大体七航海くらいやっています。油は一航海大体二百十キロリットルから二十キロリットル消費するわけです。八万円になったとしてもすぐ計算が出てくるように、全体の経費が一航海で四千三百三十三万円かかる、年間の経費は三億三百三十二万円なんであります。油が上がって二百九十九トン型で六千万から七千万、四百九十九トン型ですでに一億を超える、昨年からことし一年間でそれだけの増出費であります。そういうこと等もあって、これの中でつれる魚の量によるのですが、現在カツオはキロ当たり三百八十円の魚価でありますが、これでなければ経営はできない。ところが、これだけとるには年間八百トンはとらなければいけない、大変なことでありまして、こうした現状の中で魚価が上がれば買い手の水産加工業者はどうも採算がとれないということになるわけでありますが、調整保管事業というのがそこで生まれるわけです。日鰹連が買い上げて調整保管してももう何の役にも立たない、これは経験がありますから。ではどうするかということであります。結局、金を借りて、融資を受けて何とか経営を持ち直していくわけでありますが、鹿児島県がこの燃油対策、経営安定対策など、すでに過去に漁業用燃油対策特別資金融資あるいは漁業用燃油特別資金の特別措置によって融資をし、経営安定対策融資経営維持安定資金、県のカツオ・マグロ漁業経営緊急資金、冷凍カツオ生産調整緊急対策特別資金など融資をどんどんやるのです。今度もまた五十五年度の予算でもこれらの融資政策が、漁業用燃油対策特別融資金あるいは維持安定資金、水産加工経営安定資金などそれぞれ五百億、水産加工経営安定資金が百五十億、こういうふうになっています。この末端の金利は燃油の場合で四%から五・六%、償還期限が三年以内、うち据え置き一年以内、大体こういうふうになってやられているわけです。 ところが、この前も借りている、今回もまた借りなければならない、もう返す能力がない。能力がないものを返せと言ったってしようがないじゃないか、こう言われているのでありますが、この処置について金利を低くし据え置き期間を長くして、経営が立ち直るまでの間少し緩和策はとれないのか。これは中小企業その他あるいは農業団体にも多く影響のある問題でありますから、大蔵省がいなければ困るでしょうけれども、水産庁もまた農林水産大臣もこうしたことについてはもう御存じのとおりですから、返せないものを返せと言ったってしようがないじゃないかというその処置についてどうされるつもりか、またどうお考えなのかをお聞かせいただきたい。すでにきのうの日経にも載っていましたが、イカ釣り業者が返すことができないのでどうにもならないということで夜逃げをしちゃって、大変な社会問題だと言っております。このことについて、これは全体の問題でもありますが、いま地元でやっておられる処置について金利その他、返済の状況がきわめて悪化しているということの面から政府の考え方を聞いておきたいと思います。
○今村政府委員 御指摘のように、相当資金の融通をいたしているわけでございますから、この償還問題というのはなかなか大変な問題であるということは十分承知をいたしております。したがいまして、融資をしましたものにつきまして現実的に償還困難である問題についての償還猶予その他の問題は、現実を十分踏まえて対処していかなければいけないと思います。同時にまた、経営安定資金の融通ということも経営の状況によりまして十分考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
○新盛分科員 それだけですか。
○今村政府委員 金利を引き下げ、さらに償還期限を延ばすかどうかということについての問題は一つございますが、現在の金利水準から考えてみますと、現在のたとえば運営資金の金利水準はこれ以上これを下げるということもなかなかむずかしい状況にございます。したがいまして、金利を下げるのは非常にむずかしい状況にあると思いますけれども、あるいは償還期限の問題でありますとか、あるいは実情に即する償還猶予の問題でありますとか、あるいは経営の状況によります経営安定資金の融通問題でありますとかいうことについては十分配慮してまいりたいと思います。
○新盛分科員 終わります。
○片岡主査代理 これにて新盛辰雄君の質疑は終了いたしました。 これより長田武士君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し、参考人として日本住宅公団理事救仁郷斉君が御出席になっております。 なお、参考人の御意見は分科員からの質疑に対する答弁をもって聴取することといたします。長田武士君。
○長田分科員 初めに物価問題、特に野菜の問題についてお尋ねをいたします。 総理府統計局が発表いたしました東京都区部の消費者物価指数を見てまいりますと、前年同月に比べキャベツ六・五倍、白菜六・三倍、大根三・七倍、ホウレンソウ三倍と野菜は依然として異常高値が続き、都会の主婦は悲鳴を上げておる現状であります。政府は二月二十五日、重い腰をやっと上げ、春野菜の早期出荷や商社に対する野菜の輸入奨励あるいは小売価格の適正化指導など、五項にわたる野菜価格安定緊急対策を発表いたしましたが、いまもって小売市場においては異常高値が続いておるわけであります。 このような異常高値の原因といたしましては、昨年秋の長雨や台風あるいは病害の発生等により産地が大打撃を受けたことから供給不足が出ておる、そういうことが挙げられるわけであります。そこで私は、昨年十月の時点で、もっと早い時期にこの対策を講ずることによって十分対応ができたのではないか、このように考えるわけであります。したがって、早目に対策を講じておけばこれほどの異常高値は回避できたのではなかろうか、そう考えるわけでありますが、農林水産省は昨年の十月以来この問題にどのように取り組んでこられたのか、お尋ねをいたします。
○森実政府委員 昨年、御指摘のように二回の台風と長雨がございまして、その影響下で病害が大発生しまして反収が激減したということが供給減少の主要な理由でございます。御案内のように、冬野菜につきまして、私どもはこういった災害の発生を踏まえまして、直ちに再播種、再定植等の指導をいたしましたが、申すまでもなく、冬野菜を再播種、再定植する場合、結局、出荷時期は春野菜になるという基本的な性格的宿命があるわけでございます。自来、私どもはこういったいわゆる再生産のための指導以外に、規格外の出荷の督励とかあるいは契約キャベツで出荷可能なものの放出等の借致を講ずる、輸入についてもそれなりに情報を集めて指導を続けてきたわけでございます。 しかし、何と申しましても、野菜の需給と価格に影響いたしますのは、国内産の地場野菜の出荷である。季節的に申しますと、春野菜の見通しをどうするかということか問題だったわけでございます。 二月に入りましてどうにか、春野菜の作付面積も前年並みだけではなくて、生育も順調である、施設野菜についてもある程度生育促進のための加温を加えることが可能な条件ができてきた、こう判断をいたしまして、従来の施策とあわせまして緊急対策を講ずることにしたわけでございます。
○長田分科員 去る二月十五日に発表されました緊急対策を見てまいりますと、五項目ですね。その中では、春野菜の早期出荷に関する対策については、野菜が育つまである程度時間がかかりますので、この期間は待たなければなりませんが、その他の項目については昨年の十月ごろから実施できた対策じゃないかというふうに考えるのです。 そこで、輸入の指導であるとか小売価格の適正化について対策をなぜ早目に実施しなかったか、こういう点、不思議に思えるのですが、どうなんですか。
○森実政府委員 まず輸入の問題について申し上げます。 実は、私ども、昨年の暮れに物入可能な情勢というものは、調査をかなりいたしまして把握しておりました。ただ、この時期においては一つはかなり買い付け競争が殺倒して輸出国側で問題が起こるのではないかという懸念があった、価格的には特に政府が特段の奨励措置を講じなくても通常の場合入ってくるだろうという期待を持って個別の指導にとどめたわけでございます。 実は、二月以降になりまして、当初の予測どおり、どうも台湾のキャベツ、アメリカのレタス以外にはそう大幅に期待できない状況だったという、まあ当時の予測どおりだったわけでありますが、この時期に参りましてある程度輸出価格が上がってきた、そういう状況がありまして、政府としては三月の端境期対策として輸入を考慮する場合には、やはり欠損を生ずることを考慮して補てん措置を講じなければならないということで、実は損失が出た場合の欠損の補てんを含めた措置を講じたわけでございます。 小売価格の適正化指導につきましては、実は、昨年の年末来指導を続けてきておりまして、特に食糧事務所の職員による点検、指導等行ってきたわけでございます。 私どもとしましては、春野菜の大変順調な繰り上げ出荷が見込まれる状況で、いわば過熱した市況に対して加速的にこれを冷却する効果という意味で、特に現時点でこれを強調いたしまして指導を講じたということでございまして、やらなかったというわけではなくて、こういう一切の措置を含めて打ち出したというふうに御理解をいただきたいと思います。
○長田分科員 このような野菜価格が異常高騰していることは、もう一つの原因は野菜の流通に関する問題であろうかと私、考えるのです。聞くところによりますと、生産地には俗に投げ師屋と呼ばれております仲買人が介在いたしまして、野菜の値段を法外につり上げておると言われておるわけですね。そこで、農林水産省はこうした状況についてはどのように把握されておりますか。
○森実政府委員 投げ師と称されますものは、野菜の出荷につきましては現在、個人出荷と系統出荷と商人糸出荷と三通りございまして、その商人系出荷の一つの態様だと思っております。これにつきましては、実は、昨年十一月、十二月以来、茨城等、白菜等の主産地において私どもは個別的に状況を把握しております。 概況を申し上げますと、通常の場合は商人系出荷の場合に収穫後買い取るわけでございますが、こういった状況のもとではある程度圃場単位で収穫前に買い取る、あるいは立毛中、収穫よりかなり前に買い取るというふうな形があるわけです。これがいわゆる畑買い、青田買いと言われるものでございます。ただ、この畑買い、青田買いはそれぞれの時点において市場価格を基準として仕切っておりますのが調査等を通じても明らかでございます。いわばその後収穫時までに価格が値上がりした場合、農家の利益に帰属する部分が早目に買い取った商人の利益に帰属したという、むしろ利益の転属の問題ではないだろうかと思っております。現実にはこうした商人系出荷も全部市場を通して出荷されているわけでございますから、価格の形成自体の問題ではなくて、むしろ私どもとしてはそういった利益の転属の問題として問題があるのではないか。何と申しましても地場蔬菜、特に共選が不要な白菜、大根等につきましてはこういった実態が従来からもあるわけでございまして、基本的には農家の自覚の問題、系統、特に私どもの指導力の問題と私どもは考えておりまして、この面では今後とも指導を強化してまいる必要があると思っております。
○長田分科員 大臣は、去る二月二十九日の閣議におきまして野菜の流通に関する実態調査に乗り出す方針を明らかにされております。私は、これは遅きに失した感を持っておるわけでありますが、しかし大臣がそこに気づかれた点は非常に賢明である、そのように評価をいたしております。 そこで、この実態調査はどのような点を主眼としてどのような範囲で実施されるのか、また実施時期とその結果についての結論をいつごろまでにまとめられる予定なのか、お尋ねをいたします。
○武藤国務大臣 私が閣議で発言をいたしましたのは、野菜というものは市場によって価格が形成されている、全く自由経済の原則に基づいたものでやられているので非常にむずかしい、私どもの指導ではどうしても限界があります。しかし、ここまで高いものがあり、そしていま局長からも答弁いたしましたように、畑買いというような形が行われていて、結果的には畑買いした人が、それは市場の価格に応じて出すということでございますからそれはそれなりに仕方がないかもしれないけれども、しかし相当多くの人たちが、出す場合にはみんなが安く出すつもりになれば、結果的に競りも安くなるかもしれないので、その辺のところは少し流通部門についても検討ができないかというふうに思います、私としてはそういう点についても一遍ぜひ実態をよく見てみたいと思います、こういう発言をしたわけでございます。 そこで、それじゃ具体的にどうしていくかということでございますけれども、私も産地へ参りましたし、またきのうは市場へも参りましていろいろ話をいたしましたけれども、正直、仕組みとしては非常にむずかしい。このごろ言われているような魚の架空な売買、こういうようなものもないわけでございます。だから、そういう点の思惑によって操作もできないかわりに、また私ども政府が行政介入をして価格を低く抑えることもなかなかやりにくい。全く自由な市場で競りでやられているものでありますから、非常にむずかしいと思いますが、たとえばいま野菜の中で特に問題になっておるものなどのうちのいわゆる農協あたりの系統出荷、これはもう四割くらいしかないと言われているわけでございますから、商人系の出荷が少なくなり系統系の出荷が多くなれば、私どもある程度その辺の操作はできるのではないか、価格的に行政指導でこういうときには低くしてくださいよということは指導ができるのじゃないかと思うのでございます。そういう点について、たとえばもっと系統出荷をより多くしていくような指導を何とかしていくとかいうような手は打っていけるのじゃないかといま私は思っております。 しかし、なかなかむずかしい問題である。農家がついてきてくれなければなりませんので、そういう点はこれから相当強力に指導してまいりたい。そして当面はとにかく、遅きに失したかもしれませんけれども、しかし品物のないときはやれなかったものでございますから、品物がある程度出てくる可能性のところで手を打ったわけでございまして、最近はおかげさまで野菜の早期出荷がだんだん実行されつつあるようでございまして、私ども、効果は必ずここ近い将来に出てくるのではないか、こう期待いたしておるわけでございます。
○長田分科員 次に、野菜高騰の理由に挙げられております病害発生に関連してお伺いいたします。 現在の農地は、化学肥料や農薬の大量投入によりまして死滅化しておると言われておるわけであります。すなわち、地力の低下や土壌の透水性が低下いたしておりまして、ちょっとした天候異変でも病害の発生を助長し、作物の収穫に大きな打撃を与えておるわけであります。こうした問題を解決するためには、総合的な土壌対策が必要でありますし、健全な土壌をつくることが最も大切であろうかと考えます。このような状態は、特に都市農地には顕著にあるように私は考えております。そこで、都市農地の健全な土壌をつくるためにはどのような対策を講じたらいいか、御意見がございましたらお聞かせいただきたいと思います。
○森実政府委員 御指摘のように、今日のような高反収時代になりますと、無機質肥料の多投ということが反収を不安定にする要因になるということは否定できないだろうと思います。 現在、有機質肥料の併用につきましては、各般の奨励事業、指導事業を通じてかなりやっているわけでございまして、露地野菜については大体三割前後、施設野菜については四割前後、有機質肥料の投与が平均的には行われる状況になっておりますが、なお一割程度以上はこれを引き上げていく努力が必要であろうと思います。 そのため、私ども、野菜の集団産地の育成に当たりましてはやはり有機質肥料をつくってこれを投入する施設という問題を特に重点項目として挙げまして育成を図っております。また、基本的には何といっても畜産農家と野菜生産農家との間に一つの社会的なシステムをつくって土地還元ということをかなり広域にわたってやっていかなければならぬと思っております。そういう意味で畜産の環境整備その他の事業を通じましてこの事業を進めているわけでございます。今後もなお努力を続けてまいりたいと思います。
○長田分科員 健全な土壌によって健全な作物をつくるにはバーク堆肥やふん尿堆肥などをどうしても確保しなくてはならない、これが重要な課題だと思うのですね。御答弁がありましたとおり、有機肥料の入手は現実問題として非常に困難なようなんですね。特に都市農業者にとりましては、実際家畜が耕うん機械に変わっておりますし、下水道の普及によってふん尿類の入手ができない。さらに野菜の単作地帯が増加しておるわけでありますから、わらなども入手できない状態なわけなのであります。こうした都市農業者の深刻な悩みに対して具体的にどのような対策をとられますか。
○森実政府委員 先ほども申し上げましたように、いま一番基本に置いておりますのは都市近郊の有畜農家、養鶏、養豚、場合によっては市乳生産の乳牛農家の集団と野菜産地の集団との間に一つのシスアムをつくりまして、日々搬送して堆廐肥をつくり、これを個人としても投入できる、そういう設備なりシステムをつくるということがまず当面の最重点課題ではないかと思っております。畜産関係の助成事業、それから主産地育成の助成事業を通じてこれを図っているところでございます。 なお、都市ごみや汚泥の活用という問題もあるわけでございますが、これはいまの段階ではなかなか実験的な段階を越えておりません。しかし、これも将来の検討課題ということで、技術的な側面、それからそれを可能にする社会的な仕組みという問題についてさらに努力をしてまいりたいと思っております。
○長田分科員 いま御答弁がありました下水の汚泥とかそのような研究をなされておるようでありますけれども、こうした方策の研究や実験につきましては、多くの公共団体がもう以前から積極的に手がけておるのですね。そのことは農林水産省もよく御存じだとは思いますが、たとえば東京都においても、昭和五十一年八月から研究を始めております。五十三年一月には一日当たり一立方メートルの処理能力を有する実験プラントを運転し、五十三年四月には肥料取締法の特殊肥料として届け出を行い、一実証実験を実は行っております。その結果ある種の効果を上げたデータも集めておるわけでありますが、五十五年七月には一日当たり十立方メートルの処理が可能な大型プラントが稼働し、一般農家への普及に努めるようにしておるようであります。こうした地方公共団体における研究開発について、実用化の段階まで進んでおるようでございますけれども、農林水産省はこの点どうお考えですか。
○川嶋政府委員 東京都におきまして生活汚水の汚泥を特殊肥料として製造しておりますことにつきましては私どもも承知をしておりますが、その利用につきましてはなお問題点があろうかと思いますので、国として東京都に試験研究を依頼いたしておりまして、共同でその点についても研究を進めたいと思っております。 なお、生活排水ですと問題ないのでございますが、これに一般の排水が入ってまいりますと重金属その他いろいろございますので、そういった点についてはなおいま検討中でございます。
○長田分科員 堆肥肥料が入手できないという都市農業者の悩みが非常に深刻でございます。そういう意味で、どうか一日も早く解消されるよう今後における農林水産省の積極的な対応をぜひ要望しておきます。 次に、野菜供給確保対策事業についてお尋ねをいたします。 大消費地域における安定供給を図るためこの対策が実施され、昭和五十四年十二月現在では一千七十二産地の二十三種類の野菜が対象品目となっておるわけであります。しかし、東京都の五月から七月期に出荷されるキャベツについては割り当て数が少ないために実は対象外となっております。このため東京都は単独事業として資金造成を行い、地場野菜の育成保護に当たっておりますし、野菜供給確保対策事業を実は積極的に推進をいたしております。しかし、考えてみますと、この対策事業というのはもとを正せば国の施策でありますから、国として何らかの処置を講じるのは当然でなかろうか、私はそのように考えますが、この点いかがでしょうか。
○森実政府委員 野菜の価格安定制度につきましては、御案内のように生産地、生産団地等、指定産地と言っておりますが、これとそれぞれ指定消費地を結びつける仕組みをつくって需給計画をつくって事業を実施するたてまえになっております。 御指摘のように、年々対象数量をふやしてきておりますが、品目、数量ともなかなか御要望もあるわけでございます。私ども、大消費地域の野菜価格の安定は特に核心だと思いますので、御指摘の点も十分頭に置きまして手簿の執行に当たり検討させていただきたいと思います。
○長田分科員 どうか実現の方向に対処していただきたいと思っております。 次に、私の住んでおります練馬区は、東京都区部では貴重な野菜の生産地であります。東京都の消費量の約一〇%ぐらいは供給しておると思っております。この農地面積は五十三年度末で七百十五ヘクタールに及び、区全体の面積の一四・九%を占めておるわけであります。ここでは主としてキャベツ、カリフラワー、ブロッコリーなどの栽培が行われておりますが、中でもキャベツは東京都契約キャベツの半分以上を出荷しておるわけです。また植木類の作付面積は五十三年度末で一千二十九ヘクタールを有しておりまして、野菜とともに植木類を都民に供給しておるわけであります。 ところが、東京都の農業生産は、近年都市化の急速な進展に伴いまして農地の減少や労働力の流出あるいは生産環境の悪化などによりまして野菜の作付面積は年々減少いたしておるわけであります。またその生産は自然条件によって左右される度合いがきわめて多いわけでございまして、野菜農家の経営規模が比較的小さいことなどとも相まってその生産、出荷は不安定な状態となっております。このため価格の変動も激しく、供給の不均衡と農業経営の不安定をもたらしておるわけであります。 そこで、こうした都市農業の問題に対しまして、農林水産省はどのようにこの対策を考えていらっしゃるのか。
○森実政府委員 都市農業の問題、特に野菜、花卉の生産あるいは一部の畜産物の生産については非常に重要な問題だろうと思っております。そういった意味で実は全般的には市街化区域の農業等につきましては、各般の助成事業はある程度抑止しているわけでございますが、野菜等につきましては事業の対象に含めまして価格安定制度を運用しているわけでございます。特に御指摘の野菜の問題につきましては、いま御指摘のありましたように、東京都区内の野菜が東京都の市場で一〇%に達するということもあるわけでございます。そういった軟弱野菜の育成は消費生活の上では非常に重要な問題だと思っておりますので、私どもも産地の育成、価格安定制度への加入という問題、それから出荷施設の整備等について措置を講じているわけでございます。御指摘の点は十分に頭に置きまして、これからの健全な育成に努めてまいりたいと考えております。
○長田分科員 都市農業対策を講ずるに当たりましてまず大切なことは、隣り合わせて生活しております消費者の理解を得ることが大切であります。そのためには農業生産者と消費者がお互いにコミュニケーションを図っていくことが私は必要ではないかと思います。生産者の人たちが朝市などを開いて区内の生産物を販売し、生産者の立場を理解してもらおうと努力を重ねていらっしゃる、そういう点は非常に私は理解をしておるわけであります。 そこで農林水産省は、こうした点について具体的にどのように指導されていますか。
○森実政府委員 野菜の販売という面だけから考えますと、品ぞろえの問題とか個人出荷という問題がありまして、なかなか問題はあると思います。しかし、先生御指摘のように、生産者または生産者が組織する団体の直販は、それぞれの都市生活に重要な意味合いを持っているし、特に農民と都市住民と今日の状況のもとで交流の機会を深めるという大事な役目を果たしていると思います。そういう意味で、従来から農協等による直販店の設置につきましては、地場野菜等を対象としました小売施設、たとえば店舗とか冷蔵庫等の設置については助成を実施しております。来年度においても引き続き助成を継続することとして予算をお願いしているところでございます。
○長田分科員 都市農業者は消費者に対する販売活動を常時行い、さらに消費者の家庭菜園志向に対しても技術提供を行うなど、お互いにコミュニケーションが図られるよう努力したいという意向を実は持っているのです。 そこでお尋ねいたしますが、現在練馬区内にありますグランドハイツ、この跡地内に一万二千戸の住宅の建設を行う方針が決まっております。近い将来人口四万から五万人くらいに及ぶ都市が誕生することになっております。こうしたことから、都市農業者は、この地域内に消費者とのコミュニケーションを図る施設の設置を強く希望いたしておるわけであります。生産者と消費者が互いにコミュニケーションを図る上にもこうした施設をつくることは必要であろう、このように私も考えております。 そこで、建設省並びに住宅公団にお尋ねしたいのでありますけれども、こうした問題についてどのような考えをお持ちになっていらっしゃるのかお尋ねをいたします。
○救仁郷参考人 ただいまいろいろ御論議ございました、新しくグランドハイツにお住みになる住民の方々とそれから地元の住民の方々のコミュニケーション、これは私ども町づくりをするに当たりまして非常に重要なものだと考えております。ただ、いま御提案のございました生産なり流通なり消費なりという問題につきましては、東京都なり練馬区という地方行政の問題でございます。私どもそういった御当局からの御要請なり御指導がございましたら、いろいろ検討さしていただきたいと考えております。
○井上説明員 いま住宅公団からお答え申し上げましたとおり、住宅公団の団地をつくりますときに、団地の設計なりそこの将来の発展のために先生御指摘のように地元との融和というのは重要であるということは全くおっしゃるとおりでございます。ただ具体の問題になりますと、経済的あるいは技術的な困難な問題も間々従来あったということでございますけれども、先生の御指摘につきましては、いま公団がお答え申し上げましたように、地元行政当局等と十分に連携を密にいたしまして、その可能性につきまして研究をしてまいりたいと考えております。
○長田分科員 最後に、農林水産大臣にお伺いいたします。 穀物備蓄に関する緊急提言といたしまして政策構想フォーラムという本を私読んだのですけれども、その中に、今回アメリカの対ソ穀物輸出制限に呼応いたしまして、千五百万トンあるいは千七百万トンといわれる削減分をわが国が買い付け、アメリカ現地での備蓄に回すという政策提言がこの中になされておるのです。私もこれには賛成であります。と申しますのは、単に日米両国間の利益の一致にとどまらず、長期的な食糧備蓄の推進措置の一環といたしまして大きな意味合いがあるのではないか、このように考えるのです。一部にわが国の農業生産者の利益に反する、そういう見方が実はあるのでありますけれども、ソ連向けの穀物はトウモロコシなどの飼料穀物です。したがいまして、米の生産とは競合しないのではないか、このように考えるわけであります。このような提言に対しまして農林水産省はどうお考えでしょうか。
○武藤国務大臣 私はどうも必ずしもあの政策フォーラムの提言には賛成いたしかねておるわけでございます。なぜかと申しますと、一つは今度のアメリカの対ソ穀物輸出停止というものが行われたということから考えても、食糧というものが、従来とは違って一つの外交的手段に使われるようになってきたという現実の事態を認識しなければいけない。それと少なくとも国内でできるだけ自給率を高めて、そして国内で自給できるものは自給するという考え方に立っていかなければならないのでございます。そうなってくると、確かにいま日本は飼料用穀物はほとんど外国から輸入いたしておりますけれども、果たしてこれでいいのかどうかということはいま実は議論をいたしているわけでございまして、これが一つ。 もう一つは、それでは本当にいま日本が一年に買う以上のものを買って向こうに備蓄することができるのか。私もこの間商社の連中といろいろ話をしてみましたけれども、現実に日本の備蓄の倉庫と向こうの倉庫とは全く違っておりまして、ランニングストック用だということを聞いておるわけでございます。そうすると、買うよということは、意思表示は結構でございますけれども、それでは買って一体本当にどこに備蓄するかということになると大変な問題のようでございますので、そういう点でこの間の政策フォーラムの提言は、現実を余り御認識にならないで提言がなされたのではないか、私はこういうふうに認識しておるわけでございます。
○長田分科員 終わります。
○片岡主査代理 これにて長田武士君の質疑は終了いたしました。 次に、湯山男君。
○湯山分科員 私はマツクイムシの被害についてお尋ねいたしたいと思います。 実は最近ですけれども、マツクイムシの被害が非常に甚大で、一体いまのような状態で松くい虫防除特別措置法の五年の期限内に所期の目的が達せられるのか、つまりマツクイムシの被害を終息させることができるかどうか疑問ではないかという感じを持ちますのでお尋ねいたしたいと思います。 と申しますのは、私の住まいは松山市にありまして、周辺の松がマツクイムシでやられまして、松山という名前を変えぬといかぬのではないかというような冗談も出ておったり、それから私の家自身も黒松が一本、屋久島五葉といういずれも五、六十年たったものですが、それがやはりマツタイムシにやられました。それから愛媛県には、愛媛県で指定している天然記念物が十七本あります。聖松とか大判松、八右衛門松、むかで松、凱旋松、相生松、いずれも名前のついた名木ですし、中には五百年以上もたっている、そういう十七本のうちで八本までが五十二年からいままでにやはり枯れております。 それから、国の松の天然記念物というのは全国で十一本あります。その中で兵庫県と山口県の二本、これがやはり同じように被害を受けて枯れました。特に兵庫県のなどはいま指定取り消しの手続中だそうですが、とにかく近くへ被害があらわれたというので林野庁の方とも相談して、空中散布はやらなかったそうですが、あらゆる手を尽くして何とか助けようとしたけれども、ついに先般枯れてしまって、いま指定解除の手続をとっておる。 こういうことを見ますと、果たしていまのようなことで一体本当に効果が上がるのかどうか疑問なんですが、大臣の地元の方には被害ございませんか。
○武藤国務大臣 岐阜県には多少被害があるわけでございますけれども、幸いにしてと申しますか、私の筆家の周辺にはそんな話はございません。
○湯山分科員 それではあるいは実感が伴わないかもしれませんけれども、実はいまのようなことですから、ひとつよく御理解いただきたいと思うのです。 そこで、いまのように措置法の期限内、五十五、五十六年とあと二年ですけれども、それで所期の目的が達せられるようになるとお考えでしょうか、いかがでしょう。
○須藤政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、五十三年度に大変な被害の増加を見ておるわけでございます。この原因といたしましては、五十三年の気象条件が高温かつ寡雨、雨が少なかったというのが原因だろうと思うのでございまして、このような予期せざる異常気象によりまして非常な被害が発生しておるわけでございまして五十四年度もその影響を受けまして被害が増大しておるわけでございます。 そこで、五十六年度に被害を終息させるという当初目標を達成するには、今後の気象条件あるいは自然条件いかんにもよりますけれども、必ずしも容易ではないというふうに考えておるわけでございます。今後総合的な防除対策を緊急に推進いたしまして被害の減少を図り、できるだけ早い時期に終息に向かうように最善の努力を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。
○湯山分科員 ちょっと長官の御答弁には飛躍があるようなんですね。ただ単に気象条件だけなのかどうなのか問題があると思いますので、私いまからお尋ねいたします。 そこで、いまむずかしいという御答弁でした。そうすると、どうなさいますか。もうとにかくどうあってもこれは余り効果ないからやめるということなのか、期限を延長してなおいまのような防除を続けるのか、あるいは防除の方法を検討して変えるのか、そういう三つぐらいなケースしかないのではないでしょうか。そのいずれをおとりになろうとしておるか。
○須藤政府委員 防除の方法につきましては最も効果のございます特別防除、これが特別措置法に基づく防除でございますが、これを計画的に実施すると同時に、いわゆる特別防除ができません地域につきましては、立木伐倒駆除あるいは樹種の転換というようなことを図ってまいりまして、いままでの方法を継続していかなければならぬと思っております。この法律はあと二年でございますが、この取り扱いにつきましては、今後のマツクイムシの被害状況を踏まえまして、また松林が果たしております国土保全等の機能の評価、あるいは防除方法の分析等に基づきまして森林病害虫防除制度全体のあり方を求める中で検討を行う必要があるというふうに考えておる次第でございます。
○湯山分科員 もっと簡明に率直にお答えいただくとよくわかると思うのです。とてもあと二年では終わらない、こういうことでしょう。それじゃやはり引き続いて防除を続けてやらなければならない。いまの長官の御答弁では、いままでの方法でやるんだ、そうすれば、期限を延ばすしかないんじゃないでしょうか。
○須藤政府委員 防除の方法につきましては、もちろん技術も日進月歩でございますから、試験場としてもいろいろな研究を進めておるわけでございますが、新しい防除方法が見つかれば早速それを採用していくということになるわけでございますが、現段階の技術水準では、いままでやっております特別防除あるいは立木伐倒駆除というものを徹底してやっていかなければならぬというふうに思います。
○湯山分科員 ちょっとこれで時間をとるのはもったいないのですが、私が言うのは期限を延ばすのか延ばさないかということなんです。
○須藤政府委員 つまり、法律の取り扱いをどうするかという問題と、それから今後防除を続けていく方法をどうするかという二つの問題があろうかと思いますが、法律の取り扱いにつきましては、先ほど私が申し上げたとおりでございます。しかしながら、現実に二年たっても被害がやまないとするならば、やはりこの方法を続けていかざるを得ない。いまの技術水準では続けていかざるを得ないということを申し上げているわけでございます。
○湯山分科員 はっきりしませんが、大臣どうでしょうか、おわかりになるでしょうか、いまの答弁で。
○武藤国務大臣 一つは、防除の対策についてより新しい何か方法がないかということを研究しておる、しかし、そういう研究をしましても、なおかつそれがいい方法が生まれない、現在の状態でやっていかなければならない、そのときはきっと二年たってもこれはおさまらないであろう、そのときはどうするかということは、それはもうマツクイムシを防除していくのは当然のことでございますから、そのときには引き続いて防除対策を継続していかなければならないというのは当然かと思います。
○湯山分科員 そういうことですよね、よくわかりました。 そこで私は、防除の方法についても御検討になられるということですから、幾らか御参考にもなるかと思ってこの御質問をするわけです。そして早くこれを終息させてもらいたい。マツノマグラカミキリが松の若い枝をかんでそこからザイセンチュウが入る、この理論が非常にすっきりしておって、私もあれを農林委員会で聞いたときには大変感心いたしました。しかし、それなら当然被害木にはザイセンチュウがいなければならないのに、私のところで被害を受けた二木とも、被害の状況は全くマツクイムシ被害の状況と同じでしたにもかかわらず、ザイセンチュウは見当たらない。私だけが検査したのではなくて、よくこれについて出している福岡さんという元農林省の植物防疫の仕事をしていた人ですからこういうのを見るのは専門の人ですが、この人にもそれをいろいろ検査してもらったのだけれども、やはり見当たらない。そうすると、これはどこかその理論にも完全でないところがあるんじゃないかなという感じがしますが、これはどうでしょうか。
○須藤政府委員 松が枯れる原因につきましてはいろいろございまして、いわゆる微害型の松枯れもございますけれども、このように激害型の松枯れにつきましては、このマツノザイセンチュウが原因であるということでございます。これは四十三年から四十六年まで国立試験場を中心としまして昆虫学あるいは樹病学、細菌学、樹木生理土壌学、気象学関係の各分野を網羅した共同研究の成果によって十分立証されておるのでございます。また、その成果は内外の学界においても評価されているところでございます。 そこで、いま被害木からザイセンチュウが発見できなかったというお話でございますが、被害木であっても材片の採取の時期あるいは採取個所によってはマツノザイセソチュウが発見されない場合もあるわけでございます。
○湯山分科員 長官の言われるのでは、被害の場所、時期、そういうことによってと言うのですが、そうすれば、時期及び場所に気をつければ必ずおるということですね。それは間違いだと思うのです。というのは、伊藤一雄さんですか、あの人の書いたものを見ましても、接種しても一〇〇%ザイセンチュウがいるとは書いてないのです。だからその辺、長官少し間違っておるんではないでしょうか。
○須藤政府委員 それは、ザイセンチュウを接種した試験だと思いますが、これはザイセンチュウを接種するわけですから当然でございますが、いわゆるザイセンチュウによって枯れたという松につきましては、ザイセンチュウがおるのは確かでございます。
○湯山分科員 伊藤さんの文章では、接種試験の結果、きわめて高率の枯死をもたらすとありますが、きわめて高率というのは一〇〇%ということではありませんね。
○須藤政府委員 接種試験の結果枯れないものもこれは当然あるわけでございます。ザイセンチュウの抵抗性の強いものにつきましては枯れないものもあるわけでございます。そういう意味だと私は理解しております。
○湯山分科員 私も専門の学者ではありませんから、そういう論議をする気持ちはないのです。ただ、一つここで申し上げたいのは、林野庁はこの理論に余り自信を持ち過ぎている、そこに今度の思うようにいかない原因があるんではないかなという感じを私は持ちます。私のような素人が見ても、ザイセンチュウのいないのもあるし、試験場でおやりになっても出ないのもあるわけですから、本当にそれがそうなのかどうか、ひとつもう一遍、こういうのは謙虚にもとから検討してもらってほしいということが一つです。 それでないと、たとえばいまの淡路島のなんか国の天然記念物ですから、ずいぶん注射もやったり、養分もやっています。けれども、もたなかったというのは、虫が上から下へ一体どこを通っておりるのか、皮の部分なら皮の部分に注射すればいいし、それから水と一緒になにするのであれば根からやらなければ効果がないでしょう。そういうこと等々が本当によくわかっておるんでしょうか。つまり、ザイセンチュウがどのような経路をとって、どう全体へ広がっていくかという経路はまだわかっていませんね。
○須藤政府委員 これはマツノマダラカミキリが松の小枝の樹皮、あるいは形成層、あるいは形成層直下の材部を加害いたします。このときザイセンチュウがカミキリの腹部から出てカミキリが加害した傷跡の材部の樹脂道、先生御承知のとおり垂直水平樹脂道がございますが、全部連絡をいたしておりますが、その樹脂道から樹体の方に侵入されるということがはっきりいたしております。そういうことでございまして、これはもう観察の結果はっきりいたしております。
○湯山分科員 観察の結果はっきりしてないのです。これもひとつお調べください。大体、樹脂というのはやにでしょう。たとえやわらかいにしても、そう簡単に行けるものじゃありません。そこで、伊藤先生の後を研究した人ですか、調べたら一センチくらいしか動いてないというのです。だから、本当にどこをどう行くかという、それもわからないと思います。その感染した初期のしばらくの間のことというのはよくわからないということです。 それから、この虫は何を食べるのですか。
○須藤政府委員 感染した初期は樹脂道のいわゆる柔細胞を食べて増殖しておるということでございます。
○湯山分科員 樹脂道というのは穴ですね。穴の中に柔細胞はないでしょう、周辺にはありますけれども。
○須藤政府委員 樹脂道というのは、先生おっしゃいましたように、細胞の間隙でございます。ですから、その回りの柔細胞を食べる。ザイセンチュウ本来は糸状菌を食べて増殖するわけでございますが、松の場合は、いま申し上げました樹脂道の回りの細胞を食べて増殖するということが実験によっても証明されておるわけでございます。
○湯山分科員 ちょっと問題です。そんなに簡単じゃないんじゃないですか。樹脂道の柔細胞を食べておるという証拠もないように私は思います。ですから、よけい申しませんけれども、やはり学者たちも納得するように、これらをひとつもっと研究してもらってやらないといかぬのじゃないか。まして、簡単に言えば、いまのように数百年、五、六百年以上もたったそういう松が、いまこのときになってそれだけ手当てしても枯れていくというようなことは、これもちょっと説明がつかないだろうと思うのです。淡路島なんかずいぶん手当てしたんですよ。それでもなおかつこういう状態、この説明はつかないと思います。周期的にと言うけれども、周期的に、何十年に一遍か、百年に一遍かあるんならば、やはりもっと枯れていなければならぬはずです。この辺も私には了解のいかない点です。 そこで申し上げたいのは、ヤツクイムシのメカニズム自体を、よくわかるようにもっと検討していただく必要があると私は思います。そういうことがはっきりわかって初めて駆除の方法も適確になってくる。 それから、同じように伊藤一雄氏はこう言っているのです。これも御存じだと思います。簡単じゃなくて、これは接種実験には、使うところの薬剤、何を使うか、どういう濃度で使うか、それから散布の方法、それから時期、それから数量、回数、その一つでも適正を欠けば効率は低下するとちゃんと書いてあります。そうすると、長官は簡単に、五十三年、五十四年にかけては高温、乾燥であったと言われるけれども、果たして問題はそれだけかどうか。夏暑いのは大体相場ですから、夏高温であって乾燥しても、二年間やって、それによって散布する前よりももっと大きい被害が出る、それを超えたもっと大きな被害が出るなどということは、これもまた異常だと思うのです。ここも検討の余地がある。こういうこと等々を考えてみますと、この際やはり感染のメカニズムはどういうことなのか。そして線虫も、私も質問するので少し図書館の本も見たのですけれども、とにかく世界で一番種類の多いのは昆虫類で、続いて種類の多いのは線虫類だと書いてありました。昆虫は二十万と言われますから、何万種類あるのか、それだけの線虫です。聞いてみますと、いろいろな原因を考えて消去法でやってみて、残ったのはこれだというねらいをつけてこれを決めたと伺っておりますが、それは間違いございませんか。
○須藤政府委員 大変時間が短いものですから十分な御説明を申し上げられないのは残念でございますが、まずメカニズムでございます。 先生御承知だと思いますが、マツノザイセンチュウの侵入後の初期段階におきます行動と樹体の反応を組織解剖学的に追求しておるわけでございますが、侵入したマツノザイセンチュウが樹脂道を主たる生活の場、移動の経路としておることははっきりしておるわけでございます。一方、侵入に伴いまして早い時期に組織柔細胞の変性、枯死現象が見られるわけですが、この現象はマツノザイセンチュウによる松の樹休の生理学的な反応として注目されているわけでございまして、この生理学的な反応につきましては、最近の研究で、毒性物質の生成とその作用機構が明らかにされつつあるわけでございます。しかしながら、今後この点についての研究はもっと進めていく必要があると考えております。 それから空中散布の問題でございますが、先生御指摘のとおり、散布の時期あるいは薬剤の量が効果をあらわすかどうかの重要なポイントになっておるわけでございまして、実施方法については、そういう時期を誤らぬように、是等につきましても規定の量をきちっとまくという方法をとっていくことがどうしても必要であると考えておるのでございます。いずれにいたしましても、非常に弱い薬でございますので、いま申し上げましたように、適期に誤らずまくことが大変必要でございます。 それからもう一つは、全部空中散布をやっておるわけではございませんで、被害面積の約二割しか空中散布ができていないという現状でございまして、空中散布だけに頼ることはできないわけでございます。やはり立木伐倒駆除その他を並行してやっていかなければならぬということでございます。
○湯山分科員 私もいまそれをお聞きしようと思っていたところでした。というのは、初めに発表になったのは、ザイセンチュウが通路を物理的にふさぐ、それによって枯死するのだということでしたね。いまもそれは変わっていませんね。ただ、それだけでは説明がつかない。実情を見ると、これはどうもザイセンチュウが毒素を出すのではないか。つまり、従来は物理的に通り道をふさぐから水や養分が上がらないで枯れるのだ。今度はそうじゃなくて、それが出す毒素ではないか、化学的物質で枯死するのではないかという説もいま出かかっているのです。まだ決まってはないでしょう。
○須藤政府委員 実は最初から、ザイセンチュウが樹脂道に詰まってただ物理的に枯れるということだけを言っておったわけではございませんで、枯れるメカニズムはなかなかよくわからなかった。最近、いま申し上げましたように、一種の毒素が出て、それによって枯れるのじゃないかという研究発表がございまして、その点をいま追求をしておるということでございます。
○湯山分科員 では、毒素でなければなぜ枯れるのですか。毒素で枯れるというのでなければ、ほかには、通り道が詰まって養分なり水分なりが通らなくなって枯れるしかないですね。
○須藤政府委員 その点は、接種実験の結果枯れた、枯れたという事実だけでございまして、なぜ枯れたかメカニズムは必ずしもはっきりしていないということでございます。
○湯山分科員 それをさっきから言っていたのです。お聞きのとおり、本当はまだよくわかっていないのです。わかっていないのをそのままかなり強引にやりましたから、当否は別としてこれに対する学者の反発も御存じのとおりあります。それから、そういうやり方に対しての住民の不安もあります。私どもあの法律に反対いたしました。それはメカニズムの問題じゃなくて、空中散布の危険あるいはまた自然の生態系を乱すのじゃないかというような問題、そこらがいまのようになぜ枯れるかということが解明されないままでやられようとしたところに私は問題があったと思うのです。だから、このことはまだ住民の本当の信頼感を得ていない、そこに一つ問題があります。その原因は、いまのようにまだだれが聞いてもなるほどと思うように問題点を解明しないままでやっていったというところにあると思うのです。これは率直に申し上げます。 そこで、いまのような解明されてないメカニズム、毒素ならそれを中和するものを根から入れればいいですね、そういう研究はいま全然ないでしょう。どうですか。
○須藤政府委員 ザイセンチュウによるある種の毒素であるという研究発表はつい最近出ておるわけでございまして、その点を注目いたしましていま追求を進めておる。先生おっしゃるとおりあるいはザイセンチュウを直接殺す方法が見つかるかもしれません。しかし、いまの段階ではそれはできていないということでございます。 ただ、何回も申し上げますけれども、ザイセンチュウによって枯れることは事実でございます。空中散布に反対だというお話でございますが、現に空中散布をやったために残されておるところが各所にあるわけでございまして、先生もぜひ現地をごらんいただきたいと思うわけでございます。私どもは、これは否定はしていないわけでございます。そういう意味で、効果のある個所はたくさん出ておることはぜひ御認識願いたいと思います。
○湯山分科員 そういう御説明は御説明として承りますけれども、以前に防除の効果のようなことで農林水産委員会でもデータに悪く言えば改ざんもあったというようなことが私どもの馬場委員から指摘されて、それをお認めになったこともありましたね。科学的な重要な問題のデータがそんなふうに間違っておったり、故意ではないと思いますけれども、改ざんされておったということもこのことに対する不信感を増大させておることは間違いありません。 それから、いまのように初めはとにかくザイセンチュウが通路をふさぐということから枯れるのだということを言っておりましたけれども、それもまだ毒素かどうか、いま研究中というようなこと等々ありますから、いまのような御態度でいけばあと延長してもひょっとしたら防除はできないのじゃないかという懸念さえ持ちます。 そこで、きょういろいろ申し上げたのは、そういうことを謙虚に受けとめて、みんなが信頼できるような、協力できるような体制を速やかにとってもらいたいという意味での質問ですから、大臣から御決意を伺って終わりたいと思います。
○武藤国務大臣 いずれにしても一日も早くこういうものを退治することが国民の皆様方の御要望にこたえることでございますので、謙虚に受けとめましていろいろな角度から検討して、とにかく一日も早く防除するように全力を挙げていきたいと考えます。
○湯山分科員 終わります。
○片岡主査代理 これにて湯山勇君の質疑は終了いたしました。 次に、木下敬之助君。
○木下(敬)分科員 質問させていただきます。 二百海里時代の到来によってわが国周辺漁場の整備開発が重要になってきたと考えておりますが、これに対する政府の所信をお聞かせいただきたいと思います。大臣、よろしくお願いいたします。
○武藤国務大臣 わが国の周辺漁場の整備開発を図るために昭和五十一年四月に閣議決定されました沿岸漁場整備開発計画、これに基づきまして沿岸漁場整備開発事業を現在鋭意実施いたしております。今後ともこの計画の積極的な推進を図ってまいりたいと思っておりますが、いずれにしても、進捗状況も相当順調に推移しておりますので、計画達成はできるものと私ども期待をいたしております。
○木下(敬)分科員 大変頼もしいお答えでありがとうございます。 大分県の南部はリアス式海岸で、天然のすぐれた養殖漁場に恵まれておりますが、近年漁場の老化も見られてきておるようでございます。政府としては、これに対してどのような対策を考えておられるのでしょうか。
○今村政府委員 御指摘のとおり、全国的に効用の低下をした漁場が見られるようになっておりますので、養殖業の健全な発展を図りますためにはこれは非常に大きな問題だというふうに認識をいたしております。したがいまして政府といたしましても、この対策といたしまして、養殖管理の改善等について関係県を通じまして養殖業者に対します指導を強化いたしますと同時に、効用の低下した漁場の回復のための事業、私たちはこれを漁場環境維持保全対策事業と言っておりますが、それにつきまして助成措置を講じてきたところでございます。さらに五十五年度におきましては、一層の充実を図るために、新たに地域ぐるみの漁場の効用の回復向上を図る、それから養殖管理の適正化のための体制づくりということを一体として推進いたします地域養殖生産体制再編パイロット事業というものを実施しているところでございます。 御指摘のように、大分県におきましてはリアス式海岸で天然のすぐれた養殖漁場に恵まれているところでございますので、これらの問題につきましては、地元県等の意見も聞いた上で、予算措置の適用を含めまして実態に応じた検討を進めてまいりたいと思っております。
○木下(敬)分科員 その県南地域は、リアス式海岸ですので丘陵が海岸まで迫る急傾斜地帯でありまして、農業が大変やりにくい立地条件の厳しいところであります。このような地域における農業基盤整備事業の実施状況をお聞かせいただきたいと思います。
○杉山(克)政府委員 先生も言われましたように、大分県の南部地区は大変立地条件が厳しゅうございます。まとまった農地も乏しいというような状況でございまして、せっかくできております貴重な農地あるいは農業用施設、これらが地盤の浸食や崩壊というようなことで壊されていくこともありがちなところでございます。これらの農地だとか農業用施設を守るということとあわせて地域の農業振興を図るために、大分県におきましては農地浸食防止事業を実施しておりますが、このほかに海岸保全、農道整備、圃場整備、こういった各事業を推進しているところでございます。
○木下(敬)分科員 次に、肉用牛は今後のわが国農業の基幹作目であると考え、その肉用牛振興の基本方針と来年度の予算措置をお聞きいたしたい。
○犬伏政府委員 国民の牛肉に対する需要は長期的には今後ともかなり増大するものと私ども見込んでおります。肉用牛の生産は、御承知のとおり、一つには土地資源などの有効利用を図る上で重要な作目であります。また、地域農業におきまして農業所得の確保を図る上で重要なものであるというふうに考えております。そういうことから、国民への牛肉の安定的な供給を図るために極力国内生産の増大を図りたい、しかし資源的な制約もございまして国内生産ではどうしても不足をする、その不足をする分については輸入を行っていくという基本方針のもとに、国内生産の振興に努めておるところでございます。 五十五年度の予算案におきましては、肉用牛の経営の安定、牛肉の安定的な供給、これらを図りますために、一つには生産性の高い肉用牛経営の育成、さらに肉用牛資源の維持増大、それから肉用牛の資質を向上させるための改良の促進、さらに肉用子牛の価格及び需給の安定などに重点を置きまして、肉用牛対策を強化してまいりたいと考えております。具体的には、肉用牛関係の生産から流通全体を含めまして五十四年度百二十二億円の予算額でございましたが、これを百八十二億円に約六十億円の増額をいたしまして、重点的にいま申し上げた対策を強化してまいります。いま申し上げました中で流通対策につきましては、食肉の流通関係として豚肉関係も仕分けができませんので若干入っておりますが、いま言ったような大幅な増額をいたしておるわけでございます。
○木下(敬)分科員 政府の方で勧めて一生懸命つくらせて、できたころには安くなっているとか、非常にいろいろな問題が農作物について起こっておりますので、どうかこの肉用牛につきましても、将来に向けて勧める中で、その勧めを受けて一生懸命やった農家の方が必ず報われるような形で全体の計画を大きく立てていっていただきたいと考えております。 引き続きましてこの問題についてですが、大分県久住飯田地域は肉用牛振興の適地と考えております。その具体的な施策としての久住飯田地域広域農業開発事業の実施状況をお聞かせ願いたいと思います。
○杉山(克)政府委員 いま先生の言われた地域では、広域農業開発事業と、いたしまして、農用地開発公団が事業主体となって、昭和五十四年度までに三区域内で事業を進めてきております。そのうち、久住飯田西部区域という一区域がこの昭和五十四年度に事業が完了することになっております。五十五年度におきましては、残る久住飯田南部、北部の二区域において、予算額がそれぞれ十九億円でございますから合わせますと三十八億円、こういった事業費で事業を進めることにいたしております。いずれもかなりの規模の事業でございまして、合わせれば総事業費は百四十六億ということになります。両者を合わせまして五十五年度の予算措置をもっておおむね所要額の四四%程度を消化するということに相なっております。今後ともこの事業につきましては、計画的な推進を図って地域の肉用牛振興に寄与してまいりたいと考えております。
○木下(敬)分科員 相当大規模なものをお考えのようでございますけれども、肉用牛繁殖の多頭経営では放牧飼養が大変大切であると考えておりますが、久住飯田地域におけるダニ対策は大丈夫なのでございましょうか。また、ダニの根絶ができないときに小型ピロプラスマ病の危険があることを聞いておりますが、これに対する措置はどのように考えておられますでしょうか。
○犬伏政府委員 放牧牛におきます事故で、ダニを媒介として蔓延いたしますいまお話しのピロプラスマ病による被害が最も多く出ております。各地でその発生がありまして、放牧衛生上その予防対策がきわめて重要であると考えております。このため、従来からダニ駆除に努めてきたところでありますが、本年度におきましてもいろいろな事業を実施いたしております。一つは、家畜伝染病予防事業によりまして、ダニ駆除の薬剤散布を実施いたしております。二つ目に、ピロプラスマ病の防除用の機器整備事業によりまして、放牧場及び牛自体の薬剤散布をするための機械器具の設置を進めております。それから三番目に、家畜保健衛生所によります巡回指導を実施いたしておるのでございます。久住飯田地域に率きましても、いま申し上げましたような事業を実施いたしておるところでございまして、本年度におきましても、放牧牛延べ約七千四百頭につきましてピロプラスマ病のダニ駆除の実施を進めておりますし、ピロプラスマ病の防除用の機械一セットの設置を行っておるところでございます。 いまお話しの根絶ができるかどうかということでございますが、これを根絶することはなかなか容易でございません。技術的には、放牧に際しまして、馴致放牧とわれわれ言っておりますが、約一カ月間事前に本放牧の前に放牧をいたしまして、その上でこの病気にかかったものを簡易な施設で治療をいたしまして、それから本放牧をするということで、牛自体の抵抗力を強めるということをやっております。しかしながら、どうしても病気による被害が発生をすることがございますので、家畜共済に加入を勧めておりまして、共済加入家畜につきまして、この小型ピロプラスマによる共済事故が発生しました場合には共済金を支払う、さらに、この家畜共済事業の中で被害を未然に防止するために特定損害防止事業の対象にこのピロプラスマ病を指定をいたしまして、獣医師による加入家畜の検査及び駆除を実施して事故の経減に努めておるところでございます。
○木下(敬)分科員 久住飯田地域における肉用牛の周年放牧というものの可能性はどう考えておられますか。
○犬伏政府委員 久住飯田地域におきましては周年放牧は可能性があるというふうに考えております。現在のところは夏山冬里、つまり夏は放牧をし冬は里に連れ戻すという方式が一般的には行われておるところでございます。しかしながら、極力放牧を取り入れて肉用牛の飼養をいたしますことは、施設なり労働力なりの節減につながりますし、したがって生産コストも下げ得るということがございますために、放牧期間の延長、積雪期におきます干し草の補給等の方法によりまして十分な放牧牛を確保する、こういうことで周年放牧が可能であると考えておるわけでございます。現にこの地域におきまして、すでにその事例も見られておるところでございまして、立地条件に応じまして今後これが発展してくものと考えておる次第でございます。
○木下(敬)分科員 そういった肉用牛経営についてのハードな面のいろいろな補助が行われておることはわかりましたが、ソフトな面について、経営の指導とかいろいろな機械の技術が習熟できるようにといった面の指導はどうなっておられるのか。
○犬伏政府委員 肉用牛の国内生産の振興を図るために各種の助成事業を行っております。いまお話しのようにハードな助成事業を進めますとともに、ソフトの面での指導その他の事業を進めております。肉用牛の生産振興を図りますためには、肉用牛経営を取り巻く諸条件の整備と相まちまして、いま申し上げました個別農家の経営技術あるいは技能といったソフト面の指導は欠かせないものというふうに考えておる次第でございます。 そこで現在進めておりますのは、個別畜産農家に対しまして、農業改良普及員さらには民間団体におきます都道府県の畜産会に所属いたします畜産コンサルタントを中心にいたしまして、技術の向上あるいは経営の改善を指導しておるところでございます。具体的に申しますと、肉用牛集約生産基地育成事業というものを実施いたしておりまして、その実施地域におきまして畜産会の指導によります肉用牛の生産集団指導事業を実施しておりますが、これはまさにソフト面の指導を重視するものでございます。大分県におきましてもこれらの指導事業を実施をしておりますが、さらに、国の補助によりまして過去に設立をいたしました草地畜産開発センターというのがございます。このセンターにおきましてソフト面の指導を行っておるところでございます。
○木下(敬)分科員 初めての試みでございましょうから、どうか目を離さないようにずっと指導を続けていただきたいと考えております。 この肉用牛経営は収益性が低くて、かつ資金の回転率が大変小さいのではないかと考えられておりまして、そういった中で、たとえば総合施設資金の現行利率を引き下げるなどの肉用牛経営にあった資金制度をつくるおつもりはないでしょうか。
○犬伏政府委員 肉用牛に対しましては、草地開発を初めとし、さらに家畜の導入事業あるいは肉用牛の集約生産等の措置を講じております。また価格の安定対策も講じておるところでございますが、これらの事業は肉用牛につきましてかなり濃密に行っておるところでございます。このために、最近におきましては、飼養戸数の減少傾向がやや少なくなってきておる反面、二戸当たりの飼養頭数は増加をしておるといういい傾向があらわれておるわけでございます。さらに、御承知のように小牛の価格や枝肉価格もかなり高い水準に推移しておりまして、肉用牛経営の状況は安定しておると言えるかと存じます。しかし、今後もどうなるかということがございますので、いま申し上げましたような対策を講じておるわけでございますが、いまお話しの長期資金についてより低利のものというお話でございますが、いま申し上げましたような種々の対策を講じ、その効果が出ておる状況からいたしまして、ほかの作目とのバランス等あるいは補助事業を実施しておることとの関係からいたしまして、種々検討はいたしておりますけれども、現時点ではなかなかむずかしいのではないかと考えております。
○木下(敬)分科員 いま現在うまくいっているから考えてないように聞こえたのですが、余りうまくいかない状況が出たときには、またそのときに考えていただけるふうにとってよろしいですか。
○犬伏政府委員 それだけでそうだと申し上げたわけではございません。各種の助成事業を濃密に行っておるということもございますので、それらとの関連も考慮してまいりたいと思っております。
○木下(敬)分科員 いま一つ、畑作振興の観点から、大野川上中流流域における農業基盤整備事業の推進の必要性があると考えておりますが、この地域の基幹となる農業基盤整備の実施状況をお聞かせいただきたいと思います。
○杉山(克)政府委員 基盤整備にはいろいろな形の事業があるわけでございますが、最近におきましては畑地帯の基盤整備が重点の一つとなっております。予算的にも年々ほかの事業に比べて伸びも大きいものでございますが、今後ともこの傾向は続くと思われます。そういう点からいたしますと、大野川の上中流流域、ここは従来は比較的畑地帯としては基盤整備が全国的に見てもおくれていたところでございますが、最近は非常に活発に整備事業が行われております。若干具体的に個所を申し上げますと、国営灌漑排水事業、これが一地区、それから県営の灌漑排水事業が六地区、畑地帯の総合土地改良事業が五地区、それから広域営農団地農道整備事業が二地区、これらの農業基盤整備事業が行われているところでございます。今後とも積極的な、計画的な促進を図るようにしてまいりたいと考えます。
○木下(敬)分科員 どうぞよろしくお願いいたします。 最後に、世界的な食糧不足が将来起こるのではないかとも言われております中で、食糧の増産の可能性が大きく残されていると考えられます大分県の農業を大きな視野で進めていくためには、有能な人材の育成と一貫した指導が必要であると思われます。そのためにぜひ国立大学等の農業専門研究機関や国立農業試験場等を大分に設置していただきまして、県の農業関係の知的階層の拡大を図られますことをお願い申し上げまして、私の質問とさしていただきます。 どうもありがとうございました。
○片岡主査代理 これにて木下敬之助君の質疑は終了いたしました。 次に、田畑政一郎君。
○田畑分科員 私は、農業者のための労災制度問題についてまず御質問申し上げたいと思うのでありますが、農業者のための労災保険加入制度でございます。これが開始をされましたのが昭和四十年でございますから、すでに十五年間の実績を持っているわけでございます。 〔片岡主査代理退席、主査着席〕 戦後労働者のための労災制度が発足いたしまして、これは私が聞き及ぶところによりますと、適用される労働者数は三千三百万に及んでおると聞いております。しかし、十五年をたちました農業者のためのこの労災適用の員数というのは現在どの程度になっておるか、まずお伺いしたいと思います。
○二瓶政府委員 労災保険特別加入制度に加入をいたしております農業者の数でございますが、五十三年におきまして九万七千三百三十三人ということになっております。内訳は、指定農業機械作業従事者、これが五万八千六百七十八、中小事業主等というのが三万八千六百五十五ということに相なっております。
○田畑分科員 十五年間経ましてわずかに十万人を切っておるということにつきましては、そこに何らかの問題があるのじゃないかと思うのでございますが、それはさておきとして、農林水産省と申しますか、当局がこのいわゆる労災保険特別加入制度に対して払われております財政上の援助措置というものについてお伺いしたいと思います。
○二瓶政府委員 この労災保険の特別加入制度の関係での農林水産省の財政負担はどうかというお尋ねでございますが、農林水産省といたしましては、この労災保険への加入促進、これが非常に重要であるという認識に立っております。したがいまして農林省といたしましては、予算といたしまして農業機械効率利用、安全対策の推進という角度におきまして、都道府県並びに市町村に対しまして啓蒙指導等の経費を計上いたしております。五十五年度の予算におきましては、都道府県関係が八千八百十三万二千円、それから市町村の方に対しましては四億六百八十九万円でございます。ただいまの加入の促進という問題につきましては、この農業機械効率利用安全対策費の経費の中で啓蒙普及、加入促進というものもでき得るように考えておるわけでございます。
○田畑分科員 ただいまお話がございましたように、五十五年度におきましては農林水産省では約五億円余りの、これの普及対策を含めました金を市町村もしくは都道府県に対して交付しておる。こういう積極的な御運動を展開されておる。しかし実態は十五年経て十万人を切っておる、こういう状況にあるわけでございますね。これは私は、金を使っている割りには、率直に言って成績が上がってないというふうに思うのでございまするが、この点について、その原因は一体どこにあるのかということについて当局はどのように考えておるかということをお伺いしたいと思います。
○二瓶政府委員 十五年たって加入者は十万人未満である、その原因は那辺にあるかというお尋ねでございます。 まず一つは、農業者の方に、この労災保険の特別加入制度がある、しかもその制度の内容がどうかということが十分知られておらないということが一つあろうかと思います。この点につきましては、五十二年度に調査をいたしました際も、制度を知らなかった、中身がわからなかったと答えた農家が聞き取り調査では六七%もあったということがございます。そういう観点から、先ほど申し上げましたような予算の面におきましても効率利用安全対策の一環でそういう啓蒙普及もできるように考えておるのも、こういう点にあるわけでございます。まだ十分周知しているところまでいかないと思いますが、今後とも普及啓蒙活動あるいは部落座談会等を通じて徹底を図っていきたいというふうに考えているのが一点。 それからもう一点は、やはりこの特別加入制度といいますものにつきましては種々の制約がございます。一つは、指定農業機械作業従事者として特別加入いたします場合にも、これには制作等の農作業というような適用範囲の限定がございまして、養畜なり養蚕というような家畜の飼養管理の面は対象になっておらないという現状がございますし、機械の方につきましても、現在十三機極に限定をされておるというようなことがございます。あるいは加入をする際には、農家単独で加入ができない、加入団体というものをつくって団体でもって入らぬといかぬというようなこともございまして、今後は、こういう適用範囲の拡大なりあるいは機械の追加等もいたしまして内容を充実をする、そういうことによって農家の方にさらに加入をしていただけるようにしたいというように考えております。
○田畑分科員 この件につきましては、私、たしか昨年と思うのでございますが、この予算分科会においても申し上げたわけでございますけれども、結局、十五年たって十万人を切っておるという状況は、これは農民の方に、はだに合わぬと申しますか適合していないという保険制度ではないかというふうに私は思うのでございます。その点は、もう今度はそろそろ考え直さなければならぬ時期に来ているんじゃないか。ことし五億円ならば、去年はそれに近い金でしょう。あるいはまた来年も五億円以上の予算を組んで、なおかつ一年間にわずか一万人程度の加入しか見ないということでは、これは非常に問題があるんじゃないか。したがって、いまおっしゃったように、加入団体の必要性があるあるいはまた適用も一定の限度に限られているということからしまして、これはどうしても入りにくいということになるんですね。こういう問題があるにかかわらず、この件をそのまま放置されておるというところに、農林水産省として非常に大きな問題が残されているんじゃないかと私は思うのでございます。 そこで、いま一つお伺いしたいと思いまするのは、市町村あるいは農協単位に、災害に対する自主的な共済制度というものが最近できつつあるわけでございまして、農林水産省からいただきました資料によりましても、五十三年度から五十四年度にかけまして、そのつくられたものが倍増しておるという結論が出ておるわけでございまするが、適用人員は一体どれくらいになっておるかということを、調査資料がありましたらお伺いしたいと思うのであります。
○二瓶政府委員 一応の推計でございますけれども、全国で八万一千人程度が市町村等の農業者を対象にしたこの共済制度に加入しているものと考えております。
○田畑分科員 私は福井県の出身でございますが、福井県におきましても最近この種の共済制度が発展しておりまして、現在八つの市町村につくられております。その加入戸数は一万六千二百六十四戸でございます。したがって、一軒当たり仮に四人の農業関係者がおるといたしますると、六万四千人私の県だけで加入しておることになる。どうも県の事情を聞きますと、さらに今年度二カ所は確実にふえるし、さらにまた準備中のものが二、三カ所あるというふうに聞いておるのであります。 考えて見ますると、政府の奨励している労災制度は発達せず、そしてそういう自主的な共済はいまや、燎原の火のごとくと言うとちょっと言い過ぎでございまするが、それに近いような形で伸びょうとしておる。この現実を一体当局はどのように見るかということでございますね。そうして、この自主的な農業共済制度というものを調べてみますると、たとえば雷が落ちたという場合には適用になる、マムシにかまれたというときには適用になる、農薬の中毒にかかったときには適用になる、あるいはまたカキの木を修理しておって転落したときには適用になる、馬にけられたり牛に突かれたときには適用になるというふうに、まことに農民にふさわしい適用の範囲を持っておる。もちろんこれは自分で掛けているのですから、金額は死亡した場合には二、三百万円程度でございますけれども、非常にその適用範囲が広いわけですね。いわばお百姓さんの実態に合った共済制度ではないかと私は思うのであります。 こういうものに対して、農林水産省は知らぬ顔して向こうを向いておるというのが現実の姿ですね。これでは私は、政治が住民の希望を先取りしていくという精神には欠けるんじゃないかというふうに思わざるを得ないわけでございますが、その点、これは官房長、いかにお考えでございますか。
○二瓶政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、市町村等によります独自の農業者に対する労災制度が進んでおりまして、五十四年、二十三市町村等に相なっております。 問題は、非常にこれがふえておるわけでございまして、この点は私たちも評価するわけでございますが、ただいま先生からもお話がございましたように、この制度の給付内容でございますけれども、死亡時の補償が二百万から三百万程度という一時金になっております。また予算規模も事業主体として年間五百万程度というようなことでございまして、そういう意味では、地域の互助活動ということでは非常に意味があるし、評価もいたしておるわけでございますが、いわゆる労災保険という角度でながめますと、やはり災害の危険を分担し合うという保険制度としては不安定な要素があることは否めないというふうに考えておるわけでございます。そういうことで、このこと自体は非常に評価をいたしますが、性格的にはそういうものではなかろうかと思います。
○田畑分科員 農林大臣にお伺いいたします。 いま私が申し上げたとおりでございます。なるほど死亡のような重大事故につきましては、それは労災保険の方が年金も出ますし、一時金も高いという点はございましょう。しかし、何世トラクターなどのような限られた十三極の機械でそうした傷害を受けたときにだけ補償するのでございます。 実は農民なんというのは、これは工場労働者とは違いまして一定の敷地の中で仕事をしているわけではないのです。帰りも、自動車事故に遭いましても通勤途上の災害というふうに限定されるわけではないのであります。くわを担いで帰った途中に雷が落ちたという場合もあるわけでございまして、やはり農業の実態に合った救済がなされない限りにおいては、幾ら四億、五億の金を使ったからといって、これは人はふえるはずはないのですよ。そうして、これは私の県でございますが、恐らく全国的にそうだと思うのでございますけれども、大体共済制度でございますと結局十アール当たり五十円の負担金でございまして、したがいまして一町持っていれは五百円ということになるわけでございます。それから家畜一匹に対しまして二十円というような負担金になっておりまして、非常に幅広い性格を持っているところが農民からもなじまれる、あるいは市町村も非常に好意を持って迎える、あるいはまた県も福井県のようにたくさん出てまいりますると、これは再共済の方法を講じなければならぬのじゃないかというような一歩進んだ考え方を持つようになってきておるわけでございます。それは何というか、自分で労災に加入しておりましても別に死亡保険を掛けているようなものでございまして、それは二つ掛けることは私はあかんとは言いませんけれども、やはりそういう農村の実態に応じた共済というか災害補償制度というものをそるそろ農林省は考えないと、日本国じゅう半分以上できて突き上げを食ってから初めて考えるということでは、私は遅きに失するんじゃないかと思うのですね。 この段階において、こういうものを大臣としても率直に検討し見直していただかなければならぬのじゃないか。同時に、これに対するところの一定の助成あるいは再共済制度、そういった問題についても積極的に取り組んでいく時期が来ているんじゃないかというふうに考えるわけでございまするが、大臣の御所見をお伺いいたします。あとはもういいですよ、官房長は。政治的な問題だから、事務的な問題じゃないから大臣から。
○二瓶政府委員 大臣が御答弁されます前に、一言事務的にお答え申し上げます。 市町村による独自の災害補償制度は、現在農協の方でやっておりますいわゆる農協共済、大体それと相当似ております。もちろん農協共済には養老生命共済なり普通傷害共済なり農作業中傷害共済とかいろんなものがございますが、これもやはりそういう面では非常に互助的な色彩の強いそういう共済がございます。養老生命共済は千四百六十一万も加入になっておるということでございます。ただ状況だけでございます。
○田畑分科員 そういう答弁がありました。ちょっと申し上げておきます。 私の方でただいま八つ実行しておりますが、その中で町条例をもって町が行っておるものが二つ、それから農協が行っておるものが五つ、それから農業共済が行っておるものが一つということになっておりまして、やっておる方法は主体はいろいろ違いますが、いまおっしゃったように、単に農協の一つの付属としてやっているんじゃなくて、最近は町自身がこの必要性を認めて取り上げている傾向が出ているということだけ御注意申し上げておきたいと思います。
○武藤国務大臣 先ほど来の議論でございますが、市町村においてやっているんだからそろそろ国でも取り上げてやるべきではないかという御意見でございます。確かに四十五年にも答申が出ておるわけでございまして、いままで検討してまいりましたが、市町村段階でございますから、まだいま話のありましたように互助的な性格で何とかやれるのでございますが、これを国全体でもしやってしまいますと、逆に先ほど来局長から申し上げておりますように非常に作業の把握の仕方がむずかしい、これは先生も御指摘のとおりでございます。 それから、実際に果たして強制加入ができるかというとなかなかむずかしいわけでございまして、では今度任意加入にする。任意加入にするとかえって入ってくる人がどれだけあるかわからないわけで、テスト的に何か一つアンケートでもとって一遍調べてみてから、うまく行くのならこれはやるのは私は大変結構なことだと思うのでございますが、実際問題は大変むずかしい問題じゃなかろうか、こう考えておるわけでございまして、とりあえず、それよりは先ほど来議論のあります農協の共済もあるわけでございますし、また労働省の労災保険もあるわけでございますから、労働省の労災保険に農作業とか農業機械とかいうものにより対象を広げることの方がまず現実的ではなかろうか。そういうこともやりながら、なお答申も出ておるわけでございますから、将来引き続いて検討していくということではなかろうかと思うのでございます。
○田畑分科員 どうも農林大臣の御答弁は私にとりましては余りおもしろくない。 申し上げておきますが、労働者の入るいわゆる労災保険制度、それから農民の方が入る保険制度とは、本来別個のものでなければならぬということを去年も主張したわけです。それは結局単なる十三種だけの機械従事者だけに適用するというのでは農民に魅力はないです。実態に合っていないわけですね。したがって私としては別につくれ、こう言ったわけです。別につくるとなるとなかなか大変なんです。私はあくまでも別につくるということを主張するものではございまするが、しかしまた同時に農民自身が自発的に、耐えられなくてつくり上げている共済制度というものについては、これを政策的に農林水産省内においてある程度の位置づけをして、何らかの指導、何らかの援助あるいは再共済というような問題も将来考えていくべきじゃないか。もちろんこれは任意でございますから入らない者にまで救済をするというわけにはいかぬとは思いますけれども、ある程度温かい目を持ってながめるべきじゃないかというふうに思います。だから、大臣もぜひこれを前向きに御検討いただくようにお願いしたいというふうに思うわけでございます。
○武藤国務大臣 いまも申し上げておりますように、引き続き検討することは検討させていただきますが、しかし農民のことを思えば、とりあえず、いまの労働災害保険の方においても特定加入はなされているわけでございますから、この特定加入をなされている農民がより対象が広がっていくという意味において、農作業の範囲なりあるいは対象の農機具なり、こういったものは適用を広げていくことは私ども努力をしていかなければならないと思って、いま労働省と折衝しておるわけでございますので、現時点においては、それは先生の方からおっしゃれば次善的な策だろうとは思いますけれども、私どもは私どもなりにそういう努力をしておるということだけは御理解をいただきたいと思います。
○田畑分科員 時間がございませんので、米の問題について、米というか農産物の問題についてお伺いしたいと思うのであります。 御案内のように、五十三年度から三十九万ヘクタール、そして五十五年度、本年度から五十三万五千ヘクタールのいわゆる生産調整が米の場合には行われることになります。しかも農協の決定を見ますると、将来八十万ヘクタールの生産調整を行う、また農林省も大体そういう方向に向かって動いておる、こういうことを聞いておるわけでございます。そしてまた、この調整をいたしましたものにつきましては、一定の助成といいますか、そういった奨励金を出すことに相なっておる、これも莫大な金額に上っているわけでございます。 私は、食糧問題というのは、今度のアフガニスタン問題を見ましても、事が起こりますとアメリカは制裁で一番先に何をやるかというと、小麦の輸出禁止という形に出てくるわけでございまして、言うならばわが国の国防にも匹敵すべき重要な問題だと私は考えておるのでございます。そういう点から考えますると、わが国の食糧自給度は総合的に見まして低い、列国の中で最低の線にあるというような状況でございまして、したがって、これを総合的な自給度として高めていきまするためには、単に米の調整をやるというだけではなくて、これはやはり農業政策も地域分担制度というものを設けまして、ある地域においてはやはり米を中心にするが、ある地域においてはいわゆる――もちろんそうなれば生産調整に要する費用というのはなくなるわけでございまするから、その生産調整に要する費用というものを米以外のものをつくっているところに重点的に配給して、価格を十分な形で支持していくといったような、そういう抜本的な政策をこの際考えるべきではないかというふうに考えるわけでございまするが、大臣でも結構でございますし、官房長でもいいですが、この点に対するお答えをいただきたいと思います。
○渡邊(五)政府委員 生産調整に関連いたしましてお話のございました八十万ヘクタールというような数字は、現在農政審議会にお諮りしております六十五年の長期見通しの第一次試案として出ております。いずれにいたしましても、米の需給均衡化のためには転作の拡大が避けられないという方向には変わりないかと思いますが、この六十五年を目標年次といたします長期見通しをナショナルベースでまず確立することが必要であろうというふうに考えております。さらにこれを現実的なものといたしますには、やはりこうした生産に関する諸対策とあわせまして、構造政策、経営対策あるいは技術対策等を伴わなければなりませんが、同時に、地域ごとの立地条件なり個々の農家の労働条件等に即した作目が選定されるような方向が必要だろう、このように考えております。その際には、当然適地適作の趣旨が貫かれるように多様な農業生産が展開されなければならない。ただ、その趣旨につきましては、やはり地域の自主的な取り組みと調整を図って、適地適作の考え方が貫かれるように、地域の生産が定着するように考えていかなくてはならないだろう、このように考えております。
○田畑分科員 在来の生産調整におきましても、一定の限度ではございますが、いわゆる地域の分担方式というものの要素が入っているわけでございますね。私が申し上げているのは、それを一層拡大していってはどうかということを申し上げておるわけでございます。問題は、今後ともこうした地域分担方式というものについてある程度重視をしながらやっていくおつもりがあるかどうかということでございます。この点について、大臣の御所見をお伺いします。
○武藤国務大臣 いま御指摘の点は私どもよく理解ができるわけでございますが、やはり全体的な見通しの中で、いま官房長からも答弁をいたしましたように、いろいろ地域の実情などを踏まえながら、また地域のそれぞれ構造対策あるいは経営対策、技術対策、こういうものを講じていく中でバランスよくとっていかなくてはならないわけでございまして、もちろんその中に適地適産という考え方も入れていくということはいま申し上げたわけでございまして、どの程度までいまの地域分担という考え方を強めていくかどうかという点については、なかなかどの程度までという点がむずかしかろうと思うのでございますが、全く地域分担という考え方を入れていかないということではないわけでございまして、私ども、全体のバランスの中でそれぞれの地域の実情に合ったような形でそれぞれの地域の構造政策などを進めながら、適地適産という考え方も取り入れながらやっていこう、こういうことでございます。
○田畑分科員 まことに残念ですが、これをもって終わります。
○始関主査 これにて田畑政一郎君の質疑は終了いたしました。 次に、山田英介君。
○山田(英)分科員 最初に四点ほど、大臣にお答えをいただきたいと存じます。 政府は、三全総において、食糧の国内供給力の向上を図るために、昭和六十年において五百八十五万ヘクタールの農地が必要とされ、「農地造成を計画的に推進する。」と、こうおっしゃっているわけでございます。これは、昭和五十二年の十一月四日閣議決定をされた内容でございます。それからすでに二年余り経過しているわけでございますが、実際的に農地の造成はどこまで進んでいるのか、またそのためにどのような施策を実施されてきたのか、武藤大臣にお伺いします。
○杉山(克)政府委員 具体的なお話でございますので、私から答弁さしていただきます。 三全総におきましては、食糧自給力の維持、向上を図るということで、昭和六十年において約五百八十五万ヘクタールの農地面積が必要となると見込んだわけでございます。最近の農地の造成、壊廃面積の実績からいたしますとこの達成はきわめてむずかしい状況にございますが、今後長期にわたって考えます場合、農地の確保は食糧自給力向上の基礎的条件でございますので、積極的に今後とも農地の開発を図り、また壊廃の防止に努めてまいりたいと考えております。 そこで、どういうことをやってきたかということでございますが、農地の確保、造成は、まず需要に即応した農産物の生産を増強するということ、それから経営規模拡大の担い手の育成に資するということ、国土資源の高度利用に資するということ、それから農業を基盤とする地域開発の促進等を図るために必要であるというような観点から、国営農地開発事業、さらに農用地開発公団事業、そういった各種事業を通じまして拡充、推進に努めてまいっております。また、国有林野等の積極的な活用、農林地の一体的な開発整備といったことで関係農家の要望にもこたえながら、開発を積極的に進める。また一方、農地法、農振法の適切な運用で農地の壊廃の防止、それから農地の有効利用の促進に努めて、一所要の農地面積の確保にむずかしいながら今後とも努力してまいりたいと考えています。
○山田(英)分科員 さらに、「農業の地域別発展方向」として、関東の位置づけでございますけれども、「市場条件の相対的有利性を生かして、大消費地への」すなわち東京のことでございましょうが、「生鮮食料品を中心とした食糧供給基地としての整備を進める。」こうしております。 私の地元は埼玉でございますけれども、その現状を見ますと、専業農家は減る一方なんです。経営土地も、昭和五十年度統計を見ると、四十年には総数で十三万六千五ヘクタールもありました農地が、現在は何と十万八千七百十七ヘクタールというように、二〇・〇六%もの大幅な減少を見ているわけでございます。 農地の壊廃が進み、農用地が減少しているこの実態を、一体どう見ていらっしゃるのか。それでまた、昭和六十年に五百八十五万ヘクタールの農地確保という目標、その目標そのものを修正せざるを得ないんじゃないか、こう思うわけでございますが、いかがでしょうか。
○杉山(克)政府委員 確かに都市周辺においては農地の壊廃も進んでおります。こういう現在の農産物需給の動向等からして今後の農地需給がどうなるかということにつきましては、現在農政審議会に審議をお願いいたしまして、将来における農産物の需要と生産の長期見通しを新たに策定することといたしておるわけでございます。それとの関連におきまして私ども農地面積の見通しについては今後検討してまいりたいというように考えております。
○山田(英)分科員 せっかくでございますのでこれは武藤大臣にお尋ねをしたいのでありますが、最近国土庁におきまして、東京、大阪、名古屋、この三大都市圏の市街化区域内にあります農地の宅地化を進めるために農住組合法案を用意しているというように伺っているわけでございます。この農住組合法案というのは農地を宅地にした場合にそこにさまざまな恩典を与えよう、こういう内容が入っているわけでございますけれども、農林水産省として食糧自給率の向上のための農地の造成、拡大ということを掲げていらっしゃるわけです。ところが、このように既耕地の流動化ということも一方で起こりつつあるというか、そういう事態が予想される。 これは大臣、この国土庁の農住組合法案、土地政策に対してどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、また農政の最高責任者としてどう対応なされようとしておるのか、お伺いします。
○武藤国務大臣 国土庁の方でそういういろいろ意見があって法案の取りまとめにかかっているという話は聞いておりますが、正式にまだ農林水産省に対して合議も来ておりません。私からとやかく申し上げるべきではございませんが、もしなんでございましたら、事務的に向こうから折衝はあるかもしれません。そういう点においては、もし事務当局で知っておればそれはお答えをするということで、私はまだ正式にそれについては聞いておりませんので、参りましてから検討させていただきたい、こう考えております。
○山田(英)分科員 現行の農地制度につきまして農地の有効利用等の観点から見まして、むしろ上からの画一的、形式的統制という性格が強いわけでございまして、農村における新しい構造変化ということに十分対応できるものになっていない。最近農地法の見直しの動きがあるわけでございますけれども、その検討に際しては、要望も含めまして、あくまでも農業の特性を生かして、個々の生産農家の立場に立って、そうして検討が図られるべきだと私は思うわけでございます。 その点、現在の農地法改正の動きに対する武藤大臣の御所見をお尋ねいたします。
○武藤国務大臣 私ども、わが国の農業の現状を見ておりますと、どうしても、土地利用型の農業がなかなか生産性が低いわけでございます。なぜ生産性が低いかというと、どうしても経営規模の拡大がなかなかうまくいっていないところに原因があるということを私ども判断をいたしまして、ぜひ今後の日本の農業の発展のためには土地利用型の生産性を高めていかなければいけない、それにはその経営規模の拡大を図っていかなければならない、そうすると、いま農振法で農地利用増進事業というものをやっておりますが、これをより広めていく必要があるのではなかろうか。 たとえば、ある地域が限定されておりますけれども、もっと地域を拡大するとか、あるいは農地法における小作権の問題であるとか、こういう問題についてひとつこの際思い切って経営規模の拡大を図るために役立つような仕組みに変えていく必要があろう、こういうことで、いまいろいろと農用地利用増進法案という仮称の法律案の検討と、農地法の改正をあわせて検討いたしておるわけでございます。
○山田(英)分科員 大臣、もう一点だけ。過剰米対流の問題でございますけれども、五十三年度から政府は水田利用再編対策に基づきまして農民の反対を押し切って転作の奨励を強行をしてきたわけでございます。農民はそれでもお役所の言うことだからということで懸命に努力をしてきた。しかも三年間固定すると言われながら、その約束もほごにされた。にもかかわらず、まだ八〇年代にはさらに八十万ヘクタールもの稲作転換が必至と言われる情勢でございます。大変なことです。 生産者の皆さんは、米の消費拡大、それから生産調整に全力を挙げて取り組んできた、実施に努めてきた、なおかつそのし実効が上がらないということで、さらに再編が強化されるということになりますと、農業経営者、生産者としては農業そのものの未来に物すごい強い不安を抱いているわけでございます。水田再編の二期目に入る五十六年以降の見通しについて、大臣からお伺いしておきたいと思います。
○武藤国務大臣 五十六年度以降はまだ私ども見通しをはっきりつけてはいないわけでございます。ただ、先ほどから議論されておりますように、まあ将来六十五年、いまから十年先には八十万という数字が出ているわけでございますけれども、八十万までいくかどうかも、これは農政審議会で議論していただいているわけでございまして、まだ最終的に決まったわけではございません。いずれにしても、しかし方向としては今後とも水田利用再編対策で米の生産調整をやっていただかなければならない面積はふえるであろうということは私ども考えておるわけでございます。いまそれは農民の気持ちに反してということがございましたけれども、やはり農民の方も国民の要望される農産物をつくっていただかなければならぬわけでございまして、全く国民の望まないものをつくっていただいてもこれはいけないわけでございます。現実にいま六百五十万トンの米の在庫があるというのは事実でございまして、やはりそれは米の消費拡大を私ども一生懸命やってきてはおりますけれども、どうしてもそういう在庫ができたということにおいて、今後とも米の消費はいま以上に、いま大体一人当たり八十一キロくらい食べておりますけれども、これがたとえば昔のように百キロ以上にもいくというならば私は米の生産をどんどんやっていただきたいということをお願いができますけれども、現実にはある程度それよりまだ減るのではなかろうかというのが、これは食生活の変化によってきているわけでございまして、やむを得ないことではなかろうか。もちろんわれわれ米の消費がより拡大、何とかうまく伸びていくように努力をしてまいりますけれども、どうしてもそれは限度があるのではなかろうかということで、余ってしまう米のことを考えれば、いま足りない小麦なり大豆なり、こういうものをつくっていただければ、これは国民も要望しておる、国民が食べるものであるから、そういうものをせいぜいつくっていただきたいというのが水田利用再編対策の考え方でございますので、その辺をせひ御理解をいただきたいのであります。 また、米の消費拡大については私どもも努力いたしますが、正直農村地帯の米の消費も減退をしてきているという事実もあるわけでございまして、これは農民自身ももっと米の消費拡大に意を用いていただかなければならない。たとえば私のよく言うのは、農協あたりでなぜ即席ラーメンを売るのか、米の消費拡大カニ生懸命やろうという農協でなぜそういうものを売らなければいけないのかということを指摘しておるわけでございますけれども、そういう点はわれわれも努力をしなければなりませんが、やはり農民の方というか農業団体もひとつ御努力願いたいということで、いろいろいまお願いをしておるわけでございます。
○山田(英)分科員 私の地元の埼玉のことになりますけれども、水田再編に伴って埼玉県では五十四年の麦の作付が一万二千六百ヘクタールに達してございます。このうち田麦と称されるものが一万三百ヘクタール、冬のたんぼ全体の一六・七%に当たります。昭和四十九年が八・六%の麦作率でございましたから、埼玉はこれは大変な協力をしているというふうに言っていいかと思います。さらに、埼玉県では五十五年度の作付目標面積を五十四年度の二八%増で一万六千ヘクタールといたしまして、小麦を重点品種とするとしております。しかし、こうした転作麦に対して製粉とか製表関係業界からは非常に厳しい目で見られているという実情がございます。 それはどういうことかと言いますと、工場が港湾周辺に集結をいたしまして外麦に頼ってきているということ、そのため、運賃とか手間などで総体的に国内麦はコストがかかるという理由です。さらに検査体制において、食糧事務所が麦の外見で判断をするのに対して、業界の方では製粉の歩どまり、すなわち粉の状態を見て国内炭の麦が外麦より劣るなどと、業界の人気はもう一つ上がらないという状況がございます。したがいまして、鞍作をやって、そうして麦作にするのだといっても、農民は大変な苦労を強いられるというのが実情でございます。国としても、奨励金云々などで転作奨励するだけではなくて、品質の改善に対しても積極的に努力をすることが当然なされなければならないと私は思うわけでございます。 この転作環境づくりに農水省としてはどうこたえていくお考えなのか、伺っておきたい。 あわせて、ビール麦は外国から買った力が四分の一の値段で買えるという問題。飼料用麦は価格差を補てんする財源がない。麦作の見通しについても農民には非常に不安が強いということでございます。この農民の強い不安に対してどう対応なされていくのか。この二点をお伺いしたいと思います。
○二瓶政府委員 ただいまお話しございましたように、麦の作付面積が五十三年度以降特に大畑に伸びております。ナショナルベースでいけば五十三年は五十二年より三割方伸びる、五十四年はまたその三割伸び、五十五年は、いま県の力からの報告を聞いておりますが、大体二割さらに伸びる、こういうような作付面積の状況になっております。 そこで、麦といいましてもいろいろ種類がございます。まず、お話がございました小麦でございますが、日本の小麦は日本めん用に非常に向く麦でございます。したがいまして、うどん等の需要は現在時点におきましても八十万トン程度ございます。小麦は、五十四年の生産量はまだ五十四万トン程度でございまして、今後ともまだ需要がございますので伸ばしていきたい、こう思っておるわけでございます。 それから、品質なり輸送コストの問題は確かにございます。生産がふえるに従いまして製粉メーカー等からはこれに対するクレームといいますかいろいろな要請が出ておりますので、品質改善につきましては生産指導等の面におきまして十分やっていかなければならぬと思っております。 また、麦の主産地というのはどうしても北海道なり北九州という遠隔地になりますので、その輸送につきましてもロットを大きくするとかというようなことで輸送コストの低減という物流問題は今後とも力を入れていかなければならない課題であると考えております。 それから第二点のビール麦でございますが、ヒール麦につきましては契約生産、契約栽培を現在ビール会社と経済連等でやっております。その範囲におきまして生産をしておるわけでございます。たとえば五十五年産のビール麦につきましては十七万トンと決めておりまして、これで生産をすることにいたしております。したがいまして、ビール麦につきましては今後とも需要は非常に多いわけです、ただ、先生おっしゃるように外国産モルトとの価格差の問題がございますが、自給率がまだ非常に低いわけでございます。内妻の使用比率はまだ二割くらいのものでございますから、そこはビール会社と経済連との話し合いによりましてさらにその線に沿った計画的な生産を今後とも指導していきたい。なお、その際も品質の問題等は十分気をつけていきたいと思っております。 それからもう一つはえさ麦でございます。このえさ麦につきましても、現在は、えさ用ということでは非常に安いわけでございます。一般的な食用麦ということで考えますとトン十四万くらいする、それが四万幾らという話でございますから、国内産の麦をえさ川に向けるにつきましてはそこの価格差を補てんしなければならないということで、円の財政の面でも負担をいたしておりますし、あるいはえさの実需者団体の方でも補てんをしているということで、三万トン程度がいま流れておるわけでございます。今後財政の問題あるいはそういう実需者団体の負担の問題もございますので、急激にふやすわけにはまいらぬかと思いますけれども、それらの面での拡大の努力をしていきたいと思っておるわけであります。
○山田(英)分科員 ひとつ麦作に対する農民の不安を取り除いてくださるよう今後とも真剣に取り組み対応していただきたいことを要望しておきます。 角度が変わりますけれども、最近、転作強化ということで逆に財政負担が大きくなりまして、転作奨励金そのものの見直しがささやかれている、こう伺っております。再び失政のつけが生産農家にしわ寄せをされようとしているわけです。そうなりますと農民の協力もますます困難になってまいりますし、水田再編対策そのものの効力が危ぶまれるのではないか、こう心配するわけでございます。この点は一体どうなのか。 それから五十六年の二期目以降も転作奨励金制度そのものを継続していかれるのかどうか、その辺もあわせてお伺いしておきたいと思います。
○二瓶政府委員 水田利用再編対策は五十三年度からスタートしたわけでございますが、五十三年度から五十五年度までが第一期ということでございます。転作奨励補助金は期ことに決めるということでございまして、第一期におきましては特定作物が十アール当たり五万五千円、一般作物が四万円ということで一応基本額が決まっておるわけでございます。そういうことで現在五十五年度の水田利用再編対策を進めておるところでございますが、五十六年度から第二期に入るわけでございます。そういたしますと、期ごとに奨励金を決めるということでございますので具体的にどうするかという問題が当然出てまいります。奨励金はなくなるということではございませんで、これは期ごとに定めるという閣議了解もございますので、奨励金は当然継続する。ただ、第二期では具体的にどうするかということが課題になるということでございます。 そこで、第二期の奨励補助金の水準でございますけれども、これにつきましては農業生産の再編成の円滑な推進、これは現在の水田利用再編対策が単なる米減らしでない、総合的な自給力を高めるということで、麦、大豆等への転作を進めておるわけでございますから、そういう農業生産再編成の円滑な推進と転作作物の定着化を妨げない水準に設定する必要があると考えております。 具体的には、第二期対策の全体の仕組みはまだ詰めておりません。いずれ全体の仕組みも固めなければいけませんが、その仕組みとの関連あるいは今後の米と転作作物との相対収益性の推移を見きわめながら検討する必要があろう、かように考えております。したがいまして、現時点におきましては具体的にどのような水準ということは申し上げかねる段階でございます。
○山田(英)分科員 ところで、アメリカの対ソ穀物禁輸政策に対応いたしまして、米国産余剰穀物の引き取り問題につきまして、日本経済新聞の二月十九日付によりますと、商社と政府で百万トンの引き取りの意向だということでございますけれども、これはアメリカから要請があったのでございましょうか。これが第一点。 それから、今月予定のソ連とのサケ・マス交渉への影響があわせて懸念をされるわけでございますが、この点についても承ります。
○松浦(昭)政府委員 ただいまお尋ねの米国の対ソ禁輸に伴います、アメリカから小麦、トウモロコシ等を輸入する問題につきましては、アメリカからは正式の要請はございません。ただいま先生がおっしゃいました百万トンのことでございますけれども、実は農林水産省といたしましては、ただいま米が大量の過剰で悩んでいるという状態でございますし、またわが国の国内の小麦あるいはトウモロコシ等の需給事情も考えなければなりません。またさらにそれの収容能力という点も考えなければならぬということで、さような点をいろいろと検討いたしまして、現在われわれがやれることは小麦を前倒しで十万トンぐらい輸入できるかということと、配合飼料供給安定機構によるトウモロコシは従来まで四十万トンの備蓄をやってまいったわけでございますが、さらに積み増しの五十万トンを早目にやっていくといったような程度が現実にできる問題かなと考えておるところでございます。 ただ、他省の所管ではございますが、援助に回すということは非常に有効でございますので、KR援助等の目経費を使いながら第三国にこれを持っていくということは有効ではないかと考えておるわけでございます。 ただいまお尋ねのございました百万トンの話でございますが、実はトウモロコシにつきまして民間のベースで果たしてそういうことが可能かどうかということを検討してみようということで大臣お考えになりまして、商社のエキスパート等も呼びまして話を聞いたということでございますけれども、その話によりましても、やはり商社の方はすでに相当量先買いをしておりますし、また現実にアメリカ国内の備蓄ということを考えませんと百万トンというのはとてもできないわけでございます。そのストレージの能力等も検討いたしたわけでございますが、商社のエキスパートの言によりましてもこれはなかなかむずかしいということでございまして、さような民間ベースでの輸入はなかなか困難ではないかという判断に立っております。
○今村政府委員 今春サケ・マスにつきましてソビエトとの交渉が予定されておるわけでございますが、サケ・マスにつきましては、従来からソ連はいま日本がやっておるような沖どりはいけないのだと言って否定的な態度をとっている、これが従来の態度でございます。同時に、昨年日ソ、ソ日交渉をやりましたときにも、ことしはマスの不漁年に当たるということで、サケ・マス資源が非常に悪いということを強調をいたしておりましたか、そういう点から見まして、ことしのサケ・マス交渉はきわめて厳しい状況にあるのではないかと思っております。 しかし、わが国といたしましては、サケ・マス漁業というのはわが国の伝統的な漁業でございまして、その維持継続が図られるように、わが国のサケ・マス漁業の実態でありますとかサケ・マスの資源状況に関しますわが国の見解等ソ連に十分説明しつつ、粘り強い交渉を行っていきたいと考えております。
○山田(英)分科員 時間が参りましたので、私はあと農業後継者の育成、それから中核農家の育成策等につきまして本日お伺いをしたかったのでございますが、別の機会に質疑をさせていただきたいと思います。 質疑を終わります。ありがとうございました。
○始関主査 これにて山岡英介君の質疑は終了いたしました。 次に、小沢貞孝君。
○小沢(貞)分科員 通産省の生活産業局の方、お見えいただいておりますか。――ちょっと委員長、お許しをいただきたいのですが、私の質問が、委員長もこういう名前を知っているかどうかわかりませんが、繭のきびそ、びす、そこが通産省と農林省の境なんだそうです。私は、また行政問題でもちょっと問題があろうかと思うのですが、繭のきびそ、びすから以降のことなので、これは通産省所管なんだそうで、私は生糸、繭だということで農林省所管だと思っていたのですが、最初に通産省にだけお尋ねしますので、ひとつ御了解を得たいと思います。 私、昨年ある会議をやっておったら、私の方の県下の、長野県ですが、工場の代表や組合の代表が絹紡糸の問題で大変重要な段階で、比較的零細企業でありますが、経営が成り立たなくなっていくようなことなので、ぜひ御援助いただきたい、こういうようなことから関心を持ってきょうお尋ねをするわけですが、目的は絹紡糸関係産業の安定的な発展のために適切な施策、特に消費拡大、国内消費の拡大、あるいは中国からの原料が入ってくるようでありますが、輸入規制等が適切に行われるようなことを要望するわけであります。 そこで、まず私がお尋ねをしたいのは、絹紡糸の需給状況、ここ数年にわたってどんな生産、輸入、需要であるか、その点からちょっとお話をいただきたいと思います。
○鎌田説明員 お答え申し上げます。 絹紡糸の需給でございますが、まず絹紡糸の生産でございます。 これは近年、年間約二千五百トン程度で推移いたしてまいっておりました。ただ、昨年は若干減少いたしまして、年間約二千三百トンの生産が行われている、こういう状況でございます。 輸入につきましては、昭和五十年、約千九百七十トンと大変な急増を見たわけでございますが、その後業界側と輸出国側との話し合いの成果等もございまして、五十一年、五十二年とほぼ千トン程度に減少して推移いたしたわけでございます。しかし、その後さらに五十三年になりますと約千六百トン、昨年が約千五百トンと、再び輸入が増勢に転じてきている、こういうことでございます。 他方、輸出でございますが、業界といたしましては輸出につきましては大変な努力をいたしてまいっておりまして、従来はほとんど輸出実績がなかったわけでございますが、最近は五百トンあるいは四百トン、こういった程度の輸出が行われるようになっております。 最後に価格の状況でございますが、昭和四十八年から四十九年にかけまして一時的に非常に価格の高騰を見たわけでございますが、その後、これは絹紡糸に限らぬわけでございますけれども、全般的な市況悪化ということで大変な暴落を見たわけでございます。その後は一進一退で推移しておったわけでございますが、五十三年の後半から昨五十四年の前半にかけましてかなり価格の上昇を見たわけでございます。ところが、その後また反落に転じまして、ごく最近までやや弱含みで推移しておりました。しかしながら、ごく最近に至りましてまた若干値が戻っておる、こういう状況でございます。
○小沢(貞)分科員 国内生産のものはキロどのくらいでできて、輸入のものはキロどのくらいで入っておるのでしょうか。大体のところでいいです。
○鎌田説明員 まず、国産のものでございますが、実は原料でございます、いま先生からお話のございましたきびそ、びすの価格変動が非常に大きいわけでございます。そういった意味でなかなか一概に申し上げにくいわけでございますが、大体生産者ベースで五千円前後というあたりが実態ではないかと思うわけでございます。他方、輸入ものでございますが、これは中国の生産コストにつきましてはなかなか把握できないのでございますけれども、中国サイドは日本の市況を見まして市況よりもやや低い値段で売り込んできている、これが実態でございます。
○小沢(貞)分科員 お話を聞けば、要はこの対策としては、急激に多量に中国からの原料が――原料か製品か、製品が入ってこないことがこの対策の最高のことのようであります。 そこで、先ほどもちょっと中国との交渉の発言があったわけですが、通産省としてはどういうような手を打たれておられるか、その辺をお聞きしたいと思います。
○鎌田説明員 絹紡糸につきましては、昨年業界から輸入規制の要望があったわけでございます。しかしながら、現在、先生いまお話ございましたように、中国からの輸入が約九割を占めておるわけでございますが、その中国との間におきまして昭和五十一年以来民間ベースで話し合いが行われてきているという経緯が一つあるわけでございます。また、これは一般的な話になるわけでございますが、直接の輸入規制というのはできるだけ避けた方がよろしい、こういったこともございまして、実は私どもがあっせんをいたしまして民間べースで再度話し合っていただく、こういうことにいたしたわけでございます。その結果、この二月の上旬でございますが、業界の代表団が中国へ参りまして、中国側と民間ベースで話し合いを行ったわけでございます。その際中国側は、来年度の対日輸出につきまして野蚕絹紡糸を除きまして約七百五十トン前後に抑えるという意向を表明したわけでございます。こういったこともございまして、業界の代表団も一応今回は今後の推移を見守るということで帰国しておる次第でございます。 私どもといたしましては、中国からの輸出が七百五十トン前後に推移するということでございますれば、マーケットの状況に急激な変化があれば別でございますが、そうでなければ全体として大きな問題は生じないのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。しかしながら、そういった経緯でございますので、今後中国からの輸入動向につきまして十分見守っていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
○小沢(貞)分科員 かつては輸入が千九行七十トンだ、千二百トンだ、五十四年が約手五百トンであります。いまのお話のように、業界をあっせんして北京で話し合いをして七百五十トン、約半量、多いときから見ると三分の一に抑えていく見通しがついた、こういうことになれば一応の安定はできるのではなかろうか、こう思います。 したがって、通産省としてもこれからの輸入の量については厳重な監視をしながら、できるならば私は一定量の規制をしていただくのが一番いいと思いますが、民間同士で話し合ってうまくいきさえすればそれでいいわけですから、ひとつその辺の輸入の状況の監視と、今後の輸入量の枠を抑えていく、こういう方向で御指導いただくようなぐあいにお願いをしたいと思います。 そこで、ちょっと冒頭申し上げたのですが、蚕糸のことをやっておると、どこかここからここまでが農林省、ここからここまでが通産省、こういうことで、いまもこの絹紡糸については、きびそ、びす、これは聞いたことのない人が大部分だと思いますが、そこが通産省と農林省の境なんだそうです。だからこれは農林省、できたら私は蚕糸業の行政については農林省に一元化するように、これは昔から言われていることなんだけれども、そういうことはできぬものだろうか。きょうは別に行管を呼んではありませんけれども、私ちょっとそう感ずるわけです。農林省どうでしょう。
○二瓶政府委員 蚕糸業といいますか、蚕糸の関係は農林省なんでございますが、蚕糸綿業といいますか、その分野まで一元化できぬかという御趣旨ではなかろうか、こう思うわけです。もちろん、これは生糸というよりも中間製品でございますので、その後これが染められたりして織物になるわけでございます。そして最終的に消費される。中間製品でその途中の生糸のところで切られているわけでございますけれども、ただこれを一元化するということになりますと、やはり織物という問題については生糸での織物もあるでございましょうが、そのほかの毛織物なりいろいろなそういう問題があるわけでございまして、そういう紡績業といいますか、そういういろいろな角度のものはむしろ通産省がやっておられるわけでございますから、その蚕糸だということにおいて一元化するのは一つの見方もあろうと思いますが、逆に紡績なり織物なりというそういう角度からすると、何かそこだけ抜けるというのはまたどうかなという問題もあろうかと思うし、その辺はただ蚕糸ということで蚕糸・絹業一元というのは簡単にはどうかなという感じが実はいたしておるわけでございます。
○小沢(貞)分科員 ここで論議しても仕方ありませんから、いま一つ、通産省にお願いしておきたいことは、何かことしの四月一日から特恵関税の対象にこれが仲間入りをする、したがって関税が一五%から七・五%に半減する、こういうことでまた輸入価格が四、五百円安くなるというようなこともあって、業界はまた大変神経を病んでいるわけであります。そういう状況になっても国内の市場が大変混乱したりいろいろしないように、これは要望だけですから、以上要望申し上げて、生活局の方、結構でございます。どうもありがとうございました。 次は、林野庁にお尋ねをいたします。 林野庁では、昭和五十三年の法律八十八号に基づいて、今後十年計画で国有林野事業の改善に関する計画、これを五十三、五十四、五十五、こういうように実施してきておるようであります。昨年以降その状況、これからどういうような方向で進もうとしているのか、概括的に最初そういう説明からお願いをしたいと思います。
○須藤政府委員 いまお話の国有林野事業改善特別措置法に基づきまして、昨年九月国有林野事業の改善に関する計画を策定いたしましたが、いままで実施いたしておりますことをお話し申し上げますと、一つは統廃合等によります組織の簡素化でございます。一つは北海道五営林局を北海道営林局及び四営林支局への再編整備というのを行っていますが、これは五十四年一月一日に実施をいたしております。それから北海道を除きます地域におきます九つの営林署の統廃合、これは五十四年の三月一日に実施をいたしております。それから事業所の統廃合につきましては、五十三年度三十六の事業所の統廃合を実施いたしております。それから五つの営林署の事業課の廃止、これは五十四年の十月一日に実施をいたしております。 それからいわゆる要員の縮減の問題でございますが、高齢者の退職促進等によります要員の縮減を、五十三年度は定員内千三百四十二人、定員外千五百九十六人、合計二千九百三十八人の縮減を行っております。そのほか、労働生産性の向上の努力も当然でございまして、年々生産性の向上が図られておるのでございます。 今後ともこの改善計画にのっとりまして、造林、林道等の生産基盤の整備なりあるいは事業経営の能率化なり経営管理の適正化、特に要員規模の適正化及び組織機構の簡単化あるいは収入の確保等の各般にわたりまして、国有林野事業の経営の改善を進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○小沢(貞)分科員 私の選挙区にも実は、そういう営林署の統廃合があって、大変地元とのトラブルを起こしております。これは五十四年度以降も署の統廃合を続けていくみたいに書いてあるわけですね。だから、あとどういうふうに続けていくかは知りませんけれども、これは地元にも非常に影響は大きいわけですから、あらかじめ地元と十分話し合いの上、国有林野本来の目的が阻害されないように、十分地元と話し合いをしていただくようなぐあいにお願いをしたいと思うわけであります。 私はまあ森林のど真ん中にいるわけですが、国有林の果たしている公益的機能、これは大変重要だということを日ごろ痛感をしているわけです。国有林野特別会計が赤字を起こさぬことにしたことはありませんが、これはこの計画の中にあるようなことを十分具体的に実施できるようにしつつも、公益的機能を果たすためには一般会計からの財政援助がなければならぬと日ごろ痛感をしているわけです。 そこで、林野庁長官、農林大臣にその点についての今後の御方針、御決意をお尋ねしたいわけです。
○須藤政府委員 営林署の統廃合につきましては、五十二年の暮れの閣議におきまして、一割の営林署を統廃合することが決定を見ておるわけでございます。私どもといたしましては、今後この改善計画期間内に、残りました二十六の営林署についての統廃合を実施しなければならぬということになっておるわけでございますが、先生いま御指摘のとおり、地元住民の意見を十分聞きながらトラブルの起きないようにスムーズに実施していきたい、かように考えておるわけです。 また、いま一般会計からの繰り入れについてのお話がございましたが、昭和五十五年度におきます国有林野事業勘定への一般会計の繰り入れにつきましては、民有林に対する国庫補助制度との均衡を考慮しまして、農林林道の基幹的投資経費を繰り入れの対象といたしまして、総額八十四億二千七百万円と拡大を図っておるところでございます。 また、特に公益性の高い治山事業につきましては、昭和五十三年度から民有林治山事業の実質国庫補助率の水準まで一般会計負担の割合を引き上げたところでございます。今後ともこの改善計画に基づきまして自主的努力を重ねるとともに、一般会計からの繰り入れにつきましても民有林におきます助成措置を勘案しつつ、その拡充に努めていくことにいたしておるところでございます。
○小沢(貞)分科員 いまの計画の中で、特に強調している能率の問題、そのことが何カ所にも言われておるわけです。局を統廃合したり何かすることも、機械的にやったって人件費もちっとも減らなければ何にもなければ余り意味がないことだと私は思うが、この中にうたわれている直用でやるのと下請に出すのとそのあたりの効率的な運営ということが、質的に生産性を上げていくことが、一番行政費の節約、機構改革、行政改革の本質に合うものだと私は思うのです。その辺をひとつお聞かせいただいて、いま一つは、ここにもありますが、もう二、三年前からリモコンチェーンソー、無振動機械の開発導入、これを使うところの局あるいは営林署があるのですよ。ところが、使わせないと言ってがんばっていたら、それを使わないでいるところがあるというのですが、そんなばかなことが行われているのですか。長官がわからなければだれでもいいのですが、そんなものは使わないと言って組合からはねつけられれば全然使わないでいるような局、営林署があると附いているが、そんな、ばかなことが行われているのですか。
○須藤政府委員 生産性の向上の問題でございますが、先生のおっしゃるとおりでございまして、特に直別事業におきます生産性の向上を年々図っておるわけでございます。数字で申し上げますと、五十一年を一〇〇といたしますと五十四年度は一一三ということで、年々改善が図られておるわけでございますが、なお今後とも幾ら努力しても生産性の向上が望めないというような事業所につきましては、積極的に廃止をしていく、請負事業体に変えていくということもあり得るということで進めておるわけでございます。 さらに、いまお話のございました無振動機械の導入につきましては、ある一部の局におきまして現在交渉がまとまらずに交渉中という局もあるわけでございます。これも早くまとめまして、一日も早く導入していきたい、今後とも努力したいと思っています。
○小沢(貞)分科員 交渉というのは組合との交渉でしょう。白ろう病で振動する機械じゃいかぬと言ってせっかく開発して、無振動で病気にならないような機械を開発したらいやだというわけですか、困るというのですか。
○須藤政府委員 労働組合も本質的に入れることに反対ではないわけでございますが、ちょっとした労働条件について交渉がまとまらないというようなことで、現在入ってないという個所もあるわけでございます。
○小沢(貞)分科員 それじゃこれは何年ごろから導入したのですか。いままで何年たつのですか。
○須藤政府委員 リモコンチェーンソーは、昨年の夏ごろから導入を始めておるわけであります。
○小沢(貞)分科員 私、こんなことを言うのは、国鉄の保線区で金をかけてすばらしい保線機械を入れて能率を上げようとしたら、いつまでたったって使わないで、シートをかぶせて何年でも駅に置いてあるわけです。こういうことをやっていたら国鉄はあのとおり赤字になっちゃうわけだ。いま組合との交渉がまとまらなくて、せっかく病気にかからぬ無振動機械を入れたら組合の方でノーと言うのか何なのか、ちっとも入らぬというその労使関係を私は不思議に思うから、ひとつ労使関係を正常な形にしてそして能率を上げて国民の負託にこたえる、このあたりが根本ではないか。ここの計画にいろいろ書かれておりますが、根本はそういうところにあるのではないか、こういうように考えますので、せっかく御努力をいただくようにお願いをしたいと思います。 この間三月三日の読売新聞を見たら「地方ブロック機関三十を整理」云々という見出しで、その中に、農水省で名古屋営林局を長野営林局に合併、これは名古屋を長野に持ってくる、こういうようにわれわれ理解できるのだが、こういうことは行管から農林省へ正式に話があったわけですか。この新聞だけにしか出ておらないのですが……。
○須藤政府委員 現在までそういう具体的な話は一切ございません。したがいまして、この新聞、どこから出たのか、よくわからないわけです。
○小沢(貞)分科員 大臣、そうですか。
○武藤国務大臣 私ども正式に何も聞いておりません。
○小沢(貞)分科員 世の中は平家が水鳥に驚いたように大変な騒ぎをするものだと私は思うのですが、この読売新聞に出たのが三月三日、二月二十八日の信濃毎日新出においては、長野県会で「長野営林局、存続を 県会、全会一致で意見書 近く行管庁などに陳情」 これはすでに来たようです。 〔主査退席、片岡主査代理着席〕 それから三月一日、「知事、省庁に陳情」、農林大臣にも陳情したみたいに書いてありますからお見えになったかどうかと思いますけれども、これは平家が水鳥に驚いて騒ぎ立てている図でありますか。いまの御答弁から言えばそういうことだとわれわれは考えるわけですが、どうでしょう。
○須藤政府委員 ただいま読売新聞の例を引かれたわけでございますが、その前にも具体的に局の名前が挙がっての報道がなされたことがございます。そういう報道を聞いて、地元が大変大騒ぎをして陳情に来ているということでございます。
○小沢(貞)分科員 この「国有林野事業の改善に関する計画」、こういうものは、ある程度局を北海道は縮めました、署を統合いたします、それから生産性をこういうように上げていきますという十カ年計画なのです。こういうものはあらかじめ行管なり何なりと打ち合わせも済んで、行管と合意の上で林野庁、農林省はこういうものでやっていきます、こういうことになっておるわけなんですね。そこへこういうものがまた朝令暮改式に次々に出てくると、住民の不満を起こしたり、あるいは一般職員の士気にも影響する、これは大変な問題だと思うのです。行管あたりがおもしろ半分に、ブロック局をやめろと言うからちょっと名古屋と長野をやってみるかみたいなことを言われて発表されると、迷惑は大変だと思うのです。だから、農林大臣は積極的にこういうものをちゃんと行管と打ち合わせて、十カ年計画でやっていくのだ、いまは一意専心この一、二年前に計画したことを遂行していくことが農林省、林野庁の使命だからつまらぬことをやらぬでくれ、こう言える立場じゃないかと思うのです。どうでしょう。
○武藤国務大臣 御指摘のとおりでございまして、私どもは、一昨年できました国有林野事業改善特別措置法、これに基づいていま計画がどんどん進められておる、これが行政改革だと考えておるわけでございます。その行政改革をやっておるのに、また逆にかえって変な動きが出まして、それによってそれが阻害されるようなことは何のためのことか、私はよくわからないわけでございまして、先ほど申し上げましたように、私の方へ何ら正式の意思表示がございませんので、私からとやかく言うべき段階ではございませんけれども、もし何かそれに似たようなことで相談があれば、私はそういう考え方で対処してまいりたいと思っております。
○小沢(貞)分科員 時間が参りましたが、私これから大蔵委員会へ行きます。農林大臣も向こうへ行かれるか、行かれればなおいいわけですが、通告をしてありませんが、臨時国会以来主張し続けてきた、例のどうしても全部お米でお酒をつくってもらいたいという問題で、向こうへ行ってやります。大蔵大臣もちょうど酒量さんで大変どうもあれなのですが、私ちょっと一言だけ大臣に要望をしておきたいと思うのです。 それは、細かい数字を挙げて大変恐縮ですが、ことし農林省及び文部省がお米の消費のために使おうという金が二百二十八億あるのです。それで幾ら消化できるかと計算してみたら、お米が五十三年の実績で学校給食三万五千トンきりです。五十四年が恐らく四、五万トンじゃないでしょうかね。五十五年が九万一千トンとあるが、これは五、六万、六、七万で、その他のいろいろ宣伝費もありますから、これは合わせて十万トンですよ。そうすると、一万トン当たり二十二徳八千万かかる。古米処理には幾らかかっているかというと、一万トン当たり二十五億以上です。転作のために幾らかかるかというと、一万トン当たり十二価ないし十六億。そうすると、酒屋さんに安売りをする、これは農林管に腹を決めてもらわなければならぬ。工業用に使うのと同じ性格だというように腹を決めてもらえば、お酒屋さんに出すのを一万トン当たり十億ないし十二億、それだけ値引きすれば、五十万トンという消費が進むということは十一万ヘクタールなのです。これは私は大蔵委員会へ行ってこれから大蔵大臣とやりますけれども、とにかく農林省が腹を据えてそれを要求しないのでなかなかできぬのじゃないか、こう思いますから、言うだけ言ってお願いだけして、これから大蔵委員会へ参ります。
○片岡主査代理 これにて小沢真幸君の質疑は終了いたしました。 次に、佐藤誼君。
○佐藤(誼)分科員 それでは、私は養豚経営と豚肉需給安定政策についてこれから質問いたします。 ついては、私が質問したいその背景は、山形県庄内地方を背景にしながらひとつ質問いたしますが、山形県の庄内地方というのは山形県の日本海沿岸の地域です。この地域は従来から稲作の単作地帯であったのです。その後御承知のとおり、事態の推移によりまして農林省の指導もこれあり、稲作と養豚の後合経営をやってきたわけです。ところが、これも御案内のとおりで、稲作は減反転作、米価据え置き、そういう状況、一方、養豚は卸売価格の低落と低迷、しかも配合飼料の値上がり、こういう状況で、これら複合経営の農家は稲作もだめ、養豚もピンチ、大変な事態に置かれていることは、この庄内地方も全く同じなのです。 そこで、私はまず最初にお伺いしますが、一つは豚肉の卸売価格の動向はどうなっているか、これが一点。二点目は、豚肉の生産費は枝肉キロ当たり幾らになっておるか。この二点をお伺いいたします。
○犬伏政府委員 まず第一点の豚肉の卸売価格の動向でございますが、昭和五十年度以降かなりの高水準で推移してまいったのでございますが、昭和五十三年度の後半から軟調に推移をいたしまして、五十四年度に入りましてからは、六月に安定上位価格を超えた時期がございますものの、九月以降、安定基準価格を下回る水準で推移をいたしております。最近の状況でございますが、九月以降のそのような価格推移の状況にかんがみまして、生産者団体とも協議をしながら各種の対策を講じてまいっておりまして、これらによりまして豚肉の卸売価格は漸次回復の方向に向かっております。東京市場の最近の卸売価格は五百八十円台の水準で推移をしておりまして、今週に入りましてからは五百九十円台となっております。 それから第二点の生産費の関係でございますが、最も新しい生産費は五十四年度の生産費でございますが、これの公表は今月の半ば過ぎということでございますので、生産費そのものについては、最も新しい生産費についてはその公表を待たないと具体的に申し上げられないところでございますが、仮に計算をいたしますと、昨年の十二月現在では枝肉一キロ当たり五百六十円前後ではなかろうかと推定をいたしております。
○佐藤(誼)分科員 卸売価格が回復の方向にある、こういう答弁ですが、これは六百一円、つまり、安定基準価格を割っているわけですね。この安定基準価格を昨年の九月に割って、以降それを超えたことはないのですね。
○犬伏政府委員 九月以降は、月単位で見ますと超えたことはございません。
○佐藤(誼)分科員 それじゃ、安定基準価格を上回ったことはないというこの事態の推移が九月以降ずっと続いているわけですから、これは養豚農家にとっては大変な事態ですね。これは安定基準価格を制定した趣旨から言ってもそうだと思うのです。 そこで、この豚肉卸売価格安定のために、具体的には安定基準価格を上回るためにどのような施策を講じてきたか、これをお伺いしたい。
○犬伏政府委員 いま申し上げましたような状況でございますので、これに対処するために、生産者団体とも協議しながら各種の対策を講じてまいりました。 一つは計画的な生産を進めるための体制の整備、それからもう一つは豚肉の消費拡大の対策を進める、第三点は、それらの二つの対策がすぐ実効が上がるということではなかなかございませんので、自主的な調整保管を進めるということで対策を講じてきたところでございます。さらに本年一月からは、これらの対策の継続実施に加えまして、畜産物価格安定法を発動いたしまして、同法に基づく生産者団体による調整保管を実施しておるところでございます。
○佐藤(誼)分科員 そういう対策をとりつつあってもなお安定基準価格を上回ってはいないわけです。いまの説明では、長い月数にわたって低迷しているのに畜安法三十九条の発動による畜産振興事業団による買い上げはやっていないわけですね。なぜそれをやらないのか、その理由を私は聞きたいと思います。
○犬伏政府委員 ただいま申し上げましたような諸対策によりまして、価格は漸次回復状況でございます。いま時点で申し上げますと、ほぼ安定基準価格にもう少しで届くという状況でございまして、私どもとしてはいま講じておる諸対策の推進にさらに努力をいたしまして安定基準価格水準に回復するように進めていきたい、事実その方向が出ておるわけでございますので、事業団による買い入れにつきましては、当面実施をする必要がないというふうに考えておるわけでございます。
○佐藤(誼)分科員 漸次回復の傾向にあるとは言うけれども、九月以降数カ月間低迷しておるわけですね。そういう事態の中でまさに養豚農家がピンチに陥っていることは皆さんお調べのとおりだと思うのです。私は、先ほどから言いました畜安法で言うならば調整保管等の現在の対策では手ぬるいと思うのです。特にきょうの新聞にも出ておりましたが、全国農協中央会の要求として中心価格の引き上げを要求されておりますね。要求として出されておるわけです。そうなれば、当然これは今後の推移によっては、この中心価格が上がってくれば安定基準価格も相対的に上がっていく、こういう事情にあるわけです。しかも御承知のとおり、雌豚の処理もやっているわけです、約八万頭。これだって、雌豚の処理の効果があらわれるのはだれが考えたってかなり先のことだと思うのですよ。しかも一方、豚肉の出荷頭数、これは現在増加の傾向にありますね。これは市場に出てくるわけです。そうすると、当面する豚肉卸売価格の安定のために諸施策を講じていると思いますが、それは先ほどの報告のとおり。しかし、こういう事態を、ファクターを考えてみると、いまの養豚農家の実情から言うと、緊急避難的に事業団による買い上げを実施すべきであると私は考えております。その点どうですか。重ねて聞きます。
○犬伏政府委員 先ほど安定基準価格と現実の卸売価格の動向について月単位ではまだ上回っていないと申し上げましたが、三月に入りまして、たしか三月三日におきましては六百一円になっておるわけでございます。これは先ほど申し上げましたような諸対策の効果があらわれてきたということでございます。畜安法に基づく調整保管は一月以降三十万頭の枠を持ってスタートいたしておりまして、現時点でのその調整保管の実施状況は、二月二十五日現在で約九万頭実施をして、現在で恐らく十万頭程度だと思いますが、残りまだ二十万頭の調整保管の枠を持っておりますので、今後この調整保管をさらに強力に進めるということによって価格の回復が可能であるというふうに考えておるわけでございます。したがって、このような状況からいたしますと、さらに事業団の買い入れをするということは、もう少し様子を見る必要があるのではないかと考えておるわけでございます。
○佐藤(誼)分科員 るる対策についての説明、それによる見直しが言われましたけれども、私はやはりいまの養豚農家の実情を考えると、緊急非難的という限定ですけれども、事業団による買い上げというものを検討すべきだというふうに考えますので、それだけ要望して、次に移ります。 やや長期的な見通しになりますが、豚肉の需給の趨勢を見れば、御案内のとおり、需要に対し生産はかなり上回っている。それに調整保管をした豚肉は、やがて放出される。時期の問題は別です。これは上積みされてくるわけです。このままの状態では、私は、長期的に見た場合に、養豚農家の経営はますます悪化するであろうというふうに思います。したがって、そういうやや長期的な見通しですが、今後における豚肉の需給、価格の動向についてどのような見通しを立てているか。また、長期を見通した豚肉の需給対策が必要だと思うが、その点はどうか。
○犬伏政府委員 豚肉の需給、価格の見通しでございますが、長期的に見ました場合には、豚肉の消費はなお伸びていくというふうに見込んでおります。ただ、これまでの年率一〇%あるいは七、八%というような伸びはなかなか期持しがたいとは思いますけれども、安定的には伸びていくというふうに考えております。 今後当面の需給、価格の動向でございますが、豚肉の国内生産を見通す場合に、子豚の生産とそれから子取り用の雌豚の種つけ動向が先行指標として得られるわけでございますが、それを見ますと、急激な減少というのはなかろうと存じますけれども、現在進めております出産者団体を中心とする計画生産の推進によりまして、徐々に適正な水準になるというふうに考えております。 一方、需要につきましては、各種消費対策を講じておるところでございますが、一月から三月は季節的に需要の少ない時期でございます。したがって、この時期は需給が軟調である。そこで畜安法に基づく調整保管を実施したわけでございますが、四月以降特に八月までの間は需要期になるということで、需給関係はかなり改善が見通されております。 それ以後のことにつきましては、現在進めておる計画生産が予定どおり進展をいたしますれば、需給及び価格の均衡がとれるのではないかというふうに見込んでおるわけでございます。
○佐藤(誼)分科員 消費は伸びていく。年率、まあいままでの趨勢を言っているんだと思うのですが、一〇%。だけれども、私の手元の農林省が出した資料によると、指数で、昭和五十一年が一〇六ですか、それから五十二年が一〇三、五十三年が一〇二、五十四年度が、まだ終わっていませんけれども一〇三と、大体二、三%でしょう。まあ三%と考えていいですね。ところが、生産の方の伸びは大体九とか一〇とか二、大体一〇%前後、この趨勢は余り変わらないのじゃないですか。 というのは、この農林省の畜産局が二月に出したこれで見ますと、これは生産の見通しですが、一月、二月、三月、四月、五月、六月、大体八%から九%ぐらいの見通しを立てているのじゃないですか。ですと、若干一、二%は生産が落ちても、余り大きな変わりはない。それから、消費の方だってさっき言ったような形でそんなにそれが縮まるような状況にはないのじゃないですか。どうですか。
○犬伏政府委員 私は過去の非常に大きい伸びの数字を申し上げましたが、これは加工用あるいは業務用含めてでございます。家計消費の面での数字はいま先生のおっしゃったような数字でございますが、今後の見通しとしてはそのような大きな伸びは全体としてはなかなかむずかしいということで、やはり需要の伸びに合わせた生産を進めるということが必要であるというふうに考えておるわけでございます。 それで、ことしの三月以降の動向でございますが、先ほども申し上げましたような先行指標をとってみますと、七ないし八%の伸びということでございまして、これは昨年の秋の一〇%を超える伸びに比べますとかなりスローダウンをするというふうに考えられますのと、四月以降は需要期に入りますので、かなり需給関係は改善が進むのではないかというふうに見ておるわけでございます。
○佐藤(誼)分科員 それでは次の質問に移ります。 年々豚肉の輸入をしているわけですけれども、ずばり聞いて昭和五十四年、まだ年度の全体は出てこないと思いますが、豚肉の輸入はふえてますね。むしろ急増していると言う方が適切な表現かもしれませんけれども、これはどういう理由ですか。
○犬伏政府委員 昭和五十四年の豚肉の輸入、暦年で見た場合には、対前年比で一二八%となっております。しかし、最近の動向でございますが、昨年の十一月以降は輸入のペースが、民間の自主的な措置もございまして、対前年比で大幅に輸入数量が減少をしております。今後さらにこの動向は見てまいらなければならないと存じますが、全体として見た場合には非常に輸入がふえている。 そのふえた理由でございますが、いろんな理由が考えられますけれども、輸入豚肉が一番多く使われる加工用の原料として見た場合には、一つは輸入豚肉は規格がそろっておる、品質はいい、加工向けにいいというようなこと、第二に、輸入によって原材料を手当てする場合には、必要な部位の豚肉を必要な量だけ確保することができるという利点があるように考えられます。特に、ロースハムとかベーコン等の豚肉単味品の加工品の需要が非常に伸びたということで、それを背景にして豚肉輸入が増加したというふうに考えられます。したがって、そういう輸入に対応するためには、やはり国内での豚肉の品質なり品ぞろえを改善していくということが必要であると考えております。
○佐藤(誼)分科員 いま養豚農家から見ると、やっぱり一番困っているのが当面する卸売価格の下落と低迷、この中でどう経営を立て直すかという緊急対策を望んでいるということが一つ。それからもう一つは、将来における豚肉の供給の安定を図りながら価格の安定をはかり、将来の経営の安定を図っていただきたい、この二つを望んでいると思うのです。 私は、そういう点から言うと、先ほどもいろんな施策が述べられましたけれども、つまりそれは需給のバランスをとるための国内生産の生産調整だというふうに思われるわけです。そういうことは現に自主的にもやっておるし、政策的にもやっておるわけです。だとするならば、それは、大きく生産過剰を引き起こすところの輸入の調整、とりわけやっぱり抑制をやらなければどうにもならないのではないか。農家の自主的なそういう調整だけで、あるいは皆さんのそういう政策的な誘導だけではどうにもならないという状態が来るのではないか。昭和五十四年は先ほど言ったように現に伸びているわけですから。その辺についてどう考えるか聞きたいと思う。
○犬伏政府委員 わが国の豚肉の供給のほぼ九割は国内生産で賄われております。したがって残り一割が輸入でございますが、先ほど申し上げましたような輸入豚肉の優位性ということから輸入が行われておるわけでございます。これにつきましては、一つは輸入につきましての差額関税制度がございます。一定の基準価格を超えて輸入がされないような仕組みになっておるわけでございます。この輸入の差額関税制度、これについては今後も堅持をしていく。それから、その輸入差額関税制度があるにもかかわらずさらに入ってくるということにつきましては、品質、価格等の競争力の問題がございます。したがって、これに十分競争できるような国内の豚肉生産を進める必要がございます。 いま端的に輸入の調整をすべきではないかということでございますが、豚肉につきましては自由化品目でございまして、政府がこれを直接規制をするということはガット条約上許されないことでございます。したがいまして、やはり国内的に競争ができるようなことを考えると同時に、九割を占める国内生産について需給の均衡を図るよう消費の拡大なり計画的な生産を進めるということが肝要であろうと考えております。
○佐藤(誼)分科員 いまのに関連して農林大臣に聞きますが、輸入問題は日本の農畜産物全体あるいは農業政策全体にかかわりますが、いま申し上げたように大変な事態にあるわけですから、したがって、長期的にも需給の関係が出てくるし、しかも国内においては養豚農家を初め血の出るような努力をしているわけです。そうなりますと、これは技術的なことは別ですが、打来の日本の農畜産物生産を含めた農業政策のあり方として、当面豚肉の輸入の調整あるいは規則についてどう考えるか、聞きたいと思うのです。
○武藤国務大臣 今後とも食糧の自給力を高めるという点からいけば、できる限り国内で生産できるものは国内で生産をするという姿勢は貫いていきたいと思っております。そうなってくると、いまの豚肉の問題はどうか、こういう御指摘かと思うのでございますが、いま局長からも申しておりますように、実は差額関税というのを設けておりまして、相当高い価格、輸入をすれば高い価格になるわけです。輸入したものは六百六十八円以上になるわけですね。さっきの安定基準価格は六百一円ですから、相当輸入価格というのは高いわけなんです。その高い価格でも入ってくるということは、先ほども説明しておりますように、部位で買える、全体を買わなくても一部だけ買えるとか、あるいはハムには非常に向こうの方が品ぞろいであるとか、こういうことがあるわけでございます。しかし、最近は、こういう状態でございますから、生産団体と輸入団体あるいは加工団体との間で話し合っていま抑えているわけです。ですから、十二月以降は非常に輸入は落ちております。ほとんど新規契約はできていないわけですから。 これをいつまでも続けていくかどうかという問題については、私ども非常に苦慮しておるわけでございまして、やはり輸入も抑えていかなければいけないことはできるだけ抑えるような方向でひとつそれぞれ団体間で話し合ってもらっていきたいと思っていますけれども、日本の国内の養豚もなぜそういうことになっているかという事態を十分踏まえていただいて、品質の向上という点にも努力をしていただく必要はあるのではなかろうか、私はこういうふうに判断をいたしておるわけでございます。しかし、養豚農家の窮状は私どもよく理解をしておりますので、現在の輸入規制の方向というものができる限り安定をするまでは続けられる方が望ましい、こういう考え方には立っております。
○佐藤(誼)分科員 時間になりましたから、最後に重ねて農林大臣に聞きますが、先ほど述べたように、庄内地方、つまり稲作、養豚の複合経営、端的に言えば稲作もだめ、養豚もピンチ、こういう状況ですね。それで、稲作は御承知のとおりさらに減反が加重されてきているという状況。しかも、養豚はこのように価格低落、低迷の状況にあっても、軒下の養豚をやっている状況ではないわけです。これは庄内地方であっても、設備資本が大きいし、団地化していますから、価格が下がったからやめるというわけにいかない、そういう事態にあるわけです一これは、言うなれば農家の皆さんも努力され、農林判の皆さんも努力されてきたと思うのですが、結果的には稲作もだめ、養豚もだめだという。そうすると農家の皆さんは、はて何をやったらいいのか。ここに、いま当面の問題もそうだけれども、先行きに対する迷いと見通しが立たぬという状況だと思うのですよ。 したがって、具体的には、当面する庄内地方に焦点を当てれば、稲作と養豚をやっている複合経常をどのように農林省は指導しようとしていくのか。しかもこれは単に、それに局所的に光を当てただけでは政策が出てきませんから、今後の日本の農業のあり方と関連しながら、その点についての見解を聞きたいと思います。
○武藤国務大臣 私どもいま、長期的な需給見通しというものを立てようと思って、農政審議会にお願いをしております。ことしの半ばまでにはその結論を得られるように努力しておるわけでございますが、その中で明らかなことは、いずれにしても小麦だとか大豆だとか、これは自給力を高めるためには今後とも相当増産をしていかなければいけない、これだけははっきりしているわけでございます。そうなってまいりますと、たとえば稲作から転換をしていただくには、そういうものに転換をしていただければ、いまの豚肉だとかあるいは米のような過剰状態は出てこないわけでございますから、これはその土地によって適するところと適さないところがありますから問題でございますけれども、適するところはぜひお願いを申し上げたい。 それから養豚につきましても、確かに昨年は価格が非常に低迷いたしまして養豚農家に非常に御迷惑をかけましたけれども、これは何ともわかりませんが、ことしの春以降は、先ほど来お話しのように雌豚を相当殺していただいておりますし、わりあい明るい見通しが立つのではないかと私は思っておるのでございます。 いずれにしても、複合経営農家というのは一つの奨励していくべき形だと私ども思っておりますので、ひとつ庄内地方においても、現時点ではいろいろ御心配かと思いますけれども、ぜひそういう御努力をいただき、なるべく稲作はわれわれの望んでいるものに転作をしていただく、そして養豚については、消費は今後伸びるわけでございますから、消費がより伸びるためにはよりよいものをつくるように御努力を願っていく、こういうことが望ましいのではないかと思っております。
○佐藤(誼)分科員 最後に要望して終わります。 いま農林大臣が言われたことは、日本の食糧、農畜産物の需給の見通し、それらの見通しの上に立っての日本の農業政策ということに関連するわけですから、これはやる時間もないし、また分科会では時間を制約されていますから一いずれかの機会にわが党の議員も言われると思いますから触れませんが、先ほど申し上げましたように、何といっても稲作、養豚は行き詰まりと見通しが暗いということですよ。したがって、これから農林省も努力をされて、具体的にあすのことも困っておるわけですから、先ほど申し上げた山形県の庄内地方は典型的な複合地域だと思いますから、ここに具体的な施策、指導を通じて営農ができるようにぜひ適切な指導をしてもらいたい、このことを最後に要望して終わります。
○片岡主査代理 これにて佐藤誼君の質疑は終了いたしました。 次に、吉井光照君。
○吉井分科員 私は、水産問題を主体にいたしまして数点にわたってお尋ねをしたいと思います。 まず、去る二月十五日に鹿島沖でソ連船が領海侵犯で拿捕されております。その他台湾漁船によるところのサンゴの密漁事件、またソ連のトロール船団が銚子沖にあらわれてきた、また韓国船が北海道方面、中国の漁船団が対馬南西にと、いわゆる隣接各国の侵犯問題を初めとするこうした事例がきわめて顕著になりつつあるわけでございますが、最近のこうしたトラブルの傾向性また内容について、ここ一年間ぐらいの統計で結構ですからお教え願いたいと思います。
○今村政府委員 現在、日本の周辺海域におきましては、御指摘のように韓国、ソ連、台湾等の漁船が操業いたしておるわけでございますが、その中で特に問題とされますのは、一つは韓国漁船でございます。北海道周辺において韓国の大型トロール船が二十一隻、常時二十一隻おるわけではございませんけれども、二十一隻がわが国の国内規制を遵守せずに操業いたしておりますために、沿岸漁業の漁具被害が増加いたしておると同時に、スケトウダラ等の底魚類の資源に悪影響を及ぼしておるということが懸念されておるわけでございます。 また、韓国トロール船が山陰沖、京都、福井沖等においても操業いたしておりまして、シイラづけ等の漁具に被害を与えております。五十四年度の被害額で見ますと、県報告によりますれば、約七千万円に達しておるわけでございますが、同時にまた日本の底びき漁業との漁場競合問題が生じておるわけでございます。 それから最近、台湾のサンゴ漁船が、五十三年までは沖縄、奄美諸島周辺で操業いたしておったのでございますけれども、九州の南部あるいは男女群島、高知沖、小笠原諸島周辺でも操業するようになりまして、資源に対する悪影響あるいはまたわが国の沿岸漁業との漁場競合が生じておるわけでございます。台湾のサンゴ漁業によりまして直ちに漁具被害がどうだこうだということはございませんが、わが国の領海内での不法操業を生ずることが多いわけでございます。 また、中国漁船、ソ連漁船については、現在特段の問題を生じていることはございませんが、これらの点につきましても、トラブルが生じないようになお十分努力をする必要があるというふうに考えております。
○吉井分科員 こうしたトラブルは今後も後を絶たないばかりか、ますます増加する傾向にもあると考えるわけでございますが、こうしたトラブルについてのわが国の対応は十分かどうか、これがまず一点。 それから、こうした事態に、トラブルが非常に幅広くなってきておるわけでございますが、海上保安のあり方についてももうここらで根本的に見直す必要があるんじゃないか、このようにも考えるわけであります。したがってまた、水産庁においては漁業秩序の維持の面からこうした問題をどのように今後考えていかれるのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
○今村政府委員 韓国漁船との関係について申しますならば、日韓漁業協定を締結いたしましてそのベースで相互に操業を行うということでございますが、そういたしますと、たとえば韓国が北海道沖において操業するということはいわば公海上で操業することに相なるわけでございまして、これらの問題を解決するには二つの方法が基本的にはあると思います。 一つは韓国の自主規制、韓国が日本の近海で操業をいたす場合には、日本の国の漁業規則を守って、日本の漁民が操業すると同じ状態で操業をしてもらうようにするということでございます。第二の方法は、たとえば日韓漁業協定を基本的に見直して、新しい漁場秩序というものを考えていくということでございます。これらの問題につきましては、韓国とはいろいろと自主規制を中心にいたしまして、協議、交渉をいたしておるわけでございますけれども、同時にまた取り締まり問題が一方にはございます。 水産庁といたしましては、水産庁の持っております取り締まり船を動員いたしましてこれらの取り締まりに当たっておるわけでございますが、海上保安庁にもお願いをいたしまして、それらの取り締まりにつきましていろいろと御尽力を願っておるところでございます。水産庁の取り締まり船としては、現在水産庁の船が六隻、それから用船、雇っておる船が二十九隻ございます。それぞれの必要に応じまして配置をいたしておりますが、たとえば九州地区につきましては官船一隻、それから用船を八隻配置して取り締まりに当たっておるところでございます。
○吉井分科員 海上保安庁の考えはどうですか。
○野呂説明員 領海及び漁業水域におきます外国漁船の監視、取り締まりにつきましては、海上保安庁は外国漁船の操業実態等を勘案の上効率的に実施いたしております。領海の幅員の拡大、それから漁業水域の設定等に伴いまして、飛躍的に監視、取り締まり業務が増大いたしましたので、五十二年度以降巡視船艇、航空機の増強、代替計画を強力に推進いたしておりまして、その結果巡視船艇百十隻、航空機三十六機の整備を行うことになりまして、監視、取り締まり体制は強化されることになっております。 これらの巡視船艇、航空機が就役いたしますと、海上保安庁の勢力といたしましては、巡視船艇三百四十三隻、それから航空機が五十三機となりまして、質的にも大幅に改善されることになります。これらの巡視船艇、航空機を中心とする効率的な運用体制を整備いたしまして、また一方では、さらに必要となる勢力の改善あるいは増強をも進めつつ、課せられた使命の達成に遺憾のないようにしたい、かように思っております。
○吉井分科員 いま長官の答弁によりますと、どうしても韓国が問題のようであります。これは地理的にも非常にわが国と接近をしておるという条件もあるでしょうけれども、西日本、特にいま山口県の北浦におきましても、こうした韓国漁船とのトラブルが絶えないわけです。いま北海道方面が大きな問題になっておりますが、北海道方面には約千トンクラス、ところが山口県の北浦沖には百トンから二百トンクラスの韓国漁船が絶えず出入りしているわけです。いろいろ状況等を聞いてみますと、韓国自体が定めたいわゆる百三十一度線以東の禁漁区域、またわが国で設定しておりますところの沖合い底びき網禁止区域内、こういったところにも堂々と入ってきて漁をしておる、これは非常に矛盾する点があるわけです。 先ほどいろいろ協議を重ねて韓国側にもお願いしようというような答弁もされたわけでございますけれども、こういういわゆる線引きをしても、韓国側から見れば公海だ、こういう解釈でどんどん入ってくる。結局わが国が幾ら規制を守ったとしても、相手の韓国側が全然守らない。そこには漁民の皆さん方の大きい不満、そういったものも起きてくるのは当然なわけです。こうしたトラブルは山口だけではないと思いますけれども、こうしたトラブルに対しての監視、取り締まりにおいて一体どのように対処されておるのか。 先ほど水産庁また海上保安庁からいろいろお話がありましたけれども、現地で聞くところによれば、水産庁にしろ海上保安庁にしろ、大型の取り締まり船は全部東海、黄海の方に出て、どうしても山口県北浦方面が留守になっているのではないか、こういう声も聞くわけであります。こうした韓国船に対して、もっともっと何か適確な取り締まりといいますか、対処の仕方があるのではないか。一方、西日本地域においては、今度は逆にわが国の漁船が韓国側にこうした不法操業を行っているという声も聞くわけであります。しかしながら、こうした状態は私は長続きするものではないと思うのです。無論、日本の漁民の方々にも指導は厳しくしていかなければなりませんが、やはり韓国に対してこうした厳しい対応が必要と思うのですが、その点どうですか。
○今村政府委員 お話しの山口県の萩、北浦沖には、従来からしばしば韓国漁船があらわれましてシイラづけ漁業に被害を与えておりまして、その被害額は、昭和五十三年では約一千万、それから五十四年で約三千七百万くらいの被害を受けておるわけでございます。私どもは日韓漁業協議におきまして、あるいはまたその他の機会におきましても、韓国漁船が日本の沿岸で操業します場合においては、沿岸国の規制を守ってもらうことは国際的にも当然の概念ではないかということを強く主張いたしておりますが、なかなか漁具被害が絶えないということはまことに遺憾なことでございます。 私たちは、ほかのところへ力を入れて山口県周辺の取り締まりに手を抜いておるようなことは決してございませんで、先ほど申し上げましたように、山口県を含めます九州海域にはできるだけの取り締まり船を配置いたすと同時に、海上保安庁におきましてもいろいろと取り締まりをいただいておるわけでございます。特にシイラづけの漁期であります五月-十月にかけては、航空機でありますとか出漁しております漁船からの情報を受けまして、九州の漁業調整事務所所属の取り締まり船を派遣いたしまして被害の防止に努めておるところでございます。 また山口県では、漁具被害の防止、資源保護のために、韓国漁船の操業の状況の御報告を受けまして、漁業取り締まり船の「しずき」をこの海域に重点的に配置していろいろな監視を行っておるというふうに承知をしております。
○吉井分科員 時間がありませんので、次に進みたいと思います。 いま漁業界におきまして一番大きな問題は、何といいましても燃油の問題だろうと思うのです。昨年の春先からの著しい燃油価格の高騰は、上がりこそすれ下がる要因は何ら見出せない。燃油価格は御承知のごとく一キロリットル当たり七万円前後、昨年同期の価格と比べて約二・四倍、このようにも言われておりますし、西日本の沖底のデータによりましても、漁業収入に占める燃料経費の割合は昨年一月には一四・五%、これがわずか一年間に三五%もふくれ上がっておるわけですね。結局、その資金回転のためだけの操業じゃないか、このようにも言われているわけです。 ここでまず懸念されることは、こうした状態が続くならば漁業界の内部に、いわゆる操業意欲の低下というものがあらわれてくるのじゃないか、このようなことを危惧するわけですが、水産庁、この点をどういうふうにとらえられておるか、この点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○今村政府委員 漁業は特に石油を消費する産業でございまして、御指摘のように、石油価格のコストに占めます割合というのはきわめて高いわけでございます。特に従来におきましては、石油多消費型といいますか、そういう速力が速い船をつくって、とにかく遠出をして操業するというかっこうでございましたから、ますますそれに加速をつけたような形になっておりますが、私たちとしましては、一つはやはり石油価格は安定をしてもらうということが一番大事なことでございまして、この点に関しては、通産省等にもいろいろ要請をしておるのでございますが、なかなか石油の上昇が安定をするという状態にはなっておりません。 そこで、量的な確保はまあまあでございますが、価格問題が非常に問題でございますので、私たちとしては、とりあえず昨年十二月に三百億の燃油資金を融通する。今度国会で予算が通りますれば、五百億の資金を融通するということで対処いたしておるわけでございますが、同時にまた省エネルギー型の漁業ということにつきましても、今後十分意を用いていかなければならないわけでございますから、そういう観点からも研究会を開きまして、いろいろと検討をいたしておるわけでございます。こういう時期でございますから漁業経営はきわめて圧迫をされておるわけでございますけれども、われわれはもとより諸般の対策をとると同時に、漁業者の方々におきましても、できるだけ石油を節約して合理的に操業していただくようにお願いいたしたいと考えております。
○吉井分科員 いま長官がおっしゃいましたように、燃油対策緊急資金ですか、この問題ですが、いまおっしゃった五十四年度で三百億、五十五年度は五百億ということでその手当てをされようとしておりますが、五十五年度は各業種別の枠づけで業界の中央団体にこれを供託して、業界の上部団体から配分される。これによっていま五十四年度のような、いわゆる地域格差というものが解消されたというメリットはあるわけでありますが、やはり同資金を最も必要とする企業が信用基金協会の融資選別にかかって、同資金を断念せざるを得ないような事態が起こるのではないか、このように一部では懸念されているわけでございますが、この点どうですか。
○今村政府委員 燃油資金を融資いたしましても、それが漁業者に円滑に融資がされなければ何にもならないわけでございますから、融資の円滑な融通ということにつきましては、私たちも今後特に意を用いてまいりたいと考えております。基金協会の保証がそういう大きな役割りを果たしておることは確かでございますが、基金協会の資金が足りないとかそういうようなことで詰まらないように、融通が阻害されないように私たちも十分留意をし指導してまいりたいと思いますが、山口県などにおきましては県と下関市がそれぞれ特別拠出をいたしまして、対応をしていただいておるという実情にございます。こういう県あるいは市あるいはまた国の努力を通じまして、その資金が円滑に融通されるように特に努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
○吉井分科員 次に、ここ数年来、夏場の閑漁期、いわゆる不採算時期の操業を省エネ、それから資源確保の立場から夏場休漁の問題が起こりつつあるわけですが、以西底びきの下関支部では最短休漁期間を二カ月、このように打ち出しておりますが、結局、対韓国漁船の問題とか、またこれを実施した場合の実施後の不安、これらのためにまだ実施に至ってないようであります。したがって、この問題に対して、いまいわゆる補償問題といいますか緊急つなぎ融資の実現といいますか、造船などの特定不況業種企業に対して行われたいわゆる帰休期間の賃金を八〇%政府が保証するというこうした制度か何か考えられないものか、この点はどうでしょうか。
○今村政府委員 日本の遠洋底びき網漁業協会が燃油を節約する、あるいは資源保護という見地から、夏季休業することについて検討いたしていることは私は承知をいたしております。その際、政府から少なくとも船員を雇用していくくらいな固定経費というものは助成をしてもらえないかという要望もございます。 しかし、私たちいろいろ考えてみますと、ただ夏場を休みますから補償してくださいという話ではなかなか通らない話なんで、やはり考えるとすれば融資問題であろうと思いますけれども、ただ休むことに対して融資をするということについては、これは新しい制度を設けるわけでございまして、いろいろ問題もあると考えております。今後、協会側の具体的な方針を見定めながらその経営内容をよく検討いたしまして、そういう措置を必要とするかどうか、私ども十分に検討をさせていただきたいと思っております。
○吉井分科員 次に、いわゆる減船問題ですね。減船問題についても同支部は、やはり国主導であるならばぜひともこれを実施したい意向を示しているわけですね。同業界はこれまで二回にわたって自主減船を行ってきたわけですが、五十二年八月の北朝鮮の二百海里実施によるところの北緯三十八度線以北の漁場の喪失、また五十三年末の日中漁業協定の改定に伴うところの規制の強化、こうした問題が大きく影響はしているわけですが、いわゆる北洋方式によるところの国の買い上げ減船対象にならないかどうか。これは現段階ではむずかしい面もあるでしょう。しかしながら、韓国が二百海里規制、これを全面実施を行えば、やはりそのダメージとしてはいままでの二〇%から二五%のいわゆる漁獲減、こうなって、当然国主導の減船条件は満たされると思うけれども、この点水産庁の考えはどうですか。
○今村政府委員 北洋漁業の減船措置は、先生よく御存じのように日ソ漁業交渉の結果漁獲量を大幅に削減をされて、そうしたことで出漁できなくなってやむを得ず減船せざるを得なくなったという、そういう国際関係を基礎に置いておるものでございますから、以西の業界が自主減船をやるときに、北洋漁業と同様の政府主導型の減船措置ということを講じてもらいたいという要望はありますけれども、私はそれは非常にむずかしい問題であろうと思います。しかし、将来日本と韓国が二百海里を引き合う、あるいは日韓漁業協定を改定する、その場合に、日韓漁業協定で現在日本の漁獲割り当てといいますかその区域内で漁獲できる数量は十五万トンということになっておりますが、実績はそれに及んでおりませんけれども、そういう国の政策といいますか、国際関係に基づく新たな漁業秩序といいますか、そういう場合におきまして減船を余儀なくされるという場合にありましては、これは北洋と同じようなケースであろうと考えられますが、そういうことなしに減船をします場合に北洋と同じような手当てということは非常にむずかしい問題だと思います。
○吉井分科員 いま北洋と同じようなことが非常にむずかしい、こういうお話ですけれども、北洋と西日本、これはいずれにしろ客観情勢というものが大分異なるわけですね。したがって、ひとつ要望ですけれども、いずれにしろ漁獲量がうんと減って漁場が非常に狭くなってくることも事実なわけですから、そういう場合の対策についてひとつ前向きに検討をお願いしたいと思うわけです。 それから、最近フグの輸入に関する問題でいろいろと取りざたされておりますけれども、フグは非常に高級魚でなかなか一般にはなじみの非常に浅い魚であります。しかしながら、山口県にとってはこのフグの問題というのは非常に大事な問題でありまして、聞くところによりますと、現在商社が二十数社中国に引き合いに行っている、このように聞きますけれども、もしこれが実現をするならば、早晩フグの値段に値崩れを生ずるのではないか、このような危惧の念を非常に抱いているわけですが、その実情と今後の流通問題、そういったものもあわせてひとつお尋ねをしたいと思います。
○今村政府委員 フグにつきましては、関係県の調査によりますと、国内産はここ数年ほぼ同じような水準で、五十四年には六千五百トンというようなことになっています。また輸入量は五十四年は千百トンということでございますが、フグの需要は増大してきておりますので価格は堅調でございます。東海黄海におきますフグの資源は減少傾向にあると言われておりますので、今後同一漁場で操業する韓国、中国からの輸入が急速にふえまして国内価格が低落するおそれというものは当面はないのではないかと思っておりますが、水産庁としましては今後とも価格等の動向によく注意をいたしまして、必要に応じまして秩序ある輸入が行われるように十分関係者を指導してまいりたいと考えております。
○吉井分科員 最後に、徳山湾海域の水銀汚染漁場の復旧対策についてお尋ねするわけですが、現在五つの魚粒のうち四魚種までが解禁されて市場に上っております。地元としては漁場の整備及び種苗の放流とか一日も早い漁場の復旧改善を要請しているわけでございますけれども、政府の考え方はどうですか。
○今村政府委員 お話の徳山湾海域の振興対策については、地元は、山口県を通じまして、漁場の整備におきましては並み型魚礁、大型魚礁等による漁場の造成でありますとかあるいは種苗放流においてはマダイの稚魚の保育場の造成というのを要望してきておりまして、私どもとしましては、山口県と十分協議をいたしまして五十五年度予算の中で御要望の点につきまして十分検討してまいりたいと思っております。
○吉井分科員 以上です。
○片岡主査代理 これにて吉井光照君の質疑は終了いたしました。 次に、大橋敏雄君。
○大橋分科員 私が最後のようでございます。大変御苦労さまだと思いますが、もうちょっとですからがんばってください。 先般、国会空転の中で予算修正交渉が行われたわけでございますが、その中で特に重視されたものに物価対策の問題があったわけですね。したがいまして、生鮮食料品の流通また価格安定のための対策費として五百億円ものたくさんな予算が決定された。この額を見ただけでも物価に対する本当に真剣な気持ち、熱意がわかると思うわけでございますけれども、いずれ全国的に物価対策のための積極的な活動が展開されるものと予想するわけでございます。 私はこの際要望しておきたいと思うのですけれども、実は総理府統計局の消費者物価指数の五十四年十一月の資料を拝見いたしましたところ、その中の生鮮魚介の欄でございますけれども、大都市圏の中で北九州ゾーンの物価が非常に高いのですね。特に北九州市は日本一、ずば抜けた高値を示しているわけです。五十年を一〇〇としまして、京浜ゾーンが一五二・九、中京ゾーンが一五四・一、京阪神が一四〇・三、北九州ゾーンが一九一・五と大変高いわけです。特に北九州市は二〇六・六、まさに日本一なんですよ。五十年のときに比べると二倍以上の高値を示しているわけでございます。また五十四年十二月の資料を見てみましたところ、これは消費者の価格ですけれども、スルメが百グラム当たり、北九州市が二百五円、東京都区部で百十三円、大阪は九十五円、名古屋百十円、これも二倍ぐらいの高値を示しているわけですね。アジも北九州が二百四十六円、東京都区部が百八十三円、大阪が百九十五円、名古屋百四十三円、サバも北九州が七十一円、そして東京都区部が五十五円、大阪五十六円、名古屋四十六円。とにかく何となく北九州市の生鮮魚介は高い。サケとかイワシ、カレイ、タコ、こういうのは多少のでこぼこはありますけれどもそうほかと余り変わりがないという感じはするのですけれども、特に北九州ゾーン、その高値は安定的に定着しているかのように思われますので、一体何が原因なのか、その流通機構の上に問題があるのか、またそのほかに問題があるのか、早急に調査をして善処をしていただきたいということです。これは農林省だけでなさるのかどうかわかりませんけれども、まず大臣にこれは要望です。一言御返事をお願いします。
○武藤国務大臣 いろいろそういうお話を承って、事務当局でも実はその原因がどこにあるかをいま検討いたしておりますが、引き続いてひとつ検討し、もし私どもの方で何か行政指導できるようなことがあれば善処したいと思います。
○大橋分科員 私は必ず流通機構の上に問題があるとにらんでおりますので、その点も留意した上でぜひとも善処していただきたいと思います。 次の質問に移りますが、いま石油危機でいろいろと騒ぎが起こっているわけでございますけれども、この石油危機の後に来るものは食糧危機だと真剣に論じられて、ちまたにだんだん拡大してきているやに思います。私は、わが国の食糧の安全保障の確立を念頭に置きながら、いまから質問に入っていきたいと思います。 私は農業専門ではございませんので、きわめて恐縮ですが、基本的な、初歩的なことから入るかと思いますが、いまわが国は米が余っている、そして困っている。したがいまして、今日は米作転換、麦作振興政策を推進しているわけですね。 そこでお尋ねしたいのは、その麦、麦といっても小麦と大麦とあるわけでございますが、このいずれに重点を置いて麦作振興政策を進めているのか、まずお尋ねしたいと思います。
○二瓶政府委員 麦作の振興を進めておるわけでございますが、その際に、麦といいましてもいろいろございます。いずれも需要に見合ったかっこうで進めていかなければならぬだろうというふうに考えております。 そこで小麦につきましては、これは日本めん用の原料といたしましてまだ相当需要がございますので、小麦の方には非常に重点を置いてやっていきたい。そのほかビール麦等につきましては、これは現在契約栽培でビール会社と経済連でやっておりますけれども、自給という面から見ますと、現在まだやっと二〇%程度になっておりますのでさらにふやしていきたい。ただこれは、ただいま申し上げましたように、両当事者間で話し合いをして決めていく、その点は尊重していきたいと思っております。
○大橋分科員 私が聞きたかったのはそういう細かいことじゃなくて、大麦、小麦、どちらに重点を置いた政策をとっているのかと聞きたかったのですが、いまのお答えではどうやら小麦が中心だというように聞こえるのですけれども、政府の資料を見てみますと決してそうじゃないですね。御承知と思いますけれども、小麦は、昭和五十年から五十二年の自給率は四%ですよ。五十三年度でやっと六%程度です。さっぱり自給率は上がっていませんね。それに引きかえて大麦は大変増産されているわけですよ。作付面積を見ましても、五十一年、五十二年、五十三年、五十四年とだんだんウナギ登りになっていると言ってもいいぐらいにふえてきていると私は見ております。これは数字を申し上げてもいいのですけれども、数字の上ではそのことは認められるでしょう。
○二瓶政府委員 小麦の方は、確かに自給率はビール大麦といいますか二条大麦に比べましてまだ低い線でございます。ただいま申し上げましたように、まだ日本めん用の需要というのは相当大きゅうございますので、さらに小麦の方は大価に仲はしていきたいと思います。
○大橋分科員 大臣、いませっかく米作転換、麦作振興政策をお進めになっておるというのですけれども、食糧の安全政策の上からは大麦ではなくて小麦、こちらに力を入れなければならぬと思うのですね。逆になっているのですよ。 それで、大麦の増産というものは、その大半が結局はビール会社に押しつけられているわけですね。ビール会社というのは、その需要量のほとんどを従来は海外に求めていたわけですね。ところが政府から国内大麦の利用といいますか協力を要請されまして、五十三年度までは一割強程度であったのですけれども、五十四年度、五十五年度産がわずか二年間で二割強と急上昇しているのです。したがいまして、ビール会社はそのために百二十四億円も負担増になったということが報じられておりました。私が心配するのは、大麦が増産されたら結局それはそのままビール会社に押しつけられる、ビール会社に押しつけられると高い値段で買わなければなりませんので、それがビールを値上げするという方向をどうしてもたどらざるを得ないということですから、政府は今後も大麦を増産していく方向にあるのか、そしてそれをやはりビール会社に押しつけていく考えなのか。これは消費者にとって非常に重大なところでございますので、大臣にお聞きしておきたいと思います。
○武藤国務大臣 私ども決して小麦の増産を考えていないわけではございません。もちろん大麦でも小麦でもいいということにしておりますが、たとえば六十五年の長期見通し、この間農林省が出しました試算でございますが、これによれば、小麦の消費の六十五年の見通しは実は一九%という自給率を想定いたしておるわけでございます。 これはこれといたしまして、いまのお話はビール用の大麦の問題だと思うのでございますけれども、確かに昭和四十年代の後半においては相当というか大半を外国から輸入をしておった。ところが最近二割になってきて、約一割近くそこで違うわけですが、これは大変じゃないかという御指摘でございますけれども、しかし、昭和四十年代も前半においては逆に六割から七割実は国内で自給をしておったわけでございまして、いわゆる高度経済成長でどうも大麦の生産が相当減ったものでございますから、結果的にそういうことになったのではないか。そういう点からいけば、それはビール会社にとってはなるべく安い外国の大麦の方がいいことはわかりますけれども、しかしやはりわれわれとしては、今後もできるだけ多く国内産の麦をビール会社も使っていただきたい、こう考えておるわけでございます。
○大橋分科員 それは食管会計の立場から考えれば当然のことでしょう。だけれども、消費者の立場からいきますと、それはそのままビール値上げに直結されていきますから困るわけですよ。実はある業界紙にこう出ておりましたよ。渡辺さんが農林大臣をしていたころ、ビール会社はもうこれ以上は抱え切れません、ストップしてくださいと泣き込んだときに、ビール会社が五十トン買ったとしてみてもビール一本当たり十円値上げしたら簡単に吸収できるじゃないか、こういうことをおっしゃったという記事が出ていたのですが、これが本当ならば大変無責任な発言だと私は思うのですね。だから、大麦の増産はビールだけとは言えませんけれども、結局大半がビールなんですから、増産するのならば小麦の方ですよ。これに力を入れてもらいたい。そしてビール会社の方はやはり安く入る方で始末をつける方が私は国民のためだと思うのですね。 かつて外為の円高差益が問題になったことがありますね。電力、ガス会社はその一部を還元したわけでございますが、これは御承知のとおりでございます。当然ビール会社も多額の差益が生じたはずだと私は思うのですが、それはどうなったのだろうか。還元されたとは思えません。その利益といいますか差益分は、回り回って政府が吸い上げた結果となっている。当時国内の大麦が豊作だった。そのためにビール会社は予定よりも四万トン多く押しつけられて、その負担増が約八十億円あった、こういうことも言われております。ですから、結局ビールは円高差益で利益が出たときも還元はしない、値下げどころかそのときも逆に上げたでしょう。だから私は、大麦を、いわゆる国内麦をふやしていくということは、結局は高いビールを国民が飲まされるという結果になるというわけですね。だから先ほど申し上げますように、米作転換の麦作の方針について私は反対ではございませんが、大麦ではなくて小麦に重点を置いていただきたい。 それからもう一つ疑問に思うことは、外麦食管会計は最近大幅な黒字であるわけですね。五十一年七十七億円、五十二年八百十億円、五十三年度千六億円、五十四年度八百八十一億円とずっと黒字が続いているわけでございますけれども、それにもかかわらず政府は小麦の政府売り渡し価格を二月一日から一四・一%も引き上げられたと思うのですけれども、どういうわけなのでしょうか。どうも理解に苦しむのですが、国税庁の人来ていませんか。
○的場説明員 先生御指摘のとおり、二月から麦の売り渡し価格を平均で一四・一%上げております。これはむしろ農林大臣からお答えいただくべき性格のものだと思いますが、食糧管理法の規定に基づきまして諸般の情勢を考えて決めたわけでございます。 その一番大きな理由は、米が日本の主食でございますけれども、米と麦の相対関係をどうするか、むしろ米の消費拡大を図る観点から申しますと麦の値上げは望ましいのではないかというような観点、それからそれ以外に食管全体の財政負担の節減といったような観点から決めた次第でございまして、輸入食糧管理勘定に益が出ているから、それだけをもって値上げはしない方が適当だという判断にはならないのではないかと思います。 なお付言いたしますと、国内産麦がふえておりますので、国内麦管理勘定と輸入食糧管理勘定とを合わせましたところでは、麦でも全体として約二百億くらいの赤字になるのではないかというような当時の見通しがあったわけでございます。
○大橋分科員 いまの説明を聞いておりますと、外麦食管会計は確かに黒字だけれども、国内の食管会計の立場からいって、また農業政策の上から米を売りたいがためにということからいけばこれは上げざるを得ないのだ、こういうお話でございますが、国民にとってみれば本当にありがた迷惑な話でございます。いま言うように、小麦または大麦との関係、そしてお米との関係で大変迷惑しているのは国民の方です。先ほど大臣は、かつてはビール会社は国内麦をたくさん使っておったのだ、だけれども最近変わってきたのだという話をされますけれども、それこそ農林水産省、いまの農水省の農政の方針がネコの目のようにぐるぐる変わるでしょう、逆に言えば業界はその影響を受けてそうせざるを得なくなってきたわけですよ。そうなのですよ。近くビールも値上げするような動きがあるやに聞いておりますけれども、これはどうですか。
○十枝説明員 一部の新聞等で報道されておりますように、ビールの価格改定の話が持ち上がっておるのは事実でございます。その背景について若干申し上げますと、ビールは、先ほど先生の御指摘もございましたように、五十一年、五十三年に値上げをいたしておりますが、これは酒税の増税に伴うものでございまして、ビール会社なりビールを扱っておる流通業者の手には全く益にならなかった、要するに酒税の増税分だけの値上げをしたということでございまして、実質的にコストアップ値上げをやりましたのは五十年の三月、七月ごろに各社ばらばらとやったのですが、それが最後でございまして、いわばビール関係企業にとりましては五年間価格を据え置いてきたという形でございます。 そういうこともございまして、他の商品に比較して比較的安定した値段で推移しておるわけでございますが、先ほどから御指摘ございますように、最近国産麦芽の使用量の増大とかあるいは数年前まではいわば円高でございましたが、ここ急に円安基調になりまして主原料でございます輸入麦芽の価格が非常に上がってきております。あるいは一般産業にも共通でございますけれども、燃料費や配送費、諸資材が上がった、そういうような実情がございまして、ビール企業の経営が悪化してきた。そんなことから、ビール企業各社とも早期値上げを希望しているというのが実態でございます。
○大橋分科員 とにかくいろいろと御説明なさいますけれども、国内産の大麦をビール会社に売りつけると、現在では四倍も高い値段で買わされるかっこうになるわけですね。ですから、結局は大麦を押しつけるからやはり経営の立場から上げざるを得ないというのが私は実態だろうと思うのです。その証拠に、先ほどの問題にちょっと返りますけれども、かつての円高差益、ビール会社全体として大体どのくらい出たのですか。
○十枝説明員 御指摘のように、輸入麦芽につきましては製造者が外貨建てで輸入いたしておりますために、円高とか円安が起こりますと、その為替レートの変動は直接的にビール企業の経営に響くことになっておるわけでありますが、麦芽輸入に伴う為替差益がどのくらいあるかという御指摘でございますけれども、厳密に試算するのはかなり困難でございますが、一応推計値で申し上げさせていただきますと、五十一年に比べまして五十三年のビール企業全体としての円高等による負担減少額、麦芽輸入に関する負担減少額が五十三年は約九十九億円、五十四年は八十七億円と推定されるわけであります。しかしながら、一方におきまして国産大麦の価格の高騰とかあるいは購入数量の……。
○大橋分科員 わかった。それだけの利益が上がったけれども、結局ビールは値下げどころか上がったでしょう。問題はそこなんです。まあいいです、もう時間がないから。 大臣、お聞きのとおりなんです。要するに、ビールが値上げされますと国民生活には大変影響が大きいのです。また一面から言えば、ビールを値上げすると売れ行きは一応落ちると私は思うのです。そうすると、国税庁の立場からいくとやはり困ることではないですか。いまビールの会社から入ってくるいわゆる酒税の税収というのはどのくらいあるのですか。
○十枝説明員 約七千億円でございます。
○大橋分科員 すごいものですね。ですから、ビールが値上げされると、逆に購買力が落ちて税収ががた落ちになるとも考えられるでしょう。ですから結局はビールを値上げして律する者はいないわけですね。結論といたしまして、国内大麦の増産はすなわちビール値上げに結びついて国民生活を圧迫する。したがいまして、食糧の安全保障政策の上からは大麦ではなくて小麦に振興の主力を置きかえていただきたい。いかがですか。
○武藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、いまの水田利用再編対策の転作奨励では大麦も小麦もどちらでも結構でございます、こう言っておりますが、昭和六十五年、十年先を見通したときには大麦の自給率はいまよりもそんなに変わらないという見通しを立てているわけです。それから小麦については先ほど御指摘がございましたように五十三年は六%です。これを十年先昭和六十五年には一九%まで自給率を高めていこう、こういう考え方を持っているわけでございますから、決して私どもと意見は違っていない、こういうふうに思うわけです。
○大橋分科員 いわば参考のために、これは農林省の資料ですよ。食糧庁五十四年十二月の資料ですが、作付面積、これは二条大麦ですね、五十一年度が五万三千ヘクタール、五十二年度も五万三千ヘクタール、五十三年度は七万ヘクタールにぐんと上がって、五十四年度は八万四千ヘクタールと、ぐんぐん増産される傾向をたどっているわけですから、私はそこを心配して言っているわけです。おわかりですね。 ところで、もう時間も迫ってきましたので……。いまアメリカには対ソ穀物輸出削減分が余って大変困っているだろうと考えられるわけです。日本政府は食糧の安全保障の見地に立ってこれを大幅に買い入れることにしてはどうだろうか。これは国内の農業者の皆さんとのいろいろな問題もありましょうけれども、大乗的な見地に立って食糧の安全保障の見地から私はいま物を言っているわけですよ。 一月二十五日に、近代経済学者を中心とした政策研究グループの政策フォーラムというのがありますね。東大教授の村上泰亮先生、京大教授の森口親司先生が代表世話人でございますが、この方方が先ほど出しましたように一月二十五日に「穀物備蓄に関する緊急提言」を発表なさいまして、政府に決断を求めておられるわけでございます。御承知と思いますけれども、わが国の食糧の安全保障の立場から私はまことに尊重すべき提言だと思っているわけでございますが、政府としてどういうふうにこれを受け取られているかお尋ねします。
○武藤国務大臣 この点については私は意見が違っておりまして大変恐縮でございますが、わが国の食糧の観点からの安全保障を考えれば、より国内でできるだけ生産をしていくということが私は国内の安全保障にとって大切だと考えているわけでございます。そういう意味において、もちろん日本で生産のできないものについては外国から買わなければなりません。それでいまも小麦も飼料穀物のトウモロコシも相当買っておるわけでございますけれども、必要以上に買うということはいかがなものかということ、そこで政策フォーラムは千七百万トン買え、こういうことでございますが、そういう点で一つ問題点があることと、もしそれをいまだけは緊急的に助けてあげたらどうかということで考えた場合でも、果たしてアメリカ側がいまそれを望んでいるかどうかも大変疑わしい現状でございます。それはなぜかといえば、小麦もトウモロコシも値段は上がってきておるわけでございます。それから世界のいろいろの船の動きなどを見ておりましても相当動いておるわけでございます。アメリカがストックをして困っておられるという状態は余りないようでございます。そういう点もございますし、私どもの方から言えば六百五十万トンの米の在庫を抱えておりまして、いまここでどれだけ買うかといっても、もう倉庫がないわけでございます。アメリカの倉庫も実はいわゆる長くストックしておくストック用の倉庫というのは余りない、ランニングストック用の倉庫はございますけれども。そういう点に問題がございまして、政策フォーラムの方々には大変恐縮でございますけれども、これは少し現実離れのお話ではないか。しかし私どもはできるだけ日本の政府としても協力すべきところは協力したいということで努力はいたしておりますけれども、いつも申し上げておりますように、われわれの政府でやれる範囲は大体三十万トンぐらいではなかろうか、こう申しておるわけでございます。
○大橋分科員 もう時間が参りましたのですけれども、もう一言だけ聞いてください。 政策フォーラムのその提言はかなり具体的であるし、内容がすばらしいものだというふうに私は感じました。しかし大臣は大分見解を異にするということでございます。現実問題としてアメリカではそんなに困っているのではないと思うし、また安全保障といっても外国にそれを求めるようではだめだ、基本的には私もそうだと思います。しかし新聞報道で見る限りにおいては約百万トンぐらいは引き受けられるのではないか、大臣のその意見が新聞報道されていたのを見まして、本当の気持ちはどうなんだろうかなというのを確認したかったのが一つと、実際、人間の個人的な感情からしても、困ったときに助けてあげると感謝されますね。だから、そういうことで国際的にも同じことではないかと思うのですね。いま大臣はアメリカが困っているとは思えないということであれば、そんなに重大問題ではないわけでございます。もしそうでなくて、政策フォーラムが提言しているような事実があるとすれば、これは貴重な提言だと私は思います。最後にもう一言。
○武藤国務大臣 私申し上げておりますように、私の申し上げたのは、それはこちらができるだけ協力して買うということに対しては向こうは喜んでくれると思いますが、しかし政策フォーラムに書いているように千七百万トンそのものがどうにも売れなくなって困っているというような状態ではない、こう申し上げたわけでございまして、もちろん友好国としてまた食糧を相当今後とも安定的に供給してもらわなければならぬアメリカのことでございますから、そういう意味において極力協力すべきことは協力したい、しかし協力できる範囲が大体私ども政府でやってみると三十万トンぐらい、それから百万トンというのは差額七十万トンはこれは民間ベースで協力できないかと、たまたま私がそういうことを商社の連中に言ったことが、何かそのままそれがもう政府がやるように新聞報道で受け取られたのじゃないかと思います。これはあくまで民間ベースでそのくらいは協力できないだろうかというサゼスチョンを私が商社に与えた数字である、こういうふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○大橋分科員 終わります。
○片岡主査代理 これにて大橋敏雄君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして、昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算中農林水産省所管についての質疑は終了いたしました。 次回は、明七日午前十時より開会し、通商産業省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時九分散会