予算委員会第三分科会 第2号
- 発言数
- 588 件
- 登壇者
- 53 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/03/05
会議録
○橋本主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。 昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算中厚生省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
○稲葉(誠)分科員 いわゆる難病といいますか、特定疾患というのですか、これについて二十一が指定されているわけですが、この前の野党との間の予算に関連する話し合いの中で、私どもは六十幾つにしろと言ったわけですが、それはそれとして、今後これを拡大していくということ、それからその内容も完備していく、こういうことに関連して、まず厚生大臣の所見を承りたいと存じます。
○野呂国務大臣 いわゆる難病につきましては、調査研究を推進いたしまして、医療費の負担の軽減を図り、同時に、これらに関する医療機関の整備を進めて総合的な施策を打ち出しておるわけでございますが、いまお話しの、今後、疾患をいまの二十一からさらに追加してはどうか、この間野党三党と与党との間でそういうふうなことについてお話が進められたということは聞いておるわけであります。これは、今後専門家の意見を十分に聞きながら検討すべきものである、いま現在、それなら幾つあるいはどうするかということについては、難病そのもの自体についても大変むずかしい問題でもございますので、十分慎重に検討させていただきたい、かように考えております。
○稲葉(誠)分科員 そこで、国鉄にも関係する問題を先にやりますが、いわゆる身障者の割引がございますね。これはいま百一キロ以上ですか、昭和二十五年二月から行われているわけです。これは国鉄運賃法五の二で政令ができることになっているんじゃないですか。ところが、政令がまだつくられておらないのじゃないかと思いますが、これが第一。だから、国鉄の規則で行われているわけですが、これの現状がどのようになっているかということをお聞きしたい。 それから、これは国会の附帯決議もありまして、心身障害者対策基本法二十三条の二ですか、これとの関連その他で、いわゆる知恵おくれの人に対しても、手帳も出ているのですから、同じような割引が含まれてもいいのではないか、こういうふうに考えられるのですが、その点はどういうふうにお考えでしょうか。 これは厚生省なり運輸省、国鉄なりにお伺いしたいと思うのですが、結論はいま国鉄に出せと言っても無理ですから、厚生省がこの関係の予算を拡大するとか、そういう形をとっていって、身障者の方に与えられているならば同じように知恵おくれの方々に対しても当然与えられていいはずだ、こういうふうに思うのですが、そこら辺どういうふうにお考えでしょうか。
○竹内政府委員 精薄者につきまして国鉄の運賃割引は御指摘のような規定があるわけであります。ただ、心身障害者対策基本法の二十三条の二項は、国鉄が「心身障害者及びその介護者の運賃等の軽減について配慮するよう努めなければならない。」という、いわゆる訓示規定と申しますか、努力規定になっている。したがいまして、厚生省といたしましては、精神薄弱者の育成会、手をつなぐ親の会あたりも非常に長期にわたりましてこの問題について財政当局あるいは国鉄等にもいろいろとお願いをしてきたところであります。 ただ、御承知のような国鉄の財政事情ということと、ただ単に財政事情ということだけでなくて、そのための手続規定というようなこともございます。そういった点で、私どもとしては精神薄弱者の福祉という意味ではこの二十三条の二項が実現することについての努力はこれまでも続けてきたわけでありますけれども、国鉄当局とは、なかなかまだそうした財政状況を中心にした問題等から実現に至っておりません。 ただ、一般論として、私どもは、育成会としてはとにかく精神薄弱者の一般的な経済負担、生活上の負担というものをどう軽減するかという角度から努力をしてまいりまして、特別児童扶養手当とか障害福祉年金あるいはそれ以外の各種の在宅の対策等の充実の中でカバーに努めてきたわけであります。この問題、まだ国鉄との折衝その他むずかしい点がございます。身障者につきましては古い歴史もございまして、国鉄当局の方はこの問題それ自体についても若干の問題意識を持っておりますので、私どもとしてはいまの段階で具体的にこういうふうにというところまでお答え申し上げることができないのは申しわけございませんが、最善の努力は今後とも続けてまいりたい、かように考えております。
○稲葉(誠)分科員 国鉄にお伺いしますが、これは身障者の場合は年間二百五十万人で三十一億円ぐらいという数字が出ているのですが、これはよくわかりませんが、身障者の方だけですか。それから、三十一億円というのは減収部分という意味が三十一億円ということなのか、それから、それに伴って一緒に乗る人もいますから、その人の収入というものも当然入っているのだと思うのですが、具体的な数字はいまどういうふうになっているわけですか。
○高木説明員 お答えいたします。 まず、身体障害者の方々に対して運賃割引いたしておりますが、そういった方に対する割り引きました方々の数は二百五十五万人ということでございますので、いまの御質問、身体障害者の数とほぼ同一かと存じます。 それから、その三十数億というお金でございますが、私たち割引さしていただいております金額は約三十一億でございます。したがいまして、全体の運賃額はその倍ということでございまして、五割でございますから、ちょうど三十一億ほど割り引かさせていただいておるということであります。その中に、当然のことながら介助者がつかれる場合にも措置を講ずることになっておりますので、その金額も含まれておるという実情でございます。
○稲葉(誠)分科員 その二百五十万人というのは、二百五十万人の身障者がおるという意味ですか。現実にこれだけの人が利用しておるという意味なんですか。
○高木説明員 お答えいたします。 利用された方々、同一の方が二回とか三回とか、それぞれおられるわけですが、それも累加して数えた数でございます。
○稲葉(誠)分科員 そこで、これは厚生大臣にお願いをしたいのですが、いま言ったように、それはこういう状況の中で国鉄と厚生省だけで話し合いを進めても解決はなかなか無理じゃないかと思うので、これは大蔵省の方で何らかの形で国鉄の補助というか、そういう形のものを強力に推進する。実際は知恵おくれの方々の場合は身障者の場合と違ってこんな大きな金額にはならないのではないか、こういうふうに思いますし、一緒に乗る人がいるからそれだけ収入も入るわけですからね。これは知恵おくれの会の親御さんたちは非常に熱望しておられるのですよ。こういうことをやるのが本当の血の通った政治ではないか、私はこういうふうに思うのです。これをやりますと野呂さんの名前は一遍に上がりますよ、本当に。歴史に残るよ。ですから、ぜひ大蔵当局との交渉の中で実現するようにお願いをしたい、こう思うのですが、その点について厚生大臣の御所見を承りたいと思います。
○野呂国務大臣 五十一年の二月にも運輸省の鉄道監督局長あてに、公衆衛生局長、社会局長及び児童家庭局長の連名で、精神薄弱者はもとよりでありますが、精神病患者あるいは特定疾患患者あるいは原爆被爆者などについても、身体障害者と類似の事情にある人々が非常に多いわけだから、この人についても割引の優遇措置を講ぜられたいという要望をいたしております。ことしに入りまして、予算編成の前にも国鉄の方から私の方に、なかなかこのことについてこたえることが財政的にできない、したがって何とか厚生省として予算をひとつ確保してやってくれないかといったような御要望もあったわけでございます。これは財政当局と十分話し合っていかなければならない問題でございますが、御趣旨の点については今後努力をしなければならないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○稲葉(誠)分科員 それはぜひお願いをしたいというふうに思いますし、私どももこれは与野党を問わずバックアップしてまいりたいというふうに思います。 それから、悪性関節リューマチというのがございますね。これは五十二年度から特定疾患に入っているわけですが、これが、リューマチの方は非常に多いわけですが、その認定がなかなか厳しいというような声が聞かれるわけですね。ただ、実際にはこれはいまどの程度の人がこれに入っておられて、どういうような認定のしかたをされておられるわけですか。
○大谷政府委員 リューマチと申しますのはいろいろな病気の総称でございまして、関節や骨、靱帯、筋肉などの運動器官に慢性の炎症のようなものを来しているものを総称しているわけでございます。その主なものは、子供のときに出ますいわゆるリューマチ熱、それから女性に多い関節のはれてきます慢性関節リューマチ、それから小児に見られます若年性の関節リューマチ、それから悪性関節リューマチ、この四つがその大体のものでございます。 これはいずれも同じようなリューマチの症状が出るわけでございますけれども、病気の原因がいろいろ違うわけでございまして——原因と申しますか、その経過が非常に違うわけでございまして、そのうちの悪性関節リューマチと申しますのは、関節炎のほかに心筋障害等の重篤な全身症状を伴う疾患であるわけでございまして、こういうわけで、私どもの方では難病の懇談会にお諮りいたしまして、この悪性関節リューマチの概念にはまるものについては治療研究費の対象とする、こういうふうにいたしておるわけでございます。 それで、その他の、たとえば小児の若年性の関節リューマチにつきましては、児童の健全育成の立場から、そちらの方で小児慢性特定疾患の対策として医療費の補助を行っておりますし、先ほど申し上げました女性に多い慢性関節リューマチにつきましては、更生医療によって、更生医療の範囲の給付を行っておる、こういうふうになっているわけでございます。その他のリューマチにつきましては、一般疾病として一般の医療保障の枠内で行っておる、こういうふうになっておるわけでございまして、私どもただいままでのところでは悪性関節リューマチだけをその治療研究費の対象にいたしておる、こういう次第になっておるわけでございます。
○稲葉(誠)分科員 それで、その査定がやはりなかなか厳しいという意見があるわけですね。これは、いろいろな予算の関係か何かあるのかもわかりませんが、その点についても十分な配慮をしてもらいたい、こういうふうに考えるわけですね。その点はどうでしょうか。
○大谷政府委員 先ほど大臣も申されましたが、難病についての治療研究費については検討いたすということになっておりますので、これは実はこのリューマチだけでございませんで、その他にも実にさまざまな難病がございますので、それとの全体の問題を絡めまして専門家の御意見を聞きまして優先度の高いものから検討させていただく、こういうふうにいたしたいと考えておるわけでございます。
○稲葉(誠)分科員 それから膠原病というのがあるのですね。これはどういう病気なんですか。それからこれに対して、これは特定疾患に入っていませんね、入ってない理由と、それから治療方法は一体どういうふうな治療方法が考えられるのかというようなことを承りたいと思うのです。
○大谷政府委員 膠原病と申しますのは、先ほどのリューマチもその一つでございますけれども、皮下組織あるいは血管壁、関節等の全身の結合組織が組織的に冒される病気の総称でございます。たとえば私どもがすでに治療研究費で入れておりますところの全身性エリテマトーデスあるいは強皮症、皮膚筋炎、多発性筋炎あるいは結節性動脈周囲炎、悪性関節リューマチ、それからビュルガー病あるいは大動脈炎症候群、こういった病気はすべて膠原病の概念に入るものでございます。膠原病はもう何十種類とございまして、これにつきましては先ほど申しましたように、組織的に全身が冒されていくという点で共通しているということで膠原病という名前になっているわけでございます。また、思春期の女性に大体多い。それから発しまして全身がだんだん冒されていって死に至るものが非常に多いというふうなことでございまして、先ほど申しましたように、治療研究費につきましては、そのうち重いものにつきましては先ほど挙げましたようなものを該当させておりますし、また、この研究は非常に大事な問題である、とにかく原因がよくわからない、現代医学における一番のむずかしい問題であるということでございまして、この調査研究の中の最重点項目として挙げておりまして、名前は膠原病となっておりませんけれども、自己免疫疾患調査研究班、それから膠原病治療調査研究班等五つの研究班でこの膠原病の原因あるいは治療法の確立を急ぐということで、特定疾患対策の中では一番力を入れているものでございます。もちろん、先生がおっしゃいましたように膠原病という名前で総括はいたしておりませんが、そういうふうなことで一番力を入れているということであります。 それから治療法でございますけれども、そういうわけで原因がある程度は解明されておるわけでございますが、もう一つ確定的なものがつかめていないというために、治療法もどういたしましてもその点が非常に不確定なものでございます。自分の体の中で自己抗体が出現するというふうなことで、自己免疫の部分が非常に多いということで、これを抑えるためのいわゆるステロイド系その他のいろいろな高価な薬がこれに効くというふうなことで、この研究に現在非常に力を入れているわけでございますけれども、いずれにいたしましても、パンチが効いて治るという治療法が見つかっていないというのが現状でございます。
○稲葉(誠)分科員 これは若い女の方に非常に多いわけですね。その理由はどういうところにあるのかということが一つ。 それからステロイド剤ですか、これが治療に用いられてきたけれども、何か過剰使用によって薬害が発生しておるということが言われているのですけれども、このステロイド剤の治療というものが妥当なものなんですか。薬害の発生という点はどういうふうになっているのでしょうか。
○大谷政府委員 思春期の女性に多いということは、何か体質的、ホルモン的な、そういうふうな内部的なものではないかということが言われております。 それから現在の治療法の中でステロイドが一番用いられておりますけれども、先ほど申しましたように、これが一番効く。特にその使用の仕方が、パルス療法と言っているのですけれども、初めに大量に与えまして、後少なくするとか、いろいろいま副作用を軽減する方法というのを治療研究班で研究していただいているわけでございます。このステロイドは非常によく効きますけれども、長く使えば必ず副作用が出てくる。これはわかっているわけでございますけれども、こちらの方の病気が非常に重いわけでございますから、使わないわけにはいかない。しかし、その使い方の問題は、これは研究班でひとつ副作用の出ない方法というのを十分研究していただいておるというわけでございます。それからそのほかにも、免疫抑制剤といたしましてアザチオプリンであるとか、あるいは免疫調整剤としてのピシバニールあるいは金製剤、有機ゲルマニウム剤その他そういうふうな、それ以外の薬で効くものがないかというふうなことでいろいろ研究をやっていただいております。しかし、いずれもまだ画期的な成果を見るというふうには至っておらない状況でございます。
○稲葉(誠)分科員 これは、私などの方でもいまこれに悩んでおられる方が若い女の人に非常に多いのですね。私の知っている人もそうなんです。それで会をつくりまして、対策といいますか、そうした問題について自主的に取り組んでいきたい、こういうふうに思って、いろいろ私も研究の中に入れてもらっておるわけなんで、今後そういう事態の進展とともにまた質問をさせていただきたい、こう思います。いずれにしても、こうしたよく原因のわからない病気がだんだんふえてくるわけですね。これは近代化が進むにつれてそういうふうになるのかわかりませんが、そういう点については、厚生省としても十分配慮を願いたい、こういうふうにお願いをしていきます。 そこで、これもまたよくわからないというのか、実は自閉児というのがございますね。今度予算が二億九百万ですか新規についておるのですが、この自閉児というものも、これはまたどういうような原因でなり、どういうものを自閉児と、こういうふうに言っておるわけですか。
○竹内政府委員 自閉症という言葉は、戦後ヨーロッパの方でそういう診断をなされた先生方が数人おられまして、そこらあたりから非常に問題提起が出てきたわけであります。一般的には、これまでむしろ広い意味での精神薄弱児の一つの形としてとらえられておったわけでありますけれども、必ずしもそういう概念ではとらえられない。しかも、これまで、つい最近までは自閉症という問題につきましては、どちらかというと両親の性格であるとか、養育環境、そういったものに起因するのではないかというふうに原因が言われておったわけですけれども、最近の状態を見ますと、学会での報道などを見ますと、胎生期、つまりおなかの中にいるときの母体の異常であるとか、あるいは生まれる前後の障害、あるいは新生児期、乳児期等におきます高熱の疾患あるいはけいれん性の疾患、頭部諸外傷、栄養障害、こういったようなことが原因になって脳細胞への障害を来したということではないかと言われております。 かつ、どういう病気か、態様につきましては、いわば一般論として言えば、どちらかというと内向性で特定の事項に非常に固執をする。それから社会的な適応といいますか、周囲とのなじみというものが非常に薄いといいますか、またなじみにくい。それからまた、抽象的な思考ということの能力については非常に乏しい、つまり数を数えるとか、そういったような抽象的な問題についての感覚は鈍いけれども、具体的なものについては非常にすぐれているというやや特殊な能力があるようでございます。 そういったことで、自閉症も一つの病気というよりも、自閉性症候群という形でむしろとらえられておる。かつ、自閉症という病気についての定義は、現在WHOにおきましてもその疾病の用語定義についてまだ案の段階でございまして、定義づけが正確に世界的な医学水準でもまだなされておりません。しかしながら、具体的な、私どもが今回予算上の措置として取り上げましたのも、むしろ医学的な問題についてはかなり知見が進んでまいっておりますけれども、現実に子供たちの自閉症児を対象として努力をされてきた医学あるいは福祉関係の人たちの成果から見て、私どもも昭和四十六年以来この問題についての研究費を投入してまいったわけであります。その成果に基づきまして、少なくとも社会適応が可能なふうに自閉症の子供たちを療育、福祉的なケアを積み重ねることによって可能だというようなことから、広い意味での精神薄弱児という体系の中で、自閉症児施設というものを予算上いわゆる措置費の体系の中にセットいたしまして、五十五年度に、医療型、従前のもの四カ所ございましたが、そのほかにもう二カ所ぐらい、できれば追加をしたい。まだこれから、建物その他準備をいま進めておるところでございますけれども、福祉型の、いわば医学的なケアよりも福祉的な療育を中心とする施設も二カ所ぐらい、できれば五十五年度中には間に合わしたい。こんなことで予算措置を講じてきた、こういう事情でございます。
○稲葉(誠)分科員 これは現在どの程度いるわけなんですか。 それから、外国でもやはり同じような問題を抱えておるのでしょうか。 それから、その原因はよくわからないらしいですが、何かテレビの見過ぎだなんという説もある。これは通俗的な説なんですが、その子供はテレビばかり見ているので、テレビの見過ぎでこうなるんだという、まあ俗説ですけれども、そういう説もあるわけですね。 そういうようなことについてお答えを願いたいと思うのですが、これは昔からあったのですか、いわゆる近代病というかそういうものの一つとして理解していいのですか。どうでしょうかね、これは。
○竹内政府委員 簡単にお答え申し上げますけれども、患者数につきましては、アメリカのカナーという精神科の先生などの調査結果などによりまして、大体子供が一万人に対して二人ないし二・四人程度の発生率というふうに言われております。そういった数字から見ますと、わが国の児童人口推計からして約七千人程度ではないかと思われます。もちろん、一部、親の会として活動しておられる方々の推計によりますと、約四万という数、そういったところで非常に落差は大きいわけでございますけれども、ただ、一般的に学者の方から伺いますと、四万というのはいささかオーバーで、やはり七千ないし二万程度ではなかろうかというのがいわば定説というよりも通説でございます。 それから原因は、先ほど申しましたように、必ずしも明快に学問的には解明されておりません。初期の段階では、いまお話があったように、テレビの見過ぎであるとか、あるいは住宅環境その他から子供の遊び場がなくなった、子供は結局家の中に閉じ込められてしまう、そういったことが自閉性症候群を助長するんだというようなことも言われましたけれども、ただ、学問的な意味で、つい最近の学会報告に、私どもが承っておるところでは、やはり脳の器質的な障害によるという考え方が、これも定説まではいきませんけれども、支配的な考え方だというふうに聞いております。したがって、養育環境、生活環境といったものも影響はございますけれども、やはり先ほど申しましたように、胎児のときあるいは生まれた直後、そういったときの何らかの障害、一番問題視されておりますのは、高熱を妊婦が発した場合、あるいは赤ちゃんが生まれてからすぐ高熱を発した、そういったことが胎児あるいは乳幼児の脳の器質障害を引き起こすのではないかというふうに言われております。
○稲葉(誠)分科員 いまお話がありましたことに関連して、全体に関連して、今後こういうようないろいろな難病なり、難病にまだ指定されていないけれども、お父さんやお母さんが困っておられるたくさんの問題が日本にはあるわけですね。ことにいまの胎生期の場合、それから幼児の場合の高熱を突然発した場合に、これに対処する方法で完全に治療できる、後へ残らないというような方法としては、日本の医学では完全なものが考えられないのですか。世界でいまどうなのかも知りませんけれども。
○大谷政府委員 高熱を発する原因というのは、大体いまのところウイルス性の疾患ということになっております、昔は細菌性疾患が多うございましたけれども。このウイルス性疾患は最近になって急激に進んできた医学でございまして、恐らくこれからはだんだんとそういう方向が解明されまして、ワクチン等の開発によって予防できるようになれば、恐らくそれは相当減っていくのではないかということが言われております。
○橋本主査 これにて稲葉誠一君の質疑は終了いたしました。 次に、和田一郎君。
○和田(一郎)分科員 私はまず最初に、国民健康保険について質問を行います。 この国保は、各市町村でも一番頭を痛めている問題でもございますし、また、特に地方議員の一人一人が、直接住民と関係する立場上、これは困っているという問題でございます。そういうことで、この国民健康保険についての大臣としての総体的なお考えをまずお聞きをしておきたいと思います。
○石野政府委員 国民健康保険が地域保険といたしまして非常に重要な地位を占めておりますことは、御指摘のとおりでございます。 現在、国民健康保険の抱えている一番大きな問題というのは、一つは老人人口の増加、特に国民健康保険につきましては老人の割合が非常に高いという問題がございます。しかも一人当たりの老人の医療費につきまして見ましても、昭和四十八年当時でございますと医療費に占める率が大体一六%程度でございましたけれども、五十三年の時点で見まするとそれが二九・一%という、三〇%近い数字になっておる。この医療費の上昇に対しまして、御案内のとおり市町村は非常に低所得者層が多いものでございますから、なかなか保険料の負担が苦しい、そのために国民保険の財政というのは非常に苦しい状態になっている、こういう認識でございます。
○和田(一郎)分科員 老人医療もそうでございますが、それを含めまして、その老人医療も中に入っているものですから、現在の段階で考えますと、もうこの辺が、保険税の値上げは恐らくこれ以上はもう無理じゃないだろうかというところがずいぶんある。 いま老人医療が含まれる率が二九%とおっしゃいましたね。これは全国平均でそうだと思いますけれども、老人医療だけで四〇%を超しているところもあるわけです、事業体にしてみれば。ですから、この国保というのは、大体西の方が負担額が低くて、東の方へ行くに従って高くなってまいりますけれども、北海道のある町では、一世帯一年間の負担金が十五万円以上になっているところもあるわけです。こういう点から考えましても、非常にアンバランスだ、そしてこれ以上はもう無理だ、こうなっているのですが、いままで老人医療の問題もずいぶんと前から聞いておりましたけれども、この段階に来てどうするかという問題があるわけでございます。 この三月から、各地方議会では予算議会が始まります。この予算議会で相当数の自治体が、国民健康保険税の値上げということを強いられていく。本当に頭を痛めている。大臣、どうでしょうか。具体的にどうされるおつもりですか。
○野呂国務大臣 住民の保険料の負担を適正化していく、もう限度に来ておるではないかというような御指摘でございますが、そうした保険料の負担の軽減を図っていくためには、やはり医療費の効率的な使用を図らなければならないわけでございます。とりわけ、本格的な高齢化社会を迎えて、老人医療問題について制度的な解決を求めていかなければならない。したがいまして、厚生省といたしましては、今後関係審議会の意見を聞きながら、老人医療制度というものを抜本的につくり上げていくということが大変大事なことである。したがいまして、いまその準備に取りかかっておるというのが実態でございます。
○和田(一郎)分科員 いまの大臣の御答弁ですけれども、これはいま取りかかっているということじゃなくて、私も三、四年前からこの問題をずっと各委員会で取り上げておりますけれども、その時点から老人医療の問題をおっしゃっていらっしゃいましたし、それから老人医療問題懇談会ですか、そういうのが厚生大臣の私的な諮問機関としてある。これはいま委員長席に座っていらっしゃる橋本前厚生大臣の時代からもそうだったと思うし、また、当時の橋本厚生大臣もずいぶんこのことをおっしゃったと聞いておりますし、そういうことで、もう取りかかっているという問題ではないかと思うのですけれども、その点は一体どうなんでしょうか。
○野呂国務大臣 可及的速やかに老人医療制度というものを改正していきたい、そして五十六年から制度改正に取り組んでいくということでいま準備を進めておる、こういうことを申し上げたいと思います。
○和田(一郎)分科員 五十六年といいますと、これは来年ですね。二年前に私が地方行政委員会で質問をしたときに、これは担当の課長さんが見えまして、五十四年からというお話があったと聞いているのです。それは一体どうなっていますか。
○石野政府委員 確かに老人医療制度につきましては、速やかにこれを解決するという基本的な方向で厚生省としては取り組んでまいったつもりでございます。しかしながら、この老人保健医療制度につきましてどういう考え方をもって整理したらいいかにつきましては、いろいろな考え方が実はございます。いまもお話がございましたように、橋本前厚生大臣が橋本試案というものをお出しになったこともございます。また、小沢前々厚生大臣が小沢試案というものを出したこともございます。いずれにいたしましても、いろいろな考え方があり、どの考え方をとれば国民的なコンセンサスを得られるかというのが一番重要な問題でございまして、それにつきましてはできるだけ早く結論を出して、そして五十六年度に向けて解決を図りたいというのが、いまの厚生大臣の答弁でございます。
○和田(一郎)分科員 橋本前厚生大臣に敬意を表しまして……。橋本試案というのはだめだったんですか。
○石野政府委員 御本人を前にしてだめだったかと言われますと答えにくいわけでございますが、その財政調整によって老人医療費を賄うという考え方も確かにあると思うのです。ただ問題は、それがその各保険者の理解を得られるのかどうかということにつきましては、またいろいろな議論もございます。したがいまして、いいか悪いかという判断をここで申し上げるのはいささか問題でございますので、ただ、それは一つの提案であるということについて御答弁させていただきたいわけでございます。
○和田(一郎)分科員 いろいろ老人医療の問題をおっしゃいましたけれども、私は栃木でございますが、栃木県のある一つの市の例でございますが、その市の国保加入者の平均所得が、昭和五十四年度で一世帯百五十八万円である、そして、この一世帯の平均の国民健康保険税の負担額が八万九千円、したがって一人当たりが二万七千円、こうなっているわけでございます。年収三百万円以下の家庭が大体この辺になってくるんじゃないかと思うのですが、結局、いわゆる中流、それ以下。 ですから、この負担というものはとても大変だということと、もう一つは生活保護の関係、免税になるのが生活保護のほか百五十八万ですか、大体それに匹敵するようなのが皆さんに今度はかかってくるという形になるわけです。ですから、老人医療もさることながら、そういう中どころから以下の人のところにぐっとかかっているという方向を考え直す必要があると思うのですが、その点についてはどうでしょう。もう少しこれを公平にやらなければならぬということだと思います。どうでしょう。
○石野政府委員 これは国民健康保険の保険料というものの基本的な認識がまず必要だと思うわけでございます。つまり、その市町村にかかります住民の医療費について全員がそれを負担をするという考え方に立っておるわけでございますので、その市町村内の医療費につきましては、もちろん、できるだけ効率的な使用を図りますけれども、同時に、かかったものにつきましては負担し得る者がすべてを出し合うということが、その負担の公平というものに通ずるわけでございます。したがいまして、一市町村の総医療費が少なければ保険料は少なくて済む、高ければ高くならなければならない、こういうことで、もちろん市町村ごとのアンバランスは生ずるわけでございますが、少なくとも同一の市町村内におきましてはできるだけ公平に分担をするという考え方に立ちますと、低所得者の多い市町村につきましては相当ウエートがかかってくるということは、これもやむを得ないことでございます。それをぎりぎり議論してまいりますると、市町村の国保でいいのかあるいは県営にしなければならぬかという、そういうぎりぎりの議論になってまいるわけでございまして、そうなりますとまたいろんな問題を生ずるわけでございますので、現在の市町村の国保でやる限りにおきましては、所得をできるだけ正確に把握してお互いに分担し合うという基本的な方向でなければならない。そのためにはいまおっしゃったように大変負担のかかる階層も出てくるのも、これもやむを得ない、こういうことでございます。
○和田(一郎)分科員 これも各住人が、とにかく高いという負担感がものすごく強くあるんですよ。それで、大体平均的な世帯で市民税いわゆる住民税ですね、それから固定資産税、いろんな税負担が大体平均四十万だ。その四十万のうちの半分が国保税だ。とにかくこんなに高いんじゃどうしようもないから私たち脱退をしたい、こういうのもずいぶん窓口に殺到するんですよね。これは納入告知書、一枚の紙にばっと書いてありまして、それを分割すると大体四回ぐらいになっておるわけです。今度納税する場合も、始まるのが六月ごろでしょうか、六月か七月あたりから毎月八、九万ずつばんばん払っていく。普通のサラリーマンの御家庭で一カ月に八万から九万、そんなまではないかもしれませんけれども、六万から七万ぐらいですかね、それだけを一カ月払うというのは、これは大変な負担だと思うのです。ですから、そういう納入の方法についてももう少しこれは考えていけないものだろうか、こう思うのですが、それはどうでしょうか。
○石野政府委員 御案内のとおり市町村の保険料の徴収につきましては、前年の所得を対象にいたしまして課税いたすわけでございます。前年の所得の課税しますもとがなかなか早い時期に決まらないということでございまして、そのために四月を過ぎておくれるということがあるわけでございます。これは前年の所得をとる限りはやむを得ないというふうに私ども考えておるわけでございます。
○和田(一郎)分科員 それから、先ほどの老人医療の方は五十六年度からということでございますけれども、去年の暮れでしょうか、大蔵大臣と厚生大臣の覚書、老人医療の見直しであるとかということがございますね。そういうことを含めた上での五十六年度の案であるかどうかということ、これは非常に問題でございますので、われわれは覚書は撤回してもらいたい、こう思っておるわけなんです。いま現在は国民健康保険というところに老人医療かかっておりますけれども、それが切り離されて新しい制度になった場合に新たに老人にたくさんの負担がかかってくるということは、これは私は大変なことだと思うのですね。そういうことを、覚書には足を引っ張られないで、ひとつばっちりとやってもらいたいと思うのですが、その点は大臣どうでしょうか。
○野呂国務大臣 五十五年度の予算編成の際に大蔵大臣と私との間において、しかも官房長官あるいは党三役も交えての政府・与党間の三つの問題について認識を確認したということでありまして、これを世に覚書と指摘されておるわけでありますが、私は、覚書という性格のものであるかどうか、さようには感じてないわけでございます。したがいまして、老人医療制度につきましても、長期にわたって、本格的な老齢化社会を迎えておるわけでございますから、今後そういう認識のもとに老人医療制度を抜本的にひとつ見直していくということが大事である。一部負担の問題とか、そういうものも含めてはおりますけれども、単に財政的見地だけから老人医療制度を今後やっていくのだということではないのでございます。これは長期的な立場に立って本当に老人福祉の上にも十分貢献できるような、そういうりっぱな老人医療制度というものを五十六年から発足したい、こういう考え方でございます。必ずしも、福祉の後退だと言われるような覚書ではございません。お互いに大事な問題であるという認識の確認であった、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○和田(一郎)分科員 もう一つ確認の意味で申し上げますけれども、五十六年度から新しい老人医療制度を発足する。そうしますと、あと一年しかないわけですから、相当詰まっておると思うのですけれども、五十六年の四月からのいわゆる会計年度の始まりから始まるという意味なんでしょうか、その点どうでしょうか。
○野呂国務大臣 そのようにいたしたいということでいま取り組んでおる、こういうことでございます。また、関係審議会にも意見を徴すという準備に入っておるわけでございます。
○和田(一郎)分科員 国保の問題はそれで終わります。 次に、しばらく前に、えさ用の牛肉が食卓に出回ったという事件がございました。病死した家畜、これは当然飼料用の肉として動物の方に回るわけなんですけれども、それが食卓に出回った、こういうことが大きく報道されました。そして警察庁の方でも一生懸命捜査されていらっしゃるようでありますが、その点について、まず警察庁の方から現況をお知らせ願いたいと思います。
○斉藤説明員 ただいまお尋ねの件は、現在神奈川県警におきまして捜査中の、斃死牛肉を食用として販売した食品衛生法違反事件のことと思いますが、この種の事件につきましては、兵庫県下におきましてもございまして、現在捜査中でございます。また昨年、五十四年中には三件、具体的には北海道、群馬、山口、さらに一昨年、五十三年中には一件、北海道におきまして検挙いたしております。 警察はこの種の事案に対しましては、国民の保健衛生上の観点から、本来食用に供し得ないものでございますので、できる限り早い時期に販売ルートを解明いたしまして、刑事手続によりまして現物を押収し、消費ルートに乗せないということを捜査の基本方針といたしまして、まず販売ルートを押さえておるわけでございます。 なお、これらの事件捜査を通じまして、これを食用に供したために人の健康を害したというような実害の発生については承知いたしておりません。 さて、お尋ねの、神奈川県におきます飼料用牛肉を食肉用に不正流用した事案の概要でございますが、神奈川県警におきましては昨年八月ごろ、斃死した牛肉を食用として販売しておる旨の情報を入手いたしまして、以来内偵捜査を続けておりましたが、本年の二月に事件の検挙に着手いたしたわけでございます。現在までに関係個所三十数カ所捜索いたしまして、斃死の疑いのある牛肉約十数トンを押収いたしますとともに、食品衛生法第五条違反の疑いで関係被疑者二名を逮捕いたしております。被疑者二名の逮捕容疑は、これらは共謀いたしまして、昨年の十月ごろから本年二月ごろまでの間、前後三回にわたり、斃死した牛肉数十トン、これは逮捕事実立証されたもののみでございます、数十トンを関東、中部、近畿地方の食品会社、食品ブローカーに販売し食用に供した疑いでございます。 これまでの捜査によりますと、被疑者らは昨年の六月ごろから、北海道の斃獣処理業者等から斃死した牛肉数十トンをフェリーで運搬しまして、これを関東、中部、近畿地方の食品会社等に販売をした疑いがあり、現在までの捜査によりますと、販売の過程で、被疑者等からこの牛肉を購入した食品会社等が食品に供し得ないとして返品されておるものが相当ございます。しかしながら、これら斃死した牛肉の一部はすでに消費者に販売された可能性がきわめて強いという状況でございます。
○和田(一郎)分科員 これは重大な問題でございまして、以前に、ワクチンをとった後の豚を出したという話も聞きましたし、ワクチンというのですからちょっとわかりませんけれども、そういうもの。これは、いまちょっと御説明を承りましたが、今回が初めてじゃなくて、前に北海道だとか群馬だとか山口ですか、これはもう一遍ちょっと、昭和何年ということを教えてください。
○斉藤説明員 私どもが把握しておりますものは、昨年中が三件で、北海道と群馬、山口。一昨年五十三年中が北海道一件であります。
○和田(一郎)分科員 ということになりますと、相当の量が以前から出回っているんじゃないだろうかという疑いが持たれますけれども、これはゆゆしき問題でございまして、食用、われわれの口の中に入るということでございますし、いままで人体に与えた影響はないようなことでございましたけれども、こんなに気持ちの悪い問題もありませんし、一番危険な問題じゃないだろうかと思います。その点について厚生省の対策をお聞きしたいと思います。
○榊政府委員 お答えします。 ただいまのお話でございますが、斃死した獣畜の肉を食用に供する目的で販売することは、これは食品衛生法で禁止されております。食肉関係業に対する監視、指導は食品衛生法でいろいろ行っているわけですが、そういった意味から、かねて私どもとしても、十分意を用いてやるよう、いろいろ指導をいたしておるところでございます。 今回の事件でございますが、私ども、神奈川県を通じまして神奈川県警から得られた情報を実は関係県に直ちに通知いたしておりまして、食肉の処理あるいは販売施設等に対する立入検査等を強化するように指示いたしておるところでございます。
○和田(一郎)分科員 よくわかりますけれども、普通の食用の場合は公認の、公共団体のやっておるところの屠畜場であるとか、またはちゃんと認められたところから出ていく。これはわかりますね。それ以外に、こういう斃死したものに対してのルートですね、これはもう少しぴしっとできないものかどうか。いつの間にかどこへ行ったかわからぬという。しかも、いいところの部分だとまぜてしまってわからないようですね。すると、そういうものを案外皆さん方も食べていらっしゃるかもわからない。こうなってまいりますと、これはこのままで引き下がれない問題でありますので、もう少しこのルートを考えていくべきじゃないだろうかと思うのですけれども、どうでしょう。
○榊政府委員 実は、御指摘ございますように以前にもこういった問題もございまして、私どもとしてはその都度いろいろ、いま御指摘ありました、こういうものが流通する一つのルートというふうなものも、今後の監視、指導に当たっての一つの重要な参考とさしていただきまして、そういった意味から、先ほど申し上げました食肉関係に対する監視、指導というふうなことも、そういうものを一つの参考にして強化するというふうなことで、いろいろ指示をいたしておるところでございます。しかし、こういった事案が出ますことは、私どもとしてもさらにそういった意味での監視、指導なり、ルートの解明というふうなものについても、これは警察当局等のいろいろ御協力も得なければなりませんけれども、そういった意味でさらに意を用いて強化していきたい、こういうふうに思っております。
○和田(一郎)分科員 大臣、この問題は大変な問題でございまして、いまの、警察の方で摘発できた問題はいいと思いますよ。できないものは一体どうするかということでございまして、これはけしからぬ話ですよね。しかも相当もうかるでしょう、やったやつは。いま局長さんの御答弁はわかりましたけれども、それをもっと、何らかの方法はないんでしょうかね、そんなにあちらにもこちらにも転がっているものじゃないんですからね。この問題については、ひとつ大臣としてもお考えを述べていただきたいと思います。
○野呂国務大臣 御指摘のこの事件は大変遺憾なことでございまして、今後こういう悪質なことが起こらないようにどう対応していくか。先ほど局長からお答え申し上げておりますとおり、食品衛生法によります臨検検査、これを徹底するということが一つ。しかし、逃げていくという形でやみからやみへ葬っていこうという行為でありますから、その監視体制をやはり十分整えていくということ以外にないわけでございます。都道府県に対しては、もっと監視を厳重にし、そういう事態が起こらないように十分指導をしていくということでなかろうかと考えるのであります。ただ、臨検検査とかあるいは監視、指導強化というものが果たして徹底していくのかどうか、これはもう十分厚生省としても意を用いて、これの監視体制というものを強化していかなければならぬというふうに考える次第でございます。
○和田(一郎)分科員 とにかく、こういうものが今後絶対出ないように、ひとつ大臣のお力でやってもらいたいと思うのですよ。お願いします、それは。どうですか。もう一遍答えてください。
○野呂国務大臣 これは大変むずかしいことでございますが、できるだけ、そういう悪質な事案が発生しないように努力をいたしたいと思います。
○和田(一郎)分科員 これから野呂厚生大臣の御尽力で安心して肉を食えるようにひとつ、大臣の顔を思い浮かべながら肉を食うのじゃうまくないですからね、お願いいたします。 次は、市町村の保健センターというのが、これは五十三年からでしょうか、始まりましたね。これはよくわかるのですけれども、時間がありませんので端的にお願いしたいのですが、まず、県の保健所とこの市町村の保健センターとのかね合いは一体どうなのかということです。
○大谷政府委員 市町村保健センターは、地域住民に密着した身近な対人保健サービスを実施する、保健所は、現在いろいろな衛生法規で定められております知事権限に伴います対人保健サービスを実施する、こういうふうになっているわけでございます。
○和田(一郎)分科員 それで、保健婦なんですけれども、聞くところによりますと、厚生省としてはこの保健センターに配るところの保健婦さんの枠、これは間違っているかもわかりませんが、五十四年では全国で九名しか枠がなかったという話を聞いているんですけれども、それから五十五年も一名なんという話があるんですけれども、この辺のところはどうなっていますか。
○大谷政府委員 保健センターは市町村で設置いたしますが、これはいろいろな保健サービスを実施する場でありまして、ここに職員を置いて実施するというものではございませんで、市町村が保健婦を雇うということになっておるわけでございます。もちろん、一番活動されるのは保健婦さん方が多いのでありますけれども、そのほかに栄養士さんでありますとかワーカーの方でありますとか、そのほかボランティアの方、いろいろな方が、老人を初めとして地域住民のいろいろな方々に、センターを利用して対人保健サービスを展開する、こういうふうになっておるわけでございます。
○和田(一郎)分科員 一分しかありませんけれども、保健婦に対するいわゆる補助金というものが出ているわけでしょう。その枠が五十五年で一名しかないという話を聞いているんですけれども、それはどうなんでしょう。
○大谷政府委員 結果的には増減なしと、こういうことになっているわけでございます。
○橋本主査 時間ですから締めくくってください。
○和田(一郎)分科員 これは問題でございまして、その点は今後大いに検討してもらいたいと思いますが、大臣、ちょっとそのことでお答え願えれば終わりますから。
○野呂国務大臣 市町村保健センターの設置計画というものは、最終的には、これは五十三年から始まりまして十年を予定しながら整備を進めておるわけでございまして、その内容につきましても、大変これは地域住民に密着した問題でございますし、十分その機能が果たし得るように今後整備計画を進めたい、かように考えております。
○和田(一郎)分科員 終わります。 〔主査退席、津島主査代理着席〕
○津島主査代理 これにて和田一郎君の質疑は終了いたしました。 次に、木下元二君。
○木下(元)分科員 私は、身体障害者のための公共交通機関の設備改善の問題について質問をいたします。 まず、厚生大臣に基本的なことを伺いたいと思っております。 心身に障害を持つ人々が社会人としてできる限り通常の社会生活が行えるように社会環境の改善を図っていくことは、今日大きな課題になっていると思います。心身障害者を取り巻く社会環境改善の問題は、たとえば住宅や道路、公共建物や交通機関の利用、こういうように広い範囲にわたるわけでありますが、要は心身障害者のハンディをなくし、もしくは縮めていくための改善が求められていると思います。この点、すでに心身障害者対策基本法第二十二条で、心身障害者のための住宅の確保、整備や交通施設その他の公共的施設の整備等について必要な施策を講ずべきことを国及び地方公共団体に義務づけているところであります。しかも、来年はいよいよ国際障害者年を迎えるわけであります。この年を迎えてから障害者問題に取り組むというのでは遅きに失すると思います。障害者年までに十全の研究なり計画なり対策が推進されていくことが必要ではないかと思うのであります。ところが、現実は取り組みが大変おくれております。逐次進められてはきましたけれども、まだまだおくれておると思うのであります。この点、厚生省はどのように認識をしておられるでしょうか。障害者問題に取り組む基本的な考え方とあわせて述べていただきたいと思います。
○野呂国務大臣 来年は国際障害者年でございます。このテーマは御承知のとおり障害者の完全参加と平等ということでございまして、このことは、障害者が家庭や地域におきまして一般の方と同様に日常生活を営める社会をつくり上げるということにあることは言うまでもありません。したがって、こういう理念のもとに、厚生省といたしましては、国連決議の趣旨も踏まえながら関係各省と十分連携をとって、五十六年を障害者対策の前進の大きな契機にしていきたい、その準備体制を来年少なくも進めていかなければならないということでございます。 いろいろ先ほども御指摘になりましたように、障害者を取り巻く社会環境というものはまだまだ十分整備されていない。したがいまして、福祉の立場からでなくて、交通、住宅、雇用、諸般の行政的な努力が相またなければならないことは言うまでもないのでございます。したがいまして、昭和四十五年に心身障害者対策の総合的な推進を図ることを目的といたしまして心身障害者対策基本法が設定されておるわけでありまして、その制定に基づきまして中央心身障害者対策協議会が設置されておるわけで、いまのところ、この総合的な施策の樹立とともに、こういう機関が中心になってこの推進を図っておるということでございます。厚生省といたしましても、今後とも中央心身障害者対策協議会の事務局を担当いたしておるわけでございますので、各関係省庁と十分協力し合いまして機能を発揮してまいりたい。そして障害者の福祉、環境改善に取り組んでまいる所存でございます。
○木下(元)分科員 そこで問題点に入って、公共交通機関の設備改善について運輸省に尋ねたいと思います。 国鉄、民鉄の駅におきまして身体障害者に対する施設整備はどの程度進んでおるでしょうか。その現状のごくあらましで結構ですから、時間の関係もありますので簡単にお答えいただきたいと思います。
○岩田説明員 国鉄及び民鉄における整備の状況は次のとおりでございます。 これは昭和五十三年度末の数字でございまして、まだ五十四年度末の数字はできておりませんので五十三年度末で申し上げますと、国鉄の関係でございますが、視覚障害者対策といたしまして、まず点字ブロックが設置されている駅は二百十八駅でございます。券売機の点字テープが備えられている駅が百十九駅、点字運賃表がございますのが六十三駅、安全手すりの番線案内、一番線、二番線という案内でございますが、これが標示されている駅が四十三駅、その他諸施設がございますのが六十駅。車いす利用者対策といたしまして、車いすの専用トイレがございますのが四十九駅、改札口を拡幅いたしまして車いすのまま入れるような状態にいたしておりますのが八十八駅、それから新幹線につきましては、車いすの関係設備がございますのが九十九編成でございます。 民鉄につきましては、視覚障害者対策といたしまして、点字ブロックは百七十一駅、券売機の点字テープが備えてございますのは五百二十五駅、その他八十七駅となっております。それから民鉄関係の車いす利用者対策といたしましては、専用トイレが設置されておりますのが九駅、改札口の拡幅が行われておりますのが四百十一駅、その他諸設備がございますのが二百十六駅となっております。
○木下(元)分科員 国鉄の駅数はいかほどでしょうか。また、民鉄の大手十四社の駅数はいかほどでしょうか。
○岩田説明員 国鉄が旅客を取り扱っております駅が五千百八十四駅でございます。それから民鉄でございますが、これは大手十四社だけでございますが、千七百四駅でございます。
○木下(元)分科員 駅数が多いわりには対策がなされた駅はきわめて少ないように思うのです。どういう駅から対策を進めてこられたのでしょうか。簡単で結構です。
○岩田説明員 このような施設につきましては、私どもといたしましては基本的には各鉄道事業者の身障者の利用の多寡による判断にゆだねているところでございますが、国鉄及び民鉄における身障者施設は、ここ数年かなり着実に整備されてきているというふうに私どもは考えております。
○木下(元)分科員 そこで、障害者の利用の多寡による判断ということを言われましたが、障害者の利用頻度が高い駅について対策をとってきたということだと思います。そこで、問題は利用頻度が高いか高くないのかという尺度と申しますか、基準はあるのでしょうか。
○岩田説明員 ただいま特にたとえば何人の利用者がある場合にはどうということについては決められておりませんが、国鉄なり民鉄のそれぞれの判断によって利用者の多寡ということは判断されております。
○木下(元)分科員 申すまでもなく全駅にわたって対策が施されることが必要なわけでありますが、それが一度にできないとすれば、障害者の利用頻度が高い駅から順次対策を進めてゆく、これはやむを得ないことだと思います。よくわかるわけであります。 ただ、その場合利用頻度が高いというのはどの程度の利用者がいる場合かというおおよその基準を設けておくことがよいのではないかと思うのです。どの程度の利用者があれば高いのか高くないのかということを駅側の全く主観的な判断に任せておくことはよろしくないと思うわけであります。ぜひそういう基準をつくっていただきたいところであります。もとよりその基準というのはできる限り障害者の利便を図るという観点に立って設けていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
○岩田説明員 基本的にはそういう方向で考えていきたいと私どもは考えておりますが、今後とも関係行政機関と緊密に連携をいたしまして、身障者の鉄道利用状況等を考慮しつつ、かつまたその身障者の態様と申しますか、どういう態様の身障者の方であるのか、どれほど利用されているのか、それからもう一つは、既存の駅に新たに施設を設けるということになりますといろいろな問題がございます。新しい駅を設置するというような場合には、そういう点について考慮を払うことは比較的簡単でございます。したがって、いま申し上げましたようないろいろな事情をも勘案しつつ、そういうことにつきまして関係行政機関と緊密に連絡をとりながらそういうことを考えて検討してまいりたい、こういうふうに思います。
○木下(元)分科員 結構です。 それから、たとえば点字運賃表とか点字時刻表あるいは安全手すり、こういったものの設置の費用というものはそう大きくないと思うのです。私が運輸省の方に調べてもらったところによりますと、点字時刻表、これは型の大小によって幾らか差はあるようですが一つ十万円、点字運賃表が二万五千円、安全手すりへの番線案内表示の貼付については一メートル当たり二万円というふうに聞いております。そう高くないわけであります。視覚障害者の社会生活を何とか守ってやろう、こういう温かい配慮がありますならば、こういう対策はもっともっと進むと思うのです。ところが、先ほども報告をしていただきましたように、どうも余りにも少ないと思うのですね。点字運賃表は五千百八十四駅あるうちにわずか六十三駅、安全手すりは四十三駅、点字時刻表は五駅、こういうのを私はもっとつくっていただきたい、思い切って改善をするように取り組んでもらいたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
○岩田説明員 先ほどもちょっとお答え申し上げたと思いますが、今後とも関係行政機関と連絡をとりまして、身障者の鉄道利用状況等を考慮しつつ所要の施設の整備を図るようできるだけの指導をしてまいりたい、こういうふうに思います。
○木下(元)分科員 そういう抽象的におっしゃるのはよくわかるのですが、私がいま指摘をしましたようなやろうという気があればすぐにでもできるようなものが幾つも多くあるわけなんですが、非常に取り組みがおくれておるわけでありますから、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいということを重ねてお願いしたいのですが、よろしいですか。やってもらえますか。
○岩田説明員 私どもも、実は身体障害者に対する施設の整備ということで、五十三年十二月に民鉄の運賃改定をいたしましたときにそういうような通達を出しております。先ほど五十三年度の数字を申し上げましたが、五十四年度につきましてはまだ数字が出ておりませんが、その間のこれからの予定も含めましてつくられると思われる数字を考えますと、相当一生懸命やっているというふうに判断しておりまして、さらに進めていきたいと考えております。
○木下(元)分科員 それから、点字ブロックの問題であります。これは他の施設整備に比べまして数は多いのであります。国鉄の場合二百十八駅ということでありますが、これもまだまだ十分ではございません。国鉄について阪神間で見ますと、点字ブロックが設置されている駅は大阪、西ノ宮、六甲道、灘、元町、神戸この六駅、全部で十四駅あるうち六駅であります。しかも大阪、神戸両市の区域を除いた阪神間の駅は尼崎、立花、甲子園、西ノ宮、芦屋、五駅あるわけでありますが、そのうち点字ブロックのある駅は西ノ宮だけであります。それに比べますと私鉄の方はずっと進んでおるのです。詳しいことは申しませんが、たとえば阪急神戸線の十四駅中十一駅が設置済みであります。国鉄阪神間の各駅とも乗降客は大変多いのです。立花駅は一日五万六千人、尼崎駅は四万人おります。まずこの立花、尼崎駅にぜひこれを設置してもらいたいと思うのですが、何とかやってもらえないでしょうか。
○岩田説明員 ただいま先生のお話がございました点でございますが、ちょっと訂正させていただきますと、点字ブロックを設置している駅でございますが、西ノ宮、三宮、元町、神戸、六甲道、灘という六駅が点字ブロックを設置いたしております。 なお、立花駅と尼崎駅の件でございますが、これにつきましては実情をよく調べまして検討するように国鉄の方に伝えたい、こういうふうに思っております。
○木下(元)分科員 これはどうでもいいことですが、三宮駅は私聞いたところ駅を改造するということで、改造に際してこれから設置をするというふうに聞いておるのですが、それは結構です。この予算委員会分科会で強い要望が出たことを国鉄当局に伝えていただきまして、速やかにこれが実現できますようにひとつ取り計らってもらいたいと思います。よろしいですか。一言お願いしたいと思います。
○岩田説明員 実情をよく調べて検討するよう国鉄の方に指導したいと思っております。
○木下(元)分科員 厚生省にもお願いをしたいのでありますが、点字ブロックは駅のほかに公共施設であるとか道路であるとかいろいろと設置をされております。ところが、この点字ブロックの用い方が全国的にどうも統一をされていないようであります。たとえば国鉄の駅で申しますと、真ん丸の形のものがプラットホームで危険を示す白線がわりのような役割りで使われております。楕円形のものが改札の方に誘導をする、そういう誘導用に使われておるようであります。しかし、こういうような使用は公共施設や道路などいろいろなものも含めましてすべてどこでも同じというようにはなっていないようであります。統一された基準がつくられていないのではないかと思います。それから点字ブロックの長さなども一定していないようであります。これでは私、視力障害者が困ると思うのです。幾ら点字ブロックがありましても安心して歩行できないということにもなりかねません。全国どこへ行っても同じ規格の点字ブロックが統一された使用法で使われることがぜひ必要ではないかと思うのです。できる限り早くこれが実現できますように対策を講じてほしいと思うのであります。いかがでしょうか。
○山下政府委員 視覚障害者用の誘導ブロックの形状や設置方法、これが統一されていないために不便を感じておるという声は障害者団体からも承っておりまして、私どもといたしましても、その統一化の必要性ということを承知いたしておる次第でございます。この問題につきましては、建設省や運輸省初め関係各省庁、各団体相集まりまして協議をいたしまして、統一の方向を見出すことが望ましい、このように考えますので、私ども所望いたしておりますが、先ほど大臣のお話にもございましたような中央心身障害者対策協議会、こういった場等もかりまして協議を進めてまいるようにいたしたいと思います。 従来の経緯といたしましては、一応標準的な参考例を国鉄やあるいは運輸省、建設省あたりで示されたこともあるようですが、地域によりましてそこの地域の障害者団体の方々がこういう形にしてくれというような要望もありまして、そういったことがいまおっしゃったような現実になってきていると思いますが、大勢の方向といたしまして全国統一的な形になっていくことは非常に望ましいと私どもも思いますので、そのような方向で努力させていただきたいと思います。
○木下(元)分科員 この対策協議会で協議を進めたいというお答えでございますので、ぜひひとつ積極的に、そして早くやっていただきたいと思うのです。大体これはいつごろまでにできるでしょうか。来年は障害者年でございますが、ひとつ何とか障害者年に間に合うように——これは基準をつくるということですから、それはやはり数回協議を重ねてということになろうと思いますが、そうすぐにそれを全国的にも普及して実現をというところまで私は言っていないわけです。統一した基準をつくるということですね。これはそんなに時間がかかることではないと思うのでありますが、ひとつ障害者年を迎えるまでに何とかやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○山下政府委員 時限を切っていつまでにということをこの場で明確に申し上げる状態にまだございませんが、私ども厚生省といたしましては、できるだけ早く呼びかけまして、その結論がなるべく早く出るように努力をいたしたいと考えます。
○木下(元)分科員 できるだけ早くできるように最大の努力を払っていただきたいと思いますが、大臣よろしいでしょうか。
○野呂国務大臣 点字ブロックの形状あるいは設置に対して統一基準を取り急ぎつくるべきではないか、こういうことでございますが、こうした身体障害者の対策に対しては、国際年を迎えるわけですから準備を急いでやっていかなければならぬということでありますので、中央心身障害者対策協議会の場を用いまして十分これに対して取り組んでまいりたい、かように考えます。
○木下(元)分科員 最後に一言申し上げますが、私の方からも指摘をしましたように、国鉄の対策などはずいぶんおくれておるのではないかと思うのです。心身障害者対策は、中央心身障害者対策協議会が担当をされておるわけでありますが、私はどうもその取り組みは決して十分ではないと思うのです。それが国鉄の駅対策などに反映しておるのではないか、こういうように思うわけであります。 五十三年十二月に、この対策協議会の第三プロジェクトチームというのがありまして、これが「心身障害者の生活環境改善の方向」と題する文書をお出しになりました。これによりますと、公共交通機関について「施策の現状」で触れた上で、「問題点及び今後の課題」という項目で述べておられますけれども、どうもこの中身は、私はっきり申しまして、はなはだ不十分ではないか、こういうふうに感じております。もっと現状のおくれを鋭く指摘をして、思い切ってこうやれと核心をついた方向づけをするべきではないか、こういうように私、感じております。この対策協議会の事務局は厚生省ということでありますが、厚生省がひとつリーダーシップを発揮して本腰を入れて抜本的な障害者対策を進めていただきたいと強く要請をするわけであります。厚生大臣、いかがでしょうか、所信を最後に明らかにしていただきたいのです。
○野呂国務大臣 最初にお答え申し上げましたとおり、五十六年こそ身体障害者に対する対策の新しい前進の契機である、こういうために準備を進めておるわけでございまして、決して怠っておるわけではございません。プロジェクトチームも第一プロジェクト、第二プロジェクト、第三プロジェクト、いろいろ三つに分けて具体的に取り組んでおるわけであります。しかし、御指摘のようにこの問題については積極的に取り組んで、障害者の方々の福祉の増進の上に布石をしてまいりたい、こういうことでございます。
○木下(元)分科員 お答えがスムーズにいただけましたので、ちょっと時間が余りましたけれども、これで終わります。
○津島主査代理 これにて木下元二君の質疑は終了いたしました。 次に、小沢貞孝君。
○小沢(貞)分科員 私は、大臣に聞いていただきたいが、最近の油の高騰で庶民に一番親しまれておる、低所得階層がよりどころとしておる公衆浴場が転業、倒産という重大事態に立ち至っております。この問題について、わずかな時間でありますが、質問をいたしたいと思います。これは長い間の運動であります。野呂厚生大臣の時期にぜひ抜本対策を立てていただくようにお願いをいたしたいと思います。 そこで、具体的に御質問を申し上げますが、最近の油の高騰と、もう一つは自家用ふろがだんだん普及してきたということで、浴場の経営は大変悪化して倒産、転業が続いておるわけであります。ここ数年間あるいは十年間ぐらいの統計がありましたら、簡単に御発言をいただきたいと思います。
○榊政府委員 お答えいたします。 手元に五カ年の統計を持っておりますが、最近いまお話がございましたような利用者の減少などによりまして相当数の公衆浴場が減少いたしております。過去五カ年で見ますと、三千四百二十五カ所減っております。これは一年平均にいたしますと六百八十五カ所ほどになるわけでございますが、そういったことで昭和五十三年の十二月末現在で一万六千六百八十六カ所ということになっております。
○小沢(貞)分科員 昭和四十年から比較すると約七割三分、こういうふうに昭和五十三年で減ってしまっておるわけで、その後の統計が厚生省にないと思いますので、いま大臣と局長のお手元に資料を差し上げました。これは去年の二月からことしの二月までの状況、全国都道府県の一覧表を出したわけでございます。その二枚目の最後のトータルのところを見ていただきたいと思いますが、三県においては転廃業なし、未提出の県が八県、それで三百十七軒に未提出の八県分を加えると大体三百五十軒、三百六十軒ぐらいのものが転業、廃業しているわけであります。これは一日について一軒ずつであります。あの公衆浴場が一日一軒ずついまつぶれているという、この最大の危機に直面しているわけであります。どうぞそういう認識の上に立って、ひとつこれから私の質問に対して御答弁をいただきたいと思いますが、厚生省では、いかなる理由でこの転廃業になっていくかということを分析して、手元に何か資料がありましたら発表していただきたいと思います。
○榊政府委員 ただいまの転廃業の理由でございますけれども、現在最も多いのは利用者の減少というのが五〇%程度でございます。さらに、これはいろいろダブルでといいますか、理由が二つ三つ重なることもございますので、パーセンテージにつきましてはお許しいただきたいと思いますが、企業的不採算という理由を挙げておりますのが四一%でございます。それから、最近におきます重油高騰というふうなもので経営上の不安は二六%というふうな数字が出ております。
○小沢(貞)分科員 大臣、このやめていっちゃう理由の一番大きいのは、おふろに入る人が少なくなったというのが五〇%で最高のことであります。その次に、厚生省、この統計には恐らくしかと出ていないと思いますが、一番後で、いま表を差し上げたように、去年からことしにかけて油の高騰でどうにも経営が成り立っていかない、これは両者相うらはらのものだと思いますが、そういう原因によって、この公衆浴場というものはいまもう壊滅的な打撃を受ける関頭に実は立っておるわけであります。 後からだんだん御質問申し上げますが、さしあたって、しからばことしといいますか、五十五年度においては厚生省はどういう施策を立てているか、御発表いただきたいと思います。
○榊政府委員 五十五年度の施策でございますが、先生お示しのように、最近の燃料費を初めとする諸経費の高騰あるいは利用者の減少などによりまして、経営が非常に困難になっておりまして、年々転廃業が続出するというふうなことでございます。しかし、依然として公衆浴場を利用しております人たちも相当多く存在するわけでございます。そういうことで、従来から、御承知のとおり、環境衛生金融公庫によります融資制度の充実あるいは税制面での改善措置というふうなことを私どもとしてはやっておるわけでございます。そういうふうなことによりまして、施設の近代化とかあるいは営業コストの低減というふうなことで何とか公衆浴場を確保しようということで努めておるわけでございます。五十五年度におきましては、これは公衆浴場におきます固定資産税の軽減、それから燃料の重油の上昇ということに対応するために一つの省エネルギーを進めるというふうなことで、ソーラーシステムについての開発調査研究というふうなものも新しい予算としてお願いをしています。実は、五十四年度の事業といたしまして、公衆浴場確保対策調査研究というふうなものをやっておりますが、今後さらにこれらの結果を踏まえまして、今後の公衆浴場の確保のための方策について検討していこうというふうに考えております。
○小沢(貞)分科員 固定資産税の軽減等、あるいはソーラーシステムのあれで燃料の節約の調査研究等、いろいろ厚生省としても御努力いただいていることを感謝を申し上げます。ただ、ソーラーシステム、これから研究をしてということになると、一体いつになったら実用できるかということは、いま関頭に立たせられておる浴場の人にとっては、これは高ねの花であって遠いところの夢である。いまの間に合わないわけであります。一体このソーラーシステムはどういうことでいつごろからどういう実用に供せられるだろうか、とても答弁できないかもしれませんが、もし構想があったらお知らせいただきたいと思います。
○榊政府委員 現在各地で、まだ数は少ないわけでございますが、数軒、すでにソーラーシステムを設置いたしておる浴場がございます。私どもの方といたしましては、まずそういった公衆浴場の実態を調査したいということでございまして、その中でソーラーシステムについての基本的な考え方というふうなものを確立したい、こういうふうに思っておるわけでございます。 一応各種の調査項目として現在考えておりますのは、環境条件といいますか、日射量とかあるいはソーラーシステムによります水温との関係とかいろいろございますが、さらにエネルギーの節減度合いというふうなものがどういうような形で行われるか、そういうふうなことも調べたいと思っております。それから、経費の問題ですが、これはいろいろ補助熱源との関係、それから実際システムを採用する場合の建物構造とかいうふうな問題についても調べていこう、いま申し上げましたのは、まだすっかり詰まったお話でございませんけれども、今回の調査に当たっては一応いま申し上げたようなことを研究調査をしていきたい、こういうふうに思っております。
○小沢(貞)分科員 大臣、実は私は公衆浴場問題について前から関心を持っておったわけですが、厚生省はこういうことをやってきているわけであります。 公衆浴場問題懇談会、これは昭和四十五年九月から検討をして、昭和四十七年七月二十七日に厚生大臣に答申を出しております。いまから約十年前であります。それからその次には、公衆浴場確保対策検討委員会、これは昭和四十九年六月から検討委員会を開いて、二年半かけて五十一年十一月、環境衛生局長に答申を出しております。その中には、公的助成、地方交付税でめんどうを見ろとか、これは後で時間があったら申し上げますけれども、そういうことが出ております。それから三番目は業界自体がやりましたが、昭和五十二年十一月からやって、公衆浴場確保対策推進に関する報告を五十三年三月二十九日に、公衆浴場の関係の人がみずからどうしたらいいかという取りまとめをしたわけであります。そうしてまた、いま局長から御答弁があったように、ことしの予算において公衆浴場確保対策調査研究事業ということで、聞くところによると、三菱総合研究所にことしの三月で答申をしてくれるように、こういうようないろいろなことをずっとやってきていただいた労苦は多とするわけですが、私たちちょっと客観的に見ておると、これだけ浴場が危機にある中で調査研究、諮問、そういうことだけを十年間にわたってやってきただけではないか。厚生省の局長もかわるし担当者もかわっていますから、前からの歴史はおわかりではないかもしれませんが、諮問をしたり、調査をしたり、研究したり、答申させたり、こういうことだけをやっている間に、先ほど局長さんから御答弁いただいたように、浴場はことしに入っては二割、三割と急ピッチに倒産をしていくというのが現実であります。どうぞそういうことを踏まえた上で、大臣からひとつ抜本的な対策をぜひ御考慮いただきたいと思います。 そこで、昭和四十九年六月から始まって五十一年十一月十六日、環境衛生局長に答申した公衆浴場確保対策検討委員会、その答申の中の六ページに「ウ」として「公的助成」という項目があるわけであります。お手元に資料がないと思いますから、簡単ですから、私ちょっと読み上げてみます。「現在の公衆浴場に対する公的助成をみると環境衛生金融公庫による融資、地方公共団体による利子補給、基幹設備、共同購入事業への補助、上下水道料金の軽減等の施策が行われており、これらの諸施策は、いずれも経営の安定に役立ってきたといえるが、ひきつづき一層推進されなければならない。」これからです。「今後、公衆浴場営業に係る国税、地方税については、現在講じられている措置以上に一層の軽減措置を講ずるとともに、」ここです。「地方公共団体の助成に対応し地方交付税による措置を考慮することが望ましい。」先ほど局長から答弁があったように、ことしまた固定資産税を軽減していただくとか、税やその他のことや融資のことについてはなるほどいろいろ講じてきていただいておりましたが、屋台骨がつぶれていってしまうということについて、一番ここで手を差し伸べなければならないのは、ここにうたわれているように「地方交付税による措置を考慮することが望ましい。」こういうことであります。これが行われていないわけであります。 ちょっと大臣、見ていただきたい。実はそこに分厚くあるのが、地方公共団体が大変財政の苦しい中にもかかわらず利子補給だとか燃料に対する直接助成だとか、それだけ分厚い資料の中にあるような、各都道府県、市町村は自分の地域住民のために浴場確保のために努力をしてきているわけで、それが実績であります。それに対して、一番大事なのは地方交付税あるいは特交、これで裏づけをしてやらないというところにこの浴場の救済対策が遅々として進まないという根本問題がひそんでおるのではないか、私はこう思います。 そこで、大臣に御質問する前に、自治省は、これは五十一年十一月の答申でありますが、これに対していままで地方交付税、特交等で裏打ちをしなければならないとかいうようなことを検討されたかどうか。
○津田説明員 先生御承知のとおり、地方交付税の性格は地方団体の固有の財源でございますし、地方団体に公平に配分しなければいかぬ、こういうようなものでございます。それで、その中で普通交付税と特別交付税があるわけでございますが、普通交付税の方は、御承知のとおり、人口だとか学校数だとか生徒数というようなもので客観的にやる。しかし、冬期分校であるとかあるいは複式学級であるとかあるいは算定期日後に生じました災害あるいは伝染病の発生等がある場合、ここいらは地方団体共通の行政課題といたしまして普通交付税の技術的な算定上見られないものについて特別交付税で見よう、こういうようなことでございます。 それで、いま先生おっしゃられました答申あるいは公衆浴場を取り巻く経営環境と申しますか、いろんな条件がむずかしくなっておるのは承知しておりますけれども、交付税の算定といたしましては、やはり地方団体の独自の政策的判断に基づくものにつきましては措置することはむずかしい、このように考えております。
○小沢(貞)分科員 そういうようなことで自治省財政課長の答弁、まことにそっけない答弁でございます。 ところが大臣、先ほど読み上げた五十一年十一月十六日の局長だか大臣に出した答申の中にさらにこういうことがあるわけです。一番末尾に書いてある。「以上の施策をもってしても民営公衆浴場の確保が不可能な場合で特に公衆浴場の必要性の高い地域については、地方公共団体において公設の公衆浴場(小規模浴場を含む。)の経営に努めることとし、国においても特別地方債の活用等の助成策を講ずることが必要である。」どうしてもいけなかったらひとつ地方公共団体でやってみたらどうか、こういうことが末尾に加えられております。私の長野県の箕輪町で町営の玉の湯という銭湯といいますか、公衆浴場をそのころの方針に基づいてですか、設置をしたわけであります。ところが、利用者が減ってしまったことと重油が高騰して赤字がもう百万以上にもなって、見切りをつけてもうやめなければならない、こういうことが出ておりますから、たとえ町営でやっても財政的に成り立たないものは経営をやめざるを得ないというのがいまの実態であります。ここの記事をぜひみんな読んでいただきたいと思いますが、その末尾にこういう重大なことが書かれております。この松島というのは部落だと思いますが、最後の三行目、「松島の浴場利用者は、二キロ離れた木下浴場に通うことになる。」というのですね。二キロ離れた公衆浴場に行かなければいかぬ。これが庶民の現実ではないのか、私はこういうように考えています。自家用のふろのない人であります。いままで町営でやってもらってありがたいと思っていたが、続かなくなっちゃったわけであります。そうしたら、二キロも遠くの浴場に行かなければいけないというのが庶民の実態であります。どうぞその認識の上に立ってひとつ抜本策を講じていただきたいと思います。 その前に大臣、公衆浴場というのは料金が物価統制令で抑えられているわけです。だから、それだけの規制が加えられるということになれば、浴場の確保のための助成をする義務が政府はある。このポイントがどうしてもいままで厚生省にわかっていないわけであります。物価統制令という法律でもって、上げちゃいかぬぞ、こうだぞと抑えておく。そして、最も低所得の庶民が利用する。だから、国家が公衆浴場というものを何らかの位置づけをつけてこれを援助をする、こういうことは私はあたりまえのことだと思うわけであります。援助の方法として、特交で見るよ、自治省、それでもよろしい。あるいはもう利用者が少ないところであります。そして、庶民のいるところであります。だから、ストレートで油に対する助成、これも経営規模によって、大臣、違うのです。うんと三百人も二百人も来るところは経営が、大ぜいですから成り立っておるわけです。ところが、だんだん少なくなってきたようなところが経営が成り立たぬわけですから、二百人とか百五十人とか一定規模でいい、一定規模以下のものを確保するということは国家の義務ではないか、こういうように私は考えるわけであります。 そこで、そういう前提に立って、問題は、いままでは利用者が少なくなった、あるいは油の高騰という倒産理由でありますが、特に去年からことしにかけて油がどういうように上がったか。実際利用しているところの統計でいまそこに私の方から差し上げた「B重油価格の推移調表」というのがあります。一番上から二番目の青森、五十四年二月が、一キロリットル当たりの価格でありますが、二万九千円であったものが、ことしの一月、右の方の一月、七万一千円で、上がった率が二三三%であります。わが長野県のところは中央にありますが、一キロリットル当たり三万三千八百円が七万五千円になって、上がった率は二一〇%であります。この表の中で一番ひどいのを見ると、次のページの中央に福岡、三月が三万円のものが二月が七万七千円になって二五七%、こういうことであります。この表の最後を見ると、全国平均二二二%の値上がり。これはもはや油が決定的な問題だ、こういうことをこれで御認識いただけると思いますが、さて、その上に立って大臣、もうストレートで国家が助成をしなければ百五十人とか百八十人以下の経営というものは成り立っていかぬ、こういう関頭に立たされておるわけで、大臣からひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○野呂国務大臣 公衆浴場の確保対策につきまして、せんだっても業界の代表の方々にお越しをいただきましたので、その機会に具体的に突っ込んで話し合いを私もさせていただく機会が与えられたわけであります。その際、どう一体業界としてこれに対応していくのか、厚生省でいままで十分考えてきたつもりだけれども、もう先ほど御指摘になったように、一日に一軒ずつ倒産していくというような現状、しかもまだ全住宅のうちで自家用の浴場を持っていない住宅が全国的に一七・二%にも及んでいる。まだまだ公益性といいますか、公衆性の高いものであるという観点から見て、物価統制令の問題も御指摘になりましたが、これは確かに公益性が高いのだということを意味しておるわけでございます。それに対しましてもっと公的助成をやるべきだ。国が直接助成するのか、あるいは地方団体の地方交付税を通しまして財政調整をやっていくのか、いろいろな方法があると思うのでございます。五十五年度にはいろいろ調査研究をしていこうということでございますが、もうそんな猶予の時間があるわけではございませんので、やはりこれに対しては積極的に取り組んで何とか救済策がないのか。業界自体にもいろいろの面で経営に対しての近代化の御努力を願わなければならないが、同時に国としても、このいう公衆性の高いものでありますだけに援助の手を差し伸べるべきではないかというふうに私は判断をいたしますが、いろいろ関係機関とも相談をいたしながら、急ぎ手を打っていく必要があるという緊急性を私自体も理解をいたしているわけでございます。 〔津島主査代理退席、主査着席〕
○小沢(貞)分科員 大臣の大変前向きな答弁でございます。業界としてはどうしても公衆浴場の公共的位置づけというものを法律か何かの裏づけによってなされないならば、たとえば特別交付税なり自治省あたりの裏づけもなかなか確保できない。あるいは一定規模以下のところに助成しようといっても、そういう公共性という裏づけがなされないとなかなか困難ではないかということで、いろいろ研究の結果、公衆浴場の確保を図るために浴場確保法というものをぜひ制定してくれということで、昨年度は二、三十万人の署名簿をもって請願書を出したら、衆参まことにそのとおり、こういうように通過しているわけであります。ところが、なかなか厚生省の事務当局としては、そういうものを提案しようという意欲といいますか、積極性がないわけであります。できたら速やかに、十条か二十条の具体的な要綱もわれわれお聞きしているわけですが、簡単にできるわけであります。そういうことをひとつ大臣からぜひ事務当局にハッパをかけていただいて、進めてもらえば一番いいことであります。どうしてもだめなら、率直に申し上げて、この間も予算委員会の場で、橋本前厚生部会長かに話して、遅々として進まないのはどういうことだろう、こういうことだからこの際どうしても抜本的な対策を立てなければいかぬ。どうしても厚生省が出さないというなら議員提案でやらなければならない、こういうようなことも話し合ってきておるわけで、この法律は簡単ですから、その辺のめどをここ二、三週間の間に大臣からつけていただいて、できたら事務当局に政府原案として御提出をいただく、こういうことが私一番大事ではないか、こういうように考えるわけです。どうでしょう。
○野呂国務大臣 五十四年度の事業といたしまして、先ほど申しましたとおり、公衆浴場確保対策調査研究を実施しております。したがいまして、この結果も間もなく出るのではないか。この結果に基づきまして、公衆浴場確保のためにどういう方策を進めていくかということを検討さしていただきたい。いまこの機会に政府が提案して公衆浴場確保法といったような法的な立場をつくっていく必要性は、御指摘の点において理解さしていただきますが、いまそれをつくるべきである、またつくりたいということについて申し上げることは差し控えさしていただきたい。ただ御指摘は十分理解できますので、その方策について検討を進めさしていただく、前向きに検討さしていただく、こういうふうに思います。
○小沢(貞)分科員 大臣の御答弁に対してさらに私は要望があるわけですが、その前に資源エネルギー庁の省エネルギー課長にせっかくお見えいただいておりますので、これは国家的な立場からも、サラリーマン階層か何かに、個人のおふろに入るのをせめて五日に一遍くらいは公衆浴場へ、こういう何かうまいキャッチフレーズを、省エネルギー課長、ひとつ宣伝していただけば、片や省エネルギーに役立ち、片や、浴場というのは人が少ないから経営が困難なのですから、経営がうまくいく、こういうことをじっと私たちは考えて、業界も考えているようですが、何かうまいことはないでしょうか。
○高島説明員 現在いろいろなキャンペーンをさせていただいておりますが、油づけの生活を総点検しようとか、あるいは現在の本当の豊かさは何だろうかということをあっちこっちに問題提起をさせていただいておりますから、その一環として、いまのおふろに入っている生活を、たまにはみんな家族で公衆浴場へ行こうかという御家庭も、そういうキャンペーンなり問題意識の変化の中で生まれることはあろうかと思うわけでございますが、現在の省エネルギー対策の基本的な考え方を少し申し上げますと、国民の豊かさに対するニーズはいろいろございまして千差万別でございます。それにつきまして序列をつけるわけにはなかなかまいりません。こちらの欲望よりこちらの欲求の方が低いとか高いとかいうことはなかなかむずかしゅうございまして、それぞれの欲求なりニーズを充足する手段において最も合理的にしていただく、その手段において最も省エネルギー的にしていただくというのが、実は現在のいろいろなニーズを前提にする限りは精いっぱいのところでございます。 ただ、いまいろいろ御指摘もございますので、通産省の関係で申し上げますと、省エネルギーセンターというようなところで、いろいろな中小企業の事業者に、こういうぐあいにすれば少しでも油の使い方がうまくいきますよという技術診断を個々にさせていただいておりますので、ぜひ公衆浴場の方々もそういう御希望があれば、省エネルギーセンターの技術診断の人間をそちらへ派遣いたしまして、少しでも、高くなっております重油を有効に使う非常に技術的な個々の御指導をさせていただきたいというぐあいに思っております。
○橋本主査 小沢君、時間が来ておりますから、簡潔に願います。
○小沢(貞)分科員 唐突な質問ですから対応はまだできていないと思いますが、局長、そういうふうに政府の窓もあります。それから、省エネルギー課に予算があると思いますから打ち合わせをいただいて、積極的な宣伝をしていただくようにお願いしたいと思います。 これは委員長とも相談だし、大臣とも相談なんだが、物価対策で五百億という金があるわけなんです。いま全国で油に使っている金は幾らかというと、年間約六百億です。だから、抜本対策がこれから法制定なり何なりでできるまで、これはことしの間に合わぬわけで、委員長の来る前に、一日一軒ずつつぶれてしまう、こういうようなことで、その予算を今年限り、来年以降は特交で見る、あるいは交付税で見る、あるいはほかの方法で見るという抜本策ができるまで、四十億、五十億という金をことし限り物価対策上使う、こういうようなことをやってはどうだろうかと社公民にもちょっと相談をしかけてみたりしているわけなんですが、これをぜひ大臣、委員長も御研究をいただきたい、こういうように考えるわけです。 最後に、関頭に立たされた浴場問題、大臣しっかりひとつ取り組んでいただくように要望いたします。もう一回大臣の御答弁を。
○野呂国務大臣 きょうは御熱心に、いろいろ公衆浴場の今日の現況並びに今後の対策の問題について御指摘がございました。十分私も理解いたすところでございます。積極的に取り組んでまいりたい、かように考えます。
○橋本主査 これにて小沢貞孝君の質疑は終了いたしました。 午後零時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 ————◇————— 午後零時三十一分開議
○橋本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 厚生省所管について質疑を続行いたします。大原亨君。
○大原分科員 きょうは児童手当、児童扶養手当、母子福祉年金の問題と軽費老人ホームの問題ですが、質問に入ります前に、児童の出生率の低下の問題について最初質問したいと思います。 日本の年金の制度とかあるいは雇用計画等は、夫婦二人で出生率が大体二・一ぐらいでコンスタントに上下するという見通しで計画を立てておるわけだと思っておりますが、それが実際には昭和四十九年前後から出生率が急速に低下する傾向、これは一つは石油危機が契機のように思われますが、そういう傾向にありまして、二・一人が一・七人台まで落ちている。これの傾向は長期的なものであろうかということが一つあるわけですが、もう一つは、大体どこまで下がるのであろうかという問題があるわけですね。これは的確なことについては諸説があると思うのですけれども、厚生省としては、児童家庭局を中心にいろいろ施策を立てる場合に、どこまで下がるものか、これは恒久的なものであろうか、長期的なものであろうか、こういう点について見解があればお答えをください。
○新津説明員 先生御指摘のとおり、五十年ごろから出生率が大変落ちてきております。一般的には、その原因は戦後のベビーブーム期に生まれました女子の方が一応子供を産み終えた年齢になりまして、いまは産み盛りの人が三十年代の非常に低い出生時代の人の時代に入っているというようなこと、それから初婚年齢がかなり高まっている、あるいは一般的に子供は二人までという傾向が定着しつつあるというようなことが背景にございますが、実際その出生率の動向自身は、もう少し丁寧に申し上げますと、社会経済情勢の変化、あるいは家庭とか子供に対する価値観とか、いろいろな要素がございまして、一概に見通しを言うことは非常にむずかしいわけでございます。御承知のように、欧米先進国でも共通してこの出生率の低下の問題については悩まされておりまして、いろいろな研究が行われておりますが、厚生省としても、現段階ではいまの学問的な水準で可能な限りいろいろな角度から検討しなければいけない重要問題だということで、現在人口問題審議会にこの点の御審議をお願いしているところでございます。 ただ、一言つけ加えますと、非常に出生率の低いたとえば西ドイツとかそういう国の例ですと、結婚自体をしない、有配偶率が下がると言葉では申しますが、結婚をしない人自体がふえているわけでございますが、日本の場合は結婚率はきわめて高い。ある年齢になればほとんどの人が結婚するという、その基礎のところは非常に高い。先進国の中で最も高い水準でございますので、あとは子供が一人か二人か三人かというところなんで、そのベースの条件から言えば、これ以上ひどく続けて低下することはないのではないかというのが通説になっております。
○大原分科員 私は、そういういまの考えもあると思うのですが、実際に若い夫婦などに聞いてみますと、これはかなり長期的なものではないか。長期的なものというのは、後へ返ることはよほどのことがないと返らないのではないか、私はこう思うのですが、というのは、夫婦の共かせぎが非常にふえておるということです。それで、パートの形で共かせぎをしている人が圧倒的にふえているということ。それから、先行きといいますか、やはりインフレの気構えもあるし、それから主人の職場のこともあるし、あるいは年金についてもいろいろあるしと、こういうふうにいろいろな条件を考えて、特に石油危機以降出生率が非常に低下をしているのは、そういう経済情勢や先行き不安ということがもう一つあるのではないか。 もう一つは、たとえば保育所に子供を入れますと、三歳以下でありますと三万九千円ぐらい、普通共かせぎでありましたらほとんどかかるわけですね。もう一人子供がありますと、これは負担率が下がる傾向ですけれども、それにしましても、たとえば二万七千円といたしますと六万円を超える。それから住宅ローンも非常に負担が重い。たとえば二千四、五百万円の住宅を買いますと、住宅ローンは月に七万円以上払わなければならぬ。こういうこと等で、やはりそういうふうに当面非常にこの負担が重い。こういうことも原因をしておる。 ですから、私は三つを挙げたわけですが、その三つの条件はかなり長期なものではないか、八〇年代これからの一つの特色になるのではないか、こういうふうに思うわけであります。これは余り根拠のあることの議論はみんなしておるわけではないのですが、厚生大臣は、いまの議論はどう思いますか。あなたが答弁したからといって、そのとおりなるわけではないですよ。
○野呂国務大臣 非常に出生率が低下して、五十年を境に今日では一・七九人というような低下があらわれておりますけれども、これがずっと長期にわたって、少なくも八〇年代それが続いていくのか、またその低下、減少の原因は一体どこにあるのか、私これは大変むずかしい問題だと思うのでございます。しかし、確かにこの低下がまだ当分続くのではないかというふうに私どもは推測をいたしておるわけであります。
○大原分科員 これが、たとえば昭和五十七年には小学校に入学する——これは生まれまして六年後ですから、入学をする子供は非常に減ってきまして、一年間に四、五十万減ったりいたしますね。そうすると、学校の児童数が減るということはいろいろな教育の条件に関係いたします。それで、中学校を出るのが十五歳ですから、そして今度は十八歳が高等学校ですから、そういう労働力人口に影響するのも非常に早い。ですから、先行きの不安とパートがふえたということ、現在の支出がかさむということ、そういうことを私は挙げてみたのですが、そういうことからいって、子供はたくさんつくれない、二人欲しいけど一人だ、こういうふうに決めている人がかなり多い、私はそういうふうに思っている。この状況は続くし、特に自民党の政治が続く限りは続くのじゃないか。非常に政治がよくない可能性があるから……。 出生率の問題は、二・一人を割りますと計画とか見通しの一つの基礎が崩れるわけですから、絶対数がふえるふえないの問題、高齢化いたしますと絶対数がふえる、しかし出生率が下がってくれば相対的に高齢者がふえてくるわけですから、そうすると、労働力人口の活用の問題をどう生かすかという問題も出てくるわけです。ですから、その問題は十年単位あるいは二十年単位、年金でしたら平均加入が三十年ですから、三十年、四十年のことを考えてみましたら、非常に大きな違いになるわけです。ですから、この原因は各方面から、学者の机上の観念的な議論ではなしに、実態に即するように見通しを早急に立てて、そして政策を立てなければ、いままでの高度成長時代の惰性だけでこの問題を判断したのではいけない、こう思います。 問題点について御理解いただけましたら、厚生大臣は、この問題を十分留意をして実態を究明すると一緒に対策を立てる、そういうことについて関心を持ってもらいたい、こう思います。いかがです。
○野呂国務大臣 高齢化社会の一つの原因というものは、やはり出生率が低下して、そして平均寿命が伸びてお年寄りがふえていくと同時に、後世代の人間が少なくなっていく、つまり出生率の低下ということは大変心配な問題でございまして、高齢化社会を本格的に迎えて、これにどう対応するかということは、十分検討していかなければならぬ基本的な姿勢であると私は考えております。
○大原分科員 人口問題研究所もあるのですから、従来の惰性だけで計画を立ててはいけない、こう思います。 それから第二は、児童手当の問題です。児童手当については佐藤内閣のときに、私も昭和四十二年ごろから議論を始めまして、たしか四十六、七年ごろできたと思いますが、小さく産んで大きく育てるというのが当時の政府の考えでした。しかし、内容的には、十八歳以下の子供が三人いる、しかも十五歳以下から数えて三人目から出すわけですから、しぼりにしぼっているわけで、こういうところで停滞している国は世界じゅうにないわけです。児童手当の問題は、簡単な廃止論もあるわけですけれども、全体的に見てどういう位置づけでこれを改善、維持をしていくのか、あるいは他の児童扶養手当、あるいは税金との関係で議論になりますし、家族手当との関係で議論になっておると思いますが、これらの問題に対処する基本的な心構え、方向について、これはどなたでもよろしいから御答弁ください。
○竹内政府委員 児童手当制度につきまして、現在でもいろいろな消極的な意見が一方においてあるわけであります。たとえば、税制上扶養控除がありますとか、あるいはわが国の賃金体系は年功序列型であるというような問題を含めて、先生御指摘のような現況の児童手当の仕組みというものが、十分国民の要請にこたえていないし、またいまの段階ではいささか問題があるという点については、私どもも十分理解をいたしております。 ただ、先ほどの御質問にもありましたように、出生率の低下傾向あるいはこれから先の児童の健全育成対策というもののウエートを振り返ってみましたときに、私どもとしては、少なくとも家庭における養育機能を増大するということがやはり施策としてあってしかるべきではなかろうか。そういう意味で、実はこういう財政再建問題ということからしばしば御議論いただいておりますようないわゆる覚書的な問題についての議論の前に、昭和五十二年以来、中央児童福祉審議会においてこの児童手当制度のあり方について審議をお願いいたしておりまして、その答えもそう遠くない時期に私どもにいただけるのではないか。したがいまして、いわばイギリスや西ドイツにおけるような方式論、これも一つの参考になりますし、また、わが国はわが国特有のいろいろな社会体系等も勘案しながら、ひとつ国民の期待に沿えるような形で児童手当制度というものを再建していきたい、こういう考え方で、現在事務的にも大臣の御指示をいただきながら作業を続けておるという状態でございます。
○大原分科員 第三の問題は児童扶養手当、母子福祉年金の問題です。 母子福祉年金は、本体年金が発足するときの経過措置でやったわけです。しかし、これは漸減傾向にあると思うのです。児童扶養手当の方は別の法律でつくったわけですが、生き別れの母子家庭が多くなっておる。児童扶養手当の対象となる生き別れの実態の最近の傾向について、わかっている点をお答えください。
○竹内政府委員 いわゆる母子世帯に対応いたしましては、生別の場合は児童扶養手当、死別の場合は母子福祉年金という大ざっぱな対応の仕方があるわけです。最近のいわば受給者の数字だけで見ますと、昭和五十一年度は二十九万七千人という児童扶養手当が、五十二年には三十五万六千人、五十三年三十九万八千人、昨年の九月現在では四十一万九千人と、受給者数が伸びてきております。特に五十一年以降急速に伸びましたのは、満十五歳つまり義務教育終了までというのが満十八歳未満となりましたのが五十一年度からでございますので、そういった点で急速に数字が伸びたのであって、対象となる母子世帯それ自体の数は、以前から見ましてそれほどの変化はないと思っております。 ただ、母子福祉年金は性格上、手元にいただきました数字で見ますと、昭和五十一年度が四千五百十七件が、昨年の九月では二千五百八十二件というふうに、だんだん減ってまいっております。ただし、拠出の母子年金の方は、五十一年度十二万七千件が昨年の九月現在でも十二万六千件、これはほぼ横ばいでございます。 こういう状態で推移しておりまして、一般的には、母子家庭については児童扶養手当というものがその所得保障の大きな支えになって中心的な問題になっているということは否めない事実だと思っております。
○大原分科員 母子福祉年金と児童扶養手当は、野党三党の修正案を受け入れますと、これは審議するわけですけれども、月幾らになりますか。
○竹内政府委員 母子福祉年金、現在五十五年度予算で、当初計上いたしましたのが二万八千円でございましたものが、私どもがいま伺っておりますのでは二万九千三百円になるのではないか。したがいまして、児童扶養手当も同じような数字で連動するというふうに理解をいたしております。
○大原分科員 月二万九千三百円ですね。これ以上上げても悪いことはないのですが、これはそういうことになっておる。普通並行してやればそういうことですね。これはかなりの金額です。 またもとへ返るようですが、生き別れ、離別の原因は主としてどういうことでしょうか。あれは自民党の中だったかな、言っていた、勝手に別れた者に何で二万幾らもやるんだと。これは大蔵省の人かな。大蔵省、そう言う人がおるという話ですが、それは本当ですか。主計官、そういう話がありましたか。
○安原説明員 五十五年度予算編成の過程で、児童扶養手当の問題につきまして種々厚生省御当局と協議し議論したことは事実でございます。先ほど児童家庭局長の方から御説明がございましたように、児童扶養手当の受給者数が最近急激にふえてきておりまして、その財政負担もそれに応じまして大幅に増加してきております。この厳しい財政状況の中で、できるだけ制度の効率化と申しますか合理化を図るべき点は図っていく、必要な点については重点的に配意していく、そういう見地に立って検討することが必要でございまして、種種議論をいたしたところでございます。
○大原分科員 私が言ったのは事実ですか。勝手に別れているというようなことを言うた人がおるというのは本当ですか。
○安原説明員 その母子状態になられました原因が種々ある。その場合、どういう原因でそういう受給に結びついておるのか、そういう検討をさしていただいたのは事実でございます。
○大原分科員 半ば肯定したような答弁ですね。一たん結婚しまして別れるということは、あなた、別れた経験あるかないか知らぬが、大変なことなんだよね。死別という場合は別だけれども、離別という場合は大変なことなんですね。いろいろ調べてみれば、主人側がばくちやったとか、けんかやったとか、家に帰らないとか、ほかに女をつくったとか、いろいろな事情があって、子供を持っておりながら、やはり忍びに耐えて別れるというのが圧倒的に多いわけですね。ですから、やはり離別ということは大変なことであって、そしてこれは社会的にも大きな問題であるから子供を放置できない、こういうことで児童扶養手当があると思うのですね。ですから、この児童扶養手当、この離別、生別が最近非常にふえつつあるということも社会的な情勢を反映しているわけですけれども、この問題は、子供を抱えていままでの生活設計をがらりと変えていくということは大変なことですから、これは私は議論する時間がなくなりましたけれども、十分慎重に実態を見きわめて、政策として配慮してもらいたい、そういう強い希望を言っておきます。 それで、今度の改正に当たりまして、昨年来から私どもも熱心に主張いたしまして、そして十八歳というのは、七つ上がりの子供は高等学校を卒業するまで児童扶養手当があるわけですが、八つ上がりの者は途中から切られるわけであります。いまは子供を育てる場合に、高等学校を卒業させるということで、大きいとは言えないけれどもかなりの金額の児童扶養手当を基礎としてやっておる場合に、これが切られますと、高等学校を途中でやめさせる。そういうことになりますと、何の罪もない子供の将来に非常に大きな影響を与えるのではないか。これは対象範囲は限られておるけれども、この問題については、高等学校を卒業するまでにしてもらいたい。高等学校は義務教育と同じようなものであるから、これを終えるようにしてもらいたい。そういうことについて強く要請してきたわけであります。しかし、このことは実現ができなかったわけですが、これに対する代償の措置を皆さん方で努力してとっていただいたわけですね。その代償の措置について御説明をいただきたいと思います。
○竹内政府委員 先生御指摘のように、十八歳に達したときには児童扶養手当あるいは母子福祉年金、母子年金は支給停止になるわけであります。そういうことで、そのために、将来母子家庭が自立をしていくという意味からも、子供さんが高校を完全に修学し終えるということが望ましいことでございます。そういう意味で、年金あるいは児童扶養手当などの法体系の中で、十八歳未満というのを高校卒業までという考え方もあったわけでありますけれども、制度体系全体の中で、また現在の財政状況等を勘案いたしまして、いまのところ実現がしばらくむずかしいということで、留保さしていただいたわけでございます。そのかわりと言っては申しわけないのですけれども、私どもとしては、先ほど申しました、基本的に母子世帯の福祉を考えるという意味から、母子福祉年金の中に特別枠を設定いたしまして、児童扶養手当、母子福祉年金等の公的年金の支給が受けられなくなったとき、その失権ということを条件にして、その支給を受けられなくなった月の翌月から、児童扶養手当の額に相当する額を、高校を卒業するまで毎月相当分を修学資金として無利子で貸し出すという仕組みで対応をいたしたい。そのためには、現在の母子福祉貸付金の修学資金で行っておりますような、無利子、無担保で、かつ償還期限も最高は二十年、通常の状態では大体十年程度というふうに私どもは理解をいたしておりますけれども、その据え置き期間等も含めまして修学資金のケースに準じた扱いをいたしたいということで、この五月から、つまり四月中は、失権した月までは出ますので、その翌月からということで、四月中にはこの制度の発足をいたしまして、五月から現実の貸し付けで高校卒業までの経済的な支えになっていければということで処理を考えてみたということでございます。
○大原分科員 据え置き期間がありますか。つまり、金額は改正されますと二万九千三百円になりますね。それで、返すのは本人が就職してから返すということになると思うのですね。そういたしますと、月大体どのくらいになる見当でしょうか、いまの条件ですと。 それからついでに、貸付金の枠ですね。枠がないから希望者に貸し付けることができなかった、こういうことはありませんか。
○竹内政府委員 現在の修学資金のケースに準じていくという形で私ども考えております。したがいまして、まず先にお答え申し上げますけれども、貸付枠がなくなったからということのないように、本年度、現在、毎年十八歳に達する子供で児童扶養手当、母子福祉年金等の受給者数等をはじきまして、それに見合う額ということで母子福祉の貸付金について十分対応したつもりでございますし、制度運営上、枠の問題でこの制度が維持できないということはないように行政的にも十分配慮してまいりたいと思っております。 それから、先ほど申しましたように、いわば通常の状態ですと、平均的に見ますと、六カ月間借りるのが平均的な計算になろうかと思います。その六カ月間の分をいわば仮に十年間で返すということになるわけでありますから、そうしますと、大ざっぱに申しまして、二万九千三百円という計算にいたしますと月当たり千四百円ないしケースによってはもう少し少なくなるかもしれませんけれども、それほどの償還について負担になる額ではないのじゃないかというふうに考えております。つまり、六カ月分でございますから、六カ月分を二十年間に均等で返す、それを十年間と仮に仮定をいたしましても、それの十分の一で均等に算定してみればよろしいということでございます。それから据え置き期間でございますけれども、据え置き期間というのはほとんど就職後六カ月というのが一般的な据え置き期間という扱いになっております。
○橋本主査 時間が来ましたので、締めくくってください。大原亨君。
○大原分科員 これは制度として確立をできるだけしてもらいたい、最善の努力をしてもらいたい、こういうことを強く要望をしておきまして、私の質問は終わります。
○橋本主査 これにて大原亨君の質疑は終了いたしました。 次に、高橋繁君。
○高橋(繁)分科員 限られた時間でありますので、簡潔に質問いたします。 一つは、現在国立病院が九十幾つかございます。その中で大変黒字を出しておる病院が厚生省の調査で四カ所あるようであります。この黒字を出しておる原因につきましては、いろいろなそれなりの理由があります。たとえば院長の手腕あるいは医師、看護婦の努力、あるいは特殊的な診療をしているとか、点数の高い手術をしているとか、いろいろありますが、いずれにしても、私は院長を初め職員が大変な努力をしておるように見受けられるわけであります。せっかくそうした努力して黒字を出している病院に対して、厚生省は努力に対して何をもって報いているのか、あるいは今後どうしようとしておるのか、その点ひとつお聞きいたします。
○田中(明)政府委員 国立病院の経営につきましては、各病院におきまして経営の効率化、健全化に努めるように厚生省として指導しているところでございまして、それぞれの病院におきまして、その立地条件あるいは病院の診療機能というような面を考慮されて、それぞれ最大限の努力をされていると私どもは考えております。したがいまして、立地条件等によりまして、努力をされているにもかかわらずなかなか効果が出ないというようなところもあろうかと思います。しかしながら、そういうような経営改善の努力に対しまして、私どもといたしましては十分評価いたしたいというふうに考えているわけでございまして、限られた枠の中でございますけれども、ある程度こういうことを考慮いたしまして措置をいろいろと講じているわけでございます。そのようないろいろな措置によりまして、さらに職員の意欲を高揚するため努力してまいりたいというふうに考えております。
○高橋(繁)分科員 具体的に措置をしておる、こうおっしゃいますが、それでは、あるいは看護婦をふやすとか、あるいは医師数をふやすとか、あるいは研究費をふやすとか、そういう具体的な面はどうなんですか。
○田中(明)政府委員 ただいま先生の御指摘にございましたように、人的な面、あるいは物的なと申しますか、いろいろな医療機械設備の面、あるいは研究費の面等、国の経営として法律的にも許される範囲内におきましてできるだけそういう御努力に報いるように努力しております。
○高橋(繁)分科員 それじゃ、黒字を出しておる、大変努力していることに対して今後も報いていきたい、こういう確認でよろしゅうございますね。 そこで、その国立病院は、陸軍病院、海軍病院が終戦になりまして国立病院になったという経過もあります。したがって、今後国立病院の性格といいますか方向性といいますか、そういうものは、いろいろがんセンターとかあるいは循環機能系統の病院等もいまできつつありますけれども、現在ある病院について入院患者あるいは外来患者にしても非常な差がありますね。これは地域の陸軍病院、海軍病院が偏在したものが原因していると思いますが、その中で国立病院が今後どういう方向性を持っていくとお考えになっているか、そのことについてお答えをいただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 先生御指摘のとおり、国立病院あるいは国立療養所の大部分は旧陸軍、海軍の病院を受け継いだものでございまして、その地域的配分等も必ずしも現在のそれぞれの地域の医療需要あるいは広域的な医療需要にマッチしているわけではございませんです。しかしながら、われわれといたしましては、国立の病院である以上、やはり高度かつ専門的な分野を受け持ちまして、医師の卒後教育あるいは看護婦さんなどの医療従事者の養成というような国として要請されるような事業を行うことによりまして、わが国全体の医療水準の向上に貢献するということを使命と考えておるわけでございます、それと同時に、当然それぞれの所在しております地域における医療機関の一つといたしまして、その他の医療機関と調和を図りながら地域の医療に役割りを果たしていくことも国立の医療機関の重要な任務であると考えております。
○高橋(繁)分科員 いまお答えのように、それぞれ地域あるいは今後の方向性というものはいろいろ考えられると思います。そこで、今後の医療について、私は素人で何もわかりませんが、西洋医学一辺倒でいいのかどうか、東洋医学を取り入れて両方取り入れた形で医学というものが今後いかなければならない、このように思うわけです。いま国立病院で西洋、漢方を取り入れた病院が二十一あるようであります。まだ微々たるものでありますが、そういう今後の医療についてお考えをちょっとお聞きしておきたい。
○田中(明)政府委員 御案内のとおり、明治以後わが国の政府は西洋医学を国の方針として採用することにいたしまして、それまで日本において支配的でございました漢方と申しますか東洋医学が中心から外れるというようなことでいろいろな混乱もあったわけでございますが、世界の傾向といいますか、正しい科学的な基礎に基づいた医学ということで、従来西洋医学を採用しておったわけでございますけれども、近年に至りまして漢方と申しますか東洋医学の中にも非常にすぐれたいろいろな面があるというような点が医学界においても見直されているように了解しておりまして、そういう面で専門家と申しますか医学者の方々が東洋医学についてのいろいろな情報、文献の収集あるいはみずから実験研究をなさるというような風潮もかなり高まっておりまして、国立病院におきましても二十一という数は私はっきりしませんが、いろいろな分野におきまして漢方あるいは東洋医学について研究されている先生もいるというふうに了解しております。今後、科学的な基礎に基づきましてこの東洋医学を再検討し、取り入れるべきものは取り入れていくというような方向において、西洋医学に東洋医学のいいところも入れていくというようなことは将来とも進んでいくのではないかというふうに考えております。
○高橋(繁)分科員 国立病院の中で御存じと思うのですが東静病院、これはきわめてやっておるわけです。たとえば一年間の処方せんの発行件数が東静病院の場合に一千十八件あるわけです。そのうち漢方の処方件数は二百八件あるのです。これは先生方が、私は漢方医であるということを言われることは非常に嘆かわしいのであります。いまの医学は両方取り入れていかなければならない。特に薬づけの医学の中で、この漢方に対するものはきわめて国民も欲しておるのですね、患者がたくさん来ますから。それで先ほど言った黒字も出しておる一つなんです。先生方は昼飯食わぬでやっておるわけです。口コミで東京からも実際は患者が行っているのです。そのようにして診断は西洋医学で、治療というか薬は漢方というような方式でもあるようであります。とにかく熱心にやっていることはこれは事実でありまして、今後漢方に対して無関心でいられないと思いますし、あるいは通れないと思いますし、そういう意味で漢方に対する資料ですね、あるいは情報、文献がきわめていま少ないのです。いま先生方が欲しがっておるのはその漢方の情報なり文献なり資料なんです。これがないのです。それを厚生省がひとつ音頭をとりまして、この漢方の情報、研究、文献というものを集めるようなセンター的なものを私はぜひともこの際何らかの形でやるべきであると思いますが、そのことについていかがですか。後で大臣もひとつお願いします。
○田中(明)政府委員 厚生省所管のいろいろな研究所におきまして、先生おっしゃるように漢方のいろいろな事柄について興味を持たれている諸先生が自分の御専門に関する文献について収集されているのは承知しておるわけでございまして、今後ともそういう傾向は強まっていくように考えておりますが、厚生省といたしまして、この漢方あるいは東洋医学関係の諸文献を一括してといいますか、一手に引き受けてそういう情報収集に当たるというような国の施設をつくるということにつきましては、まだその時期ではないのではないかというふうに私どもは考えておりますので、今後学界と申しますか、学者の先生たちのそういう活動状況などを注意深く見守ってまいって、必要があれば適切な協力をいたしたいと思います。
○野呂国務大臣 いま東洋医学というものが大変治療におきましても効果を高めておるということで関心を呼んでおることは御指摘のとおりだと思います。別にそれがために情報あるいは文献の収集などに対してのセンターといったような、そういう機関を持つ必要があるかどうか、先ほど医務局長がお答え申し上げたことでございますが、最近、中国の北京に無償供与で病院をつくる、これは西洋医学を中心とする病院をつくる、こういう計画が外交レベルですでに約束を取り交わしておるわけでございます。こういう機会に、日本の西洋医学とそれから中国の東洋医学とのいわゆる医療の交流がいろいろな形で始まってくるのではないか。そういう機会でもございますから、こういう御指摘の点については十分対応できるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○高橋(繁)分科員 厚生白書には漢方のカの字もありませんし、薬草のヤの字もありません。そこで、そういうものが始まっている、国民のそれに対する要求というものは非常に多いのです。いまからそういう考えのもとに行かないと大変おくれをとるのじゃないかと思います。日本古来の民間療法もあるのです。ここを押さえたら治る。たとえば富士山のふもとにはあのセンブリは一本もありませんよ。そうした意味で、今後そういうものをぜひとも考えていただきたいし、東静病院の先生方にひとつ意見を聞いてみてください。 それから看護婦の体制でありますが、いろいろ検査の機械が病院等に入ってまいりますが、これは看護婦の省力化にならない。ますます看護婦に対する仕事の量というものはふえてくるのですね、機械が入れば入るほど。しかも定員というものを決められて、特に国立病院の場合は厳しい中であります。現在、夜勤の二・八体制、これも完全に実施をされておりませんし、そういうように、たとえば高度な点数の高い手術をしておる病院に対しては、同じ看護婦では非常に大変なんですよ。あるいは特別にこのように漢方を取り入れてやっている病院、特殊な治療をしている病院、国立病院にも病院によって差別があると思いますけれども、そういう機械が入れば入るほど、あるいは御存じかもしれませんが、地元も協力して機械が入ったという場合について、それを扱うのはほとんど看護婦なんです。仕事の量はきわめて多くなるし、そういうものに対して、とりあえず二・八体制についてはどういうようにお考えになっておりますか。
○田中(明)政府委員 厚生省所管の国立病院につきまして、従来から夜間看護体制の強化、いわゆる二・八体制の整備というような観点から看護婦の増員に努力をしてまいっているわけでございますが、なかなか完全に体制をしくというところまでは至っておりません。しかし、昭和五十五年度におきましても、国立病院、療養所等の増員予定の数五百八十八人のうち、三百五十五人を看護婦さんに充てたいというふうに考えているわけでございまして、今後とも夜間看護体制の強化には、これを最重点のものといたしまして増員に努力してまいりたいというふうに考えております。
○高橋(繁)分科員 そういう意味で、もう自治体の病院では三・八くらいいっているところがあるわけですよ。しかも有給休暇も職員を含めて平均八・六日しか、ある病院でいまとってない。あるいは医療の進展とともに研修をしたい、非常に意欲的なものがあるわけ。ところが、少なくて研修にも行かれない、交代が出ない、あるいは同僚に対して迷惑をかける。そういう意味でこの夜勤の体制とともに、看護婦にますます仕事の量が重なってくることに対してひとつ理解を持って、看護婦の体制を早く整備してほしい、このように一応要望しておきます。 それから、薬草の栽培です。これも漢方と並んで大変重要な問題になりつつありますが、先ほど申し上げましたように、昔からあるセンブリは富士山のふもとにはたくさんあったのですけれども、これから春になると一本もありませんよ。全部とられてしまいます。とられるというか、とっていくのですね、必要性を感じて。そうした薬草の栽培について厚生省はどんなふうにお考えですか。
○山崎政府委員 お答えいたします。 御指摘のように、薬草、薬用植物の栽培は大変大事なことだと思っております。そして、私ども厚生省では、いままで二つの方向で指導なり何なりをやってまいったわけです。一つは、日本薬局方という典型的なお薬の品質なり規格を定めたものがございますが、その中で漢方生薬製剤の原料となります生薬の品質、規格を定めまして、これはもうほとんどお薬として使われるものはそこに決めております。そういうことで、その基準に合うような良質な薬用植物が栽培なり供給されるように、そういうような形で指導している。これは県の薬務課を通じてやっておるところでございます。 それからもう一つのじみちな研究でございますが、私どもの付属機関に国立衛生試験所というのがございます。これに生薬部という部がございまして、その研究を行っておりますと同時に、この衛生試験所に設置されている五カ所の試験場、薬用植物栽培試験場というのがございます。北は北海道の名寄から筑波、伊豆、和歌山、種子島、こういうところに試験場がございまして、そこで薬用植物の品種の改良でございますとか、あるいは収穫の効率化でございますとか、そういうものの研究、基礎的な研究を実際に続けております。そして、そこの研究者の人たちも、県の衛生部とか農林部とか農業改良普及所、こういうものに技術指導というような形で行っている。こんなことが中心かと思います。 ちなみに、先生御指摘のように、漢方生薬製剤の国民医療に果たす役割りがだんだんと増してまいると思いますし、現に純粋な漢方製剤だけでもここ三年ばかり生産額が非常にふえております。生産金額だけで五十一年で九十五億でございますが、五十三年では二百十三億というふうに、これはもちろん輸入も入るのでございますけれども、ふえております。そういう意味から見ましても、今後ともこの国民医療における漢方生薬の役割りというものは大変大事になる、かように思っておりますので、一層積極的にこの栽培法の普及でございますとか品質の確保等につきまして努力を払ってまいりたい、かように考えております。
○高橋(繁)分科員 そういうふうにやっているということでありますが、農林省でもやっているのですよ。農林省は特産物新規導入実験事業として、日本特殊農産物協会ですか、これに六百万円の補助金を出している。しかも実験的に導入する、促進事業設置に対しては三十アールに七十万円、こうして、特殊農産物ですから薬草ばかりでもないのですけれども、どんどんやっているわけです。果たして具体的にどういうものをやっているかわかりませんが、先ほど言った薬局方の基準に合った植物をいま実験しているのですよ、片方で、農林省でいろいろなものを栽培しておる、これは薬草ですよといったときに、後から厚生省がそんなもの基準に合ってないからだめですよ、あるいは栽培の方法が農薬を入れて果たしていいのかどうかということもあります。そういうことで、片方では生産の手段としてこうして農林省ではやっておる。厚生省では実験的に、国立衛生試験所ですか、やっておる。そういうものが農林省と厚生省とタイアップされていかないと、将来に問題を残すのではないか。それはだめだと言われたら、つくった農家はお手上げですよ。その辺の御心配はありませんか。
○山崎政府委員 御指摘のような点も確かにあろうかと思います。薬局方で品質なり何なりを定めております趣旨も、それによって良質な原料が供給されるように、こういう配慮ではございますが、なお一層、農林省とも連絡をとりつつ、御指摘のようなことがないように進めてまいりたい、かように思います。
○高橋(繁)分科員 薬草栽培についてはいまの状況のようなことでありますが、すでに中国から日本にこの薬草の売りつけに来るようであります。そういうことを考えたときに、私は、この薬草の栽培はもちろんのこと、先ほど申し上げました東洋医学、あるいは科学技術庁で本年度東洋医学を研究しようということで予算を計上しましたが、これはゼロ査定になりまして、調査費だけになって、来年、昭和五十六年度あたりから実施するようであります。そういういろんな省庁で東洋医学、薬草についていま手を出しているわけであります。私はよくわかりませんが、厚生白書を見ても、先ほど申し上げたように、漢方のカの字もありませんし、東洋医学のトもありませんし、薬草栽培のヤもありません。そういうことで一体通るのかどうかということを懸念するわけであります。 そうしたことにつきまして、さらに大臣の御見解をお聞きしたいと思いますが、そういう今後の医療、国民の需要等に対して今後どのように対処をされていくのか。あるいは農林省あるいは科学技術庁等ともあわせまして、日本の東洋医学、あるいは民間医療にしても古来からずっと伝えられているものはあります。確かに、その中にも、簡単な例は、しゃっくりをとめるにはどうしたらいいかということは日本の国にあるわけです。その方法でやっているわけです。迷信的な信仰的なことは別問題にして、ここのところのつぼを押さえれば体の痛みが治るというのもあるわけです。これも私は医学だと思う。そういうものが今後取り入れられていくことが大事だし、そういう資料を集めていかないといつの間にかうやむやにされてしまうということを心配するので申し上げたのでございまして、まとめてひとつ大臣の見解を聞いて終わります。
○野呂国務大臣 いろいろ政府委員との問答の中で、今日の医療の中において東洋医学的なもの、あるいは古来からある治療の方法なども取り入れて、もっと多角的に将来の医療の方向というものを考えていくべきではないかという御指摘でございます。大いに検討すべき問題であると考えております。
○高橋(繁)分科員 終わります。
○橋本主査 これにて高橋繁君の質疑は終了いたしました。 次に、湯山勇君。
○湯山分科員 きょうは、たまたま主査が橋本前厚生大臣で、そのことと関連してお尋ねいたしたいと思います。 先般、二月二十二日に、行政改革、綱紀粛正の予算の集中審議のときに、いま主査をしておられる橋本前厚生大臣が国立病院、国立療養所の定員の問題等に関連して御質問になられたのを、大臣はお聞きになられたでしょうか。
○野呂国務大臣 後から承りました。
○湯山分科員 そのときにお配りになった資料は、ただいまお持ちでしょうか。
○野呂国務大臣 持っております。
○湯山分科員 それでは、行管の方もお持ちでしょうか。
○百崎説明員 持っております。
○湯山分科員 大蔵省主計官は持っていますか。
○安原説明員 はい。
○湯山分科員 私は、前大臣が自分の所管の問題について予算委員会でこういうふうに取り上げられたというのは、寡聞にして、私の経験にはありません。これはよほど異例のことであって、そういう質問をされるのにはそれだけの大きな理由があったと、こう考えます。たまたま私も、地元に国立松山病院がありますし、やはり地元に国立の愛媛療養所がございます。そこで、院長初め婦長さんそのほかの人にいろいろ聞いてみますと、このままじゃ国立病院も国立療養所も大変です、それは単に難儀なというだけじゃなくて、医療サービスの低下、そしてまた病院機能の縮小もしなければならないというような状態になりかねないという、大変な心配をしておられました。そういうことがございますので、これはひとつぜひ御要望をしなければならないと思っていましたら、橋本前厚生大臣がそういう異例な質問でこれをお取り上げになったということで、敬服もいたしておりますし、喜んでおったのですが、そういういい機会でございますので、私もぜひひとつこのことについては強く御要請申し上げたいというので時間をいただきました。 まず、大臣は後でお聞きになったそうですから、橋本前厚生大臣の御指摘、もう一遍申し上げますと、その資料をごらんいただきますと、一番下の国立病院、国立療養所、この両者の職員数、これが著しく他の国立、都道府県立、市町村立、日赤、済生会、厚生連、それらに比べて劣っている、これはおわかりでございますね。そういう状態ですから、医療に従事しておる人は大変苦労をしている。そこで、とにかくそれをふやそうというのでずいぶん御努力もなさったようですし、橋本前厚生大臣のときには五十五年度に一千八百十八名の増員を御要求になったのに、いま医務局長おっしゃっておられましたように、結局は三百人余りしか認められない、こういう状態。 こんなものですからいろいろ見てみますと、その橋本前厚生大臣がお配りになった資料の後のグラフをごらんいただきますと、それによっても、これは五十二年ですけれども、五十一年から五十二年へどれだけふえているかというのをちょっと見ますと、一番上は三・五人ふえています。その次の都道府県のは一・八人。それから中間で市町村のは二人。ところが国立病院は、ごらんのようにちょっと下がっています。〇・五人下がっているのです。減っております。それから療養所も、これも一・一人しかふえていない。こういう状態ですから、これはもう大変なことだ。国立病院も国立療養所も従来のような、結核のそれとか、引き揚げた軍人とかいうのじゃなくて、建物もりっぱになっていますし、重要な近代的な医療をしっかりやっている、そこがこういう状態です。 そこで橋本前厚生大臣もこういうふうに言っておられます。「週休二日制が論議をされる最近であります。私はいままでにもしばしば、増員がなく、国民に対するサービスの低下がなく、職員に対して過重労働を強いないという条件での週休二日制がこの分野においてはできないんだということを申し上げてきたのに、配慮をされている国立療養所、国立病院と言われるその分野の定員がこのようなものであるということでありまして、これは十分な御理解を願わなければなりません。」いまのような状態じゃ週休二日なんかできませんよと……。 それからまた、自治体との関係について橋本前厚生大臣がお述べになったのへ、まあ本来は厚生大臣がお答えになるべきものでしょうけれども、それも余りと思われたのでしょう、自治大臣にお尋ねになったのに対して、自治大臣が理屈をつけて、それはやはり都道府県も市町村も要るのだということで答弁されましたのに対して橋本前厚生大臣は、「自治大臣がいま言われたように、ニーズからいってこれだけのものが必要だと言われるならば、今度は行管長官、国立病院・療養所の定員が少な過ぎるよということを私は言わなければならなくなります。」これも、前厚生大臣としては自分の所管のことであったことですから非常に言いにくいことを、はっきり言っておられるのです。こういうことだと私はこれから先が心配なので、ひとつぜひこの問題について大臣にお考えを承りたい。 一体、いまのような状態で国立病院、国立療養所の運営にどのような支障があるでしょうか。具体的にお伺いしたいのですけれども、時間の関係もありますから、私が言っていいことは申し上げるし、具体的なことでお聞きしたいのはお聞きします。 それは一つは付き添いの問題です。本来は、完全看護であれば付き添いがなくていいというのがたてまえですが、付き添いの状況はどんな状態でしょう。非常に多いとかいうような状態じゃないでしょうか。
○田中(明)政府委員 御指摘のように、基準看護を採用している病院におきましては、特殊なケースを除きまして、原則として病院の看護要員をもって看護に当たるというたてまえになっておるわけでございます。しかしながら、実態におきましては、国立病院・療養所を含めましていろいろな病院におきましてかなりの数の付き添いをつけている例を仄聞いたしております。
○湯山分科員 仄聞じゃなくて、私は行って見ました。だから、仄聞ではなく仄見ですけれども、とにかく相当たくさん、一割近い、あるいは一割強かもしれません、その人たちが付き添いをつけなければならない。これが国立と言うのは、大変残念なことだと思います。 それから次に、定員外ですね、臨時日雇いの身分の職員がずいぶん多いということ。これもどうですか、行政管理庁、こういう諸君がおるというのは好ましくないのでしょう。
○百崎説明員 先生御指摘のように、国立病院・療養所におきましてはいわゆる賃金職員が雇用されている、これは私どもも承知いたしております。これらの賃金職員は、病院、療養所等の業務を見ました場合に、たとえば単純労務作業とか臨時的な、短期的な業務とか、そういった業務につきまして、定員内の職員を充てるよりは賃金職員をもって充てた方が適当であろうと考えて雇用されている、私どもはそのように考えております。
○湯山分科員 それがやはり認識不足であって、そういう部分もありますけれども、実際は、さっき申し上げましたように、本当の医療担当の職員が少ないためにそれをカバーしている。だから同じようなことをやっている者も少なくありません。それは医務局長、お認めになりますね。
○田中(明)政府委員 国立病院・療養所の賃金職員は、かつて夜間看護体制の整備強化ということを行う過程において措置されてきたものでございますので、そういう関係の職員が多いというふうに了解しております。
○湯山分科員 ですから、それらの点も行管の認識とは違うわけですよ。 その次に、たとえば看護婦さんは育児休業がとれるようになりましたけれども、いまの状態でとれますか。
○田中(明)政府委員 私どもが病院、療養所からいただいております実績によりますと、昭和五十三年度におきまして国立病院、国立療養所、らい療養所を含めまして千六百九十の分娩がございました。このうち育児休業者は五百十名ということでございますので、約三分の一の方が育児休業をしているということでございます。
○湯山分科員 これは人道問題ですね、大臣。当然とれる権利をそういうふうに三分の一しかとらない。とれないのです、実際は。だから、これはまさに人道問題だと私は思います。同じような人道問題から言えば、いまも御指摘のあった二・八体制、これはいまどれぐらいの率で実施されておるでしょうか。
○田中(明)政府委員 二・八体制は、国立病院におきまして約七七%、療養所におきましては五〇%強の割合で採用されております。
○湯山分科員 他の国公立ではどうですか。
○田中(明)政府委員 公立の病院等においてはほとんど二・八体制が採用されるようになっているというふうに聞いておりますけれども、全国的な数字は、ちょっと正確ではございませんが、八〇%以上じゃないかと思います。
○湯山分科員 私の方から申しますが、厚生省の資料で五十三年五月の調査のがあります。これによりますと、大学付属病院九三%、自治体立病院九一、その他の公的病院九三となって、いずれも九〇%を超えています。にもかかわらず、いまのように国立病院では七五%程度、それから国立療養所では半分、五〇%です。これは橋本厚生大臣ももちろん怠慢であったと私は思うのですけれども、一体二・八体制が決められたのはいつですか。
○田中(明)政府委員 昭和四十年に人事院の見解が出されまして、四十五年から二・八体制を各病院においてとることが決められたというふうに聞いております。
○湯山分科員 四十年に見解が出されて、五年間準備をして四十五年からですから、ことしは五十五年ですから十年たっておりますね。十年たって国立療養所ではまだ半分しかできていない。五〇%ですね。そうすると、五〇%は一人夜勤ということになるのですか。これをほっておいていいのでしょうか。大臣、お聞きになっていかがですか。
○野呂国務大臣 まだ問題をいろいろ御指摘になる過程でございますが、先ほど御指摘になりましたように、この間の予算委員会で橋本前厚生大臣が、今日、他の公的機関に比べて国立病院あるいは療養所が定員において大変少ないという事態を憂慮されて、あえて御質問をされたことであると考えておるわけでございます。御指摘のように、地域医療の使命を果たすと同時に、国立病院及び療養所は、国全体の医療水準の向上に貢献するという大きな重要な役割りを果たさなければならないのでございます。その使命に立ちましても、看護体制強化を中心として当然増員を図っていかなければならぬ。予算の確保もさることながら、病院及び療養所の定員をどういうふうに充足していくかということが今日、厚生省にとって一番大きな問題だというところまで来ておるわけであります。私どもは今後とも、このことにつきましては力を入れて、重点事項としてこの定員の確保に当たってまいりたい、かように考えております。
○湯山分科員 私は歴代の大臣が努力していないとは思いませんが、今日なおこういう状態にあるという最大の原因はどこにあるのでしょう、医務局長。
○田中(明)政府委員 御存じのような国家公務員の定員の事情ということがございまして、その中におきましては国立病院・療養所の職員、特に診療に直接携わっている職員につきましてはきわめて手厚い措置をされているわけでございますが、そういうことがやはり基盤になっているのではないかと思います。
○湯山分科員 橋本前厚生大臣はいまのように、みずから質問に立ってこのことの是正を図ろうという努力をしておられるし、前の小沢大臣も、五十三年にこのことでお答えをしております。その要点は、総定員法の枠を外してもらいたいということでした。これについては、行管はどうお考えですか。
○百崎説明員 先生御指摘のように、小沢元厚生大臣から、いわば私見という形ではございますけれども、病院、療養所の定員を総定員法の枠から外していただきたい、こういう御発言があったことは承知しております。ただ、私どもの定員管理の基本的な考え方といたしましては、政府全体の中で行政需要の消長に応じて合理的な定員配置が行われるようにという趣旨から、しかも少数精鋭主義で行政事務を遂行していく、こういう思想でもって総定員法をつくっておるわけでございまして、総定員法の対象になる定員管理の範囲としてはできるだけ広い方が、弾力的な運用ができるというようなことで望ましゅうございます。ただ、議論の中で、たとえば新設の医科大学などが総定員法の枠から外れているではないかという御疑問がございましたけれども、これにつきましては、新設の医科大学を一校つくるだけで千何百人という非常に大きな定員を要する新たなプロジェクトでございまして、総定員法制定の当時そういった事態は予想しておりませんでしたので、これは新たな特殊な事情ということで枠から外したわけでございますが、病院、療養所の場合には現在の総定員法の最高限度の枠内で、私どもといたしましても医療問題の重要性ということは十分認識しておりますので、その中でしかるべき増員を図ってまいる、また今後ともさようにいたしたい、かように考えております。
○湯山分科員 荒船長官がやはり五十三年参議院の予算委員会で、要約して申し上げますと、「医療行政については思い切った増員をしていくことがいいと私は考えております。そういう線に従いまして、行政管理庁は人員を整理するところだけじゃございません、こういうところは、大いに足りない部面はひとつ増員をして、」——高杉君の質問でした。「あなたのおっしゃるようにお気に召すようにやっていきたい、こう思っております」こういう答弁をしておられるのを御存じですか。
○百崎説明員 ただいまの御指摘、私も存じております。そこで行政管理庁といたしましては、先ほど申しましたように現在、財政事情、先生御承知のように非常に厳しゅうございますし、また国民からも行政改革を望む非常に強い要請がございます。したがいまして、私どもといたしましてはいわゆる少数精鋭主義で定員管理を行ってまいろうとは思っておりますけれども、ただ減らすだけが能ではないというのは御指摘ごもっともでございまして、私どもといたしましても、政府全体の部門の中で医療部門に対しましては特に重点的に配慮しているつもりでございます。したがいまして、過去十三年間、全体で八千人ぐらいのいわゆる純増員を措置してまいっておるわけでございます。ただ、先生御指摘のようないろいろな問題がございますので、そういった点を念頭に踏まえながら今後とも定員管理に当たってまいりたい、かように考えております。
○湯山分科員 もし、いまのような趣旨でずっとやってくれば、こういう不均衡は出てこないと思うのです。行ってごらんなさい。休みの時間に看護婦さんや事務の人はもうばたっと机の上へ伏せてしまって、一体どっちが患者なのか、患者よりももっとまいっておるのです。そういう状態を見ていけば、そしてまたいまのような趣旨でずっとやっていけば、今日、いまのように橋本前厚生大臣があえて質問をしたりしないで済むような状態になっているはずですけれども、今日なお、なっていない。ふえ方も少ない。これはもう一つ、ひとつ考えてもらいたい。もしこういうことが本当にできないなら、私は、行管を整理することがまず行政改革の第一じゃないかというようにさえ思うわけです。本当にそうですから。長官に言ってくださいね。 大蔵省も、いまの点は同じ考えでしょう。どうですか、主計官。
○安原説明員 国立病院・療養所の定員問題につきましては、ただいま行政管理庁の方から御説明がありましたとおりに考えております。国立病院・療養所の円滑な運営を進めていく上で適正な要員を確保していくというのは重要な問題であると考えておりまして、これまでから特段の配慮をしてきておるところでございます。先生御承知のとおり、ただいま、厳しい定員管理の状況のもとにおきまして定員削減計画が実施されておるわけでございますが、定員削減をやります場合も、一律ではなくて、医師、看護婦につきましては定員削減をやらないということで配慮をいたしておりますし、それから増員に当たりましても、全体として厳しい定員枠の中でできる限りの配慮をしておるということでございます。今後とも適正な対処ができるよう努力はしてまいりたいと考えております。
○湯山分科員 あと五分しかありませんので細かく聞けないのは大変残念ですけれども、そういう中で千名の減というのは、だれを減らすのですか。
○田中(明)政府委員 国立病院・療養所の削減数は、五年間で九百五十六人ということで、約千名でございます。その対象となる職種は主として一般事務職員、行政職(一)及び保清婦等の行政職の(二)でございまして、医師、看護婦等医療に直接従事する職員は削減の対象から除外されております。また、行政職の一部につきましては削減率を低減するなど、第四次定員削減計画に引き続きいろいろな面での配慮がなされています。その結果、全省庁といたしましての平均削減率は四・二%でございますが、国立病院・療養所に関しましては一・八三%という、半分以下の削減率になっております。行政職の職務分野につきましては、従来から内部努力によって対応してまいったところでございまして、今後とも一層の徹底を図ることによりまして運営に支障のないように努力してまいりたいというふうに思っております。
○湯山分科員 直接医療に当たる医師とか看護婦の数も少ないのですよ。医師も看護婦もうんと少ないのですよ。その上にそれの補助的な立場にあるいまのような事務、いろいろあるでしょう、看護助手とか調理師とか一般事務、これを減らせば、結局その減らした者の仕事が部分的にやはりそっちへ回っていく。また能率も上がらない。疲労も大きくなる。申し上げるまでもなく、病院というものは非常に有機的なものであって、減らすのにも限度があります。こういうことをお考えになれば、もうこれ以上これは減らすなんということはできない。松山の国立病院も、何か欠員補充の問題だけでもずいぶんがたがたしまして、病院側と働いておる人の間でトラブルとまで申しませんけれども、かなり長期にわたってごたごたしました。こんなことがここで繰り返されるというのは、これはもう本当に国立病院が何か、あるいは療養所が何かでなくて、医療機関の体制というものがどうあるべきかという根本を忘れておるのではないですか。どうでしょう、局長。
○田中(明)政府委員 御指摘の点につきましては、確かに、医師とかあるいは看護婦とかいうような、直接患者の診療に当たっているという職種の人は従来とも削減対象からはずれておったわけでございますが、看護助手のような、これは病院に属しておるわけですが、そういう人を削減すると、結局看護婦さんが、その看護助手がやっていたことをやらなければならないというような実態もございまして、そういう実情を関係方面にもるる説明いたしました結果、今回の計画におきましては、そういう点に関しまして相当の改善は図られております。
○湯山分科員 時間がないのですが、そういう改善が図られているなんというなまやさしい問題ではないのでしょう。とにかく生きていくのは、それは心臓がしっかりしていなければならぬ、心臓さえしっかりしておればいい、指の一本や二本はなくてもいいというようなあなたのおっしゃり方になるのじゃないですか。せっかくお医者さんですから、よくそれをわかっておられるはずなんですから。とげが刺さっただけでも、やはり体の機能というものは果たせないのですから。この辺しっかりひとつがんばっていただくし、それから厚生大臣は前厚生大臣のようにまた予算委員会で質問したりしなくていいように、今度はひとつしっかりそういう歴代の厚生大臣の強い意向を受けて、千八百十八要求して五百幾ら認められて、その中からまた削減して三百しか残らないような、そんな妙なことをさせてはいけないと思うのです。 最後に、時間がありませんから、具体的にいつまでにどうするという大臣の御決意もできればあわせて承りたいと思います。
○野呂国務大臣 御指摘はすべてごもっともでございます。医療行政を担当する厚生省の、その国立病院に従事する医師、看護婦等職員が十分得られない。他の公的病院に比較して著しく格差がある。一方、業務の重要性、国の医療水準を高めていく、そういう大きな使命を持っておるわけでございます。さらに、最近の医療内容の変化、高度化、これにどう対応するかということになりますと、何よりも人員を確保するということが最大の要務ではないかと私は思うのでございます。ただ、これは厚生省だけの問題ではなくて、行革に当たりまして、これは政府全体となってこの問題の解決に当たるべきである、かように考えておるわけでございます。今後この問題について十分留意しながら、関係機関とも十分協調をしながら、御心配の点、御注意の点について十分対処してまいりたい、かように考える次第でございます。
○湯山分科員 これで終わりますが、このことについては、行管もひとつ本当に行管らしい対処を願いたいと思いますし、大蔵省もまたよく事情はおわかりのとおりですから、ひとついまの点を御理解の上で、こういう問題で私が質問するぐらいなら何でもないことですが、前厚生大臣までがこの問題で質問しなければならないというような状態はぜひなくしてもらいたいということを強く要望いたします。幸いきょうは主査で前厚生大臣がおっていただいたことを大変感謝いたしまして、終わります。
○橋本主査 これにて湯山君の質疑は終了いたしました。 次に、飯田忠雄君。
○飯田分科員 私は、本日は外国人に対する福祉問題、それから外国におられて日本に帰ってこられました方の福祉問題、さらに精薄児あるいは身障者の方々に対する福祉問題、こういう問題についてお尋ねを申し上げたいと思います。 国連におきまして国際人権規約が審議され、これが署名されまして、最近わが国も批准をしたというふうに聞いております。 〔主査退席、津島主査代理着席〕 そこで、この国際人権規約を批准いたしました日本の立場といたしまして、憲法の第十四条にありますところの差別をしないという問題におきまして「國民は、」という規定がございましたために、従来はその「国民は、」という言葉にとらわれて外国人は差別してきたというふうに考えられるわけでございます。実際に中央において差別されたかどうかは別にいたしまして、現地においてはいろいろの問題で差別の問題が起こっておるようでございます。 そこで、この人権規約が批准され、発効しました今日の段階で、その規約三部の第二十六条に法の前における平等という規定がございますが、この規定はそのまま憲法の十四条と入れかえてもいいものかどうか。そのように十四条の「國民は、」という言葉を一応すべての人はというふうに読みかえてもいいものかどうかという点につきまして御見解をお伺いいたします。
○木暮政府委員 御指摘のように、国際人権規約につきましては昨年の国会で批准ができたわけでございます。社会保障の関係につきましては、A規約、B規約とございます中のA規約の中で、この規約の締結国はすべての者が社会保険を含む社会保障を受ける権利を有することを認めるというふうにうたわれておるわけでございまして、私どももこの趣旨に沿って今後努力をしなければならないというふうに考えております。
○飯田分科員 それでは次にお尋ねいたしますが、現在わが国におりますところの外国人は約七十六万人だと言われておりまして、そのうちいわゆる永住居住権を取得しておる人が五十一万四千、こういうふうに聞いております。ところが、こういう人たちにつきまして、たとえば国民年金について見ますと、被保険者の資格がないというふうに扱われておるということを聞いております。たとえば、実は新聞にも出ておった問題でございますが、これは日経の七月二十一日の新聞でございます。在日韓国人が提訴した問題で、保険料を十一年間払ったけれども国民年金の支給がされないという問題で訴訟を起こしております。こういうように、現実には国民年金につきまして外国人を排除するということが行われております。これをこの国際人権規約を批准しました今日の段階でどのようにお扱いになる所存でございましょうか、お伺いいたします。
○木暮政府委員 昨年、国際人権規約の批准をいたしたわけでございますが、社会保障につきましては、先生御承知のように、生活保護とか国民健康保険等につきましては、外国人にも適用されるという措置がとられておるわけでございます。この国際人権規約を批准するに当たりまして、国民年金の適用問題というのが実は一つの大きな問題であったわけでございます。従来現行法は、日本の国籍を持ち、日本に居住しておるということを被保険者の条件にいたしておるわけでございます。国際人権規約を批准することによりまして直ちにこの点が改正されるかと申しますと、実はいろいろな問題があるわけでございます。特に国民年金は諸外国に例のない特殊な制度でございまして、少なくとも二十五年間加入して保険料を納めていただかなければ年金が出ないという仕組みになっておるわけでございまして、一般の外国人の方がその二十五年間日本に在留されるということは必ずしもないという状況でございますので、単純に人権規約を批准し、国民年金を外国人の方に適用するということは、権利保全の面からかえってどうかという点があったわけでございます。しかし、社会保障の面で国際人権規約の趣旨に沿って将来も努力をするということも大切であるわけでございまして、この国際人権規約には、加盟国は漸進的に社会保障の上での内外国人の処遇を同じにしていくという努力をするということでよいという条文がございますので、人権規約で社会保障の適用を留保することなく批准をいたしまして努力を今後の問題というふうにしていきたいと考えた次第でございます。
○飯田分科員 二十一年間もおる外国人というのは珍しいとおっしゃいましたが、いわゆる永住権を持った、たとえば韓国人だとか在日朝鮮人、こういうような方々の場合には、二十一年どころかずいぶん長くおると思いますが、そういう人に対する保護の問題、そういうふうに私どもは理解しておりますが、いかがでしょうか。
○木暮政府委員 一般の外国人の方が永住権を得られるためには、日本に十年間居住しているというような条件が必要でございますので、なかなか国民年金の二十五年を満たす年齢のうちに永住権を得るということはむずかしいんじゃないかと思いますが、いま御指摘の在日韓国人の方の場合には歴史的な特殊な事情があって日本にずっとおられるわけでございまして、非常に長期におられる方も多いわけでございます。 それで、この韓国人の方々につきましては、昭和四十年に韓国政府との間に在日韓国人の法的地位協定を結んだわけでございますけれども、その時点で生活保護とか国民健康保険あるいは義務教育につきましては日本政府が妥当な考慮を払うということで、この条約が結ばれておりまして、国民年金につきましても当時議論をされたというふうに伺っておるわけでございますけれども、生活保護や国民健康保険の適用によりまして生活の緊急的な要請にこたえることができるという点も判断の基準になったと思いますし、また国民年金が一方では長期の掛金を必要とするということも考慮になったのであろうと思いますが、国民年金につきましては適用するという結論でなくこの地位協定が結ばれたように聞いておるわけでございます。
○飯田分科員 いまの問題、過去においての問題はそれでいいと思いますが、これからの問題として、国際人権規約が結ばれたのですから考慮することが必要ではないかというのが私の質問の要旨でございますが、その点についてはいかがでございますか。
○木暮政府委員 私どもも国際人権規約を批准をいたしまして、しかも社会保障について留保しなかったわけでございますので、国民年金につきましても内外国人を同じように扱うという方向で努力をいたしたいと思うわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、資格権が二十五年いるというような国際的な類似の例がないような制度でございます。したがいまして、外国人にも適用し、かつ権利が保全されていくようにということを考慮しながらやっていかなきゃならないのでございますけれども、さしあたりの方法といたしましては二国間協定で相互に年金制度の通算をするというようなことでいくのが一番いいんじゃないか。実は、その人権規約を批准しております先進国の中でもそういう方法で漸進的にアプローチをしておるというような国々もございますので、そういうやり方を当面努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○飯田分科員 要領は得ませんけれども時間の関係で次へ行きますが、現在厚生年金につきまして、国籍の制限というものはないようです。ところが、日本で厚生年金に入っておりましても、その加入期間というものから、外国へ行っておる期間がありますと抜けてしまう。それで外国に行っている分と日本における分と両方あわせて認めるわけにいかないかという問題がございますが、いかがでしょうか。
○木暮政府委員 ただいま御指摘の問題は、私どもも今後の年金問題の一番大きな問題の一つだろうというふうに思っております。国際交流が多くなりまして、外国からも日本に参りますし、日本からも外国に置かれている支店なり、あるいは外国の現地法人に派遣されるということが多くなってまいっておるわけでありまして、一つの面では両方の保険料を払わなきゃならないという二重保険料負担の面がありますし、また一つの面では、ただいまも御指摘のように、二重に保険料を払いましてもそれぞれが掛け捨てになるということもございます。それで、私どもといたしましては、先ほどの御質問にも関連するわけでございますが、できるだけ条件が整うところから二国間協定でお互いに通算をするということで努力いたしてまいりたいと思っております。 現在、現実にはアメリカとの交渉はかなり進みつつあるという状況でございます。
○飯田分科員 アメリカとの交渉につきまして現在進みつつあるとおっしゃいましたが、どの程度進んでおりますか。
○木暮政府委員 昨年の七月でございますが、アメリカから担当省の大臣がみずから来られまして、時の厚生大臣、橋本厚生大臣と会見をされまして、この問題について基本的な方針を話し合われたわけでございます。これにつきましては、ぜひ必要なので今後両国間で精力的に審議をしていこうということがきまったわけでございます。そのときに向こうの担当官と私どもの方でかなり両国の制度の違い等の討論をいたしたわけでございますが、越えて十月には、私どもの年金局の担当審議官をワシントンに派遣をいたしまして、通算する場合の問題点の第二次的な詰めを行った次第でございます。その二回の会談を基礎といたしまして、年明けてということは実はことしのことでございますが、アメリカの方から今後の交渉の基礎となるメモをこしらえて持ってくるというような予定になっております。
○飯田分科員 児童手当の問題につきまして、外国人の子供にはこれが支給されていない現状でございますが、こういう問題につきましても、人権規約を承認しました以上、考慮する必要はないかと思いますが、いかがでしょう。
○竹内政府委員 児童手当につきましても、先ほどの国民年金と同様、日本国民という場合、法律上の制約から外国人についての適用はいたしておりません。ただ、お聞き及びのことと存じますけれども、私ども現在、児童手当制度についての基本的な抜本的な見直しを行っておる最中でございます。見直しを行う過程におきましてこの問題についても十分検討させていただきたいということで、いまのところ事務的な検討段階にあるということで御了承いただきたいと思います。
○飯田分科員 それではこの問題は、まだ問題はありますが後に残しまして、精薄児の問題に移りたいと思います。 現在の精神薄弱児に関する実態、また今後こういう人たちに対する対策はどうするかという問題は非常に重要な問題だと思います。私どもいろいろ精薄児をお持ちの方々にお目にかかるのですが、恥ずかしいために隠しておられる人が非常に多いので、現実にあらわれておる状況よりもっと深刻な問題があると思われるわけでございます。この問題につきまして、御所見を承りたいと思います。
○竹内政府委員 精神薄弱児あるいは精神薄弱者の数という実態の問題から申し上げますと、これは現在のところ昭和四十六年十月の実態調査結果しか公式のものはないわけでございます。その当時では大体三十五万六千三百人で、在宅で三十一万二千六百人、施設に収容しております者は四万三千七百人という推計がございました。これは大体人口千人当たり三・〇人という数字でございます。 こういった中で、私ども、本年、昭和五十五年でございますけれども、年度で言いますと明年度になりますが、十年間の実態調査結果というものがその後ございませんので、できるならば五十五年度中に心身障害児の調査を行いまして、特にいわゆる統計的な調査という形でなくて、先生いま御指摘のように、親の会の方たちの御協力をいただきながら、福祉施策として対応すべきいわば行政対象として、あるいは福祉を必要とする精神薄弱児者の数の的確な行政上の——統計的には別といたしまして、行政的に必要な数字というものを掌握しながら、これまでもやってまいりましたけれども、特に明年は国際障害者年でもございますし、私どもとしては精神薄弱児者対策というものをこれまで以上に推進をしていきたい、こういう考え方で対応してまいりたいと思っております。
○飯田分科員 保護者が亡くなりました後の心身障害児の生活設計というものにつきまして非常に御心配になっておる親御さんが多いわけですが、こういうことに対する制度としましてどのような制度がつくられており、今後どのように対策が講ぜられるのか、お伺いいたします。
○竹内政府委員 保護者が亡くなった後の心身障害児の生計維持という点が気遣われます点は親御さんたちだけでなく、福祉に関連しております私どもとしても非常に気になるところでございます。 一般論として申し上げますと、私どもは在宅対策あるいは施設対策といったようなことの充実の中で後顧の憂えのないようにというふうに留意はいたしておりますが、個々の親御さんの立場に立ちますと、それでもなおかついろんな不安感がある。そういった意味で、現在心身障害者扶養保険制度というものを実はスタートさせておりまして、これがいままでどちらかと申しますと加入するのに年齢制限があったり、それから保険のいわば月額の給付が二万円で抑えられておるといったようないろいろの不満点がございましたので、私どもとしては、この制度を昨年の十月以降加入できる年齢の制限を六十五歳まで引き上げるとか、あるいはまた二口加入、つまり月額四万円まで支給できるような、そういう形で改善をしてまいりたい。もともとこの制度はいわば親御さんが自分の生命保険を再保険した形で、私どもが社会福祉事業振興会を中心にいたしまして各地方自治体を通じて行っております共済責任という方式で行っている制度でございます。この問題は、いわば個別に親御さんの意思それ自体が直接残された子供さんに伝わるようにという制度という意味では、これからもやや至らない点もまだ幾つか見受けられるわけでございますけれども、こういった制度の維持発展というものについて気を配ってまいりたい、かように考えております。
○飯田分科員 精薄児の養育の問題につきまして両親がこれを非常に扱いかねておる、つまり精薄児を預かってくれる保育施設もない。したがって、母親は働きに行きたくてもなかなか行けないということで苦しんでおられるというのが現状でございますが、精薄児は非常に数が少ないので御無理だと思いますけれども、こういう人たちの現実の苦しみを救うためのいわゆる施設、そういうものについてはどのようにお考えでしょうか。
○竹内政府委員 一般的には、私ども現在のところ五十三年度から障害児保育という問題を保育所で扱えるようにという形で実は対応してみておるわけであります。もっともその前に、四十九年以来若干試行錯誤的な意味で指定保育所という方式でこの問題を取り上げてきたわけでございます。五十三年からいわば特定のところだけではなくて、地域の措置児童の要保育児童の中に心身障害児がおれば、保育所の方でもそれに対応できるような保母さんたちの資質訓練、研修などを行って受け入れるという方式をとってまいりました。現在五百五十七カ所がこの障害児保育をいまのところ実施をいたしております。できればこういった対応策がもっと全国的などこの保育所でもできるように、と申しましても予算措置さえすれば簡単にできるというものではございませんで、やはりその保育所の保母さんのいわば障害児、特に精神薄弱児等に対する扱い方あるいはその問題点のチェックの仕方、それから親御さんとの連携の問題、そういった点についての研修と申しますか、質的な面がございますので、単純に予算さえふやせばというわけにはまいりませんけれども、できるだけこの制度を広げてまいりたいと思っております。 なお、そのほかに、家庭の方で若干でもゆとりがある限りは精神薄弱児の通所施設と申しますか、通っていただきましていわば訓練を受ける、あるいは療育の指導をするというような方式もあわせてとって、できる限り御家庭の負担がより軽くなるようにという面については、関係者もそういった面について誠心誠意鋭意努力を続けておる、こういう状態でございます。
○飯田分科員 これは精神薄弱児だけでなくて、身体障害者のお子さんも含めての問題ですが、障害児の通学の問題につきまして、養護学校が少ないために大変苦労しておられるようでございます。そこで、こうした精神薄弱児とか重度の心身障害児、こういう人たちに対する教育機関につきまして、もう少し数をふやして楽に通えるようにすることは困難であるかどうかということについてお伺いいたします。できれば数をふやしたらどうかと思うのですが、いかがでございましょうか。
○戸田説明員 お答えいたします。 精神薄弱児を対象とする養護学校につきましては、その義務制実施を控えて計画的整備を図ってきたところでございまして、昭和五十四年当初までにその数はちょうど四百校に達しております。 それから、病弱や肢体不自由の養護学校も含めますと、全部で六百五十四の学校に達しております。なお、その一層の適正配置を図るために、来年度におきましても約十六校程度の新設が予定されておるのでございます。また、養護学校の児童生徒の通学負担の軽減を図るために、寄宿舎の設置に要する経費やスクールバスの購入につきましても国庫補助を行い、その配置を促進しておるところであります。
○飯田分科員 養護学校の教員の問題ですが、現在相当数の教員が配置されておることは事実ですけれども、その教員が非常に負担が多いという訴えをしております。先般、市立の明石養護学校へ参りまして調査した結果ですが、先生方が腰が痛くなる。これは生徒を抱えたりして一対一の形で教育をやりますために、自分の体を使うことが多いために大変苦労しておる。そこで、そういう教員に対して何らか待遇向上を図ってくれないかという訴えを受けました。 それからまた、教室の設備基準が文部省とか県と市で決めておる規定があるらしいけれども、現実には障害児の教育をする場としては非常に狭い。訓練器具やら装具を置くためには狭過ぎる。これは何とかうまくいけるように御指導が願えないだろうか。このような訴えが実はあったのでございますが、いかがでございましょうか。
○戸田説明員 まず、教員の負担軽減の対策でございますけれども、心身障害児に対してその障害の状態や能力、適性などに応じて適切な教育を行うために、従来から養護学校の学級編成については配慮してきたところでございますが、今回の標準法の改正案においても一般学級の児童生徒の標準につきましては八人を七人に引き下げる。重複学級の場合には五人を三人にそれぞれ引き下げるなどの措置を講じまして教員負担の軽減を図ることといたしております。また、四十九年度から重度重複障害児の身辺処理や校内移動等の介護を行う特殊教育介助職員の配置を促進して、その拡充に努力をしておるところでございます。また、設備の補助につきましても国庫補助をしておりますので、御趣旨を体しまして今後とも努力をしてまいりたいと思います。
○飯田分科員 最後に、大臣の御所見をお伺いいたしたいわけですが、外国人に対する福祉の問題あるいは外国におります日本人が帰ってきまして厚生年金等が受けられないといった問題をどうするかという問題、それからただいま議論になりました精神薄弱児あるいは身体障害児の教育の問題あるいはそれらに対する福祉の問題、こういう問題についてどのように今後御対処を願えるか、大臣の御所見を承りたいと思います。
○野呂国務大臣 まず第一に、外国人に対して国民年金の適用の問題につきましては、先ほど局長がお答え申し上げましたように、さしあたっては二国間協定方式と申しますか、そういう線の中で今後問題を詰めていかなければならぬのではないかというふうに考えております。 また、精薄児に対する問題でございますが、精神薄弱児が幸せな生活ができるように、それにはやはり障害の原因がどこにあるのか、これを研究、究明することが大事でありましょう。また、それに対しまして、さらに発生の予防だとか、早期発見だとか、早期養育対策を打ち立てたり、あるいは在宅児の対策に留意をしながら、施設そのものに対しても拡充強化をしていく。いずれにしても国際障害者年を五十六年に迎えておるわけでありまして、心身障害者全体の福祉の向上の上に十分意を用いてまいりたい、かように考えております。
○飯田分科員 質問を終わります。
○津島主査代理 これにて飯田忠雄君の質疑は終了いたしました。 次に、則武真一君。
○則武分科員 私は、生活保護者の問題についてお伺いをいたしたいというふうに思います。 最近この生活保護の窓口の申請がなかなかスムーズにいかないという声をよく聞くのであります。そういう方々の声は、就労指導という名前で現行の受給者が保護をやめさせられたとか、また生活保護の切り捨てとも言えるような、いろいろな窓口でのいわゆる切り捨てのようなものが出てきておるというのが多くの声であります。 あと具体的な事実は若干申し上げますけれども、まず五十五年度の予算案を見ますと、生活保護基準が八・六%アップしたのに対して、生活保護費の総額の伸びというのは一〇三・五%でありますから、三・五%しか伸びていない、こういうふうになっているのですけれども、こういうふうな理解でいいのでしょうか、まずお伺いいたします。
○山下政府委員 御指摘のとおりでございます。
○則武分科員 そうだとしますと、一人一人に受給される金額はふえたけれども総額が余りふえないということになると、結局受給者が減る、生活保護費をいただく方が減るんだ、こういうことになると思うのですけれども、そういう理解でいいですか。
○山下政府委員 生活保護には……(則武分科員「減るか減らないかだけちょっと言ってください、後でまた聞きますから」と呼ぶ)減る計算にはいたしておりません。
○則武分科員 減る計算になっていないということになると、よけい私、算術ができなくなるのですが、一人当たりの支給額が上がって、その上がる率ほど総額が伸びないということになると、当然支給人員が減るというふうに私は理解するのであります。どうでしょうか、なぜ支給人員が減らないのか、その辺をちょっと重ねてお答えいただきたいと思います。
○山下政府委員 それを申し上げようと思ったのですが、これから申し上げます。 御承知と思いますけれども、生活保護には生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助、こういう七種類の扶助があるわけでございます。概括的に申し上げますと六割近くのものが医療扶助でございます。生活扶助は三十何%ということだろうと思うのでございます。その大宗を占めます医療扶助というのは、医療費の点数値上げ等ございませんので単価は上がらないわけでございます。比較的にまた落ちついた動きを示しているわけでございます。 そういったことから、単純に生活扶助基準のアップ率が八・六であるのに対して予算の伸び率が三・五であるから人間が減るということには相ならないわけでございます。
○則武分科員 私ちょっと過去のデータをつくってみたのですけれども、生活保護の人員が減ってきたのが、ちょうど昭和三十八年ごろから昭和四十六年ごろまで、かなり大きいテンポで生活保護人員が減っておるようであります。その時期の生活保護基準のアップ率と生活保護費総額のアップ率をしさいに検討してみますと、昭和四十六年に生活保護基準のアップ率は一四%、そして生活保護費のアップ率は一三・九%というふうに、これは昭和三十九年までさかのぼって一年ずつ申し上げてもいいのですけれども、ほぼ生活保護基準の引き上げの率と生活保護費総額の引き上げの率は同じくらいだ、こういう状況であります。でありますから、人員がこれだけ大幅に減っておる時期でも、総額はむしろ、総額の上がり率と扶助基準の上がり率はほぼ同じなんですね。にもかかわらず、いまあなたがおっしゃったように、これが非常に、ことしのように八・六と三・五というと半分くらい上がる率が違う、にもかかわらず人員が減らないというのはどうも腑に落ちないですね、どういう意味でしょうか。
○山下政府委員 昭和三十五、六年当時の数字を十分分析をしてきておりませんので的確なお答えができないかもしれませんが、傾向的には先ほど申し上げました医療扶助、これの比重は年々上がってきておりまして、当時といまとでは大分様相も違うのじゃないかという気もいたしますが、生活保護の全体の傾向としましては昭和四十八、九年のオイルショックごろまでは横ばいないし微減、それ以降大体横ばいないし微増という傾向になってきているわけでございます。ところが、その後落ちついてまいりまして、ここ二、三年は伸びてはおりますが、比較的に落ちついた伸びで出てきておる、こういう状態でございます。
○則武分科員 生活保護基準の引き上げ率と保護費総額の引き上げ率の差を議論してもどうも明確な御返事がいただけないので、一応次に移りたいと思いますけれども、私は、過去のこういうグラフやデータを見ても同じくらいの率で上がっても大幅に人員が減ってきておるのに、今度のように総額が単価の上昇の半分しか上がってないということになれば、よほど大幅な人員のカットが出てくるのじゃなかろうか、こういう懸念がするわけであります、それがないとおっしゃるならいいのですけれども。 それでは一つお聞きしますが、最近いろいろな事態が起こっております。これは岡山県の例を申し上げますけれども、窓口で実際にあった話でありますが、こういうことを言っております。三カ月以内に仕事を見つけなさい、また別のところでは、三カ月以内に病気を治しなさい。これは生活保護を受ける方は、何も三カ月以内とは言わず、すぐにでも病気は治したかろうし、仕事も見つけたいかもしれません。しかし、窓口で三カ月以内に仕事を見つけなさいとか三カ月以内にあなたは健康な体になりなさいよと幾ら言われても、そのようにはまいらないのであります。こういう事実がある。 また、岡山県内の窓口でありますが、あなたは該当しませんということで窓口で用紙もいただけない。門前払いというやつですね。それから、同じく岡山での例ですが、あなたの息子はもう大きくなったから息子にめんどう見てもらえと、息子さんはことし高等学校を出て大阪に就職なさったということですが、やっとこさ自分が食べておるという状況にもかかわらず、その大阪の息子にめんどうを見てもらえと岡山の窓口で言われる。それから、病弱で働けない女性が窓口に行きましたら、その気になれば仕事はある、バーでもキャバレーでも働けるだろう、そういう就職指導があった。それから、離婚をして慰謝料も払ってもらえなくて困っていらっしゃる御婦人が窓口に行きましたら、前の主人からめんどうは見ないという証明書をちゃんととってこい、そうしたら生活保護をしてやろう。そういう証明書がとれるぐらいなら慰謝料もとれるわけでありますから、やはり全く現実を無視した事態ではなかろうか。 以上岡山県の例ですが、これは岡山県だけではなくて日本じゅうの例だと思うので、ちょっと全国的にひどい例を一、二御紹介しておきますと、これは青森県の例でありますが、福祉事務所の係から電話があり、いろいろ調査したが、あなたの病気は大したことはない、それくらいが病気なら世の中の人はみんなうつ病だ。住宅のローンがあるからだめだ、家も広いからだめだ。そんなにだめなら私は死にたくなったと返事をしたら、係は、なわを持っていってあげようかというふうな、なわというのは何か首つりでもしろという意味のようにとれるのですが、そういうひどいやりとりがあった。それから、北九州の窓口での話ですが、八十歳になるお兄さんが重病で寝ていらっしゃる。六十九歳になる病弱の弟さんがいらっしゃるのですけれども、この弟さんが八十歳の重病人のお兄さんを養え、こういう押しつけがあって非常に困惑をしたというようなケースがずっと出ております。 こういうふうな窓口で門前払いや、窓口での締め出しといういろいろな事態を一体御存じなんでしょうか、まずそこをお聞きしたいと思います。
○山下政府委員 御指摘がございましたような事例、いずれも適切さを欠く事例だと存じますが、具体的にそういう事例を私ここで承知をいたしているわけではございませんが、方針といたしましては、明らかに保護を要しないというような場合は別といたしまして、保護申請の意思がある方に対しましては申請書を交付いたしましてこれを受理するという形で指導をいたしておるわけでございます。ただ、福祉事務所に訪れられます方は非常に多岐にわたられますので、必ずしも生活保護でなくても、ほかの福祉施策により適切な対応措置を講ぜられるというような場合もございますので、そういった御説明や手続等の適切な処遇の御説明ということをいたすことは当然であろうと思っているわけでございます。 申すまでもないことでございますけれども、生活保護というのは毎月毎月のその状態に着目をいたしまして、その困窮状態に応じて保護の要否を確認して保護費を支給するということでございます。三カ月で切るというような例があるというふうにおっしゃられたわけですが、それはある意味で、三カ月後に明確に就職することが予定されている、それまで収入がない、三カ月たてば必ず収入がある、そういうような場合について一応三カ月ということを御説明申し上げるというようなことはあろうかと思いますけれども、そういったケースにつきまして、やはりケース・バイ・ケースでございまして、基本的には御指摘のような措置は適当を欠くものと理解をいたします。
○則武分科員 私がいま引用申し上げたようなケースは枚挙にいとまがないわけでありまして、時間の都合で何点かを御紹介申し上げ、それに対して、適切さを欠く、こういう明確な御回答をいただきました。適切さを欠くといいましても、遭遇するのは一人で何回も同じ事態に遭遇するのではなくて、一人はたった一回そういう不幸な事態に遭遇するわけであります。そういう意味で、窓口でそういう切り捨て御免のようなことをやらないように厳重に法の精神に基づいて御指導をお願いをしておきたいと思います。 それから、特にその点で私はさっきもお答えいただきましたが、申請の用紙をやらないとか、とにかく門前払いのようなことはもってのほかだと思うのですね。やはりどんな人間であってもその申請用紙を受け取り、申請することはできるわけです。そして、申請の過程でいろいろ審査はあってもいいと思うのですけれども、初めから用紙ももらえないというような門前払いはもってのほかだと思いますし、そういう点で何らかもっと、穏当を欠くとか妥当でないとおっしゃるなら、何か措置をとられる必要があるのじゃなかろうか。これは全国的にいっぱいあると思うのですが、どうでしょう。
○山下政府委員 生活保護は法の趣旨に従って適正に執行されなければならないということは御説のとおりでございまして、私どももそのために万全の努力をいたしておるところでございます。明確に生活保護申請の意思のある者に対して申請書を交付すべきは当然のことでございまして、そのことはもう早くから、生活保護発足の時期から通知によりまして指示をいたしておるところでございます。
○則武分科員 そこで、大臣お見えでございますので、私、大臣の所信をお伺いしたいのですけれども、生活保護法の第一条には「この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」こういうふうに憲法二十五条という大きな理念を前面に掲げた非常にりっぱな目的というものがうたわれておるわけであります。先ほど私がお話しましたようなケースが全国で起こっておるのですけれども、本当に大臣は、いま物価が狂乱物価の再来、そして公共料金は次から次に上がる、いよいよ国民生活は重大な危機に直面しておるし、ましてや低所得者、生活保護を受けていらっしゃる方々は一層のこと重大な生活の危機にさらされておると思うのですけれども、そういう点で、なるべくならばこの生活保護法で救済してやるんだ、こういう立場で法を運用なさっていらっしゃるのか、さっきいろいろなケースを私が御紹介したように、なるべく門前払いや難癖をつけて押し出すようにするのか、そこら辺の明確な大臣の基本姿勢をお伺いしておきたいと思います。
○野呂国務大臣 御指摘になりましたように、生活保護法の第一条に示す法の精神にのっとりまして、生活保護を受けなければならないお気の毒な方々に対しましては手厚い扱いをすべきである、ことに窓口におきましてお話になりましたようなことが起こっておるということは大変適正を欠くことでございますので、十分全国の社会福祉事務所に通達をし、そういうような事情がないように、手厚く窓口で扱っていくように指導を進めていきたい、こういうふうに考えております。
○則武分科員 そうしますと、大臣いまおっしゃったことを文書か何かで大臣の通達として出していただける、こういうふうに理解していいでしょうか。
○野呂国務大臣 社会局長が担当でございますから、社会福祉事務所にそういう事態の起こらないように十分手厚く窓口で扱っていくようにとさらに注意をいたしたいと考えております。
○則武分科員 それでは、局長さんの方に重ねて確認をしておきたいと思うのですが、私がさっき申し上げた一つは、生活保護の申請が出たらそれはやはり受理するのだ、必ず用紙も渡すし受理する、窓口でいやしくも切り捨てるようなことがあっては決してならない、この点をまず確認していいですか。
○山下政府委員 先ほども申し上げましたように、いろいろな方が福祉事務所にはお見えになるわけです。よくお話を聞いてみれば、年金をもらいたいという話の場合もございます。あるいは世帯更生資金を借りたいというような場合もございましょう。そういった方に即しましてよく御説明を申し上げるということは当然のことでございますが、明確にその生活保護の申請の意思を有するという者につきまして、申請を妨げるというようなことはないようにいたさなければならぬと考えております。これは既存の通知におきましても、読み上げてみますが、これは昭和二十八年の社会局長通知でございまして、現在も生きているわけでございます。「申請の意思を有する者については、申請諸用紙を交付して、申請手続について援助指導し、保護申請書を受領すること。」ということを明確に文書で示達をいたしております。
○則武分科員 ひとつ重ねてお願いしておきますけれども、いま生きておる二十八年の通達ですか、お聞かせいただいたのですが、私どもがいろいろな現場を調査をさせていただきまして、事態はほど遠い感じですね。ですから、こういう生活が重大な危機に脅かされておるような時期でありますから、改めてぜひひとついまの趣旨を重ねて各窓口、現場へ通達を出すようにお願いをいたしておきたいというふうに思いますが、そういうことをしていただけますか。
○山下政府委員 私どもの方には指導いたす課もございます。常時、生活保護の状況の指導に出回っておるわけでございます。この目的は、いわゆる乱給といいますか、みだりに保護が乱用されるというようなことを慎んでいただくという趣旨の指導と同時に、適正に受けてしかるべき保護がなされていない事態をも避けなければならぬという趣旨もあわせ行っておるわけでございまして、明確に保護申請の意思を有する者について申請を妨げるというようなことはないように指導いたしたいと考えます。
○則武分科員 それと同時に、もう一つお聞きしておきたいのですが、先ほど私が申し上げた例の中にもちょっと出ましたけれども、就労指導ということ、つまり自立を助長するという法の目的から、適切な仕事について自立できるようにして差し上げる、これはいいことだと思います。しかし、どうもこの窓口で出てくる就労指導が、三カ月以内に必ず仕事があるのだとか、あるかないかは相手次第で本人の努力ではどうにもならないのですけれども、そういう非常に押しつけがましい就職指導ですね。それから、御婦人の例でも申し上げましたけれども、就労指導という美名でいかにも押しつけがましい。こういう仕事についたらどうかというような、職業には別に貴賎はありませんから、ここであれこれ申し上げることはないかもしれぬけれども、本人の意思に沿わないような仕事を押しつけるというようなことがあってはならぬと思うのですね。こういう立場で就労指導の行き過ぎがあってはならぬということについても、窓口、現場に対する同じような指導をひとつお願いしたいのですけれども、いかがでしょうか。
○山下政府委員 先ほど先生が読み上げられました生活保護法第一条、その中にも「その自立を助長することを目的とする。」ということもうたわれておるわけでございます。したがいまして、また生活保護の仕組みの中におきましても、就労可能、自立可能な方に対しましての援助策というものは仕組まれておるのは御承知のとおりでございます。適正な自立の助長策というものはこれを推進いたしたいと考えるわけでございますが、先ほど先生がおっしゃいましたような家庭を放棄してバーに勤めたらどうかとか、なわを持っていってやろうかとか、そういった不適切なことは行われないように十分留意をいたしたいと思います。
○則武分科員 そうしますと、またもう一遍冒頭へ戻りますけれども、先ほどあなたの答弁では、生活扶助基準が引き上げられておるアップ率と生活保護費のアップ率との関係については、私が懸念をしたようなことはないのだというふうにとれたのですけれども、つまり五十五年度予算では保護基準の方は八・六%ふえたけれども保護費は総枠は三・六%しか伸びていないということは、決して人員をいま以上削るということではない、こういうふうに理解していいですか。
○山下政府委員 当初にも申し上げましたとおり、この生活保護法の被保護人員の推移と申しますのは、そのときの経済情勢、雇用情勢、こういったものに深く関係がございまして、私どもの福祉の分野だけでの意思でどうこうというものではございませんで、大きな流れというものがあるわけでございます。ここ一、二年は非常に落ちついた保護人員の推移を示しておりまして、それに必要な予算は十分確保いたしておるということでございます。ただ、過去の経験もございます。年度の終わりごろになって保護費が不足する、補正をしてもらうとか、あるいは意外に景気が好転いたしたために、予定いたした保護費が剰余を生じて不用を生じたというケースもございます。 いずれにいたしましても、私どもは現在の見込みとして十分予算は確保できておるものと考えておりますが、先生よく御承知のとおり、基本的にはこれは国の義務費でございます。したがいまして、適正に執行された結果に基づく必要経費というものは、財政当局にも私どもは強く要求をいたしてまいるつもりでございますから、そういう意味での御心配は必要ないものだと思います。
○則武分科員 人員は削られないのだというふうに理解していいのでしょうか、重ねてお聞きします。
○山下政府委員 五十五年度の予算で見込んでおります被保護人員は、五十四年度よりも生活扶助人員を削る、そういう形で予算化をいたしておるものではございません。
○則武分科員 それじゃ、最後に重ねてお聞きしますけれども、もし人員を削らないで、しかもこの予算の構造が人員を削らないでいけるのだということになれば、私がるる申し上げたように、もっとたくさんの方がいまの生活困難な状態の中で生活保護を受けたいと思っていても、そういう人が新たに入れないから現状のままでいけるのだ、こういうふうにも読めるのです。つまり、結局はもっともっといまの段階で生活保護を受けたいという困った方がいらっしゃっても、先ほど申し上げたような窓口での切り捨てや門前払いによって生活保護に入れてもらえないのだ、こういうことがあるのじゃなかろうかというふうに思うのですね。しからば、こういう方々にどんどんと温かく生活保護費を支給していただけるならば、いま申し上げたような予算の中身ではちょっと人員を抑えることになるのじゃなかろうか、こういうふうに私は危惧したわけであります。それは基準に従ってどんどん受けられて、それで予算が足りなければこれは義務的な経費として補正予算をどんどん組んでいくのだ、心配するなということであればいいのですが、そういうふうに理解していいですか。
○山下政府委員 そのように御理解いただいて結構でございます。
○則武分科員 終わります。
○津島主査代理 これにて則武真一君の質疑は終了いたしました。 次に、中野寛成君。
○中野(寛)分科員 私は在日外国人、特にその中でも、永住権を持ち、とりわけ熱心に要望活動をしておられます在日韓国人の皆さんの人権問題、そして国民年金及び児童手当の適用に関する要望につきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。 ただ、人権問題ということになりますと、当然法務省管轄の問題が出てまいりますので、その部分につきましては、より基本ベースとしての考え方という部分だけにさせていただいて、年金及び児童手当を中心にお尋ねをしたいと思います。 なお、この問題につきましては、一昨年のこの分科会におきまして私から質問をさせていただき、それ以後幾人かの同僚議員から折に触れて取り上げられてきた問題でございます。ゆえに、ある程度問題点につきましては集約されていることでもあろうと思うわけでございますけれども、できるだけ重複を避けながら、しかし、特に大臣の政治姿勢を含めまして、前向きの御検討をお願いしたいということを冒頭申し上げて、質問に入りたいと思うわけであります。 昨年、日本も国際人権規約を批准いたしました。その第九条には、この規約の当事国は、すべての者が社会保険を含む社会保障を受ける権利を有することを認める、こう書かれているわけでございます。一昨年の私の質問の際に、当時の小沢厚生大臣は、国際人権規約についてもし日本が批准する場合に、厚生省はその所轄する部分についてクレームをつける、または保留することはありませんかとお聞きした際に、そういうことを厚生省の立場からする意思はありませんというお答えでございました。そういう質疑応答がなくても、この人権規約を批准した限りは、これを守る義務が生じてくると思います。その拘束性云々についての法的問題についてはおいておきたいと思いますけれども、しかし、このような批准をし、かつ少なくとも日本の政治が、あらゆる人々に対して人権を守り、そしてその人たちの幸せを守るという基本的姿勢を持っているということでなければ、これは大変恥ずかしいことだ、このように思うわけでございます。制度的な、または手続的な幾つかの問題点はあろうと思いますけれども、これらの問題について、国民年金、児童手当等について、大臣の基本的なお気持ちで結構でございます、これは制度がむずかしいからやめておくというのか、本来こういうことをやる必要はないというお気持ちか、でき得るならば前向きに検討をしたいけれども、いろいろな壁があってその問題についていま苦慮しているということなのか、大臣の基本的なお気持ちをまずお聞きしたいと思います。
○野呂国務大臣 国際人権規約の趣旨は、私も十分理解をいたしておるわけでございます。したがいまして、それにのっとって国民年金及び児童手当の問題をどう処理していくかということでございますが、きょういろいろ論議が行われることだと存じますが、いずれにしても、今後具体的にどう進めていくか、十分検討をしていかなければならない問題であるというふうに考えておるわけでございます。
○中野(寛)分科員 大臣の慎重な御答弁、それなりにその背景はわからないでもありませんけれども、しかし、国際人権規約の精神はよく理解をしておる、これから慎重に検討していくということは、その適用実現へ向かっての前向きの姿勢で検討されるのか否か、このことは大変重大だと思うのであります。いかがでございましょうか。
○野呂国務大臣 たとえば、国民年金の場合におきましては、韓国人だからといって特別扱いするわけにまいりませんので、一般外国人という形で二国間協定方式で問題の解決を進めていく以外にないのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。ただし、国民年金は二十五年掛金を掛けていただいておる者という条件でなければならない。途中で帰られる外国人であったりした場合、その権利保全をどうしていくかというような具体的な技術的な問題をどうしていくかということが問題のネックになっておるのじゃないか。そういう問題について二国間協定方式の中で詰めていって、そしてそれが話し合いが成立するならば、それでわが国の国民年金制度そのものを否定しない形において成り立つならば、これは当然進めるべきだというふうに考えておるわけでございますから、もちろん前向きに検討すべきものだ、かように考える次第でございます。
○中野(寛)分科員 ぜひそうお願いをしたいと思います。 そこで、いつもこの論議をいたしますときに必ず出てくる問題は、一般在日外国人と在日韓国人との位置づけをどう考えるかという問題であります。いま大臣の御答弁の中にも、韓国人だけを特別扱いするわけにはいかないというお答えが出てまいりました。これは厚生省から私ども何回となく聞かされ続けてきたお言葉であります。そして、そのたびに私どもが申し上げてきたのは、あの法的地位協定において一つの外交交渉的裏づけがなされておりますが、もう一つ翻って、どうしてそういう法的地位協定ができたかという歴史的背景を、私どもはとりわけ韓国人については見なければならない、こう思うわけでございます。 在日韓国人問題、これは決して彼らが好きこのんでこの日本へ来たわけではない、これもよく御存じのとおりであります。むしろ強制的に連れてこられた。そしてそのときには、日本の当時の植民地主義的な背景もあって、無理やりに日本人とされたわけであります。そして、その後の戦争後の後始末としていろいろな経緯を経て、そして法的地位協定が生まれたわけであります。言うならば日韓両国政府の外交交渉によって云々と言う前に、このような事態が生まれたのは少なくとも日本政府独自の責任において解決しなければならない経緯と責任があると思うのであります。ゆえに、私どもは、日韓両国政府の交渉というよりも、日本政府の独自の責任においてどうするか、これが国際的な日本の人権問題等に対する信頼をかち得るための背景でなければならない、このように思うわけでございます。このことについて改めて大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○木暮政府委員 中野先生からおととしも分科会でこの問題をお取り上げいただいたわけでございます。 それで、韓国の方々が日本に大ぜいおられるわけでございますが、その歴史的経過につきましては私もよく承知をいたしておるわけでございます。しかし、国民年金の立場から考えますと、在日外国人の中で韓国人だけを特別に扱うということはできないわけでございまして、一般の在日外国人の問題ということで取り上げざるを得ない、こういう立場にあるわけでございます。これはおととしも申し上げたわけでございますが、そういう一般的な社会保障制度という立場から、在日外国人一般の方の問題として取り上げざるを得ないということでございますと、国民年金が世界にも例のないようないわば変わった制度でございまして、二十五年間の拠出期間を満たしていただかないと年金が出せないという形になっておるわけでございます。それで、私どもも単純にこれを適用するということでは権利保全の面で大きな問題があるということで、先ほど大臣も申し上げましたように、国際人権規約を批准しております国々の中でも、二国間協定ということで、相互の年金制度の通算ということを手段として進めておるわけでございますので、私どもも、当面はその条件が整います二国間の協定という形でこの国際人権規約の精神を生かしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○中野(寛)分科員 二国間協定ということになりますと、その裏づけとして、前提条件として、結局、似たようなまたは同程度の年金制度というものが韓国にも生まれなければ、それは成り立たないということを意味するのでしょう。
○木暮政府委員 おっしゃるとおりでございまして、両国間の年金制度の通算という形をとるわけでございます。韓国の場合、私どもの知っている点では、公務員、それから私立学校の教職員、軍人等を対象とした年金制度がございますけれども、一般国民に対する年金制度は現在ないわけでございます。私ども承知している限りでは、オイルショックの前にかなり韓国政府で年金をつくるという準備が進んでまいりまして、法律も制定されるところまで参ったというふうに承知をいたしておるわけでございますが、オイルショックに伴いましてこの施行が延期をされてしまったというような状況でございまして、現在の時点で、この韓国の年金制度はいつから実施に移されるかというめどが、私どもの承知する限りでは立っていないというような状況のようでございます。
○中野(寛)分科員 私は、その二国間の関係としてこの問題を技術的に実は論じたくない。冒頭から申し上げておりますように、これは二国間の政府の交渉によってなすべき課題ではなくて、在日韓国人の皆さんの位置づけ、今日の現状、そのことは、日本政府の独自の歴史的施策の中で生まれた現象だから、日本自身が責任を持ってやらなければならぬ、このことを実は申し上げておるわけです。ただし、韓国にもしそういう制度ができて二国間協定でも同じ趣旨のことが実現できるならば、厚生省の理論構成なり制度の上での検討の上では確かに楽であろう、その整合性的なものがつくりやすいであろうという理解はいたします。しかし、私は、在日韓国人の皆さんの法的な位置づけ、そういうものについて、むしろもっと積極的に考えて、そして日本政府独自の対応というものが当然なされなければならぬということを、先ほど来繰り返し強く申し上げておるわけであります。 ちなみに法的地位協定の中には、前回も読み上げましたけれども、もう一度読み上げます。「多年の間日本国に居住している大韓民国国民が日本国の社会と特別な関係を有するに至っていることを考慮し、」そういう前提があるということを踏まえて、「これらの大韓民国国民が日本国の社会秩序の下で安定した生活を営むことができるようにすることが、」これからの両国の友好関係を増進するということが前文に書かれておって、そして、これに基づいてのいろいろな施策というものが講じられなければならぬ、こういうことであります。 ただ、第四条に、「第一条の規定に従い日本国で永住することを許可されている大韓民国国民に対する日本国における教育、生活保護及び国民健康保険に関する事項」「について、妥当な考慮を払うものとする。」こうなっておる。これをいわゆる制限的な条項といいますか、むしろ狭く限定的に解釈をして、これだけやればいいのだということになってしまっているのではないのか。むしろ、こういうものを初めとして、いわゆる内国民待遇といいますか、日本で長年——むしろ彼らが日本に来たときには日本人として扱われ、そしてその後、戦争が終わって日本に滞在をしているその間に結局日本国籍を剥奪されて、法的地位協定によって曲がりなりにもその位置づけが決められて、しかしその人たちとともにそのお子さん、お孫さん、いわゆる二世、三世、韓国へ旅行したことはあるかもしれません、しかし本当は韓国の言葉さえも話せない人が圧倒的多数であります。韓国人というふうに法律的に言われても、実際の生活の中身、対応、そういうものは日本人と全く同じであります。そして、これは決して個人の意思でまたは個人的に日本が好きだからといって来てそこで永住権を確保したとかいう問題ではありません。 〔津島主査代理退席、主査着席〕 強制的に自分の意思に反して持ってこられた。これは政治責任の問題です。そういうことを考えれば、単に厚生省サイドの、または年金、保険の制度の中での整合性や位置づけという技術的な問題として解決する問題ではないと思います。むしろ、日本の名誉と誇りにかけて、日本の政治家の政治判断に基づいてこのような対応がなされなければならぬ、私は基本的にそう思う。ゆえに、先ほど来大臣にという御指名を申し上げて恐縮ですが、その基本的な政治姿勢について、私は大臣の御答弁を先ほど来煩わそうとしておるわけであります。いかがでございましょうか。
○野呂国務大臣 たとえば国民年金という制度、これを所管しておりますのは言うまでもなく厚生省でございますから、そういう観点から技術的な問題を触れざるを得ないということでございます。しかし、先生の主張される日韓法的地位協定の前文に示されておりますとおり、「大韓民国国民が日本国の社会秩序の下で安定した生活を営むことができるようにすることが、両国間及び両国民間の友好関係の増進に寄与すること」を認める。この協定の前文に示されておることに基づきまして、両国間でいろいろ話し合いをしながら、たとえば生活保護であるとか、あるいは国民健康保険であるとか、老人福祉、児童福祉、身体障害者など外国人には適用されておる。けれども、現在の国民年金制度については、いま直ちにこれを適用するということは法のたてまえから申しましても不可能である。二国間協定で何とかその方法を見出していかなければならぬ。しかし、具体的に二国間協定とは何かと言えば、少なくともいま日米間で検討を進めておりますような、韓国にも同じようなあるいはよく似た制度、通算できるようなそういう措置がとられる、それが前提になるということは、これは厚生省の側からいえば当然のことだと思うのです。 したがいまして、これは単に厚生省の問題でなくて、この日韓法的地位協定に基づきましての今後両国間で残された問題の解決をどう進めていくか、これは政府全体の問題としてひとつ御理解をいただきたい。私どもそういう意味から、単に厚生省という立場でなくて、これは政府の問題として、今後やはり両国間の友好親善のためにも、この問題について前向きに取り組んでまいりたい、こういう意味のことを先ほど申し上げたわけでございます。
○中野(寛)分科員 大臣の御答弁がかなり前向きになってきたことを私は心から評価したいと思います。政府の問題として、政府全体の問題として取り組むべきこととおっしゃられました。そのこともまさにそのとおりだと思います。ただ、そのときに、所轄される厚生省が前向きの姿勢を示されない限り、これらの問題の解決が前に進んでいくということはなかなかむずかしい。そういう意味で、厚生省のこれからのむしろせっかくの御努力をあえて私どもは要請をしたいわけであります。 それと、先ほど、たとえば日米間でいま交渉が進められているあの通商条約ですか、そのことについても承知をいたしております。しかし、繰り返して申し上げますように、そのような同じパターンのことができるのは、確かにこの在日韓国人の問題を解決するには、手続的にまたは制度的にはやりやすいでしょう。しかし、なかなか現在の韓国の政治の情勢や、そしてまたその社会保障制度の内容等々を見るときに、そのことの時間というものは大変なものがあるだろう、こう思うわけであります。いずれそういう整合性をつけるとはしても、むしろ日本の方から積極的にこれらの問題に取り組まれる姿勢こそが、私は日本の政治姿勢の問題として必要だ、このように申し上げたいわけでございます。 それでは、これからその作業といいますか検討を進めていく上においてネックになる問題、それを端的に二、三もしあればお挙げください。
○木暮政府委員 この問題につきまして御説明申し上げますときに、国民年金という制度が世界に類例のないような特殊な制度だということを申し上げてきておるわけでございますが、その一つが、端的に申しまして、二十五年の資格期間を有するという点でございます。この二十五年の資格期間を要する制度というのは、実は諸外国には余りない制度でございまして、ほかの国々ではもっと短い資格期間の場合が多うございます。日本の国民年金だけなぜ二十五年の資格期間が要るかという問題になるわけでございまして、仮にこの二十五年というものが十年とかそういう短いものでありまするならば、外国人の方に適用いたしましても、掛け捨てが非常に多い、権利保全ができないということにはならぬのじゃないかと思うわけでございます。 それで、その国民年金の特殊性ということでございますけれども、現在被保険者の数が二千七百万人ぐらいになるわけでございますが、この二千七百万人の方々は、農民あり農業従事者あり自営業者あり、さまざまな方々が入っておるわけでございます。それで、所得の分布からいいましても非常に多岐にわたっておるわけでございます。御理解をしていただきやすいために厚生年金で申し上げますと、厚生年金の場合にも大ぜいの被保険者がございますけれども、これはサラリーマンという形の方ばかりでございまして、保険料を決め徴収するにも事業主を通してできるということがあるのでございます。国民年金の場合には、いま申し上げましたようにさまざまな形の方が入っておられるわけでございまして、法律上は強制適用になっておりますけれども、これは自主的に保険料を納めていただかなければやっていけない制度であるわけでございます。しかも、国民年金の将来についていろいろ心配が多い時点に担当局長として申し上げますことは、国民にいたずらに不安を起こすということにもなりかねないかと思いますけれども、この問題の御理解をいただくためには申し上げざるを得ないと思いますが、保険料が毎年かなり高くなってまいりまして、現在四月一日から三千七百円台になるわけでございますけれども、来年には四千五百円の保険料にさせていただくという御提案を申し上げておるわけでございまして、二十五年掛けていただきましても、果たしてかなりの水準の年金が確保できるかどうかという、将来非常にむずかしい見通しになっておるわけでございます。 御承知のように、国民年金の場合には、二十歳から六十歳まで四十年間納めていただく、しかし、二十五年間その間納めれば一定の水準の年金をお出しするというような形でできておるのでございますけれども、いま申し上げたような実情から、かなり国民年金の将来というのはむずかしい状況でございまして、二十五年というのも世界各国に比べて類例のない長い期間でございますけれども、もう少し長い期間をとらないと年金という名前に値する水準を維持できるかどうかということがあるのでございます。 それで、外国の場合には被用者年金がございまして、これは日本の厚生年金に当たるものでございまして、比較的問題は少なかろうと思うわけでございますが、一般国民を対象にいたしております場合には税金でやるとか、そういう特殊なことをいたしておりまして、こういう大ぜいの、しかもさまざまな業態の、かつ低所得者の多い方々について保険料でやっておるという制度はないわけでございます。それだけに、外国人の方を適用するのに非常に慎重にならざるを得ないということがございますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
○中野(寛)分科員 いみじくも財政の問題が出てまいりました。まさしく財政がこの問題を大変ちゅうちょさせる一つの大きな要因であることが出てまいりました。たまたま韓国人の皆さんの主張の中に、こういう言葉が出てまいります。「安定した生活」という法的地位協定の中で出てくるこの言葉、それを「われわれは日本の恵みによって得ようとは思わない。あくまでも日本の中で真面目に働き、そして税金を出し、保険金を拠出し、それによって生活の安定を考えるのである。すなわち義務を果たし、その結果としての当然の権利を要求し、受給を考えるのである。」こう述べておられます。現実に二十五年間、保険金を払いましょう、税金はもうすでにかなりの高率で払っておられます、こういうことを考えますときに、その権利義務の関係は、まさにその法的地位だけの差はあっても、そのほかはすべて日本人と変わらない、そういう実態があることをぜひ御認識をいただきたいと思います。彼らが果たしている税負担、これは平均的日本人よりむしろ高いとさえ言われている。税率が特別にかかるわけではありませんけれども、そういうことも踏まえるべきではないだろうか。児童手当等についても、自治体等においてむしろこの問題を積極的に考え、そしてすでにその支給を実施されているところがふえてまいりました。そういうふうに考えますときに、財政の問題もありますけれども、このようなものを包含して行い得る能力があって初めて財政の問題が出てくるのではないのでしょうか。私は、基本的な考え方として、そのようなお気持ちを持ちながら対処していただきたいと強く要請を申し上げ、時間がありませんので、大臣からその御決意のみ、くどいようですがお願いをいたします。
○野呂国務大臣 これは単に厚生省だけの問題でございません。しかし、日韓地位協定の精神に基づきまして、今後政府一体となって検討を進めてまいりたい、かように考えます。
○中野(寛)分科員 終わります。
○橋本主査 これにて中野寛成君の質疑は終了いたしました。 次に、森田景一君。
○森田分科員 公明党・国民会議の森田景一でございます。 委員長、大臣並びに関係の皆様方、連日大変御苦労さまでございますが、私の質問に対しましてはどうかひとつ確実に、簡潔に、明瞭に御答弁をいただきたいと思います。 最初に、私は丸山ワクチンの新薬許可ということにつきましてお尋ねしたいと思います。 私は千葉県柏市に住んでおりますが、私のうちの近くに上杉義文さんという方が住んでいらっしゃいます。この方の娘さんの悪性脳腫瘍の治療に丸山ワクチンを使用いたしました。娘さんが快方に向いたところ、担当のお医者さんが強引にピシバニールという薬を使用したため、腫瘍が再発し、結局中学三年生という若い命を亡くされたわけでございます。このため、上杉さんは医師の重大な過誤であるとしまして、日本医大の三人の先生を相手取って損害賠償請求の訴訟を起こしました。これは厚生大臣も御存じであると思いますが、この問題につきましてどのような見解をお持ちでございましょうか、お聞かせいただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 がんの治療に限らず、医師が患者を治療するに当たりましては、医学的な検査を行い、適切な診断をし、それに基づいて現代の医学において考えられる最良の治療を施しているものとわれわれは考えております。 御指摘の事例の場合、医師に過誤があったかどうかという点につきましては、その事例の詳細にわたって十分な医学的な検討がなされて、しかるべきところにおいて判断されるものというふうに考えますので、個々の事例について厚生省として見解を述べるのは適当ではないと思います。
○森田分科員 私は、この事件で一番重要なことは、丸山ワクチンが医薬品として認知されていなかった、こういうことだと思うのです。なぜ認知されないのか、こういうことにつきまして大きな疑問を持ちました。特に公明党・国民会議の草川昭三議員が丸山ワクチンの製造承認申請に関する質問主意書、こういうものを出しまして、これに対する政府の答弁書が出されました。これを読みましてから、これは私も突っ込んで調べていかなければならない問題だ、このように考えたわけでございます。 結論から申し上げますと、日本全国から、あるいは世界数十カ国からとも言われておりますけれども、丸山ワクチンを求めまして日本医大の丸山博士のところへ毎日数百名にも上る方々が訪ねてきておられる、こういうことでございます。ですから、草川議員も主張しましたように、厚生大臣の超法規的な決断でこの丸山ワクチンを新薬として認めたらどうか、このように私は考えておるわけでございますが、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○山崎政府委員 大臣の御答弁の前に事務的に申し上げたいと思いますのは、丸山ワクチンにつきましては五十一年十一月二十七日にゼリア新薬工業株式会社から承認申請が出されておりまして、これまで中央薬事審議会で五回にわたりまして調査、審議されたわけでございますけれども、その有効性を確認するにはいまだ資料が不十分だ、こういうことを理由にしてさらに追加資料の提出を求めている段階でございます。したがいまして、必要資料が提出された時点で改めてこの中央薬事審議会で審議される、そういうことでございますので、その結果を待って対処していくということが現在のわれわれの考え方でございます。
○森田分科員 それは私も重々主意書の関係で承知しておりますが、大臣の決意のほどを私はお聞かせいただきたい、このようにお願いしているわけであります。
○野呂国務大臣 いま薬務局長の答えたとおりでございまして、超法規的決断と申しましても、当然中央薬事審議会の議を経なければならない問題でもございますから、追加の資料が提出された後において検討すべきものだ、かように考えております。
○森田分科員 それでは私は、質問時間の関係もございますので、ほかの質問を続けさしていただきまして、残りました時間でまた丸山ワクチンのことについてお尋ねしたいと思います。 次は、国民年金特例納付のことについてお尋ねしたいと思います。 国民年金の特例納付制度が実施された目的はどういうことであったでしょうか。私は国民皆年金ということが大きな目的であったというふうに記憶いたしておりますが、お答えいただきたいと思います。
○持永政府委員 国民年金ができましたのは、先生御指摘のように、農民とか自営業者とか、そういった被用者年金の適用を受けない人たちに対しまして、国民のすべての人たちに年金をということで国民年金ができたわけでございます。ところが、国民年金は、これも先生御承知と思いますけれども、たてまえは強制加入というということでございますが、相手方がいま申し上げましたように農民とか自営業者とか、そういう方でございますために、自主的に届けを出して加入していただく、こういう仕組みをとっております。また、保険料の方も自主納付という形をとっております。したがいまして、そういうことで自主的に納められない方あるいは未加入の方が相当おられまして、そういう関係で昭和四十四年、四十八年と過去二回特例納付をやってまいりまして、時効にかかった保険料を納めていただいて年金権に結びつける、こういう制度をとってまいりましたけれども、なお残っておられる方がおられるのではないかという国会などでの御議論もございましたので、改めまして第三回、これが最後ということで、今回限りということで五十三年七月から第三回目の特例納付を実施しておるところでございまして、国民皆年金の名にふさわしく、一人でも無年金者をなくそう、こういう趣旨で現在実施中のものでございます。
○森田分科員 第三次特例納付制度の発足に当たりまして、国会で附帯決議がつけられております。この附帯決議を厚生省はどのように理解していらっしゃるでしょうか。
○持永政府委員 今回の特例納付につきましては、御指摘のように国会で附帯決議がついておりまして、「無年金者の救済は、今回の措置の特殊事情にかんがみ、実施状況を見つつ、福祉的観点から低所得者に対する方策を別途検討すること。」というような附帯決議でございます。これにつきましては、いま申し上げましたように、五十三年の七月から特例納付を実施したところでございますけれども、その後の保険料の納入状況、それから未加入者の実態、そういうことを考えまして、福祉的観点からというようなこともございまして、未納保険料についての貸付制度、これを福祉的観点からということで世帯更生資金制度を活用していただいて、そういった保険料を納める人たちに世帯更生資金を保険料の半額相当分を貸し付けるというような措置をとったわけでございます。これは五十四年度の、本年度の予算からそういう措置をとっております。
○森田分科員 それでは、その無年金者に該当する人数の掌握、実施状況、そういうものは把握していらっしゃいますか。
○持永政府委員 昨年の十一月現在の段階で全国の社会保険事務所が、現在特例納付実施中でございますので、いろいろと名簿もつくっております。市町村に未加入者の名簿をつくり、また社会保険事務所では保険料を滞納している人たちの個別の把握を行っておりますので、そういうものを全体を集計しましたところ、大体八十万人ぐらい特例納付該当者がいるのではないか、こういうような結果でございます。 現在の実施状況でございますけれども、五十四年の十二月末、昨年の十二月末でございますが、これは件数でございますが、収納の延べ件数にいたしまして約百十六万件、金額として六百六億円の収納が上がっております。
○森田分科員 私は千葉県でございますので、千葉県の状況を調べてみました。いままでこの無年金該当者が出ているということについては、お医者さんだとか自営業の高給者の方々に、年金支給額が少ないから入ってもしようがない、こういう人が相当いるのだという話をずいぶん聞いてまいりましたけれども、実際はそうではないのですね。千葉県の状態を御紹介してみますと、要するに無年金該当者が三万八百八十二名、これは特例の発足当時です。それで、五十五年一月現在では、解消者といいますか、もうすでに資格を取った方が六千九百四十四人いるのです。未解消者が二万三千九百三十八人おりまして、そのうち、現在分割で納付の方々が五千百三十五人、ですから、解消者のパーセントは二二・四%。この分割納付の方はことし六月三十日で資格ができるはずでございます。この方を合わせますと、合わせて大体三九%が解消できる、こういう見込みのようでございます。かなりこの二年間で県も市町村もがんばったのだ、こう思うのですが、それでも残りの六一%という人が残る心配があるわけです。しかも、この中で納付が困難だというのが七百十二名おります。それから、先ほどお話ししました、私は入らない、こう拒否しているのは、三万名に対してわずか四百四十一名なのですね。ですから、意思の未確認、そういう状況も非常に多いわけでありますけれども、こういう状況を考えるならば、六月三十日でもうこれが最後だという特例納付期間は非常に期限がもう間近に迫っておりますので、無年金者が出るおそれがまだまだ残っている。努力をされればこうやって進むという事例でございます。そういうことで、結論を申し上げますと、この特例納付制度を最後だというならば、あと二年間ぐらい延長すべきだろう、これが一つです。 それからもう一つは、先ほど世帯更生資金で五十万の半分、五〇%、二十五万まで、こういう話がありましたけれども、私は実はあの制度は国がやったものだと思ってなかったのです。県がやっているのだ、こう思っておりまして、実情はそういうことでございますので、国がやはり思い切ってこういう措置を講じて、その徹底が一年ぐらいかかると思いますので、どうしても二年ぐらい延長すべきではなかろうか、このように考えておるわけでございますが、この点について大臣どうでしょうか、どのようなお考えでございましょうか。
○持永政府委員 大臣のお答えの前に、世帯更生資金の関係のことをちょっと事務的にお答え申し上げておきますけれども、世帯更生資金の関係で、先ほど私、二十五万の貸し付けで二分の一ということを申し上げました。 実は、特例納付は再々申し上げておりますように、保険料をいままで納めてなかった人とか、滞納した人とか、あるいは未加入者、そういう人たちに対して特に設けられた制度でございまして、実は大部分の国民年金の加入者の方は、自分の生活の中から今日まで毎月毎月きちんと保険料を納められたという方が大部分でございます。したがいまして、そういう特例を設けます場合には、今日までこつこつと保険料を納められた方とのバランスというものを考える必要が当然あるわけでございまして、そういう意味合いで、この特例納付の貸し付けにつきましても、ある程度は自分で御努力いただくということで半額までという制度を盛ったわけでございます。 それから、実は前回の特例納付、前々回の特例納付でございますが、あと六月までに四カ月ばかりの期間があるわけでございますけれども、実は前回の例を見てみましても、最後に非常になだれ込み、というような言葉が悪いわけでございますけれども、最後の期限切れになりまして大変たくさんの人が加入するという実例がございます。したがいまして、私どももこれからが勝負だと思っておりますので、なお中央を初めといたしまして市町村に十分な指導の徹底を図っていき、督励をしてまいりたいというふうに考えております。
○森田分科員 大臣、どうですか。
○野呂国務大臣 先ほど政府委員からお答え申し上げましたとおり、残された期間はわずかではございますけれども、行政指導を通しまして周知徹底を図りまして最大限の成果をおさめる努力をしたい。いまのところでは、これを延長するというような考えは持っていないわけでございます。
○森田分科員 先ほどの局長さんですかのお話ですと、最後でなだれ込みがある、こういう話でございます。しかし、なだれ込んでも残る人もあるわけでございますので、その時点で後のことはまたお考えいただける、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○持永政府委員 先ほど来申し上げておりますように、特例納付は今回限りの措置としてやった制度だという趣旨を私どもは踏まえて考えておる次第でございます。
○森田分科員 じゃ、次に進みます。 千葉県の柏市に国立柏病院というのがあります。これを総合病院にするということにつきましてお尋ねしたいと思います。 御存じのとおり、千葉県の人口増加というのはいま日本一の状況でございまして、特にこの柏方面を含めまして東葛地域と言われておりますが、この東葛地域は人口増加が非常に著しいわけでございます。例を申しますと、千葉県全体は昭和三十年に二百二十万五千六十名という人口でございましたが、五十四年の十二月一日現在の資料では、四百六十五万七千六百二名、三十五年が二百三十万六千十ですが、これを一〇〇といたしますと二〇二%というすごい増加状況でございます。しかし、これを東葛地域に限って見ますと、三十五年は二十万二千五十九という数でございますが、これを一〇〇といたしますと、昨年十二月一日六十五万六千二百七十四名でございまして、何と三二五%、三倍以上に人口がふえてきた、そういう状況でございますので、千葉県の特に柏地域を中心としまして公立の病院がございませんでした。東葛でございますのは、市立病院としては松戸市立松戸病院、これがあるだけでございました。そういうことで、公立病院の設置を非常に願望しているわけでございます。御承知のとおり、柏市には国立結核療養所というのがありまして、これを国立総合病院にしてほしい、こういうことで、昭和四十九年の六月五日に住民の市民団体が約五万名に上る署名を携えまして厚生大臣に陳情しました。当時、厚生省の医務局長さんにお会いして陳情しているわけでございます。そういうことから昭和五十三年に国立柏病院として発足になりましたが、総合病院としては、あと産婦人科を設置すれば総合病院になるわけでございます。これを、一日も早く産婦人科も設置して、総合病院にしてほしいという強い要請があるわけでございますが、これに対する当局の取り組み方につきましてお聞かせいただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 地域の医療につきましては、これは県が地元の御要望、実情等に基づきまして地域医療計画をつくりまして行っていくというのが厚生省の基本的な考え方でございまして、厚生省といたしましては、その地域に国立病院あるいは国立療養所があった場合に、その地域の一つの医療機関として、できる限りの協力をしていくというのが基本的な態度でございます。 御指摘の国立柏病院につきましては、いま先生からお話のあったようないきさつで、五十三年四月から国立病院に転換して現在機能をいたしておるわけでございます。これに産婦人科を設置するということにつきましては、地域からのいろいろな御要望も伺っておりますが、私どもといたしましては、病院に隣接する大規模団地の完成の時期を目途として現在検討しておるところでございます。
○森田分科員 私がいつも不満に思いますのは、何かやるというと団地、団地と、こうなんです。千葉県は日本住宅公団団地が非常に多いところであります。厚生省の管轄ではありませんけれども、たとえば公共下水道の進捗率、パーセントなどを見ますと、かなり高くなっているのですけれども、それはみんな公団の地域内だけで、周りの住民のことでは全然進んでない、これが医療の関係についても同じなんです。千葉県の医療というのは全国でも最低のレベルに近い状況でございます。これは厚生省の資料でもございますから御存じだと思います。そういう立場から、たとえば地方自治体の松戸市立病院などは、幼児というか、生まれたばかりの赤ちゃんの特殊な病気を治療するために、全国で初めてだそうですけれども、自動車の中に酸素吸入とか、そういう動く病院と言われますものをつくって住民のニーズにこたえようとして一生懸命努力しているわけです。とにかくあの地域のただ一つの国立病院でございます、県立病院もありませんということで、産婦人科の設置というのも非常に要望されているわけでございます。 北柏団地の話が出ましたから申し上げますけれども、あそこは、いままでネックになっておりましたのは公共下水道の関係でございました。これは来年、手賀沼流域下水道というところで供用開始になりますので、近年中に、一年か二年のうちに入ってしまいます。入ってからつくろうというのじゃなくて、そういう状況をひとつ——団地なら団地でしょうがありませんけれども、とにかくあそこに安心できる、婦人科の設置されている総合病院をつくってほしい、こういう切なる願いですから、もう一遍ひとつお答えいただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 たまたま具体的に団地設立の計画がありましたので、そういうお答えをしたわけでございますが、団地だからということじゃありませんで、その地域にさらに団地ができて、人口がふえるという事実に私ども着目いたしまして、現在、個人で産婦人科を開業しておる方が相当数おられるようでございますけれども、さらに人口がふえた場合には当然柏病院におきましても産婦人科を設置して、地元の医療需要に対応していく必要があるのではないかというようなことを県との相談で、そういうふうに考えておるわけでございます。
○森田分科員 それでは、まだほかにも質問があるのですけれども、また最初に戻りまして、丸山ワクチンのことについてお尋ねいたします。 お尋ねしたいのですが、日本の死亡率の中で間もなくトップになるのではなかろうかと言われているがんの治療法についてどういう方法が、またこれなら絶対治るという治療方法が確立されているのかどうか、その辺をお答えいただきたい。
○山崎政府委員 がんの治療法は最近目覚ましく進歩しております。従来はがんになったら不治であるというふうに言われておったわけでございますが、先生も御存じのとおり、手術による方法、放射線による治療方法、また薬による治療方法、それぞれ非常に進歩しておりまして、がんの種類、その進行の度合い、あるいは場所というようなことを勘案いたしまして、先ほど申しました三つの治療方法を適宜組み合わせて治療の効果を上げておるというのが実情であると承知しております。
○森田分科員 いま、がんの薬として国の方で認めておりますのがクレスチンという薬があるようでございます。それからピシバニールというのがあるようでございます。こういう薬は副作用があるのでしょうか、ないのでしょうか。
○山崎政府委員 お答え申し上げます。 私ども、副作用につきまして行政指導ベースで報告義務を課しておりますのと、あと副作用情報報告というようなものを組織的にとっておりますが、クレスチンにつきましては副作用はあまり報告されておりませんが、しかし発疹とか悪心、嘔吐、下痢、こういうものが少数例——少数例と申しますのは、三年ぐらいの期間でございますが、千二百例中十例程度、こういう少数例の報告がございます。またピシバニールの副作用といたしましては、発熱とか注射部位の疼痛。これはクレスチンは内服でございますが、ピシバニールは注射でございます。そういう意味で注射部位の疼痛等がございますのと、ごくまれにショック症状が報告されている、こういうようなことでございます。
○森田分科員 丸山ワクチンには副作用が認められますか。
○山崎政府委員 いままで中央薬事審議会で御提出いただきました資料によりますと、副作用がない、かようにされております。
○森田分科員 薬事法「第十四条第一項の規定による医薬品等の製造の承認の申請は、様式第十による申請書」云々。施行規則だったかと思いますが、このようにあります。クレスチン、ピシバニール、丸山ワクチンはそれぞれこういう申請書を出しているはずでございますので、その写しをひとつ提出していただきたいと思います。 委員長、取り計らいよろしくお願いいたします。
○山崎政府委員 医薬品等の承認申請書は記載事項の中に企業秘密に属するものが、たとえば製造方法というようなものを中心にして含まれておりますので、これは従来からもお断りしてまいりましたので、今後ともその性質上公表はできない、かように考えておりますので、御了承いただきたいと存じます。
○森田分科員 アメリカ厚生省ではアメリカのお医者さん約三百人ぐらいの方にピシバニールの試薬的使用を許可している、こういうように聞いております。しかもアメリカから丸山ワクチンを求めてきている、こういう実情もあるようでございます。それからお医者さんも過去数回にわたりまして、多いときには四、五十人の視察団が来ている、こういうことでございます。それからアメリカ厚生省からも五回にわたって丸山ワクチンの調査に来ている、こういうことでございますが、大臣はこの丸山ワクチンの視察に行かれたことはございますか。
○野呂国務大臣 ございません。
○森田分科員 厚生省はどうでしょうか。
○山崎政府委員 いままで丸山博士の研究室を訪ねた事実はございません。
○森田分科員 そう訪ねた事実はないというのは、何回か行ったことはあるという意味ですか。
○山崎政府委員 訪ねたことはございません。
○森田分科員 時間の関係がありますので十分な質問ができませんけれども、少なくともこれだけ問題になっている薬であります。先ほど最初に申し上げましたように、がんでほとんどの人が、治療法が確立されてないために苦しみながら死んでいくというこの現実を踏まえて、一人でも二人でも、苦しみが少なく、一日でも二日でも長生きできるような、こういうことを考えるのが厚生省の立場であろうと思うのです。そういうことならば、企業がどうのこうのということは申し上げません、企業がどうであろうとも、いい薬であるならばひとつ、では国で試験的に採用しよう、国の研究機関もあるわけですから。資料出せといっても出ない、こういうことじゃなくて、ではこういう資料を出せとか、さもなければ、それが出しにくいなら——もっと申し上げたいことはあるのですね。けれども、こういう状況なんだから、それではひとつ国の方が積極的に、この薬が効くのか効かないのか、あるいは効かないとしても痛みがなくてそれで長生きできる、こういう状況ならば認めていってもいいじゃないか。こういうことで、ぜひこの丸山ワクチンについて厚生省なり厚生大臣が一遍行って実情をお調べになった方が、日本国民のためになることだと思うのですが、この点だけお聞かせいただきたいと思います。
○山崎政府委員 お答え申し上げます。 私ども、いわゆるゼリア新薬に対しましては、こういうところの追加資料さえあればということで十分御指導申し上げてやってきておるつもりでございますし、また治験薬としてゼリアの会社におきましても、県立のセンターでございますとか国立大学とか国立病院も含めまして、いわゆる臨床研究例、治験例を集めているところなんでございます。そういうことで、せっかく薬事審議会にかけるべき追加資料を求めておりますし、それをまって公正な判断にゆだねたい、かように考えておるところでございます。
○森田分科員 終わります。
○橋本主査 これにて森田景一君の質疑は終了いたしました。 次に、柴田健治君。
○柴田(健)分科員 厚生省にお尋ねをしたいのですが、まず問題点は、ハンセン氏病に関してのみ御質問申し上げたいと思います。 年々、ハンセン氏病の対策に関する予算は何ぼかずつふえておるわけですが、われわれの立場から申し上げるとまだ十分とは言えない、そういう判断でおるわけですが、厚生省としてこのハンセン氏病のいろいろな各費目別について、まだまだ十分でないというようなのは全体的には言えると思うのですが、特にこの中で非常におくれておる点があるとするならばその点はどういう点がおくれておるのか、まずお聞かせを願いたい、こう思います。
○田中(明)政府委員 非常にむずかしい御質問でございますけれども、われわれ、国立のらい療養所につきましては、苦しい国家財政あるいは定員事情の中におきましても最重点項目の一つとして、予算の増あるいは定員の増等に努力いたしております。とは言え、もちろん理想から考えればいろいろな面でまだ足りないところもあろうかとは存じますが、今後ともできるだけの努力をいたしまして、療養者の方々が安んじて療養生活ができるようになるように努めてまいりたいというふうに考えております。
○柴田(健)分科員 抽象論的なお答えをいただいたわけですが、私は具体的に御説明がいただけるものだ、こう思っておったのですが、それでは私から問題点を申し上げてみたいと思うのです。 まず、患者が現在八千五百人ほどおる。この八千五百人の患者は高齢化してきておる。平均年齢がもう五十八歳以上、いずれ五十九歳になる。こういう高齢化してくると成人病が加わってくるし、老人病が加わってくるし、こういうことで、当然これの看護職員というものをいままで以上に増員しなければならぬということは、だれが考えてもあたりまえのことなんですね。その看護職員の増員の定数化問題もある。そして、それを賃金職員として雇っておる。特に、こうした高齢化に伴う看護職員の増員の問題を今後どう確立していくか。と同時にまた賃金職員、定数化の問題とあわせて賃金職員の給与の問題。これは給与とは言えない。賃金職員、これは日雇いということですから、賃金だ。給与ではない。賃金がことしは、三千円から九十円上がって三千九十円になった。九十円の引き上げ。看護婦の方は、三千七百三十円が百六十円上がって三千八百九十円。いままで、あらゆる職別の賃金を調べてみて、こんな低いのはないわけですね、正直言って。なぜこのような査定をするのか。ハンセン氏病患者に対する理解が足らないのか、何が原因だろうか、こういう疑問を持っておるわけです。なぜこんなに低い賃金を決めるのか。他の省との兼ね合いという均衡論から出したと思うのですけれども、これでは解決しないと私は思うのです。この点の見解を聞きたい。
○田中(明)政府委員 らい療養所におきまして近年非常にクローズアップされてまいりました大きな問題は、先生いま御指摘のように、患者の高齢化に伴ういろいろな問題があるわけでございます。高齢になりますと当然いろいろな、老人としての病気が出てくるわけでございまして、これに対する治療のためお医者さんあるいは看護婦さんというのが必要になってくるわけでございます。また一面におきましては、従来らい療養所におきましては、患者さんの一部の方々がみずからいろいろならい療養所の作業にも従事して、療養所の運営を助けていただいていたという面もあるわけでございますが、その方々が老齢化するためにそういうことが期待できなくなったというようなマイナスの面も出てまいりまして、いずれにいたしましても一番大きな問題となってくるのは、確かに看護の問題であろうかと思います。その看護の問題につきまして、これはらい療養所だけの問題ではございませんで、国立の病院、療養所が全体として抱えておる大きな問題でございますけれども、非常に定員の増がむずかしいために、夜勤看護の条件をよくする、あるいはその他の面でより条件のいい状態に看護を持っていくという努力を続けているわけですが、なかなか思ったほどの進展を見てないというわけでございます。 御指摘の賃金職員につきましても、いわゆる二・八体制がしかれるときに、それに対応する措置として相当数の看護関係の職員が賃金職員という形で採用されたという過去のいきさつがございまして、それがなかなか解決されないで残っておりまして、その賃金の額につきまして最終的に先生から御指摘があったわけですが、この額につきましても、先生も御指摘のとおり、やはり国立の病院、療養所おしなべまして一律に、ただいま先生から御指摘のあったような賃金で採用しているというわけでございますので、らいの療養所の看護婦さんだけを特別に考えるということは、われわれとしてちょっとむずかしいような状態でございます。
○柴田(健)分科員 世の中には社会通念上、世間並みということがあるのですね。ところが、いろいろな職業別に調べてみて、臨時雇いだけ考えてみて、ほかの産業別賃金でこんな安いのはないわけですね。まあその点は厚生省よく調べておられると思うのですよ。なぜ安くしなければならないか、その理由は先ほどの均衡論ですね、ほかの国立病院との関係だ、こう言われる。ほかの国立病院の職員とハンセン氏病患者を収容しておる療養所の看護の仕方、そこの点に認識の違いがあるのではないか。二十四時間勤務をしなければならぬような非常にひどい患者が多いわけですね。その点は、厚生省は理解があるが大蔵省の理解がないのか、どこにその問題があるのか。その点は、いままで取り組んでこられた局長が、上げてやりたいが、いま言うたような理由では納得ができないので、問題はどこにあるのか、もっと具体的にひとつ説明を願いたい。
○田中(明)政府委員 私どもは、国立病院あるいは国立療養所あるいは国立のらい療養所におきましての看護は、当然患者さんの病気の種類あるいは容体に対応いたしましていろいろな面で違いがあるとは存じますが、それぞれ非常に大変なお仕事に従事しておられると思っておりますので、先生の御指摘ではございますが、やはり国立のらい療養所の看護婦さんが特殊性はもちろんございますけれども、だからと言って国立の一般の病院、療養所の看護婦さんはそれよりまあ落ちるというか、対価が低いような業務に従事しているとは思っておりません。
○柴田(健)分科員 これは昨年も私お尋ねを申し上げた点なんですね。きょう委員長席にお座りの橋本委員も当時厚生大臣だった。それから厚生省は非常にこの問題に熱心にはやっておられるということは理解できるのですけれども、これは何としても解決をしてもらわないと、どうも世間並みにならないという、せめて世間並みの、いままでの偏見と差別と、そしてそうした隔離の中で患者が生きてきた、それがもう少し平等な取り扱いをしてもらいたいという要求は当然だと思うのですね。特に高齢化になってきて看護職員の増員が必然的に叫ばれていく、それを定数化の中で処置できればいいけれども、なかなか一挙にいかない。いま七百人余り臨時職員、賃金職員がおるわけですね。その賃金職員をもう少し引き上げてやらないと——実態から言うといろいろな割り増しをやっておるのではないですか、正直言って。これはまた部内告発でも起きたらおしかりをこうむるようなことをやっておるのじゃないですか。三千九十円では来ないですよ、正直言って。本当に来ておると思われますか。これは大臣にちょっと聞いておきたいのですよ。
○野呂国務大臣 私もこの前、沖繩の国立のらい療養所に参って現地の情勢を視察をいたしました。あるいは関係の方々がお越しいただいて、今後療養所の整備充実、機能をより高めていくためにどうしたらいいかというような御意見等も承ったことが最近ございます。御指摘の賃金職員、特に三千九十円で来ると思うのかどうか、大変お答えしにくい問題でございますが、この問題は改善を進めなければ、本当に今後この療養所の機能が低下し、老齢化してまいります患者に対する対応も生まれていかないという非常に心配な情勢にある、かように考えます。
○柴田(健)分科員 歴代の大臣は非常に理解をされておるわけですが、理解しながら実態と現実とはかみ合ってないわけですね。からくりか、やりくりか知らないけれども、いろいろな工夫をしておるわけです。これは会計検査院がどういう検査をやっておるのか知りませんが、そこまでわれわれは言う必要ないと思うのですけれども、公正に考えて、もう少し適正に、本当に雇える賃金でなければならぬ。その点は厚生省、今後大蔵省と話し合いをして、平素から話し合いをしておかぬと、予算の編成の前になって厚生省の担当の主計官と幾ら話をしたって、もういろいろ数が多いのだから、今度の賃金職員の賃金アップ等については、ほかとの均衡論だとかそういうことでなしに特別に考えなければならぬ、そういうことに努力をしてもらいたい、こう思うのですが、大臣、これに一言だけ。
○野呂国務大臣 努力をいたします。
○柴田(健)分科員 次に、具体的にお尋ねしたいのですが、ことしの予算と昨年の予算との比較で、やや伸びたところと伸びないところがあるわけです。 たとえば寝具類の更新、寝具といったらいろいろあるのですが、この更新について、なぜふやしていかないのだろうか。それから、室内で一番大事なのは畳なんですが、畳の更新も十分しないということなのです。この点について、もう少し思い切って予算措置をして改善をしてやらなければいかぬのではないかというのが第一点。 第二点目は盲人対策、それから盲人の老人クラブ、老人にはいろいろあるが、全体を含めて老人対策というものが、この療養所の中の経費が全然ふえないという。それから老人の機能回復の訓練、これは当然してやらなければならぬ。看護職員がふえないのなら、こういうのでも少し機能回復訓練をやって、お互いに互助の精神で助け合っていくという、そういう所内の運営の改善策を考えたらどうかということですね。これらも全然ふえない。何でこんなものがふえないのだろうか、こういう気がするわけですが、もう少しこの点について具体的にお答えを願いたい、こう思います。
○田中(明)政府委員 先生も御存じのとおり、らい療養所に関する予算は、苦しい国家予算の中ではほかの国立病院・療養所等に比べましてかなり大幅と申しますか、比較の問題でございますが、全体としては伸び率が高くなっているというふうに考えております。ただ、先生いま御指摘のような寝具あるいは目の不自由な方に対するいろいろな設備等の額が昨年度に比べてふえてないではないかというような御指摘でございますが、個々のものについてはわずかにふえたものもございますし、新しく入った視力障害者用の安全めがねというような項目もございますけれども、確かにいろいろな点につきましてまだ不十分な点はあるかと存じますが、予算の運用に際しましてできるだけ効率的に使ってまいりたい。また、来年からの予算につきましては、患者さんの御要望等をよく伺いまして、患者さんの御要求にこたえるように努力してまいりたいというふうに思っております。
○柴田(健)分科員 ハンセン氏病というのは民族的な問題だとわれわれは受けとめているわけです。議会の方でも超党派で、あらゆる党の世話を願う議懇の皆さんに御厄介になって、厚生省をバックアップして大蔵省にもお願いをして、これは何も論争をして、けんかをしてキャンキャン言うような問題ではない、みんなが理解をして日本の領土から、国土からハンセン氏病を発生させないように、完全になくするように、天然痘は全世界撲滅宣言ができたわけですが、ハンセン氏病という病気は何としても民族的な重大な難病中の難病だということで、解決の方向でみんなして努力しなければならない、われわれはそう思ってお世話をさせていただいておるわけです。今後具体的に、もっと細かい点について十分配慮してもらいたい、こう思います。 次に私は、時間の関係がございますが田中局長にちょっとお尋ねをしたいのです。 岡山県の長島架橋の問題です。架橋の問題で昨年十一月十八日に、厚生省の医務局長の部屋で局長さんが立ち会い、奥村整備課長も立ち会って、岡山県の衛生部そして地元の町の町長以下四名、岡山県議会の元浜貫一議長、そしてそれに立ち会われたのが橋本龍太郎代議士、前厚生大臣、ここにおいでになるが、そして大村襄治代議士、両氏立ち会いのもとに話し合いが行われた。その話し合いの結果どういう受けとめ方をして、どういうふうに取り組んでおられるのか、ちょっと田中局長の方からお答えを願いたい。
○田中(明)政府委員 私が医務局長に就任いたしまして旬日ならずして、いま先生のお話のあったように、地元の町長さんあるいは県議会の先生あるいは衛生部の者あるいは国会議員の先生、それから患者さんの代表の方々、関係者が私のところにおいでになりまして、この長島架橋のことについてできるだけ早く解決したいというようなことでいろいろお聞かせいただいたわけでございます。 その話し合いの中で私が了承しておりますのは、この問題につきましては、昨年の本分科会におきまして先生から御示唆のあった公共事業方式に沿った線で地元に三者協議会が設けられ、その具体化について話し合ってまいっているわけでございますが、この十一月の集まりの際にも従来の方針を再確認いたしまして、公共事業で行うということを前提としてさらに地元で調整を行っていこうというふうに関係者の方々の意見の一致を見たというふうに私は思っております。その後、この方針に基づきましてさらに具体的な検討を行うため、この三月、今月中にも三者協議会を開催するよう現在関係者の間で日程の調整を行っているというふうに聞いております。
○柴田(健)分科員 昨年も私はこの問題をここの分科会でお尋ねして、当時の橋本厚生大臣から、早い機会に着工まで努力をしたい、こういう答弁をいただいたわけです、早い機会というのがいつごろになるのかわからぬが。そして昨年十一月二十八日に関係者が、ほとんどのキャップが集まって協議をされた。私は、いま予算審議をやっているわけですから、五十五年度の予算の中で、あの橋は何としても向こうは国有財産、要するに厚生省が管理する行政財産が何としても比重が大きいわけですから、同じ公共事業といえども厚生省が半ば推進力になるべきだ。ただ三者会議をしてそこで結論を出したらいいというものではないので、それも一つの段階的には必要だけれども、厚生省が何としても推進力になって三者会議もどんどん進めていく、その音頭をとらなければならぬ。その責任はあると思うのですね。何としてもあの広大な面積、そして千六百人からの人々が行政財産区域の中におられるわけですから、厚生大臣の権限の中だから地方公共団体では内政干渉できない地域、それだけに、これからは地域の皆さんと密接なつながりを持ってやらなければならぬ公共事業ですから、厚生省が本当は推進力になる。その推進力になるには、厚生省は調査費というものを予算措置をすべきだ、こう私は思っているのですね。その予算措置をどのくらいしておられるか、まずお尋ねしたい。
○田中(明)政府委員 この長島架橋の問題につきましては、すでにいろいろと三者協議会において討議されておるところでございまして、私どもといたしましては、さらに調査費というようなものをとりまして何か特別に調査する必要があるということにつきましては、現段階としてはその必要を感じておらないわけでございます。厚生省といたしましては、その三者協議会に厚生省の出先機関である地方医務局が出席しておりまして、患者の代表の方あるいは地元の代表の方とともに、具体的にどういうような方法でやっていくかということを、三者の中の一つとしてほかの関係者の方と一緒にこの問題の解決に取り組んでいるわけでございます。
○柴田(健)分科員 予算措置を一銭も持たないで、何にも持たないでやれるという日本の役所ならこれは結構なことなんですよ、正直言って。どんなことでも何分かの調査研究費だとか予算がついておるわけですね、本格的にやるなら。だから、やる意思がないのじゃないですか。ただの二百万でも五百万でも予算措置をして、三者協議会でたとえば専門家に頼んで委託研究費か委託調査費というものを持つとか、それは厚生省がまず模範を示して、それが一つの導火線となって推進力になるわけだ、われわれはそう思う。あらゆる国なり県でいろいろな公共事業をやる施設について調査費も持たないというのは、いまだかつて聞いたことがないですよ。調査費がなくてやったことがありますか、ちょっとお尋ねしますが。
○田中(明)政府委員 この事業は公共事業として行っていくという考え方でいまいろいろ検討いたしておるわけでございまして、その検討がかなり具体化してまいりました段階におきましては、その関係の省庁に対して三者協議会がいろいろ要請されるでありましょうし、厚生省といたしましてもその際にはできるだけの御助力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○柴田(健)分科員 時間が参りましたけれども、それなら、いよいよ少し金が要るようになるなら厚生省も身分相応で金は用意するということですな。
○田中(明)政府委員 厚生省があれするか、あるいは建設省その他のところがやるか、それは今後三者の話し合いの結論がどういう形になってくるかということにもかかわっているかと思いますが、もう少し三者の協議が具体化した段階において必要な措置を講じたいと思います。
○柴田(健)分科員 どうも厚生省、歯切れが悪いんですよ、正直言って。公共事業でやるにしても——それは公共事業というのは建設省なり県、市町村と、こう行く。厚生省は公共事業でそんなものはできるわけがないんだから。けれども、実際は特殊地帯——特殊地帯と言ったらおかしいのですが、厚生省が管轄する財産のところですから、それをしないと、いま長島なり光明園あたりは船がもうだめなんです。それならその間船を更新してやらなければならぬ。海の上を歩いて渡るわけにいかないですね。船の更新というものは、計画に予算措置ありますか。もう船の耐用年数は終わってしまったのですね。
○田中(明)政府委員 この架橋の問題の一つとして、現在船でその島の方々が岡山県の方に行っているのが、架橋ができればその必要がなくなってくるというような問題も絡んでおるわけでございまして、そういう点まで含めて協議会においてはいろいろ財政的な面その他検討されているというふうに聞いております。早くこの架橋ができれば、新たに船を更新するという必要もなくなってくるわけでございますが、もしまだなかなか解決できないという不幸な事態になりますれば、耐用年数が切れて使えなくなった場合には、当然厚生省としてはまた船をつくらなければならないというような事態も起こってくるかとも存じます。
○柴田(健)分科員 終わります。
○橋本主査 これにて柴田健治君の質疑は終了いたしました。 次に、山田太郎君。
○山田(太)分科員 短時間に数点の質問をしたいと思いまして、少々欲張っておりますが、まずスモンの問題についてお伺いをいたしたいと思います。 御承知のようにスモンは、わが国の歴史上のみならず世界的にも空前の薬害であることは御承知のとおりでございます。私といたしましても、昭和四十四年以来懸命にこの解決に取り組んでまいりましたが、近年は患者の方々自身も血のにじむ闘いによって全面解決に向かっているやに見受けられます。しかし、それはまだまだ皮相的な物の見方ではないかと思います。恒久対策一つとっても、救われるべき患者数を含めての患者の全国での把握すら完璧ではありません。しかしながら、これらのことはきょうはともかくといたしまして、時間の関係上、論点をしぼってお伺いいたしたいと思います。 ス全協と前橋本厚生大臣との間で確認書が交わされたことはもう御存じのことでございますが、まず一つは、提訴者でとりわけ投薬証明が不備または投薬証明がないということが理由で和解できない、まことに気の毒な方々の救済についてであります。地元の岡山県におきましても、私のところへも投薬証明が不備だと言われた、あるいは投薬証明がないのでという陳情は、相当数相次いで来ております。 そこで国は、東京地裁の判断が出て、速やかに製薬会社へその判断を尊重して事に処することを再三表明しておりますが、今週中にも東京地裁の判断が示されると聞いております。その場合どういう処置をするつもりか、まず局長にお伺いしておきたいと思います。
○山崎政府委員 先生御指摘のとおり、スモン問題を解決するに当たりまして、いわゆる投薬証明のない患者の取り扱いの問題は非常に大事な問題だと考えております。そういうことで、御指摘がありましたが、私どもはいままで東京地方裁判所にこの考え方についてどうあるべきかということの意見を求めておったわけでございます。私どもの期待といたしましては、近く東京地裁から判断が示されると考えておりますが、示された段階でその判断も十分に尊重しながら、直ちにいろいろ関係方面と協議いたしまして国の方針も決めてまいりたい、かように考えております。
○山田(太)分科員 次に、大臣にお伺いいたしますが、先ほど申し上げた投薬証明のない患者については、現在和解が留保されております。患者の不安も高まっているこの問題を早急に解決して、 一日も早く和解を成立させるべきであると私は思いますが、大臣のお考えなり対処の処置なりをお伺いしておきたいと思います。
○野呂国務大臣 スモンの問題につきましては、前橋本厚生大臣から引き継ぎましたいろいろな課題の中で最大のものであると考えます。したがいまして、当時交わされました確認書の内容を誠実に実行するように急いで対応してまいりたいと考えております。 なお、その中で一番問題の御指摘の投薬証明のない患者の取り扱いの問題は、局長から答弁申し上げたとおり、近々というか、問もなく出るであろう東京地裁の判断に基づきまして、十二分にその判断を尊重し、直ちに協議をいたしまして、国の方針を決定し、関係の製薬会社等とも十分話し合いをして解決に向かいたい、かように考えております。
○山田(太)分科員 東京地裁の判断が出れば、直ちに製薬会社に対して国の方針に従うよう誠心誠意説得に努める決意であると受け取ってよろしいでしょうか。
○野呂国務大臣 そのとおりでございます。
○山田(太)分科員 大臣の決意は了とし、かつ、せっかくがんばっていただきたいと強く要望しておきたいと思います。 そこで次には、未提訴患者の救済をどのように行っていくかというこの問題が大きく残っております。これについてはどう対処するかという点、われわれ当然腹案も持っておりますけれども、まずこれについては局長の答弁を求めておきたいと思います。
○山崎政府委員 すでに九月十五日に確認書が交わされたその時点におきまして、確認書の付属事項と申しますか、確認事項が患者団体との間で確認されておるわけでございますが、御指摘の未提訴患者の早期救済の問題につきましては、やはり裁判上の和解によりまして早期に解決を図ることを私どもの基本方針としております。そういう意味で、確認事項にも掲げておりますように、未提訴患者につきましても提訴をしていただき、迅速に和解を成立させていく、これが患者の早期救済につながる、かようなことに相なると私ども考えておるわけであります。
○山田(太)分科員 現在、厚生省で把握していらっしゃる、たしか一万一千七名だったと思いますが、そのうちの提訴患者は五千百数名だったと思いますが、数十名ですか、そのあとの未提訴者の問題でございますが、先ほどの御答弁では提訴していただいてという大事なポイントがございます。この提訴していただいてという点については、単なる言葉で終わっては相ならぬと思いますが、この点については具体的にどのような対処をしたい、こう思っていらっしゃいますか。全く対処するすべがないというふうになりますか、それともどのように対処していくか、そういう点についてお答えいただきたい。
○山崎政府委員 先生御指摘のように、現在せっかく和解を努力しておりますが、提訴患者の中で半分ちょっとというところが現在和解を済んでいるところでございます。そういう意味におきまして、私どもは何と申しましても未和解患者二千数百名に上る方々との和解を迅速に進めていくことを第一の手順と考えておるわけでございます。そういう意味で、その中には先ほど御指摘の投薬証明のない方々もいらっしゃいます。いろいろとむずかしい案件がありますが、それらをできるだけ早く解決していく、それを第一手順と考えておりまして、それがうまくスムーズに和解のレールに乗りましたならば、それとの関連におきまして未提訴患者についての扱いを考えてまいりたいと思いますが、現在の段階では提訴していただいて扱っていきたい、かように考えておるところでございます。
○山田(太)分科員 局長の御答弁の、投薬証明のない方あるいは投薬証明の不備の方についての和解、解決、これは急がれなければならないことであることは当然でございます。ただ、先ほどのお答えの中での、くどいようでございますけれども、未提訴者については提訴をしていただいてということについて私はお伺いしたわけですが、まだその点について答えるときではないというお考えかもしれません。しかし、この点についてはやはり具体的な対処の仕方というものが要ると思うのですね。お答えができなければ、まずこの方が先なんだ、それは当然わかります。ただ、未提訴者についての具体的な考えというものはまだ持っていらっしゃらないと受け取ってよろしいのでしょうか。
○山崎政府委員 現段階におきましては、具体的にどうする、かようなものを固めておりません。
○山田(太)分科員 これは私なりに一つ提案申し上げておきたいと思うのですが、やはり一万一千七名、これはある場所においては研究班は把握していらっしゃるわけです。といって、提訴していただいてと言ったって周知の方法はなかなかむずかしいと思います。国民年金の例の特例の方々についてもなかなか周知徹底しないものでございますが、やはりこういう例から徴しても、この問題についてはもうすでに周知徹底されているはずであるという想像だけで物事を判断しないようにお願いをしたいと思います。 そこで、これは一案でございますけれども、未提訴者のスモンの方々で、知られたくないという方々もいらっしゃるでしょうし、やはりでき得るならば封書で、もう限られた数でございますから、何らかの方法をもって、提訴していただければこうこうなるというふうな、そこまで言わなくても、こういうふうに進んでおりますよというぐらいの通知は出してもらいたいということを要望しておきます。これは返事は要りません。また別の機会にお伺いします。 そこで、次には難病対策のことでお伺いいたしておきます。 このたび社会党、公明党、民社党の三党と自民党との間で予算修正についての合意ができたことは御存じのとおりでございます。まだ対政府についての問題というものは残ってはおりますけれども、この中で難病対策として、ある金額、相当金額がふえているわけでございます。明確にわかってはおりますが、ここでははばかっておきます。 そこで、この際、ぜひとも特定疾患、特定疾患治療研究のこの対象をどういうふうにふやしていくのか、時期等も含めて早急にやってもらいたいことを要望しておきますが、時期等も含めてお答えしておいていただきたいと思います。
○大谷政府委員 ただいま先生の仰せのような回答がなされた経緯については私ども十分承知いたしておりまして、政府としてはこの回答内容に沿いまして、できる限り誠意を持って対処していきたい、こういう考えでございます。
○山田(太)分科員 時期等も含めてということを入れておいたんです、時間をとらないように。時期等も含めて……。
○大谷政府委員 時期も含めて対処してまいりたいと思います。
○山田(太)分科員 ぼくの言うたことがようわかってもらえてないらしいが、時間があるから次へ移ります。 そこで、大臣にお伺いします。 母子保健法の改正の問題です。私は、母と子の健康を守るためにかねてより母子保健法の改正を署名運動等を通じて訴えてまいりました。わが国の妊産婦死亡率は先進諸国と比較して高いわけです。中でも妊産婦死亡を原因別で見てみますと、妊娠中毒症、次いで出血で亡くなられる方が多い状態でございます。これは五十三年度ですが、五十三年度では、全妊産婦死亡の五八%がこれで占められております。諸外国と比較いたしましても、中毒症による死亡率は、出生十万件当たりの比率で見ると日本が十・三人、米国二・四人、スウェーデン一・〇と先進諸国の中でもきわめて高率を占めております。これはあながち医療体制の不備が原因ととらえられても不思議ではないと思います。 また、母子ともの健康は家庭の幸福の基盤であります。しかし、それを取り巻く社会環境は戦後急激に変化している次第であります。核家族の進行、勤労婦人の増加等があり、現行の母子保健法では対応し切れないというのが実情でございます。私ども公明党は、昭和四十四年以来十回にわたって同法改正案を提出しております。その改善を強く訴えてきたわけでございます。 具体的には、先ほどの妊娠中毒症や出血などの母体の異常や事故に対応できる緊急医療体制の確立などを含む提案をしておりますが、その積極的な対応を大臣よりお答えしていただきたいと思います。
○野呂国務大臣 公明党の方々がこの母子保健の問題に関しまして積極的な御意見を出していらっしゃることは私も承知をいたしておるわけでございます。 社会環境の大きな変化、それから急速な高齢化社会、こういう情勢を考えながら、今後の母子保健施策というものは単なる見直しでなくて、二十一世紀を展望しながら高い次元に立った家庭保健対策のあり方を検討する必要があるということについては同感でございます。これがために各分野の専門家の協力を仰ぎまして、昨年の六月に家庭保健基本問題検討委員会を発足させております。二十一世紀を見通した多角的な観点から母子保健の新しい制度、施策の検討をお願いいたしておりますので、母子保健法の改正につきましては、その結論を踏まえて積極的に検討し取り組んでまいりたい、かように考えております。
○山田(太)分科員 まず年金局長にお伺いいたしたいと思います。 簡単に言います。定年制と年金の連結に関してはどのようにお考えでありますか。まず、厚生省にお伺いしておきたい。
○木暮政府委員 年金政策と雇用政策につきましては、先生の御指摘のございますように、有機的な連携を図っていかなければならないというふうに思っております。これにつきましては従来とも労働省と協議をしてまいっておりますけれども、今後とも労働省と密接な連絡をとってまいりたいと思っております。
○山田(太)分科員 労働省と密接な連携をということでございますが、そこで労働省にお伺いいたします。 局長の御答弁のように、雇用との関係を度外視して論ずることは、これは当然できません。西独とかフランスとかアメリカといった欧米のほとんどの国では、定年と年金支給開始年齢とは連結されております。まあ言い過ぎかもしれないが、老後の生活保障は完璧に確立されております。アメリカなどは、法律において七十歳までの雇用の保障があるほどであることは御存じのとおりでございます。ところが、わが国の民間企業の定年制は、労働省の雇用管理調査によりますと、五十五歳が全体の四一・三%、五十六歳から五十九歳までが一九・四%、六十歳以上が三八・五%となっております。まだ五十五歳定年制が大勢を占めております。この定年と年金支給開始年齢六十歳とのギャップを埋めることが先決であります。わが党がかねてから主張してきております年齢差別禁止法、案ですね、いわゆる定年制延長法、当面六十歳をめどにしておりますが、この制定が望まれる理由もここにあるわけでございます。ともあれ定年即年金受給開始という連結は老後の生活保障には絶対必要であると思います。これらの点について積極的な答弁をお願いしておきたいと思います。
○若林説明員 雇用と年金の関係につきましては、ただいま年金局長が答えましたように、労働者が一定の高齢に達すれば安んじて引退し、後は公的年金と自分の形成してきました資産とで安定した生活ができるようにということが基本でございまして、雇用政策と年金制度との有機的連携が図られるということが必要であるわけでございます。こういうことにつきましては、従来も労働、厚生両省協議を重ねておりますし、今後とも協議を重ねましてこの関係の合理的な確立について努めてまいりたいというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、先生御指摘のように、今後の高齢化社会の到来に備えまして、高齢者の生活設計に十分配慮する必要があるわけでございまして、こういう立場からできるだけ早い時期に定年延長が実現いたしますように、私ども最大の努力を払ってまいりたいと考えております。 御承知のように、ただいま雇用対策基本計画におきまして、六十年に六十歳定年を一般化するということで、これを当面の目標といたしまして努力をいたしておるわけでございますけれども、六十歳前半層につきましても、定年延長、再雇用、勤務延長というような形によりまして雇用の延長を図るということで進めてまいりたいと考えております。
○山田(太)分科員 次に、時間がわずかですが、食品添加物のことについてお伺いしておきたいと思います。 端的に申し上げます。現在、食品添加物について、ことに発がん性の有無を検査するこの検査と、それからもう一つは、遺伝の関係も含めた突然変異誘発試験、こういうのが行われておりますね。それでAF2や過酸化水素等の前例をまた再び踏むようなことはでき得る限り予防されたり、あるいは避けられなければならないと思います。 そこで、一つ提唱申し上げたいのですが、発がん物質であるとわかってしまっているAF2とか、あるいは過酸化水素は処置が行われたわけでございます。そうして消費者あるいは業者に大混乱を起こす、こういうことはやはりでき得る限り防がれなければなりません。そこで、この突然変異性あるいは突然変異誘発物質試験あるいは突然変異誘発試験、これが五十年から一年間で五十品目ずつで二百五十品目は行われております。これは御存じのとおりです。大臣も御存じだと思いますけれども、この五年間でやらなければならないという理由、なぜ早くできないのか、何が障害であるのかという点について私は大変疑義を感じております。もっと早くできるじゃないか。まずそれについてお答え願いたいと思います。
○榊政府委員 御指摘の変異原性試験を私ども五カ年計画で考えておりますが、その点についてのお話でございますが、御指摘のように変異原性試験につきましては、これは期間的には相当短期間で実施できる検査ではございます。ただ、これにつきましては、これだけで安全性というものを評価するということは実はむずかしい問題でございます。これは私どもとしては現在がん原性についてのスクリーニングとして使えるかどうかというふうなことについての研究として実は行っているわけでございますけれども、そのテストの手法につきましても、御承知でもございましょうけれども、この試験方法そのものについても相当日進月歩の状態でございます。そういったことで、従来の試験方法で心配なかったというふうなものにつきましても、順次この技術的な進歩に伴って見直しをしていくということもあわせて考えていきたい、こういうふうに私どもとしては思っているわけでございます。そういうふうなところから、とりあえず五十品目程度のものについて実施を図っていったらどうだろうかというふうに考えておるわけでございます。しかし、御指摘のように事柄が発がん性というふうなものと非常に結びつくいろいろな研究でございますので、その内容の充実ということも、さらにできるだけ早い時期にこういったものを進めていくということについては努力をしていきたい、こういうふうに思っております。
○山田(太)分科員 局長の非常にうまい御答弁でございますけれども、できるだけ早くと——じゃなぜ早くできないのか、なぜ五年でなければならないのか、それがなぜ二年にできないのか、端的なお答えがないわけなんです。私の調べた範囲内では、一件約二十万円でできるわけです。しかも、国立大学の医学部、薬学部、それが六十六、公立大学で医学部あるいは薬学部あるいは医科大学等も含めて合計で八十四あります。これを調べてみますと、この変異原性試験、遺伝物質突然変異誘発試験、これはどうせバクテリアとか枯草菌だとか、そういうふうなものでやるわけですが、それでちゃんと短期間にしかも費用は少なくてできますという返事が数大学から返ってきております。こういうものを使えば、一年で五十、五年間、こんなに時間かけなくてもできるはずです。と同時に、これは先ほどは発がんのことだけおっしゃいましたが、遺伝毒性ということも危惧されておりますことは御存じのとおりでございます。全体の学説とは言いませんが、その学説は大きくなっております。したがって、この点についてぼくが危惧するのは、時間がおくれる、年月がたっちゃう、そのためにがんになる人が、あるいは遺伝毒性にやられる子孫がふえる可能性が全くないということは言えないわけです。キノホルムと同じです。薬害というものがある。全く同じとは言いませんよ。キノホルムのような事態と同じでございますから、早く手を打つということが大切です。したがって、この突然変異誘発試験によってプラスが出たものは、あるいは大きくプラスができたものはちゃんと注意信号ぐらいは出す方法を考えておいた方がいいんじゃないか。なければ青、禁止は赤、注意信号ぐらいは出す方法を考えておった方がいいんではないか。この点について大臣ひとつ答えておいてもらいたいと思います。
○榊政府委員 技術的な問題でございますので、私からお答えした方がと思います。 いま微生物を用いての変異原性試験のことについていろいろお話があったわけでございますが、遺伝毒性というお言葉がございました。これにつきましても、これは実は変異原性試験の中での染色体の異状を調べる試験でございます。これは微生物でございまして、実は直ちに人との関係を論じるということは非常にむずかしいと思います。やはり変異原性試験の結果が次代の世代に影響するかどうかというのが、これはわれわれとしては遺伝毒性と言うわけでございますが、そういった意味ではこれは哺乳動物を使いました実験を行わなければ結論づけることはむずかしいというふうに考えております。したがいまして、私どもとしては変異原性試験というのはあくまでも一つのスクリーニングの方法という意味について行っておるわけでございます。たとえば先般、いま行っております動物実験と変異原性試験との関係につきましての出ました結果でも、八種類の変異原性試験プラスのものについて、一種類、過酸化水素だけが発がん性があるというふうなことがわかったわけでございまして、発がん性物質の九〇%が変異原性プラスでございますけれども、逆は必ずしも真ではございません。そういったこともございまして、やはりそれだけをもって安全性を評価するということはむずかしいのではないかというふうに考えております。
○橋本主査 もう時間が過ぎております。
○山田(太)分科員 時間が来ましたのでこれで質問は終わりますが、私のポイントに答えていただけないようでございますので、これはまた社労委でこの問題については何回も追及し、質問していきたいと思っておりますので、この点を一言申し上げて質問を終わります。
○橋本主査 これにて山田太郎君の質疑は終了いたしました。 次に、神田厚君。
○神田分科員 私は、最近金、銀などの原材料の高騰に伴ってエックス線撮影フィルム及び義歯材料の価格基準、公定価格の改定が行われたわけでありますけれども、この問題につきまして厚生省当局の見解をお聞きしたいのでありますけれども、三月一日に新しい告示価格が決められました。 まず最初に、端的に言いまして、この改定の目的と新しく公示されました数値の根拠はどこに置かれたのか、この点をお聞かせいただきたい。
○石野政府委員 今回行われました措置でございますが、御案内のとおり、金、銀等の金属類が異常な高騰を示したわけでございます。そこで、この金、銀等を材料といたしておりますレントゲンフィルムあるいは歯科材料につきまして緊急に是正いたしませんと逆ざや現象が起きてくるということでございまして、現実、一部の逆ざや現象が起きてまいりましたので、これを解消いたしますために三月一日の告示を行ったわけでございます。 その根拠でございますけれども、最近の特にエックス線フィルムにつきまして申し上げますと、銀価格が一月以降急激に上がってまいりまして、特にエックス線フィルム等につきましてはこの銀の使用量が非常に多いわけでございまして、そこでこの銀の値上がり分を適正に判断いたしまして、たとえば一番大きい四つ切り等につきましては、現行の告示価格百六十四円を三百二十円、一・九五倍の値段で告示いたしたわけでございます。 それから、歯科材料でございますけれども、歯科材料につきましては、昨年の十一月に当時の金、銀、パラジウム等の地金の値上がりがございまして、これのために歯科材料がなかなか入手しがたいというような状況がございましたので緊急是正をいたしたわけでございますが、さらにことしの一月、二月になりまして金、銀、パラジウムが異常な値上がりをいたしましたので、その内容につきまして審査いたしまして額を改定いたしたわけでございます。
○神田分科員 そうしますと、逆ざや解消、さらには入手しづらくなってきておるような状況を解消する、こういうようなことでなされたということでございますが、現実にはそれで逆ざや解消はできているという判断をお持ちでございますか。
○石野政府委員 三月一日付で告示いたしましたので、まだ正確な資料は入手いたしておりませんけれども、現在私どもの情報では一部の病院等でまだ問題があるようでございますけれども、大半の病院におきましては、この告示価格で購入できるというふうに聞いておるわけでございます。
○神田分科員 この問題はちょっと私どもの方でで調査したのと非常に違っておりますので、これは後ほどまたお聞きいたします。 この問題については、特に医療用エックス線フィルムの問題では二月二十一日、公正取引委員会が、フィルムメーカーである富士写真フイルムと小西六写真工業、これが医療用のエックス線フィルムの販売に当たって独占禁止法違反のやみカルテルとやみ再版をしているという疑いで立ち入り検査したわけであります。この関係についてちょっと御質問申し上げますが、公正取引委員会ではその後この問題についての調査はどういうふうになっておるのか。さらに、これは十二月の値上げ分の問題について検査したのか、それとも二月二十一日の分にもまたがって検査が行われているのか、その辺のところをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○出口説明員 公正取引委員会といたしましては、フィルム製造業者らが医療用のエックス線フィルムの販売価格を共同して決定し、これを実施し、さらに再販売価格の維持を図っている疑いで、去る二月二十一日、フィルム製造業者らについて立入検査を行いまして、現在鋭意審査中でございます。 なお、御質問の二月二十一日の値上げ分についても審査しているかということについてでございますが、当然のことながらそれもあわせて審査いたしております。
○神田分科員 この調査が非常に大事でありまして、大変疑いがあるから立入検査までしたわけでありますね。前にも一度、公正取引委員会はこの写真フィルム問題については検査をしたけれども途中で断念をしたようなことがあったようでありますけれども、現在、検査といいますか、その調査の内容の中で、たとえば医療機関等の協力というのは十二分に得られているのかどうか、そういうふうな問題はどうでございますか。
○出口説明員 現在、立入検査の結果領置しました物件につきまして整理中でございまして、いま御質問のようなことにつきましては、恐らく協力を得られるのではないかと考えております。
○神田分科員 この違反の状況が明らかになってきた場合の処置というのは、これは調査の結果待ちでございますが、大体どのくらいの期間をかけて結論を出すおつもりなのか。さらには、そういう違反が非常に濃厚な場合の処置としてはどういうことを考えておられるのか、その辺いかがでございますか。
○出口説明員 期間がどの程度かかるかということでございますけれども、事件によりまして、早いものにつきましては三、四カ月、ちょっと難解な事件になりますと一年近くかかるケースもございますので、いま直ちに何カ月で結論が出るということは申し上げかねます。 なお、審査の結果、独禁法違反の事実が認められた場合には、違反行為を排除する命令を出すということになります。
○神田分科員 二月二十一日の二回目のフィルム値上げのときも、それから後の一次問屋、さらにその先の二次問屋から病院に対する両写真工業社の販売の姿勢というのは、ほとんど同一価格で販売を指示している。その書類は方々に、リコピー等で私ども持っておりますけれども、そうしますと、余り調査に時間をかけますと、今度またさらに、これはまた後で御質問しますが、六月ごろに再々値上げをするというような状況の中で、同じような、段階的にそれを見過ごしてしまうという可能性があるんですね。ですから、この問題については、公正取引委員会は少し本腰を入れて早目に結論を出して、そしてきちんとした判断を示すように。それから、この二月二十一日の値上げに際しましても、われわれの調査では非常に、価格協定をして全国ほぼ一律に流している疑いがある。そういうことも含めて、きちんとした調査をしてもらいたい。
○出口説明員 先ほども申しましたように、現在鋭意審査しておるところでございますけれども、できるだけ早く結論を出すように審査を急ぎたいと思います。
○神田分科員 ところで、厚生省の方にお伺いしますが、三月一日の告示価格に対して、現在実際の価格というのはどのくらいであるか、調査できているのかどうか。先ほどの答弁では、まだ日にちが浅いからできていない、余りきちんとした情報をとっていないけれども、大体告示価格によって購入をされている、こういうような答弁があったのですが、その答弁をした根拠はどういうことですか。
○石野政府委員 これは全国を調査したわけでございませんので、明らかにこの価格で全部買えておるということを申し上げるわけにはまいらないわけでございますけれども、たとえば自治体病院協議会でございますとかその他私どもの知り得る範囲内の情報によりますると、おおむねこの告示価格で買える、こういうふうに聞いておるわけでございます。
○神田分科員 私どもの調査では、三月五日現在、昨日全国の北海道、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡、ここで全部実際にどういうふうな価格で見積もりがされ、さらに実際購入がされているかという調査をしました。これによりますと、一番ポピュラーであります四つ切り三百二十円、これは国公立病院で三百三十九円。それから、フジ、サクラのメーカーの価格表が二月二十一日に実施をされておりますやつが三百五十五円でございます。それから、問屋から各病院への見積もりまたは納品価格は、北海道が三百五十五円、サクラフィルム。東京が三百五十四円、これはフジでございます。それから、神奈川が三百五十五円、サクラ。愛知が三百五十四円、これはフジフィルム。それから、問屋Bの方が同じく三百五十五円。それから、大阪で問屋フジフィルム三百五十五円。それから、福岡のフジ、サクラ、病院購入が三百五十四円。これは全部三百五十五円と三百五十四円の間で、ほぼ全国一律にこういう価格でやられておる。 そういうことを見ますと、いま答弁をいただいたように、ほぼ告示価格三百二十円で購入をされているということは私どもの調査では全然出てこないわけです。その辺のところはどのくらいのサンプルで、何地点ぐらいで調査したのですか。
○石野政府委員 私どもが考えておりますのは、従来の手法でまいりますと、大体メーカーから卸、卸から病院等に参るわけでございますが、その際の見積価格というのはかなり高い値段で出ております。ところが、実際に購入している数字を見ますとそれよりも何%かの割引をして購入いたしておるわけでございますので、その見積書の価格で申しますと確かにおっしゃるとおりでございますけれども、実際に購入できる価格というのは告示価格に近い数字、あるいはそれ以下の数字ではないかというふうに私どもは判断いたしておるわけでございます。現実に自治体病院等の売買の取引の状況につきましては、まだ詳しくはわかりませんけれども、病院管理者あるいは事務当局の方の話を聞いてまいりますと、大体その値段で買えますと、こういうことを報告を受けているわけでございます。
○神田分科員 どのくらいのところにどの程度聞いたかという質問をしているわけですが、そのお答えはないようでありますね。 それで、そうはいいましても、確かに割引の問題はあるわけですけれども、今度は、私どもが聞いている範囲では、二次問屋のマージンというものは従来は一〇%程度あったのが三%程度になっている、つまり問屋が割引できないような、非常にしぼられたような形になっているというのですね。それはどうしてそういう形になっているかというと、またもう一回の値上げというものを目前に控えているので割引できないような形になっているんだ、こんなふうなことまで言われているわけです。ですから、これはひとつ厚生省の方で、実際どういうふうになっているのかという調査をきちんとやってもらって、それで電話か何かでちょっと聞いたくらいの話ではだめでありますから、現実にどんなふうになっているのかという調査をきちんとやってください。いかがですか。
○石野政府委員 レントゲンフィルムの価格というのはどういう値段で決めるかというのは大変むずかしい問題もございます。従来の値引きの率等いろいろなことを考えながら価格を決めてまいったわけでございますけれども、実際に医療機関で購入をする場合にその価格で購入できないという事態がもしあるならば、これは医療の立場から見まして大変重要な問題でございます。したがいまして、今後この実勢価格というものの調査というのがやはり必要になってくる場合があるいはあり得るかもしれませんが、その場合につきましてはそういうことによって対処してまいりたいと思うわけでございます。
○神田分科員 公定価格を決めたわけですから、それと実際の価格が相当違って商取引なり何なりが行われているということでありますれば、それはもう少しきちんと調査しなければだめですね。必要があればというのじゃなくて、必要がある状況でしょう。さらにまたこれから値上げがあるかもしれないという状況の中ですから、そういう問題については責任官庁としてきちんとした調査をしてもらいたい。いかがですか。
○石野政府委員 その判断の時点がいつかということになるわけでございますが、何しろ告示をしてまだ一週間前後でございます。したがいまして、実際の取引の面が正常に行われる時点というのは、やはり一、二週間たちませんと出てこないわけでございます。その時点でもう一遍よく検討してみたいと思いますけれども、あくまでも逆ざやという問題は解消しなければならぬわけでございますので、その辺は十分検討してみたいと思うわけでございます。
○神田分科員 今回の値上げは、先ほど答弁があったように、いわゆる金や銀の、レントゲンフィルムにすれば銀の高騰による値上げだということですと、それ以外の諸費についての値上げ分というのは入っていないわけですから、たとえば電気料金が値上がりしたりいろいろした場合に、さらにこの六月とか七月とかにもう一回値上げがあるのじゃないかというような判断を大方に持たれているようでありますが、その辺はどうでありますか。
○石野政府委員 レントゲンフィルムの場合は銀の使用量が非常に多うございますので、大体銀の価格を正当に判断すればよろしいという基本態度でございまして、従来も銀の価格につきましては上下があったわけでございますけれども、いずれも企業のそういう努力等によりまして、それらを全部吸収してなお利益を上げているという実態もございました。したがいまして、この価格で企業としては非常に苦しい立場になる面もあると思いますし、また実際問題といたしましては卸売関係につきましてマージンの率が低くなるということもあるいはあるかもしれませんけれども、私どもは、医療費の問題を考えますと、できるだけさやの少ない形で価格を設定しなければならぬわけでございますので、そういう意味で現在の価格で、よほどの変化がない限りは十分ではないかという判断をいたしておるわけでございます。
○神田分科員 そういう便乗値上げに近いような形のものがなされないようによく協議をしてもらいたいと思うのでありますが、さらに、先ほど言いましたように、一週間、二週間程度でこれがどんなふうに落ちついていくのか調査をしたいということでありますから、それを見守りまして、きょうは時間がございませんから後の機会でこの問題についていろいろやらせてもらう、こういうふうに考えております。 それから、歯科用の金属材料も同じような傾向にあるわけでありますけれども、これも非常に告示価格と実際の価格が違っておりますね。相当問題が出ているようであります。このことにつきましてもレントゲンフィルムと同じようでありますけれども、私ども調査をしますとやはり相当差がございます。特に銀の関係と、さらにアマルガム用合金などが大変高く取引されている。こういうことが、たとえばアマルガムなんかは予供の歯の問題でありますから将来の問題ともいろいろ絡んできまして、そういう材料が高いために使わなかったり、あるいは福祉医療の問題や保険診療の確保というような問題からしましても、余り離れたままほうっておいては問題が出てくるだろう、こういうふうに考えているわけであります。 それで、時間がありませんから問題点だけ申し上げますけれども、第一としましては、こういうふうにしまして実勢価格と告示価格が大変違っておりますので、これらについて短期の見直しをやるお考えはあるかどうか。四十九年の狂乱物価のときに一時やったというふうに私ども聞いておりますけれども、そういう形で、今回もそういうふうな緊急指導という形で短期見直しをする考えがあるかどうか。これはぜひやってもらいたいというふうにわれわれ考えておるのですが、いかがですか。
○石野政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、実勢価格と実際に購入し得る価格とが差異がありますことは大変大きな問題でございますので、十分その辺を見きわめて、必要によっては対処しなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○神田分科員 全体問題としまして、それではたとえばフィルム業界などに対しまして厚生省としてはどういうふうにしていくのか、企業に対してどんなふうな対応をしていかれるおつもりでございますか。
○石野政府委員 実はこの三月一日の告示をするに際しましては、私から富士フイルム、それから小西六の社長を呼びまして、この価格でぜひできるように協力してほしいということを強く要請いたしました。両社ともそれについては全く異存を持っておりませんでしたので、その点については実は安心いたしたわけでございます。
○神田分科員 そうすれば、この三百二十円で当然取引される、そういうふうな判断を持ったわけですね。ところが、現在そうじゃない。そこにやはり非常に問題が出てきますね。ですから、私がいま言いましたように、三百五十五円で全国ずっとやられているのは事実なのです。両方の社長さんが三百二十円で協力してやっていけると言ったのにこういうふうになっているということについては、さらにこういう事実をそのお二人の社長さんに言いまして、厚生省としましては協議をする考えはございますか。
○石野政府委員 その際にも実は両社長の方から私に申し入れがありましたのは、告示いたしましてから第一線の方までその趣旨が到達するのにどうしても一週間ないし十日程度かかりますので、その間の混乱はできるだけ少なくいたしますけれども、若干のトラブルのあることはお認め願いたいという発言がございました。私も事実そうだと思いますので、その点についてはできるだけ混乱のないように、早く三百二十円の価格で医療機関が購入できるようにひとつ協力してほしい、こういうふうに申し上げたわけでございますので、もうしばらく情勢を見守りたいと思うわけでございます。
○神田分科員 それでは次に、これは大臣にちょっとお聞きしたいのですが、この問題はやはり逆ざやの負担問題に最終的になってくるわけですね。患者が負担するのか、それとも医療機関の方が負担するのか、いろいろ考え方はあるわけでありますが、この逆ざやの負担問題についての考え方、現在はお医者さんが赤字でもしようがないからやっているというのですけれども、これをこのままにしておきますと医療が荒れてしまうような感じもあるわけでありますから、その辺のところについては大臣としてはどんなふうにお考えでございますか。 〔主査退席、津島主査代理着席〕
○石野政府委員 一番その問題で心配いたしておりますのは歯科の問題でございまして、歯科の問題につきましては、かつてございましたように、保険外負担というような形でこれが出てまいりますと、これは歯科医療上大変な問題でございますので、その点については私ども歯科医師会に十分協力も要請いたしておりますので万々そういうことはないと思いますが、一時期におきましては、あるいは医療機関側の方がいわば逆ざやとしまして負担を負うという場合があり得るかと思います。
○神田分科員 それはどういうふうな形で厚生省としては方向づけをするわけですか。
○石野政府委員 私どもはこの価格で十分やり得るという判断で告示をいたしておりますので、そういう心配は少ないと思うわけでございますけれども、もしそういうことでありますれば歯科医師会等に対しましてもできるだけ協力を要請いたしまして、円滑な実施を図ってまいりたいと思うわけでございます。
○神田分科員 大臣にこの問題でちょっと総合的なお考えを聞きたいのですが、いま話したような現状があるわけですね。こういう問題はこのままほっておいては問題だし、さらに値上がりがあるような傾向があったりするという状況ですから、これに対しましてきちんと対処していただかないといけないと思うのですが、その辺いかがでございますか。
○野呂国務大臣 逆ざや現象が解決していくものだと私どもは期待をいたしておりますが、なお御指摘の点につきましては十分留意をいたしながら、業界等もその指導に当たってまいりたい、こう考えております。
○神田分科員 時間があと少ししかなくなりましたが、戦後処理の問題で二点ほどお伺いする予定でおりますのでお伺いしたいのですが、一つは、陸海軍の従軍看護婦さんに対する調査費等も今度の新しい予算でついたようでありますから、この問題についてどんなふうな形でこれをお進めになるのか、簡単で結構ですから御答弁いただきたいのであります。
○松田(正)政府委員 旧陸海軍の看護婦さんの調査につきましては、予算を千七百万円計上いたしてございます。調査の具体的な中身はまだ最終的に結論を得ておりませんけれども、都道府県を通じましてもとの陸海軍の看護婦さんに調査表を配付いたしまして、それに必要事項を記入していただいて集計をする、こういう方法をとらざるを得ないかと思います。内容につきましては、主として戦地におきます、つまり外地におきます勤務の場所、年数、これが中心になろうかと思います。また、実施の時期につきましては、来年度早々にも実施をいたしたい、かように考えております。
○神田分科員 この問題を少しお話ししたかったのですが、時間が来てしまいましたので……。これはずっと懸案でやられていたことでございますから、ぼくらも歩いておりますと、もらっている人ともらっていない人があって不公平だという感じ、方々でいろいろ聞きますから、よろしくお願いしたいと思います。 もう一点は、遺骨収集等の問題で、これは戦後処理の問題で厚生省が力を入れてやっておるようでありますけれども、もうちょっと力を入れてもらってもいいのじゃないかという考えを持っております。特に、中国における遺骨収集あるいは慰霊巡拝の問題というのは大変大事になってきておりまして、かなり突っ込んだ交渉もされておるというふうに聞いておりますが、大臣の方から、この辺のところはどうでございますか。
○野呂国務大臣 御指摘の旧満州地区の慰霊巡拝につきましては、昨年の十二月、大平総理が中国へ参られまして、中国の総理と会談の中で、原則的に中国側の同意が得られたわけでございます。いま外交ルートを通じましてその実施方法について交渉をいたしておる、こういう段階でございます。
○神田分科員 そうしますと、大臣、これはことしじゅうに派遣ができる、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
○野呂国務大臣 そのように承知をいたしております。
○神田分科員 終わります。
○津島主査代理 これにて神田厚君の質疑は終了いたしました。 次に、貝沼次郎君。
○貝沼分科員 私は、国立大学医学部付属病院というようなこういう国立の病院に対しまして、生活保護を受けておられる方々が、生活保護法第十五条によって医療扶助を受けることができる、さらに十六条では出産扶助を受けることができる、こうなっておりまして、そして四十九条では医療機関の指定がなされております。その中には「国の開設した病院若しくは診療所又は」云々というふうに書いてあるわけでございます。ところが、果たしてこういう条項が生きておるかどうかという問題であります。 先日私の方に手紙が参りまして、その手紙を見ますと、要するに、病院に行きました、そうしたら、ここの病院は指定になっていないからよその病院に行きなさい、こういうふうに言われたので、何という差別をするんだろうかと非常に嘆いておった手紙でございます。 私も調べてみますと、たとえば東大を初めとして旧帝大と言われるようなところがかなり指定されていない、こういうような現実があるように思います。そこで、いまその指定の状況というものはどうなっておるのかという点について、まずお答え願いたいと思います。
○山下政府委員 国立大学の付属病院の生活保護法上の指定医療機関の指定につきましては、従来から文部省等関係行政機関の御協力をいただいておりまして、年々改善を見てきておるところでございますが、五十四年度におきましても長崎大学の医学部付属病院等七付属病院を指定をいたしました結果、現在三十六大学五十九病院中、二十四大学三十病院の指定というところまで上がってきておる状態でございます。今後とも国立大学付属病院の指定促進につきましては、関係行政機関の御協力を得て一層努力してまいりたいと考えております。聞き及びますところによりますと、東大の付属病院におかれましても、現在指定申請の準備をしておられるということであると承っております。
○貝沼分科員 では、最近ふえたところ、今回ふえたところはどこですか。
○山下政府委員 一番新しい五十四年度の指定状況を申し上げたいと思いますが、徳島大学付属病院、長崎大学付属病院、金沢大学付属病院、金沢大学がん研究所付属病院、東京医科歯科大学付属病院、それから東京医科歯科大学歯学部の付属病院、島根医科大学の付属病院という状態でございます。
○貝沼分科員 ふえたことは非常に結構なことだと思いますが、私いま大学病院の一覧を持っておりますが、まだまだ足りないと思います。 そこで、なぜこれが進まないのかということですね。恐らく文部省が渋っているんだろうと思いますけれども、なぜこれが進まないのか、その理由はどこにあるのか、この点について伺いたいと思います。
○川村説明員 先生御指摘のとおり、現在国立大学の付属病院で約半数というところでございます。それがなかなか進まないのではないかという点につきまして、私どもも大変に遺憾に存じております。大学病院は、本来臨床の教育研究の場としてつくられておるわけでございますけれども、同時に、その高度の医療水準を生かしまして地域医療にできるだけ貢献をする、こういうものについて協力をしなければならぬということでいっておるわけでございます。 その点で、大変弁解じみるわけでございますけれども、私ども常に大学の方を指導してまいりまして、大学の方でも積極的に対応したいということでございますが、若干やはり現場の具体的な手続の面でやや煩瑣な面がある。御承知のとおり、片や大学病院の方は、定員削減ということで年々定員の方が、特に行政関係の職員につきましては減ることはあってもふえることはないというようなことで、なるべく事務を簡素にしてもらいたいということでございます。私どもも、その点は前から厚生省にお願いをし、最近非常に事務手続もおかげさまで簡素化していただいておりますから、その辺、さらに大学の方でよく社会福祉事務所等と相談をしながらこの手続を進めるようにというふうに指導しておるというのが現状でございます。
○貝沼分科員 今後進めるようにしていきたいということでありますから、それは私は結構なことだと思います。ただ、言葉どおりなかなかいかないので急いでやっていただきたい。特に岡山県なんかでも岡山大学というのは入っておりませんね。ですから、こういうところはちゃんとやっていただきたい、こう思うわけであります。 そこで、先ほど、進まないことは遺憾に存ずる、煩瑣な点がある、事務手続は簡素にというふうなことがございましたけれども、この事務手続の簡素化ということは、私は進めなければならぬと思います。しかし、本来研究が主である大学であるという見解に対しましては、先ほども東大あたりでも申請が出ておるようでありますので、もはやそれは通用しないだろうと思いますね。もう突破口ができたわけでありますから。 さらに、非常に繁雑であるという反面、それならば病院というのは物すごく有効になっておるかというと、一方ではいわゆる私物化診療というのがなされておったりするわけですね。先般の報道によりましても、たとえばこれは会計検査院によって指摘されている点がございますね。これは厚生省の方よくわかると思いますが。この報道の記事によりますと、国立大学医学部や付属病院で、教育や珍しい病気の研究に協力してもらう患者は、公費負担患者として診療費が無料扱いとなっているが、最近この制度が乱用され、職員の家族や友人を同患者扱いにした上、通常なら高い差額ベッド代をとられる個室に無料で入れ、優遇しているケースがふえていることが会計検査院の調べで明らかになった、こういうことが出ております。これは私が調べたわけではありませんが、会計検査院の名前が出ておる以上、恐らく間違いのないことだろうと思うのであります。 したがって、一方ではそういうことが行われる。そして今度は、生活保護を受けておられる方方が大学へ行って、そして診療を受けようとすると、ここらは指定されていない、こう言われると、非常に感情的にまずいですね。こういうことは非常にまずいわけであります。したがって、どんなにいま研究が忙しいの何のかんの言ってみたって、そんなことは一般には通用しないのですね。そういうようなこともありますので、この指定病院に指定するということは今後大いに急いでいただきたい。また、厚生省の方でも極力これを要請していただきたいし、また、文部省の方でもこれを受けて、各大学に対して早くそれに応じていくように指導していただきたい、こういうふうに思いますが、いかがですか。両方から。
○川村説明員 ただいま先生御指摘の点で、いわゆる学用患者、私どもの方で公費負担患者と申しておりますけれども、その取り扱いについて検査院から若干の照会があったことは事実でございますけれども、ただ、ただいまおっしゃった点とはややニュアンスの差があるのではないかと思いますけれども。御承知のとおりに、現在学用患者というものを得るのが非常にむずかしい。大学ではやはり教育、研究のために協力をしてくれる患者を得ることが昔と違って大変にむずかしくなっておるということで、むしろ職員家族、学生等にこちらから協力を依頼しておるというふうな実態が反面あるということがございます。ただ、その取り扱いが手続的に明確でないという点で指摘を受けたことがございますけれども、それはそれといたしまして、ただいま先生おっしゃいましたように、大学病院というものはやはりその医療水準を生かして地域の中核的な医療機関としての役割りを果たすべきであるということは、私どもも前から大学の方に指導しておるわけでございますから、今回の指定の問題につきましても、今後ともまた各大学がなおよく指定を受けるように協力するように指導してまいりたいと思っておるわけでございます。
○山下政府委員 厚生省といたしましても、できるだけ努力をいたしたいと考えております。
○貝沼分科員 文部省の方は、いま会計検査院のやったことについて、ニュアンスが違うという言葉ではありましたが、心外だというような意味もあったような気がしますが、これは決して会計検査院に指摘されるようなことではないという答弁ですか。
○川村説明員 先ほどお答え申し上げましたように、ただいまの公費負担患者の認定につきまして手続的に明確でない点があるということは、検査院の御指摘のとおりでございます。その点につきましては、速やかにこれを改めるように現在指導しているところでございます。
○貝沼分科員 それから、先ほど一言申し上げたのですが、岡山大学付属病院については、これは見込みはいかがですか。
○川村説明員 岡山大学の付属病院につきましても、従前から実態的には受け入れをしておるようでございますが、指定を受けるべく現在具体的な相談を進めている最中でございまして、でき得べくんば五十五年度の上半期中には指定を受けるようにということを目途に、現在進めておるところでございます。
○貝沼分科員 今後よろしくお願いいたします。 それから次に、国立病院、療養所等につきましての看護婦の待遇の問題についてお尋ねをしておきたいと存じます。 おととしの暮れ、私も病気をいたしまして、ずいぶん病院のお世話になったわけでありますが、そのとき看護婦のいろいろな働きぐあい、仕事ぐあいを見て、大変だなということを実は感じておったわけでございます。ところが、その実態を研究してみますと、非常に無理な点が実はございまして、この点を何とか改善しなければいかぬ、こう思っておりますので、きょうはその主張をさしていただきたい、こう思っておるわけであります。 その一つは、いわゆる賃金職員といわれるものの待遇でございますが、これはもう厚生省といたしましても、昭和五十年四月、定員内職員と同様の勤務につく恒常的賃金職員と認められておるわけでありますが、実際はその差ははっきりいたしております。たとえば賃金においてとかあるいは労働契約において問題があるようであります。 そこで、定員内職員と恒常的賃金職員というものは職務内容においてどういうふうに違うのか、この点をまずお答え願いたいと思います。
○田中(明)政府委員 恒常的な賃金職員の職務内容は、いわゆる定員化されました職員の職務内容とほとんど変わっておりません。
○貝沼分科員 私も実際現場で見まして、確かに変わってない。変わってないにもかかわらず、なぜこんなに違うのかということなんですね。非常に疑問を持ちました。それはやはり総定員法であるとかこういう法律の面から縛られ過ぎるからこういうことが起こるのではないか、現実にそぐわない問題ではないか、こう思っておりますので、そこで私が主張したいことは、早く何とかしてこの人たちの定員化といいますか、そういうふうに運ぶ努力をしていただきたい。それから賃金の問題においても、これを何とか同じ方向に行くように努力をしていただきたい、こう思っておる次第であります。 そこで、質問でありますから具体的にちょっと聞いておきたいと思いますが、人数の面から、定員内職員と賃金職員というのはどれくらいになっておるかということなんです。答弁してもらうと非常に長くなると思いますので、私が当局から聞いたところによりますと、賃金職員の方が年度が進むに従ってだんだんふえてきておる。四十五年は初めのときでありますから、百二十七名しかいなかったのが、五十四年にはもう六千四百七十九名ぐらいおるようですね。全体定員内職員が五万二千百五十七名ぐらいでありますから、実は一二%ぐらい賃金職員になっておるようであります。 こういうような実情から考えて、定員化ということがどうしてむずかしいのか、これは本当に不可能なのかどうか、この点についていかがでしょうか。
○田中(明)政府委員 先生御指摘のとおり、五十四年度におきまして、いわゆる賃金職員が定員職員の一二・四%になっておるわけでございます。この賃金職員は、いわゆる二・八体制がしかれるときに、急遽相当多数の看護婦さんを新たに採用するという措置を講じたときに、賃金職員になられた方が大多数でございまして、その後、これらの方につきましては、定員の増等のときになるべく定員化するように図っておりますが、一方におきましては、看護の高度化というような意味合いにおきまして、新たな看護婦に対する需要も出てきておりまして、二・八体制をしくときに生じました多数の賃金職員の方を定員化することはなかなか進まないというのが実情でございます。 〔津島主査代理退席、主査着席〕 厚生省といたしましては、できる限り定員化を促進するように努力いたしておりますけれども、現在の国の定員事情等いろいろむずかしい状態にございまして、御指摘のようになかなかはかばかしく促進しないというような状態でございます。
○貝沼分科員 とにかくこれを促進していただきたい、こう思います。それから、もし賃金職員の人が団結して、もうやめた、こうなりますと、病院は成り立ちませんね。ですから、その辺のところをよく考えてやっていただきたい。 時間がありませんから、次へ進みます。先ほど申し上げましたように、賃金についての、いわゆる待遇についての改善、内容はほとんど同じだとさっき答弁がありましたけれども、内容について改善する考えはあるかどうか、この点伺っておきたいと思います。
○田中(明)政府委員 賃金職員の方の処遇の改善につきましては、毎年その雇い上げの単価のアップを図る等いろいろ努力しておりますところで、五十五年度におきましても、非常にわずかではありますが単価のアップを図ることを予定いたしております。しかしながら、定員化された職員との間のギャップというのを埋めるにはまだまだ努力が必要であるというふうに思っております。
○貝沼分科員 まだまだ大変なようですね。それで、こういう小細工しなくてもいいようにしなければいかぬですね。四月一日から三月三十日まで契約、三十一日だけ切れてアルバイト的な性格を持たせている、こういう小細工をしなければならぬような日本の法律はまずいと思います。 それからもう一点、二・八の問題。先ほどちょっと話がありましたが、この二・八の完全実施ということは、見込みはどんなものですか。
○田中(明)政府委員 二・八体制につきましては、全国の病院といたしましては、すでに大体八〇%くらいが二・八体制がしかれているというふうに了解しております。国立病院、療養所におきましては、先ほど来申し上げておりますような定員の事情で、五十四年度におきまして国立病院で七七%、これは全国平均近いのですが、国立療養所では五一%弱という看護単位が二・八体制をしいているところでございます。私どもといたしましては、今後重点的に、承認されました国立病院、療養所の定員増のうちの相当の割合を看護婦さんの増員に向けまして、この二・八体制の確立に努力してまいりたいと思っております。
○貝沼分科員 この二・八を何とかしていきたいという答弁は、もういままでに何十回となく出ていると思うのですが、余り進んでないので、きょうは改めて要望させていただいておるわけであります。ひとつ鋭意よろしくお願いいたします。 それからもう一点は、看護婦問題についての諮問機関をつくってくれという要望が、社団法人日本看護協会から当局にも出ておると思います。いままで、看護婦のいろいろな問題につきましては、局長のもとに検討会が持たれておるようでありますが、やはりこれでは満足いかない。それから医療関係者審議会の看護部会では、やはり身分の問題とか国家試験の問題が主であって、具体的な問題がなかなか議論されないというようなところから、直接大臣の諮問機関としてこの看護政策を検討する諮問機関をつくっていただきたい、こういう要望が出ておるわけでございます。しかもこれは、たとえば検討会などと違って常設しているものとしていただきたい、こういう要望があるわけであります。これについてのお考えはいかがですか。
○田中(明)政府委員 御指摘のように、厚生省におきましては、大臣の諮問機関として医療関係者審議会がございまして、その中に保健婦、助産婦、看護婦等についての問題を扱う部会が設けられておりますが、これは先生も御指摘のとおり、それらの人々の試験の問題その他を扱うことになっております。最近いろいろ問題になっております看護婦さんの問題あるいは看護の問題を御審議いただく機関といたしましては、看護体制検討会というのを五十三年の七月から、局長の諮問機関と申しましょうか、そういう形で設けまして、看護婦の需給計画あるいは看護体制のあり方というような問題を御審議いただいているわけでございます。その委員の方々の名前は全部申し上げる必要もないかと思いますが、その中には前看護協会の会長さんも入っておられますし、その他関係の有識者の方々に御参加いただいているわけでございまして、私どもといたしましては、当面この検討会におきまして看護婦の需給計画あるいは看護体制のあり方を御審議いただき、そのお考えを聞いて、今後看護問題の政策を進めていく参考にいたしたいというふうに思っております。
○貝沼分科員 そういたしますと、いまの答弁は、諮問機関はまず必要とは思わない、しかしいままでの、たとえば医療関係者審議会の看護部会というようなところにたくさんの看護婦の関係の方が入っておるので、その内容をさらに細かく充実をしたい、こういう意味の答弁ですか。
○田中(明)政府委員 ちょっと答弁が明確でなくて失礼いたしましたが、先ほどお名前を挙げましたのは看護体制検討会の委員になっていただいている方々でございまして、非常にその道の大家と申しますか、有識者にお集まりいただいておりますので、医務局長の諮問機関ということではございますけれども、実質的には、私どもといたしましては、これらの先生方の御意見を拝聴することによりまして、看護体制のあり方等についてわれわれの施策を進めるに当たって十分尊重するに足るお考えをお聞かせいただいているものというふうに解釈しております。
○貝沼分科員 それでは一歩進めて、この体制検討会ですか、この検討会はいま常設ではありませんね。これは常設なのかどうか、私、知りませんが、説明によると、どうも常設ではないようなので、常設としていただくということ。それからさらに、その中身についていままでと違ったもっと具体的な問題をも含めるというような意味でその関係者といろいろ話し合うという姿勢、これはお持ちですか。
○田中(明)政府委員 法律あるいは規則によって定められた検討会ではないという意味におきましては常設と言えるかどうかと思いますが、実質上、五十三年七月から予算措置によりまして経常的にこの検討会は開かれておりまして、そういう意味ではそのたびに開いているという性質のものではございません。先生御指摘のありましたような点につきましても私どもも関係者の御意見を拝聴いたしまして、今後の看護体制のあり方について重要な問題につきましてこの検討会において御検討いただくように心がけておる次第でございます。
○貝沼分科員 そういう問題について関係者とよく一回相談してみてください、私は詳しいことはよく知りませんので。 それで、きょうトロトラストの問題を質問する予定でありましたけれども、時間の都合でできませんので、これで終わります。
○橋本主査 これにて貝沼次郎君の質疑は終了いたしました。 次に、寺前巖君。
○寺前分科員 最近、私のところに田辺町の針ケ池四十一番地というところにお住まいの四十五歳の村山明美さんという方のお知り合いから手紙が来ました。私も読みながら涙を流すとともに、ぜひ大臣にも聞いていただきたい。 最初に読ましていただきます。 幼少より視力障害。学校教育は、一切うけていない。長じて多発性関節リウマチにかかる。指がこわばり、やがて背中に痛みを感じるようになる。この時、自殺を何度も考えた。やがて足も痛くなり、歩行困難となる。そして、昭和三十四年三月より三十六年十二月まで入院。しかし、回復せず。入院時はまだ自動車に腰かけることができたが、三十七年より自宅で寝たきりの生活をおくるようになる。 いわばベッドの上に釘付けされたような生活。家族以外の人と話をする機会はほとんどなかった。社会からわすれられてしまっていた。それは非常にかなしいことだった。自分自身にとっても、能動的に何かをおこなうということもなく、一日一日が時間の過ぎゆくままに過ぎ去っていく毎日だった。ただ過ぎてゆくのではなく、何か見えないものにおびえていたようにも思うと言っている。 昭和五十三年四月に府事務所の身障係の人が訪ねてきてくれた時、「点字を習いたい。」と希望した。そして、九月になってようやく開始された。 五十二年度より、京都府が「失明者歩行訓練事業」を京都ライトハウスに委託しておこなうようになっていた。この事業の一環として点字を教えてくれることになったのだ。希望してから半年あまりも待たなければならなかったのは、当時、担当者が一人だったからだ。 点字の練習は読み方からはじまった。週二回の練習だったが、彼女は、かわいた海綿が水をすいこむようにどんどんマスターしていった。そして書き方の練習になって、いくつかの困難にぶつかった。点字を書くために必要な「点筆」を片手でにぎることができない。リウマチのため指が正常に働かないからである。右手の人さし指と親指のつけ根のあたりで点筆をはさむようにした。ところが、片手では点字を打つ力がない。右手に左手をかさねて両手でやるようにした。こうしてようやく書き方の練習をはじめたのだが、また、次の困難に直面した。点字板についている点字用紙をとめるための金具があけられない。一度とめてもらった用紙に書き終ると、そこで練習がストップしてしまう。どうしたらいいかと工夫をこらし、これはケーキ用のフォークを使ってこじあけることにした。これによって点字用紙のとりかえが一人でできるようになった。 こうしていろいろな困難をのりこえ練習をつづけ、半年あまりで修了した。毎日がはりのあるものになった。ダイヤルを回せなくてかけられなかった電話も、プッシュフォンにしてからかけられるようになって、友人もできた。人間が好きになった。 声を出して笑えるようになった。自分でも性格が明るくなったと思うと言っている。 そして、何にもまして点字の雑誌、新聞、小説などが読めるようになった、大切なことも書きとめておくこともできるようになった。社会とのつながりが無限にひろがった。 あいかわらずベッドの上の生活ではあるが、それ以外は全てがよい方に変ったように思う。 今、彼女はNHKの基礎英語講座をラジオで聞き、点字で書きとり、勉強にはげんでいる。「もっと勉強したい」という”未来に対する夢がもてる”ようになった。彼女の人生にとってはじめてのことであったに違いない。 日常生活用具として交付されたテープレコーダーも非常に役に立っている。もちろん指の力がないために簡単な道具をつかって動かしているのだが。 およそ健常な人間にとっては何でもないことが、重度の障害者にとってみれば一つ一つのりこえなくてはならない壁であるのだ。こうした壁をのりこえるために、一生懸命に努力をしている。この努力に対し、行政はもっと力強く援助してほしいと思う。 京都府が五十二年に「失明者歩行訓練事業」をはじめなかったとしたら、彼女の場合どうなっていただろう。イヤ、もっと早くおこなわれていたとしたら、彼女の人生はもっと早い時期にはりのあるものになっていたに違いない。 今、彼女は、福祉がもっと拡充され、こうした事業が全国にひろがることを切に願っている。自分の問題として他人の皆さんにも手を差し伸べていただきたいということを願っているのである。こういう手紙であります。 私、聞いてみたのです。こういう制度が国の制度としてないんだろうか。初めて京都府が独自で考えたものだったんだろうか。どうもそのようなんです。本当に政治の力によって人さん並みに生活できるというところを多くの人は求めていると思う。とするならば、あの重度の障害者に対して学校教育の面で訪問教育ということが数年前から行われました。これは非常に大きな役割りをしました。しかし、これは義務教育だからやったんだ。しかし、義務教育でなくても障害者に対してそういう手を差し伸べる、訪問して、そしてその人の悩みに答える、こういう訓練をやる制度というものを考えたらどうなんだろうか。私は、一気に全部やれと言ったって、予算が伴うかは知らないけれども、ともかくこれをスタートさせるということはみんなにどれだけ大きな激励を与えるだろうか、つくづくこの手紙を見ながら感じたわけです。大臣の所信を聞きたいと思います。
○山下政府委員 現在、私どもの方でも身体障害者の在宅者に対する各種のメニューを通じて実施をいたしておるわけでございます。身体障害者相談員というものも置かれております。全国で七千名程度おるわけでございます。申すまでもなく、福祉事務所には身体障害者福祉ケースワーカー等がおるわけでございます。また、今年度からは、芽を出したというところでございますが、在宅障害者デーサービス事業という事業を今年度でございますか、五十五年度から始めるようにいたしておるわけでございます。これは福祉センターというのがあるわけでございますが、そこに車でお連れをいたしまして、歩行訓練、日常生活訓練あるいは更生相談等を行うというような新規事業も予定をいたしておるわけでございます。既存の事業の中でも、盲婦人の家庭生活訓練事業というようなことも行っておるわけでございまして、相当程度の努力をいたしておるつもりでございます。 ただ、ただいまお話ございました京都府で行われておる事業というものにつきましても、私ども実情をよく調査いたしまして勉強をいたしてみたいと考えます。
○寺前分科員 大臣どうでしょう。
○野呂国務大臣 心身障害者、とりわけ重度の障害者が大変御苦労をなさり、そういう障害にもめげずがんばっていられるということを、いまお読みになったお手紙で、私も非常に感銘をしたわけです。まあ、それに対して国の対策はまだ十分ではないではないかという御指摘であろうと思います。 先ほども局長がお答え申し上げましたように、この巡回であるとか訪問などによりますところの福祉事業、これを一層より高めていく、その実態をいろいろ調査をいたしまして、今後検討させていただきたい、こう考えます。
○寺前分科員 きわめて具体的なんですね。家へ行って、相談に乗って、具体的訓練をしてやってくれ、これは必ず検討してください。必ずやるように、次の年のこの予算委員会には成果が上がるように、私は心から期待します。あとで大臣にもう一度見解を聞きます。次のときには成果が上がるようにしてくださいね。 次に、障害者の多くは中途障害です。中途失明、中途で失聴する、難聴になる、こういう問題というのが社会に非常に多いわけです。圧倒的部分がそうなんです。 私、最近難聴者の人たちの集まりへ行ったんです。自分の無知を改めて知らされたようなものですけれども、本当に一定の年齢まで耳が聞こえておったのに、結核でパスを飲んで耳が聞こえなくなってきた、そして社会の会話ができなくなった、どんなにつらいかという話をよく聞かされました。私はとんとんと話をいたしますけれども、そういう中で、現在厚生省の方で補聴器を法律によって支給するということがやられていますけれども、だんだん社会の発展に応じて、めがねの縁につけて調節をする機械ができておるのですね。ここのポケットに入れて補聴器をやっている段階から、もっとかっこうよくなるというだけでなくして、何かにさわってぱちっと落ちてしまうということのないようにめがね自身につけるやり方というのがかなり広がってきておるようです。そういうものが新しく開発されてきたら積極的にどんどん取り入れるようにすべきだ。これはどうなっているんでしょう。
○山下政府委員 現在、補装具の一種といたしまして、補聴器、箱型のものを相当多数件数交付をいたしているわけでございます。御指摘は、新しい型の眼鏡型、こういったものも取り入れることを検討してはどうかという御趣旨だと思うのです。御要望があることは私どもも承知いたしておりますので、ひとつ検討いたしてまいりたいと考えております。
○寺前分科員 そういうものは時期おくれにならぬように、世の中との関係の問題ですから、ことしからでも検討できませんか。いかがでしょう。
○山下政府委員 よく調査をいたしまして検討いたしてみたいと考えます。
○寺前分科員 ことしからでもやられますね。そういうものはすぐにことしの年度でも検討できるものはすぐ検討するというふうに直ちにやってくださいよ。現実の社会の生活だから、社会がそうなってきたら、時期をおくらさぬでそういうように対応していく。大臣、どうですか。
○山下政府委員 よく検討いたしてみたいと考えます。
○寺前分科員 それから、私は難聴者のお集まりのところへ行って話をしておったら、下にループが引いてあるのです。寺前さん、これ何か御存じですか、こう言われるから、何も別に気にもせなんだけれども、それは何ですのや。これがあると、音が整理してよく聞こえますのや、こう言うわけですね。それは何かと言ったら、磁気誘導ループと言うのです。そういうのをしてあると、いろいろな音が入ってくるのをちゃんと調整してすきっと話が聞こえるというわけですよ。これがどれだけ大切かということを、現実に私、補聴器をつけさせてもらって聞きました。なるほど全然違うのですね、そういうものが引いてあると。何でもないことです。それで何か機械の小さいのをそこにぱっと置いてあって引いてあるのです。これは何ぼくらいかかりますのやと聞いたら、そうですね、十万円もかかりませんわ、と言うのです。きわめて簡単な装置でそういうのが聞けるというのだね。私はなるほどな、こんなのがあったらなと思って、そこで聞いてみたのです。音楽なんかを聞くときには普通の補聴器ではいろいろな雑音が入って音楽を聞くということにならぬのと違いますか、どうですのや、と聞いたら、そうですのや、これがなかったら音楽なんか聞けるような雰囲気と違いますよ。そうでしょうな、立会演説会やら選挙のときはどうですのや。選挙だってそうですよ、いろいろな人ががたがたするのだから、演説する人の、前の声だけすっと入るようにしようと思ったら、それを装置してくれたらさっと入りますのや、だから、最近は全然耳の聞こえない方に手話通訳という形でやってくれるようになってきているけれども、今度は私たち難聴者に対してあの機械をちょっと配置してくれたらすきっと立会演説でも聞こえるようになりますのや、何とかそういうふうにひとつ考えてもらえぬかという話がそこで出てきたわけです。大して金がかかる話ではないのだから、積極的にそういうものを取り上げたらどうなんだろうか。いよいよことし、もうすでに参議院選挙というのは決まっておるのです。ことしの参議院選挙からでも——自治省、お見えになっておりますか、こういうものを積極的に、そんなに金のかかることじゃないから、全国的に直ちにやりなさいというようなことを検討したらどうなんだろうか。自治省、どうですか。
○土居説明員 ただいま御指摘の磁気誘導ループにつきましては、これを正式に立会演説会の施設として制度化し義務づけるということになりますと、いろいろ問題があるわけでございまして、たとえば設備の設置及び管理上の問題あるいは技術的な問題も若干ございます。したがいまして、現在のところまだ実現しておりませんが、将来といいますか、第一線の選挙管理委員会の意見も聞きながら研究を進める、こういうような考えを持っております。
○寺前分科員 こんなもの技術上とか管理上とか何もありませんよ。ずっと線を配置しておいたらいい話なのよ。期間も大したことない。だから、こんなもの一週間も研究してみなさい、することあらへんようになる。きわめて簡単ですよ。ですから、積極的に——手話通訳の方がまだむずかしいのですよ。あれは断片をやるわけでしょう。しかし、手話通訳をやることによって立ち会いの話を聞く権利をあれで保障されたわけです。これはそのまま生が入るのだから、もっと条件いいのですよ。聞きやすくさせる。聞きやすくさせることを何もちゅうちょすることなかろう。聞きやすくさせる条件を今度の選挙に当たってすぐに研究して対応するようにしますということで、いい話じゃないですか。何もごてごて言うことはないと思いますよ。再度お願いします。
○土居説明員 私がいま申し上げましたのは、制度的にこれを立会演説会の制度的なものにするということにつきましては、御存じのように、立会演説会につきましては公平を保たなければならぬということで、たとえばA候補が演説するときには正常に作動した、B候補のときには不慮が起きて作動しなかったという問題が起きてはまずいわけでございますので、設置、それから管理、そういった問題について問題がないかどうか、第一線の選挙管理委員会の意見も聞きながらこれは研究を進める、こういうことにしたいと考えております。
○寺前分科員 不公平になるというのだったら、マイクだって不公平になることが起こるわけです。切れたらいけませんからなんてそんなことを言っておったら。聞こえるというふうに常に管理しておったらいいのであって、公平を期す意味から言うたら、難聴者に対してよく聞ける条件をつくってやる方が公平を期すことになるのだ。ことしの参議院選挙対策のためにそれなりの研究を直ちに進めますね。再度お願いします。
○土居説明員 立会演説会は千数百カ所で行うわけでございますが、予算措置、そういったものもいま直ちにということになりますとちょっと問題がございますので、第一線の選挙管理委員会がこれを管理するにはどうするかとか、あるいは技術的な問題がないかとか、そういう研究は進めます。しかし、参議院議員選挙で直ちにこれを全部導入して千数百カ所で制度化して実施できるというところまではいまのところちょっと困難があろうかと思っております。
○寺前分科員 制度化に問題があるというのであって、準備ができるところは積極的に受け入れるということで理解していいですね。
○土居説明員 そういう設備がある会場あるいは身障者団体等のお持ちの設備をそういうところへ事実上置いて、あるいは会場を整備いたしまして難聴の方々が聞き取れるようにすることについては、もちろん私どもとしては選挙管理委員会に対してそういうことができますように指導もいたします。ただ、制度的にはちょっと問題がございます。
○寺前分科員 それでは指導してもらうということを理解します。 国立劇場とか、文化的な施設なんかにおいて音楽を聞いたり芝居を見たりするところは文部省の所管になるのですか。そういうところなんかは、まず国の機関の施設からこういうものを積極的に改善するように施設そのものの中に食い込まさせたら一番いいと思うのです。直ちに施設に入れられないところは、いま言ったように、臨時措置でも数カ所にわたってそういう席を設けたら聞きやすくさせることができるわけですね。そういう対応策というのは考えられませんか。文部省、見えていますか。
○富張説明員 国立劇場につきましては、現在、鑑賞用向きの無線のイヤホンガイドの設備を設けております。これは舞台のせりふあるいは音声、それに解説を加えたものが入っておるわけでございますけれども、このボリュームを上げますと相当大きな音で聞けるとは思いますけれども、さらにこれで十分かどうか検討を要すると思いますので、積極的に検討いたしたい、このように考えます。
○寺前分科員 音を大きくするだけではだめなんで、整理するわけです。特殊な音を整理して聞きやすくさせるということが装置の上で非常に大事なことなので、その点をぜひともよく研究してほしいと思う。厚生省の方も福祉施設をいままでもずっとつくっておるけれども、福祉センターとかいろいろな集会所なんかありますね、地方のそういう施設が難聴者のために聞けるような装置にするように積極的に指導をやってほしいわけですが、その点いかがでしょう。
○山下政府委員 よく研究させて対処いたしたいと思うのであります。
○寺前分科員 難聴者はまだそういうふうにして聞けるわけなんです。それから聾唖者の中で全く聞こえない人は、知っている人は手話でいけるわけです。ところが手話は知らないわ耳は聞こえないわという状況の人が、これまたかなりおるわけなんです。何しろ中途失聴してしまうものですから、これは社会生活では大変な困難を来すわけです。そこで非常に重要になってくるのは、最近要約筆記という、手話だって一定の要約をしているわけだけれども、字の方も要約したやつをぱっと書いてくれると非常に理解しやすくなる。社会生活に非常に大きな役割りをするわけですよ。私、最近集会に行きまして演説をさせられたときに、それを横でやっているのを見て、これは書き方を勉強するとうまいこと役に立つことができるものだなということを知ったわけです。ですから、そういう意味で、要約筆記というものを手話通訳と同じように新しくそういうものに助成して、要約筆記が社会の中で一つの役割りを占めるような方向を厚生省として打ち出していったらどうだろうか。いかがなものでしょう。
○山下政府委員 手話通訳の養成あるいは派遣、そういった事業はすでに取り組んでいるわけでございますが、ただいまの御提案は要約筆記というものの技術者の養成等の問題だろうと思うのです。これから十分検討させていただきたいと思います。
○寺前分科員 あなたたちはあまり研究しておらぬのかね、この分野については。現にいまこの研究が、京都などですでにやられているのですよ。講習会も三回目の講習会に入っているのです。積極的にその分野の人はこの問題についてよく研究しているんだから、厚生省としてもそれをよく学んで積極的に乗り出していく。本当に障害者の分野というのは細かく対応策を考えていかなければいけないから、そういう点でいままでも助成をしておられるのだから、さらにもっと全面的に広くそういう人たちの権利を保障するようにぜひ検討していただきたいということを重ねて要望しておきます。 時間もあれですから、私は最後に大臣にお聞きしたいのです。去年の国会で民法十一条、すなわち聾唖者などを準禁治産者扱いにされていたのを、そういう考え方はよくないということで削除したわけですね、そこのところを。改めたわけです。私も前に国会で問題にしたことがあるのですけれども、準禁治産者であるがゆえに家の財産の跡継ぎができないなどという問題も生まれたわけなんですよ。借金を会社でしておると、その会社の社長に自分がつこうと思ったら、聾唖者なるがゆえにそんな人間は借金を引き継ぐわけにはいかぬというようなことで、やれぬというような事情が三重県なんかで生まれたことがあるわけです。そこで、改正されてこれはよかったわけです。ところが、これが改正されたからといって、日常生活の分野に障害を受けている分野は法律的にないのか。たとえば私がちょっと見ただけでも、薬剤師法の第四条あるいは臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律の第四条などで免許を与えてはならないと書いてあるのです。そうすると、薬剤師さんが、お医者さんが薬剤の調製をちゃんとしたやつを自分で調剤するわけでしょう。何でそれが免許を与えたらいかぬのだろうか。あるいは検査するわけでしょう、検査技師。検査するのに何で免許与えたらいかぬのだろうか。ほかの分野でもいっぱいある。これ、いろいろ検討せんならぬかしらない。しかし、障害者の市場を法律でわざわざ締め出すことはなかろう。実際、社会生活の中でできなければ、それは排除されるでしょう。あるいは能力がなかったら、それは排除されるでしょう。だけど、法律で頭から、聾唖者なるがゆえに、あなたは検査することはできぬのですよ、あなたは調剤することはできぬのです、資格は与えられません、そんなこと許されるでしょうか。私は大臣の率直な意見を聞いて終わりたいと思います。
○野呂国務大臣 民法第十一条の改正に伴いまして、こういう視覚、聴覚障害者の資格制限が行われておるいろいろな制度の問題でございますが、社会通念上は、医療従事者の業務を遂行する上にとって支障となる障害ということで判断をしてまいっておるわけでございます。したがいまして、この点においてそれを全部改正する、制度を変えていくということについては必ずしも適切でない面もあろうと思いますが、しかし、これは今後の一つの課題として検討をする必要がありはしないかというふうに私は考えるわけでございます。御趣旨の点は、医療従事者すべてがこれによって適正に業務が行われるであろうということも言い切れないという面もありますので、どういう対応を示していったらいいのかということについてはひとつ真剣に検討していく課題とさしていただきたい、かように考えております。
○寺前分科員 ぼくは、異論のあるのもいろいろあるかと思う。それは大臣おっしゃるように、よく検討してもらったらいいと思う。だけど、検査をしてはならないとか、資格を与えないとか、調剤してはならないとかというふうになってくると、一方で障害者に対する仕事の市場を考えないかぬときに、法律でもって何で調剤できぬのだろうか、何で検査することを与えられないのだろうか。これはぼくは、最低限おかしい法律だというふうに言わざるを得ぬと思う。大臣、全面的に広げよと言っているわけじゃない。少なくとも、直ちに検討することのできる分野はあるのではないかと率直にお感じになりませんかと、あえてもう一回これだけ言っておきます。
○野呂国務大臣 御指摘の点について私も理解をいたします。
○橋本主査 これにて寺前巖君の質疑は終了いたしました。 次に、玉城栄一君。
○玉城分科員 私は、地域医療情報システムの現在の開発状況についてと、二点目は沖繩県の政管健保の状況、もう一点は同じく沖繩県の国民年金の加入状況について、三点についてお伺いしたいと思います。 まず第一点の地域医療情報システムについてお伺いいたしますが、最近、情報処理技術や通信技術の発達が目覚ましいわけでありますが、これらの成果を離島あるいは僻地など地域住民の医療の充実に大いに活用すべきではないかと思います。こうした面での研究開発は現在どのように進められているのか、状況を御説明いただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 御指摘のように、最近の通信技術あるいは情報処理技術は非常に日進月歩しているわけでございまして、われわれといたしましてはそのような技術を、一定の地域内の保健医療機関あるいは関連の機関が連携をとって地域の医療の充実を図るという上で非常に有効な手段であると考えております。 厚生省といたしましては、昭和四十八年度から医療情報システム開発委託費というのを予算上計上いたしまして、その研究開発に着手いたしました。翌昭和四十九年度からは、テーマ別にモデル地域を設定いたしまして、実証的な開発実験に入ったわけでございます。このうち、昭和五十四年度までに救急医療情報システム、へき地医療情報システム等四テーマが完了いたしたわけです。新たに行政需要にこたえるために、昭和五十四年度から四年計画で健康管理情報システム、健康福祉情報システム及びへき地包括医療情報システムの開発に着手し、現在基礎的な調査検討を行っておりますけれども、五十五年度以降には、一部地区において機器を導入いたしまして、本格的な実験に取り組む予定でございます。
○玉城分科員 そこで、医療情報システムの内容について、もう少し具体的な御説明をいただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 ただいま申し上げましたように幾つものシステムがあるわけでございますので、その全部について詳しく御説明することは時間的な制約もございますので、たとえば新潟県、長崎県で行いましたへき地医療情報システムを例にとりましてその内容を御説明いたしますと、昭和四十八年度から五十二年度までに開発を行ったシステムでございますが、長崎県の一地区をフィールドといたしまして離島医療システムの実験を行ったわけでございます。また、新潟県の一地区におきまして、積雪地帯における医療連携システムの実証的な開発実験を行ったわけでございます。前者の離島医療システムは、離島の三医療機関が電話回線を通じまして、音響カプラによりまして心電図を僻地中核病院にその離島の三医療機関から送りまして、その中核病院の専門医が伝送された心電図によりまして離島の医師に適切な指示を与えるということができるようなシステムであります。これは、離島のお医者さんを専門医がサポートすることによりまして、その離島の住民が受ける医療の水準を向上するということを目的としております。積雪地帯における医療連携システムは、冬季積雪によって交通がとだえるような地域に駐在しております保健婦と親元の病院の医師の間をファクシミリで結びまして、連絡指示を親元の病院から保健婦さんに行いまして、保健婦さんが適切な保健医療サービスができるようにするというシステムでございます。 五十四年度から新たに着手しましたへき地包括医療情報システムは、従来の研究開発の成果を踏まえまして、これをより広域的により総合的に構成しようとするものでございます。すなわち、保健医療圏としての広がりを持ちます僻地単位におきまして、僻地中核病院を核として、当該地域住民の全体を対象とした健康管理とか救急医療を含む総合的な保健医療情報システムによるサービスが必要というふうに考えられますので、沖繩県の一地区をモデルとしてこのような実験を進めようというふうに考えております。現在、沖繩県の環境保健部長を主任研究員といたしまして、そのシステムの構成あるいは地区の選定等の検討が進められております。
○玉城分科員 そこで、その医療情報システムについて、これから沖繩県でそういうモデル地域として指定してやりたいというお答えのようでありますが、そういう場合の通信手段あるいは情報伝送装置といいますか、そういうような関係でテレビの活用ということについては考えられないのかどうか。特に沖繩県のように非常に離島が多いし僻地が多いということで、大変地域医療に問題があるわけですが、そういう中で、いまの医療情報システムというものの開発の中でテレビの活用というものは非常に有効ではないか、そういうふうに考えるわけでありますが、それについて御説明いただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 医療情報システムに用いられている通信手段についてでございますけれども、これを伝送装置の面から見ますと、電話、それから先ほど申しました音響カプラ、あるいはコンピューターを利用するデータ通信、ファクシミリ、テレビなどがあるわけでございます。利用回線の面から見まして、いわゆる電話回線と専用回線があるわけでございますが、これには有線による方法と無線による方法があるわけでございます。これらにつきましてそれぞれの実験例があるわけでございますが、現在実用化されておりますのは、音響カプラによる心電図の伝送とペースメーカーのチェック、それからファクシミリによる医療用データの伝送でございます。 先生の御指摘のテレビの活用でございますけれども、これは医療分野におきまして、医療機器に組み込まれたものとしてエックス線テレビあるいはCTスキャナーというものがございますのは先生御案内のとおりでございますが、また、手術室の外の部屋で手術が見学できるとか、あるいは医学教育へ活用するとか、いろいろテレビが使われておるわけでございますが、いずれも病院内での利用でございます。病院と僻地診療所のような距離的に離れた医療機関の間の情報交換に実際にテレビを活用した例は、まだいまのところございません。試験的なものとしては、長崎大学におきまして、有線テレビを用いましてエックス線フィルムの伝送実験が行われたということだとか、また、沖繩におきまして昨年、離島の診療所と本島との間でNHKのテレビ放送の電波に乗せた実験が行われたというふうに聞いておりますが、まだ先駆的な実験という段階でございまして、実用化の段階には至っていないように了解しております。 さらに、テレビの伝送には、スチル写真を送るような静止画の伝送と、テレビ放送のような動画伝送の二種類がありますが、動画の場合には伝送量が飛躍的に多くなりますので、専用の特殊な回線が必要となるというような問題もあるように聞いております。各医療機関を結ぶ地域医療情報システムにつきましては、システムの設計や運用に各医療機関、関係団体の合意と協力が必要でございまして、特にこの分野において、既設の電話回線を利用できる静止画像伝送について本格的な実験が行われていないので、まずこれに取り組みまして、実用にたえ得るだけの相当期間にわたる十分な評価が与えられた段階におきましてテレビの導入を図るということになるのではないかと思います。
○玉城分科員 ただいまお答えの中にもありましたとおり、昨年の四月に、これは大学病院、それから県立の病院の各科の医師の方々、地域の診療所長さん、その地域の学校の校医さん、あるいはその地域の自治会長等々関係者の御協力とNHK沖繩支局の後援、協力、タイアップによりまして、実際にそういうテレビを利用した遠隔地の診療を実験いたしまして、NHKでも放映がされておるわけです。この試みは、沖繩のように離島を大変たくさん抱えまして、いながらにしてテレビで遠隔の離島のそういう地域の住民の方々についての診療が、あるいは治療等も行われるということは非常に画期的なことだということで、大変期待をしておるわけです。そのことはいまの御説明の中にもありましたので、いろいろまだまだ実験の段階でありという御説明がありましたけれども、こういう非常に先駆的な実験ということについて、局長さんで結構ですから、どのようにお考えになっておられるのか、お伺いします。
○田中(明)政府委員 先ほど申し上げましたように、五十四年度から開発に入りましたシステムの中には、先生がいま御指摘になった、テレビを活用したシステムというのは入ってないわけですが、私が申し上げましたいろいろな技術上の問題が解決されてまいりますれば、当然これも医療情報システムとして検討する段階が来るのではないかと思っております。
○玉城分科員 いまの段階では確かに技術的な問題もあると思います。こういう計画書も私も関係者の方々からいただきまして、相当綿密な、たとえばかかる費用の問題等につきましてもちゃんと計画書の中にあるわけです。その関係者の方々は、これだけの予算が何らかの形で確保されれば大いにこれは実現は早いというようなこともおっしゃっておられたわけです。そこで、こういうテレビを利用した遠隔地の診療ということは、そういう予算の問題、あるいは電波という問題とか、いま端的に言いまして一番大きな問題点は何なのか、その辺を御説明いただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 確かに、NHKの好意によりましてあの沖繩の実験というものは行われたわけだと思うわけでございますので、これを広く医療情報システムとして採用していくためにはどういう媒体が使うことができるかというようなことも考えていかなければならない大きな問題であると思います。これは先ほども、いろいろな技術上の問題がまだ残されているということを申し上げたわけでございますが、それを研究いたして、そういう技術的な問題が相当程度解決された段階におきまして、実際にこれを医療情報システムとして採用していくことについての実験、さらに実際のフィールドにおける実験、こういう段階に参りますと、厚生省といたしましても、従来から開発してまいりましたいろいろなシステム等を同様に専門家の方々に委嘱いたしまして、実験的な研究を行っていただくということになろうかと思いますが、その前にもう少し電気的なと申しますか、そういう医療情報システムとして採用することを検討する前の基礎的ないろいろな面で、先ほど申しましたようにもう少し研究する問題が残っているのじゃないかというふうにわれわれは思っているわけでございます。
○玉城分科員 こういう問題は、離島を抱えています沖繩県だけに限らず、地域、僻地医療あるいは離島の医療問題というのは非常に大事な問題ですから、こういうものがどんどん開発されまして、そういう地域の方々の医療問題が早期に解決をされるということは、当然厚生省としてもいままで力を入れてこられたということですが、最後に、大臣とされてこの問題についての今後の対策を積極的にやっていただきたいという気持ちを込めて、大臣のお考えを伺いたいわけであります。特に沖繩の事情については大臣もよく御存じのとおりでありまして、いろいろな点でこういう問題が一日も早く実現されることを望んでいるわけでありますので、大臣のお考えを承りたいと思います。
○野呂国務大臣 先ほどいろいろとお話し申し上げておるように、この医療情報システムというものに対しまして五十五年から本格的な実験に取り組んでおる、こういう実態でございます。 沖繩県は離島が大変多いわけでございます。県自体が離島であり、そしてまたさらに小さな離島がたくさんあり、診療機関も十分整っていないということでございますから、僻地の医療情報システムとしてこういうものは強力に推進を図りながら、二分の一医療といった沖繩県の医療行政というものをより推進させていく必要がある、積極的に取り組んでまいりたい、かように考えております。
○玉城分科員 次に、これも同じく沖繩の問題でありますが、沖繩県における政管健保の状況についていささか県民の間に不満があるわけです。それで、過去五年間の沖繩県における政管健保の収支の状況をちょっと教えていただきたいと思います。
○此村政府委員 先生御案内のとおり、政府管掌健康保険は一応全国で財政収支バランスをとっておるわけでございますので、第一義的にはそれだけで判断をしておるわけでございます。ただ、各県別に、仮に一方に保険料収入を置き、それから保険給付費支出を片方に置いて計算いたしてみますと、沖繩県の場合は、四十九年度においては二十九億、五十年度においては三十四億、五十一年度においては二十七億、五十二年度においては二十六億、五十三年度においては二十五億の収入超、いわゆる黒字という形が策定されております。
○玉城分科員 そこで、いま御報告のありましたとおり、四十九年から五十三年度までの五年間は、二十九億、三十四億、二十七億、二十六億、二十五億、こういうふうな黒字で県外に持ち出されているわけですね。私もちょっと聞きますと全国で四県というふうに、違っていたらまた訂正いたしますけれども、伺っているわけですが、なぜこのように沖繩の場合黒字で県外に、プールということで当然そういう形になるわけですが、その理由について御説明いただきたいと思います。
○此村政府委員 沖繩県におきますいま申しました収支が黒字と申しますのは、被保険者の一人当たり保険料収入、これは収入の面でございますが、これは全国平均をやや下回る程度で、五十三年度決算において大体九八%ぐらいでございます。それに対しまして給付費の面で、特に一人当たり医療給付費が全国平均をかなり下回っておりまして、全国平均に対して約六五%というような状態でございます。そこでそれが大きな原因である、現象的にはそのように考えているわけでございます。
○玉城分科員 そこで、給付費が全国平均よりもなぜ低いのかというその理由ですね。
○此村政府委員 医療給付費がなぜ低いかという点につきましては、たとえば受診率でありますとかあるいは一件当たりの日数その他の要素で分解して研究してみる必要があるわけでございますが、私どもがこれまで決算ベースで研究してみた結果におきましては、沖繩県の場合は受診件数がかなり全国平均に比べて低い、これが大きく作用しているのじゃないか、かように考えております。なお、これ以外に、受診件数が低いということに関連するわけでございますが、七十歳以上の加入者の比率は全国平均に比べてかなり低いというような面も若干は影響しているかもしれない、かように考えています。
○玉城分科員 御存じのとおり、まだまだ沖繩県の場合、県民所得にしましても全国平均よりもはるかに低い。これは全体的な問題ですけれども、要は、根本的には沖繩県の医療体制、医療施設、そういう状況が非常に貧弱である。そういう施設がまだ乏しい。かかりたくてもかかれるような条件が整ってないためにこういう黒字になっている。そこに県民には大きな不満があるわけですね。ですから、その面をとらえまして、先ほど大臣もちょっとお答えになられましたけれども、結局これは沖繩の現在の医療体制に大きな問題があると私は思うわけですね。過去五年間の収支の状況を見ましても、常に黒字ということで県外に持ち出されている。先ほどもありましたように、離島等も多いということもありますが、これでは沖繩の県民にとってはきわめて不満である。ですから、ほとんどの県が赤字でありながら、こういう黒字であるということについての大臣としての考え方、これからどうされようとするのか、この点をお伺いしたいと思います。
○野呂国務大臣 先般沖繩へ参りましたときに知事さんからもこの点を指摘されたわけでございまして、確かに保険に対しての老人の加入の割合が少ない、あるいは医療機関が少ない、いわゆる二分の一医療だと指摘される現状、これを打開するということが大事であると考えております。特に僻地における医療の向上について十分留意をし、この対策に当たっていきたいと考えております。
○玉城分科員 では最後に、時間もございませんのでもう一点。国民年金の加入の状況がまだちょっと低いわけですね。その原因とこれからの対策についてどのように考えていらっしゃるのか、お伺いします。
○持永政府委員 御承知のとおり、国民年金は被用者年金と違いまして、農民でございますとか自営業者でございますとかそういう人たちを対象にしておりますために、御本人の加入の届け出をもって加入を進めていく、こういうような性格を持っております。 先生御承知のとおり、沖繩県は四十五年に沖繩の国民年金法ができまして、本土復帰が四十七年でございます。したがいまして、国民年金法は三十六年から拠出制が始まっておりますから、沖繩県自身に国民年金が始まりましたのは本土より約九年おくれておる、こういうようなことでございます。いま申し上げましたような制度でございますので、漸次国民の方々、加入者の方々の理解を求めながら適用率を高めていく、こういう性格のものでございます。現実には先生御指摘のように、沖繩県の加入率は現在八四・五%でございます。全国が九六・七くらいでございますから、全国に比べてはかなり低いという状況でございます。しかし、県なり市町村の方もこの加入はかなり一生懸命やっておられまして、本土復帰時は約二十万程度の加入者であったのでございますけれども、現在二十八万まで加入人口が上がっております。また、離島、僻地というような地域を抱えたところで大変な行政努力を県なり市町村がやっておられますけれども、ますますこの加入を高めるために、やはりいま申し上げましたような制度でございますので、一つは、広報をしっかりやることだと思います。もう一つは、市町村の段階で住民台帳あるいは国民健康保険台帳、そういったもので個別に加入者を把握して個別勧奨をやることが必要かと思います。それからもう一つは、若い人たちの年金に対する理解、そういったものを深めていくために、成人式でありますとかあるいは社会教育の場を通じて、そういった人たちに加入勧奨をやるということが大事だと思います。あわせて、これも先生御承知と思いますが、現在特例納付を全国的に実施いたしております。特例納付におきましては、未加入者につきましては、市町村で個別に未加入者を把握いたしまして個別の勧奨を行い、はがきとかあるいは市町村の広報とか、そういうことを行っておりますので、それをさらに積極的に推進してまいりまして沖繩県の国民年金事業がさらに加入率を高めるように指導してまいりたいと考えております。
○玉城分科員 要望としまして、いまのお話のありましたとおり、市町村等におきましても大変苦労しながらこの加入の啓蒙をいま一生懸命やっていらっしゃるわけですから、厚生省とされてももっと力を入れていただきたい、そのことを要望いたしまして、質問を終わります。
○橋本主査 これにて玉城栄一君の質疑は終了いたしました。 次に、米沢隆君。
○米沢分科員 私は、例の斃死牛の密売事件についてお尋ねをいたします。 先般、病気やけがなどで死亡し飼料用等に解体された斃死牛が、法律で禁じられております食肉用として東京都内を初め関東一円から名古屋、大阪方面にまで密売され、それが消費者の食卓にのる、あるいは加工用に出回っているという斃死牛の密売事件の発覚は、大変消費者にショックを与えました。この問題に関連して当局の所信をお伺いしたいと存じます。 まず最初に、事件の概要についてでありますが、捜査当局はこの事件に関し鋭意捜査を進めておられるということでありますが、現段階における捜査状況はどうなっておるのか、判明した結果につき御説明をいただきたい。特に密売を開始した時期、密売したその肉が末端で売られた時期、密売量、密売された使途といいましょうか、加工用なのか一般食卓用なのか、それから出回り先等等について御説明賜りたいと存じます。
○斉藤説明員 お尋ねの件は、現在神奈川県警におきまして捜査いたしております事件かと存じますが、神奈川県警におきましては、昨年の八月ごろ斃死牛肉が市中に出回っておるという情報を入手いたしまして、食品衛生法違反の疑いが濃厚であるということで内偵捜査中でございましたが、本年二月に事件の検挙に着手いたしたわけでございます。 警察は、この種の事犯につきましては物が物でございますので、保健衛生上の観点からできるだけ早急に流通ルートを解明するとともに、刑事手続をもちまして現物を押収し、国民の食卓にのせないということを方針としておるわけでございます。神奈川県警におきましても、この方針のもとに現在関係被疑者二名を食品衛生法第五条違反の疑いで逮捕いたしまして、四十四カ所の捜索を実施し、斃死の疑いのある牛肉約十九トンを押収しておるわけでございます。 これまでの捜査結果によりますと、被疑者らは昨年六月初旬ごろから、北海道にあります斃死処理業者から斃死牛肉数十トンを購入いたしまして横浜市内まで運搬をしまして、これを食肉ブローカーあるいは食肉の販売業者等を介しまして神奈川県、福井県、大阪府、京都府、兵庫県、岡山県、長崎県、熊本県、これら二府六県の食品会社、小売店等に販売していたようでございます。 これらの取引の過程におきましては食用に供し得ないということで返品されたものも相当量ございまして、末端の小売店等におきましてはおおむね通常の牛肉価格と同程度の価格で取引されておったようでございます。そういう返品あるいは価格といったようなことから、おおむね一番末端の小売店等では斃死牛肉であるという認識はいささか薄かったのではないかというふうに考えられるわけでございます。これらの斃死牛肉は、北海道で出荷される段階でA、B、Cにランクづけが行われておりまして、これらはほとんどミンチ状態として販売されておる、一部がスライスということになっておるようでございます。現在までに約十二トンが小売店等から食用に供された疑いが強いわけでございますが、現在までの段階ではこれらのものを食用に供したために健康を害したというような実害の発生につきましては承知をいたしておりません。 そういうことで、何しろ広範囲で行われております事犯でございまして、現在までの捜査段階では、先ほど申し上げましたように、販売ルートを押さえるということでございまして、実際の捜査はこれから詰めの段階に入る、こういう状況でございます。 以上でございます。
○米沢分科員 捜査をされるきっかけになったものはどういうことからだったのですか。
○斉藤説明員 捜査協力者でございますので、具体的には御勘弁いただきたいと思います。
○米沢分科員 人じゃなくて、どういう話をきっかけにしてこの事件がわかったのか。たとえば妙な色の牛肉が出回っておるとか、そういう理由です。人の話じゃありません。
○斉藤説明員 出回っておるという話じゃございませんで、あくまでも協力者的なものの情報でございます。
○米沢分科員 先ほどの話の中で末端価格はほかの精肉とほぼ似たような価格で取引されておったとかいうような御説明でありますが、買う方はいわゆる斃死牛の肉だとある程度わかって買っておったものでしょうか、どうでしょうか。
○斉藤説明員 買う方と申しますと、消費者の方でございますか。
○米沢分科員 いえいえ、小売店、卸屋さんです。
○斉藤説明員 その辺はまだ捜査中で、そこまでの段階に至っておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、数多くのブローカーとか卸の手を通って末端まで行っておりますし、末端の小売店ではどうもこれはおかしいのじゃないかということで返品が相当ございますし、そういうところから考えますとおおむねほとんどは知らなかったのではないかというふうに考えております。
○米沢分科員 これはまだ捜査中、捜査の過程にあるという話でありますが、新聞等で報道されておりますように、問題の極東飼料という会社は昨年二月からの営業だというふうに書いてありますね。ところが、いまお話がありましたように六、七月ごろから密売牛が出回り始めておるわけでありますから、実際は営業してから数カ月を経た後にこの密売牛に関連する動きが出てきておるということを考えるとき、あるいはまた新聞報道等によりますと、飼料用の肉と言いながらもランク分けがしてある。したがってAランクあたりはいい肉だというランク分け等がなされておるという状態を考えましたときに、当初からそういう密売牛を売る意図で何か営業がなされておるような感じがするのでありますが、そのあたりはまだはっきりしませんでしょうか
○斉藤説明員 その極東飼料会社といいますのは斃獣処理場の許可を五十三年の十一月九日に取っておるわけです。会社として設立登記をしましたのは四月二十八日、斃獣処理場許可は五十三年の十一月九日、こういうことになっておりまして、当然捜査の過程で捜索をやったわけでございます。捜索の過程で関係者に当たった限りにおいては、斃獣処理場の業者でございますので、そういうことは一応否認はいたしておりますけれども、そういう否認をいたしても証拠上これを証明すべくいま努力をいたしておりますが、先生御指摘のようにそういう可能性は十分あろうかと存じております。
○米沢分科員 いま事件の概略については御説明をいただきましたが、問題は食品衛生上の問題だと思います。斃死牛が食卓にのるなどと聞きますと、実際は余り問題ない肉もあるのだそうでありますが、消費者としてはびっくりするわけですね。まず気味が悪い。斃死牛を食べましても伝染病の病原菌などが残っていない限り人体には直接影響ない、こういう説明がなされておりますが、やみルートに回りますと食品衛生上問題があることが多々ある、そういうことで非常に気をつけなければならぬ、こういう判断のようでありますが、厚生省はこの事件が発覚しましたときに実態調査をやるということでありましたが、今回のやみ牛肉については実態調査をなさった上で食品衛生上問題ないというふうに判断をされておられますか。
○榊政府委員 今回の事件につきましては、厚生省としては本年の二月十七日の新聞報道により実は承知したところでございます。直ちに神奈川県を通じまして神奈川県警から情報を入手いたしております。この得られた情報をもとに関係県に通知をいたしまして、食肉の処理、販売施設等に対する立入調査あるいは監視の強化というふうなものを指示いたしておるところでございます。 食品衛生上問題はないかというふうなお尋ねでございますが、これは斃死した獣肉を食用に供する目的で販売することは食品衛生法で禁止されておるところでございます。そういった意味から、私たちの方もこの対応につきましては重大な関心を持って各関係県に対する指導をいたしておるところでございます。
○米沢分科員 最初に厚生省がこの事件を知られたのが二月十七日の新聞報道であった。いまさら仕方はありませんけれども、こういう問題が警察の捜査がなされて新聞に報道されてから厚生省としてわかるというのは、ちょっとこれはさびしい話なんですよ。確かに斃死牛は食肉にしてはならぬ、たてまえはそうなっておる、こう言われても、実際こういう事件が起こってみますと、果たして食品衛生上——斃死牛は食肉にしてはならないとは言いながらも、実際こう出てきますと、肉の出回り等を考えたときに、一体厚生省としてふだん食品衛生上の措置がなされておるのだろうか、そういう疑問を持つわけですね。そういう意味で、厚生省自体、この事件が起こってから、食品衛生上の立場から独自のルートでやはり捜査、調査、そういうことをされた経緯があるのですか。
○榊政府委員 この問題については、先ほど申し上げましたように関係県を通じましてそういった食品衛生法上の監視強化というふうなものを指示いたしておるわけでございますが、現実には、この問題につきましては、先ほど申し上げたように私ども警察当局から情報を得て、そういったルート等についていろいろと食品衛生法上のとるべき立場からの指導なり監視というふうなものの強化を図りたいというふうに考えておりますが、何分にも、先ほどお話がございましたように、まだその点につきましては捜査中の問題でございますので、今後の警察のいろいろな捜査に基づきます情報等をひとつ参考にして行政的な措置をとってまいりたい、こういうふうに思っております。
○米沢分科員 私申し上げたいことは、たとえば食品衛生法五条の違反事犯として捜査当局が捜査をされる。捜査当局が捜査をされる力点と、やはり厚生省が食品衛生上力点を置いて知らねばならぬことはちょっと別なんですね。別だと私は思うのですよ。警察の方は立証しなければなりませんから、証拠を固めたりするという方向にやはり力点はどうしても及びますよ。厚生省としては出回った肉が本当に人体に影響ないのか、そういう食品衛生上のというものを力点に置いて、やはりそれぞれの調査をなされる。そのことが本筋ではないか。そういう意味で、どうもそのあたりが捜査当局の捜査にほとんどおぶさっておる、私はこういう感じがしてならないわけですね。この前、社労の委員会でやはり問題になりましたが、例の大豆ですね。大豆なんかでも、結局余り独自の調査みたいなものをされてないですよ。この肉がたまたま今回の場合には問題がない。この前の大豆のときも少々腹が痛くなった人がおったかもしれませんけれども、問題になるようなことにならなかった。したがって、たまたまこれはよかっただけのことであって、実際は起こってからもどうも力を入れて実態調査も余りされていないふうだし、一体どうなっておるのだろうか。食品衛生という立場から厚生省がやらねばならぬことは一体どういうことになっているのだろうかと漠然とした不安な気持ちを持つのですよ。私は、一般消費者に、厚生省の立場から、こういう事犯についてはこういうことが起こる以前においてもいろいろとやっておるんだと確証の持てるような答弁がなされてしかるべきだと思うのですね。
○榊政府委員 先ほどもいろいろお話し申し上げたわけですが、食品に供する獣畜の屠殺、解体につきましては、御承知のようにと畜場法によりまして実は規制いたしておるわけでございます。さらに食品衛生法に基づきまして食肉の処理あるいは加工、販売等につきましては、これは営業許可という形で、さらには食肉には所要の表示を義務づけるというふうな法的な規制を行っているわけでございます。また、疾病にかかったりあるいはその疑いのある獣畜あるいは斃死した獣畜の肉は、食品衛生法により食用に供することを禁止しておるわけでございます。さらにかねてからこれら食肉関係営業に対しましては随時臨検検査あるいは監視指導というふうなものを行っておるわけでございます。先ほど来御指摘がありますように、しかしこういうふうな事件が発生したということはまことに私どもも遺憾に思っておるわけでございまして、捜査結果を踏まえまして、こういった食肉流通関係業者あるいは食肉の販売業者等に対しましても、さらに指導の徹底を図っていこうというふうに感じておるところでございます。
○米沢分科員 斃死牛が食卓用の肉にならないということを前提に法律はできておるのですね。しかし、こういう事件が起こるわけです。したがって、そんな事件が起きたときには、もっと前向きにやられる体制みたいなものをはっきり出すべきだ。僕はそれが言いたいわけです。 そこで、出回ってはならない肉が出回るわけですから、一体どういうことでこんなことが起こり得たのだろうかとわれわれは疑問を持つわけです。法律の未整備の問題なのか、皆さんがやっておられる食品衛生上の行政指導に問題があるのか、あるいはこれは行政の限界であって経済人のモラルの問題なのか。そこらがわからないと、またいつ何どき起こるかわからないという不安が残りますね。その点、大臣、こんな事件は一体どういうことで起こってくるのでしょうか。
○榊政府委員 先ほど申し上げましたように、食品衛生法ではこういった肉を食用に供することは禁じておるわけでございます。そういうことから、私どもとしては、いまのようなこういった事件が起きてはならない、これは食品衛生法上はそういうたてまえになっておるわけでございます。 ただ、これにつきましては、そういった取扱者の食品衛生という問題についての十分な認識あるいは理解というものがやはり根本的には必要な問題ではなかろうかというふうに思っております。
○米沢分科員 こういう事件を見ましたときに、私が感じますのは、やはり需要があるから供給があると見るのですね。どういうことかというと、安い肉があるから買わぬかと言う、また、それを買いたいと思う人がおる。結局需要があるからこういう供給があるというふうに見るべきだと思うのですね。しかし、末端で買わされる消費者の立場からいきますと、これはたまったものじゃないわけですね。 そこで、実際はこういう肉がもし出回ったとしても、余り安過ぎたら気持ちが悪いから、消費者は買いませんよね。だからある程度の値段で出す。だから利ざやをもうけることができる。また、それを期待できるから、結局もしわかってこんなのを買う連中がおるとすれば、やはりそこに需要が発生している。また、それをもうけの種にして供給側がこういう不正な行為をやる、こういう形が出てくるわけです。しかし、消費者の立場から考えますと、余り安過ぎたら買いませんね。ですから、そのままの生の姿では、単体としては出ません。したがって、いま捜査当局の方から御説明いただきましたように、ミンチにしたりスライスにしたり、わけのわからないような姿にして出てくる、あるいは精肉とまぜて出てくるかもしれない。消費者は見分けできませんから、結局買わされる。結果的には十二トンぐらいは食卓にのって、だれかが食うておるわけです。こういうことを聞きますと、ちょっとぞっとします。 そこで、消費者を欺くようなかっこうでこういう肉を精肉にまぜて売ったり、ミンチにして売ったり、こういうのは何か罪になるのですか。あるいはこういうのを未然に防止する対策はあるのですか。
○榊政府委員 こういった肉を食用に供するために販売してはならないということでございますので、そういったものを中間で取り扱った者あるいは販売に当たった者も当然罪になる事柄でございます。
○米沢分科員 今回はたまたま通報人がおられて発覚しましたが、もし捜査当局に協力される方が黙っておったら、あるいはいなかったら、ひょっとしたらこのまま続いておったかもしれない。たまたまこの事件は発覚しましたからこういうことで事なきを得ようとしておりますが、私は皆さんの答弁を聞いておりましても、いつ何どき発生するかわからない、常にその可能性だけは残る、そういう気がしてなりません。そうなりますと、おちおち肉を食えぬ、こういうことになります。例の四十二年でしたか、病菌肉豚のときにも消費が冷めてしまって大変な問題になりました。そういう意味では、善良な消費者、善良な小売人あるいは善良な卸売人等々、たまたまこういう不正なことをやる連中がおると別の面で大きな影響を受ける、ひいては畜産業者まで問題になってくるかもしれない。 これは一事が万事、こういう事件が多発しますとそういうことにならざるを得ないのでしょうが、今回の場合は、たまたま押収された肉も大分ありますし、十二トンが食卓にのっただけであとは何とかなりそうな感じがしますから事なきを得るような感じもしますけれども、しかし可能性としては常に残るという不安は去りません。したがって、当局としては、こういうことは絶対起こらない、起こさせてはならない、そのためにはこういう対策を打つという措置をはっきりと決められて、国民の皆さんに説明すべき義務があると思うのです。大臣、最後に答弁いただきたい。
○野呂国務大臣 このような事件が発生しましたことは大変遺憾なことであります。今回のような悪質な事件が再び起こらないようにその対策を講じなければならないと思うのでございますが、やはり先ほど御指摘がありましたように、一つは食品業者のモラルの問題でもある、また同時に、食品衛生法に基づきます臨検検査あるいは監視、指導がこれでいいのかという点も反省しなければならないわけでございます。したがいまして、こうしたことに対しましては、都道府県にも強力に指示いたしますと同時に、食肉関係団体に対しましても強力な指導を行って、再びこういうことが起こらないように、そして食品衛生上少なくとも消費者に不安を与えない、こういう体制を強化しなければならない、かように考えておるわけでございます。
○米沢分科員 いま大臣に御答弁いただきましたが、行政の指導といいましても、要は検査官の数等々の体制の不備、やれと言っても、やらねばならぬことはわかっても実際やれないという部分があったりしますよね。 同時に、こういう事件に関連する問題だけではなくて、現在屠畜場で出てくる生肉にしましても、検査員の不備の問題もあります。あれはかなりのスピードで検査しておりますよ。ですから僕は、いわゆる検査という名目のもとでなされる検査は、本当の検査になってないと思いますね。相当の数を一人の検査員がこなしています。万一ということが起こりますから、それは検査体制が不備でございましたなどということではおさまらない問題を含んでおると私は思います。 そういう意味で、食品衛生法にのっとるこういう行政指導というのは、人手のかかる問題でもありますし、体制そのものをつくったとしても稼働することは大変なことだ、私自身もそう考えます。しかし、だからといってのんべんだらりとやっていてもいいということではありませんので、こういう不正な肉に関する食品衛生上の検査あるいは未然に起こさない指導。同時に、正規のルートで出てくるものについても、検査員の不備な状況でありますからいつかは問題になってくるのではなかろうか。同時に、肉そのものも、いろいろな飼料を食っておりますから、いままでとは違った肉質になっておりますね。いろいろと指摘されておりますけれども、そのあたりを含めて検査体制等を十分に固められて、でき得る限りの努力をして国民の皆さんの不安を解消するように厚生省の立場からがんばっていただきたい、このことをお願いして終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○橋本主査 これにて米沢隆君の質疑は終了いたしました。 次に、長谷雄幸久君。
○長谷雄分科員 健康で長寿であることは人間として万人共通の願いであります。憲法は、第二十五条において、健康で文化的な生活を規定し、これを国の責務としております。そして国民は、一日も早く憲法が目指す福祉国家の実現を願っております。 初めに私は、生活保護の給付の問題について取り上げてみたいと思います。 厚生省は、昭和五十五年度の予算の中で、生活保護費について、その基礎となるべき生活扶助について、飲食費その他の内容改善による扶助基準を八・六%引き上げられ、これにより、東京都区部の標準四人世帯で昭和五十四年度当初の月額十一万四千三百四十円が十二万四千百七十三円になります。また、医療扶助等においても予算の増額を図っておられます。このこと自体は厚生省の積極的な対応が見られるところであります。この生活保護を受けている人は昭和五十三年度現在で約百四十三万人いるという事実であります。そして、個々の世帯が保護を必要とするか否かを判定し、さらに保護が必要とされる場合にどの程度の保護を行うかを決める尺度として保護基準が決められております。これは要保護者のさまざまな事情を考慮して厚生大臣が定めることになっております。この基準の中に級地というのがあります。現在はこの級地については一級地から三級地までございます。 〔主査退席、大原主査代理着席〕 そこでお尋ねしますが、この級地を決定するに際して、生活実態を基準としているようでございますけれども、たとえば東京都における級地を見てみますと、一級地から三級地までございます。一級地は二十三区、それに立川、昭島、八王寺、町田、日野、多摩、稲城、府中、調府、狛江等の各市が一級地でありまして、二級地は青梅、福生、秋川の各市、それから羽村、瑞穂、五日市の各町、三級地は奥多摩町、日の出町、それに檜原村となっております。 私の調べたところでは、たとえば一級地の昭島市と二級地の青梅市における納税者一人当たりの年間所得を比較してみますと、昭和五十二年度におきましては、一級地の昭島では百六十六万一千百三十五円でありますが、二級地の青梅では百六十三万八千円。また、五十三年度におきましては、昭島では百七十九万六千九百七十七円、青梅では百七十八万三千円、こうなっております。同じく、昭島と二級地の福生における小売価格の比較をしてみますと、これは私の実態調査でありますけれども、昭和五十四年十一月現在で、牛肉百グラム出たりを見てみますと、福生では三百六十五円、昭島では三百一円、五十五年一月では福生が二百九十四円、昭島が二百六十二円。それから、ジャガイモについて一キログラム当たりでございますが、五十四年十一月現在で、福生が百三十七円、昭島が百二十七円、五十五年一月で、福生が百六十三円、昭島が百五十二円。キャベツ一キログラム当たりについて申しますと、昭和五十四年十一月におきまして、福生が百二十五円、昭島が百六円、五十五年一月では、福生が三百六十円、昭島が三百四十一円、こうなっております。 そして、両市ともほとんど差がないというのが実態でございます。それなのに一級地と二級地に分かれているのが現実でございます。この級地の格差は生活保護のための給付金におきまして九%差がございます。したがいまして、この差は大変大きいわけでございます。この福生市と昭島市は隣接しておりますから、あちらが一級地であり、こちらが二級地ということになりますと、隣接した住民の間の住民感情としても非常に納得できないものがあるわけでございます。 厚生省にはすでに各地から級地の公平化に対する要望があったことを承知しておりますけれども、私どものところにも地元から正式な要望が参っております。 そこで、このような要望に対して厚生省としてどのように対処されるのか、またできればその時期を明らかにしていただきたいと思います。
○山下政府委員 級地指定の基準につきましては、生活保護基準は各地域の最低生活需要に即応すべきものであるということで、社会経済情勢の変動に対応いたしましてできるだけ各市町村の消費水準等生活実態について測定を行いまして、それを指標として定めておるところでございます。もうよく御承知でございまして、四級地解消ということで三年がかりでやってきたわけでございますが、御質問の点でございますが、個別市町村の級地の指定がえにつきましては、これまでにおきましても実情にそぐわなくなった市町村につきまして実施してきておるわけでございます。しかしながら、その後の社会経済状況の変化等に対応いたしまして、現在、全国的見地から検討する必要がございますので、目下見直しを行っておるわけでございまして、その結果をもとに地域の実態に照らして検討を加えていく所存でございます。 時期についてのお尋ねがございましたが、何分にも級地指定がえの検討は、全国の三千三百市町村に対しての消費水準を測定いたしまして、これを総合的に分析し、かつ当該市町村の個別事情を的確に把握するなど、ある程度の期間を必要といたしますので、いましばらくお待ちをいただきたいというのがただいまの状況でございます。
○長谷雄分科員 私は三多摩の一部の市のことを取り上げて、これは全国的な級地の問題でございますのでお尋ねをしたわけでございますが、もしできますれば大臣から御答弁いただければと思います。
○野呂国務大臣 いま局長からお答え申し上げましたとおり、急ぎこれに対応してまいりたいと思いますが、半年ぐらいひとつ余裕をいただきたい、こういうふうに考えます。
○長谷雄分科員 大臣から前向きな御答弁をいただきましたが、次は、要望になりますけれども、級地基準の算定の基礎及びいま挙げました青梅、福生、秋川市等の実態調査の結果を後日御報告を願いたいと思います。 もう一つ、最近の物価動向、公共料金の値上げ等を考えますと、必ずしもいまの厚生省の基準では対応でき得ていないのではないかと思うところがございます。そこで、生活保護基準を上げてもらいたい、このようにお願い申し上げる次第でございます。 次に、国立病院の設置についてお伺いをいたします。 人口急増地域における医療体制の拡充については、御承知のように、全国的な問題でありますけれども、特に都下三多摩地域におきましては、昭和五十四年三月三十一日現在約三百十万人もの人口を有しております。今後も増大を続けることは明らかでございます。特に学園都市として新たな発展を遂げつつあります八王子市におきましては、現在約三十七万人の人口がございます。これが推計で、二十年後には七十万人にも達するところでございます。八王子市とともに新交通システムの導入が期待されております多摩ニュータウンにおきましては、完成時に四十万人という見込みでございます。このような地域におきまして総合病院の必要性、救急体制の整備などが求められておりますけれども、そこで、人口急増地域における医療体制の核とも言うべき国立総合病院の設置に関して強い要望がございます。 これと並行しまして、総合病院の機能を果たすべき国立病院について、この国立病院は戦後旧陸海軍の病院を引き継いで発足したという経緯から、全国的に見ても必ずしも均等には配置されていないのが実情でございます。 たとえば、東京都下三多摩におきましては、立川市に一個だけあるというのが実情でございます。そこで、立川基地の跡地利用計画の中に、百十五ヘクタールの防災基地が予定されておりますけれども、その具体的内容の一つとして厚生省の医療施設の構想がございますが、この厚生省の医療施設につきましては、たとえば成人病や難病などの専門病院や、さらに医科大学付属病院等を積極的に進めていってはどうかと思うわけでございます。また、人口増加に伴い当然予想されます利用者増に対応できるよう、現在の立川病院の機能を強化拡充すべきであると考えますが、これに対して大臣の御見解をお願いしたいと思います。
○田中(明)政府委員 多岐にわたる御質問でございますが、まず、人口急増地域に対する医療の確保、一般的に厚生省といたしましては従来から地域医療の確保という見地から、都道府県に協力いたしましていろいろな対策を進めておるわけでございますが、大都市周辺等人口の急増地域で一般病床が著しく不足している地区につきましては、公的病院に対しまして必要な施設整備について補助を行ってまいりました。また、休日、夜間における医療を確保するため、休日夜間急患センターを設置する等、その整備を進めているところでございまして、今後ともこれらの施策の推進に努めてまいりたいと存じております。 具体的に三多摩地域に国立病院を設置する考えはないかという御質問でございましたが、先生も御指摘のとおり、国立病院は戦後陸海軍の病院を引き継ぎまして発足したという経緯がございまして、その全国的な分布は必ずしも均等にはいっていないわけでございます。それぞれの地域において現にある国立病院は、地域のその他の病院とも協力いたしまして、地域医療の一端を担っておるわけでございます。しかし、現在におきましては既設の国立病院につきまして定員あるいは施設の整備等を行いまして、その診療機能を充実強化するということが急務でございまして、三多摩に限らず国立病院を新たに新設するという考えは現在のところ持ち合わせておりません。 国立立川病院についてでございますけれども、これは現在地域の中核的な病院といたしまして、いわゆる一般的な医療を行っているほか、救急医療あるいはがんの診療、それから非常に特殊なものとして目まいに対する診療等専門的な医療を行っているわけでございます。今後も三多摩地域における医療需要の動向に対応しつつ、地域のその他の医療機関と連携を図りながら、必要な診療機能の充実に努めてまいりたいというふうに存じております。 米軍基地の跡地利用につきましては、いろいろなお考えがいろいろな方によって表明されておるようでございますが、ここに国立病院をつくるか、あるいは国立の立川病院を移転して整備するかというようなことにつきましては、昨年十一月の国有財産中央審議会の答申に基づきまして、立川基地跡地に計画する広域防災基地に配置する防災対策医療施設の建設用地として利用することが認められているわけでございますが、今後の具体的な土地の処分は国有財産の関東地方審議会の答申を得て決定されるので、その結論を待ちまして、国立立川病院の移転を行うかどうかということを検討いたしたいと思っております。
○長谷雄分科員 立川病院の関係については極力これを進めていただきたいということを要望しておきます。 次に、国民の健康に対する関心が非常に高い現在、病気を未然に予防するだけでなく、さらに健康を積極的に増進する保健行政にかける国民の期待は大きく、その重要性は高いところでございます。 かかる観点から、私は去る五十三年二月二十七日、当委員会におきまして、家庭の婦人を対象とした総合婦女健康診断制度の必要性を訴えました。その結果、東京都では町田市が昭和五十三年度より実施に入り、来年度から保谷市も実施に入ることとなっております。さらに、同じ観点から、前同日の当委員会で三多摩地区への市町村保健センターの設置を強く訴えました結果、八王子市と立川市に設置されることになり、さらに近い将来秋川市にも設置計画を進めているやに聞いております。 ところで、ここでお尋ねしたいことは、全国に展開をしておる保健センター等、広義の保健行政に携わる職員等の研修等々を目的とした、いわば全国の中核的機能を果たす国立の仮称国立総合健康増進センターの設置の件でございますが、このセンターが設置、機能を開始することによって、地域保健センター、増進センターの機能が十分に生かされるわけでございます。そこで、東京都多摩市の多摩ニュータウンに建設計画を進めております総合センター計画を早急に進めてほしいと要望するわけでございます。この点につきまして、大臣の実現に対する御決意をお伺いしたいと思います。
○野呂国務大臣 健康づくり指導者の養成あるいは実践指導、技術の開発を行いまして、国民の健康づくりに資するための施設を設けるかどうか、御指摘のこの問題につきましては、引き続き検討いたしておるということを申し上げたいと思います。
○長谷雄分科員 その引き続き検討でございますが、その検討結果についてはいつごろと見込んでおりましょうか。
○大谷政府委員 この基本構想について検討いたしておるわけでございまして、まだそういうような具体的な検討にまでは入っておらないという状況でございます。
○長谷雄分科員 ちょっと大臣の答弁と違うんじゃないでしょうか。大臣から御答弁願います。
○野呂国務大臣 多摩市に国立の健康づくり総合センターを設置するかどうか、こういう問題も含めまして、引き続いて検討しておる、こういうことでございます。これをつくるについてはかなりの金もかかることでありますし、それからその施設をつくった場合においてそれがどの程度健康づくりの上に寄与できるか、やるのならば相当思い切った構想を展開しなければならぬということでもありますから、これをつくることを含めまして慎重に検討させていただいておるということで御理解を願いたいと思います。
○長谷雄分科員 大臣から前向きな御答弁をいただきましたので、次に進みます。 救急医療体制についてでございますが、全国の昭和五十二年中における転送回数については、一回以上の転送が四万一千十一人でございます。さらに、二回以上問い合わせして搬送された者が全体の一六・三%でございまして、事故種別では交通事故が一八%でその割合が最も高くなっております。それぞれの回数別搬送人員の割合は問い合わせなしが二二・八%、一回が六〇・九%、二回ないし十回が一六・〇%、十一回以上が〇・三%、こういう実情でございます。 そこで、これは消防庁になりましょうか、ひとつ提案を申し上げるわけでございますが、いままでのように医療施設に救急の体制をお願いするということももちろん大事でございますけれども、それだけでなくて、さらに消防行政の中で救急病院として独自に消防庁が病院を建設する、こういう構想を私どもとしては提案をしておるわけでございますが、いかがでございましょうか。
○中島説明員 先生のただいまのお話、恐らく地域をお歩きになりまして貴重な体験から出た御提案だと思いますが、私たち十分拝聴させていただきました。 ただ、昭和五十二年から厚生省の方におきましては第一次救急医療体制、第二次、第三次救急医療体制というものを整備しておられますし、また県単位で救急関係の情報を収集するシステムというのもおつくりになっておりますし、私たちの方でこれを評価いたしましても、これは相当な努力だというふうに考えております。したがいまして、いましばらくは私は厚生省の方にこの体制の御努力をお願いいたしまして、消防もそれとタイアップいたしまして、先生の御心配になられますような、そういう転送とかあるいは国民の救急に対する心配がないように努力してまいりたいというふうに考えております。
○長谷雄分科員 積極的な前向きな御答弁をいただきましたが、大変ありがとうございました。 次に、厚生省、第三次救命救急センターにつきましては、御承知のとおり、重篤救急患者の救命医療を行うためのきわめて高度な診療機能を必要とし、これは各地域においても必要欠くべからざるものでございますが、現在都下三多摩におきましては三鷹市と、ことしの四月に開設する八王子市の東京医科大学八王子医療センターしかございません。そこで、人口急増等の要因も考慮に入れて増設をお願いしたいわけでございます。 さらに、災害時における救護対策について申しますと、現在わが国では世界有数の長寿国と言われており、国民の平均寿命は、医学の進歩や公衆衛生の向上などにより年々伸長し、老齢化社会を迎えることは火を見るよりも明らかでございます。そして、来年は国際障害者年でもあり、もとより身体の不自由な方々にとっても、憲法で保障された生存権は当然に守らなければならないと思います。そういうことで、私の尊敬するある哲人はある対談の中でこのように申しております。「老人に対する社会保障のあり方は、たんに物質的な意味で福祉施設が整っていればよいというものではありません。それ以上に、はたして精神的な豊かさに満たされたものであるかどうかを考えなければなりません。養護施設ができて“墓場まで”の社会保障が整っているからといって、それが老人にとって最大の贈り物になるとはかぎらないからです。」さらに「老人問題の最も重要なポイントは、精神的な充足感をどのようにしたら与えることができるかを考慮することです。」こう言っております。それからまた、先ほどの総理の所信表明の中でも「心身障害者、母子家庭などについても、きめ細かな配慮をいたす所存であります。」こう明確におっしゃっておるところでございます。 そこで、お尋ねでございますが、火災や震災等災害時における一般人に対する救護体制を現在どうお考えになっておりましょうか。
○田中(明)政府委員 災害時における医療救護対策についてお答え申し上げます。 大規模地震等の災害やあるいは事故時における傷病者に対する医療対策につきましては、すでに昭和四十年から公的病院等を中心といたしまして、それぞれの医療機関の診療機能等を考慮し、地域の実情に即して対策を策定するよう指導してまいっておりまして、各地方自治体は、地域防災計画においてそれぞれ具体的な計画を策定しているところでございます。また先般、厚生省防災業務計画を一部変更いたしまして、大規模地震対策特別措置法によります地震防災強化計画を策定するとともに、大地震等広域災害時における救急医療対策の一層の充実を図るため、新たに国立病院、療養所による救護班活動の体制づくりを行うことといたしました。
○長谷雄分科員 特に在宅の寝たきり老人、心身障害者等社会的に弱い立場の方々に対しまして、消防庁では、近年全国火災予防運動等においてもそれらの方々の焼死防止対策の強化を一つの重点目標としてうたわれておりますが、私の地元の瑞穂町においても同様の趣旨の請願がなされ、採択をされました。そこでは、たとえば救出を望む家庭に夜光のステッカー等を貼付するとか、全町内に担架を配置したり、災害の起こる前に町内会として救護体制を決めておくなど、さまざまな対策が考えられると思いますけれども、消防庁の御見解はいかがでしょうか。
○中島説明員 先生がお話になられました社会的に弱い人、そういう人たちに対する避難とか救急対策というのは、行政サイドとしても十分に対応していかなければならないだろうと考えております。 具体的に申し上げますと、先ほど厚生省の局長さんからもお話がありましたように、地域防災計画におきまして、避難すべき先の施設とか場所をはっきり定めておきまして、一方消防サイドにおきましても、福祉関係の施設の御協力を賜りながら、そういう社会的な弱者のいる家庭を的確に把握いたします。そういたしまして、いざという場合に、消防といたしましても他の行政機関と連絡をとりながら避難誘導をしていくというふうなことを考えておりますが、ただ大震災等におきましては、消防としてもすべて対応できるというわけではございませんので、地域の自主的な防災組織とか、あるいはまた地域のリーダーの力をかりながら十分に避難誘導するための訓練を重ねていく必要があるだろうというふうに考えております。
○長谷雄分科員 老人等の問題でありますが、老人、身体障害者、精神薄弱者等が多数入所しておられる社会福祉施設等における災害時については、どのような対策をお考えになっておりましょうか。
○山下政府委員 社会福祉施設には、老人、心身障害児者等、災害の際に特に配慮をする者が入所していることにかんがみまして、その防災対策としておおむね次のような措置を考えているところでございます。 社会福祉施設の運営に当たりましては、設備及び運営に関する基準、いわゆる最低基準というものがございますが、これに基づきまして非常災害に対する必要な消防設備、その他非常災害に必要な施設設備の整備をいたしますと同時に、災害時の避難救出の訓練を定期的に実施するように定めております。特に火災防止対策につきましては、消防法に基づきまして消防計画の作成、防火管理体制の確保が定められておるところでございます。また、地震防災対策につきましては、大規模地震対策特別措置法の制定の趣旨にもかんがみまして、地震防災対策強化地域内はもちろんのこと、同地域以外の地域にありましても、地震予知情報等の収集伝達、施設設備の事前点検、発災に備えました人員、資材、器材等の事前配備、訓練教育の実施等、十分な体制を整えるように指導いたしているところでございます。毎年度実施いたしております全国の民生部長会議等におきましても、かつまた指導監査をうちの職員にいたすわけでございますが、そういう際におきましても、特に災害対策につきましては重点的に指導するように配慮いたしているところでございます。 以上のほか、社会福祉施設の整備に当たりまして、火災等が生じやすいいわゆる木造の老朽民間施設等につきましては重点的に助成を配慮いたしますと同時に、スプリンクラーあるいは消防防災施設の設備整備につきましても助成を行ってきたところでございます。
○長谷雄分科員 積極的な対応を伺いまして感謝いたします。 最後に、老人医療の無料化、それから児童手当の見直しというものが昭和五十六年度からなされようとしているように承りますが、こういうことは断じてやるべきでない、時代逆行の措置だと思うのです。そこで、こういうことがないようにぜひともお願いしたいと思うのですが、最後に御答弁願いたいと思います。
○野呂国務大臣 老人医療制度の問題につきましては、大変厳しい財政でもございますので、工夫すべきものは工夫していかなければならないわけでございますが、単に財政的な見地だけで問題を処理しようとは考えていないのでございます。福祉行政をさらに進展し、そしてその負担についても公平に行われるように、その中身をどういうふうにしていくかということにつきましていろいろの意見が出ておるわけでございます。関係審議会にも諮りながら適正な措置を講じていきたいと思います。 また、児童手当等につきましても、今後ともに出生率の低下などの現象がいま起きているわけでございます。子供を健全に育てていく上におきましても、決してこれも後退させるというような考え方でないのでございまして、前向きに、むしろ福祉の向上に向かって前進をしてまいりたい、かように考えております。
○長谷雄分科員 大臣から積極的な御答弁をいただきましたので感謝いたします。 これで質問を終わります。
○大原主査代理 これにて長谷雄幸久君の質疑は終了いたしました。 次に、工藤晃君。
○工藤(晃)分科員 大臣に伺いますが、来年は国連の決議によりまして国際障害者年であります。 一月三十日の参議院本会議におきまして、わが党の宮本委員長の質問、「政府は、速やかに障害者の生存権、教育権の保障を柱とする具体的目標を障害者自身の参加のもとで企画して実行すべきであります。」このことに対しまして大平首相の方から、この障害者年のテーマは「十分な参加と平等」「その理念に沿いまして、実現すべき具体的な目標につき、国連総会の決議を踏まえて、福祉、教育、雇用等各般にわたりまして障害者の参加を得ながら検討を進め、今後の施策の推進に努めてまいりたいと思います。」と答弁したわけでありますが、さてそれから一カ月以上たっておりますが、この国際障害者年に当たって、政府として国として、具体的な目標あるいは計画、この検討をどのように進めているのか、これから進めようとしているのか。こういう行動計画をどのようにつくるのか。それからまた、政府全体として推進の体制、これをどうなさるのか、窓口はどうするのか、この点について伺いたいと思います。
○野呂国務大臣 お話しのように、わが国といたしましても、決議などを踏まえまして、福祉、教育、雇用、各分野にわたりまして、障害者の参加も得ながら検討を進めて、今後の施策の推進に努力をいたしてまいる所存でございますが、現在のところでは、国連との連絡調整などの対外的な窓口、これは御承知のとおり外務省が担当いたしておるわけでございます。国内におきましての窓口は、中央心身障害者対策協議会がとりあえずこれに当たっておるという現状でございます。関係各省におきまして、国際障害者年に関する国連決議を受けて、そのテーマでございます完全参加と平等という実現を目指して、具体的に対応策をどうしていくかということについて検討をいたしておるところでございますが、政府としての窓口について今後の方針を決定するためにも、過去の国際婦人年あるいは国際児童年の例も参考にしながら、内閣審議室を中心に関係各省が協議をいたしておるわけでございます。できる限り早急に、こうした専門の窓口を将来的にはつくって対応していかなければならない、かように考えておるわけでございます。
○工藤(晃)分科員 体制と窓口、これは至急やらなければいけないことですし、同時に、具体的なプログラムを早く検討して決めていかなければいけませんが、私はここで取り上げたいのは、国連の決議の中に、先ほど大臣も言われましたように、完全な参加ということの具体的ないろいろな目標、五つある中の一つは、公共の建物、交通機関等を改善する、こういうことは日常参加のために欠かせないことである。交通機関の改善ということにつきましては、心身障害者対策基本法の第二十二条の第二項、この中にもその趣旨がはっきりと書かれているわけでございます。 そこで、いま私は具体的に、交通施設の改善、障害者の完全な参加のためにということで伺うわけでありますが、これまでも、先ほど大臣お話しになりましたような中央心身障害者対策協議会というものがあって、関係機関相互の連絡調整が行われていたと聞いておりましたが、私は特に鉄道の駅を挙げたいのですが、非常に高い駅になってしまう、橋上駅になってしまう。そのため、これまで利用できた障害者やお年寄りも利用できない。こういうことに対して、エレベーターをつけるなどの改善、こういうことが必要なんですが、そういう点で、駅の交通機関の改善、これはさっき言った国連の決議の中にもある、基本法の中にもある。そういうことを具体的に、たとえば運輸省に対してこうしてくれとか、いろいろやってきたのかどうか、この点について伺いたいと思います。
○山下政府委員 中央心身障害者対策協議会の中にプロジェクトチームを三つつくりまして、その第三プロジェクトチームにおきまして、生活環境の改善の方向ということで検討いたしまして、一応の中間報告を五十三年十二月に出しておりまして、その中におきまして、御指摘のような公共建築物ないしは交通機関等につきましての検討、協議ということもいたしてきておるわけでございます。
○工藤(晃)分科員 運輸省などに対して積極的に厚生省としてはやるように促進するというのは、そういうプロジェクトチームの中でやってきたわけですか。それとも、ただプロジェクトチームで計画を検討したということで、具体策をもっと推進するとか、そういうことをやってきたのですか。
○山下政府委員 ただいま申し上げました第三プロジェクトチームの中には、当然建設省もかつ運輸省もお入りをいただきまして御相談を申し上げておるわけでございます。 〔大原主査代理退席、主査着席〕
○工藤(晃)分科員 公共交通機関を初めとして交通施設の構造の改善、それで障害者が利用できるようにするということは、まさに日常生活への参加ということで欠かせないですね。仕事を探す上でも交通機関を利用できるかできないか決定的ですし、美術、音楽の鑑賞ということもありますし、友人と一緒に会合するという、まさに一番初歩的な問題なんです。ところが、障害者にとってこの状況はどうか。 私は具体的な問題を出したいのですが、十年前、二十年前と比べてかえって悪くなっていっておるのじゃないかということを具体的な例で、これは運輸省に調べていただきました。ですから、これは運輸省の方でも御確認いただけばいいわけですが、東京都内で国鉄や私鉄のこれまでの階段を利用しなくてもいい平場駅を橋上駅に改造した駅数が昭和四十年以来幾つあるか。こうやって見ますと、特に四十年から四十四年の五年間に、私鉄は二十二、国鉄は八つ。四十五年から四十九年、私鉄は十七、国鉄は三。五十年から五十四年、私鉄は七つ、国鉄は二。この十五年の間に、国鉄は十三、私鉄に至っては四十六、橋上駅になったわけです。それで、もともと駅は障害者あるいはお年寄りが利用しておるのはわかり切っておるわけですが、橋上駅に改造するとき、同時に障害者の便宜が図られるかというと、必ずしもそうではなしに、必ずしもじゃない、例外なしにそうではなくて、何の対策もとられないということから、実は障害者にとってみれば、日常の参加の権利というのは十年、二十年前よりも奪われるという結果が現状として出てきておるわけです。この点非常に深刻に考える必要があるのじゃないか。 こういう点で、いま挙げたのは一つの例ですが、もちろん地下になるという例もあるでしょう。あるいは駅が非常に混雑するということもあるでしょう。切符を買うのに自動の販売機になってしまう、こういう問題もあるでしょう。あるいはホームのアナウンスがただテープを回すだけだということになる。いろいろなことでかえって状況が、すべてにわたってとは言いませんが、悪くなっておるという状況です。こういう状況があるのではないか。この点、きょう運輸省を呼んでいただいておるのですが、お答え願いたいと思います。
○岩田説明員 ただいま御質問のございました点でございますが、私ども高架化がどのように進んでおるのかについてちょっと調べてまいりませんでしたのでよくわかりませんが、先生のおっしゃるとおり、高架化駅というものが非常に数がふえつつあるということはそのとおりだろうと考えられます。ただ、私ども身障者の方々のためのいろいろな施設の整備につきましては、従来から事業者の指導に当たっておりまして、最近におきましては、五十三年の十二月に私鉄の運賃改定をいたしました際に通達を出しまして、できるだけこのような施設の整備を促進するようにということの通達を出させていただいております。 ちなみに、多少細かい数字になって恐縮でございますが、たとえば視覚障害者対策といたしまして、点字ブロックで例を申し上げますと、国鉄の場合には昭和五十二年に百七十七駅でございましたが、五十三年度におきましては二百十八駅になっております。まだ五十四年度の数字が確定いたしておりませんが、まだ建設中のところもございますのではっきり申せませんが、約三百駅程度に増加しつつあると思います。それから民鉄の関係でございますが、やはり点字ブロックで申し上げますと、五十二年度が百二十駅、五十三年度が百七十一駅、五十四年度につきましては、まだこれも確定いたしておりませんが、約二百四十五駅というふうに、だんだんふえてきているというふうに考えております。 そういうふうに対策をいろいろ進めておるということをちょっと申し上げたいと思いまして……。
○工藤(晃)分科員 私がいま問題にしているのは、主として高架駅に伴って、階段を上がらなければいけないけれども、上がれなくなったということで駅が利用できなくなったということですから、点字ブロックの例は、ここでいま取り上げているテーマにはなっていないのです。この橋上駅が——これは運輸省から調べていただいて届けていただいたものですから間違いありません。だから、この問題に関しては、いま点字その他で若干改善があったと言うけれども、全体としてこの十五年の間に四十六駅橋上にされてしまったということ一つとってみても、大変なことになってきたということがおわかりいただけると思うのですが、私は大臣にもひとつ具体的な例を聞いていただきたいと思うのです。 これは小平市で私が障害者のお母さんから聞いた一つの事実であります。御存じのように、小平市の場合は障害者の福祉施設が集中しております。それで、障害者で全国からここにお住まいになる方もふえているところでありますが、そこでもこういう事実があるのだということです。これは名前はA君としておきます。十九歳で、ポリオによる下半身麻痺の方ですが、都立の小平養護学校を卒業し、今春都立職業訓練校を卒業予定、現在職を探しているわけです。この職を探すに当たって、お母さんと一緒に上野の職安に行くとき、どういう交通ルートをこの方はたどったかという事実であります。 本来は西武線の小川駅から乗りたいところですが、これが非常に高い階段なので利用できないということで、お母さんとA君はタクシーを利用して立川駅に出ました。立川駅もいつも都合がいいわけではなしに、三番ホームから電車が出るときには階段を上がったり下がったりしなくていいというので、三番ホームに来るときを見計らって行ったわけです。そこで結局、タクシー代二千六百円ぐらい払わなければいけなかった。それから、上野に行くのに東京駅で下車しなければいけない。東京駅の場合はエレベーターがあるのです。ただし、このエレベーターというのは、前もって東京駅に連絡して、いつごろ着きますから利用させてもらいたい、そして職員がそのとき用意して利用できるエレベーターです。ですから、結局、立川から東京駅まで行って、そして上野に行くのにはまたそこでタクシーを利用しなければならなかった。このタクシー代が千六百円ぐらいかかった。それで、上野の職安に行ったところが、やはり上野ではよく見つからないというので、飯田橋職安に行かなければいけない。これもタクシーを利用しなければならなかった。これもやはり駅の構造の関係なわけです。それから、飯田橋から新宿までは、帰り道になるのですが、国電を利用されました。それは、階段はあるけれども下りだけだから、上りがないのでこのルートは利用できるというので、新宿駅まで来ました。西武新宿線のエレベーター、これは事実上荷物のエレベーターみたいなものなんですが、それを利用して西武線に乗って小川駅でおりたのですが、小川駅では通行人に抱えてもらって、助けていただいてやっとおりられたというのがこの一日なわけです。 そうしますと、この間、上野、それから飯田橋の職安へ行く交通費、さっき言ったタクシー代が約六千八百円。これは時間が経過しておりますので、私が聞きただしたのは少しは出入りがあるかもしれませんが、このくらいです。鉄道運賃が千五百六十円かかって、計八千三百六十円になったのです。もう少し細かく申し上げますと、本当は私鉄も国鉄も、もし介護者が同伴の場合には運賃半額ということがあるのですが、このときは利用されませんでした。というのは、こういうとき利用するといっても、何か手帳を見せてすぐ利用できるのではなしに、福祉施設へ行って十枚つづりのをもらってこなければいけない、大変めんどうなことがあるために、このとき利用できなかった。それで八千三百六十円なんです。つまり、小川駅その他の駅が階段の構造その他で障害者にとって利用できないために、もしこれが利用できたとするならば、さっき言った介護者同伴で運賃半分としますと、八百八十円で済んだところが、その十倍近い八千円以上使わなければならなくなったという事実があるわけなんですね。これは駅の構造からこういうことが出ているわけなんです。 もちろん、これから仕事を探すこのA君の場合、いま池袋で仕事がありそうだ。しかし、九万円ばかりの給与で交通機関が小川駅を使えないとなると一体どうするか。それで、池袋の近くのマンションというとやはりどうしても七万、八万はかかってしまうということなんですね。これじゃ何のために就職するかわからぬ。こういうことが実は具体的な生々しい、しかも毎日のようにぶつかっている事実なんです。 そうしますと、心身障害者対策基本法の第二十三条二項の中に、はっきり国鉄は障害者の経済的な負担を軽減するために割引きする趣旨が入って、現にやっているわけですね。けれども、実際使う上ではさっき言ったように大変不便がある。そういう基本法の中に入っている条項さえ、駅の構造がこうであるために障害者にとっては利用できない、権利が行使できないということになっているわけなんですね。このことを深刻に考えていただきたいわけなんです。 そういうことで、私は、もう一度運輸省に、いま言った高架化に伴う駅の構造について、さっき点字ブロックのことを言いましたが、どういう指導をしているのか、その問題について伺いたいと思います。
○岩田説明員 ただいま御質問のございましたエレベーターの関係でございますが、私どもは、基本的には事業者の方がその駅における身体障害者、これもいろいろな種類の方がいらっしゃるわけでございますが、そういう方の利用状況を勘案いたしまして、かつもう一つ、既存の駅の場合には、当然のことながら用地上の制約でございますとかあるいは構造上の制約でございますとか、そういった制約がございますので、そういうものをいろいろ勘案いたしまして、しかしながら、利用者の方に不便が生じないように、身障者の方にできるだけそういう施設が提供できるように勘案してもらうということを指導いたしております。
○工藤(晃)分科員 いまの話ですと、エレベーターも含めて基本的には事業者、国鉄ないし私鉄ということになりますが、そこの責任において不便が起きないように——いま不便が起きないようにと言ったけれども、さっき言ったように、橋上化しちゃうとこれは前よりも不便を起こしちゃったわけなんですよ。これは責任重大なんですね。そういうことを考えますと、言ってみると、障害者の権利を奪ったことになるのですから、これは当然国鉄とか私鉄の責任、そして費用負担においてやるべきだと思いますが、厚生大臣、どうでしょうか。
○野呂国務大臣 いまのお話を承りまして、土地の高度利用と申しますか、そういう形で、一般の人にとってはそれが機能的であり能率的であるかもわかりませんが、逆に身体障害者にとりましては、むしろ不便な町、非常に迷惑な町になっていくわけであります。したがいまして、完全な社会参加、平等という障害者年のテーマに相反する事態に相なっていくわけでございます。公共施設も含め、鉄道、交通関係のいろんな生活環境を、身体障害者にふさわしいような改善はやはりやらなければならぬのではないか。御承知のとおり、本年は障害者福祉都市を二十指定いたしました。五十五年は二十五加えておるわけでございます。ただし、この事業費は補助として一都市わずか三千万でございますから、二年かかったところで六千万、これではとてもそういうところまで十分に処置をいたすわけにはまいらないと思います。五十六年の国際障害者年を迎えるに当たって、今後これに対応する方法をやはり政府としても真剣に生み出していかなければならぬ、こういうふうに私は思うのであります。
○工藤(晃)分科員 このことを本当に真剣に検討していただきたいということですが、私鉄の場合、非常に具体的な方法を私は提起したいわけなんです。これは、さっき言ったように、基本的には、私鉄がもし高架化してそういう不便を起こしてしまう、しかもその地域には障害者関係のいろいろな施設や何かあって利用が高いというとき、当然やるべきのをなかなか自分の負担でやろうとしないという問題があるのですが、たとえば西武鉄道の有価証券報告書総覧を見ますと、これは七九年の三月期ですが、借り入れを見ますと、この中に日本開発銀行から二百三十八億円借りて、返済期限が昭和七十三年八月というのですから、大体二十一世紀近くに返せばいい、大変金利の安いお金を二百三十八億円も借りているわけですね。私鉄が開銀の資金を使うとき、どういうことかというと、運輸省の方から伺いましたところが、対象工事は特別工事と一般工事がある。一般工事の中には、冷房車をつくるなんということにもこういうのが出されているわけですね。特別工事の中の一つに安全対策工事があって、その中では立体交差がある。たとえば立体化とかそういうことで、橋上駅化というそのためにもこの融資制度が使えるようになっているわけですね。しかし、さっき言ったように、本来、橋上駅にするならば、私鉄としては当然障害者に迷惑がかからないような構造上の工夫をするということまで、この工事の中で同時に行うべきなんですが、開銀融資というのは、こういうとき、そういう一体となって行われる、たとえば障害者のためにエレベーターをつくるということにまでいままで使ってはならないことであったのか、それとも、使えるはずであるけれども、私鉄の方が積極的に使わなかったのであるか、その辺を伺いたいわけなんであります。もし、これまで使えない制度になっているというならば、これからは積極的に使わしたらいいと私は思うのですが、その点どうでしょうか。
○森谷説明員 お答え申し上げます。 先生御指摘のように、民鉄事業者が輸送力増強工事とか、安全防災関係の工事、それからサービス改善の工事等を行います場合には、運輸省から開発銀行に対してその事業費に必要な融資のあっせんを行うという制度になっておるわけでございますが、いまお話のございました身障者用施設につきましては、これらの工事の中の駅の高架化とかあるいはホームの延伸といった工事と一体として行われる場合につきましては、その中に含めて融資が行われているというふうに理解しております。
○工藤(晃)分科員 いまの御答弁だと、工事の一体としてならば当然融資の対象にもなり得るということですね。なり得るけれども積極的に利用されなかったためにつくられなかったという例もあるということになりますね、できていない例というのは。その辺いまはっきりしたのは大変よかったと思うのです。融資の対象となり得る。 ただ、そうしますと、これは私鉄の方の姿勢として、積極的に使おうとすれば、それこそ二十一世紀近くになってやっと返していいような有利な資金が十分使えたにもかかわらず、これが十分使われてなかったということなんですが、今後も運輸省としても、こういうものが使えるんだ、開銀融資をこういうためにも使えるんだ、あるいは過去に改造してしまったけれども、何といいますか、そのときそこまで施設をつくらなかった場合には、あと追加的なことにも使えるんだということを積極的に提示しつつ、私鉄に対して指導すべきだと思いますが、どうでしょうか。
○森谷説明員 身体障害者の方々のための施設に対しまして、それだけについて開発銀行の融資の対象とするか否かにつきましては、私ども関係の行政機関と緊密な連絡をとりながら検討していきたいと考えております。
○工藤(晃)分科員 さっき言ったように、もし一体で行われるなら当然対象になる。それが、私鉄側の姿勢でその工事をいわば取り残してしまったとも見られるわけです。だから、その辺をもっと運輸省としてもはっきりさせて、それでやりなさいということになればやりやすくなるんだと思うのです。それをもう一度要望すると同時に、時間もなくなりましたので、最後に、野呂大臣に、国際障害者年のテーマとして五つあって、いま私は、その中の一つの中のまた一つである公共交通機関の施設の構造の改善ということを挙げて、しかも、最近の事態は憂うべきことにかえって悪化しているという事実を挙げながら、この問題を政府として重視して、今後つくられるであろうところの障害者年の具体的なプログラムの中にはぜひこれを入れると同時に、推進母体が、政府が一体となって、国鉄に対しても私鉄に対しても早く進めろという督促をやっていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○野呂国務大臣 差し当たっては中央心身障害者対策協議会の場がございます。したがいまして、今後、これに専門に当たる窓口をつくるならば、それらが中心になりまして、関係省庁との連絡調整機能を十分果たしてまいりまして、各関係機関の協力を得ながら十分その成果を上げてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○工藤(晃)分科員 私は、あと国際障害者年の大事なテーマとして、特に障害者の働く場所の保障の共同作業所の問題で質問する予定でございましたが、時間がなくなりましたし、また改めてこの問題、いずれかの機会で、前へ進められるようにいろいろ質問もし督促もしたいと思いますが、これをもって私の質問を終わらしていただきます。
○橋本主査 これにて工藤晃君の質疑は終了いたしました。 次に、山田英介君。
○山田(英)分科員 自治省にお伺いいたします。 昨年の十一月、自治省では、赤字経営に悩む市町村立病院救済のために、不良債務解消の経費の一部を特別交付税で肩がわりしようということで、百三団体を指定なされたところでございます。しかし、これは五十二年度現在四百五十二団体もございます全国の累積赤字を抱える団体のわずか二三%にしかすぎないわけでございまして、残りの七七%、三百四十九団体に対する救済はどうするのかお伺いをしたいと思います。
○飯田説明員 お答えいたします。 病院事業に対します経営健全化対策といたしまして、五十四年度より、経営努力の徹底によりまして収支の均衡を図ることが可能な市町村の経営する病院事業を対象といたしまして、先ほど先生がおっしゃいましたような経営健全化措置実施要領を定めまして、計画的に不良債務を解消して経営の健全化を図ることといたしました。五十三年度末におきます不良債務比率一〇%でございます。これは医業収入に対しまして一〇%以上の市町村の病院事業百四十九のうち百三を指定したわけでございます。市町村の事業数は全体で六百五十七ございますが、そのうち不良債務比率が一〇%以上のところが百四十九でございまして、そのうち、先ほど申し上げました百三を指定いたしました。残りますのが四十六団体ございますが、このうち約半数につきましては、単年度ないしは二、三年の自己努力によりまして不良債務の解消を図ることができる見込みでございます。したがいまして、この残る半数の団体につきましては、それぞれの経営の実態に即しまして個別的に経営の健全化を図る必要があるわけでございますが、地方公営企業法によります準用再建制度を活用することが一つの方策であるというふうに考えておるわけでございます。
○山田(英)分科員 そういうことでございますが、問題は、経営事情が収支均衡までもう二歩、もう三歩というところの病院こそ国の救済策を強く求めているわけでございます。自治省よく言われるわけですが、単に財務内容を分析をして、それぞれの実情に応じて経営の健全化を指導する、こういうふうにおっしゃるわけでございますが、それでは問題の解決にならないと私は思うわけでございます。いままでもそのような形で指導をしてきて、なおかつ赤字経営に苦しんでいるというのが実情なわけでございます。さらに財政再建制度、準用再建制度で立て直す、こういうふうにおっしゃいます。簡単におっしゃいますけれども、地域医療の低下につながるおそれが私はあると心配をしておるわけで、それをどうカバーしていかれるのか。また、医療需要は御存じのとおり年々質量ともに非常に増大をしてきておるわけでございます。自治省の考えているようなぜいたくな病院の規模だとか施設の内容では決してございません。早晩需要にこたえられなくなる、そういう予測さえできるわけでございます。私は、早急により重症の赤字経営を余儀なくされている病院に対して救済策を講じていただきたいということを強く要望したいのでございますが、いかがでしょうか。
○飯田説明員 先ほど申し上げましたその残る団体につきましては、準用再建等の措置で指導してまいりたいというふうに考えておりますが、この経営健全化によりまして自治体病院の財政サイドから地域医療の確保がおろそかになるんじゃないか、こういうことでございますが、これは私ども必ずしもそういうふうには考えておりませんで、経営健全化をいたします内容といたしましては、やはり医師の定着ですとか、あるいは確保、こういうことによりまして医療の適正化を図りますとともに収入の増加を図る、あるいは基準看護の実施あるいは上級の基準への承認を受けることによりまして看護内容も高まる、そういうことによって収入増も図れるというようなことでございますので、私ども、必ずしも財政サイドのみに着目した場合地域医療の確保がおろそかになるというふうには考えておらないわけでございまして、十分そういった点に配慮しながら指導してまいりたいというふうに考えております。
○山田(英)分科員 御存じのとおり、自治体病院は地域医療の基幹病院として救急医療、成人病その他の特殊、高度な医療分野を担当し、地域医療の水準と住民福祉の向上に貢献をしているわけでございます。この自治体病院の建設に際しては莫大な資金が必要になるわけでございます。現在、この自治体病院の建設に対して国はどのような形でどの程度援助の手を差し伸べているのか。各省にまたがるかもしれませんが、ひとつお尋ねをしておきたいと思います。
○田中(明)政府委員 私の方から、厚生省が行っております対策を申し上げたいと存じます。 厚生省といたしましては、従来から地域医療の確保、推進のため、自治体病院が行う救急医療、僻地医療及びがん、小児等の専門医療に関しまして施設の整備に必要な助成を行っております。
○飯田説明員 病院事業につきましては、地方債計画におきまして所要の額を確保いたしておりますが、五十五年度につきましては、地方債計画におきまして千五百八十七億円、前年度千四百五十億円に対しまして九・四%の増でございますが、計上いたしまして、一病院当たり政府資金の充当限度額も五十五年度からは四十五億円に引き上げたほか、用地費につきましても、従来は一億円を超えた場合につきましては全額縁故債ということでございましたが、一億円までは政府資金で充当するというような改善を図っております。
○山田(英)分科員 私の地元の埼玉県にある越谷の市立病院を例にとらしていただきますが、開院は五十一年の一月、総建設事業費は六十七億五千万円です。そのうち国庫補助金はわずか六千九百万円、厚生省の五十五年度の行政方針等伺ってみても、地域医療の整備充実というようなことが第一番に挙がっているわけでございます。地域医療の中核を担うこういう自治体病院建設に対する国の非常にお粗末な援助の実態というのは一体どういうところから来ているのか、この際お伺いをいたします。
○田中(明)政府委員 厚生省といたしましては、先ほど申し上げましたように、自治体病院の整備に対する助成といたしましては、救急医療施設、がん診療施設、小児医療施設及び医学的リハビリテーションの施設等、公的使命達成に必要な部門の整備に対する助成を行っておるところでございます。また、五十五年度におきましては、さらに新たに不採算地区等における病院の応急建てかえ等について補助対象に加えることといたしております。 越谷の市立病院の場合、ただいま申し上げましたようないろいろな補助の対象となる施設に必ずしも該当しないものが多かったために、六千九百万という補助金になったというふうに聞いております。
○山田(英)分科員 この越谷の市立病院の建設事業費六十七億五千万円のうち、先ほど自治省からも御答弁いただきましたけれども、五十二億七千五百万円が借金でございます。そのうち利率が九%以上の縁故債で五六%も占めている、こういう実態でございます。元利償還計画を見てみますと、昭和四十八年から八十一年まで三十四年間にわたりまして毎年平均で約三億一千万円余り償還するようになっております。特に五十三年度から五十九年度は、毎年度約七億円、六十年度は特に多くて十三億円を超えるというような状況、このようにきわめて大きな負担を抱えて苦しんでいるわけでございます。せめて縁故債と政府資金との金利差について利子補給等の措置をぜひ講じていただきたいということを私は要望するわけでございますが、いかがでしょう。
○飯田説明員 お答えいたします。 私どもといたしましては、やはり政府資金の拡充ということを十分にやっていきたいということで、ここ数年引き上げを図ってきたところでございますので、そういった利子補給制度については現在のところ考えておらないわけでございます。
○山田(英)分科員 地域医療の中核を担う、特に人間の健康とか生命とかという問題を扱う分野でございまして、いろいろあると思いますけれども、ぜひ今後とも御検討をいただきたいとお願いをしておきたいと思います。 次に、特殊診療部門運営費補助につきましてお尋ねをいたします。 先ほどの越谷の市立病院について言えば、五十三年度の特殊診療部門運営費補助はがん診療それから救急医療の合計でわずか一千五百六万円、隣に春日部の市立病院というところがございますが、同じく一千五百六万円、お話にならない額でございます。それと比較して一般会計の繰出金は大変な額で、特に越谷のそれは五十三年度で十二億三千万円ということで大変財政を圧迫しております。しかも、それでもなお八億から十億の赤字が出ておるという実情がございます。今日、行政改革の一つの柱としても補助金の整理合理化等が必要とされておるところでございますが、切るべきものは切る、しかし、必要なものはこれを思い切って増額をするということが大事です。まして、憲法第二十五条の生存権を実質化するという医療の重要な役割りから考えて、ぜひお願いをしたいと思います。私は、この特殊診療部門運営費補助を大幅にこの際増額をすべきだというふうに思うわけでございますが、これは野呂大臣から御答弁をお願いしたいと思います。
○野呂国務大臣 先ほどからいろいろ話し合っておりますような自治体病院の中で採算のとれない医療施設に対しましては、施設整備に必要な助成も行ってきておるし、また、いま御指摘の運営費の助成についても、補助対象も新しく加えるなどいたしましてできる限りの増額をいたしておるわけでございます。しかし、補助金には限度があるわけでございまして、これは自治体病院自体が採算のとれるようにその運営については工夫をし、努力を重ねられることが大事でありまして、採算がとれない、赤字である、だから国が金を出せばいいという、そんなものではないと私は考えるのであります。これからの経営についても十分行政指導もいたしながら、自治体病院が十分経営のできるような方向に指導してまいりたい、かように考えるわけでございます。
○山田(英)分科員 ちょっと突き放された大臣の御答弁という感じがいたすわけでございますが、実際には埼玉におきましても医師不足、医療施設の不足等できわめて大変な実情があるわけでございます。これは野呂大臣、ぜひ御記憶にとどめておいていただきたいと思うのです。埼玉の医療過疎の実態を大臣は知らないのです。自治体病院だから経営が悪くなったから国が補助金を出せばいいんだ、ぼくもそんな安易な考え方を持っていま御質問をしているわけではないのであります。埼玉の医療過疎、医療砂漠と言われる実態を、しかも、人命と健康にかかわる問題でございますので、ぜひ大臣、これは改めて御認識をしていただきたいと思うのです。大臣が御就任になったときに、安易な福祉の後退は許さない、いけない、このような趣旨の御発言も私伺ったことがありますので、ただいまの御答弁をいただきまして、私、本当にがっかりしているわけでございますが、地域医療のそういう実態を医療行政等の最高責任者である野呂大臣からどうかよく理解をしていただきたいということを私この際強く要望をいたしておきたいと思います。 同じく自治体病院の問題でございますけれども、御存じのとおり救急医療や高度精密医療にしても、民間では手の出しにくい部門でございます。採算を度外視しても医療機械の整備や医師、看護婦の配置が不可欠の条件となる特殊事情にございます。しかも、投薬、注射治療の保険点数が高くて、入院料とか手術料の点数が不当に冷遇されているなど、社会保険診療報酬体系の矛盾もございます。この投薬本位の診療報酬体系そのものが自治体病院の存立基盤を崩壊させると言っても言い過ぎではありません。このことは地方公営企業制度調査会でもこの不合理を強く指摘をしているところでございます。五十三年二月の報酬改定も人件費の伸びに追いつかない。がん、腎臓移植等高度医療、救急医療は本来国が行うべき事業であるというふうに私は理解をいたしておるのでございますけれども、何ら見るべき財政措置も施さないで自治体病院の現状に手をこまねいている姿は、私は地域医療に対する責任放棄とさえ受け取れるわけでございます。現行診療報酬体系の持つ不合理の是正にこの際真剣に取り組むべきでございますし、自治体病院の抱える不採算医療の運営費に対する国庫負担制度をこの際確立をすべきではないかというふうに思うわけでございますが、野呂大臣の御所見をお伺いしたいと存じます。
○野呂国務大臣 まず第一に診療報酬の改定につきましては、その都度手術料とか入院料の引き上げを行ってきたわけでございます。したがいまして、昭和五十三年二月の改定の際におきましても、手術料についてはおおむね三〇%の引き上げを行った、さらにまた室料及び看護料などの入院料関係につきましても約二〇%の引き上げを行ってきたということでございまして、今後も診療報酬の適正化につきまして中医協の御審議を願って、そういう方向で解決を進めてまいりたい、かように考えております。 なお、運営費に対する助成等につきましても、今後とも医療の実態を考えながらこれに対しての対応を十分進めてまいりたい、かように考えております。
○山田(英)分科員 次に、負担区分と独立採算制の問題についてお尋ねをいたします。 公営企業全体と病院事業における一般会計の負担の割合、それぞれどのくらいになっておりますでしょうか、自治省から数字だけで結構でございます。
○飯田説明員 お答えいたします。 地方公営企業に対します一般会計等からの繰出金の状況を五十三年度決算で見ますと、全体で八千八百十億円でございます。前年度の七千三百億円に比べまして二〇・七%の増と大きく増加をいたしております。 事業別に見てみますと、下水道事業が三千七百八十二億円で最も多うございます。全体の四二・九%を占めておるわけです。次いで病院事業が千九百二十一億円、全体の二一・八%でございます。交通事業が千四十九億円で一一・九%となっております。 この病院事業に対します繰出金は、収益的収入に千二十四億円、資本的収入に五百三十四億円、そのほか特別利益に三百六十二億円で、合わせまして千九百二十一億円が繰り出されている状況でございます。
○山田(英)分科員 地方公営企業は負担区分による公共負担と独立採算制による利用者負担とで収支を賄うというようなことでございますが、ただいま御報告ございましたように、経費のこのように多くの部分を一般会計負担区分に頼るというような状況では、必ずしも公営企業と言えないのじゃないかという素朴な疑問を持つわけでございます。そういう事業については、あえて法の全部または財務規定等を適用することに無理があるのじゃないかなという気もするわけです。病院事業についても、収入のほとんどが先ほど申し上げましたように社会保険診療報酬であり、室料差額等の徴収もできにくい事情にございますし、料金水準には全く自主性がないことを考えてみますと、地方公営企業法でがんじがらめにしておくことに疑問を抱くわけでございます。自治省としてその辺のところをいままで御検討なさったことがあるのかどうか、それをちょっとお伺いしたいのです。
○飯田説明員 病院事業につきましては、一般会計からの繰り出しを前提といたしまして独立採算というたてまえになっているわけでございまして、地方公営企業法によりまして財務規定の全部を適用しているわけでございます。したがいまして、その所要額につきましては地方財政計画に計上いたしますとともに、普通交付税あるいは特別交付税で財源措置をしている、こういうたてまえとなっております。
○山田(英)分科員 労働省にお伺いをしたいのでございますが、労災病院の施設一覧表を拝見いたしますと、労災病院は産炭地など、九州、東北、北海道などに多く設置をされているようでございます。産業構造の変化、卸売業、ビルメンテナンスなど第三次産業での労働災害の増加に見られる労働災害の質的変化などに対応して、今後は労災病院の設置地域についても見直しが必要であると思うわけでございますが、いかがでしょうか。 また、あわせて、現在労働省において新規の労災病院の建設計画をお持ちになっていらっしゃるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
○小田切説明員 お答えいたします。 先生御指摘のように、既設の労災病院の配置は、労働災害が多発する地域でございまして医療機関が不足しているというような地域にこれまでつくってまいったという事情がございまして、産炭地域等に存在する労災病院が多いという現状になっておることは事実でございます。御指摘のようなこれからというようなお話でございますが、私ども、先生御指摘のような観点から、最近におきましては新しい化学物質が原材料として使われる等々、既成の工業地帯、すなわち大都市圏におきましての新しいタイプの労災事故に対応するというような観点から労災病院の設置を検討してしかるべきではないかというようなことを考えておるところでございます。
○山田(英)分科員 ところで、また私の地元埼玉でございますが、労働災害者数の推移はこのようになっております。五十一年一万八十三人、五十二年一万三百四十八人、五十三年が一万九百三十一人と、増加の傾向にあるわけでございます。労災保険の加入事業所数で見ましても、五十三年度二万三千三十カ所、労働者数も約七十一万人と、いずれも大きく増加をしてきている実情がございます。埼玉県としても、その中期計画の中で重点政策として取り上げて、現在労災病院誘致実現のための条件整備に真剣に取り組んでおるところでございますが、これらの諸点を踏まえて、埼玉への労災病院設置について、労働省としてもひとつ本気で御検討を始めていただきたい、また取り組んでいただきたいと私は心からお願いを申し上げるわけでございます。この点、いかがでございましょうか。
○小田切説明員 先ほどの御質問の後半の部分にお答えしていなかったという点も含めまして、お答えしたいと思います。 現在、私どもが所管しております労災保険事業は、財政状況が非常に苦しい状態にございます。それから、現在労災病院が全国で三十六あるわけでございますが、昭和二十年代、三十年代につくりました労災病院が大部分でございまして、それの整備に追われているというような現状でございます。したがいまして、さしあたって労災病院を新規に計画的につくるということは目下ないわけでございますが、先ほど御説明しましたようなこれからのあり方といたしましては、大都市圏における新しい問題の対応も検討してしかるべきではないかというような考えを下敷きにいたしまして、労災病院の設置を検討し得る段階におきましては、埼玉県御当局の県内の医療機関の整備計画等もお伺いしながら検討してまいりたいというふうに考えております。
○山田(英)分科員 ひとつぜひお取り組みをいただきたいと、重ねてお願い申し上げます。 厚生大臣、そして各省の政府委員の皆さん、遅くまで本当にありがとうございました。以上で質疑を終わります。
○橋本主査 これにて山田英介君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして、厚生省所管についての質疑は終了いたしました。 次回は、明六日木曜日午前十時から開会し、労働省所管について審査をいたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後八時五十七分散会