予算委員会第三分科会 第1号
- 発言数
- 510 件
- 登壇者
- 41 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/03/04
会議録
○橋本主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。 私が本分科会の主査を務めるごとになりましたので、よろしく御協力のほどをお願い申し上げます。 本分科会は、昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算中厚生省、労働省及び自治省所管について審査を行うことになっております。 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたしたいと存じます。 まず、厚生省所管について説明を聴取いたします。野呂厚生大臣。
○野呂国務大臣 昭和五十五年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算案の概要について御説明申し上げます。 昭和五十五年度厚生省所管一般会計予算の総額は八兆一千四百九十四億円余でありまして、これを昭和五十四年度当初予算額七兆五千五百四十億円余と比較いたしますと五千九百五十三億円余の増額、七・九%の増加となっており、国の一般会計予算総額に対し一九・一%の割合を占めております。 昨今のわが国の経済情勢及び財政事情にはまことに厳しいものがあり、明年度予算はこのような状況のもとに編成されたものでありますが、厚生省予算は、各方面の絶大な御理解と御協力によりまして前述のとおりの結果を見るに至りました。 この機会に各位の御支援に対し衷心より感謝申し上げますとともに、責任の重大さに思いを新たにして国民の健康と福祉を守る厚生行政の進展に一層の努力をいたす決意であります。 昭和五十五年度の予算編成に当たりましては、社会保障諸施策について厳しい選択ときめ細かい配慮を加え真に必要な分野に重点的に経費を配分することといたしましたが、この際私の特に留意した点について申し上げたいと存じます。 第一に、高齢化社会の到来に備え、老後の所得保障の中核であります年金制度につきまして、拠出年金に関し次期財政再計算期を一年繰り上げ、年金額の引き上げ、遺族年金の改善等を図るとともに、福祉年金の改善を行うことといたしたことであります。 第二に、低所得階層、心身障害児・者、老人等社会的、経済的に弱い立場にある人々に対する福祉の確保を図るため、生活保護基準の引き上げ、社会福祉施設のオープン化対策の推進、老人、障害者の生きがい対策の充実、ボランティア活動の推進、社会福祉施設運営の改善等を図ることといたしました。 第三に、国民の保健医療を確保するため、救急医療、僻地医療体制の計画的な整備、プライマリーケア対策の推進、医療情報システム体制の整備、医療従事者の養成確保と処遇の改善等を行うほか、国民の健康づくりの推進、医療保険制度の充実等を図ることといたしております。 以上のほか、生活環境施設の整備、医薬品副作用救済対策の充実、原爆被爆者、戦争犠牲者のための対策、環境衛生関係営業の振興等につきましても、その推進を図ることといたしております。 以下、主要な事項につきまして、その概要を御説明申し上げるべきではございますが、委員各位のお手元に資料を配付いたしてございますので、お許しを得て、説明を省略させていただきたいと存じます。 何とぞ、本予算案の成立につきましては、格別の御協力をお願いいたす次第でございます。
○橋本主査 この際、お諮りいたします。 厚生省所管関係予算の重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橋本主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 〔野呂国務大臣の説明を省略した部分〕 以下、主要な事項につきまして、その概要を御説明申し上げます。 第一は、生活保護費であります。 生活扶助基準につきましては、五十五年度経済見通しによる民間最終消費支出の動向等を勘案し、前年度当初に比し八・六%引き上げることとしたほか、少人数世帯の処遇改善、教育、出産、葬祭等の各扶助についても所要の改善を行うこととし九千五百五十九億円余を計上いたしておりますが、これは前年度予算に比し三百三十六億円余の増額であります。 第二は、社会福祉費であります。 心身障害児・者の福祉につきましては、特別児童扶養手当、福祉手当の額の引き上げを行うとともに、新たに心身障害児・者施設の機能を在宅心身障害児・者のために活用する施設オープン化対策を推進することとしたほか、障害者社会参加促進事業、障害者福祉都市推進事業、心身障害児通園事業等の拡充に意を用いたところであります。 老人福祉につきましては、寝たきり老人の短期保護事業を大堰拡充するほか、老人の生きがいと創造の事業 デーサービス事業、家庭奉仕員派遣事業等在宅福祉サービスの一層の充実を図ることといたしております。 母子の福祉につきましては、母子福祉貸付金の原資の増額、児童扶養手当の額の引き上げ等を行うとともに、妊産婦、乳幼児の健康診査、先天性代謝異常等検査、小児慢性特定疾患治療研究事業等を充実するほか、新たに特殊ミルク共同安全開発事業等を実施することといたしております。 社会福祉施設につきましては、特別養護老人ホーム、心身障害児・者施設、保育所等の整備を進めるとともに、指導員、保育所保母等の増員、特別管理費の改善、入所者の処遇改善等の運営改善を図ることといたしております。 以上のほか、ボランティア活動等の民間福祉活動の推進、児童館の整備等の児童健全育成対策、同和対策等につきましても、それぞれ所要の措置を講ずることといたしております。 以上申し上げました社会福祉費の総額は一兆三千六百九十七億円余でありまして、前年度に比し一千三百七十九億円余の増額となっております。 第三は、社会保険費であります。 まず、社会保険国庫負担金でありますが、厚生保険特別会計及び船員保険特別会計への繰り入れに必要な経費として一兆一千五百七十億円余を計上いたしております。 厚生年金保険及び船員保険の年金部門につきましては、昭和五十一年改正以降の経済変動に対処するため、財政再計算を一年繰り上げて行うこととし、年金額の引き上げ、遺族年金の改善等を図るとともに、保険料率の改定等を行うこととし、その経費として五千八百八十五億円余を計上いたしております。 政府管掌健康保険につきましては、国庫負担四千六百八十六億円余を、船員保険の疾病部門につきましては十五億円を計上いたしております。 また、健康保険組合に対する給付費臨時補助金につきましては十五億円を計上いたしております。 次に、国民年金国庫負担金でありますが、国民年金特別会計への繰り入れに必要な経費として一兆六千八百九十六億円余を計上いたしております。 このうち、拠出制国民年金につきましては、年金額の引き上げ、母子年金の母子加算制度の創設、保険料額の改定等を行うこととしております。 福祉年金につきましては、老齢福祉年金を月額二万円から二万一千五百円に引き上げるなどの改善措置を講ずることとし、所要の経費を計上いたしております。 国民健康保険助成費につきましては、総額二兆一千二百三十一億円余を計上いたしておりますが、このうちには、療養給付費補助金、財政調整交付金、臨時財政調整交付金、国民健康保険組合臨時調整補助金などの経費が含まれております。 以上申し上げました社会保険費の総額は五兆六百二億円余でありまして、前年度に比し三千九百四十五億円余の増額であります。 第四は、保健衛生対策費であります。 地域医療対策につきましては、医師臨床研修の充実などプライマリーケア対策を推進するとともに、救急医療施設の体系的、計画的整備と運営の充実、僻地中核病院等を中心とする僻地医療体制の体系的整備を推進するほか、医療情報システムについて、研究開発にあわせ全国的にその普及、導入を進めることとしております。 また、がん、循環器病、小児専門病院等の専門医療機関の整備充実を図ることといたしております。 看護婦等医療従事者の養成確保対策につきましては、看護婦等貸費生貸与金の額の引き上げ、看護婦養成所の整備、処遇の改善を図るほか、理学療法士、歯科衛生士等の養成確保につきましても所要の措置を講ずることといたしております。 国民健康づくり対策の推進につきましては、市町村保健センターの整備、家庭婦人の健康づくり活動の拡充を図るとともに、新たに市町村栄養改善事業の助成を行うことといたしております。 原爆障害者対策につきましては、特別手当の改善等を図るとともに、新たに原爆医療施設の整備を行うことといたしております。 難病対策につきましては、調査研究の推進、専門医療機関の整備を進めるとともに、特定疾患治療事業等の充実を図ることといたしております。 精神衛生対策につきましては、酒害相談事業などの施策の充実を図ることといたしております。 以上のほか、公的病院の助成、保健衛生、医療施設等の整備費なども含めて、保健衛生対策費は、総額三千九百六十九億円余でありまして、前年度に比し百十四億円余の増額であります。 第五は、戦傷病者戦没者遺族等の援護費であ ります。 戦傷病者戦没者遺族等に対する年金につきまして、恩給法の改正に準じた額の引き上げ、対象範囲の拡大を行うとともに、戦没者の父母等に対する特別給付金の特例支給を行うこととしております。 さらに、遺骨収集、戦跡慰霊巡拝等の実施、中国等からの引き揚げ者に対する援護措置の拡充を行うこととし、遺族及び留守家族等援護費として総額一千四百五十八億円余を計上いたしておりますが、これは前年度に比し百四十九億円余の増額であります。 第六は、環境衛生施設整備費であります。 まず、水道施設整備費につきましては、簡易水道、水道広域化施設の整備等を引き続き推進することとして九百十七億円余を計上いたしております。 廃棄物処理施設整備費につきましては、廃棄物処理施設の整備を推進するとともに、大都市圏域における広域的な廃棄物最終処分場を整備するための調査を行うこととして六百三十八億円余を計上し、環境衛生施設整備費は、総額一千五百五十五億円余を計上いたしております。 以上のほか、食品、医薬品等の安全対策、環境衛生関係営業の振興、国際医療協力等につきましても所要の経費を計上いたしております。 以上、昭和五十五年度厚生省所管一般会計予算案の概要を御説明申し上げました。 次に、昭和五十五年度厚生省所管特別会計予算案について申し上げます。 第一に、厚生保険特別会計につきましては一 般会計から一兆二千八十五億円余の繰り入れを 行い、各勘定の歳入歳出予算を計上いたしてお ります。 第二に、船員保険特別会計につきましては一 般会計から二百八十二億円余の繰り入れを行 い、歳入歳出予算を計上いたしております。 第三に、国立病院特別会計につきましては一 般会計から七百六十八億円余の繰り入れを行 い、各勘定の歳入歳出予算を計上いたしており ます。 第四に、あへん特別会計につきましては歳入 歳出ともに十三億円余を計上いたしておりま す。 第五に、国民年金特別会計につきましては一 般会計から一兆六千八百九十六億円余の繰り入 れを行い、各勘定の歳入歳出予算を計上いたし ております。 以上、昭和五十五年度厚生省所管特別会計の予算案につきまして御説明申し上げました。 何とぞ、本予算案の成立につきまして、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。 —————————————
○橋本主査 以上をもちまして厚生省所管についての説明は終わりました。 —————————————
○橋本主査 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑の時間はこれを厳守せられ、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局に申し上げますが、質疑の時間が限られておりますので、答弁は要領よく簡潔にお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
○井上(普)分科員 スモン訴訟並びにスモン患者救済についてお尋ねいたしたいと思います。 去る十八日、大原委員が予算委員会においてその数等々については質問されておりますので、そういう点は省略させていただきまして、要点をひとつ簡潔にお尋ねいたしたいと存じます。 拝見しますと、この数で厚生省がつかんでいる患者以外にかなり患者がおるのじゃないか、私はこのように思うのでございます。これらについては、一体どういうような措置をなさって、いま厚生省としては対策を立てられておるのか、その点をお伺いいたします。
○山崎政府委員 私どもがつかんでおりますと申しますか、スモン研究班が当時つかみました数字は一万一千七人という数字が出ております。そして現在その中で五千百四十八名の方々が提訴されておる、こういう状況でございますが、実はそのほかにも潜在患者といいますか、そういう方がいるのではないかという御指摘をする向きもございます。現在のところ、私どもはこの五千百四十八名の提訴患者の方々との和解を積極的に進めることによりまして、早期にこれを打開していく、そういうことを基本方針としているところでございます。
○井上(普)分科員 その提訴しておる患者の問題につきましては後々お尋ねいたしたいのですが、そのあとの方々に対してはどういう措置をおとりになろうとするのか、お伺いしたいのです。
○山崎政府委員 少なくともスモン患者であると御自分も判断されたり、症状の上におきましてもそうだと思われている方、つまり未提訴の患者の方々が一つあるわけでございます。そういう方々につきましては、実は先生御案内かと存じますが、昨年の九月十五日に患者の方々とのいわゆる確認書という形でのお約束ができたわけでございますが、それに付属するものとして確認事項というものがございまして、その中で、未提訴患者の方々についてもできるだけ提訴をしていただいてこれを解決していく、これが迅速公平な解決につながる道だ、こういうお約束といいますか、そういうものが交わされているということでございますので、そういうことで進めてまいりたい、かように考えておるわけであります。
○井上(普)分科員 それはおかしいのじゃないかと私は思うのです。提訴をしてくれ、そうすれば公正に解決するというのは、行政府の立場としてはおかしいのじゃないかと私は思うのです。 大臣、どうです。提訴しなくても潜在患者というものはある。それに対して確認事項の中で、提訴をしてくれ、そうすれば措置いたしましょうという考え方はおかしいと私は思います。行政府の責任を忘れたものだと思いますが、どうでございましょう。——いやいや、これは大臣だ、政治的判断だ。
○野呂国務大臣 従来のスモン問題解決の基本方針としては、いわゆる提訴されて和解がそこに生まれる、それによって問題の解決を図ってきたというような過去の経緯、そして基本方針のもとに進めてまいっておりますから、裁判にかけてやったものでなければその対象ではないのだ、政府はそれは放置しておけばいいのだ、そういうことではございませんので、いままでの経緯、そして基本方針の、さしあたって和解が成立したものから速やかに解決していくというような事態から申し上げておることでございます。姿勢としては、なるほど御指摘のような、努めてスモン患者であるということにどう対応するかという点で、厚生省としては真剣な対応が必要であるということは言うまでもないことでございます。
○井上(普)分科員 だから、訴訟を起こさなければ救済の対象にならないというのは、行政府の責任を忘れておるのじゃございませんか。いままでの経緯は経緯としまして、訴訟を起こしたからこういうような大きなことになってきた。ともかく訴訟された方々に対しましては、私どももその御苦労に対して一応敬意を表するものであります。しかしながら、訴訟を起こさない方々に対して、ひとつ訴訟を起こしてくれ、そうすれば救済いたしましょうという態度は、私は行政府としての責任をおろそかにしておるものだと思う。同じように、これは国あるいは製薬会社の責任においてこのようなことになっているのだ。これに対しては、裁判をしなくても判決に準じた処置というものをなさるべきであると私は思いますが、どうでございますか、大臣。
○山崎政府委員 いま提訴していただくことがという御答弁を申し上げました。これはやはり私ども現在早急に解決すべきものは、手順として考えますと、やはり五千百四十八名の方々の提訴患者との和解を進めていく、これがまず第一だと思います。それで次の段階として未提訴の方々をどう扱っていくかという問題だと思いますが、現在のところ、少なくとも昨年九月のお約束と申しますか、患者さんとの間で確認された姿というものは、やはり提訴をしていただくことによって、それが一番公平迅速に問題を解決することであろう、かようなことの線におきましてお約束が行われているということでございまして、現在は少なくとも第一の手順としてはすでに提訴されている方々との和解を進める、こういうことだと存じておるわけでございます。
○井上(普)分科員 提訴された方々との和解を第一番に優先的に考えるのは、私は当然だと思う。そのとおりであると思うのです。しかし、そのあとの患者については提訴をしてくれ、そしてそこで公正な判断をするんだということになれば、行政府というのは公正でしかも能率的な事務を行うのが行政府の責任なんです。ところが、同じケースになってくるわけだ。にもかかわらず、これを裁判所に提訴してくれというのは行政府の責任を放棄したもので、その確認事項というものは、われわれ国民側からすればおかしいじゃないかと言わざるを得ないと思うのです。したがって、これらの問題について、あなた方、この確認書がおかしいと私は言う。これは行政府の責任をおろそかにしておるものだと思います。でございますから、こういうような確認書、この確認書はもちろん守らなければなりませんけれども、なお提訴グループとの間でさらに折衝を深めて、同じようなケースであるならば当然行政府の責任において右へならえの処置をとるべきが当然であろうと思うのですが、いかがでございます。これは大臣、政治的判断だ。
○野呂国務大臣 すでに患者団体との間で取り交わされておる確認書の内容について、スモン病問題については裁判上の和解によって早期に解決するんだということを基本方針にしてまいりましたということは御理解いただいているわけでございます。したがいまして、これから未提訴患者については患者の早期救済を図ってまいるということで、今後具体的にどう持っていくかということについては十分検討さしていただきまして、提訴しておる、しかも和解の成立した患者と、これから未提訴の患者との取り扱いを分けてやっていくというようなことでは決してなくて、今後の処理については、われわれは十分誠意ある患者救済を進めてまいりますということについて御理解を願いたい、かように思います。
○井上(普)分科員 そうであれば、ただいま薬務局長の御答弁は訂正されたものと解釈してよろしゅうございますか。大臣、いかがです。
○野呂国務大臣 提訴していただいてということをわれわれが求めるという言葉は穏やかでないというふうに思いますので、この未提訴者に対しましては今後どう取り扱っていくか、十分分け隔てのないように私どもは大所高所からこれに対応してまいりたい、こういうふうに訂正をいたしたいと思います。
○井上(普)分科員 そうすると、裁判所の判断を待つまでもなく未提訴の患者については厚生省独自の判断において、裁判所の判断に準拠して行政処置を行っていくと解釈してよろしゅうございますか。
○野呂国務大臣 心構えを私は申し上げたわけでございまして、まず現在裁判に提訴され、そして和解が成立した、そういう現在の患者との約束をどう実行し、またその問題の解決をどうしていくかということが行われたその後において、この潜在患者と申しますか、まだ未提訴の方々に対してどう対応するかということは、できる限りわれわれは早期に同様に解決を図ってまいりたいという私の心構えを申し上げたわけでございます。具体的にどうするかということについては、この方法についてはしばらくひとつ様子をごらんいただきたい、かように思うのでございます。
○井上(普)分科員 わざわざともかく提訴しなければ解決しないというのは、私はおかしいと思います。特に裁判所はこのごろ長うございますので、とてもじゃないが患者にとってはたまったものじゃない。この点ひとつ御理解の上で迅速なる処置をおとりくださいますようお願いするものであります。 そこで、ここに私手紙を持っておるのでございますが、こういうようなケースがたくさんあるのです。この患者は三十八年に発症しまして逓信病院に入院しているのです。逓信病院で入院中に発症した。ところが、当時病名も定まらぬのでじりじりする、あるいは足はしびれてくる、手はしびれてくる、目は見えないというので、こういう歌までつくっているのです。「忍び寄る死のかげじっと見つめ居て医者の無策を憤どおる日々」というような歌をつくりながら実は療養していっている。 しかしそのうちに、ともかく何の処置もできないというので大学に転院する。そのうちにまた京都の大学がいいのだというような話で、これまた京大へ移っていくというようなことをやってきた。ところが、京大に入っておるときに、昭和三十九年でございましたか、スモンという言葉は当時ございませんでしたけれども、非特異性脊髄膜炎というような名前でございましたでしょう。これに対する国際シンポジウムがあった。国際シンポジウムの一例として実はこの患者は出ておるのであります。 そこで、前々の処置を一体どんな処置をしたのかということで逓信病院にカルテを要求いたしましたところが、そのカルテは国際シンポジウムに送られなかったのであります。当時のカルテというものは実は一年間で廃棄しているのです。なくなっているのです。どこへ行ったかわからぬというような状況になっている。そしてその患者も郵政省の役人でございましたので、監察官に頼んでカルテの保存をしてくれということを当時申しておるのであります。ところが、そのカルテはいつの間にかなくなってしまったということで過ごされて、今日でも投薬証明が出されていない。こういう投薬証明がないのだから、私は訴訟の対象にはならないだろうと言って静かに余生を送っておる患者であります。 ここで問題になりますのは、これは当時医者としては入院中にそういうようになったのだから、医者の良心からして、これはひょっとすると責任が私らにあるのじゃなかろうかというために、あるいはカルテを意図的になくしたこともあったかもしれません。あるいはまたこういうような患者が少のうございますので、あちらこちらと回しておるうちにカルテがなくなったのかもしれません。しかし、この患者は国際シンポジウムの患者として出ておるのです。出ておるにもかかわらず、投薬証明がないためにこれは訴訟してもだめだという考え方で今日までじんぜん日を送っておるのじゃなかろうかと私は思います。こういうような患者に対しては一体どうするかという問題があるわけなんです。どうされます。
○山崎政府委員 問題を二つに分けて考えさせていただきたいと思います。 一つは、先ほど来先生御指摘の、その方が未提訴であるという実態でございますが、その問題はすでに御論議いただいたことといたしまして、提訴されている患者の中にも先生御指摘のようなケースがございます。これがいわば現在私どもが和解を進めるにおいて一番問題といいますか、むずかしいケースとして積み残っているというふうに私どもは認識しておりまして、先生のお挙げになりましたようなケースもあれば、あるいは病院それ自身がなくなってしまってカルテが出せないというようなケースもありますし、あるいはもっといろいろ幅がありまして、その病院ではキノホルムを確かに使っていたけれども、両方の薬を使っていたためにその患者さんが田辺系統の薬を飲んだのか、あるいはチバ系統の薬を飲んだのか、そこで被告である会社の間でお互いにそれはうちのではないと言い張って和解が保留されているケースもありますし、あるいはお医者様の記憶だけで証明が出ているというようなこともございます。いろいろ幅のあるケースが多々ございまして、それがいま私どもが和解を進める上において一番難問といいますか、むずかしいケースになっております。 そこで、この問題につきましてはかねがね東京地方裁判所、これは実は全国的な和解を進めるに当たりましていわゆる可部基準というものを出され、積極的に和解を進めてこられた東京地方裁判所でありますが、しかもその提訴患者の数が全国の半数に及ぶ、そういうところの御意見をいま求めている最中でございます。つまり、私どもがいままで和解の道を歩んでまいりましたその和解の線上におきまして、この東京地方裁判所の意見を求めている。こういうことでございます。近く東京地方裁判所のこれに対しての御意見をいただけるものと期待しておりますので、御意見をいただき次第、国としての方針を固めてまいりたい、かように存じておるところでございます。
○井上(普)分科員 裁判所に判断を求めるということ自体については私も大きな疑問を感ずるのであります。 それはともかくといたしまして、いずれにしろ裁判所の判断を求めた上で解決したいというのでございますが、この判断の基準はいつごろ出るんだというので、橋本厚生大臣当時にはことしの年初までにはそれは出るだろうというような予想もあったようでございますけれども、しかしそれは今日まで延びておる。そこで、判断が出たならば厚生省は全面的にそれに従いますか、どうでございますか。
○山崎政府委員 どういうものが示されるか、これはもちろん全く白紙の状態でございます。ただ、私どもは十分東京地方裁判所にお願いしている経緯もございますので、それは尊重してまいりたい、かように考えております。
○井上(普)分科員 おかしいじゃございませんか。裁判所にお願いして判断を求めておるんだから、向こうさんの判断が下ったならばそれに全面的に従うというのこそ判断を求めた趣旨じゃございませんか。それに対して十分尊重するぐらいのところではだめでして、全くこれを守りますという態度であってこそしかるべきであるが、その点はどうでございます。
○野呂国務大臣 東京地裁の判断が示された段階において、その判断を十分でいけなければ十二分に尊重いたしまして、ただ従うとかどうとかという言葉の問題でなくて、私どもはその判断というものをそれこそ十二分に尊重して、そして国の方針を決めたい、こう考えておりますので、十二分に尊重するということは従うのとどう違うのだというような議論をいたしますと、ただ言葉の取り返しになってはどうかと思います。問題は、誠心誠意早期解決に当たるのだという厚生省の今日の姿勢を十二分に御理解いただきたい、かように思うのでございます。
○井上(普)分科員 私は、いままでの経緯からし、あるいは橋本厚生大臣当時の議事録も読ませていただきましたし、また、このたびの予算委員会の議事録も拝見しましたが、結局、患者側にするならば、判断は出たけれども、裁定は出たけれども、厚生省はこれに従ってくれるのかどうか、これが非常に大きな不安を持っておるのであります。というのは、それほどまでに行政に対する不信感がある、ここに問題があると私は思うのです。でございますので、あなた方はいま十二分にそれを尊重しながら早期解決に当たりたいというお言葉は、患者にはちょっと納得ができにくいような状況になっているのではないかと私は思う。むしろ全くそれに従いますということこそいままでの厚生省の態度でもあったのじゃなかろうか、私はこのように思うのです。この点は、行政府に対しましては、判断が出た場合に厚生省がこれに従うか従わないかは、またわれわれとしても批判の対象にすることはできます。そのときにはまた改めて質問なり要求なりいたしたいと思います。 同時に、この判断が出た場合に、先ほども薬務局長が申されましたが、一体薬屋さんはそれに従うか従わないかという問題があります。これについてはどういうような処置をおとりになるのか、お伺いしたいのです。
○山崎政府委員 判断の内容がわかっていない段階で軽々に申し上げることはあるいは慎むべきかもしれませんが、私どもは製薬会社とともに国も負担その他については負担をしていって、そして問題の解決に当たるという基本方針をとっておりますので、仮に国及び製薬会社が共同負担という形での御意見が出るといたしますならば、そしてまた製薬会社がこれに従わないというようなことが予想されますならば、これは全力を挙げて製薬会社の説得に当たる、これが私どもの基本姿勢でございます。
○井上(普)分科員 いままでの経緯を見てみますと、厚生省はそういう態度でいままで終始してきたけれども、田辺でございましたか製薬会社の方でそれに従わなかった、ために非常な御努力を厚生省もなさったようでございます。したがいまして、この問題につきましては、判決あるいは判断は出たけれども製薬会社がこれに従わない場合は一体どうしたらいいのだろうか。しかし、その後薬事二法の改正によって基金法ができました。でございますので、私は厚生省の発言権というものもよほど強くなっていると思います。したがいまして、そういうような立場から、この問題は強力なる行政措置を講じて、裁判所の判断に製薬会社側も従うような強力なる姿勢をとってほしい、従わせるのだという意気込みで臨んでいただきたいということを強く要求いたしたいと思うのでございますが、大臣いかがでございます。
○野呂国務大臣 東京地裁の判断が示された場合におきまして、その判断を十二分に尊重いたしまして国の方針を決定し、その決定に製薬会社に従っていただくように全力を傾けて同意を取りつけていきたい、かように考えております。
○井上(普)分科員 そこでまた戻りますが、先ほどの投薬証明がないというような場合、鑑定するということで十二人のお医者さんに委託しておるようでございますが、鑑定していただくということになれば患者もまたこれに対する費用もかなり負担が重くなってくるのじゃないかと思うのですが、この点どういうような処置をなさっておられるのか、お伺いしたいのです。
○山崎政府委員 鑑定は裁判所が鑑定をお願いするわけでございまして、そしてそれは訴訟費用の一環に含まれますので、これは被告の負担、最終的にはそういうふうになります。
○井上(普)分科員 そうなりますと、先ほどの話とちょっと違ってくる。そうなってくると、未提訴の患者について鑑定するにも鑑定のしようがございませんでしょう。これはどうするのです。
○山崎政府委員 問題を二つに分けて考えてみたいと思います。 私の申し上げましたのは、言葉が足りなかったかもしれませんけれども、提訴患者の中での投薬証明がないというよりも、提訴患者すべてについて、裁判所がある鑑定団にキノホルムを飲んだスモンであるかどうかという鑑定をしていただきます。これは裁判所の職権において御依頼申し上げるわけです。そして、症度というのは、重症度がどのくらいかという鑑定もございますが、それを鑑定団が裁判所に鑑定結果を報告するわけです。そして、その後は裁判所の和解の問題になってくるわけでございます。したがって、いわばそういう訴訟費用の中に含まれますので被告負担になる、こういうことを申し上げたわけでございます。
○井上(普)分科員 そうしますと、未提訴の方々に対しましても鑑定が必要になってくる。それは裁判所の鑑定団ではない鑑定団が必要になってきますね。
○山崎政府委員 冒頭に大臣からもお答え申し上げましたように、未提訴の問題につきましてはまだ全く空白状態でございまして、鑑定であるとかないとかいう鑑定の問題は、あくまで裁判上の手続の一環としての鑑定でございます。
○井上(普)分科員 大臣、未提訴の方々に対しても同じような措置をするということになりますと、なかなかむずかしい問題はあると思います。あるけれども、何も行政府が裁判所の判断を求めなければならないなどというのはおかしいのでして、一たん判断が出たならばそれに右へならえすることは行政府としては能力が十分私はあると思う。日本の裁判はともかく長くて困っているのは皆さん御承知のとおりだ。このところの措置を早急にいまから御準備願いたい、このように思うのですが、いかがでございますか。
○山崎政府委員 冒頭の大臣の御答弁を繰り返すようでございますけれども、結局現在私どもが全力を挙げておりますのは、提訴患者がまだやっと半数和解にこぎつけた現状におきましては、提訴患者との和解を積極的に進める、こういうことでございまして、それがある手順としてある一段階がつきました段階で未提訴の患者の方々にも考え方を持っていかなければなりませんが、いまの判断では、あるいはおしかりをこうむるかもしれませんが、未提訴の方々につきましても裁判上の和解の道が一番早いのではないかというふうに現在私どもは考えておるわけでございます。
○井上(普)分科員 早いと言うけれども、日本の裁判ほど長い裁判はないのですよ。大臣、そうでしょう。それがまだ早いというのは国の責任というものをお忘れになった考え方ではございませんか。行政府の責任というのもお忘れになった考え方にほかならないと思うのです。患者の体がともかく一日一日衰弱していっているのです。早く処置をしてあげる必要がある。裁判所に鑑定を求めるのが一番早いのだというような考え方、これは行政府としての責任をおろそかにしたものだと言わざるを得ないと私は思うし、いまの裁判所の機構あるいは人員の都合からのおくれからするならば、裁判所に頼むことが解決が一番早いのだなどという考え方それ自体が厚生省の責任回避ではないかという疑いを強くするものであります。したがいまして、この問題については、裁判所の基準が出されたならば、判断が出されたならば、未提訴患者につきましても右へならえの行政措置をやっていくという姿勢がほしいのでございますが、いかがでございますか。
○野呂国務大臣 未提訴患者につきましては、いま提訴され、しかも和解が成立した既判決の患者などの問題、これを当面取り急ぎ解決するということがまず第一でございます。それに続いて未提訴の患者に対してはどう対応していくか、それはいろいろ皆事情が違っておると思いますので、これからの行政措置については、どうぞひとつ今後の問題として、私どもは十分に御意思を尊重して、患者の方々に迷惑をかけない方向で早期解決に当たってまいりたいということで御理解を賜りたいと思います。
○井上(普)分科員 これで私質問を終わりますが、これは国の責任、薬務行政の責任で起こった事件でございます。結果はそういうことになっていますので、この問題につきましては、どうか国は誠心誠意、早期に患者の苦しみを解決するためにせいぜいの御努力をお願いいたしたいと思うのでございます。特に近々下される判決に対しましては、十二分に尊重するというよりも、それに従うのだという姿勢で国並びに製薬会社に対して厳しい姿勢で臨んでいくことを強く要求いたしまして質問を終わります。
○橋本主査 これにて井上普方君の質疑は終了いたしました。 次に、池田克也君。
○池田(克)分科員 公明党の池田克也でございます。 私は公衆浴場の問題について二、三お伺いをしたいと思っております。 最初に、公衆浴場の重要性と申しましょうか、一般的な認識として、国民大衆の衛生を守る厚生大臣というお立場から、公衆浴場の重要性、これは時代とともに変わってくるかもしれませんが、その認識について大まかで結構ですが、お聞かせいただきたいと思います。
○榊政府委員 ただいまの御意見でございますが、日本の国は御承知のとおり非常に高温多湿の国でございます。そういった意味で、国民の健康あるいは清潔の保持といったような意味から、いまお話しの入浴するというふうな行為につきましては、健康維持のためにきわめて必要ではないかというふうに思うわけでございます。お話しの公衆浴場につきましても、すべての家庭には浴室がないという現状からいたしますと、やはり国民の衛生保持のために必要な施設であるというふうに私ども認識いたしております。
○池田(克)分科員 私は大臣の認識をお願いしたのですけれども、大臣、いまの局長の御答弁と変わりございませんか。
○野呂国務大臣 公衆浴場については、今日におきましても社会的な重要性を持っておる、こういう観点から、五十四年度の事業におきましても、公衆浴場確保対策調査研究を実施しておるという点から申しましても、大変私は大事な仕事であるということを認識いたしております。
○池田(克)分科員 大臣、いま公衆浴場は大人一人幾らしているか御存じでしょうか。——だめです。私は大臣に聞きたいのです。
○橋本主査 環境衛生局長を指名しました。
○池田(克)分科員 だめです。大臣に求めているのです。こんなこと知らなくてはしようがないでしょう。
○橋本主査 発言をちゃんと求めてください。
○池田(克)分科員 すみません。
○野呂国務大臣 百七十円から百八十円くらいかと思います。
○池田(克)分科員 私は、公衆浴場の問題をきょうこの分科会でお伺いすることは前もって厚生省の方々に申し上げてあったわけでございます。そして、この問題は今日だんだんと持ちぶろと申しましょうか、自宅におふろを設備された方々が多くなってきている。しかしながら、一方ではそうじゃなくて、いわゆる町のおふろ屋さんで一日の疲れをいやし、また衛生上も健康を維持するために、そう申してはなんですが、最低の国民の慰安と申しましょうか、私はそうした部分を占めているのだと思うのです。ですから、細かいことを大臣にお伺いするようですけれども、いま百七十円か百八十円という答弁でしたが、そこのところは私はよく認識をしていただきたい。いま主査からもお話がございましたように、ちょっとやりとりをしたのですけれども、今日、東京では百八十円、一番安いところで百六十円、二十円の差がございますけれども、これは大人一人です。家族で行けば、仮に五人行ったとしてほぼ千円に近いような出費が出てくるわけです。 これは前もって申し上げてなかったのですが、これは局長さんのお答えをいただけばいいと思うのですが、国民は一人一年間に何回おふろへ入れば衛生上大丈夫だという線なんでしょうか。
○榊政府委員 いまの御質問、厳密に言いますと大変むずかしい問題になるかもしれませんが、大体二日ないし三日に一度というのが通常の、体を清潔に維持するという面からは必要な程度ではないかと思います。
○池田(克)分科員 二日ないし三日、仮に二日として、大人が百八十円、御夫婦で二人、子供が平均して二人、子供料金はお伺いしませんけれども、中人、小人というふうに三段階になっておりますのですが、一日おきに入ったとして月にかれこれ七千円近い出費になる、これは間違いございませんでしょうか。
○榊政府委員 そのとおりになろうかと思います。
○池田(克)分科員 私は、七千円の出費というものが普通の家計出費の中でどういう意味を持つか、この問題だけでもかなり大きな議論になろうかと思いますけれども、物価が上がる、公共料金が上がる、そういう中で、ふろへ入るということは一番カットしにくいんですね。たとえば御婦人が頭をつくる。これなんかも、かなり厳しくなってくると節約をなさる家庭もあるわけですね。あるいはまた、その他家計出費の中で切り詰める部分というのは、いろいろ工夫されてあるわけです。しかしながら、そういう状況の中で、このふろへ入るという行為について、これをカットしていくということは一番むずかしい部分じゃないか。まあ気候の関係にもよると思います。したがって、今日七千円、回数がもっと多くなったり、あるいはお子さんが多かったりというふうな状況になればそれ以上の出費になってくるわけですね。 そこで、私は指摘したい問題はまた後に申し上げたいと思いますが、前の国会で、公衆浴場の施設確保に関する請願というのが採択をされているわけでございます。これについてどんな処置をその後していらっしゃったでしょうか。
○榊政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、先ほど来お話がございますように、公衆浴場、国民の保健衛生上重要であるということは、お説のとおりと思います。厚生省としても、従来からその実態の把握というふうなものに努力をいたしておるわけでございますが、環境衛生金融公庫によります融資制度、これにつきましては、他の一般貸し付けと違いまして、貸付限度額の引き上げあるいは償還期限の延長、さらには特別利率の貸付対象の拡大等、その優遇措置に努めているわけでございます。また、税制面におきましても、たとえば基幹施設の耐用年数の短縮あるいは建物の耐用年数の短縮、あるいは固定資産税、不動産取得税の軽減等いろいろ軽減措置等にも努めておるわけでございますけれども、また公衆浴場の近代化等につきましてもいろいろと環衛法の立場から努力をいたしております。そのようにいろいろと国としても努力をいたしておるわけでございますが、そういった意味での従来の施策の充実を図りますとともに、環衛法に基づきます計画的な振興対策というふうなものを努力をいたしておるわけでございまして、そういった面から、お話しの公衆浴場施設の確保等に関するいろいろの請願の問題でございますが、私どもとしては、現行の諸制度等を十分推進することによってそういった振興策に努めてまいりたい、このように思っております。
○池田(克)分科員 いまの答弁の中に計画的な振興策ということがあったのですが、どんなふうに計画的に振興するように考えていらっしゃるのでしょうか。
○榊政府委員 先ほど大臣からお話がございましたような、いま公衆浴場についてのいろいろな調査を今年度の予算でも実施いたしております。そういった中から、今後の公衆浴場のあり方といいますか、そういったものを実は探りたいというふうに考えておりまして、それらの研究調査の結果を踏まえた上で公衆浴場に対する計画的な振興策というふうなものを考えていきたい、こういうふうに思っております。
○池田(克)分科員 そうしますと、計画的な振興、言葉にこだわるわけじゃございませんが、計画的な振興策というところまではまだいかない、その計画を立案するためのデータを集める種々の調査というものをおやりになる、こういうことでしょうか。
○榊政府委員 現在、先ほど申し上げましたようないろいろな調査研究を行っておるわけでございますが、その大きな問題としては、公衆浴場経営の実態といいますか、そういったものの把握あるいはその問題点、それからさらには都市類型別に見た適正公衆浴場の数の問題とか、あるいは地域特性、これは都市あるいは農村等いろいろあるわけでございますが、そういった面での公衆浴場の確保といいますか、そのあり方といいますか、そういった面もいまいろいろ研究いたしておるわけでございます。そういった問題を踏まえた上で将来の公衆浴場を、経営のあり方を含めまして検討していきたい、こういうふうに思っております。
○池田(克)分科員 ですから、計画的な振興策をおつくりになるための調査をしているということですかと聞いたわけです。イエスかノーかで。
○榊政府委員 さようでございます。
○池田(克)分科員 いつごろその計画が始まるのですか。
○榊政府委員 今年度そういった調査を行っておるわけで、五十五年の三月いっぱいかかりますので、それを踏まえて五十五年度にそういった面での考え方を検討したい、こういうふうに思います。
○池田(克)分科員 どうもあいまいですね。五十五年度中かかって調査をして、つまり五十六年の四月から始まる年度で計画をおつくりになるということですか。
○榊政府委員 いま申し上げましたのは、ことしの三月に一応調査が完了いたしますので、五十五年度に計画を練りたい、こういうふうに思っております。
○池田(克)分科員 わかりました。まず、大変おくればせながら五十五年の四月から始まる年度で計画をおつくりになる。くどいようですが、私も真剣なんです。そういうことで計画をおつくりになると、そう理解していいのでしょうか。
○榊政府委員 御理解いただきたいと思います。
○池田(克)分科員 いまのところ、調査というのは、ある程度一つのねらいを持ってしていらっしゃると思うのですが、その計画の方向づけ、腹案というようなものは全くないと考えていいのでしょうか。
○榊政府委員 実は、先ほども申し上げましたように、従来からこの公衆浴場の問題につきましてはいろいろ私どもとしても検討いたしております。その近代化なり合理化というふうな問題あるいは経営のあり方というふうな問題を含めておりますが、さらに現時点でのそういう実態をいろいろ把握することによりまして、現状に見合った形での計画的な進め方というふうなものをこの調査報告によって得たいと思っております。
○池田(克)分科員 この公衆浴場の料金というのは、物統令によって頭が決められていると聞いておりますけれども、物統令にもし違反した場合にはどんな罰則規定があるのでしょうか。
○榊政府委員 物統令に違反いたしますと、十年以下の懲役または五百万円以下の罰金に処せられるということになっております。
○池田(克)分科員 大臣、お聞きのとおり、物統令違反というのは非常に重い罰則規定があるわけです。したがって、浴場側としてはいろいろ工夫をして、たとえば若干料金をアップしてやったとしてもこれは物統令違反で処罰されてしまう、こういう内容を含んでいるわけですね。 他に、いま物統令で規定されているものは何でしょうか。
○榊政府委員 工業用アルコールでございます。
○池田(克)分科員 そうしますと、庶民生活に関係のあるものでただ一つ物統令が課せられている、こういうことになるのじゃないかと思うのです。しからば、それだけ厳しい罰則のもとに値段に規制をかけているとなれば、それに携わっている業者について相当の保護育成というものが必要じゃなかろうか。 いままでのやりとりをお聞きになって、大臣いかがですか。計画を五十五年四月からお始めになるというのですが、厚生省として本格的に公衆浴場の今後についての計画をお立てになる、そういう大臣のお気持ちをいまこの段階でお聞かせいただきたいのですが。
○野呂国務大臣 いま的確にこうしたらいいだろうということを軽率に私が申し上げるものではないと思いますが、なるほど公衆浴場の重要性を十分に認識しながら、新年度、五十五年度どういうふうに対応していくか、行政指導を十分強め、そして経営の近代化を図り、浴場が十分成り立っていくような方向にどうしていくかということを勉強させていただきたいと考えております。
○池田(克)分科員 時間もございませんので、私考えていることを若干申し上げたいと思うのですが、今日いわゆる浴室の保有率というものが統計で出ております。八二・八%、全国的なものでございます。これは大都会におきましてはもっと下がるわけで、たとえば全国一浴室保有率の高いのは茨城県の九六%というふうなデータも出ているわけでして、国民の志向からいきますと、だんだんと家にふろをお備えになるというふうな状況になりつつあるわけですね。そういたしますと、公衆浴場においでになる客の数は年々減少する傾向にある。昨今では燃料として使っている重油なども一年間で倍近く上がっておりまして、そうした点から見ますと、お客さんは減る、重油は上がる、こういうふうな状況の中で、どちらかと言えば繁華な町の中に百五十坪か二百坪というわりと大きな面積を構えて浴場を経営していらっしゃる方々にとっては非常に厳しい選択を迫られているわけで、特に伝統的に親子代々というお家も多いわけで、その御自分の業に一つの愛着を持っていらっしゃる、それによって町の人たちの衛生やそうした精神的な解放感が保たれている。そういう意味からいきますと、このお商売は大変貴重であるにもかかわらず、しかも違反したら大きな罰則が科せられているにもかかわらず、それに対するいわゆる行政側の保護育成が非常に弱いのじゃないか、私はそういう気がするわけです。 そこで、予算編成の問題に絡むのですが、業界からは環境衛生金融公庫に対して、いままで五千万の融資枠だったものを八千万に上げてほしい、この三千万の上乗せ分は経営の近代化、さまざまな工夫をこらしたいというぎりぎりいっぱいのお考えだったようでありますが、これを厚生省としては要求なさらないで省内で引っ込められた、こんなふうに聞いておりますが、この五千万から八千万への枠のアップについてのお考えを聞かせていただきたいのです。
○榊政府委員 お話しの問題でございますが、いま貸付限度額につきましては、一般の環衛業が二千二百万に対して浴場についてはお話しのように五千万というふうに特に枠を拡大いたしておるわけでございます。そうでございますけれども、いまお話しのような要望がいろいろあったことは私ども承知いたしておりますが、御承知のような資金の問題でございますので、浴場につきましては従来からそういった枠の拡大を図っておりまして、将来の問題として検討させていただきたいと思います。
○池田(克)分科員 検討は前向きですか、単なる検討ですか。
○榊政府委員 前向きに検討したいと思います。
○池田(克)分科員 政治の言葉で前向きというのはやらぬということだと言われているのです。しかしながら、私はここで指摘をさせていただきますけれども、そのほかにも業界の方々が切実に要求しているたとえばボイラー、循環ろ過器、温水器、重油バーナーの改修、こうした問題で今日老朽化している設備を改善していく、もしそれを改善できなければ廃業する。廃業して一軒なくなりますと四百メーターあいてしまうわけですね。おふろというのはある程度距離が近くないとそれこそかぜを引いてしまうわけですね。こういうふうな問題から見まして、改善していくための設備のつくりかえの補助、都道府県もめんどうを見ておりますが、これはとても負い切れない。どうしても衛生を管理する国の施策の上でこれはもう少しめんどうを見てもらいたい、二分の一の補助金をどうしてもほしい、こういう要望が強いわけです。これについても厚生省は大蔵省に対する予算要求はなさらなかった。要求してはねられたというならそこはまだ私は理解ができるが、厚生省として部内で要求なさっていないというのは、いかにもこの業界を見放したような感がするのですが、その経過と今後のお考えを聞かせていただきたいのです。
○榊政府委員 ただいまお話しのように、公衆浴場確保の観点から、私どもとしては従来環境衛生金融公庫の融資の枠の拡大あるいは冒頭申し上げましたような税制上の改善とかいろいろな意味での努力をいたしておるわけでございますが、いまお話しの国庫補助の問題につきましては、民間の営業であるといった意味からなかなか困難な問題ではないかと思っておるわけでございます。現在、各都道府県あるいは市町村等で金融公庫の融資に対する利子補給といった形でのいろいろな助成制度を持っておられるようでございますけれども、国としては、当面、環境衛生金融公庫の融資の内容の改善とか、あるいは枠の拡大といった意味での努力を払っていきたい、こういうふうに思っております。
○池田(克)分科員 民間の仕事だから助成できない。これは確かに、原理原則的に言えばそういうことはあろうかと思います。しかし、事態は深刻であり、しかも状況は、民間がやっているといっても、これは私は非常に公共性の強いものだと思う。だからこそ物統令がかかっているのですね。ですから、物統令をかけておきながら民間だから助成ができない、私はえらい矛盾があると思うのです。もはやそれなら物統令を外して、多様化した浴場というものを育成する。私はもう二つに一つしかないのではないかと思う。片方で値段を規制しておきながら、片方では育成も補助も無理だ。もうぎりぎり法的な意味からいきましても、現状からいきましても、この問題はもう抜本的な改善をする以外に切り抜けていく道はないのではないか、私はそこまで考えるのですね。 先ほど冒頭の御答弁でちょっとお話を承ったように思うのですが、この公衆浴場の確保に関する法律というのをおつくりになる意思というのは、いまのところないのでしょうか。
○榊政府委員 先ほども冒頭お話し申し上げましたように、私どもとしては、現在の各種の公衆浴場に対するいろいろな助成の制度、そういうふうなものを充実することによって、できる限り公衆浴場の確保策を図りたい。先ほど大臣からもお話し申し上げましたような、現在いろいろそういった意味での公衆浴場のあり方についての調査研究等もいたしておりますので、その辺を踏まえまして、将来のさらに推進するための糧にしたいと思っております。
○池田(克)分科員 自治省お見えでしょうか。——いま国の方から、現行の法制内で何とかというふうなお話でございます。私は自治省の方で、これは税制の問題ですね、固定資産税あるいは都市計画税ですか、それから不動産取得税、そういう問題についていろいろと御検討になっていらした。これをいろいろと検討された中で、二分の一の軽減というようなことにことしからなったというふうに承知をしておりますが、そうしたものが業界、専門にやってらっしゃる方々は、四分の一まで何とかもらえないだろうか、二分の一まででも評価はやぶさかでないけれども、苦しいことからいけばどうしても四分の一にしてほしい。しかも、昭和四十九年あたりに東京都などでは、十円とかそのくらいの金額を補助していた経過があるのですね。こういうふうな、金額はわずかでありますがそうした処置というものを、これまた地方財政も苦しい折から、それを特別交付金ですか等でバックアップして、何とかしてこの浴場経営というものを、いま局長さんお話しのように、新しい計画ですか、計画的な改善ですか、そうしたプランができるまで、何とか持ちこたえられるような、そうした施策というものを、私は暫定的でも結構ですが、していかなければならないのではないか。自治省としてのお考えはいかがなものでしょうか。
○渡辺説明員 ただいま先生御指摘のように、あるいはここで御論議がありましたように、公衆浴場をめぐる環境であるとか、あるいは特に物価統制令で料金を抑えられておる、こういうふうなことがございまして、御指摘のように、本年一月二十二日付で固定資産税、都市計画税につきましても軽減措置をするように通達したわけです。したがいまして、状況の認識については私どもそう思っております。 しかしながら、この措置は、従来の措置と比べましても、あるいは同種の特例措置はいろいろございますけれども、そういうものと比べましても、非常に大幅なものでございますので、現段階といいますか、税制の面からあるいは固定資産税の面からこれ以上これをどうするということはちょっと不可能だと思いますし、そういう、さらにどうするという考えは現在のところ持っておらないわけでございます。
○池田(克)分科員 そのほか、この公衆浴場経営の中で一つの問題は、福祉施設の中に浴室が最近できてきている。そして年輩の方々などが、そうした老人用の憩いの家とか、そうした施設に新しくおふろができることによってそちらの方に行ってしまう。これは新しい施設であり、いろいろ工夫もされているようです。こちらの方は、公衆浴場法の網をかぶっていないということなんでしょうか、距離制限もなく、場合によっては公衆浴場の裏や隣に福祉施設ができて、そこにお年寄りが行く。これは既存の公衆浴場から見ますと死活問題なんですね。こうした調整がそうした福祉関係と公衆浴場の間でなされていない。この辺、同じ省内においてそうした調整は当然あったはずじゃなかろうかと私は思うのですが、現実にはそうした隣にできた実例があるというのです。今後、これについてある一定の距離を持つとか、またはそうした浴場を確保していくために、そうした年輩者等の入浴についての配慮をしていく。今日でもなされてはいますけれども、近接してできるということについて省内で調整をする、そうした指導をしていく、そうしたことはいかがなものでしょうか。
○山下政府委員 老人福祉センターを国庫補助でつくるような場合には、御指摘のような点を配慮いたしまして、地元浴場組合との調整が済んでいるかどうかを確認しているような状況であります。また、憩いの家は融資でできるのでございますが、都道府県段階で、融資の申請をいたしますときに、やはり浴場組合との話をよくつけるように指導いたしておるわけでございますが、御趣旨の線に沿いまして今後とも指導をいたしてまいりたいと考えております。
○池田(克)分科員 きょうは資源エネルギー庁の方にもおいでいただいたのですが、資源の節約という観点から見るならば、公衆浴場がある程度のお客さんを確保して、そして運営されることが、私は資源節約の上から非常に大きな意味を持ってくる、このように考えるのです。 そして、先ほど来大臣もお聞きになったと思いますが、最後に一言、この公衆浴場を見放さない。私は、言葉が不適当かもしれませんが、いまの私の感想は、厚生行政から見放されておるのではなかろうかという気がするのです。最小限これを町の中に振興さしていく、こうした御決意を大臣から最後に承って、終わりたいと思います。
○野呂国務大臣 公衆浴場は、国民の保健衛生の上におきましても不可欠のものであるという考え方に立ちまして、いま経営の上においても非常に御苦労なさっているわけでございます。したがって、経営の近代化、それをどう進めていくか、行政指導も十分いたしながら、税制の面においても先ほど申し上げているような軽減措置を講じたりいたしてまいっております。あるいは環境衛生金融公庫の融資枠を拡大し、その融資の内容についても改善を進めてまいっております等々、また省エネルギーの問題に絡んでソーラーシステムの開発の研究費も五十五年度にはつけておるわけでございます。そういった総合的な観点で何とか振興策を進めてまいりたい、かように考えております。
○池田(克)分科員 終わります。
○橋本主査 これにて池田克也君の質疑は終了いたしました。 次に、川俣健二郎君。
○川俣分科員 食品公害、この問題に対する厚生省の考え方をお伺いして、大臣の姿勢をただしたいわけですが、このところ食品公害というのは国会論争ではちょっと遠のいたというか、総括、一般その他で承っておってもそういう感じがしましたのですが、AF2、あの問題以来だと思うので、どうしても食品衛生法にお世話になる問題ですから、どうしても見直す時期に来ているんじゃないかなという感じがいたして、あえて質問に立たしてもらったわけです。 そこで、ただ漠然とそう言ったって論議になりませんから、比較的年末年始、いまだに尾を引いておるんだが、消費者はもちろん考え方を出しておるし、生産者も、一体どうすればいいんだという困惑の状態で、じゃ、つくった物を買い取ってくれるかというところまでいくのですが、これが果たして物価対策費の予算の修正の額を使えるものかどうかわかりませんが、一つ発がん性の研究をした結果の発がん性物質の過酸化水素、これの問題をずっと見ますと、大臣、やはりこれはちょっときちんとどこかで行政的に歯どめをかけていかなければならぬなというような感じを受けませんでしたかね。その辺からちょっと……。
○野呂国務大臣 今般の過酸化水素、食品添加物の問題に対しましては、厚生省としては慎重に対処をし、また機敏にこれに対応いたしたつもりでございます。
○川俣分科員 大臣、機敏に対応したようだが、まだ解決したとは言えないので、解決というか処理したとは言えないので、厚生省としてやるべきことはやったというだけじゃなくて、何と言ったって食品公害というのは厚生省があずかり知るところですから、したがって、この問題どうですか、大臣、認識が余り——これは大臣のところに報告その他ございませんでしたか。
○野呂国務大臣 いろいろございました。
○川俣分科員 ございましたか。それを伺って、大臣は最終的にこれでいいのかなというような疑問を抱きませんでしたかね。
○野呂国務大臣 やはり食品が多様化し、流通機構が拡大されるにつきまして、こうした食品添加物が大変重要な地位を占めておる、この今日の現状におきまして、食品添加物をどう取り扱っていくべきものか、これは私は大変重要な衛生上における問題であるということを認識いたしておるわけでございます。
○川俣分科員 一体、それじゃ事務当局、ちょっと簡潔にいきさつを順を追って、月を追って、最後にどうしたかをちょっと……。
○榊政府委員 ただいまの過酸化水素についての経緯でございますが、これにつきましては、この過酸化水素につきます発がん性といいますか、そういうものの研究につきましては、昭和五十一年からいわゆる変異原性試験という形で調査が進められておりまして、昭和五十二年から動物実験に入っておるわけでございます。その結果が今回出たわけでございまして、その結果につきまして、一月十一日に厚生省におきましてがんの研究者によります専門家会議を開催いたしました。その結果の判定を行ったわけでございます。この判定と申しますのは、この研究が国際的な一つの技術的な基準に適応しているかどうか、あるいは、できましたいろいろな腫瘍ががんであるかどうかというふうな判定でございます。その結果につきましては、御承知のとおり、十一日に厚生省として発がん性が認められたということについての公表を行ったわけでございます。 その際、食品上の取り扱いとしては、とりあえずの一つの措置として、残留することが好ましくないので、食品製造、加工上可能な限り過酸化水素を使用しないように食品製造、加工業者に要望した次第でございます。 その後、この行政措置につきましては、食品衛生調査会、一月の三十日に行っておりますが、その一月三十日の食品衛生調査会に今後の行政措置について意見を求めたわけでございます。その結果、食品衛生調査会におきましては、十一日におきます厚生省の、これは要望でございますが、その措置を妥当と認めた上で、過酸化水素が非常に分解しやすい性質を持っているというふうなことで最終的に食品に残留しない場合があり、残留する形で使用することは適当ではないというふうな意見の具申があったものでございます。 さらに、厚生省といたしましては、この意見を体しまして、本年二月二十日、法的な措置として使用基準の改正等、一連の行政措置をとったというのが経緯でございます。
○川俣分科員 そこで、混乱、困惑というのはどういうところにありますか。
○榊政府委員 私どもとしては、このいま申し上げました当初の発表、それからさらに食品衛生調査会、あるいは今回とりました使用基準の改正等は、すべて内容的には一貫しているというふうに考えております。 いまお話しの混乱ということにつきましては、その内容説明等が十分でなかったということにつきましては、そういうことのないよう今後努めてまいりたい、こういうふうに思っております。
○川俣分科員 そのようにないように進めていきたいと言ったって、現実このとおりの騒ぎですから。特に騒ぎというのは、残留していなければよろしいというところにみそがあるのですね。ところが、溶解性、分解しやすい物質ではあるが、どうしても残留するというのが学者の意見であるので、結果的には全面禁止になるということなんでしょう。
○榊政府委員 過酸化水素は、御承知のとおり、伊9ということで従来から非常に不安定な物質でございます。水と酸素に分かれるということでございます。そういうふうなことで、調査会の意見におきましては、この非常に不安定な物質である、それからさらには、従来これが非常に使われてきましたのは殺菌効果というふうな面からも非常に有効なものである。水と酸素に分かれるということで、後のいろいろな臭気とかその他いろいろな問題も残らぬわけです。そういった意味で、この有効性というのはやはり今後も生かしていくべきではないかというふうな御意見があったわけでございます。従来いろいろな使われていた方法の中に、残留しないというふうないろいろな方法も実はあるわけでございます。これは御承知でもございましょうが、つい二、三年前までは、日本酒を製造しますときにはこれを使っておったのです。当初の醸造米の殺菌というふうなことで行いまして、それからさらにそれを醸造するわけでございます。こうじによるいろいろな作用というふうなものと、過酸化水素の存在というものが、化学的に全く実は相反する作用でございまして、そういった意味では残留しない形というふうなものが存在したわけでございます。ただ、現実にはすでに清酒等においてはもう使っておりませんけれども、そういった意味で、残留しない形というものも将来の一つの製造、加工方法としては私ども期待し得るのではないかと思っておるわけでございます。調査会等におきます意見も、そういった意味でこの有効性というものを十分生かした過酸化水素の使用というようなものも認めていいのではないかという御意見でございました。
○川俣分科員 それは調査会の一回くらいの意見でそういうことなのだが、食品衛生法を預かる厚生省として、そこを非常にあいまいにしておったら、厚生省はスモンその他の問題でいろいろと難儀をしたが、将来大変な問題になるのだと思うのは、殺菌効果があるから、有効性があるから使わしてもいいのだ、そこなんだよ。発がん性物質ということになったのだよ。ところが、現実に効果があるからほとんど使っているわけだ。ゆでめん、かまぼこ、シラス、かずのことかなり使っている。これは比率はどうなんですか。ちょっとその前に、讃岐うどんは使っていますか。
○榊政府委員 讃岐うどん、ゆでうどんは使っております。
○川俣分科員 比率はわかりますか。
○榊政府委員 讃岐うどんにつきましては、従来大体九〇%くらい使っておったというふうに聞いております。
○川俣分科員 そうなんだよ。食品公害一般の締めくくりでその点を、別に大平総理が讃岐うどんと関係があるから言うわけではないが、一つの比率を取り上げてもこれだけ大量に使っておるわけです。ところが、調査会の問題を取り上げてという隠れみのをつくらないで、結局厚生省に来るわけだから、スモンみたいになったらこれはえらいことになる。だから、食品衛生法を、きょうは画せとは言いませんけれども、見直す必要があるのではないか。日本には発がん性禁止条項が食品衛生法にないのだ。どうです、ありますか。
○榊政府委員 お話しのような発がん性物質についての禁止条項は、アメリカのデラ二一条項のことを指しておられると思いますが、日本の場合、食品衛生法の第四条二号によりまして、これとほぼ同様な扱いをすることが可能だと思います。
○川俣分科員 食品衛生法ではなくても、アメリカと同じように禁止条項を制定しておるという考え方でいいという意味ですか、ちょっと聞き逃したのですが。
○榊政府委員 衛生上危害がある物質については禁止できるというふうに理解しております。
○川俣分科員 そうすると、発がん性の禁止条項を法律にうたわなくても、厚生大臣が禁止できるんだね。
○榊政府委員 四条二号につきましては、実は発がん性だけではなくて、その他すべて健康上危害があるということになれば禁止できます。
○川俣分科員 そうすると、事務当局は、発がん性禁止の条項がないんだということをひょっと言うのですが、その辺はどうなんですか。
○榊政府委員 食品衛生法四条第二号を読みますと、「有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは附着し、又はこれらの疑いがあるもの。但し、人の健康を害う虞がない場合として厚生大臣が定める場合においては、この限りでない。」ということで、これにつきまして禁止措置がとれるわけでございます。
○川俣分科員 局長、そう言ったって、ではこれは全面禁止するか。
○榊政府委員 過酸化水素につきましては、これが含まれないものまで禁止する必要はないというふうな観点から、全面禁止しなかったわけでございます。
○川俣分科員 だって発がん性物質だという学者のあれを受けて調査会にかけたのでしょう。ところが、それは非常に分解しやすいものだから残留しないだろう。残留しないなら使っていい。しかし残留するというのがほとんどでしょう。そういうことなんでしょう。見解はどうなんですか。だからあいまいになってしまうんだ。
○榊政府委員 先ほどいろいろうどんのことについて御質問がありましたが、これは残留しておるものを申し上げたわけでございます。といいますのは、したがいまして、今後残留する形で使用することはできないということでございます。使用基準におきましては、最終食品の完成前に分解しまたは除去することにいたしております。したがって、最終食品完成前後において残留するものはあり得ないというふうに私ども思っております。
○川俣分科員 残留するものはあり得ない、そういう考え方かね。残留するものはあり得ないというのですか。それなら、なぜ全面禁止だといって騒いでいるのですか。それは行政指導が悪い。
○榊政府委員 今度の使用基準の改定のことをいま申し上げたわけでございます。それでは、最終食品の完成前に分解しまたは除去することというふうにしております。したがいまして、加工中間過程で使用することは可能であるということでございます。
○川俣分科員 そうすると、過酸化水素は使っていくんだ、使ってよろしいという考え方なんですね。
○榊政府委員 最終的に残留しないという形であれば使ってもよろしいということになります。
○川俣分科員 それは大丈夫ですか。これだけの通達を出して一残らなければ使っていいよということを言っていいのかな。むしろ最初は、なるべく使うな、それからほとんど残留するから使うな、全面禁止じゃないか、こういうことになって、年末からいままで騒いでいる。それでは一体いままでつくった在庫をどうしてくれるか、国が買ってくれるかというところまで突き上げられたでしょう。そこへ通達が出されて、それではこれから過酸化水素というのはこういったような食べ物には使わないんだなということで、世の消費者は納得したんじゃないのか。ところが、製造工程に使ってよろしい、恐らく分解するだろうから残留しないであろう、こういう程度かな。
○榊政府委員 使用基準の意味につきましては、いまいろいろ私の説明が悪くてあるいは誤解があったかもわかりませんが、最終食品に確実に含まれないということを担保する意味では、やはり製造技術とか加工技術、あるいは工程管理等を総合的に評価しなければ判断できないというふうに思っております。先ほど例として醸造過程のお話を申し上げましたが、そういったような確実に残留しないという形でなければ使用できないというふうに考えております。したがいまして、従来残留効果を期待するというふうな意味での使い方、そういうものにつきましては、これは使えないということになります。そういった意味で、現在までいろいろ誤解を招いておることにつきましては、私ども今回の改正に当たりましていろいろな意味での局長通知あるいは課長通知等を出しまして、こういった意味での誤解がないように行政指導しておるところでございます。
○川俣分科員 これは常任委員会等で恐らく詰めなければならぬと思うが、誤解と言ったって、私だけが理解できないならいいけれども、いままでのいきさつをずっと聞いてみると、大臣、やはりこれは混乱するよ、こういう考え方なら。効果があるんだから使っていい、途中で製造工程で使っていい、ただし、残すなよ、残留効果を高めるよ、こういった程度なんだ、しかも、禁止条項があるのかと言ったら禁止はできる、こうおっしゃる。じゃなぜ禁止をしないか、効果があるからだ。そうなると、業者はこれから一体どうすればいいのかということの混乱があるだろうから、ひとつ大臣、この内容は事務当局にゆだねるとして、アバウト的な質疑で申しわけないけれども、やはり検討するのに値するのじゃないかな、食品衛生法をもう一遍。どうです。
○野呂国務大臣 今般の過酸化水素の問題では、業界の中においてかなり混乱を招いたということについては十分私も承知いたしております。しかし、いま局長がお答え申し上げておりますとおり、食品に使用した場合に、最終的に確実に残留しない方法があるということでありますれば、これは全面禁止というわけにはまいりますまい。したがいまして、最終加工の状態というものに対しては十分な行政指導をやっていくんだということで対応しないと、全面禁止という形に持ち込むことは大変また問題があるのではないかというふうに考えているわけでございます。 いずれにせよ、問題は受け取る側がどうこれを理解し判断するかということでございますので、今後業界に対する対応処置についてもより行政指導を高めながら十分誤解のないように進めてまいりたい、かように考えております。
○川俣分科員 終わります。
○橋本主査 これにて川俣健二郎君の質疑は終了いたしました。 次に、小林政子君。
○小林(政)分科員 私は、きょう留守家庭児童の対策についてお伺いをいたしたいというふうに思います。 最近、働く婦人の数が年々増加をいたしております。とりわけその中でも、既婚者の共働き、この人たちがきわめてふえてきている。その一方で、子供を取り巻く環境というのは私はまさに劣悪の一途をたどっているということが言えるのではないかと思いますが、こうした中で、子供たちが学校が終わりてからのいわゆる放課後をどう過ごしているか、どう送っているか、こういう問題がやはり重大な社会問題になってきております。 そこで、厚生省にまずお尋ねをいたしたいと思いますけれども、留守家庭児童というのはどのくらいいると見ていらっしゃるのでしょうか。
○竹内政府委員 一昔前にかぎっ子とも言われました留守家庭児童がどれくらいいるかという、留守家庭というものの基準のとり方が非常にむずかしいわけでございます。私ども一応の推算をいたしておりますのは、五十三年度の学校基本調査で、小学校の一年、二年、三年、その児童数を見ますと約六百万でございます。それで、五十四年度に私どもが留守家庭児童の対策を進めるために全国の都道府県からいろいろな資料をいただきまして、その関係で、私どもが俗に言われるかぎっ子の対象としてつかみました数から推算をいたしますと、大ざっぱでございますけれども、約七十二万、小学校一、二年、低学年の児童の約一二%程度というふうに推定をいたしております。
○小林(政)分科員 これは全国学童保育連絡協議会でも調査をいたしておるようでございますけれども、その調査によりますと、百四十万人いるのではないかというようなことも言われております。こうした留守家庭児童の対策というものは、児童福祉法に基づいて国及び地方公共団体が児童の保護者とともにその対策をとるということが義務づけられておりますけれども、児童福祉法第二条で「児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」このように定めています。さらに、三十九条の第二項と第二十四条では、学童でも保育に欠ける場合はそれらの児童を保育所に入所させ保育しなければならないということも定められております。したがって、去る四十九年五月七日の参議院社会労働委員会で齋藤前厚生大臣が、「学童保育の重要性、私も十分理解をしております。最近の児童を取り巻く環境からいっても考えていかなければならぬ重要な問題だと思います。」このように答弁をいたしております。野呂厚生大臣も学童保育の必要性を認める点については前厚生大臣と同じ考え方だと思いますが、いかがでございましょうか、所見をお伺いいたします。
○野呂国務大臣 この学童保育は私は大変大事なことだと思います。したがいまして、前厚生大臣もこれに対して大変力を入れてこられたわけであります。私も同様、より以上にこの問題については積極的に取り組んでまいりたい、かように考えております。
○小林(政)分科員 ただいま大臣は学童保育の大切なこと、重要性、こういう点をお認めになられたわけでございますけれども、現在国が行っている留守家庭児童対策では一体どのくらいの児童が対象となっているのでしょうか、まずそれをお伺いいたしたいと思います。
○竹内政府委員 留守家庭児童対策と申しますのも、いま先生御指摘のように児童福祉法に基づいて私どもが実施いたしております事業もございますけれども、そのほかに、実は御承知だと思いますが、文部省の方も、あるいはまた総理府での青少年対策本部におきましても、さらには労働省の婦人少年局等におきましても、関連したこととしてそれぞれ対応いたしておるわけでございます。 一概に私どもいまどれぐらいという御質問について正確にお答えできるかどうか、若干私自身も数字をこれくらいでしょうとまで申し上げにくい点がございます。ただ、私どもとしては、現在、先ほど御指摘いただきましたように、昭和四十九年の大臣の答弁もございましていろいろ検討いたしまして、昭和五十一年度から都市児童健全育成事業として留守家庭問題を中心にしながら事業を実施いたしました。その際に私どもが現段階で都市児童健全育成事業の対象としてとらえております者が約二十五万というふうに都道府県の集計等から見れば判断をされるわけであります。なお、それ以外に、御承知だと思いますけれども、私ども、児童館、児童センターという形での活動もいたしておりますし、また母親クラブという形でも対応をしてまいっております。そういう意味で、対象児童それ自体も一々登録をしてチェックをしておるわけでない点もございますので、一概に申し上げかねますけれども、私どもとしては、その中ですべてが留守家庭の児童とも言い切れないものがございますので、直接的に留守家庭児童対策ということを中心にしたものは約二十五万人が対象児童と行政的には理解をいたしておりますということで、一応御答弁にさせていただきたいと思います。
○小林(政)分科員 そうしますと、ただいまの二十五万人というのは何を基準にお出しになったのですか。たとえば、国の補助の対象以外に自治体などで行っております学童保育の数というのはおわかりになりますか。
○竹内政府委員 基本的に申しまして、留守家庭の児童対策という一般的な行政としては、むしろ児童福祉法に基づきまして、都道府県というよりも積極的には地方自治法に基づきましても市町村の基本的な事業でございます。したがいまして、私どもが掌握するといたしますれば、市町村が行っております事業であって、私どものたとえば先ほど申しました都市児童健全育成事業対策というようなもの、あるいは母親クラブ、児童館対策といったようなことの中で、市町村が国に対して奨励補助として行っております事項について申し出たものについて把握をするわけでございまして、市町村が単独で行っているものについてこの全容を把握するという段階には至っておりません。
○小林(政)分科員 私は、全国学童協の方々の調査に基づいてこれからお話をいたしたいと思いますけれども、四十七都道府県で四百七十七、市町村、特別区、全部含めて三千三百カ所、この中には国の補助基準に入る千百カ所も含まれて計算がされております。全体で約十万人の子供たちが参加をしている、こういうことが調査されております。この数にしても、実際に先ほどおっしゃった約七十万からの数から比べますと、わずか一四・一%にしかすぎない、こういう実態が出てきておりますけれども、ただいま私が申し上げました全国学童協の調べの数字というのは、私は相当正確なものではないかというふうに思いますが、この点について確認をいたしたいと思います。
○竹内政府委員 学童協が調査いたしました調査の基準あるいはその対象の児童の年齢といったものについて、若干、先ほど御答弁で小学校一年から三年色までの子供を約六百万人と推定をして、その中で対象児童として私どもが掌握しておるのが約七十二万と申し上げました。そしてその中でさらに私どもが留守家庭児童対策としての補助基準に該当するものとして現在事業対象にしておるのが約二十五万ということを御答弁申し上げたわけでございます。学童協が出されております数字そのものは、必ずしも私どもと対象のとり方の分母が一致いたしておりませんし、またとらえ方自体についても就学前の児童もあるいは入っているのではなかろうか。私どもとしては、その数字それ自体の信憑性について、とかく正確であるか否かということについては、一概に、あるいはそうであるかもしれませんけれども、そのこと自体どうも御相談を受けたわけでもございませんし、また具体的にその積算内容等については必ずしも自治体等についてもすべてを掌握できませんので、いまのところお答えはいたしかねるということで保留をさせていただきたいと思います。
○小林(政)分科員 ともかく国が補助対象にしている学童保育クラブは千百カ所、一カ所約三十人ということで計算をいたしますと約三万三千人。先ほどから留守家庭児童が七十万。私どもの試算で七十万七千人になりますけれども、これに対してわずか四・七%なのです。この数字は否定されませんね。
○竹内政府委員 児童育成クラブという形で私どもが現在五十四年度におきましても見ておりますのが千百四十九クラブということで、先生御指摘の約千百クラブというのは大体そういうことであろう。ただ、申し上げておきますけれども、たまたま児童健全育成事業の中で児童育成クラブの対象がこの千百四十九でございますが、そのほかに児童館、児童センター等で大都市にある児童館等につきましては、留守家庭児童対策を中心として特別に別途活動費も、奨励補助でございますけれども予定をいたして、五十四年度から実行をいたしておりまするし、それから児童館も現在全国で約二千五百五十五カ所ぐらいに伸びております。それから母親クラブにつきましても二千四百カ所にまで広がってきております。こういったものは必ずしも育成クラブ的なものだけが留守家庭児童対策だとは言い切れないし、しかもこの種の留守家庭児童対策というものは画一的な方式でもって処理できるものではございませんので、いろいろな形を通じながら対応をしていくということで、文部省あるいは総理府、とも連携をとりながら事業の充実を今後も図ってまいりたい、かように考えておるところであります。
○小林(政)分科員 児童館の問題だとか母親クラブの問題だとか、そういう問題も出ましたけれども、実際にいま私が示した、政府が答えていた当時の数字をもとにして試算をいたしますと、政府の推計で約一二・一%ということで、これを見てみますと、七十万からの子供の中から結局六十万近い子供たちが放置されている。それは学童保育だけではなくて、あるいは児童館で吸収しているのだとか、あるいは母親クラブで参加をしているのだとかいろいろな状況が言えると思いますけれども、ともかくこの留守家庭の子供たちが相当数、六十万近くの子供が何らかの形で、本来児童福祉法に基づいて当然措置されなければならないにもかかわらず放置をされている、こういうことが言えると思います。 東京都の場合を見てみますと、これは五十四年三月三十一日現在の数字でございますけれども、七百四十四カ所の学童保育で定員が三万三百人です。これに国の推計と同じ、一年から三年の子供たち、その留守家庭児童の割合をやはり一二・一%で、これは若干の違いはあると思いますけれども推計をいたしますと、留守家庭児童というのは約六万四千人とはじき出されるのです。六万人の子供に対して三万人ですから、約半数の子供がいまだに放置されている、こういう状況が出てくるというのがいまの実態ですね。この問題についても東京のお母さん方も、本当にもっと何とか学童保育クラブをふやしてほしい、こういう要求が切実な要求として出されてきておりますし、これが解決できなければ自分がいま勤めている仕事をやめなければならない、あるいはパートに切りかえなければならない、こういった問題まで発生して、増設をしてほしい、こういう要求が非常に深刻になってきていることは御承知だと思うのです。こういう中でお母さんたちが増設運動を本当に進めていきたいという場合にでも、結局場所がない、これが最大のネックです。こういう問題について、場所の確保ということについては政府と行政側が自治体とも一緒に協力をして、もっと積極的にその関係を強めてこの問題に対しての解決をしていく必要があるのではないか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
○竹内政府委員 いま、東京都の例を御指摘いただきました。おっしゃるとおりのような数字になっておることも私どもも承知をしております。しかし、その実施されておる中身を改めてごらんいただきますとおわかりになりますように、東京都で約三万人について対応しております事業の場所の約半数近い四割以上は、児童館の約二百九十四カ所ということでございます。そのほかに、次に大きいのが学校、小学校を単位として行う。そういうところにもありますように、実は先ほどから申し上げておりますように、留守家庭児童対策というものが、その性格の上から見ましても必ずしも対応の仕方、あるいは実際に市町村の対応の仕方自身が文部省の校外活動についての事業なり、あるいはまた総理府の青少年対策本部が行っておりまする健全育成的な事業なり、あるいは労働省の婦人少年局などが行っておりますような事業ともそれぞれ絡み合っておるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、しかし現実には都の数字にありますように、そこの中心になっているものは児童福祉法に基づく児童館が中心で動いておるわけでございますから、そういう意味で私どももできるだけこういった場所をどう確保するかということについては今後とも努力してまいりたいと思います。 なお、ついででございますけれども、私どもそういう趣旨で明年度から職域の児童の健全育成事業というものも取り上げてまいりたいと思います。つまり、単に公的な施設を利用するということだけではなかなか場所の得がたいものがございますので、企業あるいは労働組合等にも御協力をいただいて、企業あるいは労働組合ないしは中小企業の事業協同小組合などの持っておられます施設などもできるだけ開放していただきながら、そういったありとあらゆる社会資源というものをできるだけ活用して児童の健全育成対策というものを進めてまいりたいというのが私どもの基本的な姿勢でございますので、御了承いただきたいと思います。
○小林(政)分科員 文部省いらしていますか。——文部省は、いま学校内に空き教室を利用したりあるいは校庭の片すみにプレハブを建てたりというような形で学童保育の施設を自治体が設けておりますけれども、こういう場合には当然いままでもこれに協力をしてこられましたし、今後もそういう立場だと思ってよろしゅうございますか。
○国分説明員 お答え申し上げます。 御案内のとおり、学校の施設は学校教育のための、本来そういう目的を持った施設でございますが、制度的に学校教育上支障がない限り社会教育その他公共の利用に供することができるという仕組みになっておるわけでございます。当然、学校教育上支障がないことというのが前提にはなりますが、最終的には学校を設置しております市町村の教育委員会が地域の実情に応じてただいまお話ございました要請等におこたえしておるという状況にございます。
○小林(政)分科員 現在、学童保育の実態というものは、国が補助を行っている施設、その中にも自治体施行がございますね。私は、中心は自治体がきちっと位置づけて進めているんだ、こういうことであって、いまの答弁を聞いていますと、労働組合だとかいろいろなところに御協力を願って、何か民間がどうのというような御発言のようにも受けとめますけれども、実際には最終的には施行主体は自治体である、こういう立場でやっていくということが筋ではないでしょうか。
○竹内政府委員 おっしゃるとおりでございます。地方自治法のたてまえから申し上げましてもそういうふうに理解できまするし、私どももそういう立場で、奨励的ではございますけれども、補助事業の対象を原則として自治体を中心にする。ただし、中身等につきまして、また、運営の仕方が千差万別で、実効性を期待をいたしますと、物によっては、また、ところによっては民間に委託するというケースもあり得るのではないかということで御協力をいただいておる場合もあるわけであります。
○小林(政)分科員 私は、児童館が留守家庭児童に対応するような数がどんどんつくられていくということが望ましいことだと思うのです。しかし、実際の問題としては中学校区に一校というのですか、一カ所というのですか、しかし、それを見ましてもこれは一体何年計画で中学校の学区域に児童館が一カ所ずつつくられるのですか。
○竹内政府委員 私どもは中学校の校区に児童館ないし児童センターを一カ所という整備目標は実は持っておりません。ただ、児童館というものの整備をするときの、いわば横で参考的な物差しとして中学校の校区を見てみますと、大体全国で約二万という中学校の校区があるというふうに仄聞をいたしておりますので、その観点からいくならば、現在の児童センター、児童館というのは、先ほど申しましたように二千五百五十五カ所でございます。まだまだそれは十分でないということは当然でございます。ただ、私どもとしては児童館、児童センターというものがそれのみによって学童保育あるいは留守家庭対策というものが取り仕切られるといいますか、それのみで対応していくべきものとも考えておりません。そういった意味でいろいろな角度で文部、総理府、労働、関係各省とも寄り寄り協議をしながらこの問題についての対策は充実をしてまいりたいということについては変わりはございません。
○小林(政)分科員 いま東京都が実施をいたしております学童保育に対する児童館と学童保育の基本的な姿勢といいますか、四十七年十一月十五日、東京都の児童福祉審議会の意見具申が行われております。そして、児童館の基本的理念としては、児童館は児童の健全育成を援助する、そのための社会資源の一つであり、子供の側から見ると、児童が放課後や休日に児童館で行われる諸活動に自主的に参加したり児童館の施設を主体的に利用したり、遊んだり学んだり、こういうことが主体であります。ところが、児童館の中における学童保育、これは明らかに機能が別であるという立場から、留守家庭の児童などの家庭にかわる生活の拠点である、こういう位置づけがきちっと審議会の意見の中には定められているわけです。そして、結局最も家庭に近い状況で、自然に近い形で用意をすべきであろう。そこの学童クラブの中には専門職員がいて、そして子供たちが静養もできるし、自分たちの集会も持てるし、おやつも食べられるし、お弁当もそこでは食べられる、こういうような、かぎっ子と言われているような特殊性というもの、そしてそれを正しく解決していくための専門的な指導員が配置されていなければならない、この中にはこのように書かれておりますけれども、私はこういう立場をぜひ今後進めていくべきではないか、このように思っております。 私の住んでおります足立区にも学童保育の施設がございまして、私もその実態を見てまいりました。子供たちは非常に楽しく生活していますし、お母さんたちも喜んで働きに行っております。指導員の方々の苦労というのは大変だと思います。こういう中で結局子供の健全な発展を図っていく、こういう大切な仕事をやっている。しかし、地方の場合、中には身分が保障されていないというようなところで働いていらっしゃる指導員の方は、より御苦労が多いと私は思います。 こうした中で、何かお年寄りの方をお願いしたり、いろいろな事態が起こっておりますけれども、子供の健全な体力とか情緒とか健全育成という面から見てこれは問題が出てくるのではないか、このように思います。やはり子供と一緒に飛んだりはねたりもできるような若い元気な方が指導に当たられるということが望ましいのではないかと思いますけれども、この点について一点お伺いをいたします。 それから、時間の関係で、都市児童健全育成事業についても、三十人以下のクラブはいま補助金を出しておりません。こういう冷たい態度じゃなくて、実態に即して、もっと弾力的な運用といいますか、こういう立場で臨むべきではないだろうか。五万人以上という枠を外して、全国のすべての市町村を対象とすべきだという要求が全国町村会や全国市長会からも出されておりますけれども、この問題についてもお伺いをいたしたいと思います。
○竹内政府委員 第一点の問題でございますが、児童厚生員という言葉で呼ばれております指導員でございます。福祉関係の仕事としては、やはりその性格上、ボランティア活動というものとの密接な結びつきがございます。かつは……(小林(政)分科員「簡潔にお答えをいただきたいと思います」と呼ぶ)ボランティアそれ自体にも、それから子供たちそれ自体にも、それぞれの非常に千差万別なものがありますので、固定した指導員というのがいい場合もありましょうし、あるいは十人以上の指導員たちが入れかわり立ちかわりということもあるいは成果が上がる場合もあるのではなかろうかということで、一概に言い切れないのではないかと思います。 ただ、お年寄りの問題でございますけれども、私どもは老人福祉対策という観点から、お年寄りたちがいわば一つの生きがいとして子供たちと遊んであげるというようなことの中に、お年寄り自身のいわば生きがいというような意味での老人福祉活動という観点から望ましい点もあろうかと思いますので、一概に老人を排除するということについては、私どもももう少し検討してみませんと端的にお答えをいたしかねるのじゃないかと思います。 それから第二点でございますけれども、三十人以下あるいは人口五万以上という枠の問題につきましては、まだ現在の線それ自体が十分行き渡っておりませんので、もう少し私どもとしては実情の推移をながめさせていただいて、しかし、基本的にはそういった問題については拡充をするという姿勢については変わりませんので、どうぞ御協力をお願いをいたしたいし、御鞭撻をお願いしたいと思います。
○橋本主査 時間が参りましたので、この一問で締めくくってください。
○小林(政)分科員 最後に大臣にお伺いいたします。 ただいま、私、お年寄りの方の熱意というものは高く評価しているのですが、ただそれが学童保育に本当に適しているかどうかという点については今後問題が出てくるのではないかという点を主張したわけですし、いままでいろいろ述べてまいりましたけれども、学童保育の充実を求めるお母さんの切実な声がこのところ非常に強まってきております。昭和四十九年以来、国会で六年以上にわたる検討がされてもまいりましたし、こういう制度化を求める世論として昨年十二月、三十万人にも上る国会請願が出されております。それだけではなくて、各自治体からも、学童保育の制度化を望む声が非常に高くなってきておりますし、五十五年度予算に対して、全国市長会や町村会からも制度化をという要求も非常に強まってきていることは御承知のとおりでございます。
○橋本主査 小林君、簡潔に願います。
○小林(政)分科員 はい。——いまこそ厚生省は、こうした自治体やお母さんたちの声の高まりを反映させて、質的な何らかの前進をする必要があるのではないか、このように思いますけれども、お伺いをいたしたいと思います。
○野呂国務大臣 学童保育につきましては、いろいろお話がございました。最近、特に住民からの要望も強いものがあるし、自治体からも、これに対して何とか改善をより進めるべきではないかというような声も私どもは承知をいたしているわけでございます。したがいまして、施設を整備する、あるいは子供たちを取り巻く組織、育てる組織というものを強化していく、そういうものと相まちましてこの学童保育がより推進できるように対応してまいりたいと考えております。いま、法制化云々ということを御指摘になりましたが、十分そういう現状、実態を見きわめながらより推進する方策をどう進めていくかということで御期待にこたえていきたい、かように考えております。
○橋本主査 これにて小林政子君の質疑は終了いたしました。 午後零時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時七分休憩 ————◇————— 午後零時三十五分開議
○橋本主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 厚生省所管について質疑を続行いたします。沢田広君。
○沢田分科員 最初に、老齢福祉年金の問題で質問をさせていただきます。 私がいまこれからお伺いしようと思うことは、老齢福祉年金が今度積み上げられまして二万二千五百円ということになりました。また、五年年金、十年年金もそれぞれ若干の積み上げも行われて改善をされていることは、それなりに認めていくものであります。ところが受給制限というのがありまして、ほぼ六百万円を超えると、扶養義務者の所得がふえればその家族にに対しては支給されない、これも、ある意味において同意できるところであります。ところが、私がいまこれから聞こうとしていることは家の買いかえの場合なんです。租税特別措置法では、この場合には免税としているわけであります。これは実例なんですが、千二百五十万円で家を売りました。千三百万円で家を買いました。そういうときに、租税特別措置法の所得税の方では対象から外されるわけであります。ところが、この政令の第三条によりますと、地方税法の第五条第二項第一号に掲げる市町村民税の非課税所得以外の所得とする、こうなっております。結局、そこでは千二百五十万円が入ったことになって計算されるわけであります。それでは実態の国民感情からいきましても、また実際に所得が六百万というふうに入ったものでもないんだし、実際はそのまま家の買いかえで出てしまったわけですから、少なくとも受給制限から外していくべきではないか。それ以外にも、いろいろ想像すればそれに類似することがたくさんあるかもしれません。しかし、これはあくまでも想像ですから、まだ未確定の要素がある。なお、これについて疑問も出されております。たとえば三千万円で売って千五百万円で買ったらどうなんだという疑問も出されております。これはもちろん、千五百万の差額があるのですから制限して差し支えないものだと私も思います。少なくとも売った家よりも高いもので買いかえをした、しかもそれが租税特別措置法の適用を受ける、こういう条件においては受給制限から外すべきではないか、これは人道的に見ましてもそのことは必要なんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○木暮政府委員 福祉年金はただいまお話がございましたように、全額一般会計で支出をいたしておりますので、御本人ないし扶養義務者に一定の所得がございますときには御遠慮いただくという形をとっておるわけでございます。その際、扶養義務者の場合には、私ども一般には六人世帯で八百七十六万円とこういうふうに言っておるわけでございますが、八百七十六万円の所得がございますれば御遠慮いただくという形をとってきておるわけでございます。 その所得のはじき方でございますが、何分にも大ぜいの方を対象といたしておるので、現在のところ国税なり地方税なり税金の方で把握をしていただいております所得を基礎にいたしましてこの所得制限の実施をいたしておるところでございます。 基本的には、ただいま申し上げましたように地方税なり国税の方でとらえておられます収入と申しますか所得に応じましてこの所得制限をやらせていただいておるわけでございますが、ただいまお話しのように、自分で居住しております住居、土地を手放しました場合には、三千万まで控除があるわけでございます。この控除がある場合、先生のお話のように売り渡した譲渡価格と新しく買いかえた家の価格が同じ場合、あるいはむしろ高いものを買うというような場合であって実質的な収入がないということも確かにあろうかと思いますが、一方、これも先生から御設例がございましたように、三千万までの控除でございますので、もう老夫婦だからアパート程度に賢いかえればいいということで一千五百万円のアパートに入りまして、一千五百万円は手元に残るというような場合もございましょう。それからまた、借金に追われまして家を手放すと、税法上は控除になりますけれども、それはまるまる借金に充てて手元に残らないというような場合もあるのではないかと思うわけでございます。そういうことでございますので、自分が居住しておる家屋、土地を手放した場合には税法上三千万円まで控除になっておるわけでございます。これは住宅政策の一環として税法上とられているということだろうと思うわけでございまして、福祉年金の所得制限上は、いま申し上げたいろいろなケースがございますので、やはり一遍土地なり家屋を手放しまして収入があるということでございますれば、その事実に着目いたしまして所得制限をするということにならざるを得ない、こういうふうに考えておるわけでございます。 〔主査退席、津島主査代理着席〕
○沢田分科員 いまも二つ言われましたが、地方税法と所得税法。所得税法で計算をしてもらうならばそれでいいのです問題は、地方税法の方を適用するがゆえに、それが入ってくるわけであります。だから、福祉年金の受給制限の場合に、第三条にあります市町村民税のいわゆる課税所得金額、これに置きますために弊害が起きてくる。これは所得税で見ていけばかかってこないわけです。かかってこないというよりも、福祉年金がもらえるわけであります。私はいま、むちゃなことを言おうとしているわけではないのです。だから、もしただし書きとすれば、いわゆる売り価格と買い価格において買い価格の方が上回った場合で、いわゆる家の買いかえとして租税特別措置法が適用された場合、それに限定して適用していいのではないのか。いろいろなケースがあるだろうというのは、現実問題としては判例方式でいく以外にないだろう。さっきもちょっと出ましたが、宝くじが当たった分はどうするとか、いろいろなものがあるかもわかりません。そういう仮定の議論はいましょうとしていないのです。現実に中古住宅の買いかえというような場合について、しかも購入価格がいわゆる売り価格よりも上回った場合については、本人の申請によって、しかも客観的に証明できる材料があれば適用外の対象とすることが可能である、そういう道は開いていいのではないのか。これは政令ですから、ひとつ大臣のお考えで前向きに御検討いただきたい。現実にないのですから、ほかに何かあった場合というよりも、家の買いかえという限定された場合だけしか、いま私はここでは挙げてないわけです。しかも、同額以上の金額で一方で借金をしょった場合とか同額の場合、こういう限定をして申し上げているわけですから、その場合だけでもひとつ判例方式に加えていただけるように御検討していただきたいし、実態論として、国民感情として、それではやはり了解しにくい、こういう気持ちも残るだろうと思うのです。ぜひひとつ大臣からお答えいただきたいと思います。
○木暮政府委員 先ほどの御説明、ちょっと言葉が足りなかったと思いますけれども、大ぜいの方方に福祉年金を出しておりますので、私どものサイドで所得を把握するということは大変でございますので、国税なり地方税で所得把握をしておられますのでその上に乗っかって仕事をさせていただく、福祉年金のサイドで特に新たに所得の把握をし直すということは事実上できないので乗っかっておるということを申し上げたわけでございます。したがいまして、国税なり地方税でとっておりますいろいろな特別措置等につきまして右から左へ私どもがそれを利用させていただくということじゃなくて、やはり事柄に応じまして所得制限上の所得と見るかどうかということを独自に判断をさせていただいておる。たとえば災害の場合のごときは、税法と関係なく、福祉年金の所得制限上特別な配慮をいたしておるわけでございます。ただいまの住宅の問題につきましても、たとえば公用で収用されてしまうというような場合には福祉年金の所得制限をしなくてもいいのじゃないかとか、いろいろな御注文があるわけでございます。いろいろ問題があることも事実だと思いますけれども、福祉年金は大ぜいの方を取り扱っていくということ、それからまた一方では公平に扱わなければならぬという観点で、現状のような扱いをさせていただいておるわけでございます。
○野呂国務大臣 この問題につきましては、いま政府委員からお答え申し上げたように、いろいろそのケース、ケースが違っておりまして、一律にこの問題はこうするという基準を決めてやるということは大変困難な問題があると私は思います。しかし、所得制限というものを設けている以上、その所得の実態が一体どうなのかということは考えてみなければならぬ問題でございます。したがいまして、今後、所得制限をしておる限りにおいては、その所得の実態がどうなのかといういろいろな場合を考えながら検討する問題でなかろうかというふうに私は考えますので、一つの検討材料として、これをどうしていくかということについて十分進めてまいりたい、こういうように考えます。
○沢田分科員 これは検討していただくことでいいですが、こういう場合はこれからもたくさん起こり得ることだと思うのです。それに伴いまして審査機関みたいなもの、これは現在やれば行政不服審査法で提出する以外にないと思うのですが、行政不服審査法で提出すれば、これは法律がこうなっておるわけですから、想像では、事のいかんを問わず内容的には中身まで審査できないで却下ということになるだろうと思うのです。ですから、御検討いただくと同時に、こういう場合の審査方法というものをひとつ厚生省の中に設けて、それぞれ、所得の中身ということも含めてでありますけれども、やはりそういう場合に適用することが是か否か、そういう認定権を含めて機関、審議会であるか何かわかりませんけれども、そういうものを設けていく、そういう方法ぐらいはとっていただけないだろうか。審議会というものが行政改革でなかなかつくれなければ、審査会というようなものを設置して、一応本人に納得させる材料が必要だと思うのですね、国民的に見れば。ただ一刀両断に、法律的にだめだからだめだということでは納得しないわけです。ですから、やはり納得をさせるのには、そういう審査会等を設けて、その経緯を説明するなり、あるいはこういう点を是正するものは是正していくなり、そういう両面を考えていくお考えはないかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○木暮政府委員 先ほど先生おっしゃいました問題は、所得制限の立て方の問題だと思いますけれども、実施面につきましても、所得制限ということをやっていく上には、対象の国民の方々の納得をよく得ながらやるということが大切だと思うわけでございます。私ども、第一線機関にも、その点につきましては対象者の方々に御説明をするような体制をとるように、今後とも十分指示してまいりたいと思います。 それからまた、現在、各県に社会保険審査官というものが置かれております。この社会保険審査官でいろいろ御不服を伺って審査するようなことにもなっておりますし、また、審査官の審査に不服な場合には、厚生省に置かれております審査会で審査をするという道も開かれておりますが、御指摘のことにつきましては、第一線等でも十分御相談に乗れるように指示をいたしたいと思います。
○沢田分科員 それから、これは突然で、法律の改正問題でありますから御検討いただく以外にないのでありますが、国民年金の死亡の見舞い金であります。これは、法律が制定されて以来二十年未満ですから、現在二万三千円であります。その間、何回か掛金は値上げをされてきているわけであります。実際に死亡された場合に、二万三千円を請求される方は今日きわめて少ないだろうと思っております。現実問題、少ないだろうと思っておりますし、また余りにも少額に失するということだと思うのであります。ほとんどが二十年以下ですから、その金額以上にはなかなかならない。せめて、掛金が引き上げられたスライドだけはこの最低二万三千円を引き上げていくということの配慮はしていかなければならないのではないか、こういうふうに考えますが、この点お伺いをしてまいりたいと思います。
○木暮政府委員 死亡一時金の額は、いま先生おっしゃったように二万三千円でございます。沿革的に見ますと、国民年金ができましたのは昭和三十四年でございまして、昭和三十六年から施行されたわけでございます。昭和三十四年の当初法には実は死亡一時金というのはございませんでして、これは年金としては当然のことだと思うのでございますけれども、年金加入者の方々が掛金をいたしまして死亡とか廃疾とかそういう場合に、後に残されました遺族とかそういうような方々の生活保障に役立てていただくということでできておりますので、御本人が亡くなったということだけで給付をするというのは、実は各国の年金制度にもないのでございます。ところが、昭和三十四年に法律をつくりまして、三十六年から実施をするという段階で、やはり国民感情と申しますか、掛け捨てということになる場合があるじゃないかということがかなり大きな問題になりまして、昭和三十六年の改正で死亡一時金というものをこしらえたわけでございます。 そういうことでございまして、現在まで参っておるわけでございますが、この死亡一時金を将来どう持っていくべきかということが問題でございまして、実はことし国民年金法の改正を御提案申し上げておるのでございますけれども、そのときにも国民年金審議会でいろいろ御議論をいただいたわけでございます。ところが、国民年金審議会の御意見は、やはり本来的な年金給付の方に今後制約のある財源を使うべきであって、死亡一時金はむしろ廃止の方向に向かうべきであるという御意見をいただいたところでございまして、実は今度の法案でも国民年金審議会のおっしゃるように、一挙に廃止というのもどうだろうかということで、金額を据え置いたまま残したわけでございます。 ただ、直接関係あるということでもございませんけれども、今回は、お父さん、お母さん両方が国民年金に入っております場合に、お父さんが亡くなられたという場合には、その後残された母子につきまして月額一万五千円の母子加算をするというような制度を新しくつくって御提案を申し上げておるわけでございまして、死亡一時金というような形よりも、いま申し上げました遺族に役に立つ方向に重点を置いて、今後とも改正を進めていくべき問題ではないかというふうに考えております。
○沢田分科員 これは掛け捨てということに対する非常な反発が当時ありました。掛け損、六十四歳で、もらう直前にお亡くなりになるということになれば、これから起きてくるわけでありますが、もう二十五年、掛金を掛けて、そのまま全然もらえない。年金制度ですから、これもある程度運不運でやむを得ないものもあるかもわかりません。あるかもわかりませんけれども、せっかくこの制度ができているものがあれば、それを今度はなくすということについてはきわめて抵抗が多いであろうと思うのですね。同時にまた、これも据え置かれているということも、常識的に見て、掛金はどんどん三千七百七十円、四千円というふうに上がっていっている段階にこれだけは据え置かれているということも、いま今日の価格で二万三千円請求する人は大体いなくなっているのではないかと思うのです。これは、実績の数字はもし御報告できればわかりますが、ほとんどは知らないと言っては悪いですけれども、請求権まで喪失しているというのが実態になっているのだろうと思うのですね。ですから、みんなが、国民が知れば、これを請求して、たかが二万三千円をもらいにわざわざむずかしい書類を書いて出すのはおっくうだということが実態になっているのだろうと思います。ですから、できれば掛金の引き上げ額の程度のものは、これはスライドしてやるということがやはり政治じゃないかという気がいたします。審議会がどういうふうにこれを決められるかわかりませんし、また今後どうなるかわかりませんけれども、現実にある制度を改廃するということについては、やはりより慎重を要することであるということを申し添えながら、これは御検討をいただきたいし、これはわれわれも、審議に当たってまた論議を進めていきたいと思いますが、これは御検討をひとつお願いを申し上げます。 次に、もう時間がなくなりそうですからあれですが、この間こういう書類で、種痘によります——これは年金関係でもたくさんあるのでありますが、いわゆるもとの障害年金などの場合においても、当時どういう病気であったとかということで、私もこれを扱ってみたのでありますが、証明書をとるために大変な材料が必要である。これは事務当局の方にお渡しいたしましたが、種痘によって障害ということになった、こういうふうなもので、いろいろと種痘のカルテを探し求めた。ところが、もうなかなかないというようなことで、いろいろな問題が常に原因というものについて発見しがたいのがいまの現状です。現在、医療機関のカルテは五年が保存期間となっているようであります。このカルテについての取り扱いを、保存期間を延長するということはできないかどうか。これも個人のプライバシーという問題との調整もあると思いますが、いま言ったように公害病とか、いろいろと今後多角的な社会になりますと、骨の曲がったフナも出てくるくらいでありますし、その原因というものが非常に長期にわたる。あるいは水銀が入る、シアンが入るというようなことになりますと、そう簡単に症状があらわれてこない。こういうようなことから見ますと、どうしても、その医者にかかったときのカルテを長期に保存をするという必要性が生まれてくる。いまお役所では、大体重要書類は二十年、それから人事関係に関する文書は永久保存、これが官庁で行われている文書の保存規定だと思います。だから、カルテは個人のもう一生にかかわる問題ですから、保存期間を相当、せめて二十年、できれば特殊なものについては永久保存、本人が死ねば燃やしてしまっても構いませんけれども、それまで保存するというような制度にしていかないと、今後のこういうような問題に対しての的確な対処ができないのではないか、こういうふうに思いますが、いかがお考えになっているか、また、善処をしていただきたい、こういうふうに思います。
○田中(明)政府委員 先生御指摘のとおり、診療録、カルテは医師の診療の記録でございまして、患者に対して適切な医療を行うという医師の任務の一つとなっておりまして、病院または診療所の管理者等に対しまして五年間の保存義務が定められているわけでございます。先生のお話のありました、このカルテを市町村長等、医療機関以外の者に保存させるということにつきましては、医師が診療を迅速かつ適切に行う上でやはりみずから管理する必要性があろうかと思いますし、また患者のプライバシーの保護等の観点から考えましても、市町村長等がこれを保管するということはいろいろと困難な問題があろうかと存じます。 現行のカルテの保存期間の五年についてでございますが、これは適切な医療を行うという要請、それから一方におきましては長期間の保存義務を課した場合の病院、診療所の管理者等の負担等を考慮いたしまして、罰則をもって保存期間を担保する期間は五年間というふうな期間が妥当であるというふうにしているわけでございます。したがいまして、その延長ということにつきましては、ただいま申しましたようなその必要性あるいは管理の責任者に対する負担というような観点から慎重に検討をする必要があるのではないかというふうに考えております。
○沢田分科員 慎重に検討されることは結構でありますが、いろいろとこういう事例によりますと、お医者さんをやめられたときは所管庁、市町村というところで保管をするということであって、それ以外は病院で保管をしていただく、こういうことで可能性はないかどうかということがまず一つ考えられると思うのです。 ただ、医者の方だけで管理すると、そんなもの、部屋が狭くて個人医療機関なんかではとてもじゃないがカルテでいっぱいになっちゃいますからだめです、こういうふうにお断りいただくだろうと思ったので、それでは市町村でお預かりをしますということでどうだろうか、こういうことも実は言ったわけであります。しかし、もし個人ができなければ、五年じゃなくて少なくとも二十年——いま後遺症とかそういうものの因果関係がだんだんと長期にわたってきている今日です。だから、このことはお認めになられるでしょう。ですから、そのことをお認めになられたのならば、それに必要なカルテの延長を必要とする、そしてどうしてもお医者をやめるという場合は市町村でお預かりをする、こういう方法は可能性があるんではないか。この年限を延期することに特別支障がある問題がほかに何かありますか。
○田中(明)政府委員 支障の一番大きなものは、先生御指摘のとおり、医療機関のカルテを管理するという事務が非常に膨大になりまして、その保存のスペース等がまた問題になってくる。これは御存じのとおり、現実的に個人の医療機関にかかわりませず、大きな国立の病院におきましても、最近診療の内容が非常に複雑かつ多岐にわたってまいりまして、カルテが膨大なものになってきておりますので、われわれ日常非常に悩まされておる問題でございまして、それが一番大きな問題であろうかと存じます。 また、一方におきましては、御指摘のようにいろいろな原因の作用によって起こる長期の病気というようなものが問題になってきているということも考えられますので、御指摘の点につきまして慎重に検討いたしたいというふうに考えております。
○沢田分科員 もう時間ですからやめますが、どれもこれも検討だけでちっとも前向きに進まないのでありますけれども、これは折を改めてまたお願いいたしますが、いずれにしても、そういう事実に対応できる行政であってほしい。何でも検討だけでちっとも進まないというんじゃなくて、そういう現実に悩んでいる人々にこたえられる行政がなければ、だてに給料をもらっているというようなことになってしまう。だから、そういう意味においてもそれに対応できる一ただ検討だけでは済まされないだろうと思います。どうか特別の善処を特にお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○津島主査代理 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。 次に、岡田正勝君。
○岡田(正)分科員 厚生大臣にお尋ねをいたします。 その前にちょっとお断りしておきますが、本日ここに御同席の大原先輩と同じく、私は広島県を地元としておる議員でございます。広島県というのは御承知のとおり、人口におきましても、土地の広さにいたしましても、あるいは経済力にいたしましても、日本四十七都道府県の中でちょっきり十番目という県でございます。それだけでは何の特色もないのでありますが、広島県というのは非常に迷惑なことで非常に有名な県であります。二つございます。その一つは、原爆を落とされた県である。いま一つは、日本でただ一つ毒ガスをつくっておったという県でございます。こういう大きな特色があるのでありまして、以下、そのことにつきましてお尋ねを申し上げたいと思うのであります。 私は地元の議員として厚生大臣に心からお礼なり敬意を表したいと思っておるのでありますが、先般来いろいろの御発言の中で、唯一の被爆国として被爆者の手厚い対策を進めることは当然であり、国の責任であるというお気持ちを明らかにせられました。そのことにつきまして私は心からなる敬意を表したいと思うのであります。また、厚生大臣の諮問機関であります原爆被爆者対策基本問題懇談会というのを七人委員会でおつくりになりまして、その結論が出たら速やかにこれに対処いたしたいというまことに明白なお気持ちを示されました。この大臣の前向きの姿勢に対して、私ども広島県出身の議員としては心から賛辞をお送りしたいと思っておるのであります。 さてそこで、いま一つの問題であります毒ガスのことでありますが、これはもう大臣もよく御承知であろうかと思いますが、昭和二年から広島県の大久野島というところを定めまして日本が毒ガスの製造を始めたのでございます。自来、終戦に至りますまでの間つくりました毒ガスはいろいろな種類がありますけれども、主なるものを言えばイペリットあるいはルイサイトあるいは青酸あるいはホスゲンなどというものをつくってきたのでありますが、その当時そこに勤めていらっしゃった方々で現在生き残っておるいわゆる旧令共済組合員の方々、この人たちが昨年の三月末現在の数字でありますけれども二千四百八十九名残っていらっしゃいます。死亡された方の数は現在調査中であります。また、厚生省の関係、すなわち学徒動員あるいは女子挺身隊、そういうふうなもので徴用せられまして、この場所に赴いた人で現在生き残っている人は、昨年の三月末現在で千六百五十三名であります。したがいまして、現在生存者は四千百四十二名いらっしゃるわけでありまして、一番若い方でも四十八歳ぐらい、そしてお年寄りになりますと七十歳を超えるぐらいというような年齢層に散らばっておるわけでありますが、ここで同じ国の責任というべき問題でありながら、片や原爆に対しましては原爆被爆者特別措置法並びに被爆者医療法という、俗に言います原爆二法というものをもって、まあ十分ではございませんけれども手当てを施しております。そしていままさに国の責任であるということを明白にして、原爆被爆者援護法を制定しようという機運に現在あることは御承知のとおりであります。 だが、片や軍の命令によって、日本でただ一カ所しかない、まさに国際法上からも大変な問題であります、しかも人道上からも大変な問題になりますこの陰惨な、ひきょう千万な武器であります毒ガスを製造するのに対して、ここに徴用せられました方々に対して一体どれだけの措置が講ぜられておるであろうかということを調べてみますと、いわゆる昔の公務員の方、旧令共済組合員の方々に対しまして現在とっておられます制度というのは何かと言えば、これは特別措置要綱があるだけでございます。そしていわゆる一般の方々、動員学徒とかあるいは女子挺身隊とか、こういう一般の方々に対しては何にもないのであります。法律もなければ要綱もない、何にもありません。 それじゃどうやって措置しているのかといいますと、この旧令共済の職員の方々は、これはいまの特別措置要綱によりまして原爆二法の関係者の方々と同じ取り扱いを受けておるということにすぎません。いわゆる準じておるものであります。一般の何にもない人たちはどうなっておるのかといいましたら、言うならば予算上の措置を受けておるだけのことです。ほかに何にもないのです。要綱もなければ何にもない、ただ予算を措置してあるだけ。しかも、予算で措置いたしましたものは、当該県であります広島県に事務委託をしているにすぎない。ただこれだけのことであります。 大臣、これはお考えになってみたら、もう大変な矛盾があると私は思うのであります。このことにつきまして、同じ広島県で起こりました二つの大きな問題、この問題に対しまして、両方同時に速やかに援護法を制定していただきたいものであると地元議員として切にお願いをするのでありますが、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○野呂国務大臣 毒ガス障害者の救済措置といたしましては、厚生省として、御指摘になりましたとおり、旧令共済組合員でなかった者に対しては、いわゆる予算措置を講じまして健康診断をやるとか、あるいは医療費のうち自己負担分は国費で賄っていくとか、あるいはまた健康管理手当を支給する、さらにまた五十五年度からは保健手当をも支給するというふうにその措置を進めてきておるわけでございますが、いまのところ原爆被爆者と同様にこの問題を立法措置をもって講ずるべきであるというお気持ちに対しては十分私も理解をいたしますが、さてこれをそういう立法措置を講ずるというところまでいま私どもは考えておりませんので、むしろ今後ともこの措置を充実強化していくということで進めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
○岡田(正)分科員 ここで厚生大臣にこのことをお伺いすることはちょっと酷かとも思うのでありますが、わが日本が、ともかく敵を川手に戦う一つの手段として毒ガスという非常にひきょうな、人道上大変問題のあるものを製造した。それが日本でただ一カ所、広島県の大久野島というところでやった。それに従事せられました職員、そしてそれに動員をさせられた、徴用されたいわゆる学徒動員とかあるいは女子挺身隊というような人たちに対して、そういう危険に身をさらした者に対して、国としては法的に立法の余地が全然ないというお考えは、私の言うことは十分理解できるけれども立法措置というものは考えられないというのはちょっと冷たいんじゃないでしょうか。これは検討するということに対しては十分値する問題ではないか。 私が思いますのは、どうも世界じゅう皆そうなのがもしれませんが、たくさんの人が集まって声を大きくすれば要求が通る、だけれども、声の小さい人たちの問題はなかなか通らないということが今日非常に多いのですよ。私は、だれが考えても、軍命令によってその毒ガスを製造する非常に危ない工場に引っ張られたということは、障害が出ていなければいいですよ、障害が出ておる人たちに対しては当然国の責任でこれに手当てをすべきであると思うが、そのことについてはどう思われますか。
○野呂国務大臣 御趣旨の点は私も十分理解できるのでありますが、しかしこういう特殊な立場に置かれている方々が全国的に散らばっておるというような実態でもない、もう決まったところにいらっしゃるわけであります。つまり、その対象者がはっきりと掌握できるわけでありますから、行政措置を十分充実することにおいて果たし得るのではないか。問題は、どういうふうにその方々の置かれた特殊な立場というものを国が理解し、国のいろいろの責任ある立場においてそれらの方々に対する対応をしていくか、私は、内容こそ大事であって、必ずしも立法措置をすることがすべての解決ではない、かように考えますので、お話しされる御趣旨については十分理解しながら、なおこの措置を充実強化していきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○岡田(正)分科員 わかりました。現在のところ立法措置ということはお考えになっていないけれども、内容の充実ということで十分お報いをしたいということでありますが、私はこれには納得ができぬのですが、本件でそればかり突っ張っておりましては時間がなくなってしまいますから、また後日に譲りたいと思います。ぜひともひとつ大臣の御在任中に——本件について、ほかの問題と比べて著しく片手落ちの措置ではないか、特別措置要綱もなければ何にもないという一般の人々、片や公務員であったから特別措置要綱が適用される、片や一般の民間人であるから特別措置要綱にも全然触れられていない、ただ予算の上で、皆さんが忘れなければ予算に措置するというだけのことでありまして、こういう形というのは明らかに片手落ちではないかと私は思っておるのでありまして、このことについては後日の問題として残させていただきたいと思います。 さて次に、今度は要望を含めた質問になるのでありますが、この人たちが現在健康診断を受けるあるいは医療を受けるという病院はごく限られたものであります。これの数が、旧令共済組合の関係分と一般の関係分とを全部含めまして、日本全国で百十四施設しかないのであります。やはりいま厚生大臣が最も望んでいらっしゃいます医療の関係について、いつでもどこでもだれでも医療を受けられるような世の中にしたいということからはずいぶん遠く離れておる問題でありまして、このことにつきましては、障害者の治療の便を図る意味からいきましても、もっとこの指定医療機関というものを拡大すべきであると思いますが、どう思われますか。
○大谷政府委員 ただいま大臣も申されましたように、私どもとしては、行政措置で十分力を入れたいというふうに考えておりまして、指定医療機関の問題につきましても、できる限り御便宜をお図りしたいという考え方でやってまいっております。したがいまして、もし今後そのような特に指定する必要があるという医療機関がございますならば、それにつきましては十分それにこたえていきたいというふうに考えている次第であります。
○岡田(正)分科員 非常に明快な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。 次に、いま大臣は、障害者の方々が一カ所に比較的多数まとまっておるのでとおっしゃいましたが、比較的多数まとまっておるのですけれども、実は全国に散らばっているのですよ。それでこの人たちの数は、先ほど申し上げましたように、日本全国で旧令共済の大蔵省の関係の方二千四百八十九名と、厚生省関係の動員学徒、女子挺身隊を入れまして合計四千百四十二名という非常に少ない人数なんです。そういう関係で全国に散らばっておる人たちが、せっかくいまの特別措置要綱に準じ、あるいは原爆二法に準じて措置をしていただいているのを知らない方があるのですね、この援護措置の内容を知らない方がある。このことにつきまして、それじゃいわゆる援護を求めておる人たちがお金を出し合ってそういう人を全国から探して、みんな書類を届けてあげればいいではないかというようなものでしょうけれども、これは酷な話ですよ。 それで、私がこの際お願いをしておきたいと思いますのは、全国に広く散在をしておりますので、国のせっかくの援護措置などを御承知にならない方が実はあるのであります。そんなのがあったらいままで届けるんだったなんというのがあるわけです。そういう関係で報道機関とかそういう方々に御協力を願い、あるいは市町村団体、これはみんな公報を出しておりますよね。そういうものに御協力を厚生省からお願いをしてもらって周知徹底が図れるように十分な措置を講じていただきたいと思いますが、いかがでありましょうか。
○大谷政府委員 従来都道府県、市町村を通じまして周知徹底を私どもとしては努力をしてまいったわけでございますが、いま先生御指摘のような点もございますし、今後とも一層工夫してやっていきたいと思います。
○岡田(正)分科員 ぜひひとつ徹底してお願いをいたします。 次に、ちょっとこれは大蔵大臣に言ってくれとおっしゃるかもわからぬのでありますが、ぜひひとつこの際要望をしておきたいと思いますが、指定病院がありますけれども、現在の指定病院で患者の多くの人が行っておる病院が一つあります。それはこの現場に一番近いところで、国家公務員共済組合連合会に所属をいたしております忠海病院というのがこの治療に当たっておるわけです。言うならば本家本元みたいなところでありますが、この病院に施設が欠けておる。それから診療器具などが欠けておるわけです。そしていま一つ大きな問題は、耳鼻咽喉科の専門医師が実は配置されてないのであります。そういう関係から、こういう関係をひとつぜひ充実をしていただきたいと思うのでありますが、関連して大庭に、これは要望ということになりますけれども、ぜひともひとつ大臣の口から、こういう質問、要望が出ておったということで大蔵省に対しても厳しく伝言を願いたい。毒ガス障害者の救済ということにやはり大きな関係があるわけですから、ぜひお願いをしたいと思いますが、いかがでありますか。
○野呂国務大臣 病院の管理運営については国家公務員共済組合でやっておるわけでありますから、私の方から十分その御趣旨の点をお伝え申し上げ、協力を要請したいと思います。
○岡田(正)分科員 それでは、次の問題に移らしていただきます。 次は年金の問題でありますが、予算委員会のときに大臣に、時間がなくて余り早口でお尋ねをしたので十分でなかったものですから、この際お願いをしたいと思いますが、厚生年金の支給年齢を六十五歳に引き上げるということはおやめになりました。これは非常に結構なんでありますが、五年以内に所要の改定措置をとるという訓示規定、これはずいぶんたくさんの委員からも質問が出ておるのですが、どうもやはり納得がいきませんので、この点について、なぜそんなものを盛り込まなければいかぬのか、大臣の御意思をもう一度確めたいと思います。
○野呂国務大臣 将来の高齢化社会を見通しますときに、老後生活の支えになる年金水準を保ちながら現在の数倍にも増大していく多くの老人の年金生活を支えていくためには、若い世代に非常な負担をお願いするということにならざるを得ない。しかし、若い世代の負担にも限界があるわけでございますから、年金制度を財政的にも安定的な運営をしていくということが大変大事である。それがためにはいろいろな工夫が必要ではなかろうか。 そこで、国民の御理解をいただきながら総合的な観点から検討しなければならぬ。その中の一つとして支給開始年齢の問題が出てまいったわけでございますが、五十五年の年金制度の改正においてはこれは見送ることにいたしたわけでございますが、たびたびお答え申し上げておりますように、支給開始年齢の問題は避けて通れない問題である。これは二つの関係審議会からも、その点は共通の認識であるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、やはり次の財政再計算期において真剣に取り組むべき課題であるということを考えまして、その趣旨の規定を設けたわけでございますが、現段階においてしからば六十五歳というようなそういう内容を考えているわけでもありませんし、また、それに対するスケジュールを立てておるわけではないのでありまして、その時期におきまして、委員会から御指摘になっております雇用問題との絡み、あるいはまたいわゆる官民格差の問題等を中心としていろいろな社会経済情勢というものを判断しながらどういうふうに取り組んでいくべきであるかということを判断いたしたいということでございます。やはり将来の展望としてはいろいろな角度でこれを検討する必要がある、こういう意味から訓示規定と言われる趣旨を盛り込んだわけでございます。
○岡田(正)分科員 いまいみじくも大臣の口から雇用条件の問題あるいは官民格差の問題等もいろいろ含めましてというようなことをおっしゃいましたが、さてその官民格差ということがおわかりになっておるのならば、このままの状態で進めばいつまでたっても官民格差というのはなくならぬわけでありますが、その点について、大臣、何かお考えか方針か、あるいは自信のほどをお持ちなのでございますか。
○野呂国務大臣 官民格差の議論をいま岡田先生と話し合うという時間的余裕もないと思いますけれども、私は官民格差というものを単に平面的に比較するということは大変むずかしい問題であると思うのでございます。したがいまして、それらのいままでの沿革あるいは取り巻くいろいろな条件というものもやはり考えていかなければならぬ。 〔津島主査代理退席、主査着席〕 ただ、支給開始年齢も六十五歳と六十歳だといったような格差、それがすべてであるというような観点でなくて、共済年金というものがどういうものでなければならないか、均衡ある年金制度の中における発展というものの上に立っていろいろ制度間におきます調整、整合性を高めていくことは私は大事なことであると思います。したがいまして、その官民格差というものをわれわれはどのようにきめつけていくのか、これはいろいろ年金制度全体にわたって十分検討しなければならない問題ではないか。いま直ちに公務員の方々の支給開始年齢だけを取り上げて、これがもう非常な間違いである、したがってそれができない限りは厚生年金の財政において心配されますいろいろな問題をさばくことができないのだと言われてまいりますと、年金制度の均衡ある発展という展望が生まれてこないのではないか、私はこういうふうに思いますので、これはその事態においてどのような問題が起こってくるかということを随時判断をしながら対応しなければならぬ問題ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○岡田(正)分科員 それでは時間がありませんので、また機会を改めていろいろ御意思を確かめたいと思います。 さて、次の問題でありますが、保険料をなぜいま上げなければならぬか、これは理由をつければいろいろあると思いますが、単純な比較から考えてみましても、現在の厚生年金の積み立てばこの五十五年度末でも二十七兆円くらいになるのではないかと言われております。 さて、現在の保険料率のままで推移したとした場合、一体厚生年金はいつごろ赤字に転落するであろうかということを考えてみますと、私の計算ではほぼ十年間ぐらいの後ではないだろうかというふうに思うのであります。十年と言えば一昔であります。そのぐらいの先に赤字になるかもしれないという状態の厚生年金に対しては大変思いやりの深い、将来の三十五年先のことを考えて云々ということを非常に心配してくださるのでありますが、さて、それに比較をいたしまして、官民格差の最たるものである共済年金、いろいろありますけれども、その共済年金の方はもうすでにパンクしているところ、あるいはもう一年か二年の寿命しかない、パンク寸前というところが大半であります。しかし、ここで全部の共済についてお話を伺うことができません。時間がありませんので、一つだけ国家公務員共済の問題について私はお伺いしたいと思うのであります。 国家公務員共済も財政危機は恐らく目の前に来ておるんではないかと思うのであります。この際、関連をいたしまして、その内容を明らかにしてもらいたいのであります。さらに、大臣には、であるのになぜ厚生年金だけ保険料率を大幅にアップされるのですかということをお尋ねしたいのであります。以上です。
○野尻説明員 共済年金の問題につきまして、国家公務員の財政状況について若干御説明さしていただきます。 共済年金の財政の仕組みは平準保険料というものを実はとっておりまして、本来それだけの保険料を取り続けていくならば、その後の大きなベースアップ等がなければ、それで何とか賄っていけるという料率とお考えいただければよろしいわけですが、実はそれを一〇〇%取っておらないわけでございまして、現実の組合員からはそれのうちの八割をいただいている。したがって、二割の分が後代の公務員にしわ寄せしていくというような仕組みで現在保険料を取っております。そういう実行保険料というもので御説明いたしますと、現在毎月集まってまいります保険料率は千分の百二十三でございます。この千分の百二十三のうち、職員本人が負担するのは千分の五十一・五ということになっております。しかし、先ほど申し上げましたように、これは本来負担すべきものの八割分しか負担しておりませんので、その穴は後へ後へとしわ寄せされていく、こういう状況でございます。しかも、これは今後のベースアップ等がないという前提での計算でございますから、毎年三%なり五%のベースアップがあると、その分が全部また不足積立金として累積していく、こういうような状況になりますから、共済年金の場合、大まかに申し上げましてこれからも毎年五%ぐらいずつのベースアップが続くという想定で見ますと、昭和七十五年ぐらいには厚生年金と全く同じように、かなり高い保険料を負担しなければならない状況が来るであろう、こういうふうな予想をしております。
○木暮政府委員 厚生年金の財政の将来見通しでございますが、今回、厚生年金法の改正を御提案申し上げておるわけでございますけれども、当初、私どもは、昭和五十一年度の再計算後の賃金等を織り込んで給付水準の引き上げを図るとともに、また国民の皆様方から御要求の強かった遺族年金等の改善もやる、一方、将来の若い人たちの負担も考えまして、支給開始年齢を六十五歳に二十年がかりでやるという前提に立ちまして、一・八%の保険料引き上げを五年置きにさせていただくということを考えたわけでございます。そういたしますと、昭和八十年ごろまでは単年度の赤字が出ないという見通しでございます。ただ、いま共済の方からもお話がございましたように、厚生年金の場合も、年金受給者は五倍にもなっていく、それから年金額で申しますと九倍にもなっていくということがあるわけでございます。一方、保険料負担をいたします被保険者は三割程度しかふえないということがございまして、八十年ごろまで何とか単年度赤字は出さないで済むということでございますが、一番成熟度が高まります昭和九十五年から百年にかけまして、さらに財政状況が悪くなるということでございまして、現在御提案申し上げております保険料を一・八、五年置きに引き上げていくというただいまのあれが最低の準備かというふうに考えておるわけでございます。
○岡田(正)分科員 時間が参りましたのでこれでやめさせていただきますが、主税局からお見えいただいておりますので、最後の質問だけ申し上げたいと思います。お許し願います。 年金というものはお互いに老後の生活を支えるというので長年月、言うならば何十年とかかって積み立ててきたものであります。それを今度はいただく立場に立った場合、それに対して税金をかけるということは酷じゃないですかということを実は予算委員会で質問したのですけれども、大蔵大臣は、いやどこの外国でも年金にはみな税金をかけておるのでありまして、わが国だけではありませんというような御趣旨のあれがありました。ところが、わが日本におきましても遺族年金あるいは遺族扶助料あるいは障害年金と名のつくものは非課税扱いになっておるのでありまして、ちょっと大臣もあのとき資料不足で、言葉足らずであったのではないかなと思うのであります。すべての年金を無税にせよということに対しましていかが思われますか。
○内海説明員 ただいまの御質問についてでございますが、わが国の年金は二つの点において特別な課税上の配慮が行われております。 まず第一点は、年金だけの受給者の課税最低限、これは老夫婦の場合でございますが、二百十九万円、妻の方が老齢でございますと二百二十九万でございます。それから、一般の給与所得者の夫婦世帯の課税最低限は百十三万です。こういうことで、二倍の課税最低限になっておるということがございます。 それから、第二の配慮と申しますのは、まず掛金の段階で所得控除をいたします。その上で今度払われる年金に対しましては、先ほどの岡田委員のお話のように、障害者年金とか、そういう特別な配慮を必要とするものは非課税とされておりまして、一般のその他の公的年金につきましては給与所得控除が適用になっております。給与所得控除というのは、岡田委員よく御存じのとおり、普通の給与所得者がその勤務に応じて必要とされるような経費を概算的に控除するという性格のものでございます。ところが年金は、実際に勤務はしないわけでございますが、勤務はしなくてもその分の控除は見るということで、最低五十万の控除を見ております。 そういったこともありまして、課税最低限が先ほどのような結果になっている、この二つの配慮が行われておりまして、これ全部非課税としてはどうかというお話でございますけれども、現在年金だけの受給者ではこの課税最低限で十分カバーできているわけでございまして、それ以外にいろいろ所得がおありになるというのに非課税というわけにはなかなかまいらないものですから、その点御理解を願いたいと思います。
○岡田(正)分科員 ありがとうございました。
○橋本主査 これにて岡田正勝君の質疑は終了いたしました。 次に、古川雅司君。
○古川分科員 若干の質問をいたします。 最初に、大臣にお伺いいたしますが、国民の間で、いわゆる見直しという名のもとに福祉の政策、制度が後退をしていく、いまそういう時流にあるのではないかという不安が高まっております。たまたま老人医療あるいは児童手当、教科書の無償配付の制度、こういったものを含めて見直ししていこう、そういうことで大蔵大臣、そして厚生大臣、官房長官、自民党三役の間で覚書が交わされたということがすでに予算委員会で取り上げられておりますけれども、これは国会の審議を拘束するだけでなくて、これから非常に大きな数数の問題を抱えて、国民の社会保障経費に対する大きな需要にこたえていかなければならないし、また政策の一つ一つの充実を図っていかなければならない担当の大臣としては、厚生大臣そのもののお考えを拘束することになるのではないかという感じがいたしますが、いかがでございますか。
○野呂国務大臣 五十五年度の予算編成の際に大蔵大臣と私との間、そして官房長官もそこに立ち会われ、党三役もそこに加わってのいわゆる覚書という二とについて御指摘があったわけでございますが、これは本格的な高齢化社会を迎えまして、これからの社会経済の大きな変化にどう対応して社会保障を進めていくかということは、従来にも増して長期的な観点に立つ必要がある、そういうことでお互いに政府・与党間においていろいろの制度というものを見直していく必要があるのではないかという確認をいたしたものでございます。したがいまして、その見直しということにつきましても、単に財政的見地ということでなくて、むしろ長期的な総合的な国民のニーズにこたえていくという社会保障の推進をわれわれは考えなければならないということも含めてのお互いの政府・与党間の確認でございます。必ずしも見直しということは、後ろ向きに見直していくのだ、後退を意味するということばかりではないので、財政的な立場も一方わかるけれども、その中で許される限りどう前進をしていくかという工夫についていろいろ見直しをしていくのだ、そういうものであると考えておるわけでございます。
○古川分科員 これは覚書でございますから、政府の判断だというふうに私たちは受け取っているわけでございまして、しかも時期的には予算案をまとめる最終段階で合意されたものである。さらに、予算委員会での大蔵大臣の答弁によりますと、いろいろ議論をして、社会福祉全体について、特に所得制限の問題など避けて通れないという前提に立ってお互いが合意した問題である、これは今後の努力目標にしていこうと確認をしたというふうにお答えになっているわけでございます。そうしますと、これは後退ではないのだ、見直しであって後退ということにこだわってはいけないというとらえ方のようでありますけれども、むしろ厚生大臣としては、いわゆる財政再建の名のもとにこうした確認をさせられたというお立場じゃないのか。ですから、もっとはっきりおっしゃって、これはやはり見直しから後退への一つの努力目標をここに覚書として明らかにしたものである、そのように国民が受け取っているわけでありますから、その点、明確にひとつ御所信をお述べいただきたいと思います。
○野呂国務大臣 私は、先ほども覚書と称せられると申し上げたわけでございまして、あの文書は覚書という言葉は前に書いてないわけであります。いわゆる確認をしたということでございます。全く内輪の問題でございまして、決して厚生省もこれによってきめつけられていくのだという趣旨のものではないと思うのであります。お互いに政府・与党間においては、真剣に長期的な展望に立って、福祉政策というものをどう進めていくべきかということに対して、きわめて国民の関心の強い問題だけに、その認識を確認し合うということでございます。 また、見直しということがすべて社会保障の後退だ、一体社会保障の後退とは何を意味するのかということでございます。私は、予算の面におきましても、五十五年度は他の予算に比べるならば非常な前進をしておると思います。そして、いろいろな配慮をみんなが工夫して考えておるということでございまして、決して社会保障は後退するのだという見直しを前提にいろいろ認識をしたのではないということを明確に申し上げておきたいと思います。
○古川分科員 その点、くどいようでありますが、先ほど大蔵大臣の答弁について私は申し上げましたけれども、いわゆる所得制限を一つ例に挙げて、避けて通れない問題、そういったものを含めて議論をしてお互いに合意した。大蔵大臣、厚生大臣、自民党三役、そして官房長官が合意した。これは所得制限を初めとしてというのはやはり後退という意味を十分含んでいると私は思いますので、それを今後は一つの努力目標にしていこうということを確認したと言っておるわけでございますから、これは厚生大臣としては相当腹をくくってがんばっていかないと、財政サイドに押しまくられて、国民が心配をしている福祉の後退ということが具体的にあらわれてきてしまうと思うのですが、その点重ねてお伺いしたい。
○野呂国務大臣 財政当局が、財政再建の新しい年として、これから長期的に国家財政の安定のためにいろいろ御意見をお持ちになっておることは当然であると思うのでございます。しかし、許される範囲の中で、やはり福祉は後退させてはならない、こういうことにおいては別に御異論があるはずはないと私は考えておるわけでございます。お互いに苦しい中で工夫をし合う。見直しということは工夫である。乏しき中にも、さらにそれをどのようにより効果的に進めていくかという工夫は、決して福祉の後退であるとは考えておりません。
○古川分科員 では次に、個々の問題について具体的にお伺いをしてまいります。 最初に、老人医療の問題でございますが、ことにその中でいわゆる老人保健医療体制の問題です。これは最近、歴代の厚生大臣が御退任になる直前にいつも華々しく、非常に力強い所信をお述べになっていらっしゃるわけでありますが、一向に前へ進んでいないように私は感じているわけです。たしか小沢厚生大臣は、五十四年の秋には実施をしたいと、これは願望かもしれませんけれども、非常に強い確信を述べられました。昨年の本分科会では、いま主査の席におられます橋本大臣が、これまた、別建ての法体系による老人保健医療体制の整備という方針には何ら変わりない、さらにそれにつけ加えて、その内容の構想にまで触れて、早期に実現をしたいという所信を述べられたわけでございます。そのとき大臣は主査の席に座っておられましたのでよくお聞きになっていたかもしれません。 野呂大臣になりまして、この問題は一体これからどうするのか、どうなっていくのか、むしろ別建ての保健医療体制というものをつくり上げて、そこにまた先ほどふれました所得制限というようなことが入り込んでいって、かえって老人医療の無料制度等に対する後退という現象があらわになるのか、あるいはまた老人医療体制に対して充実を期し、経費の増大を防ぐ意味からこれ以上この制度は進められないのだという御判断なのか。各地方自治体、市町村における国民健康保険が老人医療を抱えて壊滅寸前であるという窮状、その訴えは大臣もすでに聞いておられると思いますけれども、そういったこともあわせて、歴代の大臣が非常に強くお約束になっているこの制度について、野呂大臣の時代になりましてひとつ方向をお示しいただきたいと思うのでございます。
○野呂国務大臣 老人医療制度は、本格的な高齢化社会の到来によりましてますます大事な課題であろうと思います。私はむしろ厚生行政の中で最優先して、速やかにこの制度の充実を図っていくことが当面する大事な仕事であるというふうに承知をいたしておるわけでございます。その老人医療制度をどういうふうに持っていくかということについては、御指摘のように、小沢構想、橋本構想といった形で、今日までいろいろ御意見があるわけでございます。両前大臣の構想を十分踏まえながら、関係審議会にも意見を聞いて、この老人医療制度に対して本格的に取り組んでまいりたい。しかも、これはそんなにのんびりしていられる問題ではないという認識で、事務当局においても、両構想を踏まえながら、新しい抜本的な老人医療制度というものをひとつ確立しようではないかということで、いま作業に入ろうといたしておるわけでございます。いずれ審議会には答申を求めまして、そして今後の方向を速やかにつくっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○古川分科員 何が一番大きな障害になっているのか、この際端的にお示しいただければ非常に理解がしやすいと思います。野呂大臣のこのときになって検討を始めるとかということではなくて、すでに小沢大臣はもう五十四年の秋に実施というところまでプログラムを組んでいたわけでございます。橋本大臣は内容についての考えにまで触れておられたわけでございますから、そういう点については——首を振っておられますが、会議録がございますので間違いございません。何か非常に大きな障害があって、そのために作業が遅々として進まないという感じを受けるわけでございますが、いかがでございますか。
○野呂国務大臣 老人医療問題につきましては、大変複雑多岐でございまして、広範な分野にわたっておりますだけに、検討しなければならぬ問題点はたくさんあると思います。具体的には、この制度の立て方のほかに、実施主体がどこになるのか、あるいは保健事業の対象範囲をどうするか、その進め方をどうするか、あるいは費用負担の考え方をどこに置くか、あるいはその割合をどうするか、あるいは老人本人の負担のあり方、そういったような問題が今後詰めていく重要な一つのポイントではないか、それを一つ一ついま検討をさせておる、こういうことでございます。
○古川分科員 野呂大臣は、小沢大臣のように、一つの目標の時点を定めて努力をするというような御答弁はなさらない、あるいはできないお立場でございますか。
○野呂国務大臣 私は、小沢構想、橋本構想、いずれもなかなかりっぱなお考えでございますから、その案を踏まえながら今後どういうふうにするかというのはもう少し時間をかしていただきたい。しかし、これは取り急ぎ問題を持っていかなければなりませんので、まず関係審議会に、老人医療制度というものをどのように運んでいったらいいのかということの意見も速やかに聴取したい、そういう中で今後の方向というものを定めていきたいと思っております。 ただ、申し上げたいことは、この老人医療制度というものはひとつ根本的に考え直していく重大な問題である、こういう認識においては両構想の意見においても一致しておる点でございます。
○古川分科員 時間のないのが残念でありますけれども、老人医療、ただ制度をつくればいいという問題ではないというふうに私は理解しておりますし、問題は中身でありますけれども、老人医療とともに、私は従来から成人病の予防についてもいろいろ議論をしてまいりました。成人病予防法といった法制化をして、その体系の中でこの国民的な大きな問題に取り組んでいきたいという希望を述べてきたわけでございますが、歴代の大臣は、残念ながら、その時期ではない、あるいはまだそれにふさわしい状況にはないということでございました。ただ昨年、わが党の古寺議員の提言をお受けくださいまして、がんについての審議会というようなものを準備していらっしゃる、当面がんについて昨年の三月じゅうを目途にして予防対策の打合会を設ける準備をしているという御答弁がありました。さらに、循環器についても設けていきたい、そういう専門家の知恵を結集していきたいという非常に前向きの御答弁をいただいたわけでございます。国民の総死亡率の大部分を占めておりますがんであるとかあるいは心臓病、脳卒中といったいわゆる成人病の対策について、これは画期的な一歩前進の御提言だったと思いますけれども、その進捗状況についてひとつ御報告いただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 私、その当時公衆衛生局長をしておりましたので、私からお答えさせていただきますが、がんについての専門家の検討会は、昨年三月に初めて会議を持ちまして、その後数回にわたってがんの問題と申しますか、がんに対する予防医療の問題につきまして専門家の方々から貴重な御意見をちょうだいして、現在もその問題の検討を続行中でございます。いずれ本年度中には結論が得られるのではないかというふうに考えております。 循環器につきましては、近いうちにやはり同じような専門家の会議を招集したいというふうに考えておりましたが、実際にまだ会議を始めるというところまでは至っていないと了解しております。
○古川分科員 大臣、これは昨年来の構想でございますが、大臣のお考えとしてはいかがですか。
○野呂国務大臣 いま政府委員からお答え申し上げましたとおり、私もこの推進のために努力を進めてまいりたいと思います。
○古川分科員 腎臓病の患者の皆さんからもいろいろ御要望が出ていることは御承知のとおりでございますが、特に腎臓病の患者の場合、非常に長期の療養を要する人あるいは通院によって連続的に治療をしている人、そのために多額の医療費を要するというようなことばずっと言われてきたことであります。 更生医療や育成医療によって医療費が公費負担される部分、その点はまずおきまして、公費負担制度の対象になっていない方々についてもその範囲を拡大してほしいということが声として非常に大きいわけでございます。これは小児慢性特別疾患を対象として、そこから始まっているわけでございますから、非常にむずかしい面もありますけれども、成人の腎患者についてもこれは検討をして、何とか公費負担において援助する方途がこれから見出されてもいいんじゃないかという気がいたしますが、それが一つ。 それからもう一つは、いわゆる人工透析の施設でございますが、いろいろ資料を拝見いたしましてもかなり数的には充実をしてきているということは、これは評価をいたします。ただ、都市部に集中しているという傾向が非常に強いために、島嶼部であるとかあるいは山間僻地あたりから町の病院まで通ってくる方々の負担もまた非常に大きいわけでございまして、そういう方々から当然、都市に集中をさせないでこうした地方にも何とか施設を拡大すべきではないか、その偏在を何とかここで是正してほしいという要望がございます。 この二点についてひとつお伺いします。
○田中(明)政府委員 後段の御質問にお答えいたしたいと存じますが、医療機関における人工腎臓装置の保有台数は、先生も御指摘のとおり非常に伸びてきておりまして、昭和五十四年六月三十日現在におきましてその台数は約一万四千台というふうになっております。わが国の人工腎臓装置を要する患者数三万人と推定されておりますが、これに対しまして一万四千の人工装置の最大実施能力というのが四万というふうに考えられますので、全体的な数の面ではすでに十分な台数が備えられているというふうに思っております。 ただ、先生も御指摘のとおり、地域偏在の問題がございますので、昭和五十五年度におきましては、この解消を図るために国立病院二カ所の整備を行いまして、そういう人工腎臓装置を有する医療機関に乏しい地域の解消を図ってまいりたいというふうに思っております。また、今後とも各都道府県における地域的な整備状況を勘案しつつ、必要な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
○古川分科員 時間がございませんので次に移らせていただきますけれども、いわゆる授産施設でございます。 一つには、身体障害者福祉法第三十一条に基づくもの、そしてまたもう一つは精神薄弱者福祉法第十八条三項に基づくものとございますが、その施設の充実ということがまた一つの大きな需要になっております。県とか市町村あるいは社会福祉団体等にお願いをして運営をしていただいていることはよくわかりますし、また、政府が措置費を組んでこれに対応していることもよくわかりますが、なかなかこれも地域的な偏在がございまして、施設の数それから定員に比べて、入所して措置している子供さんたちの、数の上で見れば一応安定しているように見えますけれども、土地によってはまだまだ大きなおくれがあるわけでございます。たとえば、共同作業場というような形で父兄がお金を出し合ったり、あるいは廃品回収をしたりして資金を集めて、何とかそういう場所をつくろうという努力、それもなかなか思うようにいかない。自治体も財源難でなかなか手がつけられないというような実態もあるわけでございます。 特に精薄のお子さん方におきましては、学校にいる間はそこで保護されておるわけですが、社会に出たとたんに、これは親にとっては将来の不安を伴った何とも耐えがたい状況に置かれるわけでございまして、こういった点、地方自治体からの要請があるとかないとかという以前に、もう少し厚生省としては実態をつかんで手を差し伸べるべきではないかということを、ひとつ要望とともに御提言申し上げたいのですが、この点いかがですか。
○竹内政府委員 精神薄弱児あるいは精神薄弱者の授産場と申しますか、先生のいま御指摘では共同作業場というお言葉もお使いになりました。こういったことにつきまして、家族の方、親の会の方たちがこういった問題について非常に積極的に取り組まれまして、私どもの現在承知しておるところでは、大小合わせまして約百六十カ所精神薄弱児者関係の授産関係の施設があるわけでございます。私どもそのうちで現在のところ五十七カ所につきまして、十分ではございませんが、それの通所援護事業として補助金を計上してこれの助成に当たっておるわけでございますけれども、それ以外のところと申しますと、実は内容が非常に小人数のために、なかなか私どもの方としては国の公の支配に属するものとしてこれを確認をするに足りる仕組みに至らない。要するに、大変失礼な言い方でございますけれども、その熱意はございますけれども、熱意が先走った結果として、その大小さまざま、それがまた小の方に至りましては、非常にほんの数人というようなことで、通所援護事業などをお始めいただいて、私どもとしては、できるだけこういったものを統合するとか、あるいはもう少し対象地域を広げて、参加していただける精神薄弱児者の方をふやして補助対象事業に引き上げられるようにということで、必ずしも、私どもの補助要件も正式の施設としては二十名以上でございますけれども、通所援護事業といたしましては十五名前後ということで、やや幅を持ってこの問題に対応してきておるわけでございます。こういったことで、親の会等からの要請もございまするし、私どももぜひそうした親御さんたちの熱意というものにこたえられるように、厚生省としても、これからも十分その実態を掌握しながら、そしてできるだけ私どもの援助ができまするように指導、助成という形を繰り返し、行政指導に当たってまいりたい、かように考えております。
○古川分科員 親御さんの御熱意という、私一つ事例を挙げてお願い申し上げたわけでございますが、むしろ問題は、そこに補助の要件について、そっちをまとめてこいというのじゃなくて、要件そのものをここで見直しをして、そうしたたとえ小さな要望でもその熱意にこたえていけるような対応をぜひ御検討いただきたいということを御要望申し上げておきます。 最後に、これは簡単でございますので短時間で御答弁いただきたいと思いますが、聾唖者の問題の中で、道路交通法第八十八条の一項二号の欠格事項によって免許証がとれない皆さん、この方々については、厚生省が昭和四十九年に五百万円を予算化いたしまして、国立聴力言語障害センターでいわゆる聴覚障害者の自動車安全運転用具の開発について検討を指示しておられます。こうした器具の検討も一結構でございますけれども、これは単に警察庁にこの問題を任せておくのではなくて、やはり聾唖者の自立、そしてその生きがいを与えていくという意味で、ひとつ大臣の方からも、警察庁にいろいろ資料を添えて、皆さんの、安全はまず第一のことでありますけれども、この要望が通るようにお計らいをいただきたい。 あわせて、聾唖者につきましては国はいろいろ予算措置もしておりますが、聴覚障害者に対して手話通訳者が必要であるということも認めて、すでに手話の奉仕員養成事業という形でそれぞれ都道府県に援助をしているわけでございますが、この手話通訳者の身分保障の問題、資格の問題、この点に厚生省は触れていないわけでございます。これは全日本聾唖連盟の方ではすでに独自に検定制度を設けて国の対応を待っているわけでございますけれども、この二点、大変恐縮でございますが一分程度でまとめて御答弁いただければ幸いです。
○山下政府委員 聾唖者の運転免許の問題、御指摘のとおりでございますが、四十八年から、補聴器をつけて九十ホン以上の音が十メーター離れて識別できるという場合には免許を与えるという措置がとられておりまして、現在までに約七千件程度の免許取得者がすでに生じております。 お話にございましたような、音を光に変えるような機器の開発、そういったものの努力を続けますと同時に、引き続き関係の警察庁等にもお願いをいたしまして、この問題の前進に取り組んでまいりたいと考えます。 手話通訳者の養成あるいは派遣事業を実施をいたしていることは御指摘のとおりでございます。資格問題につきましては、今後の課題として十分ひとつ勉強をさしていただきたいと存じます。
○古川分科員 終わります。
○橋本主査 これにて古川雅司君の質疑は終了いたしました。 次に、野坂浩賢君。
○野坂分科員 工場の立地に関する問題についてお尋ねをしたいと思うのでありますが、特に工場の中でも、私は薬剤工場、製薬工場についての質疑でございますので、工場立地法という法律がございますが、これは通産省の所管であるということはよく承知しております。しかし、薬品工場でございますので、その権限は、食品工場の場合は農林省、あるいは薬品工場の場合は厚生省、これと協議し、ほとんど厚生省の方が主管をするわけでございますから、まず、この薬品工場を立地する場合、いまたとえば水質汚濁防止法とか、あるいは薬をつくる場合については医薬品の製造所に関連する法律とか、たくさんそういう規制がございますが、いずれにしても、製薬工場設置の場合に、その環境なり水質について十分配意をして立地をされるというふうに行政指導されると思うのですが、まず厚生大臣の見解を承ってから、細かい問題についてお尋ねに入りたいと思います。
○山崎政府委員 御案内のように、工場立地法という法律におきましては、全体をながめる立場は通商産業大臣でございますが、工場立地法でいろいろ定めております、たとえばその届け出書は通商産業大臣と、その工場を事業所管しております厚生大臣に届け出なければならない、かような関係になっております。さらに、薬事法という法律で、そこでつくられます医薬品の品質管理その他の目的をもって薬事法がそれを規制している、かような関係に相なっております。
○野坂分科員 六価クロムとか、この間新聞に出ておりますね。これをごらんいただいたと思うのですけれども、見られましたね。「情報公開法いまこそ制定を」ということで、水俣病の問題や六価クロム禍の問題が新聞に出ております。これはできてしまって、その排水が問題になっておる、あるいは残滓が人体に非常に影響を与えたということになっておるわけですね。だから、つくってからよりもつくる前にどうするかということを、そういう公害防止の立場で検討しなければならない、こういうふうに思うのですが、どうでしょうか。
○山崎政府委員 私の立場から御答弁申し上げることが適切かどうかわかりませんが、外への影響、いわゆる公害なり環境なりの問題につきましては、工場立地法もその一つでございますが、あとは公害関係諸法令の規制のもとにある、かような理解をしておるわけでございます。
○野坂分科員 工場立地法によりますと一つの準則値がありまして、たとえば生産施設の面積は四〇%以下、緑地面積は二〇%以上、環境施設面積は二五%以上、いわゆる環境についての準則値がありまして、それに適合しておればよろしい、こういうことになっておるわけです。 通産省の方にお尋ねをしますが、鳥取県の溝口町というところに藤本製薬株式会社というのが大阪の松原市から進出をするということを、当初四十五年ごろからいろいろと話し合いが進みまして、四十九年の十一月にあなたの方に申請が参っておりますね。これは勧告をするという法文がございますが、勧告も何もない。これはそのまま生きて、受理されたのが四十九年十一月十六日でありますから、そうすると、今日までもうすでに六年間を猶予しておる。これは極端に言うと、届け出をしても何百年でも工場は建設をしなくてもいい、こういうことになるわけですか。申請を取り下げない限り、何百年でも何千年でも法律が変わるまではこうやってほっておく、こういうことになるわけですか。
○稲葉説明員 お答え申し上げます。 当初届け出られました内容に変更がございませんで、届け出どおりの工場立地が行われれば、工場立地法上特に問題はございません。ただし、届け出の内容にその後変更があるといったような場合には、当該変更にかかわる具体的な工事に着手する九十日前までに八条の変更の届け出を行うという必要がございます。
○野坂分科員 製薬工場ですから、水を使うし、排水を流すということは確実ですね。水質汚濁に関係が出てくる。どういうものを使うかということを十分判断をして、その届け出についてチェックをしなければ、これは地域住民に重大な影響がある、こういうことになります。それを、基準に入っておるから問題ないというかっこうで許可をしたかっこうになっておりますね、届け出をして勧告も命令も何も出していないわけですから。これはどこでチェックをするのですか。
○稲葉説明員 私ども通産本省とそれから厚生省とチェックをいたします。
○野坂分科員 厚生省としては、製薬工場でございますから、どのような原材料を使うか、どのような製品をつくるか、そういうものをどういうふうにして排水をし、県民といいますか、国民の皆さん、地方住民の皆さんの人体に影響がないか、こういうことを調査をして許可をしなければならぬじゃないですか。
○山崎政府委員 私どもの理解と先生の御指摘の点と多少違う面があるかもしれませんが、一つは、私ども、工場立地法をある部面で通商産業大臣と共管しておる、そういう意味で一つのかかわりがありますのと、もう一つは、薬事法を専管しております。そういうことで考えてみますると、工場立地法の内容は、やはりその工場が立地する、それが適地に立地されているかどうか、あるいは緑地面積が必要以上にとられているかどうか、こういう目で見られるものが工場立地法の体系でございます。そういう意味では、直接的には排水というのは一部分を除きまして考えに入れていない、こういうことがございます。 それから、薬事法は基本的に、外とのかかわりはそういう公害関係法令に任せまして、そこでつくられる医薬品という物品、これは直接私どもが服用するわけでございますから、それが有効なものであるか、あるいは人体に大変な副作用が起こらないものであるか、そういう安全性、有効性を見きわめて、そしてその物を許可、承認しているわけでございます。 そういう意味で、法律の見る目といいますか、目的が違うわけでございまして、排水をストレートに考えるのは、水質汚濁防止法でございますとかそういう問題になろうかと存じております。
○野坂分科員 法理論的にはわかるのですが、工場の立地が許可になりまして工場建設をするときには、いわゆる工場の社屋といいますか場屋といいますか、家を建てるだけではなくて設備も一緒にやるわけですね。これはどこでもそうです。この建物でも、こういうものは何にもやらないで、外側だけを建ててそれで終わったというわけじゃない。すでに設備もして、そのためには原料はこれを使う、材料はこれを使う、排水はどうする、こういうことに決まるわけですから、それは一緒にやっていくというのが常識で、環境庁とか通産省とかあるいは厚生省とか、すべての法律を駆使してそういうことをきちんとやはりチェックをしていかなければ、もう許可をもらったんだから問題はないじゃないかと——これは社屋といいますか場屋といいますか、そういうものを、外側の建物だけをつくるというわけじゃなく、設備も一切 一緒に進行するわけですから、それについて一緒にチェックをさせる必要がある。どういうものをつくるかということは、工場立地法に伴って申請の際に出てくるのじゃないですか。
○山崎政府委員 実は薬事法上の許可、製造業の許可あるいは品目の許可、承認がございますが、それは現在のところ、当該企業の藤本製薬でございますか、この企業の承認なり製造業の許可はまだ私どものところに出ておりません。
○野坂分科員 それが出てからはどういうふうなチェックをされますか。
○山崎政府委員 先ほどもちょっと簡単に触れましたが、まず、製造する医薬品という品目一つ一つにつきまして、先ほどのように、医薬品の有効性、安全性という観点からこれを厳重に審査して承認にかかるということ、そして、そういう品物の承認と同時に、そこでつくられる製造所、これがいまの工場の中の一部分になりますが、その製造所ごとに悪い質の医薬品がつくられないように品質を確保する、こういう観点で、構造設備についての基準が許可基準の一つとして決められております。 そういうことで、先ほど先生御指摘のように、工場立地法は、レイアウトと言ったら表現があれかもしれませんが、その全体の工場の中で、地域との関連でたとえば緑地を多くとるとか、要するに外への、住民の生活環境とのかかわり合いを考えておるわけでございます。私どもはそこの中でつくられるものを考えておりまして、たとえばその医薬品のつくられる設備の構造がどうであるかということは、これはもう許可基準として天下に公表されているものでございますから、その企業は当然にそれを熟知しておりまして、事前にそれを十分頭に入れて、工場の立地の段階からすでにそこの問題も考えている、かように期待しているわけでございます。
○野坂分科員 申請の際にどういうものをつくるかということは届け出の中に入っておりますね。それはわれわれに公表はできないのですか。
○稲葉説明員 いまお答えがございましたように、工場立地法と申しますものは、主として敷地利用の適正化という目的から届け出義務を課しているものでございます。この法目的を達成するために得た情報、たとえば製品の種類であるとかあるには生産数量であるとか生産能力、さらには工程、プロセスといったようなものにつきましては、個別にまたは総体としてその事業者の営業上の秘密ということになっておるわけでございます、これは一般論でございますけれども。したがって、これを提出するということは、事業者の営業上の秘密を侵すといったようなおそれもございますし、また、事業者の協力とか信頼といったようなものが得られなくなります結果、工場立地法の円滑な運用に支障を及ぼすといったようなおそれがあるわけでございます。したがいまして、工場立地法の届け出書をオープンにしてないということでございます。
○野坂分科員 そうすると、この製薬工場が立地をしてどういうものをつくるかということは、地域の住民はどうやって知るのですか。
○稲葉説明員 本件につきましては、都道府県を通じまして各通産局経由で私ども本省に上がってくるわけでございますので、どういう具体的な工場が建つかどうかという程度のことはその段階で知り得るということでございます。
○野坂分科員 県はあなたと同じことを言って、厚生省なり通産省から指導があったらしくて、一切それは出さぬ。そうすると、薬効成分その他については非常に問題がある、そういう場合に、一体どこで地方住民は納得するのですか。出る方は、いや毒性はありません、大丈夫です、こう言われて、後でこういう先ほど言った六価クロム問題とかあるいは水俣病問題とかできた場合に困るから、そういう意味で、環境アセスメント法なんかも今回の国会で出すべきだということになっているんじゃないですか。どこで知るのですか。みんな企業秘密だ、出すことはできぬ。一体、住民は何にも知らないで汚濁の中に入れということなんですか。
○稲葉説明員 工場立地法につきましては、くどくなって申しわけございませんけれども、あくまでも工場の敷地の利用の適正化ということを図ることが目的でございますので、それ以上の公開ということにつきましては考えてないわけでございます。
○野坂分科員 矛盾がありますね。 それでは、局長にお尋ねをしますが、薬事法の場合、どういう製品をつくるか、どういう製造工程だ、こういうことをチェックをするのは、地域の住民はみんな知る必要があると思うのです。それこそ知る権利です。それも、その場合はどういうものが申請されておるかということを公開されますか。
○山崎政府委員 これはちょっと法の目的が違いますので、直接的なお答えになるかどうかわかりませんが、一般的には、その医薬品の物の承認につきましては、物によって大変企業秘密にかかわる問題でございます。特に新薬その他についてはさようでございますので、私ども申請書を受け付けましてから、たとえば薬事審議会にかける、その他の手続が必要でございまして、この間は公表しない、かようなたてまえになっておるわけでございます。
○野坂分科員 そういうことでは、地域の住民は安心して工場誘致なりそういうことはできませんね。四十九年に出されてから、それまでからずっと今日まで約八年になりますが、地域住民はみんな心配をして、これは反対なんです。あなた方がそういう中身について公開をされませんので、いろいろと直接に会って話すと、結局こういうことなんです。私はこういう薬には弱くて、局長の方が強いですけれども、県はいよいよ第三者に委託して、排水の場合の処理方式についても諮問をしておるわけです。こういう物質、クロルメザノン、御存じですか。ジアゼパム、ホモクロルシクリジン、これわかりますね。こういう塩素系の薬品ですね。しかも分解もなかなかしない。国立公害研究所の須藤隆一博士に尋ねても、これを徹底的に毒性がないということになれば十年間調べなければならないと言っておるのですよ。原材料としてこういうものを使うのですよ。注射液を、こういうものをつくるということになれば、地域の住民の生活環境には重大な影響があるわけです。だから、その流域にある岸本町、会見町、米子市、日吉津村、淀江町というのは、町議会で全部反対して、いわゆる工場立地反対であるということを全部決めてしまったのです。水を飲む人たちは、それはいわゆる飲料水ですから、絶対に困るという結果にいまなったのですよ。しかも皆さんの方は何も明かさない。まだあなたのところは来てないわけですからね。来た場合は慎重にチェックされると思いますけれども、いま言った三つの物質はいわゆる分解をしない、こういうふうに私たちは聞いておるわけですけれども、その点は専門家のあなたに聞けばよくわかると思いますので、どうですか。どこに聞いてもわからぬから……。
○山崎政府委員 どういう医薬品がつくられるか承知しておりませんし、それといまお挙げになりました三物質の成分がどういう作用を持つのか、有機塩素化合物とおっしゃいましたから恐らくそうなんだろうと思いますけれども、私も専門家でございませんので、それが難分解性があるか蓄積性があるかについては、お恥ずかしい次第ですが、承知しておりません。ただ、いずれにしても私どもの薬事法上の立場は、そういうものが薬事上、お薬という観点で人体にとって必要な医薬品であるかどうか、安全性はどうか、有効性はどうか、そういう目で見ていく、かようなことでございます。
○野坂分科員 わからぬでしょうけれども、ちょっといいですか。私もよくわかりませんがね。これ見てください。(資料を示す)こういう薬、わかりますか。
○山崎政府委員 ちょっと……。
○野坂分科員 わかりませんね。出てくるものはほとんど塩素イオンなんですね。毒性もあるので非常に心配をしておる。 こういう事情ですから、厚生大臣にお尋ねをしますけれども、以上のように毒性が流される危険性が多分にある。活性汚泥法とか活性吸着法とかいろいろなことを言って、取れる、取れると言いますけれども、何かコークスをまいて下の方から落とすと言っていますけれども、水車のように回ってきてもなかなか実用向きにならぬ、そういう状態なんです。で、国にどういうふうに届け出をしておるかと言って聞いてもなかなか教えてくれぬ。だから、現地でいろいろと会社と直接交渉した結果こういうことになって、県でも問題になってきたわけです。だから、地域の住民がこれだけ反対をして、われわれの飲料水に重大な影響がある、そういうことが良識ある地方議会ですべて決議をされるという、そういう実態を踏まえて、厚生大臣は、人間の生命を守る立場でございますから、それについてどういうふうにお考えでしょうか。
○野呂国務大臣 いろいろお話を承りまして、この製薬企業が立地を計画して今後どう工場建設を進めていくか、そのことについては厚生省といたしましても十分チェックをしていく必要があると思います。県としてもいろいろこのことについて心配をされて、その進出の是非を検討しておるやに承っておるわけでございます。したがいまして、その結果が出ない限りにおいては工場建設を強行するということはあり得ないし、地元で十分話し合いを進めてもらいたいし、住民の御心配のないように、厚生省としてもこの事態に対しては十分注意をしていきたいと思います。
○野坂分科員 重ねて申しわけないですが、御存じないと思いますが、簸川という川なんです。昔で言うと素養鳴尊、八岐大蛇、あの簸川と関係がありますが、きれいな水です。地域住民はそれを飲んで生活しておるわけですから、地域住民が賛成しない限り誘致をするということは問題があろうと私たちは思っております。 〔主査退席、津島主査代理着席〕 厚生省の立場から、地域住民の意向は十分尊重すべきだ、こういうふうに思いますが、その点についてはどうかということが一点と、時間がありませんから、昭和四十五年ですか、公害基本法等が議論をされて、その以降は上水源を持つ水系の上流に製薬工場が立地をされたことはないというふうに私は承知をしております。厚生省はそういう点については非常によく御調査であろうと思いますので、その点はどうか。たとえば秋田県の象潟町の第一製薬とか新潟県の荒川の和光純薬とかという会社は、いまの薬事法の問題なり、あるいは、御承知のとおり、毒性があるとして住民の反対でおやめになった経緯がございますね。私たちはそういうことを踏まえて、四十五年以降には川の上流に製薬工場は設置をされていない、こういうふうに判断をしておりますが、その点はどうですかということが二点目です。一点と二点、一点目は大臣に、二点目はどなたでも結構です。
○野呂国務大臣 いやしくも国民の生活に関しまして、心配するような公害が生まれるということのないように厚生省としては十分注意をし、地元のいろいろな動きをよく調査し、また厚生省に届け出がありました場合は十分にチェックして、御心配のないように進めてまいりたい、かように考えております。
○山崎政府委員 いま御指摘いただきました点、詳細承知しておりませんので、早速に調べまして、御回答申し上げたいと思っております。
○野坂分科員 それでは十分御調査をいただきまして、資料を提出していただきたいと思います。 時間が非常に経過をして申しわけなかったわけでありますが、最後に、予算委員会の総括でも若干問題になりましたが、保育所と幼稚園の一元化の問題についてお尋ねをしたい。 〔津島主査代理退席、主査着席〕 幼稚園というのは文部省の所管でありますし、保育所というのは野呂厚生大臣の所管であります。よく承知しております。しかし、世界各国の状況等を見ますと、就学前一年程度はある程度の教育をしてそして入学をする、こういう姿がございます。所管は違いますし、目的は違いましょう。しかし、幼稚園だけでありますと、午前中終わって午後帰るということになると、共働きの御両親等は非常に困られるわけでありますので、その所管は違いますけれども、幼保一元化といいますか、そういう姿の中で日本の子供の保育と教育を両立するという姿がとれないか。とった方がむしろ歓迎されるのではなかろうか、こういうのが住民の皆さんの声の中に相当あるということを私ども承知しております。との一元化論についてのお考え、将来御検討をされる用意があるかどうか、そしてまたそれについての結論はいつごろ出るだろうか、こういうことをお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
○竹内政府委員 お答え申し上げます。 幼稚園と保育所との問題は、ただいま先生御指摘のように、もともと目的も違いますし、その機能も違うわけであります。かつ、保育所はゼロ歳から就学直前まで、幼稚園は満三歳から就学直前までというふうに対象児童の年齢それ自体にも相違がございます。かつ、先生御指摘のように、共かせぎの家庭でということにつきましては、私どもは、そういう家庭のお子さんは幼稚園よりもむしろ、お母さんあるいはお父さんがそれぞれ働きに出ておられるために幼い子供のめんどうも見れない、家庭での教育というものも十分でないとするならば、保育所に措置されてしかるべきだと思っております。そういった問題につきまして、私どもは、保育所それ自体の整備拡充ということの中で対応すべきだと思います。 かつ、幼稚園と保育所との一元化論云々につきましてすでに五十二年に行政管理庁からの一つの問題指摘がございました。文部省と相談をいたしまして、一元化に関連する懇談会を開催してまいっております。大体問題点も煮詰まってまいりましたので、そう遠くない時期に懇談会の意見具申をいただけるのではなかろうかと考えておりますので、その意見具申をいただくのを待って、その中身を検討した上で、それぞれ文部、厚生両省とも、基本的に国民生活に十分こたえられるような形での結論を得たい、かように考えておる次第でございます。
○野坂分科員 ありがとうございました。
○橋本主査 これにて野坂浩賢君の質疑は終了いたしました。 次に、鳥居一雄君。
○鳥居分科員 人口急増地における医療不足が大変深刻な問題になっております。私は、さまざまな指標がございますけれども、この中から端的に一般病床あるいは不足病床地区の実態、こういうのを例に挙げながら厚生省の対策を強く要求してまいりたいと考えております。 まず大臣に伺いたいのですが、大平内閣の有力な閣僚、国務大臣というお立場で、人口急増というのは一体だれの責任なのか、国なのか、県なのか、まずお考えを伺いたいと思うのです。
○野呂国務大臣 大変むずかしいことでお答え申しにくいのでありますが、国なのか、県なのかといった区分すべき問題ではないと思います。これは地域の経済の大きな変化、もちろんそれは国自体の大きな経済上の変化から生まれてくる現象であると考えるのでございまして、国も県も一体となってこの問題が起こっておる、こう解釈すべきじゃないかと思います。
○鳥居分科員 国に大変大きな責任があったと私は指摘せざるを得ないわけです。これは後に指摘いたしますが、医療法の中で公的医療機関の整備をしていく上において国の負わなければならない責任が非常に大きい。それにもかかわらず、国としては全く実体のない、なし崩し的なそうした傾向が非常に強いわけです。 そこで伺いたいのですが、地域医療計画というのが昭和四十八年から、全国衛生主管部局長会あるいは全国衛生主管課長会において、再三にわたりこの提出の要求がなされてまいりました。四十八年からですから、ざっと七年の経過があります。四十七都道府県の中ですでにこの地域医療計画を策定して提出したというのは幾つありますか。
○田中(明)政府委員 四十七都道府県のうち、医療圏域というものをすでに設定済みのところは、把握されている限り十七県でございます。
○鳥居分科員 五十三年の十月十九日、衆議院の社会労働委員会におきまして、これは当時局長が答えているのでありますが、作成していない都道府県の医療計画を早急に作成させたい、大臣として特別な命令もあり、明年度は厚生省が予算を要求し、少しハッパをかけて早く都道府県各地域の医療計画を作成しようということにしている、こう答えております。これは五十三年の十月十九日。この後提出された県はありますか、どこですか。
○田中(明)政府委員 その当時前局長が、全国におきまして十七都道府県が一応の地域医療計画の策定をやっておりますという答えをされておるわけでございますが、先ほど私がお答えいたしましたように、その後私どもが的確に把握しておりますのはその当時の数と同じ十七県でございますが、その後五十四年十月に北海道におきまして医療圏域を設定したというような報告を受けております。
○鳥居分科員 この「地域医療計画の推進について」五十四年一月二十五日、衛生部長会議、「医療は本来、地域社会と結びついたものであって関係者の協議のうえに地域の自主性に基づいて、その自然的社会的条件をふまえ、」「地域の特性に沿った地域医療計画を策定、推進する必要がある。」この前年、五十三年一月二十日、衛生部長会議、「関係者の協議を基礎に地域の自主的意欲に基づき」云々とありまして、「今後の医療行政の基本的方向に沿うものと考える。各都道府県においても実情に応じた地域医療計画の策定及び推進について一層の配慮を願いたい。」五十二年一月二十八日、これも衛生部長会議、地域医療計画検討会委員というのが決定をされました。予算も取り、この七年間これを呼びかけて十七県というのは一体どういうことなんでしょうか。当初予想した、四十七都道府県からこの地域医療計画を策定し、提出を願う、それは計画どおりいっていることなんですか。それとも全くの見込み違いがこういう形になっているのですか。
○田中(明)政府委員 この地域医療計画の都道府県における策定につきましては、先生御指摘のとおり、昭和四十八年に初めて、そういう計画を策定して地域の包括医療を推進する必要があるという厚生省の考え方を明らかにいたしまして、その後都道府県に対して指導を行っておるわけでございますけれども、この計画の策定のためには、まず医療圏域を設定いたしまして、その中における医療需要の見通し等について十分な調査をする必要があるわけでございます。また、その調査結果に基づいて計画を立て、それを実効性のあるものにするためには、この地域医療に関係する各種の団体の合意を得るということも必要でございます。こういう手順を踏んで計画を策定するためには相当の日時を要するということでございまして、私ども厚生省といたしましても、いついつまでにという具体的な年次計画のようなものは明示したことがないわけでございます。ただ、基本的な考え方といたしまして、地域における住民のための包括医療を推進するために、やはりこの地域医療計画を策定して地域の医療を推進する必要があるということで従来から指導を続けているわけでございます。 そのようなわけでいろいろな困難がございまして、遅々としてと申しますか、現在すでに県全体として医療圏域の設定が済んでいるところは十七県でございますけれども、この全体的な地域医療計画の中の一部というふうに考えられます救急医療とかあるいは僻地医療というような緊急性のある医療分野におきましては、それぞれ地域において計画的な体制の整備が進められておりまして、こういうような施策を積み重ねてまいることによりまして地域の包括的な医療計画の具体的な推進も実現されていくというふうに考えております。
○鳥居分科員 私の調査によると、特に地域医療計画の提出できない地域というのは大都市圏ですが、それを策定し提出しないのには大きな理由があるわけです。つまり、厚生省として地域医療計画の策定の後、国としてどんな助成ができるのか、これとうらはらの問題です。ですから、医療の非常に不足した実態というのは特に大都市圏、東京圏、大阪圏におきましてひどいわけであります。一例を取り上げてみますと、不足病床区域、これは保健所区域の中で人口一万につき一般病床七十、この七十という基準に対して大体どのぐらい充足しているものかという実態でありますけれども、人口急増地の中の、たとえば千葉県の船橋、これは必要病床数に対するベッド数が二五・四%です。習志野は一八・二%、柏は三一・九%です。こうした不足病床地区に対して、国としては整備を急がなければならないという立場だろうと思うのです。この整備は地域医療計画の中の大事な柱の一つだと思うのですが、いかがですか。
○田中(明)政府委員 御指摘のように、人口急増地域におきまして人口対の病床数が非常に不足する地域につきましては、厚生省といたしまして公的病院に対しまして必要な設備の整備に対する助成を行っております。 また、休日、夜間の診療体制を確保するために休日夜間急患センターを設置する等、その整備の促進を図っているわけでございますが、このような地域における医療体制の整備ということは、先ほどの大臣のお答えにもございましたが、国、都道府県及び市町村がそれぞれ協力して対処してまいるべきものであろうかと存じております。
○鳥居分科員 医療法の五条の二に病院等の計画的整備が明記されております。ここで「国及び地方公共団体は、病院又は診療所が不足している地域について、計画的に病院又は診療所を整備するように努めなければならない。」この医療法に基づいて、国と地方自治体の位置づけというのが当然これに伴って明確にされなければならないわけです。 いま不足病床地域については、用地はもちろん地元が確保するわけですけれども、施設について条件がついて三分の一の国庫補助をしよう、こういうことが実はうたわれております。しかし、この実態たるや大変お寒い現状です。たとえば千葉県の場合に、不足病床地域において公的医療機関を建設しようという計画を持ちます。一年間に大体十五から二十要求として出てくるわけです。過去三年間にこの三分の一の補助が実現したというのはたった二カ所です。全国で見てみると、この三分の一補助、これが補助の対象としてがんの療養のため、あるいは小児療養のため、リハビリテーションのため、七項目あります。その中の一項目が不足病床地域の整備のためということになっているわけです。一年間に三カ所ですよ、補助対象として決定しているものが。年間三カ所、四カ所、五カ所なんていうこういう実態で、千葉県一県を取り上げてみて、十五から二十という要求が出てきて、どうやってこれをこなすのですか。今後どういうふうにして不足病床地域の解消を進めていくのか。年次計画を持てませんよ。地域医療計画も策定できるわけないです。国としての補助もなければ、あるのは医療金融公庫融資を一般の診療所等にする、あるいは起債の枠を認める、こんな程度でこの解決になるのか、こういう念を抱くわけですが、どう考えていらっしゃるのですか。
○田中(明)政府委員 先生、いま二十幾つかの要請といいますか要求のうち、わずか三件か四件ということでございましたが、私どもが都道府県から正式にこういうような医療施設について、すなわち急増地域でもって病床が非常に不足しているためにつくる病院についての助成という件で、正式に助成といいますか補助を要望されているのはそれほど多数ではございませんので、このあたりに何か地元と県と私どもとの間で、先ほど申し上げました協力体制が必ずしも十分じゃない点もあろうかと存じますが、その点につきましてはよく調べたいというふうに存じております。 確かに大都会周辺の人口の急増地域につきましては、病院ばかりでなく、一般の診療所等の医療機関が不足しているというようなことも言われておるわけでございますが、私どもの基本的な考え方といたしましては、こういうような地域で当然医療が必要とされる地域におきまして、現在の自由開業医制のもとにおきまして当然患者が相当数おるわけでございますので、一般の医療機関のそういう地域についての進出ということも当然期待できるわけでございます。それを基礎にいたしまして、そのほかいろいろな事情で医療機関の数、診療所の数あるいは病床数等が著しく不足する地域について、先ほど申し上げましたような助成を行っていくという考え方でございます。
○鳥居分科員 いいですか、いま具体的に過去の実績で申し上げているのですよ。五十二年度においては、不足病床地区対策として補助金が実際に出たのは三つの公的医療機関に対してです。五十三年度で四カ所、さかのぼって五十一年度で六カ所、こんなひどい実情じゃどうにもならないですね。それで、しかも百床以上の一般病床に対して百床まで施設に限って三分の一、助成がそういう形でありますから、すべてにこういう形になっているかどうかというと、そうではない。千葉県の具体的な事例で申し上げましたけれども、現在十九医療区の中で十八不足病床地区があるわけです。こんなひどい実態です。それで、県としては十五から二十毎年要求します。ところが、それに対して過去三年間で実績は二カ所、それにはからくりがあるのです。助成がついたものに限って申請したという形にするわけです。助成のつかないものは最初から申請がなかったという形なんです。これじゃ十五から二十カ所の申請をしても実際一〇〇%の助成の実行ということになるんじゃないですか。実態においては十八不足病床地区があるわけですから、それに伴いまして十五カ所から二十カ所の公的医療機関の申請をするわけです。実際には過去三年間に二カ所しか助成の実現がない、こういう実態ですよ。どうですか、その確認は。
○田中(明)政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもが正式に申請を受理した件数というのは非常に少ないわけでございますが、その裏に先生御指摘のようなからくりがあるかどうかということにつきましては、早速調べまして、そのようなことがございましたら善処いたしたいというふうに存じます。
○鳥居分科員 ですから、地域医療計画を呼びかけて七年、毎年毎年鳴り物入りで査定を要求し、やってまいりましたけれども、結局それで出しても全く意味がない。補助の実態そのものもこういう状況である。医療法で言う国の責任も不明確である。これじゃ出したって意味がないから、地域医療計画というのは向こう何年やろうが策定の必要がないものですから、出てくるわけがない、こう解釈せざるを得ないわけです。 やる以上は、本気になって、年次計画でも決めて、この人口急増地域に対する一いま一例として一般病床の不足を取り上げましたが、一般病床のほかに、たとえば人口十万対百五十という医師の確保あるいは歯科医師数、これも計画的に進めなければならない大事な医療不足の解消策だと思うわけです。こうしたものを総合的に医務局として積極的に進めるしかないじゃないですか、いま。しかも、僻地における対策、これは大事な柱の一つです。しかし、当面、今日たらい回しの事件があり、あるいは病床のあくのを待たなければならない、いつまでたってもベッドがあかない。こういう大都市圏において病床不足の解消というのは緊急課題です。小学校あるいは中学校の急増地対策というのがあるのですけれども、医療不足で急増地対策というのは、一体何を考えているんですか。
○田中(明)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、医療サイドにおきましては、人口単位の病床数が非常に不足しておる地域につきまして公的病院に対する必要な施設の整備に対する助成、あるいは休日夜間診療体制の確保のための急患センターの設置というようなものにつきまして、その整備の促進を図っておるわけでございます。 教育の方との比較がございましたが、義務教育の施設と自由開業医制下におきます医療機関の整備と一概に比較することもできないかと存じますが、厚生省として現在促進を図っております点はそのような点についてでございます。
○鳥居分科員 つまり、一般開業医との兼ね合いから、どうしても厚生行政そのものが受け身にならざるを得ない。成り行きに任せるしかない。そういう中で一般病床の確保を適正に、不足病床地域の解消を図るというような具体的なことに限ってはできるはずなんです。大臣のお考えはどうでしょうか。人口急増地における医療不足は当面する重大な課題です。
○野呂国務大臣 鳥居先生が千葉県の実態を例に挙げながら、東京都という大都市の周辺地域といった人口急増地域におきます一般病床が著しく不足しておる、これに対して公的病院を整備していって地域住民の医療を確保するということは、私は確かに御指摘のように緊急の課題だと思います。これは真剣に取り組んでいかなければならぬというふうに感じておるわけでございます。いままでのいきさつがいろいろあっただろうと思いますけれども、こういうふうな大都市の周辺の人口急増地域における地域住民の医療確保、これは目下新たな立場に立って検討していきたいと考えております。
○鳥居分科員 続いて、厚生省の特定疾患調査研究の対象になっています腎臓病についてでありますが、腎臓病患者が、潜在患者を含めると全国で五十万、毎年五千人ふえているという大変ショッキングな数字が、透析研究会の調査結果で出ております。このような腎疾患の予防あるいは治療対策が急務なわけでありますけれども、特に早期発見、早期治療の確立によって九五%までこうした事態を避けることができるということがいま言われております。 私は、厚生省としてこれに四つに取り組んでいただきたい要求を持っているわけでありますが、まず一つは、学校や職場で検尿できればいいわけでありますけれども、それができない家庭の主婦あるいは自営の方、こういう検尿の機会の少ない方に対する積極的な厚生省としての検尿への取り組み、それから二十歳を過ぎますと公費負担の対象から外されてしまうというネフローゼ、慢性腎炎の患者に対して公費負担の適用の拡大、これについてはいかがでしょうか。
○大谷政府委員 先生御指摘の腎臓病につきましては、検尿ば確かに大きい役割りを果たすわけでございまして、私どもの方では国民健康づくり計画といたしまして、母と子の健診に始まって老人保健に至る間に、できるだけこの検尿を取り入れてやっていくという方向で進んできております。 家庭の主婦の方につきましては、五十三年度から国民健康づくりを補完するという形で、主婦の健診ということでこれを入れておりまして、ことしですでに三年目に入りますが、五十万人の実績を示しているわけでございます。 自営業の方につきましては、この問題についてはまだシステムとして確立しているわけではございませんが、一方で、すべての人に検尿をやるかどうかの問題につきまして、これは非常にむずかしい病気でございますから、特定疾患の中に実は腎糸球体障害研究班を編成いたしまして、そのようなスクリーニングの問題も含めて御研究いただいておるわけでございまして、この問題については私どもも検討課題ではないかというふうに考えている次第でございます。
○鳥居分科員 腎不全患者が全国で三万七千人いる。しかも、この透析治療をしなければならない四人のうちの三人が昼間透析をしなければならない。そういうことから、一定の働ける人に対する職場の確保という重大な問題もあります。厚生省として前向きに取り組み、解決に当たっていただくことを要望したいと思うのです。 以上で終わります。
○橋本主査 これにて鳥居一雄君の質疑は終了いたしました。 次に、安藤巖君。
○安藤分科員 私は、障害者の方々の福祉と社会生活参加の問題についてお尋ねをしたいと思います。 御承知のようにことしは身体障害者福祉法制定三十周年、そして来年は、国連総会で全会一致で決めました国際障害者年に当たります。 この国会におきまして私どもの宮本委員長が、一月三十日に参議院の本会議の代表質問で質問をいたしました。それは「政府は、速やかに障害者の生存権教育権の保障を柱とする具体的目標を障害者自身の参加のもとで企画して実行すべきである」こういうふうに要求をいたしましたところ、これに対して大平総理は、実行するという約束の答弁をしておられるわけでございます。 そういう障害者の方々に対する政府の施策の前進を求めるという趣旨でお尋ねするわけですが、時間が制限されておりますので、身体障害者の方方の問題に限定をしてお尋ねをしたいと思います。 現在、身体障害者の人は障害の度合いによって身体障害者福祉法の施行規則の別表によって各級があるわけですが、この別表に言う一級と二級に該当しておられる人たちは、昭和四十五年の調べでは三十四万七千人というふうに聞いておるのですが、現在は何人になっておるのか、まずお尋ねします。
○山下政府委員 最初にお断りを申し上げたいと思いますが、従来、戦後ずっと五年おきに身体障害者の実態調査をやってきておったわけでございます。昭和四十五年までやってきておったわけでございます。昭和五十年にも実施しようといたしましたところ、大変いろいろな反対がございまして、これを実施することができませんでした。 それで、お話にございましたように昨年は身体障害者福祉法三十周年、明年は国際障害者年、何とか実態を把握いたしたいということで、実はちょうどただいま、今年度の予算におきまして実態調査を行っておる途中でございます。したがいまして、公式に手元で持っております数字といたしましては、ただいま先生がお話しになりました昭和四十五年の身体障害者実態調査に基づく数字、すなわち、一級、二級で大人の身体障害者というものが三十四万九千人、こういうふうに把握いたしておる次第でございます。
○安藤分科員 調査ができていないならやむを得ぬですが、そのうちの肢体不自由の人ですね。いま一級、二級は、肢体ばかりでなくて目、耳等々の関係もありますが、肢体不自由の方々の一級、二級の方々、恐らくこういう重い障害を負っておられる方々は、いつも介護を必要とする人たちではないかと思うのですが、この人たちの数も、やはり昭和四十五年当時のものなんでしょうか。
○山下政府委員 さようでございます。昭和四十五年の調査が、公式のものとしては一番新しい数字になっているわけでございます。
○安藤分科員 ついでに聞いておけばよかったのですが、私がいただいた資料によって計算をしてみますと十二万三千人ということになっておるのですが、それでよろしいのかどうかということと、それから肢体不自由の人たち、一級、二級の人たちは、いろいろ個別的な事情もあろうかと思いますけれども、常時介護を要する人ということになるのかどうか。二つ、お願いします。
○山下政府委員 四十五年の調査での身体障害者総数の中における肢体不自由者は七十六万三千人でございます。その中における一級、二級、いま当たっておりますが、ただいま先生がおっしゃった数字に大体間違いはないもの、大体その程度の割合というふうに理解いたしております。正確な数字はいま調べます。
○安藤分科員 もう一つの、質問、常時介護を要することになるのかどうか。
○山下政府委員 一級、二級、重度でございますので、介護を必要とする方たちというふうに御理解いただいて結構だと存じます。
○安藤分科員 そういう人たちが現在いろいろ、国立あるいは公立、法人立の更生援護施設等に入所しておられると思うのですけれども、国が補助金を出している施設というふうに限定してお尋ねしますが、入所してみえる方は、いま申し上げた一級、二級の人たちで何人になっているのか、そして大体それは定員と同じなのかどうか、その点どうですか。
○山下政府委員 身体障害者の更生援護施設、各障害別あるいは授産施設、更生施設等ございまして、現在の総数を申し上げますと三百五十カ所、定員にいたしまして約二万一千四百十名というのが、五十三年十月現在の数字でございます。その中で一級、二級の統計ということでございますが、いま調べますが、大体その中で重度身体障害者の更生援護施設あるいは重度身体障害者の授産施設、これはまず一級、二級が中心の施設でございます。その数字を申し上げますと、重度身体障害者の更生援護施設は三十五カ所、定員にいたしまして二千六百十名、それから重度身体障害者の授産施設、これは五十九カ所、定員にいたしまして三千五百五十六名というような状態に相なっておるわけでございます。
○安藤分科員 そうしますと、昭和四十五年といいますからちょっと古いのですけれども、いまおっしゃった数字は五十三年というふうにさっきおっしゃったですね、だからちょっとずれがあるかもしれませんが、相当たくさんの人たちが在宅だという状態になっているんだと思われるわけですね。 そこでお尋ねしたいのは、こういう重度の身体障害者の人たちがいま一番大きな問題として抱えている問題は、いまというよりも十数年前から抱えている問題になっているのですが、まだ親御さんあるいは介護をしてくださっている人たちがお丈夫で、障害者の人たちをいろいろ在宅で介護をしてみえてきておるわけですね。ところが、その障害者の方、それから親御さんあるいは介護をしている人、あるいはさらに障害者の人たちの福祉の問題あるいは社会参加の問題についていろいろ運動をしてきておられる方が一番心配して、頭を悩ましている問題は、いわゆる親亡き後の問題、そういう介護をする人が亡くなってしまった、あるいは相当年をとって介護をすることができないようになった場合、そういうときに、その身体障害者の人たちは一体どうしたらいいんだろうか、どこでめんどうを見てもらえるのだろうかという問題なんです。これは御承知だろうと思うのですけれども、こういうような悩みにこたえるために、あるいはこういう問題を解決するために、厚生省としてはどういうようなことをいま考えておられるのでしょうか。
○山下政府委員 最初に、先ほどちょっと数字を調べておると申しましたが、肢体不自由者の中で一級と二級に相当しますのは、四十五年の調査によりますと、一級が五万二千名、それから二級が九万二千名、合計いたしまして十四万四千名という数字に相なっておるわけでございます。 そこで、いま御質疑ございました親亡き後の障害者の問題、どういった施策で対応するのかということでございます。やはり第一は所得保障の問題があろうかと思います。国民年金、こういった年金の充実という問題、あるいは亜度障害者の方の在宅の方に差し上げておりますところの福祉手当の充実の問題、どうしても困った場合における生活保護における制度の充実の問題等の、こういった所得保障を一層努力をしていかなければならぬという問題が一つあると思うのですが、これは児童家庭局の方で所管をいたしておりますのに心身障害者のための扶養共済制度というのもございます。これは社会福祉事業振興会がお世話をいたしまして、一種の保険方式で親亡き後の年金を支給するという制度でございます。こういった制度の活用、こういったことが一つの重要な問題と考えられますので、今後ひとつ十分努力をいたしていきたいと考えておるわけであります。 後ほどお話も出るかと思うのですが、一般的に、ただいまの障害者の方々は必ずしも施設に入所することを好まない場合が多いような傾向が見られます。大体、一般の場合、在宅という傾向が強いのですが、そうは申しましても、やはり障害の態様、それからその方にとりましては、場合によっては収容してお世話を申し上げるという施設がどうしても必要なものがございます。そういったものとして、重度身体障害者のためには療護施設というものもございます。こういったものの今後の整備ということも重要な問題ではないかと考えておるわけでございます。 その他一般の在宅福祉サービスというものといたしましては、各種のメニューをもとに現在施策を展開しておるわけでありますが、こういった障害者対策の施策というものを今後とも一層充実をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○安藤分科員 いま、はしなくもというのか、いろいろ事情を知っておられるからおっしゃったんだろうと思うのですが、所得あるいは福祉手当等等のほかの方の話で療護施設の話をされたのですが、ところが、そういうところへ入所することを実際問題として障害者の方々は望んでおられない、あるいは介護しておられる親御さんたちも望んでおられないのが実情だ、そういう話をいまちょっとされたですね。入所するのをなかなか望んでおられない。そうおっしゃったでしょう。——いいですよ、ぼくは別に無理に押しつけないんだから。そういう施設があるのですが、どういうわけでその人たちは入所しておられないのかということは、研究されたことはありますか。
○山下政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、一般的に身体障害者全般の傾向といたしまして、これは老人の場合も同じなのでございますが、戦後、昭和二十年代あるいは三十年代前半ぐらいまでは、施設をつくりそこに収容する、これが福祉の一つの柱なのだという考え方で来ておりましたのが、近時、世界的な傾向といたしまして、やはり、ともに生きると申しますか、一般の家族や地域あるいは普通の健常人と同じ形で生活できる者についてはそのようにしていくことが望ましいのだ、そういう意味では施設福祉から在宅福祉へという大きな一つの流れがある、そのことを申し上げたわけでございます。ただし、やはり老人の方でも、本当に濃厚な介護を要します方はどうしても施設にお入りいただいて、特別養護ということでお世話申し上げる。同様の事情は身体障害者の方にもございまして、やはり相当重度で濃厚な介護を要するという方につきましての施設の必要性、またそういう施設について、本人も介護者も決してこれを拒否するものではないというケースも相当あるわけでございまして、一般的なお話と特に重度の場合の療護対象者の場合とを混同して申し上げたようなことで、説明がちょっと正確を欠きましたが、必ずしも施設に入ることをどうしても困るという場合ばかりではございませんで、やはりそういう対策もあわせ必要ということで対処いたしておるわけでございます。
○安藤分科員 それは現実にそういう施設に入っておられる方も、先ほどおっしゃったような数字でおられるわけですから、すべてそうだと申し上げているわけではないのですが、いまのお話のように在宅でということをさらに発展させて、そういう障害者の人たちが一つにまとまって共同生活をする。それも先ほどのお話のように、療護施設ということをおっしゃったのですが、現在ある療護施設というのは、どうも都会から相当離れたところにあるのがよくある例で、外出なども非常に不自由な目に遭っているということも聞いております。生活上のプライバシーの問題も十分ではないという話も聞いております。 そこで、いま言いましたように障害者の人たちが共同で生活をして、そして社会生活に参加していくということで、名前はいろいろあるのですけれども、たとえば共同ホームとかあるいは希望の家とかいうような名前でいろいろそういうものをつくろうという努力をしておられる。そういうことは御存じだろうと思うのですけれども、これは大臣にも後でお尋ねしますから、この辺のところをよく聞いておいてほしいのですが、たとえばこれは大阪の方なのですけれども、何年かかってもいいから、とにかく古切手を集めて売って、そして障害者の城をつくろうということに努力をしておられる、まごころの集い社という運動なんかもあるわけです。それから、これは愛知県の障害者(児)の生活と権利を守る連絡協議会というのがつくっているパンフレットですが、「親なき後も障害者が人間として豊かに生活できるように」障害者の共同ホームづくりということでいま運動しておられるわけです。この趣旨は、ここに希望の家十二章というのがあるのですが、十二章全部紹介している時間的余裕がありませんが、たとえば二、三申し上げれば、「閉じ込められた施設でなく自由に外出もできるように」という希望もあるのですね。「外に仕事に通ったり生活場所の中でも仕事ができるように」あるいは「障害者が人間として尊重され、障害者自身が主人公として、諸活動が保障されるように」というような趣旨、それから重い障害の人だけの「特別な施設でなく、軽い人とも協力して、力を合わせて生活できるように」こういうような趣旨で共同ホーム希望の家というものをつくるために一生懸命努力しておられるわけです。 たとえば、一つの要求の素材になったのはこういう意見じゃないかと思うのです。これは共同ホーム実現のためにいろいろ努力しておられる身体障害者の一人の方の意見なんですが、この人は十二歳の夏に慢性関節リューマチになって、もう四十年近く苦しんでおられるわけです。親が死んだときは自分が死ぬときではないかというふうに思っておられることもあるのですが、共同ホームづくりということに希望を見出していまやっておられるのですが、この人はこう言っているのです。親が亡くなった後も障害者が安心して人間らしく豊かな生活ができる場、地域社会の中で社会の一員として生きがいのある生活が送れる共同ホーム、こういうものをつくってほしい。こういうような希望が、先ほど言いました希望の家十二章の中に集約されているのではないかというふうに思っておるわけなんです。 ほかにも、東京都なんかにもわかくさ寮とかいう、これは精薄関係の方のあれらしいのですが、いろいろ努力しておられるのですね。 最初に私も申し上げましたし、答弁の中でもお話があったのですが、国際障害者年の趣旨、この趣旨は、障害を負っておられる方々の社会生活への完全参加、これがテーマになっているわけです。これも五つの項目があるのですが、全部はもちろん申し上げませんが、たとえば「障害者の肉体的、心理的な社会に対する連合を援助する。」それから「障害者の日常生活への実際的参加を容易にするような研究プロジェクトを援助する。」こういうようなことになっているわけですね。 だから、そういうようなことで身体障害者の方方の福祉、そして社会生活への参加ができるような場、しかもいままで住んでいたところから離れたところではなくて、いままで長年住んでおったところ、あるいはそれに近いところ、そういうところへ共同ホームを何とかつくろうじゃないか。国の方がなかなかめんどうを見てくれない。おっしゃったように療護施設とかいろいろあることは知っております。ところが、先ほど言いましたような施設の収容人員の数、それから実際の重度の身体障害者の数からするととても追いついていないというので、先ほども大阪の一例を挙げましたけれども、古切手を集めてそれを売ってというような非常に涙ぐましい努力をしておられるのです。だから、こういう希望にかなうような施策をとってほしいと思うのですが、その点について一遍大臣に、こういう共同ホームというものを制度化するというような方向でお考えいただいているのかどうか、あるいはこれまでお考えいただいていなかったとすれば、これからどういうふうにしていかれるつもりなのか、それをお尋ねしたいと思います。
○野呂国務大臣 身体障害者団体とはいろいろ話し合っておるわけでありまして、これらの要望に的確に対応していくということが厚生省にとって今日の大きな問題であり、ことに国際障害者年を迎えようとしておるわけでありますから、しかしその中において、共同ホームなどを設置するというようないろいろな強い御要望はまだ私の方は聞いておりませんので、この実態をいろいろ、どういうふうな動きなのかよく調べまして、できるならば、そういった動きに対してどうしていったらいいのかということも考えていきたいと思います。いずれにしても、身体障害者に対するいろいろな福祉の施策というものは幅広く展開しなければならぬという問題であることは言うまでもないわけでございます。
○安藤分科員 いま大臣は、私がいま申し上げましたような共同ホームづくりというものについての具体的な要望は聞いておられないとおっしゃったのですが、これは私もいま紹介しましたように、たとえば愛知の場合でもこういうような運動をして、厚生当局の方にもいろいろ御要望申し上げているのじゃないかと思うのですがね。それから大阪のそういう事例なんかは新聞にも出ていまして、古切手を集めて建設に取りかかっていると言ったら、これが新聞に出て、そうしたらたくさん古切手を送ってくれた人があるとか、あるいは相当な金額を寄付しようというふうに申し出てくれた人があるとかということまで載っているのですよ。それは大臣になられてからまだ短期間だから、私は知らないというのなら別ですけれども、そういうことが要望としては大いにちゃんとあるのです。社会的にも一つの運動としてあるし、社会的にもそういう運動が評価されておるわけなんですね。だから、そんな話聞いておりません、初めて聞いたようなことでこれからやっていきますということではない答弁をやはりしていただかなければ困るのですよ。そんなこと初めて聞いたでは困るのです。まずそのことをひとつ。
○山下政府委員 私どもも実はそういう話が一、二あるということを聞いたことはございます。身体障害者の方としょっちゅう接触をいたしておりまして、各種の要望を承っておるわけでございますが、精薄者の場合の共同ホームと同じホームについての非常に強い御要望というのは実はまだ直接伺っておりませんので大臣にそのように御報告申し上げたようなわけでございますが、昨日先生からの御指摘もございまして、名古屋市等にもそういった動きがあるということを知るに至りまして、ひとつよく実情を調査をいたしてみたいと考えております。 大臣からのお答えもございましたように、かつまた先生のお話にもございましたように、施設隔離ということではなくて、やはり一般地域、一般家庭の中で健常者と同じような生活ができるように、これが今後の身障行政の一つの大きな流れになっていくだろうということは私どもも承知をいたしておるわけでございます。そういう意味で今年度から通所専門の授産施設という施設も設置をいたしましたし、それから各種の身体障害者の更生援護施設全般につきまして、従来は収容の施設だったのですが、その収容の施設に通所をするという道を全部開いておるわけでございます。 ただ、御指摘の精薄者につきましての福祉ホームと申しますか、共同ホームというのが存在をいたしておる、これは助成もいたしておると承知しておりますが、障害の特性と申しますか、そういう見地から考えて果たして同じやり方でいいものだろうかどうだろうか。むしろ私どもとしては、ノーマライゼーションということが最近非常に強く言われますが、健常者の中で、一般の社会の中で障害者の方がやっていけるような条件づくりがいいのか、その辺もひとつよく勉強してみなければならぬ。住宅問題につきましては建設省にも大変御迷惑をかけまして一種、二種御苦労を願って、中に身障者用の特別住宅をつくっております。また雇用障害者につきましては、労働省で雇用納付金等の施策をやっておるわけでございます。こういったものもうんと促進していただくというような形でございまして、なおひとつ研究をいたしたいという段階でございます。
○安藤分科員 身体障害者の方に対する施設としていろいろあることは私も知っております。福祉工場というのがあるのも知っておりますが、これは五十人の定員でしょう。たしか最小五十人以上ですね。ところが、いまお話の中に出てきた精神薄弱者の方々の関係の施設として福祉ホーム、これだと十人が定員なわけですね。だから、そういうようなことになれば、十人ということでしたら設備そのものもそう大きくなくてもいいのではないかという気がする、五十人と比較すれば。だから、身体障害者の方々に対してもいろいろ議論があるかもしれぬ。ちょっとそのままストレートにいくかどうかわからぬという話がありましたが、やはり身体障害者の方々に対してもこういう福祉ホームみたいなことを考えていただくということも一つの方法ではないかと思うのです。それから、先ほどから申し上げております共同ホームをつくることに対する援助制度といいますか、それをきちっと制度化するというようなことをいまおっしゃったような方向で検討していただきたいと思うのです。 それで、最近こういう話を聞いておるのですが、先ほど言いましたように、障害者年ということもあるということで厚生省が、これは「脳性マヒ者等」ですから、ほかも含まれると思うのですが、「脳性マヒ者等全身性障害者研究会」というのを発足させて、いろいろな身体障害者の方々のニーズにこたえていこう、こういうようなことを考えておられるというお話も聞いておるのです。それによるといろいろなのをおやりになるというのですが、在宅対策というようなこともその中に入れてやっていこうということだというふうに聞いておるのですが、それはどうなんですか。
○山下政府委員 昨年身障福祉法三十年、明年国際障害者年、ここ両三年の間というのは身体障害者福祉行政につきましての一つの契機の時期だ、かように考えておるわけでございます。大臣の御指示もございまして、身体障害者福祉審議会に対しまして基本方策のあり方ということを諮問いたして御審議願っております。 それと並行いたしまして、ただいまお話ございましたようなCPの方たち、あるいは身体障害者の方たち御自身もお入りいただいた勉強会をひとつやろうということで進めておりまして、そのやり方、議題その他につきましてはこれからお打ち合わせをしていく、こういう運びに相なっております。
○橋本主査 安藤君、時間が参りましたので、締めくくってください。
○安藤分科員 もう一つだけ。それはいつごろまでにめどをおつけになる御予定なんですか。
○山下政府委員 五十五年度に入って発足をさせまして、これにつきましてはそう期限を切らないで、ひとつじっくり腰を落ちつけて検討をしていこうということで話し合いをいたしております。
○安藤分科員 時間が来ましたので、終わります。
○橋本主査 これにて安藤巖君の質疑は終了いたしました。 次に、大橋敏雄君。
○大橋分科員 御承知のとおりに、急速な老齢化社会の到来で、最近国民の年金に対する関心は日増しに高まってきていると思うのであります。この年金制度の抜本改善のための本格的な審議は近く当該委員会で審議されると思うわけでございますけれども、本日はまだ世間には余り話題になっていない在日韓国人、朝鮮人の人たちがいま全国で六十五万人いるとか聞くのですけれども、こういう方々に現在のわが国の国民年金制度の窓口が閉ざされているというこの問題についてお尋ねをしたいと思うのです。 実はきのう予算委員会で、わが党の草川委員がこの問題に触れたようでございますけれども、大臣の御答弁が非常に冷たい御答弁のようだったと、直接聞いているわけではないのですが、新聞等の報道で見る限りにおいてはそういうふうに感じますが、私は、この問題もやはり年金制度の抜本改善の中で避けて通れない問題ではないかと見ているわけです。 実を言いますと、韓国人の皆さんが役人から、国民年金は義務だから加入しなさい——そのとき役人さんの方は、韓国人とはわからずに言ったんだろうと思うのですけれども、そういうことで入って何十年も——何十年というより十数年、二十年なければならぬわけですけれども、短いので十年というようなことで実は掛けてきた。しかしながら、実際にその年金をもらう段階になって、ああ、あなたは外国人だったのですね、だめですよということで断られたという例があるやに聞いております。これはひどい問題だと思います。あるいはまた厚生年金の方は、韓国人であっても適用されているわけでございまして、そういう関係の職場で働いていて、途中で退職をして国年には入れない、そうすると、いわゆる通算措置ができないということもあります。 御承知のとおりに、在日韓国人地位協定では、生活保護と、それから国民健康保険は認められているわけですね。私も党内でこの問題が相当出てまいりまして議論をしたときに、年金制度というものは健康保険とは違って長期のものなんだから、財政的な立場からも、安定的な内容を確保するためにも、そうした外国人を入れるというわけにはいかぬぞというようなことをかなり言って、皆さんを抑えてきたわけですけれども、最近は、いま言ったような問題があちこちに起きてきておりますし、日本人同様に、日本で生まれて、そして死んでいく大多数のそういう方々には国民年金からの排除をそろそろ見直すべき時期ではないかと私は思うのでございますが、いかがですか。
○木暮政府委員 在日韓国人、朝鮮人の方に対する国民年金の適用の問題でございますが、いまお話にもございましたように、昭和四十年の十二月に日韓条約それから在日韓国人の法的地位協定が締結されたわけでございます。そのときに、在日韓国人の方々の社会保障上の取り扱いということが検討されたのはもちろんでございますが、生活保護、国民健康保険、義務教育につきまして日本国政府が妥当な考慮を払うということで締結をされたわけでございます。生活保護や国民健康保険のような制度が適用されるならば、生活の非常に危機的な場合に十分対処することができるのではないかということであったわけでございます。その際、国民年金につきましても議論になったというふうに聞いておるわけでございますけれども、特別な措置がとられない結果だったわけでございます。 それから昭和四十六年の四月になりまして、地位協定に定める永住権の申請期限延長等を主題といたします日韓実務者会議が行われたわけでございますが、そのときにも国民年金が議題として取り上げられたわけでございますけれども、昭和四十年と同様の結論になったという経過がございます。 しかし、その後国民の年金に対する関心というものが非常に高くなるにつれまして、在日韓国人の方々も国民年金に入りたいという御希望が強くなりまして、私どももそういう御希望をしばしば直接伺うような機会が多くなってきているわけなのでございます。国民年金の場合には、御承知のように、一般的な社会保障制度でございますので、在日韓国人の方々が戦前から非常に特殊な立場におられたということを私どもよくわかるわけでございますけれども、国民年金の問題といたしましては、一般の外国人の方をどう取り扱うかということを前提として考えていかなければならないわけでございます。その際、国民年金は諸外国にも非常に例のない特殊な制度でございまして、二十五年間の資格期間がないと老齢年金に結びつかないということがあるわけでございます。それで、外国人の方に単純に国民年金を適用するということは権利の保全の面からも問題があるということで、現在国民年金につきまして国籍要件を取り払うというようなところまでいっていないわけでございます。 ただ、実は昨年国際人権規約を批准するという問題が起こりまして、社会保障の問題は国際人権規約を締結する上において大概の条件を満たすわけなんでございますけれども、国民年金をどうするかという問題が一つあったわけでございます。私どもは国民年金を留保して批准するということも考えたのでございますけれども、やはり社会保障というものの性格から、それからもう一つは国際人権規約の中に漸進的に問題を解決すればいいという規定もございますので、批准をしないで今後の検討課題にしたいというふうに思ったわけでございます。 なお、当面は、たとえば人権規約を批准しておる国で外国人の方に無条件に適用していないところもかなり多いのでございまして、そういうところは二国間協定の形で問題を解決しておるわけでございます。日本の場合にも、韓国は年金をつくるという作業はかなり進んだ段階でございましたが、現在はそれも中断しておるようでございます。したがって、すぐ在日韓国人の方々のお役には立たないわけでございますが、二国間協定というようなことで当面外国人適用を進めてまいりたい、こんなふうに考えております
○大橋分科員 韓国人の関係はまだかなり困難性があるという御説明であるわけですが、二国間協定ならばかなり進められる問題でもあるというお話でありますけれども、日本とアメリカとの間に日米通算交渉がなされた。五十四年の七月一日、日本とアメリカの両厚生大臣が年金の通算問題で会談をしたという事実があるわけでございますが、これはいかがでしょうか。
○木暮政府委員 非常に国際的に人的交流が盛んになるという背景で各国年金の通算問題に取り組み始めたわけでございます。特にアメリカが熱心でございまして、国内法で政府に二国間協定で年金の通算をする権限の付与が行われておるということがございまして、昨年の七月一日、時のカリファーノ長官が来られまして、橋本厚生大臣とお会いになりまして、基本的にこの話を進めていこうという了解に達したわけでございます。 そのときに、向こうから随行してまいりました担当官と私どもの方でかなりの詰めはしたわけでございますが、さらに十月に入りまして、私どもの方から担当審議官をワシントンに派遣いたしまして事務的な詰めを深めたということはございます。現在の予定でございますと、今度はアメリカの方で二回の事務ベースも含めた会談の結果に基づきまして両国間の協定の交渉の基礎になるようなメモを持って向こうが来るというような段取りになっておりますけれども、まだ日程がはっきりしているところまではいっておりません。
○大橋分科員 大臣にお尋ねしたいのですが、いま聞かれたとおり、アメリカとの間ではかなり煮詰まった方向で交渉がなされている。外国に滞在する日本人また日本に滞在する外国人に対する年金の取り扱いについては、政策の上で大きな課題になってきているわけです。先ほど申し上げましたように、いずれ年金制度の抜本的な改善の論議を尽くさねばならぬわけでございますが、そのときに当たって、いま申し上げましたような問題も前向きに検討できるような姿で審議ができますようにぜひお願いしたいと思うのです。きょうここで結論を述べろと言ったって無理な話でしょうけれども、先ほどの韓国人の問題にしろアメリカとの問題にしろ、これは年金制度の政策上の重要な問題だと思いますので、大臣の御意見を聞かしていただきたいと思います。
○野呂国務大臣 先ほど年金局長からお答え申し上げましたとおり、国民年金にはいろいろ技術的な問題があるということでございます。二十五年という長い期間掛金を掛けなければ給付を受けられない、そういった場合に韓国人にこれを適用した場合に果たしてその権利を保全するにはどうしたらいいのかというような技術的な問題があろうかと思います。したがって、一般的には二国間協定方式で進めていかなければならぬということでございます。しかし、韓国人は特殊な立場で日本にたくさんの方がいらっしゃるわけでございますから、そういう点も政治的にいろいろ考えながら、この二国間協定方式の中で今後どういうふうに詰めていったらいいか、これは前向きに検討すべき課題であると考えておるわけでございます。今後検討してまいりたいと考えております。
○大橋分科員 時間の関係で次に移りたいと思いますが、今度は健康保険制度の制度そのものに関してお尋ねしたいと思うのです。 厚生省は、健康保険組合の新設については現在認めないという方針をとっていらっしゃるのかどうかを初めに聞きたいと思います。
○石野政府委員 現在健康保険組合につきましては、二つの理由によりまして実は新設についての認可を見合わせておるわけでございます。 その第一の理由でございますが、御案内のとおり医療保険制度全体についての基本的な改革を行うということで現在健康保険法の改正法案を実は国会に提案いたしておるわけでございます。その考え方の中には、あくまでも政府管掌健康保険と健康保険組合を二本立てといたしまして、当面健康保険組合間において財政調整を行う、いずれ将来被用者保険全体について財政調整を行うという考え方で実は御提案申し上げておるわけでございます。したがいまして、そういう基本的な考え方を示している間にどんどん健康保険組合を認可するのはいかがであろうかというのが第一点。 それから第二点は、御案内のとおり健康保険法の改正法案を提出いたしておりますけれども、やはり財政安定が緊急の要務でございます。そういう意味におきまして、健康保険組合をどんどん新設することになりますと、政管健保の財政にも何がしかの影響を与えるわけでございますので、現在設立の認可を見合わせておるということであります。
○大橋分科員 医療関係の機関紙の記事の中にこういうのが書いてありました。橋本厚生大臣以来新設を認めてこなかった結果、健保財政が好転した。非常に強調された記事であったわけでございますが、政管健保の赤字が、認めなかっただけでそんなにまで大好転したのだろうか。実は先般、社会労働委員会で政管健保の黒字に対する質問が出まして、その理由について厚生省の担当官が説明をしておりましたが、その説明の中には、こうした新設をとめてきたから黒字に好転したという話は一言もなかったですね。ですから、この辺は単なる見解の相違というわけにいかぬと思うのです。私も多少のことはわかりますよ。だけれども、それを表向きに堂々と出して、わずか何社か知りませんが、そういうものを認めなかったためにそれほどまでの健保財政の好転があったなどということにはならぬのじゃないかと私は思うのですけれども、いかがですか。
○石野政府委員 恐らく大橋先生は二月十九日の朝日新聞の意見広告をごらんになっての御質問であろうかと思います。政管健保全体が五十三年度決算において黒字になった理由につきましてはいろいろございますが、その中で、新設組合を認めなかった結果が大きいのではないかという意見広告になっておるわけでございます。これはいろいろな前提をもとにして試算をいたしてみたわけでございますが、毎年健保組合について幾つかの認可を行ってまいりました。五十三年度以降は見合わせておるわけでございますが、仮に従来のベースで認可をいたしたとして計策をしてまいりますと、五十三年度においてその影響額は約五億、五十四年度においては約十億という程度の試算をいたしておるわけでございまして、それほど大きな狂いはないのではないかと思うわけでございます。
○大橋分科員 きょうは限られた時間で、聞きたいことはまだたくさんありますのでまとめて申し上げますので、大臣、最後に答えてください。 その記事の中にこういうのもあったのですよ。財政調整法案が実現するまで新設を認めない方針をとっているというわけですよ。この財政調整法案というのは、前国会自民党の案として出てきたものだろうと思うのですけれども、これは一つの理想案でありまして、一挙にそこまで持っていこうというのは実際的ではない。御承知のとおりに現に十兆円、五年後には二十兆円ほどになる莫大な医療費が実は動いているわけですね。そういう実情を無視して白紙に絵をかくような抜本改善はあり得ない、無理だ、私はこう思うのであります。いま話がありました健康保険組合、それはそれなりの歴史また経過もあるわけでありまして、独自のメリットも十分認められているわけです。現在の各健康保険制度のいいところは当然伸ばしていかなければいかぬ、悪いところは是正していく、もちろん場当たり的なものではなくて、将来の確固たる展望に立ってそれを踏まえた上で段階的に改善、統合していく以外に道はないと私は思うのです。 実は私の知人が健康保険組合の設置に関する要件といいますか条件を十分満たしておりまして、正規の手続で申請をしているわけです。ところが、ここ数年全く放置されておりまして、なぜだろうか、こんなに条件、要件を備えて正規の手続をとっておりながらさっぱり許可してくれない、行政に対する不信感を実は抱いておるわけです。私の知人だけじゃなくて、まだそのほかにも同じような立場の人が何人かおられるのじゃないかと思います。 大臣、抜本改善は当然やっていかなければならぬことでありますし、また近く委員会で大論議をすることになろうかと思いますが、こうした立場で、健康保険組合は現に憲法が認めている、しかもいまの健康保険制度の中核的な制度なんですから、これに対してけちけちするようなことは必要ないのじゃないか、こう思いますので、この際、大臣の英断を望みたいと思います。
○石野政府委員 大臣のお答えする前にちょっと申し上げたいと思うわけでございますが、健康保険組合の設立の認可につきましては、法律的に言いますれば行政庁の自由裁量行為に属するわけでございまして、行政上の必要からしばらくの間認可をしないということにつきましては、厳密な意味の法律違反にはならないと思うわけでございます。(発言する者あり)
○橋本主査 お静かに願います。
○石野政府委員 しかしながら、こうした状態が長期にわたって続きますと確かに御指摘のように行政に対する不信を招くおそれは十分にあるわけでございます。一方、私どもは健康保険法の改正におきまして財政調整を行うことが今後の健康保険組合の設立の一つの要件ではなかろうかという判断もいたしておるわけでございます。そういう意味におきまして現在健康保険法案の審議をお願いいたしておるわけでございますので、それを横目で見ながら、いましばらくの間現在の方針をとらしていただくことについて御理解を得たいと思うわけでございますが、これは慎重に、かつ前向きに検討させていただきたいと思うわけでございます。
○大橋分科員 慎重に前向きという非常に微妙な発言ですが、これを余り追及するとむしろ逆効果になるような気もしますので、私の言わんとする気持ちを大臣、十分理解していただきたいと思います。それこそ英断をお願いしたいことを強く要望して、次の質問に移ります。 来年は国際障害者年であるわけであります。したがいまして、厚生省は特に積極的に、真剣に取り組んでほしいと思うわけです。そういうことで、身体障害者の問題に触れてみたいと思います。 国際障害者年のテーマは、御存じのとおり、完全参加と平等ということであります。体の不自由な方々が、たとえ体にはハンディがあっても地域の中で一人の人間として生活をしていきたい、こう願っておられるわけでございます。障害者の住みよい町づくり、地域や家庭で生活するための条件整備をしていく、これこそ厚生行政の重要課題だと思うのでありますが、初めに大臣の決意を聞いておきたいと思います。
○野呂国務大臣 身体障害者年を迎えて、今後におきます身体障害者の福祉対策の課題は、いまお話しのとおり、これは大変大事な課題でございまして、この条件の整備というものは単に福祉だけの面でなくて、住宅とか雇用とか交通とか各般にわたる行政努力が必要であることは言うまでもないと思います。したがいまして、厚生省といたしましては、障害者にとって住みよい町づくりを推進していくために障害者の福祉都市推進事業に対しまして助成を行うことにいたしました。本年度二十市を指定いたしたところでございます。また、明年に溶きましても二十五市を指定いたしまして、全国的にもその町づくりを進めていきたいということでございます。また、重度の障害者に対しましても、いろいろの場所においてそれらが十分に進められるように、新たな在宅障害者サービス事業などを実施することにいたしておるわけでございます。したがいまして、五十五年こそ身体障害者に対する施策の新しい一つの転換の年だ、新しい出発の年だ、こういう認識の上に立ちまして、総合的な方策を立ててまいりたいと考えております。 先ほどもお答え申し上げておったわけでありますけれども、身体障害者福祉審議会に対しまして、今後身体障害者の福祉の総合施策についてどうするかということを御諮問申し上げておるわけでありまして、その答申は秋ごろには出るだろうというふうに考えておりますので、その答申を受けて、今後十二分にこの身体障害者諸施策を進めてまいりたい、かように考えております。
○大橋分科員 もう時間が迫ってきましたので、大急ぎでやりたいと思います。 ちょっと細かい問題になりますけれども、盲人の方々の交通安全を確保するために音の出る信号機を備えたり、あるいは国鉄、私鉄のホームに点字ブロックの整備をしたり、あるいはまた官公庁のエレベーターの中や各種の自動販売機などに点字の表示をしてほしいというような要望があちこちと出ているわけでございますが、これは当然各省庁にまたがる問題でございますけれども、厚生省としてはいかなる対策を講じていこうとしているのか、これが一つ。 それから、もう一つの問題ですけれども、身体障害者が必要な治療や訓練を受ける場合に、その施設がばらばらに分散設置されているために非常に不便を感じているわけでございますが、このような実情から、また機能的にも、身体障害者のリハビリテーションというものは総合的なものとして整備すべきだろうと私は思うのでございます。関係者の要望も非常に強烈でありますが、こういうものに対して厚生省はどう考えておられますか。 もう一つもあわせて質問していきます。義足、補聴器などの補装具の問題でございますけれども、身体障害者の自立にはなくてはならない重要な役割りを持っているわけでございますが、新しい機種といいますか、外国製品などが次々と市販されているわけであります。それにもかかわらず、こうしたものが国の交付基準に取り入れられていないために、それを購入する場合、身体障害者には大変な負担となっているようでございます。このような実態に対応するように交付基準を改善すべきではないかと私は思うわけであります。 以上三点についてお答え願いたいと思います。
○山下政府委員 まず第一点の道路、交通、公共施設、こういった問題の環境改善、政府といたしましては、各省で努力をいたしておりまして、その総合調整は中央心身障害者対策協議会というところで行っておるわけでございます。厚生省といたしましても、大臣のお話にもございましたとおり、障害者福祉都市、これは四十八年から五十年までモデル都市をやったわけでございますが、五十四年から再開をいたしまして、福祉都市ということでその拡充に努めておるわけでございます。この福祉都市事業におきましては、御指摘のようなハード面、あわせましてソフト面での啓発その他の事業もあわせ行うということで努力をいたしておる次第でございます。 第二点の施設の総合化と申しますか、リハビリセンター的なもの、御指摘のとおりでございます。総合的に行われる方向が望ましいということで現に各都道府県も努力をされまして、病院とあわせて施設を持つというような総合化の動きで建設をいたしておりますが、二十一件程度には上っております。残された府県につきましても、そういった方向への努力を指導し、助成をいたしてまいりたいと思っております。国といたしましても、御承知のとおり、所沢に昨年七月、総合的施設を開設いたしたところでございます。 第三点の補装具、義足等の交付基準の問題でございます。私どもといたしましては、新製品の開発に伴いまして、必要なよりすぐれたものはできるだけ取り入れたいということで努力をいたしてきております。四十七年には高度の難聴用補聴器、昨年におきましては電動車いすというようなものも取り入れてきておるわけでございます。なお問題が残されておろうかと思いますが、現在、購入価格の問題も含めましてこういった補装具等の交付基準につきましてその合理化を検討いたしておるところでございます。御指摘の方向で努力させていただきたいと思います。
○大橋分科員 聾唖者のための手話奉仕制度についてもお尋ねしたかったのですけれども、時間が参りましたのでまたの機会に譲らせていただきます。
○橋本主査 これにて大橋敏雄君の質疑は終了いたしました。 次に、上原康助君。
○上原分科員 大変限られた時間ですので、戦後三十五年が経過しようとしているわけですが、戦争犠牲者といいますか、戦時中の被災者に対する国としてなすべき補償がまだ十分なされていない面が多いのじゃないかという感じがするわけで、その面を主として私はお尋ねしたいわけです。 まだ補償措置がなされていないケースにつきましては、もちろん厚生省だけの所管ではないかとは思うのですが、政府としては、いま私が申し上げたことに対してどういう御認識を持っておられるのか、まずお答えをいただきたいと思います。
○松田(正)政府委員 お尋ねの点につきまして私からお答えするのが適当かどうかあれでございますが、厚生省の立場を一応申し上げたいと存じます。 過般の大戦中でいろいろ犠牲を受けられた方がたくさんおられるわけでございます。一般の戦災者もしかりでございますし、また最近話題になっておりますシベリア抑留者の問題もそうでございます。ただ、こういう方々だけを対象にいたしまして現行制度のもとで特別の措置を講ずるということにつきましては非常に困難な状態にあろうか、かように認識をいたしております。
○上原分科員 そこで、いまお答えありましたように、確かに戦傷病者戦没者遺族等援護法、いわゆる援護法で措置をしている面、あるいは恩給法なども強いて言えばそういう分野になるかもしれませんが、それ以外は残念ながらないわけですね。援護法で救済措置がむずかしい事例等については、どうしようとなされているのか。いまの援護法になじみにくい未処理のものが相当残されているのじゃないのかという感じが私はするわけですよ。 いまもお答えありましたが、たとえば最近とみに請願が多くなってきておりますソ連抑留者への補償問題、これは全国抑留者補償協議会がお出しになっていると思うのです。また、在外資産の賠償処理に関する件、海外引き揚げ者団体から出されているような問題、あるいは旧満州綿花協会等も恩給法の適用をしてもらいたいということが、私は内閣委員会に属していますが、相当請願が出されてきている。 冒頭申し上げましたように、これはもちろん厚生省だけの所管ではないかもしれませんが、私はやはりこれは戦後処理の一環だと思うのです。これはそのままほっておける問題ではないのではないか。改めて政府として、この種の問題等についても、法的手だてを新たに考えるか、あるいは現在の法律制度でできるのかどうか、そこいらはぜひ御検討すべきではないかという感じがするわけです。その点について大臣のお考えを聞きたいと思いますし、同時に、援護法の適用除外になっている一般戦争被災者といいますか、戦争犠牲者の問題はどうするのか。いまの援護法になじみがたい面があるわけですね。この種のことについても、いま少し、厚生省なりあるいは総理府も関係するでしょうが、そういう面との御相談もいただいて、めどをつけていただかないと困る。このまま未処理でもういいということにはならぬと思うのですが、この点改めて大臣の所見をお伺いをしておきたいと思うのです。
○野呂国務大臣 戦後処理の問題につきましては、恩給制度で解決できないものもすでに多く考えられるわけでございます。また同時に、援護法でも処理できないものがある。それならばどうしていくのだということでございまして、これは政府が一体となって、戦争の関係からいろいろな犠牲がもたらされた、それらの問題に対して一般社会保障として解決できないとするならばどういうふうにするかということは今後大きく検討しなければならぬ課題である、私はこういうふうな認識でございます。したがいまして、この間も総理府総務長官とも、こうした今日の制度でどうにも処理できないものをどうしていくかということを十分話し合っていこうではないかというようなことも話し合ったわけでございます。今後、一般的にこれらの問題についてどう対応するかということについて進めてまいりたい、かように考えております。
○上原分科員 ぜひひとつ御検討をいただきたいと思うのです。 そこで、私も十分勉強したわけじゃありませんが、たとえば西ドイツの場合なんかをいろいろ調べてみますと、戦争犠牲者の援護に関する法律というのがありまして、略称を連邦援護法と言っているようです。これは確かにわが国の援護法と同じように、軍人あるいは軍属であった者、主として軍務に携わっておった者を対象に本法はなっておるわけですが、しかし改正されて、例外的に一般市民も対象にするということになっておりますね。同時にまた、それでカバーできないものにつきましては、さらに負担調整法といいますか、そういうことでも一般市民のこの戦争によってこうむったあらゆる傷害について援助する。こういう面からしまして、私は第二次世界大戦に対する政府なりいわゆる政権を担当してこられた方々の、戦争行為に対する認識の違いが出てきていると思うのです。ですから、そういうところも厚生省なり総理府等でも御検討いただいて、先ほど大臣から御答弁ありましたように、このままほっておける問題ではないという御認識であるならば、二、三の例を挙げましたが、これは今後も関係団体なり関係者から強く要請が出てくると思うのです、そういう面でひとつ、ぜひお考えをいただきたいと思います。私もこのことにつきましては、いずれまたもう少し詳しく調べていろいろ質問もしてみたいし、われわれの立場での考え方も申し上げてみたいと思いますので、ひとつ参考までにその点を指摘をしておきたいと思うのです。 そこで、私はいま援護法になじみがたいもので全般的なことを申し上げたわけですが、本土でもいろいろ取り残されている問題がたくさんあるわけです。しかし、全体的な問題に触れるわけにはまいりませんので、きょうは特に沖繩戦における——沖繩がああいう戦場になったわけですが、御承知のように、戦時中六歳以下であった戦災者への補償問題は、残念ながら今日まで認められていない。これは大きな社会問題としていまクローズアップされてきているわけです。確かにどこかで線引きはしなければいけないことはわかるわけですが、当時六歳未満あるいは二、三歳だった人は、いまはもう社会的な中堅なんですね、四十歳前後。そういうことに対しては援護法の適用を拡大をするか、あるいは特殊に、戦場になったという事実をとらまえて何らかの手だてをしなければいけない問題だと私は思うのです。 これは具体例として申し上げるのですが、せんだって一月十一日からですか、四日程度、大臣も沖繩の医療行政視察をなさるということで、いろいろ御調査もなさったようです。そのときも、恐らく県なり関係者からも強い要望があったと思うのですが、この点についてどうお考えなのか、ぜひ改めての御見解を聞いておきたいと思うのです。
○野呂国務大臣 戦傷病者、戦没者の遺族などの援護法の趣旨というものは、軍の要請によりまして戦闘に参加した者を準軍属として処遇いたしておるわけでございます。したがいまして、年齢で六歳以下の者が該当していない現状は、私は大変遺憾なことだと考えます。沖繩でこの点についていろいろ御指摘を受けたわけでございます。私は、少なくとも軍の要請によって戦闘に参加したその者の中にある当時の子供たちでありまして、したがいまして、年齢のいかんにかかわらず、この実態を踏まえて処遇すべきではないか、こう考えまして、援護局長に十分要望の趣旨を備えて実態を調査し、その援護法の中に適用されるように、いま検討をいたしているわけでございます。
○上原分科員 時間の都合で全部を申し上げることはできませんが、最近、沖繩県戦災傷害者の会というのをつくって、この会長になられた新川とみ子さんという方、みずからが当時三歳で傷を負っておられるわけですが、この方々が独自で調査をして、約二百六十六名くらいの六歳未満の方々の実態を掌握をしておられる、こういう非常に深刻な立場でやっていらっしゃるわけですね。 これは全文は読みませんが、 戦後三十四年間、傷の後遺症と精神的苦痛を背負わされて、その苦しみは計り知れないものであります。そのうえ戦後二十七年間、異民族支配の行政の中で、戦争でむしばまれた体を借り入れや財産を売却し、治療してきました。 しかし、復帰後も尚、補償も援護も受けていません。人間は生まれながらにして平等です。国家の戦争によって肉体が破壊された者は、国家が補償するのは当然です。よって私達は政府に次のことを要求致します。 1 沖繩戦災傷害者の実態調査を早急に実施すること。 2 六才以下沖繩戦災傷害者にも援護措置をすること。 3 戦時災害援護法の即時制定実施すること。 こういうことが恐らく厚生省援護局あるいは大臣のお手元にも行っていると思うのですが、こういう実態なんですね。 さらに、この新川さんの話の中に、 私の青春は、いつも“死”でした。いまでも、子供たちは、参観日に私が行かない方が伸び伸びしているんです。誇れないお母さん。しかし子供たちも「こんな戦争を憎む」と言ってくれます。戦争のためなんです。私はいつも死ぬ場所を捜し続けて生きてきたような感じです。他の仲間もそうでしょう。だがここまで生きてきました。少しでも生き心地を得たい、そう思ってみんな立ち上がるんです。一日も早く、空をあおいでいけるようになりたい。根気よく続け、戦争責任をはっきりさせます。 こういう体験談も語っておられるのです。右目が義眼で足にも負傷して、頭にも艦砲の破片を受けて、いまでも大変な障害を背負ってやっている。当時三歳だったということで、こういう方々は何の補償もないわけですよ。 これは大臣、人間にとってはやはり生きている、その生きているがゆえに一生涯そういう不幸というか、あれを背負っていかなければいけないというのはほってはおくわけにはいかないと私は思うのですね。したがって、いま検討を指示なさったということですが、援護法で措置できるのか、あるいはできないというならば新たな措置を講じていただく。そして、いま具体的に三つの要望がありましたが、実態を把握して、早急にこの問題については何らかの補償措置といいますか、手だてが講じられるように、ぜひ特段の御配慮をお願いをしたいと思うのですが、改めて決意のほどをお伺いしておきたいと思うのです。
○野呂国務大臣 いま御指摘になりましたように、沖繩県の場合におきましては戦場になったところでございます。したがいまして、援護法の適用をすべきである、こういう判断に立ちまして、すでに援護局と沖繩県と話し合いを進めておるわけでございます。当然これらの方々に対する国の責任における援護措置を講ずべきものである、こういう判断でその作業を進めておるということを御理解願いたいと思います。
○上原分科員 ぜひひとついま大臣から御答弁ありましたようなことで早急に関係者の方で御努力をいただきますように、重ねて強く要望しておきたいと思います。 そこで、次に実は沖繩の原爆被爆者の見舞い金支給の問題等についてもお尋ねする予定でしたが、いろいろ事務当局の方で御配慮をいただいているようですから、この点は割愛をしたいと思います。 次に、先ほども申し上げましたが、今年のお正月早々、厚生大臣が沖繩の医療福祉行政を御視察をなさるということで、一月十一日から十四日まで御訪問をなさったようです。現地でも関係者から相当好感を持たれたようでありますが、またお忙しい中いろいろと御努力をいただいたことに私たちも敬意を表したいと思うのです。 そこで、大臣が現地でいろいろおっしゃっておられるわけですね。いまの六歳以下の戦傷者の補償問題についても、検討してみたいということから始まっているわけですが、特にこの沖繩の医療行政、福祉施設というのはよく二分の一医療だ、こう言われているわけですね。そういう意味で、これも余り時間がありませんから私の方から端的に申し上げますが、一つは老人福祉施設の問題、老人ホーム等をどう増設強化していくかということ。あるいは二点目は児童福祉施設、保育所等の問題ですね。三点目は社会福祉機関、福祉事務所、児童相談所など各種機関。四点目は医師など保健医療従事者の養成確保。いろいろの御努力によって琉大医学部も五十六年四月から学生募集もなされるようですが、それが実現したとしても沖繩出身医学生の帰還問題あるいは保健婦の問題、看護婦の確保その他医療技術者等は依然として本土の二分の一程度しかない。こういう面は私たち県側も努力しなければいけないと思うのですが、長い間の異民族支配といいますか、そういった社会福祉、ソフトウエアの方が非常に立ちおくれたということが大きな要因になっていることは否定できないと思うのです。そういう面。五点目は公的総合病院など医療施設及び設備の整備の問題です。六点目は、大臣も大変強調なさったようですが、無医村対策、離島、僻地の医療施設の充実、解消対策、これらの問題等について政府という立場で、厚生省というお立場で今後具体的にどのように進めていかれようとするのか、総合的にそこいらを御説明いただきたいと思うのです。
○野呂国務大臣 短い時間であったと思いますが、三日間の視察を通しまして、一番心配しておりました老人福祉の問題あるいは児童福祉の問題等々の施設などもだんだんに整備が進んでおるということに対しまして、沖繩県としての御努力に対して非常に敬意を払ってきたわけでございます。 また、僻地の医療についてはまだ十分ではございませんが、沖繩本島におきますたとえば県立病院なども見せていただきまして、これは本土の方が学ぶべき病院ではないかと私は感銘を受けてまいったこともあったりいたしましたが、すでに沖繩県が進められております、振興開発特別措置法の中にも福祉関係の、社会福祉の問題についての改善の指標が示されておるわけでございます。その全体計画の中で、政府としてはより社会福祉の立ちおくれを改善するように努力を進めなければならないと考えているわけでございます。特に二分の一医療と指摘されておりますとおり、まだまだ僻地でございますだけに、これらの問題については十分に対応してまいらなければならない、かように考えてきたわけでございます。
○上原分科員 ちょっと抽象的ですが、後で具体的な問題を二、三点お尋ねします。 開発庁お見えですが、二次振興計画の中では、私は、いま申し上げたように社会福祉施設、県民生活とのかかわりのあるソフトの面をもっと重視すべきだと思うのです。いま大臣の方からも厚生省としてはそういう面を重点的にやっていかれる。この点についての現段階での開発庁のお考えも、二次振の中でどう位置づけようとしているのか、ちょっと所見をお聞かせください。
○野村説明員 お答え申し上げます。 すでに御案内のとおり、沖繩振興開発特別措置法、それから法律に基づきます振興開発計画、期限あと二年という段階に実はなったわけでございます。 そこで、そういった特別措置法なりあるいは振興開発計画なりを一体どうするかという問題が、現在の差し迫った問題として出てきているわけでございます。沖繩開発庁としましては、現在の計画に基づくそうした目標というものが一体どういうふうに達成されておるだろうか、あるいは達成されようとしているか、あるいはいままで実施してきました事業なり施策というものがどういう効果があるか、あるいはどういう問題点があるか、さらには、沖繩の経済社会の実態というのは一体どうなのかといったことを、総合的に踏まえ判断するという意味で、そのための調査、検討に現在着手しているということでございます。 そこで、こういった法律なり二次計画といったものを一体どうするかという問題を含めまして、今後の沖繩の振興開発のあり方を検討することがやはり重要な課題でございますので、御指摘の点につきましても、先ほど申しました調査、検討の結果というものを十分踏まえ、あるいは沖繩県自体も総点検作業というものを現在やっておられるようでございますので、そういったものをもとにした沖繩県の御意向等も十分踏まえまして、さらに、それぞれの行政分野というのは非常に多くの行政官庁にまたがっておりますので、関係省庁とも十分御相談申し上げながら、先生の御指摘の点につきましても、十分対処してまいりたいというふうに考えております。
○上原分科員 特にその点は御配慮を求めておきたいと思います。 そこで、厚生大臣、具体的な面でちょっとお伺いをしておきたいのですが、地元でのいろいろな記者会見の内容を見てみますと、老人福祉の問題と関連づけて、国立長寿の村といいますか、それもまだそれほど固まったあれじゃないようですが、そういう面を県の意向も受けて具体的に進めていきたいとかいう件、あるいは僻地医療の点については、特に補助助成措置というものを強化をしていきたい、こういうことを言っておられるわけですね。また、県内の国立療養所内に重症心身障害児の病床をもっと増設をしていく、医療機器その他についても充実していきたい。この面は具体的にこれからお進めになっていくわけですね。
○野呂国務大臣 いろいろ御要望がございまして、帰りましてから検討をいたしておるわけでありますが、まず第一に、老人の長寿の村といったものをぜひともつくりたいというお話でございますが、具体的に、県がどういうふうな施設をどういうところにつくっていくのかという計画がまだないようでございます。したがって、これを設置するかどうかについては、今後県と十分話し合いを進めていかなければならぬと思いますが、県の方の計画が煮詰まりましたならば、その計画をもとにいたしまして、現行の助成制度の枠内で弾力的に長寿の村の施設というものを設置していくことが必要ではないかというふうに思っておるわけでございます。 その他、医療機関の整備あるいは特に僻地診療などに対する助成措置などにつきましては、具体的な一つ一つの地域の実態に即応し、そして、従来政府がとっております制度の中で立ちおくれた医療行政の推進を十分図ってまいりたい、こういうふうにいま考えておるわけでございます。
○上原分科員 時間が少ないので、最後に、ハンセン氏病問題についてもお尋ねしたいのです。 私は、五十二年でしたか、渡辺元厚生大臣のときにも、愛楽園あるいは南静園の問題についてお尋ねをして、その後、施設設備は相当改善充実されてきていることについては評価をしておきたいと思うのです。今度も、厚生大臣も愛楽園まで足を運んでいただいて、大変歓迎を受けたようですが、恐らくこの「すむいで」という愛楽園の機関誌もお読みになったんじゃないかと思うのですね、厚生大臣。これにいろいろ書いてあります。「沖繩愛楽園を本土療養所のモデル療養所にしたいと来園の抱負を熱弁で語られ」と。語るだけではだめなんで、実行してもらわなければ困るのです。ぜひひとつそのお気持ちを忘れていただきたくないということを冒頭申し上げておきます。 施設設備の充実強化もやらなければいけない問題です。これは本土の国立らい療養所も同じなんですが、定員確保がむずかしいということで、いわゆる賃金職員というのが多いのですね、正直申し上げて。しかも、この賃金職員の場合、きょう皆さんからいただいた資料によりますと、沖繩愛楽園の方が正規の職員百八十七名に対して六十七名、ちょっと少ないような感じがするのです。 〔主査退席、大原主査代理着席〕 宮古の南静園の場合ですと、八十一名の正規職員に対して三十三名もいるのですね。何とこれの賃金は、私の計算では、皆さんの資料から割り出すと、月額、愛楽園の場合は八万二千八百円、南静園の場合は八万三百五十円なんですね。しかも、これは期末手当やボーナスを含まない。これでは、私は療養施設で療養しておられる方々のいろいろな手だてをすることはむずかしいと思うのですね。 ですから、こういう問題については、定員問題、予算問題、いろいろあるでしょうが、もう少し厚生省としては予算措置を講じていただかなければいけない問題だと思う。これは全国的な問題です。この点についての改善をどうお考えなのか。これは関係者から強い要望があります。同時に、この南静園、愛楽園の本土との格差を早急に是正をしていく、今後のそういう面での対策も含めてお答えをいただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 国立らい療養所の賃金職員についてでございますが、その大部分が、御案内のとおり、患者の老齢化による作業変化に伴って措置されているものでございます。御案内のような厳しい定員事情のもとにあっては、他の定員増の要求との関係もあり、賃金職員を直ちに定員化するというための増員を図ることは非常に困難でございます。 この賃金職員のうち、特に看護婦等有資格者で定員として収容できるものにつきましては、増員分の採用とか退職者の後の補充等によって順次定員職員に組み入れてまいるなど、人事任用上の運営措置で今後とも対処してまいりたいと思っております。 定員増につきましては、従来から沖繩におきましては、本土との格差是正を図るために努力しておるわけでございまして、復帰時の百八十九人から、昭和五十四年度では二百六十八人と七十九人、パーセントにいたしまして四二%の増となっております。昭和五十五年度におきましても、厳しい定員事情の中におきまして、国立のらい療養所につきましては六十人の増員を予定しておりますが、このうち九人を沖繩の療養所分として予定しております。
○上原分科員 これで時間ですから終えますが、特に、定員化できない場合の予算措置、大臣、これは待遇問題はきわめて深刻ですよ。その面については特段の御配慮をいただけますね。一言。
○野呂国務大臣 十分措置をしていきます。
○上原分科員 終わります。
○大原主査代理 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。 次に、新井彬之君。
○新井分科員 私は、たった三十分の時間でわりかた多くの項目について質問したいと思いますので、深い論議ができないのが非常に残念でございますが、順次質問してまいりたいと思います。 まず、厚生大臣にお伺いしますが、高齢化社会への移行に対しましては、年金、医療、雇用等の諸問題がありますが、従来これらの制度や環境の整備がなされないまま今日に至っているため、老齢者の不安は深刻であります。わが党では、御承知のごとく生きがいのある社会福祉トータルプランを年月をかけて作成し、世間の批判を仰いできたところでありますが、政府においても、長期的展望に立った総合計画作成のプロジェクトチームをつくってみてはどうかと思うわけでございますが、いかがでございますか。
○野呂国務大臣 本格的な高齢化社会を迎えまして、国民生活の中に占める社会保障という役割りが今後ますます重要になってくることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、これに対応するためにどういうふうにやっていくか。各制度の有機的な連携を図りながら、特に給付と負担の面、これをどういうふうに公平に制度の均衡をとっていくかということが大変大事なことでございますから、長期的な展望に立っていろいろ医療、年金などの社会保障について明らかにしていくことが必要ではないかというふうに判断をいたしております。 ただし、いまプロジェクトチームをつくるかどうか、従来から厚生省は一体となってこの問題に取り組んでおるわけでございますから、あえてプロジェクトチームをつくる必要もないと私は思います。御指摘の点については、現制度の中で長期的展望に立って改善を進めてまいりたい、かように考えております。
○新井分科員 今回、厚生年金法改正の厚生省原案の中から、老齢年金の支給開始を六十五歳とする部分が削られることが確定しておるわけでございます。厚生省案の諮問を受けた関係審議会では、六十五歳案に賛成したのは社会保険審議会の公益委員だけで、その他はすべて反対という厳しい答申であったために、政府も断念せざるを得なかった、こう思うわけでございますが、この経過は、今後の年金改革が個々の年金制度だけ見た狭い視野からの立案ではだめであって、国民の老後生活のあり方、雇用と年金との関係、国民経済の展望を踏まえた上での日本の年金全体を見渡したものでなければならないことを示していると思いますけれども、いかがでございますか。
○野呂国務大臣 五十五年度の年金制度の改正に伴いまして、支給開始年齢の問題がいろいろ国会でも論議をされて今日に至っておるわけでございます。将来の高齢化社会を見通しますならば、老後生活の支えになるような年金水準を保ちながら、しかも、適正な負担ということの中で長期的な年金財政というものは安定化していかなければならぬということでございます。 両審議会の御意見を私どもはお聞きいたしたわけでございますが、両審議会ともに、この支給開始年齢の問題については避けて通れない問題であるという認識を得ておるわけでございまして、したがいまして、今後ともこの長期的な展望の上に立ちながら、雇用の問題とか、あるいは他の年金、つまり共済年金等との官民格差、そういう問題も十分検討しながら、将来の時点におきまして、年金財政の長期安定のためのいろんな判断をいたしながらこれに対応していかなければならぬという考え方でございます。私は、年金制度というものは長期的な立場に立つべきであり、そして、次の世代の方々の御理解を得られるような、国民合意の上に立った安定策というものが必要であるということにおいては、たびたびお答えいたしておるとおりでございます。
○新井分科員 老齢年金の六十五歳案が見送られた大きな原因の一つは、雇用への配慮がなかったことと思うわけでございます。それほど高齢化社会への対応が雇用面でも大分おくれておる。諸外国に比較して日本の高齢化は急速に進んでおるわけでございますが、その対策はいまや急務の課題であるわけであります。したがいまして、中高年齢労働者労働福祉対策の面から考えましても対策を急がなければならないわけであります。 そこで、労働省にお伺いいたしますが、これら中高年齢労働者労働福祉対策についてどのように考えておるか、お聞かせ願います。
○若林説明員 お答え申し上げます。 先生ただいま御指摘のとおり、中高年齢者の雇用対策は今後の雇用政策の最重要課題でございまして、私どもこのため各般の施策に取り組んでいるところでございます。言うまでもなく、まず六十年度までに六十歳定年の一般化を図るということを当面の最大の課題といたしまして、行政指導を進めているわけでございますが、ただいま御指摘になりました福祉対策につきましても、高齢化社会にふさわしい各般の福祉対策を講ずべきであると考えておりまして、その一環といたしまして、高年齢者に対します職業講習の実施でございますとか、教養、娯楽の便宜供与等のため中高年齢労働者職業福祉センター、私どもサン・ライフと申しておりますけれども、こういう施設、あるいは中高年齢者体育施設の建設を進めているところでございます。
○新井分科員 姫路市では播磨工業地帯の中心都市として、以前より、働く勤労者の雇用の安定、勤労者福祉の向上、高年齢者の雇用の創出等、勤労者市民対策に大きな力を注いできておるところであります。特に中高年齢労働者に係る雇用問題を重視し、職業訓練講座の開設、財団法人高年者働く幸せの会の設立、雇用対策会議の設置、さらには、第四次産業誘発プロジェクトの推進等を図り、雇用の安定と創出に取り組んでいるところであります。したがいまして、姫路市を中高年齢労働者福祉対策のモデル地区として、総合的な高年齢者対策の拠点としていくべく、姫路市では田寺農業センター跡地に二千五百平米を予定して、労働省、雇用促進事業団による高年齢労働者職業福祉センターを昭和五十五年度に設置してほしいという強い要望があるわけでございますが、国としてもこの問題について鋭意積極的にいま努力しておると聞いておるわけでございますが、これはどのようになっておるか、お伺いいたします。
○若林説明員 姫路市が中高年齢者の福祉対策のモデル地域といたしまして、いろいろな面でのシステムの整備を図るという御計面を持っておられまして、そういう中で中高年齢者の労働者職業福祉センターの設置を強く要望しておられることは、私ども承知いたしておるわけでございます。この中高年齢者の福祉センターは、中高年齢者が多数就業しております都市につきまして、このセンターの目的が十分に達成されると考えられるところにつきまして設置するわけでございまして、このような観点から、御指摘の地域につきましても十分に検討してまいりたいと考えております。
○新井分科員 大体できる予定ということを聞いておるわけでございますが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。 次に、保育所整備事業の助成と児童センター建設事業の助成についてお伺いします。 兵庫県及び姫路市等では、保育の質的充実を図るため、また地域児童の健全な育成を図るため、種々の施策を講じてきたところでありますが、その一層の充実を目指して現在苦心を重ねてきておるところであります。ついては、五十五年度予算要望に際しまして、姫路市より保育所整備事業として、的形保育所改築事業、及び児童センター建設事業として、姫路市広畑児童センターの新設事業並びに飾磨児童センターの新設事業等について、国庫補助事業の採択を願ってきたところであります。これについては、県の方としても、協議事項として挙げており、その実現を切に要望しておるわけでございます。聞くところによりますと、来る三月五日に厚生省と兵庫県との間でこれらについてもヒヤリングが行われることになっておりますが、ぜひ採択を望むものでありますが、厚生省の考え、見通しをお聞かせ願いたいと思います。
○竹内政府委員 お答え申し上げます。 いまお話しのように、児童福祉施設関係の各都道府県ごとの施設整備計画について、ただいまヒヤリングを行っておるところでございまして、まだ全県を終了いたしておりません。全体の整備計画を聴取いたしまして、かつ、当面子供の出生率の低下傾向その他も勘案いたしながら、それぞれの地域における必要な整備については、十分配慮をいたしてまいりたいと思っておりますので、先生の御指摘の点も十分考慮しながら、五十五年度の施設整備について検討を加えて、しかるべき対処をいたしたい、かように考えております。
○新井分科員 次に、来年は国際障害者年に当たっておりますが、政府としても、行動計画をつくり、積極的に取り組んでいくべきだと思いますが、どのような具体的な計画を持っておるか、御答弁を願います。
○山下政府委員 御指摘のとおり、明年、国際障害者年が完全参加と平等というテーマで行われるわけでございます。私どもといたしましては、障害者が家庭や地域において健全者と同様の日常生活を営めるような社会の実現ということを目標にいたしまして、そういった理念のもとに、国連の決議の趣旨を勘案しながら、関係省庁とも十分連絡をとりながら五十六年度の対策の前進を図ろうと考えておるところでございまして、その具体的計画ということになりますと、明年度でございますので、これから練るという段階でございます。
○新井分科員 世の中が複雑多様化する現代社会にあって、その不安定さを反映するかのように、自閉症などの情緒障害児が増加しております。その数は二万人と推定されておりますが、現在、国では自閉症患者の明確なる診断基準はできているのか。また、専門機関は全国にどのぐらいあるのか、お答えを願いたいと思います。
○竹内政府委員 自閉症児でございますけれども、診断基準自体は行政が策定するものではございません。やはり学問的に医学の世界で決められるべきものでございます。私どもとしては、その自閉症の診断基準あるいは治療の方法等についての研究費等についての助成をいたしております。私どもが承っておるところでは、一応発達過程における自閉症の臨床像のデッサンという形で、研究班の報告を五十三年度に受けておりまして、これについての対処を予定をいたしております。 なお、つけ加えさせていただきますけれども、国際的にも、自閉症については定義づけがまだなされておりません。それだけに、自閉症の症候群というとらえ方で、現実にその子供たちを福祉という観点から処遇をして、将来の社会復帰といいますか、一市民としての生活が確保され偽ようにという努力で私どもは当面進んでおるわけであります。 なお、専門のと言われますとなかなかむずかしゅうございますけれども、五十四年度現在では、自閉症のための指定療育施設として四施設を指定をいたしております。そのほか診断等の研究のために、治療研究対象として約六施設の精神病院等を中心に研究依頼をいたしてまいっておりますので、五十五年度以降、これらの施設を中心にしながら、自閉症児対策としての施設整備を逐次図ってまいりたい。当面、五十五年度においては一応六施設程度を措置費体系の中でカバーできればという考え方で準備をしておるところでございます。
○新井分科員 診断基準もそういうことでいまやっておるような状況でございますが、施設としましても、これが多いのか少ないのか、基準がないわけでございますから何とも言いようがないかもわかりませんけれども、今後そういう人たちがやはりふえてくる可能性がある。そういうようなことがございまして、ひとつそういうところによく注目をしておいていただきたい、このように思うわけでございます。 関連して文部省にお尋ねをしますが、自閉症児養育のための専門教職員の増員と施設の配置の促進をしなくてはならないと考えておりますが、どのようになっておりますか。
○戸田説明員 自閉症を含め情緒障害児につきましては、小学校、中学校の特殊学級または養護学校で教育をすることとなっておりまして、これらの学校に係る教職員につきましては、今回の標準法改正によりまして、一般学級にならって学級編制基準を引き下げてその改善を図ることとし、また、施設につきましても、その整備のために国庫負担に係る所要の予算措置を講じているところでございます。 なお、自閉症につきましては、その原因、治療方法等が確立されておらず、したがって、その教育の方法、内容等もいまだ十分解明されていませんので、今後とも国立特殊教育総合研究所などにおきまして研究を進めてまいりたいというふうに考えております。
○新井分科員 次に、重度心身障害者児医療費公費負担制度についてお伺いします。 心身障害者児の多くは、その精神的、身体上の理由により医療を必要とし、兵庫県におきましても他の都道府県同様医療費の助成を行っているところでありますが、内部障害者を含めた全国的な制度として実施されることが望ましいと考えておるわけでございますが、そのような制度を早急につくらなければならないという要望があるわけでございますが、いかがお考えでございますか。
○竹内政府委員 心身障害児の医療につきましては、すでに一定の疾患に対しまして、育成医療あるいは更生医療、あるいは小児慢性特定疾患の治療研究費等において、いわばいわゆる公費負担制度に相出するものを実施をいたしておるところであります。特殊の疾患以外の一般疾患についての医療費の公費負担ということにつきましては、国民皆保険の現在の中で、かつ高額療養費という制度の仕組みもとられておるわけでございますので、それらについてことさらな公費負担制度の創設ということについては予定はいたしておりません。ただ、繰り返しますけれども、すでに重症心身障害児あるいは重度の心身障害児の関連する医療費等につきましては、先ほど申し上げましたように、それぞれの方式で対応されてきておるということを申し上げておきたいと思います。 以上でございます。
○新井分科員 次に、難病患者の医療体制の充実についてお伺いします。 難病に罹患した患者は、決定的な治療方法もなく、治癒のめどもないまま慢性的な障害に悩まされ、かつ後遺症に苦しむなど、患者の精神的、肉体的な苦痛はもとより、家族を含めた経済的、精神的な負担は甚大なものがあります。そこで、国においては難病対策に格段の充実を図り、患者及びその家族の置かれた悲惨な状況を解消するため、次のことについて施策を講じていただきたい。一、難病の原因究明、治療及び予防方法の確立のための研究体制の強化。二、難病専門病院、リハビリテーション施設の地域的な設置及び国立病院等の難病病床の整備拡充。三、国立病院等における人工腎臓の整備及び夜間透析の実施。四、医療費公費負担制度の対象となる特定疾患の拡大。五、腎不全患者のうち外来透析患者の通院交通費の助成制度の新設。六、腎移植推進体制の整備。こういう要望が出ておりますが、これらについてまとめて御答弁願います。
○大谷政府委員 特定疾患の調査研究につきましては、原因の究明、治療方法の確立を目指しまして、現在四十三の研究班を組織いたしまして、多角的、総合的な研究を推進しておるところでございます。昭和五十五年度におきましても、従来からの疾患単位の縦割り研究方式から、専門家の方方の御意見によりまして、各研究班に共通するテーマにつきまして横割り的な横断的プロジェクトの研究方式を取り上げまして、研究全体を一層計画的に推進する考えで進んでおります。
○田中(明)政府委員 国立病院、国立療養所における難病対策について私からお答えさしていただきます。 国立病院におきましては、難病のうち主として全身性エリテマトーデス、再生不良性貧血病等、比較的急性の経過をたどる疾患を受け持つことといたしておりまして、昭和四十八年度より五十三年度までに難病専用病床三千三百床を整備してまいりました。このほか各疾患群の中心施設として国立病院、医療センターのほか六カ所を基幹病院に指定し、臨床研究部門及び研修部門等を整備し、難病患者の治療の研究及び医師の研修を行っております。 また国立療養所におきましては、主として重症筋無力症、多発性硬化症等の長期慢性的な経過をたどる疾患を受け持つことといたしまして、昭和四十八年度以降五十四年度までに難病の専用病床として一万四百四十床を整備しております。昭和五十五年年度におきましては、さらに二百床の新築整備を行うことを予定しております。また、各疾患群の医療の中心的な役割りを果たす基幹施設の八カ所に、昭和五十四年度までに特殊診療棟及び研修棟を整備しておりまして、昭和五十五年度におきましても新たに四カ所の特殊診療棟、研究検査棟を整備するほか、一カ所に臨床研修部を設置することといたしております。 さらに、これらの対策とあわせまして、脳神経及び筋の疾病に関する研究を進めるために、五十三年一月に国立武蔵療養所の内部組織として神経センターを開設し、五十五年度においてはさらに 一部の増設を行うことを予定しております。また、進行性の筋萎縮症児及び重症心身障害児につきましては、従来から国立療養所におきましてその収容、治療に当たっておりまして、昭和五十四年度末までに一万五百八十床が整備済みであります。五十五年度におきましては、在宅の筋萎縮症患者対策として、デーケア等六カ所の運営と四カ所の新設整備並びに収容愚児の成人化対策として病棟等の増改築を予定しております。 また人工透析装置の整備につきましてでございますが、国立病院におきましては人工透析装置は現在までに二十七カ所に設置しておりますが、五十五年度におきましては地域的な配慮を考慮して、他の医療機関で実施が不可能な地域を中心として二カ所の整備を行うことを予定しております。夜間透析につきましては、職員の配置及び勤務体制上の問題がございまして、その実施は当面困難であるような実情でございます。
○新井分科員 では時間がないのではしょりますが、寝たきり老人とひとり暮らしの老人の問題についてお伺いします。 寝たきりお年寄りの介護の問題については、特別養護老人ホームの農山漁村への設置と家族介護に対する援助の強化充実をしていただきたいと思うわけでございます。また、ひとり暮らしの老人への公営住宅の開放等の見通しについて、建設省の方からお答え願います。
○山下政府委員 特別養護老人ホームの農山村への設置を進めるべきではないかという点でございます。老人福祉施設のうちで、私ども、特養の増設につきましては重点を置いておるところでございますが、地域の実情を的確に把握いたしております都道府県、指定都市、その辺の整備計画を配慮し、御意見を承りながら充実をいたしておるわけでございます。農山村につきましても、その需要に応じまして整備を図っていくという考え方を持っておる次第でございます。 また、在宅の寝たきり老人に対するケアの問題でございます。各種の施策を実施いたしておりますが、ホームヘルパーの派遣あるいは施設への一時的収容と申しますか短期保護事業の拡充、あるいはデーサービス事業の拡充あるいは在宅機能回復訓練事業の拡充等につきましても各段の努力を払ってまいりたいと考えておる次第でございます。
○北島説明員 現行の公営住宅法におきましては、いわゆる単身者につきましては入居を認めておりませんが、今度の通常国会に建設省の方からひとり暮らしの老人あるいは身体障害者その他の方々につきましては、単身でも公営住宅に入居できるということを可能とする法案を提出しております。老人につきましては、これは政令で定めるわけでございますが、一応六十歳以上の方ということを考えております。
○新井分科員 今度のこの建設省の公営住宅法の改正案が提出されました場合は、ひとり暮らしのお年寄りが優先的になるだけ多く入居できるようにお願いしたいと思います。 また三代向けの公的住宅の建設の促進を図るべきだと考えておりますので、そういう点についてもよろしくお願いしたいと思います。 時間がありませんから、最後に父子家庭の問題についてお伺いをしますが、最近、離婚、妻の蒸発などによる父子家庭問題が大きく社会問題として取り上げられております。政府の福祉対策の促進が強く求められておりますが、このほど東京で開かれた全国社会福祉協議会主催による第五回全国地域福祉研究会議でもこの問題が分科会の研究テーマとして取り上げられて、現状報告や今後の問題点が検討されたわけであります。その際、三人の父親の生の声をテープで紹介され、父親たちが一番困っているのは保育の送り迎えと家事、そしてほんの少しでいいから福祉手当があれば、また全国どこへ行っても母子寮があるように優先住宅があればと父親たちは訴えておるわけであります。さらに、保育園も簡単に子供を預かってくれないし、まともな仕事をやろうと思ってもできない、現場へ連れていって仕事をするようになるといった悩みもあったわけであります。父親自身に経済力や再婚のチャンス、家政婦の雇用、親族との同居がある場合は比較的問題は少ないと言われておりますが、問題なのは家庭機能の補完の代替が全くない場合であります。特に幼い子を持つ父親ほど、妻の離婚、蒸発と同時に生活のサイクルが破れ、父子ともどもに精神的なショックにむしばまれていき、子供の養育や家事、疾病等のために定職から離れ、経済的にも不安定な状態になり、落層の道をたどっていくと指摘をされております。この問題は前にも予算委員会で私言ったことがあるわけでございますが、昨年の五月、参議院の社会労働委員会で竹内児童家庭局長は、五十五年の国勢調査で厚生行政基礎調査の上、この問題については十分留意をしながら統計的にも対象を把握していきたい、こういうぐあいに答弁されておりますが、この問題について今後重視をしていっていただきたいと思うわけでございます。まだいろいろありますが、母子家庭よりも深刻な問題だ、このように私は理解しておるわけでございますが、こういう問題について御答弁を伺って、時間でございますから、終わりたいと思います。
○北島説明員 ひとり暮らしの御老人の優先入居等につきましては、需要の実態等を見まして今後対処していきたいと思います。 それから三世帯住宅の推進につきましては、建設省も力を入れてこの施策を進めておるところでございますが、五十五年度におきましては、二世帯で同居する場合には割り増し貸し付けの制度をつくるとか、あるいは二世代にわたる承継償還の制度を創設する、あるいは公営住宅の規模を拡大して、老人同居の場合には、一種公営住宅ですが、八十五平米程度までの住宅をつくる等々の施策を講じております。今後もさらに一層の充実を図ってまいりたいと思います。
○竹内政府委員 父子家庭対策の問題でございますが、昭和五十年の国勢調査から拾いまして、父子家庭と言われるものが約十万一千世帯あるわけでございます。ただし、これはその数から申しましても、母子家庭に比べますと二割以下の数字ではございます。しかし、個別の状態を見ますと、母子家庭以上に非常に悲惨なケースというのは確かにあるわけであります。ただ、先生のいま御披露いただきました全国社会福祉協議会の調査の結果等を見ましても、父子家庭で最大の問題点として一番困っている問題点と挙げられておりますのが家事の問題、これが一三・八%を占める、その次が児童の教育の問題あるいは児童の保育の問題、これは合わせまして約二九%程度の非常に厄介な問題として指摘をされておるわけであります。この点はいま先生が御指摘されたこととほぼ似ておるわけであります。 ただ、非常にむずかしいのは、まず母子世帯に対しまして父子世帯の平均所得というのが平均五割くらい高いし、かつ、もう一つは、具体的な個別のケースについて申しますと、そういう経済面の問題につきましてはすでに世帯更生資金という形でも対処しているわけであります。かつ、子供の家庭でのしつけ、保育の問題等につきましては、そのために私どもは保育所というものの整備充実等を図ってきておるところでございます。問題は家事でございますけれども、家庭の家事の問題についてということになりますと、市民生活、個々の家庭のいわば末端中の末端で、かつ、プライバシーの問題とも絡みますので、この辺が政策的な面で施策として全国一律の形で父子家庭対策としてどうとらえていったらいいのか、この点については、私どもも、恐らく全国の市町村でも問題点については理解をいたしながらも、その手のつけ方ということについては非常に問題が残るのじゃないか。 御承知のように、確かに父子家庭の場合はある意味では母子家庭以上にケースとしては非常にお気の毒なケースというのがあるわけでございます。そういう意味では、私どもとしては児童相談所あるいは福祉事務所等が地域の福祉関係のボランティアの協力を得ながらかゆいところに手の届くようなという形で個別問題として福祉行政のあり方論の中で解決を図っていかなければならないのじゃなかろうか。父子家庭対策それ自体をいわば一つの統一的な施策ということについてはなお検討し、勉強しなければならない点が多々あるのじゃないかということで、私どももこれからも検討させていただきたいと思っております。
○新井分科員 終わります。
○大原主査代理 これにて新井彬之君の質疑は終了いたしました。 次に、村山喜一君。
○村山(喜)分科員 私は、きょう厚生大臣に終末看護体制の問題にしぼりまして質問をして所信をお聞かせを願いたいと思うのですが、私のところに手紙が参りました。その手紙の要旨を読んでみますとこういうことが書いてあるのです。「実は私ども、現在個人の誠意や経済力ではどうにもならぬような問題と現実に日夜直面しており、いろいろ思いあぐねたあげく先生に相談申し上げます。 どうぞこの手紙を没にしないで、先生の肉親の方が不幸にも植物人間になられたと仮定して、ともに考え、最後までお読みくださるよう深くお願いいたします。」それは、事例は七十歳の女の方ですが、昨年十月二十七日に脳卒中で倒れて鹿児島市内の個人病院に入院して二度にわたって手術を受けたが、それ以後意識不明で二十四時間付き添いの必要な状態で現在に至っておる。担当医からは悪くすると植物人間状態で数年生きるかもしれないという宣告がなされている。病人の夫は七十二歳でありますが、これは自分のことをやるのが手いっぱいで、これまで恩給証書を担保に前借りの生活をしたために経済的な余裕がない。病人の年金は敬老福祉年金があるだけでございますが、付添婦をつけられる状況にない。付添婦は、市内の場合に泊り込みで一日六千三百円。そこで、長女と長男の嫁がおるわけでありますが、発病以来子供たちが交代で看病に当たっているが、入院生活が長引くにつれて心身ともに皆疲れ果てておる。 現状を打開するためにその嫁さんが動いたのは、いろいろ訪ねて歩いているようですが、特別養護老人ホームに収容してもらえないだろうか。ところが、それは病院ではない、植物人間の状態ではそれに対応する施設がないんだから引き受けるわけにはまいらない、こうけられた。それから第二に、完全看護の病院に移そうということで努力をしてみたけれども、容易に見つからない。そこで、自宅に連れて帰るという問題があるわけですが、これもなかなかなれないから、鼻から流動食と薬を入れるという関係がありますので、手に負えない。そこで、国民健康保険の付添看護料の補助をもらって付添婦を頼む。しかしながら、国保会計が御承知のように大変苦しいものですから、田舎のことでありますので、なかなか出してもらいにくい。 それで、これは七十歳以上でございますので、一日四千七十円の七割ではなくて十割が支給されるということがわかったわけでございますが、そういうような状況の中から何かこういう植物人間になった人やあるいは家族を救うための制度というものはないのか、いろいろ勉強をしております、アメリカあたりではナーシングホームという施設があるようだが、日本にはなぜないのでしょうか、日本でもそういうようなものを考えてもらえないだろうかというような手紙が参りまして、それで、医療の問題や病院の問題を考えると同時に、安楽死の問題をみんなで考える必要があるのではないだろうかという手紙が参りました。 その後いろいろ本人が走り回ったようでございますが、幸いにしてこの人が昔、戦争中に日赤の従軍看護婦としてずっと台湾からシンガポール、マニラ、ラバウル、そういうところを回りまして、従軍看護婦としての経験を持っているということがわかりまして、日本赤十字社の錦江病院というところで引き受けてもらった。その結果だんだん意識が回復してまいりまして、本当にほっとしている手紙がまた後から参りました。 そこで、私は厚生省の政府委員室にこの手紙を持ってまいりまして、どういうふうに返事を書いたらいいのか実は相談をしたわけであります。その結果いろいろ御指導もいただいたわけですが、そういう問題の中から私は今日寝たきりと言われている人たちが幾らいるだろうかというのを調べてみましたら、四十三年でございますか厚生省が調査をしたものがございました。行政基礎調査、これの数字によりますと寝たきりが四十八万三千人おる。そして、寝たきり老人と言われる定義はどういうことになっているのかわかりませんが、六十歳以上の寝たきり、これが四十二万二千人おる。その中で五つの介護全部を必要とする人が十五万四千人おる。こういうことが統計的に出されているわけでございます。 そこで、私は、これから急激な老人社会に日本がなっていく、あと二十年したら六十歳以上が二〇%になる、四十年したら六十五歳以上が二〇%になるという急激な老齢化社会が目の前に押し寄せてきている。この中で、やはり人間が最後にこの世と別れていく際に、どういうような終末の看護体制というものをとったらいいんだろうかということを政治の中においても考えなければならない問題がたくさん出てきたと思うのであります。 そういうような意味で、私はこういうような手紙を受け取りました国会議員の一人として、いま要約を読み上げたわけでありますが、厚生大臣は私のいま取り上げた事例をどういうふうにお考えになるのか、御所見があれば御所見を承りたいと思いますし、寝たきり老人という定義は一体どういうようになさっていらっしゃるのだろうか、定義があればその定義もお答えを願いたいと思います。
○田中(明)政府委員 実は先生からいま御説明あったケース、私、一昨日でしたか拝見いたしまして、その家族の方は非常に大変であろうと思って、こういう人たちに対して一体どういうふうに看護、介護をしたらいいだろうかということを個人的にもいろいろ考えさせられたわけでございます。 非常に端的にと申しますか、簡単に申しますと、現在わが国におきましては、先生の御報告あったような医学的な治療、看護を必要とするような寝たきり老人といいますか、終末状態に近いような老人の方につきましては、医療機関においてその治療に当たるということになっておりますし、また、常時医学的な管理を必要としない寝たきり老人につきましては、家庭奉仕員の派遣あるいは特別養護老人ホームヘの収容というような措置が講ぜられておるわけでございます。 先生が挙げられました寝たきり老人の定義につきましては、厚生行政基礎調査で行われたと存じますけれども、ここで厳密な定義の持ち合わせがございませんので、ちょっとお答えできません。
○村山(喜)分科員 大臣の御所見、御感想はいかがですか。
○野呂国務大臣 その終末を迎えた患者に対して、看護及び介護体制というものを具体的にどういうようにしていったらいいか、いますぐに適切なお答えを申し上げることはできませんが、少なくも現在の医療機関としての体制では必ずしも十分でない、これはいろいろ検討しなければならぬ一つの問題でなかろうか、私はそう考えるわけでございます。
○村山(喜)分科員 そこで、植物人間、交通事故で若くして植物人間になって何年も生きておる人もおります。あるいは労働災害でやられた人たちがおる。そういう人たちに対してはそれなりの措置がとられておることを聞いたわけでございますが、しかしながら、脳出血等をいたしまして、そして脳内出血の血液を体外に排除する、そのために植物人間になるというケースがあります。そういうようなものに対しては、これは医療法上の対象として治療費が出されない仕組みになっているのですね。 そこら辺を考えてまいりますと、植物人間というふうになっている人たちは脳が死んでいるわけでありますが、それは現実は一体どういうふうになっているのだろうか。そして安楽死の問題については、いまでは医師にすべてを任せるという形になっておりますが、安楽死の問題について厚生省としての一つの見解というものをお持ちであろうかどうか。というのは、最近、国会議員のわれわれのところにもアンケート調査と称するものが参りまして、いろいろ意見も求められているわけであります。それは医師の良心によって処理をすべき問題という答え方が一番正しいのであろうと思うのですが、しかし、それで果たしてそのまま過ごしていい問題であろうか。倫理的な問題が中心になって考えるとおっしゃれば、それで結構でありますが、それらの問題についてのまとまった見解をお持ちであれば明らかにしていただきたいと思うのであります。
○田中(明)政府委員 結論から申し上げますと、厚生省としてまとまった考えは持ち合わせてございません。安楽死につきましては、いろいろな方々からいろいろな意見が出されておるわけでございますが、判例などを見ましても、治癒することのできないような病気を持った患者さんが非常な苦痛を味わっているというような場合に、その患者さんの苦痛をやわらげるという目的で何らかの処置をするということが具体的なケースとして問題になっているようでございますが、その場合に患者の苦痛をやわらげるための治療、投薬等が結果的にはやはり患者さんの体力を弱らせるというようなこともあるわけでございます。そこら辺は治療として考えるか、あるいはさらに一歩進んだ処置として考えるかというようなことが非常にデリケートな問題となるように了解しておりますけれども、そういうような場合に患者さんが意思が表明できる場合には、患者さんの意思の表明を伴うとか、あるいはそれにかわるべきような家族等の意見等も参考にして、この当否が論ぜられておるようでございますが、先生も御指摘のとおり、生命というのはどう考えるかという人間存在の根源にも深くかかわっておる命題であると考えますので、厚生省といたしましては、現在のところ、これについての国民的合意が形成されるというのを待っているような状態でございます。
○村山(喜)分科員 手紙にこう書いてあるのです。「担当の先生からも意識回復の見込みがないと言われ、鼻からの流動食と薬でただ生を保つだけの人間を生かし続けるのは、患者も家族もかわいそうではないか。老人医療無料化の恩恵を受けてすでにむだな税金をたくさん使っているのだから、もうここら辺であきらめて生命維持装置を外し、家に連れ帰ればいいではないかという人々もいます。けれども、患者を敬愛する肉親としては、心臓が強く鼓動している限り、そんなむごいことはできません。患者は三十六歳まで日赤の従軍看護婦として働き、母としても人間としてもとてもりっぱな人でした。」こういうような手紙が来ているわけです。 そこで、この問題は、厚生省という国民の医療を守るという立場から、やはりそれぞれ医者としての個人的な見解というようなものはお持ちでありましょうが、この問題については政治が介入すべき問題なのか、あるいは医者の倫理として判断をすべき問題なのか、いずれにしましても避けて通ることはできない問題じゃないだろうかと思うのですが、野呂厚生大臣、御検討になる御意思はございませんか。
○野呂国務大臣 こうした終末期を迎えた寝たきり老人、いわゆる植物人間として病に横たわっていらっしゃる方々を考えまして、これは単に医学的な範囲の中で問題の解決ができるのかどうか、これは非常に判断に苦しむところでございます。先ほども医務局長がお答え申し上げましたとおり、倫理的なもの、社会的なもの、そして国民の合意が形成された場の中でこういう方々に対して、たとえば安楽死といった問題をどう関係づけていくのか、これはよほど深刻な問題として考えていかなければならぬことでないだろうか。私は、単に医学的な問題で処理できるものではない、かように思います。
○村山(喜)分科員 そこで、私はこういう終末看護体制の問題を、いろんな立場から解決の方向を探らなければならないと思うのです。諸外国に見られるナーシングホームの設置の問題であるとか、あるいは国立療養所の持っている機能を活用する問題であるとか、あるいは特別養護老人ホーム、現在は社会福祉施設として位置づけているわけでありますが、これの制定、発展の過程から考え、今日の果たすべき役割りから考えてまいります場合には、収容している人たちが、そういうような老人性の病気を持った方々が大部分でありまして、そういうような状況を考えてみると、医師の管理のもとに置かなければならない施設ではなかろうかと思うのです。そういうような意味から特別養護老人ホームを活用をし転用をする、転換をするという検討も必要ではなかろうか。 また、ホームヘルパーは、ことし予算の中で百名ほどふやしてあるようでございますが、しかしながら、これとても、全部の介護を必要とする人が十五万四千人もおるのに、その全部の介護を必要とする人にさえも回り切れないぐらいの人員にすぎません。これをふやすという点も考えなければならないだろうし、あるいはいま心身障害者、障害児も含めて、それと老人のそういうような介護を要する者、それには限度がありますね、いわゆる所得割りの税金を納めている人には。これは所得税の非課税の者を対象にしているわけでありますが、そういうような者以外にも難病で寝ている人もおります。あるいはもっと介護を必要とするような人たちも、一部介護を必要とする人たちもおる。そういうような問題を考えてみた場合には、家庭に介護員を派遣する、そういう法律を制定する必要はないかどうかというような問題も考えてみなければならない。あるいはいろいろなところで研究をし、自治体でも創意工夫を重ねながらやっております。武蔵野市の契約福祉あるいは大阪のボランタリア労働銀行、そういうような民間のボランタリア活動というものも取り入れながらこれらの問題に対処していかなければならない。こういうことを考えてまいりますと、一体この終末看護体制の問題を厚生省はどういうところに力点を置きながらこたえようとしているのか、その柱は一体何だろうか、このことをお聞かせいただきたいのです。
○田中(明)政府委員 まず、ナーシングホームについてお答え申し上げたいと思います。 欧米におきましては、先生御指摘のとおり、いわゆるナーシングホームという施設が相当数存在しておるわけでございまして、その内容や性格を見ますと、医療施設の一形態であるようなものがございますし、また一方においては福祉施設と考えた方がいいようなものもございます。それぞれの国によってその様態が異なっているというふうに理解しております。 わが国におきましては、先ほど申しましたように、医療サービスを要するものは医療機関で、それから、それを要しないようなものは福祉施策の中で対処するというふうになっておりまして、今後この医療と福祉の連携を密にして、いろいろな種類の患者さん、老人の方に対してその要求に対応できるように考えてまいりたいと思っております。 また、国立病院、療養所でございますが、国立療養所におきましては、五十五年度、三カ所についてモデル的に、老人の慢性疾患医療を行うための施設を運営するということで予定しております。そのうちの一カ所は、通院部門を強化するためデーヶア等を整備することを考えております。また国立病院におきましては、急性機能脳卒中等の老人性の疾病について従来ともその診療を行ってきておるわけでございますが、特に老人専門病院、病棟というものをつくる考えはございません。
○山下政府委員 社会福祉施設の中で特別養護老人ホームが、特に体の弱い、介護を要する方を収容いたしますので、医療施設に一番近い位置にある社会福祉施設であることは間違いないと思っておるわけでございます。医師の配置あるいは看護婦の配置等につきましても配慮をいたしておるところでございます。しかしながら、終末期の植物人間というような状態になりました場合の、いわゆる濃厚な医療あるいは高度の医学的管理を必要とするという場合につきまして、特別養護ホームという形で対処するのにはおのずから限界があるのじゃないかと思うわけでございます。 事例的には、民間でよく老人の方を主として収容するような病院をつくり、その隣に特別養護老人ホームをつくり、さらにその隣にまだ健康な方の養護老人ホームをつくり、三つを地域的に結合して設置して、大変うまく運営しておられる。通常の介護で済む場合には特養で、医療を必要とするのだったら病院に移して、治ればまた帰すというようなやり方をしておるような、一つの理想的なやり方があると思いますが、こういった考え方というものは今後一層推進せられるべきものではないだろうかと考えております。 なお、ホームヘルパーは年々増員をいたしてきております。ただ、御承知のとおりの自治体の定員事情その他がございまして、上がってくる要望がなかなか思うようでございません。今後ともこの充実には心がけてまいりたいと思っておりますが、法律の制定の問題につきましては、かつて社会党案というのがございました。十分ひとつ検討させていただきたいと思って、現在はまだ結論を出しておらぬわけでございます。 あと、お触れになりましたのは、いわゆるホームヘルパーは現在所得割りがかからない程度の層、公的な施策としてはどうしても低所得階層を優先せざるを得ないという事情から、そういうことで従来やってきておるわけでございます。しかしながら、今後、社会のニードと申しますか、御指摘のような御要望が出てくるかと思います。それにどう対処していくか。あるいは有料ヘルパー制というようなものを考えるか。あるいは現在労働省関係では、いわゆる家政婦制度というようなものもございます。そういったものとの関係、あるいは現在の公費で負担するホームヘルパーと別建てにするのか、延長で考えるのか、いろいろ検討しなければならぬ問題が多うございます。早急に検討を迫られておる問題の一つというふうに私ども意識をいたしておるわけでございます。 なお、ボランティア活動一般の振興につきましては申すまでもないことでございます。
○村山(喜)分科員 ただいまの局長の説明の、いま同一敷地内に病院があるような特別養護老人ホームというのは、統計によりますと四十四カ所、一二%しかないのですよ。協力病院さえも持っていない特別養護老人ホームがあるということを指摘をしておきます。 最後に、これは大臣にお伺いをしてひとつ決意の一端をお聞かせ願いたいと思うのは、老人ケアのあり方の問題でありまして、日本医師会の新聞を見ておりましたら、ねたきり老人問題委員会というのを発足をして、そこには、医者の資格でこれは入っていらっしゃると思うのですが、厚生省の社会局の老人保健課長の古市圭治さんもメンバーの一人として入っていらっしゃるようですね。それで、私は、民間のそういうような団体がこれからの老人のケアの新しいあり方の問題をめぐって検討し始めている、喜ばしいことだと思うのですが、やはり厚生省としても、こういう状態に立ち至っている状況の中におきましては、先ほども寝たきり老人の定義さえも明確になされていない、こういう状態では困るのでありまして、やはり高齢化社会を目の前にして老人ケアの問題というものは、これはもう深刻な問題として受けとめなければならないと思いますので、形はどういうようなものであってもよろしゅうございますが、やはり厚生省内に検討委員会みたいなものをおつくりになって、総合的な見地から医務局あるいは公衆衛生局や社会局や、総合的なものとしてそれをとらえていくということが必要ではないだろうかと思いますので、それについては大臣のお答えを願いたいと思うのです。
○野呂国務大臣 村山先生からいろいろ御指摘になられた問題点は、現在の老人医療、とりわけ植物人間といったような大変お気の毒な状態にある方々を含めまして今後どういうふうに取り組んでいったらいいか、現在の医療制度の中において、あるいはまた特別養護老人ホームといったような社会福祉施設の制度の中においても、何か谷間の中に置かれておるといったような心配がするわけであります。老人医療制度の抜本的な改正も急いでやらなければならぬ。それを含めまして、こうした谷岡の中にある気の毒な方々に対してどう対応していくか。これは、私は、一つの当面しての大事な課題ではないだろうか。十分心いたしまして、いろいろ関係の者と話し合って、そういう方向をどういうふうに持っていったらいいのか、検討さしていただきたい、かように考えます。
○村山(喜)分科員 これで終わります。
○大原主査代理 これにて村山喜一君の質疑は終了いたしました。 次に、宮地正介君。
○宮地分科員 限られた三十分という時間でございますので、どうか答弁の方は簡潔にして明快によろしくお願いをしたいと思います。 初めに、大臣もオープンのときにはお越しいただきました、所沢にございますところの国立身体障害者リハビリテーションの問題について、何点か具体的にお伺いをさしていただきたいと思います。 〔大原主査代理退席、津島主査代理着席〕 特に、厚生省の理療教育関係からの資料によりますと、最近の臨床実習の状況につきまして、ことしの一月十日から二十一日までの一週間、所沢におきましては、あんま、はりの内外の臨床実習三十一名、一日平均四・四、東京の梅里においては一日平均七・七、所沢、梅里と合わせますと一日平均十一人、こういうことの報告をいただいているわけでございますが、この臨床実習につきましては、御存じのように、所沢に移される時点におきまして厚生省とこのリハビリテーションセンターの学友会との間で、はり、あんま二十名ずつ四十名という確認があったと聞いておりますが、この点について、この確認に向かってどういうように御努力されておるのか、最初に伺っておきたいと思います。
○山下政府委員 先生に御説明申し上げました以後一番新しい現在の数字を把握してまいったわけでございますが、所沢リハにおける臨床実習患者と、それから東京の梅里に分室を置いております、そこで実習いたしております患者、合わせまして現在は二十二人ということで、若干の改善を見ておるということを御報告申し上げたいと思います。旧梅里に視力障害センターがございましたときはおおむね十数名程度ということで、現時点ではそれを上回ることができたわけでございますけれども、御指摘のとおり理想的には四十名程度の患者が欲しいわけでございます。それにはまだ及んでおらないわけでございます。昨年の設置法審議の際におきましても、それを目標として努力していこうではないかということで御答弁を申し上げているわけでございます。今後この実習患者の確保ということにつきまして努力をいたさなければならぬのでございますが、先生よく御承知のことだと思うのでございますが、やはり地元の鉄灸、あんま、マッサージ師の業界の方の営業権と申しますか、これを侵害しない形におきまして地元業界の方の御理解と御協力を得ながらこれをふやしていかなければならぬということで苦労があるわけでございますが、その努力を続ける。なお、地元所沢市以外の地域で近郊のところから、できれば社会福祉施設でありますとかあるいは老人クラブでありますとかそういったところに呼びかけて患者さんをお連れをするという努力もあわせ行いたいということで、三療の教育にとりましてこの問題が非常に重要な問題だという意識は十分持っておるわけでございまして、努力を重ねてまいりたいと思っておるわけでございます。 なお、とりあえず梅里の実習センターを、限時的に置いたわけでございますが、もう一年延長をするという考え方で踏み切っております。私どもの希望的な観測といたしましては、この四月から病院部門が開設をいたしますが、それによりまして若干の患者等も参りますので改善も図られるのではないかという期待も持っておるわけでございます。
○宮地分科員 いまもお話がございましたが、この地元の業界との確認書の問題が大きな壁になっているようだというお話が、地元でございます。大変にむずかしい問題でございますが、厚生省といたしましてもどうか積極的にその調整役に入っていただきまして、本来の機能を果たさせていただきたいと思います。 ただいまも病院の問題が出ましたが、この七月にこのリハビリの病院が開設になるようでございますが、この病院の地元における市民への開放、これについてはどのような取り組みをされておるのか。 また、ただいまの訓練生活にかかわる問題といたしまして、特に世帯の更生資金貸付金の問題についてでございますが、現在は百二十万円の貸し付け制度があるわけでございます。金利も三%、一年据え置きということで返済が九年、こういうふうになっているわけでございますが、実際、あんまさんやはり、こうした方々が社会に出ていくときに、開設資金としてこの百二十万円が果たして現在の実情に即しているかどうか。また、これも、実際伺いますと、社会福祉協議会を窓口といたしまして、その貸し出す金額は五〇%ぐらいが平均と言われておる。百二十万を全部借りられる方は少ない、こう言われております。私は、そうした貸し付け問題についても、本来的なこのリハビリテーションの機能あるいはその目的というものを考えたときには、少なくとも三百万なり五百万、あるいは金利にいたしましても三%以下にするとか、あるいは据え置きについても二年、あるいはもっと十五年ぐらいに返済を延ばすとか、もっと経済環境に見合った、また、こうした訓練を受けた方々の社会復帰がさらに促進されるような具体策が必要ではないか、こう思うわけでございますが、この二点について簡潔に、結論で結構ですから伺いたいと思います。
○山下政府委員 リハセンターに付設されます病院は、もう先生よく御承知のとおりに身体障害のための専門病院でございますので、一般市民への開放は考えておりません。しかしながら、身体障害者もしくは身体障害になるおそれのある地元の方、これは当然、御趣旨に沿うて対処をいたしていくという考え方でございます。 世帯更生資金の問題、御指摘を受けました。予算が成立いたしました後、例年、この内容改善について協議をいたすことになっております。利率等につきましてはなかなかむずかしいかと思うのです。一般の横並びもございます。限度額等につきましてできるだけの努力をいたしてみたい、かように考えております。
○宮地分科員 できるだけの限度額の努力というととは、拡大に努力する、こう理解してよろしいですか。
○山下政府委員 そのように御理解いただいて結構だと思います。
○宮地分科員 さらに、これもたっての大変な希望があるわけでございますが、地方センターの特に福岡と神戸、ここの寮生の現在入っている数、この問題について、やはり所沢と同じように八畳二名制をという御要望が大変強いわけでございますが、この点についてはどのように検討されておりますか。
○山下政府委員 所沢につきましても、たてまえは四名部屋でございます。二名部屋ではございません。ただ現在、入所者がなお少しあきがあるということで、事実上の使い方として、広い部屋を三人で使うというようなやり方をいたしておるわけでございます。 福岡その他のセンターの寮の改善、環境の改善ということにつきましては、今後とも努力をいたしてまいりたいと考えます。
○宮地分科員 細かいようでございますが、理療の教育関係の問題で、教材器具の充実の中で、特に人骨による解剖模型がいまこのリハビリに一体もない。近くの川越の盲唖学校などは三体程度あると言われておりまして、文部省所管の施設と少し開きがあるじゃないかということで、実際のこの実習を促進していく上において人骨による解剖模型あるいは触察模型、こうしたものを近々教材器具として導入する考えがあるかどうか。 さらに、五十六年度に理療の教官養成コースをいま検討されているというふうに伺っておりますが、これについてはどのように検討をされておるか。でき得れば、この理療教官養成コースの検討段階において、PT、OTと言われるこの問題については取り組まれる御用意があるかどうか、この点あわせてお伺いをしたいと思います。
○山下政府委員 ちょっと細部を正確に調べてまいりませんでしたので答弁が不正確になるかと思いますが、人骨模型、ただいまないようでございます。今後、認定規則、一定の要件を備えなければなりませんが、それに従いまして整備計画を立てて整備をいたしていくという考え方に立っておる次第でございます。 それから、一般的にこのリハセンターにおきます養成研修が本格化いたしますのは、われわれのプログラムによりまして、今年度病院が開設する、その病院に引き続きまして、五十五年度、五十六年度におきまして養成研修棟を建設するということで、実施設計費が今年度予算化されているわけでございます。この養成研修棟が完成いたしました五十七年以降、従前の意味での本格化した養成研修ということになっていくと思うのでございますが、それまでの間におきましても、従来やっております聴能士、言語士あるいは義肢工師、こういったものは実施をいたしております。 ただいまの理療科の教官の養成問題につきましても、明年度から始めることを検討いたしているところでございます。
○宮地分科員 最後に大臣にお伺いしたいのですが、大臣もあのオープンのときに来ていただいて、大変なお祝いのごあいさつをされ、私も同席させていただいたわけです。日本一のりっぱな国立リハビリテーションが、この都心三十キロ圏の埼玉県所沢にできました。お隣には職業リハビリテーション。こうした身体の不自由な方々の社会復帰を目指して、国家予算をもとにしましてりっぱな施設ができました。大臣も、この施設がどう生かされ、機能するかがこれからの問題である、こうおっしゃいました。しかし、いま私は何点か細かな問題を局長さんに伺ってまいりましたが、まだまだ不備な点が若干あります。どうかこういう点についても、機能を生かす意味におきまして積極的に、これだけのりっぱな施設の運営、また効果あらしめるように、私はさらなる努力をしていただきたいと思いますが、この点についての包括的な大臣の御決意と今後の抱負を伺っておきたいと思います。
○野呂国務大臣 国立の身体障害者更生援護施設があのようにりっぱに誕生いたしたわけであります。したがって、こうしたリハセンターとしての国立施設として、その施設をさらに完備し、あるいは機能をより高めていって、こうしたものに対する研究機関としても大事な役割りを果たしていかなければならぬと私は思います。また、こういう関係者の養成機関でもありたい。さらにまた地域との融和も十分考えていく。総合的に国立としての機能をより高めながら、地域社会の上にも大きな役割りを果たすようなりっぱなセンターになるように、さらにいろいろ工夫を重ねながら整備充実を図ってまいりたい、かように考える次第でございます。
○宮地分科員 いまお話しの、特にこの地元地域との融和、調和。また、国立リハビリテーションのあの国有地は、大変残念でございますが、戦争の大変な、米軍基地の跡地でございますし、そういう中で戦後三十五年間、地元所沢市民の皆さんも大変な御苦労をした地域でございます。先ほどの病院の、市民の皆さんの中の身体不自由な方々への開放とあわせ、どうかそうした面で積極的な対応を今後ともお願いをしたいし、また地元の方方の中には、りっぱな建物だけれども、なかなか申し込んでも入りにくい、事務手続がむずかしい、こういった声も現実にあるわけでございます。社会福祉事務所を通じ、県を通じて——目の前にりっぱな施設がありながら自分の親族の身体障害者がなかなか入れない、こういった声もあります。どうかそういうような声にもぜひ対応をしてあげていただきたいと思うわけでございます。いまのは要望でございます。 次に私は、地元のそうした問題とあわせまして救急医療の問題について、昨年も少し伺ったわけでございますが、特に厚生省が、五十三年の医療施設、病院報告というのをこの二月の十日にまとめまして発表になりました。大都市周辺は医療砂漠である。人口増に追いつけない。特に東京周辺の神奈川、埼玉、千葉といった地域におけるこの医療砂漠の実態が明らかにされたわけでございます。そういう中で、私は特にいま申し上げました所沢市には、国立の西埼玉中央病院がございます。この国立病院におきまして、五十年度から年年予算は確かに絶対額ではふえているわけでございます。五十年度十五億七千万から五十三年度は二十二億四千万。しかしながら、全国の予算との比率を少しきめ細かく調べてまいりますと、若干でございますが、五十年度は全国一千五百十億円の中の十五億七千万、一・〇三%という実態であります。しかし、五十三年度は二千三百四十二億の中に占める西埼玉中央病院は二十二億四千万、比率にしますと〇・九五、残念ながら絶対額ではふえておりますが、比率の面では減少傾向にあるということを私は見逃してはならない。そういう中において私は特にこの皆さんのいただいた資料の中においても、この西埼玉中央病院がベッドが三寸七十一ございますが、五十年度以降若干は改善はしつつも、いまだに四十前後のベッドが空いておる。いろいろ理由はあろうかと思いますが、先ほどの医療砂漠という大都市周辺の実態から見ますと、この四十ベッド近い空きというものは、住民にとってはのどから手の届くほど欲しいベッドであります。改善をしている努力については十分理解できますが、この点についてはどのように対策を講じてこられたのか、伺っておきたいと思います。
○田中(明)政府委員 御指摘の定床数と一日平均の入院患者数の関係でございますが、三百七十一床のところ、五十四年度の四月から十二月までの統計によりますと、三百四十人平均して入っておるわけでございまして、確かにまだ三十一空いておるとも言えますが、これは御案内のとおり、完全にいっぱいになるというふうには運営上いかない性質のものでございまして、すでに九〇%を超えておるわけでございますので、私どもといたしましては、現在ある病床につきましては非常によく利用されているのではないかというふうに考えております。
○宮地分科員 そこで、急患の取り扱いについて、まず私は、これは大きな問題ですから大臣に一言伺っておきたいのですが、救急医療懇談会が五十一年の七月十三日に当面とるべき救急医療対策というものについて報告をしているわけでございます。その中で救急医療の問題についての特にたらい回しの問題ですね。これについてこういうような見解を述べているわけでございます。一回以上転送された転送回数を意味するいわゆるたらい回しは四・七%である。患者を乗せて救急車が医療施設から医療施設へたらい回しされるケースは比率としてはかなり低い。しかし四回以上のケースは全体の〇・二%にすぎない、こう言っておるわけでございます。しかしながら、絶対数に置き直してみると、一から三回転送された者は六万一千人、四回以上の者は三千人、合計六万四千人に上る、こう推計されます。事は人命に関する事柄でございますので大変重大な問題であろう。六万四千人の人が現実のたらい回しを受けている。これは人命尊重の面からさらに徹底した改善が必要であろう、こう思うわけでございます。この点についての大臣の所見を伺いたいと思うわけでございます。 それと先ほど来から申し上げておりますように、この人口急増地域においては医療砂漠、特に埼玉県は医療砂漠でも大変に厳しい県と言われております。そういう中で、たまたま人口急増の所沢市には防衛医科大学、国立西埼玉中央病院という国立が二カ所ございます。しかし、いま局長さんがベッドが空いているのは当然だというような感じでおっしゃいましたが、それはある程度の余裕というものも必要であろうかと思います。しかし、五十年代から開設されて以来、五十年度は五十二のベッドが空いておりました。五十一年度四十一、五十二年度三十、そして五十三年度三十七という、若干こうした改善はしつつございますが、依然として四十に近い段階のベッドが空いている。これは地元のそうした人口急増、また医療砂漠のそうした実態、またいま申し上げましたたらい回しといったような、こういう人命尊重という立場からもう少し圧縮すべき努力が必要ではないか、私はこのように思うわけでございますが、この点について大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○田中(明)政府委員 大臣の御答弁の前に、救急一医療対策につきまして厚生省としてやってまいったことを簡単に御説明いたしたいと思いますが、御案内のように、昭和五十二年度以来計一画的にその推進を図っておるわけでございまして、初期と第二次につきましてはかなりの整備が全国的にも図られてきたと思っております。ただ、第三次のいわゆる救命救急センターにつきましては、御案内のように、設備及びその人的な医療従事者の面で非常に高度な専門技術を要するというような面におきまして、必ずしもその体制が整っている県はまだ多くはないわけでございます。 それから、最も重要な問題といたしまして、そういう救急医療機関間の連携というのがたらい回し等を防ぐためにはどうしても必要なわけでございますが、この医療情報システムの開発が最もおくれております。これはその技術そのものの開発が非常におくれたためもございまして、まだ十数県きり実施されていないというような状態がございますが、鋭意その充実に努力しているところでございます。
○野呂国務大臣 人口急増地域に対しまする医療機関の整備の問題、また救急医療対策につきましても、これは十分整備計画を進めなければならないわけでございまして、先ほど政府委員からお答え申し上げておりますとおり、五十二年からその計画が若干おくれておるやに考えられますが、なお、いままで行ってまいりました現行の救急医療体制というものがこれでいいのかという評価、そしてまた、今後の課題としてどのようにこの問題を推し進めていくかということにつきまして、救急医療実態調査を五十五年度に行うということでございます。こういう調査を通しまして今後これらの問題について対処してまいりたい、かように考えます。
○宮地分科員 最後に一点だけ、考え方とまたどういう努力をされたか、伺っておきたいと思います。 いわゆる医薬分業の問題について、御存じのように、すでに強制分業国あるいは強制ではないが実際に分業をしている国、未分業国となると日本、韓国、こういったようなことでほとんどの先進国は医薬分業に実際に踏み込んでいるわけでございますが、この点について政府委員の皆さんはこの医薬分業推進のためにどういうふうに御努力をしておられるか、これを具体的に御説明いただきたいし、この問題についての大臣としての見解はどうお持ちなのか、大臣に伺っておきたいと思います。
○山崎政府委員 私ども医薬分業というものは大変大事なことだと思っておりまして、とりわけて医師と薬剤師がそれぞれの職能を専門業種において発揮する、そして国民医療の向上に尽くすべきである、こういう観点から見ますときわめて大切であり、重要でありまして、これを積極的に推進していくというのが私どもの立場でございますし、それなりの努力は払ってきたつもりでございます。 ちなみに、四十九年の九月の処方せんの発行枚数は五十七万枚ということでございましたが、五年後の五十四年の九月の発行枚数は三百四十二万枚、六倍にふえておるという実績もあります。ただ、全体の調剤の中に占める処方せんの外へ出すというものは、長年の慣行もございまして、欧米諸国と比べますとまだ格段の差があることも事実であります。私どもは基本的にそういう実態を踏まえまして、とりわけて各地域におきましてお医者さん、薬剤師さん、それぞれのお話し合いなり相互理解あるいはそこに患者さんというものも含めました協力、こういうものがあって初めて円滑な進展なり発展が保たれる、可能となる、こういうことでございますので、とりわけて国民に対するPRも大事だと考えております。とりわけて薬剤師側でございまして、調剤技術の向上なりあるいは分業の推進の指導者講習なり、こういうものに力を入れてまいっておりますし、また物的な設備といたしましては調剤センター、検査センター等の補助その他もやって基盤整備に努めているところでございます。
○野呂国務大臣 医薬分業は国民医療の向上の上に大変大事な課題であるというふうに私は考えておるわけでございます。まだ十分とは言いがたい面があろうかと思います。基盤整備を初めあるいは国民に対しての十分な普及をいたしまして、国民の御理解をいただきながら、さらにこれを進めてまいりたい、かように考えております。
○宮地分科員 終わります。
○津島主査代理 これにて宮地正介君の質疑は終了いたしました。 次に、河野正君。
○河野(正)分科員 私は被差別部落の抱えておりまする問題についてお尋ねをいたしたい、かように思うわけでございます。時間の制約もあることですし、しかも抱えておる問題というのは非常に多いわけでございます。したがって、ひとつお答えの方も簡明率直にお答えをいただきたい、かように考えます。 そこで、きょうは厚生大臣の所管にまつわる問題にとどめるわけでございますけれども、本論といいますか、具体的な問題に入る前に、これらの部落問題に対しまする大臣の基本的な姿勢についてまずお尋ねをいたしておきたい、かように思います。 私どもは、特にこの問題の解決のために重要視しなければならぬ幾つかの点がございます。その中で特に私は憲法の中の二つの点を指摘をしておきたいと思います。その一つは、憲法第二十五条のいわゆる最低生活の保障の問題、それからもう一つは、憲法第十四条の法のもとにおける平等の問題、これはいろいろございますけれども、私はこの二点の立場から、後ほど具体的な問題の追及に入ってまいりますので、まずそうした大臣の基本的な姿勢についてひとつお答えを願いたい。
○野呂国務大臣 同和対策事業も特別措置法も期限切れという今日、それに対応いたしまして、これはまさに国民的課題でございますから、さらに総合的にまた多角的にも検討が必要である。私もかつて自由民主党の中における同和対策特別委員会にも所属いたしておりまして、いろいろこのことについての実態を承知いたしておるわけでございます。私は、この問題はまだまだ十分とは言えないという考えを持っておるわけで、さらにこの事業の推進をより進めてまいりたい、こういう姿勢でおるわけでございます。
○河野(正)分科員 実は、実態も承知をしておる、また非常に大事な問題だから、その解決のために努力していかなければならぬ、それは言葉はそのとおりです。でございますけれども、今日までのこの解決の状況を見てまいりますと、措置法の問題もございます。けれども、なかなか具体的に解決を見ておらないというのが今日の状況だと思うのです。それはもちろん一朝一夕に解決する問題ではないわけでしょうけれども、しかしその解決が非常に遅々として進んでいかない、こういう状況でございますので、やはり努力するとかあるいは大事な問題だとか、そういう観念的なことではなくて、基本は、私がいま指摘しましたように、憲法の十四条あるいは二十五条の精神に立って早急に具体的に解決をしていかなければならぬと思うわけでございますから、いま一度ひとつ大臣の御見解を承っておきたいと思います。
○野呂国務大臣 これは厚生省だけの問題ではございません。特に総理府もこれに関係する省庁でありますので、こういうところと私どもは十分検討をいたしてまいっておるわけでございます。同和問題の早期根本的な解決を目指していろんな施策を進めていくという姿勢は御理解をいただきたい、かように思います。
○河野(正)分科員 いま大臣おっしゃいましたけれども、各省にまたがっていることはそのとおりなんですよ。そこで私は冒頭に、きょうは厚生大臣の所管にまつわる点についてお尋ねをしておるわけですから、やはり各省ではなくて、まず厚生大臣はかく努力するんだ、そういう熱意というもの、誠意というものを示していただかなければならぬと思うのです。 もう時間がございませんから、そこでだんだんと問題点に入ってまいりたいと思いますが、いま実態はある程度承知しておるというふうな御見解もございました。この実態の把握については、もうすでにこの措置法が三カ年間延長されました際の附帯決議の中の一項としてこのことが明記されておることは大臣も御承知のとおりだと思うのです。ですから、単に実情を知っておるということではなくて、その実態というものを厳密に把握してもらわぬ限りは、諸問題を具体的に解決するということは非常にむずかしいと思うのです。ですから、解決するためにはまず実態の把握ということですけれども、それがどうも口頭禅に終わっておるという感じがするわけです。そこで私は、この点について大臣の御所見をいま一度伺っておきたいと思います。
○野呂国務大臣 厚生省といたしましては、この同和対策の事業に真剣に取り組んできておると思うのでございます。もちろん限られた予算でございますけれども、五十四年度までに計上いたしました予算額は二千三百四十七億円にも達しておるわけでございます。 〔津島主査代理退席、主査着席〕 私は相当な成果を上げてきておるのではないか、かように考えておるわけでございます。
○河野(正)分科員 問題が非常に多いわけですから、いま二千三百四十七億を計上したとおっしゃるけれども、それで満足してもらっては困るのです。残事業の問題等もございましょう。これはやってもやっても問題が非常に深刻なだけなかなかむずかしい。だから、それで大臣が満足をされては困るのですよ。 そういう意味で、あと具体的な問題に入ってまいりたいと思うわけですが、まず私は憲法二十五条を冒頭に取り上げました。その一環として部落の健康問題についてひとつお尋ねをしてまいりたい、こう思います。 この部落における健康状態というものが非常に劣悪であるということは、もう大臣も粗々御承知であると思うのです。具体的には部落における有病率が非常に高い。極言すれば部落の中の三分の一の方が何らかの形で健康を損なわれるというような状況もこれあるようでございます。そこで私は、そういった状況に対して実態把握が必要だとおっしゃっているわけですから、どういうふうに把握しておられるのか、まずひとつそういう点に一ついてお伺いしておきたいと思います。
○大谷政府委員 同和地区におきます保健衛生の状態につきましては、市町村、保健所等で個別にその把握に努力しているところでございますが、国全体としての統計的な把握はいたしておりません。
○河野(正)分科員 実態を厳格につかむということは非常にむずかしいでしょう。しかし、いま私が部落の中の三分の一程度は何らかの形で健康が冒されておるというふうな御指摘をいたしたところでございますけれども、そういうように有病率が極端に高い、このことは非常に明白だと思うのです。それにはいろいろな理由があると思いますけれども、どういう理由でそういう状況になっておるのか、ひとつ見解をお聞かせいただきたいと思います。
○大谷政府委員 私どもの統計のとり方というのがやはりそういう個別の標識でとらえるというやり方が国全体といたしまして非常にむずかしい、方法論としてまことにむずかしい点がある、こういうことでございまして、たとえば死亡率等にいたしましても、市町村別にとるというのもこれは相当、たとえばがんの市町村別の死亡率をとるにいたしましても、先生御承知のように従来からこれがなかなかむずかしくて、研究班等を動員してやっととれておる。同和地域の場合はさらに小地域でございまして、これをどういうふうに標識するか、技術上もなかなかむずかしいところであるというふうに私どもは考えているわけでございます。
○河野(正)分科員 そういうふうに有病率が高い。そのよって起こってくる原因というものは何か、ここをしっかり把握しなければ対策は立たぬでしょう。たとえば非常に部落の生活環境が悪い。あるいは失業者も多いし、後ほど生活保護についてはお尋ねいたしますけれども、低所得者階層というものが非常に多い。それからやはり重労働という問題もございます。そういった数々の原因があって、そして有病率が高いわけですから、そういう原因というものを何らかの形で除去しなければならぬ。とにかく雇用を安定させるためには特別措置法の問題もございましょう。あるいはたとえば診療所をつくるというような問題もございましょう。それから所得を高める問題、これはむしろ労働省の問題でしょうけれども、そういった問題がございます。やはりそういった有病率が高いという原因を把握していただかなければ、それは解決に一歩も近づいていかないと思うのですよ。そういう意味でちょっといまの局長のお答えは、私は非常に残念に思います。 そこで私は、時間の制約がございますのでできるだけ具体的に申し上げてまいりますので、答えも率直にお答えをいただきたい。これはある地域におきます調査の結果でございますけれども、実は肝疾患が非常に多いという結果が出ておるのです。ですから私は、これもやはり部落における一つの顕著な特性ではなかろうかというように考えるわけです。こういった肝疾患が非常に多い。それならば一体どういう理由かといったなら、重労働の問題もございましょう。あるいは所得が少ないものですから、一生懸命にがんばらなければならぬ。体は少々ぐあいが悪くてもがんばらなければならぬ。そういう過労の問題もございましょう。あるいはまた健康保険というものがない。そういったいろいろな理由があると思うのです。局長は医者の出身でもございますから、私が申し上げることは十分御理解がいただけると思うのです。そういう特殊性によってこういう病気というものは発生する。だからその根元を把握をして解決してもらわぬことには、ただ有病率が高い、何とかいたしますだけでは前進にならぬと私は思うのです。これらについて、この点は大臣からお答えをいただきたい。
○野呂国務大臣 いろいろな原因があり、生活環境がまだ十分豊かでないといったような問題、あるいは仕事、過重労働といったような問題など、御指摘になったような点、これは総合的に検討し、そういう環境改善を進めなければ、ただ診療所を置いたからそれでいいんだというわけのものではないと私は思います。十分御指摘について、これは総合的な施策をより進めていくということ以外にないのではないか、かように考えます。
○河野(正)分科員 非常に不満ですね。総合的に解決しなければならぬことは私どもは重々承知しておるわけです。ですけれども、きょうは厚生大臣にまつわる問題について私どもはお尋ねをしておるわけですよ。 そこで、もう時間がございませんから単刀直入に言いますけれども、それほど有病率が高いならなぜ診療所をつくらぬですか。どうですか、その点は。
○田中(明)政府委員 厚生省といたしましては、地域の医療を確保するという観点から、救急医療の体制の整備あるいは僻地医療の充実というような施策を講じておるところでございまして、同和地区につきましてもこれらの施策を通じて医療の確保を図っておるわけでございます。
○河野(正)分科員 非常に不満ですね。なぜなら救急じゃないんですよ。肝疾患というのは慢性でしょう。慢性疾患でしょう。だから、皆さん方が健保がないとかあるいは無理をして働かなければならぬとか、そういう悪条件があるわけですから、そこで部落の中に診療所をつくって、とにかくその診療所で治療ができる、こういう方針を樹立していただきたいということで、これはいま始まったことじゃないのですよ。もう十年も昔から言われておるわけでしょう。それが今日遅々として進まない。いま救急医療とは何ですか。認識不足もはなはだしいですよ。それで実態の把握とか言えますか。とりあえずここで、もう時間が三十分だから、そこで実態の把握でございますと言えばそれで済む、そういうことじゃないですよ。なぜつくりませんか。医務局長、答えてください。
○田中(明)政府委員 ただいまお答えいたしましたように、厚生省といたしましては、地域住民の医療の確保という観点から、救急医療ばかりでなく僻地医療の充実その他地域住民の医療を確保するための施策を進めているわけでございまして、同和地域につきましても同和対策事業特別措置法の趣旨にのっとりまして医療の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
○河野(正)分科員 それができてないから私はここであなたの責任を追及しておるわけですよ。だから、あなたが実態を把握してないからそういう答弁に終わるわけでしょう。あなたが認識不足なら認識不足でよろしいです。いままで私は認識不足でございました、そこで、そういう御指摘がございますから、今後は全精力を挙げてそういう医療対策というものを講じます、こう言わないと、一般論として言われるところに部落問題の解決が非常に阻害されておるという理由があるわけですよ。特段、部落については、いま申し上げるように格段の施策というものを推進してもらわなければらぬ。それを一般論の中に埋没させてもらったら、これはいままでと同じようににっちもさっちも解決しませんよ。これは大臣ひとつ答えてください。
○野呂国務大臣 私も五十五年度の予算の内容を検討しながら感じたことは、同和対策事業の一環として、特別に、同和地区に診療所が十分置かれていない、これは一つの欠陥でないだろうかということを実は局長にも指摘した点でございます。しかし、それならば今後これに対してどう取り組んでいくかということは、これは厚生省として真剣に取り組まなければならぬ問題であるということをまず申し上げておきたいと思います。
○河野(正)分科員 大臣が局長に指示をしたとおっしゃるけれども、局長はいまのような答弁でしょう。これは全く大臣の方針というものが局長に伝わっていないじゃないですか。大臣が少なくともいま御答弁なさったようなことであれば、当然局長が前向きの答弁をしなければならぬですよ。ところが、全く大臣と局長の答弁というのは大きく食い違っているでしょう。もう時間がございませんからいろいろ追及するわけにはまいりませんけれども、これは一般論じゃないですよ。とにかく部落問題については、いま申し上げますように、一般論として考えてもらっちゃ困るのですよ。格段の努力をしてもらわぬとこの問題の解決ができないわけですから、これは局長、しっかり頭に入れておいていただきたいと思います。もちろんこの問題は診療所をつくればよろしいということじゃないのです。それは大臣もおっしゃったように、あらゆる角度からいろいろな解決策を用いなければ解決しないことはそのとおりでございますけれども、一番わかりやすく言うと、有病率が高いならそこへ診療所を設けてどんどん治療してやればいいじゃないか、こういう簡単な答えが出てくるわけですよ。それすらお答えいただけないことは、私は率直に申し上げて非常に残念に思います。 そこで、次は生活保護でございます。局長、一般的には生活保護の適用者というものは減少しつつある。しかし、部落においては必ずしもそうではない。むしろ増加する傾向にある。これらに対してどう対応されようとしておるのか、ひとつ局長の答弁を願いたいと思います。
○山下政府委員 一般的な生活保護の傾向といたしましては、昭和四十年代に入りまして漸次減少してきておったわけでございますが、昭和四十八、九年、例のオイルショックを境にいたしまして増加に転じてきておる、微増に転じてきておる。同和地区につきましても、総理府の地区調査によりますと、おおむね一般が一二パーミリに対しまして五〇数パーミリということで、五倍近い高い保護率ということでございまして、この傾向は現在も横ばいないし微増というような傾向になっておるのではないかと思うのでございます。 御承知のとおり、釈迦に説法でございますけれども、生活保護はその状況に応じまして保護をいたすわけでございます。現在の状態に即して生活保護をいたすわけでございます。経済情勢や雇用情勢の変動あるいは老齢人口の増加あるいは母子世帯の増加、傷病障害世帯の動向等いろいろな要因が複雑に絡み合いますので、その保護率が高い原因というのを一つに帰着することは大変むずかしいかと思うのでございますが、同和地区の保護率が全国平均の保護率と比較して非常に高い、著しく高率であるという原因の一つは、いろいろ考えられますが、やはり農業、商工業というようなものの実態を調べてみましても、一般に比べまして零細なものが多い。あるいは就業形態を見ましても、一般に比べまして臨時雇い、日雇いというような形態の就業形態が多い。あるいは有業者が就職している先を見ましても零細企業が多いというような事情等がございまして、近代産業の雇用労働者が比較的に一般よりも少ないというような事情等、こういったものが反映をいたしまして非常に高い保護率が生じておるものと理解をいたしておるわけでございます。 私どもといたしましては、この生活保護につきましてはぜひ適正な適用ということをいたしますと同時に、そういった世帯の向上ということにつきまして、あらゆるできますことを通じまして努力をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
○河野(正)分科員 部落では生活保護者が一般の五倍も六倍もある。そこで、時間がない、時間がないでは困るわけですけれども、残事業とも関連をするわけですが、この狩別措置法に生保の問題を解決するというような考慮がほとんど払われてない。私は特別措置法の持つ一つの欠陥ではなかろうかというふうにも考えるわけです。 そこで、この特別措置法ももうすでに二年経過しようとしておるわけですが、このままでは自立更生ということはなかなか考えられない。やはり仕事を与える、あるいはまた適切な対策を講ずるというような形でやらなければ、とてもじゃないが特別措置法、残されたあと一年余でございますけれども、これで自立更生が図られるというふうには考えられない。ですから、いずれ三年の期間がどうなるかわかりませんけれども、この点は十分頭の中に入れて対応していただきたい、こういうふうに思います。 一応大臣からその見解だけ聞いておきましょう。
○野呂国務大臣 全国的な平均の保護率よりも同和地区は非常に高い、こういう問題は、やはり経済的な環境あるいは就業の状況等が必ずしも経済的に恵まれていないというところに起因するのではないだろうかと私は考えます。だから、そういうような労働環境そのものも改善しながら、そういう生活保護者の方々が少なくなるような方向に持っていくということが大変大事であろう、私はかように考えるわけでございます。
○河野(正)分科員 時間がございません。最後になりましたけれども、年金の問題でお尋ねしたいと思います。 部落では、雇用問題とも関連するわけですけれども、国民年金の依存率というものが非常に高いわけですね。御承知のとおりです。ところが、この未加入者がこれまた非常に多いというのが現状なのです。そこで、この未加入者対策についてどう解決の努力をしようとするのか、その辺をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○持永政府委員 国民年金の未加入者の方々が現実にかなりおられることは事実でございまして、こういう人につきましてはいろいろと国会でも御論議がございまして、五十三年の七月から第三回目の特例納付をしておりまして、国民年金に未加入の方あるいはその保険料を滞納したために将来年金権に結びつかない、こういう人たちのために、特別に時効が来ています保険料について納めていただければ将来年金につなげよう、こういうような制度を現在実施中でございます。
○河野(正)分科員 ところが、それがなかなかできないという事情がある。一括納めれば部落の中で四十万、五十万納めなければならぬ実態があるわけですよ。もともと低所得者が多くて困っているわけでしょう。それに四十万、五十万という多額の金を納めなければ適用を受けられないというような現実問題があるわけですから、それを無視して、そして特別納付を考えておりますというようなことでは、これは聞こえませんよ。 ですから、もう時間がございませんから、これらに対して大臣はどう対処するか、お答え願いたい。大臣です。
○持永政府委員 その前にちょっと私の方から申し上げたいと思います。 現在、世帯更生資金の中で保険料についての貸付制度を五十四年度から実施いたしておりまして、そういう低所得者の方に利用していただくことになっております。
○河野(正)分科員 貸付資金といったって戻さなければならぬでしょう。もらい得じゃないでしょう。それができるようだったら苦労はしないですよ。それができないような低所得者がたくさんいらっしゃるから、それにどう対処するかということを私はお願いをしているわけです。ですから、大臣、その点答えてください。
○野呂国務大臣 実際問題として大変むずかしい問題だと思います。低所得者層であって納め得ない、貸す制度では返さなければならぬじゃないか、それじゃなしにするのかといったような問題まで極端に考えてまいりますと、年金制度の中でどのようにしていくのがいいのであろうか。そういう実態をいろいろよく調べながら、さらに特例納付の期間までに周知徹底し、できる限り納めていただくようにこちらの方も努力しなければならないと考えております。
○河野(正)分科員 時間がありませんのでこれが最後ですが、いまの答えでは満足できませんので、何らかの機会にもう一度こういう論議をしたいと思います。 いずれにしても特別措置法がもうかれこれ二年ですから残すところ一年でしょう。いろいろな方法があるでしょうが、しかし、これが解決の一つの手だてになると私は思うのです。ですから、いま申し上げた医療の問題にしてもあるいは生保の問題にしてもあるいは国年の問題にしてもそうでございますし、その問題とこの特別措置法との関連あるいは基本法の問題等もあるようでございますけれども、そういった問題との関連の中で、ぜひ積極的に前向きに解決に努力していただきたい。そのことを最後に申し上げますので、総括して大臣の御答弁をお願いして私の質疑を終わりたいと思います。
○野呂国務大臣 御意見等十分拝聴いたしました。今後積極的に取り組んでまいるようにいたしたいと考えます。
○橋本主査 これにて河野正君の質疑は終了いたしました。 次に、柴田睦夫君。
○柴田(睦)分科員 国立病院の問題について伺いますが、最初に看護婦の問題です。 国立病院の看護婦の夜勤体制の問題ですけれども、夜勤看護婦の人員が複数でしかも夜勤が月平均八日以内、いわゆる二・八体制は今日までどの程度まで達成されているのか、全国的な状況について伺いたいと思います。
○田中(明)政府委員 二・八体制の全国的な達成状況でございますが、第一次の看護婦需給計画におきまして、二・八体制が全国の病院の病床数の約八〇%について実施可能となるような就業者数を確保すべく計画したところでございます。公的医療機関等においては昭和五十三年末におきましてこの目標はほぼ達成されているように考えております。国立病院、療養所の看護体制につきましては、毎年度の定員措置により逐次強化が図られておりまして、昭和五十四年度において国立病院は七七%、国立療養所は五〇・九%の二・八体制を確保しているところでございます。
○柴田(睦)分科員 先日、私は千葉の国立国府台病院と国立千葉病院の状況について聞いてきたのですけれども、この二つの病院の二・八体制の状況について厚生省はどのように把握しておられますか。
○田中(明)政府委員 昭和五十四年度の看護婦の定数配置から見まして、国立千葉病院及び国立国府台病院の二・八体制につきましては、看護単位のそれぞれ六三・五%、七二・七%という計算になります。しかしながら、現実の運用面におきましてこれらの数値を上回っておりまして、国立千葉病院は八一・八%相当の看護単位を、また国立国府台病院は三人夜勤を含めて八一・三%と相当の看護単位につきまして複数夜勤を行っております。しかしながら、このため必然的に看護婦一人当たりの夜勤回数が増加しておりまして、八回以内勤務の看護婦の比率が少なくなっているわけでございます。 こうした運用につきましては各施設の裁量によって行っているところでございますが、人事院判定の趣旨にのっとりまして当面月十日以内の夜勤にするように厚生省として現在指導しております。
○柴田(睦)分科員 全医労が調査したところによりますと、実際は、夜勤十一日以上が国府台病院で六五・九%、国立千葉病院では五七・九%、本当に八日以内で済んでいる看護婦さんはそれぞれ一〇・八%、七・九%、こういう現実の調査結果が出ているわけです。いまおっしゃいました人事院判定が昭和四十年に出されて、いまから十五年前になるわけでありますけれども、二・八体制の必要性がここで指摘されているわけですが、実際には一カ月二十五日働く中で十五日も夜勤をしなければならない人もいるわけです。これでは人間としてのまともな家庭生活も望めない状況であるということを直接聞いてきたわけです。その中で、国立千葉病院では院長からも話を聞きましたけれども、二・十体制にするのですらあと二十人以上の増員が必要だということでありました。これは医療の進歩とともに看護の内容もやはり進歩しているわけですから、二・八体制は看護婦の労働条件の問題だけでなくて質のいい医療のためにも欠かすことができない問題であると考えております。 そこで、早急に二・八体制を実現すべきであると思うのですけれども、この点について大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
○野呂国務大臣 国立病院等の看護婦の定員は他の公的医療機関と比べますと必ずしも十分でない、これは実態だと思います。しかしながら、そういう厳しい定員の中におきましても、実は五十五年度においては定員の処置をいたしておるわけでございます。今後とも二・八体制を強化することによりまして医療サービスの向上に努めてまいりたいと考えております。
○柴田(睦)分科員 次は、国立病院内の保育所の充実問題ですけれども、看護婦を確保する上で保育を要する子を持つ看護婦のための病院内保育所が果たす役割りが非常に大きいことはもうわかり切ったことであるわけです。 行政管理庁が、国立を除く医療施設の院内保育所に対しての院内保育事業運営費補助事業の実施状況について調査いたしましたが、その中に「院内保育施設は、有子看護婦等の子女の院内保育施設への入所率が高く、有子看護婦等の離職防止及び再就業に役立っているものとみられる。」こういうふうに言っているわけですけれども、この補助事業が看護婦確保に役立っていることを厚生省としても認められますか。
○田中(明)政府委員 御指摘のように、国立病院及び国立療養所におきます看護婦の確保及び職員の福利厚生の増進という観点から、厚生省といたしましても院内保育所を設けてこれに対して補助を行ってきているわけでございます。
○柴田(睦)分科員 ところで、民間の病院の院内保育所の保母の雇用責任者はだれかということ、それから国立病院は、その責任者はだれがなるのかということについてお伺いします。
○田中(明)政府委員 国立病院におきましては、保育所は共済組合の事業として運営されているわけでございまして、したがって、施設における共済組合の責任者がその責任者となっておりまして、実質上はその下に運営委員会というのが設けられておりまして、職員組合、施設の責任者、当事者、この三者による運営委員会が設けられて運営の、実際に当たっておるわけでございます。 民間におきましては、これはそれぞれの施設につきまして必ずしも一様ではございませんし、病院長が開設しているところもございますし、あるいはその他の団体が運営しているというようなところもあると了解しております。
○柴田(睦)分科員 一般の病院では院内保育所を持つことができて国立病院では直接持てないということの問題ですが、これはやはり国立病院においても保育所を持てるようにして、国立病院内の保育所の保母を国が雇用することができるようにして保育の充実を図るべきだ、同じような病院ですから私はそのように考えたいと思うのですけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。
○田中(明)政府委員 先ほども申しましたように、民間におきましては設置主体あるいは運営主体が必ずしも病院当局であると限ったわけではございません。国立病院におきまして、それでは国がといいますか、院長として責任をとって保育所を運営していくということにつきましては、御案内のように、定員の事情もありまして非常にむずかしいのではないかというふうに考えられます。私どもといたしましては、共済組合の事業として先ほど申しましたような形で行っていくという方法で十分その目的が達成されていくのではないかというふうに考えております。
○柴田(睦)分科員 定員の事情ということが病院についてはいつも起こってくるわけですけれども、それでは一般病院内の保育所の国の助成はどうなっているのか、また国立病院内の保育所についてはどうなっているか、こういうことについてお伺いします。
○田中(明)政府委員 一般病院につきましては、昭和四十九年度より病院が設置する保育所につきまして運営費の助成を行ってきておりまして、国立病院につきましては、同様に保育所運営についての人件費、設備費等の助成を行っておるわけでございますが、その単価等につきましては若干の差がございまして、概して申し上げまして一般の方が多額になっております。
○柴田(睦)分科員 一般的に単価に差があるということですけれども、その中身をもっと具体的には言えませんか。
○田中(明)政府委員 細かい点につきましてはつまびらかにいたしておりませんけれども、国立病院、療養所につきましては一保育所あたり二人の保母さんを雇って運営していくというような観点で予算の補助がなされておりますが、一般病院の保育所につきましては、その保育所の開設時間数あるいは保育児の年齢別の数、そういうようなものを細かく積算いたしまして、補助の対象となる保母さんの数その他が算定されているというふうに了解しております。
○柴田(睦)分科員 私が聞いたところによりますと、これは厚生省の方から聞いたわけですけれども、A型というのがあって、措置児が六人以上で保育時間八時間以上のときは保母二人を補助対象とし、一人当たりの人件費は百十六万一千円で、うち国が三分の一、県が三分の一、病院が三分の一、それからB型、措置児が六人以上で保育時間十時間以上のとき保母四人を補助対象とし、一人当たり人件費はA型と同じ。国立病院については、一施設当たり二人で、これを措置児の人数に応じて九名までは一人、十九名までは二人、二十名以上は三人というように割り振っているようです。そして、一人当たりの人件費は九十九万三千円、こういうふうに説明を受けたのですけれども、これは間違いないでしょうか。
○田中(明)政府委員 御指摘のとおりでございます。
○柴田(睦)分科員 ちょっと大臣、席を外していらっしゃったのですけれども、国立病院の保母と一般病院の保母で、同じような仕事をしながら格差ができてくるという問題ですが、同じ厚生省から出ている予算で、一般病院は十時間以上保育すれば四人まで認められるのに、国立病院は一施設通常二人で、国立病院相互で調整しても最高三人までしかできないし、そういうことでやると今度はほかの保育所では九人に対して一人しか保母にはつけられないというところも出てくるわけです。 国立病院内の職場保育所についても一般病院と同じように人員配置ができるように扱うべきものであるというように私、素人なりに考えるのですけれども、大臣、この点についてはどうお考えでしょうか。
○野呂国務大臣 一般病院と国立の病院あるいは療養所の場合におきまして、設置基準が非常に格差がある、これはおかしなことで、国立なるがゆえに一般病院よりもっと恵まれておるべきはずではないかと私も実は思いまして、この点は改善を急がなければならぬ、こういうようにいま考えております。
○柴田(睦)分科員 私、千葉の国立の保育所を見てきたのですけれども、千葉の国立病院の保育所というのは、あそこは順次建て直しているのですけれども、一番古い建物の中にあって、文字どおり日が当たらないようなところに保育所がある。このために子供がかぜを引きやすいとも言われていたわけです。国立病院の保育所の問題につきましては、保母の身分保障、待遇の問題、補助の拡大問題、その施設において非常に冷遇されているというような問題があるという訴えを聞いているのですけれども、こういう事態を改善するために努力していただきたいと思うのですが、いかがお考えですか。
○野呂国務大臣 努力いたしたいと思います。
○柴田(睦)分科員 次に、国立病院の薬剤師の問題ですが、これは千葉の国立千葉病院で調べてみますと、医療法からいけば本来十二人いなければならないわけです。しかし、実際は八名しかいない。したがって、これは忙しいわけですから、二人のアルバイトを雇っているという状況なんです。医療法に定める基準というのは、法律を見てみますとこれ以下ではいけないという基準であると思います。もっとも、法定人員の基準を定めている医療法の二十一条は、ただし書きで、知事の許可によってこの基準に必ずしも達しなくてもいいということになっているようですが、同法施行令の三条では、国の開設する病院はこのただし書きの規定は適用しないというようになっているようです。つまり、本来国立病院は医療法の遵守義務が他の病院と比べて一層厳しく要求されているというように読めるわけです。それにもかかわらず、こういう事情ですから、国立千葉病院などで薬をもらうために、長いときには二時間も待たなければならないという状態が生まれているわけです。薬剤師の定員不足という問題はほかの国立病院にもあるのじゃないか、そのようにも聞いているわけですけれども、やはり医療法に決められた基準を下回らない数に薬剤師の増員が必要ではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○田中(明)政府委員 御指摘のように、相当数の国立病院におきまして、薬剤師の数が医療法の基準を下回っているというような実情でございます。これは国立病院としてまことに遺憾なことでございまして、定員の事情が非常に苦しいわけでございます。従来もその増員について努力してまいったわけでございますが、今後ともできるだけの努力をしてまいりたいというふうに存じております。
○柴田(睦)分科員 そのほかに医療技術者の問題があるわけです。たとえば診療エックス線技師などについては、法律の上では、「病院の実状に応じた適当数」と医療法施行規則に定めているわけですけれども、「適当数」というだけで、何か基準を定めたものはあるのでしょうか、ないのでしょうか。
○田中(明)政府委員 特に基準数を定めておりません。
○柴田(睦)分科員 基準がないということになりますと、病院全体の定員との関係で、人員不足のしわ寄せがこうした部門に集まってしまうのじゃないか。現実にやはりそういう面を訴えられているわけです。たとえばレントゲン技師について言いますと、そのために、レントゲン技師は少ないわけですから、泊まらせるわけにはいかない、近くの官舎に住んでいる技師を夜中に呼び出す、こういうことが行われる。無論強制的に呼び出すわけにはいきませんから、私用がある技師については私用を優先してもらうようにしている、こういう話でありましたけれども、実際は月四回ぐらい呼ばれて夜中に出かけなければならないということを聞いております。そういうことになりますと、これは人命を預かる病院のことですから、実際には呼ばれれば行かなくてはならないということになりますし、自宅に帰っても勤務時間外にやはりその人を拘束していると同じことになるわけです。こういう無理な体制をしなくてもよいように、現代の病院、特に国立病院ですから、そういう点、定員法の関係というような問題もいろいろ出てくるわけですけれども、やはり現実に人の命を守るという意味において、またその中で働く労働者を労働者らしく生活させるという意味において、やはりこの技術者の問題についても増員の必要があるというように思いますけれども、いかがですか。
○田中(明)政府委員 放射線技師あるいは検査技師等につきましては、そういう検査件数が最近非常に増加しておりますので、厚生省といたしましても、関係の国立病院等につきまして年々数十人の増を図ってまいっておりまして、昭和四十六年度から五十四年度までに、放射線技師については二百六十四名、検査技師については三百二名の増員をいたしております。今後ともこういう職種の増員につきましては、その他の職種との均衡を図りながらそれらの部門の充実強化に努めてまいりたいと存じております。 先生御指摘の、夜間にそんなに頻々と呼び出されるということにつきましては、救急を受け持っている二次あるいは三次の病院については起こることかと存じますけれども、その点につきましてはもう少し調べさせていただきたいと存じます。
○柴田(睦)分科員 全国的に見てみましても、千葉の国立病院は、特に東京周辺で人口急増地帯の方ですから、大変忙しい状況にあるわけです。いろいろな統計を見てみましても、人口急増地帯である千葉県においては、ベッド数が対人口比で非常に少ない、そういう面が出てきております。千葉の国立病院の労働者の人たちはそれだけ過酷な条件の中で働かざるを得ないということになっているわけですから、その点、全国的なバランスも考えながら、労働条件の改善、そして充実した医療ができるような対策をとっていただきたいと思います。 最後に、精神病の医療体制についてですけれども、千葉県の精神医療体制、これもやはり全国的に見て非常におくれていると言われているわけです。国立国府台病院の場合は、東京の千葉県に近いところに精神病院がないもので、そういったところからもたくさんの患者さんが来られて非常に忙しいという状況にあります。県全体から見てみましても、精神医療体制がおくれているために、警察などに聞いてみましても、全くお手上げ状態だと言われるほどになっておるわけです。今日の精神病医療というのは、昔の何か鉄格子の部屋に閉じ込めておくというような医療から、だんだん近代化された医療になってきていると思うわけです。ところが、医療の進歩に比べて体制がついていけない。各種の療法士やケースワーカーの専門職種の定員配置が制度的に認められていないわけです。ところが、実際に医療をやるということになれば、家庭を訪問することも必要になってきているということですから、現実に看護士の人たちが、交通費なんかも自分で払って、そしてまた勤務時間外に患者の家庭訪問をする、そういうふうにしてやっているということです。看護士の人が正式に家庭訪問ができるようにするなり、あるいはそうした必要な専門職種の人を配置するなどというような、いま必要な精神医療の体制、その充実をやはり検討しなければならないと思うのですけれども、この点についてはどのように考えていらっしゃいますか。
○大谷政府委員 先生御指摘のように、精神病につきましては、社会復帰の促進を図るために、ケースワーカーのみならず、いろんな職種の方々の応援を得まして、地域活動を促進すべきものと考えておりまして、私どもとしてもいろいろと努力いたしたいと考えております。
○柴田(睦)分科員 終わります。
○橋本主査 これにて柴田睦夫君の質疑は終了いたしました。 次に、小渕正義君。
○小渕(正)分科員 私は、特にきょうは厚生省の所管である原子爆弾被爆者対策について御質問したいと思います。 今日まで厚生省当局を中心にいたしまして、原子爆弾被爆者対策について、従来よりもかなり前向きにいろいろな諸施策がとられておることについては、私も長崎での特別被爆者の一人として感謝を申し上げます。 それで、端的に質問するわけでありますが、現在、長崎では市、県挙げて原子爆弾被爆地域の拡大に対する切なる要望を再三行政当局に実はお願いしているのは、厚生大臣として御承知かどうかということがまず第一でございますが、その点についていかがでしょうか。
○野呂国務大臣 承知いたしております。
○小渕(正)分科員 実はこの原爆被爆者対策の関係でいろいろな諸施策が逐次とられてきたわけでありますが、特に被爆地域の拡大の問題は、それぞれいろいろの角度からの見方がありましょうけれども、私、率直に申し上げまして、長崎の一経験者として見ました場合に、現在の被爆地域、特に昭和四十九年に一部拡大、それから五十一年にまた一部拡大されたわけでありますが、要するに、爆心地を中心にいたしますと、東西南北から考えますと、大体南北で十二キロ、東西で六キロ、こういう範囲の中で被爆地域が実は指定されているわけであります。したがって、この被爆地域がそういう非常にいびつな形で指定されているところに非常に問題を感じるわけです。というのは、やはり政治の姿勢というのはすべて公平でなければいかぬと思います。そういう点から考えますと、あの四十九年に一部拡大、なお五十一年にまた一部拡大された、そのときの経緯というものをまずお伺いしたい。そのことによって、現在県、市挙げて真剣に取り組まれているこの被爆地域拡大の問題と、これは非常に重大な関連を持つ事柄だと私は思うわけでありますので、そういう意味で、当時の一部地域拡大が四十九年と五十一年というふうにいびつな形で変則的にやられた、そういった経過を、ひとつ御説明いただきたいと思います。
○大谷政府委員 昭和四十九年に健康診断の特例地域というのが創設されましたが、その際には、当時の風向きや地形等に照らしまして放射能の影響を考えまして、長崎県西彼杵郡長与村及び時津村が特例地区に指定された次第でございます。昭和五十一年には、広島については、いわゆる黒い雨が降った地域というのが指定されました。また長崎につきましては、爆心地からおおむね六キロメートル周辺の町村というのが指定された、こういう経緯になっております。
○小渕(正)分科員 ただ、いまの御説明でいきますと、風向きと地形の関係で拡大したと言われるわけでありますが、具体的なそういう根拠といいますか、そういうものがもしも——当然そういうものがあって行われたのじゃないかと思いますけれども、私どもが承知した範囲では、そういった角度からはきわめて根拠が薄いのではないかと思うわけでありますが、もしもそれを根拠があると見られるならば、現在出している拡大地域の指定ということもこれは当然のことになっていくのではないか、かように考えるわけでありますが、そこらあたりについてお尋ねいたします。
○大谷政府委員 私どもも当時それに直接タッチしたわけではございませんので、正確なことは申し上げられないのでございますけれども、私どもは当時の話を聞きまして、大体そういうことでお決めになったというふうに伺っているわけでございます。
○小渕(正)分科員 ちょっと言葉じりをとるようで申しわけございませんけれども、決めたのは厚生大臣のあれによりて政令を一部変更で指定されたのでしょう。だから、お決めになったとか、そういうふうなまるでよそのどなたかが決めたかのような物の言い方は、私は行政当局としてはちょっとおかしいのじゃないかという気がすみのですがね。だから、たとえばどこかの何らかの第三者機関の中で決められたら、それなりの答弁としては理解できますが、そこらあたり、私は聞いて非常に奇異に感じるわけですが、いかがですか。
○大谷政府委員 これは当時、現地の方々からのいろいろな御要請に基づいて、行政当局が決めたものでございます。
○小渕(正)分科員 だから、当時現地の事情、そういったいろいろな資料を中心にして最終的な判断をされたと思いますね。そういうことでありますならば、当時判断されたときの材料といいますか資料と、現在拡大地域指定をお願いしている中身は一切変わらないとわれわれは思っておるわけです。そういう点で、政府がこれについてどうしてこたえないのかという、かえって不思議にさえ思うわけでありますが、そこらあたりいかがですか。
○大谷政府委員 地域指定の問題については、いろいろ要請等もございまして、厚生省といたしましても、これはいろいろ従来とも科学的にやってきたというわけでございますけれども、その後五十一年及び五十三年の二回にわたりまして、現時点においては残留放射能の調査が一番正確ではないか、こういうふうなことで、その調査をいたしまして、それによって考えるということでございましたのですが、その調査の結果では影響が認められないということで、これ以上の拡大はできない、こういう考え方に立っているわけでございます。
○小渕(正)分科員 当時残留放射能を一つの基礎データにして判断されたと言われておるわけでありますが、私どもが承知している範囲の中では、学術会議を中心にして残留放射能を調査された事実は承知いたしております。しかし、その結果では区別がつけにくいという結果になっているのじゃないか。たとえばいま指定された、特に四十九年から五十一年に指定された地域の残留放射能の数値と、現在拡大をお願いしている地域における残留放射能の数値というのは、ほとんどそう大差はないというふうに私どもはいろいろな報告その他で承知しているわけです。ただ、問題は、残留放射能が異常に高かったのは、従来から長崎のすぐ山の裏の周辺にある西山地区と言いまして、これは長崎の爆心地の近接市街地でございますが、そこだけが異常に高かったというだけであって、五十一年にずっと被爆地域を拡大していったそういう地域と比較した場合には、そういう放射能のデータからはそういう結論は出せないのじゃないか、私どもはこういうふうに理解しておるのですが、もし私が申し上げることが間違いがあるならば、そういうデータをひとつ私にお示しいただきたいとさえ思うわけですが、いかがでしょうか。
○大谷政府委員 私どもも差がないように理解いたしております。
○小渕(正)分科員 そういうふうに残留放射能を根拠のデータにしてこの被爆地域がずっと指定されていれば、また整理の仕方があったと思うのです。ところが、それだけを見ると、現在お願いしている地域と、この前から二回にわたって指定拡大した地域とは、そういう意味では条件はほとんど変わらない。私どもとして特にお願いしているのは、当時の被爆した被災状況における家屋の損害状況、それから見ても、四十九年、五十一年に拡大した地域と、現在お願いしている地域には、データ的に見ましてほとんど差はない。それから、負傷の程度でいってもそう大きな差はない。当時おられた人たちの健康、いまおられるそういう人たちの、原爆健診と俗に言われているそういった事例に合わせた健診が、自主的にやった健康診断の結果から見ても、かえって少し異常値が出たといたしましても、そう大きな差異はない。逆に、いまお願いしているところが、これは数字を挙げていいと思いますけれども、かえってデータ的にはそういう受診の状況からいったら高い。そういう条件を見ますと、何で厚生省はこれにこだわっておられるのかということを、私は率直に素直な気持ちとして感じるわけであります。 だから、そういった点で、現在以上はこの地域拡大については不合理だ、何かそういうことがはっきり示されればそれなりに、私どもはそれをまた見ながら、場合によってはよく理解しながら、それぞれ判断しなければいかぬと思いますけれども、そういうものなしに、ただ、いまのようなことだけでは、せっかく長崎の県、市挙げてこの問題に対しては真剣に取り組んでおるわけでありますから、そういった点では、厚生省側としては余りにも根拠ない、単なる時間かせぎかどうか知りませんけれども、ただずるずるこの問題をそのまま延ばしておる、こういうことを言われてもやむを得ないのじゃないか、こういう感じがするわけですけれども、その点、当局としていかがでございますか。
○大谷政府委員 先ほど拡大された地域と要求されている地域とに差がないと申し上げましたのは、五十一年と五十三年の残留放射能の調査の値が余り違っておらないということを申し上げましたので、ちょっとその点誤解のないようにお願いいたしたいのでございます。 私どもとしては、一応こういうふうなことで結論を得ているというふうに理解しているわけでございます。しかし、この問題も含めまして、現在、原爆被爆者対策基本問題懇談会においてそういう問題を、それを決めるというわけではありませんが、そういう事情も考慮していただきまして、御検討を願っているところでございますので、私どもとしては、この問題については、一応事務的にはこれ以上の発展はむずかしいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○小渕(正)分科員 原爆被爆者対策基本問題懇談会が設置されたのは昨年の六月ですね。そうすると、この被爆地域拡大の問題はずっと前から出されておった問題で、お願いしておった問題ですけれども、厚生省当局としてはその取り扱いに苦慮されて、そういった点から、この被爆地域拡大の問題も含めた基本問題懇談会の中にすべての審議をお願いする、こういうふうにされたのですか。
○大谷政府委員 被爆者基本問題懇談会は、原爆被爆に関する問題につきましての基本理念を明らかにしていただくために設けられたものでございます。そういうわけでございますが、しかし、全然原爆問題についての状況等も御説明申し上げませんと、そういった問題についての結論を急いでいただくのは非常にむずかしい状況でございますから、こういった問題も含めまして御説明は申し上げているわけでございます。
○小渕(正)分科員 要するに、原爆被爆者対策基本問題懇談会は、そういう原爆被爆者対策について基本的な問題を整理しようということで設けられたと思います。だから、厚生省当局の意思さえあれば、被爆地域拡大の問題は、この基本問題懇談会にかけなくても、持ち込まなくても、当然決められていい問題であったことは間違いないと思いますが、その点いかがですか。
○大谷政府委員 御指摘のとおりでございます。
○小渕(正)分科員 そうしますと、厚生省としては、本来的には決断していい問題であるけれども、結果的にいまこの原爆基本問題懇談会があるので、そこの中にみんな持ち込んだような形で、言葉は悪いけれども逃げてしまったというふうに受け取られてもやむを得ないと思うのですが、その点いかがですか。
○野呂国務大臣 現在主査でお座りになっていらっしゃいます橋本前厚生大臣が、昨年の六月にこの基本問題懇談会を私的諮問機関として設置された。きわめて前向きに、原爆対策の基本的に一番大事なことは、基本理念を明確にしなければこれ以上進まないのではないか、こういうお考えのもとに、積極的に取り組むためにいろいろな意見を聞きたい、基本理念を明らかにしなければいけない、こういう趣旨で、その後鋭意七回にわたりまして検討されてきておるわけであります。 しかし、地域の問題もやはり被爆者対策にとって大事な問題ではないだろうか、こういうことでございます。したがって、ちょうど審議をされておるときでございますので、あわせて地域問題についても御検討をいただきたいということをお願いをし、また、七回目の先般の懇談会にも出席をいたしまして、冒頭、地域問題についても基本問題懇談会として御検討願いたいということを要請をいたしたわけでございます。したがいまして、別に厚生省が逃げ回っているわけでもございません。基本理念と同時に、やはり地域問題についてもこの際検討しておく必要がありはしないか、こういうことで積極的な意見の開陳を求めておるということでございます。
○小渕(正)分科員 いまお話を承りましたけれども、本来、基本問題懇談会というのは、この原爆被爆者対策の基本的な理念をまず整理し、それに対して、現在いろいろな法令によっていろいろ施策がとられていますが、そういうものをそれに基づいてひとつきちっとしていこうということだと思うのです。だから、地域をどこにしましょうかという線引きをこういう基本問題の中でお願いするということは、関連はありますよ、しかし、付随的な問題で、大体筋違いではないか。特に地域指定について、被爆直後からの科学的なデータといったものをそろえられて、いろいろな関係から、厚生省としてこの問題についてはこういう考え方で、現在は行き詰まっているなら行き詰まっている、こういう問題で何とか整理したいけれどもちょっととか、そういう行政上のいろいろな問題を私は結果的にそういうことに持ち込んでしまったと思うのです。だから、当然被爆地域拡大の問題も関係はいたしますけれども、これはやはり懇談会の主要議題ではないと思うのです。そういった点で、厚生省自身のこれに対する積極的、前向きな姿勢でこの問題に決着をつけるべきではないか、かように思うのですが、いかがでしょうか。
○大谷政府委員 私どもの方でもい線引きだけを委員会にお願いしているわけではございませんで、これは当然、被爆の基本理念に関係いたしまして、被爆地域の範囲、被爆者というものは一体どういうふうに考えるか、そういう問題も含めまして、全体、総合的にお考えいただかなければならないという観点で私どもはお願いをしておる、先ほども申し上げましたように、そういう事情を御説明申し上げておるということでございます。
○小渕(正)分科員 被爆者の範囲というものは、逆に言うと、どういう形で被爆者とみなすかという問題になると思います。そういう点では、懇談会がここまでこの問題を預けられたら、ちょっと大変な仕事になるのではないか、私はかように思うのですが、それはさておきまして、しからば、現在のこの基本問題懇談会の進捗状況、それから見通し、そういったものについて、説明可能なもので結構ですから、大要を御説明いただきたいと思います。
○大谷政府委員 昨年六月に、約一年をめどにしてお願いをするということで、橋本前大臣のときにお願いをいたしておるわけでございまして、その後この懇談会はすでに七回開催していただきまして、その後も昨年の十二月には現地の方々においでいただいて御意見をお伺いされたというふうなことで、これからも大体月一回のペースでやっていただきまして、できるだけ結論を急いでいただくということになっているわけでございます。
○小渕(正)分科員 どの程度どういうテーマをどういう形の中で現在まで議論されていっているのか、まだ中間でも状況報告できませんか。
○大谷政府委員 まだいろいろとディスカッションをされている段階でございまして、いままだ申し上げるような段階には至っておりません。
○小渕(正)分科員 主要テーマごとにいろいろディスカッションされていると思うのですが、項目といいますか、こういう問題とこういう問題が現在ディスカッションの対象になってそれぞれやられている、そういうことについても御報告できませんか。
○大谷政府委員 ただいまのところ、一番の基本理念の問題についていろんな基本的な討論が行われておるということでございます。
○小渕(正)分科員 そうしますと、今後の見通しといいますと、一応の予定は大体ことしの何月でしたか。
○大谷政府委員 私たちの方では一年をめどということでお願いをいたしているわけでございますけれども、今後の審議の結果によりまして若干のあれはあろうかと思います。
○小渕(正)分科員 見通しとしてはいかがですか。いまの作業の進捗状況からいって、ほぼ一カ月程度ずれるかずれないかは別として、大体そこらあたりでまとまった一つのものが出るような予想かどうか。これはいまの作業の実態から見まして、半年くらいおくれるのじゃないか、そういった点はいかがでしょうか。
○大谷政府委員 私どもの方では、できるだけそういうことでお願いをいたしておりますが、いまのところどれだけ早くなるか、どれだけ遅くなるかということについては、申し上げられるような感触は得ておらない次第でございます。
○小渕(正)分科員 それでは、基本問題懇談会で一つの方向性というか結論というか、そういうものがまとめられたとした場合に、まあ延びたとしても、現在六月ごろがめどですから、十月になるかどうかわかりませんけれども、またどういう形の結論が出るかわかりませんけれども、しかし、一つのそういう方向性が出た場合には、この問題は早急に次の予算措置を講じていく、そういう積極的な所管大臣としての御見解をお聞きしたいわけです。
○野呂国務大臣 結論が出ましたならば、その結論の意見を十分尊重をいたしまして適切な処置を講じていかなければならぬと考えております。しかし、その結論がまだ出ておりませんので、たとえば非常に重大な結論になったといった場合に、それならば直ちにすべてに対応できるかということもこれあり、これは適切な処置を急ぎ講じていく、こういうことでございます。
○小渕(正)分科員 まあ海のものとも山のものともわからないような状況でしょうから、これは何とも言いにくいとは思います。しかし、結論次第では事重大な整理をしなければいかぬような問題になるかもしれませんし、それとあわせて付随的なものは整理しながら、すぐ行政の中で実施可能なものもいろいろあるだろうと思うのですね。まあ結論が出ないのだから、想定の問題だから、なかなか申しにくいと思いますけれども、事問題が何が非常に重要な問題を含んだ内容が出てきたときに、それに絡んで被爆地域拡大の問題もずるずる延ばされていっては非常に困るわけですから、少なくともそれで個々に整理できて実行可能なものは即時でもやっていく、こういう大臣の積極的な姿勢だけは期待したいわけですが、その点の御見解をお伺いしたいと思います。
○野呂国務大臣 原爆被爆者対策は私は大変大事な問題だと考えております。これに対しては前向きに、できるものから順番に適切な処置を講じてまいりたい、かように考えております。
○小渕(正)分科員 ただいま大臣から、私どもとしては非常に心強い発言をいただいたわけでありますが、この被爆地拡大の問題は、単なる被爆者とかそうじゃないとかを抜きにして、私たち長崎の市民、県民といたしましても、やはりどなたが見てもなるほどと納得性のあるものじゃないと、いまの南北は長く十二キロ、横は六キロという形での地域指定というのは、それが具体的な科学的データの中でなったというのならそれなりにわれわれは理解するのです。地形の関係、風向きの関係、その他その直後のどういった関係とかね。ところが、いまいろいろ調査の中ではそういうことがはっきりできない状況の中でずっと地域が指定されていっておるものですから、問題が非常に混乱してきておると思いますけれども、ぜひひとつ、そういった意味で、この問題の整理を早急にやっていただくことを期待いたしまして、私の質問を終わります。
○橋本主査 これにて小渕正義君の質疑は終了いたしました。 次回は、明五日水曜日午前十時から開会し、引き続き厚生省所管について審査をいたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後七時三十八分散会