予算委員会第一分科会 第4号
- 発言数
- 294 件
- 登壇者
- 35 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1980/03/07
会議録
○藤尾主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。 昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算中、法務省所管について審査を進めます。 まず、政府から説明を求めます。倉石法務大臣。
○倉石国務大臣 昭和五十五年度法務省所管予定経費要求の内容につきまして、大要を御説明申し上げます。 昭和五十五年度の予定経費要求額は、三千三百二億三千六十五万五千円であります。前年度予算額三千二百一億三千二十一万四千円と比較いたしますと、百一億四十四万一千円の増額となっております。 さて、予定経費の増減について、内容を大別して御説明いたしますと、第一に、人件費関係の増八十一億八千九百二万三千円であります。これは、昇給等の原資として職員基本給の増額分が主なものでありますが、そのほかに、法務事務官、検察事務官等三百六十人の新規増員に要する人件費が含まれております。 ここで、増員の内容について申し上げますと、一、特殊事件、財政経済事件、公安労働事件、交通事件、公害事件等に対処するとともに、公判審理の迅速化を図るため、検事五人、検察事務官九十人、二、登記事件、国の利害に関係のある争訟事件及び人権侵犯相談事件に対処するため、検事二人、法務事務官百五十七人、三、刑務所における保安体制の充実並びに医療体制の充実を図るため、看守五十人、看護士(婦)十人、四、非行青少年対策を充実するため、少年鑑別所教官七人、保護観察官十三人、五、出入国審査及び在留資格審査に対処するため、入国審査官十四人、入国警備官三人、六、暴力主義的破壊活動に対する調査機能を充実するため、公安調査官十六人、となっております。 なお、前述の検事につきましては、沖縄における検事定員の恒常的欠員のうち七人を本土定員に振り替えたものであります。 他方、昭和五十四年十月の閣議決定に基づく「昭和五十五年度以降の定員管理計画の実施について」による昭和五十五年度定員削減分として、三百六十六人が減員されることとなりますので、これを差し引きますと、六人の定員減となるのであります。 第二に、物件費関係の増三十四億六千六百三十五万五千円であります。 これは、事務量の増加に伴って増額されたもののほか、事務の合理化、能率化を図るため、事務機器等の整備充実並びに保護司実費弁償金及び人権擁護委員実費弁償金の単価引き上げに伴う経費の増額等であります。 次に、主な事項の経費について概略を御説明いたします。 第一に、法務局、地方法務局において、登記、供託、戸籍等の事務を処理するために要する経費として四十億五千四百四十七万八千円、第二に、検察庁において、刑事事件を処理する等検察活動に要する経費として二十四億三千四十三万四千円、第三に、拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院の被収容者の衣食、医療、教育、作業等に要する経費として二百十三億三千九百九十七万一千円、第四に、保護観察に付された少年等を更生させるための補導援護に要する経費として三十三億二千三万二千円、第五に、出入国の審査、在日外国人の在留資格審査及び不法入国者等の護送、収容、送還等に要する経費として五億二千三百二十八万三千円、外国人登録法に基づく在日外国人の登録等の事務を処理するために要する経費として十四億八千十五万三千円、第六に、公安調査庁における破壊活動防止のための調査活動等に要する経費として十七億六千四百八十万五千円が計上されております。 第三に、施設費関係といたしまして、法務局、検察庁等の庁舎及び刑務所、少年院等の収容施設の新営整備に要する経費として百四十億一千九十四万七千円が計上されております。 最後に、当省主管歳入予算について一言御説明申し上げます。 昭和五十五年度法務省主管歳入予算額は、六百八十一億五百六十万九千円でありまして、前年度予算額七百五十三億二千八百九万一千円と比較しますと、七十二億二千二百四十八万二千円の減額となっております。 以上、法務省関係昭和五十五年度予算について、その概要を御説明申し上げました。 よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
○藤尾主査 これにて説明は終わりました。 —————————————
○藤尾主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田卓三君。
○上田(卓)分科員 同和対策事業特別措置法が制定されまして、すでに十一年が経過いたしたわけでございます。おととしの臨時国会におきまして、法の三年延長が三つの附帯条件をつけまして行われたわけでございまして、余すところあと二年ということになっておるわけでございます。 特に、オイルショック、ドルショック以来の不況のあらしの中で、最もそのしわ寄せを受けておりますのが部落の労働実態ではなかろうか。非常に悲惨な状態があるわけでございまして、労働省においても、すでにそのことが確認されておるところでございます。また同時に、法務大臣も御存じのように、悪質な部落地名総鑑が横行しておりまして、すでに第九までそれが続出いたし、それを購入している企業が百八十六社に及んでおるわけでございまして、警備保障会社あるいは興信所などの身元調査は、本当に目に余るものがあるのではなかろうか。また同時に、政府の外郭団体でございますところの水資源開発公団とか商工中金においてさえも、そういう差別事件を惹起している。あるいは日本の宗教界の最大宗派とも言われておりますところの曹洞宗の町田差別発言などがあることは、すでに先刻御承知のことだろうと思っておるわけでございます。 これらの悪質な差別事件に対する、また、そういう興信所や探偵社に対する法的規制の問題は、しばしば関係大臣からもその必要性が述べられてきておるわけでございまして、法務大臣としては、このことについて検討するということでございますが、一体どこまで検討が進んでおるのか、あるいはまた、いつ実施するのかということを明確にお答えいただきたいと思います。 もう一点の問題は、このような悪質な差別事件が、特別措置法があるにもかかわらず続発しているということを考えた場合に、措置法がなくなったら、それこそ、これ見よがしに、本当にわれわれ関係者としては身の毛のよだつような感じさえいたすわけでございます。こういうような人権の啓発といいますか、差別事件の防止ということになりますと、何年何月まででこの問題が解決するというような時限的な問題ではなかろう、一日も早くこの問題を解決することは当然のことでございますが、二年や三年でこの問題が一挙になくなるというふうにわれわれは考えないわけでございます。 そういう点で、この三つの附帯条件の中にありますように、実態の把握に努めて、法の総合改正、そして人権の啓発に力を入れる、こういうことになっておりますので、その点について大臣の明確な回答をいただきたい、このように思います。
○倉石国務大臣 いわゆる地名総鑑を初めといたします差別図書は、部落差別を助長したり、拡大するきわめて悪質なものであります。こういうことは、政府が推進しております同和行政に逆行するもりでありまして、私ども、まことに遺憾千万であると存じております。法務省といたしましては、人権擁護の立場から、事案の徹底的な解明と関係者に対する啓発を続けてまいったわけでありますが、これまで八種類の差別図書をお話のように確認をいたしておるわけであります。 法務省の同和対策は、具体的な人権侵犯事件の処理を中心といたします啓発活動によりまして、心理的差別の解消を図ることにあるわけでありますが、部落差別の現状にかんがみまして、今後とも、このような各種の広報手段を通しまして、部落差別の解消を広く国民に呼びかけるほか、具体的な人権に関する相談、それから人権侵犯事件の調査、処理等を通じまして、積極的に啓発活動を推進してまいる所存でございます。
○上田(卓)分科員 私が申し上げましたように、この問題に対して法律があと二年というような状況になっておるわけでございまして、二年の間にこの問題が完全に解決つくと大臣は考えておられるのか、あるいはなお相当期間、この問題の解決のために必要とすると考えておられるのか、あるいは現在の法律については、総合改正というものが国会決議になされておるわけでありますから、こういうものに対する取り組みの考え方、あるいは法的規制の問題等について私は質問申し上げておるわけでございますから、それについて的確にお答えいただきたいと思います。
○倉石国務大臣 私ども、いま行われております社会事象については、申すまでもなくよく認識いたしまして、その上に立って心配いたしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたような方針に基づきまして、私どもは、こういうことのなくなるように、どのような措置を講ずべきであるかということについても、先ほど申し上げましたような精神に基づいて努力を続けてまいりたい、このように思っておるわけであります。
○上田(卓)分科員 総合改正の問題とこの問題については、相当期間日時を要するということについてお認めいただけますか。
○倉石国務大臣 心理的なものが大変多いのでございまして、なかなかその見きわめというのについてはむずかしいこともたくさんあろうと思いますが、先ほど申し上げましたような趣旨に沿うて、十分な努力を続けてまいりたいと思っておるわけであります。
○上田(卓)分科員 心理的な問題ということをおっしゃったわけですけれども、大体どのぐらいかかりますか。法務大臣の見解で、百年も二百年もかかるのですか、それとも一、二年でこの問題は解決するのですか。大体のめどというものを、政府のいままでの取り組みも含めて一回お聞かせいただきたい。大臣としての個人的な見解というか、そういうような感想も含めて述べていただきたいと思います。
○倉石国務大臣 法務省が一生懸命にやっておりますのは啓発活動でございます。これは個々の問題をいろいろ取り上げてみましても、この研究をいたしますと、やはり啓発活動に重点を置くことが必要である。私どもにとって早くそういう成果が上がることは望ましいことでありますけれども、しんぼう強くいまの啓発活動を続けてまいりたい、ただいまはそういうふうに考えておるわけであります。
○上田(卓)分科員 大臣は、私に対する質問に対して的確に答えてないと思うのです。法的規制の問題はするのですかしないのですか、どうですか。
○中島政府委員 一応私からお答えさせていただきます。 法規制の問題につきましては、御承知のように、図書規制の問題と、それから業者の登録制の問題と両面あるわけでございます。 まず、図書規制の問題の検討を行ったわけでございますけれども、御承知のように、憲法上の問題などありまして、いま問題点があるということで、それをどうかして乗り切ることはできないかということで検討しておるような状態でございます。 それから、興信業者の登録制の問題でございますが、これは総理府を中心として関係各省で検討しておるわけでございますが、これまた業者の実態把握が必要であるということで、現在そういう面から検討を続けておる、こういう現状でございます。
○上田(卓)分科員 私は、非常に不満でございます。納得できません。しかし、時間が来ておりますので先に進ませていただきたい、こういうように思います。 次に、再審制度の問題につきまして御質問申し上げたいわけでございます。 去年だけでも財田川事件あるいは免田事件、松山事件など、いわゆる死刑囚の再審の開始決定がなされておるわけでございまして、国民の再審に対する関心が大変高まっておるところでございます。 そういう中で、ことしの二月七日、狭山差別裁判に対する再審請求棄却決定がなされたことは、御承知のことだろうと思うわけでございます。私たちは、この問題に対して非常に残念だ、激しい怒りを感じておるところでございまして、この決定は、裁判に対する国民の不信と疑惑をさらに深めるものであった、このように考えておるわけでございまして、国民の各界各層の大きな批判がいま巻き起こっておるところでございます。 特に二月八日の読売などを見ますと、再審を開始することが国民の裁判への信頼を高める、このような論調を張っておるようでございますし、また同じく二月九日の朝日では、本人に直接問いただすべきではなかったか、納得のいく審理が行われることを期待する、こういうふうにも述べておるわけでございまして、いまこそ政府は、国民の裁判に対する疑惑と不信に正確にこたえ、裁判に対する信頼を回復するために再審制度の改正がぜひとも必要であろう、私は、こういうように思うわけであります。この無事の救済制度全体については、諸外国と比較いたしまして日本は広いとは絶対に言えない、こういうように思うわけでございますが、その点についてどう考えておられるのか。あるいは再審の問題を考えるときに、誤判研究がぜひとも必要であるというように思うわけでありますが、この点についてどう考えておられるのか。また実際に起こってしまったところの誤判に対して、司法が再審開始要件について示した判断というものをやはり尊重すべきではないか、こういうように思うわけでございまして、そういう諸点について明確にお答えいただきたい、このように思います。
○倉石国務大臣 再審制度につきましては、一部において現行制度よりも広く再審を認めるべきであるとする改正論がございますことは御指摘のとおりでございます。現在法務省では、その再審制度の運用の実情、それから諸外国の再審制度改正の必要性等について研究を重ねておるわけでございますが、この問題は、御存じのように、刑事裁判の本質、それから刑事訴訟制度の基本的構造に影響するところが大きいと思われますので、ただいま法務省におきましては、慎重に検討を続けておるところでございます。
○上田(卓)分科員 検討ばかりではいかぬわけでございまして、また見当違いも困るわけでございまして、公正な裁判の名のもとに無事の民をつくり出すということを絶対にしてはならない、こういうように思うわけでございます。 再審事件が相次ぐ中で、去年の五月二十九日、第八十七国会におきまして特に衆議院の法務委員会で、伊藤政府委員の答弁の中で、法務省の立場としては、白鳥決定を踏まえた再審の間口の広さ、これは広からず適当と言える、こういうように述べておられるわけでございまして、やはりそういう立場に立って再審法の改正をぜひとも検討すべきだ、こういうように思うわけでございます。そういう点でもう一度大臣から、これに対する熱意ある積極的な発言をぜひともお願い申し上げたい、このように思います。
○前田(宏)政府委員 私から前にお答え申し上げます。 ただいまいわゆる白鳥決定につきまして、過日の国会での御審議のことが出たので、その点について申し上げますが、御案内のとおり、白鳥決定というのがございまして、その後その決定に類似するような裁判例もあるわけでございます。当時の刑事局長の御答弁は、広からず適当だということで、広からず狭からずと申しますか、適当だという表現が使われておったと思いますが、その言葉からもおわかりのように、現在の再審理由の解釈の問題といたしまして、いわゆる白鳥決定もあるわけでございますし、他の裁判例もあるわけでございます。そのことにつきまして、当時の局長がそういうお答えをしたわけでございます。 ただ何分にも、再審理由の解釈につきましては若干幅があるわけでございます。いわゆる白鳥決定は、その解釈の中でどちらかと言えば、やや緩やかな解釈をとったというふうに理解されているのではないかと思うわけでございますが、それだけにその解釈も非常にむずかしいといいますか、微妙な点もあるわけでございますので、その後の裁判例等の積み上げによって、おのずからその解釈も確定してくるというふうに考えるわけでございます。また反面から申しますと、そういう解釈によって適正な運用も期待できるわけでございますので、ああいう決定があり、また、その後若干の裁判例があるということで、直ちに改正に踏み切るということはやや早計といいますか、早過ぎるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○上田(卓)分科員 いずれにいたしましても、部落差別の結果、無実の罪で石川一雄君が牢につながれておるわけでございまして、疑わしきは罰せずという法の精神に基づいてやはりこの再審の道を開いて、そういう東京高裁の再審棄却というような無謀なことに対して、国民は絶対許さないし、われわれは絶対に許すものでない。今後われわれは、そういう点で無実を晴らすまで徹底的に闘うということを申し上げたい、こういうように思うわけであります。 それじゃ、次に進ましていただきます。 次に、いわゆる俗に真宗大谷派の紛争と言われておるわけでございますが、この点について若干御質問申し上げたい、このように思います。 真宗大谷派の宗憲と内部規則は、議会制民主主義そのものである、そういうように私は高く評価いたしておるところでございまして、たとえば宗議会と門徒評議会の議決によることなく、予算の決定やあるいは債務負担、財産処分をしてはならないということが述べられておるわけでございます。また六名の責任役員と法主大谷光暢師の七名の合意によらなければ教団を運営してはならない、こういうことにもなっておるようでございます。前法主の大谷光演師は、事業欲のため事業に手を出して破産したことは天下周知のことだろう、こういうように思うわけでございまして、大谷光陽師が相続した当時の教団運営は、大谷家あるいは家系による専制君主制であったわけでありまして、その弊害については、大谷光暢師自身が数年にわたって議会中心の民主宗憲と内部規則をつくったわけであります。光暢師は、一切の教団運営は一千万門信徒の世論に従って行い、二度と再び法主一人の独断専行があってはならない、そのように誓ったところであります。こうして一千万門信徒の寄付したところの宗教財団を恒久的に守る道が開かれたわけでございます。いま問題のいわゆる枳殻邸や渉成園も、その当時、門信徒の寄付によって破産財団より買い取ったものであるわけでございまして、今日大谷光暢師は、議会の決議を得ず、内局を無視して大谷の里など、十億円も要するところの娯楽施設を計画し、費用を浪費いたしておるわけでございまして、借金ができると、本願寺の代表責任役員の肩書きを利用いたしまして、手形を乱発したり、本願寺の重要財産を債務担保の目的で第三者に譲渡したり、また抵当権を設定いたしたりして、数百年にわたって門信徒の寄付で維持してきたところの宗教財産を壊滅させるような、そういう独断専行をほしいままにしておるのではないか、このように私は考えるところでございます。こういう事態を放任しておいて、本願寺財産はとうてい将来にわたって維持できるものではない、このように考えるわけでございまして、一千万門信徒の信仰のよりどころでありますところの本願寺の荒廃は火を見るよりも明らかであろう、このように考えるわけであります。国民にとって最もかけがえのないところの精神的、文化的財産たる本願寺は、いわゆるどろぐつで踏みにじられようといたしておるわけでございまして、この大谷光暢氏は、担保権者の選定についても、悪質な不動産、金融ブローカーを信用して、はかり知れぬ財産をわずかな借金のために取られようといたしておるわけでございます。担保権者たるところの松本裕夫やあるいは三池新二らは大谷光暢氏を信用し、違法なものではない、自分が責任を持つと光暢氏が言ったから担保権を手に入れたのである、犯意はないんだ、こういうように主張いたしておるところでございます。京都の不動産屋で本願寺の議決機関の決定のない、決議のない担保権の設定も買い取りもその効力が争われておることは常識のことであろう、こういうように思うわけでございまして、いわゆる暴力団系統の松本裕夫や三池新二は一獲千金を夢見て大胆な取引に出ているのでありまして、大谷光暢氏の背任の共犯であることは明確ではなかろうか、このように考えておるわけでございます。 そこで、京都地検のそういう引き延ばしの方針は、結局のところ本願寺の壊滅をもたらすものでございまして、光暢氏の夫人が皇后の妹であるという理由で憲法の第十四条、すべて国民は、法のもとに平等であって、社会的身分または門地によって差別されないという大原則があいまいにされることは絶対に許されない、このように考えておるわけでございまして、大谷光暢氏の背任は、会社で言えば社長の背任でありまして、いわんや宗教法人の代表責任役員は道義的にも法的にもさらに厳しく規制されなければならないし、規制されておるところでございます。一般国民なら十万円の背任や横領でもびしびし身柄を拘束するのに、これだけの大事件、新聞でも大きく騒がれておるのに、ただ一人の逮捕者も出ないというのは一体なぜなのか、非常にわれわれは不審でならないわけでございまして、これでは法の前での平等などまるでうたい文句ではなかろうか、こういうように思うわけでございます。こうした重大なる犯罪が放置されるならば、一千万門信徒と国民は大谷光暢氏の背任と国民的、精神的財産を冒涜する共犯者として法務省を糾弾しなければならないだろう、こういうように思うわけでございまして、法務大臣は、本件の徹底的な究明を厳正に行うべきではなかろうか、こういうように思っておるわけでございます。特に光暢氏を訴えたところの圧倒的多数の門信徒の願いは、光暢氏を決して犯罪者に転落させることではなしに、暴力団やあるいは右翼、悪徳金融ブローカーにこれ以上本願寺財産を食い荒らされたら教団は滅びてしまう、こういう気持ちでございまして、内局も光暢氏が改めるべきは改め、切るべきものを切るならばいつでも和解の用意がある、このようにも申されておるところでございまして、こうした気持ちをくんで、わが党の横山利秋先生は、いわゆる絵になるような検察の究明を国民は期待しておるのだ、こういう含蓄のあるお言葉を発言されておるところでございまして、そういう意味で、やはりこの松本や、あるいは三池や、あるいは暢道や竹内も含めたところの関係者全員の不起訴などが万が一でもあるならば大変なことであろう、こういうように思いますので、徹底したところの捜査を進めてもらいたい、その点について大臣並びに関係当局の明確なお答えをいただきたい、このように思います。
○前田(宏)政府委員 私から若干経過を申し上げますが、ただいま上田委員からいろいろと御指摘を受けたわけでございます。同じようなことが、いまもお話がありましたように、法務委員会でも御指摘を受けております。 ところで、お尋ねの事件につきましては、警察から事件の送付がございまして、京都地検で現に捜査中でございます。その捜査につきまして若干日数がかかっておるという御批判も受けておりまして、私どももそれなりに受けとめておるわけでございますが、ただいまのお話の中にありましたように何らかの理由で引き延ばしておるとか捜査をおくらしておるとかいうようなことは毛頭ないわけでございまして、純粋に刑事事件としての処理に努めておるところでございます。 ただ、遺憾ながら、事案そのものが複雑であること、これは上田委員も御理解いただけると思いますが、その捜査中にもいろいろと新しい事実といいますか、関連した事実が出てきておる。これも法務委員会でも御指摘を受けておるところでございまして、そのようなことが積み重なりまして、処理に時間を要しておるということでございまして、何かほかの理由で処理を延ばしておるというようなことは絶対ございません。
○上田(卓)分科員 去年は年末までとおっしゃり、またことしになりまして年度末まで、こういうようなことで、今月末ということになるわけでございますが、どうですか、こういう状況の中で今月中にそういう一定のめどが立つのか、あるいはもう少し時間がかかるのか、その点について見通しをお聞かせいただきたい。
○前田(宏)政府委員 お答えをいたしますとまた引き延ばしというふうな御批判を受けても恐縮なんでございますけれども、いまも申し上げましたように、当初から事案が複雑であり、関係者も多数でありましたのみならず、その後、最近に至りましていろいろとまた御指摘も受け、報道等もされておるような関連事実も次々と出ておるわけでございますので、私の見通しがあるいは甘かったかもしれませんが、できるだけ早期の処理ということはもちろん努力するわけでございますけれども、若干予定よりは延びるかもしれないということを申し上げさせていただきます。
○上田(卓)分科員 枳殻邸の整備には文部省は二千七百万円の補助金を出されておるわけでございまして、また内局においても二千七百万円の同額の支出がなされて、いわゆる三カ年の計画が終了する前に、譲渡担保契約事件が発覚いたしておるわけでございます。そういう意味で、三年目の補助金交付は中止されたわけでございますけれども、しかし内局は一千万円を負担して事業を完成させたという経過があるわけでございます。そういう点で枳殻邸が松本裕夫に売り飛ばされるというような状況が起こっておるわけでございまして、本来ならば、文化財保護法によってこういう補助金の返還を命じるということは当然のことではなかろうか、こういうように思っております。 また同時に、最近枳殻邸の所有権者と称する者が文化庁に対して管理させろというふうなことを言っておるわけでございまして、現実に占有し、管理しているところの内局と十分に相談するということは当然のことではないか、こういうふうに思いますので、文化庁の方の御説明をいただきたい。 また同時に、京都府は、大谷光暢氏の枳殻邸売却は、宗教法人法の十九条で言うておりますところの所有権の移転は責任役員会に諮らなければならないとか、あるいは同法の二十三条では、売却については一カ月前に公告しなければならない、こういうふうになっておるわけでございまして、宗憲とかあるいは内部規則に反する違法行為だ、このように公式表明をいたしておるわけでございまして、そういう点で、文化庁も先般法務委員会で、所定の手続はとっていないという事実は確認している、このように述べておられるわけでございまして、所定の手続をとっていないということは事実かどうか、その点再度確認をしたい、こういうように思いますし、また、事実ならばなぜ所定の手続をとるように指導しないのか。所定の手続をとらないということは、宗教法人法の十九条と二十三条の違反ではないか、このように思いますので、文化庁の方の明確な回答をいただきたい、このように思います。
○藤尾主査 逸見記念物課長。簡明に願います。
○逸見説明員 お答えいたします。 名勝の管理の問題につきまして最初に申し上げます。 現在、名勝渉成園、通称枳殻邸でございますが、これの管理につきましては、内局によって行われております。所有権の所在をめぐりまして争いがある現在、内局による管理が適正なものである限り、私ども現行法上問題はないものと思っております。その管理の内容は現在のところ大変適切な内容のものということを京都府の教育委員会を通じて把握をいたしております。 それから、二カ年にわたって出しました補助金の返還の問題でございますが、これにつきましては、所有権の所在が明らかになった段階で検討したいと考えております。
○安藤説明員 枳殻邸の処分の違法性につきましてお答えさせていただきます。 宗教法人法の十九条並びに二十三条によりまして、所定の手続を経なければならないというふうに書いてあるわけでございますが、京都府において少なくとも公告の手続がなされていないということを確認しておるという連絡がございますので、これにつきまして、重要な問題でございますので、目下詳細な報告を求めておるところでございます。これが着き次第、文化庁としても判断をしたいというふうに考えておるところでございます。
○藤尾主査 以上で上田君の質疑は終了いたしました。 次に、竹内勝彦君。
○竹内(勝)分科員 京都の刑務所に関してお伺いしたいと思います。 現在京都の刑務所、山科区にございまして、山科区と言えば近年とみに人口が急増しておるところでございます。いま人口だけでも約十四万人、こういったふくれ上がってきておるところでございますが、この経緯といたしまして、昭和二年京都刑務所ができて、その当時は非常に人口も少なかった。そういう中で、このように非常に密集しておるところでの刑務所という問題で若干質問をさせていただきたい、こう思いますので、とりあえずこの刑務所の経緯と概要、これは概略で結構でございますので、御説明をしていただきたいと思います。
○豊島政府委員 京都刑務所は、お話しのようにもと京都市上京区丸太町にございましたが、大正十二年に移転の議が起こりまして、候補地を山科町に決定いたしたわけでございます。当時の山科は京都府宇治郡の山科町であったわけでございます。大正十二年に直ちに工事に着工いたしまして、昭和二年に現在のところに移転を完了したという経緯になっております。自来五十四年にわたりまして、地域住民の温かい御理解のもとに運営を続けておるという状況でございます。
○竹内(勝)分科員 このような非常に人口の急増した中で、いろいろ地域住民との間には微妙な関係というものが生まれてきておるのではないか、こう考えます。また、非常に広大な刑務所の敷地面積等々を考えれば、何か住民に役立つような、喜んでもらえるような、そういう還元できるようなものはないのか。まあいろいろな要望があると思いますけれども、敷地の一部を京都市へ払い下げする計画があるのか、また、あるならばその面積はどのぐらいか、お答えいただきたいと思います。
○豊島政府委員 実は京都刑務所の農耕地、それから宿舎が、施設のそばと、離れた飛び地にもあるわけでございますが、こういう農耕地とうちの宿舎につきまして、昭和五十二年ごろから、京都市からの払い下げの要請がございまして、私どもも、地元の方々との協調、この点を踏まえまして、この農耕地及び宿舎敷地をいわば放棄いたしまして、そして現在の刑務所付設の、すぐ近傍にあります宿舎を改築するという方針で、現在宿舎の建てかえ整備中という状況に相なっております。また、地元への協力といたしまして、諸種の奉仕というようなことを考えたり、それから宿舎の整備に伴いまして職員の子弟とともに空き地の利用というようなものをともにしていきたいというようなことを考えております。それよりも何よりも、逃走等の事故で御迷惑をかけるというようなことがないように、この点は万全の措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
○竹内(勝)分科員 要望としては、京都市長より、五十三年四月に所長に、並びにまた五十四年四月に近畿財務局長あてに、そのような耕作地あるいは宿舎跡地をこのように今後利用計画していきたいというものが出ているわけですが、その内容は、どんなものに使われるのか、どんな計画でおるのか、その要望の内容を御説明いただきたいと思います。
○豊島政府委員 宿舎の整備ができました後の跡地の処分につきましては、実は大蔵省の所管事項でございますけれども、大蔵省におきましては、地元京都市の要望に沿って検討をしたいということであるというふうに聞いております。 現在、なお宿舎が払い下げの土地に建っておりますので、宿舎完成まではまだ多少時日を要するというふうに考えております。
○竹内(勝)分科員 大蔵省の方に、財務局長あての内容を簡単で結構でございますので、どんな計画になっておるのか、御説明いただきたいと思います。
○安部説明員 まだ正式な申請という形ではございませんけれども、現在私どもが承知いたしております限りでは、近畿財務局長に対しまして、まだ固まった要望という形ではないと思いますけれども、昭和五十四年の四月十七日付で、跡地につきまして、約半分を緑地としまして、残りのあと半分につきましてスポーツ施設、これは多目的施設とかテニスコート等をつくるというような内容のようでございますけれども、そういうスポーツ施設、それから遊戯広場等を設けまして、都市公園として利用したいので譲渡してもらいたい旨の要望書の提出がございます。
○竹内(勝)分科員 この法務省所管の農耕地と宿舎跡地に関しては、特定国有財産整備計画による処分財産として大蔵省の所管財産になった、こういうのは、なったのはいつなのか、それからまた新たに建設中の宿舎はいつごろ完成予定で、宿舎跡地と耕作地が払い下げ処分可能となる時期はいつごろでございましょうか。
○安部説明員 本件跡地につきましては、五十四年度の特定国有財産整備計画に基づきまして移転再整備することになったわけでございますが、この財産につきましては、現在まだ新施設をつくっている段階でございますので、新施設ができるまでの間刑務所宿舎ということでまだ居住者が住んでおるわけでございます。法務省の方にお聞きいたしますと、実際に完成いたしますのが五十六年の一月ごろで、そのころには移転できるというふうに聞いておりますので、その後の段階におきまして私どもの方といたしましては地元の意向等をお聞きしながら跡地の処分について検討してまいりたいというふうに考えております。
○竹内(勝)分科員 いままで京都市以外からこの耕作地並びに宿舎跡地に関して何らかの要望がございましたでしょうか。
○安部説明員 現在までのところ、私どもが承知しております限りでは、その跡地を国で直接使うとか他の地方公共団体が利用するという要望は聞いておりませんで、京都市が公園として利用したいという要望だけでございます。
○竹内(勝)分科員 それならばこの土地に関しては、いろいろなプロセスの問題は今後の問題といたしまして、京都市に処分されるということはほぼ間違いない、こう考えます。 そこで、耕作地と宿舎跡地の払い下げは、京都市から正式な払い下げ要望手続が出された場合には、どんなプロセスで京都市の所管財産になっていくのでしょうか。
○安部説明員 京都市の方から具体的な利用計画に基づく払い下げの要望がございました場合には、近畿財務局におきましてその内容について審査いたすことになるわけでございますが、この審査に当たりましては、国有地処分の一般原則でございます公用、公共用優先の原則にのっとって、また地元の意向を聞いた上で検討するということになるわけでございます。そして、この利用計画が適当なものだというふうに認められました場合には、近畿財務局長が国有財産近畿地方審議会に諮問いたしまして、その答申を得た後に私どもの方で評価を行いまして、それから売り払い等の契約を締結するということになるわけでございます。
○竹内(勝)分科員 五十六年一月ごろに宿舎が完成とすると、いずれにせよそれまでは職員の方が旧宿舎におられるわけです。処分は当然その時期、こういった形になってくるわけですが、今後の払い下げ価格を決定したり、土地の評価期限や、あるいは京都市に払い下げるための審議会の開催などの事務的な手続等を考慮に入れて、京都市としてもそういった内々の要望があるわけでございますので、近々に京都市の要望として正式に出てくるわけですね。そうしますと、大体の目安としては、いつまでというようなことでなくて、たとえば五十五年度内となると五十六年の三月三十一日まで、こういった形になるわけでございますけれども、その辺の目安、年度内なのか、その辺がどうなっていくのか、御説明いただきたいと思います。
○安部説明員 先ほどお答えいたしましたように、法務省の方といたしましては五十六年一月中に移転するというふうに聞いておりますので、それから大蔵省といたしましては京都市の要望を受けまして、内容を検討しまして評価等の作業を行うわけでございます。通常これらの作業につきましては二、三カ月の日数が必要とされるわけでございます。したがいまして、売り払い等の契約は五十五年度末か五十六年度の前半には行えるのではなかろうかと考えております。
○竹内(勝)分科員 この場所は非常に新興地でございまして、地価も大変な値上がりの状態でございます。現在、その周辺で幾つもの住宅が密集しておるというような状態でございますが、私の知っておる人が最近土地を購入しましたならば、坪当たり六十万から七十万、こういうようなものもありまして、この面積が約一万坪、こうなっていますが、この状態からいきますと大体どれぐらいの価格になるのか、それから正式な面積、平米でいくと耕作地がどれくらいで、宿舎跡地がどれくらいなのか、その二点を御説明いただきたいと思います。
○豊島政府委員 面積につきましては、農耕地が二万四千六百二十七平方メートル、それから宿舎敷地が五千八百九十九平方メートル、合計いたしますと三万五百二十六平方メートルでございます。 評価額のことにつきましては大蔵省にお願いいたしたいと思います。
○安部説明員 評価は、価格の問題でございますけれども、これは処分時の時価ということになっておりますので、現在の段階では私どもまだ承知していないわけでございまして、評価作業の結果を見なければ、現時点では何とも申し上げかねますので、その点、御了承いただきたいと思います。
○竹内(勝)分科員 ぜひ要望をかなえられるような体制にお願いをしたいと思います。 最後に、この問題に関して大臣にお伺いしておきますが、こういうような経緯から考えて、いままでは全くたんぼの中という刑務所でございました。それが御承知のとおり人口の急増で、もうちょうど密集の中の真ん中、こういった形になってきておる刑務所の所在、それと地域住民とのコンセンサス、こういったものを得ていく上で、住民にやはり喜んでもらえるような体制というものをつくっていかなければならないと思いますので、この問題はぜひ意欲的に推進をしていっていただきたいと思いますが、大胆の所見をお伺いしておきたいと思います。
○倉石国務大臣 矯正局において十分そういう点も検討いたしておるように先ほど来申し上げておるわけでありますが、そういう趣旨に沿いまして善処いたしてまいりたいと思います。
○竹内(勝)分科員 では、次の問題に移らせてもらいますが、受刑者の中で刑務作業に従事している人を対象にして、特に特別健康診断を要する業務に従事している者が全国にどのくらいいるのか、その実態、内訳について説明してください。
○豊島政府委員 現在、いわゆる労働安全衛生法等の関係法令に定めますところの特別健康診断を必要とする作業に刑務作業として三種類ございます。その一つは、有機溶剤を包含する塗料を使用する木工作業がございます。それから第二に、鉛を使用いたします活版印刷作業がございます。それから三種類日といたしまして、粉じんを伴う窯業、焼き物でございますけれども、窯業などの作業がございます。 現在、作業の従事人員でございますが、トータルで二千八百六十人でございます。有機溶剤による作業従事員が千七百十六人でございまして、窯業等のいわゆる粉じん害の作業従事人員が九百八人ということになっております。
○竹内(勝)分科員 ちょっといまの説明、私どもの手元に持った資料では、印刷就業者関係が二千八百六十人、それからいまの有機溶剤接着作業、これが千七百十六人、紡績等のこういった関係の九百八人、合計五千四百八十四人、こう解釈していますが、間違いないでしょうか。
○豊島政府委員 訂正いたします。 印刷等が二千八百六十人で、有機溶剤が千七百十六人、窯業等が九百八人、トータルは先生御指摘のとおりでございます。
○竹内(勝)分科員 そこで、私も実は先ほどの京都刑務所の件で、山科の刑務所に行ってまいりました。そしていろいろと要望等も聞きました。それから状況も見ました。あとまた、農場の問題、耕作地、宿舎の跡地等の視察もさしていただきました。その中で特に感じた点でございますが、いま言った有機溶剤接着作業、こういったものに従事していると、どうしてもそういうものを吸いますね。そうすると、普通のほかの手作業で健康的なものとはまた別の観点があるわけですよ。そういう面でいくと、特別健康診断というものを今後どういうようにやっていくのか。それからそういう有害業務というか、そういうところに従事する者の有病率はどうなっておるか、その辺御説明ください。
○豊島政府委員 最初のお尋ねでございますけれども、現在こういう特別健康診断を必要とする作業に従事する者に対しまして、尿検査とかあるいは血液検査とか、そういった事前の諸検査を実施することに努めております。現状では、そういう有害作業を実施しております施設の約半数におきまして、尿検査とか血液検査とかを行っておるのが現状でございます。しかし、半数でいいということにはもちろんなりませんので、ダイレクトに労働安全衛生法が適用される従事員ではないのでありますけれども、同種の作業を刑務作業として営んでおるという実態に照らしまして、これらの諸検査を充実、励行していくということに努めなければいかぬというふうに考えております。 なお、体内に有害物質が吸引されたり、あるいは皮膚に付着したり、そういうことを防止いたすために、特殊洗剤によりますところの手洗いとかあるいはマスクの使用とか、そういった点も十分に指導いたしておりますけれども、今後とも十分指導していきたいというふうに考えております。 なお、健康診断の結果、有病率等がどうなっておるかという点でありますけれども、有害作業によるがゆえの有病者という認定をした者は私どもではございませんが、一般的に申しますと、受刑者の中で投薬を受けております者、これは入所前から病気を持っておる者も含みまして、投薬を受けておる者が昭和五十四年十月一日現在で九千九百五名おります。そのうちに、休養患者、休養室に入っております患者が千三百三十八名おりまして、全受刑者の三・二%に当たっておるという状況でございます。これらの患者の主な疾病というのを挙げますと、結核、循環器系、消化器系、こういったものが主たるものでございます。
○竹内(勝)分科員 こういった業務についておる人たちに対して、いまの健康診断を考えてみても、問診等が主体ですよね。いまの尿検査とか、それは一部ございますけれども、特別にこういった有害業務についておる人たちに関しては、今後労働安全衛生関係法令に準拠した健康診断を特別にしていき、あるいは医師の配置並びに医療設備あるいは部外病院との連携をとっていく必要があると思いますが、お考えどうですか。
○豊島政府委員 全く御指摘のとおりでございまして、問診によるものが約半数あるという現状は、改めたければならぬというふうに考えております。検査につきましても、部内で賄えないものは外部の診療所、諸検査の施設、こういうものの応援、協力を得まして実施していくという体制をとらなければいかぬというふうに考えております。一層の充実を期していくという所存でございます。
○竹内(勝)分科員 もう一点お伺いします。 受刑者の社会復帰ということを考えて現在職業訓練を行っていますが、その対象と内容について簡単で結構でございます、説明してください。
○豊島政府委員 現在、受刑者につきまして本人の性格とか刑期、何年の刑に服しておるかというようなこと、あるいは持っております学力、それから釈放後どういう生計につくかというようなことを勘案いたしまして、職業訓練を実施する必要があると認められる者につきまして職業訓練を実施いたしております。五十三年度におきましては、千八百三十九名につきまして三十四種目の職業訓練を実施いたしております。品目の主なものを申し上げますと、木工、製版印刷、左官、機械、板金、船舶職員、これは船に乗る職員の諸種の訓練でございますが、船舶職員訓練、そういった種目でございます。
○竹内(勝)分科員 年齢的には何歳ぐらいまでの人を対象にしておるのですか。
○豊島政府委員 受刑者の職業訓練につきましては、受刑者職業訓練規則、これは昭和三十一年の三月十七日に法務大臣訓令で出しておるものでございますが、受刑者職業訓練規則というものを設けまして、それに基づいて実施いたしております。年齢の点でございますが、技術付与の必要性とか矯正効果とか、そういうことを勘案いたしまして、種々の条件があるわけでございますが、先ほど申しました刑期とかあるいは出所後の生活条件とかいろいろな要件があるわけでありますが、年齢的なものといたしまして、四十歳未満の者を原則とするという条件を掲げております。ただし、これは原則規定でございまして、第二項におきまして、特に必要があると認めるときは、この原則によらないことができるということで原則を外しております。なお、現在も四十歳以上の者の職業訓練を実施いたしておりますが、先ほど五十三年度の数字で千八百三十九名と申し上げたのでありますけれども、そのうち四十歳以上の者が百五十五名おります。これらの者は、溶接とか機械とか左官とか塗装とか園芸とか三十種目の訓練を受けております。
○竹内(勝)分科員 年齢の面で要望しておきたいわけですが、近年雇用情勢の変化と、それから高齢化社会への移行、それからまた、こういった受刑者に対しての再就職、社会において本当にりっぱに今後全うしていけるような、そういった態勢から考えても、いわゆる中高年齢者、それが何歳からなるのかわかりませんが、四十歳以上の人が非常に少ないですよね。そういう面でぜひ職業訓練法の、たとえば五十三年に職業訓練法の一部を改正し、中高年齢者の再就職のために職業訓練の拡充をうたっていますね。これは労働省でございますね。こういう形で法務省としても、受刑者の将来ということをを考え、ぜひ意欲的な措置をとる必要がある、こう考えますが、ひとつその将来の展望をお伺いして、ちょうど時間でございますので、終わりたいと思います。
○豊島政府委員 御指摘の点は、一般労働情勢との絡みにおいてまことに正鵠を得たものであるというふうに考えております。 私どものこの訓練規定でございますが、これは国際連合におきまして処遇の最低基準規則というものを定めておりますが、その中で職業訓練につきましても若年層に力点を注げという規定がございます。行刑の一つの特殊性だと思うのでありますけれども、そういう国連等の、あるいは世界のそういう思潮を受けまして、このような規則になっておるわけでありますけれども、ただ、現在の労働情勢、社会の需要というようなものを考えてみますと、受刑者の社会復帰を図る上におきまして、四十歳以上の者の職業訓練というのはかなり重要であるというふうに私どもも認識しております。御指摘のありましたように、今後この種の中高年齢者につきましても、十分な職業訓練を実施するよう努力をしていきたいというふうに考えております。
○竹内(勝)分科員 どうもありがとうございました。
○藤尾主査 以上で竹内君の質疑は終了いたしました。 次に、山花貞夫君。 〔主査退席、中島(源)主査代理着席〕
○山花分科員 私は、本日委員会の冒頭にございました上田議員の質疑の特に前半の部分を受けまして、第八十五臨時国会における同和対策事業特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議に関連して、幾つかの未解決のテーマについてお伺いをいたします。 まず冒頭、大臣に一言お伺いしたいのですが、この附帯決議におきまして「同和問題の重要性にかんがみ、この問題の早急な解決を図るため、」と三項の具体的な今後の方向について決議がなされているわけであります。附帯決議成立後今日まで、歴代の法務大臣から、この決議の趣旨を踏まえて努力をしていきたい、こういう基本姿勢が国会の場におきましても表明されているところですが、改めて以下の質問に入るに当たりまして、大臣からこの附帯決議についての基本的な見解、基本的な姿勢についてお伺いをいたしたいと思います。
○倉石国務大臣 この附帯決議、私どもは大変重要な決議であると存じておるわけでありますが、この附帯決議は、御指摘のように、国会の両院の意思が表明されたものでございますから、関係各省庁ともこれを尊重して行政を遂行してまいる所存でございます。特に法務省といたしましては、人権侵犯事件の処理等を中心といたします啓発活動によりまして、心理的差別の解消を図るということを大きな目的といたしておるのでございまして、このような見地から、附帯決議の趣旨を踏まえまして、今後とも差別の解消のために啓発に努めてまいりたい、こういうのが法務省としての基本的精神でございます。
○山花分科員 一例でありますけれども、古井前法務大臣は同和地区を視察いたしました。この附帯決議におきましても、実態の把握に努める、そのことが非常に重要であると、まず第一項で指摘しているわけです。古井前法務大臣も同和地区を視察した中で、具体的にその実情を目の当たりに確かめ、あちこち同和地区を知っているけれども、自分の見たこの状態は一番悪い、特別措置法延長は三年では足りない、期限切れの時点で改めて方策なり法律なりを考えなければならぬ、こう語りましたし、あるいは部落地名総鑑などに見られるように差別は野放しになっている。人権を中心に据えた部落解放基本法をつくってほしいという要望に対しても、それはそのとおりである。これを受けまして、住宅など外形的な事業は進んでいるが、肝心なのは精神的な面であると、積極的に検討する姿勢を示されました。 その後も、以下お伺いしたいと思いますが、各種人権事件あるいは差別事件がむしろ増加傾向を示しているというのが、法務省も把握されておるとおりであります。したがいまして、実態を把握して今後の確固たる方針を打ち立てる、そのためには、法務大臣にも一層の御努力をお願いいたしたいと思いますし、機会あれはこうした同和地区の視察等についても取り組んでいただきたい、こう考えますが、御見解をお伺いいたしたいと思います。
○倉石国務大臣 大変適切なお話であると存じます。私もやはり可能な限りそういう地区の視察をいたしまして、つぶさにそういう状況を会得することが必要なことだと存じておりまして、機会を見て視察をいたしたい、こう思っておる次第であります。
○山花分科員 そうした中から措置法の今後のあり方、期間の問題を含めて、あるいは基本法に対する取り組みの姿勢というものも、また改めて明確に打ち出していただけるのではなかろうかと期待をするところであります。 具体的な問題についてお伺いいたしたいと思いますが、まず先ほども申し上げましたとおり、決議の三項でも指摘している「事件の増発状況」に関連してでありますが、同和地区における人権相談などの数がどれくらいになっているのか、また次いで法務省が受理しておる人権侵犯の件数及びこの中でのいわゆる差別事件の件数がどれくらいになっているのか、できましたならば年次別の数字を明らかにしていただきたいと思います。
○中島政府委員 お答えを申し上げます。 まず人権相談件数でございますが、これは同和地区を有する市町村における相談数ということでございます。昭和五十年が五万三百二十三件、五十一年が四万八千四百六十五件、五十二年が五万六千八百二十二件、五十三年が五万五千四百八十件ということになっております。 それから、人権侵犯の事件数と、そのうち差別事件の数でございますが、昭和五十年が全事件数が一万三千三十七件でございまして、そのうち差別待遇というのが二百九件、五十一年が全事件数が一万三千百三十件のうち差別待遇が三百七件、五十二年は一万三千九百五十七件のうち差別待遇が二百二十件、五十三年は一万五千四十五件のうち差別待遇が二百四十三件ということになっております。この差別待遇と申しますのは、部落差別及びその他の差別一般を含むわけでございまして、このうちに部落差別の事件が含まれるということになっております。
○山花分科員 全体の人権侵犯事件についての概況についていまの数字の中から把握することが可能であると思うわけですが、その中でも、先ほどの上田議員の質問を踏まえてお伺いしたいのは、いわゆる地名総鑑の問題についてであります。 一九七五年十二月に「人事極秘部落地名総鑑」の存在が指摘されまして以来、九種類の差別図書の存在が明らかにされています。なお先ほどの質疑におきまして、上田議員から九種類のと申し上げましたならば、大臣の方から八種類が確認されている、こういう形でお答えがありました。実はそのところにも、従来明らかになった九種類の差別図書について、法務省における今日までの捜査の進展状況の一端が出ておったのではないかと思うわけですが、実は私どもとしては、すでに明らかになっている八つではなくて九つの差別図書について、法務省につき、この調査、そして啓発の仕事を一層努力して取り組んでいただきたい、そのことを強く要望するものであります。 その中で、従来各委員会などでその内容について調査結果が御報告されておりましたけれども、実は従来の委員会におきましては、たとえば第二の差別図書については現在そのすべてについて鋭意調査中であるというお答えであり、第三、第四につきましては最近接触することができた、その関係で引き続き調査中ということであり、第五につきましては、発行者が姿をくらまして現在不明である、根気強く周辺調査をしている等々、調査中という回答部分がほとんどでありました。従来、その点についての資料もわれわれいただいているわけですが、従来の調査に加えて、最近までの調査によって明らかになった部分について、ひとつ御説明をいただきたいと思います。なかんずく、従来調査中とされていたものについてのその後の調査の結果判明したもの、購入者の数あるいはその購入者である企業、業種、そういった分類、未発表の購入者名などについて、加えて購入者に対する処置、処理がどうなっているのかということについてお答えいただきたいと思います。
○中島政府委員 お答えを申し上げます。 その後の調査によって進展を見た部分ということでございますが、まず第一のリストにつきましては、購入者五十二名中一名について未済ということになっておったのですが、これを勧告ということで処理をいたしました。 第三のリストにつきましては、判明をいたしました購入者五十四名中四名について未済ということになっておったわけでございますが、勧告その他ということで処理をいたしました。 第四のリストにつきましては、二十六社につきまして勧告等ということで処理を終わっております。 第五のリストにつきましては、購入企業二十五社、二十七冊が判明をいたしました。 第六のリストにつきましては、購入者、発行者につきまして勧告等によって処理を終わっております。 第七のリストにつきましては、すでに判明をいたしておりました購入六社のほかに八社が判明をいたしまして、教導、啓発をいたしております。 第八のリストは現在調査中ということでございます。 それから、第九のリストと言われるものにつきましては、確かにそういうものがあるという情報もございます。投書もございまして、法務局で調査はいたしておりますけれども、それは従来の第二のリストあるいは第三のリストと同じものではなかろうかという疑いもありまして、現在私どもとしては確認はしていないというような段階でございます。
○山花分科員 一部新しく判明した結果についても御報告いただいたわけですが、なお、いただいております資料により、各リストの不明部分と照合しながらお話を伺っておりますと、なお不明であるとして残されている部分が大変たくさんある。同時に、特にわれわれが従来から請求しております、把握したものについては内容を明らかにしたらどうか、購入企業のたとえば数だけつけ加えてお話しありましたけれども、では、一体どの地域のどんな企業がという部分等について明らかにしていただきたいということをかねてから要求しているわけですが、この点についてはいかがでしょうか。
○中島政府委員 購入者の具体的な企業名と申しましょうか、購入者名等につきましては、ここで申し上げることは差し控えさせていただきたいと考えております。 第五のリストの購入者、購入企業名につきましては、先日二月二十七日であったかと思いますが、当委員会の御要求がございまして、資料として提出をいたしたような次第でございます。
○山花分科員 ただ、いまお話しのございました当委員会の要求で明らかにしたという部分も、いわば従来もうわかり切っている部分だったというのがわれわれの受けとめ方であります。まあ処理規程その他による秘密の問題とかかわるのではないかと思いますけれども、実は御承知のとおり、昨年十二月二十五日の毎日新聞に「法務省、指導“怠る”」という見出しで報道がなされました。「半年前に差別図書購入企業を二十五社もキャッチしながら、購入企業に対して何の指導、啓発も行っていなかったことが」この時点、「二十四日までの毎日新聞社の調査で明らかになった。」ということから、「そのウラには人権擁護行政の怠慢があることが明らかになった」のではないかという内容の記事であります。なかんずく第五の地名総鑑に関連して、すでに地方法務局に極秘に指示を出している。その指示までが新聞記事に出ているわけであります。法務省の方が当委員会その他におきまして明らかにしなくとも新聞記事としてはどんどん出ている、これはおかしいのではなかろうか。その法務省の明らかにされました文書によりますと、たとえば一社で二冊の「日本の部落」を購入したところもある、あるいは「日本の部落」のほか、第三の地名総鑑と言われている「特殊部落リスト」をあわせて購入している企業もある、こういうような実態も明らかにされているわけであります。新聞記事になってからあわててということでは困る。こういう問題については、明らかになったその都度、必要な限りまず委員会において発表していただくということが至当であると思いますし、こうした新聞記事から漏れるということであるならば、そうした法務省の態度に対して不信感も出てくるというものであります。そういう意味から、できる限りこうしたことにならないように、法務省としてもひとつ御努力いただきたい、内容についてはまず委員会で明らかにしてもらいたい、そして委員会でなければ、従来の取り扱いのとおり理事会等で御協議いただいた中で、できる限り内容を明らかにしていただきたいと思いますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
○中島政府委員 一番最初にお尋ねのございました、六月ごろにすでに企業について調査をしておるにもかかわらず、半年近くもその処理が行われていないじゃないかという点でございますが、これは全国的に幅を持った事件でございまして、確かに六月ごろに企業名が法務局側にある程度わかりまして、その購入企業について一応の調査を行ったというのは事実でございます。その段階におきましても購入企業に対しては啓発を行っておるわけでございますが、その調査の結果に従いまして、またこの発行者についての調査も行うということもありまして、結局調査の一応の終結を見るまでに約半年ぐらいはかかったという実情でございます。 それから、企業名が外部に出たじゃないかという点でございますが、企業名が明らかになりますと、こういう地名総鑑等の事件につきましては、事柄の重要性にかんがみまして、関係省庁と共同歩調をとりまして共同啓発というのを行っております。その前提として関係省庁にも資料などが回るというようなことになりますので、どうしても外部に出る機会があるということでございますが、私どもは今後そういうことのないように十分に注意をしてまいりたい、このように考えております。
○山花分科員 いまのお答えと関連しますが、購入企業に対する共同啓発ということで御説明がありました。たとえば、先ほど私が指摘いたしました新聞の記事に関連しての「日本の部落」購入企業に対する指導、啓発の実施、こういうものが実際に行われておったと把握しているわけであります。どういう形で実施しているのか、その概況についてお話しをいただきたいと思います。あるいはその結果についてできるだけ発表していただきたいと思います。この点についてお願いします。
○中島政府委員 先ほども申しましたようにこの問題は重要な問題でございますので、法務省のみならず、企業の種類によりまして通産省、労働省、その他現地の都道府県、地方公共団体等も力を合わせて共同啓発をするということになっております。 それで、法務省からは法務局に対してその旨の通達を流します。その結果、現地で関係省庁の出先が協議をいたしまして、それぞれ分担を決めて共同啓発をするということでございまして、現在までのところ第五リストに関して申し上げますならば、一企業につきまして平均三回ぐらいの割合で啓発を行っておるということでございます。その内容といたしましては、法務局は憲法十四条の話をする、差別解消についての話をする、あるいは部落差別関係の映画を見せる、それから各省庁の出先はそれぞれその省庁で行っておられます同和事業と申しましょうか、同和対策についての啓発をされる、こういうふうになっております。
○山花分科員 いままでの質問の一つの整理といたしまして、実は第七の地名総鑑などにつきましても八社ほど明らかになったということのようですが、われわれが把握しておるところでは、これはいわゆる探偵社関係にばらまかれたものでありまして、直接購入したものなどについて問い合わせても、恐らく百社か二百社購入しているであろう、こういう回答が来ているわけであります。どうも法務省の調査ではそうした全貌をつかみ切れないのではなかろうかという観点から、人権侵犯事件調査処理規程等についても何らかの改善を要するのではないか、こういう考え方をわれわれは持っていますので、この問題についてはまた改めてお尋ねをいたしたいと思います。 ただ、ここでは先ほども質疑がありましたいわゆる法規制問題につきまして、先ほどの御答弁によりましても、差別図書の規制の問題あるいは興信所、探偵社などの登録問題という意味での規制、この二点に分けまして上田議員にお話がありましたが、全般的な問題といたしましては、去年の二月二十一日の予算委員会で鬼塚政府委員から、「さしあたり法務省といたしましては、この種の差別図書について罰則を伴う法規制にとりあえず取り組もうということで鋭意取り組んでおる」こういう答弁があり、以下各分科会におきまして、大臣の答弁も含めてこの問題について努力する、こういうお約束があったわけであります。 その後われわれといたしましても、興信所、探偵社の実態について調査をいたしましたし、あるいは法規制の場合の問題点についてもわれわれの立場で調査、検討を続けてきたつもりでありますが、この問題についての法務省の取り組みの姿勢はいかがなものであろうかというのがわれわれの実感でもあるわけであります。 特に興信所の法規制問題などにつきましては、もう十年近く前、いわゆる警備業法の制定の際に、これが終わったならば今度は興信所問題であるというような国会答弁があって以来ということでもあり、今日なお、毎年の本会議で鋭意努力中ということだけでは、確かに差別図書についての憲法上の表現の自由にかかわる問題、これを振り切れるかどうかとか、あるいは業者の登録等については、実態把握の問題等があることはわれわれも理解いたしますけれども、しかし、この問題について従来の国会における質疑を踏まえて考えるならば、より本格的にこうした問題についての検討を進めてもらいたいというように強く要望をいたしたいと思います。この点につきましては、基本的な姿勢の問題ともかかわると思いますので、大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
○倉石国務大臣 ただいまの御指摘のことについて、法務省におきましては、同和対策の役割りは啓発活動により心理的差別の解消を図ることであって、法による強制にはなじまないものであるということでありますが、しかしながら、最近、差別図書を出版、販売するという、部落差別を営利目的に悪用したり、また差別を拡大助長するおそれのある事件が発生いたしましたことは、政府が推進しております同和行政に逆行するもので、まことに遺憾千万であります。そこで、これら悪質な差別図書に対しましては、何らかの法的規制措置も必要ではないかとの見地から、目下関係各省とも連絡をとりながら検討を重ねておる次第であります。 しかし、先ほどもお話のございましたように、憲法二十一条の言論、出版の自由、または同三十一条の法定手続の保障、いわゆる罪刑法定主義等の関連で非常にむずかしいのではないかと考えておりますが、鋭意検討を続けてまいるつもりでございます。
○山花分科員 時間が参りましたので、鋭意検討されておる、そこにわれわれとしてはさらに期待をしたいと思います。 ただ、いまのお答えは主として差別図書関係であったわけですが、興信所、探偵社等の登録等を含めての規制問題につきましてもかねてから議論されてまいりました。古くは各都道府県の条例にあったということもあったようですし、外国の事例などについても法務省で検討されていると伺っているわけであります。いまの差別図書についての鋭意検討に加えて、こうした探偵社、興信所などの登録あるいは届け出、許可、いろいろなパターンがあると思いますけれども、その問題についてもひとつ同じく鋭意検討される、こういう姿勢を確認したいと思いますが、大臣、それでよろしいでしょうか。
○倉石国務大臣 そのように私どもも対処いたしてまいりたいと存じます。
○山花分科員 以上で終わります。
○中島(源)主査代理 以上で山花君の質疑は終了いたしました。 次に、梅田勝君。
○梅田分科員 日本共産党の梅田勝でございます。私は、昭和五十五年度の予算に関しまして、法務局の増員計画、法務局の整備強化につきまして若干の質問を申し上げたいと思うわけであります。 今日、法務局を整備強化するための総合計画というものが進められておるようでございますが、御承知のように、経済的、社会的な変動が非常に大きい情勢のもとにおきましては、その対応が非常に大事になってきております。たとえば不動産権利の登記事務、また登記簿原本の閲覧並びに謄本の請求等々のいわゆる乙号事務の問題、訟務事務、人権擁護事務等々とさまざまありますが、いずれも国民の財産あるいは基本的人権を守っていくための大切な業務であろうと思うわけであります。したがって、法務局がそういった事務に関しまして国民の期待を裏切らないように十分にこたえていくということが大切であろうと思うわけであります。 そこで、まず新年度の法務局における増員は何人ぐらいになるのか、お伺いしたいと思います。
○貞家政府委員 昭和五十五年度予算におきましては、純増が四十六人でございます。百五十七名の増員がございますが、削減がございますので、削減が百十一名、これを差し引きますと、純増が四十六名という予定に相なっております。
○梅田分科員 そのうち登記事務関係は何人ふえますか。
○貞家政府委員 四十一名という予定でございます。
○梅田分科員 法務局は先ほど申し上げましたような登記の仕事が多いわけでありますが、これが非常にふえているのですね。 そこで、調査をお願いいたしましたが、昭和四十一年度からの登記事件数の推移ですね、大体で結構でございますけれども、昭和四十一年に幾ら、それから十年前の昭和四十三年に幾ら、そして五十三年度は幾らであったかお伺いしたいと思います。
○貞家政府委員 御承知のとおり、登記事件には甲号と乙号がございます。甲号と申しますのは登記簿に記入を要する事件、乙号はその他の謄本、抄本の交付、閲覧請求等に関する事件でございます。四十一年、四十三年、五十三年と比較いたしますと、四十一年には甲号事件が約千四百三万件でございます。乙号が一億四百五万ということになっております。それが四十三年、これは四十一年と大して開きはございませんが、甲号が約千六百万件、乙号が約一倍半にふえまして一億五千百六十九万件ということになっております。それが十年たちました昭和五十三年になりますと、甲号事件が二千百十二万件、乙号事件が三億三千七百十二万件、こういう数字になっておりまして、四十一年をいずれも一〇〇としますと、四十三年は甲号が一一四、乙号が一四六ということになっておりまして、乙号は約一倍半ということになるわけでございます。五十三年に至りますと、甲号事件が一五〇でございますから一倍半、乙号が実に三二四という数字を示しておりまして、三倍に増加したということに相なるわけでございます。
○梅田分科員 甲号事件で一倍半、乙号事件に至っては三倍以上、まことにこれは激増しているということだと思うのでありますが、それではそれに対応する体制ですね、職員の方はそれぞれ四十一年、四十三年、五十三年においてどのような伸びを示しておりますか。
○貞家政府委員 職員は全国合計いたしまして、昭和四十一年度におきまして一万百二十二名、これを一〇〇といたしますと、四十三年が一〇三%、五十三年は一万一千八百四十七名でございますから一一七%、約二割足らずの増ということになっております。
○梅田分科員 結局、仕事はふえるが人員はふえない、大臣、こういう実態をよく御理解いただきたいと思うのでありますが、そういう実態であるにもかかわらず定員削減はどんどんおやりになる。第一次から第四次を通じまして定員削減が相当進んだ。いただいた資料によりますと千四百四十八人、それから増員が必要でございますので一方ふやしておりますが、これが二千八百六十四人ということで、純増はわずかに千四百十六人しかない、これは大変なことだと思うのです。仕事は、十年間に限って言いますと、計算いたしますと、乙号事件につきましては一億八千五百万件もふえているわけなのです。甲号と仕事は違いますけれども、両方入れると相当なものになる。ところが、職員の方は千四百人しかふえていない。しかも、これは法務局全体でございますから、登記事務に関しましてはこれだけふえていないでしょう。どうなのですか。
○貞家政府委員 法務局で最も事務量の大きいのは登記でございますけれども、仰せのとおり、登記だけというわけではございませんので、そのうちの一部はおのずから、たとえば人権部門、戸籍部門、供託部門、訟務部門というふうに配置せざるを得ないわけでございます。
○梅田分科員 われわれの計算したところによりますと、千百人ほどしかふえていないというのが実態であろうと思うのです。私、京都でございますので後ほど伺うことと関連いたしますが、新年度で四十六人ふえるようでございますが、京都はどれだけでございますか。
○貞家政府委員 本年度は定員事情が非常に厳しい年でございまして、四十六名というのは昨年に比べて少数でございまして、これを多数——もちろん事務の繁閑と申しますか、事務量の増加の度合いに応じて配分せざるを得ないわけでございますけれども、何分にも、もとが少ないわけでございますから、京都地方法務局には、もしこの予算が成立しました場合には一名という結果になろうかと思います。
○梅田分科員 あなたのところからもう資料をいただいておるのですから、数だけ言ってもらったら結構なのですよ。 ことしの定員は二百三十七人ですね。新年度は一人ふえるということでありますから、比率を割り出してみましたらわずかに〇−四二%です。全く微々たるものですね。仕事は文句なしにふえているのです。ところが、体制が伴っていない。あなた方の方は法務局の整備強化に関する総合計画ということでいろいろおやりのようでありますけれども、実体がついていかない。こんなことでは事故がふえても不思議ではないと私は思うのです。 大臣にお尋ねをいたしますが、昨年十一月、京都におきまして「登記簿変造される」「何者かが持ち出し八百万詐取地検が捜査土地架空売買を記載」ということで「信頼裏切るズサン管理」ということが大きく報道された。これは昨年の十一月十八日、京都地方法務局の左京出張所におきまして発覚をいたしまして、いわゆる地面詐欺師グループなるものが捜査されたわけでございます。現在までに五名が逮捕され、一名が指名手配されておるというような事件でございます。これは左京だけかと思いましたら、これはことしの一月十七日の新聞でございますけれども、またもや「登記簿ずさん管理京都地方法務局偽造素通り、交付も地面師グループ本局でも犯行」このように大きく報道され、社会的な問題になっているわけであります。大臣は、きょう私がこういう問題を質問すると通告してありましたので御存じかと思いますが、これについてどのようにお考えですか。
○倉石国務大臣 人員のことにつきまして大変御理解ある御意見を拝聴いたしまして、私もその点については大変力強く感ずる次第でありますが、一般的に行革がああいう形で進んでおるのにも反面においては協力いたさなければならぬのでありますが、京都における特殊な事件について、当時担当者の方から報告が来まして、私どもといたしましても、こういうことに対処して万遺漏なきを期するように指令をいたしておるところでありますが、その件につきましては、事務当局からお答えをいたさせます。
○貞家政府委員 閲覧体制の充実ということは私どもかねがね努力いたしてきたところでございますが、こういった部外者による不法記入事件の発生を見ましたことはまことに残念であり、国民の信頼を裏切るものとしてまことに私ども申しわけなく思っておるわけでございます。 そこで、大臣の命を受けまして、各種の会同等におきまして注意を喚起するのはもちろんでございます。管区の法務局長、地方法務局長から管下の職員に対しましていろいろ通達を発出いたしまして、不正事件等の防止について厳重な注意をいたしておることはもちろんでございます。 なお、しかしながら、この問題は、単にそういった精神的な緊張ということを職員に要求するということだけでは済まない問題であることは当然でございます。人的、物的な諸条件が大きな原因になっていると思うわけでございまして、従来からもこういった面での予算的その他の措置は講じておるところでございますが、なお一層そういった点におきまして庁舎の改善、窓口整理要員、これは従来から少しずつ予算化されておるわけでございますけれども、窓口整理要員の配置というような点で十分私ども配意しているつもりであります。今後とも私ども一層その点について努力をいたしますとともに、各登記所において可能な限りのあらゆる工夫をして、一層の体制の確立を図るよう努力することにいたしたいと考えております。
○梅田分科員 先ほど大臣から御答弁いただいたわけでございますけれども、この事件を余りよく御存じないようでございますので、登記簿の原本がどのように改ざんされているか、私現物を写して持ってきましたから、ひとつ見てください。 ここにも書いてございますように、所有権が二人渡って、それで発見されたのです。そして原因のところに錯誤、括弧して不実記載と書いてございますね。その前の二つペケしてあるのはインチキなんです。大体登記簿というものは外へ持ち出してはならないということになっているのですね。これが外へ持ち出されるということは重大なのです。あってはならぬことが起こっているわけです。不動産登記法によりますと、第二十二条において「登記簿等の持出禁止」と明確に書かれておりますね。それから施行細則におきまして三十七条では閲覧の方法「閲覧ハ登記官ノ面前ニ於テ之ヲ為サシムヘシ」と明確に書いてあるわけだ。どうして原本が外へ持ち出されてそんなことになるのですか。しかもこの人は何も売っていないのです。ところが、登記簿見たら、汚れているわけです。これは寸前において発覚をした。一方、不動産屋は不注意もあろうかと思いますけれども、手付金を七百万か八百万か、二軒の業者がひっかかっておりますが、幸いにして売られる前に発見した。しかし、この人は弁護士に頼んでこれを取り消すように手続しているのです。こういう費用まで負担させているわけですが、この責任をどうするのですか。補償でもしたのですか。もう少し法務大臣として責任ある答弁をお願いしたい。
○倉石国務大臣 これは、きわめて法律技術的なこともございますので、事務当局から御答弁申し上げます。
○貞家政府委員 もし国家賠償請求が起こったら云々ということであろうと思いますが、もし特定の公務員の監視に過失があるということになりました場合には、そういった法律上の責任が生じようかと思います。もし損害があるという前提に立ちますと、そういう問題が起こり得ようかと思います。ただ私ども、現在の段階ではそういった国家賠償責任を負うという事態ではないのではないか、詳細に検討しないとまだはっきりしたことは申し上げられませんが、一応そのように考えております。
○梅田分科員 悪いことをしたのがおるからこうなったということだったら、何でこれに錯誤——錯誤と書く以上は、あなた方の責任をあらわしているんですよ。なぜ偽造と書かないのですか。偽造だったら、だれかほかの者が悪さをしてやったということになるのでしょうが、錯誤、あなた方の間違いによって、ちゃんと判こを押して謄本を出しているのだ。実際に裁判に出して損害請求と言っても、小さい事件だから、そんなことをやったら費用の方が高くつくということでなかなかびびってやりませんよ。国民にこういう迷惑をかけていることについて、大臣は政治的にどう責任を感ずるのかと聞いているのですから、これは率直に悪いなら悪い、改善に努めますと言ってもらわなければ困るんですよ、どうですか。
○貞家政府委員 もちろん私ども、改善に努めるということは先ほど来申し上げているところでございます。
○倉石国務大臣 とにかく最初に御指摘のように、登記関係の職員が仕事量に比して非常に窮屈であることは、私自身もよく承知をいたしておるわけであります。そういうことについて、私どもの方では、さらに充足をするように努力をいたすと同時に、また登記関係の仕事の非常に狭隘な場所で苦労いたしておるのを私は現に見てまいりましたので、そういうことについては、さらに努力をいたしまして、充足をするように最善の努力をいたしたいと思っております。
○梅田分科員 努力なさるとおっしゃっても、なかなか現実は厳しいわけでありまして、通達を出されたわけでありますが、「まことに遺憾である。」と文章にちゃんと書いてあるのです。大臣からもこのように言ってもらわなければ困るんですよ。それから今後このようなことが起こらないように「いま一度自庁における閲覧監視体制について再検討し、このような不祥事件が再度発生することのないように対処されたいこと。」ということで通達が出されております。上の人がこうやって言うのはよろしい。一片の文書でそれを出したら言ってあるはずだということになりますが、受ける側は大変なんです。この左京の出張所につきまして、私も現場に行きまして、所長さん、職員の方々、労働組合の方々からお話を伺ってまいりましたが、年間七十万件の仕事があるのです。そして、所長以下十三人が必死になってやっている。甲号事件は発足当時に比べますと三十六倍です。乙号事件につきましては三千四百三十倍仕事がふえている。ところが、職員の配置の方は六・五倍にしかなっていない。全くひどい実態です。それで係員は戦場のように走り回っているのです。一人でも休みますと体制がとれないということで、有給休暇もここは全体としてたった八日しかとれてませんね。もっととるようにしたらどうですか。
○貞家政府委員 いま職員が何日の休暇をとっておるかという資料が手元にございませんが、おおむね御指摘のとおり十日程度の休暇に現実はなっておるかと思います。
○梅田分科員 全国的にそんな程度と言っても、ここはもっとひどい、八日程度しかとれていないのが実態ですよ。そういうところを、どう手当てするかということをもっと考えてもらわないと困ると思うのです。一日二千八百くらい謄本請求が来る。片や閲覧の方の監視もしなければならぬ。だから、できやせぬですよ。「登記官ノ面前ニ於テ之ヲ為サシムヘシ」となっているのですから、少なくともそのような体制をとれないものか。あそこは公図と登記原木を一緒に見る。一つの机でやっているのです。本局を見ましたが、大きなところは別々にやっているようですね。このような抜き取り事件が今後起こらないようにするには、窓口の体制を整備する、場所も分けてちゃんと監視できるようにしたらどうかと思うのでありますが、いかがですか。
○貞家政府委員 「登記官ノ面前ニ於テ之ヲ為サシムヘシ」ということになっているのは当然でございまして、現在でも形の上では面前ということになっておるわけでございます。しかし、それは事柄の性質上一人対一人でやるというわけにはまいりません。そこで、おのずから一定の区画で閲覧をしていただきまして、それを周囲から仕事をしながら見ているというのが実は現状でございます。これは確かに、庁舎の問題あるいはそれ以前にレイアウトの問題等があるかと私は思います。そういった点におきまして、できる限りの努力、工夫をしてもらうということ、しかし、それでは根本的には解決いたしませんので、確かに御指摘のとおり、そういった要員の確保あるいは庁舎の充実に今後とも一層の努力を続けたいと考えております。
○梅田分科員 それから不動産登記法五十条によりますと「登記百八土地又ハ建物ノ表示ニ関スル登記ノ申請アリタル場合実地調査」ということになっている。平均実地調査率は、いただいた資料によりますと約一割ということでありますが、これは本当ですか。
○貞家政府委員 全国的な調査ではございませんけれども、サンプル調査と申しますか、一部の登記所において詳細に調査をした結果によりますと、実地調査を実施している率は一〇%強ということになっております。
○梅田分科員 時間がございませんので、もっとお尋ねしたいことがあるのでございますけれども……。 とにかく法律がきちっと定めたこと、施行細則においてきちっと定めたこと、これが実際法務局においては実行されない。法務大臣、法務省は法の番人と言われるように、法律を厳正に執行していくということにおいて監督の重大な責任があろうかと思うのです。 〔中島(源)主査代理退席、主査着席〕 ところが、実態は体制がないために定められた調査もできない。そして閲覧で抜き取られて国民に大変な迷惑をかけておる。こういうことにつきましては、法務大臣は今後、最前来申し上げましたような事態を踏まえて、どのように改善をされていくのか、決意のほどをもう一度お伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○倉石国務大臣 先ほどの登記簿の改ざん等、こういう不祥事件が二度と起こらないようにわれわれは努力をしなければなりませんが、とにかく御指摘のように、登記役場というものは、ことに場所によっては大変な混雑でありまして、職員に対してもお気の毒だと思っております。したがって、そういう面の改正については、実情に即して努力をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○梅田分科員 一段と努力をするということでございますので、大変厳しい財政事情のもとで困難があろうかと思いますけれども、しかし、実害を与えているという現状でございますから、一層、現場の繁忙状況に応じまして、効率的な人員配置をもって効果的に行政を進めていただきますように期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○藤尾主査 以上で梅田君の質疑は終了いたしました。 次に、和田耕作君。
○和田(耕)分科員 昨年の六月六日だったと思いますけれども、わが国の国会で国際人権規約が承認されたわけでございます。その中には、つまりA規約として社会、経済、文化に関する規約と、B規約として市民的、政治的権利に関する規約という内容がありまして、基本的な人権を尊重するということについての国際的な一つの申し合わせが条約の形で承認されたわけでございますけれども、これは相当年数を経ての承認でございまして、これが承認されますと、この精神にもとるような国内法規や行政的な措置等については、この精神に従って直していくという趣旨を持っておると思うのですけれども、この問題を扱った外務省の方から、その問題についてお答えをいただきたいと思います。審議の過程を含めて、時間がありませんから、簡単にひとつ……。
○小西説明員 A規約、B規約ともに、すでに昨年の九月に発効しておりまして、若干完全に実施されない部分につきましては、今後、漸進的に実現を図っていくということで鋭意関係各省と相談をしてございます。
○和田(耕)分科員 法務大臣、きょうはお昼の御飯も食べる時間なしにぶつ続けのようでございますが、これは基本的人権に関することですから、後半で食事をしていただきたいと思うのですけれども、前半の十分か十五分ぐらいの時間で特にこの問題で私が御質問申し上げたいのは、人権問題と絡んだ問題でございまして、特に法務省の所管だと思われることでございます。 つまり、有罪だと認定された刑事被告人になった人に対しての扱い方なんですけれども、これは裁判あるいはその前段の検察官がいろいろと尋問する場と、このような人に対しての一般の、特にマスコミの扱い方の問題、この二つの面でいろいろ問題がありやしないかというふうに思うのです。 きょうは特にこのマスコミの扱い方という問題について、所管の大臣の考え方をお聞きしたいと思うのですけれども、参考人として事情を聴取したりするときは、まだ普通の人間としての扱い方があると思いますけれども、刑事被告人になった、つまり起訴された途端に呼び捨てになるというあれは、どういう根拠に基づいてああいう扱い方をなさっておられるのでしょう。そのことについてひとつお伺いいたします。
○倉石国務大臣 その点は私どもにもよく理解ができないで、どういうことでああいうふうになっているということのお答えはできないのでありますが……。
○和田(耕)分科員 しかし、法務省の人権擁護局というのがありますね、この人権擁護局というところのお仕事は、国民の基本的人権について心理的なあるいは精神的な、そういう問題で基本的な人権が侵されたと思うときにも、この問題を見るはずだと思うのですが、きょうは人権局長さんお見えになっておりますか。
○中島政府委員 私からお答えを申し上げます。 先ほどおっしゃいました国際人権規約にも、人権の尊重ということをうたっておるわけでございまして、被告人の呼称と申しましょうか、被告人に対する敬称をつけるかっけないかということを含めまして、新聞等の報道におきまして、この人権の尊重ということに対する配慮が必要であるということは、もう申すまでもないことでありまして、各新聞における倫理綱領などにおいても、この点についていろいろな配慮が行われておるようでございまして、新聞社においてそれぞれ適切に対処しておられる、こういうふうに承知をいたしておるわけでございます。
○和田(耕)分科員 起訴された途端に呼び捨てにする。最近の非常に象徴的な事件が田中角榮さんの事件だったと思うのですけれども、田中さんのようなかなり心臓の丈夫な人は、そう大したあれはないと思います。私どもも、そう大して——まあ、そうなってみなければわかりませんけれども、しかし、一般の人にとっては大変なショックなんですね。しかし、マスコミが勝手にああいうことをやるわけではないと私は思うのです。やはり裁判の過程において、あるいは警察の取り調べの過程においてあのような扱い方をする何らかの根拠みたいなもの、理由みたいなものがありはしないか。そうでなければ何ぼマスコミさんでもああいうふうなことはできないと私は思うのですけれども、裁判の過程において、あるいは警察の取り調べの過程において違った取り扱いをするという事実があるのでしょうか。きょう警察の方見えていますか。——どうぞ。
○加藤説明員 お答えいたします。 警察が刑事事件の容疑につきまして捜査をいたしまして、それが固まりまして逮捕をする、あるいは任意事件でございますれば、立件送致をいたします段階でそういう容疑事案について取材に応ずる、あるいは発表することがあるわけでございます。その場合には、まず、その事実の正確さということを主にして、これを第一にしてそういう取材に応じ、発表することになるわけでございますが、その場合に、いま言いましたように、人を特定するに足る事案、つまり、住所であるとか氏名であるとか職業であるとかというふうなことを発表するわけでございます。この発表自体につきましては、格別その氏名に敬称をつけるということはやっておりません。いま申しましたように、事実そのものをまず正確に伝えるということが主でございますので、人によって敬称をつけたり、つけないというふうなことはいたしておりません。一切事実としてそういう氏名を申し上げておるということでございます。
○和田(耕)分科員 私がこういう質問をいたしますのは、先ほど申した国際人権規約によりますと、これはわが国の刑事訴訟法でも、その精神に沿っておると思うのですけれども、起訴された者、つまり被疑者、被告は、裁判が確定して有罪になるまでは、無罪である人と同じような扱いを受けるべきだという大事な項目があるのですね。わが国の刑事訴訟法でも、同じような取り扱いをしていると思うのですけれども、いかがでしょう。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの点は、刑事裁判の場におきましては、いわゆる有罪の認定があるまでは無罪の推定を受けるという理解であるわけでございますが、お尋ねとの関係で申しますと、それはやはり刑事裁判の中での問題でございまして、刑事裁判以外の場で起訴された方をどういうふうに扱うかというのは、また別な観点と申しますか、それぞれの立場でのお取り扱いがあり得るであろう、こういうふうに思います。
○和田(耕)分科員 これは人権規約でも非常に大事な規約の一つでありまして、単に人道的らしい、人権を守るらしいというものじゃないのです。有罪の判決が決まるまでは無罪であるという立場からその人の扱い方をするということなんですね。このことは、もっとやかましく一遍考えてもらわなければならない問題である。しかもこのことは、法廷内の扱い方をいろいろ調べてみておりますけれども、法廷の中の扱い方は、たとえば被疑者に対しては被告だれそれという扱い方をしているようですね。そして参考人に対しては証人だれそれという考え方をしている、あるいは検察官何々君はと言うこともあるでしょう。そういう職名なり地位を示す言葉でその人の名前を呼んでいるので、裁判の過程において格別被疑者が特別扱いをされているということではないのじゃないかと思うのです。まあ裁判長さんによったら、被告に対して何々さんという言葉を特別配慮して使っておる。これは偉いから、弱いからというわけではなくて、裁判長によっては、そういうふうな配慮をする裁判、長もおるようでございますけれども、それが国民の前に一番顕著に出てくるのはマスコミの場で、いままでは何々氏、何々さんというふうに何らかの敬称をつけておったのが、いきなり呼び捨てになるということで、これがもう罪を宣告されたような感じを与える一番大きなあれになるわけですね。これはどういう根拠なんでしょう。あるいは根拠がないと思われるのか、マスコミが勝手に使っておるということになるのか、どういう判、断をなさっておられますか。大臣、いかがでしょう。
○倉石国務大臣 御指摘のように、国際人権規約は、わが国でももう批准をいたしておりますけれども、この国際人権規約は、刑事裁判の基本的な原則でございます無罪の推定を掲げております。和田さん御存じのように、第十四条二項で「刑事上の罪に問われているすべての者は、法律に基づいて有罪とされるまでは、無罪と推定される権利を有する。」、こういうことを言っておりまして、われわれも、これを批准いたしておるわけであります。それがら、わが国の刑事訴訟法の基本原則も、先ほど御指摘のように一致するものでございます。 それで、これは裁判における原則でありまして、被疑者の敬称の問題とはおのずから異なるものであると存じますが、報道機関は従来から取り扱う事象に対応いたしまして、国民感情をも踏まえて、関係者の人権を侵害しないように十分な配慮をいたしておると思っておりますけれども、御指摘のような問題につきましても、これは真剣に対処しなければならない問題ではないか、このように私どもも考えておる次第であります。
○和田(耕)分科員 特に警察段階での取り調べの場合に、こういう問題がよく起こるわけなんですね。また、最近KDDの関係者で自殺者が二人も出て、その自殺者の遺言とかなんとかいうことを聞いていると、きょうはその問題に深く触れるつもりはありませんけれども、取り調べの仕方ということも、この問題と関係してくるわけです。何か警察の方で被疑者を取り調べる場合に、とにかく起訴が決定した前と後とで警察の取り扱いが違うことがありますか。
○藤尾主査 明確にお願いをいたします。
○加藤説明員 はい。お答えいたします。 警察で捜査をいたします被疑者につきまして、人権を尊重しながらやっておるということは、これはいまさら御説明申し上げるまでもない事実でございます。それで問題は、その敬称でございますけれども、起訴の後と起訴の前で違うかということでございますが、もともと捜査は密行をして、途中でそういう発表をするというふうなことはほとんどないわけでございます。それが新聞に出ますのは、これは取材活動自体によってそういうことが報道されるということだろうと思うのです。したがいまして、私どもといたしましては、実質的にそういう人権を尊重しながら調べ、捜査を進める、そして敬称云々ということにつきましては、先ほど言いましたように、発表自体を原則としておりませんで、送致する段階あるいは逮捕した段階、大きなそういう進展といいますか区切りがついた段階で、事実としてこういう人がこういうことですということを発表するだけでございます。そして、それを受けてマスコミの方が独自の判断によりまして敬称をつけたりあるいはつけなかったりということであろうかと思うわけです。私どもといたしましては、終始一貫して人権を尊重して捜査を進めて、不当にそういう名誉を傷つけることのないようにということを注意してやっておるところでございます。
○和田(耕)分科員 きょうは時間がありませんから、いろいろな取り調べの過程における問題はまた次の機会にいたしたいと思いますけれども、特に最近いろいろな事件がたくさん出ておりまして、政治家を含めて被疑者の立場になる人が非常にふえてきておることもありまして、国民が大きな関心を持っていることの一つだと思いますね。これはあたりまえだと思う人もおるだろうし、何だかちょっと行き過ぎだと思う人もたくさんおるでしょうけれども、いずれにしても大きな問題になっておることは事実だと思いますから、いま大臣の御所信も承りましたが、やはり重大な問題として、特に法務省の人権擁護局長さんとして、この問題についてマスコミの担当の方々とも二度打ち合わせをしたり、もっと正しい対処がないかどうか、そういうふうなことを検討する機会を持たなければならぬのじゃないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょう。
○中島政府委員 お答え申し上げます。 お説の点はごもっともな点もございますので、私どもといたしましては十分検討いたしまして、機会をとらえて実情を伺ってみるなり、また私どもの考えを申し上げてみるなりという機会を持ちたいと思っております。
○和田(耕)分科員 先ほどの大胆のお答えも大体そういう趣旨だと思いますから、こういうマスコミの問題は役所としてどこが扱うのか、私はよく調べたけれどもよくわからないのです。この問題は特に基本的人権に関係する問題であります。特にマスコミとしては、報道の自由というのは無論大事な権利として尊重されなければならないのですけれども、いまの裁判の被告人という立場、これは本来無罪である人として扱われる権利があるというはっきりした明文があるし、日本の刑事訴訟法でもそういう立場に立っておることでありますから、現に起こっておる問題についてはぜひともひとつ真剣に検討していただきたいと思います。この問題については一応それで終わります。 続きまして、同じくこの人権規約の中のA規約の中にあることでありますけれども、日本に永住権を条約上持っておる在日韓国人の地位の問題に関連してでありますが、このA規約の中に社会保障、社会保険に関する、あるいは児童の問題についても差別をしないようにというはっきりした規定があるようでございます。特に社会保障上の問題から言いますと、たとえばわが国の社会保障制度審議会が決めた社会保障の内容としては、社会保険、国家扶助、公衆衛生・医療、社会福祉の四部門にわたりまして、厚生年金法とか、健康保険法とか、生活保護法とか、児童福祉法とか、身体障害者福祉法とか、老人福祉法とか等々の社会福祉関係あるいは保険関係の問題がありますけれども、まだこの問題について現在ある法律のたてまえもあって重要な差別が存在しておる状態だと思うのですけれども、このような差別も運用でもって解決できるものはそれでいいんですが、法的な改正が必要であるものはできるだけ早く法の改正をして、人権規約という条約の精神に沿うような扱い方に変えていかなければならぬと思うのですけれども、きょう厚生省見えていますか——ひとつこの問題についての厚生省としての扱い方ですね、厚生省では国民年金とか児童手当とか、その他社会福祉関係のいろいろな問題があります。これに対して、いまの国際人権規約との関連でどのような扱い方にしているのか、現在差別があれば、その差別をどういうふうにしようとしておるのか、お答えいただきたいと思います。
○藤尾主査 時間がありませんから明快にお願いします。
○佐々木説明員 国際人権規約におきまして、社会保障につきましても内外人平等の原則がうたわれているということはよく承知をしておるわけでございます。わが国の社会保障の中の大部分の制度につきましては、これは内外人を問わず適用ということになっているわけでございますが、ただいまの御質問にございましたように、国民年金その他一部の制度につきましては、対象を日本人に限っているということがあるわけでございます。 国民年金につきましては私どもの所管でございますが、ただいまお尋ねの韓国人の問題でございますけれども、社会保障制度として取り上げる場合には外国人一般の問題として取り上げざるを得ない。そういたしますと、国民年金は御承知のように二十五年間という期間保険料を掛けていただきませんと年金が出ない制度でございます。そういった制度を外国人に適用いたしました場合の権利の保全と申しますか、そういった点を十分考慮しながら対象とするということについての検討を進めなければならないという問題があるわけでございます。 それから、そのほかの児童扶養手当等の制度につきましては国民年金制度との関連等もございましてただいま対象としておりませんけれども、これについてもあわせて検討を進めなければならないというような状況でございます。
○和田(耕)分科員 児童手当等については、現に地方の各自治団体でそれぞれの判断に従ってやっているところもあるようですけれども、こういう問題については法改正なしに運用上こういう趣旨が達成できればいいと思うのですが、いまの国民年金のように法改正が必要であれば、これはやはり必要な法改正として早く提起していくということが必要だと思うのです。御検討を賜りたいと思います。 それから、大蔵省の方お見えになっていますね。三年前に村山大蔵大臣にこの問題についてかなり詳細に私は質問したことがあるのですけれども、大体において前向きの措置をとっていただけるような御答弁だと思いますが、ひとつ現在までの状態と今後の方針等についてお伺いしたい。
○中田説明員 五十三年の六月の大蔵委員会だったと思いますが、先生から御質問がございまして大臣や銀行局長から詳細に御答弁申し上げました。問題は三つあったと思います。 一つは、当時、住宅金融公庫、国民金融公庫につきましては扱いを日本人に限るということをやっておりました。これにつきまして外国人にも適用すべきではないかというお話でございました。昨年六月に国際人権規約が批准されたということも踏まえまして検討してまいりました。住宅公庫、国民金融公庫につきましては新年度から外国の方々にも融資の道を開く、両国で若干条件は違いますけれども、開くということで措置してまいる所存でございます。 それから二つ目は、外国経営の信用組合を政府関係金融機関の代理店にして、大いに積極的に活用してほしいという御趣旨であったかと思います。 この点につきましても、利用者の利便でございますとか、その公庫の性格でございますとか、そういうものを勘案しながら、現在大体二年に一度ずつ代理店の御希望がありますところにつきまして、ふさわしいところは指定するということで進んでおりまして、あの当時からたとえば環境衛生金融公庫なんかにつきましても、新たに外国人系の信用組合を代理店に指定いたしますとか、あるいは商工中金、中小企業金融公庫につきましても代理店の数をふやしていくとかいうような措置をとってきておるわけでございます。 三つ目は、保証人について日本人に限るというようなことをしておるのじゃないかというような御指摘でございましたが、これはその後も調べておりますけれども、特に外国人だから差別をするという扱いはいたしておりません。ただ、金融でございますので、保証人はやはりそれにふさわしい信用力のある方でないといけないということで、こういう方よりもこういう方というのは個々のケースとしてはあるかもしれませんけれども、外国人であるがゆえに差別をするということはいたしておらない状況でございます。
○和田(耕)分科員 もう時間が来たようでございますけれども、国民金融公庫の問題については、今後同じような扱い方ができるような措置をしてくださると思いますけれども、なおこの問題について、先ほどの人権規約という問題を、単に言葉だけではなく、具体的な措置を各官庁でぜひともおとりいただくようにお願いを申し上げたいと思います。 時間が来ましたのでこれで終わります。大臣、先ほどのお答えをいただきまして、そしていま人権局長から、特にマスコミの諸機関とその他関係機関と基本的な人権を擁護するための検討の場、機会をぜひ持ってもらいたいということを申し上げたら、そういう趣旨をよく理解していただいたようですから、大臣いらっしゃらなかったのですけれども、ぜひともよろしくお願いを申し上げます。
○倉石国務大臣 よく理解をいたしまして、努力をいたしたいと思います。
○和田(耕)分科員 終わります。
○藤尾主査 以上で和田君の質疑は終了いたしました。 次に、土井たか子君。
○土井分科員 先ほども国際人権規約の問題が取り上げられていたようでございますが、国際人権規約、すでに日本は締約国でございます。そのA規約の三条並びにB規約の三条の男女平等、そしてさらにB規約の二十四条三項の「すべての児童は、国籍を取得する権利を有する。」という項目、またB規約の二十六条の法の前の平等と性別による差別の禁止条項、こういう問題を取り上げまして、私は昨年の四月二十七日に外務委員会で質問を申し上げた節、当時の外務大臣でございます園田外務大臣の方からこういう御答弁があったわけであります。「日本の国籍法というのはなかなかむずかしい問題でありまして、これに障害がありますけれども、この基本的人権という規約を提案をし、御批准を願うからには、法務省とも相談をして、そういう基本的な問題を一つずつ片づけていくことがこの規約を提案した動機でなければならぬ、私はこう思っております」こう書いてあるのですが、現行国籍法の中では、特に二条、四条、五条という条項を見ますと、男女不平等ということが具体的に考えられる条項が内容としてございます。 この点についてまず外務省にお尋ねをしたいのですが、この規約を提案した動機からすると、法務省の方に相談をしかけていきたいというふうな御趣旨の外務大臣御答弁に従いまして、どのような御苦労がいままでに法務省との間でございましたか。
○賀陽政府委員 お答え申し上げます。 昨年の四月の土井委員の外務委員会におけるお話は、われわれ非常によく感銘して記憶しておるところでございまして、当時の外務大臣のお話がございましたので、私どもといたしましても、本件について第三条の国内的実施ということにおろそかな態度をとってはいけないという認識のもとに法務省と御相談をしておるわけでございまして、特に人権規約が男女の平等につきまして、遺伝的にいろいろな可能性を掘り起こすということを定めておりまする以上は、この努力を引き続き続けていかなければならないというふうに感じておる次第でございまして、特に先生も御高承のように、今回の国連総会におきまして、あらゆる形態の婦人の差別撤廃に関する条約が、素案の形でございますにせよ採択をされ、日本も賛成投票をいたしたわけでございまするから、そういうことも踏まえまして、さらにこの御相談を詰めていかなければならぬということを考えておる次第でございます。現に法務省と御相談中というのが現状でございます。
○土井分科員 外務省の方は積極的な姿勢でひとつ相談に取り組んで具体的にこの実現方を期してもらいたいものだと思うのですが、国連局長、御承知のとおりに、昨年の十二月の十八日に国連総会で、婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃条約というのが採択されておりますね。日本もこれにもちろんもろ手を挙げて大賛成だったはずであります。この条約はいつ批准手続をとるおつもりでいらっしゃいますか。
○賀陽政府委員 この条約はきわめて多岐多彩にわたっておりまして、実のところ現在大至急まず翻訳を作成し、その訳を確定いたしまして、それに従って各省と御協議を始めていかなければならないわけでございます。私の立場から現在いつ御批准を願うかということを責任を持って申し上げる立場にまだ立ち至っておりませんが、その辺の見通しはもうしばらく御容赦いただきたいと思います。
○土井分科員 さっきはえらい積極的姿勢だと思ったら、今度はまたがらりと消極的姿勢に変わったような感じがいたしますが、これはしばらく御容赦とおっしゃいますが、外務省としては、やはりこういう条約というものに対してもろ手を挙げて賛成をしたという国際信義上の問題もあると思うのです。国際人権規約についても、日本がこれをいつ締結するかということについてはずいぶんおくれたわけでしょう。この間、やはり国際社会における日本の国に対するいろいろな見方というのがずいぶんあっただろうと私は思うので、そういう点からいたしましても、婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃条約というのは一日も早く締結する方向で努力をするということが、今日ただいま大変大きな課題であるに違いない。 国連局長、どうですか。そんな中途半端な答え方をしないで、いつごろ出したいという心づもりくらいはひとつはっきり述べていただく必要があるのじゃないですか。
○賀陽政府委員 問題点が多いので、これは詰めるに非常に時間を要しますことは事実でございまするけれども、私どもの決心としては、できるだけ早く、できれば来国会にでも御提案申し上げることができればこれは非常に幸せであると考えておりますが、ちょっとこのタイミングのことはひとつ御容赦いただきます。
○土井分科員 来国会ですね。そうすると、そのことについてさらに御努力を、ひとつ来国会に提出するという方向で詰めていただくことが当面大事だと思いますが、この条約の中の第九条というところを見ますと、締約国は、子供の国籍に関しては婦人に男性と同等の権利を与える、非常に具体的にはっきりと明記された規定がございます。先ほど国際人権規約の点についても触れて申し上げましたけれども、法務省としてはこの点についてどういう御見解をお持ちでいらっしゃるか、お待たせしましたが、国際感覚の非常に高い法務大臣から、この点についての御答弁をまず承りたいと思います。
○倉石国務大臣 わが国の国籍法が出生による国籍の取得について父系主義を原則としておりますのは、単に子供の出生の際における国籍の決定について父の国籍を基準とするというだけでありまして、父母の間の法律上の地位そのものを差別するという考えではございませんので、必ずしも男女平等の原則に反するものではないというのが今日までの考え方でございます。
○土井分科員 いまの御答弁を承っていると、私は国際的感覚が高いと思ったのだけれども、ちょっとずれていらっしゃるのじゃないかという感じがいたします。母親として子供に対する親権という点から言いますと、国籍取得の権利は子供の立場から考えると、父親の国籍しか日本の国籍法では認めていないわけでありますから、実質上は母親の国籍が取得できないというこの問題は、母親についての権利は侵害されるということになりやしませんか。母親の立場から考えると男女不平等ということに当然なると思います。外務委員会において園田外務大臣なんかは、この点はおかしいとはっきり認められているところですよ。法務大臣、もう一度御答弁ください。これはそういうものじゃないですよ。いまの御答弁のままでは納得しかねますね。
○貞家政府委員 ただいま大臣からお答えがありましたのは、私どもの基本的な法律的な考え方でございます。確かに人権規約あるいは差別撤廃条約において、男女平等の理念が非常に強調されておりますことは私どもも十分承知しているところでございます。ただ、この理念を現実にどこまで国籍法の上に具体化しなければその精神に沿わないかというと、いろいろむずかしい問題があるかと思います。 ただ、子供が父母の国籍を承継するということは必ずしも自然法的に、もちろんわが憲法のもとにおいてもそうでございますけれども、各国の国籍法で子供に承継させるという権利を必ず認めなければならないものではないわけでございまして、生地主義というものももちろんあるわけであります。その承継血統主義をとるについていかなる主義をとるかという問題でございますので、先ほど大臣からお答えがありましたように、これをもって直ちに男女平等の理念に反する不当な立法であるという非難は当たらないのではないか、かように考えている次第でございます。
○土井分科員 法務省としては少しはっきり人権感覚をお持ちになって、もう一度世界の趨勢に対しても目を向けていただきたいと思います。いまの問題は子供の国籍に関して婦人に男性と同等の権利を認めるか認めないかという問題なんで、女性の権利ということが男性と差別されている限り、問題としてはいつも残っていきます。また子供の国籍という点からいっても、子供の人権を考えた場合に、いまはへんぱな認め方をしていると現行国籍法についてははっきり言わなければならない、私はそのように思うのですが、最近スウェーデンの国籍法が改正されたはずでございます。昨年の七月一日をもって施行されているはずなんですが、この改正の要点はどういうところにあったか、お調べになって御承知おきになっていらっしゃいますか。
○貞家政府委員 いま手元に詳細な資料は持ち合わせておりませんが、一九七九年七月一日の改正でスウェーデン市民権法第一条が改正されまして、この内容は、父系優先主義を廃止して父母両系主義に改めたというふうに理解しておるわけでございます。
○土井分科員 その場合の法改正の改正趣旨と申しますか立法趣旨と申しますか、そういう問題は一体どの辺にあったとお考えになっていらっしゃいますか。
○貞家政府委員 これも、私詳細に承知しているわけではございませんけれども、趣旨としては、やはり男女の実質的な地位を平等にするという理念に基づいているということは間違いのないところだろうと思います。 ただ、これは要らないことを申し上げるようでございますけれども、子供の国籍に関しても承継血統主義をとっております場合に一両方平等に取り扱うということは確かに理念としてもっともな点がございますけれども、一方それに伴ういろいろな現実の問題としましては、混乱なりデメリットという点も十分考慮しなければならない。これは想像でございますけれども、ヨーロッパ諸国においてはその点十分な配慮がなされているのではないかと思います。ドイツでありますとかそのほかの例をのぞいてみますと、非常に細かい配慮がなされているということを一言つけ加えさせていただきたいと思います。
○土井分科員 外国はその辺についていろいろ苦労して、そうして法の改正について一生懸命に努力を払っているのが現実の問題なんです。 いまスウェーデンの国籍法改正について余り詳しく存じませんがという前置きばかりを聞かされて御答弁をいただいているわけでありますが、七月一日に施行されましたこのスウェーデンの国籍法の改正の中で、改正の提案理由を政府が説開いたしておるところを見ますと、まず男女平等の原則を掲げまして、この中身で非常に注目に値するところが実はあるのです。 スウェーデンの国籍法も成立したときが日本の現行国籍法と全く同じ一九五〇年でございます。一九五〇年という時代の女性の社会的地位は、もはや今日のそれとは全く違ったものとなっている。ゆえに出生と同時に母親がその国籍を子供に継承させる権利をここで認め、抜本的な改正を加える時期に至ったということを確認するとはっきり言っているのですよ。それからさらに、各国の両性平等血統主義の採用を問題にしまして、いままで国籍法改正の反対理由に何があったかといったら、二重国籍の問題があった。この二重国籍の回避の根拠は、各国のいろいろな例を見ていくともう弱まってきている。これを根拠として、子供に対して両性平等血統主義ということで国籍を認めることができないという根拠は、もはやないということを踏み切って言っているのです。そうしてその節、二重国籍回避については、この新しい法令によって、いままでよりも多くの子供たちが出生と同時に二重国籍を得るようになるであろう、それを制限するために、子供が成人になったときにどちらかの国籍を放棄するという規定を提案するということもちゃんと述べているのですね。大胆、こういうことが現実の問題としてあるのですよ。スウェーデンでは昨年の七月一日からもう具体的に施行されているのです。ヨーロッパではこういう傾向が続々出てきている。国際的な感覚から言うとこういうことなんですよ。日本の国籍法とまさに同じときに施行された国籍法について改正が昨年なされたスウェーデンの例を出して私は申し上げているわけでありますが、日本においてももういいかげんにこの国籍法の改正に踏み切るときが来ているのではないですか。ひとつ、現法務大臣の時代に、ぜひそれを実現の方向に向けて法務大臣自身の御努力を願いたいと思うのですが、大臣いかがですか。
○倉石国務大臣 いまお話しの中に二重国籍のお言葉が出ましたけれども、私ども父系主義でやっております場合にもやはり国籍でいろいろな問題になりますのに、近隣の諸国の人たちの帰化等がとかく問題になるわけであります。そういうことを考えてみますと、たとえば韓国、フィリピンといったような接近している国の人々がわが国の帰化等に大変多いようでありますが、そういうことを考えた場合に、いわゆる二重国籍というようなものがときどきありますので、いろいろな意味で、いままでただいまのような制度をとっているわけでありますが、いま土井さんのお話にございましたような点について、なお私どもは検討はしてまいるつもりであります。
○土井分科員 検討してまいる、検討してまいると言うのに、いつまでたっても、これは聞かされる一方であってはしようがないので、やはり具体的にこの国籍法の中で、母親が日本人であるにもかかわらず子供に日本国籍を認めない、こういう行き方がいかに世界の趨勢に立ちおくれているか。と同時に、肝心かなめの子供の人権、母親としての日本人である女性の人権、こういう問題をいま一たび基本的な問題として、国籍法の改正に向けて考えていただく必要が十二分にあると私は思うのです。よろしゅうございますね、この御努力方は。大臣、もう一言言ってください、それで次に進みますから。よろしゅうございますね。
○倉石国務大臣 先ほど申し上げましたように、これはなかなかいろいろな問題がございますので、ひとつ慎重に検討を続けてまいりますということでございます。
○土井分科員 そうすると、私はそれは法務委員会に出かけまして、具体的にさらに大臣を相手に詰めたいと思います。 さて、沖縄の無国籍の子供たちの問題を私は外務委員会で同じ時期に取り上げたのですが、その節、当時の古井法務大臣からの御答弁がございました。それは「帰化ということでこの問題を解決するということが実際的じゃないか。理屈上もめんどうなところはありませんし、実際上も手っ取り早いじゃないか、こういうふうに思うのです」と、こうおっしゃったのです。沖縄の無国籍の子供たちに対してのこの簡易帰化というふうな問題が、現在どういうふうなかっこうで進んでおりますか、ひとつその辺の御説明をいただきたいと思います。
○貞家政府委員 御指摘の沖縄の無国籍の子供の問題でございますけれども、実はこれは帰化の申請がございますと、きわめて簡易な手続でやっておるというのが現実でございますが、私どもの承知しておりますところでは、帰化の申請の件数はそれほどではないということと、もう一つ、私どもは、機会あるたびごとに、隘路がどういうところにあるのか、それをお聞かせ願いたい、帰化の申請をするについて困ったことがあれば、それはわれわれの方で何とかそういう隘路がなくなるような努力をいたしたいということを申し上げているわけでございますが、実は残念ながらそういった声が余り私どもの方に伝わってこないという現実でございます。これはアメリカの国籍法で、いろいろ国籍取得の制限をしておりますので、そのあおりを食っていると申しますか、その谷間に置かれるというような、非常にお気の毒な状況がこれは原因になっていると思うのでございますけれども、アメリカの国籍法も徐々に改正がございまして、非常にその谷間の幅が狭くなったということも言えるかと思うのでございますが、帰化の申請がございますれば、これは国籍法の規定によりまして、いわゆる簡易帰化ということで、比較的容易に許可されるというのが現実の姿でございます。
○土井分科員 るる御説明になっていらっしゃるのですか、それじゃお伺いしますが、この二月十九日に帰化の相談会が沖縄であったはずであります。国際福祉那覇事務所と那覇の地方法務局が合同で開催されているのですが、ここでどういうふうな問題が出てまいりましたでしょうか。どういう問題が討議されましたでしょう。お教えいただきたいと思います。
○貞家政府委員 実は、遺憾ながらその議論の詳細は承知をいたしておりません。
○土井分科員 これは怠慢というものですね。無国籍の子供たちにとっては、心身ともに成長期にある、人間の一也を通じて最も大事な時期に無国籍、無権利状況ということは、これは人間の一生から考えてみると、私たちが思ったよりもはるかに残酷な取り扱いだと私は思うのですよ。このことについてるる質問した節、外務委員会では古井法務大百が、先ほど申し上げたとおり、簡易帰化で解決するのが実際的である、そのとおりに行いたい、このようにおっしゃっているのです。沖縄の方で、るるこのことに対して努力を払っている実際について、私は具体的な例を挙げて言っているのに、そのことについてよく知らないというのは、法務省というのは何と怠慢でしょう。何をやっていらっしゃるのですか。 それじゃお伺いしますが、那覇法務局というのは、いろいろな帰化申請に対して受理する、そして許可をするという権限は現に認められているのですか、認められていないのですか、いかがですか。
○貞家政府委員 帰化の申請がありました場合に調査をいたすことになっておりますが、これは本省に上申いたしまして、法務大臣の許可ということになるわけでございます。那覇地方法務局限りで処理をするということはございません。
○土井分科員 これはいろいろ無国籍の子供たちの例があるでしょうが、具体的例がどのように取り扱われるかを、ひとつここで取り上げて御質問してみましょう。 アン・マタラベジさん、リンダ・マタラベジさん、これはきょうだいなんですが、このきょうだいのケースについて帰化申請を那覇地方法務局は昨年の八月十八日に受理をいたしております。ところが、このきょうだいについてその後の取り扱いが、受理されてから後どうなったかということを、ひとつここで御説明賜りたいと思うのです。いかがでございますか。
○貞家政府委員 具体的事件の個々については、私はいま即座にお答えするだけの資料を持っておりません。これはいずれ調査をいたしましてお答え申し上げたいと思います。
○土井分科員 そういういまから調査なんという遅いことをおっしゃっていますから、現実はどうなっているかというと、ごく最近、福岡法務局から返されてきています。この理由については、母親の親権が確立されていないというところに問題があるのです。先ほど二月十九日の帰化相談会でどういうことが一番大きな問題になったかということも含めて、どういうことがそこで討議されたかということをお伺いしたところが、よくわかりませんというお答え。実はそこで一番問題になったのは、無国籍の場合に、帰化手続を経て国籍を得るために必要な一連の手続のうちで問題になるのは、やはり親権の確立ということなんです。母親の親権の確立ができずに無国籍になってそのままであるという事例が浮き彫りにされているのですよ。この母親の親権の確立について、いろいろこれについての配慮があろうかと思うのですが、これが実は母親の親権確立というものがなされない限りは帰化がむずかしい、いわば母親の親権確立が帰化の壁であるということになるのですが、このことはお認めになりますか。
○貞家政府委員 親権の問題が、代理人となって申請する場合に問題になることは事実であろうと思うわけでございます。
○土井分科員 この点、そうするとこの簡易帰化の場合にどういう便宜を図ることを考えていらっしゃいますか。
○貞家政府委員 多数の方が父親の所在が探索できないというような問題があろうかと思いますけれども、そういった場合に、自由な証明を認める、これは一例でございますけれども、そういった点でできる限り実情に沿って救済をいたすという態度で私どもは考えているわけでございます。
○土井分科員 そうすると、いまの御答弁では、父親が行方不明であるとか父親がわからないというふうな場合には、その母親に対して親権者に準ずる者とみなすという、いわばそういう取り扱いをしたいということなんですが、こういう場合にもこれは具体的になさいますね。
○貞家政府委員 これは具体的なケース・バイ・ケースでございまして、一概に申し上げるわけにはまいらないと思いますが、私どもの基本的な考え方と申しますか、態度としては、そういった代理人となるための資格ということを認めるについてできる限り便宜を図らうということでございます。
○土井分科員 できる限りの便宜を図るとか、簡易帰化ということでやった方が、これはスムーズにいくとか、安易にすぐできる方法だとか、答弁のときにはそういう答弁をなさるのだけれども、いざとなったら法務省は、全く具体的に聞いたときに、まだ存じませんとか、よくわかりませんという御答弁しか返ってこないわけですね。それくらいにこういう問題に対して真剣に取り組んでいらっしゃらないわけですよ。いいかげんな取り組みようしかただいまなさっていないということだろうと思いますが、これは、父が行方不明の場合には、親権者に準ずる者として、母親に対してその親権というものを認める方向で取り扱いを具体的にする、進めるということをはっきり約束していただかなければ、こういう問題については一つも動かないのですよ。それからまた、父親が行方不明の確認というものはできるだけ簡易な方法でする必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
○貞家政府委員 全く土井委員御指摘のとおりだと私は考えます。 なお、これから調査するのだということは、私の御説明の仕方が足りなかったと思いますが、もちろん沖縄、那覇の法務局あるいは福岡の法務局で調査を相当進めているという事件はたくさんございます。ただ、何分にも数が多うございまして、私のところへ参りましても、私がこの記録を全部記憶しているかと申しますと必ずしもそういうわけにまいりませんので、いま、これから調査いたしますと申し上げましたのは、御指摘がございました事件がいまどういう段階にあって、どういうことになっているかということを私として調査をいたしたいということでございます。
○土井分科員 調査、調査ばかり言われていてもしようがないのですよ。それで、具体的にこれを申し上げますと、手続の上でいろいろ難儀があるのは、この母親の立場において難儀があるのです。親権を得るにはアメリカに漏った夫と離婚手続をとった方がよいのではないかと言われて、事もあろうに親権を確立するために離婚を勧められる、それでアメリカに行って弁護士さんを雇って、往復の旅費なども自分で持って、多額の費用をこれに使って離婚を実現させて、そしてあげくの果てにそのときに子供に対しての親権というものが認められなかったことのために、いま母親という立場で代理申請をできないという例がここにあるのです。こういうことなどあわせて考えますと、いかかですか、帰化によるところの国籍取得というのは、こういう問題は法務省の裁量行為でしょう。そうでしょう。どうですか。
○貞家政府委員 一定の要件を満たすことは必要でございますけれども、それについて許可するかしないかということは、裁量の面が多分にあるかというふうに考えております。
○土井分科員 こういう問題はあくまで裁量行為なんですね。ところが、こういう一つ一つの裁量行為に当たって突き当たられる大きな壁というのは、やはり母親としての親権の問題なんです。親権確保のために母親がどれだけ苦労するでしょうか。そこを推して考えていったって、子供の出生による、母親である日本人の母からの国籍の取得ということがあったらこんな問題は起きないのですよ。母が日本人であるために、日本国籍が子供として取得できるということを国籍法上明らかにしておればこんな問題は難儀なことにならないのです。こういう点から言っても、私は帰化手続を考えていった場合に、子供の人権や福祉を中心に考えて取り扱いを進めるべきであろうということと同時に、基本的にはやはり権利の問題として、国籍法について手直しが必要だということを言わざるを得ません。法務大臣、先ほどからお聞きになっていらっしゃいますが、いかがでございますか。
○倉石国務大臣 いまここで簡単にいろいろな御返事を申し上げるのはいかがかと思いますが、検討いたしたいと思います。
○土井分科員 もう時間ですが、検討、検討と言ったり、調査ということばかりおっしゃるので、最後に、具体的にきちっとしていただきたいと思うことを二点申し上げて私は終わります。 一つは、一九七九年の七月に沖縄県の教育振興会から、日米児童福祉基金というものをつくってもらいたいという要請があったはずですが、それについては、エリザベス・サソダース・ホームなんかについて万博の基金からの補助がすでに出ているはずであります。したがって、こういうことについての補助を要請するということでありますが、これについてひとつお考えいただきたいということが一つ。 それからあと一つは、沖縄の方の弁護士会で、すでに二月の二十五日に無国籍児問題調査特別委員会というのが発足いたしております。法務省としてもこの無国籍児の実態調査というのを、沖縄は言うまでもなく、全国的にきっちりとしていただきたい。これはいかがですか。できますね。
○貞家政府委員 実はこれは、これを全部把握するということが前提になるわけでございますが、私どもの法務局段階では可能な限りの調査はいたしますけれども、法務局だけで全貌を把握するわけにはまいらないという点を御了承願いたいと思います。
○土井分科員 それは答えになっていないんじゃないですか。いまの二つのことについてどうするかというところをひとつ答えてくださいよ。実情説明は要らないです。
○貞家政府委員 御趣旨は十分理解いたしましたので、これは関係諸機関とも連絡をする必要があると思いますが、私どものできる限りの努力、検討を続けたいというふうに考えております。
○土井分科員 最後に一言申し上げます。 きょうのこの沖縄の二人のきょうだい、アソ・マタラベジさんとリンダ・マタラベジさんの問題については、一度沖縄の法務局の方で申請が受理されたそのときに、ようやく念願がかなったということで二人が本当に喜んで、本当によかった、これで帰化が認められれば早速名前も日本名に変えたいというふうに胸をふくらませていたのです。それが福岡の法務局から戻されてきているのですよ。母親の親権というものを確立するのにいま大変な難儀をしております。法務省、よろしゅうございますね、これはしっかりやってくださいよ。よろしゅうございますね。
○貞家政府委員 親権の問題につきましては、確かに御指摘のとおりの非常に現実的に重要な問題だと私ども考えております。したがいまして、家庭裁判所を含めまして、そういった関係機関の間で十分協議をしておるわけでございまして、できる限りそういった御要望の線に沿った解決をいたしたいというふうに考えております。
○土井分科員 終わります。
○藤尾主査 以上で土井君の質疑は終了いたしました。 次に、稲葉誠一君。
○稲葉(誠)分科員 きのうの小佐野賢治に対する議院証言法違反事件の公判、これで検察側から補充の冒陳が出たわけですが、どうしていまごろ補充の冒陳というのが出たわけですか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの点でございますが、稲葉委員に申し上げるまでもないかと思いますが、このいわゆるロッキード事件の小佐野ルート関係の公判、いろいろと進行しておったわけでございます。検察官側の立証もございますし、またそれに対する弁護人側の反証活動も行われたわけでございまして、その状況を見てといいますか、それに応じましてそれなりの措置を講じてきておるわけでございますが、その一環ということできのうの措置がとられたわけでございます。
○稲葉(誠)分科員 その冒陳の補充は、第九の一ですね。「小佐野は、かねてK・ハマダなる者がネバダ州ラスベガス所在のサンズホテルに負っていた一二〇万ドルの債務につき、その支払いを保証していたことから、右ホテルに対し昭和四八年一月一五日ころ五〇万ドル、同四月二八日ころ二五万ドル、同年七月一二日ころ二五万ドルを各支払い、残額は二〇万ドルとなっていた。」それから三の3、最後のところで「小佐野は、そのころ右二〇万ドルをサンズホテルに対する前記(第九、一)の残債務二〇万ドルの支払にあてた。」これが冒陳の補充ですか。
○前田(宏)政府委員 ただいま稲葉委員の読み上げられましたとおりでございますが、やや形式的なことを申しますと、第九のいま二となっておりますのが、一でありましたのを二に移しまして、その前に一を加え、それから従来二となっておりましたものを三にいたしまして、三の3のところの後にこのような記載を加えた、こういうことになります。
○稲葉(誠)分科員 そうすると、これは前に、小佐野氏はクラッターから二十万ドルを受け取ったということを否定していた、それがその後の調べの中ではっきりしてきたということで、その立証の必要があってこの冒陳が補充された、こういうふうに理解するわけですが、これはそのとおりだと思いますね、訴訟の進行からいって。 そこで、二十万ドルを、サンズホテルに対するK・ハマダなる者が負っていた債務について保証していたわけですね。それの残りの債務として、K・ハマダなる者に対する債務保証という形で支払ったわけですが、これはどういうわけでそういう必要があったのでしょうか。
○前田(宏)政府委員 稲葉委員に改めて申し上げる必要もないかと思いますけれども、きのうの冒頭陳述書の補充、訂正は、いま御指摘のようなことでございますけれども、それは検察官側の主張として、こういうことを述べ、それに基づいて今後立証していくという意思表示とでも申しましょうか、そういうことをしたわけでございますので、それ以上の内容的なものは、今後の立証の問題だ、こういうふうに御理解賜りたいわけでございます。
○稲葉(誠)分科員 そうすると、その「K・ハマダなる者がネバダ州ラスベガス所在のサンズホテルに負っていた一二〇万ドルの債務」この性質、どういうふうな債務であったか、商取引上の債務であったか、あるいは不法行為というか、何か公序良俗に反する行為をやったということの債務なのか、どういうふうな債務なのかわかりませんが、その債務の内容というものについても今後当然立証されてくる、こういうふうに承ってよろしいでしょうか。
○前田(宏)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、今後の立証としてこういうことを主張するということでございますので、それに対して弁護人側の争い方というようなものも関連してくるわけでございます。したがいまして、当然というわけにもまいらぬかと思いますし、場合によっては起こるかもしれない、こういうことであろうと思います。
○稲葉(誠)分科員 だけれども、その百二十万ドルの債務がどういう債務であるかということによっては、小佐野氏の量刑にもこれは当然関係してくるわけだ、こういうふうに常識的に考えて思いますね。だから、百二十万ドルの債務の内容、そして、この小佐野氏がなぜK・ハマダなる者の債務を保証したのか、こういう点ですね。自分の方から進んで保証した場合もあるし、K・ハマダなる者からの強い要請によって保証したという場合も考えられるわけですね。その支払いも、K・ハマダなる者の強い要請によって行われたということになれば、それは小佐野氏の刑事責任というものについても、量刑上非常に変わってくるわけですね。 だから、百二十万ドルの債務の内容、なぜ小佐野がその支払いを保証していたか、なぜかばって支払いをしたか、ことに残債の二十万ドルで終わるわけですが、こういうふうなことをしたのか。それから前の冒陳にもありますが、小佐野は同行者とともにロサンゼルスから何とかへ行ってラスベガスに着いて、そこで払ったようになっていますね。この同行者とは一体何か、こういうふうなことについても当然調べがなければ——直接この証言法違反の立証事実でないかもわかりませんけれども、いわば量刑の事情といいますか、そういうふうな前提となる事情として当然調べなければならないというふうに考えるのですが、その点、どういうふうにお考えでしょうか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの点は、まさしくいま稲葉委員がおっしゃいましたように、起訴されている事実とは直接には関係がないわけでございまして、間接と言いましても、相当縁の遠い間接のような面もあろうかと思いますので、今後の立証の状況等によって、先ほど申しましたように必要が起こるかもしれないし、起こらないかもしれない。いまの段階では、ちょっとそれ以上私からは申しかねるわけでございます。
○稲葉(誠)分科員 だけど、ここにK・ハマダなる者の名前がわざわざ冒陳の補充の中に出てきておるわけですね。そうすれば、冒陳に出ておる以上は、当然この人をいままで事情聴取をしておるか、あるいは今後必要に応じてこの人の事情聴取が必要になってくるか、参考人としてですよ、ということは考えられるわけですね。冒陳の事実ですから、立証しなくちゃいかぬわけです。だから、その点についてはどういうふうに考えておられるわけでしょうか。もう少し思い切った返事を旧しなさいよ。どうも少しびくびくしているな。
○前田(宏)政府委員 これも、専門である稲葉委員に改めて申し上げるまでもないと思いますけれども、別にその事実の立証の必要がありましても、他の証拠によって、あるいは証拠物によって立証することが可能な場合もありますし、それで足りる場合もありましょうし、それもまた被告側、弁護人側の争い方のいかんにもよるということで、そういう意味できわめて流動的であろうというふうにしか申し上げかねると思います。
○稲葉(誠)分科員 いま言った、きわめて流動的であるということについては、少なくとも検察官が冒陳にわざわざ補充したことですから、このK・ハマダなる人物がどういう人物であって、そしてここに書いてある百二十万ドルの債務について小佐野が保証していたというようなこと、その支払い関係、あるいは二十万ドルの債務のあれの関係について、K・ハマダなる人物を、今後の訴訟の進展によっては、あるいは事情聴取というか何といいますか、そういうような必要も出てくることも考えられる。それも含めて流動的であるというふうにいま答えたんだ、こういうふうに理解をしてよろしいでしょうか。
○前田(宏)政府委員 また重ねて申し上げるまでもないと思いますが、やはり議院証言法違反というのは、問題の金の授受があったかなかったかということが直接の問題でございます。したがいまして、その経過というか裏づけと申しますか、そういうことでこういうような問題になってきておるわけでございますから、先ほども申しましたように間接、間接というような感じにもなっておるわけでございます。したがいまして、いま委員のおっしゃるように、可能性があるかということを含めてお答えしたかと言われますと、それは可能性というものは無限でございますから、そういう意味ではあるかもしれませんけれども、それ以上のことをいまの段階でありそうだとかいうような意味を含めて申し上げるのは適当でなかろう、こういうことでございます。
○稲葉(誠)分科員 そうすると、K・ハマダという人物が相当な人物だ、名誉、地位もある人だからという意味も込めていまのようなお答えが出てきているわけですか。
○前田(宏)政府委員 先ほど来のお答えは、むしろ公判での立証の法技術的と申しますか、そういう面からの趣旨を申し上げたわけで、それ以外のことを頭に置いて申したわけではございません。
○稲葉(誠)分科員 そうすると、二十万ドルをもらったということと同時に、支払ったということもここに書いてありますね、冒陳に。それならば、議院証言法としては、もらったということだけを冒陳として主張すればいいのじゃないですか。何も支払ったことまで主張する必要はないのじゃないですか。わざわざここに書いてある。だから、支払ったとすればどのような理由で支払ったか、どういう関係が従来あってこの人のために支払ったかということまで当然立証しなければならなくなってくるでしょう。これは当然の理屈ですよ。 余り聞きませんけれども、この程度でやめますから、終局的な答えをしてください。どうですか、いまの点は。
○前田(宏)政府委員 先ほど来申しておりますように、授受があったということ自体が争点と申しますか問題になっておるわけで、それについて弁護人側のいろいろな御主張がある。それに対して検察官側として補充的な立証をしなければならないということで、いわばその裏づけと申しますか、そのことの意味で支払った事実というものを言っておるわけでございまして、支払ったこと自体は直接事実ではない、こういうことでございます。
○稲葉(誠)分科員 だから、受け取ったという理由が、どういう理由で受け取り、どういうふうな形に支払ったかということの情状としては当然の問題として出てくるのではないですか。じゃ、これだけ聞きましょう。
○前田(宏)政府委員 先ほど来申しておりますように、公判の進行状況というものはいまから予測しがたいところでございまして、仮定的なことを申しますと、弁護人側が全く争わないということになればそのままで済む場合もあり得るわけでございます、一般論として言えば。そういうことになりますから当然にそういうことになるでしょうというようなことに対しまして、なるでしょうというお答えもしかねる、こう申したわけでございます。
○稲葉(誠)分科員 わかりました。ただ、それならなぜ冒陳に書かなければならないか。ここまで必要ないのじゃないか、あなたのいまの議論ならば。必要ないわけですよ。最後のところだけ、授受、受け取ったということだけ冒険に出せばいいわけですよ。よけいなことが書いてあるのだから。よけいなことを書いて——これだけのことが書いてある以上は、これだけの証拠があってあなたの方としては冒陳に書いたのでしょう。どういう証拠があったのか。
○前田(宏)政府委員 いまお尋ねの中でよけいなことというようなお話がございましたが、先ほど来申しておりますように、間接的な裏づけとしての事実でございますから、そういう意味でよけいなことという意味ではないというふうに理解しております。 また、どういう証拠があるかということは、冒陳の事実、いま御指摘の事実を含めて事実を立証していくということでございますので、これからの訴訟活動、立証活動の問題になるわけでございます。
○稲葉(誠)分科員 じゃ、結論として私は、流動的という言葉の中に、将来このK・ハマダという人について事情聴取をするか、何かの必要性ということも含まれるものである、一〇〇%否認はできない、こういうふうに承っておきますが、それはそれでいいわけでしょうね。一〇〇%否認はできないね、そういうわけでしょう。
○前田(宏)政府委員 私のお答えをどう御理解いただいたかということであろうかと思いますが、先ほど申しましたように、逆な言い方をすれば、一〇〇%あるとも言えず、ないとも言えずということであろうかと思います。
○稲葉(誠)分科員 それでわかりました。だから、一〇〇%あるとも、ないとも言えないということは、流動的だということであるかもわからぬということでしょう、常識的に見て。 別の問題ですが、KDDで佐藤陽一という人を逮捕の前に検察庁で調べておるようですね。報ぜられておりますね。これは恐らく地検の特捜部で、主任検事は宗像検事がやっているのかな、そういうふうに調べたということが報ぜられておりますが、これは事実はどうなんでしょうか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの点につきましては、新附に報ぜられているというのは、たしか私の記憶では、ある新聞社のインタビューに対して佐藤室長がそういうことを述べたという記事が出ておったということでございまして、取り調べたという事実の報道ではなかったと思います。
○稲葉(誠)分科員 いや、だから結局どうなの、これは。取り調べという言葉が悪いかもわからぬけれども、事情聴取をしたことは間違いないのでしょう。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの趣旨がどういうことか、やや理解不足かもしれませんけれども、いま申し上げましたように、また御指摘のように、そういう新聞記者との問答の記事があったわけでございます。そういう意味で本人自身がそういうことを認めているようでございますので、従来から私どもとしては積極的にこういう人を調べたとか、ああいう人を調べたとかいうことはなるべく差し控えさせていただくというたてまえをとっておりますので、それは私の方から申し上げるのはいかがかと思いますけれども、そういう新聞記事があったことは承知しておりますし、それをあえて否定しないということで御理解いただきたいと思います。
○稲葉(誠)分科員 そこで、これはいま接見禁止ですね。関税法と物品税法違反とそれから業務上横領ですか、接見禁止ですね。接見禁止というのは、どういうわけで接見禁止にしたのですか。
○前田(宏)政府委員 接見禁止の必要性と申しますと、やはり捜査の内容ということになろうかと思いますので具体的なことは申し上げかねるわけでございますが、やはりいろいろと関係者等との通謀と申しますか、そういうようなことも心配になるという趣旨が含まれているものと、かように理解します。
○稲葉(誠)分科員 そうですね。証拠隠滅のおそれがあるということで接見禁止したわけでしょう。これはあたりまえの話、贈収賄の場合だって、選挙違反の場合だってほとんど接見禁止にするのですから。そうすると、いろいろな人との通謀が考えられるというと、そのいろいろな人というのは、どうなんですか、まだいるわけですね。そうすると、事件は、佐藤陽一、この間勾留延長になりましたが、これだけで終わりになるということなんですか。ことに業務上横領とか関税法違反で証拠隠滅するなんということは普通ないのじゃないですか。だから、このほかにも、事件は業務上横領ということなり何なりするということになると、共犯者がいるという可能性があるということでしょう。だから、証拠隠滅ということも含めて接見禁止にした、こういう理解の仕方でいいわけでしょう。
○前田(宏)政府委員 細かい議論のようで恐縮でございますが、別な事実について接見禁止ということはおかしなわけでございますので、勾留事実との関係で接見禁止である。そうなりますと、勾留事実は、業務上横領のほかに、関税法違反、物品税法違反も入っておるわけでございますし、関税法違反、物品税法違反につきましては、いま身柄拘束中の佐藤何がしのほかに被告発人もあるわけでございますから、そういう関係者もその面であるわけでございます。
○稲葉(誠)分科員 そうすると、常識的に、この佐藤陽一という人が勾留延長になりましたけれども、これだけで終わるのじゃない、共犯者も当然いるということが考えられて、その共犯者に対する捜査ということも今後進むであろう、こういうふうに承ってよろしいですか。
○前田(宏)政府委員 稲葉委員の共犯者ということの意味がちょっとあるいは違うかもしれませんのですけれども、現に私が申しましたのは、被告発人として佐藤陽一氏以外にも浅野何がしとか佐藤信義とかいう人も被告発人になっておるわけでございます。また、いわゆる両罰規定の適用でKDD会社そのものが被告発人に入っておるわけでございますから、そういう両罰規定の適用上業務に関していることの立証ということも必要でありましょうし、さしあたって事実との関係について言えば、少なくともそういうこともあり得るということを申したつもりでございます。
○稲葉(誠)分科員 それは被告発人といったってあれでしょう、関税法違反では被告発は関係ありだけれども、業務上横領には被告発なんて関係ないんだからね。それでいまあなたが述べられた人だけに限定されるわけではないでしょう。そのほかに共犯者として考えられるということも十分ある、こういうことでしょう。その人がだれだかということは、まだそこまではあなたから聞かないよ。
○前田(宏)政府委員 そうでございますから、先ほども共犯者という言葉は具体的にどういう意味であるかはやや不明確であるがとお断りしたわけでございまして、これも先ほどの別なお尋ねについてのお答えと同じように、観念論というか、可能性としてはいろいろな面での共犯者ということは考えられないことはないということであろうかと思います。
○稲葉(誠)分科員 そこまで言うのはなかなか大変でしょう。刑事局長としてもなかなかあれだよ、腹を決めないとそこまで言えないよ。 そうするとあれですね、世間で言われておる共犯者というものについての捜査というものも当然今後考えられてくるというわけですよね。世間で言われておる共犯者というのはだれかと言ったら、それはあなたの方でもそんなことはだれだと言うわけにいかないから、その点については委員の常識的な御判断にお任せします、こう言う以外に答えはないわね。そうでしょう、それは。どうなの。
○前田(宏)政府委員 稲葉委員がどういうふうにおとりになるかは稲葉委員のお考えであろうというふうにしか申し上げかねると思います。
○稲葉(誠)分科員 だんだんそうやってあれですね、刑事局長というのは大変だよね。国会へ出されていろいろ質問されて、だんだん答弁がうまくというか、どこまで答えていいか、どこまでは答えてはいけないかということの区別がだんだん経験を積むに従って出てくるわけですよね。そういう意味で貴重な経験をだんだんする必要があると思うよ。 それはいいけれども、もう一つ別なことを附きたかったのだが、時間がなくなっちゃったのですが、これを聞きたいのですが、大臣聞いていてください。 裁判所の職員と検察庁の職員との間の給与が昭和三十二年の改正直前と昭和三十二年の改正と、今度またあれが変わりますね。最高裁の規則で変わりますが、それを比べてみるというと、最初のころは同じだったのですよ。裁判所の書記官と検察事務官と同じだったのです。ところがだんだん開いてきまして、いまでは裁判所の書記官と検察事務官、公安職(二)の場合でもずいぶん開きが出ているのです。これはなかなか最高裁出さなかったのですよ、いやがって。やっとこさ出してきたのですが、これから見ても、検察庁における事務官、公安職になっている人でもこれだけ違うのですよ。いいですか、わかりますか。公安職になっている人でも裁判所の書記官よりずっと低いのですよ。公安職になっていない人はもっと低いですよ。待遇、処遇が非常に悪いのですよ。うんと開きが出てきてしまったんだから。この点今後どういうふうにするかということについて、一応大臣、お答えできますか。ぜひ法務省関係の職員の待遇についても十分こういう事実を踏まえて骨を折るというようなことを等えてあげてほしいと思うのですがね、大庭から。
○倉石国務大臣 裁判所の職員と検察事務一とのその職務内容の相違から、適用俸給表等を興にいたしておりまして、両者を同列に比較いたしまして待遇上の格差の有無を論ずることは困難でございますので、事務当局からこの点について御説明申し上げます。
○筧政府委員 お答え申し上げます。 稲葉先生御承知のところでございますが、確かに現在裁判所書記官につきましては、行(一)の俸給表をもとにいたしまして、一六%の調整がついております一それから検察事務官につきましては、公安職(二)の俸給表の適用を受けております者につきましては、行政職(一)と比べまして約二%の優位が保たれております。その限りにおきましては、先生御指摘のように格差があるということも言えようかと思いますが、この間を比べますにつきましては、書記官と検察事務官と、それぞれ職種とかその内容を異にいたしております。たとえて申し上げますならば、書記官は裁判所の中の事務職員の約四〇%でございます。これに対しまして、公安職(二)の俸給表の適用を受けます検察事務官は、全検察事務官のうちの八十数%になっております。それからさらに、検察事務官につきましては、検察官事務取り扱いを命ぜられますと四%の調整額がつきますので、二%の優位を持っております公安職(二)の俸給表にさらに四%の調整がつきますと、ほぼ書記官と同等のことになると思います。書記官につきましては、御存じのように任用資格につきまして厳しく制限されておりますし、その権限についても、相当強力な権限が認められております。したがいまして、両者をここで同列に置いて比較するということはきわめて困難であり、この段階で特段の格差があるということも言えないかと思います。 しかし、私どもといたしましては、先生の御指摘も踏まえまして、今後、検察事務官の給与を含めました待遇の改善につきまして努力を尽くしたいと考えております。
○稲葉(誠)分科員 これは検察事務官だからわりあいにいいのですが、一般の法務局なりあるいはその他のところ、本省にいる人とか、そういう人たちと比べるとまた差がつくのですよ。だから、そういう点を十分考えて今後努力をしていただきたいというふうに私は考えるわけですね、これについてはまた別な機会にやりますけれども。これはなかなか出さなかったのですよ、最高裁はいやがって。これがわかると何か人事院にまずいらしいのだな。それで出さなかったのですがね。 そこで、もう一つの問題は、米谷事件ですか、あの国賠の国側の答弁書が出ていますね。この答弁書は、一部非常な誤解を——誤解というか何というか、生んでいるというか、いかにも、無罪であることは認めるけれども無実であるということは否認するというふうなことを言ったり、それからこれは時効にかかっている、二十年の時効にかかっているというようなことを言っているわけですね。ここら辺のところは、どういうふうなことからこういうふうな答弁が出るようになったのか。那須事件の場合、これは無実だなどと主張してないわけですね。それから金森さんのあの事件については、時効の問題について裁判所の判断も出ている。そういうことを含めて、この米谷事件についての国側の答弁書がどういう意図でできているのか、そういう点について御説明願いたいと思います。
○柳川(俊)政府委員 お尋ねの点、ごもっともだと思いますが、国といたしましては、別に無罪であるという確定判決があることを否定する趣旨ではございません。したがいまして、原告側の主張に対応して、無実であることを否認するということにしたわけでございます。 もう少し申し上げますと、訴状におきまして、無実であるにもかかわらず、警察官あるいは検察官の方に間違いがあったのだ、つまり取り調べをしたりあるいは起訴をしたりするようなことがあったのだというふうに書いてありますので、別に警察官や検察官の方がことさらに無実であることを知りながらそういうようなことをしたわけではない、そういう趣旨で無実であることは否認するという答弁書になったわけでございます。 それからお尋ねのもう一つの点でございますが、時効の問題だったと思います。時効の点につきましては、私どもとしましては国家賠償法の規定によりまして、民法の規定で時効の中に二種類のものを規定しております。一つのものは三年の時効、もう一つのものが二十年の時効というわけでございますが一その二十年の時効というのが法律的には除斥期間というふうに言っております。その除斥期間の方の問題としまして、二十年たっているからもう国には責任はないんだという趣旨の答弁書を出したわけでございます。これにつきましては、御指摘のように、前の金森老人の事件のときに判決がございまして、その主張は高裁段階では否定されてきております。しかし、いまだ最高裁の御判断がございませんので、最高裁の御判断を仰ぐという趣旨からも、その主張は維持しているというのが現在の状況でございます。
○稲葉(誠)分科員 いまの無実という点ですね、これは前の那須さんのときの国賠の訴状には、ただ無実であるという事実関係だけが書いてあって、無実となったという主張はなかったわけです。だからここまで主張をしなくてもよかったのじゃないかと思いますが、そうすると、無罪の判決があれば事実上立証責任というものは、過失がなかったということで国側に移るのか、あるいは立証責任と言わなくても、事実上推定が働いて、その反証というものを国側が負う・強い反証責任というかそれを負うという形になるのか、そこら辺のところが一つ。 それから、時効なのか除斥期間なのか、どっちでもあれですが、そうなってくると、再審の場合にはほとんど国賠が請求できなくなってきちゃうのじゃないでしょうか。そこら辺のところどういうふうに理解したらいいのでしょうかね。
○柳川(俊)政府委員 まず後段の方から申し上げますと、二十年の時効と申しますとかなり長いということになるわけでございます。したがいまして、その限りにおきましては、大体において国側の主張が認められるのではないかと期待はしておりますけれども、実際問題として、高等裁判所の判決あるいは学説も出ております関係から、どのような展開になるか、今後の訴訟の成り行きを見守っていきたいと考えております。 前段の方につきましては、今後ともいろいろ検討させていただきたいと思っておるわけでございます。
○藤尾主査 以上で稲葉君の質疑は終了いたしました。 次に、井上泉君。
○井上(泉)分科員 私は、いまの日本の刑務所で拘置をされておる受刑者に対する給与等についてのことで若干お尋ねしたいのですが、いま副食費というものは受刑者一人幾らぐらいにして五十四年度ではやってきたか、五十五年度の予算ではどれくらいに見ておるのか、その点まず説明していただきたい。
○豊島政府委員 お答えいたします。 食料の関係のお尋ねでございますけれども、昭和五十四年度におきまして、これは全国平均でございますが、金額にいたしますと主食が百二十七円四十八銭、副食が二百七円六十六銭、合わせますと三百三十五円十四銭、これが五十四年度の予算でございます。五十五年度の予算要求では、主食が百三十五円三十五銭、副食が二百十二円四十三銭、合計いたしますと三百四十七円七十八銭ということに相なります。
○井上(泉)分科員 これは、受刑者にとっては食べることがもう最大の楽しみであるし、またそのことが一つのいわば反省への材料ともなるわけですが、これだけの、五十五年で一日三百四十七円、まあ三百五十円程度、これで今日、日本の受刑者に、おまえら犯罪を犯したからこれでこらえよということで、食べる物で罰を与えるような、表現は悪いかもしらぬけれども、そういうような考え方でこの単価を計算しておるのではないか。一方では政治家が百二十万ドルもばくちでぱっとかけるという、日本の政治家の中には、国民から見ればびっくりするような人がおる。一方では、刑務所の中では一日わずか三百五十円足らずの中で食う物からも体罰を加えられ、今度しゃばに出たときには、しゃばの生活にたえるような体力というものは消耗してしまっておる、こういうことをよく聞くわけですが、この辺について、栄養学的にも十分考慮したものであるか、これは考慮したものであると言うでありましょうが、具体的に、たとえばカロリーがどれくらいであるのか、あるいはその摂取したたん白質がどのくらいの量であるか、そういう点について可能な限りの説明をしていただきたいと思います。
○豊島政府委員 御指摘の点でございますが、カロリーにいたしますと、いまの主食、副食合わせまして二千九百カロリーでございます。これは五十四年度のカロリーでございますが、主食が二千百カロリーで、副食が八百カロリーでございます。これは、日本人の栄養所要量を調べました厚生省の五十四年八月の統計数字がございますが、この数字を見ますと、十六、七歳の最も熱量を必要とする若い層でございますと二千七百カロリーということに相なっております。それから三十歳代を見ますと二千四百カロリー、これが栄養所要量ということに相なっております。 主食と副食とのカロリー比でございますけれども、日本人の平均を見ますと、大体主食と副食が半分ぐらいずつというのが平均値だと聞いております。 〔主査退席、中島(源)主査代理着席〕 そういたしますと、刑務所における副食のカロリーは低いわけでありますので、合わせますと総カロリーにおいては高いのでありますけれども、やはり生活の近代化というのは副食重視という方向へ移行しておりますので、私どもは毎年副食のカロリー比を上げるということに努力いたしております。 それから、これもお尋ねの点で、たとえばたん白質のお尋ねがございましたので申し上げますと、先ほどの日本人の平均数値で所要量を見ますと、たん白質、たとえば三十歳代のものについて見ますと七〇グラムという数値が出ております。ところが、私どもの施設では四十八グラムぐらいの数値になっております。これはやはり低いわけでございます。それで食料がいわば制裁の材料になっていやせぬかというお尋ねでございますけれども、実はカロリーがかなり高うございますので、新入りいたしますと、刑務所に入りますと、最初の期間やや太りぎみになるという状況がございまして、その後、規則正しい生活によりまして、安定してくるというふうに普通言われております。そのような現象もあるわけでございまして、これがいわば苦痛を与えるような食料であるかというと、決してそうではないというふうに考えております。 さはさりながら、これで十分かというふうに問われますと、一般国民の食生活の改善、これにできるだけ追いつくように、収容者の食生活を改善していかなきゃならぬというふうに私どもも考えておりまして、毎年少しずつ改善が行われております。
○井上(泉)分科員 これはいわば密室の中で行われておるわけですから、その内容あるいはまた受刑者の声というようなものを承知する機会がなかなかないわけでありますが、私は、この受刑者の人たちの話を聞くと、刑務所の食物、食べ物というものは、これはもうとてもじゃないが、はしをとってのどへ通るまでには普通一月はかかる、こういうふうな話をよく聞くわけであるし、そういう中で私自身もささやかな経験もあるわけですけれども、こういう密室の中におればおるほど、そしてまた閉じ込められておればおるほど、食物に対する関心というものは高うなるものですし、そのことは、やはり更生をさせていく上における一つの要素にもなっておるわけですから、そういう点で食生活、食状態というものを、なお一段と向上させるように御努力を願いたい。五十五年度は五十四年度より若干、十円ぐらい上がっております。ところが、物価の値上がりが、諸材料費の値上がりが、とても十円ぐらいの値上がりじゃ済まぬ。こうなるというと、勢い質をより一層低下させなければいかぬことになるわけですが、こういうことについては、やはり極端な物の値上がりというもの、生活用品、つまり食料品の値上がりというものが急速に高まってきた場合には、これは予備費で見るとかその他いろいろ操作する余地は少々はあるのですか、そのことを伺いたい。
○豊島政府委員 御指摘のように、物価の上昇というものが一方ではございます。私どもの施設におきましては、実は先ほど申した金額を見ましても、何円何十何銭というような金額で、非常に少ないという印象を与えるわけでございますが、実は野菜類につきましては、全部自給自足をいたしております。これは農場を持っておりまして、そこで自給をいたしております。それから、みそ、しょうゆも自作品でございます。それから物資の購入の際に、これは動物性たん白も含めまして、できるだけ大量に仕入れるということによりまして、安く買うという努力をかなりいたしております。今後の物価の上昇というようなことを考慮いたしまして、私どもは、その点についての行政指導は徹底して行う必要があるというふうに考えております。 それから正月なんかにおきまして、やはり食料というものに対する受刑者の関心が非常に高うございますので、たとえば正月には一日一人二百円というような正月菜をつける、あるいは誕生日には誕生日菜というようなものを用意してやるというような配慮をいたしております。しかし何分にも、一日十円食費を上げますと、矯正施設全体では二億円の金がかかるという状況の中でのやりくりでございまして、先生御指摘のように、食というのは、われわれの衣食住の生活の中で最も重要なものであり、関心の高いものでございますので、なお一層、この充実については努力をしていきたいというふうに考えております。
○井上(泉)分科員 これは受刑者のそういう声というものを聞く機会も少ないと思うので、あえてこの分科会で発言をし、あなたの御意見を求めたわけですが、私この前大臣に、平沢貞通先生の釈放恩赦について、予算委員会の一般質問のときにお願いをしたわけですが、その後の新聞の中で、中央更生保護審査会の委員長が交代をされた、交代をされたけれども、それは国会の承認を得てから、それから前の委員長の任期が何か六月末だから、六月、その任期が終わってから就任をされる、こういうような報道を見たわけですが、これはそういうふうなことになっておるでしょうかどうか、これは担当の局の方で結構ですから……。
○稲田(克)政府委員 お答えいたします。 現在、中央更生保護、審査会の委員長病気中でございまして、その後、病状は余りはっきりいたしませんので、御本人から辞意の申し出がございました。したがいまして、法務省といたしましても、現在、後任の委員長について選考中でございまして、まだ確定的な人事を見ているわけではございません。新聞ではああいうふうに報道されておりますけれども、まだ確定しているわけではございません。
○井上(泉)分科員 そんなあれに及ばぬですよ。それほど神経使わぬでも、もう全部新聞へ出ておるし、六月こうこうでということが出ておるから、それは別にその人が国会承認人事であるから賛成とか反対とかいうわけでなし、それはそういうように予定されておるなら、機構が整うということは結構ですが、ところが、この機構が、この前大臣にお願いしたわけですけれども、そのときに、委員長が仮にいなくともこの審査会としての業務は続けられる、続けるようになっておるというような説明を聞いたのですが、それはそのとおりでしょうか、お願いしたいと思います。
○稲田(克)政府委員 お答えいたします。 犯罪者予防更生法の第九条の二項の規定におきまして、「委員長の職務は、委員長に事故があるときは、委員長があらかじめ定めておいた順序により、常勤の委員が行う。」というふうに定められておりまして、現在、勝田委員長病気療養中でございますので、委員長が定められました守田という常任の委員が委員長の職務を代行いたしておるわけでございます。
○井上(泉)分科員 いままでの審査会で、平沢さんの審査というものは、二月の段階でやられたのですか、まだやってないですか、二月から今日まで。
○稲田(克)政府委員 お答えいたします。 御承知かと存じますけれども、現在平沢から出願されております恩赦の上申事件は、たしか昭和四十六年であったかと思います。以後、審査会におきまして、諸般の状況につきまして現在調査なり審査をしておられる段階でございまして、個々的に、いつ、どういうふうな形で審査されているかというふうなことは、私どもの立場としてはつまびらかにできない状況にあるわけでございます。
○井上(泉)分科員 その審査をやっておるかどうかということ、これはどういうあれですか。その審査会というのは、これは別に秘密にすべきことじゃないですけれども、やっぱり秘密にせねばならないことになっていますか。
○稲田(克)政府委員 お答えいたします。 審査しておられると申しましても、では具体的にきょうどういうことをなさったかというふうなことは、われわれとしては具体的に申し上げられないわけでございまして、出願があって以来、各委員が訴訟関係記録を精査なさるとか、あるいはまた私どもの保護局の係官に対して、これこれの事情を調査せよとかいったような、いろいろの指示があったりしまして、そういう関係において審査なり調査なり行われておるのが現在の実情なんでございます。
○井上(泉)分科員 そういうこととするならば、平沢さんの特赦の審査というものは、やられておるかもしれぬけれども、またやってないかもしれぬ、そこら辺はわからぬ、こういうことに理解をせねばならぬですか。
○稲田(克)政府委員 審査会は毎週火曜日と金曜日、日を決めて各委員がおそろいになって審査されるわけでございまして、これは平沢からの出願の事件だけでございませず、ほかにも日常の事件処理をやっておられるわけでございまして、その過程におきまして、当然、平沢の恩赦の問題につきましても、委員間でいろいろ御意見が出されて、討議されておるのじゃないかというふうに推測するわけでございます。
○井上(泉)分科員 そこで、これはまた大臣にお願いをするわけですけれども、この前も申し上げましたとおり、もう八十八で、そして一年ごとに老化現象が進んでおるが、それでいま、病気かと言えば、老人性の病気以外にこれという病気と見られる所見は別にないわけです。ないけれども、いつ倒れるかわからぬ、そういう状態の中で無実を訴え続けてきて、そして、これじゃどうしても再審の道もかたいし、どうもならぬ。だから一方、耐えがたきを耐えて、そこで判決を了承して、そうして今度は特赦を要請し、審査会の審査にかかっておる。ところが、この審査会の会長が病気で審査会の業務がおくれておるというようなことで、その決定が非常におくれているというような話を聞いたわけでありましたけれども、いま局長の答弁を聞くと、それは代理者でちゃんとできておる、こういうことであるわけですが、そこらあたりのことから勘案して、やはりもう審査会にかかっておるから、法務大臣、審査会の審査の内容に立ち入ることはできなくとも、これはひとつ、命がいつどうなるかわからぬものだから、先のあるうちにちゃんとした結末をつけるように、早くこれを促進するような審査会に対しての指示といいますか要請というか、行政上の大臣としてのどういう権限があるか私、知りませんけれども、大臣である以上は、何らかの発言力というものはあるはずですが、そういう点について、なお、この審査を促進するようなそういう温かい心の通った行政というものを進めてもらいたいと思うわけですが、大臣の御見解を承りたいと思います。
○倉石国務大臣 更生保護審査会が病気である委員長にかわって他の者がこれをやっておることは、さっき局長から御報告申し上げたとおりであります。したがって、私どもといたしましては、そこの答申を待ってそれを尊重いたしたい、こう思っておるわけであります。
○井上(泉)分科員 ですから、あなたがそれを尊重してやりたいと思っておっても、審査がおくれてくると、いつぽっくり死ぬかわからぬような、年齢的に言ったら人生の末期に来ておる彼ですから、それを何らかの形で促進してもらいたい。促進の手だてというものが法務大臣として全然ないはずはないと思いますが、ひとつ審査会で早くやってやれ、これはこういう問題だから早くやれ、指揮権発動の権能のある法務大臣ですから、それくらいの行政上の措置はできるのじゃないか、こういうふうに思いますので、私はそれをお願いしておるわけです。それを大臣にお願いしておるわけですから、ひとつ大臣にその辺のことを承りたいです。
○倉石国務大臣 きょうそういうお話のありましたことを委員長に伝えておきたいと思います。
○井上(泉)分科員 それほど慎重に扱われるからなかなか……。 私は、こういうことは歴代の法務大臣にも再三再四この問題について話し合いを求めてやっておるわけですけれども、なかなか結論が得られないので残念で、そのうちに八十八という年を迎えてきておるわけです。ひとっここらあたりで倉石法務大臣の決裁で特赦が実現できるようにぜひお願いをしたいと思います。 次に、狭山の石川君の問題ですが、再審が却下されて、そこでまたこれは高裁に異議の申し立てをしておるという段階にあるわけですが、この石川君の再審というものが却下された中に、証拠というものを示すのに、弁護側が出した証拠に対する十分な反論がなされないままに、いわば石川君を有罪と決めつけたことに結びつけるような証拠の解釈で再審の要請を却下した、こういうふうに私どもは非常に残念に思うわけですが、この石川君の再審要請の却下について、法務省としてはどういうふうな見解を持って現在対処されておるのか、その辺承っておきたいと思います。
○豊島政府委員 私、直接の衝ではございませんが、本人の身柄を預かっております立場からお答えすることになりますが、裁判所の判断にはいろいろ御議論のあることは私どもも承知いたしておりますけれども、裁判所の再審に対する御判断でございますので、それはそのまま受けて立たなければならぬというふうに考えております。
○井上(泉)分科員 再審の問題については、そういうことで高裁に異議の申し立てをして、そこで審査されておるということですが、その一方、また、この再審とは別に、無期懲役の判決を受けておる、それでもう十何年も入っておるというようなことから、仮出獄をさすべきではないか、こういうことでずいぶん当委員会でもあるいはその他の場所でもこのことについてはよく論議をされたわけですが、これは無期懲役の判決を受けておる、無期懲役の場合であるから刑期というものが決まってないというようなことを理由に、なかなか仮出獄ということがむずかしいようないままで法務当局の見解であったわけですが、これは絶対的に仮出獄というものができない仕組みになっておるかどうか、その点、説明していただきたいと思います。
○豊島政府委員 この点も実は刑事局の刑法の解釈と絡む問題でございまして、私どもの運用も、そういう刑法の理解のもとに、刑事局の刑法の理解、私どもの刑法の理解、これは相一致しておるわけでございますけれども、従来たびたび同じ御質問を受けておりますが、先生お話しのように、無期の場合には刑期が無期限だということでございまして、いわゆる未決勾留日数を算入する余地がないというのが結論でございます。刑法の二十八条に無期刑については十年を経過したときに仮釈放が許されるという規定がございまして、この十年の期間というのは、現実に刑の執行が十年なければいかぬというふうに理解されておるわけでございます。これはポピュラーな理解だというふうに私どもも考えておりまして、要するに、仮出獄の要件としまして十年の期間経過を要する、そして刑期としては、未決勾留日数算入の余地がないというのが結論でございます。
○井上(泉)分科員 最後に一つ。 こういうことは非常に不合理ないまの刑法だと私は思うわけです。これは大臣が不合理と考えるかどうかは別といたしまして、無期懲役の者がもう十何年も入っておるのに、刑期の定めがないから、それで、そういう未決勾留期間が計算に入れられないということは不合理じゃないですか。大臣は、こういう法律であるからしようがないと思うのか、あるいはこういう不合理な点についてはやはり改正をすべきものであるかどうか、そういう点について法務大臣の見解を承って、私は質問を終わりたいと思うのです。
○倉石国務大臣 ただいま局長から御説明申し上げましたのが長年の行刑の結果だと思いますが……。
○井上(泉)分科員 ちょっと後がないからいかぬが、もうやめます。
○中島(源)主査代理 以上で井上君の質疑は終了いたしました。 次に、東中光雄君。
○東中分科員 地代家賃統制令の建設省告示が数年前からその算定の方式が変わりまして、最近、建設省告示に基づく統制額で決められた額までの増額請求に対して、停止統制額を下回る額が適正賃料であるという判決例が大分ふえてきておるわけであります。それとの関連で借地法の、あるいは借家法の附則八項のことについてお伺いしたいと思うのです。 私がいまここに持ってきております昨年の一月三十一日大阪地裁が言い渡した判決によりますと、Aという人に対して原告側が、昭和五十二年の建設省告示第八百五号改正で、それの計算に基づく家賃増額請求ですが、二万六千八百三十円という要求をしたのに対して判決は二万一千四百六十四円、続いて同じ家屋について昭和五十三年建設省告示の千十二号に基づく停止統制額相当の三万二千四十九円という増額請求に対して、同じ判決で二万五千六百三十九円という判決が出ております。B、C、D、Eという人たちについての請求も、それぞれ一万六千百八十二円への増額請求に対して一万四千二百四十円、それから一万八千九百六十五円への増額請求に対して一万六千六百八十九円という判決が出ておるわけです。いずれも適正賃料は統制額よりも下であるという判決が出ておるわけですが、こういう事案が大分ふえてきておるようであります。最近の特に大阪や東京のようなところで建設省告示が、昭和四十六年の告示第二千百六十一号、それから五十二年の告示第八百五号、五十三年の告示第千十三号、こういう告示の後、統制額が適正賃料よりも上回るという事態が相当多く出てきておると思うのですが、そういう傾向について、法務省なり建設省なりでどの程度に統制額の方が適正賃料よりも高くなっておるかという調べられた結果として出てきておるものがあれば示していただきたい。 〔中島(源)主査代理退席、主査着席〕
○貞家政府委員 実は詳細な統計はとっておりませんが、確かに、御指摘のとおりのケースが若干は出ているということは事実でございます。ただ、たてまえといたしまして、統制令上の統制額の改定というものは、私どもといたしましては、適用対象外の土地建物の賃料との格差を是正するために、建設大臣が十分な調査に基づいて定められたものというふうに理解されておるわけでございます。したがいまして、ごく一般的に申し上げますと、借地借家法上の相当賃料額とかけ離れたものである、それを超えたものである、そういう金額が統制額として定められているというふうには理解いたしておらないわけでございます。ただ、現実の問題といたしまして、統制額は時間的にも場所的にも一般的、概括的に定められるのでございますが、借地法上、借家法上の相当賃料額というものは、裁判所におきまして、増額請求等の場合には、個別的、具体的に定められておりますので、個別の事例においては、統制額が裁判所の定める相当賃料額を上回るという場合も生じている、生じ得るということは御指摘のとおりあり得るわけでございます。 大体以上のような理解でございます。
○関口政府委員 お答えをさせていただきます。 五十三年の十一月の私どもで調べました地代家賃の実態調査の結果につきまして、まず御説明をさせていただきますと、当時地代は統制対象外と統制対象との格差と申しますか、要するに、統制対象のものに対しまして統制対象外は約一・四一倍の数値を示しております。また、家賃につきまして同じように調べますと、三・三六倍という数値を示しておりましたので、これを一どきに上げるということはいろいろ問題を引き起こすために、地代につきましては、先生御案内のとおりおおむね五%のアップ、家賃につきましては八・七%のアップに抑えております。 以上のように、私どもの態度といたしましては、統制対象外住宅との賃料の格差が著しく拡大して公正でないと認められるに至った場合に、その実態を総合的に勘案して、公正さを欠く範囲内で最小限の是正をさせていただいておるというのが実態でございます。 ただ、ただいまも法務省御当局から御答弁がございましたように、これはあくまでも一般的な調査によって把握できる範囲内でやっておるものでございますので、個別の事例ではそれぞれ借地、借家の個別的な事情その他がございますでしょう、それらの点を裁判所の方で御判断になられて、いま先生が御指摘のような事例が生じてきたもの、かように理解をいたしております。
○東中分科員 私、こちらへ持ってきている判決あるいは裁判所の和解を見てみましても、これだけで、大阪のごく限られた地域だけですけれども十件、判決を入れて十一件持ってきているわけです。決して特異な、例外的なものではなくなってきているわけです。大都市中心部における地代家賃統制令の告示に基づく算式による計算が、実際の適正賃料よりも非常に大幅に上がっておるということで、その増額請求をしたのに対して、それはだめですということで適正賃料を裁判所が決定をして、そして請求を、統制額相当額までの増額要求を棄却しているという例が決して特殊な例外ではなくなってきている。これは先ほど申し上げたように建設省告示の算式が数次にわたって変わって、五%と言われましたけれども、千分の二十二から千分の五十まで一挙に率が上がったこと、及びそのもとになる課税標準価格が三十八年から急にその年度ごとに改められたことによって非常に大きな問題が起こってきていることは事実だと思うのです。 それで、停止統制額は、適正賃料の上限なんだ、最高額なんだという見方と、そうではなくてこれは下限なんだという考え方とがあるようです。判決では、停止統制額というのは適正賃料の最高限度額なんだという、これは最高裁の判例でも出ているようでありますが、その点についての考え方はいま法務省としてはどうなんでしょうか。
○貞家政府委員 この点につきましては、統制額が非常に低かった当時の考え方とは若干性質は違ってきているかと思いますけれども、やはり先ほど申し上げましたように、これは建設省が十分調査の上に定められたものでありまして、一般的には相当賃料額とおおむね一致しているものであるというふうに考えるわけでございます。
○関口政府委員 先生よく御案内と思いますが、地代家賃統制令第三条におきましては、統制額を超える契約は禁止するということになっておりますので、そういう意味で最高限度というふうに私どもは理解をいたしております。
○東中分科員 適正賃料の最高額ということを言っているのであって、いまあなたが言っているようなことを私は言っているわけではありません。建設大臣によってなされる統制額の増額が画一的になりやすくて、具体的妥当性を欠く場合が生ずるおそれがないわけではない、これは最高裁が言っておるとおりであります、いま民事局長も言われたとおりだと思うのですが。ところが実際先ほど言った告示の改定で、告示の改定自体は実態調査をしてといろいろ言われますけれども、そういうものでないことはもう明白です、率の変更なんですから。そして評価額自体も課税標準価格に相当する額ということなので、それ自体は改定をされてずいぶん変わってきたことも御承知のとおりであります。私は、その点は承知の上で民事局長答弁されているのだと思うのですが、それで、この附則八項なりあるいは借地法の十二条なり増減請求に対しての支払いですね、その支払い遅延の民事上の責任問題ということについて、借地法だけではございません、借家法についても同じでございますけれども、附則八項で地代家賃統制令の上回る分についてのみ十二条の適用があるようになっておるわけですね。ところがその法改正がやられた昭和四十一年というのは停止統制額が著しく相当賃料よりも低くて、賃貸人に大きな犠牲を強いておるという状態の時期だったと思うのですが、そうではございませんか。
○貞家政府委員 昭和四十一年法律第九十二号の附則八項でございます。確かに御指摘のとおり、当時は統制額が非常に低く抑えられておりましたために、先ほどおっしゃいましたようないわゆる逆転現象と申しますか、統制額以下の金額を裁判所が適正賃料として認めたというような事例はほとんどなかった時代だと思います。したがいましてその当晴は、増額請求をすれば自動的に統制額までは増額の効果が発生するという事例が圧倒的多数であったということは御指摘のとおりだと思います。ただ、現在におきましても附則八項がそれでは全く無意味になったかと申しますと、私はさようには実は考えていない次第でございます。
○東中分科員 そこで私聞きたいのですけれども、十二条が同じときに新設されたわけですね。附則八項と同じときに四十一年の法改正でつくられたわけですが、これは適正賃料の増額請求に対してどこまで応じたらいいのかが、要するに適正賃料について争いがある場合の賃借り人の不安定な状態をなくするために、そしてまた増額請求する側も、払わなかった場合は年一割の金利というものが確保できるということで安定さそうとしたものだと思うのですが、その場合に、統制額が適正賃料以下になるというようなことは絶無に近いというふうな状態だったから附則八項というのが出てきたのであって、いまのような、たとえば先ほど例で申し上げましたような三万二千四十九円という統制額でその増額請求をしたら、裁判の結果はそうではなくて二万五千六百三十九円という判決が出る。だから七千円も月に違うわけですね。そういう場合に増額請求をされた側の借地人なり借家人なりが、せっかく十二条で新設された安定した借地人なり借家人なりの地位を脅かすような結果が附則八、項によって出てくるわけですね。告示の内容が変わったからといって、なぜそういう人たちはそういう不安定な状態に置かれるのか。私は、借地法の十二条というものが必要だと現に考えておられるし、それは相当な立法、正しい立法だと思うのですが、それならば停止統制額が適正賃料よりも上回る事態が起こってきている今日において、そういう立場に置かれている人たちも同じような法の保護を受けるようにすべきじゃないか、こう思うのです。だから無意味じゃなくて、その統制額以下の適正賃料のところに住んでいるあるいは借地している人たちを保護するという観点から、同じ十二条の適用が受けられるように当然改正しなければ、当時と事情が変わってきているのじゃないかということを言いたいのです。どうでしょう。
○貞家政府委員 確かに立法当初と状況が変わっているということは事実でございます。ただ、御指摘のとおり十二条二項、附則八項ともに借り主の不安定な地位を除去するという点を主眼に置いておるわけでございますが、借り主の不安定な地位、貸し主の利益との衡量をどこに求めるかという点からこういった規定ができているわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、建設大臣の定めた統制額というものが公的機関の定めたものでありまして、一般的には適正なものであるべきものでございますので、それを超える増額請求部分についてのみ不安定な地位を除去するということに妥当性があるのではないかと思うわけでありまして、仮に裁判所の個別の正当な賃料としての認定額が統制額を下回るということが予想された場合、借り主としては統制額を支払っておかなければ債務不履行になるかということでございますけれども、結論的に、もしそれより低額の地代を支払っておりまして、統制額どおりの賃料が裁判所によって認められた場合には、これはもちろん自己の責任に帰するわけで、危険は借り主の危険に帰するわけでございまして、債務不履行という結果になるわけでございますが、仮に裁判所が統制額以下の賃料を適正賃料と認めたという場合に、その賃料額を支払っておれば結果的には債務不履行になるということはないのではないか、これは解釈論でございますけれども、さように考えておるわけでございまして、一般的な場合には、とにかく基準として建設大慶の定められる統制額というものを支払っておけばよろしい、それ以上に適正賃料が定められた場合には、無論その場合にも債務不履行ということにはならない。しかし、反対に統制額まで支払いをしていない場合でも、客観的な、最終的な適正賃料がそれ以下に裁判所によって定められた場合には、その賃料未満の支払いをしていたときに限って債務不履行になる、かような解釈になるのではないかと考えております。
○東中分科員 いや、そんな解釈を聞いているのじゃないのです。あなたも立法府と事情が変わったことは認められたわけです。認められたのだから私申し上げるのですけれども、停止統制額を上回る要求をされたってそんなものは払わなくていいのはあたりまえのことなんであって、あの附則八項がなくたって、だれもそんなことは心配しないわけです。だからそういう意味で言えば、あの規定というのは、停止統制額を上回る要求をした場合にそれ以上のものを払わなくてもよろしいというのは全くの注意規定にしかすぎなかったわけであります。ところが、いま停止統制額を上回る適正賃料というようなものが起こってくるのではなくて、国民生活を安定するためにつくってある統制額といって決めた統制額が、実際の適正賃料よりも上回っているというような、これは住宅政策上本当に間違った、統制令の趣旨を根本的に覆すようなそういう告示が現にやられておって、私の身辺で起こっておる——ちょっと打ってきただけでも十件を超す事件がそういう形で起こってきておるのです。特殊例外的に起こっているのじゃないのです。そういう場合に、十二条の二項が制定される前の一般の地代家賃統制令のない場合の増額請求に対する支払いで紛争がいろいろ起こりました。そういうものをなくそうということで十二条というのはできたわけですから、いま統制額がそういう異常な状態に、本来の統制という言葉から言えば、まあ形容矛盾のような引き上げ限度額のような形で出されてきておるのに対して、そうではないと言って適正賃料が裁判所で出されるという事態になってきた場合に、それは適正賃料まで払えばいいのはあたりまえのことなんで、法務省自身が、建設大臣が被告になっておる事件の指定代理人として法務省の役人さんが出しておる準備書面を見ても、その点ははっきりとそう言っているわけです。本来は賃料の最筒限度額であるはずであって、適正賃料の下限に位置づけられるものではない。また、債務不履行としての責任を問い得るのは、その事由が継続契約関係における信義則違反と評価し得るものでなければならないのであって、そういうものでなかったら、仮に債務不履行だからといって契約解除の事由にはならないのだという主張を現に法廷でもされておるのです。そういう混乱、これは前の、十二条がなかった時代と同じ状態を、今度は附則八項があることによって統制額のある問題についてだけ起こってくるということになるのだから、これはこの際八項をなくしてしまって、ほかと同じょうに扱ったらそれでいいのではないか。それの方が増額請求をする家主さんの側から言っても、地主さんの側から言っても、今度は差額については年一割の金利がとれるという点で安定するわけであるし、借地人、借家人の側もそういう点についての十二条の当然の保護を同じように受けられる性質のものになってくるのじゃないかというふうに思うのです。だから、いまの解釈論だけじゃなくて、この法律がつくられたときの四十一年と事情は変わっておるということは認められておるのですから、それならば同じように適用すべきじゃないかというふうに思うのですが、ひとつぜひこれは検討してもらわぬと余りにも不合理な状態が起こってくるというふうに思うのですが、どうでしょう。
○貞家政府委員 確かにいろいろなケースがございます。この事態はいろいろ統制額の定め方あるいは賃貸借契約の実態等に応じましてそれぞれ違ってくるわけでありますが、ただ立法論といたしましては一般的な考え方によらざるを得ないわけでございまして、一般的には先ほど来申し上げておりますように建設省の告示というものが適正賃料額を定めたものである、またあるべきであると言わざるを得ないわけでありまして、もちろん裁判所がそれに反しては困るというようなことを申し上げているわけではございませんけれども、本来裁判の定めるものと一致すべきものであると考えております。 そういう前提に立ちました場合に、一応公的機関の定めた統制額までは仮に支払うということにして安定をさせる。もちろん例外的に裁判所がそれ以下の賃料額を適正賃料として定めました場合には、その差額は当然不当利得として借り主の方に返還される、こういうことになるわけでございまして、法的地位の安定という点から申しまして、現時点におきましても昭和四十一年法律九十三号の附則八項の使命が残されているのではないかと考える次第でございます。
○東中分科員 時間が来ましたので終わりますが、私の言っていることと違うことを言ってもらったらいかぬと思うのであえてもう一つだけ言っておきますけれども、あなたの言われているのは告示が変わった、事情が変わったということを一方で認めていながら、今度は認める前のたてまえのことだけを繰り返しているわけなんです。だから変わった点を実態的によく見てやるべきではないか。現に実際に訴訟で指定代理人がそういう主張をしているのじゃないですか。いまの時点で前と同じ主張をされていることはそのまま伺っておきますけれども、これはどうしても検討されないと、借地法にしろ地代家賃統制令にしろ、借り主側を保護するということで出ておったはずのものが、いまやこの部分について言えば逆になっている。統制令の適用のあるところほど逆の不安定な状態に置かれるという事態になっているということを指摘して、特に強く検討を要請しておきたいと思います。 終わります。
○藤尾主査 以上で東中君の質疑は終了いたしました。 次に、三浦降君。
○三浦(隆)分科員 質問に入らせていただきます。 第一の質問です。法務大臣の御答弁をお願いいたしたいと思います。 われわれはよくアメリカ、ソ連、韓国など諸外国の人権侵害を論ずるのですけれども、他国を論ずる前にまず自国の人権の問題に取り組むのが先決だろうと思います。その点、法務省が、五月一日から七日までの憲法週間あるいは七月一日から三十一日までの社会を明るくする連動、十月一日から七日までの法の日の週間、十二月四日から十日までの人権週間、そうした行事をされていることには敬意を表したいと思います。しかし、にもかかわらず法務省の人権侵犯事件統計によりますと、人権擁護法が成立しました昭和二十四年に公務員による侵犯、私人等による侵犯、合わせて百七十八件です。十年後の昭和三十四年に九千九十件、さらに十年後の昭和四十四年に九千九百九十四件、そして昭和五十三年には一万五千四十五件にとふえているわけです、また、警察庁刑事局によります刑法犯認知、検挙件数、手元には昭和四十三年から五十二年までのがあるのですが、昭和四十三年の件数は一千二百三十四件、以下昭和五十二年一千二百六十八件。ほとんど数が変わらないだけでなく、むしろ増加の傾向にある、こうした問題を踏まえて、これからの八〇年代を迎えながら大臣の御所見を聞いたいと思います。
○倉石国務大臣 人権の擁護は民主政治の基本でございますし、立法、司法、行政の衝に当たる者が常に最大の留意をいたさなければならない問題であると考えております。同時にまた、国民のそれぞれが人権についての正しい認識を持って、お互いに他人の人権を尊重し合いながら幸福を追求するという態度が必要であろうと考えておるわけでございます。 そこで法務省では、いまもいろいろ私どもでやっておりますことについておほめをいただきましたけれども、国民の間に広く人権尊重の思想を普及させるために各種の広報活動の手段をとりますほかに、さらに具体的な人権に関する相談あるいは人権侵犯事件の調査、処理等を通じまして効果的な啓発活動を行っているのでありますが、今後ともこういう啓発活動を通じて国民の間に人権尊重の気持ちがさらに強化されるようにやってまいりたいと思っております。
○三浦(隆)分科員 確かに公務員による侵犯の問題は、たとえば警察官によるものは昭和二十八年六百八十九件から昭和五十三年百十三件と大変減ってきております。警察官自身の資質の向上なり教育の効果が出てきているのだろうと思います。しかし、にもかかわらず今日新聞には刑事被告人なり参考人と呼ばれた人たちの自殺の痛ましい記事などが伝えられるところを見ますと、ここの件数に見られないところにおいてまだ大きな侵犯の問題があるのではないかというふうにも思われます。 そこで、一つに、法務省の人権侵犯統計にあらわれるのはむしろ氷山の一角である、根はもっと深いものではないかとも思われるのです。 例としまして、在日大韓民国居留民団中央本部が昭和五十三年に出した要望書の前文に「私たち在日韓国人六十五万人は、日常生活の各方面においていわれなき差別待遇を受け、……それがために不安定な生活を強いられている状況にあります」と書いてあります。進学、就職、結婚などで恐らくこの件数にない、まさにいわれなき差別の中に苦しまれている人が多いのだと思います。 また、ウタリ協会、旧アイヌ出身の方でございますが、その指導者である貝沢正という人のみずからの子供のころを回想した官業の中に「アイス——生れたその町から背負わされた宿命。小学校に入学した時から差別は始った。……明治三十二年「旧土人保護法」が制定され、旧土人学校となり、「旧土人学校教育規程」によって教育されたのが私たちだった。……日本人がいかに優れた民族であるかをシサムの先生によってくり返しくり返し、たたき込まれた」とあります。ここでのシサムは隣人の意味ですが、恐らく和人、日本人を指している言葉だと思います。 さて、人権擁護法が昭和二十四年に生まれました。その第二条には「委員の使命」として、人権侵犯に対する事前の監視の問題あるいは事後の適切な処置がうたわれております。と同時に第六条の「委員の推薦及び委嘱」のところに、委嘱は市町村長を経由して市町村議会の意見を聞きながら決めているという点においては、この地方の意見が反映しなければならないにもかかわらず、今日いまだにウタリ問題が解決し得ないというふうなことは、人権擁護委員が正しく使命を全うしているのかどうかきわめて疑わしいと言わざるを得ないと思います。 質問の第二に入ります。同じく法務大臣、そしてまた厚生省の御関係の方に御答弁をお願いいたします。 北海道旧土人保護法というのが明治三十二年法二十七号によって成立いたしまして、昭和四十三年法九十四号によって改正されております。また旭川市旧土人保農地処分法が昭和九年法九号によって成立し、昭和十二年法二十一号によって改正されているわけです。前著は管轄が厚生省であるそうですが、後者に至ってはきょうに至るまで私はこの国会においていろいろと旧いただしても、その所管庁すらはっきりとわかってこないのです。すなわち、国の行政、立法府においてそのまま放置しておいた。単なるわれわれにとっては法律の一つにすぎないかもしれませんが、「旧土人」と呼ばれている同じ日本人の一人が今日どんなに腹立だしい、くやしい思いをしているかに、私たちは思いをいたさなければいけないと思います。土地の人権擁護委員が北海道にもおるはずであるにもかかわらず、「旧土人」と呼ばれている人たちのことを何も考えなかったこと、大きな問題だと思います。北海道旧土人保護法は「保護」という名がついているだけに、第一条に「一戸ニ付土地一万五千坪以内ヲ限り無償下付スル」同法第七条では「北海道旧土人ノ保護ノ為必要アルトキハ之ニ関スル施設ヲ為シ又ハ施設ヲ為ス者ニ対シ補助ヲ為スコトヲ得」とあります。しかし、実際の旧アイヌの人は、大変な貧しさの中に嘆いております。この法律がそのとおり生かされていれば、嘆きの声は出てこないはずであります。 北海道民生部によります昭和四十七年の「北海道ウタリ実態調査報告」、昭和五十二年、同じく北海道民生部によります「北海道ウタリ福祉対策基礎調査結果の概要」というのがございます。この後者によりますと、昭和五十二年のウタリの世帯数五千六百二十二、人口二万一千百十人です。そしてそこにいる働く人たちは農林漁業従事者が三五・八%、失業者一五・四%です。ちなみに同じ昭和五十二年、日本の総人口一億一千三百九十二万人、農林漁業従覇者二二・四%、失業率二%であります。一五・四%と二%のいかに差の多いかを私たちは知らなければいけません。また高校進学者五七・三%、大学進学者一七・九%とあります。同年の日本全体の高校進学者九三・一%、大学進学者三七・七%です。日本国憲法の第十一条では「國民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。」とあります。第十三条前段では「すべて國民は、個人として尊重される。」とあり、同第十四条一項では「すべて國民は、法の下に平等であって、人種、信條、性別、社會的身分又は門地により、政治的、経濟的又は社會的関係において、差別されない。」とあるわけですが、旧アイヌの人々には人権の享有は不十分であり、きわめてみじめな状態です。文教関係の問題につきましては、文教常任委員会で発言さしていただきます。 学説によれば、憲法十四条の法のもとの平等の意味には、立法者非拘束説、適用平等説と言っておりますものと、もう一つに立法者拘束説、法平等説との二つがございますが、昭和三十一年二月二十七日の大阪高等裁判所の判決では立法者拘束説をとっております。「憲法十四条は単に法を不平等に適用することを禁ずるだけでなく、不平等な取り扱いを内容とする法の制定をも禁ずる趣旨と解すべきである」と述べております。これが通説であります。 次に、土人の意味についてでありますが、諾橋轍次の「大漢和辞典」あるいは小学館による「日本国語大辞典」によりますと、一に土でつくった人形、二に原始的な生活をしている土着の人、三にその土地に生まれ住みついている人とあります。さらにこれを「類語辞典」によりますと、一に土着の人、二に蛮人、蛮民、三に未開人、未開民族とあります。私たちの知る文学作品の中で、島崎藤村の「椰子の葉蔭」あるいは志賀直哉の「暗夜行路」などがありますが、志賀直哉はその中で「南洋館というので土人の踊りがある」、こうした土人というのは、私たちの子供のころの漫画の「冒険ダン吉」なりあるいは「酋長の娘」で歌われてくるような土人のイメージであって、いわゆる未開の意味があります。原始的な意味があるのであって、戦前ならばいざ知らず、現憲法下において同じ日本国民として、こういう言葉は使われるべきではないと私は確信を持っております。と同時に、今日では言葉がいかに大切であるか。かつて女中さん募集と言ったけれども、今日ではお手伝いさんなりメードさんと言葉を変えておるし、女工さんも女子社員であるとか、女給もホステスであるとか、それぞれ変わっております。山木有三の「路傍の石」の吾一も五助と言われて怒っておるのです。私たちは、こうした同じ日本人を「旧土人」と呼ぶことの加害者たるの意識を持つべきではないかと思います。その点について、私は「旧土人」という名称は即刻速やかになくすべきであると思います。 大臣初め厚生省御関係の御意見を賜りたいと思います。
○倉石国務大臣 お話の「旧土人」という言葉は、もともとその土地に生まれ住んでいた人という意味で用いられておったんだろうと思うのでありますが、これらの人々を若干軽んじたような意味とも受け取られるような言葉でありますので、この表現はいかがなものだろうかと、お話を承っておってさように痛感いたします。
○佐藤(良)説明員 「旧土人」という呼称を廃止すべきではないかという御意見でございますが、同法は明治三十二年に制定されまして、その後福祉制度の充実に伴いまして役割りがいろいろ変わってきたわけでございます。昭和三十九年に実は行政管理庁から、廃止が適当であるというような御趣旨の勧告がございました。それに従いましていろいろ検討いたしたわけでございますが、実は北海道庁の方から、同法の中に土地の譲渡の制限という規定がございますが、これについては存続の必要があるということで、その他の部分は改正いたしましたが、いま申し上げた部分については残したという経緯がございます。 確かに御指摘のように、「旧土人」というのは呼称としては非常に不適切なものであろうかと存じます。このような観点から、当時においても法律を廃止すべきであるというような御議論もあったようでございますが、一部改正ということで整理をいたした。その後種々の経過がございまして、時の推移もございますので、名称の変更等の問題につきましては、同法自体の存続、廃止等を含めまして、全体的に関係各省、北海道庁それから関係者の意見などを聴取して、検討いたしてまいりたいと存じます。
○野々山説明員 厚生省から御答弁のあったように、名称は現時点で考えますとまことにいかがなものかと存じておりまして、改正すべきではないかという感じはいたしますが、これはウタリさんの仲間の間にもいろいろ御議論がございますので、ウタリさんの御意見の統一を待って考えるべきものではないかというふうには存じます。
○三浦(隆)分科員 お二人の答弁は中身のことに触れているのでして、私が言ったのは、まだ中身を検討したわけではないのです。表題の「旧土人」という表現そのものが不適当であると言ったわけです。仮に中身はこれから検討するにせよ、とにかく表題の「旧土人」という言葉は即座になくすべきだ、こう言っているわけです。おわかりいただけましたでしょうか。時間の都合がありますので、先に進ませていただきます。 第三の質問に入ります。また法務大臣に御答弁をお願いいたします 国際人権規約が昭和五十四年に条約六号、条約七号によって生まれております。いわゆるA規約、B規約と言われておりますが、この条約の発効に伴いまして、外国人、特に協定永住者の取り扱いについて、条約を結ぶ前と結んだ後とでは大きく変わってこなければならないものだと思います。そこで、協定永住者に対します取り扱いは、特に他の外国人と異なり、日本人に準ずる特別な取り扱いをなしてもいいと私は思うのですが、その点についてお考えを問いたいと思います。 まず、そうしたお答えをいただきます前に、特に外国人、この協定永住者の人権について少し意見を述べます。 昭和三十九年十一月十八日の最高裁大法廷判決によりますと、外国人の人権につきまして「わが憲法十四条の趣旨は、特段の事情の認められない限り、外国人に対しても類推されるべきである」、この時点の答えとしてはかなり開かれた答えです。続きまして、学説の方でもこの外国人の基本的人権の享有の問題につきましては、現行憲法の人権原理や国際的人権保障の趨勢から、外国人もわが国人と同様、まず基本的に同じ人間としてとらえるべきであって、したがって、自然権としての人権の享受主体であり、原則としてわが国憲法の人権保障規定が直接に適用されるべきである、そうした考え方が近年大変に強まってきていると思います。そしてまた、ここに日韓基本条約が昭和四十年十二月十八日に生まれまして同日発効を見ておりますが、これと並んで日本国に居住する大韓民国園児の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定が、同じ日、条約二十八号によって成立しまして、四十一年一月十七日に発効を見ております。この第一条に協定永住者としての法的地位が、第四条に協定永住者の待遇のことなどが書かれております。 さて、単なる一般通過客としての外国人と異なり、この協定永住者たる人々は、先ほどちょっと触れました在日大韓民国居留民団中央本部によります差別白書第三集の中に「在日韓国人は日本に定住し、子を育て、孫を教育し、そして日本で骨を埋めるのである」というふうにあります。まさに日本に、その人たちのお子様たちも年々ふえております。国籍だけが違うのであって、税金も支払い、われわれ日本人と全く同じ生活をしておるということです。統計によりますと、昭和五年のときに日本で生まれた韓国、朝鮮の方が八・二%であり、本国生まれの人が九一・八%でございます。しかし、それが昭和四十九年になると日本で生まれた方が七五・六%、本国で生まれた人二四・一%、現在ではまだ日本生まれの方がふえていようかと思います。そして、ちなみに外国人の登録をされている方が七十六万八千一名に対して、そうした韓国、朝鮮の方が六十六万二百二十七名にも達していることを考えますと、ことしの二月に総理府による世論調査、そこの中に、日本人が大病にかかったり交通事故、職場で事故に遭った場台、頼りとするものは何だろうかというのに対して、家族きょうだいが三八%、保険や貯金に頼る者が二二%とあります。日本人ですらこういう不安を持つのであるならば、国籍を異にし、そして本国ではないところに住む人にとっての不安感はなお強いし、だからこそ、そういう人々にとっての家族の助け合いなり年金や何かに対する、そうしたものを早く実現してほしいという気持ちがあろうかと思うのです。そういう意味において、この協定永住者に対します人権の問題について、大臣より前向きの御答弁をまずお願いしたいと思います。
○倉石国務大臣 お話しの協定永住者が特殊な歴史的背景とまた法的地位を有するものでありますことは申すまでもございませんが、これらの人たちでも、やはり外国人である限りはすべての面において一国民と同様に処遇することは困難でございます。 御指摘の、外国人登録証の切りかえ等については、現行制度が必ずしも最善のものとは思われませんので、目下事務当局においてその改善方を検討いたしておる最中でございます。
○浅井説明員 先生の御質問に対しまして、協定という人権規約との関連で少し人権規約の性格について御説明いたします。 憲法は、九十八条におきまして、わが国が締結した条約を誠実に遵守することを必要とすると定めておりまして、したがいまして、確立された解釈といたしまして、条約はその国内法に優先するということ、そういうふうにわれわれ解釈しております。ただ、人権規約に関しましては、ちょっと普通の条約と異なりまして、先生の御承知のように、特にA規約の二条でございますけれども、そこで漸進性という性格を持たせておりますので、この規約を締結したからといって、直ちに国内法をその条約の規定内容に合わせて改廃しなければいけないということではないということになろうかと思います。
○三浦(隆)分科員 仮に事件が起こって裁判に付されましたときには、改正しているいないではなくて、改正しないこと自体が場合によってはいけないのだろうというふうに思います。 時間の都合で大変残念なんですが、外国人登録法十一条、ここに登録証明書の切りかえ交付の問題などがございますが、私は協定永住者に対してはこれは必要がないというふうに思います。 といいますのは、前の法務委員会の記録の中にも、登録を切りかえる云々というのは、点検してその誤りや事実が不一致か否かを確認するのだというふうにありますけれども、協定永住者として是か否かというのは、初めのときによく検討すればいいのであって、一度その人たちは証明書を獲得してからはずっと日本に骨を埋めるわけですから、一時的な日本に滞在する外国人とは明らかに違うのであって、切りかえる必要はないというふうに思います。 そしてまた、この問題ですが、これを切りかえなくて、逆に日本のいわゆる憲法で言う人権の保障に対する公共の福祉の制約といいましょうか、そうしたような、切りかえなくてはならないという論理性がここではないと思うのです。そういう意味では、他の人は一応おきまして、協定永住者についてだけいわゆる切りかえをしないで、終身的に有効な外国人登録の特別証明書といったものを即刻交付すべきじゃないかというふうに思います。なぜならば、もしそれをしなかった場合に、この人権規約の問題で、やはり改正が間に合う、間に合わないといった問題とは違うと思うのです。言うならば、お金の問題その他ですと、国の予算その他がございますから、その他種々との関係条項があり、一遍には実現し得ないかもしれません。しかし、この場合には一切それはかかわりがないというふうに思います。いかがでしょうか。
○小杉政府委員 お答え申し上げます。 協定永住者について特にお尋ねがあったわけでございますが、この協定永住者なるものは、先ほど先生御説明のとおり、昭和四十年の日韓協定によって特別の法的地位及び待遇が与えられているわけでございますが、この協定永住者といえども、外国人であることには変わりはないわけでございまして、日韓協定の第五条におきまして、この協定によって「日本国で永住することを許可されている大韓民国国民は、出入国及び居住を含むすべての事項に関し、この協定で特に定める場合を除くほか、すべての外国人に同様に適用される日本国の法令の適用を受けることが確認される。」という旨が明記されておるわけでございます。すなわち出入国管理令であるとか、あるいは外国人登録法というものが、一般外国人と同様に協定永住者にも適用されるのだということについての日韓間の明確な合意があるわけでございます。この基本的な法律関係というものは、実は人権規約の批准によっても何ら変更を受けていないのでございまして、協定永住者のみを取り上げまして特別の扱いをするということは、実は現在のところ考えていないというのが実情でございます。 外国人登録制度というものそれ自体、これはわが国に在留する外国人の居住関係、身分関係というものを常時把握しておいて適正な在留管理を行うということのためにやっておることでございまして、協定永住者と申しましても、その日本におられます間に身分事項が変わるとかあるいは居住関係に変更を生ずるというようなことがございまして、一概にこれを永久有効の外登証というようなものに切りかえるととには多分に困難がある。ただ、しかしながら、現在協定永住者等の長期在留者と、ごく短期の旅行者との間に何ら差別なく一律に同じ制度を適用しているということは不合理ではないかという議論については、なるほどごもっともな点もございまして、この期間の現在の三年切りかえというものを若干延ばすというような方向での検討を、目下将来の法改正の問題として考えておるというところが現状でございます。
○三浦(隆)分科員 大変不満足な答えでございまして、続けて質問したいのですが、残念ながら持ち時間が参ったようでございます。席を改めまして、この問題、改めて質問をさしていただきたいと思います。 ただ、終わりに臨みまして、とにかく日本で生まれ、日本で育って、日本で骨を埋めようという人たちが大ぜいいるのだ、しかも年々ふえているのだ、法律論議の前に、まず人情としてでもとにかく何とかしてあげなくちゃならぬじゃないか。個々の細かい法令解釈の問題、もっと法に人の心がしみじみとしみ通っていくような、そうした答弁をしていただくように、また将来そう変わっていただくことを期待いたしまして、質問を終わらしていただきます。
○藤尾主査 以上で三浦君の質疑は終了いたしました。 これにて法務省所管についての質疑は終了いたしました。
○藤尾主査 次に、皇室費及び裁判所所管について順次説明を求めます。山本宮内庁次長。
○山本(悟)政府委員 昭和五十五年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明いたします。 皇室費の昭和五十五年度における歳出予算要求額は二十七億五千八百七十七万九千円でありまして、これを前年度予算額二十六億六千二十七万円に比較いたしますと、九千八百五十万九千円の増加となっております。 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。 以下予定経費要求書の順に従って、事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費二億五百万円、宮廷に必要な経費二十四億二千六百四十七万九千円、皇族に必要な経費一億二千七百三十万円であります。 次に、その概要を御説明いたします。 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度に比較して、一千五百万円の増加となっております。 これは内廷費の定額一億九千万円を、昭和五十五年度においては二億五百万円に増額改定することを予定していることによるものでありまして、これに伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費三億九百七十二万九千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費二十一億一千六百七十五万円でありまして、前年度に比較して七千四百十二万九千円の増加となっております。 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して、九百二十八万円の増加となっております。 これは、内廷費と同様に、年額算定の基礎となる定額一千七百六十万円を、昭和五十五年度においては一千九百万円に増額改定することを予定していることによるものでありまして、これに伴う皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、今次国会に提出いたし、御審議を願うことになっております。 以上をもちまして、昭和五十五年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。
○藤尾主査 次に、牧最高裁判所事務総長。
○牧最高裁判所長官代理者 昭和五十五年度裁判所所管予定経費要求額について、御説明申し上げます。 昭和五十五年度裁判所所管予定経費要求額の総額は、一千八百一億二百二十万六千円でありまして、これを前年度予算額一千七百三十七億六千四百十九万八千円に比較いたしますと、差し引き六十三億三千八百万八千円の増加となっております。 これは、人件費において三十六億八千九百六十六万三千円、裁判費において五億百四十三万九千円、営繕費において十九億七千九百五十四万五千円、司法行政事務を行うために必要な庁費等において一億六千七百三十六万一千円が増加した結果であります。 次に、昭和五十五年度予定経費要求額のうち、主な事項について説明申し上げます。 まず、人的機構の充実、すなわち増員であります。 特殊損害賠償事件、民事執行法に基づく執行事件の適正迅速な処理等を図るため、四十八人の新規増員及び沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律に基づく定員からの二十一人の振りかえ増により、裁判所職員定員法上、判事二十二人、裁判所書記官十六人、裁判所事務官三十一人、合計六十九人の増員をしております。 他方、定員削減計画に基づく昭和五十五年度削減分として裁判所事務官三十二人の減員を計上しております。 次は、裁判所施設の整備充実に必要な経費であります。(一)、東京高等・地方・簡易裁判所合同庁舎の新営に必要な経費として九十四億四千七百四十一万五千円、(二)、その他の裁判所庁舎の新営、増築等に必要な経費として四十九億四千百二十一万四千円、合計百四十三億八千八百六十二万九千円を計上しております。 次は、裁判費であります。(一)、国選弁護人報酬に要する経費として二十億三千七十八万五千円、(二)、証人等の日当に要する経費として四億九千六百六十七万六千円を計上しております。 次は、民事執行法の施行に伴い、民事執行の充実強化に必要な経費であります。民事執行事件の円滑、適正な処理を図るため、裁判資料及び競売場、現況調査用器具等の整備に要する経費として一億二千七百九十九万三千円を計上しております。 次は、裁判運営の効率化及び近代化に必要な経費であります。(一)、庁用図書、図書館図書の充実を図るため、裁判資料の整備に要する経費として四億八千八百六十一万七千円、(二)、裁判事務の能率化を図るため、複写機、計無機等裁判事務器目六の整備に要する経費として三億七千五百八十万二千円を計上しております。 以上が、昭和五十五年度裁判所所管予定経費要求額の大要であります。 よろしく御審議のほどお願いいたします。
○藤尾主査 以上で説明は終わりました。
○藤尾主査 別に質疑の申し出もありませんので、皇室費及び裁判所所管については終了いたしました。 以上をもちまして本分科会における審査はすべて終了いたしました。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 分科員各位の熱心な御審議と格別の御協力によりまして、本日ここに本分科会の議事がすべて終了することに相なりましたことを深く感謝申し上げます。ありがとうございました。 本日は、これにて散会いたします。 午後三時三十一分散会