予算委員会第一分科会 第1号
- 発言数
- 412 件
- 登壇者
- 58 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1980/03/04
会議録
○藤尾主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、よろしく御協力のほどお願い申し上げます。 本分科会は、昭和五十五年度一般会計予算、昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算中、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府及び法務省並びに他の分科会の所管以外の事項、なお、総理府につきましては経済企画庁及び国土庁を除く所管について、審査を行うことになっております。 まず、内閣、総理府、ただし経済企画庁及び国土庁を除く所管について、政府から説明を求めます。小渕総理府総務長官。
○小渕国務大臣 昭和五十五年度における内閣及び総理府所管の歳出予算要求、額について、その概要を御説明いたします。 内閣所管の昭和五十五年度における歳出予算要求額は、百億六千百十六万八千円でありまして、これを前年度歳出予算額九十九億三千六百二万五千円に比較いたしますと、一億二千五百十四万三千円の増額となっております。 次に、総理府所管の昭和五十五年度における歳出予算要求額は、五兆四千七百億二十九万八千円でありまして、これを前年度歳出予算額五兆一千七百五十七億一千八百七万四千円に比較いたしますと、二千九百四十二億八千二百二十二万四千円の増額となっております。 このうち、経済企画庁及び国土庁に関する歳出予算要求額については、他の分科会において御審議願っておりますので、それ以外の経費について、予定経費要求書の順に従って主なものを申し上げますと、総理府本府に必要な経費一兆五千五百七十四億二千二百二十四万円、警察庁に必要な経費一千四百九十一億四百二十万九千円、行政管理庁に必要な経費百九十七億二千百六十四万円、北海道開発庁に必要な経費七千百十六億五千百三十七万二千円、防衛本庁に必要な経費一兆九千七百四億五千八百七十三万三千円、防衛施設庁に必要な経費二千五百三十二億一千四百二十万円、科学技術庁に必要な経費二千九百三億三千五百七十三万六千円、環境庁に必要な経費四百四十八億五千三百三十六万二千円、沖繩開発庁に必要な経費二千百二十七億五百五万七千円等であります。 次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。 総理府本府に必要な経費は、総理府本府一般行政及び恩給の支給等のための経費でありまして、前年度に比較して一千五百二十一億五千八百二十万三千円の増額となっております。 警察庁に必要な経費は、警察庁、その付属機関及び地方機関の経費並びに都道府県警察補助のための経費でありまして、前年度に比較して三十二億七千六十二万八千円の増額となっております。 行政管理庁に必要な経費は、行政管理庁一般行政及び国の行う統計調査事務に従事する地方公共団体職員の設置の委託等のための経費でありまして、前年度に比較して七億八千百二十八万九千円の増額となっております。 北海道開発庁に必要な経費は、北海道における海岸、漁港、住宅、公園、下水道、農業基盤整備、造林、林道、沿岸漁場整備等の事業の経費及び治水、治山、道路整備、港湾整備、空港整備の事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等の経費でありまして、前年度に比較して十六億一千二百四十二万六千円の増額となっております。 防衛本庁に必要な経費は、陸上、海上、航空自衛隊等の運営、武器車両及び航空機等の購入並びに艦船の建造等のための経費でありまして、前年度に比較して一千百七十八億三千六百五十万一千円の増額となっております。 防衛施設庁に必要な経費は、基地周辺整備等諸施策の推進のための経費、提供施設の整備のための経費、補償経費等の充実のための経費、基地従業員対策の強化のための経費、提供施設の移設等のための経費でありまして、前年度に比較して百八十六億四千三十五万六千円の増額となっております。 科学技術庁に必要な経費は、原子力開発利用、宇宙開発、海洋開発、防災科学技術及び重要総合研究の推進並びに科学技術振興基盤の強化等のための経費でありまして、前年度に比較して六十一億七千五十三万一千円の増額となっております。 環境庁に必要な経費は、環境保全の企画調整の推進、公害健康被害の補償、大気汚染及び水質汚濁の防止、公害防止等の調査研究の推進並びに自然環境保全の推進等のための経費でありまして、前年度に比較して二十三億五千五百九十三万二千円の増額となっております。 沖繩開発庁に必要な経費は、沖繩における教育振興、保健衛生対策、農業振興に要する経費並びに沖繩開発事業に要する海岸、漁港、住宅、環境衛生施設、都市計画、土地改良、造林等の事業の経費及び治水、治山、道路整備、港湾整備、空港整備の事業に充てるための財源の各特別会計への繰入金等の経費でありまして、前年度に比較して四十九億二千三百五十二万六千円の増額となっております。 また、以上のほかに新規継続費として防衛本庁において一千百五億九千四百四十一万六千円、国庫債務負担行為として総理府本府において二百十三万八千円、警察庁において十億七千六百三十三万五千円、北海道開発庁において三百五億二千五百万円、防衛本庁において七千六百七十七億八千八百七十九万二千円、防衛施設庁において二百七十二億九千三百四十五万三千円、科学技術庁において一千百五十億六百二十七万円、沖繩開発庁において八十三億四千六十九万三千円を計上いたしております。 以上をもって、昭和五十五年度内閣及び総理府所管の歳出予算要求額の概要の説明を終わります。 よろしく御審議くださいますようお願いいたします。
○藤尾主査 これにて説明は終わりました。 —————————————
○藤尾主査 この際、分科員各位に申し上げます。 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。 内閣所管について審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
○沢田分科員 おはようございます。 これからそれぞれ多くの人から質問が行われると思いますので、ひとつ適切にお答えをいただくよう、まずもってお願いを申し上げます。 最初に、予告はされてない問題だけ先にお伝えをして、勉強される時間が必要だと思いますから、ちょっと申し上げておきたいと思います。 藤井総裁に、今日のいわゆる財政再建の時代、あるいは人口構成に多くの問題を抱えている時代、あるいはエネルギー資源にまた多くの課題を抱えている時代等々、人事院としてこれからのいわゆる公務員給与、そういうもののあり方についてどういうふうな方向で考えているか、後でお答えをいただきたいと思います。 それから続いてもう一つは、今年度の公務員の初級者、初級合格者並びに中級、上級とありますが、それぞれの採用予定者の入職の見込みというものはどういう状況になっているか、これも調査の都合があるだろうと思いますので、後でお答えをいただきたいと思います。 そこで、公務員の給与というのは民間企業に準ずる、それからまた、従来、都道府県でもそうでありますけれども、大体ラスパイレス方式を採用いたしております。それで、このラスパイレス方式を採用していることの意味というものについてどうお考えになっておられるか。これは担当からお答えをいただきたいと思います。まず第一問です。
○長橋政府委員 お答えを申し上げます。 公務員給与につきましては、民間企業と比較してやっておりますけれども、それは実質的な水準の高さ、これから均衡を図るということが大事だろうと思います。そこで比較いたします場合に、単純な算術平均ということでは実態を反映することになりませんので、やはり公務員の人員構成を使いまして、民間と公務員との間の比較条件をそろえまして、つまり職種、それから学歴、年齢、そういったようなものの条件をそろえまして、公務員給与を決めることでございますので、公務員の人員ウエートを使って官民比較をすることが適切だろうということでございまして、ラスパイレス比較を使っておるわけでございます。
○沢田分科員 続いてですが、学歴というものについて、今日、学歴社会を廃止せよ、能力主義で行け、いろいろと言われている意見もあります。私が調査したこの賃金の資料でも、非階級者、いわゆる部長とか課長とかそういう役職につかない者の比率は、大学出五八・五%、高校と中卒を合わせますと、これはもう八三%ぐらいになっておるわけであります。それだけ、百人以上の企業の中でも学歴社会というものについては否定的ないわゆる構想というものが非常に強いわけであります。その限りにおいて、この学歴をどういう意味でラスパイレス方式の中に挿入をしていっているのか、これがまず第一。 それから、学歴と称せられるものの中には、上級試験合格は相当者であります。あるいは初級試験合格者は高校卒業の相当者であります。この中になぜ学歴が含まれるのか。上級試験は必ずしもその資格要件を条件としていないと思うのであります。そういう意味において、この学歴というものが、その中に毎年毎年ずっと継続して三三%の比率を持って過重なウエートを占めていくという論理は一貫しないのではないか。おわかりにくいかもわかりませんが、一つ言うと、昔は二次方程式であった。勤続年数別、年齢別のいわゆる年功序列賃金が主体を占めていた。そこに今度は学歴が入った。これは三次方程式になった。三次方程式になったときのウエートは、学歴もいわゆる勤続年数なりあるいは年齢と同じウエートを持って三三%の構成を占めている。学歴の場合は初任給ですでに差がついているわけでありますから、その後の年度においてこの学歴別、勤続年数別、年齢別というラスパイレス方式を今日採用している意味というものはほぼ価値が少なくなったのではないか、こういうふうに思われるのであります。ただ、都道府県等が、うちの県は何位だ何位だなんて言う議論をします場合には、必ずと言ってもいいくらいラスパイレス方式を採用しておりますね。この中身についても、どういうふうに扱われているのかお伺いをいたしたいし、これは自治省関係かもわかりませんけれども、人事院としての考え方をお聞かせいただきたい。 それから、いま言った学歴というものに対してこれからどういうふうな評価をしていくつもりでいるのか、この点もひとつお答えをいただきたいと思います。 以上です。
○長橋政府委員 ラスパイレス比較に当たりまして学歴を使っておりますのは、官民の給与の水準を比較いたします場合に、実態を正確につかむということで学歴を使っております。しかしながら、実際、水準を決めた後の配分に当たりましては、御指摘のように初任給段階で学歴の若干の差はございますけれども、それ以後は職務と責任に応じまして給与を決定しておりますので、学歴というものを用いてございません。 それからなお、都道府県の問題につきましては、私どもは採用後における給与上の決定につきまして学歴を使っておりませんので、ちょっとお答えいたしかねる段階でございます。
○沢田分科員 いま自治体の方では、自治体の給与が高いとか安いとかいろいろ議論がされているわけですね。それで、国家公務員よりも自治体の給与の方が高い、こういうふうに一般的に言われております。これは、いわゆるラスパイレス方式を採用していることが一つ大きな要素になっていることだけは間違いない。そうしますと、勤続二十五年になってもそのときの学歴の構成人数がその中のウエートを占めていく、こういうことになるわけです。だからいまあなたがおっしゃったように、初任給の段階で学歴はいわゆる排除というか、そのときで決定してしまうのであるから、その後の勤続年数の中には学歴は考慮しない、こういうふうにこれは理解をしてよろしいですか。
○長橋政府委員 採用の後の給与につきましては、職務と責任に応じて給与を決めるということが原則でございますので、御指摘のとおりでございます。
○沢田分科員 続いて伺いますが、そうすると、給与水準の比較等については、学歴を含めてラスパイレス方式で比較をする方法は妥当ではない、こういうふうに理解してよろしいですか。
○長橋政府委員 実態がいかようにあるかということの比較でございますので、したがいまして、条件をそろえて比較いたしませんと正確な水準比較になりませんので、比較の段階におきましては、条件をそろえるという意味におきまして、それぞれ職種、学歴、年齢等を要件として比較しておるということでございます。しかもなお、このやり方としましては、比較の方法としては、条件をそろえるという意味におきまして適正な比較方法であろうと考えております。ただし、水準をならした後の配分の段階におきましては、それぞれの理想的な考え方に基づいて配分を行うことが妥当であろうというふうに考えております。
○沢田分科員 今日、各官庁で、会計検査院やその他から、公務員がいろいろと指弾を受けるような事態が出てきております。これはさっきの問題と含めて総裁の方からお答えをいただきたいのですが、一つには、公務員給与が正当に評価されていないという結果からそういうことが起きてくるのではないか。いわゆる生活の実態というものが一般社会の状況よりも若干ダウンをしている、生活が厳しい。そういう条件の中から空出張の問題も出てき、あるいは空超勤の問題もそれぞれ出てくる。その原因は、悪意があって行われると見ているのか、あるいは上司の方が悪いからそうしているのか、あるいは生活実態が厳しいからそういう結果を生んだのか、その原因についてはどういうふうに判断をされているのか。やはり人事院にも若干の責任があったのではないか、もっと適正な賃金構成、あるいは能力、責任というものを考え合わせながら妥当なものを考えていれば、そういう事態は招かなかったのではないかというふうにも私考えるわけですが、その辺は総裁から、先ほどの問題、今後の問題と含めて、二点の問題についてお答えをいただきたいと思います。
○藤井(貞)政府委員 大変次元の高い、重要な問題でございますので、多少時間をおかりしていいでしょうか。
○藤尾主査 できるだけ簡明にお願いいたします。
○藤井(貞)政府委員 私は、行政というのは今後もその比重というものは非常に増していく、そういう傾向にあると思います。これは世界的な傾向だろうと思います。それを担当する公務員ですから、しかもこれが税金でもって賄われていくということでございますので、そこに大変大きな前提条件というものがあるはずであると思います。 その一つは、やはりこれを担当するにふさわしい人材が確保されなければならぬということ。行政というのは能率よく効率的に、しかも安上がりにと申しますか、そういうことで運営されなければなりませんから、やはりそれにふさわしい人材というものが確保されなければならぬ。これが一番大事なことではないかというふうに思っております。そのためには、やはり勤務条件その他につきまして、それにふさわしい処遇というものがなければならぬ、それと同時に、やはり民間と大変すれ違ったと申しますか、国民の納得を得られないようなことでは困るわけでございますので、その点やはり官民均衡ということを保持しつつ、できる限りの処遇を与えるということでやっていかなければならぬというふうに思います。 現在まで、先生御承知のように、三十年間にわたって現行制度というものが維持されてまいりました。これは、初め導入のときにはいろいろ問題もございましたですが、制度自体としては、やはり世界に冠たるりっぱな制度でございますので、その運用に当たってはいろいろ工夫もしてまいりましたし、批判もございまして、それに対する対応もやってきたつもりでございますが、まずは定着したことになっておると思います。しかし、いま御指摘になりましたように、今後いろいろ情勢が変わってまいりますので、こういうものをやはり踏みしめて、将来の展望に立った基本的な検討というものをやっていかなければならぬということは私自身も痛切に感じております。特に、高年齢社会その他のいろんな情勢が出てまいっておりますので、それに対する対応というものを図ってまいらなければならぬ、そのためには任用、給与、職員の福祉その他にわたって、やはり根本的な検討を開始する時期に私は来ておると思っております。 そういう意味で、ことしの年頭におきましても、職員各位に対しましては、そういう心づもりでもって積極的に取り組んでもらいたいというふうに申し上げたことでもございます。 いま、民間からの公務員制度に対するいろんな批判が大変厳しいということもよく承知をいたしておりますが、これに対しましては、ただ単に、非常にそのために職場が萎縮するということになったら困りますので、これを転機といたしまして、さらに積極的に、活力のある職場というものをつくり出していくということに全力を傾けていかなければならぬ、そのための公務員制度の根本的なあり方というものにつきましては、いま先生御指摘になりましたような点も十分取り入れまして、積極的にひとつ検討をしてまいりたいというふうに考えております。 なかんずく一点だけ申し上げますと、いまお話しになりましたような公務員の給与実態とかいろいろ申しますが、やはり基本的なとらえ方の問題について無理があるから、いろいろのひずみが出るんじゃないだろうかというような御指摘、それも私なりに考えていろいろ検討しております。空出張、そこからやはり食糧費を捻出するというような事柄は、制度自体、予算の骨組み自体そこまで私が申し上げるのは出しゃばったことでございますけれども、そういうような点も含めて、やはり無理のないことは無理のないことにして、要らざる摩擦なり批判なりというものを避けるような、堂々としたような仕組みというものもあわせて考えていったらいいのではないかというような感じも率直に言って持っております。 根本的に申しまして、大変大きな変わり目でございますので、いまお話のありました点も含めて、根本的に全面的に積極的に検討を続けてまいりたい、かように考えております。
○沢田分科員 結論は、根本的に積極的に取り組むということでありますから、今後折を改めまして、それぞれまた意見を述べさせていただきながら、ぜひそれを配慮していただきたいと思います。 時間の関係もありますから、次の問題にまいります。 一つ育児休暇の問題なんであります。育児休暇の問題は今日いろいろの問題がありますが、家族構成、核家族化、こういうものの条件等を勘案してみましたときに、日本の家族構成というものがどうあるべきかという基本問題を本来は抜きにして議論はできないのでありますが、しかしながら、現実は核家族化へどんどん進行していくという傾向は否定できないと思うのです。その場合に、教員の場合に育児休暇を与えられました。ほかの公務員やその他になぜ育児休暇が与えられないのか、どういう違いがあるのか、その点ひとつお答えをいただきたい。お答えをいただくというのも時間がないからなんですが、同じ並みに当面していただきたい、当面教員並みに育児休暇を持てるようにしてほしい。その期間がやはり人間形成の上にとって非常に重要な時期である。三つ子の魂育までといいますから、三歳までとは私言いませんが、せめて乳離れができる時期、あるいは何かに寄りかかりながらも立って歩ける時期、その程度まではひとつ母親の手元に置いて教育なりしつけができる、そういう条件は家庭生活設計上必要だと思う。そのことにおいて職を失うということもはなはだこれは無理な条件になるだろうと思うので、教職員並みの育児休暇を公務員全体に適用をする、こういうことについてぜひひとつお考えをお聞かせいただきたいし、でき得るならば、前向きに制度導入をひとつ図っていただきたい、こういうふうに思うんですが、定員の問題その他ももちろん響いてくることはわかっておりますが、それをあえて超越してひとつお考えいただけないかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○斧政府委員 現在育児休業を認められております職員というのは、女子の教員、看護婦、保母、そういう方々でありますけれども、これは趣旨としまして、一定の免許でありますとか資格でありますとか、そういうものを持ちました女子職員で、しかもそういう職員がその職場におきまして非常に重要な職務を負っておるという場合に、そういう人たちが育児の必要のためにやめていくということでは公務上非常に損失である、そういう人たちを公務にとどめておくのが、公務能率の上からも非常に必要であるというそういう趣旨で設けられておるわけでございます。 ただいま先生のおっしゃいました家庭の状況であるとかあるいは子供を育てるに必要な母親の役割りであるとか、そういう福祉的な観点ということになりますというと、この育児休業法とは若干趣旨が異なってくるんではないかと思います。そういうことになりますと、これは公務員の女子職員ということだけではなくて、日本の女子勤労者全体の問題、そういうことで考えていく必要があるんではないかと思います。そういう意味では、人事院ということだけではなくて、社会一般の状況、そういうものもよく見ながら、関係機関と御相談しながら研究しなくちゃならぬ、こういうふうに考えております。
○沢田分科員 きわめて重要な御答弁なんですが、結局免許とか資格とか持ってる者は、任用者側からとってみれば大変大切な資源だ、だからそれを抱え込んでいくためにそういう休暇を与えているんだ、ほかの一般の職員は幾らでも首のすげかえはきくんだから要らないんだ、裏返しして言えばそういう言葉になってまいりますね。そうではないでしょう。どこの職場へ行ったって、その人の資格要件とか何かそんなものは長年たってくれば消えてしまうようなものでありますね、経験というものの方がウエートが高くなるものですけれども。それは最初の期間だけですよ、資格要件が必要な基礎知識というのは。だから、いま言ったようなことだけでほかのものに普及できないという論理になりますと、これは若干言葉じりをとらえるようでありますけれども、免許資格持っている者だけならば、じゃ、たとえばここにおられる速記者なんかも資格を持っている方なんですが、そういう方は適用されない理由はどういうわけなんですか、いる人を前に置いちゃ悪いですけれども。そういう人はもっとほかにたくさんいますよ。じゃ、なぜそれだけに限定したのかというその線引きは明確でないんです、いまのお答えでは。だから、いずれにしても、今度は言葉を変えて「民間の企業の実態を見て考えます。」こういう言い方をしている。言うならばノーということですよ。そういうことじゃなしに、現在やっている、今日までの実態の結果は、ではどうなんですか。この何年かやってきた育児休暇の実績から見て効果はあるわけですか。効果があったのか、なかったのか。あるとすれば、やはり他の職員にも敷衍をしていくような努力をするのが当然じゃないのか。趣旨が違うと言われたけれども、趣旨は私は違わないと思っています。その点お答えいただきたいと思います。
○斧政府委員 お答えいたします。 育児休業法によって育児休業が認められている職員については、法律の目的のところにも書いてございますけれども、そういう職務の特殊性からということで認められておるわけでございます。いま先生の御指摘の問題は、女子職員全般ということでございますので、育児休業法の趣旨ということからいきますと、少し観点を変えて考えていかなくちゃならないのではないかということを申し上げたのでございます。 そこで、実績を申し上げますと、教員が、これは国の学校だけでございまして、地方公務員は含みませんけれども、三十一名現在休業しております。それから看護婦さんが、文部省、厚生省、郵政省等おりますが、七百十八名、それから助産婦さんと保母さんを入れまして二十名、それから保健婦が一名、寮母が一名、現在そういう休業状態になっております。
○沢田分科員 総裁、いろいろ議論されてきましたが、やはり育児休暇というものが、日本の人口構成や、これからの人的ないわゆる成長といいますか、そういうようなものをも考え合わせながら、もっと次元の高い立場から見て、この育児休業法だけの範囲に限定することなく、広範ないわゆる社会構造なり生活圏というものも考え合わせて、ひとつ前向きに考えていくという時期に来ているのではないかと私は考えるわけです。この法律のできた趣旨は趣旨でそれは否認するものではありません。しかし、そういう次元だけでとらえていて、今日日本が済むかどうかということになると、それでは済まない。もう少しやはり次元の高い立場で普及していくという方法をとらなければいけないのじゃないか、こういうふうに思いますが、この点前向きに御検討いただけるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
○藤井(貞)政府委員 いま局長が御答弁を申し上げましたとおりでございますけれども、大きい次元の問題として考えますと、この育児休業法自体も、これは最近できた法律でございます。全体の波としては、そういう方向にいくであろうし、また、いくべきであろうというふうに私自身は認識をいたしております。ただ、民間全体の従事者との関連その他の問題もございますので、そういう点をにらみ合わせなければならない、そうでなければ国民の納得が得られないという面もございます。しかし、全体の大きな潮流の中ではそういう方向に漸次進んでいくのではないか。その時期をいまここで私からいつということを申し上げるまだ段階ではございませんが、大きな方向としては、そういう方向に進んでいくであろうということは私の確信でもあるということを申し上げておきたいと思います。
○沢田分科員 先ほどの質問でありますが、今年度公務員採用予定者の入職状況はどうなっているか、時間も来ましたので、ひとつそのお答えをまずいただきたいと思います。
○斧政府委員 今年度採用内定として私の方へ通知が来ておりますのは、上級だけでございますが、上級職は現在採用内定しておりますのが七百七十九名でございます。昨年は七百八十二名ですので、ほぼ同数ということでございます。それから中級につきましては、採用予定数として私の方に各省から届いておりますのは千九百三十九名でございます。昨年の実績では千三百六十名の採用となっておりますので、大体例年同じでございますので、その近くの数字に結果的にはなるのではないかと思っております。それから初級が、採用予定数として私の方の手元に各省から報告がありましたのが九千百八十三名でございます。昨年は実績が九千百五名となっておりますので、これもほぼ昨年並みにいくのではないかと思っております。
○沢田分科員 これは昨年並みに採用されるということが大丈夫だ、こういうふうに聞いてよろしいですね。——じゃ、こっくりしているようですから、そのとおり、回答はイエスである、こういうふうに考えます。 そこで、この前も若干触れたのですが、精神障害者の受験資格、それからまた一般の受験資格ですが、年金も今度逐次六十歳ということになりますから、本来ならば四十歳で採用しても六十までいけば年金がつく、こういうことになりますし、今度は通算方式でいけば、その前にも、四十までぶらぶらしていたわけではないでしょうから、その前にもいわゆる厚生年金はあるわけですね。公務員のこの受験資格を置いたというのは、ほぼその年度に入ったときに年金がつかない年齢では採用しても仕方がない、だから三十五歳ならば二十年で五十五歳である、こういうことが年齢制限のまずそもそもの発足であったわけですね、発足の原因は。でありますから、今度は、公務員のこの受験資格についても、当然、年金の改正その他に伴って受験資格の年齢制限というものは変わらざるを得ない、変えていかなければならないのではないかということになりますが、この点まず第一にどうか。 それから、この前も言った精神障害者の場合の受験資格、これはどこへ行っても、なかなか救われない。頭はいいのでしょうけれども少しおかしい、こういうことなんだと思うので、全国の、あなた方の中——あなた方と言うと恐縮ですが、国民の五%は精神障害者だ。国会議員も含めて全部の五%ということになるわけでありますが、とにかく、そういう状況の中で、正常であるのと正常でないのとの違いというのは微妙なものがあるだろうと思うのであります。飲んだら酒乱でどうしようもないというのもいますしね。採用するときは飲まずに来るのですから、飲んでみたらとんでもないやつだったというのもあるのですから、そういうことから考えると、この精神障害者というものの限界というか線引きというのは、きわめてむずかしいのだろうと思うのです。時間になりましたので、精神障害者等の軽い人たちについての受験資格を緩和してやる意思はないかどうか、それから一般の公務員の採用試験のいわゆる受験資格要件を変更する意思はないかという点について考慮できるかどうかをお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○斧政府委員 国家公務員の試験は、採用試験という採用の字をつけておりますように、まさに採用するための試験でありまして、資格試験ではございません。それで、採用ということになりますと、現在取り入れ口が、行政(1)でいいますと七等級、八等級、そういう初任の等級でございまして、そういうところに入ってくる人たちを採用するということになりますと、これはおのずから年齢というものが一定の範囲内にあるというのが、受験資格として設定されるのが普通でございます。そういうことで、人事院の年齢資格の設定は、採用につながるというその限度はどの辺かということも考えながら決めておりまして、定年六十歳になったということによって、その辺の採用事情が特に変わってくるという、そういうことも急には予想できないような気もいたしておりまして、ただいま年齢資格を変えるという予定はございません。 それで、精神障害の方が、仮に受験の年齢のころにチャンスを逸して、その後回復されまして、公務員になりたいという希望がありました場合にどういうことになるかということですが、公務員試験は公開、平等というのは、先生ももう御存じのとおりで、特定の人たちのために特例を設けて受験資格を与えるというようなことは、公開、平等、そういう精神からいきますと、なかなかむずかしい面もございます。ただ、公務員の採用といいますのは、試験だけではなくて、一定の資格とか免許を取りますと、そういうものに基づいて採用される、そういう職場もございます。それから試験の対象になっている職場でございましても、一定の条件のもとで選考による採用ということもございます。そういう方が、公務の遂行能力というものが十分にあるということでございますと、そういう方面に進まれるということも可能でございまして、この場合は、特に年齢制限があって、非常に年齢が高いとだめだということでもございません。 ただ、先生から昨年御指摘もありまして、各省ともいろいろ御相談申し上げておるのでありますけれども、事は公務員採用という、各省にとっても非常に重要な問題でございますので、これからも私の方から、任用局の方から声をかけながら、先生のおっしゃるような方向へ研究を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
○沢田分科員 終わります。
○藤尾主査 以上で沢田君の質疑は終了いたしました。 次に、瀬野栄次郎君。
○瀬野分科員 戦後、ソ連に強制抑留された者に対する補償等に関する諸対策について、国務大臣伊東官房長官並びに政府当局に見解を求めます。 昭和二十年八月十五日、太平洋戦争終結に際して、不当にソ連邦に抑留された旧日本軍将兵、一般邦人の処遇について、本員は、昭和五十三年二月二十七日及び昭和五十四年二月二十七日の二回にわたり政府当局に質問し、見解を求めてきましたが、その際、留保した疑問点についてさらにお伺いをしたいのであります。 最初に、ソ連抑留者の法的地位について伊東官房長官にお伺いいたします。 昭和五十四年二月二十七日、当予算委員会第一分科会で、本件について私の質問に対し、当時の国務大臣田中官房長官は「ソ連抑留者は国際法上、捕虜であるということが政府の統一見解である。」と答弁なされたのであります。 しかしながら一方、昭和二十年八月十八日、大陸令第千三百八十五号、奉勅伝宣、参謀総長梅津美治郎命令、その三項に「詔書渙発以後敵軍ノ勢力下ニ入リタル帝国陸軍軍人軍属ヲ俘虜ト認メス」との天皇の奉勅命令もあることでありますから、政府の見解は、国際法上もまた国内法上からも統一された見解としては受け取ることはできないのであります。政府が言う国際法上の捕虜であるというその国際法は、条約を指しているのか慣習を指しているのか、条約とすれば、その条約と条項を示していただきたいのであります。
○伊東国務大臣 お答え申し上げます。 いま先生、前の官房長官の答弁を引いておっしゃったわけでございますが、確かに、戦時において敵の権力の下に陥った軍人軍属が一般に捕虜として人道的な待遇を享受する権利を有するということは、これは国際慣習法として確立しておりますので、こうしたことを踏まえて答弁をしたのでございます。 いま先生は、大陸命令、奉勅命令のお話もございました。これは国内的の問題でございますが、こうした条約上の問題あるいは国内的な法律の問題につきましては、また専門の法制局長官あるいは外務省の条約局からも来ておりますので、私がこれ以上お答えするよりも、担当の長官の方で答えさしていただくことを御了承願います。ただ、それは、答弁につきましては、私が責任を負うわけでございます。
○瀬野分科員 それでは、ただいまの件について慣習というようなことを言われましたけれども、仮に慣習とすればいかなる意味を持つのであるか、法制局から見解を求めます。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 まず、国際法の方の点につきまして、外務省の私の方から御答弁させていただきます。 ただいま官房長官から御答弁ございましたように、国際的に、この場合は対ソ連との関係でございますが、対ソ連との関係では、わが国のソ連の支配下に置かれました将兵の方々は人道的待遇を享有する権利を有しておるというのが政府の立場でございまして、その権利を規定いたしましたものといたしましては、先生いまの御質問は、それは条約か慣習法かという点であろうかと思いますが、当時も捕虜の待遇等について規定した条約としては、ハーグの陸戦法規等一連の条約がございます。特に、当時日ソ両国が当事国となっておりましたのは、明治四十年のハーグの陸戦法規でございます。ただ、この陸戦法規の中には、全交戦国が条約の締約国である場合にのみ適用するとの条項がございますために、厳密に申しますと、その条約が両国間に適用があったとは言いにくいかと思いますが、ただ、この交戦法規の関係は慣習国際法としてすでに確立しておった。その内容は、明治四十年のハーグの陸戦法規に具現されておるような内容のものを、各国が遵守すべきものと観念して施行しておる慣行があったと私どもは観念いたしておりまして、したがいまして、厳密に申せば、国際慣習法でございますが、その内容は、明治四十年のハーグの陸戦法規の、特に第二章に規定してございます種々の条項が適用があるべきものであったと観念いたしております。 国内法の関係については、関係の方から御答弁いただきます。
○瀬野分科員 昭和二十年八月十八日発出された奉勅命令、すなわち、大本営陸軍部命令第千三百八十五号について伊東官房長官にさらにお伺いいたします。 本員は、この命令は天皇の詔を奉じてなされたものであると理解しております。すなわち、当時天皇は陸海軍大元帥であり、最高の司令官であることは間違いないが、帝国憲法上、天皇は国の主権者であり、内政、統帥の両面にわたる最高権者であります。よって、大陸令第千三百八十五号三項の、先ほど申し上げました「詔書渙発以後敵軍ノ勢力下ニ入リタル帝国陸軍軍人軍属ヲ俘虜ト認メス」との命令を発出した天皇が、この場合司令官に当たると本員は理解するが、政府の見解を承りたい。
○伊東国務大臣 お答え申し上げます。 法制局長官が来ておりますので、長官からお答えをいたします。
○角田政府委員 お答えいたします。 大陸令千三百八十五号は、旧憲法第十一条に基づき、いわゆる天皇は陸海軍を統率するという規定に基づきまして発せられたものであり、さらに、この命令の中には、奉勅伝宜、参謀総長梅津美治郎とあるところから、当然、陸軍の統帥に関する大元帥の命令であったと思われます。
○瀬野分科員 さらに、法制局長官にお伺いいたします。 昨年二月二十七日、当分科会で、外務省条約局山田外務参事官に対して私が質問をいたしました際に、大陸令第千三百八十五号について山田外務参事官は「捕虜になっても恥ずかしいことはない、自重して無事に帰ってこいという趣旨の指令であったのではないかと考えております。」と答弁しておりますが、これは勅令と指令は大分違うのですけれども、その点は十分踏まえて御答弁いただきたいが、本員は、これにとどまらず、軍律上捕虜とみなさないという国内法上の超法規的措置と考えるのであります。すなわち当時、軍政は維持されており、陸海軍刑法も厳存していたのであります。したがって、捕虜たる者が厳重な処分に律されるのは当然であります。天皇の命令に基づいて敵軍に下る者を軍律で裁くのは不合理であり、それを回避せんがための勅令で、国内法上有効な措置と考えるのでありますが、この点は法制局長官どうですか。
○角田政府委員 まず第一に、御指摘の大陸令には「詔書渙発以後敵軍ノ勢力下ニ入リタル帝国陸軍軍人軍属ヲ俘虜ト認メス」と述べているわけでございます。さらにこの「俘虜ト認メス」ということに関しては、御承知かとも思いますが、当時の参謀次長から電報が発せられておりまして、「わが方の国内的見解にして敵側の見解によりて形式上俘虜たるの取り扱いを受くるも、帝国としては、道義上及び軍律上ともに俘虜として取り扱わざるはもちろん、みずからも俘虜として処するの要なき旨を明示されたるものなり。」と書かれておるところであります。先般の外務省の政府委員の説明は、この参謀次長のいわば説明的な文章を受けて、国内的には敵軍の勢力下に入った帝国軍人軍属は、当時の戦陣訓等により帝国軍人としての道義上及び軍律上批判を受くべき俘虜の取り扱いを受けなかった、そういう趣旨を比較的わかりやすい言葉で述べたものと了解いたします。 さらに、いま最後に御指摘になりましたが、陸軍刑法との関係でございますが、これも御承知だと思いますが、陸軍刑法には直接には捕虜を犯罪とする規定はございませんが、関連する条文としましては、七十五条とか七十六条とか七十七条というようなものがあるわけでございます。しかし、仮に捕虜となった者が、ただいま申し上げた陸軍刑法の条文との関係が問題になるとしましても、詔書渙発以後、敵軍の勢力下に入った者を処罰するというようなことは、これは陸軍刑法がもともと予想していない事態であったと思います。したがって、大陸令千三百八十五号というのは、いわば陸軍刑法の規定を変更したというような法的効力を持つものとは思えませんし、まさに陸軍刑法の規定の上から言っても、そういうものには適用がない、大詔渙発によって敵軍の勢力下に入った者は、もともと捕虜などというものではないというような趣旨を、いわば確認的に述べたものだと思います。その限りにおける法律的な効力はあると思います。
○瀬野分科員 法制局長官にこの機会に確認の意味で答弁を求めますが、この天皇の命令は、当時帝国憲法上、合憲であるか、違憲であるか、この点はどうですか。
○角田政府委員 先ほども申し上げましたように、旧帝国憲法の十一条の統帥権に基づいて発せられたものであり、当然旧憲法上は有効であったと思います。
○瀬野分科員 なお、お伺いしておきますが、この天皇の命令は、日本国が締結した条約、または確立した国際法規の国内的効力といずれがわが国では優先するものかどうかということでございますが、私は、日本国憲法の解釈としては天皇の勅令が優先する、こういうふうに理解しておりますが、今後のために確認の意味で御答弁を求めるものであります。
○角田政府委員 ちょっと御質問の趣旨を十分理解しているかどうかわかりませんけれども、この大陸令千三百八十五号というのは、当時は旧憲法に基づいて発せられた有効な命令であったと思います。いわゆる軍令であったと思います。ただし、その内容からいって、当然のことながら旧陸海軍の存在、あるいは先ほど申し上げました戦陣訓等の存在、そういうものを前提といたしまして、軍人としての道義上及び軍律上の問題との関連で特に発せられたものであるというふうにわれわれは理解しております。したがって、その限りで、日本国憲法が施行された当時は、すでに内容的には御用済みと申しますか、そういう事態とは無関係なものになっていたと思います。 したがって、いま御指摘のように、新憲法の施行と同時に、憲法に反するとか反しないとか、それによって、反するから排除されるとか、いや反しないからそのまま生きているとか、そういうものとして新憲法との関係を比較すべき性質のものではないように思います。
○瀬野分科員 時間の関係ではしょって質問してまいりますが、次に外務省当局にお伺いします。 シベリアに抑留された日本人の戦後処理問題解決を目指している全抑協、すなわち、全国抑留者補償協議会、斉藤六郎会長外本部役員、各県連会長など十五名が昨年八月十日、外務省に園田外務大臣を訪ね、ソ連抑留者問題について申し入れを行いました。その席で外務大臣は「賃金補償と後遺症の問題については、現在三原総務長官と橋本厚生大臣に相談中であり、何とか解決したい。」と答えております。また、全抑協側から「シベリア抑留者の法的身分について、政府は、いままで抑留者は捕虜であり、したがって、補償する必要はないと主張しているが、外務大臣はどう思われるか。」との質問に、園田外務大臣は「私は、抑留者は捕虜ではないと思う。」と言明されました。さらに外務大臣は「八月十五日以降のソ連に抑留された日本軍将兵軍属は捕虜とは認めない。」と申されて、そこで斉藤会長が「それは政府の大臣としてのお言葉であるか。」とただしたのに対して、外務大臣は「そのとおりである。近々国会の場で質問があれば、公式に表明することもやぶさかでない。」と語られたわけです。そのような答弁があったわけですが、この点について外務省は、公開の席で改めてこの点を明らかにしていただきたいと思います。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 いま先生から御指摘ございましたように、昨年の八月十日、斉藤会長御一行が来訪されまして、園田前外務大臣に御要望が、ございまして、その過程におきまして園田前外務大臣の方から「皆様方を捕虜と呼ぶつもりはない。国会での御質問があれば、そのように公式に表明いたします。」と申し上げたのは事実でございます。
○瀬野分科員 伊東官房長官、ただいまの答弁に対してお伺いしますが、「昭和一十年八月十五日以降ソ連に抑留された日本軍将兵軍属は捕虜とは認めない。」と当時の園田外務大臣は言明されておりますが、この点について官房長官はどのような見解をお持ちであるか、この機会にあわせてお伺いしておきます。
○山田(中)政府委員 私の方から、従来の政府の立場、答弁のあれがございますので、少し補足させていただきますが……
○瀬野分科員 いや、時間がないから官房長官から答えていただきたい。
○伊東国務大臣 先ほど外務省とそれから法制局長官から御答弁があったはずでございますが、国内的には、いまの奉勅命令というものが出て、日本の国内では捕虜としての取り扱いはしないから無事に帰ってこいという意味の命令であったと思います、ということでございますので、国内的な取り扱いは、それは捕虜として取り扱うものじゃないというふうに私も思っております。
○瀬野分科員 この件については、時間の制約があるので詰めることはできませんが、私は、そうなれば内閣不統一であり、いずれ統一見解をひとつ政府側としては出していただきたい、ここで要求をいたします。委員長、よろしくお取り計らいをいただきたいと思います。 さらに、外務省にお伺いしますが、昭和二十年九月二日の詔書についてでございますけれども、一般命令第一号を厳重に履行すべきことを命じているこの詔書は二つのことを物語っていると本員は解しております。その一つは、連合軍最高司令官の指示に基づき陸海軍に対する一般命令の発出を命じたのは朕であることを明らかにしております。すなわち、最高司令部が直接陸海軍に命じたものでないことが明らかであります。二つには、連合軍総司令部の指示とは別個に、内閣の独自の立場から一般命令の誠実な履行をわれわれに命じておられます。政府、内閣の、天皇の名においてなされた、敵国司令官の一切の命令に従うべし、従わざるときは厳重な制裁を加うるとの一般命令と、この結果生じたとも言えるソ連の賠償強制労働の関係につき、政府の責任ある御答弁をお聞かせいただきたいと思います。
○山田(中)政府委員 いま先生から御指摘ございましたのは、昭和二十年九月二日の一般命令は、日本政府の名において発出されたものではないかという御趣旨だと思いますが、昨年御質問ございました際に御答弁申し上げましたように、これは実体的には連合国総司令部が指示いたしましたものをそのまま命令として発出することを要請されたものでございます。その根拠となりますのは降伏文書でございまして、降伏文書におきまして、わが国は連合国最高司令官の一切の布告、命令、指示を遵守し、これを施行すべきことを約束いたしておりますので、それに基づいて実体的には、連合国の司令部の命令を形式的には政府の命令の形で行ったものでございます。
○瀬野分科員 確認の意味で申し上げますが、私は、もともと内容的には総司令部の命令であるけれども、占領軍の命令として発出を命じたのではなく、日本政府の名において、ただいま答弁がありましたように政府の命令として発出を命じたものである、このように理解しております。 なお、日本政府がこの命令を受けて関係機関に発出した以上、それは日本政府に責任の生ずるのは当然である、この命令に連合軍が責任を持つというのではない、かように思うのであります。この詔書は単に総司令部の一般命令をそのまま発出を命じただけのものではなく、天皇の意思として総理大臣、各国務大臣の責任においてその履行を命じているからと私は理解しておりますが、そのような理解でいいんですか。確認の意味でお答えをいただきたい。
○山田(中)政府委員 先生御指摘のように、命令自体は形式的には日本政府の命令でございます。ただ、先ほども申しましたように、降伏文書によりましてわが国は総司令部の命令を実施する義務を負っておった、選択の余地がなかったということは事実であろうと思います。
○瀬野分科員 以上質問してきました経過からしまして、私は時間がございませんので、これを十分詰めることはできませんが、また別の機会に詰めることにいたしますけれども、ソ連の賠償強制労働は明らかである、かように私は考えるわけでございます。 次に、法制局にお伺いいたします。日本国憲法第十八条は「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る處罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」とあります。この基本的人権は、現在及び将来における保障のみならず、万一奴隷的拘束を受けたり苦役を強いられた事態となり被害を受けた者があるとき、その被害や人権回復を図る権利をも含むものと解するが、法制局長官の御見解を承っておきます。
○角田政府委員 御質問は一般論として憲法十八条の規定の解釈についてのお尋ねでございますので、一般論としてお答えをいたしますが、御指摘のように十八条の規定は、まず国家の行為によって人を奴隷的拘束の状態に置いたり、犯罪による処罰の場合を除いて、その意に反する苦役に服せしめることを禁止しているわけであります。同時に、奴隷的拘束やその意に反する苦役が発生しないように配慮し、もしそれが発生した場合には、その救済について配慮する義務を国家に課している規定であるというふうに一般的に解されております。現実にもこの規定を受けて、たとえば労働基準法の第五条は労働者の意思に反する強制労働を禁止しておりますし、また人身保護法は、違法に身体の自由を拘束されている者の救済手続を定めているところでございます。 なおつけ加えて申し上げますと、国家の行為によって人を奴隷的状態に置いたり、あるいは犯罪による処罰の場合を除いて、その意に反する苦役の状態に置く場合には、同じ憲法の十七条の規定にいわゆる国家賠償法の根拠規定がございますが、その国家賠償法の定めるところにより損害賠償を求めることは可能であり、また私人間の法律行為によって同様の状態に置かれた場合には、民法九十条の公序良俗に反する不法行為であることなどを理由として、民法等の規定により損害賠償を求めることは可能であるというふうに考えます。
○瀬野分科員 次に総理府に恩給法上の加算についてお伺いします。 政府は、生命の危険度が加算の基準であると見解を述べられるが、シベリアは死亡者五万五千名、その総犠牲率は、八万人に及ぶ後遺症患者を含めて全体の約三〇%、死亡率にして一〇%で、かの日露戦争の戦死者四万六千名、その死亡率四・五%に比してシベリア抑留はその二倍を超えるもので、戦争に劣らぬ犠牲と厳しい重労働を強制されたものであります。当然に最高の処遇をやるべきだと私は思うのでございます。すなわち上限の三倍にまたは四倍に改めるのが当然の処置と考えるが、その検討の用意はありますか、お答えいただきたい。
○小熊政府委員 お答えいたします。 抑留加算の制度につきましては、先生御存じのように昭和四十年にこの制度を設けたわけでございます。この抑留加算を設けました当時すでにいろいろ議論がございまして、この時期に抑留加算といったような、従来恩給法上にない加算をつけることが適当かどうかという議論がいろいろあったようでございます。ただ抑留期間というのは公務員の勤務期間そのものではないといたしましても、公務員の勤務期間の延長上にあるというようなことから抑留加算をつけるということになったわけでございますが、この期間につきましてもどのぐらいの加算をつけるか、これは抑留の地域あるいは占領国、それぞれによっていろいろ御苦労の度合いが違ったであろうということも想像されるわけでございます。また、シベリアに抑留された方が非常に御苦労されたということも事実でございますが、ただ私ども伺うところでは、中国大陸とかあるいは南方でもかなり苦労された方がおられるということで、現在の加算制度で不健康地加算あるいは辺陣地加算というのが、一カ月に対して三分の一カ月から三分の二カ月という状況を踏まえて一カ月、すなわち勤務年を倍に計算するという制度をとったわけでございます。
○瀬野分科員 この恩給問題については来る内閣委員会で恩給法の改正のときにまた詳しく質問することにして、時間もございませんので、次に、ソ連国内に眠る旧日本軍将兵の墓参、遺骨送還について厚生省にお伺いします。 このことは、昨年、一昨年私、たびたび政府の見解をただしてまいりましたが、昨年の七月十八日、橋本厚生大臣に全抑協斉藤会長から申し入れをいたしております。また昨年の七月二十五日にはソ連大使にも、全抑協斉藤会長並びに中沢政治部長から要請をいたしまして今日に至っておりますが、昨年七月以来、約九カ月にならんとしておりますけれども、その後、ソ連国内に眠る旧日本軍将兵等の墓参、遺骨送還について、外交ルートを通じてどのような対策を講じ、どのような結果を得つつあるのか、ひとつ時間もございませんから簡潔にお答えいただきたい。
○藤尾主査 水田庶務課長、簡潔に願います。
○水田説明員 お答え申し上げます。 昨年七月の二十三日、松原公使がソロブイヨフ第二極東部長を訪問いたしまして、ソ連に眠る軍人軍属の遺骨の収集について申し入れをいたしております。それから、墓参につきましては、ソ連側から二十六カ所あるという回答を受けておりまして、二十一カ所についてはすでに過去七回墓参をいたしております。残りの五カ所について昨年申し入れを外交ルートを通じていたしました。これについては外人立入禁止であるために困難であるという回答に接しておりますが、今後もなお両方の点について努力してまいりたい、このように考えております。
○瀬野分科員 次に、総理府にお伺いしますけれども、昭和五十四年八月九日、全抑協の斉藤六郎会長と中沢政治部長は総理府に三原朝雄総務長官を訪ねまして、抑留者問題について陳情書を手渡し、長官と意見交換をしております。そのとき三原長官は、橋本厚生相とも相談し、この問題を理解できる各界の代表者を集めた諮問機関をつくり、そこで問題を整理して検討したい、現在その諮問機関の人選をやっているところだと、前向きの姿勢を明らかにしておりますが、さらに本年一月十七日には、斉藤会長以下八名が総理府に小渕総務長官を訪ね、同様の趣旨の要請をいたしております。この諮問機関の設置状況及び人選はどう進んでおりますか、これまたお答えいただきたいと思います。
○藤尾主査 清水審議室長、簡潔に願います。
○清水政府委員 三原総務長官が代表の方々との間で、ただいまお触れになりましたようなお気持ちでいろいろの会話をなされたということは、私どもその後におきましても、長官といろいろこの問題についてお話をしておる過程で受けとめられるわけでございますが、その場合、具体的にそこまでおっしゃっておられたようには伺っていないわけでございます。大変申しわけないことを申すようでございますけれども、そういうことでございますので、私ども政府の立場としては、この問題を改めて全体的に何か検討するような、そういうような対応をするということ自体が、これはむしろ無用な期待と申しますか、あるいは新たな不公平感を生み出すというようなおそれもまたあるということから、きわめて困難であり慎重に対応していかなければならない問題である、このように考えておるわけでございます。
○瀬野分科員 時間がございませんが、各委員の御協力をお願いします。あとわずかでございます。 ソ連抑留者の実態調査の予算計上について厚生省にお伺いします。 先ほどからソ連抑留者の諸問題について種々政府の見解を求めてきたところでありますが、政府はソ連抑留者とその遺族の悲願を解決するため、一つ、抑留者と遺族の実態調査、二つ、後遺症患者の実態調査、三つ、ソ連における埋葬地点に関する実態調査等を行うため調査費の予算化をすべきと考えるが、その対処方針をひとつお答えいただきたいと思う。
○楠本説明員 お答え申し上げます。 ただいま答弁にもございましたとおり、ソ連抑留者一般の処遇の問題につきましては、政府として特別な措置を講ずることはきわめて困難としておるところでございますので、特別な措置を前提とした調査を行うということは、現在考えておりません。
○瀬野分科員 最後に、伊東官房長官に特別立法化措置についてお伺いします。 明後日、三月六日には午前十時から東京日比谷公会堂で全国千六百七十の地方議会、百二十万名の署名をもって全国統一請願大会が全国から三千名の代表が参加して行われます。政府並びに衆参両院議長に請願することになっておりますが、人生最後の悲願をかけた運動になっております。 また、国会においても近く戦後強制抑留者の処遇改善に関する議員連盟を設立する運びになっております。 よって、政府は、特別立法措置について前向きに検討すべきであると考えるが、その用意があるか、伊東官房長官、御見解を述べていただきたいと思います。
○伊東国務大臣 シベリアで抑留された方々の肉体的、精神的な苦労は、本当にはかり知れないものがあると思います。実は、私は中国で抑留された経験がございますので、抑留というものはいかに精神的、肉体的な苦痛か、特にシベリアの方の苦痛はよくわかります。 ただ、シベリアの抑留の方だけに特別立法、あるいは抑留者の方だけに特別立法ということになりますと、これは日本国民全部がいろいろなところでいろいろな損害を受けたのでございまして、それとの権衡上これはきわめて困難なことだと私は思うわけでございまして、先生の御質問の意には沿わないのでございますが、ただいまはそういうふうに、非常にこれは困難なことだというふうに思っております。
○瀬野分科員 以上で質問を終わりますが、納得いかぬ点が多々ありますけれども、会議録を見た上で四たび政府の見解をただすことを留保し、時間が参りましたので本日の質疑は以上で終わります。御協力ありがとうございました。
○藤尾主査 以上で瀬野君の質疑は終了いたしました。 次に、三谷秀治君。
○三谷分科員 鉄建公団の空出張、空賞与で明るみに出ました不正経理事件に関連して、その背景にあります特殊法人の給与の見直しをやろうという考えを総理が示されたようでありますが、この特殊法人の給与実態を掌握されましたかどうか、それをまずお尋ねしたいと思います。
○日吉説明員 先生お尋ねの特殊法人の給与でございますが、特殊法人の中には、御存じのとおり、主務大臣の方でその役員及び職員の給与につきまして承認なりあるいは認可をいたしておりますものと、特殊法人が独自に決め得るものとがございます。その主務大臣が認可なり承認をいたしております中でも、大蔵大臣にその認可なり承認に当たりまして協議をしてきておりますものがございます。この点につきましては、財政当局が統一的な目で見ることができますので、大蔵省といたしまして従来からもその実態を把握していたつもりでございますが、いまお尋ねのような問題がございましたので、私どもの方でも調査をいたしております。 それによりますと、約六十の法人がございますが、役員につきましては、従来から私どもの方で基準を示しておりまして、その基準のとおりに行われております。 なお、職員でございますが、職員につきましても、従来からこれは先生御承知のとおり団体交渉によって決められておりますので、そのものを俸給表といたしまして私どもの方に特殊法人の方から示されまして、それを見ておりますが、それは大体国家公務員の給与改定に準じたような形でできている、かように考えております。 ただ、昨年来問題になりましたのは職員の賞与でございまして、この賞与につきましては、私どもといたしましては、特殊法人の公共性にかんがみまして、国家公務員に準じたような形で支給されるのが望ましいと考えておったわけでございますが、この点につきましては、国家公務員の基準をかなり上回りますものが見受けられたのは事実でございまして、私どもといたしましては、労使間の交渉で決められるものでありましても、国家公務員に準じたような形で、国民の理解なり納得の得られるような形にすべからく是正していっていただきたい、かように関係省庁等を通じまして要請をしているところでございます。
○三谷分科員 大変漠然とした話ですが、官房長官にお尋ねしますが、この特殊法人の特に役員の待遇、これについては五十二年の予算委員会、五十三年、五十四年引き続いてお尋ねをしました。そして福田総理大臣は、いまの状態を見ると定年を延長した形になっている、厳密な定年制度はありませんけれども、そういう表現をなさいました。全面的にこれは検討を加える。それから官房長官、園田さんでありましたが、この方も、いまの状態を見ると、一度役所で退職金をもらって、それがまた再び就職をしてまた退職金をとる、いわゆる渡り鳥問題ですね、こういう遺憾な事態もあるということをおっしゃっておりました。そしてこれは私の質問をしましたその趣意というものをよくくんで改善をするというお話があったわけです。 ところが、その年の暮れ、十二月でありますが、閣議了解事項というのができ上がりました。それが実に期待に反するものであります。この内容というものは、もうよく御承知だと思いますけれども、今後給与は抑制ぎみにする、それから退職金は、これは従来百分の四十五であったものを、俸給月額の百分の四十五に在職月数を乗じたわけでありますが、これを百分の三十六に引き下げる、こういう処置をおとりになる、そして渡り鳥につきましては、たらい回し的な異動は原則として行わない、こういう閣議の決定がなされたわけでございます。 そこで、一体この内容はいかようなものか、まことに理解に苦しむわけであります。幾らか退職金の率を下げるあるいは給与は抑制ぎみにする、そしてもう一つは、渡り鳥につきましては原則として行わない、こうなっている。ところが、実態を見ますと、原則として行わないはずの渡り鳥が依然として後を絶っておりません。いま一体渡り鳥をどれくらい把握されておりますか。それから退職金にしましても、一般公務員が一年動続に対して一カ月の退職手当という制度が普通であります。長期勤続者で一・二カ月でありますが、それが四・三カ月も出す根拠はどこにあるのか。それからもう一つは給与でありますけれども、給与も抑制ぎみと言いますけれども、私どもは一体どこがどのように抑制されておるのかわからぬのであります。私が質問しました当時は、大規模の公団、公庫等の総裁、理事長が九十四万でありました。そして中小の公団、事業団等の総裁、理事長が八十一万でありました。これが今日どうなっているかと申しますと、今日大規模な公社、公団等におきましては百十二万という月給であります。そして中規模におきましても百万五千円、こういう給与の内容になっておるわけでございます。これが一体いまの総理大臣やあるいは国務大臣あるいは法制局長官あるいは内閣等の、概して事務次官ですね、こういうものと比べまして、どういう位置づけになっておるのか、これは国民としては全く納得ができない点である。行政改革をやかましくおっしゃっておりますが、行政改革というのは要するに人員整理じゃない、そういう単純なものじゃありません。いま国民が求めております今日的な行政改革というのは、一つは浪費や冗費の節減であります。もう一つは不正腐敗の一掃であります。もう一つは、これは行政の簡素化、民主化であります。これがいま国民が求めております行政改革の内容でありますけれども、その点から見まして、このような状態をどのように考えていらっしゃるのか。こういうものをこのまま残しておいて、そうして各省一法人だとかあるいは十以上の法人を擁している省におきましては二法人を整理する、全く価値判断を別に、悪平等的にそれを整理しようという考え方を行政管理庁はお示しになっておるわけでありますが、まずその前に、こういう状態をこのままにしておいて果たして国民が、なるほどこれは行政改革が進行されつつあると了解ができるでしょうか、この点をお尋ねしたい。
○伊東国務大臣 御質問の特殊法人の問題でございますが、この間十八法人を整理統合するということを内閣で決めたわけでございますが、私どももこれで十分だというふうには考えてはおらぬわけでございます。五十五年の特殊法人の行革はそうでございますが、やはり、もっと、特殊法人についても、数についても再検討しなければいかぬというふうに思っておりますし、いま先生おっしゃいましたように、行政改革というのは単に人減らしだけじゃないということをおっしゃいましたが、それはそのとおりだと思うわけでございます。なるべく手続等を簡素にし、民間でやれる仕事は民間でやり、国ではあんまり民間の仕事までを手を伸ばさないということも行政改革の一種でございましょうし、冗費の節約ということもそうでございましょうし、いま先生は人員整理だけじゃないとおっしゃいましたが、やはり人員もこれはできるだけ整理していくということも行政改革の一つの柱だと私は考えるわけでございます。そういう立場に立ちまして考えたときに、いまおっしゃったように、十八法人だけでいいかどうかということは、私どもも、もっと第二段の考えをする必要がある。特殊法人についてもそう思いますし、あるいは国の出先機関等におきましても、やはり整理統合できるものはしていくという必要があると思うわけでございます。 そして、特殊法人の役職員の待遇の問題でございますが、これはこの十二月にも、賞与については、ひとつ国家公務員の指定職と同一にするようにすべしとか、あるいは退職金の問題は、この前一回下げたことがございますが、今度国会に公務員の退職手当の問題を出しているわけでございますので、この特殊法人の役員の退職手当につきましても、やはり民間の退職手当を頭に置いて人事院で調査してもらって、それに基づいて直すべきものは直していくという考えで、なるべく国民から納得の得られる特殊法人であり、また国家公務員、地方公務員のあり方、機構であるというふうにしてまいりたいというのがわれわれの考え方でございます。
○三谷分科員 いま国家公務員の退職制度の改定の問題と関連さして特殊法人の役員の方も改善したいという意味でありましたが、いまこの五十二年の十二月の閣議決定によりますと、たとえば総裁、理事長、副総裁、副理事長は公務員退職後八年間、七十歳までは認める、そして理事、監事でも公務員退職後六年間、六十五歳までは認める、こうされておるわけであります。これは福田総理がおっしゃいました定年の延長そのものではないか。福田総理は、そのような定年の延長に類することは好ましくない、十分な検討を内閣として責任を持ってするとおっしゃった。ところがこの十二月の閣議決定を見ますと、これは全く定年の延長であります。七十歳まで認める、そして理事、監事でも六十五歳まで認める、こうおっしゃっておるわけでありますから、要するに、六十五歳あるいは七十歳、この居座りを制度化する。こうなってきますと、高齢者の概念自体がわからなくなってくる。高齢者とは一体どのような概念でわれわれは理解すればいいわけでしょうか。 そして、こういう状態でありながら、大平内閣が、いわゆる第二次行政改革によりますと、職員の年齢構成の適正化に努めるとして、定年制が導入されるまで退職勧奨を強める。人事院も、退職勧奨制度の補完措置として五十八歳以上の高齢職員の昇給延伸措置をとるとともに、昨年四月以降は高齢者の昇給停止を行っておる。それにもかかわらず、この公社、公団、特殊法人が六十五歳、七十歳という扱いでは、これは整合性も合理性も全くないではないか。ここら辺は一体どのようにお考えになっておりますのか。 外郭団体、いわゆる特殊法人という問題が、いまの官僚制度の矛盾の一つの解決策としてとられてきましたこそくな手段であることはわかりますけれども、そのために、政治家の皆さん、閣僚の皆さんにお尋ねをして、いただきました答弁と役人が答える答弁が全然変わってくるわけでありますが、これについてはやはり閣僚が腹を決めてかからなければこの問題は容易には解決をしないだろう、そしてこの問題が解決しなければ、国民は容易には納得をしないだろうということを私は申し上げたいと思いますが、この点について長官の御意見をお聞きしたいと思います。
○伊東国務大臣 特殊法人の役員の最高年齢あるいは渡り禁止とかいうことのお話は、先生おっしゃったように、やめてから方々の特殊法人を転々と歩くというようなことはもういかぬ。本当にその人に注目して、この人でなければ何ともならぬというような、真にやむを得ざる場合は一回限り認めるけれども、それ以外はだめだということをやかましく運用をしてまいることを実は決めたわけでございまして、これはそのとおり実行していくつもりでございます。 それから、いまの年齢の問題でございますが、特殊法人というものの性格でございますが、これはいわゆる国でやる仕事を、民間の人の知恵もかり、活力もかりて、そして公務員を勤めた人の広い知識も活用して国にかわってやるということがいろいろ公団その他にあるわけでございますので、そういう意味からしまして、今度は国家公務員の定年を六十年に、六十ということまでしたいということを考えておるわけでございますが、定年まで勤めた人がまた特殊法人である期間活躍できるということにつきましては、私はそう矛盾を感じていない、それでいいじゃないかと思うわけでございます。 ただ、特殊法人が国家公務員の天下りだけの場所になるということは、これは考えなければならぬことでございますので、比率で半々ぐらい民間の人の活力、知恵というものを活用しようじゃないかということで、この点も何とか半々ぐらいの民間の人に入ってもらうということの努力をしようということを実は考えておるわけでございます。
○三谷分科員 従来から給与が非常に高い、不当に高いことについては、民間の人材を導入するために必要なんだとおっしゃっているのですが、果たしてこの給与というものがどこから割り出されましたものか、私どもは理解ができませんが、しかし、ここに天下りされます方は——これは行政管理庁の行政管理局長岡部さんの所論でありますが、「一流の民間人を起用しなければならないという口実の下に、公団の役員の給与を、国務大臣級の金額に定めながら、平然として、これに、次官、局長が天下っているのである。そのために、関係各省庁間に役員のポストの配当をめぐって、はげしい争奪合戦がおこり、ひいては、政治的干渉の端を開くことにもなり、また、いったん獲得したポストは、既定権益としてそのなわ張りを死守することになる。」「この腐肉を争うハゲ鷹のごとき実情については、目をおおいたくなる。」「このような事情は、主として人事行政運用の欠陥から生ずるものである。」こういう所論を発表されております。人事院の法制部長もおやりになっておりますし、行政管理庁の行政管理局長もおやりになった方でありますから、よく内部事情はわかっているわけであります。 そして、この方がおっしゃっておりますのは、「公団の役職員の給与には、国家公務員の給与法の規定が原則として準用されるべきである。」こうおっしゃっている。いまおっしゃいました若くして役人を退職された方が、なおこういう特殊法人で働く価値があるといいますか、その場合は国家公務員の給与規定を準用してやれば、これほど大きな指弾を受けることはない。それが国務大臣級以上の給与をもらったり、あるいは京大や東大の学長をはるかに凌駕するような給料をもらって天下りをする、天上がりをする。そこで国民が大きな疑念を持つわけであります。ですから、この岡部さんはこうおっしゃっております。 そうして、アメリカの給与制度を見ましても、いわゆる特殊法人というものは一般には三級に位置づけられておるわけです。一級が各省の長官である。要するに大臣である。そして二級は国務次官あるいは国防次官。アメリカは国務、国防次官は特別に待遇しているそうでありますが、これが二級になっている。三級が各省の次官と公社、公団の理事長になっている。そうして四級が、これがアメリカでは次官補であり、公社の役員である。こういう制度がきちっとでき上がっている。そこでいわゆる天上がりということがない。その点をはっきり片づけなければ、この問題というのは決して国民の納得を得るものじゃありませんが、これについては大臣どうでしょうか。いまあなたが直接それについて全面的なお答えはできないかわかりませんけれども、しかし、こういう状態を見ましたときに、これに手をつけずにおさまるものではないということだけは私ははっきり申し上げていいと思うのであります。——官僚じゃだめだよ。
○日吉説明員 大臣から答弁をいただきます前に、特殊法人の役員の給与の事実関係につきまして、私から簡単に御説明申し上げておきたいと思います。 特殊法人の役員につきましては、特殊法人の役員が、国から独立しました法人の経営に対しまして重要な責任を負うという点で、民間企業の役員と類似の性格を有しております。したがいまして、その給与につきましては、民間企業の役員の給与を参考にしながら決めております。 ただ、先生御指摘のように、公共性を有するという点におきまして国家公務員の処遇とも関連するところがございますので、国家公務員の、特に民間の役員に類すると考えられております指定職の方々の給与等も参考にしながら決めてございます。したがいまして、特殊法人の役員の方の中でも、いま先生お話しございましたように、国家公務員の中の、たとえば事務次官とか大学総長、そういうふうな方々と同等あるいはそれよりも高いような給与を支給されております特殊法人の役員といいますのは、きわめて大きな、たとえば三公社の総裁とかそういうふうな方々に限られておりますし、もちろん国務大臣よりも低くなっております。そういうふうな形で位置づけをしているつもりでございます。 ただ、先生御指摘のようないろいろな御意見もございますので、五十三年度、五十四年度、両年度にわたりまして、特殊法人の役員の給与は据え置いてきております。その間に一般の国家公務員は大体八%程度の給与改定がなされております。事実関係はかようになっております。
○伊東国務大臣 いま事実関係は申し上げたとおりでございますが、われわれもやっておりましてジレンマがございますのは、なるべく民間の人を活用したいということですと、その給与というものは民間の給与と合わせて考えなければいけませんし、片や公務員からやめて入る人の問題、これはジレンマがあるわけでございますが、しかし、どうも特殊法人というのは高いんじゃないかというような国民の方からの批判もあることも私はよくわかりますので、この問題につきましては、政府の中で行政改革の一つの問題として検討いたします。
○三谷分科員 そして高級官僚の方が、能力があるとか、国家事務事業の委託をするわけですから、熟達されておるとかいうので天下りされておりますが、それが一体何をしでかしておるかということです。鉄建公団の総裁川島さんは官房副長官、つまり内閣から直接天下りされております。いまの鉄建公団の副総裁、これも総理府の総務副長官から天下りされております。おっしゃいますように、果たして適材適所主義というものが本当にここで行われておるのかどうか、こういう結果を見ますと、大変な疑問が起きてくるわけであります。つまり、後がつかえてきた官僚のポストを維持するための処置という以外には考えられない事態がしばしば起きてきておるわけでありますから、そういう点からしますと、大きな公社、公団だからといって、総理大臣に匹敵する——たった一万円違うだけなんだが、そういう給与を出すとか、あるいは七十歳まで在職を認めるとか、そういう処置は速やかに改善してほしいと思う。 それから、渡り鳥につきましても、しばしば改善とおっしゃっておりますが、調べてみますと、なかなか改善されてはおりませんですよ。たとえば私の手元にありますのを見ましても、十三、四名があります。たとえば首都高速道路公団の理事長から公営企業金融公庫総裁、これは知事になったから別ですけれども、日銀の理事から国民金融公庫の総裁になり、公正取引委員会の委員長になり、あるいは住宅公団の総裁になる。これは一つ一つ数えれば切りがありませんけれども、海上保安庁の燈台部長から自動車事故対策センターの理事になって、そしてまた道路公団の理事になるとか、建設省の都市局長から道路公団の理事になって、今度は阪神高速道路公団の副理事長というようなのが少なからず残っておるわけです。自治省の事務次官から阪神高速道路公団の理事長になって、本四架橋公団の理事長になり、公営企業の金融公庫総裁になるというふうな例もあるわけであります。このようにして三転四転をして、その都度その都度さっき申しましたような常識を逸する退職金を受け取る、そういうことが繰り返されてきておる。これは一向に改善の跡が見えておりませんが、これにつきましても速やかに改善をされる必要がありはしないか。そうしなければ、これはなかなか国民が納得するものではありません。 それから、特殊法人は、御承知のように行政組織法の適用が全くないわけでありますから、存立そのものが恣意的なことになってしまっていますね。そして定員法の規定もないわけでありますから、国家公務員を定員法で締めましても、その事務事業を特殊法人の方に委託をする、そこで人をふやしますと、定員法もこれは全く画餅に帰してしまう。それから公務員法の適用もありませんから公に奉仕するという義務もない。そして財政法や会計法によります一般的な規制もありませんから、国会の民主的な規制、議会の民主的な規制というものも大変弱くなってきている。こういう問題がいろいろあるわけでありますから、この特殊法人に対して、いま申しました具体の改善をされますとともに、その内容を含めました行政法学的な根拠を打ち立てる必要がある。これについて努力されなければ、すべてまた恣意的な組織に終わってしまうのであって、これは国の事務事業を委任する団体としてはきわめて不完全だと思いますが、この点についてあわせてお答えをいただきたいと思います。
○伊東国務大臣 いま最初の、渡りでずっと転々とするというお話でございましたが、実は昭和五十年、五年前ぐらいにはそういう人が六十人ぐらいいましたが、いまは三十二、三人に減らしてきております。実は最近は、私ども行政改革ということでこの問題を取り上げましてからは、一人もそういうことはやりていない。今後も真にやむを得ない場合は別として、やらぬという方針でおりますので、これは固く堅持をしてやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 それから、行政改革をやって定員を減らしても、特殊法人にどんどん人が行ったんではおかしいじゃないかということでございます。そのとおりでございますので、特殊法人の役員も今度は一割は削減ということで、百数十人実は各省で責任を持って計画を出してもらいたいということで閣議で決めまして、役員の削減も考えておりますし、また職員につきましては、この間、行政管理庁の長官が、大体公務員は四%の定員減でございますので、同じ定員減をやるつもりだということを申し上げたのでございまして、国家公務員の方はそういうことをやりても、特殊法人をふやしてはしり抜けでないかとおりしゃるのはそのとおりになりますから、そうでないようにということで実は考えておるわけでございます。 それから、一般的な特殊法人の根拠という、まあ行政一般といいますか、そういうことで考えていりたらどうだろうかということでございますが、これは、いま実は特殊法人それぞれの法律でやっておるわけでございまして、それを横断的に、給与の面は大蔵省から見ていくとか、あるいは役員人事は内閣で見ていくとか、定員の関係は行政管理庁で見ていくとかいうことを実はいまやっているわけでございまして、それをうまく緊密に連絡すれば、それでやれるのじゃないか、私はこういうふうに考えておりますが、せっかくの御意見でございますから、これは少し検討させていただきたいと思います。
○三谷分科員 終わります。
○藤尾主査 以上で三谷君の質疑は終了いたしました。 次に、竹本孫一君。
○竹本分科員 伊東官房長官とは久しぶりの対話でありますし、また長官のお人柄その他から非常に将来を期待申し上げておりますので、きょうは率直なところを少し申し上げてみたいと思います。 世の中では大事なものほど忘れられたり軽んぜられたりすると思うのですね。いまも公務員の問題、役人の問題が大分議論になりましたが、私は、いまの世の中で一番大事なものは、職責上大臣の地位だと思うのですね。そこできょうは政治家、特に大臣の任命というような問題について少し意見を申し述べてみたい。残念ながら、実は大蔵委員会において関税法の採決の時間が迫ってまいりまして、ゆっくりお話がで書なくて申しわけないのですが、結論だけを少し申し上げてみたい。 もう二、三十年前に読んだ本でよく内容を覚えていませんけれども、デモクラシーを論じた本の中で、イギリスの議会政治を批判したこういう言葉がございました。最近のイギリスの議会政治を顧みて、それは何という無能と不正直の陰惨なる記録であることか、無能、インコンピテンス、不正直、ディスオネスティー、そのディズマルな、陰惨なレコードであることかという言葉がありました。日本の政治にちょっと似ておるのかなあと思って記憶しておるのですけれども、無能と不正直の陰惨なる記録ということであってはならぬという意味から、これから少し申し上げてみたいのであります。 二つに分けて申し上げます。第一は正直でなければならぬ、まじめでなければならぬという問題でございます。 けさの新聞でしたか、アメリカにおいて共和党の大統領候補のアンダーソンさんが、ミスター良心、良心さんという名前を奉られておる。それは彼が、御承知のようにカーターがソ連に対する農産物の輸出を禁止した、その一番大事な穀物生産の場において、これはやむを得ないことだとはっきり言って、ほかの六人の中の候補は皆、それはだめだとか反対だとか言ったそうですけれども、良心的に、正直に、やむを得ないことだとはっきり言った。それからその地域は鉄砲その他銃砲、火器を皆持っているのだそうですけれども、それを禁止するということの問題が出ておるわけですけれども、その問題につきましても、銃砲の所持は社会的犯罪を起こす危険があるので禁止する方が本当だということを言って、集まった人たちから非常にやじられた。しかし、一部の人からは非常に感心された、こういうことであります。アメリカの話でありますが、日本にもそういうような良心的な正直な政治家がおってほしいとお互いに願っているわけであります。私はそういう意味から、最近は財政の再建が最大の課題になっておりますけれども、財政の再建をやるにしても、日本の政治家がもう少し真剣に、もう少し正直に、まじめにならなければできないと思うのです。そういう意味で申し上げるのです。 私は、この前の大平さんの解散選挙のときにこういうことを言った。財政の再建の一番の根本は心の再建、精神の再建であるが、簡単に言えば三ねる主義をやめるべきだ。三ねる主義というのは私がつくった言葉ですから御存じないと思いますが、第一はごねる、ごね得のごねる。第二はねだる、もっとよこせ、もっとよこせとねだる。第三はおもねる。ごねる、ねだる、おもねるというような三ねる主義の続く限り日本の財政は必ず破綻をする、当然の道行きだということを私は言っているわけであります。 最近私は、実はアメリカの経済諮問委員長をしましたサイモンさんの「ア タイム フォア トルース」という本を読みました。この本にもいろいろ書いてありますが、御承知と思いますが、彼はニューヨーク市の財政が破綻しておるということを宣告した人ですね。彼が言うには、いまのように、私の言葉でごねる、ねだる、そして政治家がおもねる。これではニューヨークの財政はもう私が、私というのはサイモンが、破産宣告をやる前に破産しているのだということを言っているので非常に共感を覚えました。もちろん私はケインジアンの経済学に反対する立場の人の意見、フリードマンとかハイエクさんとか、いまのサイモンさんとかの意見に全部賛成ではありません。ただ、われわれのいままでの行き方に対する、あるいはケインズ経済学的な考え方に対する反省あるいは解毒剤として、こういう人の意見もまじめに読まなければならぬと思って読んでおります。 そういう意味から申しまして、特に日本の政治家でも大事なことは、これはアメリカが言っているようですが、日本の政治家にはポリティカルペインがない。政治家であるから悩まなければならない悩みがあるわけですね。大衆迎合をやるのは簡単だ、おもねるのは簡単だ。しかし、大衆迎合をやらないで、政治家としての悩みをいまこそ悩み抜かなければ財政の再建はできないと思うのです。そういう意味からいって、私はこの三ねる主義をやめたいし、同時に、フリードマンやハイエクが言っているような経済学説にも改めて耳を傾けて、解毒剤として活用するというようなことが必要である。いずれにしても、日本の政治は良心的であるために大いに反省を必要とすると思うが、大臣のお考えはいかがですか。
○伊東国務大臣 竹本先生から本当に卓見といいますか、政治家としての心がけといいますか、お伺いをしたわけでございますが、私も同感でございます。 私は官房長官になりましたとき総理に申し上げたのでございますが、うそをつかぬということ、簡単なことだけれどもそれが政治の基本じゃないか。やはり政治家が、先生がおっしゃる迎合ばかり考えて、やることと言うこととは違っているということでは政治の信用を失うことでございますから、あの有名な「日暮硯」の恩田木工さんが松代藩の財政窮乏を再建したときの原則は、うそを言わぬということを領民に誓ったということから始まったのでございまして、簡単なことでございますが、私はそれが政治の要諦じゃないかということを総理に申し上げたことがあるのでございますが、私は、いま先生のおっしゃったことは、そのとおり政治家が心がけなければならぬことだというふうに共感を覚えて伺っていたところでございます。
○竹本分科員 政治の倫理化という言葉もいまは言われておりますから、政府でもいろいろの委員会、諮問委員会等をつくられて考えられるようですから、この問題はもう少し真剣に取り組んでいただきたいという要望を申し上げておきたいと思います。 それから第二の点は、無能と不正直、この無能の方に少し関係いたしまして、言葉が大変失礼になる場合もあるかと思いますが、お許しをいただきたいと思うのであります。 まず第一に、憲法六十八条、大臣もお読みになったことあると思いますが、「内閣総理大臣は、國務大臣を任命する。但し、その過半敷は、國會議員の中から選ばれなければならない。」と書いてある。ところが最近の内閣の人事を見ておりますと、先ほども申しました、一番大事な大臣の任命という問題がわりに軽んぜられておるような感じを持つ。大臣はいま二十一人ですかおると思いますが、過半数といえば十一名でいいわけだが、あと十名は国会議員以外から選んだらよろしい、選んでもよろしい、こう憲法に書いてある。ところが最近、官房長官、これは内閣の方へ要求したんだけれどもまだ資料が出てないというから、これは資料の要望ですが、昭和十二年ごろですかね、その辺の十一年、十二年あるいは十三年、十四年ごろの内閣は、これは御承知のように特に二・二六なんかのあった後でございまして、政党政治に対する、先ほど申しました無能と不正直に対する国民の怒りが爆発をして、非常に残念なことでございますが、ファッショ的な傾向が強く出てきた。その荒波に押し返されまして、政党大臣が全部大臣を占めるなんということは遠慮しなければならないようになりまして、あるときは一人もしくは二人、あるときは衆議院から二人、参議院、当時は貴族院ですか、そこから二人、せいぜい多くて四名、それ以外は全部ほかの大臣、ほかのキャリアの大臣を任命したものです。 そのこともひとつ資料としてまとめていただきたいと思っておりますが、私がきょう申し上げたいことは、最近の人事というものが余りにも派閥人事、順送り人事というような傾向があり過ぎるのではないか。私は積極的な面から申しますと、大臣というものは、大きな政治判断ができなければなりませんが、それとともに、一つのエキスパートシステムで、専門を持っておる人でないと困ると思うのですね。日本には昔から、はからずも大命を拝しなんという妙な言葉がありますが、いまのような技術社会、管理社会、経済が複雑になった時代においては、たとえば大蔵大臣にしろあるいは通産大臣にしろ経企庁長官にしろ、問題が非常に複雑なんですから、はかってもはかっても、勉強して準備しておっても、なおかつ取り組みがむずかしいのです。それが、はからずも大命を拝しとか、はからずも大臣になってどうぞよろしくとは一体何だ。私は、これは、一番大事な国務大臣のポストを悪用しているというか、私しているというか、言葉は悪いですけれども、まじめな態度とは思えません。 〔主査退席、中島(源)主査代理着席〕 やはりもう少しエキスパートシステムで、派閥人事や順送り人事でなくて、そのポストに合った人を大臣にすべきである。免税点以下の人間を大臣にしてもらっては困るということです。 そういう意味で、私は二、三の点を伺いたい。一つは、ずっと今度も大来君一人で、大体一人か二人しかなっておりませんが、憲法は、わざわざ文民でなければならぬということが六十六条に書いてあるが、それ以外、大臣にはいかなる分野から人材を持ってきても困る、いけないということは書いてない。しかもトータルで、総枠で過半数になってはいけないけれども、半数に近いところまでは大臣は人材を民間、一般から持ってきてよろしいと書いてある。しかるに、どの内閣もたった一人あるいはゼロ。そういうことは憲法の精神から見ておかしいではないかと思いますが、どういうお考えでいらっしゃいますかということをまず伺いたいと思います。
○伊東国務大臣 非常にむずかしい御質問でございますが、昭和十一年、十二年のころの例を挙げられたのでございますが、あの当時は満州事変、日支事変で軍というものが非常に勢力を持ったときでございまして、日本の民主主義というものは本当に抑圧をされた時代でございますので、いまのように戦後の民主主義が伸びてきたということになりますと、その辺の情勢は違って考えなければいかぬと私は思うわけでございますが、資料の御要求は早速まとめて、これはお届け申し上げます。 それから、現在の内閣の組織の問題でございますが、だんだん政治家も先生のおっしゃるようにエキスパート、税の専門、財政の専門とかあるいは中小の商工業の専門とかあるいは建設の専門とか、政治家も非常に専門化してきたことは確かでございますし、またそうなっていくべき、片手ではもっと大局的なことも考えるし、片手ではそういう専門のことの得意を持つということが必要だと思いますし、だんだんそうなってくるというふうに私は考えておるわけでございまして、いま先生がおっしゃいましたように、半分を超えてならぬのだから、半分まではいいじゃないかとおっしゃることは私もよくわかりますが、片や民主主義が伸びてきている、政治家もいろいろ専門家が多くなってきているという現状からすれば、これはなかなか先生のおっしゃったようにむずかしい問題があるということでございますので、先生の御見識として承って、これは総理に伝えたいと思います。
○竹本分科員 憲法の規定の、過半数は国会議員の中から、それからいまの御答弁で感ずるのですけれども、本来の姿として、希望から言えば議会人が民主主義のチャンピオンであってほしいと思いますよ。しかし、それはあるべき望ましき姿であって、今日の議会人が必ずしも民主主義のチャンピオンとは言えない。また、民間にそういう民主主義のチャンピオンがいないかと言えば、いないことはない。そういう意味から言いまして、私は、特に官房長官のフレッシュな感覚においてお訴えをいたしたいのは、やはり民間に人材がおるのだ、その人材をもう少し抜てきなさったらいかがですか。大平さんに一番信頼のある長官でございますから、そういうことはまじめにひとつ受けとめていただきたいというお願い、要望であります。 そこで、質問時間もありませんから簡単に二つほど伺いたいが、いまの大臣が大来さん一人というようなことは、民間にはそれほど人材はいないという前提に立っておられるかどうかということが一つ。 それから第二、私は、法務大臣なんというものは特定の派閥や、金権候補と腐れ縁のあるような人はいけない、最も正義廉直の士でなければ法務大臣になる資格はないと思う。文部大臣も同様であります。国家の重要な文教問題を預かる文部大臣は、やはり人格、識見において各大学総長がむしろ尊敬をし得る、そういうりっぱな方をひとつ文部大臣にしてもらいたい。現に天野さんその他経験があります。そういう文部大臣、法務大臣は、私は特に民間から採ることをむしろ一つのたてまえにすべきではないかと思いますが、いかがか。 あわせて女性の問題でございますが、今度初めてですか、高橋展子さんが大使になるといって新聞が騒いでおりますけれども、これは日本があれを騒ぐこと自身がいかにおくれておるかといういい証拠だとぼくは思うのですね。女性も男女平等で機会は同じように与えるべきであるし、もう少し女性の大臣も女性の大使もできてしかるべきだ、こう思います。特に厚生大臣その他には女性大臣もできて結構だと私は思いますが、その法務大臣、文部大臣、それから女性の大臣といったようなものについてはどういうお考えを持っておられるか、その点だけ伺って終わりにいたします。
○伊東国務大臣 いまの内閣では、外務大臣の大来さんだけがいわゆる民間の方で政治家ではない、国会議員ではないということはそのとおりでございますが、これは大来さんだけしかいないのだという意味じゃございませんで、たくさんおられると思うのでありますが、また政治家の中にもたくさんおられるということで、ああいうことの組閣になったわけでございますので、その点は御了承願いたいと思います。 それから法務大臣、文部大臣、厚生大臣のお話がございました。過去においては、たしか中山マサさんでございましたか、厚生大臣をおやりになったことがございますので、われわれも実例を知っている。文部大臣も天野貞祐さん、田中さんがなられ、近くは永井さんがなられたということも存じておりますので、これはいま私からとかくのことは申し上げませんが、いまの御意見はそのまま総理に伝えますことをお約束しまして、私の答弁にかえさせていただきます。
○竹本分科員 終わります。
○中島(源)主査代理 以上で、竹本君の質疑は終了いたしました。 次に、飯田忠雄君。
○飯田分科員 私は、終戦後ソ連によって捕虜となりまして、その後数年間抑留された日本の国民の皆さん方が、全抑協という団体を組織されて補償の要求運動をしておられることを知っております。この問題につきまして、いささか質問を申し上げたいと思います。 厚生省の方で発行されております「引揚げと援護三十年の歩み」という本がございます。この本によりますと、戦後ソ連領に抑留された軍人軍属移送状況の表がございます。また引き揚げ者の統計表もございますが、こういうものによります数字がどうも明確でないようでございます。たとえば、これは参議院の内閣委員会会議録第十七号、これは一昨年の六月八日の議事録ですが、これによりますと、和泉照雄というお方が質問なさったことに対し、政府委員でお答えになっております。約五十七万五千人の人が抑留されて、そのうち死亡者は推定で五千五百名だ、こう書いてあります。ところが、厚生省の先ほど申しました本によりますと五十六万九千三十という数字、大体そういう数字になるようでございます。計算してみました。それから引き揚げ者の方は、つまりソ連から引き揚げてまいりました数は四十七万二千九百四十二、こういうことであります。そうしますと、このソ連が抑留していった人数と引き揚げてこられた人数との間には約十万名の差があるわけでございます。ところが、死亡推定六千五百となるとあとの四千五百は一体どうなったのだろうか、こういう疑問が生ずるわけでございますが、この点についてどのようになっておりますか、お伺いします。
○森山説明員 お答えいたします。 ソ連に抑留されました方の数字でございますが、これは従来から私の方では五十七万五千でございます。このうちモンゴルに一万三千四百名が抑留されておりますが、これも内数でございます。それから帰還者の数でございますが、これは先生いまおっしゃいましたように四十七万二千九百四十二名。この数字は、当時引き揚げの受け入れ機関といたしまして、ソ連でございますと舞鶴地方引揚援護局というのがございまして、そこの受け入れた時点の報告がございまして、これを統計したものでございます。死亡推定でございますが、これは約五万五千人でございます。 それから一たんソ連本土に抑留をされまして、病弱等のためにまた旧満州などに帰された方がございます。これが四万七千ございます。 したがいまして、この帰還者約四十七万三千でございますが、これと死亡推定五万五千、それからその後また送り返された方四万七千、これをトータルいたしますと、五十七万五千ということになるわけでございます。
○飯田分科員 ただいまの抑留者、これはどうも性格がはっきりしないのですが、いろいろお話を承っていますと、どうもソ連が捕虜として捕獲したように思われるのでございます。もし捕虜として捕獲したのでなければ、あのようなソ連への抑留ということは国際法上大変な問題になると思われます。 そこで、一応私は捕虜として捕獲したのではないか、こう推定をいたしまして質問をいたしますので、間違っておればそうではないとおっしゃっていただきたいわけです。 ソ連によりまして日本の軍人軍属、民間人が捕虜として捕獲が始まりましたのは昭和二十年の九月一日から九月三十日ごろだ、こう言われております。当時私も満州におりまして、その事情はよく存じておりますが、大体そのころであったと思います。そしてその捕獲が終わった時期は、北朝鮮の方におった軍隊の問題であろうと思いますが、昭和二十一年六月二十一日から昭和二十一年の九月十九日、その間の問題であろうと言われております。 そこで、この間に捕虜として捕獲をされておる人たちでございますが、この時期といいますと、すべて終戦の詔勅以後の問題でございます。日本軍が作戦任務を解かれた時期は、いろいろの記録によりますと、これは防衛研修所の戦史部の方からいただいた資料でございますが、大陸令第千三百八十六号、これは昭和二十年の八月十九日に出されております。これによりますと、作戦任務を解いた時期は、八月二十二日の午前零時。それから同じく、第一総軍、第二総軍、航空総軍以外のところにおきましては八月二十五日の午前零時だ、このようになっておるということを聞いております。 それからまた、日本陸軍が廃止され消滅した時期につきましては、これは陸軍省官制が廃止になりましたのが昭和二十年十一月三十日、それから参謀本部が廃止になりましたのが昭和二十年の十月十五日である、これも防衛研修所の戦史部の回答によって私はこのように存じておるわけですが……。 そうしますと、この日本陸軍がなくなってしまったその以後において、このソ連による捕虜の捕獲が行われておるというふうに考えざるを得ないのであります。 こうした、戦争がもう終わって、なくなってしまって、しかも日本軍は無条件降伏をいたしておる。国家として軍隊というものがなくなってしまった、その段階におきまして、一体日本国民を捕虜とすることができるであろうかという問題が生じてくると思うのであります。この問題について政府はどのようにお考えでしょうか、お尋ねをいたします。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 わが国はポツダム宣言を受諾いたしまして、当時交戦者でございました全軍は、ポツダム宣言第九項に従いまして、各地における武装解除が進められたわけでございます。その過程におきまして、停戦命令でございますとか、いま先生御指摘のような作戦任務の解除の指令、また日本旧陸軍が国内において消滅するような事態があったわけでございますが、いずれもわが国の降伏という大枠の中で、わが国の交戦者でございました全軍が武装解除を受け、日本に復員されるという大枠の中でのそれぞれの措置がとられたわけでございまして、そのそれぞれの措置の時点で全軍の地位が変わるということではございませんで、私どもといたしましては、全軍は、交戦法規の対象となる交戦者として交戦法規上認められておる権利を享受することのできたものであった、このように観念し、そのような見地から、ソ連が、ソ連の権力内に入りましたわが国の将兵の方々に対しまして不当な扱いをいたしましたことに対して、交戦者としての交戦法規上認められておる権利を遵守すべきであるということを一貫して主張してまいったわけでございます。
○飯田分科員 ただいまソ連に抑留された人を交戦者というふうにおっしゃいましたが、私はこの問題について大変疑問を持つわけです。といいますのは、交戦者という言葉、これはやはりハーグ条約の陸戦法規の中に出てくる、捕虜に関する規定の中に出てくると思いますが、この場合、これは実際に戦いを行っておる、両国が交戦をしておるその段階において、交戦者に属する人間のことを指しておると思うものであります。 この場合、終戦後においての抑留の場合、日本軍は軍隊を解消してしまっているのですから、軍隊を解消してしまったものが戦争はやれるはずはないので、戦争が存在したとは言えないと私は考えざるを得ないと思います。 戦争が存在しない場合に、その一国の、戦争しない国民が、どうして交戦者になるのか、これはまことに不思議なことであろうと思います。実際上存在しないものを、実体として存在しないものを、観念でもってつくり上げることではないか、このように思いますが、いかがでしょうか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘のように、わが国がポツダム宣言を受諾いたしまして、停戦命令が出ておりますので、事実上の戦闘行為と申しますものは、できるだけその時点後、速やかに停止されるような事態にあったわけでございますが、一方、停戦が実現いたしましても、海外におられますわが国の将兵が、敵の、当時の敵の勢力下に入り、そしてその上で復員をされるわけでございますが、その間の身分の保証と申すものは、国際法上主張できるものでございまして、先生御指摘のように、実際に戦闘行為が行われておる場合に敵の勢力下に入られた方々と、戦闘行為が終わっておるけれども、法的な戦争状態が継続しておる時代に敵の勢力下に入られた方々につきましても、同様正当な人道上の取り扱いを受ける権利を主張する根拠が国際法上あったというのが政府の一貫した立場でございます。
○飯田分科員 国際法上、ソ連に抑留されたわが国の国民の利益を保護するために、捕虜としての扱いを要求したいためにそういうふうに考えたということであるならば、これは一つの手段として認め得ると思うものでありますが、国内に帰ってきた抑留者をわれわれ現在の国内法に照らして考えるという立場からいきますと、少しく疑問があるのではないかと思います。 昭和五十四年の二月二十七日の予算委員会の第一分科会で瀬野分科員が質問をされました。それに答えまして田中国務大臣は、日ソ間の戦争は昭和三十一年十二月十二日の日ソ共同宣言で終結しておる、こう述べられております。そうしますと、昭和三十一年十二月十二日までは戦争状態だ、戦争があったのだ、このような御認識だと思いますが、ソ連の立場がどうあろうと、わが国の立場としましては、現行憲法が施行されましたのは昭和二十二年の五月三日でございます。したがいまして、現行憲法の施行されました昭和二十二年五月三日以降におきましては、わが国は戦争を放棄いたしております。陸海空軍その他の戦力を有していないのであります。これは観念として放棄しておったり、観念として有してないのではなくて、事実上実態的に戦争放棄し、または陸海空軍を有していない、これが現実の事実でございます。この事実は国際法といえども認めざるを得ないのではないか。国際法は、観念論ではなしに、現実の事実に即して行われる先例の集積並びにそれに対する修正でありますから、この問題について、私どもはいままでのような考え方に疑問を持つものであります。少なくとも憲法施行以後におきましては日ソ間の戦争状態は事実上存在し得ない。日本側が軍隊を持たない、戦争を放棄しておるのに、ソ連がどんなに戦争だと主張しましても、そこには戦争状態は成り立たない、そのように私は考えるわけです。憲法施行後の戦争状態というのは事実上成立しないのだ。一切の抵抗を終止する場合は事実上の戦争の終了を意味します。日本の戦力が消滅したのだから、日本の将兵を捕虜とする法的根拠もなくなったのではないか。つまり、国際法といえども実体がなくなったものについて国際法の適用ということはあり得ないのではないか、このように考えるわけであります。 日ソ間におきましては、今日、終戦後三十四年を経過しております。しかも、今日でも平和条約の締結はないのです。平和条約の締結ということが戦争の終結を意味するという従来の考え方でいきますならば、現在外交関係は樹立されておるけれども平和状態はないのだ、こういうふうに矛盾したことを言わざるを得ないのであります。日ソ共同宣言というものがあれば平和条約がなくても平和になると言うのなら、これもまた観念論であります。実体は、日本が戦争を放棄し、憲法改正を行って以来日本は戦力を持たないのだから、そのとき以来戦争状態はない、平和状態だと言わざるを得ない。こうした状態は新しい国際法であろうと思います。こうした状態を認める国際法が現在つくられつつあるのではないか。つまり、今日日本がとった態度は、国際法の先例として将来とも認められていく材料となるのではないか、私はこのように思うものでありますが、政府の御見解をお尋ねいたします。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 まず、法的な戦争状態の問題でございますが、先生御指摘のように、新憲法が施行になりましてわが国は戦争を放棄いたしておりますので、国内的にわが国が戦争をし得るような状態でなかったことはそのとおりでございます。ただ、国家間の国際法上の問題といたしまして、戦争状態というものが法的に終結いたしますのは、平和条約等終結のための国際約束によりまして終了せしめられるのが一般でございます。新憲法施行後も連合国の日本占領は継続いたしておりまして、連合国の多くの国との戦争状態はサンフランシスコ平和条約によって終了いたしました。 また、先生御指摘の日ソ間の場合にも、戦争状態の法的な終了は、やはり一九五六年の日ソ共同宣言というものによって終了したのが事実でございます。 なお、戦争状態があったから、ソ連はわが国の将兵を抑留する根拠があったというふうには私ども考えておりませんで、ポツダム宣言の条項にのっとりまして、武装解除されました日本将兵は速やかに日本に復員させらるべきものであったと思います。その点で、ソ連側には、わが方が主張しております交戦法規の適用についての不当な扱いがあったというふうに考えておるわけでございます。
○飯田分科員 ただいまの御答弁は、新しい世界の情勢を裁いていく国際法、新しくつくっていく国際法、そういうものの立場から言いますならば満足するわけにはまいりませんが、私がここでお尋ねいたしたいと思いましたのは、ソ連がどうこうという問題ではなしに、ソ連に抑留された人たちが日本へ帰ってこられて、そしてソ連における非常な苦痛、これに対して補償を求めておるというこの事実、この問題については、やはり何とか解決する道を考えざるを得ないではないかという立場からお尋ねをいたしておるわけでございます。 そこで、これは別の観点からまたお尋ねいたしますが、昨年の二月二十七日の予算委員会の第一分科会での質問に答えまして田中国務大臣は、戦争による犠牲は国外、国内のあらゆる日本人が受けているのだから、政府としては戦争を中心とする日本人の苦労には区別のつけようがない、こういう答弁をしておられます。本日、瀬野分科員の質問に対する長官の御答弁を承っておりますと、やはり同じような内容の御答弁であったと思います。 そこで、この問題について少しくお尋ねをいたしたいわけですが、ソ連で強制労働を受けておった人たちは、戦争で国民がひとしく受けた被害、そういうものとは次元が異なるのではないか、こう思うものであります。戦争が昭和二十年八月に終わりまして、それまでの間に戦争によってたくさんの人が被害を受けた、これは同じかもしれません。しかし、その後のソ連の強制労働というものは、これはソ連が終戦後において日本の軍、官、民をだまして——私はあえてだましてという言葉を使いますのは、あのときの捕獲の状況がきわめて不明朗であったからであります。そして、シベリアに連れていきまして、そこで強制労働を課したというこの事実は決して戦争での犠牲と見ることはできないのであって、わが国の政策の至らなさからソ連に乗ぜられて、わが国の軍、官、民が強制労働を受けたんだ、こういう事実でございます。でありますから、これは国民がひとしく戦争で受けた被害というものとはやはり次元が異なる、このように言わざるを得ないのであります。これは戦時中の被害ではなくて、終戦後日本が戦争放棄をした後の日本において、その背景下において、なおこういう事実が行われたということでございますので、この点につきまして御答弁を求めたいと思います。これは政府委員の方の御答弁がありました後で大臣の御答弁があったら、大臣もお願いいたします。
○清水政府委員 お話のシベリア抑留の御苦労につきましては、るる指摘されておりますし、私どもも大変なものであったと御想像申し上げております。しかしながら、この問題につきましては、やはり戦争の経過、最後にはあのような結末になった経過を総合的に考えざるを得ないわけでございますし、いろいろの種類があったということは改めて申し上げるまでもないところでございます。どの一つを、特に他よりも楽であったとか重かったとかという議論はなかなかできにくいことであろう。心情的には、おっしゃることは私としてもよく理解できるつもりでございますけれども、どうも比較ということはやはりできない事柄ではなかろうかというふうに思いまして、従前ひとしく受けた戦争損害だという立場から御答弁を申し上げてきたわけでございます。
○伊東国務大臣 お答え申し上げますが、先生の御議論の一つに、終戦処理がうまくいかなかった、失敗という言葉はなんでございますが、終戦処理が失敗だったのでああいう事態が起きたのじゃないかというお話でございますが、いろいろあの当時のことを考えてみますと、それはいろいろ御議論はあるところだと私は思うわけでございます。いま、ここでシベリアに抑留された方々だけに何か特別なことを考えろというお気持ちも——私は中国で抑留されましたが、シベリアの方がそれははるかに大変だったろうと思います。私も、それは想像はつくわけでございますが、シベリアに抑留された方々だけにいま何らかの措置を考えていくということは、いろいろな方々とのバランスその他を考えますと、終戦処理が失敗したのだからとおっしゃいますけれども、これはいろいろ議論のあるところでございますので、なかなか困難なことだと私は率直にそう申し上げる次第でございます。
○飯田分科員 実は私が申しましたのは、ソビエトに抑留されました方々が大変な強制労働を受けられた、この強制労働を受けたということは、ほかの地区ではこういうことは起こらなかったのではないか。ほかのところでは、まあ個別的にはあったかもしれませんが、集団的にあのように全部の者が強制労働ということはなかったのではないか。しかも、これは逃れることのできない立場において行われた。そこにおきまして多くの人が亡くなった。帰られた人も非常な苦労をして帰ってこられた。こういう問題は、単なる戦争中に起こった戦地における国民の苦労というものとは別のものではないか、次元が違うのではないか、このように私は考えるわけであります。 したがいまして、こうした人たちに対して何らか国として補償をするということが必要ではないかと思います。官公吏であった人に対して年金を支給するとか恩給を支給するとかいったような問題ではない。官公吏は当然恩給法によってもらうでしょう。しかし、そういうこととは別に、恩給とかそういうことは一切のけにして、すべてにソ連で抑留された方というのは別の苦労を受けた、別の苦しみを受けた、しかも、これは日本国が戦争に負けたということ、それも一つの国策の誤りだと思いますが、日本国が戦争に負けたということのために起こってきた特別の状態なんですから、これに対して何らかの措置を講じていただくということが私は必要ではないかと思います。しかも、ソ連に抑留された方々は、普通ならば政府の違法行為に対して損害賠償請求を持つものであろうと思います。ところが、その損害賠償請求さえも許されない、慰謝料の請求さえも許されないということになりますと、これは問題であろうと私は思うものであります。 時間が迫っておりますのでなんですが、損害賠償請求というものも取られてしまったそういう人たち、しかも、国はこれに対して何ら特別の配慮をしていない。引き揚げ者に引き揚げ者給付をやったからいいじゃないか、こういうような御答弁が前の議事録に載っていましたが、引き揚げ者に対して引き揚げ者給付を出したという問題と、このソ連の強制労働で苦しんだ人に対する慰謝料に相当する補償、こういう問題とは違うのではないかと私は思います。引き揚げ者給付ももちろん差し上げなければならぬ。また年金に該当するのなら年金も差し上げなければならぬ。が、そのほかにソ連の強制労働によって苦しまれたその方々に対する国としての、まあ言葉は悪いかもしれませんが、慰謝料ですね、こういうものは当然考えなければならぬじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。大臣お願いします。
○伊東国務大臣 四十三年に一回最高裁で判決を出しておりますので、法律的にはそういうことでずっと進んでいるわけでございます。先生のおっしゃることは、シベリアは特別なことじゃないか、何か考えられないかという御質問でございまして、お気持ちは私はわかるのでございますが、国としてそれに何らかいま特別な措置をするということは、いろいろなことを総合的に考えてみますと、やはり私は困難だ、非常にむずかしいことだというふうに、どうも先生の意に沿わないお答えで申しわけございませんが、そういうふうに考えておる次第でございます。
○飯田分科員 最後に一つだけ。 大臣の御答弁、どうも私は余り満足できないのです。これは、こういう理屈を言うて申しわけないのですが、日本の憲法が施行されましてから行われたソ連の抑留者に対する強制労働なんです。国内法上、全部日本の法律は憲法によって左右されておるわけでして、この憲法によりますと、奴隷的拘束及び苦役は一切受けないのだ、そういうことを受けない保障をするのだ、こうしておるのです。ところが、ソ連の抑留者が日本憲法が施行された後において、奴隷的拘束及び苦役を受けておるじゃないか。しかも、この奴隷的拘束及び苦役は、抑留された人の自由意思によってやったわけじゃないし、犯罪を犯したからやったわけではないわけです。国の終戦処理、これを私、失敗だと言うと、皆さん方がお怒りになるといけないから失敗とは申しませんよ。しかし、国の終戦処理、そのことから起こってきた問題、こういう問題ですから、これに対して何らか国が補償をするということは国の責任じゃないか。こういう問題につきまして、従来、法律的に成立しないのだとか、判例がどうとか、こういうお話で拒否されてきておるのですけれども、こういう実際の事実をはっきり見きわめていただきまするならば、やはり憲法の九十九条の憲法尊重の義務、このものがある以上、政府は、これに反することができないのじゃないか。つまり、日本国憲法が施行されました後において、ソ連の抑留者は奴隷的拘束及び苦役を受けてきた。そうでありますならば、これに対して国として、少しでも構わぬから、何らかの経済的な慰労をすべきではないか、私は、このように考えるものであります。私は、大臣に再考をお願いしたいのですが、いかがでしょう。
○伊東国務大臣 いま先生おっしゃったように、憲法には奴隷的な拘束とか苦役は国が損害補償するというようなことがあるわけでございますが、この事態は、先ほど事務当局から申し上げましたとおり、日本では確かに新憲法ができたのでございますが、ソ連との間には講和条約も、サンフランシスコにも参加しておりませんし、平和条約もないので、鳩山さんが行かれまして、日ソ共同宣言をして、いわゆる戦争状態をなくしたというのが公的なわれわれの解釈でございますので、その間は、ソ連との間には法律的には戦争状態が残ったということで、国内的には捕虜ではもちろんございませんが、国際的にはまあ捕虜の待遇ということで、いままで法律解釈をしているわけでございまして、憲法ではそうしたことを全然予想してないことでいままで法律的にはきているわけでごいまして、先生は、憲法上損害を補償する義務があるとおっしゃいますが、私どもは、憲法の考えていたところはこういう問題じゃないということで、これは憲法違反ではないだろうということを有権的に解釈をしておるわけでございまして、先生のお気持ちは、また法律論とは別にしましてもあるということはわかりますが、いまのお答えは、ここで特別なことをやるのはなかなか困難な、非常にむずかしいことでございますということを申し上げて、どうも意に沿わぬお答えで恐縮でございますが、政府としましては、そういう態度でいることを申し上げる次第でございます。
○飯田分科員 終わります。
○中島(源)主査代理 以上で飯田君の質疑は終了いたしました。 次に、米沢隆君。
○米沢分科員 私も、戦後のソ連に強制抑留されました者の補償等に関する問題について政府の見解をただしたいと思います。これは、けさほど来問題提起が種々あっておりますし、ダブるかもしれませんけれども、御容赦を賜りたいと存じます。 この問題は、再三にわたり国会でも取り上げられ、全国的にも戦後強制抑留補償要求推進協議会を中心に運動が展開されておりますから、すでに官房長官の耳には達していると存じますので、前口上は抜きにしまして、単刀直入にお伺いをしたいと存じます。 そこで戦後、不法にもソ連に拉致され、酷寒のもとで強制労働を強いられた者に対し何らかの補償をするのが政府の責任ではないかという強い要請に対しまして、従来から、また、いまお答えありましたように、政府の見解は、戦後処理は、昭和四十二年の引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律制定によって、すでに終結したという観点から、前向きの答弁はなされておりませんが、現段階においても全然変わっていないのか。この問題について検討されたことがありますれば、検討の過程と、その結果につき政府の見解を求めたいと存じます。——これは官房長官にお聞きします。
○清水政府委員 恐れ入りますが、先に答弁させていただきます。 ただいまも先生お話しのとおり、昭和四十二年の措置をもちまして、政府といたしましては、戦後処理問題は全部終わったという見解をとっているわけでございます。先ほど来の問題でありますシベリア抑留の御苦労の問題につきましても、そうした観点から、いま改めてそこだけを取り上げるということはできない、これは、きわめて困難な問題であるということを申し上げているわけでございます。
○伊東国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、補償という問題になりますと、法律上の損害の補償という見地から、これを何か考えるということにつきましては、われわれは困難なことだという同じ考えを実は持っております。
○米沢分科員 前向きの答弁ではありませんが、お伺いいたしておりますと、なぜだめかという問題を考えましたときに、政府は、補償はしなければならないが、すべてその分については終わったという見解に立たれておるのか、それとも補償そのものの意味がないというふうな見解に立たれておるかというその選択の問題ではないかと思うのです。ですから、強制労働を強いられた皆さん方のその労働に対して、役務賠償と見るか、それとも政府が従来から申しておりますように、拉致され、強制労働につかされたということは、単なる事実行為であるという見方をとるかというその考え方にやっぱりよるのだと思います。 そういう意味で、官房長官、この問題は、補償するに値しないという立場でそうおっしゃっておるのか、それとも補償する必要みたいなものは感ずるけれども、もう勘弁してくれというのか、そのあたりをちょっとはっきりしてほしいと思うのです。
○伊東国務大臣 法律的なことで間違うといけませんから、ひとつ事務当局から申し上げます。
○山田(中)政府委員 お答え申します。 まず、国際的な関係についてお答え申し上げます。私どもといたしましては、ソ連に抑留されました旧軍人軍属の方々は、交戦法規に違反した不当な扱いを受けたというふうに観念いたしております。ただ、ソ連との関係におきましては、日ソ共同宣言の第六項によりまして請求権を放棄いたしておりますので、対ソ連との関係では請求権の放棄が行われておるということでございます。
○米沢分科員 私が聞いておりますのは、ソ連と日本との関係が終結したということではなくて、強制労働に付された皆さん方に対して政府として補償云々を言うておるのですから、そのあたりをちょっとわきまえて答弁してほしいと思います。
○清水政府委員 ただいまの外務省の答弁、対外的な側面からはそのように理解できるわけでございます。総合的に考えましてどうかということになろうかと思いますが、この点はまさに、繰り返しになって恐縮でございますが、戦中並びに戦後にかけてのいわゆる戦争に伴う国民の広く受けた犠牲あるいは苦痛、こういう問題であるわけでございます。したがいまして、事案としての御苦労ということにつきましては、もちろん御同情申し上げるわけでございますが、全体としてやむを得なかった、わが国として全く経験のなかった異常な事態の中での国民全体の受けた苦痛、こういうふうに考えざるを得ないわけでございます。そういう意味におきましてに政府として戦争損害の問題についての見解と申しますか、これは従前からも最高裁の判決等でも出ていることを引用したこともございますけれども、要するに、そのような立場で考えていかざるを得ないということを申し上げているわけでございます。
○米沢分科員 戦中戦後を通じて日本国民が共通に苦痛を受けたということは私も認めます。しかしながら、それぞれの法律があることではありますが、たとえば軍人さんが行って戦死したらお金は出す、内地で戦災を受けて死んだ方には関係ない、そういうことになっておるわけですね。ひとしく国民という立場で被害を受けたことでは、軍人さんでも内地で営々と生活をされた方々でも私は一緒だと思うのです。にもかかわらず、それぞれの必要があって法律をつくり、措置するところは措置しておる、そういう実態から考えますと、国民共通の苦痛であるから忍んでもらわねばならないという論理は、ちょっと私は当てはまらないのではないか、そんな感じがするわけです。 そこで、おたくの答弁を聞いておりまして感じますことは、同情に値はするけれども補償をする立場にないという見解だと思っていいのですか。
○清水政府委員 少し言葉を補足さしていただきますが、先ほど基本的なことを申し上げましたが、もちろん、ただいま先生御指摘のように、そうした中にありまして、たとえば亡くなられた方あるいは戦傷病者というような方に対しましては、それぞれの措置がとられているわけでございます。そのような特別の措置をとった場合以外につきましては、戦後処理は全部終了したということできているわけでございまして、改めてどれか一つを取り上げるということは、全体とのバランス、そういうようなことから、きわめて困難だということを繰り返して御答弁申し上げているわけでございます。
○米沢分科員 そのきわめて困難だということは、補償するに値しないという見解かということを聞いているのです。イエスかノーかで答えてほしい。
○清水政府委員 いわゆる法的な意味においての補償の責任がないということは、前提として申し上げているわけでございます。
○米沢分科員 法的な責任はない……。 そこで、逐次皆さんの所信を伺いたいのでありますが、まず最初に、御承知のとおり、連合国三国によるポツダム宣言が発せられましたのが昭和二十年七月二十六日。ソ連はポツダム宣言には直接加わっておりませんが、八月八日に至ってこの宣言に署名をいたしておりますね。その際、同じ日にソ連は対日宣戦布告を一方的に行っているわけであります。その真意、理由については、いろいろ言われておりますが、定かではありません。この対日宣戦布告を当時の政府はどう受けとめていたのか、いまから考えてどのような理由であったのか、政府の見解をお伺いしたいと思います。
○兵藤説明員 お答えいたします。 当時ソ連が対日宣戦をしましたときには、なお日ソ中立条約が有効であったわけでございますが、その日ソ中立条約を無視して、日本に宣戦布告をしたと私どもは受け取っているわけでございます。
○米沢分科員 その事実を聞いておるのじゃありません。そんなことはわかっておるわけです。なぜソ連がポツダム宣言に署名すると同時に、その日に対日宣戦布告を行ったのか、ソ連の真意は一体那辺にあったのか、皆さんの立場としてそれをどうお考えいただいておるのか、そのことを聞いておるのです。
○兵藤説明員 これは相手国政府のとった行動でございますので、そのとった行為の背後にあります真意について、私がこの席で云々することは差し控えさせていただきたいと存じます。
○米沢分科員 しかし、当時の政府もこのことは驚きであったろうし、那辺に対日宣戦布告の理由があるのかということは私は大きな話題になったと思いますね。それゆえに、当時の政府の受けとめ方みたいなものは、そういう逃げる答弁ではなくて、いま御答弁いただいてもおかしくない問題だ、私はそう思うのです。 これは時間もかかりましょうからおきますけれども、この対日宣戦布告というのは、ソ連側の理由によれば、日本国はポツダム宣言を拒絶した、あるいはソ連は連合国の要請に基づいて戦争の終結を早めるために参戦するというような理屈を言うておりますけれども、これは私は、いちゃもんにすぎない、そう思うのです。そして、そのあたりの背景を考えてみまするに、これに先立って昭和二十年の二月に、ドイツに対してクリミア宣言を出し、それを受けてドイツは結果的には敗北をし、ポツダム宣言云々をやっておるころにおきまして、すでにソ連各地でドイツ将兵は引っ張られて、強制労働に引き立てられておるわけですね。そういうことを考えてみますと、対日宣戦布告を一方的にやったということは、ソ連からしてみますと、ドイツの将兵を連れていって強制労働させる、それも、計画的に強制労働させる、そういう状態を日本に対してもやろう、そのために対日宣戦布告をやったのではないか、それが一部の要因になっておるのではないか、こう思うのだけれども、いかがですか。
○兵藤説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、当時の置かれた国際状況の中で、ソ連がいかなる意図、そこには政治的、軍事的いろいろな意図があったと存じますけれども、そのもとに対日宣戦を断行したのかという点について、ただいま先生から一つの御見解があったわけでございますけれども、私ども政府といたしまして、ソ連側の意図についてここで云々することは適当と思われませんので、差し控えさせていただきたいと存じます。
○米沢分科員 日本は八月十五日ポツダム宣言を受諾して戦争は終結をし、日本軍は武装解除されたわけですが、ポツダム宣言第九項に反して拉致された、これは国際法上大きな問題があると思いますね。この間、本来ならば第九項に言いますように「日本国軍隊ハ完全ニ武装ヲ解除セラレタル後各自ノ家庭ニ復帰シ平和的且生産的ノ生活ヲ営ムノ機会ヲ得シメラルベシ」、そうしてもらわねばならなかったわけでありますけれども、しなかったわけですね。この間、敗戦国として日本は、当時の状況としてはまことにこういうものはやむを得ない、どうしようもなかったということを政府は再々言っておられますけれども、このような場合、日本、すなわち政府としての責任は一体どう考えたらいいのか。やむを得なかったということだけで責任は免除されるものでしょうか、官房長官。
○伊東国務大臣 いま先生の御質問の点は、終戦の際のことを御質問になって、そういう八月十五日の終戦宣言ということがいろいろな結果を及ぼした、それから起きた責任は日本政府にあるのだから、やむを得ないということで済まされるかという御質問でございますが、あの当時の終戦、それからその直後のことを考えてみますと、それが全部国の責任だということになりまして、いまいろいろな損害補償をせなければならぬというようなところに、戦争による損害を全部国の責任として補償せねばならぬかどうかという法律的な問題になりますと、それはいろいろ御議論がありましょうが、国において損害を補償するという法的な責任はいまはもうないのだ、四十二年でしたか、あれで外地の問題は一応終わりということを法律的にはわれわれは考えておるわけでございます。
○米沢分科員 ところで、昭和三十一年の十二月十二日に日ソ共同宣言が発効した。それまでは両国間の戦争状態は形の上では継続されておったわけですね。ですから、終戦になってから、ソ連が日本の兵隊さんを初め民間人を含めて拉致し、強制労働させたということは、ソ連としては戦時捕虜として扱っていたと御理解なさっておるのですか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 ソ連の勢力下に入りましたわが国将兵、軍属が、交戦法規に言う捕虜の権利を受くべき立場にあったというのがわが国政府の立場でございます。さらにソ連はその交戦法規上与えるべき待遇を与えなかったというのも、わが国の立場でございます。(米沢分科員「聞き漏らしたのでもう一回お願いします」と呼ぶ) 失礼いたしました。ソ連の勢力下に入りましたわが国の将兵は、戦争法規に基づいて捕虜として正当な人道上の待遇を受けるべき権利を有しておられた方々であるというのがわが国の立場でございます。なお、はなはだ遺憾なことでございますが、ソ連はそのような待遇を与えないで不当なことを行ったというのもわが国の立場でございます。
○米沢分科員 いま日本の政府の見方はどうあれ、当時のことをいろいろと調べてみますと、ソ連は少なくとも日本人の強制労働を賠償として見ておる節があるのですね。たとえば、当時は少なくとも外務省自身も、ソ連がドイツに対してやっておること、将兵を連れていって強制労働さしておる、そのあたりは賠償がわりに連行して労働を強いているという見解をとっておるわけですね。それと同じことが同じソ連によってやられたわけでありますから、政府は、賠償の一形態として認めると補償の問題が出るというふうに考えられて賠償の形態ではないというふうに見解を持っておられますけれども、私は当時の外務省の見解、外務省の文書等を読ましてもらいますと、その当時の外務省の見解は、日本人の強制労働そのものは、どうも賠償の一環として行われておるという見解を持っておられるような感じがするのですね。ちょっとその前後の時間の差異はありますが、ソ連のドイツに対して行っておる措置そのものは賠償的なものであるという見解のもとに立って、このポツダム宣言を受けるかどうかの審議をされる場合に建議されておられますね。ですからいま政府が、これは賠償の一形態ではない、こうおっしゃいますけれども、どうもそのあたりは私は間違いではないかと思うのですね。いかがなんでしょうか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 いま先生御指摘になりました外務省の調書は、昭和二十年八月九日付の「米英支ポツダム宣言の検討」という文書を御指摘になっておるのではないかと思いますが、この文書はポツダム宣言の受諾に当たりまして、政府部内の参考用として三カ国のポツダム宣言の内容を検討いたした際の作業文書でございます。クリミヤ宣言などと比較しつつ検討した作業文書でございます。この文書の中で、ポツダム宣言第九項の日本国軍隊の武装解除に関する規定については「独の場合の如く賠償に代る労働力の提供の意味をもつて兵員を敵国内労働の為拉致し去る意図なきを示すと解せらる。」というふうに記載が行われております。この調書が作成されました時期はドイツの降伏後間もない時期でございまして、敗戦直前の非常にあわただしい時期でございました。当時、関係者がいかなる資料で連合国による敗戦ドイツの取り扱いをどのように判断いたしておったかは、実は私どもはっきりいたしておりませんが、いずれにいたしましても、日本将兵のシベリア抑留につきまして、わが国としてはこれを賠償の一形態であるとして認めたことは一度もございません。
○米沢分科員 私は、それは曲解だと思いますね。その当時、いまおっしゃいました外交文書等によっては、クリミヤ宣言の内容とポツダム宣言の内容を比較するに当たって、現にソ連がドイツに対して行っておるドイツ将兵を連れていって強制労働に付すということを、賠償の一形態であるというふうに認めておるわけですね。その同じことが日本軍に対してもやられたわけであるから、その思考の延長線上にあるものは、結果的には日本に対して行ったこの強制労働というものは、当時の外務省の言うように賠償の一形態であったと考えるのが、これは素直な考え方じゃありませんか。その上、ソ連そのものも御承知のとおり、ちょうど二十年九月三日、プラウダ紙に、スターリン首相のソ連国民に対する布告というのが出されておりますが、ソ連自身はその文書の中で「彼らは」これは日本ですね。「わが国に対してもまた甚大な損害を与えている。このゆえにわれわれは日本に対して特別勘定を有するものである。」すなわちソ連が日本、ドイツ両国に対して戦時賠償法上の特別勘定を有しておると彼らは思って日本軍を連れていっておるわけですよ。ドイツにやったと同じ行為が日本にやられて、その上ソ連そのものも戦時賠償法による特別勘定を有しておるという観点から日本軍を連れていっておるわけだから、これは賠償の一形態としてソ連がやったと思っても、何もおかしくないのじゃありませんか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 繰り返しになるかもわかりませんが、わが国がポツダム宣言を受諾いたします際に外務省内での当時行われました検討は、ポツダム宣言の第九項はわが国の将兵を「独の場合の如く賠償に代る労働力の提供の意味をもつて」連れ去っていくものではないと理解するということでございます。なお、先生御指摘のようにドイツの場合につきましても、将兵がソ連領に連れていかれ強制労働させられたというのは事実でございますし、また先生御指摘になりましたような記事があったのも事実でございます。ただ、ポツダム宣言を受諾いたしました政府といたしましては、その第九項に基づき武装解除させられたわが国将兵は速やかに復員させられるべきたてまえである、ソ連はこの宣言を遵守すべき義務があったというのが、政府の一貫した考え方でございます。
○米沢分科員 賠償の一形態という形で認めると補償という問題が起こる、したがっていま政府の見解は一貫して賠償の一形態として認めない、どうもそういうふうなことでその見解をとられておるような感じがしてなりません。私は、この外交文書の考え方の延長線にあるものは、ちょうどいろいろとこの検討をなされたのがポツダム宣言を受けるかどうかの以前の問題でありますから、以後、日本人が連れていかれて強制労働に付されるという、その事実を踏まえての文書がありませんので逃げておられると思うのでありますが、この検討過程において、ソ連がドイツにやっておることは賠償の一形態として彼らは考えておる、その分を日本に対してはやらないというふうに私たちは考えておるのだという見解を示されておる。しかし結果的にはそのことをやったのだから、その延長線にあるものは、やはり日本軍に対して賠償の一形態としてソ連がやっておるのだという見解をとるのが素直ですね。ソ連もその気持ちでおったわけだ。したがって、いまさらながらそんなものは賠償の一形態でもないとおっしゃいますけれども、私はそれは逃げ口上だ、そう思わざるを得ません。これは水かけ論でありますが、もう一回篤と外交文書を見直して検討し直してほしいと思うのであります。 そこで、余り時間もありませんけれども、最後に日ソ共同宣言の六項によって、一九四五年すなわち昭和二十年八月九日以来の戦争の結果として生じた請求権は、相互放棄がうたってある。そこで、相互放棄がうたってあるということは、日本にも放棄するに足る請求内容があったのか。昭和二十年八月九日以来の戦争だ、その結果生じた、請求しなければならない、請求内容に値するものがあったと理解をして相互に放棄したのか、そのことが第一点。 第二点は、あったからこれは放棄したわけですね。そのあったものの中には、少なくともソ連の強制抑留者によって支払われた強制労働という価値があったと私は思いますね。その分を政府の責任において御破算にして、そして、日本とソ連という国同士の決着はついたという見解をとられておるわけでありますから、国と国の決着はついたとしても、日本の政府と強制抑留された皆さん方の強制労働の請求権というものはまだ決着を見ていないわけですね。そういう意味では、政府の責任において放棄したわけだから、日本と今度は強制労働によって働かされた皆さん方の求償権みたいなものは決着がついてない、そう見るのが至当だと思うのだけれども、その点についての御見解をいただきたい。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 日ソ共同宣言で放棄いたしました戦争の結果として生じた請求権、この中には戦闘から直接生じました人的及び物的損害に関するもの、並びに戦争の存在に起因するが、直接には関係国がとった行動に基づいて生ずるものが考えられたわけでございます。 先生御指摘のソ連抑留者の方々の問題でございますが、繰り返し申し上げておりますように、私どもはソ連が抑留者の方々に対しました取り扱いは交戦法規に違反したものでございますので、当然国際法上請求できるものが含まれておったというふうに観念いたしております。 次に、請求権を政府が放棄したのであるから、政府と抑留された方々の関係はどうなるのかという御質問でございますが、いわゆる戦争請求権の放棄は、日ソ共同宣言の場合も、サンフランシスコ平和条約の場合と同様の戦争請求権の放棄をいたしておるわけでございますが、その放棄いたしましたことが直接、法的にそれぞれの方に補償の義務があるかという点になりますと、直接の補償の義務は出てまいらないというのが政府の見解でございますが、その方々の問題をどのようにするのかというのは、これは国内問題でございます。
○米沢分科員 もう時間がなくて大変残念でありますが、いまの問題、国内の問題だから国内の問題として何とかしてくれ、こう言うておるわけですね。まあこれはもっと時間をかけて議論をしなければ、どうも政府の見解は前向きにならない。そこで、最後に官房長官、この問題に関して関係者が名議員に陳情されたり、政府に陳情されたりしておる。その際に、官房長官の属する自民党の先生方も、恩給調査費で何とか実態調査でもやろうかという話をされたり、あるいは性質が違うから別枠で実態調査の予算でもつくろうか、つくってあげる、そういうような話をいろいろなところでされているわけですね。そうしたら、全抑協の皆さん方はその話を聞いて、天下の自民党の先生がそう約束するのだから、そこに一縷の望みを託して、何とか実態調査の予算でも出てくるんじゃないかと、みんなその期待をされながら運動されているわけですね。しかし、いままでの答弁を聞いておりますと、政府はそんなことをする気はさらさらない。幾ら選挙があったとしても、これは全抑協の皆さんに対して侮辱物だと思うな、無責任な発言だと思いますね。もう少し政府としてはっきりけじめをつけて、同じ自民党の先生方にもそのあたりはわかっていただいた上で対処されなければ、私は全抑協の皆さんに対して余りにも無責任な態度だと思うのだけれども、その点、政府としてどう考えておられるのか、その点を最後に、質問を終わりたいと思います。
○伊東国務大臣 いまの御質問は、自民党の議員の方々が関係者の方々にいろいろなことを言っている、それは淡い希望を与えるということで、そういうことはおかしいじゃないかという御質問でございます。私、一々は存じ上げませんが、議員の方の中にもシベリアに抑留された方もあるかもしれませんし、近親者の方でそういう不幸なことに遭われた方もあるかもしれません。議員の方々、自分の心情と見識に基づいて御発言になっておるのだろうと思うのでございますが、関係者の方々は、この損害補償のほかに、遺骨収集とかあるいは墓参とか、いろいろ考えておられる方もあると思うのでございますが、そういう可能なことを至急にやるということは、これは、私はそういうことを言われた先生方もあるのじゃないかと思うわけでございますが、いまの損害補償という法律的な問題になってきますと、これはほかのいろいろなバランスから考えて非常にむずかしいというのがわれわれの考え方でございますので、この点は党の方へも先生の御趣旨もよく連絡をしたいというふうに思っております。
○米沢分科員 この問題は大変むずかしい問題でありましょうけれども、前向きに政府見解を変えられるように希望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○中島(源)主査代理 以上で米沢君の質疑は終了いたしました。 これにて内閣所管についての質疑は終了いたしました。 この際、午後二時から再開することとし、休憩いたします。 午後一時十七分休憩 ————◇————— 午後二時開議
○藤尾主査 休憩前に引き続き会議を開きます。 総理府所管について審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沖本泰幸君。
○沖本分科員 私は限られた時間の中で同和対策特別措置法に関する御質問をしたいと思います。 この措置法は三年の延長が決められて残すところ二年有半であります。この間に政府は残事業を全面的に解消していく、こういうふうに言っておられるわけですけれども、完全解決は、部落差別の実態把握すらいま十分できていないという時点であるわけですし、またいろいろな面から見ますと、差別事件は激増してきておりますし、また労働の方から考えてみましても、失業率は国民平均の約十倍にも達しておる、こういう統計が出ておるわけです。小渕総務長官は、予算委員会の答弁の中で、法は五十六年度末までに一応終わるため、最終年度に処理するためにも五十五年度中に残事業の調査を進めるのは当然である、こういう御答弁をしていらっしゃいます。また、参議院の代表質問では、附帯決議の趣旨を尊重してと、こういう意味のお答えをしていらっしゃるわけです。しかし、この三年延長のときの附帯決議に述べられておる、実態把握のための調査費というものは予算要求に計上されていなかった。また特別措置法の総合的改正、運用の改善については何らの検討もされていないように見受けられるわけです。また、それぞれの大臣がいろいろ視察をなさったわけですけれども、視察の結果に対しての所感なりあるいはお考え、こういうものの内容は、特別措置法三年延長、三つの附帯決議の線に沿って善処していく、あるいは三年の期限内でやろうとするなら、別に必要な法律を確立することが必要だ、また長くかかる問題だから、基本法の制定についても三年後の時点で具体的に検討する必要がある、こういう所感、まだまだ事業が進んでいないところが多い、三年で完全実施できるかどうかは、これはむずかしい問題だ、こうお答えになっている大臣もいらっしゃるわけです。 この部落差別というものは、ここ数年で片づけられるような小さな問題ではない。日本の社会の中に根深く、根強く横たわっておる重大な課題であって、国が責任をもって果たすべきである。だからこそ特別措置法にして、国会あるいは政府が総がかりで法律をまとめて、十年の時限の中で物と心の両面から解決しようと図ったわけです。法律の中に盛り込むものが足りなかった、こういう点で十二項目の内容を整えて補足をしていったというのが事の始まりなんですね。だから同対審の答申の中にも、結局国の責務にかかる問題であり、国民の重大な課題であるというふうな位置づけ、そういうものの内容が盛り込まれておるということになるわけですし、去年はこの国会でも国際人権規約を批准しておる。そういう中の最も重要視しなければならない人権にかかわる大きな問題、こういうものは全部この同和問題の中にあるわけです。そういう点を考えていきますと、単純に片づけられる問題でもないわけです。ですから、国の責務というものを明確にしていただく、こういうことが大事だと考えるわけです。文字の上で国の責務であるということはうたっておるわけですけれども、しかし、先ほど申し上げましたような国民的課題、こういう点から大半の責任が地方自治体、事業の実施に当たってはもうやらざるを得なくなって地方自治体がやってきておる。責任を負わされておる。地方自治体は超過負担であるとか、その他いろんなことによって苦しんでおるのですね。それに引きかえ国は実態把握すら十分できていない。ということになれば、やっぱり国の責任というものを明確にしていく以外にない、こういうことになるわけです。 いままでの十年の特別措置法を実施してきた中で、まあたとえて言うなら、総理府の室長がいまいらっしゃるわけですけれども、室長のいられる同和対策室ができたのは五年たってからです。やっと実態がわかったのが五年を過ぎて二年ぐらいたってからで、残りが三年、現状と変わらないわけですね。三年ぐらいから各省が本格的に力を入れ出したとも言えるわけです。ですから、この時限立法が切れるときに野党の方は、残っている、残っているということを、まだできていないことを盛んに言ったのはそこにあるわけですね。ですから、国自体の動きというものが非常に緩い。責任が十分でない。実際の仕事をする面は地方自治体がほとんど大半はやっておるというところに問題があるということになるわけです。そういう点から見ていきますと、総理府の同和対策審議会自体がどこかへ消えてしまっているということも言えるわけです。ですから、残った三年間のあと二年半という間に実態を把握して、そして具体的な内容のものを盛り込んだ検討を加えるというのは、こういう点から見てもはなはだ心もとないということになります。 そこで、総務長官は予算委員会で、最終年度に処理するためにも五十五年度中に残事業の調査を進めるのは当然だ、こういうことをおっしゃっておられますけれども、残事業を処理すること自体がいわゆる残された二年半の仕事であるというふうにお考えなんでしょうか、その点についてお答えいただきたいと思います。
○小渕国務大臣 お答えいたします。 政府といたしましては、前回同和対策事業特別措置法の延長をいたしましたときに、本院での三項目にわたる附帯決議の趣旨を踏まえまして、全力を上げてこの問題に取り組んでおるところでございます。 その中で、残事業の問題の御指摘ありましたが、この問題を処理するためにも、昭和五十年時点での調査以降、事業につきましてもいろいろと検討いたさなければならない点もありますので、現在精力的に各省庁督励をいたしまして、その把握に努めておるわけでございまして、できる限り早期にそれを取りまとめいたしまして、法律が定めておりますこの期間の中で処理のできるように、そのための資料を早急に整えていきたい、こう考えております。 御指摘にありましたように、残事業の処理だけで同和対策すべて解決するか、こうおっしゃられますと、それはそれがすべてではなく、この附帯決議の御指摘にもありますように、各種の啓発を含めまして、心の問題等につきましても十分配慮していかなければならない、こう考えております。
○沖本分科員 残事業という点についてですけれども、単純計算で五十六年度以降の残事業は約八百億だ、こういうこともおっしゃっておられるわけで、そういう点と絡み合わせて見ていきますと、長官の御答弁なり何なりという点から、政府の実態把握、こうおっしゃっておられる点は、残事業を把握していく、こういう意味合いにとられやすい、そういうふうにとられても仕方がない。政府はそういう方針なのか。こういうことになりますと、自民党の総務会の方で、これはもう三年延ばしただけでこれでいいんだという取り決めみたいなものが流れているわけですね。そうすると、やはりそういうことで政府自体はお茶を濁す、あるいはやる気がないんじゃないだろうか。言葉の上ではこの三年の間にいろいろなことをしなければいかぬということはおっしゃっておるけれども、こういう流れを見ていくと、どうも打ち切ってしまうのじゃないだろうかというふうにとられているわけですね。それでは大変だ、話が違うじゃないかということにもなるわけですし、そうすると、いや、そうじゃないんだ、あらゆる面から十分な調査をやっていくんだ。それでは一体どういう内容のものが実態把握の調査に当たるものなんでしょうか。具体的にどういう調査をお進めになっているんだろうか。あるいは実態調査とは、そういう面をにらみながら市町村からのヒヤリングだけで事を済ましていこう、それが実態調査ということで終わるんじゃないだろうか。あるいは十年の時限立法をもう一度振り返って見直していって、どこに何が足らなかったか、どういう点が抜けておったか、どういう対策がまずかったのか。それを、完全に差別をしてはならないというような面から、国民全体の中から差別というものに対する物の考え方とか対応の仕方だとか、あるいは各省が真剣にそういうものをとらえておるんだろうか。そうではなしに、時限立法で法律ができたから、そのことだけで事を済ませよう、何となくやってしまえば、それで濁せばそれで済むんだというお考えのもとに物事が進んでいるんじゃないだろうか。あるいは一部の人間だけがぎゃあぎゃあ言って、そのことに野党が一緒になって騒いでいる、そういうふうな受け取り方をしていらっしゃるんじゃないだろうか。それだと、いわゆる重要な国の責務にかかわる国民的な重大な課題なんだ、だから国が全力を挙げ、国民が全部認識してこの問題を解決しなければならないんだ、ただ単に物だけの問題ではない、あらゆる社会の機構の中でこの問題はとらえていかなければならない、こういうことになっていかないと、それでは何のために国際人権規約というものを批准なさったんだろうか。それに政府は対応しようとしているのだろうかというようなことを考えていくと、そうすると、何となく全部ちぐはぐなものになってくる。ただ活字だけが動いておる、そういうような感じを受けるのですけれども、その点についてお答えいただきたいと思います。
○小渕国務大臣 同和問題に対して沖本委員かねて来、大変深い御理解をいただいておりますので、ただいまの政府の施策に対する御批判は委員のお考えではなかろうかと存じますが、しかし、世間でそうした御批判があるとすれば、われわれも反省しなければならないと思っております。しかし、政府としては法延長以降三カ年、過去十カ年を踏まえて、これから三カ年の間で残された事業を全力を挙げて解決をいたしたいという趣旨で努力をしておるところでございまして、来年度五十五年度予算等におきましても、厳しい財政状況の中でありますが、他の一般の伸び率に比べますと倍以上の予算的措置をいたしておるところでございまして、それですべて事足れりとは思っておりませんが、政府の姿勢としては、真剣に誠実にこの問題については現時点取り組んでおるということをぜひ御理解いただきたいと思います。 なお、残事業の調査等につきまして、地方自治団体のヒヤリングだけで処置をしているかというお尋ねでございますが、現在どのような手だてを講じて詳細な調査をいたしておるかということにつきましては、政府委員からお答えさせます。
○小島(弘)政府委員 先生御承知のとおり、同和対策のための総合的な基礎資料といたしましては、五十年に大規模な調査をやりました。その後、最近の情勢の変化あるいは地区の増加等々の状況もございますし、地区の御要望の変化もあろうかと思いますので、その基礎資料を補完する意味で、ヒヤリングをやっている。したがって、単なる物的需要の調査だけではございません。就労状況の変化あるいはその具体的な地域における問題等も含めましてヒヤリングあるいは各省庁の関係職員の現地調査というようなことによって、五十年の調査を補完するという形で広範な調査をいたしまして、これをもとに、附帯決議に御指摘のございますような今後の問題について検討を進めてまいるということにしております。
○沖本分科員 結局、予算のとり方とか、予算の上げ方とか、あるいは予算をどういうふうに使っていくか、いろいろなことがありますけれども、予算面だけから物を見たような面も、質問する方の側にもそういう意味合いのものが強くあることも否めないことでもあると思いますけれども、しかし、結局この問題は、労働や教育や生活や人権や産業というものの中に絡んでいるわけですね。差別なんかしていない、恐らくそうだと思います、みんな。心の中で思っていることは、そんなもの文明社会、いまの日本のこういう社会の中であるわけはないということなんですけれども、さてお嫁さんを迎えるとかお婿さんを迎えるとか、そういう事態で、お話し合いができて、さてどこのお方、どういうお方かということになってくると、あああの人は同和の出身だ、部落の出身だ、こういうふうにがらっと話が変わってきて、そこから起こってくるのですね。あるいは就職あるいは就学に当たって、本人の身元のいろいろな調査票なりあるいは経歴なりが上がってくると、そこから俄然問題が起こってくるということになってくるわけですから、思ってもいないようなことが、何かの拍子に当たると、そこから芽が出てきて、そこから問題が起こってくる。ですから、やっぱり基本的に、差別というものは何を意味するのだ、われわれ社会の中で、お互いが社会を構成して生活していく上から、どういうことはわれわれやっちゃいけないか、考えてもいけないし持ってはいけない問題だというようなことが具体的に国民の間に浸透して、それがいろいろな形で消化されていって、生活の中にきちっと出てくるようなところまで持っていくことが、私たちの民主主義の大きな社会のための重要な内容になってくるわけですけれども、ただ、特別措置法ができてから物の面だけがかたまってどこかへずっと走っていってしまった。そのことだけにお互い目を奪われて、新たに振り返っていろいろ検討してみると、人権侵害事件がいままでより以上に出てきている。あるいは地名総鑑のような内容のものが、企業がそれを入れて、そして一人一人の人たちの採用について検討していく。そういうことをしてはいけないという憲法で禁じられている内容のものが公然と行われる。またそういうものをつくって売っている。買っている。大学までそういうものを買うという事態が起こってくるわけです。心にそんなものを持っていないとお互いが言いながら、そう決めておりながら、そういう問題がどかどか出てきているということは、何のために同和対策特別措置法ができたのか、この問題を議論したのかという根本が崩れていくというようなことになるわけです。ですから、そういうものも含めて、この間に検討していただかなければならない。十分検討を加えていかなければならない。そうすれば、この問題をあと残った二年後にどういうふうにしていくかということは、いまからいろいろな問題のスタートがあるはずだ、私たちはそういうふうに考えておるわけです。いままでのものに対する反省と、これからどうすべきかというような内容、それが一つ一つつくり上げられていくということになると私は考えるわけです。ですから、たとえて言うなら、同和対策審議会というようなものがあったはずなんです。それが現実はないとも言われているわけです。そこでいろいろな専門的な方がいまお暇になってしまっているわけです。本当はその辺で真剣な検討が加えられて、そして大臣に向かっていろいろな意見具申なり、あるいはそこでプールして検討された内容のものが総理府の中でいろいろ出てくるし、それが各省にいろいろな意見でわたっていく、そういうものが起こってくる。そうすると、長官の方で、これはこういう対策をいま検討しているとか、これはこういうことでやっているとか、この省でこういうふうになっているとかいうものが具体的に出てこなければならぬと思うのですね。ところがおっしゃっていることは、そんなことはないんだ、時限内に、延長の中で十分検討を加えられるのだとおっしゃっておるけれども、さて、そういうものを一つ一つ拾っていくと、これはおかしい、全然なっていない、こんなことでできるはずはない、こういうことになるわけなんですけれども、その辺はいかがなんですか。
○小渕国務大臣 御指摘ありましたように、同和対策事業の中で物の面にお触れになられて、それだけではいけないという御指摘はそのとおりだと思います。御指摘のありましたように、人権侵犯事犯あるいは地名総鑑等の事件が発生をしておったという事実については、はなはだ残念のきわみでありますので、そうした点につきましては、関係省庁とも十分連絡をとって、それを全くなくすように連絡協調して最善の努力をしておるところでございます。私ども、申し上げますように、法律の期限内におきまして、そうしたものも全力を挙げて現時点では努力をいたしていくことが当面の最大の課題だと心得て、全力を尽くしておるところでございます。
○沖本分科員 ある面から言うと、十年の時限立法を前期と後期に分けて、五年ずつ区切ってやっていったというのが過去の事例なんですね。ところが前期の五年が終わった段階で、実態調査ができたということですが、さて、それが予算の中に出てきて具体的に走り出す、予算が生きていくということになれば、やはり二年ぐらいたって、七年ぐらいたっている。先ほども申し上げたとおりなんですけれども、そういうふうなのが大まかに言ったら具体的なことですから、いまから考えれば、むしろそれは十年の時限立法を、前期を十年、後期を十年ぐらいにしてもよかった、そういう考え方で物を考えてもいいわけですけれども、さて、ちょうどこの法律ができて、予算が動き出すような時分が景気のよかったときですね。ところが現実には、いまはもう景気は落ち込んでしまっているわけです。失業率は減ってきたとは言いますけれども、先ほど述べましたとおりに、全国平均の約十倍ということを考えていくと、一番言われるのは住居選択の自由であり、あるいは職業選択の自由、そういう一般的に持てる自由な人権そのものが侵害されておるということにも当たるわけですから、あらゆる面に検討が加えられなければならない、こういうことになってくるわけです。 そういう点をいろいろ考え合わしていきますと、これは区切らないで、基本的にこの問題を永久に検討を加えるにはいかにすべきであるかという点から、私たちは、同和対策基本法的なものを検討して、新しくそういう法律をつくって、そしてその限られたところ、限られた時間とか限られた予算というものではなしに、永久的にこの問題にわれわれが対応していくことが重大ではないか、こう考えるわけです。ですから、三年延長のときに総務長官がお答えになった、その答えを引き継いで、延長時点のことを尊重するとおっしゃっておられるわけですから、その延長というものが、そういうふうな基本的な法律も含めて検討する、こういう意味合いのものも全部含まれた調査、検討ということが当たるんじゃないか。それを抜きにしてということになりますと、これはやはり時限的なもので、いまさっき申し上げたとおり、五十六年度以降は八百億だけ整理して、それだけ対応すればいいのだ、こういうお考えで進められているのじゃないか、こう思いたくなってくるわけです。その辺はいかがでございますか。
○小渕国務大臣 同和対策のこの法律は、何回も申しますように特別措置法でございまして、時限的に法律を定めて諸般の事業を推進してきたところでございまして、それはそれなりに大変な成果を挙げてきたものと私どもは理解をしております。しかしながら、私どもは特別措置法の存否は別といたしましても、同和問題の基本的な解決を図らなければならないということは申すまでもないことでございます。したがいまして、先生御指摘のように、新たに同和対策基本法を制定をしてというお考えもまた一つかと存じますが、政府といたしましては、正直申し上げまして、そこに踏み込んでその法の制定というような問題については、現時点ではまだ考慮いたしておらない次第でございます。 いずれにいたしましても、時限的なこうした法律の中で処置できるものについて最大限処理をし、かつ法律の存否にかかわらず、この問題を重大な問題と心得て、ふだんの行政の中で十分取り組んでいく、こういう姿勢で努力をしていきたいと思っております。
○沖本分科員 やはりこのことは、あらゆる面にわたって人間の人権の基本的なところにかかわる問題なんですね。ですから、そのあらゆる面の問題をいろいろ検討していきますと、同和地域にいる人だけの問題ではないということにもなってくるわけです。ですから、そういう点を考えていきますと、この際だから、いろいろな面を反省して、そこからいろいろな材料を得ていき、調査して、そこから出てきたものを検討しながら、基本法的なものも考えてみようというふうな行き方が当然である。そのためにはあらゆる機関を利用しなければいけませんし、あらゆる団体の内容も検討していかなければならない、そこからの意見も吸い上げなければならない。民間からの意見も吸い上げなければならないし、地方自治体のいろいろな問題も吸い上げていかなければならないというふうになってきますと、やはりいま申し上げたような点を十分検討していただくことが重要だと考えるわけです。ですから、基本法も含めてできるかできないか。われわれはできる方向に向かって全力を挙げて検討していただきたい。またそういう方向でこれからもどんどん運動も進めていきますし、あらゆる機会を通してそういう方向に問題を進めるためにこれから議論もしていくわけでございますけれども、政府の方としても、あらゆる面からの検討を加えていただきたいわけです。いまのところは各省がばらばらなんですね。ただ予算面だけ見ていっている。具体的な対策なり何なりというものが浮き上がってしまっている。そういうことになるわけですし、また各大臣も、視察だけしてお茶を濁していると言ってもいいような内容にとどまっているということもあるわけですから、その点を十分お考えになって、これから時限内に十分な成果を挙げられるように御検討いただきたいと思います。
○小渕国務大臣 先ほど委員、同対協にいささかお触れになられましたが、残念ですが、現在その委員の選考をいたしておるところでございますので、現時点におきまして十分な御審議を願えない状態でありますことははなはだ残念であります。しかしながら、御指摘のありました点につきましても、同対協におきまする有識者の方々、十分御経験深い方々がおられるわけですから、そうした方々の御意見も踏まえながら、法律制定も含めまして、今後の同和対策に対して不断の努力をいたしていきたい、このように考えております。
○沖本分科員 終わります。
○藤尾主査 以上で沖本君の質疑は終了いたしました。 次に、井上普方君。
○井上(普)分科員 一九七五年に国際婦人年というのが制定せられまして、八五年まで十年間国際婦人年になっておるわけでございますが、ことしの夏、中間報告がコペンハーゲンでなされるはずであります。それについては総理府は十分御準備をなされつつあるところだろうと思いますが、どういう項目を報告するおつもりであるのか、この点ひとつお伺いしたいのです。
○小渕国務大臣 御指摘がありましたように、本年は国連婦人の十年の中間年に当たっておるわけでございます。昭和五十二年以来、国内行動計画を策定いたしまして、前期重点目標を設定いたしまして、現在着実にその実現に取り組んできたところでございます。御指摘にありましたように、世界のそれぞれの地域での大会のことにお触れになられましたが、総理府といたしましては、この国内行動計画のそれぞれにつきまして、現時点まで行ったことについての御報告を申し上げて、あわせて十カ年間にそれぞれを達成するように中間時点に立って見直しをし、これからの計画の進行のために計画をつくり上げていきたい、このように考えております。
○井上(普)分科員 私がお聞きしておるのは、婦人行動計画の中間報告をなすはずです。計画のそれぞれについて御報告する、それぞれとは何なんです。これをひとつお伺いしたいのです。大臣でなくて結構ですよ。
○藤尾主査 時間がございませんから、簡潔にお願いいたします。
○柴田説明員 御質問の点についてお答えいたします。 先ほど長官から御答弁申し上げましたように、私ども、国内行動計画を定め、そして前期の重点目標というものを定めております。その項目が十一項目ございますけれども、その達成、推進状況につきましてただいま見直しをいたしておるところでございます。それにつきまして、その結果を報告いたしたいと思っております。
○井上(普)分科員 その十一目標とは何なんですか、ひとつお伺いしたい。そして、それの達成の比率と申しますか、どのように成果があったか、その点お伺いします。 〔主査退席、中庸(源)主査代理着席〕
○柴田説明員 その重点目標を申し上げますと、一番目に婦人の政策決定参加の促進、二番目に家業、家庭における妻の働きの評価、三番目に新しい教育機会の創出、四番目に新しい時代に即応する学校教育、五番目に雇用における男女平等、六番目に育児環境の整備、七番目に母性と健康を守る対策、八番目に農山漁村婦人の福祉の向上、次に寡婦等の自立促進、次に老後における生活の安定、次に国際協力、この十一項目を重点として進めてまいりました。
○井上(普)分科員 そこで、各項目を聞いていけばいいのでございますが、その中の一、二についてお伺いしたいのです。 〔中島(源)主査代理退席、主査着席〕 母性と健康についてどういうような成果があったのでございますか、その点をお伺いします。
○柴田説明員 母性と健康を守る対策といたしましては、これは厚生省の対策が主たるものでございますが、母性保健ですとか母性給付、このようなものにつきまして、または地域保健につきまして年々必要な事業及びそれに伴う予算を要求いたしまして、着実に推進をしているというところでございます。
○井上(普)分科員 着実に推進しておると申されましても、それだけではちょっと私にはわからないのです。私も人口問題でこの問題については頭を突っ込んでおる一人なんでございますが、一体どういうように具体的に過去五年間において成果があったか、その点をお伺いしておるのです。
○柴田説明員 ただいま人口問題について御指摘でございましたけれども、母性保健につきましてその重点の中に一つ定めておりますが、その対策といたしまして、たとえば市町村母子保健指導事業等地域におきます母子保健を重点的に指導助成するというような事業、また家族計画や、それから適切な栄養のとり方の指導というようなことで、母性保健の知識の普及、徹底というようなことを内容に具体的に進めております。
○井上(普)分科員 参事官、それでございましたら、それは五年前と何ら変わってないのです。目新しいものは何ら進められておらないのであります。特に母性保健につきましては、五年間に目新しいものは一体何か、五年前と比べてどれだけ母性保険政策が進んでおるかということを報告しなきゃならないでしょう。それができてないと私は思う。ですから、そういうような言葉のやりとりだけで済ます問題じゃないのです。いつも日本の外交というのは言葉だけで実際がないというようなことになりかねないので御注意願いたいと思うのであります。これは国際的に国連の中で報告するのですから。 それで、私は、いままで承りますと、どうも見るべきものはなかったんじゃないかと思います。その中で見るべきものがあったとするならば、今度デンマークに女の大使ができたこと、その方の任地であるコペンハーゲンでこの七月に婦人行動計画の中間報告がなされるから、大平内閣はあわてて初めて婦人をデンマーク大使にしたのじゃないかと私は思うのであります。これは邪推であればまことに結構なんであります。 そこでお伺いしたいのですが、婦人に関するILO九十六、九十八、百二、五三号の条約はもうすでに結ばれておりますが、これの批准というのはまだなされておりませんね。これは大臣でなくておわかりの方で結構ですが、どうですか、いつやられるおつもりがあるのか、この点ひとつお伺いしたいのです。
○柴田説明員 ILO条約につきましては、具体的にはそれぞれの所管のところにつきましてでないと詳しいことは存じ上げておりません。
○井上(普)分科員 このILO九十六、九十八、百二、百三号は婦人の労働に関する条約なんであります。実はこれはもう国連で承認せられると申しますか、決議せられていることなんです。これが日本においてはまだできてないのです。それで、去年の十二月の十八日に婦人に関する差別撤廃条約というのがここでなされましたね。条約が締結されていますが、いつ批准するのですか。その御予定を承りたいのです。
○小渕国務大臣 御指摘にありました婦人差別撤廃条約につきましては、一九七七年の第三十二回国連総会第三委員会におきまして審議が開始されて、三年にわたって慎重に検討が重ねられ、かつ国連総会で採択をされたものでございますので、政府としてもこの条約に対しまして現在慎重に検討いたしておるところでございます。わが国といたしましては、その条約の本旨に対しましては全面的な賛意を表しておるところでございまして、できる限り速やかにその批准の手続ができるようにということで、現在、外務省その他関係省庁と鋭意話し合いを進めておるところでございます。
○井上(普)分科員 たちまちこういうような問題を今度の中間報告でやらなければいけないのじゃございませんか。どうでございます。ただ女性の大使をコペンハーゲンに派遣しただけでは済まされないと思うのです。総理府の中に何やら室長というものができているのでしょう。何とか室長というのができて婦人問題についてはやっているのですよ。そこで推進する以外道はないじゃないですか。この条約について慎重に検討を加えておると言いますが、検討を加えなければならない項目はどこどこなんですか。大臣でなくて結構ですよ。どこどこに問題があるのですか。日本の実情に合わない点があるなら、日本の実情に合わない点をひとつお示し願いたい。
○柴田説明員 ただいま御指摘の婦人差別撤廃条約でございますが、まだこれの正規の文書が参っておりませんので、正規のものが参りましたら直ちに関係の省庁と具体的な点につきまして検討をいたしたい、こういうことでございます。
○井上(普)分科員 正規のものが来ていないとおっしゃいますが、参事官、いま大臣は、七七年から三年間にわたって国連の第三委員会において慎重に論議せられて、昨年の十二月十八日にこれは国連決議として採択になっておるのであります。条約は成立しておるのであります。十二月十八日から今日まで三月もたっているのですね。これでまだ正規のものが来ておらないので、これから検討しますというのは一体どういうことなんです。
○小渕国務大臣 御指摘をいただきまして大変恐縮をいたしておりますが、御指摘にありましたように、ことしは冒頭申し上げましたように中間年にかかわっております。ですから、デンマークで大会が開かれまするに当たりまして、政府の態度というものも明確にしなければならない時点に来ていると私は考えております。したがいまして、中身の問題、どこどこということにつきましては、私ここで十分お答えできかねますが、しかし、いずれにしても、結論をいつまでも引っ張っておくというわけにいかぬだろうと思いますので、それこそ早急に結論が得られるように、私といたしまして関係大臣とも十分諮ってまいりたいと思います。
○井上(普)分科員 中間報告は七月ですよ。七月には、婦人に対する差別撤廃条約はどうしましたかということを日本政府としては報告しなければならないのですよ。まだ正規のものが来ておりませんので、来ましたらこれから検討いたしますでは始まらぬ問題でしょう。もういま三月ですよ。この条約は国会で批准しなければならないのですよ。日本の婦人の地位が低いということは国際的に定評があるところ。せめてここでやられたことばさっさとやろうじゃありませんか。今国会に提出しなければ中間報告に間に合いませんよ。どうされるのです。
○小渕国務大臣 御指摘いただきましたように、政府としても基本的態度を定め、国会にも批准方をお願いしなければならぬだろうと思います。しかし、参事官御答弁いたしましたように、現在テキストが参られたものを各省庁でそれぞれに検討しておるようでございますので、早急にそれぞれの担当の者との連絡をとり合って、政府の基本的な態度を可急的速やかに決定いたしまして、国会の御審議を仰ぎたいと思います。
○井上(普)分科員 それでは、小渕長官、とにかくこの問題はにわかに出てきたというか、予算委員会の一般質問の中でも出てきたと思います。これは今国会で批准するかどうかというような問題ではなくて出てきたと思います。そこで、この国会に提出されるのかどうか。この国会で批准されなければ中間報告に困るでしょう。ことしの七月に行われるコペンハーゲンの大会でやられるおつもりがあるのかどうか、出されますかどうか、その点ひとつお伺いしたいのです。——どうも様子を見ますと御勉強になっておらぬようで、総理府としての態度もまだ決定しておらぬようでありますので、この点、総括の際にひとつ御返答を願いたい、このことをひとつお願いいたしておきたいと思います。よろしゅうございますね。
○小渕国務大臣 条約でございますので、外務省当局の基本的な姿勢がまず尊重されるべきものだろうと思います。しかし、婦人問題にかかわり合いを持つ総理府といたしましても、この問題に重大な関心を寄せていることは言うまでもないことでございます。したがいまして、せっかくの御指摘でございますので、この場でお答えできないこと、はなはだ申しわけなく存じますが、総括締めくくりの段階までには十分各省庁と連絡を取り合って、この問題に対する政府の考え方につきまして御報告させていただきたいと思います。
○井上(普)分科員 その際に、ILO九十六、九十八、百二、百二号条約をどうするか、それもひとつお示し願いたいと思います。 大体そこで結論を終わったのですけれども、時間が余ってまいりましたので、先ほど来、同和対策につきまして御質問がありましたし、また、私自身も同和対策に非常な関心を持っておりますので、一言お伺いいたしたいと思います。 実は同和対策特別措置法で指定地域というのがやられております。しかし、昭和十年の同和対象部落というのは五千カ所あったはずなんです。ところが五十年の調査ではこれが三千二、三百じゃなかったかと思います。そこで、千七、八百カ所の部落が実は対象外になっておるのです。しかし、それは社会情勢の変化等々によりまして、対象部落として似つかわしくないところもかなりあろうかと思います。これは私も率直に認める。しかしながら、これは市町村が申請するわけで、それには議会の承認が要るようであります。でございますので、対象部落として指定せられるのがいやだということで、町村当局が指定しないという個所がかなりあるように思われてならないのであります。私の知っておる範囲内においてもそういう個所は二、三カ所ある。これらの地域に対しては措置法の適用がなされておりません。残事業が公式数字ではいろいろ出ておりますけれども、それらを入れますと非常に膨大なものになるのではなかろうかと思います。この点について総理府としてはどのような御処置をなさるおつもりなのか、ひとつ伺いたいのです。
○小島(弘)政府委員 いま御指摘のように、確かに昭和十年の調査によりますと、地区数といたしましては五千三百六十五ございます。五十年調査によりますれば四千三百七十四ですから、約千ぐらい少なくなっておるかと思いますが、その間三十三年、三十八年、四十二年といろいろ調査がありますが、それぞれまちまちでございます。大正十年にも調査をしておりますが、そのときも四千八百五十三ということでございまして、非常に把握のむずかしい問題もあろうかと思われます。現在それぞれの地区の定義も多少違っているかと思いますが、五十年調査によります対象地域といたしましては、「歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域」ということになっておりますので、現にその生活環境等々が非常に劣っている、それが実質的な差別の原因にもなっているということで着目してとらえておりますので、そういう趣旨を十分御理解願って、しかも五十年調査では再三にわたって十分念を入れた調査でやったつもりでございます。しかし、この施策を進めるためには、やはり地域の住民の御理解がなければなかなか円滑に進まない面もありましょうし、確かにそのときの報告漏れになったものもあろうかと思います。総理府といたしましては、そういう事情でおくれているものにつきましては、その後も逐次報告を受理いたしておりまして、五十年調査時点に把握した地域と全く同様の取り扱いをいたしております。それらの地域が本日現在までに百五十五地域追加になっておるという状況でございます。 それから、なお念のため、これは指定地域という俗称でいっておりますが、法律上に指定するというようなことはかえって問題もございますので、指定ということはございません。申し出を受け付けているということでございます。
○井上(普)分科員 それが差別の激しいところでございますと、なるべく隠そう隠そうというような意図が働いて、いわゆる指定地区から外れておるところがかなりあるんじゃないかという危惧を持つのですが、どうでございます。総理府はそういうような危惧は持っておりませんか。
○小島(弘)政府委員 確かに一、二、そのようなことで、申し出をしようかどうかということでいろいろやりとりのある地域があることは承知しておりますが、そう極端な数が残っておるわけはないのじゃなかろうかというふうに考えております。
○井上(普)分科員 私はかなりあるんじゃないかと思うのです。その後の指定を百四十カ所くらい追加したということも存じておりますが、しかし、私らの県の選挙区のことを考えてみましても、かなりあるように思われてなりません。そこにはやはり旧来のいわれなき差別が温存するから、指定されるのをいやがるところもなきにしもあらずです。そしてそれが周辺の地域と劣悪な環境状況にないかと言えば、やはり劣悪なる環境状況にある。にもかかわらず指定をいやがる。これは確かにその地域の方々もそうでありましょうし、また町全体としてそういうような空気もなきにしもあらずと思います。しかし、いつまでもこのままほうっておけば、やはり差別を温存する、あるいは環境の悪いままに置いておく、それもまた差別を助長するという悪循環を来しますので、なるべくここらあたりは指定地域に持ち込んでいくという御努力をなさるべきだと思います。その点についてはどうでございますか。
○小島(弘)政府委員 同和地域としてという取り扱いをするのが妥当かどうかということを一番御存じなところは、当該市町村だろうと思います。したがいまして、国の立場としては、具体的にあれこれと個々の申し出について御指示を申し上げるということは差し控えるべきものと考えておりますが、この施策の意義、それからこの取り扱いをすることによって、施策の進展というようなことについては、十分啓発あるいはPRもいたしまして、市町村の正しい御措置を期待してまいりたいと考えております。
○井上(普)分科員 しかし、現在私が知っておるのでも三カ所あります。そういうところに対しては、総理府としては、町村に対する指令といいますか、この啓発といいますか、具体的にどういうふうにしてさらに追加といいますか、それをやらせるおつもりなのか。やはり差別を温存させたんでは困るのですから、そこに居住しておる方々に対しては申しわけないことでもあるししますから、この際やらなければならない。環境条件をよくしなければならない。それには町村の中においてもあるいは部落の中においても、とにかく指定されることを好まぬ風潮がなきにしもあらず。これをいかにして打開していくか、これがいま残された大きな問題ではないかと私は思うので、あえてこういう問題を提起しておるのです。だから、総理府としては、市町村に任しておるんだといってそのまま済む問題でもありますまい。あと残っておる短い期間にどのようにして町村に指導するといいますか、啓発しながらこの法律の所期の目的を達成させていくか、このことについて具体的にどうされるのか、お伺いしたいのです。
○小島(弘)政府委員 やはり都道府県を通じまして、市町村に対してこの問題についての正しい御理解をいただく、そういう方法以外に直接的に関与するのはいかがであろうかと考えます。
○井上(普)分科員 改めて啓発するとここでおっしゃっただけでは、これは話にならないのです。だから、具体的にどういうふうな啓発方法をやっていくのかということをお伺いしているのです。
○小島(弘)政府委員 すでに都道府県等を通じまして、五十年調査でいろいろな事情によって御報告いただけなかったところにつきましても、以後五十年調査と全く同じような形でお受けしておりますので、これらの趣旨を十分御徹底いただいて善処していただくというような形の指導を繰り返しております。
○井上(普)分科員 もうあと時間がわずかになっておりますが、改めて通達なりあるいは指示をやる必要があろうと思いますから私は申しておるのです。それについては何らおっしゃられない。どういうことなんです。残っておるとすると、やはりやらなければいかぬでしょう。ほっておくのですか。ただ町村の自発的な意思だけに任しておいたのでは残りますよと申しておる。それに対して総理府としては、どういうふうな処置をとって、いわゆる指定に持ち込んでいくか、具体的にどういうようにやるのかということをお伺いしているのです。これは全く事務的な事柄なんだから。
○小島(弘)政府委員 この件については、毎年開催しております同和担当の主管課長会議でも趣旨の徹底を図っておりますが、重ねて本年度に、本年度と申しますか、本年開きます同和対策主管課長会議においても、このような趣旨の徹底を図りまして、遺憾なきを期してまいりたいと考えております。
○井上(普)分科員 会議で言うぐらいで果たして効くのか効かぬのか、私らはどうも疑問に思いますが、極力やっていただきたい。特に封建色の強い市町村がございますので、ともかく指定を好まぬ部落もなきにしもあらずと私は思います。しかしながら、それで置いておけば差別が温存されるのだという認識のもとに、環境条件の劣悪さだけでも少なくしていきたい、こう思いますので、せっかくの御努力をお願いいたしたいと思うのでございます。 いろいろと御質問申し上げたいことがございますが、この程度で終えます。
○藤尾主査 以上で井上君の質疑は終了いたしました。 次に、正森成二君。
○正森分科員 私は、同和対策事業が地域住民にひとしく享受されることを願ってこれから質問したいと思います。 まず、小渕総理府長官に伺いますが、同和対策事業特別措置法が昭和四十四年に制定されましたが、この法律がねらいとしておるところ、あるいは目的としておるところはどういうところであると考えられますか。
○小渕国務大臣 同和問題は、それこそ基本的人権にかかわる重大な問題でございますので、その解消に努めていくことがこの法律の基本的な目的と心得ております。
○正森分科員 そのことは、同和対策事業特別措置法の第一条に明記されておりますが、これを十分に行うためには、実施の上で地域住民に対してその施策がひとしく及ぶということが絶対に必要であると思います。この法律の中にも書いてありますように、いままでとかくいわれのなき差別が行われてまいりました。したがって、この同和対策事業特別措置法の施策が地域住民の中で公平に行われない、逆に地域の中に差別を再生産するということであれば、この法律をつくった目的を失ってしまうことになる、こういうように思います。 ですから、たとえば第六条の「(国の施策)」を書いたところを見ましても、皆「対象地域の住民に対する」、何々の「措置を講ずること。」、こう書いてあって、対象地域住民の中で、これはよろしい、あれはいけないと言って差別をすることを是認していないのですね。これは当然のことであると思いますが、そう承ってよろしいか。
○小島(弘)政府委員 確かに法律上は、対象地域の住民の教育の向上とか福祉の増進ということで規定しておりますが、これは同和対策協議会の御答申等もございまして、かつていわれなき差別を受けた方々であって、かつその地域に居住していられる方ということを対象にしておりますけれども、それらの人々の中でさらに差をつけるというようなことはございません。
○正森分科員 それは当然のことであると思います。 そこで、きょうは私は、質問もさることながら、総理府の長官に、この問題のいわば政府側の取りまとめ役といいますか、責任者としてぜひ御記憶にとどめて、今後の施策の参考にしていただきたいということを、すでに御存じかもしれませんが、二、三申し上げたいと思います。 私が取り上げたいと思いますのは、たとえば妊産婦対策費といいまして、妊産婦に対していろいろ措置を行う、あるいは特別就学奨励金ということで進学する者等に特別の奨励をする、あるいは入学支度金や保育、特就費というようなものが、たとえば大阪市では措置をされているわけであります。もちろん、同和対策事業の一環としてであります。 ところが、昭和四十七年に申請した妊産婦対策費が、地域住民であるにもかかわらずいまだに支給されない。その子供は生まれてしまってもう小学校へ行っている、それだのにまだ妊産婦の対策費が支給されない。あるいは入学に伴う奨励金の場合は、後で申し上げますが、入学についてのいろいろな支度金が支給されるわけですが、とっくの昔に進学してもう小学校を卒業するのに、なおかつ支給されないという状況が起こっているわけであります。 そこで、これらの人々は不当であるということで裁判を行いまして、その裁判につきまして、昨年の七月三十日に大阪の高等裁判所で、裁判を申し入れた不当に差別された地域住民の勝訴の判決がありました。こういうようなことは、同和対策事業の根本精神を本当に無にしてしまうものだと私は思うわけであります。 私は、ここに写真を持ってまいりましたが、たとえばこの中では、いろいろな就学奨励関係のお金が出ないために、非常に気の毒に、保育所でただ一人だけほかの園児と違う服装をして遊戯に参加したり、運動会に参加しているというような状況が起こっております。あるいは福祉の関係で各部屋にガスを配管する、共同アンテナを設置するという場合に、ある特定の人々だけは、せっかく全アパートに工事しながらガスの配管はつけてやらない、テレビの総合アンテナをつくりましても、そこから線を引いてやらないというような状況が起こっております。あるいは布団を干すのに、窓から布団干しの取っ手を設けるという場合に、ほかの家は全部ついているのに、ある特定の人だけはこれをつけてやらないという状況が起こっております。あるいは防犯の非常ベル、これが全部のところについておるのに、ある特定の人々だけは、同じ地域に住んでおり、いままでいわれなき差別を受けてきた人であるのに、そこはつけてやらないという状況が起こっております。ほかの家は全部きれいなアルミサッシに取りかえられておるのに、そのうちだけは汚い木製のガラスのまま置いているという状況が起こっているわけであります。 私は、こういうことは、同和対策事業の根本精神を滅却するものであるだけでなしに、その問題を離れても、人権上絶対に放置することのできない問題である、こう思うわけであります。 まず、この写真を見てください。(正森分科員、文書を示す)済みません、後で委員長にお見せします。
○藤尾主査 よろしゅうございますが、委員長の指示で御行動願いたい。 引き続いてお願いいたします。
○正森分科員 いま委員長のお許しを得まして見ていただきましたが、そういうような状況について基本的な理念としてどうお考えになりますか。
○小渕国務大臣 いま拝見さしていただきましたものにつきましてお答えすることは、私自身確かめておりませんので、あの写真は拝見さしていただきましたが、お答えはおくといたしまして、基本的な問題といたしまして、この同和対策行政の施策が対象者に公平に及ぶものでなければならないということは、至極当然のことでございます。この面の配意につきましては、委員すでに御存じのことと思いますが、各省事務次官連名通知昭和四十八年五月十七日付をもって、都道府県知事等に強く要望いたしておるところでございまして、そのことが政府の基本的姿勢と御理解願っておきたいと思います。
○正森分科員 一般論としては、当然、私がお示ししました写真や、そこに述べられている説明記事が事実とすればあってはならないことである、もちろん、その写真が事実であるかどうか、いま直ちに確認できませんから、それについてのお答えは留保されると思いますけれども、もし事実であれば、これは放置できない問題であるというように一般論に対するお答えの中から私としては認識したというように考えて、次の問題に移らしていただきたいと思います。 そういう人々がなぜいわれなき差別を受けているかと言えば、それは同じ地域住民でありながら、部落解放同盟に入っておらないというために、こういう施策が受けられないということになっているわけであります。私どもは、こういうことは、このまま絶対に放置できない問題であるというように考えております。何回も私どもは、総理府の同和対策室や自治省の振興課でございますかにもお話をいたしましたが、つい最近にも、ここに私は現物を持ってまいりましたが、特別就学奨励費あるいは住宅補修費あるいは入学支度金、こういうようなものについても、いずれも大阪市教育委員会あるいは建築局の住宅部整備課整備係等に、こういう点を、それぞれ大阪市が行っている同和対策事業の施策として行ってほしいという申請をしたのに対して、つい最近二月十八日に、これは突き返されているわけです。特別就学奨励費の申請についてという問題については「去る二月五日御持参の特別就学奨励費申請書は、あなたが居住されている地区の大阪市同和事業浪速地区協議会を通じて申請していただくことになっておりますので、ご返送します。」ということで突き返されているわけでございます。 委員長、この市の方から参りました簡易書留の資料を政府側にちょっと見ていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○藤尾主査 許可いたします。 〔正森分科員、文書を示す〕
○正森分科員 ごらんいただいたようでございますが、こういう問題について、自治省は、大阪市のこういう施策について承知していますか、それについてどう思っていますか。
○木村説明員 お答えいたします。 御指摘のように、現在の手続で給付を受けていない人があるということは承知いたしております。ただいまお示しいただきました書類は、私見ておりませんが、それは、まだ私どもは拝見していないものであるかと思いますが、そういう事実が過去にあったことは承知いたしております。私どもといたしましては、現在、手続の合法性についてなお裁判所で係争中でございますので、その面は裁判所の手続を待つといたしまして、現実にそのようにお気の毒なことが起こっていることについては、現実的な方法で解決するようにということでお話し合いをし、事情聴取等をいたしておるところでございます。
○正森分科員 総理府長官、いま自治省の方から答弁ございましたように、現在、この問題は裁判になっておるということが一つと、もう一つは、裁判は裁判として現実的に解決するという方向が進行中であるという意味の二つの答弁をされたと思うのです。 そこで私は、念のためにその判決を、たくさんの判決が出ておりますけれども、そのうちの一つを持ってまいりました。長官に、今後この問題を処理していただくために、裁判ではこういうような見解を法的に下しているということを知っていただくために、そのうちの一部だけを御説明申し上げたいと思います。こういう膨大なものでございますから、そのうちの一部だけです。これは、こういう就学の特別の奨励費などを支給してほしいということを言いましても、これは御承知であろうかと思いますけれども、大阪市の同和対策事業促進協議会というのがあり、このいま私が問題にしている浪速地区には浪速地区協議会というのがありまして、ここへ申請書を出して、ここで了承を得なければ支給されないというようになっているわけです。ここでは、自分たちが認定する立場の人であるかどうかということを確認して、副申といいますか添え書きのようなものですが、それを出して、初めて大阪市が支給等について応答するということになっているわけであります。 ところが、この考え方のたてまえとしては、たとえば就学の特別奨励費については、それを支給してもらおうと思いますと、どうしても部落解放浪速地区教育向上会というのに入らなければならないわけであります。ところが、この教育向上会に入った人にだけ支給しますよということを、学校がこういう公の資料で父兄の皆さんに出しているわけですが、この教育向上会の規約を見ますと、第三条で「本会は、前条の目的を達成するために、部落解放同盟浪速支部の指導を受け、同和事業浪速地区協議会の協力を得て次の活動を行なう。」つまり、ある特定団体である部落解放同盟浪速支部の指導を受けなければ、つまり、その指導に完全に服するということを言わなければ、たとえ同じ地区住民であっても副申を書かない、したがって大阪市は措置をしない、こういう関係になっているわけなんですね。そして部落解放同盟というのが、政治的にもある特定の立場をとり、ある特定の政党は完全に排除するというような立場をとっていることは、きわめて明瞭な事実なんですね。したがって、自分の政治的信条や立場や良心を売ることなしにはこういう会に入ることはできない。それがわかっているのに、その会へ入らなければ地域住民がひとしく受けることができるべき措置をしてやらないというのが、いままでの大阪市のやり方であります。それが不当であるということで争われたのがこの裁判なんですね。それに対して裁判所は、初め大阪市はこれは法律上の権利ではないというようなことを言っていたのですが、それは法律上の権利である、そして事実上、部落解放同盟に全部任せるのではなしに、地方自治体が責任を持って自分で措置すべきことであるということを判示したわけであります。 その部分だけを、記録に残すために読んでみます。判決のとおりであります。 そしてそのことは、被控訴人の判断権の行使の面からも言えることである。すなわち、被控訴人が右実質的受給資格の存否を審査するうえにおいて、副申の有無が被控訴人の判断を法律的に拘束すべきいわれは存せず(若し拘束するとすれば、実質的には本件給付行政を民間機関に委ねるだけでなく、被控訴人固有の判断権を放棄するに等しく、ひいて住民が行政主体そのものによる行政判断を受け得る権利を侵害するもので、違法、無効と断ぜざるを得ない。地方自治法第一〇条二項、一三八条の二参照)、被控訴人にとっても、右副申のないことは、それのみを以てしては、該申請を却下すべき明白な事由とはなり得ないからである。 というように判示をしているわけであります。これは地方自治法のそれぞれの規定を見ていただければ、当然のことを判示したものにすぎないわけであります。そしてさらに続いて、 しかし、今ここで問題となっているのは、副申の無い申請について、そのことだけで直ちに受給資格の欠缺が明白であるとすることに合理性が認められるかどうかなのであって、右回促協・地区協が部落解放同盟そのものではないにも拘らず、前記のように、控訴人らが推せんを受け得る見込のない理由が、部落解放同盟や、その事実上下部組織である各要求組合(要求組織)に属していないためとしか考えられない現実を踏まえて事を判ずれば、左様な特定の団体・組織への加入の有無が、いかに同促協・地区協の立場においては、推せんをすると否との判別上便利な標識であっても、これが、最終の支給権者たる被控訴人との間においても、その申請をして受給資格の存否の判断を受ける機会を与えられるか否かの標識としても働く結果を是認することは、どう考えても不合理なこととして、許されないものとしなければならない。こう言っているのです。そしてさらに続いて、たしかに、折角同促協・地区協の緊密な協力の下に、本件給付制度が、右副申手続を介して一面円滑に実施されている現状の下に、今、副申を経ずしてする申請についても、その審査を受け得る途を開くことは、それこそ「寝た子を起こし」(前記被控訴人の主張)、かえって行政の現場に無用の困難を強いる結果ともなりかねないことを虞れないわけではない。しかし、「寝たくないのに無理に寝かされている子」の救済も放置することはできないのであって、左様な政治的な問題の解決は結局のところ行政の良識と決断を信頼するほかはなく、司法判断の場において、右政治的困難性の故に、上記法的不合理性に目をつぶるわけにはいかないのである。 こう言っているのです。つまり、部落解放同盟の一部の人々の言い方は、だれが地域住民であるかどうかというような判断は行政だけでできるものではない、いま部落解放同盟が一定の基準に基づいてやっているのだから、それを変えるというのは、寝た子を起こすようなものである、こういう主張に対して、それはそうかもしれないけれども、部落解放同盟と見解を異にするそういう人の権利を全部抹殺してしまうということは、寝たくない子を寝かせるようなものだ、これは行政として不合理であるから許されないということを、高裁がはっきりと明言をしたわけであります。これは現在、最高裁に係属中であります。したがって、最高裁の結論が出るまでにはもちろん一定の期間がかかると思いますが、これは最高裁の結論を何年も待つということではなしに、行政の責任において一刻も早く解決すべきことであります。私はそう思います。 そしてきょう、ここでは詳細には申しませんが、総理府の方にも何回か関係責任者のところに私からお願いにも参り、改善を申し入れてきたところであります。私が承知しておりますところでは、現地の大阪市においても話し合いが行われ、近く三月八日ごろには、具体的にさらに交渉が詰められるというように聞いているわけでありますが、自治省なりあるいは総理府においても、こういう取りまとめの官庁として、あるいは同和対策事業には国からの補助金が出ているわけでありますから、こういう問題について施策がひとしく地域住民に享受されるように考慮して、適切な助言なり指導なりあるいはPRなりを行うのは当然であると思うのです。 きょうは、私は、かつてこの問題を質問したこともございますが、大臣が御就任になりましてからあるいは初めてのことかもわかりませんので、少しくどくどと申したわけでございますが、大臣としてぜひこういう問題についての理解を深めていただいて、事務当局とも御相談の上、こういう状況が一日も早く是正されるように前向きの前進的な指導をしていただきたいというのが、私の非常に切なる願いであります。 私は、この質問の前に関係の父兄に会ってまいりましたが、そのお母さん方は妊産婦の対策費ももらえなかった。そして就学援助について言った子供も、上の子供はもらわずにすでにもう卒業しようとしておる。その下の子供が今度いよいよ入学することになって、その申請をした。四月までにはどうしても解決をして、その施策が受けられるようになりたいというのが、非常に切なる願いなんです。それがもし受けられましたら、ここに「新入学児の保護者殿」と書いてあるのですが、学校から出ているのでは、たとえば入学支度金、ランドセル一万六千五百円とか、こういう施策が受けられるようになっているのです。それについて、公平に施策が受けられるように切に希望したいと思うわけでありますが、その問題について長官並びに事務当局及び自治省の御見解を承らしていただきたいと思います。
○小島(弘)政府委員 先生お話しのような紛争と申しますか問題が、大阪市に現に存することは私も知っております。事務は固有事務として行われているものでございますが、御指摘のように国の補助金の出ている分野もございます。いま訴訟中でございますので、先ほど自治省の方から御答弁がありましたように、違法というような問題は別といたしましても、事は施策の趣旨から考えましても、この種の行政がより円滑に公平にいくような配慮は当然必要かと思いますので、さらに関係省庁とも十分連絡をとりながら、妥当な具体的に公平なよりいい道があれば、それを見出していくというような努力をしたいと思っております。
○木村説明員 ただいま同対室長から御答弁がありましたとおり、自治省も同じように考えておりますので、十分そういうことに協力をいたしまして、努力をしてまいりたいと考えております。
○正森分科員 時間が参りましたので、最後に長官にお願いいたします。 自治省、総理府同和対策室とも、私のお聞きしましたところでは、こういう問題は放置できない、できるだけ積極的に前向きに解決したいというようにとれましたが、長官としても、できれば新学期の四月には、ひとしくこういう施策が受けられるように、できる限りの中央としての御配慮をお願いしたいと思うわけでございますが、このお心構えを承って質問を終わらせていただきたいと思います。
○小渕国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、政府としては同和対策の施策がすべからく公平でなければならないという基本的な姿勢をもって対処いたしてきたところでございます。 御説明のありました件につきましては、できれば裁判というような形での御判断をいただかない過程で解決をすることが最も望ましいことと存じますが、しかし、そうした手だてを持たなければ判断が求められないということ自体がまた問題のむずかしさを物語っておることでもなかろうかと存じます。しかし、御指摘がありましたことでございまして、ただいま室長並びに自治省担当者が答弁申し上げました趣旨にのっとりまして努力をいたしてまいります。
○藤尾主査 以上で正森君の質疑は終了いたしました。 次に、野坂浩賢君。
○野坂分科員 二月五日に総括質問の際に、総務長官に同和問題についての見解をただしてまいりました。特に八十五臨時国会におきまして同和対策事業特別措置法の三カ年延長が決まりまして、その際に、三項目の附帯決議がなされておるということは御存じのとおりでありまして、この三項目の附帯決議について総務長官は尊重するという御答弁をいただきました。この三項目の附帯決議を各県や地方自治団体にも周知徹底をしていただいておると思いますが、そういう措置をとっていただいたでしょうか。
○小渕国務大臣 総括質問の過程で委員からの御指摘を受けまして、そのときも御答弁申し上げましたが、政府といたしましては、この法律延長に当たりましての本院の三項目にわたる附帯決議につきましては、十分これを尊重する姿勢で努力を傾注しておるところでございます。具体的な諸点につきましては室長からお答えしていただきます。
○小島(弘)政府委員 昨年の主管課長会議の席に、附帯決議の趣旨を含めまして、十分周知徹底を図ったところでございます。
○野坂分科員 徹底をしておるというお話でありますが、たとえば「同和対策事業の手引き」というのを同和対策室が編集をしてお出しになっております。こういうところには三項目の附帯決議がどこにも見当たりません。これは各省庁の事務次官の連名でお出しになっておりますが、どこにも見当たることができません。そういう各県の通達にも附帯決議は探しても見当たりません。したがって、各県は市町村長や教育委員会の教育長に文書を出しておりますが、中央どおりのことしか出されておりません。尊重することを具体的に周知徹底をするということをお話しになりながら、何にもない。通達にも何にもない。口頭でお話しになったということは、いま私たちは初めて聞いたのですけれども、なぜ文書でそういうものをお出しにならないのか。その点はどうお考えですか。
○小渕国務大臣 院におきまする附帯決議というものは、政府としては全くこれは尊重いたしていくことは当然のことでございます。したがいまして、御指摘の手引き等の作成は、これは実務者のための手引きでございまして、要は本院における附帯決議の趣旨を十分踏まえて、それを織り込んで措置することがその意に報いることだと考えておりますので、この手引きの中で本院における附帯決議を活字の形で載せておらないということで、その趣旨を踏まえておらないということではないことは御理解いただきたいと存じます。
○野坂分科員 苦しい答弁でございますね。あなたがおっしゃるような意味のことはどこにも書いてございません。三年間延長されました、引き続きこれを実施をするという意味が書いてあるだけでありまして、たとえば実態調査をして、そして総合的に法の改正や法の運用、あるいは地方自治体の負担軽減あるいは啓発活動、そういうものをやれというような意味は残念ながら見当たりませんから、改めて総理府総務長官の名前で、尊重しそれを実施をするということを約束をされたわけでありますから、各県、市町村にその三項目を尊重する、そしてその意義を徹底するという意味で、文書で出していただきたい、こういうふうに思いますが、総務長官、どうでしょう。——いや、あなたは総務長官の御命令で出していただければいいのですから……。 総務長官、ありませんから、そういう、あなたがおっしゃったような答弁は。
○小渕国務大臣 野坂委員の御主張の趣旨を私しかと受けとめておるつもりでございますが、附帯決議なるものは、申すまでもありませんが、これは院におきまして、政府がこれを踏まえて行うべきだという趣旨のものでございまして、政府としては、その宿題に対しましては十分それぞれの施策をもっておこたえをいたしていくことが本旨だろうと存じておりますので、改めて政府が国会でこういうふうなことをいたしましたよということを政府みずからが各方面にお配りをいたすことよりも、むしろそれぞれの施策を通じてその趣旨に沿うことが私は望ましいことではないか、こう考えておる次第でございます。
○野坂分科員 いやに抵抗されますが、なぜいかぬのですか、なぜ出せぬのですか。 たとえば、いま同和対策室長は、各県の担当課長を集めて徹底をいたしましたと言っておるのですよ。それを文書に裏づけをしてそのことを周知徹底した方が、これからの同和対策事業というものは進むんじゃないですか。それより、院の決議ならば、立法府の決議は、あなたが受けて、それを周知徹底をさせるというのが総務長官の務めじゃないですか。それを文書に書きたくないというのは、何があるのですか。本旨というのは徹底をさせるということですよ。見ればわかりますが、聞くのは忘れることだってあるのですから、出したらいいじゃないですか。
○小渕国務大臣 全くこだわっておりませんで、私どもとしては、政府といたしましては、本院における附帯決議の趣旨を踏まえて行政を行うことでございまして、本院におきまする三項目の附帯決議につきましては、その文書はそれぞれの担当者会議等におきましてこれを配付して、十分周知徹底をするように努力をいたしておるところでございまして、あえてこだわるわけではありません。と同時に、くどいようでございますけれども、その本旨にたがうという精神では全くございませんことをぜひ御理解いただきたいと存じます。
○野坂分科員 それでは、その問題はきょうはおきまして、この同和対策事業特別措置法の附帯決議の一項目に「法の有効期間中に、実態の把握に努め、速やかに法の総合的改正及びその運営の改善について検討すること。」こういうふうに書いてありますね。実態の把握はどの程度おつかみになっておりますか。各省庁から中間報告でいまおまとめになっておりますか。
○小島(弘)政府委員 いま関係各省において鋭意御努力願っておるところでございまして、まだ中間集計等をいたす段階には至っておりません。
○野坂分科員 実態把握はいつごろまでに終わるでしょうか。
○小島(弘)政府委員 この実態の把握の問題につきましては、五十年に一応総合的な調査をしております。現在、その後の状況の変化等ということに基づきますこの補完としてのヒヤリングという形で、関係都道府県からの事情聴取を行っておるところでございますので、特に残事業の問題につきましては、五十六年度予算との兼ね合いもございますので、その編成時期までには十分間に合うように特段の努力を願うということで、各省にお願いをしております。
○野坂分科員 残事業だけではなしに、三項目にありますように、教育啓蒙ですね、すべての問題にわたって実態の把握をしてもらうことになっておるわけです。この間の総括のときにも、法務大臣はみずから出向きたい、こういうふうにおっしゃっておるわけですから、またヒヤリングだけで、事業量だけでオーケーだということは、取り組みとしては間違いですから、新たな認識の上に立って全体の把握をしてもらわなければならぬということを申し上げておきますが、よろしゅうございますか。
○小島(弘)政府委員 御指摘のとおり、残事業だけという問題ではございませんで、あくまでも総合的な五十年調査の補完ということでございますので、種々の面についてもあわせて事情聴取したり、必要に応じて担当職員が現地にお邪魔して状況をつぶさにお伺いする、拝見させていただくというようなこともいたしております。
○野坂分科員 この三項目目に、「同和問題に関する事件の増発状況にかんがみ、国民の理解を深めるため、啓発活動の積極的な充実を図ること。」こう書いてありますね。総理府が調査をされた五十三年九月の二十日、官報資料版というのがありますね。一万五千五百六号ですが、たとえば「結婚問題は、十年前と比べると「非常によくなった」とする者は僅少であり、」「余り変わらない」というのがほとんどの皆さんの声ですね。これ、後でお持ちしますから……。こういうふうに書いてありますね。「初めて同和問題又は同和地区の存在を知らされた時の事情を自由回答方式によりみると、多様な差別内容を示している。すなわち、同和地区に関する蔑視語や身振りのほか、「暴力をふるって恐しい」「汚ない」「特定の仕事に就いている」「地区外の人と結婚できない」「交際してはいけない」等様々の内容を伴うものであり、」長くなりますから終わりますが、こういうことが書いてあります。最後に、「国民ひとりひとりのこの問題についての理解と協力が不可欠であることを重ねて訴えたい。」こういうことを総理府は述べておられます。 これの、実態というものを考えてみますと、啓発活動について、まあ予算は法務省なり労働省あるいは総理府ということでありますが、同和事業全体に対するこの比率というのは〇・〇九%ですね。同和予算のうちに占める啓発活動の予算というのは〇・〇九%だというのが実態です。これについて、どのように啓発活動をやっていくのか。いま、時間がありませんから結婚の問題を一つ取り上げましたが、こういう環境を見ておると非常に問題があろう。就職の問題あるいは部落地名総鑑というものはいまさら申し上げる必要のないほど繰り返し繰り返し出ておる。一向に減少の傾向を見せない。これは啓発活動が附帯決議として取り上げられた大きな問題だと思いますね。これについて、どのような姿でこれから進められますか。
○小島(弘)政府委員 御指摘のとおり、五十五年度予算案に計上しております啓発活動経費は、三省府合わせまして二億三千万余でございまして、全体から見れば一%弱という数字でございます。御指摘のように、この問題を解決してまいりますためにはやはり国民の正しい理解と御協力がなければどうにもなりませんので、啓発の重要性ということはまさしく申すまでもないことだと考えておりますので、今後特段の努力をしていく所存でございます。ただ、いままで種々の啓発活動をやってまいっておりますが、テレビにしろラジオにしろなかなか見ていただいたり聞いていただく方も少ない、あるいはパンフレットを配布申し上げましてもなかなかお読みになる方も少ないというような問題もあります。したがいまして、これがさらにより効果的な啓発活動の方法ということもあわせて考えながら、今後十分努力してまいる所存でございます。
○野坂分科員 これから考えていただくわけですが、効果的な啓発活動というのは一体どういうふうにお考えでしょうか。
○小島(弘)政府委員 やはり同和問題についての正しい理解と認識を持っていただけるような、そういう国民の意識を目覚めさせると申しますか、そういうものに有効に寄与できる方法であろうかというふうに考えております。
○野坂分科員 話としては、国民の意識を有効に発揮できるような方法、それが一体どういうことなんだということですが、それはこの法律の中身を読んでみましても、国民の義務としてこれを全体で進めていかなければならぬ。三条、四条に書いてありますね。室長がおっしゃる国民の意識の啓発という意味では、国民の皆さんに理解してもらわなければならない。たとえば、人権規約を昨年批准されたわけですから、さらに進めていかなければならぬという意味で人権啓発推進国民会議というようなものをつくって、理解がある人たちも入れて、みんなが一緒にこの中に入って啓発活動を国民のものとしてやるという姿でないと、お役所仕事で附帯決議でもなかなか出したがらぬというのが総理府総務長官のいまの実態ですから、やはり徹底をする必要があるだろうと思うんですよ。徹底をする方法には、大平さんがいつも言われる国民参加によるそういうセンターをつくる必要があるだろう。大阪や神戸は、すでに地域でそういう人権問題について啓発推進県民会議ですか、そういうものを役所も一般の市民も含めてつくっておるというのが実態なんですよ。だから、そういうことを効果的にやるというためには、一つの提言として考えていかなければならぬのじゃなかろうかと思いますが、その点はどうでしょう。長官でもいいです、どちらでも結構ですから。
○小島(弘)政府委員 確かに効果的な啓蒙活動については、啓蒙活動を続けながらその中で反省もし、あるいは模索をしているところでございますので、ことに先生御提言のような人権擁護国民会議というようなことになりますれば、これは法務省の行政とも非常に密接に絡む問題にもなってまいりますので、今後より効果的な施策を進めるという方向のもとで、先生御提案のものが具体的にいかなる内容のものであるかいまよく承知いたしかねるわけでございますが、本当に効果的に満たすという方向で十分検討してまいりたいと思います。
○野坂分科員 国民の意識の効果的な啓発というお話ですので、それの具体的な内容はと言ってもはっきりしない。だから、あなたがおっしゃるそれを趣旨にして、国民の参加によってそういう会議を設置し、それを啓発センターとして進めていくということになれば具体的に効果が上がるのじゃないか。 十年間やって、法務省が集計をされておりますと、年々そういう差別問題の事件がふえておるというこの現状は、いまの状況ではだめなんですよ、この間、総括で聞いておりますから。二百十四件ですから、そういうことから考えて、法務省なり関係機関と御相談になって、いま私が提案をしておるそういう大きな姿を、法律に基づいて私は提言をしておるわけですから、あなたのおっしゃっていることは具体的によくわからぬので、時間もないから、提言をしているわけですから、その点についてはどうお思いになりますか。——総務長官、この辺はどうでしょう。
○小渕国務大臣 政府としても、従来、この問題の啓発活動については鋭意努力をしてきたところでございます。パンフレットを出すとか、そうしたことも一生懸命やってきておるわけでございますが、御指摘のありましたように、いろいろな事案も惹起しておることを考えますと、さらにいろいろな手段を講じていかなければならぬことは当然のことと考えております。 いま御指摘のありました国民会議の構想、お考えは、まだ十分受けとめておりませんけれども、一つの御提言として十分勉強してまいりたいと思います。
○藤尾主査 野坂君に申し上げます。ただいま官房長官から総務長官に電話が入っておる最中でございますから、二分間だけ御退室をお許し願います。
○野坂分科員 それでは、ほかの方で結構です。 室長、いまの提言について、十分検討して何らかの形でそういう啓発センター的なものを設置して、有効に啓発、指導するということを早急に進めていただけますか。
○小島(弘)政府委員 せっかくの御提言でございますが、現在まだその団体がどのような形で構成し、あるいはそのような団体、センターの法的性格をどのように持っていくか、あるいはお願いする仕事の内容、中身をどうするかということについて、それぞれ十分効果的なものであるかどうかについての検討も十分しなくちゃなりませんので、将来の啓発の方向として一つの考え方であろうかと思いますので、十分検討させていただきますが、その設置の方向で検討するかという御質問に対しましては、いまそういたしますという御返事はいたしかねる状況でございます。
○野坂分科員 この法律はあと二年しかないのですね。いつ御検討になっていつ実施されるかわかりませんが、期限が参りますね。 私がお聞きしたいのは、それでは、実態の把握もヒヤリング程度で終わるということでは問題になりませんね。残事業の問題もありますし、五十六年度予算についてはそういう集約でいいでしょうけれども、全体的に、いまやるとおっしゃったわけですから、それについてその実態把握の上に立って何をやられますか。
○小島(弘)政府委員 附帯決議の第一項にもございますように、実態の把握というのは、今後差別問題をより早期に解決していくための施策の策定に資するための実態把握だと考えておりますので、それらの実態把握の材料等ももとにいたしまして、今後本当に同和問題の早期解決を図るために必要な施策の方向等について、十分検討してまいる考えでございます。その場合に、今後の啓発活動のあり方というものも当然最も重要な内容の一つになろうかと考えております。
○野坂分科員 実態把握をして「法の総合的改正及びその運営の改善について検討すること。」となっておりますね。実態把握をして五十六年度の予算要求に間に合う時期ということになれば、ことしの夏から秋にかけてかもしれません。そういう時期になった、それをやった、しかし、それとあわせて、法の総合的改正その他をやらなければならぬと思うわけです。 というのは、この間の臨時国会の際に、稻村国務大臣は、今度の延長は、この三年間の中において、実態を調査しながら基本的な問題をどう解決していくかというのが今度の三年間の趣旨なんだ、こうお答えになっております。これは、実態の把握をして法改正なり法の運用に持っていく、こういう意味でしょう。だから、それについてどのような作業がいま進んでおりますか。
○小島(弘)政府委員 現在、先ほど申し上げましたような同和問題の早期解決を図るための今後の施策の展開すべき方向等について、また施策のあり方等について、各省とも十分連絡をとりながら検討中でございますが、先生御指摘のように、実態把握で得たそういう資料をもとに、さらに広範な検討を行ってまいる考えでおります。
○野坂分科員 一応実態の把握はまだだというわけですから、法の総合的改正や運営についてはまだいろいろと御検討されておるかどうかわかりませんが、これは法の総合的改正についての作業というか、準備というものは進められておりますか。どういう作業を現在進められておりますか。
○小島(弘)政府委員 端的に申しますと、現在の同和施策の問題点あるいは今後に必要な施策の方向というようなものについての検討を行っておるところでございます。
○野坂分科員 お話では、今後の施策ですから、これには、法の総合的改正及び法の運用についてということですから、検討することになっておりますね。それは実態把握はまだだからできていないという意味ですか。
○小島(弘)政府委員 検討の成果についても、中間的にでも申し上げられる段階にまだ達しておりませんので、今後の施策については、それをどのような形で推進していくかという場合には、法の要否も含めて当然検討することになろうと思います。
○野坂分科員 総理府総務長官がお帰りでありませんし、時間がありませんから、国土庁の方おいででしょうか。
○藤尾主査 参っております。
○野坂分科員 総理大臣は田園都市構想というのを今度も非常にアピールしております。新聞を見ますと、探しに探して、予算は十分、中身はあいまいという表題で、数え上げれば一兆六千億ですね。 それで、この田園都市構想というのは、あなたのところには定住圏構想というのがありますね。それから建設省所管の地方生活圏構想というのがありますね。自治省所管の広域市町村圏構想というのがありますね。農林水産省の農村定住圏構想というのがありますね。いろいろ各省がやって、おりてくるのですけれども、受ける方は、県でも市でも混乱をするわけです。これをもっと横の連絡もとってやりやすいようにしなければ、これは建設省なのか、これは自治省なのか、これは農林水産省なのか、これは国土庁なのか。そして聞いてみると、国土庁というのは、大体私のところです、自治省は、いや、私のところです、こう言いますから、混乱をしないように整理する必要があるのじゃなかろうか、こういうように思っておるわけですよ。それは別々に事業が違うのですということもありましょうけれども、受ける方はうろちょろするというのが今日の実態ですので、それについての整理の仕方といいますか、大平総理のお答えを聞きますと、いや、これは理想であって、構想であって物差しみたいなものだ、こう言っているのですね。だから、この構想は一体どこが主管をして進めるということなんですか。国土庁に聞いてくれという官房長官の話ですから、あなたの方に聞きます。これで質問を終わらなければなりませんから、わかるように答えていただいて質問を終わりたいと思います。
○長沢説明員 お答え申し上げます。 田園都市国家構想につきましては、私ども、各省ともども長期的な国づくり、地域づくりの道標、道しるべとも言うべき国家理念というふうに理解いたしておりまして、これを具体的に展開していく大きな方法といたしまして第三次全国総合開発計画、そこでうたわれております定住構想を各省足並みをそろえて推進していくということがやがて国家理念の実現につながる、こういう考え方で昨年十七の関係省庁が集まりまして、定住構想を推進していくための連絡会議を組織しております。この場を使いまして、おっしゃるとおり総合的な環境整備でございますので、各省の圏域構想なり事業なりが全部関係してまいります。相互によく調整を図り、対立する形でなくて、相互に協業、補完の関係で定住構想が推進されるように関係省庁の協力を得つつ進めてまいっておりますし、これからもそういう形で進めていくという考え方でおります。
○野坂分科員 時間が参りましたのでもう終わりますが、新聞でも御案内のとおりに、非常に地方自治体では混乱をしておりますので、どこが主管をするか、そういう整理をして徹底をしていただくようにお願いをして終わります。
○藤尾主査 以上で野坂君の質疑は終了いたしました。 次に、渡部一郎君。
○渡部(一)分科員 私は、プライバシー保護の問題につきまして政府の対応を伺いたいと思います。 言うまでもなく、国家権力と個人の生活のかかわり合いは最近ますます拡大しつつあり、その間において、個人がひとりで置いてもらいたい権利というものは大幅に後退しつつあります。そればかりか、間違った情報を収集され、あるいは知られたくない情報を収集され、あるいは情報の内容と処理に関して、場合によっては個人の人権を大幅に侵害するケースが多数見受けられるのであります。中でも今回の国勢調査のごときは、憲法第三十八条に言う「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」という文章に反し、不利益な供述を強制される趣まであります。 個人のプライバシーに関してわが国政府のとっている態度には多くの問題点があります。また消費者金融や保険など私的な取引、個人情報の価値は増大する一方であり、こうした面における私的な情報のプライバシー侵害を発生しつつある事態は、もはや無視できない状況にまでなっております。したがいまして、こうした事実に対してどう評価され、今後どう対応されようとされているか、まず基本的にお伺いいたします。
○小渕国務大臣 大変申しわけありませんが、渡部委員御指摘のプライバシー問題につきましては、今般行われます国勢調査に関係してのお尋ねと承ってよろしいでしょうか。
○渡部(一)分科員 いや、一般論として……。
○小渕国務大臣 プライバシーの保護は申すまでもないことでございまして、個人の権利を擁護するために、個人の持つ秘密等につきまして、これを公権力が侵すというようなことがあってはならないことは、全く御指摘のとおりだと私も認識をいたしております。プライバシー問題、ただいま御答弁申し上げましたが、本件に関しましては、政府部内といたしましては一応行政管理庁が扱っておるという立場でございますので、御了解いただきたいと存じます。
○吉村説明員 ただいまの御質問でございますが、行政管理庁では行政機関における電子計算機利用、それに関連するプライバシー保護問題ということで、従来から外国資料を集めましたりあるいは国内情勢の把握をするということに努めてきているわけでございます。 御承知のように、昭和五十年に、当方の行政監理委員会にプライバシー保護に関しての諮問をいたしまして、その中間報告を得ております。行政管理庁は、その中間報告を受けた後もいろいろと関係事情の調査あるいは検討をしているということでございますが、特に最近の状況もいろいろと変化しておりますので、関係省庁と定期的に会合をやる等により種々意見交換をやっているところでございます。 〔主査退席、中島(源)主査代理着席〕 特に、その経過における成果といたしましては、昭和五十一年の一月に事務次官等会議ということで、政府部内におけるデータ保護に関する統一的な措置をしようということで、電子計算機処理データ保護管理準則というものをつくりまして、この準則に基づいて各省庁においてデータ保護管理規則をつくっていただく、その規則に基づいてプライバシー保護が十分行われるようにということで、各省庁にいろいろと働きかけておるということでございます。 それから、先ほど御質問の中でございました行政機関以外に私的な分野でもいろいろと問題があるんじゃないかということでございますが、その点について、われわれ直接の所管ではございませんが、世界の動向を見ますと、御質問のような傾向にあるということは言えようかと思います。 以上でございます。
○渡部(一)分科員 問題が非常に多いのですが、質問が多過ぎてだめになる可能性がありますから、生々しいのからやります。 まず国勢調査。総理府は、国勢調査を昭和四十五年にやりまして、基本的人権を侵害したという大きな批判が当時ありました。今回の国勢調査を見ますと、もっとひどくなっております。長官、これがそのペーパーなのです。この中には男女、氏名、世帯主との続き柄、出生、配偶者の有無、国籍、現住居に入居した時期、前住所、教育、仕事を特定の日にしたか、従業地、通学地、交通手段、勤め先、本人の仕事の種類、家計の収入の内容、こうしたものが記されています。しかし、この内容は、この調査票に「統計以外の目的には使用しませんから、ありのままを記入してください。」と書いてあるのですが、大半はプライバシー侵害の可能性があります。特に調査員に近所の人が任命されて、そして来ますから非常にぐあいの悪いことがある。たとえば配偶者の有無なんかについて言えば、当人の婚姻関係が不安定の人が日本には何十万とおります。そういう人たちはこれに答えることが不可能です。国籍の問題についても、これが不用意に集められれば、自分が韓国人であるということを表示することで、就職において不利益を受けるという青年たちがいまの日本にはたくさんおります。これに不用意に韓国人と名乗っただけでも会社からオミットされるところもあります。またどこに住んでいたかとか教育とか、一見何でもないようですが、教育がないことを恥じて隠している人たちというのはたくさんおります。何でこういうのを一々つけつけと調べなければならないのか。当人のプライバシー保護に対しての感覚が全くない。しかも、これはコンピューターに打ち込まれるように完璧にでき上がっておる。しかも、ここの上には「統計以外の目的には使用しませんから、」と麗々しく書いてあるけれども、プライバシー保護法が存在しない段階において、プライバシーが保護される保障は全くない。どうしてこんな乱暴なものをつくるのか。私はまずその点についての御説明をいただきたい。長官、これをごらんになりましたか。
○小渕国務大臣 それは存じております。
○島村政府委員 お答えいたします。 。プライバシーの問題につきましては、私どもも今回の調査につきまして実は非常な注意を払ったわけでございます。これは各国の例を見ましても、たとえばアメリカにつきましては六十九項目の調査をやっておりますし……(渡部(一)分科員「そんなことを質問しているのじゃないですよ。これが侵害しているかどうかを聞いているのじゃないですか。答えたらどうですか。これで侵害してないと言うのだったら、後は適当にこっちは処分しますよ」と呼ぶ)私どもはプライバシーの問題につきまして、この調査方法あるいは統計法の法的根拠あるいは集計等につきまして非常に細心の注意を払いまして、そういうプライバシーの侵害が行われないようにと考えておるわけでございます。
○渡部(一)分科員 そのようなよけいなことばかり答えていないで、時間がないのだから引っ込みなさいよ。 いいですか。どういうふうに注意したかなんて聞いているのじゃないのだ。現実として韓国国籍の人が名乗って、プライバシーを侵害されたらどうするのですか。漏れるじゃありませんか。調査員から漏れるのはわかっているじゃないですか。そうでしょう。未解放部落の諸君がいる。先ほど同和問題としていろいろお話があった。居住地もはっきりしたくないのに居住地を一々、現住所に移るまでどこに住んでいたかと言われたら、ばれるじゃないですか。これではばれるじゃありませんか。注意したかもしれませんよ。もっとひどいのが初めはできていたかもしれない。だけれども、こんなものではプライバシーの侵害を抑えることができないじゃありませんか。それを何だと思っているのですか。訴訟が起きたらどうするのですか。
○島村政府委員 いま言いましたプライバシーの問題につきましては、要するに調査の段階においていろいろプライバシーが守られるような措置を私どもも講じなければならないと考えておるわけでございます。
○渡部(一)分科員 だけれども、それなら幾ら考えたってできやしないじゃないですか。調査員は近所の人が任命されて出かけていって、あなたのうちはどうですかと全部チェックすれば、プライバシーが守られるはずがないではないか。これはプライバシー保護法が日本に存在してないからであります。プライバシー保護に関する担当機関がないからであります。 先ほど行政管理庁に聞いてみたら、行政管理庁としては、ほかの関係省庁を集めて協議することはできても、何かを決定してやるとは言えない、プライバシー保護の問題について進めることはできないという悲しい話があった。だから、いまみたいな一つの省庁から物すごいひどいものができたとしても、これを抑えることは行政管理庁はできないです。こういう事態に対してどうするのだと私はいま聞こうとしているのです。 総務長官、申しわけないけれども、これについてどうお考えになるか、最後にお答えいただきますから、私の言っていることを途中で聞いておいてください。 厚生省、お願いします。いますか。——厚生省はコンピューターで個人情報をたくさん管理されておられます。年金の問題について管理されておりますが、そのときには個人の職歴や収入がおたくのコンピューターには入っております。だからきれいにわかる。職歴や収入が簡単にわかってもらいたくないと思っている人たちのプライバシーはどう保護するのですか、聞かしてください。
○萩原説明員 社会保険庁におきましては、電子計算機に入っておりますデータの保護管理規程というのを、先ほどの行政管理庁のお話の基準を参照いたしましてわれわれの基準として持っております。その場合に、個人のデータにつきましては、そこに接近できる方は原則として本人またはその代理人に限るということで運用いたしておりますので、その場合に本人であることの確認あるいは代理人であることの確認につきましては、たとえば電話での場合には非常に問題がございますので、電話では、本人以外には知り得ないような情報につきまして、たとえばその方の年金の番号であるとか、年金の支払い機関であるとか、そういうことを言っていただきまして、それを手元にあるデータと照合いたしまして御相談に応ずる。それから本人が具体的に御相談においでになった場合については、やはりこちらからお渡ししております支払い通知書であるとかそういう書類をもって確認するということをやっております。
○渡部(一)分科員 いまあなたの言われたのは、入ったデータを管理することだけ言われているのです。そのデータが間違って入力されておる。そしてこちらはそれを調べる方法がいまない。自分のことに関して、入れたデータについて、私のデータ正確ですかと言う方法がない。訂正を申し込む権利がない。こういうばかげた状態になっているのに対して、厚生省は何かの手を打っておられますか。
○萩原説明員 われわれのところで年金相談と申すものは、年金裁定の前段階におきます過去の職歴の御本人の申し立てと、われわれの適用の記録として持っておるものの照合、そういうものを行うわけでございますが、それ以前に、やはり電算化されたことによって初めて可能になってまいりましたけれども、年金の試算というものをやることができるようになっております。これは、現在持っておる過去の職歴及び過去の報酬から、将来何歳になって幾らぐらい年金がもらえるであろうかということがコンピューターの中で計算ができる仕組みになっておりますので、そういう段階におきまして年金相談においでになったところで、誤って過去のデータが入っているかどうかの確認は可能になるというふうに考えております。
○渡部(一)分科員 したがって、最初年金相談に当人が見えない限りは、個人情報の誤りはそのまま通過してしまうことをいま示しています。ですから、日本の社会保険庁あるいは厚生省等が管理されておる年金の数字は相当大幅に間違っていると思わなければいけない。それによって不利益ないしは損害を受けている人の数も相当のものに達すると思わなければいけない。だから、こうした問題に穴があるということは、厚生省のが一番よく管理されているデータであり、しかも、年金相談の形を経て当人の情報を公示するということが行われているにもかかわらず、この状況なんです。 もっとひどい場合は警察の情報です。警察は犯罪管理を行っており、個人の犯罪経歴をコンピューターにたたき込んであります。しかし、本人の承認を得てはうり込まれているデータというのはないのです。間違って吹き込まれたデータの場合には修正のしようがない。それは自分の入っているデータについて質問することが許されていないし、それを直すことが義務づけられていないし、時効消滅の期間がないからです。ですから、警察の場合はもっとひどいことになっています。 大蔵省にお尋ねします。これはちょっと気の毒なんですが、私的なものであります。これは銀行の取引約定書です。最近銀行の取引約定書の一番しっぽのところにゴム判で各銀行とも印刷されている項目があります。それには「私は、貴行との当座勘定、借入債務等から発生した客観的な取引事実に基づく個人信用情報を貴行が加盟する信用調査機関に登録され、当該信用調査機関の会員が自己の取引判断のため、その情報を利用されることに同意します。」という文章が書いてあります。これは何かというと、プライバシーの大幅な侵害であります。こういう取引をするときには、お金を借りたいとかなんとかいうので申請してくるわけですから、申請してくる弱みのある人に対して、あなたの金融に関するプライバシーはありません、それは日本じゅうのどこの銀行でも筒抜けにしますよということを約束させようという文章です。これはプライバシーの大幅な侵害だと思うわけです。監督をなさる大蔵省銀行局としては、こういうプライバシー侵害が日本の銀行すべてにおいて起こっていることについてどうお考えになっているのであるか。きょうは恐らく御担当の方がお見えになっていないだろうと思います。だからお答えは要りません。お答えは要りませんが、総務長官、そんなことまで始まっています。 現に私は被害者です。ある会社の幹部に会ったときに、銀行の幹部から聞いたと言って、渡部さんは清潔なやつらしい、銀行預金が四十万円しかないという話をされた。その日ちょうど四十万円しかなかったのです。私の場合はほめてくれたのですから怒るべきではないのでしょう。けれども、そうしたことを銀行の幹部が人と会う前に全部引き抜いて見る、そしてそれを仲間うちでしゃべる、こんなものはプライバシーの侵害以外の何物でもない。しかもぼくは、その銀行とはこういう約定書は結んでいないのです。 長官、ここでそろそろあなたと私の政治的会話に移りたいと思うのであります。本人が承諾しないデータがコンピューターの中にいま山ほど入っています。それは承認されていません。ですから、その中は間違いだらけだという可能性があります。本人が承認したデータを入れるということは、ヨーロッパにおいてはプライバシー保護の基礎的な条項とされています。 また第二は、かぎの原則と言われているものですが、私のデータのある部分を見ることは——警察に私の犯罪歴について見てもらうということはやむを得ないかもしれないが、何も厚生省の役人に見てもらう必要はないだろうと思います。ところがコンピューターのかぎをあけて見る人が全部のデータを見られるようにしてしまうと、プライバシーは大幅につぶされてしまいます。ですから、かぎを持ってあける人は特定の人にする必要があります。これが第二の原則です。 第三番目の原則は、時効の原則です。犯罪人の場合に殺人でさえも時効があります。ほかのデータについては時効があって戸籍から抹消されることになっていますが、コンピューターには時効がありません。したがって、コンピューターの場合に時効の原則が導入されなければいけない。個人のデータに対する時効の原則がなければ、どうしてプライバシーが守られるか。これが第三の原則です。 第四の原則は、すべてのデータをくっつけることです。さっきのかぎの原則はあける方ですが、これはブロックの原則といって、おのおののデータを全部一つの番号のもとに統一してしまえば、一つのデータを見ようとするたびにすべてのデータがわかります。それほどまでにその人のことを全部知る必要はないと思います。そしてまた、そういうことでは個人のプライバシーは侵されるだけだと思います。 第五番目には、公正取引委員会のような独立した権限の部局がこの問題に関して必要だろうと思います。そして公的機関、私的機関に限らず、こういう問題について発言するあるいは裁定する機関がある意味でなければ、今後プライバシー保護の問題については大問題が巻き起こるだろうということは明らかです。 もちろんその基本には、プライバシー保護に関する立法が急がれなければならないと思いますが、この点、大臣、どうお考えでございますか。
○小渕国務大臣 最近特に個人の尊厳が評価される時代を迎えておることとあわせて、コンピューターエージと言われる新しい時代を迎えまして、豊富なデータを一括処理するようなことが可能になってきておる今日だろうと思います。そういう意味合いで、個人の秘密に属するような問題につきましてもコンピューター処理をして、これを各般に活用したいという時代の要請もまた私は存しておると思います。 それから同時に、委員御指摘のように、そのことによってプライバシーを侵害されるという危険もまた起こってきておるわけでございます。 そうした観点に立ちますと、今日、この個人の秘密にかかわる問題をいかに守っていくかということにつきましては、改めてその立法処置も講じなければならなくなってきておると私自身も判断をいたしておるところでございますし、政府としてもその勉強は十分現在いたしておるところだろうと存じております。
○渡部(一)分科員 大臣は勘どころをおつかみになっておられると思いますが、この問題はOECD等におきまして、アメリカ及びヨーロッパにおきましてはほとんどの国がプライバシー保護の立法はすでに行っております。日米欧の三つのグループの先進国の中で、プライバシー保護に関する正規の立法を行っていないのは日本のみであります。またそれに関する非常に大きな研究と発展が行われているのも事実であります。わが国においても、これらの諸外国と文化的、経済的、政治的な交流が多いときに、日本一国がプライバシーの保護がないということは、日本に居住するこれら外国人に対するプライバシーの保護が全くないという観点から国際問題を惹起する可能性があります。したがって、OECDやアメリカなどと同じく、プライバシー保護に関する立法措置を早急に講じ、またプライバシー保護を扱うところの機関の確立に努めなければならないと思いますが、いかがでありますか。
○小渕国務大臣 御答弁申し上げましたように、時代の要請であろうかと思います。また観点を変えてみますと、日本の産業構造の中で情報産業というものは大変大きなウエートを占めてきておるわけでございます。そういった世界に冠たる情報産業国家の日本が、その利用面におきまして、いやしくも個人の秘密を守るということにつきましての法的な措置が講ぜられないことはまことに残念に存じております。したがって、政府としては、現在行政管理庁を中心にいたしまして鋭意検討を進めておるところでございますので、御指摘は全く正鵠をうがっておると存じております。
○吉村説明員 先ほどから先生の御質問にございますように、世界の大勢はプライバシー保護立法化へという方向にございます。御質問のように、わが国においてはまだプライバシー保護立法はされておりませんが、一応行政管理庁としては積極的に各省庁と連絡協議をいたしまして、先生の御指摘のような趣旨にできるだけ進めていくという努力をいたしたいと思います。
○渡部(一)分科員 プライバシー保護に関しては、公的機関のプライバシー保護も重要でありますが、私的機関によるプライバシー侵害を防御することがきわめて重要であり、これは世界の大勢であります。またプライバシーの保護は、記録の収集の段階からあるものに関しては制限し、あるものについてはコントロールすることがなければ、プライバシー保護はできないものと思われます。第三のポイントは、プライバシーの保護のためには、コンピューターに入るデータだけを押さえるのではだめなんです。手作業で集められたデータが狂っているからコンピューターが狂うのでありますから、手作業段階でこれは厳重にチェックしなければならない。この三つのポイントが国際的な趨勢のように思われます。この点、行管庁の方ではどうお考えですか。
○吉村説明員 ただいま先生からお話のございました三点でございますが、御質問のように世界の保護立法の大勢はそういう方向に進んでおるというふうに言わざるを得ないと思います。私的領域等については、行政管理庁が面接どうこう言う権限はございませんけれども、各省庁にそういうことについてはできるだけ御連絡いたしまして、全省庁で政府全体として、先生の御指摘のようなことについて前進的な措置がとれるように推進したいと思います。
○渡部(一)分科員 国立市を初めとする十幾つの市町村におきましては、こういうコンピューターによる。プライバシーの侵害に関して、これを保護するための立法を行っております。これはコンピューターに関してのみでありますが、内容はきわめて重要なものでありますので申し述べたいと思います。 まず収集の制限、記録の制限、他機関とのオンラインの制限、個人番号使用の制限、データ保護措置、データ提供の制限、職員の処理状況等の公表に関する義務、職員の個人の秘密の保護に関する義務、職員の運営の適正性あるいは正確性の保持に関する義務、また個人の権利として閲覧請求、訂正、変更、廃止等の請求の権利、審議会の設置、処理委託の制限等に関して、さまざまな条例が組まれております。中には、いま申し述べたものがことごとくカバーされたものもあるようであります。 私は、こうした問題については政府は十分御検討の上、これらの先進的な市町村がみずからの労苦によってここまでこの問題を研究してこられたことを政府としても十分考慮の上、適切な措置をとっていただきたいと思うわけであります。大臣、いかがですか。
○小渕国務大臣 要は、国がこのプライバシー保護法を制定するということで尽きるかと思いますが、現時点においては法制化されておりません中で、コンピューター処理をしなければ行政が遅滞するということで、それぞれ地方公共団体がみずから検討されてそうした条例を公布し、それによってプライバシー保護をしておるという現在の状況につきましては、私どもとしても高く評価できることだと思います。 冒頭申し上げましたように、この趨勢であることはだれしも認めておることでございますので、政府としても懸命の努力を払っていきたいと思います。
○渡部(一)分科員 最後に、もう一回国勢調査の話をします。 あなたいろいろおっしゃったけれども、まことにまずいことに、お答えになった方はプライバシーの保護の問題については余り御研究がなかったのだろう、特にこれをつくられた方に余り警戒心が薄かったのだろうと、私は好意的に解釈しておるわけであります。ですから、それをいまとやかく言うつもりはありません。しかし、こういう内容でプライバシー保護法がない段階で、あの秘密がリークしやすい調査員を使っての調査というものは、もはや限界があるし、私は問題点が残ると思う。したがって、今度の国勢調査に関して、これを拒否しようという動きが起こったとき、われわれは阻止する弁明を持ち得ないだろうと思います。したがって、まことに残念なことですけれども、この国勢調査の中身が相当数において空洞化するという事態が生ずることは、やむを得ないだろうと私は思います。それは、国民の高い意識に対して説得性を欠いているからであります。私はその意味において、当該官庁がこれに対してプライバシーの保護についてより神経質になり、早急にプライバシー保護に関する諸施策の措置を講ずるとともに、私はがみがみ申しましたが、このようなペーパーで集める途中では大きな侵害事件が起こり得る可能性が十分あることを指摘するとともに、プライバシー保護に対してまじめに憂慮される国民を敵にしないで問題が処理されますよう希望いたしまして、私の最後の質問とさせていただきます。
○小渕国務大臣 プライバシー保護に対しましての渡部委員の御見識に対しまして、いささかも反論するつもりはございません。 ただ、総理府が所管いたしております国勢調査につきましては、もとより現時点におきましてはプライバシー法が制定されておりません段階におきまして、最大の努力を払って個人の秘密の保護を考え、現行ございます統計法に基づきまして、しかもこれは大変厳しい罰則を科した法律でございまして、その中で今回の国勢調査の項目を選び、かつ統計審議会で公正な御判断をいただいてつくり上げたものがその調査票でございます。御指摘がございましたので、私どもも最大の留意を払ってこの問題に対して対処いたしていきたい。 ちょっと長くなりますが、具体的な例といたしましては、調査票を密封するものでなければどうしても調査の協力に応ずることができないという世帯に対しましては、密封用の封筒なども用意するということで、一例ではございますけれども、各般にわたりまして個人の秘密の保護ということについては十分留意を払いつつ、今回は国連の勧告でもありますし、また、定期的な調査をいたさなければならない年でございますので、実施をいたしてまいりたいと思っておりますが、御指摘にもありましたことにつきましては、さらに十分な配慮を払ってまいりたいと存じます。
○中島(源)主査代理 以上で、渡部君の質疑は終了いたしました。 次に、岡田利春君。
○岡田(利)分科員 私は、北方関係の問題について御質問いたしたいと思います。 初めに、日本とソ連、すなわち日ソ関係は、最近アフガンの問題等を中心にしてさらに問題点が複雑になってきておるわけです。しかし現在の日ソの関係は、一体どういう関係にあるかということを考えてみなければならないと思うのです。そこで、今日の日ソ関係というものは、日ソ共同宣言及び田中・ブレジネフ共同声明、この上にあると政府は考えられておるか、そうでないと考えられておるか、見解を承りたいと思うのです。
○兵藤説明員 お答えいたします。 先生がお触れになりました日ソ共同宣言並びに田中総理大臣の訪ソの際にできました共同コミュニケ、いずれも日ソ関係にとって非常に基本的な大事な文書という認識は、私どもも全く同じでございます。
○岡田(利)分科員 そういたしますと、わが国のソ連に対する基本的な姿勢は、この日ソ共同宣言及び田中・ブレジネフ共同声明にある、これに示されているわが国の姿勢がソ連に対する今日の基本的な姿勢である、こう理解してよろしゅうございますか。
○兵藤説明員 お答えいたします。 日ソ共同宣言は、わが国とソ連との国交を回復いたします際の最も基本的な文書でございますが、田中・ブレジネフ・コミュニケは、その後、日ソ間で締結あるいは署名されましたいろいろな重要な文書のうちの一つである。したがって、先生が御指摘の二つとも、今日のソ連との関係において大変重要な意味を持つという点は先生の仰せのとおりでございます。
○岡田(利)分科員 日ソ共同宣言の第六項目に「ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国に対し一切の賠償請求権を放棄する。日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、千九百四十五年八月九日以来の戦争の結果として生じたそれぞれの国、その団体及び国民のそれぞれ他方の国、その団体及び国民に対するすべての請求権を、相互に、放棄する。」こう定められておるわけです。したがって、将来、日ソ平和条約の締結に向けて最大の課題である北方領土の問題の解決を図らなければならないというのが、わが国の外交のソ連に対するきわめて重要な基本的姿勢であろうかと思うわけです。しかし、この日ソ共同宣言は、双方批准をし、条約尊重の義務は国際法上あるわけでありますから、したがって、将来領土問題が解決をしても、この六項は当然平和条約に受け継がれる、こう理解をしなければならないのではないか。そうしますと、ソビエトと日本の間には、双方の団体及び国民それぞれにおいても、いわば請求権というものは相互に放棄をするから請求権はないのだ、こう素直に解釈されるべきであると思いますが、いかがでございますか。
○兵藤説明員 お答えいたします。 先生御指摘の日ソ共同宣言の第六項は、日ソ共同宣言自体が日ソ間の最も基本的な文書でございます、そのうちの一つの重要な項目として、今日もなおその効力を有していることは論をまたないところでございます。この項の意味いたしますところは、それ以前日ソ間に生じたいろいろな請求権、これを一括して相互が放棄するという趣旨であることは先生の御指摘のとおりでございます。
○岡田(利)分科員 この六項は、領土問題が解決をして日ソ平和条約が締結される場合においても受け継がれる原則である、こう解すべきがきわめて常識的ではないか、こう思うのですが、いかがですか。
○兵藤説明員 この日ソ共同宣言第六項の意味いたしますところは、日ソ共同宣言が効力を有しますまでの間に生じましたいろいろな請求権というものを一括して放棄するということを定めたものというふうに私どもは理解をいたしております。将来締結されることあるべき平和条約におきましてどういうことに相なるかということは、これは今後の問題だというふうに理解をいたしております。
○岡田(利)分科員 もう一つ関連して聞いておきますけれども、アフガン問題が発生して以来、わが国は、対ソ経済制裁といいますか、そういう意味では、オリンピックの問題とかあるいはまた経済協力の問題でいろいろな問題が提起をされておるわけです。しかし、これらの状況の中で、フランスあるいは西ドイツの場合には、経済関係についても、いわゆる資金の供与とかあるいはまたプロジェクトの提供とか経済協力という面については、従来と変わらない姿勢で進めておると私は思うのですね。特に日ソ関係は、サケ・マス漁業を初め、きわめて密接不可分のいろいろな問題を抱えておるわけですから、今日的状況の中では、やはりフランスあるいはまた西ドイツがとっている経済協力に対するこういう姿勢は、少なくともわが国の場合には同様な姿勢で臨んで、さらに予想される問題の解決を図っていくべきだと私は考えるのですが、この点についてはいかなるお考えでしょうか。
○兵藤説明員 お答えをいたします。 アフガニスタン問題をめぐりますソ連との関係につきましては、大平総理大臣の施政方針演説に明確にその基本的な姿勢がうたわれているとおりでございまして、先生御案内のように、米国を中軸として、西独、フランスも含めました西欧諸国と協調を図りつつ、これらの国々の対応も十分に見きわめまして、慎重に対処してまいるというのが、従来から政府がとっている方針でございます。
○岡田(利)分科員 北方四島周辺において、いわば当時のマッカーサー・ラインがしかれて以来、わが国の漁船がこの周辺で拿捕されて、四十九年にこの拿捕された漁船の補償を行っておるわけですね。これは七千五百件に対して一千七十九隻、七十三億六千万円の予算措置でこの拿捕漁船の補償が行われておるわけです。中国の場合には、民間の日中漁業協定ができた、あるいは韓国の場合には、李ラインで非常に問題があったけれども、日韓の漁業協定が結ばれて規制操業ラインが平和的に定められた。これらを前提にして、それぞれ拿捕漁船に対する補償救済が行われておるわけです。北方の場合には、別に安全操業の協定ができているわけでありませんし、この点については、一貫してきわめて不安定な情勢は戦後変わっていないわけですね。これはいかなることを理由にしてこのような補償が行われたのか、承っておきたいと思うのです。
○武田説明員 お答えいたします。 先生御案内のとおり、またただいま御指摘がございましたように、日韓、日中の場合につきましては、わが国の有します損害賠償請求権、これについて放棄あるいはたな上げ、それからまた平和条約の締結、そういったようなものを前提として拿捕についての特別な措置が講じられているところでございますが、ただ北方四島関係の場合につきましては、必ずしもそういった条件はないわけでございますけれども、何と申しましても北方領土がわが国固有の領土である、それからまた非常に長い年月にわたりまして多数の漁民が拿捕という不幸な状態になり、精神的、経済的苦痛といいますか、打撃と申しますか、これが時日の経過とともに深刻の度を加えつつあったということがございます。当時関係団体からも、とにかく四十九年九月三十日までの拿捕について特別措置を講ずるようにしてほしいという申し出もございまして、先生御指摘のように、昭和五十年度に七十億円余の特別措置を講じたというような経緯であるというように承知をいたしております。
○岡田(利)分科員 この補償が行われて以降、北方海域では漁船の拿捕の状況は一体どうなっているのか。この点はいかがですか。
○武田説明員 四十九年十月一日以降でございますが、本年一月末までに、北海道庁からの報告によりますと、拿捕漁船の数は百九隻ということに相なってございます。
○岡田(利)分科員 北方領土関係の旧漁業権の問題については、ずいぶんその見解というものが明らかでなかったわけですが、政府はその後、この北方海域の旧漁業権に対する政府の統一見解というものを明らかにしたわけですね。政府として公式的にこの統一見解を明らかにしたのは何年でございますか。
○武田説明員 旧漁業権につきましては、先生御指摘のように、昭和二十一年GHQ覚書による行政分離によりまして消滅したのであるという理解でございますけれども、私どもの調べたところによりますと、昭和三十五年当時から、そうした方向で国会でも御答弁を申し上げてきたものというように承知をいたしております。
○岡田(利)分科員 長官、いま私が外務省と農林省に質問いたしたわけですが、もちろん、昭和三十一年の日ソ共同宣言の締結までの請求権は放棄していることを定めてあるわけです。まあ、国際慣行からいって、これは平和条約締結に至らない中間条約であるということは明らかなのですが、将来領土問題が解決をしてこの平和条約が結ばれる場合も、大体これらの条項についてはその後も継承されるというのが慣例であろうし、そうでなければ問題は解決しないと思いますね。したがって、いわばきわめて常識的に言うと、日ソ間において北方関係の双方の国民、団体、国の請求権はお互いに放棄しているという精神は流れていくのだろう、こう理解されなければならぬと思いますね。また、この周辺で拿捕された、先ほど申し上げました千七十九隻については、いわば安定的な状況でなかった。日ソの安全操業協定というものについて、初めはずいぶん日ソ間で折衝を行ったわけです。ところが、歯舞、色丹に関しては大体いいところまでいったのですけれども、国後、択捉を含めての安全操業協定の締結には至らなかったわけですね。初めは、協定ができれば補償をしようという考え方があったわけですけれども、それがとうてい見込みがないという段階で、いま水産庁から説明があったように、予算措置でこの補償に踏み切ったというのが経過なのです。 そこで、一昨年の予算委員会の総括質問の中で、福田総理に対してこの問題について、特にこういう経過から考えて、旧漁業権者及び旧島民の問題については法律論だけで云々すべきではなくして、政治論的にこの点について何らかの救済措置をもう一歩進めてとるべきである、こういう質問をしたところ、この件については総理府に検討させましょうということになったわけです。それを受けて、昨年の予算委員会で三原総務長官に対して、その後この点についてはどうなっているのか、総理府でどういう検討が進められているのかという質問をしたところ、それぞれ、たとえば沖繩や小笠原、北方領土、いずれもその地域の条件は違う。だが、すでに復帰をした沖繩や小笠原については、それぞれの措置がとられている。特に小笠原のような場合は、六百万ドルのいわば見舞い金があって、そのうち漁業者に対しては七億八千万円の補償がとられているわけですね。ところが、先ほど質問しておりますように、請求権を放棄されている、また、同じ漁業権のあった海域で拿捕されている漁船に対しては補償がされていない。そして政府は、統一見解を示した翌年の昭和三十六年に北方協会をつくって十億円の基金を創設した。十年たってこれが償還をされて、領対協にいまこれが引き継がれて運用をされておる。したがって、いままでの私の予算委員会の質問の流れから言えば、戦後三十五年、そしてこの北方協会ができて以来実に来年で満二十年を迎えるわけですね。ですから、三十五年も経過しますから、死亡者ももちろん出てまいりましたし、きわめて老齢化しているわけですね。これもいずれ消滅してしまうわけですね、いなくなるわけですから。したがって、そういう点から判断して、いま私が関連して質問した面からいっても、来年、交付金を交付して二十年、今年三十五年の現時点で何らかの救済措置をこの機会にとるべきではないか。それは鋭意検討しているはずなのですが、その後の検討はいかがですか、内容について御説明願いたいと思うのです。
○小宮山説明員 お答え申し上げます。 終戦当時一万六千七百四十五人おりました在島者でございますが、その後かなり減りまして、現在は一万二千五百二十九人というぐあいに減っております。さらに、この漁業権に対しましては消滅したという考え方をとっておりまして、昭和二十一年一月二十九日消滅いたしました。そしてこれの全面改正に伴います補償はできない、こういうぐあいになっております。さらに、昭和三十六年にこれに対しまして特別な立法が行われまして、十億円の基金によります融資の制度を運営してきておるわけでございます。ただいま累計約五十億でございますか、これの融資を行っておるわけでございます。そしてさらに関係省庁ともいろいろ相談いたしました結果、このような結論は確定しておりますので、改めて補償することは非常に困難である、現在そういう見解に立っております。 以上でございます。
○岡田(利)分科員 一応いままでの経過について触れられておるわけですが、私が質問しておるのは、少なくとも法律論だけでこの問題を処置するというのは問題があるのではないか。法律にも書いてあるように、北方の特殊な地位にかんがみということで、昭和三十六年に十億の基金ができたわけですね。十億の基金の根拠は何なのか。一体どういう感覚で十億円というものを国債で交付するのかということに関しては、当時明確に説明があって、昭和二十五年当時の新漁業法で、全国の漁業補償が行われた。その計算で北方四島の計算をすると、二十五年当時の計算で七億五千万だ、あとの二億五千万は旧漁業権以外の島民もおるので、そういうことを一応の基礎にして、考えに入れて十億円の国債交付を決めたのだ、別に昭和三十六年のときの計算基礎で十億円を決めたわけではないのです。あのインフレの最も激しい二十五年の年のそういう基礎を一応参考にしながら、十億円の国債交付を決めた。初めは金利の運営なんです。資金がなくて大変だったわけですよ。そして十年間経過した。交付をされた。その金を分けてもどうしようもないから、そのまま領対協に引き継いでいまの形に運営をしよう、こうなってきておるわけですね。だから言うなれば、法律論だけで物事を考えるということについていささか問題があるのではないのか。政治論的に今日の特殊な地位にかんがみて、これに対する何らかの——私は補償と言っているのではないのです。やはりけじめをつける意味においても特別な救済措置をする必要があるのではないか。そういう意味で、私は、三原総務長官も福田さんの指示を受けて、さらに研究をしていくということになったのだろうと思うのです。言うなれば、各省と言いますけれども、漁業権の補償をするなら農林水産省に相談しなければならぬですよ。私はそう言っているのじゃないわけですよ。漁業権者あるいはまた旧居住者、これに対して特殊な地位にかんがみて、何らかの救済措置といいますか、見舞い金を交付するとか、そういう形をしないと、老齢化してどんどん減っていくばかりなわけです。そういう段階に来ているのではないか、そういう認識はないのか、そういう認識があるとするならば、総理府として、当然これに対してもう少し突っ込んだ検討をすべき時期ではないのか、こう思うのですが、長官いかがですか。
○小宮山説明員 お答え申し上げます。 一昨年の二月七日に先生と中川先生とのやりとりがございまして、これは十分処置しなければならない問題である、ただし政策判断で議論しなければならない問題だけれども、やらなければならない問題ではない、そういうものではない、こういうぐあいに中川大臣がお答えしておるわけでございます。そこで私たちの方も、総理も総理府と相談してみるというぐあいなお答えでございました。これに関連いたしまして、いまに引き継いでおるわけでございますけれども、関係者の要望も非常に強うございますので、現在融資事業を六億から八億に大きくしたわけでございます。さらに現行の融資制度の充実を期することによりまして、地元の御要望にこたえてまいりたい、こういうぐあいに考えております。
○岡田(利)分科員 それでは答弁にならないですね。そんなことはあるに決まっているわけでしょう。大体発足からして無理なんですよ。十億の金を運用したわけではないのですから、十億の金を国債交付として、その金利のみの運用ですから、初めはわずかな金です。一番必要なときに、わずかな金で、いまになって多少貸し増してみたところで、どうも政策的に考えても納得ができない。あるいはまた、沖繩の場合にはずっと継続的に仕事をしておった個所ですね。あるいはまた、小笠原の場合には、日本からお金をやったのかどうか知りませんけれども、六百万ドル、二十二億円が見舞い金として出されて、漁業補償が行われておるわけですね、内訳七億八千万円という。そう考えてまいりますと、日ソ共同宣言では、請求権双方いずれも放棄しておるわけでしょう。明確でしょう、少なくとも昭和三十一年までは。しかも国際法上、双方請求権を放棄して平和条約が結ばれるということも、これはよほどでなければ、きわめて常識的に判断できることでしょうが、ないわけですよ。そして同時に、一方、漁船の拿捕の問題については、何らかの安定的な協定もないけれども、政治的にこの問題は北方関係については七十億を超える補償をしたわけでしょう。これは予算措置で補償したわけですよ。そして旧島民については、三十五年たっても、また協会ができて二十年たっても、このままでいいのだというのは片手落ちじゃありませんか。片手落ちであると私は指摘をしておるわけですよ。私は、ここで漁業権が消滅したかどうかという議論をしようと思っていません。これは私、休眠しておるという見解に立っておりますから、政府の統一見解とは違った見解に立っておりますけれども、いまそういうことを議論しようとは思わない。だがしかし、三十五年たった今日、しかも統一見解が出された翌年協会ができて、十億円という国債交付で、しかも金利しか運営できなかったという歴史的な流れ、そして今日依然として北方関係の置かれている特殊な地位、こう考えれば、何らかのやはり政治的な解決をすべき段階に来つつある、そういう時期であるということは、きわめて常識的じゃないかと思うのです。それに対して、いまのままでこれからも運営していいのですというお答えは、どうも納得できないわけです。 私のずっと関連して質問をした点を聞かれて、どうですか長官、三原長官よりもなお後退しておるのはとんでもない答弁ですね。いかがですか。
○小渕国務大臣 現在の四島の状況にかんがみまして、その島々からソ連の不法な力によって根室あるいはその他の地域に移住せざるを得なかった人たちに対する措置につきまして、岡田委員の御主張の存するところは、心情的に、三十五年経た今日、何らかの措置を講ずるべきだというお考えもわからないではありませんが、現在政府としては、一応、その漁業権につきましても、政府の統一した見解を持ちまして、その中で行政的に御指摘にありましたような十億円の基金を設定して、今日その融資の対象額を増高することによって報いてきたつもりでございまして、何らかの新たなる見舞い、あるいは補償というものにつきまして、直ちにこの際結論を得ることは、はなはだむずかしいのではないかと申さざるを得ないと思います。 ちなみに、よけいなことかもしれませんが、沖繩の漁業権の問題などにつきましても、六百億を要求されまして、三十億円の基金を設けて、同じような低利融資というような形でこの漁業権に対しての補償を考えておるというようなことでございまして、考え方としては、やはり一連のこの考え方に立脚してその後の措置を講じておるということでございますので、この基金そのものの融資事業をさらに拡大せよという御指摘でありますれば、これについて最善の努力を今後とも図るという御答弁はできるわけでございますが、この際新たなる方法を考えよ、こういうことにつきましては、定かに明快な御答弁のできないことをお許しいただきたいと思います。 しかし、三原長官が昨年御答弁を申し上げておるということでもございますので、改めて前長官の本院における答弁も十分読み返しをいたしまして、どのような措置が講ぜられるか検討してみたいと思います。
○岡田(利)分科員 沖繩の場合は、これは島に島民が居住しておったわけですね。北方は、ソ連が進駐して以来それぞれ引き揚げをしておる。初めは、とにかくこのままで残れという指示を日本の内務省が出して、最終的には昭和二十三年の夏にようやく最後の引き揚げが命令によって行われるわけですよ。この点も時間的な経過が違うわけですね。沖繩と北方はやはり違うのだということがおわかりだと思うのです。小笠原の場合には、それ以前から島民の引き揚げが出て、戦前からの長い経過があるわけですね。そしてこの最終解決には、とにかく日本からアメリカにお金を出して、六百万ドルアメリカ側から見舞い金が出された。その中で、最も少ないその当時の評価をして、漁業者きわめて少ないですが、そういう人々に七億八千万円の補償見舞い金を出したわけですね。これは全部引き揚げたという経過があるからです。それで、アメリカ側からそういう見舞い金を出さしたというのが小笠原の措置なわけですよ。北方の場合は、先ほど言ったように、請求権は放棄をしている、あるいはまた、この周辺の拿捕漁船に対しては補償されている、そして漁業権の経過はこれで終わりということについては、比較論から言ってやはり問題があるのではないのか、こう私は先ほど来から指摘をいたしておるわけです。 そこで、ひとつここで聞いておきますけれども、これは一代継承に法律的になっているわけですね。この資金を借りる場合も一代継承なわけですね。したがって、それが終わるともう対象外になってきますから消滅するわけですけれども、これは法律を改正しなければ、一代継承からさらに二代継承なんというのはできっこないわけですね。政府は一代継承で終わりだ、こういう主張をしているわけですけれども、この点については何か改善する気持ちでもあるのですか。
○小宮山説明員 お答え申し上げます。 これは島民の方々も非常に高齢になられまして、現在、先ほど申し上げましたように、一万二千五百二十九というぐあいにかなり減っております。そして祖父が孫に伝えたいという強い要望がある、そういうことはお伺いしております。戦後三十五年ひたすら北方領土返還の日を待ち続けておりますお気持ちも十分にわかりますので、これまでもできるだけ安定のための方策はやってきたところでございますけれども、今後も御要望のかなえられるものにつきましては十分努力してまいりたい、こういうぐあいに考えております。(岡田(利)分科員「法律を改正するのですか、しないのですか、する意思はないのですか」と呼ぶ)御要望が強ければ、かなえられるものにつきましては十分に努力する、そういうことでございます。
○岡田(利)分科員 時間が来ましたから終わりますけれども、心情的に言ってもなかなか問題は解決しない。私は、そういう意味で、今国会に、これはそれぞれ各党にも示して、これに賛同できる各党も含めて議員立法で提案したいと考えているわけです。要綱はすでにでき上がっておるわけであります。北方地域旧漁業権者等に対する特別交付金支給に関する法律案、そして特別交付金の支給、特にその中で、北方協会の行っているいまの点については一応清算をして、すでに基金貸し付けの分については、これは政府のしかるべき機関が継承して返済を受けるという点を含めてこの法律案を近く各党に示して、それぞれ賛同者を集めて、そして今国会に、これは内閣委員会になるか、あるいは沖繩北方特別委員会になるか、議員立法を提案したいと考えておるわけです。これは必ず議員立法で提案しますから、そういう意味で、いま長官から御答弁もありましたけれども、せっかくそういう法律案も提出を準備しておりますので、そこで政府の方も、歴史的な経過を十分精査されて、北方、沖繩、そして小笠原の違う点も十分認識されて、この問題に対処してほしいと思うのです。この点を強く要望して、長官の見解を聞いて終わりたいと思うのです。
○小渕国務大臣 岡田委員が政治家としてのお立場で、旧島民の心情に触れて、旧島民の方々のためにお考えをされておることにつきましては承知をいたしております。政府といたしましては、従来からの主張もこれあることでございますので、この際、中身も十分定かに存じないことに賛否を論ずることはできませんが、政府は政府としての考え方をもちまして旧島民の援護のために力を尽くしてきたつもりでございます。 なお、先ほど御答弁申し上げましたが、法律改正の問題等につきまして御要請がありますれば、この点につきましても十分検討してまいりたいと存じております。
○岡田(利)分科員 終わります。
○中島(源)主査代理 以上で岡田君の質疑は終了いたしました。 次に、林百郎君。
○林(百)分科員 小渕さん、総理府の態度というのは、国政に対するその内閣の姿勢を象徴的にあらわすもので、非常に重要だと思うのです。私は、基本的な人権を伸長する政治を、大平内閣のもとでどの程度できるか知りませんが、小渕さんとしてはぜひ最大の努力をしていただきたいと思うのです。時間の関係上二つほど実例を挙げたいと思うのです。 〔中島(源)主査代理退席、西中主査代理着席〕 その一つは、軍人の傷病恩給の問題なんですが、この写真を小渕さんに見ていただきたいと思うのですが、これが右腕の弾痕で、こっちが側面から撮った弾痕なんですね。レントゲンによって、そういう弾痕があるということが明確になっておる人が、いままでこらえにこらえていたのですけれども、もう痛みに耐えかねて、顔も洗えなくなる、ペンも持てなくなる、はしも持てなくなるという状態で、軍人恩給を支給してもらって、その金でせめて手術をして、その弾片を取り除こう、そういうことで恩給局へ傷病恩給の申請をしたわけなんです。ところが、そのとき最初は却下されまして、そして異議の申し立てをしまして、異議の申し立てをするについては、四人の医者の診断書をつけたわけなんです。 いま読んでみますと、一つは、「右者は昭和五十一年六月十九日右腕疼痛と、右肩関節機能不全にて受診、右腕打撲挫傷にて加療せるも、レ線結果右腕に弾片の迷入があり前記症状は弾片に起因するものと思われる」、こういうような診断書が一つある。 もう一人の医者の診断書は「昭和四十八年八月二十二日肩凝を主体として、来院す。当時患者は右腕盲貫銃創の既往を申告せず」、最初は神経痛だと思っていたものですから申告しなかったけれども、どうにも耐えられなくなって、これはことによると体に残っている弾片から出ておるのではないかということで、そのことを医者に言ったところ、最初は「原因不明であったが、其後の経過により原因が右腕盲貫銃創により右上肢をかばう結果肩凝が発生したものと思われる」となっている。 その次の医者ですが、「昭和三十五年三月右肘及腕、手指を主体とし疼痛著しく来院、加療せるも、右腕右足」、足にも弾が残っているのですが、「盲貫銃創(弾片)其の原因にて肘関節、腕、手指等に機能障害が著しく発生したものと思われる」、いずれも因果関係を認めております。 その後、思い切って国立病院へ行って、権威のある診断をとろうということで国立長野病院へ行きまして診断した結果「右上腕後側に射入痕、前側に射出痕があり、肘関節の機能は筋ざ滅の為か著しく障害をこうむっている。足関節にあっても関節機能障害が目立ち、内外反を始め、著しく障害歩行を始めとし、トイレ動作等の障害目立つ、又肘関節の機能障害のために肩に負担がかかり、現在肩痛を強く訴えている」となっている。 こういうカルテをつけて異議を申し立てたのですが、この異議もまた却下されて、いま審査請求をしているわけです。私も恩給局へ行っていろいろ交渉してみたのですが、恩給局には顧問医というのがあって、顧問医と相談していると言うのです。それでは顧問医に実際本人を診断させるのかと言うと、診断はさせないと言うのですね。それは総理府恩給局総務課長さんから一月七日の日に「なお、審査は、書面、レントゲンフィルム等の資料によることとしており、直接請求者を診断するようなことはいたしておりません。」というふうになっている。ところが、直接診断した医者がこれだけのカルテ、四通のカルテがあるのに、これを却下する恩給局の方が直接その顧問医に診察をさせないということは、これは基本的人権からいって手落ちではないでしょうか、こう思うわけなんですよ。本人が望んだら、やはり顧問医に診断をさせて、本人を納得させることが必要じゃないか。もっとも私の方では、軍人の傷病恩給請求の受付、処理が毎年一万件近くあるということも知っております。それは大変なことだと思いますけれども、しかし、こういう特にレントゲンではっきりした弾痕が手にもあり足にもあるわけで、それで各医者が、因果関係が今日の状態だとある、そして痛くてがまんができなくて、夜なぞは睡眠薬でようよう眠れるというような状態だということを言っているわけなんですが、それはどうして顧問医に直接診断をさせないのでしょうか、させるのが相当だと思います。 それで、時間がないからここで一言言っておきますが、恩給局の方で指定した医者に行けと言ったというのですよ。 〔西中主査代理退席、主査着席〕 行って、その恩給局が指定した医者はどういうカルテを出しましたかと聞いたら、それは全然本人に知らせていないと言うのですね。それでは本人の納得のしようがないわけなんですね。こういう点は、やはり戦争の犠牲になってこういう状態にあるわけなんですから、少なくともこんな四つもの直接診断した医者のカルテがある場合は、これを顧問医に診断させるような、あるいは本人を納得させるような手段を恩給局としては考えるべきではないかと思いますので、事務当局は事務当局の言い分もあると思いますが、まず小渕さんに聞きたいと思うのです。そういうことも大事じゃないでしょうか。
○小渕国務大臣 私ども、国会議員をしておりますれば、具体的なケースでいろいろ御陳情がございまして、恩給局にそれぞれ御審査を願うようにごあっせんする機会が多々あります。私も本職につきまして以降、大変多くの方々からそうした要求が出ておることも承知いたしておりますが、戦中のことでございますので、かなり長い時間が経過いたしておりますので、その後の受けられたものに対する検討はなかなかむずかしいものだろうと思います。しかし総務長官としては、当然のことでございますが、長い期間適正な措置をいたしてきたと判断いたしておりますが、いま林委員がお読みになられた段階で考えますと、検討の余地があるような気もいたします。しかし、具体的な例にわたってのお話でございますので、恩給局長の御答弁をさせていただきまして、その後また判断をさせていただきたいと思います。
○林(百)分科員 そうすると小渕さん、これは政治的な判断を加えていただかないと、政治的な判断というか良識の判断をしませんとね。事務的にはいろいろの言い分もあると思うのです。しかし、いま私が申し上げたようなカルテ、それから第四款症というのは、一つの目の視力が〇・一になったとか薬指が機能を失ったとか足の指が二本ほど機能がなくなったとかいう程度で第四款症になれるわけなんです。いま言った弾片がレントゲンで明らかに入っていて夜は痛くて眠れず、最近はもう顔も十分洗えず、そして、はしやペンも持てない。仕事はしようがないから、いままでは農業をやっておりましたが、農業をやめて会社の守衛をやらせてもらっているという状態でありますので、少なくともこういう具体例については、慎重な審査請求をしているわけですから、慎重な審査をするようにということを恩給局の方にも御指示を願えますか。
○小渕国務大臣 恩給局としては、慎重の上にも慎重を期して、それぞれ法律に基づいて政府として行わなければならないことを実施しておるわけでございますから、請求権者が十分御納得のいき得るように、従前も処置してきたことであろうと思いますし、今日もやっておるだろうと私は信じておるところでございます。
○林(百)分科員 もし本人が納得していないとすれば、納得がいくような努力をしなさいということは指示できますか。あなたの姿勢が非常に重要なんですよ。私は、時間がないから、ただ具体的な例を挙げて、あなたが基本的な人権についてどのような認識をもって臨んでおるかということの話をしているわけなんです。あなたは十分納得したようにやっておると思うと言うけれども、本人が納得していないのだから、そういう場合には十分納得がいくように——それも、この人は普通でなくて、戦争の犠牲者で、陸軍の兵長までいった人なんです。これは恩給局でわかっていると思うんですがね。十分納得のいくようにおやりなさいよ。そういう指示はできますか。
○小渕国務大臣 改めて特段の指示をいたしませんとも、これはすでに長い期間、いろいろなそれぞれの方々からの申請があって、これを受理し判断をしてきたわけでございますので、当局としては十分心得てやっておるものと理解しております。
○林(百)分科員 小渕さんはしていると思うと言うけれども、あなたの考えのようにいっていないのだから、わざわざ予算委員会の分科会でそういう質問が出たのだから、配慮しなさいということをあなたは言えないのですか。何も私の言うとおりにしろ、私の言うとおりの結論を出せというまであなたをここで責めるわけではありませんが、予算委員会でわざわざああいう質問が出たのだから、本人が納得するような措置をするようにと言うことは、あなたの監督の責任上、大臣として言えるわけでしょう。それを言えるか言えないかだけでいいですよ。
○小熊政府委員 先生のいまの御質問ですが、非常に具体的な問題の御指摘のように承ったわけでございますが、ここで余り具体的な個々の問題について申し上げるのは差し控えるといたしまして、一般的な話として申し上げたいと思います。 いま先生御指摘の、まず弾痕が残っておるという点ですが、これは現在、十三万数千人の恩給受給者がいるわけでございまして、それは弾痕が残っている人残っていない人いろいろございます。ただその弾も、残っている個所によりまして、神経に非常に影響するとか関節に影響するとかということがございますし、単に残っているか残っていないかというだけで症度の判断はできないというのが、私どもお医者さん方からもいろいろ承っている点でございます。
○林(百)分科員 あなたは事務屋でしょう。お医者さんじゃないでしょう。医者のカルテが四人まで、しかも国立病院までが因果関係があると言うのに、どうしてあなたはここでそんなことが言えるのですか。顧問医にちゃんと診断をさせて、その結果こうでしたというのならわかりますよ。事務屋のあなたがそんなことどうしてわかるのですか。どこの学校の何科をお出になったか私は知りませんけれども、恩給局長は恐らく医学部を出ているのじゃないと思うのです。そんな方からそんなことを聞いたって納得できないじゃないですか。
○小熊政府委員 私が申し上げたのは、いまの個個の具体的な例ではなくて、一般論としてお医者さんからいろいろ話を伺っているわけで、私自身の判断ではございません。そのお話によりますと、弾の場所によりまして、非常に影響するもの、しないものいろいろあるという話を承っておる、こういうことでございます。
○林(百)分科員 小渕さん、こうやって具体的に本人が医者にかかってカルテを出しているわけですから、もしそのカルテに反駁するには、医者にその人自身を診断させた結果を恩給局が持って、そして私の方の顧問医の判断ではこうですと言わなければ、これを粉砕することはできないわけなんです。顧問医の意見を電話か報告、資料だけでお聞きになるということでなくて、本人がどうしても希望するという場合は、顧問医に直接診断をさせることもあり得るというようにはならないですか。そのことが一つ。 それから、あともう一つあります。はしょりますから。 局長、この問題は余り具体的ですから、余り具体的なことをここで言って、何かあなた方に予算委員会の席上で迫るようなことを私もしたくありませんが、とにかく本人が納得するような、恩給局ですから、個々の要望に対して、そういうような措置をなさる、もちろん、そういうお気持ちだと思いますが、その点をはっきり言っていただきたいと思います。
○小熊政府委員 請求者の方は、確かに現在非常に苦しんでおられる、痛いということで苦しんでおられる方でございますので、なるべく納得していただくという努力をいたしておるわけでございます。ただ、私ども愁訴と言っておりますが、痛みが具体的に私ども客観的になかなかわかりませんし、おれはこれほど痛いのだと言っても、私どもわかりかねる面もございます。それで、これは初度の裁定あるいは異議申し立ての段階ではわりあい簡単な返事を差し上げているわけですが、審査請求の段階になりますと、これは内閣総理大臣に対する審査請求になるわけでございますが、私ども弁明書と申しまして、かなり詳しくいろいろな事情を申し上げておるということで努力しておるつもりでございます。
○林(百)分科員 次の質問がありますので、次の問題に移らせていただきたいと思います。 夫婦共かせぎの家庭で、健康保険の被扶養者を夫の保険に入れようと妻の保険に入れようと、その家庭のいろいろな事情がありますから、これは被保険者の判断と希望にこたえるべきだと思いますけれども、遺憾ながら、厚生省から健康保険法にもないような通達が出ておりまして、「原則として夫の被扶養者とする」というようなことや、あるいは妻にする場合は、妻の所得が夫の所得をおおむね三割以上上回る場合とか、こういう通達が出ているわけなんですね。これは健康保険法にも何もこんなことはないわけなんですが、たとえばこういう不便があるわけなんですね。 まず第一に、子供を妻の被扶養者として申請に行った場合、地方の保険事務所じゃ何と言うかというと、あなたの御主人はそんなにかせぎがないんですか。妻や子供を養う能力がないんですか。生まれた子供さんが所得がないという証明書を持っていらっしゃいよとか、あるいはそのほか聞くにたえないような、子供の無収入の証明を持ってこいとか、夫の収入の実態はどうなんですかというようなことまで聞いて、結局妻が被扶養者の被保険者になるということを裂いていく、オミットしていくということを一線ではやっているわけなんですね。総理府には婦人問題の担当室がございますし、ことしは女性の社会的地位を向上させるための世界婦人行動計画の折り返し点にあるので、こういうような、あなたの御主人はそんなに収入がないんですかとか、生まれた子供が無収入な証明でも持ってきたらどうですかとかそんなことまで聞かれて、そして法律にない、被扶養者を妻の保険に入れることを排除するというようなことは一体許されるものでしょうか、どうでしょうか。ことに夫が非常に機動性のある仕事をしている、たとえばトラックの運転手で北海道まで行って帰ってこなきゃいけないとか、あるいはジャーナリストで夜遅くまで取材に歩いているとかそういう場合、保育所で赤ちゃんが急に熱が出たという場合に、お母さんなら固定した場所で働いておりますから、そこへ連絡すればすぐお母さんが飛んで行って、子供さんをお医者さんに連れていくことができる。ところが夫の方の被扶養者になっていれば、北海道ヘトラックで行っている夫が帰ってくるまでは保険証が使えないわけなんですね。そしてまた、タクシーの運転手さんなんか一体どこに主人がいるかわからぬから、保険証が使えない。長い間じゃないですよ。そういう一日、二日の問題ですよ。だからどうしても自分の子供を妻が医師のところへ連れていって現金払いをしなければいけない。こういうような問題があるわけなんですね。 そういうことから、妻の被扶養者にすることも家庭の相談の結果ひとつ認めてもらいたいというような場合には、これは認めてやっていいと思うのですが、どうして認めることについてこんな別紙通達みたいなものが出てきたのでしょうか。これは厚生省にも関係があることですが、まず総理府の婦人問題担当室に当該分科会の性格上お聞きして、それから厚生省の方へお尋ねしたいと思うのですが。
○柴田説明員 お答えいたします。 ただいま先生が御指摘いただきました点につきましてでございますが、これは具体的な取り扱いの基準ということが何か通達で示されているということに従った例ではなかろうかと思います。私ども、先生が先ほど申されましたように、国際婦人年以降、政府におきまして国内行動計画というものを定めておりまして、そこの中には男女の平等につきましての基本的な考え方、これが明記されておりまして、その考え方に立ってこれから婦人の施策を進めていこうということでございますが、ただいまの件につきましては、厚生省の方に十分実情をお伺いしまして研究をいたしてまいりたい、こう思っております。
○川崎説明員 健康保険の被扶養者の認定の問題でございますけれども、これはだれの被扶養者にするかという点につきましては、だれがその人の生計を維持しているかという事実関係によって決めるのが大原則でございまして、法律ももちろんそういう趣旨でございます。したがいまして、共働きの場合でも当然夫の方の被扶養者とするというような考えではございませんで、あくまで扶養の実態がどうであるか、その実態に即して判断をすべきであるという考え方でございます。 ただ、御承知のように、わが国の医療保険制度というものが数多く分立しておりまして、その保険の経営主体というものもさまざまございます。これらの制度を通じましてダブって被扶養者になりましたり、あるいはどこの制度からも漏れたり、そういったような混乱が生じないような処理が必要であるわけでございます。たとえば子供である被扶養者、この子供のための保険給付をどこの保険が受け持つか、その保険間の役割り分担というのはやはりはっきりしなければいかぬわけでございます。 そこで、きわめて微妙な、判定が非常にむずかしいような場合に、ある程度の目安を設けまして制度間の混乱を防ぐ、こういったような処理も必要であるわけでございます。しかし、こういった場合でも、あくまで扶養の実態というのはどこにあるのかということですね、その実態に即して判断するというのが大前提でございまして、妻が扶養するというような実態を認めないということは決してございませんです。あくまで家計の実態などを総合勘案して判断すべきというのが考え方でございます。
○林(百)分科員 時間がありませんから……。 だれですかいまのは。厚生省の川崎保険課長さんですね。保険課長さん、健康保険上の被扶養者というのは何もあなたの言うように、経済上だれが扶養しているかという民法のあの扶養の義務とは違うのですよ。これは健康保険上、扶養者がだれかということであって、あなた、そこのところを根本的に間違っておると思うのですよ。それを直していただかなければいけないと思うのですよ。健康保険を払っておるんだから、妻の方だって。その健康保険を払っておる妻の方へ子供の保険を入れたっていいじゃないですか。子供を食わしているか食わしていないか、それはその家庭の中の事情じゃないですか。だから、私がいつも子供のそばにいますから、私の保険の方で子供を被扶養者にしますと言ったら、それを認めていいじゃないですか。あなたの言うように、実際食わしているのはどっちだなんていうことを立ち入って聞く必要ないじゃないですか。あなた、民法の扶養の義務と間違っているんじゃないですか。
○川崎説明員 お答えいたします。
○藤尾主査 簡潔にお願いします。
○川崎説明員 確かにその扶養の実態の判断というのはむずかしゅうございます。しかし、いずれかの制度には入るわけでございます。どこかで割り切りが必要でございます。その判断いたします際にやはりその扶養の実態ということではございますが、たとえば……。
○林(百)分科員 簡単でいいですよ。委員長に迷惑をかけてはいかぬから、いいです。わかりました。それはあなたが私の言うことを認められるかどうかで……。 とにかく妻が子供を私の方の保険の被扶養者にしてもらいたいということは、家族で相談をして、そして主人の仕事の関係やいろいろあってやるんだから、そういう場合には余り立ち入ってその家庭の事情を、あなたの家の御主人はそんなに能力がないんですかねとか、あるいは無収入な証明を持ってこいとか、そういう立ち入ったことを、人権を無視したことを現場で行うというようなことのないように、原則として自分の保険に入れてもらいたいということを言ってきたら、それを尊重する、そういうように扱え、そういうことは言っていただけますか。
○川崎説明員 確かに係官の御説明あたりが不適当だったという点は、それはあるかもしれません。ただ、やはりたくさん分立しております制度でございますので、ある程度の統一した取り扱いというものも必要でございます。ただ御希望の制度そのとおりにするというわけにもなかなかまいらぬ点もございます。そういたしますとなかなか制度も混乱いたします。しかし、非常に微妙な場合に御本人たちの申し立てということも一つの参考にさせていただく必要もあろうと思いますし、そういうことも含めて総合的に勘案して、実態によって判断するということをやらせていただきたいと思います。
○林(百)分科員 じゃあこれで終わります。 室長にお願いしておきますが、少なくともそういう健康保険の現場の職員が女性に対して失礼な物の言い方、女の働きを一人前と見ていないというような物の言い方、そう聞いたら私はそう考えているなんという、そういう職員もいるわけなんで、ひとつ厚生省の方へ、現場の職員に十分女性のプライドを傷つけないような、そういう行政的な処置をしていただきたいということをこの私の質問を機会に言っていただきたいと思いますが、いかがですか。ちょっと一言だけ。
○柴田説明員 ただいま先生の御趣旨を踏まえまして、厚生省の方とよく御相談を申し上げ、連絡をとって検討させていただきたいと思います。
○林(百)分科員 どうも失礼いたしました。
○藤尾主査 以上で林君の質疑は終了いたしました。 次に、津川武一君。
○津川分科員 私は、私たち日本人が酒を飲むこと、そのことによって生じる問題を取り上げてみたいと思います。 そこで委員長、お願いなんですが、警察庁、厚生省、出席の皆さんに一枚の新聞記事のコピーを渡したいと思うのですが、お許し願いたいと思います。
○藤尾主査 許可いたします。
○津川分科員 それからその次、質問の進行中に総理府総務長官に一枚のレントゲンを見せたいと思いますが、これもよろしいですか。
○藤尾主査 これも許可をいたします。
○津川分科員 そこで最初に大蔵省にお尋ねいたします。 一番最近の年で、私たち日本人は価格にしてどのくらいのお酒を、アルコール類を飲んでおられるか、これに対してどのくらいの酒税をかけておるか、これをお知らせ願います。
○十枝説明員 お答えいたします。 私どもの統計で、国民の消費金額ベースの数字というのは正確な統計はございませんが、一応消費数量の調べがございますので、それをもとにして試算した数字でお答えいたします。 いま一番新しい数字、五十三年度の数字でございますが、昭和五十三年度の酒類の消費金額の推計値は全体で三兆五千百億円、一人当たりに直しますと、大体三万七百円程度の消費をしているということでございます。 それに対しまして同じ年度の酒税の課税額でございますが、酒税の課税額は昭和五十三年度、一兆三千百五十六億円でございます。
○津川分科員 大蔵省どうもありがとうございました。教えていただいたのでお帰りになってくださっても結構です。 そこで、これだけのお酒を飲んで、これだけの税金を払った上で、国民がどうなっているかという問題なのです。飲む本人が、飲んで仕事を余りよくしない、うちを貧乏にさせる、妻子を殴る、職場では問題を起こす、うそをつく、人間的に崩れていっている部分がかなり多うございます。 そこで総理府総務長官、一枚の写真をここで一緒に見ていただきたいと思うのです。 これが人間の写真で、コンピューターの断層写真です。これは健康の人の前頭葉。これはほとんど黒いところ。白いところがない。これがお酒飲みのです。こう減っていく。同じように見えて、これは脳室、こっちがこんなに黒くなっている。これがこうなるのです。 つまり、うんと飲んでいきますと脳室が萎縮する。しかも前頭葉が萎縮する。前頭葉というのは人間の人格をあずかっていく大事なところなんです。これがやはり問題だと思うのです。 私たちは国政として、本当に人間として魅力のある、人格者で文句のない人間を育てていく、そういう人を守っていくことが大事なことになってきまして、飲酒上こういうふうに大事な脳室の萎縮が見られるとすれば、これを何としても皆さんとともに守っていかなければならぬ、ここに一つの問題があると思います。 その次に職場ですが、やはり飲むと、職場や経営では酒がなければいても立ってもおれないという渇酒症になっていく。仕事をしながら仕事の前後に酒を飲む、飲んで列車を運転する、トラックを運転する、職場の中ではけんかして波乱を起こす、こういうことが間々見られます。 家庭にあっては俸給のことごとくを酒につぎ込んで、妻や子供を貧乏のどん底にたたき込んだりしております。それでも酒を飲むお金に困って、奥さんの嫁入り着物が入っておるたんすをあけて中身を質に入れて、奥さんが泣いてこれをとめると殴る。子供がぐれる。これが家庭の実情でございます。こういうことで、東京家庭裁判所に教えてもらったのですが、妻からの離婚申し立ては、夫の酒の飲み過ぎというのが一七、八%になっております。飲み過ぎは離婚につながっていきます。 今度は教育のことですが、飲めば妻子を殴る、ける、うそをつく、子供はお父さんが電信柱を抱いて小便しているのを周りで見ている。このお父さんを恥に思う。このお父さんがPTAや授業参観に来ないでくれ、こんなふうなことを頼んで、教育と親子関係が破壊されていきます。 また、奥さんのことですが、この離婚の問題もそうですが、飲めば奥さんを殴る、けるで、生傷が絶えない幾人かの奥さんを私は知っております。酒を飲んでの乱暴ろうぜきは、部落の中でも大変です。部落の集会で一人飲んできて乱暴すると、集会も何も開けない。部落の生活もこのようにされておりますし、教育も、こういうことで父を憎む子、その子供の親子関係が乱されて、ぐれていっております。そして、最後には肝臓がやられたり神経まで冒され、アルコール中毒になり、狂人死にまでいっております。酒は上手に飲めばまさに百薬の長と言われますが、度が過ぎるとこのように乱れて問題飲酒者となってしまいます。 ところで、質問に入っていきますが、こうした問題の飲酒はどのくらいあるのか、どんな国民の層にあるのか、飲めばどんな問題を起こしたか。幾つか挙げました。いろいろの問題がありますが、その問題を全部拾っているかどうか。アルコール中毒者の数も的確には調査されていない。ここに一つの問題がございます。これを総合的に把握していくとすればアルコール白書的なものをつくる必要があるかと思います。これは後で厚生省と総理府総務長官に答えていただきます。 第二には、こうした問題飲酒で困り抜いておる人がだれのところに相談に行けばいいかという問題なのです。その道が開かれていない。 私が、実際に扱った例ですが、私のところはアルコール病棟、六十ベッドばかり持っているわけですが、飲んで妻子を殴る、ける、家の中にトラブルが絶えない、そのために子供が崩れていって、心配したお母さんが学校に行って、先生、うちの子はどうすればいいんですかと相談に行った。そうしたら先生は、これは教育の外の仕事だ。先生は役に立ちませんでした。警察に行った。暴れたら知らせてくれ。暴れたので知らせたら、一晩留置してくれたが、また同じことを繰り返している。あとはどうにもならない。保健所に行け。保健所に行ったら、警察は何しているんだと言う。保健所に行ったが、精神科のお医者様にアルコールの相談をする体制もない、こういうことなのです。民生委員のところに行った。おまえのおやじはだらしないから、しっかりさせなさいと育った。家庭裁判所に行った。調停なり民事を起こしたならばこちらで相談を受けます。このお母さんはどうすればいいのですか。飲ませて税金は取り立てて、こんな問題が起きて、おれは知らないというのがいまの行政だと思うのです。その結果が、皆さんのところに配ってある一枚の新聞記事でございます。 たとえばこれは一つの記事ですが、毎年こういう事例が幾つも出ております。一月三十日、小学六年生の少年が父を刺殺するという事件が起きました。そのときの新聞記事を皆さんのところにきょう配りましたが、きのう見ていただいております。そこで、もう一回配ったものを見てみますと、酒癖の悪い父親が毎晩酒を飲んで母親をせっかんするのを見かねて、長男の小学六年の子供が父親を包丁で突き刺し、死亡させてしまったのです。少年は、警察に補導されたとき、お母さんがいつもいじめられてかわいそうだったからと言っています。この少年に父を殺して母を守ろうとさせたのは一体何だったのでしょう。お父さんが、生活保護を受けていたが、酒を飲んでは奥さんに飯をつくるのが下手だとか遅いとか、無断で外泊したとか言って乱暴する。犯行の前日の二十九日も酒を飲んで暴れて、母子が家の外に逃げ出すと、部屋を内からかぎで締めて二人を家に入れてくれないので、二人は夜の夜中、家の周りを歩きながら一夜を明かしております。かわいそうでなりません。ここまでほっておかねばならなかったのでしょうか。 そこで、この事件に関してだけ皆さんにお伺いいたします。警察庁、このお母さんが、前から乱暴しているので何とか前にならなかったのでしょうか。厚生省、この人は前から飲んでおったので予防の点で何とかならなかったのでしょうか。文部省、この子供はこういうことでずっとぐれてきたので、この子供の点で何とか前から手を打てなかったのでしょうか。この点でこの事件に関する限り皆さんがどう考えて、こうすればよかったということがありましたらお知らせ願います。 警察庁は飲酒運転でかなりのことをしてくれております。それから厚生省もアルコール中毒ではかなりなことをしてくれている。特に厚生省は相談所まで開いてくれたりしております。しかし、世の中には酒での問題というと、アルコール中毒と飲酒運転が問題になってくる。そうではなくして、ここにこれだけの問題がありますので、この事件に関してだけ皆さんの御意見を伺わせていただきます。
○浅野説明員 この事件、まことに痛ましい事件だと思います。警察の方では、酩酊者の保護活動等によりましていろいろ酩酊者に絡むような事案の防止に努めておるわけでございますけれども、こういう家庭の問題ということになりますと、その万全を期するということがなかなかむずかしいものでございまして、私どもとしても本当に痛ましい事件であったというふうに思っております。
○目黒説明員 このような事件は大変残念なことであるというふうに考えております。私どもの方の立場といたしましては、このような酒害を予防するために、適正飲酒の普及といったようなこと、あるいは酒害に関する思想を徹底するといったようなこと、先ほど先生のお話にございましたような精神衛生センターにおける酒害相談事業などといったような私どもの方の一連の対策を充実させてまいりたい。そういうことによって予防してまいりたいというふうに考えております。
○島田説明員 非常に痛ましい事柄だと思っております。事柄は家庭と学校との教育の関連のあり方ということにかかわる非常にむずかしい微妙な問題でもあろうかと思います。私どもとして、一つには、保健の教科その他を通じまして酒の害といいますか、これについても、子供のころから発達段階に応じて取り上げて教えていくというようなことを努力してまいりたいと思っております。
○津川分科員 そこで長官、警察でも家庭のことはどうにもならないし、文部省、厚生省もやはり一生懸命やっていてこんな状態なんです。 そこでどうしても私は、これを総合的に一本にして相談に行けるところ、どっかに行けばいいのだ。厚生省の開いてくれる、そこのところに行っても生活の問題は片づかない。そこでどうしても総合的にどんな被害があるか、各省庁合わせて、酒の上でどんな問題があるかというアルコール白書的なものをやはり調べなければならない、つくらなければならない。対策を一本化していく、みんな各省集めて連合して統一的に世話できるような体制をつくる必要があると思うのです。 このことを私は前から考えて皆さんにお願いしていたのですが、なかなか機会がなくて、ちょうどきょう総務長官とこの分科会でやれるので、総理府としてもすぐにはできないかもわかりませんけれども、大事なことなので、そういう方向に一回どういう問題があるかまとめてみるということ、ひとつ対策をみんな集めて協議して、遺憾なくこの場合にはこうする、こうするという連絡がスムーズにいけるような対策を講じていただきたい。この二点に対して長官から答えていただきます。
○小渕国務大臣 先生からまず御本をちょうだいいたしまして一読させていただきました。お酒に関係する問題、その中でも指摘しておりましたが、百薬の長にもなりますし、毒薬にもなりかねない大変むずかしい問題だと思います。御指摘がありましたのは、大変これが悪害を生じせしめておる、しかも、悲しい事件まで起こしておるというようなことでございます。私は、欧米などではやはりこういった問題は、先生も自分の病院でいろいろ患者さんを御指導しておられるように承っておりますけれども、やはり民間の団体等が積極的にケースワーカーというような立場で処置することが望ましいことではないかとも考えますが、しかし、行政サイドで何もしないということもこれはいかぬことだと思います。 ですから、御指摘ありましたように、いまそれぞれの諸官庁からおのおのやっておられますことの御答弁がありましたけれども、総理府は本来的に総合調整官庁でございますので、私どもが行うことがよろしいかどうか検討の余地もあるかとも思いますけれども、しかし、どこが取りまとめるということでもなかなかむずかしいかと思いますので、ひとつ検討してみたいと思います。そしてもしそれぞれのお酒によって起こるいろんな問題がいろんな悲劇を生じているということでありますれば、総合的に横の連絡を取り合って、その解消のためには十分政府としても心がけていかなければならぬ、こう思っております。
○津川分科員 そこで長官、重ねてお願いするけれども、一つはどんなところでどんな害、問題が起きているか、これを総合的に白書的にひとつ各省集めてまとめていただきたい。対策の場合はどこへ行けばいいかという総合的に役立つようにしていただきたい。この二つなんですが、よろしゅうございますか。
○小渕国務大臣 私どものところで中心になりまして、横の連絡がとれるようなことに相なりますれば、そのところで、白書と申されましたが、何らかの形で取りまとめて、国民の皆さんにも問題を提起し、そしてその解決のためにも、国民の皆さんにも御理解をいただくようなものも考えていかなければならないのではないかと考えております。
○津川分科員 その次、はしなくも長官の言葉から民間の話が出たのですが、直接国が酒を断つ、その後飲ませないようにするという指導、国際的に、政府が直接やったところは余り成功していないのです。むしろ失敗しているのです。民間がやったところが成功しているのです。私たちのところに、民間にこういうのがあるのです。日本アルコール問題連絡協議会、ここにはアルコール医学会、キリスト教婦人矯風会、日本断酒連盟、酒の害から家庭を守る会、これは私の会なんですが、こういう幾つか、十二になる、節酒協会だとかあるわけなんです。これが毎年集まっていろいろな仕事をしておって、この中で去年の秋、断酒会で総会を開きましたら、いまいる精神衛生課長も出席しまして四千人から集まっております。ことしは島根でやります。これがかなり大きな役割りを果たしておる。だから皆さんが各省集めて相談されると同時に、長官、この民間の人の意見よく聞いていただきたいのです。必要であれば民間に対してそういう意見を聞く、援助する、激励すると同時に援助もしてほしい、こういう考え方なんです。この民間の人に対する長官のお気持ちを聞かしていただきます。
○小渕国務大臣 先ほども申し上げましたが、これは民間団体のそれぞれの御努力と政府の施策が相まって問題解決していかなければならない課題だというふうに認識をいたしております。とにもかくにも、人を喜ばせ楽しくするものが悲劇の原因になるなどということははなはだもって遺憾とするところでございますので、民間のお力、また政府の施策とひとつ十分連絡協調を保ちながら、酒の害の一掃に努力していきたいと思います。
○津川分科員 そこで、民間に対して予防や治療、社会復帰の問題で厚生省自身が出しているんです。今度は生活面のいろんな予防の面からいくとそれだけではいけないので、そちらの方からも援助すべきだということ、さあどの程度まで実現するか、来年またこの分科会でお伺いしてみますので、ひとつ立てていただきたいと思うのです。 そして民間の人たちが最後に皆さんで一緒に論議した問題は、こういうものを総合的に扱うアルコール基本法的なもの、アメリカにはヒューズ法というのがあるんですが、それはどういうことかというと、アルコール飲料の健康への影響の状況だとかそれに対する立法上、行政上の措置に関する具体的なことなんというのは、かなりこの法律の中で問題になってきまして立法がされているんです。私たち日本も欲しいのですね。いま急にここでやれと言っても状況に合わないかもわかりませんので、ひとつ外国の例も検討していただいて総合的な運営、でき得るならば立法までいくことを考えていただきたいと思うのでございます。これもどちらでもよろしゅうございますがひとつ……。
○小渕国務大臣 アメリカのヒューズ法につきましては私も承知いたしております。ただ、アメリカはアルコール中毒者が大変おるということを聞いておるわけでございますが、また、それに対しての世間で見る目も大変厳しいものがあると承知をいたしておりますが、若干日本の場合には、お酒を飲みまして高歌放吟をいたしましても、お酒のせいだということでお許しを願うような風潮もまたあることも事実でございまして、そういう日本の風潮、風土の中で法律を直ちに制定して、それで行政をしていくという形がなじむものかどうか、この点はやはり研究する必要があるんじゃないかというふうに思いますが、いずれにしても、諸外国の例を十分検討さしていただきまして、わが国になじむものであり、また法律としての効果を十分発揮するということでありますれば、このアルコール禁止法……(津川分科員「基本法的なもの」と呼ぶ)基本法ですかというものにつきましても、ひとつ勉強さしていただきたいと思います。
○津川分科員 長官、アメリカそんなに飲むというけれども、そうでもないのです。ここに主税局ののがあるんですよ。世界で一番飲むのはフランス、ルクセンブルク、スペイン、ポルトガル、イタリア、これが世界のビッグファイブ、アメリカは十七位なんです。日本はそれに対して三十一位であんまり差がないんです。だから、やはり向こうがよけい飲むから向こうがやったんだと考えないで、日本でやはり独自につくっていただきたい、こう思うわけであります。 最後に、厚生省ですが、本当に私この問題で厚生省の分科会で三回質問して、これで四回目なんですが、厚生省は民間の人の意見もいろいろ入れてくれて、先ほど話したように、精神衛生センターのある都道府県にアルコール相談の事業を設けてくださった。これが非常に喜ばれている。北海道では非常に喜ばれて、ある程度まで役割りを果たしている。そこでこの相談事業を始めるには、精神衛生センターがなければならぬ。まだできてない都道府県がある。そこでどこいらができていないで、これをどうつくるのかということが一つ。 それから、今度都道府県に精神衛生センターがあるところでアルコール相談所をつくってくれた。いいところあるけれども、問題をこたえていくケースワーカーだとかそういう専門家が足りない6いま久里浜の研究所でそれを教育をしているけれども、これは別なためにつくっていて、この教育が必ずしもさっぱりしない。したがって、精神衛生センターを全部につくっていく方針が一つ。つくった精神衛生センターに速やかに全部のところにこの間の事業をつくっていただくことが二つ。三つ目には、この事業が本当にフルに回転するように、専門的なお医者さんや特にケースワーカーを置いていただきたい。保健所にアルコールのことを教育した保健婦がいますけれども、ほかの仕事にとられちゃっていて、ここのアルコールの相談に乗っていないので、こういう保健所のアルコール相談事業の強化、こういう点で厚生省の御意見、方針を伺わしていただきます。
○目黒説明員 先生御指摘のように、精神衛生センターは全国で現在三十八の都道府県に設けておりますが、まだ未設置の県が九府県ございます。それで、この未設置の県につきましては、私ども衛生主管部局長会議あるいは精神衛生主管課長会議等で強く指導をいたしてきているところでございますので、これについてもなお徹底してまいりたいというふうに考えております。 それから、ケースワーカーの問題でございます。専門職員の問題でございますが、現在国立久里浜病院におきましてアルコール中毒の治療等の専門の医師、看護婦あるいは保健婦といったようなコースを設けてございます。またこのほかに国立精神衛生研究所において、これは精神科のソシアルワーカーの全般的な精神衛生に関する研修でございますが、そういう研修もございます。これらの研修の課程の中で、ケースワーカーに対してもアルコールに関する専門の知識を十分に取り入れることができるように配慮をしてまいり、そのようなことによって専門職員の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。
○津川分科員 これで終わりますが、長官、いま質問してお願いした点が来年少しでも前進していることを期待して、来年また同じような状態のことを質問してみますので、警察庁、文部省、厚生省、来年また同じことを、どのくらい進んだかお尋ねしてみますので、それぞれひとつがんばっていただくようお願いして、質問を終わります。
○藤尾主査 以上で津川君の質疑は終了いたしました。 次に、瀬崎博義君。——速記をとめて。 〔速記中止〕
○藤尾主査 速記をお始めください。
○藤尾主査 次に、総理府所管中、警察庁に関する事項について質疑の申し出がありますので、これを許します。阿部助哉君。
○阿部(助)分科員 いま春闘を目前にしておるわけでございますけれども、そういう中で、労働組合の二、三から私のところに、どうも警察の方、少し労働組合への介入じゃないかみたいな話があるのでございますけれども、その中の一つ、時間の制約もございますので、昨年十二月八日未明に金沢で起きた問題を中心にしてお伺いをしたいと思います。 この金沢市の粟ケ崎にあります羽衣荘というアパートにおいて殺人事件が起きました。浅田順三という人が殺されたのでありますけれども、この事件は御承知ですね。
○鈴木(貞)政府委員 いま先生のおっしゃるとおりの事件が昨年十二月八日、金沢市内の羽衣荘内で発生いたしまして、この件につきましては、石川県警としまして、内ゲバ殺人事件の捜査本部を設置いたしまして、現在、八十名規模でございますが、鋭意捜査を続行中というふうな事案でございます。そのとおりでございます。
○阿部(助)分科員 この事件の状況、皆さん捜査の御都合もあるのでございましょうけれども、捜査ということで、聞き込みということだと思うのですけれども、どうもそのやり方に組合つぶしじゃないかという見方が多く、またそういうことで組合員の人たちがいろいろおびえている。そういうことについてこれからお伺いをしてみたいと思うのであります。 この聞き込みで、浅田氏のようになるから、余り組合に近寄らない方がよいとか、組合の動き、特に組合長の元秋さんのことはどうだとかいうようなことを聞いて回っておる。その聞いて回っておるのは一々挙げれば切りがありませんけれども、ことに、ここに最近勤めた女性のところに夜の九時過ぎに警察官が二人行って、本人の身元やなんかを聞くのはまあそれにしても、最後には、あんた一人でここへ住んでおるけれども、アパートへ住んでおる女性ですが、一人でおると巻き添えを食うぞとかいうことを言う。そうかと思うと、またその次の日の夜の九時半ごろ、私服の警官が二人おいでになって、それでまた同じようなことを聞く。そのときは、その女性はもうきのう話したんだから、きょうはもう堪忍してくれと言うのを、無理やりドアをあけさせて入って、浅田氏の葬式にはどういう人が出たんだとか、あるいはパートと本組合員の仲はうまくいっていないのじゃないかとかいうことを言う。そしてまた最後に、その二人の刑事も同じように、余り組合員に近づくと巻き添えを食うぞというようなことをおっしゃっておるのですね。それから次から次へと、組合員の名簿をお持ちなんだろうから、歩くのだろうけれども、これは皆さんの方どういうふうにして捜査をやるのか私わかりませんけれども、組合員に近づいたら危ないぞだとか、そんなくだらぬことはよけいな話であって、特に女性なんというのはおびえてしまっておる。どうもこれはちょっと行き過ぎじゃないでしょうか。そういう捜査をされる。どうも私には、組合から離反をさせていくという動きになっておるのじゃないだろうかという感じがするのですが、どうです。
○鈴木(貞)政府委員 金沢でたまたま起きました内ゲバ事件は、これは犯行声明がございまして、中核派が革マル派を攻撃したということでございまして、警察がこの事件を認知いたしましたのも、実はマスコミから、こういう犯行声明が各新聞社にあったぞという通報がございまして、それに基づいて羽衣荘に行きましたら、こたつに寝たまま、非常に残忍な状況で殺されておる。いわゆる鈍器様のもので、頭及び足でございますね、足の特にひざ部分、こういったものをめった打ちにされて、解剖の結果も頭蓋骨の骨折による脳震盪というふうなことで出ているわけでございます。こういった内ゲバ事件、いやしくも殺人事件でございます。 いま、内ゲバは、革マルと中核、革マルと革労協、要するに革マルをめぐりまして中核と革労協が内ゲバを展開しておるというふうな状況でございまして、実はつい近々、三月の十七日でございますが、これが川口市内で五年前に中核派の本多書記長が殺されました、これに対しまして現在中核派は、これに報復をするというふうなことで、彼らの機関紙その他で、堂々この報復テロ戦というふうなことを公言しまして、いろいろの活動をしておるというふうな状況もあるわけでございます。 いずれにしましても、とうとい人命がこういった一瞬の間に殺されるという、きわめて短時間の間に計画的に襲撃をいたしまして相手を殺害する、こういう事件でございますので、この内ゲバ事件による各種事犯につきましては、警察としましても非常なる関心と捜査体制をもちまして、そういう情報があった際には徹底的に未然防止というふうなことで、その都度全国に指令を発して実は警戒しておるような状況でございます。 そういうことでございますが、この内ゲバ事件の特色としまして、まず被害者の協力が得られないという一つの問題がございます。それから、深夜大体電話線を切断いたしまして、それで急に計画的に襲うということでございますので、目撃証人を非常に得にくいということでございます。 この羽衣荘事件も、中核派三、四名の犯行と思われますけれども、そういう意味で幅広く地取り捜査、聞き込み捜査、そういうことでやらなくちゃならぬわけでございまして、石川県警といたしましても、そういう観点から、幅広い被害者及び関連者を含めましての捜査をやっているわけでございますが、先生仰せのこの事件に組合活動は何ら関係ないわけでございまして、私の方も、御質疑の内容を聞きましてから、県の方にいろいろ問い合わせてその辺の状況を聞きました。その間いろいろの情報提供その他あるわけでございますが、いやしくも組合活動に介入する、あるいはそういう意図でいろいろの聞き込みをしたというふうな事実はない、こういうことでございますので、とにかく何とか犯人を挙げるという意味で幅広い捜査をしていることは事実でございます。
○阿部(助)分科員 そういう形で皆さんおっしゃるけれども、事実いろんな人の証言をとれば幾らでもあるのですけれども、まあ皆さんやっていないと言うだろうけれども、こういうところへ巻き込まれるとか、そういう話はやはり厳に慎む。捜査は捜査でおやりになるのは当然だけれども、そういう形での、何か組合から離反させるような露骨な話は、やってないと言うけれども、あり得ることでありまして、これは十分上の方からよく指導しておかなければいかぬ問題だと思います。 しかし、あなた、内ゲバという形で言うと一切が抹殺されるような感じを受けるけれども、この事件をずっと調べてみると、いろいろな不可解なことがいっぱいあり過ぎるのですね。確かに内ゲバという形で皆さんおっしゃるだろうし、こういうような問題ではそうなんだろうけれども、何か不可解な点が多い。 まずその第一は、この事件は十二月八日に起きた。ところが、その二十日ほど前の十一月十七日には県警の刑事が金沢大学の学生課長の児山さんのところに行って、これは試験の警備のことの打ち合わせだったようでありますが、そのときに、他県から無線情報で、侵入してきて何か殺人事件、内ゲバというのですか、というのが起きるというので二十四時間警戒態勢に駆り出されたので大変疲労し、そして御連絡がおくれました、こういう話をしておる。そして、その話が何がしか伝わった。大体正確なんですね。これは学内ではない、学生ではない、金沢の市内で起きるんだというようなことまでおっしゃっておる。その話が伝わっていくと、今度この刑事さんは——私、名前は特に言いません、名前もわかりますけれども。この刑事さんからその学生課長の児山さんに、話があっちこっち広がってしまったので、上司から大変にしぼられたというぼやきの電話がかかっておる。だけれども、問題を否定はしていないのです。そして、まさにこの事件が起きたわけです。警察の方は、実によく知っておられる。これが私、不可解な、それだけよく知っておられたら、もう少し手があったんじゃないだろうかという感じがする。 私、時間がないからもう少ししゃべります。 第二番目には、この起きる二週間前、十一月二十五日、制服の警官がこのアパートへ来て、この辺のアパートで内ゲバが起きるから住民の調査をしたいということでアパートのおばさんに話をし、頼んで、羽衣荘の契約書や誓約書を見せてくれと言って、コピーをとってお帰りになった。ところが、アパートはその町に、近くに七軒ぐらいあるんだけれども、調べたのは、契約書や誓約書をコピーしていったのはそのアパートだけだ。しかも、このアパートの持ち主はアパートを二軒持っておられる。ところが、調べたのは羽衣荘だけなんですね。しかも、その聞き込みのときに、最近そのアパートへ入ってきた二世帯のことはほとんど聞かずに、殺された浅田さんという人の、二〇三号に住んでおったけれども、その二〇三号の部屋を中心にして聞いておられる。それだものだから、アパートのそのおばさんは辻利さんというのですが、警察は初めから浅田さんがねらわれておることを知っておったのじゃないか、それで、私のアパートへ来てあんな書類までコピーしていくわ、不可解だということで警察へ、文句ともつかず抗議ともつかないけれども、あなたたちは知っておったんでしょうという電話をかけておるぐらい、周りの人たちはこの問題が起きてしまうと、そういう何か不可解なものを感じておるわけです。警察は初めから知っておったのじゃないですか。
○鈴木(貞)政府委員 この件につきまして、実は全然警察としては、浅田さんですね、どういう派閥でどうだということでの視察線に入れておりませんで、実は羽衣荘に入った際も別名でございますね、浅田姓でない土屋なるあれでアパートを契約しております。 先生の御質疑の第一点でございますけれども、金沢大学云々という問題につきましては、昨年の十一月中旬でございますけれども、大学を管轄いたしまする金沢中警察の署員でございます、これが金沢大学の学生課長を訪問した際のことだと思われますけれども、このときは、学内におきまする極左暴力集団の内ゲバ防止の観点から一般的な内ゲバ情勢を説明する、同時に、内ゲバがもし万が一発生した場合の警察への通報の方法、連絡の方法あるいはそれに対する要請をしたということでございまして、あらかじめどこでどういうふうな事犯が発生する、そういうものを予想したものでは全然ない、こういうふうに聞いております。 それから第二点の、私の方の言葉でアパートの巡回連絡、こう言っているわけでございますが、俗称アパート対策、アパ対というふうな言葉でも内部的では言っているわけでございますが、御承知のとおり、外勤警察官が担当警域の家庭なり事業所を訪問しまして、犯罪の予防等の指導連絡あるいは良好な公衆関係を保持する上から、協力を得まして、地理案内その他いろいろの便宜に供するというようなことで、年二回ほど巡回連絡というのをやっているわけでございます。 後段の御質疑の件も、そういう意味で、事件現場のアパート、すなわち金沢市内の粟ケ崎町にありまする羽衣荘、これに対しまして受け持ち駐在の勤務員が、巡回連絡のため昨年の十一月下旬訪問しまして、その際アパートの管理人の協力を得まして、おっしゃるとおり、入居者六世帯、これは二階建てのアパートでございまして六世帯が入っております。これについていろいろお尋ねしたところが、管理人の自発的な協力によりまして契約書の写しを提供してくれたということでございます。被害者の浅田氏は土屋という名前で入居しておったということはその後の捜査でわかった、こういうふうな状況でございます。 また、管理人が二つアパートを持っておるということでございますが、これは所轄が違いまして別の管内、要するに署の管轄が違いまして当人はやっておりませんで、これは隣接署の警察官が十一月二十日にやはり巡回連絡で回っておる、こういうふうな状況であるということを聞いておるわけでございます。
○阿部(助)分科員 あなたいろいろおっしゃるけれども、この粟ケ崎町にアパートは大体七つある。そこも当たってみた。そのとき調査をしたのは、たまたま、ときどきやるのであって、その羽衣荘だけが当たったとおっしゃるのかどうか知りませんよ。石川県警、どうあなたに報告しておるか知らぬよ。だけれども、そこだけを調べておるというあたりに一つは不可解な問題がある。 そしてもう一つ。あなたおっしゃったように、電話線が切断されておる。しかも、その電話線は、そこを切ればそのアパートの周りが大体通話不能になる。しかも切ったところの電話線は、写真がありますけれども、交番の目の前なんだなあ、ここからその電球ぐらい。しかも交番の窓はちゃんとできておるのであって、夜中切ったかどうかわかりませんけれども、交番の本当の目の前の電話線を切っておるのです。こういうことが一体どうなんだろうか。それで調べてみると、この粟ケ崎の派出所、ここのお巡りさん、ここの人は家族ごと住む常勤の交番所ですよ、私、警察の専門用語は知りませんけれども。ところが、ちょうどそのときは、その前にこれは警察の講習ですか、学校ですか、そこに入所を命ぜられた。それだから、家族をそこに置くのに多少不安があったと見えて、実家に家族を移して本人は学校へ行ってしまったわけです。こういう常駐のアパートをしばらく留守にして空き家にするなんというのは普通はあり得るんですか。
○鈴木(貞)政府委員 先生のおっしゃるとおり、この事件の際の管轄の駐在所は金沢西警察署の粟ケ崎駐在所でございまして、ここに勤務している勤務員、これは警察で若い警察官の再教養の一環としまして現任教養というのがございます。これに五十四年十月初めから十二月末まで現任教養としまして県の警察学校に入校しておったということは事実でございます。しかし、空白になった場合は、これに補勤ということでほかの警察官を充てるということで、現実に他の警察官をこれに補勤をさせておりまして、したがって夜間はパトカーによる重点警戒、重点警らというようなことでカバーしておったというふうなことでございます。 事件の際、犯人はこの粟ケ崎駐在所の東方約二十メートルの地点にある電柱の電話線一本、これは七十回線でございますが、これを切断しておるわけでございます。内ゲバ事件の際は必ず電話線を切断されておりまして、これは詳細な下見、及びどこを切ればどういうふうなところが切れるかということは事前の相当詳細な下見によってやっておる、こういうように勘案されるような事犯が大多数でございますけれども、この件も、駐在所は確かに学校に行っておりましたが、補勤をしておる、夜間は重点パトロール、それから二十メートル離れた電柱の線が切られておる、こういう実態であったわけでございます。
○阿部(助)分科員 ところがこのお巡りさんは、事件が起きて、十二月のあなたがおっしゃったように学校の教育機関が修了しないうちに、卒業証書ですかをやるからということでこの駐在所に復帰しておるんですよ。何か一番肝心のところだけ駐在所のお巡りは抜けてしまったみたいな感じなんだな。 〔主査退席、中島(源)主査代理着席〕 それは皆さん専門的な方では、いろいろな署の方の都合だ、いろいろあるのかもわからぬが、どうも常識的に見れば、駐在所へ赴任した、間もなく学校へ入れてしまった。それなら学校へ入れてから駐在すればいいじゃないですか。ところが赴任して間もなく学校へ行ってしまった。事件が起きて間もなく、今度は学校の卒業式を前にして、三日間を残して卒業証書をやるから帰れというわけで勤務地へ帰ってくる。どうも私の方が勘ぐって物を言っておると皆さんお考えになるかもわからぬが、常識的に考えていくと、どうもその辺がつじつまが合わな過ぎるのじゃないか。もう時間がありませんから、私は皆さんに要望しておきますけれども、いま何か内ゲバだと言えば世間はこれをもうあたりまえだ、やられるのも仕方がないみたいな形で抹殺をされてしまう。私たちが若いときに、だれかあいつは赤だと言うと、何をされてももうその人はあたりまえだみたいな形でやられる。戦争中は、非国民だ、こう一言で人間がレッテルを張られて終わりになるというようなことは、私は民主主義という点から言ってどうしても納得のできない問題であります。そして、大きな公権力を持つ警察官、皆さんそんなことをやっていないと言うのは、私も想像はしておりました。しかし上の方の皆さんではそうお考えであるかもわからぬけれども、捜査のやり方に上手下手もあるんでしょう。しかし、余り組合なんかに行ったらまた巻き添え食うぞだとかいうような、末端の警察官には何か労働組合というものに対する偏見があるのじゃないだろうか。私はこういうことを考えていくと、強大な公権力を持つだけに警察の行動というものはより慎重でなければいかぬ、そう思うのです。こういう形の中で、皆さんはいかに善意であろうとも、世の中が知らず知らずのうちにファッショ化、反動化という形のところに行くことを私は恐れるわけであります。幾つか私たち体験してきましたよ。戦後あれだけ大きな問題があった。あの合理化、労働組合が大変盛り上がった、私もそのとき経験をしておるのです。しかし、あの下山事件だとか松川事件というようなでっち上げで、もう水を打ったように一瞬にして労働運動の火は消えてしまって、あの合理化ができた。そしてその犯人は依然としてつかまらない。そしてあの松川の被告の人たちは、最後には無罪になったなんて言ったところで、もうその人の人生は返らない、もうその人の青春は返らない。これぐらい民主主義の中で惨めな問題はないと私は思うのでして、公権力が労働組合へ介入のような、皆さんはないと言うけれども、これは幾らもあるんですよ。私はこれは時間があれば一つ一つ具体的な警察官の名前を挙げてもいいし、また調べられた人の氏名もここにあるのです。それを挙げてやってもいいし、私はここにそのうちの児山さんという課長のテープレコーダーを持っておるのです。そして交番所のお巡りさんから初め聞いたときのテープレコーダーもあります。しかし私はその人を傷つけたくもないし、二遍目に行ったときにはもうそのお巡りさんは口をつぐんで、本署へ行って聞いてくれということで物を言わなくなったけれども、一番最初会ったときには、朴訥な人で、ある意味ではすらすらと物事を教えてくれているわけです。それはあるのですよ。けれども、私は何も悪意でないそのお巡りさんを傷つけようとは思いません。問題は、そんなことよりも日本の民主主義を守る、そのために警察当局はいかにあるべきか、皆さんが幾らどう考えたってこういうことが起きてきて、そうして先ほどから局長は内ゲバと声を大にするけれども、内ゲバと声を大にすればそれで何かこのことが解決するような形で物事がとられることが、私は日本の民主主義にとって一番危険なことなんじゃないだろうかという感じがするのでして、私はもう時間がありませんから多くを申し上げませんけれども、警察のあり方、特にこれから春闘を控えております、多少のいろいろな押し合いやへし合いはあり得ると思います。しかしそれがそういう形で労働運動の弾圧というような形に向かうことだけは厳に慎んでもらいたいし、皆さんもそういうつもりでおるだろうけれども、私はこのことを強く要望して、時間でありますので終わります。警察庁長官、あなた専門だから、その点は特に私は御注意をお願いして、私の質問を終わります。
○中島(源)主査代理 以上で阿部君の質疑は終了いたしました。 これにて総理府所管中、警察庁に関する事項についての質疑は終了いたしました。 —————————————
○中島(源)主査代理 次に、総理府所管について質疑を行います。瀬崎博義君。
○瀬崎分科員 政府の国会で答えている物価対策というのは、便乗値上げを監視する、取り締まるということぐらいと見受けるのでありますが、それも実際の政府の行動を見ていると、わが国には便乗値上げなどないような感じさえするわけですね。 そこで、少なくもわれわれがこの国会の場で、客観的な事実を添えて便乗値上げの疑いがあると指摘した分については、政府は真剣に調査をし、かつまた対策を講ずる用意があると思うのですが、大臣の答弁を求めたいと思います。
○小渕国務大臣 御質問の諸点は、物価問題でございまして、経済企画庁長官がお答えすべきものだろうと存じます。私ども縦割り行政云々と言うつもりはさらさらございませんけれども、それぞれの所管がございまして、他の分野に入っての御答弁を申し上げることは、いささか例にございませんので、私から所見を述べることはお許しいただきたいと存じます。
○瀬崎分科員 私が聞いているのは、そういうことではなくて、政府の一般的な姿勢として、便乗値上げを取り締まるということを再三言っているわけですが、しかし、実際にやっていることを見ると、便乗値上げがそうなさそうに見えるのですが、われわれがこの場で、こういうふうな事実があるから便乗値上げがあるのではないかと指摘をした分については、少なくもしっかりと調査をするとか、あるいは必要があれば対策を講ずる、このぐらいの用意はあるでしょうね。これを政府を代表してまず答えてください。公正取引委員長がいらっしゃれば委員長に聞くのだけれども、いらっしゃらないから一応総理府を所管する大臣に政府を代表して答えていただきたい、こういうことなんです。
○佐藤(徳)説明員 お答え申し上げます。 お話しのように、物価情勢が大変厳しくなってきておりますので、政府といたしましても、各般の物価対策を講じております。たとえば先日、日本銀行が公定歩合の引き上げをいたしましたとか、また野菜対策等いろいろやっておりますが、その中の一環として、先生から御指摘のございましたように、国民生活に密接に関連する物資あるいは国民経済上重要な物資については、その価格動向等について注視をし、監視することといたしております。
○瀬崎分科員 公正取引委員会は去る二月二十一日に、医療用のエックス線フィルムについて、富士、サクラ両社を独禁法違反の疑いで立入検査をしていますが、これは独禁法のどういう点に触れるという疑いで調査をされたのですか。
○妹尾(明)政府委員 先生御指摘の本年二月二十一日に富士写真フィルム及び小西六写真工業について行いました調査は、両社が医療用のエックス線フィルムの製造業者として同フィルムの販売価格を共同して決定した疑いがある、また、小売価格等について不当に価格を維持している疑いがあるということで調査したわけでございます。 前者については、独禁法第三条の不当な取引制限の禁止規定に違反する疑いがある、後者については、不公正な取引方法を禁止いたしました独占禁止法第十九条の規定に違反する疑いがある、こういうことでございます。
○瀬崎分科員 ちょっと主査の了解を得て、この資料を政府側に渡したいと思うのですが。
○中島(源)主査代理 どうぞ。
○瀬崎分科員 二部しかないので、答弁をしていただく方に差し上げてください。 私は、きょうは主として印刷用のフィルム、印画紙について伺いたいのでありますが、写植用の印画紙については、富士、小西六のほかに三菱製紙も三大メーカーの一つとして製造を行っているわけですね。 ここに富士フィルムと三菱製紙の値上げの状況の比較表を出しておきました。詳しい資料は、その一覧表の下に全部ついておりますので、後でゆっくり見ていただきたいと思うのです。 その一覧表を見られておわかりのように、価格の面では二三センチ×二七センチ百枚一組の場合、富士は四千七百八十円を七千百九十円に、三菱は四千七百八十円を七千百七十円に値上げをしているのです。四つ切りの場合ですと、富士は五千九百四十円を八千九百三十円に、三菱は五千九百四十円を八千九百十円に、三〇・五センチ×三〇・五センチの場合は、富士は七千二百四十円を一万八百九十円に、三菱は七千二百四十円を一万八百六十円にというぐあいなんです。 新価格で見ますと、確かに二十円あるいは三十円という違いはあるのですが、これはまあオーダーですから端数程度のものですね、違いは。しかし、値上げ率で言えばともに五〇%になります。しかも、値上げの時期の点で言いますと、前回が五十四年十一月の一日、今回が五十五年三月一日で、これはどんぴしゃり同一なんですね。 こういう点から見ても、写植用の印画紙の同調値上げの疑いは、何も富士、小西六の間のみならず、三菱製紙も含めて、結局印刷用印画紙の三大メーカー全部の間で行われているのではないか、私にはこういうふうに見れるのですが、公取の方のお考えはどうでしょうか。
○妹尾(明)政府委員 先ほどちょっと申しおくれましたが、実はエックス線用フィルムにつきまして調査を行ったわけでございますが、印刷用フィルムにつきましても、独禁法上いろいろ問題があると考えられましたので、あわせてこの点についても調査をいたしております。 それから、ただいま先生御指摘の資料の件でございますが、結論的に申し上げますと、ただ、これだけで直ちに独占禁止法に違反するカルテルがあったとすることはなかなかむずかしい。ただ、こういったように価格が非常に斉一に引き上げられておるという状況は、そこに違反行為が存在する可能性を構成する一つの要素であることは間違いございません。そういうことでございます。
○瀬崎分科員 続いて、この印刷用には欠かせないマスターペ−パーというのがあるのですね。印刷用の版になる紙版でありますが、このマスターペ−パーを製造している三菱製紙は、やはり二月二十一日に一八・六%の値上げを行ったわけであります。その結果、たとえば価格面では、そこに表を例示しておきましたが、三菱シルバーマスターR二五・四センチX七五メートル二本入りの場合、この末端販売価格は、従来の四万七千五十円から五万五千八百円に値上げされることになったわけです。一方、このマスターペ−パーというのは、アメリカのアイテック社が日本でも発売しているわけで、いま申し上げました三菱のシルバーマスターR二五・四センチ×七五メートルの規格に該当するのがアイテック社の方ではIPPの一〇インチ×二四六フィートに当たるわけですが、その値段は、ごらんのとおり四万七千五十円から五万五千八百円に引き上げられておりまして、三菱の場合と全く同じ価格、同じ値上げとなっているわけであります。 もう一つ例を言えば、たとえば三〇・五センチ掛ける七五メートルの場合、三菱シルバーマスターは従来の五万六千五百円から一八・六%値上げいたしまして六万七千円に、この規格に該当するアイテック社の製品IPP一二インチ×二四六フィートでありますが、その値段も五万六千五百円から六万七千円に値上げです。この値上げ一覧表はつけてあります。こうして三菱とアイテック社というのは、完全に値上げ幅、価格が一致してくるわけですが、こういうふうな値上げを偶然の一致と見ることができるのでしょうか。
○妹尾(明)政府委員 競争関係にある会社の販売価格の引き上げが斉一に行われたということにつきましては、確かに疑問の節もございますけれども、ただ、これは従来からのいろいろな価格形成の経緯等もございますので、直ちにそれだけをもって問題があると断ずることはむずかしいのじゃないかと思います。特に価格表を作成して配付している業界におきましては、その価格が斉一になるということは、しばしば見られる現象でございます。ただ、その作成の過程におきまして、相互に意思の連絡を図っている状況がございますと、これは独禁法との関係で問題がある、こういうことでございます。
○瀬崎分科員 その意思があるか、事前の行為があるかないかを判断する上で、実際に末端価格が完全に均一化しているということは、一つの大きな条件になると思うのです。私どもが聞きましたところでは、アイテック社のマスターペ−パーというのは、実は三菱製紙が製造した製品だということなんですね。したがって、わが日本国内でのマスターペーパーの生産は、私の聞いている限りでは、三菱製紙しかやっていないということなんですよ。結局アイテック社が三菱に委託生産をしているのかどうなっているのか、そこら辺は私にもわかりませんが、要は製造、販売、流通形態は、この二社では全然違うわけですね。片方はアメリカの会社なんです。この両社の末端価格が同一になってくる、こういうことは常識上は考えられない。結局は三菱がその独占的な地位を利用して、その販売価格を維持するために、アイテック社の日本における販売価格を指示しているか、あるいは協定しているか、こういうことでもなければこういうことは起こり得ない、こういうふうに考えるのが妥当ではないかと私は思うのですが、いかがですか。
○妹尾(明)政府委員 先生御指摘の三菱とアイテック社の関係につきましては、ただいま初めて承知したことでございますが、一般論で申し上げますと、先生御指摘のように、両社がもし生産を他方に委託しているというふうな密接な関係にあります場合には、これは往々にしてその価格の面につきましても非常に斉一な形になるということは、よく見られる現象ではないかと思います。両社がどういう提携関係にあるかということを私、存じませんので、この場でこういう具体的な問題につきまして直ちにお答えを申し上げることは、ちょっとむずかしゅうございますが……。
○瀬崎分科員 もう一つ、印刷用のフィルムについても事例を挙げておきたいと思うのです。 富士の印刷用フィルムの値上げなんですが、これはもうすでに承知されているとおり、富士と小西六は、ともに昨年十一月一日に一一・二%の値上げをし、今年三月一日に五〇%値上げした上、さらに四月一日に五〇%値上げを予定しているわけですね。この値上げに対応して、富士の特約総代理店であるプロセス資材というのがあるのです。富士の印刷用の資材は、このプロセス資材を通じてしか流れないわけであります。このプロセス資材が、印刷資材販売店に対して卸価格の値上げ通告を出しているわけであります。その値上げ通告のコピーは、一番最後についております。 この富士がメーカーの名前入りで出しております価格表、つまり活字で刷ってあるものですが、いわゆる末端の小売価格を示したものであります。それと、このプロセス資材が出している卸価格の関係を見てみますと、ちょうどこの一覧表の三番目になるのですが、よく使われておりますフジリスフィルムLO100のB4の場合、富士の価格表による末端販売価格では、昨年十一月一日の一万三千八百四十円から、ことし三月一日の二万八百二十円へ、これは確かに値上げ率が五〇%なんです。つまり、小売価格の方では五〇%。一方、特約代理店プロセス資材が末端の印刷用資材販売店に出しております見積書によるいわば卸価格の方は、昨年十一月一日は一万一千七十円になっているのです。これは末端小売価格の八掛けになっているんですね。ところが、今年の三月一日のプロセス資材の見積書による卸価格を見ますと、一万七千七百円になっているのです。この方の上げ幅は、五〇%ではなくて六〇%になるのです。といいますのは、この三月一日の時点でプロセス資材が卸価格を小売価格の八・五掛け、八五%掛けにしているわけなんです。つまり、資材の販売店の手数料を、従来の二〇%から一五%に引き下げているわけですね。 これはA3の場合を見ていただいても、全く同様になっているわけです。A3の場合ですと、小売の末端価格は、十一月一日が一万八千七行四十円、三月一日が二万八千二百円、これは五〇%の値上げなんです。ところが、プロセス資材の見積書による卸価格を見ますと、これは去年の十一月一日が一万四千九百九十円、三月一日は二万三千九百七十円、これは六〇%の値上げになっております。そうなるのは、やはり掛け率が、去年の十一月一日時点では八掛けだったものが三月一日では八・五掛けに引き上げられた。つまり、資材の販売店の手数料が減らされているわけですね。これは、たくさんの種類のフィルムが載っておりますが、全部そうなっております。 ですから結局、富士はまず末端価格、小売価格を五〇%上げる、これでずいぶんと印刷所及び消費者には負担がいくと私は思います。そのほかに、この富士の印刷用の資材の販売を扱っている小さな販売店に対しても手数料を減らす、こういうしわ寄せをやっているわけですね。結局、メーカーの富士だけが得をする、こういうふうな仕掛けになってきていると思うのです。こういうやり方は、市場を独占しているからやれるのだろうと思いますけれども、まさにこういう点こそ便乗値上げの最たるもの、企業のいわゆるもうけ過ぎという部分ではないかと思うのですが、いかがですか。一遍大臣の感想も聞いてみたいですね。
○妹尾(明)政府委員 印刷用フィルムにつきましては、先ほど申し上げましたように、現在調査いたしておる事案でございますので、この資料につきまして評価めいたことを申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思いますが、値上げの場合に、問題は、マージンの率と絶対額でございまして、たとえば従来二〇%であったものをそのまま上げる場合に、大幅にマージンの額が上がるような場合には、むしろそれはおかしいのではないか、こういうふうな見方もあるというふうに考えられますが、これを見ましても、マージンの額は若干ですが、むしろふえておるというふうな感じを受けますけれども、そういった問題も一つあるのではなかろうかと思います。
○瀬崎分科員 それはきわめて皮相な見方なんですが、後で申し上げます。 こういうふうなフィルムとか印画紙の値上げの根拠にされているのが、いや、銀の価格が大幅に上がったとか石油関連製品の値段が上がったということになるのですが、たとえば三菱製紙の決算状況を見てみますと、去年の九月の半期決算、中間決算を見ますと、三十六億七千万円の経常利益を上げているわけです。これを前年同期、つまり五十三年九月期の半期決算経常利益を見ますと、七億六千八百万円にすぎないのです。つまり、去年はおととしに比べて七億から三十六億に経常利益がふえている。約五倍ですね。ちなみに五十四年三月の一年間の決算を見ますと、二十九億の利益なんです。だから、去年の九月期は半年間で五十三年三月までの一年分の利益をはるかに上回る、七億は上回る利益を上げているわけなんです。 また、富士の場合を見ましても、いや、乱売だ何だかんだと言いながら、着実にやはり利益をふやしています。ここは妙な十月が決算ですが、これは一年間の決算です。五十四年、経常利益が二百四十四億です。五十三年十月の決算経常利益は二百三十七億です。ここでもやはり七億、利益は着実に伸びているんですね。 だから、いまのこういう富士とか三菱などには、そういうふうな資材の値上がり、銀などの値上がりを理由にどんどん末端を値上げしなければならないような理由はない。むしろやはり相当安いときの銀などの在庫も持っているのだけれども、この際というわけで、まさにここに便乗値上げがあらわれているのじゃないかと思うのです。 ですから、公取ももう少ししっかりと、この印刷関係の資材全般について、富士、小西六だけじゃなしに三菱も入れて、こういうやみカルテル的な動き、あるいは便乗値上げ的な動きがあると見られますので、十分な調査をしてほしいと思うのですが、いかがですか。
○妹尾(明)政府委員 独占禁止法に違反して価格を押し上げている、そういうカルテルによる価格引き上げの疑いがありました場合には、私ども厳正にこれに対処するということで、現に多数の業種につきまして調査を行っているところでございます。 ただ、私ども人手には限りがありますので、最近は特にいろいろ問題が増大しておる折柄でもございますので、できるだけ重点的にやっていかざるを得ない、こういう状況にはございますけれども、具体的に先生御指摘のような独禁法に違反するような問題がもしありますれば、当然必要な措置はとらなくちゃならぬと思っております。
○瀬崎分科員 このように価格がどんどん上げられて、それで品物だけでも自由に手に入るのならまだいいんです。ところが、ことしに入ってからは注文した数量のせいぜい三分の一くらいしか送られてこなくなっているようであります。 実は私がいろいろな資料を出すことができたのは、零細な印刷資材の販売業者から切実な訴えがあった、その中に幾つかの資料があったわけなんです。その訴えなんですが、省略しますけれども、要点だけ読み上げますと、 いろいろな大きな値上げが出てきた。それにつれて商品が二月に入ってからほとんど入荷していず、品切れが続発してきています。といいますのは、商品については三月一日に五〇%、四月一日にも五〇%の値上げの通達をしてきています。実に一二五%の値上げになるのです。当然、大企業としては一、二カ月出荷しなければ現状の二・五倍近くの価格で売れるのですから、極力出荷を抑えにかかります。こうなると市場に商品がなくなり、もうすでにパニック状態になりつつあります。当然、私たち販売業者、製版、印刷業者はもろに痛手を受け、中小零細業者においては倒産に至るのも目に見えています。 こう言って、何とか品物だけでも回すようにしてほしい、こういうふうに訴えております。 その上、支払い条件まで厳しくなってきて、従来、二十日締め切りで翌々月の五日払いだったものが、二十日締め切りの翌月の五日払いと、こういうふうに攻められておるようです。さっきマージンの絶対額をもらっているのと違いますかなどと言われましたが、問題は、売る品物が従来の三分の一以下に落ちちゃっている、注文しても来ない状態なんです。商いは細るわ、そして支払いは攻められるわ、これでは資金繰りの面からも立ち行かなくなるのです。まさにこれは悲痛な叫びだと思うのです。 私は、こういう事態こそ、まさに独占そのものだし、不当な取引の制限ではないかと思うので、重ねて公取の、いろいろ手不足はあろうと思いますけれども、ひとつ厳正な調査を要求したいと思うのです。 あわせて、こういうときにこそ売り惜しみ買い占め防止法などが発動されてしかるべきじゃないか、こういうふうに思うのですが、経企庁、いかがですか。
○佐藤(徳)説明員 ただいまの印刷用フィルム等の需給につきましては、所管省であります通産省におきまして、需給価格動向等を注視しているように伺っております。私ども伺いましたところでは、現在特段の問題は生じていないというぐあいに聞いておりまして、私どもといたしましては、現在のところは需給価格動向を今後とも十分関係各省と御協議しながら調査するということで、十分連絡をとりつつ適切な対応をとってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○瀬崎分科員 余りにものんびりした答弁に過ぎると思うのですね。経企庁の存在意義を疑われると思うのです。 時間の関係もありますので、私は最後に特に強調しておきたいのですが、もちろん、これは不当な値上げだと私は思います。当然、これは徹底して調査して下げさせる指導が政府に必要だと思うのです。しかし、何はともあれ、いま小さな印刷資材の販売業者が困っていること、同時に、やがては印刷業者も困ってくると私は思いますが、それはフィルムにしろ印画紙にしろ手に入らないということなんです。この点について、いま何か経企庁は他人事のような話をされたのだけれども、どうもげたを通産に預けられているように思うのです。やはり窓口をきちっと決めて、苦情を敏速に受け付けて、そして品不足で困っている業者には品物がきちんと出るような指導をしてほしい。去年まではむしろフィルムや印画紙などは押しつけられるくらいに出回っておったのです。全くこんなことは不思議でならない。明らかにこれは値段をつり上げる、年内に三倍から四倍になるというようなことを予告しておるようですが、そのための売り惜しみとしか思えないわけなんです。ですから、具体的に困っている業者が現にあるわけですから、そういうものに対しては具体的な措置で問題を解決するようにこの点を強く要求したいのです。通産省の方の答えを伺いたいと思います。
○大高説明員 お答え申し上げます。 製版用のフィルムにつきましては、先ほど先生から御指摘がございましたような状況で値上げが行われたわけでございます。 当該製品の生産、出荷を見てみますと、全般的には順調に推移いたしております。また在庫は漸減の傾向にございます。そういったことから、メーカーによります不当な出荷制限は行われていない、こういうふうに見られるわけでございます。しかしながら、製品の値上げの発表がございますと、ユーザーといたしましては、前倒しの注文と申しますか、いわゆる仮需的なものが大変多くなっておるのが実情でございます。こういうものが著しくふえておりますので、このような要求につきまして、全量を納期までに納入することは困難な状況になってきておるということでございます。ただし、これまでのそれぞれのユーザーの実績を見ながら、現在必要とされる量につきましては賄ってきておる、こういうことで、通産省といたしましては、仮需でない実際の実需であればこれにこたえるべきであるということで、各メーカーにそういう指導をしておるところでございます。すでに私どもの方でも、個別案件といたしましていろいろな申し出のあったものがございました。そのようなものにつきましてはそれぞれ事情をお伺いいたしまして、可能な範囲でその要請にこたえてきておるということでございます。 このような品不足というふうな現象は、価格改定時におきます一時的な現象だというふうに思われます。現在価格改定が進行中でございますけれども、これが一段落した時点ではこのような問題は解消するもの、こういうふうに考えております。
○瀬崎分科員 大臣はまた所管外などと言われるかもしれませんけれども、現に商売をしようにもできない、仮の需要どころか、実績の範囲内で、現にある注文に応じられない末端の小さな業者があるということを心していただいて、政府としてももう少し親身になった解決に努力するように、この点は政府を代表した大臣の決意を伺って終わりたいと思います。
○小渕国務大臣 国務大臣の一人として、物価問題、なかんずく売り惜しみ買い占め等がありますればまことに憂慮にたえないと考えております。御指摘をいただいた点につきましては、具体的なケースでございますので、それぞれ所管におきまして十分心得て対処いたすものと存じます。
○中島(源)主査代理 以上で瀬崎君の質疑は終了いたしました。 これにて総理府所管についての質疑は終了いたしました。
○中島(源)主査代理 次に、総理府所管中北海道開発庁に関する事項について質疑の申し出がありますので、これを許します。安井吉典君。
○安井分科員 後藤田さんは昔の高等学校の先輩なのでどうも論争しにくくてしようがないのですが、きょうは北海道開発庁の所管でありますだけに、徳島県の議員が、私の郷里の北海道の大臣を務めてくださっているわけですから、むしろ御苦労さまですと、まず初めに申し上げておきたいと思います。 北海道の開発は一つの転機にいま来ているように思いますので、総論にかなり時間をかける必要があると思うのですが、きょうは短い時間ですから別な機会に譲ります。 いま北海道では、これは全国的な問題なんだけれども、北海道にだけひどくしわ寄せをされている、こういうふうに深刻な問題として受けとめられているたくさんの問題があります。それはたとえばお米の大幅減反、牛乳の生産過剰、韓国の漁船による漁業被害、公共事業の国庫負担や補助率の引き下げ、赤字ローカル線の廃止、こういったようなものが、何か北海道だけ踏んだりけったりしているのではないか、そういう印象を与えているように思います。 きょうは、そのうちの農業の問題に集中したいと思うのですが、まず減反の問題にしても、三五%の減反率が五十五年度は四四%へ、約十一万ヘクタールの減反の割り当てですね。それをめぐって北海道の水田地帯では、まるで終戦時の供米の強権発動当時のような深刻な危機感がみなぎっていました。特に、稲作の将来は一体どうなるのかという不安感があるわけですね。酪農の方は乳製品の輸入で国内生産は過剰だと言うし、豚肉も値下がりで一頭について一万円赤字というような状況、タマネギも値段が下がるというので一万九千トンのタマネギがブルドーザーで敷きっぷされる、こういう状態で、北海道の開発計画の上における北海道は食糧基地だという、そういう自負を持っていたし、北海道発展計画の中にもそういう考え方が書かれていると思うのですけれども、大臣どうでしょう。この現状はそれからはなはだ遠いものになってしまっていると思うのですが、どうですか。
○後藤田国務大臣 安井先生がいまおっしゃいましたように、米の問題、牛乳の生産過剰、韓国漁船の問題あるいは補助特例の引き下げ、国鉄赤字線と、本当に北海道にとっては容易ならざる事態であるという認識においては全く同感でございます。これは大変な事態だと考えております。 そこで、御質疑の稲作転換の問題ですが、これも過去の実績を踏まえての四四%ということではありましょうけれども、いずれにせよ、これは北海道の米作農家にとっては大変なことであろう、かように考えます。私ども開発庁は、御承知のとおりの公共事業を担当しているわけでございます。そこで、まず土地の改良工事といいますか土地改良といいますか、これをやるのには、やはり何といいましても中長期の展望の上に立って、改良せられた土地の上に改良後展開されるべき農政との一貫性、これがなくしては非常なむだにもなりますし、農民にも相済まぬことになりはせぬか、かように私は考えるわけでございますが、御案内のように北海道の総合開発計画では、水田地帯につきましては、私どもとしては、米の生産調整ということを考慮しながら米の質をよくする、そして同時に稲作の安定化を図るということをまず一方の柱に立てておるわけでございます。他方、北海道の水田の総合的な利用を進めることができるような土地条件を整備しながら、地域特性に応じた他作物の導入あるいは畜産との有機的な連携を促進をしていって、何といいますか、農業生産の複合化とでも言うのですか、そういうような政策を積極的に進めるという観点での北海道の総合開発をやりたい、かように考えておるわけでございます。ただ、現実を伺ってみますと、最初に申しましたように、中長期の展望の上に立って改良せられた工事とその上に展開せられる農政との間に乖離があるのではないか。ここらは私ども今後北海道の開発を進める上において十分注意をして、そういった事態を回避するということで努力をいたしたい、かように考えております。
○安井分科員 きょうは農林水産省から担当官がたくさんおいでいただいておりますので、まず米の減反の問題なのですが、いま大臣は乖離という言葉を使いましたけれども、北海道の農家の専業率は四六・五%です。全国の農家は一二・五%ですから、これはもう北海道だけが本当の農業をやっているという地帯ではなかろうか。しかも生産性が高い。その生産性の高い北海道の水田を傾斜的に縮小していくあるいはまた消費者の要求も良質米ということへの要求が強いということもわかりますけれども、しかしできるだけ安いお米も欲しいという要求もあるわけですね。そういうことからしても、たとえば五十三年度の統計でもお米は生産費一万五千九百二十九円が全国平均、北海道は一万二千七百五十六円とコストも安いわけですよ。生産性が高くてコストの安い北海道のお米をどうして目のかたきにするのか、日本の農業の将来を考えた場合はそういうスケールメリットを大切にすべきでないか、こう思うのですが、ことしの割り当ては一応終わっちゃったわけですけれども、第二期の生産調整の問題がこれから検討されていかなければならぬと思うわけですが、どうでしょう、その点。
○吉國説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生おっしゃいましたように、北海道におきましては非常に規模も大きゅうございますし、また専業農家率も高いということでございまして、私どもといたしましても重要な食糧基地というふうに認識をいたしておる次第でございます。そこにおきます農業生産の再編成の進め方という点につきましては、当然こういった地域特性を生かした生産性の高い農業を築いていただくということでぜひ進めていただきたいと考えておるわけでございますが、お尋ねの第二期の目標配分でございますが、具体的にはまだこれから各方面の御意見を承りつつ、制度全体のあり方との関連もございますし、第二期対策の具体的内容については、現段階ではまだ具体的に申し上げられる状況に至っておりません。ことしも含めまして第一期の配分におきましては、先生御承知のとおり、七つの要素を基本にして配分をいたしておりまして、その中では農業生産の適地通産と申しますか、全国的な視点からの適地適産、それから特定作物の栽培の適性それから土地条件、それから産米の品質とかあるいは流通条件、こういった幾つかの要素を総合的に勘案して配分をいたしたわけでございまして、その結果が御指摘のように北海道では全国最高の四四%の転作率というような状況に相なっておる次第でございます。
○安井分科員 いろいろな要素で計算されたということはわかるのですけれども、日本の将来の農業のあり方というものを頭の上に置いたらもう少しやりようがあったのではなかろうか、そう思います。東北、北陸の米どころは一〇%程度の減反率なのに北海道だけはまさに水田の半分くらい、私の選挙区の北の方に行くと八〇%から九〇%くらいの減反率のところもあります。これはもうどうしようもないというまさに挫折感にさいなまれているという農家の状態もあるわけですね。ですから、この第二期の調整の場合には、いま私が申し上げましたような生産性だとかコストの問題への配慮というものをもっと強めるということ、その御配慮だけでも私は大切だと思うのですが、重ねて伺います。
○吉國説明員 第二期の配分要素の中にどういった要素を取り込むかという点についてはまだ具体的な検討が進んでおりませんので、答弁を差し控えさせていただきたいと存じますが、生産性という点につきましては、これは北海道に限らず、全国的に申しましてもスケールメリットをできるだけ発揮し得るような農地の流動化政策を初めといたしまして規模拡大、生産性の向上策をとっていかなければならぬというふうに考えておるわけでございまして、またこの目標配分という点につきましては、先ほど申し上げましたような全国的な視点からの適地通産という要素も依然として重要な問題として残るというふうに思われますし、そういった諸般の状況というものを見定めながら、いかなる要素で配分するかということを検討していかなければならないというふうに考えております。
○安井分科員 適地適産と言うけれども、生産量も反収も北海道は高いのですね。それは米の質の問題というのは確かにあると思いますけれども、そういう中で将来の日本の農業を一体どう考えているのかということを私ども疑問に思わざるを得ないわけであります。しかしいずれにしても、そういうスケールメリットは考慮するという御答弁はありますが、それは農地法を改正して、これからもっとたんぼを寄せてというはなはだ気の長いお話なんですよ。しかし現にスケールメリットをきちっと発揮できている地域があるわけですから、いまも御答弁がありましたけれどもスケールメリットを尊重するようなそういう要素を次の段階では考えていくということは間違いないですね。
○吉國説明員 第二期の配分要素をどのようなものにするかという点につきましては、まだこれから検討する段階でございますので、具体的な方針を本日の段階で申し上げるわけにいかないといった事情を御了解いただきたいと思います。
○安井分科員 あなたに詰めてここで言えといったって無理かもしらぬけれども、とにかくそのことが私は非常に大事な問題だということを明確に指摘し、吉國さんにもしっかり覚えておいていただきたいと思います。 そこで、今度は食糧庁の方へのお尋ねでありますけれども、食管制度の改正についていろいろ検討されているそうですが、それはどういうことなのか。とりわけ自主流通米の制度の見直しも農林水産省はやっているそうですが、北海道米などの非銘柄米の自主流通化についても検討されているというふうに伺うのですが、どうなんですか。
○近長説明員 お答え申し上げます。 食糧管理制度の検討の問題につきましてはいろんな角度からいま食糧庁の内部でも検討しておりますし、また内外でもいろんな論議が出ている状況でございます。まだ検討の最中でございますが、われわれ念頭に置いておりますのは、一つは、いかにしてお米の需給の均衡化を図っていくのかということが一つの視点でございます。 それからもう一つは、制度とそれから実際の社会的な実態とかなりかけ離れているような制度がいまございます。一つの例で申し上げますと、お米の配給通帳のような問題でございます。そういうようなことを中心にしながら現在鋭意検討しておる最中でございます。 それから二番目にお尋ねの北海道米、特にいまお話のございました第五類というのにいま分類されているお米について、自主流通米の道を開くようなことを考えているかどうか、こういうお尋ねでございます。 その問題は米価審議会の中などでもそういう論議が出てきておりますし、これから特に先生の御指摘のような北海道におけるお米の特色を生かすということを考えていきますと、そういうような道もやはり一つの方向ではなかろうかというふうにわれわれ考えております。ただその場合に、どういうような仕組みが北海道のお米の特色を一番うまく発揮できるかというようなところが研究課題かと考えております。
○安井分科員 次に畜産物の問題ですが、三月は畜産物の価格の決まる月で畜産月ということになろうと思うのですが、時間がありませんので酪農の問題にしぼりたいと思いますが、百万トンも乳製品の滞貨があるという過剰ぎみの状況で酪農が最近大変混乱をしているわけですね。特に生産の問題では、地元の話では、五十五年度の生産目標に対して一〇%ぐらいふえるのじゃないかという見通しもあるようですね。そこで、生産の問題では農林水産省は第三次酪農近代化計画をこれまで進めてきたわけで、北海道はこれにきわめて忠実にやってきたということからして、いま混乱しておりますけれども、これを基準として問題の整理をすべきではないかという意見が強いわけでありますが、どうですか。
○芝田説明員 お答え申し上げます。 先生の御指摘の点は、生産者団体が自主的に行っておりますところの計画生産の生産目標数量を各都道府県に配分いたします際に、その配分の基準として酪農近代化基本方針、ないし各都道府県の酪農近代化計画のウエートを重視すべきではないか、そういう御指摘かと理解するわけでございますが、その点につきましては、生産者団体の中央機関でございます中央酪農会議または指定団体長会議におきまして非常に議論がなされておりまして、私の承知しておるところでは、昨年よりもそのウエートを大きく取り入れるという形で北海道の意見を反映させた、そういうふうに聞いておるところでございます。
○安井分科員 生産の問題もずいぶんたくさんあるし、それからまた消費の拡大の問題だとか取り上げなければいけないものがたくさんありますけれども、加工原料乳保証価格の決定の問題です。豚肉や牛肉等の安定価格とともに今月の末には決定しなければならないわけで、農林水産省でも検討が進められていると思うのですが、需給バランスの問題ももちろんあると思うのです。しかし、設備投資が進んでその償却費が増大していることやら、公共料金を初め石油の値上がり、えさの値上がり等生産コストのアップという要因も大きいわけですね。再生産を可能にする乳価を決めてほしいという農民要求は強いわけでありますけれども、その見通しと、それから限度数量についてどういうお考えを持っておられるか、それを伺います。
○芝田説明員 昭和五十五年度の加工原料乳の保証価格及び基準取引価格また限度数量等につきましては、加工原料乳生産者補給金制度、言われるところの不足払い制度の趣旨に沿いまして、畜産振興審議会の意見を聞きまして、今月末までに適正に決定してまいることとしておるところでございます。
○安井分科員 限度数量については五十四年度の分に対して五十五年度はふやすつもりなのか、現状維持なのか、まだお決めになっていないのはわかりますけれども、検討の方向としてはどうなんですか。
○芝田説明員 なお検討中でございまして、制度の趣旨に沿いまして需給事情等を勘案しつつ決定してまいりたいと考えております。
○安井分科員 まだちょっと時期が早いということもありますけれども、生産を抑えるだけではかえって輸入の方に力をつけてしまうことになるわけで、全体的な需要のアップに対して国内産を抑えれば結局外国産がふえてくる、こういうこともありますから、抑えるばかりが能ではないのではないか。抑えなければならないという事情はわかりますけれども、そういうふうな感じを私は持ちます。 ナチュラルチーズの製造工場を二つつくってそういう意味での生産拡大をやっていこうとか、負債整理をやってもらいたいとかいろいろ要求がありますけれども、きょうはとてもそこまで深入りをする余裕はありません。ただ五十四年度ベースでも二十一万トンの生乳の生産調整というその問題で国内の酪農業界は大騒ぎをしているわけですね。北海道の乳が九州まで行ったというのでまさに南北戦争と言われているわけです。しかし生乳換算二百五十万トンもの外国からの製品輸入がそのままになっている。二百五十万トンも外国から入っていて国内産のたった二十一万トンで大騒ぎをしている。これは実にばかげた話ではないかと思いますね。ですから、輸入の制限だとかそういう具体的な課題が私はこれからあると思いますが、何しろ三十分の時間に押し込めなければならない質問ですから、これは指摘にとどめておきます。非常に大事な問題だと思います。 そこで、減反、転作を中心にした論議の中で、北海道農業検討会というのが農林水産省の中にできたわけで、もうすでに第一回の会合を開いて近く第二回目ですか、開かれるということでありますけれども、これに対して、いま先のビジョンを失っている北海道の農家の人たちが非常に大きな関心と期待を持っていることをまず申し上げておきたいわけです。とにかくいま非常に苦しいのですけれども、この苦しみをがまんさえすれば、将来はこうなるのです、そういう未来像をきちっと与えていただかなければならぬと思いますね。米がだめならほかの作物に移る、移ったってそれがまただめになってしまうということでは困るのですよ。こうなるという未来像を示すという重大な役割りをひとつ期待したいわけでありますが、どうですか。
○眞木説明員 お答え申し上げます。 現在、水田利用再編対策を中心にいたしまして、需要に即応した農業生産の再編成を進めているわけでございますけれども、先生御指摘ございましたように、北海道におきます水田経営の今後のあり方が特に地域の非常に重要な課題の一つとして提起されているわけでございます。 このような情勢にかんがみまして、このほど北海道からの要請を受けまして北海道におきます水田利用のあり方を中心とした今後の北海道農業の発展方向につきまして、関係者によりまして自由な意見交換を行う場を設けることにしたわけでございます。 検討の内容等につきましては、今後の意見交換を通じまして明らかにされていくと考えておりますけれども、当面は北海道において今後生産の増大が期待される作目はどういうものがあるだろうか、またどういうふうに定着をしていく可能性があるであろうか、あるいはまた転作をする水田におきます土地利用あるいはまた作付体系のあり方等について検討を深めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
○安井分科員 それでは酪農だとか畜産あるいはビート等の畑作物あるいは経営組織だとか作目の組み合わせだとか、そういう具体的なところまで踏み込んで結論をお出しになる、そう受けとめていいわけですね。
○眞木説明員 この検討会の進め方につきましては、第一回の二月十三日の会合におきましても、その検討の項目と申しますか、その範囲につきましていろいろと御議論があったわけでございますが、水田経営を今後どうしていくかということが現在一番大事な、緊急な課題である、したがいまして、これが今後転換をしていく場合には、酪農なりあるいは肉牛の問題等も当然含まれてくるわけでございまして、そういう範囲内でまず議論をしていこうということでございます。したがいまして、まずそういうものと切り離して酪農なりそういうものを取り上げていくということではございませんので、やはり水田経営のあり方を中心としてそれに関係する範囲内においてそういう問題を広く議論していきたい、このような考え方でございます。
○安井分科員 もう時間がわずかになりましたけれども、開発予算の中の補助率等の特例の問題であります。北海道はもう中進県になったから特例は要らないというような言い方もあったわけですけれども、しかし寒いところだし、人口密度が少ないし面積が広いし、だから何をやるにしても、公共事業をやるにしても道路や河川をやるにしても、投資効率というものは人口割りにあるいは面積割りに低いわけですよ。これはもう当然ですね。そういう中でやはり補助率の特例というのが今後とも必要だ、私はそう思うのですけれども、五十五年度から三カ年で総額百四十二億円ですか、初年度四十五億円と聞いておりますが、そういう補助率のダウンが行われるというようなことでありますけれども、もう決まってしまったことですが、少なくもその補てんについては十分になされなければならないと思います。 道、市町村、団体別にどんな負担状況になっているのか、それは交付税や起債などでどう措置されるか。大臣には将来における特例のあり方についてのお考え、事務当局からはいまの具体的な中身、ともども伺いたいと思います。
○大西政府委員 先生いまお触れいただきましたように、五十五年度から向こう三カ年間で、現在府県に比べまして一千百二十億ばかり北海道が特例負担でかさ上げになっておりますが、その部分につきまして三カ年で約百四十二億円、五十五年度で約四十五億円の調整を予定いたしております。 内容につきましては、対象の事業は治水、道路、港湾、漁港及び空港事業等で、現在十分の九・五というふうなものにつきまして十分の九、あるいは十分の九のものは十分の八・五、その他維持修繕事業、現在十分の八というふうなものを十分の七というふうな調整を予定いたしておるわけでございます。このうち明年度、五十五年度に行います調整は、河川改修の十分の九から十分の八・五、あるいは直轄道路維持修繕、現在十分の八からこれを十分の七・五というふうなことを予定いたしておるわけでございます。この国の財政の非常に厳しい折でございますが、地方財政も決して御指摘のように楽な状況ではございません。そんな関係もございまして、関係機関並びに道、市町村等とも十分調整、連絡、御協力をいただきまして、特に地方財政上無理がかからないような形でこの調整を進めてまいりたいというふうに考えております。 なお、先ほど三カ年で百四十二億と申し上げましたが、大ざっぱに申しまして、このうち道のサイドで調整されるものが約百二十億、市町村で二十二億程度というふうなことでございますが、市町村につきましては、特に札幌市あるいは海湾管理者となっております、現在重要港湾、地方港湾のそれぞれの市でございまして、市町村に行く分はしたがいまして札幌市と港湾の管理をする町村ということになるわけでございます。
○井下説明員 今回の北海道の公共事業費にかかります国庫補助負担率の引き下げに伴いまして、関係地方団体の負担増が生じるということは、先生御指摘のとおりでございます。 そこで、これは当然負担増になるわけでございますから、関係地方団体にも経費支出の削減合理化、そういうものをやっていただかなければならないわけでございますが、自治省といたしましては、関係地方団体の財政状況を総合的に勘案しながら、起債措置等を通じまして地方団体の財政に支障のないようにしてまいりたいというふうに考えております。
○後藤田国務大臣 補助特例をどのように考えていくのか、こういう御質問でございますが、率直に言いまして安井さん、私これは反対だったのです。本当に反対だった。ただ五十二年でしたか、一応の約束があるというので、私が自説をここで固執するというのは信義、誠実の原則に反するという私自身の反省もあって、私これを了承したのが本当なんですよ。といいますのは、北海道の開発はずっと歴史的な沿革がありますけれども、今日の段階になってなぜ北海道の開発に国が特段の財政上の支援措置を講ずる必要があるのかというその考え方の基本について、どうも北海道の方の御意見を聞いておっても、まだ北海道は開発をしなければならない、それには金がないからよこせ、こういう御主張ですね。それから本州側の人の話を聞くというと、すでに北海道の道民所得は全国平均レベル程度に至っているのだから、本州のそれ以下の県との比較権衡の上からこれ以上の財政措置は必要ないのだ、こういう御主張なんで、私はそれはおかしい、それは北海道という立場だけを考えた場合にはそういう議論も成り立つかもしれないけれども、そうではないのだ、やはり国全体、日本全体の均衡ある発展を考えた場合に、これだけの高密度工業社会で、これ以上人口と産業の受け入れ余地のあるところは北海道だけではないのか、ならば国全体の立場において北海道をどう考えるんだ、こういう観点に立つならば補助特例はこれはあたりまえだ、私はそういう考え方でございます。そういう考え方に立たないと、今日の北海道の経済発展の状況から見てこれ以上は無理だ、こういう議論が出てきますから、したがって今回の措置は、私は大臣をいつまでやるかわかりません、寿命が長いとは思いませんから。しかしながら、いずれにせよこの北海道の開発という問題は、私自身の考えは、これ以上の特例措置はよろしくない。しかしながら遠い将来は、しかもそれは一日も早くこんな措置は必要としないような事態に持ってくるのは当然の話でございますけれども、いまここ当分の間、これをあと三年たったらまた引き下げるなんということは無理なんで、それは公共事業の予算全体をお考えになればすぐわかっていただけると思います。まことに簡単な計算で、そのとおりでないかもしれませんけれども、国全体の一一%使っているわけですよ。ところが北海道の人口はいま五百五十万です。そうしますと、補助事業というものは補助裏負担は地元負担ですから、ならば住民一人当たりの負担は北海道は非常に高いわけですから、そういうことは簡単な計算ですけれども、いずれにせよ私はこの補助特例というのはもう少しずつと続けるべき筋合いのものである、かように考えております。
○安井分科員 ちょっといろいろ議論もあるのですけれども、大分時間を超過したので終わります。
○中島(源)主査代理 以上で安井君の質疑は終了いたしました。 これにて総理府所管中、北海道開発庁に関する事項についての質疑は終了いたしました。 次回は、明五日午前十時から開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時九分散会