本会議 第16号
- 発言数
- 69 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1980/04/08
会議録
○議長(灘尾弘吉君) これより会議を開きます。 ————◇—————
○議長(灘尾弘吉君) お諮りいたします。 参議院から、第九十回国会、内閣提出、税理士法の一部を改正する法律案が回付されております。この際、議事日程に追加して、右回付案を議題とするに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。 ————————————— 税理士法の一部を改正する法律案(第九十回国会、内閣提出)(参議院回付)
○議長(灘尾弘吉君) 税理士法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。 ————————————— 税理士法の一部を改正する法律案の参議院回付案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。 本案の参議院の修正に同意の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、参議院の修正に同意するに決しました。 ————◇—————
○玉沢徳一郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。 すなわち、内海英男君外九名提出、食糧自給力強化に関する決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(灘尾弘吉君) 玉沢徳一郎君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。 ————————————— 食糧自給力強化に関する決議案(内海英男君外九名提出)
○議長(灘尾弘吉君) 食糧自給力強化に関する決議案を議題といたします。 提出者の趣旨弁明を許します。内海英男君。 ————————————— 食糧自給力強化に関する決議案 〔本号末尾に掲載〕 ————————————— 〔内海英男君登壇〕
○内海英男君 ただいま議題となりました食糧自給力強化に関する決議案につきまして、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党・革新共同及び民社党・国民連合を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 食糧自給力強化に関する決議案 現下、わが国の農業・漁業は極めて厳しい情勢にある。 即ち、国民食生活の多様化等により食糧の需給に不均衡を生じ、政府はその対応のため水田転作を実施中であるが、生産農家は重大な試練に立たされている。 一方、海外からの農畜産物の輸入増加に伴い、食糧自給度は年毎に低下し、国民食糧の供給体制を先き行き不安定にしている。 また、漁業においても二百海里時代に入り、水産物の生産と供給の確保について厳しい対応を迫られている。 八〇年代における世界の食糧需給の動向は、人口の増加、生活水準の向上、さらには食糧が外交手段に用いられる等一段と不安要因が増大し、わが国の食糧需給に強く影響することが憂慮される。 かかる困難な情勢の下にあつて、先進諸国に較べ低位にあるわが国の食糧自給力の向上を図り、国民食糧を安定的に供給することは、将に国政上の基本的且つ緊急の課題である。 よつて政府は、国民生活の安全保障体制として食糧自給力の強化を図り、わが国農業・漁業の発展と生産力の増強に万全の施策を講ずるべきである。 右決議する。 以上であります。(拍手) 申すまでもなく、わが国の農業、漁業は、国民生活の安全保障にとって、最も基礎的な食糧の生産と供給という重要な使命を担うものでありますが、これをめぐる最近の内外の情勢はまことに厳しいものがあります。 すなわち、わが国の農業は、古来から狭小な国土の上で米作を主体に農業の近代化を進め、今日に至ったのでありますが、経済の成長に伴い、国民の食生活が多様化し、外国からの飼料穀物等農畜産物の輸入が増加する一方、米の過剰を初めとする農畜産物の需給の不均衡が生じております。政府は、これに対応して、五十万ヘクタールを超える膨大な水田転作と地域農業の再編を実施中でありますが、わが国の風土に合致した国民食糧の生産性の向上を使命とする全国の生産農民は、政府の転作政策の厳しい試練の中で農業を守ることに懸命の努力を尽くしているのであります。 また、国民食糧の供給源である漁業においても同様であります。 すでに世界の八十四カ国が二百海里水域を設定し、操業規制、漁獲量の割り当て等、一段と厳しさを増しているとともに、最近の石油事情は、燃料依存度の高い漁業に深刻な影響を与えつつあります。 さらに八〇年代から二十一世紀にかけての世界の食糧事情については、楽観を許さないものがあります。 すなわち、開発途上国の人口の急増、食生活水準の向上等により、食糧の需給関係は、不足基調をたどる傾向にあるとともに、最近、食糧を外交手段に用いるなど、国際的な不安要因が一層増大し、特に、食糧輸入国であるわが国にとって、人口、食糧問題は民族の生存にかかわる重要な命題であります。 かかる内外の困難な情勢を考えますとき、先進諸国に比べてもなお低位にあるわが国の食糧自給力を向上させ、食糧供給体制を確立することがすなわち国政の基本的かつ緊急の課題なのであります。 以上にかんがみ、政府は、国民生活の基礎となる主要な食糧について極力国内生産で確保することを旨とし、農業、漁業の発展と生産力の向上のため、万全の施策を講ずべきことを強調し、本決議案の趣旨の説明といたします。 何とぞ、議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。 本案を可決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。 この際、農林水産大臣から発言を求められております。これを許します。農林水産大臣武藤嘉文君。 〔国務大臣武藤嘉文君登壇〕
○国務大臣(武藤嘉文君) ただいまの御決議に対しまして、所信を申し述べます。 政府といたしましては、食糧を安定的に確保することが国政の基本であることにかんがみ、従来より、農業につきましては、生産性の高い近代的農業経営を中核に国民の食生活の多様化に対応し、また、地域の実態に即しつつ、農業者の理解と協力を得て、農業生産の再編成を推進し、これを通じて食糧の自給力の向上に努めてまいっているところであります。 また、漁業につきましては、二百海里時代に即して、周辺水域内漁業の振興を図るとともに、漁業外交による遠洋漁場の確保に努めているところであります。 ただいま採択されました御決議の趣旨を十分に体しまして、今後とも、食糧自給力の強化に最大限の努力を払ってまいります。(拍手) ————◇————— 日程第一 昭和四十四年度以後における農林 漁業団体職員共済組合からの年金の額の改 定に関する法律等の一部を改正する法律案 (内閣提出)
○議長(灘尾弘吉君) 日程第一、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。 委員長の報告を求めます。農林水産委員長内海英男君。 ————————————— 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書 〔本号末尾に掲載〕 ————————————— 〔内海英男君登壇〕
○内海英男君 ただいま議題となりました昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 本案は、農林漁業団体職員共済組合からの年金給付に関し、他の共済組合制度に準じて、既裁定年金の額の改定、年金の最低保障額の引き上げ、寡婦加算の額の引き上げ及び加算の調整並びに掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の上下限の引き上げ等を行おうとするものであります。 委員会におきましては、三月二十七日政府から提案理由の説明を聴取し、四月一日質疑を行い、同日質疑を終了いたしました。 次いで、委員長より、この法律の施行期日中、原案において「昭和五十五年四月一日」となっているものを、「公布の日」に改めること等を内容とする修正案を提出し、直ちに採決に入りましたところ、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも全会一致をもって可決され、よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。 ————◇————— 日程第二 刑事補償法の一部を改正する法律 案(内閣提出)
○議長(灘尾弘吉君) 日程第二、刑事補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。 委員長の報告を求めます。法務委員長木村武千代君。 ————————————— 刑事補償法の一部を改正する法律案及び同報告書 〔本号末尾に掲載〕 ————————————— 〔木村武千代君登壇〕
○木村武千代君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 本案は、最近における経済事情にかんがみ、刑事補償法の規定による補償金の額を引き上げようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。 第一は、無罪の裁判またはこれに準ずる裁判を受けた者が、未決の抑留、拘禁または自由刑の執行等による身体の拘束を受けた場合の補償金の日額の上限を四千八百円に引き上げるものであります。 第二は、死刑の執行を受けた者が、再審等の手続において、無罪の裁判を受けた場合の補償金の最高額及び死刑の執行を受けたことによって生じた財産上の損失額が証明された場合に、その損失額に加算する補償金の額をいずれも二千万円に引き上げるものであります。 委員会においては、三月十八日提案理由の説明を聴取した後、慎重審査を行い、去る一日質疑を終了し、直ちに採決を行ったところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 ————◇————— 日程第三 核原料物質、核燃料物質及び原子 炉の規制に関する法律及び放射性同位元素 等による放射線障害の防止に関する法律の 一部を改正する法律案(内閣提出) 日程第四 放射性同位元素等による放射線障 害の防止に関する法律の一部を改正する法 律案(内閣提出)
○議長(灘尾弘吉君) 日程第三、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、日程第四、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。 委員長の報告を求めます。科学技術振興対策特別委員長瀬野栄次郎君。 ————————————— 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書 〔本号末尾に掲載〕 ————————————— 〔瀬野栄次郎君登壇〕
○瀬野栄次郎君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、科学技術振興対策特別委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。 まず最初に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。 本案は、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の実施に伴い、放射性廃棄物の海洋投棄の制限について所要の規定の整備を図ろうとするものであります。 本案の主な内容は、 第一に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の改正につきましては、核原料物質、核燃料物質またはこれらによって汚染された物は、原子炉設置者等が廃棄に関する確認を受けて海洋投棄をする場合等一定の場合以外は、海洋投棄をしてはならないこととしております。 第二に、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の改正につきましては、放射性同位元素またはこれによって汚染された物は、使用者等が廃棄に関する確認を受けて海洋投棄をする場合等一定の場合以外は、海洋投棄をしてはならないこととするとともに、使用者等が工場または事業所の外において放射性同位元素またはこれによって汚染された物を廃棄する場合においては、その廃棄について確認を受けなければならないこととしております。 本案は、去る二月二十二日に提出され、同日当委員会に付託されました。委員会におきましては、三月十八日政府から提案理由の説明を聴取し、三月二十七日慎重な審議を行い、同日質疑を終了し、四月二日討論に入り、日本社会党より反対、日本共産党・革新共同より賛成の意見が述べられた後、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。 なお、本案に対し、低レベル放射性廃棄物の海洋投棄については、安全確保の万全を期すること等の附帯決議が付されましたことを申し添えます。 次に、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。 本案は、現行法が制定されて以来二十数年間における放射性同位元素等の利用の普及、取扱事業所数、流通量等の急速な拡大、利用形態の多様化及び放射線防護に関する国際的基準の改定等を踏まえて、規制の合理化並びに充実強化を図ろうとするものであります。 本案の主な内容は、 第一に、放射性同位元素装備機器に関する放射線障害防止のための設計承認及び機構確認の制度を設け、確認を受けた機器については、従来の許可にかえて、届け出によって使用できることといたしております。 第二に、放射性同位元素使用施設等における一定量以上の放射性同位元素を使用する事業者及び放射線発生装置を使用する事業者等の施設については、使用前の施設検査及び定期検査を受けなければならないこととしております。 第三に、放射性同位元素等の運搬の安全確保を図るため、運搬の技術上の基準を事業所の内と外とに分けて定めるとともに、事業所外において一定量以上の放射性同位元素を運搬する場合には、主務大臣の確認を受けなければならないこととしております。 第四に、放射線取扱主任者の資格取得に当たり、従来の国家試験に加えて、一定の講習の受講を義務づけるとともに、放射性同位元素装備機器別の主任者資格を新たに設けることとしております。 第五に、主務大臣は、さきに述べました施設検査及び定期検査、機構確認、放射線取扱主任者の試験及び講習並びに輸送の確認業務を国にかわって行う民間機関を指定し、国の監督のもとに、これらの業務を実施させることとしております。 本案は、去る三月十七日提出され、同日当委員会に付託されました。委員会におきましては、三月十八日政府から提案理由の説明を聴取し、四月二日慎重な審議を行い、同日質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。 なお、本案に対し、放射性同位元素等の利用の多様化と拡大に伴う障害防止と安全の確保のため、管理体制の充実強化を図る等の附帯決議が付されましたことを申し添えます。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(灘尾弘吉君) これより採決に入ります。 まず、日程第三につき採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 次に、日程第四につき採決いたします。 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 ————◇————— 日程第五 中小企業事業団法案(内閣提出)
○議長(灘尾弘吉君) 日程第五、中小企業事業団法案を議題といたします。 委員長の報告を求めます。商工委員長塩川正十郎君。 ————————————— 中小企業事業団法案及び同報告書 〔本号末尾に掲載〕 ————————————— 〔塩川正十郎君登壇〕
○塩川正十郎君 ただいま議題となりました中小企業事業団法案について、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 本案は、中小企業共済事業団と中小企業振興事業団とを統合し、中小企業施策を一体的に推進する中核機関として中小企業事業団を設立しようとするものであります。 その内容は、 第一に、新事業団は本法に基づく法人とし、資本金は、両事業団からの承継分の合計額とすること、 第二に、事業団は、中小企業構造の高度化等に関する指導、融資及び施設の譲渡、中小企業指導担当者等の養成研修、小規模企業共済事業、中小企業倒産防止共済事業等の業務を行うこと、 第三に、事業団の役員は、理事長一人、副理事長一人、理事五人以内及び監事二人以内とすること 等であります。 本案は、去る二月十九日当委員会に付託され、三月十九日佐々木通商産業大臣から提案理由の説明を聴取した後、参考人の意見を聞く等、審査を重ね、四月二日に至り質疑を終了し、続いて採決を行いましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。 なお、本案に対し、統合によるメリットを生かして新事業団の効率的な運営を図ること等を内容とする附帯決議が付されましたことを申し添えます。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 ————◇————— 日程第六 都市計画法及び建築基準法の一部 を改正する法律案(内閣提出)
○議長(灘尾弘吉君) 日程第六、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。 委員長の報告を求めます。建設委員長北側義一君。 ————————————— 都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案及び同報告書 〔本号末尾に掲載〕 ————————————— 〔北側義一君登壇〕
○北側義一君 ただいま議題となりました都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 本案は、最近における市街地形成の状況にかんがみ、一体として良好な環境の街区の整備及び保全を図るため、都市計画に地区計画を定め、これに従って秩序ある開発行為、建築等が行われることとなるように、誘導し、規制するための制度を設けようとするものでありますが、その主な内容は、市町村は、市街地開発事業等の事業に係る土地の区域、今後市街化する土地の区域及び現に良好な居住環境が形成されている土地の区域について、その整備及び保全を図るため必要と認められる場合には、都市計画に地区計画を定め、地区計画に関する都市計画には、地区整備計画を定めるものとし、同計画区域内において建築行為等を行おうとする者は、市町村長に届け出なければならないものとしております。 また、地区整備計画区域内においては、条例で建築物に関する制限を定めることができるものとするほか、地区整備計画等に道路の配置及び規模が定められている区域においては、私道の位置の指定はこれに即して行わなければならないものとし、また、土地の利用に著しい支障を来すこととならない範囲内において、予定道路を指定し、当該道路の区域内における建築物の建築等について必要な制限を行うことができるものといたしております。 本案は、去る三月十五日本委員会に付託され、同十九日建設大臣より提案理由の説明を聴取、以来、慎重に審査し、四月二日質疑を終了、同四日討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。 なお、本案に対し、六項目よりなる附帯決議が付されました。以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 ————◇—————
○玉沢徳一郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。 すなわち、この際、内閣提出、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(灘尾弘吉君) 玉沢徳一郎君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。 ————————————— 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法 律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(灘尾弘吉君) 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 委員長の報告を求めます。社会労働委員長葉梨信行君。 ————————————— 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書 〔本号末尾に掲載〕 ————————————— 〔葉梨信行君登壇〕
○葉梨信行君 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 本案は、原子爆弾被爆者の福祉の向上を図るため、特別手当等の額を引き上げようとするものでありまして、その内容は、 第一に、認定被爆者に対する特別手当の額について、現に当該認定に係る負傷または疾病の状態にある者に支給する特別手当の額を月額六万円から六万四千五百円に引き上げ、当該状態にない者に支給する特別手当の額を月額三万円から三万二千三百円に引き上げること、 第二に、健康管理手当の額を月額二万円から二万一千五百円に引き上げること、 第三に、保健手当の額を月額一万円から一万八百円に引き上げることであります。 本案は、去る二月十九日付託となり、三月二十七日に質疑を終了し、本日の委員会において、特別手当等の額をさらに引き上げる修正案が提出され、採決の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと議決した次第であります。 なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。 ————◇————— 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(灘尾弘吉君) この際、内閣提出、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生大臣野呂恭一君。 〔国務大臣野呂恭一君登壇〕
○国務大臣(野呂恭一君) 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 わが国は、諸外国に例を見ない急激な速度で高齢化社会に移行しつつあり、老後の生活の支えとなる年金制度に対する国民の関心と期待は、年金受給者の急速な増加と相まって、かつてない高まりを示しております。昭和五十一年度には、厚生年金及び国民年金を中心に財政再計算の実施とあわせて給付水準の引き上げ等の制度改善が行われたところでありますが、その後における社会経済情勢の変動に対応し、これらの制度について所要の改善を行う必要が生じております。 今回の改正法案は、このような趣旨にかんがみ、厚生年金、国民年金等について、財政再計算を一年繰り上げて昭和五十五年度に実施し、年金水準の引き上げ、遺族年金及び母子年金その他の給付の改善を行うほか、福祉年金の額の引き上げ等を行うことにより、年金制度の実質的な改善充実を図ろうとするものであります。 また、本法案は、年金給付の改善とあわせて、児童扶養手当、特別児童扶養手当及び福祉手当についても額の引き上げを図ることといたしております。 以下、改正案の主な内容につきまして御説明申し上げます。 まず、厚生年金保険法の一部改正について申し上げます。 第一に、年金額の引き上げにつきましては、本年六月から新たに老齢年金を受ける者の標準的な年金額を月額約十三万六千円に引き上げることとし、定額部分について単価の引き上げ、報酬比例部分について過去の標準報酬の再評価を行うことといたしております。また、加給年金額につきましては、単身世帯よりも夫婦世帯に手厚い改善を図る観点から、配偶者の加給年金額を月額六千円から一万五千円に引き上げる等大幅な改善を図ることといたしております。そのほか、障害年金及び遺族年金の最低保障額を引き上げることといたしております。 第二に、在職老齢年金について、受給者の実態を勘案し、本年六月から六十歳以上六十五歳未満の在職者に支給される老齢年金の支給対象を、標準報酬月額十五万円までの者に拡大する等の改善を図ることといたしております。 第三に、遺族年金につきましては、受給者の生活実態等を勘案し、年金による生活保障の必要性が高いと思われる子供のある寡婦及び高齢の寡婦に重点を置いた改善を図ることとし、寡婦加算額を本年八月から子供二人以上の寡婦の場合月額七千円から一万七千五百円に引き上げる等大幅な改善を図ることといたしております。 一方、遺族の範囲につきましては、年齢等を勘案して見直すこととし、子供のない四十歳未満の妻につきましては、年金の支給対象としないことといたしております。 第四に、標準報酬につきましては、最近における賃金の実態に即して、本年六月から、四万五千円から四十一万円の三十五等級に改めることといたしております。 第五に、保険料率につきましては、給付改善及び将来の受給者の増加に対応して、長期的に財政の健全性を確保する観点から段階的に引き上げる必要がありますが、今回の引き上げ幅につきましては、千分の十八にとどめることとし、本年六月から引き上げることといたしております。なお、女子につきましては、本年六月から千分の十九引き上げるとともに、昭和五十六年度以降毎年千分の一ずつ引き上げて、保険料率の男女差の解消を図ることといたしております。 次に、船員保険法の一部改正についてでありますが、おおむね厚生年金保険の改正に準じた改正を行うことにいたしております。 次に、国民年金法の一部改正について申し上げます。 拠出制国民年金につきましては、まず年金額の引き上げを図ることとし、本年七月から二十五年加入の場合の年金額を月額四万二千円とし、現実に支給されている十年年金の額を月額二万六千五百五十円に、五年年金の額を月額二万千六百円に、それぞれ引き上げることといたしております。そのほか、障害年金の最低保障額及び母子年金等の額を引き上げることといたしております。 第二に、母子年金及び準母子年金について、本年八月から母子加算及び準母子加算制度を創設し、夫等の死亡により他の制度の遺族年金の支給を受けることができない者には、月額一万五千円を母子年金等の額に加算することといたしております。 第三に、保険料の額につきましては、財政の健全性を確保する見地から、昭和五十六年四月より月額四千五百円に改定することとし、以後段階的に引き上げることといたしております。 福祉年金につきましては、十年年金の引き上げ率を勘案して、老齢福祉年金の額を月額二万円から二万千五百円に引き上げる等所要の改善を行うことといたしております。 次に、児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部改正について申し上げます。 児童扶養手当及び特別児童扶養手当の額につきましては、福祉年金に準じて、本年八月から児童扶養手当の額を児童一人の場合月額二万八千円に引き上げる等所要の改善を図るとともに、福祉手当につきましても引き上げを行うことといたしております。 以上が厚生年金保険法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手) ————◇————— 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案 (内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(灘尾弘吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。安田修三君。 〔安田修三君登壇〕
○安田修三君 ただいま趣旨説明のありました厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対し、私は、日本社会党を代表いたしまして、質問を行うものであります。(拍手) わが国の社会保障の主軸は、言うまでもなく年金と医療であります。年金制度は、昭和三十六年、拠出制国民年金が発足したことによりまして、一応国民すべてが何らかの年金制度に入ることになったのであります。しかし、それぞれの制度がばらばらにできた歴史的経過があるため、格差と矛盾を生みながら高齢化社会に対処せざるを得ないことになってまいったのであります。 今日、政府の経済政策の破綻により、物価に急速、異常に上昇しつつあります。政府は、大資本優位の失政を省みず、この激しく深く進もうとするスタグフレーションの犠牲をむしろ勤労国民に押しつけ、高齢者には特に冷たい社会になってまいっているのであります。すなわち、民間労働者や公務員には人減らし、労働強化を強いつつ、かつ中小企業、農家の切り捨て政策を行っているではありませんか。また、一般消費税導入に失敗したその矛先を、公共料金引き上げなど大衆負担をふやし、年金、福祉の水準切り下げに向けているのであります。 しかも、国民の生存権に関する年金制度に対しては、政府の考え方は今日まで全く場当たり的発想であり、一貫性がありません。一体、政府は、社会保障あるいは福祉とは単なる恵みと考えているのでありましょうか。 さきに、わが党など、すなわち社公民三党予算修正が行われました。拠出制年金に対象とならなかつた福祉年金受給者、ごく低額の経過年金受給者など、過去勤務に報われぬこれらの人たちに、年金の増額、今年度二百四十八億円、平年度七百億円を行ったことは、連合時代の福祉の考え方を示したものであり、政府のとり得ない大きな成果と言わなければなりません。(拍手) いままでの年金改革についての各界の提言のうち、各種審議会の建議や意見について意のあるところを検討することなく、部分的なつまみ食いと批判されたように、政府は行政上の行き詰まり打開の都合のみに利用しているのであります。総理は、これら各種の審議会の提言を誠意を持って受けとめ、生活保障をするにふさわしい年金改革への意欲を持つ責務があるのであります。ここに、年金制度改革に対する考え方と各種審議会の提言の受けとめ方について、総理の所見をただすものであります。(拍手) さて私は、これから四つの観点から具体的施策と問題点をお聞きいたします。 まず第一は、高齢者の生きがいと生活保障をなす道は雇用と年金を保障することであります。したがって、雇用は六十五歳まで、年金は六十歳からの支給を保障し、その選択権は高齢者にあるようにすべきであります。 政府は、二十年先には老齢指標一四・三、年金成熟度二三・五%、社会保障給付費約二〇%程度になるとの予測数値を描き、財政上から後代の負担が過重になるとして、厚生年金、船員年金などの六十五歳支給繰り延べ案を決めましたが、激しい反対の国民世論に抗し得ず、自民党三役、閣僚懇談会で断念を表明せざるを得なくなったのであります。その無定見に対する政治責任はきわめて大きいと言わなければなりません。 本来、老齢年金の支給開始年齢は、高齢者の所得保障を年金で考えるか雇用で考えるかという、年金政策と雇用政策の接点の問題であります。人口構造の高齢化とともに、労働力人口も高齢化してまいります。しかも、不況の長期化によって、労働市場における高齢者の求人倍率の低下、常用雇用の減少、労働条件、賃金水準などは著しく悪化したのであります。 わが国の高齢者は、健康である限り働きたいという志向性が強いと言われております。しかしながら、定年によって解雇され、その意欲と生活を奪われていることは、人間尊重に欠ける資本と政府の端的な施策のあらわれであります。定年制を持っている企業の割合七一・三%、そのうちに占める六十歳以上の定年は、わずかに三八・五%にすぎません。 政府は、公務員の六十歳定年制を意図し、一方、民間企業には、六十年をめどにこれまた六十歳定年を促進すると言っております。しかし、今日では、むしろ、雇用保障は六十五歳までとし、労働の意思と能力のある者については、年齢を理由として雇用上の差別をしてはならないと思うのであります。雇用を選ぶか年金を選ぶかは、高齢者自身の能力と環境、健康と意欲に応じた選択によるものとし、このことを国が保障する責任があるのであります。 こうした年金と定年の接点及び六十五歳定年の考え方について、厚生大臣並びに労働大臣に所見を伺うものであります。 さらに、訓示規定として本案第四十六条に明記されている、受給資格年齢は、次の財政再計算期に所要の改定措置をとるということは、次の機会には何が何でも六十五歳支給繰り延べを図りたいということではないのか、明確な見解を総理にお尋ねするものであります。(拍手) 第二には、婦人の年金権を明確にし、五人未満事業所の労働者加入を初めとした制度内の欠陥を正し、制度の充実を図ることであります。 今日の年金制度は多くの矛盾を抱えていることは言うまでもありません。たとえば、元来は適用対象労働者でありながら、五人未満事業所であるがゆえに国民年金に加入し、格差に甘んじている労働者、これは厚生年金に移管すべきであります。 また、いまの年金の算定はきわめて複雑であり、加入者その者が計算しがたいのであります。この際、点数制による算定方式に変え、各制度間の均衡を図らなければなりません。スライドにいたしましても、本来、賃金改定期の四月実施であるべきであります。ましてや、支給は毎月一回制にするのが常識であります。 国民年金制度の老齢年金特例納付制度は本年六月末で期限が終わります。この経過年金に障害年金が省かれているのは、まさに障害者に対する差別であります。 今回の改正案では、被用者の妻の年金については、国民年金任意加入制のまま放置されております。妻の無年金をなくするため、離別に遭った妻の年金権を認めるべきであります。また、その措置として、経過年金の特例納付制度に強制加入の道を開く考えはないでしょうか。 ところが、逆に、四十歳未満の子供を持たない妻には遺族年金を与えないことにする改悪案が出てまいったのであります。いわゆる、この寡婦の所得能力や夫の年金拠出の実績等を無視し、生涯にわたって不支給にすることは、妻の家庭における存在を抹殺するとともに、世帯を単位として制度化されている厚生年金の本質すら否定するものであり、政府は撤回されたいのであります。また、遺族年金そのものも、加算方式でなく、給付率を当面七〇%とした支給率方式に変え、生活保障をなしていただきたいのであります。 以上、各項にわたり、厚生大臣の答弁を求めるものであります。 第三には、厚生年金積立金の目減りを防ぎ、保険料率の引き上げを抑制するとともに、積立金運用の徹底的な民主化を図るべきであります。 わが国の公的年金の中で一番積立金を持っているのは言うまでもなく厚生年金であります。五十四年度末で実に二十四兆円に達し、五十四年度に繰り入れられる積立金だけでも二兆七百七十九億円になるのであります。しかし、これが政府案のごとく、今後五年ごとに保険料率を一・八%引き上げたといたしましても、十八年先には単年度収支がゼロになり、二十七年先には積立金そのものもゼロになるのであります。この政府の財政計算が、直ちに支給開始年齢の引き上げや料率の引き上げとなることは、まことに無策と言わなければなりません。 厚生年金は、今日まで、その膨大な資金量で国の財政投融資のほとんどを賄い、年金制度発足以来、この労働者の汗にまみれたお金を当て込まなければ財投運用ができない財政構造になっているのであります。したがって、この実質的な運用による国と産業界の利益は、はかりがたいほど大きいものがあるのであります。 また、四十八年から五十一年までの間の物価上昇による積立金の目減りは、運用利回りを差し引いても、二兆五千四百二十七億円に上るのであります。慢性インフレ化した今日、この目減り分は政府の責任において補てんすべきであり、営々と積み上げてきた労働者に覆いかぶせるべきものではありません。そして、現状の修正積立方式であれば、インフレ防止ができない以上、財源の枯渇は免れないのであります。いまこそ、インフレ防止と抜本的な財源方式を立てるときでありますが、総理の考えを伺いたいのであります。 今回の料率引き上げ案は、健康保険法の改悪とともに、これが実現いたしますならば、公共料金、諸物価の高騰に加え、社会保険料だけでも家計を破壊いたし、とうてい容認できないものであります。したがって、保険料は、財源方式の抜本的な改革を図る中から妥当な負担額を考えるべきであり、被保険者負担は、労使間の負担割合を三対七に移行させるととが望ましいのであります。これら保険料について、厚生大臣及び労働大臣の所見をお聞きするものであります。 また、膨大な積立金の運用は、被保険者代表が参画した自主管理体制をつくる中で行い、運用に当たっても、各制度間の不均衡を是正しなければなりません。積立金資金運用の民主化について、厚生大臣の見解をお尋ねするものであります。 民主化に当たって、積立金資金が大蔵省の桎梏のもとにあること自体が本筋から外れているのでありますから、この際、大蔵省の管理から独立させる必要があると思いますが、大蔵大臣の所見を伺うものであります。 第四には、年金制度の充実を図るため、年金行政の一元化をなし、制度間格差と見られる課題について統一基準を設定して、実質的統一を進めることが必要であります。 公的年金制度は、八つの体系に分かれ、成熟度の高い公企体職員共済から、未成熟な私学共済、船員保険、厚生年金など、その態様はさまざまであります。すなわち、共済年金、国民年金、厚生年金の間に、給付水準や支給要件、年金額の計算方式、保険料負担の水準等に著しい差異、不均衡が生じているのであります。それぞれの制度の沿革や、対象としている社会集団の生活実態の違いがあるとしても、全く合理性を欠いているのであります。これらは、加入者の年齢構成、所得分布、制度の成熟度合いなどの相違から、費用負担、財政力に不均衡が生じたからであり、政府の無策と怠慢のしからしめるところであります。 この際、あらゆる格差解消のため、格差の課題について統一基準を設定し、制度間の統一を進める転機のときではないかと思うのであります。また、このことを進めるためにも、各省庁にまたがる年金行政を一つの省庁に統轄して一元化することが望ましいのでありますが、この点、総理大臣の所見をお聞きするものであります。(拍手) 最後に私は申し添えたいと存じます。 政府には、医療及び年金など社会保障に対する定見がありません。日本型福祉と称して、低福祉高負担のもと、恩恵的発想でお茶を濁しているのであります。だからこそ、インフレはとどまるところを知らず、殺人、心中の世の中となっているのであります。八〇年代の最大の課題であります、そして避けて通れない高齢化社会に対応するまじめな政策を持たない大平内閣は、まさに新しい時代の政権担当能力がないと断ぜざるを得ないのであります。(拍手) ここに、人間の尊重と生存は、国の秩序の中でこそ実現されるのが政治であるとの考えに立って、総理及び関係大臣の誠意ある答弁を求めるものであります。 以上をもって、質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
○内閣総理大臣(大平正芳君) 安田さんの最初の御質問は、年金制度改革に対する考え方と各種審議会の提言をどう受けとめるかというお尋ねでございました。 高齢化社会の到来を控えまして、年金制度全般にわたりまして、総合的な観点から検討を行わねばならないと政府も考えております。 政府といたしましては、公的年金制度の均衡ある発展が図られるよう、一体となって取り組もうといたしておることでございます。もちろん、その場合、関係審議会の年金制度改革についての御意見を十分参考にしながら、高齢化社会において年金制度が真に老後の生活を支えるに足るものになるよう、改革を進めてまいるつもりでございます。 第二の御質問は、厚生年金保険法の改正法案では、その附則で、受給資格年齢は、次の財政再計算期に所要の改定措置をとるとうたってあるけれども、これは次の機会に六十五歳支給繰り延べを図りたい意思を底に持っておるのではないかという意味の御質問でございました。 将来の高齢化社会を見通しますと、老後生活の支えとなる年金水準を保ちながら、現在の数倍もの多くの老人の年金生活を支えてまいりますためには、若い世代に相当多額の負担をお願いしなければならないと考えます。しかし、若い世代の負担にもおのずから限度があるわけでございまして、年金制度を安定的に運営していくためにはいろいろな工夫が必要でございます。国民の御理解を得ながら総合的な観点から検討していかなければならぬと考えております。 その場合、支給開始年齢の問題は、避けて通れない課題であると思いまして、政府は、次回の財政再計算期において真剣に取り組むべきであると考えておるわけでございますが、現段階におきまして具体的な措置を想定しておるわけではありません。 第三の御質問は、厚生年金積立金の問題でございました。インフレによる目減りを政府はどのように防止するか、補てんするか、インフレに弱い修正積立方式をやめて、抜本的に財源方式を変えるときが来たのではないかという御質問でございました。 年金積立金は、将来の年金給付の財源といたしまして、何よりも安全確実かつ有利に運用しなければならないと考えております。そのように政府も努力いたしております。 年金積立金は、資金運用部で統合管理することとしておりまして、預託金利としては法定利率のほかに特別利子が付与されておりますこと、安田さんも御承知のとおりでございます。今後とも、有利かつ確実な運用に特に意を用いてまいりたいと考えております。 年金積立金が物価上昇率と運用利回りとの差により目減りした場合、これを国庫で補てんすべきではないかというお説でございますが、事実、御指摘のように四十八年から五十一年にかけて、狂乱物価時代に目減り現象を暴露した時代がありましたことは御指摘のとおりでございますが、五十二年以降は、政府の努力によりまして、そういった事態は回避されておるわけでございまして、今後もこの運用には特に意を用いていかなければなりませんし、もしこれを国庫の負担に移すというようなことになりますと、現在でも諸外国に比しまして国庫負担がかなり高い水準にあるわが国といたしましては、きわめて困難なことになるのではないかと心配をいたしておることも、あわせて御理解をいただきたいと思います。 現在の厚生年金、まだ未熟な段階にございますが、今後、急速に制度の成熟を遂げまして、年金受給者数が増加し、受給費が増大してまいりますが、経済情勢のいかんにかかわらず、長期的には保険料負担を相当増加させていただかなければならぬことが予想されるわけでございます。 このような状況のもとにおきまして、世代間の負担の公平性を確保し、長期的に年金財政を円滑に運営していくためには、保険料率を将来に向かって段階的に引き上げていく現行の修正積立方式が最も現実に即したものであると政府は考えておりまして、他の財政方式に切りかえるつもりはございません。 第四番目の御質問は、八つの年金制度の間には著しい不均衡、格差が生じておる、これにつきましては、統一基準を設定して制度間の統一を図らなければならぬではないか、また、年金行政を一つの省庁に統轄して一元的に運営すべきではないかという御質問でございましたが、この年金制度の格差問題につきましては、御指摘もございましたように個々の制度ごとに沿革があることでございます。このような点も考慮しながら、政府としては、できるだけ整合性のあるものにしていくことが望ましいと考え、その方向で努力をいたしておるところでございます。 政府としては、公的年金制度の均衡ある発展が図られるよう一体となって取り組んでおりまして、関係閣僚懇談会、公的年金制度調整連絡会議等を通じまして、制度の整合性を確保するために特段の努力を払ってまいるつもりでございます。 また、行政機構の一元化でございますが、いま直ちに、機構改革によって一元化してまいるという考えは持っておりません。(拍手) 〔国務大臣野呂恭一君登壇〕
○国務大臣(野呂恭一君) まず、年金と雇用についてでございますが、高齢化社会の到来を控えまして、年金制度の安定を図って、真に老後の生活の支えになるように改革を進めることが大変大事なことでございます。現在進められております高齢者雇用対策の一層の推進が図られながら、年金制度と雇用政策の有機的な連携が図られるように配慮する必要があることは当然でございます。 次に、厚生年金におきまする五人未満事業所の適用問題でございますが、五人未満の事業所は、事業所の変動、また従業員の移動が激しいこと、さらに雇用者の範囲が必ずしも明確でないこと、かつ、賃金の把握が困難でございますなどの問題点を持っておりますだけに、一律にその適用を図ることには非常にむずかしいものがございます。任意包括適用制度を活用することによりまして、積極的に適用の拡大を図っているところでございます。 次に、年金の算定方式に点数制を導入することについてでございますが、年金額の算定方式をわかりやすくすることは大切なことでございます。この問題については、社会保険審議会厚生年金保険部会においても御審議をいただいておるわけでございますが、いまだ結論を得ていないところでございます。引き続き検討をいただくことになろうかと思います。 次に、年金の物価スライドの実施時期を四月にすることにつきましては、年金受給者が約一千万人、そのうち厚生年金が約四百万人、国民年金が約六百万人に達しておるわけでございます。業務の処理の上におきましても精いっぱいであるということ、及び前年度の消費者物価上昇率が確定するのは、例年五月の上旬ごろであるなどの理由からいたしましても大変困難でございます。 また、年金の毎月支払いにつきましては、毎月支払いの実施により業務量が三倍になるということから、現行の事務体制のもとではきわめて困難でございますが、しかし、国民の強い御要望でもございますので、現在実施中の年金オンライン化の計画の進行状況を勘案しながら、今後の課題として取り組んでまいりたいと考えております。 次に、被用者の妻の年金権についてのお尋ねでございますが、すでに被用者の妻の八割近くが国民年金制度に任意加入していることなど、主婦の方々の中で御自分の年金を取得したいという意識が高まっていることは十分承知をいたしておるわけでございます。 高齢で、夫と離別した妻の場合を含めまして、今後の婦人の年金保障につきましては、わが国の年金制度の基本的な問題でございまして、引き続き、幅広い審議を尽くして検討してまいりたいと考えております。 しかし、特例納付をすることによって、障害年金や被用者の妻に年金を支給することは、年金制度としては困難であると考えておるわけでございます。 次に、妻の遺族年金の問題についてのお尋ねでございますが、今回の遺族年金の改正に当たっては、子供のある未亡人やお年寄りの未亡人の遺族年金を重点に手厚い改善を図ることといたしたわけでございますが、子供のない寡婦に支給される遺族年金については、年齢あるいは就労の可能性が高いという点を勘案いたしまして、支給要件の見直しを行う必要があるという御意見を社会保険審議会厚生年金部会からいただいたところでございまして、子供のいない若い未亡人については、遺族年金の受給を御遠慮願うことといたしたところでございます。 また、遺族年金を支給率方式に変えることについてでございますが、これは将来の検討課題といたしたいと思います。 次に、保険料率の問題でございますが、厚生年金において今後急速に年金受給者が増加いたしまして、将来は老齢年金の受給者の数は現在の五倍以上にもなり、給付費も実質九倍以上になると見込まれておるわけでございます。 このような状況のもとで、現在の被保険者と将来の被保険者の間に大きな負担の差が生じないようにしながら、年金財政というものを円滑に運営していく必要があるわけでございます。今回御提案申し上げております程度の負担はお願いしなければならないと考えておるわけでございます。 また、労使間の負担の割合の問題についてでございますが、やはり基本的な方針を改めることは、各種被用者保険間の均衡の問題あるいは中小企業の事業主の負担能力の現状から見て、大変困難であると考えておるわけでございます。 年金積立金についてでございますが、先ほど総理からお答えになりましたとおり、将来の年金給付の原資となるものでございますから、安全確実に管理運営を図る必要があることは言うまでもございません。このことから、資金運用部において統合管理する現行の基本的な仕組みを維持することが適当であると考えておるわけでございます。 年金積立金の管理運用につきましては、諮問機関として年金問題懇談会を設けまして、また資金運用審議会に社会保険審議会委員及び国民年金審議会委員が参加することによりまして、保険料の拠出者の意向反映に努力をいたしているところでございます。(拍手) 〔国務大臣藤波孝生君登壇〕
○国務大臣(藤波孝生君) 急速に進展をいたします高齢化社会のもとで高年齢者の雇用の安定を図りますことは、安田議員御指摘のように最も重要な課題であると心得ております。 その際に、基本的には職業生涯の全期間にわたりまして、同一企業において雇用を維持していくことが重要であると考えます。このために、当面、昭和六十年度までに六十歳定年を一般化いたしますためにいろいろな手だてを講じまして、努力を重ねてきておるところでございまして、今後ともさらにその努力を重ねてまいりたいと思います。 また、六十歳代の前半層、六十歳から六十五歳へかけて、その前半層につきましては、企業の実情に応じつつ、六十歳以上へのさらに定年の延長を図る、また再雇用や勤務延長を促しているところでございます。六十歳代前半層につきましては、いろいろな面で個人差が出てくる面もありますので、多様な就業のニーズに応じた対策を講じていくことが必要でございます。今年度から新たにシルバー人材センターを育成いたしまして、政府として援助をしていく、こういう構えをつくっておるところでございます。 六十歳代の前半層の雇用あるいは年金の問題を考えるに当たりましては、雇用政策と年金制度との有機的な連携を図っていくことがぜひとも必要であると考えまして、従来から厚生省、労働省の間に協議を重ねてきておるところでございますが、今後ともこの協議をさらに十分回数を重ね、両者の合理的な関係の確立に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。 第二に、雇用保険料につきましてのお尋ねでございます。 雇用保険の保険料のうち、失業給付に充てるべき保険料は賃金の一千分の十一でありまして、これを労使折半負担といたしておりますが、失業給付は事業主による解雇の場合だけではなくて、労働者の任意的な離職の場合にも行われるものでありまして、現実に保険事故である失業の発生原因をいろいろ調べてみますると、そのうちの約三分の二が労働者の任意的な離職であること等がその分析の結果出てくるわけでありまして、こういったことを考えてみましても、労使折半負担をしている現行制度をいま変更するということはなかなか考えられない、このように考えるのでございます。ぜひ御理解をいただきたいと存じます。(拍手) 〔国務大臣竹下登君登壇〕
○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。 すでに総理、厚生大臣からお答えがございました。御案内のように、国の特別会計の積立金は、資金運用部資金法第一条に「確実且つ有利な方法で運用することにより、公共の利益の増進に寄与せしめる」と、こう書いてあります。また、第二条では、資金運用部資金において一元的に統合して管理運用することになっております。そこで、厚生年金積立金も特別会計の積立金でありますし、また将来の年金給付の原資とし工まさに安全、確実、かつ有利に運用する必要がありますことからも、他の政府資金と一緒に資金運用部資金において運用すべきものであると考えております。(拍手) —————————————
○議長(灘尾弘吉君) 谷口是巨君。 〔谷口是巨君登壇〕
○谷口是巨君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま説明のありました厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について、総理を初め関係の閣僚に対し若干の質疑を行うものであります。 わが国は、平均寿命から見て人生八十年が現実となり、人口問題研究所の推計によれば、生産年齢にある二十歳から五十九歳の稼働人口は、昭和五十年から昭和八十年までほぼ横ばいで推移し、一方、高齢人口の入り口である六十歳以上の人口は急速に増加することになっております。 総理大臣にお尋ねいたします。 第一に、基本年金についてであります。 現行年金制度が抱える諸問題、すなわち経過的年金、支給年齢及び給付体系の制度間格差、保険料負担の不均衡等々を各制度が個別に部分修正を行うだけではこれらの矛盾や問題は解決されません。高齢化社会に直面したわが国のあるべき年金制度としては、すべての人が人間らしい生活が営めるよう、最低生活保障年金の実現、すなわち基本年金制度の速やかな確立こそ急務であると考えますが、総理の所見を承りたいのであります。 〔議長退席、副議長着席〕 第二に、社会保険の短期給付である医療保険については、曲がりなりにも統一的な制度の運営を行っているが、年金については八制度に分かれてばらばらに運営されているのが現状であります。したがって、将来にわたって安定した年金制度の確立と運営のために、皆年金下の約九割の対象者を抱える厚生省に対し、総合調整を図るべく機能を持たせるべきだと考えるものでありますが、御見解を承りたい。 第三に、年金閣僚懇談会において、年金制度について種々検討していると聞きますが、どのような内容で、かついつごろ結論を出される考えなのか、承りたいのであります。 次に、厚生大臣に対しお尋ねいたします。 まず、昨年十月、社会保障制度審議会から建議のあった基本年金構想については、本法案の策定に当たってどのように検討し、反映されたのか、また建議の内容について、その年金水準、保険料負担、所要の国庫負担等について試算、検討をされたのかどうか、これらについてお伺いしたいのであります。 第二に、昭和六十年までに雇用関係のみならず、年金制度間の格差是正が実現すると考えておられるのか、明確にお答え願いたい。同時に、その実現ができないとすれば、本法案の老齢年金受給資格年齢改定措置の訓示規定は、年金の官民格差を温存するもので、とうてい納得できるものではありません。御所見を承りたいのであります。 第三に、保険料率の引き上げについてお伺いいたします。 改正案では、男子が一〇・九%、女子が九・二%、坑内夫が一二・一%と大幅な負担増になっております。厚生年金は、現在、約二十七兆円の積立金があり、黒字財政であります。にもかかわらず、なぜ大幅な引き上げを行うのか、全く理解できないのであります。本来、料率改定は、五十六年度に予定していたものであり、しかも、電気、ガス料金を初め、一連の公共料金の引き上げとともに、保険料引き上げを一年繰り上げてまで行うということは、断じて納得できないのであります。得心のいく答弁を願いたいのであります。 第四に、遺族年金についてであります。 今回の措置では、他の年金制度から老齢年金や障害年金を受給している場合、調整規定の導入で遺族年金寡婦加算が停止されることとなり、また、子なし妻の四十歳未満もその対象外としております。加入する制度によって遺族年金の受給資格に格差を生じるのは、普遍性、合理性を欠き、賛同しがたい。また、婦人の求人状況を見るとき、三十五歳以上の求人がきわめて少ないことから見て、なぜ四十歳とされたのか御説明願いたいのであります。 なお、遺族年金の受給資格に格差が生じるのは、公的年金制度が分立し、相互間に調整されないという制度上の欠陥によるものであって、この不当とも言える制度の矛盾についてどのように認識し、改善を図ろうとされるのか、御所見を承りたいのであります。 第五に、婦人の側の意見として、婦人の年金権を確立するためには、現在の世帯単位の年金から個人単位の仕組みによる年金制度が強く要請されておりますが、これについての見解と対応について承りたいのであります。 次に、大蔵大臣に対し質問いたします。 第一に、官民格差と公務員定年についてであります。 官民格差問題では、支給要件、給付の算定方式、財源負担などに公平を欠き、中でも格差の最たるものは受給資格年齢であり、それが社会的公正を阻害するものとして、国民に強い不満があるわけであります。当然、社会的公正の見地から、共済年金と厚生年金の支給開始年齢を同一とすべきでありますが、大臣の見解を承りたいのであります。 第二に、共済組合では昭和七十五年から六十歳支給となりますが、厚生年金の場合よりも年金成熟度が高いのに、それで十分財政の均衡が得られる見通しがあるのか、承りたいのであります。 また、大蔵省預金部利率の引き上げ、これを検討し、高金利時代にあって、厚生年金積立金の運用に労使代表を入れ、その方法を改善し、国債投資に振り向けるなどによって、厚生年金の六十五歳支給などは考えずとも済むと考えるのでありますが、この点、大蔵、厚生両大臣から御見解を承りたいのであります。 最後に、労働大臣に対しお尋ねいたします。 第一に、高齢者の就業実態についてであります。 年金制度を考えるときに不可欠なのは雇用との関係であり、報道によれば、労働省は本法案の六十五歳支給開始年齢問題について、厚生省との調整の過程で、勤労者の仕事からの引退が六十五歳がよいというコンセンサスがない限り、年金支給開始年齢の引き上げは問題であると述べたと言われております。そこで、個人差や職種によって多少異なると思うが、勤労者の職業からの引退志向は何歳ぐらいから始まると認識されているのか。また、企業を定年退職した人がどのように転職し、引退しているか、高齢者の就業実態について御説明願いたいのであります。 第二に、雇用創出計画についてであります。 年金の健全運営、さらには後代負担をできるだけ軽減するということからは、高齢者がその能力に応じて雇用機会を得、その労働力を有効に活用するような仕組みをつくり上げることが重要な政策課題であると思うが、いまなお五十五歳定年制をとる企業が全体の四〇%を占めるという現実をどのように受けとめ、どのように雇用を創出する施策を講ぜられるのか、伺いたいのであります。 また、スウェーデンでは、高齢者の雇用において、常用のフルタイムからの退職による就労停止で生ずる身体的、精神的な衝撃を緩和するということと、より多くの高齢者に仕事を分配するという考えから、部分雇用、部分引退、部分賃金等の制度があるが、このような制度導入についていかなる見解を持たれるか、あわせてお伺いしたいのであります。 第三には、年金給付に伴う賃金引き下げについてであります。 年金受給を理由として、高齢者の賃金がその年金給付分だけカットされ、きわめて低くなっている例が少なくないが、生活不安におびえる高齢者をいたずらに圧迫するばかりか、高齢者の低賃金が他の若年労働者の賃金水準を引き下げるおそれもあり、人口に占める高齢者の割合が高くなる高齢化社会においては、きわめて重大な問題であります。このような実態についてどのような認識を持たれるか、また、かつどのように対応されるのか、御所見を承りたいのであります。 第四に、昭和六十年時における雇用についてであります。 労働省は、昭和六十年までの五年間に、定年延長など雇用環境の整備ができるものとお考えになっているのか、明確にお示しいただきたいと思うのであります。 以上の質問に対し、誠意ある答弁を期待して、質疑を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
○内閣総理大臣(大平正芳君) 谷口さんの第一の御質問は、年金制度の改革に当たっては基本年金制度の確立が急務でないかというお尋ねでございました。 世界にも類例の乏しい高齢化社会を迎えようとする日本でございます。国民の年金制度に対する関心、期待は非常に大きくなってきておりまして、政府としても老後生活を支えるに足る年金制度について、従来からその改善を図ってきたところでございまして、その改革に当たりましては、公明党を初めといたしまして各方面から御提言をいただいておるわけでございますが、政府としては、現行の八つの制度を前提とし、各種審議会等の御提言を参考にしながら、全体として整合性のとれた発展を遂げるよう心がけて、その改革に計画的に取り組みたいと考えております。 第二の私に対する御質問は、厚生省に対しまして、医療保険と同様に、総合調整機能を年金制度に関連して与えるべきではないかという御意見を込めての御質問でございました。 高齢化社会の到来を控えまして、年金制度全体にわたりまして総合的な観点から検討を行わねばならぬことは、御指摘のとおりと心得ております。本年一月、政府におきましては関係閣僚懇談会を設置いたしまして、閣僚レベルで政府が一体となって年金制度の改革に取り組むことといたしたところでございまして、当面はこの閣僚懇を中心に協議して調整を図ってまいることといたしたいと思っております。 第三の御質問は、年金制度について種々政府も検討しておるようであるが、どういう内容の問題を検討しておるか、そしていつごろ結論を出すつもりかという意味の御質問でございました。 年金制度に関する閣僚懇におきましては、今後高齢化社会を控えての年金財政の長期的な安定化の問題、それから年金制度を通ずる共通の問題、御指摘の年金制度間の格差、不均衡の問題等々、個々の制度ごとに沿革もあることでございますので、そういうことを踏まえた上で整合性をいかにして実現するかという形で取り組んでおるわけでございます。 この結論はいつごろ出すかということでございますが、問題が重要でございますので、相当慎重な検討を必要といたしておりますので、相当の時間はかかると思いますけれども、できるだけ早く結論を出すべく精力的に対処してまいるつもりでございます。(拍手) 〔国務大臣野呂恭一君登壇〕
○国務大臣(野呂恭一君) まず第一に、御指摘の社会保障制度審議会の御建議は、来るべき高齢化社会において、年金制度が真に老後生活の支えになるような一つの制度としての改革の御意見と考えておるわけでございますが、基本年金構想につきましては、必要となる多額の費用の負担が可能かどうか、また現行制度からの円滑な移行がいかに行われていけるか、またその財源とされております付加価値税についてその実現が可能かどうかなど、慎重な検討を要する問題をたくさん持っておると考えておるわけでございます。 次に、将来の高齢化社会を見通しますと、老後生活の支えになる年金水準を保ちながら、現在の数倍もの多くの老人の年金生活を支えていくためには、若い世代に相当の負担をお願いせざるを得ないわけでございます。 しかし、若い世代の負担にもおのずから限度があると考えるわけでございまして、年金制度を安定的に運営していくためにはいろいろな工夫が必要でございます。国民の御理解を得ながら、総合的な観点に立って検討していくべきものであると考えております。 したがいまして、支給開始年齢の問題は、将来の年金財政を考える場合に避けて通れない事柄でございます。この点は各方面の認識も共通しておると考えておるものでございまして、次回の財政再計算期において真剣に取り組むべき課題でありますので、その趣旨の規定を設ける必要があると考えておるわけでございます。 次に、保険料率の問題でございますが、現在の厚生年金は受給者が比較的少ない、したがって給付費も必ずしも多くないわけでございますが、高齢化社会に伴いまして、今後急速に年金受給者が増加し、給付費が大きく増大するために、長期的には保険料の負担を相当増加させていかなければならないと見込まれておることは御承知のとおりでございます。 このような状況のもとで、現在の被保険者と将来の被保険者との間に実質的な大きな負担の差が生じないようにしながら、しかも年金財政を円滑に運営していくためには、現在の保険料率を将来に向かって段階的に引き上げていく必要があることは言うまでもございません。 また、今回は財政再計算を一年繰り上げて実施をいたしましたが、拠出と給付の両面にわたって検討を加えました結果、新しい段階的保険料率の一つのステップとして一・八%の引き上げ幅を設定いたしたわけでございます。現在の被保険者にもこの程度の負担はお願いはしなければならないものだと考えておるわけでございます。 次に、今回の遺族年金の改正に当たりまして、社会保険審議会厚生年金保険部会の御意見に沿いまして、年金による生活保障の必要性が高いと思われる子供のある寡婦やあるいは高齢の寡婦に手厚い改善を行う一方、子供のない寡婦に支給されている遺族年金について、年齢の問題あるいは就労の可能性が高いなどのことを考えまして、支給要件の見直しを行う必要があるという御意見をいただいたところでございます。こういう御意見に基づきまして、寡婦加算額を大幅に引き上げて、子供のある未亡人やお年寄りの未亡人の遺族年金を重点に手厚い改善を図る一方で、子供のいない四十歳未満の未亡人については遺族年金を支給しないことといたしたところでございます。 また、遺族年金を受けている未亡人が他の制度から老齢年金を受けている場合にも所要の調整を行うことにいたしたわけでございます。 なお、年金制度は、個々の制度ごとに沿革があることは御承知のとおりでございますが、このような点も考慮しながら、それぞれの公的年金制度はできる限り整合性を高めていくことが必要であることは言うまでもないわけでございます。 婦人の年金権の問題でございますが、現行の年金制度におきましては、国民年金に任意加入することによりまして、妻自身の年金を取得する道が開かれておることは御承知のとおりでございます。 すでに被用者の妻の八割近くが国民年金制度に任意加入していることなどから、主婦の方々の中で御自分の年金を取得していくという意識が高まっていることは十分私どもは承知いたしておるわけでございます。 今後妻の年金保障のあり方については、わが国の年金制度の基本的な問題でございますから、引き続きまして、幅広い議論を尽くしまして、検討してまいりたいと考えておるわけでございます。 最後に、年金積立金の運用の問題でございますが、先ほどもお答え申し上げましたとおり、将来の年金給付の原資となるものでございますから、安全にかつ確実に管理運用する必要があることは言うまでもありません。このことから、資金運用部において統合管理することといたしておるわけでありまして、またその運用に当たりましては、その特殊性にかんがみまして資金運用審議会及び年金問題懇談会を活用いたしまして、保険料を拠出しておる労使の皆さん方の御意向が十分反映されるように努力いたしておるところでございます。 年金積立金は、できるだけ有利に運用することは大変大事なことでございます。資金運用部の預託金利につきましても、法定金利のほかに特別利子がつけられていること等もございまして、今後とももっと有利な運用に意を用いていかなければならないと考えておる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣竹下登君登壇〕
○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。 まず、共済組合関係の私が代表した担当大臣でございますので、その点について二問お答えをいたします。 一つは、官民格差の問題であります。公務員の共済年金制度は公的年金制度であると同時に、公務員制度の一環としての性格をあわせ有しておりますので、厚生年金制度との間に幾分の相違があることは事実であります。しかし、それらの相違がすべて官民格差であるというふうには必ずしも言えないと思います。 しかし、少なくとも公的年金制度であるという一面から共済年金を見た場合には、官民の年金制度の間に整合性を保っていくべきであるということは異論のないところであります。したがいまして、従来より格差として指摘されておりました支給開始年齢の差につきまして、昨年の暮れの国会で成立させていただきました共済年金法の改正、これによりまして格差の解消を一歩図ったということが言えるではなかろうかと思うわけであります。 いずれにいたしましても、年金財政、厚生年金等の動向も踏まえまして、職域年金的な性格、公務員制度との関係に配慮をしながら、政府が一体となって検討を進めることが必要である、このように考えております。 次が年金の成熟度の問題でございます。 成熟度は確かに共済年金の方が高くなっております。現在の共済年金受給者のほとんどは恩給公務員期間等を持つ経過年金者でありまして、また、これまで厚生年金に比べ高水準の保険料を取ってきたということもあります。したがって、この厚生年金よりも財政的にいま苦しいということは言えないと思います。 しかし、今後の人口の老齢化現象あるいは国家公務員共済年金におきましての成熟度が高まってまいりますことは避けられませんので、したがいまして、これからの問題といたしましては、学識経験者等で構成する研究会、これによって共済年金制度の基本的方向について御審議を願うことといたしまして、その意見を踏まえて適切な対策を講じて、財政の健全な運営に努めなければならない、このように思っております。 次は、厚生年金の管理運用の問題でございますが、これはただいま詳しく厚生大臣からお述べになったとおりであります。 以上で、お答えを終わります。(拍手) 〔国務大臣藤波孝生君登壇〕
○国務大臣(藤波孝生君) お答えをいたします。 勤労者が職業生活を終えて引退を選ぶようになります年齢は、各種の事情によって、人によっていろいろでございますけれども、一般的には六十歳代を通じて徐々に引退していくと考えられ、平均的に見れば六十五歳前後を境にいたしまして労働力率が急速に低下をする、こういう実情を示しております。それが一つの目安ではないかと思うのであります。 しかしながら、高年齢になりますと、健康や労働能力などの面でかなりの個人差が出てまいります。こうした点につきましても十分考慮する必要があるなど、この問題につきましては今後さらに検討を要するものと考えられるのでございます。 いずれにいたしましても、労働省といたしまして、こうした高齢者の就業の実態について総合的な調査を実施し、より実態に即した高齢者対策を進めていくようにしたい、このように考えておるところでございます。 第二に、高齢者の雇用創出についてであります。 急速に進展をする高齢化社会の中で、高齢者の雇用の安定を図りますことは、先ほどもお答えをいたしましたように最も重要な課題でありますが、基本的には、同一企業において雇用を維持していくことが重要であると考えます。 そのために、昭和六十年度までに六十歳定年制を一般化することを目標にいたしまして、業種別会議の開催、定年延長奨励金の活用、高齢者雇用率の達成指導等によりましてその実現に努めているところでございます。 また、高齢者の雇用創出につきまして、中高年齢者雇用開発給付金の活用を図るとともに、さらに、中長期的な観点からの雇用機会の確保について、現在、中央及び地方におきまして、いろいろ御心配をかけてまいりました雇用開発委員会において、高齢化の進展に対する対応策、いろいろ調査研究を進めているところでございます。 こういった作業を中心にいたしまして、高齢者の雇用の創出についてさらに努力をしてまいりたいと存じます。 三番目に、特にスウェーデンの例をお引きになりましての所見を求められたのでございます。 六十歳代の高齢者につきましては、就業ニーズが多様化をいたすのに伴いまして、形態も多様化してくることが考えられます。御指摘のスウェーデンの制度がわが国になじむかどうかにつきましては、これら高齢労働者の就業に関する意識や実態等を的確に把握するとともに、雇用賃金慣行を初めとする社会慣行の相違などもいろいろございますので、そういったことも十分踏まえた上で判断をしなければならぬと思います。 なお、今年度、高年齢者の就業に関する意識、実態についての総合的な調査を行うことにいたしておりますが、これらの調査等を通じまして、さらに前向きの対策を講じてまいりたいと考えております。 次に、高年齢者の年金支給と賃金との関係でございますが、賃金は、基本的には、年金の有無にかかわらず、労働の質と量に見合ったものが望ましいと考えます。 ただ、年金の受給者は、一定の所得の保障がありますことから、追加的または臨時的な就業を希望する者が多いものですから、賃金面で実際には低下しているという実情にあることが十分考えられるのでございます。 いずれにいたしましても、若年者、高齢者を問わず、労働者としての仕事の性格あるいは内容に見合った賃金が支払われることが基本でありますので、今後ともその点に十分留意をしながら行政指導を進めてまいりたいと存じます。 最後に、昭和六十年度までの五年間で雇用環境の整備ができるのか、こういう御質問でございます。 定年制の状況は、長期的に見ますると、景気の停滞の中にありましても、五十五歳定年の割合が減少するなど、着実に定年延長の傾向が見られております。特に、最近におきましては、鉄鋼や私鉄が定年延長の実施を決定したのを初めといたしまして、定年延長を決定する企業がいろいろな業界にわたってあらわれておりまして、定年延長の機運は一層着実に定着をしつつある、このように考えておるのでございます。 政府といたしましては、このような中で、昭和六十年度までに六十歳定年を一般化いたしますために、さらに一層の努力を重ねまして、御指摘のような雇用環境の整備を整えていくために、全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。 以上、お答えをいたします。(拍手) —————————————
○副議長(岡田春夫君) 則武真一君。 〔則武真一君登壇〕
○則武真一君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、厚生年金保険法等の一部改正案について、総理及び関係大臣に質問いたします。 いま、国民は、老後の暮らしに大きな不安を持っております。年金だけでは暮らしていけない、まとまったお金がなければ入院もできない、病気で動けなくなったら一体だれがめんどうを見てくれるのだろうか、働ける仕事がない、安心して住める家がないなど、深刻な状態に置かれているのであります。 現在、こうしたお年寄りは、戦争と敗戦後の混乱を乗り越え、血みどろになって働き、子供を育て、世界でも有数の経済大国と言われる今日の日本を築き上げた方々であります。 戦後三十余年にわたり政権の座にあった自民党の政治は、一生懸命働き続け、いま老齢になった人々に対し、安心して暮らせる老後の保障すらできない、冷酷無比の政治になっているのであります。これは、大企業の利益に奉仕し、国民に犠牲を押しつけてきた歴代の自民党政治にこそ、その原因があると言わざるを得ないのであります。 そこで、大平総理にお伺いしたいのであります。 人口構成の高齢化が急速に進むと見られる、八〇年代の政治の最重要課題は一体何でしょうか。政府は、年金、医療、福祉、仕事、住宅など、総合的な老後保障制度確立のための具体的な計画を緊急に策定し、国民に示すべきだと思うのでありますけれども、総理、いかがでありましょうか。また、あなた自身、自民党総裁として、国会が老人問題を総合的に審議していくために、老後保障問題特別委員会を設置すべきだと思うのでありますけれども、いかがでありましょうか。 次に、私は、年金制度に関して幾つかの点について質問をいたしたいと思います。 その第一は、厚生年金の老齢年金支給開始年齢についてであります。 政府は、当初、現行の六十歳を六十五歳とすることを予定をしながら、国民の強い反対に押されて、明文化を避けております。しかし、法案の附則にあるように、次の財政再計算時、つまり三、四年先には六十五歳への引き上げをねらっていることは明らかであります。まさに、今回の法案は、遠い将来の年金財政のつじつま合わせだけを考えて、老後の生活を支える重要な社会保障としての年金制度の基本理念を無視し、国民生活の実態を顧みない重大な改悪であります。 政府が何よりもやらなければならないことは、現行の六十歳の年金支給開始前に、定年ということで労働者を解雇している大企業の定年制を直ちにやめさせることであります。また、さしあたり、六十五歳までは働きたいという人々に対し、その雇用を保障することではないでしょうか。あわせて、社会保障の根本に触れる、六十五歳への支給開始年齢引き上げをねらう附則条項を削除すべきであります。これらの点について、厚生大臣の明確な答弁を求めるものであります。 また、当面、六十歳以下の定年という年齢による不当な解雇は、法的に規制をすべきだと思いますが、労働大臣の答弁を求めたいのであります。 第二にお尋ねしたいことは、婦人の年金権に関する問題であります。 本法案においては、十八歳未満の子供のいない四十歳以下の未亡人には遺族年金を一切支給しないことにしようとしております。もしこのようなことになれば、夫が健康で働いているときに息子や娘が大学や短大に入り、間もなく卒業し就職できると思っていたやさきに、夫に先立たれた未亡人や子供たちは、一挙に無収入とされるのであります。また、未亡人として残された妻が国民年金に加入したとしても、六十歳までの二十年分しか保険料の納入ができず、そのため、加入期間不足で正規の国民年金すら受給できないのであります。まさに、このことは、婦人の年金権に対する許しがたい侵害になるのであります。 厚生大臣は、一体、四十歳を過ぎ、夫に先立たれた婦人に安定した就職を完全に保障するとでも言うのでしょうか。それとも、一家心中をせよと言うのでしょうか。これもまた、社会保障の根本にかかわる重大な問題であります。この条項は、いますぐ削除すべきではないでしょうか。厚生大臣にお尋ねしたいのであります。 第三は、保険料の二〇%にも及ぶ大幅な値上げについてであります。 現在、電気、ガス、たばこ、郵便料金など政府主導型の公共料金値上げで、国民生活は極度に脅かされているのであります。さらに、これに加えて、今国会に提出されている健康保険法の大改悪と年金保険料の大幅な引き上げは、勤労者の家計に重大な打撃を与えるものです。 たとえば、厚生年金被保険者の平均標準報酬月額とほぼ同額の二十万円の月収の勤労者は、現行の保険料月額九千百円が一万九百円へと、毎月千八百円、年間にすると二万一千円の負担増となります。春闘共闘の全く低目の賃上げ要求八%が仮に満額取れたとしても、その一割余りは年金保険料に取られてしまうのであります。 さらにまた、こうした保険料の値上げは、現在の年金支給財源とは無関係なのであります。五十五年度厚生年金特別会計予算を見ても、保険料収入は約五兆一千億円、これに対して保険給付費は約三兆六千億円にすぎません。つまり、一兆五千億円余は積み立てに回されるのであります。このような状態のままでの保険料の大幅な値上げは中止をすべきであると思いますが、いかがでありましょうか。あわせて、この際、保険料の労使負担割合を、現行の折半から労働者三、事業主七に改めるべきだと思うのでありますが、いかがでありましょうか。 次にお尋ねしたいのは、五十五年度末には二十七兆円にもなる積立金についてであります。 こうした多額の積立金は、将来の年金給付財源として、労働者が乏しい賃金から拠出をしてきたものであります。ところが、急速なインフレの進行によって積立金の実質価値が低下をしてきたのであります。一九五七年から一九七九年の年度末積立金額とその年度の消費者物価指数で試算をいたしますと、実に累計十三兆円もの目減り総額になっているのであります。結局のところ、政府は、資金運用部に全額繰り入れた労働者の拠出金について、インフレによって目減りした分については知らぬ顔、逆に、目減りした分までも保険料値上げに転嫁をして、労働者の負担を一層重くしているのであります。政府が将来の年金財源に充てるというのであれば、苦しい家計を割いて拠出をした労働者の保険料の実質価値に責任を持つべきであります。急激に増加している厚生年金積立金のインフレによる目減りについて、一体政府はどういう責任を持つのか、大蔵大臣、厚生大臣の明確な答弁を求めるものであります。(拍手) 第四にお尋ねしたいのは、国民年金に関することであります。 農漁民、自営業者、零細企業の労働者、勤労者の妻などによって構成される国民年金は、もともと所得水準も低く、保険料の事業主負担がないばかりか、世帯単位ではなく個人単位に負担をしなくてはならないなど、不利な条件に置かれております。 今回の改正案を見ると、五十六年度には保険料一人月額四千五百円、以後毎年三百五十円ずつ引き上げていくこととしております。これにより五十六年度に夫婦で拠出する保険料は月額九千円、年間では十万八千円にもなるのであります。これは厚生年金の月収二十万円の労働者の負担とほぼ同額となるのであります。低所得の農漁民、自営業、零細企業労働者にも一律に負担を強いるこうした国民年金保険料の支払いは、もう限度を超えていると言わなければなりません。 そこで、私は、現行の一律定額の保険料を所得比例に改めて、低所得者の負担を軽減すべきではないか、この点についてお答えを願いたいのであります。あわせて、国民年金に関連する当面の問題点として、かねてから言われていながら一向に改善をされていない、五人未満の零細企業で働く労働者の厚生年金への加入をいつまでに具体化しようとしているのか、明らかにしていただきたいと思います。 さらには、今年六月までとなっている特例納付について、現行の世帯更生資金にとどまらず、貸付金制度などをつくって、高額になる保険料負担へ思い切った援助策を実行し、いわゆる無年金者の解消を進めるべきではないでしょうか。答弁をいただきたいのであります。 最後に、私は、重ねて大平総理にお尋ねをしたいのであります。 あなたは、日本型福祉社会なるものを主張しており、国民に対しては、個人の自助努力、家庭、近隣社会の相互扶助を説いておられます。 国民は、あなたに言われるまでもなく、三十余年の自民党の国民生活に犠牲を押しつける政治のもとで、老後や病気に備えて貯蓄をし、精いっぱいの自衛策をとっているのであります。こうした国民生活の実情は、ほかでもなく自民党政治に対する根底からの不信に基づくものであります。 大平総理、あなたはこれ以上、一体、個人の自助、家庭、近隣の相互扶助として国民に何をせよと言うのでしょうか、具体的にお尋ねをしたいのであります。 同時に、私は大平総理に要求したいのでありますが、総理、百の説法よりも一つの実行であります。老後の不安のない暮らしを保障するためには、老齢福祉年金を今年度内にはせめて月額三万円ぐらいにすべきではないでしょうか。また、老人医療費の有料化は絶対に行わない、このことを約束していただきたいのであります。これこそが、国民があなたの政治に求めている老人問題での当面の緊急な課題ではないでしょうか。 総理、あなたの決断を強く要求し、答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
○内閣総理大臣(大平正芳君) 則武さんの最初の御質問は、年金、医療、福祉、住宅等総合的な老後保障計画を策定すべきでないかということでございました。 確実に到来が予想されまする高齢化社会に備えるためには、御指摘にもありますとおり、社会保障ばかりではございませんで、住宅政策、雇用対策等の施策を総合的に推進する必要があるものと私も考えております。 老後保障の中核となるのは、しかしながら依然として社会保障であると思いますけれども、この社会保障につきましては、すでに制度的には国際的に遜色のない水準に達しておるように思いますけれども、いま言われましたような諸施策との連携を図りますとともに、将来の世代の負担を考えながら、制度の効率化に配慮しながら、制度の適正な運営に努めてまいりたいと考えております。 第二は、国会に老後保障問題特別委員会を設置すべきではないかということでございました。 各党の間で、との種の問題は御協議にまつべきものと思いますが、国会において取り上げられることになりますれば、自民党といたしましても検討いたすにやぶさかではございません。 第三の問題は、日本型福祉社会についてのお尋ねでございました。 私は、本来、社会保障問題は、国の施策と自助努力が相まって効果を上げることができると考えておるものでございまして、ひとり国民に犠牲を強いるなどということは毛頭考えておりません。 それから、老齢福祉年金は、年度内にはせめて月額三万円にすべきではないかということでございました。 この老齢福祉年金につきましては、現在きわめて厳しい財政事情にありまするけれども、二万二千五百円まで引き上げることにいたしたわけでございまして、他の諸経費よりも高い改善に努力することにいたしたわけでございまして、これ以上の引き上げということは、目下の財政事情からはきわめて困難であろうと考えております。(拍手) 〔国務大臣野呂恭一君登壇〕
○国務大臣(野呂恭一君) 厚生年金の支給開始年齢の問題につきましては、先ほども申し上げておりますとおり、将来の高齢化社会を見通しますならば、支給開始年齢の問題は避けて通れない事柄でございまして、次回の財政再計算期においても真剣に取り組むべき課題である、こういう意味におきまして、この趣旨の規定を設ける必要があると考えて、削除いたす考えはございません。 次に、遺族年金の問題でございますが、先ほども申し上げておりますとおり、子供のある未亡人やお年寄りの未亡人の遺族年金を重点に手厚い改善を図る一方、社会保険審議会厚生年金部会の御意見に沿いまして、子供のない若い未亡人については、年齢においても、また就労可能性が多いという観点に立ちまして、遺族年金の受給を御遠慮いただくこともやむを得ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。 次に、保険料についてでございますけれども、これも先ほどからたびたび申し上げておりますとおり、今後、急速な年金の受給者の増加、それに伴うところの給付費の増加等を考えてまいりますと、現在の被保険者と将来の被保険者の間に大きな負担の差が生じないように年金財政の将来を円滑に運営していくためには、今回御提案申し上げております程度の保険料負担は、現在の被保険者にもお願いしなければならないものと考えておる次第でございます。 また、保険料の労使の負担の割合を改むべきではないかということについてでございますが、保険料の労使負担の割合を変更する問題は、これも先ほど申し上げましたとおり、被用者の保険制度全般の費用負担のあり方について大きな問題でございますので、慎重に対処していく必要があると考えておる次第でございます。 年金積立金につきましては、これも先ほど申し上げましたとおり、将来の年金給付の財源として何よりも安全かつ確実な運用を期することが大変大事でございます。あわせて、できる限り有利に運用することが求められておるわけでございまして、その実質価値が物価上昇によって減価することは好ましいことではないと考えておるわけでございます。 積立金のインフレによる目減りについては、これは十分考えなければならないことでございます。年金積立金は現在は資金運用部で統合管理することになっておるわけでございまして、今後とも、有利な運用については意を用いてまいりたいと考えておるわけでございます。 次に、国民年金の保険料についてでございますが、現在の定額制を所得に応じた保険料の方式に改めるということにつきましては、これはかねてから検討されてきた課題でございます。これにつきましては、その対象者でございます被保険者がきわめて多岐にわたっております。したがいまして、その所得を的確に把握することが可能かどうかなどのむずかしい問題が多くあるわけでございまして、いま直ちに導入することは大変問題であると考えております。 次に、五人未満の事業所の厚生年金適用の問題についてでございますが、五人未満の事業所は、事業所の変動とか、また、その事業所にお勤めになっていられる従業員の移動が激しいこと、さらにまた雇用者の範囲が必ずしも明確でありませんし、したがって賃金の把握も困難でございますなどの問題によりまして、一律にこれを適用するということは大変困難な問題がございますので、現行法による任意包括適用制度を活用することによって、積極的に適用の拡大を図っていく方法を用いているわけでございます。 最後に、特例納付金制度についてでございますが、国民年金の特例納付に該当する者は、まず自主的にあらゆる自己努力をいたしまして納付をしていただくことを基本としているわけでございます。自己努力が不足するような低い所得者につきましては、世帯更生資金の貸付制度による貸し付けを特例的に行っているわけでございます。それ以外の融資制度を設ける考えは持っておりません。(拍手) 〔国務大臣藤波孝生君登壇〕
○国務大臣(藤波孝生君) お答えをいたします。 政府といたしましては、第四次の雇用対策基本計画におきまして、昭和六十年度までに六十歳定年を実現化いたしますために、あらゆる努力をいたしておる最中でございます。 わが国のような終身雇用慣行のもとで定年延長を推進するに当たりましては、その前提として年功的な雇用賃金慣行の見直しが必要でございます。したがいまして、この雇用賃金慣行の見直しを行わないまま、定年延長やあるいは年齢による雇用の差別の禁止について立法措置を講ずることは、いろいろと問題が多い、むしろこのように考えているのでございます。 いずれにいたしましても、法制化問題につきましては、国会における話し合いを踏まえ、昨年六月に雇用審議会に定年延長の実効のある推進策について、立法化問題をも含めまして諮問をしたところでございますので、その答申を待って対処したいと考えております。 第二に、六十五歳まで働くことを希望する者に雇用を保障すべきである、こういう御意見でございます。 いま申し上げましたように、六十年度までにぜひ六十歳定年を一般化することを目標にして努力を進めておるところでございますが、六十歳代の前半層につきましても、企業の実情に応じつつ、定年延長をも含めました雇用の延長を促すというために、継続雇用奨励金あるいは中高年齢者雇用開発給付金の積極的な活用等によりまして、定年後の再雇用、勤務延長の促進及び離職者の雇い入れの促進を図っているところでございます。 また、六十歳の前半層につきまして、いろいろな面で個人差が出てまいりますので、多様な就業ニーズに応じた多様な対策を講じていく必要がございます。そのために、新たに本年度からシルバー人材センターの育成、援助を行うことといたしておるのでございます。 最後に、四十歳以下の子なし未亡人の問題にお触れになりました。 労働省におきましては、寡婦等が職業につき、安定した雇用と収入が得られますように、適切な職業相談体制の強化、職業訓練の実施、就職援護措置の拡充等に従来も努めてきたところでございます。また、就業を希望する婦人に対しまして、婦人就業援助施設において就業に必要な技術講習の実施及び就業に伴う広範な相談、指導等によりまして、その就業の援助を図ってきたところでございます。 就業を希望する婦人に対しまして、就業援助対策を今後とも充実強化してまいりたい、高齢者に対しましても、あるいは寡婦等に対しましても、働く意思のある方々に雇用を確保するために、きめ細かく対応してまいりたい、このように考えておる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣竹下登君登壇〕
○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。 厚生大臣からもお答えがございましたように、年金給付の原資として何よりも安全確実に運用する必要がある、こういうことからいたしまして一元的管理運用をしておるところでありますが、いわゆる年金積立金について、オイルショックによる四十八年以降五十一年ごろまで、消費者物価が著しく上昇したため減価が生じた、こういう御指摘であります。したがって、そのような目減りは国庫で負担すべきではないか、こういうことでございますが、物価の上昇率と運用利回りの差によって目減りをいたしました場合に、これを国庫で補てんするということは、これは言いかえれば国庫負担をさらに増額するということに結論から言えばなるわけであります。現在でも諸外国に比べまして国庫負担がかなり高い、こういう水準でありますので、そのことはきわめて困難なことと考えております。(拍手) —————————————
○副議長(岡田春夫君) 小渕正義君。 〔小渕正義君登壇〕
○小渕正義君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま趣旨説明のありました厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に関し、総理大臣並びに関係大臣に対し質問を行うものであります。(拍手) まず、大平総理にお願いいたします。大平内閣は、世上伝えられるところでは、わかりにくい政治だと言われています。年金問題は、大多数の国民の最大の関心事であります。国民に対して素直に、わかりやすいような、率直なる御答弁をお願いするものであります。 アメリカの著名な学者であるドラッカー氏は、高齢化社会の到来を見えざる革命と言っています。それは、高齢化社会がこれまでのいかなる社会変革よりも強烈なインパクトを社会に与えることを意味していると思うのであります。いまやわが国は高齢化社会の時代に突入しつつあります。人口構成を見ると、六十五歳以上の人口は、昭和五十年には八百七十七万人で全人口の七・九%であったものが、いまや一千万人を超え、昭和八十五年には全人口の二八%、二千二百六十二万人に達します。わずか三十年間で高齢者人口が倍増することになります。これだけのスピードで高齢化社会を迎える国は世界に例を見ないのであります。増大する高齢者の生活をどのように支えていくかということは社会的に大変重要な問題となっており、その対応を一歩誤ると将来に大きな禍根を残すことになるのであります。 現在、わが国では、社会的に老後の生活を保障する公的年金制度がありますが、基本的な制度改正に着手されておらず、多くの欠陥や不備があり、政府の諮問機関である社会保障制度審議会でも、年金制度の持つ所得の再分配機能が十分に発揮されていないと指摘しているところであります。それに対する国民の強い不満が噴出しているのが実情であります。 第一の基本的問題は、老齢福祉年金や五年年金といった経過的年金の給付額がきわめて低水準であることであります。たとえば老齢福祉年金は現在わずか月額二万円にすぎず、生活の支えにはとてもほど遠いものであります。このような経過年金の受給者は、現在全老齢年金受給者の約七五%を占めており、その平均給付額は二万円強であります。政府は、わが国の年金水準が国際水準に達したと宣伝していますが、こうした実態を見るとき、それは単なる見せかけだけの国際水準であると断ぜざるを得ません。 わが党は、経過的年金の給付を根本的に改善するためには、だれにでも最低限度の年金を保障する基礎年金制度を確立する以外にないと確信するものであります。われわれが提唱する基礎年金制度は、独身者の場合、可処分定期給与の三〇%を保障するものでありますが、政府は、こうした基礎年金制度を創設する考えはあるのか否か、総理の明確なる御答弁を求めるものであります。 第二の問題は、大きく分けて八つある各公的年金制度間に著しい格差や不均衡があることであります。 給付水準や給付条件、また負担面などでも大きな格差があることはきわめて不公平であり、早急に是正されなければなりません。このことは、社会保障制度審議会の大河内会長も厳しく指摘しているところであり、年金問題を考えるとき、国民全体として公平感は不可欠のものと論じているのであります。特に、同じ被用者年金である共済年金と厚生年金との間にある官民格差、すなわち、給付水準、スライド問題、遺族年金などの格差は一刻も早く解消されなければなりません。この官民格差の是正こそ年金改革の第一歩でなければならないと思いますが、政府はこれからどのように取り組む方針であるのか、厚生大臣並びに大蔵大臣の具体性ある御答弁を強く求めるものであります。(拍手) また、これに関連して、共済年金に国が支出しているいわゆる整理資源についてであります。この金額は今日までほとんどオープンにされていないのでありますが、昭和五十五年度予算では一体幾らの金額が計上されているのか、大蔵大臣の明快なる御答弁をお願いするものであります。(拍手) 加えて在職老齢年金の不公平に対する強い不満も高まっています。これは、公務員の場合は再就職しても民間企業であればその収入に関係なく年金は全額受給できるのに対し、厚生年金では所得に応じ減額され、または支給停止になるのであります。このことは高年者の再就職の意欲を減退させる要因でもあります。今回の政府案では所得限度額を若干緩和されていますが、当面六十五歳以上の在職者には年金の全額を支給するなど、在職老齢年金を根本的に改革すべきだと考えますが、これに対する厚生大臣の見解をお伺いいたします。(拍手) 第三の問題は、妻の年金権の確立についてであります。現制度では、不幸にして離婚した場合の妻は年金権を失うことになります。長い間の夫婦の協力によって築かれた年金受給資格が離婚によって失われ、老後の生活が不可能になるのであります。このようなケースが最近増加の傾向にあり、妻の年金権の確立に対する要求が高まっています。厚生大臣は、この妻の年金権確立に対してどのように対処されようとしているのか、その方針を明らかにしていただきたいと思います。 次に、遺族年金についてお尋ねいたします。 遺族年金の給付額は基本年金額の五〇%であり、ほとんどの遺族は最低保障によって辛うじて生活を支えている現状であります。遺族年金生活者の生活を守るためには、現行の五〇%の支給水準を少なくとも最低七五%までは引き上げるべきであると考えますが、厚生大臣の見解を求めるものであります。 さらに政府案では、若年単身寡婦に対する遺族年金の廃止が提案されていますが、わが党はこれに対し反対の意思を表明するものであります。このような既得権的なものを改正する場合は、時間をかけて慎重に検討すべきものであり、特に寡婦に対する遺族年金の問題は、婦人の年金権の確立と関連していることからも、適切な調整方法を見出す論議が必要であります。一方的に四十歳未満の子なしの寡婦の遺族年金を突如として切り捨てるということは、政府の独善であり、断じて容認できるものではありません。ましてや年金関係者の意見を聞くことなく、このような改悪案を出す厚生当局の態度については、全く遺憾という以外はありません。私は、断固としてこの廃止条項の撤回を要求するものであります。厚生大臣は撤回する意思があるか否か、明確なる答弁を要求いたします。 次に、保険料について質問いたします。 政府案では、男子の保険料を一・八%、女子は一・九%と一挙に大幅な引き上げを図ろうとしていますが、いまでさえ公共料金等の相次ぐ値上げの中で物価上昇によって苦しい生活を強いられているとき、このような大幅な保険料の引き上げは、勤労者の生活をさらに圧迫することになります。また、社会保障制度審議会でも、保険料の引き上げは国民の信頼を弱めるものとして否定していることを考えるとき、今回は保険料の据え置きをすべきだと考えますが、厚生大臣の見解を求めるものであります。(拍手) これに関連し、保険料の負担割合について、現行労使折半方式を改め、労働者三、使用者七の割合にすべきだとの論議がありますが、これに対する政府の見解をただしたいと存じます。 次に、年金積立金の管理運用の改善について、厚生大臣並びに大蔵大臣の見解をただすものであります。 厚生年金の積立金は昭和五十四年度末で二十四兆円となり、昭和五十五年度予算では二十七兆四千億円に達することが見込まれています。 この積立金は、現在、政府によって一方的に管理運用されており、積立金拠出者である被保険者並びに事業主は参加できない仕組みであります。また、年度積立金の約三分の一が還元融資されていますが、この運営も厚生当局が主体であり、拠出者の参加はきわめて脆弱であります。このようなことは、わが国の共済組合や国際的な先進諸国の例から見ても公正、適切とは言えず、まことに遺憾のきわみであります。 したがって、政府は、長年にわたる年金積立金のこうした一方的管理運用方法を速やかに改め、労働者、使用者、学識経験者、政府の四者構成による民主的かつ公正な管理運用方法に切りかえるべきでありますが、これに対する厚生大臣並びに大蔵大臣の明快なる御答弁をお願いいたします。(拍手) 最後に、政府は、われわれの強い反対によって、厚生年金支給開始年齢の六十五歳改悪を今回は断念したのでありますが、なお附則第四十六条において、次回の「財政再計算の時期に、所要の改定措置が講ぜられるべきものとする。」と明記しています。これは明らかに六十五歳支給への改悪を目指したものと断ぜざるを得ません。このことは、いわゆる官民格差の最大のものと言われている支給開始の五年の開きを半永久的に固定化するものであり、断じて容認することはできません。(拍手) 大河内制度審議会会長も、年金は本来老齢年金が主体である。五十五歳支給の共済年金は退職年金であり、老齢年金ではない。このようなものに国民の税金から補助金を出すことには国民は同意しないと、政府の姿勢を厳しく批判しています。わが国の雇用情勢がようやくにして六十歳定年の実現に向かって歩み出そうとしている今日、雇用政策に対する何らの配慮もなしに六十五歳引き上げを図ろうとするのは無定見もはなはだしいと言わざるを得ないのであります。(拍手) 私は、こうした改悪を断じて許すことはできません。したがって、との附則を削除することを強く政府に要求し、私の質問を終わります。(拍手) 〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
○内閣総理大臣(大平正芳君) 小渕さんの私に対する御質問は、経過的年金の給付を改善するためには、だれにも最低限度の年金を保障する基礎年金制度を確立する以外に道がないと思うが、これを創設する考えはないかということでございました。 世界にも例のない高齢化社会を急激にいま迎えようといたしておりますこと、御指摘のとおりでございます。国民の年金制度に対する関心と期待も漸次高まってきておりますこと、これまた御指摘のとおりでございます。 政府としても、老後生活の支えとなる年金制度につきまして、従来からその改善を図ってまいって、御指摘の福祉年金、五年年金といった経過的年金の水準の引き上げにつきましては、今回の改正案におきまして、昭和五十四年度の物価上昇率を上回る改善を行おうといたしておりますこと、御案内のとおりでございます。 今後の年金制度のあり方につきましては、民社党を初めといたしまして、各方面から種々の御提言をいただいておりまして、政府としては、御提言を参考にいたしながら、現行の八つの制度を前提とし、年金制度が全体として整合性のとれたものになりますよう、政府全体としてその改革に計画的に取り組んでまいる考えでございます。(拍手) 〔国務大臣竹下登君登壇〕
○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。 まず、官民格差の問題でありますが、御案内のように、国家公務員の年金制度は戦前から主として恩給制度をもって行われてきたわけでありますが、それが昭和三十四年に旧制度を現在の共済年金制度に切りかえて今日に至っておるわけであります。したがいまして、確かに厚生年金制度との間に幾分の相違があるということは事実でございます。この相違というものがすべて官民格差だというふうには必ずしも言えないというふうに思っておるところでございます。 しかし、少なくとも公的年金制度であるという一面から共済年金を見た場合には、官民の年金制度の間に整合性を保っていくべきであるということは異論のないところでございますので、そこで、今後とも政府が一体となってこれの検討を進めてまいらなければならぬ。それには、何としましても、基本的諸問題について検討する研究会を早急に発足さして、その研究結果を踏まえながら関係審議会等の御意見も参考にしながら、まさに政府が一体となって検討を進めるべきであるというふうに考えます。 次に、公務員の共済年金の整理資源の問題の御指摘がございました。 まず、正確に示せということでございますので、数字を申し上げます。国家公務員共済組合に対する整理資源は、五十五年度予算で二千四百五十八億円を計上しております。そのうち、一般会計では九百六十四億円であります。地方公務員共済組合に対する整理資源は千百二十四億円を計上しておりますが、このほとんどは義務教育費国庫負担法に基づく負担であります。なお、一般会計の計上分は千百一億円、こういうことになっておるところであります。 これも議員御承知のとおり、昭和三十三年までは、主として恩給制度が公務員の年金制度として存在しておりましたので、それらの旧制度を新しい共済年金に切りかえるに当たりまして、給付計算方法や支給条件、財源負担などすべて旧制度の決まりを踏襲して新制度につなぐこととされたわけでございます。したがって、昭和三十四年を境として、それ以後の期間に対応する年金費用の調達は保険料拠出によって賄い、昭和三十三年以前の期間に対応する年金費用は、それまでの国の恩給支給義務を継承するということで国が負担するということにされておるわけであります。その旧制度期間にかかる費用を整理資源と申しておるわけであります。 次は、年金積立金の管理運用の問題でございます。 たびたび厚生大臣からもお答えがございましたが、安全、確実かつ有利に運用する必要があるというところから、他の政府資金と統合して資金運用部資金において運用いたしておるものであります。 その運用を適正にいたしますために、総理府の付属機関といたしまして、資金運用審議会が置かれておりますことは御案内のとおりであります。この委員のお方には、社会保険審議会及び国民年金審議会の委員の先生に参加していただいておりますので、年金の保険料拠出者の意向も反映されておる、このように理解をいたしております。 以上でお答えを終わります。(拍手) 〔国務大臣野呂恭一君登壇〕
○国務大臣(野呂恭一君) 各公的年金制度間の格差の問題でございますが、特に厚生年金と共済年金との間にある官民格差の問題につきましては、年金制度が制度ごとに沿革を持って発展してきておるわけでございます。一概にこれを平面的に並べて官民格差であると断定することには、私は大変むずかしい問題があると思うのでございます。しかしながら、制度の沿革なり今日までの発展の経過を踏まえながら、御指摘の点も含めまして、厚生年金と共済年金のできる限りの整合性を高めていくことが望ましいと考えておるわけでございます。 第二の問題でございますが、在職老齢年金についてでございます。 厚生年金の老齢年金は、本来、退職後における老後生活の所得保障を目的としたものでございまして、働いている方々に支給される在職老齢年金については、ある程度の支給制限はやむを得ないものと考えておるわけでございます。 今後の在職老齢年金制度のあり方については、社会保険制度審議会厚生年金保険部会におきましても、在職老齢年金のあり方については、当部会において引き続き検討するという御意見をいただいておるわけでございまして、今後、その基本的なあり方について検討してまいりたいと考えております。 次に、妻の年金権の問題でございますが、これもたびたび申し上げておりますとおり、被用者の妻の八割近くが国民年金制度に任意加入していることで、主婦の方々の中で、御自分の年金を取得できるという意識が高まってきていることは、私も十分承知をいたしておるわけでございます。 今後の妻の年金制度のあり方につきましては、わが国の年金制度の基本的な大事な問題でございますから、引き続いて、幅広い議論を通しまして、妻の年金権の確立の問題について検討してまいりたいと考えておるわけでございます。 次に、遺族年金の給付水準の引き上げについての御指摘でございますが、今回の遺族年金の改正に当たりましては、子供のある未亡人やお年寄りの未亡人に手厚い改善が行われるように寡婦加算額の大幅な引き上げを図ってまいっておるわけでございまして、支給率の引き上げにつきましては、今後の検討課題といたしたいと思います。 なお、先ほども申し上げておりますとおり、社会保険審議会等の御意見に沿いまして、子供のない若い未亡人につきましては、年齢の問題であるとか、あるいは就職ができる可能性が非常に強いといったような観点から、遺族年金の支給をしないということにいたしたところでございます。これに対する廃止条項を撤回する考えはございません。 次に、保険料率の問題でございますが、現在の厚生年金は受給者が比較的少ないわけでございまして、給付費もしたがいまして必ずしも多いわけではありませんが、今後本格化する高齢化社会に伴いまして、急速に年金受給者が増加いたしまして、給付費が大きく増大いたしてまいります。長期的には、保険料の負担を相当増加させなければならないという見込みでございます。 こんな状況のもとで、将来の被保険者との間に大きな格差が生ずる、負担の格差ができるということは、年金の制度の上に大変大きな問題でございます。年金財政を将来円滑に運営していくためには、引き上げ幅は適正なものでなければなりませんが、今回提案いたしております程度の負担は、これはぜひとも現在の被保険者にも御負担願わなければならないという考え方でございます。 保険料の労使の負担の割合を変更する問題につきましても、先ほども申し上げておりますとおり、これは費用負担のあり方全体にかかわる重大な問題でございますから、慎重な対処が必要であると考えておるわけでございます。 また、年金積立金の管理運用の問題につきましては、先ほども大蔵大臣からお答えになりましたとおり、資金運用部において統合管理する現行の基本的な仕組みを維持することが適当であると考えておるわけでございますが、保険料の拠出者の意向反映につきましては、極力努力してまいりたいと考えます。 最後に、支給開始年齢の問題でございますが、これもたびたび申し上げておるわけでございますが、将来の高齢化社会を見通しますときに、支給開始年齢の問題は絶対にこれは避けて通れない問題でございます。このことにつきましては、各方面の認識も共通いたしておると私ども判断をいたしておるわけでございます。したがいまして、次回の財政再計算期において真剣に取り組むべき課題であることは間違いございません。そういう意味からこの趣旨の規定を設ける必要があるということでございます。削除するという考えはございません。(拍手)
○副議長(岡田春夫君) これにて質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○副議長(岡田春夫君) 本日は、これにて散会いたします。 午後三時五十五分散会 ————◇————— 出席国務大臣 内閣総理大臣 大平 正芳君 法 務 大 臣 倉石 忠雄君 大 蔵 大 臣 竹下 登君 厚 生 大 臣 野呂 恭一君 農林水産大臣 武藤 嘉文君 通商産業大臣 佐々木義武君 労 働 大 臣 藤波 孝生君 建 設 大 臣 渡辺 栄一君 国 務 大 臣 長田 裕二君 ————◇—————