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91回国会衆議院1980/05/14

法務委員会 第24号

発言数
171
登壇者
23
会派数
4
開催日
1980/05/14

会議録

木村武千代自由民主党

○木村委員長 これより会議を開きます。  木下元二君外三名提出、利息制限法の一部を改正する法律案、横山利秋君外五名提出、利息制限法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。木下元二君。     ―――――――――――――  利息制限法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――

木下元二日本共産党・革新共同

○木下(元)議員 ただいま議題となりました利息制限法の一部を改正する法律案について、提案の趣旨を御説明いたします。  小口消費者金融、いわゆるサラリーマン金融の返済に追われての自殺や一家心中など悲惨な事件が激増して大きな社会問題となり、その規制が国民の強い要求となってから、すでに数年を経ております。  一昨年に発表された政府機関の調査結果等によりましても、異常な高金利、抱き合わせ融資、暴力的取り立て等悪質業者の実態が明らかにされておりますが、この原因は、この種の営業が届け出による自由開業制度であること、営業規制がなされていないこと及び高金利が野放しにされていることなどにあることは明白です。  もちろん、このサラリーマン金融の規制に関しては、十分な行政指導、健全な庶民金融制度の充実育成など総合的対策が必要であることは言うまでもありませんが、特に高金利野放しの現状は看過できない重要な問題であります。  現在、金銭消費貸借契約上金利の最高限は、民事的には利息制限法で元本の多寡により年一五%ないし二〇%とされており、一方、刑事的には出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律で年一〇九・五%を超える場合にしか処罰されないため、貸金業者の中には、この出資法限度すれすれの高利で融資しているものが少なくないのであります。  その上、利息制限法では、契約上制限超過利息は無効とするが、任意に支払ったときはその返還を請求することができないことを定めております。  これでは、債務者の保護にも十分でなく、立法の精神にも反する現状にかんがみ、制限超過利息の元本充当や元本消滅後の利息の返還について、最高裁判所がいずれもこれを認める画期的判決を下したことは御承知のとおりであります。この判例は、サラリーマン金融の被害者の救済に大きな役割りを果たしているのであります。  わが党は、こうしたサラリーマン金融規制に関する抜本的改善策として、別途、小口消費者金融業法案、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律の一部を改正する法律案の二法案を提案いたしておりますが、これとあわせて、ここに本法律案を提案する次第であります。  この法律案は、法定の制限超過利息を支払った場合、元本がある間は超過部分は元本に充当され、充当額が元本額に達して元本が消滅した後は、超過部分は不当利得として債務者は返還請求ができるという最高裁判所の一連の判決の趣旨を立法的に明確にし、経済的社会的弱者である債務者の保護を図ろうとするものであります。  この法律案の要旨を申し上げますと、第一は、任意に支払われた法定の制限超過利息の返還請求ができないとする規定を削ること、第二は、第一と同様の趣旨から、任意に支払われた賠償額予定の制限超過部分の返還請求ができないとする規定を削ることであります。  なお、この法律の施行期日を昭和五十五年十月一日とし、この法律の施行前になされた契約については、なお従前の例によることといたしております。  以上が、本法律案の提案の趣旨であります。何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決されますようお願い申し上げます。

木村武千代自由民主党

○木村委員長 稲葉誠一君。     ―――――――――――――  利息制限法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)議員 私は、提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました利息制限法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  最近いわゆるサラ金による被害が大きな社会問題となっておりますが、その原因の一つに高金利による貸し付けがあります。そこで、高金利による貸し付けを防止し、消費者を保護するためには、出資法を改正して、刑罰の対象となる限度を引き下げるとともに、利息の最高限を超えて任意に利息を支払ったときにおけるその超過部分の返還を請求できることとすることが重要であります。  したがって、この際、高利金融の横暴から経済的弱者の地位に置かれる債務者を保護することを立法の趣旨とする利息制限法についても改正を図る必要があります。  現行利息制限法の欠陥と言われております第一条第二項及び第四条第二項につきましては、すでに、最高裁判所が、昭和三十九年十一月十八日の判決におきまして、債務者が利息、損害金として支払った利息制限法超過部分は残存元本に充当されるという元本充当説の見解をとり、さらに昭和四十三年十一月十三日の判決では、債務者が利息制限法超過の利息、損害金を支払い、それが元本以上となった場合は超過分について不当利得として返還請求することができるとして、債務者の過払い分に対する返還請求権を認めているのであります。  これらの判決は債務者の保護を主目的とする立法趣旨にのっとって、現行の利息制限法の欠陥を是正してきたものであり、これによって、利息制限法第一条第二項と第四条第二項はいわば空文化されているのであります。  いまこそ、消費者金融、庶民金融が普及している一方で、高金利による被害が多発している状況を踏まえ、債務者保護をより徹底させるための措置を講じなければなりません。これが本法案提出の理由であります。  次に、この法律案の内容について申し上げます。  第一に、現行法の第一条第二項を削除することとしております。本項は法超過分の利息の支払いについて債務者が任意に支払ったときは、その返還を請求することができないと規定しておりますが、最高裁判所の判決に基づき削除することが適切と考えるものであります。  第二には、現行法の第四条第二項を削除することとしております。本項は法超過分の損害賠償額の支払いについて債務者が任意に支払った場合にはその返還を請求することができないと規定しておりますが、さきに述べた理由により削除することにいたしました。  そのほかに若干の所要の改正を講じております。  以上が、この法律案の理由及びその内容であります。何とぞ御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。

木村武千代自由民主党

○木村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。      ――――◇―――――

木村武千代自由民主党

○木村委員長 お諮りいたします。  本日、最高裁判所柳瀬刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村武千代自由民主党

○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――

木村武千代自由民主党

○木村委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 KDDの事件について、きょうの午前中の逓信委員会で、百九十人の人に対して一億二千万円ですかの金銭の支払いなり商品券の支払いといいますか、そういういろいろな形で金銭が支払われておるということが報告されたようであります。  そこでお尋ねいたしたいのは、この百九十人というのはどこからどういうふうにして出てきた数字なんですか。これは警察ですね。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 お答え申し上げます。  警視庁といたしましては、KDD疑惑にかかわりがあると言われておりました交際費五十八億余円につきまして、その使途を解明しまして、その中に刑事責任を問うべき事実があるかないかということでこれまで捜査を遂げてまいりまして、その過程におきまして、それぞれ刑事責任を問うべき事実があると認められたものにつきましては、それぞれの手続をとったことは御承知のとおりでございますが、その五十八億余円の使途を解明しました結果、KDD関係から押収しました書類あるいはKDD関係者の証言から、政治家に渡ったと見られる額ということで午前中刑事局長が答弁申し上げましたような数字を申し上げたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、この百九十人というのはダブっている人もおるわけですか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 絶対数というふうに聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 この一億二千万円という金は、これは国税庁にお聞きした方がいいかもわかりませんが、五十八億の使途不明金のうちのほんのわずかなものですね。そうすると、この五十八億の使途不明金に対する課税は今後どういうふうにして行うわけですか。

西内彬国税庁直税部所得税課長

○西内説明員 お答えをいたします。  質問の通告を受けておりませんで担当官がいま参っておりませんので、後ほど呼びまして答弁をさせたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いや私の聞くのは、いまどうこうというのじゃなくて今後どうするかということを言っているわけです。フランスの場合なんかは非常に高い特別な課徴金みたいなものを課していますね。それが日本にそのままでいいかどうかは別なんですが、この使途不明金を課税の対象として今後どういうふうに調べていくのかということをお尋ねしているわけです。いまどうなっているかということを聞いているわけじゃありません。じゃ後であれしてください。  そこで、いま一億二千万円の数字が出てきましたね。それが百九十人という絶対数の政治家ですか、そうすると、この一億二千万円の中でまず考えられるのは、百九十人の人に対して事情聴取をしたわけですか、あるいは事情聴取という形でなくて上申書で間に合わすものもあるでしょうね。そこはどういうふうになっていますか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 これは、先ほども申し上げましたようにKDDから押収した書類上に名前が載っておって、かつ担当者がその方にお渡ししたという説明のあったものについてその累計を申し上げたわけでありまして、この事柄自体は御承知のように直ちに刑事責任を問うべき事実ではございませんので、その関係で相手方に渡った政治家についての事情聴取はいたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いや、直ちに刑事責任を問えるかどうかは調べてみなければわからぬことで、帳簿なりあるいはKDD側からそういうふうなものが出てきた以上、その中に刑事責任を問えるものも出てくるかもわからないわけでしょう。出てこないかもわかりませんよ。それを片一方だけを調べてもう刑事責任を問えないのだと決めてかかってしまったこと自身、ちょっと捜査がおかしいぞ。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 先ほど申し上げましたように交際費が五十八億ということで使途不明金が五十八億ではございませんが、交際費の対象となりました五十八億の使途を解明しまして、その中で刑事責任を問うべき事実があるかないかということで警察は対処してまいったわけであります。  その過程で、金の流れの中でこのような事実が判明いたしましたので、それをお話し申し上げ九ということでありまして、政治家に流れた金のすべてが刑事責任を問うべき事実というようには把握しておりませんし、関係の記録なりあるいは関係者の証言なりでその辺は十分判断した上で、その政治家に関連して刑事責任を問うべき事実はなかったというように最終的に判定をいたしておるわけでございます。  しかしながら、その過程でこのような事実が判明いたしましたので、警察は捜査機関でありますが、その捜査機関としての限界を踏まえながら、関係者の人権にも配慮しつつ、なおかつ捜査の必要をも考慮してその範囲内で、国会で再三御論議になっておるわけでありますから、その御論議におこたえできる形の中で言えるものは何かという形で検討いたしました結果、けさほど局長が答弁いたしましたような内容の事柄を申し上げたわけ  でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いや私の言うのは、何も百九十人全部が刑事責任を問えるものだと言っているわけじゃないですよ。パーティー券を買ってもらったって、それで刑事責任を問えなんというのは無理で、それから商品券をもらったって、もらったものなんかいろいろあるし、現金をもらった者も相当あるわけですね。だから、そういう中で刑事責任を問えるか問えないかということの調べをもらった側についてしてから、初めて刑事責任を問えなかったというなら納得できるけれども、それをやらないでいて一方的にKDD側の言い分だけでこれは刑事責任を問えない、だからというので終止符を打ってしまうというのは捜査の常道としておかしい。これはだれが見ても疑問を持たれるのではありませんか。  それは、百九十人全部を事情聴取しろと言っているわけではない。これは上申書でいいものもありますよ。いいものもあるから、それはやはりそちら側を調べて初めて結果が出てくるので、それを調べないでいて結論が出ましたということは、これは納得できぬ、こう私は言っているわけですよ。  だから、あなたの答えの中には、百九十人の人の中にはそれは事情聴取した人もいるし、それから上申書で済ました者もいる、あるいはそこまでいかないであれした人もいるというようなことなら、これまた一つの答えになってくるのでぼくは了解するのですが、全然調べないでそういう結論を出してしまったということについては――調べるという言葉はちょっとまずい言葉ですね。事情聴取という言葉にしましょう。それで結論を出してしまったというのは理解できないのだけれども、何かあなたの話を聞くと必ずしもそうでもないようですね。国会でいろいろ問題になったことについてはその点を踏まえてやったというようなことで、国会で問題になったような人のことについては事情聴取というかそういうふうなものもした、こういうことも含んでいるのですか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 再三申し上げますように、この事件はそもそも五十八億に上る巨額の交際費の使途が話題になった事件でございます。したがいまして、その使途を解明する中で刑事責任を問うべき事実があるかないかということに努めてまいったわけであります。現在も努めつつあるわけでありますが、その過程の中で関係者の証言等を総合して、政界に流れた金の流れの中で、これに関連して刑事責任を問うべき事実があったと証拠上認定できるケースはなかったというふうに私ども報告を受けておるわけでございます。  そうではございますが、このKDD疑惑と称せられるものの中には、単に刑事責任の有無の存在にとどまらず、ただいま御議論になっているような事柄につきましても種々国会の論戦を通じて話題になっておりましたので、捜査機関としての限界を踏まえつつ、なおかつ関係者の名誉等にも配慮しつつ、言える範囲で言えることを言おうということであのようなことになったのでありまして、その辺を御理解いただきたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、いまあなたの方で刑事責任を問うというのは、最初言っている前段は、KDD側の刑事責任を問うという意味ですね。それは業務上横領ということについて言っているわけでしょう。  それから、国会の中でいろいろあったということについては人権を配慮しながらやったということですが、そうすると、これは一番大きな問題は、昭和五十三年の五月二十五日ですか例の「山崎」という料亭から「口悦」というのか、そこで板野社長と当時の郵政大臣とが二人きりで会ったということですね。この点については、人権を配慮しつつ、とにかく事情聴取したことは間違いない。その点については、あなたの方は質問者の方で常識的に判断してくれ、こういうことですか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 警視庁においては、まさに御指摘のような事実も踏まえて、そういう点が関心を呼んでいるという事実を踏まえて捜査に当たったことは事実でございます。しかし、その過程でどのような方々を調べたかというような事柄については答弁を御容赦願いたい、そういう趣旨でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 あなたは調べたと言うからおかしいのよ。ぼくも調べたという言葉をちょっと不用意に使うからそれを注意しますが、調べたと言うといかにも被疑者を調べたように聞こえるので、それは参考人として事情聴取したということならばそれは事情聴取であって、別にどうということないので、だから私は、いま事実を指摘しているわけですね、五十二年五月二十五日の二人の会談。この会談については警視庁としても非常に重視をしたということで、その結果これは刑事責任を問われるほどのものではない、両方の刑事責任、業務上横領じゃないですよ、その他の刑事責任を問うべきほどのものではない、こういうことになった、こういうふうにお聞きしてよろしいですか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 証拠上判断してそのような判断をいたしたということであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 だから証拠上判断するということは、くどいようだけれども、両方の言い分を聞かなければ証拠上の判断はできない、これは捜査の常識だ、こういうことでしょう。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 警視庁としては、その解明をする過程の中でやるべきことはやったというように私は感じております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、百九十人の名前は発表するしないは別として、何か内訳を発表していましたね。金が幾らだとか、商品券が幾らだとか、パーティー券が何とかとか、逓信委員会で発表していましたね。それは、その名前は警視庁としてはわかっている、わかっているけれども、それを言うことは勘弁してほしい、こういうことにお聞きしてよろしいですか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 帳簿上なりあるいは関係者の証言でそのようなことは出ているわけですけれども、そのような事柄について捜査機関としてこれを公にするということは一切考えていないということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 公にすることをしないというなら、百九十人という数字を発表しなければいいわけですよ。これを発表するから、この内容は何だということになってくるわけです。このうち一番重要なのが五十三年五月二十五日の会談だということになってくるわけですね。  いままでのあれで大体わかってきましたけれども、この会談というのは料金の問題、人事の問題、奈良県の何とか建設への発注、あの問題をめぐっての会談である、こういうように思うのですが、この会談があったということは佐藤陽一も認めているわけでしょう。それから板野氏もこの会談があった事実は、また片方の人も会談したこと自身は認めているわけですか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 その辺は具体的な関係でございますので、御答弁を遠慮させていただきます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 別に具体的でも何でもないでしょう。ただぼくが聞いているだけの話だから、あなたは、そうならそうですと言えばいいので、簡単じゃないですか。否定はしない、こういうことですね。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 毎度繰り返して申しわけございませんが、個別の事柄でございますので、その事柄について否定も肯定もでき得ない立場にあるということで御理解いただきたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 だから、否定も肯定もでき得ない立場にある、そういう苦しい立場にあるということを理解してくれ、こういうふうに承ってよろしいですか。ちょっと答えてください。そういう苦しい立場だということをはっきり言ってください。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 苦しい立場ということではなくて、私どもの立場上そういう言い方しかできないということであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それでは、警察に聞いてもあれですから法務省にお聞きをするのですが、刑事局長、このKDD事件の捜査というのは目的を達した、こういうふうにあなたは考えておられますか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 目的を達したか達しないかということになりますと、その目的が何であったかということになろうかと思います。  したがいまして、達したとか達しないということもお答えしにくいわけでございますが、いわゆるKDD事件全般につきましては、警視庁と東京地検におきましてそれぞれ協力いたしまして鋭意捜査を続けてきて今日に至っておるわけでございます。したがいまして、力が及ばなかったというような御批判もあるいはあろうかと思いますけれども、私どもの立場といたしましては、最大限努力をしたという意味においてはそれなりのことをしたというふうに御理解をいただきたいわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 力が及ばなかったという話がいまありましたけれども、だれが力が及ばなかった、そんなことを言っているの。だれがそんなことを言うんだ。どうなの刑事局長。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 いや、目的を達したかどうかというお尋ねでございますから、達しないという見方に立てば努力が足りなかったということをおっしゃったのではないかというふうに理解したわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それは目的の解釈ですが、そこで力及ばずしてということがあなたの話にあったのだけれども、力及ばずしてじゃなくて、この事件は初めから力を出さなかったのじゃないですか。  ぼくは予算委員会で言ったでしょう。この事件は最初からおかしい、おかしいというか問題だということを言ったでしょう。東京税関から東京地検に告発がありましたね。それは税関の場合は、特別司法警察職員の職務を行う者かな、あれは関税法違反しかできないんでしたかどうでしたか。一般の方もできるんでしたかどうでしたか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 お尋ねの告発は、関税法に基づく税関職員としての告発ということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 だから、告発だから検察庁に対して告発するわけでしょう。告発があるかないかというのは、その告発の前で検察庁と告発当局が大体打ち合わせをしてやっているはずですよ。だから検察庁は、この事件の内容については聞いているはずですね。聞いていて初めて書類を受け取るわけですよ。  そこで問題になってくるのは、この書類は恐らく、そんなこと言っちゃ悪いけれども、税関の人のとった書類だからいろいろなことがいっぱい書いてあったと思うんだな。とにかく何でもかんでもみんな書いちゃうから、いっぱい書いてあったと思うのです。それで、なぜ特捜部がやらなかったかということですね。これはぼくは釈然としないのですよ。だから、関税法違反ではあるけれども関税法違反だけで済むのではない。関税法違反から業務上横領になり、会社犯罪になれば使途不明金が出てくる、それから贈収賄になってくるということになってきて、初めて特捜部の使命というか、それが出てくるわけですね、普通の場合。それを書類上の判断と、税関当局の説明や何かを恐らく特捜部は聞いたに違いないわけですよ、聞かないであれするわけにいきませんから。  そこで、なぜ特捜部が直接やらなかったかということですね。これはぼくはどうにも理解できないのですね。ということは、初めからこれは贈収賄にならないぞという先入観というか、それを持って本件を見ておったのではなかろうか、こういうふうに思うのですが、そこはどうなんですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 お尋ねの点は再々稲葉委員からお尋ねを受けているところでございますが、お答えもまた同様なことになるかと思いますけれども、いまお尋ねの中で、当初は御案内のとおり成田におきますいわゆる密輸という形で事件が始まったわけでございますから、その時点でどういうふうに発展するかということは予測もつかない事柄であったわけでございます。ただ、いろいろと細かい物が相当多数密輸といいますか手続を経ない形で購入されておるということは、その時点では当然わかっておったわけでございますから、そういうことで相当、細かいという言葉はどうかわかりませんけれども、手間がかかる事件である。  そうなりますと、地検といたしましては手も必ずしも多くないということもございますし、警視庁の方において一次的に捜査をされるのが適当であろう、こういう両者の協議の結果、そういう体制で臨むということになったというふうに理解しており、前々からそのようにお答えを申し上げておるわけでございまして、当初から先の先まで見通しを立てて、こういう見通しであるから検察庁はやらないとか警視庁にやらせるとか、そういうようなことはその時点では客観的にもできないことでございますし、そういうことは考えていなかったはずでございます。  なお、申すまでもございませんけれども、従来、最近の例として地検自体が独自で捜査した事件も少なくないわけでございますけれども、たてまえといたしましては、申し上げるまでもなく警察におかれましても一次的な捜査権をもちろん持っておられるわけでございますから、何が何でも地検がやらなければならぬということでもないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それは一応の説明としてはわかりますけれども、私が聞いている範囲のこととは大分違うんで、どうも私としてはその点納得できないのですね。  それから、目的を達したかという私の質問に対して、何か残念ながら力及ばず目的を達しなかったというようなことをあなたは言われたのですが、力及ばずというんじゃなくて、たとえば板野氏の逮捕が、これは最初の人の逮捕から見ると百七十何日たってからでしょう。その間証拠隠滅はありとあらゆる形で行われておって、板野氏の逮捕は、しかもこれは偶然かどうか知らぬけれども、何か衆議院の予算の成立を待って逮捕したんだという説もあるんで、これはちょっとぼくは考え過ぎだと思いますから、それは信用しませんよ。ただ事実としてはそういうふうになるらしいんだけれども、板野氏の逮捕が非常におくれておるわけですね。業務上横領ならそんなに長くかかるわけありませんよ。  実際問題として、全部のものが固まらなければ逮捕できないわけじゃないのですからね。みんな普通の人の場合には一部で逮捕して、一部起訴でどんどんやっているのですから。こういうことは、いわゆる高官か何か知らぬけれども、社会的地位のある人になると法律的な扱いだな、純粋に法律に従った扱いをするのですね。これは逆に理解できない。だから、後から私判決でも話しますが、広島高裁の松江支部で判決が出たでしょう。町長と助役のあれなんかはそうでしょう。警察は事件を送りやしない。検事は不思議に思って電話したけれども、警察が送らなかった、はあそうですが、それで終わった事件があった。それで、広島高裁松江支部でいろいろなことを言われて公訴棄却になったじゃないですか。  そういういろいろなことがあるのですが、板野氏の逮捕がどうしてあんなふうにおくれたのか、これは国民のだれもが持つ疑惑ですよ。これは前の人が逮捕されたときにも一週間か二週間たてば逮捕できるはずですよ。それは事件の内容にタッチしてないのにそんなことを言っちゃおかしいのかもわからぬけれども、普通のやつなら帳簿を見ればわかるわけです。片方がまだ身柄が二十日間の勾留中に次の者を逮捕していかなければ、証拠隠滅が行われるのはわかり切っているのですからね。だから、板野氏の逮捕が非常におくれている。前の人の逮捕から百七十何日たってからじゃないですか。そういうことはどこに原因があるのですか。実におかしいですよ、この捜査は。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 捜査に時間がかかり過ぎるではないかというお話でございまして、それは結果的には長い時間かかり、しかもいま御指摘のように板野逮捕の着手が遅過ぎるではないか、タイミングが合ってないじゃないかということも、結果的にはその御批判を受けるような結果にはなっているわけですけれども、しかし警視庁としては、懸命に押収した書類の分析なりあるいは関係者の取り調べを進めまして、いわばその結果板野逮捕にたどりついたわけでありまして、意図的におくらしているとか捜査の方法でかげんをしたとか、そのようなことは決してないわけであります。  全力を尽くした結果、しかしあのような結果になったということでございますので、その辺についてはひとつ御理解賜りたいと思うのです。ただ、それが長過ぎたじゃないかと言われれば、結果的には確かに時間がかかったことは事実であります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 ただ私が言うのは、業務上横領の場合、しかもこれは非常に細かい横領がいっぱいありますよ。つまらないと言っては語弊があるけれども、これが会社の社長のやることかと思われるようなみっともないようなのがあるわけね。だから、そんなのを一々じゃなくて主なものだけ最初につかまえて、それだけで逮捕していけば証拠隠滅なんか行われないわけですよ。それが非常におくれているのですね。  だから、これは世間の一部では、後藤田君がいろいろな指令を出しているんじゃないか、そんなことを、国家公安委員長がこの程度の事件に指令を出すこともないと思いますが、後藤田君のことだからやったのかもしれぬけれども、そういうふうに世間で見る人、いわゆる評論家もいるわけだ。評論家というのは日本に多いから、そういう人もいるんだけれども、ぼくはその点はおかしいと思っているのです。この前の人が逮捕されて二、三週間後に板野氏が逮捕されなければ筋としておかしいとぼくは見ていたのですよ。だが、これは非常におくれた。予算の成立を待って逮捕した。その間に何が行われたか。これは証拠隠滅がめちゃくちゃに行われているわけです。これは非常におかしいと思うのです。それが一つ。  それから、板野氏を勾留を延長してやっていたわけでしょう。それで検察庁は接見禁止でやりましたよ。そこで、警視庁から送ってくる書類が業務上横領の数が非常に多いからおくれて、検事が余力で、いま刑事局長が力が足りなかったという部分に対する捜査というのはほとんど行われなかったんじゃないですか。二、三日行われたというようなことをちょっと聞いているけれども、そこに主眼を置くんだったんだろうけれども、その点は一体どうなんですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 先ほど私が申し上げたことで、力が及ばなかったとかなんとかいうことについていろいろと御指摘を受けておりますが、それは午前中たまたま他の委員会で、KDD事件の捜査が終局に近づいたのはどうも国民として納得できないというような御発問もございまして、そういうことが頭にあったものですから、御批判としてはそういう見方もあるであろう、こういうことで申したわけでございます。  なお、いま御指摘のように、検事が余り捜査に日数がとれなかったかどうかということでございますけれども、これも結果論でございますから、いろいろな見方、御批判があろうかと思いますが、先ほど警察の方からも御説明がございましたように、板野氏の逮捕事実、勾留事実につきましては大変細かいものの積み重ねであったわけでございます。それだけに関係書類の点検なり分析というものについて手間もかかり手数もかかったということでございましょうし、また送致を受けました検察の立場におきましても、それを一々また再点検いたしまして、起訴できるもの、また起訴しがたいものというより分けをする作業が相当かかったことは事実でございます。しかし、それはそれで、それぞれの担当と申しますか一人でやっているわけではございませんので、そのためにやるべきことがやれなかったというふうには考えていないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 この程度の事件なら、検察庁は送致を受けて、恐らく追送追送でくるのでしょう、警視庁から。恐らくこういう事件ではそうだと思うんだ。だから初めの二つ、三つの事件で、一般の人の場合は一部起訴ですよ。一部起訴しておいて、それで起訴した後に時間があるからゆっくり次のを調べているのですよ。みんなそうですよ。一般庶民ならそういうふうにやられているんだよ。こういう地位があるからというのでそれをやらないというのは、ちょっとおかしいと思う。  だから一部起訴でいいわけですよ。一部起訴しておいて、時間がうんとあるんだから、その間にいまのこの百九十人の問題、使途不明金の問題は、これは検察庁やるべきですよ。警視庁、そんなこと言ったら悪いけれども、二課長いて悪いけれども、警視庁では無理よ。そんなことを言ってはあなたに悪いけれども、それは無理だよ。こういうのはやはり検事がやらなければだめよ。特捜と警視庁と仲が悪くてけんかばかりしているけれども、それはけんかしていいのよ。こういうのは検事がやらなければだめなんですよ。そういう点がさっぱりやらないんだな。だから、検事としては一体業務上横領のそんな足みたいなことを一生懸命調べて、そんなことは副検事か事務官にやらせればいいんで、特捜の検事としては、その使途不明金があるなら、使途不明金が百九十人に流れたとするならば、それが一体刑事責任があるのかないのか、あるものもあるし、ないものもあるだろうしということを疑惑を明らかにするのが、これが特捜の検事の仕事ですよ。その百九十人で一億二千万円のこのことについては、検察庁としては全然ノータッチだったんですか。何もしなかったの、この点については。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 お尋ねの、まず百九十人について幾らの金額が流れたということの御報告でございますが、それはけさほど警察庁の方で逓信委員会で御報告があったということでございまして、私ども詳しくは聞いて――詳しくはというよりも、むしろ率直に言って聞いていないことでございますから、その内容につきましても私からお答えをいたしかねる状態にあるわけでございます。  それから先ほど来、こういう事件は検察庁の特に特捜部の検事がやるべきであるし、またそうでなければやれないと、検察官に対して過分なお言葉をいただいたわけでございますけれども、反面、警察の捜査能力につきましてまた御批判めいた御意見もあったやに伺ったわけでございますけれども、警視庁におかれましてもそれなりのお力を持っておられるというふうに私どもは見ておるわけでございまして、この事件の従来の経過からいたしまして、警視庁をいわば第一次的な捜査の立場ということで進めてきたわけでございますから、そのことについて特に不都合な点があったとは考えていないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 百九十人に一億二千万円の金が流れたということ、これは法務省としてはきょう初めて知ったのですか、それが第一点。  それから、東京地検としてはこれはいつごろ知ったのです。おかしいな、これ。そんなんじゃ国民は納得しませんよ。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 率直に申しまして、私自身は先ほどのここへ参ります直前のニュースで知った状態でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 あなたが知ったのはわかったけれども、東京地検はどうなんだろうと聞いているんだよ。東京地検もきょうのニュースで知ったのかい。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 東京地検がどの程度聞いておったかということも私は聞いていないので、いまここでは申しかねるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それはおかしいですよ。その点が一番大事なんじゃないですか、この事件は。業務上横領なんてどうだっていい。どうだっていいと言ってはおかしいけれども、どうだっていいよ、こんなものは。そんなものをわれわれ、やれとあなた方に期待しているわけじゃないですよ。  この百九十人に一億二千万円の金が流れたというのならば、これは警視庁から早急に東京地検の方に報告して、東京地検は、身柄を確保している段階においてこの問題について徹底的な捜査をやらなければならないはずですよ。捜査をやって、そしてそれが事件にならなかったというのなら、ぼくはそれはしようがないと思うよ、捜査のやり方にもよるけれどもね。それを全然警察でも、KDD側、片一方だけ調べて、百九十人の方は何か調べているような調べてないような、わけのわからぬことを言っているけれども、それと同時に、この問題、このことについて東京地検が全く何もしなかったということでは納得できませんよ。いつごろ知ったのか、一体何をしたのか、すぐ電話かけて地検の特捜部長に聞いてくださいよ。次席の川島君でもいいや。だれだったか特捜部長は。吉永君か。彼は警視庁からぼろくそに言われているな。しょうがない、仲が悪いのはあたりまえだから。警視庁と仲悪くていいんだよ。それは聞いてごらんなさいよ。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 先ほどの逓信委員会での御報告の内容は、警察からのお話でございますと、警視庁の判断でそういう事実が認定されて、そのことを警察庁から御報告になったというふうに理解されるわけでございます。したがって、警察の捜査、広い意味の捜査でどのようなことがあって、どのような理由でそういう判断になったかということにつきましては、私自身よくわからない点もあるわけでございます。また、警察庁がどういう観点からどういう趣旨でそういう御報告をしたかということも、事前には聞いていないわけでございますので、よくわからない点がございます。  なお、いま地検に聞いてみろというような御指示もございましたけれども、私は、少なくともいまの時点でそういうことは地検としては詳細には聞いていなかったというふうに申し上げてよろしいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 どうもよくわからぬな、あなたの話は。また法務省と東京地検というのは、これまた仲が悪いんだよね。仲が悪くていいんだけれども、地検はぶつくさ言っているな、法務省のことに対して。わかりもしないで何だかんだいろんなことを聞いてきてうるさくてしようがないと、こう言っているな、地検の特捜部の方では。まあそれはいいや。  そうすると警視庁は、いま百九十人、一億二千万円というのはいつごろわかったの。これがまず第一点。このことは大分前にわかって、そのことを東京地検の方には一体報告したのかしないのか。したとすれば一体いつごろ報告したんだ。これはどうなっているんだ。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 ただいま御指摘の点について東京地検とどのような連絡状況にあるかというのは個個具体的には把握しておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、交際費の使途の中で刑事責任を問うべき事実があるかないかという事柄につきましては、警視庁が主体的に捜査を進める傍ら、東京地検とも連絡をとりながらやっておるわけでございますから、その中で必要がある範囲でその都度この種の事柄についても、こういうようにまとめた形では、いっているかどうか別ですけれども、当然御連絡はとりながらやっているというふうに私どもは理解いたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 当然連絡をとりながらやっているのじゃなくて、いつ、この百九十人、一億二千万円ということについて警視庁としては東京地検のだれに連絡をしたのか、これははっきりさしてごらんなさい、まだ質問時間があるから。そしてそれに対して東京地検は一体どういう態度をとったのか、これは法務省の方で調べてごらんなさい。だれか行ってすぐ聞いて調べなさいよ。そんなのわけないんだから。こういうことをほったらかしておいてはいかぬ。これは初めからどうも――だから浜田幸一氏にも言われるんだよ。指揮権発動だなんて、何だかわけのわからぬことを言っている。マスコミと協力して指揮権発動だなんて言っているけれども、マスコミがどういうふうに協力したのかちょっとよくわからぬけれども、そんなことを言っている。浜田幸一氏は何だか変なことを言っている。「検察とマスコミの妥協」だなんて言っている。何だろう、これはよくわからぬ。「服部なんかが逃れたのも絶対指揮権の発動だよ。あれは検察とマスコミの妥協、そして皆の目を外らすために使われたのがこのボク。」これはどうかと思うけれども、わからないけれども、そんなことを言っているのですが、そこら辺のところ、この事件は非常におかしいというか、ぼくは納得いかないのが多いのですよ。  それから、板野氏の保釈に対しては一体検察庁はどういう意見をつけたのですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 結論といたしましては、しかるべきという意見をつけたように聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 どうしてしかるべきなんだ、これは一体。たくさんの横領があるわけでしょう。将来まだ出てくるかもわからぬ。余罪があるということでは保釈の求意見にならぬことはわかるけれども。だって常習でしょう、業務上横領がたくさんあるんだから。たくさんあればこれは常習でしょう。刑訴の八十九条かあの条文でいったって、常習としてあれだということで不相当の意見がつけられるでしょう。だから本当にやる気があるならば不相当で、そして保釈に対して準抗告なりそういう形の中で逮捕なり勾留を継続していて、この政界への問題に対して東京地検がメスをふるわなければならないんじゃないですか。そういう点を全くやってないで、しかもしかるべきなんという意見をつけるなんて――それなら、一般の人に対してもそういう意見をつけるならいいですよ。話はわかる。そうじゃないのです、一般の庶民はそういう形をされてないんだから。いわゆる会社の社長とかなんとか、こういう者に対しては純法律どおりやるんだな。これは実にやり方がいかぬ、ぼくはそういうふうに思いますね。  なぜそういう意見をつけて準抗告をしないのか。なぜそれを継続する中でこの問題についての捜査のメスを入れないんだ。それが検察庁の仕事じゃないですか。特捜部はほかの仕事なんかない、率直な話。汚職と選挙違反ともう一つ脱税、この三つだけです、特捜部のやることは。いま検事が二十何人いるのでしょう。それで検事は生きがいを感じているんじゃないのですか。そんな業務上横領だとかなんとかやって、警察の調べたものを壁塗りして、そんなことで検事が生きがいを感じているわけはない。みんなこれはがっくりしているに違いない。この前小佐野賢治を逮捕するかしないかのときに、検事が非常に泣いて憤慨したという話もいろいろある。それは別の事件になるから、余り横へそれるといけないけれども。これは初めから、もっと徹底的にやるという気魄がないですよ、東京地検に。だから、記録を見たときに吉永君たちがもうあっさり見通しをつけちゃったんじゃないですか。どうせこれは業務上横領どまりだ、だからもう特捜部には行きっこない、だからこれは警視庁にやらせておけというようなことになったんじゃないですか、ちょっと言葉は悪いけれども。あなたもそう言われてそうですとも答えられないから、これ以上聞かぬけれども、どうもわからぬ。  だから、いつごろ、百九十人、一億二千万というのが警視庁から東京地検へ連絡されて、東京地検がこれに対してどういう態度をとったのか、これは時間の終わるまでに連絡してください、一番大事なところだから。それをはっきりさせなければ、本件についての国民の疑惑は晴れないですよ。どうもぼくは納得いかぬな、本件については。  それから大臣にちょっとお聞きしますけれども、後で私は浜田幸一氏や宇野亨氏の選挙違反のことを関連して聞きたいものですから、大臣にちょっとお尋ねをしておきたいのです。  これはどういうふうに聞いたらいいのか、なかなかむずかしいのですが、浜田幸一氏が議員を辞職され、ましたね。それに対して大臣としては、これは非常に潔いことだというふうに思われますか。

倉石忠雄自由民主党法務大臣

○倉石国務大臣 別におっしゃったように潔い行動だと特別に感じたことはございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、どういうふうな行動だと思ったのですか。当然のことをやったというふうに思ったのですか。

倉石忠雄自由民主党法務大臣

○倉石国務大臣 これは事件というものが、どういう事件に浜田君が関係しているのかということ、実際のところなかなか私どもも会得しがたい点がありますので、とかくのことを申し上げることは御遠慮しておるわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 浜田氏が議員を辞職された。ところが、収賄罪で刑事被告人になっている人がいるわけですね、議員でも。相当な大官もいるわけでしょう。そういう人たちはさっぱり辞職しないですね。これはどうなんでしょうか、あなたにとっては、これは少しおかしいじゃないかというふうに思わないですか。

倉石忠雄自由民主党法務大臣

○倉石国務大臣 普通の友人関係のある方が多いものでありますから、私もなるべく口を慎んでおるわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いや、それは聞かれないことには口を慎んでもいい、聞かれたことには口を慎んではいけないのですよ。口を慎まないでしゃべっていいのですよ。友人関係が多いって、だれのことを聞かれたと思ったのですか。

倉石忠雄自由民主党法務大臣

○倉石国務大臣 一般的にいまおっしゃった方々のことを念頭に置いて申し上げたわけでありますが、浜田幸一君が今度フランスへ行きましたのは、私は新聞で見ただけでありますが、これは個人的な出張でありますので、御存じのように国会議員を辞任しておるわけでありますから、ことに法務大臣という位置におりますので、そういうことについて私がいろいろな場所で私の感想を述べるということは御勘弁願いたい、こういうつもりでやっておりました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そこで、いまお話をした中で、KDDの事件について指揮権を発動したとかしないとか――指揮権なんか発動したとぼくは思っていません、指揮権発動なんてそんな簡単にできるものじゃありませんから。それは世間で言う常識的な指揮権発動というのと違いますから、だから法律的な指揮権発動なんてできるものじゃありません。  ただ、いま私がお話をしたように、東京地検に告発されたものを東京地検で取り扱わないで警視庁を中心にしてやらせた。それから、途中政治家に渡っている金がわかっているわけですね、それに対して地検として手を打ったのか手を打たないのか、調べたのか調べないのか、全くわけがわからぬ。こういう形ではどうも国民は理解できないんじゃないか、こういうふうに私は思うのです。  百九十人の人に一億二千万円の金が渡っているということは、きょうの逓信委員会でもしゃべっているわけですよ。百九十人の人というのは政治家だという意味ですよ。現金が行ったのもあるし、それから商品券が行ったのもあるし、何かいろいろな物が行ったのがあるというわけですね。そういうことを考えると、それらについて犯罪になるものがあるかもわからないのですよ。だからそういう点を、やれと言うのも指揮権発動になるし、やるなと言うのも指揮権発動かもわからぬけれども、とにかく全体東京地検としてもっと積極的にこの部分について取り組むべきだ、こういうふうに思うのですが、それに対しては法務大臣はどういうふうにお考えですか。

倉石忠雄自由民主党法務大臣

○倉石国務大臣 いわゆるKDD事件というのが大きく伝えられましたときに、その話を刑事局長から受けまして、先ほど来刑事局長からお答えいたしておりますように、警視庁並びに地検が協力をしてこれはいま捜査を開始しているところでありますということの御報告がありまして、私は、両方とも力を尽くして捜査いたしておるものであると確信をいたしておりますし、それからまた、その結果がこういうことであるという結論ならば、これも専門家たちが集まって検討した結果そうなるならばそれが正当な解答であろう、こう思っておる次第であります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そこで、たとえばこの浜田幸一氏の密着取材というのを見ると、どこまであれかわからんけれども、「自民党のWなんか三百万円もする青磁のツボを議員会館に飾ってたんだから。」と書いてあるね。これはどうしたの。これも自民党のWじゃわからないかもわからぬけれども、Wと言えばそう何人もいないだろうけれども、その点についても、このつぼがどういうふうにしてどうなったのかということについては警視庁として調べたのですか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 御指摘の事実がどのような事実を指すのかちょっとわかりませんけれども、先ほど言いましたように金の流れ、物の流れに関連して必要がある範囲で警視庁は必要な捜査を遂げておるはずでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それと、もうさっき話した百九十人、一億二千万円というのはわかりましたか。いつごろ警視庁の方から東京地検に連絡したか。それに対して東京地検はどういう態度をとったかということはわかりましたか。

漆間英治警察庁刑事局捜査第二課長

○漆間説明員 いま念のために確認はさせておりますが、その一億二千万円、百九十人というものは、まとめを国会で議員の質問に答えてあれするということは、実はけさ急遽持ち上がったことでございますので、恐らくそのことを御連絡している暇はなかったと思うのです。  ただ、その捜査を行う過程の中で政界に流れた金の中で刑事責任を問うべき事実がありやなしやという検討を行う際には、それにかかわりのある事実についてはそれぞれ逐一検察庁とも御相談申し上げて、その結果結論を出してきているわけでありますから、百九十人のすべてについて連絡がいっているとは私は思いませんけれども、その個個の必要のあるものについては、その都度御相談をしながら結論を出してきているというふうに私は思っておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 これは法務省の刑事局長に聞くのですが、そうするとその中で、これはこの前も聞いてちょっとしつこいのですが、五十三年五月二十五日の「山崎」と「口悦」との会談が国民の注視の的であるということであるから、このことを踏まえて警視庁からの報告を受けて検察庁としても対処したに違いない、こういうふうに思うのですが、その点についてはどういうふうに聞いておられますか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 捜査の具体的な内容でございますから余り詳細なことは申しかねる点があるわけでございますが、抽象的に申しますならば、ただいま委員が仰せになりましたようにいろいろと指摘もされ議論もされた問題でございますから、そのことは検察のみならず警視庁においても十分頭に置いて検討もし、広い意味での捜査をしたというふうに承知しておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 広い意味での捜査か狭い意味の捜査か知らぬけれども、もしこの事実について捜査をしなかったら、これは職務怠慢のひどいものですね。だから当然その人を調べた。これは何か連休中に調べたらしいけれども、そういうふうなことが当然あったということも認められたように私も感ずるのです。  そこで、いろいろまだほかに聞きたいこともありますけれども、同じことを聞いてもあれですから別なことについて聞きますが、広島高裁の松江支部で二つの判決が出ましたね。  一つは例の戸別訪問が憲法違反だという判決ですね。このことについては上告しておるわけですから、最高裁で判決が出ればそれに従わなければならないわけですから、そのことをいまここで論議をしても始まらぬわけで、それは最高裁の結論を待たなければならぬ、こういうふうに思いますので、ここで特別にどうこう言うことはいたしません。  もう一つの五十五年二月四日の判決ですね。これは変な事件ですね。これは選挙違反事件でしょう。昭和五十一年八月二十八日に施行された鳥取県赤碕町長選挙ですか、物品の供与、現金及び物品の受供与、酒食の受饗応及び事前運動の各公選法違反であれしていますね。町長の家族ら他の運動員三名とともに略式で起訴されて、被告人が本件選挙違反の主謀者たる町長、助役及び郵便局長が起訴されてないのは不当だとして正式の裁判を請求した。一審はあれして、二審は高裁で刑訴法三百三十八条四号を準用して公訴棄却の判決を下した。こういうわけですね。  この準用のことは法律的に正しいかどうか理論的なことがありますからそれは別として、そこで、この事件について警察は、判決の中にはっきり書いてあるでしょう、町長と助役ですか、これを検察官に送致しなかった、こう言っていますね。「社会的身分の高い町長及び助役について、他の者に比してことさら有利に取り扱う意図のもとに偏頗な捜査を行なったものと言わざるを得ない」こういうふうに判決で示しています。それから「検察官が嫌疑の濃厚な町長と助役について警察に対し事件送致を促すような措置を全くとらず、」こういうふうにも言っておるのですね。  町長は参考人として調べただけ、それから助役については事情聴取さえもしない、こういうふうなことも言っておるし、しかも「警察が「手ぬるい捜査」をしている間に町長を圏外に置く方向での証拠隠滅工作が行なわれたことは歴然としており、」いろいろなことを言われて、しかもこれは接見禁止だと思うのですが、そこで立ち会いもなしに二回も家族に会わしたり何かしておるらしいのです。「本件相被告人たる町長の妻子を、取調べの重要段階で立会人なくして二度も会わせるという「全く理解できない措置」がとられた」こういうことが判決に詳しく出ています。  こういうことを書かれることは異例なんですが、このことを見ても、この選挙違反に対して、問題はいわゆる捜査本部の本部長事件ですね。本部長事件であって捜査二課長が指揮をとった。鳥取の捜査二課長は中央から来た人なのかあるいはそこからあれした人かわかりませんが、指揮をとっておる。いま判決に記載されておるように、町長や助役を送らなかったり、それに対して接見禁止なのに二回も会わしておる。町長が証拠隠滅しておるのにほったらかしておる。こういうふうな事実関係について警察に聞きたいのだけれども、時間のあれがあるから別にして、検察庁は事件の送致がされなかったということについて何か警察へ聞いたことは聞いたのですか。警察へ聞いてそれでどうしたのですか。そこら辺のところをひとつ説明してくれませんか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 御指摘の広島高裁松江支部の判決の中で、いま仰せになりましたようなことがいろいろと指摘されておるわけでございます。  そこで、いま仰せになりましたように公訴棄却の裁判がありましたので、検察官といたしましては上告を申し立てておるわけでございます。したがいまして、まだ裁判が生きておるといいますか係属中の事件でございますから、その内容について申し上げるのはまだいささか早いのじゃないかというふうに思うわけでございますから、その点は御了解をいただきたいわけでございますが、いまもるる仰せになりましたように、一言で言えば警察の捜査について大変批判的な判示があり、また検察官の扱いにつきましては、結論的には意図的な差別はあったとは認められないという意味で、これは違法でないというような判示がなされておるわけでございます。しかしその中で、検察官がいわば安易であったというそしりを免れないというような表現で批判も一部されております。そういうことでございますので、検察官としてもう少し警察に対して事件の把握という点において十分尽くすべき点があったのじゃないかということは考えられるところでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いま上告しているというのは、どの条文で上告しているわけですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 上告理由は御案内のとおり制限されているわけでございますが、事実誤認的なものを前提とする判例違反という形で上告がなされていたように思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それでは「法律のひろば」に出ておる「交渉のための滞留と不退去罪の成否」、これは河上民雄君――和雄君のやつだ。民雄君はこっちの代議士だ。河上和雄君だ。これは三好徹の弟だよ。法務省刑事局公安課長、よくしゃべる人だな。きょうは来ているかな。何だか法務省でよくしゃべるのが三人いるというけれども、三人の中の一人だよ。  この事件はまたおかしい。これはまず第一審で、これは何か病院のあれでしょう、それで要求を受けて不退去罪、刑法百三十条の後段の事件、患者同盟のあれですね、これに対して二人について求刑三月で罰金が各二千五百円ですね。これは検事控訴したのですかしないのですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 いまおっしゃいましたように、その事件につきましては一審で検事の求刑が懲役三月でございましたが、一審の判決では罰金二千五百円という一応有罪の判決があったわけでございます。これに対しましては、被告人の控訴ということで高裁に係属したというふうに聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 聞いておりますじゃないよ。事実関係を調べればわかるんだ。だから、求刑が懲役であって罰金になれば検事控訴するのが普通でしょう。それをしなかったのですが、それはそれとして、今度は高松高等裁判所が昭和五十五年二月十四日に原判決を破棄して両名を無罪にしました。無罪にした理由はいろいろあるけれども、これは確定していますね。どうですか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 おっしゃるとおりでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、これに対しては一体なぜ上告しなかったの。従来の判例と違うということを河上君盛んに書いているのだから、従来の判例たとえば昭和四十三年七月十二日の最判、それとかあるいはその他書いてありますね。だから当然上告していいのじゃないですか、従来の判例と違うとかなんとかということで。上告しなかったのはどういうわけだ。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 具体的事件の処理のことでございますから、その内容について内部の話を申し上げるのは適当でないかと思いますけれども、確かに上告をしようと思えば理屈をつけられないことはないという事案であったと思います。  しかしながら、果たして最高裁で原判決を覆し得るだけの上告理由が述べ得るかどうかということになりますと若干疑義もあったようでございますし、また何分にもこの事件は昭和四十一年の事件でございまして、一審の判決の当否のこともございますけれども、一審で罰金という判決があった、二審では無罪になりましたけれども、一審の有罪にしても罰金というような判決があったということもいろいろあるわけでございますので、そういうものをいろいろ総合勘案いたしまして、あえて最高裁まで持ち出して争うというのはいかがかというような判断がなされたというふうに承知しておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そこで一体、検察庁ことに公安部はこういうような住民運動というか大衆運動に対して非常にへんぱな考え方を持っていますね。  一番いい例がチッソの事件。チッソの川本という人がこの前チッソの本社で暴行したというときの求刑、一審で一年六カ月ですよ。判決は罰金一万円で二年間の執行猶予でしょう。それで被告人控訴でしたね。検事控訴しなかったわけだ。一年六カ月の求刑で罰金一万円ならば当然検事控訴の事件なのに、検事控訴しなかったわけです。それで被告人控訴で、東京高裁の刑事四部か、これは相沢さんのところだ。相沢さんのところでああいう判決が出て、あれは無罪だったか公訴棄却だったか何かの判決が出て、可罰的違法性がないということだったかな。無罪だったか、ちょっとどっちだか忘れたが、いずれにしたってそれはいま上告しているわけでしょう。これは検事の方から上告したのかな、上告していますね。ああいう判決だからなかなかね。それはいいのですが、上告しているので、上告で結論が出るのだと思うのです。今度は川本氏がまた一またと言ってはおかしいけれども、何かどこかで書類をどうとかしたということであれしましたね。これは勾留延長してやって処分保留のまま釈放していますね。これがまた非常に注視の的にいまなっている。  そこで、この事件なんかも病院のことで、だれが見たって求刑三月なんてそんな事件じゃないですよ。百三十条だから罰金刑もあるわけですね。こんなのは不起訴でいい事件です。それを求刑懲役三月して罰金二千五百円になって、検事控訴もしないじゃないですか。それほど求刑三月が正しいと思うのなら、検事控訴したらいいわけなんだ。検事控訴もしないわけだ。それで今度は高裁で無罪になって確定したわけでしょう。  ぼくはこの高松高裁の判決を見たけれども、この裁判長はぼくもよく知っている人です。東京地裁にいた人でりっぱな人です。この人は人権感覚の非常に豊かな人だ。これの判決でいろいろ言っているけれども、それに対してこの河上君、あの人はよくしゃべる人だしよく書く人だからいろいろなことを書くのだろうけれども、それなら検事上告して堂々と争うなら争いなさいよ。それを、そういうことをしないで、この書いてあることは「本判決は、被告人らの逮捕により混乱状態が回復していることを理由として不退去罪の成否の判断に当って重視しえないという没論理的な非常識極まる結論に達している。いわば、悪いことをしても捕まったのだから悪いことをしていないというに等しい判示であり、高裁判決としての権威にかかわるものであろう。」こう言っているのだな。この書いてあることはわからないな。どういうことなんだ、一体これは。「悪いことをしても捕まったのだから悪いことをしていないというに等しい判示であり、高裁判決としての権威にかかわるものであろう。」  だから、高裁判決としての権威にかかわってそれがだめならば、ちゃんと上告して最高裁で、法廷で堂々と争ったらいいじゃないですか。それを争いもしないでいて、こういうふうな個人的な非難のような、個人的非難でないかもわからぬけれども、わかったようなわからないようなことを書いて「没論理的」だとか「非常識極まる結論」だとか、そんなことを言うべき筋合いのものではないでしょう。これは個人の自由だと言えば自由だから、ぼくも余り言いませんけれども、ここのところは意味がわからぬのだ。これはどういう意味なんだ。河上君が来ていれば河上君に聞かなければわからないけれども、来てないからあなたに聞くのだけれども、これはどういうわけなんだ。「悪いことをしても捕まったのだから悪いことをしていないというに等しい判示であり」というのは、どういうことを言っているのか。「没論理的な非常識極まる」どこが「没論理的」でどこが「非常識」なんだ、これは。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 御指摘の論文は河上個人のことでございますから私から申し上げるのもいかがかと思いますけれども、私がその論文を読みましてのその点についての理解は、言いたいことは、この事案におきましては不退去の状態におきまして暴力的な行為があったということ、またその中にはバリケードの構築というようなこともあったというふうにそれ自体は認められておるところでございます。ところが、そのことを不退去つまり滞留の違法性という評価の中で余り重視していないというのが高裁の判決であろうと思います。  その理由といたしまして、バリケードが構築されてもそれは直ちに撤去されておる、そしてすぐに逮捕されておる、したがってそういう状態は解消されたという論法で、したがって大して重視すべきことではない、こういうことから無罪の理由づけがなされておるということでございますので、その点をとらえまして、バリケードを築いたことは重大な暴力的な行為である、それが警察官なら警察官の排除行為によってなくなったからといって、そのことによって直ちにその違法性といいますか暴力性というものが否定されるというのは論理が矛盾しているんじゃないか。要するに、本人の行為があって、それが警察官の方で排除された、そうすると、逮捕されたらいままでやったことがパアになるかというのと同じような論法ではないか、こういうことを言いたかったのだろうと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 あなたが書いた論文ならぼくも聞くけれども。河上君というのはよく書くね。最初に文芸春秋に書いたでしょう。「基地検事奮戦す」なんというのを昔書いたよね。それから警察学論集へ「公訴権濫用理論の濫用的適用について」何かむずかしいことを書いているね。よく勉強しているからあれですけれども。それはそれとして、こういうふうな非難をするなら――ちょっと言葉も法律家として余り品よくないですよ。高裁の権威にかかわるんじゃないのよ。こんな批判をすることは公安課長の権威にかかわるよ。それは個人の自由だからいいと言えばいいかもわからぬけれども。  そこで別のことをお聞きしますけれども、実は国税庁にお聞きするのですが、いま千葉地裁で宇野亨派の選挙違反というものが行われていますね。それから浜田幸一派の選挙違反も行われているんだけれども、宇野氏のやつは起訴事実だけでも一億幾らという起訴事実ですね。所得の申告を見ると千八百二十六万円という申告だね。そうすると一億幾らという金、実際はもっと使ったらしいけれども、一体どこからどういうふうに出てくるのかわけがわからないし、そのことについては当然国税庁としては、判決が進む中においてある程度その結果を踏まえなければならぬかもわからぬけれども、それを見ての中でこの金額というものについては当然検討して修正させるとかなんとかというような措置を講ずべきではないか、こういうふうに思うのですがどうですか。

西内彬国税庁直税部所得税課長

○西内説明員 お答えをいたします。  お尋ねの件につきましては個別事案に関することでございますので、詳細の答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。ただ、国税当局としましては一般に多額の政治資金については関心を持っておりまして、そのために今回報道されておるような、政治活動にかかる費用を上回る収入があり、手元に私的消費に向け得る残高があるというようなことでございますれば課税の対象になるというふうに考えております。  なお一般的に申し上げまして、司法当局が捜査をしておる事案や公判が係属しておる事案につきましては、国税当局としては司法当局の捜査または訴訟の維持を優先して考える立場をとっておりますので、公判の推移等を見ながら、先生御指摘のように必要な事実関係の確認をしてまいりたいというふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それじゃいままでのことを一応終わりにして、実はこれは官房長かな、本来ならば大臣がいた方がよかったんだけれども。こういう話を聞くんですよ。直接本人から聞いたんじゃありませんよ。誤解を招くといけませんけれども。  いま法務省からアタッシェが行っていますね。ワシントンといまはウィーンですか行っていますが、ことにワシントンへ行っている場合に、来るお客さんや何かの接待ね、それは国会議員が来るのが一番多いんだろうけれども、あんなに国会議員に接待する必要ないとぼくは思っているんだけれども、それはあれですが、接待や何かで奥さんが洋服だとか着物だとかをたくさんつくって持って行かないといけないらしいんだね。ワシントンへ行ったとき、ぼくが行ったときは原田君だったからいろいろ話したけれども、いまは渡部君が行っているのかな。そういう人から聞いたわけじゃないのですが、あの大使、アメリカの場合は東郷さんの奥さんがはでな人だったからちょっと例外かもわからぬけれども、とにかく毎日のように宴会で着物と洋服を取っかえて行かないといけないらしい。同じ洋服を着て行くと、あなたはまた同じ洋服を着て来たのか、こう言われるというのだな。外交官の方はそれはなれているからいつも洋服、着物を取っかえて行くのだけれども、法務省から行った人はそうはいかぬからね。何か支度金として二百万円――いま幾ら出るの。とても足りないので借金してかなわぬらしいね、行く人が。外務省の場合はそういうのを三カ所ぐらいやるんだってね。回るから、そうすると金は大体パァーになる、大体浮くようになるのだと、こう言うのだ。だけれども法務省のアタッシェは実にかなわぬらしくて、だれも言えないらしいんだな。現状はどういうふうになっているんですか。また、それに対してどういうふうにしたらいいということなんですか。

筧榮一法務大臣官房長

○筧政府委員 まず初めに、現在法務省から出ておりますアタッシェでございますが、アメリカのワシントン、オランダのハーグ、中国の北京、韓国のソウルでございます。なお、従来ウィーンにおりましたのが帰ってまいりまして、その後はボンに振りかわりになりましたので、七月ごろボンへ行くわけでございます。結局合わせて五名ということになっております。  それから支度金ということでございますが、国家公務員等の旅費に関する法律によりますと、在外へ赴任いたします場合にはもちろん旅費は出ますし、着後手当あるいは移転料等も出ますが、そのほかに支度金というのがございまして、これは当該職員の等級に応じまして金額が定められております。最近私どもの方から若い検事等で赴任しました者の例をとりますと、十五万円あるいは十六万五千円、それに御夫人といいますか配偶者分としていまの額の三分の二が加えられるというのが支度金という形で支給される額でございます。  それで、この支度金の額が適当かどうかということは、いまの旅費あるいは広い意味での赴任旅費、さらに在外で生活いたします場合の給料でございますが、これも在勤俸という形で本俸のほかにそれぞれ赴任地等の事情を考慮して細かく定められております。それらによって在外の職員が生活し職務を遂行するわけでございます。  いま先生お話しのように着物が何枚も要るというようなこと、これも各地の実情で異なるわけでございまして、必ずしも全部がそういうことでもないかと思いますし、そういう例も絶対ないと私の知識で申し上げることはできないかと思います。私個人のお話をさせていただきますれば、私ヨーロッパへ参りましたが、そんなに着物を何枚もつくっておりませんし、まあどうにか可能な範囲で支度をして何となく勤めてまいったわけでございます。  なお、先生御指摘の点につきましては、本人が困らないように何らかの形で、行く人にいろいろ激励はいたしておりますが、外務省の方で在外勤務者の処遇についてさらに一段と充実を図っていただきたいということを考えておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それはあなたに聞いてもあれだから、今度別のときに外務大臣や大蔵大臣に聞きますけれども、ヨーロッパの場合は違うね。中国の場合は着物なんか要らないよ。そんなもの持って行ったらかえっておかしくなっちゃうんで、アメリカの場合だよ、特に問題は。特にアメリカは、いままで東郷さんが長かったから、あの奥さんははでな人だから、それで言ったのだろうね。同じ着物や洋服なんか着て行くと、何かいやみを言われて弱ったらしいよ。  いまあなたの話だと、十五万とか十六万の三分の二とかなんとか言っていたな。百五十万と百六十万じゃないの。違うのか。よくわからぬけれども、ぼくは二百万というのを聞いたが、二百万というのはどこから出てきたのかな。二百万円ぐらい要るということかな、着物や洋服を奥さんがあれするのに。どうなの。

筧榮一法務大臣官房長

○筧政府委員 ただいま申し上げました旅費に関する法律では、申し上げましたように十五万ないし十六万円、もう少し上の等級ですと三十万円ぐらいになるわけでございますが、それに奥さん分としてその額の三分の二、したがいまして、十五万円クラスでございますと十万足して二十五万というのが支度金でございます。そのほか百万、二百万というのは、ちょっとそういう支給される経費としては私まだ承知いたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 ぼくの聞き違いかな。あなた、それはやけに少ないねそれじゃ洋服一着ぐらいしかつくれないんじゃないか。洋服と着物だけで大変らしいと言っていたよ、特にアメリカの場合。ぼくはそれで何か二百万かかるというふうに聞いたな。私の聞き違いかな。何か二百万円ぐらいかかるので、それで借金になってしまって、帰ってくるときに、余り言いたくないけれども、それを清算して帰ってくるのが大変だったなんて話も聞いていますよ。だから、特にアメリカの場合だね、中国なんかは別だけれども、アメリカの場合のいわゆるアタッシェで行く人たちの、ことに奥さんの待遇、これの支度金の問題、これは法務省に言ってもあれですが、大蔵省や外務省の方にぼくの方で話しますけれども、外務省の人と比べるとずいぶん不遇らしい。外務省の人は大体三回転勤すると元を返せると言っていたよ。元を返せるというのはおかしいけれども、着物代、洋服代が回収できるというのだよ。法務省は回収できないというのだ。だから、そこら辺のところは、これはこっちの方でもよく努力をするようにしましょう。  話がだんだん具体的な話になってきてしまったのですけれども、ここら辺で質問を終わりますが、ただ、いま言ったように、ぼくは最初にお話ししたように、捜査というのはむずかしいですよね。捜査というのは目的なんかあるわけはないので、ぼくは目的を達したかと聞いたけれども、それはわざと聞いたので、目的なんというのは捜査にはありっこないので、目的があってやればこれは非常に危ないですよ。検察ファッショになるから非常に危ないので、証拠の積み重ねの中から出てくるのだから一概に言えないけれども、KDDの事件については、これは要するに吉永君が記録を見て、これはだめだから消してやれ、こう言ったのが本当じゃないのかね、その返事もできないだろうけれども。だから、結局そのことから来て、いま言ったような、途中でいまの百九十人、一億二千万円の金が政治家に渡っているということがその都度検察庁へ報告されているわけですよ。けれども何もしないんだ、検察庁は実際に手を打たなかったのです。何もしないとは言わぬけれども、たとえば服部安司氏も調べたんだ。警察で調べたのか、連休中にどこかのホテルで事情聴取したというのだけれども、ただ聞いただけだよ。さっと聞いてきっと終わりで、はい、お帰りくださいというものだよ。これは、そんなことなら検察庁は要らないわけだよ。特捜の検事というのはそんなものじゃない。皆が特捜の検事になりたがるのは、本当の正義感に燃えて理想に燃えて来るのだから、もう少しちゃんと彼らがやれるように全体の布陣というものをやらなければいけないんじゃないか。頭から抑えたわけでもないだろうけれども、KDDの捜査のやり方に対しては、私は、結果論から言うこともあるけれども、それを含めてどうも捜査が全体に納得できないものがある、これだけのことを申し上げて質問を終わります。

木村武千代自由民主党

○木村委員長 長谷雄幸久君。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 きょうは私の質疑としては、犯罪論一般それから少年非行、精神障害者の犯罪、放火、失火による犯罪、さらに女性犯罪、こうした問題を中心にしまして、法務省を中心にして関係省庁に若干お尋ねをしてまいりたいと思います。  初めに犯罪の一般論の問題でありますけれども、犯罪の動向につきましては、法務省が出しておられる犯罪白書にかなり詳細に書かれてございます。この中にいろいろな特色も記載されております。もっとも犯罪の種類にもよりますけれども、いわゆる粗暴犯につきましては、人口のドーナツ化現象に伴って犯罪のドーナツ化現象が見られるところでございます。大都市、東京について言えば、東京の中心部から近郊のいわゆるベッドタウンの方にそういう犯罪の件数が多く発生している、こういう傾向が見られるように思います。この点につきましては法務省はどう認識をされておるのか、この犯罪白書には特にこの点についての指摘がなかったように思いますので伺っておきたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 ただいま御指摘のドーナツ化現象と申しますか、都市の周辺に犯罪がだんだん拡散し増大するということが言われておるわけでございます。そのことは最近の犯罪白書では特に触れていなかったかと思いますけれども、大分前と言えば前でございますが、たとえば四十七年版あるいは四十八年版、さらには四十九年版というようなところでは「犯罪と人口移動」とかあるいは「都市化及び地域開発の進展と犯罪」というような項目で取り上げておりまして、若干の分析をしておるところでございます。  一つの例といたしまして、四十七年の白書におきましては、人口の増加が見られます八つの都道府県を対象といたしまして、昭和三十六年と昭和四十六年、この二年の業務上過失致死傷事犯を除きます刑法犯、いわゆる一般刑法犯、この発生件数を比較しておるわけでございます。それによりますと、たとえば東京、大阪、兵庫、愛知という四つの都府県におきましては、人口が増加しているけれども発生件数は減っておる。ところが一方、これらの大きな都市の周辺、たとえば埼玉、神奈川、千葉等におきましては人口が増加するとともに刑法犯の発生件数も増加しているというようなことを指摘しておるところでございます。  このようなことは、日本のみならず世界的にも言われているようでございまして、法務総合研究所の研究のみならず、検察庁を所管します私どもといたしましても重大な関心を持っていきたいと思っておりますし、具体的な措置といたしましては、検察庁の人員の配置であるとか庁舎の問題であるとか、そういうような面からもそういう犯罪現象の変化というものに対応して適切な処理体制ができるようにしたいというふうに考えております。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 いまの御答弁の中にもございましたが、このドーナツ化現象に対応する捜査当局の対応の仕方でございますけれども、たとえば警察署の増設とかこういう問題がこれからは大きな問題になろうかと思うのです。一番問題になるのは、東京について申しますと東京のベッドタウンと言われている多摩地区、千葉の方ですと西の方、北の方、埼玉の方、そのあたりが非常にベッドタウンとして犯罪のこれからの新たな対応が迫られている地域ではないかと思うのですね。それに対して、特に警察署の設備ということにつきましては住民の不安がないようにしてほしい、こういう要望が強いわけでございます。  そこで、私が住んでいる東京の八王子でございますけれども、人口がいま三十七万でしょうか、地域は東京二十三区とほぼ同じぐらいの地域でございます。そこに警察署が一つだけぽつんとあるということで、署長さんも非常に苦労しながら警察署の運営管理をやっている、こういうのが一つの例なんですね。こういうことで、こういう地域には警察署を改めて別個に新設をするとかいうような対応というのは当然必要ではないか、こういう考えを持っておりますけれども、これは地元からのいろいろな要望があるところでございますので、その点について警察庁のお考えを承っておきたいと思います。

加藤晶警察庁刑事局捜査第一課長

○加藤説明員 お答えいたします。  先ほど来御指摘ございましたように、いわゆる人口のドーナツ化現象に伴いまして犯罪もそういう大都市周辺部にふえていっているのではないかということでございます。そして、それにつきまして警察の対応いかん、こういうことでございますけれども、私どもといたしましても、そういう現象があることは十分心得ておるわけでございます。  それで全般的に申しますと、わが国の人口がここ数年、毎年百万人程度増加を続けているわけでございますが、これに伴いまして、先ほど来御指摘がございましたような都市周辺部の開発が進んで、いわゆる団地というふうなものに代表されます新興住宅地域が数多くあらわれてきております。こうした地域では住民間の連帯意識が薄くなるとかあるいは伝統的な地域社会が持っておりました犯罪抑止力というふうなものが弱化していることも事実だと思うわけです。また、防犯灯を初めとするいろいろな施設あるいは道路整備等の環境整備も必ずしも十分ではないという状態でございまして、御指摘のとおり、治安保持の上から見た場合多くの問題を抱えておることは十分承知しておるわけでございます。事実、これらの地域ではこうした問題点をつきまして、各種の犯罪も発生しておるという事態もあるわけでございます。このため、これらの地域の住民から警察体制の強化というふうなことを求められまして、先ほど来お話がありましたように、警察署であるとか派出所、駐在所を増設あるいは新設をしてくれ、増強をしてくれという要望もなされております。  これに対しまして、警察といたしましては、こうした地域の治安体制の確保に強い関心を持っておりますところから、こうした住民の要望にもできるだけ早急にこたえたいということで、警察官の増員あるいは人口や犯罪状況に見合った定員の再配分あるいは警察署及び派出所、駐在所等の増設等を毎年行ってきておるところでございます。先ほどお話にございましたような東京の郊外地域、三多摩につきましても、逐年そういうふうな努力をしてきておるところでございます。  しかし現在、ではそれで万全かと言いますと、必ずしもそれで十分であるということは言い切れない点もございますので、今後おっしゃいましたようなことにつきまして一層の努力を重ねていきたいと思っておるところでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 次に、少年非行の問題について若干お尋ねをいたします。  この問題につきましては、近年件数が増加をし、年齢も低下の傾向にあるし、また凶悪化の方向に向かっている、こういうことが一般に言われております。そのことにつきまして法務省はどういう御認識を持っておられるのか、お尋ねをいたしておきたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 最近の青少年犯罪の全般的な傾向でございますが、ただいま御指摘のございましたように、全体的に増加しておるということ、また内容的にはいわゆる低年齢化の傾向が見られるあるいは凶悪犯罪がふえておる。そのほかにいろいろと言われておりますことは、比較的家庭に問題がない家庭、そういうところの青少年が犯罪に走る、非行に走るというようなこと、また、いわゆる遊び型犯罪と申しますか非行と申しますかそういうものがふえている、あるいは自動車に関連するような非行犯罪がふえているというような、いろいろな点が指摘されておるわけでございます。  そういうことでございますので、私どもといたしましては、これは法務省あるいは検察の立場だけでなかなか解決できる問題ではないわけでございますけれども、私どもの持ち場に応じまして、こういう青少年非行の減少につきまして努力をいたしたい、かように考えております。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 最近、少年の自殺が社会の関心を集めておるということが一般紙等で出ております。特に、まだ自殺の意味もよく理解していない低年齢層の少年による衝動的と思われる自殺が非常に目立って、問題を提起しているということでございますが、少年期はいわば悩みの多い時代でありますので、その危機の時代をどう乗り越えるか、これは少年だけに課せられた課題ということではなくて、むしろ社会がその家庭とともに、学校とともに連帯しながら少年の将来、育成を考えていくということでなければならないと思うのですね。  この問題の一つとして、いわゆる学内暴力の問題が指摘されております。この学内暴力つまり少年非行の場所の問題なんですけれども、学内でこういう非行事件が起きている。発生件数については、総理府の青少年対策本部が出された青少年白書の中にも記載がございますが、発生件数は五十三年度で千二百九十二件、被害者数が二千八百八十二人、補導人員が六千七百六十三人、こういう数字が上がっております。こういう数字の中で、学校当局が余り知らない事件があるように思うのです。学校も知らないでうやむやにされているというような事件もある状況に聞いております。この点につきまして、文部省が所管ではないかと思うのですが、こういう実態についてはどのように掌握をしておりましょうか。

垂木祐三文部省初等中等教育局中学校教育課長

○垂木説明員 御説明申し上げます。  ただいま学校内の暴力事件について、文部省の方でどのように実態を把握しておるかというお尋ねがございました。これは文部省の方では直接把握をいたしておりませんでして、警察庁の方で把握いたした資料があるわけでございまして、それにつきましては、先ほど総理府の方の資料を挙げてお尋ねになりましたような数字になっているわけでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 それでは総理府でも結構ですが、文部省でもよろしいと思います。この学内暴力の問題について将来これをどう予測しておられるのか、お尋ねをしておきたいと思います。

垂木祐三文部省初等中等教育局中学校教育課長

○垂木説明員 先ほど御指摘がございましたが、最近青少年の非行が非常に増加をいたしておるわけでございまして、特に年齢が次第に低くなっておると申しますか、学校内の暴力事件にいたしましても最近は中学生による事件が増加をする傾向が見られておるわけでございまして、文部省の方といたしましても大変憂慮いたしておるわけでございます。そのような学校内の暴力事件も含めまして生徒の非行の対策といたしまして、従来から文部省の方といたしましても十分努力をいたしておるわけでございます。  具体的に申しますと、文部省の方から都道府県に対しまして通知をいたしますとか、あるいは毎年生徒指導資料を作成するとかあるいは教職員を集めまして生徒指導主事講座を開催いたしておるわけでございまして、そのような機会を通じまして、学校における教育の内容をもっと豊かなものにするように、生徒に十分理解でき学校内の生活が生徒にとって楽しいものであるように、そのように教育の内容の改善充実を図る必要があることとか、あるいは教師と生徒間あるいは生徒相互の間の人間関係を密接なものにいたしまして、生徒の健全な育成を図るようにというような指導をいたしておるわけでございます。  さらに、このような問題につきましては学校だけではどうしても処理できない問題でございますので、学校が生徒の家庭でございますとかあるいは警察を初めといたしまして青少年の健全育成に協力をいたしております関係の諸機関などと密接な連絡を図りながら、早期に生徒の非行の実態を把握いたしまして早期に防止に努めるようにと、こういうようなことで指導いたしておるところでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 この少年非行の対策の一つとしてすでに設置されております学校警察連絡協議会というのがあるようでございますが、この活動状況についてお尋ねをしておきたいと思いますが、文部省いかがでしょうか。

垂木祐三文部省初等中等教育局中学校教育課長

○垂木説明員 ただいま御指摘の学校警察連絡協議会でございますけれども、これにつきましては、昭和三十八年でございますけれども、文部省の方と警察の方とで相談をいたしまして、都道府県の方に対しまして、生徒の非行防止のために学校と警察とが常に連絡を保ちながら早期に補導するような体制を強化する必要があるということで、この学校警察連絡協議会を設置し、それに参加をするようにという指導をいたしておるわけでございます。小学校、中学校、高等学校のおおよそ九割程度のものがこの協議会に参加をしておるというふうに承知をいたしておるわけでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 ところが、この学警連がともすれば生徒の取り締まりのための情報交換組織に陥りやすい、こういう批判が一部にございます。これが実態を果たしてとらえたものかどうか別問題でございますけれども、こういう指摘が確かにございます。  また、この学警連というのは、いま文部省の方の御答弁にもありましたように、本来は少年非行を防止し健全な発展を図るということにあるのではないかと思うのですけれども、それがややもすると、そういうことでこの種の組織では従来少年補導の問題をめぐって相互に不信感がある、こういうことも指摘されておりますので、この点については、今後こういうことが指摘されることがないように少年の非行について万全の対策をとってもらいたい、こういう要望が大変強いわけでございますので、この点についての御所見を伺っておきたいと思います。

垂木祐三文部省初等中等教育局中学校教育課長

○垂木説明員 ただいま、学校警察連絡協議会がとかく形式的に流れておるのではなかろうかあるいは学校と警察の間に相互に不信感があるのではなかろうか、こういうような御指摘があったわけでございますが、文部省の方といたしましても、このような機会を通じまして、学校と警察とがよく連絡をとって青少年の非行の防止に努めるようにという指導をいたしておるわけでございます。  この学校警察連絡協議会の設置の本来の趣旨といたしまして、どちらかと申しますと、警察と学校との間で非行防止に関します情報を交換いたしますとかあるいは非行防止計画の策定というようなことに重点が置かれておるわけでございますが、今後ともこのような機会を通じまして学校と警察との間で十分連絡をとりながら非行の防止に当たるように指導していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 少年が非行化する中の一つの道具としてシンナーというのがございます。シンナーそれ自体は別に麻薬でもなければ何でもないということでございますが、しかし、シンナーが確かに少年の犯罪を誘発する一つの道具になっていることは否めないと思うのですね。ところが、シンナーを扱っている町の業者にしてみれば、買いに来る人に対しては特段疑問も思わずに販売する場合もあるやに聞いております。そのことが、シンナーによる犯罪を防ぐ上においてやはり何らかの協力体制が必要ではないか、こういう問題指摘につながると思うのですね。  そこでお尋ねをしておきたいのは、シンナー等のこういういわば物自体が法的に規制されていない、たとえば今回のこの問題のシンナーですね、これについての規制といいますか、この点についてはどういうお考えを持っておりましょうか。警察の方いかがですか。

古山剛警察庁刑事局保安部少年課長

○古山説明員 シンナーと申しますのは、乱用することによって少年の健全育成を阻害しあるいは非行性を助長するというきわめて危険なものであるわけでございますけれども、しかしながら、また日常生活にきわめていろいろ各般に使われるものでございますだけに、いろいろなところで販売されている。そういう面で、麻薬あるいは覚せい剤と比べて対応がむずかしい面がございます。  このシンナーあるいはシンナーを含有する接着剤等につきましては、たしか昭和四十七年だったと思いますけれども、毒物劇物取締法によって、シンナーを吸入するあるいはシンナーを吸入することを知って販売するという行為が処罰されるようになって、法的な規制というものはできたわけでございます。  現在警察庁では、シンナーの乱用少年に対して強力に補導いたしますと同時に、乱用することを知って少年たちに販売する、そういう業者に対しては強力な指導、取り締まりも実施しておるところでございまして、昨年中にシンナー等の知情販売あるいは授与行為違反で検挙した人員は千九百三十人で、その前の年に比べまして百七十一人、九・七%、検挙した人員が増加している、そういう状況でございます。その業者の中では、金物店あるいは雑貨店、塗料店等が多くを占めておるわけでございますけれども、中には暴力団員等販売業者以外の者も三分の一ぐらい入っているということでございます。今後ともこういう取り締まりは一層強化してまいりたいと思います。  また、はっきりとした知情販売でない場合には法律に違反しないのでございますけれども、工作をするとか物をつくるとか、そういうはっきりとした意図がわかっている場合でないときは売らないでほしいというような、そういう業界に対する協力要請も今後一層進めてまいりたいというふうに考えております。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 法務省にお尋ねをしますが、売春の問題なんですけれども、売春防止法を見ますと、売春の相手方に対する処罰については、法務省はどういうお考えを持っておりましょうか。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 改めて申し上げるまでもないかと思いますが、現行の売春防止法におきましては、売春をすることまたは相手方となることは一応禁止するという規定を設けておりますけれども、それには罰則がないということでございます。一面、罰則が設けられておりますのは、管理売春であるとか場所提供であるとか、そういう売春行為を助長するような悪質な行為につきまして、これを処罰の対象とするということによりまして間接的な形で売春をなくしていこう、こういう構成をとっておるわけでございます。  この法律が制定される過程で、またその後の国会等におきましても、売春行為そのものあるいは相手方となった者の処罰ということが議論をされたわけでございますが、現行の売春防止法は、いま申しましたような構成をとっておりますことは、やはり売春婦という人の保護更正ということをねらいとし、さらに、いま申しましたように売春を助長する行為をきつく取り締まっていこうというのが一番適当であろう。それは、やはり売春婦の人たちの特殊性と申しますか実態に応じてその保護更生を図るというために、それを直接処罰することはいかがかということと、反面、御案内のとおりいろいろな保護更生措置、補導処分等含みますそういう措置を設けるというような、立体的な有機的な構えでこの売春問題に対処しようということであったというふうに理解をしておるわけでございます。  したがいまして現在におきましても、やはり私どもの立場といたしましては、いろいろな御議論はあろうかと思いますけれども、ストレートに売春行為を罰するということは必ずしも適当ではないのじゃないかというふうに思っているわけでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 刑法の強制わいせつの規定によりますと、十三歳以上の男女に対して暴行、脅迫を加えれば成立する、十三歳未満の男女に対するわいせつの行為に対して同じだ、また強姦罪についても十三歳ということが一つの基準になって、十三歳未満の者に対して、暴行、脅迫を用いないでも強姦罪が成立する、こういう規定になっていますね。したがって、十三歳未満の者に対して売春の相手になれば、この相手方が、いわば強制わいせつ、もちろん強姦の成立の可能性もあるのではないかと私は思うのです。この刑法の罪によると、十三歳以上の一般の婦人に対する売春の相手方に対してはやはり問題は残るということだろうと思うのですね。  いま刑事局長の御答弁では余り前向きな御答弁でなかったのですけれども、先ほどちょっと御答弁の中にありましたように、一時この売春防止法の制定の際に議論があったそうでありますけれども、捕らえてみればわが夫なりというようなことであったのでは話が締まらないというようなことから、これが非常に強い反対があって制定に至らなかったというような話も聞いておりますけれども、しかし、この売春防止法の制定当時の社会情勢といまとはかなり違っているのではないかと私は思うのです。売春防止法が施行されたのが昭和三十二年でしょうか、ですから、もうそれ以来二十年を経過しているわけでございますので、やはりこのあたりでひとつその辺のことは法務省ももう少し検討を重ねていく必要があるのではないかというぐあいに思いますけれども、その点についての御意見を伺っておきたいと思います。

前田宏法務省刑事局長

○前田(宏)政府委員 御指摘の点は、十三歳以上の恐らく未成年者の段階にある女子に対する性行為をほうっておいていいかということになるのだろうと思います。  刑法では先ほどお話がございましたような構成になっておりますが、そういう刑法だけで見ますと確かにその分野が放置されているという感じもいたしますし、売春防止法につきましては、その行為自体が罰せられないということは先ほど申したとおりでございます。  蛇足かもしれませんけれども、ほかの法律と申しますか、たとえば児童福祉法によりますと、これは児童というとらえ方でございますが、十八歳未満の者に対しまして淫行をさせたという者は、同法の三十四条、六十条によりまして十年以下の懲役というような法定刑も定められて処罰し得ることになっておるわけでございます。  また都道府県、これは都道府県でございますから全部一律ではございませんけれども、いわゆる青少年保護育成条例というものが設けられているわけでございます。この場合には大体青少年を十八歳未満ということでとらえまして、その青少年と淫行した者あるいはこれにみだらな性行為をした者をその条例で罰するという罰則が設けられているというような法制もあるわけでございます。  そういうことで、現にそういう罰則が使われている例もあるわけでございますので、こういう関係法令を十分活用するということによって、御指摘のような問題の相当部分はカバーできるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  なお売春防止法につきましては、確かに制定後相当な期間がたっておりますから、再検討することはもちろんやぶさかでございませんけれども、基本的な物の考え方によるかと思いますので、直ちに御指摘のような方向に行くかということについては、この段階ではちょっと申しかねるわけでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 少年非行の原因といいますか背景については、先ほどもちょっと御答弁がありましたけれども、古くからは、貧困家庭、欠損家庭、こういうところが問題として指摘されておりましたけれども、最近は、両親もそろい貧困でもないいわば一般家庭の少年が決して少なくない、こういう状況にある。そこで、両親の養育態度あるいはそうした家庭の機能あるいは社会との関連、たとえば経済成長に伴う社会変動も問題になろうと思うのです。それで、少年非行がやはりどうしても大都市に集中し、大都市周辺及び地方の中小都市にも波及する傾向にございます。  この点につきましては、かねてからクリツフォード・ショウという人が、シカゴ市における「非行地域」の研究の中で「シカゴの少年非行の研究において、犯罪は都市の中心を取り巻く地域、すなわち中心の商工業地域の周囲にある秩序の欠けた貧困街の帯状をなした地域に最も多い。」こういう指摘をしております。ここでいう「貧困街の帯状をなした地域」というのは、まあいわば現代で言えばスラム化された地域ということも言えるのじゃないかと思うのですね。  結局私がお尋ねをしたいのは、少年の非行化を防ぐには、少年自身の思想の堅固さあるいは家庭の環境も大切ではありますけれども、さらに、少年のためによりよい社会環境をつくっていくということが非常に不可欠なことであろうと私は思うのですね。  そこで建設省にお尋ねをしておきたいのですが、この都市のスラム化ということが、これからの社会、都市建設では問題になろうと思うのですね。その意味におきまして、この防止対策についてどういうお考えを持っておりましょうか、お尋ねをいたします。

片山正夫建設省住宅局市街地建築課長

○片山説明員 都市地域におきます住環境の貧困あるいは不良な市街地がたくさんありますことにつきましては、確かに都市整備上大きな問題でございまして、それに関連いたします対応策といたしましては、住宅地区改良法に基づきますスラムクリアランス法が昭和三十五年に法制定されておりまして、それに基づきます住環境の整備を推進する一方、昭和五十三年度におきましては、さらにその対象要件を拡大いたしました住環境整備モデル事業を予算補助制度として確立いたしまして仕事を進めているところであります。  さらに一方、将来のそういう不良な市街地の要因になりますミニ開発につきましても、これの存在は一つの問題点であると強く認識いたしておりまして、ミニ開発に対します対策といたしましては、まず一般的な方策といたしましては、都市計画法によります開発許可の対象規模の引き下げということ、それから建築基準法に基づきます良好な市街地形成の促進策であります建築協定の活用、こういう点を、地方公共団体に対しましてその活用策につきまして指導しているところであります。  さらに、そういう不良な環境をつくっていかない基本的な姿勢といたしましては、居住環境の整いました計画的な宅地開発を誘導していくことが非常に大切なことでございますので、それに対します対策といたしまして、住宅に関連します関連公共公益施設の整備に対します助成を強化していく一方、さらに良好なタウンハウスを供給することも誘導しております。  さらに、これらの誘導策と関連いたしまして、良好な市街地形成の促進という観点から、地区レベルにおきまして、道路でありますとか公園、そういう公共施設とそれから建築物の形態等を一体的な計画として定めまして、その計画に基づきまして起こります開発行為、建築行為を誘導規制をしていくという新しい町づくりの仕組みであります地区計画制度というのを、今国会で都市計画法と建築基準法の改正という形でもってその新しい制度の成立を見ているところであります。  この制度によりますと、ミニ開発等不良な環境の形成のおそれのある地域につきましてもこの制度は適用することができるわけでございまして、その適用の際には、計画の内容といたしまして、敷地面積の最低限度を定めることができる、さらに細街路を計画的に配置し規模も定めるということができまして、それに基づきまして建築行為、開発行為を規制していくことができるわけでありますので、良好な市街地の形成の誘導策になるわけであります。  これらの諸制度の総合的な活用を図りまして、ミニ開発を防止し将来のスラム化を防ぐという手だてに努力していくつもりでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 建設省にせっかくおいでいただいたので伺っておきたいのです。  一つは交通事故対策の問題なんですけれども、交通渋滞が原因になって事故が発生しているということが非常に多いわけでございますが、特にこの点につきまして、東京周辺に行きますと、やはりこれも先ほど申しましたように、ドーナツ化現象に伴って犯罪もそちらに多い、また交通もそちらの方に渋滞が多いということから、特にこの問題について言いますと、多摩川の周辺にいまこういう面が非常に見られると思うのですね。  問題は多摩川にかかっている橋なんですけれども、この橋がいつ行っても非常に渋滞しておる。わずか三十メートルか五十メートルくらいの橋を渡るのに大体三十分から一時間近くかかるというのは日常茶飯事でございまして、そういう意味からこの川にかける橋の問題が地域では非常に大きな問題になっておると思うのですね。そこでお伺いをしておきたいのは、多摩川の国道バイパスにかかる新国道橋の問題ですね。新日野橋と通称言っておりますけれども、これについて地元の条件あるいは予算上の制約等もあると思いますけれども、この点についてはどういうお考えを持っておりましょうか。

多田宏行建設省道路局国道第一課長

○多田説明員 お答えいたします。  多摩川の新日野橋、先生おっしゃったのは例の日野バイパスの中に計画されているものでございますが、このバイパスは国立市の谷保から八王子の高倉に至ります約八キロ、四車線のバイパスでございます。このうち起点側、と申しますのは都心側でございますが、〇・六キロは中央道をつくりましたときに関連道路として東京都において整備済みでございます。それから終点側、八王子寄りでございますが、日野市及び八王子市内において二・一キロ、多摩平団地の整備の際に住宅公団があわせて道路をつくっております。残りの五・四キロでございますが、これは建設省で直轄事業でやるということになっております。  日野市内は区画整理区域内を通る計画になっておりますので、その区画整理事業の進捗に合わせて事業を進めることといたしております。これまでに、神明上区画整理事業というのがございますが、その区間におきましては、管理者負担金と申しまして道路をつくる部分の用地のお金を道路管理者すなわち建設省側が支出いたしまして、一・一キロの間用地買収を完了しております。そしてそのうち三百メートルにつきましてはすでに供用しております。  それから万願寺の区画整理事業、これは多摩川といま申し上げました神明上区画整理事業との間でございますけれども、これにつきまして私ども管理者負担金の対応ということを予定しておったのですけれども、この区画整理事業に隣接します下水道事業に関連して地元の反対がございまして、それが動機になって区画整理事業の着手がおくれている。したがってバイパスの計画の推進もおくれている、こんなような状況になっております。  この間、五十三年に建設省では、これからつくる道路は沿道環境の保全を十分に図る道路をつくろう、こういう趣旨から、建設省所管事業に係る環境影響評価に関する当面の措置方針なるものを決定いたしまして、これを機会にまだ事業を着手していない部分については環境施設帯を持っている幅員四十メートルの道路とするように検討を進めております。  そういう経緯でまいったのですけれども、最近になりまして、幸いなことに万願寺の区画整理の事業がうまくいけば五十五年度中に都市計画の変更をいたしまして引き続き事業認可申請をすることができるようになったと聞いておりますので、一方、日野市はもとより東京都、八王子市側からもバイパスの早期着手の要望がございますので、これらの関係機関と計画の変更に関する調整を進めましてその合意を得てまいりたいと思っております。  そこで、このバイパスのうら多摩川にかかります仮称でございますけれども新日野橋につきましては、事業の効率的な執行を図るためにまず部分供用の方法の問題、それから橋の前後の用地買収の見通し、それから三番目に道路事業費の推移等を勘案しながら事業の着手時期については検討してまいりたいと存じております。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 次に、精神障害者の犯罪についてお尋ねをいたします。  この精神障害者の犯罪の特色並びに傾向等につきましては、法務省から出された犯罪白書に記載がございます。「五十三年における交通関係の業過を除く刑法犯検挙人員は、一千八万一千七百四十二人である。このうち、精神病、精神薄弱、精神病質などの精神障害者又はその疑いのある者は、成人が二千二百五十六人(〇・九%)、少年が四百七十一人(〇・三%)」こういう指摘がございます。それで「成人では、放火の一五・三%及び殺人の八・五%の者に、少年では、殺人の五・八%及び放火の五・六%の者に、それぞれ精神障害又はその疑いがあったとされており、」こういう指摘がございます。  そこで、精神障害者と認定されて犯罪行為によりまして措置入院をされた者の実態について、どのような掌握をしておられましょうかお尋ねをいたします。

目黒克己厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○目黒説明員 お答えいたします。  一般に、精神障害者の中で犯罪を犯した者は当然精神御生法によります精神衛生鑑定の対象とされているわけでございます。そしてその鑑定の結果、入院医療を必要とする者に対しては、本人及び家族の意見にかかわらず強制的に入院医療を行ういま御指摘の措置入院の制度を持っておるわけでございます。この措置入院患者につきましては、昭和五十三年における申請、通報、届け出件数の総数は一万一千六百九十四件でございます。そのうち一般人の申請が五千二百九十三件、警察官による通報が四千三百四十件、検察官通報が千九十七件、その他矯正施設等の通報三百三十四件等となっているわけでございます。このうち約九千三百一件が精神障害者と診断されまして、その結果六千三百六十八件が措置入院というふうになっておるわけであります。昭和五十三年末現在、全国の精神病院への入院患者二十九万八千人のうち措置入院患者数は五万二千四百九十一人でございます。  その内容でございますが、当然措置の対象となります問題行動、御指摘の殺人、放火等の刑法に係る問題の者が入っているわけでございますが、これらの処遇の状況につきまして、一般に精神病院が行動制限等を伴う特殊な医療を行っております関係から、患者の人権等を考えまして精神病院の運営管理については従来から適正に行うように都道府県知事を通じて指導をいたしております。しかしながら、個々の病院の実態につきましては私どものところでは把握いたしておらないわけでございます。各都道府県におきましては、大きな問題が起こりましたところについて、それぞれその問題に応じて把握をしておるところであります。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 精神障害者の犯罪についてはいま私が統計資料の数字を申し上げましたのですけれども、精神障害者の犯罪が再犯を超えて要するに累犯者が結構たくさんいるということが法務省の犯罪白書に指摘がございます。  ちょっと読んでみますと、「最近五年間に精神障害のため不起訴、無罪又は刑の減軽を受けた者で法務省刑事局へ報告のあった者は、合計二千七百五十四人であるが、そのうち千二百二十人(四四・三%)は再犯者である。」こういう指摘があるわけですね。再犯の数が一般の精神の健全な人に比べて非常に多いというのが実態だと思うのです。  そこで、こういう人たちは気の毒な状況にあるわけでございますので、こういう方々が精神病院から退院をされた後でも、これが再犯に結びつかないように適正な措置等が必要ではないかと思うのですね。一つには、これは法務省の矯正局が御専門なんでございますけれども、その矯正局の方方の有能な知識経験に基づいて精神病院のしかるべき人たちとの間の指導というか交流というか、そういうことがこれから必要になってくるのではないか、私はこんな気持ちも持っておるのですけれども、その辺についての法務省のお考えを伺っておきたいと思うのです。

豊島英次郎法務省矯正局長

○豊島政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、精神障害者の累犯率というのは大変高うございます。そういう意味で矯正施設におきましては、精神障害のある受刑者につきましては、いわゆる医学的治療で治療できる者は治療を尽くすという方法をとっております。また精薄のような治療の対象というのはぴったりしない、そういう人たちにつきましても、たとえば陶芸をやらせるというようなことによりまして、いわば情緒の安定向上を図るというようなこともい・たしておるわけであります。  御指摘のように、これらの者が社会へ出ました場合に社会で再び犯罪を起こさないようにするのにはどうしたらいいかという問題がございまして、その点では私ども、施設に勤務しております精神病医の人たちも民間の精神病院との連携をより一層よくするということが必要であろうかというふうに考えております。また精神病者で釈放になりました者のうちには、いわゆる保護関係の精神病院施設がございまして、そちらへ収容されてそこで治療等の処遇を受けているという者もあるわけでございまして、この面は私どもの所管ではございませんけれども、なお一層そういった面での充実を図る必要もあるのではないかと考えております。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 この点について、厚生省から御意見があれば伺っておきたいと思うのですが。

目黒克己厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○目黒説明員 私ども厚生省の考え方といたしましては、入院中の精神障害者の医療については精神病院の管理者が一般に責任を持って行っているところでございます。  したがいまして、特に犯罪を行った精神障害者について異なった処遇を行っているということはないわけでございます。つまり、私どもの方は医療を前提といたしましてこれらの精神障害者の治療をいたしておるわけでございます。したがって、個々の犯罪の内容等によって処遇を変えるということではなくて、むしろ精神障害の治療ということを前提としておるわけでございます。したがいまして私どもの方といたしましては、やはり従来のこの医療を中心とした考え方をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、この措置入院患者といたしまして入院をする場合には、当然検察官あるいは警察官等司法当局と十分連絡を密にとりまして、適正なる精神衛生鑑定が行えるように努力をしてまいりたいということでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 確かに精神病院は治療のために入院をするわけで、その中ではその患者の行動制限ももちろんあろうかと思いますけれども、再犯率が非常に高いということは社会問題だという認識に立たなければならないと思うのです。その意味で、法務省の矯正局の優秀な職員の方がたくさんいらっしゃるのですから、そういう方々から再犯防止のために何らかの対策を厚生省はタイアップしてやるお考えはないか、こういう質問なんです。いかがでしょうか。

目黒克己厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○目黒説明員 現在の時点ではそのようなことを考えておりません。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 次に、放火、失火のいわゆる火災犯罪について若干お尋ねをいたします。  放火の発生件数は昭和四十四年に千三百四件で最低であったと言われております。それが四十五年から増勢に転じ、昭和五十二年には二千百五十五件と戦後最高になり、その後大体二千件台になっているようでございます。また失火罪の発生件数についても四千件台になっているように聞いております。  そこで失火との兼ね合いで私は、プロパンガスの利用による事故、それによって生じる火災について若干お尋ねをしてみたいと思うのです。  都市の中心部では都市ガスが非常に普及しておりまして、一〇〇%あるいはそれに近い状況の普及状況でございますけれども、都市の近郊では必ずしもそうでない。簡単なデータを挙げますと、都市ガスの普及状況について見ますと、非常に市の行政がいいと言われている府中市でも都市ガスの普及率が六三・五%、八王子で六一・五%、こういう数字なんですね。稲城に至っては四五・二%。といいますと、そのひっくり返した逆の数の方が、つまりプロパンガスその他を利用されているということになろうと思うのですね。したがって、プロパンガスの利用度が非常に高いということが都市の周辺地域では言えると思うのです。  そこで、プロパンガスの利用による事故、死傷者というのは結構数が多いように聞いておりますが、それが日本全体でどのくらいの数になっているか、それを掌握しておりましょうか。これは通産省でしょうか。

寺西大三郎通商産業省立地公害局液化石油ガス保安対策室長

○寺西説明員 お答え申し上げます。  私ども通産省におきましては、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律という法律によりまして、主として一般消費家庭のLPガスによる災害を防止することに努めておるわけでございます。各都道府県に権限を委任しておるわけでございますけれども、都道府県の担当部局から上がってまいりました数字を集計いたしますと、大体LPガスによる事故と申しますのは年間全国で約五、六百件発生いたしております。この数字はここ三年間くらいほぼ横ばいないしは若干の減少傾向にございますけれども、まず横ばいと考えられます。  なお、このほかに自殺による事故というものがございまして、これは若干対策が違いますので同じ数字に含めておりませんけれども、これが年間約百件くらいございます。  以上でございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 このプロパンガスによって一たん事故が起きた場合には、かなりの大きな事故になるということです。ところがプロパンガスの取り扱いについては、一般家庭に対する業者からの指導といいますか取り扱いのことについてはそれほど綿密に指示してない業者も中にはあるような話も聞いております。これはもちろんすべてではないと思いますけれども、その取り扱いが慎重であるということが一つは事故発生の防止につながる重要なことだろうと思うのですね。この辺の取り扱いについての指導といいますか、これについては通産省はどういうお考えを持っているのでしょうか。

寺西大三郎通商産業省立地公害局液化石油ガス保安対策室長

○寺西説明員 ただいま申し上げました液化石油ガス法でございますが、これは一般消費者、家庭の主婦の方々でございますが、一般消費者の方々には必ずしも十分な保安を確保するだけの専門的知識が期待できないということを前提にしてできた法律でございまして、したがって専門家がおります販売事業者、これを許可制にいたしまして、この販売事業者に専門家を置かせる、この販売事業者が消費家庭を、物によって違いますけれども、二年に一回あるいは月に一回設備を点検するという義務を課しております。それからさらに昨年から、販売事業者が一般消費者に対しまして取り扱い上の注意事項を周知徹底させるということを義務づけております。そのほかにもいろいろ対策を講じておりますが、そういった形で液化石油ガス法の施行を通じまして保安の確保が図られるというふうに期待いたしておるわけでございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 地震との関係で一つだけお尋ねをしておきたいと思います。  東海大地震等が最近言われておりまして、震災対策についてはかなりいま啓蒙されたりいろんな活動があるようでございますが、プロパンに対する関係での震災対策については通産省で研究がされておると聞いておりますが、かなりおくれておるようにも聞いております。この辺の状況についてはどこまで進んでおるのかお尋ねをいたします。

寺西大三郎通商産業省立地公害局液化石油ガス保安対策室長

○寺西説明員 お答えいたします。  プロパンガスの地震対策と申しますのは、先生御指摘のように非常に幅広い地域に散らばっておるわけでございまして、これが非常にむずかしい問題であることは常に指摘されておるところでございます。  私どももこの研究に取りかかっておるわけでございますが、現在までにすでに行っております施策を申し上げますと、過去の地震の例におきましてもボンベが転倒してガスを噴出するというようなことが間々あるわけでございまして、これをまず防がなければならないということで、ボンベの転倒防止措置、具体的に申し上げれば鎖等で家屋に固定するわけでございますが、これを技術上の基準として法令上規制をいたしております。さらに、地震が起きましたときにガスを自動的に遮断する装置というものが非常に有効であるということで、対震自動遮断器と申しますが、これは現在開発が進みつつございまして、一部のものは市販されております。こういったものが品質の悪いものが出回りますと普及もいたしませんし信頼感も得られませんので、これを第二種液化石油ガス器具というものに指定いたしまして、技術上の水準を確保するようにいたしておるわけでございます。さらに、そのほかにもいろいろ研究すべきことがたくさんございますので、現在も高圧ガス保安協会というところに補助金を交付いたしまして種々研究を進めてもらっておるところでございます。  以上でございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 火災犯罪をお尋ねしたところで、消防庁にお尋ねをしておきたいと思います。  火災となれば一番先に危険な職場として活躍を願っておるのがいつも消防署の方々でございます。消火活動が原因で消防署の職員が負傷されたり死亡されたりしたという不幸な事件も何件かあるように聞いておりますが、この件数はどのくらいあるのでしょうか。特に負傷の件数をお尋ねをしておきたいのです。

野沢達夫消防庁消防課長

○野沢説明員 お答えいたします。  特に火災とは限りませんが、消防職員の公務による死傷者数でございますが、過去四、五年見ていきますと大体二千五百件程度で、少しずつ総体の件数はふえております。ただ、この間職員数がふえてきておりますが、回数一万件当たりに見ますと若干微減というふうな状況でございます。  それを原因別に見ますと、ただいまのは全体のあれでございましたが、公務災害基金でとらえた件数の中で見てまいりますと、大体二千五百件ほどのうちの約九百件が火災による死傷者数、これはむしろここ四、五年の間では少し減っている、こういう状況でございます。しかし、全体の中で火災を原因とする死傷ということが非常にウエートが高いというのが現状でございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 そうしますと、これは対比して大変失礼かもしれませんが、警察の場合ですと警察病院というのが全国に何カ所かあるようでございますが、消防庁の専門病院については、私はあるように聞いていないのですが、現在どういうことでございましょうか。消防庁の病院というのはあるのでしょうか。もしないとすれば、将来どういう構想をお持ちなのかお尋ねしておきたいと思います。

野沢達夫消防庁消防課長

○野沢説明員 警察関係につきましては、共済組合なり警察関係の法人で病院を持っておられます。全国で四病院ほどある、主として東京、大阪というような大都市にあるというふうに承知しております。  お尋ねの消防関係については、そういった病院が現在ございません。警察の場合は明治以来ずっとそういう組織がありまして、また組織につきましても、現在でも都道府県単位で大きな組織のロットになっております。これに対しまして消防の方は、終戦後自治体消防ということで警察から分離しております。歴史が浅いということもございますし、東京消防庁などを除きますと、市町村単位に原則としてつくられているというのでロットが小さい、こういったことで消防関係には特別の病院というのはございません。ただ、東京消防庁なんかによりますと、従来、警察と同じところで戦前やっておりましたそういった経過で、警察病院にかなり御協力をいただいて、消防関係職員あるいは家族の治療、医療行為に当たっていただいているというような実態でございます。  私どもといたしまして、今後こういったものをどうするかというのは、かなり組織単位が小さいということとか、現在これから病院を開設するにはかなり投資あるいはその後の運営について巨大な経費が要るということで非常に大きな問題であろうと思いますが、幸いといいますか、片一方で消防の特殊性としまして救急業務なんかをやっておりますので、一般的に病院との連携が深うございます。そういった点で、いろいろ災害等で消防職員が負傷した場合なんかについて適切な治療の協力が得やすい状況にある。それから、自治体病院というものも全国に千ほどございます。そういったところで、通常その中の多くは市町村の病院でございますので、市町村消防といたしましては、そういったところとよく連携を保ちまして、ふだんの健康管理に当たるとともに一たん負傷した場合についても格別御協力いただきまして、消防職員の医療行為に欠くることがないように指導なりお願いをしてまいりたいというふうに考えております。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 最後に、女性犯罪について若干お尋ねをしておきたいと思います。  これも犯罪白書の中に記載されていることでございますが、女性犯罪の傾向等については、女性の犯罪者についての検挙人員ですが、「昭和四十四年の四万五千五十七人からおおむね増加の傾向をたどり、五十三年には前年より四千六十七人増加して七万二千九百八十六人となっている。」ということですね。「男性の場合は、五十三年に若干増加したものの、過去数年来減少傾向を続けてきたため、検挙人員総数中に占める女性の割合すなわち女性比は、四十四年の二・九%から逐年上昇して五十三年には一九・一%にまで達している。」こういう指摘がございます。  そこで女性特有の犯罪についてでございますけれども、刑法犯について言えば、堕胎に関する罪がまず挙げられると思うのですが、ところが堕胎に関する罪については、実際には優生保護法などの適用で堕胎しても犯罪として検挙される例が非常に多くないということは確かに言えるかと思うのです。この犯罪白書の中にも堕胎に関する罪についての統計数字が出ていないのもそのためではないかと思うのです。  それで私ちょっとお尋ねをしたいのは、昨日の一般紙の報道の中で、超短波を使っておなかの中の赤ちゃんを男か女か判別できる方法が開発された、こういう記事が出ているのですね。超音波電子的高速自動走査機器、こういう名称の機械でございますが、これによると的中率は実に九九・八%、こういうことが新聞に書いてあるのですね。的中率がこの数字かどうかはともかくとして、これによればかなり男女の胎児の判別ができるということですね。問題は、この機器の安全性の問題なんですけれども、こういう機械等の安全基準をどう考えているのか、これをお尋ねしておきたいのです。

代田久米雄厚生省薬務局審査課長

○代田説明員 お答えをいたします。  ただいま御質問の超音波診断装置でございますが、これは御存じのとおり超音波を体表から照射をいたしまして、内臓あるいは組織における反射波というものを映像に組んで、その生体内のいわゆる組織の構造の異常というようなものを判別するわけでございますが、胎児などにつきましてはエックス線照射よりも安全性が高いのではないかということで五十三年ぐらいから普及をいたしております。この装置につきましては、いまの産婦人科領域のみならず、頭部の腫瘍でありますとか心臓、乳腺等の疾病の診断に使用されるというものでございます。  現在使用されております機器につきましては、いろいろな学会の発表あるいは厚生省自体の研究におきましても、人体、胎児に対する影響があるというような報告は承知しておりませんので、問題はないのではないかというふうに考えております。ただ、現在でもこの種のものにつきましては一つ一つ臨床試験をさせまして、そして臨床試験の結果に基づいて安全性を確認しながら承認をしておるということでございます。なお今後こういう情報を収集いたしまして、その安全性の確保については十分努力を払っていきたいと考えております。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 これは安全性があるのですか。

代田久米雄厚生省薬務局審査課長

○代田説明員 安全性のチェックをやっております。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 いまの御答弁の中で、確かにこの機器がもともと疾病の診断に開発されたものだということ、これは理解できます。母体と胎児の安全のために開発されたものでございます。  話を伺いますと、担当のお医者さんは、この機械によって診断した結果、男性か女性かという胎児の判別は一応できる。ところがお医者さんとして言わないことになっている、教えないことになっているのだ、ところが、やはり求められれば人情として教えるということのようですね。この教えることがいいか悪いかは別問題として、教えられれば両親としてはまたそれなりの一つの気持ちの変化もあるのではないかということ、そこが将来大きな社会問題に発展する可能性があると私は思っているのです。  つまり、両親としては、今度生まれてくる新生児がたとえば男児を希望しておった。ところが診断の結果女児であった。これは要らないからという形で合法的に堕胎、先ほど私が言いました優生保護法の適用もありますので、堕胎罪の適用が余りないようですけれども、そういうことで将来いわば合法的に堕胎が行われてくるのではないか。こういうことは非常に問題、特に胎児の人権問題から見て非常に大きな問題、まして、胎児だけでなくて母体の人権にもかかわる重要な問題だと思うのですね。この点についてはどういうお考えを持っておりましょうか。

目黒克己厚生省公衆衛生局精神衛生課長

○目黒説明員 現行の制度におきましては、優生保護法によりまして、その指定医師が人工妊娠中絶を行うことができる要件が定められておるわけでございます。この要件に適合いたす者については、これは人工妊娠中絶を行うことができるという制度になっておるわけでございます。  現行では年間約六十二万件の人工妊娠中絶が行われているわけでございますが、この優生保護法の適正な運用につきまして、私どもは優生保護法の指定医に対しまして従来からこの法の適正な運用を図るよう強い指導を行ってまいっているわけでございます。したがいまして、これにつきましても今後も続けてこのような指導を行ってまいるという考え方でございます。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 最後に、女性犯罪の関係で女性一般に対する矯正の問題、受刑者としての女性の問題を取り上げてみたいと思うのですが、女性犯罪者の処遇については、受刑者の数が少ないということから、男子の受刑者のように施設ごとの分類収容等が行われていないというようなことも指摘されております。また初犯も累犯も同じ施設の中で処遇しているということから、いろいろな悪影響を受けるという危険度も高い、こういうような指摘もあるのですけれども、この点について、将来女性の受刑者に対する処遇については何か具体策をお持ちでございましょうか。

豊島英次郎法務省矯正局長

○豊島政府委員 現在、女子の収容施設は全国に五つございまして、この五つの施設には、いわゆるA級、これは犯罪傾向の進んでいない者でありますが、それからB級、これは犯罪傾向の進んでおる者でありますけれども、委員御指摘の累犯者というのは主としてB級でありますが、こういうA級、B級の二つに分類をいたすわけでありますけれども、いまの五つの施設にはA級もB級も収容しているという状況でございます。  ただ、そうではありますけれども、これを同じ部屋に入れるというのは先ほど御指摘のように影響好ましからぬ面もございますので、施設内におきましてはできるだけ両者を分ける。両者を分け得ない場合には階上と階下に分ける。それでもなかなかそううまく分け得ないので、少なくとも部屋は分けるというやり方をいたしております。階上、階下ぐらいの分け方で分け得る施設が大体半分ございます。  それから刑務作業がございまして、作業につく場合に工場がどの施設も三つぐらいしかございません。そのためにA級ばかり作業についておる工場とB級ばかり作業についておる工場のほかに、A、Bが一緒になって作業についておる工場があるというような形になっております。これは理想から言えば完全に分けるのがいいわけでありまして、私どもといたしましては、五つの施設をさらにもっとふやすことによってA専門の施設、B専門の施設にしたいというふうに思うのでありますけれども、御指摘のありましたように、収容者総数が千数百という現状においては施設をふやすことは非常にむずかしいという状況にあります。  それならば、全国五つの施設をA専門の施設、B専門の施設に分けたらどうかという議論がもう一つあるわけでございますけれども、この点につきましては、やはり保護者の面会というような問題がございましたり、あるいは本人が帰住する際の帰住地に近いところがいいというような問題がございましたり、あるいは北海道と九州の者が同じ施設で生活するというのは好ましくないというような文化圏の問題がございましたり、そういった面から、全国五つをAとBに施設を区分けして収容するというのは適当でないという判断をいま持っております。したがいまして、現状におきましては一つの施設の中でA、Bをできるだけ分けて、工場等もできれば増設ということによってA、Bをはっきりと分けて処遇をしていくというのが現実策ではないかと考えております。

長谷雄幸久公明党・国民会議

○長谷雄委員 終わります。

木村武千代自由民主党

○木村委員長 田中美智子君。     〔委員長退席、山崎(武)委員長代理着席〕

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 きょうは、いわゆるベビーホテルと言われるものについて質問をしたいと思います。  電話帳をめくってみますと、電話一本で予約オーケーとか、二十四時間赤ちゃん預かります、愛児のことならお任せくださいというような広告がたくさん出ています。特に電話帳、駅周辺の看板、それから各戸配布のビラ、こういうふうなものにこのような広告が急激に見られるわけです。これはいわゆるベビーホテルの広告なわけです。気がつかないでおりますと、名前もいろいろで、ベビールームとかベビーホームとか子供の家とかいろいな名前がついております。中にはベビーサロンだとかフラワーホームだとか、何とかシャロームとかエミー、カトレヤとかベビーハーバーとか、一体何なんだろう、何かキャバレーの広告だろうか、私は名前にけちをつけるつもりはありませんけれども、新しい現象として急激に出てきているわけですので、何だろうと首をかしげるような広告があるわけです。     〔山崎(武)委員長代理退席、委員長着席〕 中をよく見てみますと、それはいまいわゆるベビーホテルと言われているものの名前なわけです。  一体これがどれくらいあるかという数ですけれども、東京都内で三百カ所、全国で千カ所とついこの間まで言われていたわけですが、次々と雨後のタケノコのようにできてきまして、いまの時点ではその二、三倍にふくれ上がっているのではないかと推測されているわけです。この経営者も一人が一つの経営をしているのではなくて、何カ所も経営をし、それも経営者は遠くどこかの県にいて、東京にチェーンのようにしてチェーン化したものを持っている、全国にまたチェーン化して持っているというようなものもある。これが週刊誌などで、これからもうかる商売の三つのうちの一つ、これからのもうかる産業の一つなどと、本当かどうだかわかりませんが、そのように書き立てられている。何しろ、この赤ちゃんホテルはもうかるんだというようなことが言われ始めています。こういう急激な現象はこの二、三年ではないか、特にこの一、二年がすごいのではないかというふうに思います。  電話帳の広告を見ますと、山手線が楕円形に書いてありまして、その駅のところに黒丸がついているわけです。これはいまもうやっているところ、白丸がついているところ、これはこれからやるところというような形で、できると、山手線の駅にほとんどチェーンでできる。中には二十三区全部掌握して、いま建設中であるというような広告なども出ているわけです。こういうふうなものを大臣は御存じでしょうか。

倉石忠雄自由民主党法務大臣

○倉石国務大臣 よく存じません。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 厚生大臣には、私もこの四月十六日に社労委でこの問題をわずかな時間でしたけれども取り上げました。厚生省の方はある程度御存じだと思いますけれども、それできょうは法務大臣に細かい現状をまず知っていただきたいわけなんです。それはなぜかと言いますと、結論から言いますと人権侵害が行われているのではないかというふうに思われますので、御存じないようですので、現状をお話しさせていただきたいと思います。  いまお話ししましたようなこういう施設というのは、特別な事情がある子供の一時預かりをするだけではないのですね。特別な事情というのは、たとえばお母さんが結婚式に出るからその間だけちょっと時間預かりするとか、中には夫婦でスキーに行くからその間子供を二、三日ベビーホテルに預ける。二十四時間やっているわけですので、そういうものだとか、デパートに買い物に行く間ちょっと預かってもらう、パーマに行く間ちょっとというようないわゆる一時預かりというだけではないわけです。むしろ認可保育所に入れなかった者が数としては多く使っている。公立、私立の認可保育所に入れなかった者、たとえば定員がオーバーして、申し込んだけれども抽せんに外れたりしてあぶれたという者だとか、また夜の水商売などをやっていて税金を払っていない。そのために入所基準にひっかからないので公立の保育園に入れないという人とか、いろいろな入所基準というのが決められていまして、ここに七項目書いてありますけれども、こういう基準から外れて保育所に入れなかった人たちが保育所がわりにこのホテルを使っているというのが数としては非常に多いようです。  特に目立ちますのは業者夫人と言われるもので、この業者夫人というのは、女の経営者ということではないのです。経営者は夫で、妻は家族従業員として一緒に働いている。夫婦で働いてこそやっと成り立っている零細業者ですね。こういう人の子供の利用が非常に目立っているわけです。これは保育所により場所によって違いますけれども、保育に欠けるという条件の中に、家で商売をやっていますと、家にお母さんいるじゃないかという形で、入所の対象でないといってはじかれる人たちが非常に多くあるわけです。入れてもらっているところもあるわけですけれども、これはまちまちになっています。こういう零細業者の子供の認可保育所のかわりに使われているということが多いわけです。ですから、時間決めというよりも月決めになっているわけですね。一カ月幾ら、朝八時から夕方五時までで一カ月二万円とか三万円とかいうふうに月決めになっているわけです。朝が少し早いとか五時以後また一、二時間、またお店閉まるまで、十時までというふうになりますと、それが今度は一時間幾らという形でこの二万円、三万円の上に上乗せされて払うわけなんですね。こういうふうな形をとっているもの。それから、さっき言いましたような結婚式だとか買い物、緊急の用事、父子家庭、母親の病気、旅行、いろいろな事情で昼夜を問わず時間預かりというのもしているわけです。  ですから、保育所と一時預かりの託児所とそれからいわゆるベビーホテルという夜泊まるところ、こういうものが全部兼用されているようなところが非常にたくさんできているようです。昼だけのものもあるようですけれども。こういうところで二万とか三万とかということになりますと、これだけで見ても、認可保育所では大体三歳未満児は一カ月五万五千円から六万円というのが、国と地方自治体と親の収入によってこれを賄っているわけですから、一人の子供に国の基準としては大体五、六万はかかるというわけです。これが二、三万で済む、済むというのはおかしいですけれども、というのはここに秘密があると思うのですね、どうしてこんなに安いのだろうという。需要が非常にたくさんあるわけです。安いのが悪いと私は言っているわけではなくて、その裏にどういうことがあるかということです。  厚生省にお伺いしたいわけですけれども、旅館業法というのがあります。この法律の目的というのは「公衆衛生の見地から必要な取締を行うとともに、あわせて旅館業によって善良の風俗が害されることがないように」必要な規制を加えている。それで換気とか採光、照明、防湿、清潔、こういうようなものが旅館の場合には定められているわけですね。こういういわゆるベビーホテルというのには、旅館業法というのは当てはまらないわけですね。

福渡靖厚生省児童家庭局母子衛生課長

○福渡説明員 お答えをいたします。いままでのいわゆるベビーホテルについては旅館業法が当てはまるというようには私たちは解釈しておりません。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 解釈していない。ですから、これは旅館ではないですね。法律的には旅館ではない。実際には泊まっているわけですけれども、ないわけです。  今度は、どういうところでやっているかというその場所ですね。これもピンからキリまであるわけです。一流ホテルの何室かを改造したものから、倉庫の屋根裏とか、風も通らず空もなく全く日の当たらない地下室のようなところにもつくられているわけです。ですから、旅館というふうに考えますと、いまの換気、採光、照明、こういうものから考えてみても、地下室に赤ちゃんが夜泊まるというようなことが現実には起こっているわけです。実際には、いま非常にふえているのは駅の近辺のマンションですね、マンションの何階というところに急激にふえている。まさに雨後のタケノコのようにふえているわけです。これは熊本の話ですけれども、プロパンのボンベをしまっておく倉庫があるわけです。この倉庫の二階でやっている。まるで火薬庫の、そういうところが火事になるというわけではないかもしれませんけれども、そういうところの上でやっている。この間、つい二、三日前に電話をかけたところが、それは、そういう見かけの汚いものというのがつぶれていっているわけですね。マンションの見かけのきれいなものがたくさんふえているものですから、電話をかけてみましたら、つぶれていました。しかし、そういうものもやられている。私が調査しましたのは全体からすればほんのわずかですから、ほんの一部分しかわからない。それでもこういう状態というものがクローズアップされてきているわけです。  それも値段もピンからキリまでありまして、さっきのように月決めで二万、三万、夜になればそれに上積みしていく、そして宿泊料を取るということですから、昼間の保育料としては二万、三万というので、国が決めている五、六万からすれば安い。親のふところからして安いとは言いませんけれども、それだけのお金しかかけていない。それに宿泊や何かかかるわけですから、実際には親にとっては大変なわけですね。しかし、この値段もピンからキリまであるようです。一時間九十円というのがあるのですね。これはもうびっくりしましたけれども、コインロッカー・ベビーホテルというような、本当にこんな言葉を使うのは悲しい気がします、人間の子供のことを。ですけど、やはり大臣に知っていただきたいと思って言うわけですけれども、こういうものもあれば、一時間二千円という高級なものもあって、一泊一万五千円、月三十万から五十万円もかかるところもあるというのですね。これを払って預けている人がいる。  どういう人たちが預けているかというと、さっきのように保育所がわりに使っている人たちは、一般の働く労働者やまた零細業者の子供が非常に多いわけですけれども、こういう高級なところは、中には皇族の子供もいる、それから高級官僚、皆さんたちの同僚のお子さんも預けられている、医者とか学者とか芸能人とか、こういう人たちが利用しているというわけです。  ですから、本当にピンからキリまである。そのどっちがピンかキリかわかりませんが、安い方のところでは、近所の店からラーメンをとって、そのラーメンを子供五人くらいに分けてやるとか、御飯におしょうゆをぶっかけて、それだけを口の中に入れてやっているとか、そういうことをやっていますし、高級なところでは、ホテルですから、ホテルには賄いがありますから、そこからルームサービスですね。それも子供の好み、親の好みで全部いろいろなものを注文して、あるところでは一人の子供に一人のボーイが付き添って、そして大切なお客様ですから、月に三十万も五十万もいただくお客様ですから、かしずくわけですね。ですから、もう二歳ぐらいで王子のような振る舞いをする。そういうふうに扱うわけですからね。ですから、見かけがきれいであり値段が高いから、それなら一体子供の保育――保育というのは教育ですから、大きい、広い意味の教育ですから、そういうもので一体、見かけがきれいであればそれでいいか、ここにも大変問題があるというふうに思うわけです。  いわゆる食品衛生法というのがあります。これでいきますと「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与する」ということで、食べ物屋さんや物を売るところは、保健所がいろいろ調べたり何かして規制しているわけですね。しかしここでは、ホテルの場合の食べ物はそれの規制の範囲になっているとしましても、このベビーホテルの中で御飯にしょうゆをかけたり何かしてつくって食べさせて、それでその食費は取っているわけですから、そうすると、一つこれは食品衛生法にひっかからないのか。商売――まあ商売ですね、やっているわけですから。これはひっかからないのですか、厚生省。

福渡靖厚生省児童家庭局母子衛生課長

○福渡説明員 直接所管をしておりませんので詳しくはわかりませんけれども、食品衛生法でいう取り締まり対象というのはやはり一定の枠がございまして、その枠の中に入っている場合に対象になるということだというふうに私は理解しております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 そうしますと、食品御生法にもひっかからないで、そこでどんなものを食べさせているか。相手は人間ですので、ペットのホテルが最近はできておりますがそことは違いますので、これも食品衛生法にもひっかからない、こういうものがどんどんできている。特殊に一つ、二つあったという問題でも、そこに人間の子供がいるのですから、たった一つであってもこれは問題ですけれども、これが全国どれぐらいあるか、何千というふうにできているのじゃないかということは大変な問題だと思います。  そこで大臣に伺うのですけれども、どうしてこんな需要が、需要というのはおかしいですけれども、こういうものができるのか、大臣はどうお考えになりますか。

倉石忠雄自由民主党法務大臣

○倉石国務大臣 私はきょう初めて承ることでありますし、何ら知識がありませんから間違ったお答えを申し上げるわけにいきませんが、これは、そういう世の中の変遷に伴って新しいいろいろなものが必然的に起こってくることはもうわかることでありますが、そういうことで、やはりおっしゃるようなことについては関係省がその気になって温かい考え方でめんどうを見ていただく必要があると思います。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 新しい情勢が出ているのだろうと大臣はおっしゃっている。よくわからないけれども、ということです。  私の住んでおりますところは名古屋です。人口二百万都市。ここで保育所に入れない人たち、それは入ろうとしても入れない人たちですね。入所基準に合っているのだけれども、入所の対象になっているのだけれども定員が足らないために入れなかった子供たちというのが、昭和四十五年には四千四百人いたわけです。これはいまの入所基準ではじかれた人ではありませんよ。これにかなっている人が四千四百人、一年間に入れなかった。ですから、パートの主婦だとか業者の夫人だとかそういう人たちの子供というものを、入所の対象をもう少し広げれば、この約二倍以上の人たちが公立のきちんと基準で定められた保育所、国からの援助もある保育所に入りたい人たちだというふうに専門家は言っているわけです。まあ少し大きく見ても、いま言ったようにどの法律からも保護を受けられないでさまよっているゼロから五歳までの子供が名古屋でも約一万人ぐらいはいるのではないか。倍として八千八百人ですね。ですから一万人近くいるのではないか。これが保育産業のかっこうの対象になっているわけです。これが需要ということになる。ですから、これに対して供給という形でベビーホテルというものがずっとできてくるわけです。私はこういうふうに思っています。  それで、きょうは特に、保育所をもっとたくさんつくってほしい、こういうことを言いたいわけですが、時間がありませんので、何はともあれこの現状をよく知っていただくということでいきたいと思いますので、次に進んでいきたいと思います。  では、どういう人が経営をしているか。非常に多種多様です。保母さん、元保母だとか教師、看護婦、こういう人たちがやっているのは当然のことかもしれませんけれども、中にはキャバレーの経営者とか保険の外交員、それから子供のおもちゃのセールスマン、サラ金業者や暴力団員も経営しているということなんです。結局これは、もうかるということに気がついた人が、法の手続は何も要らないわけですから、もう手軽に商売が始められるわけです。ですから、非常にいろいろな経歴の経営者がいるということになるわけです。  保険の問題もあれですけれども、保険の外交で、もしけがをしたときにというので子供に保険を掛けるわけですね、それの勧誘に行っているときに、保険の外交なんかしているよりもベビーホテルをやった方がもうかるというので、ばっと職業がえしてやるとか、それから、こういうベビーホテルの保母として雇われて非常に賃金が安いとか、ひどいところではもう六万、八万というような賃金もある、そういう中でやっているうちに、こんなところで苦労して七、八万、十万くらいの賃金をもらっているぐらいなら自分でやった方がいいというように思いついて、すぐ近所にマンションの一室を借りて、そしてそこの子供を何人か引き連れてそっちへ行っちゃったというので、もとの経営者とつかみ合いのけんかになったというようなこともあるわけですけれども、だれも仲裁することもできないし、それほど簡単にできるわけですね。  ですから、そこへ手伝いに行っていた者がやる。そういうところにおもちゃを売り歩いていた人が、こんなことをしているよりもベビーホテルをやった方がいいんだというような形で簡単にベビーホテルがやられているということで、先ほど言いましたように、雨後のタケノコのように毎年ふえている。大臣、ちょっと電話帳の職業別のところを、五十五年の新しいのができたばかりですから、ごらんになってみてください。ばっと見たらばっと出ておりますから、びっくりするほど毎年そこのところがぐっとふえているわけですね。  まだ倉庫みたいなところもたくさんあるようですけれども、最近では、駅の近くの便利なところ、お母さんやお父さんが預けやすいところ、駅の近くのマンションが圧倒的に多いわけです。マンションが売れ残りますと、不動産屋さんがベビーホテルをやるともうかりますよと言って売るわけなんですね。そうすると、勧誘するわけですから、頭金三百万円ぐらい準備しさえすれば、あとはリースで全部貸してくれる。それで、この商売を一年続けられたら大体元を取る、こういうふうに公言する人もあるのですね。  それはやり方に問題があるわけです。すべてのベビーホテルが一年で元を取るほどもうかっていると私は言っているのではありませんけれども、やはりもうけを追求していけばそこまで行くということなわけですね。初めは、困った、保育所にも入れないし乳児院にも入れないしという子供を預かっているということで良心的に始めたところもあるようですけれども、どんどん商業主義の中に入っていきますともう一年で元を取る、こんないい商売はないということで、結局週刊誌でこれからのもうかる商売の三つの中の一つと言われるようになるというのはこういうところだというふうに思うわけです。  それから今度は、経営者はさっき言いましたようにサラ金業者までいる、暴力団員までいるということですけれども、実際に子供をさわる人、これは資格のあるいわゆる保母さんというのは半数以下じゃないか、まあ半数くらいかなというふうなことを一わかりませんけれども、ちょっちょっと見たところでは、有資格の保母が一人置いてあるとかというようなことは聞いているわけです。  それで、国の基準では三歳未満の場合には六人の子供に一人。これも大変だというので、保育関係者は、六対一ではだめだ、三対一にせよというようなことを言ったりしているわけですけれども、一応基準は六対一ですね。それがもう二、三十人の子供に保母が二人とか、私が調べました一つというのは、五十人に保母四人というひどいところがあるのです。ですから、こういうところの保母さんの労働条件というのは大変です。四人で五十人の赤ん坊を見るわけですから、多少大きい子がいるにしても、三歳未満が圧倒的ですので、四人で五十人見るなんということは超人的なことなわけですね。ですからもう大変にしんどい。それで、しょっちゅう保母さんがやめるわけです。やめると、その後がまが見つからないのですね。年寄りのおばさんを見つけてきたりなんかするわけですけれども、見つかるまでの間、その五十人の子供を二人の保母で半月ぐらい見ていたことがあるということも、そこに預けている母親などが話しているわけです。五十人を二人でですよ。  こういう話を聞いて、私はもう本当にぞっとしたわけですね。一体、二人の保母、四人の保母で五十人をどうやって見ていくんだ、どうやって見られるんだと。これは保育の専門家でしたら、大臣のような方は御自分で余りお子さんを育てていないとおわかりにならないかもしれませんが、大変な問題です。  そこではどんなふうにしているかといいますと、そこの私が調べたところでは、廊下から部屋からミカン箱、木じゃないですよ、段ボールのミカン箱がだあっとくっついて並んでいるのです。廊下までびっしりですね。それでこれをちょっとお見せしますけれども、大臣、ちょっとこちら見てください。これは段ボールですね。これは保母さんがいるわけです。有資格者じゃありません。ちょっと顔は隠しているわけですが、段ボールがこういうふうになっているわけですね。これがだあっと部屋いっぱい並んでいるわけです。そしてこれを見てください。段ボールに子供が入っているわけです。これがだあっと並べてあるわけです。これもそうですね。これは中へ入っている赤ちゃんを上から写したもので、ちょっと暗いですが段ボールの中に入っているのですね、赤ちゃんは。こういうふうにして、だありと並べているから五十人くらい見られるといっていいかどうかわかりませんが、一応見ているわけですね。赤ちゃんが寝返りを打ちますと、商売道具のミカン箱が壊れるわけですね。だから段ボールが動かないように固定するわけです。バスタオルだとか縫いぐるみ、これは縫いぐるみでないかもわかりませんけれども、縫いぐるみの人形とかクマとかそんなのありますね。こういうものやバスタオルを間に入れて動かないように赤ちゃんを固定しておくわけです。人間の赤ちゃんですよ。犬ではないですよ。  ですから、人間の子供が生まれると間もなく蚕だなのようなところに、最近の鳥小屋とそっくりですよ、だあっと入れられている。そうして目を合わせて話し合う、話しかけられるということはないわけです。五十人もいたら、わずかな保母さんではとてもそんなことはできません。それから、ほほ笑みかけるということもないわけですね。それで、まるで機械のように哺乳びんだけ突っ込むわけですね。そうすると、こうやって赤ちゃんを固定させたままで、くっついた箱でちゅっちゅっと吸って、おっぱいを飲むわけですから、一応食べれば生きていくわけですね。  こういうふうになりますと、人間というのはよく模倣だ――私たちは人と話をするときに、大臣は余り人の顔をごらんにならないようですけれども、普通人間というのは、目と目を合わせて、こうやって目を合わせて話をする、これは普通なんですね。余り目をそらしているときは何かいやなときか、それともちょっと変わった人というふうに世間では言われるわけですね。だけれども、人と話をするときに目を見るということは、私たちは学んだという意識はありません。しかし、それは親や周りの大人たちやきょうだいやそういう人たちから学んできているわけですね。ですから身についているわけですね。それから、笑うということもそうです。全く笑わない家庭で育った子供というのは笑わないといいますね。笑顔が美しい子供というのは大抵親が美しい笑顔をする、こういうふうによく言います。ですから、笑うということ一つもこれは模倣として、人間と人間との接触の中でやはり学ぶわけなんですね。私たちは学んだことを、いま笑おうと思ってこうやって笑うわけではないわけなんですね。  そういうことが全くなしに人間が育ったら一体どうなるのだということを、私は大臣にちょっと考えていただきたいわけです。私は、小児科のお医者さんや心理学者だとかこういう方にもいろいろお話を伺ったり、保育の専門の方に伺ったわけですけれども、そういう状態で育てられますとほとんどが自閉症児になっている。それから後天的な精薄ですね、こういうものになっている。ですから、いま私が話しました写真のようなこういう保育をしているということは、まさに自閉症児や精薄児をつくる実験をしているような、変な言い方ですけれどもそんな感じさえするわけです。  これはまさに人権侵害ではないか。運動機能が非常に劣えるのですね。劣えるというか、これから伸びるときに固定されていれば動かないわけですから、ですから物が落ちてもそれを追おうとしない。後でうちへ連れてきて哺乳びんを口に当てても自分の手で持とうとしないのですね、学んでないわけですから、こうやったままでいるわけですので。そういうことは人権侵害ではないか、憲法二十五条に違反しているのじゃないか。こういうことが日本国でたくさん行われている。どれくらいということはわかりませんが、何はともあれ、こういうことがたくさんあるということを大臣はどうお考えになるでしょうか。

中島一郎法務省人権擁護局長

○中島政府委員 お答え申し上げます。  すべての児童が心身ともにより健やかに成育するようにということは私どもの切なる願いでございまして、このことは、ただいま御指摘になりましたようなベビーホームを必要とするような子供たちについても全く同様であるというふうに考えるわけでありまして、そういう子供たちの置かれておる状態が非常に劣悪である、あるいはそれを監護する方法が非常に不適切であるという幾つかの事例としてお述べになったのだと思いますけれども、確かに、おっしゃいましたようなものの中には、具体的な事情によりましては人権侵害あるいは人権上問題になるケースもあるのではないかというふうな感想を持っております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 大臣は。

倉石忠雄自由民主党法務大臣

○倉石国務大臣 ただいま局長がお答えいたしましたとおりでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 こういう状態というのが全部とは言いません。しかし、こういう人権侵害が行われているということです。  いろいろな障害が出ているわけですけれども、こういう障害というのはそう簡単に取り戻せないのですね。運動障害一つ取り戻せない。ですから、これを放置しておくということはまさに犯罪的行為じゃないかと私は思うわけです。やっている人たち、またそこに預けている人たちに責任が全くないとは言いません。しかし、こういうことが行われているということを見て見ないふりをしてほうっておくということ、これも国や自治体の犯罪的行為ではないかというふうにさえ私は思うわけです。ある小児科の医師が、こういう状態を見まして、十年後にこの罰はわれわれ大人の社会が受けるだろうと言っているわけです。これはどのように受けるかということはいろいろな御意見があると思いますけれども、まともな人間でない、非常に人間関係のつくれないような人間がたくさんになるということ、社会が大きな罰を受けるだろうということをある医者が言っているわけです。私は必ずしもオーバーではないのではないかというふうに思います。  よく、人はこういうふうに言う人もいます。わずかの期間だからいいじゃないか、ほんのちょっとの間だからいいじゃないか、こういうふうに言う人もいますけれども、特におっぱいを飲んでいる子供ですね、乳児の一日というものは大人の一カ月に相当するのだ、こういうふうに言う人もいるわけです。動物は、ネコとか犬とかこういうのは母胎の中である程度脳ができ上がってから生まれてくるわけです。ですから、いわゆる飼育という形でただおっぱいを飲ませておけば、ネコや犬でも固定しておけば運動機能障害も起きるでしょうけれども、一応脳は一人前で生まれてきているわけですから、動物的に栄養を与え寝せておけば大きくなっていくわけです。  しかし、人間の子供は脳が未成熟で生まれてくるというところに特徴があるというふうに医者から聞いたわけです。だからこそ、環境や広い意味での教育というものが行われれば、ネコや犬とは違って未成熟な脳が非常に大きなものを吸収してすばらしい、動物とは違ったまさにわれわれの未来と言えるような子供が育っていくのだというふうに思います。ですから、三歳までの教育が人生を決定するなどというようなことを、それだけではないと思いますけれども、そういうことを言うくらい三歳までの教育というのは大事な問題だと思う。そのときにこういう状態に置かれているということは、取り返しのつかない状態を起こしている、単なる人権侵害だけでなくて取り返しのつかない、社会の大切なわれわれの未来というものを傷つけているのではないかというふうに私は思います。  先日、TBSのテレポート6という、六時から三十分番組でやっているのですが、厚生省の方たちはごらんになったというふうに私は聞いているのですが、何回か連続して、四回くらいやられているようです。これがベビーホテルの問題を扱っているのです。私はこれを見ました。その中の一つに、ナオちゃんという男の子が出てくるのですね。両親も出てくるわけです。これはわずか三カ月ベビーホテルに預けただけでナオちゃんが御飯を食べなくなった、御飯を食べないという状態が出てきたので、これはそのままほっとけば死んじゃうわけですから、みんなが気がついた、親も気がついたわけですね。  両親はどういうことをしているかというと、夫婦だけで学生相手の食堂を始めたわけなんです。ですから、人を雇ってやるということでは成り立たないのですね。経営者は夫ですけれども、妻も同じくらいの比重でやっているわけですから、奥さんが食堂から離れるわけにはいかないわけです。初めは、仕方がないのでお店の裏の小さな部屋のところに寝かせておいたわけですね。しかし、それでは見ることができないわけです。お店が立て込んできたりなんかすると全然おしめもかえてやれないという状態になるものですから、保育所にも預かってもらえないということで、この人は電話帳を繰って、さっき私が言いました電話帳を繰って、自分のうちになるたけ近いところでベビーホテルを見つけて、そこに預けたわけです。わずか三カ月で物も言わない、御飯も食べなくなったというので両親はあわてまして、これは大変だというので都立の児童相談センターに相談に行ったわけですね。いま週二回そこに通っている。そして、保健所からのお世話でぜひという形で特別に区の保育所にいま入れてもらっている。ですから、四日保育所に通って、二日この児童センターで治療のようなことをしているわけなんですね。  いま二歳になっていますけれども、まだ言葉が出ないし十カ月ぐらいの発達だ、こういうふうに言われているわけです。もう一人の子供は健全に育っているわけですけれども、このナオちゃんは三カ月でそうなっているのですね。というのは、結局ナオちゃんの三カ月というのは大人の七年に相当したのじゃないか。乳児の一日というのは大人の一カ月なんだというので計算しますと、まさに七年間にいうものがそのベビーホテルの中の環境によってこういうふうになったのではないか。いまやっと笑うようになって、かわいい顔して笑っているのがテレビに映っていました。本当に、何と表現していいかわかりませんけれども、自閉症児になるということを盛んに保育関係者が言っていますけれども、まさにその実証をテレビで見せてもらったように感じたわけです。ここにお父さんもお母さんも出てきて、お母さんは、外に全然出さずにいたからこれからはできるだけ外で遊ばしてやりたいと言って、お店の休みのときには両親で公園などへ連れていって走らしているようなテレビが映っていましたけれども、お父さんは、ベビーホテルに預けてから、それまでは少しずつ大きくなり何か少しずつ外界の物を覚えていくという状態があったけれども、ぴたっとそれがとまった、何か覚えることがとまった、むしろ後退したようにさえ感じたということをテレビの中で言っていました。  どういうベビーホテルだったかということは十分にわからないのですけれども、親の言うことでは、一日じゅうテレビの前に寝かせたままにして一度も外に出していないというわけですから、こういう状態ほどひどかったかどうかはわかりませんけれども、悪い言葉を使えば幽閉されるような状態でナオちゃんがいたわけです。大人だって、よく刑務所なんかに入りますと、幽閉されて何かちょっと病気になりますよね。そういう状態にあったのじゃないか。中がどんなになっているか見たくても、玄関で子供を渡したきりで、保育室がどうなっているのか両親には見せないわけなんですね。これはテレビにも出ていましたけれども、プロデューサーが中を見せてくれと言っても、いま忙しいからとかという声が流れていました。私も手分けしてずいぶんやりましたけれども、中を見せないところが非常に多いのですね。ということは、見せられないのじゃないかというふうに私は思うのです。  こういうところに、ひどいのは生まれてから五歳まで全部預けているのがあるのですね。ときどきうちへ連れてくる、ときどきどっかへ親が連れていく。だから、実際にはそこに預けっぱなしというところもあるのです。ですから、養護施設も兼ねている、保育所を兼ねている、託児所を兼ねている、ホテル、宿屋、旅館を兼ねているというようなものになっているわけです。  こういうところに長くいた子供というのは、もう不思議なほどみんな体が小さいのですね。いまの子供は大きいと私たちは思っていたわけですが、小さいのです。これはやはり医者の言葉ですけれども、愛情飢餓、人間と接しないわけですから、愛情飢餓で成長ホルモンがとまるんだということを医者が言っている。もう実に恐ろしいことだと思います。  こういうひどいところでなくても、ちょっと中くらいというか、国会議員などが相当相談員になっているなどというようなところも、見せていただいたのではきれいで、日当たりもよくてりっぱだそうです。見に行ってもらったのですけれども、そしてその話を聞いたのですけれども、ガラスのつい立てで個室をつくっていて、ガラス越しに中で問題が起きていないかというのを見ているだけなんですね。ですから、人間と人間との接触というのは非常に薄いわけです。全くしないわけではないでしょうけれども、非常に薄い。だから、見かけが非常にきれいでこれは一流に近いところだと言われるところも、こういうふうに人間と人間との接触というのがないわけですね。ですから、きれいなところで飼育している、まあ悪い言葉で言えばそういう感じになっているわけです。これはもうまさに人権侵害を超えた大きな社会問題だというふうに思います。こういう状態です。  切りがありませんけれども、もう一つ私が驚きましたのは、これは事実あった話で、あるベビーホテルの経営者に聞いてきた話なんですけれども、渋谷の高層ビルの十二階にベビーホテルがあったというのですね。十二階のベビーホテルですから、恐らくそんなにきたないところではないんだと思うのです。しかし、その何階か下で火事があったというのですね。消防署が駆けつけたところが、その近所の人に、あそこの十二階に赤ん坊が何十人かいるんだと聞いて、消防士がびっくりしたというのです。そのときは、幸いそこの上まで火が行かずに消しとめられたので問題は起きなかったわけですけれども、ここは、消防署の方がこういうことが起きると大変だからという御注意をしたところが、ベビーホテルをやめたそうです。どこか別のところに移ったのかもわかりませんけれども、おやめになった。だから、やめるのも簡単だけれどもつくるのも簡単という感じです。  それからまた、消防法違反の建物や何かでやっているというところもあるというふうに聞いているわけです。やはりTBSのテレビ、テレポート6でばっと映ったのを見ますと、マンションの二階、三階、四階とずっと看板が出ているわけですね。そうすると、そこに赤ちゃんが何人もいて、それで保母さんが五十人に四人なんというほど極端でないにしても、もし火事のときに、赤ん坊は自分ひとりで歩けない、歩けるにしてもよちよちの子供がいるわけですから、一体どうやって逃げるのか。一体、消防署としては火事のときにどうやって生命の安全を守ることができるのか。これは消防庁の方にお聞きしたいと思います。

中島忠能消防庁予防救急課長

○中島説明員 先生のよくお調べになりましたお話を聞かせていただきましたけれども、私たちといたしましては、それが法的にどういうふうに位置づけられておろうと、それがどういうふうに扱われておろうと、人命の尊重というものを第一に活動しなければならない。  したがいまして、消防職員が常日ごろ査察ということで回っておりますけれども、そういう機会を通じてそういうベビーホテルというものを知りましたならば、それに対応した消防設備、避難器具を備えるように指導していくべきだというふうに思いますし、また、そういうことを経営される方々も安全についての認識を十分持っていただきまして、消防署の方によく相談をしていただくということも必要かというふうに思います。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 そうすると、指導をして相手の方にちゃんとわかっていただければ、いまの状態で消防庁としては法改正などしなくても守り切れるという御自信がありますか。

中島忠能消防庁予防救急課長

○中島説明員 私たちがすべてその実態を知り得るというのは大変なことでございます。したがいまして、私も福祉行政のことは専門家ではございませんけれども、できるならばその実態というものを把握された上で、こういうものを整序といいますか秩序づけて法的に位置づけることができるのかできないのか、できるとしたらどういうふうに位置づけられるのか、あるいは位置づけられないとしたらどういうふうに措置されるのかということが前提になろうかというふうに思いますが、それまでの間におきましても、消防といたしましてはできる限りの努力をして人命の安全に努めるということだと思います。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 人命の安全はできる限りやりたいということですけれども、結局いまのままでは実態もつかめていないし、これをいずれは何らかの形でわかるようにしなければならないということだったと思います。それで実態をつかむ努力というものを、消防署が一軒一軒回って御指導なさるのでしたらぜひそれをチェックをして、消防庁の方でも調査をやっていただきたいというふうに思います。  先ほど生命保険のことも申しましたけれども、火事で焼けるという問題ですと社会問題になりますけれども、大ぜいですので暑かったり寒かったりいろいろな形で脱水状態を起こしたとかなんとかいう形で生命の危機になる、気がついたときは危ないというので救急車で病院に運んだら死んでしまったというようなことが、一流と言われるようなところでも起きているわけです。そのために保険に入っているわけなんです。保険に入れないところもありますけれども、保険に入れているわけです。そのときの申込書ですが、それに、幾ら幾らまでの保険に掛けるけれども、それ以上は何事があっても経営者としては補償しませんよという形で判こを押しているというようなことが行われているわけですね。ですから、高いところは三千万も掛けているというふうに聞きましたけれども、安いところは百万とか五十万とかいうような保険を掛けて、それ以上何が起きても補償しませんという形で示談や何かで済ませているということもたくさんある。もしこれが公になったら大変だという状態がごろごろしているというふうに言う人もあるわけです。  御存じだと思いますけれども、児童憲章でも「児童は、人として尊ばれる。」「児童は、社会の一員として重んぜられる。」「児童は、よい環境の中で育てられる。」とうたっていますし、また国連で採択された児童権利宣言でも「人類は、児童に対し、最善のものを与える義務を負うものである」というふうに言っているわけです。こういうものから見ても、こんな状態にしておくということは絶対に許すことはできない。幾ら児童福祉法や母子保健法に反してないとか消防法にも反してない、食品衛生法や旅館業法にも反してないといっても、これをこのままにするということは私はできないというふうに思うわけです。  四月十六日にこの問題を、非常に短い時間でしたけれども、社会労働委員会で取り上げまして、野呂厚生大臣が、母子保健法の趣旨に照らして一定の枠をかぶせたい、早い機会に自治体の力もかり実態調査をし、規制措置をする、法改正も考えたいというふうに答えているわけなんです。しかしその後、まだ日にちは少ないのですけれども、どのようにしているかということを伺いましても、大急ぎで対策に踏み切っているというような話ではないわけです。まあ一年間ぐらいはフリートーキングをしてというふうなことも言っていられるわけです。これでは間に合わない。  それで私がお願いしたいのは、まず対策委員会のようなものを緊急につくっていただきたい。それは厚生省の中にまずつくるにしても、人権侵害があるわけですから、法務省としてもこれがどんなものか調べていただきたいし、消防庁の方でも、果たして人命が守られるのかどうかということではやはり調査をしていただきたい。そのための対策委員会を早急につくって、そして、一年も二年も先になっての調査ではなくて、すぐに調査に手をつけていただきたいと思うのですけれども、これについて厚生省、消防庁等の御意見を伺いたいと思います。

中島一郎法務省人権擁護局長

○中島政府委員 この問題につきましては、所管庁であります厚生省においていろいろ御検討になっておるというふうに伺っておりますので、もし必要があれば適切な措置が講ぜられるものというふうに期待いたしておるわけでございますが、人権擁護の立場から具体的な事件について何らかの必要があるということであれば、私どもの方も適切な措置を講ずべきものであるというふうに考えております。

福渡靖厚生省児童家庭局母子衛生課長

○福渡説明員 お答えいたします。  先ほどお話がございましたが、四月十六日の社会労働委員会で厚生省の方でお答えをしておりますように、なかなかこれが行政の対象として把握しにくいというようなこともございます、が、気持ちとしてはやはり何とか対応策を見つけ出していきたい、こういうような気持ちで具体的なとれる方法を現在探している。それと合わせまして、家庭保健基本問題検討委員会の検討項目の一つとしてこれを取り上げていただいて御検討いただく、こういうような対応をいましておるわけでございますけれども、何しろ実態を調べるにしましても行政対象としてどのように把握できるのか、それがはっきりいたしませんと、専門的な検討委員会を設置するあるいは調査委員会というようなものを設置するという方向も内容もなかなか決まりませんので、まずその前段階のところで現在やって  いるというところでございます。

中島忠能消防庁予防救急課長

○中島説明員 行政の筋といいますか通常の処理の仕方から言いますと、厚生省の方で実態を把握されまして、その結果を私たちがちょうだいして予防上の対策を講じていくというのが実態であるというふうに思います。ただいまの厚生省の答弁を聞きましても検討されるということでございますので、その検討の過程におきまして私たちの方で提供できる知識がありあるいはまた物があれば提供してまいりたいというふうに思います。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 いまのお話ですと、厚生省がまずやってから法務省も消防庁もやるということですけれども、いまお話しになったのは人権侵害だということを認めていらっしゃるわけですので、独自に法務省としても幾つかのところを調査してみるというようなことをしていただきたいし、消防庁としても、指導すると言ってもどういうふうに指導するのか、行ってみなければ指導できないわけですね、中を見なければ指導できないわけですので、そういうことをやって、そしてそういう問題を厚生省にもこうであったということを言って、連携しながらやっていくのがあたりまえではないかと私は思います。  人権侵害はあるけれども、厚生省がやるまではやらないというのでは間違っているのではないかと私は思います。連携をとりながらやっていただきたい。もちろん厚生省が中心になってほしいというように私は思いますけれども、ほかの省庁でも関係するところは協力しながらやっていただきたい。一日も急ぐ問題ではないかというふうに私は思うのです。  三月五日に東京のベビーホテルの業者を中心にしてベビーホテル協会というのが発足しています。ここで聞いてみましても、まだ発足したばかりで何もちゃんと機能していないようなんですね。いろいろ世間の話ではベビーホテルが非常に不評を買っている、こういうふうな問題が出てきているというので、自主規制してちゃんとしたものにしていこうじゃないかという目的をもってこれをつくったんだと言う人もいますし、中には、これ以上乱立したら経営が成り立っていかないから足切りしていこうじゃないかということで協会をつくったんじゃないかと言う人もあるわけです。これはよくわかりませんけれども、いずれにしても問題は山積しているわけですから、国や自治体が責任を持って、自主規制に任せるということではいけない、国がやはり率先した形でやっていただきたいと思うわけです。  時間が参りましたので、最後に厚生省に申し上げたいのですけれども、国の保育行政の基本的な考え方、これをもうそろそろ変えなければならない時期に来ているのではないかというふうに思うわけです。それは、三歳児までの子供は母親が育てるものなんだから、国はまあまあ困ったのだけというような考え方ですね。特にゼロ歳児は母親だということを決めつけてしまっている、こういう考え方。また保育時間というのは八時間なんだという形でしか保母をふやそうとしないというような考え方ですね。ですから、長時間保育とか夜間保育とかこういうことも一応検討してみる時期に来ているのではないかというふうに思います。こういうことを考えない限り、いまの厚生省の基本理念というものを超えない限り、こうした悪質なベビーホテルというのは必要悪のあだ花のように咲いて、子供の命と人格が商業主義の中にもみくちゃにされていくということが続いていくというふうに思います。  そういう点でぜひ厚生省にもう一度、保育というのは一体何なんだ、働く婦人の生活実態が一体どうなっているのか、実態や意識というものはどうなってきているのか、それに合わせた形で保育というものを考えていくというふうにしていただきたいと思います。いま大平総理大臣は、家庭基盤の充実などというようなことを言って婦人を家庭に帰そうとしているのではないか、そういう考え方を持っているのではないかということが婦人の中で批判になっておりますけれども、これは本来国のとるべき責任を家庭に押しつけようとする自民党政治の逆行的な誤り、こういうものが恐るべき結果を来しておる、将来大変な事態になることは火を見るよりも明らかではないかと私は思います。  そういう観点から、きょうは法務省と消防庁と厚生省しか来ておられませんが、ぜひ各省で、これは社会の重大問題、子供はまさにわれわれの未来だと思うわけですが、この子供を児童憲章に沿った、憲法に沿ったような子供として大人たちが大切にはぐくんでいきたい、これを実態に照らして根本的に考えていただきたいと思います。  時間がありませんのでもう一度強く要請いたしますが、法務省は根本的な調査はすぐにはできないとしても何らかの調査に手をつけていただきたい。それから消防庁も何らかの調査に手をつけていただきたい。その御返事をお聞きしまして質問を終わりたいと思います。厚生省は伺っておりますので、法務省と消防庁に伺いたいと思います。

中島一郎法務省人権擁護局長

○中島政府委員 子供の人権に関する問題でございますので、私どもも重大な関心を持って見守ってまいりますが、具体的な事件を人権問題として取り上げるということになりますと、やはり関係者等からの申告等をいただいた方がより適切ではないかというふうに考えております。

中島忠能消防庁予防救急課長

○中島説明員 基本的な考え方はただいま法務省の局長がお答えになったとおりだというふうに思いますが、いずれにいたしましても、厚生省の方の仕事をどういうサイドで援助できるかということはまた厚生省とよく相談してみたいというふうに思います。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 質問を終わります。

木村武千代自由民主党

○木村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時七分散会      ――――◇―――――

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