法務委員会 第19号
- 発言数
- 265 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1980/04/23
会議録
○木村委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、外国人登録法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田正勝君。
○岡田(正)委員 大臣がいまおくれてこられますので、その方面を省いて、順序不同になりますがお尋ねをいたします。 まず第一にお尋ねしたいと思いますのは、永住権を与えられた在日韓国人の人が、たとえばふろへ行くのにでもその証明書を携帯しなければならないという問題は非常に不合理ではないかというふうに思うのでありますが、その点についてお答えを願います。
○小杉政府委員 現在の外国人登録法の上では、外登証を常時携帯する義務というものが法文上一応定められておるわけでございますが、この常時ということの解釈は、いわば常識的な範囲に当然限られるべきでございまして、ふろに行くのに、ふろに入っているときも常時はだ身離さず持っていなければならないというようなのはいささか行き過ぎであると私ども考えております。したがって、これは常時携帯と申しましても、やはり常識的な範囲に当然限られるというふうに考えるべきであろうかと思います。
○岡田(正)委員 いまお答えがありましたとおりに実際は執行されているでしょうかね。たとえば本当に共同浴場へ行くためにぶらぶらと散歩がてらのような形で歩いていた。身分証明書はあるか、持っておりませんと言った場合に、警官はどういう措置をとっておりますか。
○小杉政府委員 警察当局がそのような場合に具体的にどのような措置をとっておるか、実は私ども承知いたしておらないのでございますけれども、折りに触れかなり厳しい扱いが行われるというような事例があるように仄聞いたしております。
○岡田(正)委員 私がお尋ねしたいのはそこなんですよ。 だから、上の方で考えていらっしゃる常時というのはそう厳しい意味ではないのでありまして、常識的な範疇でとお答えになるわけです。法務委員会では非常に聞こえがいいのですよ。現場はそうでないのですね。そのことにつきまして、何かたとえば通達を出すとかいうようなことを実際にやっていらっしゃるのかどうか。ただ、あなたがそう思っているのか。現場には何も意思疎通がないのではないかと疑いたくなるのでありますが、いかがでありますか。
○小杉政府委員 これは現実問題として、私ども、たとえば警察に対して通達を出すなんということはできないわけでございますが、外国人登録法という法律が定められて、それに法文上の刑罰規定がある場合、その刑罰規定に即して警察なり司法当局というものが動く、そういうかっこうになっているわけでございまして、私ども、今後やはりそういうような点について司法当局、公安当局等といろいろ意思疎通を図っていかなければならない点の一つであろうという認識は持っております。
○岡田(正)委員 くどいようでありますが、少なくとも観光ビザで来ているような人ではないのでありまして、永住権者として認められて日本におられるたとえば在日韓国人の方々のような人については、永住権を与えられた人については、人道的にも身分証明書の常時携帯の義務というのは排除すべきではないでしょうか。いかがでしょう。
○小杉政府委員 この点は、先般岡田議員から御質問がありました際にもお答え申し上げたのでありますが、確かに協定永住の方あるいは法一二六−二−六の該当者の方等々、過去の特殊な歴史的な経緯あるいは背景、事情というものがおありでございまして、その音曲味でいわゆる四−一−四で入ってくる一般外国人というようなものと質的に差があることは私どもも十分認識いたしておりますし、現に入管令その他外国人関連法規の中で特殊な地位を認められておるグループの方たちでございます。 しかしながら、そうは申しましても、やはりこの方たちが外国人であるという本質には差異がないわけでございまして、その意味で外国人に一般に平等に適用のある法令というものの適用は排除するわけにはいかない。それをやめて特定のグループの方たちだけに特殊な恩典を与えるということにいたしますと、在日の外国人の間におけるむしろ差別待遇と申しますか外国人の平等待遇というものを阻害する要因にもなりかねないわけでございまして、私どもとしては、現在のところ、在日韓国人、朝鮮人の方々に対し外登法の適用を免除するということは考えておらないわけでございます。
○岡田(正)委員 それでは、いま法改正の御意思はないと非常に明確に言われたわけでありますが、百歩譲歩いたしまして、冒頭にお答えになりました常識の範囲においてこれを処理するというお考え方、これを徹底する方法というのを何かお考えでございますか。
○小杉政府委員 今後私どもといたしましても、関係当局との間で意思疎通を図る努力をしてまいりたいというふうに考えます。
○岡田(正)委員 それでは、外国人登録証明書の常時携帯の義務というのを永住権を与えられた人たちに対しては免除すべきであるという意見を強く申し上げまして、次に進ましていただきます。 次の問題は、登録証切替のたびに指紋をとられていますね。これは非常に屈辱的な問題ではないでしょうか。それで、一遍成人になった人たちが指紋を押しましたら、これは同じ指紋というのは世界じゅうにないわけなんですから、だからそれを何回も何回も登録の切替のたびに指紋を役場で押させるというのは余りにも酷な扱いではないか、人道的にも考え直すべき問題ではないかと思いますが、いかがでありますか。
○小杉政府委員 指紋を押させることが直ちに犯罪者扱いになるとか、あるいは指紋を押させることが著しく非人道的であるあるいは著しく人間の品位を汚す行為であるというような考え方、確かに一部にはあるようでございますけれども、国際的に見ましても指紋制度を採用しておるケースは多々ございまして、それぞれ主観の問題というものが非常に多分に入ってくるのではなかろうかという気がいたします。 ただ外国人登録法上の指紋制度というのは、先ほど先生御指摘もございましたように、指紋の万人不同、一生不変という特質を利用いたしまして、外国人の同一性というものを科学的に確認する手段でございます。指紋を押させることによりまして、現実の問題として外登証の偽造、変造というものを防止することが一つの目的でございますし、またさらに、指紋を押されている登録証明書をお持ちの方は、所持人みずからがその外登証の正当な所持人であるということをきわめて簡単明白に証明できる手段でもあるわけでございます。私どもとしては、登録証明書への指紋押捺という制度は必要であるというふうに考えておるわけでございます。 しかしながら、先生御指摘もございましたように、指紋押捺の機会というものが余りにも多過ぎるのではないかという点は、確かに十分検討の余地がある分野ではないかという気がいたしておりますので、私どもといたしましても、どの程度の押捺が必要であるか、将来の検討課題として検討してまいりたいと考えております。
○岡田(正)委員 ぜひひとつこれは御検討をいただきたいと思うのであります。 次にお尋ねしますのは、いま質問いたしました登録証の切替が三年ごとというのは変わっていないわけでありますが、この三年ごとの期間というのは非常に短過ぎるんじゃないですか、現在の情勢から言いまして。少なくとも私どもといたしましては、アメリカの十年という例にならわなくても、せめて五年ぐらいの切替にした方がいいのではないかと思うのですが、その点いかがでありますか。
○小杉政府委員 これは結局、現在の外登法の目的と申しますのが本邦に在留する外国人の居住関係並びに身分関係というものを明確に把握するということが目的でございますので、登録証明書の有効期間というものを長くする場合には、その登録証明書の記載事項が正確に実情を反映しているものであるかということを何らかの方法で確保しなければならないという点があるわけでございます。 たとえば外登証の有効期間が一年という非常に短期のものでございますれば、その記載事項について変更があったから一々二週間以内に登録しなければならないというような義務はすべて免除してしまっても一年たてば正確なものになるということで、そのものの緩和は可能であろうかと存じます。 しかし反面、これをたとえば十年、十五年というようなことにした場合、現在記載されております二十項目のうち可変項目が十二あるわけでございますが、やはりその十二程度については常に必ず二週間以内に登録してもらわなければいかぬというようなことにもなりかねないわけでございまして、その登録変更の問題と外登証の有効期間、どちらかというとうらはらのような関係になろうかと思います。その意味で、現在の三年というものを伸長していく場合やはり新しい問題が出てくるであろうという気がいたします。 ただ、比較的短期間に日本に在留しております外国人も永住者も一律に三年という現在の切替期間が妥当であるかどうかということについては、確かに検討の余地があるというふうに私ども考えておりまして、これを伸長する方向で今後制度の基本問題の一環として考えていこうというところでございます。
○岡田(正)委員 ありがとうございました。どうやら御検討の様子がありますので、これ以上申し上げませんが、いま一つ、この切替以外に変更を行った場合には十四日以内に届けなければならぬという変更届け出の義務がさらに課せられておりますので、私は、この三年間の切替というのは延ばしても何ら差し支えないではないかという強い考え方を持っておりますので、あえて重ねて申し上げておきます。 次に、もう一つの考え方としましては、三年を五年にあるいは十年に延ばしたらどうかという私が言っている趣旨の根本には、最近非常にやかましく言われております行政改革という面から言いましても、行政経費の節減ということを考えてもいいのではないかと私は思うのであります。 この機会にもしわかりましたら御発表願いたいと思いますが、こういう在日外国人の問題に関しまして、外国人登録法の関係あるいは入管令の関係等で、これらに従事しておる者、市町村からあるいは検察庁、警察、公安調査庁あるいは海上保安庁、入管事務所、これらを全部含めますと、それに関連する人たちをどのくらいと見ていらっしゃいますか、どういうふうに把握していらっしゃいますか、もしおわかりになったら発表していただきたい。
○小杉政府委員 いま先生から御指摘になられました外国人絡みで何らかの仕事に関連してくる方の総数、確かにこれはきわめて膨大なものになるだろうと思いますが、ただいま手元に資料がございません。追って調査の上御回答できるかどうか必ずしも確信ございませんが、できるだけ調査してみようと思います。
○岡田(正)委員 それでは私が勝手に推定したものを申し上げますが、それでは当局もおさまらぬでしょうから、後日資料を御提出願いたいことを委員長にお願いしたいのでありますが、私が推察するところでは、検察庁あるいは警察、公安調査庁、海上保安庁、入管事務所それから地方自治団体、こういう関係からいいまして約一万五千人くらいの従事者がおるのではないかというふうに思うのであります。それで、この人件費ではなくていわゆる活動費そのもので年間五百億円くらいの経費が要っておるのではないかと私は思うのであります。これは私の推定ですよ。 それで、こういう関係から考えまして、私どもはもっと事務を簡素化せいということを申し上げております趣旨からしても、これを簡素化すればずいぶんと行政経費の節減にもつながってくるのではないかというふうに思いますので、いま私の申し上げた数字が不当に多いと思われるならば、ぜひ資料を詳細に御提出を願いたい。それから、全く仰せのとおりですとおっしゃるなら、私の推察どおりなら資料の提出は要りません。委員長、これをひとつちょっと資料要求しておきますがいかがでしょうか。
○木村委員長 資料要求いたします。
○岡田(正)委員 ありがとうございました。 それでは次に、今回の改正におきまして先ほど問題になりました変更の申請、この場合はこの期間が緩和されたわけでございます。次の申請のときまでよろしいというようなことになりましたが、これは各党皆さん一緒でございますけれども、変更の申請をしなければならないという事項そのものをもっともっと減らしていくべきではないか。たとえば職業の関係とかあるいは勤務先の関係、いわゆる所在地の関係、こういうようなことは、一般外国人、在日韓国人の方たち、また特に永住権を認められた人たちにとりましても、実際は日本の社会というものはまだまだ厳しいものがありまして、非常に不安定な状態にあるわけで、ちょこちょこ職業が変わるわけですね。こういうことがありますので、変更の申請というものの中で私が特に事項を減らすべきだと思うのがいま申し上げた三点ではないかと思うのでありますが、いかがでございますか。
○小杉政府委員 この点は実は先般も先生の御質問の際にお答え申し上げたのでございますけれども、現在登録事項は全部で二十項目あるわけでございます。 そのうち外国人からの申請にかかわるものは十七ございます。これらの十七項目というのは、私どもとしては、いずれも制度の目的少なくとも外国人登録制度という制度を維持していくために必要な事項であるというふうに考えておるわけでありますが、本人の申請にかかわります十七項目の中で、一度登録した後に変更が生じ得るもの、これが十二あるわけでございます。 現在では、そのいずれにつきましても変更を生じた日から十四日以内に変更登録をするよう義務づけられておるわけでございますが、ただいま御審議をいただいております外登法の一部改正法案におきまして、これら十二項目のうち、変更の都度即時に把握する必要性が比較的少ないと思われる五項目、具体的に申しますと旅券番号、同発行年月日、世帯主の氏名、同続柄及び本国における住所等の五項目につきましては変更の都度登録の要はなくて、確認申請でございますとかあるいは引替交付、再交付の申請等を行います際に申請すれば足りるということにして、手続の簡素合理化を図っておるわけでございます。 さらにこの項目をもっと減らすべきだという御意見でございますが、これは先ほど私ちょっと触れましたように、登録証明書の有効期間というものをこれから将来長期のものに伸長していこうということになりますと、この登録事項の数を、少なくも二週間以内に登録していただかなければならない申請事項の数を減らすということと、やや内容的にそごすると申しますか矛盾する関係に相なるわけでございまして、そこらの点を今後あわせ考えてまいりたいというふうに考えます。
○岡田(正)委員 ぜひひとつ研究をしていただきたいと思います。内外人平等の原則というのが終始一貫法務省の中に流れておりませんと、こういう問題でそのたびに質問をしなければならぬという形になりますのでただいまの答弁では前向きに御検討になるようでありますから、ぜひひとつやっていただきたいと私は思うのであります。 その次に、住民基本台帳法第一条とそれから外登法第一条の趣旨は、私は何遍見てみても基本的には同じではないかと思うのでございます。この点はいかがでしょうか。
○小杉政府委員 住民基本台帳法の目的というのは、日本人と申しますか住民の身分関係だけを明らかにすることを目的とした法律であるのに対しまして、外国人登録法の場合は身分関係並びに居住関係要するに在留外国人の実態というものを把握することを目的としているわけでございまして、制度の目的及び性格というものに非常に大きな差異があるというのが私どもの認識でございます。
○岡田(正)委員 いまお答えになりましたが、住民基本台帳の関係は身分関係を明らかにするためのものであり、外登法第一条は身分関係を明らかにするとともに居住の関係も明らかにする、こういうことをおっしゃっておるのでありますが、一般の人々の住民登録ですね、住民基本台帳という関係、これには居住の関係というのが当然入っていると思うのですよ。住居を変えたら当然登録しなければいかぬ、こういう関係があるわけでありまして、私は、全く同じとは申し上げませんけれども、基本的には同じものじゃないかと思うのですが、もう一度ひとつ繰り返して答弁願いたいと思うのです。
○小杉政府委員 私、先ほどの答弁で間違えまして申しわけないのでございますが、住民基本台帳法における目的は身分関係ではなくて居住関係でございました。居住関係だけに限っておるわけでございます。それに反しまして外国人登録法の場合は、在留外国人の身分関係並びに居住関係ということで、その点の差異があるわけでございます。
○岡田(正)委員 ということになりますと、この身分の関係におきましては、この人はたとえば一般外国人であるとかあるいは永住権者であるとかいう身分が明確になるだけのことでありまして、目的はやはり居住の関係を明確にするというのが両方のいわゆる共通要件ではありませんか。それ以外に何も変わったところはないと思うのですが、いかがですか。くどいようですが、もう一度御答弁願います。
○小杉政府委員 住民基本台帳法と申しましても、またさらにいま御指摘がございませんけれども戸籍法等、やはり非常に似た関係の法律だというふうに考えられるわけでございますが、外国人登録制度というものは外国人を対象にした法制でございます。その点で外国人と日本人との間には厳然たる差異があるわけでございまして、登録制度の目的及び性格というものも、住民基本台帳法であるとかあるいは戸籍法というものとは根本的に違うというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○岡田(正)委員 たとえば日本人の場合でしたら、生まれたらいわゆる戸籍法に従って籍に入れる。あとは居住の関係をそれぞれ所が変われば住民基本台帳へ届け出をして記入してもらうということで足りているわけです。この外登法の関係はこれを一緒にくっつけたものでしょう。住民基本台帳法と戸籍法とを一緒にくっつけたようなものがいわゆる外登法じゃないでしょうか。ということになれば全く同じ性格のものであると私は思うのであります。 そこで、同じであるという観点に立ちまして次に進めてまいりますけれども、日本人の場合には、たとえ違反をいたしましても罰則が過料の程度ということになっておりますが、後者の場合いわゆる外登法の関係の方々につきましては罰則が非常に重たいですね。「一年以下の懲役若しくは禁こ又は三万円以下の罰金」こういうふうになっておりますが、やはり思想的に外国人を管理、統制、監視するのであるという考え方が貫かれておるから、罰則の上におきましても、事の問題は同じ性格であるのに、それに違反した場合、片方は過料で済み片方は重い刑罰を科するというような差異が出てきていると思うのでありますが、そういう差を取るべきではないか、同等の扱いをすべきではないかと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
○小杉政府委員 これは岡田先生から先般御質問がございましたときも同じ御指摘がございまして、そのとき私がお答えいたしましたことと全く同じことをお答えすることになって恐縮でございますが、外国人登録制度の目的、性格というものは、私どもといたしましては、住民登録であるとかあるいは戸籍等の制度の目的、性格とは本質的に異なっておるという認識を持っておりまして、したがってそのような差異があります以上、これらの制度を担保していく上の罰則というものの間にも軽重の差異があるというのはきわめて当然ではないかというふうに考えております。 ただ、現行の登録法の罰則が一年以下の懲役または禁錮さらに三万円以下の罰金というようなことで非常に画一的な規定になっております。この画一的に過ぎるという批判はまことにごもっともではないかということで、私どもといたしましては、この点について違反の態様に応じた罰則というような方向での改善の余地があるのではないかということで、今後基本問題の一環として検討してまいりたいと考えておるところでございます。
○岡田(正)委員 わかりました。改良の余地があるというふうに当局も認めていらっしゃいますので、ぜひともひとつ改良していただきますように、この際お願いをしておきます。 次に、再入国の許可期限が現行一年間ということになっておりますが、これは短過ぎるんじゃないでしょうか。これは先般も説明をしたのでありますが、たとえば外国に出ておりまして病気になって帰ってこれないというときには、一年の期限が過ぎたらそれきりなんですね。もう入国ができないわけですよ。これは酷なことじゃないでしょうか。たとえば病気以外に海外留学というような場合なんかがありますね。こういう場合はどうなっておるのですか。
○小杉政府委員 現在の出入国管理令上、再入国の有効期間というのは一年以内というふうに明文で定められておりますので、海外留学等の場合でこの一年の期限が近づいてきた場合には、その方はお気の毒ではございますけれども一たん日本にお帰りいただいて、改めて再入国許可を取って出国していただくということに相なっておるわけでございます。
○岡田(正)委員 私は、こういう点でもやはり改良の余地があると思いますね。海外へ留学しておるのに一年ごとに戻ってきて、また手続をして出ていかなければならぬ。全く余分な経費だと思うのであります。こういう点もひとつ真剣に改革をされることをぜひお願いしておきたいと思うのであります。 さらに、許可を得て出ます場合、一年以内だったら何度出入りをしてもよろしいという、言うならば数次の再入国許可制度といいますか、そういうことはお考えになりませんか。
○小杉政府委員 御質問の前段の方でございますけれども、現行の出入国管理令上再入国許可の有効期限というのは一年以内だということは先ほど申し上げましたが、この期間の延長というものは現行の法令下では不可能である。したがって法改正を要する問題だということでございます。 私どもといたしましては、この期間というものを在外公館において延長できるというようなことを将来の立法の際にやろうということで検討を進めておるわけでございまして、もし在外公館において再入国許可の延長申請を行い、その許可を取ることができるということにすれば、問題は解消するであろうというふうに思うわけでございます。 さらに第二の御質問の点でございますが、現行の出入国管理令上数次再入国許可制度というものは明文の規定がございません。これも法改正によりましてその可能性を明確にする必要があるというふうに考えておりまして、現に、四十年代の末期でございますが、法務省が国会に出しまして廃案となりました出入国法案の中には、すでに再入国許可期限の延長の問題並びに数次再入国許可制度というものが盛り込まれていたという経緯がございます。したがいまして、今後抜本改正を行う際には、これらの点は取り込んでいきたいというふうに考えます。
○岡田(正)委員 非常に明確な意思表明をいただきましてありがとうございました。できるだけ早く法改正をして便宜を図ってやっていただきたいと思うのであります。この問題は、日本におられます一般外国人、永住権者となりました特に在日韓国人の人たちにとりましてはもう大変な問題でありますので、非常に関心を持っておりますので、ぜひともひとつ一日も早く法改正をされるように強く希望を申し上げておきます。 次に、日韓地位協定によりますると、永住権者の方でありましても、七年以上の刑を受けるということになりました者は強制退去ということになっております。これは非常に問題があると思うのですね。悪い言葉で言いましたら、牢送りをした上で、さらに所払いと、何かしら私昔の徳川幕府時代の江戸町奉行の裁断を聞いているような気がいたしまして、刑罰を与えて刑を受けさした上で、なおかつ日本から追っ払ってしまうというのは余りにも酷な話ではないかというふうに思うのでありますが、いかがでありましょうか。
○小杉政府委員 この点も実はこの前もお答え申し上げた点でございますけれども、協定永住者と申しましてもやはりこれは外国人でございます。 退去強制の有無という問題は、結局、投票権すなわち国政に参加し得る権利と並びまして外国人と自国民との根本的な相違点でございます。したがいまして、およそ外国人というものに対しての退去強制の全廃ということは私どもとしては考えない。国際的にも、いかなる国もそのような退去強制の権限というものを放棄した国はないというふうに私どもは理解いたしております。 ただ、先ほど先生御指摘ではございますけれども、この協定永住者の方が一定の罪を犯された場合に退去強制ができるということは、日本と韓国との間の協定によって定められておるわけでございまして、国際間の合意、条約でございます。この条約により認められた内容と申しますのは、日本と韓国との間のいわゆる特約的な特殊な合意ではなくて、国際的な慣行というものを前提にいたしまして、それを条文化したというふうに私どもは理解いたしておりますので、七年以上の刑を受けた者を退去強制処分にすることは不当であるという議論には同調いたしかねるのでございます。
○岡田(正)委員 大臣御出席になりましたので、いまの問題についてちょっと大臣のお考えを聞いておきたいのでありますが、今回の法改正に対しまして、あれほど長年やかましく法改正を迫っておりました永住権者となっております在日韓国人の団体の人たちあるいはその他の団体の人たちの御意見というものは聞いたのでしょうか、全然聞かなかったのでしょうか、その点をちょっと大臣から伺いたいと思います。
○倉石国務大臣 要望書を書面で受け取っておりますし、御要望は承っております。
○岡田(正)委員 わかりました。これから法改正をする場合、そんな義務は政府にはないといたしましても、いろいろと要望があるわけでありまして、いまも局長からお答えがありました第八番目の質問に対するお答えにいたしましても、日本で永住権を与えられておりましても、日韓地位協定によりまして、七年以上の刑を受けたる者は日本の国内でその刑を済ましてそれから今度はいわゆる国外追放、こういうことで強制退去ということになる。これはもう日韓の地位協定で決まっているんだから、国際的な条約であるからそれでいいと思うと、非常にごもっともな御発言であろうと思うのでありますが、私はここで考えなくちゃならぬと思いますことは、永住権を与えられて日本に家を建てそして職業を持ち、家族を養い、そこに生活の基盤をどっしりと据えておる人たちが、七年の刑を受けたからといって、刑をつとめた上で日本の国を所払いになるということは、これは私は人道的に見てみましても非常に残酷な扱いではないかというふうに思うのであります。 いま一つ進めて言うならば、今回問題になっております難民対策、この問題にいたしましても難民対策ではいかがですか。難民の受け入れをいたしました以上、その難民に対して強制退去ということはあり得ないのですよ。強制退去ということはあり得ない。このことにつきましては、言うならば永住権を得て日本に在住しておる在日韓国人の人たちの方が難民よりも取り扱いがひどい扱いを受けるということになりますが、この点はいかがでございますか。
○小杉政府委員 ただいま先生、難民条約を批准した場合には難民は追放できないというお話でございますが、そういうことはございません。一定の要件が記載されておりますが、難民条約上は、追放する場合には当該難民が迫害を受ける地域に送還してはならないという規定があるくらいでございまして、送還ということで強制送還ということが全然条約上排除されておるということにはなっていないわけでございます。
○岡田(正)委員 難民条約の規定ではなるほどおっしゃるとおりのことになっておりますが、実際には事実上難民を強制退去させるということは非常にむずかしい問題である。こんな日韓地位協定のように簡単にはできませんよ、これは。私はそう思っておりますがいかがですか。
○小杉政府委員 ただいまの日韓地位協定の三条の規定、それに伴って制定されました特別法の中に退去強制事由の明文があるわけでございますけれども、これは七年以上の刑に処せられた者は退去強制をされる可能性を持つに至るわけでございまして、これを現実に退去強制するかどうかということは、これまた別の私どもの方の判断が介入してくるわけで、七年以上の刑に処せられた者が全員退去させられておるわけではないわけでございます。相当数の方が特別在留許可を与えられてわが国に引き続き在留しておるという現実になっておるわけでございまして、すべての人が退去強制されてしまうということではございません。
○岡田(正)委員 ありがとうございました。そうすると、ちょっとその実情を最近のことでも結構ですが教えていただけませんか。いまでも大村収容所に八名おるというふうに聞いておりますが、これは全員ではなくてそのうちのごく少数であるというふうに聞こえるのでありますが、ちょっと具体的にわかればお知らせいただきたいと思います。
○小杉政府委員 これまでに協定永住を取得された方であって刑罰法令に関連して強制送還されました方の総数は九名でございます。四十万人近くおられる協定永住者の中で、七年以上の刑に処せられた方の数はかなりなものでございますけれども、現実に送還された者は九名ということでございます。
○岡田(正)委員 ありがとうございました。それでは委員長、資料をお願いしておきたいと思いますが、七年以上の刑を受けた人でありましても必ずしも全員を強制退去させたのではない、いままでの間九名ほどしかおらぬ、こういうお話でありまして、なるほど深い配慮を払っていらっしゃるのだなと思って安心しておるのでありますが、さて安心をすべき土台になる七年以上の刑を受けたあるいは強制退去をさせられても仕方のなかった人たちは何名おったのかということがわからぬのでは、ちょっと話の種にもなりませんので、後で資料としてお知らせをいただきたいと思う次第でございます。委員長よろしいでしょうか。
○木村委員長 資料出しますね。出しますそうですから。
○岡田(正)委員 それからいま一つ申し上げたいと思いますが、強制退去をさせなければならぬのであるならば、七年以上の刑を得た人を、これを私が望んでおるのではありませんよ、望ましいことではありませんけれども、七年以上の刑を与えられた人はその刑を日本の国内で終わらして強制退去するのではなくて、その刑を言われたときから直ちに退去するという方がよほどすっきりしている。何か知らぬ、刑をおつとめをちゃんとして、おつとめをしてからその後、おい、おまえ、おつとめが済んだが出ていけよ、これは昔の江戸町奉行ではそれがあったのですよ。江戸町奉行では牢送りの上所払いとする、こういうことになっておったわけでありまして、何か変な制度だと思うのですが、その点いかが思われますか。
○小杉政府委員 これはわが国の基本的な法制それ自体の問題であろうと思いますが、一定の刑事犯を犯して刑に服しておる方、これは外国人の場合でありますが、刑期を終了した後国外追放になるというのはいわば国際的には常識でございまして、確かに御指摘のように、刑期を終えることなく国外追放の処分をもって刑罰にかえるという考え方も立法論としてはあり得るかと思いますけれども、現在そのような法制をとっておる国は少ないのではないかというふうに私は考えます。
○岡田(正)委員 それでは希望を申し上げておきたいと思います。 七年以上の刑を受けた人がその刑をつとめ終えたら、わが国の日本人でもその刑をつとめ終えたらいわゆるきれいな体になって社会に出ていくわけでありますから、永住権を与えられたといえども外国人の場合は強制退去させるんだということは、私は、いま温情的な取り計らいもしていらっしゃるということを聞きましたけれども、それはぜひやめるように希望をいたしておきたいと思うのであります。 それから、大臣にちょっとお尋ねしたいと思いますが、漏れ承るところによりますと、ラオスの華僑人であるチャン・メイランという二十一歳になる女性がどうやらきょう正午ごろに、あと一時間ほどしたら仮放免になるのではないかということを聞いておるのでありますが、それは事実でありましょうか。
○倉石国務大臣 本日仮放免になるそうであります。
○岡田(正)委員 そこで当局に承りたいと思うのであります。 この問題は新聞にも取り上げられるほど大きな問題になったことでありますが、タイの旅券を持ってわが日本に入ってきて、今度は九十日になりましたけれどもいままでは六十日でありますので、二カ月間の期限が切れたというので逮捕されて、そして不法残留者であるというので有罪判決を受けた。そして警察の勾留それから収容所の収容、それを合わせまして六カ月以上も勾留をしておったあるいは収容しておったというので心身の衰弱はなはだしく、身元引受人が確かな者がおるからということできょうの仮放免ということになったのであろうと思いますが、余りにも日にちが長過ぎるというふうに私は思うのでありますが、なぜこんなに日にちが長引いたのか、その理由をお知らせいただきたいと思うのであります。
○小杉政府委員 実はこの方は、昨年の十月四日に出入国管理令違反、外国人登録法違反ということで警察官に逮捕されまして、引き続いて刑事事件として裁判が行われておったわけでございます。その裁判の経過において東京拘置所に長期間勾留されておったという事実があるようでありますが、これはもっぱら裁判手続及び刑事手続の問題でございまして、私ども入管としてはいかんともいたしがたい事態であるわけでございます。 しかるところ、三月二十八日に東京地裁の執行猶予の判決がございまして身柄が釈放され、自後入管の手に移ったわけでございますが、当初東京入管の収容所に収容しておりまして、その後横浜に移したわけでございますが、収容いたしましたのが三月二十八日でございますので、約一カ月私ども入管の方で預かっていたわけでございます。この入管の収容の理由は、違反調査それから審査、口頭審理というような一連の取り調べを含みます退去強制手続を進めるために必要があったからでございまして、一応の調査が終わりましたので、本日仮放免するということにしたわけでございます。
○岡田(正)委員 この点、非常におかたい法務省が、三月二十八日からきょうという日にちを勘定してみますと、非常にスピーディーな取り扱いをされたと私は非常に評価しているのです。決して責めておるのではないのでありまして、大変な評価をしているのです。もうかたいことで評判の法務省に似合わぬことをしたなと思うぐらい、実はさすが倉石さんが大臣になったら違うなと感心しているのです。 だがしかし、そこから先ですよ。これで仮放免はされたのでありますが、この先一体どうしようと考えていらっしゃるのか、ぜひひとつお考えを聞きたいのであります。
○小杉政府委員 この方は、ラオス政変のために帰り行く先がないというようなことを理由にいたしまして、法務大臣に対しまして現在在留特別許可を求めて異議の申し出をしておられるわけでございます。 ただ、いわゆる流民の問題全般にかかわってくるのでございますけれども、そもそもインドシナ三国に生活歴を有していた者でございましても、この方の場合は第三国タイから正規の旅券を発給されておる方でございます。正規の旅券を発給されたということは、発給国の国民としてその保護のもとにあるものであると認識するのが通常でございまして、そのような方が不法残留というようなことになった場合には、旅券発給国すなわちタイに退去強制する、これが原則であろうかと思います。 私どもも、一般に流民の対策の基本といたしましては、確かに過去においてインドシナ三国に生活歴があって、恐らく難民としてでございましょう、インドシナ三国を離れた。しかし、その後第三国たとえば台湾でありますとかタイであるとか、そういうところに定住を認められまして、しかもその当該国の政府から正規の旅券の発給を受けた方、しかも観光査証によりまして日本にやってくるというような場合には、もうすでにその方の難民性というものはないのだ、むしろ、ファーストアサイラムの原則というのがございますが、最初に定着を認められた国が保護するという原則がございますので、このケースの場合なども、本当はタイが当然保護すべき筋合いに相なるわけでございます。しかしながら、本人のいろいろな事情というものを総合判断いたしまして、具体的にどのような措置をとるか慎重にいま現在検討しておるという段階で、結論を申し上げられる段階ではございません。
○岡田(正)委員 私は、結論的に言いましたら、このチャン・メイランさんという方は難民扱いでいいのではないか。 それで、いま難民条約に調印しておらぬわけですが、しかしながら、それと同じような考え方に立って日本に受け入れて、大臣の権限に任せられております三年以内の特別在留許可ですね、これを速やかに与えてあげるべきだ、きょうの仮放免というこの記念すべきときを期して、私は、そのくらいさばけた大臣の事務の執行があってもいいのではないかと思うのです。その点はいかが思われますか。
○小杉政府委員 ただいま先生から御指摘の点等も含めまして、本人の事情というものを詳細に総合判断して、いかなる措置をとるか慎重に検討したいと思いますが、もちろん私どもといたしましても人道的な配慮ということに重点を置いて行政を行っておることは御存じのとおりでございます。
○岡田(正)委員 これはぜひひとつ大臣のお考えを聞かしていただきたいと思うのですが、この特別在留許可というのは大臣の権限となっております。 それで、いま局長さんからのお話も承ったのでありますが、いろいろこの経過の説明を見ましても、ラオスの女性ではありましても、それが戦乱を逃れてタイへ行った。タイで、とにかくそこへ滞在することを許されて、そこの旅券を正規にもらって日本へ観光ビザで来た。そのビザの期限の六十日が切れて、十月四日ですかに逮捕されたという経緯をお持ちになる方でございますけれども、これは法律的にしかめっ面しく言えば、いま局長さんが前段おっしゃいましたように、一番最初に居住を許可された国すなわちタイ、そこへ送還するのが順当でありましょう。順当でありましょうけれども、こういう戦乱を逃れて逃げ迷っておる人たちというのは、ともあれ生活の手段として、何とかしてそこで安らかに生活できぬかという手段を探すためにありとあらゆる手を尽くして実は走り回っておるわけでありまして、タイの方で旅券を得たというのも、正規の旅券であるといえども、非常な悩みを持って、タイには長くはおれないという判断で日本に来られたのではないか。 それで、ビザの期限が切れれば逮捕されるということはわかっておりましても、日本におりたいということでお越しになっておる非常に気の毒な、いわゆる本当の難民でありますので、きょう情状酌量して仮放免になったわけでありますが、この喜びの日に大臣は将来この女性に対してどういうお考えを持たれるか。いわゆる特別在留許可というものを与えねばならぬなというふうに考えておるかどうか、その点をひとつ最高責任者としてお答えをいただきたいと思うのであります。
○倉石国務大臣 現在事情を調査中であると聞いておりますが、この調査を踏まえまして、ただいま入管局長が申し上げましたように、あとう限り人道的な立場に立って考慮いたしたい、このように考えております。
○岡田(正)委員 ありがとうございました。どうやら明るいことを期待してもよさそうに思われます。ただちょっと残念なのは、いま大臣の御答弁の中で、ただいま調査中でありますのでとおっしゃいましたが、局長さんは調査が済んだので仮放免することにしたのですと言っております。ちょっとそごがあったのだと思いますが、こういうことは議論いたしません、お互いに大人ですから。どうぞひとつ前向きに人道的な対処をしていただくように強く要請を申し上げておきたいと思います。 それから、常にこういういまチャン・メイランさんの問題が出てきましたように第三国で旅券を手に入れて日本にやってくる。難民にも私は三種類あると思うのです。陸上を伝わって逃げていくランドピープル、それから船に乗って海にこぎ出してくるボートピープル、それ以外にいま一つの種類は飛行機に乗ってくるエアピープル、この三つの種類があると思うのですよ。 それで、常に旅券が問題になるのはエアピープルだと思うのです。これが真正の旅券かにせの旅券かということが常に問題になってくる。そこで、にせの旅券かあるいは真正の旅券かということを目に角を立てて論議するより前に、やはりその人が本当にいわゆる圧迫を受けて逃げてきた人であるかどうかということに重点を置いていただいて、その途中における手続なんというものは余り問題にしない方がいいのではないか、その方が人道的ではないかと私は考えておるのでありますが、ひとつお答えいただきたいと思います。
○小杉政府委員 私ども出入国管理令を所管する官庁といたしまして、外国人の出入国ということを考えます場合に、その者が持っておる旅券が正規なものであるかないかというようなことを一切無視して、結果だけうまくやれというような御議論になるような気がいたしますけれども、これはなかなか私どもにとってむずかしい問題でございます。 法を執行する者として、やはり法の原則、けじめというものはつけるべきものはつける、しかる後において人道的な配慮その他特に法務大臣において在留を特別許可するに当たるような事情があるかどうかというようなことをもとにいたしまして判断をしていくということが、私どものやるべきことではないかというふうに考えます。
○岡田(正)委員 大分考慮していただける余地が残っておるようでありますので、ぜひひとつ今後も真剣にお考えをいただきたいと思うのであります。 次にお尋ねいたしますのは難民条約の批准の問題であります。 いま日本におきましても、チャン・メイランさんの問題を契機といたしまして、にわかに不法残留者という問題が大変問題となってきております。ここで、この不法残留者の中でも難民としての取り扱いを受けるべき人たちがずいぶんおるのではないかというふうに考えるのであります。そこでお答えをいただきたいと思いますことは、昨年の三月二十六日参議院の予算委員会におきまして三原総務長官が、人類愛は民族を越え国境を越えて、法律をも越えて、生きんがための移動でありまするから、まず受け入れるという発想に立つことが大事だと思います、こういうことをおっしゃっておるのであります。さらに同日、同じところで園田国務大臣は、次の国会すなわちこの国会、次の国会に批准をお願いしたいと思う、こういうことをおっしゃっておるのであります。さらに本年三月二十五日参議院の予算委員会におきまして大来現外務大臣が、関係省庁と意見を調整中でありまして御期待に沿いたいと思いますというふうに、大変三人とも前向きのお答えが出ておるのであります。 そこで、本日外務省からもお越しいただいておると思いますので、この難民条約の批准の関係についていま一体どうなっているのか、今後どうしようとしているのか、そういうことについてお答えいただきたいと思います。
○小西説明員 お答えいたします。 前外務大臣及び現外務大臣が発言しておりますとおり、外務省といたしましては、この条約の重要性特にインドシナ難民の問題との関連もございますので、できるだけ早期に批准する、国会の方の承認を求めたいということで、昨年の夏ぐらいから鋭意関係省庁との協議作業を進めてまいっております。ただ若干一、二の問題で、これは実はかなり大きい問題でございますが、それらの問題につきまして必ずしも関係省庁間の意見の調整がまだ終わっておりませんので、それが決着がつき次第できるだけ早く国会の方に提出したいというふうに考えております。
○岡田(正)委員 重ねてお尋ねをいたしますが、これは前外務大臣が次の国会すなわち今国会には提出をしたいと思いますという強い決意表明をなさっておるわけですから、どうやら今国会には出てきそうにないということになると、前大臣の食言であると言ってもいいのではないかと私は厳しく思っておるのであります。 そこで、いま一、二の問題で詰めが行われておるところでございますとおっしゃっておられますが、次の国会に出てくると考えてよろしいのかどうか、その点いま少し見通しのほどをお答えいただきたいと思います。
○小西説明員 私どもといたしましては、これは物理的には確かに非常にむずかしいのですけれども、現在いまの国会に出すという目標をまだ捨ててはおりませんし、それから仮にその一、二の問題についての調整でさらに時間を要するということで万一できないという場合も、次の国会以降に延ばすということはあり得ない。とにかくいまの国際情勢その他からいたしまして、外務省としてこれを早期に批准するという点についての意思は全く変わっておりません。
○岡田(正)委員 大変頼もしい御回答をいただきましてありがとうございました。ぜひとも今国会に御提案になりますよう強く希望いたしておきます。 それから、難民条約を批准した後国内法の関係整備について一体どう考えていらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。
○小杉政府委員 難民条約を批准いたしますと、条約の規定をごらんになればわかりますように、厚生省とか労働省場合によっては文部省等々、国内関係官庁が絡む事項がいろいろございますので、それぞれの省庁において国内法の整備をおやりになる必要があるであろうというふうに考えます。 私ども法務省の関連と申しますか守備範囲に関して申しますと、先ほどもちょっと申しました迫害のおそれの存在する国へは送還しないという規定が、三十三条だったと思いますがございますけれども、いわゆるノンルフルマンの原則というものを出入国管理令上明文化する必要があるだろう。それから難民の在留に関連いたしまして、通常の外国人から徴収しております手数料、この種のものはやはり免除することが必要になりましょう。さらに退去強制事由、これも条約の中に明文の規定がございます。それに即した一部の修正が必要であろうというふうに考えておるわけでございます。 さらに、これとは別個に、個々の外国人が、この条約の一条に難民の定義がございますが、その難民の定義に該当するか否かを判定する必要があるわけでございまして、この認定を統一的にやるということになりますと、また難民認定を担当する所管庁を決める必要がある。同時に、所管庁が決まりましたら、その当該所管庁において認定手続を進めるための法律を設定する必要があるであろうということでございます。 〔委員長退席、中村(靖)委員長代理着席〕
○岡田(正)委員 大変時間が超過いたしまして恐縮であります。 あと一つだけお願いしたいと思いますが、難民条約を積極的に今国会へでも間に合わせて提出をしたいという力強い外務省の御意見を聞きまして、大変喜んでおるものであります。いままで日本が国際世論で言うならば袋だたきに遭っているような問題でありますので、ぜひとも一日も早く出してもらいたいと思います。 そこで最後に一つだけお尋ねしておきたいと思いますが、これは切実な問題でありますのでお尋ねしますと、インドシナの元留学生、現留学生ではありません、卒業した人です。その人のいわゆる滞留期限が六カ月になっておると思うのであります。これを一年にしてあげるべきではないか。これはもう実際には、就職せいと言うても就職することもできぬ。相手が本気に雇ってくれないですよ、半年しかおれないなんて言ったら。これは私は人道上大変問題のあることであると思うのですが、帰ろうにも帰れぬ。日本におって働かねば食っていかれない。働くのに六カ月と言ったのじゃ雇用主が雇ってくれないという大変な問題があるのであります。これを一年にすべきであると思いますが、いかがでありましょうか。
○小杉政府委員 実は昨年の四月三日の閣議了解に従いまして、これらのインドシナ政変前に入国いたしました元留学生についても定住の実現に努めるという決定がございまして、自来、百八十日でありました在留期間を漸次一年に伸長いたしております。もうすでに措置済みでございます。 ただ、現在一名だけ百八十日という人が残っておるようでありますが、この方はたまたま、日本に入国した後いわゆる不法残留の状態になっておりまして、つい最近摘発されて在留特別許可を得た、その結果として百八十日になっておる。そういう非常に例外的なケースが一件ございますが、残りの七百四十一名ですか、それについてはいずれも一年ないしはそれ以上、中には三年あるいは永住という方もおられるようでございます。
○岡田(正)委員 それでは、これは私の勘違いであったかもわかりませんが、私が聞いておる範囲では、法務省におきましては特別在留許可を半年ではなくて一年にもうすでにしていますよということですけれども、実際には窓口において一年にしようとしないで半年にしようとする。いま、一名だけをのけて七百四十一名は全員一年ないし三年もしくは永住という措置をとっておりますということを聞いたら、何か私、ははあ、これはだまされたのかなというような気がするのですがね。これは間違いありませんか、窓口の業務も。
○小杉政府委員 現在窓口でそのような誤解に基づいて百八十日を付与しておるというケースはないと思います。ただ確かに、昨年の四月三日の閣議了解が行われた直後いろいろ通達を出したわけでございますけれども、その当初の間におきまして、百八十日のままで期間更新を認めてしまったというような手違いが二、三あったようでございますが、現在はすべて矯正されておるはずでございます。
○岡田(正)委員 難民条約の批准今国会提出という御意思の確認等々大変意義のあるお答えをいただきまして感謝しております。どうもありがとうございました。
○中村(靖)委員長代理 河野洋平君。 〔中村(靖)委員長代理退席、委員長着席〕
○河野(洋)委員 外国人登録法の一部改正法案を提出された局長にまず伺いたいと思います。 この法改正の主たる目的は、行政上きわめて繁雑だという部分を直そうという行政的な面から見た改正と、もう一つは、近年外国人の出入りが非常に多いあるいは日本の国内における滞在様式の多様化、そういう点で外国人の立場に立ってもう少し便利に日本に滞在できるようにという側面と、二つの側面でこの改正案を出されたように思いますが、そう考えてよろしいですか。
○小杉政府委員 基本的には先生の御理解のとおりでございます。 現行の外国人登録法は、実は制定後すでに三十年を経過しておるわけでございまして、その間における社会情勢の変化あるいは実務の運用実績等にかんがみまして改正すべき点がいろいろ出てきておることは事実でございます。片や、その抜本的な見直しという作業を目下進めておるところでありますけれども、今回の改正は、去る四十九年行政監理委員会から許認可事務の改善方の答申がございまして、その答申にございました事項についてとりあえず改正を行おうというもので、改正の目的それ自体をあえて申しますれば登録手続の簡素合理化ということでございます。
○河野(洋)委員 私が聞いていることはちょっと角度が違うので、行政的にその方がやりやすいから変えるということに重点があるのか、日本に滞在をしておられる外国人の便利さ、あるいは外国人の立場に立ってもう少し快適な日本滞在をしてもらうためにもこうする方がいいんだというところにウエートがあるのか、恐らく両方だとおっしゃるのでしょうけれども、私がいま申し上げた後者の方にも配慮があると考えてよろしいか、こう聞いておるのです。
○小杉政府委員 ただいま先生が御指摘になられたその両面であるというふうなお答えになろうかと思いますがへ同時にまた後者の方にも重点がある、両面にわたって重点がございます。
○河野(洋)委員 日本の国の国際化というものは避けて通れない。むしろわれわれが思い切って進めなければならぬ方向なんですから、もっともっと外国人特に日本に滞在をする外国人に対して、甘くしろとかいいかげんにやれということを言うつもりはない、そんなつもりはないけれども、できるだけああいう人たちの立場に立った配慮というものはどうしたって必要だろうと思うのです。 そこで、私は日本に滞在しておられる外国人の方々が快適な日本生活を送っているかどうかという観点を少し考えてみた。確かに表面上はきわめて快適な生活を送っていただいている、こう言えるかもしれませんけれども、一皮めくった中を見ると、ずいぶんと日本にいづらい思いをしている人も少なくない。こういう人たちのことをもう少し考える必要があると思うのです。その一つの例がいまも話題になった難民問題でございます。 そこで、内閣官房にインドシナ難民対策連絡調整会議というのができているようでございまして、きょうは事務局長の村角さんにおいでをいただいておりますから、村角さんにちょっとお伺いをしますが、難民対策に対する政府の姿勢は積極的な姿勢であるとあなたはお考えになりますか。
○村角説明員 お答えいたします。 現在のところ、私どもとしては関係各省の御協力を得まして一生懸命進めておりますし、その成果も上がっていると思います。そういう意味で政府の姿勢は積極的であると言って差し支えないと思います。
○河野(洋)委員 積極的な姿勢をとっておられる難民対策会議に一つ二つお伺いをしたいと思います。 あなたがおっしゃるように、難民の方々がずいぶんたくさん日本におられる。その中で日本に定住を希望しておられる方も少なくはない。そんなに多いというふうには思えませんけれども、少なくはない。その定住を希望している人たちが日本にうまく溶け込んで日本にうまく生活の拠点を見つけ出すということのために、もっともっと努力をする必要があると思うのです。いまはまだそんなところまでいかない。そこへ行く手前の段階で村角さんは大変御苦労しておられると思うのですが、しかし御苦労の成果も少しずつ実ってきて、三十人、五十人、百人と定住希望者が出て定住しつつある、しかけている、そういうふうに私は聞いておる。 私はまず最初に、その定住を希望している人そしてその人たちをお世話をしている人にお目にかかってみましたので、一つの例を申し上げたいと思うのですが、せんだって私はお世話をしている人にお目にかかる機会がありましてお目にかかってみました。鹿児島県でございます。その鹿児島で定住をしようということで一生懸命御本人も努力しておられる。御本人は努力をして、見たり聞いたりしてみると非常にうまく溶け込みかけている。溶け込んでいるんですが、問題も少なくない。 ちょっと事実関係を申し上げますと、現在鹿児島市の下荒田というところにおられる元ベトナム軍の陸軍中尉だったブイ・ゴック・ヅゥクという人なんですが、男の方です。息子さんを一人連れて、もう一人はおいごさん、三人で日本に定住をしようとしている。このブイ・ゴック・ヅゥクという人は昨年の九月ごろボートピープルで東シナ海を漂流中に外国船に救助されて、そして日本へ来た。命からがら日本に来て、運がいいんでしょう、定住できるようになってきた。幸せと言えばそれは大変な幸せだけれども、よく話を聞いてみると、奥さんもいればまだまだ子供もいる。その奥さんや子供さんはいまベトナムに残してきた。家族みんなで船に乗ったら全滅するかもしらぬ、自分たちだけがまず行って、助かれば必ず呼び寄せるよと言って出てきた。そして非常に運がよくて助かって日本に定住の地を見つけた。 このブイ・ゴック・ヅゥクさんがベトナムに残してきた奥さんや子供を引き取るべく一生懸命働いてお金をためる、あるいは自分の定住の場所を築きつつある。築きつつあるその計画は、周辺の日本人の好意でうまく行きかけている。ただ彼の心配は、果たして奥さんと子供を呼ぶことができるだろうかどうだろうかということにかかっているわけですね。無責任な人は、まあ少し金をためて送って、三百万か何百万かためればボートに乗れるからまた海へ飛び出せばいいじゃないかという乱暴な知恵をつける人もなくはないそうですけれども、そうではなくて、せっかく自分が日本に定住したんだから、何とかきちんとした法的な手順を踏んで奥さんと子供さんを日本に呼びたい、こう彼は考えているわけですね。 私は相談を受けましたけれども、いろいろ私もあれこれしてみると手順が幾つかある。しかし、その手順の中で一番オーソドックスな手順は国連ですね、UNHCRですか、その国連とベトナム政府との間に何か協定ができて、合法出国というのですか、そこでやっていただくとうまくいくのじゃないか。ところが、それはいいことだ、こう言うと、どうも国連とベトナムとの協定の中から日本が除外されておるのです。これは正確かどうかわかりませんよ。私の調べた範囲では除外されておる。あるいはまだその協定に乗らないと言っていいのかもわかりませんが、これは村角さんに伺ってはいけないのかな、外務省の今川さんに伺いますか。いずれにしても、どちらでも返事のできる方で結構ですが、そういう方法を日本に定住した人が利用できる可能性があるかどうか、ちょっとお答えをいただきます。
○村角説明員 お答えいたします前に、難民の本邦定住に関して関心をお持ちいただき、かついろいろと御尽力いただいていることに対して感謝申し上げたいと思います。 御質問の点につきまして、鹿児島に定住された人が今度はベトナムにいる家族、近親者を呼び寄せたいというケースにつきまして、現在の定住許可条件、七月十三日付の閣議了解では、これはアジア地域の一時収容施設にいる難民の本邦定住条件というのがございますけれども、ベトナム本国にいる人というのはこの場合適用になっていないわけでございます。 ところで、御指摘のように昨年非常に大量の難民が発生しまして、これに対してUNHCR及び各国がベトナムに対して無秩序かつ大量な難民の流出というのをとめるようにと働きかけ、UNHCRとベトナム政府との間で合法的手続による出国方法というのが、非常に簡単な項目でございますが合意されたのは御指摘のとおりでございます。 そこで、これは実は多数国間協定のようにそれに対して各国が参加するというのではなくて、あくまでベトナムとUNHCRとの取り決めでございます。ところが今度は、それでは具体的ケースとして、たとえばベトナムから日本に行きたいあるいは米国へ行きたいといった場合に、今度は関係国の受け入れ体制というものが問題になるわけでございます。欧米諸国の一部におきましては、その七項目の取り決めでは主として近親再会というのですか、ファミリーユニオンという文言になっておりますが、それの具体的方法について手続を決め、あるいは先方のベトナム側と話をしているのは、ごくごく限られた一部でございますが事実でございます。 わが国としても、結局そういう体制になって、いま御指摘のような具体的ケースが出てきた場合にやはり道をつけておかなければならないということで、目下事務的に関係各省とお話をしている段階でございます。できるだけ早い機会にそういう道をつくるようにいたしたいと思います。
○河野(洋)委員 先ほどから再三議論になっているように、やはり人道的な見地からできる限りの努力をしていただきたい。 どうも政府の御答弁を伺いますと、日本に定住を希望する人が余りいないとか、一時的に日本を足場にしているだけで、みんなアメリカへ行きたがっています、イギリスへ行きたがっています、シンガポールへ行きたがっています、どこへ行きたがっていますなんという話で、だから日本は余りいないのですよ、何となく厄介なお荷物が余り来てほしくないという感じが私は非常に感ぜられるわけですけれども、そうではいけないので、日本の国際的な責務ということを考えれば、日本というのは言葉の障害もあるし、それから日本という国がどれだけ理解をされているか、どれだけみんなに知られているかということから、日本への定住者が余り多くはないけれども、日本に来てみたらやはりここが一番いいという国にしなければいけないということを考えれば、いま私が申し上げたブイ・ゴック・ヅゥクさんという人の家族呼び寄せはぜひ親身になってやってあげてほしい。これは具体的個別的な問題ですから、申請をするなりお願いに行くように、お世話している方々にも私は後ほど伝えますが、これは普遍的に考えても、もっとそういう道を開いておくということをぜひ積極的にやっていただきたいと思うのです。 さてそこで、私はいま一つの例を申し上げましたけれども、先ほど来から議論がありますように、日本の国内にもうすでに来てしまっている難民の問題と、それから日本から難民を救いに出かけなければいかぬ、視察団を出すとか医療班を出すとか何をするとかいうことと、二つ問題がありますね。特にいま話題になるのは、視察団を出し、医療班を出し、井戸掘りを出し、何を出し、海外に一生懸命救いの手を差し伸べようという努力をしているわけですけれども、ノーベル賞をもらったマリア・テレサさんですかのせりふの中にも、テレサさんのところにも難民問題をお手伝いしましょうと各国からいろいろな人の話がある、しかし考えてみれば、あなたの仕事を手伝いましょうと言う前に、自分自身の国、自分自身の住んでいる町に難民がいたら、貧しい人がいたら、それを助ける、それをやらずに海の向こうまで手を伸ばして何ができるかと彼女は言っていますよ。日本の難民対策も、ただただ海の外へ手を伸ばすということだけではなくて、まず国内の難民問題をもっときちっとやる必要がある。 私は、国内の難民問題——先ほど入管局長でしたか、御答弁で流民なんという言葉をお使いになっておられますが、これは入管で難民と流民を仕分けして、いかなる定義で仕分けしてお使いになったのかよくわからぬけれども、いずれにしても難民と言われる、国へ帰れば政治的、宗教的、人種的圧迫を受けるから帰れないということで日本にいる人たちのことをもう少し考える必要があるのではありませんか。 インドシナ難民対策会議で、さっきもちょっとお話がありましたけれども、留学生とか何かでもうすでに日本に来てしまって、来ているうちに政権が変わってしまった、帰れない、そのまま日本に滞留しているといいますか踏みとどまっている方々に対する配慮、救いの手は、どうなっていますか。
○村角説明員 日本に滞在しているインドシナ難民と申しましても実はいろいろカテゴリーがございまして、まず、すでに日本に定住を許可されて定住をしている、あるいは、実はこれは私まだ御説明申し上げておりませんが、政府が定住促進事業を委託しておりますアジア福祉教育財団、そこの運営する、これは兵庫県の姫路と神奈川県の大和市にございますが、定住促進センターにいて現在日本語を勉強している難民、この一つのカテゴリーがございます。 それから次のカテゴリーといたしまして、いわゆるボートピープルといいますか、海上で救助されまして日本に連れてきて、日本全国に二十幾つかの一時収容施設がございますがそこにいる難民、これらの方々の中には先ほど先生御指摘の、その間に土地の人の庇護を受けて日本に定住を希望された方もおられますし、あるいはまだ日本に定住を希望されず米国その他に行くことを希望して待っているという方もおられます。で、先ほど御指摘ございましたが、こういう方々に対して、日本に定住した場合にどういうことになるかあるいはたとえば日本語を教えるとか職業紹介するとか、こういう便宜を計らいますよ、事実あるのでございますから、それを徹底させまして、こういう方々が安心して日本に住む道を選ぶ、こういう努力は私どもの方でいたしておるわけでございます。 次に、先ほど小杉局長からすでにお話のありました例の旧政権のパスポートを持って日本におった留学生につきましては、昨年四月の閣議了解で定住化を図る、こういうことになっております。ただし第三国の旅券を持って入られた方につきましては、実はインドシナ難民対策連絡調整会議の土俵に乗っていないと申しますか、いま法務省の方で御判断をしていただいている次第でございます。
○河野(洋)委員 入管局長にちょっと伺いますが、先ほどあなたが発言をされた流民、こういう言葉が適当な言葉であるかどうかということに私は非常に抵抗を感じますけれども、あなたがそうおっしゃったので、恐らくそういう言葉が政府の中で使われているのだろうと思いますから、とりあえずいまそう言いますが、その実態というものは把握していらっしゃいますか。これは政府がなかなか把握できない人間を称してそう言うのかもわかりませんけれども、もし把握しておられれば概略でもお知らせをいただきたい。
○小杉政府委員 先ほど私、流民という言葉を不用意に使いましたが、これは最近の新聞その他ジャーナリズムで使われております言葉が、いわゆる難民と非常に類似したステータスにある難民的な方という意味で、便利なものでございますのでたまたま使ったということで、私ども役所の中で難民と流民という言葉の使い分けをしているわけではございません。 ただ、その流民が一体どのぐらいいるかというのは、先生もいま御指摘のように総数を官側で把握できる体制になっておりません。ただ一応の私どもの推定でございますけれども、約二百名ぐらいおられるのではなかろうかというふうに考えております。現在まで私どもが現実に把握した数は総数で二十六名ございますが、恐らくこの約二百名のうちの一割ぐらいを把握しているにすぎないというふうに考えております。
○河野(洋)委員 その数字はちょっと違いやしませんか。私は文部省でちょっと調べましたけれども、文部省というお役所が公式に発表しておられる五十四年四月の時点でも、たとえばベトナムの留学生は百三十三人、カンボジア十二人、その他ラオス何人何人と、ざっと計算しても留学生だけでも二百人ぐらいおりますよ。さっきのお話でも、もう大学を卒業してしまって、つまり留学生ではなくなっているけれども、元留学生の数を入れるとそれは二百や三百という数ではないのじゃありませんか。
○小杉政府委員 ここで流民という言葉を使うのが適当かどうか知りませんけれども、いま先生御指摘になりました元留学生、これはすでに定住を認められた方たちでございまして、この二百名と言ったのは枠外でございます。この学生、元留学生等の総数でございますが約七百五十名でございます。
○河野(洋)委員 卒業した人は定住を認められているからこれは流民ではない、そういう御判断でございますか。私は、そこは少し違うというふうに思っているのです。 これは定住しているんだから流民ではなくて余り配慮は要らない、もしそういう意味だとすれば、そうではなくて、その人たちに対する配慮はまだまだ必要ではないか、いろいろな心配りをされないと、この人たちは日本の国内で、定住していいよという許可は与えたけれども、実際問題として定住できるかどうかということになると問題があるなと実は私は思うのです。 話があちこちになりますが、もう少し詰めておきたいと思いますが、いま入管局長がおっしゃる難民と流民、難民的とおっしゃった、その方がまだいいかもわからないけれども、難民と流民という分け方は私大変気になるのです。これはさっきから話題になっている国連難民条約というのがありまして、この国連難民条約の第一条に難民の定義というのがありますね。難民の定義、御存じですか。この難民の定義でいけば難民と流民と分けられますか、どうやって仕分けしますか。
○小杉政府委員 ここで一つはっきりさせておかないと議論が混乱すると思うのでございますが、私どもがいわゆる流民と称してとらえておりますのは、インドシナ三国に過去において生活歴があった方で、その後ベトナムないしはインドシナ三国を脱出して第三国に定着する、そこの第三国で正規の旅券たとえば台湾旅券であるとかあるいはタイ国の旅券であるとかあるいは香港の旅行文書というようなものを持って日本に観光客としてあらわれて、観光客としてあらわれた後不法残留してしまった、それでいま潜在しておる人間、それを流民と称しておるわけでございます。入管令上で申しますれば、入管令に違反して不法残留をしている第三国の旅券を持った方々、これを流民と称しておるわけでございます。
○河野(洋)委員 これは私は余りしゃくし定規な議論はしませんけれども、難民条約による難民の定義というのは、人種、宗教、国籍、特定社会団体構成員あるいは政治的意見のゆえに迫害を受けるという根拠のある恐怖のために国籍国の外にあって、かつ国籍国の保護を受けることができない者あるいはこうした恐怖のために国籍国の保護を受ける意思を持たない者を難民と言うんだ、こう難民条約は規定していますね。 そういう規定の仕方から言うと、いまの、確かに第三国に行ってパスポートを手に入れた、手に入れたけれども、そのパスポートを手に入れたことによって十分その国の保護を受けられるかあるいは受ける意思を持っているかと言えば、そうではないのじゃありませんか。パスポートを手にしたということは、日本という国に入国をするための便宜的な措置としてとったのであって、そのパスポートをとったということは、その国の保護を受けようとかその国の保護を受ける意思があるとかということと少し違うように私は思うのです。しかし、この議論は恐らく外務委員会が難民条約でも提案をされたときに御議論なさるのでしょうから、私はここでこれ以上の議論はいたしません。 それなのになぜこんな議論を持ち出したかというと、私は、法務省にもっともっと法を甘くして何をしろなんということを言いませんけれども、日本の国が難民問題に、先ほど村角さんおっしゃるように、政府は胸を張って、この段階積極的に取り組んでいると言えますと、こう難民対策会議の事務局長は言っておられる。つまり、政府は難民問題に胸を張って積極的に取り組んでいるんでしょう。取り組んでいるなら取り組んでいるような判断というものが必要だということを私は申し上げたかったのです。 私は法務大臣に伺いますが、法務大臣も重要閣僚のお一人として、日本の国際的責務、日本が置かれている国際社会における責任を果たすということを考え、難民問題には積極的に取り組むというのはこれは当然だというふうにお考えだと思いますが、いかがですか。
○倉石国務大臣 御指摘のように、とにかくいま大変な激動しておる世界情勢の中で、難民問題というものはわが国のような国にとりましてもきわめて重要な問題であると自覚しております。
○河野(洋)委員 難民問題は重要だという御理解は、難民問題というのは余り簡単に扱ってはいかぬ、こういう問題を軽視して、ただ単に従来どおりしゃくし定規に右左とこう仕分けするのではなくて、時として日本の国の国際社会に対する対応を世界は見ているわけです。そういうときには一つ一つを非常に慎重にやらなきゃいかぬ、こういうお気持ちであろうと思いますが、そういう気持ちを法務大臣がお持ちなんですから、法務省はもう少しこの難民問題に前向きに取り組んでほしいと思うのです。 村角さんのところは各省の調整をなさっておられる。これは厚生省もあれば文部省もあれば労働省もあれば、全く各省との調整をしておられるので、それはさっき御本人がおっしゃったように、これから入ってくる人たち、そういうものに対する対応というのがメーンの仕事になるわけで、先ほどから申し上げているように、もうすでに日本の国内のあちこちに、帰る国、自分の国籍国に保護を求めることができない、さまざまな政治的な圧迫とかその他の大きな事態の変化で、母国にみずからの身分の保障を求められない、そう思い込んでいるあるいは事実がそうであって、そのために時として不法残留というふうに言われながらも、もう日本の町のどこかに息を殺してじっとしゃがんでいる、恐らく法務省が把握をしておられる数字とは相当に違う、ある意味で恐怖におののきながら、とても心を痛めながら、このどこかの町に身をひそめている人たちにもつと配慮する必要があるんじゃありませんか。しかも、それは法的にずさんでいい、ルーズでいいと私は言っているのじゃないのです。そういう人たちにも、もっと安心して日本に滞在できるような法的措置も考える必要があるんじゃないか。外国人登録法でただ単にお役所仕事がなるべく簡便になりますように、通り一遍、外国人で日本に滞在している人が便利なようにという改正だけするんじゃなくて、どうせ外国人登録法の改正をやるなら、そういう人たちに対する思いやりとか配慮とか、そういうものもこの中に心を込めて入れる必要があったんじゃないかというふうに私は思うのです。 私は、先ほど外務省ですか大変威勢のいい、難民条約やりましょう、こうおっしゃられたその意気を非常に評価します一ぜひ難民条約は今国会に提出をしてほしいと私も切望します。これはやはり日本の立場というものは、国内のお役所のメンツ争いとかなわ張り争いで各国が次々と批准承認しているこの難民条約を放置すべきでない。と同時に、鎖国の歴史を持ちあるいは海洋国家として外国との行き来が非常に少ない日本の国に、この難民条約を思い切って批准していくことが本当の日本の国の国際化というものになる、日本の国の国際化の条件の一つじゃないかというふうに私は思っているのです。 あえてここでこんなことを言うことは、難民条約の批准承認その他にプラスになるかどうかわかりませんけれども、これはある雑誌に載った原稿を拝見をしまして、難民条約がなかなか国会に出せない大きな問題は外務省と厚生省の間の意見の食い違いにあるというのが雑誌に出ていますね。国民年金制度、こういうものを難民に適用できるわけがないじゃないか、これは雑誌が書いたんですから、せりふは多少そんな乱暴なせりふでないかもしれませんけれども。まあいろいろな議論があることはわかります。あることはわかりますけれども、いまむしろこの難民条約を議論するときに初めて——たとえば長期にわたって日本に住み税金を納め、まじめに働いている韓国の人あるいは北朝鮮に故郷を持つ人たち、台湾の人たち、本人の意思でなくて、かつて日本の国の強い意思で日本に連れてこられ、長い間日本に住み税金を納めている、こういう人たちにも国民年金がうまくいかない、あるいは生活保護、これも半数以下だ、児童手当は二十分の一の市町村でしか支給されてない、こういう外国人に対する扱いですね。こういうものを政府は逃げてしまって、国籍の枠を外すかどうかは実際には市町村の裁量に任しているのですから、こう言うけれども、難民条約問題を一つの大きなきっかけにして、こういう人たちに対する政府の対応、日本の国の対応というものをもう一回見直す必要がある。これは日本の国の国際化への大事な一歩ですよ、手がかりですよということを私はあえて申し上げたかった。 私は、きょうは本当は厚生省の方にもおいでをいただこうかなという少し不遜な気持ちも持ちましたけれども、これはどうも法務委員会ではいささか行き過ぎであろうと思って、そこまではお願いをしませんでしたけれども、私は、日本の国の入管の役目きわめて重大、よくわかります。そうして、入管がルーズであったら何が入ってくるかわからぬ、病気の心配もある、何の心配もある、だからここはおれが悪役になって、入管はおれががんばってという肩に力を入れておやりになる気持ちもわかります。また、それがわれわれの日常生活のある意味で安心感になっているのだから、それはよくわかるけれども、しかしもうすでに日本の国内にいて、日本に来ている間に本国にクーデターが起こった、政変が起こった、何が起こった、帰れない、そういう人たちに対する思いやりは、いや定住できるようにしてありますからいいのですというだけではなくて、もう少し配慮が必要じゃないか。これは、私は別に法務省だけを責めるつもりはありません。難民対策会議にもこういう気持ちを持った人はたくさんいるということをぜひ理解してほしい。だから、海外に手を伸ばして医療団派遣も大事です。視察に行くことも大事でしょう。しかし、国内の問題を片づけるということにももっとお役所がみんなで目を開いてほしいということを私は切望いたします。 さっき議論があったチャン・メイランさんの話も、裁判所がしゃくし定規に裁量すればああいう判決になるのでしょう。しかし二年間の執行猶予、この二年間の執行猶予の期間を彼女がまじめに過ごすということをじっと見てあげていただきたいですね。そしてやはり日本の国に、つまり帰れる環境を持たないそういう人たちがうまく住みついて、本当に実りある人生が送れるようにしてあげることがお役所仕事として大事じゃありませんか。法律が大事じゃなくて人命が大事だし人道が大事だということは、これは恐らく法務省といえどもそこは否定はなさらぬと思うのです、いかに法の番人といえども。大事なことは法じゃなくて人間の命なんですから、そういうものはぜひひとつお考えをいただきたい。 いろいろ申しましたけれども、この外国人登録法の一部改正はそれでも一歩前進、私はこう考えますが、願わくはいま申し上げたようなことを頭に入れて、法改正でなければできないというなら法改正をできるだけ急いでやってほしい。いや、この法律でも運用の仕方によって十分目的が達成できますというなら、ぜひ運用の幅をお考えをいただきたい。それは何も何百万ドルを持って超一流のホテルに泊まる外国人あるいは日本で隆隆と商売をやる外国人ではなくて、もっと本当にひっそり町の片すみに身をひそめている外国人にとっても思いやりのある外国人登録法であり、入管事務であってほしいということを最後に希望して、私は質問を終わります。
○木村委員長 横山利秋君。
○横山委員 昨日、私が当委員会におきまして公安調査庁に対しまして質問をいたしました。 質問の趣旨は、調査指定団体としていまなお朝鮮総連並びに日本共産党がなっておるということは実情にそぐわない、かたがた法務行政の改革という意味もあって、予算、人員の縮減も必要なときに行うべきである、こういう主張をいたしましたところ、公安調査庁は、かつては国会で調査指定団体という内容、対象の団体の説明をいたしましたが、これからはいたしません、御勘弁ください、引き続きやっておることはやっておる、こういう不遜なお話でございましたので、委員長にお願いして理事会で御討議をいただき、さらに公安調査庁として答弁を重ねて要望をいたした次第でございます。その結果を御報告願います。
○西本政府委員 公安調査庁の調査対象団体の名称の公表に関しまして、昨日の横山委員の御質問に対する私の答弁の内容をさらに補足して申し上げたいと思います。 従来、国会の答弁の際に調査対象団体の指定という言葉を用いておりましたが、もともと指定という言葉は法律、政令、省令などにおいて制度として定められたものではないわけであります。ただ、国家行政組織法に基づきます行政機関の長の権限として、そのときどきの公安情勢や特定の団体の活動の実績から破防法第四条、第五条、第七条に該当する幾つかの団体のうち、特に注意して調査すべきものとして指定することはあるわけでございます。過去におきまして、その団体名を国会で公表したことはございますが、従来の国会答弁の経過に照らしても、たびたび団体の名称、数などが変わってきているわけでございます。 このように、時々刻々変転する情勢並びに団体の組織、構成、性格の変化に応じて調査の重点を指向する対象団体は変化しておりまして、その都度これに即応して調査の重点を移動させるような事情でありますので、対象団体名の公表は差し控えさせていただきたいという趣旨に補足させていただきます。
○横山委員 内容にずいぶん議論の余地がございますけれども、時間の関係上また別途に譲りたいと存じます。 さて、本法案につきまして各党からさまざまな角度で質問がございました。これを理事会におきまして集約をいたしまして、別紙これから読み上げますような趣旨について意見の一致を見たわけであります。 本件につきましては、本来附帯決議とすべき性格のものでございましたが、時間の関係で私からこれを最終的に政府にただすという形態をとりましたから、政府においては、これが事実上附帯決議、理事会の総意としてお受け取り願いまして御返事を願いたいと思うのであります。本法に関する質疑応答の中で集約されました私ども与野党を含んでの意見でございます。 一、外国人登録法の罰則については、違反の態様に応じて軽減化することを検討すること。 二、「職業」及び「勤務所又は事務所の名称及び所在地」の変更登録申請については、行政監理委員会の勧告の趣旨に沿って措置できるかどうかを検討すること。 三、外国人登録証明書の携帯・呈示義務者の最低年齢の引き上げを検討すること。 四、再交付・引替交付の際に確認義務を課することにかんがみ、市区町村役所の負担を加重しないよう配慮すること。 右四点のほか (一) 外国人登録証明書の切替期間の伸長 (二) 指紋押捺制度の簡素・合理化 (三) 最近における出入国者の激増にかんがみ、 法改正を含む入管行政機構の根本的改革についてもあわせて検討すること。 以上につきまして、政府側の最終的な御意見を伺いたいと存じます。
○倉石国務大臣 御指摘の事項につきましては、今後の課題といたしまして御指摘の方向で検討を進めてまいりたいと存じます。
○横山委員 以上です。
○木村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 …………………………………
○木村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決をいたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○木村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ………………………………… 〔報告書は附録に掲載〕 …………………………………
○木村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時十七分休憩 ————◇————— 午後一時四分開議
○木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出、国際捜査共助法案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎武三郎君。
○山崎(武)委員 今回提案された国際捜査共助法はどのような目的を持つものか、また、この法律を制定することにより国内的及び国際的にどのような効果が期待されるのか、まずお伺いします。
○前田(宏)政府委員 本法案の目的あるいは効果でございますが、昨日の本法案の提案理由説明でも大臣から申し上げましたように、最近いわゆる国際交流が活発化するに伴いまして国際間を舞台とする各種の犯罪が多発する傾向にあるわけでございます。 そこで、その強力な防止対策の確立というものが強く要請されているところでございますが、現在わが国の法制といたしましては、いわゆる司法共助、裁判所間の共助でございますけれども、その関係で外国裁判所ノ嘱託ニ因ル共助法というものがございます。また、いわゆる逃亡犯罪人の引渡しに関しまして逃亡犯罪人引渡法が制定されておるわけでございまして、こういう分野におきましてはそれ相応の協力ができることに相なっておりますけれども、捜査段階につきましてはいわば国内法が整備されていないという現状にあるわけでございます。 そこで、今回お願いしております法律案によりまして捜査段階における共助的な法制を整備する、これによりまして、いま申し上げましたような犯罪の国際化というものに対処し、外国に対しても十分な協力を行うことにしたい、こういうことでございます。したがいまして、当面この法案は外国から要請があった場合に国内でそれに対応する措置をとるということでございますけれども、反面、いま申し上げましたような実情にございますので、わが国の方から外国に対して同様なことを要請することも考えられるわけでございます。その場合に、やはり外国から要請がありました場合に国内法が整備されているということがございませんと、外国にもお願いがしにくいというようなことに相なるわけでございます。 そういうことで、表向きの——表向きといいますか法律そのものとしては、外国からの要請を受けた場合にそれに応ずるような法制を整備する、それによって外国に協力するという効果があるわけでございますが、反面、日本の捜査のためにも役立つという両面を持っているわけでございます。
○山崎(武)委員 従来においても、過激派によるハイジャックその他国際的な犯罪が多発して、わが国としても外国の捜査に協力する必要があったと思われますが、このような場合、どのようにして、どの程度の協力を行っていたのかお伺いします。
○前田(宏)政府委員 いまお尋ねのように、いろいろと外国から協力要請があったことも事実でございます。しかしながらいま申しましたように、外国から要請があった場合にこれに対応するための国内法がなかったわけでございます。したがいまして、これまでは現行法の許される範囲内において個々の事案ごとに、たとえば関係者の自発的な御協力をお願いいたしまして、外国から依頼のあった事項を調査して回答するというようなことで過ごしてきたわけでございます。
○山崎(武)委員 近年における国際交流の活発化に伴い、犯罪の国際化は世界的傾向であると思われます。諸外国においても捜査共助の体制の整備とその積極的な運用を行っているものと思われますが、その実情についてお伺いいたします。
○前田(宏)政府委員 ただいま御指摘のような実情にあることは私どもも承知しているわけでございまして、今回この法案を立案するにつきましても、いろいろと諸外国のこともそれなりに調べたわけでございます。 アメリカあるいはヨーロッパ諸国等のいわゆる先進主要国と申しますかそういう国におきましては、いずれも何らかのこの関係の法律制度を持っておりまして、外国から要請があった場合に十分対応し得るような国内体制になっているわけでございます。 その内容は国によりまして若干の違いはございますけれども、要請を受けてこれに応ずる一種の手続、ルート、あるいは共助をすべき場合、反面から言えば制限事由、あるいは証拠を収集し、これを外国に提供する手続、そういう点につきましては、今回お願いしておりますこの法案とほとんど大差がないというふうに言ってよろしいかと思うわけでございます。 なお、私どもが調べました範囲内では、捜査共助が最も活発に行われておりますのは、いわゆるEC諸国を中心とするヨーロッパの各国のようでございまして、これは地理的にも国がつながっておるというようなこと、また政治、経済、いろいろな面で密接な関係があることも背景にあろうかと思いますが、大変活発なようでございます。そこで、それらの諸国におきましては、国内法を整備するだけではなくて、関係の条約等も締結している国があるように承知しているわけでございます。
○山崎(武)委員 政治犯罪については、逃亡犯罪人引渡しや捜査・司法共助法制において協力を拒否する絶対的な事由としているのが通例であって、今回の国際捜査共助法においても共助の絶対的制限事由としております。しかしながら、政治犯罪の概念については国際的にも国内的にも必ずしも明確でないようでありますが、この法律第二条第一号の政治犯罪について法務当局はどのような考えを持っているか、お伺いします。
○前田(宏)政府委員 いわゆる政治犯罪につきましては、ただいま御指摘のように、逃亡犯罪人引渡しあるいは捜査・司法共助の関係の法制におきましては、これを絶対的な拒否事由としているのが通例でございます。これが一種の国際慣行と理解されているわけでございますけれども、いまも御指摘のありましたように、政治犯罪という概念は必ずしも明確でない点があるようでございます。外国の立法例等を見ましても必ずしも明確に一致しておるようではございません。 ただ、基本的に考えますと、内乱罪のように、その国の基本的な政治秩序を直接破壊する行為、それ自体がまた犯罪としてとらえられているもの、そういうものが政治犯罪だということについては異論がないようでございます。そういう犯罪につきましては、国内法の罰則の面におきましても懲役刑ということではなくて禁錮刑をもって臨むということにもなっているようでございます。 ただ一面、いま申しましたように、その国の政治秩序を直接破壊する行為と考えられますので、ハイジャックとかその他いろいろなテロ行為、こういうものにつきましては、たとえその犯人が主観的に国の秩序を基本的に破壊することを企てていたといたしましても、外面的にあらわれた行為が殺人であるとか強盗であるとか恐喝であるとかいう行為であります場合には、これを通常の刑事犯罪として考え、いわゆる政治犯罪としてはとらえないというのがまた大方の理解のように承知しております。
○山崎(武)委員 この法律は、共助を求められた犯罪が政治犯罪である場合等一定の絶対的制限事由がある場合のほかは、第五条において法務大臣が共助の要請に応ずることが相当であると認めるときは共助を行うこととし、法務大臣の裁量にゆだねております。 しかしながら、強制処分を含めて共助を行うにはわが国の国民に重大な権利侵害をも与えることがあり得るので、法務大臣の裁量権の健全な運用が必要と思われますが、法務当局としてはどのような場合に共助を行うのが相当でないと判断する のか、お伺いいたします。
○前田(宏)政府委員 この法律案におきましては、ただいまも御指摘をいただきましたように、政治犯罪である場合その他一定の場合にはこれを絶対的な拒否事由と申しますか制限事由というふうに挙げておりますが、いま御指摘のように、第五条におきまして法務大臣が相当でないというときには共助を行わない、つまり相当であると認めたときに共助を行う、こういうふうにしておりますので、法務大臣の裁量ということになるわけでございます。 そこで、いまも御指摘がございましたように、強制処分も場合によっては行うという立て方になっておりますので、そのことによってわが国の国民に重大な権利侵害を与えることになってはいけないわけでございます。したがいまして、そういう点を具体的に言えば、たとえば証拠物を提供することによってその所持者等の権利者に回復困難な損害を与えるおそれがあるような場合、これは、いま申しました第五条の規定を適正に運用いたしまして措置をして拒むことにしようというのがこの考え方でございます。 なお、そのほかに相当でないということで共助しない場合といたしましては、たとえば特定の国との間の友好関係に悪い影響を与えるようなおそれがあるとか、あるいはその外国の罰則が日本の罰則の上で処罰し得るようなものを定めておりましても、その法定刑がわが国のそれに比べて非常に過酷であると認められるような場合とか、また面が違いますけれども、要請に応じて共助を行うことがわが国で捜査中の事件に支障を生ずるような場合も、たとえば相当でない場合の一つに当たるかと考えております。
○山崎(武)委員 警察庁にお伺いしますが、国際刑事警察機構いわゆるICPOが国際的な犯罪の防遏に重要な役割りを果たしていると聞いておりますが、このICPOがどのようなものであるのか、また現にどのような活動をしているのか、お伺いいたします。
○谷口説明員 国際刑事警察機構いわゆるICPOについてでございますけれども、この機構は、犯罪の国際化に対処するために大正十二年に設立されました国際刑事警察委員会を改組いたしまして昭和三十一年に設立いたしました各国の刑事警察間の国際協力を目的とする唯一の国際組織でございます。この機構は総会、執行委員会、事務総局、国家中央事務局から構成されておりまして、イギリス、アメリカ、フランスを初めといたしまして百二十六カ国の警察が加盟しており、本部はパリに置かれております。 その活動でございますけれども、国際連合と特別協定を締結いたしまして、国際犯罪の防止に積極的に協力しているほか、国際通貨偽造防止会議を開催するなど広範な活動を展開しております。しかしながら、何といっても主たる活動は刑事事件についての情報及び資料の交換ということでございます。当然のことながらその迅速さが必要とされますので、この交換の方式につきましては大部分が、加盟各国の国家中央事務局を結んでおります無線通信網がありますけれども、それによって行われているということでございます。このほかに逃亡犯罪人やあるいは臓品の国際手配、こういったことも行われております。これら情報交換の総数でございますけれども、年間三十五万件にも及んでいるということでございまして、各国の国際犯罪の捜査の推進に大きく貢献していると思うわけでございます。 わが国におきましても、近年御案内のとおり国際交流の活発化に伴いまして犯罪の国際化傾向が一層強まってきているということでございます。具体的な数字で申し上げますと、昨年昭和五十四年中の状況を十年前と比較いたしてみますと、国内におきます外国人の犯罪でございますけれども、四百三人でございまして五〇%の増ということになっております。また、海外において犯罪を犯して検挙された日本人の数は連絡を受けたものだけでも百七十七人で、六倍にも上っているということでございます。また、国内で犯罪を犯しまして国外に逃亡中の被疑者が約百名にも及ぶと推定されておるところでございます。 こういった犯罪の国際化に伴いまして、国際犯罪捜査のための国際協力がいよいよ必要になってくるわけでございますけれども、ほとんどの場合が国際刑事警察機構によって行われているところでございます。わが国の場合、情報交換の数というのが昨年一年間で五千二百四十七件でございまして、この十年間で七〇%の増というふうになっているわけでございまして、このICPOとの密接な協力関係というものが今後ますます重要になるのではないか、こう思う次第でございます。
○山崎(武)委員 国際的な捜査共助に関するこの法律が制定されれば、わが国の国内法としては、国際的な司法上に関する外国裁判所ノ嘱託二因ル共助法、逃亡犯罪人の引渡しに関する逃亡犯罪人引渡法と相まって、刑事に関する国際協力のための国内法制が一応整備されることとなると考えますが、これらを踏まえて、さらに引渡し条約締結国の拡大その他刑事に関する国際協力を充実、推進するための方策について法務当局の見解をお伺いします。
○倉石国務大臣 犯罪の国際化傾向にかんがみまして、犯罪人引渡し条約の持つ意義はますます高まりつつございまして、現在この観点から幾つかの国につきましてその引渡法を中心とした法制度全般あるいは運用ぶり等を調査中でありますが、今後外務省と協力の上に、条件が整った場合にはその段階で引渡し条約を締結することも十分検討いたしたいと存じます。 また、いわゆる国際捜査共助につきましては、国際捜査共助法によって一応国内法上の整備が図られることとなるので、今後は人的、物的体制の一層の充実を図るとともに、この法律を積極的かつ適正に運用し、あわせてわが国からも必要な共助の要請を行うなど、刑事に関する国際協力を推進してまいりたいと考えております。
○山崎(武)委員 終わります。
○木村委員長 横山利秋君。
○横山委員 まず第二条から伺いますが、第二条は法規裁量でこの四項目が満たされない場合は絶対に共助はしない、こういうことでございますか。
○前田(宏)政府委員 その点はお尋ねのとおりでございます。
○横山委員 そういうことが実際いいかということはちょっと疑問を持つのですが、スイスの「第六条相互主義請求は、請求国が相互主義を保証しない場合にも、これを実施することができる。ただし、連邦司法警察省警察局は、行為の重大性その他の事情に照らし必要不可欠と認めるときは、相互主義の保証を求めることとする。」この文章の意味がよくわからないのではありますが、原則として特殊な場合には相互主義を保証しない場合でもできるのだ、こういうことを言うておるわけであります。 二条の三号になりますが、一体相互主義というものは実際問題としてはどういうことなんでしょうか。要するに、一つの事件が起きた、今後あなたの方の言うことも聞く、私の方も協力するからよろしく頼むという簡単な文書で、こう書いてあるからそれでいいだろうということに一体なるのですか。保証というのは一体どこまで厳密に要求するのですか。
○前田(宏)政府委員 いわゆる相互主義の保証は逃亡犯罪人引渡法でも規定しているところでございまして、保証の実際の形と申しますか手続と申しますか、そういう点ではいま横山委員の仰せのように公的な文書のやりとりということで行われると思います。 これは国と国との一種の約束でございますから、それを守らなかった場合どうなるかという問題はあろうかと思いますが、それは当然信義の問題でございますから守られるであろうというふうに確信するわけでございます。ですから、もし守らなかった場合には、今後その国からまた同じようなことを言ってきた場合には信用できない国だということになるかと思いますので、それには応じないということによってこの相互主義の保証というものが担保されるということになろうと思います。
○横山委員 そうすると、この二条の三号の「要請国の保証」というものは中身よりも信頼感、一片の文書で向こうがやるとちゃんと書いて、大臣の判こをついているのだからということで、この保証の内容について余り議論をしない、信頼をするということだと理解をいたします。 どこかの小さな国で内乱もやっておる、何が何だかわからぬような国でも、それは保証すると言ってくる。それはいろんなことがあるけれども、いまの政権が天下をとっておって判こを押しておるのだからしょうがないじゃないかということになり、今度こちらが頼むときに、どうせあんな国だから協力をお願いしても大したものはないだろうということもあり得ますね。それでもやはり保証ということになるのですか。
○前田(宏)政府委員 まず、この保証がないときにはしないという規定の仕方をしておるわけでございますので、保証があった場合にどうなるかということが次の問題になりますが、いまのような例が果たして起こるかどうかという気もいたしますけれども、その問題はむしろ第五条の問題といたしまして、二条の要件は一応形の上では満たされておるということでございましても、五条に参りまして、法務大臣の判断で要請に応ずることが相当であると認めるときに措置をするということになっておりますので、その辺でまたふるわれることになる場合があろう、かように考えます。
○横山委員 二条は法規裁量であって、これを満たされれば絶対にあると言っているわけではない、ああそうですか。二条で満たしておっても五条で、あんなところはあかんぞといってやってやらぬという場合があり得ると理解しました。 では、二条を満たしていないけれども、いまお話のように三号は、あんな国の言うようなことは当てにならぬぞ、形式的には満たしておっても実質的には満たしていない場合でもやはりやる場合があり得る、弾力的に二条の運用も考えてもいい。 たとえば四号がそうですよ。「証拠が捜査に欠くことのできないものであることを明らかにした要請国の書面がないとき。」そんなむずかしいことを言ってあなた方役所が、ああこれはおかしいぞ、欠くことのできないものであることを明らかにしていないよ、もう一遍手紙をやれ、また来た、ほらいかぬぞ、もう一遍やれと言っているうちに話が済んでしまった。つまり時宜に適した行動をさせないような仕掛けになっておるのですが、この法律の運用について恐らく迅速性、機敏性というものが要求されるときに「その証拠が捜査に欠くことのできないものであることを明らかにした要請国の書面が」とわざわざ書くのはどういうわけですか。私の質問の趣旨は、二条は法規裁量である、厳密にこれは履行するつもりか、弾力性があるのかないのかということです。
○前田(宏)政府委員 まず、この四号を設けました気持ちは、証人尋問あるいは証拠物の提供に係る要請の場合でございます。証人尋問の場合でございますと強制的な措置の一つでございますし、証拠物の場合も押収、差押えというような強制的な手続をとる場合があるということでございまして、外国の要請でございましても日本の国民にそれなりの負担をかけるということが予想されるものでございますので、むやみやたらにそういうことをしては適当ではないのではないかという考え方から、この四号のように、その証拠が捜査に欠くことのできないものであることを明らかにしてほしいということを外国に求めまして、そしてその書面をもらう、こういうふうに考えたわけでございます。 しかしながら、いまおっしゃいましたように、この手続は急ぐ場合が多いと思います。したがいまして、そのことがまだはっきりしないというようなことで御指摘のように文書をやりとりしておりますと、時期を失するということは当然でございます。先ほどの三号の相互保証も同様でございますが、国と国とのことでございますからそう細かいことを言っていてもだめかと思いますが、気持ちとしては先ほどのような気持ちでございますから、余りあいまいでも困るということでございまして、私どもといいますか法務大臣の立場で当該要請国の申し出、この関係の書面等を見まして、一応それが信頼できるということでございました場合にはこの二条の制限事由には当たらない、つまり手続を進めてもよいという場合に進んでくるというふうに考えております。 ただこの場合も、先ほど申しましたように、第五条のところで、要請に応ずることが相当であると認めるかどうかという問題でまた第二の一つのチェックと申しますか判断が入ってくるわけでございますので、その段階で当該国の事情等もいろいろ十分勘案いたしまして応ずるかどうかということを決める、かようになるわけでございます。
○横山委員 第二条の一の「政治犯罪であるとき」というのは、たとえば要請国は政治犯罪ではないと言う、本人は政治犯罪であると言う、そういうことが当然想定をされる。 それについて、政治犯罪であるかないかはあなた方や法務大臣の最終責任で判断をすることになると思うのですけれども、捜査を受ける対象、政治犯罪であると主張する人の意見はどういうふうに聴取をしたり、その主張を受け入れるつもりですか。
○前田(宏)政府委員 これは外国から要請があった場合でございまして、その前提として、当然のことながら刑事事件は外国で捜査の対象になっているわけでございますから、被疑者といいますか犯人と目されている人がどういうことを言っているかということは必ずしも明確でない場合があろうかと思います。しかし、要請をしてきます場合に、要請書と申しますか書面が来るわけでございまして、その内容をそれなりに点検いたしますと、政治犯罪であるかどうかということが一応判断できるのではないかというふうに考えております。 もちろん、いわば外国の内情のことでございますから、被疑者扱いをされている人が政治犯罪であるという主張をしておる、その国はこれは政治犯罪でないという見方で日本に依頼してくるという食い違いが起こることは想定されないわけではございません。しかし、それはもともと政治犯罪ということが、先ほどの御質問にもございましたが必ずしも明確でないわけで、内乱であるとかそういうものが争いのないことは明らかでございますけれども、政治犯罪に関連した一般犯罪というものにつきましてはいろいろと見方の相違があるわけでございます。 したがいましてこの判断も、外国からの要請、それに関していろいろ添付されてくるであろう書類、そういうものを法務大臣の立場におきまして慎重に検討いたしまして、客観的に見て政治犯罪を処罰するために協力するというようなことにならないように慎重な判断をした上でこれに対処するということになると思います。
○横山委員 つまり、他国にかわって日本が捜査をやる場合に、向こうは政治犯罪でないと言っておる、ところが本人が政治犯罪だという主張をし得る余地、そういうような被疑者扱いをしないための前提というものについてひとつ念を入れてもらわなければなりません。 それから五条の先ほどのところですが、「法務大臣は、第二条各号のいずれにも該当せず」という意味は、つまり要請国の保証もない、要請国の書面もないという意味ですか。保証もある、要請国の書面もあるという意味ですか。どっちですか。
○前田(宏)政府委員 結局、二条の各号つまり一号から四号まででございますが、そういう制限事由に当たらない場合ということでございます。
○横山委員 保証もないけれども、要請国の書面もないけれども、政治犯罪でもあるけれども、やってやるときにはやってやる、こういう意味ですか。
○前田(宏)政府委員 二条の方におきまして、政治犯罪であるときはしない、それからたとえば保証がないときはしない、それから捜査に欠くことのできないものであることを明らかにした書面がないときはしないわけでございますから、そういうのに当たらない、つまり欠格事由はないという場合にやる、こういう趣旨で書いたつもりでございます。
○横山委員 もう一遍念のために伺います。 簡単に言うと、二条の各号のいずれにも該当しない、つまり書面もない、保証もない、何もなくても、要請に応ずることが相当であると認めたときにはやる。違いますか。
○前田(宏)政府委員 私の御説明が不十分かと思いますけれども、いわば結論は逆でございまして、政治犯罪であるときにはやらない、保証がないときはやらない、それから書面がないときはやらないということでございます。
○横山委員 では法文がおかしいのではないですか。いずれかに該当し、かつ要請に応ずることが相当である——「該当せず」というのはどうもひっかかるのです。あなたは日本語を知っているでしょう。
○前田(宏)政府委員 たとえば相互主義の保証つまり三号について申しますと、保証がないときに当たらない、そういうふうにお読みいただきたいと思います。
○横山委員 わかりました。 それから「要請に応ずることが相当である」、相当ということはとにかく法務大臣に一切お任せする、全くの自由裁量である、こういうことなんですか。もしそうだとしたら、そういうことを全くの自由裁量にゆだねて一体いいのかどうか。法務大臣が相当であるという準拠する条項はどこにありますか。
○前田(宏)政府委員 結論的に申しますと、自由裁量でございますので法務大臣に全部任されているということになるわけでございます。したがいまして、その要件といいますか基準的なものは特に設けておりません。 しかし強いて申しますと、後の方で関連する条文が出てまいりますが、十五条で外務大臣との協議の規定がございます。これは裏から書いてあるかっこうになっておりますが、要請に応ずることが相当でないと認めて共助しないとき、こういう場合には外務大臣と協議するということもございまして、それは、たとえば外交関係とかそういうものが問題になるということも想定しまして、そういう条項を設けておるわけでございます。 したがいまして、先ほど冒頭横山委員が仰せになりましたように、本来外国の方でこういうことをしてくれと言ってきた場合でございますから、なるべく広くこれに応ずるというたてまえをとっておるわけでございます。ごく例外といたしまして、先ほど来御指摘のような二条の各号、この場合は限られた制限事由だというふうに考えております。ちなみに逃亡犯罪人引渡法でございますともっと制限事由が多く書いてございますが、それに比べて、この法律案では制限事由が少ないということになっておりますので、気持ちといたしましては、なるべく広く共助の要請に応じようという精神でございます。 したがいまして、相当でないということで二段構えで拒否する場合もあるということでございますが、よほど問題がなければ、二条の一、二、三、四に当たらない限りは要請に応じようということでございます。ただ先ほども申しましたように、そうかと言って、日本の国民に若干の負担を及ぼす場合でございますし、また場合によっては、日本で捜査中の事件について関係があって、その捜査に支障があるというようなことも想定されないわけではございませんので、そういう場合に一部共助しないという余地を残すことはやはり必要ではないかということで大臣の裁量権の余地を置いていただきたい、こういう趣旨でございまして、二条の各号に当たらない場合にどうにでもできるという気持ちではないわけでございます。
○横山委員 「相当である」ということが、制限規定がどこにもありませんので、事あるときには外務大臣と相談しろ、事あらぬときにはやらせようとやらせまいとおれの勝手だというような、「相当である」というわずか五字で法務大臣に一切お任せするのは、まあ倉石さんのことを言っておるわけじゃないのだけれども、いささか問題じゃないかと私は思います。 それから、第八条検察官等の処分で「又は公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求める」というのだけれども、公私の団体はこれに対して拒否権がございますか。また拒否した場合に罰則があるのですか。あるいはまた、この各項の中に検察官及び司法警察員の任務がうたってありますが、それらの職員はこの法律による命令に従う義務はありますか。
○前田(宏)政府委員 八条の最後の方の「公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」という文でございますが、こういう規定は、表現も含めてでございますが多くの法律にあるところでございます。刑事訴訟法にもあるわけでございますが、その場合に公務所または公私の団体がどういう義務を負うかということでございます。 八条にこういうふうに書いてございますから、検察官または司法警察員としては権限が与えられているわけでございまして、いわばその反射的な意味で公務所または公私の団体はできる限り照会に応ずべきものだということになろうと思いますが、法律上何か制裁を担保とするような義務というふうにはなっていないわけでございます。 もしそれに応じない場合にどうなるかということになりますが、そういう場合には関係者に来ていただいて事情を聞く、あるいはそこに物があった場合にはその物について提出を求める、また場合によっては証人尋問あるいは押収、差押えというようなことも極端な場合には起こるかもしれませんが、そういうことじゃなくて、できるだけ御協力をいただければそれで賄えるというふうに考えておるわけでございます。 それから第二の御質問で、検察官または司法警察員の義務でございますが、これは八条の前の七条で指揮監督権があります検事正、警察の場合でございますと警視総監あるいは道府県の本部長、こういう人から一般的な意味での指揮監督権に基づいて処分の、こういう措置の命令が出るわけでございますので、それに従う義務があるというふうに考えております。
○横山委員 第十三条処分を終えた場合等の措置の第四項「第五条第二項の規定により共助の要請に関する書面の送付を受けた訴訟に関する書類の保管者」、保管者というのは一体だれですか。職員ですか、保管しておる機関の長ですか。
○前田(宏)政府委員 これは、いまお読みになりましたように五条から来ている条文でございますので、五条の二項を見ますと「法務大臣は、共助の要請が裁判所、検察官又は司法警察員の保管する訴訟に関する書類の提供に係るものであるときは、その書類の保管者に」こういうふうに相なっておりまして、この保管者を受けておるわけでございます。 したがいまして、具体的な訴訟書類が裁判所にある場合もございましょうし、検察官の手元にある場合もございましょう。また警察で司法警察員が保管している場合もあると思います。それぞれの場合に応じまして当該裁判所、当該検察官あるいは当該司法警察員がこの保管者に当たるわけでございます。
○横山委員 同じく第五項の「証拠の使用又は返還に関し要請国が遵守しなければならない条件」というのは、たとえばどんなことですか。
○前田(宏)政府委員 これも念のためといいますか、先ほど来申しておりますように、提供者の権利の保護と申しますかそういうことを頭に置きながら書いたものでございます。 つまり、証拠を提供するのはいいけれども、こういうふうに使ってもらっては困るとか、またいつまでに返してもらわなければ困るとかいうような希望が所有者あるいは保管者、いろいろな人から出てくる場合もあろうと思います。それがごもっともであるような場合に、当然それを要請国の方に申し入れて、それに従ってほしいということでございませんと、証拠物等の権利者の権利の侵害になるおそれがあるというふうに考えたわけでございます。
○横山委員 国が要請してくる場合とインターポールが要請してくる場合、いろいろな要請の仕方があると思うのですが、犯罪種別その他ではどういう違いがあるのですか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねに即して申しますと、別に犯罪の種類によりましては区別はないというふうに考えております。 要するに手続的なルートとして、国自体が言ってくる場合と、広い意味での国際機構と申しますかそういうふうに理解されておりますインターポールのルートで言ってくる場合と、両様があるであろうということで、その一方だけをこの法律で定めるのは適当ではなかろう。先ほど来警察の方からも御説明がございましたように、国際刑事警察機構の活躍といいますか活動ぶりは相当な実績も持っておるわけでございますので、そのルートも国内法としては明らかにした方がよろしいのじゃないか、こういうことでございます。
○横山委員 国際刑事警察機構を通さねばならないのですか、それとも他国の警察機構から直接日本の国家公安委員会へ言ってくることがありますか、それは可能なのですか。
○水町説明員 この法律は、十七条にございますけれども、国際刑事警察機構を通じた場合のことについて規定したわけでございまして、その他直接的な関係につきましてはこの法律以外の部分になると思います。
○横山委員 以外というのはどういう意味ですか。やらないのですかやるのですか。
○水町説明員 具体的に現時点におきましてあり得ることはあり得るわけでございますが、非常に例は少ないということが言えると思います。
○横山委員 なぜ国際刑事警察機構を必ず経由しなければならないのですか。この法律をつくるときに、国際刑事警察機構ないしは他国の刑事警察機構からという字をなぜ入れられないのですか。
○水町説明員 先ほど来お話が出ておりますように、国際刑事警察機構の活動ぶりと申しますか実績というものが非常に高まってまいりまして、その実績を踏まえまして国際刑事警察機構からというものにつきまして規定をいたしたい、こういうことでございます。
○横山委員 意味がよくわからないのですが、私の言っていることはおわかりになっているでしょうね。インターポールがよくやっていることは知っている。けれども、インターポールを一々通さなければいけないのか、インターポールを通さなくても、一つの国と日本の国の警察関係だけの問題だから、機敏性、機動性からいって直接やってなぜ悪いのか、どんな弊害があるのか、なぜ法案の中へそれが入れられないのかということなんです。
○水町説明員 国際的な捜査協力の仕組みといたしまして、いま先生がおっしゃいますような直接的な方法もあるわけでございますけれども、仕組みといたしまして定型的に捜査の国際協力を迅速に行い得ます機構というのがこの国際刑事警察機構でございます。したがって、先生のおっしゃいます迅速性をとうとぶならば、むしろこの仕組みを通して定型的に処理いたした方が捜査の目的を達し得る、こういうことでございます。
○横山委員 機構が整備しているからこの方が早いということについてわからぬわけではありません。しかし、いま伺いますと、直接頼んでくることもあるというのですね。直接頼んでくることをあなたの方が法律に基づかずに勝手にやっておるわけですか。勝手にやっておるのですか、法律にないのに。他国の刑事警察の要請を受けて、法律にも基づかずに勝手にやっておるというふうに理解していいのですか。
○水町説明員 外国の刑事事件の捜査に関しまして外国の捜査機関から、余り例は少ないかもしれませんが捜査の協力の要請を受ける場合がございます。この場合におきましては、警察といたしましては、関係者の自発的な御協力をいただきまして、そして必要な事情聴取等を行いまして、その結果をその捜査機関に提供しておることはございます。
○横山委員 この法律は強制力を持つ。他国の警察からは頼まれてきた、それではやりましょうというわけで関係者に、あなたは協力するか、せぬ、それならさよならということだという話でありますが、どうもそれは少し釈然としない点がございます。しかし次に移りましょう。 経過措置の第二条「この法律の施行前に犯された犯罪に係る外国からの共助の要請」についてはこの法律を適用するということなのですが、現時点におきまして「犯された犯罪に係る外国からの協助の要請」はどんなところがありますか。
○前田(宏)政府委員 ただいまの御質問にお答えする前に、先ほどのことについて私どもの理解をちょっと御説明させていただきますが、本来、外国から捜査共助があります場合に、たてまえといたしましては国と国とのことでございますから、仮に外国の警察が日本の警察に頼みたいという場合に、筋を通せば外交ルートでなければならないということに相なろうかと思います。 そうなりますと、この法案の前半の部分つまり十六条までの規定によって外交ルートを原則とする、場合によっては法務大臣ということもただし書きで書いてございますが、そういうことになるのがたてまえというか原則であろうと思うわけでございます、ですから、事実上の行為として外国の警察が日本の警察へじかに言ってくるということも、それを頭からいかぬというわけにはいかないと思いますけれども、国と国とのことでございますから、理屈を言えば基本的には外交ルートを経由しなければならないという考え方はあると思うわけでございます。 そこで、そういうことを頭に踏まえまして、この法案でも十六条までの規定を設けたわけでございますけれども、それだけではやはり狭過ぎるので、現にこの国際刑事警察機構というものが国際的な警察の機関として存置されておるということでございますので、そういうルートを通してくるものもこの国内法の上で十六条までのルートと同じように評価しようといいますか扱おうということでございまして、直取引といいますか外国の警察から日本の警察へ来るものは全くの事実行為ということでこの法律外のことである、こういうふうに御理解をいただきたいわけでございます。 それから附則の問題でございますけれども、いまもお話が出ましたことにも関連するわけでございますが、いわゆるインターポール経由の協力要請というものは相当な数に上っておるわけでございまして、それは従来は国内法の裏づけがなくていわば事実行為としてやられておったわけでございますが、この法律が制定していただけますと、この法律の規定の上に認知されるというか表に乗っかってくるということになるわけでございまして、その数もまだ相当あるのではないかと思います。 それから法務省の関係では、外国から、余り数はございませんけれども、この法律ができました場合の共助要請に当たると見てよいような要請が現に来ておりまして、これも国内法がまだないわけでございますので、事実行為として検察庁に連絡をいたしまして当事者の自発的な協力を受けて、現にその関係の人から事情を聞いておるというような事態もございます。それがこの法律ができますと、この法律の規定にきちっとのっとって処理ができる、こういうことになるわけでございます。
○横山委員 この法律にずっと目を通してみて、実際運用としては国と国との共助要請よりもインターポールを通ずる仕事の方が圧倒的に多いのでしょう、実際問題として。そうだと私は思う。 あなたは、法体系としては国と国とがやるのが本当だけれども、しかし現にインターポールが一生懸命やっているから、インターポールの方が十七条からちょこちょこっと一条だけ書いてあるというお話だけれども、実際の運用はインターポールの仕事の方が圧倒的に多いのではないですか。これが基軸になると私は思われるわけであります。そうだとすれば、インターポールを通じなくても、国の警察と国の警察との関係についてもどうしてこの一条を起こす必要がなかったかということを私は考えたわけであります。 それからフランスの法律を見まして、第三十条に緊急の場合には「二国の司法官憲の間の直接連絡により行うことができる。」これは私の言うようなことを直接言っておるわけでありますが、この法文を見まして、えらいむずかしいことを言っておるな、こんなことや手紙のやりとりをして、いや手紙をもらったけれども、どうしても必要か、二条の証拠になるかならぬかわからぬで、捜査に欠くことのできないものであるかないかわからぬ、手紙のやりとりをしているうちに日が暮れてどこかへ行っちまったということになるのだが、フランスの三十条にあるように、緊急の場合ということについての条項がどこにもないという点に気がつくのですが、どうなんですか。
○前田(宏)政府委員 その前に、先ほどの問題でございますが、同じようなことでございますけれども、仮に外国の警察が日本なら日本に正式に申し込んでくるということになりますと、恐らく向こうの警察が向こうの外務省に話をして、それから外交ルートで日本の外務省に頼んできて、それがまた外務省から日本の警察におりる、こういうことになるかと思います。ただ、そういうことよりも、先ほど警察からお話がございましたように、インターポールという既存の組織があって、その方がもうすでに実績もあるし、むしろ迅速であるということでございますから、警察同士の直接取引ということはむしろ数が少ないといいますか余りないのではないかというふうに思われるわけでございまして、その点は問題がないのじゃないかというふうに考えております。 それからただいまのお尋ねでございますが、この法案の第三条のただし書きでございます。先ほど来くどく申しておりますように、大変かた苦しい構成ではないかという御批判を受けておるわけでございますけれども、一応たてまえは国と国とのことであるので外交ルートでやろうということでございますが、たとえば「緊急その他特別の事情がある場合」というふうに書いてございますように、緊急な場合には外交ルートを通していたのでは間に合わない、そのことについて外務大臣が一言同意をされれば、司法当局同士でやるということをこの規定で考えて設けておるわけでございます。
○横山委員 スイスの法律案の特徴を見ますと、われわれのいま審議しているこの法案との違いで、十ページにございますか、「この法律の適用によって、スイスの主権、安全又はその他の本質的な利益を顕著に侵害してはならない。」とか、「手続の特性」として「政治的見解、一定の社会的団体への所属、人種又は宗教若しくは国籍のゆえに人を訴追し、又は処罰するために遂行されること」等々、きわめて人権、国家の独自性というものについてうたっておるわけであります。そういう点で欠くるところが一体ないだろうか。スイスのいう「一定の社会的団体への所属、人種又は宗教若しくは国籍のゆえに人を訴追し、」云々というようなことについて、この法案は欠くるところがありませんか。
○前田(宏)政府委員 スイスの条文についてのお尋ねでございますが、たとえば一条の二項のように主権、安全その他本質的な利益を害してはならないということは、条文で書かなくても当然と言えば当然のことであろうと思います。 先ほど、法務大臣に一任ではどうかという疑問も呈されたわけでございますけれども、法務大臣の立場におきまして、こういうことを十分考えて相当であるかどうかということで応ずるかどうかを判断するというふうに考えておるわけでございまして、その点は御心配がないと言っては失礼かと思いますけれども適正に運用してまいりたい、かように考えておるわけでございます。 また、いまの二条等でいろいろと制限事由と申しますか請求を排除する場合が書いてございます。これも書いてあること自体無意味だとは申しませんけれども、わりに不明確な概念が連ねてあるというような気もないわけではございません。そういうことで、この点も法務大臣の健全な裁量の中で判断させていただきたいということでございます。 これを逆に二条の絶対的な制限事由に挙げるということももちろん考えられるわけでございますが、むしろ冒頭の横山委員の御指摘では、余り厳格にやるのはどうかというようなお考えも逆にお持ちだったのではないかというふうにも理解するわけでございまして、やはりこの点はやや不明確な問題でございます。まあ政治犯罪も不明確といえば不明確かもしれませんけれども、より国際的に確立された理解がないというような問題がここに入っているように思うわけでございまして、そういうことから、これもすべて法務大臣の裁量、しかも健全かつ適正な裁量によって処理しようというのがこの法案の考え方でございます。 なお実際問題といたしまして、こういう宗教のために人を訴追するというようなことがよくわからないわけでございますが、そういうことが通常の犯罪について起こるであろうかということも実際問題としては考えにくいのじゃないかというふうにも考えております。
○横山委員 イギリスの法案の中で目を引くことは、三十五ページにございますけれども、高等法院等の事項として「人体の医学的検査」「前号に定めるほか、人の血液標本の採取及び検査」等も、スイスと同じようにきわめてこの種の問題について人権の尊重をうたっておることを喚起をしておきたいと思います。 それからヨーロッパ条約の中の第二条「請求が、被請求国により政治犯罪、政治犯罪に関連する犯罪又は財政犯罪とみなされる犯罪に関するものであるとき。」財政犯罪という言葉が出てきておりますが、これはどう理解をしていますか。
○前田(宏)政府委員 財政犯罪ということ自体、概念としては必ずしも明確でございませんが、主としては租税犯といいますか脱税犯というようなものを頭に置いているようでございます。 なお、先ほどイギリスの法律について御指摘がございましたが、これはここに挙がっておりますようなもの、(a)から(f)まででございますが、そういうことができるというふうに理解されるわけでございまして、むしろやることが多いといいますか、そういうような感じがするわけでございます。 私どものこの法案におきましては、最初のことでもございまして、日本の刑事訴訟法で日本の刑事事件について行うことが許されているようなこと、その限度内で逆にできるだけ外国の要請に応じよう、こういうのを基本的な考え方としているわけでございます。
○横山委員 ヨーロッパ条約では、財政犯罪とみなされる犯罪については司法共助を拒むことができるとなっています。このヨーロッパ条約は各国の一つの規範になっておるわけでありますが、それがあなたの言うように租税犯罪の司法共助を拒むことができるというふうなことについて、日本政府としてはどうお考えなんですか。
○前田(宏)政府委員 まず、このヨーロッパ条約の二条は「拒むことができる。」ということでございまして、絶対的な拒否事由ではないわけでございます。 したがいまして、わが国にこれを当てはめました場合にも、まあ御批判はあろうかと思いますけれども、先ほど来の大臣の相当性の判断の中での問題に相なろうかと思います。したがいまして、日本に共助要請をしてきました当該国がどういう扱いをしておるかというようなことをこの点に関しましても勘案いたしまして、それに応じた広い意味の相互主義的な考え方もそこに取り入れて対応すべきであろうというふうに考えております。
○横山委員 四十六ページ、ヨーロッパ条約の十五条四項「本条第一項及び第三項に規定する以外の請求、特に訴追の予備調査の請求は、司法官憲の間における直接送付の対象とすることができる。」この意味がよくわかりませんが、予備調査の請求ということは一体どういうことでしょうか。こういうことはこの法案の中にあり得ないのでありますが、一体この種のことは実際問題としてあり得ることでありますか。
○前田(宏)政府委員 外国の法制につきましては、法律と申しますか条文自体は何とか入手いたしましていろいろ調べたわけでございますけれども、実際の運用まではなかなかわからない点があるわけでございます。 それで、「訴追の予備調査」という言葉が使われておるわけでございますけれども、この場合ヨーロッパ条約に加盟している国の法制がいろいろあろうかと思うわけでございまして、予審的なものとかそういうものが日本で昔あったわけでございますけれども、そういうものも場合によっては入るのかもしれません。その辺は実は率直に申しまして定かではございません。 ただ考えられますことは、この法律案に即して考えますと、基本的なというか実質的な共助要請というものは、この法律案ができました場合には規定にのっとってなされるわけでございますけれども、その事前の段階でいろいろと打診があるというようなことも考えられるわけでございまして、そういうことは法律事項ではないというふうに考えるわけでございます。
○横山委員 承れば、インターポールヘの分担金、本年五千万、そして最後の項目を見ますと、五十年から警察庁の警察官一名が事務総局に派遣されている。分担金五千万というと各国比からいうと何位目で、そして日本人警察官一名というのはきわめて均衡を失しているというふうな感じがいたしますが、インターポールにおける各国の職員数の比率はどんな状況でありますか。
○水町説明員 国際刑事警察機構の予算の仕組みは若干複雑でございますが、簡単に御報告申し上げますと、各国の負担すべき予算単位というものが定まっておりまして、一番負担を多くしているところは、国の名前をざっと申し上げますと、西ドイツ、フランス、イタリア、イギリス、アメリカ、その次のグループがオランダ、三番目のグループとしてカナダ、日本、こういうことでございます。グループ的には三番目の段階である、こういうふうに申し上げたいと思います。 それから人の派遣の問題でございますが、これはフランスに事務総局があるという関係上、フランス政府が非常に多くの人を派遣しております。ほかの国は非常にわずかな人間でございまして、一人とか二人とか三人とか、そういうような感じで人を派遣しているわけでございます。
○横山委員 銭は出すけれども、お手伝いは一人で勘弁してちょうだいということのような気がするわけでありますが、これからの国際的な分野で日本人がお巡りさんを一人置いておくだけで一体実際の仕事として適当であろうか、その点はどうお考えになるのですか。
○水町説明員 ただいま先生御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては、なるべく多くの日本警察官を派遣いたしたいと考えております。
○横山委員 この法律全体を見まして、要請があった、そして先ほどからるる話がありましたように、とにかく協力はするけれども、しかし正確な要請書なりあるいはまたどうしても必要だという書類が必ずしもないけれども、やらなければならぬという場合があり得ると私は思うのであります。 そういう場合において、捜査を受けあるいは尋問をされあるいは出頭を要求され、立入検査をされ、差押えをされ、捜索されという日本人なり外国人が国内で出てくる場合があります。その場合における人権の問題はもちろんさはさりながら、それが全然間違っておった、外国の要請に基づいてやったけれども、お気の毒でした、えらい済みませんという場合が、他の刑事犯罪の場合と違いましてあり得るのではなかろうかということを考えるのですが、その不当な措置を受けた者はその損害をどうしたらいいのですか。物心両面にわたる損害は何法が適用されますか。
○前田(宏)政府委員 先ほど来お答えしておりますように、この法案ではむしろ共助に応ずる場合が狭いのではないか、窮屈ではないかというような御批判を実は受けるのではないかと思っていたくらいでございます。 そういうことで、私どもの気持ちといたしましては、何回も申しておりますように、日本国民がそれなりの負担を負う場合でございますので、先ほどのたとえば条文で言えば二条の四号にいたしましても、向こうのどうしても要るんだという書面を欲しいというようなことも考えたわけでございますし、また証拠の使用、返還について条件が付せられる、相手方に遵守を要請する、これに応ずる確約が得られない限りは共助に応じないというようなことも考えたつもりでございます。 したがいまして、どうも国民が被害を受けそうだということになりました場合には、法務大臣の権限におきまして結論的に共助をしないというふうに結論を出すことによりまして、被害をまず最小限に、ないようにしようというふうに考えております。 法務大臣だけではなかなか判断ができないということもございまして、法務大臣がたとえば検事正に処分をさせる場合につきましては、その処分といいますか措置の過程で当該本人に検察官が当たるわけでございますから、いろいろ本人の希望なり言い分なりもそこでわかるわけでございます。したがいまして、その指貫が終わりました後で、また出先の検察官から法務省の方に返事が返ってくるわけでございますが、その際にも意見を付して法務大臣の方へ戻しなさいというふうに書いてございますのも、そういう気持ちでございまして、これはどうもうっかり渡すと気の毒なことになるというようなことでありました場合には、現地の検事正がそういうことを具体的に付記して法務省に送り届ける、それを法務大臣が判断をいたしまして、そこで最終的に考えるというようなことも、念には念を入れてつくったつもりでございます。そういうことによって国民の被害というものが起こらないように措置していこう、また運用もそういうふうに考えていこうというふうに考えております。 ただ、万々一そういう不幸なといいますか間違いが起こりました場合には、これは一般的なことになるかと思いますが、国家賠償法の損害賠償ということで賠償が行われることになろうと思います。
○横山委員 きわめて慎重なことをするとおっしゃっているのですけれども、たとえばインターポールから赤手配だ、青手配だということになったら、現場の警察官は欣喜雀躍、よしということになるのは必至ですよ。私はその雰囲気がわかるのですよ。あなたが言うように、待てよ、これは慎重にやらなければならぬなんて考える人は一人もおりはしませんよ。国際的な要請に基づいて、さあ行こう、出動というようなもので、勇みに勇んで出かける雰囲気が目に見えるようであります。 そういうことについて、あなたは国家賠償法と言うけれども、国家賠償法というのは国が故意あるいは重大な過失がなければ適用できないんだから、そんなものに国家賠償法が適用されるはずがない。国内におきます刑事犯罪捜査においては、それは原因とそれから証拠その他が明白になって捜査にかかるということでありますが、先ほどからるる申しましたように、要請書もいいかげんなものであるけれども相手の判こを信用しようとか、あるいは要請国の書面もはっきりしないけれども、あそこの国の信義を尊重してやろうとか、そういうことで大臣が受けてしまう。受けてしまって、さあやれ、これは国際的な他国の要請に基づきというのが愛知県何々警察署長に届いたら、警察署長は飛び上がってびっくりして、さあほかの仕事をほうっておいてこれをやれやれということになるのは必至だと私は思うのです。あなたのように、慎重に待て待て、これはいかぬ、そんなことを考えるようなお巡りさんは、逆に言えば出世しませんわ。 そうだといたしますと、万一にも間違いだった、シロだった、それを差押えをした、捜索した、もう立入検査して国際的な赤手配の被疑者である、関係者であるというふうに新聞で喧伝をされた人に対する補償というものは一体どうなるのか、こういうことを聞いているのです。最後のそこだけ答えてもらえばいいのに、あなたは長々と慎重論を言ったって何もならぬですよ。
○前田(宏)政府委員 先ほど来警察が御批判の対象になっているようでございます。 したがいまして、警察のことは警察庁からお答えがあってしかるべきかと思いますが、くどいようでございますけれども、むしろこの規定の全体はいろいろな面でチェックが何重にもかかっているということでございますから、そういうことは起こらないというふうに確信をし、また運用に努めたいということでございまして、その賠償のことは、さっき申し上げましたように現行のほかの場合と同様なことでございますので、この場合に限って特別な何か賠償を考えるということは、立法論としてはいろいろ考えられるかもしれませんけれども、現在の法制の中ではこれだけについて特に手厚い保護をするということはいかがであろうかというふうに考えざるを得ないわけでございます。
○横山委員 当然被疑者補償規程があると私は思ったんですが、言及されないのは何か特別な理由があるのですか。
○前田(宏)政府委員 被疑者補償規程は被疑者として身柄を拘束した場合のことでございます。 これは、身柄をどうするという問題は逃亡犯罪人引渡法の問題がございまして、証人あるいは参考人としての取り調べあるいは物の任意提出または場合によっては強制的な差押えということでございますから、同じようなことではないといいますか、性質が大分違うというふうに思うわけでございます。
○横山委員 じゃ泣き寝入りよりしようがない、こういうことですね。国家賠償法は適用されない、被疑者補償規程も適用されない。国際的に新聞でじゃんじゃん宣伝されてやられたけれども、あなたのところはシロだった、えらい済みませんで終わりですか。警察はどうお考えですか。
○水町説明員 先ほど来お話がございますけれども、今度のこの国際捜査共助の事務というものは、法務省刑事局長からも先ほど御答弁がございましたけれども、これはあくまでも日本の犯罪捜査というものを全うする場合に非常に助けになる、相手国の犯罪捜査に協力するということが翻って日本の犯罪捜査を全うすることに役立つということでございまして、日本の犯罪捜査というものをさておいて、この犯罪捜査共助事務というものをやっていこうという気持ちはございませんので、先ほど御指摘のございましたあらゆる仕事をさておいてこちらの事務が優先するということはございません。
○横山委員 そんなことを答えないで肝心なことを答えてください。シロだった場合の補償はどうするか。
○水町説明員 最悪の場合には、先ほど法務省刑事局長がお答えになりましたように国家賠償法の問題は生じ得ると思います。
○横山委員 これは大変答弁が不満足ですね。国家賠償規定というものはもう釈迦に説法だ、あなた方は十分に腹の中に承知しながらそこへ逃げ込んでいらっしゃるのだけれども、そういう場合に官憲が、法務大臣初め検察、警察官が故意にやってやろうあるいは重大な誤りを犯した、そういうことを立証するなんてできやしませんよ。だから適用できないと私は思うのですが、できるという論拠があったら言ってください。どういう場合にこれは適用できますと、そういう可能性があるなら、たとえば例証してみてください。
○前田(宏)政府委員 具体的なお答えにはならないかと思いますが、日本の犯罪捜査におきまして、身柄の問題は刑事補償法、被疑者補償の問題でございますけれども、たとえば、物を違法に差押えをしたという場合と同様の問題であろうと思うわけでございます。外国のためにやった場合と日本の捜査のためにやった場合といわば実質的には同じことをやるわけでございまして、日本の犯罪捜査におきまして押収すべからざるものを押収したということになりますと、現に国賠の問題も起こるわけでございますから、全く不可能だということではないと思います。
○横山委員 そんな例があったらお目にかかりたいと思いますよ。ともあれ、この法律案の中心をなすものは外国のためにある。もちろん日本も後で得になることもあるけれども、外国のためにやる。外国のためにやって、そして十分な内容もわからない場合が多い。多いけれども外国の要請に基づいて国家権力を発動する、そういう状況のもとで、大変申しわけないことをしたがあなたはシロでしたという場合があり得る。人権を侵害する場合のみならず社会的名誉だとかそういう場合があり得るわけですから、そういうことについて何らの御説明ができないということは私は大変遺憾だと思います。 次に、外国へ頼んで共助を要請してもらった資料は、法廷における証拠能力はどういうことになりますか。
○前田(宏)政府委員 その前にちょっと弁明がましいことで恐縮でございますけれども、御理解を十分いただきたいために申すわけでございますが、シロというようなことをおっしゃいましたので気になったわけでございますが、被疑者を取り調べるということはないわけでございまして、むしろ被疑者は外国におりましてその参考人、証人的立場になる者を調べるということがこの法律の対象であるわけでございますから、何か無実の者を被疑者扱いにするということはこの法律の問題外でございます。 それから、先ほどインターポール経由の場合がほとんどであろうということでございましたが、これも改めて申し上げるまでもないかと思いますけれども、十七条によります場合には強制的な措置は適用されないわけでございまして、十六条までの規定つまり証人尋問とかそういうものはそれまでの規定によって行われるわけでございます。したがいまして、それはそれぞれの検察あるいは警察その他特別司法警察職員の属するところから返事が全部法務大臣のところに戻ってくるわけでございまして、そこで最終的なふるいもすることになっておるわけでございます。したがいまして、るる申し上げておりますが、何か間違った措置といいますのは無実な者をつかまえるとかそういう問題ではないということを、念のためでございますけれども申しておきたいわけでございます。 それから証拠能力のことは、当然のことでございますけれども日本の刑事訴訟法の定めるところによりまして、書証でございますと三百二十一条なら三百二十一条のどの条文に当たるか、どの条項に当たるかということによって判断されるわけでございます。
○横山委員 諸外国から調査の結果を報告を聞いて、それが法廷で争われるということになりますと、法廷ではその証拠能力についてずいぶん論争することになろうか、一号か二号か三号か論争することになろうかと思うのでありますが、それはその国の刑事警察機構なり検察機構なりあるいはその問題ごとの状況によって異なるだろうと思いますから、ここで証拠能力がどの位置に存するかについては言いませんけれども、問題が生ずることだと思うのであります。 こういう法案が成立いたしておったとしたら、金大中事件はこの法律を生かす場合にどういうことになるのか、日本の警察がインターポールを通ずる、韓国に言うのに一々インターポールを通ずるというのもおかしいのでありますが、この法律に基づいて韓国の刑事警察機構に調査を要請するということになるのか、あるいは法務大臣が韓国の外務大臣に金大中事件についての関係者の調査を要求するというのか、どういうことになるのでしょうか。
○鳴海説明員 ただいまお尋ねの金大中氏事件の関係でございますが、ただいまの御審議の法案の関係は、御案内のごとく外国から外国の事件について共助の要請をわが国が受けた場合、わが国においてどのように措置をするかということを定めたものであるというふうに承知しておるわけでございますが、この金大中氏事件と申しますのは、先生の御指摘もございましたとおり、わが国において発生いたしました逮捕監禁略取事件ということでございまして、わが国が関係の外国に対して共助の要請を行う、そういう事案であろうかと考えておるわけでございます。 事実、この事件が発生しました当時から、この事案は御承知のごとく元韓国大統領の候補者であった金大中氏が被害者であられるという関係もあり、日韓両国政府として大変重大な関心を持っておった、現におるという非常に政治的色彩の強いものでもございますので、やはり事柄の重要性等にかんがみまして事件発生の当初から、筋を通してという御表現が先ほどございましたけれども、これを重く取り扱うという観点から、外交ルートを通しまして韓国政府に対し捜査の共助を要請してまいったという経緯があるわけでございます。
○横山委員 時間が参りましたので、まだ二、三ございますけれども、私の質問をこれで終わることにいたします。
○木村委員長 飯田忠雄君。
○飯田委員 本日この国際捜査共助法の審議に当たりまして、私この席におりまして、この法律はまことに人気のない法律だということをつくづく感ずるわけでございます。いつもですと新聞記者の方がわんさとおいでになるのですが、きょうは一人もおいでにならない。いかに人気がないかという証拠だと思います。といいますのは、これは日本側が外国から頼まれて捜査するものだけに限られておりまして、当方から外国に頼むことが一つも規定されていない。ロッキード事件などにおきましても、一番人気があるのは外国の方へ頼んで資料をとるということでございましたが、そういうことが一つもないわけでございます。 ただいま、本法律案につきましては同僚議員から各条並びに参考資料にわたりまして詳細な御質問がございました。これ以上加えることはないようにも思いまするけれども、せっかくの機会でございますので、本案のもう一方、つまり外国に頼む方の問題について少しく御質問を申し上げたいと思うものでございます。 この資料に載っております法案提案理由によりますと、航空機疑惑問題等の防止対策として役立つからこの法案を出したというようなことがございます。わが国が外国に頼まれて捜査をするということが航空機疑惑問題等の防止対策になるという理由がどうも私には明確にわからないのでございますが、いかなる理由でございましょうかお尋ねいたします。
○前田(宏)政府委員 飯田委員が冒頭に仰せになりましたように、この法律案は外国から頼まれた場合のことを書いているわけでございますので、大変回りくどいようなことになるかと思います。と申しますのは、この提案理由のなお書きにも書いてございますように、この法律案を可決していただきますと、外国から共助要請が来た場合の受け入れ体制が整備されるということになるわけでございます。そのことによって、逆にわが国から外国に同種のお願いをする場合に役立つ、こういう間接的な効果を持つわけでございます。 と申しますのは、外国から日本に頼んでくるというときにそれを受け入れる体制ができませんと、日本は非協力的であるということになりまして、逆に日本が頼みます場合にも、そういう非協力的な国の依頼には応ぜられないというふうに断られるおそれがあるわけでございます。ところが、この法案が仮にできますと、日本は外国から頼まれたらこのようにちゃんとやりますというふうになるわけでございます。そうしますと外国の方も、自分が頼む場合にそうしてくれるならおまえの方から頼んできたときにもちゃんとやってやろうというふうに話がうまく進むわけでございますので、そういう意味で、日本から外国に頼む場合について、その前提となる国内法制を整備しておく必要があろう、そのことによって日本からも頼みやすくなるし、それによって日本で犯罪捜査をする場合、その中には航空機疑惑問題等の汚職事件も当然ございますし、またハイジャック事件等の事件もございますし、いろいろと国際的な犯罪はあるわけでございますが、そういうものについて十分な捜査をし適正な処理をするについて、今後外国に頼む場合が多いであろうということに備えまして、あらかじめ外国から頼まれた場合について国内法を整備しておくということが日本から頼む場合に大変役立つであろう、こういうことでございます。
○飯田委員 ただいまの御説明で大体わかったような気もいたしますが、日本の国内法が存在する場合に、外国は一々日本の国内法を調べて知っておるであろうかという問題につきまして大変疑念に思うわけでございます。といいますのは、私ども法律学者として長年やってまいりましたけれども、外国の法律をそんなに詳しく知っておるわけじゃありません、ほとんど知らない。一々調べないと気がつかないわけでございます。 そこで、この法律を立法すると「相互主義の保証のもとに、わが国から外国に同種の共助の要請ができる」というのが提案理由にございます。まあそれもそのとおりであろうと思いますが、それならば、日本の国にはなるほど国際捜査共助法という国内法ができたのですけれども、外国は先ほど申しましたようにこういうものができたということは知らないことが多いわけです。それで政府としまして、こういうものを一々外国に御通知になるのであろうかどうか。むしろこういうような問題については国際条約があった方がいいのではないか。外国人の問題につきまして、たとえば逃亡犯罪人引渡し条約というのがございまして、逃亡犯罪人引渡法という法律ができましたが、法律ができる前提として条約があったわけでございます。今度の場合はそれが、法ができる前提としての条約がないのでございますが、この間の手当てにつきましてはどのようにお考えでございましょうか。
○前田(宏)政府委員 確かに御指摘のように、外国で別の国の法制を十分わかるかどうかという問題はございますが、最近の情勢でございますと、各国ともこういう国際的な犯罪についての対処ぶりということについては非常に関心があるようでございまして、先ほども申し上げたかと思いますけれども、特にヨーロッパ、EC諸国等におきましてはそういう点が熱心でございます。 したがいまして、アメリカ等も含めてでございますけれども、仮に日本から頼み事をしました場合に、おまえの国はどうなっておるかということをすぐにはね返って聞いてくるだろうと思うわけでございます。そこでその際、先ほど申しましたように、わが国はこういうふうになっておりまして、あなたの方から来られましたらこういうふうにやることになっておりますから、今度私の方からお願いしましたものについてはよろしくお願いしたいという御説明ができるわけでございます。そういうことで、日本から頼みました場合に当然日本の法制はどうなっておるかということが尋ねられると思います。そのほかにも一般的な周知徹底の方法といたしましては、在外公館等を通じましてしかるべき方法を講じた方がいいのじゃないかということも考えておるわけでございます。 最後のお尋ねでございますが、逃亡犯罪人引渡法につきまして、条約があってその国内法があるということであるのに、今度の関係ではそういうことになっていないじゃないかということでございますが、逃亡犯罪人引渡法につきましては、条約があることはあるわけでございますけれども、その条約もアメリカ一カ国とだけの条約でございます。もちろん、その関係につきましてもっと広く他の外国との間に同種の条約を結ぶということも今後の問題として努力していきたいというふうに考えておりますが、現在のところは日米関係だけということになっておるわけでございます。そういうこともございまして、この捜査共助法のことでございますが、先ほど来何回も申しておりますように、外国との関係、それが相互的な信頼関係といいますか保証関係といいますか、そういうことになってくると思いますので、そのためにも国内法が必要である。 ただ、さらに進んでこういう捜査共助についても条約を結んだらどうかという問題がございます。その点は御指摘のとおりであるわけでございますが、少なくとも現時点におきまして、条約がなくても個々の国とのやりとりの中でいま申しましたような問題が起こってくる。その場合に日本ではどうなっておるかということが当然問われて、それに対して返事ができないことでは困るわけでございます。そういうことで、さしあたっては条約がありませんでも、個々の案件ごとに当該国との間での話し合いによって両者の捜査共助というものがスムーズにいくだろうというふうに思っております。 ただ、今後の問題としてはもちろん条約ということが考えられるわけでございますけれども、先ほども申しましたように、EC諸国等におきましては政治情勢あるいは経済情勢またその他の一般的な法制度というものが大変似通っておるわけでございまして、それなりに条約で包括的な取り決めを結ぶということもやりやすいわけでございますけれども、日本とアメリカあるいは日本とヨーロッパ諸国の間におきましては、EC諸国間と同じようにはまいらない点が多々あるわけでございます。いろいろと法制度またそのもとになる社会制度等も違うわけでございますので、包括的な条約ということになりますとなかなか問題があろうかと思います。そういうことで、個々に相手方を選んで個別の二国間条約を結ぶというようなことも今後の問題としては考えられると思いますけれども、二国間条約になりますと、むしろ先ほど来申しておりますように、事案が起こりました場合にお互いの話し合いによって解決していくということとさして変わらないようなことにもなるわけでございます。
○飯田委員 この提案理由にございますが、いわゆる航空機疑惑事件のようなものに対する防止対策としてこの法律をつくるんだということがございますが、防止対策であるならば、もう一歩踏み込んで積極的な相互通報義務を持つような条約、二国間で結構です、たとえばアメリカ国とわが国との間にそうした条約を結ぶということの方がより効果的だと考えますが、この点につきまして法務省の御見解、並びにこういう条約を結ぶ場合に外務省は独自の立場で結ぶ決意をして交渉を始めることができるのかどうか、またできないのかどうか、それを法務省と外務省にお尋ねします。
○前田(宏)政府委員 一般論といたしまして、そういう広い意味での情報交換と申しますか、そういうことについて条約を結ぶということはプラスの面が多々あると思います。ただ、その場合にもやはり相手国との関係またそれぞれの国内事情等もございますので、いろいろな角度から慎重に検討しなければならないというふうに思うわけでございます。まあ条約と申しましても、なかなかそう簡単にはいかないことが多いようでございますので、その点は御理解を賜りたいわけでございます。
○池田説明員 この種の事案に係ります国際条約は法務省と十分協議して進めるべきことでございまして、外務省もそのつもりでおります。相手国の法制度その他いろいろな情勢がございますので、具体的な事例についてはそういうものを勘案して個別に検討すべきものと思っております。
○飯田委員 それじゃ外務省にお尋ねをいたしますが、国際捜査共助に関する条約というものは現在世界においてどのような状況になっておりましょうか、お尋ねいたします。
○池田説明員 日本以外の世界各国がそれぞれどういう条約を結んでおるかというのは現在のところ資料が整っておりませんが、多数国間条約で日本が締約国になっておる捜査共助に関連する条約というものにつきましては、人身売買及び他人の売春からの搾取の禁止に関する条約の第十三条、それからいわゆる航空機ハイジャック防止三条約というのがあるわけですが、そのうちのモントリオール条約、これは民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約と申しますが、この第十一条。それからいわゆるヘーグ条約、航空機の不法な奪取の防止に関する条約の第十条がございます。
○飯田委員 ただいま外務省御当局からお話いただきました国際捜査共助に関する条約、わが国が加盟しておるものでも数件あるようでございます。 そうしますと、こうした問題について個別的には条約があるわけなんですが、今度の国際共助法のような法律の基礎となるような総合的な条約、これをわが国が結び得ない特別の障害があるでしょうか、お尋ねいたします。
○池田説明員 先ほど法務省の方からも御答弁がございましたように、この法律が制定されることによって捜査共助は円滑に実施されることとなるわけでありまして、それでは今後の問題としてどうか、結べない事情があるかということでございますと、その種条約が結べないということではございません。しかし先ほども申しましたように、具体的な国との条約締結の問題については、相手国の法制度その他の事情を勘案して今後とも法務省と十分協議して対処していきたいと考えております。
○飯田委員 それではお尋ねしますが、いままでにこういう条約を結ぶということについて、法務省とかあるいは警察庁から外務省は相談を受けられたことがありますか。
○池田説明員 私の存じております限り、法務省、警察庁の方から正式な相談というものはございません。
○飯田委員 外務省は、法務省、警察庁の方から、こういう不人気な法律ですので余りやる気がないということでいままで相談がなかったかもしれませんけれども、こうして法律をつくる以上は、ことにまたロッキード事件とかそのほかの事件がございました、ああいうような事件について外国から情報をもらわねばならぬような事件がございますので、やはり国内法だけではなしにもう少し国際法的にも手当てをする必要があるのではないかと思います。 国際共助条約といったようなものを締結する必要を法務大臣はお認めにならないかどうか、できれば認めていただきたいのですが、法務大臣の御見解はいかがでしょう。
○前田(宏)政府委員 御指摘のような捜査共助に関する条約を結ぶことによって、こういう問題が一層活発化するということは考えられるわけでございますけれども、さしあたっての問題といたしましては、この条約がないとそういうことができないかということになりますと、まあ言い方が変かもしれませんけれどもそういうことではないわけでございます。国内法案はできたけれども条約がないと動かないんじゃないかという先ほど来御指摘のような感じもするわけでございますけれども、私どもとしてはそうも思っていないわけでございます。 まあ同じようなことの繰り返しでございますけれども、国内法が整備されておれば、外国たとえばアメリカに頼む場合あるいはドイツに頼む場合いろいろと起こり得るかと思いますけれども、その場合に相手国から聞かれて、わが国ではこういうふうになっておりますということを言うことによって、ちょうど条約があるのと同じような効果と申しますか相手国がそれに喜んで応じてくれる、積極的に応じてくれるというふうに持っていけると思うわけでございます。したがいまして、別に消極的な意味ではなくて、さしあたっての問題としては条約がないと困るというふうには考えていないわけでございます。しかし、今後の問題としてはより一層こういう点を発展させる意味において十分検討いたしたい、かように考えております。
○飯田委員 国際条約があるのとないのとでは私はずいぶん違うと思いますのは、わが国の方で国内法だけを決めましても、相手が痛痒を感じないような場合には無視されてしまう可能性が多分にあります。ことに捜査ということになりますと費用がかかるわけでございますから、費用のかかる点については余り各国とも喜ばない。やはり自分の国が依頼するときには非常に痛痒を感じましてやんや言うけれども、そういう痛痒を感じないようなところは時には余り問題にしてくれないということが起こりかねないと思います。 そこで、条約ができておれば条約に基づく義務として国の予算というものも組まれるでありましょうし、より一層国際共助というものがうまくいく、私はこのように考えるわけでございます。いま刑事局長からは今後努力するとおっしゃいましたので、それで了承いたしますが、こういう問題についてどうか法務大臣におかれても意にとめていただきたいと思います。法務大臣、この問題はいかがでしょうか。
○倉石国務大臣 この種の法律を制定することによりまして捜査共助は円滑に実施される度合いが多くなるわけでありますが、国際捜査共助に関する条約の締結問題につきましては今後とも外務省と十分協議してやってまいりたいと存じております。
○飯田委員 問題を別の方に移しますが、国際刑事警察機構というのがございまして、警察庁が加入しておられるということも聞いております。警察庁が加入されました経緯はどういう経緯を踏んでありましたでしょうか、お尋ねをいたします。特に法的根拠の問題も加えて御説明願えればありがたいと思います。
○水町説明員 わが国からは、昭和二十七年でございますが、国際刑事警察機構の前身でございます国際刑事警察委員会に当時の国家地方警察本部長官が加盟しておるわけでございます。 この加盟につきましては、在日フランス代表部から外務省に対しまして口上書をもって加盟の勧めがなされまして、外務省から要請を受けました国家公安委員会におきまして加盟を決定したわけでございます。その後昭和二十九年の警察法の改正に伴いまして警察庁長官が会員となり、その後昭和三十一年に国際刑事警察委員会が改組されまして現在の国際刑事警察機構が設立されまして、その際、構成員というものが警察機関ということになりましたので、警察庁が構成員となって現在に至っておるわけでございます。 なお法的な面でございますが、昭和三十三年の警察庁の組織令の一部改正で、所掌事務といたしまして「国際刑事警察機構との連絡に関すること。」が政令上規定されておるわけでございます。また国際刑事警察機構の分担金につきましても、昭和二十八年以来予算上認められているということでございます。
○飯田委員 国際刑事警察機構の設立根拠となった条約もしくは国家間の協定というものはございましょうか。
○水町説明員 設立の根拠となります条約はございません。 国際刑事警察機構は、先ほども申しておりますように、刑事警察の間の国際協力を目的とする唯一の国際組織でございまして、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス等百二十六カ国が加盟しておりますが、あくまでも加盟しておりますのは警察機関でございまして、国として入っておるわけではございません。しかしながら、その組織、活動等が非常に発展してまいりましたので、国際連合経済社会理事会との間で昭和四十六年に特別協定が締結されました。そういうことで国際連合事務総長の当時の報告書の中に「政府間機関とみなされるべきもの」、こういうふうにされておるわけでございます。
○飯田委員 ただいま警察庁の御説明で大体わかりましたが、国際刑事警察機構と国際連合との間に関連はあるというふうにお聞きしましたが、現在、国際連合の機構として国際刑事警察機構は存在するでしょうか、お尋ねいたします。
○水町説明員 ただいま御説明申し上げましたように、あくまでも刑事警察間の一国際機関として国際連合経済社会理事会との間でいわば対等な立場で特別協定を結ぶということで推移してきているということでございます。さらに、この機構の本部がございますフランスとの間でもやはり本部協定というようなものを結びまして、免税の特権とか本部構内へのフランス公務員の立ち入り制限などの特権等も認められておるところでございます。
○飯田委員 ただいまの御説明によりますと、国際刑事警察機構というのは国際連合の機構そのものではないし、また、これに加盟をしておるのは国家が加盟しておるのではなくて警察機構が加盟しておるんだ、こういうお話がございました。間違いございませんか。
○水町説明員 ただいま御指摘のとおりでございます。
○飯田委員 そうしますと、国が加盟していない国際機構というものに、国の機関だけがその資格において加盟するということになりますと、どうも私ども理解がしがたいわけであります。国が加盟しておるのでその国の機関を派遣するというのであれば、これは筋が通る問題ですが、国は加盟しない、しかし国とは別個に国の機関が入るということは、これはどうも行政機関の超法規的な行動になりはしないか、そういうところに一つの国家機構というものが崩れていくもとがあるのではないか、こう思いますが、この点につきまして外務省の御見解はいかがでしょうか。
○小西説明員 若干むずかしい問題を含むかと思いますけれども、いま警察庁の方から説明がありましたように、実際の国連あるいは各国政府の取り扱いにおきまして、実体的には国際機関に近いような形の取り扱いを受けているという事実がございます。 もちろん厳密な意味で申し上げれば、通常の国際機関の場合はほとんど全部その根拠として国際条約あるいは国連の機構でございますと国連の決議というものがございまして、かなりそういう根拠ははっきりしているということはございますけれども、ただ、国際社会の取り扱いあるいは政府の取り扱いが国際機関に近いという扱いをしておりまして、他方、それについてどこからもクレームがないという事実があるのも否定しがたいことでございまして、そういう性格のICPOというものをどういうふうに考えるかということは若干法律的には検討すべき余地があるかもしれませんが、一応そういう形で存在することが国際的に受け入れられているのではないかというふうに考えております。 〔委員長退席、中村(靖)委員長代理着席〕
○飯田委員 この問題は、実際の運用については私はそんなに問題はないと思いますけれども、今日の国家機構というもの、また、わが国の憲法組織というものから考えまして、果たして国家が加盟しない国際機関に国家の機関がその資格において加盟するということが許されていいのかどうか、これは一つの世界国家思想のあらわれではないかと思うものであります。つまり、国家機構そのもののなし崩しの消滅を図っていく一つの行き方がそこにあるのではないかという点を危惧いたすわけでございます。 こういう問題につきましては、私はできる限り国際条約を結ぶ努力を各国がすべきではないか。国際刑事警察機構というものが非常に役立つ。役立つのに各国がそれについての国際条約を結ばない。なぜ結ばないのか、その辺のところに非常に疑問があるわけでございますが、この国際刑事警察機構について各国が国際条約を結んで加盟しない根本的な理由はどのようなところにあるのか、おわかりになっているところで結構ですが、お教えを願いたいと思います。
○水町説明員 先ほど来御説明申し上げたような経過で国際刑事警察機構はだんだんに育ってきたという経過があるわけでございますが、その背景には、やはり一つは、国際的な政治の場から中立的な立場でいたいというような気持ちと申しますか、そういうような考え方があって、条約よりもむしろ警察機関同士の結びつきというところで捜査を迅速に展開していこう、こういう目的意識があったというふうに考えております。 それから先ほど、世界国家的な思想でだんだん国家的な主権みたいなものが失われていくというような御指摘もございましたが、ICPOは超国家的な国際機関ではございません。あくまでも各国は、各警察機関は国内法の許容する範囲内において活動する、これが大原則でございますので、そのような御心配はないものと考えております。
○飯田委員 実は私がこの問題を取り上げましたのは、現在の国家体制そのもののあり方、行政機関というもののあり方を取り上げておるわけでございます。 わが日本の国におきましては、日本国憲法がございまして、それに内閣の地位が書いてありますし、内閣の各機関は行政組織法によってその地位が決められておるわけです。そういうものと、この国際刑事警察機構のような各国が加盟しないで各国の機関だけが入る機構というものとの関連は一体どうなるのであろうかという点で疑問を持つものであります。この点につきましてどのようにお考えでしょうか。
○水町説明員 政府の一機関といたしまして、その権限の範囲内におきましてそういう国際機関に加盟するということにつきまして、必ずしも法的な問題はないのではないかというふうに考えております。あくまでも国内法の許容する限度内で活動するということが前提でございます。
○飯田委員 国家は国際法がない場合に国際的な義務を負うものではないと私は考えるわけです。 それで、警察法の中にこの国際刑事警察機構に対する協力ということが職務として国内法で入れられたということ自体、そのこと自体が私は問題ではないかと思います。国際条約がありまして、その国際条約に基づいて政府が行動するというのであれば、これは問題ではないのです。私が非常に危惧をいたしますのは、国際刑事警察機構というものが各国の国内法に基づいて行うのだから、国が加盟しなくても、条約はなくても構わないんだという、その考え方が今日の国家観念と果たして合致するかどうかという点で問題になるのではないかと思うものであります。警察法の改正のときに恐らく余り深く考えないであの改正はなされたのではないかというふうに私は思います。 これは、国際刑事警察機構がいけないとか、それに日本の警察が入っているのがいけないとか、そういうことを申し上げるのではありません。あくまでも法律のたてまえ、わが国の国家体制というものについてもう少し慎重に考えられる必要があるのではないか。私は、いまからでも遅くないので、外務省においてこの非常に役立っておる国際刑事警察機構というものに法的に突っ込まれない根拠を与えられる努力をなされるのが必要ではないかと思います。つまり、加盟しておる各国と話し合った上で、この機構を承認する国際条約を締結される御意図はないかどうかお尋ねいたします。
○小西説明員 先ほど申し上げましたように、こういう国際機関あるいはそれに準ずるものにつきまして、その条約があるのが通例でございますけれども、この国際刑事警察機構につきましてそういうものが必要であるかどうかという点につきましては、国際社会の取り扱いと申しますか国際慣行はやはり一つの大きな要素として考えざるを得ないというふうに考えております。 〔中村(靖)委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、現在メンバーになっております政府から特にその根拠を条約にすべきだというようなイニシアチブがあれば、これはまた別でございますけれども、現在の機構、現在の憲章ということで一応座りのいい形で運営されている、それについてどこの政府からも特にクレームが出ていないという事実を考えますと、これをにわかにほかの国際機関と同じようにその根拠を条約にすべきだということになるかどうか、ちょっと私ども自信がありません。その辺、検討はさせていただきたいというふうに思います。
○飯田委員 この問題は実は行政の本質に関連すると私は思うのです。 行政といいますのは、禁止されていなければ何をしてもいいというものではなくて、立法機関によって行政において行動をとられるべき内容は決められるはずであります。あるいは法律として、あるいは条約として、立法機関が決めておる。その法律とか条約の範囲内で内閣は行政を行う。これが今日の立憲政体の根本であろうと思うわけであります。これを法律にも条約にもない、ことに条約に基づかないで法律がつくられる、外国との関係をつくられるということになりますと、非常に機構の混乱がそこにあるのではないかという気がするわけです。たてまえが立法府によって承認せられた条約、立法府によって立法せられた法律、こういうものが根拠となって一切の行政は行われる、そうでなければなりませんのに、その辺のところをどうもあいまいにしてしまうというところに私は問題があろうと思うわけです。もちろん、国家機構というものはそんなに厳密に考えなくてもいいんだという思想もあることはあります。ありますが、少なくとも日本国憲法のたてまえからいきますと、そういう国の機構そのものをいいかげんにしていいんだといったような考え方はとっていないと思うものであります。したがいまして、この問題について、おやりになっていることがいい、悪いを私は申し上げているのではなくて、国の法のたてまえからおかしいのではないかということを申し上げたわけでございます。いま、ここでこの問題をこれ以上論ずることはやめます。 ところで、この国際刑事警察機構というものがある。このものがありまして、現在わが国は合法的に加わっておって、これに対して共助を要請もできる、またわが国も共助要請に応じ得る、こういうことであるといたしまして、そうでありますならば、国際捜査共助法というものはなくてもいいのではないか。つまり、国際刑事警察機構で全部できるのではないかという疑いが持たれてくるわけであります。そこで、この国際共助法に盛られているような内容、これは国際刑事警察機構によって実施することができないのかどうか、この点についてお尋ねをいたします。
○水町説明員 この法律がなくとも国際刑事警察機構との協力は可能ではないか、こういうことでございますけれども、国内における外国人犯罪の捜査あるいは国外犯の捜査、国外逃亡被疑者の所在調査など、わが国の犯罪捜査を行う上において国際刑事警察機構に対して協力の要請を行うことが必要でございますけれども、このためには国際刑事警察機構からの協力の要請にこたえることが前提となるわけでございます。 この国際刑事警察機構からの協力の要請にこたえるための調査につきましては、従来警察法第二条に基づきまして関係者の自発的な御協力を前提として行ってきたわけでございます。最近におきます犯罪の国際化傾向と国際刑事警察機構の役割りの重要性から見まして、必要かつ十分な国際協力を行うためには、今後さらに多くの国民の協力を得ることが必要となってまいります。そのため、この法律において国際刑事警察機構から協力の要請を受けたときの手続と調査のためにとることのできる措置について明確に規定するということは、これら調査に不可欠な国民の協力を得る上においてぜひとも必要であると考えております。これによって、わが国の国際犯罪捜査の推進とその防止に大きな効果があるものと確信しておるわけでございます。
○飯田委員 国際刑事警察機構を通して実施し得る捜査の範囲というものはどの範囲のものでございましょうか、お尋ねいたします。
○水町説明員 調査の範囲は、従来またはこの法律案におきましても任意手段に限られておるわけでございます。具体的に申しますと、被害者その他の関係人からの事情聴取とか外国人被疑者の犯歴、人定事項とか押収物を確認するとか、逃亡犯罪人の所在を確認するとか、そういう調査でございます。
○飯田委員 ただいまの御説明で大体警察の方でおやりになる仕事はわかりましたが、そうしますと、今度のこの国際捜査共助法という法律案で決めております内容は、結局、警察の問題は国際刑事警察機構でできるんだけれども、検察庁とかそのほかの警察以外の司法警察職員が行うものができないのでこの法律をつくったんだ、このように理解をいたしていいのでしょうか。
○前田(宏)政府委員 警察の関係につきましても、先ほど来お話がございましたように、諸国の警察間の協力体制というものは国際刑事警察機構で整備されておるわけでございますが、いわばその連絡網を通じてそれぞれの国が対国内的に活動する場合の根拠法、もっと端的に言えば対国民的に活動する場合の根拠法というものが国内法で必要なわけでございます。条約があっても国内法がなければ対国民的にはじかに負担をかけられない。国としての義務は負いますけれども対国民的にはいろいろな措置がとれないということでございますのと同じことでございまして、そういう意味で国内法が整備される必要があるということでございます。 それから警察以外の捜査機関、検察庁も含みますけれども、その関係につきましては、もちろん事実上の行為としては従来もやっていたわけでございますけれども、それを明文の規定で整備するということが必要でございますし、もっと具体的に申しますと、いままでやっておりましたことはいわば事実行為でございまして、証人尋問であるとか押収、捜索であるとか、そういうことは国内法的に対国民的な負担の問題でございますから、国内法がなければできないわけでございます。したがいまして、今度の法律ができることによりまして、場合によっては、そういう強制権を用いて証人尋問をしあるいは証拠物の差押え等をするということが初めてできるわけでございます。
○飯田委員 このたびのこの国際捜査共助法というものを根拠といたしまして、たとえば外国の裁判官の面前調書などをわが国で欲しい場合に、これを要求することができましょうか。
○前田(宏)政府委員 これはまず国と国との間で外国に対してお願いをするということでございますので、それは、外国が応ずるかどうかという問題はもちろんございますけれども、できるわけでございます。 ただ、その外国が応ずるかどうかというときに、外国としては果たして相手方である日本が、自分の方から頼んだ場合に似たようなことをやってくれるかどうかということが最大の関心事になるわけでございまして、当然そのことを問いただされることになろうと思います。その場合に、日本としてはこういう国内法がもうすでに整備されておりますので、今後あなたの方から要請があれば当然にできますということを答える。そのことによって当該外国が、それでは日本からの要請による裁判官の証人尋問というものをやってやろうということになるわけでございます。ただその場合に、当該外国においてやはり国内法がなければ強制的なものはできないだろうと思います。 そういうことでございますので、それぞれの国が条約を結ぶことももちろん結構でございますけれども、対国民の関係においてそれぞれの国が国内法を整備しているということがむしろどちらかといえば必要なことであろう。そういう意味で見ますと、この資料にも掲げてございますように、いわゆる先進諸国と申しますか、アメリカはもちろんのこと、ヨーロッパの主要な国におきましてはすでにそれぞれ国内法が整備されておるわけでございますから、そういう整備されている国に対して日本がたとえば証人尋問をお願いしたいということになりますと、すでに整備済みのそれぞれの国の国内法によって証人尋問が行われる、こういうことになるわけでございます。
○飯田委員 司法共助についての法律というものが現在ある、それによればいい、こういうことでございましたが、司法共助についての法律におきまして、たとえば外国の裁判所に対して、裁判官がいろいろ取り調べをやられる、その内容を日本の方へ送ってもらうように当然の権利として要請できるような状態になっておりましょうか。
○前田(宏)政府委員 当然の権利として向こうに要求できるということにはなっていない、それはまさしく飯田委員のおっしゃるように条約がないからということになるのかと思いますけれども、そういう意味では、ないと言えばないわけでございますけれども、要するに、日本側の要請として外国にそういうことをお願いする、それに対して外国がどう応対するかという問題でございまして、その場合に捜査について申し上げたと同じようなことが起こって、日本で司法共助の法制があるかどうか、その国においては自分の方はあるけれども日本もなくちゃ困るということに話がなるわけでございまして、その場合に、日本では古い法律でございますけれども司法共助についてはすでに法律があるという答えができる。そうなりますと、それでは自分の方でも自分の国内法に応じてやってやろう、こういうことで話がまとまる、こういうふうになるわけでございます。
○飯田委員 大体わかりました。 これは先ほどお尋ねをした点と重複するかもしれませんが、外国に対しまして捜査とか証人尋問とか証拠の提供などを要請し得る根拠となる二国間条約とかあるいは多国間条約といったようなものは現在どうも不明確で、ないように思われますが、こういうものを締結する必要があるとお考えにならないかどうか、これは法務省できれば法務大臣の御答弁をお願いいたします。
○倉石国務大臣 この件は、先ほど私の考えを申し上げたと思っておりますが、この法律を制定することによりまして捜査共助は円滑に実施されることと存じますけれども、国際捜査共助に関する条約の締結問題につきましては、今後とも外務省と相談をして適切な措置を講じてまいりたい、こう思っております。
○飯田委員 外国裁判所に依頼をして取得いたしました証言は、そのままでわが国の刑事訴訟法上適法な証拠として取り上げることができましょうか、日本の法律上どのようになりましょうかお尋ねいたします。
○前田(宏)政府委員 日本の裁判の上でどういうものが証拠になるかということは、当然のことながら日本の刑事訴訟法の問題でございまして、日本の現行の刑事訴訟法の上で証拠能力が認められるものでございますと、外国でつくりましたものでも証拠になり得るというのが一般論でございます。 細かい話になりますと、御指摘の例で、外国の裁判所つまり裁判官の前で供述をしたという場合に、その調書が日本の刑事訴訟法に当てはめた場合にどういう扱いになるかという問題であろうかと思います。このことにつきましては考え方がいろいろございまして、裁判官の面前であるから日本の刑事訴訟法における裁判官の面前調書と同じように扱ってもいいという考え方もないわけではございませんけれども、そこまではまた無理だということで、その他の供述調書という扱いで、それなりの条件のもとに証拠になるという考え方もあるわけでございます。いずれにいたしましても、日本の刑事訴訟法の解釈の問題というふうに考えております。
○飯田委員 わが国の刑事訴訟法の規定からいきまして、証拠法、三百二十一条の一項の三号書面として外国の裁判官の面前調書を認め得るかという点につきまして、一つの問題点は、特に信用すべき状況下の供述であるかどうかということが問題になろうと思います。 そこで、この特に信用すべき状況下の供述だということを認定し得る何らかの措置を講ずることができないかどうか、そういう措置が講じ得るならば、あるいはまたそういう措置を講じ得ないとしても、外国の裁判官の面前調書なんだから、これは証拠能力を認めてもいいではないかという判定がなされ得るものならば、こういうものについて何らかの規定を刑事訴訟法に置くことはできないかどうか、つまり外国の裁判官面前調書に証拠能力を認めるということでございますが、いかがでしょうか。
○前田(宏)政府委員 いろいろな考え方があろうと思いますけれども、広く外国といいましてもいろいろな国があるわけでございます。したがいまして、およそ裁判官であればどの国の裁判官でも日本の裁判官と同様に扱っていいかということになりますと、直ちにそう言っていいかどうかという問題があるんじゃないかと思います。一般的には、裁判官でございますから、おおむねそのように扱っていい実態だと思いますけれども、一抹の問題はないわけではないというふうに思います。 そうしますと、具体的にある国ならある国で裁判官の尋問調書ができたということになりますと、そのもとになるその国の法律制度というものを調べる、あるいは尋問をされた場合の手続規定またその手続の実際というようなものが明らかになるわけでございますので、そういう法制なり運用の実情というものをいわば疎明するということによりまして、その当該調書が信用性があるということが明らかになってくるだろうと思います。
○飯田委員 それでは次の方に問題を移しますが、この法律によりますと、政治犯罪を排除理由の一つとしております。 ところで、この政治犯罪という言葉はまことに抽象的な言葉でございまして、内容が明確ではございません。一国の政治体制に違反する行為、これは政治犯罪ですが、これは非常に抽象的にはそのように言い得るかもしれませんけれども、一体そういう抽象的な観念で排除してしまっていいかどうか、大変問題があろうと思うものであります。 わが国では憲法上、国民主権、基本的人権主義、平和主義、こういうものは動かすことのできない根本主義だというふうに言われております。こういうものに違反する行為、これは明らかにわが国では政治犯罪でありますが、こうした日本の憲法上考えられる政治犯罪の範囲というものを中心として、政治犯罪というものはわが国としては考えるべきではないかというふうに私は考えるわけであります。主観的には政治犯だとおっしゃっても、客観的には政治犯と判断する基準が容易に見つからない今日、やはり政治犯であるかどうかの根本は日本国憲法の根本主義に基づくのがいいのではないかと思いますが、この点についていかがお考えでしょうか。
○前田(宏)政府委員 いわゆる政治犯罪の意味というか定義につきましては、確かに御指摘のような問題があるわけでございます。 その点につきましては、たとえば国際法学会等でも議論があったようでございますけれども、その決議を見ましても、結局は純粋の政治犯罪人は引き渡さないというような結論になっておるわけでございまして、それだけでは限界は不明確だということになるかと思います。ただそういう場合でも、それに続きまして、政治犯罪に結合ないし関連した犯罪は、やはり引き渡さないということを言っておきながら、ただし書きで、道徳及び普通法に照らして重大な犯罪たとえば故殺であるとか謀殺であるとか放火であるとか、そういうものはこの限りでないというような間接的な表現をもちまして、そういうものは政治犯罪には含まれないというようなことで、消去法というと変でございますが、いろいろな角度から当たるもの、当たらないものというものを例示しながら、おのずからその範囲が決まるような理解をしておるように思います。 したがいまして、それぞれの国におきまして理解は若干違うかと思いますけれども、やはり普通で言えば社会通念と言っていいわけでございましょうが、この場合は国際的なものでもございますから、いわば国際的な社会通念ということが言えるかどうかと思いますけれども、そういうことが一つの基準になるだろう。ただこの場合、まさしく御指摘のとおり、国内法を当てはめて日本国としてどういう措置をとるかということでございますから、御指摘のとおり日本国憲法の精神を踏まえて政治犯罪とは何だということを考えるべきものと思います。
○飯田委員 このたびの法案の中で、要請犯罪に対しまして排除する理由を掲げておりますが、その中に政治犯罪という言葉があります。 ところで、この政治犯罪を排除する理由としまして二つぐらいの理由が考え得ると私は思います。一つは、外国の政治問題にかかわり合いたくない、だから排除するんだ、こういう考え方、もう一つは、このような政治犯罪というものでありましても、わが国の憲法の精神に反するような性質のものであるから、だから排除するんだ、こういう理由と、二つの理由があろうと思います。 それで、外国の政治問題であるからかかわり合いたくないから、もう政治犯罪、もう政治と名がつけば全部これはやめてしまおう、こういうお考えなのか、あるいはそうでなくて、たとえ普通は政治犯罪というふうに言われるとしても、そのこと自体が基本的人権を侵害するような行為であり、国民主権を侵害するような行為であり、平和主義に反するような行為、そういうことをやっておる行為内容である場合に、これを政治犯罪として排除するのか、この問題についてどちらの方の態度をおとりになるのでしょうか、お尋ねいたします。
○前田(宏)政府委員 お尋ねのような面からだけでもなく、政治犯罪の範囲の確定ということは大変むずかしいことでございますが、先ほども若干触れましたように、およそ政治と名がつけば政治犯罪だというふうに考えるべきものではないというふうに思います。 先ほども一部国際法学会の決議を引用したわけでございますけれども、たとえばいわゆるハイジャック等につきましては、こういうものは政治犯罪とみなさない、仮に犯人が一面的には政治的な目的を持っておるといたしましても、そういうものはみなさないということが国際的な条約あるいは共通の理解としておおむね確立されてきておるわけでございますから、そういうようなことも十分勘案して国際的な共通の理解、それも一部に偏したものでなくて、客観的に妥当と認められる国際的な共通の理解というものを頭に置き、また日本国憲法というものを念頭に置いて理解すべきものと思います。
○飯田委員 たとえば、これは一つの例として適切かどうかわかりませんが、ナチスにおいてユダヤ人迫害をして人殺しをした、そして逃亡しておるという人がいた場合に、これは政治犯罪に当たりますか当たりませんか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねのことだけで直ちにイエスかノーかということも非常に困難であろうと思いますが、やはり抽象的でございましょうけれども、そういうものについて国際的にどういうふうに理解されておるかということをいろいろな角度から検討いたしまして、日本としてどう考えるのが適当かというふうに結論を出すべきものと思います。
○飯田委員 それじゃこの問題はこのくらいにしておきまして、次の問題に入りますが、法案の十四条と十五条に、共助をしないことを相当と認めたとき、こういうふうに文句がございます。法案十四条、十五条の共助をしないことを相当と認めたときという場合は、具体的にはどういう場合を指すのでございましょうか。
○前田(宏)政府委員 この十四条の規定は、先ほど横山委員のお尋ねにも一部お答えしたところでございますけれども、やはり国民に何がしかの負担をかけることでございますから、できるだけそういうことのないようにしたいという精神から設けることとしたものでございまして、つまり共助をするしないにつきましては、もとの方の規定で二条で制限事由が四つございます。また五条で、相当であるかどうかという判断をして相当でないときには共助しないというふうに制度を設けているわけでございますが、当初要請を受けました段階で、また五条の一項の措置をとる段階におきまして、そういう段階ではその制限事由に当たらない、また相当であろうということで手続を始めることもあり得るわけでございます。 ところが、その後いろいろと追加的な資料とか情報とかそういうものがございまして、その中には出先の意見等も場合によっては入ってくるかと思いますけれども、後になって二条の一、二、三、四号に当たるあるいは五条にいう相当であるかどうかが問題であるということが起こり得るわけでございます。そういう場合に、何も現地の方に言っておきませんと、出先の検察官あるいは警察官といたしましては手続を進めて関係者の取り調べをするということになるわけでございますので、途中でそういうことがわかりました場合には、それはいわば差しとめるといいますか、そういう意味で直ちにそのことを出先の方に連絡をする、それによって手続をストップさせるという趣旨でございます。
○飯田委員 そうしますと、一口に申し上げますと、第二条の各号に掲げてあるようなこういうことの疑いが持たれておる、こういう場合でしょう。
○前田(宏)政府委員 疑いと言っていいかどうかと思いますけれども、相当疑いがあるといいましょうか、当初はわからなかったことがその後になって判明した、これは本来なら共助すべき場合ではなかったということがわかってきた場合、二条以外にもその他の事情で応じない方がよかろうという特段の事情がわかった場合も当然含まれるわけでございます。
○飯田委員 この第二条の三号に「日本国が行う同種の要請に応ずる旨の要請国の保証」というのがございますが、この要請国の保証というのはいつどのような方法でなされてくるのでしょうか、お尋ねいたします。
○前田(宏)政府委員 二条の規定からいきますと、実体規定のような形になっておりますから、いつの段階であるかということが必ずしも明らかでないかと思いますけれども、手続的には三条から事が始まるわけでございます。 たとえば四条をごらんいただきますと「外務大臣は、共助の要請を受理したときは、第二条第三号に該当する場合を除き、」というふうに書いてございまして、つまり保証がなければ法務大臣には書類を送付しないというふうに書いてございます。したがいまして、外国から要請がありました場合に、もうそのときからついてくる場合もございましょうし、ついていない場合には外務大臣において、つまり外交ルートの中でその保証を求める、その保証を求めても保証がされないということになりますと、外務大臣のところでストップするわけでございまして、それ以上は手続が進まないということになるわけでございます。
○飯田委員 こういう要請国の保証の問題につきまして、保証のやり方とかあるいはどういう方法でやればいいかといった問題につきまして、何らかの基準のようなものをあらかじめ国際条約で決めておいた方がいいのではないかと思われますが、いかがですか。
○前田(宏)政府委員 条約で決めておれば事前にわかりやすいという利点はあろうかと思いますけれども、いわゆる相互主義の保証ということは、この法律のような場合に限らずその他の場合にもよくあることでございます。 一番近い例で申しますと、逃亡犯罪人引渡法についても同様なことがございますし、その他私どもの所管でない分野におきましても、いろいろと外国から協力要請がありました場合に、やはりその国が同様の要請を日本がやった場合にそれに応ずるかということが問題になることは従来からたくさんあるわけでございまして、そういうことは国際間の一種の慣行的なものになっているというふうに理解されるのではないかと思います。
○飯田委員 この法案の第二条の第二号でございますが、これに「共助犯罪に係る行為が日本国内において行われたとした場合において、その行為が日本国の法令によれば罪に当たるものでないとき。」こうあります。つまり、日本の国で刑罰法規にかからない行為は外国から頼まれても一切応じないのだ、このようにとれるわけです。 ところで国際捜査共助という問題は、相手国において犯罪であれば、たとえ日本の国で犯罪でなくても必要なものを調べて送ってあげるということは別に非人道的な問題でもないし、またわが国の国益に反するわけでもありませんし、むしろ共助をした方が国際親善に役立つのではないか、こう思われますが、これを特に排除された理由はどういうわけでしょうか。
○前田(宏)政府委員 確かに国際協力という面からいたしますと、できるだけ相手国の要請に応じた方がいいことは御指摘のとおりでございます。 その場合に、何もわが国民に負担のかからないことでございますれば最大限やってよろしいわけでございますけれども、事情を聴取するにいたしましても負担がかかることでございますし、場合によっては強制的な手続で証人尋問を受けるあるいは物を押収されるというようなことを想定しているわけでございます。 そういう日本国民の立場になってものを考えますと、外国への協力もいいけれども、自分たちがそれなりの負担を受けるについて、日本で全く犯罪にもならぬものについてまで、そこまで自分たちが受忍義務を負わなければいかぬのかというような国民感情というものも当然あり得るのではないかというふうに思うわけでありまして、外国への協力の度合いと日本国民の負担する負担の均衡と申しますか、そのようなことをいろいろと勘案いたしまして、さしあたってはこの程度のことはやはり控えた方がいいんじゃないかというふうに考えたわけでございます。
○飯田委員 それではこれは、公務所に保管する文書、こういうようなもので該当するものがあった場合に送ってあげるということはやはりだめだ、こういうことでございましょうか。
○前田(宏)政府委員 公務所にありますものもいろいろとあるわけでございまして、その中には個人の秘密にもかかわるものもあろうかと思います。全くそういう国民に関係のないものということも絶無とは申せませんので、そういうことであればそれは差し支えないという議論にもなろうかと思います。 そういうことになりますと、これはちょっと非法律的なような議論になるかと思いますけれども、この法律に基づいて正式に捜査協力の共助の要請があってそれに応じたということになる以前のような気もするわけでございまして、官庁間の協力と同じようなことでございまして、事実行為としてできるものはできないわけではないというふうに考えます。
○飯田委員 この第二条の第四号を見ますと、これは「その証拠が捜査に欠くことのできないものであることを明らかにした要請国の書面」を必要とするとしておりますが、こうした捜査に欠くことができないものだということになりますと、これは一つの主観的な判断が入ってくるわけであろうと思います。わが国でこれは捜査に不必要だと思っても、外国では捜査に必要だと思うかもしれません。 そこで、こうした問題を排除条件にするということについて少し疑問がありはしないかと思われるわけであります。つまり、国際間の円滑な交際という点からいきますと、証人尋問、証拠物の提供をしてくれという要請があった場合に、それがわが国の国益を害しないあるいは基本的人権を害するものじゃないというような場合、これに応じてあげても差し支えないのではないか、むしろ応じてあげる方が国際間の円滑な交際上からいっていいのではないかというふうにも思われますが、この点についていかがでしょうか。
○前田(宏)政府委員 先ほどの二号についてのお尋ねと同様なことであろうかと思います。 私どもの立場といたしましては、いまも仰せになりましたように、国民の人権に関係ない限りはというお言葉があったように思うわけでございますが、やはりそういうことを頭に置いて考えたわけでございます。つまり、外国への協力という面を重視いたしますならば、余りうるさいことは言わないでどんどん協力した方がいいということになるわけでございますけれども、やはり負担を受ける日本の国民ということを無視するわけにもまいらないわけでございます。したがいまして、むやみやたらな要請には応じたくない、それが人権の問題にもつながるであろうという考え方によるものでございます。 ただこの場合に、捜査に欠くことができないかどうかということについては、やはりその国の問題でございますから、当該要請国がそれなりの説明をして、こういうことで必要なんだというふうな書面が参りまして、それを私どもが見ましてごもっともであるというふうに考えます場合には、それをそう一々細かく究明するということはなくてできるだけ協力をする。ただこの趣旨は、先ほど来申しておりますように、尋問を受ける人あるいは物を提供する人の人権の問題ということをやはり頭に置いているわけでございますから、その兼ね合いを十分考えながらこの判断をするということになろうと思います。
○飯田委員 最後にお尋ねしますのは、国際捜査共助をした場合の捜査費用その他の費用の支出財源はどのようになっておるでしょうか。
○前田(宏)政府委員 費用の問題でございますから、予算的な措置ということが考えられるわけでございますけれども、さしあたって考えておりますのは、まず事例がそれほど多くないであろうということでございますし、証人尋問あるいは証拠物の任意提出を受けるというようなことあるいは事実上参考人として取り調べるというようなこと、それにかかる金というものは、ないと言っては言い過ぎかもしれませんが、ほとんどかからないというふうに考えておるわけでございます。 ただ、お尋ねの趣旨が、要請を受けたわが国の負担だけでやるのはどうかという問題も含んでいるかと思いますが、この共助というものはやはり相身互いのことでございまして、日本が頼む場合もある、また相手が頼んでくる場合もある、そういうことが次第に積み重なってといいますか繰り返されてくるだろう。そういうことになりますと、一々この場合はこちらが持つ、頼んだときはこちらが持つ、向こうから頼んできたときはあちら持ちだというふうに細かく言わなくても、お互いに相殺勘定になるというような感じで進めていってもよいのじゃないかという考え方をとっているわけでございます。
○飯田委員 先ほど警察の方からのお答えで、警察法の中に国際捜査共助の問題が職務権限として入っておるということでございました。つまり国際刑事警察機構の問題ですが、そういう方面のことが入っているとすると、警察庁の方ではその方面の予算、これは捜査上相当費用がかかると思いますが、どのようにしておいででしょうかお尋ねします。
○水町説明員 従来より、警察法二条の責務の範囲内ということでございますので予算的な措置はとってございます。
○飯田委員 これで私の質問を終わります。
○木村委員長 次回は、明後二十五日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十五分散会