法務委員会 第18号
- 発言数
- 328 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1980/04/22
会議録
○木村委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、国際捜査共助法案を議題といたします。 政府から趣旨の説明を聴取いたします。倉石法務大臣。
○倉石国務大臣 国際捜査共助法案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。 近時の国際交流の活発化に伴い、国際間を舞台とする各種の犯罪はますます多発する傾向にあり、これに対処するため、国際間における捜査協力態勢の一層の推進を図る必要のあることが痛感されるのであります。しかしながら、現在、わが国では、この面での法制が整備されておらず、外国に対して十分な国際協力を行うことができない実情にあります。このような状況にかんがみ、犯罪捜査について緊密な国際協力を確保する措置として、外国の刑事事件の捜査について、外国または国際刑事警察機構からの要請により、わが国内で証拠等を収集してこれを提供する手続を定めるため、この法律案を提案することとした次第であります。 この法律案の要点は、以下のとおりであります。 その一は、外国の刑事事件の捜査について、外国から共助の要請があったときは、要請に係る犯罪が政治犯罪であるとき、日本国が行う同種の要請に応ずる旨の要請国の保証がないとき等を除き、共助に必要な証拠を収集してこれを提供することができるものとすることであります。 その二は、外国からの共助の要請は、原則として外交機関を経由するものとし、法務大臣は、要請に応ずることが相当であると認めるときは、検事正に共助に必要な証拠の収集を命じ、または国家公安委員会もしくは司法警察職員の置かれている国の機関の長に共助の要請に関する書面を送付すること等の措置をとるものとすることであります。 その三は、検察官または司法警察員は、共助に必要な証拠の収集に関し、関係人の取り調べ、鑑定の嘱託、実況見分等のほか、裁判官の発する令状により、差押え、捜索または検証をすることができ、また、検察官は裁判官に証人尋問の請求をすることができるものとすることであります。 その四は、国家公安委員会は、国際刑事警察機構から外国の刑事事件の捜査について協力の要請を受けたときは、要請に係る犯罪が政治犯罪であるとき等を除き、都道府県警察に必要な調査を指示し、または司法警察職員の置かれている国の機関の長に協力の要請に関する書面を送付することができるものとし、警察官または国の機関の職員は、調査に関し、関係人に対する質問、実況見分等をすることができるものとすることであります。 なお、本法案は、航空機疑惑問題等防止対策の一環をなすものでありまして、この制度が確立された場合には、相互主義の保証のもとに、わが国から外国に同種の共助の要請ができることとなり、国際犯罪の防止を図る上において、その意義はきわめて大きいものがあると考えるのであります。 以上がこの法律案の趣旨及び内容であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○木村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○木村委員長 内閣提出、外国人登録法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎武三郎君。
○山崎(武)委員 本改正案の内容に入る前に、まず、改正の必要性及び今国会に提出されるに至った経緯などについて具体的に御説明願います。
○小杉政府委員 御説明申し上げます。 まず改正の必要性についてでございますが、近年の航空機を中心といたしました交通機関の発達と国際的な人的交流の活発化に伴いまして、わが国に出入国する外国人の数が増加の一途をたどっておるとともに、その在留状況もきわめて多様化しておることは御承知のとおりでございます。そのために、市区町村における外国人登録事務はその事務量が著しく増大いたしておりますし、この事務を担当する市区町村及び都道府県からはもとより、在留外国人からも手続の合理化、簡素化を望む声が強く出されてまいった経緯がございます。さらに、昭和四十九年の十一月に出されました行政監理委員会の「許認可等に関する改正方策についての答申」にも同趣旨の指摘がされていることなどから、外国人登録事務の合理化、簡素化を図ろうとするのが今回の改正の必要性でございます。 今国会に提出するに至りました経緯について申し上げますと、先ほど申し上げました経緯がございまして、昭和五十年の第七十五回国会に行政管理庁が取りまとめて提出いたしました許可、認可等の整理に関する法律案の中に、今回の改正案とほぼ同趣旨の外国人登録法の一部改正が盛り込まれ、内閣委員会でこの法案の審議を受けたわけでございますが、この審議の過程で、同法律案の中で外国人登録法に関する部分は他の法律に比べて量も多い、質的にも単なる簡素合理化にかかわるもの以外の制度の基本にかかわるものが含まれているのではないか、さらには、このほかにも、外国人登録法については制度の基本にかかわる事項たとえば指紋の押捺であるとか登録証明書の常時携帯義務等検討を要すべき事項があるのではないかといった指摘がございまして、結局、外国人登録法の一部改正に関する部分については、内閣委員会ではなくて専門の法務委員会で審議さるべきであるということで、この法律案から全面的に削除されるという経緯がございました。 そこで当局といたしましては、基本問題を含めた外国人登録制度の全面的な見直し作業を進めてきたのでございますが、制度の基本にかかわる事項となりますと、わが国の出入国管理制度全般について多角的な検討を加える必要があって、最終的な結論を得るまでにはなお相当の日時を要する見込みでございます。一方におきまして、行政事務の合理化、簡素化について一段とその必要性が高まっておりますので、とりあえず今回の改正案を提出することとなった次第でございます。
○山崎(武)委員 改正案によりますと、外国人が本邦に入ったときは九十日以内、本邦において外国人となったとき等は六十日以内は外国人登録をしなくてもよいこととして、いずれも現行より三十日延長しておりますが、その趣旨は何であるのか。なお、現在六十日である観光客等の在留期間を延長することもあわせて考えなかったのか御説明願います。
○小杉政府委員 国際的に見ますと、滞在期間が三カ月以内の外国人訪問者は、たとえば国際民間航空条約というような条約の上でも、いわゆる一時入国者としてとらえられておりまして、出入国手続を中心に各種の簡易化措置が講じられるべきであるということにされておるわけでございます。また国連主催の国際旅行観光会議におきましては、このような一時入国者に関してはいわゆる登録というようなものを廃止すべきことが勧告されておる、こういう経緯がございます。 一方、わが国におきまする滞在期間が三カ月以内の外国人訪問者というのは、観光またはこれに準ずる目的のものが大部分でございまして、これらの者はすべて旅券を所持しておりますので、これらの者を登録の対象として把握すべき行政上の必要性もさほど大ではないということが言えるのではないかと思います。 このような国際的な要請と国内の必要性を勘案いたしますと、入国した外国人に係る申請期間というものを九十日として、一時入国者が事実上登録の申請をしなくても済むようにすることが適当であるという判断に立ったわけでございます。 次に、本邦において外国人となった者等につきましては、出入国管理令の上で六十日間は「在留資格を有することなく本邦に在留することができる。」と定められておりますので、この趣旨を生かすためには、登録の申請期間も三十日ではなくて六十日として、この期間内に出国する者は登録を受けなくても済むようにするのが合理的であるというふうに考えた次第でございます。 また観光客等の在留期間の延長につきましては、現在六十日となっておりますものを、九十日以内で個々の外国人の在留目的に合った期間を付与すること、そういう方向での改正というものを検討中でございます。
○山崎(武)委員 登録事項のうち旅券番号等五項目の変更については、登録証明書の引替申請等の際にあわせて申請できることとして、変更登録申請義務を現行より緩和しておりますが、この改正の趣旨及びその内容について御説明願います。 なお、昭和四十九年十一月六日の行政監理委員会の答申では、職業、在留資格等についても緩和するようになっておりますが、いかがになったのでしょうかお伺いします。
○小杉政府委員 登録原票の記載事項二十項目のうち可変事項が十二ございますが、現行法では、これらの可変事項については、変更を生じた日からすべて十四日以内に変更登録の申請をしなければならないということになっておるわけでございます。 今回の改正では、この十二項目のうち、居住地、氏名、国籍、職業、在留資格、在留期間及び勤務所または事務所の名称及び所在地の七事項を除きました旅券番号、旅券発行の年月日、世帯主の氏名、世帯主との続柄及び国籍の属する国における住所または居所、以上の五事項につきましては、その変更の事実を即時的に把握すべき必要性が比較的少ないと判断されますので、登録証明書の引替交付、再交付、切替交付、居住地等の変更登録の申請を行います際に、あわせて変更登録の申請をすることができるというふうにしたものでございます。 なお昭和四十九年の行監の答申では、職業、勤務所の名称または所在地、在留資格、在留期間についても変更登録申請の緩和の対象とされていたのでありますが、まず在留資格及び在留期間につきましては、これらがわが国に在留する外国人の法的地位として最も基本的なものであるばかりでなく、資格外活動であるとかあるいは不法残留者等を即時的に把握する必要がございまして、また職業及びこれとうらはらの関係にある勤務所または事務所の名称及び所在地というものは、当該外国人の身分特定のためにきわめて必要な事項でございまして、さらに在留資格や在留期間とも密接な関連を有するのみならず、どんな外国人がどこで何をしているかということを把握する必要があるので、これらを緩和の対象とすることは困難であると私どもは考えておるわけでございます。
○山崎(武)委員 本改正案によれば、登録証明書の引替交付等の申請をして新たな登録証明書の交付を受けたときは、その後三年間切替交付申請を要しないものとしておりますが、この改正の趣旨について御説明願います。 なお、現行三年の切替申請期間を協定永住者等本邦に長期在留している人についてはたとえば五年ぐらいに延長してほしいという要望があるが、いかがお考えでしょうかお伺いします。
○小杉政府委員 現行の外国人登録法のもとにおきましては、登録証明書の新規交付や切替交付を受けた後に引替交付申請や再交付申請をして新たに登録証明書の交付を受けた場合であっても、新規交付や切替交付を受けたときから起算して三年後に切替交付申請をすべきものとされておるのであります。これを引替交付申請等によりまして新たに登録証明書の交付を受けたときから三年後に切替交付申請をすればよいということにしたのが今回の改正の趣旨でございます。 なお切替申請の期間についてでありますが、比較的短期在留の外国人もそれからいわゆる永住者も一律に三年という現在の切替期間が妥当であるかどうかについては確かに検討の余地があろうかと思うのでございまして、制度の基本問題の一環として現在検討を進めているところでございます。
○山崎(武)委員 本改正案は再入国許可を受けて出国する場合の登録証明書の取り扱いについて現行より簡素化しているようでありますが、その趣旨について御説明されたい。 なお、この改正によって登録証明書を所持したまま出国できることになりますが、再入国の許可期限内に再び日本に入国しなかった場合はどうなるのか。 また、現在一年以内とされている再入国許可の有効期間をもう少し延長してほしいという要望があるが、いかがお考えでしょうか。
○小杉政府委員 現行の外国人登録法では、再入国の許可を受けて出国いたします外国人は、出国のときに入国審査官に登録証明書を提出いたしまして、本邦に再入国したときは十四日以内に出国前の居住地の市区町村に対しまして登録証明書の返還を申請すべきこととされておるわけであります。 この手続は、再入国許可によって出入国いたします外国人、さらには出国港の入国審査官、さらには登録市区町村長の三者にとりまして、いずれも大きな負担となっておるわけでありますが、特に最近のように国際旅行のスピード化が著しい時代におきましては、再入国者が登録市区町村において返還申請をしても、返還すべき登録証明書が出国港からいまだに送付されていないというような場合も起こりまして、かえって登録証明書の不携帯状態を余儀なくさせる結果となっておるのが現状でございます。また、再入国後十四日以内は返還申請期間として不携帯が許容されるという問題もあるわけでございます。 そこで、登録証明書の返還申請手続を廃止いたしまして、登録証明書を携帯したまま出入国させることにいたしまして、この結果、行政主体及び客体の負担を一挙に軽減し、あわせて再入国後の不携帯問題の解消を図ろうとするのが今回の改正の趣旨でございます。 この改正によりまして、登録証明書を持ったまま出国した外国人が再入国しなかったとき、これは当該外国人は本邦に在留する外国人ではなくなりますので、当然のことながら登録証明書も失効することになります。このことは、登録している外国人がわが国へ帰化をした場合であるとかあるいは死亡したというような理由によりまして外国人としての在留実態が消滅した場合、その者に交付された登録証明書が失効すると解されているのと同じことであると考えております。 次に、再入国許可の有効期間の問題でございますが、現行の出入国管理令では再入国許可の有効期間を一年以内と法定しておりますので、法改正を要する問題でございます。再入国許可期間の延長制度の採用については目下延長の方向で検討中でございます。
○山崎(武)委員 最後に、いわゆる一二六該当者、協定永住者等本邦に長期間在留している人たちから、外国人登録証明書の常時携帯、呈示義務の緩和、指紋押捺制度の改善、罰則規定の緩和等の要望があると聞いておりますが、いかがでしょうか。
○小杉政府委員 ただいま先生御指摘のような要望があることは承知いたしております。 わが国の外国人登録制度につきましては、従来から在日韓国・朝鮮人、台湾人など長期在留者の処遇とも密接な関係がございますところから、指紋押捺制度、登録証明書携帯義務、罰則のあり方というような点をめぐりまして論議が多々ございまして、目下私どもといたしましては外国人登録法の抜本的な改正について検討を重ねているところでございます。 なお、外国人登録制度の抜本的改正に当たりましては、わが国の出入国管理制度全般について多角的な検討を行うことが必要でございまして、たとえばわが国に在留しております外国人の多数を占めるいわゆる長期在留外国人の中には、暫定的な法的地位しか定められていないいわゆる法一二六−二−六の該当者及びその子孫というものが該当数含まれております。これらの者の法的地位の決定につきましては、国際関係、国内関係等諸般の事情を考慮する必要がございまして、その最終的な結論を得るまでにはなお相当の日時を要するなど困難な問題が多々あると考えております。
○山崎(武)委員 終わります。
○木村委員長 横山利秋君。
○横山委員 今回の改正は、必要最小限とでもいいますか、当国会に付議をするにしては小骨をちょっととった程度ではないか。少なくともこの種の問題について検討をなさったならば、もう少し、これは私どもが賛成すると否とにかかわらず、少なくとも基本的な出入国管理のありようについて問題を提起すべきではなかったか、そう痛感されてなりませんが、その点はどうお考えになりますか。
○小杉政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、今回の改正案は、いわゆる外国人登録法の根幹にかかわると申しますか基本的な事項というものは一切含んでいないわけでございますが、これは先ほど山崎議員の御質問にもお答え申し上げましたとおり、私どもといたしましては、五十年の国会審議の経過を経まして、いわゆる外国人登録法の基本的な諸問題も含めた全面的な見直しという作業は着手いたしたのでございますけれども、制度の基本にかかわる事項となりますと、わが国の出入国管理制度全般について多角的な再検討を行わなければならない。そのような作業を行うといたしますると、最終的結論を得るまでにはなおかなりの日時が必要だというのが現状でございます。 そこで、一方において行政事務の合理化、簡素化ということについての必要性というものが高まっておる折から、今回の改正案をとりあえず提案したということでございます。
○横山委員 法務大臣にお伺いをいたしますが、前法務大臣でございましたか、当時、出入国管理令の改正の問題が国会内外できわめて大きな政治問題化したことがございました。結局はそれは廃案になったわけであります。 しかしその当時、法務大臣及びその周辺から野党側にも、提案とまで言えるかどうかわかりませんが、一つの示唆がございました。要するに、野党の了承ができるような案あるいはまた与野党で話し合ってまとめていただくような方法、たとえば刑法でもその問題の提起がされたことがございましたが、そういう思い切った提案をしなければこれはうまくいかないような気がする、こういう示唆があったのであります。 いま、基本的な問題はこれからやろうと思うという話ではございますけれども、出入国の基本にかかわる問題については、かなり思い切った提案をなさらなければ百年河清を待つようなものだ、単に法律技術の問題ではない、政治的判断の問題だと思っておるわけでありますが、法務大臣はどうお考えでございますか。
○倉石国務大臣 この問題につきましては、私どもの感触といたしましては基本的な問題がかなり多いと思います。そういうことにつきまして法務省も鋭意検討を続けておるわけでありますが、これは御相談をしながら、時間をかけてこの基本問題については再検討していく必要のあるものがあるのではないかというふうな感じを持っております。
○横山委員 当時と違いまして、南北朝鮮に関する情勢というものはきわめて流動的なのであります。今日の日本政府の態度は、北の朝鮮民主主義人民共和国をやや横目でながめておるようではありますが、それをもってしても南北の対話が、いろいろ困難な問題はありましてもきわめて流動的に動いておる。自由民主党の中にも共和国方面へ旅行されるという動きというものはある。南北朝鮮の対話なりあるいは終局的な自主的平和統一ができることは、日本としてもきわめて望ましいことである。 したがって、その流動的な朝鮮の状況をながめながら、出入国管理の基本的な問題はやはりそこにあると思われるのでありますから、いままでのような南と北との差別的なやり方、それを一歩脱却しなければならないのではないか、そう考えるのでありますが、法務大臣はどうお考えでありますか。改正をするに際してはそこに一つのポイントがあるとお考えでございますか。
○倉石国務大臣 基本的には世界のあとう限りの多くの国々と友好関係を持つことが理想だと思いますけれども、現実の姿でやはり承認国と未承認国というのはその間に差異が生じているのはやむを得ないことだろうと思いますけれども、基本的な問題については、先ほど申し上げましたように、関係省庁とも十分に打ち合わせまして、わが国の国益を害さないように努めていくべきではないか、このように考えております。
○横山委員 おっしゃることがよくわかりませんけれども、私の申し上げているのは、南北両朝鮮人の差別待遇を改善するということなくして、出入国管理令の基本的な改正というものはむずかしいという認識をお持ちでございますかということであります。
○倉石国務大臣 北朝鮮と韓国とが今日は申すまでもなく分裂しているわけでありますけれども、その間に、その所属国民に対する法の適用等において差異があるのはやむを得ないことでございますけれども、私どもといたしましては、やはり朝鮮半島の方々はその昔は国籍は日本であった、その関係で長く在留いたしておる者も数多くおるわけでありますので、それらの問題につきましては、先ほど申しましたように関係省庁と十分打ち合わせの上適切な措置を講じてまいりたい、こう思っているわけであります。
○横山委員 適切な措置というのはこの出入国管理令の基本的な改正の中に含まれておるのですか、こういう意味であります。
○倉石国務大臣 いま申し上げましたように、朝鮮半島の諸君というのは、かつてはわれわれと国籍を同じゅういたしておった者でありますから、そういう方々の取り扱いにつきましては、やはりそれなりに特別な考えを持つ必要があるのではないか、こう思っているわけであります。
○横山委員 私ども社会党は、すでに政治亡命者保護法案を提案をいたし長年にわたっております。この私どもの提案の基本的な問題は、難民の地位に関する国際条約の批准を求めておるのでありますが、この難民条約の批准前といえども、私どもの提案の政治亡命者保護法案を国会で議決をいたしたいという趣旨にほかなりません。 毎日の新聞を見ますと、何かかんかわが国に庇護を求めて入国した外国人や強制送還を拒否して訴訟を起こした外国人があり、その都度政治問題化いたしておるのは皆さん御存じのとおりであります。その都度それが政治問題として扱われて、法務大臣の自由裁量権にゆだねられ、その裁量権がきわめて厳しい立場に立っておる。マスコミでかわいそうじゃないかということがずいぶん言われておるのでありますが、これに関連いたしまして、まず難民の地位に関する国際条約の批准について、法務省はどういうお考えでございますか。
○倉石国務大臣 お話のございました難民条約それから難民議定書は、いずれも難民の人権を保障してその地位を安定させようとするものでございますので、法務省といたしましてもその趣旨に異論はございませんし、当省の所管事項について申せば、これに加入しても問題はないという結論に達しておるのでございまして、必要な立法措置等について現に検討中でございます。
○横山委員 法務省は異存はないとおっしゃる。外務省その他関係省庁とのコンセンサスはすでに得られましたか。
○小杉政府委員 お答え申し上げます。 難民条約を批准するという一般的な基本的考え方につきましてはコンセンサスがあるわけでございますけれども、現在、聞き及びますところによりますと、国民年金を難民に適用する問題等社会保障関係で外務省と厚生省の間の意見一致をまだ見ていないとか、あるいは当省が若干絡む問題といたしましては、難民の認定権者を一体だれにするかということで若干まだ明確な結論を得ていない点がある等、手続的な面におきまして多少問題があるようでございます。
○横山委員 その関係各省との合意、それからそれによって国会に対する批准等は展望としていつごろだと考えているのですか。
○小杉政府委員 これは実は条約でございますから外務省の所管でございますので、私どもの方からとかく申し上げるのはいささか僣越ではないかというふうに感じておるわけでございますが、時期としてはそう遠い将来ではないとという感じは私はいたしております。
○横山委員 それでは伺いますが、その難民条約の批准の中において、狭義の意味の政治亡命者——私は、難民条約における難民の定義は、私どもが提案しておる政治亡命者の定義とまあ同様だとは思うのでありますが、よく政治問題化いたします私どもの言う政治亡命者というのは、きわめてより政治的というふうに考えるわけでありますが、社会党の提案いたしております政治亡命者保護法案の内容についてはどうお考えでございますか。
○小杉政府委員 この法案につきましては、私どもといたしまして幾つか問題点がございます。 まず第一点が、先ほどもちょっと触れましたが、難民の認定権者に法務大臣が当てられておるという点。さらに政治亡命者として保護する者の範囲並びに程度につきまして、難民条約の規定に比べるとやや広くなっているのではないか。その結果、わが国にこのような法案の考え方というものが適合するものかどうか、なお十分な検討を必要とする点が少なくないのではないかという感じを持っております。
○横山委員 この難民条約の批准、亡命者保護法案並びに問題提起しております出入国管理令、これらは膚接する部分がきわめて重要かつ大であります。したがって私は、冒頭申しましたように、法務省が先年の失敗を繰り返さないように、少なくとも基本的なありようについては、この問題に対して国会における審議経過その他を勘案して可及的速やかに国会に立法措置を提起するという必要を痛感するわけであります。 重ねて伺いますが、なるべく近い将来と言っていることは次期国会を予想してよろしいのですか。
○倉石国務大臣 条約に加入いたしますかどうかは、直接的には、申すまでもないことでありますが外務省の所管事項に属することでありまして、加入時期等について私どもだけで無責任なことを申し上げるわけにもいきませんが、この難民というものを認定することにつきましては、関係省庁との調整をする機能を備えた機関が行うべきであるということに部内で意見が一致いたしておりますので、やはりそういう機関と関係省庁と相談をいたしまして、なるべく時間を早くこういうものができ上がるようにひとつ努力をしてまいりたいと思っております。
○横山委員 それは時宜を得たお考えだと思います。この種の各省庁に関連いたします問題について、私ども何回もここであらゆる問題を問題提起したわけでありますが、わが国は縦割り行政なんでありますから、横の連絡となると縦の十倍も時間がかかるというような結果でございますから、いま大臣のおっしゃるような関係機関の設置をして、鋭意コンセンサスを速やかに得られるように特に要望をいたしたいと思います。 この際、大村収容所の状況について伺います。現在何人ぐらいの強制退去者がおり、長期の者、・短期の者、どのくらいの員数でございますか。
○小杉政府委員 現在収容中の方の総数の統計が実は手元にないのでございますが、約百名入っております。 それでそのうち、期間別に申し上げますと、長期と申しますか一年以上の収容者の総数が、四月十八日でございますから四、五日前の時点で十五名おります。そのうち、二年未満の者が七名、二年以上の者が八名ということになっておりまして、最長期の収容者の収容期間が二年八カ月ということになっております。
○横山委員 強制退去者の中で、日本国内で犯罪を犯して刑務所に収容せられ、そして刑期をつとめてなおかつ強制退去のためにこの大村にいる者もあるわけでありますが、日本人が罪を犯して刑務所へ入って、それで釈放されるならば、一応憲法のもとでは通常人に返るわけであります。 しかしながら、外国人の場合においては罪を犯したがゆえに強制退去を命ぜられるという点についても、私はちょっと矛盾を感ずるわけであります。その上、外国政府がこの強制退去に応じないからあるいは本人が強制退去を拒むから、いわゆる強制とはいいながら強制の執行ができないということで、承れば二年八カ月の長期にわたって大村収容所におる。大村収容所に二年八カ月もおって、それで受け取らない、本人もいやだと言うならば、大村収容所におること自身が一つの刑を受けておるという観点をも考えるならば、余りにも長期の者につきましては、家庭状況それから今後の日本国内における本人の方向等をも考えて仮放免にすべきではないか、そう考えますがいかがでしょうか。
○小杉政府委員 現在大村で収容されておる者は、先生御存じのとおり、退去強制令書が発付されて強制退去のために船待ちをしておる者でございまして、法のたてまえから申しますと、本邦における在留活動を禁止された方々に相なるわけでございます。 しかしながら、この方たちがなぜこのように長い期間収容される結果になっておるかと申しますと、これらの方々の中では、行政訴訟を提起されて現に訴訟が係属中である方、さらには送還部分の執行停止の決定というようなものが出された方もあるわけでございます。中には、被収容者の本国が引き取りを拒んでおる、引き取りを保留しておるというようなことが原因となりまして、大村収容所における収容が事実上長引いている者があることは御指摘のとおり事実でございます。 ところで、訴訟の長期化あるいは相手国の引き取り留保などを理由といたしまして仮放免をするということは、事実上在留活動を容認することになるわけでございまして、退去強制という制度の根幹にかかわることになりますので、引き続いて原則として身柄収容を継続するということをやっておるわけでございます。 しかしながら私ども入管といたしましても、このような形での収容というものがいたずらに長期化することは決して好ましいことではないと考えておりますので、訴訟が長期化しているために強制送還できないというような者につきましては、当事者や裁判所に対して訴訟審理促進のための協力もいたしておりますし、さらには引き取りを留保するような国に対しましては外交折衝による打開に努めるというような、もろもろの措置をとっておるわけでございます。さらにはまた例外的な措置ではございますが、自費出国またはその準備のためであるとかあるいは病気治療のためであるとか、身柄の収容を続けるとかえって円滑な送還の執行が期待できなくなるような場合などには、仮放免を許可するということにいたして、収容業務が適正に行われるよう努力しておるというのが現状でございます。
○横山委員 順序としてはおっしゃるとおりかもしれませんけれども、少なくとも国内でも刑務所で刑期をつとめ、そして大村収容所で一年も二年も三年近くも、ある意味でのまた二重の刑期をつとめ、そして決定だからどうしても強制退去させなければならぬのだと言うてがんばっておることも説得力が余りない措置ではないか。 したがって私の言うように、刑務所あるいは大村収容所における成績が良好である、あるいはまた本人が日本社会に復帰しても再びそういうことになる可能性がない、悔悟の情も明らかである、家庭もまたそれを受け入れる体制がある、こういう状況であるならば、もっと勇敢に仮放免の措置をとるべきではないか。大村収容所に百人近くの人がおって、それがわれわれ国民の税金で収容され、職員も働いておるけれども、そういう状況を判断すれば、これは仮放免しても大丈夫だと思う者については、しゃくし定規な考えを捨てて処理をすべきではなかろうかと私は思うのであります。 いわんや、裁判の問題とおっしゃるけれども、そう言っていいか悪いかわかりませんけれども、無理に裁判を起こす、そして裁判中は強制退去をさせないように戦術的に考える人もないではないわけですね。したがって、裁判だからしばらく待つという形式論もまたおかしいと私は思うのであります。大村収容所のありようについてはもう少し弾力性のある態度で、ただ受け取らぬからいつまでもそこに置いておくというようなやり方について見直す必要があるのではないか、そう考えるのでありますが、法務大臣、政治的な判断はいかがでございますか。
○倉石国務大臣 私、まだこのことについて知識を持っておりませんので、よく検討いたします。
○横山委員 先般、金大中氏の問題について大臣に伺ったことがございます。 要するに、金大中氏が釈放されて韓国の政界に復帰をいたしました際に、自分が日本でつかまって、そして韓国に強制的に連れていかれた、その一件については自分はもう物を言わない、こういう趣旨のことを言われ、私ども日本の政治に関与する者としては、金大中氏のその心境に対して大変感銘を受けたものであります。その感銘を受けた気持ちを法務大臣はどうお考えになるかということを質問いたしましたところ、あなたは何だか意味のわからない発言をされて、議事録を見ましても一体何を言っておられるかよくわからなかったわけでありますが、改めて法務大臣に伺いますが、私どもの日本国憲法下主権の及ぶ東京の大ホテルの真っただ中で金大中氏が、日本の主権を侵害して韓国人によって連れ去られた。そういうばかげたことが白昼堂々と行われたことについて前代、前々代の法務大臣ともに閣議の中においても、これは人権の問題であり、かつ日本の主権の侵害についてなおざりにできない、こう述べられたと記憶いたしております。なかんずく、それは単に日本国内の問題ばかりでなくて西ドイツ政府が、これと類似する韓国政府のやった行動に対して断固として経済的な中断をしたり、そしてついにその強硬な措置に対して韓国政府が学生を西ドイツに送り返したという事例と比べるならば、日本のいわゆる政治的解決というものはきわめて奇怪千万であり、かつ金大中氏に対して相済まないという印象をいまもなお日本国民が持っておることは事実なんであります。 重ねて伺いますが、法務大臣としては、金大中氏が日本から拉致された事件並びに金大中氏の政界復帰に当たってのそういう発言について、閣僚の一人として、日本の政治家の一人として、あなたはどういう所見を持っていますか。
○倉石国務大臣 この問題は一応両国政府で政治的解決が済んでおるというふうに言っておられますので、それ以外のことを私が申し上げるのは御遠慮いたしますが、この前の委員会で、金大中氏の行動をどう考えるかというお尋ねに対して、私はごりっぱな態度であると思っておりますとお答えしたつもりでございます。
○横山委員 ごりっぱというのは人ごとみたいに言うことですよ。あなたの責任、法務省の責任というものを全然感じていない。そのごりっぱの後に何かがつきそうなものだというのが私の意見でした。ごりっぱでございました、それだけではありませんでしょう。私どもの主権がきちんとしておればかかることはなかったであろうに、大変申しわけないことであったということが当然ついてしかるべきじゃありませんか。
○倉石国務大臣 この事件については捜査を打ち切っておるわけではないと承っております。
○横山委員 私の質問に答えなさいよ。ごりっぱだけでは済みませんでしたよと言っている。
○倉石国務大臣 ですから、捜査は続けられておると聞いております。
○横山委員 私どもが大変ぼんやりしておりましたために、あなたが私の国から強制拉致されたことに対して、あなたはそういうごりっぱな態度をおとりになりましたが、大変恐縮でございました、申しわけないことでございましたということがあってしかるべきなのに、いやまだ捜査は続いておりますと、しゃあしゃあとそんなことを言ったって、だれも信用しませんよ。本当にいま捜査していると思っているのですか、あなたは。どうなんですか。 それから、もう一つこの際お伺いをしたいのでありますが、政界に復帰された金大中氏であります。いずれ日本に来たいという意思表示がございましたときに、法務大臣としては当然入国を喜んで許可されると思いますがいかがですか。
○倉石国務大臣 金大中氏が入国を希望されるというならば、これをお断りする理由はないと私は存じます。
○横山委員 金大中氏のみならず、私ども政界を通じて金大中氏をお迎えしたいからという希望があって、そしてあなたに許可を求めるということになったら、あなたもそれでよろしいか。
○倉石国務大臣 私は閣僚の一人でありますので、そういう場合、いろいろな国際関係の影響のあるようなことにつきましては、個人として自由な行動がとれるときととれないときとあることをひとつ御了承願います。
○横山委員 前の質問と後の質問とあなたの答弁は食い違うのですが、金大中氏が日本へ来たいと言ったときには拒む理由はない、こうおっしゃったですよ、いま。後の質問については今度は、いや、いろいろ政治的な問題があるなら私はちょっと言えぬな、こういうのはどっちが本当なんですか。
○倉石国務大臣 先の方の、金大中氏がわが国に入国を希望されるということなら、これはお断りをする理由は何もないと思う、私はそう考えておるわけであります。 それから後で、特定のことをお示しになりませんでしたけれども、こういうふうな行動をとるかというふうなことにつきましては、時には自由にならないこともありますということを率直にお答えいたしたつもりであります。
○横山委員 金大中氏が来るということについて、個人がある日突然として日本へ来たいということではないですよ、それは。少なくとも日本に受け入れ体制があって、私どもが金大中氏を迎えたいということを向こうへ言い、向こうがオーケーをする、向こうが来たいということになるのはあたりまえのことじゃありませんか。本人が勝手に何の受け入れ体制もないのに来るということはないのですよ、そういう意味で言っているのですから。終局的には金大中氏が日本を訪れてもよろしいということを意思表示をする、そういうことなんですから。前段は、何もやりとりなくしてそういうことはあるはずがないのでありますから、そういうことを聞いておるのですよ。まああなたとしては、金大中氏の意思表示があればそれを断る理由はないということでありますから、それで結構です。 次へ移ります。私が今国会の法務委員会の前段で入管行政について伺ったことがございます。この基本的な問題は、要するに、この数年の間に出入国をする外国人あるいは日本人というものはもう莫大にふえてしまっている、マンモス化してしまっている。こういう出入国について、入管行政でもそうですが、税関でもそうです、あらゆる入管事務に携わる国内機構というものがちっとも前進をしていないのではないか。私ども海外へよく行ったり来たりするわけでありますが、空港なり港へ行くたびにそれを痛感するわけであります。 なかんずく入管行政というものが、たとえば先般来の同僚諸君の質問を聞いておりましても、密入国はわからぬ——わからぬのはあたりまえだ。わからぬのはあたりまえだけれども、私もちょっと減ったとは思いますけれども、雲霞のごとき密入国者に対して、港であるいは空港で入管行政に携わっておる者は一体何百人だろうか。日本はまさにそういう点では密入国の王座であると言っても過言ではないと思うのであります。せいぜいつかまえられたのは、波打ち際でつかまえるのではなくて、町を歩いておってお巡りさんが職務質問してつまらぬことで、後から質問をするわけでありますが、つまらぬことでひっつかまって、それがおまえ密入国だ、たまたま偶然にそういうことになるのが密入国を発見する端緒になるというような状況なんであります。そういう密入国ばかりでなくて、正当な出入国に対しまして入管行政の仕事というのは実に対応できない状況ではないか。これは入管行政の基本的な改善というものをなさなければ事態の推移に追いついていないのではないかと私は痛感するわけでございます。 時間がございませんから余り具体的な事例を申し上げるのは省略いたしますが、本国会の冒頭に私は、入管行政について根本的にこんなことでは仕事になっておらぬではないかという意味のことまで言うたわけでありますが、いままで御質問をいたしました出入国管理令の法改正を含めて、その機構のありよう、簡素化もこんなことでは小骨を取ったぐらいのことで大骨は幾らもたくさんあるわけであります。どういうふうにこれから入管行政を改善されようとするのか、一遍基本的な考えを承りたいと思います。
○倉石国務大臣 私、入管の東京の事務所等に参りまして、ただいまお話しくださいましたように全く大変なことだなあと痛感をいたした次第であります。 したがって入管行政につきまして、たとえば予算の編成等についてもできるだけの努力をいたした次第でありますが、お説のとおり、入管の業務はあのままではなかなかうまくいかない、大変力に余る仕事をやっておるのでございまして、これらのことについて入管局長からひとつお答えをいたさせます。
○小杉政府委員 実は先般の法務大臣の当委員会における所信表明に関連いたしまして、横山先生から非常に具体的な数字を挙げて入管の業務量の増大と、これにいかに今後対応していくのかという点についてのお尋ねがあったわけでございます。 先生の事実関係の御認識は非常に正確でございまして、確かに私どもの抱えております業務量というものが年々歳々とどまるところを知らず増大していく傾向にあるというのは事実でございます。これらに対応するための正攻法と申しますか本来の姿、対応策を考えますと、これは定員の増加、予算の増加それから機構の新設というような手だてを講じなければなかなか対応がむずかしいのではないかという性質の問題でございます。 しかしながら御存じのとおり、昨今の非常に厳しい国家財政事情のもとにおいて、予算の増も定員の増もわれわれの希望どおりに必ずしも実現することが可能な状況ではないわけでございまして、そこらのところから、実は私どももかねてから、すでに与えられた定員の範囲内において、その定員を適正な再配置をすることによって事務の効率化を図る、そういうかっこうで乗り切っていくべきだという認識を持っておりまして、機構改革の問題等考えておったわけでありますが、今般、入管局の機構に行革の関係で手が入ることになりましたが、この機会に行革の、私どもにとってみれば一種の災いに近いことでありますけれども、災いを転じて福とするというような方向でいろいろ知恵を出していきたいと考えておるわけでございます。 さらに、出入国管理令であるとか外国人登録法等関係法令の整備、これも確かに今後の問題として、少なくともいま先生が御指摘になられましたような入管の業務運営のあり方をより効率的、経済的なものにするという観点からの改正というものもあわせ考えていかなければならないと考えております。
○横山委員 定員の増加、予算の増加、機構の新設ということは、私はどうしても必要だと思わざるを得ません。思わざるを得ませんが、同時に、いまお話しのように法律を思い切って改正して手続を簡素化するということはまだまだ十分残っておるし、それから大村収容所も思い切って簡素化してしまったらどうかと考えます。 同時に、いまから公安調査庁にお伺いするのですが、やはり外国人の問題で、公安調査庁については私は何回も言うておるわけでありますが、朝鮮総連と日本共産党をいつまでも破防法の調査指定団体にしておる。そんなものは、共産党の同僚諸君きょうはおらぬが、堂々とわれわれと机を並べて国会で仕事をしておる天下の公党をいつまでも、そういうことをかつてやった、いまでもやるおそれがある、したがって調査指定団体であるというのは世間が笑いますよ。 朝鮮総連でもそうであります。朝鮮総連は、機構は昔のあなた方が指摘されるような組織とは変わっておるし、日本国内の自分たちに関係のない問題についてはほとんどこのごろは介入しない、そしてまた与党から野党全域にわたるまで友好的な関係にある。そういう朝鮮総連をいつまでも調査指定団体として、膨大な予算と膨大な人員を全国的に配置して特別な調査をやっておるということはばかげておるではないか。先ほど言ったように南北朝鮮の国際情勢も変化しておるときに、いつまでもそんなことをやっておるから金が要る、人が要るということにもなるわけでありますから、そこのところをもう少し考え直したらどうか、こう思うのでありますが、朝鮮総連の調査指定団体解除についてどうお考えになりますか。
○西本政府委員 お答えいたします。 公安調査庁は破防法の法条に該当する疑いのある団体については調査いたしておりますけれども、特定の団体の名称を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○横山委員 いまになってしゃあしゃあとそんなことを言って、この前は指定解除するかせぬかということでいわゆる特定の二つの団体について私が質問して、それはちょっとぐあいが悪いということを大臣からあなた方まで言っておいて、いまになって何でそういうとぼけたことを言うのですか。
○西本政府委員 ただいまの横山議員の御指摘のように、過去におきまして国会で調査対象団体の名称を申し上げたことはございますけれども、事柄は内部的な問題でございますので、公表は差し控えさせていただくことにしていただきたいと思います。
○横山委員 勝手過ぎるじゃないか、そんなこと。過去には言ったけれども、いまは言わぬ。それでは過去言ったのは間違いだったのですか。いつからそうなったのですか。
○西本政府委員 先ほどお答えいたしましたように、このたびから公表することを差し控えさせていただきたいという趣旨でございます。
○横山委員 このたびから私どもの御都合で御答弁できません、そんなあなた、国会をばかにした言い方がありますか。過去は言ったけれども、このたびからそういうことは言いませんから御勘弁を。法務大臣、それは法務委員会をなめていやせぬかね。何でそういうことになったのかということをもう一遍われわれが納得するような説明でもあるならともかく、今回からはお答えできません、どうしてそんな人をばかにしたような答弁があるのですか。
○西本政府委員 お答えいたします。 対象団体の指定ということは法律、政令、省令などにおいて制度として定められているわけではない次第でございます。そういたしますと、指定と申しますのは、国家行政組織法に基づきまして行政機関の長の権限として、そのときの公安情勢や特定の団体の活動の実績から、破防法の四条、五条、七条に該当する幾つかの団体のうち特に注意して調査すべきものとして指定したことがある次第でございます。したがいまして、過去においてその団体名を国会において公表したことはございますけれども、先ほど申しましたように事柄は内部的な問題でございますので、公表は差し控えさせていただきたいという趣旨でございます。
○横山委員 わからぬ。過去には言ったけれども、これからは言いません、それはわかった。何でそういうことになるのかということについての説明がないわけです。これは内部の問題だから言わないことにする、行政内部の問題だから言わないことにする、こういうことらしい。そんな勝手なことがありますか。 われわれは国政調査権をもってあなた方に対してそれを説明しろと言っておる。その説明しろと言っておる国政調査権を侵害をする勝手な決定を公安調査庁はなさったということですか。それは公安調査庁の庁議でなさったのか、法務大臣の認可を受けてそういうことになったのか、どちらですか。
○西本政府委員 それは全く公安調査庁の内部の問題でございますので、公安調査庁においてそのような公表をしないということにした次第でございます。
○横山委員 それでは法務大臣に伺います。 そんな勝手な話がありますか。公安調査庁が勝手に決めて、国会をばかにした決定をして、私どもに説明をせぬ、答弁をしない、そんなばかなことがありますか。それはだめですよ。大臣どう思いますか。
○倉石国務大臣 公安調査庁は御存じのような破防法による任務をもってそれぞれの持ち場で活動しているわけであります。 そこで、特定の団体等のことはいままで言っておらなかったのではないかと私は思っておったのでありますが、そのことをそこまで私はよく存じませんでしたが、とにかくあなたの仰せられましたことの御趣旨は、私も承っておってよくわかります。わかりますが、調査庁は調査庁でやはり法律によって決められた任務を実直に遂行しているものだと存じておるわけでありますが、それらのことにつきましてはなお一遍よく検討してみたいと思います。
○横山委員 そうすると次長に伺いますけれども、国会では言わぬけれども、破防法に基づく調査指定団体は現にあり、かつその調査は従来と変わらず継続しておる、こういうことですか。
○西本政府委員 公安調査庁が調査している団体はございます。ただ指定している団体については、これは先ほど申しましたように公表は差し控えさせていただきますけれども、破防法に基づきまして調査している団体は、これはございます。
○横山委員 何というかよくわからぬけれども、調査指定団体はないけれども、調査をするように指定をしておる団体はある、こういうわけですな。どこが違うんだね。
○西本政府委員 調査の対象となっている団体はございます、そういう趣旨でございます。
○横山委員 調査指定団体と調査の対象にしておる団体と、どこが、どういうやり方が違うのですか。実態はいままでと変わったのですか変わらぬのですか。
○西本政府委員 先ほども申しましたように、指定というのは制度でないわけでございますから、全く事実上の問題でございます。したがいまして、調査の対象となっている団体はあるということは何ら矛盾しないと考えておりますが……。
○横山委員 実態がいままでと違っているのですか違ってないのですか。どうなんですか。やり方を変えたのか、名前が変わっただけなのか。
○西本政府委員 従前と調査の方法などは変わっておりません。
○横山委員 ばかにしていますよ、実際。従前と何も変わっておらぬ、これからは国会に言わぬだけだと。納得できませんな、そんなことは。これは大臣、初めて聞いたと思うのですが、国会をばかにしておる。 委員長にお願いいたしますけれども、これは私は納得できません。事実上何も変わりはない、国会にこういうことは言わぬだけだ、こういう話であります。こんな失礼な、国会をばかにしたことについて私は納得できません。私は大体、調査の対象となっておる団体、そういうものから朝鮮総連と日本共産党を外すべきだ、それが予算の節約にもなり人員の削減にもなる。したがって、法務省全体の機構改革の中に重要なものとして貢献ができる私の提案だと思っているわけですよ。その基本的な主張ももちろんさることながら、そんな国会をばかにした答弁は納得できませんから、委員長に次回理事会において御協議を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○木村委員長 横山委員の御発言については十分考えておきます。
○横山委員 この外人登録法につきまして、今朝の理事会におきまして私が申し上げたのでありますが、時間の関係もございますから、要約して四点の問題点を提起をいたします。この問題点のほかにもいろいろあるのではありますが、少なくとも法務省として、この四点について修正をなさるかあるいは附帯決議に応ぜられるかあるいは解釈としてわれわれの要望を入れられるか、私どもが十分納得する方式について御答弁を願いたいと思います。 第一は、外人登録証の常時携帯あるいは呈示義務についてであります。一時旅行者でない者に一年以下の懲役または三万円以下の罰金は過重ではないかという点であります。 第二番目には、登録事項中、行監の指摘した職業や勤務個所、所在地等について改正されていないが、一般外国人と違い、職業、居所の自由を保障されている外国人には過重な義務を課しているのではないか。 第三点として、未成年者にも十四歳以上の者に登録、携帯、呈示の義務を課しているためにトラブルが非常に多い。学生なんかが特にそうであります。これは必要はないのではないか。 第四番目に、市長村長に登録の際事実確認義務を課していますが、これは実際問題として実行不可能ではないか、簡素化に逆行するのではないかという四点であります。 時間の関係上要約して申し上げたのでありますが、政府側の御意見を伺いたいと思います。
○小杉政府委員 第一点の証明書の常時携帯、呈示義務についてでございますが、私どもといたしましては、外国人登録制度というものを担保するためにどの程度の罰則を科するのが相当であるかということは、この制度の必要性やあり方自体と関連する問題でございまして、にわかにそれが重いとか軽いとか軽重を論ずることは困難ではないかという気がいたします。登録証明書の常時携帯、呈示義務というものは、少なくとも現在の外国人登録制度を維持してまいります以上は、この制度の基本的事項、根幹にかかわる事項であるという認識を持っておりますので、これらの基本的事項に対する違反として一年以下の懲役または禁錮を定めた法定刑というものは、一応妥当なものではないかというふうに考えておるわけでございます。 ただ現行法の罰則につきましては、このような基本的事項にかかわりのある違反の場合もあるいは形式的、手続的なより軽微な違反の場合も全く画一的に罰則が定められているという点、確かに再検討を必要とするのではないかと思われる点もございますので、これらの点につきましては基本問題の一環として検討してまいりたいと考えておるところでございます。 それから第二点の、行監の指摘した職業や勤務個所、所在地等について改正されていないという点でございますが、この点につきましては、外国人登録法の第一条にございますように、登録法の目的というものは外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめるということが最大の眼目でございまして、居住関係及び身分関係を明確にする場合には、当該外国人の国籍、住居、職業、氏名、生年月日というようなものによって特定、明確化するというのが通常であろうと考えるわけでございまして、国籍等と同様、職業につきましても変更があった場合には十四日以内に変更登録をさせる必要があるというふうに私どもは考えておるわけでございます。 仮に入管令上、在留活動の制限を受けていない者につきましての職業の変更登録を免除するということにした場合、先生も御存じのとおり、入管令の四−一−十六に該当するその他の外国人、これもまた在留活動の制限を受けないわけでございますから、これらの外国人との関係でいわゆる処遇の平等を害することになるという点に大きな難点があろうかと考えるわけでございます。 さらに第三点でございますが、未成年者にも登録携帯、呈示義務を課しているという点についての御指摘の点でございますが、確かに現在の登録法は十四歳以上の外国人に対して証明書の常時携帯、呈示義務を課しておるわけでございますけれども、義務教育の年限にある者についてまでこのような義務を課すのは適当でないという批判につきましては十分に考慮する必要があるというふうに考えておりまして、外国人登録制度の基本的なあり方についての検討作業の中で、この年齢をどの程度まで引き上げるのが相当であるかということについて検討してまいりたいと考えております。 それからさらに最後の、市町村長に登録の際事実確認義務を課しているが実行不可能ではないか、簡素化に逆行するのではないかという御指摘でございますけれども、現在の登録証明書の引替交付、再交付の際に、市町村長に今回確認の義務を課したわけでありますけれども、この確認の義務というものは外国人から提出されました申請書等に基づいて登録原票の記載が事実と合っているかどうかを確認することでございまして、このことは現行法のもとでも新規登録、登録の切替のときに市町村長が行っている事実の確認と全く同じことでございます。 この登録原票の記載が事実に合っているか否かということについては、現行法のもとにおける引替交付、再交付の際においても事実上市町村長が行っているわけでありますけれども、これを市町村長の義務とすることによって特にその負担が増大するということにはならないわけでありまして、むしろその次の切替をその切替交付なり再交付をしたときから三年後にすればよいということにしてあるわけでございますから、総体的に見た場合には事務の簡素化、合理化に資するところが多いというのが私どもの判断でございます。また、この改正につきましては、かねてから市町村長の方からの要望事項であることを申し添えたいと存じます。 以上でございます。
○横山委員 大変不十分な御答弁であります。 まず第一に、一、二点は将来検討したいとおっしゃるけれども、先ほどるる詰めたように、将来がいつのことか少しも明言がされておりません。また外国人登録法が長年の間において今回改正されるのでありますが、この次が保証ができないもの、いつ改善されるかわからないことについて答弁に納得するわけにはまいりません。 それから、たとえば第四点で、いまでも普通の場合にやっておるよ、今回は再交付の場合だけだ、一緒のことなんだとおっしゃるけれども、法文の形態は明らかに違うのでありまして、今回は確認しなければならないと明らかに義務を課したという点については、法解釈上重要な義務を市町村長に課した、いままでと違った法文の体系であることは御存じのとおりだと思うのであります。 事ほどさように、野党としてこの四点についての改善を求めたのでありますが、本件について十分な答弁が得られないことは大変遺憾なことでございまして、委員長にお願いをいたしたいのでありますが、これも重ねて理事会で御討議をお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。
○木村委員長 理事会で考えます。
○横山委員 それでは、その際に私の意見をさらに敷衍して述べることにいたしまして質問を終わることにいたします。
○木村委員長 稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 外国人登録法の一部改正案についていろいろ質問するわけですが、これは外務省は呼んでないけれども入管局長で十分答弁できると思っております。 国際人権規約との関連で聞くわけですが、まず国際人権規約が国連で採択されたのは一九六六年の第二十一回総会でしょう。それから一九七六年に発効して、そして日本は一九七八年五月三十日に署名をして、六月九日第八十四国会に提出されて継続審議になり、七九年六月六日に可決、批准されたというわけです。これはA規約、B規約、いろいろありますが、いずれにしてもこういうふうにおくれた理由はどういうところにあるわけですか。
○小杉政府委員 私も実はこの国際人権規約がなぜ批准がおくれたかについて正確な知識を持ち合わせておらないので、まことに申しわけないと存じますが私にはちょっとお答え申し上げられない点でございます。
○稲葉(誠)委員 それで、これは国会の外務委員会における七九年五月八日の附帯決議というか政府への要望決議がありますね。 その中にいろいろあるわけですが、第三に「すべての者は法の前に平等であり、人種、言語、宗教等によるいかなる差別もしてはならないとの原則にのっとり、外国人の基本的人権の保障をさらに充実するよう必要な措置を講ずること。」というのがある。このことは御存じだと思いますが、「外国人の基本的人権の保障をさらに充実する」こういうことですね。 そうすると、本件のこの外国人登録法の中において、いま言ったようなさらに充実するというところは、どこがさらに充実するというところになっているわけですか。在留外国人の基本的人権の保障が日本においては不十分である、そういうふうな点から、どこをどういうふうにしていったらいいかということについてお伺いをしたい、こういうふうに思うわけです。
○小杉政府委員 実は、ただいま先生から御指摘がございました、附帯決議の文言との関係において外国人登録法のどの規定をどのようにしたらその趣旨に合致するかというたぐいの検討はいたしておらないのでございますけれども、現在外国人登録制度の基本的なあり方というものについて抜本的な法改正を含めた検討を進めておりますので、その過程において、ただいま先生御指摘の附帯決議の文言を十分頭に入れて検討してまいりたいというふうに考えております。 この基本的な制度の抜本的改正ということを考えるに当たりまして、私どもとしては、いわゆる長期在留外国人の処遇の問題というのが一番頭の痛い問題でございまして、このような長い期間在留しておられる方の中には、協定永住許可を受けておられる韓国人のほかに、まだその法的地位の未確定な法一二六−ニ−六該当者ないしは台湾出身者等々及びその子孫が含まれておりまして、これらの者の法的地位及び処遇を決定いたしませんと、万事物事がうまく動かないというような点がございまして、種々頭を痛めておるところでございます。
○稲葉(誠)委員 いま言った頭を痛めておるという表現がいいか悪いかは、言葉じりをとらえるつもりはありませんからそれは別として、いまの長期在留者という意味は、戦争中は日本人だった者が戦争が終わって日本人でなくなった人のことを言うのだろう、こう思うのですが、これは外国などの例では、その際に国籍選択をどうするかということは当然自由が与えられておったろうと思うのですね。 日本の場合は、そのときに国籍選択の自由が与えられなかったんじゃないか。それでみんな日本人でなくなってしまったということだろう、歴史的にこういうふうに考えられるわけですね。それはどういうわけなんですか。どういうわけで国籍選択というものをそのときにさせなかったのですか。これは外務省のあれかもわかりませんが、あなたも外務省出身でしょうから、おわかりになる範囲でお答え願えれば、こういうふうに思うのです。
○小杉政府委員 ただいま問題になっております台湾、朝鮮出身者の国籍の問題、これは平和条約において規定されておるわけでございますが、私自身、遺憾ながら平和条約締結に際しましてあの条項がどのような経緯で挿入されたものか必ずしもつまびらかにいたしておりません。 確かにお説のとおり、国籍選択の自由というものがあの条約の中で認められていると仮定いたしますれば、恐らくいまとずいぶん変わった事態があり得たのではないかというふうに考えます。さらには日韓の基本条約ができた段階においても、なおかつ同じような状況があり得たのではないのかと思うのでございますが、これまたいかなる理由によって現在のような体制になっておるのか、必ずしもつまびらかにいたしておりません。
○稲葉(誠)委員 そうすると、いま言った問題の中で大きな問題は、いわゆる法律一二六号の人、それからその子供と、いまはもう子供よりもむしろ孫がだんだんふえてきておる状況ではございませんか。だから、一二六の者、その子供、孫、子供と孫が一般永住ですか、それで三年でしょう。これをどういうふうにしていくかということが今後の一つの大きな問題になってくるわけですね。それについてはどういうふうにお考えなわけですか。
○小杉政府委員 これまた将来の問題に相なるわけでございますけれども、基本的には、法一二六−ニ−六の該当者、及びその子あるいは孫、この方たちは四−一−十六−ニというステータスで三年切替の形になっておるわけでありますが、これらの方たちと、日韓の在日韓国人の法的地位及び待遇に関する協定によって認められるいわゆる協定永住権者と申しますか協定永住者、これとの均衡、バランスの問題がまず先行するのだろうと思います。しかる後、それをまた別に離しまして一二六の場合だけを考えた場合、一二六−ニ−六の子孫である一六−ニの該当者の方たちの法的地位を少なくとも法一二六−ニの六の該当者とそろえるということが一つあり得る解決策であろうと思います。 ただ、そこまでの改正ということは、現時点ではまだ具体的な日程に上る作業段階になっておりませんけれども、中間的な措置といたしまして、先般、一六−ニの方たちの中でももし希望があれば一般永住へ切りかえを認めるという措置をとりまして、現に一般永住の許可を受けて実質的に法一二六−ニと同じの待遇を獲得された方がすでに出ております。
○稲葉(誠)委員 その一二六と同じようなというか、それは一般永住だから違いますけれども、それはいわゆる外国人登録証の記載が韓国となっている場合と朝鮮となっている場合とに区別をしない、差別をしないで両方をそういう形にしていますか。 〔委員長退席、山崎(武)委員長代理着席〕 あるいは韓国だけの外国人登録証の国籍欄の記載だけのものに限っているのですか。
○小杉政府委員 国籍欄の記載がどうであるかということにかかわりなく措置いたしております。 現在、私の記憶が正しければ、四−一−十六−二から一般永住に切りかわった方が四名おったと思いますが、これはいずれも中国籍でございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、いまの外国人登録法の改正の問題に関連をして、附帯決議の中では、いま言ったような在留「外国人の基本的人権の保障をさらに充実するよう必要な措置を講ずること。」と、それからA、Bの両規約に従って「必要な国内措置を講ずること。」この二つが問題とされているわけですね。 そうすると、それと今度の外国人登録法の改正とは直接は関係ないわけですか。今度はきわめて技術的なことだけを解決したということですか。
○小杉政府委員 御指摘のとおりでございます。今回の改正は、基本問題については一切触れず、いわゆる事務の簡素化、合理化という観点からの改正でございます。 さらに、御承知のことと存じますが、これは昭和四十九年の行政監理委員会の許認可事務の簡素化に関する答申に即して行っております改正でございます。
○稲葉(誠)委員 いまお話が出たのは、行政監理委員会の昭和四十九年十一月六日の「許認可等に関する改善方策についての答申」、そうですね。そして四つの点ですね。イ、ロ、ハ、ニとあります。一が入国名の登録申請期間の緩和、二が登録原票記載事項のうち居住地、氏名、国籍以外の変更申請期間の緩和、三が登録証明書の三年ごとの切替交付期間の緩和、四が再入国の場合の登録証明書の還申請の廃止ですね。この四つの改善答申、これが今度の改正の中にはどこにどういうふうに生かされておるわけですか。
○小杉政府委員 最初の登録期間の延長というのは、今回の法律の三条に組み込まれておるわけでございます。 それからさらに、登録原票記載事項に変更を生じた場合の変更登録に関しましては九条に定めがございます。 さらに、新規登録を受けた日から三年ごとの切替交付申請を受けなければならないことになっておりますのを、引替交付申請等の申請をして新たに登録証明書の交付を受けたときは、そのときから三年に延長するという関係が第六条、七条、十一条と三つの条文にわたって規定されておるわけでございます。 さらに、再入国許可を受けて出国する者が登録証明書を携帯したまま出入国できるということが第十二条の二として規定されておるわけであります。(稲葉(誠)委員「廃止しているじゃないか」と呼ぶ)はい、廃止した結果この目的が達せられるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 いま私が最初のところで言った入国名というのは入国者の誤りです。これは直しておきます。 そこで、いま言った行政監理委員会の四つの事項について、今度の改正は違っているところがありますね。その違っているところはどういうふうなことから違ってきたのか、これを御説明を願いたい、こう思います。
○小杉政府委員 お答え申し上げます。 登録期間の延長に関しては答申どおりでございます。それから登録原票記載事項に変更を生じた場合、この場合の答申との差は、職業や勤務個所及び所在地等について行監の方の勧告では要らないのではないかということでありましたが、これが含まれているということ。それからさらに、前回の行監の答申におきましては在留期間、在留資格についても要らないのではないかということになっておりましたが、それが今回のには含まれておるということ。実はそれだけであると思います。
○稲葉(誠)委員 それだけですね。 そこで問題になってくるのは、この外国人登録法を改正するについて、法務省当局はどことどこと相談をしてこの改正案を提出するようになったわけですか。
○小杉政府委員 これはかなり幅広い問題を種々含んでおりますので、外務省、警察、海上保安庁、それからさらに自治省でございます。
○稲葉(誠)委員 それは自治省はもちろん委任行政で登録を扱いますからわかるのです。外務省もわかる。そこで、警察となぜ協議をしなければならぬのですか。また、なぜ協議をしたのですか。
○小杉政府委員 これはやはり外登法の中に刑罰に関する処罰規定がございまして、その関連において外登法の運用上警察も一翼を担っているという関係に相なっておるというふうに理解いたします。
○稲葉(誠)委員 このいま言った職業と勤務所または事務所の名称及び所在地、これについては初めの法務省の案ではないですね。警察が固執してこれが入ったんですね。これは入管当局からそういう説明を聞いているのだから間違いないですよ。職業と勤務所または事務所の名称及び所在地というのは警察が非常に固執した、そうでしょう。警察来ていますか、どういう理由でこれを固執したのですか。
○鳴海説明員 警察にも、この外登法の改正に当たりまして何か意見はないかということで法務省の方から意見の聴取があったわけでございます。 私どもは御承知のように捜査をする捜査機関でございまして、そういう観点から、この外登法というものの中に刑罰規定がございまして、その違反があればこれについて捜査をするという立場にあることは御承知のとおりでございまして、外国人の管理、処遇のあり方そのものについてどういうふうにすべきかということは必ずしも警察の所管に属することではございませんが、せっかくの御意見を徴されたという機会に当たりまして、こういった外登法という法律のあり方、すなわち外国人の公正なる管理、適切なる外国人に対する処遇といったような面から、特に適正に外国人を管理するという観点から、やはりこういった職業等のことについても条項を残すべきではないかという御意見を申し上げたことは事実でございまして、それにつきまして入管当局御検討の上、今回のような改正案になったというように承知いたしております。
○稲葉(誠)委員 そのとおりですね。これは警察が非常に固執してがんばったのです。そうすると、行政監理委員会ではなぜ職業とか勤務所または事務所の名称及び所在地というものを省いておったのですか。それは入管当局どうなの。
○小杉政府委員 四十九年の答申が出ました当時に行政監理委員会御当局がどういうお考えでおられたのか、実は当局から申し上げるべき立場にはないわけでありますけれども、考えられることといたしましては、行監当局はもっぱら行政の簡素化、合理化というような観点から外国人登録事務を検討された結果、あのような勧告になったのではないだろうか。 これに対しまして入管局といたしましては、外国人の管理を担当するわけでございますから、その立場から見た場合には、行政の簡素合理化もさることでございますけれども、適正な入管行政の遂行というものが何よりもやはり第一目的でございまして、このような立場の相違から勧告と改正案との間の差が出てきたのではないだろうか。実は、四十九年十一月に答申がございまして、その翌年の一月の通常国会にはすでに法案が出ておるわけでございまして、その法案の中に、先ほど来御指摘の職業、勤務所の名称等が入った形で出ております。したがって、非常に短期間に意見調整が行われたのか、あるいは先ほど私が申しましたような見方の差というものが当時調整されないまま答申が出たというようなことではないのかという気がいたします。 いずれにいたしましても、私どもの方で当時この問題をもっと十分に検討した上で行監当局と連絡を十分していれば、あのような答申が出なかったのではなかろうかということで、この点反省いたしておるところでございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、日本にいる外国人というのは、ことに戦前からいる外国人たちは職業選択の自由というのはないのですか。
○小杉政府委員 職業選択の自由はもちろんございます。
○稲葉(誠)委員 職業選択の自由があるなら、それに対して制限を加えるという——憲法で認められているわけでしょう、外国人でも「何人も」というところには入りますね。 そうすると、憲法で認められているものを、こういうふうなことによって事実上職業活動について、制限をしているとは言えないけれども、一々届け出をしなければならぬということはおかしいのじゃないですか。非常に煩瑣になってくるんではないですか。実際問題として非常に煩瑣になってきて市町村も困るのではないでしょうか。こういうふうなものを入れなければならないという理由は全くないと私は思うのです。 それは、単に取り調べのためのもの以外の何ものでもない。これはおかしい。私はそういうふうに思いますね。これは市町村はかなわないですよ。市町村の声を聞いたことがありますか。市町村は外国人登録で、たとえば個人個人がやらなければならぬでしょう、世帯主一人でやるということを認めてないから大変混雑が起きて困っておるということでして、こんなことは入れる必要はない。警察が取り調べるために入れたのです。外国人というものは犯罪者だという前提でもないかもしれぬけれども、そういうような考え方のもとに入れたのですね。これは私どもは賛成できません。特にこんなものは削除すべき筋合いのものである、このように考えます。 それで、この前出したときは許認可のものを二つに分けてこの部分を廃案にして別のところだけこの前の国会では通した、そういう形でしょう。これはどうしてもなければいけないのですか、どういうわけなんですか。
○小杉政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたのは、二つに分けて片方だけというのはどういう御趣旨かはっきりいたしませんが、五十年の通常国会の内閣委員会で行われましたことは、職業、勤務先の問題を特に取り上げてということではなくて、外国人登録法の一部改正に関連する部分全部を許認可整理法案から落とすという形で行われたわけでございます。 さらに、職業、勤務所の名称等これは私どもなぜ必要と考えているかと申しますと、職業及びこれとうらはらの関係にある勤務所の名称等というものは、国籍、氏名などとともに外国人の身分関係事項を具体的に明らかにするための必要事項だというふうに考えるわけでございます。国籍はもちろんのことですが、氏名、職業、生年月日という幾つかのメルクマールがあるわけでございまして、これを具体的に私ども外国人の身分関係事項を明らかにする上での必要事項というふうに考えておるわけで、私どもの現在の行政の観点から申しますと、外国人の資格外活動であるとか目的外活動というものを取り締まるべき立場にあるわけでございまして、そのような職業あるいは勤務先の変更というものが速やかに外登証の上に反映される必要があるということは自明の理ではないかと思います。
○稲葉(誠)委員 二つに分けたというのは、許認可の法律が出たときに外国人登録法関係のものは省いたのでしょう。省いて別のところだけ通した。外国人登録法関係がなぜ省かれたかというと、これは私どもが内閣委員会と連絡をとってやったことですから、いま言ったようなことが入っていて、その他のこともありますけれども、特にいろいろな変更届を市町村に出すのではなくて入管事務所に届け出るようになっていたでしょう。非常に遠いところまで行かなければならないというようないろいろな理由もあって、それでそれを省いて別のところだけ通した、こういうことですよ、二つに分けたという意味は。 そこで、いま外国人の管理ということを盛んに言われるわけです。そうすると、外国人登録法の中にある条文を見ると、公正な管理とかなんとかという言葉が書いてありますね。それから戸籍法の場合は日本人に対する関係ばかりでもないでしょう。戸籍法には「戸籍に関する事務は、市町村長がこれを管掌する。」と書いてある。そうでしょう。それから住民基本台帳法を見ると、目的は、ややこしいことが書いてあるけれども「住民に関する記録を正確かつ統一的に行なう住民基本台帳の制度を定め、もって住民の利便を増進し、あわせて国及び地方公共団体の行政の合理化に資することを目的とする。」こういうふうに書いてあるわけですが、そうすると、この戸籍法については在日外国人特に在日朝鮮人なども含まれる、適用されるわけですか、住民基本台帳法も含まれるわけですか。
○小杉政府委員 ただいまお尋ねの点は私どもの方の所管事項でございませんので、正確な御答弁ができない次第でございます。
○稲葉(誠)委員 正確な答弁ができないと言ったって、そんなことは聞けばわかるでしょう。常識じゃないの、それは。これは自治省でしょう。それは自治省を呼んでないからあれかもわかりませんが、ここでは管理という言葉はないですね。 まず、管理という言葉の前にある登録という言葉、登録というのは一体どういう意味なんですか。これは住民基本台帳法によると、公証という言葉もありますね。「住民の居住関係の公証、選挙人名簿の登録」こうありますね。戸籍法では「戸籍の記載」でしょう。これはどういうふうに違うの。記載だとか公証だとか登録だとかいうことはどういうふうに違うの。
○小杉政府委員 この登録と申しますのは外国人登録法の四条に詳細な規定がございますが、外国人は第四条に書いてございますような合計二十項目について登録原票に登録するということになっておるわけでございまして、なお住民基本台帳法は外国人には適用がないということのようでございます。それから戸籍制度については、出生を除き適用がないということのようでございます。
○稲葉(誠)委員 だから、登録というのは登録簿に登録するんだ、そんなことはあたりまえの話なんで、登録というのは行政法上どういう行為を登録というのですかと聞いているわけです。
○小杉政府委員 御存じのとおり、入管局長と申しますのは法務省のその他の局長と違いまして判事でもなければ検事でもない、ひどく法律には暗い人間でございますのでお許し願いたいのでございますが、結局登録と申しますのは、外国人に、登録法の第一条に書いてございますように、外国人の居住関係、身分関係を明確ならしめるために、ここに記載がございますような二十項目について登録をさせることによって適正な在留管理に資するということが目的になっている行政行為でございます。
○稲葉(誠)委員 それはわかっているんですけれどもね。まあそれはあなたに聞いてもあれで、そこまで細かい通告をしておかないからこっちが悪いのですから、これ以上あれしませんがね。 そこで、ぼくはこういうふうに思うのですが、たとえば、これは刑事局長に聞いた方がいいのか警察に聞いた方がいいのか、おまえ朝鮮人だろう、外国人登録証を見せろ、こう言ったときに、いや私は日本人だ、こういうふうにがんばったらどうするんだ。
○鳴海説明員 お尋ねのような場合がないとは言えないと思います。また現にあったかとは思いますが、その場合どのようにするか、ここはしかくその間の状況を合理的、客観的につまびらかにいたしまして、その場その場に応じて対処するというのが一般論であろうかと存ずる次第でございます。
○稲葉(誠)委員 だってあなた、顔が似ているのがいるよ。顔が似ているし、言葉だって同じなのがいるよ。日本に生まれた人だから日本の言葉はもうはっきりしている。そういうのを見ておまえ朝鮮人だろうと言ったら、いやおれは日本人だ、いやおまえは朝鮮人だと言って外国人登録証を見せろ、そんなもの持ってない、おれは日本人だと言ってがんばったら、それでおしまいかい、どうするの。関東大震災のときのように、顔が朝鮮人みたいだからといってどんどんつかまえちゃうのか、あなた、これどうするんだ。 〔山崎(武)委員長代理退席、委員長着席〕
○鳴海説明員 なかなかむずかしいケースでございまして、外登証の呈示を求めます場合には、その方が外国人であるということについての判断というものが先行するわけでございまして、その判断をどのようにして得るのかということにつきましては、これはいろいろな要素があろうかと思います。その要素というのはその場その場でいろいろなことがあろうかと思いますので、一般的に申しますならば、そういった状況を判断して呈示を求めるということになろうかと思うわけでございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、警察官が呈示を求める行為というのはどこに規定されておるのですか。公安調査庁の調査官の場合は法律で職権として規定されておるね。
○鳴海説明員 外国人登録法の第十三条の第二項に、外国人は、入国審査官、入国警備官などと並びまして、警察官が「その職務の執行に当り登録証明書の呈示を求めた場合には、これを呈示しなければならない。」という規定があるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 だから、外国人に対して呈示を求めるという職務の執行というのは、具体的に警察官の場合はどこに規定されているの。それは、ただその条文からは出てこないのじゃないですか。警察官職務執行法とかいろいろな法律があるでしょう。その中のどこにこれは出てくるんです。
○鳴海説明員 これはこれまでにも解釈が示されているわけでございまして、一般的にというか唐突にめったやたらに外登証の呈示を求めるということはできないわけでありますし、また現にそういうこともいたしておらないわけでございます。「職務の執行に当り」という職務にはいろいろな場合があろうかと思いますが、たとえば犯罪捜査であるとかあるいは職務質問であるとかそういった際に、これは御案内のごとく警察官の職務の執行でございますが、そういった職務の執行に当たりまして、それに際してこの方が外国人である、その身分を確認するという必要性がある場合に呈示を求める、こういうふうに理解いたしております。
○稲葉(誠)委員 その登録証明書を常時携帯していなければならないというのは、そういう必要性というものはどこからくるのですか。外国人が日本へ来た場合、旅券を持っていなければなりませんね。すると、旅券を持っていなかった場合の罰則と比べるとどういうふうになっています。違いますか違いませんか。旅券法の規定との関係はどうなっています。
○小杉政府委員 実は旅券法の規定をただいま手元に持っておりませんのではっきりいたしませんが、具体的な条文をちょっと思い出さないのでございますけれども、外国人登録証明書を持っておる場合は旅券を携帯しないでもいいという規定が入管令にあったのだと思います。
○稲葉(誠)委員 私の聞いているのは、そういう意味でなくて、旅券法の罰則があるでしょう。旅券法で、旅券を持っていない場合の罰則があるのかないのか。それと、外国人登録証を携帯していなかった場合の罰則とはどういうふうに違うのかと聞いているわけです。
○小杉政府委員 外登証の場合は、常時携帯、呈示義務違反に対する罰則は御存じのとおり「一年以下の懲役若しくは禁こ又は三万円以下の罰金」となっているわけですが、旅券等不呈示罪の場合は罰金一万円ということになっております。
○稲葉(誠)委員 そうすると、罰金一万円では逮捕できませんね。罰金二万五千円以下の場合には逮捕できないでしょう。これは刑事訴訟法に書いてあるんだから間違いないね。 旅券を持っていない場合と外国人登録証を持っていない場合とで、どうしてそんなに刑が違うのですか。一方は禁錮一年以下まで逮捕もできるね。片一方は逮捕できないよ。どうしてそんなに違うのか。
○小杉政府委員 これは結局制度の趣旨、目的に応じまして違反に対する刑罰が異なっている例であろうと思います。 出入国管理令上の旅券等の不呈示罪との関連で申し上げますと、現行の外国人登録法では、本邦に六十日以上在留する外国人に登録義務を課しておるわけでございます。それで、交付されました登録証明書の常時携帯を義務づける一方で、登録証明書を所持していれば旅券等を所持する必要はないという制度をとっておる。旅券等の呈示義務は、主として短期間本邦に在留する者の入国許可の有無であるとかあるいはその内容を把握することができればそれで足りるわけでありますが、登録証明書の場合には、在留許可の有無及びその内容のみならず、日本に在留しております間の身分関係、居住関係等をも把握する、より広範な制度でございますので、両者の罰則に差異があるのは当然ではないかというふうに考えておるわけでございます。 また、一年以内の懲役または禁錮という法定刑も、諸外国の例に徴しますると必ずしも重過ぎることにはなっておらないのでございます。
○稲葉(誠)委員 だけれども、登録証明書の常時携帯、呈示義務というのは外登法十三条ね。それの違反に対する罰則がありますね。これは日本に戦争前からいる人、そしてそれが自分の意思でなくて日本人でなくなった人、こういう人に対しては内国民待遇というものを当然与えるべきであるという国際法上の一つの原則的なものから言えば、こんなのは外すべきではないですか。これはとても重いですよ。細かい適用は後で聞きますが、これは外すべきじゃないですか。在日朝鮮人ことに戦前からいる人、一二六の人たちに対しては内国民待遇でこれは外していい、こういうふうに考えられるのですが、どういうわけですか。
○小杉政府委員 現在の外国人登録法の基本的な考え方は、およそ外国人である限り本邦に在留する人は全く平等にこの制度を適用するという立て方になっておるわけでございまして、一般的な国際的な原則から申しましても、一つの国に在留しておる外国人の在留態様について何らかの差別を設けるということは必ずしも容認されることではないという一般原則があるのではなかろうかという気がいたします。
○稲葉(誠)委員 それは外国人を一二六関係の人とかそうでない人というふうに分けるというのはあるいは繁雑かもしれませんけれども、そういう人たちは元来日本人だったのですからね。元来日本人であった者が戦争に負けて自分の意思によらないで外国人にされてしまった。国籍選択の自由も与えられないでなってしまったというのですから、一般の外国人とは当然区別されなければならない、こういうふうに私は思うのです。 そこで、これは国際人権規約のB規約の第十二条、居住、移動及び出国の自由というのがありますね。だから、国の中において移動の自由と居住の自由というのは権利を持っているわけですよ。そうすると、移動したり居住したりするのに一々こういうような犯罪人扱いをするということはおかしいのじゃないですか、しかもこんな重い罰則をつけて。これは法律ができたときにそこまで細かく精密にやる時間がなかったもので、全部罰則を一緒にしちゃったんですよ。全部罰則は一緒でしょう。こんな例はないわけでして、だからそういう点からいってもこれは当然外すべきだ、こういうふうに思うのです。 じゃ具体的にこれについて、常時でしょう、「常にこれを携帯していなければならない。」というのですね。そうすると、これはふろ屋に行くときも持っていかなければいけないのですか。ふろ屋に行くときとかふろに入るときなんかも持っていなければいけないのか。裸でふろに入るのではなくて、外国人登録証を持ってふろに入るのか。ふろ屋に行くときどうするの、置いていくのですか。それから夏なんか暑くてしょうがない、シャツ一枚でどこかで運動するときにもこれは持っていかなければいけないのか。一体この「常に」という意味はどうなっているのか。
○小杉政府委員 常時携帯の常時という意味につきましては、ただいま御指摘のように、ふろに入る場合あるいは海へ行って泳ぐ場合なおかつ持っていなければならならぬかということに相なりますと、これは結局常識的な範囲内で、そのような場合には除外されるというふうに考えざるを得ないと思います。
○稲葉(誠)委員 だけれども、実際はいままではそうじゃないのですよ。ふろに行くのに持っていなかったというのでつかまった人がずいぶんいるのですよ。それから龍ケ崎の朝鮮人学校の女の先生は、夏暑いからというので教室に行くときに上着を脱いで、外人登録証を教員室に置いていったわけだ。そうしたらあなた、教室まで入ってきて、その女の先生をつかまえているのですよ。そういう事実もあるのですよ。 そういうようなことで、あなた方はそういうふうに言うかもわからぬけれども、下の方の警察官は、常に持っていなければいけないのだというので、常にというのを非常に重く解釈して、ふろに行くのでも海水浴に行くのでもどこでも持っていかなければいけない、夏なんか暑くて上着を脱ぎますからね、こういうときでも持っていなければいけないというふうにやっているようですよ。これは実におかしなやり方で、私は、少なくとも戦前から日本にいる外国人、自分の意思でなくて外国人になった人、日本人であって外国人になった人、これについては当然省くべきだ、こういうふうに思うわけですね。 それで実際には例として、登録証明書を常時携帯しなかったり呈示しなかったということで逮捕されたり起訴されたりしたいろいろな例がありますね。それはどの程度ありますか、不携帯ですね。これは前に私は参議院にいたときに質問したこともあるのですけれども、それはちょっと古い資料ですから、さらに新しい資料があると思うのです。それはどの程度ここのところありますか。
○鳴海説明員 登録証明書の不携帯の事案の件数でございますが、最近の例を申し上げますと、昭和五十三年が三千七百三十六件、五十二年が三千七百七十三件、五十一年が三千五百八十三件、五十年が三千二百九十件となっておりまして、これは全外国人についての数字でございます。
○稲葉(誠)委員 いま言った数字は不携帯ですね。これが現実にどういうような処分を受けておりますか。 ということは、この検察統計年報によりますと、全体に登録法違反についてはほかと比べて起訴率が非常に低いわけです。三制ちょっとでしょう。いまは道交法違反があるから起訴率は非常に高くなっておりますね。いまはどのくらいになっているか、七割くらいになっているのかな。とにかく昔は起訴率が非常に低かったのだけれども、その中で起訴猶予が非常に多いですね。それから犯罪の嫌疑なしも相当ある。こういうことですね。そこら辺のところはどういうような数字になっておりますか。いまの五十年、五十一年、五十二年、五十三年に対応できればいいのですけれども、対応できなければできないで構いません。いま急にそう言われてもあれでしょうから、わかっている数字で結構です。
○前田(宏)政府委員 全般的な起訴率でございます。起訴率と言いますと起訴と不起訴を分母にいたしまして分子が起訴ということでございますが、たとえば刑法犯で言いますと六四%ぐらいでございまして、道交法違反になりますと九七%ぐらいになるわけでございます。その他の特別法犯、これが全体で七四・五%ぐらいになっております。その中に含まれます外国人登録法違反、この起訴率が大体五六%ぐらいということでございます。しかしながら検察統計の上では、外国人登録法の中でたとえばいま御指摘のような不携帯だけというような罪種別の統計をつくっておりませんので、不携帯の起訴率というものは統計的には把握されていないわけでございます。
○稲葉(誠)委員 これは検察統計年報からとった数字を見ると、いままでの全体の外国人登録法違反、一番多いのが登録の切替不申請ですか、不携帯がその次に多いわけですが、登録法違反事件検察庁処理別内訳というのが検察統計年報に出ておるのを見ると、起訴率は三〇%から二〇%台。昭和三十年かな。これは大分古いやつですがね。一九五五年から六一年までのを見ると、こういう起訴率なんですね。それは起訴率がいつごろから五十何%になっているのですか。それはずいぶん高いように思うのですがね。全体の平均は、いま言った一般の刑法犯、道交犯全体をまぜると七十何%の起訴率に大体大ざっぱになっているのではないですか。それから見ると、いまの外国人登録法の起訴率がこの統計では三十何%になっているのが、いま言った五十何%ですか、数字ははっきりしませんが、いずれにしてもほかと比べて低いですね。これはどういうわけでしょうか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの前提の三十年代の起訴率と比べて最近高いではないかということでございますが、ちょっと三十年代の数字を持ち合わせておりませんので、それ自体には的確にお答えができないわけでございます。 最近の、たとえば五十三年の数字を先ほど申したわけでございますけれども、その起訴率が一般のものに比べて低いということ、それほどしさいに分析したわけではございませんけれども、やはり罪質といいますか、その他特別法犯の中には大変重いものもちろん含まれておるわけでございますから、一般的に見て登録法違反というものが一年は重いというような御議論もございますけれども、他の特別法犯に比べれば法定刑としては低いということもございまして、また情状の軽微なものもあるというようなことが若干起訴率の低い理由になっているんじゃないか、かように思います。
○稲葉(誠)委員 いま言ったのは、私は検討しておいてくれと言って資料をあなたの方に渡したはずですよ。その中には、検察統計年報の資料が昭和三十年からかな、古いけれども出ているわけです。ずっと七年間の資料が出ています。これは古い資料ですからあれですが、そのときは三〇%から二〇%、二八%台ですよ。多いときでも三八%かな、こういう段階です。 いずれにいたしましても、いま言った外国人登録法の中で特に不携帯なり提示義務違反というものについては、体刑請求がどの程度とか罰金請求、それから不起訴、嫌疑なしということになってくると、圧倒的に不起訴が多いんじゃないですか。罰金までいかないものが多いんじゃないの。その統計は当然あるはずじゃないですか。そうでないと、この条項が、一年以下の懲役または禁錮または三万円以下の罰金刑というものに処するのが一体妥当か妥当でないかということがわからないわけですよ。実際の運用がどうなっておるかということがわからない。この点についての実際の運用はどうなっていますか。
○前田(宏)政府委員 おしかりを受けるかもしれませんけれども、先ほども申しましたように、検察統計の上では、外国人登録法の中の罪種別と申しますかそれは統計的に把握してないわけでございますので、登録法全般についてでございます。 たとえば五十三年で申しますと、通常受理人員が一万四百六十六でございまして、そのうちの起訴が五千二百二十四、その中で求公判、公判請求が三百三十一、略式請求が四千八百九十三。それから片方の不起訴でございますが、不起訴が三千九百八十六、そのうちの起訴猶予が三千八百五十六とほとんど大半でございますが、そういう数字になりまして、それを起訴と不起訴で起訴率を出しますと先ほど申し上げた五六%ぐらいになる、こういうことでございます。
○稲葉(誠)委員 ということは、外国人登録法の調べで検察へ送るものが非常に多いということですね。多いと言うと語弊があるかもわかりませんが、その数の中で不起訴になるものがほかの例と比べて非常に多いということは、この登録証を持っておるか持ってないかということに対する取り調べというかそういうものが全体として軽微なものに対してまで行われておる。だから非常に過酷に、悪い言葉で言えば乱雑に行われておる、こういうことになるのではないですか。だからこそこんなに不起訴が多いんじゃないの。第一、事実としてどうしてこんなに不起訴が多いのか。 普通、特別法については不起訴がないというのが前提でしょう。特別法については不起訴がないということが前提なんじゃないですか、検察事務の上からおいて。昔、清涼飲料水を逆さまにすると、ボウフラはわかないけれども、ごみがわくでしょう。あれをやると全部起訴できるわけだ。それで件数がうんとふえるわけですよ。昔は警察なんか事件が足らなくなるとあれをやってきたんだ。清涼飲料水取締法とかなんとか、びんを逆さまにしてみるとごみがわいてくるんですよ。あれを件数にしてふやしてくる、みんな罰金取れるわけです。昔はそれで事件をふやしてきたんです。いまは違うでしょうけれども。特別法については取締法規なんだから不起訴はないというのが前提でしょう。それはそうでしょう。それは検察の第一原則ですよ。にもかかわらず、これだけ不起訴がある、起訴猶予があるということは、いかに捜査が乱暴に行われておるか、こういうことですよ。弾圧と言うと言葉が悪いかもわからぬけれども、そういう意味で行われているということを意味しているわけですね。 だから私の聞くのは、取締法規については不起訴ということは原則としてないんだ、こういうことをわれわれは教わってきた。いまでも恐らくそうだと思うんだな。こんなにも不起訴があるということは、いかに取り調べというか検挙が大ざっぱにというか乱用されて行われているか、このことを意味しておる。それ以外に考えられないんじゃないですか。
○前田(宏)政府委員 稲葉委員がかつて御在職中と言うと失礼でございますがそういうようなことがあったかどうか、私はよく存じませんけれども、特別法犯でありますからといって不起訴がないということはないわけでございまして、私ども、当然それぞれの事案に応じて起訴すべきは起訴し、不起訴にするものは不起訴にするということでやってきているはずでございます。 ただ逆に、いまおっしゃいましたように、登録法違反で不起訴が多いんじゃないかということでございますが、これは一面から言いますと先ほどのような見方もあるいはあるかもしれませんが、反面から言いますと、検察当局といたしましては、事案の軽重といいますか内容に応じて情状が酌量すべきものというものについて適切な処理をするということから、当然起訴しなければならぬということでなくて不起訴にしてよろしいものも相当入っている、そういう、むしろ運用よろしきを得ているんじゃないかというような感じさえするわけでございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、起訴猶予にしたものはどんな例がありますか。
○前田(宏)政府委員 そう詳しくは承知しておりませんけれども、いろいろと、手続違反のことでございますから、本人がうっかりして手続が若干おくれたというようなこともございましょうし、また外国人全般について申しますと、国内法について若干知識が不十分であるというような点もあろうかと思いますし、また反面、何日間おくれたけれども直ちに是正措置がとられているというようなことも、そういういい情状といいますか有利な情状に当然入るのじゃないかと思います。
○稲葉(誠)委員 それは切替のときがおくれたとかなんとかいう場合には市町村が告発しなければならぬわけです。告発義務を課しているわけですから、もうむやみやたらに告発というか通知せざるを得ないから、だから件数がふえちゃって、そこで、こんなものということで不起訴にしちゃう場合があるのですが、私の言うのは、いま言った携帯、呈示義務の問題に関連して、これはそこだけで統計をとってないというからわかりませんが、いま、ふろ屋に行った場合だとか野球をやりに行ったときに持ってなかったとか、夏暑いのでつい上着を脱いで持ってなかった、そういうような場合にまで事件として送っているわけですよ、警察が。だからこういうふうに起訴猶予がふえているんだ、こういうことなんですよ。だから捜査というか、ことに在日朝鮮人に対する管理というか——管理じゃないんだな、取り調べというか弾圧というか、そういうふうなものが露骨に行われておるんで、行き過ぎているからこそ、こういう不起訴が多いんだ、こういうことになると私は思うわけですね。 そこで、この条文は罰則が全部一緒ですね。これはどういうわけなの。率直に言うと、そこまで検討する暇なかったのでしょう。この法律は急につくったのでしょう、アメリカから言われて。どうなの、これは。こんな全部のものが一緒の罰則というのはない。中でABCならABCぐらいに当然分けて罰則というのはあってしかるべきですよ。全部一緒だもの。急につくった法律じゃないの、これは。
○前田(宏)政府委員 罰則のことでございますから刑事局としても一半の責任があろうかと思いますが、立案をされましたのは法務省の中でございますけれども入管当局であるわけでございます。 ただ私の感じといたしましては、いま御指摘のようにしさいに細分化するということももちろん考え得ると思いますけれども、従来から罰則である程度の差をつけておりますのは、一番上が三年であるとか五年であるとかいうような場合に、五年のグループ、三年のグループ、一年のグループというようなことで分ける場合が多うございます。今回の場合といいますか登録法違反の場合は一年が最高でございますから、あと六月あるいは三月ということがもちろん考えられないわけではございませんけれども、そこまでの差をつけるほどのことはないのではないかというのが当時の考え方であっただろうと思います。
○稲葉(誠)委員 そうすると在日朝鮮人が、朝鮮人でなくてもいいのですが、登録証明書を持っていなかったということで懲役一年になるだけの犯情というか、そのことだけで一体それはあるのですか。その人が何か別のことをやっているというならこれはまた別だけれども、登録証明書を持っていなかったということで懲役一年になる、一体それだけのウエートがあるんですか。そんなことは常識で考えられないじゃないですか。
○前田(宏)政府委員 実際問題として、一般の不携帯で懲役一年ということはめったにないことだと思いますけれども、一つの例として考えられますことは、そういうものを反復しておって、常習犯という言葉になるかどうかと思いますけれども、そういうような場合は大変悪質だろうと思います。
○稲葉(誠)委員 登録証明書を持っていなかったというので常習犯というのはちょっとよくわかりませんが、登録証明書を持っていなかったから懲役一年にするなんて、そんなばかなことはありませんよ。この法律はめちゃくちゃですよ。これは恐らくゆっくり検討しないで一夜づくりか何かでつくったんじゃないですか。 何かアメリカから言われて一夜づくりでつくった法律があるな。あれは何だったけな。防衛庁の何か罰則ですね。あれは陸軍刑法を翻訳して一晩徹夜してつくったんじゃないですか。一晩だか二晩だか徹夜してつくったんだ、辻辰三郎氏がそういうふうに言っていたよ。陸軍刑法と防衛庁の罰則を比較してみたら防衛庁の方が一つだけ重いのがあるが、あとはほとんど陸軍刑法を写してしまったんだ、徹夜してやったんだとこの前言っていたよ。それはそうだけれども、これは十分な検討を経てないんですよ。これは非常に乱暴な罰則のやり方だ、こういうふうに思います。 これについては、こんなことで一年以下の懲役、禁錮なんということをする必要はない。三万円以下の罰金にしたというのはどういうわけなんですか。懲役もなくし、三万円以下のあれもなくし、二万五千円以下の罰金だけにしたら、これは逮捕できないでしょう。どうですか。
○前田(宏)政府委員 法定刑と刑事訴訟法の逮捕要件と申しますかそれとは実質的には相関関係にあるわけでございますけれども、法定刑を定める場合にはむしろその罪質というものを見て決めるわけでございますので、逮捕できるかできないかというか、むしろ逮捕するために法定刑を重くするということはないわけでございます。
○稲葉(誠)委員 まだそんなことは聞いてないのです。ぼくの言うのは、二万五千円以下の罰金だけの場合には刑事訴訟法の条文で逮捕できないんじゃないですかと聞いているのです。
○前田(宏)政府委員 結果的にはそういうことに相なるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 結果的ではないよ。そういうふうに条文に書いてあるのだから、それは結果もへったくれもないよ。 そこで、結局これは登録証明書を持っていないということから逮捕をするためのこういうような罰則を並べておるわけですよ。そしてその中からほかのものを引っ張り出そうということでこの条文ができ上がっておる、罰則ができ上がっておる、こういうことですよ。事実問題として、この前あれを持っていないというので密入国の人たちがずいぶん発見されたという例もあるわけでしょう。ことに金大中事件のときだよ。金大中事件のときに関西方面一帯に特別警備をやったものだから、そこで徹底的に、この条文に基づいて朝鮮人に向かって外国人登録証を持っているか持っていないかというのを全部調べたわけだ。そうしたら持っていない人なんかがいて、それが密入国だということが部分的にわかってきてということもあって、この条文はありがたい条文だ、あなた方にとってはありがたいから、こいつはどうしても残しておきたいということになっているんじゃないですか。 だから、これは何も登録証明書を持っていなくたって、そのこと自身は二万五千円以下の罰金で済むことですよ。そんなことじゃないですか、軽いことじゃないですか。さっき言ったのは、旅券を持っていない場合一万円でしょう。それから見たって、この条文は二万五千円以下の罰金で逮捕できないようにしていていいんですよ。逮捕しなければならぬということを前提にこんな一年以下の禁錮、懲役とかなんとかをくっつけているのですよ。この条文のあり方というものは、在日外国人特に在日朝鮮人を敵視してこれらをまるで犯罪者のような前提で扱っておるというふうに考えられるのですね。この条文は私は納得ができないわけですね。 それから、犯罪の嫌疑なしというのも相当ありますね。古い例かもしれませんけれども、犯罪の嫌疑なしというのもほかのものと比べると相当あるんだな。これはどういうわけですか。
○前田(宏)政府委員 犯罪の嫌疑なしということでございますから、要するに証拠が不十分だというしか申し上げようがないわけでございます。
○稲葉(誠)委員 いやいや、そんなことを言っているんじゃないよ。犯罪の嫌疑なしというのもあるし犯罪が成立しないというのもあるけれども、そういうのが外国人登録法にはほかの特別犯と比べて多いのではないですかと聞いているわけです。
○前田(宏)政府委員 先ほど数字で申し上げましたように、登録法違反についてはむしろ嫌疑なしの方が少ないというふうに理解しております。
○稲葉(誠)委員 それは何に比べて少ないの。
○前田(宏)政府委員 一般の場合また特に特別法犯の他のものと比べまして、外国人登録法違反はむしろ不起訴の中で起訴猶予が多いということを申したつもりでございます。
○稲葉(誠)委員 起訴猶予が多いというのはわかったのですが、そうすると、他の特別法犯というのは何のことを言っているの。
○前田(宏)政府委員 ちょっと御趣旨をとり違えているかもしれませんけれども、一般に起訴猶予とその他の不起訴がございますが、それはそれなりの分布状態になっているわけですけれども、登録法違反は先ほど申しましたように非常に起訴猶予の方が多い、率が高いということでございます。
○稲葉(誠)委員 それはわかったんだけれども、いまあなたのおっしゃったのは、他の特別法犯に比べて犯罪の嫌疑なしが少ないというのでしょう。そうすると、他の特別法犯というのは何だと聞いているわけです。道交法ですか。
○前田(宏)政府委員 他の特別法犯という言葉は私ども統計的によく使うのでつい使うわけでございますが、特別法犯の中で道交法違反を除いたものを他の特別法犯というふうに言っているわけでございます。 そういうことで道交法を除く特別法犯全体から見て、外国人登録法はその中に含まれるわけでございますから、全体の中から見て登録法違反はほかの場合よりも違うのではないか、こういうことでございます。
○稲葉(誠)委員 道交法はいいや、これは別枠だ、わかった。 そうすると、道交法以外の特別法犯というものがいろいろあるわけですね。いまは何があるんだろうね。いまは減っているんじゃないですか。特別法と言ったって、古物商取締法だとか質屋取締法だとか大麻の取締法とか、大麻の取締法は特別法かな、いろいろなのがありますね。そうすると、そういうふうな中で嫌疑なしというふうなもの、まあ嫌疑なしか嫌疑不十分か両方含んでいるのか知りませんが、ほかの特別法犯のどういうものと比べてこの外国人登録法の場合は嫌疑なしが少ないというのですか。そんなことまで統計に出てないでしょう。
○前田(宏)政府委員 同じようなお答えになるかもしれませんが、いま検察統計そのものを持ってきておりませんので登録法だけメモしてきたものでありますから、その他の特別法犯はたくさんあるわけでございます。いまおっしゃいました大麻に限らず、覚せい剤にしても麻薬にしてもいわゆる特別法犯でございますから、その他もろもろということしか申し上げられないわけでございます。
○稲葉(誠)委員 それじゃ議論をやっていても同じことですからしようがありませんけれども、不起訴が非常に多いということは、特別法犯については、あなたはいまいろいろな条件で不起訴もあると言うけれども、それはありますよ。ないことはないけれども、特別法犯については不起訴はできるだけしないようにしないと、取締法規なんだから、取締法規には不起訴というのは原則としてないのだというような形にしないと、せっかく取り締まったのに効果がないんだ、こういう意味でいままで実際には運営されてきているのではないですか。普通法は別ですよ。そういうふうにずっと来ているように、私の経験だけでなくてその後のいろいろなあれからも聞きますがね。まあそれはいいでしょう。 そこで問題にするのは、だからこれを私が言うように二万五千円以下の罰金ということになれば逮捕ができないわけですね。これは刑事訴訟法に書いてある。ちょっと待って、できるのかな。だから、そういうことになぜこの登録証明書の不携帯や何かをしないのかと聞いているのですよ。それはどうですか。
○前田(宏)政府委員 先ほど稲葉委員の御指摘で当然のような感じがいたしまして申し上げたわけですが、もう一度改めて罰金等臨時措置法を見直してみますと、たとえば刑訴の百九十九条の関係で現在五百円以下の罰金、こうあるわけでございますが、それは百九十九条の関係でその他の罪につきましては八千円以下の罰金というふうに読みかえられておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 まあどうでもいいですけれども。五十円のものは五十倍になるのではないですか罰金等臨時措置法で。だから五十倍だから二万五千円になるんじゃないの。どうでもいいや、それは大したことないから。 いずれにしても、八千円かどうか知りませんけれども、単に登録証明書を持ってなかったということ、そのことだけで逮捕する必要はないのであって、これはもうほかの目的があるからこそこういうふうに逮捕できるようにしてあるので、このことは逮捕できないような罰金だけの条文というものに当然してもいいのではないか、こう聞いているわけですよ。そういうふうなことをやると何か不都合があるのですか。それは入管行政上不都合があるの。これは密入国か何かを発見するためでしょう、恐らく。そういうためにこういう条文で逮捕できるようにしてあるのですか。その他のことに利用するためにしてあるのですか。
○前田(宏)政府委員 まず委員の御質問の中で二百倍ですか……(稲葉委員「五十倍ですよ」と呼ぶ)失礼しました。一般的に罰金等臨時措置法で法定刑そのものの罰金額をそういうふうに上げる場合のことでございまして、刑事訴訟法の五百円とか千円とかいろいろあるわけでございますが、そういうものについては別の規定がありまして、読みかえ規定があるのでさっきのようなことになるということをまずお断りをさせていただきたいわけでございます。 それから先ほど申しましたように、法定刑を決めます場合に、その法定刑はやはりその罪質と申しますかそれをにらんで決めるものでございまして、逮捕できるために重くするとかあるいは逮捕できないために軽くするというようなことはいささか本末転倒の議論ではないか、かように思います。
○稲葉(誠)委員 その本末転倒の議論が、そのためにこれは重くしてあるのだというのがこちらの言い分ですよ。外国人登録証明書を持ってないということで懲役一年で逮捕するなんて、あなた、そんなばかな話ないですよ。文明国でそんなこと考えられないことですよ。いわんや旅券の場合は罰金一万円でしょう。旅券を持っていないという場合に逮捕できるのですか。
○小杉政府委員 先ほど来刑事局長との間で刑罰関係の議論がいろいろございましたが、私どもこの関連で申し上げておきたいのは、ただいまの刑罰が一律に違反に対して一年以下の懲役または禁錮もしくは三万円以下の罰金ということになっております、これが余りにも画一的であるという議論につきましては、私どももなるほどと思わせられる点がございますので、将来の外登法の抜本的改正の際に、やはり実質的な現行の外国人登録制度を最も担保するために必要な事項にかかわる罪としからざるものとの間に格差を設けるという方向での検討を進めてみたいと考えております。 それからさらに具体的に、これは登録証明書に限るわけではありませんけれども、諸外国の法令の立法例、これもやはり非常に参考になるのではないかと思うのでございますけれども、たとえば西ドイツの例で旅券、滞在許可等を有することなく入国しまたは滞在する者に対しまして一年以下の自由刑または罰金であるとか、それから過失犯についても六カ月以下の自由刑または罰金、それから故意または過失により滞在を遅滞なく届け出なかった者については五千ドイツ・マルク以下の罰金ということをやっております。それからフランスでは、滞在許可書の不所持に対しましては一カ月以上一年以下の禁錮及び百八十ないし三千六百フランの罰金というような罰則が設けられております。さらに英国の例では、入国または滞在の許可を有せず、条件に違反し、虚偽不実の申し立て、証拠書類の不実記載、行使、証明書類の提出に応じない者等に対しましてやはり六カ月以下の禁錮または二百ポンド以下の罰金というような例がございまして、オランダでも六カ月以下の拘禁刑、米国の登録不申請、指紋不申請、拒否、虚偽申請等は千ドル以下の罰金または六月以下の懲役というふうな規定がございまして、わが国の現在の一年ないしは三万円というのが国際的に見て必ずしも不当に重いということではないのではなかろうかという気がいたします。
○稲葉(誠)委員 それは各国それぞれの事情があるわけで、特にヨーロッパなりアメリカの場合はちょっと違う事情があるのですよ。それはイミグレーションの問題があるわけです。日本と事情が違うのですよ。だからそれは余りここで言うわけにいきませんけれども事情が違うのですから、そのことでかれこれするわけにはいかないし、またそれが具体的にどういうふうに行われているかということも、ただ条文だけではいかぬというふうに思うのです。 そこで次の問題に入りますと、第十四条で指紋の押捺義務というものを課しておりますね。これは、指絞というものに対して各国の受け取り方が非常に違うわけでしょう。中国などは指紋を押させられることは非常な屈辱というふうに考えておるのじゃないですか。国によって非常に違うのだというふうに私は聞いておるのですが、特に何もこの指紋の押捺義務を課して犯罪人扱いをするという制度は必要ないのではないですか。どうしてこんなことをやるようになってきたのですか。
○小杉政府委員 この指紋の押捺制度が導入されましたのは、現行の外国人登録法が施行された時期と一致するわけでございますが、それに先立つ外国人登録令でございますか、あの当時には指紋押捺の制度がなかったために、他人名義の外登証の売買とか、要するにそのたぐいの不正行為というものが非常に頻発した。それをその後、指紋押捺制度を導入した結果、いわゆる他人名義の不正使用というような問題が激減したという実際上の経緯があるわけでございます。 それで、この指紋押捺制度の眼目というのは、やはり指紋を押すことによりまして偽造、変造を防止するということが第一でありますが、同時に、所持人みずからにつきましても登録証明書の正当な保持者であるということを立証する上で非常に確実な手段になるわけでございまして、私どもとしては登録証明書への指紋押捺はやはりやめるわけにはまいらないというふうに考えております。 さらに、この指紋制度なるものが確かに犯罪捜査との関連においてしばしば問題になる。したがって、外国人登録の際に指紋を押すことは犯罪人扱いをされるのだという考え方もおありのようでありますけれども、これは国によってそれぞれ考え方もいろいろ違うようでございます。同じ中国の例を見ましても、私ども経験しております限りでは、台湾の方の場合に若干指紋押捺と犯罪との絡みというものを強調される面があるようでございますが、中国本土の方からはたとえば留学生等いろいろ来ておられますが、いまだかつて一度も指紋の問題について苦情を受けた記憶がございません。
○稲葉(誠)委員 指紋の問題については、ずっと前に、いま言った外国人登録令が法になったころかな、参議院で羽仁五郎さんが非常に詳しい質問をしています。あれはなかなかいい質問だと思います。これは一体あらゆる人にやる必要があるのですか。これはアメリカ人にもやっているの。アメリカ人、女の人なんかにも全部指紋やらせていますか。そうですか。よくアメリカ人なんか、そういうプライドの高い人が簡単に指紋を押しますね。 そこで、たとえば国際人権規約のB規約七条で言うと、何人も非人道的な著しく品位を傷つける取り扱いを受けないという規定がありますね。やはり指紋を押すということは犯罪人扱いなんで、非人道的なそして著しく品位を傷つける取り扱いになるのじゃないですか。これはどうなの。ぼくらだったら、指紋を押せと言われたら実に屈辱に感じる。扱いが犯罪人ですものね。 この点から言っても、それは犯罪人捜査にはあれかもわからぬけれども、少なくとも戦争前から日本にいて、日本人と同じ人に対してまで、ことに一二六関係の人ですね、そういう人に対してはそこまでの義務を外していいのじゃないかと私は思いますが、それはどうですか。
○小杉政府委員 現在の外国人登録法上の指紋押捺の義務がいわゆる非人道的な著しく品位を傷つける取り扱いになるかどうか、これは主観の相違で、私どもはそのようなことにはならないと考えておるわけでございます。 現に、これはアメリカの例でございますが、アメリカのいわゆる外国人永住者カードというものが外国人の永住者に発給されておるわけでございますが、これは数年前に指紋制度をやめたことがございます。その結果何が起こったかと申しますと、やはり他人名義のカードがいろいろ売買されて不正使用が非常にふえたということで、つい最近また指紋制度を復活させるという措置をとった実例がございます。
○稲葉(誠)委員 前に返って恐縮ですが、いまドイツの登録証明書の問題でお話ありましたね。それは過失の場合を処罰する明文を置いていますね。 日本の場合には、過失を処罰する明文を置いていないわけですね。明文を置いてあるのですか、どうなっているのです。だから過失の場合を処罰するには、たとえば過失致死なら過失致死とか刑法にもいろいろありますね、そういう問題は明文がなければ処罰ができないというのが筋なのではないのですか。日本の場合はどういうふうな条文がありますか。過失の場合でも処罰するという条文がありますか。
○前田(宏)政府委員 登録法違反につきまして、特に過失犯を罰するという明文の規定はございませんけれども、特に問題になりますのは、先ほど来御議論のございます不携帯であろうと思います。 この点につきましては、改めて稲葉委員に申し上げるまでもないかと思いますが、最高裁の判例等もございまして、その罪質上過失による場合を常態として考えられるような罪、特に不携帯の場合はそういうことであるということで、規定の解釈からして過失も含むというのが確立された解釈であろう、かように考えております。
○稲葉(誠)委員 私も最高裁の判例があることは知っているのです。だから、これは本当は過失の場合には、日本の法律では過失を処罰するというのは例外なんですから、過失の場合も含むなら含むということがちゃんと明文の中になくてはいかぬのですよ。最高裁の判例というのは救った判例ですから。だからその点については、ドイツのように過失の場合と過失でない場合と分けて、過失の場合はドイツでは刑が軽くなっているのでしょう。するとすればそういう形にしなければいけないのですよ。そういう点なんかも立法上非常に足りないところです。だから、最高裁の判例があるから、これは私も知っていますから余り聞かなかったのですが、あれはいわゆる救った判例ということであって、そういう判例があるから大手を振って歩くという条項ではない、こう思うのです。 それから、さっき質問した中で職業等の問題、勤務所または事務所の名称及び所在地の問題、これについては、私も最初聞いたときに、これは法務省当局の要求ではなかった、警察当局が固執して、どうしてもこれを入れてくれとがんばったので入れた、固執という言葉はないけれども、そういう意味の答えがありましたね。 そこで、たとえば勤務所または事務所の所在地、これは日本の場合で、在日朝鮮人でもそうですが、たとえば勤務地あるいは住所というものを複数持つということは認めて考えておるわけですか、その点はどうなんです。住所については主観説とか客観説とかいろいろありますね。だけどこれは、複数で持ってもいいということについてはどういうふうに考えていますか。
○小杉政府委員 もしもそういう例があるとすれば、やはり主たる住所あるいは主たる事務所ということになろうかと思います。複数ある場合、主たる事務所、勤務地ということになろうかと思います。
○稲葉(誠)委員 これは近代生活が進んでくるにつれて、複数の住所を持つことは常識的になっている場合が相当ふえているわけです。たとえば前に尼崎で非常に警察がやった例があります。これは昔のことですし、私はずっと前に質問したことですから繰り返しませんが、住んでいるところが、お店があって、私の記憶では事実上お店に住んでいたわけです。そうしたら、住所と住んでいるところが違うと言って、警察が行って引っかき回して逮捕したという例があるのです。結局起訴猶予になりましたよ。これは尼崎の例だと私は記憶しています。そういうことで、このことのために、これを悪用する可能性が非常にあるということです。これは考えなければいけない、こう思うのです。 もう一つの例は、これは私もよくわからないのですが、第六条の登録証明書の引替交付の三項「市町村の長は、第一項の申請があったときは、登録原票の記載が事実に合っているかどうかの確認をしなければならない。」それから七条は登録証明書の再交付、同じく三項「市町村の長は、第一項の申請があったときは、登録原票の記載が事実に合っているかどうかの確認をしなければならない。」こう変わっていますね。 そうすると現行法は、たとえば六条の場合は「市町村の長は、第一項の申請があった場合において、その登録証明書が著しくき損し、又は汚損していると認めるときは、登録原票に基き新たに登録証明書を交付し、著しくき損し、又は汚損していないと認めるときは、提出された登録証明書を返還しなければならない。」こういうふうになっていますね。それから第七条の三項、現行法ですが、「登録原票に基き登録証明書を再交付するものとする。」こういうふうになっていますね。 ところが今度の改正案では「登録原票の記載が事実に合っているかどうかの確認をしなければならない。」七条でもそうですね。どうしてこういうふうに「確認をしなければならない。」というふうに変えなければいけないのですか。これはもう非常に繁雑なことになるのではないですか。
○小杉政府委員 これは従来の法六条及び七条の場合には、引替交付の場合あるいは再交付の場合、これらの新たに交付されます登録証明書の有効期間は、当初の新規登録あるいは切替交付がございました時点から起算して三年目には失効するということになっておりましたので、あえて確認の必要がなかったわけでございますけれども、それが今回は再交付あるいは引替交付が行われた時点から三年間引き続き効力を認めるということにいたすわけでございます。 〔委員長退席、中村(靖)委員長代理着席〕 そのために、新たに切替交付あるいは引替交付の際に市町村長の確認をしていただくことによって、当初の外登証の有効期間を超えて効力を認めるわけでございますから、その意味では、本来であればこの十一条によって一年なり一年半後に確認をしなければならなかった市町村長の義務がさらにその後一年半なり二年延ばされる、先に持っていかれるということでございまして、結果的に新たに義務を課したということにはならないというのが私どもの理解でございます。 特に、何と申しますか、むしろ一斉切替のときに何が何でも全部の者の切替をやらなければならないその数が多少なりとも減るわけでございますから、簡素化、合理化につながっているというのが私どもの解釈でございますし、また現に市町村長あたりからの御要望の中にもこの修正はかねてから含まれておる点でございます。
○稲葉(誠)委員 具体的に「登録原票の記載が事実に合っているかどうかの確認」というのは市町村の長がどういうふうにやるのですか。窓口でやるだけですか、どういうふうにやるのですか。
○小杉政府委員 従来の十一条をごらんいただくとわかりますが、窓口において登録事項確認申請書、旅券等をもとにいたしまして登録原票と合っているかどうかということを決めるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、いま言った六条、七条の条文が確認義務を課しておるということになったとしても、在留外国人に対して特段の不利益な扱いをするというか、あるいはその際に原票が事実に合っているかどうかということを事細かに調査をして、そこでまた何か犯罪でもあるのじゃないかということを摘発しよう、こういう意味ではないというふうに理解してよろしいですかどうですか。
○小杉政府委員 ただいま先生が御指摘になられたような意図は全くございません。従前どおり、従来十一条で行われておりました確認というものと全く同じものをやや時期を早めてやっていただくということになるだけでございます。
○稲葉(誠)委員 そこで、この外国人登録法の適用が免除になっておる人たちがおりますね。これはどういうような法律的な根拠で、どういう人たちが外国人登録法の適用が免除になっているわけですか。
○小杉政府委員 具体的に免除になっておりますのは、外交官であるとか地位協定の関係者であるとかその他何がございますか、要するに、この法律の第一条に掲げてございますように「外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめ、もって在留外国人の公正な管理に資することを目的とする。」と書いてございますが、外国人の居住関係や身分関係を外国人登録法の手続によらずしてなおかつ明確に把握できるタイプの外国人、たとえば外交官でございますれば、これは外務省にすべて申請が出ておるわけでございまして、いわゆる外交団リストをごらんいただけばすべて在留関係、居住関係、身分関係というものが把握できる、そういう体制ができている方々については除外するということをやっておるわけでございますが、明確に法的な根拠がどこにあるかと言われれば、むしろ外国人登録法の目的にかんがみて免除しておるということであろうかと思います。
○稲葉(誠)委員 外交官の場合は外交官特権も有することですし、あなた、外交官に一々指紋なんか押捺させたら大変なことになってしまうんじゃないですか、これは犯罪人扱いだといってえらい騒ぎになるんじゃないですか。 外交官は別として、そうじゃなくて、いまの地位協定の問題がありますね。地位協定で免除されておるという者はそれでは一体どこで把握しているのです。
○小杉政府委員 地位協定関係者の身分事項をどこで把握しておるか、これは私いまちょっと即答いたしかねるのでございますが、その身分関係を少なくとも外務省を通じすぐに確認ができる体制はできておるはずでございます。 〔中村(靖)委員長代理退席、委員長着席〕
○稲葉(誠)委員 外交官はできているけれども、あなた、その地位協定によって入ってくる者は軍人だけじゃないでしょう。軍属も入っているのでしょう。家族も入っているのでしょう。そんなものは外務省が把握しているわけないでしょう。アメリカがそんなもの知らせますか。 だから、外国人の中でどれだけの軍人が入り、軍属が入り、ことに家族が入ってきているかあるいは家族という名のもとに入ってきているか、そういうふうなことをある程度日本としては管理をしていかなければ公正な管理と言えないんじゃないですか。それはまたどうなっているんだ。地位協定でどういうふうになっています。地位協定があるでしょう。
○小杉政府委員 これは私も記憶が定かでなかったのですが、地位協定の九条の二項に「合衆国軍隊の構成員は、旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外される。合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、外国人の登録及び管理に関する日本国の法令の適用から除外される。」という明文の規定がございます。
○稲葉(誠)委員 それは地位協定の条文があるわけですね。だからアメリカ人の場合には、条文があることはわかっている、地位協定の中に書いてあるわけだから。 そうすると、だから日本ではそれは管理はされてないのでしょう。どこにどういう外国人がいるかということは全然わからないんじゃないですか。それはあなたの方に聞いてもあれだが、とにかくこれは入管行政の対象外だからわからないでしょう。これは安保条約の関係からくるんだからという議論なんでしょうけれども、アメリカ人の場合には軍属まで、しかも家族までが外国人登録法の適用を受けないのですよ。受けないでいて、そして戦争前から日本にいて、自分の意思によらないで日本人になって、兵隊に行ったりなんかして犠牲をこうむって、そして戦争に負けたら今度は自分の意思によらないで日本人でなくなってしまった、そういう人にまで平等に外国人登録法というものを適用してやっていっているというのは非常におかしい行き方である、私はこういうふうに考えざるを得ないわけですね。 さっきお話しした職業の問題とかなんとかだって、住民基本台帳の場合にはこんな記載欄はないんじゃないですか。職業とか勤務所とかを書けなんというのは住民基本台帳にはないでしょう。日本人にはそんなものはないんですよ。日本人にはないことを在留外国人に対して、しかもアメリカ人のあれを除いて書けというのは、これは取り締まりのため以外の何物でもないのですよ。これは元来なかったものを警察ががんばって入れたんですよ。こんなものはやめなければいかぬ。 もう一つの問題は、未成年者の場合であっても十四歳以上の者は、登録証明書の携帯、呈示義務、指紋押捺義務、いろいろな義務規定において成人と同じ取り扱いを受けているわけでしょう。そういうわけですね。ということは、十四歳というのは、日本の法律で言えば刑事未成年と刑事成年になるところの境ですね、刑事責任能力は十四歳以上にはあるわけですから。普通の少年法では二十歳でしょう。児童福祉法では十八歳、こういう形になるのに、十四歳以上の者について登録証明書の携帯、呈示義務だとか指紋の押捺義務なんてこんなものを、中学生やなんかでしょう、そういう者に課すということは一つの屈辱というか非常なあれを与えるものですね。これをなぜ十四歳としたのですか。これは刑事責任能力と同じにしようというので十四歳にしたのですか。
○小杉政府委員 外登法ができました当時なぜ十四歳という年齢が選ばれたかについて、必ずしも私ども明確な資料がないのでございますけれども、外国人登録制度の上では、たとえば日本の戸籍であるとか住民基本台帳の制度とは目的が違うわけでございまして、未成年者であっても単独で不法入国してくるとかあるいはそのまま潜在してしまうというような事例も少なくないわけでございますから、未成年者全部について登録証明書の常時携帯義務を免除するということには、あるいはまだ問題があるのではないかという気がいたします。 しかしながら、義務教育年限にあるような子供についてまで常時携帯義務を課することにつきましてはかねてから批判がございまして、この批判には私どもも耳を傾けるべきではなかろうかと考えております。ただ、現行の十四歳という年齢をどの程度まで引き上げるのが相当であるかということにつきましては今後検討させていただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 それで、申告するとき、切替申告とかいろいろありますね、そういうときに、これは全部の人が行かなければいけないのですか。十四歳以上だとみんな役場へ行かなければいけないのでしょう。だれか家族の代表が行ってやるというわけにはいかないのですか。役場の窓口が混雑してしまってしょうがないんじゃないですか。役場でも何とかしてくれと言って悲鳴を上げているんじゃないんですか。これはどうなんですか。
○小杉政府委員 現在の外登法の立て方が本人出頭主義になっておりますもので、そういうことに相なるわけでございますが、たとえば病気その他でどうしても本人が出頭できない場合については、もちろん代理の制度が設けられているわけでございます。
○稲葉(誠)委員 本人出頭主義はいいのですけれども、これは未成年者で十四か十五の者まで学校を休んで行かなければいけないのですよ。学校を休んで役場へ出頭しなければいけないなんて、そんなばかな話はないじゃないですか。それなら親権者が行ってやっていいとかなんとかいうことで当然済むわけですよ。そこまで疑ってかかるというか犯罪人扱いしているというか、そういうやり方はいかぬのじゃないですか。 だから、少なくとも未成年者の場合なんかは、もう父親か母親か法定代理人が行けばいいんじゃないですか。実務上だって、そういうように改正したらいいんじゃないですか。これはできるのじゃないですか。
○小杉政府委員 先ほど常時携帯及び呈示義務の関連で十四歳という年齢を上の方に引き上げるということを申しましたが、この外登法はいろいろな条文に十四歳という字がずっと一貫して出ておるわけでございまして、将来年齢を引き上げる場合にはすべて一様に考えていきたいというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 その十四歳というのは、日本では刑事責任能力が十四歳からあるわけですからね。これはそれとマッチさせたのですよ。だから取締法規という考え方が非常に強いんでね。外国人に対する登録というのが、言葉では公正な管理というけれども、もう取り締まり、取り締まりという形で来ているんですね。これは国際人権規約の趣旨からいっても、日本でもだんだん情勢が変わってきますよ。外国人をまるで犯罪者扱いにするような行き方はいかぬ、私はこういうふうに思うのです。 そこで、いろいろな話が出ましたけれども、そうすると、前に戻って悪いけれども、たとえば登録証明書の常時携帯とか呈示義務、それでアメリカ人なんかが、あるいはイギリス人でもフランス人でもそうだけれども、実際にはそれが処罰されたことがあるのですか。あるとすればどの程度あるの。ほとんど朝鮮人じゃないですか。在日朝鮮人あるいは台湾人の人もいるけれども。
○鳴海説明員 どのように処罰されたかという裁判の関係、そこら辺は私どもちょっと警察としては承知いたしておりませんが、朝鮮人の方の場合とその他の外国人の場合との件数を御参考までに申し上げてみると、五十三年の数字で、先ほど申しました証明書の不携帯で申しますと、全外国人に関しては三千七百三十六というのが違反検挙件数になっておりますが、その中で朝鮮人の関係が三千五百十五件、こういうことになっておるわけでございます。これはそれぞれ検挙し送致されたものでございまして、外国人登録法に関しましては全件送致ということになっておりますので、すべて検察庁に送致いたすわけでございます。ただちょっと、アメリカ人が何人という数字については手元にございませんのでお許し願います。
○稲葉(誠)委員 だから警察では、たとえばアメリカ人とかヨーロッパ人に向かって、あなたは外国人登録証明書を持っておるかということを職務質問したことが一体あるのですかないのですか。実際問題としてそんなのはほとんどありはせぬでしょう。
○鳴海説明員 件数としてはいま掌握はいたしておりませんが、もちろんあるわけでございまして、ただその数が少ないということはそのとおりかと思います。
○稲葉(誠)委員 それは在日朝鮮人の管理というか取り締まりということのための法律として発生しているわけです。出入国管理令と一緒に二つ相まってそういう役割りを果たしておる、こういうことです。それは考えられます。 それから、変更した場合に十四日以内に変更の申請をしなければなりませんが、十四日がちょっとおくれたりすると、市町村はこれを全部警察へ連絡するのですか、どこに連絡することになっていますか。義務的になっているのですか。
○小杉政府委員 市町村長におきまして、そういう遅延その他法違反のあれが出た場合には警察に告発することになっております。ただ私ども入管といたしましては、軽微な違反につきましては告発を猶予するような指導を行っておるということでございます。
○稲葉(誠)委員 だから告発だけでもその手続が大変なのじゃないですか。市町村でもちょっとしたものについては、余りばらばらになり過ぎても悪いかとも思いますけれども、その点についてはある程度の裁量権を与えてもいいのではないか、こういうふうに私は考えるのです。 それからさっきいろいろ話した中で、結局、外国人登録法の改正によって市町村長なり市町村の役場の仕事がいまよりも煩瑣になるということはありませんか。前々から、市町村役場からこの問題について法務省当局にいろいろな要請がありましたね。委任事務で費用が足りないからもっと費用をふやしてくれとか、もっと簡単にできるようにならないかとか、いろいろあったわけでしょう。そういう点はどういうふうになっておるのですか。
○小杉政府委員 具体的に今回の四点の改正事項ごとに申し上げますと、新規登録の申請期間の延長を今度やることになりますが、これの該当件数が従前年間一万二千件ございました。これは少なくも節約される。 それから登録事項の変更手続の件は、実は件数的には減らないわけでございますけれども、年間約十四万件あるわけでございます。ただ今回五項目について二週間以内に届け出なくてもよいことにした関係で、外国人の方にとってはかなりの手間のセーブになるということでございます。 さらに、三年ごとの切替を再交付または引替交付を受けたときから起算することによって出てまいりますのが一万二千件でございますか、これについては件数は減らないわけですけれども、三年ごとの一斉切替のときに集中する切替の数が減るという効果がございます。 それからさらに、再入国許可を受けて出国する場合の登録証返還の手続の廃止、これは五十三年一年間で約十八万件ございますので、これは港の職員のみならず市町村の方にとっても、それからさらに外国人御当人にとりましても非常に大きな改正点になるのではないかという気がいたします。
○稲葉(誠)委員 最後にお聞きしたいのは出入国管理令との関係です。 これはどういうことかといいますと、出入国管理令というのはもちろん外国人全体に適用されるわけです。ところが在日朝鮮人の歴史的な特殊事情ということで、昭和二十七年の法律第一二六号、これは、戦前から引き続いて本邦に居住している者とその子で講和条約発効の日までに本邦で生まれた者については、在留資格と在留期間の制限をつけないものとする、これがいわゆる一二六です。それから昭和二十七年外務省令第十四号、講和条約発効の日以降に生まれた者について特定在留資格を与え、在留資格の制限を受けないこととし、なお在留期間は三年ごとに更新すべきものとした、これが口です。それからハは、昭和四十年六月調印の日韓法的地位協定と出入国管理特別法、その特別立法措置によって一定の国内法上の措置がされている、三つあるわけですね。 そうすると一二六の者、一二六の子供、特に一二六については特別な扱いが出入国管理令でされているわけです。だから、これについては外国人登録法上も当然特別な扱いをしていいのではないですか。一二六の者も外国人登録法の切替というようなことを全部やっているわけですか。だから、出入国管理令でこういう三つのものに対して特別な扱いをしているならば、それに対応するものが外国人登録法においても当然立法措置がなされていいはずだ、こういうふうに思うのですが、これについてはどういうふうにお考えでしょうか。
○小杉政府委員 ただいまの先生の御質問の趣旨が私にはよくわからないのでありますが、出入国管理令の上で、確かに第一二六号という法律によって在留に関連した特殊なステータスを上げるという措置をとったのは事実でございます。 ただ外国人登録法と申しますのは、そのような特別の措置を受けたか受けないかは別にいたしまして、およそ日本に在留している外国人に関する登録の法令でございますから、一二六について特別な措置をとったから登録法上も特別の措置をとるべきだというふうに必ずしもつながらないのではないか。およそ法の目的それ自体が違うわけでございますから、必ずしもそれは連動するものではないというふうには考えます。
○稲葉(誠)委員 出入国管理令だってあらゆる外国人全体に適用されるわけでしょう。外国人登録法だってあらゆる外国人に適用されるわけでしょう。 それならば、出入国管理令で一二六の場合に特別な措置をとっているならば、外国人登録法に対してもそれは外国人登録法から除外をするとかいうことをとったところで、ちっともおかしくないのではないですか。これに対しては特別な内国民待遇というものが与えられるならば、何も外国人と同じように登録制度をとらなくたっていいのではないですか。あるいはまた、外国人登録法の中である限度のものを削除するとか、いろいろな形のものが当然とられていいのではないですか。そのためにこそ、この出入国管理令というもので、一二六なりあるいは十四号なりあるいは協定永住なりという制度が認められているのではないですか。 あなた方は一二六という制度を言うのをいやがるから、それなら協定永住でもいいです。協定永住されているならば、その人に対しては内国民待遇が事実上与えられていることとして外国人登録法から外したっていいのではないですか、そういうことが当然考えられていいはずだと思います。両方とも全部の外国人に本来適用されるのですから、片方だけ除いておいて、片方は管理の上だからといってそういうわけにいかぬというのは筋が通らないのではないか、こう私は思うのです。連動するとかしないとか言うから、現実に出入国管理令では、全部の外国人に適用されるのに三つのものに対して特別扱いしているでしょう。全部のものに適用される外国人登録法だって、三つのものに対して特別扱いしたって少しもおかしくないではないですか。それでなければ、かえって日本のそういう人たちの歴史的な特殊事情というものは無視したことになるのではないですか。
○小杉政府委員 先生のただいまの御議論、立法論としてはあり得る考え方の一つであろうと思います。 しかし私どもといたしましては、外国人登録法の関係の上で一二六であるとかあるいは協定永住であるとか四−一−十六−ニであるとかというような定めをするわけではございませんし、これを画一的に在留するすべての外国人に平等に適用するということにしていささかも不都合はないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 わかりますが、そうすると、一二六の人なり協定永住の人たちを外国人登録法から外すと、取り締まり上か何か特別な不便があるのですか。
○小杉政府委員 私ども入国管理局といたしましては、日本人、外国人の出入国だけでなくて、わが国に在留しておる全外国人の在留管理ということをやっておるわけでございますから、そこから先ほど先生が言われたようなカテゴリーの方だけを全部外してしまうということはいささか考えにくいことでございます。
○稲葉(誠)委員 押し問答してもしようがありませんので、いずれにしてもこの外国人登録法というのは非常に問題が多いですね。それで、日本の外国人の管理という言葉はどういう意味を示しておるのか知りませんけれども、外国人が日本に来た場合に内国民待遇を具体的に事実上与えるということは、もう今後の国際的な一つの潮流になってきているんじゃないですかね。それを管理、管理と言ってまるで犯罪者扱いにするという行き方についてはぼくは賛成ができない、こういうふうに思いますね。 そこで一つ入管当局にお尋ねしたいのは、入管当局はよく公安関係庁との間で年に何回か会談をやっていますね。公安関係何とかという集まりをやっていますよ。高検管内か何かでやるのかな。それはどことどことどこが集まって年に何回ぐらいやるわけですか。
○小杉政府委員 いま先生が言われたような公安機関と入管との定期的会合が何回ぐらいあるかというお話でございますが、たとえば私自身その種の会合に出席したことは一度もございませんし、少なくとももしそういうものがあるとすれば、地方の入国管理事務所とその地域の警察あるいは海上保安庁あるいは税関等々との会合のことを指しておられるのではないかという気がいたしますが、それについて正確な情報は持ち合わせておりません。
○稲葉(誠)委員 時間が来たからこれでやめますが、それは本庁でやっておるというのではなくて、各高検管内やそういうところで中心にやっておるようです。それは入管と公安調査庁とそれから警察と自衛隊が入っています。自衛隊が入って公安関係の会同というような形で会議をやっています。ときどき検察庁の黒板や何かに書いてあるからそれはわかる。自衛隊まで中に入ってやっておるのです。 それはどういう関係でやっておるのかわかりませんが、そういうようなことの中に入管がいわゆる管理体制——管理局と言っておるわけでしょう。英語で言うと管理という言葉は入ってこないでしょう。日本語になると管理という言葉が入ってくる。そうでしょう。イミグレーション・ビューローでしょう。ビューローだから管理と言うのか、管理とは言わないだろう。それは局だろうな。入管は何で管理という言葉を使わなければいけないわけなんです。どうもよくわからぬ。すぐ管理、管理という言葉を使う。そんなに日本にいる外国人というものは管理の対象にしなければならないような不測の状態とかなんとかということは一体考えられるのですか。これはどうなの。なぜ入国管理局と言うのか。英語ではそう言わないでしょう。英語ではどうなっておるのか。イミグレーション・ビューローというのは入ってくるビューローでしょう。出るビューローじゃないでしょう。エミグレーションじゃないんだもの、イミグレーション・ビューローと書いてある。あれもおかしいのだけれども、管理という言葉は英語にはないよ。わざと除いたかもわからぬけれども、日本語になってくると管理という言葉が入ってくる。だから入管本来の使命は一体何なんですか。日本における外国人の管理なんですか。管理ということは、犯罪者扱いをしてその中から犯罪を摘発するというのが管理なの。そういう意味に理解していいのですかどうなんです。
○小杉政府委員 いま私も想像もしてなかったような御質問をいただいたのでございますが、確かにお説のとおり英語ではイミグレーション・ビューローでございまして、コントロールという字が入っていないことは事実でございます。ただ、私どもの局それ自体はいわゆる出入国管理令に基づいて設置されておるわけで、そこで管理という字が入っておるわけでございますから、それが当然に反映されたものであろうというふうに考えます。 それから、なぜ管理という字が入るのかというのは、出入国管理令があれでございましょうが、同時に、法務省設置法の中で出入国の管理、外国人の在留の管理という言葉が出ておることを受けてのことではなかろうか、こういうふうに想像いたします。
○稲葉(誠)委員 これで質問は終わりますが、いずれにしても外国人登録法は、いま私がいろいろ述べたような中で、十分ではありませんけれども、いろいろな不備というか欠陥というか意識的なものというかいろいろなものがございまして、これが非常に悪用されておるのです。悪用されておってこれによって困っておる人が非常に多いわけですね。 こういう点などは今後十分考えて、それで外国人登録法というものが国際人権規約の批准に伴ってそれにマッチするような、基本的人権を擁護するようなかっこうでの外国人登録法になるようにわれわれも努力しなければいかぬ、こういうふうなことを考えておりまして、そのことを申し上げて質問を終わります。
○木村委員長 午後四時二十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩をいたします。 午後一時五十八分休憩 ————◇————— 午後四時二十三分開議
○木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。沖本泰幸君。
○沖本委員 すでにそれぞれの委員から御質問がありましたので質問が重複するかもわかりませんが、よろしくお願いします。 国際人権規約には、人権保障は国境の枠を越えるべきであるとの考えに基づいて、内外人平等を原則とすることとし、規約で規定された権利についてはこれをすべての者に保障すると表現し、また、外国人の権利について次のように主張をしております。人間の尊厳を守るという原理から基本的人権の思想が生まれる。基本的人権は共通の人間性を前提として初めて成立すると言ってよいわけです。 ところがわが国においては、外国人の人権について、ともすればこれを制限し差別的取り扱いをすることを比較的容易に容認する傾向が見られております。こうした差別的取り扱いは、外国人はわが国にとって一時的滞在者にすぎないとの考え方を根拠にしてきているとも言えるわけであります。現在では、憲法上権利主体が国民と規定されている権利についても、その性質の許す限り外国人に対しても保障すべきであるということについて否定的な見解は存在しないと言ってよいわけで、内外人平等の原則を述べております。 こういうわけですが、外国人登録法に関して、現行の登録証明書の常時携帯及び呈示が義務づけられて、これらの義務違反に対して懲役を含む刑事罰が規定されている。特に、常時携帯を義務づけている結果、うっかり携帯を忘れた場合には刑事罰処罰を前提に強制捜査の対象とされる可能性がいつでもあるわけでありますが、これは外国人の行動の自由に対する制約になってくるわけであります。 一つは、外国人の基本的権利という立場からも、現在の登録証明書の常時携帯及び呈示義務の年齢を現行の十四歳未満免除から引き上げるべきじゃないでしょうか。 もう一つは、外国人の登録義務違反に対する刑事罰を緩和すべきではないか。先ほどからいろいろ質問があったわけですけれども、そういうわけで、住民基本台帳法では国民は住民としての地位の変更に関して市町村長に対する転入、転居、転出の届け出が義務づけられておりますけれども、この届け出義務違反に対する罰則は過料であります。登録法も過料にしたらどうかという考えでありますが、この点はいかがですか。
○小杉政府委員 お答え申し上げます。 まず第一点の登録証明書の常時携帯、呈示義務を十四歳以上の者に課しておるのは行き過ぎではないかという御指摘でございますが、私どもといたしましても、確かに義務教育の年限にある者についてまでこのような義務を課すのは適当ではないという御批判については十分考慮する必要があると考えておりまして、外国人登録制度の基本的なあり方についての検討作業の中で、この年齢をどの程度まで引き上げるのが相当であるか将来の課題として検討したいと考えております。 さらに、罰則を住民基本台帳法等の場合と同様に過料にしてはどうかというお話でございますが、この点は、外国人登録制度の目的及び性格は住民登録や戸籍等の制度と異なる面がございます。したがって、これらの制度の維持を担保するための罰則の軽重について差異がございますのはやむを得ないのではないかと考えておるわけであります。しかしながら、現行の登録法の罰則がきわめて画一的に過ぎるという点は確かに御批判のとおりでございまして、この点について改善の余地があるかどうか、基本問題の一つとして今後引き続き検討してまいりたいと考えておるわけでございます。
○沖本委員 登録法からは少しはみ出るわけですけれども、民事局長にお伺いしておきたいのです。 帰化の条件として無傷でなかったらいけないという一つの条件があるわけですね。道交法の中の一方通行に違反して傷がついた場合でも、帰化の条件からすれば傷がついてしまうというふうな取り扱いがあるわけですけれども、この辺は法律を無視するということではないわけですけれども、こういうふうな内容のものは、この間飯田先生もいろいろ御質問なさっていましたが、善良な市民生活をしていく上のいろいろな条件の中で、このごろ車時代ですから日本人だれしも違反をしようと思ってするわけじゃないけれども、一方通行の標識が変わっておったことを知らないでつい突っ込んだり、いろいろ軽い道交法違反的なことは種々あるわけです。それも全部傷で帰化の許可対象から外れてしまうということは実務的な問題として少し過酷過ぎるのじゃないだろうか。日本の諸条件に照らしてみて善良な市民としての生活を長年続けておれば実際的にそれを見てあげて、できるだけ日本の市民としての市民権を与えていくという行き方でないと実情にそぐわないし、かえってその辺がおかしいんじゃないかというふうにも私は考えておるわけです。 それからもう一つは、これは御担当はどこになるかわかりませんけれども、たとえて言うなら雇用関係についてもいわゆる差別をしてはならないということですから、職業の選択あるいは住居の選択の自由と並んで、就職する場合の身分について差別してはならないという扱い方がちゃんとあるわけです。ところが、戦前に日本に強制的に連れてこられた、それで当時はやむを得ず日本に住んだ、あるいは強制労働的に連れてこられて住んできておる、そして日本人名を名のれということを強制してきた。ところが戦争が終わったらまたもとへ名前を戻せというふうな扱い方がいろいろあるわけです。そういう問題について労働省の方では、それを就職のときの障害にしてはならない、差別の条件にしてはならないという通達をいろいろ出して、学校へ入る場合あるいは就職の場合もそういう点は条件から外しているわけですけれども、こういうふうな内容のものと、それからここで登録業務に関する厳しい規定を並べていくと、大分その条件が違っている、こちらの方がよほど厳しい感じを受けるわけですね。 そうすると、日本の国の中で生活しておりながら、あるところでは厳しいし、あるところでは緩いしというふうな、それこそそういう面についての差別感覚というものがいろいろあって住みにくい、暮らしにくい、さりとてもう日本に長年住んでおって日本語しかしゃべれないというような条件がいろいろあるいわゆる在日朝鮮人、韓国人という問題がしばしば出てくるわけです。そういうものとあわせていったときに、そういう人たちが日本の国の中でいわゆる違法な生活をやっていく、やくざに変わっていくとかあるいは麻薬を扱うとか密輸するとか、そういうことのために日本に住むことを条件にしているのと違って、できるだけ善良な日本人としての生活をしていこうと努力している人たちにそういう内容のものが加わってくると、これは非常に厳しい条件になって、おまえさん方はいかに善良に暮らしても日本で暮らすことはまかりならぬのだということになっていくし、そういうことになってくれば、おまえさん方が勝手にわれわれを日本に連れてさておいていまさらというものも出てくるということになるわけじゃないかと考えるわけですけれども、こういうふうな問題そのものは原爆症の人たちのところにも問題がいろいろ加わってきているわけですから、そういう面をいろいろ考えていきますと、扱い方というものにもっと配慮というものがされていいんじゃないか、善良な人間としての取り扱いに対する法の保護なり何なりという配慮というものが行われなければならない、こういうふうに私は考えるわけですけれども、その点についての当局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○貞家政府委員 所管でございます帰化の点につきましてお答え申し上げたいと思います。 国籍法によりまして、帰化の条件の一つとして「素行が善良であること。」こういう要件があるわけでございます。そこで、一般にいわゆる遵法精神、日本人となって日本の法を守っていただかなければ困るわけでございますので、そういった観点から、ただいま御指摘のありましたような犯罪歴でございますとかあるいは納税の状況、脱税の事実があるかどうかというようないろいろな法律遵守の点におきまして一応判断の対象になるわけでございます。 しかしながら、いま御指摘になりました道路交通法違反につきましては、これは先生、傷がついたとおっしゃいましたけれども、これは傷がついたと言えば言えるわけでございますけれども、いろいろあるわけでございます。反則金の納付で済んだのかそれとも罰金刑に処せられたのかという点もございます。それから、道路交通法違反でありましても罪質によっていろいろ差異があるわけでございまして、国民感情の点から見まして、たとえば業務上過失致死傷を伴うような道交法違反もございます。あるいは酒気帯び運転というようなものもございますれば、非常に形式的なものもございます。駐車禁止区域にちょっと違反したとかあるいは荷物をちょっと積み過ぎたとか、そういう比較的軽微なものもございます。 そこで、これは一律にそれを取り上げるということは決して私どもはいたしていないつもりでございます。罪質の軽重も当然問題になりますし、また回数が、これが非常に反復するということになりますと、これはいわゆる遵法精神がないことの一つのあらわれというふうに見ざるを得ない場合もございますし、あるいは違反を犯した状況というものもこれも千差万別でございます。非常にやむにやまれずと申しますか、たとえば子供が急病になって医者に送り届けるのについスピードを出し過ぎたというような状況で犯罪を犯したという場合もございますし、そういう宥恕すべき事情がない場合もございますので、これらにつきましては、私どもは逐一その条件を調査いたしまして、一応全部を判断の対象にはいたしますけれども、物によっては、同情すべきものであるとすれば、これはそれが一つあるからといって帰化の条件を満たさないというふうに判断いたしておるわけではございません。それぞれの状況に応じまして、一般国民の感情あるいは交通状況の推移というようなことも十分判断の基礎に入れまして、余りにも条件が厳し過ぎるという御批判を受けないようにやっておるつもりではございます。
○沖本委員 さっき意見を述べたのですが、その意見に対するお答えはありませんか。
○倉石国務大臣 お話の一部にございました韓国、朝鮮それから台湾の御出身の方々、こういう方々が日本に往年国籍を持っておられて、そういう長期の歴史的因縁のある皆さん方と一般のいわゆる短期の在留である外国人との区別があるということは、これは当然なことであると思います。したがって、そういうことについては特段の注意を払う必要があるのではないかと考えております。
○沖本委員 大臣がああいうお答えをなさったわけですけれども、今後もそういう点は十分お考えになっていただきませんと、私たちも日本人という一つの単一民族で、おまけに周囲が全部海で、ほかの民族との触れ合い、混合体というものは余りないわけですね。 ですから、単純な言い方をしますと、朝鮮半島の中で朝鮮民主主義人民共和国の方へ何かの都合で行く場合に——韓国のキーセンというようなものが問題になるわけですけれども、冗談めいた話の中に、向こうへ行ったらそういうことに気をつけろとか、そういうものが飛び込んできたり、とにかくよく言われましたけれども、日本人の目で外国を見てくるというふうな向きがあるわけですね。日本と比べて中国はどうだ、日本と比べて朝鮮民主主義人民共和国はどうだというふうで、その国はどうだったのかということは、私たち案外少ないわけですね。そういう点に物の考え方というものが非常に食い違っている面があるわけです。 ですから、私たち自身はもう全然差別はないということを言いますけれども、韓国の人にしても北朝鮮の方にしても、やはり心の中には占領時代あるいは支配時代のことが全然去ってないわけです、あるわけです。おれたちはなくした、消してしまった、こう言っているわけですけれども、日本が帝国主義的なときに支配したときはこうだったというのは両方にあるわけです。ですから、そういう面の考え方に立って、日本に連れてこられて日本名を名のらされて、日本に住まわされて、それでその住んでいること自体に諸条件があるということは全く勘弁ならぬような内容のものを善良な人は持っているわけです。その辺と絡めて物事を考えていただかないといろいろな蹉跌があるということになるわけですから、その点を各委員がいろいろ言っているわけです。ですから、そういうものからお考えになっていただいて、ただ違法性の強い方あるいは違反生活ばかりやっている方、法の網をくぐって生き抜いている人、そういう者に網をかぶせた物の見方というものとは変えた見方で物事を見ていただかなければならないのではないか、こういうふうに私は考えるわけです。 そこで、一つ一つお伺いいたします。これも私は「法律時報」一九七五年六月号の中から抜いていろいろ言うわけですが、在日朝鮮人総連合の方がこの文章を書いたわけです。 入国審査官は市町村長とはちがって、武器の携帯と使用が許されており、在日外国人を収容したり、退去強制にしたりする官憲である。とりわけ在日朝鮮人にとって入管は、在日朝鮮人を「管理」、取り締まるうえで戦前の「特高警察」と同じような機能をもつ機関であると見られている。 という表現を使っているわけです。そんなことはないと言うわけだけれども、向こうはそういうふうに見ている。これは極端な表現と理解してもいいのじゃないかとは思いますけれども、そういう見方をしているということになるわけです。その人たちを対象にした法律ということになるわけですから、やはりその取り扱い方には十分気をつけていただかなければならない、こういうふうに考えます。 法案にいう「在留期間の変更」である。特定在 留資格をもって、三年ごとに期間の更新をうけ ている在日朝鮮公民の子弟で、 ここでの在日朝鮮公民というのは、韓国民である、こうおっしゃる方も含めて言う表現になっているわけですけれども、 一九五二年四月二八日以降に生まれたものが、三年ごとにうける「登録証明書の記載変更」のとき数少ない遠隔の入国管理事務所にまでわざわざ出頭しなければならず、いままでのように市町村長を経由しておこなう便宜を奪われることになろう。このことについて日本政府は、市町村長が窓口になって入管事務所まで取り次ぐから「外国人にとって便宜」であるかのように説明しているといわれるが、そんな規定は現行法にもないし、今度の法案のどこにもない。 こういうことを書いてあるわけです。この点について御説明いただきたいのです。
○小杉政府委員 前回昭和五十年に内閣委員会に提出いたしました法案の際には、登録変更を十四日以内にやらなくてもいい事項として在留期間及び在留資格というものが実は入れられておったわけでございます。 それをもしも変更登録の十四日以内に届け出なければならないというあれから外すということにいたしますと、実際問題として外国人登録を行う上で最も重要な指標になる在留期間、在留資格というものが非常に不正確なものになる、それでは困るということで、現実に在留期間更新あるいは資格の変更を在日の外国人がおやりになる場合には入国管理事務所へお出かけになられるわけでございますから、その入国管理事務所で資格変更なり在留期間の更新を受けたときに入国審査官に外国人登録証明書上の記載を変更してもらうということでやれるではないかということをもちまして、入国審査官が外国人登録事務に介入するような形をとったわけであります。 その点が当時非常に問題にされまして、元来市町村の窓口で処理されるべき外国人登録事務に入管が介入して在留外国人の管理を強化する野望のあらあれだというような、いわれなき非難と私どもは思うのでございますけれども、そういう御批判がございましたもので、今回の法案においてはその点は改めまして、従前どおり市町村の窓口において、ただし変更がありました場合には二週間以内にその変更登録をやっていただくというかっこうで措置したわけでございます。
○沖本委員 それから次に 現行法一一条は、「外国人は……登録を受けた日から三年……以内に、その居住地の市町村の長に対し……登録原票の記載が事実に合っているかどうかの確認を申請しなければならない」、「市町村の長は、第一項の確認をしたときは、登録原票に基き新たに登録証明書を交付しなければならない」と規定している。 そしてまた、現行法一五条の二は、「……申請の内容について事実に反することを疑うに足りる相当な理由があるときは、外国人登録の正確な実施を図るため、その職員に事実の調査をさせることができる。この場合において、必要であるときは、当該申請をした外国人に出頭を求めることができる」と規定している。このように現行法では市町村にその確認権限についての規定の仕方は、反面的、間接的であり、切替交付申請のときに限られている(一一条三項)。運用の実際においても「申請の内容について事実に反することを疑うに足りる相当な理由があるとき」は別として、切替申請があれば市町村長はそれに基づいて自動的に記載事項を確認し登録証明書の交付をおこなってきている。しかも、汚損した場合の登録証明書の引替交付申請(現行法六条)、紛失した場合の再交付申請(同七条)については確認条項はないのである。 ところが、法案は、「外国人は……登録を受けた日から三年……以内に、その居住地の市町村の長に対し……登録証明書の切替交付を申請しなければならない」、「市町村の長は、第一項の申請があったときは、登録原票の記録が事実に合っているかどうかの確認をしなければならない」「市町村の長は前項の確認をしたときは、登録原票に基き新たに登録証明書を交付しなければならない」と規定し、正面から市町村長の事実確認義務規定を新設したのである。そしてまた、従来はなかった引替交付申請、再交付申請についても、右と同様の事実確認義務規定を新設したのである。 このことも、前記答申事項にはない。 登録事項は、氏名、住所、世帯主の氏名、職 業、勤務先など二〇項目にわたっている。こういう内容については、どういうふうな御説明をなさるわけですか。
○小杉政府委員 これは、行政監理委員会の答申の中で、現在は新規登録を受けた日から三年ごとに切替交付申請をしなければならないとなっておりますものを、登録証明書を紛失したとかあるいは著しく汚損したということで引替交付申請等の申請をして新しい登録証明書を受け取った場合には、当初の切替交付申請をしたあるいは新規登録をした時点から数えて三年目に外登証の効力が終わるたてまえに現行法はなっておるわけですが、それを登録証明書の引替交付申請をして新しい登録証明書を手に入れたら、それからさらに三年間切替交付申請は必要としないという改正をやるようにというのが答申の内容だったわけでございまして、この答申の内容を現行法の上に当てはめたのが今回の改正法になっておるわけでございます。 それで、先ほど御指摘の、この前の内閣委員会に出しました法律の場合と今回のを対比していただくとわかるのでございますが、今回の十一条の関係は現行の規定と実質的な差はほとんどないということでございます。ただ、六条及び七条の規定に新たに「市町村の長は、第一項の申請があったときは、登録原票の記載が事実に合っているかどうかの確認をしなければならない。」という規定が加わった点が新しいわけでありますが、これも前回の内閣委員会に出しました法案と同じ規定ぶりをしておるわけでございます。 なぜこれが入りましたかと申しますのは、先ほど御説明申し上げましたとおり、引替交付あるいは再交付があった場合、新しい登録証明書が発行されますので、その新しい登録証明書が発行されたという点に着目いたしまして、その交付を受けた日から三年間登録証の有効期間を認めるという考え方、その三年間の有効期間を認める前提として、当然十一条で考えられている一斉切替の際の確認と同じ行為を市町村長にやっていただくということでございまして、これは少なくとも外国人に対して何ら新たな義務を課したものでもございませんし、市町村長に対しましても、従前十一条で課していた義務を時期的にややずらして移しかえたというだけのことでございます。
○沖本委員 そこで さらに、調査の結果、登録原票の記載が事実に合っていない場合には、所定期間内に変更登録申請をしなかったものとして一年以下の懲役、三万円以下の罰金刑に処し(登録法一八条)、さらに、退去強制の理由にするのである。 こういうふうな調査権、調査義務の新設というものは、いわゆる政府が言うところの許認可の簡素化とは全然関係のないことで、むしろ強化したものではないか、こういう疑問があるわけですし、それから 居住地以外の変更登録のなかから、とくに「氏名」、「国籍」、「職業」、「勤務先の名称および所在地」などの変更が生じたときには一四日以内に変更登録申請をすべきものとし、その他の場合、たとえば、「国籍の属する国における住所又は居所」、「世帯主の氏名」、「世帯主との続柄」などの変更登録申請については、引替交付申請、再交付申請、切替交付申請、あるいは居住地や前記四項目の変更申請の際にあわせて変更申請ができるようにしたい こういうふうにおっしゃっているわけで、四項目の変更登録義務をことさらに取り出して規定したのは意図的じゃないか、あるいは改善ではなくて悪い方に向けているんではないか。それから 登録事項のなかで出生年月日、男女の別などの変更登録を一四日以内にしなかった者には一年以下の懲役、三万円以下の罰金刑に処するとしているが、これはもともと不変のものであるから、いかにも非常識な立法である。現行法の運用においても、居住地の変更登録については厳しいが、その他の事項については処罰の対象にしていない。 こういうことで 慣行まで無視して、「居住地」とともに「氏名」 「国籍」「勤務所又は事務所の名称及び所在地」 などの事項について一四日以内の変更登録申請 を義務づけている。これは今後違反する者に対 しての検挙体制を強めようとするものであり、 質的強化をはかったものである。 こういう意味を持つんじゃないかという疑問を投げかけているわけですけれども、この点についてはいかがですか。
○小杉政府委員 現在、外国人登録法上登録をしなければならない事項というのが全部で二十項目ございます。その二十項目のうち可変項目、途中で変更が起こり得る可能性のある項目が十二ございます。その残りの八項目というものについては、本来変更という問題が起こらない性格のものが八つあるわけであります。 可変項目十二項目のうち、今回の改正におきましては、七項目については従前どおり変更が生じた日から二週間以内に変更登録していただく、それから残余の五項目についてはついでの節に変更登録をしていただけば結構だということにいたしたわけでございまして、先ほど先生がお読み上げになられましたような、在日朝鮮人の検挙体制を強めようとするものであり変更登録義務の質的強化を図ったものであるというような御批判は当たらないのではないかという気がいたしております。
○沖本委員 それから、この点はどうでしょうか。 いわゆる韓国の方で緊急措置法あるいは反共法違反などで逮捕されている人たち、これは再入国期間内に日本に戻ることができなくなった場合効力をなくしてしまうけれども、こういう人たちにとっての計らい方というのは、現在はどういうふうなことになっておるのでしょうか。
○小杉政府委員 現在の出入国管理令のたてまえから申しまして、再入国許可を受けて外国に行かれた方が、再入国許可の有効期間内に日本にお帰りになれなかった場合、これはいろいろな理由によることが考えられると思いますけれども、その場合には、それまで日本において持っていた在留資格あるいは在留期間というものをすべて失うというのが法のたてまえになっておるわけでございます。 したがいまして、反共法その他の関係で現地で拘禁されていて再入国期間を経過してしまった方につきましては、改めて日本への入国許可をとっていただくほか現在のところ道はないわけでございますけれども、これらの方たちは、皆さん過去において日本に長い生活歴をお持ちになっておられた方たちでございましょうから、当然その事実は大きく評価されるわけでございまして、日本への入国については格段にむずかしいことはないというのが一般でございます。
○沖本委員 いまおっしゃったお話の最後の方なんですが、そういう人たちは別途に入管の方でそれらの条件について考えておるということになるわけですか。出たときの条件また韓国内でのいろいろな条件、内容について、再入国のときに申請してくれさえすれば別にいろいろ考えるということですか。
○小杉政府委員 ただ、現在の入管令のたてまえから申しまして、従前に取得しておった在留資格というものが消えてしまうということは非常にはっきりしておりますものですから、たとえば協定永住の資格をお取りになっていた方も、再入国期間を経過する結果として協定永住権はなくなる。しかしながら、お帰りになられた後で——お帰りになられた後と申しますか、日本に再び正規の入国手続をとってこられた暁において、一六−三−一年、一六−三の三年あるいは申請がございますれば一般永住への道は大いに開いておるというのが現状でございます。
○沖本委員 いろいろ見てみますと、結局日本の中で、韓国系の方はこっち、朝鮮民主主義人民共和国の方はこっちなんだという区分けはないのです。入管の書類、法務省の書類の中には、韓国系であるあるいは北朝鮮系である、こういう書類上の仕分けはあるかもしれませんけれども、日常生活していらっしゃる方は同じような行き来があるわけです。 ですから、いわゆる反共運動をやったあるいは自分の本国の大学で勉強するために行ったということの中で、われわれとしてはわかりようのない中でいろいろな問題を起こしているわけですから、その人たちの家族なり何なりが日本で善良な生活をしていらっしゃる、ただそういうことのためにいろいろな問題を起こしているということになってくれば、その辺は十分条件に合った考え方をしてあげないと、せっかく日本で築いてきた生活の根拠なり学問なりというものを失ってしまうわけです。 そして、そういう厳しかったものがすでに本国内でだんだん緩和されていきつつあるわけです。だから、そういう内容もあわせて考えて、ある種の内容で検討してあげるような方法をとってあげないと、むしろまたこういうことのために苦しむ人たちがたくさん出てくるということになりますから、その辺は十分配慮していただきたいと思うのですが、その点はいかがですか。
○小杉政府委員 実はいまの問題も、再入国許可の有効期間というものが出入国管理令上一年というふうに非常に明示的に決められておるものですから起こってくる問題になるわけでございますが、私ども、かつて昭和四十四年以降四回にわたって出入国管理法あるいは出入国法案というかっこうで提案いたしました法案の中に、再入国関係の期間延長というものを外国ですることができるというような、要するに再入国制度の改正ということを盛り込んでおったわけでございまして、将来とも現在の出入国管理令を改正する暁には、非常に厳密に一回限り一年で、それを延長するためには日本に帰ってこなければならないといういまの法体制を変えて、出先で在外公館に出頭して申請をすればそれが延長できるような方式を考えようと思っておるところでございます。
○沖本委員 そういう点十分配慮をお願いしたいと思います。韓国内自体で変わってきつつあるわけですから、日本の国で古い条件で構えているということではまずいと思いますので、その辺も十分お考えいただきたいと思います。 それから最後に、これは先日飯田先生も御質問になっていたわけですが、戦後の混乱の際に離散した親族を頼って入国した者などいわゆる潜在居住者の数は長期にわたってたくさんあるわけです。たまたまいわゆる自首してきたとか密告されたとか、隠れておるけれどもまじめに暮らしている、この前も話がありましたとおり、納税義務は果たしておるとか日本の市民としての生活はいろいろやってきているけれども、在留許可の資格も何もない、そういう潜在している外国人を厳密に調査してみたら相当な数になるだろうということもありますし、まだ登録のむずかしさというのは、稲葉先生も質問しておられた中にもあるとおり、日本の国の景気がいいという面もあって、あるいは韓国の貧富の差が激しいという面もあって日本に密航なさる方々、そういうふうに潜在している者はたくさんいるわけですが、とにかく日本に在留する外国人の中で、韓国人あるいは在日朝鮮人の方が最大限の数に上っているわけです。そういう人たちに対しての配慮というものも、ただ取り締まったりということでなしに、日本で生活している人としての扱い方というものがあってしかるべきではないかと考えるわけですが、その点についてのお考えはいかがですか。
○小杉政府委員 戦後の混乱期に在日の親族を頼ってきわめて大量に密入国者があったのは事実でございまして、現に日韓基本条約が結ばれました際の日本と韓国との間の在日韓国人の法的地位及び待遇に関する協定、あれを結ぶ署名の前後に、わが法務大臣の声明という形で、このような形で密入国してきた韓国人、朝鮮人については寛大に人道的な配慮を払うということを声明しておるわけでございます。 自来、このような潜在密航者あるいは潜在不法入国者の方々が摘発された段階におきましては、それらの方々の不法入国された時期がいつごろであったか、あるいは在日歴が何年以上になっておるかとか、あるいはすでに結婚して家庭を築き子供も生み資産も保有して、生活の本拠が日本にあると認められるかどうかということを詳細に調査いたしまして、生活の本拠が日本にあると認められるような事案につきましては、法務大臣の特別在留許可という形で救っておるのが現状でございまして、この基本的な取り扱い方針と申しますか考え方は私どもも引き続いて堅持してまいりたいと考えておるわけでございます。
○沖本委員 いまのことに関してもう一つあるのですが、これは現実にある問題なんです。 いままで隠れて日本で暮らしていた、ところがたまたま考えを変えて本人が自首して出たんですね、私は不法に日本で生活しておりますということを自首して出た。こっちの方は、何かの都合で隠れて生活しておったけれども生活が非常によくなった、そうすると憎まれて密告されて摘発された。こういうのと、一たん調査の対象になったら条件は皆同じだということです。だから、おれは考えを変えて子供のために全部きちっとしなければならないから自首して出ますとなっても、自首して出たら、逮捕されてわかったのと内容的に同じだということをよく言われるのですけれども、だったらもぐっていた方がいいということになるわけですけれども、その辺の条件はつかないんですか。 そうすると、私たちも具体的にそういう相談を受けたときには、いや、それはあなた自首した方がいい、ちゃんと自首して出て在留許可をもらうなり何なり、自分の身分を説明して現在の生活を説明したら、やはりそこのところはいろいろ考慮してもらえる点もあるからという助言ができるんですけれども、ところが、そうでないということをいろいろ聞きますから、それならもぐった方がいいということに対して、やめなさいということをぼくらは言えないわけですね。その点はいかがなんですか。
○小杉政府委員 これは確かに先生御指摘のとおり、警察官によって逮捕された密航者と自分で申告してきた人間と、基本的にその扱いは私どもの方では特に差異は設けていないというのは事実でございます。 ただ、警察官によって逮捕された密航者が必ず強制送還の対象になるかというと、これはまた必ずしもそういうことではございませんで、その密航者なり不法入国者の在日歴であるとか日本における生活の状況であるとかあるいは家族構成であるとか親族その他が皆日本にいるとかいうような状況いかんによっては、警察官によって逮捕された者についても、もちろん在留を特別に許可するケースが多々あるわけでございます。 また反面、自分で申告して出てきたケースにつきまして、極端な例を申し上げますれば、きのうおととい入ってきた、日本に生活の本拠も何も全くないというような者を、申告してきたからといって特別に扱うというわけにもこれまたまいらぬ点がございます。 ただ確かに、申告事案などについて一般論としてこうだということはなかなか申し上げにくいのでありますけれども、やはりみずから申告してこられたということは、その方の在日中の生活状況等をいろいろ考慮して総合的に最終的に在留を許可するかどうかを決める場合に、判断の材料としてはマイナスの材料でないことだけは間違いないと思います。
○沖本委員 たとえば、ずっともぐってはおったのですけれども、子供が学校へ行かなければならないとか、どうにもならない条件が出てくるわけですね、子供の籍ということが浮かび上がってきますからね。そうした場合は、どうしても届け出をしてちゃんとしたことをしないと子供が浮き上がってしまいますから、そういうことから問題になってきたりするわけです。それまでは生活の都合でもぐっておることが多いわけです。 そういう点は、御専門の立場ですからいろいろな条件は御存じだと思いますけれども、私たちが具体的に相談されるのはそういうケースが一番多いわけです。そういう場合、おまえさんちゃんと自首して出なさい、そうすれば何らかの配慮はあるよという助言をしたいわけですけれども、そんなことは全然ないんだということの方が多いので、そうすると、むにゃむにゃとごまかしてしまうような言い方をしてしまうということになりますから、そういう点も十分御配慮していただきたいと思います。 以上で終わります。
○木村委員長 木下元二君。
○木下(元)委員 私は、外国人登録法の問題に入ります前に、日本税理士会連合会及び税政連による税理士法買収事件について、ごく簡単にお尋ねしておきます。 日税連と税政連は、昨年八月二十七日に合同幹部会で、税理士法改正案成立促進のため、わが党を除く政党と政治家個人に総額一億数千万に上る金をばらまくことを決め、特からA、B、B’、C——特は五百万円、Cは五十万円でありますが、この五ランクに格づけをし、これを九月にそれぞれ各都道府県税政連を通じて、特とAに格づけされた積極的協力者に対しては日税連幹部が直接持参して渡したことをみずから機関紙等で公言をいたしておるのであります。 この事件は、贈賄側がいつ、だれに何の目的で金を幾ら渡したかを全部公表していること、税理士法改正案成立促進の協力の度合いや貢献度によって献金にランクづけをしていること、例年三千万円程度であった政治献金が一挙に一億数千万円にはね上がっていること、こういう点から見て贈収賄を構成することは明白であると思うわけであります。 このため、一部の政党と政治家は事件が発覚をして以降金を返しております。倉石法務大臣も百万円受け取った後で返しておりますが、なぜこれは返したのでしょうか、その理由は何でしょうか。
○倉石国務大臣 この件につきましては、献金を受けました数人の議員らを被告発人として贈収賄罪に当たるものとして告発がなされているという報告を受けておりますので、検察庁は厳正にその真相を究明し公正な処理を行うものと考えております。 ところで、私は捜査を担当する検察庁を所管する大臣といたしまして、いまここでこの献金問題に触れた場合に、捜査に一定の方向づけを与える可能性があるという批判もあろうかと思いますので、この件についての答弁は差し控えたいと存じます。
○木下(元)委員 答弁を差し控えると言われましても、私は、大臣自身が百万円もらって、それは後で返しておられる、どうしてお返しになったのかという事実関係を聞いておるので、何もこの事件についての見解なり方針なり、そういったことについて質問をしておるわけではございません。
○倉石国務大臣 私といたしましては、事実関係のみを申し上げると誤解を与えることになりますので、事実関係とあわせて私の判断、考え方を申し上げざるを得ないのでありますが、そうなりますと事実上捜査に影響を与える可能性がなくはないというので、答弁を差し控えたいと申し上げておるわけであります。
○木下(元)委員 大臣自身が体験した事実について聞いておるわけでありまして、それは別の問題だと思うわけでありますが、まあ、あえて答弁されないと言われるのなら次の質問に移ります。 本件捜査に当たりまして、これまでに取り調べを行った関係者は何名に上るでしょうか。東京と大阪の税理士が事前に贈収賄で告発をした日税連と税政連の幹部である四元、加茂、山本の三氏及び小渕総務長官、山田耻目大蔵委員会理事ら与野党五人の衆院議員については少なくともすでに取り調べを完了していると思いますが、その点はどうでしょうか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの事件につきましては、昨年末に告発がございまして以来東京地検で捜査を続けておるわけでございます。先ほどもお話ございましたように、政治献金と言っていいかどうかわかりませんけれども、いろいろな金を渡された相手方も多数に上っておりますし、またその間にいろいろな人が入っているという場合もございまして関係者が大変多数に上っております。したがいまして、東京地検におきましてはその後鋭意捜査を継続中でございまして、現に現在も捜査を進めておるところでございます。 いまのお尋ねで何人調べたかということでございますが、数を正確に私ども把握しておりません。率直に申しまして、地検でございますから必要な者は順次調べておるということであろうと思います。それから、具体的なお名前を挙げられてのお尋ねでございますけれども、いま申しましたように捜査の途中でございますので、どういう人をどういうふうに調べたかというようなことは捜査の進め方、内容にもかかわることでございますので、現段階におきましてはお答えを差し控えさせていただきたいわけでございます。
○木下(元)委員 質問を変えますが、関係者を日税連と税政連の贈賄グループと政治家グループ及び国税庁と主税局幹部などの官僚グループ、この三つのグループに分けた場合、本件捜査ではこれらいずれのグループからも取り調べを行っているというふうに理解してよろしいでしょうか。
○前田(宏)政府委員 先ほどもお答えしたところでございますが、いま三つのグループに分けてお尋ねがございました。最後のグループは直接告発事件に出ているかどうかと思いますが、要するに贈賄、収賄ということで告発がなされているわけでございますので、その関係者につきましては必要な者を調べておるということでございます。
○木下(元)委員 本件については、検察側がどのように処分するか、これは広範な国民が注視をしているところであります。政界に金をばらまいて法案を押し通すというようなことは議会制民主主義にとっても看過できない問題でもあります。 本件捜査については、前田刑事局長は不当に捜査が引き延ばされることは適当でないと発言をされておりますが、いつまでに捜査が完了する見通しでしょうか。参院選の公示までに終了させるつもりで進めておるのか、それとも投票日前までか、それとも参院選投票後か、一応のめどを明らかにしてもらいたいと思います。
○前田(宏)政府委員 冒頭私の言葉として御引用になりましたが、そういうような表現をしたかどうかはっきりいたしておりませんけれども、事件は当然できるだけ速やかに処理しなければならないわけでございます。 したがいまして、先ほど申し上げましたように関係者も相当多数でございますので、鋭意捜査を進めているところでございますが、いまお尋ねのように参議院選との関係で前か後かということのお尋ねでございますけれども、そういうことは捜査として特に考えることではなくて、捜査の進め方そのものによりまして一応の結論が出ました段階で処理をするというのが検察の従来のやり方でもございますし、本件についても同様だと思っております。
○木下(元)委員 参院選は私が適当に言ったわけでありますが、参院選は関係なくとも一応およそいつごろまで、たとえば連休前後とかそういうふうな一応の日にち、日程的なめどはあるのかどうか聞いているのです。
○前田(宏)政府委員 現在捜査を進めておるところでございまして、検察当局からその結論が出る時期について具体的なことは報告を聞いておりません。
○木下(元)委員 法務省は本件について厳正公平に捜査し処分をすると国会答弁されておりますが、果たして本気でそう考えておられるのかどうか、私は疑問に思うのであります。 厳正公平に本腰を入れて臨むならば、なぜ強制捜査をしようとしないのか。本件では強制捜査に踏み切れるだけの証拠もそろっております。また強制捜査をしなければ、たとえば請託の有無といった点などについては実際にはつかみにくいのではないかと思います。まず、少なくともその贈賄側について強制捜査をやるべきであります。これをしないで幾ら言葉で厳正公平にやると言っても、これはだれも信用いたしません。この点はいかがでしょうか。
○前田(宏)政府委員 いろいろ御批判もあろうかと思いますけれども、捜査のことでございますから、専門のといいますか検察当局がそれなりの事案に応じて必要なことをやるわけでございます。 強制捜査ということも必要であれば当然やらなければならないわけでございますが、理屈めいたお答えになりますが、本来捜査はできるだけ任意でやるのが原則でございまして、必要な場合に強制捜査もやる、こういうたてまえでございます。したがいまして、事案に応じていろいろな方法がとられるわけでございますので、何が何でも強制捜査しなければいかぬというわけにもいかないのではないか、かように思います。
○木村委員長 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○木村委員長 速記を始めて。
○木下(元)委員 もう一点、二点関連して聞いて終わりたいと思います。 私は、戦後一連の法案買収事件というものを調べてみましたけれども、これを振り返ってみた場合、果たしてその厳正公平な捜査ができるのかどうかということについて、私はさらに疑問を深めるわけであります。 少し申しますと、たとえば昭和二十二年に炭鉱国管事件というのがあります。これは政治家も起訴されましたが、裁判では実刑判決を受けた政治家はおりません。日発スキャンダル事件。これは衆院に特別考査委員会が設置をされまして真相究明に当たりましたが、全貌の発覚を恐れましたGHQと自民党首脳は、同特別委員会で調査を打ち切る動議を強行してうやむやのうちに葬り去っております。保全経済会事件。これは政界人九十六名はいずれも不問に付されております。造船疑獄事件。これは取り調べを受けた者は政財官界人約八千二百名、うち逮捕された者百五名、政治家のうち逮捕されたのはわずか四名であります。政治家三名が有罪判決を受けましたが、実刑判決を受けた者はおりません。佐藤榮作氏は国連加盟大赦で免訴になっております。売春汚職。これは捜査陣の一部が捜査情報を流したために証拠が隠滅をされました。この結果、逮捕、起訴されました政治家は三名でありまして、実刑判決を受けたのは一名であります。共和精糖事件。取り調べを受けた議員は約五十名、捜査のさなか国会解散という名の指揮権が発動されまして、収賄で起訴された議員はわずか一名であります。大阪タクシー汚職。これは現職議員が一名起訴されましたが、他の三十数名の国会議員は検察の統一見解として発表されないまま捜査が打ち切りであります。 こういうように、法案買収事件では政治家を徹底追及したためしはないのであります。世論に押されて起訴をした政治家はどの事件をとってみても数名しかおりません。しかし、それでも大体強制捜査を行っておるのです。いまずっと申しました中で強制捜査を行ってないのは、GHQの圧力がかかってもみ消しになったと言われておる日発スキャンダル事件、これだけでありまして、あとは全部強制捜査を行っております。 税理士法買収事件のように、これだけ大きく問題になりながら強制捜査もしないでは、これはだれが見てもおかしいのであります。かっこうがつきません。異常であります。本件について参院選前までに、この時期の点ははっきりしないようでありますが、できるだけ早くこの捜査を進めることが必要でございます。どうも収賄側を不問にしたまま事件をうやむやにしてしまえというような圧力が各方面からかけられていると言われているのでありますが、よもやそうした事態になるまいと思うのでありますが、最後にこの点についてお答えいただきたいと思います。
○前田(宏)政府委員 いろいろな過去の事例をお挙げになりましたけれども、事件はそれぞれ内容によって違うわけでございまして、同列には論ぜられないと思います。 検察当局といたしましては、全力を挙げて、もし犯罪が認められるといたしますれば、当然のことながら厳正に処理するわけでございますけれども、広く疑惑と言われておりますものがすべて犯罪になるわけでもないこと、これはまた申すまでもないところでございます。要するに、捜査当局といいますか捜査権の限界というものももちろんあるわけでありまして、その中で全力を尽くすというのが検察当局の立場でございます。
○木下(元)委員 その問題はまた改めてやることにしまして、本法案に関連する問題といたしまして、モスクワ・オリンピック参加問題について、一般旅券の発給、出入国管理問題を中心に法務大臣の見解をただしたいと思います。 オリンピック大会への参加問題については、これは各国オリンピック委員会が最終的に自主的に決めるべきことでありまして、政治あるいは政府が干渉して一定の措置を強要するのは正しくないと思うのでありますが、大臣、この大原則を確認されるでしょうか。
○倉石国務大臣 IOCとJOCが態度を決めておりません現段階では、意見を私から申し述べることは御遠慮したいと思います。
○木下(元)委員 IOCやJOCが態度を決めてないから意見は差し控えるというのは、私は答弁回避だと思うのです。そんなことを聞いているんじゃない。 IOCやJOCがどうしたということじゃなくて、本来オリンピック委員会が参加するかどうかということを自主的に決めるべきことで、政治はそれにいろいろと干渉がましいことを言ったり強要したりすることはよくないことではないか、これは当然のことだと思うのですが、このことを聞いているのであります。言えませんか。
○倉石国務大臣 政府として、いろいろな条件に対して検討いたしておる模様でありますけれども、その内容がまだはっきりいたしておりませんし、とかくのことを閣僚の一人が批判がましいことを申し上げるということは差し控えた方がよろしい、こういうわけであります。
○木下(元)委員 私は一般論として聞いておるのですが、どうも大臣、余り慎重におなりになり過ぎているような感じがするのです。 そこで、もう一つ具体的に聞きますが、JOCが五月の臨時総会でモスクワ大会への参加を決めた場合に、本年度予算で計上されました選手団派遣費補助金、約六千万円でありますが、これはやはり予算どおり執行すべきでありますし、報復措置として日本体育協会への補助金十五億八千万円を凍結するというような不当な措置を講ずるべきでないことは申すまでもありません。選手団がモスクワ大会に参加するために旅券の発給や出国の許可を求めた場合、政府が政治的な意図からこれを不当に拒否をするというようなことはあってはならないことだと思います。JOCが自主的にモスクワ大会への参加を決めた場合、こうした措置を講じないとひとつ約束してもらいたいのでありますが、いかがでしょうか。
○倉石国務大臣 政府部内でいろいろこの点について相談をしたり努力をしたりしておる担当閣僚はございますけれども、私は、ここで政府としての意見を述べる立場でもございませんし、御遠慮いたした方がいいと思います。
○木下(元)委員 いや、これについての意見、オリンピック参加にJOCがどういう態度をとるか、それに対して政府としてどうかというような、そういうことでなくて、法務省、法務大臣として、旅券の発給ですね、普通これは申請があって旅券の発給があった場合は一体どうするのか、そして出国の許可、これは通常入国審査官がその旅券に出国の証印を押すということになっておりますが、そういうふうな通常の扱いはきちんとおとりになるということを確認してもらいたいのです。
○倉石国務大臣 一つ一つ分析してみますと、たとえばいまお話の中にありました旅券の申請、これは外務省が扱うことでありますので、外務省当局がどういうふうにやるかということにつきましては、それ相当の考えを持たれるでありましょうが、したがって法務省が旅券の発行について関与する場合があれば、それは旅券発行という段階で法務省も事務的に処理をするという立場だと思います。
○木下(元)委員 旅券の発給は外務省だから、法務省、法務大臣としては知らぬということのようでありますが、しかし入国審査の関係は法務省、法務大臣が管轄であります。その場合、旅券に出国の証印を受けることになっておりますが、この点については、これをやめたり、食いとめる、阻止をするというようなことはおやりにならないということは約束できますか。
○倉石国務大臣 法務大臣として、私がこの場所でただいまのように何かお約束するという立場にはございませんので、旅券の発行について外務省が手続をとられるならば、これはその限りにおいて、旅券発行ということについて法務省が事務的になすべき事柄がございます場合には、これは当然行われることだと思いますが、旅券発行について外務省がどういう態度をとるかというようなことにつきましては、私どもといたしましてはお答えする範囲ではありません。
○木下(元)委員 それでは大臣結構ですが、入国審査の関係は来ておられますか。 入国管理局長にお尋ねしますが、一つは、JOCが参加をするということを決めて参加する場合が考えられます。それからもう一つは、いま問題になっておりますが、JOC、体協などの関係者は個別参加ということを最後の頼みの綱として検討しておるということが報道されておりますが、仮に個別参加を決定した場合、個人個人で参加をする、そういう場合に、一般旅券の発給、これは外務省ということでありますからあえてお尋ねしませんが、出国の許可、これを不当に拒むというようなことはあってはならないと思うのでありますが、そういう不当な措置はおとりにならない、これは言えますか。 それからもう一つ、ついでに言っておきますが、またオリンピックを見たいという在日外国人、これには当然再入国の許可を与えて出国を認めるべきだと思うのです。政府の態度によってそういうふうな再入国の出国は認めない、そういうことであっては困ると思うのです。そういう点についてもひとつ確認しておきたいと思います。
○小杉政府委員 第一の点でございますが、日本国民でございます限り、日本から出国することあるいは日本へ入国すること、これは憲法上保障された基本的な自由権の一つでございまして、およそ有効な旅券の発給を受けておいでになられる限りにおいて、入国審査官がこれを拒否するというようなことは現行の出入国管理令上不可能でございます。当然これは許可することになる。 第二点、これは実はなるほどそういう問題があるのかといま初めて気がついたわけでございますが、再入国許可で外国人がそれを見に行く、これを許可するかしないか。それを差しとめなければならないというような考え方は、現在まで私は一度も持ったことはございません。
○木下(元)委員 次の問題に移りますが、このたびの外国人登録法の改正は、この登録事務の合理化、簡素化を図ろうとするものでありまして、近年わが国に出入国する外国人数の増加、在留状況の多様化によりまして外国人登録事務が著しく増大している現状にかんがみまして、このたびの改正それ自体は一定の改善であると思っております。 ただ、登録事務の合理化、簡素化を図る上で不十分、不徹底な点があったり、また、従来から批判をされてきました外国人登録法上の問題点にメスが入れられずにそのまま残されたことは残念に思うわけであります。また、外国人登録制度をきめ細かく整備することは結構でありますが、これがその目的に従って十分機能しているかどうか、そういった観点から見直してみることも必要ではないかと思っております。 そうした問題点について質問をしたいと思うのでありますが、まず、この外国人登録法の目的は、その第一条が明記をしますように、本邦に在留する外国人の登録を実施することによって外国人の居住関係及び身分関係を明らかにして、外国人の公正な管理に資するという点に置かれております。 外国人に関係のある法律は日本の国に約三百種あると言われております。中に、外国人を除外している法律あるいは外国人のみに適用される法律、日本国民のみに適用される法律、いろいろありますが、三百種の法律がそのように適用を異にして外国人と日本国民とに分けて考えられているということであります。たとえば公職選挙法や国民年金法は日本国民に限られております。そういうことで、外国人登録をしておれば日本国民のみに適用される法律は適用されないわけであります。そういうための資料なり情報がこの登録で提供される、それによってこの法律の目的が達成されることになる、そのために外国人登録制度がきめ細かく整備をされ登録の正確性の維持が図られる、こういうことではないかと私は理解をいたしておりますが、おおむねそれでよろしいでしょうか。
○小杉政府委員 ただいま先生から御説明がございました先生の御理解、そのとおりであろうと思います。
○木下(元)委員 ところが、いま申しますのはここに問題が一つ起こっておるのです。 尼崎市に住む朝鮮人、名前は申しません、仮にAさんといたしておきます。Aさんは、戦前子供のときから日本へ連れてこられまして、いわゆる創氏改名で日本式の姓名を名のって、日本国民に同化して生活をしてまいりました。昭和四十年ごろ、尼崎市から文書で国民年金に加入するようにという勧誘がありまして、これに加入をしたのです。五十五歳のときであります。Aさんは、朝鮮人も当然年金加入ができると思って手続をとったのでありまして、日本国民と偽ったものでは決してありません。それから長年にわたって保険料を支払い、六十五歳になった昭和五十年から国民年金をもらっておりました。ところが、五十一年になって受給資格がないことがわかって、国民年金老齢年金の裁定取り消し処分となったのであります。 厚生省来ておられますね。この件について、裁定取り消しとなってどういう清算が行われようとしているか、簡単に言ってください。
○阿藤説明員 お答え申し上げます。 いま先生の御指摘の件は大変お気の毒なケースでありますけれども、現行法上国民年金の加入資格それから受給資格がございませんので、御指摘の件につきましては、五十二年の十二月六日に老齢年金の裁定の取り消しを行いまして、誤納となりました十年間の保険料二万七千七百七十円は昭和五十三年六月二十七日に本人に還付済みでございます。また誤払いとなりました三十七万七千余円の給付につきましては返還をお願いをしておるわけでございます。そうしまして、五十三年三月十五日に本人あて返納の御通知、請求を出しておるわけでございます。 なお、こういったケースにつきましては、現行法上そうでございますけれども、資力の関係等で大変返納が困難であるという方もございますので、そういう方は申し出ていただければ、社会保険事務所でたとえば分割返還の方法もございますので相談に応じさせていただくということにしておるところでございます。
○木下(元)委員 支払った保険料元金を返すかわりに年金元金を返せ、こういう処分のようでありますが、インフレが進んだ状態で、ずっと昔納めた保険料を、しかもその元金だけ返そう、そのかわり使ってしまった年金も返せ、まあこれはずいぶんひどい話ではないかと思うのです。Aさんは老後の生活設計の一環として年金に加入したのですね。老後を迎えたいまになって、後になって受給権を奪うというのはずいぶん酷な話であります。Aさんは細々と一人暮らしをしておりますが、これはもう死ねというのに等しい処分であります。 厚生省に伺いますが、ほかにこういうAさんのようなミスは起きていないでしょうか。
○阿藤説明員 私の方で一応各市町村、都道府県から報告を受けております数字は、実は八十件程度ございます。 それで、これにつきましては、そのほとんどが誤適用が発見されまして誤適用の段階で本人に御了承いただいて還付をさせていただいて処理が終わっておりますけれども、現在地裁に提訴されまして審理中のものが二件ございます。
○木下(元)委員 私は、戦前から日本に住みついたAさんのような場合は、国民年金の受給権が認められてよいと思います。いや、むしろこれは認められるべきだと思うのでありますが、それはしばらくおくとしまして、なぜこういうミスが生じたのでしょうか。
○阿藤説明員 実は、制度発足当時でございますが、約千七百万人に上る適用というものを施行当時非常に短期間のうちに進めておったという事情がございます。 同時にまた、国民の側もあるいは市町村もまだよくその辺のことが御理解をいただけない時期もありまして、そういう制度発足時に、限られた短期間におきまして膨大な、いま申し上げた二千万人に近い適用をしたということで、本来は御指摘のように、市町村におきまして、本人が資格取得届を出しました際に必ず住民票または戸籍簿と照合するということになっているわけであります。そうして日本国民であることを確認するということになっているわけでありますけれども、当時はそういう事情にありましたために、市町村におきまして、この適用の推進のために、実は一番この対象として近い国民健康保険の被保険者台帳、これを使いまして、そうしてその適用対象者に対して勧奨した、こういう経緯がございまして、国保の台帳から拾いました適用対象者名簿によって勧奨をする際に必ずしも住民票等との照合が十分でなかった、そのために一部その当時は、外国人でありましてもその届けをしてきた者につきましてつい誤って適用しておったという事情でございます。
○木下(元)委員 住民基本台帳法という法律が施行されましたけれども、これも発足して余り時間もたっておらず十分整備されていなかったという問題もあろうかと思います。 しかし、一方においては外国人登録法に基づく登録制度がずっと以前からきちんと整備されておるのです。外国人登録を行う市町村の登録課とそれから年金課、これが緊密な連絡のもとに事務をやっていないということにこういうミスを生ずる一つの原因があるのじゃないかと私は思います。大体ずっと以前から外国人登録制度は整備されておったわけでありますから、Aさんはもちろん登録制度発足以来一度の懈怠もなく登録申請を行ってきた人であります。幾ら外国人登録制度をきちんと整備をしましても、それがより有効に役立っていない、登録による情報がきちんと提供されていない、だからこういうミスが多発をするのであります。こういうミスによって裁定を取り消される者に対しては、十分な救済なり補償の措置が講ぜられる必要があると私は思います。それとともに、再びこういうミスが生じないようにしていくことが必要だと思います。そうでなければ、外国人登録法を幾ら細かく整備をしましても、一体何のための法律か、これでは目的が達成されぬじゃないかということになるのです。この点、大臣いかがでしょうか。
○倉石国務大臣 厚生省の所管のことでございますので、私から批判的なことを申し上げることは御遠慮させていただきたいと思います。
○木下(元)委員 私の質問をよく聞いてくださいよ。私は具体的な問題として厚生省を呼んで聞きましたけれども、私が最後に質問をしておりますのは、とにかくこういうミスが生じないようにすることが必要ではないのか、こんなことでは、外国人登録法というものをつくって登録制度を完備しても、それによる情報がきちんと提供されないと、そういうことでミスがどんどん起こっては何のためにこの法律を整備するのかということになるじゃないか、こういう質問なんです。 だから、この法律の整備をきちんとするとともに、いろいろな窓口、事務所が各省あると思いますが、連絡を密にしてきちんと処理ができるようにしていくことが必要ではないかと思うのです。そういう体制ができていなかったところにこういう問題が起こっているのです。そうではありませんか。
○倉石国務大臣 いま御審議を願っております外登法をきちんとやっていただければミスがなくて済むのではないか、そのように私どもは理解しておるわけでございます。
○木下(元)委員 どうも私の質問をよく聞いてないからそういう答弁にしかならぬと思うのですが、登録法の法律を整備することは結構です、多いにやらなければいかぬと思います。しかし、それだけに目を向けておって、登録原票と申しますかそれできちんと押さえておる、しかし、そういう資料がやはりきちんと使われると申しますか外国人登録法の一条に基づく目的に沿って外国人の管理のために使われると申しますか、そういうことでないと私は意味がないと思うのです。 そこで、もう少し法案の内容に沿って質問をしていきたいと思いますが、改正案によりますと、旅券番号その他一定の記載事項については、変更を生じてもその都度一々変更登録申請を要せず、登録証明書を棄損または汚損してその引替交付を申請する際とか、紛失、盗難または滅失により再交付を申請する際、あるいは居住地等の変更登録申請の際もしくは三年経過による切替交付申請の際にあわせて申請できることとしまして、登録事務の簡素化を図っておるわけであります。変更登録の緩和であります。 ところが変更登録が緩和されていない事項、居住地、氏名、国籍、職業、勤務先、在留資格、在留期間の七項目でありますが、これらに変更を生じたときは必ず変更を生じた日から十四日以内に変更登録申請をしなければならないことになっています。こうして変更登録申請をした場合、三年経過による切替交付の申請時期をどう見ていくかという問題であります。すなわち、変更登録をした際から三年を見るのではなくて、その前にした新規登録や切替交付のときから三年の期間を見る、改正法文上はそのようになっておるようでありますが、そうなっておるということを確認しておきたいと思います。
○小杉政府委員 御指摘のとおりでございます。
○木下(元)委員 たとえば居住地が変わって変更登録をした、次の切替の申請はそのときから三年を経過する日前三十日ではなくて、変更登録の前にした新規登録や切替登録のときから三年の期間を見る、そういうことになりますと、たとえば居住地が変わって変更登録をしましても、またすぐ二月、三月先あるいは半年先に改めて切替交付の申請をせねばならぬ、こういう場合も多いと思うのですが、この点は余り合理化、簡素化されていないと思うのですね。登録証明書を棄損、汚損した場合の引替交付や紛失、盗難または滅失による再交付の場合、こうして新たな登録証明書の交付を受けたときはその後三年間切替交付申請を要しないこととされております。 この場合と変更登録の場合とで、切替交付の申請をする三年間の期間のとり方がなぜこういうように違うのでしょうか。
○小杉政府委員 これは現在現行法においても同様でございますが、市区町村におきまして確認をいたした場合には新たな登録証明書が発行されるという形になっておるわけでございますが、この引替交付、再交付の手続というものを見てみますと、汚損なり紛失した結果として新しい証明書が発行される、その点に着目いたしまして、これらの手続すなわち新たな登録証明書が発行されるというときに市町村長に登録の確認を行わせることで、三年間の期間というもののスタートとしたわけでございます。 それに対しまして、いわゆる変更登録の場合は単に記載の書きかえのみで済むわけでありまして、新たな登録証明書の発行をしない手続になっておるわけでございますから、変更登録の場合には別段新たな登録証明書が発行されるわけではないわけでございまして、すでに書いてあるものを書き直すということだけにとどまるわけでございます。したがいまして、このような場合にも確認ということをつけ加えて市町村長に新たな義務を負担させるということが果たして妥当であるかどうか、若干の疑問がございます。 ただ先生の、変更登録の際にも確認をさせて、その結果さらに三年の有効期間を認めたらそれの方がいいのではないかという考え方は一理あるのではないかという気もいたします。ただ、たとえば変更登録が人によりましては一年間に二回、三回とやらなければならないような環境にある方もあり得るのではないかと思います。その都度確認して三年ずつ延ばしていくということになりますと、これまた地元の特に市町村長の負担というものがむしろ逆に大きくなるのではないかというような気がしないでもないのでございます。いずれにいたしましても、今回の法改正におきましては、引替交付あるいは再交付というような形で新しい登録証明書が発行されるというところをとらえて処置しておるわけでございます。
○木下(元)委員 変更登録のときに新たなものを発行しないということですが、新たなものを発行しなくても、その際に変更事項のみでなく登録事項全部について一応あわせて確認をして、そして新たなものを発行しなくても一応確認をしてやるということは可能だと思うのですね。それから一年に二回も三回もする人がおる、そんな場合に二回も三回もする必要はないので、一回やってそのときから三年間、その三年以内に二回も三回も変更があっても、そういうものはその都度やる必要はないのじゃないか、そう思うのです。私は簡素化、合理化をする観点から言っているのですが、そうした方がいいんじゃないかということであります。 たとえば登録証明書を棄損または汚損して引替交付が行われる件数というものは、いただいておる資料によりますと、四十八年度から五十三年度まで六年間を平均しまして千六百九十六件、全体の事務件数のうち〇・二%、それから紛失等による再交付の場合が一万二百八件、〇・九%にすぎません。それに比べて居住地変更の場合の変更登録が十二万二千二百十六件、一一%であります。居住地以外の変更の場合は三十三万七千九百六十件、三〇・三%であります。 今度変更登録は緩和されるわけですが、緩和されない事項について変更登録が行われてきた件数というものは年間どのくらいと推定されるでしょうか、おおよそで結構です。何割でも結構ですよ。
○小杉政府委員 おおよその感じでございますが、六割程度、二十万件ぐらいではないかという感じがいたします。
○木下(元)委員 法務省のつくられた法律案要綱によりますと、外国人登録事務の合理化、簡素化を図る趣旨から四項目の改正要綱が述べられております。 その三項目目に詳しく述べられておるわけでありますが、要するに、登録証明書を棄損または汚損して引替交付が行われる場合や紛失等による再交付が行われる場合には、そのときから切替交付の申請をする、三年間の期間を見るという点を改正の大きな柱にしておるのですね。ところが実務上、いま私数学を言いましたように引替交付や再交付が行われる場合というのはそう多くないんですね。〇・何%という、そんな状態であります。 これでは、法文の上で合理化できましても実質的には余り効果がないといいますか意味がないのですよ。実質的な合理化、簡素化を図るためには変更登録の場合にもその後三年間切替交付申請を要しない、こういうように改めることが大事ではないかと思うのです。この点についてはひとつ検討いただきたいと思います。いかがですか。
○小杉政府委員 先ほど申し上げましたように、このような形での変更登録に際しての期間延長をやった場合、実際上どういう事務的な負担というものが市町村に及ぶのか、現時点で確信がございませんのでいささか不安でございますけれども、今後の基本問題の検討の際にあわせ検討させていただきたいと存じます。
○木下(元)委員 次に、改正案によりますと、変更登録が緩和されていない事項すなわち変更があればその都度変更登録申請をしなければならない事項というのは、居住地、氏名、国籍のほかに職業、勤務先、在留資格、在留期間が含まれております。ところが、今回の改正の大きなきっかけの一つであります行政監理委員会の昭和四十九年十一月六日付の「許認可等に関する改善方策についての答申」によりますと、外国人登録関係について述べておりますが、これは結局職業や勤務先などの変更登録を緩和することを明示した答申なのであります。この答申に反して職業や勤務先について緩和の対象にしなかったのはどういう理由でしょうか。
○小杉政府委員 これは外国人登録法の第一条に書いてございますように、登録の目的というものは外国人の居住関係及び身分関係というものを明確にして、それによりまして公正な在留管理を行うということが目的になるわけでございますが、居住関係、身分関係というものを明確にする場合、国籍でございますとか住居、職業、氏名、生年月日というようなことによって特定化する、明確化するというのが通常でございまして、国籍等と同様職業についても変更があった場合には十四日以内に変更登録をさせる必要があるというのが外国人登録法の基本的な考え方から出てくる問題ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○木下(元)委員 ちょっと言われることが抽象的でわかりにくいのですが、外国人登録において職業や勤務先を特につかんでおく実益といいますか理由は何でしょう。
○小杉政府委員 職業とうらはらをなします勤務地の名称というようなことは、国籍、氏名などとともに外国人の身分事項というものを具体的に明らかにするために必要な事項であるというふうに私ども考えておるわけでございまして、私どもは、在留管理上いろいろやっております外国人の資格外活動であるとかあるいは目的外活動の取り締まりというようなことを行なう場合、職業の変更というものを速やかに外登証の上に反映しておいていただく必要があるというふうに考えるわけでございます。 さらには、わが国の入管行政のみならず経済政策あるいは労働政策を策定する上におきましても、在留外国人の職業活動というものの態様を的確に把握する手段を持っておくことはきわめて必要ではないかと考えます。
○木下(元)委員 行政監理委員会の答申でも職業は緩和しなさいと言っておることなんです。それに出入国管理令では、わが国に入国した外国人に在留資格が、定められておりますが、この在留資格というのは、外国人が本邦に在留する間ある一定の活動を行うことができるという資格でありますが、外国人はその資格を有する者に認められている活動以外の活動を行うことは制限されておるわけであります。だから職業や勤務先が変わる場合に登録を要するとすることは、ある意味でそういう在留資格というものを前提にするならばやむを得ないと言えるかもしれません。 しかし、昭和二十七年四月二十八日法律第百二十六号により「在留資格を有することなく本邦に在留することができる」者ですね、戦前から居住している等の朝鮮人の場合は職業制限がないわけであります。したがって、こういう人々の職業や勤務先の変更の場合に、他の外国人と同様に取り扱うべきではないと考えられるのです。在留資格が定められ職業に制限のある他の外国人と共通に扱われる必要がないのじゃないか、こう思うのですがどうでしょうか。
○小杉政府委員 確かに、在留活動の規制を受けない外国人というカテゴリーの中には、戦前からわが国に居住しております朝鮮、韓国及び台湾の人並びにその子孫というグループの方がおられるわけでありますが、これだけではなくて、御存じのとおり、さらに入管令の四条の在留資格の中に規定されております、たとえば一六−一であるとか一六−三という在留資格は、これまたいわゆる在留活動の資格の範囲外のあれになるわけでございまして、したがって在留活動の規制を受けない外国人というのは、朝鮮、韓国、台湾の人たち及びその子孫だけではないという点もお忘れいただかないようにお願い申し上げたいわけでございます。 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、特に職業活動ということを登録の上で何としても反映させていかなければならないと考えておるわけでありますが、これは先ほどもちょっと申し上げました経済政策あるいは労働政策上の要請のほかに、朝鮮、韓国の人がわが国の在留外国人に占める比率がきわめて高いということも非常に関係があるわけでございまして、これらの人たちの職業というものをやはり的確に把握しておく必要性が大きいということに相なるのではないかと思っております。
○木下(元)委員 この点は、私は法務省部内でも幾らか問題になって検討されておるということを聞いておるのですが、私が提起したような問題ですね。在留資格を前提にしない外国人の場合、法律百二十六号該当者のような場合について、これは他の一般の外国人と違う扱いをすることについてやはり検討するべきではないかということで検討も進んでおるということを聞いておるのですが、どうなんですか。
○小杉政府委員 実は、いま先生がおっしゃられたような方向での検討ということは私どもやっておらない現状でございます。 ただ、先ほど申し上げましたことをもう一度敷衍いたしますと、本来協定永住であるとかあるいは法一二六−ニ−六の該当者であった人で、現在いろいろなその後の事情によりましてもとの資格を失って一六−三になった人もかなりおるというのが現状現状でございまして、これらの一六−三に資格の変わった方と本来の一二六−ニ−六の人との間で外登法上の取り扱いに区別をつけるのもいかがかという懸念もございます。 いずれにいたしましても、本来すべての外国人に一律平等に適用することとされております法律を、特定の外国人だけについて適用除外するというような措置をとることは、むしろ逆に外国人を差別待遇することにもなって好ましくないのではないかというような考え方もあるわけでございます。
○木下(元)委員 次の問題ですが、外国人登録法一条によりまして、登録法の第一次的目的というものが外国人の居住関係及び身分関係を明瞭ならしめるところにあるとされております。その結果を外国人の公正な管理に役立てようという趣旨であります。一方、住民基本台帳法もまた戸籍法もありますが、こういう法律も日本国民の居住関係、身分関係を明らかにすることを目的としております。かように、外国人登録法も住民基本台帳法、戸籍法も、対象が外国人か日本国民かの違いはあるにしても、ともに居住関係、身分関係を明らかにすることを第一次的目的とする点では共通のものであります。 ところが、居住関係、身分関係を明らかにする担保としての罰則というものは、外国人登録法の方が比較にならぬくらい重いのであります。住民基本台帳法は二千円以下の過料、戸籍法は三万円以下の過料、刑罰を避けていずれも過料であります。単なる秩序罰であります。また届け出を怠った場合でも、怠ったことについて正当な理由があれば免責をされる。不注意で届け出を怠っている者に対する催告の制度もつくられております。これに対して登録法は、その十八条で一号から十号にわたる各種義務違反行為に対して「一年以下の懲役若しくは禁こ又は三万円以下の罰金に処する。」としておりまして、さらに「懲役又は禁こ及び罰金を併科することができる。」といたしております。どうして外国人登録法違反の場合はこういうように罰則が重いのでしょうか。
○小杉政府委員 これは外国人登録制度の目的及び性格と住民登録や戸籍等の制度の目的、性格との間の相違というものが理由であろうかと思います。 したがいまして、外国人登録制度という制度の維持を担保するのにどのような罰則を必要とするかということに相なるわけでございまして、制度の維持を担保するための罰則の軽重ということは、それぞれの制度の目的並びに性格というものによって異なってくるのがきわめて当然のことではなかろうかということでございます。 ただ御指摘もございましたように、現在の登録法の罰則というものが非常に画一的な規定の仕方になっております点は確かに御批判を受ける点でございまして、このような点について将来改善の余地があるかどうか、基本問題の一環として引き続き検討してまいりたいと考えておるところでございます。
○木下(元)委員 居住地の変更の登録を一日おくれた、勤務先の変更の登録を一日おくれた、これだけでも登録不申請罪として懲役一年及び罰金三万円の刑罰を科し得るということになっておるのですね。 たとえば刑法において、賭博罪や過失致死の罪、これは罰金刑で懲役、禁錮がありませんが、これと比べて単に期間を徒過した行為がなぜ懲役一年に該当するのか、なぜこういう重い犯罪になるのか、単に形式的手続に違反したぐらいのことがどうして賭博行為や不注意で人を死に至らしめた行為より非難に値するというのか。 こういう疑問は、一般国民はもとより法律家の中でもあるわけであります。これはその法定刑自体が法体系全般に照らして著しく重くて均衡を失しておる、こう言わざるを得ないのです。どうですか。
○小杉政府委員 わが国の外国人登録法上の罰則の規定が確かに戸籍法であるとかあるいは住民基本台帳法等の罰則に比べて厳しいということは事実でございますが、諸外国の立法例を見てみますと、やはり外国人の出入国あるいは外国人の登録に関連した罰則はかなり厳しい罰則になっております。 一例を申し上げますと、フランスの場合、滞在許可書不所持という場合は一カ月以上一年以下の禁錮及び百八十ないし三千六百フランの罰金というような罰則が決められておりまして、西ドイツ、英国、オランダ、米国等それぞれ軽重に若干の差異はございますけれども、六カ月以下の懲役あるいは拘禁刑あるいは禁錮というような体刑を含む罰則体系になっておる例が非常に多いのでございます。
○木下(元)委員 外国の例がどうこう言われることは私は弁明にならぬと思うのですよ。外国のそういう立法例については私もよく研究したいと思いますが、どうもそれによって合理化されるのはどうかと思います。 たとえば登録証明書の携帯、呈示義務の場合、これも同じ刑でありますが、日本に一時的に入港、滞在する外国人の場合は旅券、仮上陸許可書等の携帯、呈示義務が課せられておりますが、罰則は一万円以下の罰金でしょう。これは比較して考えると、旅券や仮上陸許可書の場合は登録原票のない一時入国者にとってはただ一つの身分証明方法でして、登録証明書よりもずっと重要度は高いのですね。それなのに罰則は逆に軽くなっている。だから私は、非常に不合理な刑罰の不均衡というものがある、こう考えざるを得ないのです。 結局、過料ならば警察は捜査権を発動できないわけですが、懲役、禁錮、罰金というふうに規定されておりますと刑訴法を適用して違反者を逮捕勾留したり家宅捜索ができる、わずかな手続違反でも強制捜査権の発動ができる、罰則を非常に重くしているねらいはこの辺にあるのじゃないのですか。
○小杉政府委員 私ども外登法を所管しておる入管といたしましては、ただいま先生が御指摘になったような意図を持ってこの罰則を強化したということはございません。 先ほども先生御指摘になられましたが、旅券の呈示義務の場合と外登証の呈示義務の場合罰則がいかにも違うのはおかしいではないかという御指摘でございますけれども、旅券の呈示義務というのは主として日本に六十日未満滞在する短期の外国人に対する関係でございまして、短期間本邦に在留する者について入国許可の有無とかその内容を把握することをもって十分とするわけでございます。それに対しまして登録証明書の場合には、単に入国在留許可の有無のみならず在留中の身分の関係あるいは居住関係等々はるかに広範な事項について把握する制度でございますので、旅券と登録証明書の場合で罰則に差異があるのはきわめて当然ではないかというふうに考えます。
○木下(元)委員 そういうことを言われますとさらに私も言いたくなるのですが、大体長期滞在の外国人の場合には、登録原票制度によって登録原票に氏名、出生年月日、性別、国籍、職業を初めとして二十点にわたって細々と登録されておるわけでしょう。これを見れば、どういう外国人がどこで何をしているか簡単にわかるわけです。だから、この原票制度の上にさらに登録証明書を携帯しなければならないという十分な理由は乏しいと思うのです。 仮に外国人が就学や就職のために自分の身分を明らかにする必要がある場合には、市町村役場で登録済み証明書を発行してくれるわけでありますから、それで足りるのです。だからこの携帯、呈示義務の制度、その存在自体にも十分な合理性が認められない。しかもその上に、その違反に対する罰則が異常に重い。ここに問題があるということを私は言っておるわけです。 あなた方は、私がいま言いました刑事訴訟法を適用して強制捜査をするためにではないかというふうなことは否定をされますけれども、当然これは否定をされるわけでございますが、この外国人登録法違反の重い刑罰規定によって、実際に刑事訴訟法に基づいて強制捜査権の発動ができるという仕組みであることは間違いないわけですね。そして、事実これまでこの登録法のわずかな手続違反に対して強制捜査が執拗に繰り返されてきたのです。 言うまでもなく、それは在日朝鮮人に対してであります。この登録法の適用該当者の八五%が在日朝鮮人でありますが、同じ適用該当者といっても、他の外国人に対する場合と在日朝鮮人に対する場合とでは日本官憲の適用、運用の仕方は天と地ほどの開きがあり、まさに在日朝鮮人に対する適用の仕方は峻厳苛烈をきわめていると言われておるわけであります。こういう差別はもちろんしていないというわけですか。
○前田(宏)政府委員 刑事事件の処理に当たりまして特に国籍によって差別をするということはしていないはずでございます。 ただ、確かに統計の上で朝鮮あるいは韓国の方についての処分が厳しいように見えるような数字があるかと思いますけれども、逆な言い方をいたしますと、日本に在留している外国人の中で朝鮮あるいは韓国というようなことでおられる方が絶対数が非常に多いわけでございます。それだけに、また日本に長期に在留している人が多いわけでございますから、それなりに、違反をする可能性と言うと変かもしれませんがそれも多いわけでございますし、片やそれ以外の一般の外国人の方については絶対数が少ないので、その率を比較すること自体、相当な数同士でございますと率も比較できるわけでございますけれども、片や大変絶対数が多く片方が絶対数が少ないということでございますから、それだけの比較もいかがかと思うわけでございます。 また実態としても、いま申しましたように長期的に在留するということになりますと、先ほど来御議論のありますようないわゆる切替交付の不申請とかいう問題も往々にして起こりかねないわけでございます。それやこれやで、悪質という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、相対的に見れば悪質な違反が多いということが起訴率等について差が出る一つの原因ではなかろうかと思います。
○木下(元)委員 この検察統計年報によりましても、旧外国人登録令が制定されて以来二十七年間、一九四七年から七三年までに四十一万八千五百四十四名の在日朝鮮人が登録法違反の容疑で検挙されております。平均年一万五千五百名であります。もっともここ数年は減少傾向にあるようですが、それでも他の外国人に比べて在日朝鮮人の検挙が断然多いのです。起訴率も他の外国人に比べてずっと高いようであります。 いまのお話ですと、絶対数が少ないから、率も朝鮮人の場合の方が高くなるのだというふうな言われ方をしましたけれども、そうではなくて、検挙した上での起訴率、それを比べてみましても他の外国人に比べてずっと高いようであります。外国人登録法違反事件の国別起訴率上位五カ国並びにそれぞれの起訴率を明らかにしてもらいたいと思います。
○前田(宏)政府委員 一般に起訴率と申しますと起訴と不起訴の計で起訴の数を割るということでやっておるわけでございますが、遺憾ながら、外国人登録法違反事件の国籍別の受理処理につきましては、そういう面からの統計が実はございませんので的確なお答えができないわけでございますが、国籍朝鮮、広い意味の朝鮮ということである外国人の方々の起訴率というものが一番大きいことは先ほど申したようなことでございまして、その絶対数が多いということは、日本に在留する人が多いということだけではなくて、まず事件として検察庁に送られてくる絶対数が多い、ほかの国の人は絶対数が少ないので率の比較について必ずしも適当ではないのではないかということを申したわけでございます。 そこで、いまの国籍朝鮮ということになっているところが一番大きい。あと、またこれも数が多い方でございますけれども、中国という国籍の人がその次くらいに多い。あと非常に数が少ないので率がやはり問題で、そういうことを言うのが適当かどうかということにもなるわけでございますが、起訴と起訴猶予との比較における起訴の数で見ますと、たとえばドイツであるとかあるいはブラジルであるとか、そのような各国が出てくるわけでございますが、これ自体が絶対数が非常に少ないので、先ほど来くどく申しておりますように、これが上位の三位であるとか四位であるとかいうことが果たして適当であるかどうかというふうに思うわけでございます。
○木下(元)委員 絶対数が少ない少ないということを言われますが、しかし絶対数と起訴率ですね、絶対数が少ない多いの問題はあっても起訴率との関係では同じような傾向を示すというふうに見ていいんじゃないかと思いますよ。 私が法務省からいただいた資料によって計算をしますと、通常受理件数のうちの起訴件数の割合は五十三年度で一位朝鮮五四・六%、二位中国三二・六%、三位ドイツ二五・七%、四位ブラジル二三・一%、五位無国籍二二・二%となっております。朝鮮と中国以外は五十三年度に起訴が例外的に多いのでありまして、他の国籍を持つ者の登録法違反事件で起訴されるものは通常は数%であります。どの年も大体こうした傾向にあります。しかも朝鮮の場合はだんだん起訴率が高くなってきております。これは検察が朝鮮国籍の者には特に厳しく対処しておるのではないかという見方も出てくるわけです。そういうことはありませんか。
○前田(宏)政府委員 絶対数のことで同じようなことを申しましたけれども、たとえば何百件の中で何件という場合には比較できるような率が出るわけでございますが、たまたま一件あって一件起訴されたということになりますと一〇〇というような数字も出るわけでございますから、そういう意味で絶対数の少ない場合の率というのは必ずしも適当でない場合があるということを申したわけでございます。 それから、いま御指摘の通常受理に対する起訴の率ということを見ますと、確かに御指摘のように少しずつ上がっているような率になっておりますが、特に何か方針的に朝鮮国籍ということになっている人のために厳しくやるというような方針を立てていることはございません。
○木下(元)委員 あなた、絶対数が非常に少ない国もそれはあることはありますよ。しかし、いただいた資料によると、通常受理件数はそんなに少ないところばかりではないのですよ。たとえばアメリカは五十三年度で見ますと二百六十八件ですね。その他の外国という項がありますが、これでは百七十九件、イギリスは五十七件というふうに、そんなに少ない件数ではないので、起訴率の傾向というものも同じように見ていいんじゃないかと私は思います。 かつて日本に強制連行されてきましたような朝鮮人やその子供たちと、普通に入国手続を経て日本に来ている一般外国人とを実質的に同視すること自体、歴史的な事情をくまない不当な扱いではないか、こういうように私は思いますが、さらに、そういう在日朝鮮人を一般の外国人よりも一般と厳しく取り締まるというようなことはとうてい許されないことであります。法務大臣、この点はどのように考えておられましょうか。
○倉石国務大臣 国別によって差別をするような意思はないと思います。
○木下(元)委員 もう時間がありませんので終わりたいと思いますが、罰則の関係で先ほど刑罰の十八条の画一化と申しますか一律化が問題になるというようなことも言われましたけれども、確かにこの十八条一項の罰則規定は、第一号から第十号までの行為を一括して一律に「一年以下の懲役若しくは禁こ又は三万円以下の罰金」と定めております。 この規定自体も非常に不合理さを内包しておると思うのです。たとえば単なる登録不申請や不携帯というものと、この十号の行為ですね、行使の目的をもって登録証明書を譲渡したり貸与したりというふうな行為、こういうものとは構成要件の性格が質的に異なると思うのです。こうした違いをきちんと区分けをして合理的に整備をする必要があると思います。早急にやっていただきたいと思いますがいかがですか。
○小杉政府委員 外登法の抜本的な改正と申しますか根本的な手直しということにつきまして先年来鋭意検討作業を続けておるわけでございますが、罰則の点につきましても、先ほどお答え申し上げましたとおり現在の罰則規定というものがいたずらに画一的に過ぎるということで、やはり外登法の基本的事項にかかわる違反と、やや形式的、手続的な違反というものとの間に格差をつけるべきであるという御批判はまさにそのとおりであろうと思いますので、将来の改正作業の段階においてしさいに検討させていただきたいと思います。
○木下(元)委員 これで最後にしますが、罰則のほかに、この外国人登録法を全体として抜本的に見直すことが必要だと思います。 先ほどの質問でも幾らか検討するというお話もありましたが、いまや交通機関の発達で地球は急速に狭くなり世界じゅうの人的交流が活発化してまいりました。それに伴ってこの法律による登録事務というものをさらに思い切って合理化、簡素化すること、また特に国際人権規約にのっとった法的整備なり措置を講じることも求められていると思います。こういう新しい流れに沿って取り組んでもらいたいと思いますが、最後に答弁をいただきたいと思います。大臣よろしいですか。
○小杉政府委員 外登法の改正につきましては現在検討中でございまして、確定的なことを申し上げ得る段階には立ち至っておらないのでございますけれども、ただいま先生が御指摘になれたような諸点を念頭に置きながら種々前向きに検討を進めてまいりたいというふうに考えます。
○木下(元)委員 終わりますが、大臣一言ありますか。
○倉石国務大臣 外国人登録制度の対象となります外国人は多種多様でございますが、それぞれその実態を踏まえながら、より適正な処遇ができますよう、ただいま入管局長も申し上げたところでありますが、その具体的方策を検討してまいりたいと存じます。
○木下(元)委員 終わります。
○木村委員長 次回は明二十三日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時四十分散会 ————◇—————