法務委員会 第14号
- 発言数
- 196 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1980/04/09
会議録
○木村委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所大西総務局長、柳瀬刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○木村委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 新聞によりますと、自由民主党党内におきましては、スパイ事件を契機にいたしまして、いわゆるスパイ防止法案、これを急速に立案し、できるならばこの国会に提案をされるかもしれない、こういう報道を受けております。 本件は申すまでもなく人権問題にきわめて重大な関係を持つものでございますし、また、いわゆる007的なスパイの問題よりも、この要綱を見ますと、むしろ過失によって他人に漏らしたとかあるいは教唆した、扇動した、そういう部類にきわめてウエートが高いように思われるわけであります。いわゆる宮永問題が発生をいたしました際に、防衛庁長官並びに大平総理大臣、官房長官を含めて、内部の不始末について議会にあるいは自由民主党内に閣議で陳謝をされ、同時に、これなるがゆえにこの種立法は考えないということをおっしゃっておったのでありますが、それにもかかわりませず与党内で急速に大きな音を立てておるという現状につきまして、私どもとしてはきわめて心配をいたしておるわけであります。 そこで、まず法務大臣に承りたいのでありますが、この種防衛機密の保護といいますかスパイ防止といいますか、その立法については人権の問題及び全般の刑事問題が発生するきらいのある問題でございますから、何といっても法務大臣がこの問題についての重大な関心あるいは意見等がなかるべからずと思っておるわけであります。本件について、まず法務大臣の所信を伺いたいと思います。
○倉石国務大臣 お尋ねの件につきまして、まだ私は自由民主党から連絡を受けておりませんので、詳細に何も存じておらないわけであります。 この種の立法は、私どもにとりまして、一般の表現の自由等の問題もありますし、一般論としてはいろいろむずかしい問題を含んでおりますので、どういう方向で進むべきかということについては慎重に勉強していかなければならないのではないか、こういうふうに理解しております。
○横山委員 これが閣議であるいは国会において、政府を代表する官房長官なり防衛庁長官、最高責任者としての大平総理大臣が答弁をしていなければそれで済むのです、あなたのいま言うようなことで済むのです。しかし答弁をしておるのです、消極的発言を。同時に、与党内におきますこの種法案の審議には法務省が参加をしておるのです。そのことについては、あなたとしてもそういういまのような答弁では済まされないところであります。 大平総理大臣や防衛庁長官やあるいは官房長官が立法に消極的であるという発言については、あなたも同感ですか。
○倉石国務大臣 消極的であるとかないとかというふうなことを私はよく承っておりませんけれども、いま私がお答えいたしました中でも、この種の問題についてはいろいろ問題があるので慎重に対処しなければならないのだということを申し上げておるわけです。
○横山委員 問題があるので慎重に対処しなければならないという言葉について、もう一度お伺いいたしますが、それは立法について消極的であるというふうに解してよろしゅうございますか。
○倉石国務大臣 私どもの経験によりますと、いずれの立法も大事でありますけれども、一般的に申しまして、この種の問題というのはいろいろな方面に関連する事案になりますので、やはり提案までには十分な検討をして、そしてコンセンサスを得られるように最大の努力をしないとうまくいかないのではないか、こういうことをわれわれとしては考えられるものでありますので、慎重にそれらに対処することが必要だろうというふうに考えておるわけであります。
○横山委員 防衛庁にお伺いいたしますが、ここに三月二十八日付防衛庁秘密保全体制検討委員会の防衛庁長官への報告書がございます。 たくさん書いてあるのですが、その末尾に「政令、訓令等から構成されており、法律の規定を中心に一応整備されているといえるが、訓令等については、既に述べた改善事項と関連していくつかの点でなお整備を要する面が認められる。」つまり、法律では一応この種の問題については整備をされているが、内部的にまだまだ充実しなければならぬということを意味し、最後に「なお、自衛隊法の罰則規定については、更に慎重に検討を継続すべきものと考える。」こういう報告書であり、要するに、罰則規定についてはさらに慎重に検討を継続すべきものであって、直ちに提案をすべきものではないという趣旨に受け取られるのであります。 一体防衛庁は、スパイ事件が発生をいたしまして以来、防衛庁長官が政府として立法を考えないと言った言葉はそのまま防衛庁としても継続されて、国会はそう受け取ってよろしいかどうかという点について、まず御意見を伺います。
○小田垣説明員 お答えいたします。 防衛庁といたしましては、いま御指摘のとおり、先般の宮永事件発生後に庁内に秘密保全体制検討委員会というものを設けまして現行制度の抜本的な総点検を行い、先日その検討の結論を出したところでございます。防衛庁といたしましては、この結論を踏まえまして、現行制度のもとで可能な限りでの措置をとってまいり、秘密の保全に万全を期すこと、これが現在の緊急の課題である、かように考えております。
○横山委員 緊急課題は現行法でやれるというふうに了承をいたします。 では外務省にお伺いをいたしますが、今回の自由民主党内に伝えられるスパイ防止法案要綱は、いわゆる防衛機密に関するスパイ行為等の防止に関する法律案要綱であります。ここで一体防衛機密と外交秘密とは、防衛機密の方が高くていわゆる外交秘密の方が従たるものである、優先すべきなのは防衛機密であるというふうに自由民主党内部で考えられておるように思われるわけであります。この点について、防衛機密と外交秘密との優劣その他についてはどうお考えでありますか。
○中平説明員 御指摘のとおり、自由民主党内におきましていわゆるスパイ防止法につきまして種種検討が行われておるということでございまして、この関連におきまして、自由民主党内におきましては、防衛機密を対象といたしまして外交機密につきましては含めない、そういう方針でやっておられるというふうに承知しておるわけでございまして、私どもは防衛機密と外交機密の優劣というようなことにつきましては、もちろんいろいろな意見があるわけでございますが、自民党内では、そういう観点から今回の事件を契機といたしまして防衛秘密を対象として法律を検討しておられるというふうに承知しておりまして、それ以上につきましてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。 〔委員長退席、山崎(武)委員長代理着席〕
○横山委員 コメントができないとおっしゃるけれども、新聞の報道によりますと、外務省としては外交秘密を特定しあるいは法律としてこれは漏らしてはいけないという列挙をすることは困難である、立法が困難であるから外務省は見送りするというふうに伝えられておりますが、その点についてはどうお考えになりますか。
○中平説明員 外務省といたしまして、本来外交機密が漏洩するということはもろもろの重大な問題を起こす可能性がございますので、漏洩防止のために各種の措置を講ずるということは原則的に好ましいものと考えておるわけでございます。 しかしながら、今回自民党で検討しておられるいわゆるスパイ防止法におきましては、特定の防衛秘密を列挙しておりまして、その列挙したものについて秘密を漏洩する場合にごうごうというふうな規定ぶりだと了解しておるわけでございますが、いわゆる外交機密と申しますものは非常に多岐にわたるものでございまして、列挙した場合法技術的に非常にむずかしい問題が生ずるおそれがあるということで、自民党内における説明会におきましては、そういう外務省の立場を御説明したわけでございます。
○横山委員 むずかしい立場だ、外交機密をこの自民党案の防衛秘密のように特定し列挙するということは非常に困難である、私は賛否の立場を一応度外視して事実関係について御質問をしておるわけでありますが、そういたしますと、外交機密を防止する立法というのは実際問題としては困難である、こういうふうに理解してよろしいか。
○中平説明員 この自民党で検討しておられる法律案につきまして私どもは深く関与しているわけではございませんので、どういう観点からか詳しくは承知しておりませんが、一応外交機密を入れるか入れないかという観点から質問をされましたので、いま申し上げましたように、外交機密をこの法律にのせるということはいろいろな問題が生ずるおそれがあるという観点から御説明したわけでございます。
○横山委員 そうしますと、防衛機密と外交機密、まだその種の問題については政治全般に関する国家機密、あるとすればいろいろあるわけでありますが、それらについて外務省としては、防衛機密が優先して外交機密は従たるものというふうには考えないけれども、立法上の技術からいって外交機密を法律化することについては困難である、あなたの答弁を集約するとそういうことになりますか。
○中平説明員 立法技術的な観点からこれこれというふうにお答えする立場には外務省は特にございませんが、自民党内における検討会で説明を求められたときに、外交機密の性格等を御説明いたしまして、検討しておられる法律には必ずしもなじまないものである、こういうふうにお答えしたわけでございまして、主であるとか従であるとかという観点では全くございません。
○横山委員 わかりました。 法務省にお伺いいたしますが、この要綱によれば、たまたま自民党の案を読むわけでありますけれども、法律解釈としてお伺いをいたします。 第四及び第五、第六、第七が問題になるわけでありますが、「防衛秘密を取り扱うことを業務とする者で、その業務により知得し、または領有した防衛秘密を他人に漏らした者は、十年以下の懲役」、この未遂も罰する。第六に「防衛秘密を取り扱うことを業務とする者で、その業務により知得し、または領有した防衛秘密を過失により他人に漏らした者は、二年以下の禁固または五万円」、第七に「第三の罪を犯すことを教唆し、または扇動した者は、第一項と同様とし、第四の罪を犯すことを教唆し、または扇動した者は、前項と同様」ということでありますから、いわゆる007のようなスパイを本業にしてやっておる者でなく、たまたま防衛秘密を取り扱う者、その者が領有した防衛秘密を過失によりうっかりして漏らした、その過失により他人に漏らしたという点について私どもはきわめて重大な問題と感ずるわけであります。 〔山崎(武)委員長代理退席、委員長着席〕 また、教唆し扇動した者、この解釈もきわめて重要な問題でございます。 私どもが一番心配をいたしますのは、この種のものはほかの法律の中におきましてもごく少ない例としてないわけではございませんが、この種の立法というものが果たして人権それから言論、出版、表現の自由という憲法上の問題に重大な抵触をするおそれはないか。そういう点については、法務省はお出かけになって自由民主党の中で御意見を聞かれたと私は思っておるわけでありますが、この種の内容について法務省が結構でございますと言っておるのかどうか、その点を伺います。
○前田(宏)政府委員 御指摘の、いわゆる自由民主党のスパイ防止法案でございますが、私ども、必要に応じて党の関係委員会等での御検討に呼ばれた場合には御意見を申し上げていることもございますが、この法案自体まだ正式に確定したものとは理解していないわけでございます。 ところでいま御指摘の、秘密を取り扱うことを業務としている者が過失によって他人に漏らしたということ、またもう一つ教唆、扇動の関係でございますが、その実体に入ります前に、そういう例があるかということでございますけれども、こういういわゆるスパイ防止法を考えます場合に、現行法で参考になりますものは、日米安保条約に基づきますいわゆる刑事特別法と、それから日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法の二つであろうと思うわけであります。 そこで、後者の日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法におきましては、たまたまその第四条に先ほど御指摘のような規定と似たようなものがございます。つまり「防衛秘密を取り扱うことを業務とする者で、その業務により知得し、又は領有した防衛秘密を過失により他人に漏らしたものは、」というのがございます。また第二の点でございますが、それも同じ法律の第五条に教唆、扇動の罪というものが設けられておりまして、構成要件的には全く同一と言ってもよいように思われるわけでございます。また法定刑もこの案と同じでありますので、恐らくは、先ほど来申しております日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法を参考にしてこの案が立案されているというふうに理解されるわけでございます。 そういうことでございますので、その内容の当否につきましては、議論としては現行法についても当てはまる問題であるわけでございます。したがいまして、問題と言えば問題であるかもしれませんが、全くいままでなかったような罰則を新しくつくるということではないという意味において理解しておるというのが実情でございます。
○横山委員 日米安保条約に伴う二つの法律は、敗戦、講和それから米軍の駐留という特殊な日本歴史の中で生まれた鬼子でございます。 ノーマルな日本のこの種の刑法の歴史は、法務省御存じのように、旧刑法八十五条、それから現刑法は旧刑法の八十五条通謀利敵罪を削除、改正準備草案百三十六条機密探知罪は七四年五月の法務省法制審議会で否決、改正刑法草案は国家機密保護のための規定は百三十六条で一般守秘義務ということで、歴史的な今日的及び長期にわたっての法務省及び法制審議会の経緯があって長期的なものとして確立いたしておるわけでありますから、日米安保条約に伴う鬼子を例証にすることは適当ではないと私は思います。その点についてはどうお考えになりますか。
○前田(宏)政府委員 刑法の面におきましては、いま横山委員御指摘のような経過をたどっていると申しますか事実があるわけでございます。 その中で、仰せになりました刑法全面改正作業の中での議論、結論的には改正刑法草案の上では規定が設けられておりませんけれども、その審議の過程におきましては、この種の規定を設けることについて賛否両論があったわけでございます。単純に申し上げては誤解が起こるかもしれませんが、全く必要がないという議論から必要があるという議論まであって、また、いわばその中間的なものとして、刑法には適当でない、むしろ特別法に譲るべきだというようなことで刑法の面から見ると消極論になる、大ざっぱに申し上げてこういう三つの類型に分けられるような御意見があったようでございまして、その結果、刑法典には設けないという結論になって今日に至っておるわけでございます。 そのことからもわかりますように、刑法典では無理なので特別法でやったらどうだという意見も相当有力であったわけでありますから、今回の案もそういう考え方につながるものという意味に理解できないわけではない。逆に申しますと、刑法典の場合には非常に単純な構成要件になるわけでございますので、それだけに構成要件の明確性の問題も起こるわけでございますが、特別法になりますと、当否は別といたしまして、要件をいろいろと細かく挙げていくことも技術的にある程度可能になるという点もあるわけでございます。 経過的な問題としては、そのようなことではないかと思います。
○横山委員 特別法でやった方がいい、刑法には盛らなくてもいいという一人や二人の意見を過大にここであなたがお述べになる意図について私は疑問を感ずるわけであります。 最高裁にお伺いをいたしますが、御存じのように裁判の公開の原則が憲法に規定されております。この種の立法をされますと、例の毎日新聞の法廷で争われた問題で明らかなように、機密を漏らした、いや漏らしていない、起訴され法廷へ出る、そこで裁判官が、漏らしたというものは一体何であるか法廷へ提出しろ、機密だから提出できない、それでは判断ができないではないか、それならば裁判官だけ知ってもらえばよろしい、そういう言い方だと弁護人から、そんなことは反論ができないから困る、公開してこの問題は何が一体機密であるのが適当であるのか——機密の内容については自由民主党案で列挙されておりますが、さらにそのしぼりをかけて公開をされたものは仕方がないとか、そのほかは官僚の裁量権にゆだねられ、ある意味では防衛庁長官の裁断にゆだねられるということであるならば、機密を決めるのは権力者の側だけではないか。権力者の自由によって機密が決められ、その機密が何であるかわからないままに処断されることになる。 したがってこの種の立法は、法廷でやられた場合には裁判の公開の原則を侵す結果になるのではないかという点がございますが、毎日新聞記者事件の判決のことから判断して、最高裁としてはどういう御意見をお持ちでございますか。
○柳瀬最高裁判所長官代理者 お話しのスパイ防止法案につきましてはただいま自民党内部で御検討中でございますので、この段階ではごく一般的なこととしてお答え申し上げたいと存じます。 一般的に申し上げますと、憲法八十二条が裁判公開の原則の規定でございますが、八十二条第二項にのっとって非公開とされない以上はすべての審理が公開の法廷において行われるべきものであるということは当然でございます。 ところで裁判所といたしましては、ただいま申し上げましたように、憲法八十二条二項の要件を考慮いたしまして審理の公開、非公開を決していくにすぎないわけでございまして、審理が公開されながらその証拠の内容を明らかにしないで判決をするというようなことは全くあり得ないことであると存じます。証拠が国の重大な利益を害するために法廷に提出されないというようなことは、現行の刑訴法のもとにおきましても百三条、百四条、公務上秘密と押収、あるいは百四十四条、百四十五条、公務上秘密と証人資格というふうなことでございまして、監督官庁が国の重大な利益を害する場合であるということで物の押収や証人の尋問について承諾を拒んだ場合には証拠の提出はされないということになっております。その点に関する限りは、今回の事態においてもさほど変わりはないのではないかと存じます。 そういうことを前提として考えてみましても、裁判所としては、要するに法廷に提出された証拠に基づいて当該事件の有罪、無罪を決すべきものでございまして、今回のいわゆるスパイ防止法案と裁判の公開ということとの間に特に抵触の問題は起こらないのではないかと存じます。
○横山委員 証拠を国家機密であるから法廷へ提出しないという場合に、裁判官が判断できますか。裁判官が、何が機密であるか証拠が提出されない限りは、機密を漏洩したという判断ができますか。
○柳瀬最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましては、提出された証拠の範囲内において機密であるかどうかを判断するわけで、その証拠の範囲内において機密の判断ができないということであれば、その線に従って結論を出すということになろうと思います。
○横山委員 そうしますと、政府が証拠はこれだけしか提出できません、一番大事な点については提出できません、あるいはまた国家機密とは何だという内部規定を提出するわけにはまいりません、こういうことになるのは必至だと思うのですね。もしどうしても出せというならば、裁判官だけが承知をして判断してくださいということも理論上ないでもない。そういう場合は弁護人は、それはそんなばかなことはできないということで争いになることは当然なことであります。 あなたは提出された証拠の範囲内でとおっしゃるけれども、提出されるべき証拠がきわめて抽象的あいまいなままに判決がされる、そういうふうに理解してよろしいですか。
○柳瀬最高裁判所長官代理者 ただいまの仰せの中に、裁判官だけが承知して弁護人がそれを御承知にならないという趣旨の御発言がございましたが、現在の憲法あるいは刑事訴訟法のたてまえでは、そのようなことは全くあり得ないというふうに思います。 裁判所といたしましては、先ほども申し上げましたが、提出された証拠に基づいて、その限度の中で判断をいたすということになろうかと思います。
○横山委員 押し問答は避けますが、提出された範囲内でという、その提出される証拠というものが政府の裁量にゆだねられるということでありますならば、毎日新聞の問題でもそうでございましたが、この種の法案は法廷において客観的公正に厳密に行われることを担保できない法案である、私はそう思います。 法務大臣にお伺いをいたします。よく各国にもスパイ機密防止法があるということでございますが、わが国は御存じのように憲法があって戦争放棄、戦力を持たない、平和を維持し、国際社会において名誉ある地位を持ちたい、こういう憲法であることは御存じのとおりでありますから、各国の憲法に基礎を置いた立法と、わが国のようなこの種の特殊な憲法のもとにおける結社や人権や表現やその他の自由を持っておる憲法との相違点というものは、当然考えられてしかるべきであろうと思います。 同時に、先ほど刑事局長との質疑応答で明らかにいたしましたように、旧刑法、現刑法、準備草案、改正草案、刑法の一連の長い間の歴史から言って、この種の立法というのはどんなに重大なものであるか、また憲法の理念に照らしてみて、人権を阻害するおそれがきわめて重大であると思う。私は自由民主党のいろいろな人と懇談をしておるのでありますが、かなり慎重を唱える人及び具体的にこの問題についてはおれは反対だと言っている人等、さまざまな状況だと私は判断をいたしておりますが、法務大臣として、わが国の憲法の理念及び刑法の改正に関する戦前、戦後の状況から言って、この機密保護法についての最終的なあなたの御意見を伺って、次の問題に移りたいと思います。
○倉石国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、私はいろいろな新聞情報等では知っておりましたけれども、改めての党の御決定もまだ御通知を受けておりませんし、そこで先ほど一般論として感触を申し上げたのでありますが、私は、やはり非常に重要な問題が関係してくるであろうから、この種の案件については慎重審議をしてまいる必要があるのではないかということを考えておる次第であります。
○横山委員 時間の関係で次の問題に移ります。 先般、本委員会で私は、国税庁に田中角榮氏、小佐野賢治氏の課税状況について質問をいたしましたところ、十分な答弁が得られないので、理事会で相談をしていただきまして、改めて国税庁に、国民が最も深刻に考えておりますこの種の問題について、具体的に田中角榮氏あるいは小佐野賢治氏の今日の課税状況について御報告を願うことにいたしましたので、きょうはひとつ御出席を願いましたから、国税庁から両氏の課税の状況について御説明を願います。
○矢島政府委員 先般三月五日の本委員会におきまして、私の言葉が足りないために十分な御答弁が申し上げられないで先生の御理解を得られなかったことについて、まずおわびを申し上げます。 ただ御高承のとおり、児玉譽士夫につきましては所得税法違反による脱税犯として起訴されまして、公判廷におきまして罪となるべき事実として明らかにされた事実は課税事実そのものであるということで、当該起訴に係る脱税額などにつきましても御答弁申し上げたところでございます。田中角榮氏の税額それから滞納額については、脱税犯として起訴されたものでないということで、もちろん公判廷で争われていることについては御高承のとおりでございますが、したがいまして御答弁申し上げることにつきましても、税務の立場からはおのずから限界があるということについては御理解いただきたいと思います。 ただ、先生が先般おっしゃいましたように法務委員会を私ども軽視するということは全くございません。私どもといたしましては、許される範囲では誠意を持ってできるだけの御答弁を申し上げているということをまず御理解いただきたいと思います。 次に、田中角榮氏のお尋ねの問題でございますが、三月五日の本委員会で御答弁申し上げましたとおり、五億円につきましては適正に課税処理をしておるということでございます。その理由につきましては、先般申し上げましたのでくどくど申し上げませんが、公訴事実、中間報告その他各種の資料、情報に基づきまして、税務の処理上必要な実態を調べたところ課税すべきものという心証を得ましたので、適正に課税処理を行ったわけでございます。課税の内容でございますが、四十八年分につきましては二億五千万円、四十九年分につきましては二億五千万円の額でございます。これは起訴状、公訴事実でも明らかにされているところでございます。 それから、先般保全措置の問題について御質疑がございましたが、この課税処理に関連いたしまして租税債権の保全措置を講じております。徴取いたしました担保は軽井沢の土地二万九千三百九十二平米でございます。坪数で申し上げますと八千九百七坪ということで、担保物としての価額は約五億三千万円、それから同じく軽井沢の建物二棟でございますが、五百八十四平方メートル、百七十七坪、担保物としての価額は約一千万円ということで、合計で約五億四千万円の財産について担保を徴取しておるということでございます。 さらに、課税所得金額ということについてお話がございましたが、課税所得金額の総額、税額につきましては、先ほど来申し上げております理由で御答弁は差し控えさせていただきたいと思いますが、問題となっております田中角榮氏の公示所得金額は、四十八年分では七千七百九十七万五千円でございます。四十九年分につきましては一億百九十一万九千円ということに相なっております。 それから税額でございますが、これも先ほど来申し上げておりますように、ストレートな税額についてはお許しいただきたいと思うのでございますが、田中角榮氏の四十八年分及び四十九年分の公示所得金額は先ほど申し上げました七千七百九十七万五千円と一億百九十一万九千円といたしまして、これにそれぞれ二億五千万円ずつ上積みするということによりまして、各年百万円の所得控除の額があるといたしまして税額を計算してみますと、四十八年分については約二億三千万円、四十九年分につきましては約二億五千万円、このようにして計算してみますと、合計約四億八千万円と算出されるわけでございます。 それから、小佐野氏の課税所得ということでございますが、その課税状況につきましては個別にわたる事項でございますので御答弁は差し控えさせていただきたいと思うわけでございますが、公示所得金額について申し上げますと、四十八年分につきましては二億七千百三十五万一千円でございます。それから昭和四十九年分につきましては五億四百四十七万二千円、五十年分につきましては三億五千五百七十一万五千円、五十一年分につきましては三億一千百三十七万六千円、五十二年分につきましては三億二千八百九十七万九千円、五十三年分については三億七千九百六十五万六千円ということに相なっておるわけでございます。 以上でございます。
○横山委員 小佐野賢治氏が二十万ドルを受けた金ですね、このロサンゼルスにおいて受領したと言われる二十万ドルについては、法務省としてはその性質や行方についてどういうふうに理解をいたしておりますか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの二十万ドルといいますのは、小佐野被告人関係の事件で偽証とされている中身の例の二十万ドルのことであろうと思いますが、これはロッキード社から出た金でありまして、それを先ほど御指摘のような状況下で受け取って、この前の冒頭陳述の補充訂正によりますと、それをホテルの方へ支払ったというふうに見ているわけでございます。
○横山委員 ホテルへ支払ったのは、要するにあなたの方の説明によれば、K・ハマダ氏に対する債権の支払いに充てた、こういうふうに理解してよろしいのですか。
○前田(宏)政府委員 サンズホテルというホテルがございまして、そこのホテルの勘定の上でK・ハマダという人に対する債権があって、その債権を小佐野被告人が支払い保証をしておった、その支払い保証の履行として支払われた、こういうふうに理解しているわけでございます。
○横山委員 国税庁にお伺いしますが、この間の答弁では、その性質や行方が確認できていない旨法務省が言っておるから課税に反映されていない、こう言われたと思うのでありますが、いまの法務省の答弁で、国の一方の法務省として、ロッキード社から出た金である、そしてそれはホテルへ支払われた金である、しかもホテルに対してはK・ハマダヘの債権としてホテル側が受領したものである、三点がきわめて明白であるのにかかわらず、国税庁が何もしないというのはどういうわけですか。
○矢島政府委員 ロサンゼルスにおいて受領したと言われます二十万ドルでございますが、児玉の所得には含まれているわけでございますが、国税当局で保有いたします資料を点検いたしましたところ、課税する理由が見当たらなかったということで、現在のところ課税に反映させていないということでございます。当時の状況では公判で明らかにされた事実しかございませんわけでございまして、二十万ドルにつきましては小佐野氏の所得の種類あるいは性格を特定して課税すべき所得というような心証が得られなかった、こういうことでございます。
○横山委員 これはちょっとおかしいと思うのであります。 法務省は法廷で、これはロ社から出た、ホテルに支払われた、ホテルはK・ハマダヘの債権に充てた、こう言って立証しようとして、そして検事も向こうへ行って証拠を調べて立証しておるのに、国税庁がそれはちょっと怪しいぞと言わんばかりの態勢で仕事をしていないということが庶民的には納得がいきませんが、どう説明をするのですか。
○矢島政府委員 私どもといたしましては、先生の御疑問も当然だと思いますが、課税に結びつく資料につきましてはできるだけ関心を持ちまして収集、活用しているところでございますが、本件につきましては、先ほど来御説明しておりますような理由によりまして私どもは課税に至らなかったというようなことでございます。
○横山委員 先ほどからの説明ということがよくわからないのです。恐らくこれは聞いていらっしゃる皆さんもなぜ国税庁がそれに消極的であるかわからないと思う。 国税庁が消極的であるということは、法務省のやっていることについて、十分な証拠のないままにやっているのじゃないかという暗示を投げかけておる。それについて法務省は、国税庁のお考えは勝手だ、私らの言っていることが正しい、私らはそう確信しておる、それで済むものですかね。両者の間に何らの合意もないのですか。
○前田(宏)政府委員 先ほど来の国税庁からの御説明を私なりに聞いておりまして、あるいは誤解があるかもしれませんけれども、いま横山委員も仰せになりまして私もお答えいたしました二十万ドルの使途というものにつきましては、つい先ごろと申しますか三月のたしか六日に冒頭陳述の補充訂正という形で出たわけでございまして、それまではいわば明らかになっていなかったわけでございます。でございますから、これまでの課税のところでは出てこなかったということを御説明しておられたのじゃないかなというふうに伺っていたわけでございます。 それから、そういうわけでございますから、つい最近三月にそういうことが行われたということは国税庁も御存じなはずでございますので、それについては今後どういう措置をとられるか、こういうことになろうかと思います。ただ、刑事事件の公判の方も冒頭陳述の補充訂正が行われました段階でいわばストップしたような状況になっておりまして、被告・弁護人側の応対がまだない、したがって裁判所の決定もないというような状態になっていることも一つの事情であろうかと思います。
○横山委員 法務省としては、証拠の出し方が遅かったから、その証拠を出す前、陳述する前は国税庁としてもやむを得なかったであろうと同情的な立場です。同情された国税庁はどうなんですか。三月六日に出たのだからこれはほうっておくわけにいかぬという立場を堅持をしますか。
○矢島政府委員 先生御指摘のとおり、五十五年三月に小佐野ルートの公判によりまして検察官によって主張された事実によりまして、お金の行方ということが明らかにされてきたというふうには考えます。この事実は課税面におきましても重要だというふうに考えるわけでございまして、いつ求償権の放棄が行われたとかそういう問題はあると思いますが、重要な関心を持って今後も見守っていきたいというふうに考えております。
○横山委員 法務省に伺いますが、そもそも小佐野にロッキード社から支払われた二十万ドルというものは本来児玉に行くべきものであって、児玉がそれを小佐野にやってくれ、こういう内容だと私は理解しているのですが、そうですか。
○前田(宏)政府委員 従来の公判の検察官側の立証といたしましては、児玉被告に対する報酬の追加分と申しますか、そういうことから出発したものであるということになっていたと思います。
○横山委員 これは児玉邸で手形が紛失した五億円とどういう関連がございますか。関係はありませんか。
○前田(宏)政府委員 その辺のつながりは必ずしも明確でないようでございます。
○横山委員 それでは本件について、国税庁としてはさらに鋭意新しい事実関係を、法務省がきちんと姿勢を正しておるものを、いままで法務省がやっておることについて国税庁がきわめてあいまいな態度をとっておることについて庶民的に疑問が生じておるわけでありますから、その点をひとつ十分に整理をしてもらいたい、追及をさるべきだと思います。 次に、時間がございませんので、本願寺真宗大谷派に関する問題について御説明をお願いします。 私は数回にわたって、真宗大谷派の内部紛争について介入するつもりはないけれども、しかし総理大臣であろうと天皇陛下であろうと、というのはちょっと語弊があるかもしれない、皇室であろうとあるいはまたどこのだれであろうと違法は違法、したがって地検については十分になすべきことはする、こう言っておったところ、政府側としては少なくとも年度内には地検においてこの問題の決着をつけたい、こういう御答弁を陰に陽に何回も承っておるわけであります。 それにもかかわらず、新しい年度になりながらこの種の問題についての何らの具体的な表へ出た京都地検の決意というものが明らかになっておりませんのはきわめて遺憾なことだと思います。今日までの状況についてひとつ御報告を願いたい。
○前田(宏)政府委員 当委員会で再々お尋ねを受けまして、いま仰せになりましたように年度内つまり三月末をめどにして鋭意捜査をしているということを申し上げました。その三月末が過ぎたことも事実でございまして、その意味でまた約束違反というようなおしかりを受けることになっておるわけでございます。しかしながら、冒頭にお仰せになりましたように被疑者がだれであるから、被告訴人がだれであるからということで捜査を遅延しておるということは全くないわけでございます。 過日、横山委員からもいろいろと具体的事実の御指摘がございました。またその前提として、新しい事実と申しますか関連していろいろな事実が出ており報道もされておるというようなことでございまして、当初考えておりましたよりもさらにまた新しい要素が加わってきたということが一つの事情の変更ではないかというふうに思うわけでございます。 それと、当然刑事事件でございますから起訴か不起訴かということを割り切ればいいわけでございますので、その基本は変わらないわけでございますが、横山委員も言外にと申しますかお言葉の中で、この東本願寺の紛争が結論的にはいい方向にいくような処理というものもあってしかるべきではないかというようなこともお仰せになったように感じておるわけでございまして、そういう点も含めて処分について適切妥当な処理をしたいというのが検察庁の立場でございます。
○横山委員 文化庁にお伺いをいたします。 先般、法主側から京都府知事あてに立場が違った二件の申請が出ておった点について質問をいたしたのですが、承知するところによれば三月の末に本山独立一本にしぼって規則変更は取り下げた、どういうことを法主側がいたしました。また一方では、法主側の主役でありかつ四男明照院の大参謀の武内克麿氏の自坊、能登教区妙厳寺では、真宗大谷派離脱を決めたところ門徒、信徒がごうごうたる非難を上げて、結局住職が文書をもって陳謝をしている。勝手なことをやってまことに申しわけない、心からおわびをする、そしてその具体的な表現として真宗大谷派からの離脱を撤回する、こういう趣旨を鮮明にされた模様であります。 私は文化庁に対して、この種の離脱が信仰とかあるいはまた大きな理由ではなくて戦術的戦略的に勝手に離脱の傾向があるから、その離脱申請を受けた各府県においては十分宗教法人法の各規定を厳守して遺憾のないようにしてもらいたい、こういうふうなことを申し上げておるわけでありますが、この能登教区妙厳寺の事例でわかりますように、各地における離脱申請がまことに勝手に門徒、宗徒の意見も聞かず、内部規定を遵守せずに行われている傾向が顕著なものがあると思うのであります。文化庁としては、京都府並びに各府県に対して、これらについてどういう指導をなさっていらっしゃいますか。
○安藤説明員 お答え申し上げます。 真宗大谷派と被包括関係を廃止するという規則変更の認証申請は、本山の東本願寺を別といたしましても、東京別院を初め別院関係それから末寺関係でかなりの数が手続をしておるというふうに承知いたしております。 末寺関係で申しますと、現在所轄庁である都道府県知事に対して申請が出ておりますのが五十二法人ございます。そのうち所轄庁が申請書を受理した法人が二十二法人ございます。さらに認証した法人数は五法人あります。これらの末寺の離脱申請につきましては、宗教法人法に従って公告その他所定の手続がございますので、この手続を明らかにする書類を提出させるとともに、法律に従った内容であるかどうかということを詳しく点検した上で受理し、かつ認証するようにという指導をいたしておるところでございます。
○横山委員 法務省に再度伺いますが、いまの事例をもってもわかりますように、わが国の歴史と伝統それから信仰の中枢部でもございます真宗大谷派の紛争がこのような事例を招き、先般は京都東本願寺における報恩講におきましてもきわめて物議を醸すような事態が生じたわけでございます。 私の気持ちは法務省もよく御存じの上で御答弁をなさっていらっしゃるのですが、さりとて、私がよく言いますように、円満解決なるがゆえにすべてなすべきことをいつまでも放置しておいてよいわけではない。法務省の毅然たる態度が円満解決への足がかりになることを私は望んでおるという立場から言いましても、三月末までの約束が履行できなかったことは大変遺憾でございます。一体それならば、これからいつごろどうなさろうというのであるか、その点を伺います。
○前田(宏)政府委員 日を限りますと約束違反ということになってまたおわびをしなければいかぬわけでございますが、それはそれといたしまして、先ほども申しましたように、被告訴人がだれであるか、被疑者がだれであるかということによって処分を延ばすということは毛頭ないわけでございます。 それと、いま仰せになりましたように、検察庁としては刑事責任の有無というものを明らかにすれば足りるわけでございますが、このことによる紛争解決への影響ということも一応は頭に置きながら処理した方がよかろうというふうに考えておるわけでございます。しかし、先ほど来繰り返して申しておりますように、事件は事件として適正にまた厳正な態度で処理すべきものということでございます。
○横山委員 法務大臣お体の具合が悪いときに、この種の問題についてお答えをいただくのは恐縮でございますが、要するに、われわれとしては政治が宗教の内部紛争に介入することは避けたい。しかし私も東本願寺の門徒の一人なんであります。この問題が十年紛争として、わが国の深い信仰の中心地である東本願寺がいついつまでもこんなような状況というのはまことに残念至極、看過できないところであります。いま放置するならば、これは十年はおろか二十年も続く可能性があるわけであります。 そのことを打開するかぎは、どうしても京都地検の一石にあると私は思います。それを京都地検が考えながらやるということはいかがかとは思いますけれども、結果として京都地検の決断の一石というものが紛争の解決への大きな足がかりになると私は信ずるがゆえに、あえて法務省、検察庁の努力に期待をいたしておるところでございます。 法務大臣は、この真宗大谷派の紛争の詳細は御存じにならないにしても、いまのやりとりの中でお考えになっていることがあろうと思いますが、御意見を伺いたいと存じます。
○倉石国務大臣 この前の機会でも本件につきましていろいろ御討議が行われ、承っております。なお、先ほど来刑事局長もお答えいたしておりますので、私どもも、このことについて妥当な処分ができますように十分協力をいたしたいと思っております。
○横山委員 終わります。
○木村委員長 飯田忠雄君。
○飯田委員 本日は、難民問題、人質問題、老人ホームの倒産問題、こういうものを中心として御質問申し上げたいと思います。 その前に一つ、KDD事件につきまして、捜査の障害にならない程度でちょっとだけお伺いをいたしたいと思います。 新聞によりますと、KDD事件につきまして新事態が発生した、警視庁は事情聴取に乗り出すという報道がなされております。ところでお伺いいたしますが、KDDの前社長が逮捕されました。逮捕されましたときの逮捕状の理由は贈賄でしょうか、あるいは背任でしょうか、横領でしょうか、脱税でしょうか、外為法違反でしょうか、何でございましょうか。
○漆間説明員 業務上横領の容疑でございます。
○飯田委員 業務上横領だけの容疑でございますか。それともほかの容疑もかかっておりますか。
○漆間説明員 ただいま申し上げましたとおり、業務上横領の容疑で逮捕いたしました。
○飯田委員 新聞によりますと、今度の郵政省人事はどうも前社長の逮捕に関連があるやに受け取れるような記事になっております。郵政省の人事は政府の上層部の人事でございますので、恐らく閣議でも問題になっただろうと思います。 そこで法務大臣にお尋ねいたします。この郵政省人事とそれから前KDD社長の逮捕というものに何らか関連はなかったかどうか、お伺いをいたします。
○倉石国務大臣 郵政大臣のお話を私聞きましたけれども、この際人心を一新する必要があるということで二人はやめる、入れかわるという御報告がありました。
○飯田委員 この問題はこれ以上質問はいたしません。 難民問題で御質問申し上げます。難民の受け入れ状況につきまして、どのようになっておりましょうか。ことにベトナム、東南アジアの難民でございます。
○村角説明員 お答えいたします。 まず、インドシナ難民の本邦への定住の受け入れでございますが、これにつきましては、御承知のとおり昨年七月に定住条件の緩和を行うとともに、一連の定住促進の措置を行うということにいたしまして、その仕事をアジア福祉教育財団に委託いたしました。財団は、姫路と神奈川県の大和、この二カ所に定住促進センターを設けまして、そこに日本に定住を希望するインドシナ難民に入ってもらいまして、日本語を教えたりあるいは職業の紹介をしたり職業の訓練のあっせんを行っております。また最近は、財団は二月から三月にかけまして東南アジア各地に適格者調査団というのを派遣いたしまして、日本に定住を希望する難民にインタビューを行う、こういうチームを派遣いたしました。 このような一連の努力の結果といたしまして、インドシナ難民の本邦定住者の数は着実にふえまして、本日現在許可数は三百名に達しております。そのうち、すでに日本に住んでいる人が百十三名でございます。なおこのほかに、いまの調査団が適格者と認めたケースが四百名以上ございますから、これが次第に審査されていけばさらに定住者の数はふえると思います。 以上が定住でございますが、もう一つ、受け入れと申しますと一時収容という問題がございます。これは、例のいわゆるボートピープル、海上で救助されましたベトナムのボートピープルを日本に連れてきた場合に、これに対して保護を与えております。この数が現在千三百六十五名に達しております。これらの方々は、日本に定住を希望される場合には、先ほど申しました定住促進のところに入っていただいて定住をすることが可能でございますけれども、大部分は実は希望しないので、ほかの地域に行くことを待っている、こういう現状でございます。
○飯田委員 定住を希望する人に定住を認めるに当たりまして、特別の何らかの基準というものをお決めになっているでしょうか。
○村角説明員 そのとおりでございます。 昨年七月の閣議了解におきまして定住許可条件を緩和した現在行っている定住許可条件というのがございまして、これは二つに分かれます。一つは先ほど申しました本邦に一時滞在中のインドシナ難民、これらの方々に対する条件、それから東南アジアの一時収容施設にいるインドシナ難民の定住許可条件、この二つは異なっております。
○飯田委員 そのインドシナ難民について入管令との関係はどうなっておるでしょうか、法務省にお尋ねいたします。
○小杉政府委員 ただいま村角事務局長から御説明がございましたように二種類の難民があるわけでございますが、定住のための入国者の場合、その手続は通常の一般外国人と同様に、それぞれの難民キャンプの所在地にございますわが国の在外公館に本邦入国のための査証申請を行う、これに基づきまして当該公館で所要の手続を経た上いわゆる渡航証明書というものを発給いたしまして、その渡航証明書を携行してわが国に来るわけでございます。上陸港で一般外国人と同様に上陸申請を行っていただいておる。ただその際に、上陸許可に当たりましては法務大臣が特に在留を認める者という在留資格に一年の期間を付与いたしまして許可を与える、そういう手続になっております。 それから二番目のボートピープルにつきましては、救助いたしました船舶のいかんを問いませず、国連難民高等弁務官からの滞在費の支弁並びに第三国への出国のあっせんというような問題についての保証をいただきまして、その保証のもとで法務大臣による特別上陸許可という手続によって入国及び在留を認めておるわけでございます。
○飯田委員 前に新聞によりますと、ベトナム難民が洋上で漂っておるのに日本側が受け入れを渋っておるといったような記事がしばしば出ましたが、これは国内の法的体制ができておればそういうことはなかろうと思いますが、そのような事態になりましたのは一体どういうわけでしょうか。
○村角説明員 ただいまのところはそういうことはございません。 もし日本の船舶が洋上で漂流しているインドシナ難民、ボートピープルを見つけた場合にはすべて救助して、そして日本へ来ればすべて上陸を認めておりますし、それから外国船が洋上でボートピープルを救助した場合でも、本邦に連れてきた場合には原則としてすべて認めております。
○飯田委員 日本の船舶とか外国船が難民を収容して日本に入った場合には認める。それならば、難民が自分の乗った船でそのまま入ってきた場合はどうなるでしょうか。
○村角説明員 まだ来たケースは一つもございませんけれども、当然認められることと思います。
○飯田委員 その日本の法的根拠はどの法律の何条に基づくのでしょうか、そういう場合は。
○小杉政府委員 これは先ほども申し上げましたが、出入国管理令の第四条第一項第十六号に法務大臣が特に在留を認める者という特別の項目がございまして、それに該当するということで上陸許可を与えることが法的にはできるわけでございます。
○飯田委員 それでは別の方面からお尋ねをいたしますが、台湾人だとか朝鮮人がわが国に密入国をした例がたくさんあると思いますが、これにつきましてその状況はどうなっておりましょうか、お尋ねいたします。
○鳴海説明員 密入国者の数字でございますから、あるいは入管御当局の方がよろしいかと思いますが、私ども警察といたしまして、密入国者が一体全部でどれだけいるかという数字は、これは当然のことながら暗数がございますので掌握はできかねているわけでございますが、私ども警察が不法入国の事実によりまして立件送致をしたという数字は持っておるわけでございます。 ちなみに、ここ数年の数字を申し上げますと、昭和五十一年は朝鮮人について九十二名、それから五十二年でございますが朝鮮人について百四十六名、五十三年朝鮮人について五十二名、中国人について二名、昭和五十四年は朝鮮人について六十名、中国人について三名という数字を承知いたしております。
○小杉政府委員 いまの年次に対応した私どもの方でのいわゆる不法入国摘発人員を申し上げますと、これは韓国、朝鮮合わせてでございますが、五十一年九百五十四名、五十二年八百四十六名、五十三年六百四十六名、五十四年六百十九名。さらに中国、台湾の系統でございますが、五十一年が七名、五十二年が八名、五十三年が八名、五十四年が十七名ということになっております。
○飯田委員 そうした密入国者がなぜわが国に密入国をしたか、その原因についてお調べになったことがございましょうか。
○小杉政府委員 これは私どもの警備官が収捕いたしました段階でいろいろ違反審査等を行うことによってそれぞれの動機を聞いておるわけでございますが、一番多いのが稼働を目的とするいわゆる出かせぎのための密入国でございます。二番目が、親族が日本におりましてそれとの同居をもくろんで入ってくる者、三番目が、これは不思議なことでございますが、勉強したい、学校に入りたいということで入ってきておるケースがございます。その次の動機は訪問、さらに病気治療、それから日本へのあこがれとか日本を観光してみたいというようないろいろな動機が挙げられると思います。
○飯田委員 それでは、ベトナムから来られたいわゆる難民と称する人たちは、どういう理由で難民となってこちらへ来たことになっているのでしょう。
○村角説明員 ボートピープルのケースによりますと、国連の難民高等弁務官府から日本政府に対しまして、これこれこれだけのベトナムのボートピープルが海上でこういう船で救助された、日本の方で一時庇護を与えてもらいたい、こういう正式の要請が参ります。そうしますと、これを関係方面に取り次ぎして、そしてそれの引き取りをする形になります。
○飯田委員 難民の方々は本国で生活できない状態に追い込まれておったのではありませんか。
○小杉政府委員 私どもの理解いたしておるところでは、いわゆるインドシナ難民と申しますのは、結局本国において五十年でございますか政変がございまして、その結果、それらの難民と称する方々は旧政権の関係者であったとか、あるいは新しい共産主義政権とは政治信条を異にするというような理由で現実に母国で迫害を受けた、あるいは迫害を受けるおそれが非常に濃厚であったということを理由にいたしまして、生命の危険を顧みず小舟等で脱出してきたというふうに私どもは解釈をいたしておるわけでございます。
○飯田委員 難民と密入国者の差別につきまして実はいま事実関係をお伺いしておったのですが、どうも事実関係がはっきりいたしません。 お話によりますと、国連の方で取り上げてこれを日本政府に要請したものだけが難民で、そうでなければ難民ではなくて密入国だ、こういうふうに受け取れるような御答弁でありましたが、そういうことでございましょうか。
○小杉政府委員 どうも先生のいまの御質問の御趣旨は必ずしもよくわからないのでございますが、先ほど申しましたように、私どもは、インドシナ難民とそれから台湾、韓国等から要するに出かせぎのために出てくる密航者とは根本的に違うのではないかという認識に立っておるわけでございます。 いずれにいたしましても、インドシナ難民の場合には、明らかに本国において迫害を受けたかあるいは受けるおそれがあるということを理由にして国を脱出してきた方々でございますのに対しまして、台湾、韓国からのいわゆる密航者というものは、本国に別段政変があったわけでもございませんし、また本国において迫害を受けるおそれがあるわけでもございませんで、単に経済的に生活困窮というようなことを理由にする出かせぎ、そういうものとは根本的に違うというふうに私どもは考えております。
○飯田委員 それでは、難民というのは政治性を持った者に限る、こういう御意見でありましょうか。
○小杉政府委員 必ずしも政治性のみを理由にということではなかろうかと存じます。 そのほか、要するに迫害を受けるおそれということが一番大きな要件になろうかと思いますが、その迫害を受けるのが必ずしも政治的な理由によるものとは限らない。たとえば人種的なことが問題になって迫害を受ける場合もございましょうし、宗教上の立場の相違から迫害を受ける者もございましょうし、そういう意味で、必ずしも政治のみに限定されるというものではないと思います。
○飯田委員 それでは、このベトナムのいわゆる難民と称せられる人々につきましては永住権を認めるというお話がございましたが、永住権を認めた人は、従来のたとえば韓国人に認めた永住権と同じような永住権として認めるのでしょうか。
○小杉政府委員 実は、現在までインドシナ難民につきましていわゆる永住権というものを認めた事例はございません。現在までのところ、長期在留でございますが、在留期間一年の期間をもって在留を認め、それを年々更新していくというのが最長期のかっこうになっております。
○飯田委員 在留期間は一年ということで、あと更新していくというものでありますならば、更新の回数に制限はありますか。
○小杉政府委員 これらの難民の方の場合、在留目的は日本に定住ということでございますから、更新回数に何らの制限はございません。
○飯田委員 いまのお話ですと、一年ごとに更新するといいましても、実質は永住を認めるということになると思いますが、いかがでしょう。
○小杉政府委員 これは今後の扱いの方針いかんによることかと存じますが、一年の滞在期間で何年か在留している間にそれを三年間に伸長する。さらに日本における在留期間というものが一定期間に達した場合、いわゆる永住許可ということの対象になり得る時期というものがやがて参るのではないかというふうに考えます。
○飯田委員 先ほどの私の質問に対しまして、いまおっしゃいましたいわゆる永住的な資格を与える者とそうでない者を区別するという御答弁があったと思います。永住的な資格を与えない者は、これはどういうふうな御処置をなさる予定でしょうか。
○小杉政府委員 永住的な資格を与えない者というふうなものを現在想定して何かやっておるということはございません。 インドシナ難民の方などでも、中には犯罪に走るとかあるいは社会の秩序を乱すというような、いわゆる在留外国人として好ましくないような行動をするような方があった場合、その方に対して直ちに一年を三年に延ばすとかあるいは永住許可にするとかいうことを一時差し控えるというようなことはあるかもしれませんけれども、一般的にこれこれこういうものは将来永住の可能性はないといって区別するということは考えておりません。
○飯田委員 たとえばベトナムにおきまして生活が非常に困難なためにこちらの方へ一緒に来たという人もあるかもしれませんね。こういう問題については一々詳しく調べておいででしょうか、それとも調べないですべて政治的な迫害を受ける者と認めて全部日本に受け入れる、こういう体制でございましょうか。
○小杉政府委員 少なくとも現在まで私どもが承知している限りで、非常に明白に生活苦のためにベトナムを脱出したというケースは承知いたしておりません。 ただ、仮にただいま先生御指摘のように生活苦のために脱出してきた者がいると仮定いたしましても、結局それらの方々というものは、ベトナムなりあるいはラオスなりカンボジアなりの国の保護というものを受け得ない姿になっておるわけでございまして、その意味においてはやはり難民的な性格が多分にあるというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
○飯田委員 法務省の御意向は大体わかりましたが、現在北朝鮮とかあるいは韓国とか台湾から日本に密入国をしてこられる人の中にも、政治的な圧迫を受けるおそれがあるというわけで来る人も過去においてありました。 また、そういうことを表面に掲げないでも、日本に親戚がおり本国では生活ができないので日本へやってくる、つまり本国で生活できないということはその政治情勢によって経済的圧迫を受けておるということであろうと思うわけですが、そういう人たちに対して従来十分な処置がとられてきたかどうかという問題ですが、いかがでしょうか。
○小杉政府委員 先ほども申し上げたわけでございますけれども、お説のような経済的な圧迫というかっこうのもの、これは実は私ども入管行政を行っていく上において従来とも考慮の対象にいたしておりません。 いわゆる亡命事案である場合、これは明らかに政治的な信条を異にするとか各種の迫害を受けるおそれがある場合、そういう場合については特段の配慮をいたしますけれども、出かせぎのため、稼働のためあるいは同居親族と一緒になりたいというようなことで密入国してくるという者に対しては、現行法令のもとで厳正な処置をしておるということでございます。
○飯田委員 難民とそれから亡命の問題ですが、先ほどからお伺いしていますと、難民は政治性を持った、政治的迫害を受けるおそれのある者、こういうようなお話でございました。 亡命というのがございますが、この難民と亡命者との違いはどうなっておるでしょうか。
○鈴木説明員 お答えいたします。 難民とは何か、あるいは亡命者とは何か、それからまた、その難民と亡命者とは一体どう違うのか、あるいは同じなのかというような御質問だろうと思いますが、まず国際法の問題として申し上げますと、難民についてもあるいは亡命者につきましても明確な法的な定義のある概念ではございません。 ただ、あえて通念として難民あるいは亡命者というのはどういうことかと申しますと、まず共通点ももちろんございます。難民あるいは亡命者と申しますのは、先ほども入管局長の方から御答弁がございましたように、要するに、政治的あるいは宗教的、人種的その他いろいろな基本的人権にかかわるような項目と申しますか事項につきまして、通常ならば個人が国籍国あるいは通常居住国から期待し得るような保護等を否定されているあるいは求めることをあえて望まないということで国籍国ないし通常居住国から国外に出てきている、こういうのが共通項だろうと思います。 それから他方、それでは全く難民と亡命者との間には違いがないのかと申しますと、これは従来も国会で御議論のあったところだと思いますが、ヨーロッパ系の言葉で申しますと、これは両方ともレフュジーということになるわけで共通点が非常に多いのですが、日本で通常使います場合の亡命者、難民というものにはやはりニュアンスの違いがあるのではないか。 それでは、ニュアンスの違いに着目いたして申し上げますと、難民というものはどういうことかと申しますと、主としてそういう国外へ出てきた方々を受け入れる側に立って、その保護とかあるいは待遇とかそういった観点から見る場合に、これを難民として扱うのかどうかというような観点で通常用いられているように思います。それから亡命という場合には、一般にはいわゆる領土的庇護という概念と組み合わされた形で一方に亡命者があって、それに対してそれを受け入れる方の側は領土的庇護を与えるかどうかという、そういう観点で使われているということだろうと思います。 ただ、これも全く通念的な意味での違いでございまして、いずれにいたしましても法的な正確を期する場合には、やはりそれぞれの条約とかあるいは法律とかでそういう言葉を使う場合には明確な定義をもって、その定義に従ってその都度枠をはめていかざるを得ない概念であろうと思います。
○飯田委員 難民につきましての国際条約があると聞いておりますが、これにわが国はどういうかかわりを持っておるのでしょうかお伺いします。
○小西説明員 現在、難民条約はもちろんすでに発効しておるわけでございますが、わが国といたしましては、インドシナ難民問題がございまして、できるだけこれに早期に加入するということで現在関係省庁で検討している段階でございます。
○飯田委員 本日、難民の問題に関連しまして韓国人だとか北朝鮮人の問題を取り上げましたのは、現在わが国におきましては、サンフランシスコ平和条約のときに当時日本国籍であった朝鮮人に対しまして国籍の選択の自由を与えなかったようでございます。全部韓国籍なり朝鮮籍にしてしまうということで御本人の意思は無関係であった、こう受け取れるわけです。 それで、日本の国内にとどまった人はいいのですが、韓国籍を取った、朝鮮籍を取ったというわけで一たん本国へ帰った人たちは、本国で実は予想に反してとても住めるような状態ではないところへほうり出されたということで再び日本に帰ってきたわけですが、帰ってきたときには、もはや昔は日本人であったのに密入国者として扱われるという状態になってしまっておる。それは政府として国として法律的見地から見れば当然なことでございましょうが、そういう目に遭った人たちの立場からいきますとそうはいかないので、まことに割り切れない状態だろうと思います。 そして、そういう人たちが現在わが国には恐らく政府の方においてもおわかりにならないほどの数の人がおられるのではないか。もう届け出もしないで、また届け出たら逮捕されて送り返されるので、潜在的にそのままになっておるという人が相当おられるということを聞いております。こういう人たちは、もし日本政府が難民の扱いをしてこの際処理をするならば皆名のり出てくる、そしてそこで新しく生まれ変わって生活したい、こういう希望を持っておる人が相当あるわけでございます。 そこで実はベトナムの難民、なるほどこれは政治的な圧迫、いまの国内情勢から政治的におれないので出てきたということには間違いないでしょうが、いわゆる朝鮮の人あるいは台湾の人、前は日本人であったのが実は間違えて出ていったために今日においては日の当たらない生活をせざるを得ぬ、こういう実情、こういうものと実質においては余り変わらぬのではないか。法的な扱いではずいぶん違います。違うけれども、人間という立場においてそういう人たちを比べてみるとき、ベトナムの難民も朝鮮のいわゆる密入国者、これも一種の難民ではないか、こう思いますが、こういうような人たちも変わらぬのではないか。 そうであるなら、いつまでも非常に不安定な法的状態を続けさせないで、この際難民扱いをしてはっきり処遇を決めてあげたらどうだろうか、このように実は考えられますので、この難民に関連しまして朝鮮の問題、台湾の問題を出したわけでございます。この点についての御感想はいかがでしょうかお伺いいたします。
○小杉政府委員 現在、私どもの方でいわゆる潜在不法入国者の数というのは全貌はつかみ得ていないわけでございますが、いろいろの説がございまして、五万とか十万とか数字がいろいろ挙げられることがあるのでございます。 これらの方々について、いまの出入国管理令の立て方でございますが、近年非常にふえておる事例として、かつて不法入国してきた方が日本に在留二十年とか二十五年したあげく、私は過去において不法入国しましたとみずから申告して出てこられる、そのようなケースについては、結局御当人の生活の基盤というものが日本にどれだけあるか、たとえば日本人の奥さんを持っておるとか、あるいは妻子がすでに何名おるとか、あるいは場合によっては正規に在留しておる協定永住者の奥さんがいるとか、いろいろな個々の事案を勘案いたしまして、法務大臣の特別在留許可という制度で救う道が開かれておるわけでございます。この制度によって救われるという方の数は、いま私統計を持っておりませんけれども、かなりの数に上っておる。これが一つの方向であろうかと思います。 ただ、先生御指摘のようにこれらの方々を難民として扱えるかどうか、これは私はなはだ深い疑問を持つものでございます。やはり潜在不法入国者は不法入国者としての処遇、その枠内での救済ということで考えてまいりたいというふうに考えるわけであります。
○飯田委員 ただいまの御答弁で、日本の法的にはそういうことであろうと思いますが、特に現在の状態を解消するという意味で特別の御考慮を願うことはできないかということで御質問申し上げたわけでございます。この問題はこれだけにしておきますが、わが国におきます出入国管理令という法律では、どうも難民だとか亡命者というものを救済するのに不十分なような気がしてなりません。 そこで、難民に関する国際条約にわが国が加盟をいたしますれば、当然国内法をつくらなければ条約に加盟した意味がないだろうと思います。国内法としましての難民法とか亡命法、こういったような法律を御準備なさっておるのかどうかお伺いいたします。
○小杉政府委員 難民条約に規定されております事項は、法務省の所管事項ももちろんございますけれども、厚生省あるいは労働省あるいは文部省というような国内諸官庁が幅広く絡んでいる非常に複雑多岐な事項が盛られておるわけでございまして、私どもといたしましては法務省の持ち分の範囲内において、難民条約が批准された場合何かやはり国内法が必要だということで目下関係省庁とも協議しながら準備を進めておる、現在そういう段階でございます。
○飯田委員 ただいま法務省の方の御意見はわかりましたが、この難民に関連する各省、厚生省とか内閣とかあるいは文部省とかのお考えはいかがでしょうか。
○小西説明員 先ほど申し上げましたように、現在、難民条約を国会に提出するということで関係省庁で鋭意作業を進めておりまして、だれを難民とするかということで難民の認定ということがこの条約上出てまいるわけですが、この点につきましては、ただいま法務省の方から説明がありましたように、法務省が中心になりまして関係省庁とその関係の国内法についての検討を進めてございます。 それから、それ以外の教育、労働、社会保障その他経済的社会的権利の保障ということが条約に書いてございますけれども、その辺につきましては、一部はできれば法律改正あるいはその他の措置によって条約が求めておりますところを満たすということの作業を関係省庁の間で進めております。
○村角説明員 私どもの方は現在インドシナ難民の本邦定住の促進を図っております。その時点においては、難民条約はまだわが国に関しては発効されてないわけでございますけれども、実際問題として難民がなるべく円滑に日本の社会に溶け込んで安定した生活を営んでいけるように、現在の時点から実質的にそういうことが確保されるように、関係省庁とも話し合って定住の促進を進めている段階でございます。
○飯田委員 難民問題はこのぐらいにしておきまして、それに関連しまして人質問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 イランの米国大使館が占領されておる事件は御承知のとおりだと思いますが、このような問題につきまして、日本政府としてどういうような態度で今後お臨みになるのか御方針を承りたいと思います。
○川島説明員 イランの人質事件の問題は、御承知のとおり、昨年の十一月四日以来すでに五カ月以上経過している歴史的にもきわめて特異な、ユニークな事件であろうと考えております。 私どもは、この事件は国際社会の基本的な秩序を乱す不法行為であるという点、そしてさらに人道的にもこうした人質の拘束というのは容認し得ないのだという立場でございまして、このことはすでにイランの外交当局に対してもこれまでもたびたび伝えてきているところでございます。御案内のとおり、この事件発生以来国連の安保理において決議が出ておりまして、人質の早期解放ということをうたっておりますし、国際社会の多くの国がこれを支持しているわけでございます。わが国といたしましても、こうした不法な事態を是正するために、そうした国際的な努力を積極的に支持しておりますし、当然のことながら友好諸国と協調して適切に対処していくという態度でございまして、これが国際社会の責任ある一員としての態度と考えておるのでございます。 しかし不幸なことに、いまだ解決の具体的な兆しは見えておりませんけれども、何とかその早期解決を目指しまして米国を初めといたします欧州諸国等と協調して何らかできる限りの方策を講じていきたい、こういうふうに考えております。
○飯田委員 こういう質問は少し意地が悪いかと思うわけですが、人権の問題と経済の問題のどちらか一方をとれということになってきました場合に、わが国の外交方針としてはどちらの方をおとりになる予定でしょうか。
○川島説明員 正直に申しまして、よく新聞その他で板ばさみと言われているような問題というのは、この事件の特異な性格にもかんがみまして私どもなかなか頭から否定し得ない点はあるかと思いますが、この問題に限りまして申し上げますと、イランは御承知のように重要な産油国で、私どもも、年々輸入量は違いますけれども大体一割近い輸入がイランから来ているという実情にございますし、さらに石油に限りませんでも歴史的にも非常に緊密な関係にある重要な友好関係を持つ国でございます。そのためにも日本とイランとの関係を今後ともますます増大させていかなければいかぬという一方の要請がございます。 他方、いま申し上げましたように、この人質事件と申しますのは、どういう観点から見ましても、すなわち国際法に対する違反あるいは人道上の観点から見ましても、これはやはり容認しがたい事実でございまして、最初に申し上げましたイランと日本との友好関係を今後とも増進するという点から見ましても、これだけの時間もたっていることでございますし、ますます人質の早期解放ということが実現されなければいけないという考えでございます。 どうしても一般論でしかお答えできない性質の問題かと思いますけれども、そういう立場からわが国といたしましては、友好促進という大きな目的のためにもイラン側がこうした事態の重要性に気がついて何とか早く、少なくとも早期解放という方向に向かってくれることを心から期待しているわけでございます。
○飯田委員 こういう在外公館を占拠して人質にとるという問題は大変遺憾な問題ですけれども実際には起こってまいりまして、ちょうどハイジャック事件と同じような性質を持っておると私は思いますが、こういう問題につきまして、これを一般的に防止するために外交交渉あるいはお互いにいろいろの援助をし合うという措置を講ずる根拠となる国際条約というものをおつくりになる御計画はないかどうか、お伺いいたします。
○池田説明員 最近イランを初め各地で生じております在外公館員、外交官の人質という問題はきわめて憂慮すべきだということで、外務省といたしましても、在外公館の警備の強化というものについては多大な努力を払っておるところであります。この問題をどういうふうに解決していこうかということは、日本政府はもちろん先進諸国も実は悩んでおる問題でありまして、これをどうしようかというのは、今後いろんな場で話し合われていかなければならない問題だと思っております。 現在のところ、人質問題を解決するための条約をつくるというような動きはございませんが、この人質問題のみならず、在外公館の外交官の安全の確保という問題は国際法上ウィーン条約というものがあります。その条約にも規定されておりますが、基本的には、一義的には接受国、任国当局の政府の責任に属する問題でございまして、こういう観点からわが外務省といたしましても、危険な事態が起こりつつある国あるいはそういう事態が予想されるようなところについては、常時在外公館長に対して、警備の問題あるいはいざ事が起こったという場合に備えて任国の政府とよく話し合っていろんなことを考えて、また警備の要請をする場合にはちゃんと要請ができるように連絡を密にしてやっておくようにという指導をしております。 現実に、イランの場合もそうですが、最近のこういう事態に即しまして、危ない公館というものにおきましては任国の当局と話し合いをしたりあるいは警備の要請をしたりということでやっておりまして、任国の警官その他軍等が在外公館の警備というものを行っておるところもございます。
○飯田委員 この人質問題は国内でもしばしば起こっておりますが、最近の誘拐事件の発生する状況は大変憂慮すべきものがあると思います。 こうした人質をとって金をゆするという行為がふえてくる根本的な原因は、人間の卑しい心だと言われればそれまでですが、何らかこういうものを防止する方法はないかということは皆さんお考えだと思いますが、政府ではどのようにお考えになっているでしょうか。防止対策でございます。少なくとも日本国内におる人たちがそうした人質にとられないような対策でございます。
○加藤説明員 人質事件を防止するのに有効な対策があるかということでございますけれども、警察といたしますれば、まず第一に、そういう事案が発生した場合に迅速に検挙、解決をするということが第一であろうと思います。 ただ人質事件、誘拐事件その他いろいろ分析してみますると、たとえば誘拐事件などを見ますると、身のしろ金目的の誘拐事件、わいせつ目的の誘拐事件、それからかわいさの余りというふうなものの率が比較的高いわけでございます。したがいまして、そういうふうな事態が察知せられるというものにつきましては、それぞれ何らかの予防的な措置が講ぜられることもあろうかと思います。ただ、犯罪を敢行しようという者の動機とか原因とかいうものが非常に千差万別でありますし、また、いつどこでそういう決意をして行動に出るかということもなかなか外からは察知しにくいわけでございます。 これに対しまして、一般的にそういう犯罪の対象にならないということにつきましては若干の方法があろうかと思います。たとえば、そういうねらわれやすい人が通勤いたします場合の警護の問題あるいはその方法の問題というふうなことがいろいろ考えられるわけでございますので、そういう可能性が高いという人たちにつきましては事前の警護ということも当然考えられますし、また一般的にはそういう人たちに対して、そういう犯罪の対象にならない、免れるような方法も申し入れるというようなことは考えられると思うわけでございます。
○飯田委員 こういうことを申すと少し恥ずかしい次第ですが、実は昨日私は夜九時ごろ議員会館を出まして、総理府の前を下りまして赤坂の宿舎の方へ歩いて帰りました。途中暗いところへ参りますと、そこへ自動車を乗りつけてきまして、私の横へぴたりととまりまして、自動車の中から何か箱のようなものを出して、これを上げましょうと出すわけです。こちらは突然の話だから間違ってひょっと手に受け取った。中はインチキなまがいものの財布だとかボールペンだとかそういったようなものが入っているわけですが、これをぜひあなたに上げるというわけです。上げるといったってただでもらうわけにいきませんから、いや要らないと言いましても、それじゃちょっといまから一緒に飲みに行きましょうか、こう来る。いや、わしはそんな飲むような金を持っておらぬ。暗いでしょう、だれがどこにおるかわかりません。うるさいから、じゃ幾らだと聞いたら二万円だと言う。私は二万円なんという大金は持っておらぬから、一枚しかないから一枚上げると言って帰ってきたのです。 私は男だからいいものの、女だったら引っ張り込まれるでしょうね。誘拐されるでしょう。東京の真ん中ですよ。そういう状況です。こういうようなところにおいて助けを呼ぼうとしても、その辺にお巡りさんはおられませんし、呼ぶことはできない。これは大変危ない状態だと思いましたが、こういうような問題について防衛する、いろいろ免れる方法を警察の方でお考えになっているいい手があるかどうか、お教えを願いたい。
○柳館説明員 ただいまの何かいい方法があるかというお尋ねでございますけれども、これは個別的なケースを見ますとなかなか千差万別になるわけだし、場所的にも広範にわたるわけでございます。 私どもは、大変幼稚だという印象をお受けになるかもしれませんけれども、同質的なケースがあった場合に、そういうことを広く伝えて警戒心を喚起するということが一番近道ではないだろうかというぐあいに考えております。先生の昨日の御経験なども大いに参考にさせていただいて、そういった教育なりPRなりの方途をひとつ考えてみたいと思います。
○飯田委員 では、次の問題に移ります。 老人ホームの倒産事件につきまして最近の新聞で報道をいたしております。これは大学教授だとかあるいは相当知識人の人が老後を安楽に暮らそうというわけで老人ホームと契約して入ったところが、間もなくつぶれてしまった、こういう記事です。こういうような老人ホーム倒産事件につきまして、法務省並びに厚生省はやはり監督官庁としての責任がおありになろうと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○大西説明員 お答えいたします。 御指摘のように、今回向陽会サンメディックで倒産という事態になりましたことはきわめて遺憾な事態であると考えております。私どもとしましては、現在入居されております方々がそのまま支障なく生活を過ごせるようになるということが一番望ましいと考えておりまして、そういう見地から、現在東京都におきまして現地の債権者でありますとか入居者あるいは地主という関係者との話し合いを進めていただいておりますが、残念ながら現在までのところ事態の解決のめどは必ずしも立ってないということでございます。 ここで私どもとしましては、できるだけこのまま老人ホームとして続けられるように持っていくという方向でこの件については考えておるところでございますが、ただ今後この件について、この事件を踏まえて一般的にどういう対策を講ずるかという点につきましては、御承知のように、一応監督官庁という立場にはございますが、法律上認められておりますところの監督権限というものはきわめて限られておりまして、事後の届け出あるいは事業中におきます調査権限ないしは勧告の権限しかございません。これは知事の権限になっております。そういうことで必ずしも法律上も監督権限というものは十分でないということでございます。 しかしながら、このような緩やかな権限しかないという背景には、この有料老人ホームというものは、いわゆる恵まれない老人ということではなくて、一応経済的にも健康的にも恵まれた老人を対象に、できるだけ民間の創意工夫をこらして、そういう多様な老人のニーズにこたえ得るような老人ホームができやすいようにという配慮で老人福祉法上も規定ができておるというふうに私ども理解しておりまして、そういう基本的な考え方との調整もありますので、直ちに法規制を強化すべきかどうかという点については今後各方面の慎重な検討が必要だろうと思います。 しかし、こういう事件が再び起きないように現行法制下においてもいろいろな対応の仕方があるのではないかということで、私どもも早急に、学識経験者でありますとかあるいは自治体の関係者、実際に有料老人ホームをやっておられる方々というような関係の方々に集まっていただきまして、その対策を検討するような懇談会という形でいま組織づくりを進めておる段階でございまして、今後そういう場を通じまして具体的にどうすべきかを検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○飯田委員 新聞に載っておりますこの老人ホームは、法律上からいきますと、これは社団法人ですか財団法人ですか、それとも単なる個人経営の会社でしょうか。
○大西説明員 お答えいたします。これは向陽会福祉開発センターという名前の株式会社でございます。
○飯田委員 こうした老人福祉を扱うような弱い者を対象にした事業、ことに人間の住む場所のめんどうを見るといったような事業を扱うものを普通の株式会社にやらせるというところに問題があるのではないかと思います。 もちろん株式会社でも構いませんが、特殊の株式会社をおつくりになる意思はないでしょうか。つまり、普通の商法の株式会社の上にもう一つ福祉法人としての性質を加えて、特別の監督下に置くという形の株式会社をおつくりになる御意図はないでしょうか。
○大西説明員 大変示唆に富む御意見だと思いますが、一方で、株式会社形態ながら非常によく運営されておるところも現在あるわけでございますし、法律上そういう特殊な法人の形態を考えるということも、将来において法改正を考える際の一つの課題かとは思いますが、現在直ちにということにつきましては、そういった考え方は持っておりません。しばらくは現行法制のもとで講じ得る対策ということに重点を置いて当面の対策を考えたい、かように考えております。
○飯田委員 時間が来ましたので、簡単に最後の問題をお尋ねします。 寝たきり老人のための施設、これは社会福祉法人ですか、一般の人に任せてつくられておりますが、いろいろ聞いてみますと、こういう寝たきり老人の施設などは公営にしたり国営にするとうまく運営ができない、国家公務員とか地方公務員ではうまくいかない、むしろ民間に任した方がいいので補助金制度を設けてやっている、こういうことでございます。私はそれでいいと思いますが、補助金を与える場合の処置としまして少し疑問に思う点があるからお尋ねをいたします。 といいますのは、こうした施設をつくるに当たりまして、普通は全額補助でございます。ただ、そうした施設をつくる申請が多い場合に、予算が足らないために初年度において全額補助ができないので半額ぐらいあるいは一部補助する、そうしますと建物は初年度において一部しかできない、そこで業者は、どうせ後で補助がもらえるのだからということで、その補助をカタにしまして銀行から金を借りて全部つくってしまうわけですね。全部つくってしまいまして翌年になって補助を申請しますと、それはだめだ、もうできてしまったものには補助を与えることはできないということでできなくなる、したがって借金を負ってしまう、こういう苦情がときどき参るわけでございます。 そこで、補助金を与える場合に、予算が少ないために二年度あるいは三年度にわたって与えるということでもいいから、とにかく銀行でその補助金をカタにして金を借りて最初の年につくってしまったら、全部完成したということを検査しまして、それを翌年にまた補助してあげる、そういう制度にすることはできないかどうかお尋ねいたします。
○大西説明員 お答えいたします。 ただいま先生御指摘ございましたように、老人ホーム等の施設整備につきましては、単年度で一〇〇%補助する場合もございますが、一部例外的なケースといたしまして両年度にわたって継続事業として補助するというケースがございます。そういう場合の補助につきましても、現行制度のもとでは、最初の年度に借入金等で工事をどんどん進めた、そしてでき上がったものについては翌年度補助するということは老人ホームについては認められておりません。 実は、これは単に老人ホームだけの問題ではございませんで、およそ国の補助金制度全般にかかわる大きな問題でございます。したがいまして私どもといたしましても、直ちにこの問題についてどうこうということは軽々に申し上げるべき立場にはないと思うわけでございますが、せっかくの御指摘でございますし、一つの問題意識として持たせていただきまして、今後行政に当たってまいりたいと思います。当面すぐどうこうということについては非常に大きな問題であって、老人ホームについてだけという形で対応することはむずかしいと思っております。
○飯田委員 これは老人ホームだけの問題ではないのでむずかしいということはよくわかりますが、制度を変えればいい問題ですから、もう少し大蔵省が頭を開いて大きな心を持てばすぐできる問題だと私は思います。 法律の末端にこだわって、そして結局において民間人にも損害を与え、また設備も不完全なものをつくるといったようなやり方は、国全体の立場からいけばよろしくない。やはり法というものは制度ですから、人間がつくるのですから、いいことをお考え願いたいと思います。いまここでこのことを取り上げましても、すぐ御返答はむずかしかろうと思いますので、皆さんのおられる前でこういう問題を提起しておきますから、御研究を願いたいと思います。 これだけでやめますけれども、最後に一つお願いしたいのですが、公共の場での喫煙制限の運動がいま起こっております。嫌煙権の主張がなされておるわけですが、この問題につきまして政府の方ではどのようにお考えでしょうか。嫌煙権などというものはたばこを吸う者にとってはとんでもない迷惑だ、そういうことはとても取り上げられない、こういうふうにお考えなのでしょうか。あるいは、人の顔にたばこの煙を吹きかけるような失礼なことは迷惑だから迷惑行為処罰法をつくろうというお考えはないかどうか。ただいま喫煙制限の運動がございますので、こういうような問題についてお尋ねをいたします。
○柳館説明員 現在のところの感触でございますけれども、やはりこういう問題は道徳なり施設その他の管理権の問題として当面処していくのが適当ではないかというぐあいに考えておるわけでございます。罰則で担保するということ、立法行為ということになるのでしょうけれども、こういったことまで進むのにはなお慎重な配慮を要するのではないかというぐあいに考えております。
○飯田委員 これで終わります。
○木村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時二十八分休憩 ————◇————— 午後一時三分開議
○木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 まずKDDの問題について若干伺いますが、昨日、松井元郵政省電気通信監理官、日高元同参事官が収賄で起訴されて身柄が釈放されたわけですが、身柄を釈放したということは、これはこの二人に対する収賄の容疑については捜査が基本的に終了したということでしょうか。
○前田(宏)政府委員 御指摘のように昨日、松井、日高の両名を起訴したわけでございますが、いま仰せになりましたように身柄を釈放しております。これは、要するに身柄をこれ以上引き続き留置しておく必要はないという判断に基づくものと思います。
○柴田(睦)委員 これに対しまして、贈賄側の佐藤陽一については身柄が拘置されたままであるわけです。 そして贈賄で追起訴がなされたということになっているわけですが、身柄が拘置されているということはさらに拘束しての調べが必要であるということを意味すると思うわけですけれども、その場合にこの佐藤陽一については、たとえば郵政省の辞職をした前郵務局長らとの関係において、この佐藤陽一と郵政省の役人とを結びつけるものが捜査の対象になり得るのかどうかお伺いします。
○前田(宏)政府委員 佐藤元室長を追起訴しておるわけでございます。その関係では、松井、日高と違いまして身柄の関係では釈放になっていないということでございますが、理屈めいたお答えになるかと思いますが、身柄の拘束の要否というものは、起訴された勾留事実といいますか起訴事実といいますか、それとの関係で考えられていることでございまして、別なことのために身柄を置いておくというのも理屈としては合わないことでございます。 それはそれといたしまして後段のお尋ねでございますが、これはいろいろと取りざたをされておりますし、新聞等でももちろんいろいろなことが言われておるわけでございますが、その郵政省の幹部と申しますか、そういう人との関係での疑いといいますか嫌疑につきましては今後のことでございまして、いま具体的なことは聞いていません。
○柴田(睦)委員 今度板野元社長が逮捕されて、逮捕の容疑事実は業務上横領ということになっておりますが、当然金の流れという関係から見まして、この板野元社長の贈賄という問題についてもやはり念頭に置かれての捜査がなされているわけでしょうか。
○前田(宏)政府委員 板野元社長につきましては、ただいま御指摘のように業務上横領ということで逮捕し勾留がついたばかりでございます。 したがいまして、さしあたっての調べは、当然のことでございますけれども勾留事実になっております業務上横領の点について明らかにしていくということであるわけでございます。その調べの過程でどういう別な問題が出てくるかどうかということは、先ほどのことと同様でございまして今後の問題というふうに御理解をいただきたいわけでございます。
○柴田(睦)委員 将来の問題ですから、この場で断定的に答えるということはできないと思うわけですけれども、世間でもいろいろ取りざたされておりますが、このKDD事件というのは金の流れが、いわばたかりの構造といいますかそういうような表現がされるように、いろいろと金の流れが取りざたされている中ですから、当然捜査の常識としても、そういういま調べている業務上横領にとどまらず、そのほかの面についても頭の中に入れて取り調べをするということになるのではないでしょうか。
○前田(宏)政府委員 その点は仰せのとおりだと思います。
○柴田(睦)委員 それから板野の逮捕は政界工作に対する突破口であるというような見方が世間では言われているわけですが、これに対しての法務省の御見解はいかがでしょうか。
○前田(宏)政府委員 まあそのような見方が報道等で出ておりますが、先ほど来申しておりますように、板野元社長の逮捕は御本人の業務上横領という事実に基づいておるものでございまして、それが今後どういうふうに進展するかということは先ほどからお答えしたとおりでございます。
○柴田(睦)委員 板野が政界を担当し佐藤が官界の工作を担当したというふうに言われているのですが、この政界との関係におきましては、きのう参議院の法務委員会で赤坂での服部元郵政大臣との会談のことあるいは服部元郵政大臣が関係をしておる村本建設のことなどについての質問があり、これに対して答弁がなされているわけです。ここで、その事実について関心を持っているというふうに言われておりますけれども、これは服部元郵政大臣に対してまず念頭にあるということであろうかと思うのです。いわばKDD関係の金の流れというものがいろいろなところに広範にわたっている、捜査の過程においても相当程度あらわれてきていると思うのです。 そうしますと、政界の問題につきましても、捜査の対象というのは単に服部元郵政大臣一人にとどまらず、全体の中では単数ではなくて複数の政治家についての取り調べになる、そういう可能性があるかどうかお伺いします。
○前田(宏)政府委員 板野元社長の逮捕を契機として、いろいろとこれが政官界に波及をするのではないかというふうな報道がなされておるわけでございますけれども、内容的には、むしろその前からいろいろ言われていたことが大部分ではないかというふうに思うわけでございます。したがいまして、そういうような新聞報道あるいはそれをもとにしてと申しますかそういうことに関しての国会での御論議というものは、前々から捜査当局としても承知しておるところでございます。 したがいまして、そういう点の疑惑といいますか広い意味の疑いというものが言われていることは承知しながら捜査をしているわけでございますけれども、広い意味で疑い、疑惑と言われましても、それが犯罪にならないものももちろんあり得るわけでございますので、やはり捜査当局といたしましては、犯罪になるものというものがあればそれは当然にやる、一面、疑惑であるとかあるいは好ましくないとかというようなことがございましても、それが犯罪としては認めがたいということであれば、これは捜査当局の問題ではない、こういうことに相なろうと思います。
○柴田(睦)委員 疑惑があるかないか、これが捜査の対象になるわけですけれども、そういう意味でいろいろなところに入っていくというふうに理解しておきます。 それから、次に税政連の関係ですけれども、昨年の十二月十日に最初の告発がなされて、それから捜査に入られたわけです。 現在の捜査の到達点はどのようか。あるいは、いままでの経過から言うとなかなか答えられにくいようですけれども、捜査の体制——きのう私は東京地検の検事正に会ったのです。それで、このKDDと税政連と大型の事件を抱えて東京地検特捜部は大変苦労なさっていることを伺っているわけですが、この税政連に関しても、捜査体制というのは最初の体制から十分取り調べに間に合うような体制を組んで進んでおられるのか、この点についてお伺いいたします。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの税政連事件は、先ほどもおっしゃいましたように昨年末に告発がございまして、またそれに関連した反対告発もあるというようなことでございます。 その後、すでに相当の期間がたっていると言えばたっているわけでございますけれども、改めて申し上げるまでもないかと思いますが、関係者も多数に上る事案でございますし、内容的にも複雑微妙な事案であるわけでございます。したがいまして東京地検といたしましては、この事実関係を随時明らかにしていくということで捜査を進行しておるわけでございます。いまお尋ねのように、ほかの事件もございまして東京地検としてはなかなか大変でございますが、事件の内容が関係者も多いというようなこともございまして、それに見合うだけの検事、事務官等も配置をいたしまして鋭意捜査を進めている、こういうことでございます。
○柴田(睦)委員 問題の税理士法、これは共産党の反対を押し切りまして先日可決されたわけですけれども、この法案の成立によって捜査が影響を受けるというようなことはとても考えられないことであるわけです。この法案が成立をしたことによって不起訴になるあるいは起訴猶予になる、そういうことはないと思うのですが、この点についての見解をお伺いします。
○前田(宏)政府委員 その点はそのとおりでございます。
○柴田(睦)委員 この事件というのは、税政連の議事録などから見てみましても非常に容疑の濃い事件であるというように私は考えているわけです。 もちろん、この金の趣旨それから金額といろいろな点が捜査の対象になるわけですけれども、この金を贈った目的というものは非常にはっきりしていると思うわけです。マスコミなどを見てみましても、本件についての犯罪容疑が成立するためのいろいろな問題点が指摘されているわけですけれども、そういう中で非常に大型の事件である、おっしゃいますように関係者がたくさんある事件であるわけです。 一般的に、こうした大きな事件というものは、捜査に着手して大体半年くらい、まあほかの事例ですけれども、半年くらいすれば大体山を越えて終わりの段階に近づいていくというような状況にあると思うのですが、この問題についての当局の見通し、結論をいつごろまでに出せるか。半年ということになれば五月あるいは参議院選挙前の六月、一般的にはそういうふうに考えられるのですけれども、この点についてはいかがですか。
○前田(宏)政府委員 過去の同種の例とおっしゃいましたけれども、今回のと同種の例というものも余りないような気もするわけでございますので、従来の例によって推しはかることもなかなか困難ではないかと思います。何分にも、先ほど来お話のありましたような事件でございますので、東京地検といたしましてはそれなりの体制も整えて捜査を進めておるわけでございますが、まだいまの段階でいつごろ結論が出るということについて明確な報告は受けておりません。
○柴田(睦)委員 六月から参議院選挙が始まり、そのほかにもいろいろな政治的な動きがあるわけですが、この一連の政治的な動きによって税政連事件の捜査が影響を受けてはならないと考えるわけですけれども、この点についての御見解を伺います。
○前田(宏)政府委員 御趣旨がどういうことか理解不足の点もございますが、犯罪の成立するものにつきまして検察当局が厳正な態度で事に当たるということは当然でございます。
○柴田(睦)委員 それでは、今度は最高裁判所に裁判官会同、協議会の問題について若干お伺いしたいと思います。 裁判所からいただきました資料を見てみますと、会同につきましては長官、所長の会同だけで、あとは協議会方式による会同ということになっているわけですけれども、最高裁当局はこの会同と協議会をどういうふうに区別しておられるのか、まずお伺いします。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま柴田委員御指摘になりましたように、集まっていろいろ協議をいたします会合の名前として、会同という場合、協議会という場合があるわけでございますが、この会同と協議会について、実は会同とはこういうものを言う、協議会とはこういうものを言うというような明確な定義があるわけのものではございません。 ただ、現在そういうふうに呼ばれておりますものについて、いわば機能的にと申しますか、逆にどういうものが会同と呼ばれているかということから考えてみますと、会同の場合には原庁から少なくとも一人以上ぐらいは出席をいたしまして、集まったときには主催者の側からあいさつがあるというふうな場合が多い。それから議長に主催者側のだれかがなるというような場合が多いというような、言ってみますとセレモニー的要素がやや強いものが一般に会同というふうに呼ばれており、協議会はどちらかというとそういう要素が少ないものというふうに言えるのではなかろうかというふうに思います。
○柴田(睦)委員 会同、協議会の協議内容についての資料をいただいたわけです。 まず、一括するとあれですから分けて聞きますと、民事関係の協議会で特殊損害賠償事件の処理に関し考慮すべき事項の協議をしております。これが四十八年度に二回、四十九年度に一回、五十一年度一回、五十二年度一回、いただいた資料によりますとそういうように開かれたようになっておりますが、これはどういうことを協議しているのか、お答え願いたいと思います。
○大西最高裁判所長官代理者 この協議会は、民事、刑事それから行政の関係それから家庭裁判所の事件の関係といろいろございます。 柴田委員御承知のように、最高裁判所には民事局、刑事局、行政局、家庭局というふうな局がございまして、それぞれの局がお世話をして協議会をやっておるということでございまして、私自身その会同、協議会等に出たわけのものでもございませんし、詳しいことは言ってみればわからないわけでございますけれども、いまの特殊損害賠償事件について協議をしたということは、主として特殊損害賠償事件の訴訟運営と申しますか、訴訟を進行させていく上についてのいろいろな問題点について各庁から問題等を出しまして、それについて協議が行われた、こういうことになろうかと思います。
○柴田(睦)委員 それから刑事事件関係での協議会では、昭和五十一年に刑事裁判における訴訟指揮に関し考慮すべき事項それから公職選挙法違反事件の処理に関する事項、こういうテーマで協議しているわけですけれども、これはどういうことを協議するわけですか。
○大西最高裁判所長官代理者 訴訟指揮に関し考慮すべき事項とかそれから選挙違反事件の処理に関し考慮すべき事項ということで、ただいま民事の特殊損害賠償事件について申し上げましたと同様に、各庁からこの訴訟指揮でございますとか選挙違反事件の処理について問題を出しまして、それについて協議が行われるということでございまして、細かく言いますと、いろいろ各庁それぞれ抱えておる問題と申しますか、そういうようなものを問題として提出してまいりまして協議が行われた、こういうことになろうかと思います。
○柴田(睦)委員 ではもう一つ。昭和五十二年に再審事件の適正な処理に関し運用上及び立法上考慮すべき事項、法廷等の秩序維持に関し考慮すべき事項、こういうふうになっているわけですけれども、この中身はどういうことですか。
○大西最高裁判所長官代理者 これについても一つずつ細かい問題についてちょっと私御説明申し上げるだけの知識がございませんで、まことに恐縮でございますが、再審事件の処理についての運用上及び立法上の問題、法廷等の秩序維持に関してどういうことが問題であり、どういうふうにやっていくべきかということについて各庁から出されました問題について協議が行われた、こういうことになろうかと思います。
○柴田(睦)委員 最高裁の資料によりますと、この法廷内の秩序維持についての協議内容には、メモ、録音などの拒否ということがあります。 この点について最高裁にいろいろ見解をお伺いしますと、この問題についてはそれぞれ裁判官の訴訟指揮権に属する問題であるというように一律的な考え方は示されていないわけです。そうした最高裁の訴訟指揮に属することだと言っている一方では、このような協議会で事実上集まった裁判官の意思、意見を統一しているということになるように思うのですが、この点はどのようにお考えですか。
○大西最高裁判所長官代理者 訴訟指揮の問題について協議が行われたということで、その中にいま例を挙げて仰せになりましたようなメモとか録音の問題が実際あったかどうかということは私実は存じませんが、しかし少なくとも訴訟指揮について協議が行われました以上は、ある庁からそういう問題が出たということは当然予想されることでございまして、そういうことについて協議が行われたかもしれないということは言えるだろうと思います。 それでメモ、録音の問題について申しますと、いま柴田委員仰せになりましたように、これはやはり裁判官がそれぞれ考えるべきことでございまして、統一をとるとかなんとかということで会同が行われたというものではございません。 ただ、裁判官は独立とは申しましても、申すまでもないことでございますけれども独善になってはいけないわけでございまして、本も読みますし、学説等は参酌しますし、判例も読みますし、そういう勉強はやっていくわけでございます。その場合に、他の裁判官の意見を聞いた上で最終的に自分が判断を下すということは当然あり得べきことでございまして、そういう意味での協議が行われたとすれば行われたのであろう、かように考えます。しかし、最高裁判所として法律の解釈についてこういう解釈をしろというふうなことは言えないことは当然でございまして、そういうことはこの協議会等でも行われたことはないはずでございます。
○柴田(睦)委員 最近の会同あるいは協議会というのは最高裁が出席者を指名する、指定するということをしていることも聞いているのですけれども、これについてはどういう場合にやられるのかお尋ねします。
○大西最高裁判所長官代理者 この協議会というのはいろいろあるわけでございますが、たとえば特殊損害賠償事件の協議会でございますと、できれば特殊損害賠償事件を現実に担当しておられる方が望ましい。会社更生事件の協議会をやります場合に、全然それをやったこともないような裁判官が来られても協議の実は上がらないということもございまして、そういう意味で、その協議の目的に照らしてそれにふさわしい裁判官においでいただくということは申し上げる場合があろうかと思いますが、いわば名指しで特定のこの裁判官に来てもらいたいというふうな意味での指定は行われていないはずでございます。
○柴田(睦)委員 最高裁からいただいた資料で、四十八年度に特殊損害賠償事件の処理について協議したことになっております。 一方、最高裁の「裁判所時報」の昭和四十八年十月十五日第六百二十七号では、薬害民事事件担当裁判官協議会という名前で九月二十九日に開かれているわけですが、このテーマは薬害民事事件の処理に関し考慮すべき事項について協議をしたということになっております。 問題は、協議会の参加者は東京地裁の判事可部恒雄氏ほか十一名となっているわけです。可部裁判官はいわゆるスモン事件の担当裁判官で可部和解で有名になった人であるわけですが、一方、この時期ですが、昭和四十六年の七月に東京地裁に始まって大阪、金沢、福岡、広島、京都、静岡、前橋と、昭和四十八年に至るまでにスモン事件が提訴されている時期であるわけです。この時期に薬害と言えばスモンとサリドマイド事件でありますが、この協議会はさきの十二名、その他の協議会はほとんど二十名以上、それから家事協議会なんか見ますと五十名近くという実情にあるわけですが、これが十二名でやられたというのは非常に少ないように思うわけです。 これは最高裁として、テーマを現実に係属している事件に限定して、しかも出席者もその担当者と限定して開いているということではないでしょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま柴田委員がお挙げになりました具体的な協議会がどういうものであったかということにつきましては、手元にいま具体的な協議会についての資料がございませんので、何とも申し上げるわけにはいかないわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、協議会を開きますときにはやはり一定の目的を持っておりまして、ある同種の事件について、薬害なら薬害、そういう事件についての協議を行うということでやっております以上は、そういう事件を全然担当していない方を集めても協議会の目的は達せられないということもございますので、そういう意味で、この種の事件を現に担当しあるいは過去に担当したことがあるような、そういう裁判官を集めて協議会を行ったということはあろうかと思います。
○柴田(睦)委員 私がちょっと奇異に感じたのは、最高裁当局からいただきました資料の中には、いま申し上げました可部裁判官ほか十一名が協議したことが載ってなくて、「裁判所時報」にこの協議会の記載があったわけですが、そうなると、何かいただいた資料にないということになると、これは秘密の会合ではないかというような感じも持つわけです。 この点につきましては、これは先ほど言いました「裁判所時報」に載っているわけですから、事実を正確にするためにもその中身を後でお知らせ願いたいと思います。それはよろしいですか。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいまおっしゃいましたのは四十八年の協議会でございますが、差し上げた資料にも特殊損害賠償事件の処理ということで幾つか協議会を行ったことをお出ししているわけでございまして、そういう意味での協議会を開いたかどうかについての食い違いはないというふうに考えますが、あるいは薬害の場合、特殊損害賠償事件にはいろんな種類のものがございまして、そういう個別的な表示をしなかったということにあるいはなろうかと思いますが、そういう意味では差し上げた資料にも「裁判所時報」に載っておると同様の協議会が載っておるのではないかと思います。
○柴田(睦)委員 そう言われてみると、こちらもちょっと自信がなくなってきますが、もう一遍調べてみます。
○大西最高裁判所長官代理者 いずれにいたしましても後で調査いたします。
○柴田(睦)委員 私どもは、裁判所がそのときどきに裁判所が当面している問題について意見を交換される、そして自由な討議によって、会議による拘束ということはなくして、それぞれが法律理論をさらに高められる、そのための討議をなされるということは決して否定するわけではないわけです。 現に、むずかしい、新しい裁判が自分のところに係属した、そしてほかの裁判所にもあるということになれば、やはり裁判官とすれば、ほかの裁判所でどのような審理をするだろうか、どういう見解であろうか、自分の勉強のために聞きたいと思うのは当然であるし、またそういうこともお互いに必要であると思うわけですが、この裁判所の資料で見ておりますと、協議会では裁判官の独立あるいは訴訟指揮権まで立ち入るのではないかという疑念をいささか持たざるを得ないわけです。 それから、最近協議会の内容について公表されない、悪い言葉で言えば隠されているのじゃないかというような問題も感じるわけです。「裁判所時報」を見てみますと、昭和五十年以降は会同や協議会に関する記事が全くなくなってしまっているわけで、会議の内容が公にできるものであれば、従来どおりやはり「裁判所時報」にもどういう会議があったということを知らせるのが当然であるし、また知らせなくちゃならないと思うわけです。 そういう点から考えてみまして、裁判官の勉強ということであれば、協議会の開催と協議内容などについてこれを公表して、司法行政というのは裁判官の独立を侵さないようにちゃんと配慮しているのだということをやはり国民の前にも明らかにする必要があると思うわけです。その点で、協議会の開催やその協議の内容というものをそういうことに役立てるためにも公表すべきであると思うのですが、この点についてはどう考えていらっしゃいますか。
○大西最高裁判所長官代理者 まず最初の「裁判所時報」等に従前協議会の記事が載っておったのが最近載っていないではないかというお尋ねでございますが、確かに数年前までは協議会について載せておったこともあるわけでございます。その点、ごらんになっておわかりいただけると思いますが、載せておったと申しましても、いつ、どこの場所で、何についてやったという二、三行の簡単な記事でございまして、この記事自体非常に中途半端でございまして、載せる意味があるだろうかということが実は問題になったわけでございます。 「裁判所時報」は御承知のように裁判所職員全体に対する部内紙と申しますかそういうものでございまして、裁判官以外の裁判所職員も二万人以上おりますが、そういう方たちがそういう記事を見ても余り意味がないではないか、もっとほかに載せるべきものがあるのではないか、そういう考慮から、こういう中途半端な記事はもうよそうということでやめたというふうに聞いておりまして、協議会が行われたということを決して隠すという意味合いでやめたものではございません。 それでは、協議会の内容を全部疑惑を避けるために公表すればいいではないかという仰せでございますが、協議会は、いま申しましたように主として裁判官の研さんと申しますか勉強と申しますか、そういうことで行われておるわけでございまして、その協議の結果について必要なものにつきましてはやはり知らせるという方法をとらなければいけないわけでございますが、そういう意味で全国にぜひ知らせなければいけないというものについては、いまでもそういう手だてはとっておるわけでございます。直接やることも若干ございますし、それから裁判官はそれぞれ各庁に帰られました際にはそれを全裁判官に報告するとか、そういう手だてはとっておるわけでございまして、そういう意味で、協議が行われましたものの中身を決して隠すという意味でそういうものを公刊物等に載せないようにしたのであろうという意味合いのものではございません。必要なものについてはそれだけの手だてはいままでもとってまいりましたし、今後もとっていくつもりでおるわけでございます。
○柴田(睦)委員 大西総務局長も私がいろいろ疑念があるように言うのは心外でしょうけれども、実は、現場で裁判をやっておりますと、訴訟指揮の問題やいろんな問題でやはり意見が対立することがある。 そういうときに裁判官にいろいろ意見を述べるわけですけれども、そういうときに裁判官が、この問題については会同で意見の一致を見たのです、こういう弁明をされて自分の主張をされるわけで、そういう意味で会同自体が盾になって強引な訴訟指揮権を行使することになっているのではないかという批判も世の中には出てきておりますし、そういう意味で、協議会やあるいは会同という問題についても裁判の独立というものを侵害しないような細心の注意を払って実施されなければならないというように考えておりますが、この点最後にお聞きしたいと思います。
○大西最高裁判所長官代理者 前段で仰せになりました、ある裁判官が仮に会同、協議会等でそういう意見が一致したからこうするのだというふうに申したといたしますと、非常に自主性がないと申しますか、言ってみれば裁判の独立を自分が放棄したと言わざるを得ないようなことでございまして、その前後の事情等をいろいろ伺いませんと何とも申し上げられませんが、恐らくは、自分はこう思うけれども自分だけが独自の意見を吐いておるのではない、そういう意見の人も多くいるのだという意味であるいは申したのではないかというふうな感じもいたしますが、ただ、先ほど仰せになりましたようなそういう意味でみんなが言っておる、会同で一致したからこうするのだという発言自体は余り適当ではないのではないかというふうに私も思います。 先ほど来仰せになっておりますように、最高裁判所といたしましては協議会、会同等で各裁判所の裁判官の意見を——最高裁判所の意見というものは別にないわけでございますけれども、そういう指導をしたりある特定の意見を押しつけたりという気持ちは毛頭ございませんで、あくまで裁判官の勉強、研さんという意味で協議会をやるという考え方は、過去もそうでございますし、今後もそういう考え方で協議会をやっていくというふうにいたしたいと思っております。
○柴田(睦)委員 それでは、次に労働基準法違反問題について幾つかお尋ねしますが、労働基準法違反事件について過去五年間の送検状況はどうなっているのか、これを労働省にお答えいただきたいと思います。 そして、その送検結果を見てみますと、起訴率が五十一年度で六一・九%、五十二年度は六一・四%ということで、全体として通常の刑事事件などから見てみますと低いのではないかと思うのですが、この理由、どんなことが問題になって起訴率が下がるのか、その理由を法務省にお伺いしたいと思います。
○岡部説明員 労働基準法等の労働者保護法規に違反した事案につきましての送検の数のお尋ねでございますが、四十九年から五十三年までの五年間の労働基準法それから労働安全衛生法等の関係法令の違反被疑事件につきまして全送検件数は八千六十二件でございます。昭和四十九年千三百九十五件、昭和五十年千三百六十三件、昭和五十一年千七百七十三件、昭和五十二年千八百六十四件、昭和五十三年千六百六十七件でございます。
○前田(宏)政府委員 ただいま労働省の方からいわゆる送検件数の数字の御報告がございましたが、検察統計と必ずしも一致しておりません。これは統計の取り方が違っておりますことで御了解をいただきたいわけでございます。 それはそれといたしまして、先ほど御指摘のように起訴率が一般の場合に比べて低いんじゃないかということでございます。それほど低いかという気もいたしますけれども、若干低いと言えば低いような気もするわけでございますが、その理由は多岐にわたっておると思いますので一言で申しかねるわけでございますが、統計的に見ますと、低い中でも嫌疑不十分という理由で不起訴になる場合が一般の場合よりもやや多いように思います。 起訴猶予の方ももちろんあるわけでございまして、その場合に考えられますことは、違反は違反として、形式的といいますか外形的と申しますか成立することはするわけでございますが、事故につながるような場合もあるわけでございまして、その点ももちろん軽視できないところでございますけれども、事故の原因という面から見ますと、被害者の方はお気の毒でございますけれども、そちらの方の手落ちがある場合もないとは言えない。あるいはそういういろいろな基準違反でございますから行政的な措置によって改善されておるというような事情、そういうものが参酌されているように思うわけでございます。 一方、嫌疑不十分等の理由でございますが、これは一般論のようなことで恐縮でございますが、基準法関係の違反では内容的に技術的な問題が多いわけでございまして、そういう観点から被疑者の犯意の立証がなかなか困難であるということ、また比較的小規模な事業体における違反等が多いというようなこと、それによって証拠の収集等が困難であること、いろいろとあろうかと思いますが、これらを通じまして検察当局といたしましては事案に応じた適切な処理をしているもの、かように考えております。
○柴田(睦)委員 私のところに川崎製鉄と三井造船、これは千葉の工場ですけれども、この送検状況という資料をいただいております。そちらもあると思いますが、この資料について御説明をいただきたいのですが、川崎製鉄の方は二つとも嫌疑不十分となっております。それから三井造船の方は起訴猶予となっておりますが、この中身をちょっとお聞きしたいと思います。
○岡部説明員 ただいまの川崎製鉄及び三井造船千葉造船所の問題につきまして、その問題の内容を御説明申し上げますと、まず川崎製鉄の千葉製鉄所の事案でございます。 先生に御報告申し上げました問題は二点ございまして、一つは昭和四十三年九月二十五日送検をいたしました事案でございます。それは労働基準法第四十二条、労働安全衛生規則第六十九条が適用されておる問題でございますが、これはベルトの部分に突出した部分がある場合には適当な覆いをかけなければならないというふうな規定がございます。それに対する違反の事案でございます。ただいま申し上げましたベルトの問題は、先生に嫌疑不十分で不起訴というふうに申し上げましたが、これは私どもの記載違いでございまして、起訴猶予ということでございます。 それからもう一点、昭和四十八年一月八日の事案でございますが、これは労働基準法第四十二条、それから労働安全衛生規則第百三十六条の事案でございます。これは水蒸気爆発の事案でございまして、熔鉱を注入する作業の場合に、あらかじめ受けざらに水分がないことを確認しなければならないという規定に対する違反の事案でございます。これは嫌疑不十分で不起訴というふうに承っております。 それから、お尋ねの三井造船千葉造船所の事案でございますが、昭和五十年十二月七日に送検をしたわけでございます。これは、労働安全衛生法第十四条、作業主任者の条文でございますが、それから第三十条、特定元方事業者の講ずべき措置の規定についての違反、これは起訴猶予になっているというふうに承っております。
○柴田(睦)委員 労働省の資料を見てみますと、安全衛生関係の基準法違反事件の送致件数が最も多くて五十一年度は六六・三%、五十二年度は六一・三%、五十三年度は六〇%となっております。 こうした安全衛生関係の事件について起訴率が低いというのは、これはあるいは起訴猶予という問題も中にはあるでしょうけれども、全般的に起訴率が低いというのは、一面、特別司法警察職員である労働基準監督官の罪となるという判断に不十分さを残しているということを意味していないだろうか。この点、法務省の方にお伺いします。
○前田(宏)政府委員 適切なお答えができるかどうかと思いますが、労働基準監督官の方々におかれましては御熱心に職務に当たっておられますし、それなりの効果が上がっているものと理解しておりますが、捜査技術ということになりますと、専門家でないと言うと失礼でございますけれども、そういう面もないとは言えないと思います。しかしながら、各地の検察庁におきまして、労働基準監督官の方々に対する研修といいますかそういうようなことも行われているところでございまして、最近におきましては捜査技術も大変向上してきているように理解しているわけでございます。 何分にも技術的な問題が多いことでございまして、そういう点で、検察庁の方でもまた勉強しなければならない点があるかと思います。それやこれや両者緊密な連絡をとりながら、捜査技術あるいはそういう実態の認識というものについての理解を深め合って、この種事件についての適切な処理をしていくようにしたい、かように考えております。
○柴田(睦)委員 この問題をあえて持ち出したのは、私の選挙区である千葉市にある川鉄の労働災害が非常に多いわけです。 たとえば川鉄社内報に載っております休業災害度数率を見ますと、鉄鋼大手五社で川鉄が一番労働災害が多い、そういう結果が出ております。労働省の説明をお聞きしますと、ほかの業種に比べ鉄鋼は少ない方だというように聞いているのですが、鉄鋼業に関する限りは、大体災害即死亡ないしは重障害ということになりますし、労働安全衛生にはことさら力を入れなければならない問題であると思うわけです。これらの労働基準法や安全衛生法違反事件でもきわめて初歩的なもので、企業側が安全に本腰を入れれば十分災害を防止できるわけです。川鉄の場合、四針も縫うような災害でも、ときには赤チン災害として公傷にせずに私傷扱いにするなど、災害隠しともいえる無災害運動が行われております。 昨年の十月二日に、川鉄化学で園田重春氏(五十二歳)が亡くなり、十四日にも川鉄鋼管で伊勢義昭氏(三十二歳)が亡くなるという重大災害が発生し、千葉製鉄所安全保管室、川崎製鉄千葉協力会発行の災害通報が職場に配布されているにもかかわらず、昭和五十四年十一月度安全衛生管理月報では、死亡・重大災害ゼロと発表されております。こうした死亡・災害ゼロ報告を見ると、川鉄の災害隠しというような体質が明らかであって、安全管理の実態がはっきりすると思うわけです。 この点を見ましても、労働基準法や労働安全衛生法に違反するものも考えられると同時に、安全衛生法の第三条に「労働者の安全と健康を確保する」とあるわけですけれども、この法律の目的を実現する上からも、安全管理を徹底するよう厳重な対処が必要であると思うわけです。この点について、労働省の方は対処を考えておられるかどうかお伺いします。
○岡部説明員 ただいま先生例をお挙げになりました園田さんの災害は五十四年十月二日に発生した事故でございます。これは、換気する際に誤って酸化槽の中に窒素を封入いたしまして、その中に入ったために窒息死した事案でございます。これはただいま千葉地検の方に労働安全衛生法二十二条、酸欠規則第二十二条違反ということで送致いたしているところでございます。 それから、もう一つお挙げになりました伊勢さんの事故は、鉄板コイルの先端部分とガイドローラーの間にはさまれたという事案でございます。これは、ワイヤの一端が玉掛け用のフックから外れまして、ガイドローラー操作用のレバーに突然触れまして運転状況となったという、いわば偶発的な要素が非常に重なり合って出た事案でございます。したがいましてこのこと自体につきましては法違反は認められないということで私ども考えております。しかしながら安全管理体制につきまして、たとえば安全委員会の構成員につきましての問題があるとか、いろいろの法違反の状況が出てまいりました。これにつきましては厳正なる是正勧告を行うというふうな状況でございます。
○柴田(睦)委員 もう一つは、川鉄における人権侵犯事件の問題です。川鉄動力部エネルギー技術室の上妻務氏についての人権問題です。これはすでに労働基準監督署に上がっているそうですが、上妻氏の問題についてはどのように処理されておりますか。
○岡部説明員 川崎製鉄に勤務しておられます上妻務さんの問題でございますが、労働基準法という観点からいたしますと、これは労働条件の最低基準を定める法律でございますが、労働基準法上の問題としては法違反という状況は認められなかったという報告を現地の所轄署から受けております。これにつきましては、るる御指摘がございまして、三月十四日に千葉監督署から川鉄の方に赴いて調査いたしました。さらにまた、三月三十一日にはこの上妻務さんに千葉市の方に御足労いただきまして、いろいろ調査をし、お話し合いをいたしまして、その結果、現在そういうふうな法律上の問題はなかったと考えております。
○柴田(睦)委員 この事実関係を申し上げまして、人権擁護局長の感想をお聞きしたいのです。 この事件は、動力部エネルギー技術室に勤務する上妻務氏より、特令作業ということで作業机を他の労働者から引き離し、部屋の片すみに移動して、ロッカーなどで覆い隠すような差別的取り扱いが行われており、精神的苦痛は耐えがたいものがあると訴えがあったわけです。 私ども調査しましたところ、上妻務氏は、昭和五十四年九月までは、鉄鋼班、圧延班、環境班がそれぞれ十三名、九名、九名で編成されている中で、鉄鋼班の分析、予算の作業を他の四名の労働者とともに行っていましたが、同年十月に行われた衆議院議員選挙後特令作業を命じられ、作業机も部屋の片すみに移動され、机の回りにはロッカーや書だなが置かれる状況の中で作業するようにされました。しかし上妻務氏が現在行っている作業は、ガス成分の計算、カロリー計算、グラフの作成、温度計算などの机上作業であり、他の労働者から離れて行わなければならない危険なものではないわけです。上妻務氏のたびたびの申し入れ、抗議に対して、上司である掛長は、作業の性質上の問題であるとして聞き入れないで、いま言いましたような状態に置かれております。 作業の性質という理由は全く成り立たないことは明らかであって、これは上妻務氏へのいわれのない差別であると考えるわけですが、局長にいまの事実関係について人権擁護の立場からの御感想をお伺いしたいと思います。
○中島政府委員 ただいまお尋ねございました事案につきましては、いままで法務局にも関係者等から申告等もございませんでしたので、今回伺ったわけでございますが、関係者等から申告等ございまして、人権上問題であるということになりますれば、具体的事案に応じて適切な処理をとるようにいたしたい、このように考えております。
○柴田(睦)委員 それから、これは私どものところに投書が来たわけですが、この投書の概略というのは、川鉄の千葉製鉄所第一熱圧課熱間仕上げ係の宮田班長が自殺したことについての投書です。この中身を言いますと 自殺はいつかはと思っていた。その原因は、会社の教育制度や行き過ぎた自主管理、月一回のレポート提出、レポート内容を見て、頭からどなり会社をやめろと言わぬばかりに何回も書き直しをさせる。作業長や班長は、家でレポート書きに追われ、死を選んだのである。第一熱圧課ではノイローゼになりつつある人が何人もいる。二度と自殺者を出さないように、行き過ぎた教育を調査して申し入れてください。あいさつ運動だとか定年延長、会社は子供をだますようにしているが、一日も早く定年になって会社をやめたいと全員が話し合っている。 というようなことが書いてあるわけです。 職場の現状を見てみますと、この投書というのは非常に実際に合っているわけで、こうなりますと、一般的な労務管理を越えて人権の侵害にまで至るようなものではないかと思うわけです。この点についての労働省のお考えと、それから法務省から、この職場の事実が人権侵害になるかどうか、そして人権侵害の事実があれば、これに対して対処すべきであると考えるわけです。このことを望むわけですけれども、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
○岡部説明員 職場の中のいろいろな問題、これは労働条件ということになるわけでありますが、労働条件につきましては基本的に使用者と労働者が虚心坦懐にお互いの意見を述べ合いまして決定し、みずからの自主的な努力で形づくっていくというのが基本であろうと思います。いまいろいろと先生御指摘のような事案につきましても、これも労使間で円滑に話し合いが進められまして、問題のないように処理されるということを期待しているところでございます。
○中島政府委員 具体的な事件につきましての結論ということになりますと、これは事情のいかんによっていろいろ考えられますので、直ちに申し上げるというわけにもまいりませんが、一般的に申しますならば、人一人を自殺に追い込むような過酷な教育方法というものがもしあるとすれば、それは人権上の問題ではなかろうかというふうに考えますので、適切な処理をすべきものだと考えております。
○柴田(睦)委員 終わります。
○木村委員長 次回は、明後十一日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時五分散会