法務委員会 第9号
- 発言数
- 136 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1980/03/25
会議録
○木村委員長 これより会議を開きます。 この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。 ただいま地方行政委員会において審査中の内閣提出、犯罪被害者等給付金支給法案について、地方行政委員会に対し、連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、連合審査会の開会の日時等につきましては、地方行政委員長と協議の上決定いたしますが、明二十六日水曜日午前十時から第一委員室において開会の予定でありますので、さよう御了承願います。 ————◇—————
○木村委員長 内閣提出、刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 警察に聞くわけですが、KDD事件のその後の捜査の進展というか今日におきます状況をまず御説明願いたい、こういうふうに思います。
○漆間説明員 先般御報告申し上げました以後の事柄にしぼってお答え申し上げます。 去る三月十八日に、元郵政省大臣官房電気通信監理官松井清武及び郵政省郵務局国際業務課長日高英実、この二人を収賄罪で、それから業務上横領等ですでに起訴、勾留中でございましたKDD前社長室長佐藤陽一及びKDD前社長室次長、総務課長事務取扱西本正、この二人を贈賄で、それぞれ逮捕いたしました。翌三月十九日、この事実との関連でKDD、郵政省等七カ所を捜索いたしております。
○稲葉(誠)委員 その郵政省なりKDD七カ所を捜索したというのは、これはどういう目的でしたのかということと、それから押収は何点ぐらいで主なものは何かという点をお聞かせ願いたいと思います。
○漆間説明員 郵政省等の捜索に関連のある事実を申し上げます。 まず収賄側の容疑事実でございますけれども、被疑者の松井清武につきましては、昭和五十年七月十五日から昭和五十二年七月十八日までの間、郵政省の大臣官房電気通信監理官として国際電信電話株式会社を監督し、同会社が締結する外国政府等との間の国際電気通信業務に関する協定または契約の認可などの事項を掌理していたものであり、それから被疑者日高英実は、昭和五十年七月十八日から昭和五十二年七月二十二日までの間、郵政省大臣官房電気通信参事官として、電気通信監理官の所掌事務のうち重要な事項の企画、調査及び立案に参画する職務に従事していたものでありますが、この両名は、国際電信電話株式会社社長室長佐藤陽一及び同社社長室次長兼総務課長事務取扱西本正の両名から、同社が郵政大臣に認可申請した多数の案件に関し便宜な取り計らいを受けたことに対する謝礼及び今後とも同様の取り計らいを受けたい趣旨のもとに供与されるものであることの情を知りながら、昭和五十二年六月三日から約二週間にわたり、スイスからイタリア及びスペイン、スペインからロンドンの旅行の招待を受け、この間の航空賃、宿泊代等の費用合計一人当たり五十数万円余をそれぞれ負担することなく、この金額相当の財産上の利益の供与を受け、ただいま申し上げましたそれぞれの職務に関して収賄した、こういう事実でございます。 贈賄側はこれに対応する事実でございますが、それぞれこれに対応する諸事実を立証するために必要な一証拠書類を押収するために捜索したわけでございます。捜索の結果何点を押収したということは報告を受けておりませんので、これはちょっと……。
○稲葉(誠)委員 それで贈賄者側は、結局自分自身一人でそういうふうな意向を決めたというわけではないということが考えられれば、佐藤陽一が部下と共謀したということでしょうか。それだけでなくて、佐藤陽一という人がむしろ上司との関係で贈賄についての共謀関係が考えられたのではないか。こういうふうな点については、そこに一つの的をしぼってと言うと語弊があるかもわかりませんが、そういう点も考えながら今後の捜査を続けていく、こういうことになりますか。
○漆間説明員 上司と申しましても非常に数多うございますので、どの辺を指しておられるか、いろいろあると思いますが、考えられる共犯関係があるということでありますれば、それに対して追及をすべきであることは当然であります。しかし、いままでのところ、そういう事実について具体的な共犯関係があったというような報告は受けておりません。
○稲葉(誠)委員 そうすると、いままでの供述の中では、佐藤は、部下との共謀の中でこういうふうな供応というか涜職ですね、それを考えついた、自分の一存でやったというふうに供述をしておるというわけですか。
○漆間説明員 その点は具体的な供述の中身になりますので答弁を御遠慮さしていただきますが、必ずしもそういうことでもないわけですけれども、具体的な中身はちょっと省略させていただきます。
○稲葉(誠)委員 必ずしもそうではないということならば、必ずしもそうでないというところの部分を今後捜査の対象としてやっていくということは当然だと考えられるわけですけれども、その点はそういうふうに理解してよろしいでしょうか。
○漆間説明員 その部分について刑事責任を問うべきかどうかという判断はまだいたしておりません。今後の問題であるというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 それから、郵政省の二人の人ですか、これは逮捕されておるわけですが、逮捕されておるならば、それに関連して押収、捜索というものはそれほど大きな規模に行わなくてもいいのではないか、すでにその二人の容疑というものは固まっておるのだから、何も大がかりな郵政省なりKDDの押取、捜索を行わなくてもいいのではないかというふうに考えられるわけですね。 ということになりますと、単にこれは郵政省の二人の人だけではなくて、その他の人も捜査の対象になってくる可能性がある、あるいは政界の人も今後は捜査の対象になってくることも、証拠物件の検討その他を通じて、供述を通じて考えられる、こういうふうに理解をしてよろしいでしょうか。
○漆間説明員 毎度申し上げておりますように、このKDD事件の捜査に当たりまして、警察といたしましては、いわゆるKDD疑惑というものの解明に寄せる国民の期待というものを踏まえて、それにかかわりのある範囲で物の流れとか金の流れを追っておりまして、その流れの中に刑事責任を問うべき事実があるかということを基本的な方針として捜査をいたしております。 そういう関連のある行為として、このたびのいろいろな逮捕、捜索というようなことが出てきてまいっておるわけでありますけれども、それが今後どういうように発展していくかというようなことにつきましては、今後の捜査の状況によりますので、その点については答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 そうすると、今後の捜査の状況いかんによっては、現在の捜査の状況よりも拡大発展をしていく可能性があると考えていいというふうに理解をしてよろしいですか。これはあたりまえのことですけれどもね。
○漆間説明員 稲葉議員を前にしてこのようなことを申し上げるのは釈迦に説法で恐縮でございますけれども、捜査というのは御承知のように証拠を積み上げて一歩一歩階段を上っていくような作業でございまして、今後どのようになるかというようなことについてあらかじめ申し上げることはできませんので、いまの御質問に対してはお答えを差し控えたいと思います。
○稲葉(誠)委員 ただ、いまあなたは国民の期待というようなことを言われましたね。国民の期待にこたえるために全力を挙げるということですが、そういうふうなことをやっている中で仮に政治家が出てきた場合にも、そこで手心を加えるようなことはしないということは、これは言えるわけでしょう。
○漆間説明員 先ほど申し上げましたように、警察としては刑事責任を問うべき事実があるかということを基本方針として捜査に当たっておりまして、およそ刑事責任を問うべき事実がある限り厳正に対処したいというように考えております。
○稲葉(誠)委員 それから法務省の刑事局長、この事件については、この前も質問したのであなたも答えにくいかもわからぬけれども、検察庁に告発があったのを警視庁へ回したわけですね。回した理由はいろいろあるかと思うのですが、巷間、これは政界への波及というか、それが記録その他の判断の中で刑事事件としては考えられない、だから警視庁へ回したのだというような説をなす者もあるわけです。そういう点についてはどういうふうに考えるわけですか。
○前田(宏)政府委員 前回もお尋ねを受けたと思いますけれども、言葉をどうこう言うわけではございませんけれども、回したというような理解は私どもはしていないわけでございまして、要するに、東京地検と警視庁とが寄り寄り協議をいたしまして、どういう方法でやっていくのがこの事案に適当であるかということで現在のような捜査の進め方が行われているというふうに理解をしているわけでございまして、ただいま御指摘のような理由で回したというふうには理解しておりません。
○稲葉(誠)委員 回したという言葉は悪いのですけれども、共同の捜査かどうか知りませんけれども、共同の捜査ということになれば、ある段階にいけば検察庁が引き取ると言うと言葉は悪いのですが、一緒にやるのでしょうけれども、そういう場合に、官界にしろあるいは政界にしろ犯罪の容疑があるというふうなことになってくれば、検察庁としてはその点については何らいろいろ考えないで厳正にしかも積極的に捜査を続けていく、こういうことですか。
○前田(宏)政府委員 捜査の過程でいろいろと犯罪の容疑が出てまいりました場合に、それに厳正に対処することは当然でございます。
○稲葉(誠)委員 それはそうなんだけれども、そこで郵政省その他——郵政省と言うと悪いかもわからぬけれども、その他の官界の人たちなりあるいは政治家なりの容疑というふうなものが出てくれば、それに対しては、あたりまえだけれども、厳正にかつ積極的に対処して国民のそれに関連する疑惑を招かないようにしたい、こういうことでしょうか。
○前田(宏)政府委員 その点は先ほどもお答えしたとおりでございます。
○稲葉(誠)委員 これは捜査の過程をもう少し見なければわかりませんし、無理にそういう犯罪人をつくるというわけにもいきませんから見なければわかりませんけれども、そうすると警察は、いま押収した証拠物件、相当の数を押収したと思いますが、それを分析をしていて、逮捕された者は勾留されておる、それをいま調べておるわけですね。調べたこととして、さらに今後の横への発展というか縦への発展というか、そういうことも証拠の積み重ねの中では出てくることも考えられる。考えられれば、それに対して、国民の期待というとおかしいのですが、とにかく厳正、積極的に対処するということは言えるわけですね。
○漆間説明員 その点は今後の捜査の発展の状況いかんによると思います。現段階ではいかんとも申し上げかねるということが正確なお答えだと思います。
○稲葉(誠)委員 捜査の問題ですから、ここでどうこう言ってみても進展の度合いによって違ってきますからあれですが、そこで法務省なり警察なりが全力を挙げてKDDの汚職の問題に取り組んでやく、それから、いろいろな障害があるかもわからぬけれども、仮に障害があったにしても、それを取り払って進んで行くのだということの決意というか、それは法務省と警察両方から述べていただきたいと思います。
○漆間説明員 先ほども申し上げましたように、警察は刑事責任を問うべき事実がある限り厳正に対処するということを基本方針として捜査に当たっております。
○前田(宏)政府委員 その点は検察当局も同様でございます。
○稲葉(誠)委員 その問題はそれで終わりにしましょう。また捜査の進展によってあれになりますから。 そこで、実は官庁と官庁の間で一体贈収賄が成立するかという問題があるわけです。たとえば、この前も新聞などによく出ていたのですが、大蔵省の主計官を各官庁で高級料亭へ招待をしてそこ で一席設けるその趣旨というのは、当然常識的に儀礼の範囲を超えている場合が多いと思うわけです。概算要求その他の中で便宜を図ってもらいたいという趣旨が込められていると見るのが普通だと思いますが、そうすると、大蔵省の主計官を各省が招待してやることはどの程度が一体社交的な儀礼と見られるのですか。どの程度がそれを超えて贈収賄になると見られるわけですか。金銭の贈与の場合とそれから料亭その他における供応の場合と分けてみるとどうですか、それは。
○前田(宏)政府委員 どのようなお答えをしたら適切かと思いますけれども、やはり賄賂罪の成否というのは、職務権限なり先ほどもおっしゃいましたような金品の贈与なり供応なりの趣旨、さらにはそのことに関しての当事者の認識、いろいろ問題があるわけでございまして、金額であればどのくらいとか供応であればどの程度ということは一律には申し上げかねるのではないかと思います。
○稲葉(誠)委員 そうすると、大蔵省の主計官を各省が料亭へ招待をして、そして高額な供応をしその他いろいろやっているということが報ぜられておる。こういう場合に贈収賄になる場合もあるのですか。
○前田(宏)政府委員 それは非常に抽象論的に申せばあり得るということであろうと思います。
○稲葉(誠)委員 そうするとどういう場合にあり得ますか。
○前田(宏)政府委員 先ほど一般的といいますか抽象的に申し上げましたようなことしか、仮定論というか申し上げかねるわけでございまして、また、いまのお尋ねが最近の報道で報ぜられているようなことを含んでいる趣旨だといたしますと、いわゆる鉄建公団事件あるいはその関連事件につきましては、告発ということに当たるかどうか若干問題がございますが、告発状が民間の方から提出されておって、その中に氏名不詳というような形で事実としては挙げられているというような状況にもあるわけでございますので、その案件との関係もございますから、ここでどういう場合がなると言うことは、その事件の捜査との関係においても適当でないような気がいたすわけでございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、氏名不詳にしろ大蔵省の主計官が鉄建公団あるいは各省から招待を受けて供応や何か受けておる、それで収賄で告発されておる、こういうことになってくると、それに対しての捜査は東京地検として一体やっているのですか、やっていないのですか。
○前田(宏)政府委員 先ほども申しましたように、普通告発でございますと、稲葉委員に申し上げるまでもなく、ある程度告発人の方が告発事実を特定して承知しており、しかもその裏づけ的なものもある程度持っているという場合が普通でございますが、ただいま申しました告発はむしろ新聞報道等を要約してと申しますかそういう形での告発なので、そういう意味で、先ほど告発に当たるかどうかの点が若干問題があるということを申したのもそういうことでございますが、そういう形で一応告発状が出ておって、その事実も広い意味での捜査の対象になっておるわけでございまして、そういう意味では捜査をしているということに相なるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 それはすべてのことが捜査の端緒になるので、これは刑事訴訟法に書いてあるわけですね。告発状に告発の事実が鮮明に書かれており被告発人も特定しているというならば、それは何も検事がわざわざ調べる必要ないですよ。そういうのがある程度漠としている、そういうことの中から事実関係を洗い出していって捜査するというのが検事の仕事なんです。警察から送られてきた事件を同じことを調べていたってしようがない。こういうのを壁塗り検事と言うんだよ。こんなことをやっていたって検事はしようがないので、涜職と選挙違反と会社犯罪をやるのが検事の仕事ですよ。 だから、それが全部そろっていなければやらないなんてそんなばかな話はないので、それを積極的にやるのが検事の仕事なんで、いまのようなのはおかしいですよ。氏名不詳ならば氏名を明らかにするように検察庁自身が努力して調べていけばこれは出てくるのですよ。そんなのあたりまえじゃないですか。料亭の日誌を調べたっていいし、何だってやれば全部出てくるのですからね。そういう点についてはやりにくいかもわからぬけれども全力を挙げてやらなければいかぬと私は思う。ことに主計官を招待するというのは一番いかぬですよ。実に悪い。大蔵省の連中というのは夜まで酒ばかり飲んでいて、そうでないのもいるかもわからぬけれども、本当によくないのが多いよ。多いと言っては悪いから取り消しますが、そういうのもいるかもわからぬということにしておきますがね。 時間の関係もありますから余りよけいなことは言いませんが、それはそれとして、そうすると、いまのような告発が出ている限りにおいては、大蔵省の主計官というものが特定はされていないけれども検察庁の努力で特定するようにして、事件の成否というものを明らかにしていく、こういうことですか。
○前田(宏)政府委員 私が先ほど申しましたのも、別に消極的な意味で申したつもりはございませんで、氏名不詳ということであり事実も新聞報道に載っているような事実だけが書いてある程度であるということを申しただけでございまして、もちろんそれを手がかりにして捜査するのが捜査でございますから、そういう意味で、その程度の告発事実であるから捜査しないということを申したつもりはございません。
○稲葉(誠)委員 これは今後も、ことに予算に関連して大蔵の主計官や何かを招待してやっていくという悪い習慣が相当あって、これは社交の儀礼を超えている場合が相当あるように思いますよ。これは徹底的に捜査をして、そういう悪い風習というのは直していかなければいかぬのですよ。主計官なんというのはエリートかもわからぬけれども、悪いやつは悪いやつなんだからしようがない。そんなものはやっつけてしまえばいいんだ。これは遠慮する必要はないと思うんだ。それはまた別にしましょう。そういうことについては、またその結果を見てお聞きをしたいと思うのです。 それからもう一つ別のことで、刑法の場合の公訴の時効というのがありますね。そうすると、たとえば出入国管理令のような場合、公訴の時効は短いもので三年かな、公訴の時効が完成しておる。ところが密入国という事実状態がずっと続いておるということでそれを逮捕、あれは逮捕じゃないか、収容というのかな、そして強制退去させるわけですね。こういうのは、時効が完成をしておるのになおかつそういうような行政的なというかより大きな不利益な扱いをするというのはどうもちょっと理解できないのですが、そこは法律的にはどういうふうに解釈するわけですか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの趣旨を十分理解してないかもしれませんけれども、密入国というのは犯罪でございまして、犯罪は犯罪なりに時効があるわけでございます。 ただ、一方にいま御指摘の強制収容して退去強制をするということは、そういう不法入国をした人を日本には、日本にはというか本邦に置いておけないという入管令上の措置ということでございまして、刑事事件としての時効完成とそういう人を退去強制するかどうかということは別な次元の問題ではないかと思います。
○稲葉(誠)委員 だから、別な次元ではなくて、一番大きな刑罰というものはすでに消滅してしまっているわけですよ、刑事責任が。なのに十年も十年も前のことを引っ張り出してきて、不法入国だからというので強制収容して、そして強制退去をさせる。ただ入管令上の目的といったって、片方の刑事罰の方ではすでに免責になっているわけですよ。時効によって消滅してしまって刑事責任を問えないものに別個の行政上の責任を追及する、行政上の責任というのは普通の場合には刑事上の責任よりもより低いものでなければならぬのですよ。これはどうもうちょっとぼくらには理解できないのですが、ほかにもこういうのはありますか。
○前田(宏)政府委員 どうも適当なお答ができるかどうかと思いますけれども、いわゆる密入国者に限らず不法残留をしている者とかいろいろあるわけで、必ずしも刑罰に処せられなくてもやむなく退去強制をせざるを得ない場合はあり得るわけでございまして、犯罪が時効という意味で処罰できなくなったということと、その人をそのまま在留を認めていいかどうかということはやはり別問題であって、それは行政上の責任追及という意味ではなくて、そういう人を本邦に置くことが適当かどうかという問題であろうと思います。
○稲葉(誠)委員 それはわかった。わかったというか、ぼくは納得しないけれどもあなたの答弁はわかったという意味でわかったのですけれども、私の聞いているのはそうではなくて、刑法上の時効は完成したけれども別個にその人に対して何らかの不利益な取り扱いをしていくというのがいまの密入国の場合はありますね。これ以外にもそういうのが現実に日本の法制上あるのか、こういうことを聞いているわけですよ。どういうのがあるのか、ちょっとぼくもわからぬから聞いているわけです。
○前田(宏)政府委員 突然の御質問で的確な例が出てくるかどうかと思いますが、いろいろな意味で身分上の欠格事由とかいろいろな理由があり得るわけだと思います。すでに刑の執行を受け終わったとか、執行猶予期間が終わったとか、あるいはそういう場合でも欠格事由に当たる場合もあると思いますし、当然その時効期間が過ぎればすべてあらゆる場合についてシロになる、責任を問われないということではなかろうと思うのでございます。
○稲葉(誠)委員 だから、それはいまここでなくてもいいから、刑罰の時効は消滅したけれども、その人に対して具体的にいろんな意味での不利益な取り扱いをしているというのがありますか。いまの入管令の問題はわかりましたよ。ただぼくは、十年も二十年も前のものを引っ張り出してきて、そして収容して退去させるということは、公平の原則というかそういうような原則から言ってもおかしいと思うのですが、これはここで議論しても始まらぬことで、ほかにも同じような、時効は消滅しているけれどもそういうような扱いをしている例が日本の法律の中でどういうのがあるのか、いますぐここでなくてもいいですよ。ぼくはそういうことを通告していたつもりだったけれども、そこまでぼくの方も詳しく言っていなかったのであれですが、そういうのがあるかということをあなたの方でよく調べていただきたい、こういうふうなことですね。きょうでなくていいです。それはむずかしいあれがありますからちょっと無理だ、こういうふうに思います。 いずれにいたしましても、そうすると公訴の時効というのは、刑の時効とはもちろん違うわけだけれども、起訴しない段階においては公訴の時効についての中断ということはどういうふうになるのですか。それはあり得ないわけなのかどうなのか。起訴してしまってもなおかつ公訴の時効ということはあり得て、起訴してしまえば中断ということは考えられるのですか。
○前田(宏)政府委員 時効につきましては、旧刑訴法では中断という概念があったと思いますが、現在の刑事訴訟法では時効期間の停止という理解であったと思います。
○稲葉(誠)委員 だから、起訴しない段階でも時効期間の停止というのはあるのです。国外に逃げたとかなんとかという場合でしょう、そういう場合にはもちろんありますね。 そうすると、それから起訴した後においては、それは公訴の時効が消滅したという形になるのですか、裁判権がなくなったという理解なのか。どっちをとったらいいのかな。結論は免訴になるのですけれども、どういう理解になるの。起訴した後に本人が逃げちゃって、うんと長い間逃げていたという場合がありますね。普通は途中で公示送達か何かして時効中断なのかな、そういう点はどういうふうになるのですか。
○前田(宏)政府委員 起訴することによりまして時効期間の進行がとまるわけでございますから、その後逃げたからといって公訴時効がまた進むということはございません。
○稲葉(誠)委員 時間が来ましたからやめますけれども、しかし途中で公示送達か何かしないと、そのまま逃げっ放しになって、今度はそこから、起訴された段階からある一定の年限をあれすると公訴権は消滅しちゃうんじゃないですか。
○前田(宏)政府委員 恐らく委員のおっしゃるのは、起訴しましても、その起訴状が送達できないとかというようなことになるとそういう問題が起こるかと思いますが、起訴が有効であって本人にも十分到達しているという場合には時効というものはそこでストップするわけでございますから、それによってどの程度逃げておっても免訴になるということはあり得ないと理解しております。
○稲葉(誠)委員 終わります。
○木村委員長 飯田忠雄君。
○飯田委員 刑法の一部改正に関する法律案を拝見いたしましてまず感じますことは、この法律の改正案では収賄罪の予防には余り役に立たないのではないかということであります。 といいますのは、まず従来の裁判例を見まして、現在の法定刑の上限まで実際の判決が出されたという例がきわめて少ないということを法務省の御提出の資料によって拝見したからであります。それからもう一つの理由は、よく今度の刑法改正の問題は公訴の時効の問題に関連するのだということを拝聴しております。ところが、このたびの刑法の改正によってみますと、結局三年のものを五年にし、五年のものを七年にしたというだけですから、そうしますと、ともにこれは長期十年未満のものでありまして、両者とも時効は五年ということになるわけであります。 それで、こうしたわずかのことのためにこの改正をなされた意味がどうもはっきりいたさないのであります。この法律案をおつくりになりまして、これを改正しようとなさる本当の御意図はどこにあるのでございましょうか、お伺いいたします。
○前田(宏)政府委員 御審議をいただいておりますこの法案は、まず形の上では、いま御指摘のように収賄罪等の法定刑をそれぞれ引き上げるという形に相なっておるわけでございます。しかし、そのことによりまして反射的な効果と申しますかただいま御指摘の公訴時効期間が一部延長になるわけでございます。その二つの意味を持っているということでございます。 そこで、それがどの程度の効果があるかということになるわけでございますが、五年を七年にし、三年を五年にし、どういうことかという御議論もあり得るかと思いますけれども、このような法案を御提出し御審議をお願いするに至りましたのは、やはり最近におきます贈収賄事件の実情から見まして、国民の方々ももう少し重く罰すべきではないかという御意向であろうというふうに判断したからでございます。 ただいま御指摘のように、実際の裁判でどこまで重い刑が盛られるかということになりますと、これは運用の問題でございますし裁判所の問題ではございますけれども、やはり一切の量刑といいますものは法定刑というものを頭に置きながら具体的事件にそれを当てはめて事案に応じた量刑をするということでございますので、法定刑というものが量刑に影響するということは争いのないことであろうというふうに思うわけでございます。御指摘のように現行法の法定刑の上限までいっているケースが少ないではないかということもございますが、それをまた裏返しますと、やはり法定刑がその程度であるからその一歩手前というような量刑ということも考えられるわけでございまして、その上限が幾らか上がりますことによりまして、現在の上限を上回る量刑ということも考え得るのではないかというふうに考えるわけでございます。 それから公訴時効期間は、先ほど申しましたように三年以下という法定刑が五年以下ということになりまして、公訴時効期間も三年から五年に延びるということになるわけでございますので、後の点は変化ございませんけれども、やはりその点は、二年間延びるということはそれなりに捜査の面で有益であろうというふうに考えております。
○飯田委員 刑法の第六条というのがございますが、これによりますと「犯罪後ノ法律ニ因リ刑ノ変更アリタルトキハ其軽キモノヲ適用ス」とあります。この場合「軽キモノヲ適用ス」という意味でございますが、たとえばロッキード事件におきましていまいろいろ捜査をなされておりました。この場合に、この刑法改正によって「軽キモノヲ適用ス」ということは裁判刑を下すときの刑罰だけをいうのか、あるいは時効を判定する場合の法定刑についても「軽キモノヲ適用ス」こういうのであるか、この辺のところが非常に重大なことだと思うものでございます。 もし、裁判をするときの裁判刑だけについて「軽キモノヲ適用ス」というのであれば、これはロッキード事件につきましての捜査の時効についても関係を持ってまいりますが、そうでなしに、この場合の「軽キモノヲ適用ス」というのは一般的に書かれておるのだから、時効を判定するための刑法の法定刑を考える場合にも「軽キモノヲ適用ス」ということになるのではないか。そうしますと、せっかく刑法の改正はいたしましても、現在起こっておる犯罪については時効は関係ない、こういうことにならざるを得ないのですが、この点についてはどのように御解釈でございましょうか。
○前田(宏)政府委員 お答えの前提といたしまして、今回の法案では先ほど申しましたように形の上では法定刑の引き上げにとどまっておるわけでございます。一方、刑事訴訟法は法定刑をいわば基準にいたしまして公訴時効期間というものを定めておるわけでございます。 その二つを前提にいたしますと、今回の法案が成立いたしました場合に、先ほども御指摘のような刑法の規定がございますので、法定刑自体、改正後の重い法定刑は適用がないということになるわけでございます。したがいまして、それとの関係において、その公訴時効期間も改正前の期間が適用になるということでございまして、刑法の六条から直ちに公訴時効期間が従前の期間だという意味ではなくて、法定刑を経由してと申しますか法定刑をもとにして公訴時効期間が決まっております関係で、まず適用される実体法は旧法であるということから公訴時効期間もおのずからその旧法の法定刑に従った公訴時効期間になる、こういうふうに理解しておるわけでございます。
○飯田委員 私もただいまの御解釈が正しいと思いますが、そういたしますと、今度の刑法改正をやりましても、本日改正が完成したとしますならば、本日以後において発生した犯罪には適用になるけれども、本日以後において発覚しても本日以前に犯罪が成立しておるものについては関係がない、こういうことに相なると思いますが、いかがでしょう。
○前田(宏)政府委員 そのとおりでございます。
○飯田委員 収賄罪につきましては、これが国外で犯されたとかあるいは国際間で犯された場合にはその発覚が非常に時間がかかりまして、捜査の端緒をつかむことさえも困難である場合が多いわけでございます。その例はたとえば最近発覚いたしました国際犯罪であるロッキード事件とか最近のKDD事件とか、こういうような問題を見ましても、これが外国から初めてわかってくる、これは当然のことでありまして、国内においては証拠隠滅もするし、わからないようになっているわけです。そうなりますと、こういう国際的な収賄罪につきましては発覚がきわめて困難と言わざるを得ないわけです。 そこで、今日ロッキード事件その他の事件におきまして問題になりましたのは、こういう犯罪についてなぜ捜査をもっとうまくやれるようにしないのかということが問題点であったわけだと思います。そういう観点からいきますと、今度の刑法改正ということを見ました場合に、これは目的を達していないと思われるわけでございます。この辺は、私は誤解を受けるといけませんので申しますが、決して現在の人を重く罰せよということを主張しておるわけではありません。犯罪の捜査の可能性をもっとよくできるようにすべきではないかという、そういう視点から時効の問題を申し上げておるわけでございます。 特に最近まで、刑法一部改正法律案を政府がお出しになりましてから審議までにずいぶん時間がたっております。野党の方ではずいぶんこれを早くやれというふうに催促なさったとも聞いております。ところが今日まで法改正が与党の方の御都合で延期になってきたというのが事実でございますが、どういうわけでこういう延期がなされたのかどうもはっきりいたさないのであります。先ほどから政府の当局者の御答弁もありましたように、この刑法改正をしても、これによって現在のロッキード事件だとかあるいは現在もうすでに発生しておる事件については何ら影響を及ぼさない問題なのに、なぜ恐れてこう延期をしてこられたかというところに私は非常に一つの疑念を持つわけです。与党におきましても野党におきましても法律の専門家が相当おいでになるのに、当然わかっておることなのに、こうした延期がなされてきたという、その裏に何か重大な問題が存在するのではないかというふうに疑わざるを得ないわけであります。 つまり、端的に申しますならば、今日なお重大な事件が起こっておる、それがまだ発覚していないのが相当ある、だからできるだけ刑法改正を引き延ばしておけば発覚していない部分が発覚しても安全だ、その期間をかせぎたい、そういう含みがあったのではないか。そういうことがあったかどうか知りませんよ。これは疑いですが、そのために延期がなされてきたのではないかというふうに私どもは疑っておるわけでありますが、この点についての御認識はいかがでございましょうか。
○前田(宏)政府委員 この法案を当初御提案申し上げてから今日に至るまで、若干といいますか相当と申しますか期間がかかっていることは御指摘のとおりでございます。 その理由はどうかということでございますが、一面私どもの努力も足りなかったというふうに考えておるわけでございまして、国会の、特に当委員会のお取り扱いがどういうことであったかということは私どもの立場から申し上げる事柄ではないというふうに思いますし、ただいま御疑念のような点は恐らくなかったのではないかと申し上げるほかないわけでございます。
○飯田委員 その点はよく了解いたしましたが、恐らく法解釈に不安がおありになったための操作であろうというふうに理解いたしまして、この点は追及いたしません。 次に、刑法の第六条というものは、現行法では非常に一般的な規定としてつくられております。もし今度の刑法改正というものが収賄罪に対する予防ということを考えておやりになったということであるならば、現在の改正案だけでは不完全なのでございまして、やはり刑法の総則の第六条の改正も同時におやりになるのが正しかったのではないかと思うものであります。こう申しましても、もちろん私はこの刑法改正案に反対だということではありませんよ。反対はいたしません。この刑法改正案は毒にも薬にもならぬものでありますので、別に反対する必要はありませんので賛成はいたしますけれども、よりいいものにしようとするならば刑法六条の改正も同時にやるべきではなかったか、こういうことでございます。 刑法改正に当たりまして、この第六条という問題は、一般的な規定に例外を設ける、そういう改正をおやりになる必要はなかったかということです。たとえば収賄罪については例外を設けて「軽キモノヲ適用ス」ということではない、あれは外す、つまり裁判時法によるものとする、あるいは麻薬罪とか経済犯とかこういうものは当然犯罪時における法律適用ではなくて裁判時における法律適用をするのが正しいのではないかと考えるわけでありますが、この点についての御見解はいかがでしょうか。
○前田(宏)政府委員 若干オーバーな言い方になるかもしれませんが、やはり罪刑法定主義と申しますか、犯罪が行われた時点における法律に従った刑罰というものを科するのが相当でございまして、さかのぼって重くするということはそういう観点からもやはり適当ではないのではないか。これは実体法についてはそういう精神が原則であろうというふうに理解しております。手続法の面では裁判時法というような考え方もあり得ると思いますが、刑罰そのものになりますとやはり行為時法ということが原則だ、これはなかなか動かしにくいことではないかと思います。
○飯田委員 たとえば殺人犯のような伝統的な犯罪、身体犯のような犯罪、こういうものは罪刑法定主義に従いまして犯罪時法によるのが正しいと思いますが、時世の変化に従って犯罪の性質が変わるもの、たとえば収賄罪にしてもそうですし、麻薬罪にしても経済犯にしてもそうなんですが、時世の変化によって内容の意味合いが変わってくる、こういうようなものにつきましては、社会的影響という問題、社会防衛の観点からの刑法が必要ではないか。伝統的な罪刑法定主義の刑法、これはもちろん必要でございまして、それを貫くことは当然ですが、社会の変化に伴って罪質が変わっていく、罪の評価が変わっていくものについては例外を設けるべきじゃないかというのが私のきょう質問いたしました趣旨でございます。ことに麻薬罪とか経済犯についてはそういうことがぜひ必要だというふうに私は思うものです。 もう一つは、収賄罪のようなもので、国内で起こりました収賄罪については罪刑法定主義でいいと思いますが、国際犯あるいは国外犯につきましてはその罪質上発覚が非常にむずかしい、こういうものにつきましては、そういう犯罪の予防という点からいきますならば「軽キモノヲ適用ス」といったようなことでは困るので、当然これも例外を設けるべき内容のものじゃないかと思うわけでございますが、この点についてさらに重ねて御質問を申し上げる次第です。いかがでございましょうか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの趣旨は、実体法の法定刑は重い方を適用すべきであるという御意見と時効期間を長くすべきだという御意見と、両方入っているような感じもちょっとしたわけでございますが、まず第一の実体規定そのものは改正後の重い方の法定刑によるべきだという御趣旨であるといたしますと、そういうような考え方もあり得ないわけではないと思いますけれども、やはり従来の実体法につきましては行為時法によるという大原則、これは罪質のいかんによりましてどうするというわけにもまいらないように私としては考えております。
○飯田委員 それでは、この問題はこのくらいにしておきまして次の問題に移ります。 今度の刑法改正をいたしましたその発想の根拠になったものは、やはり犯罪捜査の可能性を確保したいというのがもとであろうと思います。犯罪を犯したのだけれども時効になってしまってどうにもならぬというのでは国民感情として納得できない、だから捜査できるようにしたい、そのためには時効を何とかしなければならぬ、こういうことが問題となって刑法改正が起こってきたと思いますが、そうでありますならば、この問題は端的に、むしろ刑事訴訟法の公訴の時効の改正として取り上げるべきではなかったかと思うものであります。 なぜならば、現在でも、刑事訴訟法におきましてたとえば二百五十五条によりますと、犯罪が発覚後犯人が国外におる場合あるいは逃亡しておる場合には時効を停止する、こういう規定がございます。これは発覚した犯罪について犯人が逃げておる場合の話ですけれども、その場合に時効を停止できるものならば、発覚しなくても犯人が外国におるために端緒がつかめない、あるいは国際的な犯罪であるために何ら端緒がつかめない、こういう場合についても時効の進行は停止されるというふうな規定をつくったとしましても公平の原則には反しないと私は思うのですが、こういう場合の問題についてどのようにお考えでしょうか。つまり刑事訴訟法の公訴の時効の停止の問題ですね。突然こういうことをお尋ねしたので申しわけないけれども、ひとつお答え願いたい。
○前田(宏)政府委員 いまのお尋ねの前提と申しますか、刑事訴訟法の二百五十五条のことでございますが、この規定の上では、犯人が国外にいる場合にはその国外にいる期間時効が進行を停止する、こう書いてあるわけです。 その他の場合もございますけれども、とりあえずそういうことになっておるわけでございますので、発覚しているかいないかにかかわらず、犯罪行為というものは客観的にいつならいつということはあるわけでございますから、そのことから、進行すべき公訴時効期間が、たまたま犯人が国外にいればその国外にいる間は捜査が事実上できないという趣旨から停止するというふうになっておるわけでございます。
○飯田委員 私は現行法の解釈をお聞きしたのじゃなくて、たとえば国際収賄罪のようなものにつきましては時効が停止される、つまり発覚しなくても、端的に言えば時効廃止なんですよ、時効なんか廃止したっていいじゃないか、こういうことですが、その点についての御見解をお伺いします。
○前田(宏)政府委員 時効期間を非常に長くするあるいは御意見のように極端に言えば廃止するということになりますと、いつまでも捜査ができるということでございますから、捜査が可能だという意味ににおいては便利だという面が確かにあろうかと思いますが、極端な場合、何年、何十年たっても追及するということになりますと、公訴時効制度というものを認めている基本的な理由ということにも抵触するような感じがいたしますし、また時効というものが、一定の期間たてば公訴権が消滅するということの理由として、証拠が散逸したりして捜査が事実上できなくなるという現実的な理由もそこに入っておるというようなことを考えますと、仮に公訴時効期間が形式的に三十年、五十年あるからといって、それを捜査するということ自体、現実問題としてきわめて困難なことではなかろうかというふうに思うわけでございまして、やはり犯罪の法定刑によってあらわされる重さに応じて公訴時効の期間を決めるという現行の制度がいろいろな意味で適当ではないかというふうに考えるわけでございます。非常に例外を設けて、特殊なものについては現在の刑事訴訟法によるような時効期間ではなくて別な時効期間を定めるということになりますと、いろいろな犯罪についてそれぞれてんでんばらばらな時効期間を決めなければいかぬ、あるいは考えなければいかぬというようなことになるような気もするわけでございまして、その法定刑というものと全く無関係に決めていくということになりますと、何を基準にして、どういう類型の時効期間を決めるかということ自体大変困難なことになるのではないか、かように思う次第でございます。
○飯田委員 私は一般的な問題として申し上げたのじゃなくて、贈収賄罪について、しかもその贈収賄罪のうちでも国際間の問題それから国外における贈収賄の問題に限って、特にこういうものが発覚するのに時間を要するので、時効を盾にとっていくならばいつも捜査ができなくなる。 特に私はここで申し上げたいのは、国際犯罪が外国から挙がってきたということであるときにおいては、外国から来たというときに証拠があるわけですから、その証拠によって有罪の判決ができるのに、いわゆる時効というものでそれができない、ここが問題だ、こう思うわけですね。ですから、そうした時効の問題で国外から挙がってきた犯罪まで抑えてしまうといったようなことのないようにするために、国際犯罪あるいは国外収賄罪、こういうものについては時効を停止しても構わないじゃないか。実際上証拠収集が困難かどうかという問題は起こるでしょうけれども、証拠は外国から提供されてくるというものですから、だから意味が非常にあると思うのですが、いかがでしょう。
○前田(宏)政府委員 御指摘のような事例を想定いたしますと、確かにもうちょっと長い方がいいんじゃないかという感じがするように思いますので、その点をあえて否定するわけではございませんけれども、どうも私ども法律論というか制度論をいたしますと、それを一つ認めますと、公訴時効制度の考え方が大分変わってきて、いまのような法定刑による考え方ではなくて、その罪質なりその発覚の困難性とか、そういう別な要素から時効期間というものをそれぞれその罪質に応じて決めていかなければならぬというかっこうになるんじゃないか。 国外で行われた贈収賄罪というだけでございますと、それだけで考えればいいということになるかもしれませんが、先ほどのように、じゃ麻薬はどうする、脱税はどうする、外為法違反はどうするといろいろと出てまいりまして、それがそれぞれどういう公訴時効が適当かということになってまいりますと、とめどがないと言うと言い過ぎかもしれませんけれども、なかなか決めようが困難になってくるんじゃないかというふうにどうも思えてくるので、やや消極的なことを申し上げているわけでございます。
○飯田委員 もう少し確かめたいのですが、私が本日この問題を提起しておりますのは、国内犯については一切申していないのです。国外犯とそれから国際犯に関しましての問題ですから、国際犯という点にしぼって時効を廃止するという措置が講ぜられるのではないかと考えるわけです。この問題は、そこまでいかなければ今日刑法の一部改正をしました意味はないのでして、今度の刑法改正案だけで事を処理するというのでありますならば、これは私は、大山鳴動してネズミ一匹どころか、全く国民をだますことになるような気がしてならないのであります。 もちろん、こう申しましても、私は現在の犯罪に重罰をもって臨めということを申しているのじゃないのでして、せっかく外国から犯罪の材料が提供されてくるのに、それに目をつぶらねばならぬような現行の刑事訴訟手続法がおかしいのではないか、こういうことを申し上げているので、証拠が外国から持ってこられたら、それを取りあげて捜査できるような体制になさったらどうだろうか、こういうことでございますので、御研究を願いたいのですが、いかがでございましょうか。
○前田(宏)政府委員 同じようなお答えになるかと思いますが、現在の法定刑では通常の場合は公訴時効期間が三年でございますが、この法定刑の引き上げによりまして一般の贈収賄の公訴時効期間が五年になるというわけで、わずか二年の差ではないかというふうな見方もあるいはあるかと思いますけれども、やはり二年というのは相当大きな差であろうというふうに思うわけでございます。 ただいま御指摘のような、外国からいろいろと資料が入ってきた場合にすでに時効になってできないということは、仮に五年になりましてもその時点で起こるかもしれませんけれども、やはり三年、五年ということは大分違うような気がするわけでございまして、仮に公訴時効だけを法定刑を離れて延長するという場合でも、実態を考えますと五年程度がせいぜいではないかというような気さえするわけでございます。これを極端に十年にしたらどうかということになりますと直ちにどうかなというような気もするわけでございまして、効果がないというような御意見もございますけれども、法定刑が引き上げられるということ、また時効期間がわずかなように見えても三年が五年になるということは倍近いというような言い方もあるいはできるかもしれませんが、相当な効果ではないかというように考えているわけでございます。
○飯田委員 もう時間が来ましたので急ぎますが、今度の刑法改正案を見ますと請託収賄罪五年を七年にしたというだけでございますが、従来から請託収賄罪で五年の刑を受けたというのがそうたくさんないと思いますが、いかがですか。
○前田(宏)政府委員 先ほども頭打ち現象のことについてお尋ねがございましたように、この贈収賄罪を通じて上限までぎりぎりいっているという例はごくわずかでございます。
○飯田委員 そうしますと、請託収賄罪について五年を七年にしたということは、実際上の効果というものが余りないように思います。ことに五年を七年にしましても公訴の時効の期間はもとのままでございまして、ふえたわけではないわけです。そうしますと、刑法改正案をずいぶん騒いでやったわけですが、意味がないじゃないか、消えてしまっておるじゃないか、こう思うのですが、いかがです。
○前田(宏)政府委員 飯田委員の冒頭のお尋ねに一般的にお答えしたわけでございますが、現在五年という法定刑であるので五年になるのがごくわずかであるという言い方もできるわけでございまして、仮にこれがこの案のとおりに七年になりました場合には、七年になるのはごくわずかであるかもしれませんが、五年なり六年なりということが起こり得るという考え方もあるんじゃないか。そうしますと、現行法よりは重い刑が盛られてくる場合が起こるという御理解をいただけるのではないかというふうに思います。
○飯田委員 私の質問はこの程度でございますが、今度の刑法の一部を改正する法律案につきましては、この内容そのものは別にとりたてて反対することはないのでございますが、しかしきょう質問申し上げましたように、いろいろな問題が未解決のままにこれが出されてきておりまして、これを出すことによって解決しなければならぬものをこの際ほおかぶりをしてしまう、そういう手段になっておるような気がいたすわけであります。 そういう点におきまして、私は大変残念に思うものでございますが、本日の私の質問はこれで終了いたします。
○木村委員長 横山利秋君。
○横山委員 大臣はいつごろお見えになりますか。
○木村委員長 十二時に来るそうです。
○横山委員 委員長にお願いしたいのですが、大臣がいらっしゃらないときにはいつも政務次官に大臣にかわって御答弁願えるように御手配願えませんか。どうしていらっしゃるのですか。
○木村委員長 いま事務当局よりの報告によりますと、政務次官はかぜを引いて病気中ということを承っております。病気ならやむを得ないと思います。
○横山委員 なるべく全快をされるように望みます。
○木村委員長 全快をしたならば委員会に努めて出るようにさせるようにいたします。
○横山委員 わかりました。 刑事局長に改めてお伺いをいたしますが、政府が刑法全面改正につきまして並み並みならぬ意欲を持って長年臨んでいらっしゃることはよく承知をいたしておるわけでありますが、私ども、この全面改正については強い異議がございます。ともあれ、今回の刑法一部改正案に関連をいたしまして、改めて全面改正の作業がどういう経緯をたどって今日にあるかということについての御報告をまずお伺いいたしたいと思います。
○前田(宏)政府委員 刑法の全面改正作業につきましては、詳しく申し上げると長くなるわけでございますけれども、当初、昭和三十一年だと思いますが、法務省の中で部内的な検討の会が持たれましたのが戦後の改正作業の始まりだというふうに思っております。その後一応準備草案もできまして、それから正式に法制審議会への諮問ということに相なったわけでございまして、法制審議会におきましては昭和四十九年の五月に改正刑法草案という形で全面改正案を答申をしていただいておるわけでございます。その間、法制審議会の審議は十一年になんなんとして行われたわけでございまして、大変貴重な御審議の結果であると私ども理解しておるわけでございます。 その後のことでございますが、いろいろと、この改正刑法草案につきましては賛成の意見ももちろんございますが、反対の御意見もまたあったわけでございます。そういうことでございますので、事務当局におきまして、この改正刑法草案をもとにいたしましていろいろと国民の各界各層の御意見を聞こうということで、その作業を現在も続けておるわけでございますが、その間におきまして、昭和五十一年の六月に中間の検討結果というものを取りまとめて、やはりこれも公表して世の御批判を仰いでおるわけでございます。その中では、改正刑法草案そのものにつきまして、その一部の規定については代案を考えられるというような考え方も示しておるわけでございます。そのようなやり方、また全国各地で、公聴会と言えるかどうかわかりませんけれども、関係の方々の意見を聞くというような会も何回か行っているところでございます。 刑法というような大変重要な法典でございます。内容的にも国民生活に大変かかわりのある法案でございますので、国民の大方の御理解を得なければならないというふうに考えているわけでございまして、そのようなことから、簡単でございますが、ただいま申し上げたような作業を事務的に進めておるわけでございます。
○横山委員 一ころの政府の熱意に比べますと、ここ数年非常にトーンダウンをいたしておるような気がするわけであります。その原因は何だ、問題はどこにあるかというふうにお考えでございますか。
○前田(宏)政府委員 必ずしもトーンダウンというふうにも思っていないつもりではございますけれども、先ほどもちょっと触れましたように、法制審議会の答申がございまして、改正刑法草案というものが形が整ったわけでございます。 しかしながら率直に申しまして、法曹三者の一つである日本弁護士連合会を中心として相当な反対があるということは事実でございます。そのほかにも一部の学者のグループの方々あるいは民間の団体等におきましても反対があるわけでございまして、そういう御反対、これはそれなりの理由があるのだろうと思いますけれども、私どもの立場からいたしますと誤解に基づくような点もないわけではないように思うわけでございます。しかしながら、そういうことで結果的に反対という立場の方が相当数あられることは事実でございまして、その反対を押し切って、いわば強行して全面改正の法案を国会に御提案するということは、先ほど申しましたような刑法というものの性質から見まして必ずしも適当ではないのではないかという感じがするわけで、できるものなら国民の少なくとも大方の御理解を得た上で出したいというのが私どもの考え方であるわけでございます。 そのためにはどうやっていったらいいかという方法論になるわけでございますが、先ほど申しましたように、なかなかかたいといいますか強力な反対もあるわけでございます。これを御意見は御意見として私どもも十分謙虚に耳を傾けなければならない。しかし、先ほどもちょっと申しましたように、仮にも誤解があるようなことであればまたその誤解を解いていただくような努力もしなければならない。そういうようなことで、それぞれの意見の対立点といいますか争点といいますか、そういうものをできる限り少なくしていって、その上で国会の御判断を仰ぐというふうにするのが適当ではないかというふうに思っておるわけでございまして、大変困難ではありますが、そのための努力を現在も、表の上では余りあらわれていないかもしれませんけれども、やっていると言えばやっているつもりでございますし、今後一層そのための努力を重ねたいと考えております。
○横山委員 いまお話しのように、刑法という基本的な法律が多くの反対があるにかかわらずこれを強行突破をするということはお考えになってないのは当然なことだと思うのでありますが、問題が二つあると思うのです。 一つは、その法案の内容に関する諸問題、その内容をどこまでコンセンサスが得られるか。誤解や中傷は別といたしましても、内容は話せばわかるという意味においても、どこまでその問題点の内容を整理してコンセンサスが得られるかという問題が一つ。 それからもう一つは、刑法改正という問題の条件づくりの問題だと思うのであります。私は、もちろんこの刑法改正草案に反対をする立場ではあります。しかしながら、いまの状況から言うならば、政府はこの刑法改正にやや断念的な雰囲気ではないか、どこにも内容を是正するという意思もないようである。さりとて、条件づくりを何かやろうとする雰囲気もないようである。まあ必要最小限度たとえば今回のこの一部改正のような現実的な必要に迫られるものだけ改正するの余儀ない状況ではないか、そういうふうに判断せられるのでありますが、今後のお考えとして、内容と条件づくりについてどういうお考えをお持ちでございますか。
○前田(宏)政府委員 先ほどのお答えでも若干私の気持ちを申したつもりでございますけれども、ただいま委員のおっしゃいますように、内容あるいはその手続についていろいろと考えなければならぬ点があろうと思います。 ただ、これは本当にこういうふうに対立したといいますか平行状態のままになっておりましたのでは一向に進まないことでございます。したがいまして内容につきましても、先ほど申しましたように柔軟というか弾力的というか、その言葉も余り適当ではないように思いますけれども、基本的な改正に全く反するということでも困るわけでございますけれども、反対意見のとるべきものは十分とるように努めていきたいと思いますし、そのためにどういうような段取りをしていけばよろしいかということも実は私なりに内々考えてはおるわけではございますが、そのこと自体が大変むずかしいことでございますので、先ほどもちょっと申しましたように、表にはまだ出ていないということでございます。たまたま一部の新聞報道で、日弁連と法務省とがこういう問題を含めて話し合いをするというような記事が出ておったと思います。それも若干事実とは合致してない点もあるわけでございますけれども、基本的にはそういうようなことも一つの方法ではないかというふうに考えている次第でございます。
○横山委員 さきの法務大臣福田一氏が新聞報道を通じてアドバルーンを上げて、与野党の間でコンセンサスを得られたい、そういう発言を政治的にされたようなことがございましたが、それは当事者である刑事局関係のところの意を体して御相談の上なさったことでありますか、それとも福田法務大臣個人の政治的発言と理解すべきことでありますか。
○前田(宏)政府委員 その当時私その衝におりませんでしたので、正確なことを承知してないわけでございますけれども、私の印象と申しますか記憶的なことで申しますと、当時の福田大臣におかれましては、やはり刑法の全面改正作業というものが、法制審議会の答申があってからもうその時点でもすでに相当な期間がたっておったわけでございまして、これを放置すること、また現行刑法自体が古い法律であるということは当然のことでございますが、そういうことでほうっておくのは適当ではないのではないかというお考え方をお持ちになっておった、また事務当局も何とかしたいという気持ちは持っておったということは事実であったと思いますので、そういう意味で、具体的にアドバルーンを上げるというようなやり方についてまで御相談があってやったかどうかということまではあるいは正確でないかもしれませんけれども、両方の、大臣のお気持ちと事務当局の気持ち、いろいろの機会にお話があって方向的には同じであったということから、ああいう御発言があったのではなかろうかというふうに思っております。
○横山委員 私は一昨日西ドイツ及びアメリカから帰ってきたわけでありますが、アメリカでは与野党のコンセンサスによって刑法の改正が行われたことは御存じのとおりであります。 福田前法務大臣がそのアメリカの実績を踏まえておっしゃったのであろうか、これはよくわからないことでございますけれども、アメリカと日本との間には議会制度の条件がずいぶん違う点があるわけであります。御本人でないあなたにそういうことを聞いてはなんでありますが、与野党のコンセンサスが刑法全面改正についてあるならばそれを期待したい、またそれが好ましいということの御発言の中には、一体いまの日本の議会制度、法制局、調査室あるいは委員部、こういうような条件の中で刑法の全面改正のような大きな作業がこのままの状態でできるのであろうかと考えますと、私どものこの日本の政治家の非常に多忙な状況の中で、またそういうスタッフの十分でない、アメリカに比べると雲泥の相違のあるスタッフの状況の中で、一体それができるのであろうか、そのことを福田前法務大臣がどうお考えになっておったのであろうかということを疑念に思うわけであります。 いま担当者としての刑事局長として、これからの刑法の改正作業というものが、いまお話しのような状況であるならば、これはとても打開をする可能性はないのではないか、そう考えるわけでありますが、まあそういうふうに御答弁を願うということもなかなかむずかしかろうと思うのでありますが、これからの刑法の全面改正についてどういうふうになさるおつもりでありますか。
○前田(宏)政府委員 刑法の全面改正問題につきましては御指摘のような状況にあるわけでございますが、先ほども申しましたように、具体的にすぐにどうこうというようなことまでなかなかできていないと言えばできていないわけでございますが、このままほうっておいてはいかぬということは私も痛感しておるわけでございまして、そのことを折に触れ日弁連の方も含めた直接間接に関係のある方々にもお話をしているような状況でございます。要するに、このままいわばほうっておいたのでは、たなざらしといいますか、たな上げのままになるわけでございますので、御意見のように何らか打開をするということを考えていかなければならないというふうに思っております。 〔委員長退席、中村(靖)委員長代理着席〕 その前提としてのお尋ねについてでございますが、これは私からお答えするのは適当ではないように思いますけれども、現在のような御多忙な国会に対しまして大法案をお願いするということになります場合には、やはり相当事前に問題点を整理いたしまして、なるべく対立点も少なくいたしまして、しかもいろいろと事前の御説明等も申し上げて御理解を賜った上で御提案するというような、非常に平板的な言い方でございますけれども、そういうことが必要ではなかろうか。ただ何よりもその前に、一〇〇%賛成ということは不可能かと思いますけれども、大方の御意向を伺って、その御賛成、積極的に賛成でないにしても、あくまで反対ということではないという態度までは確保した上での御提案ということが必要ではないか、かように思います。
○横山委員 一つ一つの改正条項についての賛否両論あるいは修正、それは必ずしもできないことではないと思うのですが、釈迦に説法ではありますが、基本法の全体的なバランスを考えますと、一つ一つの条項で私どもが修正案を提出し、あるいは与野党の間にコンセンサスを得るということはきわめて困難だと思うのです。そうだといたしますと、刑法全面改正を議会に期待をするということは、実際問題として技術的にも能力的にも今日の日本の私どもの状況においては不可能ではないか、そういうふうに思うわけであります。 したがいまして私は、少なくともこの十数年間をけみした刑法の改正が膠着状態になって、そしてもういつのことか行き先がわからないというような状況をどうしたら一体打開できるか、議会にこれを期待するのでなくして、政府自身として一遍基本的に考え直さなければ百年河清を待つようなものではないか、こう考えるのでありますが、いかがですか。
○前田(宏)政府委員 先ほど来私が申し上げておりますことも基本的には横山委員と同じ認識に立ってのことでございます。そういう意味におきまして、このまま何もしないでおったのではまさしくたな上げのままになってしまうであろうという認識から出発しておるわけでございます。 ただ、どうやったら打開できるかということになりますと、これまでいろいろな対立がありました関係で、一日、二日ということでまいらないことは当然のことでございますが、そうかといって、それが困難だからといってほうっておいていいということではないということも事実でございまして、最大限の努力をしなければならない、かように考えておる次第でございます。
○横山委員 今度の政府の一部改正法案に対案的な立場で私ども社会党が刑法の改正案を出しておることは御存じのとおりであります。 政府の提案をもっていたしましても、少なくとも三年間この委員会にたなざらしになりました。この三年間たなざらしになりました原因は、政府が提案したのを自由民主党がこれに対して賛成をしない、こういうような結果でたなざらしになりました。先ほど同僚委員の質問の中にも、この法案は、まあ多少の意見の違いはございますけれども、こんなものは大した法案ではないという御意見がございましたけれども、そういう法案がなぜ三年間たなざらしになったのか。それは政府として提出いたしますときに、日本の民主政治の中では当然のことのように与党内のコンセンサスを得て提案されるのが通常であります。それにもかかわりませずこういう結果をもたらしたことについての政府の御反省はどういうことでございますか。
○前田(宏)政府委員 先ほども申し上げたとおりでございますが、政府といたしまして、国会に御提案したものにつきまして速やかな御審議をいただくような状況に持っていかなかったと申しますか努力しなかったということつきましては十分反省をしておるわけでございますが、また手続的にも、いま仰せのように与党の手続を済ました上での御提案であったわけでございまして、それ以上国会で法案をどう扱われるかということになりますと、政府側といたしましてはぜひお願いしたいというのにとどまるわけで、それ以上のことは国会特に委員会のお取り扱いでございますので、そのことについて努力が足りなかったと言われればその点は当然でございますけれども、それ以上のことは私どもの立場から申し上げかねるわけでございます。
○横山委員 私どもの立場から申し上げられないと言っている点を新聞が解説しているところによりますと、「これに対し」というのは私どもが政府案が通らないというばかな話があるかという批判をしたのに対し、 これに対し「反対とはいっていない。ただ刑法の改正だけでは政界腐敗の防止が期待できないから慎重な扱いを望んでいるのだ」と自民党側は反論してきた。現行法の下でも汚職事件に対する判決の実態は、上限の刑が言い渡されることはほとんどなく、法律上上限を引き上げても事件予防の効果は乏しい、という声は当の法務・検察当局の中でさえ一般的だ。自民党側の主張にも説得力がないわけではないのだが、党内でとくに消極的だったのは「法務部会や関係委員会の田中派議員だった」(同党国対関係者)という指摘もある。自民党内にこうした空気を残したままで福田首相(当時)が国会提出に踏み切ったことへの派閥がらみのわだかまりも、その後、委員会レベルでの審議を遅らせてきた背景にある、という見方も野党などにある。 一方、改正が田中公判に直接与えかねない効果を指摘する向きもある。田中元首相に対する東京地裁の判決は五十七年春にも言い渡される見通し。法の建前からは、改正案が成立しても過去の事件にさかのぼって判決に適用されることはないが、刑の上限の引き上げが裁判官に心理的効果を与え、有罪の際の刑が強められる可能性について「実際的には完全に否定することはできないのではないか」(検察幹部)という声もあるからだ。」 〔中村(靖)委員長代理退席、委員長着席〕 こういうふうに、解説の一部でありますが、しておるわけであります。 こういう感覚というものは私どもにとりましてはまことに遺憾千万であります。もし、いうところの田中派議員が、これが通れば田中公判に心理的にも実際的にも影響があるからこれを防止しておるんだ、通過を阻止しておるんだというような感覚であったとするならばまことに遺憾千万である。また一方、別の主張のように「上限を引き上げても事件予防の効果は乏しい、という声は当の法務・検察当局の中でさえ一般的だ。」こういう立場があるならば、これまた法務省当局は言語道断の解説をしておる、こういう感じを免れがたいのであります。 三年越しの刑法改正法案がかかる二つの見方によってずっとおくれてきて、あなた方自身も通過に対する熱意がないとするならば、われわれ野党議員は何のかんばせあってまじめに議論ができるか、こういう感じを持つわけでありますが、いかがでございましょう。
○前田(宏)政府委員 ただいまお読み上げになりましたような新聞報道がありましたことは私も承知しておるわけでございますが、その中で二つの御指摘がございました。 一つは自民党内部での消極的な御意向ということでございますが、これはそのようなことがいろいろと報道でされたことは承知しておりますけれども、その真偽のほどは私どもとしてははかり知れないところであります。 一面、法務、検察云々というような点でございますけれども、この点は先ほどもおわびを申し上げましたように、私どもとしての努力が不十分だったということはいまさらのように反省はしておりますけれども、この法案の御質疑の中で私がお答えしておりますことが法務省の正式な考え方でございまして、法定刑の引き上げということ、そのことによって贈収賄罪に対する罪の評価というものが高まるであろうということ、それをまた国民が期待しておられるであろうということ、また法定刑の引き上げによって自動的にと申しますか公訴時効期間が延びてくるということ、それによってこの種事件の捜査がより徹底をするであろうということ、そういう効果を信じておるものでございます。
○横山委員 私ども社会党としては、この政府提案に対案ということではございませんが別な法律案を提出いたしておることは御存じのとおりでございます。 その内容は三つありますが、一つは政府案とほぼ同様であります。もう一つは贈賄の国外犯の処罰の問題、もう一つは尊属殺についての問題であります。 尊属殺につきましても、本政府提案と同じような経緯をたどっておることは御存じのとおりであります。すなわち、親殺しというものについての最高裁判所の判決は、尊属だから特別に刑罰を重くすることは適当でないという判決があって、それを政府は受け入れて直ちに全国の検察陣に通達を出して、政府としてはこれを法案として国会に提出するという事態に相なった。ところが自由民主党はこれに対してがえんじない。したがって、政府の物の考え方と与党である自由民主党の考え方が対立したまま今日に推移をいたしておることは、御存じのとおりであります。 ところが、それだけならばともかくとして、当時政府が直ちに全国の検察陣に、起訴状の中で刑法二百条云々は事実上これは空文である、だから今後の起訴内容については変更しろという趣旨をお出しになっておるわけでありますが、私の承知するところによれば、その通達はそのまま生きておると考えてよろしいですか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの点はそのとおりでございます。
○横山委員 そうだといたしますならば、この問題もまた未解決のままであります。現実は刑法二百条は空文となっておる。それは尊属殺が今後ありましても適用されない、法律はあれども死んでおる、そしてその改正は容易に国会に提案されないということについての政府の責任は一体どうお考えになっておるのでありましょうか。 今回の政府提案の問題といい尊属殺の問題といい、議会制度の中でまことに不可思議な問題だと私は思います。特に尊属殺の問題は刑法二百条が事実上死文になっておる。その是正措置というものは政府としては当然とらなければならないことではないか。もしも通達が出ていないというならばまだともかくとして、事実上は死んでおる、政府がそれを確認しておる、全国ではそう理解しておるのにかかわらず、それについての法改正がいつまでたっても提案ができないということは怠慢もはなはだしいものではないか。どういたしますか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの点は御指摘のとおりということしか申しかねるわけでございます。 ただ先ほどのお話にありました、いま御提案を申し上げている法定刑の引き上げ法案とは、少なくとも新聞報道等で言われているようなこととは違うようなふうに理解しておるわけでございまして、尊属殺といいますか尊属に対する物の考え方という観点からいろいろな御意見があって、なかなかまとまらないということではないかというふうに考えておるわけでございます。 しかし、それだからといってほうっておいていいかということになりますと、ほうっておいていいということは決して申し上げられないわけでございまして、これは歴代の大臣また歴代の担当者におきましてそれなりの努力はしたと思いますけれども、今日に至っておるわけでございますので、言葉の上では同じようなお答えになって恐縮でございますけれども、最大限何とかいたしたいということを、努力をいたしたいということを申し上げるほかないわけでございます。
○横山委員 私はこの問題を本委員会で取り上げて、私の感ずるところでも恐らくもうすでに五、六回にわたっておると思うのであります。 尊属殺に対する政府の処理のあり方、与党である自由民主党のあり方、意見が違うならば違うように調整をしなければ、全国の検察陣に出した通達というものはどうなるのか。自由民主党の主張が正しいのならば、あの通達を撤回しなければならない。政府は何の権限があってその通達を出したのか。この問題の処理が数年にわたって放置されておるということは、私はどうしても納得ができないのであります。困っておる困っておるでは済まされない問題であります。改正法案を上程するか通達を撤回するか、どちらかを選ぶべきである、そう思いますが、いかがですか。
○前田(宏)政府委員 ただいまのことにつきますと、ちょっとお言葉を返すようなことになって恐縮でございますけれども、判例が出ております以上、通達があろうとなかろうと二百条をそのまま適用するわけにはまいらないわけでございますので、自民党の一部のお考えとその通達とを択一的に考えるというわけにはまいらないのじゃないかと思うわけでございます。そのような意味で、実務の運用からいたしますと、判例があります以上は実務はそれに従わざるを得ないということで、それを、いわば運用上の扱いとして通達というものが出ていることでございますので、これを撤回しましても判例が消えるわけではないというふうに御理解をいただきたいわけでございます。 それはそれといたしまして、やはり実際上規定が残っておってそれが使われていないということ、それによって現実的な意味では実務上支障はないと言えばないわけでございますけれども、そういう適用のない条文がそのままになっておるということは適当でないことは仰せのとおりでございますので、それをどうするかという問題に帰するわけでございまして、いつまでほうっておくかという御批判は重々承知しておりますけれども、なお重ねてその問題の解決に努力したいと申し上げるほかないわけでございます。
○横山委員 それは答えにならないと思うのであります。 通常の問題ならともかくとして、最高裁から憲法違反という指摘を受けてから数年間、これがいまだなおかつ、いまのあなたの答弁によれば努力はするというけれども、その努力の可能性というものは全然見通しがないというふうに私は判断せざるを得ません。憲法違反だと言われて、当時の日本の社会生活あるいは一般の世論の中で非常に大きな問題を巻き起こしたこの問題が、いつまでたっても与党内の意見の違いによって解決がされないということをいつまでも放置さるべき問題ではありません。 したがって、もうじき大臣いらっしゃると思うのですけれども、これはどうなさるおつもりであるか、この次の国会にこの尊属殺に対する決着を政府として与党と話し合ってつけられる決意がおありになるかどうか、これはあなた一人ではいけないならば大臣と相談をされて、公式に本委員会で一回御答弁願いたいと私は思いますが、いかがでございますか。
○前田(宏)政府委員 大変重要な事柄に関することでございますので、大臣にもある程度の御説明はしておりますけれども、重ねて従来のいきさつ等を詳しく申し上げた上で御判断を仰いで、仰せのような意見を申し上げるようにしたいと思います。
○横山委員 大臣のいらっしゃる前に一つ法律的な見解を伺いたいと思うのですが、犯罪被害者等給付金支給法案についてであります。本件は本委員会が問題を提起いたしまして、各党それぞれこれに対して政府を鞭撻してきたところでございますが、これが地方行政委員会に付託ということに相なりまして明日連合審査ということになりました。 ここであなたにお伺いするのが適当であるかどうかわかりませんが、私どもがハッパをかけておいて聞くのはおかしなことではございますけれども、犯罪被害者に国が給付金を出すという論理でございますね、これは一体どう理解したらいいのでありましょうか、政府の公の見解を一遍お伺いしたいのであります。つまり、政府がぼんやりしているから無事の国民に大変な被害を与えた、本来自分たちが、国が、警察なり何なりがしつかりしておればかかることはなかったから、相済まないという国の責任をこれは理論的に立証づける、こういうふうに理解してよろしいのですか。
○前田(宏)政府委員 現在、御指摘の法案が警察庁の方から提案されておりまして、それが、いまおっしゃいましたように地方行政委員会で審議が始まろうという段階でございます。 したがいまして、その法案に即してその性質がどうかということになりますと、私の立場から責任あることが申し上げかねるわけでございますが、この法案の当初の段階で私どもも関与したという立場にございますので、若干個人的な見解のようなことになろうかと思いますけれども申しまと、正確な意味での国の補償であるかどうかということについてはやはり問題があるのではなかろうか。そういう意味で給付というような言葉が使われておるのではないかと考えておるわけでございます。
○横山委員 正確な意味で、国がほんやりしておったから責任をとると言いがたい、したがって給付金という名前をつけたんだというふうに、あなたの個人見解かどうか知りませんけれども、ある。 しかしながら、名前はどうであろうと国民が受け取る感覚というものは、国の責任というものをひとつここに根拠づけた、こういうふうに理解するのは私は当然だと思うのであります。しからば、治安責任といいますか国民が幸福に、どろぼうや人殺しに遭わないでも済むようにする国の責任がある。したがって、その責任が果たされなかったから給付金を出して、お見舞いであろうが補償であろうが何なりするということであるとするならば、一体国の責任というものはどこまで及ぶのであろうかということで、私は以前当法務委員会で国の責任論について展開したことがございます。明治憲法では、お上は悪いことをしない、お上というものは常に善意であって、そんな悪いことをするはずがないというたてまえであったように私は庶民的に理解をしておるわけでありますが、そのお上もぼんやりしておった責任あるいはお上の中に悪い者がおった責任あるいはお上が誤解をして国民に被害を与えた責任、そういう責任が近代社会の中ではだんだんと、判決なりあるいは徐々にそういうものが確立をしてきたのではないか、こういうふうに私は思うわけであります。 そういう点から言いますならば、いま薬害に対する国の責任、スモン病を含めた薬害、あるいは道路管理がまずかったことによって生ずる国の責任、あるいは戦争を起こしたことによって国民に与えた国の責任、あるいは住宅建物、構造物を認可した国の責任等々、実に広範に国の責任が問われる時代になった。その中で犯罪被害者給付金支給法案というものが通過する時代的意義というものについては、大変むずかしい質問ではございますが、どうお考えになるでしょうか。
○前田(宏)政府委員 私が先ほど申しましたのも、いわば民法的な意味で国の不法行為があって、その損害賠償というような意味での補償ということではないだろうということをいわば技術的な意味で申し上げたわけでございまして、犯罪によって被害を受けられた方々に対して国として放置できないということでそういう制度を設け、制度を設けました以上はいわば権利化するわけでございますので、そういう形での国の給付ということが広い意味での国の責任を基礎として行われることになるというふうに理解しておるわけでございます。そういう意味で、狭い意味でといいますか民法的なあるいは国家賠償法的な意味での補償ということには直ちにはならないのではないかということを申しただけでございまして、それによって国が給付をすることが根拠がないということを申したつもりではございません。 さらに、公害の問題でありますとか薬害の問題でありますとか、いろいろな御指摘がございました。その場合に国がどれだけ責任を負うかということになりますと、これはとても私ども手に負えないような大変むずかいし問題でございます。いまの被害者給付についてもそういう基本的な議論はあり得るわけでございますが、それを詰めてまいりますとなかなか議論が進まないということで、それはそれとして制度を発足させるということも場合によってはあり得るのではないか、かように考えるわけでございまして、あらゆる場合に国の責任がどこまでかということになりますと、これは非常に困難であり、なかなか線が引きにくい問題ではないか、かように考えます。
○横山委員 大臣がお見えになりましたので、大臣に二、三政治問題としての大臣の御意見を伺いたいことがございます。 第一は金大中事件についてであります。御存じのように、金大中氏が拘束を解かれて出所をいたしました。最初の発言が、ここに正確な文書を持っておるわけではありませんが、日本において自分が白昼拉致されたことについて、その事件の問題についてもうこれ以上言わないという趣旨の発言をされました。 これはいろいろな意味があると私は思うのであります。しかし、その以前、金大中氏が日本政府に対して期待を持つ発言をされたことは御存じのとおりであります。日本政府は、金大中事件については政治的解決をしておる、しかし新しい証拠があればさらに政治的解決を白紙に戻すこともやぶさかではないという趣旨の発言をしておったわけでありますが、今回金大中氏が出所に伴って公的に自分の日本における事件についてはこれ以上問題を問わないという、私の感想をもってするならば、きわめて堂々たる発言といいますか政治家らしい発言といいますか、そういう発言をなさいました。この発言について日本政府の対応は、私の承知する限りはなかったと思うのであります。 先般も本委員会で申しましたように、田中元法務大臣は閣議で、この問題については人権の問題もこれあり、なおざりにはできぬという発言をなさいました。そして、その後歴代の法務大臣もこの問題についての注目すべき意見を開陳されたわけでありますが、金大中氏の出所と同時になさった発言について法務大臣としてはどうお考えでございますか。少なくともわれわれとしては、法治国家の日本で白昼堂々ホテルから外国人が拉致された。このことについてのわが国の法治国家としての権威が著しく失墜をして、外国に対してもかっこうがつかぬという状況であったことは言うまでもありません。また、この種の同様の問題について西ドイツ政府がとった毅然たる態度に比較いたしますと、日本政府のとった態度というものはきわめてあいまいもこなものがあり最終的には政治解決と称してこの問題についてピリオドを事実上打っておるという遺憾な状況だと私どもは常に指摘をしておるところであります。 改めてお伺いしますが、金大中氏のりっぱな態度に対して日本政府はどうお考えになるか、法務大臣としての責任のある立場としてこの問題についてどうお考えになりますか、御意見を伺いたいと思います。
○倉石国務大臣 金大中氏が、ただいまお話しのように、記者会見におきまして同氏に対する事件の犯人の処分を求めない旨の御発言をなさったことは新聞報道等によって私も承知をいたしておるところでございますが、検察当局といたしましては、関係諸機関と連絡協調の上に、今後ともなお鋭意捜査を継続いたしまして真相の究明に当たるものと考えております。 なお、現在までのところ、韓国によるわが国の主権侵害があったと断定するに至っておりませんが、捜査の進展いかんによりましてはこの点が明らかにされ、いわゆる政治決着を見直すこともあり得るのではないかというふうに考えております。
○横山委員 私があなたの所信を伺いたかった気持ちの一端は、金大中氏が、もういいよ、おれはおれの道を行くから、もう日本政府に対して愚痴も苦情も批判もしないというその心理というものに対して、日本政府はどうおこたえになるかということが私の聞きたいところなんであります。まことに私の国で大変御迷惑をかけました、あなたのりっぱな態度に対しまして大変私どもとしては遺憾に存じます、申しわけなかったというお気持がないか、こういう意味なんであります。
○倉石国務大臣 国と国との関係もございますし、政府という立場では御存じのようにすでに政治決着がついている、こういう理解をいたしておるわけであります。 先ほど、なお捜査の上において他の条件が出てまいったというようなことであるならば捜査もあり得るということを申し上げたわけでありますが、金大中氏のあの声明は、関係のあるないにかかわらずりっぱな態度であるなあという感じは恐らく皆が個人的に持っているものであろうと存じます。
○横山委員 あなたのお言葉が声が小さいものですから、私も聞こえないし、恐らく後ろにも聞こえないと思うのですね。もうちょっとはっきり言っていただけませんか。 要するに、今後も検察陣がやることには変わりはない、新しい事態が出れば政治解決ももう一遍見直すのにやぶさかではない、それはもう百万遍も私は聞いておるわけですね。 私が聞きたいのは、金大中氏が釈放と同時に発言をしたことについて、何らか日本政府として物を言うべきではないか、しかも、国と国との問題ではあるけれども、同時に金大中氏個人に対して、日本政府として、治安の責任者、検察当局、警察当局の一番上にいらっしゃるあなた、法治国家の守り神ともいうべき法務大臣として、ああいうことをおっしゃったことについて、議会を通じてあなたの発言を促す、こういうことを私は言っているのですよ。おれの国で白昼堂々、もう少しおれの方がしっかりしておればかかることはあるまいに一いま犯罪被害者等給付金支給法案について伺っておった気持ちも共通するものでありますけれども、えらい申しわけなかった、御迷惑をかけましたという一言ぐらいあってもいいではないか、そう言っているのです。どうですか。
○倉石国務大臣 政府としてはやはり政治決着が済んでいるのだという態度を変えておりませんことは御存じのとおりであります。したがって、私も政府の一員でありますので、そういう態度には同調いたしておるわけでありますけれども、金大中氏の今回とられた態度はまことにごりっぱなものではないだろうかということを感じておる次第であります。
○横山委員 ごりっぱはいいけれども、ごりっぱならばごりっぱのように、日本政府としても大変あなたのお気持ちには感動いたしました、私どもさらに調べますけれども、とりあえずあなたのごりっぱな態度に対して、日本政府としては大変お気の毒なことをいたしまして申しわけないという言葉が続いていいのではないかと私は促しているのですよ。そういうお気持ちはありませんか。
○倉石国務大臣 いま私がここで申し上げましたのが私の気持ちでございます。
○横山委員 その気持ちというのは私の気持ちと違うのですか。
○倉石国務大臣 ごりっぱな態度であったなあと申しておるわけであります。
○横山委員 私は、それをあなたに促すことによって金大中氏と日本政府の交流を図ろうと思ったのですけれども、まあいいですわ。 先ほど刑事局長に一、二注文をしてきました。 その第一は刑法の全面改正の問題についてであります。刑法の全面改正はストップ状況になっておる。このままでいけば膠着状態のままでいつ果てるともわからない条件下にある。一つは、その内容について相違点がきわめて多いために、このままでは刑法の全面改正は行われ得ないと判断をする。その二つは、福田元法務大臣がおっしゃった与野党のコンセンサスが得られたらということは、いまの日本の議会制度における条件、スタッフ等によって不可能だと私には思われる。したがって、この際政府としてもどうなさるおつもりであるか、前田さんに篤と御意見を伺っておったわけであります。刑事局長としても一遍よく考えなければならぬという趣旨の御発言がございましたが、法務大臣としては刑法の全面改正についてどういうお考えをお持ちでございますか。
○倉石国務大臣 お話のございました刑法の全面改正につきましては、昭和四十九年に法制審議会が改正刑法草案を答申いたしました後に、事務当局において、国民各層各界の意見を聞いて昭和五十一年六月には中間検討結果において代案を作成いたしまして、これについての意見を聴取しながら政府原案作成のための作業を進めておるところでございます。 刑法のような国民生活に深いかかわりのあります国の基本法の全面改正につきましては、国民大多数の合意を得る必要があると存じますので、法制審議会が長年にわたって慎重に審議されました上で答申のありました改正刑法草案の基本的な部分につきましては軽々に修正すべきではないと考えておりますが、広く国民各層各界の御意見を十分に承りたいというのが私の考えておることでございます。 お尋ねのございました福田元法務大臣が刑法全面改正問題について、右と同様の観点から福田氏の御意見で国民の総意を代表する国会において真剣な検討がなされることは望ましいことであるとの考えを持っておられたこと、及びこれに関連いたしまして横山さんが昭和五十二年十月に当委員会において御質問なされましたことにつきましては、私も承っておる次第でございます。問題について国民のコンセンサスを得るために何らかの方策が必要であることは私も同感でございますが、何分むずかしい問題でありますので、ただいま申した私の基本的な考え方に即してよく検討いたしてまいりたいと思っておる次第でございます。
○横山委員 時間がございませんので、もう一、二問にとどめます。 きょうで三回目の質問をいたしますが、サラ金問題について御勉強の結果を御報告願いたいと思います。
○倉石国務大臣 ただいま御指摘の問題につきましては、従来政府部内におきまして関係省庁の連絡会議で検討を重ねてまいりましたが、これと並行して各党においても検討を進めてまいりました結果、四党つまり自由民主党、社会党、共産党、公明党からそれぞれ法案が提出されるに至ったという経緯がございます。この法案はいずれも一たん廃案になりましたけれども、さらに今国会で共産党案が提出されましたほか、去る三月十四日には自由民主党案もまた提出されました。 そこで過日の当委員会での御要請につきましては、その後閣議の際に関係閣僚にこの趣旨を伝えまして協議をいたした次第でございます。右のように、すでに議員提案による関係法案が今国会に提出されておる状況にありますので、政府としては、各党の話し合いによりまして適切妥当な規制法が制定されることを期待いたしておる次第でございます。
○横山委員 私のお願いは、政治判断として恐らく各党とのコンセンサスは得られないであろう、したがって政府が責任を持って本来なさるべきことである、提案さるべきことであるということでございますけれども、これは意見の違いというよりほかはございません。 最後に、先ほど前田刑事局長にお願いをしておいたわけでありますが、尊属殺の問題であります。 尊属殺に関する刑法二百条が憲法違反と最高裁で判断をされまして以来、政府は全国の検察陣にその趣旨を伝えて、これに沿うて今後仕事するように提案をいたしました。しかるところ、自由民主党の内部で意見の違いがあって、この問題がそのままになっておるわけであります。いやしくも憲法違反の問題でありますから、一回大臣の御意見を伺って、次の委員会で、尊属殺の憲法違反に関する最高裁の判決に伴う措置について次の国会で刑法改正の提案をなさるお気持ちがあるか否か、明確に政府の態度を意思表示してもらいたい、こういうことをお願いしてありますが、法務大臣としてそうしていただけますか。
○倉石国務大臣 この問題は、立法府としてはやはり大変大事な問題でもありますし、むずかしい問題だと存じます。ただいまのお話、私どもにもよく理解ができますので、十分に相談をいたして対処するようにいたしたいと存じます。
○横山委員 御返事がよくわかりませんが、次回の委員会でこの問題の決着の御答弁があるものと期待をいたしまして、私の質問を終わります。
○木村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
○木村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○木村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○木村委員長 次回は、来る二十八日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十五分散会