法務委員会 第8号
- 発言数
- 167 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/03/21
会議録
○木村委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長谷雄幸久君。
○長谷雄委員 刑法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。 改正案の内容は、収賄の各罪の法定刑の長期を三年から五年に、また五年から七年に、及び斡旋贈賄罪の法定刑のうち、懲役の長期を二年から三年に、罰金の多額を三千円から五千円にそれぞれ引き上げるものでありますが、この改正のうち、法定刑の長期を五年に引き上げることに伴い、公訴時効の期間が現行の三年から五年に延長されることになります。こういう内容を含んだものでありますが、こうした改正案について、その提案理由説明によりますと「近時、贈収賄事件が増加し、かつ、悪質化する傾向にある実情にかんがみ、この種事犯に対し、事案に応じた適切な科刑の実現を図り、かつ一般予防的効果を期するため、」だとしております。確かにこの種事犯は増加し悪質化をしております。そしてそれが発覚し立件され公判に持ち込まれるのはまさに氷山の一角にすぎないとも言われております。そこで、法定刑の引き上げ等がそれなりの効果は期待できるところでございますけれども、刑法改正だけによってこの種事犯を減少させるということは非常に困難ではないか、こう思います。 そこで大臣にお尋ね画いたしますが、贈収賄事件の増加及び悪質化傾向を抑えるには、この刑法改正を含めていかなる決意で臨むのか、その御所存をお尋ねいたします。
○倉石国務大臣 お話のございましたこの種の事案の防止のためには、賄賂罪の法定刑の引き上げということだけではある程度のことだけかもしれませんので、したがって御指摘のとおりに、まずもって私ども政治家を含む公務員が国民全体の奉仕者たる意織に徹しまして、その職務の重要性を自覚をいたして、そして職権を不当に利用したりまた安易な役得意識を持つことのないように努めることが肝要でございまして、私どもといたしましても、そういう意味において政治倫理の確立が非常に重要なものではないかという感じを持つわけであります、したがって私どもといたしましても、お互いにそういう点にさらに力を入れて政治倫理の確立をするように努力しなければならぬのではないだろうか、このように考える次第でございます。
○長谷雄委員 賄賂罪をめぐるいま一つの重要な問題は、立証の困難を緩和するために賄賂の趣旨に関する推定規定を設けるべきかどうかという点がございます。 この問題につきましては「賄賂の趣旨に関する推定規定(例えば、「公務員が、その職務執行につき、密接な利害関係を有する者から、通常の社交の程度をこえる財物その他の財産上の利益を収受し、要求し、又は約束したときは、(収賄罪)の規定の適用については、職務に関して賄賂を収受し、要求し、又は約束したものと推定する」との規定)を新設する。」こういう考え方がございます。この推定規定の新設につきましては、刑事法の大原則である無罪の推定を修正するものであるだけに、新設に当たっては慎重でなければならないことは当然でありますが、しかしそれを必要とする社会的な状況であるならば、その検討も必要であるかと思います。 いま私が読み上げたこの推定規定の新設の考えは、ロッキード事件発覚の後、昭和五十一年十一月十二日付の閣議了解で「ロッキード事件再発防止のための対策について」と題する中に記載されたものであります。この推定規定の新設についてどのように考えておるか、お尋ねをいたします。
○前田(宏)政府委員 いわゆる推定規定の新設につきましては、ただいま長谷雄委員も仰せになりましたように両面の問題があろうかと思います。立証の困難ということがこの種の事件についてはあるわけでございますので、それを少しでも緩和して事案を処理できるようにするという面も確かに必要でございますが、また委員が仰せになりましたように、刑事事件でございますので処罰の範囲を過大に拡張してはならないということもあるわけでございます。 したがいまして、従来からこの問題は一つの議論の対象でございます。いわゆるロッキード事件の再発防止対策の中でも一つの問題点として取り上げられておったわけでございますけれども、いま申し上げましたような問題がございまして、さしあたってこの推定規定を設けることはいかがであろうかという方の考えが強かったと申しますか、そのようなことで今回は見送りをさせていただいたということになっております。
○長谷雄委員 この推定規定の新設に対して、こういう考え方がございます。最も問題になる高級・公務員の収賄についてよりも、下級公務員の収賄についてより容易に適用の可能性がある、こういう指摘がございます。 これについては法制審議会の中でも同じような議論があったと聞いておりますが、この考え方についてどうお考えでございますか。
○前田(宏)政府委員 上級公務員と下級公務員とで賄賂になる、ならないということが違うというのは本来おかしいわけでございます。なるものはなるし、ならないものはならない、こういうことであるべきであろうと思うわけでございますが、実際問題といたしましては、いわゆる上級公務員でございますと職務権限が広いあるいは抽象的であるというようなことで、賄賂罪の趣旨が不明確になるというような場合も現実の問題としてはあり得ないことではないと思うわけでございます。ただ、それはやはりケース・バイ・ケースのいわば当てはめの問題でございまして理論的な問題ではない、かように考えておるわけでございます。
○長谷雄委員 次に、斡旋第三者収賄罪の新設についても、同様にこの再発防止策の一環として検討課題になったようでございますが、この点については今後どのように考えておりますか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねのいわゆる周旋第三者収賄罪でございますが、この要件につきましては、改めて申し上げるまでもないと思いますけれども、現行の斡旋収賄罪と同じような規定になると考えられるわけでございます。もちろん、その賄賂の相手方は第三者ということになるわけですけれども、不正の行為をさせるというような要件が入りました場合には、その適用がなかなか困難であろうという考え方もあるわけでございます。 そういうことで、実効が余り上がらないのではないかという考えも一面ございますが、逆に第三者ということになりますと、御本人以外に、個人を含めまたは団体を含めていろいろな方が出てくるわけでございます。後援団体等も当然第三者に入るわけでございますので、そうなりますと、先ほどのように規定の仕方が厳しいと適用の範囲が狭い、規定の仕方をもう少し緩めるということになりますとまた広過ぎるようなおそれもないわけではないということで、この要件の定め方と申しますか規定の仕方については、両面からあるいはあらゆる角度から検討しませんと、どちらにも偏り過ぎるようなことではいかぬのでございまして相当慎重な検討が必要ではないか、かように考えて今回は見送らせていただいているわけでございます。
○長谷雄委員 昭和五十四年九月五日付の航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会の提言が四つの事項にわたっておりますが、きょうは法務省以外の省庁からもたくさんの方に御答弁においでいただいておりますので、まず大蔵省にお尋ねをいたします。 その第二の「企業倫理の確保のための対策」の一に「監査制度の充実等企業の自主的監視機能を整備強化するための法改正」こういう項目がございますが、これについてどのように対応しておるのか、この実施状況についてお尋ねをいたします。
○宮本説明員 この提言の中には「企業倫理の確保のための対策」といたしまして四つの点が挙げてございます。 最初の「監査制度の充実等企業の自主的監視機能を整備強化するための法改正を行う。」ということに関しましては、具体的には商法あるいは会社法、そういう関係で企業の自主的な監視機能の整備強化ということのいろいろな検討が現在なされておるわけでございますが、大蔵省といたしましてはその商法部会の中に入らせていただいておりまして、こういう方向での御検討にいろいろ参画させていただいておるというふうな次第でございます。 それから三番目に公認会計士監査の……(長谷雄委員「それはいいです」と呼ぶ) 以上でございます。
○長谷雄委員 この問題につきましては、去る昭和五十四年十二月十日の航空機輸入問題調査特別委員会におきまして、私の質疑に対しまして法務省の民事局長から御答弁がございました。その御答弁の域を出ない、こういう感じを受けます。もちろん法務省とこういう問題について協議することは大切でありますけれども、自主的、積極的な対応の姿勢が私は非常に感じられないように思えて残念でなりません。 そこでお尋ねをいたしますが、大企業の企業活動の適正化を進め航空機疑惑等の不正の再発防止のために、アメリカの証券取引委員会にならって、いわば日本版SECの設置は必要な対策だと思いますが、この点についてはいかがお考えですか。
○宮本説明員 現在私ども、企業の監視機能につきましては証券取引法に基づきまして投資者保護という観点から行っておるわけでございまして、その監視機能と申しますか、その財務諸表の真実性を担保いたしますのはいわゆる公認会計士制度というものによって行っておるわけでございます。私ども、現在そのシステムが十分ワークしておると考えるのでございまして、目下のところ、アメリカのSECのような機構をいま直ちに日本に当てはめるということが適当かどうかにつきましては一概に賛成というような気持ちは持っていないわけでございます。
○長谷雄委員 せっかくの御答弁ですけれども、私はそうは思わないのです。 日本の場合、たとえば官公需の入札につきましては指定業者制度がございまして、そのために企業はこの指定を得ようとして官僚や政治家に賄賂を贈るケースが非常に多いというのが実情でございます。そこで、こうした企業の不正支出等の規制方法としては、まず企業がみずからの努力でやるということはもう当然でございます。その意味で、これまで確かに企業内の監視機構はございました。いまの御答弁もその趣旨だと思います。その線の中にあるものだと思います。しかし大企業の中にはそうした企業内監視機構がほとんど機能していない、こういうところもございます。そうした企業の中の一部が今回の航空機疑惑の中で指摘をされた企業だろうと思います。それはいろいろな原因があろうと思います。また、その機能を充実強化するためには監査制度の充実強化、すなわち、この提言の中にも出ておりますが、監査役、会計監査人の権限強化、地位の独立等なお改善の余地はあると思いますが、その改善の余地につきましては、今後もその改善に努力することは当然進めなければいけないと思います。 しかしそれとは別に、わが国においてはSECのような機関の設置は時代の要請だと思います。特に今回のSECのとった処置として、二重帳簿などの不実記載が明らかになったものに対しては有価証券取引報告書の効力を停止させ、さらに海外での不正支払いの事実について企業に対して自発的に開示すべき勧告をしたこと、この二つの処置が今回のSECのとった処置であったわけですね。わが国では当面大蔵省証券局にその期待があるのでございますけれども、いまの御答弁を聞いておりますと、どうもそういう方向にない。これに対して、こういう方向での設置について証券局としては参考にすべきことではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○宮本説明員 現在の体系の中におきましても、企業のそういう二重帳簿等粉飾経理がありました場合にはその企業を告発するというふうな権限が与えられておるのでありますし、またそういう虚偽の財務諸表に対しまして、それを虚偽と知りながら監査証明いたしました公認会計士に対する罰則というものも相当厳しいものがつくられておるわけでございまして、そういう意味では、わが国の法体系においてもそういう真実性を担保する措置というのは十分とられているように思われるわけでございます。
○長谷雄委員 その問題についてはまた後で詰めたいと思います。 次に、外務省にお尋ねをいたします。多国籍企業による海外不正支払い防止のための国際協定の作成に関してお尋ねをしますが、この国際協定案におきまして不正行為防止のポイントになるものは何か、若干の点だけ説明をいただきたいと思います。
○中村説明員 不正支払い国際協定の一番大きなポイントは、国際商取引に関しての贈収賄につき外国公務員も含めてこれを処罰の対象にするというのが一番大きなポイントでございます。
○長谷雄委員 協定案は国連の経済社会理事会の不正支払い国際協定委員会で最終草案が採択され、同理事会に提出された状況だということでございますが、この協定案の成立の見通しと、あわせて、いま御答弁になりましたように、この協定案につきましては海外不正支払い防止のために重要な内容を持つ協定案でございますので、この協定案の成立のために今後外務省としてはどのような努力をするおつもりなのか、お尋ねをいたします。
○中村説明員 不正支払い国際協定につきましては、ただいまお示しのとおり一九七六年国連の経済社会理事会のもとに作業部会が開かれまして、その後三年間協定策定のための審議が続けられまして、この間わが国といたしましても、国際経済活動の健全な発展を図るためには多国籍企業等の腐敗行為を防止することが必要であるという認識のもとに、外務省及び法務省からも担当官の御協力を得まして、この作業部会の審議に積極的に参加してまいりました。 作業部会は昨年五月最終案文を策定いたしまして、これを経済社会理事会に報告いたしまして、昨年の国連総会においてもこれが審議されたわけでございますが、協定採択のための外交会議の開催日程につきまして関係国との間で協議が調いませんでしたので、最終的な協定案文採択の時期につきましてはいまのところ見通しが立たないという現状でございまして、作業部会そのものの作業につきましては一応その任務を終了したというのが現状でございます。
○長谷雄委員 次に、通産省にお尋ねをいたします。 さきの提言によりますと、「企業倫理の確保のための対策」の一つとして「経済界に対し疑惑を招くことのないよう自粛自制を要請する。」という項目がございます。そこで私は、どんな要請をしたのかということを通産省にお尋ねをしたところ、通産大臣名の文書を経団連と日本商工会議所あてに出した、こういうことなんですね。ではどんな文書を出したのかと、こうお尋ねすれば、この提言の書面がございますが、この提言をそのまま、これに一枚の表紙をつけて、あて名が経団連会長それから日本商工会議所会頭、それぞれあて名をつけて、これを送りますからよろしく、こういういわば表紙をつけただけのもので、中身は提言そのままなんですね。この表紙という、いわば送り状みたいなものだと思うのですが、つまり通産大臣名の文書を出したと言うけれども、実態は何かというと、結局はさっき私が申し上げましたように「経済界に対し疑惑を招くことのないよう自粛自制を要請する。」という提言の文言がそのまま載っているのですね。それ以上具体的には何もない。こうした通産省の姿勢についてはきわめて問題だ、問いたださなければならないと私は思っております。 そこで、ここでお尋ねをいたしますけれども、いま言うところの「経済界に対し疑惑を招くことのないよう自粛自制を要請する。」というこの文言について、具体的にどういうような内容なのか、具体的な内容が一体おありになればお聞かせを願いたいと思うのです。何もなければ答弁は要りません。
○山下説明員 ただいま先生御指摘のとおり、提言の第二の四「経済界に対し疑惑を招くことのないよう自粛自制を要請する。」というこの提言につきまして、大臣名をもちまして九月十二日付で社団法人経済団体連合会、日本商工会議所に対して自粛自制の要請をいたしたところでございます。これは提言の趣旨そのとおりということでございます。提言が「自粛自制を要請する。」ということでございますので、大臣名をもってそのような要請を行ったということでございます。
○長谷雄委員 質問に答えていただきたいと思うのですが、この「自粛自制を要請する。」ということについての具体的なこういうものがあるんだ、こういうことをしてほしいんだというような、そういう具体的な内容があれば御答弁願いたいということです。
○山下説明員 特にここでは具体的なものを念頭に置いているわけではございません。
○長谷雄委員 ああそうですか。 次に、では大蔵省にお尋ねをいたしますが、今回の刑法の一部改正案によりまして、冒頭私が指摘しましたように、賄賂の罪の法定刑の長期が引き上げになる。この引き上げに伴って公訴時効の期間が延長されることになります。この賄賂の罪との関係でいわば裏側にあるといいますか、その関係にあるのが直接税の脱税事犯だと思います。したがって、今回の刑法の一部改正の際にこれとあわせて租税関係法規の整備をし、特に直接税の脱税事犯について刑の加重を図り通税についても公訴時効期間の延長を目指すのは当然であるはずだと思うのです。提言の中でもそのことがうたわれております。 ところが、この脱税事犯についての改正問題についてはその声さえ国民の方に聞こえてこない、これが現状ではないかと思うのです。このことはきわめて重大な問題だと思います。そうした大蔵省の姿勢に対して、国民の一部ではこういう批判があります。法務省の方で刑法の一部改正をするのなら勝手におやりなさい、脱税事犯については寛大な現行法のままで処置しますから脱税をどうぞ、こんなぐあいな声なんですね。もちろん大蔵省としてもこういうことではないと思いますけれども、結果的にこういう声を容認するようなことになったら、これは非常に問題だと思います。 いずれにしても、大蔵省の対応の仕方はきわめて問題であると思います。なぜもっと法務省と協議をし、法務省の前向きな姿勢に協調してやろうとしないのか、今後の対応と決意についてお尋ねをいたします。
○鈴木説明員 直接税の刑の加重と公訴時効の延長につきましては、現在脱税犯の懲役刑の長期が、所得税法、法人税法にありましては三年、ところが物品税法ですとか酒税法にありましては五年ということで差がございます。そういった問題意識は大蔵省としても持っておるわけでございます。したがって、この提言の趣旨に沿うべく現在関係各省と連絡をとり合って検討している段階でございます。
○長谷雄委員 検討は結構ですけれども、法務省提案のこの刑法の一部改正がこの国会で間違いなく成立する見込みになっておりますが、大蔵省としては、その点についてはいっと見込んでおるのでしょうか。
○鈴木説明員 御質問の趣旨は、税法の改正案を出すのがいつかという意味でございましょうか。
○長谷雄委員 はい。
○鈴木説明員 現在、いろいろ刑をいじるにつきましては問題点がございまして各省庁と検討中の段階でございますけれども、したがいましていまの段階でいつと申し上げられる状況にはございません。しかしながら成案を得次第御提案を申し上げるというふうに申し上げたいと思います。
○長谷雄委員 法務省にお尋ねをいたします。 国際的捜査司法共助の拡大の点につきましてですけれども、現在ICPOルートを通じて行われている国際捜査共助を一層効果的に推進するために、その内容及び手続等に関する法制の早期整備を図るべく調査その他所要の準備作業を行っている、また外交ルートを通じて行われている国際捜査共助についても法制の整備を図るため所要の準備作業を行っている、こういうような実施状況だと伺っておりますけれども、その後の作業状況それから今後の見通しについてお尋ねをいたします。
○前田(宏)政府委員 犯罪の国際化が進んでおる状況でございますし、先ほど来御指摘のいわゆる提言でもそのことが触れられておるわけでございます。 したがいまして私どもといたしましては、従来の運用による国際的な捜査共助だけではなくて、もっと国内法的に整備された法制をつくる必要があるのではないかというふうに考えまして、関係省庁特に警察庁と私どもとが主体となりまして関係省庁とも十分協議をしながら法案の作成作業を進めておるところでございます。 内容的にはまだ固まっていない点がありますので詳しくは申しかねるわけでございますが、従来任意的にやっております共助では限界もあるわけでございます。たとえば、裁判所の証人尋問まで要求された場合には現在はできないというようなこともございますし、どうしても特定の物について押収等の必要も生ずるかもしれませんが、そういうことは現行法といいますかそういう法制がない以上はできないわけでございます。そういうことで、そういう整備をする必要があろうというような内容になるわけでございます。 ただ、いま御指摘のICPOとの関係もございまして、そういう刑訴法に似た手続とそれからICPO的な別な手続と申しますか、その両者の調整という問題もございますし、また捜査機関は主として警察であり検察官であるわけでございますけれども、特別司法警察職員というのも他にたくさんあるわけでございますので、そういう広い意味での捜査機関の間でどういう形で外国からの要請を受けたら一番その要請に適切に対処できるかというようなこともございまして、若干当初の予定よりもおくれておりますけれども、ぜひ近日中に取りまとめたいという考え方で努力している次第でございます。
○長谷雄委員 最後にお尋ねしますが、国民が強い関心を持ってその成り行きを見守っておりますロッキード及びグラマン・ダグラス事件の公判状況でございますが、この点につきましては、去る五十四年十二月十日の航空機特別委員会で前田刑事局長から御説明がございました。その御説明以後の公判状況についての概略を御説明願いたいと思います。
○前田(宏)政府委員 いわゆるロッキード事件と、ダグラス・グラマン事件の公判状況につきまして概略を申し上げます。 いわゆるロッキード事件、いろいろな系統に分かれておりますので順次そのルートごとに申し上げるわけでございますが、第一のいわゆる丸紅ルートにつきましては、本年の三月二十一日現在で九十七回公判が開かれております。昨年の四月からは被告人質問の段階に入っておりまして、すでに大久保被告人と檜山被告人関係の質問が一応終了いたしまして、伊藤被告人に対する質問が行われているわけでございます。 それぞれの供述の内容等は新聞報道等でも出ておるわけでございますが、その要点を申しますと、大久保被告人関係ではすでに御報告申し上げたとおりのようなことでございまして、おおむね検察官の冒頭陳述書記載の事実に沿うような供述と言ってよろしいかと思いますけれども、檜山被告人関係では必ずしも捜査段階の供述と一致するような供述が得られていないというようなこともございます。したがいまして、検察官調書の採用という問題が起こり得るわけでございます。また伊藤被告人関係では、現在被告人質問が継続されている段階でございますので、中間で途中までのことを申し上げると誤解を招くかもしれませんので、差し控えさせていただきたいと思います。 それから第二の全日空ルートでございます。これは合計で百三十四回の開廷がなされておりまして、全日空側の各被告人に関します外為法違反また議院証言法違反、この関係の事件では、検察官側の立証がおおむね終了いたしまして、弁護人側の反証段階にあるということでございます。 それから、この関係の中で橋本、佐藤両被告人の受託収賄関係でございますが、この点につきましては、当時の運輸省の幹部に対する証人尋問でありますとか贈賄側の重要関係者に当たります若狭被告人に対する質問でありますとか、そういうものが行われておりまして、検察官側の立証は、被告人両名に対する質問を除きまして、おおむね終了しているような状態に至っております。それで、来る四月からは弁護側の冒頭陳述が行われて反証に入るという予定のように聞いておるわけでございます。 それから次のいわゆる児玉ルートでございますが、これも御案内のとおり、被告人が病気の後遺症等がありますので在廷しないという状態での審理が続けられておりますが、現在まで五十三回の公判が開かれております。それで、この関係のルートにおきましては、検察官側の立証はおおむね終了しておりまして、弁護人側の反証段階に移っておるわけで、今月の二十七日に次回の公判があるわけでございまして、弁護側の反証がこの辺で済むかどうかというようなことになっております。 それから小佐野ルート関係の公判、これが前回まで四十回開かれておりまして、実は被告人質問を残して検察官側、弁護人側の立証というものがおおむね済みかかっていたわけでございますが、この問題は御案内のとおり議院証言法違反ということが問題でございまして、そこの偽証と言われております事実の中での大きな事実は、小佐野被告人が二十万ドルを受け取ったかどうか、こういう点であるわけでございます。 この点につきましては、これもいろいろな機会に申し上げておりますように弁護側の反証活動が活発でございまして、検察官側といたしましては当初の予定に従って立証に努めていたわけでございますけれども、それに重ねまして、去る六日の公判で冒頭陳述の補充訂正ということを行ったわけでございます。この冒頭陳述の補充訂正におきましては、小佐野被告人がサンズホテルというホテルに対して支払いをしたということで、その支払いの最終の二十万ドル、これがロッキード社の方から来た金であると一応認められるという趣旨のものでございますが、これは委員に申し上げるまでもないと思いますけれども冒頭陳述の補充訂正ということでございまして、まだこれからその事実は立証するということになっておるわけでございます。また、その冒頭陳述の補充訂正に対しまして弁護人側、被告人側がどういう対応をするかということも今後の問題であるわけでございます。 以上がいわゆるロッキード事件関係でございます。 それから第二のいわゆるダグラス・グラマン事件の公判状況でございますが、この方がわりに進行が早うございまして、御案内のとおり、海部八郎ら三名に対する外為法違反それと議院証言法違反があり、また有森國雄に対する議院証言法違反があったわけでございますが、有森関係の事件は、昨年の十二月十四日に禁錮五月、一年間執行猶予という有罪判決がございまして、すでに確定いたしております。 それから海部被告人らに対します事件の方は、現在まで公判が七回開かれておりますが、若干の点を除きましておおむね事実を認めるという被告人側の態度でございましたので、証拠調べも比較的スムーズに進行しておるというふうに聞いておるわけでございます。検察官側の立証がおおむね終了し、弁護人側の情状立証に入っておって、これも近く終わるであろうというふうに承知いたしております。
○長谷雄委員 終わります。
○木村委員長 木下元二君。
○木下(元)委員 航空機疑獄、日韓癒着汚職、特殊法人や政府各省庁での不正経理事件、日本税理士政治連盟の政治献金問題など、不正腐敗事件が相次いで露呈をしまして、国民の広範な憤激がわが国を揺るがしていることは周知のとおりであります。こうして、いま政官界から不正腐敗を一掃し国民本位の清潔で民主的な政治、行政を推進することは、文字どおりの国民的な要求になっております。 これにこたえるために、贈収賄罪の刑罰引き上げによる公訴時効の延長、これだけでなく、たとえば企業、団体の政治献金禁止、行政監視官いわゆるオンブズマン制度の導入、情報公開法の制定、高級官僚の天下り規制などによる財界癒着の打破、会計検査院の権限、機能の強化、こういうような総合的かつ抜本的な汚職腐敗再発防止対策というものを樹立すべきではないかと思います。 政府が法案という形で打ち出しました再発防止策は、刑法改正案とKDDに対する監督規制強化のための法案程度でありましてきわめて不徹底であります。総合的かつ抜本的な対策と言うにはほど遠いのであります。法務大臣、この点についてはどのように認識をしておられるでしょうか。
○倉石国務大臣 ただいま御審議願っております法定刑の延長、こういうことだけで綱紀が粛正されるとは私どもも存じておりません。 しかし、あの政府に向かって提言をされた有志の方々の御意見にもございますように、こういう措置はある程度効果のあるものである、必要なことではないか、こういうことでありますが、私どもといたしましては、法的措置を講ずるだけではなくて、ただいまの社会状況を見ますとまことに遺憾な事件も出ておるわけであります。そういうことにつきましては、やはりそれぞれの立場の者、たとえば収賄罪というふうなものにはいまお話の中にありました公務員のモラルがあるわけでありまして、そういう点について政府も一般国民の方々も心を合わせて綱紀の粛正に取り組まなければならない、そのための施策は逐次やっていく必要がある、このように考えておる次第でございます。
○木下(元)委員 今回の改正案それ自体はきわめて当然な措置でありますが、汚職腐敗の再発防止対策という点ではきわめて不十分であることは大臣も認識をしておられるようであります。 周知のとおり、政府高官の収賄などの犯罪は、行政権限を背景とする構造的、計画的なものでありますために、なかなか発覚をせず摘発も困難であります。発覚しましても、時効で捜査が打ち切られたり、政治的圧力などで起訴されないことも少なくないのであります。たとえばロッキード事件では、三十ユニット収賄事件は時効の完成で不起訴になり、ダグラス・グラマン事件では五億円の賄賂を受け取った松野元防衛庁長官は時効の完成で刑事責任を追及されなかったのであります。 大臣、政務次官、本省局長などの高級公務員の汚職犯罪の再発を防止し、その刑事責任を徹底追及するためには、今回の刑法改正とあわせて高級公務員の収賄罪の公訴時効期間を十年とする刑事訴訟手続の特例を設けること、それとともに高級公務員の収賄罪に対し、公務員の職権乱用罪に適用される付審判請求制度いわゆる準起訴手続、これを適用するなどの法改正を行うべきではないか、こういうように考えるわけでありますが、法務大臣の見解はいかがでしょうか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねのようにいろいろな問題が生じておるわけでございますので、それに対処するためにはいろいろな考え方があろうかと思いますけれども、ただいま御提案のように、いわゆる高級公務員に対する収賄罪の公訴時効だけを特に延ばすというようなお考えのように承ったわけでございますが、高級公務員といいましても範囲がどこまでかという問題がまずあろうかと思いますけれども、従来の考え方は公訴時効といいますのは法定刑を中心にして考えられておるわけでございまして、法定刑を横に置きまして公訴時効だけの特例を設けるという考え方は、従来から余り考えられていなかったように思うわけでございます。私ども、そのような考えに立っておるわけでございますので、御提案は御提案として検討には値すると思いますけれども、現在のところはそのような方法は適当ではないのではないかというふうに考えておるわけでございます。 また、第二の付審判請求手続の対象の拡大ということでございますが、これも一つの御提案かと思いますけれども、その必要性またどういうような対象のものをどこまで取り入れるかというようなことになりますとなお慎重な検討を要するのではないか、かように考えます。
○木下(元)委員 KDD事件はいよいよ郵政省汚職に発展しました。KDD事件は、KDDと郵政省及びわが党などを除く与野党政治家が介在をした構造汚職であります。被疑者は相当膨大な数に上るわけであります。 警察庁に伺いたいのでありますが、被疑者として捜査、取り調べを進めている者の数は現時点でどれくらいの数に上るのでしょうか、明らかにしていただきたいと思います。 それからもう一つ聞いておきます。郵政官僚逮捕に関連しまして法務省に尋ねます。贈収賄罪の国外犯については、現行法は収賄罪についてのみ刑罰を定めておりますが、企業等の活動がますます国際化している今日、贈賄側についても処罰できるように法改正を行うべきではないかと思いますが、この点も伺っておきます。
○木村委員長 警察庁、答えられますか。どうですか、所管が違うのじゃないですか。——前田刑事局長。
○前田(宏)政府委員 いわゆるKDD事件が最初の関税法違反あるいは物品税法違反から贈収賄というような形になってきたことは御指摘のとおりでございまして、この件につきましては、検察当局と警察当局とが当初から緊密な連絡をとりながら捜査を進めているところでございます。 そこで、どの程度の数の被疑者がいるかというようなお尋ねのように承ったわけでございますが、いま現在何人いるというようなことはそれ自体適当でないようにも思いますし、もともと、これも改めて申し上げるまでもないかと思いますが、捜査と申しますのは、いろいろな証拠を検討いたしましてその中から犯罪の容疑が出てくる、それによって被疑者といいますか容疑者といいますか、そういうものが浮かんでくるというわけでございますので、いまの段階では、警視庁におきましてさしあたって、つい最近逮捕の手続をとりました再逮捕を含む四名の者についての捜査を進めておるということでございまして、それ以上のことは現段階では恐らく警察からの御答弁でも申しかねるのではなかろうか、かように考えております。
○木下(元)委員 現時点はわかりましたが、何名ということは結構ですけれども、さらにこれ以上広がっていくという見込みであるのかどうかということもお答えいただきたいと思います。
○前田(宏)政府委員 何分にも捜査ということでございますし、今後の問題でもございますので、いまの時点で予測的なことを明確に申し上げるわけにはまいらないわけでございます。可能性としてはそれはあり得ると言えばあり得るかもしれませんが、具体的にどういうふうに進展していくかということは、いまの時点でちょっとお答えいたしかねるわけでございます。
○木下(元)委員 もう一つの質問にお答えいただきたいのです。
○前田(宏)政府委員 お答えを一つ漏らしておりまして失礼をいたしましたが、つい最近の事件でもその点が一つの話題と申しますか問題になっているわけでございますが、御指摘のように現行法のもとでは、収賄につきましては国外犯の規定が適用になりますが、贈賄だけでございますと適用にならないという形になっております。したがいまして、純粋理論的にと申しますかということの面では、贈賄罪だけの場合でも国外犯を処罰できるようにするということは一つの考え方であろうと思います。 しかし今回の事案によりましても、その贈賄行為が国内においても一部行われておる、犯罪行為が内外にわたっておるわけでございまして、さしあたって考えられる違反としては通常そういう形であろう、全く単純に海外だけで行われるということもそれはないわけではないと思いますけれども、そういうような考え方もあるわけでございまして、現段階のところでは、現行法でも間に合うといいますか賄えるという感じもいたしますし、今後の問題としてはさらに広く検討したいというふうに考えているわけでございます。
○木下(元)委員 次は、問題になりました早大入試の漏洩事件について一言お尋ねします。 この事件で早稲田印刷所職員の梅田勉ほか三名が逮捕されました。罪名は、梅田については窃盗、ほかの三名については共謀による窃盗教唆ということであります。窃盗並びにその教唆という被疑事実では、それ以上捜査を広げていくということはなかなか困難ではないかと思われます。全貌の解明が非常にむずかしいのではないかというように懸念されるわけであります。また、これは窃盗というような財産犯で処理をすること自体が本来はおかしいのではないか、こういうように思うわけであります。入試問題というものは、学校の著作物として著作権法の保護対象になるという考え方も出ておるわけであります。著作権法違反ということで追及をすることが解明の切り札ではないかというようなマスコミの考え方も出ておるようであります。こういう点についての考え方を法務省に伺っておきたいと思います。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの早稲田大学の入試問題の漏洩事件につきましては、ただいま仰せのように、窃盗あるいは窃盗教唆ということで捜査が進められておるわけでございます。 お尋ねでは、窃盗という形では全貌の解明に支障があるのではないか、困難ではないかということでございましたが、ちょっとその御趣旨、私どもよく理解できないような気もするわけですが、窃盗ということでございましても、どういう経過でどういうふうに流れたか、またそれがどういうような働きかけなら働きかけが外部からあってなされたかということは、当然窃盗事実の内容といいますか間接的な意味も含めての内容になるわけでございますので、事案の経過なりその背後事情と申しますか背景事情と申しますか、そういうものは窃盗という罪名による捜査でございましても十分解明できるように思うわけでございます。 それから一面、財産犯としてのとらえ方は必ずしも適当でないのではないかというお尋ねでございます。確かに著作権法違反でやったらどうかというような御意見も一部にあるようでございます。試験問題が著作権法の保護の対象になり得るかどうかということにつきまして、それ自体もなお検討を要する点があるように思うわけでございますけれども、率直に申しまして、著作権法違反といいますのは一番典型的な例は海賊出版物というようなことでございます。ですから、本来著作物がありました場合に、それをもぐりで同じ物をつくって販売する、それによって相当な利益を上げるというようなのが典型的な例であろうと思うわけでございまして、非常に理論的に言えば、著作物であり、その侵害だという面もないとは言えないかと思いますが、本件に当てはめました場合に、あの被疑者の人たちがいま申しましたような感覚で事件をやったのかということになりますと、果たしどうかなというような気もするわけでございます。 それと、冒頭のお尋ねに対します関係で、窃盗ということでございましても事案の解明について特段の支障はない、著作権法違反でやったら一層解明が行き届くということでもないように考えるわけでございます。
○木下(元)委員 盗まれた入試問題がコピーをされてどんどん渡っていく、そういう関係については窃盗あるいは窃盗教唆ということでは追及しにくいのではないかということなのですよ。 〔委員長退席、中村(靖)委員長代理着席〕 その場合、盗まれた入試問題それ自身でなくて、コピーをされたものがどんどん渡っていく、そういう関係についても追及の手が伸びるのではないか。そういうことになりますと、全貌の解明という点から言うと、やはり窃盗よりも著作権違反の方がむしろやりやすいのではないか、こういうことでお尋ねをしておるわけなんです。 いずれにいたしましても、単に財物を盗んだということ、単なる財産犯ということよりも、これは実質的には教育ことに公教育に対する重大な犯罪だと思うのであります。何よりも大切な点は、こういう犯罪を再び起こさないということではないかと思います。ところが、この入試問題を町の小さな業者が印刷をしておるというところも多々あるように聞いております。大学内の印刷所でやってもこういうことが起こるわけであります。刑務所でやっても起こった例があるわけであります。ですから、これは一部の私学でもやっておると聞いておりますが、より警戒厳重な大蔵省の印刷局で印刷をする、そういうようにひとつ指導していただきたいと思うのであります。こういう犯罪を防止をするという観点から、法務大臣にもぜひひとつそういう点を指導いただきたいというふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。
○倉石国務大臣 この問題は単に刑法犯だけで考えても処理のできない重大な問題ではないかと私どもは思っております。 一つには、大きな教育の問題でもございます。窃盗などすべからざるものであるということを教えるべき学園においてその行為が行われておるのでありますから、古い言葉で言えば世は末期だなという感じすら持つ人があると思うのであります。私どもはそういう角度から、やはり根本的にみんなが考え直して、いい知恵を出すべき時期に来ているのではないかというふうに感じます。
○木下(元)委員 その問題はそのくらいにいたしまして、次は金の先物取引の問題についてお尋ねします。 これまで何回も国会で問題になりましたが、金のブラックマーケットに参加をしている業者の実態、さらに被害の実態、そういうものをどのように掌握をしておられましょうか、通産省に聞きたいのです。
○細川説明員 被害の実態につきましては、いわゆる金のブラックマーケットにおきます被害の実態でございますが、正確に把握することはむずかしい状況にございます。 通産本省と各通産局に寄せられました金取引に関します消費者相談件数及びそれにかかわります金額は、五十四年四月から十二月ということでございますが、二百九十九件、金額にしまして総額八億一千万円余ということになってございます。なお、この数字は一般的な取引相談も入っておる模様でございますので、この数字が通産省に寄せられた被害総件数というわけではございません。また、当省以外にも警察当局や地方自治体にも被害届などが出ているというふうに考えております。 それから金のブラックマーケットの実態でございますが、当省が把握をいたしております市場数は全国で十数団体に上っているというふうに見ておりますが、いわゆる金のブラックマーケットと称するものは離合集散が激しくきわめて流動的でございますので、その詳細の把握というのは困難をきわめております。各市場にはいわゆる金取引業者が参加している模様でありますが、そのほか、市場には参加をしないで独立して悪質な金取引を行っている場合も少なくないというふうに見ております。
○木下(元)委員 私の限られた調査でわかっただけでも私設やみ市場が十二、取引業者は百七十七社に上っております。これらの会社は解散、設立を繰り返しておりますために、その実数は確かにつかみにくいわけでありますが、ある新聞報道によりますと、これは日経の五十五年一月二十五日でありますが、十六市場、四百社とも言われております。 この種の被害は泣き寝入りのケースが大変多く、被害が表面化しにくいのが特徴であります。一説によりますと、潜在的な被害を含めると被害総額は数百億円にも上ると言われております。一件当たりの被害額は、あのマルチ商法、ネズミ講の比ではなく、数百万から数千万に上っているのであります。通産省も警察も、金の先物取引業者のだましの手口はもうよく知り尽くしていると思います。いずれも最初から金の取引をさせるというつもりはなく、保証金とか手付金あるいは追証金という名目で現金をだまし取る、これが目的です。この目的を果たすために、外国の公認の市場あるいは国内の市場で取引される相場で取引をするなどと、いかにも正当な商取引であるかのように宣伝をしております。しかし、実際には空買い空売りで帳簿上の操作で相場なるものをでっち上げ、正当な取引が行われたかのように見せかけて、商品取引の知識の全くない客から多額の現金を巻き上げる、こういう手口であります。 警察庁に聞きますが、昨年来この金の先物取引業者に対する捜査が行われておりますが、これまで刑事事件としてどのように捜査し検挙したか、罪名、件数、起訴の件数さらには告訴、告発の対象も明らかにされたいと思います。
○佐野説明員 お答え申し上げます。 昨年一年間、私どもの方に寄せられました苦情相談の件数といたしましては七十八件承知してございます。それらの苦情の中から出てきております業者の名前としましては約五十社ということでございます。 なお、刑事事件といたしまして捜査ないしはすでに捜査を終わったものの状況を申し上げますと、昨年末から現時点までにかけまして十都府県で十二業者を詐欺の疑いで検挙いたしてございます。それから起訴されてございますのは現在まで十三人でございます。 なお、ほかに愛知県警察では外為法違反の容疑で現在捜査いたしておるものが一件ございます。 なお、これらの事件に関連して発見された被害者の数でございますが、現在までの捜査では約五百五十余人、被害額はおおむね十五億三千万円というふうな実態を掌握してございます。
○木下(元)委員 五十五年二月十九日の商工委員会で答弁をされておりますが、いま言われたのと比べますと検挙数はおよそ倍になっております。被害者数、金額もほぼ倍増しております。しかし、これでも検挙して問題化したのはほんの氷山の一角ではないかと私は思います。全国に十数カ所あると言われる市場と称する私設やみ市場、いわゆるブラックマーケットを捜査したことはあるのでしょうか。
○佐野説明員 市場と言われるものは、私どもも新聞紙上その他で知る立場にはございますが、警察的な立場で承知しておりますのは一カ所だけでございます。
○木下(元)委員 私は、個々の業者の摘発はもとよりでありますが、金為替市場などといういかにも政府公認の取引所であるかのような名称を用いている市場そのものにメスを入れないことには、このような悪徳商法を取り締まることはできないと思うのです。どこの私設やみ市場、ブラックマーケットでも共通していると思いますが、私が調査をしました大手ブラックマーケットの一つである大阪市東区安土町二丁目七十四の大阪金為替市場の実態について関係省庁の考えを聞きたいと思うのです。 大阪を中心とした金の先物取引業者約二十社で私設やみ市場、大阪金為替市場を形成しております。この市場で毎日午前、午後の二回、その日の現物価格を基準として上下六%の範囲内で競争売買方式により価格を決めると言っております。しかし実際には立ち会いを行っている形跡はありません。しかも、市場で決められた値を契約者に知らせることもしていない。各業者も、営業マンとその顧客との間でなければ取引価格を知らせない、こういうことをやっているのです。大阪金為替市場の責任者である松浦泰三なる人物は、金の現物の保証は香港の経烈金號(キンリ・キンゴウ)にある、こう言っております。昨年末までは経烈金號とだけ取引をしていたと言っております。この市場の一員だった寛永ゴールド、現在は西武貿易という名前に変更しましたが、この寛永ゴールドが昨年九月契約者に対して送った文書があります。その文書の中でも「手許に無い金地金を予約で売るには、その現物の裏付けがいる事から、大阪金為替市場では香港の金業者(株)経烈金號に対し、金の買付、売付を行っており、その借受料として週一Kg三〇〇円のリース料が発生している」と言っておるのです。そしてそのリース料を請求しておるのであります。 私は、全国に被害が続出をしておりますこれら金の先物取引が、金の現物の保証があって行われているのかどうか疑問に感じまして、香港の経烈金號の対日取引の実態を調査しました。その結果、同社はキングリーゴールドと言いまして資本金は六百万香港ドル、社長は祭友文氏、同社は香港金銀貿易場の正会員であります。日本には東京四谷にキンリキンゴウという現地法人がありまして、社長は同じく祭友文氏です。同社の責任者は、日本での現物取引をこれからやろうとしているところであり、予約取引、先物取引は一切やっていない、大阪とは全く関係ないと、大阪金為替市場なるところとの関係を全面的に否定しております。 以上のことから、金の現物の保証が全くないのに、あたかも実際に香港と取引しているかのように装って客から多額の保証金を巻き上げ、価格操作を勝手に行い、業界内部で客殺しと言われる手口で客から財産を巻き上げる。これは明らかに市場ぐるみの詐欺ではないのか、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。
○佐野説明員 ただいま御指摘がございました大阪金為替市場でございますか、これについては私どもの方も名前は承知してございます。 その経緯を申し上げますと、かつてそこの市場に加盟しておったとでも申しますか、そういう立場にございましたナショナル貴金属KKという会社を一応詐欺容疑で捜査いたしてございまして、その関係で大阪金為替市場という名前は承知してございます。ただ、先ほど先生も御指摘がございましたように、詐欺罪の場合でございますと、とりあえず客から注文を受けた業者そのものが自分でのんでしまったり、取引を勝手な値段で相手をいわゆる欺罔するという場面もございまして、必ずしもこの大阪金為替市場との関係というふうな問題につきまして現在まだ明確には承知しておらない、そういう関係にございます。
○木下(元)委員 私は市場ぐるみの詐欺ではないかということを申したのです。市場を構成する業者が市場を利用して客を欺罔する、たとえば香港の経烈金號と大阪金為替市場が取引関係がある、リース料を払って現物の裏づけをしておるというようなことを言う、これは事実でないわけであります。そしてまた、市場における価格は会員立ち会いの競り市によって値決めをしている、そういうことも客に言っておるわけであります。その客に出した文書がここにございます。これは全く虚偽の事実であります。市場に関するこういう虚偽の事実を述べてこれによって客を欺罔しておる。そういう点で市場の取引関係なり市場の実態というものを解明する必要があるのではないか、こういうふうに思います。 さらに、この会員の業者が市場を利用して詐欺を働いているだけでなく、業者と市場担当者が一体になった共謀による詐欺の容疑も濃厚ではないか。これは以前にも市場を手入れしたことがあったと言われましたが、そういう疑いが強いわけであります。そういう意味で市場ぐるみの詐欺ではないか、こういうふうに言っておるわけでありますが、どうですか。
○佐野説明員 先ほども申し上げましたように、私の方で承知しておりますのはナショナル貴金属でございますかそれの詐欺事件ということでございまして、市場との関連というふうな問題につきましては、捜査の対象にするともしないともいまの段階ではちょっと申し上げかねる次第でございますが、具体的事実についてなお努力いたしまして客観的な容疑その他がございますれば、御質問のような点も十分念頭に置きまして対処してまいりたい、かように考えております。
○木下(元)委員 個々の業者を詐欺で捜査をするという段にはこれは限度もありますし、壁もあると思うのです。商品取引所法八条を発動してブラックマーケットそのものを取り締まるということができるのではないか。 法制局に伺いたいのでありますが、この商品取引所法八条は「何人も、先物取引をする商品市場に類似する施設を開設してはならない。」と定めておりますが、これは同法二条二項に掲げる「商品」すなわち政令指定商品以外の商品についても商品市場に類似する施設の開設は禁止されているという意見が出されていました。この意見によりますと、上場商品以外の商品、金などについても商取法八条によりまして商品市場に類似施設の開設が禁止されているという解釈になるわけであります。この意見は、いつどの省庁から出された問題に対する回答として出されたものでしょうか。
○味村政府委員 お答えします。ただいまの法制意見は通産省からの照会に対して出されたものと承知しております。
○木下(元)委員 この意見を撤回したことはありますか。
○味村政府委員 この意見を撤回したことはございませんが、現在検討はいたしております。
○木下(元)委員 質問だけに答えてほしいのですが、この意見は変更されたこともないのですか。
○味村政府委員 ただいま申し上げましたとおりでございまして、変更もいたしておりませんが、検討中でございます。
○木下(元)委員 公式に撤回や変更もしていない、検討しているということでありますが、いつから何をきっかけにして検討しているのでしょう。
○味村政府委員 昭和五十二年の秋ごろから通産省からの照会がございまして検討いたしております。
○木下(元)委員 その通産省の照会というのは金問題に関しての照会ですか。
○味村政府委員 そのとおりでございます。
○木下(元)委員 検討しなければならない理由は何でしょうか。
○味村政府委員 先生の御指摘の法制意見でございますが、昭和二十六年に出ておりまして、金取引がかなり盛んになってきましたために、先ほども申しましたような通産省からの照会が念のためというのですかあったわけでございます。 それで法制局といたしまして検討いたしましたが、何しろ昭和二十六年というかなり古い時点でございますので、この法制意見の出された背景というものははっきりしないわけでございますが、商品取引所法八条の文理面から見まして相当問題があるのじゃないかということで、また罪刑法定主義、これは商品取引所法八条一項に違反いたしますというと三年以下の懲役ということになっておりますので、そういった罪刑法定主義という立場からどうだろうか、あるいは商品取引所法の一条には目的、二条に定義がございますが、これはいずれも文理にかかわることでございます。そういうところから問題があるんじゃないかということで検討を開始したわけでございます。
○木下(元)委員 ここに法制局のお出しになった意見がありますが、その理由で述べられておるのでありますが、「「先物取引をする商品市場に類似する施設」の開設を一般的に禁止する立法は存在しないことになり」、——この商品取引所法二条二項に掲げる「商品」以外の商品も禁止をされている。この上場商品以外の商品について禁止をされていないということになると、一般的に禁止をする立法が存在しないことになる。これでは「国家の適正な規制に服することなく、自由にこれを開設、運営することができるという結果を招来し、かくては」、「思惑的且つ大規模な投機が行われるに至るべきことは自然の勢というべく、」というようなことを書きまして「国民経済に不安動揺を与え、その適切な運営を阻害するに至る」おそれが生じるということを述べられておるのですが、この理由というものは変わったのでしょうか。ここに述べておられることはいまでも生きておるのじゃないでしょうか。
○味村政府委員 これは先ほど申し上げましたように私ども検討中でございまして、まだ結論を出している段階ではございません。 それで、この昭和二十六年の法制意見に書かれております先生が御指摘になりました事情、これはこの法制意見の理由として十分成り立ち得るものであると思っておりますし、現在でもそのような理由を掲げるということも理論的には可能だと思うのでございますが、ただ私どもの疑問は、商品取引所法の第一条にこの商品取引所法の目的が書いてございまして、ここの中には、法制意見に引用いたしましたような国民経済の不安動揺を抑えるのだというところまでははっきりは書いてないものでございますから、言ってみれば、そこら辺までが商品取引所法の射程の範囲内なのかどうかということにつきまして検討いたしているところでございます。
○木下(元)委員 商品、ことに二条二項に掲げる商品について先物取引を一般的に禁止をするということで、それを当然の大前提として法制局見解は出ておると思うのです。理由も述べられておると思うのです。これは変わっていない。 それから文理上の根拠というのを言われましたが、その文理上の根拠から言うとこういう解釈になるのだということで法制局意見は述べられておるのですね。文理上の根拠も変わるはずはないと思うのです。 いま罪刑法定主義問題を持ち出されましたが、これは法制局意見にも理由の中に出ておりません。私はそういうのをいまさら持ち出すのはどうかという感じがするわけであります。そんなことは初めからわかり切ったことであります。金のブラックマーケット問題が出てきて被害が続出をするこの時期になって、法制局の打ち出した意見が何よりも必要になってきておるこのときになって、急に検討すると言い出す、私はこれはどうも納得できない、おかしいのではないかと思うのです。私は法制局の権威にもかかわることではないかと思います。いかがですか。
○味村政府委員 私どもといたしましても、先輩が種々御検討の結果このような法制意見が出たわけでございますので、その理由を十分に突き詰めなければなりません。しかし、現在の時点におきまして商品取引所法八条というものを私どもの目で見るということも必要なわけでございますので、そこら辺をいろいろ考えまして現在検討いたしているというふうにお答えしておきたいと思います。
○木下(元)委員 いつまで検討して結論を出す考えですか、明確にされたいと思います。
○味村政府委員 できるだけ早く検討いたしまして結論を出したいと存じております。
○木下(元)委員 毎日毎日被害が続出しているのですよ。そんな悠長な検討ということでいつまでもほっておくことは許されないと思います。 法務省の刑事局に聞きたいのでありますが、この八条の適用についての考え方は法制局と同じでありましょうか。検討するということでしょうか。
○前田(宏)政府委員 ただいま法制局の方からお答えがありましたのと同様なことでございますが、私どもといたしましては、従来といいますか昭和二十何年かに法制意見が出たことも承知しておりますけれども、改めて適用するかどうかという立場になって考えますと、相当疑義があるのではないかという感じは持っておるわけでございます。
○木下(元)委員 私の調べたところを申しますと、この沿革から申しますと、商品取引所というものが開設をされた当初から、上場商品以外の商品について類似取引が禁止されておったのです。 それは、たとえば明治十三年九月の太政官達四十九号というのがありますが、これによって明らかであります。それから明治二十六年に取引所法が制定をされました。そして大正三年、十一年に改正をされておりますが、一貫して上場商品以外の商品についても類似取引は禁止をされているものと解されておりました。そして、現行商品取引所法八条の解釈としましても同様の解釈が確立をいたしております。 学説、判例も私いろいろ調べました。京都大学の龍田先生の「商品取引所法逐条解説」これも詳しくその点について述べております。あるいは「企業法の研究」大隅健一郎先生の論文集でありますが、その中で今野勉先生が「取引所類似施設について」ということで詳しく述べておるわけです。そのほかにもいろいろ文献があります。私が言っているような解釈が確立をしているのですよ。法制局意見も同じでありますが、反対の考え方、学説があれば、私は教えてもらいたいと思うのです。 いま金の問題が起こって、八条の適用ということが問題になっておるまさにそのときに急に検討をするなどと言い出すのは私は理解に苦しむのです。ひとつこれまでの学説、解釈というものを十分に尊重して結論を出していただきたいと思うのです。
○前田(宏)政府委員 ただいま委員からいろいろと商品取引所法の沿革あるいは学説等についてお話があったわけでございますが、商品取引所法は、先ほどもお話がございましたように、大変古い法律でございましたのが、その後全面改正というようなことで現行法になっておるわけでございます。 大変古い時代に民事関係の判例等にもそういう点が議論されておりますけれども、さかのぼってその当時の商品取引所法を見ますと、現行の商品取引所法とはやはり規定の仕方等も違っておりますし、先ほど法制局で述べられました目的というものもないわけでございます。 〔中村(靖)委員長代理退席、委員長着席〕 端的に申しまして、旧法におきましては商品についての定義規定というものがなかったと思うわけでございます。また、そういう目的規定もなかったわけでございますので、旧法、新法の関係が基本的に違うということもいかがかと思いますけれども、規定の仕方なり、また細かく申しますと、いま申しましたような商品の定義規定がないというようなことも相当大きな問題ではないかというふうに考えられるわけでございまして、当然に御指摘のような見解になるかどうか、なお検討を要する点があるのではないか、かように考えている次第でございます。
○木下(元)委員 大臣がおりませんでしたので聞かなかったのですが、金のブラックマーケットの問題は、とにかく大変被害が深刻に生じておるわけであります。大阪金為替市場のようなブラックマーケットをいつまでも野放しにしておくことは、私は許されないと思うのです。 最近は、ことに被害者は商店主、会社員、主婦とずっと広がってまいりました。長年営々と築き上げた財産を巻き上げられて、泣くに泣けない被害者はますますふえるばかりでございます。個々の業者に限らずに、このブラックマーケットの捜査に私は着手をすべきだと思うのであります。大臣、ひとつこの点は積極的に、そう悠長なことは言っておれませんので、考えていただきたいと思います。
○倉石国務大臣 ブラックマーケットにつきましては、先ほど政府委員がお答えいたしたようでありますけれども、十分検討する必要があると思います。
○木下(元)委員 通産省に伺いますが、このブラックマーケットをなくしていく方策としては一体何を考えているのでしょうか。
○細川説明員 通産省といたしましては、二つの柱を考えております。一つはPRでございます。もう一つは現物市場の整備という二点で考えておるわけでございますが、もう少し詳しく御説明をいたしたいと思います。 いわゆる金のブラックマーケットによる被害は、一般大衆の金に対します関心が強まっておるにもかかわりませず金の取引に関する知識が不足しているということに起因することが大きいというふうに考えておりまして、したがいまして、いわゆる金のブラックマーケット対策として国民に対するじみちな啓蒙普及、PR活動によって被害の防止に努めるということがきわめて重要だと思っておりますし、これまでもこれに意を用いてきたわけでございます。 具体的には通産省としては、地方公共団体の消費者行政担当者のほか、蓄財に関心を有する人々と常時接触する機会の多い銀行あるいは証券会社といった機関、それから農村地域にも被害者が見られるということから農業協同組合、さらには金地金販売店等の関係者に対しまして、悪質な金取引による被害の防止のための説明会を開催し繰り返し注意を喚起するとともに、これら関係者に対しまして協力の依頼を行ってきたところでございます。また、当省発行の刊行物などによりまして、一般消費者に対する注意喚起も累次行ってきておるわけでございます。 さらに、被害を受けました人々の中には金の現物購入を意図したにもかかわらず被害をこうむったという場合も多く見られますので、一般消費者が信頼できる店で金の現物を売買することができるように金地金の流通機構の整備に努めるということにいたしまして、昨年末に社団法人日本金地金流通協会を設立いたしたわけでございます。この協会の事業の効果が上がることを期待いたしておりますが、とりわけこの協会事業の中に登録事業というものを行うことになっておりまして、この登録事業によります識別効果、安心して取引のできる業者とそうでないものとを分ける識別効果が早急にあらわれるということを期待いたしておるわけでございます。
○木下(元)委員 いまのPR活動ですが、消費者ニュースを発行しておるということですが、私が聞いておりますのはこれまでに六回発行したと聞いております。一回何部発行したのですか。
○細川説明員 一回で三万部でございます。このほかに、消費者ニュースのほかに各種の新聞に広告を関係者から出させることを依頼いたしましたり、その他もろもろのマスコミュニケーションを使いまして対策を講じておることも事実でございます。
○木下(元)委員 まだ新聞広告は出ていないのじゃありませんか。これから出すのじゃないですか。
○細川説明員 いま申し上げましたように、関係者、具体的に申し上げますと商品取引関係者であります全国商品取引所連合会及び全国商品取引員協会連合会に対しまして、いわゆる金取引が商品取引所法に基づく取引でないということを消費者に周知せしめ、その誤解を防ぐように指導いたしまして、全国紙にその意見広告を掲げさせたという事実がございます。
○木下(元)委員 何回ですか。
○細川説明員 五十三年の九月の時点で全国紙数紙に掲げさせました。
○木下(元)委員 サラ金なども再々広告等が新聞にも出ておりますが、それでも被害は絶えないわけであります。 いまのPR活動ですが、これは発行部数が私はいかにも少ないと思うのです。しかもその内容も、私は見せてもらいましたが、たとえば各地でトラブルが発生しているとか、うまいもうけ話に飛びつかずというような内容にとどまっております。業者の中には、いま新聞で悪質業者のことが書かれているので大変迷惑しておる、私のところは海外と直接つないでおるので絶対に大丈夫というようなことを言って、うまいこと勧誘をしておるわけであります。被害者から業者に対して取引を申し込んだケースというものはほとんどないのですよ。そうではなくて、ほとんどが無差別な電話による勧誘と、そしてその上でセールスマンが被害者の家に上がり込んでの言葉巧みな勧誘であります。私は、少々PR活動をしたからといって、これはしないよりましではありましょう、ましではありますが、そういうものでは私はなかなか大きな実効を上げることはできない、これはもう目に見えておると思うのです。 それから、いまの日本金地金流通協会を育成をしていく、現物取引の健全な発展を図るということでありますが、この通産省が力を入れておると言われます日本金地金流通協会ですね、これは優秀な金販売業者によって構成されているというのでありますが、協会員がブラックマーケットに金を流していたという事実はないでしょうか。
○山梨説明員 ただいま先生御指摘の日本金地金流通協会と申しますのは、金地金の現物売買取引の推進を図ることによりまして金販売業及び一般消費者の間の金地金の健全な取引の促進に資することを目的として設立されたものでございまして、先生おっしゃいましたように、会員につきましては非常に厳しい資格要件を設けておるわけでございます。 そういうことで、いまいわゆるブラックマーケット関係者に金を販売しておる事実がないかということでございますけれども、実は金地金の売買そのもの、金地金を現物で売買すること自体に関しましては、これは全く自由に行われているということでございまして、そういうわけで、会員各社の店頭で個人として金地金を購入するというような場合には、ブラックマーケット業者であるか否かという判別は非常に困難でありまして、いわゆるブラックマーケット業者に販売したかどうかというのを一々チェックはできないわけでございますけれども、こういう事実があったということだけを取り上げまして直ちに除名するということは適当ではないのではないかというふうに考えております。
○木下(元)委員 たとえば日本金地金流通協会の有力メンバーである田中貴金属工業というのがあります。これは業界の四〇%のシェアを持っております。金地金取引の最大手でありますが、ブラックマーケットとの会員である雪印商事に金を流している事実があります。 それは、確かに言われるように一回、二回、単発的な売買行為というものを私は問題にして言っているのじゃないのです。毎月八億から十億も流しておるのです。これまで五十億も流しておるということであります。恒常的にそういう取引関係がつくられるということは、これはやはり好ましくないと思うのです。私の方に計算書がございます。これは見てもらってもいいのですが、そういう大規模な取引をずっと継続して恒常的にやっておる。そういうことになると、これは私は好ましいことではないと思うのです。これでは協会の育成がブラックマーケット対策になるということを言われても、それはもうしり抜けではないか、そう言われても仕方がないじゃありませんか。
○山梨説明員 先ほどお答えしましたように、原則としてブラックマーケット業者であるか否かということがわからない段階では、なかなか識別が困難であるために店頭で販売することを禁ずるということは不可能なんでございますけれども、先生おっしゃいますように、会員の金地金の取引がいわゆるブラックマーケット業者の勧誘に悪用されるということはまことに望ましいことではございませんので、そういうことがございましたら十分注意するようにいたしたいと思います。
○木下(元)委員 結局PR対策や流通協会の育成ということでは、私はブラックマーケットを撲滅する対策としてはきわめて弱いと思うのです。本当に撲滅をするより強力な対策について考えておるところがあれば述べてもらいたいと思います。
○山梨説明員 ただいまの流通協会の設立は昨年末ぎりぎりでございまして、まだ日も浅いことでございますので、当面は私ども、流通組織の整備ということはこの団体を正しく育てるということを通じまして整備していきたいというふうに考えておりますのですが、先月の十九日の商工委員会並びに二十一日の予算委員会におきまして資源エネルギー庁長官がお答えしておりますが、ここに議事録がございますのですが、当面いま言ったような方向で流通の正常化を期待したいと思っているのですけれども、そういう状態でいわゆるブラックマーケットを撲滅できないという問題が起こりましたならば、これは放置できるようなことではございませんので、その段階におきまして新たな対策を講じてまいることがあるかもしれないというふうに答えておると思います。
○木下(元)委員 その新たな対策というのは、どういうふうなものを考えておるのですか。
○山梨説明員 具体的にはまだ申し上げる段階ではないというふうに考えております。
○木下(元)委員 通産省が八条違反の問題に刑事罰を適用するという問題、これは先ほども意見がありました罪刑法定主義の観点から異論がある、それで検討もするということであります。 その点はおくとしまして、少なくともこの八条というものが存在をするのです。刑事訴追の観点からは別といたしまして、この八条によって行政上の取り締まり、行政上の規制をしていくことは可能であると思うのです、そういう類似施設を開設してはならない、売買してはならないという条文があるわけでありますから。ひとつそういうことで、八条に基づいて行政上の規制を加えていくことを私は通産省が本腰を入れて取り組むように考えてもらいたいと思います。よろしいですか。
○細川説明員 先ほど来、八条といわゆる金のブラックマーケットにおきます悪質な取引の関係の質疑がございましたが、私ども、その八条と金のブラックマーケットの関係についてはこのように考えております。 商品取引所法の第八条は「先物取引をする商品市場に類似する施設を開設してはならない。」という規定をしておりますが、他方で金のいわゆるブラックマーケットは、悪質業者の契約内容等から判断いたしまして先物取引をする商品市場の類似施設には該当せず、商品取引所法八条による取り締まりは適用の範囲のいかんにかかわらず現状では困難であるというふうに考えております。すなわち金の悪質取引は、その契約約款等におきまして、商品取引所法の八条に言います先物取引の規定とは異なりまして、転売、買い戻しを行わないあるいは差金決済を行わないといった先物取引でない旨をうたっておりますので、商品取引所法に言う先物取引とは別の取引ではないかというふうに考えておるわけであります。 さらにブラックマーケットの多くは、個々人の取引量としてはわが国の需給実態を考えますと過大である一方、現実に現物の取引が行われておるかどうか疑わしいものであるというふうに思われます。こうした取引実態も明確でないようなものを、取引所法に言う「先物取引をする商品市場に類似する施設」というふうには考えにくいのではないかと考えておるわけであります。 なお、いわゆるブラックマーケットの構成員でない独立した悪質業者による被害も報告されておりますので、かかる実情を考慮しますと個々の業者に直接及ぶ対策が重要である、こういうふうに考えておるわけでございまして、先ほど申し上げましたいわゆる協会によります登録事業、これによる識別効果が早く効果をあらわすということを期待しておるわけでございます。 御質問の、八条に基づいて全面的に実態調査をすべきではないか、こういう御趣旨かと思いますが、商品取引所法の八条は先物取引をする商品市場に類似する施設の開設禁止を規定しておるものでございますが、本条に違反する者は司法当局による取り締まりを受けることとなるのでありまして、本条が行政庁に一般的な実態調査権限を付与した規定ではなく、本条に基づく実態調査というのは困難であろうかと思います。実態調査そのものということにつきましては事業者の任意の協力が不可欠でございまして、実際問題として、かかる悪質な取引業者の実態を考えますと、果たしてそのような任意の協力が得られるかどうかということについては疑問を持っておるわけでございます。
○木下(元)委員 この商品相場、商品取引を所管する省庁は通産省じゃないのですか。この金の商品取引において大変な無秩序、混乱が生じて公序良俗に反する、もう放置できないという事態も起こっておるわけですね。 そのときに、この所管の省庁がこれを規制し取り締まる、これがどうしてできないのでしょうか。これをさぼっておるから被害はどんどんふえるのですよ。事情聴取はできる、強制権限はどうもないのでむずかしいようなこともありましたけれども、事実関係を調査した上に立って、たとえばそういう非常に詐欺的な悪質な業者もたくさんおるということはお認めになっておられますが、さらに調査を進めて、そういうような問題に対しては詐欺で告発をするということも通産省としてはできるわけです。これはできるのではなくて、刑訴法は二百二十九条で「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」こう定めておるのですよ。そういう努力をする考えはないのかどうか、いかがですか。
○細川説明員 先ほど御説明いたしましたのは商品取引所法との関係で御説明申し上げたわけでございますが、通産省がこの悪質な金取引に対してこれからも積極的に対処するということについては何ら変わらないわけでございます。加えまして私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、通産省に許された範囲内におきましてできるだけのことはやってまいる所存でございます。
○木下(元)委員 告発のことも含めて考えるというふうに聞いてよろしいか。
○細川説明員 詐欺につきましては、そのような構成要件がはっきりするようなものがわれわれつかめました場合には必要な措置が講ぜられると思いますが、なお検討してみたいと思います。
○木下(元)委員 もう時間が来ましたので、最後に一言質問しますが、政府のブラックマーケットに対する考え方、見解なり対策について伺いましたが、私はどうも割り切れない、納得しがたいものを感ずるのであります。 このブラックマーケットと自民党議員とのつながりというものが実はいろいろあるように思います。たとえば某自民党議員がそのブラックマーケットの開設の祝賀会に出席をして激励をしている、こういう事実も雑誌に出ております。さらにこのブラックマーケット、東京金属地金市場というのがありまして、これが昨年総選挙の前に新政研究会という政治団体に四百万円の政治献金をしております。これは地金市場の手数料から献金をするということでありまして、形は個々の会員名儀で献金をいたしております。この新政研究会というのは自民党政調会長の安倍晋太郎氏の政治団体であります。その領収証の一部のコピーがここにもあります。これまでの見解、解釈にストップがかかったりあるいは強力な対策がどうも鈍るのは、この辺に根源があるのではないかという疑念が生じてもやむを得ないのではないか、私はこう思うのです。法務大臣、いかがでしょうか。
○前田(宏)政府委員 前に私から一言申し上げますが、先ほど来御議論がございましたように、商品取引所法の解釈が従来積極的であったのが消極的ではないかというお尋ねで、いろいろとお答えもしたわけでございますが、そのことはもっぱら法理論的な、また罪刑法定主義の面からする適正な解釈というものはどこにあるかという観点からのことでございまして、いま御指摘のような国会議員の方々がどういう関係にあるかというようなこととは全く無関係でございます。
○木下(元)委員 この商取法八条に違反する団体またはその構成員から、少なくとも商取法八条違反とまで断定しなくても違反の疑いが強い団体またはその構成員から、しかも詐欺の疑いがある取引をしているそういう団体あるいは構成員から、自民党の幹部の人が政治献金を受けるということはどうもよいことではないと私は思うのでありますが、法務大臣いかがですか。
○倉石国務大臣 よく研究してみたいと思います。
○木下(元)委員 少なくともそれは道義的に好ましいことではないと思うのです。ひとつ法務大臣としても、あるいはあなたは自民党の元老としても注意を喚起してもらいたいと思うのです。よろしいですか、最後に一言。
○倉石国務大臣 先ほど申し上げましたとおりで、調べてみます。
○木下(元)委員 終わります。
○木村委員長 岡田正勝君。
○岡田(正)委員 質問に入ります前に、法務大臣並びに政府委員の皆さん方に注文があります。 この刑法一部改正はロッキード事件再発防止対策の一環として五十一年十一月十二日のロッキード問題閣僚協議会以来の懸案事項でありまして、何回政府が御提案になりましても、野党が賛成をしておりながら不思議なことにこの法案は成立をしないのであります。まことに奇妙きてれつなことであります。この刑法の一部改正というのは、社会正義の上から見ましても全国民が特に注目をいたしておる問題でありますから、私は五つにしぼって質問をいたしますから、答弁は国民の理解が得られるように親切丁寧にお願いをしておきたいと思うのであります。 さて質問の第一点に入らしていただきますが、今回のこの法改正は、収賄罪等の法定刑を引き上げることを内容としたものでありますけれども、この法定刑の引き上げは収賄事犯などの発生防止に対して果たして効果が期待できるのでしょうか、お尋ねをいたします。
○前田(宏)政府委員 御提案申し上げております刑法の一部改正法案がなかなか成立をするに至らなかった、今国会改めてお願いをいたしておるわけでございますが、その間におきまして私どもの努力が不十分であったというおしかりを受けておるように理解しておるわけでございますが、私どもといたしまして努力の足りませんでした点はそれなりに考えておりますが、今国会におきましてはぜひ御可決を賜りたい、かように考えておる次第でございます。 そこで、お尋ねのこの今回の法改正の効果でございますが、先ほど来いろいろと御意見もございましたように、贈収賄事件の発生の防止につきましては、刑罰の強化というだけでは十分ではないということは事実であろうと思います。そのためには諸般の施策が講ぜられ、また国民の方々の御理解も高められるということが必要だろうというふうに考えるわけでございますけれども、私どもの立場からいたしますと、できますことは刑罰法令の改正ということでございまして、そこで考えられましたのが、従来の法定刑ではやはり軽過ぎるという国民の御批判もあるように理解するわけでございまして、そのことから今回のような御提案を申し上げているわけでございます。そのことによりまして贈収賄罪というものが放置できないものだということが国民の中にも広まると申しますか、国会の御意思でもあるということになりますと、それによって、公務員もそういうことはしてはならぬというふうに一層自覚が高まるのではないかと考えておる次第でございます。
○岡田(正)委員 政府の決意のほどを聞かしてもらって非常に結構でございました。与党の皆さん方の格段の前進を期待しておるものであります。 質問の第二でありますが、周知のようにロッキード事件においては、外国にいる関係者がその国の憲法によって認められております黙秘権を主張いたしまして証言することを拒否したために、関係機関は同証人に対し免責特権いわゆるイミュニティーを与えまして、これによって証言を強制し、よって証言せしめることに成功したと聞いていますが、わが国におきましてもこのようなイミュニティー制度を導入するということについて検討をしているのでしょうかいかがでしょうか、お尋ねいたします。
○前田(宏)政府委員 ただいまお話もございましたように、いわゆるロッキード事件の捜査の過程におきまして、アメリカ側でいろいろと協力していただいたわけでございます。その間におきましていまお尋ねのようなことがありまして、それが捜査に役立ったということも事実でございます。 しかしながら、このイミュニティー制度と申しますのはそれぞれ沿革もあるわけでございまして、また特にその国情によっていろいろと違ってくるのではないか、かように考えます。たとえばアメリカにおきましては、起訴不起訴につきましても警察官側と被疑者側とが、言葉が適当かどうかはわかりませんけれども、取引をするというような慣行もないわけではないように聞いておるわけでございます。しかし、わが日本ではどうもそういうことは国情に合わない、国民感情に合わないというふうな理解であろうかと思います。 このお尋ねのイミュニティー制度がそれと同じとは申しませんけれども、いわば一つのえさということは適当でないと思いますが利益を与えて真実を述べさせるということがこの実態であろうかと思うわけでございまして、そういうことが少なくとも現在のわが国において、また国民感情から見て適当かどうかということは相当疑問ではないかというふうにも考えるわけでございます。また実際の運用でも、日本では必ずしもこれがないということで支障があるというふうにもまだなっていないのではないかとも考えられるわけでございまして、いろいろと国民の考え方もだんだん変わってくるかと思いますので、今後私どもといたしましても検討はいたしますけれども、現時点では必ずしも適当ではないのではないか、かように考えている次第でございます。
○岡田(正)委員 なるほど、これはわが国の国情ということから言われますと、いまは自白で十分間に合っているという考え方もありますし、それからまた、いまおっしゃったえさを与える、利益を与えるという考え方がわが国の、まあ正義感といいますか、そういう面から照らしてもどうも実情に合わないということもある程度わかるのでありますけれども、国民がいらいらしておる捜査の進展ということについては、このイミュニティー制度というのは大変役立つのではないかと私は思うのであります。また、イミュニティー制度が認められたとなったら、ぐっとこの種の犯罪の防止、に役立つのではないかというふうにも思いますので、ただいまの御回答では検討を進めるというお答えでありますから、ぜひひとつ真剣に御検討いただきたいと思う次第であります。 次に質問の第三点でありますが、最近は、生活あるいは事業活動等にいたしましても諸般の分野にわたりまして国際化の時代と相なっております。国際的な司法共助あるいは捜査共助の問題につきまして正しい対応が必要であると思いますが、この問題に対しまする政府の取り組みについて、これはひとつ大臣の決意をお聞かせいただきたいと思う次第であります。
○倉石国務大臣 この問題につきましては、まともに取り組んで進めておる次第でございます。
○岡田(正)委員 ひとつぜひ真剣に前進をさせていただくようにお願いをしたいと思います。 続いて質問の第四点でありますが、今回の刑法の一部改正によりまして、特別法がありますね、その特別法によります贈収賄罪の法定刑との不均衡というものが生じると思うのでありますが、この点についてお尋ねをいたします。
○前田(宏)政府委員 御指摘のように、賄賂罪につきましては、いまお願いをいたしております刑法以外にいろいろと特別法がございます。 また特別法の中でも、大きく分けますと公務員とみなす、つまりみなす公務員という形の規定がありまして、そういう規定がありますと刑法が実質的に適用になるという形に相なるわけでございますが、一方そういう形ではなくて、それぞれの特別法におきまして、その法律で定める団体の役員であるとか職員であるとかいう者について刑法とは別な形で、もちろん似たような形ではございますけれども、その法律自体で贈収賄の規定を設けるというのが多々あるわけでございます。従来から相当な数に上っておるわけでございますが、それぞれいま申しましたように、個々には申しませんけれども、その団体の性格であるとか役職員の職務内容であるとか個々いろいろとあるわけでございまして、現行法でも必ずしも一致していない、重いのもあれば軽いのもあるというような状態に相なっております。 これも、ある機会に一応全般的にながめ渡して比較考量等もいたしまして、整備すべき点があれば整備しなければならぬのではないかというふうに考えておるわけでございますが、今回の改正が実現することになりますと、そういう他の特別法との関係というものを従来以上にまた検討しなければならぬという点が生じてこようかと思うわけでございます。したがいまして、とりあえずこの刑法の改正をお願いいたしまして、そこで御指摘のようなアンバランスが起こるというふうに見られました場合にはそれなりの措置をとりたい、かように考えております。
○岡田(正)委員 ありがとうございました。みなす公務員は言うならば自動的にこれが適用されるようなことになりますから問題はないのでありますが、それ以外に最近いろいろと新聞紙上をにぎわしておるような問題もありますし、それに似たような事件も起こり得る可能性が十分予測されますので、この問題につきましては将来必要によって整備をしていこう、まずこの刑法の改正が第一番だという御意思のようでありますから十分了解できますので、ぜひとも将来改正を目がけてお願いをしたいと思うのであります。 質問の第五点でありますが、およそ贈収賄事犯の再発防止及び公務員の綱紀粛正という問題については刑の引き上げだけによって果たせるとは私もどうも考えられぬのであります。この点から改めて法務大臣の所感と決意のほどをお伺いしたいのでありますが、よろしくお願いします。
○倉石国務大臣 御指摘のように、この種の事犯の防止のためには法定刑の引き上げのみで十分でないことはもう先ほどお話のありましたとおりでございます。 まずもって政治家を初め公務に従事いたしておるいわゆる公務員は国民全体の奉仕者であるという意識に徹しまして、その職務の重要性を十分自覚して、その職権を不当に利用したりまたは安易な役得意識を持つことのないように努めることが肝要であろうと存ずる次第であります。私どもといたしましても、政治倫理の確立、行政の公正確保のためにさらに一層努力をしなければならないのではないか。私どもといたしましては常に国民の代表として、またしたがって国民はわれわれの行動を見守っておるわけでございまして、しかも私どもの行う行為によって国民生活、国の将来にとっても大きな影響を持つわけでありますので、今日のような社会事象を見るにつけましても私どもはそういう点について十分努力をしてまいる必要があろう、このように考えておる次第でございます。
○岡田(正)委員 ありがとうございました。 それでは最後に意見を述べさしていただきたいと思いますが、この法改正以外にもっともっと検討すべき問題といたしまして、犯罪人引渡し条約締結国の拡大の問題それから周旋第三者収賄罪の新設の問題あるいは贈賄罪の国外犯規定の新設の問題あるいは政治資金規制のあり方の問題、選挙制度のあり方の問題等々数多くのものが関連して残されておりますが、せめてこの刑法の改正だけでも一日も早く施行すべきものだと私は考えておる次第であります。政府は御提案になっておるのですからこれは別段といたしましても、与党の皆さんの特段の前進を期待いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
○木村委員長 河野洋平君。
○河野(洋)委員 刑法の一部を改正する法律案について若干の御質問をいたしたいと思います。 この刑法の一部改正について、昨年大平総理が、一連の政治不信がつのる中で、ロッキード、ダグラス、グラマン、こういった問題を二度と起こさないように、再発を防止するためにいろいろと諮問機関その他に諮っていろいろな答申を得て、その中の一つにこの刑法の一部改正の中に盛られているものがあるわけでございますが、その答申案の中には法務省関係のものはこれだけだったのでしょうか、それともほかにもまだ幾つか再発防止について新しい法律をつくれあるいは法律を改正しろというようなものが答申案の中にあったのでしょうか、まずお答えをいただきたい。
○前田(宏)政府委員 いま河野委員の仰せになりましたのは、いわゆる提言と称せられている、民間の方を入れました総理大臣の私的諮問機関ということになっていたかと思いますけれども、その提言のことではなかろうかと思いますので、それに即して若干申し上げますと、法務省といたしましてはこの提言の中の第四が一番関係があるわけでございまして、その第四の一に「賄賂罪につき、刑の加重と公訴時効期間の延長を行う」ということがうたわれているわけでございます。これがただいま御審議をいただいております関係に相なるわけでございます。 それから、それに続きまして「国際的捜査・司法共助の拡大」ということが掲げてございます。これも先ほどお尋ねを受けましてお答えしたところでございますが、国際的な捜査共助というものの必要性にかんがみまして法案の作成作業を急いでいるところでございます。 また「関係機関の連絡協調の強化」ということもそれにつけ加えて書いてございます。これは当然のことでございますが、検察庁のみならず警察あるいは国税当局というものがいわゆる汚職に関係してくるわけでございますので、そういう関係機関がより一層連絡協調を密にしていくという趣旨で、これは運用の問題であるわけでございます。 それから、やはり罰則に関係ありますので、法務省自体ではございませんけれども、これも先ほどちょっとお尋ねがあったところでございますが、直接税の脱税事犯について刑を重くし、これに伴って公訴時効期間の延長を図るということが第四の二にうたわれております。この点につきましては、先ほど大蔵当局からも御説明があったわけでございますが、刑罰のことでございますので、私どもといたしましても、大蔵省の関係の部門と密接に連絡をとりながら、できるだけ早い機会にその改正が行われるように努力をしておるところでございます。 それから、順番がちょっと逆でございますが、第二の「企業倫理の確保のための対策」というところがございまして、その一に「監査制度の充実等企業の自主的監視機能を整備強化するための法改正を行う。」ということがうたわれております。これは私、直接の所管ではございませんで、法務省の中でむしろ民事局の所管のことでございますけれども、この関係におきましては、商法の一部改正という形でこの提言にありますような実体を実現していくということが考えられるわけでございまして、現に法制審議会におきまして、商法の全面改正の一環としてでございますが、さしあたってこの部門を少しでも早く実現したいということで審議が進められている、かように承知しておる次第でございます。
○河野(洋)委員 御説明を伺いますと、総理大臣の再発を防止しようという決意と御努力にもかかわらず、国会で立法措置をあるいは法改正をしなければならない部分についてはなかなか進んでいない。 たとえば当法務委員会にかかわる問題でも、この法律改正が前国会うまくいかなかった。今国会ではこうして審議をし賛成を得ようとしているわけですけれども、この国際的な捜査共助の問題については、まだ法律もできていないというように考えていいですか。
○前田(宏)政府委員 現段階におきましては完全な成案までは至っていないわけでございますが、若干の問題が残っているだけでございますので、若干国会への提出期間がおくれておるようなことで申しわけないわけでございますけれども、何とか今国会に間に合わせたい、こういう状態でございます。
○河野(洋)委員 法務省当局からお伺いをいたしますと、この国会で法務委員会にすでに御提案になっているのはたしか八案件だというふうに承っておりますが、その中には入っていない。これから急いでやろうというのですが、何とか努力をして間に合わせて、こういう再発を防止しようということで総理大臣がわざわざ所信表明演説の中で力んで演説までされたものなんですから、できるだけ早く法務省としても成案を見て提出をされるべきだと思うのです。 そういうことじゃないと、再発防止などと口では言うけれども、実際はなかなかやらないのじゃないかという政治不信はつのる一方だと思いますね。そして、それがただ単に政治家が口で言っているだけでというのじゃなくて、役所まで含めて、どうもこの問題はそう熱心じゃないなということにだんだんなると思うのですよ。とりわけ法務省のような役所は、こうした問題にはもっともっと熱心に取り組む必要がある。本来はこういうことは大臣が督励をすればいいことでございましょうけれども、私もこの政治不信を解消する必要性を痛感をしている人間として、法務省には特段の御努力をお願いをしたいと思います。 それから、再発を防止するということで私的諮問機関が十四ですか提言をされましたけれども、その提言の中には入っていないのですが、どうもこうした政治不信を招く大きな犯罪は、政府高官が中心で起こってくるというケースが多いわけですね。逆に言えば、政府高官が中心でやるからあるいは片棒を担いでいるから大きな犯罪が起こる。政府のこの種の問題についての発言、答弁などを聞いていると、みんながえりを正さなければいかぬということを盛んにおっしゃる。つまり一億総ざんげといいますか、みんなで反省しよう、みんなで反省しようと言うけれども、どうもそれは違うんじゃないか。反省すべきは政府高官が反省すべきものだ。国民はもう一方的に被害を受けているわけでございますし、許認可権を持っている人たちがこういう犯罪をやっているわけで、許認可権もなければ何の権限もない人間にえりを正せとか反省しろとか言わぬばかりの発言は、どうも私は納得できない。 もっと言えば、再発を防止するためには、大平総理は政治倫理法みたいなことを考えておられるという御発言がありましたけれども、本来から言えば政府倫理法とでもいうべきものが必要なんじゃないか。これはもう法務省は御検討をされていると思いますけれども、アメリカにおいて政府倫理法というものがございますが、こうしたことについては何かお考えがございますか。
○前田(宏)政府委員 私からお答えできる限度かどうかという気もいたしますけれども、確かに御指摘のようなことが問題であろうかと思うわけでございます。 先ほど来お尋ねの中にありました提言の中におきましても、その前文等におきましてそういうニュアンスのことが書かれているように私ども理解しておるわけでございます。逆な言い方からいたしますと「罰則の強化にのみ期待することは必ずしも望ましくはないが、」ということも触れておられるわけでございます。したがいまして、政治あるいは政府がえりを正すということで、その具体的な方策がやはり必要なんであろうというふうに私どもなりに考えるわけでございますが、従来のこの提言でのお取り扱いからいたしますと、政治倫理ということが第一に挙がっておるわけでございます。 そこで、その政治倫理のことにつきましては、先ほどもちょっとお触れになりました政治資金規正法の問題であるとか選挙法の問題であるとかいうことが基本になるというふうにも掲げられておりまして、この点は、政府側におきましては自治省の問題であり、また自民党の中でいろいろと御検討があるように伺っておるわけでございまして、私どもも検討を求められました場合にはそれなりの対応をしているというつもりでございます。 それとの関連におきまして、政府倫理法、私の記憶によりますと、政府高官等が外国から金をもらったとか金品をもらったとかいうような場合に規制を受けているという法律のことではないかと思いますが、そういう点がだんだん必要になってくるのではないかというふうに私なりには思いますけれども、これはちょっと一法務省といいますか私どもの問題だけでも片づかないむずかしい問題でございまして、内閣の方で基本方針を定められました場合には、私どもできるだけその線に沿ってやっていきたい、かように考えておるわけでございます。
○河野(洋)委員 確かに局長にお尋ねをするのには限度があるというふうに私も思います。しかし、いまの局長の御答弁を伺うと、そういうことも場合によっては必要であるかもしらぬ、そういうことも自分たちとすれば不必要なものだとは思わぬ、そういうことを政府が必要だと考えれば、自分たちは立法化の準備をする、こういうことだろうと思うのです。 そこで大臣にちょっとお伺いをいたしますが、政治家全体がえりを正すというのは、これはもう当然のこと、言うに必要のないことでございますが、ではありますけれども、昨今の政治に対する不信感というものは、これはまた否定のできないことでございます。とりわけそれが、いま私が申しましたように政治家に対する不信感、政治に対する不信感というものも大変なことでございますけれども、その根源は何かというと、さまざまな原因がございますけれども、その最大の原因はやはり政府、繰り返して申し上げますが、許認可権を持っておるとか権力を持っておる、権限を持っておる者が、その権力とか権限とか許認可権とかというものをどうも正しく使っていない場合が非常に問題なわけでございます。みんなでえりを正せ、一億総ざんげ論ではなくて、とりわけえりを正さなきゃいかぬ、悪いことをした場合には政府高官つまり許認可権とか権限を有するものはとりわけ重い罰則がある必要があるのだ、こういう考え方がございます。 あるいはまた、アメリカにございます政府倫理法なんというものの中には、退職公務員のビジネス活動の一定の規制でございますとかあるいはまた政府に倫理局などを置いてもう少し政府の倫理の問題をきちっとしよう。これは今日の日本のような状況では、倫理局を置いてもまたなれ合いで、なあなあで大して機能を果たさぬのじゃないかというような、そこまで不信感がきているわけで、なかなかそういうものがうまくいくかどうかという問題はありますけれども、やはり妙な宣言立法で、えりを正そうなどという宣言立法を幾つやってもみんな信用しない。むしろ具体的に政府倫理法とでもいうべき法律が必要じゃないか。それは別に悪いことをしているから必要だというのではなくて、それをやってもなおかつしゃんとできますよということを国民にも示す必要があるし、政府自身が倫理をもっともっと重く見るということからも、政府倫理法というものをお考えになる必要があるとお思いになりませんか、どうですか。御意見を承りたい。
○倉石国務大臣 長い間の御経験に照らしてただいまの御意見は、本当に私どもそうだな、傾聴に値する御意見であるとつくづく感ずる次第でございます。いまの諸般の状況を目の前にいたしまして、一遍内閣においても相談をして何とかいたしたいと思っております。
○河野(洋)委員 ぜひひとつ御検討をいただきたいと思います。 と申しますのは、私は、しつこく繰り返して恐縮でございますけれども、それぞれの地位を得ている者、それぞれの権限を有している者が、その地位やその権限を拡大解釈をして、野方図にそういうものを使って世の中を押し渡っているという昨今の風潮というものが非常に問題があると思うのですね。そこがまずモラルの点で問題がある。公の用事でもないのに公用の旅券をとって外国を旅行してみるとか、国会法に照らせば国鉄の無料パスは国会の会期中及び公務のために無料で国鉄は乗れると書いてあるのに、そういうものがもう野方図に無制限に、会期中であろうと閉会中であろうと、公務であろうと私用であろうと、ずるずると使われている。そういうものをみんなが承知しながらチェックしようともしない。ささいなことだ、大したことじゃない、みんなやっているのだからというようなことで、ずるずるいっておるということが問題なんじゃないか。ピンからキリまである話でございますけれども、ささいなことだ、ささいなことだということが、人間の倫理観、モラルというものをだんだん薄めていってしまって、そしてまあこのくらいはいいだろう、このくらいはいいだろうということが、本当に日本の自由主義とか自由主義社会に対する大きな不信感を招くような事件、不正を引き起こすことになっているように思うのですね。ささいな問題でも、やはり倫理、モラル、こういうものにのっとってきちんと処理をすべきものだと思うのです。 あるいは法務委員会で適当でない質問であるかもしれませんが、私は、尊敬する法務大臣に、確かに法務大臣としてそれぞれいろいろなお立場から御発言もございましょうけれども、私どもの先輩政治家としても、こうした政治家としてのモラル、倫理というようなものをもっと大事にしなければならぬと恐らく大臣お考えだと思うので、もう一度大臣の御所見を伺いたいと思います。
○倉石国務大臣 まことに御同感の至りであります。これはお互いに真剣に考え直さなければならない点がたくさんあるのではないかというふうに痛感いたします。
○河野(洋)委員 先ほど来、同僚、先輩議員が刑法の一部改正についてはそれぞれ質問をしておられます。 私どもも、この法案が一日も早く国会で賛成をされて機能することを支持をしているわけでございますから、この法案について私から細かい質問を申し上げることはもう必要ないと思いますが、もう一度、いまも御質問がありましたけれども、法定刑の引き上げをすることによって賄賂罪を阻止できるかどうか、賄賂罪の抑止力になるかどうかという議論、これがこの法律の議論の一番の根本だろうと思います。先ほど来から刑事局長からも、そうは言うけれども、法務省とすればこれをやることが一番の取っかかりだよ、こういう御答弁であったように思いますが、一体全体これで万事片がつくというふうにはだれも思っていない。しかし、ないよりはましだ、軽いよりは重くした方が少しは抑止力になる、こういうことでございましょうが、たとえば法人の賄賂の問題がありますね。個人の賄賂ではなくて、法人が組織ぐるみで贈賄をするという場合その法人自体を罰するという、そういう考え方、そういう規定、それについては何かお考えがございますか。
○前田(宏)政府委員 現在の刑法と申しますか刑事罰則の考え方が古いのかもしれませんが、ただいま御指摘のように、法人が組織ぐるみで仮に贈賄をするという場合には、その関係者の個人個人の責任という形で問われておるわけでございます。もちろん、仮に社長なら社長の指示があれば、共犯ということで社長も処罰し得るわけでございますが、法人つまり会社そのものを処罰するということにはならない、これは事実そのとおりでございます。 そういうことで、これは法人というものを罰すべきかどうかといいますか、法人に何か制裁を科すべきではないかということは古くから議論のあるところでございまして、いろんな面から論文等も出ておるわけでございます。これは贈収賄に限らずあるわけでございますし、最近の例で言えば、たとえば公害なら公害問題、これは企業としての一つの犯罪行為的なものだということで、それにまた限りませんわけでございます、脱税にしても、いろいろあるわけでございます。 そこで従来の考え方は、刑法では個人個人の刑事責任を問うということでございますが、特別法の面でいきますと、御案内かと思いますが両罰規定ということがございまして、これも担当者の処罰を通じて法人に処罰をかけるという形の両罰規定、個人と法人と両方処罰するという意味で両罰という言葉が使われておるわけでございます。その場合でも現在の規定の仕方では、たかだか罰金が法人に科せられるだけであって、これもものによっては何百万というのもございますけれども、それでも少ないじゃないかという御批判もあるわけでございます。そうかといって、これは妙な言い方ではありますけれども、法人そのものを刑務所に入れるというわけにはまいらないということでございますので、なかなかやり方がむずかしいということでございますし、基本的にさかのぼって、犯罪能力というような言葉を私どもの中であるいは学者も含めて使っておりますが、法人というものにそういう理解ができ得るかどうかという根本からの問題もございます。 しかし、そういうことを議論しておっても始まらない点もあるわけでございまして、現実のとらえ方として、どういうふうに規定の仕方をしているかという問題になるわけでございます。いま、いろいろと前後いたしましたようなことを申し上げたわけでございますが、やはり法人そのものの責任を何らかの形で追及すること、これが刑罰でいくべきであるかどうかという問題はもう一つあろうかと思います。極端に言えば、個人の場合の死刑に相当するように法人を解散させてしまうというようなことも考えられるわけでございます。そうなりますと刑事問題ではないようなことにもなるわけでございまして、いろいろな面からこの問題は検討しなければならない。御指摘のように世の中も進んでまいりますので、刑事問題だけではなくて民事的な問題あるいは社会的な問題として検討を進めるべきもの、かように考えております。
○河野(洋)委員 企業とその企業に属する人間との関係というものは、日本は独特なものがありますね。問題が起こると必ず不幸な自殺者が出る。みずからの命を絶つことによって上司といいますか企業あるいは団体というものを救っていくとか、人間の命を幾つか犠牲にすることによって企業自身は何も傷を受けずに生き延びていくというような、いやな風潮がわれわれの周りにはあるわけであります。私どもは、こうした法人に対する処罰というものをもうそろそろ真剣に考えていかなければならぬ時期に来ているのではないかというふうに考えておるわけでございます。 先ほどからお願いをしておりますように、まずはこの法案をつくり上げて、さまざまな再発防止について必要な法律をできるだけ急いでつくり上げるという努力をしていかなければならぬと思いますし、さらに私の考えでは、こうした犯罪は法律をつくることによって根絶できるかというとなかなかむずかしい。ないよりはまし、あればあったで若干の抑止力にはなるかもわからぬけれども、なかなかそれでぴしゃっと終わるものじゃない。やはり何といっても最後は政治家のモラルの問題に戻ってくる。とりわけ日本のように行政が非常に強い行政主導型の社会の中においては、世界に冠たる行政指導とか大変な許認可権を一手に握る政府、そういうものにまつわるさまざまな問題を根絶するためには、政府当局と申しましょうか関係者の倫理観というものをもう一度きちっとしなければいかぬ。できる限りみんなでそうしたものがきちっとできているかどうか見張る方も見張るわけでございますけれども、総理大臣以下まずは各大臣の方々の決意が必要であろうというふうに思うわけでございます。 大臣の決意のほどは先輩、同僚議員が繰り返し問いただした後でございますから、あえて繰り返し大臣に御決意を問うことはいたしませんけれども、先ほど来申し上げましたように、いまや政府の倫理が一番問われているのだということをどうぞ大臣におかれてはきちっと頭に入れていただいて、政府の倫理を確立する方策に全力を挙げていただきたい。と同時に、ささいなことであっても自分たちの地位を乱用するようなことがないように、大臣所属の自民党を初めとして各党にもそういう反省を求めたい。私どもももちろんみずからを省みて、そうしたことのないように注意をしたいと思います。そうやって、政治に対する不信感、自由主義社会に対するさまざまな疑問を取り除かなければ、日本の国のりっぱな繁栄発展はあり得ないというふうに思うからでございます。 大臣そして法務省御当局の御努力を促して、私の質問を終わります。
○木村委員長 柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 刑法の百九十七条の法定刑、これはいままで基本刑で三年以下ということになっているわけですが、刑法全体を見てみますと、法定刑三年以下というのは比較的軽い法定刑であるというふうに思われるわけです。窃盗だとか詐欺だとか業務上横領、こうしたものが十年以下という法定刑になっているわけですけれども、金は受け取る、それから国家に関する犯罪である、そうした収賄罪をいままで比較的軽いものとして考えてきたのではなかろうかと思うのです。 今度の刑法改正案では、その提案理由説明を見てみますと「贈収賄事件が増加し、かつ、悪質化する傾向にある実情にかんがみ、この種事犯に対し、事案に応じた適切な科刑の実現を図り、かつ一般予防的効果を期するため、」法定刑を引き上げることが「きわめて緊要なことである」ということが述べられているのですけれども、この提案理由をあわせ考えてみますと、たとえば総理大臣が五億円の賄賂を受け取るとか、防衛庁長官が五億円の金を受け取るとか、そしてまたこれは時効で逃れることにもなっているわけですけれども、大型の収賄事件あるいは地位も高くてその影響力も非常に大きいというような問題で、そういうものが加味されて、やはりいまの三年以下、請託の場合は五年以下、これでは法定刑の上限が低過ぎるというようなお考えがあって今回の改正を提案されているのかどうか、お伺いいたします。
○前田(宏)政府委員 御指摘のとおりでありまして、いま委員の方からお読み上げになって恐縮でございますが、提案理由説明でもそのようなことを申し上げているわけでございます。 さらに、これをこの案以上に上げるべきかどうかという御議論もあるいはあろうかと思いますけれども、この法案の上げ幅程度が相当ではないかというふうにいま考えておるわけでございます。御案内の刑法全面改正作業の中におきましても、各種の罪につきまして法定刑をいろいろと再検討したという経過がございますが、その場合においても今回お願いしておるような案になっているわけでもございますので、私どもは、現段階ではその程度が相当ではないか、かように考えておる次第であります。
○柴田(睦)委員 資料の中に「主要各国における贈収賄罪の法定刑一覧」というのがありまして、フランスなんかは二年以上十年以下の拘禁、それから大韓民国、ロシア共和国、こういうところは五年以下、それからアメリカ合衆国のニューヨーク州では七年以下、チェコスロバキアでは一年以上五年以下の自由剥奪、こういうようなことが載っているわけですけれども、諸外国の法定刑との比較においても、日本においては五年ぐらいが妥当である、こういう点も考慮して提案されているわけでしょうか。
○前田(宏)政府委員 ただいま御引用になりましたように、諸外国の例も私ども検討したわけでございますけれども、必ずしも同列といいますか一律でないわけでございまして、それぞれの国情等もあろうかと思いますが、わが現行法よりも重いのもありますし、また反面軽いのもあるというようなことでございます。 しかし、とりあえず、この資料にも十ばかりの国の例を拾っておるわけでございますが、これらを達観してというのはいかがかと思いますけれども、ずっとながめ渡しますと、今回御提案申し上げているような程度が座りがいいのではないか、かように考えた次第でございます。
○柴田(睦)委員 法定刑の上限が引き上げられるということになりますと、具体的な裁判においてもやはり変わってくると思うわけです。検察官は法廷において意見を述べる段階でいわゆる求刑をされるわけですけれども、そうした求刑だとかあるいは裁判に対しても、刑法の改正が行われるとそこにも影響があらわれてくるのかどうか、見通しをお伺いします。
○前田(宏)政府委員 具体的な事件のことでございますのでケース・バイ・ケースということにも相なるわけでございますが、一般的に申しまして、検察官の求刑あるいは裁判所の量刑というものは、やはり法定刑というものを頭に置きながら、それと事案との関係において決められてくるという点が多いだろうと思います。 したがいまして、今回この法案をお願いいたしまして成立を見ました場合、直ちに裁判の運用が一挙に重くなるということは言えないかと思いますけれども、こういう法律が制定されたこと自体の意味、また法律的に見ましても、法定刑の上限が上がっておるということの効果というものは徐々に、ケース・バイ・ケースではございますけれども期待できるのではないか、かように考えております。
○柴田(睦)委員 それから資料を見てみますと「贈収賄事件の受理・処理状況」という資料ですけれども、昭和四十三年、四十四年当時は起訴率が五〇%程度、それからその後は五〇%から六〇%近くになってきて、五十一年が六八%、五十二年が六七%、五十三年に至っては七一・六%が起訴されるということになっているわけで、ほかの犯罪の起訴率などに比べてみると、この贈収賄事件は起訴率が非常に高いのじゃないかと思うのですが、どういうことからこういう高い起訴率になっているかお伺いします。
○前田(宏)政府委員 贈収賄関係の起訴率につきましてはこの資料にもございまして、いま御指摘のような数字になっておるわけでございますが、ほかの犯罪との対比ということになりますと、この贈収賄事件の絶対数自体が必ずしも多くないのでございまして、その場合の率というものがどれだけの意味を持つかということも一つ前提としてはあろうかと思います。 しかし反面、こういう事件は絶対数がそれだけ少ないということはそれだけ実のあるものが検挙されておるということもあるわけでございます。それから、率が上がっているということは最近の状況等もおのずからそこに反映されているのではないか、かように理解しておるわけでございます。
○柴田(睦)委員 法定刑の引き上げということから当然公訴時効が延長されるという問題が出てくるわけです。 特にロッキードのときの灰色高官また日商岩井の事件に関連しての松野氏の金を受け取った事件、そうしたものが時効という問題で結局不起訴にせざるを得ないというようなことがあったわけですが、そういう点の公訴時効のこともやはり提案理由にもありますし、このことも十分いろいろお考えになった案だと思うのです。いま日本の法律では、法定刑ごとに区別をして、それからそれに応じた公訴時効期間を決めるということが行われているわけですけれども、そうした法定刑ごとに区別をして一律に公訴時効を決めるということは、現代の発達した諸国において一般的なものであるかどうか。それから、そういうやり方について刑事訴訟法上は一番合理性があるというようにお考えであるかどうか。この点をお伺いします。
○前田(宏)政府委員 御提案申し上げて御審議いただいておるこの法案は、表向きといいますか形式的には法定刑の引き上げでございますけれども、実質的には、ただいま御指摘のように、そのことによりまして公訴時効期間が延びるというわけでございます。そういう意味におきましては、実質的には二つの大きな問題点がある、改正点がある、かように私どもも考えておる次第でございます。 それから、ただいま委員も仰せになりましたように、わが現行法制のもとにおきましては、法定刑を中心として公訴時効期間というものがおのずから定まってくるというような関係になっております。これはやはり罪の軽重、罪の重い軽いというものが法定刑によってあらわされておるということであろうと思いますし、公訴時効というものもやはり重い罪は長く軽い罪は短くということであろうと思いまして、そういうことから現在の刑法と刑事訴訟法の関係が現行法のようになっておるものと理解しておりまして、そのことは私どもとしては相当な考え方ではないか、かように考えておるわけでございます。一部の罪につきまして、法定刑をそのままにしまして公訴時効期間だけを延長するということも全く不可能ではないかと思いますけれども、それにはそれなりの特別な事情がありません場合には、他の罪との関係でかえってアンバランスになるということも起こるように思う次第でございます。
○柴田(睦)委員 特別法で公訴期間を刑事訴訟法と別に定めているものは現在はないんじゃないかと思うのです。過去には公職選挙法を初めあったと思うのですけれども、それも廃止されてきているわけですが、いま一つの点は、私が教えてもらいたいのは、特別法であるかどうかということ、それから、いままでどんなものがあって、これがどういう理由で特別法による時効の特別扱いをやめたのかということをお伺いしたいと思います。
○前田(宏)政府委員 ただいま委員もおっしゃいましたように、わが現行法では特別な規定というものを設けている例はほとんどないと言ってもいいかと思いますけれども、いま一つ私の記憶にございますのは、法務省の所管の法律で簡単に言えば公害罪法と呼ばれている法律がございます。 この場合にはちょっと性質が違うと思いますけれども、先ほど御議論もありましたように両罰規定の関係がございまして、個人の犯罪者は自由刑がついておるわけでございますが、法人あるいは人という、つまり企業主体は罰金しか刑がないわけでございます。したがいまして、先ほど河野委員の御議論にも関係するようなことでございますけれども、その公訴時効というものを同じ扱いにしたらいいのではないかということが当時議論になりまして、たしかその面で若干例外的な規定があったというふうに記憶しております。
○柴田(睦)委員 特別法で時効期間を一定の犯罪については、いままでの例は何か短かった、短期の公訴時効にしたと思うのですけれども、これを長くすることは理論上は許されることでしょうか。可能なことでしょうか。
○前田(宏)政府委員 先ほどもちょっと触れましたように、その公訴時効期間について非常な特例を設けるということは、それなりの合理的な理由があれば不可能ではないだろうというふうには申したわけでございますが、実際の問題といたしますと、それだけの合理的な理由というものはなかなか見つけにくいといいますか、他の犯罪とのバランスの問題から見ますとなかなか困難ではなかろうか。先ほどちょっと申しました公害罪法の関係はそういうものとはまたちょっと異質な問題でございますので、基本的にはやはり法定刑との相関関係ということでいくべきではないかと当面は考えております。
○柴田(睦)委員 最後に、大臣の方にお聞きしたいと思うのですけれども、この法律というのはやはり汚職再発防止の対策のうちの一つである、もちろんこれだけでは間に合わない、いろいろなことが必要であるということを言われているわけですけれども、この法律が通った場合に、そういう綱紀の粛正あるいは汚職再発を絶対に防止するという面から、公務員なりまた国民なりに、こういう趣旨である、そしてまたこのことによってどうあるべきだというような具体的な指示あるいは理解を得られるような対策を講ずる必要があるのじゃないかと思うのですけれども、大臣はそのことについて、国民や公務員特に政府高官、こうしたところについて、そういう観点から何らかの指示といいますか理解を得るための措置を講ぜられるかどうか、お伺いしたいと思います。
○倉石国務大臣 私ども、ここでしばしばそういう御議論もございましたが、つまりこれだけで諸般の状況が浄化されてしまうだろうということはとても考えられないことでありますけれども、しかし、再発防止の御意見を出していただきました方々の御意見の中にもこういうことをすべきであるという御指摘がございますし、それからまた政府といたしましても、新しい法律が成立いたしますといろいろな機関でそれを敷衍するようにいままでもやっております。 私どもといたしましては、御存じのように事柄が非常に大事な事柄に対処していくための一つの法改正でありますので、そういうことにつきましては法務省といたしましても周知できるようなあらゆる機会を持ちたいと思っておるわけであります。これと並行して、先ほど河野委員も申されましたようなことについて、私どもは政府の立場でありますので、できるだけそういう方向に沿うた効果の上がることについて検討してまいりたいと思っておるわけであります。
○柴田(睦)委員 では次に国税庁の方に伺います。 三月十日に東京地方裁判所の刑事二十五部で、法人税法違反についてこれは四億八千九百十万円を脱税したということで判決がありました。その中で、国税庁の査察調査のやり方について判決の中で具体的な指摘がなされております。これは判決の要旨になるかと思いますけれども、ちょっと読んでみますと 国税局の段階では、右陳情に応じて真実を充分に調査もせず、虚偽の申立てを認容した右各期二〇〇〇万円と、毎月三〇〇万円三年間合計一億八〇〇万円の各金額は、その後の検察官の捜査によって真実が明らかとなり、結果として罪証隠滅の効果はなかったのであるが、本来、厳正であるべき査察調査が、右のような外部からの陳情によって安易に、真実と違った認定がされている経緯につき、国税局係官である証人の供述によれば、要するに「いわゆる”えらい人”を連れてきたんじゃないかともおもわれますが、担当の統轄官より、もっと上のような感じを受ける上司のところへ二回にわたって陳情にきて、それを契機として取扱いが二度にわたつて変更され、「NA」支出については当初は全部所得に入れていたのを最初の段階で各期二〇〇〇万円のホステス募集費を経費として認容したこと、第二段階では「NA」の金額の全部(一億八〇〇万円)を顧問料であるというかたちで経費として認容してしまったものであること、これについては積極的に裏付けるような証拠資料はなかったが、あえて認めたものであること」が認められる。 更に、右四通の上申書の受付印についても、同証人の供述によれば、正確であるべき公印である「東京国税局査察部」の受付印の日付が遡のぼらせて真実と異なる日付で処理されている事実が認められる。 こういうふうに書いているわけで、このことを判決の中で指摘されているわけです。 この点について、国税庁は実際はどういう取り扱いをしてきたのか、まずお伺いします。
○日向説明員 柴田委員御指摘の件は、かねて東京国税局が法人税法違反の容疑で東京地検に告発しておりましたトルコぶろを営業いたします株式会社中央観光外三社に係る件だというふうに存じ上げるわけでございますが、本件につきまして、去る十日東京地裁におきまして第一審の判決が出されたことは私も十分承知しているところであります。 しかしながら、いまだ判決文全文につきまして入手しておりませんので、いま柴田委員は判決要旨に即しておっしゃられたわけでございますが、そこで言われておると伝えられております個々の事実につきましていろいろ御指摘がございましたが、私正確なことをいま申し上げることはできませんことを御了解いただきたいと思うわけでございます。 柴田委員の御質問の趣旨は、私が伺っておりまして、経費についての判断の問題が主体をなしているというふうに感じておるところでございますが、私が聞いておりますところで申し上げますと、本件は、わずかな申告のトルコを営業しております業者につきましてこれを東京国税局が摘発をいたしまして、十億円を超すというふうな大型の脱税事件に発展していったわけでございます。御案内のように帳簿組織等も十分に整っておらないという状況で、その処理に大変苦労したというふうに聞いておるわけでございますが、この調査の過程におきまして、犯則嫌疑者サイドの方から経費についての種々の御主張があったわけでございます。私どももちろん、そういった御主張につきまして、真実を解明するという立場からわれわれが把握しております資料等と十分照らし合わせまして、できるだけの判断をさせていただいておるわけでございます。そういう状況で、その査察調査の当時の段階で経費ということで判断したものというふうに私聞いておるわけでございます。 なお、判決の要旨に委員はお触れになりまして陳情云々というお話がございましたが、私どもは、税務調査を展開します過程におきまして、本当のところはどこにあるのだろうかということを与えられた条件のもとで精いっぱい解明しておるつもりでございまして、陳情と俗に言われておりますることも犯則嫌疑者サイドからの御主張というふうに受けとめまして、真実を解明するための資料として検討対象にしておるわけでございます。決して、それをうのみにして筋を曲げたり、また不適正な処理をするということではございません。私どもに与えられております条件の中で、私どもがそれまで把握しておりますいろいろな資料等と照らし合わせて、その段階で十分に判断させておるところでございまして、ぜひそういう点御了解いただきたいと思います。 以上でございます。
○柴田(睦)委員 まだはっきり調査をなさっていないのかもしれませんけれども、本来国税庁が査察をやる場合は、これは脱税の容疑があってその脱税を摘発する、明らかにする、こういうことでやられるわけですから、一般的には非常に厳しいものであるというふうに言われているわけです。 そういう中で、裏づけのないのに、しかもこの裁判の上ではうそだと言われるようなものを経費として認めてやっているということ、これは査察とすれば、判決で言っているように何か非常に疑念、疑惑を持つものがあるわけです。ですから、いままでの国税庁の扱いでは、それを経費として認めてやった。しかし判決では、それは本来経費になるものじゃない、こう言っているということから考えてみました場合に、裁判の上で裁判所が、検察官が証拠を集めてそしてその上に立って判決をする、その判断の中でこのことを示されているということになれば、やはりもう一遍調べるということが必要ではないか、そしてこのことによって、あるいは架空のものを経費として認めることによって脱税を見逃してやっている分については、これはやはり正規な徴収をしなければならないんじゃないか、こういうように考えるのですけれども、いまの段階で国税庁としてはどのように考えておりますか。
○日向説明員 先ほど申し上げましたように、この問題につきましては去る十日に第一審の判決がおりたばかりでございまして、私が現在までのところ聞いておりますところでは、まだ確定していないやに伺っております。したがいまして、この推移を十分見きわめた上で、私どもといたしまして適正な処置をいたすつもりでございます。
○柴田(睦)委員 国税監察官というのは、大蔵省の設置法三十八条によって、所属職員に対して、刑法百九十八条贈賄罪の犯罪、職員が贈賄を受けたというような場合にまでちゃんと捜査ができるようになっているわけです。 判決がまだ確定してないから、いまはまだだ、その推移を見てということですけれども、一審の判決がここまで指摘をしているというような場合においては、やはりこのことを調べ直すということが必要じゃないか。そしてこういう事例、特に裏づけのないものを認めてやるということには、いわゆる地位を利用したあるいはその裏で金が動くというようなことがあるんじゃないか、こういうふうにみんなが疑惑を持つわけですから、そういう面でも調べなければならないと思うのですが、そういう考えはあるかどうかお伺いします。
○日向説明員 私に対する御指名ではないかと思いますが、いま委員の御指摘の中に、一つ、私聞いておりまして裏づけのないというお話がございましたが、私は先ほどの御答弁でも申し上げましたと思うのでございますが、犯則嫌疑者サイドの御主張をうのみにしたわけではございませんで、その当時私ども査察の段階で把握しておりました資料等とも照らし合わせまして、できる限りの判断をしたつもりでございまして、その点だけ一言申し添えさせていただきたいと思います。
○小林説明員 国税庁監察官の職務につきましては先生御指摘のとおりでございまして、大蔵省設置法三十二条八号に定めるところによりますと、まず一番目に、国税庁所属職員の非行容疑につきましてその職務上必要な監察を行い、その結果、当該非行容疑が同法第三十八条第一項に掲げる犯罪に該当すると認められた場合に、当該犯罪に関する捜査を行った上で必要な措置をとる、こういうことになっているわけであります。 そこで、御指摘の点につきましては、先ほど査察課長からお答え申し上げましたとおり、まだ私ども判決文の全文を入手しておりませんし、また現在のところでは、これは査察調査における課税上の問題でございまして、監察官としての調査を行う必要があるような問題が生ずるおそれはないんじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。
○柴田(睦)委員 最初に読みましたように、この要旨の中でも、認容したことについては「積極的に裏付けるような証拠資料はなかったが、あえて認めたものである」これは証人の証言を引用してそう言っているわけです。ですから、この点は、判決文を読んでいらっしゃらなければ仕方がないですけれども、そういう前提で、そういうことが行われているということでやはり調べなければならないということを言っておきたいと思います。 それから、これは刑事局長にお伺いしますけれども、この問題は具体的な事件になるわけですけれども、一般的に、査察のときに一応調べて裏づけもないのに、最初読み上げましたような経過で経費を認めてやる、裏づけもないものを認めてやるというような場合、それが非常に多額の経費を認めてやるというような場合においては、やはり国民自身もそういうところに、国税庁と納税者との間において何らかの癒着があったんじゃないか、あるいはその間に金が動いているんじゃないかというようなことを考えるわけですけれども、一般的に、検察官が脱税事件なんかを調べていて、何か普通ではやれないようなことがやられている、そういうものを発見したような場合において、やはりそこまで踏み込んでいって、なぜそういうことが行われたんだろうかというような調査をして、あるいは贈収賄の疑念を持って調べる。この告発されたのは脱税事件であるけれども、その調べの過程において犯罪のにおいがする、疑いがあるというような場合には、さらに突き進んで調べていくものであるかどうか、そのことと、それからこの件についてそういう点が調べられたかどうか、わかればお答えを願いたいと思います。
○前田(宏)政府委員 御指摘の事件につきましては、先ほど国税当局からもお答えがありましたわけですが、検察当局といたしましても判決文そのものをまだ入手してないわけでございます。 要旨というものが新聞報道されたことは十分承知しておりますけれども、原文そのものがまだ入手されておりませんので、正確を期する意味におきましても、入手できましたならば早急にそれを検討いたしまして、もし不審の点があれば、検察当局といたしましてもそれなりの措置をとると思いますけれども、また、何らかの事実がありましたら当然査察当局にも御連絡を申し上げるということは十分あり得ることと思います。しかし、その前提といたしまして、先ほど来架空の経費というお話がございまして、それが前提になって御質疑が重ねられておるわけでございますが、私ども聞いております範囲では、どうもそういうことではなかったのではないかというふうにも聞いておるわけでございます。 いずれにいたしましても、先ほど申しましたように、判決文そのものを入手いたしまして、どこに問題があったかということを明らかにいたしました上で、仮に問題がありましたならばそれなりの措置をとらしていただきたい、かように考えます。
○柴田(睦)委員 終わります。
○木村委員長 次回は、来る二十五日火曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時三十分散会