法務委員会 第4号
- 発言数
- 157 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1980/02/22
会議録
○木村委員長 これより会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所牧事務総長、大西総務局長、勝見人事局長、西山民事局長からそれぞれ出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○木村委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎武三郎君。
○山崎(武)委員 今回の裁判所職員の増員は、判事二十二人、裁判官以外の裁判所職員十五人、計三十七人となっていますが、当初要求はどの程度であったのか説明願います。
○大西最高裁判所長官代理者 昨年八月の当初要求の際の人数でございますが、判事が二十三名、裁判官以外の裁判所職員七十七名、合計百名というのが当初要求の数字でございます。
○山崎(武)委員 提案理由の説明によりますと、今回の増員は、地裁における特殊損害賠償事件、差止訴訟事件、民事執行法に基づく執行事件、覚せい剤取締法違反等刑事事件及び労働関係民事・行政事件、家裁における家事調停事件並びに簡裁における民事調停事件の適正迅速な処理を図るためとあります。 それぞれの事件について、事件数の推移、処理状況等を含めて、増員理由をもう少し具体的に説明されたい。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま山崎委員仰せになりましたように、増員の理由が細かくいろいろ分かれておりますので、それぞれについて簡単に御説明申し上げたいと思います。 お手元に差し上げております法律案関係資料の二十五ページのところから御説明申し上げたいと思いますが、参考資料の九というところでございます。参考資料九は、いわゆる特殊損害賠償の訴訟事件の最近三年間の各年末の係属事件数を示したものでございますが、その特損事件、公害とその他に分けて記載してございますが、合計で五十一年の三千二十六件から五十三年の三千四百五十七件というふうに、逐次係属事件数が増加しておるというふうな状況でございます。 その下の欄の十が差止訴訟事件の同じく各年末の係属事件数でございますが、これも三百四十件余りから三百九十五件というふうに順次増加を示しておるという状況でございます。 その次の二十六ページの資料の番号十一でございますが、この表が地方裁判所の執行事件の最近三年の新受件数を示したものでございますが、ごらんいただきますと、たとえば競売法による競売事件は一万七千件余りから二万五千件ぐらいにふえておりますし、また債権等に対する強制執行も四万五千件ぐらいから五万一千件ぐらいにふえておる状況を示しております。 なお、その執行の関係につきましてはいわゆる民事執行法の改正が行われまして、今年の十月から施行ということに相なりますが、その関係、その新法によりまして若干物件明細書を作成いたしますとかあるいは配当事件が少しふえるのではないかというような予想もございまして、そういう意味で、最近における事件数の増のほかに、新法による事件数の増の予想というようなことがいま考えられておるところでございます。 それから、次の二十七ページの十二が刑事の関係の覚せい剤取締法違反等の薬物関係事件の新受の人員数を示したものでございますが、これも、ここに書いてございますように、一万四千件ぐらいから二万三千数百件というふうに増加を示しております。 それから、次の十三が労働関係の民事・行政の訴訟事件の既済事件の審理期間を示したものでございますが、これは特に順次ふえておるというほどのことでもございませんが、二十四カ月から二十七カ月ぐらいにというふうに非常に長期間かかっておりまして、同じ資料の二十四ページの八表というところに一般の事件の審理期間を載せてございますが、その地方裁判所の民事のところの審理期間と比較ごらんいただきますとおわかりいただけると思いますが、大体倍ぐらいの審理期間がかかっておって非常に長期化しておるということを御理解いただけるのではないかと思います。 そういうようなことで、事件数の増、事務量の増加あるいは審理期間が非常に長いというふうなそれぞれの事件につきまして、それを適正迅速に処理するために必要な人員ということで判事、書記官、事務官等の増員をお願いしておるということでございます。 それからもう一つは、最後の十四表、これは家庭裁判所の事件を書いたものでございますが、そこの調停の欄をごらんいただきますと七万八千件から八万一千件ぐらいにふえておるという状況にございますし、それから、戻っていただきまして二十三ページに簡易裁判所の受件数が出ておりますが、そこにやはり民事のところに調停という欄がございますが、簡易裁判所の民事調停も逐次ふえておるというふうな状況にございます。こういう調停事件の適正迅速な処理を図るというふうなことから事務官の増加をお願いしておる、こういうふうな状況でございます。 以上でございます。
○山崎(武)委員 資料によりますと、昨年十二月一日現在で判事の欠員は二十名となっていますが、年度末にはさらにふえると思われるが、どのぐらいになるのか、欠員の理由も含めて御説明願います。 また、年度末における判事の欠員の補充と今回増員の二十二人の補給源について御説明願います。なお、年度末における判事補の欠員予定数と、その補充についてもあわせて説明ください。
○勝見最高裁判所長官代理者 まず判事の関係でございますが、御指摘のとおり、昨年の十二月一日現在の判事の欠員は二十名でございます。 なお、本年四月までの間にさらに定年等の関係で減耗が見込まれまして、これも約二十ぐらいふえる見込みでございます。今回増員をお願いしております二十二を加えますと、いわゆる欠員が合計六十を超えることになりますけれども、この四月に判事補十年を経験いたしまして判事に任命される資格を取得するに至る者が、これは二十二期でございますが六十二名ございます。以上のようなことでございまして、判事の欠員を充員することができるという見込みでございます。 なお、欠員の生じる理由というお尋ねでございますが、御承知のとおり、裁判官の場合にはそれぞれ資格要件が厳格に定められておりますので、その意味で給源が限られております。また定年制がしかれておりますこと、それからやはり願免でおやめになる方等がございますので、その都度補充していくということが困難な状態であるということでございます。 それから判事補の充員計画でございますが、お手元の資料にございますように、昨年の十二月一日現在で判事補の欠員は三名でございます。それから、ことしの四月に、先ほど申し上げました判事補で判事になる資格を取得する者が六十二名おります。さらに、本年四月までに判事補で願免、みずから退官を願い出ている者もございますので、本年四月現在で大体六十五名ぐらいの欠員になろうかと思います。 一方、四月初旬に司法研修所の修習を終えまして判事補を志望している者が六十五名を超えておりますので、この修習生からの判事補を加えますと、判事補の定員と欠員、それに対する充員が大体過不足なくできるものというふうに考えております。
○山崎(武)委員 次に、裁判官以外の裁判所職員についてお尋ねいたします。 まず、資料によりますと、今回の裁判官以外の職員の増員は、書記官は十六人増、事務官は三十一人増、三十二人減で、結局十五人増となっています。事務官三十二人の減員は政府の定員削減計画への協力だと思われますが、この間の事情を説明願いたい。 また、政府の定員削減計画は来年度から新たに実施されると聞いていますが、裁判所としては、この削減計画への協力として何年計画で全体で何人の削減を予定しているのか。また、司法行政事務への影響は生じないのかどうか。あわせて説明願いたい。 次に、資料によりますと、昨年十二月一日現在で、書記官は九十三人の欠員、事務官は二百六十九人の過員となっていますが、この間の事情もあわせて説明願います。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のように、裁判官以外の一般の職員につきましては、書記官が十六人増、事務官が三十一人増、逆に事務官が三十二人減で、差し引き十五人増ということになっております。その間の事情でございますが、ただいま御指摘のように、三十二人の減というのは、いわゆる定員削減計画に御協力を申し上げるという分に当たるわけでございます。 若干敷衍して申し上げますと、五十四年、昨年の九月に「昭和五十五年度以降の定員管理について」という閣議決定がございまして、それに基づきまして、さらに五十四年十月に同じく「昭和五十五年度以降の定員管理計画の実施について」という閣議決定で、五カ年計画で国家公務員を一定の比率で順次削減していく、そういう決定が行われたわけでございます。裁判所の方の関係では、内閣官房長官名で、この政府の方針に協力を依頼するという趣旨で事務総長あて、この閣議決定を参考送付してきたというわけでございます。 裁判所といたしましては、もとよりこの閣議決定に拘束されるものではございませんし、また裁判官でございますとか書記官でございますとか、そういうふうな裁判部門に直接従事しております職員につきましては、適正迅速な裁判を実現するという意味から申しまして、こういう削減をするということは適当ではない。ただ裁判所の中にも、そういう純粋な裁判部門ではございませんで、いわゆる司法行政に従事しておる関係の職員がございまして、その方の職員につきましては、全く同じではございませんが政府部内の行政の職員に似た性質がある、そういう意味で、そちらの方につきましては裁判所も政府の方針に御協力を申し上げるということで、昭和五十五年度については三十二人の削減ということになったわけでございます。 ただいま御質問にございました何年計画ということでございますが、これは、政府も五年計画のようでございますが、裁判所も同様五年計画でほぼ同数ずつ順次削減をしていこう、こういうことになっておるわけでございます。 それからもう一つは、資料にございます書記官九十三人の欠員と事務官二百六十九人の過員の関係でございますが、書記官は御承知のように一定の資格が必要でございまして、年度内に順次欠員ができました場合に逐次補充できるというものではございません。一方、書記官研修所で書記官を養成しておるというふうな関係がございます。したがいまして、この事務官の過員というのは、この書記官研修所に入っておるいわば書記官の卵、ほぼそういう数に当たるわけでございまして、春に書記官研修所を卒業してそれが書記官に移っていく、そういう関係になるわけでございます。そういう意味で、十二月現在では書記官の方に欠員があり事務官の方に過員がある、そういう関係になっておるわけでございます。
○山崎(武)委員 終わります。
○木村委員長 楯兼次郎君。
○楯委員 時間が一時間でありますので、四点ばかり時間内で御質問をいたしたいと思います。 いま山崎議員から質問があったのでありますが、今度の裁判所職員の増員内訳を見まして、私も少し不可解なことがあるわけです。 細かいことは省略をいたしまして、裁判官以外の裁判所職員でプラス・マイナスで一名減、こういう数字が出ておるわけですが、私の感想を申し上げますと、政府の行政改革に裁判所も協力をした、その苦肉の策としてプラス・マイナスしてマイナス一、こういう数字が出てきたのではないか、こう思うわけです。これでは裁判所の独立性といいますか、裁判所の権威はこういうところから失墜をするのではないか、日本の三権分立制度に非常に危惧を持っておるものでありますが、この点、どういうわけでマイナス一か、行政に追従した結果であるか、お伺いをしたいと思います。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま楯委員御指摘のように、事務官一名減ということになっておるのはそのとおりでございます。 この関係は、先ほど山崎委員の御質問に対しましてお答え申し上げましたように、一方において、裁判所事務官でも裁判部門に従事する職員につきましては、現実に三十一名増をしておるわけでございます。逆に、裁判部門ではございません政府の方の行政と似たような性質を持っておる司法行政部門の事務官につきまして三十二名の減ということで、差し引き一名減ということになっておるわけでございます。実際に増になります部分と減になります部分とは、裁判所の中で申しますと、裁判部門には増になって行政部門には減になるという意味で、純粋の裁判部門はやはり増であるというふうにお考えいただいていいのではないかと思います。 それとともに、一方におきまして、裁判官以外の職員でも書記官につきましては十六名の増ということになっておるわけでございまして、そういう意味では裁判所の事務も何とか支障なくやっていけるというわけでございます。決して政府に追随するとかなんとかいうことではございませんで、やはり似たような性質を持っておる部門については御協力も申し上げるということにならざるを得ない、やむを得ないのではないかということで、そういう措置に踏み切ったわけでございます。
○楯委員 何回質問しても同じような答弁であらんと思いますので、次に移ります。 私は、長年国会におりますが法務委員というのは初めてでありまして、素人くさい質問をするわけですが、ひとつ御了承をいただきたいと思います。 二月十六日の朝日新聞を見ますと、最高裁の人事について国民不在のやり方である、こういう見出しでいろいろのことが載っておるわけであります。私も、素人でありますが内容を読んで見ますと、全く肯緊を射ておる、こういうような文章がところどころ見えるわけでありまして、この点について御質問をいたしたいと思います。 この最高裁の判事の人選について、どういうような観点からこれが選出といいますか人選をされるのか、その対象となる人たちはどういう方々であるのか、また、これを選定をするのは、どこでだれがやるのかという点をお伺いしたいと思います。
○勝見最高裁判所長官代理者 最高裁の判事の任命につきましては、憲法で内閣の専権にゆだねられているところでございます。 そのような関係で、私がここに立ちましてお答え申し上げるのも、むしろいかがかというふうに考えておりますけれども、お尋ねでございますので申し上げますと、私ども最高裁の事務当局といたしましては、最高裁判事の選任につきましては一切タッチしておりません。ただ、新聞などにも報道されておりますように、慣行として、最高裁判事を新たに任命していただく際に、最高裁の長官が総理にお会いになるなりあるいは電話等で最高裁長官としての御意見を申し上げているというのが従来の慣行でございます。それ以上のことは、私どもといたしましては全く内閣の方にお願いしているといいますか、内閣にゆだねられておることでございますので、事務当局としてはそれ以上のお答えはむしろできないというようなことでございます。
○楯委員 そうしますと、もう一回お聞きしますが、人選の対象となる方は、よくわからなかったのですが、もう一回ひとつ簡単に、どういうような立場の人であるか。内閣の方に人選をお任せしてあるということは、これは総理大臣が決める、こういうことと理解していいのですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 現在までの沿革を見てまいりますと、最高裁判事になっていただいている方々を一応グループ別に分けますと、裁判官御出身の方、それから弁護士御出身の方、それからいわゆる学識経験者と申し上げてもいいような方、この三つのグループに分かれておるように思います。たとえば裁判官御出身の判事が退官されました後には、間々原則としてキャリアの裁判官から任命していただいている。それから弁護士出身の方が退官されたときには、原則として弁護士の分野からお選びいただいているというように了解しているところでございます。 先ほど申し上げましたように、私がこの場で申し上げるのもいささかむしろ越権ではないかと思うぐらいでございますので、それ以上のことは答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○楯委員 それでは次にお伺いしたいのは、あなた、私が答えるのはどうかと思う、こういうことを言っておられますから、次の答えもそういう立場でお答えになるかどうかわかりませんが、われわれもよく国会議員の選挙と同時に裁判官の適格性を投票で審査をするわけですね、ずらっと並んだのを。これをやるごとに非常に不可解で仕方がないわけです。 だから、あの適格性についての国民の審査制度といいますか、あれがずらりと名前が並んでおって、自分が理解しておる人にマルあるいはバッテンといいますかペケをつけるというもののみが取り上げられてやられるなら話はわかるのですが、無印のものは有効であるという扱い方についてはどうも理解がいかないわけです。したがって、マル・バッテンのない無効の裁判官についての審査は、これは棄権をしたものとみなすべきであると私は思うのですが、この点どうですか。
○大西最高裁判所長官代理者 ちょっと急な御質問でございますし、私がお答え申し上げるのがいいかどうかもわかりませんが、最高裁判所裁判官の国民審査法の法律自体は、一応いわゆる解職の制度だというふうに理解されておるわけでございまして、そういう意味では、バツとマルと両方つけるということはむしろ制度の趣旨に合うかどうかという点に疑問があるわけでございます。 そういう点から、現在の法律もああいうことになっておるのではないかというふうに存じますが、ここら辺のところはむしろ立法政策に関する問題でもございまして、裁判所としての立場で申し上げることは、実は差し控えさせていただいた方がいいのではないかと思うのでございます。
○楯委員 これは私が答えていいかどうかというような前提があるので、私は素人でありますから、あなたに再度質問していいかどうかということは迷うのですが、何もつけない無印のものが有効として採用をされておる、こう私は理解をしておるのです。こういう点は棄権として有効としないことにしなければいけない、こう素人考えで思うのですが、これはどうですか。適格な答弁者であるかどうかわかりませんが、あなた方はわれわれより知識の深い人としてどうお考えになりますか。
○枇杷田政府委員 現在の制度の前提として考えておりますことは、先ほど大西総務局長からお答えがあったとおりでございまして、一種のリコール制度といいますか、特に解職したいという意向の国民が多いという場合に初めて解職するのであって、積極的に最高裁判所の裁判官を信任するということを求めるものではないという解釈のもとに、現在行われておるわけであります。 それに対しまして、ただいま楯委員のおっしゃいましたような観点から、むしろ信任と解職要求というのとはっきりと分けてやるべきであるというふうな御主張があることも承知しておりますし、また、その趣旨に沿った議員立法の御提案があるということも承知しておるわけでございますが、現在の私どもの考え方といたしますと、かつて最高裁判所自体での判例もあるところでございますし、あくまでも解職を積極的に求めるというその数といいますか、そういう国民の意思を知るための制度であるというふうに理解をいたしておる次第でございます。
○楯委員 それでは、日弁連などで最高裁判所判事の人選については任命諮問委員会の設置を提案をしておる、こういうようなことも聞いておるのですが、こういうようなことを考えたらどうかと思うのですが、こういう点についてはどうですか。
○枇杷田政府委員 ただいまのようなお考えの方がおられますし、また、その趣旨に沿った法案の提出もあるということも承知いたしておるわけでございます。 かつて最高裁判所発足の当時にはそのような制度を設けたこともあるわけでございますが、必ずしもそれがうまくいったというふうには評価されませんで、直ちにその制度が廃止になったという経緯もございます。やるとしましても、どのような形でやるかということが問題でございますけれども、私どもといたしますと、現在の任命のやり方についてはそれほど多くの問題はないんじゃないか、現行のままでも差し支えないじゃないかというふうな考え方を持っておりますけれども、まだいろいろなところからの御意見もありますので、その関係についての研究はいたしておりますけれども、目下のところは現行制度のままでしかるべきじゃないかという見解を持っておる次第でございます。
○楯委員 何か早くやめよ早くやめよという要請があるのですが、こういうことを言われると倍ぐらいやりたくなりますので、ひとつ御了承いただきたいのです。 次に、これはもう本委員会で相当議論のあったところだと思うのですが、私は初めてでありますのでお伺いしたいのですが、糸山派の選挙違反の件についてお伺いしたいと思います。 百日裁判というようなことが言われて、国民もこれだけの大仕掛けな選挙違反については百日裁判を期待しておったのでありますが、なかなかそうもいかない、こういうので、国民の期待を裏切ることはなはだしい、こうマスコミ等も言っておるのであります。なぜ、せっかく「百日以内にこれをするように努めなければならない。」という条文があるにもかかわらず、これが実行できないか。百日が百五十日とか百六十日ということなら話もある程度わかるのですが、これの何倍も延期されたのでは納得がいかないのですが、その原因はどういうところにあるのですか。
○大西最高裁判所長官代理者 まことに恐縮でございますが、急な御質問でございますし、私、所管でもございませんので、必ずしも十分なお答えができないことがあるかと思いますが、御了承いただきたいと存じます。 私の理解しております限りでは、選挙違反の事件、特に百日裁判の事件は、訴因と申しますか犯罪事実、起訴されておる事実の数が非常に多いというようなことが一つあるようでございます。それから、普通の事件と違いまして、否認、徹底的に争うという事件が多いというようなこともあるようでございまして、勢いそういう関係で取り調べなければいけない証人も多くなってくる。それから短くやろうとしますと、連続して期日を指定してやっていく必要がございますけれども、弁護人の都合等でなかなか連続した期日が入らない、ぼつぼつとしか期日が入らない、そういうふうないろいろな事情が複合いたしましておくれておるというのが実情のようでございます。
○楯委員 せっかく公選法の二百五十三条の二に百日という数字まで入れて明文化しておるというのに、いろいろの都合があってそれができないということの答弁だけでは、われわれも納得できないのです。あなた、私はよくわかりませんが、私がお答えしてどうこうということを言われるので、これはあと質問していいかどうかわからぬわけですけれども、はっきり条文に数字が明示をしてあって、ただできませんでは、これは話にならぬと思うのですが、何とか百日裁判が実行できるように早急に対策を考えてもらわなければいかぬ、こう私は思います。 私は、簡単に考えまして、こういう裁判についてはこれ専門にやる裁判官の設置というようなことを考えたらどうか、こう思うのですが、この点どうですか。
○大西最高裁判所長官代理者 このいわゆる百日裁判の迅速化の問題につきましては、裁判所といたしましてもかねがね努力をし、早くしなければいかぬということで、いろいろな施策を考えてきておるわけでございます。 現に、これは裁判所だけではございませんで、訴訟関係人の御協力ということも必要でございますので、これは昭和四十二年でございましたか、裁判所と検察庁とそれから弁護士会との間で申し合わせまでいたしまして、こういう事件についてはこういうふうにやっていこうという申し合わせもしたわけでございます。ただ、なかなかそれができないというふうなことがございまして、その申し合わせにつきましてはさらに最近と、御承知と思いますが、裁判所と法務省と弁護士会で三者協議というのを行っておりますが、その三者協議でもこの問題を出しまして、この前の申し合わせ事項を確認してみんなやろうではないかということを提案して、いろいろ協議も重ねたわけでございますが、その三者協議でもなかなかその申し合わせを、前にした申し合せでございますけれども、確認していただくというわけにもいかなかった。そういうような事情もいろいろございまして、なかなかむずかしいわけでございますが、裁判所としても、そういうふうに法律で決まっておるわけでございますから、鋭意、早くこういう事件が済むように努力はいたしたいというふうに考えております。
○楯委員 次に、陪審制度についてちょっとお伺いしたいと思うのです。 この雑誌をいただいてちょっと読んだのですが、昭和十八年まで日本にも陪審制度というものがあったというふうに聞いております。ところが、いまそれが消滅といいますか、なくなっておるわけですが、なぜこれが昭和十八年まであってなくなってしまったのか、将来こういう制度の設置を考えておるかという点をお伺いしたいと思います。
○枇杷田政府委員 ただいま御指摘のとおり、昭和十八年に陪審制度が停止になりまして、現在は廃止ではなくて停止の状態で続いてきておるわけでございます。 なぜ昭和十八年に停止になったかと申しますと、これは一つには、戦時の特別な情勢があったということも原因だろうと思いますけれども、陪審法が施行されまして以来、その陪審を希望する事件というのが余り多くなくて、だんだん減ってきたというふうなことも一つの理由に挙げられておるところでございます。 戦争が終わりまして、陪審制度をどうするかということが議論になったわけでございますけれども、その際にも、果して現在の日本の国情から言って陪審制度というものが、過去の経験にも照らして根づくものであるかどうかというふうな疑問があったわけでございます。アメリカなどが陪審制度としては盛んにやっている国でございますけれども、その国でも次第に、陪審になりますとかえって不利になるというふうな見解からか、余り好まないというふうな傾向もあるようでございます。 また、陪審制度もいろいろなやり方がございますけれども、やりようによりましては、かなりこれは集中的に行いませんと、陪審員をいわばかん詰めのような形にせざるを得ないわけでございますので、そういうふうなことがいわば訴訟関係人全体からして望まれるところであるかということも一つの疑問でございます。 なお、もう一つ、これは戦前の陪審制度の場合に、陪審にかかった事件については控訴の制限を受けておるというふうなこともありましたので、そういう点も考え直さなければならないという問題があるわけでございます。訴訟の促進のためにも、またあるいは裁判のより一層の公正を期するという意味でも、陪審制度を復活したらどうだという声があるということは承知いたしておりますけれども、現実問題といたしまして、なかなかそれが大方の賛同を得られるものであるかどうかもわかりませんし、また、いろいろな物的、人的な条件もそろえませんと実現できないという状況でございますので、現在の課題として私どもはまだ考えておらないというのが現状でございます。
○楯委員 あと、戦前にありました陪審制度の陪審員の人選あるいは人数はどのくらいであったのですか。
○枇杷田政府委員 ちょっといまはっきり記憶いたしておりませんが、たしか人選は、選挙権を有する者の中で、公務員とかその他という者は除きますけれども、一般の国民の中で選挙権を有する者の中からいわば抽せん的に選んだのではなかろうかと記憶いたしております。人数の関係はちょっと記憶しておりませんが二十人程度ではなかったかと思います。
○楯委員 それでは次に、東京拘置所の問題をお伺いしたいと思うのですが、ちょっとこの法案と外れておるが、担当者の方は見えておりますか。 これは東京拘置所に在監しておる黒川芳正という人から、社会党の前の議員の西宮弘君、この方に陳情といいまするか取り上げてもらいたいという申し立てがあったわけです。残念ながら西宮君は選挙で惜敗をしてしまいましたので、私がかわってここで申し上げるわけですが、これは非常に長いので、こちらの方で、もうやめよ、時間がないという催促がありまするので、具体的な要点だけ申し上げまするので、お答えいただきたいと思います。 まず、その申し立ての趣旨が四点に分かれておりますので、簡単ですからちょっと読んでみます。 一、自殺房拘禁とゼンソク発作悪化との因果関係について調査し、 これはぜんそくの発作が非常に悪化しておるということを聞いておりますが、 調査し、本人をただちに自殺房より一般房へ転房させるよう東拘所長に勧告すること 二、懲罰執行とゼンソク発作悪化との因果関係について調査し、本人への懲罰執行を無期限停止するよう東拘所長及び東拘医ム部に勧告すること 三、東拘獄医の治療怠慢、デタラメ医療とゼンソク発作悪化との因果関係について調査し、獄外の専門病院で行なわれている治療と同一水準の治療を行うよう東拘所長及び東拘医ム部に勧告すること 四、ゼンソク治療の前提として、獄外の信頼できる病院で、精密検査を受けられるよう、東拘所長及び東拘医ム部に勧告すること 四点にわたって陳情といいまするか申し立てがあるわけなんです。時間の関係上、細かい理由についてはあなたの方に後で提示したいと思います。 この自殺房は非常に環境が悪いようですが、こういう病人がなぜ自殺房に入っておるか、一般の一般房というところへなぜ転房できないか、なぜ自殺房に入っておるか、こういう点をまずお聞きしたいと思います。
○豊島政府委員 お答え申し上げます。 黒川が申し立てで申しております自殺房という表現の房でございますけれども、これは決して特殊房ではございませんで、私どもは普通房というふうに呼んでおります。収容者の生命、身体の維持というのは私どもに課されました最も重要な責務だというふうに考えておりまして、収容者が入りますと、自殺のおそれのある者につきましては、それなりの注意をしなければいかぬという発想を持っております。 それで、おっしゃいました房は、たとえば突起物が、たとえば水道のパイプの突起物であるとか、それから窓の縁の突起物であるとか、そんなものがございますが、この突起物をすべて丸くするというような細工は施してございます。それから、よく本を入れるたなにひもをかけて自殺するというようなこともありますので、たなを下へおろすというようなことをいたしております。そういった房ではございますが、これは普通の房と変わらぬ房であるというので、私どもは普通房というふうに呼んでおるわけでありますけれども、そこへ黒川は収容いたしております。 これは、黒川のみならずそこへ収容されている者は他にも幾人もいるわけでございますけれども、黒川につきまして、例の連続企業爆破の関連者で当時騒がれたことでありますけれども、青酸カリを所持しておって、そして自殺者も出たというような状況がございますし、それから収容後も心情が不安定である、感情の隆起が激しいといったような状況がございまして、そういった容易に自殺のできるような部屋ではやはりぐあいが悪いということで、普通房ではありますけれども突起物等を除去した房に収容しておるという状況でございます。通常特殊房と申しますのはそのほかに保護房と称するものがございますけれども、それへの収容をいたしておるわけではございません。
○楯委員 私もわからないので答弁の説明を聞けばそうかなとも思えるのですが、しかしこの詳細にわたる理由書の中には、簡単に言うと、まず窓がない、それから、もうじめじめして湿気充満で、下はびたびたしておる、えも知れぬ昆虫か虫がうじょうじょしている、こういうことが書いてある。そこへぜんそくの発作で塗炭の苦しみをしておる、簡単に言うとそういうふうに申し立てておるわけです。 いまあなたと、そうでない、そうであるといってここで論争したところで結論が出ませんので、まず問題の提起だけにとどめまして、後でこの内容もあなたに説明をしますし、また機会があれば次の機会に自民党の理事さんに時間をたくさんいただきまして御質問をいたしたい、こう思いますので、これで終わります。
○木村委員長 横山利秋君。
○横山委員 事務総長においでを願いましたが、本来でき得れば最高裁判長官に一遍お出ましを願うことが大変よろしいと思うのでありますが、実は先般当委員会で服部最高裁長官の「新年のことば」につきまして言及をいたしたわけであります。この長官の「新年のことば」は非常に高い次元で清勢分析をしておることにつきまして、私は高く評価をいたしたわけであります。 要するに、長官は、第一に「国民各層の意識や価値観は一層多元化し、各種の利害の対立とこれに基因する社会的紛争は更に多岐にわたり、かつ、困難なものとなることが予想される。」これが第一の分析であります。社会的紛争が多くなる、広くなる。第二番目には、国際関係から生じて「したがって、法的紛争や犯罪が国際的規模において発生する」これが第二の長官の展望であります。したがって「これに対応し得る覚悟と準備をもって新しい時代を迎える必要がある」としておられます。そして一つの理念として「法の支配の実現を使命とする裁判所の役割」ということに力点を置かれ、「裁判所による法の支配の実現は、適正迅速な裁判によって可能となる。」と、これが一つの裁判所の理念ともいうべきところに言及をされておるわけであります。 私は、歴代の長官のごあいさつやあるいは訓示というものに常に関心を非常に持っておるわけでありますが、これは長官直筆でございますか、自分でお書きになったのですか。それとも、事務当局でいろいろと進言をして手直しをなさるというのでありますか。どちらでありますか。
○牧最高裁判所長官代理者 長官のお書きになられたものでございます。
○横山委員 長官が全文お書きになったとして、それは申すまでもなく、長官自身のお書きになったことであるけれども、最高裁判所長官として全司法行政に携わる者に対するもちろん訓示なんでありますから、事務総長個人として、この評価をなさる立場ではございませんけれども、このことが全裁判所において長官の意思を徹底をするという立場にあると理解してよろしいのですか。
○牧最高裁判所長官代理者 裁判所では、部内の広報紙として「裁判所時報」というものを発行いたしておりますが、これに巻頭に載せまして、これはほとんど職員全員に配付されておるところでございますので、職員全体に対して十分周知徹底が図られているというふうに考えております。
○横山委員 私は、長官でなければわからないとは思うのだけれども、この「新年のことば」が全司法行政に携わる者に対しての希望であり訓示であり、あるいは善処を要望することであるとすれば、政治を担当するわれわれ立法府においても、最高裁判所の運営というものの中における、まあ最高裁長官がわれわれに期待し希望しておるとは思わないけれども、そういう言い方ではないけれども、しかしながらわれわれとしても考えなければならぬ示唆に富む問題があると思うがゆえに、差し支えなければその趣旨を若干、あなたが事務執行の総責任者であるとしてお伺いをせざるを得ないと思うのであります。 まず第一に、社会的紛争がさらに多岐にわたるということであります。先般、法務省訟務局長の報告によりますと、いま国を相手にして争われておる件数というのは、訟務局はたしか年間九千件でございましたか、半数くらいがそうではないかと言われておるわけであります。国家を相手にする賠償請求なりあるいは個人でなくて多人数が争う集団訴訟とでも申しましょうか、あるいは公・害等がたくさんございます。 しかも、それらを分析いたしますと、食品、薬品に対する国の許可責任、建物の建設に対する許可責任、道路の安全に対する国の責任、公共事業を実行する上においての国の責任、公害に対する監督責任、そういうものがきわめて多くなっておるのが、今日のいわゆる社会的紛争が多岐にわたるということだろうと私は思うのであります。そういうことが裁判所において現行法の中で解決ができるかどうかということが問題であります。 長官はそれに対して「我々は、単に既存の法律知識やその運用に関する技術の研究を深めるのみでは足りず、更に見識を高め、視野を広くして、新しい事態に適切に対処するための不断の研さんを怠ってはならない。」こういうふうに最高裁の中における裁判官の任務としてのことでありますが、これは言外の意味において、社会的紛争が多岐にわたることについての立法上の問題が存在するということを示唆しておるように思うのでありますが、その点はどうお考えになりますか。
○牧最高裁判所長官代理者 来るべき一九八〇年代にいかなる事態が起こってくるか、なかなか予測することはむずかしいと思われるけれども、少なくとも社会紛争というものが多岐にわたってくることだけは確かじゃないだろうかという長官の御認識を述べられたわけでございまして、したがって、それに応じて、裁判所職員としてはそれに対処し得るだけの準備をしておかなければならないし、覚悟をしなければならないという、自戒を含めての裁判所職員に対する一つの自覚を求められたところでございます。 どういう事態が起こってくるか、私どもとしても十分予測がつかないわけでございまして、それについて立法的にどういう措置をしろとか、こういうことを頼むというようなことを述べられているわけではございませんで、いま申し上げましたような、裁判所職員の立場としての自戒を述べられたものというふうに受け取っていただきたいと存じます。
○横山委員 同じようなことは、第二番目の「したがって、法的紛争や犯罪が国際的規模において発生することも、想像に難くない。」という点についても、私ども立法府におる者としても全く同感なのであります。 この点についても、言外の意味として、国際的紛争というもの、国際的規模における犯罪というものは、ロッキードやグラマンやダグラスやあるいはKDDやさまざまな国際的な規模における犯罪の発生が、現行法で一体対処できるのであるかどうか。ロッキードの裁判におきましても、いわゆる裁判官の面前調書にコーチャン調書が適用できるかどうかという点については、証拠として採用されておりますけれども、私は、それらの問題につきましての経験上からも、あるいはまた先般来当委員会で話題になっております、附帯決議もございます司法共助の問題だとか逃亡犯罪人の問題だとか、そういう国際的な規模の犯罪というものに現行法が対処し切れていない、そう思うわけであります。 このことについても、事務総長としては、裁判官に対する問題だというふうに限定をされて先ほどのお答えではありますけれども、しかしながら言外の意味として、裁判所の問題としてそういう点についての立法府の善処を期待をしておられるというふうに私は感ずるのでありますが、その点はどうでありましょう。
○牧最高裁判所長官代理者 国際社会が非常に狭くなってまいりまして、従前では考えられなかったような国際的な法律紛争あるいは犯罪というようなものも頻発してくることが予想されるわけでございます。 裁判所といたしましては、与えられた現行法の範囲内でできるだけの努力をいたすつもりでおりますが、それにいたしましても、外国の法制についての研究やらその他裁判所としていろいろ努力しなければならない点が現行の状態のままでもあろうかと存じます。そういう点については、裁判所職員としては、一層今後は国際的な視野を持って物事を見ていくような訓練も必要ではなかろうかということを述べられたものというふうに考えておるわけでございまして、ただいま横山委員御指摘の各種立法の点については、あるいは国会、行政府等においてお考えいただけるものではなかろうかというふうに考えております。
○横山委員 弁護人抜き裁判問題で最高裁前長官が言われたことで、経験上あなたは大変慎重に物を言っていらっしゃると思うのでありますけれども……。 次に、先ほど指摘をいたしました、裁判所の理念として「法の支配の実現を使命とする裁判所の役割が、極めて重要」ということを二カ所にわたって指摘をされておるわけであります。「法の支配の実現を使命とする裁判所」一体その法の支配というものをどういうふうに、長官のみならず司法を担当せられる皆さんは、何のための法の支配だとお考えになっておるのでありましょうか。法の支配はいかなる目的のために必要だとお考えでございましょうか。
○牧最高裁判所長官代理者 法の支配という言葉を用いますと、なかなかむずかしい概念かと存じます。 われわれ一般的に考えております法の支配ということは、国会で制定された法に基づいて行政なり裁判というものが行われていくということを概括的に表現したものというふうに考えておりますが、ここで考えております法というものは、これは国会のお仕事かと存じますけれども、法はやはり国民のためのものであり、国民の自由と権利を守るためのものでございますので、法の支配ということは、言ってみれば国民の自由、権利を守って社会の秩序を維持するというのが法の作用であろうかというふうに存じます。
○横山委員 大変同感だと私は思います。 ところが、最近における法の支配というものが国家権力の維持——法を運用するものは政府であり、政府即法の支配、そしてそれは即国家権力の維持というふうにともすれば考えられがちなことだと思うのであります。あなたがおっしゃいますように、国民の基本的権利を守り、社会主義を達成するための法の支配という理念が常に確立されなければならぬと私は思うのであります。 ここに、初代の三淵長官の就任直後の国民へのあいさつの中に「裁判所は国民の権利を擁護し、防衛し、正義と衡平とを実現するところであって、封建時代のように、圧制政府の手先になって、国民を弾圧・迫害するところではない」「民主的憲法の下にあっては、国民が真に国民の裁判所として信頼されるようにならねば裁判所の使命は達成できない」また「国民が信用・信頼する裁判所にするには、裁判所自らが良い裁判所、良い裁判を為さねばならない」こういう新憲法下の裁判所の使命と役割りを強調されておるのでありまして、私はまことに同感だと思うのであります。 服部長官は「法の支配の実現を使命とする裁判所の役割」と単に言われておるのでありますが、こいねがわくは、いま事務総長から恐らくそういう趣旨だと敷衍されたように、社会正義、国民の基本的権利というものが裁判所の法の支配の真の目的であるという点が、百尺竿頭一歩を進めてこの新年のあいさつの中に高く表示をされていただきたかったということを私は感ずるわけであります。 なぜそういうことを言うかというと、歴代の長官のごあいさつをずっと目を通すわけでありますが、一番顕著なものは田中耕太郎氏の最高裁長官の就任のときのあいさつであります。この時代は朝鮮戦争があったというバックグランドがあるわけでありまして、松川事件、三鷹事件の労働裁判等いろいろな問題が発生をしておった時期であります。「法の威信を蹂躙し司法の権威を傷つけるものであるから、裁判官は法廷の秩序維持に全力を注げ」 「従来の如き訴訟指揮では訴訟促進は達成されない。第一審を強化して上訴権の乱用を防止するために、裁判所全体が自己本位の考え方を捨てて裁判の充実強化に当れ」等々、全くタカ派の裁判所長官の立場を遺憾なく発揮されておるわけであり、いみじくも、松川事件がどうなったかあるいは三鷹事件がどうなったかということと相呼応して反省いたしますときに、この田中長官のタカ派的意識というものがどういう結果をもたらしたかということがいま考えあわせられるべきだと私は考えざるを得ないわけであります。 そこで、あなたは遠慮しいしい、立法府に対しての注文やそういう意味で言っているのではない、部内の裁判官に対する訓示なんだ、こうおっしゃいましたけれども、それでは、このように社会的紛争が多岐にわたる、国際紛争、国際的規模の犯罪が発生する、したがって既存の法律知識や運用に対する技術の研究を深めるだけでは足りないぞ、新しい時代に適切に対処するための不断の研さんを怠るな、こういうことはまことにごもっともではございますが、いま裁判所の機能なり裁判官の切磋琢磨の実態というものは、これに即応して行われておるかどうか。その点について、私はきわめて不安に感じておるわけであります。 裁判官はそれぞれ独立した立場にある。それをもう一遍教育するとか、ただ言葉でこうしなければいかぬぞと言っておるだけで、一体本当にいいのであろうか。もちろん私の望むところは、こんなタカ派的な、後へ戻れと言っているわけではありません。弁護人抜き裁判はもっともだから、おまえらみんな賛成しろというような後ろ向きのことで言っているわけではありません。この二つの指摘に即応する裁判所、司法行政内部における、教養を高め切磋琢磨していくという具体的なやり方が実際に行われているかどうか、そういう点に不安を感ずるのでありますが、いかがでございますか。
○牧最高裁判所長官代理者 第一番目の、社会紛争が多岐にわたって、それに伴って紛争も各種の新しい紛争が出てくるのではなかろうかというふうに予想される点でございますが、先ほど横山委員から御例示がありましたような医療公害、大気汚染あるいは薬品公害、そういうような新しい形の訴訟に対しまして、裁判所としては科学的な知識が必要とされてまいります。そういうようなものについての新しい知識を吸収する機会をつくらなければならないというふうに私ども考えております。必ずしも十分ではございませんが、司法研修所における裁判官研修あるいはいろいろの会同、協議会、そういうようなものを通じまして、そういう新しい知識の吸収を図るように、私どもとしては対処していかなければならないというふうに考えております。 それから第二番目の、犯罪あるいは紛争の国際化という問題に関連いたしましては、やはり外国法の知識なりあるいは外国の実情についての知識というようなことも必要になってまいろうかと存じます。そういう意味で、非常に乏しいことではございますが、裁判官の海外視察あるいは海外事情の研究というようなことも心がけていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
○横山委員 ここで思い出しますのは、先年札幌高裁の長官をやっておやめになった横川さんが、「最高裁に対する期待と要望」の中で幾つかの問題提起をしておられることであります。 その一つは「率直にいうと、現在私が憂慮しているのは、裁判機構の整備・充実に伴い、……知らず知らずのうちに第二義的なことに眼を奪われて……憲法の裁判所に期待する根本が見失われ、第一線の裁判官に対し、より良い裁判への気魄と情熱をかきたて、裁判すること自体に喜びと誇りをもたせるようなフィロソフィが影をひそめたのではないかという点である。」次に「最高裁発足後少なくとも七、八年間は、裁判官の間に裁判所の在り方を真剣に模索する空気がみなぎっており、何かにつけ理想論と現実論との対立がみられたからである。」そのほか重要な指摘が幾つかございますけれども、退官に際して横川さんが要望をされたことが、当時各界の非常な話題を呼んだわけであります。 私は、いま服部長官がおっしゃっておるところと一脈相通ずるような気がいたすのであります。本件についてはこの程度に終わるのでありますが、委員長にひとつお願いがございます。 それは、先ほど冒頭申しましたように、事務総長は長官の真意を想定をされての御答弁でありますが、やはり御遠慮があって私の質問に十分なお答えができなかったと私は思います。でき得るならば、本委員会を離れて、委員長のお世話で、場所はどこでも結構でございます、最高裁でも結構でございます、われら法務委員と最高裁長官と一回自由な、速記をとらなくても結構でございますが、自由な懇談が年に一回ぐらいはあってもいいのではないかと私は思うのであります。委員長にひとつそのお取り計らいを願えればと思うのでありますが、いかがでございましょう。
○木村委員長 承知いたしました。
○横山委員 では、次の問題に移ります。 裁判官の身分保障の問題であります。私の承知いたしておりますところでは、裁判官の身分保障はきわめて厳密に規定され、裁判所法の四十六条、四十九条、分限法の二条、それから裁判官は十年の更新、それから弾劾裁判所法、この四つが身分に関する規定になっておると思うのであります。 申すまでもなく、裁判官はゆえなくして、法によらずして資格を剥奪され免官されることはない、きわめて高い次元に立って身分保障がされておることは御存じのとおりでありまして、そのことを私は高く評価をしておる立場でございます。ただ、この四つのシステムの中で痛感されますことは、憲法七十八条「裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒處分は、行政機関がこれを行ふことはできない。」懲戒は申すまでもなく、弾劾裁判所法によって行われる。 私は訴追委員でございますが、裁判官の訴追請求に対して数多くの体験をいたしておるわけであります。私が疑念といたしますのは、訴追されました裁判官が罷免するには当たらない、罷免するには当たらないけれども、しかし、これは訴訟指揮その他のあり方が不適切であるということをしばしば痛感し、それは私ばかりではなくて、並みいる訴追委員も、まずいじゃないかこの裁判官は、残念ながらこういう場合が往々にしてあるわけであります。しかしながら訴追委員会は、訴追請求は三分の二でございますし、罷免するか否かだけ決めるわけでありますから、そこで話はとまっておるわけであります。 一方、裁判官分限法の第二条によりますと「裁判官の懲戒は、戒告又は一万円以下の過料とする。」ということに、懲戒がこれだけ決まっておるわけであります。つまり、裁判官は罷免するかあるいは戒告または一万円以下の過料とするか、法律の立場は違いますけれども、その二つが規定でございます。一体その真ん中はないのであろうか。首にするか戒告するないしは一万円以下の過料にする、その真ん中はなぜないのかという点について御意見を伺いたい。
○勝見最高裁判所長官代理者 裁判官に対していかなる懲戒処分を加えるべきかというような問題になろうかと思います。 現行法の体系はただいま委員御指摘のとおりでございます。ただ私どもといたしますと、身分の保障と絡みます非常に重大なことでございますので、この際、いまの御質問に対してまともなお答えにはならないかと存じますが、一応判事の懲戒という点だけについて考えてみますと、御承知かと存じますが、戦前に分限法に当たる判事懲戒法というのがございまして、戦前の判事懲戒法によりますと、処分の種類といたしまして、譴責、これは現行法の戒告に当たるものだと思います。それから減俸、転所、停職、免職、このような段階が定められておったようでございます。 仮にこの戦前の制度と比較しました場合に、減俸と免職は、これはもう申し上げるまでもなく憲法上の保障がございますので、制度としてとることはできないというふうに考えられます。それから停職でございますが、これは実質的にはいわば一定期間の免職ということになろうかと思いますので、これも現行憲法の精神に反しはしないか。それから転所という戦前の制度があったようでございますが、これはどうも合理的な根拠を欠くのではないかというようなことで、私の推測でございますが、現行の分限法はさっき御指摘の二つだけということに相なっているのではなかろうかと思います。 それでは、その中間段階を何か考えられないかという御指摘でございますが、どうも残念ながら私どもといたしましては、こういう制度があるのではないかというような積極的な意見は持ち合わせておりません。また、分限法の改正ということになりますと、先ほど総長からも申しましたように、立法政策の問題とも絡みますので、積極的な発言は差し控えさせていただきたいと思います。 ただ先ほどから、訴追された裁判官を見るといろいろ問題のある裁判官が多いのではないかという御指摘でございます。この点につきましては、基本的には結局自戒自粛し、かつ自分で研さんすることが第一だと思います。時によりまして、あるいは御指摘のようなこともあろうかと思いますが、それはやはり内部のお互いの批判あるいは先輩からの注意、あるいは事務処理規則にある注意、まあ処分と言っておりますが、これは正確には処分ということに当たらないと思いますが、注意というようなことで、お互い自粛自戒して憲法の趣旨に従った本来の裁判の実現に進むべきものというふうに考えておる次第でございます。
○横山委員 先ほど言ったシステムの中に、もう一つ国民審査の結果による罷免というものがありましたから、つけ加えておきますが、それは別といたしまして、訴追委員会の状況を念のために申し上げておきますと、訴追委員会に訴追請求される圧倒的多数は、私がいま言いましたようにどうかと思う裁判官ではないのであります。適正に行われておる裁判官である。むしろ訴追請求をする人間の中にいわゆる訴追請求屋ともいうべき、いやがらせのための訴追請求が余りにも多い。これはひとつ何とかせなければいかぬと思っておるのでありますから、それはもうすべてがすべてだというわけではありませんが、少なくとも中にはまずい裁判官が現にいるわけであります。 しかしながら、いま自粛とおっしゃっても、訴追委員会における審査の経過及び結果というものは裁判所へ通報しないということになっておりますね。あなた方にはわからないのですよ。それは何か事案の調査に職員が出かけた、そして資料をもらうときに、そういう訴追請求があったということがたまたま裁判所なり当該裁判官にわかるだけでありまして、そういうことがいいか悪いかは別として、自粛をしようにも、あなたの方は自粛のしようがないシステムになっておることを指摘しておかなければならぬのであります。 裁判官分限法が昭和二十二年に制定されてから今日まで、一体第二条の適用を受けた裁判官はおりますか。
○勝見最高裁判所長官代理者 ただいま調べさしておりますが、少数はおるというふうに理解しております。
○横山委員 調べた後で改めて御報告願うことにして、昭和二十二年十月に裁判官分限法ができてから、まさに三十三年たっているわけですね。 分限法とそれから弾劾裁判所における首と、そのバランスというものは、昭和二十二年当時の一万円というものと首というものはある意味でのバランスがあったのではないかというふうに、私は無理に理屈をこじつけて言えば想定されるわけであります。昭和二十二年の一万円と言えばかなりの高額のものである。給料がどのくらいだったでしょうか。二十二年の一万円か首、そのバランスというものはそれなりの理由があったのではないか。 しかるに、いまの首と一万円というものはバランスが全く失われているのではないか。一万円払う、それはまあ裁判官が、あいつ一万円罰金かけられたぞということは不名誉きわまるものではあるけれども、法的バランスを失っているのではないか。首とそれから戒告または一万円というものは、真ん中がないのはおかしいと私は思っておるわけでありますが、仮にそれを許容するといたしましても、一万円はいまどのぐらいの金額が相当とお考えになりますか。
○勝見最高裁判所長官代理者 先ほどのお尋ねの点から先に申し上げます。 分限処分を受けた裁判官でございますが、昭和二十二年以降合計三十四名につきまして分限裁判が行われまして、うち一名が免官、うち八名が過料、うち二十二名が戒告、うち三名が懲戒しないという結果でございます。 なお、現行法の過料の額についてのお尋ねでございますが、公務員の給与等だけから比較してみましても、恐らく現在は当時の給与に比較しますと七十倍ないし八十倍ぐらいにはなっているのではなかろうかと思われます。それでは、分限法の過料の額がどうかというお尋ねでございますが、ここで私が私の現在の立場でこの場で申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思いますが、当時の経済事情から言って、現在低いということについては異論はないものと思います。
○横山委員 今度は逆の立場で聞くことになりますから、私がいま追及していることと、いまから言おうとしていることはちょっと矛盾するかもしれませんが、最高裁あるいは高等裁判所あるいは地方裁判所の所長は、裁判官に対して、いつも一体どういう考課といいますか、そういうことをなさっているのか聞きたいのであります。 たとえば考課調書をおつくりでございますか。たとえば裁判所の結果についての記録表で考課の対象になさっていますか。あるいは転勤の場合に何かの誓約書をとることがありますか。あるいは、昇給制度が裁判官にはたしかないと思っておりますが、昇給をさせる場合に昇給の上申基準なるものがございますか等々、いま具体的な名前を挙げたのですが、そういうことを含めて裁判官の考課はどういうふうに行われているのですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 具体的に申し上げますと、地家裁所長なり高裁長官が、事件の処理の内容につきまして、判決の内容についてどうのこうのということを調査しているというようなことはございません。ただ私どもの立場から申し上げますと、裁判官にもいろいろな方がございますので、いつも申し上げていることでございますけれども、当該裁判官に対する評価というものがおのずから出てまいりまして、私どもといたしましては、所長、長官を通じて御報告をいただいているのが現状でございます。 なお、昇給がないという御趣旨のお尋ねでございますが、御趣旨は恐らくいわゆる定期昇給という趣旨であろうかと存じますけれども、その点はおっしゃるとおりでございます。また反面、御承知のように、判事、判事補の報酬につきましては号別になっております。いわゆる昇給につきましては、先ほど申し上げましたような、一線の裁判所から上がってまいりますいろいろなおのずからなる評価というものを参考にさせていただいて、いわゆる昇給を裁判官会議にお諮りしているというのが現状でございます。
○横山委員 そのおのずからなる評価というものの基準は何ですかという意味で、私は、考課調書あるいは記録の統計表あるいは転勤の際の誓約書あるいは昇給上申基準等仮定して問題にしておるわけです。おのずからなる評価が定まってくるという、おのずからというのは全く裁判所長の自由裁量、本人の自由裁量になっているのですか。何らかの基準があるのではないのですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 裁判官が裁判事務を取り扱うにつきましては、先ほど総長から申し上げましたように、裁判の理念は結局迅速にして適正な裁判ということに尽きることだろうと思います。 この点につきましては、先ほども申し上げましたように、判決の内容について一々常に所長ないし高裁長官が目を光らせているというようなことはございません。ただしかし、先ほど私がおのずからなる評価というふうに申し上げましたのは、ある裁判所にある一定期間おりますと、当該裁判官の事務の処理の仕方について、早い話が、遅いか早いか、あるいは法廷の指揮についてどうであるかというようなことが情報としてやはり入ってまいりますので、それを集約して、私どもが知る限りにおいてその点を前提として先ほどのような処遇をさせていただいている次第でございます。 なお、転任の際の誓約書という御趣旨でございますが、この点は実は特に判事補につきまして、これも横山委員御承知かと思いますが、判事補の間に三カ所の裁判所を経験していただくという慣行が確立しておりまして、三年たてば次のところに移ってもよろしいという趣旨の、いわば誓約書といいますか文書を差し出していただいていることはございます。
○横山委員 どうしてもおのずからなる評価ということが私は納得できないのです。差し支えがあるから言えないのですか。それとも全く裁判所長の自由裁量に基づいて昇給の上申が行われているのですか。何らかの基準がないのですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 いわゆる具体的な基準というものはございません。 なお、つけ加えて申し上げさしていただきますと、一審の裁判が上訴されました場合に、上訴審の裁判官が一審の裁判官を事件の処理を通して見るということに相なります。そのようなことも、先ほど私が申し上げました評価の一つの中に入っていくというふうにお考えいただきたいと思います。
○横山委員 どうも釈然とこの問題はいたしません。私は、おおむね高等裁判所なりあるいは地方裁判所なり家庭裁判所なりそういうところの長が自由裁量で、この人は昇給させる、昇給させないというようになされておるとするならば、それによるまた弊害も、神様ではないのですからあり得ることだと思う。 裁判官は、一般的に言えば、そういう金銭的なことにいろいろと文句を言うのはいかがなものかという気持ちがやはり多分にあるだろうと思うのであります。しかし、そういう不満が内在をしているのではないか。何らかの基準があって、その基準に合う合わないということが、責任者としての全くの自由裁量でなくして、それが行われていなければ、人事に対する不公正、派閥的なもの、そういうものの温床になると私は思うのです。すべての国家公務員なりあるいは民間におきましても、それらについては大なり小なりみんな持っておるわけでありますが、そういうものが、いまのお話によればあるようなないような、結局はありませんというふうに理解してよろしいのですか。この点は事務総長にひとつお伺いしたいと思いますが、どうお思いになりますか。
○牧最高裁判所長官代理者 裁判官の考課につきましては、ただいま人事局長が申し上げたとおりでございますが、私の経験でございますけれども、私が高等裁判所におりますと、下級裁判所の事件が控訴されてまいります。それらを審理しているうちに、この裁判官のときにはいつもこういう点が問題になるというようなことが自然に出てくるわけでございまして、そういうのが各部それぞれ幾つかの部に同じような評価を持つような人が出てまいりますと、そういうのがその人の一つの評価としておのずから固まってくるということがあるわけでございます。そういう意味で、非常に時間がかかるようなことではございますが、一定の評価というものが自然とできてくるということでございます。 したがいまして、そういうのにはある程度の時間がかかりますので、裁判所の先ほども申し上げましたいわゆる俸給というようなものの決定のときにはできるだけ平等にということで、短期間の間に差別をして、こちらの方が先に上がるというようなことはしないたてまえで運用しておるわけでございます。
○横山委員 単に理論的に私は身分保障や裁判官の評価をしているわけではありませんよ。私は、訴追委員会で多くの裁判官の執務態度あるいは服務に接する態度、法廷指揮、数々の実績を踏まえた上で言っておりますし、かつての鬼頭判事補を育てるような温床が裁判所内部にどうして一体できるのか。ああいう、法律的知識はもう全く驚くべき法律知識を持っておりながら、人間的教養というものは全くないと言っていいほどの鬼頭判事補が長年裁判所で裁判を担当しておったということに驚くべき認識を私は深めたわけであります。 そうでなくとも、先般起こりました女性の司法修習生に対する態度の問題と言い、裁判官に対する身分の今日の規定あるいは昇給等に関する、私はあえて言うならば、それは封建的な査定だと言わざるを得ないのであります。決して近代的な——おのずから定まってくるというのは、これはもう裁量権がゆだねられておるということなんでありますから、ある意味では私は封建的なものだというふうに考えるわけでありますが、そういう点についての改善が必要ではないか。鬼頭判事補の問題が起こったときに、もうこれらの問題については見直すべきときになっているのではないかと思うのであります。 もちろん、裁判官分限法を改正するということは、単にいま一万円が五十万円がいいか六十万円がいいかということはある程度客観的に定まることではございますけれども、しかし、法律を変えるということが裁判官の身分保障に対する一つの大きな政治的意義を持つものでありますから、私は軽率にすぐに変えろとは言うわけではありません。ありませんが、二十二年の法律がそのまま残っておって、私が指摘いたしますように、首と一万円とのどちらかだ、真ん中はないというこの矛盾については、近い将来においてやはり検討さるべきことではないかと、こう考えるのでありますが、その点を最後に承って、次の問題に移りたいと思います。
○牧最高裁判所長官代理者 横山委員御指摘の点は非常にむずかしい問題でございまして、いわゆる裁判官の独立という問題と裁判官の監督というものをどの程度に調和させるかということで、きわめてむずかしいところだと思います。私どもとしては、御指摘の点は十分頭に置きまして検討を進めたいと思っております。
○横山委員 次に、弾劾裁判所法についてお伺いいたします。 私は、いま訴追委員として、弾劾裁判所とともに裁判官弾劾法の改正の検討をしておる担当者であります。この法律は、昭和二十二年、衆議院本会議におきまして提案理由が説明をされております。いま熟読いたしますと、衆参両院におきましてきわめて熱心な討議が行われ、委員会は五十日の間十七回、あるいは小委員会を設けて原案起草に当たり、連合審査をすること四回、各方面の意見を参酌し、諸外国の制度も比較検討して成立をいたし、全会一致で通過した法案であります。 裁判官弾劾法がどんどんと効果を発揮するというところに弾劾法の目的はあるのでなくして、むしろこれが無言のおもしとして裁判官のよりよき公正な態度を担保しておると私は思うのであります。しかしながら、その後、新刑事訴訟法が施行されます等々の法律改正が行われたにかかわりませず、この弾劾法の改正が行われませんでしたために、さまざまな問題が惹起いたしておるわけであります。そして、たまたま鬼頭判事補の問題が生じたために、にわかに——にわかにというわけではありませんが、この機会に法律改正をしようということに相なったわけであります。 この弾劾法の改正ということは、裁判官に直接その影響がある問題でございます。恐らく最高裁としては、まあ自分の方から口を出すわけにはいかぬとお考えではありましょうけれども、しかしながら、裁判官の弾劾をする法律の改正に全然どうぞ御随意にと言っているわけでもないと思うのですが、弾劾法についての御検討を進めておられますか。
○勝見最高裁判所長官代理者 弾劾法の改正につきましては、今月の十一日でございましたでしょうか読売新聞で報道されまして、弾劾法の改正について具体的な作業を進めておられるということを承知いたしております。それ以上に具体的な形で私どもは現在検討はいたしておりません。 また、この時点で、この席上で私から弾劾法の改正について積極的な意見を述べさせていただくのは差し控えさせていただきたいと思いますが、先ほどからるるお話がございましたように、裁判官の身分の保障のうらはらをなす重要な問題でございますので、最高裁判所事務当局といたしましても重大な関心を持っているところでございます。
○横山委員 弾劾法が存在しているということは、いま申しましたように、いたずらに裁判官を弾劾するやり方をシステム化するところに目的があるわけでなくして、裁判官の公正な裁判を期待するがゆえに、また憲法の認めた弾劾制度、公務員を罷免するのは国民固有の権利であるという趣旨と、それから裁判官の地位の安定との調和の上に立っており、そしてまた法律が存在すること自身が、動かないでもやはり裁判官に公正なあり方を求めておる、もしも悪いことをしたならば弾劾裁判所に訴追請求されるという無言の圧力がやはり存在価値を高まらしめておると思うのであります。 いまお話によれば、本件については、とにかく私の方で知らない、こう言っておられる。知らないということで一体終始済むものであるかどうか、これはあなたの方からいちゃもんをつけよと言うつもりはありませんが、最高裁として意見があれば弾劾裁判所なりあるいは訴追委員会なり、私どもしかるべき担当者に、もし改正をされるとするならばこういう点はどうかという意見を提示をなさるべき問題ではないか、そう思いますが、いかがですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 申し上げるまでもございませんけれども、法律改正一般につきまして私どもの立場は御理解なされておると存じます。 特に弾劾法という特定の法律になりますと、先ほど申し上げましたように、裁判官の身分の保障とまさにうらはらをなす非常に重要な法律であることももちろん承知しております。その点に関しましては、ただいま御示唆がございましたように、私どもといたしましては、いずれオフィシャルにお知らせいただけるかどうか、またその内容につきまして御意見を申し上げるべきかどうか、これも十分慎重に検討させていただきたいというふうに考えております。
○横山委員 それでは、弾劾裁判所問題については私が問題を提起したのでありますから、一遍部内において御検討をお願いをしておきたいと思います。 時間がなくなってまいりましたが、少額裁判の問題について問題点だけを指摘して、きょうはやめたいと思います。 簡易裁判所のありようについてであります。私は、できれば月曜日にでも簡易裁判所へ行きまして、私の問題といたしておりますいわゆる少額裁判についての実情を少し調べてまいりたいと思っておるわけでありますが、要するに、現在の訴訟制度が一般大衆になじまない問題として、訴訟金額が一千万円の事件であっても一、二万円の事件であっても訴訟手続が同一であること、少額裁判を必要とする人々は一般的にいって知識が乏しいこと、代理人によらなければ完全な訴訟活動が不可能であること、多額の費用がかかること、時間がかかることという問題なのであります。 簡易裁判所の訴訟手続については、民事訴訟法の三百五十三条以下、口頭による訴えの提起、簡易呼び出し、準備書面の不要、書面尋問等の規定がありますが、なぜこれが十分に機能をしてないのであろうか、それが私の検討したい点なのであります。ともすれば簡易裁判所が、事物管轄が改正されるたびにどんどんと昔の区裁判所のような方向に、上を向いてしまって大衆になじまなくなってきているのではないか。ここのところは簡易裁判所のありようについて検討をすべき問題があるのではないか、そういうふうに感じておるのでありますが、いかがでございますか。
○西山最高裁判所長官代理者 簡易裁判所におきます民事訴訟に関しましては、御指摘のような問題点がございます。それで、国会におきましても附帯決議等をいただいておるわけでございます。 そういう御決議を受けまして裁判所といたしましては、なるべく訴訟手続が国民に利用されやすいような方法をずっと検討してまいりまして、各種の裁判官の協議会等の協議を経て、その面でも手続が利用しやすくするようにするということを検討しておりましたが、同時に、訴訟手続についての特則をもっと活用する方法を考えたらどうかということを検討いたしまして、その特則の実施要領というものを作成して、現在各庁でかなり行われておるように聞いております。 一番肝心なところは申し立てをしやすくするという点にございます。そういう点におきまして、地方裁判所では訴状という書面を出してもらわなければ困るわけですけれども、簡易裁判所におきましては口頭申し立てが可能なふうにしております。特に、口頭の申し立てのほかに、裁判所の窓口に定型用紙を備えておきまして、それに書き込んでもらえば済むというふうな簡易な方法によって申し立てを認めておるわけでございます。 そのような結果といたしまして、昭和五十三年度の統計でございますけれども、口頭の受理件数は新受件数のうち一万八千七十二件、それから定型書面で受理をいたしました件数が一万六千三百三十九件でございまして、パーセントにいたしますと前者が全新受件数の二八・八%、後者が二六・一%ということになりまして、両者を合わせると五四・九%、約半分が口頭ないしは定型書面による受理ということになっておるわけでございます。そのほか、呼び出しの関係、口頭弁論における準備書面の利用の関係等において、なるべく簡略な手続をとるというふうに努力をいたしておるわけでございます。 なお、簡易裁判所におきましては訴訟のほかに調停と支払い命令の手続を所管しておりますが、調停は御承知のように調停委員による条理にかなった解決を図るという制度でございまして、これも近年利用の度がふえておるわけでございますが、特に最近顕署な傾向といたしまして、支払い命令が著しく増加しておるということでございます。支払い命令は金額が制限なくして申し立てられる事件でございますが、これがかなり利用されているということは、簡易な紛争の解決に大いに寄与しているのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○横山委員 それでは時間が参りましたので、本件につきましては一遍家裁並びに簡裁の実情調査をいたしましてから改めて質問し、残ります問題につきましても次回といたします。
○木村委員長 飯田忠雄君。
○飯田委員 このたび裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の御提出がありました。その関係資料を拝見さしていただいたわけですが、これを拝見しまして感じましたことは、裁判所の機構全体における定員配分のバランスは、どういうふうにしておとりになっておるのであろうかという問題でございます。 たとえば、この資料によりますと、地裁の判事八百十人、判事補四百五十五に対しまして、書記官が四千八百五十八、事務官が三千三百八十四、その他四千五百二十八となっております。こういう数字が出てきました根拠は何らかの基準があると思いますが、最高裁では、どういうような基準によってこれを決めておいでになるのか。また高裁、地裁、家裁、簡裁の間における定員配分におきましても、密なるところ、疎なるところ、いろいろありますが、こういうものについてどのような配分の基準、配分を考える場合の基準をおとりになっておるのでしょうか、お伺いをいたします。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいまの御指摘のように、裁判所には下級裁判所の場合、高裁、地裁、家裁、簡裁というふうにいろいろあるわけでございまして、この資料に書いてございますそれぞれの裁判所の人員の数といいますのは、一応予算上の積算の根拠というようなことでそれはなっておるわけでございまして、古くからずっとこういうふうになっておりまして、その間それぞれのところの事件の増等に応じまして増員等が行われてきた、こういう経過でございます。 〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕 ただ実際問題といたしましては、御承知かと存じますけれども、大都会の裁判所は別といたしまして、地方の裁判所に参りますと地裁と家裁が同居しておる、簡裁も同居しておるというようなところがございます。たとえば裁判官で申しますと、地裁と家裁を兼務しておるというようなところもございます。それから、その他の職員でも若干の兼務等がございまして、実際の事務量といたしましては、確実にその組織別にこの人数がぴったり働いているかと申しますと、必ずしもそういうわけではございませんで、兼務の関係等で多少時期によりまして流動的な部分がある、こういうことになっておるわけでございます。
○飯田委員 きょうは時間が大分変な時間でございますので、皆様方に御迷惑をかけると思いますので、なるたけ時間を節約してまいります。 ただいまの御答弁ではどうもはっきりわかりませんが、これはまたゆっくりお伺いすることにいたしまして、次の方へ参ります。 地裁の事務官につきましては、定員が三千三百八十四に対しまして、実員は三千五百八十四と二百名多いわけでございます。 〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕 それから家裁におきましても二十一名の実員増でございます。合計で二百六十九名、実員が定員に比して多くなっておるわけでございます。 ところで今度の新定員法では、三十一名増員をいたしまして三十二名減員、差し引き一名減少、こうなっておりますね。そうしますと、現在定員よりも二百六十九名多い陣容で執務しておいでになるのに、この定員をまた一名減らしたのですが、この実員は一体どういうふうになさるおつもりであろうかということが問題になってまいります。つまり、この実員の二百六十九名超過しているのは整理してしまわれるものなのか、あるいはこのまま温存しておかれるものであるのか。もし温存しておかれるものであるならば、定員をいじってみても、これは何の意味もないのではないか、こう思われるのでございますが、いかがでございましょう。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいまの御指摘のとおり、事務官につきましては、昨年の十二月一日現在で全体で二百六十九過員ということになっておるわけでございますが、これは実は先ほどもちょっとお答え申し上げたところでございますが、裁判所書記官になりますためには、裁判所書記官研修所へ入れまして一年あるいは二年間教育をいたしまして、その上で書記官に任用するということをやっております。 この事務官の過員は、ほぼ現在裁判所書記官研修所に入っておりますいわば書記官の卵に当たる数字でございまして、これが春になりますと書記官に上がっていくという関係がございます。ただもちろん、上がっていきます関係上その後へまた入るということで、ふえるという要素はございますが、そういう意味で、この事務官の過員がすぐに全部解消するというわけのものではございません。ただしかし、この数字といたしましては、ほぼ書記官の卵である事務官の数に見合うものというふうに御理解いただいてよろしいのではないかと思います。 それで、今回この定員法の中身になっております裁判官以外の裁判所職員の増員の中で書記官が十六ふえて事務官が一減るということで、過員になっておるのに一人減るのはおかしいじゃないかという点はごもっともでございますが、その点は若干事務官の過員がふえるか減るか、いまの段階では必ずしも明確でございませんが、それは事務官としては、定員は削られてぴったりこの欠員状況がこのままだといたしますと、過員が一人ふえるという計算になるわけでございますが、その過員は言ってみれば書記官とかその他の官職の欠員で見合っておる、そこら辺のところは予算上も許されるということになるわけでございます。
○飯田委員 それではお尋ねしますが、この過員が書記官の卵のための書記官研修所に入っておるということでございますと、その書記官研修所の定員はどこの定員で行っておるのでしょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 書記官研修所も裁判所の組織の中でございまして、書記官研修所へ入所しております者は、裁判所事務官の官職を有する現在裁判所職員でございます。つまり、そういう裁判所職員を書記官研修所に入れて教育をしておる、そういうことになるわけでございまして、書記官研修所に入っておる研修生も裁判所職員、つまりその定員をそれぞれ食っておる裁判所職員、こういうことになるわけでございます。
○飯田委員 現在事務官が二百六十九名超過しておりますね。これが書記官の研修所に入っておるその者だ、こういうことでございますが、ところが、この二百六十九名超過しておるのは事務官の定員外ですね、超過している分ですから。そうしますと、これの出どこがどうもはっきりいたさないのですが、これはどういうことになるのでしょう。
○大西最高裁判所長官代理者 いま御審議をお願いしております裁判所職員定員法の第二条によりますと、裁判官以外の裁判所職員、執行官その他を除きますけれども、二万一千三百十六人、現在こういう数になっておるわけでございます。この中に含まれるものでございます。この二百六十九名はこの中に含まれるものでございまして、定員外のものではございません。定員内の職員、現在裁判所職員でございます。
○飯田委員 そうしますと、裁判所の裁判官以外の職員の定数というものはとにかく超過しておりますけれども、裁判官、判事、判事補の定員も突きまぜて全体で定員が超えなければいい、こういう意味でしょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 この裁判所職員定員法によりますと、第一条では高裁長官が八人、判事が千二百七十三人、判事補が六百三人、簡裁判事七百七十九人というふうにそれぞれ決められておりまして、第二条で先ほど申しました裁判官以外の裁判所職員の数が決まっておるということでございます。 したがいまして、裁判官を含めて超えなければいいというものではございませんで、第一条には裁判官のそれぞれの数が書いてございます。第二条には裁判官以外の裁判所職員の全体の数が書いてございます。これは超えると法律違反になるということでございまして、それぞれの、第一条、第二条に書いてございます員数を超えることはできない、こういうふうになるわけでございます。
○飯田委員 それでは、裁判官以外の職員の現在員と定員との差ですね、差を全部合わせますとゼロになりますか。
○大西最高裁判所長官代理者 これはお手元に差し上げております資料の十九ページ、四表でございますが、これの合計欄をごらんいただきますと、合計欄の一番右下のところでございますが、現定員は二万一千三百十六でございまして、現在員が二万一千百六十、全体といたしますと百五十六人の欠員があるわけでございまして、第二条で定められております現定員を超えていないというわけでございます。官職別には若干の出入りはございますが、全体としては超えていない、法律に決められた員数の中におさまっておる、こういうことになるわけでございます。
○飯田委員 裁判官以外の裁判所職員の定員については全部有無相通じて構わない、それで合致すればいい、こういう御意見でございますか。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま仰せになりましたとおりでございます。
○飯田委員 現在、事務官が大変増加しております。これが書記官の卵だということでございますので、それで了承いたしますが、定員増の分につきまして、具体的にはどの裁判所に配置する予定として計上されたのでしょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま増員をお願いしております裁判官それから裁判官以外の職員、これの増員の理由は資料の十五ページのところに書いてございまして、それぞれこういう理由で増員をしていくわけでございまして、現在どこの裁判所に配置するかということを検討中でございます。 ただ、そうは申しましても、全体として裁判所の中で事件がふえたり減ったりいろいろそういう事情の変更もございますから、こういう今回の増員の理由と、現在のそれぞれの裁判所における事件の増減の傾向などを総合勘案いたしまして配置する予定でございますが、ごく大まかに申しまして、こういう事件及び一般的な事件がふえているところは、東京とか大阪ないしその近辺というふうなところが多うございまして、そういうところが多くなるだろうということは予測できますが、具体的には現在なお検討中のところでございます。
○飯田委員 先ほどの説明、ほかの同僚議員の質問のときにもあったかと思いますけれども、今度増員をされるけれども、特に内閣の閣議決定による要請によりまして減員をすることに協力することになった、こういうお話がございましたが、従来までの裁判所の定員というものは、裁判所の実際の仕事をやる上において必要であるから設けられたものであるし、また実員が大体それに見合っていくことによって裁判がうまくいくことも考えられると思います。 行政官庁で余分な人員のある官庁が相当ありますが、特にそれを整理しなければならぬので、それを一律に整理するということで内閣で決定した。それを裁判所の方にまで協力を求めて何とかしてくれという要請を内閣から裁判所になされるのは、司法行政の独立を侵害することにならないでしょうか。私はどうもそのように思うのですが、この問題につきまして政府の方の御見解及び裁判所の御見解、両方承りたいと思います。
○大西最高裁判所長官代理者 この定員削減の問題は、先ほども申し上げましたところでございますが、閣議決定がございまして、内閣官房長官から最高裁の事務総長に対しまして閣議決定が参考送付されたわけでございます。 裁判所といたしましては、この閣議決定にもとより拘束されるものではございません。ただ、理由となっております行政部門における人員の削減計画の中身を考えてみますと、裁判所といたしましては、裁判部門に従事しております職員につきましてはそれとは全く違うわけでございまして、裁判は適正迅速にやっていくという上からこれを削ることはできないわけでございますが、先ほども申し上げましたけれども、司法行政部門につきましては、行政、内閣の方と似た面もあるわけでございます。たとえば最近でございますと、いろいろ器具等も能率的な器具がだんだんできてまいりまして、そういうものも順次裁判所に導入されております。そういうことで従前人手を要した仕事が機械で代替されるというふうな面もあるわけでございます。 それ以外にもまた、現在の司法行政のやり方につきまして、たとえば報告事項を整理いたしますとか記録の保存管理等をもう少し能率的に行うような手段を講じますとか、そういう手段が可能なわけでございます。そういうことをも勘案いたしまして、一般の行政と似た部門につきましてはある程度の御協力をすることもできるのではないかということで、向こうの閣議決定に拘束されるわけではございませんが、いわば裁判所の方から自主的に御協力を申し上げるという意味で削減をすることに決意した次第でございます。
○枇杷田政府委員 政府の方から、特にそのような削減をしろというふうなことを裁判所に申し入れるということは全くございません。ただいま最高裁判所の方からも御答弁がありましたように、全く最高裁判所の自主的な御判断に基づいて削減しておられるというふうに理解いたしております。
○飯田委員 このたびの財政再建という目的から人員整理をするということは必要な点があると思いますけれども、現在内閣の主管にある各省におきまして、大変忙しい部分と忙しくない部分があることははっきりしております。最初は忙しくとも、時代の変遷によりまして不要になったのに、そのまま存置されているという官庁が多々ありますので、こういうものを整理するのが本来の目的ではないだろうか。忙しい官庁までついでに平等に減らしてしまえという思想は、考え方として正しくはないのではないかと私どもは考えるわけです。 ことに裁判所の定員法の場合、従来裁判所が本当に豊かな余分の定員を持っておられたということであるならともかく、実際はそうでないように私どもは現地を回りまして聞いております。そうしますと、裁判所が内閣の傘下の各省の不要になってきたような官庁と同じような措置を忍ばねばならぬということは問題ではないか、こう考えるわけであります。 ことに裁判所の定員法は、最高裁がこれを立案をいたしまして、国会に審議を要求いたしまして議決して定めるものでございます。その定員法に見合う予算を内閣で編成するのが順序であると私は思うわけです。予算を計上して、予算が足らぬから裁判所の定員を変えるというのは逆ではないか、このように考えるわけです。遊休人員の整理が必要なのであって、今度の減員については、実際は裁判所の下級職員の労働強化になるのではないか、こう考えられますが、この点についての御意見を承りたいと思います。
○大西最高裁判所長官代理者 この裁判所職員定員法は、これは御承知と思いますけれども、法案の提出権は内閣と国会自体にあるわけでございまして、この定員法も内閣から国会の方へ提出していただきまして御審議をいただいておるという関係にあるわけでございます。 一方、予算の方につきましては、これもよく御承知のことと存じますけれども、最高裁判所が内閣の方へ予算要求書を提出して、実際上は大蔵省とある程度の話し合いをやるということになるわけですが、そういうふうにして決まっていく。その予算が内閣から国会の方へ提出される、そういう段取りになっておるわけでございます。 この予算と法律の関係につきまして、これはどちらが先かということがいわば問題になるわけでございましょうが、これについて、これはあるいは裁判所として申し上げるべき筋合いのものでないかもしれませんし、その関係についてはいろいろな考え方もあるようでございましてむずかしいところでございます。ただし、要するに予算と法律とが違うということは好ましくない。だから、いまの場合、法案も予算もやはり内閣の方で決めていくという意味で、それが同時に提出されるという関係になっておるわけでございまして、予算が先に決まり、法律が後で決まるというわけのものではございません。現在両方とも国会において審議される、そういうふうなことになっておるのではないかというように考えます。
○飯田委員 ただいまの御説明、ちょっと私聞き漏らしましたのですが、裁判所の定員法を決める場合は内閣でこれを立案をしてやるようにお聞きしたのですが、現実にそうなっておるといたしましても、法理論上はそれではおかしいのではないか。 元来、裁判所の定員というのは裁判所の事務をやるために必要な職員の確保ですから、これは当然最高裁の管轄にあるのではないかというふうに私どもは理解をするのでございますが、いかがでしょう。
○大西最高裁判所長官代理者 ちょっと私の御説明が悪かったのではないかと思いますが、三権分立のたてまえ上、法律案を最高裁判所自身で策定をして提出するということにはならないわけでございまして、先ほども申しましたように、内閣あるいは国会の提出というどちらかの方法によるということになるわけでございます。一方、予算の方は、予算の提出権は内閣の専権でございまして、内閣から出てくるということになるわけでございます。 ただ、そうは申しましても、恐らく飯田委員御指摘の点は、実際はその定員の中身はどうやって決まるのかということをお考えになっての御発言だと存じますが、その点は先ほども申し上げましたように、確かに裁判所の方から内閣の方へ予算要求をいたしまして、内閣との御折衝の過程で決まってくる。その中身については、いわばその決まった中身を内閣の方で法律案として提出していただくようにお願いする、そういう関係にはあるわけでございます。
○飯田委員 内閣が予算を作成して国会に提出する権利があるということは憲法に書いてありますから、そのとおりだと思います。しかし、これは国会が予算を審議したり議決するのがもとでございまして、それの準備行為にすぎない。内閣の予算作成、提出権というのは、国会で予算を審議するための準備行為だ、このように理解できるわけであります。 したがいまして予算の作成に当たりましては、行政府の予算はもちろん行政府でおつくりになる、これは構いませんが、立法府の予算とか司法府の予算につきましては、その中身はそれぞれ立法府の予算は立法府、司法府の予算は司法府で大体決めまして、それを実際下準備をやるところの内閣に持っていきまして、相談をして下準備をさせる、こういう性質のものでなければならないと私どもは思うわけです。 内閣が予算をつくる権利があるなどということは間違いだ、こう思います。予算をつくる権利があるとは書いてないのであって、予算を審議して議決するのは国会ですから、そこに予算権というものはあるので、その準備行為をするだけですから、そうでありますれば、最高裁予算というものも内閣でどうか勝手につくってくれというのではなしに、最高裁は最高裁独自で必要なものについて検討されてつくられ、それを内閣の事務機構である大蔵省に持ち寄って話し合って決めていくというのが筋でございまして、主体性はやはり最高裁にあるのではないか、それから立法府の予算は立法府にあるのではないか、このように思うのですが、この点につきまして政府の御見解はいかがでしょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げましたのは、予算の提出権が内閣にあるということを申し上げたわけでございまして、その内閣から提出されました予算が国会において審議されるということになる、これは御指摘のとおりでございます。 その裁判所が独自の予算をつくるべきだという御指摘に関係いたしまして、御承知のとおり、いわゆる二重予算の制度というものがあるわけであります。裁判所の予算は独立して国の予算に計上されるということ、これは裁判所法に規定をしておるわけでございまして、そういうことで裁判所は、国の予算に独立して計上していただくべき予算を内閣の方に予算要求をいたしまして内閣と折衝する、具体的には大蔵省と折衝するということになるわけでございます。 それで、内閣と裁判所の意見が一致いたしました場合には、内閣の方でその一致した意見に基づいて予算を国会の方に提出されるということになるわけでございますが、その内閣の意見と裁判所の意見とが一致しません場合、具体的には裁判所の方の要求を内閣の方で減額をした場合には、裁判所といたしましては内閣に対しまして、裁判所の要求とそれに対する財源を明記して国会に提出していただくというふうにする、国会において裁判所の要求の適否を審議する、そういうことになるわけでございます。 これがいわゆる二重予算でございますが、その制度はあるわけでございまして、裁判所といたしましても常にこの制度を念頭に置いて折衝しておりますし、財政当局におかれましてもこの点は十分頭に置いて裁判所の要求を考えていただいておる、そういうふうに私どもは理解しておる次第でございます。
○枇杷田政府委員 私どもの考え方も、ただいま最高裁の方からのお話と全く同様でございまして、実質的には裁判所が責任を持っておやりになることについての内容でございますので、十分にその意向を受けまして予算が組まれるべきであり、また法案につきましても、そのようなものについては私どもの方にその結果の立法依頼がございますと、それについて私どもの方はただ法案にまとめて国会に提出するということにいたしておる次第でございます。
○飯田委員 いまの問題は了解いたしました。 それでは次の問題に入ります。最高裁判所の調査官制度というのがございますが、調査官制度というのはどういう制度であって、どういうふうに運用されているのでしょうか。また、その任用資格はどうなっておりますか。またその定員はどうなっておりますか、お伺いいたします。
○大西最高裁判所長官代理者 裁判所調査官は、ちょっといま手元に六法全書を開いておりませんが、裁判所法の中に裁判所調査官という官職を規定しておりまして、最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所等に置くということになっておるわけでございますが、現実に最高裁判所に現在置かれております裁判所調査官は、すべて裁判官の資格を有する者でございまして、それが最高裁判所が裁判をするにあたりまして必要な事項の調査をいたしまして、その調査を見て最高裁判所で合議をして裁判をされる、こういうことになるわけでございます。
○飯田委員 定員の方はどうでしょう。
○大西最高裁判所長官代理者 現在三十名足らず、二十八人ですか二十九人ですかの裁判所調査官が最高裁判所におります。
○飯田委員 その最高裁判所の調査官の定員、いま二十何名とおっしゃいましたが、これは最高裁の裁判官の定員の中に計上されておるわけでございますか。
○大西最高裁判所長官代理者 現実におります裁判所調査官、裁判官の資格を有する者というのはただいま申し上げました。実際上は裁判官でございますので、この裁判所職員定員法との関係で申しますと、第一条にございます判事の定員を占めておる者ということになるわけでございます。 そして、裁判官の資格を有しておって裁判所調査官になっておる、これは裁判所法の附則によりまして裁判所調査官は裁判官から任用できるということを決めてございまして、その条文によりまして裁判官の資格を有する者を最高裁判所の調査官に任命しておる、こういうふうになっております。
○飯田委員 いま私がお尋ねしましたのは、最高裁判所調査官になる判事、これは最高裁の中の定員を食うておるのか、あるいは高裁とか地裁とかそういう方のを食うておるのか、こういうことをお聞きしたのです。
○大西最高裁判所長官代理者 ちょっと御説明が十分でなくて失礼いたしました。 この裁判所職員定員法の第一条には判事が何人というのが書いてございます。この判事をさらにもう少し予算的に内訳を申しますと、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所に判事が割り当てられるということになるわけでございます。その高等裁判所とか地方裁判所の判事であるわけでございまして、そういう判事から裁判所調査官に充てるということをやっておるわけでございますので、高等裁判所あるいは地方裁判所等の判事ということになります。
○飯田委員 そうしますと、高等裁判所、地方裁判所のところで欠員が設けてありますね。あの欠員が最高裁判所の調査官の要員になるのでしょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 これは現実に高等裁判所判事であり地方裁判所判事という辞令も出ておるわけでございますから、欠員の分ではございませんで、現在その人がおるわけでございます。 欠員はそのほかにあるわけでございまして、だからもう少し突き詰めて申しますと、地方裁判所判事何人となっておりまして、その中の何人かが実際上は最高裁判所の調査官として働いておる、こういうふうに御理解いただいたらよろしいかと思います。
○飯田委員 それでは次の問題に入ります。 参与判事補制度というのがあるということを聞いておりますが、これはいまあるかどうか知りませんけれども、物の本によりますと、あると書いてありますのでお尋ねいたしますが、これはどういう目的で、現在あるとするならばどのように運用されておる制度でございましょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 このいわゆる参与判事補と俗称されておりますものは、現在、最高裁判所の規則というものがございましてそういうことができるということになっておりまして、ちょっといま手元にどの程度行われておるかという具体的な数字はございませんけれども、全国一律にやっているということではございませんが、まだかなり参与をしておるところがあるのではないかと思っております。
○飯田委員 この参与判事補というのは、たとえば裁判官が一人で裁判をする裁判所、そこのところに配属されるのか、あるいは三名で裁判する場合のうちの一人をこれに充てるのか、これはどういうことになっておるのでございましょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 三人で裁判をいたします、いわゆる合議体でございますが、その場合ではございませんで、むしろ単独でやっております裁判官に参与判事補がついているということになるわけでございます。規則もそういうふうになっております。
○飯田委員 そうしますと、その参与判事補の仕事は、裁判官の仕事をやるのか、あるいは裁判官の見習いをしているのか、あるいは裁判官の合議にあずかるのか、どういう役目でございましょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 いわゆる判事補が参与判事補として単独裁判官の審理に参与するという形でございますが、これはあくまで裁判体自体は単独でやられます裁判官が裁判をするわけでございまして、ちょっといま手元に規則がございませんが、それに対して審理に立ち会ったりあるいは意見を述べることができるというふうになっておるわけでございまして、そういう意味では裁判体の一員ということになるわけではございません。
○飯田委員 この判事補は、実際は現在の裁判制度にとっては不必要だと思われますが、これについての定員の問題ですね、定員はまだまだ各地方裁判所に設けておられるのでしょうか、いかがでございましょう。
○大西最高裁判所長官代理者 この参与判事補と申します判事補も、この定員法の第一条に書いております判事補そのものでございます。 この判事補は、実際問題としては合議体の一員として裁判をする場合もあるわけでございますが、単独体の裁判官に対して参与判事補として参与していくという場合もあるわけでございまして、そういう意味では参与判事補という特別の官職があるわけではございませんで、判事補が参与に関する規則に基づいて参与した場合に参与判事補と呼んでおるということになるわけでございます。
○飯田委員 単独の裁判官の裁判をする裁判所、そういう裁判所にこの判事補をつけなければならないということは訴訟法上はないのですから、そういう余分の人をわざわざつけるということは、それだけ余分な定員が要る。つまり、判事補はもっと少なくていいんだけれども、そういう余分な仕事をやるために多くしたんだ、こういうふうに理解をされるのでございましょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 これは実は合議体、つまり三人の裁判官で裁判をいたします場合はそうたくさんあるわけではないのでございます。現在、合議率というものはそんなに多くはございませんで、全体の事件のうちのたとえば一割とか五%とか、そのくらいの事件しか合議体では審理をしない、そういうことになっております。 そういたしますと、実際、修習生を終わりまして判事補になりました場合に、実際の事件を審理し判決をしていく、むしろそういう機会が少ないわけでございまして、非常に極端な言い方をしますと判事補がむしろ暇で困るのだ、そういう意味で、逆から申し上げますと、一人前の判事となっていくための研さんを積む機会がないということになるわけでございまして、むしろそういう機会を与えるために単独体の裁判官の審理等に立ち会っていくということでございますから、そういう意味で申しますと、むしろそういう余力を研さんの機会に当てていくということになるわけでございますので、判事補の定員が多く要るというふうなことにはならないわけでございます。
○飯田委員 そうしますと、結局、判事補は暇で仕方がないものなんだけれども、本物の裁判官になるためにはこの判事補を教育しないと本物にならない、ところが三人でやる事件というのは余りないので暇だ、それで、どうせ暇ならば教育するためにこれを使おうではないか、こういう御趣旨でございますか。
○大西最高裁判所長官代理者 ちょっと私の申し上げ方があるいは悪かったかもしれませんが、率直に申しますと、判事補には余裕があってしかも研さんの機会がないというふうなことがないようにするのが、この規則の一つの目的でございます。
○飯田委員 この問題は問題があると思いますけれども、このくらいにしまして、次の問題に入ります。 現在、最高裁判所には規則制定権というのがございます。規則制定権に基づいて規則を制定なさる仕事が相当おありではないかと思います。それで、いままで法律で出されておるようなものでも実は最高裁の管轄だというものもずいぶんあるわけなんですが、そういうものの研究もおやりにならなければならぬじゃないか。そうしますと、最高裁にその規則制定に関する仕事を担当する機関が必要ではないか。そういう機関は現在持っておられるのかどうか、また持っておられるなら、その要員はこの定員表ではどこの定員表に当てはまるのか、こういう質問でございます。お伺いします。
○大西最高裁判所長官代理者 最高裁判所規則自体は最高裁判所の裁判官会議でお決めいただくということになるわけでございますが、規則を制定するにつきましては、最高裁判所に規則制定諮問委員会というものがございまして、これは民事規則、刑事の規則、それから家庭裁判所の事件の関係の家庭規則、それから一般規則、そういう四つの規則制定諮問委員会を設けておりまして、必要があります場合には、その規則制定諮問委員会に諮問した上で裁判官会議で規則を決めていただく、こういう段取りになるわけでございます。 その規則の立案の要員というものがおるかということでございますが、その点、最高裁判所の事務総局といいますのがまさに最高裁判所の庶務をつかさどっておるということで、その事務総局の仕事の非常に大きな部分はこの規則制定の立案、つまり準備作業を事務総局でやっておるわけでございます。 その具体的な要員でございますが、事務総局の中に民事局とか刑事局とか家庭局とかいろんな局がございますが、それぞれに裁判官の資格を有する者がおりまして、そういう者が中心になって規則の草案を立案していく、こういうことになるわけでございます。 しからば、そういう人員はどこの定員に入っておるかということでございますが、これも裁判官でございまして、先ほどの調査官と似たような関係でございますが、地方裁判所とか高等裁判所の判事でございますとか判事補でございますとか、そういう者を最高裁判所の事務総局の局長でございますとか課長でございますとかに充てるということになっておりまして、定員的に申しますと地方裁判所とか高等裁判所の判事等の定員を占めておる、こういう関係になるわけでございます。
○飯田委員 そうしますと、高裁とか地裁とか簡裁、そういうところの定員を決める場合に、事件数だけを標準にして決めるということでは差し支えがございますね。そういう最高裁の仕事までやらなければならぬ、最高裁用の職員も確保しなければならぬということになるのですが、そういう点はどのようにして考慮されておるのですか。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま申し上げました事務総局等におります裁判官有資格者の問題につきましては、当委員会でもたびたび御指摘をいただいておるところでございまして、むしろそういう者はもっと現場へ帰すべきではないかというふうな御指摘もたびたびいただいておるところでございます。 私どもといたしましても、もちろん第一線の裁判が一番重要でございますから、そこのところにできるだけたくさんの人員を充てるということが必要なわけでございますけれども、ただいま申しましたように、たとえばその規則立案というような関係につきましても、どうしても最高裁判所で裁判官の有資格者がいないとなかなかできるものではないという関係から、最小限度の人員を事務総局に割いておる、そういう関係になっておるわけでございます。 そこで、下級裁判所の地方裁判所、高等裁判所の人員を定めるに当たりましては、したがいまして、もちろんそういうものを頭に置いた人員というものが必要なわけでございまして、私どもといたしましても、そういうものを割いた後の人員でやれるかどうかということをも頭に置いた上で裁判官の増員等もお願いしておる、こういう次第でございます。
○飯田委員 それでは、いまの問題はそのぐらいにしまして、次に移りますが、現在家庭裁判所の調査官というのがございますが、少年犯罪の傾向とかその特徴から見まして、この家庭裁判所の調査官の仕事は現在どういうふうになっておるのでしょうか、お伺いいたします。
○大西最高裁判所長官代理者 家庭裁判所の調査官は、家事審判でございますとか少年の審判でございますとか、その際に——科学的な調査と申しますが、心理学、社会学等の知識を持っておる者が多いわけでございますが、そういう知識を活用いたしまして、そういう審判に必要な調査をつかさどるという職員でございます。
○飯田委員 物の本によりますと、少年事件が非常にふえてきた、そしてその性質も昔と違いまして、少年の心理的内容も変わってきた、遊び的な傾向を持つ犯罪が多い、こういうことを書いておりますが、そういう少年犯罪を調査して指導していく任務が家庭裁判所の調査官にあるのかないのか、あれば、現在の調査官の人数で、この増加していく少年犯罪またはその少年犯罪の傾向の変化、こういうものに対応し得るかどうか、こういう問題についてお伺いいたします。
○大西最高裁判所長官代理者 家庭裁判所調査官の職務といたしましては、ただいま申し上げましたとおり、家事審判、少年審判、それから調停等の審判、調停に必要な調査をつかさどるという官職でございますから、それを離れて少年等を指導していくという任務には必ずしもないわけでございます。 ただ、その審判をするに当たりましては、その調査の段階で、たとえば少年事件でございますと、少年の資質等を調べまして、一体いかなる審判をするのが相当かというようなことも家事審判官に意見を述べて、それで審判がなされる、そういう意味におきましては、やはりその少年の指導に関係があるということにはなるだろうと考えます。 ただ、この少年の審判とか家事審判等について、現在の調査官の数で十分かということでございますが、これは理想の形ということを頭に置きますと、なかなか十分だというふうには必ずしも申し上げられない面はございますけれども、家庭裁判所調査官も任用資格が非常に高うございますし、調査官にするためには、これも家庭裁判所調査官研修所というのがございまして、そういうところに入れて一定年限の教育を施した上で任用するということになっておりまして、そういう人員を具体的にふやしていくということが早急にできるわけのものではございません。そういう関係もございまして、理想形ではございませんけれども、一応いまの人員で何とかやっていけるということで、さしあたってここ数年のところは調査官の増員は行わないで、むしろもっと必要な他の分野、裁判官、書記官等の増員に努めておる、こういう次第でございます。
○飯田委員 それでは次の問題に入りますが、調停手続、民事調停ですね、民事調停というのは最近非常に重要性を増してきたと思います。裁判に持っていかないで、お互いに仲を取り持ってうまくやっていこうという考え方が出てまいりました。 そこで、調停担当の裁判官の数は不足しておるのではないかと思われますが、いかがでしょうか。調停件数と裁判官の数との関係から見ましてどうなっておるでしょうかという問題が一つでございます。 それからその次に、調停委員の教育制度は一体どうなっておるのかという問題でございます。現在、調停につきましては、ほとんど民間の調停委員がおやりになっているようでございますが、これが必ずしも妥当な線を出さないで、まあ常識というのはどうしても事大主義になりまして、権力者に偏ってしまうようになってしまいますから、金持ちなら金持ちに有利になるような調停をしかねぬわけです。そういうことにならないような調停委員の教育という問題、これについて、どのような教育制度をおとりになっておるのでしょうか。 この二つの点をお伺いします。
○大西最高裁判所長官代理者 民事の調停事件は、ただいま御指摘のとおり、最近、特に民事調停法が施行されました四十九年ごろ以降次第にふえてきておるという関係にございます。ただ、お手元の資料には入っておりませんが、五十四年はやや下降ぎみというふうな数字が出ておりますが、それにいたしましても、最近数年をとりますと、民事調停事件は次第にふえてきているということでございます。 この民事調停事件は簡易裁判所でほとんどやっておるということでございますが、それが十分かどうかということでございますが、特定の裁判官が民事の調停ばかりを取り扱っているというわけではございません。大きな簡易裁判所におきましては調停専門でやっておられる方もおりますけれども、むしろ大多数の簡易裁判所では、一人の簡易裁判所が民事の訴訟事件や刑事の訴訟事件、調停その他いろいろな事件をあわせてやっておるということになるわけでございまして、調停のみについて足りるか足りないかということは、なかなか一概に言えないような関係がございます。 ただ、全体として申し上げられますことは、簡易裁判所の民事事件、最近は少しここ数年ふえておりますけれども、全体としては、たとえば十年くらい前に比べますと、大分民事訴訟事件なんかは減ってきておるというふうな関係もございまして、簡易裁判所全体の事務量で考えますときには、必ずしも簡易裁判所の事務量がふえておるというふうには申せないわけでございまして、むしろ地方裁判所の方が全体の事務量がふえておる。そういう関係から申しますと、簡易裁判所の裁判官の数は変わっておりませんので、調停をも含めた全体の簡易裁判所の事務量との相関関係で見ます限りは、むしろまあまあ簡易裁判所が足りないというわけのものではない、こういうふうに言えるのではなかろうかと考えます。 もう一つ、民事調停委員の教育の問題でございますが、これは幾つかの研修をやっておりまして、たとえば民事調停委員について申しますと、地方裁判所単位で二つの研修をやっております。一つは、初任の調停委員になったばかりの方を対象にいたしました研修会をやっておりますし、それからもう少しベテランになられた方の、これは調停委員の研究会と呼んでおりますが、そういうものもやっております。そのほかに簡易裁判所単位でございますけれども、調停委員を集めまして、幾つかのケースに即した勉強会をやるというふうなこともやっております。 それ以外にも裁判所主催以外の、いわば調停委員の自主的な団体として地方の調停協会というようなものがございますけれども、そういう協会でも自主的に研修をやっておるということで、これは家事の調停委員でもほぼ同じような形の研修、研究をやっておりますけれども、かなりの人数の調停委員がそれに参加いたしまして常時勉強をしておるという状況でございます。
○飯田委員 それでは最後にお伺いしますが、国際間の司法共助ということに裁判所が関与されることはあるでしょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 司法共助、たとえば証人の尋問をいたしますというような場合に、外国に対しましてそれを嘱託するとかあるいは外国から嘱託を受けるというふうなことはあるわけでございます。
○飯田委員 ロッキード事件その他のいろんな最近の事件でございますが、ああいう事件につきまして、裁判所から外国の方へそうした証人尋問を依頼するとかということをやれるような制度に現在なっておるでしょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 ちょっと所管の者がただいまおりませんで、急な御質問でございますので後でまた御連絡申し上げるようにしたいと存じます。
○飯田委員 それでは、きょうの質問は時間が参りましたので終わりますが、いろいろ本日お伺いしましたところからは、現在の裁判所の定員があり余っているというふうにはどうも見受けられないのですが、それが特に内閣の恣意によって減らすという事態が生ずるということ、そういうことに私は問題があると思うのであります。三権分立の立体制というものは、これは厳格に守るのが結局はわが国の利益になる、国民の利益になる、こう思いますので、そういう点についても私は、政府の方にもっと寛大な心でもって御研究をなさっていただきたい、こう思うものであります。 これをもって、私の質問を終わります。
○木村委員長 岡田正勝君。
○岡田(正)委員 まず総務局長さんにお尋ねをいたしますが、現在国民の感覚といたしましては、裁判といいますと金と暇のある者しか用事はないわいというような感覚ではないでしょうか。その一因というのは一体何だろうかと考えてみますと、やはり裁判には金と時間がものすごくかかる。たとえば民事なんかだったら、まず二、三年はどうもならぬというようなあきらめがあるからではないでしょうか。私は、むしろ今回御提案に相なりました増員案については好意を持って実は考えておるのです。 そこでお尋ねするのでありますが、今回出されましたこの判事と職員の増員計画でありますが、これで現在の裁判所の機能は十分に満たされるのかどうか、まずお答えください。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいまこの定員法で提案になっております判事二十二名の増員その他裁判官以外の裁判所職員十五名の増員で十分か、機能が十分に果たせるかというお尋ねでございますけれども、これは何をもって十分と考えるかということとも関係するわけでございますが、もちろん私ども、これで理想的だというふうに考えておるわけでは決してございませんで、さらにより一層増員もお願いしなければいけない面もありましょうし、訴訟の迅速との関係で申しますと、やはり増員以外のその他の施策もいろいろ必要なわけでございまして、そういうものも含めた努力というものが裁判所としては必要であるというふうに感じております。
○岡田(正)委員 そこで私が心配しておりますのは、恐らくそういうお答えが出るだろうと思ったのですよ。 いま国民にとって一番大事なことは、さっきも選挙のことなんかも出ておりましたけれども、裁判にかかったらその裁判が迅速に的確に適正な結論が得られるということが、やはり法治国家では一番大事なことじゃないかと思うのです。これが余り長く時間がかかり過ぎるものだから、結局は法律というよりは政治が悪いのだというようなことで、逆に政治不信になる、国民の皆さんが、反感を持たれるということになってくるわけでありまして、特に私が不満に思っておりますのは、今回出されておりますのは判事と職員の増員だけでございまして、それ以外に簡易裁判所の判事とかあるいは判事補とかあるいは調査官とか、そういうものは全然いじっておりませんね。こういう点が私、実は非常に不満に思っているのです。その点当局としてはどう思っていらっしゃるのか、全然いじらなかったのはどういうわけなのか、そこをちょっと聞かせてください。
○大西最高裁判所長官代理者 裁判所には、判事、判事補、簡易裁判所判事という裁判官、それから裁判官以外の職員でも書記官、事務官、調査官、いわばいろいろな官職の職員がございまして、それぞれの官職についてそれで十分かどうかということについてももちろん検討しておりますし、全部が全部足りないと言えるかどうかも一つの問題でございますが、私どもといたしましては、事件数の動向、それから裁判官を含めました職員が増員をいただきました場合に十分にそれを充員できるか、埋められるかというふうないろいろなことを考えまして、そういうこととの関連におきまして、さしあたり最も必要なところから増員をお願いするということで、順次毎年毎年増員をお願いしてきておるわけでございます。ことし一年限りではございませんで、毎年毎年、これは二十年来と申し上げていいと思いますが、増員を続けてまいりまして、一歩一歩理想の形に近づけていく、そういうふうな努力を続けているということになるわけでございます。
○岡田(正)委員 そこで、いま欠員の関係が出ましたので、いただきました資料を見てみますると、時間がありませんからもう詳しいことも申し上げませんが、今度の増員計画を入れて新定員で計算をいたしますと、十二月一日の欠員のままで計算をしてまいりましても、差し引き百七十一名不足しておりますね。 それで、この百七十一名の不足というのは、定員法を出すからにはこの不足を充足する自信があってお出しになるのだろうと思うのですよ。それは判事なんという各職名別の定員は別といたしまして、いわゆる裁判所関係の総定員の関係で、現在の定員すら十二月一日付でも百五十六名よう充足してないわけですね。欠員があるわけです。そこへもってきて今度はまた増員の新定員になるわけでしょう。そういたしますと、トータルいたしまして百七十一名足らなくなるわけですよ。いまでもよう充足せぬのに、また充足できない数がふくらんでいくわけだけれども、その点は当局はどういう自信があるのか。そこら辺をちょっと聞かしてください。
○大西最高裁判所長官代理者 裁判官につきましても、裁判官以外の職員につきましても、年度途中においてやめました場合に、きょうやめたらあしたすぐ補充できるという官職のものもございますが、そうでないものがたくさんあるわけでございます。 裁判官につきましては一番それが顕著でございますが、そのほかに、たとえば書記官でございますとか家庭裁判所調査官でございますとなそういうふうな官職につきましても、年度途中でやめられた場合に、なかなかすぐに埋めるというわけにいかない。そういう意味では、十二月ごろと申しますのはもう四月から大分たっておりまして欠員がわりあい多い時期でございまして、春ごろになりますとかなりそれが埋められるということが一方においてございます。 もう一つは、裁判所には最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、いろいろございますが、全国で千何百の役所がございます。たとえて申しますと、こちらでタイピストがやめて埋めたと思ったら、こちらで運転手がやめたとか、そういうことが常時あるわけでございまして、特定の日をとりました場合にすべてが完全に埋まるということは、むしろ至難のわざでございます。一つの役所であります場合には、それがかなりできるわけでございますが、千何百というような組織を抱えております場合、いま申しましたようなことが起きてまいります。そういう意味での若干の欠員はどうしても避けられないということでございますが、ただいま申しましたように、春ごろになれば十二月とは大分違った状況にはなるというふうには申し上げられるかと思います。
○岡田(正)委員 ちょっとたちの悪い質問をさしていただきますが、先ほど来の質疑応答を聞いておりますると、三権分立でありますから、五十四年九月の閣議決定によるいわゆる総員を削減していこうとする、それから五十四年十月の定員管理計画、五カ年計画、こういうものに何も私どもが拘束をされるわけではございませんけれども、やはり予算をお願いするという立場から御協力を申し上げていこうという立場でございます一さてそこで、一年目の昭和五十五年には三十二名減員をする予定でございます、こういうことをおっしゃいましたが、その答弁に間違いありませんか。私の聞き違いですか。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のとおりでございます。
○岡田(正)委員 しからば再度質問をいたしますが、今回提案をされております新定員法とでも申しましょうか、この新定員の計画というのは、減員の計画ですか、増員の計画ですか。
○大西最高裁判所長官代理者 このお手元に差し上げております資料の十五ページのところに数字が出ておりますけれども、裁判所書記官につきましては十六人の増でございます。それから事務官につきましては、一方において三十一名の増でございまして、一方において三十二名の減、差し引き一名減ということになるわけでございますから、合計いたしますと書記官が十六の増で事務官がマイナス一で純増が十五、全体としては十五名ふえるということになるわけでございます。
○岡田(正)委員 ですから、ただ黙って聞いていると、いままでのお二人の議員さんの質問に対するお答えというのは、こういう資料を何も持たないで聞いていらっしゃる人があるといたしますと、閣議決定をいたしまして五十四年十月に出た定員管理計画、五カ年計画で人を減らしていこうということに、裁判所は何も縛られるわけじゃありませんけれども、その減員計画に御協力申し上げて、第一年度の昭和五十五年には三十二名減らしますということだけはいやに頭に残っちゃうわけですよ。 だから、そんなにまでして裁判所が減らさなければいかぬのか、いまそれでなくたって裁判の遅滞で国民から文句が出ているときに、何で一般行政職と同じようになって減らさなければいかぬのや、おかしいやないかという質問になってくるわけですね。私は、聞いている人みんながそんな感覚を持つと思うのですよ。だから、今度出ておるのは決して減員ではないのでありまして、裁判所全体といたしましては明らかに増員になっておるわけですね。そうでしょう。だから、 これはもう、そんなことは隠していらっしゃらないで、ちゃんと判事の関係で二十二名増、それから一般の関係で十五名増、合計三十七名定員がふえた。だから、いわゆる定員管理計画と裁判所の今回出されているこの法案は、何ら関係ないと思うのですよ、私は。 だから、私から言わしたら、総務局長さんちょっと気分が悪いかもしらぬけれども、いままでの御答弁を聞いていると、内部の表の十五ページの説明ならわかりますよ、十五ページの中だけにおける説明ならわかるが、この法案全体に対する御答弁としてはいささか詭弁に過ぎやせぬか。鬼面人を驚かすという、あれ、三十二名減ったというのに逆にふえておるじゃないかという、こういう感覚を受けるのでありまして、私は裁判所関係を減らす方に決して賛成してはおらぬのですから、もっと充足せいという方でありますから、内容はいいのですから別に文句を言うことはありませんが、今後の答弁におかれましては十分その点ひとつ、聞くのは国民でございますので、よく御注意いただきたいと思うのであります。 続いて第三番の質問に入らしていただきますが、この新しい定員で三十七名おふやしになって、これで国民の期待に沿えるような、最初に私が言いました、もう裁判なんていうものは金と暇のある人間しか用事はないんだという、この国民の酷評ですね、これに対して、今回のこの新定員で国民の期待に沿えるだけの、ここにりっぱな文言が書いてありますが、適正なる裁判のスピードアップというのができるのですか。お答えください。
○大西最高裁判所長官代理者 裁判所の使命は適正迅速な裁判を行うというところにあるわけでございますが、裁判所といたしましては、少し口幅ったいかもしれませんが、適正という面についてはそれほど非難を受けるような裁判をしていることはない、適正についてはかなり、本当に適正な裁判が行われておるというふうに考えておりますが、ただ迅速につきましては、ただいま御指摘のとおり、必ずしも迅速にいっていないという点は確かに認めざるを得ないところであろうと思います。 ただ、事件全体について見ますと、大部分の事件はやはり適当な日数で終わっておるわけでございまして、むしろ、ある一部の事件でかなり長くかかっておる事件があるということでございまして、そういうのがかなり新聞等でも喧伝されるというようなことがございまして、非常に長いんだなという印象を少し強く受けておる方が多いのではないかというふうな感じもいたします。 ただ、そうは申しましても、全一体としてもっともっと早くしなければいけないということは御指摘のとおりでございまして、そういう意味で、最初にも申し上げましたとおり、今回の増員で理想的な状態になる、完全に国民の期待に沿える裁判ができるというふうに胸を張って申し上げることはできないわけでございますが、その理想に近づくように一歩一歩やっていきたい。しかもその点は、増員だけが問題ではございませんで、訴訟が遅れる原因、これは詳しく申し上げますと非常に時間がかかるので申し上げませんが、たくさんいろいろな要素がございます。だから、増員をも含めましてそういう要素全体を見まして、それを一つ一つ解決していくように努力しなければいけない、そういうふうに考えておるわけでございます。
○岡田(正)委員 それでは最後の質問にさしていただきます。 いまいろいろと研修制度の問題が出ましたけれども、研修制度にはどういうものがあって、組織の内容がどうなっておるのか。それで、いまのたとえば判事にいたしましても判事補にしても、ずっと充足していくのに十分足り得る研修制度になっているのかどうか、組織になっているのかどうかということが心配なものですから、その点だけお答えをいただいて終わります。
○勝見最高裁判所長官代理者 裁判官が裁判事務をとるに当たりまして常に自己研さんを行わなければならないことは、これは申すまでもございません。しかし機構として、組織として、裁判官のいわば事後教育と申しますか、そういうこともやっているつもりでございます。 概要を申し上げます。 まず、判事補で新任されますと、いわば新入判事補につきまして研修を行っております。それから、判事補に任官いたしますと東京に四カ月ずつ集まりまして、有能な裁判長につきまして研さんをさせております。それから判事補研修、簡易裁判所判事研究、裁判官の各種研究会それから会同、司法研究、在外研修、それから各裁判所でいわば自庁研修といいますか、下級裁判所でそれぞれやっていただく研修、こんなふうに大別されます。 せっかくのお尋ねでございますので、もう少し詳しく申し上げますと、研修はやはり若いうちが一番大事だと思います。御承知のように、一人前の判事になるには判事補十年ということになっておりまして、先ほど申し上げました新任早々の研修、それから任命されました一年目の東京における研さんがございます。それから、三年たちますと簡易裁判所の事件もやれることになりますが、三年目に司法研修所に集めまして研修を行っております。それから、五年たちますと一人で裁判ができる制度になっております。単独で裁判をするための研修ということも含めまして、五年目にまた司法研修所に全員集めて研修を行っております。それから、十年たちますと先ほど申し上げましたように判事になるわけでありますが、十年目の判事補をまた司法研修所に集めまして研修を行っております。さらに、判事になりまして、裁判事務はもちろん、社会的な修練も積んでおられるわけでありますが、先ほどから出ておりますように、社会の複雑多様化ということで、事件の内容が非常にむずかしくなっておりますので、主としてその種の事件に対処するために、たとえば民事の関係ですと特殊事件の研究会、行政事件、労働事件、これは正直申し上げますと、裁判所にとってもなかなかむずかしい事件が多うございます。この行政事件、労働事件の研究会、あるいは刑事事件でありますと特殊な事件における訴訟指揮のあり方等々につきまして、お互い意見を交換して研究会を行うというようなことをやっております。 なお、これは戦前からのやり方でございますが、全国の裁判所から集まりまして会同、たとえば民事事件についての会同、少年事件なら少年事件についての会同というものを最高裁の事務総局で行っているというようなことでございます。 あと外国法、外国法制等の問題もございますので、その各種の制度、外国の法制等について、これは司法研究と言っておりますが、一定期間そのことに従事してもらって、研究報告をしてもらっております。 あと、いわゆる留学でございますが、特に若い人につきましては、判事補につきましては外国に留学してもらいまして、外国の法制を実際に外国の裁判所に行きまして勉強してもらうというようなこともやっております。 最後に、先ほど申し上げました各下級裁判所でそれぞれの自主研究を大分行っているというような実情でございます。 いずれにいたしましても裁判官の研修は、まだまだ十分でないかもしれませんが、できる限りのことをやっているつもりでございます。
○岡田(正)委員 詳しく御説明いただいて、まことにありがとうございました。 ただ、私がもう一つ聞きたかったのは、先ほど来の御質問の中で、いま研修所において一年ないし二年間の期間をもって書記官になるための研修中である。ああいう具体的な例がありましたね。そういうことが、数字がいま全然出てこなかったわけですよ。その点はいま質問するのはちょっと無理ですか。
○勝見最高裁判所長官代理者 ただいまお答え申し上げましたのは裁判官に対する研修でございます。 後で追加してお尋ねの点は、一般職員特に書記官の問題でございます。私どもの方には司法研修所、これは裁判官の研修が主になります。それから書記官研修所、これは書記官の養成機関でございます。もう一つ家庭裁判所調査官研修所、これは家庭裁判所調査官の養成機関でございます。 書記官について申し上げますと、書記官という特殊な仕事でございますので、十分研修した上で書記官に任命しております。大学の法学部を出た者につきましては一年間、それからそれ以外の者については二年間、これは東京に呼びまして書記官研修所、寮もございますが、そこに一年または二年入所させまして十分教育を行っておるわけでございます。書記官研修所はむしろ書記官の養成というふうにお考えいただければと思います。 なお、ついでに申し上げさせていただきますと、書記官に任命されて以降におきましても、書記官任命後何年かたちましてある程度経験を持った時点におきまして、裁判官と同じように研修を行っております。この点につきましては家庭裁判所の調査官についても同様でございます。
○岡田(正)委員 ありがとうございました。 いままでの御説明を聞きましてよくわかりましたが、いまの欠員、いわゆる不足数が年度末に出るのはあたりまえのことでありまして、約二百名近く、今度の新定員でいって百七十一名の欠員が出るのはあたりまえであって、新年度になったら充足されるというふうにお聞きしましたので、充足された時点において再度またお尋ねをすることにいたします。ありがとうございました。
○木村委員長 次回は、来る二十六日火曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時二十分散会