法務委員会 第3号
- 発言数
- 132 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/02/20
会議録
○木村委員長 これより会議を開きます。 法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沖本泰幸君。
○沖本委員 大臣の所信表明に対する御質問を主としていたしたいと思いますが、時間いっぱいで御質問が終わらない場合もありますし、その分に関しましては、別の機会なり同僚議員の方にお願いして御質問することとし、とりあえず所信表明についてお伺いするわけでございます。 所信表明の中に「内外の諸情勢がきわめて厳しいこの時期におきまして、わが国の国民生活か安定いたしております大きな原因の一つは、その基盤とも言うべき法秩序が揺るぎなく維持され、国民の権利がよく保全されていることにあると痛感いたしております。」こう述べておられるわけですけれども、その「おおむね平穏に推移しつつあると認められます」という点は、どういう判断に基づいて平穏と認められるのか、その辺を御説明いただきたいと思います。
○倉石国務大臣 これは御存じのように、犯罪統計などを見ましても、一般的にそういう感触を受けるのでありますが、そういう基礎的なこともさることながら、やはりたとえば外国人が日本に参りまして、夜婦人が一人歩きのできるような国はまず日本だろうというようなことも言っております。系統的に、数字的にいま私は記憶を持っておりませんけれども、いろいろな著書などを見ても、また政府の持っております資料を見ましても、概念としては、いま私が申し上げましたようなことを申しても差し支えないのではないだろうかという感触を受けておるわけであります。
○沖本委員 治安維持なり何なり、大臣がおっしゃっているとおり、表面的には非常に平穏に見えるかもわからない。外国人が来て、安心して夜も歩けるという点はあるかもわかりませんが、この次に述べていらっしゃるところの「最近の犯罪情勢は、おおむね平穏に推移しつつあると認められますものの、内容的には、」ということで、後で平穏ということとは全然逆のことをおっしゃっておるわけでございます。 「凶悪殺傷事犯、暴力団関係事犯、覚せい剤事犯等が依然として後を絶たないばかりでなく、大規模な金融関係事犯、公務員による不正事犯、いわゆる過激派分子による各種不法事犯等も多数発生を見ており、その趨勢には、引き続き警戒を要するものがあると存じます。」こうおっしゃっておるわけですけれども、凶悪殺傷事件というのは、去年の十大ニュースの中でも出ています三菱銀行の北畠支店の殺傷事件、あるいはことしに入ってからは、三重県の猟銃を乱射して七人を殺す、あるいは中学生がテレビのチャンネルの取り合いで姉を殺してしまう、あるいは覚せい剤で頭のおかしくなった女の子が大阪の難波の地下街で行きずりの人を刺し殺す、それからこの間は、福岡県ではいわゆるシンナーで狂った男がいきなり家庭の主婦を三人も刺し殺してしまう、あるいは三つの子供を七つの子供が井戸に突き落として殺すとか、とにかくいままで考えられないような事件が次々起こっておるという点。 その点から考えていき、またいわゆる暴力団の拳銃なりあるいはそのほかの銃砲等の密輸事件、この間マニラで殺された事件を考えてみても、相当数日本の中に入ってきている。暴力団関係にそういうものが相当流れておって、一体どの程度のものが暴力団関係の中にあるのか、あるいは、いわゆる猟銃とそれを所持する関係はどういうところでチェックされておるのか、どの程度の猟銃が危険な状態にあるのか、あるいは実数どの程度掌握されておるのかというような点をずっと突き合わせていくと、とても平穏無事だというような考え方ではおれない事情の中にあるわけですね。そしてシンナー取り締まりの方法もないし、あるいは覚せい剤は暴力団の資金源になるほど入ってきており、韓国なり香港なり海外から多量の覚せい剤が入ってきておる、それがだんだん家庭の主婦なり中学生までに蔓延してきておる。それは増大の傾向にある。 こういうふうな資料をすでに法務当局も御発表になっているし、関係機関で皆おつかみになっていらっしゃると思うわけですけれども、大臣の方でおっしゃっているとおり、外国人が日本に旅行で来られて、御婦人が夜でも安心して歩けるというのは日本だけじゃないかというのはあるけれども、そのほかの、いま申し上げたような内容のものが、本当に日本の国内において国民自体が安心して生活できるようなことになっておるのか。まして、われわれは護身用の銃砲、刀剣を所持することを許されていないわけですから、それはそれなりに治安当局が相当な取り締まりをやり、治安の維持に努力しておられる、そういう結果でもあるわけですけれども、いま申し上げたようなものが潜在しておる、そういう危険性というものは、やはり国民が知っておかなければならない内容でもあるし、当局の持っていらっしゃる資料なり何なりをどの程度国民が知らされておるのか、この点についてお答えいただきたいと思うのです。
○倉石国務大臣 私の所信表明の中で申しております前段の方は先ほど申し上げたのでありますが、それに継続して、そういう中で最近の状況はこういうことだという点で、沖本さんのいま御説明になりましたようなことを念頭に置いて、これに対処してわれわれは適切な処置をしていかなければならないのだという気持ちのことを続けて申し添えておるわけでありまして、まことに御指摘のことは御同感でございます。そういうことに対処して私どもはやっていかなければならないんだという考え方をそこに加味して申しておるわけであります。 いま最後に御指摘になりましたようなことにつきましては、事務当局の方から御報告をいたさせます。
○佐野説明員 御説明申し上げます。 先ほど引用されました三菱銀行の北畠支店で猟銃使用の強盗事件が発生いたしましてから、かれこれ一年たつわけでございますが、その間に銃砲規制を担当いたします私のところでも、いわゆる銃砲の所持許可基準、これをもう一遍見直すべきではないかという御指摘がございましたので、現在鋭意その許可基準の見直しをやっております。 それから、当時なお国会その他でもいろいろ御議論が出ましたのは、保管をもっと規制を厳しくすべきではないかという御意見もございました。そういう観点から、現在、所持の許可基準とそれから保管の問題、さらには社会的あるいは銃刀法の見地から見まして必要性が余りない銃、これについては排除させる、いわゆる眠り銃の排除の関係でございますが、こういった法の改正も現在準備いたしてございます。 その前に、概括的に猟銃その他の状況がどうだというお話もございましたので、御参考までに申し上げておきますと、昭和五十三年の数字で申し上げますと、猟銃が七十四万五千九百五十一丁、要するに約七十五万というふうに御記憶いただければと思います。そのうち散弾銃が七十一万九千六十四、それからライフル銃か二万六千八百八十七という数字でございますが、これが梅川事件が起こりましてから所持許可規制を厳しくいたしました結果、昨年五十四年度には二万丁ほどの減少を見せておるという状況でございます。 それから、特に殺人事件等で銃砲を使用する状況はどうかという点ですが、これは諸外国の例などに比べますと、圧倒的に比率は日本が低うございます。そういう意味では、銃砲使用による犯罪は、ときとしては内容的に非常に突出したものは出ますけれども、総体的に見た場合には、比率としては非常に少のうございます。そういったことを申し上げられようかと思います。 それから、暴力団の関係の拳銃の問題も御指摘がございましたので、あわせて申し上げますと、まず拳銃の所持につきましては、御承知のとおり、法令に基づくもの、それからオリンピックの射撃選手のようなごくごく限られた人は持てますが、それ以外には一般的には禁制品でございます。したがいまして、通常もし目につく場面がございましたら、これは完全に不法所持というふうにお考えいただいても過言ではないかと思います。 そして、この拳銃の製造とかあるいは購入への関係を申し上げますと、圧倒的に諸外国からの密輸が多いということでございます。数年前には、モデルガンと申しまして、おもちゃの拳銃を改造して拳銃につくるという場面が相当ございましたが、五十二年でございましたか、法律改正によりまして、おもちゃの拳銃ですら規制するということをいたしましたら、おもちゃの拳銃を改造するという事例は減ってまいりました。ただし総体的には、そのかわり、真正拳銃の密輸入という問題は依然として残ってございます。それも数字的に申し上げますと、たとえばこういう数字が出ております。昭和五十年の暴力団関係者からの拳銃押収状況を申し上げてみますと、真正拳銃が当時は三百二十二丁ございました。それから改造拳銃が千八丁ということで、おおむね三倍近い数字でございましたが、五十四年の数字で申し上げますと、真正拳銃が四百六十二丁、改造拳銃か四百四十五丁ということで、比率は逆転いたしてございます。 なお、手口その他の問題につきまして申し上げますと、タイ国あるいはフィリピン、この両国からの密輸入が他に比較しまして突出して多いという実態がうかがわれる状況でございます。 以上でございます。
○沖本委員 いまお示しになりました拳銃等の数字なんですけれども、これは結局、いわゆる密輸等によって検挙した、発覚した拳銃であるということになるんじゃないかと思うのですけれども、それ以外に、警察庁なら警察庁自体が推定できる、取り締まりをくぐって国内に持ち込まれたであろう拳銃とか、あるいはそれ以上の威力を持つような凶器に類するもの、こういうものをどの程度暴力団関係が使用して一般善良な市民に損害を与える、あるいは危険度を与えていくというようなことになっておるのか。完全に水際で、空港なりあるいは港で押収して、一切暴力団に渡っていないというふうなことは言えないと思うのですね。 そういうことになりますと、検挙する以上のものが暴力団の手に入っているということになれば、治安当局でも、一たんその連中を放置すると、非常に鎮圧がむずかしいくらいな威力を持ったものになるのじゃないだろうか。たとえば大きな暴力団の組織同士が動いたとすると、手に負えないような内容の事件が起きるんじゃないだろうか。そういうおそれはないんだろうかという点なんですけれども、この辺はどうなんですか。
○佐野説明員 先ほど申しました数字は、おっしゃるとおり私どもの検挙した数字でございます。 その検挙の過程で、取り調べなどから判断しますと、すでにブツをどこそこへ流してしまったとか、あるいは廃棄したとかいうふうなことで、現実に検挙されたもの以外の数字も確かにうかがわれます。ただ、この数字につきましては、一概に何倍かという見積もりは、実は私ども数字の上では持ち合わせておりませんが、一説によれば、数倍から場合によっては十倍近くにもなりはせぬかという説もございます。ただ、正確に申し上げられますのは、検挙数以外にも、本人の供述あたりから言いますと、ほかにすでに処分してしまった、あるいは廃棄してしまった、そういったいわば潜在する拳銃もあるということは事実でございます。したがいまして、その潜在した状況が、いわば暴力団抗争等の場合に、警察で対処し得ないくらいの大きな武力になっているかどうかという点につきましては、私ども全国警察二十数万という精鋭な警察官を擁してございますので、そういう場面につきまして、わが方が武力なり人員、装備的な面で見劣りがする、あるいはひけをとるというふうなことは、万々あり得ないというふうに確信いたしております。
○沖本委員 警察の方がいわゆる治安を維持していき、国民の生命、財産を守るために必要なこととして、そういう潜在しているものの内容をある程度掌握しながら、それに対していつでも対応できるような体制をとるというふうな検討はしていらっしゃると思うのですけれどもね。 ただ十分な警備体制を持っておるから心配するなということでなしに、恐らく終戦直後から現在まで組織の動きがこうであり、暴力団の関係の動き方がこうであり、これぐらいの能力を持ってきておるとか、そういうふうなものの内容もやはりつかんでいらっしゃると思うのですけれども、ある程度国民に、そういう内容、いま暴力団はこの程度力を持っていますよというようなことは知らしていただくことも、ある程度警戒する必要のある内容じゃないかと思うのですけれども、この点どうなんでしょうか。
○佐野説明員 御指摘のような、いわゆる潜在している力といいますか、武器というふうなもの、これは私どもも一応念頭に置いてございますので、具体的な暴力団犯罪の捜査に際しましては、彼らが最終的によりどころにいたしますのは、そういった拳銃だとかによります武器的なもの、それに期待しておるという面がございますので、暴力団対策の第一の眼目とも私ども考えておるわけでございますが、あらゆる機会を通じまして、暴力団事務所の捜索だとかをやるような場合には、必ず拳銃の問題あるいは覚せい剤の問題、こういったものは常につきまとうものだというかたい決心のもとに、一線の警察官を督励してまいってございます。ただいま御指摘がございましたような点につきましても、十分念頭に置いて対処してまいりたい、かように考えております。
○沖本委員 いま覚せい剤のことにお触れになったわけですが、最近日教組の大会の中でも、子供の五無主義とか、そういう無気力な内容あるいは想像もできないような子供ができ上がりつつある。子供のめんどうを見る親の方も、だんだん社会的に核家族化あるいはばらばらな生活の中で閉じこもって、精神的な圧力なり社会の中で生活しにくいような大人もでき上がってきている。そういう者が覚せい剤に頼っていったりあるいはシンナーに頼ったり、そういうふうなことであり、それで一度幻覚症状なんかになると、新聞をにぎわす大事件になっていく。 こういうことになってくると、これまた安心して生活できないわけですね。自分のそばでいつ何どき起こってくるかわからない。たとえば福岡の事件にしても、周囲でわかっていた。わかっていたことが防ぎ切れなかったという点もあるわけですし、それからシンナー等に関しては、いわゆる対策ができにくいというような点ですね。これは小さな子供から大人に至るまでの範囲内で起こってくるわけですし、覚せい剤はだんだん家庭の主婦を冒し、中学生まで冒しつつあるということが報道されておるわけです。だんだんその数量が増大していき、拡大されていき、それが暴力団の大きな資金源になってきているというふうなこともあるわけですから、そういうふうな現状と、それに対する対策、こういうものはこの所信表明の中にもあるわけですけれども、「関係諸機関との緊密な連絡協調のもとに、検察体制の整備充実に十全の意を用いて厳正な検察権の行使に遺憾なきを期し、」というようなことが述べられておるわけですから、その辺の点について、警察庁なり検察庁、法務省の対策をお聞きしたいと思います。
○柳館説明員 ただいま先生が御指摘のように、銃器とそれから薬物、これは治安を支える非常に重要な柱だと考えております。その薬物が家庭の主婦あるいは中学生まで大変浸透してきているということで私ども憂慮いたしておりまして、これの取り締まりに全力を挙げているわけでございます。 簡単に、その状況につきまして御説明を申し上げたいと思います。 最初に覚せい剤でございますけれども、最近の傾向について申し上げますと、覚せい剤取締法違反の検挙の状況は、昭和四十五年以降ほぼ一貫して増加をいたしております。昭和五十四年は五十三年よりもさらにふえまして、三万一千六百三十七件、人数にいたしますと一万八千二百九十七人を検挙いたしております。これは十年前の昭和四十五年に比較いたしますと、件数で十三倍、人員で十一倍ということになっております。また、こういう乱用者の増加に伴いまして、覚せい剤中毒による突発的な犯罪あるいは覚せい剤取引をめぐる犯罪といったようなものを含めますと、昨年一年間で千百三十一件、七百九十一人を検挙しているという状況でございます。 次に、最近における特徴と特異な事案でございますけれども、最近の特徴的な傾向といたしましては、凶悪犯が非常にふえてきているということでございます。殺人が昨年は三十件、放火が十八件、人質監禁が十六件、その他凶悪犯が百五十四件ということで、前年の昭和五十三年に比較いたしますと、五一%の増加ということで大変な増加をしるしているわけでございます。 また、特異な事例といたしましては、先ほど先生が大阪の少女の例を挙げてございましたけれども、あれがやはりかなりの特異な例でございます。これにつきましては、犯行当時調べたところ、覚せい剤を使用しているという状況はなかったのでございますけれども、それ以前に覚せい剤の使用歴があるわけでございます。しかしながら犯行当時の言動から見ますと、学者が再現症状、フラッシュバックと言っておりますけれども、覚せい剤を使用している状態に、ある時点において戻ることがあるということが言われております。そういう現象があったのではないかというぐあいに見られておるような状況でございます。 覚せい剤がどこから来ているかという問題でございますけれども、これは新聞等で御承知と思いますけれども、大半が韓国から来ております。それから、あとは香港、台湾といったような東南アジアが中心でございます。これを密売する組織はほとんどが暴力団でございまして、暴力団は自分で密売をし、そして中毒患者をつくり、またその中毒患者がさらに自分の薬を得る代金が欲しいということで、みずからまた売人の組織に加わっていくというような増殖現象が起こっておるわけでございます。 こういったことで、この密売組織の壊滅ということに、私どもこれから大いに力を注いでいかなければならぬと考えておるわけでございます。たまたま今月、二月でございますけれども、全国一斉の取り締まり月間ということでやっております。年二回やっておりますけれども、さらに一層力を入れて、この検挙活動を続けてまいりたいと思っております。 対策でございますけれども、これは大きく分けまして二つあると思っております。 一つは、何と言っても乱用を徹底的に防遏していくことだと思っております。私どもは、これを薬物を拒絶する環境づくりというようなことを言っておるわけでございますけれども、これにはやはり全国民の御協力を得なければ何ともいたし方ない点もございますので、われわれの検挙活動と同時に、国民の皆様方にもどんどんキャンペーンをし、御協力もいただくということで、国民総ぐるみの活動を展開していきたいと思っております。 それからいま一つは、密売と密輸の組織を徹底的に壊滅していくということでございます。幸い今回は増員等もある程度お認めいただいておりますので、これをてこにいたしまして、さらに強力な対策を講じてまいりたいと考えております。 次はシンナーでございますけれども、最近の傾向を申し上げますと、五十四年中にシンナーを乱用して補導された少年は四万四百三十三人ということで、前年に比べまして二・一%、若干ふえておるわけでございます。学校に行っているか、あるいは職業についているかということで見てみますと、有職の少年が三八%、無職の少年が二三%、高校生が一九%ということでございます。御承知のとおり、高校生が九割近く同年代においては占めておるわけでございますので、やはり有職、無職の少年が圧倒的にこういうものを使っているということが言えると思っております。 それから、どういう薬物を使っておるかということを申し上げますと、シンナーが全体の四六・四%でございます。それから接着剤、これが三四・七%、トルエンが一六・五%というような状況になっております。最近における特異な事案でございますけれども、これは先ほど先生が御指摘になっておりました、ことしの一月福岡で起こった二十一歳の会社員の事件があったわけでございます。ほかにも五十四年一月、五十四年四月等々において、やはり殺人事件あるいは強盗致傷事件といったようなものも起こっておりまして、シンナー等に対する警戒というものはさらに強めていかなければならないというぐあいに考えております。 このシンナーの入手経路でございますけれども、御承知のとおり、シンナー、接着剤、塗料、こういったものは全部日常生活にどうしても必要なものでございます。したがって、デパートであるとかスーパーマーケットあるいは塗料店、建材店、金物店、文具店、薬局あるいは自転車、自動車の部品販売店、至るところにあるわけでございます。したかいまして、これを防遇していくということはきわめてむずかしいという状況にございます。警察の力のみではとても足りません。そこで、こういう接着剤であるとか塗料であるとかシンナーであるとかを売っている方々あるいは家庭の方々全体が協力をしまして、こういうものの乱用を防止していくということに大きな力をかしていかなければいけないというぐあいに考えておるわけでございます。 先ほど先生も御指摘がございましたけれども、シンナーの取り締まりというのは大変むずかしいわけでございます。現在これが取り締まることができるということになっておりますのは、いたずらに摂取し、吸収し、あるいはそのために所持しているという者しか処罰できないということになっております。それから、さらにはそういう事情を知っておって売ったり与えたりした大人が処罰されるということになっておるわけでございますけれども、そこらの立証その他がかなりむずかしい点もあるわけでございますので、やはり処罰に頼るということだけではなしに、みんなで気をつけていただくということが大切だと思っております。 それで、対策といたしまして私ども当面考えておりますのは、乱用しておる者をとにかく早期に発見して、それを直ちにやめさせるということが第一だと考えております。 それから第二番目は、暴力団であるとかあるいは悪質な業者が知情販売、要するに乱用するということを知っておって売っておるという者がございますので、そういう者を徹底的に検挙していくということでございます。 それから第三番目として考えておりますことは、自主規制をもう少し各業者にしていただくということをしなければならないと思って、現在自主規制の要請をいたしております。相当いま効果を上げつつございますので、さらにこれも徹底してまいりたいというぐあいに考えております。 それから第四番目として、やはり一番大きいのは、シンナーが薬理作用が少ないというぐあいに考えられている向きもないではないように思いますので、これが非常に有害なものであるということを徹底的にPRしていくということをやらなければいけない。家族ぐるみ、職場ぐるみ、地域ぐるみの乱用防止というような機運を盛り上げていく必要があろうというぐあいに考えております。
○沖本委員 いま御説明があったわけですが、これは非常にむずかしい問題で、青少年対策なり広範な関係機関なり、あるいは各家庭なり、あらゆるものを使って対策を立てていかなければならないわけですから、なおざり、あるいは後手後手に回ったり、あるいはある程度緩やかであったりというようなことのないように、次の世代を担う人たちが健全に育ってもらわなければ、日本の次の時代はないわけですから、その点、大変だと思いますけれども、全力を挙げて取り組んでいただきたいと思うのです。 時間が余りないのでゆっくりはできませんのですが、述べておられる中で「公務員による不正事犯、いわゆる過激派分子による各種不法事犯等も多数発生を見ており、その趨勢には、引き続き警戒を要するものがあると存じます。」というふうに述べていらっしゃいます。それからその前に金融関係事犯等があるわけですけれども、きょうの新聞によりますと、鉄建公団の事犯について、これは十分罪になるような内容が弱いのであるとかいうような新聞発表があったわけですけれども、これは地検の方からあったわけですが、この点について刑事局長の御見解をお聞きしたいと思います。
○前田(宏)政府委員 ただいま鉄建公団の事件に関します新聞記事のことでございますが、私もけさ初めて見たようなことでございますが、私どもといたしまして、東京地検で積極、消極いずれにいたしましても最終的な結論を出したとか、また中間的な結論を出したとかいうようなことは全然聞いていないわけでございます。
○沖本委員 それからKDDに関してですが、けさある新聞でも社説で取り上げております。 事件の核心は、常識では考えられないほど大がかりで、金にあかせた政官界工作にある。自民党の一党支配が長く続くなかで広がり、日常化した「金権行政」の実態をさらけ出した事件である。 ところが保田参与の自殺以後、全体に事件究明がしりすぼみの方向をたどっているように思える。たしかに中心人物の一人を失ったことで、捜査は難しさをましたろう。しかし板野前社長や佐藤前社長室長らKDD「首脳」にまで捜査をすすめ、事件の核心に迫ることも可能ではないか。 佐藤前社長室長は、郵政省の指示で政治家のパーティー券を大量に購入したことや、商品券を使った手広い政官界工作の内容をかなり具体的に明らかにしている。また、政界工作について調べを受けることは避けられまい、とも示唆している。 このまま捜査が立ち消えにでもなれば、捜査当局にとって不名誉な憶測を呼ぶことになりかねまい。すでに「腐敗摘出に消極的な大平政権のもとでは、捜査当局も、政界がらみの事件の徹底的究明などできまい」といった声さえ、一部には流れている。捜査当局は、不正摘発にぜひ鋭い対応をみせてもらいたい。 いろいろずっとあるわけですけれども、現在のところ報道機関から流れるのは、捜査当局は主として警察庁の方の内容のものが多いわけです。新聞を見ますと、佐藤室長も二、三回検察庁に呼ばれて事情聴取されているということがあるわけですけれども、現在の捜査の段階は警察庁が主力なんでしょうか、検察庁の方が主力なんでしょうか。 それから、捜査の内容は、なかなかお伺いしにくいでしょうけれども、どの段階まで来ておるのか、あるいはいつごろすべてのものが明るみに出るのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○前田(宏)政府委員 お尋ねのKDD事件の捜査でございますが、御案内のように、成田空港におきますいわゆる密輸と申しますか関税法違反と物品税法違反を手がかりといたしまして、いろいろな面から捜査が行われているわけでございます。 本件の捜査におきましては、これも新聞等にも出ておりましたが、検察庁と警察とが共同してやる、協力してやるという形になっておりまして、実際の細かい捜査の実施は警視庁がやっておるということになっております。しかしながら検察庁といたしましても、随時警察の方から、連絡といいますか報告といいますか、そういうものを受けて協議も重ねておりますし、また必要に応じて書類を点検する、あるいは所要の人を調べるというような所要の措置もとっておるわけでございます。どのようなことをやっているかという具体的なことになりますと申しかねるわけでございますし、また、どの辺まで行っているかということも、率直なところ申しかねるような状態でございます。
○沖本委員 この問題は言わずもがなではございますけれども、本当に鉄建公団の内容以来いろいろな問題が絡んでいきながら、去年からことしにかけて日本じゅうひっかき回しているような大きな事件でございます。それなりに当局としては十分取り組んでいらっしゃると思いますけれども、徹底的にお調べになって国民の疑惑を晴らしていただきたい、全力を挙げていただきたい、それも早急にお取り組みいただきたいことをお願いするわけです。 それから、さらに所信表明の中に移っていきますが、この中で「保護観察官の処遇活動を一層充実させるとともに、保護司等の民間篤志家との協働態勢を強化し、犯罪者等の社会への受け入れ態勢を十分整えるとともに、処遇方法を多様化して有効適切な保護観察を行い、その改善更生の実を挙げるよう努める所存であります。」こうなっておるわけですけれども、この中の「保護司等の民間篤志家との協働態勢を強化」というのは何を意味するのか。 また保護司等に関してですが、非常に高齢化していらっしゃるという点、それと最近の青少年の動向なり社会の動きなり、先ほどからいろいろ触れておりますシンナーあるいは覚せい剤というような内容なり、社会のいまのあり方等を考えていくと、いまの保護司さんでたえ得るのか。民間篤志家というような内容で保護観察というものが十分たえ得るのかどうかという点、非常に心配なんですね。最近聞きますと、暴力団なりこういう人たちの保護観察等は非常にこわがってできないというような話も聞くわけですけれども、こういう点について、在来なりの物の考え方でこういう仕事ができるのかどうか。非常にむずかしい問題があって、もっと変えてもらわなければ、あること自体が考えられるというようなことになるのじゃないかと思いますけれども、この点どうなんですか。
○稲田(克)政府委員 お答え申し上げます。 保護観察官や保護司の活動の中心になりますのは、保護観察対象者に対します有効適切な処遇の実施であろうかと存じますが、現在、常時継続いたしております保護観察の対象件数は全国で約四万七千名ございます。これに対しまして、実際にその処遇活動に当たります保護観察官五百七十七名ということで、比較的人数が少ないというような関係もございまして、そういったふうな処遇活動というものは、主として保護司にお願いしているというわけでございます。 しかし、先ほど来御指摘がございましたように、最近の犯罪なり非行の動向といったような面から見ますと、保護の分野におきましても処遇困難な対象者というものがかなりふえつつあるわけでございまして、民間の篤志家であります保護司にお任せしていたのでは、実効のある処遇を実施し得ないということにつきましては、かねがね、その方策について考えておるところでございますが、何と言いましても、まだ保護観察官の数が少ない点もございます。そういう点から、保護司に引き続きいろいろな面で研修などを実施いたしまして、処遇効果が上がるような配慮もしなければならないかと思いますけれども、また一面、保護観察官が処遇の面に積極的に活動できるように、いわゆるデスクワーク的な事務処理を軽減するような方向で事務の合理化というものも図っていって、積極的に処遇活動に従事できるように配慮いたしたいと考えておるわけでございます。特に最近、観察官に定期的に各地域へ出向いていかせまして、そこで各地の保護司と直接面談いたしまして、保護司が扱っておる事件について指導助言を与えるなり、あるいはまたその地域内にいる対象者をその日に集めてもらいまして、観察官が直接処遇に当たっていくというような方法も考えておるわけでございます。
○沖本委員 これは毎年のようにお話ししていることなんですけれども、一度やはり内容をよく検討していただいて、現在の社会に合ったような機構に考え直していただくことが大事じゃないかと思うのですね。ただ、地域的にはいわゆる社会の名誉職みたいな考えに立った方々か多いし、非常に御年配の方がいまの社会に対応していくというのは非常にむずかしいことですからね。ただ長く生きていらっしゃる、社会的に地位があるというようなことだけか対象でいくと、これは活字の上でお話ししているということに終わるわけですから、その点は十分お考えになって検討していただきたいと思うのです。 それから次に移りますが、人権擁護委員制度の充実を図るということを述べていらっしゃいますが、「人権相談や具体的な人権侵犯事件の調査処理を通じて、国民の人権意識の一唐の高揚に努めてまいる所存」だ、こうおっしゃっておるわけです。 そこで「具体的な人権侵犯事件の調査処理を通じて」、こういうことをおっしゃっておるわけですけれども、あるところの話によりますと、民生委員さんの名前を知っている、どういうことをするかというのをわかっているというのは、国民の皆さんの中で九〇%近い人たちか認識しているというのです。ところが、人権擁護委員というのはわずか四、五%しか認識がないということですね。だから、人権問題があり社会問題がいろいろ発生したときに、人権擁護委員のところに飛び込んでいくというようなことかわからないということになるわけです。そういうふうな内容もあるわけですから、この点は、ただ毎年のように報告書をつくっているということより、もっと具体的に進んだ内容を整えてもらわなければならないわけです。 この中に述べていらっしゃる「いわゆる差別事象についても、関係各省庁等と緊密な連携をとりながら、今後とも積極的な啓発活動を続け、その根絶に寄与したいと考えております」ということなんですが、一昨年、同和対策特別措置法を三年延長したわけでございますが、そのときの小委員会で人権擁護局長さんは いわゆる差別事件が減っているのか、それともふえているのかということは、私どもか現実に扱っております審判事件それから相談事件と合わせまして、やはりこれは決して減ってはいない、逐年増加の傾向にあるということは申し上げられるかと存じます。そして差別図書の購入者は、ただいま御指摘のように、中には大学も含まれておりまして、世の中をむしろ啓発、リードすべき立場にあるところの人がこういう購入者になったということはまことに遺憾である。やはりこの心理的差別というものがいかに根の深いものであるかということをわれわれの仕事を通じまして痛感させられるわけでございまして、やはりこれは非常に困難でございますけれども何とか根絶しなければならないというふうに考えておるわけでございます。 こう出ておるわけです。特別措置法の中に、三年延長で附帯決議の中で「同和問題に関する事件の増発状況にかんがみ、国民の理解を深めるため、啓発活動の積極的な充実を図る」ということが述べられておるわけです。さらに全野党の合意事項の中には「最近、「部落地名総鑑」事件をはじめ、就職・結婚などの悪質な差別事象が多発している現状に鑑み、「法的規制」をはじめ、人権擁護、教育、啓発、雇用対策等に、格段の努力をはかるものとする。」とある。 ところが最近、地名総鑑の中、同じようなことで第五のリストというのを二十数社が購入しておる。さらに広がっておるわけです。ですから、こういうものに対して法的規制なり何なりというものができなければ、これは全然役に立たない、野放しになってしまうということになりますし、また、こういう問題がそのままになっていくということ自体が、結局恥ずべき行為ということを考えないで、またその上に差別観念が残っておるということが言えるわけです。ところが、この三年延長の中でもうひとつ実態を探して、これに対する三年間の間に解決できるような内容のものが一向に見受けられないわけですけれども、この点についてどうなんですか。
○中島政府委員 お答えを申し上げます。 いろいろお尋ねが出ましたわけですが、まず人権擁護委員の周知徹底が不足しておるではないかという点でございますが、人権擁護委員制度ができまして三十一年余を経まして、ようやく国民の間に人権擁護委員制度というものが定着をしてきたというふうにわれわれは見ております。しかしながら、それでその周知度が十分かとおっしゃれば、まだ十分でない点があるというのも事実でございますので、従来そのPRに努めてきたところでありますけれども、今後さらにその周知徹底を図っていきたいと思っております。 次に、地名総鑑の問題がございましたですが、地名総鑑は、ただいまおっしゃいましたように部落差別を助長し拡大をするという、まことに悪質な図書でありまして、政府の行っております同和行政にも逆行するものであって、われわれとしても、その絶滅と申しましょうか、これを念願いたしておるようなわけでございます。 法的規制はどうかということでございますが、法務省の行っております同和対策というのは、心理的差別をなくしていくという、心の中の差別をなくしていくということでございますので、本来は法的規制というようなものになじまないものではございますけれども、地名総鑑というような、差別を営利の目的に供するという悪質なものについては法的規制というようなものも必要であろうという御意見も十分にわかるところでございます。で、いろいろ関係各省とも協議して検討をしたわけでございますけれども、事柄は、憲法の表現、出版の自由、あるいは正当手続の保障と申しましょうか罪刑法定主義と申しましょうか、そういう問題に関連をいたしてまいりまして、いろいろむずかしい問題があるということで、検討はいたしておりますけれども、非常にむずかしい問題が多いという現状でございます。
○沖本委員 検討はしておるけれども、むずかしいからもうやめたわけですか。
○中島政府委員 お答え申し上げます。 やめたというわけではございませんけれども、いろいろ問題点があるので、問題点についての検討をいたしておるという現状でございます。
○沖本委員 昨年は国際人権規約というものを批准したわけですね。 それがいかに日本の国の中で十分に取り上げられ、生かされていくかということになると、その原点みたいなところは法務省だと思うのですね。法務省自体がやはり個人の人権をいかに大切にし、それを考えておるか、それに対する対策を立てておるかということが一番重要なことであり、それが各省庁に広がっていくことになるわけですから、そのこともあわせて——この同和対策特別措置法が三年延長されて、そのとき、この附帯決議の中には、基本的な法律をつくっていくか、あるいはそれを解消するにはどうしたらいいか、あるいはその残った問題をどうやって片づけていくか、三年の間にはっきりした方向なり結論なりを見ていくというのが三年延長の根本になっておるわけです。 それを各省が受けて対策を立てなければならないわけですけれども、いまのお話を伺っておると、その辺の検討がほとんど変わりはないということになるわけですし、それから、そういう方向に向かって法務省自体はどういう動きをなさっていらっしゃるのか、どういうふうな検討を加えて、そしてそれが予算の中なり今年度の対策の中にどう盛り込まれておるかということで、単にいわゆる差別事象についてということだけでなのか、関係各省庁等と緊密な連携をとりながらというのはどういうふうな内容のものになっておるのか、この辺をお答えいただきたいと思います。
○中島政府委員 部落地名総鑑は、御承知のように、昭和四十五年から四十七、八年ごろにかけて類似の図書が何種類か出版をされまして、それが五十年の末にいわゆる部落地名総鑑というものが発覚をいたしまして、法務省といたしましても、その後鋭意、同種の図書の調査、解明を行ってきたわけでありますが、それ以後は、新しい差別図書が刊行されたのは一種類でございまして、その関係というものは、その後はやや政府の同和対策、同和行政というものか国民の間にだんだん理解されてきておるのじゃないかというふうに私は見ておるわけでございます。 しかしながら、事柄は基本的には国民の同和問題に対する理解ということに重要な関係があるわけでございますので、従来もその啓発に努めてきたところでございますけれども、今後も一層積極的にそれに取り組んでいきたいというふうに考えております。 関係省庁のお尋ねが出ましたのですが、総理府には同和対策室というものもございます。そういったところを中心にいたしまして、同和問題に関連のある各省、労働省でありますとかあるいは通産省でありますとか文部省でありますとかというようなところが関係省庁として、法務省もそれに加わって、いろいろと協議をしておるというようなことでございます。
○沖本委員 延長のときに、差別事件が年々増加の傾向にあるとおっしゃっているのですよ。年々ふえてきておる、減ってはいないというわけです。 だから、法務省の方はいわゆる心の面を受け持つわけであって、その面で大いに啓発をやっており、いろいろなことをやってきておるということをいまお述べになったわけですけれども、内閣委員会の中の小委員会で人権擁護局長が、年々ふえてきておると言っている。そのふえることを減らしていくのは非常にむずかしい問題もあるだろうけれども、それにはかくかくしかじかのことをやっておるということでなければならないはずなんですね。そういうふうな動きというものが見えないわけです。こうすれば減ります、そのためにこういうことをやっていっている、こういうことをやれば解消します、そのためにこういう力を入れておりますというようなものがないわけです。 だから、地名総鑑なら地名総鑑に対しても、法律規制の点を考えて検討してみたけれども、これはいろいろな問題があって、なかなか法規制の方はむずかしいんだ。では、行政面で何らかの形での手当てはないのか、やる方法はないのか、何をおやりになってきたかということになるわけですね。そういう点について対策はないのですか。
○中島政府委員 法務省の行います同和関係の仕事といいますのは、人権擁護局について申しますならば、先ほども申しましたように、まず人権侵犯事件がありますと、その調査をし、解明をし、処理をするということでございます。したがいまして、その過程におきまして関係者を説得をする、啓発をするということをいたしております。 それから、人権相談ということでやっております。人権相談の過程におきまして関係者を啓発をする、説得をする、同和関係についての認識を深めてもらう、特に同和関係の人権相談につきましては、そういうことを心がけてやっております。 それから、一般啓発ということになりますと、これは講演会を開く、座談会を開く、あるいは一般の報道機関の御協力を得てテレビに出る、あるいは新聞に載せる、さらにはたれ幕を下げる、あるいは街頭のパレードをするというようなことで、人権思想一般、さらには特に差別をなくすという関係の啓発に努めておるわけでございます。 これは通年やっておるわけでありますけれども、特に年間何回か力を入れて啓発活動をやるという時期がございます。 一つは、五月の憲法週間ということでやっております。それから六月には人権擁護委員法の施行記念日というものがございますので、このときに特に啓発活動を重点的にやっております。それから十月には法の日というのがございますので、この期間にも特に重点的にやっております。その次に十二月十日が人権デーということになっておりますが、その前に十二月四日から十日まで一週間、これは人権週間ということで、これまた特に力を入れて啓発活動を行っておるというのが実情でございます。
○沖本委員 これは、もともと同和対策審議会の答申で「同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である。したがって、審議会はこれを未解決に放置することは断じて許されない」ということを受けて同和対策特別措置法ができて、十年の間に、いわゆる物と心の面からこれを解決しようと図ったわけです。 ところが、実態調査をやりますということで、五年かかって実態調査をやったということでございますから、実際にその手を入れたというのはわずかということになるわけです。そういう面で、人権擁護の立場からは心の面だということなんですけれども、ただお茶を濁しただけでこういう問題が解決するということではないわけですから、この問題はまたこれからもどんどん取り上げてやっていきたいと思います。 非常にむずかしい問題を抱えていらっしゃることはよくわかりますけれども、これは一般的に見て、どなたに聞いてみても、おれは差別していないとおっしゃるわけです。おっしゃるのですけれども、さて自分の身内の中で部落の方と結婚問題が起こった、あるいはその会社に部落の方が就職したい、そういうことが起こると、俄然頭を出してくるというような問題なんですね。そうして、ほとんどの方が実態をおわかりにならないわけです。おわかりにならないままに、同和の人たちは秀吉が朝鮮征伐のときに連れて帰ってきた人だとか、神功皇后が朝鮮征伐で連れてきた人であるとか、あるいは山窩のなれの果てであるとか、具体的なことを依然として全然おわかりにならないのです。ということで、単一民族であり、同じ民族の中で血が分かれているわけでもないし、同じ戸籍上の中であって、世界に誇るべき日本民族の中でこういう問題があってはならないわけです。その点をお互いによく考えて、お互い同士が真剣にこういう問題と取り組んでいくべきではないか、こういうふうに考えるわけです。ですから、この問題についても今後十分な対策を立てて当たっていただきたいということになるのですね。その点をぜひともお願いしたいと考えます。 もう時間も来ましたから、最後に出入国管理行政で、とりあえず短いことでお伺いしたいわけですけれども、国連の中で重要な役割りを果たしたり、それから難民問題についても非常な力を発揮しなければならない、あるいは日本の難民対策自体が世界じゅうで取りざたされておる、あるいはアフガンの問題にしても、あらゆる問題で日本の国の存在というものが世界でも注目されておる。 こういう中で、これからますます海外との関係というものは重要視しなければいけないわけですけれども、日本の入国管理業務が管理令というのはちょっと考えられないことではないかと思うのです。これだけ大きな働きをしなければならない時代になって、管理令でおさまっているというのはおかしいと思うのですね。十分な内容を整えた管理法というものが日本の国になければならないと思うのです。いままで延び延びになっている理由はいろいろあったわけでよくわかりますけれども、そういうものを乗り越えて管理法に内容を十分整えておくべきことであり、これは日本の大きな問題だと考えるわけですけれども、この点について……。
○小杉政府委員 入管といたしましては、とめどなく増大いたします業務量に今後どのように対応していくかということで、いまいろいろ頭を痛めておるところでございまして、具体的な対応策といたしましては、定員の問題であるとか予算の問題、この面からの対応が本筋であろうかと思います。 しかしながら、現下の厳しい財政事情あるいは行政改革の必要性が叫ばれておる昨今、なかなかこの面での改善ができないということで、私どもとしましては、予算、定員の問題のほかに、さらに人員の配置の適正化であるとか、あるいはさらに抜本的には組織の統廃合によりまして、より行政需要の多い地域、分野というようなものにおける体制の整備ということのほか、さらに法令の改正ということによりまして事務の合理化を図るというような、いろいろの施策というものを総合的に組み合わせてやっていかなければならないという認識は持っております。 出入国管理令の改正も確かに一つの有力な手段であるということは、先生御指摘のとおりでございまして、過去において、先生すでに御了解いただいておりますように、前後四回にわたって法案を提案いたしましたけれども、当時不幸にしていろいろの問題点が指摘されまして、なかんずく戦前から本邦に在留しております朝鮮半島、台湾出身者、その子孫の法的地位の確定の問題、これかいまだにペンディングになっておる関係がございまして、この点を解決しなければ、出入国法案を提出しても国会でなかなか御承認いただけないというような事情がございまして、この点、われわれはいかにして乗り越えていくかということで、従来の経緯を踏まえながら、慎重に出入国法の制定問題を検討しておるというのか現段階でございます。
○沖本委員 朝鮮半島の問題だとかあるいは台湾の問題だとか、いろいろあるとおっしゃるわけですけれども、そういう問題を除いて、日本の政府として出入国管理法がないということは、外側から見て全く恥ずかしい限りじゃないのでしょうか。管理令の事の起こりというのは、アメリカの法律そのままを持ってきて当てはめたというのが事の起こりなんですから、それを十分整えて、外国人が出入りするにはちゃんとした法律があります、政府の政令だけでこうやっているのじゃありませんというふうな体裁を整えた、きちっとしたものがなければいけないと思うのです。いままで内容についていろいろ注文がついて、しばしば廃案になったいきさつはありますけれども、そういうものをいろいろ整えていっても、そんなに抵抗はないと私は思うのですね。あるとすれば、もっと具体的に話し合って内容を整えることができないかということになるわけですけれども、この点について、大臣はどういうふうにお考えなんですか。
○倉石国務大臣 ただいま政府委員から御説明申し上げましたような経過でございます。しかし、これはぜひしっかりしたものをつくる必要があると思いますので、できるだけ慎重にひとつ検討をいたしまして、お願いいたすことにしたいと思っております。
○沖本委員 まあ大臣も、ひとつおれが法務大臣の間には、これぐらいつくっておいてやろうという向きで御検討いただきたいと思うのです。 いろいろなことをやろうと思って、下心かあって御質問しているわけじゃなしに、単純に国民の一人として、より多くの外国人が出入りし、これからますます海外との出入りが激しくなっていく日本の国で、政府自体か管理令で事を済ましているということは非常にかっこうの悪い話でもあるのじゃないかという点であるわけですから、いままでいろいろ支障を来した問題についても、さらに検討していただければ、幾つかの問題点は片づいている問題もあると思いますし、情勢もいろいろ変わってきているわけですから、その点もやはりさらに検討していただいて、法律をつくる方向で御検討していただきたい、こう考えるわけです。 以上で質問を終わります。
○木村委員長 柴田睦夫君。
○柴田(睦)委員 法務大臣は所信表明の中で、国民の権利の保全だとか厳正な検察権の行使だとか人権尊重の思想普及、こうした問題について言及されました。しかし、現実の世の中を見てみますと、不当な検察権の行使によって国民の権利が侵害されているという事実を否定することはできないと私は思っております。 人権問題の中でも、身に覚えのない事件のために逮捕され、裁判でも有罪の判決を受けて刑務所に収監され、ときには死刑の言い渡しを受けて、日夜その執行におびえなければならない、そういう人ほど人間として悲惨な運命に身を置かれている者はいないと思うわけです。無実の罪に落とされた結果、残された家族の人たちもまた悲惨な生活を強いられることになるわけです。こうした人々を救済することを考えなくては人権問題を語ることはできない、こう言っても過言ではないと思うわけです。 そこで、法務大臣にお伺いします。こうした無実の罪によって刑の言い渡しを受け、有罪の裁判が確定している者が現在も存在している、そういう認識をお持ちかどうか、そしてまた、そのような人々を救済しなければならないと考えておられるかどうか、どうしたら救済できると考えておられるかどうか、この点からお伺いしたいと思います。
○倉石国務大臣 無実の罪を着せられておる者があるのを認めるかというお問いでございますけれども、そういうことにつきましては、私がこの場で具体的に何のことをお答えできますか、お答えがむずかしいと思います。
○柴田(睦)委員 日本の刑事訴訟においては三審制度をとっているわけですけれども、この刑事裁判手続のもとにおいて、戦後の裁判を見てみましても、松川事件あるいは八海事件、仁保事件などにおきましては、一審だけではなくて二審もあるいは最高裁から差し戻しされたその裁判所においても、二度、三度にわたって死刑の言い渡しがあって、最終的には最高裁判所の判断を経て無実が明らかにされた事件が戦後あるわけです。三審制度において有罪が確定し、服役後再審の結果無罪となった人、最高裁判所まで行っても有罪とされて裁判が確定した、そして再審の申し立てをする、そしてその再審の中で無罪になったという人の例が戦後幾つも出てまいっております。 そういう人の中には、いわゆる弘前事件と言われる那須隆氏、それから加藤老事件と言われます加藤新一氏、米谷事件の米谷四郎氏などがあるわけです。 昨年、昭和五十四年というのは、あるいは後世の裁判を研究する人たちが死刑再審開始の年と言うかもしれないように、死刑が確定した人々につきまして、三件再審の開始決定がありました。一つは財田川事件の谷口繁義氏、この人は、昭和二十七年の二月二十日に高松地方裁判所丸亀支部において強盗殺人のぬれぎぬを着せられて死刑の判決を受け、控訴、上告を経て、昭和三十二年一月二十二日最高裁判所の上告棄却の判決によって死刑が確定いたしました。再審の請求をして、最高裁判所は昭和五十一年十月十二日再審の請求を棄却いたしました原決定を取り消して高松地方裁判所に差し戻して、そして高松地方裁判所で昭和五十四年六月七日に再審開始決定が行われました。これは死刑が確定してから実に二十二年余りがたっているわけです。 去年の死刑再審事件では、続きまして、昭和二十六年十二月最高裁判所の上告棄却の判決によって熊本地方裁判所八代支部で強盗殺人の汚名を着せられた免田栄氏、この人は再審請求を六回にわたって行っております。そのうち第三回目の再審請求につきましては再審開始の決定があったのですが、検察官の即時抗告がありまして、この即時抗告の手続の中で一審の再審開始決定が取り消されて、再審は日の目を見なかったわけです。そして第六回目の請求についても熊本地方裁判所の八代支部はこれを棄却しましたけれども、即時抗告を免田さんの方でやりまして、この即時抗告を受けた福岡高等裁判所は、昨年の九月二十七日原決定を取り消して再審の開始を決定いたしました。これは死刑判決が確定した後、実に二十八年目になるわけです。 三つ目は、昨年の末十二月六日に、松山事件と言われる斎藤幸夫氏に対して、仙台地方裁判所の古川支部が第二回目の再審請求を棄却した、その決定に対する即時抗告を受けた仙台高等裁判所がこの棄却決定を取り消して差し戻しの判決をやって、そして差し戻された仙台地方裁判所が再審開始の決定をしたわけです。強盗殺人、放火事件によって死刑の判決を受けて上告棄却によって刑が確定したのは昭和三十五年十一月であって、今度の開始決定までやはり十九年を経ているわけです。 昨年行われましたこうした三件の死刑確定事件の再審の経過を見てみましても、確定死刑事件にも誤判がある。わが国においては無実の罪で死刑にされているものがある。それぞれの再審開始決定は誤判を疑って開始決定をしたわけですから、新しい証拠を総合して取り入れたわけですから。要するに、無実の罪で有罪が確定しているもの、そしてまたいま挙げました三つの例のように死刑とされているものがある。その可能性、これは歴史的に見てみましても否定することはできないと思うのですが、大臣は先ほどは答える立場にないとおっしゃいましたけれども、人間として、こういうものを見てみました場合に、そういう可能性は否定できないのではないでしょうか。
○倉石国務大臣 御指摘の事件につきましては、最高裁または高裁において、ただいまそれぞれ再審開始決定の当否について慎重な審議が行われておる段階でございますので、ここで私から所見を申し述べますことは差し控えたいと存じます。 ただし、一般論として申し上げるならば、誤判があってはならないことは当然のことでございますので、そのようなことのないように、検察当局としては今後とも捜査処理に万全を期するものと考えております。
○柴田(睦)委員 法務大臣の立場として答えることはできないということですけれども、私がちょっと長くお話ししましたのは、人間として、また政治家として、これだけのものが出てきた場合においては、やはり日本の裁判にもそういう問題があるんだという認識、もう最高裁までいってそれで確定している、しかも死刑にされている、そういうものについてもやはり事実の認定が誤られているというようなことがあるんだということは、政治家として、ことしは特に、去年の再審の問題を受けて認識を深めなければならない問題だと思います。 そこで、検察官は、この財田川事件、松山事件の各再審開始決定に対して即時抗告をされました。また、免田事件については特別抗告をされました。それぞれの抗告理由の要点をお話し願いたいと思います。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの三件につきましては、それぞれ検察官側から不服の申し立てをしているわけでございます。 その要旨と申しましても、大部のことでございますので簡単には申しかねるわけでございますけれども、要約いたしますと、いわゆる財田川事件また松山事件につきましては、刑事訴訟法の四百三十五条六号に言うところの、無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるかどうかという問題があるわけでございまして、検察官側といたしましては、それぞれの決定が、いま申しました明らかな証拠に当たらないというふうに考えて、その点を不服としているわけでございます。 また、いわゆる免田事件につきましては、これも御案内と思いますが、いわゆる白鳥決定と称されております最高裁判所の決定の当てはめ方と申しますか、理解と申しますか、その点に不服があるということで、いわゆる判例違反ということでの特別抗告をしておる次第でございます。
○柴田(睦)委員 普通は、即時抗告あるいは特別抗告をすれば、そのときに理由を書きます。ところが、今度の抗告については抗告理由の補充書というのがずっと出されていると思いますが、その回数をそれぞれお答え願いたいと思います。
○前田(宏)政府委員 抗告あるいは特別抗告を申し立てました場合に、それなりの理由はその時点でつけておりまして、若干補足的なものを補充書という形で出しておるわけでございます。
○柴田(睦)委員 抗告期間が制限されている、その抗告理由書を見てみますと、詳細は追って補充書で出す、こういうようなことが書いてあるわけですけれども、このことは検察官とすれば、それだけの組織を持った検察官としても、やはりその期間内に十分な検討ができない、あるいはその期間内には書き切れない、そういう問題点があるのじゃありませんか。
○前田(宏)政府委員 お尋ねの前提が、申立書には一行ぐらいしか書いてなくて、詳細は補充書というような感じにちょっととれたわけでございますけれども、それなりの一応の理由は書いてありまして、補足的なものを補充書で出しておる、こういうことでございます。
○柴田(睦)委員 だから、補足的なものまで本来書くというのが普通だと思うのですけれども、補足的なものは後で出さなければならないということは、抗告期間が現実には短過ぎるということではないでしょうか。
○前田(宏)政府委員 最初の申立書に書いてないことを後から補充するということは適当でないと思いますけれども、骨子的なものは当然書いておりまして、細かい点を補充しているというふうに御理解いただきたいわけでございます。 なぜそういうことになったかと申しますと、若干そういう日時の点があるということは否定できないと思います。
○柴田(睦)委員 検察官の抗告理由につきましては、明らかな証拠に当たらないとか、それから特別抗告の場合は、いわゆる白鳥決定の趣旨に反するとか、そういう内容になっているわけですけれども、結局は、決定の事実の見方、出された証拠の見方、これを争うものにすぎないと考えます。この免田事件の特別抗告においても、判例違反というような、白鳥決定に相反する判断をしたという理屈が冒頭についているわけですけれども、その中身を見ますと、結局、再審開始決定に至るまでに出された新しい証拠と、あるいはその本裁判で出された証拠との事実の見方を、やはり検察官の方が独断的な理由によって論難しているというふうに私は理解するわけです。 まず、そこで伺うのですけれども、再審開始決定に対する即時抗告や特別抗告をするかどうか、これを決定するに至るまでには、どういう内部的な手続があるのか、決裁権はどこにあるのか、このことをちょっとお知らせ願いたいと思います。
○前田(宏)政府委員 その不服申し立てが、いわゆる地裁段階でございますれば地方検察庁でございますし、高裁段階であれば高等検察庁ということになります。
○柴田(睦)委員 ということは、地検の検事正、それから高検の検事長が最終的に判断するという説明になるようですけれども、最高検察庁、検事総長などには意見を聞く、相談するというようなことはないのですか。
○前田(宏)政府委員 具体的な案件の検察内部のいわば手続のことでございますので、この件につきましてどうこうということは果たしていかがかと思いますけれども、一般的に申しますならば、重大な案件につきましては、それぞれ上級庁の方と協議をして意見を求めるということは当然あり得ることでございます。
○柴田(睦)委員 死刑が確定した事件について、本当に開かずの門と言われた再審手続で開始される。それに対して不服を申し立てる。これは検察庁としても重大な問題だと思いますし、抗告、特別抗告がなされるということは、やはりここに検察庁全体の意思が働いていると思うわけですが、これは非常に重大な問題であると思うのです。 訴訟の目的というのは、確定判決、そこに目的があるのではないわけです。真実をとらえた正しい判決に到達しなければならないわけです。そういう意味で、無実の者が罰されるあるいは死刑にされる、こんなことは決して許されてはならないわけで、やはり政治家としてはこのことを忘れてはならないと思うわけです。無実でありながら有罪とされている者は、どんなことがあっても救済されなければならない、このことを考えなくてはならない。冤罪を救済するために二十年、三十年とかかっている現実、去年の再審開始決定、その前の再審によって無罪になった事件、それを見てみましても、二十年、三十年とかかっている現実を見ますと、やはり現行再審制度に大きな問題があると思います。すなわち、現行の再審制度の意義の理解と運用が、無実を救うという意味において全く不十分にされてきているという、その根源になっている規定については、これは重大な問題があるわけです。 最初に申し上げました弘前事件や加藤老の事件、米谷事件につきましては、当時検察庁は再審開始決定に不服を申し立てず、直ちに再審公判に移りました。そして再審においていずれも無罪の判決がありました。有名な吉田巌窟王の再審事件において、検察庁は昭和三十六年の四月に名古屋高等裁判所が行いました再審開始決定に不服を申し立てて、昭和三十七年十月の最高裁判所の判断によって再審開始決定が確定し、そして昭和三十八年の二月に無罪判決が確定する、こういう経過をとるわけですが、検察官が抗告あるいは異議申し立て、特別抗告というような形で、再審公判の開始に移ることを事実上妨害する手続をとったということで、この吉田巌窟王の事件につきましては再審開始が一年半以上おくれ、無罪判決があって大変な喜びがあったわけですけれども、その無罪判決後半年してこの吉田さんは亡くなられているわけです。検察官が再審開始決定に対する妨害をしなければ、吉田さんはその一年半の期間だけはよけいに晴れて社会生活をすることができたわけであります。 いま死刑の確定後二十年、三十年を経て、ようやく再審開始決定を得ている谷口、免田、斎藤三氏に対して、裁判所は検察官が出された立証あるいは意見も聞くことになっていますから、その検察官の意見も耳を傾けながら、白鳥再審決定の中にでさえ、あれは私は十分だと思っておりませんけれども、その中にでさえ示した判断基準に従って再審開始決定をしたわけですが、これに対して検察官が開始決定自体に独自の考え方で不服を申し立てて、直ちに再審公判へ移るということを妨害する検察庁の態度は、私はよろしくないと思うのです。 検察官は、事実の認定について、現行の再審そのものの公判において主張、立証することは何ら制限されていないわけですから、この事実の見方、この証拠の評価、そういうものを争うについては、その事実関係を争うにふさわしい場所、すなわち再審の公判でやればいいことである、それで十分だと思うのです。裁判所が確定判決に対して新しい証拠を見て当事者の双方の意見を聞き、双方の証拠を見ながら判断しているわけですから、それだけ疑念があるものに対して事実関係を争うということは、本当に再審の公判でやればいいことだと思うわけです。 私はそう思うのですけれども、この三氏に対する即時抗告や特別抗告、そういったものでの争いをやめて再審公判に移ることこそが、いま確定判決について無実の疑いが濃厚に出てきている、そういう場合に——公益の代表者と検察官はいつも言うわけですから、公益の代表者ならばそういう立場をとるべきである。開始決定に対する即時抗告という、そういうもので争ってはいけない。再審公判で事実関係、証拠関係を争う、これが厳正な検察権の行使と運用ということになるのではないでしょうか。
○前田(宏)政府委員 ただいま委員のお尋ねの点につきましては、いろいろな考え方があろうかと思います。 しかしながら、いまおっしゃいました公益の代表者ということもあるわけでございまして、検察官といたしましては、別に一方的な立場で事を考えるというわけではなくて、適正な裁判を求めるという国民の期待もまた担っておるわけでございます。そういう立場で見ました場合に、遺憾ながら納得しがたい点がある、事も重大であるというようなことから、上級裁判所の判断を求めたいということで処理したものと理解しております。
○柴田(睦)委員 この死刑事件三件について再審開始決定があったということにつきましては、それぞれの当事者の努力があって、また国民もやはりその中で関心を持ってきた。そういう中で開始決定があって国民自身もほっとしている。無実の罪で死刑にされる、それが救われようとしている、そのことに対して、ほっと安心感を持ってこの開始決定を歓迎している。これに対して検察官が国民の感覚と離れて、もし不満があれば再審の中でやればいいことを、そんな抗告という国民の目の届かないところで判断される、そういうものの中でやるということは、国民の感覚に検察官が離れた立場にあるというように考えるわけです。 そこで、昨年一年間に死刑再審事件について無罪を言い渡すべき証拠関係にあるとして開始決定をした事件が三件も相次いだということは重大な事実であると思うのです。人の生命は全地球よりも重いという有名な言葉があるわけです。誤った裁判に基づいて人の生命が奪われる可能性がある、検察官のやり方から見るとそういう可能性がある、このようなことは絶対に防がなければならない。 こういう立場で考えてみまして、西ドイツにおける再審法改正の経験というのは非常に貴重なものがあると思うのです。西ドイツにおいて再審法が改正された経過について御説明願いたいと思います。
○前田(宏)政府委員 西ドイツにおきまして刑事訴訟法の改正が何回かございまして、その中で再審部分に触れた点もあることは承知しておるわけでございます。 その改正点の主な点を申し上げますと、原審で関与しました裁判官の再審手続におきますいわゆる除斥でございますとか、あるいは再審の請求審査段階での事実調べにおきます当事者の立会権の問題であるとか、あるいはいま御指摘のありました検察官の不服申立権の問題でありますとか、あるいは再審請求段階における弁護人の問題でありますとか、そのような点がいろいろと検討されたように理解しております。
○柴田(睦)委員 私も本などで見たわけですが、西ドイツにおきましては、マックス・ヒルシュベルクの「刑事訴訟法における誤判」という著書が出まして、西ドイツ連邦議会が再審事件について学問的研究所における真相の調査の提案をしまして、国会でこれを決めまして、学問的研究所に調査をしてもらうことになりました。 そしてその結果、西ドイツの司法省が、チューリンゲン大学の研究所に千百四十件の再審記録の提供をしたということは、非常に注目すべきことであるわけです。また連邦司法省は、問題は司法の威信、日本ではよく裁判所や検察官が司法の威信と人権との調和、こういうようなことを言うわけですけれども、西ドイツの司法省は、問題は司法の威信ではなくして真実なのだ、こういうことを言明しているわけです。この司法省の態度は非常にりっぱだと思います。こうして誤判についての学問的研究がなされるわけです。もちろん、そういう学問的研究ですから、裁判官もそれらの研究から学んで自分も知識を身につけて、そして裁判官自身が誤判はやらないようにしなければならない、こういう努力をすることになるわけでしょう。 これは、わが国においても学ばなければならない問題ではないかと思うのです。わが国においても、司法の分野だけではなくて、国民を代表する国会においてもまた、誤判がなくならなければならないような訴訟を保障する、そういう訴訟法を絶えず考えなければならない。政府の分野においても、誤判がなぜ起こるのか、それを解明して誤判がないようにする、それでも誤判があればどうして救済するか、この点を研究すべきであると思うのですが、こういう問題については、大臣はお考えになったことがありますか。
○前田(宏)政府委員 ただいまの御意見の中で、ちょっと前提の点でございますけれども、チューリンゲン大学でそういう研究が行われたということは法律雑誌等で承知しておるわけでございますが、どういう手続で行われたか、御指摘の中では国会の決定というようなお話がございましたが、ちょっとその辺もはっきりしないようでございますし、またドイツの司法省が、問題は司法の威信ではなくて真実だというようなことを述べたというような御発言のようにちょっと聞こえたわけでございますが、そういうことは、そのことを論文にまとめた人の意見のように私どもは理解しておるわけでございます。 それはそれといたしまして、誤判の防止ということ、そういうことがあってはならないことは当然でございますので、私どもといたしましても十分検討するわけでございますけれども、ドイツの再審制度が日本と似ている点はございますが、端的な例を申し上げますと、日本にはない被告人に不利益な再審というものも認められているというような再審制度でございますので、そういうようなことも考えあわせますと、もちろん参考にすべき点は多々あろうかと思いますけれども、いろいろ国情等も違いますので、直ちにそれを取り入れるということもできないのではなかろうか。ただ、いろいろな意味で誤判の防止ということについては私どもといたしましても十分配慮していかなければならない、かように考えております。
○木村委員長 法務大臣、いまのでいいですか。
○柴田(睦)委員 法務大臣、御意見があれば……。
○倉石国務大臣 ただいま政府委員が申し上げたとおりであります。
○柴田(睦)委員 西ドイツの事例と日本が違う、それはもちろん違うわけです。不利益再審、これは日本でできないというのは、日本の憲法で、一たん無罪とされた者についてはまた訴追されることはないとちゃんと書いてあるわけですから、不利益再審が日本の制度のもとにおいてあってはならないということは当然だと思うわけです。そしてこの西ドイツの研究では、確定受刑者に不利益なものについても誤判の研究がなされているわけです。 いままで私が話した具体的な事件、これは非常に有名な事件で、また死刑というような事件の幾つかを挙げたわけですけれども、裁判自体を見ておりますと、それは全体から見れば量は少ないかもしれませんけれども、決して一部であったり特殊な事件であったりというものじゃないと思うのです。西ドイツのこの学問的な研究という事案についても、死刑事件を含む重罪事件ばかりではなくて中程度と言われるもの、軽犯罪あるいは判決ではなくて処罰命令というようなものも含んでいたということであります。 わが国においても、日常的な事件の中で平凡に生活している市民が突然犯罪者に仕立て上げられてしまう、こういうことがあれば、これは全く戦慄すべきことであると思うのです。最近の事例で言いますと、福島県いわき市の河野ハツイさんの事件があります。昭和五十三年の十月七日に強盗に入られて、警察に強盗の被害届けをするということになります。最初は強盗の被害者として強盗事件として調べていた警察官は、三日目から態度が変わって、これは狂言強盗だと言い出して、被害者としての調査が三日目からは狂言強盗の被疑者の調書に書きかえられていきました。幾ら強盗があったということはうそではないということを申し立てても、もうそこまで来ますと警察官は聞く耳を持たないわけです。強盗の事実についてうそを申しました、申しわけありませんという調書をつくって、そして今度はその調書に従って、その河野さんが貧乏であった、とられた三千円なんか持っている状況にはないんだというような情況証拠を集めて、強引に虚偽の申告をしたという被疑者調書で送検する。これを受けた検察官も、これも狂言強盗という前提で裁判所に起訴して、そして裁判所はこれに対して狂言強盗で科料三千円に処すという事件がありました。こういう事件を見てみましても、警察官から送致を受けた検察官も、また判決をする立場にある裁判官も、当然強盗の事実の供述調書が中にはあるわけですから、そういうものを見ながら何の疑問も持たないで判決にこぎつけているわけです。 その後、五十四年になって真犯人があらわれて強盗事件が本当にあったのだということがわかって、警察官も再審申し立てをするという中で無罪になるわけです。この真犯人は大宮市でつかまるわけですけれども、昭和五十四年の三月に逮捕されまして、黙っておればわからないで済むこの強盗事件を進んで自白するわけです。その理由は、この供述調書の中に、私がやった事件は狂言強盗だと報道され、これで追われることはない、ほっとしていたのですが、被害者の主婦には何の罪もないのに、またこれから先一生うそつきだと人に言われて後ろ指を指されるようでは気の毒だと思って、私が自供すればあの強盗はうそではなかったということがわかり、あの被害者自身気まずい思いをしなくてもいいので本当のことを言った、こうなっております。警察官が本来の使命を忘れて、被害者を自分の予断あるいは見込み、そうしたもので被疑者に仕立ててしまう。公益の代表者と称する検察官が、事の真相を見る目を持たずに、またそういう努力もしないで裁判を請求する。裁判官もそのまま黙認する。強盗を犯した真犯人こそがこの一主婦を救済しているわけです。これに比べますと、科料三千円という軽犯罪法の違反事件ですけれども、国家権力は本当に悪いことをここではやっているわけです。 法務省は、刑事再審事件について、いままで再審になった事件というのは新刑訴法が施行された直後の事件であって、施行直後であるから捜査に手抜かりがあった、不十分があった、こういうことを国会でも述べられているわけですけれども死刑事件である松山事件の裁判を見てみましても、これは昭和三十年ですからもう新刑訴法が定着したとき、このいわき市の事件の河野ハツイさんの事件では、これは五十三年ですから、決していままで言われていたような新刑訴法の施行直後で混乱があったときの事件ではないわけです。そして、このいわき市の事件を見てみますと、わが国の捜査機関の中にある誤判を引き出す体質というのは、そういう意味では昔から、戦後の新刑訴法を施行した直後、そういうときから変わっていないものがあるわけです。河野さんの場合はみずから再審を申し立てるすべもなかったわけで、それでたまたま真犯人がほかの事件を起こして進んで自白したということで初めて救済される、無実が証明されるということになっております。 こうした問題を解明するために、政府や国会がみずから誤判という問題に進んで取り組んでいく、誤判の研究をしなければならない。特に昨年の三件の死刑再審というような問題を踏まえて、誤判をなくするために政府や国会がみずからそうした研究をしなければならないと思うわけですが、法務大臣、いかがお考えですか。
○倉石国務大臣 全般的にそれは非常に大事な問題でありますので、注意を十分いたさなければならぬと思います。
○柴田(睦)委員 先ほどの河野さんの事件は無罪が確定し、捜査官によって無理に偽りの自白に導かれたということが明らかになりました。これはもう無罪が確定したわけですから、政府としては当然それを認めなくちゃならないと思うのです。 それから、昨年再審開始決定がありました三つの死刑事件を見てみますと、捜査過程に問題があるわけです。とりわけ、そこで無理に偽りの自白が引き出されたことが疑われており、誤った捜査を支える非科学的な法医学鑑定が確定判決のよりどころとなっていることを明らかにしております。いまはまだ再審無罪の判決に至っておりませんから、まだ疑いという言葉を使いましょう。しかし、そういう疑いのあるような状態を引き出したのは、やはり検察庁に責任があるわけです。悪く言えば、検察官が誤判の種をまいて、裁判所を巻き込んで無実の人を犯人に仕立てる片棒を担いだということになると思うのです。 再審制度の改正が問題になっておりますが、法務省は、この再審法改正の必要性というものに、現実の問題を踏まえてこれに対処する、対応するについては、やはり消極的な態度しかうかがい得ないわけです。法務省は検察全体の元締めの立場にある、国会では検察官を代弁する、そういう役割りのように思うのですけれども、みずからの責任で誤判を起こしている検察が誤判から目をつぶろう、誤判があることが明らかにされない方がよい、こう考えているのじゃないかと思うことが、私も過去の経験からたくさん、またこれらの再審事件に対する態度から見て考えるわけですけれども、検察庁やそれを代弁する法務省に誤判を防ぐための対策、誤判から救済する対策を根本的に期待することは、きょうのやりとりを見ておりましてもなかなかできないというように思いますし、過去の裁判事例において検察がとってきた態度から見てもそう思うわけです。 そこで、こういう問題については、やはり政治家が考えなければならない問題であると思うのです。わが国の法務省の役人に、無実を救済するために再審問題について門戸を広げる、あるいはもうそうしたいろいろな問題があるわけですけれども、そうしたものが期待できないわけですが、無実の人が処罰を受けてはならない。無実の人に有罪の裁判が確定したならば、やはり早急に救済の対策が講じられなければならない。無実の人間が処罰されてはならないというのは、私は共産党ですけれども、共産党だけの考えではない、これはもう政党政派、恐らく良心ある全国民の考える問題である。要するに、人間の良心の問題であると思うのです。死刑事件について再審開始決定が引き続いた昨年でありますし、ここに至るまでにははかり知れない長い期間がかかっております。いまこの三つの事件については、検察官の不服申し立てによって誤判の疑いがある人についてまだ再審が開始されていない。こういう現状を見ましたときに、今度は、ことしはもう立法機関がやはり考えなければならない、立法機関が決断をしなければならないときであると思うのです。 再審法の改正問題につきましては、長い間再審問題に取り組んできました日本弁護士連合会が法案の改正提案もしております。それから、社会党もこの国会に再審法の改正案を出しております。私の共産党におきましても、やはり再審法の改正問題について提言をしているわけです。こういうような中で、国会が再審法改正に関して対策をとるという時期ではないかというように思うわけです。 五十三年の十月十三日の当法務委員会におきまして、横山委員から、この点につきまして再審制度に関する調査小委員会を設置してほしいと提案をされております。そしてまた当時の委員長は、相談して決めるという答弁をされております。これは五十三年ですが、非常に炯眼であったと思うのです。五十四年には次々にそういう再審開始決定があって、しかもそれが再審公判に移ったならばともかく、抗告を申し立てられでいるというようないまの再審制度の不備、こうした問題から考えてみますと、国会が法務省に改正案を持ってこいと言っても、いままでの態度から見て本当の無点、を救済する改正案にならないと思いますので、やはり政治家が決断をしなければならない。 そういう意味で、この委員会におきまして、誤判の研究あるいは再審問題、無辜を救済する再審法の改正問題、そうした問題について小委員会を設けるなどの対策を講ずるべきだと思うのですが、委員長の御見解をお伺いしたいと思います。
○木村委員長 委員長としましては、理事会並びに委員会の各位と相談をいたしまして、それを決定いたしたいと思います。
○柴田(睦)委員 いま委員長からそのようなお話がありまして、これはやはり実際問題としてこの国会において研究しなければならない問題だと思いますし、そういう方向になってきました場合に、法務省としては資料の提供など全面的な協力を国会にされる用意があるかどうか、お伺いしたいと思います。
○倉石国務大臣 国会がいろいろ御調査の場合に御協力申し上げることは当然なことであります。
○柴田(睦)委員 ちょっと時間がなくなりましたが、日税連の献金問題なんですけれども、新聞報道によりますと、十八日に最高検察庁、東京高等検察庁を含めた首脳会談が開かれたというようになっております。ここではどういうことが協議されたのか、そして捜査をするということは前から報道されておりましたけれども、しかも告発があったわけですが、日税連幹部などの被告発人の事情聴取をやる段階になっているのか。その中身はいいです、当然言われないでしょうから、現在の段階、その点をお伺いしたいと思います。
○前田(宏)政府委員 いわゆる日税連の問題でございますが、いま委員もおっしゃいましたように、捜査中のことでございますので、その具体的な内容は申しかねるわけでございます。 抽象的に申しますと、刑事事件として調べる場合には、いろいろな資料の検討、また所要の関係者の事情聴取ということは当然行われるわけでございますが、それ以上の具体的なことにつきましては申し上げかねるわけでございます。 また冒頭、十八日に検索庁内部で会議があってどういう相談があったかということでございますが、それもいわば捜査の内容にわたることでございますので、この段階で申し上げるのは適当でないと思います。一般的に、この事件につきまして、またその他の事件につきましてもいろいろとお尋ねを受けるわけでございますが、その点につきまして国民の方々が関心があるということも十分承知しておるわけでございますけれども、何分にも捜査のことでございますので、御了承をいただきたいわけでございます。
○柴田(睦)委員 予算委員会や法務委員会でわが党議員が指摘してきましたように、これはやはり増収賄事件になるものがあるということは法律解釈としても明確であると思うのです。 法務大臣は、所信表明で厳正な検察権の行使ということを述べておられますが、この事件についても厳正な対処をされなければならないと思うのですが、この点を踏まえての所信の表明をお伺いしたいと思います。
○倉石国務大臣 検察は厳正中立の立場でございますので、事案があれば、これはそういう態度で対処いたしていくべきものであると思っております。
○柴田(睦)委員 じゃ終わります。
○木村委員長 午後一時三十分再開することとし、この際暫時休憩いたします。 午後零時三十二分休憩 ————◇————— 午後一時四十一分開議
○木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。岡田正勝君。
○岡田(正)委員 大臣の所信表明につきまして、二点にわたって質問をいたします。 まずその第一点は、所信表明の第一に、わが国の国民生活が安定している原因の一つは、その基盤とも言うべき法秩序が揺るぎなく維持され、国民の権利がよく保全されているからだと胸を張っていらっしゃいます。続いて、この法秩序の維持と国民の権利の保全に情熱を傾けるという大臣の姿勢は、私は大きく評価するものであります。 しかしながら、わが国は大臣が自慢するような法治国でありながら、国民にとっては難解にして膨大な法律はまさに近くて遠い存在ではないでしょうか。国民が法律になじみ、これを理解し、自分たちの法律とすることは、明るく住みよい社会を築く上で欠かせぬことではないのでしょうか。国民の大方は法律がよくわからない。あったとしても耳学問程度のものではないでしょうか。 そこで、国民の法律意識の普及と啓発のため、各地方裁判所ごとに無料法律相談所を置きまして、テレホンサービスなども含めて、法律に弱く、それを知らないために大きな損失を受けている多くの国民に対し、この際サービスを提供すべき時期であると思いますが、いかがでございますか、大臣の御所見を承りたいと思います。
○倉石国務大臣 お説のように、行政サービスは大変大事なことだと思います。法務省関係のことについても、私どもはそういう趣旨からあとう限りの行政サービスは検討していかなければならない、このように思っております。
○岡田(正)委員 ありがとうございました。 そこで、一つだけ要望を申し上げておきますが、こういう問題が出てまいりますと、市町村にはいろいろな相談所が設けられておるではないか、あるいは弁護士会においても相談所があるではないかというようなことをよく言われるのでありますが、国民たちが一番行きやすい市町村役場の相談室というものは主に交通事故相談でありまして、民法とか刑法という問題になりますと、ほとんどこれに対しては教えない、教えることができないというのが通常でございます。それで私はこの問題を出したのでありますが、なし得べくんば、現役の方でなくても、たとえば一つの便法としてOBのベテランの方々に御協力を願って、そして協会組織でもつくって運営されるというようなことをすれば、さすがに味なことをやる大臣だと言って国民から非常に大きく評価されるのではないかと思いますので、強く要望申し上げておきます。 質問の第二点は、同じく所信表明をされました中で、人権擁護行政を強調されるとともに、出入国管理行政についても前向きの姿勢を示していらっしゃいますので、この際、韓国居留民の皆さんの法的地位に関して大臣に質問を申し上げます。 日本に在住する韓国人は、現在六十六万二百二十七名と言われております。これは日本人百五十人について一人の割合でございますから、この六十六万人の人たちの動向は、日本社会全体の問題としても重要視しなくてはならない問題であります。この中で日本に永住することになっております人たちは四十一万三百十六名であります。これらの人は、一世の人は五十年も前から日本に定着し、在日韓国人の八五%がすでに日本生まれであります。三世、四世が次々と誕生しつつある状況であります。であるのに、これを一般旅行者や短期滞在者と同じように一つの法律で律しようとするところに無理があり、悲劇が生まれてくるのではないかと思うのでございます。 国連におきましては、一九四八年十二月十日、「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎である」として、世界人権宣言を採択したのであります。さらに国連は一九六六年十二月十六日、この宣言に従いまして、恐怖及び欠乏からの自由を享受する自由な人間たることの理想は、すべての人がその市民的及び政治的権利とともに経済的、社会的及び文化的権利を享有することができるような状態がっくり出せる場合にのみ達成することができるということにして、AとBという、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約あるいは市民的及び政治的権利に関する国際規約の二つを国際人権規約として採択をしてきたのであります。 これを受けまして一九七八年五月三十日、当時の園田外務大臣が国連におきましてこの規約に署名をなさいました。一九七九年、昨年のことでありますが、五月八日衆議院でこれを可決、参議院に送付、批准をされまして、同年九月効力が発生いたしましたことは御存じのとおりでございます。 また一九六五年、いまからずいぶん前の話になりますが、日韓両国間で法的地位協定というのかできました。この協定は、多年の間日本国に居住している韓国民が、日本国の社会と特別な関係を有するに至っていることを考慮いたしまして、これらの韓国民の人たちが、日本の社会秩序のもとで安定した生活を営むことが両国間及び両国民間の友好の増進に寄与することと認めて、次のとおり協定したとあるのであります。ところが現実は第四条(a)項で明記をされました「教育、生活保護及び国民健康保険に関する事項」のみを認めまして、その他のことは一切これを拒否するという冷厳な対応でありましたが、幸いにいたしまして本年の二月八日、建設省の通達で、四月一日より公営住宅に入居することと住宅金融公庫の利用が認められることに至りました。だから、いまだ児童手当は百五十八の地方公共団体で条例で実施または検討中という状態であり、国民年金は全く前進はなく、さらに国民金融公庫の利用も大蔵省でただいま検討中という状態であります。このような行政差別は社会保障関係だけをとってみましても約二百件にわたっておるのであります。 年間約一千五百億円の税金を納めながら、国からの見返りとしては、目立つものとして生活保護費が約六十億円ほどで、納税額のわずか二十五分の一にしかすぎません。それが見返りでございます。その上に、さらに厳重な出入国あるいは在留上の規制は一九六五年六月の法的地位協定の精神に逆行し、日韓両国民の歴史的、社会的な特殊の事情を無視したものと言わねばなりません。もはや不合理、不適当な規制は改正すべきときが来ておるのではないかと思います。これらの問題につきまして具体的に大臣にお尋ねをいたしますので、大臣も人間としての温かい血の通った答弁をお願いしたいものであります。 以下、九点にわたりまして具体的にお尋ねいたしますから、お答えください。 さて、その質問の第一点は、外国人登録証明書の常時携帯、呈示義務の免除についてお尋ねをいたします。 たとえば、交通取り締まり警官から運転免許の呈示とあわせて外国人登録証明書の呈示を求められることがごく普通のこととなっておりますが、運転免許証には御承知のとおり写真が貼付されているのですから、同一人かどうかという判断は運転免許証の呈示だけで十分じゃないんでしょうか。また、ある街角で不確かな日本語で大声を出していたということだけで、外国人登録証明書の呈示を求められたという人もあったりして、この呈示に関しては苦々しい思いをしておる人の例というものは枚挙にいとまがない次第でございます。このような外国人登録証明書の呈示要求は法の乱用と言ってもいいのではないでしょうか。また、人権上ゆゆしい問題でもありますので、常時携帯の義務とその呈示は、この際免除されるよう改正すべきであると考えますか、大臣の御所見を承ります。
○倉石国務大臣 個々の具体的なお話は事務当局の方から申し上げますが、たとえば私どもが外国に行っておる場合でも、そこの国におきましては皆さん御存じのように何々国の住民、こういうことでその保護も受けますし、またいろいろ調査もされる。こういうことは圧迫するということではなくて、保護を受ける場合にもそういうことが大事なことだと思っております。 私どもは、そういう意味で決して圧迫のような考えを持ってああいう制度をつくったものではないと確信をいたしておりますが、いろいろな事情がございましょうから、世界人権規約も批准いたしておるような次第でありますので、日本としては間違いのない態度をとっておるものだと思っておりますが、いまお尋ねの点につきましては事務当局からお答えいたさせます。
○岡田(正)委員 事務当局の答弁の前に、大臣ちょっと申し上げておきますが、私がいま申し上げております在日韓国人の問題というのは、ただいま大臣が御説明になりましたような、単なる普通の外国人ではないのでありますから、その点だけはひとつ念頭に置いておいていただきませんと答弁にならないので、この際御注意を申し上げておきたいと思います。
○小杉政府委員 冒頭に一言お断り申し上げておきたい点がございますが、恐らくこれから先生が九項目にわたって次々に御要望をお述べいただくことになるのだと思いますが、これらの御要望のうち、外国人登録制度の根幹にかかわるような事項であって全く変更、修正の余地がないと私どもが考えるような事項もございますし、御要望にある程度沿い得るのではないかというような事項、あるいは御要望に相当程度応じられるというようなもの、あるいは現在検討中の段階であって、その結果についてあらかじめこの場で申し上げかねるようなもの等と、いろいろの事項がございますので、その点、あらかじめ御了解いただきたいと思います。 この外国人登録証明書の常時携帯、呈示義務を免除できないかというお尋ねでございますが、そもそも外国人登録制度というものは、外国人の居住関係及び身分関係というものを明確にすることによりまして、在留外国人の公正な管理に資するということを目的にして設定された制度でございます。この在留外国人の公正な管理という目的を達成していく上には、現実に本邦の中で社会生活を営んでおられます外国人につきまして、それぞれの生活の場、あるいは勤務先であるとかその生活の場で当該外国人の身分関係等を把握しなければならない必要性が生ずる場合が間々あるわけでございます。 その際に、当該外国人に登録証明書を常時携帯させ、必要があればこれを呈示する義務というものを定めておきませんと、私どもの外国人の在留管理という行政それ自体がうまくいかなくなるということでございまして、制度の本来の目的から見まして、外国人登録制度を維持する以上は、この常時携帯、呈示義務というものを廃止するわけにはまいらないというのが私どもの基本的な考え方でございます。 ただし、現在携帯義務は十四歳未満の者には課しておらないわけでございますけれども、このような携帯義務を課す年齢の引き上げであるとか、その他義務の緩和の余地があるかどうか、現在私どもの方で行っております外国人登録制度についての基本問題の検討の場で種々検討を続けているのが実情でございます。
○岡田(正)委員 時間がありませんので、ただいまの答弁に対しましては再質問をいたしませんが、希望だけ申し上げておきます。 私が質問したことは、もうだれが聞いても、うん、それはそうだなとうなずいていただけるような問題でありまして、たとえば運転免許証などは当然その人の身分証明書がなければ取れないわけですから、それを示して取った運転免許証、しかも本人の写真がぴったり張りつけてあってはがすこともどうもできない。そういうようなものを、免許証を呈示したら、さらにその上に身分証明書を呈示せよということは、どう考えても私は行き過ぎではないかと思いますので、そういう点を十分ひとつ御勘考を願いたいと思うのであります。 質問の第二点は、指紋の押捺、指紋を押すという義務の廃止または軽減についてお尋ねをいたしたいと思います。 外国人登録法施行以来、指紋押捺義務に関する規定の施行が順延をされたりあるいは押捺義務の軽減化が図られてきましたが、そのことは指紋押捺が外国人登録法施行の当初から最も深刻な問題点を含んだところであったことを物語るものでありまして、市区町村における今後の外国人登録証明書、指紋原紙、登録原票への指紋押捺を外国人登録証明書の切りかえあるいは確認の申請のたびごとに求める現行制度は改正されるべきではないでしょうか。指紋というものは終生不変であります。万人不同であります。同じ者は一人もおりません。このような改正は技術的な工夫によって十分可能なはずではないでしょうか。せめて成人になったころに指紋原紙、登録原票に押捺した指紋を永久保存ということにすれば、切りかえ申請などのたびごとに原紙にさらに押捺を求めるというようなことは不要であると思うのでありますが、いかがでしょうか。さらに、外国人登録証明書への指紋押捺を省略する方向での検討をぜひしていただきたいのであります。たとえば、特に人の出入りの多い市とか区とか町、村の窓口で指紋をとられるという状態は、当人にとってはまことに屈辱的なものと言うべきではないでしょうか。 そもそも従来から、現行の指紋採取が本質的に人権侵害行為であるとの認識のもとに運用されてきたかどうか、はなはだ疑問を持つところであります。刑法の分野では、指紋採取が人権侵害行為として令状主義との関連で議論されていますのに、事か外国人管理のための指紋採取となると、かかる配慮が大いに欠けがちであることはまことに遺憾でありますが、いかが思われますか、御所見を承りたいと思います。
○小杉政府委員 お答えいたします。 外国人登録法上の指紋制度は、ただいま先生から御指摘がございましたとおり、指紋の万人不同、一生不変という特質を利用いたしまして、外国人の同一性というものの確認を科学的に担保する手段でございます。指紋を押捺させるということによりまして、登録証明書の偽造であるとか変造というものを防止することができることはもちろんでございますが、それと同時に、所持人の方みずからにとっても、登録証明書の正当な所持人であるということを簡単かつ確実に証明できることになるわけでございまして、私どもといたしましては、現在の登録証明書への指紋押捺の制度というものは維持してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 しかしながら、ただいま先生御指摘のように、指紋押捺の機会が多すぎるではないかという点につきましては、確かに機会を減らす方向で検討をする必要があるかなと思われる余地もございますので、現在どの程度押捺が必要であるか検討を続けておるというところでございます。
○岡田(正)委員 これも再質問はいたしません。ともかく、だれが考えても人間の指紋なんというものは終生不変であり、万人同じものは一つもないのでありますから、そうたびたび指紋を押させるというようなことはやはり人道的な立場から見ましても廃止をすべきである、また期間を大幅に延長すべきであると私は思いますので、十分ひとつ御検討をお願いしたいと思う次第であります。 次に、質問の第三点でありますが、外国人登録証明書の切りかえ申請制度についてお尋ねをいたします。 現行の三年ごとの切りかえ申請制度は、この期限を終身有効または長期化の方向で改正が検討されるべきではないでありましょうか。それはまた、指紋押捺義務の廃止並びに軽減化に役立つものでもあると思うのであります。協定永住権者及び永住者には、切りかえ申請期限なしの終身有効な外国人登録特別証明書、これは仮称でありますが、これを交付すべきではないでしょうか。ちなみに米国におきましては、切りかえ申請期限は十年以上であると私は聞いております。 さらに、外国人登録証明書の切りかえ申請期限は、これを忘れないように、たとえば世帯主の出生日を基準といたしまして一世帯の単位で申請できるような方向で改正されるべきではないでありましょうか。また、切りかえ申請の場合は事前案内、たとえばはがきなどをもちましてこれを徹底し、体の不自由な人たちには代理申請を認める。たとえ期限内に確認申請ができなかった人でも、相当な理由があると認められたときは人道的処置を講ずるべきだと思いますが、いかがでございますか。 さらに、新規または切りかえ申請後紛失による再交付及び引きかえ交付の場合等も、その残与期限しか有効ではありません。再び切りかえ申請のための手続をとることになっておりますが、再交付または引きかえ交付によって新しい外国人登録証明書を交付された場合は、新規または切りかえ申請の場合と同じ期限に改正してもいいのではないかと思うのでありますが、いかが思われますか、御所見を承りたいと思います。
○小杉政府委員 ただいま御質問の登録の切りかえのことでございますが、登録の切りかえという制度は、登録の内容を定期的に点検いたしまして、その誤りや事実との不一致が生じていないかどうか、これを確認するための基本的な制度でございまして、これを一挙に廃止してしまうというようなことは、ちょっと現在考え得ないのではないかと思いますし、またさらに在日韓国人のみについてこの点で特別な扱いをするというのも、これまたいかがかという気がいたしております。しかしながら、比較的短期間在留する外国人もいわゆる永住者も一律に三年という現在の切りかえ期間が妥当であるかどうかにつきましては、確かに検討の余地があろうかと存じますので、制度の基本問題の一環として現在検討をいたしておるというところでございます。 それからさらに先生御質問の一番最後のところで、再交付、引きかえ交付等によりまして新しい外国人登録証明書を入手したときは、その後三年間は切りかえ交付申請を要しないようにしてほしいという点についてでございますが、この点は実は私ども、目下準備中の外国人登録法の一部改正法案の中で御要望の線に沿って処理することを考えております。 それからさらにこの御質問の中で、身体の不自由な人々の代理申請の問題をお触れになられましたが、代理申請は現在も認めておるはずでございます。
○岡田(正)委員 はい、ありがとうございました。 それでは、次に質問の第四点に移らしていただきますが、外国人登録事項の簡素化についてお尋ねをさせていただきます。現行の外国人登録事項は二十項目の多数に及んでおりまして、これらの中には必ずしも必要不可欠の事項でないものもあります。ちなみに、在日韓国人の人たちは就職差別により一般に安定した就職ができません。そのため職場を変更することが非常に多い実情にあります。職業、勤務先または事務所の名称及び所在地についての登録事項は頻繁に変更申請をしなければならないことになります。しかも、それを十四日以内になすべきものと規定をされていますために、仕事を休んで申請手続をしなければならず、多大の負担となっておるのであります。出生地あるいは旅券番号などとともに登録事項から排除されるべきではないかと思いますが、いかがでありましょうか。特に、外国人登録法の精神は住民基本台帳と同じことなのでありますから、その記載事項を住民基本台帳並みに簡素化をするように改正すべきであると考えておりますが、いかが思われますか、御所見を承ります。
○小杉政府委員 ただいま最後に先生がお触れになられました外登法の精神は住民基本台帳と同じだという点につきましては、実は私ども若干異論がございまして、外国人登録制度というものは、その趣旨、目的におきまして、やはり住民基本台帳の制度とは違うというふうに考えております。 しかし、その登録事項の整理簡素化という点につきましては、実は私ども現在検討中でございまして、現在登録事項が二十項目ございます。そのうち外国人からの申請にかかわりますものが十七項目ございます。いずれも制度の目的を達成するために必要な事項について書いていただくことになっておりますが、ただ、本人の申請にかかわる十七項目の中で、一度登録した後変更が生ずる可能性のある項目が実は現在十二項目ございます。現在では、その十二項目のいずれについても、変更が生じた日から二週間以内に変更登録をするよう外登法上義務づけられておるわけでございますが、これら十二項目の中で、変更の都度即時に把握する必要性が比較的少ないものが何項目かございます。たとえば旅券番号とか旅券の発行年月日とか世帯主の氏名とか世帯主との続き柄あるいは本国における住所、これら五項目につきましては、その後の確認申請その他の申請の際にあわせて申請すれば足りるという方向で、現在準備中の外登法一部改正法案の中で処理することを考えておるところでございます。この点、御要望の趣旨に相当程度沿った解決ができるのではないかと考えております。
○岡田(正)委員 よくわかりましたが、ただ冒頭に御説明になりました、外国人登録法の精神は住民基本台帳と同じという問題については異論がある、これはそうおっしゃるだろうと思ったのであります。 一般外国人に対してはただいまのお答えで私は満足するのでありますけれども、事法的地位協定を結びました日本に定住いたしておって永住することになっております韓国人につきましては問題を外に置いてもらわなければ、一般の外国人、いわゆる旅行者と同じような感覚で取り扱われるところに問題があるわけですから、特にこの点は、私も異論のあるところでございますので、ひとつ御検討いただきたいと思うのでございます。 次に、第五点に移らしていただきます。 外国人登録法の刑罰規定の廃止についてお尋ねをいたします。外国人登録法には罰則条項が非常に多くありまして、しかも、その罰則がまことに厳しいことは早くから指摘をされてきたところでございます。たとえば外国人登録証明書を携帯していなかっただけで刑罰を受け、外国人登録証明書の切りかえ申請の期限を忘れたということで刑罰を科せられるなどは、多くの人が経験をなさっていらっしゃるのであります。在日韓国人の人たちの日常生活は、外国人登録法と密接不可分の関係に置かれていますので、日常生活の全般にわたり刑罰の脅威にさらされて生きていると言っても過言ではないのではないでしょうか。このように、いたずらに多数の前科者をつくっているこの現状は、かえって罰則規定が居留民の人たちの生活から遊離していることを示すのではないでしょうか。 日本人が住民基本台帳法や戸籍法の届け出義務に違反をいたしたとしても、何ら刑罰を受けることはないことと比較いたしますと、在日韓国人の人たちに対するこの法の態度は、居留民の人たちの基本的な人権を無視するものと考えざるを得ないのであります。ここにおきまして、在日韓国人に対する外国人登録法の刑罰規定を廃止し、住民基本台帳と同等の罰則規定に改正されてしかるべきものと考えるのでありますが、いかがでありましょうか、御所見を承りたいと思います。
○小杉政府委員 この点も実はかねがね国会の内外でいろいろ問題にされておる点でございますが、外国人登録制度の目的及び性格を考えてみまする場合、これはやはり外国人の在留管理行政の公正な運営を確保するための制度でございまして、住民登録や戸籍の制度と目的、性格が全く異なっておる面があるわけでございまして、これらの制度の維持を担保してまいる上で罰則を科しておるわけであります。その目的の差異にかんがみますれば罰則の間に軽重の差異があるということはむしろ当然ではなかろうかという考えを私どもは持っておるわけでございます。 しかし、現行の登録法上の罰則がいささか画一的に過ぎるという御批判があることも私ども十分承知しておりますので、この点について改善の余地があるのかどうか、基本問題の一つとして引き続き検討してまいりたいと思います。
○岡田(正)委員 いまの答弁でも出てきますことは、在日韓国人は外国人てある——日本に永住する権利を持った人、日本で税金を納めておる人という感覚が何かどこかずれているという気がするのであります。非常に気になる点でございますので、今後検討されます場合に、特に在日韓国人につきましては他の一般外国人とは違う、日本人と同じであるという感覚を持って御検討を願いたいと私は思うのであります。 次に質問の第六点に入らせていただきます。 再入国許可制度の改正についてお尋ねをいたします。現行の再入国の許可期限は最大一年と規定されていますが、短いと思うのであります。現行の再入国制度の廃止もしくは再入国許可期限を長期化すべきではないでしょうか。現行では長期海外滞在者は一年ごとに日本に帰ることを余儀なくされています。そのために費用及び時間の浪費を強いられることになっております。たとえば、期限間際に外国で発病した病人を日本から担架を持って連れにいってこなければならないというような硬直し過ぎた法律の運営は改正すべきではないでしょうか。また、滞在地の日本の在外公館で再入国期限の延長を認める道を開くべきではないでしょうか。 この点アメリカでは、一たん永住権を得ました外国人は一年以内の海外旅行は何回でも自由であります。二年までは滞在地の大使館に行けば簡単に再入国期限の延長ができます。それでもなお入国がおくれたといたしましても、滞在地の大使館のビザを受けさえすれば再入国することができます。そのために永住権が取り消されることもないと言われておるのであります。 現行の再入国許可制度にかえて、出国時に港あるいは空港で旅券に収入印紙を貼付させて出国手続をさせるとか、再入国申請により一度許可された証明で許可期限内は数次にわたり出入国を可能にさせるようにすべきではないでしょうか。なお、再入国許可申請人が出頭できない場合は代理申請を認めてやったらいかがでしょうか。 また、再入国許可を受けて出国するときに港あるいは空港で外国人登録証明書を入国審査官に提出した後、きわめて短期間の海外旅行から帰ったときなどは、外国人登録証明書が当該市区町村にまだ届いていないために返還を受けることができず、むだ足となることが頻繁にあるのであります。また、十四日以内に外国人登録証明書の受理ができなかったために処罰を受ける者が数多くに上っております。したがって、このような制度は速やかに廃止されるべきであると思いますが、御所見を承ります。
○小杉政府委員 お答え申し上げます。 現行の出入国管理令の上におきましては、再入国許可の有効期間は一年以内という明確な明文の定めがございまして、この期間の延長は現行法令のもとではできない、したがって法改正を要する問題であるということでございます。私どもといたしましては、ただいま御指摘ございましたように、在外公館における再入国許可有効期間の延長問題も含めまして、将来の立法に際して所要の改正を行いたいと考えておる次第でございます。現行の出入国管理令上、数次の再入国許可制度というものは明文規定をもって規定されておりませんので、法改正に当たりましては、その可能性をもあわせ明確にする必要があるのではなかろうかと考えております。 従前、国会に提出して審議未了、廃案となりました出入国法案の中に、再入国許可期限延長の問題であるとか数次再入国許可制度というものが実は盛り込まれていた経緯がございまして、法改正を行う場合は当然この点もあわせ手当てするつもりでおります。 それからさらに、末尾に先生御指摘になられました、再入国許可によって出国する場合に、外国人登録証明書を携帯したまま持っていきたいという御要望の点でございますが、この点につきましては、目下準備中の外国人登録法一部改正法案の中に盛り込む方向で検討いたしておるところでございます。
○岡田(正)委員 それでは、次に質問の第七点でありますが、家族を招請いたしまして入国するときの許可の緩和についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。 協定永住権者及び永住者がその配偶者またはその直系親族を同居及び親族訪問の目的で招請をいたします場合、現行の入国許可条件を緩和し、その必要書類、たとえば納税証明書などを簡素化し、特に親族訪問の目的での滞在期間が特別な事情によりまして六十日間を経過する場合は、外国人登録証明書の交付を申請することになっていますが、これを少なくとも百二十日以上に改正してあげるべきだと思いますが、いかがでございましょうか、御所見を承りたいと思います。
○小杉政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、婚姻、同居の目的で招請されるような場合、実は婚姻の信憑性であるとかあるいはその維持、継続性というようなものも慎重に審査をすることになっておりまして、現在招請人の方から提出を求めている書類というものは、私どもとしては最小限度のものであるというふうに考えております。それからまた親族訪問のときも、滞在中の費用の支弁の問題あるいは期間内の出国の保証の有無というような点の審査のための判断資料が必要でございまして、現在関係者に求めておる資料は、この審査の上で必要最小限度のものではないかというふうに考えておる次第でございます。したがいまして現在のところ、これをいま現在以上に簡素化するということはほぼ限界に達しておるのではないかというのが私どもの考えでございます。 それからさらに、目下準備中の一部改正法案の中で、現在は、外国人は入国した後六十日以上を経過いたしますと外国人登録を行わなければならないということになっておるわけでありますが、これを今回一カ月延長いたしまして九十日にすることを考えておるわけでございます。この点、御要望では百二十日とございましたが、一〇〇%御要望には沿っていないにいたしましても、かなりの改善になるのではなかろうかという気がいたしております。
○岡田(正)委員 次に、質問の第八点でありますが、協定永住権者及び永住者に対する退去強制の廃止についてお尋ねをいたします。 協定永住権者及び永住者の退去強制処分はあってはならないし、廃止されてしかるべきだと考えるのであります。在日韓国人の人たちは、その特殊な背景から見て居住の条件が永住となったものでありまして、厳密に言うならば、日本国の義務として、また在日韓国人の権利として永住しているものではないでしょうか。 また、刑事処罰はあくまでも刑事処罰にとどまるべきでありまして、それに付加して協定永住権者及び永住者についての強制退去ということは取りやめるべきではないかと思うのでありますが、いかがでありましょうか。 元来、永住権取得者については、本人の意思に反する退去強制はあり得ないはずでありまして、現行のあり方は永住権ではなくて、ただ単に条件つきの居住権にすぎないではないかという批判を免れることはできないと思いますかいかか思われますか、御所見を承りたいと思います。
○小杉政府委員 この点は実は先生と考え方がどうも真っ向から対立してしまう点で、まことに申しわけないと存じますが、私どもといたしましては、協定永住者といえどもやはり外国人であるという、この本質というものは変わらないというふうに考えておるわけでありまして、退去強制の対象となるかどうかということは、投票権すなわち国政に参与し得る権利と並びまして、外国人と自国民の根本的な相違点であるというのが私どもの考え方でございまして、この制度を全廃することは現在のところ考えていないわけでございます。 しかしながら協定永住者は、在日韓国人の法的地位に関する協定に基づきまして制定されました出入国管理特別法によりまして、一般外国人に比べて退去強制事由がより強制しにくくなるような、より厳格化された要件になっておりまして、今後ともこの趣旨を逸脱することがないよう制度を運営してまいるというつもりでおるわけでございます。
○岡田(正)委員 部分的にはいままでの質問でもうなずけるところもあるのでありますが、ずっと通っておる精神というものが、法的地位協定というものを何と考えておられるのだろうか、永住権をとられた方々を一体何と思っておられるのだろうか、そこのところがどうも明瞭ではないのであります。そこら辺に近づいてくると、根本的に意見が違うのでありましてと、こうなるのでありまして、やはり私が言いましたように、単なる条件つきの居住権にすぎないではないかという批判は全く当たっておると思うのであります。ひとつこの点については一〇〇%の反省をお願いしたいと思います。 最後に、質問の第九点でありますが、潜在居住者の処遇についてお尋ねをする次第でございます。 現在、長期にわたりまして滞在しておる潜在の居住者の数がずいぶん多数に上っておると聞いております。その潜在の居住者の中には、戦後の混乱の際に離散をいたしました親族を頼って入国してきた人など、人道的に対処されてしかるべき人たちも少なくありません。しかも長期間日本に滞在をいたしまして、日本の社会に生活の基盤を持っておる人たちであります。このような人々か人権を保障された生活ができますよう、ぜひとも人道的な立場から在留について特別な御配慮をなすべきではないかと思うのでありますが、御所見を承りたいと思います。
○小杉政府委員 お答え申し上げます。 不法入国者は国外に退去させるというのが出入国管理令上の原則であるのみならず、これは国際的な原則でもあるわけでございます。しかしながら、ただいま先生御指摘のような状況で戦後の混乱の際に、離散した親族を頼ってわが国に不法入国してまいりました韓国人等につきましては、すでに在日韓国人の法的地位協定の署名の際に、昭和四十年の六月だったと思いますが、法務大臣が声明を出しておられまして、その中で、このような方たちの在留を安定させるため、好意的な取り扱いをするということを明らかにしておるわけであります。また、その後におきましても、個々の事案につきまして、当該不法入国者のわが国における居住歴であるとかあるいは家族の状況等々諸般の事情を慎重に検討いたしまして、人道的な配慮を要する場合には特にその在留を認めてきておるわけであります。私ども、この方針は今後とも引き続き堅持してまいりたいと考えております。
○岡田(正)委員 いままで小杉入国管理局長からいろいろと御答弁がありました。中には非常にうなずけるものもありますが、進歩もあるものを認めますけれども、ところが実際にその腹の中に流れておる考え方というものは、一体全体、この在日韓国人に対する法的地位協定というのをどう考えているんだろうかという疑問がますます濃厚になってくるような答弁が終始繰り返されたのであります。まことに残念千万でございます。 そこで、最後に法務大臣から、いままでのやりとりを聞いていらっしゃいまして、その基本的な姿勢、大臣そのものは本件についてどう思われるか、その御所見を最後にひとつしっかりと承りたいのであります。
○倉石国務大臣 先ほど来から御熱心な質疑応答を後ろで承っておりまして、まずもって事務当局が申し上げますことが現在の段階においては妥当なところではないか、このように存じておる次第であります。
○岡田(正)委員 そういうことをおっしゃるから、もう一遍言いたくなるのです。 もうやめようと思っておったのですか、いま当局が答弁しておるのを聞いておると妥当であると思うのであります、これが大臣の答弁ですか。これが大臣ですか。何という答え方ですか。あなたはいままで眠っておったのですか。話を聞いておらぬのですか。私は局長に聞いたんじゃないですよ、大臣に聞いているんですよ。だがしかし専門的な事項にわたるからというので、政府委員から答弁させたんでしょう。政府委員をして答弁せしめますでしょう。すなわちあなたの答弁でしょう。何を聞いていらっしゃるんですか。 いままでの一貫して流れてきておる政府委員の考え方、個人の考え方ではないと思うんですね、政府答弁で答えたんですから。その中に脈々として流れておるものは、どう隠しても隠し切れないほど、いまから十五年も前に協定された韓国と日本の在日韓国人に対する法的地位協定というものの精神をどだい踏み外しておりはしませんか。現在の取り扱い方というものは、法的地位協定で結ばれた韓国人に対する態度と、単なる一般旅行者のちょっと日本に来ました、遊びに来ましたという外国人と、取り扱いが全く変わらぬではないか、こんなことが許されていいのか、それが法の運営に当たる法務大臣の姿であるか、それか本心であるのかということを私は聞いているのに、ただいまの答弁は妥当でございます、ものの十秒もかからぬような答弁で済むと思っていますか、あなたは。もう一度性根を据えて答えてもらいたい。これは人道問題ですぞ。
○倉石国務大臣 お時間の関係もあるからというお話でございましたので、私もお答えはなるべく簡単に申し上げる方がいいと思って申し上げた。 しかし、韓国というのはアジアの中でもわか友好国でありますし、そこの人が長い間わが国に住まっておられるという特殊な関係は、法律によってもそうなっている。そういうことを頭に入れておりますから、小杉局長のお答えを聞いておりましても、いろいろなことについて頭を使っておることは御理解いただけると思うのであります。改善すべきところはもちろん逐次改善してまいりたいし、法律もつくってまいるつもりでありますが、いろいろな事情で、なかなかそういますぐにいろいろなことをやるわけにいかない事情はよく御存じのとおりでございます。そういう意味でお答えをいたしたところが、ただいまのところはああいうことでありましょう、こういうふうに私が裏書きをいたした、こういうことでありますので、ひとつ御了解を願いたいと思います。
○岡田(正)委員 そういうふうにまじめにおっしゃってくだされば、私も声を大きくせぬでも済んだわけであります。のどがかれましたよ、いま。 そこで、落ちついたところで大臣、いま一度確認をいたしたいと思います。 きょうの私の質問の趣旨は何であったか。それは、法的地位協定によって日本に永住することを認められました無慮六十五万人に上る在日韓国人の人たちの立場というものは、単なる一般の旅行者、一般の外国人とは歴史的に社会的にその存在が全く違うのであると私は信じておりますが、大臣もそう思われますかどうか。最後の肝心のところであります。これは簡単でいいです。イエス、ノー、どっちでもいいです。はっきりしてください。
○倉石国務大臣 いままでの経過がありますので、私も役所に帰りまして十分検討いたしてみたいと思います。
○岡田(正)委員 大臣、どうも私は日本語が不得手なんでしょうか、ようわからぬのですよ、何とおっしゃっているのか。これから帰って検討するという意味は勉強するという意味なんでしょうが、私は勉強してくださいということをお願いしておるのじゃないのであります。 一般の外国人、一般の旅行者とは、いま私が問題にしておる日韓両国の間でできました在日韓国人の法的地位協定に基づいてわが日本へ永住することを許可された人たちは、歴史的に社会的に立場が違うと思うが、大臣はそう思いますか、思いませんかということを聞いておる。これから帰って大臣室で勉強する問題じゃないのであります。検討なんか要りませんから、思うか思わぬか、はっきりしてください。
○倉石国務大臣 これは、あなたが御自分でお考えいただくことと、私が頭の中でいろいろ考えておることとはあるいは一致しないことがあるかもしれない。私はもう少し慎重に検討してみたい、こういうことを率直に申し上げているわけであります。
○岡田(正)委員 大臣、あなたはなかなか穏やかな顔をしていらっしゃるのに、えらいしぶといですね。本当にびっくりするのでありますが、私の言っていること、日本語わかりませんですか。 とにかく日韓両国において協定されたその協定に基づいて日本へ永住することを許可された人たちと一般の外国人とは、社会的に、そしてまた人道的にもそうでありますけれども、法律的にも違うのじゃないか。違うのが本当でしょう。そのことを違うのか違わぬのかと聞いておる。いま私が九点にわたって聞いた小さな問題を、あなたが一々頭の中で本当かいな、うそかいなと、それを検討せいということを言うんじゃない。一番簡単なものをなぜ答えられませんか。はっきりしてください。
○倉石国務大臣 私は、自分で最善のことを、こういうふうにいたしたらどうかということを考えながら申し上げておることでありますので、どうぞその辺は御理解をいただきたいと思います。
○岡田(正)委員 どうも大変しつこいようですが、委員長、いま私が言っておることはわからぬですか、委員長にも。 私が言っていることは、とにかくこんな簡単なことが、いやしくもここは国会の法務委員会ですよ。その場で、法的地位協定に基づいてわが国に永住を許可された在日韓国人の人と、一般のちょいと日本へ遊びに来ました、富士山見に来ましたという外国人とは、社会的にも歴史的にも法的にも立場が違うのであると思うが、いかがですかと聞いている。こんなにはっきりした日本語で私は質問しているのですよ。それを勉強します、検討します、それは一体どういう意味なんですか。いやしくもあなたは、建設大臣じゃないですぞ、あなたは何の大臣ですか、あなたは法務大臣でしょうが。よその大臣を連れてきて、そこへ座らせておるんじゃない。いやしくも法務の関係の最高責任者がそこに座っておって、しかも法律的には一番簡単なことを聞いているのに、そんなたわけた、議員をおちょくるような返事をせぬでください。委員長、はっきりさせてください。私は引っ込みませんよ。
○倉石国務大臣 あなたに対してのお答えを申し上げるために私がまだ十分の知識を持っておりませんので、よく検討いたします、こういうことを申し上げておるのでありますから、さようにひとつ御了承願います。
○岡田(正)委員 私は、もうこの問題については、倉石さんほどのこれだけのりっぱな方が、しかも国会議員もきのうきょう出たんじゃないでしょう。私は一年生ですよ。あなたは何年生ですか。大臣も何回もやったでしょう。 しかるに、日韓両国の間におきますところの法的地位協定というものがいまからおよそ十五年も前に締結をされておる。そのときにあなたは国会議員であった。しかも、それから後ずっとそのことについては法務委員会では論議をされ、あるいは所をかえては厚生委員会でも論議をされ、外務委員会でも論議をされ、大蔵委員会でも論議をされている。知らぬとは言わせませんぞ。委員長、こんなに簡単な、こんな基本的な問題が、答弁をのらりくらりしてこの委員会を抜けられると思ったら大間違いである。私はこんなことを許すような委員長ではないと思う。委員長の善処方を要望いたします。私はあくまでも粘りますよ。
○倉石国務大臣 ちょっとこちらからお尋ねいたしますけれども、いろいろ、外国人と言っても観光客でいま入ってきたというような、きのう入ってきたというような外国人もある、地位協定というああいう歴史的なものがあって、その協定で入ってきている韓国の人も同じ外国人だけれども、これは観光客なんかできのうきょう入ってきたのとは別なんだ、そうじゃないのかと、こうおっしゃるわけですね。(岡田(正)委員「そうですよ」と呼ぶ)それはもう事実はそのとおりだと思います。
○岡田(正)委員 了解。終わります。
○横山委員 関連して。質問者は了解をなさいましたけれども、了解した質問者の趣旨というものは二点あると思うのですね。 一つは、法務大臣の態度です。これは私もきのう申し上げたところなんですけれども、最後に私の結語で申し上げたように、一つは、自分の政治的判断なり信念なりというものをもう少し明確にしてほしい。大体答弁が、いつも法務大臣がお茶を濁すような、下僚の言うことをそのままうのみにしているような、法務大臣としての指導性というものがないような、そういう答弁であることに不満を抱いた。それはきのう私も結語で言ったとおり、それからいまの質問者も言ったとおりです。その点について御反省がなければいけません。 それから第二番目は、質問の趣旨は、一般の外国人と永住権を持っている人間とは違うんだということなんですね。違うというのはあたりまえのことなんです、これは。それはもうだれが考えても、法律的にまずあたりまえのこと、歴史的、人間的にも、私どもは違うということはあたりまえだと思っている。あたりまえということを、なぜ帰って勉強するかということなんですね。これは、そう言いたくない、言いたくないという気持ちか法務大臣の中にあったら、法律的に一緒なんだ、一遍全部外国人だというふうに言いたくなって、ここを逃げようとしたならば、これは法律的にきわめて間違った解釈をしている人だというふうになるわけであります。 それから、違っているのはあたりまえだということをなぜ言えぬのだろうか。違っているということは、法律的に単に法律解釈として違っているのでなくして、永住権を持っている外国人は他の外国人よりも優遇されておるということをはっきりしろということを質問者は言いたかったわけですね。そのことを含んで違っていることはあたりまえだというふうに言うてもらわなければ、これは了解したことにならぬですよ。 この二点について、法務大臣からもう一度答弁をいただきたい。ぼくの関連質問について法務大臣から……。
○木村委員長 関連質問ですね。法務大臣。
○倉石国務大臣 最初の永住権の問題はもう先ほどお答えいたしましたとおりでございまして、これは当然違っているもの。それだから永住権を持っている者については特別な扱いがあってもいいではないか……(横山委員「いまあるんだ、法律によって特別な扱いがあるんだということをあなたは認めなければうそだ」と呼ぶ)法律によってありますものはもう認めるのは当然なことだと思います。
○横山委員 前の質問、指導性の問題。二つ質問しているのです。
○倉石国務大臣 最初の方はもうお答えいたしまして、肯定いたしておるわけであります。(横山委員「肯定ということはどういうことだ」と呼ぶ)つまり違うんだ、観光客などで入ってきた外国人と、それから永住権を持って長くおられる人とは、同じ外国人であってもそれは違うということはもうわかっております。
○横山委員 それはわかったけれども、もう一つ、最初に質問者の趣旨というものは、きのう私も言ったように、法務大臣として、帰って相談するとかなんとか言わないで、法務委員会ではもう少し指導性を持ってイエス、ノーをはっきり言ってくださいよ。このことが質問者が腹が立った一つの原因だから、このことについても法務大臣はお答えください。
○倉石国務大臣 私は、何といいますか内気でありましたので、よけいなことを言わないようにお答えをいたしておったわけでありますが、これからはちゃんとやりましょう。
○岡田(正)委員 最後は笑顔になったようでありますが、私は笑顔になりかねることをこれから申し上げて質問を終わらしていただきます。 ただいま横山議員さんからも関連質問がございましたが、それに対する法務大臣のお答え、私の再三再四にわたる質問に対するお答えを聞いておりまして、私は本当に情けないなという気がするのです。法務大臣はお上品だけでは大臣とは言えないと思います。 最初も申し上げたように、いまから十五年前日本と韓国両国政府が誠意を持って法的地位協定というものを結び、わが日本へ永住することを許可された人たちというものは、単なる一般の外国の旅行者とは違いますよ、だから特別な扱いをしなければならぬのだ、否むしろ、わが日本国民としての同等の扱いをするべきではないかという思想に基づいて運営されてきたとばかり信じておりましたのに、本日急転、数々にわたる質問をいたしましたところ、その答弁のいずこにも随所に頭を持ち上げてくるのが、外国人である、日本人ではない、あくまでも旅行者という取り扱いの枠を外そうとしない、私は非常に残念に思うのであります。 そしてさらに一番最後、その両者は全然違うでしょう。だから、違うなら違う、違わぬと思うなら違わぬ、それだけおっしゃってくださいと言ったら、何遍繰り返しても大臣は御答弁がなく、一番最後に、議会においては許されておらない議員に対する理事者からの逆質問、こんなことは日本の議会にはありませんよ。きょう初めてあなたが犯したのですよ。私は知らぬ顔して、せっかくあなたが答えようとしているのだからと思って笑って聞いておったが、少なくとも議員の方に大臣の方から逆質問するなんということは、恐らく日本の国会史上いまだに例はないでありましょう。しかし、それでも私は甘んじて、あなたの誠意ある答弁が欲しかったから、それを許した。しかし、そのお答えは、そういうことなら事実であることは認めます——これかいやしくも日本の法律の最高責任者の言う言葉ですか。何も勉強しておらぬ者が言うなら、まあそれでも済まされるが、私はがっかりしながら、わかったと言ったのであります。これが法務大臣である。そこで、これから後日、本日の大臣の答弁は長く尾を引くということだけは覚えておいてください。 委員長、私は許しませんよ。本日のこの最後の問題は、単なる法律的な解釈の問題ではない、単なる法的な問題ではない、政治的な問題であります。日本のこの問題に対する政治姿勢が問われる問題でありますよ。やがてこれは内閣を揺すぶるような大問題に発展するかもしれぬ、そのことだけをきょうははっきりと大臣に申し上げておいて、私の質問ずいぶん時間が超過いたしました、楯先生にまことに恐縮でありましたが、これをもって終わらせていただきます。
○木村委員長 ちょっとあなたの質問の終わる前に、委員長から申し上げます。 いま大臣は逆質問をしたのではなくて、あなたの御質問が大臣によく十分でなかったから、もう一遍あなたの質問を確かめたわけでございまして、逆質問ではなかったということを委員長から申し上げて御了解を得たいと思います。 楯兼次郎君。
○楯委員 簡単に二、三御質問をしたいと思いますが、冒頭法務大臣にお伺いいたします。 最近、ロッキード、グラマンあるいは国際電電その他一連の汚職というのですか疑惑問題が起きておりますが、こういう問題の前には常に政官界工作のためにこういうことが起きるのだという言葉がついておるわけなんですね。一体、政官界工作は何のためにやるのかということを大臣としてはどういうふうに解釈しておられるか。政官界工作というのは何のためにするのか、どういうふうに理解しておられるのか、まず冒頭お伺いしたいと思います。
○倉石国務大臣 どうも、ただいまのお尋ねについて私がどういうというお答えをいたしかねるわけであります。
○楯委員 これは時間をとりますので繰り返しませんが、もう一回答えていただきたいと思います。 一連の汚職、疑惑事件はすべて政官界工作のために起きたのだ、これはもう毎日の新聞にもマスコミにも出ておって常識化しておるのです。この政官界工作というのは、法務大臣としてはどういうことと理解をされておるのか、どうお考えになっておりますか。
○倉石国務大臣 これはいかがでしょうか、法務大臣としてはお答えいたしかねると思いますが……。
○楯委員 これは時間を食いますから繰り返しませんが、では、こういう政官界汚職と言われるようなことを絶滅するにはどうしたらいいか、法務大臣としてその対策はどうお考えになっておられますか。これなら答えられるでしょう。
○倉石国務大臣 私の申し上げることが不十分かもしれませんが、いろいろないまわしき事件がありましたので、そういうものを防止するという精神もあって、刑法の改正案等を政府は国会に提案いたしたいと思います。
○楯委員 納得しませんが、刑法の改正案等を提案したとおっしゃいますが、きのう理事会に出たら、政府が提案しても与党との折り合いがつかぬので成立しない場合が多い、こういうことを聞いたのです。だから、そういうことのないようにひとつやっていただきたいと思います。 それから具体的に、先ほどもちょっと議論がありましたが、国際電電のことについてお聞きをしたいと思います。二月六日に、焦点の人であった保田前参与が気の毒に自殺をされたわけでありますが、マスコミ等によりますと、これで捜査がデッドロックに乗り上げたのではないか、こういうことをわれわれは見聞をしておりますが、捜査に支障があるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
○漆間説明員 保田参与の自殺によって捜査は影響を受けるのではないかというお尋ねでございますけれども、今後の捜査に影響がないということは言えないと思います。 しかし警視庁におきまして、現在多数の押収資料の分析でありますとかあるいは関係者多数からの事情聴取でありますとか、そういう関連する捜査を精力的に進めておりますので、私たちといたしましては、これが大きな成果を生むものというように期待をいたしております。
○楯委員 それから次にお聞きしたいのは、何かマスコミによりますると、いわゆる政官界工作の個人名も全部これはわかっておるのだ、先ほどの議論もあったのですが、けさの新聞等によっても、そういうことが言われておる。それから、自殺をされた保田参与が参議院の玉置和郎委員ですか、この方にすべての資料を送って、全部の明細は私が把握をしておる、国会議員は百余名関係をしておる、こういうような言明もされておるやに聞いておりますが、当然捜査当局としては、いわゆる政官界工作の対象になった個人名を把握されておると思うのですが、この点どうですか。
○漆間説明員 ただいまの御質問は、けさの読売新聞の記事のことを指しておるように理解いたしますけれども、この報道があったということは私ども承知をいたしております。そして警視庁では、現在いわゆるKDD疑惑の解明につきましてあらゆる手段を講じて積極的に取り組んでおるわけでありますけれども、その過程で、きょうのあの新聞に出ておりましたような、いわゆる科学捜査の手法を用いていることも事実でございます。しかし、あの記事にございますように、その結果政官界工作の対象とされたものか判明したというような事実は全くございませんので、これは誤解のないように申し上げておきたいと思います。 それから、いわゆる政官界工作八十名云々という記事が載っておりますけれども、そういう数字は別にいたしまして、そういう事柄が今回のKDD疑惑とされることのうちの一つであることは、警察当局としても十分承知をいたしておりますので、それを踏まえて捜査を展開をいたしておると思いますが、しかし、その状況がどの程度まで進んでいるかというような事柄につきましては、捜査の進展の現段階では答弁を差し控えたいと思います。 それからもう一つ、玉置議員のお持ちになっておられるやに伺っておりますいわゆる保田メモと称されるものについての御質問でございますけれども、これは諸説紛々でございまして、あるともないともいろいろな記事があるわけでございますが、仮に玉置議員がその種のものを所持しておられるということがはっきりいたしますれば、今後の捜査の進展との絡み合いをにらみ合わせる必要があると思いますけれども、そういう捜査の進展の状況を踏まえた上で、必要がありますれば玉置議員にも協力要請してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○楯委員 われわれも国会議員の一人ですが、もう百何名は詳細に金額までわかっておるというようなことが同僚議員の口からも漏れ、あるいはマスコミ等が宣伝をされておる、喧伝もしておる、こういう状態の中におって、それはいろいろあると思うのです、内容は。いわゆる冠婚葬祭的なものから、いわゆる工作的といいますか、いろいろあると思うのですが、迷惑をしておる議員もたくさんあると思います。また国民世論もこんな状態ではなかなか納得しない、こう思いますので、国民の納得のいくように、早急にこのちぐはぐな状態を解消するように努力をしていただきたい。このことを捜査当局にお願いしておきたいと思います。 それから同じような問題ですが、フジタ工業詐欺事件というのがいま東京地検でやられておるようでありますが、これも初めは詐欺事件で進んでおったのが、何か会社の方が不当な取り扱いをするので、第二回の公判では、裏金づくりのためにやったのだというようなことを新聞等でわれわれは拝見しております。これもやはり政官界工作のための裏金づくりである、こういうようなことを言っておる。ところか検察陣は、そんなことはない、こういうようなことを言っておったのですが、今度は別件で、二月十五日の詐欺罪で起訴をされておる別な事件の第五回公判ですが、これで元同−社表参道作業所長朝香某氏が、今度は違った人、違った組が、いやそういうことは事実あるのだ、われわれも上司の命令によって裏金づくりをやっておった、それをマル特と言う、こういうふうに違った事件の被告が言明しておるわけです。 こういう記事を見ますと、いわゆる政官界工作のために大きい企業は裏金づくりをやって、先ほど法務大臣は、政官界工作は何のためにやるのかという点について明確な回答かなかったわけですけれども、そういうことが頻繁に行われておる。これは業界の常識であるとすら言っておるマスコミもあるわけです。東京地検のフジタ工業詐欺事件についての経過と捜査当局の観測を承りたいと思います。
○前田(宏)政府委員 お尋ねのフジタ工業の事件につきましては、背任、詐欺あるいは業務上横領ということですでに起訴済みでございまして、ただいま御意見にございましたように公判が進んでおるわけでございます。いま別件とおっしゃいましたけれども、いろいろと分かれておることは分かれておりますけれども、一連の事件でございまして、事件としては一体、こういうふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。 そこで、いまお尋ねの点でございますが、たしか先月末でございましたか、公判で、いま御指摘のような、被告人側が今後主張していくというような報道がなされたことがたしかあったと思います。そこで、いま申しましたように、この事件は起訴されております被告人の背任、詐欺あるいは業務上横領ということで処理されておるわけでございますので、その事件が妙なことになってもいかぬということで若干問い合わしたわけでございますが、私の記憶では、詐欺、横領、背任ということでされた分につきましては、被告人たちが個人的な利得をしたということでございまして、新聞等にありますように、その金が個人の利得ではなくてほかの方に使われたというのはどうも違うように理解しておるわけでございます。ただその点につきましては、一部の被告人が次回の、たしか四月何日かでございますかの公判でそういう主張をし、また立証をするということも聞いておるわけでございますので、その内容が具体的にわかりませんので、四月の次回公判でどういう立証、主張がなされるかということを見守るほかないというふうに考えておるわけでございます。
○楯委員 何か法務大臣は十五分から予算委員会に出席だそうですから、これで私は終わりますか、もう一回あなたにお聞きしたいのは、二組に分かれておっても事件の内容というのは一体のものである、そういう御説明ですか。
○前田(宏)政府委員 言葉か不正確であるかもしれませんけれども、起訴されております被告人がたしか合計五名あるわけでございまして、それぞれ組み合わせ的なものがありまして、起訴されている事実は別といえば別でございますけれども、フジタ工業としてのそういう水増し的なことをしての詐欺あるいは横領、背任と、それぞれ態様によりまして適用罪名が違うわけでございますけれども、全然別な事件というような感じでございますと、そうではないということを申し上げたわけでございます。
○楯委員 それでは、飛び入りですから、ここらあたりで終わりたいと思います。ありがとうございました。
○木村委員長 次回は、明後二十二日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時十一分散会