文教委員会 第16号
- 発言数
- 250 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1980/05/14
会議録
○谷川委員長 これより会議を開きます。 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長谷川正三君。
○長谷川(正)委員 私は、東京都下田無市にあります東京大学の原子核研究所でごく最近起きました汚染の事件に関連いたしまして、非常に緊急な事態でもありますので、冒頭その点について御質問を申し上げたいと思います。 御承知のように、広島、長崎の被爆の経験、その後長くこの放射能汚染により健康をむしばまれている国民の多くがいまだに非常に悩んでいるわけでありますし、さらに例のビキニの灰をかぶった事件、こういうようなことを通して放射能に対する国民の心配というものは非常に大きく、かつこれが取り除かれてはいないというのが現状ではないかと思います。したがって、原子力発電所の問題にいたしましても、そうでない放射能そのものを扱ういろんな研究所、事業所の問題につきましても、一たび放射能という声を聞けば、あるいは核という声を聞けば、国民は非常に心配をするというのが率直に言って現状だろうと思います。 これに対して国の行政としては、一歩誤りますと本当に生命をむしばむ、しかも非常に拡散をする問題でありますから、これの安全性についてはあらゆる部面において万全を期すべきであると思います。研究とか実験とかあるいは直接発電等の具体的な産業活動であるとか、そういう方を急ぐ余りこれに対する安全性の管理についていささかでも欠けるところがあれば、長い目で見ますとむしろその発展をも阻害し、国民に非常な心配と被害を与えるということになると思います。したがって、特にこれは文部省関係だけでなく政府機関の広範な各省に関連のある問題でありますが、冒頭に、この放射能を扱う学問研究が各大学で行われておるわけでありますし、研究所あるいは共同研究所等の所管をしておられます文部省、特に責任者の文部大臣として、今回の田無の問題を契機にこの点については一層確固たる信念と対策を持っていただきたい、こう思うので、一般的なこの核、放射能問題に対する大臣の所信を伺いたいと思います。
○谷垣国務大臣 先般、田無にあります東大の核研究所の研究の過程におきまして、あの中にありますカリホルニウム252がずさんな管理のために迷惑を及ぼしましたことは大変残念なことと思っております。事の詳細は政府委員の方から後ほど御報告をさしていただきますけれども、ことに文部省の方といたしましては、つい先ほど筑波にございますエネルギー研究所の問題で同じようにストロンチウムの扱いにおきまして問題がございましたことと並びまして大変この問題について心を痛めておるわけであります。実は、筑波の問題が起きました後すぐに、全国の研究所あるいは大学等にありますこういうものの管理をいたしております者に対して警告を発して、管理の実態を報告をさせまして、今後に対しての管理体制の強化等をさらに詰めていこうとしておりましたときに今回の問題が起きたわけでございまして、大変に残念に存じておるわけであります。言ってみますと、こういう問題について知識と経験が一般の国民の方に比べればずっと高いはずのきわめて専門的な諸君の中でこういうずさんな結果になったということについて、特に私たちは今後の管理上の問題について深く戒めていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。 目下、田無の問題につきましては、幸いに外部への汚染その他のことがございませなんだ状況でとまっておりますことは大変ありがたいことと思いますけれども、管理体制自体の問題に深く入り込んで今後こういう過ちのないようにいたしたいということで、実情の調査その他をいまいたしておる現状でございます。 詳しくは政府委員の方からお答えをさしていただきたいと思います。
○長谷川(正)委員 文部大臣はこの核放射能の研究等につきまして管理体制の不備を率直に認められ、今後万全を期すという御方針のようでありますが、ぜひそれを言葉だけに終わらせずに今後の具体的施策、それこそ来年度予算をも踏まえてひとつ画期的な御方針を出していただくようにまず冒頭お願いをいたしておきます。 そこで、田無の問題に入るわけですが、あの田無の東京大学の核研究所が設立されたのはいつでございますか。
○篠澤政府委員 原子核研究所が設置されましたのは昭和三十年七月一日でございます。
○長谷川(正)委員 そうしますと、もういまから二十五年前、四分の一世紀前ということになります。その当時、あそこに研究所ができるということについて住民の非常な心配、反対があったことは御承知でしょうか。
○篠澤政府委員 詳細は存じておりませんけれども、そういうお話があったということについては伺っております。
○長谷川(正)委員 当時はビキニ事件の直後でもありますだけに、先ほど冒頭に私申し上げたとおり、田無の市民、周囲の住民の皆さんは特に非常に神経質になられて、核の研究所ではまた放射能の拡散というようなことで被害を受けるのではないか、これが一番の心配であったと思います。ただ当時は、いまは故人になられましたけれども、お隣の武蔵野市にお住まいの朝永先生が、これからの科学の研究の上には欠かせない研究所であるし、安全については万全を期すからという非常に御熱心な御説得等もあって、当時の住民あるいは市当局も一応納得をして、そしてあの研究所が発足した、こういう経過があるわけであります。いままであそこにその後事件があったかどうか、私つまびらかにしておりませんが、少なくとも田無について今回のようなショッキングな問題はなかったように記憶いたします。ところが、四分の一世紀も経て、これらに対する研究技術もまた安全性も万全を確立されているはずの今日になってあのような事態が起こったということは非常に遺憾のきわみであります。 私も専門家でもありませんし、まだ直接現地まで行ってつぶさに見ておりませんが、あの場所は私の地元でありますから日常的にはよく知っておるところであります。すぐ隣は谷戸小学校という小学校があります。また、その周りには密集した住宅もあるわけであります。こういうところで今回のような汚染が発見されたということで非常なショックを受けておるわけであります。だんだん伺いますと、新聞等でも非常にお粗末であるとか非常にずさんであるとかいう報道がされておるわけで、どうもその言葉は決して酷評ではなくて、ぴったり当たると言ってもやむを得ないのではないか、こういうふうに思いますが、事件の今回の問題に限っての概要、文部省として調査されて把握されている点を概略御報告いただきたいと思います。
○篠澤政府委員 東大の原子核研究所は、先生もお話のありましたように全国共同利用の研究機関でございますので、そこにございますたとえば電子シンクロトロンあるいは低エネルギー部門のサイクロトロン、それから今回問題になりました空芯べータ線スペクトロメーターによる実験を行う実験室、RI実験室等は、全国の研究者に開放されて共同に利用されるものということになっているわけでございます。 今回問題になりましたのは、ただいま申し上げましたように空芯べータ線実験室におきまする事故でございます。 これを利用いたしましたのは、九州大学工学部応用原子核工学科の研究者四名でございます。四名は、助手二名、大学院生一名、それから技官一名というふうに報告を受けております。 本年四月七日、その以前に、その空芯ベータ線実験室におきます研究をするために核研の方に共同利用の申し込みをいたしました。核研の方では全体の研究計画を調整いたしまして、本年四月七日から二十八日までという期間を定めて利用を許可したわけでございます。その許可に従いまして、四月七日から二十八日まで研究をいたしました。 研究の前段は、その研究を進めるためにカリホルニウム252を線源といたしまする線源をつくるという作業を前段でいたしました。これは規程に従いましてRI実験室でつくったわけでございます。 それから、つくりました線源を利用して実施いたしました研究テーマでございますが、これはカリホルニウムが分裂するときに生ずる分裂片の核構造を調べる。それによって原子核の構造自身を調べていこうというきわめてユニークな研究のように伺っておりますが、それを実験する場所は全国に二カ所しかないということも承りました。その一カ所が核研であったわけでございます。四月十一日からその実験室において実験を開始いたしまして二十八日まで続けたわけでございます。 そのときに、実験に使いますカリホルニウム252の線源は三つ、RI実験室所定の場所で製作をいたしました。それを実験室に持ち込みまして、それで実験を始めたわけでございますが、十一日から二十八日までの間に、本来であれば再びRI実験室に持ち帰ってセットすべきものであるそのごく一部の装置でございますけれども、密封した装置でございますが、それを許可されていないべータ線実験室の中で線源を取りかえたということがあるわけでございます。 二十八日までの実験を重ねまして、一応の研究の成果は得られたようでございますが、二十八日に終了してその部屋を閉鎖する段階で、一応の放射能汚染問題を意識してサーべーメーターを使って検査をいたしたということも承っております。 ただ、そこで一つまた問題点が出るわけでございますが、サーべーメーターを使って調査をいたしました段階でサーべーメーターの針が振れたことがございます。振れなかったり、場合によっては若干振れたということがあったと報告を受けております。通常でございますならば、振れたということはまさに放射能がどこかに存在するということでありますが、いままでも恐らく研究者自身の経験もあると思いますけれども、誤作動というふうに認識をした向きがうかがわれるわけでございます。したがって、研究者としては、ここは大丈夫ということで管理室の方に届けをしてロックをして帰ったという経過をたどっておるわけでございます。 簡単でございますけれども、実験の経過だけ御報告をさせていただきました。
○長谷川(正)委員 原子核の問題とか放射能の問題では非常に専門的な用語を使われるわけで、私ども率直に言ってその学問での素人が聞きましてもなかなか理解しにくい。まして一般国民が聞いてもなかなかわかりにくい。そこで、いまの御答弁は大体わかりましたが、その中で線源という言葉をお使いになりましたね。この線源というのは一体どういうものなのか。それを三つつくって取りかえたという、そこが一番原因になっているのですが、これは局長でなくてもいいのですが、その方の専門家がいらっしゃったら、線源の説明を私のこの質問の議事録を見る国民でもわかるようにひとつ御説明をいただきたいと思います。
○松本説明員 それでは私がかわってお答えをいたしますが、放射線を発する源が線源でございます。それを単純に線源と申しておるわけでございますが、線源には実は二種類ございまして、密封線源というのと非密封線源というのがございます。要するに、密封線源といいますのは、その綿源を一定の小さな容器のようなものの中に入れて、それが外気に触れないような形にしたのが密封線源でございまして、非密封線源というのは、いわば裸の線源でございます。要するに、放射線の出る源が線源でございます。今回のカリホルニウムの線源は二ミリ、八ミリという非常に小さなもので、ごくごく薄い箔のようなものであったというふうに御理解いただきたいと思います。
○長谷川(正)委員 先ほど局長の御答弁の中に、今回の九大のグループの研究は非常にユニークなものであるという御答弁がありまして、こういう研究のできる場所は二カ所しかないんだ、その一カ所が田無であるという御答弁だったと思いますが、そのもう一カ所はどこなのか、それをお尋ねいたします。
○篠澤政府委員 失礼いたしました。田無の中に二つの装置があって、二カ所でできるということだそうでございます。田無以外のところではないわけでございます。
○長谷川(正)委員 田無以外にもあるのだとこれはよほど気をつけないと大変だと思ったのですが、じゃ田無の中に二カ所、そういうことですか。
○松本説明員 もう一カ所、理化学研究所というところにもございます。
○長谷川(正)委員 理研は、場所はどこですか。
○松本説明員 和光市でございます。
○長谷川(正)委員 埼玉県和光市ですね。
○松本説明員 さようでございます。
○長谷川(正)委員 今回の実験をなさいました九州大学のグループについて先ほどお話がありましたが、それは具体的にどなたで、そして直接その実験には携わっておいでになっていなかったんじゃないかと思いますが、大学における一番の学問的責任者はどなたになっていらっしゃるのでしょうか。
○篠澤政府委員 実験に従事いたした者の氏名を申し上げます。九州大学工学部応用原子核工学科助手吉田義輝、同じく助手辻勝彦、同じく技官丸林勝己、同じく大学院生梅崎悟、以上四名、それから直接実験の指導をいたしておりますのは、実験の責任と申しますよりも指導教官の名前を申し上げますと、九州大学工学部応用原子核工学科の片瀬教授でございます。
○長谷川(正)委員 そしてユニークな研究とおっしゃった、このユニークな研究に取り組まれているこの四人の方は未熟な方だったのか、相当練達な方だったのか。どうだったのでしょう。
○篠澤政府委員 私が伺っております範囲におきましてはベテランであるというふうに伺っております。と申しますのは、過去におきましても核研で、同種のとは申しませんが、このための研究を重ねてきたということを伺っております。そういう意味でベテランの研究者であるというふうに承っております。
○長谷川(正)委員 そうしますと、田無の研究所にはこのグループは初めてではなかったということですか。何回ぐらい来ておったんでしょう。
○篠澤政府委員 五年前にさかのぼりますが、この種の研究のために科学技術庁に実験をすることについての承認を求めております。それから二年たちまして、一九七七年一月に第一回の研究をいたしております。それから二回目が実は五月にございますが、これは不採択になりましたので、七七年八月に第三回の研究をいたしております。それから同九月に第四回、一年置きまして昨年三月に第五回、昨年九月に第六回、それから本年の四月に第七回ということになります。
○長谷川(正)委員 それは七七年の一月と八月と九月、それから七九年の五月と九月ですか。
○篠澤政府委員 七九年は三月と九月でございます。
○長谷川(正)委員 そうしますと、この研究所にはもう本当に何回もおいでになって、そして研究を進めていらっしゃるベテラン中のベテランと言っても差し支えないわけだと思いますが、にもかかわらずこういう事故を起こしたというのは一体どういうわけなんでしょうか。
○篠澤政府委員 ただいまの実験の回数を通算いたしますと、不採択も含めますと七回ということになるわけでございます。そのうち空芯べータ線スペクトロメーター実験室で行いました実験は、今回と昨年の第六回目の実験でございます。それ以前は線源を作成するとかあるいは検出器のテストをするとかというようなたぐいの実験でございました。そういう意味では、実験が本格的になりましたのは昨年の九月の第六回目と今回ということになろうかと思います。そういう意味では大変ベテランでございますので、私自身の印象になりますけれども、核研におきます管理体制等をチェックいたしました現時点におきましては、やはり研究者自身の放射能に対する、あるいはそれが社会的にどういう影響があるかという問題に対する認識の甘さ、あるいはなれによる安易な扱いをした——もし万が一、このぐらいだったならば大丈夫だろうというようなことであれば大変な問題でありますが、私は現在そのような印象を持っております。
○長谷川(正)委員 篠澤局長は、率直に、なれているためにかえって心にすきができたり、やや安易に流れて事の重要性を絶えず認識し戒めていかなければいけない点が欠けていたのではないか、こういう御指摘でありますが、確かにそういう面があろうと思います。ただ、私は専門的なことはよくわかりませんが、この九大の研究は、基本的には化学的な研究ではなくて物理学的な研究で、この物理学の研究とそれから化学の研究と両面を核の問題や放射能の問題は持っているので、どうもそういう油断もあったんでしょうけれども、物理学的な研究者であったために、化学的に酸化して、拡散して紙や何かについたという話がございますが、そういうことについての警戒心というようなものが欠けていたんではないか、研究のあり方そのものにもやはり問題があったんではないか、こういう見方をする方もあるわけでありますが、その辺はいかがですか。
○篠澤政府委員 大変専門的なことにかかわってくるわけでございます。この研究自身が物理学的研究——私の個人的な理解でも、それはまさに物理の領域の問題であろう。素粒子自身の振る舞いを研究するわけで、あるいはその構造を研究するわけですから、そういう意味では物理学の領域の研究であろうと思いますが、しかし核の研究というのは必ずしもそれだけで物理学だけの領域だというふうに限定ができるかどうか、私は率直に申し上げて自信がございません。それが化学的にどうかという話にまで及ぶものかどうかにつきましても、私自身ちょっとなお勉強する必要があるという感じがいたしております。
○長谷川(正)委員 先ほどの御答弁にあったように、整備された部屋でやらなければいけない作業をちょっと簡略にしてそうでない部屋でやったために、線源カリホルニウムの一部が酸化して剥脱したといいますか剥離したといいますか、そういうことが新聞等にも書かれておりますが、それは把握していらっしゃいますか。
○篠澤政府委員 月曜日の午前中に杉本所長を呼びまして事情を聴取いたしました。そのときには杉本所長は、私にはさよう御報告をされたわけでございます。
○長谷川(正)委員 私が申し上げたことはそのとおりという御答弁だと受け取りますが、その酸化したというのですか、そういうのは一つの物理変化ではなくて化学変化である。物理学者のためにそういう点にやや注意を欠いたというようなことであるとすると、単なるポロニウムじゃなくて、こういうものを研究する場合の学問の総合性というものについてさらに十分な配慮をしなければいけないんじゃないか、こういうことを感ずるものですから御質問を申し上げたわけですが、その点いかがでしょう。
○篠澤政府委員 専門の先生のお話等も十分承りまして、御指摘のとおりであるとするならば、今後のアイソトープを含めて放射線取り扱いに対します教育訓練が法律で義務づけられておりますので、そのカリキュラム等の問題にまでわれわれはやはり考えていかなくてはいけないかというふうに感じた次第でございます。
○長谷川(正)委員 そこでくどくて恐縮ですが、この四人の方の研究実験が四月七日に入って四月二十八日に終わっている、こう先ほど御報告がありましたが、実際にその放射能が漏れたといいますか、そういう汚染の起こったのは、いつどういう場面で起こったのか。そしてそれが研究所の外には出なかったというふうに言われていますが、研究所内のその実験した部屋だけでない何カ所かに拡散したというふうに報道されていますが、どういう経路か、その点をもう一回正確にひとつお答えをいただきたいと思います。
○篠澤政府委員 冒頭に概略を申し上げました。さらに日にちを入れまして御報告を申し上げさせていただきます。 研究が許可されまして、四月七日に先ほどの四名が核研に参りました。そこで、参りました当日は、先ほどの線源からエレクトロンが出るわけでございますが、その電子を検出するための検出器の調整の作業を当日行ったようでございます。八日も引き続きエレクトロンの検出器のテストを行いました。九日、十日、十一日の三日にわたりまして今度の研究のために使用する線源を作成する作業でございます。これは先ほど科技庁の方から答弁がありました縦横二ミリと八ミリの大変小片でございますが、これにカリホルニウム252を装着させるといいますか、それを作成する作業でございます。これを作成する作業は、これもベテランでございます金沢大学理学部の小村助教授の参加を得まして、この方の手によって作成をいたしたわけでございます。 それから四月の十一日までに三つの線源の作成ができましたので、その日のうちから一番目の線源を使って実験を行いました。それから同日の夜から二番目の線源を使用して実験を行いました。十二日からは第三番目の線源を使用いたしまして二十七日の午前中まで実験を行いました。これは全部ベータ線の測定になるわけでございます。それから二十七日でございますが、午前中に実験を終了いたしまして、午後には、これは専門的な言葉になりますが、標準線源バリウムソースを使用しての実験をいたしております。さらにまた、同日夜になりましてから再びカリホルニウムの第二番目の線源を使用して実験を行いました。二十八日の午前中に終了いたしたわけでございます。二十八日の午後、三つの線源を真空容器に入れましてRI実験室に戻したということでございます。 ただいま申し上げましたように、恐らく十一日の午後からと思いますが、カリホルニウム252を使っての実験が二十八日まで行われた。その間に一番から三番までをある意味では随時交換をして研究を続けた。ときには深夜に及ぶ、あるいは二十四時間というような長時間にわたる実験もあったように承っております。 以上のようなことでございます。したがいまして、どの時点で、先ほどのお話しのように線源から一部が剥落して床の上に落ちて汚染されたかということは確定しがたい状況にございます。
○長谷川(正)委員 時間的な経過はよくわかりましたが、それでは研究所の中でどことどことどこに拡散したのですか。
○篠澤政府委員 実験が終了いたしまして室内の整理整とんをいたしまして、ごみを全部集めたわけでございます。それからそのごみはポリ袋に入れまして焼却炉に持っていった。焼却炉で燃したのは後でございます。したがいまして、検査をいたしました個所は全所にわたっていたと存じますが、汚染されている場所は大きく言いますとべータ線実験室、それからもう一つはごみの焼却炉並びに灰をかき出したとしますればその若干の周辺がございます。以上の二カ所でございます。
○長谷川(正)委員 新聞では上がりおりする階段にもあったというふうに報道されていますが、それはいかがですか、いまの中に入っていませんでしたが。
○篠澤政府委員 私実験室の実態を知らないものですから、報告だけ受けているわけでございますが、実験室の中にもし階段があれば、場合によってはあり得たかもしれませんけれども、実験室外でのほかの建物の階段ということはない、報告を受けておりません。
○長谷川(正)委員 そこで伺いたいのは、きょうは科学技術庁からも来ていただいていますが、新聞報道等によりますと、文部省というものはほとんど出てこない。これは監督責任は全部科学技術庁にある。科学技術庁がもちろん許可もしているのですが、監督もし、いろいろやっているように報道されているのですね。しかし、中身は明らかに東京大学の核の研究所であり、実験をしている方たちは九州大学のグループである。いま金沢大学の方が一人線源の作成に参加されたということを伺ったわけですが、これはいま初めて知ったわけです。そういうふうにこれは全部文部省所管の方々の問題なんですが、こういう核なり放射能の実験や研究について文部省と科学技術庁とはどういう仕組み、どういう接点になっているのか。場合によると、その縦割り行政の境目でずさんなことが起こるというような、ほかの方によくそういう例を見るわけですけれども、そういう問題も伏在しているのではないかというようなことも素人考えでちらっと頭に浮かぶわけであります。 そこで、こういう問題について文部省の学術国際局の所管と科学技術庁の監督責任等の所管とはどういう仕組みになっているのか、この際国民の皆さんにわかりやすく説明をしていただきたいと思います。これは文部省と科学技術庁、双方からお話をいただければいいと思います。
○篠澤政府委員 監督責任の関係についてお答えを申し上げます。 この種の防止あるいは予防等につきましては、すでに先生御案内のとおり、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律というのがございまして、罰則規定まで含めて非常に事細かく規定をいたしているわけでございます。 この法律の第三条に「使用の許可」というところがございますが、法律の条文を抜きにして申しますならば、科学技術庁はそれを使用する者に対して直接許可をする、あるいはすべての責任といいましょうか、そういうことに対しての権限の行使をされるのは使用する者ということでございます。この使用する者ということにつきましては、私ども文部省の立場で申し上げますれば、包括的な責任はもちろん文部大臣にあるわけでございます。それから各大学の学長も恐らく施設を管理するという面での責任はあると思います。しかしながら、具体的にどういう計画でどういう事業をそこでするかということは個々の使用者の問題でございますので、そこにつきましては、科技庁からその使用についての承認あるいはその他の権限を直接に行使されるというふうに私ども理解しております。そういう観点から申しますならば、文部省には大学の研究所は百を超すものがございます。しかし、この使用者という観点から申しますならばその数は恐らく三百を超える数になるのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。 もし私の考えに誤りがありますれば、科学技術庁の方からまた……。
○松本説明員 私の方からちょっと御説明いたしますと、いま学術国際局長がおっしゃいましたように、放射性同位元素等を取り扱います使用者、使う者でございますが、それが使う前に私どもの方に国、民間を問わず許可あるいは量によっては届け出の場合もございますが、その許可ないしは届け出を出してまいります。私どもは主として施設面がそれを取り扱うについて安全かどうかということの審査をいたしまして、安全であると思えば許可をする、こういうことになるわけでございます。 今回の場合の使用者は国でございます。まあ国といいましてもいろいろ種類がございまして、文部省もあれば通産省もあればその他の省もあるわけでございますので、申請書の中を見ますと、国(文部省)と書いてございまして、法人で言います代表者の氏名を書く欄がございますが、そこには文部大臣の名前が書いてあるわけでございます。それで事業所として東大原子核研究所という名前が挙がっておるということでございますので、民間の企業と対比して申しますれば、何々株式会社に相当するのが国でございまして、その何々社長に相当するのが文部大臣、それから会社の場合はそれぞれ事業所がございますから、その事業所に当たるのが原子核研究所であり、事業所の長に当たるのが火大総長、こういうことになるわけでございます。
○長谷川(正)委員 この核ないし放射能の研究実験あるいは直接これを病院等で治療に使うとか、いろんな場合があると思います。 そこで、文部省の所管以外にこの問題を扱う省庁なり民間のいろいろな研究所なり事業所なり病院なりがある。それらを放射能に関して統括して監督するのが科学技術庁であり原子力安全局ですか、そういうふうになっているように理解したわけです。そうしますと、この種の核あるいは放射能、核から出る放射能によって汚染をされたとか、あるいはその線源になる物質が紛失したとか、先ほども筑波の事件が三月に起こったということもございますが、そう十年以上もさかのぼるということはできないと思いますが、最近ここ数年間のこういうような放射能に関する事故は一体どんなふうにいままで起こっているのか、中身を詳しくおっしゃらないでも結構ですが、大体年次別にどのくらいこういう事故が起こっているのか、これは文部省所管以外も含めて御説明をいただきたいと思います。
○松本説明員 いろいろな被曝の事故でございますとか線源の紛失あるいは今回の場合のような汚染等が生じますと、私どもの方に事故の報告が参ることになっております。その報告が参りました件数で御説明いたしますと、四十九年ぐらいからの数字にさせていただきますと、四十九年で九件発生をしております。詳しく事業所の名前も申し上げた方がよろしゅうございますか。
○長谷川(正)委員 ええ、名前程度は。
○松本説明員 はい、わかりました。 四十九年の六月に放射線医学総合研究所で起こっております。それから同じく六月に東北大理学部の原子核理学研究施設というところで起こっております。それから四十九年十二月に馬津製作所の京都営業所でございます。
○長谷川(正)委員 その中身が汚染だとか、紛失だとかいろいろありますね。それまでちょっと触れてください。
○松本説明員 はい、わかりました。 先ほどの放射線医学総合研究所の場合は被曝事故でございます。それから東北大学の研究施設の場合も被曝事故でございます。また局津製作所の場合も被曝事故でございます。それから五十年の四月には——失礼いたしました。いま被曝事故を中心に御説明したものですから被曝が重なりましたが、あと四十九年六月に国立高崎病院というところで線源の紛失がございました。同じく四十九年六月に東大の教養学部で汚染の事故がございました。それから四十九年の六月から七月にかけて、明確な時期はわかりませんが熊本の橋本病院という個人病院だと思いますが、紛失事故がございました。四十九年八月に非破壊検査という会社で線源の盗取、盗まれた事故がございました。十月に順天堂大学病院で放射性同位元素を誤って使うという事故がありました。あと四十九年十二月に松江市立病院で線源の紛失事故がありました。以上九件でございます。 それから五十年には、四月に新日本非破壊検査というところで、これは線源を取り落とし、落下させるという事故がございました。同じく四月に動燃の東海事業所で、これは被曝事故でございます。五十年七月には名古屋の鉄道病院で線源の紛失、同じく七月に国立浜田病院で線源の紛失、九月に丸鈴運輸というのでしょうか、ここではRI物質を輸送中のトラックが衝突したという事故がございました。十一月に原子力研究所の東海研究所で排気筒装置の一部が破損をしまして、一極の汚染事故のようなものだったのですが、実際には汚染はなかったという内容でございました。 それから五十一年には四件ございまして、有限会社立山精機というところで、これは汚染でございます。六月に永瀬病院というところで、これは紛失でございます。七月に東亜非破壊検査というところで、これもRIを運搬中の車が衝突した事故がございました。九月に日立造船非破壊検査大阪事務所というところで被曝の事故がございました。 それから五十二年は二件でございまして、奈良県立医科大学で紛失がございました。十二月に金華機械というところで被曝事故がございました。 それから五十二年度は、八月に中国X線というところで被曝の事故がございました。それから五十四年一月に国立松山病院で線源の紛失、五十四年三月に倉敷中央病院で紛失、この三件が起こっております。 五十四年度につきましては三件でございまして、一つは尾張分析技術センターというところでガスクロマトグラフ装置というのを一時的に債権者が持っていったというような、これは事故と言えるかどうかわかりませんが、そういうものがございました。それから日立造船非破壊検査株式会社での被曝事故、ことしの三月にございました高エネルギー物理学研究所における線源の紛失事故の以上でございます。
○長谷川(正)委員 いまざっとほんのここ数年間の事故、汚染あるいは紛失等を伺っただけでも私どもは非常にびっくりするわけで、こういう管理状態でいいのかなと思う。それで、大体汚染はしたけれども大した被害はなかったというようなことに皆なっていて、そのために白血病になって亡くなったとか、そういうことはあったかなかったかわからないのですが、そういう点はいかがですか。
○松本説明員 いまおっしゃいましたように白血病というようなことで亡くなった方はおられませんが、一部の事故の中では、たとえば線源をポケットに入れておったためにおしりがやけどをしたというような事例はございます。
○長谷川(正)委員 大臣、お聞きのように、これは文部大臣だけの所管でなくて政府の直接の責任者の一人として、病院関係、事業所関係、いろいろな面でこういうふうに放射能あるいはその線源になる物質の管理について、万全を期しているのだけれども人間のやることだからやはり過ちはありますと言えばそれまでなんですけれども、これは一遍冒されますと本当に放射能の害というのは、きょうのあした一遍にすぐ命がなくなるとかいうのではなしに、かなり長期にわたってじわじわと出てくる、そしてなかなかそれが抜けないというのがこの放射能の被害ではないかと思いますので、いまずっと伺っただけでも私どもは何かはだえにアワを生ずるような気持ちになるわけです。ですからやはりこの際、今後科学の進歩の中で原子力の問題や放射能の問題というのは避けて通れない課題であるわけですから、もうちょっと腰を据えた体制をとらなければ今後取り返しのつかない事態があっちこっちに発生してくるのじゃないか、こういうことを率直に憂えるわけです。その点について、いまの報告を聞きながら文部大臣、御感想をひとつどうでしょう。
○谷垣国務大臣 いまの話を聞いておりまして、どうも私もこれは非常に素人で、こういう問題につきましてよく常識的なあれがわかりませんので惑うておるわけでございます。たとえば民間の医療を担当しておられる病院等における線源の紛失問題、それから専門的に処理をすべきそういうところにおける被曝であるとかあるいは線源の問題、それから研究機関における問題というふうに、同じような物質の扱いではありますけれども問題のあり方あるいはそれの対応策といいますか、いまちょっと話を聞いておりまして若干違うような気がいたしております。 私が思いますことは、研究施設でありますとか、ことに文部関係の施設を考えてみますと、こういうものの共同研究と申しますか、施設をきちっとしたものをつくって、そして専門の諸君の基礎的な問題についてそれを共同利用するというような施設があるわけでございまして、しかもそれが最近引き続いた形で起きておるというところによけい問題があるような気が実はいたしておるわけであります。かなり整備された施設、陣容があって、しかもなお問題が起きておるということになりますと、先ほど専門のベテランがやってなお過ちがあった、それはなれであったか何であったかということでございますけれども、これは少し管理の問題からも考えていく、もう一回検討する必要があるのじゃないかというようなことを素人ながらにちょっと感じるわけであります。 民間の医療機関等での紛失事故はどの程度の比率であるのか、そこら全体のあれがわかりません。レントゲンの撮影が普遍化しておる現状と、この治療で使うものとがどういうような普及の仕方、その意味の線源がどの程度まであるか私よく存じておりませんので、それに対して事故率がどのくらいであるのか、それは事故率の少なさから言うと、あるいは多さから言うと、やはり対処の仕方が違うだろうと思うのです。非常に事故率が多いものだとすれば、そういう形の治療のために渡すこと自体何らかの考慮を払わなければならない。事故率が全体やっておる中で少ないといたしますれば、それに対しての応対の仕方もまた違ってくるというふうに、ちょっと私いまここでこの問題に対しましての知識が余りにも貧弱なものですからお聞きいたしておりまして、ごとに施設を持って基礎的な研究をしておるような分野を担当しております文部省といたしましては、専門的な諸君がおるはずのところで起きておるわけでございますので、これは単にベテランの諸君がなれで失敗したというだけでは済まされない、もう少し深く考えた対処の仕方が必要なのじゃないかという感じを持っておるわけでございます。
○長谷川(正)委員 大臣は構えずに率直な御心境を披瀝されたと思います。いまの段階ではそういうおっしゃり方が素直な御答弁だろうと思いますが、これは科学技術庁も大変なことだと思うのです。これは文部省、通産省、厚生省、運輸省もそうでしょうが、ほとんどあらゆる省庁にまたがるような部門でのこの核の問題や放射能の問題を科学技術庁のまた一部で全部監督し、許可を与え、あるいは査察をしということなのですが、科学が進歩してくれば、この実験や利用が全国的に今後少なくなることはないと思います。しかし、何といってもその基本は学問だと思うのです、ただ、いまちょっと私が触れたように、物理学と化学との接点というような問題も、せんじ詰めれば学問の問題なのです。そうすると、この研究の一番中心は大学であり、その所管が文部省であり、学術国際局の所管の中でこういう核を扱い、放射能を扱う場合の鉄則というものがぴしっと確立している、その一番基礎的なことの条件を通らない限りはその先へは進まないのだ、そういうものが当然あってしかるべきじゃないか。その場合には、政府自体も考えなければいけませんが、文部省が一番大きい責任を持って、そしてその運用の面で、技術的な点はまた各省にまたがるから科学技術庁がおやりになるというならいいと思うのですけれども、やはり文部省でこの際相当な力を入れて、この問題は国の方針を大回転するくらいの決意でやらなければ、今後こういう事件が防げないのじゃないかという感じがいたします。大臣なり局長なりから、もう一遍その点についての御意見を聞きたいと思います。
○篠澤政府委員 ただいま大臣からも御答弁があったわけでございます。本件が起きましたときに早速大臣に御報告を申し上げたときにも、大臣は徹底的な検討を私に指示されました。三月の時点においても同様でございました。 具体的なお話を申し上げることをお許しいただきたいわけでございますが、三月の時点からこのことを私どもも意識いたしまして、現在文部省が所管しております大学、高専あるいは短大、かかる関係の研究を実施するところに全体にわたりまして実は詳細な調査を始めたところでございます。 現在その調査票が集まりつつございます。やや詳細にすぎましたので、たとえば旧七帝大あたりになりますと一大学で相当な厚みの調査票になって返ってくるわけでございます。管理規程、組織規程の面での整備の状況はどうか、あるいは施設の運営についてどうか、設備の維持管理についてどうかときわめて詳細なものでございます。これの分析を早急にいたしたい。そのところから一般的なあるいは各個別の機関の個別な問題点が洗い出せるであろうということを考えておるわけでございます。これはこれとして早急に委員会をつくって集計、分析の検討を始めたいと思っております。そこで改めてまたガイドラインは出せるものと考えております。 先ほど東北大学のことについて科技庁の方からお話がございました。四十九年にございました。そのときにも放射能の本件に関する予防あるいは管理を十全にするためのマニュアルをつくりまして徹底するように大学に流しているわけでございます。それに従い各大学等は管理規程等の整備は全部でき上がっておるのが現状でございますが、各研究者が決められた規則なり運営の管理規則なりあるいは心得その他を完全に遵守してやっているかどうかというところにどうも問題が返ってくるような気がしてならないわけでございます。その他、先ほど来年度予算の問題にも先生お触れになりましたけれども、十分私ども考えて、文部省としてなし得る一切の条件整備はどうしてもやらなくてはいけない。最後に残るのがまさに研究者自身の意識の問題であるということになりますれば、そういう問題はまたきわめて重要でもございますが、せっかく規則をつくっても守られなければ意味がないわけでございますから、そういう点も含めまして全体の見直しと、早期に対策を立ててまいりたい、大臣の御指示を受けましてからそういうふうに考えておるわけでございます。
○長谷川(正)委員 ぜひいまおっしゃった線で、言葉だけに終わらせずに実のあるものにして万全を期していただきたいと思います。 それにいたしましても、先ほど来伺っていまして、三月十三日の高エネルギー物理学研究所での紛失事故ということがありまして、科学技術庁の方からは強く文部省の学術国際局長の方に文書をもって御注意もあったように伺っています。これが三月の話で、四月にすぐまたこういうことが田無で起こったということを考えますと、これは当事者の心の緩みとかあるいは学問的な配慮の欠如とか、いろいろなことが指摘されますが、文部省自身の指導監督の面についても、文部省のいまのスタッフではなかなか回り切れないのかもしれないけれども、科学技術庁からの注意を受けての対処の仕方は、全国に注意を促している最中であったというお話でありますけれども、何か私どもとしては割り切れないというか、どうも少しのんきではないか、こういう感じがいたしますが、いかがでしょう。
○篠澤政府委員 先ほどの私の御答弁に一つ重要な点が欠けていました。各関係機関に対しましては、本件の事例を挙げまして各大学における全体の見直しということを早急に措置する予定でございます。
○長谷川(正)委員 これは科学技術庁の方からお答えをいただいてもいいのですが、少なくともあそこの研究所を使う場合には、どういう順序で、どういうふうなことをして、どういうところに注意をしなければいけないというルールは立っているのでしょうね。
○松本説明員 放射性同位元素を扱います場合には私どもで許可をすると先ほど申し上げましたが、その際には施設面のチェック、それから放射線障害予防規定というものを必ずつくらせることになっておりまして、その規定の中で具体的な放射線の取り扱いについての管理体制なり扱い方について必ず書かせるということにいたしておりますので、一応の体制はとれておるというふうに判断をいたしております。
○長谷川(正)委員 そうしますと、また現実の問題に戻るわけですが、今回の事件はそのルール、規定を忠実に守っていなかった面があったのか、それともルール、規定に欠陥があったために生じたのか、どっちなんでしょうか。
○松本説明員 今回の事案は、予防規定そのものの違反と申しますよりは、先ほど空芯べータ線実験室というのが出ましたが、これは私どもの許可では、先ほど申し上げました密封線源を扱う場所という形で許可をしているわけでございます。そこで非密封の扱いをしたという取り扱いでございまして、予防規定の中には、密封線源で密封線源を扱え、非密封施設では非密封を扱えなどというあたりまえのことは書いてありません。そういう意味で予防規定には直接あれしておりませんが、いわば常識的なことがやられなかったということかと思います。
○長谷川(正)委員 要するに、これは規定の不備というよりは、やはりやった者が規定を忠実に守らなかった、少なくとも一その精神を忠実に守らなかったと断定できますね。
○松本説明員 そのように考えていいかと思います。
○長谷川(正)委員 そこで今後の問題ですけれども、特に田無に関して、昨日も住民を集まめして、研究所長さんを初め関係者が出て具体的に説明会があったようでありまして、そこではいろいろと住民からなお不安の開陳があったということを先ほど申し上げましたけれども、これに対しまして市当局もどうしていいのか非常に困っているのじゃないかと思うのですね、直接市民の問題ですから。これは科学技術庁あるいは文部省、どちらの指示、あるいはどちらの配慮、協力といいますか、そういうことによって今後の問題をやったらいいのか。この点について、住民の不安をなくすために、大体汚染は内部だけでとどまりましたと言うだけではなかなか不安は取り切れませんので、健康診断の問題なりそういう問題についてきちっとした対処をしていただかなければいけないのではないかと思いますが、その点について、住民が安心できるような、住民が納得できるような方針がすでにきちっと決まっているのか、あるいは検討中であるのか、そういう点まではとうてい考えられないというような態度なのか、その点をひとつ率直に聞かしていただきたいと思います。
○篠澤政府委員 本件の事後処理の問題といたしましては、核研自身が現在真剣に検討中であると承っております。私どもも報告を受けまして、核研で決めております諸規定との突き合わせと申しますか、規定上の問題はなかったかどうか、あるいは施設設備の維持管理の面での遺漏はなかったかどうか、そういう点についてはチェックをいたしている段階でございます。したがいまして、今後の全体としての対策につきましては、第一義的には核研自身がお考えいただいて、私どもも十分指導し、監督しつつ、今後過ちのないように十全な対策を基本的な面から洗い直して立ててまいりたいと思っているわけでございます。検討中ということでございます。
○長谷川(正)委員 これは予算等も多少は伴うでしょうから具体的にすぐお答えが出ないと思いますけれども、ぜひひとつこれを教訓にして将来に生かすとともに、いま起こっている住民の不安を完全に取り除くという積極姿勢そのものが住民の信頼を得る、安心を得ることになるとも思いますから、できるだけ消極的な態度でなしに積極的に市の要望にも住民の要望にもこたえていくように強く要望いたします。 最後にもう一つ科学技術庁の方にお伺いしたいのですが、大変広範な放射能問題の管理を任されておるといいますか、責任を負っているわけです。さっきからずっと伺っていると、あちこちにいろいろな事故が起こっていますが、許可をするのにどのくらいのスタッフで見て許可しているのか。それから適時査察といいますか、放射能を扱っているところを調べて万全を期すという体制は当然おとりになっているのじゃないかと思いますが、そのスタッフはどのくらいで、どのくらい行き届いているものなのか。いまの段階では、私の察するところでは、およそそれは貧弱な体制であって、これからの核問題、放射能問題を扱うには国策としても抜本的な対策に切りかえていかなければいけないのじゃないかということを今回の事件を通じて感じておるので、本当は総理大臣にも来ていただき、科学技術庁長官にも来ていただいて、文部大臣と同席のところでそういう点での決意をただしたかったのですが、きょうは緊急でそこまでいきませんでした。担当官として言いにくい点もあるかもしれぬけれども、現状をひとつ率直にお答えいただきたいと思います。
○松本説明員 現在放射線を取り扱っております施設は全国で約四千事業所ございまして、これがすべて私どもの許可ないしは届け出の対象になっているわけでございます。それに対しまして、私どもの方では必ずしも全員が常に発令されてはおりませんが、二十二名の定員の放射線検査官がおりまして常時立入検査をやるという形になっておりますが、大体年間四百数十件の事業所に立ち入って検査をしておるという状況でございます。したがいまして、単純に申し上げますと九年に一回ないしは十年に一回ぐらい行けるということでございまして、その中でも当然問題のあります事業所に重点をしぼっております関係で、行かない事業所についてはさらにそれ以上も行かないということも結果としてはございます。 こういう体制でやってまいりまして、実は四十九年ごろ、先ほども御説明いたしましたように事故が頻発をいたしましたが、その後は大体年間二、三件程度ではございますけれども、ますます今後事業所がふえてくるであろうということを想定いたしまして、この国会に放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の改正案を二十年ぶりに出させていただきまして、先般二十五日に改正をお認めいただきました。この中で、いままですべて国でやっておりましたそういう検査の一部を民間の機関をつくりましてそこにある程度代行させる、その民間の機関が一定の施設については定期的に必ず立入検査をする、そういう体制の強化も図るということをいたしたわけでございます。この法律は来年、一年後ぐらいから施行になりますが、そういう形でもわれわれは今後の放射線障害の防止について配慮していきたい、かように考えておる次第でございます。
○長谷川(正)委員 いまの法律の施行、それから具体的に民間にある程度委託するという方針、これには当然またそれに伴う予算が必要なのじゃないかと思いますが、その手当てはできていますか。
○松本説明員 私どもの検査につきましてはもちろん予算をいただいておりますが、民間に委託します部分につきましては、基本的には事業者からの手数料で賄うことにいたしております。その中で一部ちょっと話が細かくなりますが、放射線取扱主任者というものを放射線を取り扱う場合に必ず置かなければならないことになっております。いままでその主任者はペーパーテストだけで合格をさせておりましたが、テストだけでは不十分であるということで、今回講習を受けなければ資格が与えられないということにいたしました。その講習施設につきましては国の方で建てまして、今度できます機関に使わせるというような形で援助をするということを考えております。
○長谷川(正)委員 民間委託ということは必ずしも全面的に不適当だとは思いませんけれども、さっき申し上げたように、これは学問の問題であるし、国立大学を初め大学もだんだん地方に普及してきておりまして、そういう責任のあるところ、あるいは各県等地方自治体や大学、そういうものとの連携ということをお考えになる必要はないものだろうか。民間ということになりますと、やはりこれは商売でやるということにわれわれはすぐ考えますから、果たしてどこまで本当に万全を期せられるのかという一つの不安を持つ。むしろ民間の非常に創意工夫のある方たちがそういうものを進んでやっていただくということで積極的ないい面もあるいはあるのかもしれませんけれども、実態はわかりませんので、そういう不安を持つこともまた当然だと思うのです。いま私が申し上げたような地方の大学あるいは地方自治体と共同して政府、つまり放射線安全課長さんとその課員が二十余名のスタッフで、四千件も六千件もあるようなますますふえるところを査察といったってそれは無理で、重要な問題の起こったところを集中的にやるというような体制しかとれないと思います。そうであれば、その地元地元できちっと体制を確立するという配慮が必要じゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○松本説明員 私どもは、先ほど申しましたように、許可をし、あるいは届け出を受け、必要に応じて立入検査をやっておりますが、やはり立ち入る頻度というものはおのずから限られますから、使います事業者そのものが責任を持って十分な安全管理をしていただかなければならないというふうに考えております。 実は今回の事案につきまして今週の月曜日の原子力安全委員会に御報告をいたしました。安全委員会の方でも非常に関心を持っておられまして、特にこういう共同利用機関の安全管理のあり方等について検討するようにという御指示もいただいておりますので、先生御指摘のように、国の機関あるいは地方公共団体等とも必要に応じまして放射線障害防止のためのあり方について今後さらにお話し合いをしていきたいというふうに考えております。
○長谷川(正)委員 ぜひその点は、いろいろ御苦労もあろうと思いますけれども、今後万全を期していただきたいと思います。 そこで、これまたくどいのですけれども、もう一回文部省の方に指摘をしてお考えを聞きたいのは、いまもちょっと言葉が出ましたけれども、さっき私は、縦割り行政の接点というところに問題がありはしないかということ、つまり科学技術庁と文部省、通産省と科学技術庁、それぞれの接点のところにやはり一つのむずかしい問題がありはしないかということを指摘したわけです。それと同じように、今度はもっと身近な問題としては、共同研究施設の場合はいろいろなところが自由に来て研究するということは結構なことですけれども、研究グループごとに勝手にやって、それをきちっと管理する管理部門——所長さんもちゃんといらっしゃるようだけれども、実際は研究の中身についてはやはり自由なので、余り一々つべこべと研究内容にくちばしをはさむというようなことは、所長さんなり管理者はできるだけ遠慮するという一面もあろうと思いますし、また、学問、研究というようなことから言えば、それはむしろ確保されなければならない側面だと思います。何でもかんでも規則ずくめで、やりたい実験もできないということでも困るだろうと思います。しかし同時に、最低限の管理についてはきちっと守るルールを立てていかなければいまのような事件が起こる。私がいま一番言いたかったことは、共同研究所の場合、特にこういう危険を伴うものの共同研究所の場合、研究グループから研究グループへ次々に移っていくために、その間に一つのすきができる。今回は次のグループが発見したのですね。次のグループが使おうとしてやってみたら放射能が漏れておる、こういうことになって発見したわけです。つまりその前のグループがそれだけずさんだったということは最初申し上げたわけですが、共同研究所の持つそういうバトンタッチの間のところにすきができるのじゃないか、そこのところはやはり今後二度とこういうことのないように万全を期してほしいと思いますが、それについての再度の御意見を伺いたいと思います。
○篠澤政府委員 御指摘の研究所におきます共同利用という問題は、おおむね施設の共同利用ということが一番大きな目的であろうかと思います。施設と申しましたけれども、核研の場合には、シンクロトロンという高エネルギー加速器があり、低エネルギーではサイクロトロンがある。それから今回問題を起こしました空芯べータ線スペクトロメーター棟という建物並びに設備があるわけでございます。したがいまして、私どもの一番危惧いたしますのは、要するにそういう施設なり設備を研究者のために提供するということでいろいろそれなりの細かい規定なりマニュアルなり要領等をつくってございます。しかし、先ほどもちょっと触れましたけれども、核研の場合にそういったところについての問題がなかったかと言われますと、率直に言って私は問題があるというふうに考えております。それはたとえばRI実験室でやらなければいけないことを外でやったということと、RI、実験室において保管すべき線源を長期間にわたって外部に出しておったことに対する管理といいますか監督、それが徹底していなかった。これはやはり大きな問題だろうと思います。それから空芯べータ線の実験室等でやる実験では必ず事後に残留放射能がないかをはっきりチェックすべきであるということは、実はこれは研究所の中の規則ではなくて、実験室を使用するときの使用要領、ややメモのようなもので研究者に渡しておったということでございますので、最終のチェックが十分でなかった、あるいはしたにいたしましてもきわめて不十分であった。あるいは研究者自身の意識の問題ももちろんあったわけでございます。そういう点から考えまして、私は、核研自身にもずいぶん詰めて検討すべき課題はまだ多々あろうというふうに考えております。 この共同利用ということで使用させるつなぎの部分に欠落があったということは事実でございます。しかし、今回の場合に即して申し上げれば、実験終了後の完全なるチェック、これが核研の側と利用者側とで立ち会いで行われておれば、その時点で発見されるということはだれが見てもきわめて明瞭なことだと思うわけでございますので、特にそういう点については意を払ってまいりたいと思います。 それからもう一つは、共同利用の施設でございますので、率直に申し上げてここは問題がむずかしいと思いますのは、他人の施設を借りるという意識がもし利用者の側にあるとすれば、これは大きな問題ではなかろうか、自分のものではないという意識がもしあるとすれば、そこはやはり研究者の倫理の問題として闘うべき事柄ではないだろうかというふうに私は考えておる次第でございます。
○長谷川(正)委員 これで終わりにいたしますが、この問題が起こりましてから、田無の住民組織なり市当局なりから、科学技術庁あるいは文部省に具体的にこうしてほしいという要請は来ておりますか、まだ来ておりませんか。
○篠澤政府委員 参っておりません。
○松本説明員 私どもにも参っておりません。
○長谷川(正)委員 それでは、昨日いろいろ住民の説明会等もあり、意見も出ておるので、あるいは早晩それらがまとまりまして何らかの要請、たとえば先ほどちょっと私が触れた住民不安をなくすための健康診断をやってくれ——これはただお医者さんが聴診器を当てれば診断になるわけじゃないので、放射能に関連して汚染されているかいないかというところの診断ですから、これはそういう専門の人の配置が当然必要だと思います。そういうような要請も含めて、あるいはあるのではないかというふうに私は思いますが、ちょっと行って、よく調べてくる時間もございませんでしたので、もう来ているかなと思ったのですが、いまのところ来ていないそうですから、そういう要請がありました場合には、ぜひひとつ最大限の対応をしていただくように強く要請をし、それについての御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
○篠澤政府委員 御要請がございますれば、そのように対応させていただきたいと思います。
○松本説明員 私どもも文部省の方と御相談いたしまして対処いたしたいと思います。
○長谷川(正)委員 終わります。
○谷川委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時一分休憩 ————◇————— 午後一時四分開議
○谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 文教行政の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。高橋繁君。
○高橋(繁)委員 最初に、お忙しいようでありますから文化庁長官にお聞きいたします。 すでにこの委員会でも問題になりました著作権の問題でありますが、特に録音、録画については、いわゆる著作物による独占的な利益の保障の要求が一方からあります。あるいは著作物を自由に利用したいという一般国民の願い、この二つの願望をどこで調和させるかということが問題であろうと思うのですが、すでにそういうことを必要と感じて昭和五十二年十月四日に小委員会を持って、あるいは西ドイツを視察したり、あるいはアメリカ及びヨーロッパ六カ国を実情調査をしてきておるということを含めまして、確かにむずかしい問題もあろうと思うのですが、なかなか結論が出ないということの最大のネックは一体何でありますか。
○犬丸政府委員 いま先生のおっしゃいましたように、録音、録画に関連する著作権の問題は大変影響するところの大きい重大問題でございます。いろいろな技術、電子工学関係の技術は大変進歩してまいります。一方におきましては大変手軽に録音、録画ができるという便利な面があるわけでございますけれども、その一方では著作権、特に音楽著作権等著作権者の権利が侵害される危険性があるという両面の問題がございます。問題のむずかしさの基本は、その両面の利益と申しますか利害を十分考えに入れて措置しなければならない。もちろん著作権を確保する、オリジナリティーを擁護する、人間の独創的な考え方の価値というものを認めるということは文化の基本でございますから非常に大事なことでございます。そういう面においては、できるだけ権利者の保護をするということが必要でございますが、同時にそういう文化的な創造物そのものも広く一般に活用され、それが利用されてこそ価値があるわけでございます。権利保護の余り利用を厳しく制限するということになりますと、これはまた角をためて牛を殺すということになります。そういう基本的な問題のむずかしさというのが伏在しておると考えておる次第でございます。
○高橋(繁)委員 基本的なむずかしさがあるということはわかるのですが、なかなか結論が出ない。そこで文化庁として、この問題について両面の願望というものがありますが、これをやはり将来認めなければならないという方針でおやりになっていると思うのですが、そういう方針は間違いないですか。
○犬丸政府委員 先日も「八〇年代の芸能文化を豊かにする芸能人の集い」というような関係の方たちから直接にお話を伺いましたが、こういうような情勢がこのままであればはなはだしく権利が侵害される、それによってオリジナリティーの尊重がされないということになりますと創造性の根が絶えることにもなりますので、そういう意味におきまして、そういう方たちの御要望も承ったわけでございますが、将来においてはそれを何らかの形で認められるような方向で考えていくべきであろうというふうに私は考えております。 ただ、その具体的な方法になりますと、これはいろいろな方法がございます。いわゆる西独方式というものは録音、録画等の機器そのものに賦課金をかけて、それを権利者の間で分配するという方針でございます。これにつきましては、西独においてはすでに実施しておりますけれども、なお諸外国の例を見ましても、そこまで踏み切っている国、続いて踏み切ろうとする国は、いろいろ研究は進めていながらまだございません。それで、もう少し西独における実施の実態がどういうふうに展開していくかということ、それから諸外国の動向あるいは日本におけるそういったものの使われ方の様相等を十分に検討した上で進めてまいりたいと思っております。方向としては、権利を保護する方向で考えるということはそのとおりであると思いますけれども、具体的な方法につきましてはなおかなり多くの検討すべき問題があろうかと考えておる次第でございます。
○高橋(繁)委員 そういう方向で検討するということはわかりました。 そこで、諸外国という話もありました。確かに国際的な文化交流というものは非常に盛んになってきましたし、また機器、特にカセットテープの七割は外国に輸出されている。日本がそういう録音、録画の発展に寄与していることは御承知のとおりであります。したがって、どこかの国で先んじてやるだろうということは、私はどこの国もそう見ているのじゃないかと思うのですね。 そこで、日本の国が主体性を持ちながら、他の諸外国と連絡調整を図りながら指導的な役割りを持っていくことも一つは大事ではないかと思いますが、お考えはいかがですか。
○犬丸政府委員 諸外国の動向を見守るということは、必ずしも諸外国の後についていくんだということではないと思います。諸外国の動向を見ながらも、その中である程度諸外国に先駆けてもやるべきだという確信が得られますれば、それは必ずしも諸外国の一番最後にやるんだということではないと思います。しかし、諸外国の実例というようなものも、そういうことを実現した場合の実際上の効果がどうなるかということにもつながってくるわけでございますから、そういう意味において慎重に検討いたしますが、これでいいのだという確信の得られる案が固まりますれば、必ずしもそれは諸外国の後でやるということではないであろうと考えております。
○高橋(繁)委員 非常にむずかしさがあると思いますが、実態調査もしておるようでありますし、今後さらにそうした調査を進めながら外国との連携を保って、できるだけ早く結論を出すように長官からもひとつ取り計らっていただきたいことをお願いして、終わります。ありがとうございました。 次に、国土庁も参っておりますので、大学移転のライブラリーの件について、国土庁あるいは文部省の両省庁にまたがって意見を聞きながら質問したいと思います。 国土庁は本年一月国土庁内に大学移転のライブラリーを設置したが、一体どういう理由でこれを設置したのか、まずそこからお聞きをいたします。
○吉村説明員 お答えいたします。 大学等の地域的な適正配置を推進することは、国土の均衡ある発展を図り、第三次全国総合開発計画の具体化を図る施策として大変重要であるということを国土庁として認識しておりまして、従来から国土庁ではこのための施策を検討してまいりましたことは、先生御承知のとおりでございます。この施策の一環として私ども国土庁では、学園計画地ライブラリーをことしの一月十一日に開設したわけでございますが、このライブラリーは、新増設または移転の意向がある大学等に大学等の受け入れ希望のある地方公共団体を紹介することによりまして、大学等の地方立地の具体化を図るものでございます。大学等の地方立地に大きな役割りを果たすものではないかと私どもは期待しているわけでございます。 このライブラリーには、地方公共団体等から提出されました学園計画地に関する詳細でしかも総合的な資料が開設のときに三百二十七地区ございましたけれども、その三百二十七地区について整備されております。この資料は、地方地域に進出する予定のある大学の代表者、役員等が閲覧するということになっておりまして、具体的に大学立地を検討する際にその資料が用いられるということになっております。大学側の検討状況に応じまして、国土庁では大学等の関係者をその当該地方公共団体に紹介するということになってございます。
○高橋(繁)委員 いわゆる三全総に基づく大都市の人口集中を抑制する、あるいは地方の文化発展に寄与するということが主目的であり、たまたまそこに大学の移転という意向がある大学について、あるいは市町村でぜひ誘致をしたいという希望があるところについて、それの仲介の労をとるということでよろしいのですか。
○吉村説明員 先生の御指摘のとおりでございます。
○高橋(繁)委員 そうすると、この種の計画、事業推進に国土庁は積極的な取り組みをしたい、こういうように理解をしてよろしいのですか。
○吉村説明員 そのとおりでございます。
○高橋(繁)委員 大学というのは文部省にも関係しておりますし、こういう計画を国土庁がお考えになるについて、文部省といかように連絡をとって設置をされたのですか。
○吉村説明員 さきにお答えしましたとおり、また先生のお話のとおり、第三次全国総合開発計画の具体化の一つとして大学の地域的な適正配置を進めるということが重要で、このための施策の一環だということを申し上げたわけでございますが、この設置に当たりましては、大学の立地そのものがそういう地域の発展動向に重要な役割りを果たしているという実態がございます。その実態にかんがみまして、単なる用地の紹介にとどまらず、地域の開発動向を大学等の関係者に十分認識させるという見地から、土地、交通、供給処理施設などの条件やその整備の動向等も閲覧に当たって大学等の関係者に詳細に知ってもらうというような運用をしておりまして、この点につきましては文部省との間でもすでに合意を見ておるところでございます。
○高橋(繁)委員 事教育に関しては、あるいは大学の移転という地域の発展につながる、あるいは大都市の人口を抑制するというそれだけではいかない面もある。将来大学をどうすべきか、あるいは後でまた御意見をお聞きしますが、大学設置審議会の御意見もありますし、あるいは文部省の考え方もありますが、ただ企業やいろいろなそうしたものとは違った意味の大学の地方に寄与する面、あるいは大学そのもの、日本の教育をもっと推進する面からいくと若干そこに違う面がある。ただ大都市の人口を抑制する、地方の文化の発展に寄与させるんだというだけではいかないものがあるように私は思うのですが、その辺は文部省とかなり連絡をとらないと、せっかく国土庁が張り切って積極的に乗り出していることについては私も敬意を表しますが、そういう点で私はちょっと心配な点がありますので申し上げますけれども、いかがですか。
○吉村説明員 先生の御心配のとおりでございます。私どもも大学側に紹介をし、大学側がその用地が適当だということで現地に行き、現地の地方公共団体その他といろいろ大学側との話し合いが進み、いよいよ大学側がここが用地としていいというような段階になりまして適当な候補地であるというような段階に至りましたら、私どもも文部省側と十分相談をいたしまして、そこが大学としてまさにどういう状況にあるのかというようなことともあわせまして種々文部省との連絡あるいはいろいろ調整を図っていくつもりでございます。
○高橋(繁)委員 その事業を進めてから、国土庁の調査によりますと三百二十七の市町村からぜひ誘致をしたいという希望がある。大学側にもかなりの移転をしたいというすでに計画中のものもあり、あるいは移転の希望ありというものがかなりのキャンパスに上っておる。そこで、それはこれを見ればおわかりですから結構ですが、現在の時点で実際に相談にあずかっている大学の移転数、移転を計画したいと相談にあずかっている件数というのは一体どのくらいございますか。
○吉村説明員 お答えします。 大学の場合いろいろなステージがございまして、実際にその相談と申しましても、かなり長期的な観点に立つものやら、あるいは直ちにこの用地が欲しいと言ってくるものやら、いろいろあるわけですが、ライブラリーの開設ということがすでに昨年度の予算で新聞その他で報じられたこともございまして、開設前及び開設後の合計でございますけれども、私どもの方に参りました学校の数は全部で三十四の数に上ってございます。この中で、先ほど申し上げました誘致意向のある地方自治体に、私どもがこの大学がこの土地を見に行きたいということで御紹介しました地区があるわけでございますが、その大学は現在のところ九校でございまして、全部で二十二の地区の市町村に参っているわけでございます。その中で、大学側が現実に用地を見に行かないまでも大学の中で検討しているところがその他でございまして、先ほど申し上げた九校は、現実に用地を見に行って現在大学側でいろいろ検討を進めているという状況でございます。
○高橋(繁)委員 これは文部省は御承知でしょうか。
○三角政府委員 国土庁の方とは事務的にお互いに連絡を取り合っておりますので、大体の状況は承知しております。
○高橋(繁)委員 現在発足以来すでに九校ということですから、開店繁盛であるというふうに理解いたします。 そこで、私もう一つ心配するのは、この資料を閲覧できる方というのは大学の代表者、役員に限られているというのですが、一体代表者あるいは役員というのは、具体的にはどこまでこの資料が閲覧できるようになっているのですか。
○吉村説明員 厳密に私どもは大学の代表者、役員というふうに限定いたしておりますけれども、現実問題としてはそういう方々ばかりが来るということではございません。もちろん事務局の職員なども参っておるわけでございます。しかし、その事務局の職員などが果たしてその大学の、特に私学の場合学校法人でございますから、学校法人の理事者側の意を体しているかどうかということは、閲覧の前にその大学なり学校法人なりがどういう意向であるのかということをまず事前に私どもは徴しております。ここで代表者の意向を受けているかどうかということはある程度私どもの方で見当がつきますので、それから具体的な用地の紹介に入る、こういうふうな段取りになっておりますので、厳密に代表者と役員だけに限っているというわけではございませんが、その意向を受けた職員も含めているということで御理解いただきたいと存じます。
○高橋(繁)委員 大学の代表者、役員ということではっきり決まっていまして、なかなかこれはむずかしい問題があると思うのです。それを装ってそうしたことを知りたいという不動産業者あるいはそれにつながるところの利権というものがかなり注目をしてくるんじゃないかと私は思うのですが、そういうことはなかったんですか。
○吉村説明員 お答えします。 確かにそういうような方もないわけではございませんでした。ただし、私が先ほど申し上げましたように、純然たるそういう不動産業者の方が来られても、結局私どもの閲覧規定というのが大学の関係者に限るということになっておりますので、そういう方はお帰り願うということにしております。それからもう一つ、たとえば役員その他の方でそういう業務の関係の方が仮におられたといたしましても、先ほど申し上げたような学校法人の意向等から考えますと適格でないと思われる方もないわけではございませんので、そういう方には閲覧は御遠慮願っておるわけでございます。
○高橋(繁)委員 こうした政府機関の、たとえば公団住宅であるとか道路であるとかいうものが将来ここにできるんだということになりますと、それに対する不動産業者の介入あるいは誘致合戦——いままでは企業誘致ということが各市町村にありましたけれども、それは終わりまして、いまは大学の誘致です。文化施設を誘致したい。先ほど三百二十七の市町村で希望があるというが、かなりの希望があると私は判断するのです。したがって、将来そういう誘致合戦、争奪戦あるいはこれが政治的な問題になったり、あるいは陳情、請願合戦が展開される、あるいは利権に絡んでくる、そういうようなことが少しばかりの土地でない、何万平米という広大な土地あるいは高度経済成長時代に企業が獲得しておる土地の利用について大変困っておる、そこに目をつけたり、そうしたことが必ず起きてくるような感じもして私は心配するわけですよ。したがって、秘密保持をやるということもありますけれども、大学の代表者、役員等に資料を見せるということもありますが、かなりの慎重性を持たないと後でとんでもない結果になるんじゃないかということを心配しますので、その辺について国土庁はどういうお考えで対処なされますか。
○吉村説明員 まさに先生のおっしゃったとおり私どもも心配しておりまして、大学の関係者と称して閲覧をされるということが大変困るわけでございますが、先ほど申し上げたように、大学の実情あるいは移転意向さらにはいろいろな経営方針等をかなり事前に伺うということが一つございまして、そういう意味でのチェックということがまずできるのではないかと思いますし、また、現実に大学側がこの用地を見に行きたいということで先ほど申し出のありました市町村等に紹介する場合でも、その市町村の担当の方には秘密の保持ということに特に留意をしていただくということから、大学側の了承がない限り地元側からも発表は差し控えてほしいということを特に強調しているわけでございます。 そういうことで現在まで発足後すでに四か月余を経過いたしましたけれども、幸いにしてどの地区にどの大学がということが新聞その他でも一切発表されておりませんので、私はいまのところ、そういう秘密の保持が保たれておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○高橋(繁)委員 将来にわたってそういうことにひとつ絡まれないように、適確にこの事業を推進してほしいと思うのです。 もう一つは、国土庁も文部省と連絡をとりながら、大学教育という国家的な見地からもそういう意味があるということを御理解なさって、ただ単に三全総に基づく移転ということじゃなくて、この辺をお願いしたいと思います。 そこで、文部省に今度お聞きしますが、一月に国土庁がそういうライブラリーを設置した。ことしの四月から管理局内に整備計画推進室というのを設けた理由は一体何でありますか。
○三角政府委員 実は従来から国立大学の整備ということが重要な課題で、この仕事につきましては、私の管理局に教育施設部というのがあるわけでございまして、そこに計画課という課がございます。そこで担当しておりまして、特に国立大学の移転、統合でございますとか、あるいは新設の大学、医科大学でございますとか、あるいは新しい構想に基づきます大学等の整備につきましては、これはかなり大規模な仕事でございますので、周辺の地元の関連公共事業といったようなものがどうしても並行して円滑に進められる必要がございます。そういったことで大学は地元の公共団体と十分調整を図りまして、そして仕事を進めてきたところでございます。 そういった状況でございますが、最近におきまして広島大学でございますとか宮崎大学でございますとか、その他非常に大規模な移転統合の事業が出てきておりまして、これらについて当該地域の開発整備と一体的に大学用地の整備を行うという形になってまいりましたので、なおさらのこと地元の公共団体やあるいは建設省、国土庁、大蔵省その他の関係省庁等との連絡調整も非常に多くなってまいりまして、こういった連絡調整を円滑に進めますために、それを一番主な目的といたしまして計画課に整備計画推進室というものを設置していただいたという経緯でございます。
○高橋(繁)委員 すでにいままで国公立大学の移転というものはかなり進んだように思いますが、当初計画の何割くらい進んでいるのですか。
○三角政府委員 移転統合でございますが、必ずしも全体計画を全部取り決めまして、そしてその計画ができたところで実施にかかって進めてきたということでもございません。やはり時期的に相前後してそれぞれの学校が計画を煮詰めて上げてくるということがございますので、したがいまして全部一団になった全体計画がある時点でございませんので、ちょっといまの御質問にはお答えがしにくいということはございます。 それから、何割ということが面積あるいは学生数あるいは教員数等で出せば出せないことでもないかと思いますが、いまそういう出し方をしておりませんので概況について御報告をさせていただきますが、昭和四十年以降におきまして移転統合が完了いたしましたものが十五大学ございます。それから目下移転統合がなお進行中のものが七大学ということになっております。それから移転統合の計画を大学としては持ったのでございますが、事情によって中断しておるものが二大学ございます。それから近く移転統合事業を開始するというものが一大学、それから現在移転統合計画が懸案となっておりまして、目下大学においていろいろと御検討、御審議中というものが二大学ございます。そういう状況でございます。
○高橋(繁)委員 すでに十五大学は四十年以降移転を完了しておる。それはこの計画課の中で仕事を完了してきたわけですね。あと残っている数というのはいま進行中のものが七大学、計画を持っているものが二大学、近く開始をするというのが一大学ということですが、これからの方が少ないわけですね。いままでの方が大変多くて、これは計画課の中でスムーズに行ってきた。なぜあえてことしの四月にこういう室を設けてやらなければならなくなったのか。従来ではできなかったものがあったのか。すでに半数以上のものを計画課の仕事でやっているわけですよ。なぜここであえてこういうものをつくったのか、これは私ちょっと理解できないのですが、どういうわけですか。
○三角政府委員 確かにこれまでもずいぶんたくさんの事業を取り進めてまいったわけでございます。ただ、これまでも全然組織がなかったわけではございませんで、管理官という課長と課長補佐の中間職のような位置づけになりましょうか、そういう官職をキャップにいたしまして、それなりのスタッフをもちまして取り組んでまいったわけでございます。 ただ、先ほどもちょっと申し上げましたが、広島大学でございますとか、あるいはこれから取りかかります先ほど近く移転統合事業を開始すると申し上げました一大学である宮崎大学でございますとか、かなりいわば学園都市的な形で、それの中心的な存在として全学が移転する、こういうような大きなものに取り組む必要が昨今生じてまいりましたということは一つの新たな事柄でございます。そういった場合には、先ほど申し上げましたが、関連公共聖業でございますとか基幹整備に係る事業というものに新たな場所で新たに取り組んでいただくということで、地元や関係省庁とのかかわりが非常に複雑かつ仕事の上でも量的にも質的にも重いものになってまいっておりますということがございまして、実はそれほど定員をふやしたわけではございませんが、キャップとなるポストをいままでよりも若干ではございますがより重要な位置づけにいたしましたということと、それからわずかではございますが定員もつけていただいて万全の取り組みにいたしたということで、強いて申しますれば、従来かなり無理をして非常に限られたスタッフで一生懸命やっておりましたけれども、負担が重かったということも一つの事実でございまして、現在ようやく本来取り組むべき形だけはつくっていただきましたというふうに言えるのではないかと思っております。
○高橋(繁)委員 そうすると、これは国立の大学の移転の仕事が主体ですね。
○三角政府委員 御指摘のとおり主として国立大学の大規模な整備あるいは移転統合がメーンの仕事になるわけでございますが、ただ、こういった室を設けましたことでもあり、また従来からも計画課ではそういう取り組みが必要な場合には取り組むべき姿勢でおりましたのでございますが、国立に限らず一般の文教施設について必要な指導なり、あるいは状況によりましては推進についての協力なりはこの室でとり行いたいということで、制度上もそういう構え方にいたしてございます。
○高橋(繁)委員 そうすると、私立大学の移転等もここでおやりになりますか。
○三角政府委員 私立大学の問題でございますが、国立の場合には文部大臣が当該大学なり短大なりの設置者でございますので、これはみずからがみずからの責任でもって推進をするという立場で取り組むわけでございまして、御指摘の今回設けました室がそのことについての取り仕切りをするという立場でございますが、私立大学の場合には、これは私から高橋委員に申し上げるまでもないことでございまして、私立大学が独自に移転なりあるいは地方での新設なりについての計画をお立てになるわけでございます。その場合、私立大学は御自分が経営の責任主体でございますから、地方で大学をつくりましたり地方に移転しようとする場合には、どうしても御自身の教育研究体制をそこでどういうぐあいに確立していくか、あるいは学生等の募集に当たって、それが当該大学の経営の基本とどういうぐあいに絡んでいくかというようなことについて、恐らく慎重な判断をした上で御自身でお決めになるわけでございますので、特にこの新しい室が私立大学のそういった問題についてことさらおせっかいをやくといいますか、そういう場合は余りないであろうと思いますが、必要に応じて、御相談があります場合には立地の条件等、施設面についての助言指導等はここでいたすことになろうかと存じます。 それから一方、私立大学でございますと、これも高橋委員御承知のことでございますが、移転とか新設の場合に、特に移転の場合には私学振興財団から融資の問題がございますが、こういった財政面の問題は、同じ管理局ではございますが、私学振興課の方で所掌しておりますので、そちらで御相談に応じるというようなことになると思っております。
○高橋(繁)委員 国土庁に先ほど申し上げた移転推進のライブラリーができたので、それに刺激されて文部省もことしの四月つくったのではないかという懸念もするわけですが、そういう心配はないですか。
○三角政府委員 ただいま申し上げたとおりでございまして、実は余り私学にそっけないのもどうかとは思うのでございますが、今度の室はもっぱら文部大臣が設置者である国立大学のお世話をしようということで、まず身内のことからということになっておるのでございます。ただ、ライブラリーのお話は国土庁からも前から連絡を受けておりまして、私や大学局長は国土庁長官からもいろいろ御諮問を受けたりしたような経緯もございましてよく承知をしております。私立大学は自分で移転なり新設なりは考えることでございますが、そういう構想を検討する場合にはああいったライブラリーといったものが利用できるということは、用地選定をする場合の判断の資料として非常に有益で意義のあることではないかというふうに思っておるのでございます。私どもが国土庁と張り合うとかなんとか、そういうことではございません。念のため申し上げます。
○高橋(繁)委員 大臣、文部省は、先ほども申し上げたように大学設置審議会の答申もあります。それから新増設は極力認めないという方針もありますね。どちらかというと大学の質を高めるという文部省の基本的なものがあると思うのです。先ほど申し上げた国土庁は国土庁で三全総に基づく人口抑制をする、いわゆる地域の文化の発展を積極的に、私から言わせると物すごく張り切ってやっているわけですよ。文部省には教育という立場からそういう基本的な考えがあるわけですね。だからこの国土庁と文部省のこれからの調整といいますか、兼ね合いといいますか、そういうものがかなりないと、片方はどんどん進む、片方ではこういう考えがある、これをどう調和させていくおつもりですか。
○谷垣国務大臣 これはまだ調整が必要になる段階に入っていないと実は私は思っておるわけでございます。ただ、国土庁の方の立場からお考えになって、一つの地域分散、地域の人口分散と申しますか、そういうような立場で議論をいたしました場合に、地方のそれぞれの諸君からの要望というものは、大学を持ってきてもらいたい。いまはなかなか工場と言ってもありませんので、大学の希望がかなりあることは事実だろうと思います。地方の諸君にそういう要望がございましても、それではその要望をどこへ持っていったらいいのか。通常文部省ということになろうと思いますけれども、しかし各私立大学等の問題になりますと、移転計画そのものは先ほどの土地問題等がありまして、そんなに大っぴらにやれるような性格のものとは違ってくると思います。したがいまして、いろいろな意見を決めます前提としての、いろいろな来てほしいという地域と、そういう気持ちはあるがしかしなかなか調べが簡単にいかないというようなところとの間の調整というようなもの、その引き合わせの意味は、私は国土庁の方でこういうふうにやってこられる意味がその段階までは十分あるだろうと思います。しかし、それでは大学を一体どういうふうに配分したらいいのか、あるいは全体の数はどうしたらいいのか、各専門、専門の科目をどうしたらいいのかということになりますと、これは文教全体をながめての議論にならなければなりませんので、文教全体のながめの中で地域的な配分の必要というものは、これは大きな分野があると思いますけれども、それのみで議論はなかなかできないところだと私は思っております。 それで、先ほど数校が具体的な問題にまで入られたということでございますけれども、果たしてそれがどこまで熟していくのか。つまり新大学なり何なりの設置の要請まで出てくるのか、あるいは移転のあれになってくるのかということになりますと、いまの設置その他の問題になりますと文部省のことになるわけでございますが、そこまでには大分径庭があるように実は思っております。ですから、将来先ほど先生がおっしゃいましたように調整をどうするかという問題でございますが、まだそこまで具体的にこれだからという調整の段階に入っていないのではないかという感じを私は持ちまして、国土庁の方のそういう整備も必要であろうし、ライブラリーも必要であろう、文部省の方の調整ももちろん必要でしょうがという形で、いま様子を見させていただいておるというのが現状でございます。
○高橋(繁)委員 文部省にはもちろん考えがあるということは、もう国土庁にも理解されていると思うのですね。そういう点はひとつ今後よろしくお願いしたい。 そこで、本年度の予算の中に私学振興財団——先ほどちょっと話がありましたが、新しく移転融資の面として施設設備の移転費を創設しましたね。これは本年度は予算からいくと何校ぐらい予定をしておるのか。あるいは私学振興財団が割り振るということになるかもしれませんが、文部省としては、何大学あるいは一施設どれくらいの融資を期間は二十年でありますが予定をされておりますか。
○三角政府委員 五十五年度の私学振興財団の一応の貸付事業計画の枠といたしましては、移転費分として二十億円を用意してございますが、これはいわば一般施設費の大学、短大分の中での一応の枠取りでございまして、学校数というようなことはなかなかむずかしゅうございますので、あらかじめ決めてはおりません。状況によりまして大蔵省とも協議の上、この一般施設費全体が三百九十七億円ございますので、もし足りませんような場合にはちょっと相談をした上で事業計画を修正すると申しますか、必要に応じて変更するというような、少し弾力性を持った扱いにいたしたいと思っています。ただ、この二十億円というのは、ことしこういうぐあいに一応の内訳として用意をいたしましたが、従来からも移転関係については貸し付けはいたしておりまして、ちなみに昭和四十五年度以降、これは五十四年度がまだ締めておりませんが、五十三年度までで累計三百十二億ばかり移転のための貸し付けの実績を持っております。そういったものを勘案しながら一応二十億というものを当初の計画として用意したということでございます。
○高橋(繁)委員 次に移らせていただきますが、大規模地震対策できょう参議院を通過する予定であります財特法ができたことで、小中学校の施設は改善されていくように思います。 そこで、私は小中学校が関係するものですから確認だけしておきたいのですけれども、国土庁の課長にお願いしますが、義務教育小中学校校舎敷地が避難地あるいは避難所ということになっておりますが、国土庁の避難地という解釈の上から言ってこれは適当であるかどうか。
○城野説明員 御説明を申し上げます。 災害対策上、特に地震防災に関しましては避難地、避難路の確保ということが非常に重要でございますが、この大規模地震対策につきましての避難地というのは主に公園、それも建設大臣の基準によりますが、十ヘクタール以上という広い公園のようなところを最終の避難地というふうに考えておりまして、地域にございます小学校、中学校は、その災害上の位置づけからいいますと一次避難地と申しますか、最終の避難地に至る中継地という位置づけと、それから発災後火災の発生がなくおさまった場合の被災者の収容もしくは給食、医療の地域的な中心地というような役割りを与えておるわけでございます。
○高橋(繁)委員 第一次避難所であるというふうに解釈してよろしいですか。——そこで、第一次避難所になっておるところが小中学校は一〇〇%そうであると思うのです。したがって、今度の財特法でそれらの危険校舎のところも避難所になっておりますし、五年間で解消するということになっておりますが、ただ一点だけ木造の校舎につきましては危険点数何点ということでいろんな決まりがあるわけです。ところが鉄筋につきましては、まだ新しいということもありますゆえか、あるいは鉄筋校舎は大丈夫ということもあるかもしれませんが、既存の鉄筋コンクリート校舎について耐震の診断基準というものをつくって、鉄筋でも一〇〇%大丈夫というわけにいかない。中には危険校舎もあります。その鉄筋の危険校舎の点数をはかる基準というものを設けないと、もう木造は一〇〇%近く解消するわけですから今度は鉄筋の校舎になってくる。これは地震ばかりでなくて将来にわたって考えなくちゃなりませんが、文部省としてそういうお考えはございませんか。
○三角政府委員 鉄筋の校舎につきましてもやはり耐用年数というようなものがあろうかと思いまして、古いものにつきましては御指摘のように木造と同様に建てかえということが必要になってまいると存じます。それから今回の大規模地震というようなことで、建築基準法上の検討も建設省の方でおやりになっておるようでございますが、そんなに古くない鉄筋でも物によりましては状況を調査いたしまして、これについて必要な補強を講ずるというような問題も生じてまいるわけでございます。 従来のやり方としましては、文部省の改築に対する補助金の取り扱いにつきましては、鉄筋コンクリートづくりの建物も補助の対象にいたしておりますが、鉄筋の場合には、ただいま高橋委員御指摘のような、木造でやっておりますようなああいう耐力度を点数ではかる手法と申しますか方法がまだ行政上の一つの基準として確立しておらないわけでございます。したがいまして、ただいまどういうふうにしているかと申しますと、大学等の建築学の専門家に依頼をして診断をしてもらった上で市町村から補助の申請を出していただく、こういうことで、その結果不適格であるというふうに認定されたものについて補助の対象にしておるわけでございます。いましばらくはこういった個別の診断の方式で臨まざるを得ないかと思っております。ただ、その個別の診断をする場合にも、どこをどういう観点から診断していただくかということについては基準のようなものを定める必要があるかと思っております。 御指摘の木造のような手法をどうするかということでございますが、木造については御承知のとおり、柱の太さでございますとか、使っております柱の数でございますとか、あるいは開口部のない壁がどの程度にあるかとか、そういった構造上の強度の問題、もう一つは経年変化がどういうふうに起きているか。柱の傾きぐあい、はりの傾きぐあい、腐食のぐあい、あるいは単純に何年たっておるかというようなこともございます。それからその建物が置かれております、たとえば海岸べりの非常に風の強いところにあるかとかどうかとか、そういった点が全部点数になって出るようになっております。鉄筋の場合には柱が物によっては必ずしも外からわからないとか、木造に比べていろいろなむずかしい問題がございます。したがいまして、物によってはレントゲンのようなもので中を調べるとか、あるいは超音波を使うなんというような方法もあるようでございますが、いろいろな新しい方法を活用する必要があるわけでございます。 それで、文部省といたしましても、すでに昭和五十年に建築学会に委嘱をいたしまして、ことに地震に関連しまして耐震診断方法……(高橋(繁)委員「結論だけ言えばいいんだよ」と呼ぶ)わかりました。いろいろとやっておりまして、材料はかなりできておるのでございます。ただ、これを行政上の一つの基準にいたしますためにはもう一遍じっくりと申しますか、的確に洗い直し、さばいていかなければなりませんし、いろいろ建設省の側の進みぐあいとの協議もあります。それからその後の技術的な研究の進展もございますので、それらを勘案して御指摘のような線で早急に煮詰めまして、果たして木造と同じようなああいう点数システムができるかどうかは別としまして、そんなにお金がかかってもどうかと思いますし、そういう面も勘案しながら、できるだけ客観的な診断の基準、あわせて診断した結果の判定の基準というようなものをつくり上げるように鋭意努力をいたしたい、こういうふうに考えておるのでございます。
○高橋(繁)委員 では国土庁済みませんでした。財特法が通りましたので、このくらいにしておきます。 あと急いでやりますが、養護学校が義務化になりまして一年、養護学校の設置は都道府県に義務づけられております。そこで、従来の経過もありまして、地方自治体の市立あるいは私立の養護学校があることは御承知と思いますが、同じ養護学校でありながら県立と市立に若干の差があることはやむを得ないとしても、かなりの差があるわけですね。たとえば静岡県に御殿場市立の養護学校があります。これは児童数五十名、中学校生徒数二十二名、クラスは小学校六、中学三、校長、教頭、それから教員が両方で十三名、事務職員、主事も入れまして全部で二十名。県立の養護学校は児童生徒数はほとんど変わりないのですが、小学校五十六名、中学は少なくて九名、クラスが小学校十一、中学が二で、教員数が二十九名、九名の差がそこにある。事務職員は県立が五名、市立の養護学校は一名、こういうふうに差があるわけですけれども、これは将来県立移管ということは文部省はお考えになりませんか。
○諸澤政府委員 現在の学校教育法のたてまえでは、特殊教育諸学校の設置義務を都道府県に負わせておるわけでございますが、御指摘のように一部の市等におきましては、たとえば小中学校の特殊学級の精薄の重い子を集めて、市独自で養護学校にするというようなことをやっておるところがあるわけで、このこと自体は、特殊教育の振興という意味で非常に意味があると私は考えておるわけです。ただ、国の財政的な対応の仕方としては、教員や職員の給与費とか施設費の国庫負担分は、制度上は設置者が県であろうと市であろうと全く変わりないわけですけれども、要するにその他の設備費あるいは国庫負担対象外の事務職員をの他については、それぞれの団体の財政力によって県単独経費持ちの職員を置いたり、あるいは施設も木造よりは鉄筋というふうなことをやるという仕組みになっておりますので、条件の均等ということからすれば、できるだけ財政力のある県等が設置する方がよろしいかと思うのですけれども、いま申しましたように、これはそれぞれの地方団体の発意によって市立の養護学校ができておるというような実情にありますので、これを画一的に国が県立にしなさいと言って指導するという立場にもないと思うのですけれども、またそれぞれの実態に応じて御相談がありますれば、私どもの方も御相談に乗りたい、こういうふうに考えております。
○高橋(繁)委員 県立と市立、局長がおっしゃるように地方自治体の主体性もあります。そこで、いろんな問題点があるわけですよ。一つは訪問教師。訪問教師は県の職員ですね。御殿場市立の養護学校の職員は市の職員ですね。いわゆる市の教育委員会。そうしますと、御殿場の市内にある学校へ来れない身体不自由の子供の教育については県の職員がやるわけです。学校に来ている子については市の職員がやるわけです。そうしますと、たまたま御殿場市立の養護学校に通った子供が何らかの事情で通学できなくなった。そうすると、それは県の訪問教師がめんどうを見ることになる。そこに子供のめんどうを見るということからいくと連絡調整がきわめてむずかしい、こういう一つの問題点がありますね。 もう一つは、養護学校の職員のいい面と私は思いますが、市立の普通の小中学校の教員との異動というものができるわけです。養護学校の子供を三年ないし五年間教育したその経験というものが必ず生きてくる。これは大変いいことです。それがまた小中学校に戻って教育をやる。小中学校で健康な子供を教育しておった先生方がこういう子供を教育する。そういう面はきわめていい面もある。県立だと県立間の異動だけですから、小中学校の普通の学校に行くということはきわめて困難ですね。そういう面からいくと、いい面もあるし、いろいろな隘路もあるわけですが、義務教育化されてまだ一年であります。そういうことを勘案しながら、いいところと悪いところを見ながら、せっかく養護学校の義務化ができて一年でありますから検討すべき課題はほかにもたくさんあると思いますが、そういう点で課題と取り組んで今後解決をするお考えはございませんか。
○諸澤政府委員 前段の訪問教育の問題でございますけれども、これを担当する教員につきましては、今回の標準法によりまして重度重複障害児が大体訪問教育の対象ということからして、そういう障害児三人に一人の割りで教員を置きますということですから、このことは市立であろうと県立であろうと、そういう教育を担当する場合には職員を置き、それに要する経費の半分は国が負担するという制度になっておりますので、いまおっしゃったようなケースについて具体的にちょっと私はよく存じませんけれども、これからの一つの課題として訪問教育の充実というのは全養護学校を通じての一つの問題だと思いますので、なおそういう点の充実はひとつ図ってまいりたいと思うわけでございます。 それから、養護学校の先生と一般学校の先生との人事交流の問題は、おっしゃるとおり非常に大切なことでして、やはり養護学校におった方が一般の学校へ行って教育を担当し、一般の人も養護教育の実態に触れるということは、この教育の充実のために非常に大切なことだと思うわけです。 ただ、いまの人事制度としては市町村立であろうと県立であろうと人事権は全部県に上がっておりますから、そういう意味で県がやろうとすればその間の交流はできないはずはないのでございます。ただ、おっしゃるように県立に入っておって市町村立の学校へ行くというのはどうだろうかという問題があったり、それからもう一つは、養護学校の先生は俸給に特別調整額というのがあって、あれが八%かつくんですね。そういう点が普通の学校へ行くと外されてしまうというようなことになるので、普通の学校へ行っても特殊学級を担当するとそれがそのままということになりますから、そういう面についてのきめ細かな人事政策というのがやはり必要だろうと思いますので、この点もこれからさらに努力をしてまいりたい。御指摘の点はよく参考にさせていただきたいと思います。
○高橋(繁)委員 訪問教師をその方面、御殿場市なら市の養護学校に籍を置くというようにすればいいと思います。 それから、この養護学校で一点問題になるのは主任手当の問題ですね。こうした養護学校に小学部、中学部が置いてあるわけです。小学部主任、中学部主任が赴いてありますけれども、その小学部主任、中学部主任には主任手当がつかない。そこでやむを得ず養護訓練主任というものを兼任させて、これに手当を与えておる。これはいままでもいろいろ問題がありましたが、手当がついているがゆえにこういうような学校運営をしなければならないと思うのですが、そういう点が一つですね。 ついでに、それに絡めてこの主任手当というものができたときに、永井文部大臣の通達ですか、ありますが、これは小中学校全部含めまして、できるだけ多くの教員が各種の主任を経験し、その専門職としての能力を十分に発揮することによって学校教育活動がより一層活発になることが望ましい、こうありますが、一たん学校に赴任して主任になりますと、その学校を出るまではこの主任をなくするということはほとんど不可能です。できるだけ多くの教員が各種の主任を経験するといったことからいっても、若干そこに問題がありますし、あるいは調和のとれた人間関係をつくり上げる——これもいままでもいろいろこの問題につきましてはありましたが、いただいておる先生もあれば、一たんいただいて拠出をしておる先生方もあります。同じ学校の中に、そういう二つの行き方がある。あるいは新聞や報道によれば、それを集めて奨学金であるとか、あるいは図書券であるとか、いろいろなことを講じておる。その手当そのものが、こういう永井文部大臣の言ったような方向にいまない。全部とは言えませんけれども、教育の中に若干でもそういうことがあるということは、私はこの言いあらわし方が混乱しているといっていいのか、あるいは適正を欠いているというように理解をするわけですけれども、学校という職場はお互いに尊重し合って、主任をお互いに経験しながら本当に特色ある持ち前の力を持った人が教科主任になって大いに活躍をする。いままでもしてきた。そのことが手当があるがゆえにそういうものが発揮できない。年功序列式にその手当が与えられているところに問題がありますので、将来そういうことがこれから五年も十年も一体続くことが果たしていいのかどうか。二百億という金がそういう方向に使われるということがいいのかどうか。片方では財政が大変厳しいというので教科書の無償も有料にしようとしておる傍ら、そういう手当制度が今後もそうした方向でいくことを私は大変心配するわけですが、文部省としては、局長なりあるいは大臣はこの問題についてどのようにお考えでありますか。
○諸澤政府委員 前段の特殊教育諸学校の小学部、中学部の主事の問題ですが、これは制度上は部主事というのを置きまして、それに管理職手当が支払われることになっておりますので、これは一応主任手当と別個の問題と考えてよろしいのではないかと思うのです。 それからいまの主任手当の問題ですけれども、確かに五十二年度、五十三、五十四と三カ年に支給された手当の総額は百八十億ぐらいになるのですけれども、そのうちどのくらいが一体拠出されているかというのは、これはちょっと国では正確に調べようもないのですけれども、日教組の発表ですと三十億ぐらいということですから約六分の一ぐらいになろうかと思うのですが、実態はいま拠出をしておる県というのが三十数県だと思うのです。ただ、その三十数県のうち、しさいに見ますと約十県くらいは官名程度なんですね、拠出している人というのは。ですから、同じ県内でも大部分の人はもらっているけれども、そうでない方もおられるというようなことで、これはそれぞれの県の教組の方針や活動にもよるところだと思いますけれども、私どもはやはりこれは時間をかけてその趣旨をよく理解してもらって、拠出というようなことをやめるような方向で指導していきたい、こういうつもりで現在もおるわけでございます。
○高橋(繁)委員 いまおっしゃったように、それは県によっては人数も少ないところもあるでしょうし、あるいは多いところもあるでしょうし、いま三十三億という金、やはりこういうことが教育の世界にあっていいかどうか、ほかの世界にはないことなんですね、実際。この問題でもう少しやりたいのですけれども時間がないので、私は、やはりそういうことについて文部省としてこういう方向に金が使われているということについて検討をする必要があるのじゃないかと思いますが、大臣どう思いますか。
○谷垣国務大臣 いろいろ問題があったようでありますが、現在のところ漸次それが改善されておるというふうに私は聞いておるわけでございます。先生の御指摘がありました問題も十分頭に入れてこれから考えていかにゃいかぬと思いますが、いまのところはこれをどうするというよりも、本来の趣旨に沿った運営に漸次改まってきつつあるというふうに考えております。
○高橋(繁)委員 あと次回の問題にしますけれども、私は非常に適正を欠いている、このように思います。財政の上からもそうしたものが一体将来続いていいかどうかということは恐らく検討しなければならない課題であると思うのですね、特に教育という世界においては。 そこで、もう大臣も時間的に何か制約されているようでありますから一点だけ最後にお聞きしますけれども、教育費の問題です。これは文部省でもこういう調査をしております。せっかくこうした調査をしておりますが、この調査が結果として何を残し、指導の面については初中局であろうと思いますが、どう生かしておるか、その点について伺いたい。
○諸澤政府委員 父兄の支出した教育費ということで小冊子をつくっておりますが、私どもがその調査の結果を分析しますと父兄負担の占める比率というものは全体的に逐年小さくなってきてはおるわけでございますが、特に小中義務教育の場ですと、できるだけこの父兄負担を軽減して公費に肩がわりするという方策を今後とも続けていかなければいかぬ。そのためには国の財政と地方の財政と両方に関連することでございますから、いまお話しのそういう調査の結果は小冊子にまとめて地方に送っておるわけでございますから、そういうものを参考にしながら、それぞれの教育委員会が財政当局と折衝する際の資料にしていただく、また文部省も大蔵省と予算折衝をする際にはそういうものを一つの理由として折衝する、こういうようなことを従来もやってきておるわけでございます。
○高橋(繁)委員 これについて詰めている時間もありませんが、いわゆる教育費ですね。過去七年間にわたって全国消費者物価指数の調査によっても二けた台の高率を示しております。四十八年が一一・六%、五十年が二六%、五十三年が一四・九%、五十四年が一〇・五%、こういうふうに二けた台の上昇率を示しておりますように、教育費というものが最近特に高くなってきておりますことは御承知のとおりでありますが、その中で特に私学の補助であるとか、あるいは教育の機会均等のために学生に対する援助あるいは受験体制からくる教育費の値上がり等々あります。あるいは義務教育無償制の公費負担というものをどこでやるべきか、問題はたくさんありますが、あるいは教材、そろばんや画板を備品として備えつければそれだけは足りるとか、あるいはランドセルそのものがいいのかどうか、教材、教具を学校に残して通うことも考えるとか、いろいろなことが言われておりますけれども、その中で特に幼稚園は大変な高騰ぶりを示しております。御承知のように、入園料が高いのは四十七万円であるとか、いろいろあります。その反面、新聞にも出ておりましたように税金の申告漏れが全国第五番目であるということからいきますと、幼稚園にもさまざまありまして、大変な幼稚園もありますし、大変利潤を上げている幼稚園もあると思いますが、そういうものに対する標準的な経費というものは一体幾らかかるのか。特に幼稚園につきましては、補助金の適正化ということもありましょうし、高いと言われておる問題について、私学でありますから私学の自主性を尊重するということもありましょうけれども、きょうは時間がありませんので、そういった点にしぼりまして、今後の教育費を余り上げないような方策をお考えになっておる点をひとつお答えをお願いします。
○諸澤政府委員 たびたび議論になりますように、幼稚園教育の場合は特に公私の格差が非常に大きい。私立の幼稚園の年間の保育料、入園料合わせますと約十五万一千円に対して、公立ですと三万六千円ということでございますから、この間の格差をできるだけ少なくするために、一方では私立幼稚園に対する運営費の助成というものを年年増大しておるわけでございますが、同時に、父兄負担の軽減という意味で直接私立幼稚園に子供を通わせている父兄に対しては、御承知のように就園奨励金を拡大しておるという状況でございますので、財政的にはそういうことで今後もその充実を図ってまいりたいと思うわけでございますが、一方、やはりおっしゃるように幼稚園も一つの教育機関でありますから、特に個人立幼稚園等につきましては、その設置主体である人がこれを営利企業と見るようなことはもちろんないと思いますけれども、やはり教育の意義を正確に理解していただいて、適正な運営をしていただくというその主体的な判断がありませんと、幾ら公費をつぎ込んでもいい教育はできない。そういう意味では、やはりそういう経営者あるいは設置者の心構えあるいはそれに対する研修といいますか、こういうことも十分やっていく必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。
○高橋(繁)委員 大臣、そうした教育費問題につきまして、いろいろな財政的な見地からも、補助金行政と言っていいかどうかわかりませんが、いろいろな面で見直しの時期に来ておると思います。したがって、なぜこんなに教育費がかかるのか、一般の家庭の貯蓄の割合を見ても、約七〇%が教育のために貯金しているという統計もあります。そういう点から考えて、教育費の高騰について大変危惧をしているわけでありますが、そうした全般的なことについて、将来、文部省として検討をし、何らかの対処をしなければならないと思いますが、御意見をお願いして、終わります。
○谷垣国務大臣 教育費が漸次増大していって家計の中に占める比率が高くなっていく、あるいはほかの物価水準よりもそれを超したような状況になっていくということはきわめて重大な関心を持たざるを得ない点だと思います。いろいろいままで文部省の方でも先ほど来お答えをいたしておりますような私学に対します助成をいたしたり、あるいは奨学資金等の点で努力をしたり、いろいろやっておるわけでございますが、これらの努力は今後ともに続けていかなければなりません。 さて、それをどの段階、あるいはどこまでくればもう少し詰めた考え方でやっていくかということは、正直申しましていま私まだ結論を出しておらないわけでございますが、教育費の増高問題については重大な関心を持ってこれから見守っていき、また検討していくものは検討していかなければならぬ、こういうふうに考えておるところでございます。
○高橋(繁)委員 以上で終わります。
○谷川委員長 土井たか子君。
○土井委員 きょうは、私出てまいりまして久しぶりに文教委員会で質問させていただくという機会をお与えいただきましたことをまず冒頭にお礼申し上げたいと存じます。 きょうは三、四点にわたる問題について実はお尋ねしたいと存じますが、まず、モスクワ・オリンピック最終エントリーがただいま近づいておりますので、この問題につきまして文部大臣に少しお尋ねをいたしたいと存じます。 実は私所属は外務委員会でございますが、外務委員会の場所におきましてこの問題はいままで幾たびか取り上げられてまいりました。国会外におきましては、大臣御承知のとおりにいろいろな意味があるようでございますが、外務大臣は外務委員会での答弁で、外交的にはソビエトに対する制裁という意味も含めてこのモスクワ・オリンピックに参加をするということは好ましくないと思うというふうな外務大臣発言をすでにされているわけであります。 それで、文部大臣としての個人的意見を私はまずお尋ねをしたいのですが、青少年の育成とか体育の振興というふうな立場から、このモスクワ・オリンピックに対してどのような御見解を文部大臣御自身がお持ちになっていらっしゃるかというのをまず冒頭にお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○谷垣国務大臣 個人的意見を申し上げるのは少し遠慮をさしていただきたいと思いますが、すでに御存じだと思いますが、政府の意向をこの問題につきまして二月一日に表明をいたしております。なお、たしか四月二十五日であったと思いますが、再度周辺の状況等を判断いたしまして政府の意向を表明しておるわけでございまして、その意見はもうすでに先生も御存じだと思いますけれども、今日の現状のごとき状況がそのまま続いていくならばモスクワ・オリンピックに参加することは政府としては好ましくない、もちろんこの最終決定をいたします問題はJOCの問題でございますけれども、政府といたしましてはそういう判断に立ちましてその旨をJOCに伝えてきておるわけでございます。先ほど先生が最初に個人的なということを御要望ございましたが、私はそれを遠慮願いたいと申しましたのは、すでに私も入りましてそういう政府の意見がございますので遠慮を申し上げたわけでございます。 ただ、申し上げておきたいと思いますのは、文部省といたしましては、国民のスポーツあるいは体育という問題につきましては、これを助長をしていかなければならない責任がある役所でございます。オリンピックというような世界的なああいう場所でやりますことが競技水準の向上のためにもきわめて重要な意味を持っておることは十分承知をいたしておりますが、これはモスクワ競技全体として一般論を申し上げておるわけでございます。
○土井委員 いわく微妙な時期であり、微妙な問題でございますから、文部大臣の個人的見解というのは差し控えたいと恐らくおっしゃるであろうということを予期しながら私は質問させていただいたわけですが、ただ、二月一日の公式見解発表とおっしゃいますその中身は、実はきっぱりとノーとおっしゃった見解じゃございませんで、静観していくという意味も含めてあの公式見解が発表されたということを私たちは承知をいたしております。したがいまして、あの公式見解というのを読んでも読んでもどうもよくわからない。実は率直に申し上げてそういう印象が後に残るような公式見解でございました。続きまして、政府としていまの状況のままなら参加しないというふうな意思表示をなすっていますそのいまの状況の中には、やはりJOCが最終決定をしていないという状況も含めてのいまの状況ということになるのではないか、内外の事情からするとそう言うことができるのではないかと思います。いま大臣の御答弁の中に、一言JOCの決定もまだない、決定についてはやはり尊重しなければならないという意を含めての御答弁がございましたが、JOCの決定が出ましたらもう常識の問題として最大限にこれを尊重するというのが当然のことだと思いますが、大臣としてもこれは尊重するのが当然だともちろんお考えでいらっしゃいますね。いかがでしょうか。
○谷垣国務大臣 私が申し上げております趣旨を十分に御理解を願いながらの御質問であることと思いますが、いまのオリンピック憲章によりますと、いわゆるIOCがやるわけでございますが、そこに出場するかしないか、こういう決定はIOCが承認をいたしました各国のオリンピック委員会、いわゆるNOC、日本ではJOCがその権限を持っておるということをオリンピック憲章に書いております。そのことを実は申し上げておるわけでございます。 先般の政府の見解なるものは、JOCの意見が決まっていないからという意味ではございませんので、政府として這般の状況を判断してああいう結論になった、そして政府はこういうふうに考えておるのでJOCとしては善処されることを期待しておる、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○土井委員 その政府の期待は期待といたしまして、いまおっしゃったとおりJOCがどう決定するかという——御承知のとおりにオリンピック会場というのはある特定の国が主催してやるのじゃないので、たまたま今回はその会場の場所がモスクワであるという事実関係があるだけの話なのですね。 そこで、JOCがどういうふうに決定するかというのはまだ未知数でございますが、先日、大臣御承知のとおりに、あの委員会の席で委員の過半数を上回る方々がやはり参加すべきであるという意思表示をされているということが公にも報道されております。また、この十日の日でございましたか、テレビを通じまして多くの国民のこれに対する世論なども民放を通じて討議されておるのを私も一場面を見たわけでありますけれども、やはり国民の世論の多くは、むげに拒否すべきではないという方向に傾いているという空気もその画面を通じてうかがえるわけであります。これは大臣いかがなのですか。もしJOCが参加決定をしたという場合には、この最終決定というのを尊重しなければならないということが政府としては言えるのでしょうか。政府見解はすでにあのような形で発表されていたにしても、JOCが参加を決定された場合いかがでございますか。
○谷垣国務大臣 仮定の問題でございますし、非常にデリケートなときでございますので、御返事をいたすことがいいかどうか疑問に思いますが、四月二十五日の政府の見解というものは、現状のもとでは今年夏のモスクワ・オリンピック大会に選手団を派遣することは望ましくないという結論に政府は達した、こういうことでございまして、先ほど来申し上げますように、オリンピック憲章から申しまして、オリンピックに参加するかどうかという決定自体はJOCが持つ、こういうことでございますので、そのことを申し上げて、そして政府としてはこういうような選択をせざるを得なかったということで、政府の判断の意のあるところをくまれて適切に対処されたい、こういう要望を御連絡申し上げたところでございます。
○土井委員 政府見解について聞けば聞くほど微妙な御答弁しか出てこないかもしれませんけれども、JOCの決定、これもまた仮定の問題になりますから、あくまでも仮定であるけれどもという前置きで言わなければなりませんし、御答弁もそういう向きになり終わるだろうと私は予想しながらあえてお伺いをしたいのです。 JOCとしては決定の方法にいろいろな決定方法があろうかと思うのですが、各連盟、たとえば陸上連盟であるとかバレーボール連盟であるとか、それぞれの連盟が独自で参加を決定された場合、政府としてはどういうふうな取り扱いになるのでしょうか。東京オリンピックを見て、その後その道に専念されたという選手も含めて連盟の中には、JOCがどう決定しようと、こちらの連盟としては参加をしたいということを考えていらっしゃる連盟も中にあるやに私たちはお伺いしております。したがいまして、こういうことが事実上出てこないということは言えません。可能性として大変あるわけで、こういうことに対するお取り・扱いはどのようなことに相なりますでしょうか。
○谷垣国務大臣 それこそまさに問題点でございまして、オリンピックに参加するかしないかということは、オリンピック憲章に基づきましてJOCが決定をするわけでございます。したがいまして、各競技団体がJOCの決定によらないでそこに出場するということは、いまのオリンピック憲章のあれではそういう形にはならないだろう、こういうふうに私は思います。したがいまして、その問題はJOC決定の問題とは若干違った性格のものになってくるのではないか、こういうふうに思います。
○土井委員 そこが微妙なところでして、また私は返すようなことを申し上げますけれども、JOCの決定の方法にいろいろあるのですよ。JOCとしてはイエス、ノーということを言わないで、各連盟の自主的判断に任せるという決定のしようもあるように思うのです。だからJOCの決定に従ってのこれは決定ですから、ひいては結論から言ったらJOC決定というふうに論理的帰結として申し上げることができると思うのですが、こういう場合いかがでございますか。
○谷垣国務大臣 どういう決定になりますか、そこはいま非常にむずかしい問題を御指摘になっておるところでありまして、その結果を待って政府としての判断をすることになると思います。
○土井委員 ただ、きょうここで最終エントリーが迫っておりますし、微妙な時期ですけれども、あえてこういう問題を御質問している意味は、外務大臣であるとか通産大臣であるとか大蔵大臣とそれぞれお立場が違いまして、文部大臣は文部大臣としてのお立場がある。やはり青少年の育成とか体育の振興というふうなことについて責任をお持ちいただく大臣でございますために、オリンピックについても、おのずと閣議の中では文部大臣としてどういうふうな思いでこのことに臨まれているかということを私はある意味の期待を持ちましてお伺いをしているという向きもございますので、そこのところを十分にごしんしゃくの上で御答弁をいただかないと、せっかくこれを文部大臣に聞いている意味がまるでないので、それならば閣議決定が出るまで待とうじゃありませんかということに全部なり終わっちゃうのですね。ですから、それは当然のことでしょう、閣議決定でどういうことをするかによって政府見解というものが具体化されるわけですから。しかし文部大臣としては、重要な時期であればあるほど、こういうことに対して御見解を披瀝されるということは、私はある意味では大変大切なことだと思うのです。特に補助金について政府見解をそのままでいけば、JOCがどう決定しようと一切出さないというふうなこともすでにちまたで取りざたされているやさきでもございますが、しかし考えてみると補助金というのは政府のポケットマネーじゃない。これは国民の税金から出されるものであって、国民がこの問題に対してどう考えているかというところが肝心かなめの補助金を出すか出さないかを決定する場合にも忘れてもらってはならないメルクマールじゃないかということにもなるわけでございますから、文部大臣、そこのところをどうかごしんしゃくの上、まあそれは政府がどう決めるかによるなんというふうな御答弁に終始なさらないで、再度申し上げますけれども、各連盟がそれぞれ先ほど言ったようにJOCの決定に従って参加を決定された際、どういうふうなお取り扱いをすることが文部大臣とされれば個人的見解として好ましいと思っていらっしゃるか、これが政府見解としてそのとおりになるかならないかは別ですけれども、個人的見解としてそうあってほしいなという希望的観測も含めて、もう一たび御見解を御披瀝いただきたいと思います。
○谷垣国務大臣 この少し前に御質問がございました中で、オリンピックを開催するのはI0Cである、こういうお話がございました。このたびの開催地がたまたまモスクワになっただけである、こういうお話がございました。このオリンピック大会の目的はいまさら言うまでもございませんけれども、スポーツを通じてよりよき平和な国際関係を進めていくということがオリンピックを開催いたします場合の憲章の目的になっておるわけだと私たちは了承をしております。したがいまして、オリンピック大会が開かれます国はそういう環境をつくっていくためにやはり努力をすべき責任がほかの地域よりもあるように私たちは考えておるわけでございます。 このたびモスクワ・オリンピックが問題になりましたが、仮にアフガニスタンに対しますソ連のああいう形の干渉がなければ、恐らく世界じゅうの若者がモスクワ・オリンピックを祝福して集まって技を競うことができたろう、こう思います。その点の現状が回復されていないところに各国の非常な困惑と、またある面におきましてはアフガニスタン問題に対しましての非難が起きておる、こういうふうに考えておるのでございます。そういう現状が改められて、そうして一日も早く事態が平和な形でオリンピックが開かれますことを当然のことでございますが私たちは期待をいたしておるのですが、しかしそういう状況ができるかできないか、だんだん時が迫ってまいりますとむずかしくなってこざるを得ないし、むしろ恒久化していくような状況が出てきておる。これを非常に心配をしておるわけでございまして、そういう這般の状況を考えまして、政府は先般オリンピックに現在の状況において参加することは好ましくないという結論に到達をしたわけでございます。 先ほど来先生からJOCの決定の態様はいろいろあるじゃないかというお話もございました。それはどういう形になりますか、いろいろな決定があるのかも存じませんけれども、この現状におきますところで先生から、いわゆる補助金の問題、ことにオリンピックに派遣する経費の問題ということだろうと思います、先生がいま御指摘になっているのは。そういう問題についてあえて文部大臣としてどうだということになりますと、やはりこれは好ましくないとお答えをせざるを得ない。大変残念でございますが、そういうふうに思うのでございます。
○土井委員 このことについてさらにお尋ねを進めなければならないとは思いますけれども、時間の方がどうもそれを待ってくれそうにないので、幾らお伺いをしても文部大臣の方の御答弁というのは結論は同じことを表現を変えておっしゃるであろうという観測が私の方にはございますから、この問題についてはひとまずこのあたりでおきます。 さて、次の問題に入りますが、これは兵庫県の方で中高一貫教育を県自身が考えて、自治体が用地を提供して私立の学校を誘致するという構想があるということを御存じでいらっしゃいますか、いかがですか。
○諸澤政府委員 ちょっと承知いたしておりません。
○土井委員 きょうは高等学校教育課長さんはこの席にいらしゃいませんか。
○諸澤政府委員 おりません。
○土井委員 そうすると御存じないわけですか。局長はまだお聞きになっていらっしゃらないのですか。
○諸澤政府委員 聞いておりません。
○土井委員 これは実は大変大きな問題でして、全国では私立では中高一貫教育というのを全寮制ですでに行っておられるという学校があることを私どもも承知をいたしておりますが、今回自治体が用地を提供して私立を誘致をしてこの中高一貫教育というのを行うのは初めての例ではないかと思いますが、こういう前例を御存じですか、いかがですか。
○諸澤政府委員 私の知っている限りでは、公共団体が用地を提供してそういうことを計画したという例は過去にはないように思います。
○土井委員 公立で中高一貫教育というものを実施しようとするのには実は法令上の何らかの障害があるのではないかということが取りざたされておりますが、事実上これはあるのでしょうかないのでしょうか、いかがですか。
○諸澤政府委員 中高一貫という場合のその意味ですけれども、学校制度としては中学校と高等学校それぞれ別個に設置をしまして、その教育内容なり教育活動あるいは教員の配置等をできるだけ連携を持って一貫的な教育を行うということであれば、これは別に法令に抵触したり法令を改正しなければならぬということではないと思うのですけれども、仮に中高一貫の六年制の学校をつくるというようなことであれば、これは学校教育法が予定しているところではございませんから現在の法制ではできない、こういうことになろうかと思います。
○土井委員 そうすると、今回の問題では本来は県の方がこれを行おうとしたことが、いまおっしゃったような意味で事実上いろいろな問題が起きてこようということで、県の方が用地を用意して私立の誘致という方向に踏み切られたようであります。それで中学校から高等学校にかけて一貫教育を、しかも全寮制で行おうというわけでありますが、文部省にここでひとつお尋ねをしたいことは、文部省としては英才教育というのをいまお認めになっていらっしゃいますか、いかがですか。
○諸澤政府委員 これも英才教育という言葉の意味をどう考えるかということでございますが、いうところの学校の成績のいい子供だけを集めて有名高校なり大学へ進学させるというような教育をするのが英才教育だということであれば、われわれはそれは好ましいことではないというふうに言っているわけでございます。
○土井委員 私も兵庫県人でございますが、これはすでに地元ではいろいろ取りざたされておりまして、兵庫県は議会を通じて答弁の席で「イメージとしては戦前の旧制中学やイギリスの器宿舎制パブリックスクールを考えてもらえばいい」というふうな発言があるようであります。そしてまた、これは新聞紙上、兵庫県の役職にある、この問題に対しての責任者と申し上げていい方の話が載っているわけですが、「人々の信頼を集め、リーダーたりうる人材をエリートというなら、大いにエリート校化してほしいものだ。」というふうにも言われております。こういう行き方というのは、文部省としてはいいか悪いかということと、好ましいか好ましくないかということとはちょっと違うと思いますけれども、まず許されていいことか悪いことかということを先にお尋ねしましょう。そして好ましいことか好ましくないことか、これをその次にお尋ねしましょう。いかがでございますか。
○諸澤政府委員 もちろんおっしゃるようなことを公立の学校でやるというようなことは従来も考えていないわけですが、特定の私立学校あるいは学校を設置しようとする人が、自分の教育方針として、一定のレベル以上の生徒を集めて、それにできるだけ創造的な力をつけるような教育をしたいというような方針で学校を創設する、これはあり得ることだと思います。ですから、それは中身にもよるので、非常に抽象的に言っておってはなかなか議論のできない面もありますけれども、だから私立学校としてはどういう学校をつくるかというのは、第一義的にはその設置者に任されるべきであり、そのあり方も現在の学校教育関係の法体系に触れるところがなければ、それはそれで認められるものであろうというふうに思うわけでありますが、今度は具体的な問題になって、その次に好ましいか好ましくないかということになりますと、これはやはりもう少し具体的にその内容なり、教育課程なりを見ませんと、ちょっと余り抽象的な段階でお返事を申し上げるのはどうであろうかというふうに思うわけであります。
○土井委員 確かに具体的にごらんいただいたら、問題は実はさらにさらに考えているより以上にもっと深刻に受けとめなければならない問題であろうと私は思うのです。それで、いま私立が独自で英才教育を志すのは許せることであるし、そういう学校の立学の精神でおやりになる分は、それはそれとして意味があるだろう。それはそうかもしれませんけれども、今回私立を誘致する以前に県がおぜん立てをしていて、県がつくっているシステムどおりに私立は後々学校運営をしていかなければならない、こういう関係に相なっているのですね。そういうことから考えていきますと、私学を隠れみのにした行政の学校教育への干渉ではないかと言われても、これは間違っていないんじゃないかと思いながら私はこの中身を見ているわけであります。 本来私立の場合には英才教育というのも、これはいろいろな行き方があるでしょうけれども、その学校の立学の精神からしてそれを心がけるというふうな学校もあるかもしれませんけれども、自治体が英才教育を目指して全寮制学校をつくるというのは、先ほどお尋ねした限りでもまだ全国では例がないのですね。そういうことからすると、地方自治体は本来考えてみると、できるだけ多くの子供の発達を保障するという役割りがまず第一にある。それから憲法二十六条、教育基本法というのを遵守する義務が自治体にはあるはずなんですね。それからいたしますと、教育の機会均等という趣旨がはっきりそこに明記をされているわけですから、県がおぜん立てをして一部の子供だけが特別の教育を受けられるというふうなことを学校をつくって機会を用意するということは、これはどうもおかしいんじゃないかということにも相なるのですが、この点はいかがお考えでいらっしゃいますか。
○諸澤政府委員 県がおぜん立てをするとおっしゃるわけですが、どの程度私学の設立に協力するのか、土地をあっせんをされるのか、あるいは無償で提供するのか、その辺もよくわかりませんけれども、その問題を抜きにしても、一般的に言えば、私立学校の教育内容なり方針なりに県なり国が直接関与して、ああしなさい、こうしなさいということは、私はよろしくないと思います。
○土井委員 問題は、これはもうすでにこの八月に私立の学校の中で希望校を募っておりまして選考をやるという予定になっておるようです。事はどんどん進んでいっているのですよ。全国には例がないだけに、この節、内容に対しては十分に慎重に見なければならない事例が刻々と動いているという状況も文部省としてはまだ御存じない。これはちょっと問題だと思うのですが、局長これはいかがですか。
○諸澤政府委員 御指摘のとおり承知していないのは大変遺憾なことでございますので、遅まきではございますが、早速よく調査をしてみたいと思います。
○谷川委員長 関連質疑の申し出があります。これを許します。木島喜兵衞君。
○木島委員 聞いていてちょっとおかしいと思うのです。いまこれが事実とすれば、県が仮に中高一貫をやろうとすれば、たとえばいま先導的試行である程度やれると思うのです。だのにそれが、県が土地を買って私立を誘致する。今日高校は三割が私立ですよ。それに都道府県が土地を買ってというのは、これはまさに異例ですね。しかし、それをあえてなおするものは一体何かとすれば、中高の中は義務教育でありますから、それを県がやりたいために土地を買って私立を誘致をして、そこに中高一貫制の全寮のエリート教育をやる。それは県の意思を代行するものをそこにつくらせるというように、いま質問を聞きながら感ずるのです。このことは義務教育を含みますから、そして県が土地を買ってそこに入っておる、そしてこういうものをつくりたいという県の意思があり、それを推進させる。教育の基本的な問題がありますが、いま局長はそのことを御存じでないわけでありますから、そういう点は非常におもしろいというか大変だという意味ですから、そういう問題を含んでいるということを感じますので、そういうことを含めて御調査願いたいと思います。
○諸澤政府委員 おっしゃるように、おくれて恐縮ですけれども、早速実態を調査した上で適切な指導が必要であればするようにいたしたいと思います。
○土井委員 それじゃさらに問題点がたくさんございますので、不本意な気もいたしますが、先に進みます。 兵庫県の社町にございます例の教員養成大学、これを称して兵庫教育大学と呼ばれているわけでございますが、この大学の付属小学校がことしから開校いたしております。開校いたしておりますけれども、周辺の小学校に及ぼす影響が絶大でございまして、実は先日も参議院の方の文教委員会の席でこの問題が取り上げられて質疑応答がございましたけれども、この周辺の小学校に対しての混乱というものをどういう形で文部省としては責任をおとりになるお考えをお持ちになっていらっしゃいますか。そうして混乱の状況を具体的にどういうふうな現状が混乱の現状としてあるというふうに現実に把握をなさっていらっしゃるか、その辺はいかがですか。
○佐野政府委員 兵庫教育大学の付属小学校の問題については、私は大学側で留意をしている点が二つあると思います。 一つは、いわゆる地元において教育大学の付属学校であるがゆえにエリート教育を持ち込むのではないかという危惧がございます。この点については、もともと付属学校というのは学部の教育研究に協力をし、教育実習を受け入れるという特別な使命を持っておりますし、そういうものとしてエリート教育ということを志向するものであってはならないものでございますし、また、その趣旨のもとに入学者の選抜方法等についても、すでに既設の大学においても工夫を重ねてきておるところでございますが、この大学の場合も、そうした付属学校の趣旨というものについて地元に十分な説明を重ねて誤解の生じないような努力をまずいたしております。 もう一つは、この付属小学校の規模の問題がございます。社町の周辺というのは、小学校に入学すべき児童生徒の数が多い地域ではございません。したがって、付属の小学校が開設されることによって既設の小学校の規模に著しい影響を及ぼすというようなことがあっては申しわけないわけでありますから、この点については大学側が十分に地元の教育委員会と協議を重ねまして、御案内のような付属学校としては既設のものに比べると最も小規模の形でスタートする、通学範囲等についても地元の市町村と十分に協議をした上で定めるというような配慮をしておるわけでございます。
○土井委員 最も小規模とおっしゃいますが、この付属小学校が開校されたために周辺の既存の小学校の中で、その学級の子供たちの数がまだ四十人学級にはなっておりませんためにいろんな弊害を受けたという実例がございます。 これはもうよく御承知だと思いますが、先日の参議院での御答弁は、その点は事実からするとその事実の一部をお答えになったにすぎないので、議事録を拝読しますと事実を十分に認識されていない感がするんですね。この点をもう一度確かめたい気持ちで私は聞いているんですが、周辺の小学校でどういうふうな影響があったかということを改めてまずここで御答弁をいただきたいと思います。
○諸澤政府委員 正確に記憶いたしておりませんけれども、きょうちょっとその資料を持ってきておりませんので正確なお答えはできませんが、社町の小学校で二学級、それからもう一つの小学校で一学級減った、こういうふうに聞いておりまして、そのことを御答弁申し上げたと思います。
○土井委員 少なくとも現在掌握している限りでは、いまおっしゃった社小学校、福田小学校、三草小学校、三木小学校、それぞれ学級減になっているんですね。特に福田小学校や三木小学校では、一名の子供が抜けるために一学級減になるというまことに厳しい状況があったということも事実です。これは御承知おきになっていらっしゃると思うのです。そうして付属学校に、同級の子供たちの中で特に四年生が開校されるわけですから三年生を修了して四年生に進学をするという子供たちの中に出るということで、この小学校の中では子供たちも大変心理的に動揺する。そういう意味においても教育効果の上からすると思わしくない、混乱を招く、こういうことが現実にあったというふうなことも文部省としてはお認めになりますね。いかがですか。
○諸澤政府委員 まず学級減の方ですけれども、私どもが教育委員会を通じて調べたところでは、いまの社町小学校二学級、三草小学校一学級の三学級というふうに承知をいたしておるわけでございます。その点ちょっと先生の御指摘と違いますので、これはなおよく調べてみたいと思います。 それから学校の運営として、おっしゃるように三年まで一緒にいた子供が四年になったときに何人か付属へ行くというようなことは子供に与える影響もあるだろうというふうに理解するわけでございますが、一方やはりその教育大学としては、できるだけいろいろな段階の子供を早くそろえて教育研究あるいは実習のために使いたいということもございますので、その辺はある程度やむを得ない面もあるのではなかろうかというふうにも思うわけでございます。
○土井委員 やむを得ない面、やむを得ない面といって、何でもやむを得ないことを是認していくようになったら教育も何もあったものじゃないと思うのですね。この子供たちに対して募集を強行されるという段階で混乱が引き起こりまして、そこで地元の従来からあった小学校の学級減であるとか教職員の減であるとかいうふうな具体的な事情が出てくるということをお考えになって、文部省としてはある措置をこの社町に対しておとりになったということを私どもは承知をいたしておりますが、どういう措置を文部省としては講じられたのでありますか。
○諸澤政府委員 公立学校を担当するわれわれとしては格別の措置をとってはいないわけでございますが、ただ、教員などが子供が減れば減るじゃないかという問題はあります。しかし、それは県全体の教員人事の枠内でそういうケースは幾らでもあるわけでございますから、それは適切に処理していただくということは期待しておりますが、いま聞きましても、それ以上に格別の指導はしていないようでございます。
○土井委員 ただ、この付属小学校の場合には学級編制が四十人で、その周辺の小学校は相変わらず四十人ではない、この実情からするとやはりこれは問題がありますよ。こういうことに対しての措置というものは何ら講じなくてよいというお考えですか。
○諸澤政府委員 御指摘のような問題ですと、これは社町に限らずどこの付属も同じような関係でございますから、今回新たに設けられた場合に、ここについて特別の措置をとるかどうかというのは一つの検討課題ではありましょうけれども、現実の問題としては、他の一般の国立大学の付属学校とその周辺の公立学校との関係と同じように引き直して考えざるを得ないというのが現実だろうと思います。
○土井委員 その同じように引き直してといまおっしゃったのは、どういうふうな意味でございますか。
○諸澤政府委員 要するに、公立の小中学校の場合は最高四十五人まででございますから、現実にその付属学校の四十人に対してその周辺の学校が四十五人まで入っているところもあるという実態は、ここに限らずほかの場合でも同じであろう、こういうことを申し上げたわけでございます。
○土井委員 ただ今回、従来になかった状況がこの周辺で出てきたのです。だから、他の付属小学校と同様にとおっしゃるけれども、従来なかったところに付属小学校が忽然として今回できた、そのために混乱が生じているので、他の場合と同様にというようにはいかないのです。特例ですよ。特例中の特例と申し上げているのです。だからそういうことからいたしますと、この四十人学級八〇年度実施というのをこの地域、具体的名を挙げますと、加東郡を初めとして北播地域に適用せよという要求が文部省に対して兵庫県からもあったはずでありますけれども、こういうことについて文部省としてはどのような措置をおとりになったのですか。
○諸澤政府委員 今回の四十人学級の実施については御指摘のような要望があったかどうか、私記憶いたしておりませんけれども、一つの全国共通のプリンシプルで五十五年度から実施するということでいたしましたので、地域による特殊性というようなことを配慮した措置はとっていないわけでございます。
○土井委員 そうすると、その付属小学校の場合は四十人学級でまず開始する、周辺の小学校は従来どおりであって、何らそれに対して変更は加えない、こういうふうな姿勢で文部省としてはお臨みになるのですか。
○諸澤政府委員 四十人以上のところがあるだろうという現実を想定しながらやっておるわけでございます。
○土井委員 それにも問題が少し残るのですが、先にこの中身の問題についてちょっとお尋ねをしたいのです。 先ほど、この教育大学の付属小学校というのは特別の学校ではない、エリートを育成する学校になるのじゃないかという周辺の方々のこれに対する不安というのがあるようであるけれども、決してそうではないというふうな御答弁をいただいたわけですが、この小学校の「第四学年転入学候補者募集要項」「第一学年入学候補者募集要項」を見ますと、ここの中に「検定料(千五百円)」そしてこの検定料千五百円は「その他」という項目の中で「納付した検定料は返還しない。」とございますが、まず、全国の小学校で入学のときに検定料というのは皆徴収するのですか。
○佐野政府委員 付属の学校の場合には検定料の徴収をいたします。
○土井委員 その検定料というのは何に使われますか。
○佐野政府委員 それぞれの付属学校に入園させ、あるいは入学させるべき児童生徒をそれぞれの付属学校において選ぶわけでございます。その選ぶことについて、いわば手数料的な性格を持つ検定料を徴収する、これは付属学校の場合においても大学の場合においても同じように国立学校は処理をしているわけでございます。
○土井委員 選ぶということをおっしゃる言葉に非常に私はひっかかりますね。選ぶことのためにわざわざ——憲法からしたら徴収してはならない。義務教育は「無償とする。」とちゃんと憲法では書いてあるのですよ。こういう検定料を徴収して、そうしてその中身で子供たちの中で選別をしていく。つまりこれは選別でしょう、選ぶというのは。特別の小学校じゃないですか。いかがです。
○佐野政府委員 付属学校にいかなる児童生徒を入学させるかということについては、もちろんそれぞれの付属学校において入学者の選抜が行われるわけであります。ただ、その入学者の選抜の方法について、基本的には学部の教育研究に対応して付属学校における教育をどのように展開するか、あるいは教育実習をどのように受け入れていくかという見地に立った付属学校としての選抜の基本的な理念というものがあるべきであり、たとえば東大付属高校における一卵性双生児の入学というような事態もあるわけであります。しかし、そういうことでなしに、単に学力のすぐれた者を入学させるというようなことになっては付属学校の趣旨を失いますので、多くの場合には付属学校は現在抽せん制を選抜の方法として導入をして、抽せんによってできるだけ公立学校の場合と同じようにいろいろな子供たちが入ってくるような方法を講ずるということをしているわけであります。しかし、いずれにしても付属学校としての入学者の選抜が行われていることは事実でございます。
○土井委員 これは文部大臣、お聞きになって、義務教育諸学校の中でこういう取り扱いがたとえ国立といえどもあるということは好ましいとお考えになりますか。いかがですか。
○谷垣国務大臣 私も詳しいことを存じませんのであれでございますが、特別の生徒を集めておるということは、むしろそういう教育の一つの教育実習等を受けなければなりませんから、その関係においては他の学校と若干違う、そういうものが出てくるだろうと思います。しかし、それは世上言われておるように、何と申しますか、特別にできのいい子をみんな集めるという形のものをその付属校側が考えておるのではないと私は考えております。むしろそういうようないままでの付属校の実態と申しますか、あるいはそういうものに対します皆の一つの思いが何か特殊な生徒が集まっているように思われることがあるかもしれませんけれども、しかし現実に学校側としてはそういう考え方でやっておるのではない、こういうふうに思っております。
○土井委員 それは文部大臣、いかに御答弁になりましても、「兵庫教育大学と兵庫教育大学学校教育学部附属学校(園)について」という文書が兵庫教育大学から出ているのですが、この文書の中身に、「特別の教育計画に基づき、教育が行われたり、学生の出入や参加も多く、さらには、広く教育の振興に寄与するため公開授業や研究発表会が行われ、多くの参加者や見学者が来校したりすることがあります。」こう書いてあるのですが、特別の教育計画に基づいて教育が行われると書いてあります。特別の教育計画、したがって、ここに入る子供たちには、特別の教育計画の対象になる子供たちを選別することのための検定が必要であるというので検定料を徴収する。逆に言うと、こういうかっこうにもなっているんじゃないか。教育の効果というのはこういうことで上がるのですか。教員養成というのは、こういう特別の教育計画に基づいて特別の子供たちを特別に教育するということで実習の効果が上がるのですか。いかがでございますか。
○佐野政府委員 先ほど来お答え申し上げておりますように、付属学校は通常の幼稚園、小中学校、高等学校の持っている任務のほかに、学部の教育研究に協力をする、あるいは教育実習というものを多く受け入れるというような特別な任務を持っております。したがって、そういう趣旨において付属学校における教育というものは、学部の教育研究との関連のもとに計画をされ、実施をされます。したがって、教育実習が非常に多いというようなことから、やはり子供のサイドから言えば、教育実習によって通常の学校の場合よりもより多く授業が実際に行われるということがあるでございましょう。したがって、そういった状況のもとにおいて展開される付属学校の教育というものについて十分な御理解をいただいた上で児童生徒の入学ということをお願いをしているわけでございます。しかし、そのことは何か特別の英才教育、エリート教育というようなものを実施するために特別の資質を持った子供たちを入れるという趣旨では毛頭ございません。それは先ほど来申し上げておるところでございます。
○土井委員 この国会での委員会というのは便利にできておりまして、質問に対して口頭でお答えになる分には何とでもいい答えが出せるのですよ。実態は果たしてそのとおりであるかどうかというと、そうではない実態でも、まあそれはこれから検討させていただくとか、いや実はそうなるはずはないというふうな御答弁で事はどんどん進んでいくというふうなことが日常茶飯事で、よくある。答弁も何とかこれはごまかすことができればというふうなお気持ちで答弁をお進めになるなら、私はこれは大変な間違いだと思いますから、ひとつその辺は謙虚に聞いていただきたいなと思うのです。 これはいろいろな実習に対して協力校というのがありますね。協力校というのはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○佐野政府委員 教員養成大学あるいは学部の場合に、もちろん付属学校を持って、そこで学部の教育研究との連携のもとに教育が展開されるわけでございますけれども、それだけでは不十分であるということもあり、さらに地域の公立学校における実際の教育というものとの連携を考えながら学部の教育というものを展開をしていく必要がございます。そういう意味で、地元の公立学校にお願いをしていわゆる協力校というものを設定をし、そこにおいて教育実習等を実施するというようなことをいずれの大学も行っているわけでございます。
○土井委員 そうすると、兵庫教育大学の場合には、特別の教育計画に基づいてこういう実習をおやりになるわけですからその周辺の協力を求める。実習の学校として考えられる学校のカリキュラムにもこういうことの影響が必ず出てくるんですね。特別の教育計画、これに左右される。こういう弊害というのはどうしても避けて通ることができなくなりますが、文部省としてはどのようにお考えですか。
○佐野政府委員 具体的に兵庫教育大学の場合の協力校の設定というのは、五十七年に予定をいたしております学部学生の受け入れまでに地元の教育委員会なりあるいは学校と大学側が十分に協議をいたしまして、それぞれの御理解と御協力を得て協力校をお願いをし、その協力校において付属学校と相まって充実した教育実習が展開されるような計画というものがこれからつくられていくわけでございます。既設の大学においてももちろん協力校というものをお願いして実施をしておりますけれども、その協力校をお願いをするということは、いま先生御指摘のように地域の教育をディスターブするというよりは、むしろ地域と十分に協力をしながら全体の教育のレベルを上げるという方向に事柄を進めたいということで、大学側もそれぞれの地域の教育委員会、学校も努力をしているところだと私は理解をいたしております。
○土井委員 これはもう申し上げるまでもなく、地域のといまおっしゃいますが、大体義務教育小学校における学校での子供たちを見ていきますと、一人一人が違う環境でそれぞれが暮らしているわけですね。そうしてそれぞれのよさをそれぞれの子供が持っているわけで、さまざまな願いや悩みというのを持って、それぞれの子供が生きている。中にはわんぱくな子供もいる。勉強の好きな子供もいる。おとなしい子供もいる。私のようにやかましい子供もいる。それから障害を持った子供もいる。いろいろな子がいてこそ、これは学校と呼べると思うのです。いろいろな子供が同じ場所で勉強していてこそ教育的な学校ということが言えると思うのですけれども、そんな子供たちがいろいろ心や体というのをぶっつけ合って生活する中で、自分と他人の違いに気づいて友達のよさややさしさを知る。自分の心を広げて成長していく。そういうことの場が私は本当に教育の場としてあるんじゃなかろうかと思うのですが、いまの兵庫教育大学の付属小学校について言うと、特別の教育計画に基づいて教育が行われるために検定をして、そして選定をして選別をされた中から選ばれて出てくる子供たちを対象に教育が進められる。協力校に対しては、この教育計画にのっとって、いろいろと実習の場におけるカリキュラムの編成がえというものがなされている。この教育大学の主導性によって、あたりの小学校に及ぼす影響というのは本来いわばノーマライゼーションといいますか、やはり普通の子供たちが入った学校で教育というのは行うということが本来好ましいと考えられる。これが損われるきらいというのは十分に出てくるだろうと思うのです。このことについては、先ほどの御答弁は納得できかねる御答弁です。はっきりそこのところ、いま私が申し上げたような心配にも、ああ、そういう心配は要りませんと私が納得できるような説得性のある御答弁をもう一度してくださいませんか。
○佐野政府委員 先ほど来繰り返して申し上げておりますように、もちろん付属学校は学部の教育研究に協力をする。学部においては小学校の先生に将来なる者の養成が行われるわけであり、その小学校の先生が勤める職場というのは決して特別なところではなくて、いわゆる通常の学校でございます。したがって、付属学校のあり方というものも原則的には公立に準じた児童生徒の構成になっているということが望ましいことはもとよりであり、そのことは兵庫教育に限らずに、それぞれの付属学校が十分に意識をしているところであります。その点について実態との間に相違があるという御指摘が従来からあり、その点についてはここ数年の間に抽せん制の導入等によって著しい入学者選抜のあり方の改善が行われていると私たちは考えております。この兵庫教育大学の場合にも、ことしの入学者の決定に当たっては、実際問題として応募者は募集人員を下回っておりますから通学の距離等のチェックをいたしてはおりますけれども、そうした基準に適合していれば全員を受け入れる措置がとられております。今後とも募集人員を超えた場合におきましても、完全な抽せん制の導入等の方向を検討して付属学校のあり方を公立学校に準じたものにしていくという方針は大学側ははっきり持っているわけでありますから、私どもも、大学のそうした対応を信頼をしているわけでございます。
○土井委員 大学のあり方を信頼なさるのなら、もう少し大学の方がそういうことについて納得のいくような文書で、この子供たちに対する募集もおやりになるべきだと思う。この募集のためのいろいろな文章のどこをどう読んでも、いまおっしゃったような意味合いのことは出てまいりません。そういうニュアンスがない。やはり周辺の父や母からしますと、これは特別の小学校じゃないか、特別のエリート育成のための小学校じゃないか、あそこに行く子供たちは特別の子供たちということになるよ、こういう危惧を絶対にぬぐえませんよ。それは十分に教育大学が出している文書などを当たった上でいまお答えになっているのでしょうね、いかがです。
○佐野政府委員 私どももこの大学の付属学校が置かれる地域が先ほど来申しておりますように十分な人口を持った地域でないということもありまして、この付属学校をどのように円滑に設置をしていくかということについては、大学ともども関心を持ち注意をしながら対応してきております。したがって、大学がどのような方針で付属学校の設置運営に当たろうとしているかということについては、十分大学側の意向を承知をした上でお答えをしているわけであります。
○土井委員 承知をした上でおっしゃることからすると、やはり不信というのか、こういうことはどこまでいってもぬぐい切れないのです。それからいまのこの地域は人口がそうそう過密状況の地域じゃございませんために、それからまた希望者が予想をはるかに下回るわずかな数であったために、本来は応募した数を上回るという子供たちがなかったので、いろいろと選抜方法についてどういう方法をやられたかということが具体的に深刻な取りざたの対象にはなりませんでした。ただ、一たびこれが理屈の問題になってまいりますと、この点をはっきりしておかなければどうも相済まぬような気がいたします。選抜ということをお考えになる場合に何を基準にどのようなことを選抜の目安になさるわけですか。
○佐野政府委員 これもむずかしいところで、それぞれの大学が自分の付属学校についてどのようなものとして運営をしていくかという学部の基本的な考え方があるだろうと思うのです。東京大学の例のように一卵性双生児を入れるというような方針を持って教育学部が対応をし、付属学校がそれに協力するという一つの付属学校のあり方でございます。しかし、そういった明確な特定の目的というものがなくて通常の付属学校の形をとる場合には、先ほど来申し上げましたようにできるだけいろいろな子供たちが入ってくるような方法を考えた方がいいわけであります。 ただ、兵庫教育の場合においてもそうでございますけれども、やはりたとえば通学に要する時間か一時間以内のところでなければ困るとか、その他そういう形式的な一つの選抜の基準というものもあるわけでございますし、先ほど来申し上げておりますような付属学校が持っている任務ということから考えて、その学校の教育に十分に対応できるかどうかというような点も場合によっては判断しなければならない場合がありますから、そういった点について付属学校側がそれぞれの選抜の方法を考える。多くの場合には現在はそれに抽せん制が導入をされているわけであります。この兵庫教育大学の場合にも、応募者がいわゆる募集人員を超えた幼稚園の三歳児学級については、完全抽せん制によって入園者が決定されているわけであります。
○土井委員 いまるる御説明がございましたけれども、一体今回付属小学校の一年生、四年生に対して、どれだけの募集に対してどれだけの応募があったかということもひとつこの節数字の上で明らかにしておいていただきたいと思います。
○佐野政府委員 小学校の場合には一年児と四年児の児童合わせて二百四十人の募集に対して百十二人の応募があったわけであります。幼稚園の場合には三歳児、四歳児合わせて五十五人の募集に対して八十二人の応募者があったわけであります。
○土井委員 再度お尋ねをいたします。 私はそんな御答弁をいただく質問をしていないつもりであります。一年生に対して一体何人が応募し、四年生に対して一体何人が応募したかという質問を私はしたつもりでありまするが、違っていましたでしょうか。
○佐野政府委員 失礼しました。 小学校の一年生は、百二十名の募集に対して当初応募した者が七十六名、補欠の募集に対して応募した者が十三名ございました。四年生の場合には、同じく百二十名の募集人員に対して当初の応募者が三十六名、補欠の応募者が六名でございます。
○土井委員 両者とも百二十名に遠く及ばないのですが、これは学級編制からいたしますと、百二十名、三クラスだったんでしょう。それぞれの人数に対して何クラスを用意なさったのですか。クラス編制は何クラスになりますか。
○佐野政府委員 いま申し上げましたような応募者が結果的には全員合格をしておるわけでございますけれども、入学辞退者がございましたので、最終的には小学校一年生に入学した者が七十一名、四年生に入学した者が三十名でございます。これらの小学校の学級編制は、一年生、四年生いずれも三学級編制でございます。
○土井委員 これはまたまた傑作ですね。ちょっとお尋ねしますが、標準法は、国立も公立も同じような取り扱いを問題にされていると思うのですが、いかがでございますか。
○佐野政府委員 失礼しました。四年生は、三十名については二クラス編制に最終的にはしたそうでございます。三クラスと申し上げましたのは、今後三学級にしていくという計画であって、最初の年次は二学級でスタートをしたわけであります。
○土井委員 これはまたむちゃくちゃと言えますよ。ひどいじゃないですか。それで特に標準法で今回四十人学級の問題の対象として四年生が考えられているのですか。それに先立って国立も公立も標準法では同じ取り扱いをしなければならないはずでありますが、この点確認しましょう。次官、せっかくの御出席だから答えていただきたいと思います。次官、いかがですか。
○三塚政府委員 それはおっしゃるとおりであります。
○土井委員 ということになりますと、これは四年生について四十人学級編制ということで臨んだというのは一体どうなるんです。どういうことでありますか。次官、せっかくの御出席だから、次官から御答弁を……。
○諸澤政府委員 事務的なことをお答え申し上げますが、御承知のように、標準法は公立義務教育諸学校の学級編制の標準を決めておりますから、そういう意味では、精神はともかくとして法律上は公立学校なんです。それから、では国公私立を通じての決まりは何かというと、これは学校教育法の施行規則の二十条なんですね。これが国公私立を通じて一学級に編制する場合は「五十人以下を標準とする。」となっておりますから、これがかぶってくるという、制度上言いますとそういうことになっておるということであります。
○谷川委員長 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。木島喜兵衞君。
○木島委員 付属というのは、さっきから大学局長の話で他とは違わないのだ、同じ状態のところで実習させるのだということを前提にしてきているわけですよね。したがって、この社町は一年生が四十人になる該当地域であるかどうかは知りません。四十人になる該当地域ならばいいですよ。そうでないとすればそれもおかしいし、四年生がなるということはましておかしい。付属というものの意味を土井たか子先生が最初にくどくおっしゃって、局長は、普通の学校と同じところで実習をさせるというところに意味があるんだということを繰り返し述べられた。ことし四十人学級が発足する、その最初からそうでない四年生に適用するというそこは、一つは法的な問題もさることながら、付属たり得るのか否かという基本的な問題にぶつかってきているということなんですね。
○佐野政府委員 一年生と四年生からまず募集を始めているというのは、これは標準法を何年に適用するという角度で検討しているわけではないので、付属小学校を今後三年計画で完成をさせて、全体十八学級のものを設置をするというその年次計画に従って一年と四年から生徒の受け入れを始めているということであります。 それから、われわれも付属学校の規模というものは、当初から募集人員に対して十分な応募者があって十分な学級編制が行われるのが最も望ましい姿だと考えます。兵庫教育大学の付属小学校の場合には、先ほど来御指摘のありますような地域の事情がありますから、むしろ大学側としては、スタートに際して地域との十分な連携を保ちながら今後付属学校の実績というものを地域にも十分承知をしていただき、その過程で充実を無理なく図ってまいりたい、そういう基本的な方向をとっておりますし、私どももそういった大学側の方針というのは理解できまずから、無理していっぱいまで児童を集めるというような方針をとらないということについてはわれわれもそれを了解をしたわけであります。
○木島委員 それを言っているんじゃない。集まったか集まらぬかじゃない。計画が百二十人募集ということは、三学級だったら四十人学級でしょう。そこがさっきおっしゃった付属というものの意味から言って、先ほど土井たか子先生がおっしゃる特殊な教育計画ということになるのだろうか、もしそうであるとするならば、協力校もまたそうなるのであろうかということはどうなんですかと言うのですよ。
○佐野政府委員 協力校の学級編制の標準というのは、もちろん公立校でございますからその標準によるわけであります。付属学校の場合にどのような学級編制の態様をとるかということは、直接には公立学校の学級編制の基準には拘束をされません。実際に行われている学級編制のあり方も、決して現在の公立学校と同一ではございません。私は、付属学校の持っている任務というものに応じてそれぞれの大学である程度の幅が出てくるということは容認されてしかるべきだと思います。この兵庫教育大学の付属学校の場合には、先ほど来申し上げておりますような地域の人口の状況がございますから、そういった点を考えましても一学級四十人のクラス編制というものを大学側が計画において持つということはわれわれは理解できるわけです。
○木島委員 それを局長が理解するというところがさつきのあなたの答弁と違うということなんですよ。兵庫県なら兵庫県の各地域でもって先生になられる方の実習をするところの場なんだから他とは変わらないようにというのが先ほど来の答弁なんです。とすれば、現在では四十五なんだから、その四十五の地域で教える先生を実習させる場なんだから、なぜこれだけが四十でいいかということが理解できるか。あなたは理解できるとおっしゃるけれども、われわれは理解できないということなんです。
○土井委員 それはなかなかお役人の方は困っておられることはよくわかる。御答弁に非常に困っておられる。四年生は標準法から言ったら公立の学校では四十人学級の対象になっていないときに、標準法の適用を受けないということをしきりに理屈ではおっしゃるけれども、お役人仕事じゃないのです、教育の現場というのは。やはり子供を預かって、子供の教育の場所なんですから、そういうことからすれば法律の適用を受けるからどうの国立だからどうのの問題じゃない。対象になっていない四年生、しかもこれは応募の人数が少なかったからとはいうものの一クラス十五人ですよ。三十人しか実際問題として四年生に入学しないのですからね。それを二クラスに分けてごらんなさい。単純計算十五人です。だから、これは政治家である次官にお尋ねします。こんなことは好ましいとお思いですか。周辺との融和を保ちなんておっしゃるけれども、何ぼ努力したってこれは完全にみぞができますよ。いかがですか。
○三塚政府委員 途中から入ってきまして、後半の御質疑を聞いておる感じをそのまま申し上げさせていただきます。 法律は、法の前に平等でありますから、そういう意味では土井委員のただいまの指摘は一々ごもっともであろうと思います。同時に、本件の場合は新設大学であるという一つの特殊事情を大学局長は力説をしたいのであろうというふうに思います。それはそれといたしまして、その状況はわからぬわけではございませんけれども、付属小学校として十二分に教員養成にたえ得る小学校編制を当初予定をした。しかし、応募が御指摘のようなきわめて少数に相なったところに今日の問題が起きたというふうに思います。しかしながら、この問題はすでにスタートをいたしております問題ですから、本年は本年といたしまして、これは来年度四月よりただいまの土井委員の御指摘の数々を十二分に今後の指導方針の中に踏まえさせていただきまして、こういうようなことのありませんようにきちっと体制をとらさせていただきながら運営をしてまいりたい、そのように大学局より当該大学に指導を申し上げさせていただきたいというふうに思います。
○土井委員 いまの御答弁を承っているといいようなことをおっしゃるようにも聞こえるのですが、これはもろ刃の剣でして、実は兵庫教育大学の主導性を地域に対しても発揮すべくひとつ考えてみるということだったら、ちょっと問題が大きくなりますよ。矛盾がさらに増すようなかっこうになります。したがって、周辺の公立小学校について言うならば、先ほど局長は何ら従前と変わりがないとおっしゃいましたが、私どもが聞き知っておる限りでは、この四十人学級を四月一日から社町へ適用させるというふうなことを文部省の方から県の教育委員会に対してちゃんと通知をされているようでありますが、いかがですか。
○諸澤政府委員 私の方からもちろん具体的に社町をどういうふうにしなさいというふうなことを指示したことはございません。兵庫県の方からも、いま聞きますと適用対象の町の中に社町は入っていない、したがって報告は来ていない、こういうふうにいま承知しております。
○土井委員 文部省側からは社町に限って適用を認めるというふうな趣旨の兵庫県の教育委員会に対しての通知があったやに私たちは承知をいたしております。ただ、問題は幾ら四十人学級のことをそういうふうに部分的に地域を限って、この標準法からすると特例ですが、これを問題にされるようなかっこうをおとりになったといたしましても、四年生に対しては問題にならないのでしょう。幾らそれをやったって、一年生ですよ。四年生に対しては問題にならない。しかし、教育大付属については四年生はもうすでに四十人学級。来年になると二年生も五年生も四十人学級。再来年になると三年生も六年生も四十人学級というのは、そこだけ四十人学級で全部取り仕切られてしまうというかっこうになるのです。いよいよ地域との差はひどくなる。こういうことをひとつ念頭に置いて、次官よろしゅうございますか、この問題はちょっと深刻ですよ。この問題は、もうお役人の頭じゃないのです。やはり政治家が責任を持ってお考えになるべき問題だ。私は次官を政治家と非常に見込みましてこのことを申し上げております。次官、よろしいですね。責任を持ってくださいますね。よろしいか。
○三塚政府委員 ただいま大変具体的な御指摘でありますから、公平を原則としておりますのが文部省の教育指導でありますので、十二分にその点を体しましてきっちりとやってまいります。
○土井委員 あと時間の都合がありますが、私が見ていてちょっといかがかと思うものがございましたので、それを確かめてみたいと思うのです。 兵庫教育大学学則、学則第一号ですが、五十五年の三月三十一日に出されているようであります。兵庫教育大学の学則に従ってつくられているいろいろな規程や規則がございますが、実はその中に学生規則というのがあるのです。これは御承知おきになっていらっしゃいますか。いかがですか。
○佐野政府委員 申しわけございませんが、私は学生規則を見たことはございません。
○土井委員 これは調べておいていただいて御質問しないと、実は質問にならないのです。御承知おきになった上でこのことに対して質問をしないと、御答弁もいいかげんなことをおっしゃるに違いないと思いますから……。ただ、どういうことをここで問題にしたいかということを一つ申し上げておいて、そういう意味で検討をしてみてください。 兵庫教育大学学生規則というのを見てみますと、みんな同じ五十五年の三月三十一日に出されているのですが、その第一条で「この規則は、兵庫教育大学学則(昭和五十五年学則第一号)に基づき、」云々として「学生が守るべき事項を定める。」と書いてあるのですが、先ほど私が申し上げた兵庫教育大学の学則のどこをどう調べてみましても、基づく基礎にある条文がないのです。学生規則を制定しなければならないはずの基礎になる条文がないのです。ほかに教育大学の学則に従って考えられているたとえば兵庫教育大学大学院学校教育研究科履修規程とか、それからまた学位規則とか等々は、それぞれ同じようにその第一条を見ますと、「兵庫教育大学学則(昭和五十五年学則第一号)に基づき、」と書いてあるのですが、この学則に基づくべき条文がちゃんとあるのですよ。ところが肝心かなめの学生規則というのは、中身からいったらとんでもないことを決めている学生規則だと私は思います。そうであればあるほど、法体系から言えば、これは準拠すべき条文がはっきりないと困るはずなんですね。それがないのです。そうすると、純理論的に言って根拠なき法は無効なのです。だからこの学生規則というのは、本来根拠に置くべき条文がないということである限りは無効だと私は言わざるを得ない。こういうことをひとつ念頭に置いて調べてみてください。よろしゅうございますか。
○佐野政府委員 大学側の方をひとつ調べてみます。
○土井委員 では、きょうはこれでおきます。あとこのことの質問をやったってわからないでしょう。それでは別の機会に……。ありがとうございました。 ————◇—————
○谷川委員長 これより湯山勇君外五名提出、県童生徒急増地域に係る公立の小学校、中学校及び高等学校の施設の整備に関する特別措置法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。長谷川正三君。
○長谷川(正)議員 ただいま議題となりました法律案について、その提案理由と内容の概要を御説明申し上げます。 いま東京、大阪等人口急増地域では、人口の社会増と自然増に押され、交通戦争、住宅不足と狭隘化、公害の多発、自然の喪失等、環境条件は著しく劣悪化しており、生活、労働、文化のあらゆる面で問題点を引き起こしています。 特に、学校では児童生徒の急激な増加に伴って、学級、学校の新増設計画がその実勢に追いつけないため、運動場をつぶしてのプレハブ教室の建築や特別教室の普通教室への転用、あるいは四十六名以上の学級編制等によって急場をしのいでいる学校等が目立っています。 こうした状況の中で、過大学級、過大学校は次第に増加し、教室、職員室、運動場、校具等、学校の施設設備は不備のまま異常な形で教育活動が展開され、子供の遊びと遊び場は奪われ、子供同士の人間関係、子供と教職員の人間関係、教職員同士の人間関係は阻害されています。 こうした教育的対人関係の破壊、揺れ動く学校生活の中で、子供の学力の低下、非行の増加等、教育荒廃の現象は次第に進行しつつあります。 一方、地方自治体では子供の学習権を守り、行き届いた教育を保障するためにも児童生徒の急増に対応しながら、学級、学校の新増設計画に取り組んでいます。 しかし、自治体においては、実勢に見合わない現行の国庫補助制度や地価の高騰、校地取得難等のもとで、膨大な教育財政の支出をもたらされています。このことはまた、ただでさえ危機的状況下に置かれている地方財政をますます圧迫し、一般行政水準を低下させる要因ともなっています。 それだけに、人口急増市町村の財政力をもってしては、正常な教育を行うための施設設備を確保することはもはや困難な状況下にあると言わなければなりません。 幸い、昭和四十六年度より児童生徒急増市町村に対する校地取得に係る定率補助制度が発足し、昭和四十八年度には校舎の新増設に対する国庫補助率の引き上げが行われることとなりました。 しかし、これらの措置は一定の効果を果たしてきたとはいえ、いまだ当該市町村の要望をとうてい充足するまでには至っていません。また、公立高校新増設に対する国庫補助制度は、昭和五十一年度より発足し、その予算は増額されつつありますが、補助条件の制約があることや校地取得費が補助対象となっていないこと等もあって、高校の新増設計画に大きな障害点となっています。 これらの助成措置は、元来義務教育諸学校施設費国庫負担法の抜本的改正等により、その改善、充実を図らなければなりませんが、当面、四十人学級の発足に伴う学級の新増設等人口急増地域に山積する教育上の諸問題点を解決するためにも、当該県、市町村に対する特別措置を講ずることが緊急の課題となっています。 以上、児童生徒の急増地域における公立の小学校、中学校及び高等学校の施設整備に係る国庫補助制度の実情にかんがみ、これらの施設整備を一層促進するため、国の行財政上の特別措置をさらに拡充するための法的措置を講じることとし、もって学校教育の円滑な実施を確保するため、本法案を提案する次第であります。 次に、本法案の内容の概要を御説明いたします。 第一は、この法律は、児童または生徒が急激に増加しまたは増加する見込みのある地域に係る公立の小学校、中学校及び高等学校の施設の整備に関し必要な特別の措置を定めることにより、学校教育の円滑な実施を確保することを目的としております。 第二は、この法律において、児童急増地域または生徒急増地域とは、市町村における過去三年間の児童または生徒の増加数などを基準として各年度ごとに文部大臣が指定する市町村の区域をいうこととしております。 第三は、第二の両急増地域における公立の小中学校に係る校舎及び屋内運動場の新増築費並びに学校給食施設及び水泳プールの整備費に対する国の負担率または補助率を四分の三に引き上げるとともに、生徒急増地域を通学区域とする公立の高等学校の水泳プールの整備費に対する国の補助率についてもこれを二分の一に引き上げることとしております。 第四は、国は、政令で定めるところにより、両急増地域の公立の小中学校の用地取得費についてその二分の一を補助するとともに、第三の公立の高等学校の用地取得費及びその校舎等の新増築費についてもその二分の一を補助することとしております。 第五は、国は、第三及び第四の児童生徒急増対策事業に係る地方債の資金について特別の配慮をすることとし、その元利償還金についてもこれを地方交付税で措置することとしております。 第六は、国は、児童生徒急増対策事業に係る用地取得を容易にするための税制上の優遇措置を講じなければならないこととしております。 第七は、地方公共団体は、その区域内で大規模宅地開発等が行われる場合において、特に必要があると認めるときは、その開発事業者に対し、公立の小中学校または高等学校の用地の確保を求めることができることとし、その場合の用地確保を開発事業者に義務づけております。 第八は、地方公共団体は、大規模宅地開発等に伴い公立の小中学校または高等学校の施設の整備事業を行う場合、財政事情等によりその事業を適時に行うことができないときは、その開発事業者に対してその事業の立てかえ施行の申し出をすることができることとし、申し出を受けた開発事業者は、その地方公共団体との協議に基づき、その事業を行うものとすることにしております。 第九は、この法律は、昭和五十六年四月一日から施行することとし、昭和六十一年三月三十一日までの時限立法としております。 以上が、本法案の提案の理由及び内容の概要であります。 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。 ————◇—————
○谷川委員長 次に、中西積介君外五名提出、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。中西積介君。
○中西議員 ただいま議題となりました学校教育法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 学校教育法は、高等学校の目的として、心身の発達に応じて、高等普通教育及び専門教育を施すと定めております。 今日あらゆる分野において急速な科学技術の進展がなされており、高等学校における専門教育の重要性は特に重視されなければなりません。 ところで、高等学校の専門教育において、実験実習は、観察、測定、機器の操作及び材料の加工等を通じて、生徒に、理論と実際の関係や生産にかかわる基礎的、基本的知識と技能技術を習得させ、あわせて一般教科との有機的関連づけを行うことにより、科学的認識力、自主的判断力及び適応力を培う上できわめて重要な役割りを果たしているものであります。 現在、高等学校には、実習助手が置かれ、実習助手は、学校教育法上実験実習について教諭の職務を助けることとされており、高等学校の実験実習の教育は、教諭と実習助手によって行われております。 しかしながら、先に述べたような事情にかんがみ、実験実習の教育については、専門的知識を身につけた資質のすぐれた教員が要請されているのであります。 しかし、教育の現場を見ますと、全国で約一万五千人の実習助手が、実験実習の準備指導、整理等については言うまでもなく、指導計画、成績の評価等に至るまで、担当の教諭と何ら異ならない職務を行うとともに、生徒指導、クラブ活動、校務分掌についての分担など直接生徒の教育にかかわる職務に携わっております。 このように、教育職員としての責務と自覚の上に立って、職務の遂行に当たっている実習助手の教育上の功績はまことに大きなものがあります。それだけに、実習助手は、教育職員免許法に基づく認定講習会や各種教育講座に参加する等、みずから積極的研修を積み、今日では実習教科免許状取得者も多数に上っていますが、現行制度下では実習教科担当教諭への移行は必ずしも容易ではありませんし、また、実習助手の置かれている現状は、助手なるがゆえに、教諭に比較して低い処遇を受け、上位等級への昇進の道も閉ざされていることはまことに遺憾なことと言わざるを得ません。 以上のような事情にかんがみ、実験実習の教育を担当する教員についての制度を、本来の正しいあり方に是正するとともに、現に実習助手である者について、制度改正に伴う移行措置を講じ、その処遇につき遺漏なきを期することが必要であると認め、この法律案を提出することとした次第であります。 次に、この法律案の概要でありますが、まず第一は、実習助手制度を廃止するため、学校教育法等必要な関係法律の改正を行うとともに、実習助手の廃止について十二年間の経過措置を設けることといたしております。 第二は、高等学校の教職員定数の標準を改正し、実習助手の規定を削除し、教諭等の数の規定に実験実習担当の教諭の数を加えるとともに、必要な経過措置を定めることとしております。 第三は、教育職員免許法を改正し、実習担当教諭の免許状取得資格として、新たに高等専門学校を卒業した者及び看護婦の免許状取得者を加えるとともに、現に実習助手である者のうち、理科及び特殊教科担当の者で文部省令に定める資格を有する者については、教諭免許状取得の措置を講ずることができることとしております。 第四は、この法律は、昭和五十六年四月一日から施行することといたしております。 なお、本法律案の措置により、実習助手の教諭への一元化が可及的速やかに実現されることになると思われますが、そのためには、教諭資給付与のための認定講習会の開催、研修会等への参加の保障等の措置を講じ、教諭への円滑な移行がなされるよう政府においても特段の配慮が要望されるところであります。 以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、十分御審査の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。 ————◇—————
○谷川委員長 次に、内閣提出、日本学校健康会法案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。三塚文部政務次官。
○三塚政府委員 大臣が参議院の会議に出ておりますから、かわりまして、お許しをいただき提案理由の説明をさせていただきます。 このたび、政府から提出いたしました日本学校健康会法案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 児童生徒等の健康の保持増進を図り、心身ともに健康な国民の育成を期することは教育の重要な課題であります。このため、児童生徒等の健康に関する諸施策の推進に努め、その一環として学校給食及び学校安全について日本学校給食会及び日本学校安全会を特殊法人として設立し、それぞれの業務を遂行してまいりました。 特に最近、児童生徒等の心と体の健康に関する種々の問題が生じており、児童生徒等の健康の保持増進に関する諸施策を総合的に推進することは文教行政の重要な課題となっております。 今回、行政機構の合理的再編成を図る観点から、日本学校給食会と日本学校安全会とを統合し、それらの業務を総合的に推進することにより心身ともに健康な児童生徒等の育成に資するため日本学校健康会を設立することとし、この法律案を提出いたした次第であります。 この法律案におきましては、日本学校健康会に関し、その目的、組織、業務、財務、会計、監督等につきまして所要の規定を設けるとともに、従来の両法人の解散等につきましても規定することといたしておりますが、その内容の概要は次のとおりであります。 まず第一に、日本学校健康会は、児童生徒等の健康の保持増進を図るため、学校安全及び学校給食の普及充実、義務教育諸学校等の管理下における児童生徒等の災害に関する必要な給付、学校給食用物資の適正円滑な供給等を行い、もって心身ともに健康な児童生徒等の育成に資することを目的とするものであります。 第二に、日本学校健康会は、法人といたしますとともに、役員として、理事長一人、理事三人以内及び監事二人以内並びに非常勤の理事二人以内を置き、理事長及び監事は文部大臣が、理事は文部大臣の認可を受けて理事長が、それぞれ任命することとし、その任期はいずれも二年としております。なお、役員数につきましては、行政改革の趣旨に沿って統合の前に比べその数を縮減いたしております。また、法人運営の適正を期するため、理事長の諮問機関として運営審議会を置くこととし、業務の運営に関する重要事項について審議することといたしております。 第三に、日本学校健康会の業務につきましては、従来の両法人の業務を承継して、学校安全及び学校給食の普及充実に関すること、義務教育諸学校等の管理下における児童生徒等の災害に関する災害共済給付及び学校給食用物資の買い入れ、売り渡しその他供給に関する業務を行うことといたしております。また、この法人は、これらの業務を行うほか、文部大臣の認可を受けてその目的を達成するため必要な業務を行うことができることといたしております。 なお、災害共済給付事業につきましては、災害共済給付契約、給付基準、学校の管理下における児童生徒等の災害の範囲、学校の設置者の損害賠償責任に関する免責の特約、共済掛金等に関し、学校給食用物資の供給に関する業務につきましては、売り渡し価格、供給の制限等に関し、従前と同様の規定を設けることといたしております。 第四に、日本学校健康会の財務、会計及び文部大臣の監督等につきまして、一般の特殊法人の例にならい所要の規定を設けることといたしております。 第五に、従来と同様に保育所の管理下における児童の災害につきましても災害共済給付を行うことができる規定を設けることといたしておりますほか、日本学校健康会の設立と日本学校給食会及び日本学校安全会の解散等につきまして所要の規定を設けるとともに、関係法律の規定の整備を行うことといたしております。 以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。
○谷川委員長 これにて各案の提案理由の説明は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時十一分散会 ————◇—————