農林水産委員会 第17号
- 発言数
- 176 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1980/04/09
会議録
○内海委員長 これより会議を開きます。 農用地利用増進法案、農地法の一部を改正する法律案及び農業委員会等に関する法律等の一部を改正する法律案の各案を一括議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。武藤農林水産大臣。
○武藤国務大臣 農用地利用増進法案、農地法の一部を改正する法律案、農業委員会等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由の説明をそれぞれ申し上げます。 最初に、農用地利用増進法案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 わが国農業は、国民の必要とする食糧を安定的に供給するとともに、国土と自然を保全し、活力ある地域社会の形成に資するという重要な役割りを果たしております。しかしながら、今日のわが国農業は、農産物需給の不均衡、経営規模拡大の停滞等の厳しい諸問題に直面しております。 このような事態に対処して、わが国農業の体質を強化し、総合的な食糧自給力の向上と国民生活の安定を図るという農政の基本目標を実現するためには、各般の施策を総合的に推進することが必要でありますが、とりわけ、農業生産の中核となる生産性の高い農業経営をできるだけ多く育成し、このような農業経営によって農地が効率的に利用されるよう、農業構造の改善を推進することが緊要であります。 以上の観点から、農地の流動化、地域農政の推進等の従来から講じてきた施策を発展させ、各地域の実情に応じて農地の流動化と有効利用を促進する仕組みを整備するため、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内要な内容について御説明申し上げます。 第一は、この法律案の目的についてであります。 この法律案は、市町村が、農用地の農業上の利用の増進を図るための事業として、農用地の権利移動等を円滑に進めるための利用権設定等促進事業、農用地の効率的かつ総合的な利用を図るための農用地利用改善事業の実施を促進する事業、農作業の受委託を促進する事業等を総合的に行うことにより、農業経営の規模の拡大と農業生産力の増進を図り、もって農業の健全な発展に寄与することを目的としております。 また、市町村が、この農用地利用増進事業を行おうとするときは、実施方針を定め、都道府県知事の承認を受けることとしております。 第二は、利用権設定等促進事業についてであります。 市町村は、農用地の関係権利者全員の同意を得、かつ、農業委員会の決定を経て、利用権の設定等を内容とする農用地利用増進計画を作成し、これを公告することにより、利用権の設定等の効力が生ずることとしております。 また、この事業による利用権の設定等及びこれにより成立した賃貸借等については、農地法における権利移動の許可制、小作地の所有制限及び賃貸借の法定更新の規定を適用しないこととしております。 第三は、農用地利用改善事業についてであります。 市町村の実施方針で定める区域を地区とし、農用地に関する権利者が構成員となっている団体は、作付地の集団化、農作業の効率化、農用地の利用関係の改善に関する措置等農用地の効率的かつ総合的な利用を図るために必要な事項を内容とする農用地利用規程を定め、市町村の認定を受けることができることとしております。なお、この団体の構成員が農用地利用増進計画の公告により利用権を設定した場合における農業協同組合の組合員資格の取り扱いにっき、農業協同組合法の特例を設けております。 以上のほか、農用地利用増進事業の円滑な推進を図るため、国及び都道府県による援助、地域の農業の振興に関する施策の実施に当たっての配慮等について定めております。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 次に、農地法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。 農地法につきましては、昭和二十七年の制定以降、農業及びこれをめぐる社会・経済情勢の変化に対応し、農業構造の改善の推進に資するよう、昭和三十七年及び四十五年の二度にわたり改正が行われて今日に至っております。 わが国農業の体質を強化し、総合的な食糧自給力の向上と国民生活の安定を図るという農政の基本目標を実現するためには、その基礎的条件として、農業構造の改善を推進することが一層重要となっております。このため、今回、農用地利用増進法案を提出するとともに、これとあわせて、農地等に係る権利の移動の円滑化を図り、農業後継者の育成に資するよう、この法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。 第一は、小作料の定額金納に関する規定の廃止であります。 最近における農地賃貸借の動向を考慮し、小作料は、一定の金銭で定め、かつ、授受しなければならない旨の規定を廃止し、小作料を金銭または金銭以外のもので授受してもよいようにすることとしております。 第二は、農業後継者の育成等に資するための農業生産法人の要件の緩和等であります。 農地を所有していない農業後継者等が農業生産法人制度を活用して規模の大きな農業経営を営み得るようにするため、農業生産法人の業務執行役員に係る要件を緩和し、その法人の事業に必要な農作業に主として従事している当該法人の常時従事者が業務執行役員の過半を占めていれば足りるものとするとともに、農地の転貸禁止等の例外として世帯員に転貸等を行うことができることとしております。 第三は、許可権限等の委譲であります。 行政事務の簡素化を図る観点から、耕作目的での農地等の権利移動の許可、農地等の賃貸借の解約等の許可等について、原則として農業委員会を許可権者とする等所要の許可権限の委譲を行うこととしております。 以上が、本法案の提案の理由及びその主要な内容であります。 最後に、農業委員会等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。 最近における農業の動向及び農地事情にかんがみ、農地法制の整備を図ることとし、農用地利用増進法案及び農地法の一部を改正する法律案を提案いたしましたが、その関連において、昭和二十六年の制度発足以来、農業生産力の発展及び農業経営の合理化並びに農民の地位の向上に寄与してまいりました農業委員会制度が今後果たすべき役割りは、以前にも増して重要なものになると考えます。 このため、農業委員会制度に対するこのような要請にこたえ得るよう、農業事情の実態に即しつつその組織体制を整備して運営の一層の円滑化を図ることとし、この法律案を提案いたした次第であります。 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、農業委員会の選挙による委員の定数につきまして、その上限を引き下げることといたしております。 第二に、政令指定都市におきまして、現在区単位に置くこととされております農業委員会の設置基準を、指定都市の市長が都道府県知事の承認を受けたときは指定都市を単位として置くことができる道を開くことといたしております。また、これに関連して、都道府県知事の承認に係る指定都市に土地改良法及び農地法を適用する場合の所要の規定の整備を行うことといたしております。 第三に、農業委員会と都道府県農業会議との連絡・協力体制を緊密化するため、都道府県農業会議の会議員は、原則として、農業委員会が委員のうちから指名した者にかえて、農業委員会の会長を充てることといたしております。 第四に、都道府県農業会議に、現行の部会制を廃止して、常任会議員を置くこととし、法令業務及び会則で定めるその他の業務を処理するため、常任会議員の会議を設けることにより、その審議が円滑かつ総合的に行われるようにいたしております。 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
○内海委員長 引き続き、各案について順次補足説明を聴取いたします。杉山構造改善局長。
○杉山(克)政府委員 農用地利用増進法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。 第一は、この法律における農用地利用増進事業の定義であります。 その一は、利用権設定等促進事業でありまして、現在農業振興地域の整備に関する法律に基づき行われている農用地利用増進事業と対比してみますと、事業の実施は農用地区域に限定しないこと、事業の対象となる土地は、従来の農用地のほかに混牧林地、農業用施設用地及び農用地等開発用地を加えたこと、事業の対象となる権利は、従来の賃借権及び使用貸借による権利のほかに所有権及び農業経営の受託により取得される使用収益権を加えたこと、権利を取得する者として、従来の農業者のほかに農業経営の受託事業を行う農業協同組合、農地保有合理化法人等を加えたことの四点において拡充を行うことにより、農用地等に ついての権利移動を総合的に実施する事業としております。 その二は、農用地利用改善事業の実施を促進する事業でありまして、この農用地利用改善事業とは、農用地に関する権利者の組織する団体が農用地の利用に関する規程を定め、これに従い、農用地の効率的かつ総合的な利用を図るための作付地 の集団化、農作業の効率化、農用地の利用関係の改善等を推進する事業としております。 以上の事業のほか、委託を受けて行う農作業の実施を促進する事業その他農用地の農業上の利用の増進を図るために必要な事業であります。 第二は、農用地利用増進事業の実施方針についてであります。市町村は、農用地利用増進事業を行う場合には、事業の実施の基本方針、利用権の設定等を受ける者の備えるべき要件及び利用権の設定等の条件、農用地利用改善事業の実施の基準に関する事項、農作業の受委託の促進に関する事項等を内容とする農用地利用増進事業の実施に関する方針を定め、都道府県知事の承認を受けなければならないものとしております。 この実施方針は、農用地の農業上の効率的かつ総合的な利用の促進並びに農業経営の規模の拡大及びその安定を図るとともに、農業振興地域整備計画等の地域の農業の振興に関する計画の達成に資するよう定めるほか、議会の議決を経て定められた市町村の建設に関する基本構想に即するものでなければならないものとしております。 また、市町村は、都市計画法に基づく市街化区域においては、市街化区域の性格にかんがみ、市街化区域以外の農用地と一体として農業上の利用が行われている農用地の存する区域を除き、農用地利用増進事業を行わないものとしております。 なお、都道府県知事がこの実施方針の承認をしようとするときは、あらかじめ、都道府県農業会議の意見を聞かなければならないものとしております。 第三は、利用権設定等促進事業についてであります。この事業の実施方式は、現在農業振興地域の整備に関する法律に基づき行われている農用地利用増進事業と同様でありまして、市町村は、農業委員会の決定を経て、利用権の設定等を受ける者、利用権の設定等に係る土地及び利用権の設定等を行う者並びに利用権の設定等の条件等を内容とする農用地利用増進計画を定めるものとしております。この農用地利用増進計画は、利用権の設定等に係る土地ごとに、利用権の設定等を受ける者及びその土地の所有者等のすべての同意を得て、作成するものとし、市町村がこれを公告したときは、その農用地利用増進計画の定めるところにより、利用権の設定等の効力が生ずることとしております。 また、この利用権設定等促進事業により行われる利用権の設定等及びこれにより成立した賃貸借等については、農地法における権利移動の許可制、小作地所有制限、賃貸借についての法定更新の規定の適用を除外することとしております。 なお、この利用権設定等促進事業に関連いたしまして、農業委員会は、農地事情の改善に関する事項等に関する事務を行うに当たっては、この事業の推進に資することとなるようにしなければならないものとするとともに、この事業による所有権の移転に関して登記の特例を定めることができることとしております。第四は、農用地利用改善事業を促進する事業であります。実施方針で定める区域をその地区とし、かつ、その地区内の農用地についての権利者の三分の二以上が構成員となっている団体は、作付地の集団化、農作業の効率化等の推進及びこれらを推進する上で必要となる農用地の利用関係の改善等の推進に関する準則である農用地利用規程を定め、市町村に提出して、当該農用地利用規程が適当である旨の認定を受けることができることとしております。 市町村は、その申請に係る農用地利用規程が実施方針に適合すること、農用地の効率的かつ総合的な利用を図るために適切なものであること等の要件に該当するときは、認定をすることとしております。 また、農用地利用増進計画の公告により利用権を設定した結果、農業協同組合の法定脱退事由に該当することとなる場合でも、この市町村の認定を受けた農用地利用規程に従い農用地利用改善事業を行う団体の構成員である等の者は、農業協同組合の正組合員たる地位を失わないものとするとともに、農事組合法人の組合員についてもこれを準用することとしております。なお、この市町村の認定を受けた農用地利用規程に従い農用地利用改善事業を行う団体が共同利用施設設置事業等を行う農事組合法人である場合には、この農事組合法人は、土地改良法の定めるところにより農業協同組合と同様に土地改良事業を行うことができるものとしております。 第五に、援助等につきましては、国及び都道府県は、農用地利用増進事業の円滑な実施のために必要な助言、指導、資金の融通のあっせん、経費の補助その他の援助を行うように努めるとともに、国及び地方公共団体が、地域の農業の振興に関する施策を行うに当たっては、農用地利用増進事業の円滑な推進に資することとなるように配慮しなければならないこととしております。 このほか、農業委員会等に関する法律の一部を改正し、農業委員会の法令業務としてこの法律によりその権限に属させた事項を追加することとしております。 また、農業振興地域の整備に関する法律中現行の農用地利用増進事業に関する規定を削除するとともに、同事業を本法へ円滑に移行させるための所要の経過規定の整備を行うこととしております。 以上をもちまして、農用地利用増進法案の提案理由の補足説明を終わります。 次に、農地法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。 まず第一は、小作料を一定の金銭の額で定め、かつ、授受しなければならない旨の小作料を規定した第二十一条及び第二十二条の廃止についてであります。 これは、最近における農地賃貸借の動向を考慮し、小作料については、定額金納によるもののほか、自家飯米に供する等のために現物等で定め、または授受し得るようにするものであります。 第二は、農業後継者の育成等に資するための、農業生産法人の要件の緩和に関する第二条の改正及び農地の転貸禁止等の例外に関する第三条第二項の改正についてであります。 まず、農地等の権利を有していない農業後継者等が農業生産法人制度を活用して、規模の大きな農業経営を営み得るようにするため、現行の制度では、農業生産法人に農地等の権利を提供し、かつ、その法人の事業に必要な農作業に主として従事している当該法人の常時従事者が業務執行役員の過半を占めなければならないこととされておりますが、この要件を緩和し、その法人の事業に必要な農作業に主として従事している当該法人の常時従事者が業務執行役員の過半を占めていればよいこととしております。 次に、農業後継者への経営移譲の円滑な促進に資する等のため、農地等の転貸禁止の例外として世帯員に転貸することができるようにするとともに、国が売り渡した農地等の売り渡し後十年間の貸し付け禁止の例外として世帯員に貸し付けることができるようにすることとしております。 第三は、行政事務の簡素化を図る観点からの許可権限等の委譲についてであります。 その一は、耕作目的での農地等の権利移動の許可権限の委譲に関する第三条の改正であります。これは、現行の農地法では、原則として都道府県知事を許可権者とし、在村の個人による権利の取得について、例外的に農業委員会を許可権者としているのを改め、農業生産法人等を含め在村者による権利の取得は農業委員会の許可とする等農業委員会を原則的な許可権者とし、在村でない者による権利の取得等についてのみ例外的に都道府県知事を許可権者とすることとしております。 その二は、市街化区域内農地等の転用届け出の受理権限の委譲に関する第四条及び第五条の改正であります。これは、現行の農地法では、市街化区域内農地等の転用または転用目的での権利取得の届け出は、都道府県知事にすることとしているのを改め、農業委員会にすれば足りるとすることとしております。 その三は、農地等の賃貸借の解約等の許可権限の委譲に関する第二十条の改正であります。これは、現行の農地法では、すべて都道府県知事が行うこととしておりますのを改め、両当事者の住所が当該賃貸借に係る農地等のある市町村の区域内にある場合の許可は、農業委員会が行うこととすることとしております。 その四は、国が売り渡した未墾地等の処分に係る許可権限の委譲に関する第七十三条の改正であります。これは、現行の農地法では、すべて農林水産大臣が行うこととしているのを改め、すべて都道府県知事が行うこととしております。 第四は、第三十三条及び第三十四条の改正であります。 これは、競売等による買い受けを含め農地等の耕作目的での権利移動を統制していることとの関連において、競売等に当たり、買い受けの申し出がない等の場合には、競売等の申出者は、国に対し買い取りの請求を行うことができることとされておりますが、この場合、国が買受人となった後も仮登記または仮処分が消滅しない場合には、国が買い取った後、農地等の所有権を失うことがありますので、このような場合には、買い取り義務がないこととしております。 最後に、罰則について、違反転用の場合等の罰金の最高限度を現行の十万円から百万円に引き上げる等の措置を講じております。 以上をもちまして、農地法の一部を改正する法律案についての補足説明を終わります。
○内海委員長 松浦経済局長。
○松浦(昭)政府委員 農業委員会等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。 この法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。 第一に、農業委員会の選挙による委員の定数の上限を引き下げることであります。現在農業委員会は、選挙による委員と選任による委員とで構成されておりますが、今回はこのうち選挙による委員の定数の上限を四十人から三十人に引き下げるものであります。 第二に、指定都市における農業委員会の設置基準の特例であります。現在、指定都市においては、各区単位に農業委員会を置くこととされておりますが、指定都市の区域内の農地面積が一定基準に満たない場合その他特別の事情がある場合に、指定都市の市長が都道府県の知事の承認を受けたときは、指定都市を単位に農業委員会を置くこととしたものであります。 また、これに関連して、このような都道府県知事の承認に係る指定都市に土地改良法及び農地法を適用する場合の所要の規定を整備するものであります。 第三は、都道府県農業会議の会議員の構成を変更することであります。現在、都道府県農業会議は各農業委員会の委員のうちから農業委員会が指名した者、都道府県農業協同組合中央会その他の団体から推薦された者及び農業に関し学識経験を有する者で都道府県農業会議の会長が指名した者を構成員としておりますが、このうち各農業委員会の委員のうちから農業委員会が指名した者にかえて、原則として、各農業委員会の会長を会議員とすることとしたことであります。 第四は、都道府県農業会議に常任会議員を設けることであります。これは、都道府県農業会議は農地部会を必置とし、その他の部会を置くことができることとされておりますが、この部会制を廃止して、おおむね二十人から三十人の常任会議員を置き、その会議において、総会の専属的議決事項とされたものを除きまして、法令業務及びその他会則で定める業務を処理させることといたしたものであります。なお、この常任会議員の会議において議決されましたものは、都道府県農業会議の決定となるものであります。 以上をもちましてこの法律案の提案理由の補足説明を終わります。
○内海委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。
○内海委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。片岡清一君。
○片岡委員 ただいま提案になりました農地関係三法について、自由民主党を代表いたしまして、数点の問題について大臣の御所見を伺いたいと存じます。 まず最初にお伺いしたいのは、この三法が今回提出せられたということは、大変大きなわが国の農政上の転機を画する一つの大きな事案であると存ずるのでありますが、この出されたことについて、今後農政の展開がどういうふうになっていくか、また、どういう決意のもとにお出しになったかをまずお聞きいたしたいのでございます。 わが国の農業は、今日までいろいろの困難を抱いておるわけでございます。この農地法というのは、講和条約が発効してわが国が農地解放をした、その後この農地解放の成果を維持し、そして農業の近代化の基盤をいよいよ固めていく、こういうところに一つの大きな存在意義があったと私は存じます。したがいまして、農地法が、自作農創設特別措置法、農地調整法及びポツダム政令を一本化して新しい農地法をつくったというところに大きな意義があったと存じます。 ところが、その後わが国の農業及び農業の環境をめぐる情勢が大変大きく変転してまいりました。かつて経済成長が高度に維持せられておったときには、農業の問題もいろいろ大きなひずみを持ってきまして、これを直すためには何としても農業の基本を正さなければならぬということで、農地法が制定せられた後、さらに昭和三十六年に農業基本法が制定せられたわけでございます。そして農業の、選択的拡大という方向に向かって大きく発足いたしたわけでございますが、その後事情が変わるに従って、農地法も昭和三十七年及び四十五年に改正され、その間四十四年には農振法ができております。そういうことで、だんだんいわゆる選択的拡大、すなわち農地の規模を拡大して、そうして生産性の高い農業をつくっていくという方向へだんだん進むようになったわけでございます。 そういう段階でわが国の農業は、一方において米の生産を初めその他の農産物の二、三のものが非常に過剰傾向にある。また一方、農地の基盤整備、そして農業の近代化に従いまして、農地の流動化を進めなければならない状況になりましたにもかかわりませず、なかなかそれが思うようにいかなかった。そしてさらに、かてて加えて日本農業が非常に基盤が狭い上で行われるという関係から、諸外国の大規模農業と太刀打ちのできない状況から、わが国内における食料品の価格等が消費者の割り高感に追いつかない、どうしても割り高感が高まっているという問題等が起こりまして、いろいろ重要な問題に逢着しておるわけでございますが、これからは、わが国の農業というものは、どうしても日本国内だけの問題でなしに、大きなグローバルな考え方のもとにやっていかなければならぬ転換期に来たと思います。同時に、やはり世界の農業と太刀打ちのできる農業に、足腰の強い農業に変えていかなければならぬ、こういうふうに思うわけでございます。 この農地法の今回の改正がどういうふうに作用し、そしてどういう展開を予想せられて御提出になったか、大臣の御所見を承りたいと存じます。
○武藤国務大臣 いま御指摘いただきましたように、いま日本の農業の置かれておる環境を見ますと、農地の流動化を促進し、生産性の高い農業をつくり、そしてそのために経営規模を拡大をしていく、こういうことが言われておりましても、そのように実際の状態はなかなかいっていないわけでございまして、それは一つに、やはり土地というものに対する考え方が、非常に地価が上がってきたということもあると思いますけれども、農業者を含め国民一般に、土地に対する資産としての評価が高くなってきたということが私は農地を含めてあると思うのでございます。これが農地の流動化をいろいろお願いをしておってもなかなかむずかしかった点ではなかろうかと思っておるわけでございます。 しかし、いずれにしても、いま御指摘のように、きのう御決議をいただきましたけれども、世界的に見まして食糧の需給関係というものが今後厳しいものになっていくということだけは間違いのない方向でございまして、そういう中でより国民の理解を得ながら日本の農業を盛んにし、それによってより多くの食糧を供給していただき、それによって日本の食糧の自給率あるいは自給度を高めていくというようなことをするためには、どうしてもより一層生産性の高い農業経営を中核といたしまして、農業生産の再編成を図っていくということをやっていかなければならないと思うのでございます。そのためには、従来ともに農用地利用増進事業などでいろいろとお願いをしてまいりましたけれども、この際、それをなお一層進める必要があるのではないか。しかも、一つの法制度を充実しながら、長期的に強力にそういう方向に進めていかなければならないのではなかろうか。 そうなりますと、いまの農用地利用増進事業を、いまは農振地域の農用地だけが対象になっているわけでございますので、もっと広い地域に拡大をして、そして強力に進めていただけるような方向に法整備をしていく必要があるのではなかろうか。また、農地法につきましても、従来からの農業者の安定と、それから農地が農業者以外の方に利用されるようなことのないように守っていかなければなりませんけれども、農業者同士で農地の流動化を図る上においては、きょうお願いをしておりますように、小作料の問題など多少ネックになっておるところもあるようでございますから、そういうことなどはぜひ改正をさせていただいて、そしていま申し上げたような方向に持っていきたい。そのためには、農業委員会のあり方などについても、今後はより強力なものになっていただき、そしてそこにそういう点で思い切ったお手伝いをしていただける権限を持っていったらどうだろうか、こういうのが、私どもが今回この三法をお願いした趣旨でございます。
○片岡委員 いま大臣からお話しのように、わが国の農業を取り巻く環境が非常に厳しいということはあらゆる機会に言われることでありまして、それと同時に、いまわが国の農民は、一体将来どうなるんだろうということに対して、非常な危惧を持っております。私は、これでは農業の進展もなかなか期せられないと思うわけでございます。 そこで、いま大臣の方でも農政審議会に、農業の将来に明るい展望を切り開き、国民の農業に対する期待にこたえていくための八〇年代のビジョンを明らかにする、こういうために審議会の検討を願っておられるようでございます。去年の暮れでございましたか、中間報告があったようでございますが、農民に本当に安心を与えるためにも、早く八〇年代のビジョンをしっかり打ち立てていただくということが大事だと私は思うわけでございます。私はできるだけ早くそれをやっていただきたいのですが、これの見通しが十分確定しない前に、今日、農業の大きな枠組みになる農地三法を改正されるということは、何か時期がちぐはぐになっているような気がいたすわけでございますが、どういう見通しのもとにお急ぎになったのか、その点について御見解を承りたいと思います。
○武藤国務大臣 いま農政審議会にお願いをいたしておりますのは、六十五年度を一応めどにいたしまして、今後の、いわゆる八〇年代の長期ビジョンを打ち立てていきたい、こういうことでお願いをいたしておるわけでございます。私どもといたしましては、従来からも努力をしてきたつもりでございますけれども、先ほど御指摘のように、米その他の農産物においては、需給関係が供給過剰という形で非常な過剰を抱えておるわけでございます。こういうようなことが今後は起きないような形にしていかなければならない、農業に一生懸命努力をしていただく農家の方が報われるような形にしていかなければいけないのではなかろうか。同時に、あわせて、先ほども申し上げましたけれども、より国民に理解をされるような形で農業者があっていただきたいということも当然かと私は思うのでございます。しかし、幾ら努力をしても、先ほど御指摘のように、外国のような広い耕地面積を日本で確保することは不可能でございます。しかし、不可能でございますけれども、より生産性の高い農業をつくるためには、特に土地利用型農業においてはある程度経営規模の拡大が必要でございまして、そういう意味において経営規模の拡大を図っていく。その経営規模の拡大を図っていく場合に、将来の長期ビジョンはどうするか、こういう形で、いま農政審議会でも御議論いただいておりますけれども、私どもは、その議論を踏まえて、そういう方向で将来の明るいビジョンをつくっていきたい。その農政審議会の御審議を大体この夏前ぐらいまでには終わっていただきたいと思っているわけでございますが、そういう中で出てくるときに、法的にそれを裏づけられるような、いわゆる経営規模の拡大を図っていけるような形に法的な整備をしていく必要があるのではなかろうか、こういうことで今回出させていただいたということでございますので、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○片岡委員 それでは、農政審議会の結論といいますか、それはいつごろまでに出るわけですか。いま秋口とおっしゃいましたが、大体そんなころでございますか。
○武藤国務大臣 何とかこの夏前ぐらい、五、六月と申しますか、その辺のところにおいて何とか農政審議会がある程度の結論を出していただければということでお願いをいたしておるわけでございます。
○片岡委員 ただいまお話しのように、今後の農業の体質改善ということが重要な課題であると存じます。高度経済の成長の過程でわが国の農業は、労働力、土地利用等の面で非常に脆弱化してまいったことは覆うべくもない事実でございますが、そして総合的な食糧自給力がそのために非常に低下したわけでございますが、こうして脆弱化いたしましたところのわが国の農業の体質をどうして強化していくかということが大変重要な問題でございます。その体質の強化を図るためには、生産、価格、構造、流通というような各般にわたる総合的な整合性のある政策を逐次展開していかなければならぬことは言うまでもないわけでございますが、とりわけ高度の農業経営をやるためには、これを持ちこたえていく農業生産の中核となる農業経営を育成していくことが、当面の非常に重大な問題だというふうに思うわけでございます。いまや農業経営は、構造改善を推進してどんどん機械化されております。ただ、機械化せられていったことはまことに結構でございますが、いずれも面積の非常に小さいところでそういうことが行われておるということでは、いわゆる機械貧乏というのがだんだん起こってまいりまして、せっかく農地は拡大せられて基盤はりっぱに整備せられたけれども、機械貧乏で困っておるという状況が出ております。したがいまして、これからはやはり中核農家を育成していく必要があると私は思うわけでございます。 今度のこの農地三法の改正も、そういう必要のために、そしてまた、いまお話にございましたように、従来その方向で進んできたけれども十分でなかったという御認識、反省の上に出されたものと考えるのでございますが、今後どのような方針でどのような施策を講じようとしていかれるのか、その点、所信をお漏らしいただきたいと存じます。
○武藤国務大臣 いま御指摘のとおりで、私どもは、どうしても生産性を高くしていく、それには経営規模の拡大を図って、中核農家を中心として農業が展開されていく、また地域の農業が組織化されていく、こういう形でいかなければならないという考え方でございます。 それに対しては、具体的には、いままでも地域農政特別対策事業をやってまいりましたし、また農用地利用増進事業もその中で行われておるわけでございますし、あるいは基盤整備に当たりましても、そういう考え方で私どもは構造政策を進めてきたわけでございます。今後ともそれはそれとしてより強力に進めながら、それと相まって、より経営規模の拡大がスムーズにいくためには今度のような法律改正が必要ではないか、こういうことであるわけでございまして、いろいろのいままでやってまいりましたこととそういうものとが総合的に運営をされることによって、所期の目的が達成されるのではなかろうかと私は考えておるわけでございます。
○片岡委員 いままでの施策でも相当農地の集積が進んでおるということは大変結構なことでございます。ところが、これからはやはりもっともっと、いまお話しのように、力を入れて中核の農業経営というものをやって進めていただかなければならぬわけでございますが、今回の法改正によって農地の流動化がどのように進むか、それはなかなか数字的に挙げるということは大変困難なことだとは存じますが、何か見当をつけておいでになるならば、数量的に一般的な見通しを、たとえば八〇年代、九〇年代それぞれの年代においてどれだけの見通しがあるか、その見通しをお聞きいたしたいと存じます。
○武藤国務大臣 私ども、今度の法律もあくまでも強制をするわけではございませんので、やはり法律が幾らこれででき上がりましても、農家の方の主体的なといいますか、自主的なお考え方がもちろん必要でございます。もちろん、法律においてできるだけそういうことを進めてまいりますけれども、やはり強制するわけにまいりませんので、いま御指摘のように、どのくらいのものが出てくるかということを具体的に示せということでございますけれども、これはなかなかむずかしいと思うのでございます。ただ、過去の農用地利用増進事業で出てまいりましたのは、二万四千ヘクタール一応出てきておるという数字があるわけでございます。やはりこういう形で法律をつくってどんどんいろいろな形でお願いしてまいりますれば、相当期待ができるのではなかろうか。特に、だんだん老齢化してきておるわけでございまして、中には後継者のいらっしゃらない農家もたくさんあるわけでございます。そういう農家においては、こういう制度ができてまいりますと非常に安心して、先ほどの話で、なかなか土地を売るというのは田舎の資産として持っていたいからいやだけれども、市町村なり農業委員会などが中へ入ってくれてこういう形で貸すことができるのであるならば、心配ないからひとつ貸そうじゃないかという農家は相当出てくるのではなかろうか、こういうふうに私は期待をいたしておるわけでございます。ちなみに、私の方での資料では、いわゆる世帯主が五十歳以上であって後継者のいない農家がどのくらいかと申しますと、これは古いのでございますが、五十年の農業センサスでは二百万戸、全農家の四一%でございます。その経営耕地面積が百三十二万ヘクタール、全耕地の約二八%、こういう形になっておるわけでございます。その辺が一つのめどではなかろうか。五十年で五十歳以上でございますから、現在でございますと、一番その中でも若い方でも五十五歳以上、こういうことになるわけでございまして、今後、たとえばその方が十年もいたしますと六十五なり七十におなりになるわけでございます。それで後継者がいないということになりますと、相当そういう農家ではこの制度を御活用いただけるようになるのではなかろうかというふうに、どのくらいかということはわかりませんけれども、その辺が一つの、何といいますか、この制度を御活用いただけるところは相当あるのではないか、こう私は思っておるわけでございます。
○片岡委員 そういうふうにできるだけ経営規模の拡大を図っていくということになるわけでございますが、そういたしますと、結局、中核農家に農地を提供してもらうことが大事なんですが、それは兼業農家であったり、いまお話しの後継ぎのいないような老齢農家といいますかお年寄りの農家、そういう方にだんだんこの土地集積の提供者となっていただくということになるわけでございますが、今日兼業農家が本当に、第一、第二兼業合わせますともう八〇%以上という状況でございますが、ただ、中核農家だけが農村を形成しておるということであっては、これはやはり農村がさびれていくもとになると思います。土地の集積、農地の集積を図ると同時に、やはりいままで農家で生活してきたこういう兼業農家、高齢農家も安んじて村におってもらうということの方が大事だと思うわけでございまして、いわば混住の状態における農村というものが、私は将来の望ましい姿であると存じます。農家と町といいますか、何か対立したような関係にならないように、やはり渾然一体になったそういう状態が今後つくられていくということが、私は、今後のふるさとづくりといいますか、望ましい農村をつくっていく一番大事な基盤であると存ずるのでございます。 ところが、この政策が余り強行せられ、強行といいますかだんだんそうなっていきますと、一部にこれは小農切り捨てになる可能性があるのじゃないかという論がささやかれておるし、そのことは確かに一つの問題点として残ると思います。私は、やはりどこまでも農村の方は、自分で農業経営をやらなくても、自分の家で食べる飯米なりあるいは野菜なりそういうものはできるだけ自分の土地でつくってもらって、そして農村に定住してもらうということが大変大事だというふうに考えるわけでございますが、これらの問題について、私は、やはり将来の日本の安定した社会生活圏であるところの農村というものを大事にしていくという意味から、これが非常に重要な配慮であろう、こういうように思うわけですが、これに対して大臣はどういうふうにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
○武藤国務大臣 いま御指摘いただきましたように、兼業農家の皆様方もそれぞれ飯米をつくったり野菜をつくったり、いろいろおやりになっておるところもあるわけでございます。私どもは決して兼業農家がいますぐやめてしまえというようなことを考えておるわけではございません。しかしながら、その所得の状態を見てまいりますと、専業農家で一生懸命いわゆる農業専業で御努力いただいても、兼業農家が農外所得として得ている金額よりも実は少ないわけでございます。そして、兼業農家の方は、農業の所得は非常に少なくて五十万そこそこで、いわゆる農業外の所得が三百六、七十万あります。そして専業農家は農業所得が三百二、三十万しかない、大体こんなような感じじゃないかと思うのでございます、年によって多少違いますけれども。そういうようなことも考え合わせてまいりますと、先ほど、たとえば私は一つの例として後継者のいない農家を例にとって、こういうところなんかはせいぜいひとつやっていただけるのではないかと申し上げましたが、たとえばそういう兼業農家においても、こちらからやりなさいというのじゃなくて、兼業農家の方で、先ほどお話のあったように、実際は農業を余りやらなくてもいいのだけれども、せっかく自分のところにたんぼがあるからやろう、そうすると、隣も機械を買ったらおれのところも機械を買おうということで、本当は三百六十五日のうち一週間かそこらしか使わない機械を買ってしまわれるというようなことも現実にあるわけでございまして、そういう農家の方は、何かいい制度ができたらひとつ、自分のたんぼについてはあくまで所有権は持つけれども、親しい人に、しかも農業委員会なり市町村が入ってくれれば貸していいやというようなこともあるかもしれないわけでございまして、こういうようなときはこれはせいぜいお願いをしたいという気持ちは私どもはあります。しかし、それはあくまで本人がそういうお気持ちになっていただくことが大切である。あわせて、しかしそういうときに、それによって収入が減るようなことになるといけませんので、私どもといたしましては、いまの定住圏構想を今後進めていく中にあっても、やはり農業と、農業以外の方も、あるいはそういう兼業農家の方も、本当に安定した社会をつくっていただく、混在した形で地域社会をしっかりつくり上げていかなければならないということで、いま農業生産の環境整備とあわせて農村の生活環境整備もぜひひとつ力を入れていきたいということで、いろいろと予算的にもそういうことを考えてやってきているわけでございますし、また、いろいろ制度もそういうことで、いままでもございましたし、今後も私どもはそういう方向により強く施策を進めてまいりたい。そして、みんなが本当に気持ちよく住める地域社会をつくっていくということが、私は農村にとって非常に大切ではないかと思っておりますので、そういうように努力をしてまいりたいと思っております。
○片岡委員 今回、農地法が一部改正になり、そして新しい方途として農用地利用増進の法律が別途つくられたわけでございます。先ほど申し上げましたように、農地法は自作農を維持していこうというのがたてまえでつくられたわけでございます。ところがいまや、先ほどからのお話のように、時代の変遷とともにこの農地法の性格が大分変わらざるを得ない、こういうことで幾変転を重ねてきたわけでございますが、今回のこの改正に当たって、農地法を全面改正しないで、農地法を残しながら新しい農用地の利用増進というところの立法をなさいましたそのいわれ、なぜ二本立てにしなければならなかったか、その点について大臣はどういうお考えをもってこの案に対されたのか、お伺いいたしたいと思います。
○武藤国務大臣 農地法というのは、個別の農地の権利移動、転用などを統制することによりまして、農地の効率的利用を図るということになっておるわけでございますが、特に私ども気をつけていかなければならないのは、農地が農業外の利用目的でやられるということになってはいけないわけで、その点がいままで農地法が果たしてきた一番大きな役割りではなかろうかと私は思っておるわけでございます。この点については、今後とも私どもはやはりしっかりと維持していかなければならないと考えておるわけでございます。 わが国農業の体質を強化しながら、しかし一方においては、先ほど来申し上げておりますように、総合的な食糧の自給力の向上を図っていかなければならない。そして、そのためには中核農家の育成、農業経営の規模拡大を図っていかなければならない。そして、地域農業の組織化、農業生産の再編成などを推進していくことが大変大切であるということも、これまた一方においてあるわけでございます。 そこで、農地法の規制を緩和するだけでは、なかなかその仕組みとして、農地を貸したら、返還を受けることに対して、いまの農地法の仕組みの中で農用地利用増進法案のような考え方を入れるについてはなかなかむずかしい問題もあるのではないか、こういうことを考えまして、あくまでそちらの貸し借りとかそういうことは、いま制度として農振法の中で農用地利用増進事業をやってきたわけでございますけれども、せっかくやってきたのが非常に定着をしつつありますので、こちらでひとつその面については思い切った法制をしていきたい。そして、農地法の関係については、しかしそういう制度を進めていく上においても、先ほど申し上げましたけれども、小作料の問題などでは少しやはり改正した方が、そういう新しい法律がより円滑に運営されていくのではなかろうかということで、農地法の方の規制はそういう点を主として改正し、非常に誤解のないような形にするためにはその方がいいのじゃなかろうか。いままで実際に農振法の中でやってこられた制度がだんだんお互いに理解されてきた。そして、だんだんそれによっての賃貸借が進んできておる。これをやはり法制として、その法制化したものがより円滑に進むために、農地法の方で多少問題になるところだけは直していく。しかし、農地法そのものはなるべく大きくは変えない方がいい。それはなぜかと言えば、先ほど申し上げたように、農地というものが農業以外に利用されることを抑えているという大きな目的があるわけでございまして、やはりこの目的を今後とも守っていかなければならない。そういうために、農地法を余り大きく改正してしまったのでは、かえってそういう点に今度は非常に悪い方にそれがいく場合もあり得ると思いますので、農地法の方はやはり最小限の規制緩和ということにしていった方がいいのじゃないか、こういうことでやったということを御理解いただければ幸いかと思うわけでございます。
○片岡委員 今回の法案の利用権設定等促進事業は、この事業の対象となる土地が非常に広くとられるようになったことは一つの大きな進展であろうかと存じます。すなわち、いままでのような水田を主としたところのみならず、今度は、混牧林地であるとか、そしてこれを開発して農用地とすることが適当なような土地を加えているのでありますが、これは農用地の外延的拡大という意味を持っておるので非常に重要な意味合いを持っておると思います。こういうことが、ただいま大臣がおっしゃったように一本でいかない一つの構想であったかと思います。 この場合に、国有林野の面積がかなり多い地域では、この事業の推進に合わせて農業振興のための国有林野の積極的な活用を図っていくことが必要であると考えるのでありますが、これは非常に大きな基本的な問題でございますので、大臣から御所見を承れればありがたいと思います。
○武藤国務大臣 いま御指摘のように、国有林野の活用につきましては、これまでも国有林野の活用に関する法律に基づきまして、農林業を初めとして地元の産業の振興とか地元住民の福祉の向上とかいうためには、国有林野の管理、経営との調整は図ってまいりましたけれども、そういうときには積極的に協力してきたつもりでございます。今後、この国有林野の面積がかなり大きい地域で農用地を開発していく、特にすそ野なんかでそういうことが起きてくると思うのでございます。そういう点においては、農業振興のための活用については、できるだけ地元の要望などを踏まえまして、一層円滑な形でそれが行われるように協力してまいりたい、こう考えております。
○片岡委員 これから農用地の流動化を促進する上において、やはり積極的に働きかけていく一つの大きな機関というものが大事だと私は思うのでございますが、そのためには、従来農地行政の末端で大きな役割りを演じておられた農業委員会系統の果たす役割りというものが非常に重要になってくると存じます。この観点から、今回の農地法制の改善整備に当たって、農業委員会がどういう位置づけになるのか、これをひとつ率直にお聞かせを願いたいと思います。 この農業委員会の果たす役目について、一部いろいろ、農協とかあるいは市町村当局とかの間にいろいろの調整に困難な問題もあったようでございますが、これらの問題はうまく調整ができていけるのかどうか、そういう点に対する一つの御所見また配慮された点等についてお聞かせいただければありがたいと思います。
○武藤国務大臣 従来から、農用地利用増進事業のときにも大変農業委員会に御協力をいただいてきたわけでございますが、特に今回の法律改正に当たりましては、法律において農業委員会に許可権限を与えるわけでございまして、これはやはり従来の実績を踏まえ、より一層農業委員会にひとつしっかりやっていただくのがいいのではないかということで、そういう考え方に基づいておるわけでございます。 ただ、そのためには、農業委員会により責任があるわけでございますが、ひとつ責任があることを強く感じていただきましてしっかりした運営をやっていただかないと、権限は委譲したわ、それがうまくいかなかったでは、これは大変困るわけでございまして、そういう面においては、今度農業委員会法の改正に当たりましては、農業委員会のあり方というものについてはひとつ本当にしっかりしたものになっていただきたい。また、市町村なり農協との関係においてもより円滑な形になるように、そういう点ではいろいろと私どもの面でも行政指導その他で配慮していかなければならないことだと思いますけれども、とにかくしっかりした農業委員会により一層なっていただき、そしてまた、他の農業団体との間においてもこれはやはりうまく、今度の法律には出ておりませんけれども、当然農協あたりの御協力がなければ私は円滑にこの事業は進まない、幾ら法律ができても円滑に進まない、こう思っておりますので、その辺の点も十分私どもはいろいろと行政指導をさせていただかなければならない、こう考えておるわけでございます。
○片岡委員 私も、ほんのしばらくでございましたが、小さな市の市長をやらしていただきました。そのときから、農業委員会というのをもっともっとうまく使わないと、もう本当にあってなきがごとき存在であるというふうに非常に残念に思っておったのですが、今回のこの農用地利用増進の法律の成立に伴って、これは農業委員会というのは、いま大臣がおっしゃったように、相当しっかり働いてもらわなければならぬと思います。ですから、私は、そういう意味においても農業委員会の今後の存在意義というものは非常に大きくなってきたと思うわけでございます。つきましては、やはりこれが活動できるようにするためには、相当の予算の裏づけがないとなかなか動けないと思います。いまこれが各市町村の負担になっておることが多いわけでございまして、これはやはり国としても相当めんどうを見なければなかなかうまく動かないのじゃないかというふうに思うわけでございますが、そういう問題について将来何か考えていただいているのかどうか、ちょっとお漏らしいただければありがたいと思います。
○松浦(昭)政府委員 先生御指摘のとおり、農業委員会が今回の農地制度関係の法案の改正によりまして非常に重要な任務を持つわけでございまして、さような意味で、今後とも私どもはその事務執行の体制というものを整備してまいらなければならないというふうに考えまして、農業委員会につきましてもその体制の整備のための改正案を用意したわけでございますが、また、その事務執行に当たりましては当然予算を伴うことはおっしゃられるとおりでございまして、私どもは、現在農業委員会の関係で百五十億の予算をもちましてその組織を整備してまいったわけでございますが、なおこの農用地利用増進関係の事業そのものにつきましても、また特別の予算が構造改善局の方で組んでございますので、さような予算とあわせまして、今後の事務執行体制に遺憾なきを期したいというふうに考えておる次第でございます。
○片岡委員 いまは農業委員会との関係でございますが、私は、やはりこの法律の施行については、趣旨説明の中にもございましたように、農協との間も大変重要な関係が出てくると思います。 この農協系統において、昨年の十月の「一九八〇年代日本農業の課題と農協の対策」という決議案の中で、「系統農協は農用地の集団的利用を促進する中で、地域における農地利用権の集積をつくり出してゆくという課題に取り組んでゆかなければならない。」こういうふうに述べておるのですが、農業委員会との調整の問題、新しいこの農用地利用増進事業の推進体として農協がどういう位置づけをもって進んでいくのか、それについて御意見を承りたいと思います。
○武藤国務大臣 先ほどもちょっと触れましたが、いまお読みをいただきましたように、農協で出しております八〇年代における農業の課題と農協の対策、この中にも、地域農業の組織化を通ずる農業の発展についてということで、積極的にそれに取り組むことを明らかにして、おりますし、また、農用地の集積化ということもうたわれておるわけでございまして、そういう面においては私どもの考え方と農協の考え方は一致しておるのではなかろうかと私は考えておるわけでございます。 そういう面において、農協のより一層の御協力ということが、私どもの法制度が今後円滑に運用されていく上においては大変大切であろうと思っておるわけでございまして、具体的には、実際この制度の運用に当たりましては、市町村段階、また都道府県段階で、それぞれ行政機関、農協などで構成する、事業推進上の協議の場と申しますか、協議会みたいなものを一つつくるということも考えております。 それから、農用地利用増進事業において農用地利用規程について市町村がそれを認定する場合、そのときには農協の意見を聞く、こういうこともひとつこれはきちんと政令か何かで決めさせていただいて、農協の意見を聞かなければいけないような仕組みを考えていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○片岡委員 何かそういう連絡会議みたいなものをおつくりになって、それぞれの分野において適切な働きをしていかせるように指導していくということは大変私は大事だと思いますので、この点を私は、特に、やはりお互いに権限争いをしたり、あるいはまた消極的な権限争いで、おれはそんなことは知らぬということになってうまく進まないという場合もあるわけでございますから、それらの点はできるだけお互いに助け合っていくように、いま大臣がおっしゃったように、ぜひうまく運営されていくことを切望しておく次第であります。 それから、税法の問題でございますけれども、本法に関連する税制改革については、五十六年度にこれはぜひひとつ税制改革の問題を持ち出していただかなければならぬと存じますが、どのような内容を考えておいでになりますか。 特に私は要望したい点は、流動化を促進する観点から、貸付地について相続税の納税猶予制度、これが猶予制度の対象としてひとつ貸し付けする場合でも適用になるように、ぜひこれは税制改革をしていただくようにお骨折りを願いたい、かように思うわけでございますが、これについての大臣の御所見はいかがでございましょうか。
○武藤国務大臣 いま税制では、農地の相続の場合には、それをいわゆる後継者と申しますか直接耕作をやっていただいている方に対しては、生前贈与それから相続との関係で、結果的には税がほとんどかからないような仕組みになっているわけでございます。いま御指摘の点は、そういうものを貸した場合も相続の減免措置の対象になるようにしろ、こういう御指摘かと思うのでございますけれども、できるだけひとつ努力をしてまいりたいと思います。 いずれにしても、五十五年度の税制改正はもう終わってしまったわけでございますので、五十六年度以降の税制改正の中でそういうものが取り入れられるように極力努力をしてまいりたいと思いますし、また、利用権を設定してやった事業について農地を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除、それから登録免許税、不動産取得税というような特例措置、こういうようなものについてもあわせてひとつ検討し、そして税務当局とよく事前に相談をしながら、五十六年度の税制改正のときには何らかの形で実現を見るような方向に努力をしてまいりたいと考えております。
○片岡委員 次に、この農地法の改正に関連いたしまして、小作料の問題についてお伺いしたいわけでございます。 まずお伺いしたいのは、最近におきます小作料の水準の実態がどうなっておるか、小作料の支払いの実態がどうなっておるか、これをまずお聞きしたいことと、第二には、このような小作料は最近定額金納制というものから実物で支払うというような制度がだんだん際立っておるようですが、今回のこの法改正によって定額金納制の廃止を含んでおるわけですが、小作料行政についてどのような観点に立ってこのような指導を行うお考えであるか。どうもだんだん物納主義になりますと、昔の地主に対する小作料みたいなかっこうになって、何か昔の地主対小作みたいな関係が出てくるのではないかということも、大分事情が違うわけですけれども、そういう点からもちょっと危惧せられるわけですが、これらの問題について御所見を承りたいと思います。
○武藤国務大臣 実態につきましては局長からひとつ御答弁をさせていただきますが、いまの物納の問題に絡んで、何か昔のいわゆる地主と小作というような関係がひょっとして起こるのではないかという御心配でございますけれども、今度の制度ではそういうことは絶対にあり得ない、またそういうことをしてはいけない、こういう気持ちで私どもは法律をつくったつもりでございます。特に、昔はいわゆる縦の関係で地主、小作があったのでございますけれども、いまは同じ農業者同士の横の関係ではないか。仲間同士がお互いに貸し借りをする。たまたまそのときに、いまは農地法で金銭と決められておりますが、金をもらうよりもおれのところは米の方がいいのだよということで米をもらう、仲間同士の話し合いでそれは起こることでございますから、私は、決して縦の関係というのはいまのような状態で起こることはあり得ないし、またそういうことは起こしてはいけない。あくまで横の関係、仲間同士の間で貸し借りをする。ただ、そのときに市町村なり農業委員会が中へ入るというのは、まあまあ幾ら仲間同士であっても、しかしいろいろ問題が起きて、いや、おれはもう返すのはいやだということがあってはならないということでそういう公的な機関が入るということでございまして、あくまでも小作料の問題についてはそういう仲間同士で話し合って進めていく、そういう中にあっては、金よりも物の方がいいのじゃないかというのもやはり一応法律で認めておいたらいいのじゃなかろうか。しかし、何も米でなければいけないというわけじゃないわけでございまして、お互いの話し合いでできるわけでございますので、そういう仕組みも考えておいたらどうかということで、決して私ども、昔の地主、小作というような関係だけはどんなことがあっても阻止をしなければならぬ、これはしっかり考えておるつもりでございます。
○杉山(克)政府委員 小作料の実態でございますが、まず水準について申し上げますと、これは賃借権がいつ設定されたかということによって時期による差もかなり大きゅうございますし、それから地域によっても差がございます。米生産費調査の五十三年における実勢小作料は、これは全国平均で十アール当たり三万二百五円ということで、対前年比六%の上昇になっております。なお、標準小作料は全国平均では二万四千六百二十一円ということでございます。 それから、これは全国農業会議所の五十二年調査の数字でございますが、水田の小作料は十アール当たり平均二万二千百五十四円、ところがこの内訳を見てまいりますと、農地改革前からの借入地では九千八百十四円、それから比較的最近、昭和四十六年以降の借入地では三万一千七百二十九円と、約三倍くらいの開きが見られる状況になっております。 それから、小作料の支払い形態でございますが、これも全国農業会議所の調査でございますが、物納だけの場合の小作料の割合、これは全国平均では二五%ということになっております。ただ、最近におきましては、自家飯米等について物納の要請が強まっているというような情勢も反映されまして、借入年次の新しいものほどその割合が高いということになっております。四十六年以降の借入地について見ますと、物納によるものは四一%になっているというような状況でございます。
○片岡委員 もう時間が大分参りましたので、最後に、農業後継者対策についてお聞きいたしたいわけでございます。 農業後継者の育成は今後の農政推進上の一番大事な問題であると存じます。この場合、農業後継者対策は、これは農家の子弟ばかりでなしに、非農家の子弟を含む施策を講ずる必要があると存ずるのでございます。それは、これからの農業というのは単なる見よう見まねのいままでの農業でなしに、これからはやはり消費者が何を望んでおるかというようなことを考えながら、そういう情報にも非常に鋭敏にこたえられるような農業生産、そしてそれが企業として成り立つようにあらゆる面から検討をしながら進んでいかなければならない。高度の生産性、経営性を持った農業経営になっていくというふうに私は思うわけでございます。したがいまして、後継者の育成ということは非常に大事になります。そういう観点から、今度農業生産法人の業務執行役員の要件を緩和せられたことは、これは私は大変評価できる一つの進展であろうかと存ずるわけでありますが、農地制度を含めまして農業後継者対策の拡充強化の方向について、ひとつ御所見を承りたいと存じます。
○武藤国務大臣 農業が今後より発展をしていくためには後継者の育成がもう絶対に必要条件でございます。 そこで、後継者を育成していくにはどうしたらいいかということは、やはりまず農業をやろうという気持ちを起こさせるような農業にしていかなければならぬというのが一つだと思います。もう一つは、いまも御指摘ございましたが、農業だけじゃなくて農業以外の人も含めた混在社会、その混住社会の農村社会がすばらしい地域社会になっていくということもこれはやはり必要なことではなかろうかと私は思います。そういう面において今後より進めていかなければならないのは、地域の農業を振興する、あるいは農業生産基盤を充実することが必要だろうと思いますが、それに加えて、農村の生活環境の整備をより充実していくことも私は必要ではなかろうかと思っております。そして、いま評価をいただきましたけれども、仕組みの中で、自分の土地がなければ農業がやれないだけじゃなくて、みんなで集まって農業法人をやろうとしたときに、自分の土地がなくても部の人がだれか持っていればやれるような仕組みにしていけば、そこでみんなが共同して農業をやろうというようなことにもなるわけでございまして、そういう点では、今度のこれも評価をしていただけるものと私は思っております。 それにあわせて、従来もやってまいりましたが、いろいろ研修をして、いまの話で、農業だけでなくて広い視野で物を見られるような農業者を将来は育てていかなければならないと思いますし、また、その地域地域の農業のリーダーをつくっていく必要もあるだろうと思いますし、私ども、いまいろいろとそういう制度、また予算を用意してやっておりますので、こういう面もより充実をして、りっぱな後継者をつくっていくように努力していきたいと考えておるわけでございます。
○片岡委員 最後にと言ってまた恐縮ですが、これはほんの一言でいいのですが、農業基本法でございますが、農業基本法は、高度成長のときに農業と他産業との格差が非常に開いたから、これを上げていくための大きな基本になる法律だったと私は思います。ところが、いま大分事情が変わってきまして、むしろ中小企業よりあるいは勤労者階級より農業者のかなりが所得がふえてきた。こういう段階において、何か時代が変わったような気がいたすのですが、農業基本法を改正される意思があるのかないのか、どういう見通しであるか、そういうことを最後にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○武藤国務大臣 ときたまこの御意見は、前に稲富先生からおっしゃられたのではないかと思いますが、私はあちらこちらでそういう御質問をいただくわけでございますけれども、農業基本法そのものをいますぐ改正する気持ちは持っておりません。 しかし、農業の実態に合わせて、本当にどうあるべきかということは、常に研究をしていかなければならぬし、検討をしていかなければならないわけでございまして、将来これも改正しなければならないというときがあれば、これは改正しなければならぬと思いますが、いま現時点においては、まだ必ずここで改正しなければ全く現実と遊離しておるとは私どもは考えていないわけでございまして、多少問題点があることは承知しておりますけれども、いまのところ改正するという気持ちは持っておりません。
○片岡委員 終わります。(拍手)
○内海委員長 角屋堅次郎君。
○角屋委員 いよいよ本日から、当委員会としてはすでに三法律案を処理してまいりましたが、これから審議に入ります農地法の一部改正法案、農用地利用増進法案、農業委員会等に関する法律等の一部を改正する法律案、これは農地法制上きわめて重要な法案でございまして、もともとわれわれとしては、本会議の提案、質疑を経て本委員会の審議を開始するという方針であったわけでございますけれども、諸般の経緯がございまして、ダイレクトに委員会審議に入ることに相なりました。 これを受けて、まず私から、日本社会党を代表いたしまして、総論的な問題あるいは若干の各論的な問題について御質問を申し上げたいと思うわけでございます。 わが党は九人全員この法律案については質問に立つことを予定しておるわけでございますが、私、国会に二十二年、主として本委員会に籍を置いておりまして、従来からの国会における審議の経緯あるいは直接審議に参加をしてきたこと等もあります。そこで、概論的に私から触れて、自後同僚議員によってさらに問題点を詰めてもらうというふうにいたしたいと考えておりますし、私の希望としては、重要な最終段階においては、農業基本法のときはそうであったように、特に大平総理大臣等の出席も求めて議論する必要もあるのじゃないか。 これは、御案内のとおり昨日本会議におきまして、「食糧自給力強化に関する決議」というのが内海農林水産委員長から御提案がございまして、与野党満場一致で可決をされるという歴史的な経過も新たに加わっておるわけでございます。ちょうど私が昭和三十三年の五月に初当選をして、七月に衆議院本会議において「災害等による農業窮状打開に関する決議」が満場一致で可決決定されて、そういう意味では、今度の農政に関する本会議決議は二十二年ぶりの決議に相なっておることは御案内のとおりでございます。 もともと「食糧自給力強化に関する決議」は、われわれの方が休会明けの国会において、八〇年代のスタートに当たり、ぜひ与野党の英知を集めてこの決議を実現いたしたいということで提唱したわけでございます。この点について、各党の国対関係、特に本委員会の理事を初め各位の大変な御協力によって本決議が実現をしたことは大変喜ばしいことだと思います。しかし、これは単に決議に終わるのではなしに、やはり八〇年代以降のわが国の農政の基本的な重要項目である食糧自給力強化について院の決議がなされたことを受けて、農林水産大臣を初め農林水産省としても、こういう基本的な立場からこれからの農政に取り組むことが当然要請されておると思うのであります。 これらの点について、本会議でも武藤農林水産大臣から決意の表明がありましたけれども、改めて本決議に基づいてこれからの農林水産行政をどうやっていく決意であるかといった点について、表明を願いたいと思います。
○武藤国務大臣 昨日本会議で、食糧の自給度を高めるための決議をああいう形でしていただいたということに対しましては、私ども率直にそれを受けとめ、これは真剣に取り組んでいかなければならないと考えております。それは御決議の中にも御指摘をいただいておりますように、国際的に見て長期的な食糧の需給関係が非常にタイトになっていくことは明らかでございまして、私ども、日本の国民の皆様方に将来食糧で心配をかけるようなことのないような方向に持っていかなければならぬことは当然でございまして、そういった面で御趣旨を体しまして、きのうもお答えをいたしましたように、本当に真剣にこの問題に取り組んでまいり、できる限り、今後いままで以上に食糧の自給度の向上のために私どもはあらゆる施策を尽くして努力をしていかなければならないと考えておるわけでございます。
○角屋委員 いま農林水産関係では、国際的な関連で考えてまいりますと、一つは漁業関係で、日ソのサケ・マス漁業交渉が開始されておるわけであります。これは、具体的なこれからの問題については本委員会で一般質問等を通じてなされることと思います。しかし、本年度の場合は、特にソ連のアフガン問題等と関連をして、これからの日ソ漁業交渉については先行き懸念をされるというふうな判断も部にあるわけでございますけれども、これらの問題については、日本の国際漁業の既存実績を確保していくという立場から、大臣を初め強力に今後努力を続けて成果を生むようにしてもらわなければならぬと思います。同時に、残念ながら日本が、食糧自給率の点では年々低下する中で、特にアメリカからの食糧輸入に依存することが非常に多いわけでございますけれども、一両日中にアメリカからハサウェー農務次官が日本に参りまして、わが国の米の外国への輸出問題等も含めてこれらの問題で協議をするというふうなことを承知しておるわけであります。 本来、経済の国際化に伴いまして、日本の農林水産業を考える場合も、国内的な内部問題、国際的な問題、特に国際的な問題については関係農林漁業者の立場に立ち、国益を考え、日本の実態に即して主体的に問題をさばくことが必要だと考えるわけでありますけれども、これらの二点の問題について、武藤大臣から見解を聞いておきたいと思います。
○武藤国務大臣 まず、日ソの問題についてお答えをさせていただきます。 昨年暮れの日ソ漁業委員会におきましても、ことしはマスの不漁年であるということ、またソ連側からは、サケの資源状況についても非常に悪い状況である、こういうことが指摘をされておったわけでございます。もちろん私ども日本側といたしましては、マスの不漁年であるということはともかくといたしまして、サケの資源問題については必ずしも合意をしていないわけでございますが、いずれにしてもそういうことが指摘をされておりまして、それを受けて、先生御承知のとおり、先方からは三万五千トンという提示がなされたわけでございます。私どもといたしましては、いま申し上げましたように必ずしもソ連側と見解を同じくしておるわけではございませんので、四万五千トンで、それだけは日本側がとっても決して迷惑をかけないということで、四万五千トンという提示をいたしたわけでございます。 その後の経過につきましては、どうも残念ながら、お互いの四万五千トンと三万五千トンで対立をしたままの状態でございまして、現実においてはある程度膠着状態ということでございますので、改めて明日水産庁長官をソ連へ派遣をいたしまして、いまの膠着状態になっておるものを打開をしたい、こういう気持ちでおるわけでございます。先方からはとにかく十四日までに何とか解決をしようではないか、合意を見ようではないか、こういう提案もなされておるわけでございまして、私どもはいい方向で合意がなされるならば大変結構なことでございますので、水産庁長官を急遽派遣をすることにいたしたわけでございます。いずれにいたしましても、いま御指摘のように、国益を守るという観点から、日本の伝統ある北方のサケ・マス漁業をひとつ今後とも維持安定を図っていくという方向で守っていくために、私どもは全力を挙げて努力をしたいと考えておるわけでございます。 それから、十、十一日とハサウェー農務次官が参りまして、私どもの澤邊次官との間で交渉を行うものは、いま御指摘のとおり、日本の過剰になっております米の対外輸出についての問題でございます。これについては、私どもはFAOの農産物過剰処理原則に基づきまして、従来からもあくまで日本の米を輸入したいという希望が出てまいりました場合に限って行っておるわけでございますし、そのときも、伝統ある輸出国であるアメリカあるいはタイと協議をして進めてきておるわけでございます。 ただ、日本側の言い分からすれば、約六百五十万トンという在庫を抱えておるために、これが食管の赤字に非常に大きな影響を与えておることも事実でございますし、何とかこういう状態を早く打開することが食管の健全な運営にも必要である、こう考えております。その処理については、工業用、輸出用あるいは飼料用、三つの分野に分けて考えておるわけでございますが、正直、飼料用と比べれば輸出用は値段的にも相当いいわけでございます。もちろん、なかなか大きな財政負担が要るわけでございますけれども、開発途上国その他でお困りになっておるところが喜んで引き受けたいとおっしゃるのならば、これは国際協調という面においても大変いいことであるので、なるべくそういうところへは出した方がいい、私どもはこう考えておるわけでございまして、今後ともそういう方向で努力をしたいと思っておりますが、アメリカ側からは、それがアメリカからの米の輸出に非常に大きな影響を与えておるということを言ってきておるわけでございます。しかし、よく考えてみると、私どもは今後四年間で大体処理を終わるという考え方でございますから、五年先はもうアメリカの市場になるわけでございますし、日本の米がそれだけ多く出ることは、結果的には、将来、五年先以降においてはアメリカの米の輸出の増加にもつながることでもございますし、また、日本側は、そういうことであくまで一時的な処理であり、国内のこういう問題とそれからいまの国際協調という観点から、相手が強く求められるものだけ出すのであるから、決してアメリカの米の輸出に大きな影響を与えるものではない、こういうことで、私どもの主張をいまも続けておるわけでございますが、十、十一日の会議には、そういう従来の私どもの主張をアメリカ側により理解してもらおうということで臨んでまいりたいと思っておるわけでございます。
○角屋委員 いずれにしても、わが国の農林漁業の発展を考える場合には、経済の国際化の中で、東京ラウンドの問題にいたしましても、あるいは最近時のいま言った二つの問題にいたしましても、これらの問題をやはりわが国の立場でみごとにさばいていくということが重要なことであるので、特に取り上げたわけでございます。 きのうの本会議決議に関連してさらに一、二点お伺いをいたしたいと思いますが、大臣も御承知のとおり、日本の食糧自給率、特に穀物自給率は低下の傾向にあって、五十三年には三四%というところまで落ち込んでおるわけであります。先進諸国の穀物自給率を見ますと、アメリカは一〇〇%以上、非常に大きいわけでございますが、フランス一五二%、西ドイツ八〇%、イギリス六四%、イタリア七〇%、いずれも六〇%以上先進諸国は穀物自給率を持っておるわけであります。わが党におきましても、早い機会に穀物自給率を六〇%台に載せる必要があるというふうに考えておるわけであります。本決議の実現を機会にこれらの問題をどういうふうに受けとめていくかという問題さらに、先ほど片岡委員のお話の中に出ました、いま農政審議会を中心に議論をしております「農産物の需要と生産の長期見通し」の改定において、自給率の強化という問題にどのように対応していこうとしているのか、こういった点について簡潔にお答えを願っておきたいと思います。
○武藤国務大臣 御指摘のとおり、いま農政審議会で六十五年度の長期見通しということで御議論いただいておるわけでございます。 私どもの考え方といたしましては、やはりあのソ連のアフガニスタン侵攻に伴うアメリカの対ソ連穀物輸出停止というような観点からも、今後、日本の国内で生産のできるものは極力国内で賄っていく、こういう考え方をより強めていかなければならないと思っておるわけでございます。そのためにも、農業生産の再編成と規模の拡大を考えて生産性を高めていかなければならぬと考えておるわけでございます。いま六〇%という御指摘でございますけれども、一番問題はやはり飼料穀物でございまして、飼料穀物をいまほとんど外国に依存いたしておるわけでございます。これはトン当たり三万円という大変安い価格で日本に入れられるわけでございまして、日本でやればどうしても相当高くなるわけでございます。そこで、畜産関係が、日本のそういう高い穀物、国内でできるものを使ってでもその方がいいということで国民のコンセンサスが得られれば、私どもまた考え方を変えることはできるのでございますけれども、畜産農家を含めて、それじゃこれから相当高いえさを使わなければならないということについては、なかなかそこまで合意が得られないのではなかろうか、こういうふうに私どもは判断をいたしておりまして、そういう点で、飼料穀物だけは今後とも相当輸入に依存せざるを得ないのではなかろうか。しかし、その他の、主食用の食糧あるいは野菜、果実といったようなものについては、できるだけ国内で賄えるような形に持っていきたいという努力をしたいということでございまして、この間第一次試算を一応出しておりますけれども、この第一次試算についても、これをより自給力の高い形に持っていくことができるならば、それは大変いいことであろうということで議論をいたしておるわけでございまして、飼料穀物を除けば極力自給度を高めていきたい。飼料穀物については、国民的なコンセンサスが得られれば別でございますけれども、得られない限りはこれだけはどうしてもやむを得ないのではないか、こういう判断をしておるわけでございます。
○角屋委員 穀物自給率についてえさ問題に大臣触れられましたけれども、これはわが党として国会の方には五十年に引き続いてえさ二法を提案しておるわけでありまして、いずれ本委員会で提案理由の説明もいたしたいと考えておりますけれども、それらも含めて真剣に対応していくことが長期展望では必要であると考えております。 いずれにしても、食糧自給率の向上を考える場合には相当な財政支出を当然覚悟しなければなりません。今回出されております三法の関係は、基本的には構造政策にかかわる問題が多いわけでありますけれども、構造政策というものが従来なぜ進まなかったのか。また、これを進めていく場合にどういうことを基本的に考えるべきだという場合には、農業内部の問題もございます、農業外の問題もございます。農業内部の問題としては、農業生産あるいは農産物価格、各般にわたる農業施策というものが、安んじて農業をやっていけるような体制というものと密着をしなければならぬということがございましょう。また、農業外の条件からいえば、申し上げるまでなく、地価の高騰問題といったようなことが続く限りにおいては、いわゆる農地を買うてみずからの経営規模を拡大するということは非常に至難である、また一方耕地を持っている方においても財産保持的傾向にどうしてもなるといったようなことで、構造政策というものがなかなか所期のように進展しないという問題がございます。こういった問題と、さらに、たとえば農地を貸すなり売るなりする場合に、それじゃどこへ雇用の場を求めるかという問題、あるいは農業者年金等も含めた社会保障政策といったような外縁的な環境が整備されてこないと、農業政策の問題にしても、構造政策の問題にしても、推進をしていくことについてなかなか障害条件が多くなるということだと思うのであります。 こういった農業生産あるいは農産物価格、あるいはまた外的条件の障害、これは本来は、きょうの質問に当たっては、国土庁であるとか経済企画庁であるとか建設省であるとか大蔵の関係等、関係者を呼んで総合的にやるということが望ましいわけでありましょうけれども、いずれ同僚議員がそれぞれの立場でそういうことも含めてやられるということを念頭に、きょうは武藤大臣自身にお伺いをしたいと思うわけでありますが、これらの問題に対してどう考えられるか、お答えを願いたいと思います。
○武藤国務大臣 いま御指摘のとおりでございまして、私どもがやはり今後食糧の総合自給力の向上を図っていくためには、やはり農業に希望を持って農家が取り組んでいただけるような方向に持っていかなければならないのは当然でございます。 ただ、問題は、そうは言うものの、それじゃ幾ら高くてもいいかとなりますと、これはなかなかむずかしいことが価格問題で出てくるわけでございまして、できれば生産性を高めていただく、そのためには経営規模の拡大を図っていただく、また、やはり需要に見合った農業生産の再編成を進めていただく、こういうことも必要であろうかと思っておるわけでございます。そして、そういうように持っていくためには、いままでよりもより間違いのないような長期的な需給見通しをひとつつくっていかなければならないということがまず第一であろうと思います。それから、第二には、その見通しに向かって、いま申し上げましたように経営規模の拡大を図って、そして生産性の高い形で生産をしていただく。それから、それに対して、しかし、農家の所得は当然安定しなければ農家はやれるわけではございませんので、そういう面においては価格政策も十分考えていかなければならないだろうと思います。 また、やはりこれからの時代を考えれば、農業に従事する方も生活環境と申しますか、あるいはそれぞれの住んでおる社会と申しますか、そういうのがすばらしい社会になり、生活環境もいい、こういうことにならなければ、なかなか農業にも取り組めないということであろうと思いますので、そういう面においては、生活環境あるいは地域社会の充実整備ということもやっていかなければならないと思いますし、また、せっかく生産者が努力をしてつくっていただいたものが消費者の手元に渡るときには大変高いものになっておるというようなことではいけませんので、流通、加工の面においてもっと近代化を強力に進めていかなければならないことも当然かと思います。また、たとえば小麦などでもそういうことが言えると思いますが、小麦の品種改良は多少おくれておるように私は思いますので、こういうものなどについても、やはり日本の国土に適した、いわゆる雨期を外せるようなそういう麦の品種改良というようなものにはやはり取り組んでいく必要があるのではなかろうか。こういうものを総合的にそれぞれやっていくときに、結果的に食糧の自給力も高まっていくのではないか、こう私は考えておるわけでございます。
○角屋委員 ヨーロッパであれ、日本であれ、いわゆる構造政策というものを進める場合には、既存の耕地の内部においてだけ構造政策をいかにするかということ、これはおのずから限界があるわけでございます。先進諸国でもとっておるように、やはり構造政策を進めるためには、耕地の外延的拡大ということを当然考えて、相並行して構造政策を進めるということでなければならないわけであります。 御案内のとおり、後ほど触れますけれども、いわゆる戦後の農地改革、第一次、第二次、特に第二次においては、未懇地の農地の造成というふうな問題で百万ヘクタールぐらいを目標にして、外地からの引き揚げあるいは戦災によるところのいろいろな諸条件の中で、とりあえず食糧の確保と就業の場を求めるといったようなことを緊急開拓政策として推進をしてきた経緯がございます。 〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕 今日のようなある程度落ちついた経済環境の中で構造政策を進めるとすれば、限定された既存の耕地の中で一体どうするかということでは、これはなかなかむずかしいわけでございまして、どうしても耕地の外延的拡大ということと相並行し、このことは食糧自給の確立の目標をどう置くかとも関連をする問題でありますけれども、そういうことをやはり前提にしなければならない。 そこで、私は土地基盤整備の問題についても数点触れたいと思うわけでありますけれども、御案内のとおり、土地改良法によって土地改良長期計画というのが立てられる。四十一年策定の第一次計画、これが四十年以降十カ年、それに引き続いて四十八年から現行の計画、四十八年以降十カ年というのが定められておるわけでありますが、この実績や達成の見通し等の問題も聞きたいわけでありますけれども、同時に土地改良長期計画の推進の過程で、水田利用再編対策の実施問題、あるいはまた農政の見直し等の問題といったようなことで、土地改良事業を進める基礎的な前提条件というものに変化が生じてきておるわけであります。であるとするならば、現行の土地改良長期計画というものを改定をするという必要性も生まれておると思うのであります。 さらに、土地改良の基盤整備事業を考えてまいりますと、戦後だけを見ましても、御承知のように、戦後は食糧増産一本やりという形が基本でありました。それから、その後において機械化の導入によるところの基盤整備との関連問題、あるいは水田中心で畑作が軽視されておるということで畑作も重要視しなければならぬといったような問題、あるいは水田転作に対応するいわゆる通年施行あるいは田畑輪換等の問題、こういうことで、土地基盤整備等についても、情勢の推移とともに、長期計画を含めて、やはりこれからのあり方については基本的に再検討し、目標をきちっと樹立をしていかなければならぬ段階を迎えておると思うのであります。 これらの点についてお答えを願いたいと思います。
○武藤国務大臣 土地改良の長期計画が四十八年から実施されておるわけでございまして、当然、時代の変化に応じて今後対応していかなければならないということもありますし、また、その中にはいまお願いをいたしております水田利用再編対策もありますし、またそういう点においては畑作についてはより強めていくということもあるわけでございますが、いまもそういう考え方を含めてこの長期計画は進めておるわけでございます。しかし、今後の食糧の自給度を高めていくという観点なども含めれば、いまの計画が四十八年からでございますから五十七年度に終わるわけでございますけれども、それで終わりかということになりますと、なかなかまだ、私はもう少しやらなければならないのではないかというふうには思っております。しかし、せっかくいま農政審議会でも六十五年度をめどに農産物の需給と生産の長期見通しというものを検討いたしていただいておるわけでございまして、その辺も踏まえながらことし出てくるわけでございますから、出てまいりましたときに、長期計画の改定を含めてひとつ考えてみたいと思っておるわけでございます。
○角屋委員 細かい数字は担当局長からと思いましたけれども、時間の関係もありますので、次に進みます。 わが党の場合は、御案内のとおり、中期経済政策というのをつくりまして、これを対外的にも発表した経緯がございますが、特に農用地造成という問題については、科学的な土地資源の調査あるいは計画的な地域開発計画に基づいた土地利用区分を確立して、土地の高度利用計画を立てる前提のもとで、中期政策の中で、第一次に農用地百万ヘクタール、第二次に農用地五十万ヘクタール及び放牧地の百二十万ヘクタールの造成というものを、公共事業として国費で行うという考え方を打ち出しておるわけでありますが、いずれにしても、政府自身も食糧自給率の強化と関連して、いわゆる農用地の造成問題というものを真剣にやはり考えていく段階に来ておると思うのでありますが、これらの問題について、再度御見解を承っておきたいというふうに思います。
○武藤国務大臣 私ども、やはり今後とも農用地の確保については、いまの食糧自給度の向上という点からも努力をしていかなければならないと思っておるわけでございます。 そこで、将来における農地面積をどのくらいに持っていくかということでございますが、これも農政審議会に御審議を願っておる六十五年のいわゆる長期見通しと関連をしてまいるわけでございまして、いまここで具体的にどの程度という数字を申し上げるわけにもまいりませんけれども、一応前の五十年の五月に閣議決定をいたしました見通しにおいては、六十年の耕地面積を五百八十五万ヘクタールという見通しを立てておるわけでございます。その辺は一つの数字としては出ておるわけでございますけれども、六十五年をどうするかということは、いま農政審議会の議論を踏まえた上で、私ども数字を固めていかなければならないと思っておるわけでございまして、六十年のその数字は数字としてございますけれども、私どもこれからその辺のところは検討して、具体的な数字はもう少し先にひとつ検討させていただきたいと思っておるわけでございます。
○角屋委員 この際、農地制度の歴史的な変遷問題に入りたいというふうに思います。 たまたま私は、わが党のかつての大先輩でございました、そして農林大臣もやられた平野力三さんの「農地改革闘争の歴史」というのを改めて目を通してみたのでございますけれども、明治維新以降のいわゆる地主、小作の激しい闘いの中で、革新的な農民組織が農民の立場に立ってどういうふうな闘いをやってきたか、そして国会の中でもどういうふうな要請を持ち上げたか、そしてまた、戦後の農地改革というものが、その血と汗の農民の闘いの中で、それが一つの基礎になって農地改革が第一次、第二次を通じて実現されてきたか、決してこれはアメリカの占領軍の力だけでなされたのじゃなしに、そういった歴史的経過の中で第一次、第二次の農地改革がなされ、そしてまた、それを受けて農地法が昭和二十七年に誕生するという経緯になっておる、こういうふうに見ておるわけであります。 戦前と今日の状況では社会的環境も大きく変化をしておることは事実でありますけれども、しかし、明治維新以降の戦前あるいは大東亜戦争等も含めた戦中、戦後の農地改革という歴史をやはり農地制度の基本として踏まえることは、われわれ政治家として当然必要でありまして、そういう点で、若干農地制度の変遷という問題についてお聞きをしてまいりたいと思っております。 そこで、戦前の農地政策というものについて、まず簡潔に、これは担当の局長で結構でありますけれども、戦前における農地制度の特色というのは、言うまでもなく地主的土地保有と言われるものであって、農地所有が経営に対して絶対的優位に立っておる。法的には耕作権は不安定であり、経済的には農業経営が成り立たないような高率な小作料で当時はありました。このために、地主の巨大な経済支配環境の中で、大正時代には、窮乏した小作農による小作料の引き下げあるいは耕作権の確立を要求した小作争議というのが多発いたしまして、農業生産が停滞するのみならず、社会問題としても放置できない状況に幾たびか際会をしたことが述べられております。 これに対する対策について、当時は地主の力が強かったわけでありますから、地主の抵抗に遭いながら、ある程度の手も打たれたわけでありますけれども、これら戦前におけるところの農地政策の基本的な方向と、とられた政策がどうであったかということについて、簡潔にお答えを願っておきたいと思います。
○杉山(克)政府委員 先生のいまの御質問の中ですでに相当程度触れられておりますので、結論的なことだけを申し上げたいと存じます。 戦前におけるわが国の農地制度は、高率な小作料、耕作権が不安定というこの二点、それから、しかもそれが大量に存在しておったというところに問題があったと思われます。しかも、そのことが原因になって小作争議が激化する、社会問題にもなってくるというような実態がございました。そこで政府は、小作制度の根本的な改善を図るために、大正九年に小作制度調査委員会を設けまして、調査検討を始めたのであります。 小作制度の改善策としましては、考え方に大きく分けて二つの流れがございまして、小作農の地位を強化安定させるため耕作権に関する立法を行うという考え方と、それから小作関係を根本的に解消させて自作地の創設維持を推進する、こういう考え方があったわけでございます。しかし、小作争議が激化するに伴いまして、大正十三年には小作調停法が制定されております。これによりまして、小作争議等の紛争は当事者の申し立てによって裁判所において互譲の精神によって円満に解決を図るという道を講じております。それから、大正十五年には自作農創設維持補助規則を制定いたしております。これは、都道府県が自作農の創設維持のための簡易保険積立金等の融資を受けて、農民に低利長期の資金を貸し付けるということを内容といたしております。また、利子負担軽減のために国が利子補給を行うというような措置もとられております。それから、昭和六年には耕し作目的の賃借権の強化等を主な内容とする小作法案が議会に提出されましたが、これは成立を見るには至っておりません。 非常にかいつまんだ話になりまして正確ではなかったかと存じますが、主要なところは以上のようでございます。
○角屋委員 要するに、戦前の農地制度は、地主絶対優位のもとで、小作人の方は耕作権の安定あるいは小作料については物納ではなしに金納をということで激しい闘いが展開をされる、その過程では官憲の弾圧その他にも非常に直面をする。 この平野力三さんの「農地改革闘争の歴史」の「はしがき」のところで、平野さんが戦後マッカーサー司令部に農地改革の必要性を意見として述べた中で二つのことを例に引いたということです。一つは、福岡県の不在地主小笠原長幹伯爵、当時貴族院議長という人の話を例に引き、さらにもう一つは、当時日本の大地主でありました山形県酒田の本間家の問題を取り上げて、戦前の状態を説明した。このいずれもについては深く触れませんけれども、一つの方は、話をして帰ろうと思ったら、おまえは表の玄関を通る立場にはない、裏玄関から帰れと言われて、そこで悶着になって検束をされたということが出ております。本間さんの方は、警官がちゃんとおりまして、ここでは本間とか言って呼び捨てにしては絶対いかぬ、本間家あるいは本間様と言わなければならぬということを注意されて、話の途中で本間と言ったら弁士中止で逮捕された、こういうふうなことがこの平野さんの最初の「はしがき」のところに出ておるわけであります。戦前の農地制度の姿がこういった簡単な中にもあらわれておると思うのであります。いずれにしても、耕作権は不安定であり、過酷な高率の小作料のもとに小作人は呻吟した、この歴史が戦前の歴史ということになると思うのであります。 そこで、戦中の農地政策というものについては、時間の関係上私の方から若干申し上げますけれども、これは戦争遂行ということももちろんあったと思いますけれども、農地調整法が昭和十三年の四月二日に法律が制定されて、これが一つの重要な役割りを果たしたと同時に、小作料統制令あるいは農地等価格統制令あるいは臨時農地等管理令といったような形で、戦争遂行のために、小作料についてもあるいは農地等の価格についてもあるいは農地等の管理についても強力な規制が加えられて、当時相当大量におる小作者が戦争遂行の食糧増産の役割りを果たせるような戦時立法が行われたという歴史がございます。これは戦時中のことでありますけれども、いずれにしても食糧生産のために額に汗して働く農民、これは自作農であれ小作農であれ、そういうものを基本にして農業を考えなければならぬということが、こういう戦時中立法の中にも流れておると私は思うのであります。 そして、戦後、第一次農地改革、第二次農地改革を通じて、これをまとめたものとして農地法というふうになったわけでありまして、特に第一次農地改革は、幣原内閣の松村農林大臣当時になされ、第二次農地改革は、吉田内閣の和田農林大臣当時に本会議でも質疑が展開をされ、これに対して平野力三さん自身も登壇をし、あるいは当時のわが党の先輩であります須永好さん等も登壇をして論戦を闘わしている記録が出ております。これは非常に興味深い記録でありますけれども、そういう記録の中で宿願を達成して、いわゆる農地は耕作する農民の手に来た。しかも、小作料については従来の過酷な物納から金納時代に入った。こういう点について平野さんは本会議の冒頭において、特に小作料の金納については政府の努力を多とするということを述べながら論戦を展開しておるのであります。 こういうふうな第一次農地改革、第二次農地改革を経て、そして第二次農地改革では戦後の緊急開拓政策等も推進をしながら農地のグラウンドの拡大がなされたということに相なっておるわけでありますけれども、この機会に、第一次、第二次農地改革を含めた農地改革の実績、今日の評価というものをどう考えられるかを聞いておきたいと思います。
○杉山(克)政府委員 第一次、第二次農地改革によりまして、昭和二十二年三月三十一日の第一回買収以降第十六回買収までに百七十四万ヘクタールの農地の買収が行われております。被買収者は人数で二百五十四万人ということになっております。それから、昭和二十五年の八月一日までに国有農地等も含めまして百九十万ヘクタールの農地を売り渡しております。この場合の売り渡しを受けた者は四百七十五万人、多数の自作農が創設されたわけでございます。それから、農地改革は昭和二十五年の土地台帳法の改正に伴って事実上打ち切りとなりましたが、その後もいわゆる譲渡令によりまして買収対象農地等は強制譲渡の方式で、昭和二十七年の農地法施行時まで継続されております。 この経過をどう評価するかということでございますが、この実施によりまして、地主的な土地所有を基本的になくし、広範に自作農の創設が行われたということは疑いようもない事実でございまして、農地改革は、農村の民主化と戦後の農業の発展、ひいてはわが国経済の復興に重要な基礎をつくったということは言えると思っております。
○角屋委員 第一次農地改革、第二次農地改革を経て、これを受けて農地法の制定に進むわけでありますが、この農地法は昭和三十七年の改正及び四十五年改正、特に四十五年改正というのは相当大幅な改正でありました。これは本委員会でも相当大きな論議が闘わされた。 従来、農地法関係というのは一回、二回ではなかなか法律案が上がらない。ときには農地管理事業団のように何回出してもついには廃案といったような歴史があるのは、やはり戦前、戦中、戦後といったような農民の苦闘の歴史の中で、一体農地法制はどうあるべきかというのが基本的にあって、それに基づいて出てくる改正案というものが、今後の日本農業の発展や耕作農民の立場でどう受けとめるかということによって相当な論議を呼んだというふうに私は理解をしておるのであります。 いずれにしても、農地法については、昭和三十七年改正及び四十五年改正という大幅な改正があって今回の改正に来ておるわけであります。四十五年改正のときには、わが党は、政府の提案に対して具体的に各項目にわたっての修正案を提示し、そしてそれが否決されて、反対討論等もやりながらこの問題を処理した経緯がございます。 これらの変遷を受けて今回の農地法制三法の提案になったわけでありますけれども、この三法の位置づけというのは、こういった歴史的経過の中でどういうふうに考えておられるのか。もちろん、この過程の中で農振法の制定、五十年改正というものが加わっておるわけでありますけれども、それらを含めて、これらの農地制度の変遷の中で今回の法案の位置づけというものをどのように考えておられるのか、お答えを願っておきたいと思います。
○武藤国務大臣 いまいろいろと農地制度に関する法律の歴史につきまして大変貴重な御意見をいただいて、私も大変勉強になりました。まあ時代の変遷というものがあるわけでございまして、いろいろ当時の模様と現在の農業の置かれている環境は大変変わってきているのではないかと私は思っておるわけでございますけれども、現在においては、特に昭和五十年の農振法改正などによりましては、農地の流動化と中核農家への農用地の集積というものが相当進められておるのではないかと思います。 そこで、今回の農地法制の整備でございますが、これはわが国の農業が直面しておる厳しい事態に対処し、わが国農業の体質を強化して、総合的な食糧自給力の向上と国民生活の安定を図っていくという農政の基本的な課題にこたえるために、現行の農用地利用増進事業を発展させまして、先ほどから御答弁申し上げておりますけれども、市町村あるいは農業委員会等が中へ入りまして、農地の流動化と有効利用を促進する仕組みをより整備して、農用地利用を促進していくということが大きな目的でございます。そして、それに関連して、農地の権利移動の円滑化と農業後継者の育成などを図る観点から、小作料の関係あるいは農業生産法人の要件の緩和、こういったものの一部改正を行おうとしたことでございまして、特に小作料の問題については、いまも、過去のいきさつにおいては相当物納の問題が大きな政治の問題であったということはよく承知をいたしましたけれども、決してそういう方向に行かないような形で私どもは持っていきたい、こう考えておるわけでございます。
○角屋委員 四十五年改正のときには、私自身西欧諸国の農地制度というものに触れながらわが国の当時の改正問題に言及したわけでございますが、十分な時間がありませんので、むしろ質問程度にとどめておきたいと思いますけれども、わが国の農地法制を考える場合には、先進諸国の農地法制がどういう変遷の過程を経、現実にいまどういうふうになされておるか。言うまでもなく、例のECにおけるマンスホルトの価格政策から構造政策への転換ということで、構造政策というのが非常に脚光を浴びた時代がございます。しかし、後年マンスホルトも、構造政策というのは長期にわたる問題であってなかなか簡単にいかない、短期的には価格政策も相当織り込んで考えなければならぬということを言っておるわけでありますけれども、EC等を中心に行われておるいわゆる構造政策、これがどういう形で行われており、わが国との対比において、わが国の農地制度の特徴をそういうところからどう引き出しておるのかということについて、簡潔にお答えを願っておきたいと思います。
○杉山(克)政府委員 西欧の農地制度は、それぞれ各国における背景が違いますので、一概には言えませんが、概括して言えば、次のような特徴がございます。 まず、農地賃貸借関係でございますが、賃借権の設定等に関しましては、西ドイツは農業監督庁への届け出を義務づけております。イギリスでも文書契約を前提とし、一年以上の契約については農業大臣への届け出が必要とされております。フランスでは契約の文書化を義務づけているだけでございます。それから、賃貸借の期間は、フランスでは最低九年、イギリスでは最低一年以上ということになっております。西ドイツは特に定めはございません。それから、小作料に関しては、フランスでは標準小作料制度がありますが、西ドイツ、イギリスでは特に規制しておりません。それから、農地の権利移動の規制関係でございますが、西ドイツでは行政庁の許可が必要で、フランスでは農用地取引を行う場合には土地整備農事建設会社というのがございまして、そこへの届け出が必要となっております。それからまた、取得後一定の面積を超えるときは、取得についての面積制限がございます。それから、イギリスでは農用地取引は農業大臣への届け出が必要ということになっております。 わが国の農地制度は、いま申し上げましたような西欧諸国に比べどうかということでございますが、一般的に言って、西欧諸国に比べかなり厳しい規制をしているというようになっております。それはやはり農地改革といった歴史的な経過も踏まえて、昭和二十七年にいろいろの背景をしょって制定されたということが一つあずかって力があると思うわけでございます。そして、内容的には、いまさら申し上げるまでもございませんが、農業生産力の増進を図るということ、当然に耕作者の地位の安定もあわせて図っておるわけでございますが、そのことを目的といたしまして、個別地片の農地についての権利移動、転用等を統制する、そのことによって農地の効率的利用を図るものということになっておるわけでございます。これは今日農業外からの土地に対する取得の要請圧力が強いというような状況を考えますとき、農振法と相まちまして、優良農地の確保、さらには外部資本の進出、乱開発の防止といった点において大きな役割りを果たしておるものと考えられるわけでございます。 〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕
○角屋委員 西欧諸国の農地制度という場合は、フランスであれ、イギリスあるいは西ドイツであれ、オランダその他であれ、それぞれの国の置かれておる風土、政治、経済条件というものがありますから、それが直ちに日本にそのまま導入できる問題というふうにはならないと思います。しかし、いずれにしても、フランスの場合で言えば、SAFERが先買い権を持って巨大な経営をやっておる者の農地取得をコントロールしながら、後継者へ意欲的にそれを渡していくというふうな政策誘導をとっておったり、あるいはまた、西ドイツの場合においては、農地整備法という形の中で、わが国の土地改良法あるいは農地法あるいは農林省等がやっておる環境整備法等の法律に基づかない諸事業というたようなものを、農地整備法という形の中で総合的に取り上げて構造政策を推進するといったようなことをやっておる点は、これはやはりこれからの政策推進に当たっては、とるべき点は積極的に取り入れて総合的な施策の推進に遺憾のないようにしていくことが必要であるというふうに思っておるわけであります。前回の際には西欧諸国の農地制度の関連で相当触れましたけれども、この点は私の場合この程度にとどめたいと思います。 そこで、今回出されております三法律案の関係では、農用地利用増進法案というのが形としては新しい法律案として出されておるわけであります。この問題に入ってまいりたいと考えます。 言うまでもなく、これは農業振興地域の整備に関する法律案がいわゆる農林関係の領土宣言として生まれる、そして領土宣言として生まれて以降、農振地域及び農用地区域の指定あるいは線引き等そういうものが行われ、五十年にはこういった農業振興地域の農用地区域について農用地利用増進事業が発足したわけでございます。私どもは、五十年の農用地利用増進事業が発足するに際しては、四党提案の中心者として芳賀委員が数項目にわたる修正を提案をして、そして附帯決議を付して処理をした経緯がございます。いわば農地法のバイパスとして、なかなか進捗しない構造政策について、当面こういう手法で道をあけることも有効であろうという期待に基づいたものであります。基本的に論議をすれば、いろいろ議論をすべき問題がございます。たとえば耕作権の安定問題、あるいはまた小作料問題等々、内容に入ればいろいろ議論すべき問題はございまするけれども、しかし、構造政策のバイパスとして、いろいろ難航しておる、いろいろな手法がなかなか進まない、この点については外的、内的条件をさきに触れましたから触れませんけれども、そういうことでこのスタートを認めようということにしたわけであります。 今回は、この五十年改正をさらに発展をさせて、新法として農用地利用増進法案として提案をしてまいりまして、大臣並びに局長から提案の理由の説明もございました。 そこで、まずこの新法について若干お伺いをしたいわけでありますけれども、こういう法律案を立てる場合には、政府提案のように、市町村の実施方針なりあるいはまた市町村の農用地利用増進計画といったようなものに基づいて、村の発想、村におけるプランニング、村における実施というふうな形を基本にやろうとする考え方も一つの行き方でありましょうけれども、また、国がこういった農用地利用増進に対する基本的な考え方を明らかにする、市町村を包括しておる県自身がこれを受けて、県全体の考え方を、どうやるかについて大綱的な考え方を明らかにする、それを受けて市町村は市町村の実態に基づいて市町村のプランニングをするという、そういう法律の立て方もあるわけであります。今回のようなこういう法律の立て方というのは、構造政策というのはなかなかむずかしい、この際、ひとつ市町村の創意工夫、市町村のローカルカラーに基づいたところに基本的には任そう、ある意味では、地方自治体の県もあるいは国も歩下がって、援助というところでやりやすいようにしようという形をとっておるわけであります。一部批判をすれば、これは責任回避ではないかという議論も成り立つわけであります。こういった法の立て方の問題について、今回のような手法をとられる、新法をやられる場合にそれをとられる。しかも、市町村が実施方針等を立てる場合には省令の定むるところによりという形で、この省令の中身というものが明らかにされない。これはこの実施方針、実施計画を立てる場合に、いずれも農林省令の定むるところによりということになっておるわけでありますが、これらを含めて、法律の立て方あるいはここで言う省令等の問題の考え方はどうかという点について御説明を願いたい。
○杉山(克)政府委員 事業の仕組み方は、中央でもって計画なり大方針を決めまして、これを下におろしていくという行き方もございますが、今回の農用地利用増進法案、これは現在の農振法に基づく農用地利用増進事業においても同様でございますが、そういう方式をとらないで、市町村の自主性、市町村の地域における判断を尊重する、それを基礎にして組み立てるという方式をとっておりますのは、これはこの事業が強制的に義務を課して、何が何でもやっていただくというようなことを予定しているものではない。現実に条件が整って話し合いがつくならばそういうものをくみ上げていくということをベースにいたしております。 それと、一般的に、最近におきましては地域農政という言葉がいろいろ言われておりますが、やはり行政のあり方として、そういう地域の、しかも個々の話ではなく、地域全体としての合意といいますか、関係者の合意、こういったものを基礎にして進めることが実際的でもあり、効果があるという意味で有効的でもあるということで認識されるようになってまいっております。そういうようなことから、今回の新法におきましては、現在の農用地利用増進事業と同じように市町村を基礎にいたしておるわけでございます。 ただ、全体の方針につきましては、これは都道府県が、やはり府県全体の立場なりあるいはほかの事業との調整といったような総合的な観点からこれを指導するということも必要でございまして、方針の作成に当たってはこれを都道府県知事の承認にかかわらしめているといった点は一部あるわけでございます。 それから、新法の第三条第一項に省令にゆだねている規定があるわけでございますが、何を省令で規定するかということでございますが、これは市町村が実施方針を定めるに当たっては農業委員会、農業協同組合等の意見を聞かなければならないということを規定するつもりでございます。
○角屋委員 これは法の立て方として、いま言ったように上から下に方針がおり、これを受けとめて地域の実態に即してというのもあるし、中央のいわゆる上の方針というのは下の自主性に任せるという立て方もあるわけですけれども、これは非常に大きく打ち出した農用地利用増進法という点についての政府の構え、実施をする場合の政府の基本的な考え方というのが明確にならずに、しかも県段階の考え方も明確にならずに、第一線の市町村に直ちにおりるということについては、法律的にあらわすあらわさぬは別として、われわれが議論する場合には、この問題を進めるに当たっての基本的考えはこうであるということは、少なくとも大方針としては明らかにされる必要があるというふうに私は思っております。 そこで、今回の法律に基づいての農用地利用増進事業というのは、第二条第二項の第一号、つまり農用地の権利移動を円滑に進めるための利用権設定等促進事業、第二号の農用地の効率的かつ総合的な利用を図るための農用地利用改善事業、そして第三号の「前二号に掲げる事業のほか、委託を受けて行う農作業の実施を促進する事業その他農用地の農業上の利用の増進を図るために必要な事業」。第二条第二項第一号、第二号、第三号でその農用地利用増進事業が書かれておるわけであって、五十年改正のときは主として第一号であり、新たに第二号、第三号が加わったというふうに基本的には理解をしておるわけでありますが、これらの三つの事業の関係はどういうふうな形でなされるのか御説明を願いたいと思います。
○杉山(克)政府委員 ただいま質問の中にもございましたように、同じ農用地利用増進事業という名前を使っておりますが、従来の農用地利用増進事業を拡大する、これが第一号の、今回の農用地利用増進事業の中の三本柱の一つでございます。それに二号、三号の事業がつけ加わっております。 そこで、この三者の関連いかんということでございますが、これは法律制度的にはそれぞれ別個のものでございます。二号がなければ一号が成立しないとか、三号がなければ一号、二号も成立しないというような関係にはございません。ただ、考え方として、それから運用の実際といたしまして、これらは当然に地域なり農家の実情に応じて総合的に関連を持って運用され活用されることを期待いたしておるわけでございます。 そこで、一号の事業でございますが、これについてまた後ほどでもさらに詳しく御説明する機会があれば内容に触れますが、これは従来の農用地利用増進事業を大幅に拡充することといたしております。拡充の内容については、先ほど提案理由説明でも申し上げましたように、大きな項目として四点拡充いたしておるところがあるわけでございます。 それから二番目の、集落等の地区における農用地についての関係権利者が協力して作付地の集団化、農作業の効率化、農用地の利用関係の改善、こういった農用地の有効利用を推進する、一口で言えば農用地利用改善事業、これを設けましたのは、先ほど来申し上げておりますように、農地の有効利用を図るためには、個々の農業経営者というよりは、地域全体としての合意による集団的な農用地の利用改善ということが望ましい。しかも、そういったことが進行するに伴いまして、中には権利関係の移動を伴うようなものも実現できる、そういう意味では一号とのつながりもあるものも出てくることになるわけでございます。そういう意味で、利用の改善を図る、同時にそのことが権利関係の移転のベースづくりにもなるということが考えられるわけでございます。 それから、三号の事業でございますが、現在でも農作業のうち労働を大量に必要としますような作業、たとえば田植えとか収穫、こういったものについては労力不足から他の農家とか農協等へ作業委託をするという実態がかなり広範に出てまいっております。これもある意味で農業経営の合理化であり、土地利用の合理化につながる話でございます。そういったこともございまして、これ自身も、権利関係の移動なり、全面的な賃貸借への移行というまでには至らないまでも、推進すべき事業であるということで、この農用地利用増進事業の中に加えて、市町村においてその実施を促進することにいたしたわけでございます。
○角屋委員 こういう新法を通じて農地流動化がどの程度期待できるかという問題については、先ほども大臣に対する質問がなされましたけれども、二万四千ヘクタールの実績が出てきた、これは期待ができるというふうなことが、今度の三つの事業を中心に農用地利用増進事業をやろうという一つの基礎になったと思うわけであります。しかし、これまでの二万四千ヘクタールにわたる農用地利用増進事業の実績というものは、やみ小作を合法化の路線に乗せたのが多くて、新たに掘り起こしたものはそれほど期待されたほど進んでないという指摘も有識者からあるわけでございます。現実は、最初のスタートの今日までの段階はそういうことも考えられるわけでありますけれども、われわれは立法府の立場において、法制があっても現実に法制がまるきり無視された実態にあることをそのままに放置することはやはりできないという立場が一つございます。請負耕作にしろあるいはやみ小作にしろ、現実にいろいろなものが農地法制下で相当大量に存在するというふうな問題をそのままに放置することができない一つの側面を持っております。かといって、そういう現実肯定主義からどんどん基本的なものが後退するということであってもいけないということ、そういう問題だと思うわけであります。 いずれにしても、今回の農用地利用増進事業のこれからの実施の中で、農地の流動化というものが五年なり十年なりを展望してどれぐらい期待できると考えておるのか、こういう点について改めて御答弁願いたいと思います。
○武藤国務大臣 先ほどもちょっと、いま御指摘のとおりでお答えをしたわけでございますが、どのくらいというのは、先ほどは、私どもはたしか兼業農家の場合と後継者のいない場合という例を申し上げたと思いますけれども、もう一回申し上げますれば、第二種兼業農家の経営耕地面積が百九十四万ヘクタールでございます。それから世帯主が五十歳以上で跡継ぎのない場合の経営面積が百三十二万ヘクタールでございます。こういうようなところが私ども頭の中で考える場合に一つの数字になるわけでございます。 いずれにしても、この法律は、先ほど来御指摘いただいておりますように、私どもが強制的に行うものではございませんので、あくまで、今後の日本の農業のあり方としては、中核農家にできるだけ農地を集積化していくことが望ましい、そして経営規模の拡大を図り生産性を高めていくことが今後の農業の体質改善に必要である、こういう観点からこれを考えたわけでございまして、従来やってまいりました農用地利用増進事業を、こういう形でできるだけ法制化してより充実をしていくならば、これによってより農地の流動化が促進をするであろう、こういう期待で私どもはいるわけでございます。 具体的にどれだけというのは、あくまで、この仕組みができましたときに私どもがより努力をいたしましてどれだけできるかということであります。一応頭の中に描いておるこういうものからどれだけ出てくるか、出てくるもとはこれくらいある、もとはわかりますけれども、それからどれくらい流動化できるかということは、今後の私どもの努力と、またこれに対しての農民の御理解と、またその間に立っていろいろ御尽力を願う市町村なりあるいは農業委員会なり農協、貸し借りの掘り起こしをやる指導員、こういうものの努力によるものではなかろうかと思っておるわけでございます。
○角屋委員 現行の農用地利用増進事業に比べて、今回新法で出しております考え方としては、事業の実施の区域というものを単に農振法に言う農用地区域に限定をしない、さらにそれから広げるという考え方をとっておるわけであります。現在農用地区域内の農地面積というのは四百三十六万ヘクタールありまして、これは日本の全農地面積の約八割を占めておるわけであります。それを、農用地区域で限定してやっておりましたのを他のところにも広げる。一体そこに拡大することによってどういうメリットあるいはどういう価値判断をして広げようとするのか、こういう点について御説明を願っておきたいと思います。
○杉山(克)政府委員 今回新法案におきましては、利用権設定等の促進事業の実施地域を農用地区域に限定しておりません。これは面積的にどのくらい広がるかということになりますと、いま先生おっしゃられたように、農用地区域は全農地の約八割ということになっておりますが、残された農地もかなりあるわけでございます。市街化区域を除きましても約九十万ヘクタールあるわけでございます。こういったところが対象になる。私ども、現実にいままでの利用増進事業を進めてまいりました上で、農用地区域だけでなくもっと広げた方がいいのではないかという御意見もかなりお聞きしますし、事業の安定、それからこれの円滑な進行ということを見ますと、やはり農地の流動化をそういった農用地区域以外のところでも進めることは、農業経営を生産性を高め合理化するということに貢献するということもございますし、私どもとしては、これをできるだけ広げるということで今回限定を外したわけでございます。それからまた、現実に農用地区域の境界にあるような農家にしてみますと、自分の経営している農地がたまたま農用地区域内であるあるいは外であるというようなことで、扱いを異にしたような利用増進事業上の取り扱いを受けるということになるわけでございます。そういう不自然さも解消して、一括して利用増進事業の対象としてこれをとらえていくということの方がよいのではないかというようなこともあって、区域限定を外したということでございます。
○角屋委員 市街化区域との関連の問題について少しくお伺いしたいと思うのですけれども、この事業実施区域との関連で法第三条第五項で、市町村は、原則として市街化区域内においては農用地利用増進事業を行わないものとするが、市街化区域以外の区域の農用地と一体的な農業上の利用が行われている市街化区域内の農用地においては事業を行う旨規定しておるわけであります。 ちなみに、市街化区域内農地面積というのは、五十二年一月一日の資料として、全国的にA農地が四千ヘクタール、B農地が一万四千ヘクタール、C農地が二十万九千ヘクタール、締めて二十二万七千ヘクタールと言われておるわけであります。 そこで、こういった市街化区域内の農地を市街化区域以外の区域の農地との一体的な農業上の利用ということで取り込む場合、あるいは除外する場合、都市農業の位置づけとの関連等も含めて、どういう考え方でこういうさばき方をされたのか、御説明を願いたい。
○杉山(克)政府委員 この農用地利用増進事業は、原則的には市街化区域では行わないということにいたしております。それは、都市計画法上の市街化区域の性格というものがございまして、具体的に申し上げますならば、「すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」ということになっております。そういったところは、土地利用区分といったようなことからいたしますと、まさに市街化を促進するというか予定すべきであって、農用地としてこれからますます活用していくということにはなじまないというふうに考えるわけでございます。市街化地域における農用地問題、一般論は別途ございますが、この事業におきましては、そういうような基本的な考え方に基づきまして、一般的には行わないということにいたしましたが、ただ、現実、地域で境界を接しているところがございます。そうなりますと、単一の農業者が実際には農地を双方の区域にまたがって持っているというようなときもしばしばございます。それから集団的に農用地区域あるいは市街化区域以外の区域の農地が市街化区域内の農地と接続しているというような場合もございます。そういうことを考えますというと、これが大きな川等によって截然と地域区分ができればよろしいのでございますが、なかなか日本の地形等からしてもそうはいかない。道一本隔てただけで実際には農地として同じような状態にあるというときに、そういう線引きだけでもって扱いを異にするのはいかがか、一体としてやる場合には、やはりこれは市街化区域以外の地域にある農地と同じようにこれも取り込んで利用増進事業の対象にした方がいいではないかということで、いわば実施上の取り扱いということでこれを含めることにいたしておるのでございます。
○角屋委員 この利用権設定等促進事業の問題と関連をして、耕作者の地位の安定という観点から一、二お尋ねをしたいというふうに思います。 この利用権設定等促進事業という、この設定される利用権というのは、期間としては大体三年ないし五年の短期のものが想定されておるのではないかというふうに思いますが、そうなりますと、借り手の農業経営の安定という立場から見ると、三年ないし五年ではいわばみずから持っておる耕地プラン経営規模拡大の部分というのは、きわめて不安定な条件の中で規模拡大という形をとる、そういうことで、農業経営の安定というふうな点から当然支障が生ずると見なければならない。また、借り手による借り地の農業投資というものが行われた場合の投下資本の回収という問題で、いわゆる有益費の償還問題というのがあるわけであります。一体こういうふうな問題について、基本的にどういう考え方で利用権設定等促進事業をやられようとしたのか。これはやはり耕作者の地位安定は、先ほど来歴史的な経過の中でも触れたように、こういう新法でやる場合においても、本来土地を貸す側に農業の期待をするのではなしに、仮に借りた土地で経営規模を拡大する場合でも、これは額に汗して農業生産をやる本体であります。したがって、真剣にそれがやれるような条件を整備するということは農政上基本問題であります。そういった点で、いまの点に対するお答えを願いたいと思います。
○武藤国務大臣 これはいろいろと考えてみますと、出していただきたいという気持ちと、今度は借りた人がいまの話で安心して農業をやれるという、それをどううまくかみ合わせていくかという大変大きな一つのポイントではなかろうかと私は思うのでございますが、やはりそういうところに私ども苦慮いたしまして、市町村とか農業委員会とか、そういう公的機関に仲へ入っていただくことによって、第三者のしかも公的機関による保証がなされる。こういう意味において貸し手の方も安心して出していただけるであろう。また借り手の方、いわゆる今後一生懸命それじゃそこを使って農業をやっていく方の立場を考えてみましても、やはりそういう公的機関が入っていることによって、またたとえばいま御指摘のように三年ないし五年たった、そうしたらまたそこで更新をして引き続いてやれるであろう、こういう期待感もあるのではないかと思っておるわけでございまして、私どもが大変苦慮した、苦心したところであるわけでございますけれども、いま申し上げたような形で何とか第三者の公的機関に入ってもらうことによってその辺は円滑に進めていただけるもの、こう期待をいたしておるわけでございます。
○角屋委員 武藤大臣からは、なかなか、そこはそっとということであろうと思います、余り明確に方針を出されないわけであります。いずれこれは、同僚議員によってまたこの問題も含めて議論がされるというふうに思いますので、次に入ります。 新法案の第五条第一項では、農用地利用増進計画というのは、農業委員会の決定を経て、農用地利用増進計画を定めなければならない旨が決められております。また、新法案の第八条では、農業委員会は、その事務を行うに当たっては、利用権設定等促進事業の推進に資することとなるようにしなければならない旨が定められております。農地法の遵守をその役割りとする農業委員会及び都道府県の農業会議の農地関係の事務に対するこれまでの取り組み方や、新法成立後における新法への取り組みの問題、これらに対する指導方針というものをどういうふうに考えておるか、こういう点についてお伺いをいたしたいと思います。
○武藤国務大臣 今回の法案につきましては、農業委員会については、市町村が農用地利用増進計画を定める場合には農業委員会の決定を経るものとするとともに、農業委員会等に関する法律上法令業務として明記をするほか、農地事情の改善等の事務を行うに当たりましては、利用権設定等促進事業の推進に資するように行うものとすることにいたしまして、都道府県会議につきましては、都道府県知事が市町村の定めた農用地利用増進事業に関する方針を承認するときには、同会議の意見を聞かなければならないこととし、それぞれ法制上その役割りを明らかにしておりまして、農地の流動化に前向きに取り組むことを期待をいたしておるわけであります。 なお、このことに伴いまして、農業委員会及び都道府県農業会議がその果たすべき役割りに十分こたえ、新法の適正、円滑な実施に資するように農業委員会及び都道府県農業会議に対しまして、その職務に対する責任と自覚を深めていっていただくことが重要でありますから、その機能を生かして積極的に活動をしてもらうように指導してまいりたいと考えておるわけでございます。
○角屋委員 東京農工大学の教授の梶井功さんの「土地政策と農業」という論文の中で、百三十八ページ以降百五十五ページにわたって、いわゆる貸し手、借り手の相対の契約というのが出ております。いま言った市町村の農業委員会あるいは県の農業会議、こういうものに関連をして、この論文の中では、いわゆる耕作地貸借契約書、賃貸借契約書といったような形の「農地貸借の実際」という中で、第一線では、農業委員会委員が立会人に入っておったり、あるいはまた、県の農業会議の方で、ここでは五十三年度から着手した経験、農地有効利用促進奨励事業にかかわる賃貸借について、農業会議の方で模範契約書というのを提示しておるということで書かれておりますけれども、現行農地法と新しい法律で実施していく場合においては、一方では基本的立場の農地法がある、他方ではバイパスという名において弾力的運用の新法の運用をやらなければならぬ。ある意味では板ばさみ、ジレンマに立つという、基本的な姿勢からいけばこういう契約の中に深く入りにくい面がある、私は率直に言ってそういう姿になると思う。 この論文について深く触れようと思いませんけれども、こういうことについて農林水産省の本省方針、あるいは、そういうものが第一線の農地法の番人である農業会議なりあるいは農業委員会に示されていかないと、現状に押し流される。いわば戦後の農業委員会のあり方等については、不動産の問題と絡んで厳しい批判の経緯もあるし、こういう農用地利用増進法を仮に実施をしていく場合には、スタンドポイントをどこに置いてどういうふうなタッチの仕方になるかということは、やはり明らかにする必要があるというように私は思うのですが、その点について御答弁願いたい。
○杉山(克)政府委員 私ども、むしろ、今回の法案をお認めいただければ、これによってスタンドポイントが明らかになる、農業委員会等はむしろ仕事を従来よりも自信を持ってやりやすくなるのではないかというふうに考えております。ただ、一片の法律だけでそういったことについて十分徹底しがたいうらみがございますので、それはこの後政令、省令さらには各種の通達等を重ねていく ことになりますが、それらの段階におきまして、十分御趣旨のような点が表に出るよう、農業委員会にもその他の関係者にもさらには一般の方々にも御理解いただけるよう、そういったスタンドポイントなり方向づけというものを明らかにしてまいりたいと考えております。
○角屋委員 先ほど来の議論と関連をして、いわゆる新法案が農用地区域だけではなしにさらに拡大をして実施されていく。農用地区域だけでも農用地の八割を占めておるというのをさらに拡大をしていく。これは農振地域の白地地域に拡大をする、あるいは都市計画法の調整区域との重なりもございましてそういうところにも拡大をしていくという考え方だろうと思いますが、そういうことで、いわゆるバイパス路線と考えておったこの新法がほとんど全耕地にわたるということになりますと、一体基本法とも言うべき農地法という問題は、自民党でかつて農地法廃止論というのがありましたけれども、そういう農地法安楽死あるいはやがて廃止論というところに持っていこうという、そういう関連をこの法の提案に当たってどういうふうに考えておられるのか、これを明らかにしてもらいたいと思います。
○武藤国務大臣 私どもは、この農用地利用増進法案という形でやりましたのも、その農地法の基本は守っていきたいという考え方に立ちまして、その中で農地の流動化を促進するためにはどうすべきかという、そういう考え方からこういう形で出してきたわけでございまして、あくまで基本は農業基本法の基本的な考え方というものは守っていかなければならぬと思っております。そういう意味で、いままでたとえば投機、投資目的などの土地取得の圧力というものを排除するとか、あるいは農業以外に使われるようなことからあくまでも守るとかいうような農地法の考え方というものは、今後ともぜひ貫いていきたいと思っております。
○角屋委員 農地関係法案が今度の国会に出されるに当たりまして、農林関係団体、たとえば農協なんかが日本農業新聞等で取り上げておる姿、それから、直接、法に関連を持ってまいります農業委員会あるいは農業会議、全国農業会議所といったような団体が全国農業新聞等で取り上げておる取り上げ方というのは、ちょっと違うのですね。全国農業会議所あるいは農業会議、農業委員会等を含めてのところは「自作農主義の転換をめざす 農地関係法案、国会へ上程」「“増進事業”を拡充」、従来バイパスと言っておりましたが、「バイパスから高速道路へ」と、こういううたい方をしておりまして、「農用地の有効利用へ 地域の自主管理も助長」「飯米農家の農地提供へ 小作料の定額金納制やめて」と、見出しがそういう形で出されておるわけです。それに対して日本農業新聞の方は「農地法制に注文」「はーい、発言します」ということで、一方では貸し手の側の方の意見として「返還時の不安なくせ」という形で、いろいろそれぞれ各地の意見が出されておりますし、また、借り手の方の意見としては「現状のままで十分」「専業農家は自力で拡大」「小作地の取り上げにならぬよう」「農地を資産視する意識の転換を」「統制小作料と現状との差」とかいろいろな形で、これは貸し手、借り手両方にまたがって、どちらかと言えば、単刀直入に借り手、耕作者側の意見というのも相当織り込んでやっているのですね。 だから、私は、二つの新聞の見出しを見ながら、これから農地法制三法というものを受けとめていく場合に、第一線は生産の面で実力を発揮してもらわなければならぬのは、いわゆる系統組織では農協が主体になるわけですね。農協は、新しい展望の中の農協の役割りなんというのを決めながらこれからやろうとしておる。やはり二つの組織にはこの法案に対するギャップが現実に存在しておるというふうに私は思います。これは組織の性格の差ということももちろんありましょう。現実にこういう問題を進める場合には、全国農業会議所や農業委員会の方は、これはもう番人的な方だし、実際にやる方は系統組織の方である。それで、現実にまたやる場合に、農地保有合理化法人あるいは農業者年金基金でやってくる問題、これが市町村であったり農協であったり、いろいろなもの。こういう構造政策を進めるに当たって、各団体、いろいろなものが入り込んできてやっていく。従来でも、手法としては、いわゆる農協への信託があった、農協への委託があった。これはなかなか成果を上げない。今度は、ちょっとやってみたらよかったということで、これをひとつ大きくふくらましてみよう、既存のものも現実に存在する。それらの総合的な運営をどう考えるか。また、それをやるところの農業委員会や農協や、あるいは農地保有合理化法人や市町村、いろいろなものが、なわ張りや対立や、そういういろいろな形の中でやったのではなかなか進まないという問題がある。構造政策推進に当たってのその辺のところのルールやあるいは軽重の置き方やいろいろな問題については、単に法律の提案ばかりでなしに、これから具体的にこういうものが受け入れられてやられる場合、そういう点の十分な配慮が必要であると思うのですが、それらの点について、大臣からお答えを願いたいと思います。
○武藤国務大臣 いままでも農地保有合理化法人、あるいはいま御指摘の農業者年金あるいは農用地利用増進事業、いろいろな形で農地の集積化、また農地の流動化を図ってきたわけでございます。 そこで、今度この法律をひとつ考えた上において、その辺との関連ということでございますけれども、そして、その中では農用地利用増進事業がうまくいったから、どうもそれを引き出して大きくしたのじゃないかということでございます。確かに、農振地域の農用地だけでも二万四千ヘクタール出てきた、これを地域を拡大していったら大変うまくいくのではなかろうかという考え方を私ども持っていることは事実でございますが、他との関連でなわ張り争いであるとかそういうようなことが起きないようにしなければいかぬことは当然でございます。同時に、どの仕組みも、先ほどから申し上げておりますように、あくまでも農家の皆様方の自主的な自発的なお気持ちというものが一番大切でございまして、そういう農家の皆様方の気持ちをより尊重しながら、しかも、その方々が貸し手も借り手もそういう気持ちになっていただきやすいようにするためには、こういう仕組みを法律で担保したらどうであろうか、こういう考え方で、いわゆるバイパスという、いま御指摘でございましたけれども、農用地利用増進法案を主体として考えてお出しをしたわけでございまして、そして、その法律をより円滑に進めていくために農地法の改正なり農業委員会法の改正なりを考えたということでございます。そして、それといまの合理化法人その他との関係はなるべくスムーズにいくように、いま御指摘のようななわ張り争いというようなことがないような形にいくように、私ども今後行政的に指導してまいらなければならぬことは当然である、こう考えておるわけでございます。
○角屋委員 私は、こういう三法の審議に当たって、あらかじめ法律の賛否問題というふうな立場にスタートの議論としては立たずに、いわゆる農政総体的な客観情勢の中、あるいは農地法制の歴史的な経過、どうあるべきかというふうなことを基本に置きながら、出されている法案それぞれについての考え方あるいは問題点をただす姿勢で来たわけであります。 次に、若干お尋ねをしたい本法であります農地法の一部改正ということになりますと、これは基本的にいただきかねる中身がやはり含まれているということを、率直にいま申し上げておかなければならぬと思っております。すでに歴史的に触れた点は省略をいたします。 小作料に関する行政というのは、小作関係にある耕作者にその労働の成果を享受させる、また小作人の地位の安定を図るために重要なものとして小作料というのは位置を占めてきたわけでありまして、戦中、戦後、小作行政の変遷というものを考えてまいりますと、戦後の第一次農地改革のときに、農地調整法の一部改正の第九条のところで金納ということが新しく入れられたのが戦後のスタートになるわけであります。それ以来、法律としてはそういう関係で来たわけでありますけれども、現実に統制小作料というのが四十五年改正を通じて、われわれの反対にもかかわらずこれが廃止をされる。この九月には残存する統制小作料についてもそれは変わっていくという形になり、四十五年改正を通じて新たに標準小作料というものが設定をされて今日に来ておるわけであります。 先ほど質問の中で、統制小作料あるいは標準小作料あるいは実態の小作料というものについてデータの御説明がございました。これは御説明がございましたように、私の資料を基礎にすれば、統制小作料の水準というのは、十アール当たり田五級地で五千六百六十四円、標準小作料の水準は、昭和五十二年改定後で十アール当たり全国加重平均で水田で二万四千六百二十一円、実勢小作料の水準として、米生産費調査五十三年によると、十アール当たり水田で三万二百五円といった形の数字がございます。したがって、小作する耕作者の立場から言えば、経営の安定の立場から見て、統制小作料水準の田五級地五千六百六十四円で払うのか、標準小作料水準の水田二万四千六百二十一円という、これは全国的な加重平均でありますけれども、そういう物差しの水準で払うのか、あるいは実勢小作料の三万二百五円といったようなそういう水準の中で払うのかということは、農業経営のサイドからすれば非常に大きな問題の要素の一つであります。今度の新法との関連で、第一線は相対の相談でということになりますと、現行法としては、標準小作料の削除問題というのも論じられましたが、現実に残ったわけでありますから、これが物差しになるというふうに考えますけれども、そう理解をしてよろしゅうございましょうか。
○杉山(克)政府委員 標準小作料につきましては、確かに法案を検討する段階で議論がいろいろございました。標準小作料そのもの自身も廃止してはどうかという一部の意見もございましたが、全体を考慮いたしまして、私どもといたしましては、提出いたしました改正案ではこの点は触れないでおるわけでございます。 標準小作料につきましては農業委員会がこれを定めるということになっておりまして、全国のほとんどの農業委員会で設定されております。原則として三年ごとに改定を行うということになっておりまして、その改定期に当たる本年度もこれを実施するということにいたしております。そのための所要の経費につきましても予算措置を講じておるところでございます。 ところで、その標準小作料はどうなっているかということでございますが、これはすでに先ほど先生がおっしゃられましたように、全国の平均で十アール当たり田二万四千六百二十一円となっております。この標準小作料に対する実勢小作料でございますが、これは地域によりましてかなり乖離がございます。東海地方のごときは、おおむね標準小作料と実勢小作料が近い状況にございますが、東北とか北陸では、標準小作料を大幅に上回る実勢小作料が実際には成立しているという状況でございます。 今後とも私ども、物納小作料を認めるというようなことで金納小作料についての規定を廃止することにいたしておりますが、ただ、やはり小作料が野放しになっていいというふうには考えておりません。小作料の現物納というものを認めます中でも、やはり標準小作料をきちんと決めて、それによる減額勧告制度を運用して、適正な小作料の実現を図ってまいりたいというふうに考えております。
○角屋委員 いわゆる金納小作料になっておった二十一条、二十二条関係を廃止するということは基本的に私は問題だというふうに考えておりますが、政府自身が物納も取り入れようという場合に重要な問題の一つは、食管法との関係の問題がございます。 小作料の中に物納として米を認めるということに仮にいたしますと、物納小作料に認められた米というものについては、耕作者である小作人が小作料として地主に米を譲渡しようとする措置が必要になるわけでありますが、このような措置というのは食管法上どういう理由づけで認めようということになるのかということがございます。それから、地主に小作料として米を譲渡し得るとして、自家飯米以上の量を譲渡する場合には、制度的に流通可能性のある米の譲渡を認めるということになる。このような米を認めるかどうかという問題があります。それからまた、農用地の借り入れを行うことにより自己の農業経営の規模拡大を図る者が、当該借り入れ農用地において米の生産を行う場合に、米の生産者に対する限度数量の割り当てというのはどういうふうな形になるのか。こういった、物納で米を仮に認めるという政府側の考え方でやる場合に、食管法上との関連は、いま言ったような数点についてどう考えておられるのか、明らかにしてもらいたいと思います。
○松本(作)政府委員 今回の農地法の改正によりまして小作料が物納になりました場合には、当然のこととして、ただいま御指摘がございましたように、食管法の中におきましてそのような譲渡が可能になるような道を開く必要がございますが、これは、従来からも種子用でありますとか救恤用のようなものにつきましては譲渡の道が開かれておりますので、そのような形で食管法上の手当てをしてまいりたいというふうに考えております。 また、ただいま御指摘がございましたように、地主が飯米以上のものを小作米として受け取った場合に、これを販売するということもその道を開く必要があると考えておりますが、これは現在でも、いわゆる限度数量以上の超過米の売り渡しにつきましては、自主流通米と同様のルートを通して販売をするという道が開かれておりますので、それと同じような販売ルートを開いていかなければならないというふうに考えておりますが、これも従来からそのような道がございますので、食管法上の手当てができるというふうに考えておるわけでございます。これらのいわゆる物納小作米というものにつきましては、この内容が、いわば地主側として飯米用のものを主として要求するであろうというふうに考えられまして、それ以上大きな数量が移動するというふうには考えられません。そういたしますと小作人側にとっても地主側にとっても有利ではないことになると思いますので、その動くべき数量は限られたものになるというふうに考えておりますので、実質上食管法に対する影響は特に問題になるものではないと考えておるわけでございます。 それから、最後に、限度数量の問題でございますが、小作人がいわゆる小作米として地主に対して譲渡するような場合には、それに伴いまして小作人が持っておりました限度数量というものが地主の限度数量に移ってくるということが考えられるわけでございますが、これも地域の実態ないしはその場合の実情によりまして、販売数量に影響するほどのものであるか、それとも自家飯米程度のものであるかということによってその程度は異なってくると思いますが、考え方といたしましては限度数量の移動ということがあり得るというふうに考えております。
○角屋委員 この二十一条、二十二条の削除というのは、基本的に問題であると同時に、食管法との関連でも、いま御答弁がございましたけれども、問題がやはり出てくる。たださえ現行法制のもとでも四〇%台の物納が行われておる、これを取っ払うということになりますと、これはある意味では野放しになるというふうにも考えられるわけでありまして、そういうことの行方は結局どうなるかというと、食糧管理の米の直接統制といったような形のものが間接統制に移行する道筋として、ある者は期待をしておるかもしれませんけれども、しかし、そういうふうな布石に変化をしていくのじゃないかという感じを懸念するわけであります。たてまえがいま説明のような形でも、現実にはもっと進行するという事態が予想される。そういう点で、食糧管理法の米の直接統制という問題の間接統制への移行という、そういう懸念に対して、政府の基本的な見解を明らかにしてもらいたい。
○武藤国務大臣 いま食糧庁長官からお答えをいたしましたように、物納の分の米につきましては食管法上決して問題がないような手当てをしていこうという考え方でございますし、また、量的には、それぞれ物納になりますと、米がふえるのではないかという御指摘でございますが、全体的な量として大したものではないというふうに私どもは判断をいたしておるわけでございます。特に貸した方から見れば、自分のところの自家飯米と申しますか、自分のところで食べる米をもらいたいということでございましょうと思います。そういう点において全体的には大した数量にならないと思っております。 いずれにしても、もしそこに余剰米が出てまいりましても、これはいまの政府の買い上げ限度数量を超過した米については自主流通米のルートを通じて流れるようにしておるわけでございますし、集荷してもらえる仕組みになっておりますから、そういうルートを通じてやっていけば、これはやはり食管法においては、いまの食糧管理制度のもとではいまも現に行われているわけでございまして、私どもは、それがいまの食管法の廃止とか、あるいは間接統制とかいうものに行くのではないかという御心配は決してないというふうに考えておるわけでございます。
○角屋委員 時間が近づいておりますので、私がすべてやるわけではありませんから、後ほど同僚委員からもさらに論議が展開されてまいりますので……。 農業生産法人等の問題についても触れたいと思いましたけれども、さらに農地法改正の中では、農地等の権利移動の許可等の問題について、農林水産大臣から知事へ、あるいは知事権限のものを第一線の農業委員会へといった形のものがございまして、これはそのままでよろしいとは私自身の判断として必ずしも考えておりませんで、議論すべき問題を残しておると思いますけれども、これは同僚議員の後ほどの質問に譲っていきたいと思います。 農業委員会法の改正法の問題について一、二点触れて終わりにいたしたいと思います。 農業委員会は、農地についての権利移動等の事務を担当いたしまして、農民の代表機関として、農民の意思を十分反映させてこれらの事務を円滑に処理する執行機関として位置づけられておるわけでありますが、現在に至るまでの間に農業委員会が果たしてきた役割りについてどう評価しておられるかということが第一点であります。 それから、第二点としては、農業委員会の今後において果たすべき役割り、特に、今回の新法等も含めて、構造政策の推進において果たすべき役割りについて、農林水産大臣としてどう考えておられるかという二点についてお伺いをいたします。 それに関連をして、農業委員会のあり方については、全国市長会あるいは全国町村会等からの委員の公選制の廃止、農業委員会の諮問機関化、あるいは委員定数の削減等の要望が出されておったことは御案内のとおりでありまして、今回の改正との関連でどういうふうな処理の考え方をとられたのか、時間の関係もありまして一括三点お伺いをいたしましたが、重要な点については大臣から御答弁を願いたいと思います。
○武藤国務大臣 まず、経過について局長から御答弁して、後で私から答弁さしていただきます。
○松浦(昭)政府委員 先生の最後の御質問についてまずお答えをいたします。 五十四年の五月の要望書にも明らかになっておりますように、全国市長会、全国町村会等から、農業委員会の公選制の廃止あるいは農業委員会の諮問機関化等、農業委員会制度の基本にかかわることを含めまして種々の強い御要望がございましたことは、私ども十分承知をいたしているところでございます。しかしながら、公選制の廃止あるいは諮問機関化といったような事柄は、農業委員会の基本的性格にかかわることでもございますので、今回のような構造政策の推進において農業委員会の果たすべき役割りというものがきわめて重要な状態ということになってまいりました事態を考慮いたしますと、現時点におきましては、直ちにこのような御要望に対応することはできないというふうに考えまして丁今回の改正におきましては、民主的な行政組織でございます農業委員会制度というものの基本的な枠組み、骨格というものはそのままこれを維持するということで考えまして、今回の法改正をお願いしたという次第でございます。
○武藤国務大臣 今日まで農業委員会というのは、農民の代表機関といたしまして、農地などの権利関係について自主的な調整等を行うことにより、農民の声を直接かつ的確に農政に反映さす、これによって構造政策等の農業施策を推進するという役割りを果たしてきたと、これは私ども評価をいたしております。ただ、農業委員会の中には必ずしもその役割りを十分果たしてこられたかどうかという疑問もございます。私ども、特に今回のこの法律改正に当たりましては、農業委員会に相当の権限を付与するわけでございますので、その点については、従来の評価がよりりっぱな評価になり得るような農業委員会のあり方になっていただかなければならない、構造政策の推進に当たっては、しっかりした責任を持っていただいて、この構造政策の推進に当たっていただかなければならない、こう考えておるわけでございまして、私どもは、その意味において、今後より一層行政的にも指導さしていただいて、しっかりした農業委員会になっていただくように私どもも努力をしていきたい、こう考えておるわけでございます。
○角屋委員 以上でもって私の質問を終わりますが、昼食抜きで委員長初め各委員の皆さんの御協力、ありがとうございました。(拍手)
○内海委員長 この際、午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。 午後一時三十七分休憩 ————◇————— 午後二時六分開議
○内海委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 農地法の一部を改正する法律案、農用地利用増進法案、農業委員会等に関する法律等の一部を改正する法律案、いわゆる農地三法について農林大臣に質問いたします。 申すまでもなく、この農地三法は農地法制上きわめて重要な提案であるので、本員は公明党を代表して総論並びに各論について政府の見解をただし、本法審議には三十時間を予定してありますので、その中で疑問点または付属する問題等については若干質問を留保して、細部について次回にまた質問することといたしたいと思っております。本日の通告の全部をとても消化し切れないと思いますので、その点あらかじめ御了解をいただくべくお願いをしておきます。 政府は、農地三法をこの時期に提出した本旨について、また、今後農地行政をどのように展開していくのか、農林水産大臣からまず最初にその見解を述べていただきたい。
○武藤国務大臣 きのうの本会議で御決議をいただきましたように、いま日本の食糧の自給度を高めていかなければならないということは、世界の今後の食糧の需給関係から見ましても当然のことかと思うわけでございます。そういう意味にあって、今後日本の総合的な食糧の自給力を高めていくということになれば、どうしても農業の体質を改善していかなければならない。そこで、農業の体質をどういう方向に改善していくのかと言えば、やはりこれはできるだけ需要に見合った物を生産していただくような農業の生産の再編成を考えていかなければならない。また、できる限り生産性の高い農業生産を心がけていただかなければならない。そうなってまいりますと、特に土地利用型の農業におきましては、経営の規模の拡大を図らなければならない。経営の規模の拡大を図るにはどうしたらいいか、どうしても農地の流動化、集積化を進めていかなければならない。たまたま、農地利用増進事業というものを昭和五十年に農振法の改正をやりまして実行してまいりまして、貸し手、借り手の間の貸し借りというものが一応二万四千ヘクタールという数字にもあらわれておりますようにわりあい定着化してきて、これがスムーズに行われるようになってきた。この事態を踏まえて、私どもとしては、いま申し上げましたような大きなこれからの日本の農業の行くべき方向ということから考えても、農地の流動化を図らなければならない、それには、いま定着をしてきたこの制度をひとつ法制化いたしまして、非常に限られた、いわゆる農振地域の農用地だけが対象でありましたけれども、これをひとつ思い切って対象を拡大をし、それによって農地の流動化をより一層促進をする必要がある、それにはどうしても法制化する必要がある、こういうことで農用地利用増進法案を考えまして、それでその法律をスムーズに施行していく上においては、農地法の一部改正、また農業委員会法の改正も必要であろうということで、三法を提案をしたわけでございます。 そこで、それじゃ今後の農地行政はどう展開していくかということでございますけれども、あくまで、農地法の基本的な考え方でございますように、農外者への投機、投資というような目的で農地取得が決して行われることのないように、これは厳しく今後とも対処してまいりたいと思いますし、また、農業内部おきましては、いま申し上げましたように、本法の施行によりまして、それぞれ関係の農業者の話し合いを進めて、兼業化が進んでおる中で、二種兼業という中には、必ずしも農業をやろうという気持ちを持っている方ばかりではなくて、最近のように非常に地価が上がってきたこともございまして、資産的に考えられるようになってきた、土地を持っておりたい、こういう気持ちが非常に強いわけでございます。そのためにお手放しにならない兼業農家もいらっしゃるのではなかろうか、そういう兼業農家がもしいらっしゃれば、その土地の保有ということはそのままにしておいて、農地をお貸しいただくというようなことがお願いができないだろうかということで、そういう方々の農地をお貸しを願えるような方向に持っていきたいとか、あるいは後継者のいない農家も相当いらっしゃるわけでございまして、そういう農家の御主人がだんだん高齢化してきておる、そうすると、そういうおうちも、年をとってくればなかなか農業ができない、そうなればやはり手放すことはいやだけれども貸すぐらいのことならばいいということもあり得るかもしれないということで、こういう方々の農地が、できるだけ、中核農家と申しますか、農業を重点に生きていこう、こういう気持ちを持って農業に一生懸命になっておられる方々のところへ貸されるならば非常にいいのではないかということで、いまお願いをしておるようなこの法律をできるだけ早く成立をさせていただいて、それによってそういう方向で地域全体の農用地の有効利用と相まって農業生産力の増進を図っていくというようなことをやってまいりたい、これが今後の農地行政の基本的な考え方でございます。
○瀬野委員 ただいま農林水産大臣の答弁の中で触れられましたように、昨日、食糧自給力強化に関する決議を本会議場で二十二年ぶりにやったわけであります。もっとも、二十二年ぶりと言いましても、今回のような趣旨の決議は戦後初めてでございまして、まさに歴史的な決議だったとわれわれは認識いたしております。このことについては、いま公明党、社会党において定期協議会を開いておりまして、去る三月十二日十時からの国対において、この決議案をぜひ本会決議でということで協議をいたしまして、そこで決まったものを三党に呼びかけ、そしてまた自民党とも折衝し、昨日の決議に及んだという経過がございまして、私たちもこの決議に対しては大きく評価をいたしております。 この内容にはもう時間がございませんので触れませんけれども、そういったことも十分踏まえて、一九八〇年代の農業のあり方というものについて、今後、自給力を増すという意味からも農林大臣は強い決意で答弁があったわけでございまして、そのことは十分踏まえながら、本法の審議の中でたびたび出てまいりますので、心してひとつ答弁をお願いしたい、かように思います。 私は、農地三法の本論に入る前に、現状における農地をめぐる基本問題について政府の見解を求めます。 と申しますのは、農地三法は相互に密接な関係がございます。また、この三法を論議するに当たっては、その前提となる問題が明確でなければ、私は、今回の農地三法というものは現状追認というようなことを言われても仕方がないと言えるわけでございまして、よほど心して、そしてまたよほどの決意で今後指導をし、当局も見守ってもらわなければ、今回のこの歴史的な農地三法というものが果たして機能するかどうかということに多大なる危惧の念を抱くものでございます。 そういったことを前提としまして、以下若干の点を総括的に私はお伺いしたいと思います。 ただいまも農林水産大臣から、冒頭農地三法の本旨について見解が述べられたわけでありますが、今回の農地法制の整備は、中核的農家の育成等に資するための農地の流動化とともに農用地の効率的利用の促進を図ること等をそのねらいとしておることは、いまの答弁にあったとおりです。そこで、農地流動化の法制を整備しただけでは十分とは言えませんし、その実施効果を高めるためには、生産対策とかあるいは価格対策とか、こういったものの整合性を持った対策が重要であることは、もう言うまでもございません。 そこで、生産対策について言えば、流動化によって集積された農地に何をつくるかが大きな問題としてあるわけでございます。六十五年の見通し等がいろいろ言われておりますが、すでに政府の方でも、六十年ないし六十五年には現在のいわゆる生産調整の面積が八十万ヘクタールということを言われております。そういったことから見ましても、いわゆる農地はどんどん余っていく。ただ、この農地三法によって法的に処置をしても、実際問題その農地に米をつくったのではこれはどうにもならない。現在米は過剰なんですから。そういったことから、この生産対策について、どういうふうに作物をつくらせていくか、農民をどのように誘導していくか、また指導するか、こういったことが明らかでないと、農民は不安になるわけであります。そういったことが一貫して言えるわけでございまして、そういったことについては、本法提案に当たってどういうように将来目標を立て、農民が安心して作付転換ができるように、また今回の農地流動化を図るにしても、そういったことはこういうような目標でいけばいいんだということを検討されて出されたのか、その点まずお答えをいただきたい。
○武藤国務大臣 いま農政審議会におきまして、昭和六十五年度目途の長期需給見通し、また生産見通し、こういうものを御議論をいただいているわけでございますが、私どもこの三法をお願いをするに当たりましても、当然それはやはり将来の長期的な立場に立って、一体どういうものをつくったらいいのかということ、規模を大きくするだけで、一体何をつくったらいいのか、お米だけでいいのかということにもなり得るわけでございまして、その辺はこの長期需給見通しと関連をさせながら、今後この法律を成立さしていただけるならば、私どもこの政策も進めていかなければならないと考えております。 そこで、それではどういうものかということでございますが、これはいま農政審議会の議論をまだ待っておるところでございますけれども、私ども言えることは、水田利用再編対策でもお願いをしておりますけれども、今後麦なり大豆なりといったものは、日本の自給率が低いのだから極力これを高めていただきたい、こういうお願いをいたしておるわけでございます。いま私どもの一応出しました試算では、昭和六十五年、麦は自給率が一九%、大豆は八%というようにまだ低いものでございまして、幾らつくっていただいても自給率が一〇〇%になることはあり得ない、私どもはこう考えておるわけでございますので、そういうものについては極力つくっていただけるようにしたいと思っております。 いずれにいたしましても、そういうことのためにも、農地の集積化ということだけでなくて構造政策からいっても、基盤整備の問題であるとかいうようなものもあわせてやっていかなければならないことは当然でございますし、また、そういういろいろなものをつくっていただく上においては、やはり価格政策についてもいろいろ考えていかなければならぬことは当然でございまして、そういうものと相まってやっていくことで、農民に心配をかけないような将来の一つのビジョンを打ち出したいと私どもは考えておるわけでございます。
○瀬野委員 二月以来たびたび当委員会で政府の見解をただしたわけですが、六十五年見通しについては中間的な報告が過般なされたわけでございまして、八月か九月ごろに最終的な結論が出るであろうということであります。いままでたびたびこういった見通しを立ててこられたが、目標を達成せぬうちに三年ないし数年にしてこれが挫折してきた。今度も、私に言わしむれば、これは皮肉った言い方になるかもしれませんけれども、いわばこういった重要な法案を提案するに当たって、隠れみの的に、ことしの夏には六十五年見通しが出るのでその結果を待ってということで、全部そこへしわ寄せして議論を逃げていくというような感じしか見えないわけです。いままでもたびたびこういった見直しがなされてきた。私はまことに残念ですけれども、こういうことがネコの目農政とか、イエス、ノーの、ノーの方の、何もないノー政だ、こう言って国民から指摘されるのも当然であります。これだけの重要な法案を出すに当たっては、もっと強力な目標を立ててやっていくという精神がなかったのでは、法のみを動かして実態が伴わないようなことでは本当の意味の改正にならない、また農民精神を失うということで、私はまことに残念に思うわけです。私は、条件整備をしないと農地は流動化しない、かように思うわけです。このことばかり触れているわけにもいきませんが、道はつけたけれども、農家が何をつくったらいいのか、こういったことについても真剣に取り組んで示してもらわなければ、何も八月なら八月に示すというわけでもないと思いますけれども、もっと明確にしてやらなければ空洞化する、私はかように思うわけです。 そこで、価格対策についても、経営規模の拡大と相まって農業に意欲を持って取り組めるように、米、畑作物、畜産物等を含めての総合的な農産物価格政策というものをきちっと農民に示していく、こういう姿勢がなかったら、この農地三法もまたぞろ旧態依然たる動きになっていく、かように思って私は残念でならないのであります。 そういった意味で、この運用整備をどういうようにされるのか、その点も農林水産大臣からあわせて答弁をいただきたいのであります。
○武藤国務大臣 私どもとしては、いまの御指摘のように、生産政策とともに価格政策についても十分考えていかなければならないと思っておるわけでございます。 御承知のとおり、農産物につきましてはその八割が価格政策の対象になっておるわけでございまして、ほかの産業の生産物と比べれば価格政策については相当私どもやっておるつもりでございます。ただ、十分であるかないかという御指摘はあるかと思いますけれども、私どもは極力努力をいたしておるつもりでございまして、今後とも、農地の流動化を図っていただく上においては、それに伴います受け入れ体制の基盤整備の充実、またそこからでき上がる農産物の価格政策、これはそれと連携をしてやっていかなければならないということは当然でございまして、そのような方向は考えております。
○瀬野委員 農林水産大臣、御承知のように、昭和六十年で稲転は一応終わることになっていますね。ただいまの計画では当然そういうことになるわけです。またそのときはそのときで対策をいろいろ考えるということであろうかと思いますけれども、いずれにしても昭和六十年が一応の計画の最終年であります。そうしますと、なおさら、農民はそういったことを展望する上で、価格対策がはっきりしないと安心できないということになるわけですね。その点は、本法提案に当たってどういうふうに認識されて提出なさいましたか。
○武藤国務大臣 水田利用再編対策は五十三年度を初年度といたしましておおむね十年、こういうことになっておるわけでございます。おおむね十年ということになりますと、大体六十二年ということになるのではないかと思うのでございます。 いずれにいたしましても、水田利用再編対策についてもいろいろと転作奨励金その他がいま考えられているわけでございます。これは大体三年を第一期としてやっておりますので、五十六年以降また第二期水田利用再編対策を考えていかなければならないわけでございますけれども、いままでも考えてまいりましたが、十分価格面についても御理解願えるようなものを今後も考えていかなければならないと思っておるわけでございます。 その水田利用再編対策と絡んでこの三法はどうかということでございますけれども、先ほども申し上げましたが、農地の流動化を図りながら、それがどういうことかと言えば、価格政策から考えても生産性の高い農業をつくり出していくということが大変必要なことでもございますので、そういう意味において農地の流動化、集積化を図っていきたい、こういう考え方でこの三法をお出ししたわけでございます。
○瀬野委員 くどいようですけれども、農林水産大臣にさらにお伺いします。 農産物価格がペイしないと農地は流動化を図っても余り動かない、私はかような認識をしているのですけれども、その辺の認識は農林水産大臣も同じことでありますか、どうですか。
○武藤国務大臣 これはなかなかむずかしい問題で、卵と鶏のような議論になるかもしれませんけれども、私といたしましては、農地の流動化を図り集積化がなされていくときには結果的に生産性が高くなってくるということになりますと、価格面において生産者の手取りはふえてくる、こういうことになるわけでございまして、そういう面で、農地の流動化を図ることが結果的に農家の所得の増大にもつながるんだ、私はこういうふうに考えておるわけでございます。
○瀬野委員 卵が先か鶏が先かという議論につながるとおっしゃいますけれども、これはもう鶏が先で卵が後ということになっているわけです。なぜかなれば「たまご」と言うから卵が後である、こういうことになっております。これは漫画みたいな言い方ですけれども、卵と鶏を例にとって言われると困るわけです。農地三法を法制化するからには、こういったところをきちっと踏まえてよく論議をして検討もされて出されたと思うけれども、はっきりしなければ、私は法制化だけではなかなか進まないということを指摘し、これだけを論議するわけにもいきませんが、こういったことをひとつ六十五年見通しが出るならばその時点でよく検討し、そして農民に安心して示していかないと、先ほど言いましたように、稲転も六十二年ごろには一応の目標年次が来るわけだし、また、六十五年見通しを見ても八十万ヘクタールというような膨大ないわゆる休耕田ができてくる。こういったことから見ましたときに、米をつくればいいといって米をつくるわけにはいかない。やはり他作物に転作しなければならない。それでは何をつくるか、こういうようなことから、日本の食糧の計画生産の上からも十分検討されて、農民が安心して営農にいそしめるようにしていただかなければ、農地の流動化を法制化してもなかなか農地は動かないんじゃないか、こう思うわけです。政府は、いわゆる農用地利用増進事業によって五十年からことしに至るまでかなり動いてきた、それだけを見ていろいろ気をよくしておられるような気がするのだけれども、そうはまいらないと思うのです。そういった意味で私はそういったことを申し上げる。 それともう一つは、私は農林水産大臣に特に認識をすると同時に検討をしてもらいたいことがございます。今後の農地の流動化施策の展開に当たっては、過去に講ぜられた各種施策というものがいかなる理由で当初期待したほどの効果を上げ得なかったか、こういったことも十分反省の上に立って本法提案に及んでおられると思うが、さらにそういったことを踏まえた上で今後対処してもらわなければ問題がある、私はかように思うわけです。 ちなみに、この農地流動化対策の実績等を見ましても、先ほど申し上げました農用地の利用増進事業については、賃貸借の場合、使用貸借による権利の設定を含めて、これが五十年は十一ヘクタールであったのが、五十一年が二千六百八十ヘクタール、五十二年が二千七百九十六ヘクタール、五十三年が六千三百八十七ヘクタール、こういうふうに確かに進んできていることはわれわれも認めております。しかし、一方農協による経営受託、これは昭和四十五年から始められたものでございますが、これを見ますと、賃貸借は昭和四十七年が百二十二ヘクタール、四十八年は九十三ヘクタール、四十九年は二百九十一ヘクタール、五十年は三百五十六ヘクタール、五十一年は二百四十一ヘクタール、五十二年は二百八十四ヘクタール、五十三年が四百七ヘクタールとなっています。 またさらに、農業基本法第十八条に基づいて真剣にこれを推進せよとなっておりますが、その農地信託すなわち農協引き受けを見ましても、売買の場合、昭和四十七年が百四十一ヘクタール、昭和四十八年が七百三十一ヘクタール、四十九年が百九十八ヘクタール、五十年が十一ヘクタール、五十一年が二百五十七ヘクタール、五十二年が六十四ヘクタール、五十三年はずいぶん下がっていると思うが数字が出てない。なお、賃貸借の場合も、四十七年が二十ヘクタール、四十八年が八十一ヘクタール、四十九年が四十三ヘクタール、五十年が三十ヘクタール、五十一年が三十三ヘクタール、五十二年が八十六ヘクタール、五十三年は統計が出ておりませんが、これもかなり下がってきている。 さらに、農林漁業金融公庫法に基づく農地等の取得資金の融資等を見ましても、これが昭和四十七年に三万三千三百七十一ヘクタールだったものが、途中で地価の高騰等もありまして四十九年には一万七千六百五十三ヘクタール、そして五十三年には一万三千八百八十二ヘクタール、こういうように、これもかなり成績がよかったのだけれども、ずっと漸減をしているという事実があります。恐らく五十四年も、現在地価が高騰していますが、相当下がってきているんじゃないかと思いますが、これらのいま指摘しました問題について、特に私は会議録に記録をとどめるためにも数字を一々挙げましたが、農地流動化対策の実績としてどういうように農林水産大臣はこれを認識しておられますか、その点をまずお答えをいただきたい。
○杉山(克)政府委員 確かに、農地法上あるいは関連する法制の上でもって、さらには行政指導なり予算対策といったような各般の面にわたって、農地の流動化対策を実施してまいりました中には、今回改めて拡大した形でお願いする農用地利用増進事業のようにかなりな成果をおさめたというものもございますが、概してこれらの過去の政策は難航しておったということが言えるかと思います。そういう中でも、個別に物を見てまいりますと、たとえば農地保有合理化促進事業、これは四十七年以来、年々差はございますが、売買関係で大体一万ヘクタールから八、九千ヘクタールというようなことで、かなりの水準の売買の実績が出ております。それから賃貸借の面では、農地保有合理化促進事業におきましてはそれほど大きくはございませんが、毎年千ヘクタール台の賃貸借の実現を見ております。それから、あとは、たくさんのことがございますが、たとえば農協による経営受託とか農地信託、これらは、いま先生も言われましたが、売買におきましても賃貸借におきましても、それほどの見るべき成果は上げ得ておりません。あと、農地等取得資金の融資、これは性質が異なりますが、この資金は有効に活用されておりまして、この資金の融資に基づく農地の取得というのはかなり広く行われている。特に農用地利用増進事業なり農地保有合理化促進事業に関連して農地を取得する場合は、この資金の利用率が九〇%にも及んでいるというような状況でございます。
○瀬野委員 農林水産大臣、ただいま杉山構造改善局長からの答弁をお聞きになって、私が質問した点については十分そういった点は認識しておられますか、どうですか。
○武藤国務大臣 いま局長から答弁をいたしましたように、いろいろのことをやってまいりましても必ずしも農地の流動化が促進をしなかったわけでございまして、その点については、いまの農用地利用増進事業というものがまあまあわりあいに成果を上げてきておる、こういう認識に立って今度の法律を立案する考え方になったわけでございます。
○瀬野委員 さらに、私は、地価対策を確立しない限り農地の流動化は言うべくして動かない、かように思うのですけれども、これについてはどう取り組んで今回の本法提案に及びましたか、お答えください。
○武藤国務大臣 確かに、農業を振興するためにも、農地の価格というものが安定することが大切であることは当然でございます。最近地価の高騰とあわせて農地価格についても上昇してきておるわけでございまして、これが経営規模の拡大を困難にしておることも私は事実であろうと思います。そこで、なかなか売買で流動化を図るということになるとそういう面において非常にむずかしいものでございますから、この農用地利用増進事業も、農振法の改正によって、そういう地価が上がってきた現状を踏まえながら、売買ではなくて貸し借りで、しかもそれもなるべく簡便な方法と申しますか、そう長期の場合でなくても年数を制限しないで、できるだけお互いの契約のもとに貸し借りをしていけるようにしようということで、制度を農振法の改正でやったわけでございますが、私どもは、今後も地価の抑制ということは、これは国土庁の関係でございますが、国土利用計画法の適正な運用によりまして地価の安定を図っていかなければならぬことは当然でございますけれども、しかし、そういう中にあって、地価がこれだけになると売り買いということは非常にむずかしいという意味においても、今度のこの法案は、どちらかというとそういう地価が高くなったときにおいて農地の流動化を図るためには貸し借りがいいのじゃないかということでやったわけでございます。もちろん、しかしそうかといって、今度は、貸し借りのときの条件が地価が高くなればまた高くなるということでもございまして、結果的にその貸し借りもむずかしくなるということでございますので、われわれは、いままで都市計画法あるいは農振法その他で地価の抑制を図る方向でいろいろの努力をしてまいっておるわけでございまして、今後ともそういう努力を続けてまいらなければならぬと考えておるわけでございます。
○瀬野委員 地価の統計等を見ましても、農地価格で、中田で十アール当たり昭和三十五年を一〇〇としました場合に、当時は十九万八千円、四十年が三十四万三千円、四十五年が百二万二千円、五十年が二百八十一万八千円、五十三年が三百四十二万四千円となっておりまして、三十五年に比べて十七倍という地価の高騰になっております。こういったことでは農地は動かぬだろうと私は思います。大臣は、だからこそ貸し借りを進めていくんだとおっしゃるけれども、今回のいわゆる農地三法によっては権利譲渡ももちろんあるわけでございます。と同時に、ただいまも農林水産大臣がお触れになったように、地価が高騰すればそういった意味でも農地は動かなくなるというのは当然である。当然これは動かないという方向へますます強くなっていく、こういうふうに私は懸念するわけであります。 政府の方は、資料によってもこういう数字が出ておりますので、農地のこの価格高騰については十分承知だと思いますが、そういったことから、従来農地流動化の最大のネックとされてきた高地価については、昭和二十五年に土地台帳法に基づく価格統制が撤廃されて以降、宅地等土地政策全体を通じて今日に至るまで有効な抑制策が講ぜられていないわけでありまして、近年農地価格が、ただいま例を挙げて申し上げましたように、いわゆる農業収益価格を超えて騰貴し続けている実情に対して、政府はどういう手を打たれたのか。本法提案に当たって、地価抑制に何らかの対策を講ずべく検討されて出されたのか、その用意があれば、その点も冒頭はっきりと農民の前に、国民の前に明らかにしていただきたいと思います。
○武藤国務大臣 この法律を出すに当たってまた新しく何か土地抑制策を考えておるかということについては、正直考えておりません。先ほど私御答弁をいたしましたように、従来から、あるいは農振法あるいは都市計画法などによって利用区分がいろいろと区分されておるわけでございまして、少なくとも農業に使われる土地については、これは自由によそへ売るわけになかなかいかないように規制がなされておるわけでございます。これによって農地の地価はある程度抑制されてきておるのではなかろうかと私は思っておりまして、今後ともそういう方向で強力に進めてまいりたい、こういう考え方でいるわけでございます。
○瀬野委員 それでは農林水産大臣、農地価格の高騰の要因になっている農地の転用等については、現行制度による規制措置で十分である、こういうふうに思っておられますか。
○武藤国務大臣 先生御承知のように、農地の転用につきましても、市街化調整区域などにつきましては厳重に制限をいたしておるわけでございまして、これが地価の抑制に全く役立っていないと私は考えていないわけでございまして、やはり役立っておると思っておるわけでございます。ただ、それによって一〇〇%それじゃ完全に抑制されておるかという点においては、それは私は完全に抑制されておるとは申しませんけれども、しかし、農振法なり都市計画法の市街化調整区域なりの土地区分というものは、相当地価の抑制に役立っておることだけは間違いがないということだけは言えるのではなかろうかと思っておるわけでございます。
○瀬野委員 さらに、従来の流動化施策というものは、どちらかと言えば中核的農家に農地を集積することに重点が置かれてきました。農地の出し手たる第二種兼業農家等の対策が二次的なものとなっていたわけでありますが、今後は第二種兼業農家等を農村社会の中でどう位置づけるかということが大きな問題になると思います。 けさほどから大臣からもいろいろ答弁があったし、また過去にも二種兼業農家に対する対策、こういったことはるる当委員会でも論議してきたところでございますが、農地三法提案に当たって、こういったことも絶対に忘れてはならない重要な問題でございまして、これら第二種兼業農家を農村社会の中でどう位置づけるか、また、これらの農家の安定的な就業の場をどのように確保するかということがやはり大きな問題となっておる、かように思うわけですけれども、この点については本法提案に当たってどういうふうに検討してお出しになりましたか。
○武藤国務大臣 第二種兼業農家の問題につきましては、従来、自家飯米と申しますか、自分のところで自家用の飯米なりあるいは野菜なり、そういうものをおつくりいただいてまいりました。そういう点においても評価をしておりますが、それよりももっと大きく評価をいたしておりますことは、やはり地域社会をより健全にしていくために、この第二種兼業農家の方が、あるいは非農家の方々あるいは専業農家の方々、一緒になってそれぞれの地域づくりに貢献していただいている点を、私どもは非常に高く評価をいたしておるわけでございます。 ただ、その生産性を高めるという点からいきますと、いろいろの農産物の生産の状態を見てまいりますと、経営規模の大きいところと小さいところでは非常に生産性が違っておることも事実でございます。また、第二種兼業農家の方は、農外所得で三百四、五十万の所得を上げておられまして、農業による所得は五十万そこそこである。そして一方、専業農家の所得を見てまいりますと三百二十万かそこらである。こういう点からまいりますと、結局第二種兼業農家の方は農業以外から専業農家の方よりもより多くの所得をおさめておられるわけでございまして、もしお願いができるならば、それだけの所得を上げておられるわけでありますし、それだけ安定した収入があれば、農地を売るというわけにいかないとは思いますけれども、もし貸していただけるならばというような考え方で、第二種兼業農家の方もどうだろうかという考え方を私どもは持っておるわけでございます。 いずれにいたしましても、そういうこともありますが、今後ともやはり地域社会、特に農村社会のより振興のためには、この第二種兼業農家の方々がその地域の振興に貢献をしていただかなければならないことは当然でございまして、私どもは、一方においては農地をお貸し願えないかという期待は持ちつつも、その農家自身の存在を否定するようなことは決してしてはいけない、こういう気持ちでおるわけでございます。
○瀬野委員 いま農林水産大臣から答弁があったことについては当然でありますが、私はかねがね思っておるのですけれども、特に東北地方なんかにおいては一年じゅう出かせぎに行くという方が多いのであります。これは東北のみならず全国的にあるのですけれども、やはり単作地帯においては特にそういった傾向が強い。そこで、普通の場合でも出かせぎに行くという傾向が強いのでありますから、今度は土地を提供しますと一年じゅう帰らないというような傾向が強くなってくる。もちろんお盆とかお正月とかいろいろな行事があるときには帰るにしても、帰らない機会が多くなってくる。こういうことで、土地があれば帰るのであるけれども、なければなかなか帰らない。こういう地方に対しては、特に公害のない企業を誘致してやる、また公害のない企業によって農家の皆さん方が地元で働けるようなことをするというようなことも、従来も考えてはあるけれども、いろいろ強力に、こういった厳しい生産調整をしていく、しかも今回の農地三法を提案していくというときに当たって、一九八〇年代今後の農政を展望するときに、強力な力を発揮し、またそういったことに対して指導をしていかねばならぬ、私はかようにも思うのですが、その点については大臣はどうお考えでございますか。
○武藤国務大臣 先ほども申し上げますように、第二種兼業農家に農業をやめていただきたいということは私どもは言えないわけでございます。しかし、こういう制度ができたときに、第二種兼業農家の方が、それではひとつ貸してもいいよというようなお気持ちを持っていただきやすいためのやはり環境整備というものは、私ども考えていかなければならないわけでございまして、そういう面からいけば、いま御指摘のように、いままでも農村工業導入促進事業というものを法律をつくってまでやってきております。必ずしも十分な成果は上がっていないと思いますけれども、今後ともその意味においてできる限り、いまのお話で公害のある企業じゃこれは困りますけれども、公害のない企業においてはできるだけ農村にも進出をしていただくということは、私は当然今後努力をしていかなければならないことでございますし、また地場産業の振興という点についてもできるだけわれわれは努力をしていかなければなりませんし、あるいはだんだん第一次産業が第二次産業に移り、また第三次産業にある程度労働人口が移ってきておる現状から見て、地方の農村においてもある程度の第三次産業というものは私はこれから起きてきてしかるべきではなかろうか、そういうものについてもできるだけそういう方向になるような努力を私どももしていかなければならない、こう考えております。
○瀬野委員 さらに、農地流動化に関連する問題として、農地三法提案に当たってやはりこれらも十分検討しなければならぬ問題でありますが、土地基盤整備事業の問題がございますね。この土地基盤整備事業も最近財政事情の圧迫等によって大きなおくれを示していることは事実です。ことしはもうゼロ査定になっていますね。そういったことから、今後農用地の拡大等を含めてどう取り組んでいくのか、こういったことも十分当局では検討されて本法提案に及ばれたと思います。たとえば田畑輪換の圃場整備を行う、こういうようなことで真剣に考えていかなければ、土地基盤整備はこれを推進していかねばならぬけれども、反面米をつくるということでいわば水田だけにしておいたのでは、これはまたいろいろと過剰ぎみである現在に問題を投げかけていきますから、そういったことも十分検討した上で提案されたと思うが、その点はどういう検討をされて出されたか、その点も明らかにしていただきたい。
○武藤国務大臣 農地の流動化を図って経営規模の拡大を図っていくという点においては、当然それとうらはらに基盤整備の充実をしていかなければならぬことは、私は当然過ぎる政策であり、これは強力に今後とも進めていかなければならぬと思っております。また、一方において、需要に見合った生産をするということで、農業生産の再編成もいまお願いをいたしておるわけでございまして、そういうことも含めれば、田畑輪換、水田の汎用化と申しますか、いわゆる排水対策も含めた形での基盤整備を進めていかなければならぬことも当然であろうと思います。 そういう意味において努力をしてきておりますが、いま御指摘いただきましたように、必ずしもいまの十年の四十八年度から始まりました長期計画は、確かに思った最初の計画どおりに進んでいないことは事実でございます。しかし、今後できる限り、より計画を強力に進めていかなければならないと思っております。しかし、財政的な事情もございまして、それでは五十七年度には必ずあの計画が達成できるのかというと、なかなかむずかしいかと思うのでございますが、努力をしていくとともに、やはり、予算の配分に当たりましても、事業の優先採択あるいは予算を重点配分するということは、その農地の流動化に積極的に取り組んでおる地域に対して行い得るようなことも私どもは考えていかなければならないと思っておるわけでございます。
○瀬野委員 さらにお伺いしますが、現在、都市近郊及び観光地周辺の農地等の中には、デベロッパー等による買い占め等により荒らしづくりとか遊休化している多くの農地が散在しておるわけであります。農地行政の運営に当たっては、これらの農地をどのように処置するかということもこれは一つの問題でありますが、この点については、どういうふうに検討されましたか。
○杉山(克)政府委員 いま御指摘になりましたような土地がどこに所在するかというのが問題になると思います。それらの土地が農振法の農用地区域内にある場合には、これは農業用地として確保するため農振法の開発許可制の厳正な運用を図るということは当然でございます。 それから、農地保有合理化法人の機能、これは直接的には買い戻し機能でございますが、これを活用して農地保有合理化法人が保有する、そして先々の合理的な活用を図るということが考えられます。 それから、これらの土地が、農業適地ではありますけれども、農用地区域外にある場合には、これはまずやはり農用地区域に編入するというような取り扱いが必要であろうかと考えます。そのために必要な指導を行うというようなことをいたしております。 以上申し上げましたような措置にあわせまして、これらの土地が農業上の利用の増進を図ることが適当である場合には、これは土地所有者の同意ということが前提になりますが、その同意を得ながら、できるだけ利用権設定等促進事業、今回のこれらの事業に乗せていくように努めてまいりたいと考えております。
○瀬野委員 農林水産大臣もよく認識しておってもらいたいと思いますが、いま杉山構造改善局長から答弁ございましたが、いろいろな措置をしているということでありますけれども、一例を挙げますと、埼玉県では、こういう土地に対して、県がこの土地を買い上げまして、意欲ある者に売り渡しているという方策をとっておるのであります。また、買った人も生産意欲を持った人がこれを買って生産にいそしむ。こういうことで、私は、一つの方法として実にうまいやり方だ、こういうふうに思っておりますけれども、こういったことを御存じであるかどうか。また、こういったことについては、今後政府のいろんな指導を通じて、こういったことも考える用意があるか、その点あわせてお答えください。
○杉山(克)政府委員 県が積極的にそのような、私が先ほど保有合理化法人の話で申し上げましたようなことを直接おやりになるというなら、それは非常に結構な話であろうと存じます。埼玉県の話は、内容を詳細には存じませんが、そのような事業を行ったということは聞いております。それぞれ県のいろいろな事情がありましょうから、それらの事情も聞きながら、私どももそういう方向でできるだけ指導するようにしてまいりたいと考えます。
○瀬野委員 以上、十数点にわたって、農地三法提案に当たって、その前提となるべき、また、農地をめぐる基本問題について、この機会に改めてお聞きしたかったわけです。もちろんこのほかにもいろいろな問題がございますけれども、本論の方の質問もせねばなりませんので、ここらでこの点は打ち切りますけれども、こういった諸問題がやられないと、法制化のみでは現状追認というような厳しいレッテルを張られてもやむを得ないじゃないか、また果たしてこれはどこまで効を奏するか疑問である、私はかようにも思うわけでございます。 いままでもいろいろなことをやってきましたけれども、先ほどから指摘しましたように、地価も高騰しているし、また何をつくればいいかという目標もない、さらには、今後いろいろやっていく上には各対策または生産対策、そして過去に失敗した例等を十分反省した上で、農地三法の成立後の運用を図っていくということにならなければ、私は、何のためにこういうふうに三十時間もかけて審議をし、そしてこういった問題に対して議論を闘わすかということにもなりかねないわけでございますので、大臣にも十分認識していただき、こういった問題はほかにもたくさんございますけれども、こういった問題を踏まえて十分対策をしていただきたい。そうしないと、農地の流動化はなかなかできませんし、またこういった法制化だけで解決する問題でもない。それ以前にこういった問題がたくさんある。それほど日本の農業はいま厳しいときにきているということも認識して、改めて指摘をいたしたわけでございます。 戦後断行された農地改革は、それまでの地主的農地所有形態を抜本的に解体して自作農を広範に創出してきたわけです。以下、農地法の一部を改正する法律案について総括的に政府の若干の見解を求めます。 御承知のように、農地法は、戦後農地改革によって昭和二十五年までに約百九十三万ヘクタールの農地が買収されまして、約四百七十五万戸の農家に解放されたわけであります。農地改革は当時の農村の民主化、農業者の安定的就業の場の確保とともに、農業生産力の飛躍的増大等の多くの成果をもたらし、政府はその成果を維持発展すべく、昭和二十七年、それまでの農地改革関係法令、すなわち自作農創設特別措置法、農地調整法、自作農創設特別措置法及び農地調整法の適用を受けるべき土地の譲渡に関する政令を一本にまとめて、農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当とするとした自作農主義を目的規定とする農地法を制定したわけであります。 その後昭和三十年代に入り、わが国経済の高度成長が本格化する過程において、農業も他産業との生産性、所得格差の是正を図るべく、従来の零細経営、零細土地所有を脱皮し、経営規模の拡大を図ること等が農政の基本課題となり、こうした事情を背景に昭和三十六年農業基本法が制定されたといういきさつがあることは御承知のとおりでございます。 そこで、いろいろ経過を経まして今回農地三法が提案されたわけでございますが、その中で農地法に対して、昭和四十五年四月八日、当農林水産委員会において本法の一部改正に対し八項目の附帯決議を行っておりますけれども、本法提出に当たっては、これらの附帯決議はずいぶん期間もたっておるのですけれども、どういうように改善をして提案されましたか。かいつまんでその辺御報告をいただきたいと思います。
○杉山(克)政府委員 昭和四十五年の農地法改正法案に対する附帯決議、これは八項目ございます。たくさんの御意見をちょうだいしておるものですから、一つ一つ申し上げることは煩瑣にわたりますが、政府としてはこの決議の趣旨は十分尊重して対処してきたところでございます。 今回の農地法改正法案につきましても、昭和四十五年の農地法改正のねらいであるところの、より生産性の高い経営によって農地が効率的に利用されるようにその流動化を促進するという、農業上の効率的な利用を図るという施策の方向をさらに進めることといたしておるわけでございます。すなわち、その後の農業及び農地事情の変化と農地制度の運用の実態を踏まえながら、農用地利用増進法案の提出とあわせまして、今回、農地の権利移動の円滑化を図り、農業後継者の育成に資する観点に立って農地法の改正法案をお出ししたところでございます。 個々の項目についてお答えいたしますと大変長いことになりますが、たとえば第一項目の「小作関係における規制の緩和によって農地取上げ等により耕作者が不利にならないよう十分に措置するとともに、小作料については、原則として全国の農業委員会がその標準額を設定するようにし、かつ、その設定にあたっては耕作者の経営の安定を図ることを旨として定めるようその算定基準を明示して指導すること。」というのがございます。これに対しましては、農地等の賃貸借について合意による解約を行ったときは知事による許可を不要としたところでございますが、その解約等の通知を農業委員会に対して行わせるということにいたしております。農業委員会は、不当に耕作者が侵害されていないかどうか、その通知書を審査してチェックするということができるわけでございまして、これを通じて適切な措置を講ずるよう指導しているところでございます。それから、後段の方の小作料については、現在全国の農業委員会の九六%に当たる三千百八十農業委員会において標準小作料の額を定めております。昭和五十五年度、本年度におきましても改めてその設定、改定を行うことといたしております。その設定に当たっては通達及び手引きといったものを出しまして、地域の実情に応じ適正な標準小作料が設定されるよう、農地の貸し手、それから借り手の意思を十分反映させること、それから算定の基準となる基礎資料や農地区分の定め方等について指導をしているところでございます。 八項目全部にわたって申し上げますと長くなりますが、これはいかがいたしましょうか。
○瀬野委員 そこで、農地法の一部改正に関連して、若干の点について政府の見解を求めます。 今回農地法の一部改正の中でいろいろ問題点があるわけですけれども、土地価格が著しく高騰する問題を先ほどいろいろ指摘しましたが、こういった社会情勢の中で、小作料について標準小作料及び減額勧告の規定はありますけれども、今回の本法提案を見ますと、定額金納制が廃止されることによりまして、実際には小作料の価格が相当引き上げられるということも十分想定されるわけであります。それが耕作者の経営にかなり負担となることも心配されるところでございまして、こういったことについてはどのように規制し指導されるのか、政府の考えを伺いたいのであります。もちろん標準小作料を一応示すということにはなっておりますし、またひどいときには農業委員会の減額勧告ができるというようなことになっておることも承知しておりますが、これらについて、ひとつ本法提案に当たって検討されたものをお答えいただきたいと思います。
○杉山(克)政府委員 以前の小作人の地位というのは経済的、社会的にもきわめて弱かったわけでございますが、今日農業者の経済的、社会的地位は、雇用機会も増大しておりますし、一般の民主化意識も相当高まっているというような状況のもとでかつてとは異なりますので、小作料を当事者の自由な契約にゆだねましても、かつてのような不当に高率な小作料が発生するということは一般的には少ないものというふうに私ども判断いたしております。 しかし、当事者は契約小作料を定めるに当たって、その水準の目安とするために地域の実情に即して農業委員会が標準小作料を定める、そしてその標準小作料に比して不当に高い小作料については農業委員会が減額の勧告をする制度が現在設けられているわけでございます。この制度につきましては、これを維持して、契約小作料の水準が適当な幅の中で決められ、農地の賃貸借が円滑に進められるよう指導してまいりたいと考えております。これは金納小作の規定が廃止されて物納が認められるというようになりましても、この標準小作料の指導あるいはその後の減額勧告といったことについては、依然として十分な指導を図ってまいりたいというふうに私ども考えております。
○瀬野委員 この辺のところが農地法の中では一つの大きな問題点になるわけですが、定額金納制の廃止に関しては、物納等による米穀の授受及びその後の流通等によって食管法にどういうふうに抵触するのか。すなわち、食管法に基づく流通規制に抵触するということにならないのか。この点はどうですか。
○松本(作)政府委員 小作料の物納制によりまして、米穀が小作料として小作人から地主に支払われるということになります場合には、食管法上の規定といたしましては、このような譲渡が可能になるような道を開く必要があると考えておりますが、このような道は、すでにこれ以外のものにつきましても前例がございますので、特に食管法に触れるというようなことではなくてそのような道を開くことができるものというふうに考えておるわけでございます。
○瀬野委員 食糧庁長官、物納等とあるが、等とは、米とどういうものを考えておられるのですか。
○杉山(克)政府委員 今回の農地法の改正におきましては、いわゆる定額金納制の規定を廃止するということでございまして、小作料についてお金以外のものでも差し支えないということになるわけでございます。そうなりますというと、物納は、一般の場合は米でございましょうが、それ以外の農産物でもあるいはそれ以外のものでも理屈の上では差し支えないということになるわけでございます。
○瀬野委員 そこで、飯米確保ならば問題ないということのようであるけれども、仮に二町持っていた人が、流動化によって貸した。そうすると、十アールに対して米が十俵とれたという場合に、その家族が五人であれば、いまの消費量からいけば大体一人六十キロ、一俵くらいになっていますけれども、仮に年間に六、七俵の米を自家飯米として消費したというふうにしても、二町あれば約三十数俵という米が残るわけですね。こういうふうに物納というふうになりますと、いわゆる標準でお米で二俵とか三俵とか、こういうふうになるのか、そういった標準でいろいろなことを決めて示されるのか、その点私明快でないわけでございます。そういったことで、仮に三十数俵余ったとなると、その処分については、どうも政府は、第二自主流通米云々ということを考えておられるように聞いておりますけれども、そういうことで、食管法との整合性がとれるかどうか、後に問題が残らないのかどうか、その点明快にお答えをいただきたいと思います。
○松本(作)政府委員 今回の小作料の物納制は、地主側にとっても小作人側にとっても、それほど大きな数量のものが動くというよりは、むしろ地主の飯米に相当する程度のものが動くであろうということが想像されるわけでございます。しかし、ただいま御指摘がございましたように、地主が飯米以上のものを小作料として納入を受けたというような場合には、地主がこれをまた販売するという必要が出てまいりますので、このような場合の販売につきましては、食管法上そのような道を開く必要があるというふうに考えておるわけでございます。 その方法といたしましては、現在限度数量以上の超過米につきましては、自主流通ルートを通しまして販売をするという仕組みをつくってございますので、ほぼこれと同様の販売ルートを設定をいたしまして、食管法の範囲内でしっかりした流通が行われるようにしていきたいと考えております。
○瀬野委員 食糧庁長官、これはわれわれ思うのに、こういった物納によって今回道を開いたことによって、いよいよ食管法というものはますます形骸化される、いままでもそうですけれども、このことによっていよいよ空洞化されていく、こういうふうに思えてしようがないのです。皆さん方は、食管の精神は維持する、堅持するとおっしゃるけれども、事実上私は怒濤のごとくこれが崩壊しつつある、かように認識するのですけれども、その点はどうですか。
○松本(作)政府委員 私ども、食管法の根幹はどうしても堅持しなければならないというふうに考えておるわけでございますが、この小作料の物納制ということによりまして、そのような食管制度の根幹に大きな影響があるというふうには考えておりません。しかし、食管法自体といたしましては、現実の実態に即して円滑な運用ができるような法律の改正というものは必要であろうというふうに考えておりまして、その検討は続けておるわけでございます。
○瀬野委員 食料庁長官に再度お伺いしておきますが、今回の改正と直接関係はないとは言うものの、本年の九月三十日で完全に撤廃される統制小作料でございますが、この撤廃が耕作者の契約に大きな心配となるとわれわれは懸念しておるのですけれども、この点についてはどうお考えですか。
○松本(作)政府委員 御指摘のように、統制小作料は、現在米価の算定の基礎の地代として採択をしておりますので、この統制小作料が廃止されます場合には、米価の算定に影響が出てくるということは御指摘のとおりでございます。しかし、この米価の中で、特に自作地の地代につきましては、その考え方につきましていろいろとあり得るわけでございますので、この統制小作料が撤廃されました後、どのような地代水準をとるのかということは、今後の米価算定のあり方の中で検討してまいらなければならないというふうに考えておりまして、現時点では直ちに結論を持っておりませんけれども、そのことが米価のあり方そのものを大きく変えるものではないというふうに考えております。
○瀬野委員 まさにこれが撤廃になりますと、ことしの米価までは何とかいいわけですけれども、来年からの米価の算定基準というものが問題になっていくわけですね。こういったことも十分検討して提案されたと思うけれども、これはまた次に譲るとしましても、いずれにしても、今回の急激な小作料の上昇というものが当事者間の紛争を惹起することは十分懸念されますけれども、そういったことに対しては、皆さん方はどういうふうに認識しておられますか。
○杉山(克)政府委員 昭和四十五年の農地法改正後十年間、統制小作料が廃止されたのではございますが、猶予措置として、それ以前に存続したものについて統制小作料の適用を図ったわけでございます。この猶予措置によって猶予の趣旨は十分果たされたものと考えております。したがって、この期間を延長するというようなことは考えておりません。 それから、期限切れに伴う貸し主、借り主の動向につきましては、現在承知しておりますところでは、全国的に特に大きな混乱が生ずるというような情勢にはないと承知いたしております。賃貸借当事者における紛争というのは、あるいはこの機会に個別には若干起こってくるかもしれないということも考えられますので、私ども、期限切れの趣旨の理解の徹底、これを十分図るということとともに、紛争を防止するための措置といたしまして、都道府県それから農業委員会でしかるべく取り扱うよう指導を進めてまいりたいと思っております。 それから、昭和五十五年度予算におきまして、小作料統制廃止の趣旨の普及、紛争防止のためのただいま申し上げました事業のための経費、それから和解の仲介等紛争処理のための経費、これを予算でも計上しているところでございます。 五十五年度から、統制小作地の借り主が当該小作地を改めて取得しようとする場合には、農地等取得資金について、一般の場合は二百万円でございますが、その個人七百万円という貸付限度額の特例を設けまして、できるだけ取得がかなうようにということでの助成措置をとっているところでございます。
○瀬野委員 時間がなくなってきたのですけれども、農地法の一部改正についてもう少しお伺いしておきますが、今回の改正で農業生産法人の業務執行役員については、農作業に常時従事している者が法人の過半を占めればよいということで提案されております。端的にお伺いしますけれども、極端な例を挙げますと、農地の提供者と農作業の常時従事者が全く分離するといった事例も否定できないわけでございまして、この場合、農地法にいう自作農主義に大きな変更を与えないものかどうか、私たちも心配をするわけです。かつてございましたいわゆる擬装法人というものができるかどうかという問題もございまして、こういった点については十分国も指導していかれるでありましょうが、その点についての検討はどういうふうにされましたか。
○杉山(克)政府委員 農地法の自作農主義は、農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認めているわけでございます。このことによって不耕作者の農地取得を排除しているわけでございます。しかしながら、この自作農主義に基づく権利取得の制限は、現に農地等の権利を持っていない者でありましても農業に熱心に取り組むという者につきましては、その農地取得を排除するということにはなっておりません。四十五年の農地法改正によりまして、個人の農地取得については、現に農地等の権利を有しない者であっても農作業に常時従事する者であれば農地等の権利を取得できるようにしておるところでございます。 今回の農業生産法人の要件の緩和は、農地等の権利を有していない農業後継者が農業生産法人制度を活用いたしまして規模の大きな経営を営むことができるようにするため、個人の農地取得の場合と同様に、現に農地等の権利を法人に提供していない者であっても、法人の事業に必要な農作業に主として従事する当該法人の常時従事者、これがその法人の業務執行役員の過半を占めておれば農業生産法人として認めようとするものであります。したがいまして、農地法の自作農主義に特段の変更を加えるという性格のものではございません。
○瀬野委員 もう一点お伺いしておきますけれども、農地法に関連して農業委員会への権限委譲に関する問題が提起されておるわけですけれども、農業委員会については、また改めて農業委員会等に関する法律等の一部を改正する法律案の中でいろいろ政府の見解をただすわけですけれども、農地法に関連して一点伺っておきます。 賃貸借の解約等の許可権限については、今日まで都道府県段階におけるチェック体制が耕作者の地位の安定に大きく寄与しているとの評価もありますが、今後この農業委員会における許可審査に当たっては、これらが恣意的に行われることのないように十分国は指導していっていただかなければいけない、こういうことであります。もちろん、来年度は農業委員会の選挙もございます。また定員の問題もいろいろ提案されておりますが、農業委員会そのものが若返りをして、そして今後相当行動的に動いてもらわなければならぬという問題もございますし、またレベルアップもしてもらわなければいかぬというふうにわれわれは考えております。そういった中で、いま申し上げましたように、農業委員会が一方的に押し切るというようなことがあってもいけませんし、力関係でやられては困る問題が起きてまいります。むやみに印鑑を押すというようなことでも困りますし、また、農業委員会でどうも手に負えぬものは県に上げるということもできるわけでございますが、今回は自分のところでいろいろなことが、農業委員会自体ができるということにもなりますので、農業委員会の現状を踏まえて、十分ひとつ機構等を整備してもらわなければならないという問題を含め、いろいろと国からも指導してもらわなければ、なかなかこの農地三法の流動化に当たっても今後困難な行政に直面してくるのではないか、かように思えてなりません。 町村役場との調整の問題とかいろいろ重要な問題がたくさんございますけれども、これはいずれ来るべき委員会に譲るとしましても、そういったことで、この農業委員会への権限委譲に関する問題等について最後に政府の見解をお聞きしておきたい。そうしなければ、なかなかこの農地の流動化も事実上動いていかない、かように私は思えるものですから、あえてお聞きしておきたい、かように思うわけです。
○杉山(克)政府委員 今回の農地法改正案によって、農地等についての権利移動の許可権限、市街化区域内農地の転用届け出の受理、それから農地賃貸借の解約等の許可権限、これらを農業委員会に委譲することとしております。農地等の権利移動の許可につきましては、昭和四十五年の農地法の改正によりましてすでに許可件数の大半が農業委員会の許可の対象となっております。それから、知事許可案件につきましても、農業委員会が意見を付して知事への申達事務を行っているところでございまして、また農地賃貸借の解約等の許可につきましても同様、意見を付して知事への申達事務を行っております。こういったことから、権利の取得者または賃貸借の当事者双方が在村者である場合には、その許可申請については農業委員会は適正な判断を下し得るというふうに考えられます。 それからまた、市街化区域内農地の転用届け出の受理の問題でございますが、これも従来から知事への経由機関としての事務を行っておったわけでございます。それからまた、届出書の記載、その添付書類が完備しているかどうかというようなことの審査につきましては、これは特段運用上不安はないというふうに考えられます。 今回の農業委員会への許可権限等の委譲につきましては、確かに農業委員会もいろいろございまして、十分な能力を備えてないものも中にはあるかと思います。今回の三法の改正あるいは新制定に伴いましてそれだけ権限も大きくなるわけでございますので、その職務に対する自覚と責任を促し、真剣に適正な業務執行に当たってもらえるよう、十分指導し徹底を図ってまいりたいと考えております。
○瀬野委員 本日は以上で質問を一応終わることにいたしますが、御承知のように、農地三法は膨大な内容でございます。一時間や二時間でとても論議を尽くせる問題ではございませんけれども、来る四月十六日に第二回目の農地三法の審議が行われることになっておりますので、残余の問題については留保し、その際、政府の見解をただすということで、本日は、時間が参りましたので、総論的な問題と、さらに農地法の一部を改正する法律案の若干の点について質問を申し上げて、私の質問を一応打ち切ることにします。
○内海委員長 中川利三郎君。
○中川(利)委員 大臣にお伺いしますが、今日の深刻な農地問題を考える場合の基本的前提といいますか、要因といいますか、一体何だとお考えでありますか。大分抽象的な質問でありますが、大臣の政治哲学でも結構ですからお聞かせいただければありがたいと思います。
○武藤国務大臣 けさほどからお答えをいたしておりますけれども、きのう国会でも本会議で決議をいただきましたように、いま日本の国にとりましては、将来を考えた場合に総合的な食糧の自給度を高めていく必要がある。その総合的な食糧の自給度を高めていく上においては、やはり国民の理解のもとに総合的食糧の自給度を高めていかなければならないわけでございまして、そういう面におきますと、特に土地利用型農業においては経営規模の拡大を図り、そして生産性を高めていかなければならない。そういう生産性を高めていく中で需要に合った農業生産を行い、そしてそれによって結果的に食糧全般の自給度を高める、こういうことが必要であろうと思うのでございます。そういうことを考えれば、結局いま申し上げました生産性を高め経営規模の拡大を図っていくという点からいけば、どうしても農地の流動化を図らなければならない、そこで今度の三法を提案をした、こういうことでございます。
○中川(利)委員 いまのような大臣の発想、考え方、私は根本的に視点が違うだろうと思うのですね。最近の政府発表の統計によりましても、「農地の移動と転用」という資料ですが、一九六〇年から六五年代、つまり昭和三十年代から四十年代までは耕地面積は大体六百万ヘクタールを維持しているわけですね。その以後ずうっと急激な減少を強めて、一九七八年になりますと五百四十九万四千ヘクタール、つまりこの間に五十万ヘクタール以上も減っているのです。これはだれがそのようにしたかということを考えてみた場合に、農業内部の生産性向上だとかあるいは経営規模拡大がうまくいかなかったからこのとおり農地がなくなったんじゃないのです。これは御承知だと思いますが、列島改造ブームの波に乗って大資本や大企業がどんどん土地ブームを起こして買いあさったり、あるいは政府主導の拠点開発をやったり、これらによる農地買い占めが今日の深刻な農地問題をつくり上げた根本的な原因だと思うのですね。ですから、農業内部の競争よりも、こういう独占やあるいはそれを保証した国家独占資本と言えば言い過ぎになるかもわかりませんが、こういう全政策体系が今日の農地問題の大変な状況をもたらしたものだ。しかも、いま現に同じようにして財界が一部の労働組合なんかを巻き込みまして、やれ農業は過保護だとかあるいは割り高だとか、住宅難解消のためにはどうしても農地を手放させることが大事だ、こういうことで一貫して矛先を向けているのですね。そういう点について私はもう一回大臣にお聞きしたいのでありますが、今度の農用地利用増進法案だとかその他一連の法案では、つまり農業内部のそういう経営規模を拡大して中核農家を育成していけば解決するんだなんという、そういうことでは、やはり今日の最大の基本的な要因をそらすものだと思うけれども、この点については大臣どうですか。
○武藤国務大臣 確かに農地の面積は減ってきておりますが、私どもはまた逆に、最近は農地の面積を少しでもふやしていかなければならない。ただ、これはふやすだけではいけないわけでございまして、やはりその単位当たりの農地から生まれてくる収穫量が多くなるように努めていくのは私は当然だと思うのでございます。そういう点において生産性を高めていくということが必要である、そういう生産性を高めていく上においては、日本の農地というものは非常に零細性という性格を持っておりますので、農地の流動化を図って経営規模の拡大を図ることは当然ではなかろうか、私はこう考えておるわけでございます。
○中川(利)委員 問題は、根本的な要因を抜きにいたしまして農業内部の中であれこれやってみても、私は日本農業の発展につながるものじゃないだろう、こういうことを申し上げているわけでありまして、とりわけその中でも問題なのは、もう何ともならないくらいに農地価格が高くなってしようがない、こういうことが、いまの賃貸借の傾向に変わってきた主な要因だと思うのですが、なぜこのようにしからば農地価格がべらぼうに高くなってきたか、これについては大臣はどう考えますか。
○武藤国務大臣 地価の高騰というのは、確かにいま御指摘のようにある程度高度経済成長の中で起きてきた問題だろうと思います。地価の高騰に伴って農地も相対的に上がってきたわけでございます。ただ、先ほど御指摘でございますが、私は、しかし農地というものは、農地法あるいはその次においては今度は都市計画法の地域区分あるいは農振法という形で、極力農地の価格の高騰は抑えるように努力してきたことは決してそれは否めない事実ではなかろうか。ただ、それがどこまで効果があったかは別でございますけれども、そのいろいろの政策がやはり行われてきたということだけはぜひひとつお認めをいただきたいわけでございます。
○中川(利)委員 したがって、肝心の基本的な要因、こういうものには手を触れないで、農業の内部の中で一生懸命がんばってきた、こういうことでありますが、私が今回政府からいただきました「農用地利用増進法案及び農地法の一部を改正する法律案関係参考資料」、この中の四十四ページにはこういうことが書いてあるんですね。「農地価格の年次推移」、全国農業会議所調べ、全平均で中田、つまり真ん中くらいのたんぼだね。上田じゃないたんぼ、中田。昭和三十五年には十アール当たり十九万八千円なんですね。昭和五十四年になりますとこれが十アール当たり三百六十二万四千円になっておるんです。つまりこのわずかの間に十八倍になっておるんですね。純然たる耕作目的の農地にしてさえもこのありさまだ。ちなみに一般農地の上昇率と比較してみますならば、一般農地の値上がりの場合は十倍ぐらいなんですね。それよりも農耕そのものを目的とした農地を買うためにもこれだけの値上がりをしているということですね。つまりこれらは、あなたは一生懸命やったとおっしゃるけれども、やはりこういう高地価ということは、金に糸目をつけないあの土地ブームで買いまくった資本の、つまり土地収奪と言えば言い過ぎかもわかりませんが、その過程で引き起こされたものであるということは明白だと思うのですね。したがって、このような物すごい値上がりというものは、いかに土地収奪が激しく行われたかということをあらわしているものだと思うわけであります。 その点と、もう一つ、同じ資料の右の方にありますが、住宅目的の農地価格、住宅用に転用した場合はいま何ぼだということを書いておりますね。昭和五十四年のあれでは、たんぼで三千百十万三千円になっているんですね。こういう状況でありますから、これは大変な状態になっているということですね。そこで、そういう農地を札束で買いたたく。農民は直ちにそれを使うわけじゃありませんから別の高い農地を買っていく、こういう中で、都市のスプロール化だとか虫食い状況だとか、あるいは農地価格がどんどん値上がりしていく、こういうことになったというふうに、私はそれが正しい見方だと思うんですね。 こういう実態が明白である以上、いかに農地を守っていくのか、このことが何としても基本課題でありまして、そのためにも、農地法の第四条、第五条、ここにある農地の転用規制をより厳重にしていくだけでなくて、維持発展さしていく、そういう強化の方向にこそ向けられるべきであって、同時に農地の価格に対する政府によるところの強力な指導をすることが今日非常に求められているんじゃないかと思うのですね。つまりあなたのようなああいう土俵の中での発想ではそういう問題解決が出てこないということを改めて申し上げたいと私は思うのでありますが、大臣の所見はいかがですか。
○武藤国務大臣 確かに農地法によりまして、農地の転用の規制をより厳しくしていかなければならないことは当然でございます。そういう点は、今後もより努力をしていかなければならぬと思いますし、また地価の抑制については極力努力をしていかなければならないと思っております。地価の抑制は、たとえば国土利用計画法などの発動によりまして地価の抑制に今後一層私どもは努力をしていくことが必要であり、それは結果的に農地の地価の抑制にもつながることでございます。そういうことについては努力をしていかなければならぬと思っております。
○中川(利)委員 非常に答弁自体が、心にあることがあらわれるといいますか、確信が非常にないということをやはり明白に証明したものだというふうに私は思うのでありますが、時間の関係上次に進んでまいります。 ここに「農地制度の検討について」、五十四年十二月二十日、農林水産省構造改善局が発表した資料がございます。これを見ますと、今日の農地事情の問題点というものを四つ指摘しています。一つは、農地流動化が進まないで規模拡大がおくれているという問題ですね。もう一つは、農地価格が上昇して農業上の採算に合う農地取得が困難だという問題ですね。もう一つは、農地の資産的保有傾向に伴う賃借上の問題点を指摘していますね。最後の四つ目は、零細小規模土地所有の場合の問題点、この四つを今日の問題点として出している。 そこで私が聞きたいのは、これをどうするかということについて、あなたの方では三つの農地制度の検討の視点というものを出していらっしゃいますね。あなた方はそういう四つの問題点を出して、三つの視点、いわゆる対策を出しておるのだ。それを見ますと、優良農地の確保の問題が第一、経営規模拡大の推進が第二、農地の効率的利用の促進が第三番になっていますね。 そこで私がお聞きしたいことは、大体問題を四つ出して、対策は三つしかないということも逆なでしているように私は考えるわけでありますけれども、まず、優良農地の確保について申しますと、ここにあれこれ書いてありますけれども、要約して申しますと、土地利用区分等を通ずる土地利用秩序の維持、適正な利用規制、適正だ、秩序の維持だ。そうして、そういう中での優良農地確保とスプロール化防止の位置づけをしていらっしゃいます。これは何と考えても残地農業論の一変型だと私は思うのですね。つまり縮小再生産の方向で土地利用区分等を通じてこれを囲い込んだり、適正な利用規制をしたり、そういう中で優良農地を確保していくというのですから、どうしても日本農業の発展という立場から見れば、これはまさしく残地農業論の一変型ですね。狭くした中での有効利用を図っていくというのだな。しかも、問題点で申しますと、どうもこの三つの対策のどれ一つとっても、地価に対するどうするかという考え方は全く出ておりません。こういうことで本当に今日の農地問題の解決が、さらにそれを維持発展させることができると考えていますか、あなたは。
○杉山(克)政府委員 問題点四つあるのに対して解答の方が三つだという御指摘でございますが、これは一つに一つが対応するというような対策ではございません。全体を通じて総合的な効果を期待するということで、特に必要な対策を挙げておるわけでございます。 それから、いま土地利用秩序の維持を図っていく必要がある、そして優良農地の確保とスプロールの防止を図ることが重要であるということ、これについて残地農業化の進行じゃないかという御指摘がございましたが、市街化区域についてはそういうことも言い得ると思いますが、私どもが申しておりますところのここで言っておる意味は、むしろ農業振興地域の整備に関する法律、いわゆる農振法によりまして、優良農用地を確保するための線引きをきちんとやる、そしてその中での農用地区域というものを重点的にこれを囲い込んで、その整備を図っていくということを言っておるわけでございます。そして、しかも農振法のみならず農地法の規制の適用も厳正に行って、まさにスプロールの防止を図るということをうたっているわけでございます。何ら残地農業化、全国一律にそのことを考えているという性質のものではございません。趣旨としては以上のことでございまして、優良農用地の確保は市街化区域なりその近傍というよりは、むしろ本来農用地に適したところにさらに造成等も含めて全体としての拡大を図っていくというのが基本であろうかと考えます。
○中川(利)委員 何だかんだあなたおっしゃいますけれども、たとえば先ほどの地価に対して一言も触れていないということ、地価対策が何もないということ、これは事実でしょう。あれこれの状況を勘案すれば、あなたの言うのはやはり言い逃れにしかすぎないように私は思うわけであります。ですから、あなたの方の論理構造から見ますならば、地価が高い、だから流動化が進まない、こうなれば賃貸借だ、そのための貸し手の地位を強化しなければならないなんて、あたかもそれらが今日の農地問題の基本方向みたいな、そういうことで日本農業全体の発展という大きな視点から見るならば、まさにようじで歯を削っているようなもので、これは私は問題にならないと思います。 そこで、次の問題に移らせていただきますが、それならお伺いしますが、小作地の面積とその構成についてお伺いしたいと思うのです。つまり賃貸借の現状と問題点ですね。そこで、私ある学者の試算を持っているわけでありますが、このある学者の試算によれば、五十年町点での小作地、いろんな名目によるやみ小作地を含めまして面積は四十万ヘクタール程度だとおっしゃっているのですね。このうち農地改革残存小作地は十万から十一万ヘクタールじゃないだろうか、改革以後つまり昭和四十五年の農地法改正前に権利設定された小作地はおよそ五万ヘクタール程度、あるいは法改正以後権利設定されたのは一万七千ヘクタールぐらいじゃないか、残りはつまりやみ小作地じゃないか、こういうように試算しているわけですよ。政府はこの問題についてどのように試算しているか、つかんでいますか。
○杉山(克)政府委員 小作地についての類型別の調査というものを厳密に行ったものはございません。各種の試算といいますか推計が行われておりますが、全体を通じて見れば、若干の差異はありましても、いま先生の言われたようなのは多くの意見といいますか、大体妥当なところではないかというふうに推定されております。
○中川(利)委員 学者の試算したものが大体その程度じゃないか、おら方ではそういうものはやっていない、つかんでいない、こういうことですね。おら方というのは、秋田弁では私の方という意味ですがね。 そこで、あなたにお聞きしたいのは、利用増進事業が今度独立立法になった。いわば農地政策の柱、目玉として前面に出されているわけでありますが、現実をほとんど実態としてつかまえていない、多分その学者先生の言った程度だろうというようなことですね。私はそれもおかしいと思うのです。なおおかしいことは、今度の農地利用増進事業で政府は今度新しく賃貸借をどんどんふやすわけですから、どれほどの面積、どれほどの賃貸借が広がると大体読んでいるのか、その見通しをひとつお知らせいただきたいと思うのです。
○杉山(克)政府委員 小作地の実態につきましては、私どもも調査したものがございますが確信の持てるものはないという意味と、いたずらに混乱させることは好ましくないということで、正規の発表をいたしておりません。それで各種の推計があるということを申し上げたわけでございます。 それから、今回の法律措置によりまして、今後どの程度の賃貸借の実現が図り得るかということでございますが、これは御承知のように、法律上強権でもって義務づけてそのことをやらせるという性格のものではございません。現に農地を貸しに出してもいいという農家があり、一方に農地を借りて規模拡大を図りたいという農家があるなら、その間の結びつきを図る、そして両者が安心して貸せる、安心して借りられるというような仕組みをつくるところに今回のねらいがあるわけでございます。したがいまして、特別に目標を設定する、幾ら出るということを特段明確にすることはできないわけでございますが、ただ、私ども従来進めてまいりました農用地利用増進事業、これによる実績は最近きわめて大きく伸びてまいっておりまして、昨年一年だけでも万七千ヘクタールの設定が行われております。これを上回る設定が今後出てくるものというふうに私どもは期待いたしております。
○中川(利)委員 いままでで一万七千ヘクタールの設定をされた。今度は大上段に振りかぶった単独立法です。そして、まだそれ以上になるかもしれないというようなことですね。しかも大事なことは、政府自身はいろいろなことをつかんでいるが、騒動が起こるかもわからぬからこれを発表しなかったとか、今度単独立法を出すのですから、そういう資料なり、納得できるものを、あるいは皆さんの見通しなりというものを、これは相対だからわからないのだということでは済まないだろうと私は思うのですね。それで、やはり農業全体の前進につながるためにも、そういうあいまいなことでなくて、農業に意欲を持つ人々が安くてどんどん農地を買えるような、そういう施策こそ大事だということを私は申し上げたいから、こういうことを申し上げているわけでありますが、いずれにしましても、大きい問題があることを私は強く指摘しておきたいと思います。 次に、農振法の利用増進事業と今度の単独立法との関連で、ちょっとお伺いしたいと思います。 御承知のとおり、農振法の場合は五十年改正で出発したわけでありますが、この中で農用地利用増進事業は五年の歴史があるわけでありまして、実質四年の事業推進の経過があるわけですね。この間の実績は一体どうなっているのか、問題点は何なのか、教訓は何なのか、こういうことをどのように掌握し、集約して今回単独立法につなげてきたのか、私はその経過について、簡単で結構ですから、改めてお伺いしたいと思うのです。
○杉山(克)政府委員 成果といいますか、実績の方につきましては、先ほど来申し上げておりますように、毎年着実な増加を見せて、昨年は一年だけで一万七千ヘクタールの新規の設定を見た。累計で、現在二万四千ヘクタールに達しているということでございます。これは各種の流動化施策の中ではかなり顕著な効果を上げたものと言うことができようかと思います。 それから、問題点、反省点は何かということでございますが、端的に申し上げまして、今回私ども改正法案でお出ししておりますところの改正点、これがさらに前進させるために必要な事項、つまり問題点といいますか、措置を要する点であるというふうに理解いたしております。
○中川(利)委員 そうすると、政府はいろいろなことをやってきた。余り効果なかった。ただ、農用地利用増進事業だけは農振法の中で何ぼか効果が出た。さあ、だから思い切って単独法にせい、こういうあんばいなんだな、あなたのいまのあれは。何かばくちみたいな感じを私受けるのですけれども。ところが、あなたいまおっしゃったように、おたくの統計でも、いまの時点で設定されている面積は二万四千ヘクタールなんですね。つまり、やみ小作面積を含めた賃貸借のすべてがそうだということであれば、いかにも小さいな。これでいかにももっともらしく成功したように言うのは、おこがましいというか、私の場合なら恥ずかしくて顔を上げられないような感じもするのでありますが、時間の関係もありますから、その点についての返事を省略して、次に進めさせていただきます。 次は、小作料の問題であります。お伺いしたいことは、一体この利用増進事業で、小作料はどの程度の水準で設定されるのかということをお聞きしたいと思います。
○杉山(克)政府委員 小作料の決め方は、当事者同士の合意で決めるわけでございます。ただ、それが不当な水準にならないように、農業委員会が標準小作料というものを決めて指導している。そして、場合によっては減額勧告をするというような仕組みになっております。ただ、そういう仕組みとは別個に、それぞれ個別の事情でもって農地の需給事情等を反映して小作料水準が決められていくというふうに思っております。 ただ、私どもとしては、いま申し上げましたような標準小作料の制度もありますし、それから、今回定額金納制を廃止することに伴って混乱を生ずることがあってはいけない。小作料関係の不安定ということは、農業経営の不安定にもつながる話でございますので、この際、従来以上に小作料の指導、標準小作料の制度を徹底させまして、農業委員会にもそのチェックを十分にしてもらおうというふうに考えております。
○中川(利)委員 農業委員会がその地域の近傍その他のあれと見合って標準小作料を決めるのだ、しかし、相対だからわからないというような言い方ですね。 そこで、私は秋田県の雄物川町という町の標準小作料というか、農業委員会が決定した資料を持っておるわけでありますが、これを見ますと、大半の賃借期間が六年なんです。そうかと思いますと、三年なんですね。そこで小作料は、六年の場合も三年の場合も、これでずっと調べてみますと六万八千円です。六万八千円というのは、米で言えば四俵ですね。四俵と言えば、利用増進事業、つまり国が音頭をとってやっている事業としては、それがいいか悪いかは別にして、私はかなりのものだと思うのですよ。従来、政府がわれわれにこの前の農振法のときも何回も言っていることは、貸借期間が長ければ小作料は安い、短ければ高い、そういうふうに説明しているわけであります。おたくの資料で見ましても、東北のたんぼ全体の標準小作料の水準は、五十二年の改定後でさえも加重平均で三万三千六十四円ですわね、ここにありますね。すると、雄物川町に見られる六万八千円は、標準小作料とどうつながるのか、どういうふうにすれば理解できるのか、なかなか私はわからないわけであります。とりわけ、東北の標準小作料の分布水準を見ますと、大体二万円から四万円になっているのですね。そうすると、こういう実態は一体どう理解したらいいのか。政府の事業でも実態とかけ離れた小作料が決められているということをこれははっきり示していると思うのですよ。 ですから、私の聞きたいことは、中身をつかまないで、とにかく面積さえ広がればいいのだ、その結果として、耕作者が自分の自家労賃を賄うこともできない貧乏大百姓みたいなかっこうになる、こういうことでは困るわけであります。したがって、これらの内容について細かい分析だとか検討を当然おたくではつかまえなければならないし、そういう把握は必要だと思いますが、どうなっていますか。
○杉山(克)政府委員 小作料は地域によって、これは標準小作料にしても実勢小作料にしてもそうですが、大きな開きがございます。それから、標準小作料と実勢小作料の平均との乖離というものも、地域によってまた差がございます。個別の事例をとりますと、高い地域における、それから、特に新しい時期の小作契約をとりますと、極端に高いものも事例としては出てまいります。いま先生が挙げられましたものも、恐らく一般的に高い東北の中で、また地域としても高い、その中で新しい契約による分かというふうにも思うわけでございますが、いずれにしましても、われわれとしてもいまのような事例はやや高過ぎるなというような印象を受けるものでございます。ただ、これにつきましては、それなりの背景もある。やはり規模拡大のために農地がどうしても必要である、自分としては採算上ここまで出し得るというようなことで需要が強い場合に、おのずとどうしても小作料は高くならざるを得ないという実態もあるわけでございます。 そういう意味で、従来のような画一的な統制小作料という制度もなくなって、ただ、まるきり野放しというのもいかがかということで、標準小作料による指導あるいは減額勧告というような制度に改められているわけでございます。私ども、小作料は統制小作料でございませんので、それなりの需給の実態、実勢といったものも加味しながら、標準小作料の仕組みを使って適正な全体の水準が維持できるようにこれを指導してまいりたいと考えております。
○中川(利)委員 あなたは、標準小作料というものがあるからそれが一つの目安だ、それを中心にして実態を加味して、適正な水準で決めていきたいと言うけれども、実際に二倍も三倍もそうなっているのですよ。何もあなた、適正なかっこうで指導したという話も聞いておらないし、何もないじゃないですか。現にちゃんとこういうことになっているじゃないですか。そうすればあなたは、相対だからこれはしようがないという言い方でしょう。これはおかしいね。細かい分析は次の質問に譲るといたします。 じゃ、もう一つお聞きしますが、前回の五十年の農振法改正のときに政府は、賃貸借期間が短いと不安定だ、だから、三年でぽっきり更新で、だけれども繰り返し繰り返し権利を設定して借りられるように耕作者の安定を図る、こういうことを言ってきたと思うのですね。そこで、私は聞きたいことは、三年一回きりで更新、この前の農振法もそうですわね、更新がないわけだ。それがどの程度つながっているのか、設定をし直して何割ぐらいつながっているのか。追跡調査というわけじゃありませんが、政府はそれをどう把握し、どうつかんでいるのか、その実態をひとつお述べいただきたいと思うのです。
○杉山(克)政府委員 農用地利用増進事業はまだ日が浅いということもありまして、全面的に契約更新期を迎える段階には至っておりません。一番古いそれほど多くないケースのものが、最長のものでようやく五年目にかかったというような段階でございます。したがいまして、まだその契約更新ということについての計数は出てまいっておらないような状況でございます。ただ、私ども、これは聞き取りあるいは団体等の意見から承知しているところでございますが、市町村等が間に入って契約あっせんをするということによって安心して貸せるということから、かなり安心してまた更新をしたいという意見も出ているというようなことは聞いておりまして、やはり公的機関の関与ということがその点ではプラスしているというふうに受けとめております。
○中川(利)委員 そうすると、これはいまそういう期限が来ておらないんだ。政府は当然その実態をこれからも詳細につかんで、今後の施策に生かしていかなければならないと思うのですけれども、正直言って、私は、それまでの経過措置の問題としても、当然政府はそういうものをつかんでいなければならないと思うのです。いずれ将来、私の方でそういう資料を要求するということになろうかと思うのですね。そういう場合はひとつ積極的に御提示いただきたいと思うのです。 同時に、利用増進事業の法案の内容について少しお聞きしたいと思うのですね。 前回法との違いはどこにあるかと言いますと、その特徴は、対象地域を拡大したということが一つだと思うのですね。もう一つは事業内容の総合化、こういうことの二つであって、あとは前回法の方式を取り入れているだろうと思うのですよ。そこで、問題は、この事業内容の総合化の中に所有権の移転を加えておるのでありますが、これは私は重大な問題だと思うのですね。なぜ所有権の移転をこの中に加えたのか、お示しをいただきたいと思います。
○杉山(克)政府委員 農地の流動化を図るには、実際的にはやはり賃貸借を促進するということが一般でございます。ただ、地域によりましては、所有権の移転もある程度ある地域がございます。具体的に言えば、北海道などがその例でございます。私どもはむしろ、所有権の移転という形によって実際に自作農主義が貫かれる結果になるならば、これは一番よろしいと思っているわけでございます。むしろ、それができないがために賃借権の設定という形での流動化を図っているわけでございます。でありますから、賃借権だけに限定するというのでなく、所有権の移転までが可能だというところがあるならば、それも含めてこの利用増進事業の対象とするということはむしろ結構なことではないかということで取り入れたわけでございます。
○中川(利)委員 私はそれは重大な発言だと思います。あなたは農地法というものを何と考えているのですか。農地法というものは、所有権の、それこそ権利移動の制限だとか、しさいにあらゆる網を設けてそれを動かさないようにがんばっているわけですね、農地転用の制限だとか。あなたは、所有権という財産権ですね、物権ですね、これを、どんどんそういうふうに移転することが望ましいんだ、それができないからこういうふうにやるんだなんと言うことは、お役人として——これこそ法律の中の親法ですよね、そこから生まれたのが農用地利用増進法ですね。つまりバイパスが幹線道路になると言いますけれども、これは大変なんですよ。私は、これは取り消していただかなきゃならないな。そんなことをあなた、構造改善局長が堂々と言えるものですか、こういう法律が一方にありながら。その経過は私はわかりますよ。しかし、どんどんそういうものがなくなることが望ましいんだということは、農地法そのものから言えばどうなるんですか、あなた。お答えください。
○杉山(克)政府委員 農地法一般の規制は当然あるわけでございます。そして、この利用増進事業の中で予定いたしておりますのは、農業者が他の農業者に土地を譲渡するということでございます。これは合意をベースとしておりまして、何もこの利用増進事業によって強制するという性格のものではございません。したがいまして、農業者間の移動が行われますならば、それをこの事業の中に取り込んでいくということは、私ども農地法の本来の考え方に反するものとは思っておりません。
○中川(利)委員 私は、あなたが基本的に第一義的にそういうことを言い出すということについては、非常に問題があると思いますね。これは後ほど最後に大臣からもお答えをいただきたいのでありますけれども、問題は、そういうことをいたしますと一体何となるのかというと、つまり、所有権が移転するということは、農地として使う限り、増進計画に乗っかりさえすれば実態はだれがやってもいいということにつながるわけでありますね。農地法による一筆ごとの規制をやめてしまうわけでありますから全くルーズになるわけですね。したがって、農業委員会などのチェックがあるというものの、不動産資本が今日ますますねらっているわけでありますから、事実上彼らに道を開くことにつながるということは見え見えだと思うのですね。つまり、本法の農地法に比べて所有権というものがこういうことでは——所有権というものは一回移転すればもうそれで取り返しがつかないわけでありますよ。しかも、民法上の所有権という物権と借地権、利用権という債権、これを一緒くたに並べて、これは法律的にも法体系の違うものを同次元に並べて何だかんだと言うことは、私はこれは後に相当問題が残るだろうと思うのでありますが、この点についても、いま時間があと少ししかありませんので、後でまたお聞きさせていただきます。 最後に、利用改善事業についてお聞きしたいわけであります。 つまり団体の問題、法律の第十条ですが、政令で定める基準に従って云々ということがありますが、その政令自体がどういうことを定めるのかということが一つ。 それから、法律の第三条の三号に実施方針で定める区域の基準というのがありますね。この区域というのはどういう状態を指すのか、どういう集落なのか、どこら辺まで指すのか、その内容を説明していただきたいということ、これが二つ。 三つ目には、この区域には三分の二以上の構成員が必要なわけでありますが、その場合団体に入らない人々が当然出てくるだろうと思うのですね。そうすると、法律の枠外で援助を受けられなくなるおそれがあるだけじゃなくて、排他性を持つものにならないかという心配も私は持っているわけであります。この点についてはどうお考えになっているのかということ。 それから、最後には、農用地利用増進計画の定め方、つまり、あなたの方では、今度は土地ごとにすべての同意ということになっていますね。旧法では、農振法の方では土地ごとというような言葉がなかったのですよ。つまり、改正されると、土地ごとですから、AさんとBさんの間だけが、そこだけがわかって、ほかのこと、全体のことはわからないのですね。ところが、いままでは計画の中の全部がわかる仕組みであったわけですね。なぜそういうふうに変えたのかということ。 これだけお聞きして私の質問を終わります。
○杉山(克)政府委員 政令規定見込み事項の方からお答えいたします。 法第十条第一項の政令は、これは構成員の加入及び脱退、それから代表者、総会の議決事項等についてその基準を定める見込みでございます。 それから、区域の広がりをどんなふうに考えるかということでございますが、これは一般的には集落単位で考えられますが、何も集落ということに限定しなくて、数集落集まった単位でもよろしいというふうに考えております。 それから、団体の要件でございますけれども、関係者の三分の二以上の加入ということを言っておりますが、これは三分の二で頭打ちをしてしまった後入れないという意味ではございません。最低三分の二は加入していなければいけない、できれば全員加入ということを意味しているものでございまして、本人が御希望であるならば、除外されるということはございません。 それから、それぞれの土地ごとにという計画の定め方の規定でございますが、従来は一括しておったものを、土地ごとにということに今回なぜ変えたのかということでございますが、これは従来からも、趣旨としては土地ごとにということは変わっておりません。むしろ表現が不十分であったということで、今回の改正でそこを明確にいたしたものでございます。
○中川(利)委員 いろいろ意見はございますけれども、時間でありますので終わります。
○内海委員長 次回は、来る十五日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時十二分散会 ————◇—————