逓信委員会 第5号
- 発言数
- 261 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/04/02
会議録
○小林委員長 これより会議を開きます。 小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。 先ほどの理事会におきまして御協議願いましたとおり、電波・放送に関する調査を行うため、小委員十二名からなる電波・放送に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、小委員及び小委員長の選任並びにその辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 小委員及び小委員長は追って指名し、公報をもってお知らせいたします。 次に、小委員会において参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人の出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○小林委員長 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本件審査のため、来る四月九日水曜日、日本放送労働組合中央執行委員長須藤安三君に参考人として御出席を願い、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○小林委員長 この際、日本放送協会の暫定予算に関し、大西郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。郵政大臣大西正男君。
○大西国務大臣 委員長からお許しをいただきましたので、この機会に、日本放送協会の昭和五十五年度暫定収支予算等の認可につきまして一言御報告を申し上げます。 日本放送協会の昭和五十五年度収支予算等につきましては、四月一日までに国会の御承認を受けることができませんでしたので、放送法第三十七条の二の規定に基づき、昨日、暫定収支予算、事業計画及び資金計画を認可いたしました。 その内容につきましては、四月一日から四月三十日までの一カ月間を実施期間とし、事業の経常的運営及び前年度から継続している施設の建設または改修の工事に必要な範囲内の経費を計上しており、また、受信料月額は前年度と同額としております。 このことにつきましては、放送法の規定に従い、国会に御報告申し上げるよう目下取り運び中でありますが、この機会に一言申し述べさせていただきました次第でございます。 —————————————
○小林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野口幸一君。
○野口委員 まず最初に、NHKの会長にお聞きをいたしたいと存じます。 過日問題となりました、NHKの放送の一部がビデオテープでもちまして千葉地方裁判所におきまして成田空港管制塔事件の公判に証拠として採用したことにつきましてNHKの千葉放送局が抗議をいたしました。このことについては自民党の総務会でも問題になりまして、党内においてNHKの放送をチェックする委員会をつくろうなどというきわめて物騒な話が生まれるに至ったということが伝えられておりまするが、この一連の報道について、またこの千葉放送局がいわゆる抗議をしたというその論拠について、会長の所見をお伺いいたしたいと思います。
○坂本参考人 これまでも機会あるごとに申し上げておるとおりでございますけれども、テレビの録画などが裁判上の証拠に使用されるということにつきましては、私ども報道機関といたしましては、このようなことが繰り返されますとやはり日常の報道取材に支障が生ずるというふうに考えておりまして、これは、御承知のように昭和四十四年の博多事件以来長年にわたってこの方針で対処しておる次第でございます。したがいまして、今回の千葉の問題につきましても、同様の観点から裁判所に対しまして申し入れたという次第でございます。 昭和四十四年当時は、いわゆる裁判所の方から令状によって私どもの方の中にありますフィルム、VTR等を押収するということでございますが、その後いろいろと技術開発されまして、警察なりその他のところで自由に録画できるという状態になりまして、そこら辺のところがいろいろと変わってきていることは事実でございますけれども、しかし、やはりそういう問題について報道機関といたしましては、取材する側、取材される側、その間柄がいわゆる報道の目的によって取材するということの一点にかかっておるものでございますから、そういう処置をとった次第でございます。 したがいまして、この問題は技術的な開発等によって変わってきている現状の中でいろいろまた御意見もあろうかと思いますけれども、現時点におきましては、私どもはそういう論拠に立って今後も一応処していくべきではないかというふうに考えておる次第でございます。
○野口委員 いま会長のお答えの中にもございましたように、最近非常にビデオ等が発達いたしまして、それぞれ個人がビデオを持って、放送された内容についてさらに再放送を聞くことのできるというきわめて便利な時代になったわけでありますが、そうなりました場合に、ビデオを撮ったそのこと、また撮りましたものを他人に見せる、あるいはまたその他のものに使うということについて、いわゆる放送の著作権と言うべきものは一体どのように今日の時点でお考えになっておられるのか。自民党の某議員がおっしゃったように、一たん放送して、それをわれわれは受信料を払って見ておるんだ、だからこれはもうわれわれのものなんだという発言がございますが、それはいかなる見解において言われたのか私も疑義を感じておるものでございますので、この際、明らかに会長の方からその点についてお答えをいただきたいと思う。
○坂本参考人 VTRの機械を購入いたしますと、その使用書の中にも明らかにされておるわけでございますけれども、家庭内においてその個人が個人的な使用の目的でVTRを撮るということは著作権法上触れない、ただし、これを他人の用に供するというような場合には著作権法上触れる、したがって、そういう点については十分注意されますようにということが、VTRの機械を買いますと説明書に明記してございます。したがいまして、個人がお撮りになって個人の家庭の中で御鑑賞になるという点については全く自由でございますが、それを他の目的に使用するということになりますと、これは著作権法上の問題が生じるわけでございます。 しかし、裁判所が公の、公共の福祉という観点において御利用になる場合には著作権法上の問題に触れないというふうに法律的には解釈されておるようでございますので、裁判所が今回の形で御利用になったということが著作権法上問題になるということにはならないようでございます。
○野口委員 そうしますと、先ほど会長がおっしゃったように、逆に申し上げまするならば、裁判所が証拠として使う場合においてはやむを得ないのだ。ただ、抗議をしたということの姿勢とのかかわりが少しぼやけてくるように思いますが、この点はどう明らかになりますか。
○坂本参考人 したがいまして、著作権法上で抗議を申し入れているということではございませんで、これは四十四年の博多事件のときにも、最高裁判所の判例の中で、やはり証拠となることと取材の自由を侵すということとは、公共の福祉という観点から比較考量さるべきではないか、したがってこの際は、このVTRを証拠として採用することは、公共の福祉からいってやむを得ないというふうに判断を下した、しかし、やはり取材の自由を侵すということについてはあくまでも慎重に処すべきではないか、できるだけそういう点の配慮を裁判所側もすべきであろう、そして他に立証するに適当な証拠物件がない、このVTRがそういう意味での唯一の証拠になるというようなことであれば、これはやむを得ないのじゃないかということで、裁判所側も、最高裁の判例として報道の自由との比較考量という点に御配慮いただいているように理解しておりますので、今回の場合も、法律的な意味でアピールしたということではございませんで、あくまでもその最高裁判所の判例の御解釈をわれわれもやはり考えて、そして裁判所側にアピールをした、こういうことでございます。
○野口委員 大体理解をいたしますが、何といいましてもこの問題は、解釈を広げれば広げていくほど報道の自由というものが侵害されるおそれがございますので、NHKにおいても、この点についてはひとつ十分な御配慮をいただいて今後とも対処していただきたいということをつけ加えてお願いを申し上げておきます。 そこで、五十五年度の予算に関連いたしまして質問をいたします。 今回の値上げの内容を見せていただきましたが、三年間の、五十五年度から五十七年度までの経営を見通して、逆算をして、これだけ必要なんだが、そのためにはこれこれの赤字となる、したがって、その赤字を聴視料で賄おうとするわけでありますから、それを逆に割りつけますとかれこれの金額になる、こういったことでこの算出の根拠と申しますか、そういうものが三年間ということを一つのめどにしておられます。そうしますと、もう一度それをよく読み返しますと、四年目からはまたもう一遍上げますよ、また三年間次の勘定をして上げるんだ、だから三年間ごとに値上げの申請をするんだ、こういうような解釈も成り立つわけであります。このような事態を繰り返すということは、もちろん国民も歓迎するわけではありませんし、経営の合理化だとか内部努力だとか、いろいろと言われているわけでありまするけれども、この三年間、どのように経営を行えば、次の五十七年ですかにはこのような形になるというようなこと、また、この三年間といいますか、さかのぼっての三年間、どのような企業努力をされてきたのか、その点について少し具体的にお示しをいただきたいと思います。
○山本参考人 お尋ねございました五十一年から五十二年の計画に基づきます効率化の計画と、それの実際行われた内容、こういうものを先に申し上げまして、その後、五十五年度以降にどういうことを考えたかということを申し述べさしていただきます。 五十一年度の値上げのときは、御承知のように、実は五〇%の値上げを御審議いただいたわけでございます。これは、過去八年間値上げをしないでまいったという経緯もございましたが、五〇%という非常に大きな受信料値上げということを受信者の方にお願いをするということを踏まえまして、当然NHK自身の合理化、効率化、こういうものについて取り組んでいくということにつきましては、従来以上にもろもろの努力をいたす計画をいたしました。 そのときには、一番大きな柱といたしまして、たとえば県庁所在地区以外に放送局が同一県内にございました。そういうものを集約いたしまして、十二局の業務を集約して放送の体制というものを変えてまいりましたことなどが一番大きな例でございますし、あるいは国内の通信部とか海外総支局、こういう取材拠点につきましても、それぞれ通信部について十三カ所、海外総支局二カ所をこの期間内に整理をするといいますか、そういう計画を立てまして、こういうものをこの三カ年間にほぼ計画どおり実施をいたしました。 その他、日常業務におきます節減、こういうものも含めまして、御審議をいただきましたときには、三カ年間で人員にいたしまして約五百人の配置転換。この間、たとえば営業活動にしましても、約百七十五万の純増世帯、あるいは白黒からカラーへの変換が二百数十万世帯、こういうものを賄ってまいりました。あるいは難視解消のために、約三千地域の施設を建てる、こういうこともございましたが、こういうものを総合的に配置転換をしながら処理をしてまいったわけでございます。その間、約五百人の配置転換ということを約束をいたしまして、これもほぼそのとおりの実施が行われました。金額にいたしまして約五十億。いま申し上げましたようなものを中心にしまして計画を立てましたけれども、最終的には約八十億円の節減を達成いたしました。 なお、日常的な仕事の過程におきまして、三カ年間というものを四年間に引き延ばした過程におきましても、相当な節減、効率化、こういうものを行いまして、三カ年間の予定で年度の当初に約百十二億の暫定予算の赤字を生じましたし、また、受信料の収納が必ずしもこの三カ年間スムーズにまいらないで、受信料改定の影響もございましたけれども、総体的に約百億ばかりの受信料が予定どおり上がらないという内容もここから出てまいりましたが、逆に三カ年間、約二百五十五億の一これは経済情勢が非常に好転をいたしまして、NHKの事業運営に非常にプラスになりました。この点とあわせまして、効率的な経営によって生み出したものが約百億ございまして、これを財源にいたしまして四年目の五十四年度にこれを繰り越すことができた。非常に大きな赤字を年度当初に抱えましたけれども、三カ年間の運営の中で逆に百億生み出しました。厳密に申しますと百五億でございますが、これを五十四年度の予算の中に繰り越しとして持ち越すことができた、こういうもろもろの努力をいたしました結果、三年の約束が四年経営をしてまいることができるということでございまして、これはもちろんいま申し上げましたように経済情勢が非常に好転をしたという幸いなこともございましたけれども、NHK側におきましてもいま申し上げたような努力を積み重ねて五十四年度の経営を可能にしてまいったわけでございます。 それで、五十五年度以降、この問題についてどう取り組むかというNHK側の考え方でございますけれども、先ほど申し上げましたように、NHKは従来増員はいたしませんでしたけれども、減員ということはやったことがございませんでした。しかし今後の、五十五年から以降の計画の中におきましては、実際上の人員の削減計画というものもひとつ立てていく必要があるんではないか、そういうことによって受信料の改定ということを国民の皆様に御理解を願うということに非常に不可欠ではないかということで、計画といたしまして具体的な人員の削減計画を、この三年間に約六百人という計画を立てて今後これを実施に移してまいりたい。また日常的業務におきましても、たとえば物価は六%ということでございますけれども、この六%を見ないで、前年並みというような経費の算定もいたしまして支出の抑制をおさめまして、また具体的にいろいろな内容を積み重ねまして、いま申し上げた人的費用の部分も含めまして約七十億円を三カ年間に節減の効果として上げてまいろう、こういうことによって受信料の負担を少なくしてまいろうという計画を立ててこれから実施をしてまいろう、こういうことが大体の内容でございます。
○野口委員 おっしゃっていただいた過去四年間の実績といいますか、経営努力の具体的な問題の中に、一つ、前回の五十一年の値上げの当時に、経営効率という中に放送制作費の節約という項があったと思いますが、この放送制作費を年間約四十五億程度節約をしたい、こういうことでありましたが、実効としてはいかがなものでしょう。
○田中参考人 お答え申し上げます。 番組の内容の質の低下を来さない範囲内で、できるだけいま先生御指摘のように制作費の節減、効率化ということを私たち図ってきたわけでございます。その中には、直接の番組制作の中のいろんな節約の問題、それから先ほど話がありましたように取材拠点などを減らしていくというような面での節約、そういったことが含まれております。 若干具体的な節約の内容を申し上げますと、たとえばドラマをつくる際など大変美術費がかさばりますので、そういったものにつきましては、一つのセットの美術のところを、物語の中で五、六カ所出てくるとすれば、それを先撮りで五、六分一遍で撮ってしまうというようなことなどもやっております。 それから、海外の取材に行ったような場合、ヒマラヤとかいろいろ行きましたけれども、そういったときにはできるだけ余分にもう一本制作ができるような形でのロケをやってまいりまして、ヒマラヤなどでは一本余分にやったというようなこともございます。 それから、もう一点ぜひ申し上げたいと思いますのは、最近の小型VTRテープの発達によりまして、たとえば先日も放送いたしましたシルクロードなども、フィルムで撮ってきたものをすぐ小型ビデオテープに映しかえるときに大体粗編集をいたしまして、いままでのようにもう一遍全部フィルムに映しかえるというようなことがなくなりましたので、大変フィルムの節約になっているというようなこともございます。 こういったことを含めて、われわれといたしましては、ここ四年間制作の面でいろいろ節減、効率化を図ってきたつもりでございます。
○野口委員 それで、具体的に放送制作費の節約をしたという金額はどのくらいに上っておるわけですか。
○渡辺参考人 お答えいたします。 いま申し上げました各節約の中で、取材拠点の整理統合というところにかかわりますものを申し上げますと、三年間で約六千五百万円の節約をしているということでございます。
○野口委員 そうすると、三カ年で六千五百万円ですか。たったそれだけですか。当初、年間約四十五億くらい節約をしたい、こう五十一年の予算の中で申し述べておられるようであります。それが実際どのくらいの程度まで実効としてやったのかということをお聞きをしておるのです。
○渡辺参考人 お答え申し上げます。 三年間にそれぞれの年度で予定いたしました国内放送費と決算の結果を見ますと、五十一年度で二十二億、五十二年度で二十六億、五十三年度で三十五億でございますので、約七十億程度の節減が予算よりできたということでございます。
○野口委員 わかりました。 その次に、これも前回の値上げの際にもおっしゃっておりましたし、またNHKの基本問題調査会でも答申をされておりまするが、副次収入を拡大しよう、こういう考えに基づいて、出版だとかいろいろな問題について考えておられるようでありまするけれども、本年度のこの予算を拝見いたしますと、この副次収入の分について、本予算の中にどのような影響があるのかということがわかりかねると思うのでありますが、どのような部分でその副次収入というものの増大分は予算にかかわりが出てきているかということをちょっと御説明いただきたい。
○渡辺参考人 お答えいたします。 副次収入につきましては、NHKの持っております情報資源を有効かつ多目的に使うという趣旨と、視聴者の負担をできるだけ軽くしようということで、できるだけその収入を上げようということでございますが、具体的には雑収入の中に入ってございまして、三カ年間で二十七億円の副次収入を上げようという計画の初年度といたしまして、五十五年度は八億六千万円を計上しているわけでございます。 やや具体的に、八億六千万を計上しましたものを前年度との比較において申し上げますと、まず番組関係でございますが、番組関係につきましては五億六千万ほどを予定しているわけでございますが、五十四年度と比較いたしますと約三〇%増額を図ろうということでございます。これは番組を海外にそして国内に二次利用してもらうということを期待しているということと、それとテキスト関係の収入の増加ということを見込んで約三〇%でございます。 それから技術協力関係につきましては、NHKで持っておりますいわばノーハウでございますが、それを各種の援助によって実現していくという方法と、それから私どもの持っております特許権、実用新案件等の工業所有権の実施料というもので約一五%、それからNHKホールをお貸ししておるわけでございますけれども、全日使用の場合ただいま百六十万というふうにお願いをしておるわけでございますが、五十五年度には百七十五万でお願いをしようということで、全体といたしましては一億七千八百万ほどを五十四年度に対して増加させようというふうに考えているわけでございます。
○野口委員 全体の数字から見ますと、数字としては非常に微々たるといいますか、少ないものでありますけれども、しかし国民の負担を少しでもやわらげようという立場のものでありますから、この副次収入の問題についても努力をしていただくことはもちろんでありますけれども、委員会等にも少し詳しく御説明をなさるように、そうでないと、先ほど来も申し上げておりますように、企業努力、経営努力と言われましても、口で言っているだけではどのくらいの程度やっておられるのかさっぱりわからぬということでありますので、これは後でまたもう少し詳しく申し上げますが、もう少しくこの内容について委員会にも、予算審議の際にあらかじめお出しになるように、ひとつ次年度からお考えをいただきたい、このことをまず申し上げておきます。 そこで、それに関係をいたしまして経理の公開の問題について若干申し上げます。 いまも申しましたように、委員会の予算審議に際しまして出される資料というのは、従来から同じようなものが出されているようでございます。若干この前、二年前でしたか、この前から少し内容を図解などされておりましてわかりよいようにしたということでございます。確かにあれはわれわれにもわかりやすく理解をしやすくなったということは認めるわけでありますが、実はこの点でNHKの広報室が話をしたということで雑誌に載っているわけでありますけれども、国民の側から見れば、どのくらいになっているのか経理の公開というのをひとつ望みたいということを言っておるのでありますけれども、その答えとして、公開すればいいというものではない、値上げの計画も経営の計画も、その予算案が国会を通れば国民の代表である国会で認められたことになっているわけなんだから、あえて公開をする必要はないのだ、こういう意味合いのことを広報室がお答えになっておられるわけであります。そういたしますと、よけいに少なくともこの委員会に対しては内容についても少しく詳細に御報告いただく、あるいは予算審議に際しての参考資料としてお見せいただく、こういう必要があろうかと思うのでありますけれども、この辺についてどのようなお考えで臨んでおられるのか、ひとつお聞きをいたしておきたいと思うのです。
○渡辺参考人 お答えいたします。 前段におっしゃった国会における審議の資料といたしましては、正式にお出ししております予算書のほかに説明資料、お手元にございますけれども、これは各年できるだけお役に立つようにというので加筆、補筆をしている次第でございます。 それから、外部に対するいわゆる経理の公開でございますけれども、NHKの事業運営というのは視聴者の理解と信頼を得て行われるものであるという基本的認識に立ちまして、視聴者の意向吸収と一体として開かれた経営の実現を目指してまいっております。具体的には、NHKの基本使命でありますとかあるいは事業計画であるとかいうものと一緒に、経理の状況につきまして、あるいは放送によっての周知、そのほかに多角的な公開を実施してまいりました。現実にどのようなことでやっているかと申し上げますと、予算決算のときにおきましては、郵政大臣提出の日に直ちに同じ資料でもって記者発表をするとともに、適時放送による周知あるいは官報掲載、新聞広告ということを行っておりますが、そのほかに、全国の各放送局の視聴者センターあるいは視聴者コーナーというところでわかりやすく取りまとめました印刷物を備えまして、御来局の方の便宜に供するとともに、視聴者の要請に応じましてはお送りをするという方法をとっておりますし、また年鑑としてまとめましたNHK年鑑には各年度の予算決算を掲載しているわけでございます。なお五十二年度には、さらに、正式にお出ししております財産目録、貸借対照表、損益計算書及びそれに対する説明という一式のものを各局に備えまして、視聴者の要求に応じられるような態勢をとりました。今後はどういうことになるかということでございますが、視聴者の一層の理解を助けるという意味で不断の努力をしておりますが、放送による周知の強化を含めまして、一層わかりやすい資料をつくって総合的に対応してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○野口委員 お話を聞けば、それで何もかもやっておるということになるように聞こえますけれども、実態は、新聞の投書なんかにも出てきておりまするように、余り国民の目に接していないというような状況もあるようであります。私どもから見ましても、たとえば款項目節という形の中で出てきている数字だけを一応対応して、その内容については余り深く知らないままに、と言っては国民の皆さんに対してまことに申しわけないのでありまするけれども、余り内容的に詳しく知らないままに予算が通っていったということになるならばこれはゆゆしき問題でありまするので、やっぱりいま少しく詳しい資料というようなものを委員会にもお見せをいただきたい。予算の審議に当たっては、たとえば施設の運用の状況だとか、あるいは番組の制作についてこれこれの番組はこれだけの費用がかかったというようなことなど、私どもにもう少しく経理の内容を予算審議に当たって詳しくお出しをいただきたい。いままではそうでなかったかもわからないけれども、これからは、またいろんな立場を考えてまいりますと、少なくともこの予算を審議する逓信委員会においては少しく資料不足ではないだろうか。特にこの前からも少しく係の方を通じてお願いをいたしておりましたが、たとえばNHKの放送センターにも私どもお邪魔をいたしました。これは委員としてお邪魔をしたのではなくて個人の資格でお邪魔をして見せていただいた経験があるわけなんですけれども、見せていただきますと、先ほど来おっしゃっていますたとえば同じ場面を前撮りをしてそして節約をするんだというようなことなどを実際に見せていただきますと、ああなるほどそうか、カット、カットで節約しているんだ、一遍一遍その場面が出てきたときにセットを組み直してやっているんじゃない、そういうことも実は理解ができるわけであります。ところがそういうことを知らないままにおりますると、実はそういう節約をしておるんだと口でおっしゃっても、実際はどうなっているのかということがわからない。だから、それは少なくともわれわれが要求してから皆さん方が来てくださいというのじゃなくて、こういう状態になっています、たとえばNHKホールはどういう形で使用さしております、大体人員はこうです、何月何日はこのようなところに貸しましてこれだけの収益を上げておる、だからいわばあいているということはほとんどございません、非常に効率的に使っております、こういうようなことなどをわれわれの方にもう少し具体的に見せていただかないと、実際その三年間の問題にしましても、効率的経営の合理化だとかいろいろなことを言われましても、それは数字に出てくるだけの問題でありまして、少しくそういった面において改善をされてはいかがかと思うのでありますが、その点どうですか。
○坂本参考人 御指摘の点はまことに私としてごもっともだと思います。そういう点に足らないところがやはり国民の理解を得るという上において不足しているということであれば、まことに申しわけないと思いますし、今後はできるだけそういう御批判を得ないように努力してまいりたいと思いますので、御了解いただきたいと思います。
○野口委員 そこで、念を押しまするが、どうか明年度から、この予算を審議する前に当たってそういった問題について改善をして、少しく資料の面においても、あるいはまた実地を見せていただくとかいろんな問題についても改善をしていただきたい。こういうお約束をいただけますか。
○坂本参考人 原則的にはおっしゃるとおり努力すべきであろうというふうに決意しております。
○野口委員 それに関連して一つお尋ねをいたします。 直接経費と間接経費の関連でございますが、たとえばこれはタレントの出演料の問題であります。タレントの場合、契約出演料という形の中でお出しになっておるのか。それはそういう形の中で契約をしておられるのでありましょうけれども、直接経費というのは、たとえば森昌子だったら森昌子に対する出演料という形で、何万円なら何万円という形でお出しになる、そして実際はそれをお使いになる当日は、旅費とか日当だとかあるいは食事料だとか、そういうようなものもお出しになっているのかどうなのか。それからまた、これはよその民間放送の話によりますと、民間放送の場合はそういうことは一切していないと言うのだけれども、NHKの場合は、ロケに行く場合においても旅費を出したり宿泊費を出したりしているじゃないか、だから薄謝協会と言われておるけれども、実はそういう間接費が非常に支払われているので、タレントとしては収入は非常に大きいのだ、こういう言い方をしているわけであります。そういう点については、これも知らされておりませんので私どもわからないわけでありまするが、いわゆる直接費というものと間接費というものを、たとえば例を一つ挙げてタレントの出演料という問題に限った場合、どのような状況になって支払われているのか、その辺についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。
○田中参考人 お答えいたします。 いま御指摘の出演料、私たちの方で出演料と申しておりますのは、番組の出演者に対する謝礼、それから出演のための旅費、それから日当、宿泊料といったものを含んで出しております。これは普通の全中の番組、いまいろいろ具体的な例をお出しいただきましたけれども、その中では大体四分の一、二六%ぐらいがこの出演料に当たっておるかというふうに思いますけれども、そういったことで、たとえば地方の方へロケに行ったような場合でも、それは全部東京の方での番組経費の中から支出しているということで現在やっております。そういったことで、そうぜいたくな出し方、そういったことについては十分注意しておりますし、そういったことはないというふうに思っております。
○野口委員 それで、ちょっと重ねてお尋ねいたしますが、たとえば出演料、個人の収入から考えます。出演料としてもらう金額と、いわゆる旅費、日当その他としてもらってくる金額との比率は一体どのくらいになりますか。たとえば個人が総計で百万もらったという形になります。そのうち、いわゆる出演料という形ではどのくらいで、いわゆる間接経費として出てくる旅費、日当という形は大体平均してどのくらいになっていますか。わかりませんか。
○坂本参考人 旅費というのは実費でございますから、だからそれは遠くでロケをすれば高くなりますし、近くであれば安くなるということでございますので、その旅費がどのくらいのパーセントになるかということはちょっと算術的にはわかりかねるかと思うのです。日当は、その方々によって日当というのは決まっておりますので、やはりあくまでもベースになりますものは出演料が高いか安いかということになるのではないかと思います。
○野口委員 細かいことを聞いて申しわけないのですが、民放の場合は、たとえば一括してとにかく出演料何万円という形で出すのだけれども、NHKの場合は、出演料何がしというやつは非常に低いと言うと失礼でありますけれども、まあ低いのだ、しかしその他のものがついて回るために、結果的には民放の方が安くてNHKが高いのだ、こういう言い方をしているわけであります。したがって、その辺のところが少しわかりかねるのでお聞きをしているわけであります。だから、遠いところに行けば旅費がそれだけかかるということはもちろんのことであります。しかし、たとえば本番でないリハーサルの場合も実はNHKの場合は旅費、日当がついているのだ、だから何遍リハーサルがあってもそれも実は旅費、日当がついている、本番一回の場合ももちろんついているということであって、だから出れば出るほどその金額は俳優にしては決して損にならないのだ、だからNHKの場合はそういう点では非常に恵まれているという話が実は伝わっているのでありますが、その辺のところはどうなんですか。
○坂本参考人 私もかつて放送総局長だったものですから、そのあれでお答えいたしますと、あくまでも出演料というのは、その方々のNHK内の一種の格づけと申しますか、マーケットプライスを考えましての出演料でございまして、それ以外はいわゆるリハーサル料と言うのでございましょうか、当日リハーサル分はもう出演料の中に入っているけれども、前日来てくださる場合には何割というような、これも一つの規定がございましてお払いしているということでございますので、何かつかみ金みたいな形で上乗せしているということではございません。それから、レギュラリーに御出演になる、年間御出演になるという場合には、その一回一回の出演料の合算に、一週間にこれだけ来てくださいという拘束をいたします拘束料というような形の契約料と申しますか、そういうものをお払いする場合もございます。しかし、一般的にお一人お一人のケースを申し上げれば出演料が基盤でございまして、それ以外の旅費とか日当とかというのは実費であるというふうに御理解いただいて、そのトータルが民間放送でおやりになっているようなシステムを上回るというようなことは、私は民間放送の具体的な中身を必ずしも承知しておるわけではございませんけれども、ないというふうに考えております。
○野口委員 それならばそれでいいとは思うのでありますけれども、私どもの耳に入ってきておりますることから考えますると、NHKの方が出演料としては安いけれども、いわゆる間接経費として出されているものをトータルをしてみると、出演者にとってはNHKの方が高いといいますか、その方が有利なんだというようなことを聞かされておりますので、この際苦言を呈しておきまするが、トータル的にそういうものがよその民間放送よりも高いのだというようなことではいけないだろうと思いますし、またそうあってはならないような感じもいたしますから、ぜひともその辺については少しく改めていただきたいと思いますし、たとえばリハーサルにおけるところの出演料に付加するような形での旅費、日当の支払いのあり方についても、少しく御検討をいただく方法をお考えいただきたいということをつけ加えさせていただきたいと思うのであります。これはもちろん内容のことでありまするから、そちらの方で十二分に御検討になってやっていられることでありましょうから、あえて私から申し上げるまでもないと思いますけれども、いま申し上げました点について私どもが耳にいたしますると、そういうような形になっていると言われておりますので、その辺のところを御留意をいただきたいということでございます。 次に、NHKは管理職がばかに大ぜいいるという話がございます。一体管理職は、職員何名について何名いらっしゃるのかということをお尋ねいたします。
○武富参考人 お答え申し上げます。 ただいま管理職は協会にどのくらいいるかという御質問でございますけれども、いわゆる部課長と申しますか、管理職は協会では経営職と呼んでおりますが、これは業務を管理し、そしていろいろ人事考課とかそういったことに当たるいわゆる部課長でございますが、その総数は全国で七十局、そのうちで二千二百名でございます。これは総要員に比べまして、大体一三%に当たります。放送事業の中では、私どもといたしましては、決して多い数ではないというふうに考えております。
○野口委員 それは、いまおっしゃったように人事管理とかを含めての管理者でありますが、いわゆる管理者というのはそれ以下の方も含めていらっしゃるのじゃないですか。
○武富参考人 ただいま私が申し上げましたのは、いわゆる管理職の数を申し上げたわけでございますけれども、そのほかに専門職といたしまして、非常に高度の専門能力を持っている者、部課長とは性格を異にいたしますこれらの者でございますけれども、その職能につきまして、管理職に見合った処遇をする、そういう人たちがおります。たとえて申しますならば、チーフディレクター、チーフアナウンサー、チーフカメラマン、解説委員、技師、それから主任研究員、こういう種類の方々であります。ただ、これらの方々は、一般職の方と同様に、現場で現実の業務に携わる者でございます。したがいまして、これは私どもとしては、一般の部課長とは区別して当たらなければいかぬものと、実際の戦力でございますから、そういうふうに考えておりますので、そう申し上げたわけでございます。この専門職につきましては、全国で千六百名ほどおります。
○野口委員 そういたしますると、先ほどおっしゃったいわゆる部課長ということと、いま専門職という名前をお使いになりましたが、それぞれの方々に対して、よそで言うところの管理職手当というものをお出しになっておられるのか、どうなのか。おられましたら、その管理職手当はどのような形で出ているのか。たとえば、いまおっしゃったようないわゆる部課長におけるところの管理職手当というものと、それから、いま専門職とおっしゃいましたか、その方々に対する手当というものは、どのような状況で出されているのか、お伺いいたします。
○武富参考人 お答え申し上げます。 管理職手当につきましては、管理職としての職責に応じて支給をいたすことにしております。したがいまして、初任者で額を申し上げれば約八万二千円、部長級で十万五千円くらいでございます。管理職の初任給で八万二千円というのは、どういう根拠でもって定めているかと申しますと、管理職になりましたときには、私どもとしては時間外を支払わぬ、こういうことになります。したがいまして、この時間外というものを勘案をいたしまして、この額を相定めてございます。
○野口委員 それでは、ちょっと時間外ということをたまたまおっしゃいましたから、時間外ということにかんがみれば、およそ何時間程度というのが数字の根拠になっていますか。
○武富参考人 通常これらの管理職につきましては、やはり現場の第一線の責任者でございますので、かなりの時間外をやらさざるを得ません。大体月間にいたしまして三十時間から四十時間というところかと思います。したがいまして、ただいま申し上げました数字というのは、大体三十五時間、これを基準にして相定めたものでございます。
○野口委員 わかりました。 次に、若干飛びますが、収入増加率を一・九%に見込まれておりますが、この一・九%の収入増加率というのは、この前もちょっと御説明をいただいたのですが、少しく不明でありますので、収入増加率を一・九%に見込んだ理由をもう少し詳しくお聞かせください。
○山本参考人 ただいまのお尋ね、恐らく五十五年度から五十七年度の三カ年間の現行料金でまいったときの計算の数字ではないかと思いますが、現在すでにNHKの受信料の対前年度の伸びというのは二%をちょっとの状況にございます。これはすでに受信者の広がりといいますかそういうものが、もうほぼ全世帯に近い世帯がテレビをお持ちで、新しい世帯の増というものがそう大きい数字でございませんで、これからNHKの受信料が伸びていく要素としましては、新しい世帯の増と、それからお持ちでなかった世帯がテレビを持たれるというようなところが、主たる受信料増加の要素になるわけでございます。ところが、五十五年度から五十七年度までの期間の伸びといいますのは、五十五それから五十六両年度が約五十五万の増でございます。それから五十七年度になりますと、世帯の増そのものが次第に漸減してまいりまして、約五十万と見込まざるを得ない。これはもろもろの官庁関係の資料その他を勘案してつくり出したものでございますが、そういう傾向でございます。 そういたしますと、現在の受信料のままでまいりますと、毎年少しずつ下がってまいります。世帯の増が、恐らく五十七年度から後、五十八年、五十九年なんかになりますと、さらに一・五%に近い数字の世帯増しかないのだ。ということは、イコール受信料の伸びもそういう数字に比例した伸びしかないということでございまして、三カ年間を平均いたしますと、大体一・九%の伸びしか考えられないということでございます。たとえば受信料を今回御審議を願って改定ができたといたしましても、初年度の五十五年度は相当高いパーセントで受信料の伸びがございますが、五十六年度ないし五十七年度になりますと、対前年比としましては、やはり同じように一%台に落ちついてしまうのではないかということで、非常に基本的な深刻な問題がそこにあるということでございます。
○野口委員 理解いたしました。 それでは、それにまた少しく関連をいたしますが、現在の受信料の徴収の仕方といいますか、あり方といいますか、取り方といいますか、その問題について少しくお尋ねをいたしたいと思います。 現在受信料はどのようにして集金をされているかということでありますが、お聞きをいたしますと、NHK自身が集金なさる方法、それから郵政省が委託をされて集金をしいてる方法、それから個人が銀行に口座を設けて口座振り込みをやっているという形の三つだと思いますが、そのほかにございましょうか。
○海林参考人 お答えいたします。 いま先生のおっしゃいますように、NHKの委託しております委託集金人と、それから郵政委託と、それから口座振りかえという形で行っております。
○野口委員 その場合、国民の側から見ての話でございますが、受信料はどなたに払っても、どういう形の集金人に払っても同じでございますか。
○海林参考人 基本的には、現在の料額で申しますれば、カラー七百十円、モノクロ四百二十円ということでございます。
○野口委員 そこで、いま前納をした場合といいますか、取りまとめて一括支払いをした場合には、おまけじゃなくて、分引き、割引をやっておられますが、この額はいかほどになっておりますか。
○海林参考人 現在、受信料の前納割引という制度を設けてございます。これは現在、十二カ月前納ということにつきましては一カ月分、それから半年前納は一カ月の受信料の半分ということでございます。
○野口委員 不思議に思うのですが、私どもが銀行に払い込んでいる場合も、集金人が取りにこられましても、同じ割引料でございます。むしろ銀行へ振り込んだ方が手間がかからぬわけですから、もう少し割り引いてもらってもいいはずでありますが、集金に来られて払う場合と同じようになっているというのはちょっと不思議に思いますが、それはどういう考えでそのようになっているわけですか。
○海林参考人 この割引率をパーセンテージで申し上げますと八・三三%ということでございます。これはほかの例をとりますと、郵政省の簡易保険の割引率と一緒でございまして、われわれが実施していく中で、内容的には料金の先取りに対応した金利分と申しますか、あるいは前納による集金などの関係経費の節減分、それから社会慣行、過去の実例といったものを勘案いたしまして、八・三三%の割引率で実施させていただいております。
○野口委員 いまおっしゃったように、いわゆる銀行振り込みというのは集金の手間がかからないのでしょう。そうでしょう。そうしたら、銀行振り込みの方がもう少し安くなっていいのじゃないですか。集金に行っても前納の場合は同じ料金だ、払い込みをしても同じ料金だといったら、それだけ手間がかかっていないわけですから、銀行からすぐ入っておるわけだから、その分だけでも安くならなければならないのに安くなっていないというこの現状はどうなんですか。
○海林参考人 ちょっと御質問の趣旨があれでございましたけれども……。
○野口委員 集金に行っても行かなくても同じ割合で割り引いているのでしょう。集金に行くというのはあなたの方に経費がよけいかかるわけだ。だから、その分は銀行に払い込めばその手間はないわけでしょう。だから、もう少しまけてもいいじゃないかと言っているのです。
○山本参考人 お尋ねの御趣旨、理論としては非常によくわかります。わかりますけれども、振り込みという制度から直ちに割引という制度が出てくるのかどうか。具体的に現在振り込みという制度が、NHKだけではなくて社会一般に全部行われております、電気とかガスとか水道その他。この場合に、これは銀行との関係もございますが、銀行の口座振り込み、このことがイコール直ちに割引になるという制度がまだ社会的には確立いたしておりません。たまたまNHKの場合は前納ということと口座振り込みということが重なっておる例がございますので、そこでダブって、割引をしたらどうかという御意見というのは、これは理屈として非常によくわかりますけれども、現在、口座振り込みイコール割引というのはまだ社会的に十分でき上がっておる制度ではございませんで、これは両方がお互いに便益を享受し合う制度という形でとどまっておりまして、直ちに割引というところに結びついておりませんが、ただいまお話がございました点はNHKとして全く考えておらないわけではございません。将来の問題としてここの問題をどうしていくかというのは、一つの課題としてこれから勉強していくつもりでおりますので、そういう形でしばらく勉強させていただきたいと思います。
○野口委員 私もちょっと調べさせていただいたら、銀行にお払いになっているいわゆる銀行払い込み、口座で払い込みましたときの手数料は、一件につき五円NHKから銀行にお払いになっている。といたしますると、いわゆる視聴者が聴視料を払った場合には、あなたの方は結局五円で済んでおるわけ。ところが集金人がお見えになっていることを考えますと、いわば相当な金額がかかっているわけでありまして、その点を考えますと、銀行振り込みにした場合の方が国民も少し安くなる、こういう立場をおとりなる方が、受信料を効率的に収納をしていくという面から考えても、考えられるべき施策じゃないだろうか、こう考えておるわけであります。いまたまたまお答えがありまして、考えているとおっしゃっておりますので、その辺のところはとくとお考えをいただきたい。 それからもう一つ、調べさせていただきますると、自動振り込みの場合におきましても、自動振り込みが幾らあったかという件数をその区域区域において勘定されまして、その部分を集金人のいわゆるベースにして手当を出しておられる、これはどういうことなんですか。委託契約書というのに書いてありますとおりに、これを見せていただきますと中にはいろいろ書いてあるわけでありまするけれども、この中にはそのようなことは具体的には載っておりません。しかし、中身を見せていただきますると、実は、板橋区なら板橋区の一部を受け持った人に、その中に銀行振り込みケースがたとえば五千なら五千あったら、それに対して幾らというものをいわゆる固定給という形の中で集金人にお出しになっている。これはどういう理由でそういうことをなさっているのですか、ちょっとそれを聞きたいと思います。
○海林参考人 集金委託者に対しましては、受信契約の取り次ぎ、それから受信料の集金についてそれぞれに事務費を支払っております。口座振りかえに対しまして一件ごとに事務費は支払っておりません。しかし、このほか、受け持ち地域内の口座振りかえの利用者を含む全受信者に対する管理事務費的なものとして毎月一定額を支払っております。これは集金委託者それぞれの受け持ち契約数と口座利用率との二つの要素で決まるものでありまして、都市部につきましてたとえば月平均九万円、郡部につきましては五万円強というふうになっております。
○野口委員 私は、いまNHKが委託集金人と言われますか、委託をされております、放送受信料を集めていらっしゃる方の身分についても伺いたいのでありまするけれども、どうも、彼らは固定給と言っておりますが、自分の受け持ち区域内の銀行振り込み、いわゆる口座振り込み分に対しても手当がついているわけでありまするけれども、そういう形の根拠でもっていわゆる固定給という部分が支えられている。そして一件につき幾らという手数料をそれに加算して給与となっているようでありますけれども、調べたところによりますと、何といいますか、これこそ本当に薄謝協会に近いというよりもそのものと言われるような安い金額でやっておられるようでありまして、これでは収納が円滑にいくというようなことは考えられない。この契約書を見ましてもそうでありますけれども、たとえば交通費、これは全然見てもらっていない。それから、もちろん健康保険だとかそういうような保障も一切ない。ただ一件幾らというのが基本になって金になっている。給与といいますか、現金の支給額は二十万というような数字の方もいらっしゃいますし、調べさせていただきますとそれ以上の方もいらっしゃいますが、その集金経費というものを考えますと実収というのはぐんと落ちまして、集金人としてはいわばつらい生活をしておられる。 それの証拠を考えますると、たとえば年収平均というよりも勤続年数の平均でありまするが、大体三年もてばいい方でありまして、一年未満でやめられる方が約九・四%、二年までにやめていかれるのが一八・四、三年が一五・〇、だから結局、そのようにやめていきますと、合計三〇%から四〇%、五〇%近い方が五年未満でやめていらっしゃる。長いこと勤められない。だから、なれるというところまでいかない状態というのがここにあるのじゃないでしょうか。しかもこの年齢を見てみますと、五十歳以上が六〇%、ほとんどが高年齢層で、能率の悪い人がこれに携わっている。こういう実態を見ますと、この受信料を少しでもよけい取っていかなければならないという改善の努力というのは少なくともこの部分には見当たらない、私はそう思うのでありますが、その点についてはいかがでしょう。
○海林参考人 委託集金人の報酬でございますけれども、固定費の部分と出来高の部分と、これを併用した現在の事務体系ということでございまして、委託集金人の業務の特質あるいは実態に適した制度であるというふうにわれわれとしては考えております。処遇につきましても、社会情勢などを勘案いたしまして、財政の許す範囲の中で社会水準並みの維持ができていようというふうに思っているわけでございます。
○野口委員 そう思っておったら大間違いですね。少しくこの点は抜本的に考え直す必要があるのじゃないでしょうか。いま郵政省が保険を集金する場合におけるところの制度をとっております。これも御参考になっておられるだろうと思いますからよくごらんになっていただきたいと思うのでありますけれども、少なくともこの時代において、もちろん高年齢者層がどんどんふえていきますから、高年齢者層の採用ということについても私は決して否定をするものではありませんけれども、少なくとも今日の収納状況が非常によくないということが現実としてあるわけですから、これを何とかして改善していこうという立場に立つならば、もう少し、たとえば営業経費そのものが多少ふくらんでみてもこれをあえて断行すべきだ、こう思うのであります。そして、集金人の身分を確保してやって、そして本当に力を振りしぼって集金ができるようにしてやろう、こういう立場をおとりにならないことには改善をしていかないのじゃないかと私は思います。私はNHK首脳陣の頭の中にこういうことがあると思うのです。どうやってみても何%かは出るんだ、だからもうしようがないんだ、こういういわゆる先入観が先にあって、そしてその中に集金人制度というのが組まれているような気がしてならない。したがって、どんどんじり負になってきている。そして、意欲的に開拓をして取っていこうという意欲がわいてこないのです。このような状況の集金人が何百人、何千人おっても、これは収納率は上がるはずはありません。私は、そういった面を改善をすべきである、思い切ってこの集金人制度というのを改善すべきだということを主張いたしますが、この点についていかがですか。先ほどの答弁と同じですか。
○坂本参考人 経営の責任者としては、先生御指摘の点がやはり一番大きなポイントの一つであるという認識は持っております。しかし、やはり何といいましても経営の中での、全体の予算の中での営業費のパーセンテージというのはできるだけ抑える努力も片一方ではしなければならぬというふうに考えますので、そこら辺のところのジレンマと申しますか、それが私どもの一番大きな御指摘のポイントであるとは思います。ただ、御指摘のようにやはり金銭を扱います業種でもございますし、できるだけそういう点においての配慮もしなければなりませんし、社会的な責任というのも大きゅうございますので、そういう高齢者の方々の雇用ということもある意味では積極的に考えていかなければならない場面ではないかというふうにも考えておりますので、御指摘の点を踏まえまして将来とも真剣にこの問題に対処したいという決意があるということを御了解いただいて、御了承願いたいと思います。
○野口委員 さらにつけ加えて申し上げますが、平均年齢五十三歳、NHKが募集をして出てくるときには大体三百名ぐらい一回に応募者がある。そのときに大体三十人ぐらい採用になりますと、二、三年たちますと残るのは三人ぐらい、歩どまり率は大体三%から七、八%までだということを聞いておるわけであります。だから、これでは幾ら呼び声高く集金人を集めましても、質のよい集金人が集まるはずがありません。かつて郵政省の郵便の外務員がそうでありました。年がら年じゅう外務員募集の看板がかかっておりました。このごろはNHKの集金人であります。ほとんど年がら年じゅうその集金人募集がかかっておるんじゃありませんか。それでもなかなか集まらない、集まってもまた欠員ができる、この繰り返しじゃありませんか。こういう状況に置いておいて集金の収納率を上げようなんというようなことは無理な話です。少なくとももう少し身分保障をするなり、あるいは今日の委託の範囲を狭めるなり、物すごくたくさん持っておられますね、範囲が広いですね。だから留守だということで出かけられる回数というのは、なるほど繰り返し繰り返し集金人は行っておられますけれども、しかしその度合いというやはりだめなんです、少ないのです。そして高齢でもありますし、夜遅くということも重なっておるわけでありましょうけれども、たとえば留守の間に訪問するという回数が前よりもよけいになったとかということには決してなっていないような状況なんですね。しかも、それは収納の方から考えますると、早く行って金をもらった方が実は銭になるわけです。何遍行っても何遍行っても帰ってくるものは、これは金をもらってこない限り自分の月給にならないわけですから、ただなんですね。だからどうしてもただのところは行きたがらない、これは真理ですね。だから、どうしても収納率がどんどんどんどん落ちるような仕組みになっているような感じがしてならない。だからこの辺のところを改善してやらないと、受持ち区域の縮小だとか、責任の範囲だとか、生活の保障だとかということを真剣に考えて対処をしてもらわないと、この受信料の収納率というのは上がっていかないだろう。このことを抜本的にひとつ考え直す必要があるのではないだろうか。このことをもう一つつけ加えて、会長にもお願いをいたしておきます。
○坂本参考人 先生の御指摘の点は私どももやはり問題の一つだと考えておりますが、ただ多少地域的な特性がございまして、特に東京、大阪というような大都市においてその傾向が強いというようなことでございますので、先般来特別対策員というのを一般の集金員の方以外に設けまして、そしてその足らざるところを補う形でそれらの方々に御努力をしていただきまして、かなりの成果を上げているという実情もございます。したがいまして、全く手をこまねいて無策で過ごしているのではない、大きなポイントの一つであるという認識を持ちながら、なおかつやはり全体の経営の効率の中でこれに対処しなければならぬということでございますので、その点の苦衷と申しますかそういうことも御理解賜りたいと思う次第でございます。
○野口委員 最後になりますが、これまたお尋ねいたしまするけれども、郵政省に集金の事務費としてお払いになっておりまする金額は、大体集金の回数を六回に分けてやっておられるようでありまするから一期として二カ月分ですが、これに対する支払いを昭和五十四年度では百七十九円、五十五年度では予算上百八十四円十銭お払いになるような計画でございます。ところが、いま申し上げましたように、NHKの集金人におけるところの一期といいますか二カ月分ですね、一期の支払いに要する単価といいますか、経費というのの平均単価は幾らになっておりますか。——時間がかかるようでありまするから、私の質問時間が終わりましたのでこれで終わりまするが、NHKが払っておられまする勘定を私どもが試算をいたしますと約八十円前後だと思うのであります。そうしますと、郵政省に払っている金額は百七十九円であり、集金人の経費としているのは八十円から九十円まで、八十数円だと思いますが、半額に近い金額の経費で落としておられることになるわけです。なぜ郵政省に対する金額は一件に対して百七十九円であり、集金人の場合は経費を八十円に抑え込んでいるのかという、そこのところが聞きたいわけであります。この問題は後の同僚議員が引き継いでお尋ねをいたすだろうと思いますので、その辺のところで譲りまするが、こういうところにも一つ問題点があろうかと思います。恐らくNHKは、郵政省の場合は山間僻地であるのでその分を考慮したとおっしゃるでありましょうけれども、それにしては差があり過ぎます。その辺の点からも、先ほど申し上げました集金人のいわゆる生活保障の問題といいますか身分保障の問題、さらに、今日の集金をさらに効率的にしていくために抜本的な改善をしていただきたいということを最後にお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○小林委員長 次に、鳥居一雄君。
○鳥居委員 NHKの五十五年度予算案を見ますと、受信料の二四%値上げということが見込まれておりますけれども、民間の場合、エネルギー危機やその影響を受けまして厳しい減量経営を強いられているのが現状です。必死になって努力をしている。そういう中で、NHKは赤字になったからといって簡単に値上げに頼るということが許されるとすれば、余りにも安直過ぎると思うのであります。今回の値上げに当たりまして、NHKとして経営の効率化あるいは経費の節減にどんなふうに努力をされたのか、伺いたいと思います。
○山本参考人 先ほども同様趣旨のお尋ねがございましてお答えを申し上げましたが、NHKといたしましては、受信料の改定ということを安易にいたすというようなことは国民に御負担をおかけすることでもあり、決して安易な考えでなすべきではないということは、当然その点については深く思いをいたしております。ただ、NHKの経営と申しますのは九八%が受信料に依存をいたしておりますし、また、そのことがNHKの性格というものを保証し、国民からの期待にこたえるというNHKの放送法上のあり方に由来いたしておりますので、受信料改定ということを考えるにつきましては、できるだけみずからえりを正して自分の経営のあり方を合理的に効率的にしなければならないということは当然だと思っております。 したがいまして、前々回のときには八年間値上げをしないでまいりまして、また前回は三カ年間の予定でございましたけれども、四年間の期間、経営をつないでまいりました。今回本当にやむを得ない状況によりましてお願いをいたすということになっておりますが、反面NHKは、先ほど会長も申しましたように、できるだけいい番組を国民に見ていただくことによる責任と、それから受信料を出していただいておるということから来る効率的な経営と、これは二つの課題を同時に解決していく責任がございます。したがいまして、受信料の改定をさしていただくことは、いい番組を出すと同時に、反面、合理的な効率的な経営をするという二つの宿題に何とかこたえていかなければならないということでございます。 したがいまして、五十一年から五十三年のときに、そういう問題につきましては、過去八年間値上げをいたしておりません間にいろいろだまってきました問題も一挙に解決をするという覚悟で、いろいろ効率的な内容を計画いたしまして実施してまいりました結果、先ほどのお尋ねにもお答えいたしましたように、取材拠点そのものも縮減をいたしてまいりましたし、地方の県内に二つある放送局は一カ所にその機能を集約していくということをいたしまして、また出版物なんかも相当大きく整理をいたしまして、また、外郭団体に対する補助金というものも、これは従来比較的財政に余裕がございますときに立てました補助の内容というものを大幅に削減をいたしますとか、そういうことを合わせまして、計画といたしましては約五十億円の縮減計画を立ててまいったわけでございますが、結果としまして約八十億円のメリットというものを生み出すことができました。 さらに、三年間の経営計画を財政的に見ますと、日常的な予算運営の過程におきましてもろもろの節減をいたしまして、経済的なNHKに対するプラスの条件がございましたけれども、同時に、NHK自身の節減というものも、約三カ年間に百億円の節減効果というものも上げまして、それを五十四年度の予算に繰り越しまして、約百五億円を五十四年度に財源として持ち越しました。その結果、五十四年度の予算が組み立てられることができたわけでございます。 もちろん、いろいろな角度から見まして、私たちがこれは本当に一〇〇%どこも遺漏のないようにできたかということですと、なおいろいろな意味で努力をしていく可能性というものもなかったわけではございません。それを五十五年度以降にさらに引き継ぎまして、五十五年度から五十七年度までの間に、先ほど申し上げました人的費用の節減、効率化、合理化、こういうものも含めまして約七十億円の節減効果を三カ年間で上げてまいろう、そういうことを経営計画の中に織り込みまして御審議をお願いしているというような状況でございます。
○鳥居委員 向こう三年間の方針、考え方、いま説明されたわけでありますけれども、それだけでは赤字と値上げという繰り返し、悪循環、これを断つことはできないと思うのです。単純な値上げの繰り返しをどのように歯どめをかけていくのか。そのためには長期ビジョンがどうしても必要だろうと思うのですが、会長としてはどのようにお考えでしょうか。
○坂本参考人 御指摘の点が協会としては一番最大の問題の一つであるという認識に立っておりまして、御承知のように、今回の受信料改定をお願いする際に、協会の経営のあり方等につきまして諮問いたしました第二次基本問題調査会の御答申の中でも、五つのポイントをお挙げになって、その最後に、長期経営ビジョンというものの検討を確立すべきではないかという御指摘をいただいておるわけでございます。したがいまして、具体的な見通しといたしまして、いま山本専務が御説明いたしましたように、三カ年というタームで資料を提出したわけでございますけれども、四年後以降の問題につきましては、やはり早速部内における検討も続けなければなりませんし、同時に、私どもだけではなしに、できるだけ有識者等の部外の方の御献策、御意見等も拝聴して、そして単純的な値上げの繰り返しにならないいろいろな方策がないものであろうかということを真剣に考えなければならないという決意をいたしておりますので、その点はいましばらく御猶予を賜りたいと思う次第でございます。
○鳥居委員 NHKは受信料に支えられた、いわば国民を基盤とする公共放送であることは言うまでもありません。政治勢力や一定の政治圧力に対して、厳然と不偏不党を貫く使命がおのずとあることは明確だと思います。特に、多党化してまいりました政治情勢の中で、どこにも偏らない中立公正な立場をかたく守り、客観的な報道を貫く、これがNHKの使命なりと私は考えるのです。 〔委員長退席、武部委員長代理着席〕 NHKが公正で客観的な報道を行って初めてまた国民の共感と理解が得られるし、国民的な基盤をつくり出すことができるだろうと思います。これがなければNHKの存在価値、存在する意味、存立基盤を全く失うことになると思うのですが、会長はどうお考えでしょうか。
○坂本参考人 お答え申し上げます。 その点も先生御指摘のとおりでございまして、私どもに課せられております放送法第一条及び第三条に決める「放送の不偏不党、真実及び自律」の基本原則ということを貫くことの上に立って初めて視聴者の皆様方の御理解をいただけるという認識には少なくとも立っておるつもりでございますので、そういう基本姿勢のもとに公正かつ客観的な報道をしていく、そして視聴者の皆様方の信頼をかち取るということの努力はあくまでも貫くべきであるという決意にあることだけはひとつ御理解いただきたいと思う次第でございます。
○鳥居委員 客観的な報道を貫くためには単なる姿勢論、抽象論だけであってはだめだと思うのです。機構の上でチェックのシステムが確立されてなければいけないと思うのですが、どう確立されているのでしょうか。
○田中参考人 お答え申し上げます。 基本的な姿勢につきましてはいま会長が申し上げたとおりでございまして、私たち不偏不党の立場に立ちまして、公正なニュース、番組が出るように自戒しておるわけでございます。 それで、報道の体制につきましては、先生御存じのように、取材したニュースが取材のデスクの方へ参りまして、デスクが目を通して、それから整理部の方へ参りまして、整理部でまたそのニュースの構成なり、あるいはどういう演出の内容にするのかというようなこともきめ細かく目を通しながら放送に出ていくという一つの原稿の流れになっております。これに対しまして報道局の中では、まず一日に一回、局長あるいは次長、部長が出席いたします編集会議というものを開いております。この編集会議の中では、ニュースの取材あるいは編集方針あるいは取り扱いについての話し合いをいろいろしております。そのほかに、整理部の方と出稿します取材の方の各部のデスクとの間で、一日に三回から四回デスク会、打合会を開いておりまして、その中で情報の交換なりあるいはニュースの提案なりあるいは検討なり、それから出稿の予定なりといったものをきめ細かくいろいろ話し合いをしております。そして、今度は原稿が出ました後で、先ほど申し上げましたように整理部の方でもまたデスクの間でいろいろ話し合いをした上で、どの時間にどういうオーダーで出していくかというような仕組みになっておりまして、その間、各部の間での情報交換、さらに解説委員室との情報交換、あるいは考査室というところがありまして、これも朝から夜までずっとニュースを見ておりまして、そこでモニターをしてもらっておりますけれども、その辺からの情報もいろいろ来るというような仕組みになっております。 以上でございます。
○鳥居委員 NHKの経営計画や営業の問題等につきましては同僚の議員からも取り上げられていますので、私は、NHKが公共放送として科学技術の進歩、その成果をどのように放送事業に生かしていこうとしているのか、そういう観点から何点か伺いたいと思います。 まず放送衛星の問題でありますが、BSの打ち上げ計画の先行きに大変不安を感じている一人であります。計画の問題点を一つ一つ指摘したいと思うのですが、「あやめ」と「あやめ」二号が惨たんたる失敗に終わりました。「あやめ」二号では実に二百五十億円が消えてなくなったということです。 この「あやめ」シリーズの目的の一つは、わが国の実用衛星時代に不可欠な、静止軌道に衛星を打ち上げるロケットを完成させることでありました。BSを打ち上げるNIIロケットは、この「あやめ」シリーズの成功が大前提にあったはずであります。それで私は、この二百五十億円が宙に浮いてしまったこともさることながら——二百五十億円というと、日本におけるがん研究対策の実に七年分の経費に相当する大変な額でありますが、NIIロケットによる放送衛星の打ち上げに大変大きな不安を抱くのであります。郵政省はこの点どう受けとめていらっしゃるでしょうか、NHKとあわせて伺いたいと思います。
○平野政府委員 お答え申し上げます。 確かに先生御指摘のように「あやめ」一号、二号が相次いで失敗をしたわけでございます。しかしながら「あやめ」一号につきましては、先生も御承知のようにヨーウエートというものが正確に作動しなかったということが原因のように承知をいたしておりますし、今回の打ち上げにも使用いたしましたNIロケットは、アメリカで最も信頼性が高いと言われておりますデルタ型の技術を導入して国産化したものでございますが、打ち上げから第三段ロケットと衛星との分離までは正常に動作をしておることが確認されておるわけでございますので、ふぐあいの原因はこのNIロケットの欠陥によるものではないものというふうに私ども判断しておるわけでございます。もちろん、宇宙開発委員会が四月末を目途に調査をするという段階でございますので断定はできませんけれども、NIロケットの欠陥によるものではないのではないかというふうに実は考えておるわけでございます。 次に、BS、実用衛星の打ち上げに使用いたしますNIIロケットは、NIロケットを軸として各段ロケットの高性能化であるとか、あるいは誘導制御システムの高精度化等を図ることとして開発がすでに進められておるものでございまして、私どもといたしましては、十分信頼のできる打ち上げ手段であるというふうに考えるわけでございます。 一方、実用放送衛星BSにつきましては、宇宙開発事業団がアメリカの航空宇宙局の協力を得て打ち上げに成功いたしまして現在順調に実験が進められております実験用衛星の開発成果を踏まえまして、ほぼ同規模、同性能の衛星として開発が進められておるわけでございまして、すでに二年近い間宇宙において実績を持っておる衛星でございますので、この衛星を基本的に踏襲をして開発するものでございますから、十分な信頼性が得られるということを確信しておるわけでございます。したがいまして、今回のふぐあいの原因にも関連いたしますけれども、十分にそのありようというものを踏まえながらこのBSをみごとに打ち上げる自信があるわけでございます。
○沢村参考人 お答え申し上げます。 NHKは、先生御承知のように難視解消をできるだけ効率的に、しかも抜本的に速やかに達成しよう、そのために衛星を使うことを考えましてBSの計画に乗っておるわけでございます。 このたびの「あやめ」の失敗という問題につきましては、そういう意味から申しますと非常に残念なことだと思っている次第でございます。もちろん「あやめ」の開発というものは先生のおっしゃるような試験的な段階でございまして、失敗があるということはある程度やむを得ないケースもあろうかと思いますけれども、この失敗をひとつ災いを転じて福となすというような形で十分に原因を究明していただきまして、われわれ実用のものを打ち上げるまでには十分信頼性のあるものにしていただきたいと思っておる次第でございます。 実用の衛星が万一のことがあるというようなことになりますと、私どもとしましても、受信料をベースに打ち上げるということからいたしまして、まことに相済まぬと言うだけでは済まない問題だろうと思います。そういう意味からいたしましても、万一に備えましての十分な補償措置ということも国の方でお考えいただきたいというふうに考えておる次第でございます。
○鳥居委員 一般に、失敗の原因の一つは、重要な部分をアメリカに頼って背伸びをした開発計画そのものに大きな原因があった、こう指摘されているわけです。私はこの際、BSそのものの衛星開発とそれから打ち上げのロケット開発、これはもう切り離して当然考えていくべきだと思うわけです。これはアメリカのスペースシャトルの利用の道、打ち上げ経費が約三分の一で済むということも明白な事実ですし、また八〇年代を展望すると三百五十キログラム程度の重量では賄い切れない、一トンクラスが打ち上げに必要な重量だ、こういうふうに言われている展望の上に立ちますと、もちろん打ち上げ技術の開発ということも国策上大事だと思うのです、しかし失敗が許されない、経費を安くしなければならない、こういう点。いまユーザーの立場としてNHKが六〇%背負わされなければならない現状ですから、ざっと六百億円として三百六十億円、これが打ち上げにかかるNHK負担分です。 郵政大臣、所掌する大臣でありますが、国務大臣として宇宙開発委員会に大いに動くべきだと私は思うのです。衛星開発とロケット開発は切り離していくべきだ、その主張でひとつ動いていただきたい、こう思うのですがいかがでしょうか。
○平野政府委員 ロケット開発と衛星本体の開発を切り離すべきだという御趣旨かと思いますが、すでに御承知のように、このBS、実用衛星を打ち上げるためのロケットといたしましてはNIIロケットの開発がすでに多額の国費を投じて宇宙開発事業団において続けられておるわけでございまして、この国産技術の育成を図りながらこのロケットの開発も行っていく、さらには衛星打ち上げの技術につきましても継続的に実施をしていくということでございます。これは、やはりわが国が継続的に宇宙活動を行っていくために最小限の国産技術というものは確保しておく必要があるんだ、それだけの重要性があるんだ、継続していくためには最終的には外国に依存することのできない最小限の技術はどうしても確立しておく必要があるんだというところから来ておるように考えておるわけでございまして、そういった意味におきまして、宇宙開発のまだ途上にあるわけでございますけれども、先生御指摘のようないろいろな問題点があることも事実でございます。しかしながら、最小限の技術を育成し所持しておくという方向で今後ともやはり進めるべきではないかというふうに考えておるところでございます。
○鳥居委員 観点を変えて伺いますが、宇宙保険について伺いたいと思うのですが、打ち上げるBSには保険が掛かるとお考えですか。いまの様子では保険会社が拒否です。その点どうなっていますでしょうか。
○平野政府委員 保険の関係は宇宙開発事業団の関係になろうかと思っておりますけれども、わが国におきましても「あやめ」一号については保険を掛けた実績もあるわけでございますし、諸外国におきましてはほとんどの重要な衛星には保険が掛かっておるという状況にかんがみまして、現在郵政省といたしましても宇宙開発事業団と検討を始めようとしておるところでございます。
○鳥居委員 「あやめ」一号で失敗し「あやめ」二号で失敗し、今度の実用衛星、BSで保険が掛かるとお考えですか。イエス、ノーで答えてください。
○平野政府委員 私は可能性大いにありというふうに考えております。
○鳥居委員 ユーザーであるNHKの負担が六〇%、これはどんな根拠ですか。
○平野政府委員 NHKの負担率が六〇%となった根拠でございますけれども、実用第一世代の放送衛星は、わが国としての衛星放送技術の開発に資するとともに放送事業者であるNHKの実用に供するというのが目的でございますので、打ち上げ所要経費につきましては国が四割、NHKが六割の分担をするということになったものでございます。これは国の財政事情もございますし、あるいはすでに開発に着手しております実用の通信衛星におきましても国以外の利用機関が六割を負担をするということとの均衡の問題、そういったことを考慮いたしまして、利用機関としてのNHKが六割負担ということに相なったわけでございます。
○鳥居委員 宇宙開発が重要なことはわかるのです。しかし受信料収入で支えられているNHKが宇宙開発をしなければならないということはこれは一体どういうことなんでしょうか。 〔武部委員長代理退席、委員長着席〕 大蔵省との折衝で、CSの場合には五分五分で折衝をしたんです。大蔵省に押し切られて四分六、ユーザー側が六〇%とこういうことになってきました。ですから、当然NHKが負担する六〇%の中には宇宙開発費というのが大分含まれているわけです。これは受信料収入によって支えられる以上このNHKの本来の放送のため、こうなければならないのに、宇宙開発のために費用を支出してよろしいですか。
○平野政府委員 現在上がっております実験用の通信衛星、放送衛星は、先生御承知のようにロケットはアメリカに依存をした、こういうことでございます。しかしながら、必要最小限のロケット及び衛星本体の技術を日本で確保しようということでわが国の宇宙開発がスタートをし、現在進行しておるということでございます。その中におきまして、NHKが放送法によりまして全国あまねく放送の受信を可能にするという使命を達成するためには、できるだけ早く実用の放送衛星を打ち上げる必要があるということから、先ほど来御説明をいたしておりますような趣旨によりまして、国が原則的には開発を分担をする、それから実際に打ち上がりまして実用に供するのは放送主体であるNHKがこれを行う、こういうことでございますので、できるだけ早く打ち上げてNHKが実用に供することが望まれておるというふうに考えておるわけでございます。
○鳥居委員 いや、私が聞いているのは、NHKに六〇%の負担を強いる、それは国が本来やるべき宇宙開発の分を肩がわりしてNHKがやらなければならない形になっているではないか、NHKにそれを強いていいのか、こういう指摘をしているのですよ。早くBSが使えることになる、これは望まれることに決まっていますよ。宇宙開発にかかる経費は放送本来にかけるべき費用とは違うじゃないですか。国策として宇宙開発をする、結構な話です。NIIロケットを使う、これも結構な話です。成功したらばの話です。しかし、いま「あやめ」一号が失敗し「あやめ」二号が失敗し、今度打ち上げられるBS計画にしても、これは保険が掛かるか掛からないかもわからない現状です。 NHKに伺いますが、もし無保険のまま打ち上げに失敗した、こういう場合の損失はどう扱われるのですか。
○沢村参考人 お答え申し上げます。 保険の掛からないような信頼性のない衛星を打ち上げるというようなことは私どもとしては考えられないと思っております。したがいまして、幾ら信頼性が高くても万一ということはあり得るだろう、そういう場合に備えて保険は掛けるべきである、何らかの補償措置をとるべきであるということを私どもはお願いしておるわけでございまして、保険も掛からない衛星を実用のものとして打ち上げるという事態は起こらないものと、そういう場合はお断り申し上げたいと思っておる次第でございます。
○鳥居委員 BSは八〇年代のスーパーメディアと言われるものであり、この利用を推進することは大変結構だと思うのですが、いずれにしても巨大な経費がかかる点、その大部分が受信料で賄われなければならない点、この辺は一度見直してしかるべき、着実な開発がなされてしかるべき、こう私は思うのですが、大臣のお考えをまず聞きたいと思います。
○大西国務大臣 NHKは、おっしゃいますように受信料によってその財政の基礎を確立しておるわけでございます。それから、国民一般は税金によりましていろいろ国の政策の実現にその基礎を与えてくれておるわけでございます。でありますから、その性格はそれぞれ違いますけれども、いずれも国民のふところから出ておるお金であることには変わりはございません。 この衛星は宇宙開発の役に立てると同時に、それが打ち上がりましたならば、NHKの全国的に放送が聞けるような、そういった難視聴解消とかいったような公共的な使命を達成することに資するものであるわけでございます。そういう意味におきまして、これを使用するNHKとそれから宇宙開発を目指しておる国と、そういった財政上の負担割合というものがあってしかるべきだと思います。そこで、その割合をどうするかというのが問題になってくると思いますけれども、現状における国の財政上等の関係からかようになったものだと思うのでございます。そういうことでございますので、そういう性質のものでありますから、これは今後ともやむを得ないものだ、このように思います。
○鳥居委員 次に、東京、大阪でNHKの音声多重放送が実用化試験局の免許を受け、放送が始まりましてから一年半になろうとしておりますが、何点か音声多重放送につきまして伺いたいと思います。 難視解消のために大変大きな目標を掲げ、民放の先を行く大変りっぱな実績を残してまいりました。しかし、まだ不十分であり、今後続けていく。この難視に対する取り組みと、比較のできない比較かもしれませんけれども、比較をしてみまして、音声多重放送が始まって一年半、需要の動向はまずまず、白黒からカラーに移ったときの一年後、大体十万台だったものが、この音声多重放送が始まりまして一年後は大体機器で百三十万台は受信が可能であり、現在百四十四万台、こう日本電子工業会では数字を出しております。民放がすでに音声多重放送を開始している地域であるのに、北海道、仙台初め富山など、日本全国の八つの地域、全然NHKの音声多重放送というのがない地域が八つあります。これは端的に言ってどんな理由で、どういう計画をお持ちなんでしょうか。
○沢村参考人 お答え申し上げます。 音声多重放送につきまして、先生も御承知のようにまず東京、大阪でスタートいたしまして、昨年度名古屋あるいは兵庫県、京都府というところまで広げたわけでございます。その間、受信者のこれに対します反応、反響というのをわれわれ注意深くながめてまいりました。残念ながらわれわれが期待したほどの反響は沸き上がってこないというのが、現状私どもの持っておる感覚でございます。 おっしゃるように受信機、端末はかなり伸びておるようでございますが、そういう受信者の反応をわれわれはつかまえまして、本当に音声多重に適する、言えばステレオに適する番組はどういうものであるか、いままでやりました経験から申しますと、例の「名曲アルバム」非常に短時間の番組でございますけれども、これなんか非常に好評を博しておりますが、そのほか幾つかの試作を続けまして、ステレオあるいは二カ国語放送に努力を続けております。さらに一層聴視者にアピールする、喜んでいただけるものはどういうものかという番組の開発に現在力を入れておる段階でございまして、いま御審議をいただいております今年度の計画におきましては、大阪付近では和歌山県、東京では前橋というところに拡大をしてまいる予定をいたしておりますけれども、番組の面のより充実、量的なものではなくて、質的な充実ということにもう少し力を入れてまいりたい、その上で聴視者の反応をよく把握をいたしまして着実に発展を期してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○鳥居委員 私が聞いたのは、民放がすでに音声多重をやっている地域でNHKは音声多重をやっていない、こういう地域が全国に八つある、その理由は何か、端的に答えていただきたい。いっそれは解消できるのか、これを伺っているのです。
○沢村参考人 いまマクロ的に申し上げましたような受信者の反応というものを十分つかまえながら全国的に拡充してまいりたい、あるいはまた、番組時間の増も図ってまいりたいということでございまして、現時点で、確かにおっしゃるように民間放送が先行した地域が七地区、八地区ございますけれども、私どもは民間放送と単に対抗するためにやるということではなくて、本当に聴視者の意向を踏まえて、これに適するような番組を開発しながら、着実に進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○鳥居委員 民放がこの地域に四社ありまして、NHKも見える、民放も見える。民放の一社が音声多重に踏み切ろうとしますと、民放は全部行くわけですね。それで、一社もおくれることなく、なるべく四社が合わせて同発できるようにしていこう、NHKだけが取り残されて、見通しも持っていない、こういう形なんです。これは、一つは技師長のいまの評価も問題だと思うのです。ある世論調査によりますと、四人に一人が関心を示している、テレビの音声多重、開始から一年、反響高まる、こういう評価もあるのです。いいですか。 それと、一週間にNHKが定時番組で音声多重放送を実施している状況はどうなのか。これは郵政省調べでありますけれども、日本全国の五地域で二時間三十分です。つまり、全放送時間の二・二%なんです。たったの二・二%です。もちろん特番を入れますと、高校野球であるとかあるいは相撲だとかあるだろうと思います。しかし、定時としては一週間にわずか二時間半なんです。この理由は一体どこにあるのでしょうか。免許の方針という一つの大きな壁を私は見ているのです。
○坂本参考人 音声多重の放送としては、いわゆるステレオ放送とそれから二カ国語放送とあるわけでございます。 ステレオ放送の場合は、いま先生のおっしゃるように相撲とか野球とかというのもかなりステレオホニックの効果はございますけれども、何といっても、やはり音楽的な音響的な効果というのが、ステレオの場合にはまず第一に挙げられるのではないだろうか。そういたしますと、やはり東京で放送いたしましたN響なり何なりが、そのまま同時の形で現地で受けられて、それが現地でステレオで放送されるということになりますのが一番望ましいことでございますので、私どもも郵政省その他にお願いいたしまして、東京と大阪間のマイクロ回線のステレオ回線が完成いたしまして、それで東京−大阪間は、東京で放送いたします番組がそのまま大阪でも生で受けてステレオでできる、こういうことなんでございますけれども、そのマイクロ回線がステレオを通じられないというような状況でございますと、東京で録画いたしまして、それを空輸して現地へ持っていって、そこで出す。かつてFMの時代にそれをやったのでございますけれども、テレビの場合ですとちょっとFMの方式の搬送がむずかしいものでございますから、多少そこら辺のところにどうしても時間的におくれをとっているというところもあろうかと思うのでございますけれども、これはそのことも相まっていろいろお願いしていきたいと思う次第でございますので、多少そういう特殊的な事情も御配慮いただきたいと思う次第でございます。
○鳥居委員 もう一つ端的に伺いますが、音声多重を実用化試験局として免許を受けて始めたわけです。始めましたが、ある時点でUターンしよう、またモノラルに戻そう、こういうお考えはありますか。それとも進めていく方向ですか。
○沢村参考人 私どもとしましては、決してUターンをする気持ちは毛頭ございません。できるだけ前向きに、聴視者の御意向、要望を発掘しながら進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
○鳥居委員 同じ質問を郵政に伺いたいのですが、民放各社に免許をしたこの音声多重放送、補完的利用に限って始まりました。これはUターンの方向ですか、それとも広げていく方向ですか、一言。
○平野政府委員 多重放送といたしましては、広げていく方向を考えております。
○鳥居委員 電波行政、一見ジレンマに陥っていると私は見るのです。みずから免許方針で、翻訳によると、こう一句を入れたために、番組を非常に制約をしているわけです。NHKは御承知のとおりいまの二時間半程度、これはもう音響の上から、ステレオホニックまたは劇映画翻訳による二カ国語、これしか利用の仕方がない。そういうのが現状ですね。これは免許の方針というので、がんじがらめにしているわけです。免許の方針というのは、一体何なんですか。省令なんですか、どういう規則なんですか。これは枠を広げる方向でもう検討が始まっているのでしょうか。民放各社の要求、要望も、放送部には届いているはずなんです。一体どうなっていますでしょうか。
○平野政府委員 さきに二カ国語放送において、翻訳によるという制約をつけた理由でございますけれども、多重放送に関する調査研究会議の報告を踏まえまして、制度的に最も問題の少ない、最も補完的な利用と考えられます翻訳による二カ国語放送から実施をするということを決めたわけでございますが、この制約を外すことにつきましては、前回も申し上げましたように、マスメディアの集中独占につながるおそれを考慮いたしながら現在検討中、こういうことでございます。なお、放送事業者からのいろいろな御意見を集約する作業は、昨年から続けておるところでございます。
○鳥居委員 どういう条件がそろえば、この免許方針を緩めていく方向をとるのでしょうか。
○平野政府委員 先ほどもちょっとお話に出ておりましたけれども、私どもといたしましては電波法の第七条、したがいまして、放送局開設の根本基準の第九条等を勘案しながら、いわゆる調査研究会議からの御提言にもございますような第三者利用、言いかえますならば、マスメディアの集中を将来排除する必要があるのかないのかという点を見ながら広げていく方向で検討中、こういう状況でございます。
○鳥居委員 そうすると、音声多重放送については、主番組を補完するから、そういう条件で、主番組を補完するためのものであるからこれは第三者利用の道とは幾分明確な線が引けるだろう、これが調査報告じゃないですか。調査研究会議の報告書の中で、できるところからやっていこうというのは、主番組を補完する、いわゆる補完的利用ということが明白だから免許をしていこう、こういうことで始まったわけなんです。もちろん、主番組を補完しながらも、独立的と見られる要素はあります。しかし、主番組を補完するという条件が最優先される場合、主番組を補完しなければだめなんです。主番組を補完するという条件で緩めていく方向はないのかと私は聞いているのです。第三者利用は関係ないです。九時に放送番組が終わった、次の番組が始まった、音声多重で前の番組は続けてやる、そうすると、ラジオの波を一波持ったのと同じではないか、こういう論法なのです、郵政局の考えは。そうじゃないのです。明白に主番組を補完する、その上で独立的と見られるような心配のある点に広げて今後は考えていきたい、こういう考えはありませんか。
○平野政府委員 先生がおっしゃいます主番組を補完するという方向で検討していることは事実でございますが、ただ、現在の補完的な音声多重放送と申しますのは、たびたび申し上げておりますように、テレビの音声を補完する意味でのステレオ及び翻訳による二カ国語放送ということでございます。したがいまして、主番組と補完との間には若干幅があるわけでございまして、その幅の中でどのように広げていくことが望ましいのかということを、第三者利用等との関連も念頭に置きながら、放送事業者の御意見もお聞きしながら現在検討しておるという状況でございます。
○鳥居委員 一つ提案なのですが、いまの免許方針をそのまま続けたと仮定します。いまの免許方針をステレオホニックあるいは翻訳による二カ国語という条件をつけてこのままいくと仮定して、災害時における、いわゆる目的外通信のできるもの、緊急通信、非常通信その他いろいろありますが、電波法に明記されている目的外通信、これの適用は許していこう、こういうことにはなりませんか。
○平野政府委員 災害関係の放送につきましては、従来から国民と関係の深い放送事業者にとりましても非常に重要な放送であるから、本番組で対応してもらいたいということを言っておるわけでありますけれども、御承知のように、音声多重という道が開けてきたということにかんがみまして、災害放送のような国民に密着をした非常に重要な番組につきましては、ただいま先生御指摘のような方向で検討の中に入れていくことが必要であるというふうに考えておるわけであります。
○鳥居委員 そうすると、同じように総選挙であるとか参議院通常選挙であるとか、非常に関心の高い、しかも公共的な意義から言っても一般の報道とはちょっと違う色合いの報道の使命があります。いまの条件でステレオホニックあるいは翻訳による二カ国語という枠をはめた中で、国で行う選挙については認めていく方向をとろう、この点についてはいかがでしょうか。
○平野政府委員 私どもといたしましては、選挙関係の報道につきましても、非常災害のときに申し上げましたような方向で検討の対象にすべきものと考えております。ただ、重要と思われる事項はこれ以外にもあるわけでございまして、この点がまさにマスメディアの集中排除の問題とだんだん兼ね合いがむずかしくなってくる問題であることをつけ加えさせていただきたいと思います。
○鳥居委員 限られた国民の財産である電波を有効に利用していこうという方向で電波行政というものは対応しなければならないものだと私は思うのです。がんじがらめに縛って、有効利用できるのに、なるべく利用させない方向で物差しを当てていくという方向が果たしていいのか、こういう疑問を強く抱くのです。ぜひ広げる方向で御検討願いたいと思うのです。 それでもう一つ。実は三月末ごろをめどにアメリカにおけるFCCがAMのステレオ化、五つの方式があって、それを標準化するための作業を進めてまいりまして、やや延びているという感じがいたしますが、AMのラジオの多重、これは潜在的な需要があると断言できるものだと思うのです。ラジオの民放各社では、すでにこの対応を終えていると私どもは聞いております。 まず、NHKに伺いたいのですが、ラジオ無料という現状において、AMのステレオ化の対応はできますか。
○沢村参考人 先生の御質問に対してお答えになるかどうかわかりませんが、私どもとしましていまAMについて一番大事な問題は何かということを考えましたときに、先般の国際的な電波の再割り当てがございました。日本では九キロヘルツのセパレーションに変わりました。ヨーロッパも含めてそうでございます。その結果、ある程度夜間の混信は改善をされました。ですけれども、決してこれで解決をしたとは思っておりません。したがいまして、AMのステレオ化が将来のAMのサービスの向上に役立つことは十分承知はいたしておりますけれども、いわゆる都市放送になりかねない。全国を対象といたします私どもといたしますと、僻地特に夜間混信増に対して十分な措置ができるかどうかということをまず考えなければならないと思っておる次第でございまして、そういう意味で、現時点でAMのステレオに対して早急にこれを取り入れるか取り入れないかということを判断する時期ではないというふうに考えておる次第でございます。ただ、調査研究の面では、私どもも十分関心を持って取っ組んでおることだけは申し添えさせていただきます。
○鳥居委員 郵政省は免許にどんな条件をお考えになっていらっしゃいますか。標準化が決定になると、恐らくはわが国におきましても同じような方式をたどらざるを得ない、また免許という事態を考えるわけですが、当面このAMのステレオの免許に関して、どのような条件が整えばできるのか、この点について伺いたい。
○平野政府委員 先ほど先生御指摘のように、いま熱心に検討を進めておるのはアメリカだと思います。しかしながら、アメリカにおきましても、関係諸国との間で日本と同じような九キロヘルツへの移行問題がまだ確定していない。したがいまして、いま五形式についていろいろ議論中でございますけれども、いつスタンダードを決めるかという見通しがまだついていないというのが現状でございます。普通の場合、このような方式につきましては、CCIRでいろいろ各国の情報を集めながら検討されるのが通常でございますけれども、現在のところ必ずしもそういった動きが強くはない。そういう国際的、国内的な状況を踏まえていく必要があるわけでございますが、特に国内的な状況といたしましては、日本がいわゆる九キロヘルツ、あるいは日本及びその周辺が九キロヘルツに移行したということ、それから、先ほどNHKの方からお答えがございましたように、混信が必ずしも全くなくなってしまったわけではないということ、あるいは海外からの電波とのフェーディングの問題、そういった問題を原因にいたしましたAMステレオのスタンダードをどのように決めていくのかということが非常にむずかしいわけでございます。別の言葉で申しますと、いわゆる中波のステレオを採用する環境が日本の場合には非常にむずかしい、こういうことでございますけれども、しかし、これも先生御指摘のように将来に向けて積極的に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○鳥居委員 きょうは、限られた時間の中でBSと多重を中心にして御質問申し上げましたが、NHKは、公共の基幹放送という立場で、科学技術の発展、その成果を放送メディアの上に導入、活用して、国民がその恩恵を最大限に受けられるように積極的に取り組んでその使命を果たしていくよう要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○小林委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。 午後零時五十一分休憩 ————◇————— 午後一時三十二分開議
○小林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。則武真一君。
○則武委員 私も、引き続いてNHKの予算について質問をさしていただきますけれども、今回の提出されておる予算は、受信料の値上げ問題を絡めてNHKの経営の姿勢について国民がかなりの批判を持っておるというようなことを中心に、相当突っ込んで議論をしていく必要があるのじゃないかというふうに思います。特に、最近政府が受信料の支払い義務化を内容とした放送法改正案を国会へ出しているという問題、さらにもう一つは、新聞報道等によりますと、自民党が三月十一日の総務会で、この法案の国会提出を了承する条件として、党内にNHKの公共放送のあり方に関する調査委員会なるものを設けて、いろいろとNHKへ注文をつけていくというようなことが報道されているのであります。 そこで、私は最初にNHKの会長にお伺いしますが、五十五年度予算案について、経営委員会で決定された日と、郵政省に提出された日だけをお答えいただきたいと思います。
○坂本参考人 経営委員会は、一月の末に経営委員会を開きまして決定いたしまして、一月三十日だったと思いますが、郵政大臣に提出した次第でございます。
○則武委員 一月末に経営委員会とおっしゃいましたが、経営委員会の最終決定日は何日ですか。
○坂本参考人 あいまいで申しわけございません。一月三十日に決定しております。
○則武委員 そうしますと、つまり一月三十日に経営委員会で値上げを含む予算を決定し、即日郵政大臣に提出なさった、こういうことでございますが、それじゃ郵政大臣にお聞きしますが、NHKの予算をあなたが受け取られて、閣議了解を得た日にちはいつで、国会に提出なさった日にちはいつですか。
○平野政府委員 郵政大臣に提出されました日は一月三十日、閣議が二月の十九日、国会提出日が三月十七日でございます。
○則武委員 NHKの方へお伺いしますけれども、一月三十日の経営委員会で決議をして郵政省へ出された時点で、暫定予算になるというふうなことを想定なさっていらっしゃいましたか。
○坂本参考人 私どもといたしましては、できるだけ速やかに御審議いただいて年度内の御承認をいただきたいというふうに考えておった次第でございます。
○則武委員 そうしますと、こういう経過になったということについて、どういう事情で暫定予算を組まざるを得なくなったということについて、郵政省から説明を受けていらっしゃいますか。会長として郵政大臣から、暫定予算にならざるを得ない格段の事情というものはどういうふうに説明をお受けになっていらっしゃいますか。
○坂本参考人 私自身といたしましては、いま申し上げましたような経過の中で、できるだけ国会審議等にお運びいただきたいということで、政府側のいろいろな国会との御事情もあるいはあったかと思いますけれども、格段にどうというような御指示はなかったように記憶しております。
○則武委員 つまり暫定予算にならざるを得ない格段の事情について郵政省側から説明がなかった、こういうことでございますが、そこで大臣にお伺いしますが、あなたが放送法改正を閣議で決定をされて国会へ提出なさった、この日にちだけをひとつ明確に聞かしてください。
○平野政府委員 放送法は三月十四日に閣議に提出しております。(則武委員「国会への提出はどうですか、質問に全部答えてください」と呼ぶ)
○小林委員長 一回で間に合わせてください。
○平野政府委員 三月十八日に国会に提出いたしております。
○則武委員 つまり郵政大臣は、放送法の改正と前後して閣議決定済みの予算を国会へ出されたわけですね、一カ月間ほどあけて。このことについて大臣は、放送法改正とどういう絡みでお考えになったのか。放送法改正のためには予算が暫定になってもいい、こういうことでセットでお出しになったのかどうか、そこのところをお聞かせください。
○大西国務大臣 NHKの五十五年度の収支予算等は、御承知のとおり受信料月額の改定を内容とするものでございますので、この受信料額の改定に伴いまして受信料の不払いがさらに増加をし、一層負担の不公平が拡大するという懸念があるわけでございます。一方、郵政省といたしましては、受信者間の負担の不公平を是正するために、現行の契約義務制を受信料の支払い義務制に改める、いま先生御指摘の放送法の改正案を今国会に提出をすべく当時準備を進めておる状態でございました。そういう状態でございまして、それとの絡みで、もちろん両者は論理的には別物でございますが、政策的には非常に関連のある問題でございまして、まあ与党との間で調整に時間を要したために国会への提出が例年に比べて遅延をした、こういう事情でございます。
○則武委員 つまり暫定予算を組まざるを得なくなったのは、大臣がそういうことを絡めて考えたからだ、暫定予算になったのは挙げて大臣の責任だ、こういう意味に理解していいですか。
○大西国務大臣 御理解は私どもがこれを制約するわけにはまいりませんが、事情の実情はいま申し上げたとおりでございます。
○則武委員 そうしますと、今後とも大臣は与党との調整によってNHKの予算を暫定に追い込むことは日常的にあることだ、こういうふうに理解していいのですか。
○大西国務大臣 そういうことは極力避けるべきことだと思います。
○則武委員 前回の委員会で、大臣はそうなった事情については御寛容願いたい、お許し願いたいと答弁なさっていらっしゃいますが、異常事態を起こしたことについて責任は痛感していらっしゃるのですか、いらっしゃらないのですか。
○大西国務大臣 前回お答え申し上げたとおり、先生が御承知のとおりでございまして、広い心をもってお許しをいただきたいと存じております。
○則武委員 とにかく余り反省をなさっていらっしゃらないようだが、まあ言葉だけでは反省しておるというふうに受け取れるのですが、問題は、いろいろと意見がその一カ月問にあったということについてお伺いしたいのです。 新聞報道によると、自民党の総務会の論議の中で、興味本位の人気取り番組などつくるなら国営放送など要らぬ、つぶしてしまえ、NHKの原子力発電についての報道は明らかに偏向しておるなどという激しい意見が出された。そして総務会は、第一に、NHKは公共放送の使命に基づき経営の合理化に努力する、第二に、不偏不党、中立性を堅持し、その点を配慮した番組編成を行うの二点を政府に申し入れることになったと報道されています。郵政大臣はこういう申し入れを自民党からお受けになりましたか。受けたかどうかだけ答えてください。
○大西国務大臣 まだ受けておりません。
○則武委員 それではNHKの会長にお伺いしますが、同様の申し入れを自民党から会長はお受けになりましたか。
○坂本参考人 お答えいたします。 受けておりません。
○則武委員 私は、やはり放送法に基づいてNHKはチェックされなければならないし、政権政党が特別の体制をとってNHKの運営や放送内容にいろいろと陰で意見を言うということになると、これは憲法が保障するところの言論、報道の自由を抑圧し、放送法で言うところの放送の不偏不党という原則を踏みにじると考えるわけであります。その点、郵政大臣、いまのところはないようですけれども、今後あっても困るし、大臣としてはこういう問題についてどういうお考えですか。同様のことについて、引き続いて会長さんの方からもお答えいただきたいと思います。
○大西国務大臣 まだ何の申し入れもないことはただいま申し上げたとおりでございますが、さらに自民党内におきましてどのような調査会が設置されるのかということも承知いたしておりません。ただ、NHKはこれは国民のものでございますから、NHKのあり方について国民の各界各層からいろいろの御議論があり得ることは当然のことだと思っております。そういう意味におきましては、主管庁の、主管をいたします大臣といたしましては、これらの御論議には耳を傾けるべきものだと考えております。しかし放送法は、いまも先生御指摘ありましたが、NHKに番組編集の自由を保障いたしまして、その業務の運営について最大限の自主性が確保されるよう保障いたしておるところでございます。したがいまして、郵政大臣といたしましては、NHKの自主性を損なわないように慎重に対処すべきものだと考えております。
○坂本参考人 私も、放送法の一条、三条に守られておりますNHKの自主性というのは、それはもう私自身当然職を賭しても守らなければならない使命であるという認識に立っております。 ただ、NHKはいろいろな世論その他の御意見を吸収して、そして番組の公正、報道の公正を損なってはいけないということでございますから、そういう意味でのいろいろな御意見を承ることはやぶさかじゃございませんけれども、しかし放送法一条、三条を損なうような形で権力に屈するということは絶対ないということを申し上げたいと思います。
○則武委員 ぜひとも放送法の一条なり三条の定めておるような立場で、言論、放送に携わる機関として、厳重にこういう外部の圧力に屈服しないで公正、客観的な立場を貫いていただきたいと思います。 予算と絡んで次にお伺いいたしたいのは、経営のあり方であります。 世間ではよく言われておりますが、国民のNHKという理解があれば、受信料値上げ問題も含めて国民の合意が得られるのでありますが、そこのところが十分国民のNHKというふうになっていない度合いというものが、受信料値上げ問題等の予算の中でやはりいろいろ出てくるわけであります。そういう意味で、経営の姿勢というものは予算を貫く上で一つの問題の裏表ではないかと私は思うわけであります。 そこで、NHKの最高の意思決定機関であり、人事権を持つ最高の機関である経営委員会についてお伺いいたしますが、一体この経営委員会がどういうメンバーで構成され、どういう意思決定をなさっているのか、視聴者にはとんとわからないというのが実態であります。経営委員会の任命に際して、放送法第十六条は「委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」となっておるわけでありますけれども、一体どういうふうに任命されておるのか、国会の同意を得ておるという結論はわかるのですけれども、そもそもどなたが推薦なさっておるのか。郵政大臣にお伺いしますが、郵政省から推薦なさっていらっしゃるのか、それとも内閣の官房かどこか内閣総理大臣の直属の機関で推薦がなされておるのか、それともそれ以外のところから推薦があるのか、まあ三つに一つになりますが、そこのところはどうですか。
○小山政府委員 郵政省の方から内閣の方へ推薦する場合もございますし、内閣の方で独自で人選する場合もございます。そのほかの場合というのは、これはございません。
○則武委員 それではちょっと具体的にお伺いしますが、いまの経営委員十二人のうち、内閣から推薦された方と郵政省から推薦された方を一人ずつ、伊藤義郎さん以下チェックしてみてください。
○小山政府委員 推薦に至ります過程につきましては、きわめて人事的な問題でございますので、こういった点につきまして一人一人について公にいたすことはどうかと存じますので、まことに申しわけございませんが差し控えさせていただきます。
○則武委員 つまり、私は中国ブロックに住んでおる者ですけれども、せんだっても中国ブロックから田中真一郎さんという方がブロック代表として提案になりました。しかし、そういう経過について、どういう経過で中国ブロックからこの田中さんが出られたのか、一般の国民にはなかなかわかりにくいわけですね。だからもう少し経過について具体的にお伺いしたいと思ったわけでありますが、お答えをいただけませんので、前へ進めたいと思います。 両院の同意を得るということになっているのですけれども、私どもがいただいておるのは、ここへ持っておりますが、簡単な経歴書が一枚ついておるだけであります。その方がNHKについてどういう見解を持っていらっしゃるのか、放送についてどの程度専門的な知識を持っていらっしゃるのか全然わからないのであります。そういう点で、本当に幅の広い知識と経験を有する人なのか、公共の福祉に関し公正な判断をできる人なのか、なかなか判断しにくいという事情があるわけですが、大臣、この経営委員を国会に提案をして同意を求められるに当たって、推薦の経過も含めて、その方がどういう考え方や政策を持った方なのか、もう少し国会議員が判断できるような形で提案をなさったらどうでしょうか。——ちょっと、大臣に聞いているのです。
○大西国務大臣 お答えをいたします。 両議院の御同意をいただくための判断材料についてのお尋ねでございますが、NHKの経営委員につきましても、また他の国会承認を要する人事案件につきましても、いずれも同様でございまして、その説明資料等をもってお諮りをいたしておりますわけでありますが、今後とも、いまそういう関係でございますから、これは議院の運営委員会で御審議を願うところでございますので、その議運の御意向に沿って必要な資料を整えるよう配慮をしてまいりたいと考えております。
○則武委員 私は素朴な質問をしているのです。国会議員として経営委員の任命に同意をするということになると、われわれも責任の一端を背負うわけであります。しかし、その方が、どういうNHKの経営についての見識を持っているかを知らないで、とにかくイエスかノーかを言えというようなやり方では審議の実態に即さない。そういうところから、経営委員会というものがいささか国民から遊離したといいますか、何を考えているかわからないということになっているのですから、その出発である任命同意に当たってもっと詳しいデータを出しなさいということを申し上げておるわけであります。議運の問題もあるかもしれませんが、大臣としてやはりこの点を改善をしていただきたい、このことを私はお願いをしておきたいと思います。 それで、もう一つは、選ばれておる経営委員の顔ぶれを見まして、法律で言うところの教育、文化、科学一産業その他の分野を代表する、公平に代表することを考慮しなければならぬという放送法第十六条の点から見ると、いささか推薦されておる方々が公平に各分野を代表しておるようにちょっと思えないのです。そういう点で、いまの十二人のうちのどの方が教育、文化、科学、産業その他の分野を代表しておるのか、お答えをいただきたいと思います。
○小山政府委員 現在の委員の方、個々別々について厳密に、また一律に分野を特定するということはなかなかむずかしいと考えておりますが、あえてこれを分類いたしますと、言論界から三名、教育、科学各部門各二名、文化、建設業、林業、経済、中小企業、公益事業、機械工業及び法曹界各一名、このように考えております。
○則武委員 いま広範な、国民の各階層の意見をNHKの経営に正確に反映させるためには、やはり幾つか改善をする必要があるのではないか。たとえば、圧倒的な国民階層は労働者である。そういうふうな面から見ると、労働者代表の委員がいないということについてはやはり問題ではないか。さらにまた、これは一つの例でありますが、いま、ある統計によりますと、主婦は一日に四時間五十五分テレビを見ておるそうであります。最もよくテレビを見ておる階層ありますが、人口の過半数を占め、かつテレビでもよく見ていらっしゃる婦人の代表が少ないのではないか、こういうことを感じるのでありますが、こういう点について大臣はどうお考えですか。
○大西国務大臣 先生も御承知のように、現在でも御婦人の方が加わっておるわけでございます。(則武委員「労働者の代表を入れたらどうかと言って聞いておるのですよ」と呼ぶ)
○小林委員長 則武君、発言を求めてしゃべってください。則武真一君。
○則武委員 私のさっきの質問は、労働者の代表を加えたらどうかということと、婦人の代表をもっと多くしたらどうかとお尋ねしておるのですから。一人いらっしゃるということはわかっております。
○大西国務大臣 委員の任命につきましては、放送法の第十六条に規定をされておるところでございますが、それに従って従来やっておるところでございます。先生のいまの御意見につきましては、御意見として承らしていただきたいと思います。
○則武委員 法律は、その他の分野を含めて各分野から公平にというふうになっておるのでありますが、やはり私いま申し上げたような点で、いささか産業界、経営者と言われるような方が多くて、労働者代表が少ない。少ないのじゃなくて、ない。こういうことについては公平を欠くのではないかという意味であります。この点はひとつぜひ今後の推薦に当たって御検討をいただきたい。 それから、経営委員会が一体何を決めておるのか。NHKの会長さんにお伺いしますが、やはり議事録ぐらいは公開なさったらどうでしょうか。
○中塚参考人 経営委員会は、放送法に決められましたNHKの収支予算、事業計画その他重要事項について審議決定されるわけでございますが、その結果につきましては、記者会見その他印刷物等で公にいたしております。
○則武委員 簡潔な結論だけではなく、経営委員会がいつ開かれて、どういう発言をなさっていらっしゃるかというふうなこと——われわれ国会の論議にしても全部公開であります。やはりNHKが国民のNHKたらんとするならば、最高の意思決定機関である経営委員会の全議事録を、どれぐらいの冊数印刷するかは別として、だれでも読むことができる状態に置くということ、これがやはり開かれたNHKの大前提であるというふうに思いますので、その点今後御検討いただけるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
○中塚参考人 経営委員会は、委員長を入れまして十三名の経営委員の方々が、忌憚のない、本当に突っ込んだ議論をされる場でございますので、国会のような詳細な速記と申しますか議事録はつくっておりません。その概要はつくっております。今後それをどの程度公にいたすか検討いたしたいというふうに思います。
○則武委員 重大なことを副会長おっしゃいますけれども、国会は忌憚のない意見を述べていなくて何か形式どおりの意見を述べておる、NHKの経営委員会はもっと何か本格的な論議をしているんだみたいな印象を受けたのですが、これはとんでもないと思いますよ。われわれは国民の前に忌憚のない意見を述べているし、述べているからこそ、どんな議事録を詳細にわたって公表していただいてもいいと確信しているのであります。NHKがもし本当にそういう立場で、国民のNHKという自負を持っていらっしゃるなら、最高意思決定をする機関の議事録を公開することがなぜいけないのか、再度、ひとつ明確な答弁をお願いします。
○中塚参考人 私の申し方が適切でなかった点は取り消させていただきたいと思います。 先ほど十三名と申し上げましたが、経営委員長を含めて十二名でございますので、訂正させていただきます。 それから経営委員会の議事録は全部の詳細な議事録はつくっておりません。相当機微にわたる議論もございます。そういう点もございますので、この問題は経営委員会自体のお決めになる問題でもございますので、経営委員の方々にもこの本日の御議論をお伝えいたしまして今後の検討にしていただきたいというふうに考えます。
○則武委員 ぜひひとつ、経営委員会の議事メモでも結構です、正確な議事録がないなら。やはりそういうものを公表いただき、私どもが最高決定機関である経営委員会の活動を理解できるように御努力を願いたい。このことが国民の、NHKへの大前提といいますか、根本問題ではないか、あれこれの国民に対する開かれた道ということよりも、そこが一番大事じゃないかというふうに私は思います。 番組審議会についても同様なことをお聞きしたいのですが、番組審議会とか、それから前回の受信料値上げのとき以後できたと伺っておりますが、視聴者会議、こういう結構ないろいろな制度があるのですけれども、この点もやはり番組審議会の議事録なり議事メモ、視聴者会議のさまざまな意見の詳細、こういうものについて、ぜひいろいろと国民にわかるようにしていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
○中塚参考人 番組審議会につきましては、これは法律で決められておりますように、番組の適正化を図るための審議機関でございます。私ども事業を執行してまいります者に対して、番組の適正を期するという意味でいろいろ御意見を承る場所でございます。その審議会の結果につきましては「NHKの窓」あるいは「NHKガイド」というふうな番組あるいは地方の番組審議会の結果につきましては審議要録を作成いたしまして、またローカルニュース等で、開催ごとにその審議の要点については放送で御紹介をしている。また、定例の放送総局長の記者会見あるいは地方の本部長の記者会見等でもその審議概要については御紹介をいたしておりまして、可能な限りこの審議会の役割りあるいは審議状況等につきまして番組なりあるいは印刷物で御紹介をしているという現状でございます。
○則武委員 経営委員会の問題と同様に、法律に基づく番組審議会につきましては、可能な限りひとつ、どういう方がどういう意見を述べられたのか、そしてまた、できればどういう意見に基づいてどこのところを改善したとか、こういった国民との対話といいますか、これが具体的にわかるように国民に戻していただきたいというふうに思うのです。やはり番組審議会等が、制度としてはいい制度にもかかわらず、いささか形骸化しているのではないか、こういうことを感ずるわけであります。この辺はひとつ今後の改善を要望しておきたいと思うのです。 次に、私は番組の改善について二、三お伺いしておきたいと思いますが、新聞には相当のスペースを割いて投書欄というのがあって、読者がいろいろな意見を自由に述べるというふうになっておるのですけれども、テレビにはそういう欄がないんじゃないかというふうに思うのです。そういう点で、もっとテレビの一定の時間を視聴者に提供するようなお考えはないのかどうか。 さらにまた、前回の料金値上げの後で、視聴者参加番組として「あなたのスタジオ」というのですか何かできたやに伺っておりますが、その後この番組もなくなっておるというふうに思うのです。そういう点で、今度の機会にひとつ決意も新たにもっともっと多様な視聴者参加番組というようなものをお組みになったらどうなんだろうか、そういう点で国民の意見や期待もいろいろあると思うので、新年度からどういうふうにお考えになっているのか、見通しも含めてひとつ聞かしていただきたいというふうに思います。
○田中参考人 お答えいたします。 私ども、視聴者の参加番組というものにつきましては、番組の形式としてもできるだけ積極的に取り組んでいきたいということでここ数年やってきたわけでございます。これは全国向けの放送ばかりではなくて、ローカルでも特に力を入れていきたいというふうに考えておるわけでございます。 この視聴者の参加番組を若干分類いたしますと、番組の制作を公開いたしまして、そこに視聴者の方々が番組の制作の進行などにも参加していただけるような番組、たとえば「のど自慢」だとか、そういったものもございます。それから、視聴者の方からのお便りだとか作品などをいろいろ紹介する番組、それからいま先生がおっしゃった、一番のポイントだと思いますが、視聴者の皆さん方の意見を紹介するような番組、それから視聴者が直接出演するような番組というふうに幾つかに分けられますけれども、私どもこういった分類の中でここ数年ふやしてまいりまして、ここ四年間で一週間に大体五本から六本ぐらいふえてきているというふうに思っております。中でも先ほど先生が御指摘の視聴者の意見を紹介する番組といたしましては、ラジオの「私たちのことば」というようなことで、投書をしていただいた方の御意見を紹介しております。それからローカルの番組の中には、先ほど御指摘のテレビ投書欄というような番組がそれぞれの地方にたくさんございまして、これは視聴者の皆さん方から投書いただいたことをもとにいろいろ番組を構成し、たとえば、こういうぐあいの悪いことがあったのがよくなったというようなことを紹介している番組でございます。こういったことで、今後とも私ども全中、ローカルともにこういった視聴者参加番組というものを力を入れてやっていきたいと思っております。 それから、第二点の「あなたのスタジオ」、これは昭和五十年から五十三年まで約三十回実施いたしました。これはヨーロッパとかアメリカで当時盛んでありました。パブリックアクセス番組というところを見ながらつくったものでございまして、視聴者のグループの方の中から番組の企画なり制作に参加していただくという形で約三十回つくってまいりました。当初は作品の内容も番組の内容も非常にユニークなものもございましたし、あれでございましたけれども、私どもの反省といたしましては、一方的な主張の展開、論理の展開がどうしても目立つようなことになりがちでございまして、その辺の整理が十分でなかったというようなこと、それから、日本人の受けとめ方といたしまして、他人の主張に対して十分な受け答えのあれがないとか、あるいは議論が下手だったというようなことの反省点がございまして、一応この番組を五十三年で打ち切りまして、それで、しばらくこういった番組については整理をしてからもう一回出直そうじゃないかということで、現在部内的にはいろいろ検討を加えているところでございます。 ちなみに欧米におきましても、現在はイギリスのBBCの「オープンドア」というのが一つ残っているだけでございまして、こういった実際に視聴者の方々が参加してみずからつくるという番組につきましては、なかなか問題点も多いようでございますけれども、こういった点については十分整理してまた出直してみたいという形を考えております。 なお、先ほど言いました地方の三十分の番組などにはこれに近いような番組がいろいろ出ております。たとえば「私も一言あなたも一言」とか「郷土史を一緒に歩こう」、郷土を歩いていろいろ勉強するとかいうようなこともやっておりますので、これに近いものはある程度地方では定着しつつあると私ども考えております。
○則武委員 もう一つ、番組についてお伺いしますが、聴力障害者に対する番組という点で、国際障害者年が迫っておることも絡めて、番組の改善をぜひひとつしてほしいという声が強いわけですが、この点はどうでしょう。
○田中参考人 お答えいたします。 私ども、かねてから聴力障害者の皆さん方のための時間、番組につきましてはいろいろ長い間検討してまいりまして、先生御存じのように、五十二年から一応「聴力障害者の時間」というものを新設いたしました。これは中身をごらんになっていただいておわかりのように、手話とかそういったものを前面に出しまして、いままでの番組とは全く違った聴力障害者の皆さん方そのもののための番組というような刷新した中身であったと思っております。 それで、その後、聴力障害の皆さん方からいろいろ御要望もございまして、一応最初は十五分で出発したのでございますけれども、五十五年度、今月からは五分延ばして二十分の番組にいたします。しかも、五十三年からはできるだけ視聴しやすい時間ということで、日曜日の夕方の七時前の時間でやっておりましたけれども、この六時四十分から七時までの二十分間で今度は放送する。中身もいままでのいろいろな反省点も含めながら充実していきたいと考えております。
○則武委員 もう一つ、経営姿勢の問題でお伺いしておきたいのです。 どうも最近、赤字だとか受信料値上げということが出てくると、テレビへ会長さんが登場されていろいろお話があったりするという声を国民の側から聞くわけでありますが、やはり受信料値上げのときだけ経理を国民の前に明らかにするというようなことであってはならない、もっと日常からNHKの経理が国民のものになっていれば、もうあれこればたばたすることはないわけであります。そういう点で、一年に一回の予算審議のときだけとか受信料値上げのときだけということではなくて、あれだけりっぱなテレビというものが普及し、いろいろな多面的な宣伝ができるわけでありますから、月に一回とか三カ月に一回とか六カ月に一回とか、もっと日常的にNHKの経理を国民の前に明らかになさってはどうなんだろうかと思うのですが、ここら辺は今回の時点のいろいろな反省も含めて、将来の問題として、日常的な経理を公開し、国民のものにしていく努力という点での決意をお伺いしておきたいと思います。
○坂本参考人 先生御指摘のように、私ども受信料改定をお願いするときに、集中的に私などが放送に出てお願いするということは確かに反省する点があろうかと思います。ただ、私どもは電波を持っておりますだけに、電波を使ってそういうことを直接お願いするということに多少じくじたるものがなくはないものですから、やや憶病になる点もあるわけでございますけれども、そのことで国民の理解を得られるというのであれば、それはむしろ積極的にやるべきじゃないかということで、そのやり方がうまいかまずいかは問題があろうかと思いますけれども、前向きで検討したいと考えておる次第でございます。
○則武委員 それでは次の問題に移りますが、今国会で受信料の支払い義務化が問題になろうとしておるのであります。私は、この受信料の支払い義務化の導入という問題は、NHKの性格の根本問題にかかわる問題だと理解しております。 そこで、お伺いいたしますけれども、NHKは国民の放送局というふうに言われますが、どういう根拠で国民の放送局と言っていらっしゃるのか。そういうことと、支払い義務という形でいわば国家権力のような形で視聴者に立ち向かわれるということはきわめて矛盾するのではないか。ここのところの基本的な考えを会長さんからお伺いしたいと思うのです。
○坂本参考人 お答え申し上げます。 国民の放送局というのは、御承知のように日本の放送制度が受信料によって賄われるNHKと、コマーシャルによって経営される民放と二本立てという世界でも非常にユニークなシステムでございまして、NHKというのは国民のお一人お一人の拠出される受信料によって運営されるのだということで、直接視聴者とのつながりという点で国民の放送局としての自覚と自負を持って運営しておる次第でございます。 ただ、御承知のように放送法の三十二条が「契約をしなければならない。」という契約義務制ということになっておることから、一部の視聴者の方々から、契約は自由だからおれは契約しないというような言われ方をされたり、仮に契約していただいても、支払うべきだという支払いの規定がないから支払わないというようなおっしゃり方をされることによりまして、現実に滞納、未契約という事態が生じまして、不公平ということ、これが御協力いただいております受信者の側から、その不公平を是正すべきではないかということで現在に至っておりまして、私どもといたしましても、そういうことの不公平を是正する意味で今度の法律改正ということについてのお願いをしているわけでございます。それは決して権力姿勢になるとかいうことではございませんで、仮にそういうふうに法改正させていただいたとしても、何もそれをとっこにとって強制的にどうこうということでなしに、あくまでも御理解いただいた上で努力するのだという協会の姿勢を変えるつもりは毫もございませんし、そのことによって、いま先生がおっしゃるように何か非常に強圧的になるあるいは権力姿勢になるというふうにお考えになりますことは、何とか私が申し上げる線で御理解賜れないものであろうかと思う次第でございます。
○則武委員 私も、滞納があるとかという問題をNHKがどうやって解決するかということについて私なりに考えてみますと、結局のところ国民の信頼を得るしかないだろう、また国民の信頼を得るようなりっぱな放送内容にしていただくしかないと思うのです。だとするならば、やはりまた支払い義務化という問題が結局のところどういう意味があるのかということになってくると思うのです。 そもそもこういう法改正をNHKの会長さんの方から郵政大臣の方へお願いなさったのか、もちろん郵政大臣が出されておるのですけれども郵政大臣が独自の判断で出されたのか、そこのところはどうでしょうか。
○坂本参考人 お答え申し上げます。 この問題はかなり歴史的な展開がございまして、御承知のように昭和三十八年ないしは昭和四十年の臨時放送関係法制調査会のときにも同様の改正の問題がございまして、それについてNHK側の考えの御諮問がございまして、NHKといたしましては、いま申し上げます公平の原則を守るということから、そういう形での改正について同意し、なおかつ推進していただきたいということを申し上げたわけでございます。ただ、その後その法案も廃案になりまして現在に至ったわけでございますけれども、毎々のこの委員会の附帯決議等におきましても、受信料の収入あるいは受信者の負担の公平について格段の努力をすべきであるということでございまして、一般的な放送法改正の一つの項目として私どもは常々お願いしておった、こういう事情でございます。
○則武委員 そうすると、NHKの方から支払い義務化を含む法律改正を郵政省へお願いしておられた、こういうことになってくるのですけれども、私はちょっとそこら辺がおかしいと思うのですね。たとえば昭和五十年三月十三日、衆議院逓信委員会の議事録をここへ持っておりますが、わが党の平田委員があなたの前任者の小野会長さんに質問しておりますが、小野さんはこういうふうにお答えです。「現在の受信料制度に関する放送法の規定を含めまして、現在の日本の放送法は世界に冠たるものだと思っております。」「とかく税金の問題とかいろいろあります。これは絶対にとるべきではないと思いますし、極論をいたしますと、安易な道は破滅につながるとさえ私は考えております。そういう意味から申しますと、現在の受信料制度、これはやはり一応一遍は契約をしなければならない、こういう義務規定はございますけれども、罰則もない、立入検査もできない、届け出の義務もございません。」「また視聴者との接し方をいろいろ気をつけていくところに、やはりNHKとしてのあり方の基本がひそんでいるのではないかと思います。そういうような状態から、いろいろ受信者の方々の最大の協力を得まして、現在すでに九八%という高い、税金にも見られないような徴収成績をおさめております。」つまり、五十年の三月の時点で、あなたの前任者は、世界に冠たる視聴者とNHKとの関係、こういうものがあるのであって、放送法改正の必要性をここでは触れていらっしゃらないわけです。そういう点で、三十九年の臨放調の答申というふうなものまで出されましたけれども、ずいぶんNHKの会長さんの考え方が変わってきたんだな、こういうふうに私は理解をするわけであります。 そこで、時間がございませんので、ひとつ結論を聞いておきたいと思うのですが、現在の放送法のもとでも、NHKの内規として放送受信規約というのがございますね、そこの中には滞納者に対する措置としてちゃんと割り増し金を受信料の二倍取ることができる、そういうふうになっております。それでは、現在の放送受信規約の割り増し金を二倍取ることができるということを滞納者に適用なさっているのですか、どうですか。
○海林参考人 基本はNHKの放送を理解をしていただくということにのっとっておりますので、現在までこの割り増し金を発動したことはございません。
○則武委員 いまでも滞納者に対して割り増し金を二倍取ることができると言っているけれども、NHKはそういうものを取るのではなくて、理解、協力という立場から接しているから、割り増し金を滞納者から取ったことはない、こういうことなんですよ。しからば、いまの放送受信規約にある割り増し金の問題それにさらに滞納金というものをつけ加えて法改正をされようとしておるのですけれども、そういうことになると、結局受信規約が法律へ盛り込まれたということになりますが、法律に割り増し金とか延滞金を盛り込んだら自動的に滞納がなくなるのですか、お答えいただきたいと思います。
○海林参考人 にわかに数量的に滞納が減るというふうには思っておりません。 しかし、先ほど会長から申しましたように、基本的に三十二条についての疑問がある、これが修正されるということで、現場におきまして受信者の方たちに理解をしていただく対応が一歩進むというふうに私は考えております。
○則武委員 それじゃ、その滞納なさっていらっしゃる方がなおかつ受信料を払わないとおっしゃった場合に、今度提案されておるような形態の法律で滞納者から受信料を取り立てることができますか。
○坂本参考人 これはいわゆる罰則等には当たらないものでございますから、最終的には民事裁判によることになるのではないだろうかというふうに思います。
○則武委員 そこなんですね。つまり、NHKは今後、言い方が穏当でないかもしらぬが、国民を敵に回して民事訴訟裁判を起こそうというために法律改正を望んでいらっしゃるのですか。
○坂本参考人 そのように何か非常に戦闘的、好戦的というような意味ではさらさらございませんで、そういうようになりましてもやはり説得し御納得していただくという努力、これは当然続けるべきであろう。しかし説得、御納得ということにも限界がございまして、どうしても御理解いただけないという場合にはやはり訴訟という手段に訴えざるを得ないのではないか、そういう判断をするわけでございますので、もういきなり、払わないなら訴訟だというようなそんな乱暴なことを考えているわけではございませんので、それはひとつぜひ御理解いただきたいと思う次第でございます。
○則武委員 NHKが視聴者を相手に訴訟でもって受信料を取り立てるということになりますと、民事訴訟ですから結局滞納者一人一人を相手になさるということになろうと思います。そうすると、いま何十万か滞納者がいらっしゃる、その一件ずつ、一人一人を対象に無数の裁判を起こすという意味ですか。
○坂本参考人 前段にも申し上げましたように、何も裁判を好むわけではございませんが、やはりどうしてもという、ちょっと表現が適当でないかもしれませんけれども、不法なというふうに判断せざるを得ない方に対する訴訟ということになろうかと思います。そういうことによって一つの事態が明らかになれば、いろいろと今後の展開については御理解いただけるのではないだろうかと考えておるわけでございます。
○則武委員 私は、そうなるとNHKがますます国民から遠ざかるような事態になるのじゃないかと非常に心配いたします。国民のNHKという姿勢を貫くということは、国民を相手に訴訟をしてでも滞納した受信料を取り立てるということではないのじゃないか。 しからば、今度提案されておる法改正というものは、結局財政上は余り意味がない。たとえば訴訟して取るということになると、莫大な裁判費用がかかります。八百数十円のお金をいただくのに何万円かかるかわからないというようなそんなばかなことはやるべきでもないし、また必要ないわけであります。そういう点では今度の法改正というのは、財政上プラスになるかどうかという点については非常に問題があるということがはっきりしてきたわけであります。 私は最後にお願いをしておきたいのですけれども、この三十二条の法改正の問題についてはまた別途それなりに論議をさせていただくわけでありますからきょうはこれ以上触れませんけれども、財政を確立して赤字を克服し、滞納をなくしていくということは、結局は放送法が定めているように、NHKが放送の使命を全うされるということ、国民のNHKだということを国民に押しつける必要はないわけでありまして、国民のNHKだと思えばこそみんな払っているわけであります。また、九七%か九八%か知りませんが、ほぼそれに匹敵する国民は、やはり国民のNHKだと思っているから受信料を払っているわけであります。だから一払っているところにもつと着目していただいて、何か二%か三%の対策のために、角をためて牛を殺すような、国民のNHKでなくなるようなことにならないように最後にお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
○小林委員長 次に、木下敬之助君。
○木下(敬)委員 NHKの経営姿勢について御質問させていただきたいと思います。 五十五年度から五十七年度の経営計画の基本的な考え方の説明資料の四十ページの中で「協会経営をとりまく状況はきわめて厳しいものがある。」として、その理由に民間放送の「急速な経済的進展と顕著な社会的影響力の伸長」を挙げておられるようですが、民放の発展がどういう関係でNHK経営にとってマイナスなのか、この点お聞かせ願いたい。
○山本参考人 この経営計画を立てますときに、今後のNHKの考え方をいろいろ取りまとめをいたしました。その一部にそういう御指摘の点を取り上げて考えました。 いままで私たちが考えておりますNHKとそれから民間放送との関係というのは、よく競争的共存というような考え方でまいりました。ただ、一般的に競争的共存といいましても、これは競争の面もございますし、それから両者がそれぞれ社会的な責任を分かち合っていく協同する面もございます。しかし、競争的共存というのは、言葉の上だけでなくて、実態的に両者の活動の規模とか強さとかそういうものが社会的にだんだん推移をしてまいりますので、それなりにいろいろな考え方があろうと思います。民間放送の方はNHKの状況についてやはりそれなりにいろいろ御関心をお持ちでしょうし、私たちの方も現在のような民間放送の非常な発展というものにいろいろ反省させられたり、触発をさせられたり、あるいは勉強になるようないろいろな状況がございますが、民間放送の最近の発展というのは非常に顕著でございまして、番組の面におきましても、それから国民の皆様への浸透の度合いというものも、これはNHKにとって十分反省をしたり、あるいはそういうことに相当な重い比重を考えてこれからのNHKも考えていかなければいけないと考えております。 したがいまして、その経営計画の中でそれに対応する部分といたしまして私たちが考えましたのは、たとえば後ほどまた担当の専門の役員から敷衍して御説明をしていただきますが、ローカル放送のようなものはやはり今後NHKの非常に大きな放送番組の中の重点として考えていかなければならないというようなこととか、あるいは国民との距離、もっともっと理解をしてもらうための施策というものをしていくことが、NHKにとってなお必要なのではないかというようないろいろな点をそこから考えました。最近のいろいろ統計を見ますと、NHKは見ない、したがって受信料は払わない、民放だけしか見てないという方が確かに多くなって、受信料を払っていただいておる方の中でもそういう御意見をおっしゃる方がおります。したがいまして、そういう点も私たちは謙虚に反省して、これから自分たちを取り巻く状況の重さを考えながら対策を立てていかなければならないのではないかというようなことを込めてそういう認識をいたしたわけでございます。
○木下(敬)委員 この辺の考え方の中に、常にNHKをある程度見てもらっていなければ満足できないとか、常にNHKを主体として放送を考えるような考え方がなければいいのですが、いろいろな制作費等も、民間放送と競争して必ず一定以上見てもらえるだけものをつくっていかなければならない、こういう考えを持っているのでしたら、大変危険なことだと考えて私は取り上げてみたわけです。 民放の発達で、スポーツ中継など、従来はNHKだけしか放送していなかったものを、民放がかわって役割りを果たすことができるようになったのはNHKにとっても喜ぶべきことであると考え、NHKはさらに公共性の強い、民放にできない放送をすべきではないかと考えるのですが、経営計画の策定に当たってその点はどのようにお考えになったでしょうか。
○田中参考人 お答えいたします。 いま先生御指摘のように、われわれも、NHKならではというような番組をできるだけつくっていきたいと考えております。そういった意味合いにおきまして、この三カ年の中でも、特にニュース、報道番組の中身を一層よくしていきたい、強化していきたいというようなこと、それから先日石油の特集などをやりましたけれども、ああいうような特別番組、とにかく充足感のあるようなものをもっとつくっていかなければならない。それからNHKの特色でございます教育放送、これは学校放送その他いろいろありますけれども、教育放送の中でもいろいろ考えていかなければならない。それから、先ほど話が出ましたローカル放送の中でも、いろいろな新しい機材なども投入しながら内容、質の向上を図っていきたいというようなことをやりまして、先ほどのように、私ども知恵をしぼって、とにかくNHKならではというような番組の制作に全力を挙げたいというように考えております。
○木下(敬)委員 ぜひ国民のそういった期待にこたえていただきたいと思います。 経営計画作成に当たっての民放の発展という基本的考え方での認識を、放送面でどのように取り入れているかを具体的に答えていただきたいと思います。
○田中参考人 お答えいたします。 先ほども触れましたように、まず第一点はニュース、報道番組の強化をしたいということで、今年度、五十五年度からでは、まず朝の七時から八時十三分のところまで「NHKニュースワイド」という新しい番組を新設いたしました。これは、最近のように非常に海外の情勢が流動的で、非常に重大に動いている時期などを踏まえまして、衛星中継なども利用いたしながらニューヨークあるいはパリなどから生のリポートを入れるとか、そういったことで内容を充実したいというふうに考えております。 それから、土曜日の夕方七時二十分から八時までのところで、新しい番組といたしまして「海外ウイークリー」ということで、これは海外のいろいろな情報その他をやわらかく、茶の間で一家そろって見ていただけるような中身のやわらかいものの中に、やはり海外ではこういう新しいものが入っているというような知識も得られるような番組にひとつつくりたいということで考えております。 それから、特別番組につきましては、先ほど申し上げましたそういう「NHK特集」のほかに、先日も放送いたしましたように、日中の共同制作いたしました「シルクロード」という特別の番組を考えて、これは今月から最初の月曜日の夜に放送することになっております。大体十二本放送する予定になっておりますけれども、総括的な紹介の番組は先日いたしました。 それから、これもつい最近でございますけれども「人間は何をつくってきたか」というようなことで、自動車とかあるいは蒸気機関車とか、そういったものでどういうふうにつくられたかというようなことを教育番組のスペシャルの中で紹介してまいりました。こういったことを含めまして、特別番組に今後重点的に力を入れまして、ひとつNHKならではという番組をつくりたいと思っております。 それから、教育放送につきましては、御存じのように五十五年度は小学校の教育課程の改正がございます。それから五十六年が中学校、五十七年が高等学校ということで、学校教育番組をこれに伴いまして再編成したいというふうに考えておりまして、これも全面的にひとつ中身を変えていきたいということで作業をやっております。 それから、ローカル放送につきましては、いろいろ新しい試みを先ほどから申し上げましたようにやっておりますけれども、そういった番組の内容の質をよくするためには、やはり機材なども簡単なものを、ミニ、ハンディーというような簡単な小型ビデオを使いながら、内容の充実を図っていきたいといろいろ考えております。 以上でございます。
○木下(敬)委員 それでは、公共放送のあり方を社会の変化の中で見詰め直さずに、容易に物価上昇の範囲内でと値上げをして、国民に負担をさせているということは許されないことだと考えますが、受信者に負担増を強いることをどう考えておられますか。
○坂本参考人 大変厳しい御指摘でございますけれども、おっしゃるとおり、私ども、物価上昇の範囲ならばということで安易に受信料の改定をお願いするというようなことはとうてい許されないことであろうという認識には立っておるつもりでございます。 NHKといたしましては、一九八〇年代を迎えまして、ますます公共放送としてのNHKの御期待に沿うということを努力しなければならない。その視聴者の御期待なり御希望なりというのがますます多様化しているという現状におきまして、財政の安定を図りながらそれに対応するということは、これまた、口では申しますけれども、なかなかむずかしい面もあるということで、そういう点についての一般的な御理解を視聴者にお願いしながら経営に当たっていくということかと思います。 そして、御承知の第二次基本問題調査会の御答申にも、視聴者とのつながりであるとか、あるいは受信料制度の確立であるとか、あるいは財政の安定ないしは効率的経営、さらには長期経営ビジョンというような五つのポイントについての検討の御指摘もいただきまして、そういうことを踏まえて、先ほども他の先生方に申し上げたかと思いますけれども、私といたしましては、三年後の長期の経営ビジョンというものを早急に立てながら、国民の御期待に沿う努力をすべきであろうという決意をいたしておる次第でございます。
○木下(敬)委員 民放がだんだん発展してきていまのような状況になっておるわけですから、この現状を踏まえて、NHKの今後のあり方というものを根本的な新しい発想のもとに考えていただきたいと考えておる次第であります。 次に、都市においての受信障害についてお聞きしたいと思います。 超高層ビルが誕生して以来、これによるテレビ放送の受信障害がふえておるようですが、その実情はどうなっておるでしょうか。
○平野政府委員 都市におけるテレビジョン放送の受信障害につきましては、解消促進に鋭意努めておるわけでございますが、高層建築物等の増加によりまして、年々実は累増の傾向にございまして、ことしの三月末で約五十六万世帯と推定いたしております。
○木下(敬)委員 その中でも特に日本一という池袋のサンシャイン・シティー・ビル及び新宿副都心ビルによる受信障害については、どのようになっておりましょうか。
○平野政府委員 サンシャインビルによります受信障害の世帯数は約十一万世帯でございますが、このうち遮蔽及び近傍反射による障害を受けております世帯の一部、約一万二千世帯になろうかと思いますが、これにつきましては、対策がすでに完了いたしております。一方、遠方反射を中心といたしました約十万世帯が未解決の状況でございます。 また、SSKビル群によります受信障害世帯数は約十五万世帯でございますが、このうち遮蔽及び近傍反射による障害を受けております世帯の一部、約二万六千世帯について対策が完了しておりますが、遠方反射を中心とした約十二万四千世帯が未解決の状況でございます。
○木下(敬)委員 受信障害の改善、解消は従来から原因者負担とされておるようですが、サンシャイン・シティー・ビルと新宿副都心ビルとの両方の影響を受けている複合受信障害について、その改善の責任はどのように考えておられますか。
○平野政府委員 実は高層建築物がだんだんと都市にふえてまいりましたのが昭和四十年代でございます。それで、その時点におきましては、都道府県あるいは市町村といったところにお願いをいたしまして、高層建築物ができたような場合には、環境の一部としてとらまえていただきまして対策をとっていただくということで参っておりましたが、昭和五十年になりまして、そのような状況がますます全国的にあらわれてくる。そこで、郵政省といたしましては、紛争を未然に防止するための要綱を発表いたしまして、その中で原因者がひとつもろもろの対策をとっていただくということをお願いしてまいっておるところでございまして、現在だんだんそういった原因者主義による対策というものが定着してまいっておるというふうに考えております。
○木下(敬)委員 いまのお話では原因者のように聞いておりますが、だれにどれだけの原因責任があるというようなことは、こういった複合している場合には、だれがどのように決めるわけですか。
○平野政府委員 ただいま申しました要綱の中では、高層建築物を企画され建築をされる事前、建築中あるいは以後の状況をそれぞれ、その力のあるたとえばNHK等にお願いをいたしまして障害の状況を把握していただく、そして主たる方が副となる方と相談をしながら対策を考究していただく、こういう形に考えておるわけでございます。
○木下(敬)委員 私の方の手元に中野区の住民からの陳情が参っておりますけれども、実際に受信障害で困っている人たちはどこに相談に行ったらよいのか。実際問題として、いま住民は東京都の民生局へ行ったりしているのが現実なのですが、電波監理局は受信障害については行政の対象としないということでしょうか。先ほど主とか副とか言いましたけれども、もう少し現実問題として、どこにどう行けばいいかというようなことをはっきりさせていただきたいと思います。
○平野政府委員 先ほども申しましたような趣旨で、大抵の方々がNHKにいろいろと相談に行っておられるという実態は承知いたしております。しかし、電波監理局といたしましても、全国に地方電波監理局というのがございまして、その中には放送部あるいは陸上部というようなところがございますのでそちらの方に御相談いただければ、しかるべきところと連絡をとりながら、連携を保ちながら御相談に応じ得るのではないかと考えております。
○木下(敬)委員 高層ビルを建てた側からながめますと、土地の有効利用など社会的な要請にこたえ、国の建築基準にもかなったビルであるのに、法律の定めでもない指導要領だけで責任を負わなければならないのは大変なことであると考えます。行政指導だけで都市受信障害が解決すると考えておられるのでしょうか。
○平野政府委員 実は、先生御承知のように建築基準法というのがございまして、私どもといたしましては、できることならばこの建築基準法の中に高層建築物によりますテレビ難視の問題を持ち込み得ないのか、いわゆる高層建築物を建てようとするときにはしかるべき建築主事にチェックされるたてまえになっておりますので、そういったところでもってその御近所に対する障害の有無あるいは対策というようなことがとり得ないのかどうかという問題につきまして、郵政省と建設省の間で現在もいろいろ検討いたしております。まだ詰め上がったわけではございません。いろいろむずかしい複雑な問題がございまして、そこまでいかないわけでございます。 また、一方郵政省といたしましては外部の先生方によります対策会議というのを設置いたしまして、実は昨年その答申がいただけましたので、その線に沿いまして今後制度化を考え得るかどうかという検討をいたしております。その中でもいろいろむずかしい問題がございまして、いわゆる建物のすぐ後ろでございますとかあるはいすぐ近傍でございますと比較的対策もとりやすい。しかし東京のような高層建築物が所々方々にある、また日に日にその状況が変わってくるというような場合に、いわゆる判定基準と申しますか、基準がなかなか得にくいということがございまして、そのような問題につきまして現在郵政省といたしましてはできるだけ早くそういった基準をつくり上げたいという方向で検討中でございます。
○木下(敬)委員 将来に向かっては、建築をする前に実際に電波障害としてどんなことが起こるのかということをアセスメント的に検討されるのは大変いいことだと思うし、慎重にやらなければいけないと思いますけれども、将来に向けてしかるべき対策を考えていただきたいと思います。 現実のサンシャイン、SSKによる受信障害の解決ということでございます。その問題について、いまどんな解決方法があって、どのくらいの費用を要すとお考えになりますか。
○平野政府委員 お答え申し上げます。 受信障害の解決方法といたしましては、現在のところ有線による共同受信施設の設置による方法、それからSHF帯の周波数を利用した放送局の設置による方法及びアンテナ対策による方法等が考えられるわけでございます。仮に全部の障害を有線で解消するとすれば百億程度の費用が必要となるのではないかというふうに考えておりますが、実際には各種措置の組み合わせによって対応する必要があるものと考えておりまして、まだそのプランができ上っていないという状況でございます。
○木下(敬)委員 いずれにしても相当巨額のものだと思いますが、通常は費用負担はどのように行われるわけですか。
○平野政府委員 通常の場合は、郵政省の指導等がうまくまいりました場合には原因者負担という方法で行われております。
○木下(敬)委員 この場合、一つ二つの企業にそれだけの負担をさせるというのは、解決をおくらせるだけで実際の障害を受けている受信者をなかなか救済することができないようになっているのではないかと考えるわけです。原因者負担というだけでなくて、公的な処理の仕方を考えるべきではないかと考えるのですが、郵政省どうお考えでしょうか。
○平野政府委員 先ほども申し上げましたように、郵政省といたしましては、判定基準を明確にすることによりまして紛争処理のための機関、こういったものを制度的に置いていくというような道程を経ながら、ただいま先生御指摘になりましたような方向に逐次詰めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
○木下(敬)委員 現実にいま困っているわけでございますが、このサンシャイン・シティー・ビル及び新宿副都心ビルの影響を受けている住民が正常なテレビ放送を見られるようになるのはいつごろでしょうか、この見通しをお聞かせ願いたいと思います。
○平野政府委員 ただいま見通しを申し述べるのは非常にむずかしいわけでございますけれども、各方面と協力をいたしながら、できるだけ早く解決できるように努力したいと思います。
○木下(敬)委員 新宿副都心にはこれからも高層ビルができる可能性が多いし、市街地再開発は今後もいろいろな地区で進められていくと思いますので、そういった具体的なものもできるだけ早急にしてもらいたいし、抜本的な受信障害対策を確立していただきたいと考えております。どうかその辺、よろしくお願いいたしたいと思います。 次に、テレビジョン音声多重放送の免許基準についてお伺いいたしたいと思います。 テレビジョン音声多重放送の利用の枠について、ステレオ放送と翻訳による二カ国語放送に限定しておるようですが、その理由はいかがなものでしょうか。
○平野政府委員 ステレオ放送と翻訳による二カ国語放送に限定しております理由でありますけれども、テレビジョン音声多重放送に対する国民の強い要望にこたえるために、多重放送に関する調査研究会議の報告の趣旨を踏まえまして、さしむきマスメディアの集中排除といった制度的な問題もなく、かつ独立的利用との判別がきわめて容易であり、主番組の音声の補完であるステレオ放送及び二カ国語放送に限って認めていくことが適当であると判断したことがその理由でございます。
○木下(敬)委員 多重放送に関する調査研究会議の報告にはない二カ国語放送のところに、もう一つ翻訳によるという制約をつけているようですが、これはどういうぐあいでしょう。
○平野政府委員 制度的には最も問題はないわけでありますし、補完といった場合に、最も補完的な利用と考えられます翻訳による二カ国語放送から実施に入っていくということにしたわけでございます。
○木下(敬)委員 翻訳によるというのは、厳しい解釈に立つと運用がむずかしくなると考える点があるのですが、ニュースなどで飛び込みに翻訳したり同時通訳したりしてやらなければならないものも多いと思います。こういったときには弾力的な解釈ができないのでしょうか。
○平野政府委員 重要なところでございますが、この場合における翻訳というのは、必ずしも逐語的な翻訳を意味するものではございませんで、主番組であるテレビジョン放送で行われております原文の意味をとって翻訳する場合も当然行えるものというふうに考えております。
○木下(敬)委員 音声多重用の受信機の普及は、もうすでに約百四十万台に達したと聞いております。国民がより魅力ある番組を楽しめるように利用枠を広げるべきだと基本的には考えておりますが、郵政省の考えをお聞きいたしたいと思います。
○平野政府委員 郵政省といたしましては、音声一多重放送に対する国民の需要にこたえるために、さしむき制度的に問題の少ない補完的利用のステレオ放送と翻訳による二カ国語放送から実施することにいたしましたが、その後、関係方面からの要望もございますし、音声多重放送の普及を図るという観点から、現行の補完的利用の拡大について鋭意検討を進めております。この場合、新たな情報の供給を認めることとなることによりまして、マスメディアの集中独占につながらないかどうかという問題等につきまして、現在検討を行っておるところでございます。
○木下(敬)委員 補完的という言葉でいろいろなことが表現されておるのですが、私どもは、テレビジョンにおける音声多重放送というのは、従来のテレビと音に、もう一つ音が加わることによって、三つで一つの新しい文化のあり方だ、こういうふうに考えておるわけです。選挙の報道等についてもその重要性もありますし、また視聴者の側から見ますと、選挙報道等をこういった二つの音と一つの画面で関連して聞くのが視聴者にとって最も望ましい状況であると考えますが、こういった問題について枠を相当弾力化させて補完的にとらえるべきだと思いますが、どうお考えになりますか。
○平野政府委員 すでに御承知のように、電波法の第一条におきましては「電波の公平且つ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進する」ということを言っておるわけでございまして、周波数の利用が能率的であるだけではだめでございます。周波数の公平な利用ということになりますと、どうしても第三者利用の道あるいはマスメディアの集中排除の問題を避けて通るわけにはまいらぬわけでございます。しかしながら、ただいま御指摘がございました選挙放送の関係等につきましては、重要な事項といたしましてただいま検討中でございます。
○木下(敬)委員 その検討中のところですが、そう遠くない時期に参議院選もあるようです。こういった全国区と地方区と両方あるような場合、この多重放送は全く適した放送になるのではないかと考えているのですが、その検討がこの参議院選に間に合う見通しであるかどうか、その辺をお聞かせ願いたい。
○平野政府委員 まだお答えできる段階にございません。
○木下(敬)委員 答える答えないもあれですが、選挙の報道というのは相当公正を期さなければならないことであります。その辺につきまして、どういった形にしろ介入がなされるということは余りいい方向ではないと考えるのですが、これが国民の利益に大きな問題があればそれは介入も仕方がありませんけれども、こういった一つの許可があって、一つの画面と二つの音があって三つでやっている問題の場合、相当自由に使って一つの参議院選を報道するということは許されてしかるべきで、これに介入するということにも少し問題があるのではないかと私は考えておりますが、こういった選挙の報道で枠外のことが万が一行われたとして、選挙の問題について、それが国民の利益とどういう関係があるとお考えになりますか。
○平野政府委員 国民との関連につきましては、先ほど申し上げましたように、電波法第一条の精神にのっとりまして「公平且つ能率的な利用」を図っていくことだと思っております。しかしながら、ただいま介入というお話がございましたけれども、私どもといたしましては電波法の第七条、ひいては放送局開設の根本基準、これにのっとりまして免許方針を定めまして、その免許方針にのっとった申請を審査いたしまして、条件をつけて免許をしておるわけでございますので、その免許に違反された場合には、やはり電波法の立場から御注意を申し上げるということは当然だと思っております。
○木下(敬)委員 そういう考え方はそれでわかるのですが、選挙の報道という、国民の側から見たときにこんな重要な問題が、一つの枠の解釈をめぐって云々されるということに私は国民の利益が大きく阻害されているのではないかと考えて、こういった質問に立ったわけです。どうか選挙の重要さというものを考えまして、できるだけ早急に、参議院選は三年に一度しかまずないわけでございますから、できるだけ間に合うようにやっていただきたいということを、百四十万台に達しておる音声多重受信機を持っておる方々を代弁して私は言っておるつもりでございます。どうかその辺今後ともよろしく御検討をお願いいたしたいと思います。 重ねて、いま一つ重要問題で聞かせていただきたいと思いますが、災害情報についても特に重要な問題だと思いますが、この場合に画面のスーパーで現在の普通のテレビでやっているところが多いのですが、こういったスーパーに合わせて音声多重を用いて入れるようなことに関しましてはどのようにお考えいただいていますか。
○平野政府委員 スーパーと合わせた場合におきましても、現在のままの方針では認めるわけにまいりませんので、その点につきましてもあわせて検討を行っているところでございます。
○木下(敬)委員 補完的理由でやられておるのに、実際テレビがあって、いままでどおりの音声のところにスーパーが、音声がないけれども字が出る、音声多重の方にそのスーパーに関するものが声で出るというのが、どの辺に引っかかるからいま現在ではまだまずいわけですか。
○平野政府委員 御承知のように、テレビジョン放送は一つの画像と一つの音声から成り立っております。基本的にはそのような構成になっておるわけでございまして、それで補完的使用という場合には、その一つの音声あるいは一つの映像、これを合わせて補完することも考えられるわけでございます。いまテロップと申されましたのは、映像の一部にテロップが流れておるという意味だと思います。しかるに、現在の免許方針におきましては最もわかりやすい補完ということでございまして、音声を補完する、音声を補完するためにステレオ、翻訳による二カ国語、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
○木下(敬)委員 そういった考え方をなさるのはそれでわかりますけれども、音声多重というのは、私は新しい文化の機械だと考えております。一つのそういう手段だと考えておりますので、いままでどおりの感覚で、一つの画面に一つの音、それを基礎に制限を加えるのは間違っておるのではないか。これはやはり新しいもので、三つで一つなんだという観点のもとに、三つで一つの番組をやっておるのならば、別にどこかのラジオと競合しているという問題ではないと私は考えるので、どうかその点は早急にやらないと、こういった新しい文化というものはなかなか普及はできないし、そういった昔どおりの考えで固まっておる間に百四十万台も伸びているわけです。これはカラーテレビが出たときのスピードとは問題にならないほどのスピードで普及しておるわけですから、国民の要望にはできるだけそのスピードに合わせてついていっていただきたい、私は強く要望するものであります。どうかこの辺につきまして、補完的利用の中身というものを、放送を受ける国民の立場に立って再検討いただきたいということを申し述べまして、この問題については終わらせていただきます。 次に、いま一度NHK問題についてでございますが、不払いに対してお聞きいたしたいと思います。 受信料の不払いの実態とその原因について、NHKはどのように把握しておられるでしょうか。
○海林参考人 お答えいたします。 現在、受信料の滞納の数が五十三年の末で九十二万九千ということでございます。そのうち、特に二十八万余りがNHKのあり方についての疑問を持たれるといったことで、無理解という形の滞納ということでございます。こういった方たちに対しまして、先ほどから出ております三十二条の「契約をしなければならない。」ということを、支払わなければならないというような形にして対策を講じていきたいという、その辺が概況でございます。
○木下(敬)委員 その無理解にもいろいろあると思います。この法律の解釈をめぐってしておる方と、そうじゃない中に、NHKの批判を、いろいろな形の批判を不払いという形で端的に表現しようとしている者もいると思いますが、この点についてどうお考えですか。
○海林参考人 数は少数ではございますけれども、いま先生のおっしゃいましたように、たとえばNHKの経営について、あるいは番組の編集について、番組の制作について、直接みずからそれに関与して放送すべきではないかといった類の思想を持たれた方、そういう方が中心になりましてのNHK批判ということがございます。
○木下(敬)委員 この受信料の収納のためには、最終的には訴訟によらざるを得ない面もあると思うのですが、これまでNHKが訴訟をやらずに来たというのはどういうわけでございましょう。
○坂本参考人 これは先ほどの先生方にも御答弁申し上げましたように、NHKといたしましては、できるだけ御理解、説得、そういう手段でもってお払いいただくようにすべきであるという、そういう考え方で現在対応しておりますので、現在まで訴訟という手段に訴えておらないということでございます。
○木下(敬)委員 現在も不払いシールを配布したり、不払いを呼びかけている人たちがいるわけです。この人たちに対する対策はどうなっておりますか。
○坂本参考人 その方々に対しましても、できるだけそういうことをしてほしくないということでしばしば対応をいたしまして、御面接して説得したり、あるいはそういうシールをお受けになっている方々にも、集金人その他が伺って御説明して、そしてそういうシールをお受けになっても、現実にはお張りにならないという方も出てきておりますし、いま申し上げましたように、強硬手段に訴えずに、できるだけ御理解いただくような努力を現在はしておる次第でございます。
○木下(敬)委員 放送法の改正案を検討されておるように聞いておりますけれども、その中で放送法を改正した後に訴訟をするのではないか、こういったことも言われておりますが、現在の、いまの法の解釈で払わなくてもいいんじゃないかという信念というか、そういう解釈のもとに払ってない方たちもおります。まず、現行の放送法でこれらの人に対して訴訟をすべきではないかと考えるわけですが、その点どうお考えですか。
○海林参考人 ただいまも会長から申し上げました、基本はとにかく無理解の方たちにNHKを理解していただくということで、たとえば滞納の方——東京、大阪、北海道の例で申し上げれば、かつて四億取るのに八億と言われたフクロウ部隊とか、そういう特別営業対策員などを使いまして、徹底的にその辺のところをわかっていただくという努力中でございますので、やはりにわかに訴訟に訴えるということに踏み切るということは、慎重の上にも慎重でなければいけないというふうに思っている次第でございます。
○木下(敬)委員 いまフクロウ部隊の話が出ましたが、それはどういうふうになっておりますか。その成果がどんな形で上がっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
○海林参考人 データを御紹介いたします。実は五十二年の十月から行いまして、現在三年を経過しているわけでございますけれども、実績といたしましては、百四十人、それが二年間、昨年の十月で締めまして百二十五万軒の訪問をしてございます。そのうち、実は特に都会では御不在の方が多いということで、面接できました方は五十一万余りでございます。四一%でございます。さらに、その方々から、いままで滞納であったのをお納めいただいたというのが十一万件余りということで、収納いたしました額はおよそ二億でございます。その間に使いました費用が七億円余りということが数字としてあらわれております。
○木下(敬)委員 こういった形でやれば、ますます不公平というか、納める人、納めない人の不公平というのは広がっていくのではないかと思います。いまのように七億もかけて二億上げるというような、そういったいままでのNHKのやり方でやっていくのでは、不公平の格差を広げるだけじゃないか。私は、やはり法によって成立しておるからにはその辺は明確にすべきではないか、明確にした上で、その法律が適正でないならばまたその時点で考えるべきであって、いま実際に問題が起こっているのに、現行の法というものをどう解釈すればいいのかという、裁判所なりどこなりの明確な答えというのを聞いてみたいという気持ちがあるのです。この点、どう考えられますか。
○海林参考人 いままで御説明しましたとおり、お答えにならないかもしれませんけれども、現行の中でとにかく不偏不党を守り、公平な放送をするという中で、裁判に問うということについての決断といいますか、その辺のところはなおいささか足踏みをする。そして、法改正というようなことが行われますれば、それを勘案しつつ将来方向を考えてみたいということでございます。
○木下(敬)委員 どうも私どもには納得がいかないのです。法によって成立しておるNHKですから、その法をどういうふうに解釈してどう運営するかというのが基本であろうと思うのですが、どうも話を聞いていますと、NHKというものがあって、法律が着物でも着ているような感じで、合わないから変えたい、こういうふうにもとれるわけですね。昔軍隊なんかで、くつが合わないときにはくつに合わせるという話がありましたけれども、法律によって存在しておるNHKですから、当然その法律が窮屈だということはないと思うのです。この法律、現行法というもののどういう基盤でNHKはやっておるかという、法に基づいた運営というものをぜひもう少し厳正にやっていただきたい。この辺はどう考えられますか。
○坂本参考人 御承知のように、視聴者の方々の価値観の多様化等いろいろと変化がございまして、そして現行法の中でそれに対応するということが、正直言ってなかなかむずかしいという面があるということは御理解賜れるのではないかと思うわけであります。そういうことで、何といっても眼目は不公平感をなくすということに重点があるということで、その場合に、おっしゃるように最終的には現行法でも訴訟に踏み切るということも当然考えるべきではないかと思いますけれども、しかし現状では、いわゆる法改正をお願いして、そしてそういう訴訟等のことをできるだけ行わずに御理解いただくという方向で事が処せないものであろうかというふうに考えておるわけでございます。しかしそれとても、いま言う、どうしても不法にという言い方におしかりがあるかもしれませんが、お払い願えないという場合は、やはり訴訟に訴えざるを得ないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○木下(敬)委員 いまのお答えにも出てきましたように、NHKというものがあって、それの運用にいまの法が適してないとか、そういうことはあり得ないと思うのですよ、法があっていまのNHKがあるわけですから。その辺を勝手な解釈を入れて、NHKのあり方というものに、その解釈をもって適してないから変えたいというような方向というのは、ぼくは大変重要な問題だと考えております。 郵政大臣、NHKというものと、このNHKの存立しておる法律とどういった関係にあるのか、この辺ぜひお聞かせ願いたいと思います。大臣でなくても結構です。どなたか郵政省の方、お願いします。
○平野政府委員 このたびの放送法の改正案にございます受信料の支払い義務化のねらいかと思いますけれども、現行の放送法におきましては、NHKのテレビジョン放送を受信することのできる設備を設置した者は契約の締結が義務づけられておりまして、この契約に基づいて受信料を支払うことになっておるわけでございますが、契約が前提になっておりますために、受信料制度の趣旨が徹底しないうらみがあるわけでございます。それが不支払い者急増の一因であるということをNHKからもかねてから聞いておったわけでございます。このような不支払い者の急増は、受信者間の負担の不公平を招来いたしますし、また、NHKの財政基盤を危うくするものでございますので、支払いについて端的にその義務を明確にいたしまして、徴収の円滑化を図りたいという趣旨でございます。
○木下(敬)委員 私の聞いていることと大分違うようですけれども、放送法の改正も別にいま出てきているわけじゃありませんから、余り詳しい話はきょうの席にはふさわしくないと思いますけれども、要するに私の重ねて申し上げたいことは、趣旨が徹底してないから、徹底するような趣旨の法律に変える、こういったことは、法の適用上大変疑問のある行為だと考えております。現行の法によって成立しておるNHKですから、どうか現行の法の適正な運用で、その法のもとに、どうやれば不公平じゃないのか、公平を図るにはどうすればいいかということを考えていただきたい。その最大限の努力をした上でNHKのあり方というものを見詰めて、なおかつ今後のNHKに法の改正が必要とあればその時点で考えられるべきことで、現在の不公平は決してその法律のせいで起こっているのじゃなくて、その法律をうまく適用させないから起こっているんだと私は申し上げまして、国民のいまのNHKに対するいろんな声というものは、その辺に根をおろしているところが大きいとお考えいただいて、どうか今後の運営を図っていただきたいと思います。 大臣、できれば御答弁をお願いいたしたいと思います。
○大西国務大臣 先生もおわかりになって御議論なさっていると思うのでございますが、これは釈迦に説法みたいなことになると思うのでございますけれども、NHKの受信料の不払いには、個別的に見ますといろいろ原因の相違があろうかと思います。思いますが、これまでこの委員会におきましても委員の方との応答の中で指摘されましたように、かねて三十七年ごろに例の臨時の放送法制の調査会というのができまして、その調査会で二年くらいかかっていろいろ御調査や御論議をいただきまして、そして三十九年に答申をいただいておるわけでございます。それで、NHKの受信料というのは、放送法によって創設をされたNHKが徴収権を持っておる特殊の負担金だ、それは受信料という名の負担金だ、こういう結論といいますか、いただいておるわけです。 そこで、現在の法律を振り返って見てみますと、三十二条では契約を義務づけられておるという形になっておるわけでございます。ところが契約というものは、御承知のとおり契約自由の原則に基づくものでございますから、本来自由でなければ契約というに値しないわけでございます。もっとも、今日デパートへ物を買いに行きましても、正札がついておりまして、値切っても値引きはしてくれませんから、そういうふうなものは、何といいますか、買うか買わないかの自由しかないわけでございます。また、いろいろの契約にいたしましても、このごろは、その契約条件というものを一方が定めておって、相手方は、契約する以上はその条項に従うか従わないかの自由しかない、こういうことでございますが、いずれにしましても、そういう場合でも、契約するかしないかの、つまり契約締結の自由があるはずでございます。だからこそ契約でございます。しかし、三十二条に言われておる契約の義務づけというのは、その契約の締結自由もないという契約でございます。ですから、これは本来、契約ではなくてフィクションである、こういうことがこの調査の中でも言われておるわけでございます。まさにそのとおりでございまして、しかるにもかかわらず、契約ということで何か自由があるかのごとき誤解も生まれておるということはこれは事実であると思います。 そこで、本来の姿はそうではないんだということを明確にいたしまして、そしてそのことを国民一般の方に御理解をいただいて、NHKの受信料というものはこういうものでございますよということを端的に御理解をいただいて、そしてその上で受信料の徴収をやってまいりたい、こういうことが骨子だと私は理解をいたしております。ですから、何も受信料の性格が変わったりするものではないのでありまして、本来の姿を端的に明瞭にあらわして、そして国民の皆さんの御理解を得たい、これがその骨子でございます。
○木下(敬)委員 大分法改正の問題になりましたけれども、きょうは時間もありませんので、最後に私がその法改正について申し述べたいことは、そういった御理解をいただくのは、その解釈というのは判例によって国民の理解を得ていくのが正しいやり方ではないかと考えて私は申し上げたわけでございます。 もう時間が来ましたので、最後に、NHKは、いままでのような公共放送という言葉だけで受信料の値上げを国民が納得する時代ではない、こういう時代において放送法の改正についても本当に国民のためになるのか——法案が付託されてから改めて論議はするつもりですけれども、経営委員会のあり方なども含めて、経営の実態をもっと国民に開かれたものとすべきだと考えます。どうか、そういった意味での今後の御検討をよろしくお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○小林委員長 次回は、来る四月九日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時三十二分散会