大蔵委員会 第13号
- 発言数
- 116 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1980/03/18
会議録
○増岡委員長 これより会議を開きます。 所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田芳治君。
○山田(芳)委員 大臣は明日の夜出席をされるそうでありますので、私は大臣に対する質問は若干留保いたしまして、事務当局からお答えをいただきたい事務的な問題を中心に質問をいたしたいと思います。 まず第一点は、この間、御案内のようにラスベガスの賭博場でK・ハマダなる人が四億五千万もばくちですってそれを立てかえてもらった、こういうことであります。このことは当然参議院の予算委員会においても外為法との関連で質問がなされましたけれども、私は所得税との関連において、少なくともあの問題は、K・ハマダなる者が、自民党の浜田幸一代議士でないとするならばだれであるかということぐらいは、これは贈与所得として当然国税当局としては追及をする責任があるというふうに思うのでありますが、残念ながらこれは時効にかかっている、こういうことだろうと思います。 ところで、主要諸外国における時効、いわゆる除斥期間の実態を見てみますと、アメリカでは原則として三年だけれども、申告漏れが二五%を超えている場合には六年、脱税をしたという場合は期限がない、こういうふうになっていますね。イギリスでは六年、しかし、脱税の場合は期限がない。西ドイツの場合は原則として四年だけれども、脱税の場合は十年である。フランスでは原則として四年だが、脱税の場合は公訴を提起さえすれば原則としてプラス二年だ。こういうふうに、わが国の徴収の時効消滅、国税通則法七十二条にありますけれども、五年であるし、また、申告漏れのような場合には三年で打ち切られる、こういうふうになっております。 ロッキード問題のときも出たように、わが国における消滅時効の期間が非常に短いのではないか、ああいうK・ハマダ氏の場合なんかはいずれも国税当局が追及できる、こういうふうにしなければならないと思うのであります。少し短過ぎやせぬか、悪質なものは五年だといっても、五年ではどうにもならない。ロッキード事件あるいは今度の問題を含めて、消滅時効をもっと長くする必要があるのではないかと思うのですが、事務的にはいかがでしょうか。これはまた大臣にも伺いますけれども、事務的にはどうですか。
○高橋(元)政府委員 いま仰せになりましたように、諸外国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの事例を調べてみましても、脱税の場合、いわゆる時効がわが国の場合よりも長くなっております。その裏になっておりますいろいろな社会的な事情というのがもちろんあるわけでございまして、たとえばイギリスでは消滅時効というものがないわけでございます。訴権の除斥期間というような考え方をとっておるようであります。それから、イギリスの場合には、したがって書類の保存期間というのは税法に定まっておりませんけれども、税務当局が要求すればいつでも出さなければいけない。挙証責任はむしろ納税者側にあるというような構成をとっております。そういう意味では、課税関係が完結するまで自発的に帳簿書類を納税者側が保存をする、こういう前提があって無期限の課税の除斥期間というのが構成されておると思います。 それから外国におきましては、一般に帳簿の保存期間というものがわが国の場合よりも長くなっておりまして、日本の場合には、御案内のように、青色申告をしていますと、税務書類帳簿を備えて五年保存しておけということになっておりますが、これには別に制裁というのがないわけでございます。商業上の帳簿の保存義務は十年でございますけれども、商事の債権の時効が五年でございますから、五年たつと大体の企業においては重要書類はとっていないということであります。 それから、アメリカは内国歳入法の執行上の資料となり得る限り保存せよという規則がございます。それから、イギリスは、いま申し上げたようなことですが、ドイツは十年間とっておけ、証票は六年でよろしいが、帳簿は十年とっておけというふうになっております。フランスの場合は、商法上十年でございますが、税法上六年という義務が課せられております。 この点が、外国と日本と比べてみました場合に、脱税に対する時効期間が短過ぎるのではないかという御指摘をたびたびいただいておりまして、私ども勉強をしておるわけでございますが、一番基礎になります障害でございます。帳簿書類の保存期間を延長をお願いしなければ、課税の時効、いわゆる除斥期間を延長いたしましても直ちに効果を上げることができない。それのためにはどうしても書類保存の年限の延長をお願いしなければならないという事情がございます。 それから第二に、これは明治三十年でございましたか、わが国の会計法の十八条をもって定められましてから、わが国の公の債権はすべて五年をもって時効にかかるということになっております。したがって、課税の除斥期間を延長いたしました場合に、会計法との関連をどうするかという問題もございます。 それから、一般的に申しますと、税というのはすべての経済活動をしている人にかかっていくわけでございますから、法的な安定性と申しますか、そういうものに対する配慮も必要でございます。 仰せのように、故意の脱税を図るということは国の財政に対する重大な侵害でございますから、これは脱税に対する時効というものを延長してしかるべしという考え方もございますし、私どももいま申し上げましたような延長を可能にするような基礎的な条件を検討いたしておるということでございます。
○山田(芳)委員 いろいろの商法の問題その他もあるけれども、主税局長がおっしゃったように、最近はそういう点の非常に悪質なものがあるわけですから、全部が全部延長しろとは申しませんから、いま言われているようなロッキード事件だとか、K・ハマダの問題などというような悪質なものについては、期限なしというのは外国の例にあるわけですから、ひとつ検討していただきたい。 これは大臣にも申しておきたいと思いますが、いろいろな関連はあるけれども、後でもこれは触れますけれども、法人税の調査を見ましても、とにかく調査に行ったら八割までが何らかの形で更正決定をしなければならない、こういうことになっているし、不正申告の件数は、完全に悪質と言われるものはもう二割を超えているわけですね。調査をしたものの八割はどこかで申告漏れがある、全体の二割を超える部分が悪質な脱税をしているというのがわが国の税の調査の実態であるということを考えると、わが国の社会的な背景は、やはりこういう消滅時効などは悪質なものについては無制限とするという方向でやはり検討していただきたいということを申し上げておきます。これは大臣にも要求として申し上げたいと思いますが、一応これで終わります。 次の問題に入りますが、これは国税当局に要望として申し上げておきたいのですが、昨年の十二月二十一日にいわゆる共済年金法が通過をいたしました。そして二十八日に施行になりました。共済年金は非常に手続がめんどうでありますから、三・六%の差額分が支給をされたのが三月十日を越えて、これは実態を一遍調べてほしいと思いますが、申告期限を過ぎて差額が決定をされているということがあります。大体所得の所属する区分というのは債権の発生した年度であるということでありますから、当然この年金や恩給の差額分は五十四年度で申告すべきであり、源泉徴収ないしは年末調整をさるべきでありますけれども、この法律が十二月二十八日に公布をされた。債権が十二月の終わりでありますから、事務手続で申告期限の三月十五日を過ぎて交付されている、こういう状態になっていますから、これは五十四年度に加算をしてそれをするか、五十五年にすると、五十五年度の所得がある人は五十五年度においてベース改定その他をやれば、下手をすればランクが一つ上がって累進課税をして大変不利になるということがあります。だから、三月十五日を過ぎてもこういう分については特別の配慮をしてほしい。と申す私自身、実は三月の十何日かに受け取ったわけでありまして、私自身はもう三月十日には申告が済んでおった後からやってきた。さあ返してくれと言ったって、あの調査票、山のようにあって、どこに入っているのかわからぬというような状態で、税務署はそんなことを頼みに行くような状態ではありません。そういう点、私、事務的に伺いました。やはり年金の主管課と所得税なりの国税庁と主税局との間における、あるいは官房との間における事務の不徹底だと思いますけれども、私はあえて責めませんけれども、これは国の年金、恩給だけでなくて、地方団体の地方共済あるいは農林あるいは文教関係、すべてに通ずることしだけの特異な現象だろうと思うのですが、この点はひとつ個別的に十分配慮して、三月十五日を過ぎてもちゃんと五十四年分に入って処理ができるようにしてあげないと、一ランク上がったときには五十五年において累進所得がふえるという人が出てくる可能性が大変多い、こういうように思いますので、ちょっとその点ひとつ配慮をしてもらいたい、これはミスだろうと思います。
○矢島政府委員 お答えいたします。 先生いまお話ございましたように、施行日がたまたま十二月二十八日という非常に迫った時期でございまして、本来五十四年分ということであろうかと思いますが、何分にも施行日が非常に迫っておりましたことと、それから数百万人の受給者という非常に大ぜいの方にわたることでもございますので、確かに理屈の点で言えば先生のおっしゃる点だと思うのでございますが、確かに問題はございます。特に問題になるというのはごくわずかのケースだと思いますけれども、いずれにいたしましても先生のお話もごもっともと存じますので、検討いたしまして何かあれしてまいりたいと思っております。
○山田(芳)委員 余り責め立てはいたしませんけれども、配慮をしていただくことだけ会議録に残しておきたいと思いますから、その点配慮してもらいたいと思います。 次に、これも今度の申告の中で、私のところへ多くの納税者がいろいろと言ってきておるのですが、保険の控除の問題です。 火災保険と生命保険は、生命保険なんかはわずかです、けれども、所得の控除制度がある。ところが、自動車保険と生命保険に付随しない傷害保険には控除制度がないという。対人的、対物的な損害保険について、一部は控除するが一部は控除しないということは、税制の理屈の上から言って一体どうなのか。納税者から、家の火災保険には控除があるけれども、同じ対物である自動車の強制保険あるいは任意保険を含めてこれは控除がないというのはおかしいじゃないか、生命にかかわる人的な保険について、生命保険は控除があるが、傷害保険が独立してある傷害保険には控除がないというのはおかしいではないかという質問がありました。それはいろいろ理屈があるだろうと思いますけれども、私はアンバランスだと思うのです。これはどういうふうに理屈として言われるか、ちょっとここで明確にしておいていただきたい。
○高橋(元)政府委員 事業用の自動車に係ります自賠責保険なり任意保険というものは必要経費になる。これは事業所得の計算上必要経費になるということでございますけれども、自家用自動車、いわゆるマイカーについての保険料につきましては、自動車自体の損害保険料を損害保険控除の対象とすることは、自動率を持っておられる方はそれで引けますけれども、自動車を持っておられない方についてはかえって引けないという問題がございましょう。それから、自動車自体の損害につきましても、その損害の深刻さは家屋、家財の焼失の場合と同じということではないんだろうと思うわけであります。 それから、損害賠償責任保険料、これを損害保険料控除の対象にするということは、第三者に対する損害賠償の充実という政策目的は自賠責の強制保険の充実ということで対処できておるというふうに思うわけであります。 いまお話のありました生命保険料控除にいたしましても、損害保険料控除にいたしましても、これはそもそも保険料を引くものであるというよりは、一種の、さっき申し上げたことの裏から出てまいりますような意味合いを持った政策的な考慮でございます。したがって、自動車損害賠償責任保険料、これを損害保険料控除の対象に加えることは多くの問題があって御要望に沿いかねるということを申し上げさせていただきたいのでございます。御理解をいただきたいと思います。
○山田(芳)委員 人的な方はどうですか。私は別に自動車の保険を免除せよと言っているわけではありませんで、政策的にアンバランスではないかということを申し上げたので、かけないんなら両方——家を持っているような人は担税能力があるんだから、そんな三千円かわずかなものはもうおかけにならぬ方がいいんじゃないですかという気持ちもないではないのですけれども、あえてそこまで言いませんが、人的な面はどうですか。
○高橋(元)政府委員 人的という仰せですと、生命保険料の控除でございますね……(山田(芳)委員「生命保険と傷害保険で、生命保険に付随しない傷害保険は引かれない」と呼ぶ)これは所得税法本法の規定ではございますけれども、私どもは、租税特別措置の減収額の試算とか、租税特別措置の一覧というものを御提出いたしておりますが、その中でごらんいただきますように、これは 一種の政策税制だという考え方なのでございます。外国の自動車保険料の控除関係の税制というのを見てまいりますと、各国とも事業用の自動車以外の自動車についての保険料の控除というのは一般的に認めておりません。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、すべての国について私ども調べてみますと、そうなっております。そこにおのずから社会的な常識として差があるのではなかろうかという考え方を持っております。御納得のいただけるお答えになるかどうかわかりませんが、現在の税制の考え方を申し上げさしていただきました。
○山田(芳)委員 余り政策論としてはいただけないと思いますけれども、この程度にして、また関係者とゆっくり論議をさしていただきます。 次に、これは大臣に申し上げようと思っておるのですが、主税局長にもあるいは伊豫田さんにも申し上げておきたいと思うのです。先ほどちょっと触れましたように、いま税務署、国税局の人員というものはまことに貧弱でありまして、この間数字を出していただいたのでありますけれども、いま法人は百六十万を超えている。百六十三万ともいい百六十七万とも数字によって違っておりますけれども、とにかく百六十数万の法人の調査は 一体どのくらいできているのだということをお伺いをいたしますと、先般大蔵省からいただいた資料によると、現在百六十四万九千くらいの法人があるけれども、五十三年にしてみますと、このうち調査のできたものは十五万六千、九・五%。だから、巷間私どもは、法人は十年に一遍くらい調査される程度だという話をよく聞きます。確かに数字で見ましても、いま申し上げたように百六十四万九千の法人があるのに、一年で調査をするのが十五万六千、九・五%、一割もいってない。だから、十年では調べられないのです。十数年かからないと各法人を一応調査するということができない。それならばまだしも、十五万六千を調査をしたら、たとえば四十九年においては九万二千を調査して、これは六・六%しかできてないのです。そのうち更正決定をしたものが八割、そのうち脱税された悪質な不申告の件数は、先ほど申しましたように二割を超えておる、こういうわけであります。だから、法人の調査をやれば、そのうちの八割までが何らかの形で税金が納められていない。悪質であるか悪質でないかは別として、八割は正しく税金が納められていない。しかもその八割だけではなくて、全体の二割を超える部分が悪質の脱税であるということがわかった、こういう資料がここに出ている、こんな状態なのです。確かに日本の申告制度は非常に民主的な制度でありますけれども、税が高いということか、税制度が国民の信頼を得ていないのか、いずれか知りませんけれども、実態というのはこういうふうになっています。だから、税というものは正しく納められるべきである。節税すべき点はどんどん節税していかなければならない。何も無理して納める必要はさらさらないけれども、正しく税が納められないからクロヨン、トーゴーサンピンというような話が出てくるわけです。その意味では、税務署の職員というのは、特に法人関係においては百六十四万九千に法人がふえているのに、人数がさっぱりふえていないというところに現場の職員は大変苦労をしているし、行政改革といえば役人をやめさせたらいいのだという考え方では、財政再建、税を正しく取るという点から、もう少し国税庁の中における職員の配置ということは考えていただきたいと私は思うのであります。税を取るのは権力をかさに着てやる、悪い役人だという印象があります。しかし、税がなければ財政再建もできないし、また、いろいろな活動はできないわけであります。私は税務署の職員の皆さんといろいろ話をします。いまはきついです、とにかく暇があれば外に出て行け、こう言われて大変なんですという話をよく聞きます。確かに努力をされまして、昔は間税課だ直税課だというのを全部廃止して、いまは統括官だとか調査官というような制度に切りかえて、庶務部門を庶務課、総務課に一元化して、なるべく外に出るように職員の配置をして努力されているという点もわかるけれども、もうそういう内部の自己努力では足らないという点があると思うのです。だから、行政改革等でいろいろ他の部門から人が余ってきた場合には、もう一度税務大学校あたりで、民間においても再雇用の訓練を能力開発訓練等々でやるわけでありますから、同じようにそういう人たちを国税当局に吸収されて、そこで働く現場の職員の皆さんが安心して働けるように努力していただきたいと思います。これは大臣に言おうと思っているのですが、主税局長もおられるし、国税庁の伊豫田次長もいらっしゃるので、幹部の皆さんにまず申し上げるとともに、国税の俸給表が、昔は二五%の水準差があったのでありますが、最近は非常に縮まってきているという話を国税の職員から聞きます。ここらあたりも、本当に第一線で苦労している税務職員のことを考えてやってほしいと思います。こういうことを発言することは、いまの時代からいうと非常に勇気の要ることだと思いますけれども、そこにいる職員のことを幹部の皆さんは考えて、本当にそういう声を吸収してやってほしいということをお願いしたいと思います。いずれきちっと数字は大臣に申し上げて大臣に答弁を求めますけれども、まず事務当局の最高責任者のところでお答えをいただきたい。
○伊豫田政府委員 お答えいたします。 数字その他先生の言われました件につきましては、まさに現在の調査等の実情はそのとおりになっておりまして、われわれといたしましては税法を適正に執行いたしまして、税の公平の実現を図るというのはわれわれに与えられた任務だと思っておりますし、その場合において、税務調査というものはわが国における申告納税制度を実際上担保するところのきわめて重要な問題だと思っておりますが、ただいまの実情はいま言われましたとおり、五十三年度におきまして実調率が署の法人につきましては九・三%、もちろん重点的な調査をやっておりますので局の法人については二四・六%、平均いたしまして先生のおっしゃいました九・五%でございます。また、申告所得税の方につきましても、現在四・二%という数字を持っております。これはわれわれといたしましては調査率としてはぎりぎりの線だと考えておりまして、これをどのように向上させていくかということが非常に重要かと考えております。ただ内部事務につきましてもすでに相当の合理化を図っておりまして、署の実情を聞いていただけばわかると思いますが、ぎりぎりいっぱいのところまで内部事務をカットいたしまして、調査にできるだけの時間を割くような努力をしておるわけであります。しかし、現在のような状況でございますので、この点につきましては、人員の増加につきまして、ただいまのような財政状況のもとにあることは十分承知しておりますが、各般の御理解を今後できるだけいただくように努めてまいりたい、このように思っております。 それからなお、水準差率の問題につきましては、かつて相当高い時期がありましたが、一時四十七年ごろには一〇%を切っております。しかし、最近におきましては、各年いろいろこの点につきましては関係方面にお願いをいたしまして努力を重ねております関係で、昭和五十三年一〇・三四、五十四年には一〇・三六と、わずかながらでも上昇の方向に進ませていただいておりますので、つけ加えさせていただきます。 以上でございます。
○山田(芳)委員 確かにいまお話にあったように、個人の事業所得などに至っては四%ということですね。これでは本当に——たまたま行ったところは正しい納税ができるけれども、そうでないところは漏れている。どうせ十年に一遍か二十年に一遍じゃないかというようなことになっては困るわけですね。だから、私はなかなかむずかしいと思うけれども、他の省庁で事務の繁閑に応じて過剰人員が出たときには、いろいろ問題はあるにしても、やはり国税局あたりでもう一度ひとつ勉強していただいて、そちらへ回していくというようなことを、生首を切るわけにはいかないのですから、やるべきであるというふうに思います。これは大臣が幾らそうせいと言っても事務的になかなかむずかしい点もあろうと思いますけれども、税務当局の余裕がないというところからこういうふうになっているわけですから、職員の配置について十分ひとつ考えてもらえないかということと、昭和五十年以来必ずこの所得税法なり税法の関係が議会で上がるときには附帯決議がついているわけですから、附帯決議に対する当局の考え方ももう少し真剣に取り組んでほしいという気持ちが私にはあるわけですが、とりわけこの問題については真剣に、やはり現場の職員の皆さん方の立場に立って考えてやっていただきたいということについてもう一言御答弁をいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 非常にありがたい御質問でございます。 いまもお話にございましたように、私ども直接税制を担当しておりますけれども、それは正しい執行ということが可能な体制がなければ絵にかいたもちになってしまうわけでございます。いまのような情勢でございますから、公務員の人数の抑制ということは当然でございますけれども、その中で大蔵省の定員の中のやりくりによってできるだけ国税職員の充実を図っていくということはかねてからやってまいったわけでございまして、たとえて申しますと、財務局、これは十ございますけれども、そこの定員は四十年代に一千人減りました。約七分の一減ったと思います。減ったものは若干が税関に行きまして、国税職員の定員増という形になりました。しかしながら、国税職員につきましても定員削減措置がかかっておりますから、純増といたしますと、多い年で百人を超え、少ない年ですと、ことしなどは純減になってしまいました。そういう形で、定員の再配置による国税職員の充実ということについては、従来それなりに十分努力してきたつもりでございますけれども、いまもお示しがございましたので、さらに大臣にも話し、それから行政管理庁ともよく相談をいたしまして定員配置の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
○山田(芳)委員 財政再建は大蔵省みずからだというので同じような減少率をかけていくのはやむを得ないということだろうと思いますけれども、私は、やはり財政再建というのは、正しい税を徴収する、公平な税を徴収するところから始まることによって税の制度に対する、また運用に対する国民の信頼をかち得るところから始まらなければならぬと思う。そういう意味では、私は大蔵委員であるからこう言っているのではなくて、国民の一人としてやはり正しい税というものが徴収されることを望むとともに、現場の職員が激励をされ、また鼓舞されるという中で、権力をかさに着てむちゃくちゃなことをやられたらこれは困りますけれども、もしそういうことがあれば私は当委員会でも徹底的に申しますけれども、正しい税を納めるために現場の職員が苦労しているということだけは、国税当局も大蔵当局もそうほかに遠慮することなくきちっとやってもらいたいということを私としては申し上げて、次の質問に移ります。 負の所得税について申し上げたいと思うのでありますが、これは大臣に伺って、次に、利子については昭和五十九年の一月一日以降マル優以外については二〇%の源泉課税一本にする、三五%の分をなくして二〇%一本にするということがこの間答弁されましたが、配当については現在二〇%あるいは三五の源泉選択課税でありますが、これについては一体どうなるのかということとともに、一銘柄十万円を超えない程度のいわゆる少額配当が現在申告は不要だ、こういうことになっているのでありますが、総合課税なら一体これはどうするかということについては御説明が全然ないのであります。これは一体どういうふうになるのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 今回所得税法の改正案をもちまして御審議をいただいております総合課税移行の問題でございますが、これはもう利子所得だけでなくて配当所得も対象にいたしております。所要の実情把握なり実施体制についての検討なりを進めた上で、五十九年一月一日から配当所得につきましても源泉分離選択制度を廃止しまして総合課税に持っていきたいというふうに思います。 もう一つの申告不要制度でございますが、これは昭和四十年度の税制改正で設けられたわけでございます。四十九年には確定申告不要の限度額が、五万円から十万円に引き上げられたわけでございます。五十九年以降、利子配当に対する源泉分離選択課税制度が廃止されて総合課税になる、いま申し上げたとおりでございますけれども、その場合の少額配当、申告不要配当の扱いにつきましては、利子における支払い調書制度との権衡も考えながら今後検討をいたしまして答えを出して、五十九年度にどうするかということで御審議をいただきたいと思います。
○山田(芳)委員 少額配当の申告不要制度についてはまだ決まっていないということですね。
○高橋(元)政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますが、一つは執行体制の問題もございます。そういうことで、利子の支払い調書制度、この足切りをどうするかという問題もございますので、その辺と絡め合わせて申告不要の配当所得の取り扱いについて今後答えを出してまいりたいということでございます。
○山田(芳)委員 確かに大変な事務を要することだというふうに思います。こういうふうに、利子配当を総合課税するということは大変なコストを伴うけれども、公平のためにこれを踏み切られたということは私どもは高く評価をしております。ですから、今度の税法改正については、私どもは不十分だと思うけれども評価する点は十分評価しなければいかぬと思っております。そういう意味で、この少額配当申告不要制度というのは徴税費との見合いの中で考えられたことであろう——はっきりしたことはまだ検討をされておらないわけでありますが、それは徴税費との関係だというふうに思います。そういう意味では、大変手続が繁雑になるけれども、本当に総合課税の実を上げるのならば、そうしないと、私は後でも触れるのですけれども、一銘柄十万円以下の株をたくさん持つということによるまた脱税——脱税というと言葉は適当ではありませんが、合法的な抜け道を提供することになるというふうに思いますので、この点はひとつお考えを願いたいというふうに思っております。 その次に移ります。 どうでしょう、主税局長さん、これは私も、自分でもいろいろ頭で考え、人の意見を聞いているのですが、よくわからないのですが、今度はいわゆるキャピタルゲインということで、これに総合課税をしていく、利子配当については総合課税化をしていきますから、いまの、少額配当の申告が要らないというようなもの等は抜けますかどうかわかりませんが、そういうものはさておいて、こういうふうに動産のキャピタルゲインには非常に税が累進的にかかってくるということになると、金を持っている人は、もう貯金やあるいは株を買うということではなしに、不動産の方へ資金が流れるという傾向になるのではないか。なぜならば、わが国における税制度をずっと見てみると、いわゆる資産課税というものが欠落をしているというのが一つの特徴なんですね。資産課税は臨時的な相続税と贈与税以外にない。地方に固定資産税がありますよと言う方もあるかもしれないが、これは形式的には資産課税であるけれども、評価がきちっと行われていないという点、あるいは地方税であるという点、いろいろな点からいって本来的な外国にあるところの資産課税ではない。それが欠落をしているというわが国の税制度から言うと、どうも利子や株の配当に強い総合課税、これは結構なことだということをいま申し上げましたが、それがきつく課税をされていくと、欠落をしている資産課税、特に最近は土地の値段が上がりますから、含み資産がふえている、それに対する課税が必ずしも——いま言いましたように、あるのは臨時的な死んだときの相続税と人に不動産を贈ったときの贈与税以外にないということになれば、金の流れがそっちの方に向いていくんじゃないだろうかという感じがするのですが、そこらあたりどういうようにお考えになりますか。皆さんに聞いているのだが、的確な御回答がないのですね。これはどういうふうに考えればいいのか、それをちょっと考えておられることがあったらひとつ考え方を教えていただく。そうすると、税の面では、不動産へ不動産へと出ていく、そこは税が非常に欠落をしておる、そういう金の流れになるんじゃないだろうか。私はそんなに金を持っていませんが、持っていたらそうするかなというような気になるのですが、どうでしょうね。それは資産課税との関連でちょっと聞いておこうということです。
○高橋(元)政府委員 よく資産三分ということを申しまして、その中で土地というのは必ず出てまいります。現代のように地価水準が高くて、残念なことにまた地価が上がる傾向にあるというときに、土地が投機の対象になるということは、土地が公的な性格を非常に強く持っているということを考えてみても非常に残念だと思います。ただ、ことしの御提案申し上げております土地税制の改正の中では、短期譲渡所得、これの重課制度というものは全くいじっておりませんし、変えておりませんし、むしろ適用期限が五十五年末ということになっておりましたのを無期限ということにしたわけでございます。したがって、現在土地に金が流れ込みまして、それを高く売りまして差益を得ましても、総合された場合の一一〇%または最低四〇%という所得課税が追っかけていくわけでございますから、そういう意味で言いますと、キャピタルゲインを土地について実現をして課税をされてしまいますと、その税負担というのは非常に重い、恐らくキャピタルゲインを課税されます財産の中で一番重いということになると思います。 よく税制改正の都度御質問をいただいておりますが、昭和四十四年一月一日以後取得した土地につきましては、これから先、当分の間ずっといまのような課税制度が存続されるわけでございますから、そういう意味で、土地に投機資金が入ってまいるということについては税制の面ではかなり厳しく手当てができているというふうに私ども思っておりますが、なお、こういう点はどうかということでございましたら、よく検討いたしてみたいと思います。 それと、もう一つは、経常財産税である富裕税を設けるべきかどうかという問題があると思います。この点につきましては、かねてから、中期答申以来税制調査会でも検討願っておるわけでございますが、たびたび申し上げておりまして重複になりまして恐縮でございますけれども、大きな問題が三つくらいあると思います。 資産の把握ができない、ことに動産の把握がむずかしい。この点はグリーンカード制度が施行されますと、少なくともフローとしての元本とフローを生み出す元本というものにつきまして、従来よりは本人確認とか名寄せという面で便宜が出てまいるとは思いますけれども、いま問題になっております金、銀、骨とう品というようなものはどこまで把握ができるのか。 それからもう一つは、評価の問題でございます。比較的資産家と言われる方の相続税の課税財産の中身を見ておりますと、同族会社の非上場の株式というものが非常に多いわけでございます。これにつきましては、評価をどうするかという大きな問題がございまして、ことに亡くなられたときに一遍だけの相続税の評価ということではございませんで、毎年毎年、会社の正味資産をどういうふうに、比準価額方式なり、個人財産と同じように純資産価額方式なりいろいろやりまして出していくかという大変むずかしい問題があろうかと思います。 もう一つは、経常財産税を仮にかけていくといたしますと、現在の所得税の最高税率が七五%になっております。住民税を加えますと、限界最高税率は九三でございます。そこにさらに経常財産税を入れていくとしますと、まあ一〇〇%を超える課税というものがあり得ないという前提になりますと、賦課制限をつけなければならない。そうしますと、経常財産税をもって課し得る高額所得というものは比較的低いところで打ちどめになってしまいまして、やはりフローにかかる所得税というものがどこか優越してくるという問題がございます。税制全体でございますから、高額資産家に対する累進課税をさらにその率を上げよというお示しだと思いますけれども、税制の問題としてとらえますと、いまの、どこの国でもやっておりますが、賦課制限の中で経常財産税をどう位置づけるかという問題は工夫を要するところだと思っております。
○山田(芳)委員 資産課税の問題はもう一遍また日を改めてゆっくり私も議論をしてみたいと思います。 いま私が申し上げているのは、利子と配当が総合課税化しますと、金の流れがどこかへ動いてくるんじゃないかという気持ちがあるのです。いま不動産にいかないかという質問をしたわけですが、不動産については、昭和四十四年以前のものは別として、それ以外は処分をしたときの臨時的なものであっても重課税であるから担保ができるのだというお考えですね、大まかに言いますと。それならどうでしょう。いま税のかかっていないキャピタルゲインの最たるものは株の売買によるキャピタルゲインですね。これは二十万株ということで、この間の法律改正で若干強化をされたというふうに言われていますけれども、税務当局におきましては、一体個人が年間どのくらい株を売買しているかというデータがあるかとお伺いしても、的確な資料がございませんね。だから、私は、今度はそっちの方へ流れて、株の売買による売買益に対しては課税はされていない、何億もうけようと何十億もうけようと、それはないという形になりはせぬか。それはちゃんと押えられるのだという根拠があるのかどうか。それからキャピタルゲインの株の売買による益が非課税になっているということは、キャピタルロスを把握しなければいかぬのだ、こういうこともあるだろうけれども、まあシャウプ勧告ではこれはきちっとやれとかつて勧告されたこともありますが、ここらあたりはどうでしょう。
○高橋(元)政府委員 執行面につきましては国税庁からお答えを申し上げますが、有価証券取引で所得の実態の把握が果たしてできるのかという点につきましては、大変むずかしい問題は確かにございます。株の売買の都度、名義書きかえが行われると限っておりません。それからまた、売った株の取得原価が幾らだったかということになりますと、これは申告をしていただいてそれを調べてみないとわからないという問題がございます。それから、株を売ってもうけても、同じ年に株を売って損しておるということがございます。よく有価証券譲渡益課税を完全にやるべきでないかというお尋ねをいただくわけですが、そのときには、恐らくいまのような制度のもとで全面的にキャピタルゲイン課税をいたしますと、譲渡損ばかりの申告になってしまうので、そこは課税の公平上かえって障害が起こるというふうに予想されますので、段階的に課税の強化を図ってまいりたいというお答えをいたしておりますのも、この点でございます。 それから取引件数が非常に大きいというような問題もございますが、本年度の税制改正で一銘柄年間二十万株以上株式を売りました場合を無条件課税という改正をさせていただいております。その申告が三月十五日に出てまいったわけでございますから、そういう課税の状況等をよく見まして、さらに執行面を含めまして検討してまいりたいというのが私どもの考えでございます。 執行の状況はどうであるか、国税庁からお答えさせます。
○伊豫田政府委員 御承知のとおり有価証券の譲渡所得、特に株につきましては五十回、二十万株という改正にはなっておりますけれども、改正前のただいままでの状況におきましては、そういう問題がございましたものですから、われわれの方といたしましても特別に現在までのところそれについての統計をとっておりませんで、現在の統計は譲渡所得全体あるいは雑所得は幾らかという所得税法上の所得種類別のデータを持っているにすぎません。 ただ、われわれ、現実に統計の問題としてでなく個別の問題として税務署あるいは国税局で感触を聞いておりますところでは、株式の譲渡所得についての課税実績が従来の税制においては多かったとは決して申し上げられない、こういうことだと考えております。
○山田(芳)委員 アメリカではキャピタルゲインの三分の二は有価証券譲渡所得であるというふうに言われております。だから、アメリカも相当いろいろやってキャピタルゲインの三分の二が有価証券譲渡所得だと言われておるのですが、私もアメリカが税の把握が非常に厳しいということはいろいろな点で聞いておりますが、この有価証券譲渡所得が日本ではなかなか取り上げられないといういまのお話がありましたが、アメリカではきちっととらえられているだろうと思うのです。だから、シャウプが来たときも、シャウプはこれに対して課税をせいということを勧告しておるんだろうと思うのですが、そこらあたりの資料はございますか。これは、私は追及というよりお互いに勉強するという意味で国税当局なり主税局当局にアメリカの有価証券譲渡の実態の資料があればお示しを願いたいと思うのですが、どうですか。
○高橋(元)政府委員 申告納税制度でございますから、その基礎は良心税ということになると思います。アメリカにつきまして、私どもその都度調べてはおりますけれども、いまお尋ねになりましたようなキャピタルゲイン課税の現実をどう把握しておるかという執行面の状況は現在のところわかりません。今後とも、執行に関する日米の打ち合わせがあるわけでございますから、そういう機会を通じて解明を図ってまいりたいというふうに考えます。
○山田(芳)委員 大蔵省の出向の外交官としての身分を持った方が恐らくワシントンなり何なりに駐在されているでしょうから、ひとつ勉強していただくように、また資料もわれわれにいただきたい、こういうふうに思います。 次に行きます。 関連して、有価証券取引税、いま言ったような株の売買が非課税ということになっているなら、有価証券取引税の一万分の十八というのは安過ぎる。私も株の売買は全然やったことがないわけではありませんが、はっきり申し上げて、ああこれは安いなと思いますよ。大分もうけたけれどもこれだけでいいのかいな。私は、自分でもささやかなものですよ、われわれはそんな金持ちじゃありませんから。選挙のときに株でも売って選挙資金にしようか、こういうときに売ってみると、この有価証券取引税は安いな、貧乏人の私がそう思うのですから、だれでもそう思うと思うのですよ。だから、これはやはり上げなさい、こう言うのだけれども、それはできませんというようなお話、これはちょっといただけないのですが、どうですか、主税局長さん。
○高橋(元)政府委員 万分の十八という仰せでございますが、これは証券会社が売った場合でございまして、個人が売りました場合には第二種でございますから、株式等の場合には万分の四十五という税率になっております。 それで、安いのではないかというお尋ねはたびたびいただいております。これは外国のことばかり申すようで恐縮でございますが、アメリカの場合は大体万分の八・七三、それからイギリスの場合は高うございまして万分の二百、つまり二%ということのようでございます。ドイツが万分の二十五、フランスが万分の三十または万分の十五ということで、OECDあたりは大体〇・五%ぐらいというものがトップレートじゃないかという考え方を一時言っておったことがございます。現状が万分の四十五でございまして、これは五十三年改正でいまの率になりました。古く二十八年に設定されましたときに万分の十五でございましたものを四十八年度に万分の三十にし、いま四十五になっております。 今後どうやってまいるかということでございますけれども、ただいまの考え方を申し上げますと、五十三年度に改正したばかりでございますので、また利益の有無にかかわらず課税するというこの税の性格でございますので、流通税としての負担には、いま申し上げましたような外国の税率との並びから考えていただきましても、おのずから限界があるのではないかということで、五十五年度の改正には入れなかったわけでございます。
○山田(芳)委員 いまアメリカは安いと言われたけれども、アメリカは先ほど申し上げましたようなことで、だから、私、有価証券の譲渡所得というものの課税とのかかわり合いで申し上げて、わが国は有価証券譲渡の所得にかかわっていないという形であるから、せめてそれを押さえるのは売買のときにある程度押さえていく。 個人間の売買は四十五だとおっしゃいましたが、普通は証券会社の店頭で売買するのがほとんどです。何なら個人売買と証券会社との間における売買との比率を調べていただきたいと思いますが、私は有価証券は証券会社が売買をするのが圧倒的に多いのではないかと思います。そういう意味で、私はさっきからずっと言うているのは、少し増税をして財政再建に寄与したらどうですかと言うているのですから、大蔵当局もなるべくできるものは収入の確保を図る方向で検討するというふうにしないと、あれもだめです、これもだめです、外国に比べて高いですとか並びですというようではなくて、一般消費税はそう簡単には導入できないのだから、やはりできるところからお取りいただいたらどうですかという提言を野党から申し上げているのですから、ひとつ真剣に聞いてもらいたいと思うのです。有価証券取引税ぐらいは倍ぐらいにお上げになったら千数百億の財源が出ることはわれわれの計算でも明らかでありますから、有価証券譲渡所得をかけているかかけていないかのかかわりの中でそこをもう一遍お答えをいただきたい。
○高橋(元)政府委員 お尋ねの中で通常は万分の十八じゃないかということでございましたが、証券会社を譲渡者とする売買、つまり証券会社が売ってまいります場合、証券会社が払う税金は万分の十八でございますけれども、個人が証券会社に売る場合には万分の四十五でございます。その点は制度の問題でございますが、有価証券のキャピタルゲインの課税というものを段階的に強化していくということが本命であろうと思います。 私どもはそういう方向で五十四年度改正について御審議をいただき、ただいまの制度をつくっていただいたわけでございますが、そちらとまた流通課税としての有価証券取引税というものを代替的に考えるというわけにはいかないのだろうと思うのでございます。よく二十八年に株式のキャピタルゲインの課税の制度を所得税法から落としまして有価証券取引税をつくったから相互に牽連関係があるのではないか、有価証券の譲渡所得課税の代替として有価証券取引税をつくったのではないかという御指摘をいただきますけれども、私どもはそう思っておりません。流通税には流通税としての役割りがございます。それから、所得課税には所得課税としての役割りがございます。そのところを先ほどから申し上げているわけでございますが、税制全体を通じて歳入の強化を図ってまいらなければならない情勢でございますから、どういうふうに図ってまいるのかということになりますと、すべての税制について常時見直しはもちろんいたすわけでございますけれども、いまここで直ちに五十六年度改正などで有価証券取引税の税率の引き上げを直ちにもくろんでおるということを申し上げる段階にはないということを御理解いただきたいと思います。
○山田(芳)委員 時間がだんだん迫ってきたのですが、あとまだ相当残っておるのですが、法人税関係については今月税制調査会を開かれてもう一遍全面的に洗い直されるということでありますから、まことに結構なことだと私は思っております。 これは古い議論であるかもしれませんが、法人実在説、擬制説いろいろあります。それとの混合方式というのがあって、いわゆるインピュテーション方式ということでどこかでこの調整をするという方針もあろう、そういう議論は別として、とにかく担税力のあるところから取っていくということが必要なのではないか、この部分について若干議論をしたいと思いましたが、時間がございませんので、二、三点だけ伺ってやめます。 法人税と所得税との関係、西ドイツでは法人段階では留保分五六%、配当分三六%、わが国においては留保分四〇%、配当分三〇%ですね、そして、個人株主段階では総合課税をしている、こういう点があるわけですね。これはひとつぜひ参考にしてほしいなと思っておりますが、その考えがどうかというのが第一点。 これは大臣にも伺おうと思っているのですが、地方税の法人事業税、これは外形課税だと言われているのですが、課税標準が法人所得だという二律背反のことをやっているわけですが、これは私も地方行政委員会で何遍も外形課税に徹底しなさいと言うのだけれども、徹底をしないという、これは大蔵省との関係がございますと、こういうことなんで、ぜひひとつこの問題を私は一遍ゆっくり議論してみたいと思うのは、外形標準と言われていながら、大部分が法人所得を課税標準にしながらも、電力会社、ガス会社、損保会社、生命保険の会社は外形標準で、売上高である、こういう矛盾した税であり、しかも法人事業税は翌年の法人税の損金として算入されているのですよ。これは所得課税じゃないからだと、こう言うのですね。これは理論がむちゃくちゃなんですよ。これを整理しなければおかしいのじゃないか。私は二十一日の地方行政委員会においてもこの質問をしようと思っているのですが、まず大蔵当局が、いわゆる法人の負担率はわが国が安いと私も思いますが、経団連当たりでは、後で塚田議員からもお話を申し上げると思うが、国際水準に達していると言いますが、ここらあたり少しまやかしがある、私はそういうふうに考えています。これはもう少し税というものは国民にわかりやすく、納得でき、公平でなければいけないのですが、こんな複雑な税制度を持っておったのでは、われわれ相当勉強している人間でもよくわからない、こういうことだろうと思いますが、時間もありませんので、あとは明日の夜、少し突っ込んでやりますが、この二点だけひとつお答えをいただきたい。
○高橋(元)政府委員 三月十日に税制調査会の中に企業課税小委員会というものをつくっていただきまして、そこで法人税のいわゆる基本的仕組みの問題というものを掘り下げて検討いただくということになっております。その際、これは税制調査会でお進めいただくことでございますから、余り私が勝手なことを申し上げるわけにいきませんけれども、国際的な視野というものも取り入れて、また、たしか四十六年度の長期答申で言っておりますように、個人の資産選択なり、会社の必要な資金調達の方法なり、株主等に与える影響というものを国際的な並び、また国内の経済に対するインパクト、両方から見て掘り下げて検討していただくということになろうと思います。当然、先ほどお示しのございました西独のインピュテーション方式、これは配当軽課と併用されておるわけでございますが、それにつきましての評価なり、ECで広く行われておりますインピュテーションの方向というものについての検討なりということが問題になろうと思いますし、いまのお話のことも税制調査会にまた私どもの口からお伝えをして検討を願うということにしたいと思います。 それから、事業税の性格につきましては、三十九年と四十一年に税制調査会でいろいろ議論をしていただいたわけでございますが、いわゆる応益課税である。「事業が収益活動を行なうに当たっては、地方団体の各種の施設を利用し、その他の行政サービスの提供を受けていることから、これらのために必要な経費を分担すべきであるとする考え方によるものであるが、課税に当たって事業そのものを課税客体としているのは、事業が収益活動を行なっている事実に着目してその担税力を見出そうとするものであるからである。」これが税制調査会での御検討の結果による事業税の性格についての御見解であります。 これを所得課税であるから利益処分ということでさらに重複して法人税をかけるという御提案もございます。これは地方税でございますから、本来なら自治省からお答えをすることでございますけれども、税制調査会での答申をいま御披露申し上げましたけれども、応益税の一種ということを考えますと、やはり損金算入という現行の制度にはそれなりの理由があると考えます。
○山田(芳)委員 一言だけ。 この点、ちょっと納得できないんですよ。外形課税だと言いながら、翌年度の税で損金を落とすという仕組み、仕組み自身が少しどうなんでしょうかね。大蔵省の参考資料で各国の法人の負担を見ると、一〇・幾つかになっておりまして、一二%が一〇・幾つになっているというのは、そういう外形課税の分も調整してそう言われているのかよくわからないのですが、ここは私は地方行政委員会でずいぶん何遍も質問をしたら、なかなか大蔵省との間で云々、というのは税調を含めての意味だろうと思いますけれども、どうもはっきりしない。しかし、法人税をもう一遍根本的に見直すのですから、そういう負担の問題を含めて、いまの法人事業税はまずどこにもない、諸外国にない税でして、そういう意味ではひとつ根本的に見直すということだけはやってもらいたい。そうせぬと、何だかわれわれも地方団体にさえ説明できない、こういう感じがしていますし、これは主税局長さん、いま税制調査会の答申をお読みになったので、主税局長としての意見はさっぱり——一緒でございますと言うのかもしらぬけれども、主税局長として、法人事業税、外形標準でありながら課税標準が法人所得であり、しかも翌年それを損金として落としていく、物税なのか人的税、いわゆる所得課税なのかよくわからぬというもしゃもしゃとした、しかも一方で電気、ガスその他は外形標準課税をしている、こういうのではちょっと論理が混淆しておると思いますので、この点は十分検討していただくということを強くお願いをして、一斉だけ答えていただいて終わりにいたします。
○高橋(元)政府委員 法人の総合税負担が四九・四七%であるということで各国との負担水準の比較をいたします。その際には法人事業税というものが入っておるわけでございます。それを損金算入として見ております。これを完全に利益処分の所得課税ということに構成いたしますならば、これは恐らく法人住民税というものになってしまうのだろうと思います。これは自治省の税金でございますから、いま私がここで明確にお答えするわけにはまいりませんけれども、今度企業課税について総合的に御検討いただきます際には、恐らくはその検討の対象になるというふうに私は思っております。
○山田(芳)委員 きょうはこれで終わります。
○増岡委員長 塚田庄平君。
○塚田委員 きょうは久しぶりで質問するのですが、大臣がおりませんので、りっぱな政務次官がおりますから、かわってひとつ御答弁をお願いしたいと思います。基本的なグローバルなことは、大臣は明日出ますから、また質問いたしたいと思います。 政務次官に質問いたします。 税調の答申、これは税制の改正があるたびに大体十一月、十二月、ときによっては一月ということで毎年出ておるわけです。その間、また中期答申ということで基本的な税制の問題についての答申がある。この税調の答申、意見について、大蔵省、政府はこれを尊重するのか、あるいは意見として聞くのか、あるいはまた無視するのか、このいずれか、率直にひとつお答え願いたいと思います。
○小泉(純)政府委員 もちろん、税調の意見を聞いてそれを尊重したいという精神でやっておるわけでございます。
○塚田委員 それでは、それはまた後で具体的な答申の内容に触れてひとつ質問していきたいと思います。 ついこの間だと思いますが、三月の当初に総理府から世論調査といいますか、政府の行政について不満調査をした結果が発表になりました。これは今回だけじゃなくてすでに何回もやっておることなんですが、私は恐らくこの調査で、行政に対する不満と言いますから、最近特に物価について非常に関心が深い、特にこの世論調査の結果の出た段階は十二月ですから、野菜あるいはまた灯油等についての不満が非常に多いんじゃないか、総じて物価に対する不満、実はこう思ってこの調査の結果を見ましたら、意外というか、そうではなくて第一位は税金に対する不満あるいは苦情が最高位を占めたわけですね。この前の調査は大体二九%であったが、今度は三四%と、物価をはるかに超えております。税金についての役所のやることが非常に不愉快だ、こういったものも含めますと、これは八%ですから、合わせて四二%が大体税金——特にこれは今度は税金ということになっておりますが、従来は納税、減税、こういう二項目で調査をしているわけでございますが、こういった現実について一体どう受け取っておられますか、これは次官がいいでしょうか、ひとつお答え願いたいと思います。
○小泉(純)政府委員 確かに、税金についての苦情が多いということでありますが、大蔵省、国税庁としても、そういう苦情に対してできるだけ親切にまたわかりやすく処置できるような体制をとっているはずであります。そして、各税務署におきましても、そういう苦情処理に対してできるだけ適切に対処できるような体制をいままでもとってまいりましたけれども、今後ともとるように努力をしていきたいというふうに考えております。
○高橋(元)政府委員 いまお話にありましたことは私どもも非常に真剣に受けとめなければならない問題だと思います。税制、それから税の執行につきまして常時苦情の把握ということはもちろん制度的にもやっておりますが、しかしながら、全部が解決できるということでは恐らくないのだろうと思いますし、それは税だけを切り離して個人の所得から取り去られる部分というふうに消極的に御理解いただくのか、財政再建について国民全体の御認識というものが非常に高まってきておる、その中で国民の受益と申しますか、言葉が非常に僣越かもしれませんけれども、たとえば義務教育につきましても、一人年間四十万くらいの公費が要るわけでございます。そういうものを支えていく負担ということで、受益と負担と絡み合わせて御認識いただくということもぜひ必要であろうというふうに思います。そういうふうに税についての積極的な御理解をいただくように今後とも十分努めるつもりでございますが、なお、個別の国民の皆さん方が持っておられる不満につきましては、執行の面を通じてこの上とも十分対処してまいりたいというふうに考えます。
○塚田委員 次官も局長も大体十分税の必要を説明して国民の理解を求めるということなんですが、私は、この不満の大きな根っこはやはり不公平な税制といいますか、つまり直観的におれのところにかかってくる税金は非常に高い、こういうことに対する不満もさることながら、税金ですから恐らく相手と比較する。特に大企業等の税制をつぶさに説明すればするほど、次官、恐らくこの不公平税制についての不満がもっと出てくるんじゃないか。要するに、この不満というのは、税金の仕組みについての不満、これが非常に多いと私は考えておるのですが、この点はどうでしょうかね。
○高橋(元)政府委員 税の根幹は公平である、私どもはそう認識しております。毎年毎年税制改正につきましても、先ほどお話しのございました税制調査会の中期の答申、これは税制調査会の任期が三年でございますから、大体任期が満つる都度出していただくわけでありますが、税制全体の持っております問題をどういう方向で解決すべきかということについてのお示しでありますが、それはやはり公平ということを根幹に置いての御指摘であります。それをその年度年度の税制、財政の置かれております状況に照らして具体化してまいりますのが毎年の年度答申でございます。そういう意味で、公平の確保、一層の充実ということにつきましては、制度改正の都度、私どもとしても念頭を去ったことがない問題でございますし、今後とも取り組んでまいりたいと思いますが、なかんずく法人税につきまして、これはもっと課税する余地があるのではないかという御指摘がございます。これはよく負担水準の問題として国際比較で私ども申し上げておりますが、日本の企業の総合的な課税の水準は四九・四七%でございまして、先進諸国に比べればまだ若干負担の余地があると認められる、したがって、適当な機会をとらえて負担の増加を求めることについて検討を進めるべきだという御指摘で、私どもはそのとおり考えておりまして、今後ともそれを検討の課題として取り上げてまいりたい。 ただ、問題は、その法人税の基本的仕組み、これについての御理解がなかなかむずかしくて得られないということだと思います。会社が利益を上げて配当をする。配当については個人所得でございますから、これは今回御提案いたしております総合課税についての方策が進んでまいりますとさらに課税が充実していくと思いますが、その法人が利潤を上げた段階で、個人でございますとない法人税というのがかかってまいります。これを現在の考え方は、多年にわたりまして検討した結果、支払い段階で調整をするという考え方をとっておりまして、しかも、それに配当軽課という税制を絡ませておりますので、支払い段階でかかった法人税を個人の受け取り段階で配当控除という形で調整をします。これが非常にわかりにくいという御指摘がございます。先ほどもお答えをいたしておりました今度の企業課税小委員会でもその辺の問題をお取り上げ願って、どうしたら、わかりよい、しかも公平の段階でより国民の御理解を得られるような制度、仕組みがあり得るか、それについて精力的にお取り組みをいただきたいというふうに思っております。
○塚田委員 私はまだ法人税について質問をしたつもりはないのですけれども、別な方へ質問を持っていこうと思ったのです。これは後にしましょう。 もう法人税に入りましたから、この際、時間もありませんから法人税に移っていきたいと思います。 経団連が五十四年十二月三日に「わが国経済の当面する課題と税制改正に関する意見」というのを出しております。この中で、日本の法人の実効税率は、非常に極端な言葉を使っているのですが、世界一だ、そして五一・一一%、こういう数字を出して法人税は引き上げるべきじゃないと強力に主張をいたしておりますが、経団連のこの「意見」について、若干の答弁がいまあったようでございますが、一体この数字についてどのようにお考えか、ちょっと。
○高橋(元)政府委員 外国におきましても、地方税が法人の所得にかかってまいるわけでありますが、地方の税率は各国それぞれの地方制度に応じましてまちまちでございます。したがって、国際比較を行いますためには、標準的な地方税というものをとっておるわけでございます。私どもが四九・四七%が日本の法人の実効税負担率であるというふうに申し上げておりますのは、地方税法に言う超過課税がない場合、標準税率のもとであります。それに対して、アメリカの実効税率が五〇・八六であると申し上げておりますのは、州法人税が九%であるカリフォルニアをとっておるわけでございます。したがって、アメリカに比べて日本のは五一・二であるから高いのではないかという御指摘については、たとえばアメリカの場合でもニューヨーク州等をとりますと五一・四という答えが出てまいりますし、ミネソタなどというところをとりますと、五二・四八という数字も出てくるわけであります。日本でも東京、大阪、神奈川、兵庫、愛知でございますか、五都府県につきましては、住民税、事業税とも超過課税をやっておりますので、したがって五一・一二であることは事実でございますけれども、すべて国際比較の場合には、そういう標準的なところと比べるということが正しいのではないかということを私どもとしては考えて、そういうことを経団連の事務当局とも話し合っておるわけであります。
○塚田委員 いまの答弁からいいますと、経団連の言う五一・一一というのは間違いである。地方税の地方付加税を含めまして五一・一一なのですけれども、アメリカにおいても、いまニューヨーク州の例を出しましたが、地方税を入れますとさらに実効税率は高くなっていく。こういう点からいって経団連の認識はまさに間違いである、こう断定して差し支えないですね。
○高橋(元)政府委員 数字そのものが間違っておるということはないわけで、五一・一一というのは一二でございますから、そういう意味では計算違いが若干あるわけでございますけれども、ただ国際的に法人の実効税負担を比べてまいります場合には、標準的な地方税の税率を用いて計算をして、それによって比較すべきだというのが私どもの変わらない考え方でございます。
○塚田委員 数字そのものについて間違っておるかどうかということではなくて、これで世界一の実効税率である、こう言っておるのは間違いでしょう、こう言っておるのです。
○高橋(元)政府委員 そのとおりでございます。
○塚田委員 それでは、経団連のこういった主張に、これは間違いですから、とらわれずに中期答申の線に従って法人税の引き上げを検討中だ。局長、ちなみに法人税を二%上げた場合にどのくらいの増収が試算としてはかられますか。
○高橋(元)政府委員 配当軽課、中小法人の軽減税率等ありますから一概に申し上げられませんが、フラットに二%上げますと約四千五百億というふうにお考えいただいて結構であります。
○塚田委員 三%上げるとどのくらいですか。
○高橋(元)政府委員 六千五百億から七千億の間くらいになります。
○塚田委員 いまの数字で示されたとおり、法人税を一%、二%わずか上げても莫大な収入といいますか、いまの日本の経済あるいは財政事情からいいますと、こういった数字というのはゆるがせにできないような大きな数字だと思います。まして中期答申の中では、法人税率については各国に比べて決して高くないから、早急に見直すという答申が出ておりますので、そういう関係からいって法人税の引き上げは必至だ、恐らく当局もそう考えておると思いますが、先ほどの山田君の答弁の中で、この秋あたりから具体的な答申を得て作業に入りたい、こういう答弁があったと聞いておりますが、この点再確認してよろしいですか。
○高橋(元)政府委員 御案内の中期答申の中では、適当な機会を得て引き上げを検討すべきだとなっておりまして、引き上げを検討すべき場は年度答申であります。ことしの税制改正につきまして、法人税の引き上げでなくて退職給与引当金の積立限度額の縮減ということで法人の税負担が増加したわけでございますが、五十六年度以降年度答申の際に、財政需要もにらみ合わせて税制をどうするかということを考えますに当たりましては、法人税率につきましての検討は避けて通ることができないというふうに考えております。
○塚田委員 いま言いました退職引当金を今回はやっておる、これはそのとおりですが、これについてはまた別な意見を持っておりますから、あすじきじき大臣に聞きたいと思います。 そこで、先ほど聞いたのですが、尊重したい、こういうことなんです。ちょっと古い答申になりますが、しかし、これは有名な答申です。昭和三十九年十二月に、いまわれわれが審議しております租税特別措置の基本的な考え方についての答申がありました。これは私の記憶によりますと、小宮隆太郎が中心になった答申だと思いますが、私はこれをほぼ四項に整理したのです。以下主税の関係でもいいし、次官でもいいですから、ひとつ御意見を承りたいと思います。 まず第一は、租税特別措置は負担公平原則や租税の中立性を阻害しと、きわめて大胆に言っているのです。総合累進構造を弱め、納税道義に悪影響を及ぼすなどの短所を持っておる、したがってこれは廃止並びに縮減をすべきである。廃止、縮減という結論は前の中期答申と変わりがないのですが、租税特別措置についてこのように断定的な判断をしておるということは画期的だ、そういう意味で、この答申というのは画期的だ、こう言われておるのですが、今日ただいまこういう情勢の中で第一項目についてどうお考えですか。
○小泉(純)政府委員 その答申に沿ってできるだけ租税特別措置を見直していく、今年度の税制改正におきましてもできるだけその合理化を図っていこうということで、各租税特別措置に対して徹底的な見直しが行われた。ですから、その答申の線をできるだけ現実に合わせていこうという気持ちは十分大蔵省は持っているし、そのとおりにいままでもやってきたというふうに私は理解しております。 ただ、それぞれ規実の政策目的がありますから、全廃というわけにはいきませんけれども、できるだけ税負担の公平とか、そういう税全般のあり方から見て、租税特別措置はなくしていった方がいいということには私は変わりはないと思います。ですから、その答申を無視しているどころか尊重していままでやってきたといっていいのではないかと理解しております。
○塚田委員 それではいまの答申の中で、租税特別措置というのは負担公平の原則を根本的に崩してしまう、あるいは租税の中立性を侵す、あるいは納税道義、これに悪影響を与える、こういう点も認めた上で整理しなければならぬ、あるいは全廃しなければならぬ、こういうふうに私どもは受け取っているのです。これは後でいろいろ個々に議論を展開する意味できわめて重要な前提でございます。 第二の前提は、この租特が認められるのは、まず税制以外の措置で有効な手段がない、ずいぶん検討したけれどもそういう手段は出てこない、この特別措置は他に適当な手段がないためにやむを得ずとった措置である、こういう規定を答申の中でしておるのですが、この点については同感ですか。
○高橋(元)政府委員 負担の公平ということが税の基本でございます。したがって、政策目的のために負担の公平を害するということが、いまお示しにもありましたように、租税特別措置の持っております性格でございますから、税制以外の措置で措置が可能ならば、それはそちらの手段によるべきであるという考え方で対処しております。
○塚田委員 次に第三ですが、これは少し具体的な例で聞きたいのですが、第三は既得権化あるいは特権化といいますか、これについて注意を促しております。できるだけ短期に改廃すべきだ、特権化しないようにしなければならぬ。特権化という言葉が果たしていいのかどうかは別にしまして、いわゆる既得権化ということじゃないかと思うのですが、そういう観点から今度の改正案をひとつ検討していきたい、こう考えております。 今度の改正を見ますと、まず全廃というか、廃止されたものは十項目だと思いましたね。それから五〇ないし二〇%の、これは削減といいますか整理といいますか、されたもの四十六、合わせて五十六、つまり八十二に対して六八・三%、それだけの率が整理あるいは全廃されたということなんですが、この答申では、租税特別措置というのは必要に応じて個々にできた、そしてまた時限立法なんですね。ところが、今度の整理の仕方を見ますと、これは租特全体、いままで大体こういう措置でわれわれは見過ごしてきたわけなんですけれども、一律にやっておる。もっと個々の項目についての具体的な検討というのはやらない。やらないだろうと思います、これは五〇、そして二〇とピッチ切っていますから。こういうことで果たして本当の意味の政策税制として設けられたのかどうかということが疑問だし、また、もうすでにそういうことをやるということは既得権化して形骸化してきておる。何らかの圧力の中でそういったものが残らざるを得ないという情勢の中で、結局一律にやらなければならぬだろう、こういった安易な気持ちに流れておるのではないか、また、そうならざるを得ないような租特の現状ではないか、こう思うのですが、これについての御答弁をひとつ願いたいと思います。
○高橋(元)政府委員 ゼロベースで予算を見直すべきだというふうに、歳出の節減合理化を図ってまいりまする場合に、そういう御指摘を私どもはしばしばいただいております。先ほどからのお話しのように、租税特別措置はいわば税という形をとっての補助金でございますから、補助金が特権化、慢性化するということは、これはあってはならないことでございます。そういう意味で、すでに創設されてから非常に期間が長くなっておる、あるいはもう設置の目的が薄れてしまった、それから余り効果が上がっておらない、そういうような項目を取り上げまして、ゼロベースの頭で適用期限にかかわりなく個別項目ごとに八十二項目全部についての洗い直しを行いました。今度の改正案をつくりますに当たりましては、そういう洗い直しを行いました。 そこで、いまお話にございましたように、十項目の廃止をいたしたわけでございますが、存置しておる項目につきましても、これは政策目的が重要であるかどうか、租税の公平ないし中立性ということを害してあえてつくります政策税制でございますから、そういう政策税制を存置しておく意味があるかどうかということを検討いたしました上で答えを出しておるわけでございますが、存置する必要性があるものにつきまして大幅な縮減を図るという意味でカットをしたわけでございます。 そこで、一律縮減だから、既得権化したものを形だけ手直ししたのではないかというお話でございますけれども、私どもとしては、いまもお答えしましたように、あくまでも個別の見直しを基本としておるということを申し上げられるというふうに考えております。
○塚田委員 個別の見直しにしてはえらい一律にやったという印象が非常に深いわけです。 いま御答弁がありましたが、ここに皆さん方の先輩になる高木さん、泉さん、それから吉国さんの座談会が、たしか「エコノミスト」だと思いましたが、長い間掲載されました。そして「戦後産業史への証言」という一冊の本になっていま出ております。 そういう中で高木さんいわく「まだ残っていましたか、海外市場開拓準備金」、泉さんいわく「あれもう要らないね」、要するに、税制によって産業政策をやるという場合には非常に効果が大きい、だから、やるべきときはやる、それは必ず時代とともに使命が終わるときが来るんだから、時限立法、これは五年、三年の時限立法になっておりますが、「その精神を貫かなければならぬ」、これは泉さん、大変高邁な議論を吐いておりますが、高木さんいわく「既得権化していますからね」、こういうことですね、そして泉さんは「五年なら五年でやめる、もう期限が来たら一たんやめて、もし必要であったら、そのときの情勢に応じて新たに立法措置をしたらいいじゃないか、ずるずる延ばしていくということについては、これは法の精神から言って思わしくない」、吉国さんいわく「一遍やめて、なお必要なら新規立法をやる、それならいいんじゃないか」、高木さんいわく「いや二年やそこらで済むものじゃないけれども、その精神でやるべきだ」、皆さんの先輩は、以下いろいろありますけれども、漫然と延ばされた場合の不均衡の方が非常に大きいというのが結局は三人の結論になっておりますが、先輩のこの言やよし、どうでしょうか。
○高橋(元)政府委員 既得権化、慢性化ということを排して必要な場合に限って必要な期間設置するのが租税特別措置であるという意味で諸先輩がそういう話をされた、私どもも同じ気持ちでおります。いまお示しの中小企業等海外市場開拓準備金でございますけれども、これは三十九年に輸出所得控除制度をやめたときにつくりました海外市場開拓準備金の何といいますか、かなり切った残りでございます。四十一年、四十三年、四十四年、といろいろ改正を施してまいりましたが、四十七年に資本金十億を超えます企業を海外市場開拓準備金の適用対象外に置きまして、今年度の改正で、資本金五億超の法人を対象から外すという御提案をいたしております。 その準備金に対する積立率も、当初の一・七%、二・三%というところからかなり縮減をしてまいりまして、今回は一・七%を一・三六%、二・三%を一・八四%というふうにしております。海外市場開拓の必要がもはやなくなってしまったのではないかということが、中小企業対策との絡みで、資本金五億円に満たない企業、五億円以下の法人につきましてなお存置しておる理由でございます。これにつきましても常時今後とも見直ししてまいりたいと思いますが、ただいま私どもが御提案いたしております考えは、五億円以下の法人についてなお存置する必要がある、いわば中小輸出専門商社というようなものがございまして、そういうものの内部留保ないし競争力に直ちに急激な変化を与えないという意味でございます。
○塚田委員 私は、これは一つ一つ取り上げていろいろ言いたいのですが、時間が非常に限られておりますので、一々答弁を求めていたのでは時間が来てしまいますが、この間たしか予算委員会かと思いましたね、これは参議院ですか、航空機の特別償却について質問があったろうと思います、こんなのは必要ないんじゃないか。最大離陸重量百七十五トン以上の航空機についての特別償却。これは何かと言うと、DC10はもちろん、8がそうですね。9ですか。(高橋(元)政府委員「10です」と呼ぶ)10ですか。10はこれはもう二百くらいですね。そういうところで、使っておるのは日本航空だけだということで、恐らくいろいろな問題があったのだろうと思います。 それから船舶の特別償却制度の問題、これはたしかMゼロ船の償却だと思います。Mゼロ船は当時は、たしか私の記憶で言うと四十五年ごろはこういうことで奨励をしまして、こういった合理化船といいますかをどんどんとつくらせた、したがって税の上においても特別措置をやるということで二万トン以上のMゼロ船についてはこのような特別償却を認めておる。しかし、いま、今日この段階ではMゼロ船というのはもう普通なんです。ほとんどMゼロ船にかわっておるので、これもわざわざ特別償却制度を設けてやる意味というのはほとんどなくなったのではないか、こういうふうに私ども考えておるのです。だから、飛行機の場合は日本航空という特別な会社、あるいは船舶の場合はもうその意味がなくなった、こういうふうに一々検討していけば、もう全廃しなければならないものはまだまだたくさんほかにあるのではないかと私どもは考えております。 ついでにそのほかに言いましょう。登録ホテル業の問題ですね。これの特別償却、こんなものはもう全然意味がない。中小企業の問題は、海外市場開拓準備金というのはさっき言いました。これは場合によるとガットの例の輸出補助金制と触れるおそれがあるということで、非常に評判の悪いというか、対外的に大変な問題を引き起こすおそれのある準備金だと私どもは考えておるのですが、こういったものをわざわざここへこの機会に残しておくというのはどうでしょうか。あるいはまた、株式売買損失準備金、これは準備金として積み立てて五年たてば益金になるのですけれども、五年間はいろいろな運用ができるわけですが、これはたしか四十一年の山一証券の事件があったときに、その必要性を認めてできて、それ以来ずっと続いてきておるのですよ。残高がどのくらいになるか私はまだ計算しておりませんが、こういったものを一つ一つ洗ってみると、まだまだ整理すべきものがあるし、またそう個々に当たって整理するのが先ほど言った中期答申の精神ではないか、そういった影は一つも見えておらないというのは一体どうしたことなんでしょうか、御答弁を願いたいと思います。
○高橋(元)政府委員 いま幾つかの例を挙げてお話がございました。 それで、たとえばお話のございました順番で若干申し上げさせていただきますと、航空機の特償でございます。これは四十六年創設の規定でございますけれども、現在六分の一の特別償却を最大離陸重量百七十五トン以上の大型機について初年度に認めております。これは機種は三つでございまして、DC10、それからロッキードの一〇一一、もう一つボーイング747、この三つでございますけれども、これについて、日本航空と全日空とございますけれども、置いておく必要がないのではないかというお示しでございますが、運輸省といろいろ相談をいたしまして、これは騒音対策また省エネ対策ということで大型機材の投入を現在進めておりますので、それの関連でなお存置をするという考え方でございます。 船舶につきましても、二千トンから二万トンまでの鋼船というものは適用単位から外しまして、省力化して輸送コストを下げていくMゼロ船というものだけにして、なお存置をするということでございます。 準備金につきましては先ほど一つ申し上げました。 いずれにしましても、慢性化するということが、こういう一種の補助金、タックスエクスペンディチュアと言うのでしょうか、補助金につきまとうどうしてもありがちなことでございますから、十分その辺は今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えます。
○塚田委員 租特の問題については、あすまた大臣が来ましたら少し続けてやりたいと思うのです。きょうわざわざ銀行局長がそこに来ておりますので、先ほどから退屈のような顔をしておりますから、ちょっと局長に質問をしたいと思います。 端的に言って平和相互の問題です。これは他の委員会等でもいろいろと議論をされた経緯もありますし、また新聞紙上を通して見ましても、ヂーゼル機器の株の買い占めあるいは岡本理研の問題等いろいろ出ておるようでありますが、そういった具体的な問題はこの際避けたいと思います。恐らく国税庁の方で一生懸命やっておられるのだろうと思いますから、これは避けます。ただ、指導官庁の銀行局としてこういう事態を一体どう考えるかということなんです。 まず、この銀行はちょっと特殊な融資形態をとっておりまして、不動産業に対する貸し付けの構成比というのは非常に高い。これは有価証券報告書ですから間違いない。九月期の報告書ですが、不動産業に対しては二〇・三八%の融資構成にたっております。元来、相互銀行というのは成り立ちから言いましても、たとえば外勤の人が日銭を集めて歩くというようなこと等、無尽から始まったという経緯からいっても小売業あるいはせいぜいサービス、この場合ゴルフなんというのは除いたサービスなんですが、そういったところに大きく融資の率が傾斜するというのはたてまえなんですが、どうもここだけは不動産に対してぐっと上がっておる。特にこれを不動産と切っても切れない建設業と合わせますと、実に二八%という高率の融資の構成比になっておるのです。こういう事態についてまず局長はどう考えておりますか。他に例はないのです。
○米里政府委員 相互銀行の不動産業に対する貸し出しの問題でございますが、確かに先生御指摘のように、まず相互銀行全体が、都市銀行、地方銀行などと比べました場合には、若干不動産業あるいはサービス業などに対する貸し出しの総貸し出しに対するウエートは高くなっております。特にその中で、御指摘の平和相互銀行でございますが、御指摘のような有価証券報告書で見てみますと、相銀平均に対しても、不動産業、サービス業、建設業などに対する貸し出しのウェートはかなり高くなっております。トレンドで見ますと、一時よりは若干減少傾向、近年わずかながら減少傾向というようなトレンドも見られますが、私どもといたしましては、こういった融資の形態、いろいろ金融機関の種類あるいは個別金融機関によりまして、特色と申しますか傾向があるということは一概に必ずしもいいとか悪いとか申すことはできませんが、不動産業に対するウエートがこの銀行の場合にかなり高いというようなことは、一般論として、その貸し出しのしぶりに十分気をつけていく必要があるというようにも思いますし、また余り過度に資金が固定化するというようなことがあってもいけないと思います。あるいはまた、いわゆる地価の問題と関連いたしまして、投機資金にわたるような土地関連融資を行ってはならないということは、かねてから一般的に通達で厳しく規制しているところでもございます。そういう問題意識を持ちながら、この平和相互銀行については、今後とも十分指導し、その実態の把握に努めていきたいというふうに考えております。
○塚田委員 局長、一般論としてはということで、相互銀行は他の銀行と違っていろいろ特徴を持っておる、こういうことですが、ここに日本銀行の経済統計の月報から引いた統計があります。相互銀行全体で、全国平均しまして不動産に対する残高構成というのは六・四なんですね。これが、この問題銀行の場合には二〇・三八というのです。あなたは、全国的に相互銀行は不動産に偏りがちだ、その中でも平和相互は多いのだという印象を与えるような答弁をしましたが、実際は違うのですね。六・四という全国の比重というのは決して高いものではありません。にもかかわらず、上平和相互は非常に高い比率を示しております。そして、土地関連融資については、その都度通達を出して注意を促しておると言いますが、私の記憶では、関連融資については、四十七年一回、四十九年二回目、それから五十年に三回目、こういうことで厳しいいわゆるおふれが出ておるのですね。これを無視して、なおかつこういう高率の構成比を保っておるといいますか崩すことはできないという体質の中に、何かこの銀行の特殊な体質があるのではないかと思うのです。これは後でお話ししたいと思いますが、局長は一体どうでしょうか。
○米里政府委員 まず、先ほど相互銀行全体が若干都市銀行、地方銀行よりも高いのだということを申し上げましたのは、五十四年三月末の数字で不動産業に対する総貸し出しの中での構成比でございますが、都銀は五・一、地銀は五・四、相銀は七・〇、全体にやや高くなっておるという点を申し上げたわけでございます。その中で、御指摘のとおり当該銀行が非常に高いということは事実でございます。 私どもは、土地に関連しましては再三通達を出しまして、いやしくも投機的な資金を土地関連融資に関して安易に貸し出すことがないようにというような指導をしておるわけでございます。当該銀行につきましては、去年の十一月の末から約一カ月にわたりまして検査をいたしまして、その結果をいま取りまとめ中でございます。個別の検査の問題でございますから、まだ結果も出ておりませんし、かつ内容を申し上げるわけにはいかないと思いますけれども、こういう土地の融資のウエートが非常に多いということは、一つは、資金が非常に固定化しがちであるというような傾向があることは事実であると思います。担保という面では大体かなり十分なものがあるわけでございますけれども、土地でございますと、どうしても資金が固定化しがちであるという問題はあろうかと思います。もう一つ、そのほかに、そういう土地関連融資に関して、いわゆる社会性、公共性といったような観点から適正なビヘービアで行われているかどうかという問題もあろうかと思います。その辺を総合いたしまして検査の結果を十分分析し、指摘すべき点は指摘していくということが現在の私どもの態度でございます。
○塚田委員 担保という点については十分取ってあるので大丈夫だ。この債権の見返り担保の内訳を私は有価証券報告書でずっと洗ってみました。この銀行の場合は、有価証券、債券、商品・不動産その他と分けてありますが、不動産が五十四年三月末で一千七十七億。これは億以下の端数を切ります。それから五十四年九月期では一千四百七十一億。この不動産担保というのは、他のあれと比べて非常に率が高いと思わないですか、率直なところを聞かせてください。
○米里政府委員 不動産関係の融資が非常に高いという状況とうらはらの問題といたしまして、不動産担保のウエートがかなり高いという事実はあろうかと思います。
○塚田委員 つまり、私はこういうことを考えているのです。銀行はもちろん不動産を買うことはできないですね。少なくとも安く買って高く売るということはできない。しかし、ここは、系列会社というか同族的な色彩が非常に強いところです。その一例として、大体、有価証券報告書の中には十大株主というのが一項目ありますね。その十大株主の中で銀行だと大体八つないしひどいところになると九つくらい、資本金は全部銀行同士の持ち合いになるわけですね。ここだけはちょっと違います。ここは銀行は三社に限っております。あとは個人か系列と目されるこういった会社に占められておるわけです。これはほとんど全部不動産会社です。私は現実に調べてまいりました。そうしますと、これらに融資して不動産を取得するということになると、しかもそれを担保に全部とるということになりますね、これは当然銀行としては。すると、銀行が間接的に不動産を取得していく、買うということと等しいような行為をここでやっているように私どもはここで見受けるのですけれども、局長はどうですか、実態を見 て。
○米里政府委員 御指摘のように、この銀行の大株主の中に人的関係、融資関係の非常に深い会社が多いということは事実でございます。ただ、これは資本関係はほとんどございませんので、そういった意味では私どもが言っておりますいわゆる関連会社というものではなかろうかと思いますが、いずれにせよ、かなり関係の深い会社が並んでいると思います。しかし、これらの会社はそれぞれ独立した企業でございまして、それなりに本来の業務を行っておるというようなことで、広い意味では相互銀行と関係の深い会社の集団のような形にもなっておりますけれども、それが全部金融機関が実質的に土地を持っておるのだというような性格のものでは必ずしもなかろうというふうに私は考えております。
○塚田委員 時間も参りましたが、非常にきれいな答弁をしていますが、そうきれいな答弁をされると少し虫がおさまらないのです、実態をよく知っていますから。したがって、銀行としては一体これをどうするのか、大口融資規制を含めまして、土地関連はどういう指導をしているのか。大体株主構成にしましても、いま言った六つ、これは名前は言いません。だけれども、大体局長にはわかっておると思うのです。この六つだけですでに三七%の株を押さえている。もちろん個人も入っていますね、亡くなった方ですけれども。こういった構成を局としては一体どう考えるかということです。あるいはいま言った大口融資の規制の問題土地関連の問題、こういったことについてどういう指導を今後進めていくか、いいかげんな答弁、余りきれいな答弁では、私は具体的に言わざるを得ないのですよ。
○米里政府委員 大口融資規制の問題につきましては、この銀行という問題だけでなしに相互銀行全体の大口融資規制をどうするかということで、現在、金融制度調査会で中小企業金融専門機関の制度のあり方について審議しておられますので、現在鋭意その問題を私どもとしても慎重に考えてまいっておるわけでございます。 この平和相互銀行自体の指導につきましては、個別の問題にはなりますけれども、今後、検査の結果をよく見まして、それに基づいていままでもいろいろな面でかなり個別の指導を行ってまいりますけれども、いやしくも公共性のある金融機関として社会性、公共性といったような面で疑惑を招くことがないように十分注意して指導に心がけてまいりたいというふうに思っております。
○塚田委員 もう時間がありませんので、これは答弁は要らないのですが、私はゆうべ一晩かかっていろいろと有価証券報告書を調べてみました。先ほど不動産融資が多いから担保が当然多いのじゃないか、こういう話なんですが、たとえば同じ銀行——これは相互ではありません。協和銀行、これは一体不動産をどのくらい担保をとっているかというと、いずれも九月期の報告です、四百五十八億ですね。これに比べて平和相互が一千億くらい多いのですね。協和というのは相当大きな銀行です。拓銀、これは私の方の北海道のあれですけれども、これでも千百六十三億。平和よりは少ないです。それから埼銀、これは平和に近いのですが、やはり少ない。千三百五十六億。さて、富士銀。これはもう大きな銀行なんですから、恐らく相当の担保があるだろうと思ったら大間違いで、千十八億。いずれも平和相互に比べて不動産についてははるかに少ない。そのかわり、債券とかあるいはまた有価証券とかあるいは信用、そういったものの担保は大きいですね。こういうところから見て、いかにこの銀行は異常な体質の中で経営、運営されておるかということの一つの証左ではないかと思うのですよ。まだいろいろと証拠はあります。きょうはもう時間がないからやめますが、こういう事態を踏んまえて、この銀行に関する監査なりあるいは調査なり、税務調査も含めまして、ここからひとつ磯邊さんもあるいは答えてもらいたいと思いますが、相当厳重にやらないと、あるいはどっかの銀行のように、結局は再び預金者に迷惑をかける、そういう結果になりかねない要素もありますので、その点についての決意を含めて、ひとつ局長の御答弁を願いたいと思う。
○米里政府委員 先ほど申しましたように、ごく最近検査をいたしまして、その結果を現在分析しているところでございますが、この銀行は、御指摘のような不動産融資が非常に多いとか、あるいは不動産担保が非常に多いとかいうような点はございますが、預金者に迷惑をかけるような状態ではないということは申し上げられると思います。それにいたしましても、いろいろ特殊な融資ぶりの銀行であるということは御指摘のとおりでございますので、今後御指摘の点も含めましてさらに一層この銀行について十分適正な指導を続けてまいりたいというように考えております。
○塚田委員 時間がないですから……。
○増岡委員長 本会議散会後再開することとし、この際休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 ————◇————— 午後四時二十五分開議
○増岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案について質疑を続行いたします。古川雅司君。
○古川委員 ただいま議題となっております両法案につきまして若干の質問をいたします。なお、途中で関連した事項についてもお伺いをしてまいりたいと思うのであります。 きょうは大臣が御出席ではございませんので、残余の質問については明日に譲ることといたしまして、最初に五十五年度の税制改正につきまして両法案の提案理由の説明の中に「税制改正の一環」という言葉をお使いになっておるわけでございます。これはいわゆる来るべき本格的な増税時代への前ぶれ、そのワンステップとしての一環という意味ともとれるのではないか、こういう指摘も数々なされておるわけでございます。そのとおりでございましょうか。
○高橋(元)政府委員 提案理由の御説明を大臣から申し上げました際にも、五十五年度「税制改正の一環」としてというふうに申し上げましたし、各法案の末尾の理由というところにもそういう文言が使ってあると思います。これは五十五年度税制改正全体として御案内のとおり、三千五百十億円の税収増を見込んで予算に計上さしていただいておるわけでございますが、その中には政令をもって措置いたしますものもございます。電源開発促進税のように、別途法案を御提出するものもございます。所得税法の改正案、租税特別措置法の改正案、電源開発促進法税の改正案、それらがいずれも法律事項でございますし、そのほか政令をもって措置するものもございますという意味で、一環という言葉を毎年使用しておるわけでございます。
○古川委員 今回のこの税制改正につきましては幾つかの特徴があるわけでございまして、いろいろな指摘の仕方があると思いますけれども、一つ目には、企業関係の租税特別措置のいわば最終的とも言える大幅な整理合理化をしたということ。二つ目には、法人、特に大法人のこれまでいわゆる利益隠しに利用されているという批判の強かった法人税の特例、退職給与引当金の積み立て制度にメスを入れたということ、それは積立限度額を引き下げたということにあらわれている。そして三つ目が、高額給与所得者の給与所得控除率を大幅に引き下げるということ。こうしたことが将来に仮称と言われております一般消費税導入への一つの足がかりになる、そのワンステップにすぎないのだということは繰り返し繰り返し論じられているわけでございます。そういう位置づけという意味も「税制改正の一環」という中に含まれてくるのではないかという感じを強くしているわけでございまして、御説明のありました三千五百十億円の増収を見込んでいるということが、その将来の一つの足がかりにならないかという点について御答弁をいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 政務次官からお答えがあるべきことかもしれません。私から申し上げたいと思いますのは、財政再建ということが当面の急務である、私どもはそう認識しております。五十九年度までに特例公債から脱却するということを具体的に中期的に考えてまいらなければならない。それには歳出の削減合理化ということももちろん必要でございますし、行政機構の簡素化ということも必要でございますし、それと相まって税制面につきましても、既存の税制の中で見直すべきところは見直し、さらに国民の御理解が得られるならば、必要な歳入増のための構想の実現ということも図っていかなければならない、私の立場からはそう思います。それは、五十五年度の税制改正が三千五百十億円と先ほど申し上げた規模にとどまりましたのは、五十五年度の歳入の自然増収が非常に多く見込まれたということと、五十五年度はまず歳出の節減合理化をもって予算の健全化のための第一歩を踏み出すという意味でそうなったわけでございます。
○古川委員 さて、この税制改正に伴う増収見込みでございますけれども、相次いで公定歩合の引き上げが行われてまいりました。本日また決定ということを聞いておりますけれども、この公定歩合の引き上げによって税収の見込みにどういう影響を及ぼすとお考えであるか、御答弁をいただきたいと思います。
○宮本(保)政府委員 お答え申し上げます。 第五次の公定歩合につきましては、きょう実は四時三十分から総裁、大臣の会見がございまして発表という運びになろうかと思います。私どもといたしましては、この公定歩合の引き上げが物価を主体にした措置であることは確かでございますけれども、景気の問題も大変重要でございますので、物価対策及び景気につきましても十分配慮してまいるということで、将来、景気について問題が起こるような場合におきましては、また臨機応変な措置をとってまいるということかと思います。
○古川委員 予算案の編成作業の時点からの相次ぐ公定歩合の引き上げでございますから、当然この増収見込みに影響がある、ないということについてはすでに御判断をしていらっしゃると思いますが、影響があるのかないのか、税収の見込みについてふえるのか減るのか、その辺の御判断はいかがでございますか。
○高橋(元)政府委員 税収の見積もりと申しますものは二つの大きな柱でできておると思います。一つは、五十四年度の現在の税収が幾らか収納されることになるのか、それからもう一つは、五十五年度の経済の動きに即応した税収増が幾ら見込まれるか、この二つだと思います。 五十四年度につきましては、さきに可決、成立をさせていただきました補正予算の中で一兆九千九十億円の増収を見込んで二十三兆三千何がしという税収になっておるわけでございますが、これは一月末までの税収の足取りを見ておりますと、おおむねそこに収斂する傾向にあると申し上げてもそれほど大きな間違いではないと思います。そうなりますと、五十五年度の現実の経済がどういうふうに推移するかということが五十五年度税収の実績を決めていくわけでございますが、ただいま予算の御審議をお願いいたしている最中でもございます。私どもとしては、いろいろな事象というものが確かに経済の現実の動きに影響してくると思いますけれども、現時点で五十五年度の税収見積もりの基礎になりました政府の経済見通しと変わった見通しになるだろう、安定成長軌道が経済見通しから大きく離れていくだろうというふうに考えておりませんし、見通し改定の必要についても全然承知しておりませんので、税収見積もりについていまの段階でこれを変更するのかどうかという御質問でございますれば、特段の判断材料は持ち合わせておらないというお答えを申し上げます。
○古川委員 物価並びに景気の動向が一つの大きなかぎになって税収にも響いてくるわけでありましょう。過去にもこれは経験があるわけでございまして、現在の経済の諸情勢の中から見て果たしてどういう影響を予測し、これに対応していくかということはすでにお考えがあるのではないかというふうに私は考えましてお伺いしているわけでございます。全く税収に影響がないということになりますと、これはインフレ等との関連もございますし、その辺もう少し御説明をいただければ幸いだと思います。
○高橋(元)政府委員 税収の中で、経済の情勢に即しまして一番見積もりの基礎になります私どものファクターが変更してまいるものは企業収益、それに伴います法人税だと思います。これにつきましては、現状は、私から申し上げるのもなんでございますが、設備投資の堅調な増加を中心に景気は総じて着実な拡大を続けておるということが申し上げられますけれども、半面で物価の先行きについて、これはこれまで以上に警戒を要する状況にあると思います。先ほど銀行局から御報告しましたように、今回第五次の公定歩合の引き上げが行われるわけでございますが、もちろん、この措置が景気に与える影響については十分注視して、今後とも細心の注意を払いつつ機動的な政策運営態度のもとに経済安定成長の維持に努めてまいることは当然だと思います。 そうなりますと、企業収益がどう動くかということですけれども、直ちに私どもは悪化すると考えておりません。もちろん、これから十二カ月以上あることでございますから、税収の動向については十分注意してまいらなければなりませんが、現在のところ御提案申し上げております予算の中の税収、ことには法人税収がふえるか減るかということについて的確な判断材料は持ち合わせておりませんし、おおむね現時点で、強いてお尋ねがあれば八兆五千億円余といういまの法人税収であるということをお答えする以外にはないと思います。
○古川委員 では、以下順次個々の問題についてお伺いを進めてまいりたいと思います。 先ほど目玉の最初に上げました租税の特別措置の問題でございますけれども、両面から伺いたいと思います。 このたび大幅な整理合理化をしたその内容について、整理の仕方にいろんな形があることはこれまで議論を通して理解をしてきたわけでございますけれども、その中に特に中小企業関連であるとか、公害防止対策関連であるとか、そういったものが含まれておりまして、それぞれの関係の企業体あるいは団体と調整を進めてきた、その調整はうまくいったというふうな答弁を伺ってきております。それぞれ関連の省庁と企業ないし団体関係者との調整を進めてきて、その上で各省と大蔵省との間で最終的な結論を出し、整理合理化する事項を挙げてきたということでございましょうけれども、大蔵省が直接そうした関係団体との調整を行われて、そのいずれについても、この特別措置の改廃について、それぞれその役割りを十分終えたものであるとか、あるいはここで整理合理化をしてしまえば大きな支障を残すといったような懸念、問題点を整理してお残しになっておれば、その点を御説明いただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 租税特別措置でございますから、政策税制を設定いたしました際の必要性と政策の必要性というものは、その後の経済の推移に応じて変わっていくわけでございましょうし、変わることを見届けて整理改廃を行ってまいるというのが基本的な態度である、これは繰り返し申し上げてまいりました。 それで、どういうふうに政策税制が効果を発揮しており、どういうふうにそれについて切り込んでいく余地があるかということにつきましては、政府提案の税法でございますから、その作成過程におきまして担当の各省からいろいろな意見を承り、もちろん、措置の必要があるという御意見の方が現実多かったわけでございますけれども、それは全体の関連からして、この際廃止していただかなければならない、それから、存続するとしても整理縮減をお願いしなければならない、非常に長い間かけまして各省と意見の調整をいたしました。私どもは関係の団体と直接当たるということは仕事のたてまえ上ありませんので、大体は各省各所管部局を通じて、経済の現実での働き、そこでの税制の持っております意味というものについての議論をいろいろしてまいって、ただいまのような形で御提案をしたというふうに御承知願いたいと思います。
○古川委員 企業関係を初めとして、租税特別措置についてはこれが最終的だ、もうほとんどぎりぎりのところまでやったという御説明もあるわけでございますけれども、そういう御判断でございますか。
○高橋(元)政府委員 特に企業関係の租税特別措置ということだけ取り出して考えますと、五十一年から、私どもなりにかなり精力的に取り組んできたつもりでございます。その結果、過去五年間に、五十年末現在の企業関係の特別措置の中の八五%というものにつきましてあるいは廃止し、あるいは整理縮減を図りました。今回も、前から申し上げておりますように、全面見直しという方針で臨んでまいりましたので、ただいまのところまででは、税制調査会の御答申にもありますように、おおむね一段落したと言ってよいだろうという御評価をいただいておりますし、私どももそういうふうに思っておるわけでございます。もちろん、まだこれから先経済も動き、社会も動いていくわけでございます。そういうものの中で、これからも租税特別措置、政策税制の見直しということは引き続いて問題にはなりましょうけれども、一律の方式で整理をするということは、五十五年度の税制改正で取り組んで、おおむねその目的を達しておるというふうに認識しております。
○古川委員 大蔵省は、先般衆議院の予算委員会に租税特別措置の減収額を御報告になったわけでございます。これは今度の整理合理化から残った分であろうと私は理解をしておりますけれども、この特別措置による減収額を九千八百十億円というふうに発表されて、資料をいただいておりますけれども、このうち企業関係分が千八百七十億円、租税特別措置による減収額の税目別で見ますと、最も多いのが所得税関係で七千四百六十億円、これはマル優、いわゆる少額貯蓄非課税制度による減収額が二千六十億円、さらに医師優遇税制、これは社会保険診療報酬の課税の特例、これが千六百八十億円、生命保険料の控除で千六百三十億円、税目別で挙げますと、こういう減収額を報告でございます。特に企業関係では、企業優遇税制という批判にこたえて非常に努力をしていらっしゃる、評価をいたしますけれども、減収額は千八百七十億円、先ほど申し上げたとおりでございますが、これは五十四年度の税制改正ベース二千二百六十億円に比べて三百九十億円減っただけだという指摘もなされているわけでございまして、この減収額という面から見ると、この問題にこれからどう対処していく御予定であるか。その点の御説明をいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 政策税制の必要性というものは、非常に期間を限り、かつ目的をしぼって、真に国民経済上必要なものに対して政策税制の措置をいたすということの必要性はあると思います。ただ、政策税制につきましては、慢性化するあるいは効果のないものについて過剰に講ぜられるという傾向ももちろんありますので、それの縮減を図ってまいるわけでございますが、五十四年度ベースの租税特別措置の減収額は、いまもお話のありましたとおり二千二百六十億円でございます。これは法人税の減収額でありますので、法人税の税収予算額に対する割合で見ますと、三・四%でございまして、本年の千八百七十億円は、五十四年度の当初予算に比べて、かなり増加いたしました法人税をもとにしての五十五年度の見込みでございますから、法人税収に対する減収割合は二・二%でございます。そういう意味では、かつて九%まで法人税の税収を租税特別措置によって減らしておった時期もあったわけでございますから、二・二%ということで、それで安んじてよいということではないと思いますけれども、かなり整理をしてまいったということが申し上げられると私どもは思っております。
○古川委員 次に、いわゆるグリーンカードについてこれまでたくさんの御発言がございましたけれども、重ねて幾つかお伺いをしてまいりたいと思います。 これは、こうしていわゆる総合課税に移行するということについて評価されると同時に、この優遇に対して、三年、四年その措置が延長された、それはカードの導入についての準備の必要性ということを強調していらっしゃるわけでございますが、これは、カードの導入をしなければ不公平を残すことになり、混乱を生ずるという御説明ではありますけれども、いち早く総合課税に移行して、多少そうした不公平を残しながらでも、その中でこのグリーンカードの導入についての国民の理解あるいは合意というものを得ていくということも考えられるのではないか。五十九年一月一日から実施をするということを一つの交換条件にして総合課税の移行をおくらしたという批判が非常に強いわけでございますが、この点についてはどのように判断していらっしゃいますか。
○高橋(元)政府委員 利子配当所得を総合課税に持っていくということにつきましては昭和四十年以来の懸案でございまして、四十五年、これは源泉分離選択制度をつくったときでございます、それから五十年、五十五年と十年間を経まして今度移行する措置をお認めいただくことになるわけでございますが、私どもは、本来の所得税の総合累進課税というたてまえから、利子配当所得の総合課税ということをぜひ実現したいと思ってまいりましたし、できるだけ早い時期からその実現を図りたいと思っておるわけでございます。 ただいま、五十九年一月一日まで四年間の準備期間を残すことを交換条件にしてというお話もございましたけれども、私どもは毛頭そういうふうに思っておりません。非常に急いでそういうふうに、グリーンカードのための電算機システムとか金融機関の対応体制とか、さらには六千万か七千万に上りますところの預金者のカードの交付というものを円滑にやっていくということが必要でございます。それと、切りかえも五十九年一月一日で一日で済んでしまうということはとうてい起こり得ないと思いますので、実は五十八年の一月一日から交付はするという御提案をしておるわけでございます。そうしますと、五十七年度にはグリーンカードシステムが、任意交付という形にはなりますけれども、動き出すわけで、したがいまして、いま五十五年度を迎えようとしておるわけでございますから、二年有余の間に粗漏のないような形でぜひ移行して、それから一年並行制をとりまして、それから五十九年一月からは単独のグリーンカードになりますけれども、なお従来の非課税貯蓄申込書等は効力を有する、切りかえ期間になるということで、私どもとしては国税庁とも相談もいたしましたし、金融機関の対応体制につきましてもいろいろ話を聞きまして、最も早い時期を選んだつもりでございます。
○古川委員 このグリーンカードと国民の納税総背番号制との関連、同僚の先生方がずっと質問をしてこられたわけですけれども、これはグリーンカードがうまく機能しない場合に、やはりその意図しているところは納税総背番号制の導入じゃないかということがまだ危惧として残ってきているわけでございます。うまく機能しないなんということはあり得ないと確たる自信をお持ちなのか。もしうまく機能しない場合にはやはり総背番号制へ移行せざるを得ないという、その辺の読みと申しますか前提をお持ちなのかどうか。その点明らかにしていただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 一昨年の秋から税制調査会で利子配当の総合課税化のための方策について御審議を願ってきました。昨年は利子配当課税特別部会というのを設けて専門的な御検討もいただいたわけでございます。そこで、税制調査会の御意見としては、利子配当所得を完全に把握して総合するということのためには、いわゆる納税者番号が一番いい。しかし、いまの段階では納税者番号について直ちに国民の御理解も得られないことだから、グリーンカードをもって総合課税に移行すべきだということでございました。 いま御提案しております所得税法改正案の十一条の二というところにいわゆるグリーンカードの趣旨というのが書いてございます。恐縮でございますが、ちょっと読ませていただきますと、「国は、郵便貯金及び少額預金の利子所得等の非課税の制度の公正な運営と利子所得、配当所得等の適正な課税の確保等に資するため、」「郵便貯金の預入をしようとする者または」「(少額預金の利子所得等の非課税)の規定の適用を受けようとする者の申請に基づき、これらの者がこれらの規定の適用を受けるために必要な証票として、少額貯蓄等利用者カードを交付するものとする。」となっております。これはすなわち申請によって交付をするということで、強制付番というような納税者番号制度とは根本的に性質を異にしております。 それから第二項でございますが、グリーンカード及びその記載事項については、グリーンカードの「交付を受けた者が自己のために用いる場合を除き、国税に関する事務に使用する以外の目的にこれを用いてはならない。」となっておりまして、利子所得課税の適正な把握、総合ということ、それからそれを初めとする国税に関する事務に限定をしてこのグリーンカードの運営をしていくということを法律案にも書きまして御審議を願っておるわけで、そういう意味で、お尋ねのような総背番号制につながるという危惧を私ども毛頭持っておりませんし、このグリーンカードシステムの効果を円滑に発揮するように今後とも政省令の段階において十分工夫をしてまいりたいというふうに思います。
○古川委員 総合課税への移行という大きな政策転換でございますから、いろいろ大きな動きが伴うわけでございますけれども、いわゆる徴税費の大幅増になるんじゃないか、こういう指摘もあるわけでありまして、当然コンピューターによって処理されるわけでありますけれども、いろいろな抜け道を防止するために非常に仕組みも複雑多岐になるんじゃないかと考えられます。金融機関側でもそれに必要な人手、それから行政側でもそれに対応する陣容というものは当然必要になってくる。したがって、この点について五十九年の一月までに完全な体制をとる、このグリーンカードの導入によって総額どれだけの予算を見込んでいらっしゃるのか。かつて徴税当局は総背番号制を採用した場合の予算を発表していらっしゃるわけでございまして、それと比較をしてどうなのか。最初に申し上げましたとおり、総合課税への移行という政策転換でございますから、いろいろやむを得ない点もあるかもしれませんけれども、徴税当局として行政の簡素化という時代の流れと相矛盾した点は当然抱え込まなければならないわけでございます。その点の御所感をひとつお伺いしたいと思います。
○伊豫田政府委員 お答えいたします。 少額貯蓄等利用者カード制度を導入した場合の所要経費につきましては、今後その制度の具体的な詰めは、細目についての詰めと並行して詰めていくべきものと考えておりますけれども、現段階でいろいろの前提を置いて計算しましたところにつきまして、先般当委員会で、一つのめどとして経常年度で二百億円前後という数字を得ているということを御報告申し上げている次第でございます。現在、徴税費は国税収入額百円当たり約一円五十銭になっておりまして、少額貯蓄等利用者カード制度の導入によりましてこれが大幅にふえるというふうなことは、現在の昭和五十五年度予算におきます徴税費の全体が約三千四百億円という数字から見まして、著しい増加は考えられない、このように考えております。 それからもう一点、納税者番号制度についてのコストとの関連でございますが、確かに五十三年九月、税制調査会におきます報告におきまして、納税者番号制度の所要経費というものを一つの粗っぽい試算として提出さしていただいております。これは現在よりすでに一年半近く前のことでございますし、それなりに幅を持って二百ないし三百五十億円というふうなことを一つの試算であることについての十分の御理解を得た上で提出しております。 今度申し上げました二百億円ということとのバランスでございますが、少額貯蓄等利用者カード制度の場合には、納税者番号制度、これはその当時提出いたしました案といたしましては全国民に付番をするという制度でございますが、それに比較いたしますれば、もちろん付番する対象の人数が相当数減少しております。そういうことで、納税者番号制度よりは低い費用で実施できる、大体バランスがとれているような数字になっていたのではないかと考えておりますが、いずれにせよ、ただいまようやく二百億円という数字をある程度めどとしてここで申し上げることができるような段階の、その一年半前の数字でございますので、その点は御理解願いたい、このように考える次第でございます。
○古川委員 さて、この総合課税への移行でございますが、グリーンカードの導入によって一応課税の公平化は一歩前進をするということでありますけれども、先日来、根本的に不公平の是正ができないんじゃないかという問題点としてまだまだ不安が残っておりますのは、いわゆる郵便貯金、特に定額貯蓄の本人の確認、名寄せが不完全ではないかという点、このグリーンカード制導入について、そういう意味では民間金融機関にはかなりそうした不安が強いわけでありますけれども、関係の調整、その理解を得る努力というのはもう完結しているのでありましょうか。不安は残っていないのか。きょうは郵政省からもおいでをいただいておりますので、後ほど郵政省のお立場を伺いますけれども、まず大蔵省からお伺いしたいと思います。
○高橋(元)政府委員 今回御提案を申し上げておる所得税法の改正案、それから租税特別措置法の改正案、この中でグリーンカード制度の法律事項というものは御提案をしたとおりであります。この制度を構成いたしますために私どもが一番重要だと思いましたことの中の一つに、この新しいグリーンカードシステムが、個人の、または法人の金融資産選好に影響を与えてはいけないということがございました。そういう趣旨で民間の金融機関、これも銀行、それから証券会社、それから郵政省とそれぞれ御相談をいたしまして、いま申し上げた金融資産選好に対して中立的であるというような制度構成に心を注いだつもりでございます。 そこで、それぞれこれから先、実際の窓口の実務、それから行内の預金なり証券類の得意先別の総合事務、そういうものの具体的な細目を見まして政省令または取り扱いの通達の段階で詰めていくわけでございますから、これから先はいま申し上げましたような根本的な趣旨にのっとりまして、御提案の法律の中の政令なり省令なりというものの細目を詰めていく段階でそれぞれのお立場の実務なり実際のあり方、それからいろいろな御批判というものを取り入れて制度の完成を図りたいというふうに思います。
○古川委員 大蔵省は民間金融機関、銀行の定期預金と郵便の定額貯金との商品の差である。税制上の公平さとは異質のものだという見解もお持ちじゃないかと思うのですけれども、この点はどうなんでしょうか。実際にこれはグリーンカードを導入した場合に名寄せの問題が一つのかぎになりますけれども、郵政省側は、後ほど伺いますとおり、非常に強気でこれは完璧にできるとおっしゃっている、その辺に不安も残るわけでありまして、いわゆる銀行の定期預金から郵貯の定額へ資産がシフトするのは避けられないという点はいかがなものでしょうか。
○高橋(元)政府委員 民間の非課税貯蓄でございますが、これは五十八年十二月三十一日までに非課税貯蓄申告書を出していただいて、設定された営業所ごとの非課税限度額というのがございますけれども、その非課税限度額は五十九年一月から十二月までの間にグリーンカードに書きましてお店の支店長なら支店長の確認を受けることによって六十年一月一日以降も継続適用になるわけでございます。 これに対しまして、郵便貯金は三百万円の預入限度額というものが郵便貯金法のシステムの中に書かれております。新制度のもとにおいても当然特別の申告とかそういう必要がございませんで、継続していくという点に相違があるということだと思います。いまの御指摘はそういうことかと思います。 しかし、これは非課税限度額について、民間の場合は設定に一定の手続を要する現状で申し上げますれば、非課税貯蓄は限度額の申告書の提出がございますし、五十九年から先はグリーンカードに店ごとの限度額を書く、そして支店長の確認を受けるということでございますが、そういう手続を要することになっておるのに対しまして、郵便貯金は法律で三百万円と定められておって、枠の範囲で総額制限を突破した場合には郵政大臣が減額措置をいたすという定めになっておりますので、その点が違っておるわけでございます。しかし、五十九年一月一日以後預入のものにつきましてはグリーンカードの提示が義務づけられるという点では、制度的に郵便貯金も民間の金融機関の貯蓄も同一の方法で新制度に移行するわけでございます。 いま仰せのありました架空名義の預金、そういうことがあってはいけないことでございましょうけれども、限度額を超えておったマル優というようなものが郵便貯金にシフトするのではないかということでございますけれども、この点につきましては、郵政省の御協力も得てそういうことがないように十分対処してまいるという所存でございます。
○古川委員 郵政省にお伺いいたします。 私の手元に郵便貯金の実態の資料がございます。これを一々申し上げていますと時間の関係でできないわけでありますが、ここ数年来の実態でございますが、定額貯金の証書の枚数一つにいたしましても昭和五十四年度で二億三千五百九十五万枚、それから名寄せの実態については、全国二十八カ所ですかの各貯金局ごとに行っていて、全国統一では行っていない。各省庁ブロック機関の整理再編成の計画案ではこれが九カ所の貯金局に整理されるということは聞いておりますけれども、なおかつこれは全国統一ではないわけであります。そのほか、国税庁の抜き打ち調査による税務調査の状況であるとか、あるいは郵便貯金の利用による脱税を防ぐ対策の実態、一生懸命やっているという国会答弁を繰り返してはいらっしゃいますけれども、その実態はかなりさびしいものがある。そういうことを踏まえて、先ほどから申し上げてまいりましたグリーンカードヘの移行について非常に大きな矛盾、根本的な不公平を残すのじゃないかという観点から私は御質問申し上げているわけでありまして、その点についてまとめてお伺いをいたしましたけれども、明確に御答弁をいただきたいと思います。
○小倉説明員 御質問の趣旨でございますが、郵政省といたしましては郵便貯金につきましてはまず名寄せでございます。全国の郵便局のどこの窓口で行われました預入につきましても、原則といたしまして一般の郵便貯金につきましてはお一人三百万円、このような預入限度が定められておりますので、全国一本で名寄せする必要がございます。そういう趣旨で、私どもでは、いわゆる貯金の原簿を所管しておりますのは全国に二十八カ所でございます地方貯金局でございますが、この地方貯金局に預入をなさいました預入申込書が上がってまいりますと、この写しをそれぞれの地域ごとに交換するというような形でこの預入申込書のデータを預金者の方の住所地を所管いたします地方貯金局に集めまして、全国一本で名寄せをいたしまして、預入限度額の管理を行っているところでございます。 それで、現在のところ何分手作業でこれを行っておりますので、制限額の超過の事例につきましてはほとんど把握できておるというふうには考えておりますけれども、そういうような状況で多数のものを手作業で名寄せ区分を行っておるという状況でございますので、必ずしも完全ではないという面もあろうと思いますが、今後、ただいまちょうど郵便貯金の事務処理につきましてはオンラインシステムを用いましたところの総合的な機械化計画を進行させておるところでもございますので、逐次このコンピューターの導入につれましてこういう名寄せ作業といいますものもコンピューター処理で行う、こういうようにやってまいりまして、一段と正確な、また迅速な、また効率的な名寄せに移行いたしまして厳正な限度額管理の運用を期したい、このように考えております。 そういう趣旨で、私ども、五十九年からのいわゆるグリーンカード制度の導入につきましてより一層の本人確認の資料としての効果が上がるというようなことで、郵政省といたしましても郵便貯金をこのグリーンカードの制度の対象にするということに考えておるわけでございますけれども、それまでの間におきましても、いま申し上げましたようなコンピューター処理によります名寄せ管理でございますとか、あるいはさらに郵便局の窓口におきますところのいろいろの手段によります本人確認等、さらに一層厳正に運用することにいたしまして、先生御指摘のようなことになりませんように一層の厳正な運用を図ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○古川委員 このグリーンカード制度の導入によりまして、郵便貯金の名寄せは結局郵政当局の厳格な限度額管理に期待をするしかないということなんでございましょうか。国税庁の抜き打ち調査の結果でも、たとえば脱漏所得を郵便貯金千五百万円にしていたとか、あるいは郵便局の外務員が架空名義の貯金を勧めたとか、そういう事実が先日来明らかにされてきているわけでございますけれども、いずれにしても、このグリーンカードを導入いたしましても、民間の預金は最長期で二年の定期、郵便貯金の定額貯金は十年の定期、これはどうしても郵便貯金が有利になるということは動かせないことでありまして、その不公平を埋め、このグリーンカード導入によって残る不公平を解消するためには、郵便貯金法の改正というところまで詰めなければならないわけでありますけれども、その点についてはどのように検討をしていらっしゃるのか、そういう方向にあるのかどうか。
○小倉説明員 郵便貯金は所得税法によりまして原則非課税、このように規定されておりまして、これはまた今回の改正法案内容を拝見いたしましても、原則非課税でございますけれども、五十九年からはこのグリーンカードを提示して預入をいたしますと、提示の際にグリーンカードの番号を証書等に記載をする。そして、この記載のない証書等を払い渡しました際には、郵政官署から税務官署に通知を申し上げる、このような仕組みになっておるわけでございます。こうして、こういうカード提示をいたしましてのカード番号の記載というものをいたしません証書等につきましては非課税の対象とならない。このようなことがすべて所得税法の範疇で規定されておることろでございます。 そういうことでございますので、この所得税法の改正、あるいはこの所得税法体系の規定の中で郵便貯金のそういう課税、非課税に関します規定分けと申しますか、そういう規定はすべて完結しておるのであろう、このように私ども考えておりまして、現在のところ郵便貯金法の改正というものに特に及ぶ必要はないのであろう、このように考えておるのでございます。
○古川委員 大蔵省の当局に重ねてお伺いをいたしますけれども、これは先ほど私は郵政当局の厳格な管理に期待するしかないのだろうという言い方をいたしましたが、この郵便貯金にも税務当局の監視の目が厳しくなってくると、さらに無記名の公社債とか割引債、あるいは海外への資金の移行、そういうことも考えられるわけでございます。その点についての対策はいかがでありますか。
○高橋(元)政府委員 無記名公社債につきましても、今度の法律案の中にございますように、グリーンカード、非課税貯蓄等利用者カードの提示を求めておるわけでございます。それによりまして本人であることを確認し、かつ告知をするということになっております。そういう意味では、無記名の公社債類につきましても、これによります本人確認と課税、いわゆる所得の把握ということは、このカードシステムのもとで従来に増して円滑に行えるようになるというふうに思います。 海外の預金利子の受け取りについての本人の告知と申しますか把握でございますけれども、その点につきましても現在いろいろと関係のところと相談をしておりまして、一つだけそういう飛び抜けたパラダイスができないような形で工夫を重ねておるところでございます。
○古川委員 では、次に移ります。 土地税制の問題でございますが、今回の土地税制緩和の部分でございますけれども、一つにはこれが大手の企業や大土地資産家に非常に有利な緩和制度ではないかという指摘がございまして、この緩和策によってどういう効果を具体的に期待をしているのか。宅地の供給についても、この税制だけでなくほかのいろいろな施策との相乗効果を見ながら、政策効果の目標に近づけていくという御説明がございましたけれども、先般の建設委員会での大蔵省の御説明等を聞いておりますと、この税制の緩和によっては宅地の供給にはさしあたってつながらないという表現をされているわけでございまして、今回のこの緩和の程度、割合についてどこまで期待をしていらっしゃるのか。数値的にお挙げいただくということは、これだけの緩和策をすれば宅地の供給がこれだけ進むというものは挙げにくいかもしれませんけれども、今回の緩和策で一つの効果を見守っていくのか。あるいは今後さらにこの緩和という方向を強めていくのか。その辺の方向も含めて御答弁をいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 今回の土地税制の改正の御審議をお願いしておりますが、その眼目は、現在のような厳しい財政状況のもとにおいて土地譲渡所得者に対して大幅の税の軽減を行うことは適当でないということが一つ基本的にございます。しかし、三大都市圏特に首都圏における土地、住宅問題に対処するという観点から、こういった地域における市街地の地価の水準なり宅地供給の実態を考慮して円滑な宅地の供給を促進するとともに、立体化、高度化による土地の有効利用を推進するため、長期譲渡所得課税について所要の見直しを行う、これが基本の考えでございます。 したがいまして、具体的には御案内のとおりでございますけれども、一般の長期譲渡所得の場合二千万円から八千万円までの部分について、四千万円まで二〇%比例とし、四千万円から八千万円の間は二分の一総合課税といたすという改正をさせていただきました。もう一つは、本年度の税制改正で設けられました優良住宅地の範囲を拡大をさしていただいております。それは土地区画整理事業につきまして仮換地の指定を受けた土地についてこれを優良住宅地に含めるということ及び現在一団の住宅地に三十戸以上のマンションまたは五十戸以上の建て家をつくって分譲いたします場合の用地について優良住宅地としての戸数要件を半分に下げたということでございます。それからもう一つは、これはいわゆる立体換地と言っておりますが、俗にそう言ってよろしいかどうかわかりませんが、現在住んでおります宅地を売りまして四階以上の中高層耐火共同住宅をつくった場合に、そこに買いかえを認めるという新しい制度を入れたわけでございます。 その三つの制度に即して、くどくなりますが申し上げますと、二千万円までの比例部分を四千万円まで広げたのはどういうことかということでございますけれども、現在二千万円までを超す譲渡というものがことに住宅難、宅地難が言われております東京の国税局の管内の市街化区域について観察をいたますと、二千万円を超す譲渡は一五%ぐらいでございます。これでは恐らく土地が二十坪か四十坪ぐらいしかない。東京あたりのかなり離れましたところを考えましても、そのぐらい細分化された取引になってしまう。それを四千万円まで比例ということで税負担を明確にいたしました場合には、約七割ぐらいがふえてまいるのではないかというふうに思うわけであります。それから八千万円と申しましたのは、通勤圏の坪当たりの地価を大体二十万から百万ぐらいというふうに考えますと、大体三百平米以上のものが約六割ということになっておりますが、そういう三千万から四千万の取引を拡大させていくということを考えますと、これをやはり四千万円から八千万円ぐらいまで広げていくということが必要ではないかと思うわけであります。 それから仮換地以下のものは、これは優良住宅地を現実に即して、より運営しやすくしていくということでございまして、この優良住宅地も、ことしの確定申告の状況を分析していきませんと、優良住宅地制度でどれだけ宅地の供給がふえたかという的確なお答えをいたしかねるわけでございますが、昨年の秋あたりの東京都内の不動産業者による土地の買い取りを見ますと、かなり優良住宅地によります二分の一課税というものの効果があるという情報もございます。そういう意味で、東京都内、東京都近辺、三大都市圏近辺の優良住宅地の供給をふやすと同時に、一般的に長期譲渡の対象になりますような土地につきまして、大体八千万円と申しますと八十坪から百坪ぐらいでしょうか、もう少し大きくなるのでしょうか、そのくらいの土地の供給に資するような制度であるということは私ども確信をいたしておりますが、さて、いま先生からお話のございましたように、定量的に幾らかということは私どもなかなかわかりませんのと、それからもう一つは、他の土地住宅政策との絡みで土地税制の効果が出てまいるわけでございますから、したがいまして、建設委員会でどういうふうに申し上げたか私はよくわからないのですが、定量的に把握して幾ら幾らの供給促進があるというふうには申し上げられませんと、それともう一つ、ほかの政策との関連もございますというふうにあるいはお答えしたのかとも思いますが、いま、今度の改正が宅地の供給の緩和につながらないということはあり得ない、むしろつながる方向で実を結んでいくのではないかというふうに思っております。
○古川委員 残りはまた続けてお伺いすることにいたしまして、きょうの最後に、いわゆる妻の座の強化が再々話題になりまして、今回民法の改正に伴って税制面でもこれは改正をするということを伺っているわけでございます。配偶者の取り分だけ民法改正に合わせて今度措置をする、そのほかの今回改正で新設をされる寄与分については、何ら手直しをしていない、これはどういう意図によるのか。いろいろ皮肉な見方もあちらこちらでされているわけでございます。その一々は申し上げませんけれども、その点の御説明をいただきたいと思います。 それから、非常に古い議論でございますが、いわゆる二分二乗方式、改めて申し上げるまでもありませんけれども、夫婦者はその課税所得を折半して各税率を適用し、その税額を二倍したものを納付税額とすることだそうでございますが、これまでこの議論については、個人の財産形成の問題としてまだ触れられない分野とされてきたわけであります。今回の民法の改正によって、これに対して何らかの手をつけるのか、検討を始めるのか、その点あわせてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 民法改正によりまして寄与分の制度が設けられるわけでございますが、この寄与分の制度は、御案内のとおり、寄与相続人とその他の相続人の間の遺産分配上の公平というものを実現いたしますための制度でございます。財産の増加なり維持に特別の寄与をした方、たとえば中小企業の息子さん、農家の息子さん、こういった相続人が遺産の分割協議または遺産の分割の審判におきまして、寄与の方法、程度の事情に応じた相当額の財産を取得することができるようにするということでございます。そういうことでございますから、寄与分はいわば相続権と申しますか、被相続人の受け入れます相続財産についての権利の中身でございます。ですから、寄与分といえども相続人が相続によって取得した財産そのものだということは申し上げられると思いますから、それに相続税がかかることは当然ではないかというのが私どもの考えでございます。 寄与分は、遺産分割の協議、審判において、寄与の方法や程度に応じて個別に定められるということがたてまえになっております。法定の相続分を寄与分によって修正するという考え方は、今回はとられておりません。したがいまして、相続税の課税上何らかこれについて軽減措置を講ずるということに仮にいたしますと、相続人相互の協議で任意に寄与分としての額が定められてしまうことになって、同じ相続財産について、相続人の数が変わる以外の理由で税額が動いてくる、相続税の負担が動いてくるということがございます。それがたとえ寄与分として妥当なものでない場合でも、税務当局が寄与分を査定することはできませんので、したがいまして、真に寄与相続人であるかどうかという判定を税務当局が行うというわけにはまいりませんから、そうなりますと、相続人相互の自由な意思で寄与相続人と寄与分を決めてしまえば相続税負担がそれだけ軽くなってしまうということで、横の公平という観点から、これについて軽減措置を講ずることは相当ではないのではないかというのが私どもの考えでございます。 それからもう一つ、二分二乗についてのお尋ねでございますけれども、たびたび引用させていただいております五十二年の中期答申の中で、いわゆる消費単位と申しますか世帯単位の課税につきましては、諸外国の制度が一つの方向に固まってきている状態にない、したがって、わが国において稼得者単位の課税になっておりますが、それを変更しなければならない状況にあるというふうにも思われない。そこで「税負担関係に著しい変動をもたらす課税単位の変更については、いましばらく事態の推移を見守っていくのが適当である。」こういうお考えが示されております。 働かない奥さんと申しますか、御主人の収入で暮らしております場合には、二分二乗が一番効くわけでございますけれども、奥さんに収入があります場合には、二分二乗によります税負担の軽減というのはそれほど大きくない、だんだん共かせぎもふえていくわけでございますから、そういう状況のもとで二分二乗課税に踏み切ることには問題があるのではないか、それから独身の方または寡婦の方といった方には税負担が重くなっていくのではないかという問題もかつて指摘されたことがございます。そこで、現段階で、民法の改正の機会に二分二乗方式を検討するつもりはないのかというお尋ねでございますれば、私どもはいまそれを取り上げる段階ではないのではないかという考えでございます。
○古川委員 お約束の時間が参りましたので、私の質問はこれで終わりますが、このほか質問の準備で通告を申し上げておりました行政改革にかかわる問題、それから中古住宅に関する問題、それぞれ建設省、労働省においでいただいているわけでございますが、時間の都合でそこまで参りませんでした。あすの質問に譲らせていただきたいと思います。お許しいただきたいと思います。終わります。
○増岡委員長 次回は、明十九日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十八分散会