大蔵委員会 第11号
- 発言数
- 162 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/03/07
会議録
○増岡委員長 これより会議を開きます。 所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田弘君。
○柴田(弘)委員 ただいま提案をされております所得税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、順次質問をさせていただきたいと思います。 ちょうど五カ月前の十月七日だったと思いますが、私は初めて新人として当選をいたしました。ちょうど五カ月間たちました。その間、衆議院本会議における質問を初めといたしまして予算委員会あるいは当大蔵委員会、これでちょうど六回目の質問になるわけです。大蔵大臣に対しましても四度目の質問になります。きょうはまた大臣のいろいろと御指導をいただくという意味も込めまして質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。 私は、まず第一に財政再建と税制改正、特に不公平税制の是正という問題につきまして大臣の御認識、御所見をお伺いしていきたいと思います。 これは申すまでもなく、財政再建を今日の政策課題の中で最優先としていくからには、一つは歳出の節減合理化はもちろんでありますが、歳入面におきましても不公平税制の是正というものを徹底的に行っていかなければならない、不公平税制の是正に視点を置いた税制改正がいま非常に重大なときに来ているのではないか、私はこのように感ずるわけでありますが、この不公平税制の是正という問題につきまして、まず大臣の御認識、御所見を伺ってまいりたいと思います。
○竹下国務大臣 御指摘のように、財政再建ということにつきまして、およそ今年度はまず出るを制するという考え方から公債の一兆円減額あるいは一般歳出の伸び率を五・一%、そして三番目にいま御指摘の税制面の見直し等を行ってきたわけであります。五十五年度におきましては、利子配当課税について総合課税へ移行するための所要の措置、すなわち、言われるグリーンカードシステムの導入の準備を始めるということをお願いをいたしておるわけでありますが、企業関係の租税特別措置につきましては廃止または大幅一律縮減など思い切った整理合理化を行うこととしておりまして、税制調査会の五十五年度答申においても明確に述べられておりますように、五十一年度以降の改正によって政策税制の整理合理化はおおむね一段落したものと考えている、こういうことに評価をいただいておりますので、そのように申し述べておるところであります。したがいまして、今後とも税負担の公平の確保につきましては、実態に即して税制そのものは絶えず注目していなければならない課題でございますので、努力してまいらなければならない、このように考えております。
○柴田(弘)委員 それで、今後のこの不公平税制の是正、いま大臣の御答弁によりますと、おおむね租税特別措置においても一段落をしたという評価を得ている、しかし、まだ今後とも努力していかなければならないという御答弁であったと思いますが、しからば今後不公平税制の是正に向かって、どのような点がまだ不完全であり、是正をしていかなければならないか、この点ありましたら御答弁をいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 五十二年に税制調査会でいわゆる中期答申というのを御審議いただいたわけでございますが、その中で、ただいま大臣からもお話のございましたように、租税特別措置の中のいわゆる政策税制というものにつきましては、経済社会情勢の変遷と申しますか、時代の要請に応じて常時真にやむを得ない必要なものに限定していくべきだ、そのための見直しを行うべきだということを言われたわけでございます。 その中で、典型的に、社会保険診療報酬課税なり、利子配当所得課税なり、有価証券譲渡所得課税なり、準備金、特別償却なり、それぞれにつきまして一層その整理合理化に努めるべきであるというこの項目についての御方針が私どもに示されまして、それに基づいて毎年の税制改正を進めてまいったわけでございます。 そのほか、いわゆる世上不公平税制と言われる場合にしばしば指摘されております法人と個人との所得課税の調整の問題、いわゆる法人税の基本的仕組みの問題につきましては、その変更が企業の資金調達の形態なり、個人投資家の金融資産選択なり、税負担のバランスなりに重大な影響を及ぼすものであるから、その影響や効果をよく見きわめて、諸外国の動向も考慮しつつなお時間をかけて検討せよという御指摘がございまして、私どもも昨年来税制調査会でこの問題についての企業課税の基本的な仕組みに関しましての精力的な審議を始めていただいておりますし、それをさらに本年度も深めていきたいというふうに考えておるわけでございます。 それから、引当金の問題が法人税についてございまして、これも、いわゆる不公平税制の中にカウントされることがあるわけでございますが、引当金が法人税の所得計算上の合理的な会計上の要請であるということにつきましては、税制調査会の中期答申でもそう言っておられるわけであります。引当金に対して繰り入れる率、これを常時適正化を図っていくということを努力すべきだということであります。これは貸倒引当金なり退職給与引当金なり、私ども、従前の、また本年度の税制改正におきましてもその点に配慮してきております。 それから相続税、資産課税の分野でも、たとえば富裕税について、さらに所得税の補完税としての位置づけというものを含めて、執行面における諸問題、その実施の可能性ということについて引き続き検討を重ねよという御指摘で、これにつきましても富裕税は目下国税庁とも相談をいたしながら種々検討を重ねておるところでございます。 現行の税制につきましては、そのほか流通課税、消費課税、所得課税それぞれについていろいろな御指摘をいただいたわけですが、不公平税制というお示しでございますけれども、私ども、税制の持っております本来の資源配分機能なり所得の再配分機能なり、さらには財政需要との兼ね合いでの税負担のあり方というものについて、各税体系を通じて総合的な見方をして十分勉強を重ねておるつもりでございますし、また、その点につきましては各機関、関係方面の御意見も十分拝聴して国民の御期待にこたえてまいりたいという所存でございます。
○柴田(弘)委員 そうしますと、たとえば法人税の税率アップの問題ですね、これは今国会においてもしばしば議論をされておるわけでありますが、この引き上げの問題については今後とも税制調査会の審議にかけていかれると私は考えるわけでありますが、一応五十六年度にそういった税率アップの方向でお考えになっているのか、その辺をひとつ明快にお示しをいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 法人の税負担水準、いわゆる税率の問題でございますが、これにつきましては、かねてからお答えを申し上げておりますように、わが国の法人課税の課税標準は外国とそれほど変わっていないと思う、しかし、実効税率で比べますと、主要諸外国のそれに比べて、わが国の水準はやや低い、したがって、今後適当な機会をとらえて法人税に若干の負担を求める余地があるというのが税制調査会の御見解であります。 わが国の法人課税は、法人税と地方税である住民税と、それから物税でありますところの事業税と三つの組み合わせでございますが、その実効税率は、大法人の場合四九・四七%、これは標準課税をやっておりますから四九・四七%でございまして、アメリカなりドイツなりイギリスなりフランスなりの水準に比べてやや低い。フランスとはほとんど同じでございますが、そういうところから、たびたび年度改正をいたします際に、法人にさらに負担を求めるべきかどうかということについての検討をほとんど毎年のように税制調査会でお願いをいたしております。 本年度五十五年度の御提案申し上げております改正の中での法人税率の取り扱いにつきましては、これは歳出の削減を第一義とすると、先ほども大臣からお話のありましたような方針で臨みまして、五十六年度以降の問題として、今後の税収の推移なり財政事情のあり方を考えますと、法人税の負担水準についての検討を欠かすことはできないというふうに思っておりますが、具体的な年度改正の問題として今後税制調査会にお諮りしてまいりたいという所存でございます。
○柴田(弘)委員 法人税の引き上げ、これは特に私はここでお願いをしておきますが、中小零細企業の法人に対しては御配慮をいただきたいと思います。そのために軽減税率二八%の適用部分を拡大をする、あるいはまた所得一億円以下は現行税率四〇%の据え置きの措置等々のこういった御配慮をいただきまして、時と場合によりましては、投資減税をセットするような方向で柔軟に対応していただきたい、このように要望を申し上げる次第であります。 それから、続きましてこれは大臣にお伺いをしておきますが、過日の本会議におきまして、私は今国会におきます財政再建の決議に絡みまして、一般消費税の問題につきまして御質問を申し上げたわけであります。財政再建に関する決議の中には、一般消費税によらず、まず行政改革による経費の節減、歳出の節減合理化、税負担公平の確保、既存税制の見直し等を抜本的に推進することにより財源の充実を図り、財政再建を進める、このような内容の決議がなされていることは大臣もよく御承知だというふうに思います。それで、当然大臣もこの国会決議を尊重をしておみえになると思います。 そこで、この一般消費税の導入の問題は、これはどうも国会における本会議あるいは予算委員会等々の御答弁を聞いておりましても、果たして五十六年度以降断念されたのかどうか、きわめて不明確だというふうに私は考えております。この一般消費税を五十六年度以降確実に大臣は断念されているのかどうか、ひとつ明確にお答えをいただきたい、このように思います。
○竹下国務大臣 これは御案内のように、私の答弁が非常に明快を欠くと言われる御批判を受けますことの一つは、御決議等をいただきます際にも、ずいぶん私どもも出かけまして、いろいろお願いをしたりして使った言葉が、いわゆる一般消費税(仮称)と、こういう言葉で使っておりますので、そのような御指摘を受ける一つの要因であると思います。 確かに本院における十二月二十一日の国会決議を読んでみますと、いま御指摘のとおりであります。したがいまして、政府が五十五年度に導入するための具体的方策として検討を進めてきたいわゆる一般消費税(仮称)については、決議が行われているところでもありますので、あのままの形での新税を提案できる環境にはないというふうに答えておるわけであります。 なぜこだわったかと申しますと、いわゆる一般消費税(仮称)というような特定の仕組みに限定するのではなくして、消費支出一般に着目するという意味での、幅広い消費支出に着目する間接税とでも申しましょうか、そうした一般的な消費税を今後一切否定するということは、税体系上もきわめて問題が大きいと考えられるわけでございますので、したがって、この財政再建のための歳入構造の健全化の必要性につきましては、国民の御理解が得られるよう今後とも十分努力をしていかなければならないと考えております。 くどいようでございますが、租税の諸形態について一応大別してみますと、まず直接税と間接税とに分かれていって、そして直接税の中で主たるものは所得課税であり、また二番目には資産課税であります。その所得課税を大別しますと、個人所得課税と法人所得課税、こういうことになります。そして資産課税は、相続税でございますとか、あるいは地方税の固定資産税でございますとかいうことになるわけです。そしてそれを直接税の範囲でくくりますと、間接税ということになると消費税、こういうことになるわけであります。 その消費税というものが、いままでも、たとえて申しますならば、酒税とか砂糖消費税、あるいは揮発油税、物品税、入場税、通行税、石油ガス税、地方税では電気税、ガス税というようなものもいわゆる消費税の範疇に属するわけです。したがって、一般消費税というもの全部が否定されたら、消費一般にかかる税体系というものが、これは学説の上でも行使できなくなる。そういう意味で、大変窮屈に物を申し上げておるわけでございます。 したがいまして、いずれにいたしましても、あのままのものをいまお願いする環境にないということは明確でございますが、将来いかにして——ことしは歳出の削減を主体にして予算を組みましたが、歳出歳入両面にわたって国会決議の趣旨に沿ってまいるためには、幅広い観点から財政再建の進め方についていろいろな問答を繰り返しながら進めていかなければならぬ、こういう趣旨で、非常にこだわっているようでございますが、税体系全体を否定するような状態になってはならぬということから、ときには間接税のワン・オブ・ゼムでございますとか、いろいろなことを申し上げたわけでございますが、詳しく申し上げますならば、いまのようなお答えの中で御理解をいただきたいと思います。
○柴田(弘)委員 そうしますと、昨年大蔵省当局が導入をしようとしておったいわゆる一般消費税、仮称、括弧がつくか知りませんが、これはもう現在の経済状況の中では導入をする状況にない。しかし、いま大臣がるるおっしゃった消費課税、これは否定するものではない、こんなように私は理解をしているのですが、そのとおりでよろしゅうございますか。(竹下国務大臣「結構でございます」と呼ぶ)しからば、いま具体的にいろいろと酒税等々についておっしゃったのですが、財政再建を進める、とりあえず五十九年度までに赤字国債をゼロにしたいという将来展望の中で、計画性を持ってこういったものをどういうふうにしていくのか、この辺のところが、正直に申しまして明確ではないというふうに思います。やはり、いま大臣もおっしゃったように、国民と問答を繰り返しながら、その理解を求めながらということであれば、少なくとも私は、赤字国債をゼロにしていく五十九年度までこういったものに対してこういうふうにしていくんですよということを国民に提示をされて、その理解と協力というものを求められてしかるべきではないか、このように感じます。大臣もこの国会等々でいろいろ御答弁なさっております。新聞等に消費課税云々というようなことが出ておるわけですね。これはもうただそれだけで、新聞を読む国民はどんなものだということが私はわからないと思いますよ。そこら辺のところを一つの将来展望といいますか、こうしていくのですよというものを、大臣が国民と問答を深めたい、こうおっしゃるならば、私は提示をされて、国民の理解なり協力なり、あるいはまた批判なりを仰いで一つの計画性を持った方向へ進んでいただきたい、このように私は考えるわけでありますが、その辺はいかがでしょうか。
○竹下国務大臣 いま柴田さんおっしゃいますのは、おたくの矢野書記長を初めとする御提案に財政計画を早くつくれ、こういう背景があってお尋ねなすっておると思うのであります。 確かに、財政収支試算というものは頼りないじゃないか、こういうことのお気持ちもあろうかと思うのであります。そこで、この中期の財政計画というものをどうやってつくってみるか。諸外国の例を見ますと、やはりつくるまでに十年かかった。しかし、日本人は頭がよろしゅうございますから、もう少しは早くできるだろうとかいろいろな感じでこの作業を詰めておるところです。具体的に作業を詰めておりますと、問題になりますのは、当然のこととして各省の協力を得なければならぬ、そうすると、各省の協力の中では、何だか数年にわたって自分の省の所管の仕事を制約されてしまうというような印象も全くないわけではない。それらをほぐしたりしながら、いままさに濃密な、密度の濃い作業を進めておるのです。 それで、めどとして五十六年度予算編成までにどのようなものができますか、一つのめどにおいて作業をしよう、そうすれば、国民の皆さん方にも、なるほど財政計画というものについてこれだけの負担が国民にも必要だなとかいうような議論をしていただける資料を提供するわけですね。日本の予算編成というのは、実際は諸外国に比べれば非常に開かれた予算編成であるとも一面言えるわけです。ただ途中で数字を出さないのはけしからぬ、こういう議論もございますけれども。したがって、財政民主主義の中でそういう手法は当然考えなければいかぬ時期に来たというので、鋭意そういう作業を進めておるというのが現状の実態でございます。 されば、いまおっしゃった、今度は税制でもこういうようなものを検討しておる、先ほど主税局長からあったように、税制調査会の五十二年の中期答申に基づいた中で、法人税はまだ余地がありますよとか、そうしたいろいろな御提言もなすっておるし、一般的に言えますのは、いわゆる直接税と間接税、直間比率というものにおいて日本は少しく間接税のウエートが低いじゃないか、こういう議論もいただけるでございましょうし、そういう理解の中に各方面の意見を聞いて、具体的には、されば五十六年度はこれをやりましょう、こういうことになっていくわけでございますので、こうしてきょう御意見を聞かしていただくようなことが、またこれは国民の代表と政府とが問答しているわけでございますから、これはいいことだというふうに思っております。
○柴田(弘)委員 そうしますと、いま財政計画のお話が大臣から出ましたが、いまのお話ですと、五十六年度の予算編成までに、大変な作業ですが財政計画は提示できるのじゃないか、こんなように私は理解をしてお聞きしておったのですが、それでよろしゅうございますか。
○竹下国務大臣 まだそこまで言う自信がないんですよ。だから、今年いっぱいにとにかく提示できるように努めます、こういうところまででいま政府部内を統一しておるわけです。私が行き過ぎたことを言ってうそをついたというふうになると大変でございますから……。
○柴田(弘)委員 五十五年中ということですね。——はい、わかりました。では、次に進めさしていただきます。 次は、今回の所得税法の改正の中での一つの目玉でありますところの利子配当所得の総合課税、いわゆるグリーンカード制度の導入につきまして質問をしていきたい、このように思います。 私どももこの利子配当所得の総合課税化につきましては従来から主張してまいりましたし、賛成をいたすわけでありますが、ひとつここで私が御指摘申し上げたいのは、これは本会議の代表質問でも申しましたが、どうしてこの総合課税化に対しまして四年もかかるのか。五十九年の一月一日導入ということでありますが、説明を承りますと、国税当局あるいは金融機関等々の対応体制を整える、あるいはまた大臣のいままでの御答弁にありましたように、国民の慣熟を得る、こういうことであるわけでありますが、しからば果たしてこの四年の中で、たとえばこの五十五年度はどうするのか、五十六年度はどうするのか、五十七年度はどうするのか、五十八年度はどうするかという、いわゆる明確な年度別の計画というものが示されていないように私は思います。その点ひとつ国民の皆さんにもわかるように御説明をいただきたい、このように思います。
○伊豫田政府委員 お答え申し上げます。 五十九年一月一日から少額貯蓄利用者カード制度を本格的に実施するということにつきまして、なぜ四年かかるかというお話でございますが、これは個別に各年度にどういうことをやらなければいけないかということを、若干時間がかかりますが、順次申し上げまして、それによって全体を御理解願えればと、このように考えております。 まず内容といたしましては、やはり物理的な問題と、それからもう一つ、国民の皆さんに納得していただけるように広報を行っていく、慣熟を待つ、両方の面があると思いますが、まず昭和五十五年度につきましては、第一に考えておりますことは金融機関等関係機関との協議でございまして、市町村、郵政省、銀行、証券会社等、こういうものとの間にカード交付申請事務、手続等に関しましていろいろの打ち合わせが要るわけでございます。それと同時に、他方において政省令等の作成につきましても準備を進めてまいらなくてはならない。 それから、これだけの大きな制度でございますので、次に本制度をどういうふうに実態に即して運営してまいるかということについて細目の検討を行わなくてはなりません。カードの交付申請からカードが交付されるまで、その間あるいは住所、氏名等の異動管理、こういうものを基本的にどういうふうにトレースしていくかというふうな問題の事務上の手順あるいは方法等についての検討が必要なわけでございます。 それから今度は電算処理システム関係でございますが、本制度のソフトウエア、これについての基本設計を行わなくてはなりません。これは、たとえば具体的に言えば、集中処理をするか、あるいは若干各地方に拠点のようなものを置いてそこでコンピューターで処理をするか、こういうふうなこと、あるいはプログラムの種類、機能、入出力、そういうものについてもいろいろな検討が要るわけであります。 それから考えておりますことのもう一つは、先ほどちょっと申し上げましたが、本制度についての広報活動を今後四年間十分行う、その第一年度でございますので、十分の注意をもってこの広報活動を行ってまいりたい、これが初年度に大体われわれが現在考えておることでございます。 第二年度以降、若干長くなりますので簡単に申し上げますが、今度は、金融機関等関係機関との検討を終わった後、実際の準備に取りかからなくてはならない。どういう用紙を使うか、どういう事務手順でやるか、こういうふうなことを地方公共団体あるいは金融機関等と検討をしていかなくてはならないわけでございます。 それから、コンピューター関係につきましては、基本設計が終わりました後、その詳細設計に入らなくてはなりません。これがやはり相当の時間を要するものと考えております。それから、コンピューターのハードウェア関係についての整備を始めなくてはならない。具体的には建物ももちろんでございますが、各種機器等の発注の問題から始まるわけでございます。さらに、五十五年度に引き続きまして、事務処理手順あるいは広報活動というものは行う予定でございます。 昭和五十七年度に入りまして電算処理システムのプログラムを完全に固めてまいらなくてはならないわけでございます。それから、税務署等窓口、こういうものの実際の動きもトレースして、必要な税務職員あるいは金融機関等職員の研修等についても考えてまいらなくてはなりません。 それから、五十八年一月一日からはカードの交付を開始いたします。これにつきまして受付とか、カード交付を実際に開始する、あるいはそのチェックというふうな問題で、少なくとも五十七年度の後半は忙殺されることになるのではないかと考えております。 最後に、五十八年度に参りまして、電算処理システムをあらゆる意味において稼働させると同時に、これについての試験、チェックを行わなくてはならない。それから五十九年一月一日から本制度を本格実施するために、マル優、郵貯、支払い。証書、こういうものに全部適用していく、それをいかにスムーズに移行するかという問題がございます。 若干長くなりまして恐縮でございましたが、以上のような趣旨のことを行わなくてはなりませんので、実質的に申しますと、ただいまから三年九カ月でございますので、必ずしもわれわれとしては長い期間とは思っておりません。非常に苦しい努力を続けて、その間にこれを完成させたいと考えておりますので、ひとつ御理解を賜りたい、このように思っております。
○柴田(弘)委員 いまの電算処理システムの基本設計、これはまさしく国税庁の問題だ、これはぼくは一番大きな問題ではないかと思うわけでありますが、この辺もう少し、現在の段階においてどこへ建物をつくり、どんな考え方でされるのか、具体的に詰めたものがあればお聞かせいただきたいと思います。 それからいま一点は、いわゆる制度の広報活動、これは具体的にどのような方向で国民に行っていくのか、この点もしいま方針が出ておればお聞かせをいただきたいと思います。
○伊豫田政府委員 いま申し上げましたように、全体としての構想はできておりますが、具体的なハードウエアあるいはソフトウエア等の発注等に関しましての具体的な問題をただいままだ申し上げる段階に至っておりませんので、その点は御容赦願いたいと思っております。 それから、広報活動の面につきましては、決して特別な方法があるとも考えておりませんので、従来納税思想につきまして、あるいはこの三月十五日の確定申告につきましていろいろの媒体を使って広報を行っております。こういうものを同じように使いまして、できるだけ効率的に皆さんに御納得いただけるような方法を講じてまいりたい、はなはだ抽象的なお答えで申しわけございませんが、そのように考えている次第でございます。
○柴田(弘)委員 いま御答弁いただきましたが、一応法案を提案なさってみえるわけですよ。これはなるほど細部についてまでは詰めておみえにならぬかもしれませんが、一応こういった具体的な方向ですよ、経費試算もこれこれですよ——私も実はこれを大臣に本会議で質問をいたしましたが、そのときには委員会審議の間には何とかお示しをできる、たしかこんなような御答弁をいただいたと記憶しております。 しかし、先回の大蔵委員会におきましてはまだその経費試算がちょっと出されておりません、こういうことだったのですよね。それでこの法案を出して、ひとつ審議してくれ、こういうことでして、私は、そういったことが果たしていいのかどうか、はなはだ疑問に思いますよ。だから、現在の段階でそういったものは出されないということであれば、そういう経費試算を含めて、もう一歩突っ込んだ具体的な内容、一体、建物をどうするか、電算機のシステムをどうするか、こういう具体的な問題をいつ提示をしていただけるのですか、この委員会審議の間にきちっとやっていただけるかどうか、この辺のめどをひとつお聞かせいただきたい、このように思います。
○伊豫田政府委員 ただいまお尋ねのございました経費の点につきましてお答え申し上げます。 この利用者カード制度の所要経費につきましては、一昨日も御答弁申し上げましたとおり、制度の具体的な運用の細目の詰めと本質的には並行してなされていくような性格のものでございますので、正確な見通しを立てることはただいまの段階では困難でございます。 ただ、先般二月十二日の本会議におきまして柴田委員からも御質問を受けておりますし、また一昨日もすでに本委員会におきまして他の委員から御質問を受けておりまして、われわれといたしましても、そのめどすらないということではもちませんので、計算を非常に急がせたところでございます。 その結果、一つのめどといたしまして、諸種の前提を置いて試算をいたしました結果、少額貯蓄等利用者カード制度の導入につきましては経常年度約二百億円前後、こういう数字が得られたところでございます。ただ、この数字につきましては、われわれといたしましても、ただいまの財政状況等にかんがみましてこれを極力圧縮していく努力は今後とも続けてまいりたいとは思いますが、二百億前後というのが一つのめどとして得られましたということをこの席で述べさせていただきたいと思うわけでございます。 なお、これはあくまでめどとして御理解賜れれば、このように考えております。
○柴田(弘)委員 経常年度二百億というのは、これは三年九カ月で二百億というのか、単年度で二百億というのか、その辺ちょっと。
○伊豫田政府委員 経常年度と申しますのは、普通に動き出してから単年度で二百億円、このように御理解願えると思っております。
○柴田(弘)委員 それじゃ次に移ります。 このグリーンカード制度の導入が、将来国民総背番号制に移行するのではないかと憂慮する声が一部にあることも事実でありますね。この辺どうでしょうか。そういった点はないのかどうか。 それからいま一つは、このグリーンカード制度導入がプライバシーの侵害にならないのかどうか、この辺がきわめて大事なところではないかと思います。この辺ひとつ、そういった、心配する声もあるわけでございますので、明快にお示しいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 少額貯蓄利用者カードというのは、——その前に、税制調査会で、こういう手段を用いまして利子配当所得の総合課税をやっていく場合に、完璧な手段としては納税者番号制度であるというお答えをいただいたわけでございます。 納税者番号制度とこのいま御提案を申し上げております少額貯蓄等利用者カード制度の基本的な違いということは、納税者番号制度は国税当局が全国民に対して一斉に付番するというところにあるわけでございますが、このグリーンカードシステムは、非課税貯蓄を利用しようとする方が申請によってカードの交付を受ける、これが第一の差であります。したがって、申請によって交付される、一斉付番ではないということであります。 第二の差は、納税者番号制度でございますと、すべての貯蓄の取引なりそれにかかわる利子配当の受領、授受なりにつきまして納税者番号の提示が必要になってくるわけでございますけれども、このグリーンカードシステムのもとでは、カードの交付を受けておられない方は課税貯蓄を行おうとする場合にカード以外の証票、たとえば住民票、そういったものをお示しいただいて本人確認を行うことができるということにしております。したがって、納税者番号制度とこのカードでは任意性という点について基本的な差がございまして、こういうグリーンカードのシステムというものがまして国民総背番号というものにつながるおそれはないと思います。その点はさらに納税者番号制度ですら税務の目的以外には使用しないわけでございますし、このインプットされる情報も利子配当所得関連の資料だけでございます。いわゆる総背番号というのは国民に関するいろいろな情報が全部一元的にどこかのコンピューターに入っているということが基本であると思いますから、そういう意味では少額貯蓄等利用者カードと国民総背番号というのは全くその質を異にしております。国税に関する事務以外の目的に少額貯蓄等利用者カード制度を利用できないという禁止規定も今回御提案申し上げております所得税法改正の中に入れておりますので、したがいまして、全くそのおそれはないと考えます。なお少額貯蓄等利用者カードの交付番号というものは国民の貯蓄という資産に関する重要な情報でございますから、それを国税当局が把握しておることから起こる国民のプライバシーを保護いたすという必要が十分ございます。御審議いただいております所得税法改正の中でも、カードとその記載事項については、国税に関する事務以外の目的に使用することを禁止する、これはいま申し上げたわけでございますが、それだけでなくて、罰則の強化をいたしまして、国税職員が少額貯蓄等利用者カードに対する情報、具体的には交付番号でございますが、それをほしいままに漏らした場合には通常の公務員の守秘義務を超えまして、たしか二年以下の懲役というような刑罰を科することによってプライバシーをかたく守るという措置を講じておるわけであります。
○柴田(弘)委員 それで、申すまでもありませんが、この総合課税化はやはり税の公平な確保というものが一つの大きな目的でなければなりませんし、当然それが不公平の是正につながってまいります。同時にまた、脱税の防止に役立つものでなければならない、このように思います。 そこで、そのために一つは、国税当局と郵政省との連携の強化、二つ目には、郵貯の場合、特に、これは民間の金融機関もそうですが、郵貯もそうですが、ともに本人の確認と名寄せを強化していかなければならないのですね。完璧なものにしていかなければならない。それから第三点目には、民間金融機関の預金と郵貯の競合関係の公正化というものが絶対不可欠な条件になってくるのではないか、このように私は考えるわけでありますが、まず大ざっぱにいきましてこの三点につきましてひとつ関係御当局の御所見をお伺いしたい、かように思います。
○高橋(元)政府委員 いまお示しのございました三点は、グリーンカード制度が円滑にまた効果的に運営されるための基本的な事項であると私どももさよう認識しております。 そこで、これはかねてから申し上げておりますように、約六千万人を超える国民の方々にグリーンカードをお渡しをして間違いなく使っていただく必要もございます。貯蓄の受け入れをする方にいたしましても、郵便局でございますと三億、民間の金融機関でも定期性の預金だけで一億を超える口座を持っておられますから、民間の金融機関と政府の金融機関である郵便局、その両方を通じまして、その本人確認なり名寄せなり限度管理なりというものは、このカードによって円滑に行われ、かつ誤りがないということが必要であります。 それから第三の点につきましては、これも前にも申し上げたことでございますが、こういう税務上の要請から入ってまいりますカードシステムによって金融資産の国民の選好に不測の影響を及ぼさないという観点が必要でございます。そういう点につきましても、私どもとしては現時点で、またこれから先五十九年にこれが完全にワークしますまでに、十分国民の方々の御意見も承り、また貯蓄受け入れ機関、金融機関の御意見も承り、また金融資産と申しますと預金のような指名債権だけでございませんで、転々流通する有価証券もあるわけでございますから、転々流通する有価証券の市場性また市場における動き方というものもよくよく見きわめまして、行き届かないところのないように十二分に努力してまいりたいというのが全体を通じての私どもの考え方でございますし、また、そういう方向で具体的な作業を進めておるところでございます。
○柴田(弘)委員 局長さん、民間の金融機関の場合ですね、今回のこのグリーンカード制度導入によりまして本人確認と名寄せ、これは確実にできると理解してよろしいですか。
○高橋(元)政府委員 これはまず第一に預金者の方々の十分な御理解ということが必要でございましょうし、そのために、先ほど来国税庁から申し上げておりますように、これから三年をかけまして十分PRもしてまいらなければならないということでございますが、民間機関の場合には、非課税貯蓄を利用しようとする方につきましては、このカードの提示、カードの交付番号の預金証書への記載ということが基本的に要請される、義務として課されるわけでございますから、この点は本人確認につきましては、このカード制度によって完全に守られるというふうに思います。 非課税貯蓄はそうでございますが、課税貯蓄の場合には、先ほど申し上げましたように、このカードの交付そのものが任意ということになっておりますから、したがいまして、カードの交付を受けてない方が課税貯蓄をなさる場合がございます。その場合には住民票の写しなどの提出をいただいて本人確認をするということでございます。したがいまして、金融機関の方々のモラルということはもちろんございますけれども、そのモラルに私どもは十分に信頼をいたしまして、このカードによって課税になります元本というものの捕捉、それから本人確認ということはできるというふうに確信を持っております。 ただし、これから先、私どもが同じような観点で工夫をこらしてまいらねばならないものは、たとえば割引債券、これにつきましてのグリーンカード制度適用をどうしてまいるか、これらの点については先ほど冒頭に申し上げましたような、前の御質問にお答えして申し上げましたような基本的な考え方でこれから十分に関係者の意見も聞いて詰めてまいるということでこれは完璧を期してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○柴田(弘)委員 それじゃ次に郵政省に順次お伺いしていきたいと思いますが、先ほど来申しております本人確認の問題であります。 民間の金融機関におきましては、マル優制度の利用者について本人確認義務が御承知のように所得税法の施行令の第四十六条で決められております。しかし、郵便貯金の場合は、法令上にこれが明文化されていない、その規定はない。ただ、本人確認ができるという一つの権利規定がある。義務がないわけでありますね。そういった点で、現在本人確認については郵政省としては、あるいは各郵便局としては完全になされているかどうか、ひとつその辺をお伺いをしていきたいと思います。
○小倉説明員 ただいま御質問ございました郵便貯金の本人確認でございますが、郵便貯金の預入の際には、郵便局の窓口等におきまして申込者の住所、氏名が、たとえば郵便局の局員が面識がある、あるいは外務員が訪問したことがある、そういうこと等によりまして明らかでございます場合を除きましては、身分証明書でございますとか、運転免許証でございますとか、保険証でございますとかいいますような、いわゆる本人であることを証明できるような資料の御提示をいただきまして申込人の住所、氏名を確かめる、このようにしているところでございます。また、このような場合以外と申しますか、ちょうど御所持のない場合につきましては、一応貯金は受け入れますが、申込者には事後にいま申し上げましたような確認資料の御持参を求めております。また、なお一定期間を経過いたしましても確認資料の御持参がございませんときは、郵便局からあいさつ状を発送して確認を行う、こういうような方法で本人の確認に努めているところでございます。
○柴田(弘)委員 郵政省として一生懸命やっていらっしゃることは私もよく理解をいたします。いま課長さんから御答弁いただきましたが、一生懸命やっていらっしゃることはわかりますが、本人確認が窓口では完全にできないというふうに私は思うのですね。やれてないと思うのです。だから、いまお話があったように、あいさつ状を発送されて、そしてそれによってまたやってみる。この辺の実態どうですか、どうしても、あいさつ状を発送しても返ってくる、そういうものもあると思いますし、また返ってきたものについて郵政当局としてもいろいろと追跡調査等々やっていらっしゃるわけであります。この辺は私は理解をいたしますが、いろいろと資料を見てまいりますと、各年度相当な未確認のものが私はあるというふうに思います。きょう現在、どの程度そういった本人確認ができてない件数があるのですか。絶対ないですか。
○小倉説明員 ただいま御質問がございましたことでございますが、私どもでは、いま申し上げましたように、預入の際に確認資料等の御提示をいただきまして本人確認をやっておるところでございますが、この御提示、御持参がないというような場合は、いま申し上げましたように、あいさつ状を発送して確認に努めております。このあいさつ状を発送いたしまして返ってまいりますと、私どもの方ではさらにこれをその郵便局で再調査、たとえば再度あいさつ状を発送し直すとか、あるいはまた外務員に探しに行かせるとか、あるいはまた、私ども郵便もやっておりますので、郵便配達等は非常に住所に詳しゅうございますので、そういう者に確認してもらうとか、そういうような形で再調査に努めております。なお、再調査等いたしましてわからないものにつきましては、その郵便局の窓口にそういう未確認のものを控えておきまして、預金者が来局されました際に正当な住所、氏名を確認する、このようにしておるところでございます。 そういうことでございますが、いま申し上げましたように、現在あいさつ状を発送し、これが返ってまいり、そしてさらに再調査いたしましたが、まだなお現在未確認といいますものが、いろいろこれはまださらに引き続いて調査等を続行するわけでございますが、ともあれ五十四年十二月末で全国の郵便局でそういう未確認であってまだ控えておるものがおよそ七千件程度でございます。
○柴田(弘)委員 金額は幾らくらいですか。
○小倉説明員 私どもの事務指導は、いま申し上げましたように、本人確認の徹底ということで事務を厳正かつ確実に遂行させますためにチェックしておるものでございますので、そういう未確認の件数は把握しておりますが、金額については徴しておりませんので、つまびらかではございません。御容赦願いたいと思います。
○柴田(弘)委員 郵便貯金の実態でございますが、これは郵政省の御調査によりましてもはっきりとしておるわけでありますが、五十四年三月末、定額貯金につきましては証書の枚数は二億三千五百九十五万枚、金額にいたしまして三十八兆四千三百六十七億、こういうふうになっておるわけであります。それで一年間の伸び率をずっと見てまいりますと、証書の枚数で大体二千万枚から三千万枚、こういうふうに伸びております。ただいま申し上げましたように、二億三千五百九十五万枚という数字は、これはわが国人口の二倍以上、赤ちゃんからお年寄りまで一人残らず預金をいたしましても二倍以上ということで、これは相当なものだと感心をしていいのかどう言っていいのか私はわかりませんが、いずれにしても実態はそういうことでございます。 私が申し上げたいのは、この郵便貯金が郵貯法第一条の規定「郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによって、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」こういうためにきちっとした運用をされておれば、これは別に問題はありません。しかし、いま課長の方から御答弁がありましたように、どうしてもいま本人確認ができないのが七千枚程度ある。私の資料によりますと、七千三百九十九件、金額は平均約十七万ということでございまして十二億五千七百八十三万円、こういう数字になるわけであります。この本人確認ができないのは、これは勘ぐった言い方をして恐縮でありますが、一つは架空口座ではないか、こういうことが言われてもやむを得ぬじゃないかというふうに私は思います。ある人に言わせれば、郵貯が脱税の温床になっておるのじゃないか——これはちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういった非難の声すらある現実であります。そうした中で、このグリーンカード制度の導入によって果たしてこういうものがなくなるのかどうか、本当に郵貯法で規定されている国民の経済生活と福祉の向上に役立つ郵貯のあり方になるのかどうかというのが一番大事な問題ではないか、このように私は思うわけであります。 そこで、私は端的にお尋ねいたしますが、いま郵貯法では三百万円という枠を超えてはならない、こうなっております。この件数は先日も御答弁があったわけでありますが、これは確認の意味でお聞かせいただきたいのですが、約二万枚程度ある、金額は二百億をちょっと超える、こんなふうに記憶しておったのですが、その辺の数字。 そしてもう一つは、いま私が脱税の温床になっているのではないかとある人の言をかりて言っておるわけでありますが、架名預金は絶対ないのかどうか、あったのかどうか、これをひとつ御答弁いただきたい。
○小倉説明員 現在、郵便貯金で、たとえば定額貯金は二億三千万枚程度あるわけでございますが、これは郵便貯金の場合、通常貯金は一人一冊と限られておりますが、他の貯金につきましてはお一人で何枚でも証書は持てる、こういう仕組みでございます。現実に毎月二千円、三千円窓口へお持ちになりまして、証書が一枚ずつでき上がって数十枚お持ちという方も、これはたくさんあるわけでございます。そのように利用されておるものでございますので、このような二億三千万枚という証書枚数、これは口座数ではございませんで証書枚数でございますが、そういう証書枚数になるわけでございます。これらにつきましては、この郵便貯金の法によって定められました一般の郵便貯金は三百万円という預入限度額の監査をいたしますために、私ども、貯金原簿を所管しております地方貯金局でいわゆる名寄せを行いまして、この限度額を超えておるものにつきましては、これを制限額以内になるように減額、いわゆる解約をしていただく、こういうことに法定されておりますので、そのような措置をとっておるところでございます。この減額の措置をいたしましたものは、先生もおっしゃいましたように、昭和五十三年度におきまして二万二百件、対象金額は二百二十一億円となっておるところでございます。 それから、本人確認の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、私ども、郵便局の窓口等におきまして、いろいろの確認資料を提示していただく、あるいはまたあいさつ状を発送して確認に努めておるところでございますが、まだ十分確認できていないというものも若干数ございまして残念でございますが、こういうものにつきましても引き続きその確認に努めておる、こういうところでございます。
○柴田(弘)委員 架名預金があったかなかったかということは、この場ではなかなか言えないかもしれませんが、私はあるというふうに——また、その証拠もあるわけでございますが、この席ではこの程度にとどめておきます。 それで、課長さん、この限度額を超えた分は郵便局として利子を払ってみえる、なおかつ、この点については、当然、課税の対象になっていない、こういうことですね。私は、この問題は贈与税とも関連があるというふうに思います。先ほど申し上げました定額貯金の証書の枚数から考えてまいりますと、税法で規定をしております年間六十万円を超える、これは十分推察できるというふうに思います。 こういった問題について、郵政省としての対応——これは国税庁へも連絡をとっていない、こういうふうに私は思うのですが、どうでしょうか。
○小倉説明員 ただいまの御質問の件でございますが、名寄せの結果、この法律で定められました預入限度額を超過した分がわかりましたものにつきましては、直ちに減額措置を講じておるところでございます。 それでは、これの課税はどうかということでございますが、これにつきましては、預入者の故意または重大な過失により総額制限額を超過した場合は、その超過した部分に対する利子は所得税の対象となる、このように所得税法及び政令で規定されておると理解しているところでございます。 それから、これらのものにつきましての国税庁への連絡でございますが、いま申し上げましたように、制限額を超過したものが直ちにすべて課税対象ということには定められておりません。そういうことでもございますが、私どもの方では、超過分ということにつきましては、現在そういう通知の規定はございませんし、また、これを別段に国税当局へ連絡することにつきましては、私どもの方の金融機関が預金者の秘密を守るという信頼の重要な要素ということもございますし、また、公務員としての守秘義務もございますので、所得税法その他法令に基づきます調査あるいは照会というようなものに応ずる場合に限って連絡をしているところでございます。 なお、ちなみに、たとえば所得税法その他の法律によります税務調査につきましては、所得税法等の規定によりまして、いわゆる税務当局に税務調査の権限がございますので、この権限に基づく、たとえば郵便局への臨局調査あるいはまた文書による照会というようなものがございましたら、その限度におきまして私どもでもこれに応じておるところでございます。 ちなみに、五十三年度に郵便局へ税務調査を受けた件数は七百四十五件となっております。
○柴田(弘)委員 いまいろいろと御答弁いただきましたが、私は大きな問題があると思う。 それで、先ほどから申しておりますように、このグリーンカード制度導入の一つのメリットは、当然利子所得の適正な課税の確保ということ、それから不公平の是正、脱税の防止ということにあらなければならない、こういうふうに思います。ところが、今日の郵貯法では本人確認の義務もない。名寄せも、果たしてこのグリーンカード制度導入によってしっかりされるかどうかもきわめて不明である。しかも、いまお話がありましたように、郵貯法では限度額を三百万としておるのに、それを超えても利子を払い、なおかつ、これも課税の対象になっていない。しかも贈与税法で規定しておる年間六十万を超えるものについても何ら対処されていない、こういうふうに私は考えているわけであります。 問題は、こういった不合理性、不公平というものが、今回のこのグリーンカード制度の導入によって果たして改善されるのかどうか。私はそのところを篤と承りたい、こういうふうに思います。
○小倉説明員 このカード制度が導入されますと、郵便局の窓口での預入の際、このカードの御提示をいただきまして、本人確認を行うことになりますので、現在行っております本人確認が一段と徹底される、このようになるものと考えております。また、郵便貯金の限度額管理のためには、まず預入の際に本人確認を徹底いたしまして、正しい住所、氏名で御利用いただいて把握する、こういうことが肝要でございます。そういうことから申しましても、このカード制度の導入によりまして限度額管理につきましても一段と徹底が図られる、このように考えている次第でございます。
○柴田(弘)委員 このグリーンカード制導入は、私はこんなふうに思うわけです。民間のマル優の場合は、今回のこの導入によって、先ほど主税局長からも御答弁いただきましたように、架空名義も排除され、さらにマル優扱いによるものにつきましても、国税庁なり税務署なりの名寄せというものも行われるのではないかということで、ほぼ完全にマル優の限度管理が行われるわけでありますが、しかし、郵貯につきましては、いま課長さんから御答弁をいただいたわけでありますが、本人を確認する意味しかないではないか、なるほど本人確認の一層の徹底は図られるかもしれませんが、そういった意味しかない、私はこのように思います。しかも、国税当局による名寄せも行われない、こういうふうに思うわけであります。ですから、当然、郵貯における貯金総額の限度管理は、要するに郵政当局の厳正、厳格な管理に期待する以外にはない、こういうふうに私は思います。 そこで、私が一つ御提案申し上げたいというか、これは郵政省の方でお考えになっているかどうかということですが、五十八年にオンライン化をされますね。この中に、やはり名寄せをきちっとする意味において、通常貯金あるいは積立貯金、定期貯金、定額貯金、この四種類をオンラインシステムに組み込んでいったらどうだろうか。それからもう一つは、やはり貯金総額が一人について三百万を超えたら自動的にコンピューターが預け入れを拒否するような。システムを、せっかくオンライン化されるならお考えになってみたらどうか、こんなふうに思うわけですね。その辺どうでしょうか。
○小倉説明員 先生ただいまおっしゃいましたように、コンピューターでこういう貯金の限度額管理がスムーズにできますように、現在、私どもではオンラインシステムによります総合的な機械化を実施したところでございますが、この中におきましても、いろいろ貯金の種類がございますが、これらにつきましてオンラインといいますか、いわゆるコンピューターに乗せていく、こういう方向で進めておるところでございます。 それから次に、オンラインシステムが完成すると、窓口で。預入の際に預入限度額を超えるかどうかということが即座にチェックできないか、このような御質問と承ったところでございますが、郵便局の場合、御承知のように、郵便局舎が非常に小そうございまして、利用者の方も一般には窓口で立ってお待ちいただくというような状況が全国二万局のほとんどでございます。 こういうようなことから、郵便貯金のオンラインシステムの場合には、名寄せに必要なすべてのデータを窓口の端末機から、たとえば住所、氏名まで含めまして、ちょっと技術的になって恐縮でございますが、端末設備に入力するというようなことをやっておりますと、窓口での利用者の待ち時間が非常に長くなる、こういうようなことを考慮いたしまして、名寄せに必要な貯金者の住所、氏名につきましては、貯金原簿を管理しております地方貯金局におきまして別途入力する仕組みとしておりまして、いわゆるバッチ処理で名寄せを行う、このような仕組みにしておるところでございます。したがいまして、オンライン後も、郵便局の窓口で。預入の際に超過の有無を判定するということではなく、地方貯金局におきまして名寄せを行い、制限額を超過しているものについて直ちに減額通知書を発行する、こういう仕組みにしておるものでございます。 ちなみに、このコンピューターによります名寄せにつきましては、本年度からオンラインが導入されました地域ごとに逐次導入といいますか、採用しておる、こういうところでございます。
○柴田(弘)委員 この問題、まだまだ私、御質問したいのですが、もう一つ問題が残っておりますので、これは今度先輩議員から質問していただくようにしまして、次の問題に移りたいと思います。 これは大臣にお伺いをしていきたいと思います。大臣、これは私の心を込めた、願望を込めたお願いの質問でございますので、ひとつよろしくお願いいたします。 これは老人福祉税制と私は自分で言っておるわけでありますが、いわゆる今日の、あるいは将来の高齢化社会に対応いたしまして、老人施策をより一層充実をしていくために、もちろん補助金の問題とか、あるいは給付の問題等も大事でありますが、やはり税制面で老人対策というものをより一層フォローアップしていくことができないものだろうか、これは私がかねがね考えておったわけであります。 そこで、まず総論的に申しまして、税制面でフォローアップしていく、いわゆる老人福祉税制あるいはまた敬老税制と申してもいいわけでありますが、こういったものを今後より一層充実し、確立していくというお考えというものは大臣にあるのかどうか。簡単で結構ですので、まずひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 高齢化社会ということが逐次現実のものになってまいりまして、やがて日本の人口の中で六十五歳以上の人口が占める割合が 一八%ぐらいになる、そういう時点も近くなってきたわけでございます。高齢化社会を迎えまして、老人問題の重要性ということは、これはいま御指摘のありましたとおりで、私ども税制に参画いたしております者としても同様の認識を持っております。 従前から老人に対する税制上の配慮というものでございますけれども、老年者控除、これは六十五歳以上、年間所得一千万円以下の方につきまして、所得から控除する金額が二十九万円という制度がございます。それから年老いた七十歳以上の直系尊属を扶養しておられます場合には割り増しの扶養控除、現在、老人扶養控除三十五万円にかえまして、四十万円という割り増しの扶養控除を認めております。こういうことで、従前から老人福祉という観点から税制上の諸般の制度を設けておることを事実の問題としてまず申し上げたいと思います。
○柴田(弘)委員 それで、私は、この老人福祉税制の中で、特に寝たきり老人対策についての税制のあり方ということでお尋ねをいたすわけでありますが、昭和五十三年六月の、厚生省の厚生行政基礎調査によりますと、六十五歳以上の寝たきり老人は全国で三十八万六千人という数字になっておるわけであります。六十歳から六十四歳の寝たきり老人は総数で約三万六千人、こういうことであります。 現在、厚生省におきまして、こういった寝たきり老人に対してはホームヘルパーの派遣ですとか、あるいは日常生活用具の給付ですとか、あるいは特別養護老人ホームだとか、あるいは福祉電話の設置等々いろいろな事業を行っているわけでありますが、現在これで完全に寝たきり老人対策が行われているということは私は言えないと思います。特に、この寝たきり老人を抱えた家庭の御主人なり奥さんから、生活が苦しいので働きに行きたいのだが、どうしても特別養護老人ホームに入れていただきたいんだが、満員で入れない、何とかひとつこういった経済状態の苦しい中でしていただけないだろうか、こういうような御相談が私どものところへ参っているのも、これまた事実であるわけであります。 そこで、私は、現行の税制度と寝たきり老人を抱えた家庭との間に、余りにも段差があり過ぎるのではないかというふうに考えている一人であります。いまさら私が申すまでもなく、この寝たきり老人に対する優遇というものは、一般の同居老人よりも普通障害の場合で二十三万円、特別障害者で三十一万円の控除が多くできるわけであります。がしかし、これは税率にしてまいりますと、たとえば最低税率一〇%の場合には三万円、平均税率二〇%といたしましても約六万円程度の減税効果しかもたらしていないのが現実であります。これは果たして寝たきり老人に対する本当に愛情ある優遇措置と言えるかどうか、私は非常に疑問を感じているわけであります。御案内のように、五十二年の五月に全国社会福祉協議会あるいは民生委員の協議会等々が調査をいたしましたその実態調査でも、生活が苦しい、何とか働きに行きたいというそういった要望が数多くあるわけであります。 そこで、私は、これは大蔵大臣にひとつぜひとも御答弁をいただきたいわけでありますが、全国寝たきり老人にかわりまして御質問をいたすわけでありますが、こういった老人に対して税制面でより一属の配慮、細かく言って恐縮でございますが、一つは老年者年金特別控除の引き下げ、これを六十歳までくらいにしたらどうか。あるいはまた老年者控除をこれも年齢の引き下げ、あるいは配偶者控除、これも六十歳、あるいは扶養控除、これを六十歳、こういうふうに、一遍にはできないかもしれませんが、こういった人たちに対しまして、何とかひとつ、いま六十五歳になっておるこの税制を六十歳程度まで引き下げていくような方向で真剣な御検討をいただけないものかどうか。税制調査会の審議の過程に、その必要に応じて何とかのせていただきたい、こんなように思うわけでございますが、御所見をお伺いをしていきたい、このように思います。
○竹下国務大臣 御指摘のように、いわゆる老齢化社会を迎えまして、老人問題、特に寝たきり老人対策の重要性ということにつきましては、私も十分に認識をいたしております。 したがいまして、寝たきり老人対策として、まず老人医療としての一般の老人が七十歳以上を対象としておりますものを、寝たきり老人については六十五歳以上を対象とするとともに、昭和五十五年度予算におきましても、全体として厳しい財政事情のもとでございましたが、特別養護老人ホームの増設でございますとか、種々この予算の面においてはそれなりの施策を講じてきたつもりであります。 したがって、御指摘の税制面で配慮すべきであるという御意見でありますが、税制の措置は所得のある者にしか有効に働かないという限界があるなど、いろいろ問題があることは御承知のとおりであります。今後、これは必要に応じて税制調査会の御審議等をお願いしたいと考えておりまして、国会で出た意見とか、そうしたものを税制調査会へ報告して、そして御審議の対象にしていただこう、こういう考え方であります。
○柴田(弘)委員 じゃ、最後に二点お伺いをしていきたいと思います。 一つは相続税法の改正の問題です。きょうの新聞を見てみますと、民法の改正に従って、いよいよ大蔵省当局といたしましても、妻の座優遇税制、婦人の地位向上、妻の座強化ということで、要するに相続税法の改正ということを、十日か十一日か知りませんが、税制調査会の審議の過程にのせられる、そして今国会に提案をされる、こんなふうに載っておったわけでありますが、この辺はどうでしょう。
○高橋(元)政府委員 来週の月曜日でございます三月十日に税制調査会の総会をお願いいたしておりまして、民法の改正に伴う相続税法の改正についてどうお考えいただくかという御審議をいただく予定にしております。 従来、五十年度の相続税の改正というのは最近の大改正であったわけでございますが、その際の税制調査会の御意見は、かねてからの懸案であった配偶者の負担軽減問題を解決するために、同一世帯間の財産移転であることを考慮して、配偶者に対する相続税負担を大幅に軽減するという観点で配偶者控除を三分の一または四千万円という改正をいたしました。今回も同じようなお考え方で臨まれるかどうか、これは調査会の御審議を待たない前に私どもが予断で申し上げるわけにはまいりませんけれども、十分税制調査会で御審議いただきたいというふうに考えております。
○柴田(弘)委員 それからいま一点は、銀行法改正の問題で、せっかく銀行局長もお見えになっておりますので、この際お聞きしておきたいと思います。 これもやはり新聞報道ですが、大蔵省は今国会に提出を予定しておったのですが、これが見送られる、こういうような内容であったと思いますが、これは事実かどうかですね。ひとつ大蔵省当局として正式な御見解を伺っておきたいと思います。
○米里政府委員 銀行法改正、全文改正の大作業をいま着々と進めておるわけでございますが、御承知のように、昭和二年以来五十余年続いた現在の銀行法を全面的に改正するという大作業を進めておるわけでございます。この法案につきましては、もちろん、これだけの制度面での大改正でございますので、国会に提出させていただきましたらひとつこれは十分な審議が必要であろうというふうに私どもも考えております。今国会におきまして他法案の審議がどういう状態で進むか、銀行法を提出した場合に十分な御審議をいただけるかどうかということを判断しつつ、かつまた、それぞれの段階における法案の準備作業の状態も考えながら最終的に判断してまいりたいというふうに私どもは考えております。 現時点で提出見送りを決定したという事情にないということを申し上げておきます。
○柴田(弘)委員 では、大蔵大臣にあわせてお聞きしておきますけれども、御案内のように、現行の銀行法、昭和二年に制定をされました。実態にそぐわないようになってきた。いま局長さんからも答弁がありましたように、全面的な改正をしよう、こういうことですね。昨年の六月に金融制度調査会からも答申が出されております。こういった経緯を考えてまいりますと、今日の経済情勢あるいはまた国民生活、そういったものから考えて、私はこれはやはり今国会に提出をして審議をすることが望ましい、こういうふうに個人的な見解を持っているわけでありますが、大臣の御所見、簡単で結構ですから、お聞かせいただきたい。
○竹下国務大臣 銀行局長からお答えいたしましたとおり、いま大作業を進めておるわけです。政府としての取り扱いの中でも、いまだ提出の予定の法案ということで生き残っておるわけでございますが、これは確かに大改正でございますので、提案した限りにおいてはぜひとも成立を期待したいというわれわれにも念願がございますだけに、政治家でございますから、私の方からお答えした方が適当だと思いますが、理事会等国会側とも協議してその扱いは決めていきたい、このように思っております。
○柴田(弘)委員 もう一つですが、銀行法改正の問題につきまして、大口融資規制の問題、簡潔にお聞きします。 きょうの一部の新聞を見てまいりますと、大口融資規制に対して三井物産が苦肉の策でアメリカのアルマックス社の株を売却する、こんなような報道がなされておりまして、何としてでもこの三月末までにいわゆる超過額の解消をする、こういうようなことでありますが、この点については大蔵省銀行局は関知をしてみえるかどうか。 それからいま一つは、こういった大口融資規制を守らなかった場合にどのような措置を、三月末になるわけでありますが、される方針であるのか、この点をお伺いしていきたいと思います。
○米里政府委員 大口融資規制につきましては、御承知のように、四十九年の暮れから通達でその規制を行政指導しておるわけでございますが、幸いにして各金融機関、各企業の非常な御努力を得まして、かなり顕著に超過件数は減ってまいっております。スタートのときに九十九件、六十二社という超過がございましたのが、去年の九月末に三十四件、十四社というところまで解消を見ておりまして、五十五年三月末が経過期間終了時でございますが、この時点においてはほとんど超過件数は解消できるものというふうに考えております。いま具体的にお挙げになりましたようなことも含めて、各金融機関でいろいろ努力をしておられるということは事実でございます。万一、この五十五年三月末までに解消できないというところがございましたら、それは通達違反ということになりますので、きわめて遺憾なことであるというふうに私どもは考えております。いずれにいたしましても、解消できないという事態が起こりましたら、その時点で大口融資規制の趣旨にもかんがみ、あるいは努力して超過を解消された他の金融機関とのバランスも考えて、しかるべく適切に処置したいというふうに考えております。
○柴田(弘)委員 時間が参りましたので、終わります。
○増岡委員長 午後零時三十分再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時一分休憩 ————◇————— 午後零時三十八分開議
○増岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前に引き続き質疑を続行いたします。渡辺貢君。
○渡辺(貢)委員 御提案されております所得税法並びに租税特別措置法の改正案についての質問をいたしたいと思います。 今回の改正の背景にはいろいろの問題があろうかと思うのですけれども、一つは、昨年の総選挙において政治的に一般消費税が国民の批判を受けたという点が背景の一つと考えております。もう一つは、意外と言われるような自然増収の大きさ、ある意味ではこうした要因が今回の税制改正の背景にあったというふうに考えるわけです。 財政再建と言われている中で、税制改正はその主要な柱、大黒柱であるというふうに言っても過言ではないというふうに考えておりますが、こうした一般消費税の国民的な批判と自然増収の中で今回の改正が行われているというふうに考えられるわけでありますけれども、こうした点についての大蔵大臣の御見解をまず最初に承りたいと思います。
○竹下国務大臣 今回の五十五年度予算編成に当たっての税制に対する考え方、こういうふうに要約して理解をするといたしますならば、確かに、いわゆる一般消費税(仮称)というものが国民の皆様方から十分に理解されるに至らなかったということが一つあることは事実であります。と同時に、空出張でございますとか空超勤でございますとか、いろいろそういう問題が発生した、そういう世論の背景の中でまず出るを制するというところから着目して予算編成に取り組むべきである、それが基礎になって、そうして確かに御指摘のように民間努力、もとより政府が景気てこ入れをしたわけでございますけれども、民間の労使のそれぞれの自助努力によって自然増収が期待できたということから、言ってみるならば、それに見合う税にとどめた、こういうふうに御理解いただいて結構だと思います。
○渡辺(貢)委員 そうしますと、自然増収の額が大変大きいわけでありますけれども、この自然増収の性格といいましょうか、こうしたものについては主税局長はいかがお考えでいらっしゃいましょうか。
○高橋(元)政府委員 まず、用語の問題から申し上げた方がよろしいかと思いますが、自然増収という言葉は通常二通りぐらい使われておりまして、これはしばしば混同があるわけでございます。もちろん、委員は正確に御指摘でございますが、たとえば五十五年度の税収の、前年度に対する自然増収が四兆五千九百八十億円でございます、私らはそう御説明をいたします。そのときの自然増収と申しますのは、翌年度の税制改正前の現行税法による税収見込み額の当初予算額に対する増収額、こういう意味で使っております。 それからもう一つ、五十四年度に年度内の自然増収が一兆九千九十億円ある見込みなので、これを五十四年度の補正に計上いたしました、こう申しますときは、本年度の当初予算に対する決算見込み額と申しますか、それを指しておるわけでございます。もちろん、この二つは関連がないわけではございませんので、四兆五千九百八十億円と申します五十五対五十四の自然増収の根には、いわゆる土台として一兆九千九十億の五十四年度の年度内自然増収が入っておるということでございます。 税収を見積もります際には、経済見通しによって、私どもが政府として見通しております経済諸指標、たとえば生産でございますとか、価格でございますとか、賃金でございますとか、そういう諸指標を使いまして前年度の課税実績というものを税目ごとに見込みを立てまして、それに基づいて伸ばしてまいるわけでございますから、本来であれば、御審議をいただきます予算の中の税収予算どおり歳入が入ってまいるのが、予算審議という点からすれば一番ようございますけれども、これはくどくなりまして恐縮ですが、歳出と違いまして、歳入は数千万の納税者が納めてこられるものでございますから、したがいまして、税法に従いまして、どういう経済情勢、また個々の企業なり個人なりの収入、所得の状態によってどういうふうになってくるかということには自然差異がございます。そこでその差異のうちでプラスに出ましたものを自然増収ということに私どもは考えております。
○渡辺(貢)委員 単純化すれば、プラスになった、それが自然増収である、そういうお答えだと思うのですけれども、ただ、私たちがこの自然増収を考えました場合に、単にプラスになった、あるいは算定に若干の狂いがあった、推計値の狂いがあったというだけではないと考えているわけなんです。たとえば所得税で約一兆九千億、法人税においても約一兆九千億と言われておりますけれども、この自然増収の中身を検討してみますと、たとえば所得税の場合、昭和五十二年二百五十万円の給与所得者が納める税金が、所得税では二万六千八百円余り、その後毎年五%ぐらいずつの賃上げがあった、五十五年度を含めてほぼそうだと思うのですけれども、この所得の伸びは昭和五十二年度に比べて五十五年度では約一五・八%、ところが、昭和五十五年度の所得税を見ますと五万二千六百円、つまり納める税額では約九七%伸びているわけです。全体の所得は一五・八%、しかし納める税額では約九七%の伸びを示している。一方、この間における物価の上昇もほぼ五、六%前後であったというふうに記憶いたしておるわけでございますけれども、そうなると、自然増収が、単なる数値の変化だけではなくて、現実には給与所得者の所得の一部が課税対象額になってふえているというふうに理解してもいいのではないだろうか。ですから、自然に生じた増収ということではなくて、現行の所得税法の体系の上から生じたものであるという意味では、実質的な増税の性格を持っているというふうに私は考えているわけですけれども、その点については御見解いかがでしょうか。
○高橋(元)政府委員 五十五年度の当初予算で五十四年度当初予算に対します現行税法による所得税の増収見込み額は、先ほどお話のありましたように一兆九千五十億でございます。 これがどうやって出てまいるかと申しますと、もちろん、これは給与なり利子なり退職所得なり配当なり、そういった所得税の基因になります所得の五十四年度に対する伸びでございます。所得税の場合には、総合累進という個人所得課税でございますから、一定の基礎控除、人的控除、そのほかの場合には特別の人的控除、そういった控除を引きました残りの課税所得に対して累進的な税率を掛けていくわけであります。したがいまして、いま委員からお話がございました事例、私ども五十二年度からずっとトレースはしておらないわけですが、五十四年度二百五十万の給与収入がある方がたとえば七・三%給与収入がふえました場合をとりますと、所得税はその方にとっては三万二千円から四万四千四十五円というふうに約三割ぐらいふえるわけでございますが、それは裏返して申しますと、課税最低限を構成しておりますものが定額の人的控除であります。したがって、二百四十万とか五十万とかそのくらいの方をとりますと、夫婦子二人であれば、二百一万五千円までは税率ゼロでございますから、ゼロから上に出ます部分は約四十万円、四十数万円ということになります。四十数万円についてまた給与所得控除を三割取りますので、収入ベースで言えば約七%弱の税率がかかっていくわけでございますね。その二百一万五千円以下のゼロの税率の部分に対して、そこは全然税金がかからないわけですが、そこから上、課税されてまいります部分が伸びていくわけでございます。したがいまして、九七%というふうな数字もございましたけれども、課税所得だけ取り出して考えてみますと、確かにそれに照応する税額は、いま私の申し上げた例でも三割ぐらい伸びてまいるということでございますけれども、しからば、その方の税引き後の手取りがどうなっておるかという観点から考えてみますと、たとえば、私がいま引きました例では、所得税、住民税、この両方を引きました税引き手取りは五十四年度夫婦子二人で給与収入二百五十万の方であれば二百四十四万円でございますが、それが二百六十万七千円というふうに、約六・八%伸びていかれるわけであります。所得税についてはどこの国でも、いろいろの苦心をした結果でございますけれども、控除を引きまして、残りに累進的な税率を掛けていくわけでございますから、課税最低限に近い方であればあるほど、そういう意味では税額対税額というふうにしますと、これは伸びが出てまいるわけでございますが、全体の所得ないし給与収入に対する税負担がどのくらいの割合でふえてまいるかという観点からもお考えいただければありがたいというふうに思います。
○渡辺(貢)委員 なかなか微妙なと申しましょうか、大蔵省流のりっぱな御答弁だと思いますけれども、いずれにいたしましても、比較すると、税額の増加は明らかだ、しかも、一方ではインフレが進行しているという点から見ても、自然増収の性格を今日の段階では明確に指摘しておく必要があるというふうに私は思います。 これは所得税の問題でございましたけれども、同時に法人税を見ましても、同様のことが言えるのではないかというふうに思います。昨年の、昭和五十四年度の三月期、また九月期においては、四十九年から五十年のオイルショックを克服をして史上最大の利益を上げているというふうなことがいろいろの角度から報道されております。大企業がそれだけの高収益を上げた要因としては、いろいろ指摘されるわけでありますけれども、たとえば、いわゆる減量経営という形で省力化が行われていく。人件費比重をいかに抑えるかということで、東証上場大手を見た場合に、一九七四年と七八年を比べると約二十万人の雇用の減である。あるいは金融比重の面でも金利の数次にわたる引き下げの中で金利負担が減少する。また昨年の九月の決算によりますと、企業の操業率は八六・八%、つまり減量経営をやって雇用労働者を少なくして、しかも操業率は八六・八%と、この五年間ではまさに最高である。ここに膨大な利益の要因の一つが、というか中心があるんじゃないかというふうに考えられるわけです。そういう点で、約一兆九千億円の法人税の増加でございますけれども、その中身はこうした背景があるということを私は改めて強調をしておきたいというふうに考えております。 そうした点で、自然増収に助けられて今度の予算編成では何とか切り抜けた。一兆円の国債の減額も行った。ですから、この自然増収も実は国民の営々たる努力の中でつくられた増収であるというふうに見ていかなければ、今後の財政の再建、税制の改革についても明確な展望を持つことはできないのではないだろうか、このように考えるわけなんですが、この点についてはいかがでございましょう。
○高橋(元)政府委員 納税者の方々、法人、個人を問わず日夜営々御努力なさってその所得ないし生産というものが伸びていくわけでございます。それが集まり集まって日本の経済なり国民生活全体を引き上げていくわけでございますから、各個人であれ法人であれ、企業ないし事業を経営されている方、また給与所得を得られている方、そういう方の血のにじむような努力の結果が、その一部が私どもが税収としていただいておるものであるという認識は、私どもは日夜忘れたことはございません。そういう意味では、国民の努力なり経営についての苦心のかたまりではないかと仰せられれば、そのとおりであると私は思いますし、先ほど私がお答え申し上げた中で、プラスに出たのが自然増収であるという非常に簡単なことを申し上げましたのは、年度内自然増収の当初対実績の見積もりの差のことを一言で申し上げたわけで、その点、誤解がありましたらおわびしてなお訂正させていただきます。 法人の場合の自然増収は、法人税というのは元来比例税でございますから、元来なら弾性値が一であるというのが相当でございますけれども、これはかなりフラクチュエートいたしておりまして、プラス二、マイナス三ということがございます。そういう例があるわけでございます。それはやはり仰せのありますように、五十四年度で申しますと、五十三年から五十四年にかけて申しますと、金融費用が下がったとか、人件費率が下がった、その裏として経常利益率が上がった、その結果、法人所得の国民所得に対するシェアがふえてまいる、そういう要素もございます。それから、本来なら比例税である法人税が一番経済の伸びに応じて変動が激しいというのが実際でございまして、所得税の場合にはプラス二の弾性値を持っておりますけれども、この二の弾性値はそう大きくは振れないわけでございます。法人税の場合は、いま申し上げましたように、四十九年のようにマイナス三ということもありますし、四十六、七年のようにプラス二ということもあるわけで、これは非常に変動が激しい。それは結局は所得課税でございますから、収入から経費を差っ引いたもの、それが所得でございまして、したがって、売り上げが伸びない場合に経費がふえれば、物すごく法人税が下がるということになる。そういう意味では、所得課税として法人税が持っております税体系上の意味というものは非常に大きいと思いますけれども、税収としての不安定性もまたその半面で大きく持っておるということが御指摘申し上げられると思います。
○渡辺(貢)委員 五十五年度の予算編成では、そうしたいろいろの要因があって自然増収が見込まれたわけでございますけれども、今後どれだけあるのかというふうに質問いたしましても、これはなかなかむずかしいと思うのですけれども、財政収支試算なども発表もされておられますし、今後の自然増収などについてどのようにお考えなのか、簡単で結構ですけれども。
○高橋(元)政府委員 昨年の暮れでございますが、税制調査会から昭和五十五年度の税制改正に関する答申という形でちょうだいをいたしました五十五年度税制改正の「基本的な考え方」の中にこういうくだりがございます。「昭和五十五年度にこのような方向」、先ほど大臣からお答えのありました税制改正の基本方向でございますが、「このような方向で予算編成に取り組むことのできる理由は、昭和五十三年度後半以降、我が国経済が予想以上の回復を示し、かなりの規模の税収増加が見込まれるからである。このような税収の伸びを今後も引き続き期待することは到底困難であることを考慮すれば、昭和五十六年度以降においては、自然増収だけでは国債費、地方交付税をはじめとする当然増経費をも賄い得ない事態すら予想されることに十分留意する必要があろう。」こう言っておられるわけであります。 四兆五千九百八十億円という五十五年度の当初対当初の自然増収と申しますのは、その中には五十四年度の年度内自然増収一兆九千九十億円が入っておるわけでございますから、したがいまして、そういう年度内自然増収が大きく見込まれるということは継続して期待できないといたしますと、税制調査会のこのような御指摘は今後の税収の姿を予測しているものと申し上げてもよろしいかと思います。
○渡辺(貢)委員 そうしますと、五十六年度以降についてはかなり厳しいというふうな御認識であろうかというふうに考えます。そうなりますと、やはり大臣がたびたび御見解を述べていらっしゃるわけでありますけれども、出るを制するという問題、同時にとりわけ税制の基本についてかなり大胆な見直し、検討をしなければならないというふうに考えられます。 そこで、次に、税制の中におけるいわゆる不公平税制の問題について質問をいたしたいと思うわけでございますけれども、私どもは五十五年度の予算の組み替え動議の中でも幾つかの、とりわけ政策税制などを中心にした不公平税制の是正についての提案をいたしておりますが、この中でまず第一に政策税制の見直しの問題です。大蔵大臣は、税調の答申の中で、いわゆる政策税制についてはほぼ一段落というふうな、そういう答申を踏まえて御見解を述べていらっしゃると思うのですけれども、今年度の税制改正に当たってそうした一段落という評価の前提になります政策税制の見直しの基準、それから廃止、統合合理化、存続というふうに三つにランクされるわけでありますけれども、こうした基準といいましょうか、そういう点については、答申を受けてどのように検討されて最終的な結論を出されたのか、その点について承りたいと思います。
○高橋(元)政府委員 租税特別措置は、五十一年度以降、こういう財政の危機の状況のもとでございますから、税制に対する国民の信頼を維持、拡大してまいりますためにも、その精力的な整理合理化に取り組んでまいりました。そこで五十一年度以降五年間に、社会保険診療報酬課税を初めとして主要な項目のほとんど、全体で八五%になりますが、改善措置を講じてまいったわけでございまして、企業関係の租税特別措置につきましては三十二項目を廃止いたしまして、五十一項目を縮減いたしました。約八割五分の整理を行ったということは、こういうことを私どもの立場から申し上げるのはなんですが、税制調査会にも評価をいただいておるというふうに考えておるわけであります。 五十五年度は、とりわけて租税特別措置の見直しに私どもなりに格段の努力をいたしました。そこで、期限の到来するもの、しないもの両方を問わず八十二項目ございました租税特別措置全体について、ゼロベース・バジェットという言葉もございますけれども、それと同じように全部について見直しを行ったわけであります。創設以来非常に長期にわたっておるもの、それから設置されたときの趣旨と現在の経済ないし社会の情勢が変わってきておって存続する意義が薄れてきていると考えられるもの、政策効果が上がっていないもの、要するに慢性化、惰性化するということを避けるのがこういう政策税制についての一番肝要なことでございますから、いま申し上げたような幾つかの考え方は、要するに一種の租税による補助金でございますから、それの慢性化を避けるという意味から、申し上げましたように全項目についての見直しを行ったということでございます。その結果は、十項目を廃止いたしまして、四十六項目について縮減を図ったという結果と相なっております。
○渡辺(貢)委員 かなり全面的な見直しをされたという御答弁でございますけれども、ちょうど昨年の税調の審議がされている過程で、大蔵省の方から、政策効果が薄くなってきている、あるいはかなり長期で惰性になってきているというものなど、当然廃止をしなければならないというふうな内示といいましょうか御見解などが出されて、読売新聞などでも報道されておりました。その中で六項目、廃止と言われたものが今日若干の手直しをされて存続をされているというふうに理解をしているわけですけれども、その六つの個別の措置について御説明いただけませんでしょうか。
○高橋(元)政府委員 当時、新聞には、大蔵省が廃止する意向を示したというような報道がございました。私は、先ほど整理合理化に当たりましてはゼロベースという精神で査定をいたしてまいる、存廃の合理性も含めて全項目について洗い直しを行うということを申し上げました。その中で幾つかのものが報道されたわけでございますが、この租税特別措置はやはり税法をもって定められたもので、その廃止につきましても税法の御審議をいただくわけでございますから、関係の省庁とのいろいろな協議も当然必要でございます。私どもも、ゼロベース・バジェットと、いわば一種の内示のような形で出したわけでございますから、そういう見直しの方針を打ち出しました後で、現状、特別措置によります経済効果、それから将来の見通し、措置の持っております意義というものをいろいろ考え直したり、また相手のお役所と話を詰めてまいったり、関係の業界と申しますか関係の分野についての調査をしたりしました結果、先ほど申し上げたように十項目廃止という趣旨に落ちついたわけでございます。
○渡辺(貢)委員 その存続されている中で話題に上った一つの航空機の特別償却制度、これは今日残されてどんな形になっているでしょうか。
○高橋(元)政府委員 五十五年度、ただいまお願いいたしております税制改正の中で、初年度の特別償却率六分の一を百分の十二に縮減をいたすと同時に、五十五年四月一日以降三年間適用を延長していただきたいという改正案をお手元に出しておる次第であります。
○渡辺(貢)委員 この償却制度がつくられたのは昭和四十六年であるというふうに聞いておりますが、その点はいかがでしょう。
○高橋(元)政府委員 そのとおりでございます。
○渡辺(貢)委員 そうしますと、四十六年に創設をされた特別償却制度の対象の機種は何になりましょうか。
○高橋(元)政府委員 設置されたときは中型機、大型機両方含めて規定をいたしておりましたが、その後五十一年度に中型機を廃止いたしまして、最大離陸重量百七十五トン以上の航空機というものを特別償却制度の適用の対象にいたしております。
○渡辺(貢)委員 創設された当時は五分の一の償却であった、続いて昭和四十七年には逆に償却率が高められて四分の一、このときには税調の答申などでも四分の一に償却率を囲めて二年間ということでありましたけれども、それが存続をされていると思うのです。さらに四十九年に四分の一で二年間の延長というふうになっていると思うのですが、その点はいかがでしょう。
○高橋(元)政府委員 償却率は、いまお話のありますように、設定当時五分の一でございました。それが四十七年に四分の一に償却率が大きくなりまして、四十九年に、こういう企業向けの特別措置は大体二年という適用期間にいたしておりますが、見直しをいたしました上で二年間延長をいたしまして、五十一年に、先ほど申し上げましたように、中型機種を削除いたしました際に同時に償却率を五分の一に下げたわけでございます。さらに五十三年に、その五分の一の償却率を六分の一に削って二年間延長して今回期限が参ったというのが経緯でございます。
○渡辺(貢)委員 別にその当時を振り返るわけではございませんけれども、四十七年には田中内閣が成立をいたしておりまして、史上に名高いロッキード問題、わが党の正森議員も追及をいたしました。四十七年、四十八年と四分の一の償却率、この二年間がさらに二年間延長される。そうして五十一年には五分の一になったわけでありますけれども、この離陸時最大百七十五トンというと相当の大型機だと思いますけれども、今日、この航空機を輸入しているわが国の航空会社はどこがございましょうか。
○高橋(元)政府委員 最大離陸重量百七十五トンと申しますと、機種的に申しますとボーイング747、ダグラスDC10、ロッキード一〇一一、この三機種でございます。こういう大型、いわゆるジャンボでございますから、これを購入して就航さしておる会社は日本航空と全日本空輸、二社でございます。
○渡辺(貢)委員 そういう大型機を購入しているのは日本航空と全日空ということでありますが、日本における最大の航空会社である日本航空、これは最大の特別償却の恩典に浴しているわけでありますけれども、日本航空の最大の株主はどなたでしょうか。
○高橋(元)政府委員 詳細の持ち株割合は承知してございませんが、国でございます。
○渡辺(貢)委員 全株の四二・三%を大蔵大臣名義でわが国が所有をしているという、ある意味では特殊な法人でございます。 個人の筆頭株主についてはいかがでしょうか。
○高橋(元)政府委員 ちょっと手元に資料がございませんので、調べまして後ほどお答えさしていただきたいと思います。
○渡辺(貢)委員 私の調査によりますと、個人の筆頭株主は小佐野賢治氏で、二・六%の株を所有しているというふうに言われております。現在の日本航空の資本金が六百二十一億八千七百万円でありますから、たとえば小佐野賢治氏の個人所有の株式が六百二十一億の資本金の中に二・六%を占めるわけですが、原価だけでも約十六億円。今日の日本航空の株価が約二千四、五百円、額面は五百円でありますから、大体額面の五倍前後、十六億円の五倍といいますと約八十億円であります。 また、日本航空の昭和五十三年度の配当ですけれども、この配当は何%になっておりましょうか。
○高橋(元)政府委員 調査してお答えをいたします。
○渡辺(貢)委員 それでは後ほどお聞きをいたしたいと思うのです。私の手元にありますけれども、改めて御質問いたしたいと思います。 こういうふうに、日本航空の場合には大蔵大臣が最大の筆頭株主で四二・三%を所有いたしておりますし、個人では小佐野賢治氏、きのうからきょうにかけて大分新聞を再びにぎわしているわけでありますけれども、大変膨大な資産家がいるというふうに改めて驚いているところです。この日本航空が特別償却制度を大変うまく活用しているということでございますが、昭和五十三年度の決算についてどれだけ特別償却準備金の繰入額があったか、その点についてお答えいただきたいと思います。
○高橋(元)政府委員 手元にあります数字で申し上げますと、五十三年度につきましては税法上の償却繰入限度額が二百二十九億八千二百万でございまして、特償の繰入額は同額、すなわち二百二十九億八千二百万でございました。
○渡辺(貢)委員 大変膨大な繰り入れがございまして、当初経常利益ではかなりの経常利益がはじかれていたわけでありますけれども、最終的な税引き後の当期利益は五十四億六百万円、こういうふうな決算になっているというふうに聞き及んでおりますが、その点はいかがでしょうか。
○高橋(元)政府委員 ちょっとラウンドの数字を持っておりませんが、税引き前で五十四億円、これが日本航空の五十三年度の税引き前利益であります。
○渡辺(貢)委員 大変膨大な償却をし、その結果、税引き前の当期利益金は五十四億円、この時期に日本航空は利益率が低下をしているということで、航空運賃の値上げ問題も出されておりましたが、同じ年度に日本航空が買い入れを行ったいわゆるジャンボと言われる航空機、ダグラスDC10、ボーイング747。ダグラスDC10については六機、ボーイング747については八機、合計十四機を五十三年度に購入しているというふうに聞いております。この事実と、それから合計十四機の価格は総額幾らになっておりますか。
○高橋(元)政府委員 航空機の特別償却の制度の趣旨でございますけれども、五十一年度に大型航空機に限定いたしまして——小型はもともと入っておりませんが、中型を削除いたしましたのは、航空業について国際競争力上の配慮というものが非常に必要でございます。元来、国際線にこういう大型機は就航してまいったわけでございます。もう一つは、国内線につきましても、最近大型機材の投入が非常に進んでまいりました。それは騒音対策という観点であります。あわせて大型機の方が省エネルギーの観点からも効率が高い、そういうことから航空機の特別償却制度を大型機について現在認めておるわけでございます。その中で、ただいま御提案しておる税制改正では、償却率を六分の一から一三%に削減いたすということを申し上げておるわけでございますが、最近国内線につきましても大型機材の投入が要請されてまいったということに対応いたしまして、日本航空、全日空とも五十三年度以降大型機材の購入が進んできたというのが現状でございます。 それから、十四機の購入価格というのは、いまちょっと把握いたしておりません。後ほどまとめてお答えをさせていただきます。
○渡辺(貢)委員 大体一機百億円前後でないかというふうに言われておりますから、初年度で六分の一の償却というふうになりますと、かなりであります。また航空機の償却が約七年ないし八年というふうに聞いておりますから、もしその計算でいきますと、初年度で約二五%から三〇%の償却ができる。新しい飛行機を購入して、一挙に二五%から三〇%の償却ができるということになると、確かに会計上では大変な負担になりますし、損益の面でも、バランスの上でも利益はぐっと抑えられるというふうになると思うわけであります。そういう点で、冒頭に指摘いたしましたように、政策税制の見直しという問題、それは確かに国益の問題もございましょうけれども、そういう見直しの問題が現実に特定と申しましょうか、こうしたところに偏重している。しかも、その結果、四十数%も国の出資があるにもかかわらず、税制の面では税収が抑えられ、また企業の収益の面でも、こうした特別償却制度によって利益が抑えられるというか、隠されるということで、逆に運賃の引き上げという事態が生じている。二重、三重のマイナスになるのではないか、こういうふうに考えられます。そうした点で、こうした特別償却制度の中身をもっとリアルに解明をしながら、大胆な政策税制の是正、見直しをしていかなければならないというふうに考えております。ある方の評論によりますと、「こういう制度は徴税の延期を意味するものであるが、この種の減税は事実上国家による無利子の金融であり、一種の補助金を意味するものである。」こういうようなことが指摘をされているわけであります。そうした点で、私はいまの航空機問題についての具体的な内容について指摘をし、御質問をしたわけでございますけれども、この点については、全部というふうには単純に申し上げませんけれども、残されている諸制度の中にはかなりこうした矛盾が内包されているというふうに考えております。そういう点で、改めて大蔵大臣にこうした問題に対する基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。
○高橋(元)政府委員 大臣からお答えのあります前に、いま仰せのありましたことを二、三御説明をしておきたいと思うわけであります。 まず最初に、先ほど御答弁で承知いたしておりませんでした日本航空会社の配当率は八分でございます。 それから次に、日本の航空機の法定耐用年数が短いじゃないかという御指摘もございましたが、日本の場合には最大離陸重量百三十トン以上の飛行機につきましては十年、それから十五トンから百三十トンの間の中型機につきましては八年でございます。これは五十二年の改正で延長をして従前よりも延ばしたわけでございますが、十年、八年というものを前提といたしますと、アメリカが九年半、イギリスが初年度全額償却、ドイツが十年ないし十二年ということに比べてそれほど短くない、そういう意味では、日本の航空機の普通償却は国際並みであるということが申し上げられると思います。 それから、特別償却を設けました趣旨、延長しております趣旨については、先ほど国内の騒音対策等の観点も申し上げましたが、いずれにいたしましても、私がたびたび申し上げておりますように、租税特別措置と申しますのは一種の税による補助金でございますから、政策上の必要性があるにしても、それはできるだけ短い期間、できるだけ少ない割合で認めるのが相当であろうということで見直しを行っておるわけでございます。特別償却制度は、その裏に従来特別償却不足額について三年間繰り越しをさせる。ある年に機材を購入して供用した場合、その年の収益が非常に低い、したがって特別償却はできません、税法上の利益の限度までしかできませんから。その場合には、不足額を三年間持っておって、後の年の利益から相殺してよろしいという租税特別措置法の規定があったわけでございますけれども、今回特別措置の整理の一環としてその三年の繰越期間を一年に短縮いたしました。したがって、黒字が出てまいってからも引き続いて前に買った機材の特別償却をその後年度の利益から差し引くという制度は著しく短くなったわけであります。したがって、御指摘のような利益調節の手段として利用することはできないというのが今回御提案しておる改正の内容であります。
○渡辺(貢)委員 大蔵大臣の御答弁の前に、先ほどの質問に対する回答が出ましたので、一、二もう一回質問をいたしたいと思うのです。 日本航空の五十三年度の配当が八分ということでございますが、たとえば個人株主筆頭の小佐野氏の場合は約十六億円の株式を有しているわけで、八分の配当ということになると一億二千八百万円、現在の所得税における分離課税方式でいくと高額配当者ほど安くなるというふうに理解をいたします。 三五%の分離課税ということでございますけれども、この点は誤りはございませんか。
○高橋(元)政府委員 源泉選択をやっておられるかどうかはわからないわけであります。わかりませんが、源泉選択の適用があれば三五%取り切りであります。
○渡辺(貢)委員 私の方は、特別償却による利益隠しであるし、国の税収の減であるというふうに考えておりますし、また、こうした高額配当所得者の源泉分離課税を実行しているということになると、この面でも不公正は拡大されている。ですから、四億円ぐらいのお金はぼっと出るのかと思いますけれども、そうした点でかなり大きな矛盾を持っている。いままで三年であったという繰り入れ期間を一年というふうにされるわけでありますけれども、今日の日航などの現状から言うと、前後で一年間ずつの繰り入れ期間があれば十分に償却できるということで、三年というものを一年にしたから、これで矛盾は解消されたというふうに私どもは考えていないわけでありますが、その点について指摘をしておきたいと思います。 この政策税制の問題でさらに質問を進めたいと思いますけれども、今回の改正の中で新しく設けられた制度、大規模経済合弁事業への海投損の制度が新設をされておりますけれども、この海投損の新設については、税調の答申の中に、大型プロジェクトに対する特別の制度を設ける、こういうふうな答申がございますか。
○高橋(元)政府委員 具体的な、どの準備金、どの特別償却をどうせよということは税制調査会の答申の中には触れられておりませんが、いま新設というお話でございましたけれども、これは海外投資等損失準備金の中に、従来、新開発地域に対する投資につきましては一五%の積み立てを認めておった、それについて一部拡充をいたしますと同時に、特定海外工事に係る準備金というものを廃止いたしました。海外投資等損失準備金の枠の中の率の改廃であります。
○渡辺(貢)委員 改廃だというふうに言われますけれども、性格は根本的に変わっている。いままで海投損の工事の特別の制度がございましたけれども、政府の予算委への提出資料の中でも適用はゼロであるというふうに言われております。ほぼ一年間ぐらいの工事ですから、ぱっと工事をやって帰るというふうな事態だと思うのですけれども、今回の大規模経済協力の問題ではかなり長期的な性格を持っているというふうに考えます。 そこで、通産省にお尋ねをいたしたいと思うのですけれども、現在こうした大型の合弁事業が幾つ検討をされているか、お答えをいただきたいと思います。
○新説明員 この税制の対象となるプロジェクトにどういうものがあるかということでございますと、現在大蔵省と通産省の間でそういうものにつきまして要件を調整しておるところでございます。したがいまして、対象プロジェクトは現在のところ確定はいたしておりません。 ただ、どういう話がいま大規模合弁事業として進行中であるか、こういうお話でございますれば、進行中のプロジェクトといたしましては、サウジアラビアの石油化学計画、あるいはブラジルのアマゾン・アルミ計画、ブラジルの紙パルプ資源開発計画、あるいはインドネシアのアサハン・アルミ計画、シンガポールの石油化学計画、それにイランの石油化学等でございます。
○渡辺(貢)委員 そうした大型のプロジェクトがいま検討されているということでありますが、それでは私の方から具体的にお尋ねをいたしたいと思います。 サウジアラビアの。石油開発の問題でありますけれども、現在検討されている日本側の出資者、出資の総額が、想定されている額は三菱グループを中心に約五百億円ないし六百億円であるというふうに言われております。この点が一つ。 それから、シンガポールのメルバウ島の石油化学でありますけれども、この場合の日本側のプロジェクトの中心は住友グループであって、日本側の出資想定金額は約一千億円というふうに聞いております。 イランのいわゆるイラン三井石油化学でありますけれども、これについてはもう世上有名でありまして、三井グループ、日本側の総額の出資金は四千三百億円というふうに聞いております。ほぼこの大枠については間違いはございませんか。
○新説明員 まず、サウジの石油化学計画でございますが、現在の段階は、サウジ側と日本側の調査会社がこれからフィージビリティースタディーを始めまして、それに基づきましてこれから資金総額を決めていこう、こういう段階でございまして、総所要資金が幾らかかるかという確定的な数字はまだ出ておりません。ただ、ざっとしたいままでの見積もりといいますか、概数計算によりますと、総所要資金としては約四千億円ぐらいがかかるのではないだろうかということになりまして、その場合の日本側の総所要資金といたしましては五、六百億円ぐらいになるのではないかというふうに見られておるのは事実でございます。 それから、二番目のシンガポールの石油化学計画でございますけれども、これにつきましては総所要資金が千八百億でございます。日本側の出資と貸し付けと合わせまして約千三百億でございますけれども、そのうちの出資金というところに限定をいたしますと、シンガポール石油化学につきましての日本側出資分は二百十二億円でございます。 それから、イラン石油化学につきましては、御指摘のように、出資分としましては約一千億、日本側の所要資金としましては四千三百億、こういうことでございます。
○渡辺(貢)委員 私が質問をした基本的な数字についてはほぼ間違いがないようでございますけれども、これらの合弁事業の場合には、当然、政府間の了解あるいは閣議の了解があるというふうに理解をいたしております。閣議の了解があれば、当然海外経済協力基金が使える、これは昨年十月の三井の場合も同様でございますが、使用が認可される、あるいは輸銀を使われるというふうになると思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○新説明員 ただいまのお話は、こういうプロジェクトに対して基金出資とか輸銀融資というものが使われるのか、こういうことかと思いますけれども、先ほどのサウジアラビアの石油化学計画はこれからの問題でございますので、まだ現段階で基金出資、輸銀融資等につきまして決まっておるわけではございません。 シンガポール、イランにつきましては、すでに基金出資あるいは輸銀融資というもののスキームは一応決まってございます。
○渡辺(貢)委員 これは民間の合弁事業でありますけれども、今度の改正によりますと、百分の二十五が損失準備金として積み立てられる、こういう制度になっております。 いま通産省の方から御答弁いただいたわけでありますけれども、サウジを除いてあと五つのプロジェクトについては全部閣議の了解があるということでございますね。
○新説明員 閣議了解というものでいわゆる基金出資という形での援助を行うというものにつきまして、先ほど申し上げました六つの中で、シンガポール石油化学計画につきましては閣議了解という形はとってございません。
○渡辺(貢)委員 大枠についてはほとんど変化はないというふうに理解いたします。 今日、資源エネルギーの確保という問題が国策としても重要な課題であるということは私どもも十分理解をいたしております。しかし、この合弁事業がつくられる場合に、前提として当然政府間の合意、さらには閣議了解というふうになろうかと思うのでありますけれども、その前に、それぞれのプロジェクトの経過をずっと見ますと、三井にしても三菱にしても住友にしても、つまり、それぞれの個別資本の側が現地とのさまざまな折衝を行い、そして合弁の道を開いていく、政府が主導的にやったというより、むしろ民間の大企業が中心になってそういう合弁への道を開き、その道を開く中で両国政府間の合意あるいは閣議了解というふうな段取りになっているのが事実の経過であるというふうに考えております。 そうした点から見ますと、今回この問題については、部分的な修正であるというふうに先ほど御答弁がございましたけれども、百分の二十五という損失準備金への積み立て、しかも日本側の出資が五百億円を超えるという枠組みがつくられているわけであります。そして政府間の了解という、これも租税特別措置法第五十五条でそういうふうな内容になっているというふうに理解をしているわけでありますけれども、こうした点から見ても、今回の大規模経済協力合弁事業への海投損の新設、私はあえて新設というふうに申し上げたいと思うのですが、国家資金は使う、また輸銀も使う、そしてリスクが起きそうになれば当然ナショナルプロジェクト、最終的な利益は個別資本に帰属をする、こういうことでは、まさに不公平の最たるものではないかというふうに考えざるを得ないわけであります。その点について改めて主税局長の御見解を伺いたいと思います。
○高橋(元)政府委員 いまのお答えを申し上げます前に、先ほど日本航空の配当の課税のことで、私、不注意で間違って御答弁しました。訂正させていただきます。 源泉選択をしておられればと申し上げましたが、お示しのケースでは、一回の支払い金額が配当にして年五十万円を超えておりますので、源泉選択を受けられる余地がないわけであります。したがって、これは総合課税であります。 それから、ただいまの大規模プロジェクトに係る海外投資等損失準備金でございますが、資源に乏しい、しかも経済の充実をこれからどんどん図ってまいらなければならぬ日本が置かれております現状からしますと、いわゆる開発途上国との経済的な連携を保っていかなければならない、ますます強化していかなければならない、これは委員からも、そういう考えであるというお示しがございました。 そういう発展途上国との経済的な連携をますます太くしていくためには、それによって資源の確保をも図るということをやっていきますためには、最近では合弁方式というものが求められることが多いわけであります。合弁方式をやりますと、ちょっとくどくなって恐縮でございますが、日本の企業の持っております工業技術とか経営管理の方法とか資本、これを発展途上国がトータルな形で導入することができるし、また製品を日本に売るという面でも協力が得られるのではないかというメリットが一つ。第二番目に、出資があれば、それは返済義務のない資金でございますから、そういう意味で合弁事業の先方、相手国側の経営としても非常に有利であるということが第二。第三に、合弁方式でございますと、借金であれば返せば縁切りでございますが、操業開始後も経営上のリスクを日本側が負ってくれる、そういうことから発展途上国側から合弁方式でぜひというプロジェクトが非常にふえてきているわけであります。 しかし、これに対応する日本の側は、海外経済協力基金から出資を受けた上でさらに税制上のフェーバーは過大ではないかという御指摘でございますけれども、やはりこういう地域の置かれております現状を考えますと、そういう合弁事業の日本側の出資者としては、カントリーリスクと申しますか、戦乱、内乱、それからインフレ、インフラストラクチュアの未整備、それから非常に酷暑、炎熱の自然条件、労働力等々の面で非常なリスクをしょっておるわけでございます。 租税特別措置でございますから、これは私どもの方も申し上げておりますように、政策税制の範囲で租税の公平に対してある程度まで最小限度目をつぶるということになるわけであります。それはそういう形で租税特別措置によって税負担の形式的な公平を一時阻害しても、やはりそれによって誘引される政策的なメリットというものがより大きければそれはやむを得ないのではないか、中小企業につきまして、それからまた研究開発につきまして、それから資本の充実、企業体質の改善ということにつきまして、大分減らしてはまいったわけでございますが、さまざまの租税特別措置がございます。それはすべてそういう目的に民間の行為が誘引されるということを期待しておるわけでございますから、私がいま申し上げましたように、そういう発展途上国との大規模な経済的な連携の強化のための合弁方式というものをプロモートしていく、そういうナショナルな必要性があるということに照応して海外投資損失準備金制度の手直しを行った次第であります。
○渡辺(貢)委員 一つ一つ反論したくなるわけでありますけれども、百四十幾つかの発展途上国を見ますと、いま合弁を組もうとしているのはエネルギーなどいわゆる有資源国、ここには膨大な協力関係をやるけれども、IMF総会などでも指摘されておりますように、たとえばアフリカのなどの慢性的な飢餓状態に置かれている国民の数というのは五億を下らない。しかし、GNPの世界の伸び率でも最高のわが国の場合、非常に援助が少ないということが問題になっているわけであります。そういう点から見ても、発展途上国との関係では決して公平であるというふうには私は考えておりませんが、またエネルギーの開発の問題でもエネルギー新税などを投入をしていく、これは直接国民の負担であります。そういう点で、一方では国が税制の面でもエネルギー新税などを導入をし、そして国としてのエネルギー開発を行っていく、しかも、一方では民間に莫大な資金を提供しながら民間大企業が発展途上国、有資源国に進出をして、しかも、そこで上げられる利益の享受はどこであるかというと、民間大企業以外にはないわけですから、そういう点では、私の見解としては、こうした措置はきわめて不公平な措置であるということを指摘をしておきたいと思います。 時間もないので、さらに先に進みたいと思いますが、次に法人税本法の中身の問題であります。 今度の改正では本法そのものについては触れておりません。政策税制を中心にということでありまして、本法の中では退職給与引当金にかなり批判も厳しかったので若干の手直しがございますが、この引当金制度が諸外国に比べてもわが国の場合には比較的多いというふうに言われておりますし、過去においても、主税局長が国会の答弁の中でも諸外国の例を引用されながらそのことを認めていらっしゃるわけであります。 そこで、特に金融機関の貸倒引当金の問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、予算委員会に提出をされました資料を見ますと、都市銀行の昭和五十三年度の下期における貸出金残高は六十八兆四千九十億円、そして貸出金償却額は七十六億円、これは上期、下期合わせてでありますけれども、これは当然でございましょう、七十六億円というふうになっておりますが、これはそのとおりでございますか。
○高橋(元)政府委員 全国銀行財務諸表分析という資料からの数字でございましょう。私どもの手元にも同様の数字を持っております。
○渡辺(貢)委員 この六十八兆四千九十億円の貸出残に対して七十六億円という貸出金償却額、これは一万分の一・一ということであります。今日までの御説明によりますと、実績率から見るとほぼ千分の一ということが言われておりました。これは昨年度の予算委員会に対する提出の資料でありますけれども、金融保険業の中で期末貸出残高に対する貸し倒れ発生額〇・一%というふうになっております。この千分の一でも現行定率繰り入れの千分の五は約五倍でありますが、実際の実績を見ると一万分の一・一でありますから百二十倍になる、こういうふうに考えられます。そういう点で、この中にも大きな矛盾が残されている。率の問題あるいは定率がいいのか、あるいは実績率に全面的に変えていった方がいいのか、いろいろの御議論があろうかと思いますけれども、いずれにしても、現在の貸倒引当金の矛盾は否めないというふうに考えております。ただ、都市銀行に比べて中小金融機関である信用金庫を見ますと、同じ今年度大蔵省から予算委員会に提出されております資料を見ますと、信用金庫の場合には貸出残が二十一兆六千五百二十九億、貸出金償却額が百八十四億ということで一万分の八、約千分の一に近い数値を示しておりますから、これも金融機関の業態によって、都市銀行あるいは地銀、信用金庫など業態によっての違いもあるのではないかというふうに考えられます。 そういう点で、現在の定率繰り入れがいいのか、先ほども指摘しましたように、実績率に変えていく方がいいのか、いろいろ御検討があろうかと思いますけれども、いずれにしても、たとえば定率をやる場合でも千分の五は正しくないし、御議論がありますように、来年度は千分の三というふうな御意見もございますけれども、こうした引当金の繰入率、繰入制度の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
○高橋(元)政府委員 数字のことからまず申し上げたいと思います。 金融保険業、これは貸金業者から中小金融機関から都市銀行全部を含めて、私ども税務資料から現実の貸倒引当金の繰入額に対する貸し倒れ損失の発生状況の割合をとって前年度の国会にもお出しをいたしました。金融保険業は、五十二年分について見ますと、資本金一億円以下の場合は貸し倒れ発生状況は〇・〇%、つまり万分の幾つという台であります。一億円超の場合は〇・一%であります。 それから、もう一つ数字のことでこの際申し上げておきたいと思いますのは、先ほど全国銀行財務諸表分析から数字のお示しがございましたが、これは金融機関が貸し倒れ損、債権償却という形で挙げておるものでございますが、そのほかに、有価証券の中ではその他の特別損失、または貸出金償却という科目で引き落としておるものもございます。これはすべて特別損益でございます。したがって、そういうものを加算いたしまして私どもの方で税務上サンプル調査をいたしましたものが、ただいま御報告した数字であります。 金融機関の貸倒引当金をどのようにすべきかということにつきましては、各国もいろいろの立法を持っておりますし、それぞれ改正を繰り返してきておるわけであります。現状では、イギリスをのけますと、大体概算率で繰り入れるということはやむを得ないということのようであります。アメリカでは〇・六、それからフランスが〇・五、これは中長期債権につきまして〇・五、そのほかに経験値、つまり過去何年間かの平均の貸し倒れ損の割合というものを繰入率にしてもいいという制度をとっておるところもあります。イギリスのように個別判定だと言っておるところもあるわけであります。五十四年度において金融保険業はちょうど経過期間中でございましたから、まだ〇・五というところに達しておりませんので、貸倒引当金の繰入率の引き下げを見送って五十六年の問題といたしたわけでありますが、五十四年度に金融保険業以外の各業種の貸倒引当金の法定繰入率の引き下げをいたしました際には、これはやはり全国平均、全業種平均の割合をとりますために非常に分散が大きいわけであります。分散が大きくて現実の個々の企業体にとっての貸し倒れの発生率よりも繰入率が小さくなるということもあり得ようかということで、実績率を採用してもよろしいという選択を認めたわけであります。実績率につきましては、従来会計上慣行がございません。各企業の実績率をどのように把握すべきかということについて、税務上だけでもなかなかむずかしい問題でございますが、会計上の慣行の成熟を待って私どもとしては貸倒引当金の繰入率をどうすべきかということについてさらに検討を進めておるところでございますけれども、いずれにいたしましても、引当金につきましては常時見直しを行って経済の実勢に近いものにしたい、そういうことが基本的な方針であります。 なお、いまちょっと間違った数字を申し上げました。アメリカは現在は千分の十二、つまり一・二%であります。それから再来年、八二年から千分の六になりまして、八八年から経験率のみになるというふうに、長期に制度改正をしておるわけであります。
○渡辺(貢)委員 いずれにいたしましても、経験率から言うと、かなり現在の千分の五に比べて低いということは事実であるというふうに考えられます。 そこで、この問題についての最後の質問でございますけれども、租税特別措置法における政策税制の見直し、時間もありませんので、二、三の特徴的な例を申し上げまして、また法人税本法についても、その中に企業会計上と税法上のいろいろ矛盾を含んだそういう措置がとられている、性格としてはやはり不公平の性格を持っているのではないかという問題を指摘したわけでございますけれども、財政再建を展望された場合に、一段落をしたということではなくて、やはり冒頭の自然増収の問題でもかなり厳しいという情勢のもと、改めて法人税本法なども含めて、さらに五十六年度に大胆な見直しといいますか、そうしたものが必要であろうというふうに考えるわけでございますけれども、大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。
○竹下国務大臣 法人税の基本的な仕組みのあり方につきましては、税制調査会といたしまして昨年秋以来審議が行われているところであります。したがって、この問題については企業の資金調達の形態でありますとか、個人投資家の金融資産の選択、企業間の税負担のバランス等に及ぼす影響や効果、また諸外国の動向等を含めて検討することが必要であります。今後さらに掘り下げて検討していきたい。だから、いまのは法人税でございますが、租税特別措置も確かに一段落したものと評価されておりますが、税制そのものは絶えず見直しの対象として研究していなければならぬ問題であるという姿勢は持ち続けております。
○渡辺(貢)委員 それでは、次に土地税制の問題に入りたいと思いますが、これもある意味では不公正な内容だと思います。 初めに、国土庁から最近の地価の騰勢の現状について承りたいと思います。
○久保木説明員 地価の動向につきましては、土地鑑定委員会が全国の地価公示地点から抽出しました調査を行っておりますけれども、去る一月三十一日にこの委員会から発表されました結果によりますと、五十四年一年間で全国では九・〇%の上昇ということでございます。このうち、三大圏につきましては一二・一%の上昇ということでありますが、わけても東京圏では一三・六%というような上昇になっております。 また住宅地について見ますと、全国では一一・五%という伸び率でございますが、三大圏では一五・〇、それから東京圏では一六・四というような数値を記録いたしております。このように、三大圏とりわけ東京圏の住宅地の上昇が高いというのが特徴でございます。
○渡辺(貢)委員 国土庁の調査によりますと、そういう数値が出ておりますが、民間の調査によると、さらに約五割程度闘いというふうな調査でありまして、たとえば東京都の市街地域における一年間の上昇は約三三%というふうに言われておりますし、神奈川、埼玉でもほぼ二七、八%前後、わずか一年間でこういうふうな地価の値上がりを示しているわけです。こうした地価の値上がりの中で、非常に投機的な要因があろうかというふうに思われるわけでありますけれども、現在不動産融資の最終的な融資現状について銀行局にお伺いしたいと思います。
○米里政府委員 不動産業向けの貸出残高から申し上げますと、全国銀行ベースで五十四年十二月末現在で九兆四千四百八十三億円となっております。総貸し出しが百四十二兆七百九十一億円という数字でございますので、比率をとりますと六・六五%ということになります。この比率を過去の状態で見てまいりますと、四十七年度末が七・九%、四十八年度末が七・八%、そのころからだんだん下がってまいりまして六%台になっておるという状態でございます。 それから、金融機関の土地取得関連融資につきまして従来からしばしば通達を出して自粛を求めておるわけでございますが、最近では五十四年の二月、去年の二月に通達を発しまして、土地投機を助長するような融資を厳しく自粛するように通達をしたわけでありますが、そのときに、あわせまして今後は四半期ごとの増加額を報告せよというような指導をいたしまして、その後四半期ごとに数字が出てまいっております。それを申し上げますと、不動産建設業向けの土地関連貸し出しの新規貸出額ということに相なりますが、五十四年の一−三月が四千五百七十六億円、四−六月が三。千四百七十三億円、七−九月が三千三百四十二億円、十−十二月は目下集計中で数字が完成しておりませんが、大体三千四百億円前後になろうかと思います。
○渡辺(貢)委員 表面にあらわれている傾向はそういう傾向だと思いますけれども、現実にはかなりの差があるのではないかというふうに考えられます。 そこで、特に土地値上がりの一つの大きな原因となっておりますのが土地投機でございますけれども、これはきわめて典型的な例でございますので指摘をしたいと思いますが、昨年の五月十三日、埼玉県の伊奈町というところで起きた問題でありますが、伊奈町北部土地区画整理組合が区画整理を行いまして、保留地五十三区画を公売しました。ところが、この入札に参加したのは二千三百八十一人、約四十五倍。入札の地価は、公売の予定価格、大体当時の公示価格の前後でありますけれども、三上二平米、坪当たり十一万五千円ないし十四万前後に対して、平均の入札価格が約一・八倍、最高で二・六倍の三十四万五千円で落札がされているわけです。 ところが、この中で大変問題なのは、大阪に本社を持ち、わが国の中でも最も大手であると言われている積水ハウス株式会社、資本金百二十四億三千五百万円でありますけれども、これは住宅界でも有数の大手でありますが、ここの従業員がこの入札に大量に参加をいたしまして、二人でそれぞれ四区画ずつ落札をする、四人が三区画など、積水ハウスの従業員だけで十人で二十六区画を高値で落札をしているわけであります。こういうふうにして投機的な価格の高騰が行われました。 それから十日ほどした後、同じ埼玉県の川口の戸塚の区画整理組合、ここでも二十区画の公売を行ったところ、約二十倍の倍率。伊奈町の例にいろいろ教訓を得て、県の方では一人で一区画という入札の限定にしたわけでありますけれども、しかし、公売予定価格のほぼ二倍から二・五倍、こういうふうな現状になっております。 こうした点から見ますと、土地税制を緩和をしたから優良な宅地が供給できると、これは単純にはおっしゃっておりませんけれども、むしろ土地投機の誘因としてのこうした投機的な要素が非常に強いというふうに言えると思うのです。今回の土地税制の改正に当たって、こうした状況等を十分に御検討あるいは御認識されていらっしゃるのかどうか、改めて主税局長にお尋ねをいたしたいと思います。
○高橋(元)政府委員 土地の税制と申しますのは、これは御案内のように三大都市圏、特に首都圏の住宅宅地の供給をできるだけ円滑にしていく、そのために土地の譲渡所得は、通常の譲渡所得と違いまして、社会開発の益を含んでいるわけでございますから、所得税法本則の二分の一総合課税ということでは、やはり税負担の求め方としてそこに問題があるということで、租税特別措置法の一定の限度を超えました金額の四分の三の総合課税というものの大枠を維持しつつ、いま申し上げた形、目的に適合するような改正を繰り返してまいりまして、今回も御提案をいたしておるわけであります。そういう意味で、宅地の供給の円滑ということと、それから、あわせてできるだけ地価が上がらないような、そういう全体としての土地政策、その中での税制というものの効果を発揮してまいりたいというふうに考えておるわけであります。
○渡辺(貢)委員 なかなか効果を上げることはむずかしいというふうに私は考えておりますが、たとえばこれも埼玉県の例でありますけれども、市街化区域外での大企業による大規模な土地の取得が行われております。十ヘクタール以上の土地の取得が県内で九十四件、最終取得予定面積は六千二十四ヘクタール、六千二十四万平方メートルであります。これは四十年代の初めごろ、新全総が策定される前後から大企業による買収が始まりまして、中でも西武鉄道の場合には千二十二・七ヘクタール、東武鉄道は不動産を含めて約五百ヘクタールなど、大規模な土地の取得が続いておりますので、そうした点から見ると、宅地の安定的な供給の場合には、こうしたものに対するメスを入れていかなければならないというふうに考えております。 そこで、この問題について、国土庁の方で国土利用計画法に基づくいわゆる土地投機の規制あるいは買い占めに対する規制等が、法を発動して行われたかどうか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
○下説明員 国土法の運用についてのお尋ねでございますが、国土法の土地取引規制は、御指摘のとおり、土地取引の投機化の防止ということを主たるねらいの一つとしておるわけでございます。この規制につきましては二つの内容がございまして、一つは、土地取引の投機化ということが現実の事態になってまいりました場合に、区域を限って、かつ時間を限って発動されます規制区域制度という制度と、それから大規模な土地取引について一般的に全国かつ常時行われます届け出、勧告制度、二つの内容があるわけでございます。 届け出、勧告制度につきましては、現在全国の土地取引の約一割ぐらいの件数をカバーするものが対象になっております。これを通じまして土地取引の投機化の防止ということには大きな効果を上げておるものというふうに考えております。 規制区域制度につきましては、これは投機化の防止ということにつきましてのいわば決め手になる制度でございまして、万一、土地取引の投機化が見られるというようなことになりますれば、機動的にこれを発動するようにということを自治体に対して指導しておりますし、また、そのために常時土地取引の動向を監視するというための調査をいたしております。 国土法が制定されましてからこの五年間、幸いにしてそういうような事態には立ち至っておらないわけでございます。現在も土地取引の投機化が見られておるというようなことは、この調査の結果からも私どもそういう判断はいたしておりませんけれども、今後ともこの点につきましては十分監視を強化いたしまして、制度の運用に当たってまいりたいと考えておる次第でございます。
○渡辺(貢)委員 かなり認識が甘いのじゃないかというふうに考えます。 時間がございますので、この問題の最後で一言申し上げたいと思うのですけれども、優良な宅地を持っている有資産家、たとえば昭和五十三年度の控除後の譲渡所得二千万円以上の納税者の数でございますけれども、ほとんどが土地譲渡者であるというふうに聞いておりますが、どのくらいの数に上りましょうか。
○高橋(元)政府委員 これは国税庁の統計年報速報ではなかなかうまく把握できませんので、私どもが五十一年から毎年やっております土地譲渡の課税調査という税務統計の数字でお答えいたしますと、特別控除後の長期譲渡所得、つまり土地でございますが、昭和四十三年十二月以前から持っております土地を譲渡し、それによって二千万円を超える所得を得られた方、こういう方は四万件おいでになります。譲渡所得がある者の総件数が四十六万件でございますから、一割弱ということになります。
○渡辺(貢)委員 土地の値上がりというのは、社会資本の投下などさまざまの要因があろうと思うのですけれども、いずれにいたしましても、現実に納税人口は約四千万人に近いわけでありますが、その約四万人の土地譲渡所得者のためにさらに税制を緩和する、しかも、十分な実効的な効果は余り望めないというふうにいろいろの議論を通じても考えられるわけでありまして、こうした点でも、今回の土地税制の改正は非常に大きな問題点をはらんでいるというふうに私は考えます。 そこで、最後に、きょうの一時間半余りの論議でございますけれども、これからのわが国の財政再建の展望を見た場合に、一つ一つの、それぞれの税法の中に矛盾もありますし、あるいは大胆に改善をしなければならない問題があるということは明らかであろうかと思われます。税法それ自身が国民生活にとってはまさに不可分の法律でありますし、また財政の機能が本当に国民生活を安定させていくという所得再配分の機能を十分に生かしていく上でも、これからの思い切った取り組みが必要だというふうに考えております。私たち日本共産党も予算の組み替え動議を提出いたしておりますけれども、その中でも、幾つかの問題についてかなり突っ込んだ御提案もいたしております。そういう点で、最後に大蔵大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
○竹下国務大臣 財政再建が緊急の課題であるという認識は、その点に限っては同じであります。したがいまして、昨年十二月、税制調査会の昭和五十五年度税制改正に関する答申におきましても、「従来の検討の方向及びその後の経緯を踏まえつつ、財政再建の進め方及びその中における税制のあり方についてさらに検討を続けることとする。」こうなされておるところであります。政府といたしましても、今後、歳出、歳入を通ずる財政構造の健全化を具体的にいかに進めていくかにつきましては、まさに本院における財政再建決議案にもありましたごとく、広く各界各層の御意見を伺いながら十分検討して結論を得たい、このように考えております。
○渡辺(貢)委員 以上で終わります。
○増岡委員長 竹本孫一君。
○竹本委員 きょうは若干時間がありますのでいろいろ伺いたいのですが、まず第一に、租税政策を通じて大蔵省は何をねらって努力をされるかという基本目的ということであります。もちろん、税収を得なければならぬという根本の課題もありますが、そういう財政収入を得るという目的と、もう一つは、富の再分配といったような社会公正の問題、さらには社会経済の発展あるいは生産力の発展というような経済政策的なねらい等、いろいろ複雑に絡み合っておると思うのでございます。毎年毎年、租税制度の改正のような法案が提案されるわけですけれども、当面、特にこれから八〇年代の租税政策の基本目標はどこに置かれるか、また、三つなら三つの大きな目的をどういうふうに調整をしていかれるつもりであるか、この点について主税局長から伺いたいと思うのであります。
○高橋(元)政府委員 財政の課されております課題というのは、これは大きく申して三つあると思うのでございます。いまもお示しがございましたように、まず第一に、公共に使います資源というものを民間の経済から移転をする、そういう意味の財源の配分であります。それから第二番目が、いまもお話がございましたいわゆる分配の公正ということを達成していくために再配分をいかに円滑にやるかということであります。第三が、経済の安定的な発展をどうやっていくかということであろうと思います。 これは大きく財政と申し上げましたが、その中の租税だけ取り出してみましても、やはり同じ財政の目的に奉仕するというのが租税のあるべき姿で、その三つの基本的な目標に即して租税政策を運営してまいらねばならぬというのが私ども税制のことに携わっております者の日常忘れ得ないところでございますが、とりわけてただいまは、いわゆる財政再建をいかに達成していくか、五十九年までに特例公債からの脱却というひとまずの財政再建の目標にいかに到達するかということが当面の課題でございます。そうなりますと、租税の幾つかの原則の中で普遍的にどのような方に伺っても最も大切なものである、国民の評価も最も高い租税の負担公平ということを執行面からも制度面からもより正しく実現をしていく。そういうことの中で先ほども申し上げた財政の三つの機能というものを、時々刻々の移り行く経済社会の情勢に合わせて毎年度より正しい税制のあり方を模索いたしまして、御提出をし、国会の御審議をいただくのが私どもの務めであるというふうに考えております。
○竹本委員 もう数年前でございましたけれども、アメリカの「タイム」という雑誌が、資本主義は生き残り得るか、こういうテーマで特集をやったことがあります。その論文は大変長いものであったけれども、また大変おもしろい論文であった。 どういうことを書いておるかといいますと、大体要点だけ申しますと、資本主義はプライベートイニシアチブを尊重することによってリッチソサエティー、富める社会をつくることには確かに大成功をした、しかしながら、ジャストソサエティー、公正なる社会をつくるということについては大きく失敗をした、これをどうするかということがこれからの問題であるという点を非常にうまく論じておりました。もちろんアメリカの雑誌でございますから、最後は、プライベートイニシアチブを尊重しながら資本主義の自己回復力を大きく期待していかなければならぬという論文でございますが、特に日本の場合を考えたとき、いわゆる高度成長というものは、大成功をしたというか相当の成功をおさめたというか、批判はありますけれども、低金利と間接金融と、さらに租税特別措置その他の租税政策で、とにかくある程度高度の成長をしたことは間違いない。 そこで、日本のこれからの経済政策の基本をどこに置くかという問題でございますけれども、いまの論文ではないが、リッチな、富んだ社会をつくるということについてはある程度成功をおさめたのであるから、これからの経済政策の基本というものはどこまでもジャストソサエティー、公正な社会をつくるということに重点を置くべきであるし、租税政策も基本はむしろそこに置くべきだ。そこだけではありませんけれども、そこに置くべきだというような考え方は当然あってしかるべきだと思いますが、大臣、この点いかがですか。
○竹下国務大臣 リッチソサエティーからジャストソサエティー、これはある意味において、日本語のことわざで言えば乏しきを憂えず等しからざるを憂うる、その乏しきというのが、乏しさの規範が大変変わってきておりますけれども、同じ考えであります。
○竹本委員 私はいま申し上げましたような立場から、とにかく日本では不公平といえば不公平税制という言葉がすぐ続いて出るほど、不公平、不公正な社会、特に不公正な税制ということになっておりますから、特に私はこの公正な問題を取り上げていくことが必要ではないかと思うのです。これは後でいろいろ議論もいたします。財政収入一本やり的な考え方でなくて、それからもう一つは、いま政府もあらゆる特別措置その他を全面的に見直す、その基準はあくまでもいま申し上げましたような点がポイントになるのではないかと期待をいたしておるわけでございますが、ぜひその努力を続けてもらいたいという要望であります。 そこで、第二段といたしまして、財政の再建の問題について特に伺いたいのでございますが、きょうは、一般消費税というのはいま何だか禁句になっておりますから申し上げようと思いませんが、これも主税局長に伺いたい。 五兆八千五百億円の税の面で増収がなければ困るというお話があったと思うのですが、そうであるか。それが一つ。 それから次には、五兆八千五百億円ということの計算の基礎というか前提には、幾つか前提があると思うのです。たとえば行政費の節約はどの程度に行うとか、公債の発行はどの程度におさめていって、その結果、元利償還の負担がどの程度になるという前提になるのか、そういう前提もあるであろう。場合によっては、金利政策の動きも大変デリケートになっておりますが、その金利の問題等も織り込んで考えておられるのか。 いずれにしても、簡単で結構ですが、五兆八千五百億円の増収を図らねばならぬと主税局長はその職責上非常に熱心に考えておられることは敬意を表するが、これもあらゆる前提がうまくいった場合の最小限度の増税ではないか。もし前提が崩れればそれでも足らないのだ、あるいは時期がおくれればそれでも足らないのだ、そういう時期的な問題や前提条件の問題やいろいろと困難な条件があると思うのですけれども、五兆八千五百億円という数字はそのままそうなのか、並びに、それをはじき出してそれだけ増収をやれば、何とか五十九年度赤字公債はなくなるのだということのためには幾つかの厳しい条件があると思うが、その条件を明確に示してもらいたいということであります。
○高橋(元)政府委員 大変むずかしい御質問でありますので、十分にお答えできるかどうか危惧いたすわけでありますが、五兆八千五百億円という金額を申し上げましたのは、経済社会七カ年計画を一般会計ベースに翻訳をいたしました五十五年度ベース財政収支試算から来ておるわけであります。 それは、歳出について一定の前提を置いております。社会保障移転支出が国民所得に対して一四・五%になる。これは昭和六十年度にそういうふうになる。それから、その他の歳出につきましても、現在の時点でこれから八・三%の年率で伸びていく。それから、公共投資につきましては、五十三年から六十年までに累積二百四十兆円の公共投資をいたします。租税負担率はそういう経済の、または財政の基本的な指標と両立いたしまして、特例公債から脱却いたしますために二六・五%の国民所得に対する負担が必要である。それらの諸要素を置きまして一般会計の今後の足どりを出してみますと、歳出の五十五年度を起点とする六十年度までの平均の伸びが一一・二%に相なる。それで、税収の方は現在の二十四兆六千六百億から出発をいたしますと、一七・八%の伸びに相なる。こういう計算であります。これは五十五年度から六十年まで名目で一一・四%の成長を、経済を構成いたします諸ファクターの均衡というものを考えながら運営をしていくわけでございますが、その伸びが各年度等率である、景気変動によるフラクチュエーションが全くない、そういう非常に簡単な計算をいたしまして、一一・四%の名目経済成長に対して国税の長期弾性値が一・二でございますから、一・二ずつ伸びてまいるという前提でまいりますと、各年一三・七%の税収の伸びになるわけであります。 その一三・七%が、二十六兆四千百十億という現在の税制を全くいじらないで、これから後、六十年まで等率で伸びていくという前提を置いて計算をいたしますと、各年、五十六年、五十七年、五十八年、五十九年、それぞれ一兆一千三百億円、五十七年に一兆三千二百億円、五十八年に一兆五千六百億円、五十九年に一兆八千四百億円、合計五兆八千五百億円が、収支試算で見ております五十九年特例公債脱却までに等率的に伸びていきます税収との差額として出てまいるわけで、これは、五兆八千五百億円の今後現行税制以外の税収がないと、五十九年度の特例公債脱却はできないという形でお答えをしておるわけであります。 すなわち、歳出につきましては、現状までの伸びよりはかなり切り込んだ、今後六カ年間、経常部門で一一・二、それから予算規模全体で一一・四、こういう伸びをしていくわけでございますから、従前よりは諸経費についてははるかに圧縮されておるということは事実でございますけれども、これについてさらに切り込む余地があるかないか、切り込みながら、なお経済にダメージを与えないで六十年に所期の目標が達成できるかという問題があると思います。 それから、金利その他の経済的な諸要件についてどう置いたかということでございますが、これは七カ年計画の六十年フレームというものの中で、金利の変動は、国債についてはたしか現在の発行条件と同じような形で金利を計算しておりますし、全体の金利水準についてもこれは私どもには承知できないことでございまして、それほど大きな変動を見ておらないと思います。申し上げましたように、等比で伸びていく経済でございますから、実際といたしましては、国際、国内の環境の変化によりまして、必ずこの等比で出てまいった計算結果よりは上にいく、あるいはある年には下にいくと思います。それぞれの年で、上にいったときにはより一層財政の体質を健全化するように努め、下にいったときには、歳出について、また歳入についてもう一度努力をしていくということでありますが、いずれにいたしましても、歳出、歳入両面を通じて各年度どうしていくかという問題は、この財政収支試算からは直ちに出てまいらないわけで、そこは各年の経済を見ながら、この財政収支試算の示しております一つの手がかりをもとにいたしまして、具体的な努力を払ってまいらねばならぬという性質のものであると思います。 大変不十分なお答えで恐縮でございますが、そういう仮定で計算をいたしておるということをお答えいたします。
○竹本委員 たくさん御説明いただいたのだけれども、結局、五兆八千五百億円で大丈夫か、赤字公債は発行しなくても済むようなところまでいけるかというような問題については、非常に多くの不確実な条件もありますし、多くの厳しい前提条件があると思うのですね。 いろいろ御説明をいただいた中で、一番確実だと私は思うのは租税の弾性値が一・二ということ、これだけだと思うのですね。あとはほとんど不確実だ。そういう意味で、大蔵省の方でも、いま財政に関しては皆収支試算と言っておられるわけで、計画とは言っておられない。その点は遠慮しておられるわけだろうが、事実、試算も試算、これは大変むずかしい試算だというふうに理解をしておる。しかし、それでは困りますので、本当にもう少し財政再建について一つの見通しを持ちたい、あるいは計画を持ちたいとみんな念願をするわけですけれども、石油の問題もありますし、大変むずかしいということも私もよくわかります。 そこで、私は財政再建のいまの数字の問題を離れて少し伺ってみたいと思うのです。 それは、たとえばこの国会には法人税の増税案は、話は一時新聞で見たけれども、どこかへ行って消えてしまった。そういうことで、大臣、私はこれは大変な問題だと思うのですけれども、来年になれば、どうしてももう増税の問題について真剣に取り組まなければならぬと思うのです。参議院選の前だから言わないか言うかは別として、とにかく増税の問題に取り組まなければならぬ。ところが、その増税というものを考えてみた場合に、やはり最後には、非常に残念だけれども、大衆の負担を要請するような面も考えなければならぬということになると私は思うのですね。 そこで、問題は二つあると思うのですけれども、大衆に負担を要求しようと思えば、今度、最近議論になったように、行政機構の改革その他の思い切った改革もやらなければならぬ、これはそのとおりであります。しかし、私はそれに数字を多く期待しない。あるいは期待しても無理だろうと思う。いずれにしても、大衆に増税を願うとか、負担を公平に分担してもらおうとかいうことになると、その前に力のある者に大きな力を出してもらうように法人税の増税なんというものはいまのうちにやっておかないと、来年のそういう基本計画を進める上で非常に矛盾があり、困難が倍加してきはしないかということであります。 それからもう一つは、来年になってから予算編成するときになって、法人税もやる、大衆課税もやる、何もやると言うて、言うのは簡単だけれども、たばこ一つ見てもわかるように、増税というのはなかなかむずかしいのですから、二つも三つも大きな増税を考えるということは、考えるのは自由だけれども、実行はなかなかむずかしい。したがって、私は、来年度における財政再建の課題に取り組むためには、大衆に犠牲を要求する前に、それこそ前提条件として、ことし法人税ぐらいは上げておくべきであった。来年、法人税とその他の税とを一諸にやるということはほとんど不可能に近い。しかし、それができなければ、日本の財政は再建はほとんどできない。ペーパープランは別ですけれども、本当の意味の財政再建の糸口をつかむということは——公平に見てことしの予算の中でまあ糸口になるかなと期待を持たれるのは、一兆円の国債を減額したということだけですよ。あと、その糸口がどこにありますか。 私は、そういう意味で財政再建の厳しい課題を考えれば、その第一歩として、ことし法人税は増税すべきであった。それを経団連の何とかいう人がその辺をうろうろ歩き回ったらいつの間にか消えちゃったというのは、無責任きわまる話だと思うのだが、法人税の増税をことしやらなかった。説明はいろいろありますよ。退職給与引当金をこういうふうに減額することになって、実質法人税は一・何%ふやしたことになっておるのだから、それ以上は言えなかったとか、あるいはそれを言うことによって景気が不景気になったら、政府の責任が大変になるからいまは言えないんだとか、説明は一応ありますよ。しかし、財政再建という立場から見た場合に、法人税を引き上げることなくして財政再建ができるのか。また、来年に法人税の引き上げとその他の増税とを一緒にやって乗り切るだけの政治力がいまの自民党にありと考えておられるか。二つの点を伺いたい。
○竹下国務大臣 竹本委員、全く何も承知の上でのお話でございますので、法人税をなぜ手をつけなかったという弁解、説明は省略をいたすといたしまして、結果的に申しますならば、いま評価していただいたのが、財政再建元年のあかしとしては、公債一兆円の減額だけはまあ評価できる。一兆円というのは非常に覚えやすい、わかりやすい数字でございますので、私も繰り返しこれを言っております。 次に、一般歳出の伸び率が五・一%にとどまった。これはやはり三十一年度以来の低い伸び率でございますので、これはこれなりに苦心を払ったところであると思います。それから、税制面の見直しでは、これも御承知のとおり、いまお話のあった退職給与引当金と租税特別措置の整理合理化、給与所得控除の見直し、三つだけをやったということになります。 それから行政改革、これは直ちにいわゆる経費の上で大きな期待はできないとおっしゃいましたが、私も将来の展望は別といたしまして、直ちに期待できるものでは必ずしもないというふうに確かに感じております。やっとのことで補助金等の整理合理化が千六百数十億できたというにとどまるわけであります。 したがいまして、法人税ということになりますと、ことしは、まず入るをはかる前に出るを制するというような考え方で予算編成に当たりましただけに、来年度は、歳入、歳出両面で当然のこととして検討をしなければならぬという状態にあることは私も承知しております。さればとて、既存税目の引き上げというものにはおのずから限界もございます。したがって、もとより法人税の引き上げというものが全く来年度以降対象にならないものであるなどと言ったことは一度もありません。これらにつきましても、各方面の意見を十分聞きながら対応していかなければならぬ重要な一つであるというふうに理解をいたしておるところであります。 その他、それと同時に、いわゆる大衆課税ができるか、こういうことでございますが、それもやはり先輩の議論等をこのように問答しながら、国民の理解が得られる環境ができて初めてできることではなかろうかというふうに考えております。
○竹本委員 五・一%の伸びにとどめたという努力は、先ほど申しました一兆円の公債減額のうらはらでありまして、私は敬意を表しておるし、高く評価しておる。しかし、いま御答弁のところで申し上げますと、私が特に問題にするのは、大臣が言われた、法人税を対象にしないと言ったことは一遍もないという御答弁で結構ですが、対象とする場合に、ほかにも増税を考えなければならぬ、そういう場合に、二つも三つも増税が来年にできますかということを聞いているのですよ。しかも、それができなければ財政の再建の本当の意味の軌道には乗りませんよということを言っているのです。その点どうですか。
○竹下国務大臣 その問題につきましては、それこそきょうこうして竹本さんと議論をしながら、国民の理解を得られる環境が熟したら、私はやることができると思います。しかし、現在の自由民主党の政治力とかいう問題ではなく、やはり国民全体の理解の中に初めてできる問題である。したがって、ことしは参議院選挙もございますが、絶えず国民と財政再建問題については、サービス低下を甘受してもらうのか、あるいは新しい負担を求めるのか、二者択一というような厳しい状態にあることも認識しながら、それをどこで調和していくかということを、絶えず問答の中に国民の理解と協力が得られるような環境をつくっていかなければならぬ。これに一生懸命やらなければならぬと思っております。
○竹本委員 この問題は大体以心伝心ですか、ポイントはわかっていますからこのぐらいにしておきましょう。 そこでもう一つ、法人税の問題を離れて、所得税の増税の問題はちょっと時間がないから言いませんが、一体、ほかの税収を図る場合に何があるだろうかということを考えた場合に、私は税の専門家でもありませんからよくわかりませんが、考えるところは、直接税から間接税へと大蔵省も宣伝しておられるが、間接税、間接税と言うても、一つは物品税、一つは印紙税くらいなものだと思うのですね。 そこで、主税局長にまず伺っておきたいが、物品税、印紙税のことしの収入は幾らあるか。仮にそれぞれ三割ぐらい増税をするとしても、どのぐらいの税収が期待できるか。そういう意味で、物品税、印紙税の増収にも、何も大して多くの財政再建の決め手になるようなものは期待できないのではないかと思うが、どうかという点はどうですか。
○高橋(元)政府委員 五十五年の当初予算に計上いたしました物品税収は一兆一千九百十億円であります。印紙は、税としては収納後でないと税目分別できませんが、印紙収入を九千四百三十億円計上いたしておりまして、その半分が印紙税というふうに御承知願いたいと思います。合わせまして一兆六千億余でございますから、いまお示しの三割という数字を使いますと五千億ということに相なりますが、それぞれの税目ごとに三割の税負担増を求めることができるかどうかは、また別途の検討が必要であろうかと思います。
○竹本委員 だから、それぞれ三割ふやすということは大変むずかしい課題だと思うのだけれども、ふやしてみても財政再建の大きな決め手にはならないということですね。そういう意味からも、だんだん詰めていくと、どこへ落ちつくかということがおおむねわかる。きょうはその問題は余り時間もありませんから触れませんが、しかし、それにしても、たとえば物品税なんというものは一つの消費税でしょう。一般消費税はやると言った。そして国民の理解が得られなかったという物理学的表現があって終わったんだな。しかし、実際問題として、一般消費税ができないという場合に、それでは物品税そのものを見直して、かけるべきところにかけていない問題もあるかもしれぬ、もっと税率を上げるべきものを上げないでおるかもしれぬ、あるいはまた、逆に免税点を上げなければならないものもあるかもしれない。物品税については、物品税それ自体としても一つの問題が大分あると思うのだけれども、一般消費税をも考えざるを得なかった情勢の中で、また一般消費税を考えたという過去の事実の中で、一体これからどういうふうに取り組もうとしておられるか、これをちょっと聞いておきたい。
○高橋(元)政府委員 これはよく御案内のことでございますが、物品税は、課税対象の物品の種類が六十八ございます。一つの物品税という税法の形をとっておりますけれども、実は六十八の個別消費税法の集まりだというふうに思います。税率にいたしましても、五段階ですか、六段階ですか、分かれておりますし、免税点のあるもの、ないもの、あるものにいたしましても、その高さ、まちまちでございます。選びまして現在課税対象にしておりますものは、奢侈品ないし比較的高価な便益品、趣味娯楽品というものに限定をいたしておるわけでございますが、戦時中はかなり広い課税範囲を持っておりました。恐らく課税対象金額でいまの五割増しか倍ぐらいあったかと私は記憶をいたしておりますが、そのくらい大きなものから、たとえば中小企業製品であればそれを課税から外すとか、スポーツ用品を外してまいるとか、大体戦後縮小の方向で改正を続けてまいりました。したがいまして、現在その六十八品目の個別消費税という形のまま、新しく物品税をより課税対象を広げていくということになりますと、課税を一遍廃止したものについてかけていくという問題、中小企業の問題、税務執行の問題、さまざまむずかしい問題が出てまいろうかということであります。新規に開発されました比較的グレードの高い消費財につきまして物品税の課税対象に取り込むということは戦後もやってまいったわけでございますけれども、それにいたしましても比較的限られておるわけであります。個別消費税でない形の消費税というものの中に段階的に吸収をしていくというのが物品税について私どもが考えてまいった方針でございますけれども、今後とも財政状況に照らしまして見直しは行っていくわけでございますけれども、その見直しの範囲としては、余り多くを期待することはむずかしいのではないかというのが現時点での私の率直な考え方であります。
○竹本委員 今度の予算修正のときにも一つ問題になりましたが、ついでに伺っておきますが、物価調整減税というものは、政府は財政の緊迫した状況の中から当分は考えないというお考えであるかどうか、それが一つだが、そのことと、いま申しましたように、対象には物価調整減税もやらないというたてまえを貫くぐらいに厳しい情勢の中で、そしてまた、この間までは一般消費税ということを大きく叫んだ実績の中で、そういう意味の物品税その他を本格的に再検討するということも必要ではないかと私は思うが、そのバランスがとれないではないかという問題とあわせてひとつ御答弁をいただきたい。
○高橋(元)政府委員 物価調整減税につきましては、たびたび大臣からお答えがございました。わが国の置かれております現在の財政の苦境、それから所得税の負担水準、課税の最低限、有業人口に占める所得税納税人員の割合、それらを外国と比べましても、いま財政の苦境をさらに加重をしながら物価調整減税を行うという理由を見出すことは大変むずかしいということで、物価調整減税は行うことは適当でないというふうに考えておりますので、御理解をちょうだいいたしたいと思います。
○竹本委員 次へ参りますが、これは先ほど申しました公正な社会、公正な税制の問題とちょっと関連をして伺いますが、一方で、日本の国民の、中流社会になった、中流化したという意識が九〇%を超えたというような統計も最近出ておるし、最近ちょっと読んでみたボールディングなんかの言っているのも、分配の平準化がむしろ日本の特質である、ある意味において高く評価しておる、あるいはそういう面もたくさんあります。しかしながら、今度は税制を通じて見た日本の社会における富の偏在というか集中度というものを見ると、まだまだ努力すべき問題がたくさんあるのではないかと思う。 ついでに、一つ思い出話で恐縮だけれども、私は、ドイツの社民党が政権を取る前にブラントさんやシュミットさんも入れたドイツ社民党の本部へ行っていろいろ話をしたことがあります。そのときに、実は私の方から、いろいろ論議をした最後にこういうことを言ったんですね。あなた方の話を聞いていると、外交政策と経済の根本については保守政党とほとんど変わりないと思うが、どうかということを私が言ったんですよ。そうしましたら、その答弁がちょっと日本人の考えるのと違っておりまして、大きな声で言ったのですが、そのとおりだ、外交や経済の根本について野党と与党とが百八十度違ったら国はひっくり返ってしまう、違わないからいいんだ、違ったら国民はわれわれを信頼しない、違わないから、手法は変えるけれども、基本方向は変わらないから、ドイツの国民は安心してわれわれに政権を任せてくれると言っておりました。そして、事実そのとおりにいまなっているわけですね。しかし、そのときに言われたことがある。大きな流れにおいては違わないけれども、特にまた、日本のことにも関連をして言ったのですが、ドイツ社民党は三つのことに努力していると言うんですね。それは、第一は、今日で言うと環境衛生でしょう。衛生の問題である。環境を保全するということは、特に経済の成長とともに大変困難な問題で、保守政党は、日本もそうかもしれぬが、余り熱心でない。環境保全に対しては熱心でないから、これをわれわれは声を大きくして叫ばなければならぬ問題である。第二の問題は、教育の問題である。特に社会教育、婦人教育の問題である。国民大衆が批判的な力を持つと、保守政党はかえって困るものだから、余り教育に熱心でないとまで言いましたが、とにかく教育の問題が大事であると言いました。第三が問題なんだが、第三は富の再分配だ。その中に日本に来た人もたくさんおりまして、日本のいろいろの政党の指導者と会って一番驚いたことは、富の再分配ということについて日本人は余り関心がない、取り上げて闘っている様子もない、これは驚いたということを強く言われまして、私は三つとも印象に残っておりますし、その前の話も印象に残っておるのです。 そこで、きょうは富の再分配ということを一番最初にジャストソサエティーの一つの条件として提起したわけです。日本のいまの統計を見まして、これは大蔵省の統計でもそうですが、一千万円以上の収入のある人は数にすれば一・三%である。それらの人が納めている税金は二五・七%である。一・三%の人が二五%の税を納めるだけの所得を持っている、こういうことですね。それから、相続税で見ますと、相続財産が五億円以上というような人はわずかに一・七%であるが、一・七%の人で相続税は三五・一%の税金を納めておる。こういうところを見ると、一%か二形足らずの人が四分の一もしくは三分の一の税を納めているか、あるいは富を持っているかということになる。これが、公平なる富の分布という形において問題はないのか、健全な社会として喜んでいい姿であるかという点について、これは大蔵省の統計で言っておるのだから間違いないが、感じとしてジャストソサエティーになったと言えるかどうかということをひとつ伺っておきたいと思います。
○竹下国務大臣 確かに非常に少ない人で多くを支えているということは、わが国の、なかんずく所得税制というものが累進税率が非常に高いということがその一つであろうと思うのであります。したがって、諸外国に比べてみましても御案内のとおりでありますが、その限りにおいてはパーフェクト・ジャスト・ソサエティーになっておるとは思いませんけれども、結局そういう感じというものが、中産階級意識が非常に強くなっておる一つの、要因ではないかというふうに考えております。
○竹本委員 そういう意味で、われわれはいまの状況に満足せず、あるいは国民は何となく前の暮らしがまずかったものだから、少し楽になったということで中産階級になったと喜んでおるのだけれども、本当の実態を数字の上でつかんでいない。ムードの上で、大体日本人はプロレタリアという言葉もきらいだし、そういうふうに思うこともきらいですから、自分は中流かあるいは中の下と思って喜んでいるような傾向がある。しかしながら、政治として考えた場合に、いまの数字でわかるように、もう少し努力する余地があるのではないかという問題提起を私はしておるわけです。 それとの関連において、財政収入が足らなくて、主税局長もいろいろ頭を悩ませておるようだけれども、かつて私がここで問題提起をしましたが、富裕税という問題について最近どういう考えでおられるか。この問題については、私も本委員会においてすでに二回くらいの議論をしたことがあります。そして、政府の言われることも大体よくわかっておる。困難がいろいろあることもよくわかりますが、その技術的な困難ということだけで絶対解決の方法がない——大臣、ちょっとついでに申し上げておきますが、大蔵省の悪い癖が一つあるのですね。それは、事務的な問題でいかにも本質的に何か物事ができないように、またしてはならないように、オーバーな言い方がずいぶんあるのです。たとえば、法律問題でもそれは法律的にできないと言う。よく聞いてみたり、だんだん調べてみたら、できないことはないのです。法律というのは国会がつくっておるので、大蔵省がつくっておるのではないから、国会の考えと見識と責任において法律を直せば直せるところがたくさんある。それを絶対できないように言って、われわれは正直だからおどかされてしまう。それから、税の法案なんかの問題も、タイムリミットがあって、もしこれが通らなければ国際的には大問題になる、国内においては月給が支払われなくなるなどと言って大げさに宣伝されるものだから、これまた大蔵委員会が夜を徹して徹夜国会をやる。しかし、後で聞いてみたり、やった結果を見ていると、必ずしもそうではない。少し過剰宣伝があり過ぎるから、オーバーな宣伝は、法律問題もタイムリミットの問題もやらないようにしてもらいたいと思うのです。 技術的に困難な問題についてもその点は同じでありまして、たとえば、財産の把握がむずかしい、それはもうおっしゃるとおりなんです。私もその点はよくわかりますけれども、絶対にその方法がないのかといっていろいろ考えてみると、昭和二十五年に行われた富裕税のときにも、いろいろ矛盾はありましたけれども、ある程度各人別の調書を出させることによって、完全ではなかったけれども、所期の目的を達することができるようになった。今度はグリーンカードとかいろいろの工夫をされているようだけれども、それらのものも含めて、特に表現されない資産についてもある程度つかむ方法が考えられるようになると、前回の答弁で言われたような、絶対できないような言い方ではなくて、できる方向において検討する必要が財政的な立場からもあるいは公正な社会をつくるという考え方からも必要になり、かつ可能になってきたのではないかと思うが、その点はどうか、こういうことであります。
○高橋(元)政府委員 税制調査会で、五十二年の中期答申以来、富裕税の問題は継続的に勉強していただいておるわけでありますが、一昨年九月の一般消費税特別部会の報告の中では、富裕税は単独で導入の是非を論ずるよりも、新税の導入との組み合わせで検討することが適当であるという意見もあるから、執行面における諸問題について引き続き検討を重ねた上で結論を得べきであろうというお答えでありました。現在でもこの観点で、新税との組み合わせということは別にいたしましても、富裕税の導入について勉強を続けておるわけであります。 そこで、竹本委員には、四十八年でございますか、前回の相続税法の改正の際にも、この委員会で詳細な御質疑をいただいてお答えをしておるわけでございますけれども、富裕税問題で、資産の把握の問題というのは確かに非常にむずかしい問題でございます。グリーンカードシステムというのが効果を発揮することができるようになりますために今後とも努力をしていくわけですが、そうなりました場合には、富裕税の中で無記名の金融資産に対する把握につきましては、より一層前進すると思います。ただ、それ以外の動産の把握がどこまでできるかという意味で、資産の把握の問題というのは一つ解決の方向で前進を続けることはできると思うわけでございますけれども、もう一つ評価の問題というのが非常に強く出てまいります。たとえば、土地、非上場会社の持ち株、こういうものの評価を経常的にどうやっていくのかという問題であります。富裕税の納税者というのはそう大きな数ではございませんでしょうから、したがって評価の問題も、技術的には大変むずかしいし、手間がかかることでありますけれども、それは絶対の支障ではないという御指摘であれば、それは極力努力をいたして評価の問題は解決していかなければならないと思います。 三つ目の問題は、経常的な財産税として、所得税の補完税として性格づける場合に、日本の所得税の税率の累進度がかなり急である。最高税率は限界で九三%、平均で八〇%まで来ておりますから、その上に経常的な財産税を入れるといたしますと、所得税、住民税、それから富裕税を合わせました場合の賦課制限というものをどうするかということが非常にむずかしい問題として残るわけであります。現在経常的財産税をやっております国が、私どもOECDについて調べますと九つばかりあるわけでございますけれども、税率のいかんはありますけれども、比較的古くからやっておりますドイツ、オーストリアなどをのけますと、大体八割という賦課制限をしております。所得課税と経常的財産税と合わせまして八割のところで賦課制限にしてしまうということが多いようであります。一番賦課制限の高いノルウェーで八五でございますが、そうなりますと、経常的財産税が財産の運用利回りその他を考えますと税制として機能し得る範囲が非常に狭い、つまり税源が非常に小さいということになります。九三%の限界税率は八千万のところから働いてくるわけでございますから、その場合に平均税率が七〇%ぐらいになりましょうか、その後賦課制限で入る余地はほとんどなくて、五億を超えますと、たしか、正確に覚えておりませんけれども、計算させましたときの私の記憶で申しますと、新しい経常的財産税が入る余地がないということになるわけであります。経常的財産税という性格を前提として考えますと、所得税の税率構造、それから住民税の税率構造、そういうものとあわせて経常的財産税としての富裕税をどういうふうに位置づけるかということは、税体系を考えます私どもの立場といたしますと一番むずかしい問題としてなお残ってくるわけであります。したがいまして、所得税の最高税率を下げて富裕税に置きかえる、これはたしかシャウプの税制勧告がそういう形をとったわけでございますが、そういうことがいいかどうか。その場合に所得税として把握される所得よりも富裕税の対象として把握される資産がより捕捉度が低いといたしますと、そこで税の公平上の問題というのが登場してくるかというのが私の現在の考え方でございます。
○竹本委員 御説明は一応わかりますが、特に私この際伺っておきたいが、インフレ過程というものは富の偏在をますます激しくするのですね。したがって、税制の上から言えば不公平というものがますます拡大される。それを税の上からだけ調整するということはもちろん困難ですけれども、税制としても、インフレ過程が一番不公平なものなんだから、その不公平なものをますますインフレ過程——これからは御承知のように、油はますます上がるし、円はますます下がるから、物価はどんどん上がってくる。政府がいろいろ弁解されたり努力されたりするけれども、なかなかインフレはおさまらない。そのインフレ過程というのはいま申しましたように富の偏在を激しくするんだ。それをどういう形においてか、税なら税の形においても、税の面からは是正をする努力は常に忘れてはならぬのではないかという点をひとつ申し上げておきたい。 それから、いまパーセンテージをたくさん言われましたけれども、問題は、日本の税制は実態をどれだけ確かにつかんでおるか。租税の課税標準をどこまで確実につかんでおるかということの方が問題ではないかと思うのです。百あるものを七十に押さえて、それの九五%を押さえたなんて言ってみても、実態からいうと大分離れておる。問題は、税制改革の場合にわれわれが忘れてならないことは、その実態の把握がどれだけできているかということが非常に問題だと思うのです。 たとえば、これは地方税になるが、固定資産税なら固定資産税というものがそこにある時価と一体どのくらい離れておるのですか。何%掛けるかという問題の前に、それがどのくらい離れていると思われるか。感じでいいですよ。私が言いたいことは、税率が高いとか低いとかいうことも非常に問題だけれども、実態把握が完全にできた上でのパーセンテージなんだから、それができていないという感じをうんと持っておるんだが、国税、地方税を通じての話ですけれども、感じとして一〇〇%つかんでおるんだということが言えるなら、それはパーセンテージだ、富裕税はだめだとかなんとかいろいろ言えますよ。しかし、つかんでいないんじゃないか。そこに大きな問題があるのではないかと思いますが、どうでございますか。これは大臣と両方から聞きたい。どのくらいつかんでおると思われるかということです。
○高橋(元)政府委員 国税庁もおりますことで、私からお答えするのが適当かどうかということはございますけれども、所得税の税制は理論的に非常にりっぱな税制であろう、私どもはずっとそう思ってまいりましたし、いまでもそう思っておるわけでございますが、それのまた最大の弱点は執行が大変むずかしいということであります。とりもなおさず課税標準となる所得が正確に捕捉されない傾向が非常に強いということは申し上げられると思います。それがいかなる程度であるかというのは一つの問題でありましょうけれども、所得課税に依存してまいります場合には、執行の面で課税されない所得というものが出てまいる、それは避けられないことであろうと思います。 それから、固定資産税の課税標準がどうなっておるかということでありますが、これは私ども、感じで申し上げて恐縮でございますけれども、相続税の評価額の半分よりも少し上ぐらいかと思います。したがって、現実に売買して得られるであろう価格に比べますと恐らく半分とかもう少し低いぐらいの割合になってしまうのではないかというふうに思います。
○竹下国務大臣 どうも私にはよくわかりません。
○竹本委員 大臣、私が申し上げておるのは、とにかく実態を全部完全に把握しているという上でパーセンテージが高いとか低いとか言ってもらいたいのであって、現実はそうではありませんという点を問題意識として少なくとも大蔵省はちゃんと考えておいてもらいたいという要望にとどめておきますから、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。 あとカードの問題もあるんですけれども、これはまた改めてもう少し論議をすることにしたいと思います。 一つは、いまの土地の問題、一言だけですけれども、例の長期、短期のとらえ方ですね。あれは業界が言っているのは五年ぐらいにしてくれ、四十四年とかなんとかというのは切られないぞという問題があるんですが、五年というのはちょっと短いように思うけれども、しかし、いつまでも四十四年一月一日ということだけでくぎづけにして考える考え方は少し無理がありはしないか。五年で少し行き過ぎだと思うから、たとえば十年なら十年で区切ってみる、十年以上持っておれば、こういうような、もうちょっとそこだけは弾力的に考えた方がいわゆる土地税制改革あるいは土地の流動化という問題についてはベターではないかと思いますが、この点はどうですか。
○高橋(元)政府委員 現在、土地の譲渡というものの総体の件数で申しますと、昭和四十四年一月以降に取得した土地を売られるいわゆる現在の租税特別措置法の短期譲渡、これによっておられますものが大体二〇%ほどであります。面積で一五%であります。したがって、現在長短期の分離課税の対象になっておりますその中の短期と申しますのは、面積で一五%、件数、金額で二〇%という程度に御承知願いたいと思います。これが現在の短期分離重課の規定によって動かなくなっているかどうかという点でございますけれども、この点につきましては、私ども十年たったらたとえばいまの御提案で短期の重課を卒業いたしまして長期の分離の方にいくという制度をつくってしまいます場合の問題は、現在は短期で御承知のように一一〇%総合でございますし、長期は一定の軽減をしました後で四分の三総合でございますから、一一〇%から七五%に移行する税率があと二年後・三年後であるならば売り控えをする、売らないでおくという効果が出てこようかと思うわけであります。したがって、長短の区分を十年で卒業する十年ローテーションとか五年ローテーションにいたしますと、かえって土地の供給が減ってまいるという効果が出てくるということが言えると思います。 それからもう一つは、現在の市街地の価格指数等によって計算をいたしますと、四十四年当時の地価が一〇〇といたしますと、そういう土地は四十九年三月までに二四一ぐらいまで上がっております。その後石油ショックその他で土地が下がりまして、最近また上がってきておりまして五十四年三月に二五六となっておりますから、昭和四十四年以降取得した土地を十年たったら四分の三総合で売れるようにするといたしますと、ちょうど五十四年で十年目を迎えてすでに過ぎておるわけでございますから、その間の値上がり益というものについて土地投機の取引の抑制という意味で設けた短期重課という規定が働かない、その点も問題かと思います。 そこで、今回御提案しております租税特別措置法の一部改正の中では、短期譲渡について、四十四年一月一日以降という定義を変えませんで、しかも期限の定めを取っ払ってしまうということで、投機的な土地の取引について今後とも規定の適用を動かさないという考え方をとっております。もちろん、仰せのように、未来永劫四十四年一月一日以降だったら、いつまでも短期で重課の対象にするかどうかという問題はございますが、ただいまの地価の現状なり、宅地供給の現状からいたしますと、やはり長短の区分は動かすべきでないという考え方をとっておる次第であります。
○竹本委員 もう一つだけちょっと似たような話で、私、きょうは財政再建のためには増収対策をもう少し真剣に、しかも大胆に考えなければならぬではないかということを特に言ったつもりですけれども、今度はいまの問題に関連して、ちょっと逆な言い方になりますが、それは最近通産省が八〇年代の、何と言いましたか通産省の政策の基本的なビジョンというものを発表いたしましたね。 これは従来から考えておるようないわゆる知識集約型の方向へということで、きわめて常識的な結論です。しかし、きわめて常識的な結論だけれども、考えてみると、油の制約その他を考えながら、一体これから日本の八〇年代の産業政策はどこへ持っていくか。先ほど申しましたリッチソサエティーの問題と関連をするのですけれども、何と申しましても、ゼロ成長では困るし、日本の経済の生産力を発展させていかなければならぬが、その担い手はどこにあるかということを考えると、やはり知識集約型のところへ持っていかなければならぬだろう。これまたボールディングの言うところによれば、ノーハウでいくのだ、枯渇する資源ではもう限界があるから、その限界を広げようと思ってみてもだめだ、これからはむしろ新しく、あの人は遺伝学まで言いますけれども、ノーハウを知識集約型の、あるいは知識を生かしていく活識の方式によって産業を発展させていく以外はないということを言っておる。大体同じことを通産省の八〇年代の通産政策ビジョンというものも訴えておると思うのですね。 そこで、今度はその八〇年代に日本の産業構造をこういう方向へ持っていくんだということについては、税制はいかなる役割りを担おうとしておるのか、それを推進するためにどういう工夫をするのか。一方で言えば、増税ばかりやらなければならぬ面もありますけれども、一方で八〇年代の日本の産業を展望しての租税政策というものもなければならぬ。それはある場合には減税措置ということになってくるかもしれませんけれども、そういう八〇年代の日本の産業政策のビジョンとこれから考えられる租税政策との間にはどういうかかわり合いがあるか、あるいはどういうかかわり合いをしようとしておられるか、その基本的な考え方を伺いたいと思います。
○高橋(元)政府委員 資源がだんだん枯渇してまいりまして、資源の供給が経済の成長の制約になる。これは世界全体の人類にとって大変大きな問題であろうと思います。ことに、日本は資源が非常に乏しい国でございますから、資源の供給の代替性と申しますか、そういうものを強めていくための各種の研究開発なり技術の応用ということが必要なことは、いま御指摘をいただいたとおりだと思います。 アメリカなどでも、そそろそろ租税政策の中で供給力を増加するための租税政策ということの問題意識が披瀝されてきておるようであります。イギリスはもう大分前から、初年度一〇〇%償却というような投資促進策をとってきておりますけれども、アメリカももう投資税額控除を講じてから非常に長い期間がたっておりますが、いずれの国も税制上の投資促進策減税というものが必ずしも実を結んでおるように私は思わないわけでございます。 研究開発にいたしましても、資源の代替性を高めていくような大規模な研究プロジェクトというものが個々の企業の研究開発費の中で処理できるものかどうかということも、もっと大きな国家的、公的にこれをオーガナイズしていくことが必要であるようなものではないかというような考え方を持っておるわけでございますが、いずれにしても、財政を支える基礎が税であるといたしますと、その税収というものは個人、それから法人、家計、企業それぞれの活力の中から国にちょうだいするわけでございますから、その基本の活力というものを培養していくという見地もおのずと必要であろうと思います。いままでの各種の税制上の手段というものを外国、日本についていろいろ振り返って分析、検討いたしてみますと、いままで私どもが承知しておりますような投資促進税制ということで直ちに実を結ぶ、その効果が上がるというふうにも思っておりませんので、さらに工夫が必要ではないかという感じはいたしております。
○竹本委員 最後にもう一つ。これは行政機構改革の問題とちょっと関連しますが、これは私の持論でもあるのだが、国税と地方税の徴税の一本化の問題です。 国税の職員は何年たっても大体五万人で、法人の数はふえる、租税のあり方は複雑怪奇にますますなっておる、大変だというような話はいつも聞いておりますが、国税職員が五万人、しかも数年間ほとんど動いていないということと比較して、地方の税職員が八万六千人おるというのはちょっと多過ぎるのじゃないか。これは地方の方へ関連する問題になりますが、多過ぎはしないか。 それから第二番目は、中央の職員と比べて、地方の職員は、どこでもそうだけれども、賃金べースが少し高過ぎはしないか。高過ぎるというと語弊がありますが、比較してより高いではないか。一番問題になるのは、地方の税務職員の職務内容というものが一体どんなものであるかという点については、これは大蔵省じゃないかもしらぬが、政府としてはもう少し検討を進められるべきではないかと思うのですね。非常に極端な例を言えば、所得税の一種の付加税みたいな形だと思うのだけれども、住民税だとかいろいろありますが、それは地方の税務職員が独自の調査、検討を加えておるかというと、大部分の場合コピー、写してとっているだけじゃないかと言っていいでしょうね。それが数も多いし待遇もいいしして、そのままになっておって、これだけ行財政改革が言われるときに、余り具体的な日程に上っていないようだけれども、特に事大蔵省に関する税の問題に関しても、やはりその点は再検討する必要があるのではないか。職務内容から見ても、どうも独自のもの——もちろん八万六千人おるわけですから、地方には地方の別の税金、固定資産税もあれば飲食税もあるし、自動車税もあるわけですから、全部が全部というわけじゃありませんが、少なくとも所得に関する税の調査という問題については、ほとんど大部分が中央のコピーにすぎない。それにしては人数が多過ぎるし、待遇が中央に比べても少し高いじゃないかと思うのですけれども、感じとしてどういうお考えを持っておられるか伺いたい。
○高橋(元)政府委員 現在国税の徴税費と申しますのは、大体私が承知しておりますところでは、百円につきまして一円五十銭ぐらいかと思います。地方はその倍以上、三円五十銭ぐらいになっておろうかと思います。それは三千の地方団体がそれぞれの条例に基づいて地方自治の本旨の中で税金を取って、それぞれの自治体の費用に充てる、それが住民の自治意識というものと密接につながっておって、したがいまして、そういう徴税を一本化して国税の付加税にして全部戻すというようなことは、とうてい地方自治の本旨と相入れない。いろいろの観点から、長い間自治省ともお互いに徴税機構の能率を高めるために相談をしてまいったわけですが、現在到達をいたしております結論でございます。 国と同様に地方におきましても財政の不均衡に悩んでおる現状でございますから、さらにそれぞれの立場の中で、どういうふうにしてか税務の行政の効率を高めてまいる工夫をお互いにしていかなければならぬというふうに思っております。
○竹本委員 私は、地方分権の時代ですから、地方税を付加税にしてしまえとは言いません。そういうことを言っているのではないが、現在の実情は中央の所得税のコピーが中心ではないかということを特に指摘しておきたいわけですね。 それから、あれは入場税でしたか、国へ移しましたね。そのときに、税の収入というものは、大ざっぱな話で、二倍ないし三倍くらいになったと思うのだけれども、そうではなかったか。というのは、地方税というのは、地方のボスの支配というのがずいぶん力強いものだから、あるいは地方税務職員の能力の限界もあるでしょう、一方には政治の圧力という問題もあるでしょう、したがいまして、先ほど申しましたように、そういうものの把握が確実にいっていない。だから、地方のボスと関係なく国税の職員が調べるということになると、一遍に収入が二倍になり三倍になるということが可能なわけですね。その可能なということが問題なんです、私の言うのは。そういうような税の公正ということから言えば、税の体系も公平に、公正にできていなければならぬが、その体系を現実に施行する場合に、課税標準を使う場合にも、その他の場合にも、もう少しきちんとしたものがないと、まじめにやられたところが損をするというような形になり過ぎるではないか。たとえば飲食税その他も、人によっては、あれは必ず三倍くらいになるんだ、いまは把握は三分の一くらいだと言う人もおりますよ。これは地方税のことは地方税で改めて論ずればいいのだけれども、それくらいに地方においては把握が不完全というか、不徹底というか、矛盾が多過ぎるではないか。そういう問題も含めて、中央、地方の税体系なりというものもこの際総合的に検討する必要はないか。そういうことの中の一つとして、徴税の一本化ということも考える余地がありはしないかという点で、最後に局長、大臣のこの点に関する考えをもう一度明確に伺って終わりにしたいと思います。
○高橋(元)政府委員 税は、国税については間接税、直接税という税体系でございますが、のみならず地方税の直接税、間接税というものを含めて、同じ住民であり国民であると申しましても、同一の企業であり、個人であるわけでございますから、全体としてできるだけ望ましい税負担がいくようにしなければならぬ。そういう意味で、私ども、地方税であるからといって、人の問題として自治省のお考えだけでというよりも、むしろ税源をどのようにうまく配分するかという観点から常時協議をいたしておるわけでございます。 そういうふうに構成された国税、地方税の体系の執行をどういうふうにやっていくかという問題につきましても、先ほどの御答弁の繰り返しになりますけれども、財政の現状の中でできるだけ効率的にお互いに知恵を出し合ってやっていこう、お互いの税務執行上の資料であればできる限り交換をするということも方法でございましょうし、そういうことでできるだけ冗員を省いて効率を高めていきたい。また、地方自治体の自治の本旨というものもその際に尊重をするということで今後とも努力を続けてまいりたいと思いますし、改善の工夫を具体的に進めてまいりたいと思います。
○竹下国務大臣 税制調査会等へごあいさつに参りますときも必ず自治大臣と一緒に参っておるわけでありますが、それぞれの角度から税制調査会でも真剣に議論をしていただいておるところであります。 そこで、人の問題でございますね。これは税務行政という角度とはまた別の角度で、いわゆる定員削減問題というものが、中央のみではなく地方もこれに極力協力していただきたいということで、いま官房長官、行政管理庁長官、自治大臣、私どもでそうしたことに対しても協議を重ねておるところであります。 それから給与の問題もいろいろ議論をいたしておりますが、確かに、いろいろな取り方でございますけれども、高いことが実態としてございます。ただ、これは直接質問に答える話にはなりませんけれども、仮に天下りという言葉がいいか悪いかは別といたしまして、もろもろの中央官庁と公社、公団、あるいは地方とそれらの公社、関係団体等の給与を比べてみますと、その場合は年金を差し引いた形で現給よりも多くならない形で、地方の多くがそういう対応の仕方をしておる。この辺はまた別の意味において参考にしなければならぬことではないか、というような形で、給与全体の問題につきましても、これには総務長官も加えまして、いま関係閣僚で行財政の改革の一環として協議をさせていただいておるところであります。
○竹本委員 誤解があると困るから、最後に一言でも念のために申し上げます。 私は、いま地方の税務職員が八万六千、詳しく調べておりませんから直観で申し上げますが、所得税関係みたいなものが大体六万人ぐらいおるじゃないか、それをいま言ったように、コピーだけとっておるというようなことはやめて一本化をすれば、少なくとも二万人ぐらい浮くと思うのですね。それを首切れと言っているのではない。それから、それをすぐ中央の国税の職員に持ってきても、そう言ってはちょっと言葉が悪いけれども、能力その他の問題において適格性があるかどうかということは非常に疑問だと思うのです。したがいまして、それは地方において配置転換をやるべきじゃないか。なぜまた配置転換を言うかというと、最近財政が窮屈になりまして、野党がよく言うように、福祉切り捨て的傾向があると思うのです。ところが、実際は、福祉国家というものはわれわれの新しい社会の一つの理想像でございまして、むしろこれからは苦しい中でも第一条件として充実していかなければいかぬ。ところが、福祉国家というのは中央でわいわいと言ってみてもどうにもならないので、本当は福祉国家こそ地方分権で地方が身近に世話をする、そういう行き届いた福祉国家にしなければならぬ。そのためには、地方庁における職員も、これは幾ら財政窮屈な中でも充実していかなければならぬ。むしろ、そちらに回すことによって一方においてはむだを省き、一方においては福祉の充実の方へと方向を切りかえることができるのではないか、そういう意味も含めて再検討を願いたいということが私の真意でございますから、それもおくみ取りを願いたい。 以上で終わります。
○増岡委員長 次回は、来る十一日火曜日午後六時理事会、午後六時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時二十九分散会