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91回国会衆議院1980/01/29

大蔵委員会 第2号

発言数
123
登壇者
13
会派数
5
開催日
1980/01/29

会議録

増岡博之自由民主党・自由国民会議

○増岡委員長 これより会議を開きます。  国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。  この際、竹下大蔵大臣より、財政金融の基本施策について所信の説明を求めます。竹下大蔵大臣。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 今後における財政金融政策につきましては、先般の財政演説において申し述べたところでありますが、本委員会において重ねて所信の一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いする次第であります。  わが国の最近の経済情勢を見ますと、過去数年度にわたる公共投資の大幅な拡大、国民の堅実な消費態度、企業の経営努力等を背景として、国内民間需要による自律的な景気の拡大基調を確かなものにしてきており、雇用情勢も緩やかながら改善を続けております。このように、わが国経済は、国民のたゆみない努力により、長い不況を乗り越え、先進国の中で最も高い成長と安定した消費者物価を維持しており、現在のところ総じて順調に推移していると申してよい状況にあります。  しかしながら、世界経済をめぐる諸情勢は、八〇年代に入っても、ますます不透明さ、不確実さを増し、わが国経済も、景気の先行きには必ずしも予断を許さないものがあり、物価も警戒を要する状況にあります。  加えて、国際収支は大幅な赤字を記録し、財政収支の不均衡もなお巨額なものとなっております。  このような経済情勢のもとにおいて、私は、特に、次の三点を当面の緊要な課題として、政策運営に万全を期してまいりたいと存じます。  まず第一は、物価の安定と経済の自律的拡大の維持を図っていくことであります。  わが国経済を息の長い安定成長軌道に乗せていくためには、インフレ、不況、さらにはスタグフレーション、このいずれをも回避しなければなりません。このため、私としては、物価と景気の両面に細心の注意を払い、適時適切にきめの細かい経済運営を行ってまいる所存であります。  最近の物価動向を見ますと、消費者物価はいまのところ比較的安定しているものの、卸売物価は原油を初めとする海外原材料価格の高騰等により相当上昇しており、物価は警戒を要する状況にあります。したがって、当面は、やや物価に重点を置いた政策運営を進めることが適切であると考えております。  このような観点から、政府は、昨年十一月二十七日、物価対策を総合的に推進することを決定したところであります。  また、昭和五十四年度の公共事業等の執行につきましても、現下の物価動向に配慮することとし、その一部を留保することといたしました。この措置は、物価対策の見地からとられたものではありますが、公共事業等の機動的な執行により、景気の安定的な維持にも資することが期待されるところであります。  第二は、世界経済の発展に積極的に貢献しつつ、国際収支の健全性の保持に努めることであります。  国際情勢はきわめて流動的で、石油情勢もさきのOPEC総会の結果に象徴されるように一段と不安定さを増しております。  このような厳しい国際環境の中にあって、わが国の国際収支は、経常収支が大幅な赤字を記録し、長期資本収支も流出超過傾向にあります。国際収支の健全性の保持は、国際社会の一員としての責務であり、また、このような状況を放置すれば、ひいてはわが国経済の安定的な成長を阻害することになるおそれもありますので、政府としては、国際的に調和のとれた収支の改善を図るべく、着実な努力を積み重ねてまいる考えであります。  他方、このような情勢のときこそ、わが国は、世界経済に大きな影響を及ぼす立場にある国の一つとして、世界経済の調和ある発展に積極的に貢献しなければなりません。  世界経済の円滑な発展のためには、まず、通貨の安定が不可欠であります。このためには、各国政府が基礎的諸条件の改善に努めるとともに、相互に緊密な連絡と協調を保ち、為替相場の急激な変動を抑制していくことが重要であります。わが国としても、従来にも増して積極的に努力してまいりたいと考えております。  また、世界貿易拡大のためには、自由貿易体制を維持強化していくことが急務であり、このような観点から先般合意に達した東京ラウンド交渉につきましては、その成果を実施に移すため、所要の国内手続を急ぐ方針であります。  なお、わが国の対外取引を原則自由のたてまえに改める法律改正が、さきの臨時国会において成立したところであり、その早期施行に努める所存であります。  さらに、開発途上国の国民生活の向上と経済の発展を支援し、世界経済全体の均衡のとれた成長を確保するため、経済協力の大幅な拡充強化を図ってまいることとしております。  第三は、わが国財政の再建であります。  国民生活の安定と景気の回復を図るため、過去数カ年にわたり政府が行ってきた積極的財政の結果、わが国財政は、特例公債を含む大量の公債に依存せざるを得ない異常な状況が続いております。今後ともこのような財政赤字を積み重ねるならば、八〇年代の新たな社会経済情勢の展開の中で、財政に各種の機能の発揮が期待されることとなっても、これに十分な対応ができません。そればかりか、経済にインフレ要因を持ち込むことにより、経済そのものの安定を阻害するおそれさえあります。  わが国経済の安定的な発展を達成するためには、財政の再建は緊急の課題であります。  このような考え方に立ち、昭和五十五年度予算の編成に当たりましては、強い決意のもとに、まず、公債発行額を前年度当初予算よりも一兆円圧縮することとし、財政再建の第一歩を踏み出したところであります。  しかしながら、財政再建の道は、いまだ緒についたばかりであり、今後においても一層努力することが強く求められるところであります。昭和五十五年度においては、最近のわが国経済の順調な回復を反映して、かなりの規模の税収増加を見込むことができましたが、このようなことを引き続き期待することはとうてい困難であります。したがって、今後におきましては、歳出歳入両面を通じて、幅広い角度から財政再建の手だてを考えていく必要があります。  次に、当面の財政金融政策について申し述べます。  まず、昭和五十五年度予算につきましては、以上申し述べました考え方に立ち、できる限り財政の健全化に努めるとともに、国民生活の安定と経済の着実な発展のための基盤強化を図ることを基本として編成いたしました。  このため、一般会計予算におきましては、各省庁の経常事務費を初めとする一般行政経費を極力抑制するとともに、政策的経費についても根底から見直しを行った上、各種施策の優先順位を十分考慮し、財源の重点的、効率的配分に努めたところであります。また、補助金等については、従来にも増して積極的に廃止、減額等の整理合理化を行うことといたしました。  さらに、国家公務員の定員については、新たに策定された計画により、定員削減を着実に実施するとともに、新規行政需要に対応する増員についても厳に抑制することとし、総数の縮減を図ったところであります。  以上の結果、一般会計予算の規模は、前年度当初予算に対し一〇・三%増の四十二兆五千八百八十八億円となっております。また、このうち国債費及び地方交付税交付金以外の一般歳出の規模は、前年度当初予算に対し五・一%増の三十兆七千三百三十二億円となっております。これらの伸び率は、いずれも最近二十年間のうちで最も低いものであります。  また、公債につきましては、さきに申し述べましたように、財政の公債依存体質を改善するため、公債発行予定額を前年度当初予算より一兆円減額することとし、十四兆二千七百億円といたしました。この結果、公債依存度は三三・五%となり、前年度当初予算の三九・六%より六・一ポイント低下いたしております。  次に、税制の改正につきましては、まず、税負担の公平確保の見地から、利子配当所得等について総合課税に移行するための所要の措置を講ずるとともに、企業関係租税特別措置等について大幅な整理合理化を行うこととしております。租税特別措置については、昭和五十一年度以降五年間にわたり、その整理合理化に力を注いできたところでありますが、今回の措置により、おおむねその整理は一段落したと言ってよいものと考えます。  さらに、給与所得控除について、この際、高額な収入部分について控除率を引き下げることとし、また、退職給与引当金について、累積限度額の適正化を図ることとしております。  以上のほか、石油代替エネルギー対策の財源に充てるため、電源開発促進税の税率の引き上げ等を行う一方、土地税制について、その基本的枠組みを維持しつつ、住宅地の供給促進等の見地から所要の措置を講ずることとしております。  財政投融資計画につきましては、厳しい原資事情に顧み、事業規模、貸付規模を抑制しつつ、住宅、中小企業金融、エネルギー対策等緊要な施策について資金の重点的配分を行い、国民生活の安定、向上と福祉の充実に配意することとしております。この結果、財政投融資計画の規模は十八兆一千七百九十九億円となり、前年度当初計画に比べ八・〇%の増加となっております。  なお、金融政策の面におきましては、インフレ心理の醸成を防止することにより、物価上昇速度を極力抑制するため、昨年四月以降、三次にわたる公定歩合の引き上げ等の措置が講ぜられたところでありますが、引き続き通貨供給量についても十分注視し、適切な金融調節を図ってまいる所存であります。  以上、財政金融政策に関する私の所信の一端を申し述べました。  本国会に提出し御審議をお願いすることを予定しております大蔵省関係の法律案は、昭和五十五年度予算に関連するもの九件、昭和五十四年度補正予算に関連するもの一件、合計十件であります。それぞれの内容につきましては、逐次、御説明することとなりますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第であります。

増岡博之自由民主党・自由国民会議

○増岡委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————

増岡博之自由民主党・自由国民会議

○増岡委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。麻生太郎君。

麻生太郎自由民主党・自由国民会議

○麻生委員 それでは、今通常国会第一回目の大蔵委員会でございますけれども、与党委員として最初の質疑者となりましたけれども、過去の大蔵委員会の議事録等を拝読させていただきますと、与党委員の方は慣例として政府を激励する内容になっておるのでありますけれども、過日の自民党大会を見られましてもわかりますように、青年会議所はどうもけなす方がうまいので、ほめる方は余り上手ではないと自認いたしておりますので、あらかじめお断りを申し上げて、まず第九十一回国会における大蔵大臣の財政演説というものを拝見いたしますと、まず第一に、「物価の安定と経済の自律的拡大の維持を図っていく」ということが第一点に述べられております。つまり、経済運営のことかと思いますけれども、昨今、巷間にインフレが懸念されておりまして、今国会の代表質問でもよく述べられているところであります。もし私の記憶が正しければ、昭和四十八年の第一次石油ショックの際において、素原材料の値上がりは、いわゆる輸入原材料の値上がりは約三七%であったと思います。それが末端価格というか完成品価格に影響いたしましたのは、その約半分の約一九%。翌年はさらに上がりまして五〇%に達しましたけれども、末端価格への影響は逆に下がって一七%ぐらいだったと記憶いたしております。しかるに、今回、昭和五十四年度第二次石油ショックとも言えるような事態になりましたときには、輸入原材料の値上がりは約六〇%ぐらい上がったにもかかわらず、末端価格への転嫁は五%内外というような結果になっておるように記憶いたします。  この数字がもし正しいとするならば、この五年間、わが国経済は少なくとも輸入原材料の末端価格への転嫁というものをかなり巧みに回避してきていたということは事実のように感じます。これは、政府の適切な行政指導によるのか、それとも適切な行政指導がなかったから民間が巧みに対処したかは、判断の分かれるところかも存じませんけれども、結果として、今日まで消費者価格への転嫁は、欧米諸国に比較いたしまして、アメリカやフランスの約二分の一、イギリスの三分の一ぐらいにとどまっておるということのように存じております。  また、民間企業の立場に立てば、この五年間の合理化努力によって各企業はぜい肉を落としておりますから、仮に景気が刺激をされて需要の急激な拡大が起こった場合において、中長期的な展望というものはきわめてはっきりいたしておらない現状においては、企業としては安易に設備投資に走ったり、また雇用促進に動くということはあり得ないのでありまして、今日においては、企業においても成長よりは物価安定という傾向を示しておるというように感じておりますけれども、この点におきましては、企業においても一般消費者におきましてもほぼ同じという考えであろうという気がいたしております。少なくともこの物価安定か経済成長、景気刺激かという点についての基本的御見解を拝聴したいと思います。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 いま、恐らく麻生さんの御質問は、四十八年のオイルショックのときと比べて、いわゆる経営者の経営に携わった者の実感として、物価は安定をしておる、したがって、恐らく経済運営の基本的なスタンスとして、景気と物価両にらみの中で、いま卸売物価の上昇に基づいて、どちらかといえば物価というものに警戒を要しなければならぬというスタンスではあるが、日本民族の英知とでも申しましょうか、企業努力とか、あるいは消費者の節度ある消費態度とか、そういうものでこの危機は乗り越すであろうという御判断に基づく質問であろうと思います。そうして、そのような形態をとったことは、これは政府の多年にわたる景気刺激策の中に節度ある消費態度と、いま一つは企業のぜい肉の徹底的な切り落としというものが相まってこういう姿になったところであるという点については私も同感でありますが、かといって、まるまる自然体だけでこの物価問題に対応できるかということになりますと、にわかにそうでございますとは言えない。したがって、十分な警戒を払いながら、しかしいま節度ある消費態度と企業のぜい肉を切ったそういう態度というものの感覚に基づいての御質問でございますので、そうした意見を十分踏まえながら、基本的には両にらみの中で適時適切な経済運営に資したい、このように考えます。

麻生太郎自由民主党・自由国民会議

○麻生委員 いま物価と景気と両にらみということでありますけれども、物価は下げます、景気はよくしますというのは、これは二律背反したような、こういったうまい話は余りないのでありまして、きわめて無責任に言われればそういうことになりかねぬ。そういう意味では、これはきわめて優等生的なお答えになるのでありますけれども、実際はなかなかそうまいらぬのではないか。たとえば物価をにらみ過ぎたという前提に立って景気が冷え切ってしまったというと、いままでですと、古びたケインズ経済学でも持ち出して財政によります景気刺激ということが出されるわけでありますけれども、しからばそれが果たしてできる状態であろうかということを考えますと、第三番目に書いてあります「財政の対応力を回復するため、一刻も早く財政の再建を図ることであります。」と、大蔵大臣みずからこういったことを財政演説の中で申し述べられねばならぬほど、日本の財政というものはきわめて、危篤状態という表現は行き過ぎるかと思いますけれども、きわめてむずかしい状態にあるということでありまして、ことしは財政元年とか財政再建第一歩ということも総理大臣みずから述べておられますけれども、確かにその状況として、いま申し述べられました財政演説の中にも、国債依存度は前年に比べまして約六・一%、絶対額で約一兆円ということで減っておりまして、その努力と姿勢に対してきわめて高い評価をいたすものでありますけれども、しかし、大まかにこの内容を拝見さしていただきますと、租税及び印紙の収入というものが約二十六兆四千億、その他収入で約一兆八千九百億ということになっておりますけれども、つまり公債を除いた収入というものは二十八兆三千億ということになります。歳入というものは民間の会社で言えば売上高みたいなものになりますので、公債は銀行借入金、公債残高は借入残高みたいに当たるものだと考えておりますけれども、五十四年度の公債残高というものは五十六兆八千億と、実績見込みはここに挙がっておりますけれども、これは一般の会社で言えば売上高の実に二倍の銀行借入金があるということでありまして、売上高の半分が借入金であっても企業としては健全ではないというのが通常でありますが、ましてや借入金、銀行借入金が売上高の二倍というのは、これはもう会社としてはパンクというか破産でありまして、このまま進みますと、さらに五十五年度では公債残高の累計が七十一兆円ということになるように書いてありますけれども、自然増収が昨年ほど望めず、かつ、税収入が今年度と同じように二十八兆三千億程度のものだといたしますと、七十一兆の借入金というものは実に二・五倍になる計算になります。これは日本国株式会社としては大変なことになるのでありまして、日本国株式会社を運営されます経理部長みたいな立場にあられます大蔵大臣としては、今後どのような形でこの借入金残高というものを減らしていって健全なものにしていく御意向なのか、その点を伺わせていただきたいと思います。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 私も財政再建元年に大きく一歩を踏み出したと言って肩を怒らすほどうぬぼれてはおりません。確かに、せめて一兆円の公債を減額ができたことと一般歳出が五・一%の昭和三十一年以来の低率に抑えられたこと、それが第一歩を印したとすれば、せめてそういう表現をすることを許容いただけるではなかろうかというような態度でおるわけであります。したがって、いまのめどといたしましては、やはり昭和五十九年度には少なくとも特例公債はこれを解消したいという考え方でございます。  それには当然のこととして、引き続き歳出の削減合理化というものにメスを入れなければならないことも当然でありますが、民間のまさに自己努力によりましてかなりの増収見込み額が出たがゆえに、いわゆる特別な税目における増収をしなくて予算が組めたという五十五年度でありますけれども、五十六年度以降にわたってそうしたことを大きく期待する状態にはないと思います。したがって、歳出歳入両面にわたりまして各界の意見を聞きながらこれに対応していかなければならぬ、険しい道であるというふうに自覚をいたしております。

麻生太郎自由民主党・自由国民会議

○麻生委員 私どもが心配いたしますのは、昭和五十五年度におきましてもこの公債の民間引き受けの額というものが約十二兆円ぐらいになるようでありますけれども、これは前年度に比較いたしまして当初予定よりは約二兆円ぐらい減っておることになっておる、圧縮されるということでしょうけれども、それにいたしましても十二兆円というのはきわめて多額でありまして、果たして、公募入札とか、シンジケート団とか、いろいろな形で民間引き受けを促進しておられるようでありますけれども、こういったお金を借りるというにはそれなりの魅力というものが必要なのであって、昨今どうも一般では引き受ける傾向なり引き受ける意欲というものは漸次低下の傾向にあるように感じております。問題は、これを強制的に押しつけることになりますと、運用部からの転換とか、いろいろなあれでありましょうけれども、民間に対しまして銀行への引き受けとか、いろいろな形でそれを要請されるわけでありましょうけれども、それが結果として銀行の資金の吸い上げとなって一般企業に影響が出てくるということをきわめて憂慮するものでありますけれども、この民間への引き受けという段については今後どのように促進をしていかれるおつもりなのか、これは大臣でなくてもどなたでも結構でございますが、その点について伺いたいと思います。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 それでは理財局長からお答えさせます。

渡辺喜一大蔵省理財局長

○渡辺(喜)政府委員 いま御指摘のとおり、来年度民間の消化すべき金額というのは、公募入札も含めますと十一兆七千七百億というオーダーになっておるわけでございます。そのうち二兆円は公募入札でございますので、これは市場の状況に応じて入札に付していくということでございますが、残りの九兆七千七百億はシ団の引き受けということに相なっておるわけでございます。私ども当初ベースで一兆円の総額の減額をいたしたわけでございますが、その中におきましても、市中の引き受け負担分につきましては特に意を配りまして、当初ベースで二兆円の減額を図ったわけでございます。特にシ団引き受けの十年利付債につきましては、今年度の補正後に対してもさらに減額するというふうな配慮をいたしておりますので、まあそう言ってもまだ全体の額としては相当大きな額でございますから、これからの金融情勢、どういうふうに推移するのかなかなか見通しも困難ではございますが、かなり厳しい環境にあるとは思いますけれども、何とかこれで消化をお願いできるのではないか、かように考えておる次第でございます。

麻生太郎自由民主党・自由国民会議

○麻生委員 仮に予想どおりというか希望どおり民間消化が可能となった場合において、それでは今度は借りた以上は元金を返済していくということであろうと思いますけれども、予算を拝見いたしますと、五十五年度当初予算でも特例公債約七兆五千億になっておりますけれども、これはたしか五十年から始まっておりますので、十年といたしまして昭和六十年から特例公債の元金の返済が始まるはずであります。景気がえらく伸びまして自然増収がうまくいったといたしましても、このままでいってもあと五年間でこれはきれいにいくであろうかというのに対しましては、非常に危惧をいたすところでありまして、このままでいくと、借金を返済するためにまた借金するというような形になりかねぬのであって、一体財政再建のめどというかそういったものにつきまして、これは一応六十年ということになりませんと、——六十一年になりますとそれは多分雪だるま式にふくれ上がることになろうかと思いますけれども、財政再建のめどとしては、期限としては一応六十年ぐらいを考えておられるということと考えてよろしいのでしょうか。

禿河徹映大蔵省主計局次長

○禿河政府委員 先生御指摘のとおり、昭和六十年度になりますと、五十年度に発行いたしました特例債の償還、その時期を迎えてくるわけでございます。最近におきます公債依存体質の改善ということに私ども一生懸命になっておりますのも、そういう事態が六十年度に来るということでございます。そういう状況におきまして、私ども何とかまず昭和五十九年度におきましてはその特例公債から脱却をいたしたいということで臨んでおるわけでございます。

麻生太郎自由民主党・自由国民会議

○麻生委員 ということは、もし仮に、たとえば五十五年の歳入が、当初予定しておられるより景気が意外と伸びたり税収入がふえたりして、自然増収や政府の経費削減によって政府の収入が予定以上にふえた場合は、国債の発行予定量をさらに減らす方向で基本的に考えておられるのか。いま前年度に対して約一兆円減らしたということになっておりますけれども、これはさらに自然増収があった場合なり予定以上にふえた場合は、さらに国債発行予定量を減らす方向で考えておられると理解してよろしゅうございますね。

禿河徹映大蔵省主計局次長

○禿河政府委員 五十五年度におきますいわゆる自然増収というものがどの程度になるかということは、全くまだ私ども予測つきがたいわけでございますが、五十四年度におきまして一兆九千億ほどの自然増収が出まして、いろいろの追加財政需要等がございましたけれども、それをもとにいたしまして一兆二千二百億の国債の減額を図りたい、こういうことで臨んでおるわけでございます。  したがいまして、五十五年度の見通しというのは大変まだつきがたいわけでございますけれども、私どもといたしましては、そういう増収がもし可能であるならば、当然五十四年度に引き続きまして可能な限り国債発行額の減ということを行いたい、かように考えております。

麻生太郎自由民主党・自由国民会議

○麻生委員 それでは、時間でございますので、いずれにいたしましても、売上高の二倍以上の借金を抱えた会社の経営というのは、運営上きわめて至難のわざかと思いますけれども、経理部長を担当されます大蔵大臣に心から御同情と激励を申し上げまして、質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。

増岡博之自由民主党・自由国民会議

○増岡委員長 堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私は、一九六〇年の一月大蔵委員会に委員として参りました。当時、大蔵大臣は佐藤榮作大蔵大臣でございました。この間、二十年の歳月が流れておるわけでありますが、この二十年間の中で大蔵行政、佐藤さんの後に水田さん、ずっと歴代かわってこられた大蔵大臣をいろいろと拝見しておりまして、果たして一体どれだけのことが処理をされてきたかな、こう顧みてみますと、やはり大蔵行政というものは歴史の検証にたえるような大蔵行政が行われるべきであろう、私はこう考えているわけであります。  今回、竹下さんが大蔵大臣に就任をされて、いまお話しのような大変困難な財政状況の中で財政再建をされるわけでありますが、実は、私はこれまでもこの席でたびたび申してきましたけれども、この二十年間の率直な感じは、大蔵省という役所はどうも局あって省なしという感がずっといたしているわけであります。何かの本で読んだのですけれども、山中貞則さんが政務次官のときに、大臣、ひとつちょっとの間だけ人事権をいただけませんか、省議の中でこういう話が出て、そこで当時の大臣、恐らく佐藤さんだと思いますが、よろしいと言われたら、実は対立して意見のある局長を直ちに入れかえて、そしてひとつ議論しろ、こう言って、山中政務次官がやられた。その結果、その問題はわりに簡単に処理ができたということが実は伝えられておるのであります。  私もそういう経験が一つございます。証券問題をずっとやっております過程で、アメリカのミューチュアルファンドという投資信託の制度は大変興味のある制度である、ぜひこれを日本に導入したい、私は実はこう考えたのであります。たまたま税金の専門家でございます吉国さんが証券局長になられました。そこで私は、これは大変いい機会なので、吉国さん、このミューチュアルファンドの税制を証券局長としてひとつぜひやってくれませんかという要請をいたしましたら、吉国さんは、これは大変興味がありますからぜひやりましょう、こう言われました。いまの横浜銀行の頭取でございます。ところが、あのとき、実はどなたかが選挙に出られるのでやめられたのではなかったかと思いますが、ごく短期間で吉国証券局長は主税局長にかわったわけであります。私は、主税局長になられた吉国さんに、引き続きあの問題をお願いしますよと言いましたら、吉国さんは、いや堀さん、もう主税局長になりましたらこれだけは勘弁してください、一人の人がまだごく最近に約束をしたのが、局がかわるともう勘弁してくれ、こういう話になるというのも、まさに大蔵省の縦割り行政というものがいかに根強いかということを私自身も経験した例があります。  そこで大臣に申し上げたいのは、やはり全体をまとめるのは大臣以外にはないんじゃないか。特に私は過去の例を考えてみますと、役人の皆さんのいろいろ意見がありましょうけれども、役人の意見を抑えても自分の信念を通すという点については、まあいろいろと問題が起きておりまして残念な問題だと思いますけれども、この私が二十年やってきた中では田中大蔵大臣が一番その点は政治的判断は明確であった、こういうふうに私は回想いたすわけであります。  これは、昭和三十九年に当委員会で、私がかねてから考えておりました証取法改正問題、免許制に関する問題について田中大蔵大臣に質問いたしました。そのときに田中大蔵大臣は、現在関西電力の副社長でございます加治木さんが当時証券部長でございましたが、加治木さんが一生懸命大臣に、ちょっとひとつ慎重な答弁をと言ってやっておられるのを、ごらんになればわかるように事務当局は反対でございますが、私は政治家として、堀さんの御提案を、現在内閣委員会に証券局設置法を提案しておりますが、この証券局ができましたならば直ちに最初の仕事として証券取引法の改正に取り組みます、実はこういう答弁があって、これが実は証取法改正のモメントとしてあの証取法改正が行われました。ちょうどその後に御承知の証券恐慌が参りましたけれども、大蔵省がそれについては万全の処置ができたということは、私はやはり歴史的な過程を振り返ってみると、あのときの田中大蔵大臣の判断というものは正しかった、こういうふうに歴史的に考えるわけでございます。  ですから、きょう私が取り上げます国債の問題というものは、これまた必ず歴史的な検証を実は経なければならないような重要な課題でありますので、具体的な問題は局長にお尋ねをいたしますが、最後にひとつ大蔵大臣としての判断は承りたい、こう考えておりますので、そういう点で、これまで二代にわたって大蔵省出身の大臣が続いたわけでありますが、今度は党人出身の竹下さんでありますので、どうかひとつ適切な判断によって、かつて犯した過ちを今後二度と犯さないような判断をひとつお願いいたしたい、こう考える次第でございます。  前置きはそこまでにいたしまして、少し銀行局長にお尋ねをいたします。  昨年の六月金融制度調査会から銀行法改正等の問題について答申がございました。その中で、銀行経営の健全化という問題が一つ、それからディスクロージャーを行うという問題が一つございました。この点を簡単にひとつ答申の趣旨をお答えいただきたいと思います。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 先生御承知のように、昨年の六月に、四年余りにわたりまして審議を経ました結果金融制度調査会の答申をいただいたわけでございます。  まず銀行経営の健全性の問題でございますが、答申では、銀行経営の健全性ということは預金者保護及び信用秩序の維持というような観点から見まして銀行経営にとって最も重要なことであるという考え方をとっております。答申全体の思想は、金融機関の効率化という問題が一つと、一方で公共性、社会性の重視という問題が一つと、この二本の柱になっておりますが、この健全性の位置づけは、そういった公共性、社会性の中におきまして一つの重要な柱として経営の健全性というものが位置づけられているということになろうかと思います。具体的に答申におきましては、いろいろな健全性確保のための方策が述べられております。自己資本の充実であるとか、資産の流動性の維持であるとか、そういったような問題と並びまして、いま非常にいろいろの角度から関心を集めておりますいわゆる大口信用供与の問題が一つの大きな問題として取り上げられておりまして、これは先進主要国と同様に法段階で規制すべきであるというような答申になっております。  なお、ディスクロージャーの問題につきましては、これまた答申全体の位置づけとしては非常に重要な意味を持っておるように思いますが、金融機関は何と申しましても私企業でございますので、そういった私企業性を持った金融機関が公共性、社会性というものを同時に満たすためには、自己の内容を十分国民全体に開示することによって、ディスクローズすることによって自己規制を行う、いわば私企業性と公共性、社会性との調和という形をディスクロージャーという形で求めておる、こういう考え方でございまして、これまた非常に重要なマターでございますので、これは銀行法改正に当たって法律改正の一環として考えるように、こういう考え方だと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私は、昨年の十二月二十六日に金融小委員会をお願いをいたしまして、佐々木金融制度調査会長に来ていただいて論議をさせていただきました。その中で取り上げましたのは、実は国債の評価方法の問題でございます。実はこれもちょっと歴史的な経過がございますけれども、先般亡くなられました高橋俊英銀行局長のときに、私は高橋さんに二つの問題を提起いたしました。  一つは、当時銀行の格づけの基準は、預金量が多いものが一番上で、そうして預金量の小さい方へと並べられて、それが銀行の格づけのように一般的に通用いたしておりました。私は、銀行の順位というのは銀行の経営内容のいかんによって順位が決まるべきではないのかということで、新格づけ基準ともいいますような考え方を提起いたしまして、銀行局長の善処を求めました。  二つ目は、いま銀行局長がお答えになりました大口貸し出し規制の問題について、いまお話しのように、日本でも相互銀行法ではすでに法律によって貸し出しの規制基準があるのでありますが、銀行法は御承知のように昭和二年、大変古い法律でありますから、そういうものはございません。しかし、やはり銀行の健全性ということを考えれば、大口貸し出しということは非常に問題があると考え、いま局長がお触れになりましたように、外国の例を調べてもいずれもそういう制度がありますから、大口貸し出しの規制をひとつ検討してほしいという要請をいたしました。その私の申し上げましたサウンドバンキングによって銀行の基準を考えるという考え方は、その後、統一経理基準という形で実は実を結んだわけであります。大口貸し出し規制は今日もやはり問題になっておりますけれども、高橋銀行局長は、商社の問題で行きどまってどうしてもこれはなかなか簡単にいきませんということでございました。私もそれでは仕方がありませんねということであったのですが、この歴史の時間的な経過の中で、今日大口貸し出し規制がやがて法律として書かれることになることはまことに適切なことだ、こう考えているのでございます。  そこで、この統一経理基準でありますけれども、銀行局長にお尋ねをしたいのは、この経理基準の先に統一というのがついているのは、これはどういう意味でございましょうか。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 実は私は、ちょうど統一経理基準をつくります際に銀行局銀行課の補佐をしておりまして、四十二年度の上期から統一経理基準というものが施行されたわけでございますが、その作業の一端にあずかった経験がございます。  統一経理基準の統一という意味でございますが、それまでの金融機関決算を見ますと、あらゆる面が非常に任意に行われておる。横並びの問題もございますし、縦の問題もございます。縦の問題というのは言葉は悪いかもしれませんが、継続性が守られていない。期によっていろいろな経理の仕方が非常にばらばらになっておる。これではなかなか金融機関の実態を把握することはむずかしいというようなことから、一つのスタンダードを設けてはいかがであろうかというような、スタンダードというような意味で統一という名前をつけたかと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 スタンダードというのは、要するに物を比較対照してみるときにスタンダードがあって、そのスタンダードを軸にして判断する、こういうことでしょうから、いまおっしゃった継続性の問題が一つ。しかし、同時に、横並びの問題も統一という問題の中に入っているのではないか。私が最初に新格づけ基準で問題を提起しましたのも、やはりそういうふうに同じ内容で比較をするのでなければ、ただ預金量だけで比較をするということは適切でないという発想に基づいたからであります。ですから、その限りでは、私は統一経理基準というものの内容は、常に比較対照にたえる内容でなければ比較対照はできなくなる、こういうふうに考えますけれども、その点はいかがでしょうか。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 基本的にはおっしゃるとおりだと思います。統一経理基準は、実はそのもとになります商法、企業会計原則をまず基盤といたしまして、その上で金融機関経営に当たっての特殊性をも考慮しながら決めていくというのが当時の考え方でございましたので、そういった意味では、一般論としては、できるだけ縦にも横にも統一的に決めていきたいという考え方はあったわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私がその問題に触れておりますのは、今度大蔵省が通達で、国債の評価については、本来は、明治以来と言ってもいいのでありましょうか、国債評価の一つの原則としてずっと続いてまいりました低価法、ただし昭和七年にこの低価法は実は法律に基づいて変更をされているのであります。これは当時の高橋大蔵大臣が出されたものでありますが、国債ノ価額計算二関スル法律、昭和七年七月一日法律第十六号ということで「1国債ノ価額ヲ会計帳簿又ハ財産目録ニ記載スルニハ商法第三十四条及第二百八十五条ノ規定並ニ其ノ準用規定ニ拘ラズ大蔵大臣ノ告示スル標準発行価格ニ依ルコトヲ得但シ其ノ取得ノ際ニ於ケル時価ヲ超ユルコトヲ得ズ」、こういうのが実は昭和七年に出されているのでございます。  大蔵大臣、実は私がいま歴史の検証という大がかりなことを言っておりますのは、この昭和七年という年は、日本の戦前における国債発行の曲がり角であったわけです。そうしてこの曲がり角は、いま私が読み上げた国債ノ価額計算二関スル法律とあわせて日本銀行の国債引き受けという問題が重ねて行われて、それから御承知の戦前の大変な国債増発が起こることになったのでございます。  昭和六年には、当時の国債は一億二千万円しか発行されておりません。昭和六年でありますから、いまと通貨の関係がちょっと違いますから感じは別でありますが、それが昭和七年になりますと六億六千万円の国債が発行されることになって、それがついに昭和二十年には九十億二千九百万円という膨大な国債発行ということになっていったわけであります。  それでは、どうしてそういう国債ノ価額計算二関スル法律というものを出すことになったのか。大量の国債発行のために金融機関の保有国債の評価損がどんどん出てきて、金融機関にそれ以上持たすのはなかなかむずかしい。そこで、こういう法律によって、低価法でやることを取りやめて、要するに大蔵省の定める価格で評価できる。この後段に取得原価を下回らないというふうに書いておりますから、そういう意味ではやや原価法的な法律だとみなしていいのでありましょうが、それを行って、さらにその上に日本銀行の引き受けをやるという道を開けば、国債が増発するのは当然なのであります。  私は、社会党の政策審議会長をやらせていただいている間に、国債問題で党の決断をしなければならないときがございました。私は、国債発行に反対であるという方針を党の方針として決めて、長く社会党は国債発行反対でやってまいったのです。私は、いろんな関係者の方から、あなたは経済を多少知っておるんだろうから、この状態で国債発行に反対するのはおかしいのではないかというふうに言われたことがあります。しかし、私は、アメリカや西ドイツのように金利が自由化されておる国で、そしてその募集のあり方も、日本のような形でなしに経済のメカニズムによって募集をされておる国では、経済メカニズムによって多量の増発というのは困難になるから、経済的に歯どめがかかりますけれども、日本では、私はもう十数年来金利の自由化問題ということを当委員会で申してまいりましたけれども、なおかつ今日十分でないわけであります。  ですから、そのときに、政治的な歯どめをかけることは国債増発に対する唯一の歯どめである、こういう判断で、実は私どもは国債増発の歯どめを政治的な歯どめにかけてきたわけであります。しかし、大量の国債が発行されるようになって、ようやく経済的歯どめがかかるようになってきました。私は、そういう意味では、いまの日本の国債の増発が結果的にはそういう経済的歯どめをつくることになってきた、こう考えていたのであります。  しかし、今回また国債の評価損がどんどん出るということで——実は大蔵省ではその前に、五十三年に、国債の評価損などの起こる問題に対して一つの対応がされているのであります。国債価格変動引当金というものが実は五十三年に設けられている。それによって対応するということであったんでありましょうが、さらにこの国債増発がいまの六・一国債と言われるものの価格を押し下げていくということになったためでありましょうか、ついにここで、昭和七年のいまの国債ノ価額計算ニ関スル法律と同じような発想に基づいて、昨年の暮れに統一経理基準の改定というのでありますか、低価法によっても原価法によってもよろしいという通達が出されることになりました。  新聞を見ておりますと、この間、全国信用金庫協会の小原会長は、新聞の報道でありますから、それを信用する以外にありませんが、信用金庫は、困難であっても低価法によって決算を行いたいということを公式に明らかにされているようであります。当委員会の後に、これからひとつまた金融小委員会をお願いして、各銀行、都市銀行、長期信用銀行、信託銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫と、それぞれの代表者に来ていただいて、この問題についての御意見を承るようにしたいと考えているのでありますが、これはもう、私はきわめて重要な決定に歴史的になるのではないかという心配をしているのであります。  そこで、銀行局長にお尋ねをいたしますが、先ほどの健全性の問題のところで、資産の流動性の確保ということに触れられておりますね。資産の流動性の確保という問題の中には、当然支払い準備の問題が入ってくると思いますが、いかがでしょうか。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 おっしゃるとおり、資産の流動性確保の中の重要な内容といたしまして支払い準備の問題が入ってまいります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 支払い準備について、お聞きになっておる皆さんにわかるように、順次、こういうものを現在支払い準備として銀行局は考えておるというのをひとつ御説明をいただきたいと思います。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 支払い準備につきましては、流動資産の中の現金、預け金、コールローン、有価証券といったようなものが主とした支払い準備であろうかと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 金融制度調査会の報告の書類の中で、こういうふうな文章がございます。「資産の流動性」「流動性資産及び支払準備資産の推移及び状況 (イ)流動性資産比率(流動性資産残高の預金・債券残高に対する比率)の状況をみると、五十二年度下期で都市銀行二七・一%、地方銀行二六・六%となっており、近年わずかながら上昇傾向にある。(ロ)流動性資産としては、現金、預け金、コール・ローン、買入手形、金融機関貸付金、銀行引受手形並びに国債、地方債、公社公団債、金融債、担保付社債及び株式等の有価証券が挙げられる。」こういうふうになっていますね。それでいいですか。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 おっしゃるとおりです。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そこで、この中で、支払い準備としては「現金中の切手・手形並びに有価証券中の株式及び担保差入れ分を流動性資産から除いたものが計上される。」こういうふうに書かれておりますから、これもそうだと思いますが、いかがでしょうか。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 おっしゃるとおりだと思います。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうしますと、国債は支払い準備であるという点は間違いありませんね。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 国債は支払い準備の一環でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 支払い準備であるものが流動性が確保されていなければならない。その支払い準備の評価が実はいまのように原価法ということになりますと、要するに、銀行が買いますのは、最初は発行されたものを買いまして、そしてそれを十年間持っていればそれだけの額面が戻ってきますけれども——利子は途中で入りますが、戻ってきますけれども、もし、いまの低価法を採用しておれば、時価が下がってくればその下がった時価で評価がされておりますから、支払い準備として正しい条件をディスクロージャーしておることに私はなると思うのです。いつ何どき支払い準備としてそれが処理をされようとも、その決算上あるいは財務諸表上の評価というものと、それを売ったときに入ってくる額というのはおおむね近い形のものになると思うのです。しかし、もし原価法でこの処理をするということになれば、——証券局長、いま六・一国債は八十六円ぐらいですか、七円ぐらいでしょうか、ちょっと証券局長からお答えください。

吉本宏大蔵省証券局長

○吉本(宏)政府委員 六・一国債は二十九日現在で八十五円六銭でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまお聞きのように八十五円六銭です。原価法ならこれは九十九円五十銭で実は評価されている。ところが、それを支払い準備として取り崩したとしたならば、八十五円しか入ってこないという事態が実は起こってくるわけであります。ですから、このことはすでにこういう形でこれまでも出ているわけであります。  「国債価格変動引当金の創設」に関してこういうふうに言われておるわけであります。   ところで銀行の有価証券の評価方法は、統一経理基準により、1上場有価証券については低価法(期首簿価または期末時価のいずれか低い方を期末簿価とする)、2非上場有価証券については原価法を採用することになっているが、国債については、原則として上場されることとなっているので、1により低価法で評価することとなっている。したがって、この際、統一経理基準に定める評価方法を改正し、低価法から原価法に替えることにより、前述の国債の価格変動に伴う評価損の発生を回避すべきとの考え方もあった。   しかしながら、原価法を採用した場合には、銀行経理の保守主義の原則に反し、評価損の発生は回避しえたとしても、多額の含み損を内蔵させ、かえって、銀行経営の健全性を損うことも懸念される。かつ、後述の国債価格変動引当金が低価法採用による多額の償却発生に対処するためのものである以上、引当金の新設と原価法の採用とは相容れないものであるとの観点から、低価法を原価法に替えることは見送られた。実はこう述べられておるのでありますけれども、今日においても、原価法を採用したとするならば、含み損を内包した評価が行われることになると私は実は考えるわけであります。確かに、銀行、金融機関で評価損が出ることは銀行のせいではありません。まさにこれは大蔵省が現在の市場のキャパシティー以上の国債を発行するために起きておる値崩れ現象でありますから、それに対して金融機関側として何らかの救済方法を求める気持ちはわかります。気持ちはわかりますけれども、さっき銀行局長が、いま新しい銀行法の作業をしておられるのでありましょうが、その中で、私企業が公共性、社会性を踏まえて自己規制を行うということをお話しになったのでありますが、ディスクロージャーをするということの中にこのような含み損がわからないような形の処理をすることは、まさに銀行の健全性、資産の流動性の確保という面からも問題があるし、同時に、ディスクロージャーが正確に行われていないと考えるべきではないか。私は、当委員会において公認会計士制度の問題を長年にわたって論じてまいりました。投資家がその企業の正しい内容を承知することなくして投資をすることは、適正な投資を行わせることにならない。ディスクロージャーを徹底することによって粉飾決算がないことをこれまで努力して公認会計士の皆さんに求めてきたのでありますけれども、国が銀行に対して、粉飾決算を選んでもよろしい、含み損があるにもかかわらず、それは表に出さなくてよろしいなどということを行うことは、これではまさに昭和七年の国債ノ価額計算ニ関スル法律と同じことを実はいま大蔵省はすでに通達をもって始めたと私は見るのであります。  一部の銀行はすでに原価法でやるということが新聞でも伝えられておるのでありますけれども、私は、国民の立場からするならば、低価法を守っておる金融機関は評価損が出て銀行の経理内容が悪いように見えても信頼のできる金融機関として国民に勧めたいと思います。いかにランクが上であって世上安心な銀行だと言われていても、原価法を採用することは、まさに国民に対して公共性、社会性において自己規制をしていない銀行ではないか、こういう感じがするわけであります。この問題について大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 国債管理政策として、私も大蔵大臣に就任いたしてみましてしみじみと感じたのは、いま堀さんが御指摘のように、要するに国債の発行額が多い、そうなればシンジケート団に対してお願いの額も多くなる、そこにやはり一番の基本はあると思うのであります。したがって、私どもといたしまして、まず国債管理政策としては減すということが第一であらねばならない。  そこで、先ほど来御議論いただいております低価法、原価法の問題でございますが、これを選択に任せたことが、いまおっしゃるディスクロージャーの問題からして、これを勉強いたしましたときに発行懇等のいろいろの意見も聞きながら、ある意味において堀委員の御指摘になった——私からその言葉を使うことは適切でなかろうかとも思いますが、ある種の粉飾決算のようなものを慫慂するというまでにはいかなくても、認めるという方向にはなりはしないかということに対してある種の疑問を感じながら、なお今後の国債管理政策の中でこれはやはり私なりに判断していかなければならぬ問題だなと考えまして、堀委員指摘の点は私には理解できることでありますが、さればいまどのような形でこれを進めていくのが一番適切かというと、本当に最終的には発行額を減していくことしかないというところへとどのつまりがいってしまうというところに私も疑問を感じております。  したがって、議論の段階で私自身にももっと勉強をさせていただきたい。まさに素人でありますだけに率直にそのような印象を持っております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いい御答弁をいただいてありがとうございました。  そこで銀行局長、私はさっき統一経理基準、スタンダードの問題ということを申したのですが、低価法で評価をしている銀行と原価法で評価をしている銀行は、統一経理基準という意味ではどっちがスタンダードですか。低価法がスタンダードですか、原価法がスタンダードですか。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 先ほど申しましたように、統一経理基準のもとになっておりますのは商法及び企業会計原則でございます。債券の評価の問題につきましては、今度私どもが通達いたしました選択制は決して企業会計原則から大きく離れた問題ではございませんで、商法、企業会計原則自体が原則原価法、例外低価法の選択を認めるという形になっております。したがいまして、そういった商法、企業会計原則の本来のルールに戻ったという性格のものになるわけでございまして、企業会計原則で打ち立てられております諸原則の中に減価償却の定額法と定率法の選択であるとかいうような問題もございますし、企業の実態がばらばらでございますときには、その実態にできるだけ合わせて各企業が選択を行うこともまた企業会計原則の考え方の中にある。それに基づいての今度の選択制であるというような面もあろうかと思いますので、直接お答えにならないかもしれませんが、どちらがもとでどちらが例外であるというような考え方ではなく、企業のビヘービアによって長期的に債券を保有し続けるか、あるいは非常に短期で売るか、そういったビヘービアによって実態が違ってまいりますので、それぞれ企業はそれを選択する、ただし継続性の原則は守ってもらいたい、こういう考え方でございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 そうすると、統一経理基準の統一という字は外さなければいけませんね。要するに、スタンダードがなくなるのでしょう。どっちでもいいのだ。私も商法なり会計原則のことは知っています。しかし、なぜこれまで歴史的に低価法で来たかということは、これは歴史の重みですよ。商法、会計原則にどうあろうと、銀行行政について国債の評価はこうすると言って長年にわたってこれが確立してきておることは、これはあなたの言うように、商法、企業会計原則にありますからどっちを使ってもいいのですという話なら初めからそうあってよかったわけですが、そうはなっていないわけです。だから、その点は、私は大変率直に申しますと、やや無責任な対応ではないのか、こういう感じがしてならないのでございます。  そこで、統一経理基準は「基準の目的は、銀行の経営の合理化と自己資本の充実を促進させ、併せて資産内容の健全化を図ることにある。」こういうふうになっているのですね。「資産内容の健全化を図る」ということになれば、当然、売却をしたときに出る売買損というものがはっきり売却をすれば出る。それでは銀行はもう売却を全然しないのかというと、すでに、たしか五十四年度でありますか、銀行の預金のふえた総量と国債を引き受けた総量はほぼ近いところにきているというふうに資料にあったと思うのですが、銀行局長、ちょっとそこを明らかにしてください。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 実はその辺は必ずしも統計がはっきりございませんで、明確にお答えできないわけでございますけれども、大ざっぱに申しまして、五十四年上期は、おっしゃるように、フローで見ますと預金増加額に比べましてかなりのシェアを占める国債売買額が出ております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いまの御答弁のようなことでありますが、実は私が聞いている範囲では、都市銀行はおおむねどうやら低価法でやるというふうに聞いておる。これは、この問題が出たときに、都市銀行は統一経理基準の国債の評価の選択には反対だということをたしか文書で申し入れがあったと思いますが、銀行局長いかがでしょうか。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 都市銀行の中でも実はいろいろ議論がございまして、必ずしも一本にまとまっておるわけではございませんけれども、都市銀行全体の意向ということで選択制に反対であるというような意向が表明されたことはございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 いま評価損が一番たくさん出ているのは実は都市銀行なんですね。一番たくさん評価損の出ておる都市銀行が選択制反対だ。これは一部にはいろいろありましょう。たくさんあるのですから一部にはあるでしょうが、このことと、さっき私が申し上げました信用金庫は低価法でやります、こう言っているこの問題は、私は大変重要な問題だと思うのです。いずれまたお願いをして、金融小委員会に関係の団体の方に来ていただいて内部の事情を詳しく伺いたいと思うのでありますけれども、そういう意味では、私どもと行動をともにしておりますところのいろいろな団体に対して、これから銀行の経理内容の目安としては、低価法か原価法かを目安にして銀行の選択をなさい。低価法をとっておるところは、いま申し上げたように公共性、社会性について自己規制を行い、苦しくてもそれでやっていこう、そういう銀行こそ頼りになる銀行ですよ。安易に原価法をとって、含み損があるにもかかわらず経理内容がいいように表に出しておる銀行というのは、なるほど、その銀行そのものがどうかは別としても、そういう姿勢には銀行経営上問題がありますよということを私は広く伝えたいと思うのです。そして、この三月決算に少しでも原価法をとるような銀行がないように、私は国民の運動として取り上げていきたい。それが私は、昭和七年のあの教訓をこの大蔵委員会の中で二度と繰り返さないという私たちの使命ではないかという気持ちがしてならないのであります。  本来、評価損の問題でなくて、大臣がさっきお話しになりましたように、どうしてもこれは真剣に国債発行の問題について考えなければならないのでありまして、いまのままでいきますと、たしか五十六年の三月末には国債残高は七十一兆三千二百億円くらいになるのではないかと思いますが、理財局長いかがでしょう。

渡辺喜一大蔵省理財局長

○渡辺(喜)政府委員 五十四年度の発行実績がまだ出ておりませんし、来年度も、一応計画額はありますけれども、実績はこれからでございますので、確かな数字は申し上げかねるわけでございますが、いまの計画どおりに全部発行されたといたしますと先生のおっしゃったような数字になるということでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 さっき麻生さんがお話しになりましたように、これがもう来年でおしまいになるというならいいのでありますけれども、要するに特例債の発行をやめてもなおかつ建設国債については引き続き相当多量のものを発行していかなければならない。しかし、日本のいまの経済から見ますと、いまの国債発行の量は明らかにオーバーイシューでありまして、大臣はさっき「財政再建の第一歩を踏み出したところであります。」とおっしゃっているのですけれども、私は余りことしの予算は財政再建の第一歩を踏み出したような気がしないのです。たしか大蔵大臣も新聞に、財政再建元年の前年だというようなことをお話しになったように記憶があるのですが、大臣、それはどうだったのでしょうか、新聞で見ただけですからよくわかりませんが。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 先ほども麻生委員に申し上げましたが、率直に言って、その取り組んだときは、私も元年という表現を使いたかったことは事実であります。しかし、元年という言葉を使うほど竹下登もうぬぼれてはいないということで、ただ強いて第一歩と言わしていただくならば、とにかく当初予算で初めて一兆円であろうと減額させていただいたということと、一般歳出の伸びを三十一年以来の低い伸び率にさせていただいた、この二つを第一歩と評価していただきたいものだなあという期待と願望を込めてそういうことを申しておるわけです。したがって少し正直過ぎたような気がしますが、最初聞かれましたときに、財政元年のという心構えはできたから、まあ前年だなあという感じを素直に申し述べたのです。しかし、その後また反省をいたしまして、前年というよりもイブぐらいではないだろうか。そのイブというものは十二時を超しますと翌日にもなりますので、イブというような表現がいかがなものかなあ。まことに無責任な形でございますが、みずからの感想としてそういうことである種の自己評価をさせていただいておるということであります。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 私は今度の予算の問題で、禿河次長も見えておりますから、やはり大蔵省もディスクロージャーを正確にしてもらわないといかぬ、こういう感じがしてならないのであります。  それは、私が何を言いたいかといいますと、十一月三十日に大蔵省は五十五年度予算A案、B案なるものを実は発表されたわけであります。そのA案の方では、要するに増税を全然しないでやるとすればこういう形になりますよという案が出ておりまして、B案は当然増経費が一兆七千億ありますから、それを賄うためには八千四百億ですか増税をしてこういうB案の形になりますというものを実はお出しになっておったわけです。十一月三十日という時点では、実は自然増収がおおむね一兆九千億程度あることはすでに私どもも承知をしていたところであります。一兆九千億円の自然増収があれば、その中で一兆円程度の国債減額が行われることは常識であったわけです。しかし、このA案の国債費というのは、全然そういうことに配慮せずに五十四年度十五兆二千七百億円を発行をして、そうして五十五年度にそれから一兆円減らして十四兆二千七百億円になったらこういう国債費ですというものが計上されておったわけです。しかし、私は補正後実績よりはふえたなどということを議論するつもりはないのですが、国債費の計上をそういう形で九百億円余りわかっているのにドレッシングがされていたということは、その時点でわかっておるものは国民の前には公開して処理をしなければ国民の信頼は得られない。だから、率直に言いまして、私自身も予算の作業をしてみまして、そこにちょっとひっかかったわけです。私はきょうディスクロージャーの問題について触れておりますから、いまの予算のところにも触れたわけでありますけれども、大蔵省も今後こういう資料の公開をされるときには、その時点でわかっておることについては、それはやはりちゃんと計上していただいて、まだ補正予算が通っていないからと言えば別でありましょうけれども、大体こういう姿になりますというA案が示されてしかるべきではなかったのか、こういう感じがいたすわけであります。しかし、これは済んだことでありますから、今後こういう処理をされるときには心して処理をしていただかないと、だれも気がつかないと思っておられては問題があるということをちょっと申し上げておきたいと思うのであります。  最後に、もう時間が余りございませんけれども、この聞の金融制度調査会の佐々木会長に来ていただいたときに、さっきの局あって省なし論の一つでありますけれども、金融制度調査会の方では、銀行の窓口販売、これはただ窓口販売と言われておりますけれども、実は銀行のディーラー業務を含む考えの問題でございます。これについては、答申を拝見しますと、多数意見として銀行にそれをやらせるべきだという意見、少数意見としてはそれは適切でないというのが列挙されておりまして、その取り扱いは行政当局に任せる、こうなっています。証券取引審議会の方はこの問題について大変詳しく触れておられまして、反対である、しかし行政当局に任せる、実はこういう問題が起きております。そういう意味では、これは銀行局がどういう判断をしているかの問題は別でありますけれども、答申はそういうかっこうになっておるということでございます。  いま証券取引法六十五条の問題というのは大変古くて新しい問題でありますから、いろいろ微妙な問題がありますけれども、この問題を離れて、大蔵大臣、私は実は銀行のバンクディーラーということには反対なのであります。なぜかといえば、本来やってはならないような評価選択ということまでやらなければならないほど値下がりをする国債であります。今後それではそういう危険がないかというのに、なお相当の増発を行うわけでありますから、価格がきわめて不安定な商品として国債を考えなければならない。価格の不安定な商品をきわめて高い信頼性が求められておる銀行がディーラー業務をやるということは、銀行の健全性にとってきわめて危険なやり方であるという判断であります。  私は佐々木金融制度調査会長に、調査会長のお立場ではお答えができないと思いますから、学識経験者の立場から佐々木さんの御意見を承りたいというふうに伺いましたら、佐々木さんは、私個人としては実は少数意見の方に賛成なんです、こういうお話でございました。私は私なりに、佐々木さんは日本銀行の総裁までやられて日本の金融制度については十分よく御存じの方でありますが、佐々木さんも私と同意見だとおっしゃったことは、大変うれしい御答弁をいただいたと、こう考えているのであります。銀行法がいま出るわけでもないのでございましょうから、その問題はあれですが、やはり大臣、私が申し上げているように、銀行は安定したものの処理をすることでなければ、価格変動の著しいものを取り扱うということは、これまで申し上げてきた銀行の健全性から見てもディーラー業務を行うべきでない。  ただ、その際、私はひとつ考えていただく必要があると思うのは、さっき申し上げたように、私は長年にわたって金利の自由化問題というのを取り上げてまいりました。佐藤総理が総理大臣になられた最初の予算委員会の総括質問に私は立ちましたときに、最後に、佐藤さん、あなたは安定成長を強く主張しておられます、安定成長を願われるならば、いまの資本主義の仕組みというのは物事が市場で決まるという仕組みなのでありますから、そういう意味では日本の管理金利を自由な金利に変えることなくして日本の経済を安定成長にもたらすことはできませんよと申し上げましたら、私からそういう話を聞いて大変ありがたいと、こういう趣旨の御答弁があったわけであります。しかし、それ以来十数年たっておりますけれども、まだなかなか進捗しておりませんが、ようやくCDとコールは自由化されてきたようでありますが、いま金融界その他で考えられておることは、大蔵省証券の金利をひとつ自由化したらどうだろうかということであります。大蔵省証券のディーラー業務なら銀行が行っても、これは短期証券でありますから価格の変動があり得るはずはないのでありまして、アメリカでもTBはCDとともにバンクディーラーの一つの対象になっているわけであります。ですから、私はそういう意味で、この際、きょうすぐお答えを下さいという気持ちはございませんが、この大蔵省証券の金利の弾力化の問題、要するに公募入札方式によって処理をするというこの問題は金利自由化の一つの大きなモメントになると私は考えておりますので、ぜひその点は検討をいただきたいと思います。  そこで、その前に、なぜこれがそういうふうに金利の自由化、要するに取り扱い方法が公募入札方式にできないのか、事務当局の方でどなたが御担当かわりませんが、お答えをいただきたいと思います。

渡辺喜一大蔵省理財局長

○渡辺(喜)政府委員 この政府短期証券というのは非常に大量の資金を一時的に、短期間のうちに調達しなければならない、こういう性格のものでございます。現在行われております制度は定率公募でございまして、残額は日銀引き受け、実態はほとんどが日銀引き受けで行われておる、こういうことに相なっておるわけでございまして、私どもの国庫の資金繰りをつけるという観点からいきますと、大量の資金を非常に短期に一時に調達する、こういう観点からいきまして現行の方式が非常にすぐれておる、こういうことで現行方式がとられておるということではなかろうかと思うわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 政府短期証券の割引歩合の推移というのをずっと見ておりますと、これは一体何が根拠でこの割引歩合というのが決められるのでしょうか。公定歩合とずらっと並べてみますと、おおむね公定歩合が動いたときにこの金利は動いているようであります。ところが、その公定歩合との差というのはきわめて恣意的なものでありまして、これはどうも連動性も何もない。一体いまの割引歩合というのは何をもとにしてこういうのが出てくるのでしょうか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

渡辺喜一大蔵省理財局長

○渡辺(喜)政府委員 特に決まったルールというのはございませんで、一応公定歩合を基準に考えまして、そのときどきの情勢、財政負担その他もろもろの要素を勘案いたしまして、日銀との間で割引歩合を決めていく、こういうことになっております。  大体過去の推移を見てみますと、公定歩合が五・五%程度以下の場合には公定歩合の〇・一二五%下というような水準になっておりまして、それを公定歩合が五・五を超えてずっと高くなっていくような場合には、公定歩合との差が開いていくというふうな傾向になっておるわけでございます。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 確かに、いまおっしゃったように〇・一二五という開きがありますのは五十二年の四月二十五日から五十四年の八月六日までの間、いまおっしゃるように公定歩合が五%から五・二五%までの間はO・一二五なんですが、それが昨年の十二月十日には〇・六二五乖離しておるんですね。そして、その前の方は、四十九年一月十四日の改定のときは二・二五〇、六月二十三日、二・二五〇、今度は八月十八日になるとその差が二・〇になり、十月になると一・八七五、今度は五十二年の三月十八日になりますと、とたんにこれが〇・五の差になって、その次が〇・一二五で来て、今度は〇・六二五になる。ちょっとこれを拝見しておりますと、それは日銀との話し合いで処理をされるということですけれども、どうもやはりこういうものも何らかの合理性がなければ、いろいろ勘案しということは、恣意的に決定をしたと言われても対応できないのじゃないかと思うんですね。  大体、いま理財局長がお話しになりましたように、大蔵省証券というのは五十三年度で十二兆八千五百三十億円、大変な金額が出されておりますからあれですが、これだけの金額の大蔵省短期証券を出す以上、その金利について何らかのルールか何かがなければ、私はこれは非常に問題があるような気がしてなりません。  同時に、私は何も全部を公募にする必要はないと思うのでありますが、一定量、公募によってそのときの市場価格に決まったら、その後は、それを日本銀行がその率で引き取るならそれもまた一つの方法だと思うのでありますが、要するに、市場をかけ離れて大蔵省の恣意的金利で、一年間に十二兆円も発行する大蔵省証券がまさに管理金利の中で行われておる。アメリカではTBというのはまさにそういう短期市場における中心的な商品になっているのでありますが、これは私はもう少し工夫があってしかるべきではないのだろうか、こう思いますが、どうもこの問題は理財局だけではなくて主計局もちょっとかんでいるのではないかという気がしてなりませんが、そこはわかりませんけれども、禿河さん、財政上は金利が安いほどいいんだということの方が優先をしておるということはないのでしょうか。

禿河徹映大蔵省主計局次長

○禿河政府委員 政府短期証券は、先ほど理財局長の方からもお答えございましたとおり、国の一時的な資金繰りのための資金を大量に調達するというものでございます。当然、発行者といたしましては、その調達いたします場合にできるだけ金利が低いほうが望ましい、財政当局といたしましてはやはりそういう気持ちはもちろん持っております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 大臣、いま主計局から答えがあったようなことですけれども、これは国の金利政策なんですね。要するに、国の財政が少しもうかったからいいとか、少し金利が高くなったら損するなんという話ではなくて、金利の自由化という問題を考えてまいりますときには、まずやはり短期金利の自由化ということが非常に重要ではないか。恐らくこの問題については、日本銀行も、その他関係者はいずれもそういう公募入札制というのを希望しておるのではないか、こう思うのです。銀行局長、ちょっと私もそうだと思うんだが、正確でないので、日本銀行その他の関係者がどう考えているか、ちょっと言ってください。

米里恕大蔵省銀行局長

○米里政府委員 日本銀行がこの問題についてどう考えておるかという、なかなか一本のものはないように思いますが、日本銀行の中には金利自由化の一つのプロセスとして幾つか挙げる方法論の中に、こういった政府短期証券の公募入札が検討されるべきではないかという意見もあることは承知しております。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 大蔵大臣、お聞きのようなことでありまして、私は金利の自由化問題というのをなぜ思い立ったかといいますと、時期は忘れましたが、有吉証券部長というのがおられた時期ですが、何年ごろでしょうか、ちょっと私もあれは何年だったか、はっきり記憶がないのですが、三十七年でしたかに有吉証券部長のときにその問題に気がついたのは、資本市場の問題とあわせて、日本の金融政策というのは要するに公定歩合操作しか当時なかったのです。しかし、本を調べてみますと、オープン・マーケット・オペレーションと準備率の操作というのが金融政策の三つの柱だとなっているのです。しかし、いまの準備率の問題は別でありますが、オープン・マーケット・オペレーションというのは非常に広範囲に実は金融政策を浸透させる手段だけれども、残念ながら金利が自由化をしていないものですからそういう手段が取り得なかったというのが——私が、金融政策の弾力性を確保するためには金利が自由化してこなければまずいなという感じを持って、三十七年以来ですから十八年になりますか、ばかの一つ覚えではありませんけれども、社会党で金利の自由化を言っているのはおかしいと思われるかもしれませんけれども、それはなぜかと言えば、市場経済というのは大体自律性に働く仕組みになっているわけですね。金利が上がれば要するに借り入れは減るのであるし、金利が下がれば借り入れはふえる、それが景気動向に十分反映できる仕組みが実は基本的にあるのでありますから、これを非常に重要視していたのであります。一どうかひとつ大蔵大臣におかれても、いまの政府短期証券の金利問題について省内をまとめて御検討をいただいて、少なくとも今日国際経済の中では、その点で金利の自由化が一番おくれているのは日本だと思うのであります。どうかひとつそういう意味で国際的にも対応できるためにも、いまの政府の短期証券を含めて金利の自由化問題に積極的に取り組んでいただきたいということを要望し、国債問題についてはさらに慎重な御検討をいただくことをお願いして、私の質問を終わります。

増岡博之自由民主党・自由国民会議

○増岡委員長 坂口力君。

坂口力公明党・国民会議

○坂口委員 いま竹下大蔵大臣の含蓄のある所信表明をお聞かせいただきまして、総論的には非常に私も敬意を表するところも多いわけでございます。特に財政金融政策の課題として物価の安定と経済の自律的拡大の維持を挙げられた。そしてまた国際経済にもお触れになって、国際収支の健全性の保持ということをここで主張されたわけでございます。この物価と景気の両面、これを維持し、しかも、なおかつ国際収支の健全性を保持していくという非常にむずかしいかじ取りでございますが、この三つの線を結びましたときに、やはり個人消費というものがいかにこれから重要になってくるかということに私思い当たるわけでございます。  その意味で私質問を続けていきたいと思いますが、特にこの昭和五十四年度におきましても、昨年ある時期におきましては七%近い経済成長ではないかと言われたこともあるわけでございます。これらの下支えになっているのは、やはり何といってもこの個人消費ではなかったかと思います。さらに加えれば企業の設備投資もあろうかと思いますけれども、何といってもやはり個人消費の回復ではないかと思います。  こういう見地から見ますと、言われておりますように、これから先いわゆる高齢化社会が参りまして、そうして特に五十歳以上の年齢層の人たちのパーセンテージがだんだんとふえてくるわけでございます。いままでと違いまして、これから先だんだんと五十歳以上の人たちの占めるパーセントがふえるということになってまいりますと、この人たちの消費動向というものが経済にも非常に大きな影響を与えてくると私考えているわけであります。その意味からいたしますと、広い意味での福祉政策、制度やその内容も含めてでございますけれども、これらの点がやはりある程度しっかりとしていくということが、特に五十歳以上の人たちの消費動向というものに大きな影響を与えるのではないか、実は私最近こんな感じでいるわけであります。  そういった意味で、大臣がきょうの所信表明の中で言っておみえになります物価と景気の両面に細心の注意を払うということもよくわかりますし、国際収支の健全性の保持もおっしゃるとおりであろうかと思いますが、それらを成り立たせていきますためには、やはり個人消費、しかもこれから先の高齢化社会におきましてはその総合的な福祉政策というものが非常に重要なウエートを占めてくる、私こう思うわけでございます。そんな考えを私は持っておりますけれども、まず最初に大蔵大臣に、もしもそれに対しまして何か御意見がございましたら伺って、次の質問に入りたいと思います。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 確かに、物価と景気の両にらみをしながら、しかも国際収支の改善を図り、また財政再建の第一歩をしるして将来に向けて発展させなきゃいかぬ、大変むずかしいところでございます。したがって、私はいまの五十歳以上ということについて必ずしも正確に理解をしたわけではございませんが、二つの面から申しますならば、一つは高齢化社会に向かっていく福祉政策全体の問題、いま一つは全然別の角度から、今日までの日本経済というものが民間労使の節度あるかなり熟度の高い労使交渉の中に減量経営がもたらされたということと、個人、個人の節度ある消費態度というものが大きな下支えになったということは絶えず申し上げでおるところでございます。

坂口力公明党・国民会議

○坂口委員 きょうは時間的に非常に限定がございますので、この辺のところはきょうは多く議論しているゆとりがございませんが、私そういうふうなことを申しましたのは、総理府がやっておみえになります世論調査を見ましても、また私ども自身がやりましたいろいろの調査の結果を見ましても、特に四十歳後半、言うならば五十歳を超えた方々の貯蓄意欲あるいは逆に消費傾向、それらを見ましたときに、これが福祉の制度と非常によく結びついているということを思うから、そういうことを申し上げたわけでございます。  そこで、当面のことしの予算でございます。明後日から審議されることになるわけでございますけれども、最初大蔵省の計画におきましては、老人医療費の問題でございますとか、あるいはまた児童手当の問題でございますとか、そういった福祉関連のものにかなり厳しい態度があったわけでございますが、少なくとも昭和五十五年度予算におきましては、政府案としてはそういった意味でそれらがもとに揺り戻されたということではないかと思います。しかしながら、老齢福祉年金等を見てみますと、その新しい上乗せが千五百円ということでございますので、国民が予測をしていたと申しますか、希望しておりました額にはいささか低過ぎる結果になっている、こう思うわけでございまして、これらの点についても多分これから野党各党の間でいろいろ話が進められて、修正案が出されるのか出されないのか、その辺は私よくわかりませんけれども、とにかく何らかのアクションが起こされるのではないか、かように私は個人的な予測をしているわけでございます。これは自信を持って大臣が出された案でございますから、いまそれに対して、そういったことを引き受けて修正に応じますかというようなやぼな質問をいたしましても、そんなことはできないと言われることは目に見えておりますので申しませんけれども、しかし、そうした国民の大きな希望、そしてまたこれから高齢化社会を迎えていく、その入り口に立っている現在といたしまして、将来をにらみましたときに、それらのことを、制度も含めていまから整理をし、前進をしていかなければならないときに来ていることもまた大蔵大臣も理解をしておみえになるのではないかと私は思うわけでございます。特に、厚生年金の六十五歳の引き上げの問題もございますし、これらの制度のことも含めまして、やはり考えなければならないときが来ていると思うわけでございます。しかし、そうした問題が起こりましたときに、間々、たとえば厚生省でございますと、なかなか大蔵省の壁が厚いからできないとか、大蔵省がネックになってなかなかできないとかいうような話もよく出てくるのが常でございまして、これからどういう経緯をたどるかはわかりませんけれども、私は、その中で大蔵大臣もひとつ聞く耳を持ってもらいたい、こう思うわけでございます。これは私の希望でもあり要望でもございますが、まあこの辺のところにつきまして大臣の方からもお答えをいただいてはどうかと思います。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 政府といたしましては、現に提出しております五十五年度予算は、その編成の過程に当たりまして、野党各党の皆さん方を初めとして広く各界各層の意見も聞いて取り入れたものもございます。したがって、現時点において最善のものであるというべきであると私も自分に言い聞かしておるところでございます。その限りにおきましては、恐らくまた坂口委員と私との問答の間で、なるほど大蔵省もよくやっておるという御理解をいただけるということも私の期待感の中には十分あるわけでございますので、そもそも議会制民主主義でございますから、提案者の私どもの方で、国会でかくしてもらいたいとか、その場合にはどう対応しますとかいう不確実性の問題に対してお答えする立場にはもとよりございませんが、恐らく十分な理解をしていただけるものであろうという猛烈な願望と期待を持っております。

坂口力公明党・国民会議

○坂口委員 私の方も、さはさりながら大蔵大臣も聞く耳を持ってくれるであろうという強い願望を持っているわけでございまして、ひとつこれからまた大蔵委員会におきましても議論を詰めさせてもらいたいと思います。  さて、ことしのこの予算編成の過程の中で、非常に厳しい財源の中で予算が組まれたわけでございますけれども、その中で特に大蔵省が努力をなすったと胸を張られるものの中に、補助金整理の問題がございます。きょうの新聞等にも出ておりますし、私もきょう大蔵省からこの補助金等整理合理化調という一枚の紙をいただきまして、それを拝見したわけでございますけれども、三百二十八件、件数にいたしまして廃止ということになり、金額にして五百三十二億八千四百万でございますか、そして、合理化の総額にして千六百六十七億八百万という数字をもらったわけであります。しかし、これだけではちょっと私どもなかなか全貌わかり切らない部分もあるわけでありまして、たとえば、ここに統合というのがございまして、五十四件のものを三十九件に統合をした。すなわち、これで十五、件数としては減らしたわけでありますけれども、果たして統合されることによって補助金が減っているのか、統合はしたけれどもこの金額は減っていないのか、この辺も、この表からはちょっとわかりかねるわけであります。もしその辺がわかればひとつお答えをいただきたいと思いますし、それからもう一つ、終わりの時期、終期の設定というのがあって、六百六十の件について終期の設定をしたとありますが、この終期の設定によってこれからどれぐらい補助金が整理合理化されていくものなのか、この辺につきましてもお答えをいただきたいと思います。

禿河徹映大蔵省主計局次長

○禿河政府委員 第一の補助金の統合の点でございますが、いまお話がございましたとおり、五十四本ございました補助金を統合いたしまして、これを三十九にいたしまして、ネットで十五減ったということでございますが、実は、ちょっと私いま手元に資料を持っておりませんで、その統合の結果、補助金が減ったものも、あるいは若干ふえたものもあるかと思いますが……(坂口委員「トータルで」と呼ぶ)ちょっとトータルの数字を、そこの金額の方を持っておりませんので、大変恐縮でございます。  それから第二の、終期設定六百六十七件の件でございますが、私ども、御存じのとおり、新規の補助金をつくりますような場合にも、これは極力抑制し、できるだけスクラップ・アンド・ビルドということを行いますと同時に、原則として五年以内の終期、これは見直し時期も含めてございますが、そういういわばサンセット方式ということを本格的に導入するというふうにいたしたわけでございます。それで、五十五年度予算におきまして終期を設定いたしましたのは、新規を含めまして六百六十七件、その対象となっておりますものの金額は二千八百七十九億円でございます。ただ、この五年以内の終期ないしその見直し時期の設定ということでございまして、これが終期到来時にすべて必ず廃止されるとは言い得ないものでございますから、そういう合理化策を講じた補助金の対象金額が二千八百七十九億円ということで、実際にそれがどれだけその終期において減少するのかということは現時点ではちょっと申し上げかねるような状態でございます。

坂口力公明党・国民会議

○坂口委員 膨大な数の補助金でございますので、一覧表でわかるようにしていただくということはなかなかむずかしいこともよくわかりますけれども、何か補助金の目的別みたいな形で、それがどれだけあって、どれぐらいいままで廃止したのかあるいは統合したのかというようなこと、もう少し何かわれわれにもわかりやすい形でお示しをいただくことはできませんか。

禿河徹映大蔵省主計局次長

○禿河政府委員 一般に「補助金等」と言っております中には、いわば国の義務的経費とも言えるような負担金とか、あるいは俗に言われております奨励的な補助金とかというふうなものがいろいろ含まれておるわけでございます。それが予算総額の大体三分の一に達する、こういうことになっておるわけでございますが、一番問題になるかと思いますのは、その中でいわゆる奨励的補助金というものであろうかと思いますが、補助金の総体の八割以上が一応法律上の根拠によるものでございますし、あるいはまた別の観点から申しますと、やはり八割以上のものが地方公共団体に対するものであるとかいうふうなものでございます。したがいまして、地方公共団体に対するものとか、あるいは法律の規定に基づくものとか、そういうふうなものの分類は、これは可能と思いますけれども、実は一番問題になりますいわゆる奨励的補助金というものが、個別に見てまいりますと大変その分類がむずかしいものでございます。どこで線を引くのかということは、三千八百本ほどございますいわゆる「補助金等」というもの、それをきちんと目的別あるいは性質別に分類をいたしましてそれを性格づけていくということは、実際問題として私どもいろいろ努力はいたしましたけれども、そこの限界をどこで線を引くかということは大変むずかしい。そういう点がございますので、そこの事情はひとつ御了承願いたいと思っております。

坂口力公明党・国民会議

○坂口委員 わかりました。  それから、この補助金に関連しまして、行政改革も、これは大蔵省自身のお仕事ではないかもしれませんけれども、しかし大蔵省が補助金の整理をし、何とかして財源を生み出していこうと一生懸命になっておられる以上、やはり大蔵省自身も行政改革の中でその手本を示されなければならないのではないか、こう私思うわけであります。きょうの本会議でも若干そんな議論もございましたけれども、大蔵省自身の本年度における改革の現状あるいはそれによって大蔵省自身はどれだけ財源的に節約することができたのかということ、いかがでございましょう。

松下康雄大蔵大臣官房長

○松下政府委員 御指摘がございましたように、私どもも予算査定をいたす立場にございますので、行政改革の問題につきましても行政管理庁を中心といたしまして政府全体について策定をされてまいります行政改革の計画に対しましては、私どもの立場からも全面的に御協力いたすという姿勢で臨んでまいっているところでございます。  最近の実例を申し上げますと、一つは出先機関の整理の問題でございますけれども、昭和五十四年の一月には小樽の財務部を廃止いたしましたほか、五十四年度中に財務局関係の二つの出張所、具体的には十和田と豊橋でございますけれども、これを廃止するということで、ただいまその準備を行っているところでございます。  五十五年度以降につきましては、ただいま五十五年度について決定をいたしておりますのは、財務局関係の三つの出張所の廃止を行うということが既定の方針として決定をいたしておりまして、これは五十五年度中に必ず実行をいたす考えでございますが、そのほかに方針だけが決まっておりましてまだ内容が固まるところまで参っておりません昨年の十二月二十八日の閣議決定によります地方出先機関関係の整理の問題がございます。これらにつきましては、私どもも関係の地方出先機関につきまして閣議で定められたところに従いましてこの整理計画をつくるということで、ただいまこの内容の検討をいろいろといたしておるところでございますけれども、まだ決定をする時期には至ってございません。  これらの行政改革につきましてどれだけの経費の節減が行われたかということは、実は非常にむずかしいことでございまして、定員が減少をいたしておることもあるわけでございますけれども、むしろそれは全体としての定員削減計画を実行するという形で大きな削減をいたしておるわけでございまして、この行政改革自身で独立してこれだけの定員削減を実行したという姿にはなってございません。そういう点で、ここで金額的に改革の成果について御報告を申し上げるということは困難でございますけれども、私どもといたしましては、今後とも全体の行政改革計画に対しまして積極的に御協力をいたしてまいるという方針でございますので、何とぞ御理解をいただきたいと存じます。

坂口力公明党・国民会議

○坂口委員 それじゃ次に移らせていただきますが、今度経企庁から新経済社会七カ年計画が発表になりまして、それをざっとでございますけれども拝見をいたしますと、いわゆる一般消費税の問題につきましてはその名前を消しているわけであります。しかし、大蔵省の方の財政収支試算を今度またちょうだいをしまして、その税収部分を見せていただきますと、前回どおりと申しますか、昭和六十年度の目標としては二十六カ二分の一、これは前と変わっていないと思うわけであります。そこで、これは経企庁との絡みの問題にもなりますが、前回のものとそれから今回のものとの間、租税負担としては変わっていないわけでありますけれども、そうした表現に違いができてきているわけでありますので、大蔵省のお考えに何らかの変化が生まれたのか、その辺のところをひとつお聞きをしたいと思います。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋政府委員 ただいまお話のございましたように、今月の二十五日に経済審議会の企画委員会から発表のございました新経済社会七カ年計画のフォローアップ昭和五十四年度報告というのがございます。その中では、国際収支なり石油価格なり物価について最近大きな変化が起こってまいりましたので、計画の本文にあります条項を踏まえまして計画策定後の経済情勢に照らして見直しをしておるといいますか、フォローアップを行ったわけであります。  フォローアップの結果はすでにお手元で御承知のとおりでございますが、その中で、計画自身が持っておりますいろいろな計画手段と申しますか、そういう政府が主体的に注ぐべきいろいろな努力というものを数量的にあらわしました、たとえて申しますれば、典型的なのが財政でございますが、その部分につきましては特段大きな変更というのはないわけでございます。したがいまして、国民所得比一四・五%の社会保障移転支出を六十年度に計画をいたす、または約二百四十兆円の公共投資を行う、またはそういうことをやりながら計画期間中になるべく早い時期に特例公債依存の体制から脱却をいたしまして、財政の健全化を図ってまいる、そういう諸要請を達成するために六十年度におきまして国民所得比二六・五%程度の租税負担率にする、そういう財政に関するフレームというのは変わっておりません。私どもいま作業をいたしておりますが、いまもお話のございました財政収支試算の素案というものをいろいろやっております場合にも、七カ年計画の方が、またそのフォローアップの結果が財政についての基本的なフレームを変えておりませんので、そういうものを踏襲して数字をつくっていくことになろうかと思います。  一般消費税につきまして、フォローアップ報告の中で、「計画において、昭和五十五年度中に実現できるよう諸般の準備を進めることとした一般消費税(仮称)については、その仕組み、構造等につき十分国民の理解が得られなかった。したがって、いかなる方法によって所要の財源を確保していくかについて、国民の理解と協力を得つつ、政府においてさらに検討を進める必要がある。」という御指摘であります。今後いかなる方法で所要の財源を確保していくかについて、各方面の御意見を伺いながら、歳出歳入両方を通じまして、幅広い観点から十分検討を行っていきたいというふうに考えておる次第でございまして、その点は政府の税制調査会から昨年の十二月の二十日にいただいた答申の中にも同様の御指摘があって、私どもとしてもそのとおり考えておる次第でございます。

坂口力公明党・国民会議

○坂口委員 これは経企庁の方から出されたものでございますし、大蔵省ではございませんから、そうすり合わせてその文言をどうこうと細かく詰めるつもりはございませんけれども、そういたしますと、大蔵省としては、その文言のいかんを問わず、考え方としてはいまも変わっていない、こういうことでございますか。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋政府委員 ただいま御答弁申し上げたところと若干重複するかと存じますが、十二月の二十日に税制調査会からいただきました答申の中で、こういうことを言っておられるわけであります。「歳入の四割を公債に依存する財政体質の改善を図るためには、自然増収を優先的に公債減額に充てることが強く求められるところであり、その場合、まずこうした歳入事情に応じた歳出の節減と効率化に最大限の努力が注がれるべきであろう。しかしながら、今後、一定の行政サービスの水準を確保するためには、歳入面においてもその構造の健全化に努めることが必要である。」「これまで、財政再建の緊急性については、おおむね各方面の理解を得たところであると認められるが、今後、当調査会としては、従来の検討の方向及びその後の経緯を踏まえつつ、財政再建の進め方及びその中における税制のあり方についてさらに検討を続けることとする。」これが税制調査会の御意見であります。  私ども、財政再建が緊急の課題であるということにつきましては、そのとおりに考えておりますので、税制調査会等そのほか広く各方面から御意見をいただいて、歳出歳入全体を通じて再建のための具体的な方策を考えてまいりたいという所存でございます。

坂口力公明党・国民会議

○坂口委員 そこで、いろいろ考え方はあろうかと思いますけれども、ことし大蔵省の中でもいろいろ議論をされて、見送りにはなりましたけれども、法人税の問題がございます。私どももいろいろ見渡してみました場合に、やはり大きな財源というのは御指摘のようになかなかないわけでありまして、そのことを考えますと、もしありとするならば、これは法人税ということになってくる可能性もあるわけでございます。ことしは見送りになっておりますけれども、しかし、今後重要な課題であると思いますし、この法人税につきましては、来年度に対しましてはかなり強い意欲をお持ちであるとも聞いておりますし、意欲がないとも聞いているわけでありますけれども、この辺に対するお考え方があれば、ひとつ一言で結構でございますからこのときにお聞きをしておきたいと思います。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋政府委員 これは大臣からお答えがあるべきことかとも思いますが、その前に私からいままでの経緯を踏まえましてお答えを申し上げた方がよろしいかと思います。  五十五年度は、租税特別措置の大幅な整理合理化ということで税制面では対処することにいたしまして、本格的な増収措置というものは、財源の必要性ということから見送られたわけでございます。したがって、税制調査会の答申の中でも、増収措置は必要最小限のものにとどめるということでございます。  いまお示しのございました法人税率につきましても、歳出規模の節減と税制の見直しということで対処できたものでございますから五十五年度は措置をいたしませんでしたが、五十六年度は引き続いて歳出規模の抑制に努めるといたしましても、五十四年度から五十五年度に持ち越しました約一兆九千億という自然増収が再び五十五年度に発生するということは考えられないというふうに思いますので、やはり各般の見地からの増収措置を講ずる考えで検討する必要があろうと思います。これは仮定の問題でもございますから、五十五年度の経済状況、五十六年度における自然増収の見込みというのがもっと具体的に立ちました段階で正確にお答えすべきことかと思いますけれども、その中には、いまお示しのございましたような企業に対する課税のあり方ということも当然含まれることになろうというふうには思います。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 いま主税局長の答弁で尽きておりますが、ことしの場合は、先ほど御説明申し上げましたように、企業の租税特別措置の見直し等において必要な財源が確保できた。もとより民間の自己努力と節度ある消費等によりましての自然増収というものも見込み得たわけでございます。これが見込み得ないという——当然われわれとしては絶えずそういう状態に対応する勉強は引き続き続けていかなければならないわけであります。その際に、法人税というものは初めから対象にならないものでございますというものではなく、当然これらもインクルードされたものを五十五年度の税収見込み、そして五十六年度の予算編成に当たっては考えるべきであるというふうに考えられます。ただ、いま、来年度は法人税を幾ら上げますとか、何をどうしますとかいうことが決定しておるわけではないというふうに御理解をいただきたいと思います。

坂口力公明党・国民会議

○坂口委員 五十六年度のことを言っております。どうですか。来年度というのは六年のことです。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 五十六年度にこれを増税の対象として現在確定しておるものではない、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。

坂口力公明党・国民会議

○坂口委員 時間が迫っておりますので、もう一つだけお聞きしておきたいと思います。  利子配当課税に絡みましてグリーンカードの問題が今度提示されました。このグリーンカードの問題につきましては、金融界からもいろいろ意見が出ておりますことを私どもも知っておるわけであります。私どものもとにも、各金融界からかなりいろいろの陳情みたいなものも実は来始めているわけでございますが、特にきょうの新聞等にも出ておりますけれども、このままでこのグリーンカードが導入をされれば郵便貯金の方にかなり流れるのじゃないか、そして郵便貯金の中で脱税の隠れみのになる可能性もある、こういう意見が出ていることも事実であります。これに対して、いやそんなことはないのだという大蔵省の方針等がありましたら、ここでひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋政府委員 近々所得税法の改正の案を当委員会にお出しをいたしまして御審議をいただくわけでございます。その中に、仰せのグリーンカードの新しい制度につきましても盛って御審議いただくわけでございます。  グリーンカードの制度がどういう趣旨で導入が必要かということについていまさら改めて申し上げるまでもないと思うのでございますけれども、非課税貯蓄、この中には当然郵便貯金が入ります。非課税貯蓄について統一的かつ簡明に本人確認を行う、それから非課税貯蓄の限度額の中で個々の預金の管理の適正化を図るというのが第一の目的でございますが、あわせて課税の対象になります貯蓄、これにつきましても本人の確認と支払い調書の名寄せができるような制度、これがその趣旨でございます。  こういう趣旨の非課税貯蓄と利用者カード、俗称グリーンカードでございますが、そういうものを導入いたしますからには、税制上また税の執行上も課税の公平を期するということがその目的でございまして、預金の一つの種類から他の種類へのシフトを引き起こすというような副作用はできるだけ避けたい、これが私どもの基本的な考えであります。  銀行がそういうことを言っておるようにいま坂口委員からお話がございましたけれども、たとえば郵便貯金は、預け入れてから十年間は、定額預金でございますと利払いがございません。五十八年十二月以前に預けました郵便貯金については十年間、総合課税移行後もそのままであって、それに対して銀行預金は五十九年一月以降必要な経過期間が過ぎますと全部グリーンカードに移行する、そこがアンフェアではないかということかと思います。  しかし、グリーンカード制度によりまして国が非課税貯蓄について管理いたしますのは、非課税貯蓄の預入限度の個々の預金者ごとの管理であります。いま多種類多店舗になっておりますので、一人三百万円まで非課税貯蓄の限度額を設定することができるわけでございますけれども、それが全金融機関の全店舗を通じて一人について三百万円という形になっておるかどうかということがグリーンカードで管理されるわけでございます。個々の届け出られた限度の中でどれだけの預金に維持されておるかということは各金融機関がそれぞれ管理をされる、こういうたてまえでございますから、五十九年一月以降、総合課税に移りましてから非課税貯蓄については一本一本の預金の残高が洗えるということではないわけでございます。そういう意味では、ある意味でお示しのような危惧というものはいわば誤解に基づく点もあろうかと思います。  それで、そのほかに郵便貯金と民間の金融機関との間で税の上の公平、バランスというものを保っていくという点につきまして、たとえば郵便貯金につきましても五十九年一月一日以降はグリーンカードを提示しなければ預入ができない、グリーンカードの提示がない場合には課税貯蓄になるという形でいま具体案の検討を急いでおりますし、課税貯蓄になりましたものについては税務上の調査権が及ぶというような法律構成も考えておりまして、民間金融機関と郵便貯金とは商品が違いますので、直ちに同じような形の扱いというわけにはいかない面もございますけれども、税の面でできるだけ適切なバランスが維持されるようにいま詰めを行っているところでございます。

坂口力公明党・国民会議

○坂口委員 ありがとうございました。終わります。

増岡博之自由民主党・自由国民会議

○増岡委員長 多田光雄君。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 この間の政府の演説に対して、きのう、きょうにわたって各党の代表質問が行われました。     〔委員長退席、稲村(利)委員長代理着席〕 この中で、政府の考えている財政あるいはまた税制のこれからの見通しといいますか、そういうものがある程度わかりましたけれども、なお私の立場から短時間、二、三点大臣にお伺いをしたい、こう思います。  国会再開以来、大平総理を初め関係閣僚の演説やそれに対する各党代表質問でも特徴的なのは、昭和五十五年度の予算案や施策も八〇年代を展望した形で行われていたように思うのです。これは当然のことで、この点では、五十五年度の予算編成に当たって財界筋の要求も例年と違って、五十五年度を単年度としてどうするかというよりも、八〇年代を通じてのかなり中長期的な要望が中心であったように私ども見受けられるわけです。  こういう点から見て、五十五年度の予算をどうするかという問題は、八〇年代にどのような日本の進路あるいはどういう内政を選択するかという問題と結びついている、そういう意味で五十五年度の予算の内容あるいはその向かうところは非常に重要な意味を持っていると私は思いますけれども、この私の見解について第一に大蔵大臣の所見をお伺いしたいと思います。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 五十五年度予算が、いま多田委員御指摘になりましたように、確かに八〇年代に入って初めての予算であります。しかも、七九年当初予算で見ますならば、まさに昭和二十年のときと同じような公債依存度になった。したがって、財政再建へ向かって八〇年代に歩み出していかなければならぬという課題が一つあります。  とはいえ、やはり今日まで先進各国に比べましても遜色のない、教育にいたしましても福祉にいたしましても、いろいろな成熟した政策がとられておる。それをどのような形で水準を落とさないでこれから八〇年代というものに移っていくかということにかんがみまして、苦しい中でございましたが、遺族年金でございますとか、老人、心身障害者でございますとか、そういうところに対しては、それなりにきめ細かい配慮をしてこの予算には対応したというふうに思っております。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 今度の五十五年度の予算編成に当たりまして私ども共産党の方では、予算案に対する見解や組み替え案を二度にわたって大平総理に直接お話し申し上げ、また発表してきたところです。第一回は、去年の十二月二十六日、国民生活の防衛と財政再建の同時実施は可能であるという基本的立場に立って、来年度予算編成についての申し入れを総理に行いましたし、次に一月二十四日、「国民生活防衛と財政再建をめざす予算に」と題しまして、日本共産党の主張を発表してきたわけです。     〔稲村(利)委員長代理退席、委員長着席〕  私があえてこの基本的な立場を述べる理由は、この一、二年政府の予算編成の経過を見てみますと、たとえば一昨年一月三十一日に政府が国会に提出されました中期財政収支試算でも、昨年の一般消費税をめぐる論争でも、どうかすれば増税か歳出削減かという形で国民に二者択一を迫る。そして、財政再建には増税は避けられない、いやなら赤字公債やむを得ない、あるいは民生費の圧縮もやむを得ない、こういう形で迫ってくる印象を受けているのは私だけではないと思います。つまり、いずれの場合も、私どもが前から主張してきている大企業や大資産家に対する特権的な優遇制度、あるいは膨大な軍事費、こういう構造に手を触れないで、赤字公債の安易な発行と国民生活面での支出削減に重点を置いてきた、こう私どもは断ぜざるを得ないわけです。予算のやり方で、ややもしますると帳じりが問題になるものですから、国民生活から遊離して数字いじりに終始していくというきらいがあるのじゃないか。そういう意味で、大臣の財政再建の中で福祉、教育を初めとする国民生活防衛の面がどういう位置づけを持つのかということを重ねてお伺いしたいと思います。いま大臣は、八〇年代にその水準を落とさないでいきたい、こう申しておりましたが、私ども、どうもそれはお言葉のように受け取られませんので、重ねてこれを伺いたいと思います。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 私どもがいま多田委員と一致いたしますのは、安易な国債発行によって帳じりを合わせるべきでない、この点は一致しております。ただ、防衛予算に対する物の考え方とか大企業云々とかいうことについては、おのずからプリンシプルが違いますので、これはやむを得ない見解の相違、こういうことになるわけであります。  そこで教育、福祉の問題でございますが、世界的に見ても水準というものは私はかなり整備されてきていると思います。しかしながら、基本的な物の考え方の中に、いわゆる高福祉というものについては当然適正な負担があるべきだ。各種所得制限の問題でございますとか、そういうところを少しわれわれとしては聖域視してきた観がありはしないであろうか。長期展望に立って水準を落とさないためには、そこに当然のこととして適正負担というものを考えなければならないということになると、それをも含めて、やはり国民の皆さん方の理解を得ながら私は教育、福祉等に対応していかなければならない問題であるというふうにいま思っておるわけであります。  したがいまして、私どもと厚生大臣とが合意しております見直し、各種審議会の意見を聞いて見直そうではないかというのもそこに趣旨がございますし、また、これは政党で申しますと自由民主党から日本共産党さんまでとでも申しましょうか、あるいは教育界全体とでも申しましょうか、いわゆるあの四十人学級の問題等については、それの実施の年限の中に財政と教育理論との調和をもたらしたというような工夫をこれからやはり重ねていかなければならない問題ではなかろうかというふうに考えております。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 大臣の冒頭の発言で、その水準を八〇年代に落とさないというふうな積極的な御意見がありましたので、私はまずそこを出発点に考えていきたいと思うのですが、たとえば、いまこれから審議される来年度の予算、これは予算の伸びが一〇・三%に対して、御存じのように福祉は七・七%、それから文教は五・二%、それから福祉予算の割合は五十二年度の二〇%から来年度は一九・四%、こういうふうにして落ち込んできているのですね。それから、五十四年度ベースの財政収支試算も、予算の伸びが一一%に対して社会保障移転支出は一〇・九%と抑制ぎみになっておる。  ですから、いま大臣がおっしゃいましたけれども、自民党政府のいまの財政の操作を見ていますと、福祉については、国民の生活水準を落とさないようにするんじゃなくて、逆に福祉については予算を減らしていきたい、何とか口実を設けて予算を逐次減らしていきたいというふうに私どもはこれを受けとめざるを得ないと思うのです。  というのは、先ほど大臣の演説にありましたが、八〇年代は大変混迷をしているという意味のことを書いております。確かに私は混迷しているというふうに思います。  しかし、その混迷は、皆さんが混迷されるだけじゃなくて、国民の暮らしの上でも、たとえば公共料金とか物価とかさまざまな圧迫が来ているわけですね。そして、いろいろな国民の精神破壊から肉体破壊も進行している。こういう中で、逆に福祉や生活あるいは教育の予算が削られていくのじゃないかという不安を持つのは私だけじゃないと思うのです。その一番端的なのは、いま大臣がおっしゃいました例の予算編成に当たっての大蔵、厚生の両大臣、それに内閣官房長官から驚いたことに与党の三役まで入って決めた覚書ですね。これはもうまさに五十五年度の予算というのが、明らかに八〇年代は国民に犠牲を強いていくというものの一つの象徴というふうに私は受けとめているわけです。  そこで、私がもう少しリアルに聞きたいのは、この覚書はだれの発議、つまりイニシアチブによって行われるようになったのでしょうか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 これはだれの発議というよりも、総合的な見解がまさに合意に達したということではないかと思います。  ただ、いわゆる三つの柱があったわけでございますけれども、要するに社会福祉政策全体を、所得制限というものを考慮の中に入れて、そして各種審議会等で仕組み全体をも含めて考えていこうじゃないかというようなことは、だれが発議したかというようなものではございませんが、強いて言うなれば、あるいは一番先に言ったのは私であったかとも思います。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 それは、私どもも多分大蔵大臣の発議ではないかというふうに考えておりましたし、新聞でもそう書かれておりました。  そこで、今後の財政活動あるいはまた予算編成に当たりまして、この覚書というのはどういう拘束力を持つのでしょうか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 これはお読みいただきますと、とにかく各種審議会等に諮問をして——その限りにおいては、諮問をするというところまではまさに拘束力そのものがあると思うのであります。そうして答申をいただいて、そのいただいたものは、また政府の責任において五十六年度以降の予算に反映せしめるわけでございますが、あの申し合わせ、合意文書というものが具体的に何を拘束するかという性格のものではないではないか、とにかく諮問をしてりっぱな答申をいただきましょうということが、拘束という言葉をあえて使えば一番現実的にあるのではなかろうか。その先、予算の一つ一つをどう拘束するかというのは、やはりその時点において予算というものは各般の立場から検討してつくるべきものであるというふうに思います。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 どうも私は不思議なんですね。ともかく両大臣と、それから官房長官も入る、それに与党の三役まで入ったというこの覚書がその程度のものであるならば、私はこういう前代未聞の覚書というものは実現しなかったのではないかというふうに思わざるを得ないのです。たとえば、一つの例として、大臣がどこかで財界の代表の人とお会いになって、財界の方から来年度の法人税をこうしてほしい、そういう要望を聞かれた。たまたま大臣がその要望と全く同じ意見を持っておられて実現しましょうというのと、そうか、それを間違いなく実現するために、それじゃ財界の代表と大臣と与党の代表も含めてひとつ覚書をつくろう、こうなってきますと、これは質的に違ってくるのではないか。つまり相当な拘束力を法的、あるいは事務的にはどうかわかりませんが、相当な内面的な拘束力を持つのではないかというふうに思います。だから今度の各党の代表質問でもそのことがやはり重要な問題として取り上げられ、わが党の代表もきょうはそれをぜひ撤回しろという要望を皆さんにしたわけです。  そこで、またもう一つ伺いますが、そうすると、仮にこの間来年の予算編成の過程で両大臣がたとえばかわられたとか、あるいは内閣がどうかなったという場合に、事務引き継ぎのようにこれは引き継いでいくものなんでしょうか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 事務引き継ぎということに当たるかどうかは別といたしまして、本当にこういう気構えでもってこれからは検討しようじゃないかという合意に達したものでありますから、それは大変な社会情勢の変化、政権が(「交代とか」と呼ぶ者あり)交代といいましても、いわゆる政党内閣における政権の移動というようなものがあれば、そこまで私どもがいろいろ申し上げる段階にはございませんけれども、やはり大きな気構えというものはそれなりに継承していくべきものであるというふうに思います。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 大臣は与党の中でもきっての実力を持っておられる方というふうに聞いておりますし、それから大蔵大臣というのはやはり各省ににらみのきく立場だと思うのです。そういう立場の、つまり大蔵大臣は強い立場なんですよ、そういう強い立場の方がこういう覚書を発議してまとめていくというのは、やはりこれは大蔵省の威信といいますか、あるいはまた信頼といいますか、ありとすれば、そういうものを傷つけていくことになるのではないか。逆に、大蔵省というのはやはりああいうものかという結果になって、私は大蔵省の善意の職員に決していい印象を与えていないのではないかと思うのです。  それから、従来予算の編成に当たって野党の意見を聞くというよき慣行らしいものがぼつぼつ出始めているわけですけれども、こういうことは、やはり先ほど大臣が言われたように、相当なことがなければ変わらないというような覚書は、これは五十六年度の予算編成に当たって、少なくともここで決められた三つの問題について言えば、もう与党の差し出しはまかりならぬということにもなってくるのではないか、こう思うわけです。ですから、私が冒頭に、五十五年度の予算というのが八〇年代に大きな影響を与えていくのではないかということをあえて伺いましたのは、こういうものを含めた五十五年度の予算というものが八〇年代の国民生活に犠牲をしわ寄せしていく、そういう政治あるいはそういう財政がまかり通っていくのじゃないかということに私は不安を持つので、あえて伺ったわけです。  そこで、大臣にこの点について最後にお伺いしたいのです。  きのうも、こういう覚書というのは議会制民主主義にもとるものではないかという代表質問での質問がございましたけれども、やはりこの点では国民を軽んずるものであるし、議会を軽んずるものであるし、それから憲法の精神を軽んずる、いわば前回の選挙で批判された自民党のおごりの態度がここに出ているのではないかというふうに私は思うのです。そういう意味で、せっかくの覚書ではございますが、メモランダムというのは、これは破棄してもいいものでございますから、大臣どうでしょうか、ひとつ御反省になっていただいて、この覚書を撤回するということを私もぜひ強く要望したいというふうに思っております。その点でぜひ、大蔵大臣が八〇年代に国民生活犠牲の最初の大蔵大臣だというような汚名を受けないためにも、私はあえてこのことを要求したいと思いますが、いかがでしょうか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 私どもといたしましては、ここに書かれてあるようなものに対して勇気を持つ対処していくということが、八〇年代にわたってて、さすがにと言って評価していただけるであろうことを期待しながらこの覚書を結んで勉強を始めようということにしたのでございますから、これが国民生活を犠牲にするための端緒になるのではなくして、さすが総合的に政府は財政再建、しかも一方、水準も落とさない形の中でいかに福祉の中に適正負担を求めていくかということを模索し、苦悩して、よくやったと言われるその手がかりにしたいという悲願でございますので、撤回というわけにはまいりません。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 私は時間が必ずどちらが正しいかを明らかにするだろうというふうに思いますが、重ねて私は、こういう非常におごったといいますか、そういう態度は決して国民の信を集めるものではないということを申し上げて、これからも撤回を要求していきたいと思います。  次に、一般消費税について伺いたいと思うのです。  昨年の総選挙の厳しい審判が下されて、五十五年度導入は見送られたわけであります。しかし、その後の総理初め竹下大蔵大臣の発言あるいは政府の態度を見ていますと、一たんは引っ込めると言ったものの、来年度以降も増税項目として陰に陽に浮上してきているように思われるわけです。むしろその布石をつくっていくというような気配さえうかがわれるわけですね。この問題についての本格的な論議は当委員会でこれからも続けていきたいと思いますが、きょうはその前段として一、二お伺いしたいと思います。  この一般消費税の五十五年度導入見送りの理由についてですが、総選挙後の総理の発言、それから一月二十五日の新経済社会七カ年計画のフォローアップ案ですね、それから蔵相の記者会見などを見ますと、それから当委員会で私どもの正森委員に対する大臣の御回答の中でも、一般消費税については、その仕組み、構造などについて十分国民の理解を得られなかった、こういうふうに述べておられます。これはずいぶん随所に見られるわけですが、この国民の理解が得られなかったと言っているその仕組み、構造の中身が、意外にこれまで政府から明らかにされていないと思うのです。国民が反対したのはそうしちめんどうくさいことじゃないのです。ともかく大増税になるということからこれを批判したわけですが、大蔵当局は一体あの一般消費税大綱で示された仕組みと構造で、どの点が具体的に国民によって理解されなかったと考えているのか、その点をひとつここで述べていただきたいと思うのです。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋政府委員 わが国では、消費税というのは比較的歴史が浅いわけであります。それで、たとえば酒でございますとか、自動車その他の便益財でございますとか、そういうものにかかる個別消費税の経験というのはございますけれども、昭和二十三年から一年半ぐらいでございますか、わずかな期間、取引高税という一般的な消費税を行ったことがございます。当時、不幸にして経済情勢も非常に悪かったということもございますし、全体として税負担率が最も高い時期であったということもございます。インフレの激しい時期であったということもございます。そういうことから、取引高税について、二十五年でございましたか二十四年でございましたか廃止をいたしましてから、三十年近く一般的な消費税というものについての経験がないわけであります。  そこで、現在世界でたしか八十四カ国ぐらい一般的な消費税というものの税制を持っておりますけれども、そういう各国の消費税の税制をいろいろ勉強いたしまして、税制調査会で約二年にわたって御検討をいただいて、一昨年の十二月に一般消費税大綱というものの答申をちょうだいしたわけであります。ちょうだいいたしましてから、私どもは約三百回くらいにわたりまして民間の諸団体なりといろいろの角度から、またいろいろな機会をとらえて、あるいは総括的にあるいは個別的に意見の交換なり私どもの方からのいわゆる広報というものをやってまいりました。  そこで、この問題はいろいろございますけれども、一つは、転嫁——これは消費税でございますから、納税義務者と担税者というのは違うわけでございます。それが広くすべての財またはサービスの購入について課税を受けるわけでございますが、その課税を受けた税額が消費者またはその購入者に転嫁されていかなければならない。その転嫁ということがなるべく一律に起こると申しますか、中立的に起こるということが——転嫁がすべての財またはサービスについて一律に起こるということが税の中立性という意味で、こういう形の税としては最も望ましいというか、メリットであるという点について、私どもはいろいろお話ししたわけでございますけれども、やはり当時の経済情勢なり、構造不況というのはまだ残っておりましたそういう状況のもとでは、転嫁について、納税義務者となられることを予定されておる製造者、小売業者、サービスの提供者の方々に御理解が十分得られなかったということが一つございます。  それから、それに関連いたしまして、中小企業者にとって、私どもと申しますか、税制調査会から出てまいりました案は、いわば所得税とか法人税というものの調査なり納税なりと並行してこういう一般消費税の調査なり納税なりということが行われるというふうに考えられておったわけでございますが、その点について、中小事業者は事務負担が非常に大きいのではないかというような御批判もありました。  そのほか、この税制が消費税でございますから、いわゆる逆進性を持っておる。それから物価にどういう影響を与えるかと言えば、物価がそれだけ押し上がって累積的なインフレのもとになる。  それらの点が、いまお尋ねのございました一般消費税大綱について私どもが昨年、一昨年といろいろPRをしてまいった段階で御理解が得られにくかった主な点でございます。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 大臣、いまちょっとはっきりしなかった点もあるのですが、述べられたような理解されなかった仕組みが、これを再検討した上で、その仕組みや構造を変えた形で一般消費税がいわば手直しされて今後出てくるということになるわけですか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 いわゆる一般消費税というものが、何かの形で手直しされたものが五十六年度以降の財政再建の手だてとして必ず出ていくという性格のものではないと思っておるのであります。ただ、しつこいように、例の財政再建決議をいただきますときにもこちらからお願いしましたことは、いわゆる一般消費税というものそのものが全体的に国会の議決において否定された場合、日本の税制の中から消費税体系というものが消えてしまっていく、それはどうにも耐えがたい、こういうことでいまでもはっきりした表現を差し控えておるわけでございます。確かに、税制を見てみましても、大別すれば直接税と間接税になるでありましょう。直接税で言えば所得税と資産課税になるでありましょうし、所得税の中では個人所得課税と法人所得課税がありましょうし、そうして間接税ということになりますと、消費課税が当然あるわけです。その消費課税一般が否定された場合、私は、日本の税制体系の中にそうしたものがなくなってしまうということに対しては非常に抵抗を感じて、いろいろお願いをしたりしまして、いわゆる一般消費税というような表現、「一般消費税(仮称)」、こう直していただいたわけであります。税というものはやはりそのときどきの必要に応じて国民の理解をいただいて、つくるべきものはつくらなければならない時代もある。それがこの間書っておった手法に基づく一般消費税そのものでありますとか、あるいはちょっと「が」と「は」とをかえたものでありますとかいうようなことを言っておるわけではないというふうに御理解をいただきたいのであります。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 時間も来ましたので、ちょっと。大臣が十一月二十一日、これも大蔵委員会の答弁だったと思いますが、こういう言葉を使っておりますね。一般消費税は「間接税の中のワン・オブ・ゼム」、これは英語で言っておられたのですが、ワンはわかる、オブはわかる、問題のゼムなんですが、ゼムというのは複数ですよ。そのゼムは何をお考えになって「ワン・オブ・ゼム」と言われたのですか。どうも聞いていますと、ワン・オブ・ワンになりそうな気がしてしようがないのですがね。御記憶ないですか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 いや、ございます。ゼムというのはいわゆる直接税と間接税と分けた場合の間接税……(多田委員「間接税のすべてという意味でございますか」と呼ぶ)そういう意味でございます。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 時間が来ましたので、もうこれで終わらなくてはなりません。遅いのでこれで終わらなければなりませんが、最後に一つ、私は大臣と委員長にお願いしておかなければなりません。  この国民に拒否されたいままでの一般消費税について、国民の各層、各団体から大蔵省に対していろいろな問題点や要望が寄せられていると思うのですが、それらを大蔵省としてできる範囲でひとつ整理して、一覧表として当委員会に出していただきたい、こう思うのです。いろいろ大蔵省に寄せられていますね、政府に寄せられていますね、それをひとつぜひ出していただきたい、こう私は思うのですが、いかがでしょうか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 それは整理しておるべきものもあるでございましょう、法律に基づく各種審議会等からの答申というようなもの。あるいは一般の陳情書というようなものはどの程度整理しておるかわかりませんので、出せるべきものはお出しするということであります。

多田光雄日本共産党・革新共同

○多田委員 じゃ委員長にもひとつそれをお願いしまして、私の質問を終わります。

増岡博之自由民主党・自由国民会議

○増岡委員長 竹本孫一君。

竹本孫一民社党・国民連合

○竹本委員 竹下大蔵大臣にいろいろときょうは御注文を申し上げたいと思うのですけれども、大臣が自民党のホープとして大いに述べていただくことを、先ほどのお言葉ではないが、期待と願望を持って御質問いたします。また同時に、日本の財政の再建ということが非常に真剣に大きな問題だと思うのですね。そういう立場でひとつ率直に申し上げますので、御理解をいただきたいと思います。  その本論に入る前に、先ほど大臣の所信表明を聞いておってちょっと驚いたのですけれども、二つほど疑問があります。  その第一は、結びのところですけれども、「本国会に提出し御審議をお願いすることを予定しております大蔵省関係の法律案は、」九件と一件、「合計十件であります。」こう書いてある。そうすると、十件以外のものは予定していないかということですけれども、その点はどうか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 これは「昭和五十五年度予算に関連するもの九件、昭和五十四年度補正予算に関連するもの一件、」いわゆる米印法案について申し上げたということでございます。

竹本孫一民社党・国民連合

○竹本委員 そういうふうに読めるかもしれないけれども、読めないかもしれない。初めの方に「本国会に提出し御審議をお願いすることを予定しております大蔵省関係の法律案は、」と書いてある。予算に関係する法律案はとは書いてない。「大蔵省関係の法律案は、」中身は予算に関するものが九件と補正に関するものが一件と、合わせて十件と書いてある。ちょっと言葉が足らないのか、あるいは事務当局が抜けておるのか、大臣が漠然と読んでおられるのか、どれですか。これではおかしいじゃないですか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 すでに予算関係法案というものはこれだけのものを提出しようということが閣議決定を見ておるわけであります。提出閣議はすべて終わったわけではございませんで、他の法律案、予算関係ならざるものは検討中の法案というところにいま位置づけがされておるという段階でございます。

竹本孫一民社党・国民連合

○竹本委員 それでは検討中のものは全然予定しないということですか。もう少し言いますならば、大蔵省が予定をしている案というのは現にできた法案がこれこれで、目下検討中のものがこれこれだと説明しておるじゃないですか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 これは毎度決めます内閣提出予定法律案等件名調というもので大蔵省総計十件ということになっておるわけであります。したがって、提出……(「舌足らず」と呼ぶ者あり)まあ、そうでございますね。若干漠然と読んでおったことに対しては謹んで反省をいたします。提出予定以外の検討中のものの中に六件の法律が書かれてあるということであります。

竹本孫一民社党・国民連合

○竹本委員 ですから、検討中のものは出すことを予定して検討しているんでしょう。出さぬことを予定して検討しているんですか。ですから、私が言うのは、揚げ足を取るわけじゃないから率直に認めてもらえばいいんだ。大蔵省関係の法律案としてはと出ているんだから、九件と一件、十件でありますというのはおかしいですよ。おかしくないと言われるなら、もう少し詳しく聞きますよ。要するに、これは事務当局が書いた原稿でしょうけれども、言葉が不十分だと言うんだ、ぼくは。十件と書いてあるじゃないか。予算関係のものとしてはと書いてないだろう。こんなところで時間をとられてはかなわないから、簡単に認めてもらいたい。

禿河徹映大蔵省主計局次長

○禿河政府委員 私の方からお答えするのもちょっと担当外みたいなことで大変恐縮でございますが、いま係の方に聞いてみますと、現在大蔵省の方として提出をするということでいわば意思決定を見ておりますのが予算関連法案で十件ということでございまして、それ以外に現在提出を検討しておりますのが、先ほど大臣からお答えございました六件ございます。実は、この書き方が確かにいささか舌足らずの事務当局の文章になりまして、委員あるいは大臣に御迷惑をかけましたのは大変申しわけございませんが、聞くところによりますと、毎年ここで大臣の所信表明をいたします場合にはこういうことでやったようでございますので、私ども十分また今後の問題としては検討さしていただきたいと思います。

竹本孫一民社党・国民連合

○竹本委員 いささかではなくて、相当の失態だと思う。これは深刻に論じなければならぬ問題ではないけれども、われわれ大蔵委員会は、今度は大体かれこれ二十あるということで、夜遅くまでがんばろうということになっているのですよ。十件ならきわめて簡単ですよ。だから、そんなことは注意してもらいたい。これが一つ。  もう一つ、似たような問題で、今度は一番初めの方だ。一番初めの「最近の経済情勢」のところに、これはほかの野党の方が御質問があったかもしらぬけれども、ちょっと大事なことと思うのだが、「過去数年度にわたる公共投資の大幅な拡大、国民の堅実な消費態度、企業の経営努力等を背景として、」こう書いてある。これは私ちょっと問題があると思うのですね。というのは、たとえばこの間イギリスのロンドン・エコノミストの副編集長のマクレーさんが来て、日本の経済の石油ショックに対する対応は実にうまくいった、アメリカやイギリスのような国がまいってしまうのではなくて、最も強い日本とドイツがまいるだろうと思ったところが、逆に日本とドイツはうまく乗り切って、アメリカ、イギリスが逆にいま苦労しておる、アメリカは物価も一三%上がって、大変インフレに悩んでおる、日本がうまく乗り切った大きな理由の一つは、労働者のまじめな協力があったということを高く評価しておる。  でありますから、この書き方だけ見ると、特に政治家竹下さんとしては、自民党がこれから労働組合に話もしようなんというような段階において、企業の経営努力だけではないですよ。これはまじめな問題として、いま言ったように、アメリカなりその他外国の経済評論家も、日本の労働組合は実にりっぱなものだ、節度がある、そして六%の賃上げでがまんしている、それが一三%も一〇%も要求されたり上がったりすれば、日本のインフレは大変なことになるのだが、それがならないのは、労働組合の節度があったからだ、そして、その節度があったから、日本の経済の乗り切りがうまくいったのだということを経済の専門家は皆認めていますよ。そのことは全然触れてない。これも重大なる欠陥だと思いますね。  私は、本田宗一郎さんとこの間会いまして、石油の値上げの問題でいろいろ話をしました。そのときにやはり驚いたのですけれども、本田さんのような経営者も、油が二十四ドル、二十六ドル、そしていま二十九ドルにもなっておる、ことしは三十三ドル平均ぐらいになる、あるいは三十五ドルになると言う人もおるので、日本の経済は大変なことになりはしないかという問題をいろいろ論議したのです。そのときに本田さんが言うには、いやその点は心配ない、やはり日本の労働組合がしっかりしておってくれるから、その点に期待を持って私は自信を持っておる、こういう話をされた。これも私にとって非常に印象的であったのですね。そういう話の後でこういう文章を読んでみると、公共投資、堅実な消費態度、経営努力、消費態度の中にも少し入っておるかもしらぬけれども、やはり同じ書くならもう一項目入れるべきではなかったかと思うが、いかがでございますか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 これは、私各種講演会で全部いまの趣旨のことを申し述べております。  これはちょっと時間とっちゃいけませんが、昭和四十五年のある日でございましたが、当時の保利官房長官が私をお呼びになりまして、竹下君、君、次、労働大臣をやってくれ、こう言われたことがあります。労働大臣とは何ぞや、こう言いましたら、それは君、何としても春闘に対して関心を持つことだよ、こう言われたことが、非常に鮮烈に私の頭の中に残っております。その後の改造で、私は労働大臣ではなくして、たまたま内閣官房長官になりました。それからずっとこの春闘というものを見ながら、これだけ労使がまさに慣熟した節度の中で交渉をやっておる、それがこの民間の自己努力の基礎にあるものであるという表現で、正月恐らく三十回ぐらいそういうような講演をいたしております。したがって、私もこれはひっくり返してみようかともいろいろ思ったのでありますが、「企業の経営努力」の「企業」という言葉の中には、労と使がまさに含まれておる、こういうふうに御理解をいただければ幸いであります。

竹本孫一民社党・国民連合

○竹本委員 まあ大体大臣もポイントはわかったようですから、これ以上言いませんが、やはり大蔵の事務当局も、日本の経済が何で石油ショックを乗り切ってきたかという基本的な原因についてはもう少し正確な認識を持っていないと、昔、吉田さんが労働者は不逞のやからと言ったことがあるが、そんな感覚やら、あるいは労働者は何も経済復興には余り関係ないのだというような感覚では、これからの日本の経済は切り盛りできません。篤と留意をしていただきたい。これは要望です。  次には、財政再建について伺いますが、まず第一に、財政再建とは何ぞや、この言葉が非常にはんらんしておるのだけれども、定義がはっきりしていない。私は、いまの日本の現実に即して言えば、少なくとも五十九年度で赤字財政はゼロにする、赤字公債はもう出さなくていけるような体制をつくる、それが財政再建だと思いますが、違いますか。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 具体的にはそのようなことであると理解しております。

竹本孫一民社党・国民連合

○竹本委員 そうしますと、今度の予算において一兆円の公債を減らすという御努力をなさったことは、私は大変高く評価しているのです。最近において組まれた予算の中では、今度の予算はまずまずそれこそいい方だというふうに評価する、その一つの大きな柱は、一兆円の国債を減らすということを踏み切られたという点ですね。ところが、今度の予算は四兆五千億からの自然増収に恵まれて何とかうまくいったのだが、問題は、いま言ったように財政再建とは五十九年度には赤字公債は出さないで済むように、六十年からはゼロにするように骨組みをつくるということでしょう。そうしますと、計算してみると、ことしからずっと自然の、時間がないから簡単に申しますが、税の増収の割合と、それから当然増の割合は大体とんとんで消していけるというふうに考えまして、なおかつ毎年一兆円ずつ減らしていくとすれば、最後に五十九年には一遍に三兆円減らさなければいかぬ。そのほかに、まだ必要な問題がある。それはいまの、きょうは時間がないから余り論議はしませんが、今度決まった、あるいは訂正されたというか七カ年計画、先ほども御議論がございましたが、七カ年計画の柱というのは、社会保障については一四・五%出しましょう、税負担は、先ほども御議論があったようだが、二六・五%までもっていきましょう、税収は大体五十八兆円にもっていきましょう、こういうことでしょう。  そこで、私が心配するのは、いまのような体制で一兆円ずつ減らしていっても三兆円残る。さらに、仕方がないから今度は税金の方でいくということになれば、いまの十九兆八千六百億円か、それを今度は二十四兆円にもっていったですね。二十四兆円と五十八兆円というのは、倍以上になるでしょう。そこで、その間をどういうふうにつなぐか。財政収支試算でいけば、ただこう棒を引っ張ってそれでつないでいけばいいのだから、それはある程度つなげます。しかし、現実の問題から言えば、私の考えること、計算をするところによれば、少なくとも三兆円から五兆円、あるいは五兆円でも足らない増税というものを考えなければつじつまが合わないのですよ。その点を一体どういうふうに埋めていって線を引かれたのか。その辺について、余り専門的でなくてもいいが、大臣の大所高所の結論として、いまの二十四兆円を、だんだん話を聞いてみると、あれもやらぬ、これもやらぬというような言葉の結構な話ばかりいたされておるが、五十八兆円にどうしてもっていくか、そして五十九年度にはどうして赤字公債ゼロにもっていくのか、その途中が全然ないのです。どうなんですか、そこは。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 確かに財政収支試算は六十年のものをいま先生がおっしゃったような形で固定して、それで棒を引っ張って、まさにきわめて機械的につくられておる。したがって、そこで財政計画をつくれと、こういう議論が当然のこととして出ておるわけであります。  財政計画ということになると、ただその最終年度を決めて棒を引っ張るというわけにはいきません。それは公共事業一つとってみても、それらの計画はどういうふうにして実施していくかという各省庁のまさに詰めた話を本当に基礎として詰めていかなければならぬ。そこにどれだけの財源が必要になってくるか、こういう議論が出てくるわけであります。したがいまして、私は実際問題として、いま竹本先生が非常に、何といいますか、端的な表現の中で正確な形でおっしゃったわけでありますが、いかなる負担を求めていくかということを完全にネグレクトして論ずるわけにはいかぬ、私自身もそう思っております。ただしかし、国民の負担を得るということは、いかにしても理解を得なければ、やみくもに、サービスの低下か、さもなくば増税か、いずれかしかありませんよという選択を迫るというのは、政治というものとはまた別の角度ではないかというところに理解の求め方、これがこれから国権の最高機関たる国会の場を通じたりあるいはまたマスメディアを媒体として、そういうものの積み上げが理解を求めていくという環境をつくっていくものではないか、だから、本当にこれは腰を据えてかからなければならぬ問題だな、こういう印象をつくづくと抱いておるところであります。

竹本孫一民社党・国民連合

○竹本委員 理解を求めなければならぬという問題について、まず内容を示さないで理解をどうして求めるのかということですね。全然内容を示さないで、国民の理解を求めると言われるのが私はどうしても理解ができない。  それからもう一つ、今度の総理並びに大蔵大臣の本会議並びに先ほどの所信表明、非常に私不満なんですね。どういう点が不満かと言いますと、大臣の言葉で言えば、今後は歳出歳入両面を通じ幅広く財政再建の手だてを考える必要があると書いてあるのですね。NHKの経済評論家が言うならこれでいいですよ。日本の財政を担当している人の言葉としては、はなはだ不十分ですね。必要があるとは何だ。そんなことはだれでも知っているのだ。必要があるからこうしますと言うのが大臣の言葉じゃないかね。内容は示さぬで理解を得たい、必要があると言ってみせても、必要がある、ああそうですが、それで終わりだ。そういうぼくはふざけた話はないと思うのです。もう少し財政再建には、言葉が悪いですけれども、政治生命をかけてでもやるだけの熱意がなければ財政再建はできませんよ。私は、大平さんでも、この内閣の姿勢からいって、一体どこまで本気で財政再建を考えておるか本当にわからない。たとえば、いまの総理の演説でもこう書いてある。「財政再建の第一歩を踏み出した」とか、「今後数年間に財政の再建を成し遂げる決意であります。」これもきわめて抽象的でしょう。いま大臣がおっしゃったように、国会の場というのは、それを通じて国民に呼びかけ、国民に要求しあるいは国民に訴える場でしょう。決意であると言って何を訴える、必要であると言って何が訴えられますか。少なくとも税については、それはいろいろまた議論がありますから、しかし、少なくとも私は増税は三兆から五兆、恐らく五兆でも足らぬでしょう、実際問題から言えば、六十年までに五十八兆円までもっていくのにはですよ。それに対してだれも何も言わない。総理も大蔵大臣も何も言わない。それじゃ、決意と必要を説くだけで、どうしてそれを持っていけるかということについて、私は非常に真剣に取り組んでおられるのだろうと思うのだけれども、納得できないですね。少なくとも税の種目については議論があるから後に回すにしても、五兆円なら五兆円を五十九年度までには増税でお願いしなければどうにもなりませんということの結論ぐらいはぶつけていかなければ話にならぬと思うのですね。どうでしょう。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 それは私は一つの見識であると思うのであります。したがって、いま私どもが考えておりますのは、たとえば、いまの水準で、すべてのものに物価上昇率等を掛けた場合、これだけのものが必要であります、そうすれば、これをいかがいたしましょうかということになりますが、いまのままの諸施策がすべて続くわけのものでもない、したがって、いまの諸施策では、これだけのものをやるためにはこれだけのものが不足いたしますという、その一つの幅をお示ししたりしながら、そこにはおのずから理解が深まってきて、やはりこれは歳出の縮減に協力しなければならぬな、要求するばかりが能ではないな、こういう世論が起きたり、また、それだけ苦労しているならばわれわれも新しい負担に協力してやろうじゃないか、そういう客観情勢というものがまずできることが私は大事ではないだろうかな、それがやはりいわゆる一般消費税というものが入り口でヘジテートされたことから来るある種の反省でもなかろうかな、だから、勇気がないようであって本当はその環境づくりのためには粘っこくこれに対応していくというような姿勢がいまの姿勢ではないだろうかというふうに考えております。

竹本孫一民社党・国民連合

○竹本委員 要するに、幅を示したいと言われることはよくわかるが、私の言うのは、幅を示さなければ国民の盛り上がりはないと言うのですよ、国民の理解もないと言うのですよ。何も見せないで、必要であるという評論家みたいなことを言っておって何が出てくるかという点について、もう少し掘り下げて真剣に考えてもらいたい。  たとえば、私は大蔵省の態度もこれからちょっと一口だけ最後に聞きますが、これは五十三年度の税調の結論だけれども、これは一般消費税の話ですけれども、これにこう書いてある。「しかしながら、中期答申に示されているとおり、現在の財政収支の不均衡の規模からみて、税負担の公平確保や歳出の節減合理化への努力のみによって問題の解決を期待することができないことは明らかである。」こういうようにやってもらいたいけれども、私もできないことは明らかだと思いますよ、したがって、一方ではこのような努力を重ねることを前提として、ここでは増税と書いてなくて、これは一般消費税の導入をせざるを得ないと書いてある。  しかし、税調でも「導入せざるを得ない。」——一般消費税がいいかどうかは別として、私の言うのは、増税というものを、これは私は野党ですけれども、野党の立場においても考えなければならぬ時期が来ると思っているのですよ。だから、はっきり言っているのだ。そういう意味で、「導入せざるを得ない。」と、こう税調でも言っている。そういうのに、政府の方は、そんなことが必要であるらしい程度の話では、とても話にならぬ。もう少し信念を持って、もう少し勇敢にやってもらいたい。  第一、いまの総理大臣並びに大臣の演説を聞いてみても、必要であるというのはある、しかし、もう一つ大事なことは、その前に、日本の大臣の演説の特色ですが、デプロアーがないのですよ。高度成長でここまでいって、これだけのことになって、申しわけないとか遺憾であるとかいうことがない。この日本の財政を破綻させたインフレ経済のやり方を、だれもが本当の意味で反省してない。反省した言葉を聞いたことない。必要であるというようなことで、その次の方だけ言っているのだ。そうじゃないのだ、もう少し、たとえば税調がやったことがいいか悪いか一応別にして、少なくとも税調が長い年月をかけて、専門家が集まって、そして政府へ答申した。その答申をぱっと捨ててしまって、国民の理解を得られなかった、残念であるという、その残念がないのですね。理解は得られなかったという物理的表現だ、客観的に。心理学的表現は一つもない。倫理学もないのです。残念であるからこうします、あるいは申しわけなかったということを言うべきである。その言葉が一つもない。  そういう意味で、私は姿勢の問題を言うわけだけれども、政府としては、財政再建、いま考えてみると、五十五年度において再建の糸口を本当につかまなければ五十八年までに間に合いませんよ。初めからもうおくらすつもりだとおっしゃるなら別だ。五十九年度までにゼロにする、それが財政再建の目標だと言われたのならば、ことし財政再建のきっかけをほとんどつかまない一まあ少しつかんだね。一歩と言うんだ。ぼくは半歩だと思うけれどもね。半歩踏み出した、それは認めますよ。しかし、この半歩では、五十九年度までにゼロになるという試算は出てきませんよ。  しかも、ことしは、四兆五千億の自然増収という神風が吹いたので、それでそれだけのことがまだできているんだが、毎年あるわけでもないし、ことしの現状から見ても、とにかく五十九年というゴールが決まっているわけですから、そこまでにゼロに持っていくということについて、もう少し具体的な取り組みをしなかったら、抽象論では絶対にだめだということを私は特に申し上げたいのですね。  それから、これは主税局長がいらっしゃるから聞くのですが、たとえば今度の法人税の問題についても、税調から答申があったかなかったかということが一つ。それからもう一つは、一般消費税にしろ法人税にしろ、税調からやれと言われた場合に政府がやらなかった場合には、税調についてはどういう申し開きというか、意思表示をされたか。その二つを聞きたい。

高橋元大蔵省主税局長

○高橋政府委員 法人税の問題につきましては、五十五年度は税調の答申では触れられておりません。税制改正によって、「何らかの増収措置を講ずるとしても必要最小限のものにとどめることが強く求められるところである。」これが税制調査会の答申でございます。  それから税制調査会の御答申をいただきました事項については、できるだけ政府の税制改正要綱に織り込むように従前から努力してきておったわけでございます。たとえば、社会保険診療報酬の課税の特例の改廃の問題でございますとか、五十四年度に答申をいただいた一般消費税の問題でございますとか、税制調査会の答申のようにいっていない場合につきましては、国会報告というのを国会の後で税制調査会に対してやるわけでございます。そのときにいろいろ御審議をいただき、それから後、翌年度の税制改正までに繰り返し御審議をいただいておるところでございます。

竹本孫一民社党・国民連合

○竹本委員 最後に要望ですけれども、とにかく財政再建というものを単に事務的処理や言いわけでごまかさないように、これは大変な問題なんですから、極端に言えば、内閣がつぶれるかもしれぬぐらいの大きな問題ですよ。一大臣の問題ではなくて、内閣の政治的生命にも関するほどの重大問題を、本当に取り組むなら取り組むような姿勢を示してもらいたいということが一つ。そうでなければ、たとえば、一般消費税を出すときにはあれだけわいわい反対も出たのだが、これをやらなければ日本の財政再建はできないと言っておいて、選挙のときには取り消したようなことになっている。その後も半分消してしまったような話になっている。それじゃあんなに騒がなければよかったじゃないかということになり、大蔵省が大騒ぎするのは、人をだますかおどかすためにやったんだということになりますよ。そんなふざけた話はありません。私はそういう意味で、とにかくやると言ったら、間違ったことを言ったら、責任をとればいい。責任もとらぬ、遺憾とも言わない、ただ将来必要であるといううわさ話をしているようなことでは話になりませんよ。  そういう意味で、どうか真剣に取り組んでもらって、やはり日本の財政は五十九年度までに赤字公債をゼロにすることができなかったら、借金を払うために借金をするのでしょう。それが一番悪性インフレになるのでしょう。私はもう少し真剣に取り組んでもらいたいと思いますので、強く要望を申し上げて終わります。

竹下登自由民主党・自由国民会議大蔵大臣

○竹下国務大臣 ありがとうございました。

増岡博之自由民主党・自由国民会議

○増岡委員長 次回は、来る二月五日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時四分散会

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