商工委員会 第13号
- 発言数
- 175 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/04/02
会議録
○塩川委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、中小企業事業団法案を議題とし、質疑を行います。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。清水勇君。
○清水委員 最初に大臣にお伺いをいたしますが、行政改革について、私は、国民のニーズにこたえる行政を実現するものでなければ意味がないと考えております。ところで、今度の両事業団の統合は、提案理由によりますと、現下の経済情勢にかんがみ「効率的で強固な体制の下で中小企業の振興、その経営の安定及び小規模企業者の福祉の増進を図るため、」中小企業事業団を設立して、以下云々と続くわけですが、業務を一体的に行わせる必要があると言われております。しかしこの法案をずっと見る限り、どうも私には、実態として統合後も両事業団が統合前の機構あるいは運営を含めて併存をしていくように思われて仕方がない。端的に言うと二枚の看板を一枚にして、十二人の役員を九人にする、そういうこと以外に何かこの統合を通じて特徴的な変更が機構上などにあるのかというと、どうも疑わしいように感じられるわけです。この点はどのように評価をされるのでしょうか。
○佐々木国務大臣 繰り返して申すようで恐縮でございますけれども、この両機関が合併することによりまして、いわば二つの機能がいままでばらばらだったわけですけれども、それを有機的に結びつけ、一体化することによりそれだけメリットが出てくるのじゃないか。たとえば情報の交換なり従来持っていた知識を相互融通するとかいったこともできてきましょうし、何と申しましても中心機関としての強いものになり得るわけでございます。そういう意味から言いましても、従来二つあるものが一つになって内容を充実することは、中小企業の今後の振興のためにより一層従来以上に役立つのじゃなかろうか。それから特にいままでのような、言うなれば金融とか設備とかいった物的な振興策ばかりじゃなくて、人的な養成をするとか市場開拓をする。私、一月ですか、インドネシアへ参りましたが、ASEANの諸国では日本からの中小企業の進出を大変歓迎しています。ぜひひとつ日本の中小企業をよこしてもらいたいということで、言うなれば日本以外の地域からのニーズもたくさん出ておりますから、そういう点も踏まえた人材の養成とか市場開拓等でも大変強力に働けるのじゃないかということを考えますと、御指摘のように二つの看板を一つにしても内容はちっとも変わらぬじゃないか、初期においてはあるいはそういうこともあり得るかもしれません。しかしいま申しましたような方向で順次進めてまいりますれば、必ず皆さんの御期待に沿えるような中心機関になれるのじゃないか、こういうように思っておる次第でございます。
○清水委員 大臣からるるお話があったわけでありますが、誤解のないように申し上げておきますと、わが党はこの法案に対しては基本的には賛成という立場に立っております。しかし、政府の行革を何らかの形で進めなければならないということのために、たまたまこの両事業団の統合というものが選ばれる、単にこういう発想の中でこの統合問題が出てきたということであれば、大臣が言われるように意欲的にあるいは中小企業政策をさらに強化するというような観点でこれが出てきたとは実は言いがたい側面が、これは率直に言うとなしとはしない。しかし、現実の問題としていま統合をしようというわけなんですから、統合をする以上は何らかのメリットというものを追求するのはあたりまえのことだ。しかし、いま大臣が言われたようなことは旧振興事業団においても一貫して推進をしてきた事業でもあるし、これからも当然推進をしていかなければならない課題でもあると思うのですね。だから、統合しなければ言われるようなことができないということではなしに、統合の有無にかかわらずやらなければならない、そういう責めを負っていると思うのです。 そういう点から考えて、統合によるより大きなメリットを生かして云々と言われるわけですから、ちょっと参考までにお尋ねをするわけでありますが、それならば統合後、旧両事業団の管理部門というものは一本化をするのでしょうか。また同時に、きのうもちょっと出ておりましたけれども、具体的に、いま言われるような趣旨であるならば、当然に旧両事業団にある適材というものを適所に配置する、こういう意味合いからもしかるべき人事交流などというものが当然行われてもいいのではないか。ところが、私の感ずる限りどうも旧両事業団の管理部門はそのまま残る、人事交流も行われるという様子がない、こういうようなことになりますと、私がいま申し上げるように結果論として旧両事業団が併存をするような形で残っていくのじゃないか。そうなってくると、一体新事業団の一元的な運営というものが円滑にいくのかどうか、こういう点で大変心配になるものですから、お聞かせいただきたいと思います。
○左近政府委員 この両事業団が統合いたしました暁に統合の実を上げるというためには、おっしゃるように機構なりあるいは人事面でもその実を上げる必要があるということはわれわれも考えております。ただ、現在のところは、統合いたしまして直ちに人事交流をやるということも、人事の面はいろいろなむずかしい面もございますから急速にはなかなかむずかしいわけでございますが、考え方としては統合の実を上げるということで考えておりますし、それから管理部門についても早急に一元化をしていきたいというふうに考えております。ただ、何分現在は入っております建物も違うというような問題もございますので、急速に一本化してしまうというわけにもいかない部分もあると思います。しかし、考え方としては管理部門は一体化し、人事の交流も図っていく、それをこの統合の過程で円滑に推進するという意味において、ある程度の時間を置かざるを得ない部分もあるということでございます。また昨日も申し上げましたように、建物自身についてもなるべく早く一つの建物に入れるように計画をいたしたいというふうに考えているわけでございます。
○清水委員 いまの長官の御答弁についても、私とすれば食い足りないものを率直に感ずるのです。できるだけ早目に管理部門の一本化なりあるいは人事の交流などということも考えていきたいが、経過措置としてどうも一定の時間はとらざるを得ない、こう言われるわけですが、わからない話ではないのですけれども、その問題は一定の経過期間、二の間のとり方のいかんによっては旧両事業団ごとのそれぞれの持っているセクションから来る多少のセクト主義といいましょうか、そういったものが温存され、それがかえって新事業団の一元的な運営に——実は大臣はこれを通じて必要な要請にこたえようと言われるのだけれども、ブレーキがかかるなどというようなことにもなりかねない。ですから、これは一体いつごろまでの間にそういういま長官が言われるようなことを推進をされようとしているのか。これはやはり一定のタイムリミットをつけてはっきりさせる必要があるのじゃないか。 それからもう一つは、たとえば管理部門などが一元化をされるということになると、多少の人員配置の転換などということも必然的に考えていかざるを得ないという場面があると思います。そういう場合に、その中から適材をたとえば時代の要請にこたえるような事業部門に配置をしていく。それのみならず、単にいまの両事業団の職員をそのままいじるというだけではなしに、これだけの時代の要請にこたえるためには、場合によれば職員の増員を行うなどといったことも含めて、名実ともに新事業団の陣容というものを確立をしていく。しかも、これをかなりスピーディーに行うということがありませんと、二枚の看板を一枚にしたというだけの弊害が起こってきはしないのか、ぼくはこんなふうなことを心配するものですから、その辺もうちょっと聞かしていただきたいと思います。
○左近政府委員 いま御指摘の御心配は、われわれも全く同感でございます。ですから極力早くやろうということで、たとえば管理部門の問題などはなるべく早く実現をすることにいたしたいと思います。 それから人事交流の問題につきましては、やはりできるところから進めていきたいということでございますが、御案内のとおり五十五年度には中小企業大学校が発足いたしまして、ことに関西の方がことしの秋に発足をいたします。したがいまして関西校の充実というような面では、これからまた予定以上の人員も要るということも考えられますし、あるいはまたほかの事業をやるときにも新規の人が欲しいという部面も出てまいります。これは、内部の合理化によってそういう人員を生み出すことがまず第一に必要でございますが、さらにまた増員の必要もあろうかと思います。そういうときに適材をうまく配置するということはやれると考えております。 それから、法律的に申しますと、実は附則で二年間暫定的な副理事長を置けることになっておりまして、その間が一種の整理期間ということに法律でなっているような形にもなっております。したがいまして、われわれとしては、気持ちとしてはもっと短くやりたいと思っておりますが、長くても二年の範囲内には一体化をしなければいけないというふうに法律が定めておると受け取っておるわけでございまして、極力早く一体化を進めるように御趣旨に沿って努力をいたしたいと思います。
○清水委員 二年のことは私も承知しているわけです。それゆえに先ほど来の危惧を含めて、できるだけスピーディーにということを申し上げているつもりなんです。 さてそこで、いま長官なり大臣から、統合による新事業団設立のメリットというものを基本的な姿勢として述べられているわけですが、関連をして振興事業団、共済事業団の両理事長も見えていると思いますが、この点、それぞれの立場でどのように受けとめておられますか。
○斎藤参考人 この法律が成立をいたしました場合には、六カ月以内に統合が行われることになっておりますが、私どもといたしましては、この統合が円滑に行われますように、その準備に手抜かりがないように万端努力をいたしまして、特に移行時に中小企業の皆さんに事務の停滞その他で御迷惑がかかるようなことがないように、ただいまから十分に準備を進めてまいりたい、かように考えております。
○越智参考人 昨年の暮れにこの統合の問題を初めて聞きましたときには、先ほど来先生御指摘のように共済事業団の方は二種類の共済事業をやっており、振興事業団の方は高度化その他をやっているわけでありますから、内面的に見ますとやはり仕事は別系列でございます。そういう意味において、確かに二つの看板が一枚になるという、そういう感じをまず持ったことは事実でございますが、しかし、その後時間の経過とともに静かに考えてみますと、申すまでもなく中小企業を対象にした中小企業庁の施策の事業面での展開を図る事業団でございますし、知識、経験を相互に交流し合うということのメリットは明らかでございますし、また、それぞれ十年とか十余年の歴史を持っている両事業団が、それぞれの仕事を通して経験をしたりあるいはまた中小企業のためにお役に立ちたいというそういう精神というものができておりますが、そういうものを持ち寄ってお互いに切瑳琢磨をして、そうしてこれからの、さらに将来に向かっての施策の展開に伴う事業の拡充等を効率的にやっていくということは、やはり二つの事業団が一緒になることが非常にメリットがある、こんなふうに実は考えるのでございます。ただし、職員は一時は不安を持つわけでございますので、発足の初日から完全に御破算でその再配置を考えるというわけには率直に言ってまいらないと思います。しかし、これはなるべく早くいい意味の交流をやりまして、その事業団として最大効率を発揮するように運用すべきである、こんなふうに私は考える次第でございます。
○清水委員 ところで、今度の新事業団への移行、これは八〇年代の中小企業を取り巻く非常にシビアな環境に思いをいたすときに、中小企業の経営基盤を強化をすることのための高度化事業あるいは近代化事業、さまざまな事業がありますけれども、そうしたものに大きく役立つというものでなければ冒頭大臣が言われる趣旨にかなうものではない、私はそういうふうに基本的に考えるわけなんです。しかし、率直に、この第三章の「業務」、二十一条以降に書いてございますが、これを見ている限りではどうも前半の部分は従来の振興事業団の業務、後段の部分は共済事業団の業務、こういうものが列挙をされているように考えるのです。ただ、強いて言えば、この機会に研修所を昇格させて中小企業大学校を設置する、そうして大いに必要な人材を養成しようあるいは研修の機会を高めよう、こういうことが特記されるように思うわけですけれども、私は、いままでどちらかといいますと中小企業の経営基盤をどう強化するかという場合に、しばしば設備にウェートを置いたハードな対策が非常に重視をされてきている。だがしかし、昨今の情勢でいえば、需要の開拓であるとかあるいは人材の育成を含む新製品、新技術の開発であるとか、これらを賄う意味でのソフトの面に対するウェートをより拡大をしなければいけないのじゃないかという気がするのですが、現実の問題は、大学校といっても東京に置き、分校を関西に置く、これだけでは全国四十七都道府県の要請に必ずしも十分こたえられるそういうものではあり得ない。だから、もうちょっときめの細かい、そうした面に対する配慮が払われなければならぬと思いますが、具体的にどんな配慮を払っておりますか。
○左近政府委員 五十五年度予算で考えておりまして、新しく発足します大学校は東京と関西に校舎があって、そこで研修をやるということでございますが、これは従来の研修所の引き続きということでその二カ所でございます。 ただ、中小企業大学校ということにいたしました主な理由は、従来のように中小企業の指導者の養成だけじゃなくて、さらに中小企業自体の研修、いま先生おっしゃったようにソフトな経営資源というものが重要になってきた時代に、中小企業者自身の勉強を促進するということを主眼とするように切りかえたわけでございます。そういたしますと、先生おっしゃいますように二カ所でいいのかという問題が当然出てまいります。したがいまして、実は五十五年度で今後の中小企業者の研修体制をどう持っていったらいいかということを調査するという経費もいただいておりますので、そういう面で今後全国の中小企業者の方々にそういう新しいソフトな面での研修を促進する方策をどう持っていったらいいかということを十分検討いたしたいと思っております。したがいまして現在あります東京校、関西校というのはそれの中核ではございますが、将来それだけに限定していいのかどうかという点も十分考えてまいりたいというふうに思っております。
○清水委員 その点は速やかに調査をし、ある意味で中小企業団体なり中小企業関係者なりのその面のニーズに速やかにこたえるようなそういう対応を推進していただきたい。これは要望しておきます。 それから、せっかくの機会ですからお尋ねをしておきますが、実は先年来中小企業団体中央会等でいわゆる中小企業大学の設立という運動を推進している。今度の中小企業大学校とは異質のものだと私は理解をしております。これは設立を本格的にやる場合には文部省の省令に基づくような形になるんだろうと思いますが、いずれにしても基本的には短期的な養成ということだけでは不十分である。つまり四年なら四年という長期の学業を通して中小企業の次代を背負うにふさわしい人材を輩出する、そしてそれを各企業に分散配置することを通して、ある面で経営感覚の近代化あるいは近代的な経営手法といったようなものも涵養していけるようにしようじゃないかというような発想がうかがえるわけでして、これはこれで非常に意味のあることではないかと思っているわけなんですが、近い将来についてそうした点の構想にこたえる用意があるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○左近政府委員 今回発足いたします中小企業大学校というのは、いわば社会人になられた方の再教育機関でございます。それで、中小企業の中央会等で御要望のございますのは中小企業大学ということで、中小企業の経営者なり従業員に必要な知識、経験を授けることを中心とする正式の大学をつくろうということで、これはこれで非常に重要なことであろうというように思うわけでございます。 実は私の方もそういうお申し入れを伺いまして、まことにもっともであるということで、われわれの方からも所管省であります文部省にもいろいろ御相談を申し上げていることでございます。そういうことでございますので、われわれといたしましてはいわば成人教育といいますか、社会人教育としての中小企業大学校と、その基礎になる中小企業大学というのがそれぞれできて、それぞれが機能を発揮することが一番望ましいというふうに考えておりますので、今後とも関係方面に働きかけてその実現を期したいというふうに考えております。
○清水委員 私としてもいま長官が答えられた点鋭意推進をさるべき事柄ではないか、こう思いますので、強く要望を申し添えておきます。 さて、ここで少し新事業団の業務内容に触れながら具体的なテーマについてお聞かせをいただきたいと思います。 さきに通産省は印刷業における中小企業の近代化計画、これを示されて、現在これを受けた形で全印工連に代表される印刷業界が構造改善事業について鋭意作業を進めていると仄聞をしております。通産のこの計画によりますと、五十九年度を目標年度として約四千六百億円の投資を予定しながら近代化を達成していく、こういうふうに計画をされているようでありますが、具体的、実際的にどういう見通しを持っておられるのか、まず最初にお聞かせいただきたいと思います。
○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。 先生御存じのように、印刷業の将来の展望でございますが、五十九年度まで五年間それぞれ、各年度によりまして若干違いがございますが、大筋で言いますと一〇%から一一%の年率で需要分野が成長していくというようなことでございますので、それに十分こたえられるような展開を指導としてやっていきたいということが内容でございます。
○清水委員 ちょっと抽象的なお答えでございますが、それでは少し具体的にお聞きをいたしますと、御承知のように印刷業は全国約二万六千社と言われております。雇用される従業員二十九万とか三十万と言われております。結論的に言うと、一社平均従業員規模十人余という、中小企業と言うよりも非常に零細性の強い業態でございます。それだけにたとえば通産省が近代化を推進するという場合に、企業の側では長期かつ低利の資金の確保、単に資金の確保だけではなしに、たとえば設備に対する減価償却など税制上のかなりの優遇措置といったようなものが付随をいたしませんとなかなかこれに飛びつけない、こういう弱さというものを持っているのではないか、私はこう思うのですけれども、その判断と、また具体的にどういう措置をいまお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○児玉(清)政府委員 特に印刷業だけの特別の助成の方式というものはございませんけれども、したがいまして、近代化に当たりまして近代化計画に即した事業活動に対するところの政策的な金融あるいはこれに対する政策的な税制面の助成という一般方式でやるわけでございます。それから、いま申し上げましたのは企業単位のものでございますが、産業の中で各関連事業者との間の共同化あるいは協業化等につきましては、高度化方式によりますところの政策助成、こういうものを十分利用してやっていくということになろうかと思います。
○清水委員 時間の関係もありますからくどく追及をいたしませんが、政府としては印刷業の将来について中長期的に見て情報産業として一定の展望を持っているのではないか、こういう押さえ方をされていると思います。しかしこれはマクロの見方だと思いますね。ミクロ的にはどうかと言うと、御承知のように印刷業界というのは宿命的なダンピングによる過当競争をいまなお激しく展開をしている、個別企業はきわめてシビアな環境に置かれていると見なければなりません。 そこで、今後低成長経済がずっと続いていく、こういう過程を見ていく場合、業界の自助努力を通じてそういうものを克服していくということは当然のことでありますが、なかなかそれが思うようにいかないというときこそ行政指導というものが加わってしかるべきなのではないか、こう私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
○児玉(清)政府委員 御指摘のとおりでございまして、業種、業態の実態に応じまして行政指導をやっていくというのが私どもの努めでございまして、一般的な行政の基盤になります業界の自主努力というのはあくまでも出発点でもございますし、これが基礎になるのは当然でございますけれども、やはり業界の自主努力を引き上げていく、またその成果を十分発揮させていくためにもきめの細かい行政指導というのは必要だ、このように考えておりまして、これからの印刷業の将来展望からいきますと、低成長の中でも、先ほど申し上げましたように日本の将来展望の中で非常に情報化社会と結びつきまして、また地域産業としましてその地域の独立した需要と非常に結びついた形で業界が発展していくことが期待されるわけでございます。その際に一番問題になりますのは、やはりいま申されました過当競争による足の引っ張り合いということでございますので、この辺は業界の中の秩序づくり、それから過当競争を排除するためにも組織化の一層の充実といったことを基軸にいたしましてやっていく必要がございます。その際にも、役所としてはやはり業界の実情に即しまして十分な成果が上がりますような指導をやっていく必要がある、このように考えております。
○清水委員 その点はわかりました。 そこで、今度の通産の近代化計画のねらいは、私が言うまでもありませんが、付加価値の高い業界あるいは企業への脱皮を図る、こういうことだと思います。この点で私も異論はございません。だが、いま言う付加価値を総体的に高めていくためには、印刷の受注をめぐる適正単価というものがどう確保されるか、それから優位性に立つ大企業との調整、こういうものが十分に考慮されなければならないと思うのです。そうしませんと、仮に付加価値を高めると言ってみても、その部分でしり抜けになってしまうのじゃないか、こう思いますが、いかがでしょう。
○児玉(清)政府委員 御指摘の点で大企業との調整が図られる必要があろうかと考えますが、現在三割弱の大企業のシェアでございますけれども、私どもが現在、将来を展望した場合に、さらに大企業のシェアがこれよりも大きく伸びていく、そのために中小企業の分野というのが非常に狭められてくるというふうには見ておりませんで、やはり現在程度のあれで、大きな伸びの中で中小企業と大企業とがそれぞれ拡大をしていくというふうに考えておるわけでございます。特に、そういう意味におきましても中小企業サイドにおきますところの体質の強化ということが必要でございますので、そういった足腰を鍛えるだけの競争力強化政策というものを十分着実に進めていく必要があろうかと思います。 それからまた、実際問題として受注の面におけるところの不利益を回避しますために、共同受注とかあるいは共同仕入れとか、そういった面もこの近代化計画の中のきわめて重要な柱として私ども考えておりまして、業界も十分な意識を持っておりますので、そういったいろんな多角的な措置をとることによりまして、大企業と併存しながら大企業に負けないような形で十分受注機会を確保できるように今後の運営について指導していきたいと思っております。
○清水委員 いま局長から、たとえば企業の体質を強めるあるいは競争力を強める、こういう意味で共同事業について留意をしている。たとえば共同受注などというものを盛んにさせるように配慮したい、これはこれで結構だと思うのですが、たとえばそれを言われるからには、きのうも上坂委員が軽印刷の問題でちょっと触れておりましたが、たとえば官公需の受注等に対していま局長が言われるような道を開くといった態度、姿勢が政府側にあるのかどうか、こういう点をひとつ私は聞いておきたい。 それからいま一つは、大企業の中小企業事業分野への参入というようなものは余りこれからは考えられない、心配はないというふうに言われるわけですが、これはどうも私といささか見解を異にいたします。固有名詞は申し上げませんが、限られたごく一部の印刷業における大企業、これは直営工場を必ずしも地方にどんどん進出をさせるというようなことをやっておりませんけれども、しかし営業所などを設置をする。そして受注活動などを展開をする。従来の中小企業の分野であったところへ参入をして受注を得るということは、それだけ中小企業の分野が侵されるというようなことになる。しかも大企業の受注したものは自社工場で製品化するのではなしに、その地方、地域の中小企業にマージンを一定程度先取りをして下請をさせる、こういうことが実は繰り返されている。そういたしますと、たとえば局長が言われるような近代化を進め、付加価値を高めようと努力をしても、大企業のその種の受注活動を通して一定のマージンがピンはねをされるというようなことが許容されていく限りにおいては、その部分だけ付加価値は低められてしまう。だから近代化の成果というものは相殺をされる、私はそういうふうに思わざるを得ないのですが、この点どのようにお考えでしょう。
○児玉(清)政府委員 中小企業分野の印刷業がいわゆる受注の機会を十分確保するという問題と、付加価値を維持するという二つの面があろうかと思います。両方に関連いたしまして受注者のサイドの努力あるいは改善事項というのがあろうかと思います。それから他面発注者側におきますところの努力事項があると思います。 受注者サイドにおきましては、先ほど申しましたように中小印刷業界自身の体質強化策を着実に進める。これはいろんな方法をとりまして、共同化等もそうでございますが、やっていくということと、それからいま申されました大企業の不当な進出に対しましてはこれを役所としても十分監視する必要があろうかと思いますので、その具体的事例に即しまして不当なものにつきましてはこれを調整するということを行政指導面でもやる必要がございます。 それから発注サイドにおきましても、やはり中小企業の受注機会を確保するということは法律でもちゃんとうたわれておりますし、そういった線に沿いまして、現実の運用というもので確保を図っていくということが必要でございます。それから官庁サービスという意味におきましても、発注者の情報というものを広く中小企業の方に流してやるというサービス面の強化も必要かと思われます。 いま申し上げましたように受注サイド、発注サイド両面におきまして十分な業界の努力を実らせるような形で私どもも今後やっていきたいと思っておりますので、そういった面から具体的に不当な進出に対してはわれわれも十分監視体制をしいているわけでございますが、法に触れるものにつきましては、これは関係官庁とも十分連携をとりながら正していく必要がある、このように考えております。
○清水委員 いま官公需の関係について余りはっきりした答弁を申されなかったわけですが、実はきのうも上坂委員から、たとえば軽印刷の場合官公需はシェアの約二〇%を占めている。受注契約のいかんというものが経営に占める非常に大きなウエートになっている。入札方法等の改善ということを強く求められているわけでありますが、私もそう思います。 そこで、たとえば会計法等の制約があることは昨日の中小企業庁長官の御説明にまつまでもなく私も承知をしておる。実は昨年の春、予算委員会の分科会で質疑をしたこともございますけれども、現実の問題として官公需等の入札方法をめぐって製造業の請負契約の方向を進めているとおっしゃられても、たとえばそこに一千万円以上という制約がある。しかし印刷の受注なんというものは常識的に見て一千万円以下というのが普通なんですから、これがあったのでは製造業扱いになり、請負契約の対象になってみても何のメリットもない。だからこういう点は速やかに弾力的な運用で、せっかく入札方法を改善しようというならば、当然この部分も改善をされなければ意味がないということが一つ。 それからもう一つは、たとえば公正な競争関係を極端に乱すという業者がございます。出血入札なんということをやって迫ってくるという動きもございます。これを野放しにしておいたのでは政府が言う適正な利潤を確保することも現実にはできなくなる。先ほど来問題にしている過剰なダンピングというものの主たる要因になっておるわけです。ダンピングがいよいよ助長される。ですから私は、一面では入札の方法として二番札制度というものを採用する。いずれにしても最低の入札者には落札をしないということで適正なマージンが許容されるような範囲での受注ができる。そういう機会を確保するのでなければ、仮に通産が近代化計画等を通して幾ら付加価値を高めようとしても、そういうものを通して結局メリットが大きなデメリットによって相殺される、こういうことですから、この点は局長と長官と両方から承った方がいいのかもしれませんが、お聞かせいただきたいと思います。
○左近政府委員 いま御指摘の会計法上の、最低価格で落札した者以外の者をいわば落札者にするという方式がございますが、それには御指摘の一千万円とか、現在ではことに小口の発注についてはなかなかうまく動かないといういろいろな事情がございます。われわれといたしましてはこれの改善を考えておるわけでございますが、いまのところまだこの会計法上の運用その他について関係方面とも了解に達しておりませんが、御趣旨非常にごもっともでございますので、今後も十分交渉を続けまして、なるべく早くこういうものが実態に合わせられるようにいたしたいというふうに考えております。
○児玉(清)政府委員 いま長官からお話がありましたようなことで、私ども印刷業の健全な発展のためにも前向きに検討していただきたいと思っております。
○清水委員 いまの点について、せっかく内閣で実力大臣と言われる通産大臣もおいでになるわけですから、これは実はかねがね問題になっていながら、いま長官が答えられるように大蔵などと合い議をして云々と言われるわけですけれども、なかなか思うように進んでいないのです。しかし私もさっき申し上げたように、印刷に限らず、えてして官公需を求める中小企業というものは中小ないしは零細規模のものが多いわけですね。一千万円以上の受注なんというようなことはなかなか不可能なんですよ。ですから共同受注の問題等も含めて、やはり中小企業を所管されている大臣としてこの点の改善を急速にやるということについて、大蔵大臣等とも具体的に相談をしてもらわなければならぬと思いますが、いかがでしょうか。
○佐々木国務大臣 大変重要なことだと思いますので、相談してみたいと思います。
○清水委員 それではこの部分ではぼつぼつ質問を終わろうと思うのですけれども、実はここで通産の出された近代化計画のコピーがあるのですけれども、これを見ますと、近代化について設備面で言うとオフセット印刷化、それから凸版印刷からの脱皮、あるいは製版部門における写植だとかコンピューターによる組版、そして軽印刷なども含めてコールドタイプシステムの方式を採用する。あるいは印刷機について言うと、凸版印刷機についても八五%、オフセット等については一〇〇%の自動化を五十九年までに実現をする、こういう内容が示されております。これを進めれば当然のこととして省力化が著しく進むということにつながると思うのです。労務費比率の低下ということにもつながるでしょう。したがって付加価値を高めることになる。それはそれでいいのですけれども、問題はそこから雇用問題が起こりはしないか、雇用の縮小ということから雇用不安という問題が起こりはしないか、とりわけ政府が重要な課題としている雇用の創出機会をつくる、これにあたかも逆行するようなことになりはしないか、こういったような懸念が印刷業に働く労働者の間等に多分にある。この点はどういうふうにごらんになりますか。
○児玉(清)政府委員 いま御指摘の従業員の人員の面につきましての計測というのは非常に困難でございますが、方向として私どもがこの近代化計画の中で考えておりますのは、先ほどお話のございましたように平版化あるいは自動化、コンピューター化といった問題でございますけれども、そのほかにもやはり労働時間の短縮あるいは労働福祉面の充実ということも非常に重要なこの近代化計画の中の一環として織り込まれているわけでございまして、物の面の近代化とあわせまして、従業員が十分定着できるような環境づくりというものをやっていこうという両面で構成をいたしておるわけでございまして、いろいろと今後やります自動化あるいは近代化、それの中で省力化という効果も一つの側面として出てまいるわけでございますけれども、もう少し総合的に判断いたしますと、やはり印刷業がそこの従業員の福祉の面でも十分注意しながら養っていけるだけの印刷の供給産業として伸びていきますためには、どうしても需要にマッチした体制整備ということが必要でございます。端的に申しますと、印刷の需要というものも、いままでもそうでございますが今後は特に需要の中身が量的な面から質的な面に非常に変わってきておりまして、高度化する需要あるいは需要が多様化するということがございますので、そういった需要の変化に対応するためにはどうしても近代化というものが必要になってまいります。 それから実際のオペレートの面におきましても、やはりソフト面の強化ということが非常に重要な意味を持ってくるわけでございまして、あるいは生産工程におきましてもシステム化することによりまして品質の向上あるいは供給の円滑化という問題も解決していかなければならないわけでございます。 それからもう一つ、やはりこういう社会の変動から来まして、需要面におきましてもいわゆるスピーディーな供給を求められるわけでございまして、それに対応するための即応需要ということにこたえられるだけの供給システムの近代化が必要でございます。 それからもう一つ申し上げられますのは、社会環境との調和ということが、今後特に重要でございます。その地域社会で公害問題を解決するとかあるいは環境保全に努めていくということからいたしましても、やはり生産の近代化ということが必要になってまいりますので、そういった意味を全体総合いたしまして、従業員が十分安心して定着できるような環境整備という効果も非常に大きいかと私どもは考えておる次第でございます。
○清水委員 印刷業に働く労働者の労働条件の改善等についても深く留意をしている、こういうことを言われるわけでありますから、それはそれで結構なことだと思います。ただ問題は、全国的に見てもまた個別に見ても、この近代化計画に沿う形で進められようとしている構造改善計画、その結果が果たしてどうなるのかという意味で関係事業所等で働く労働者等の不安というものは決して小さくないものがうかがわれるわけです。そこで私としては、たとえば最終的には近代化というものが労使の協力なしに円滑に推進をされ得るとは思いません。そういう点からいっても、私は計画について事前に関係労働組合等と経営者団体なり経営者なりが協議をする、話し合いをする、そういう機会を持つことが非常に重要な課題になるのではないかという感じがいたします。その点について通産当局としてはどういうふうに理解をされましょうか。
○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。 これは業界にとりましては非常に重要な近代化計画でございますので、御指摘のように労使が一体としてこれを受けとめる必要がございますので、その作成過程におきまして労働組合代表に近代化審議会のメンバーに入っていただきまして、御意見等も十分お聞きし、織り込みながら計画の作成に当たった。今後これの運用に当たりましても、大体そういった精神を生かしながら私どもやっていきたい、このように考えております。
○清水委員 その点は十分に地方地域等に至るまで配慮を払われるように要望しておきたいと思います。 さて、次に法案に触れて若干の質問を重ねていきたいと思います。 とかくこの種の特殊法人については事業の監査というものが必ずしも十分でない。悪い言葉で言えばおざなりにされるなんということが間々指摘をされます。とりわけ今日綱紀の粛正といったようなことが強調をされている時期でもございますが、法案によると、従来両事業団トータルをすると三人の監事が置かれていたわけでありますが、これを整理をして二人、こういうことになるわけであります。この点果たして二人の監事でより膨大化される事業監査というものを的確に行うことができるかどうか、監事の職掌なり権限なりとの兼ね合いで御説明を願いたいと思います。
○左近政府委員 御指摘のとおり現在の両事業団の監事の数は合計三人ということでございますが、今回一人減らしまして二名ということにいたしたわけでございます。これは一つは行政改革の趣旨を踏まえたことではございますが、しかし御指摘のように監事の業務というものは事業団において非常に重要な問題でございます。最近のいろいろな事例にかんがみましても、業務を監査するということを徹底してやらないと、事業団、公団というふうなものの運営が適正を欠くおそれがあるということは十分われわれも考えております。この二人の監事によりまして円滑にしかも的確に業務の監査が行われるように、われわれといたしましてもいろいろ事業団に対してそういうやり方等々も今後も指導してまいりたいと思います。したがいまして、われわれといたしましてはこの二名で十分やれると思いますが、ただやり方についてはわれわれとしても十分今後もよく指導してまいりまして、的確な監査が行われるようにやってまいりたいと思います。
○清水委員 この点はこれからの課題でありますから、また必要に応じて中間にも事業団の運営について事情を聴取したいということを申し上げておきますが、言われるとおり厳格に運営をしていただきたいと思います。 さてそこで、二十一条の一項の四号ということになりましょうか、こういう文言が使われているわけです。ずっと書かれておりまして、三行目の下段の方で、「通商産業省令で定めるものの役員及び職員の養成及び研修並びに都道府県が行うことが困難な中小企業者及びその従業員の経営管理又は技術に関する研修を行うこと。」というのは、先ほど言われた中小企業大学校等における研修を指すのですか。
○左近政府委員 御指摘のとおりでございますが、実はこれにつきましては、従来は中小企業者自身に対するこういう各種の研修というのは主として府県が行うことということになっておりました。ところが先ほど申しましたように、八〇年代を迎えまして中小企業の人材養成というものが非常に重要になってまいりました。したがいまして、統一的にしかも新しい方式でやる研修というのはなかなか府県ではやれないだろうということで、この中小企業大学校というところでやっていこうということでございます。ですから、今後も簡易な、たとえば一週間とかあるいは四、五日とかいうふうな簡易な、しかも項目を限った研修は府県でも大いにやっていただくわけでございますが、相当の長期の、たとえば現在考えておりますのは、後継者については一年間泊まり込みというふうな研修をやることにしておりますし、それから一般の経営者についても毎月十日間を十カ月、十日間はずっと泊まり込みでやるというような研修もやっております。こういうのは都道府県ではなかなかやれませんので、こういうものを大学校でやっていこう、こういう趣旨でございます。
○清水委員 そこで注文でありますが、先ほどの質問に対する答弁を通じて、大学校と分校を東京と関西に置くだけでは非常に不十分である、要請にこたえられない、だから都道府県等の協力を求めて地方的にもやっていけるような調査等も進めていきたい、こういうことを言われているわけですが、ここに書かれていることを文字どおり受け取ると、何か都道府県で行うべき役割りというものを少し軽視をするような感じにならざるを得ないように思うのです。私は都道府県に対するこの種費用の助成等を含めて、従来の水準をむしろ高める、質的にも量的にも強化をする、そういう内容を持つものでなければ意味がないと思いますが、いかがですか。
○左近政府委員 先ほど調査ということを申しましたが、その調査の内容も実はこの問題もございまして、要するに都道府県の研修というものとどういう関連を持つようにすべきかということも考えたいと思っております。そしてまたやり方も、そういう施設をつくるのがいいのかあるいはそういう研修の方式を大学校の方で考えて、機動的にそういう方式に従って県が随時やるというふうな、移動教室的なものがいいのかという問題もあるわけでございます。ですから、そういう点も含めてこれから検討しまして県の役割りも十分活用する、それからまた県でやれないものを大学校がやっていく、その役目の分界をも含めた検討を進めていきたいと思っております。
○清水委員 実は八十国会の本委員会で、小規模企業共済法の改正に当たって附帯決議が行われております。その第二項に、「小規模企業共済事業団における共済加入者のための福利厚生施設の設置等について検討すること。」こういうことがあるわけでありますが、これは今度提案をされている二十一条の一項の七号、「共済契約者の教養のための施設の設置及び運営を行うこと。」それと何か関係があるのですか、ないのですか。
○左近政府委員 まさにこの附帯決議の趣旨を生かしまして今回その条項を加えたわけでございます。ただ、この附帯決議で言われたことと今回のことは若干文言が異なっておりますが、実はこの中で教養の施設というのは、たとえば研修会とか講演会とか展示会を行うための会場とか、あるいは共済契約者の方がいろいろ会議をされる場合の集会所というものを指しておるわけでございますが、これがいろいろアンケート等々で聞きますと、小規模企業者でしかも小規模共済に加入しておられる方々の御要望が一番強いわけでございます。したがいましてとりあえずこれを入れようということでございます。といいますのは、こういう加入者還元の施設をつくるのも、やり方によっては共済の会計の負担になってはせっかくの共済制度がかえってうまくいかないという問題もございます。したがいまして、宿泊施設、保養施設というようなものについてはもう少し検討しようじゃないかということで、現在とりあえず御要望も強いし、かつまた共済の還元という意味において負担についても問題のないと思われるものをまず取り上げるということにいたしたわけでございまして、今後残りの部分については検討を続けていきたいということでございます。
○清水委員 それはそれでわかるのですけれども、そう言われると、結局両事業団を統合して新事業団をつくる、振興事業の中にはたとえば人材の養成だとか教養に関する事業も含まれておるわけですね。だから、そういう趣旨のものであれば何も共済加入者だけに限定してそういう形で還元をするということはちょっととらえ方が狭過ぎはしないか。ここで言っているのは、あくまでも全国何カ所かにそうした小規模企業者のために気楽に利用のできるような宿泊施設とかあるいは保養所をつくってはどうなのかということなんですよ、附帯決議の趣旨は。だから、長官の言われる趣旨と私はちょっと違うように思うので、長官の言われるような趣旨なら振興事業の中に包含して考えた方がよりベターじゃないか、特定の者だけに利用できてあとは利用できないなんということは、事業団の新しい事業推進の面から言うといかがかと思うわけですが、いかがですか。
○左近政府委員 教養施設と申しましても、何といいますか、中小企業大学校のような特定の研修をやるというようなものではございませんで、むしろ加入者の方々が利用していただけるような会議場とか集会所、またその集会所を利用して加入者の方々がいろいろな人の話を聞くというふうな施設でございまして、そういう意味においては加入者の方々が気楽に利用していただける場所だということでございます。 そういうことでございますので、今後またどのようにこれを拡大していくかは検討課題にさせていただきまして、とりあえずは一番これが加入者の要望も強いものでございますので、これから入っていこうということでございます。
○清水委員 次に、中小企業共済事業団の業務概要に触れてちょっとお尋ねをいたしますが、小規模企業共済の脱退状況について報告をされておりますが、これを見ますと、四十年の設立以来五十三年度までの脱退件数は約二十一万件、百五十一万口、このうち共済金や解約金の支給されない脱退が十万六千件で七十万五千口、ちょうど半分ですね。また、解約金だけを支給された脱退が五万七千件で約四十万口、合わせると七五%余になっております。 私は、加入者が近年増大をしているという前向きな状況は認めておりますが、一面でなぜこのような脱退者が多発をするのか。特に脱退者の半数に近い者が掛金を掛け捨てにするという形で脱退をする、これは何かこの共済制度に魅力を感じない、魅力が乏しい、その辺からこうした傾向を生んでいるのじゃないかというふうに思いますが、当局としてはどういう反省をなすっておられますか。
○廣瀬政府委員 お答えをいたします。 ただいま御指摘のございましたとおり、小規模企業共済事業の加入に対しまして毎年脱退、解約が続いてございます。しかし、この数字は制度発足以来ことしの一月までの加入者の総数が百八万件でございますが、これに対して二十一万件の脱退者がございます。この脱退者二十一万件の中で、いわゆる小規模共済制度の恩典に浴しまして、いわば共済金を受領してやめる者と、そうではなくて途中で解約する者とがあるわけでございます。いわゆる途中解約者をなるべく少なくするということは、五十二年の当委員会の附帯決議におきましても御指摘をいただいているわけでございますが、その後の事業団の努力によりましてこの比率は年を追って減少してきております。 その間に調べました経緯からいたしますと、掛金の納付の仕方が、たとえて申しますと、現在では銀行の口座に対する自動振り込みというものがふえておりますけれども、従来はそういうものは比較的少なかったために掛け忘れがあった。それが十二カ月を超えて掛け忘れるというような事態がございまして、こういう十二カ月を超えまして掛金の滞納が行われますと、この法律に基づいてこれは解約事由になるわけでございます。そういったものが途中解約者の中で多数を占めていたわけでございますが、そういう事態はだんだん改善されてきております。 とりあえず数字についての御説明をさせていただきます。
○清水委員 改善をされていることは認めることにやぶさかではありませんが、しかしいずれにしてもいま私が挙げたようになお膨大な中途解約者が出ているわけですね。 それから、いま部長が言われるような、たとえば掛け忘れのために脱退を余儀なくさせられるなんということは、当事者にしてみればある面での既得権益を失うということにもつながるわけですね。だから、五十二年のあの附帯決議の精神から言えば、掛け忘れるなどという事態が仮に二、三カ月か幾らか続くとすれば、当然何らかの形で通知をして喚起を促す、そうしてその権利を引き続き継続できるというような親切さがあってしかるべきなんじゃないか。私は、そういう点で少し制度の運用について冷たさというか、不足の点がありはせぬか、これらについては急速に改善をしてもらわなければならぬというふうに思います。後で意見を聞かしてもらいたい。 あわせてこの際、いま附帯決議のことを申しましたから申しますが、いわゆる還元融資なり共済給付の改善なりというものについて、附帯決議に沿うた形で具体的にどのように改善されてきているか、お聞かせいただきたい。
○廣瀬政府委員 第一の御質問に対してでございますが、掛け忘れのために解約になる、こういう不幸な事態を防ぐという意味で、事業団といたしましてもすでに四十七年度から掛金の滞納者に対する注意喚起策を、これは一年に四回でございますが実施してきております。また、四十七年の九月からは掛金の口座振り込み制を採用してその普及に努めているところでございます。数字で申しますと、小規模企業共済契約者の在籍者数に対する口座振り込み利用者の件数をパーセントで申しますと、五十年では一六%強でございますが、それが順次ふえてまいりまして、五十一年度には二一%、五十二年度には三〇%、五十三年度には三二・九%、五十四年、最近時点におきましては三八・四%、このように増加してきております。こういう努力も重なりまして、途中解約者の比率は年を追って減少を続けております。これが第一の御質問に対するお答えでございます。 二つ目でございますが、還元融資につきましては御承知のとおり二通りの制度がございます。第一番目が契約者貸し付け制度でございます。これは共済加入者に対する掛金積立額の範囲内での即日融資制度というものでございまして、四十八年度から実施を続けております。ちなみにその利用実績は、五十三年度で見ますと件数で二万二千件、金額で申しますと六十三億五千万円でございます。また、五十四年度、最近時点までの実績は、件数で二万五千件強、貸付金額では八十六億七千万円でございます。 もう一つの還元融資の方法は、小規模企業共済預託融資制度でございます。これは事業団が金融機関へ預託した資金を原資とする共済加入者への都道府県の融資制度でございまして、五十二年度から実施をしてきております。この実績は……(清水委員「わかります、ここにありますから」と呼ぶ)よろしゅうございますか。このように二つの制度がございまして、それが年を追ってますます利用されている、こういう状況でございます。
○清水委員 そこで、いま都道府県を通じて実施をされている方の制度、この一覧表を見ると、たとえば奈良県の場合がぬきんでて融資額等が高いわけですね。これは何か特別な事情があるわけですか。
○廣瀬政府委員 五十二年度から実施された制度でございまして、また最近時点におきましては二十四の県で実施をされております。それで、各県によりましてそれぞれ浸透度と申しますか、力の入れ方に多少の差がございまして、大いに努力をしている県ではその利用度が非常に高い、こういう事情かと承知しております。
○清水委員 これは加入者にとってみれば一つの魅力ある還元融資制度のはずですから、県によっては力を入れているが、県によっては入れてない、大半は全く実施してないのがあるわけですかち、そういう不均衡の起こらないように、やはりせっかくの、言ってみれば加入者へのいわば恩典、特典とも言うべき制度ですから、これは通産としても積極的に、しかも全県的に実施を求め、その業績を高めるということに少し努力をしたらどうかと思いますが、何か具体策がありますか。
○廣瀬政府委員 お答え申し上げます。 五十三年度では二十二県実施されております。五十四年度は先ほど御説明しましたとおり二十四県にふえております。私どもといたしましては、こういう制度が各県で実施されますように今後とも努力をしていきたいと思いますが、まずこの小規模企業共済預託融資制度そのもののPR等に努めて、各県の御了解を得ながら拡充していきたい、このように考えております。
○清水委員 最後に倒産防止共済制度、これは別途法案が用意をされているものですから、ここでやってしまうとそのときに差し支えがあるので割愛をしたいと思っておりますが、ただ一点だけどうしてもただしておかざるを得ないというのがある。 これは五十三年度から制度が発足を見ているわけですけれども、当初、初年度である五十三年度中に十万件の加入を見込む、こういうことで出発をし、政府も目玉商品として大々的に宣伝をするはずであったと私は思うのですけれども、周知徹底を期されたかどうか知りませんが、いずれにしても一万六千件余しか加入を見ていない。これは余りにもひど過ぎるんじゃないか、こういうふうに思うのですが、その後たとえばどのように改善をされ、どのように加入がふえてきているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○左近政府委員 倒産防止共済制度の発足時の見込みが大幅に下回りましたことはわれわれも大変残念に存じております。やはりPRが行き届かなかったというふうな点もございますので、その後PRに懸命に努力をいたしまして、現在では二万件をやや超えるというところまで契約件数が伸びてきたわけでございますが、もう一つの問題として、やはりこの制度が発足当初でございましたので、中小企業の方々に、たとえばもう少し貸付金額をふやしてほしいとかいろいろなことがございまして、そういう点が中小企業の方にもう少し制度がよくならないとというふうなお気持ちがあったようにわれわれは考えております。したがいまして、実はこの法律としては五年ごとに見直すという制度でございましたが、われわれといたしましては以上のような反省から、改正すべきことは早く改正しようということになりまして、昨年の秋以降いろいろ検討いたしまして、今回改正案をまとめて御提案をした次第でございます。したがいましてこのPRを強化するとともに、やはり制度を改めるということがこの契約件数をふやす最大の道であるというふうに考えておりますので、この改正案をひとつ御審議願いまして、それによってさらに契約をふやすというふうな形にわれわれも努力をさせていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
○清水委員 終わります。
○塩川委員長 これにて清水勇君の質疑は終了いたしました。 午後一時から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 ————◇————— 午後一時二分開議
○中島(源)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 私は、本法案に関連をしまして、まず基本的な点について伺ってまいりたいと思います。 すでに類似の御質問があったかと思いますけれども、本法案は振興事業団と共済事業団、いわゆる性格の異なったものを中小企業事業団という形に統合をするわけですけれども、今回の統合について、その根拠が不明確な点が多々あるようにも思われるわけです。性格の異なる事業団の統合によって今後各事業運営に支障が出てくるおそれがないのかどうか、また統合におけるメリットとしては、それではどのようなものが考えられるか、お答えをいただきたいと思います。
○佐々木国務大臣 この法案が誕生するまでの経過につきましては、お話のように一面では行政機構改革の問題がございまして、新しくエネルギー総合開発機構というものをつくらなければいかぬ、そのためにはそれにふさわしい一つの行政改革というものを裏面で遂行しなければいかぬという二つの問題がございまして、その産物として生まれたのがこの両機関の統合案であることは事実でございます。しかし、それではこの二つの機関が統合してより悪になるかと申しますと、そうではなくて、いろいろ検討してみますとかえって両方が一本になって中小企業事業団というふうにしっくりした方が両機関の知能の交換ももっとスムーズにいくでしょうし、あるいは情報交換等もいままで以上にいきます。あるいは従来の両機関で持ち得なかったような、統合すればそれだけ強さを持つわけですから、いろいろな新しい任務も与えるというふうなことを考えますと、一つの中小企業対策の新しいスタートとしても大変充実したものを考え得るのではないか、またそのように育てるべきではないかというふうに思い直してみますと、なるほどそれもそうだということでできたのがこの案でございます。
○中川(嘉)委員 過日発表になりました産構審の「八〇年代の通商産業政策」、この答申の中で、中小企業政策に関しては活力ある中小企業の育成ということが述べられているわけですが、今後、この活力ある中小企業の育成というものは当然最重要課題であることは間違いがないと思いますけれども、今回のように性格の異なる事業団を統合することによって、中小企業の育成にむしろ支障を来しはしないかと思うわけで、そういう懸念が実はあるわけですけれども、こういった育成にむしろ支障を来しはしないかという立場、この観点から今回の統合について不安な要素がないのかどうか。いまお答えをいただいておりますが、もし何点かでも現実にそういった不安が考えられるならば、率直にいま伺っておきたいと思います。
○左近政府委員 産構審の八〇年代の通産政策、ビジョンの中の活力ある中小企業の育成ということでございます。われわれといたしましてもこの目標に向かって努力をいたしたいと思いますが、やはりその中心は中小企業の自主性を生かし、しかしながらまた中小企業として大企業に比べて、いろいろ比較的に大企業に対して補完しなければいけない点があるということから、その自主的な中小企業を守り育てていくというのがこの中小企業政策の目標であるということでございます。 そういう点から考えますと、この振興事業団と共済事業団を一体化いたしまして、中小企業政策の主要部を一体的な見地から実施していくということはプラスになるだろうと考えております。ことにこれからは単に設備等々を大きくするというのを助成するだけではなくて、いわゆるソフトな経営資源を充実していくというふうなことで、技術開発力とか商品開発力あるいは人材養成ということに重点を置くということになりますと、この事業団のそういうふうな対策がこれから生きてくると思いますし、従来やっております高度化事業とそれから共済事業とを一体的に運営をして、中小企業者に対して積極的に行動できるように処理をいたしたいと思っております。 ただ、御指摘のありましたように、両事業団を一体化する過程におきまして、過渡的にはいろいろまた問題点も出てまいると思いますので、それを、この法案を通していただきますれば直ちに検討に入りまして、極力早い期間にこの過渡的な混乱を避けていくということを実施してまいりたいと思いますので、この統合が完成した暁には、活力ある中小企業の育成にこの事業団が大いに役立つだろうとわれわれは期待をしておりますし、また、そういうふうに実現すべく努力をいたしてまいりたいと思っております。
○中川(嘉)委員 法案を通してからそういった問題点の是正に努めるという、そういうことであると本当は順序が違うわけなんですが、いまの御答弁の中にあるその努力をしていくという姿勢というものは当然なければならないし、そういった点の解消ということに事前にぜひ取り組みを見せていただきたい、こういうふうに思います。 行政改革の一環として統合されたのであれば、どういう点でこの行政改革がなされたとするのか、やはりここが一番大事な点だと思いますが、法人数としては減っているかに見えても実態を見ると職員数等は変わらない、水ぶくれの状態になっているんじゃないかというふうに考えられるわけですが、こういった点はどうでしょうか。
○左近政府委員 行政改革という線に沿って両事業団を統合したわけでございますが、さしあたりは役員の数を三人減員したということでございます。 なお、職員につきましても、統合した結果いろいろな合理化が可能でございますが、御案内のとおり中小企業政策というのは毎年新しいものを積み重ねていかなければならないということでわれわれは努力をいたしております。五十五年度も幾つかの新政策を実施したわけでございますが、そういうときに従来以上に合理的に人材を活用できるという意味において、もし統合しなければもっと人材が要ったであろうものを極力抑えることができるということは大きなメリットではないかと思います。 さらに、そういう節約効果だけでなくて、先ほどから申しておりますように政策を一体的に実施するという面から、政策効果としては非常に大きく向上するのではないかということをわれわれは考えているわけでございます。
○中川(嘉)委員 いずれにしても統合におけるデメリットについては最小限にとどめなければならないし、またメリットは最大限に発揮できるような効率的な運用がなされなければならないと思います。 そこで、事業団の効率的な運用についてはどのような具体策を講じようとしておられるのか、この点はいかがでしょうか。
○左近政府委員 従来両事業団がそれぞれの業務をやっておったわけでございますが、事業団が統合することに伴いまして、事業団の機構もやはり統合しました形に沿って統一的な運用を図るということでございますが、一つ効果が上がるというふうに考えておりますのは、両事業団が従来の事業によって持っております経験なり情報というものを相互に交流できる。そしてまたそれぞれの対象の中小企業者にそれぞれの新しく得られた情報を提供できるということでございまして、そういう点で実は現在も両事業団と中小企業庁がそれぞれ委員を出し合いまして、統合後統一的にやるにはどうしたらいいかということを検討しております。この検討を重ねまして、統合の時期までにそういう一体的運用の実体を固めていきたいというふうに考えておりますし、現実として今後事業団、発足後も現在入っておる事務所を一つにするとか、いろいろ形の上でも一体化するような努力も続けてまいるし、その組織の運用についても一体的に運用できるように努力をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○中川(嘉)委員 それでは次に振興事業団の行っている高度化事業について一、二点伺いたいと思います。 一般高度化事業の中で、五十二年度と五十三年度、この二年間において高度化資金助成の実績というものが新規貸付先数でゼロというのがあるわけです。たとえて言えば、貨物自動車ターミナル等集団化事業、これがゼロ、ゼロになっていますね。それから計算事務共同化事業、さらには小売商業店舗共同利用事業、この辺を見てみると、五十二年度、五十三年度それぞれゼロになっている、こういうことが言えるわけですが、このように実績ゼロということになった原因は一体どこにあるのか、明らかにしていただきたいと思います。
○中澤政府委員 お答え申し上げます。 先生ただいま御指摘の事業区分の事業につきましては、おおむね近年創設されたものでございまして、このために、主たる原因といたしましては事業の計画あるいは事業者間の打ち合わせという段階がある程度の期間かかるものでございますから、まだ実績としては貸し付けに浮かび上がってこないということが主たる理由かと思います。
○中川(嘉)委員 いま計画の面とか打ち合わせの面が御答弁の中に出てきて、そういったことのために時間がかかるんだということですけれども、私は、高度化事業の助成要件、こういったものが厳し過ぎるのが何といっても一要因となっているのじゃないかと思います。また、それでは高度化事業の助成に関して、中小企業者の申請から実際に貸し付けが行われるまでの期間が平均してどのくらいであるのか、これが第一点です。 さらに高度化資金の助成は低利融資が行われていること等から見て、安易な融資を行うことは戒めなければならないことは当然でございますけれども、要するに中小企業者が融資の申請をしてからなるべく早くこの貸し付けを行うことができるように事務処理の簡素化などが当然必要ではないか、このように考えますが、この点もあわせて御答弁をいただきたいと思います。
○中澤政府委員 高度化事業の手続問題についての御質問だと承知いたしますけれども、高度化事業につきましては、先生御高承のとおり中小企業者が組合組織を結成いたしまして事業の共同化あるいは集団化を図って経営の近代化を進めていくということでございまして、ただいま御指摘のとおり、そのために長期、有利の設備資金を貸し付けるということが制度の根幹でございます。したがいまして、高度化事業の計画作成の段階で事業団、それから都道府県が組合を構成しております中小企業者と十分に計画を練り上げまして、討議を重ねながら組合員全員が納得のいく計画をつくっていくということが非常に大事なわけでございます。したがいまして、その計画の診断、指導あるいは審査の段階で相当の長期間を要することも制度の趣旨からある意味におきましてはやむを得ないのじゃないかと考えておるわけでございますが、審査期間等は六カ月でございますけれども、診断、指導その他の準備期間を含めますと、一年半から二年程度の期間が必要であるというのが実態でございます。しかしながら、参加する中小企業者の側面からいたしますと、当然むだな手続とかあるいはなるべく早く資金を貸し付けてほしいという御要望があるのも当然でございますので、その両者の兼ね合いを図りながら貸し付けの審査期間をなるべく合理的なものにしていくという努力は今後とも続けていく必要があるというふうに考えております。
○中川(嘉)委員 この事務処理の簡素化という問題ですけれども、いまの御答弁でいいのですが、それでは現在この事務処理の簡素化について、何か具体的にこのように持っていくべきであるというような案があるのかどうか、この簡素化ということに対してもう少し具体的にお答えをいただきたいと思います。
○中澤政府委員 個別の高度化事業はそれぞれ事業の区分によりましていろいろ性格が違います。しかしながら、要は県の指導員等と、診断に当たる方等と事業団と組合との連係プレーを円滑にするということだと思いますので、県と事業団あるいは中小企業庁当局との間でなるべく頻繁に連絡会を開くことによりまして、手続がスムーズに進むように努力しておるところでございます。
○中川(嘉)委員 お答えをあれして言葉じりを云々はいたしませんけれども、その連絡会を頻繁に行うこともそれは大事です。確かに、考えようによってはそのことによってかえって時間を食ってしまう場合もあるでしょうから、そういった点も考えると、先ほど来言っておるところの事務処理の簡素化ということなんですから、先ほども御答弁にありましたけれども、もっと合理的な具体策を緊急に講じていくことの方が大事ではないか。打ち合わせも結構ですけれども、もっと事務的な処理というもの、どういうふうにあるべきか、どのようにすればもっと簡素化できるのかということが一番の焦点ではないかと私は思いますので、その目標に沿って十分御努力をいただきたいと思います。 また、この小売商業店舗共同利用事業、これは創設されて間もないといいましても五十二年度の創設であるわけですが、発足して二年たってゼロというのは、これはやはりおかしいと思いますね。これに限らず利用件数が少ないということは、何かがネックとなって中小企業者が利用しようと思っても利用できないのではないだろうか。いずれにしても資金助成の弾力的な運用あるいは審査期間の短縮、こういったものが必要ではないかと考えますけれども、いま一度御答弁をいただきたいと思います。
○中澤政府委員 ただいま先生御指摘の小売商業店舗の共同利用事業でございますか、これにつきましては同和関係の事業として一件すでに実績が出ております。 また一般論といたしましては、先生御指摘のように小売商業者につきましては小規模企業者が多いわけでございますので、なるべくその手続を簡略化するということあるいは計画の作成能力に困難を生じておるという点もございますので、この事業につきましては、特に計画の作成段階あるいは店舗の建設、資金の借り入れというような事務につきましては、県におきます公社あるいは市がこれを代行いたしまして、参加する零細な中小企業者の事務負担が起きないというような特別の措置も講じております。 また資金的な負担につきましても、特にこの事業につきましては、融資比率を通常の六五%という原則の例外といたしまして、融資比率九〇%、しかも償還期間も十五年というふうに長期の制度にするというような工夫もいたしまして、この制度がうまく進むように措置しておるところでございます。
○中川(嘉)委員 この資金助成の弾力的な運用と審査期間の短縮ということについて、これは当然必要なことだと思います。この審査期間の短縮そのものはどうですか。
○中澤政府委員 小売商業の共同化の場合には、制度の運用といたしまして極力審査期間を短くするように努力しておりますし、一般的にも先ほど先生御指摘の御趣旨に沿いまして、審査期間につきましてはむだを省くというふうに努力したいと思います。
○中川(嘉)委員 各対象事業に対する事業団及び都道府県の融資割合というものがありますね。これを見てみますとかなりのばらつきが見受けられるわけですけれども、これはどういう理由でそういうふうになっているか。事業団だけで見てみますと、工場等集団化事業が四二%、工場共同利用事業が六〇%、事業転換合同事業が五一・七%、特別広域高度化事業が七〇%、それから高度化事業用地、これが一〇〇%。四〇%台、五〇%台、六〇%台、七〇%台あるいは一〇〇%、こういうふうに非常にばらつきが見受けられるわけです。また、地方財政の厳しい状況等を勘案した上で、この都道府県の負担割合の軽減とかあるいは事業団の負担割合の拡大、こういったもの、この融資割合ということについても今後十分検討していく必要があるんじゃないかと思いますけれども、先ほど伺ったこのばらつきの問題とあわせて、いまのこの融資割合の問題についてもお答えをいただきたいと思います。
○中澤政府委員 お答え申し上げます。 高度化事業の融資割合と申しますか、国と都道府県の負担割合のばらつきの問題でございますが、これは幾つかの理由がございます。 一つの問題は、たとえば小規模企業者が中心になる高度化事業というような場合には、その企業者の負担の困難性、負担能力の点に着目いたしまして、国等の助成割合を高めるという場合がございます。また、公害防止その他国または社会的な要請から特に政策的にこれを急速に進めなければいかぬという場合には、政策誘導手段といたしまして負担割合を高めるという場合もございます。また、特に広域のプロジェクトあるいは大規模のプロジェクトにつきまして、負担割合を高めることによりまして政策を推進する。要するに政策的な観点から個別の事業区分ごとにその負担割合を高めるという方向で従来負担割合を決定しておりますので、結果的に横に並べて見ますとばらつきが見られるというふうになっておるわけでございます。 一般的には国と都道府県が一体として進めていくということで、一般原則といたしましては国と都道府県の負担割合を同一にしておるわけでございますけれども、毎年のようにその事業区分ごとに必要に応じまして負担割合を高めると申しますか、融資比率を高めるということで努力しているわけでございまして、五十五年度につきましては特に総事業費が三十億円以上の集団化事業につきましては、構造改善等高度化事業ということで国の負担割合を高めるということをしております。また、今後ともそのような原則で制度の改善に努めていくというふうに考えております。
○中川(嘉)委員 さらにこの助成対象事業の拡大、それから償還期間の延長、こういった助成条件の改善について今後検討すべき点が多々あると思いますが、この点はどうかということ。五十五年度の予算ではかなりの改善点もあるようですけれども、さらにどういう方向で改善を行おうとしておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
○中澤政府委員 融資期間等の問題でございますけれども、現行の融資期間につきましても、高度化事業の性格に着目いたしまして十五年程度の長期の償還期間あるいは相当期間の据え置きを置くという形で、通常の貸付制度としてはきわめて有利な制度に一般的になっているというふうに考えておるわけでございますけれども、しかし、その中におきましてさらに逐年経済の実態に応じましてその制度の改善に努力するということは当然だと思います。たとえば本年度からは問屋街の近代化事業につきまして、都市近郊の実態に応じましてこれを制度化するということも考えておりますし、融資条件あるいは融資比率の点も含めまして今後とも努力をしていきたい、かように考えております。
○中川(嘉)委員 いま五十五年度において問屋街の近代化事業が創設されることになっていることが御答弁に出てまいりましたけれども、この具体的な内容はそれではどういうものであるか、これに対する融資比率というものは六五%ということになっていますけれども、これはさらに上げる必要はないのかどうか、国と県がどういうふうになっているのか、この辺はいかがでしょうか。
○中澤政府委員 問屋街近代化事業の事業内容でございますけれども、最近におきまして都市近郊の小規模な小売業者に卸してまいります小口卸を行います問屋街につきましては、都市化の進展に伴いまして店舗でございますとか道路問題というのが非常に狭隘化してくるという事情がございます。また、駐車場が非常に用地難で卸売の機能自体が問題になる、将来の発展がこのままではとうてい望めないというような例が出てまいりました。また、その一面といたしまして、集積しております問屋街はそれぞれが非常に小規模の問屋でございますので、新しく郊外の土地に移転するというのが非常にむずかしいという実態にございます。こういう側面に対応するために新しい制度として問屋街の近代化事業が発足するわけでございますけれども、都市内におきまして同じ場所におきまして店舗を改造いたしまして、あるいは倉庫とか配送の施設を共同化いたしまして、これによりましてその問屋街自体が生まれ変わると申しますか、近代化を進めるということを制度の根幹にしておるわけでございます。 融資比率につきましては、新しい事業でもございますので六五%、金利を二・七%、償還期間を十五年といういわゆる一般的な制度で発足するわけでございます。国と県との融資割合でございますが、国が四二%、県が二三%ということで、六五%の融資比率を維持するというふうに考えております。
○中川(嘉)委員 次に、中小企業倒産防止共済における掛金積み立て総額と共済金貸し付け総額の収支状況がどういうふうになっているか、その内容ですね、このことを伺いたいのが第一点。 続けて伺ってしまいますが、倒産防止共済とかあるいは小規模企業共済の各業務について、区分経理が行われるとのことですけれども、倒産防止共済については、今後かなりこの掛金積み立てが行われないというと収支が赤字となる懸念もあるのではないかと思いますけれども、この点はどうか。また、各業務間における資金の融通についてどのような基準に基づいて行うのか、これらの点についてお答えをいただきたいと思います。
○廣瀬政府委員 お答え申し上げます。 まず、最初の倒産防止共済制度についての今日までの実績でございますが、五十三年四月以降本年一月までの実績を見ますと、掛金等の総収入額は一月末現在で先生御指摘のとおりでございます。また貸付額も一月末現在で御指摘の数字でございます。この貸付金は五年間でいずれ返済されるものでございます。しかしながら、現状のような加入状況あるいは貸し付け状況が続くといたしますと、貸し付けの残高が掛金等の収入額を上回ることになるわけでございます。したがいまして、倒産防止勘定以外からの外部資金を導入する必要が出てくることは御指摘のとおりでございます。ただいまの見通しですと、ことしの六月いっぱいまでぐらいは掛金等の収入で貸付金は間に合うと考えておりますけれども、それ以降若干の期間は外部からの借り入れが必要と見ているわけでございます。制度の前提といたしましては、借り入れ先としては市中金融機関、それから財政投融資資金、それから小規模企業共済勘定などが考えられるわけでございますが、この際借り入れに際しての基本的な方針といたしましては、必要な都度必要額が迅速に借りられること、また共済制度の趣旨からいたしまして低金利で借りられることが条件になるかと思います。 なお三つの区分経理におきまして、小規模企業共済とそれから振興勘定とございますが、小規模企業共済勘定につきましては、昨日来の御質問にもありましたように現在三千億円近い掛金の収入がございますので、外部からの借り入れをする必要はないものと考えております。 なお、倒産防止共済勘定が外部からの資金を借ります場合に、民間金融機関等の金を借りるという場合とそれから三つの勘定間、つまり残りの二つの勘定から借りるという可能性もございまして、法律ではその制度を予定しているわけでございますけれども、立案の趣旨といたしましては、勘定間の貸し借りは貸し付けの形をとることになります。当然のことではございますけれども一定の金利をちょうだいすることになるわけでございます。さらに倒産防止共済勘定が、たとえて申しますと小規模企業共済勘定から借り入れをいたします場合におきましては、法律の二十七条第二項におきまして、小規模企業共済の方の資産の安全性を確保する、また資産の効率的な運用を損なわない、こういう配慮は必要でございますので、その旨の配慮規定を置いておる次第でございます。
○中川(嘉)委員 ちょっといま、確認しますけれども、冒頭に伺った掛金積み立て総額と貸し付け総額の金額がちょっと明確ではなかったので、もう一回言ってください。
○廣瀬政府委員 お答えいたします。 先ほどの先生御指摘の数字は一月末と私御答弁しましたが、二月末の実績で申しますと掛金等総収入額は百三十四億三千二百六十万円でございます。また貸付額は二月末で百二十億八千三百五十三万円でございます。
○中川(嘉)委員 次に、小規模企業共済預託制度、これについて伺いますけれども、現在この制度を実施しているのは何県ぐらいか。現在では過半数に満たない県しか実施していないようですけれども、その原因はどこにあるのか、事業団資金は県の要請に見合うだけ十分あるのかどうか、この辺はいかがでしょう。 〔中島一源一委員長代理退席、委員長着席〕
○廣瀬政府委員 この小規模企業共済預託融資制度は五十二年度からスタートしたものでございまして、五十二年度におきましては十六県で実施されました。それから五十三年度に入りましては若干増加いたしまして二十二県、五十四年度一現在時点では二十四県がこの制度を採用、実施しているものでございます。五十五年度の数字につきましてはまだ確定はしておりませんけれども、未実施の都道府県について極力その実施を拡大するように要請を行っていく考え方でございます。また、事業団からの金融機関への資金の預託は全体として十分確保可能でございまして、毎年各県と協議を行い、加入者の借り入れ需要に応じられるよう配慮しており、不足が生ずることがないようにしてまいりたいと存じております。
○中川(嘉)委員 次に、工場等の集団化事業によって、いわゆる工場団地が今日各地につくられているわけですけれども、ところが最近、工業地域とかあるいは準工業地域ですね、こういった工場地域への住宅の進出、これによって中小企業と住民との間で問題が生じていると言われております。東京商工会議所のいわゆる工場地域の立地環境と住宅進出に関する中小工業者意識調査というのがありますけれども、これによりますと、工場周辺地域に近接をして住宅進出が見られたり、あるいはその動向があるとするものが六割近くを占めている、約六〇%ですね。また最近の傾向として、工場移転跡地などにおけるマンション建設など、こういった住宅進出例、これがあるとするものが六八・五%、かなり高いわけです。これらの点について政府としては現状の把握というものをどのように行っておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
○中澤政府委員 私から工場等の集団化事業とマンション建設等に伴います住民とのトラブルとの関係についてお答えしたいと思うわけでございますが、当然のことながら、高度化計画作成の段階におきましてそのような地元の実情を十分に把握いたしまして、計画の実施を円滑に進めるということは当然なことだと思います。したがいまして、要は事前の話し合いの段階で地元の住民の要望と申しますか、了解を図っていくということを、計画作成の段階あるいは診断、指導の段階で図っていかなければいけないというふうに考えておるわけでございますが、このような問題も意識いたしまして、新年度、五十五年度におきましては工場等の集団化事業の中で地域環境保全の施設、たとえば公園でございますとかあるいは緑地等をその事業の一環に含めまして、その取得事業につきましては特定高度化事業の対象ということにいたしまして無利子融資の対象にするというふうに制度の改善をするということによりまして、そのような環境的設備が高度化事業の一環に取り込みやすいように工夫をしておるところでございます。 なお、住民とのトラブル等々統計的な把握等につきましては、関係各省とも協力をして、十分実態を調査あるいは把握していくということは当然かと思います。
○中川(嘉)委員 この問題は今後さらに拡大する傾向も見受けられるわけですから、立地政策の確立とかあるいは法的規制措置の必要性というものを訴える声も非常に現実にあるわけですけれども、なかなか簡単に片づく問題ではないと思います。政府としては住工混在というこの姿、これについて今後どのような基本的な考えの上に立って検討をされるか、この点についてできれば大臣にお答えをいただければと思います。私は、やはりこういった重要な問題については、先ほども答弁にあったように関係各省庁と連携をよくとって十分に検討すべきじゃないかと思いますけれども、この点についての御見解を伺いたいと思います。
○佐々木国務大臣 お説のように、各省との連携を密にして進めたいと思います。
○中川(嘉)委員 次に、情報センター関係の問題について二、三伺いたいと思いますが、中小企業は大企業に比べて情報収集力というものが劣って いることは言うまでもないわけで、この面からも厳しい経営環境にあるということが言えると思います。そこで、中小企業振興事業団としては、いままで中小企業に対する情報提供というものをどのように行ってきたのか、まずこの点について伺いたいと思います。
○植田政府委員 情報の収集問題がこれからの中小企業にとりまして大変重要なことは御指摘のとおりでございます。情報にもたくさんございますが、たとえば一般経済情報等につきましては中央官庁とかあるいは金融機関等から情報を収集する、あるいは海外情報等につきましてはジェトロとかアジア経済研究所とかというふうなところを活用するということ、さらにまた、技術とかデザイン情報等につきましては科学技術情報センターでございますとか産業デザイン振興会でございますとか、こういった各方面のいろいろな機関から情報を集めまして各関係方面に流しているわけでございます。 また、こういった集める情報のほかに、事業団みずから必要に応じて調査等もしておりまして、たとえば需要動向でございますとか業種別動向でございますとか、そういったようなものも調査により集めまして、それを各方面に提供している、こういうふうなことで情報の活動を行っております。
○中川(嘉)委員 中小企業情報センターの役割りは今後ますます重要になってくることは言うまでもないと思います。それとともに、地域情報センターも充実していかなければならないのじゃないか。そこで、この地域情報センターの現状はどうなっているのが。たとえば何カ所くらい設置してあるのか、国からの補助の状況はどのようになっているのか、この辺を伺いたいと思います。
○植田政府委員 先ほど申しました振興事業団からの情報を地方に送らなければいけないわけでございますが、そのネットワークの拠点といたしまして地域情報センターというものの設置を促進しております。これにつきましては五十四年度から私ども補助金も出しておりますが、五十四年度におきましては十二カ所に対しまして補助をし、五十五年度、ただいま国会の方で御審議いただいております予算におきましては新たに新規十一カ所を予定しております。
○中川(嘉)委員 この地域情報センターの充実というものがますます重要になってくるということはいまも申し上げたとおりなんですが、地域情報センターが全県に配置されていないのが実態であるわけです。そこで今後の全県配置、これについてはどのように行っていかれるか。ただ、財政事情の苦しい地方自治体に負担をかけ過ぎることになっちゃ好ましくないわけですけれども、国としては地域情報センターへの補助というものを、今後将来に向かってどのように進めていくのか。また中央センターの中における専門家の育成、情報の蓄積など今後どう取り組んでいくのか。これらの点について、三つにまたがりますけれどもお答えをいただきたいと思います。
○植田政府委員 地域のセンターにつきましては今後も引き続き助成いたしまして、最終的には全国ベースのネットワークができるようにいたしたいというふうに考えております。 それから助成の点でございますが、これは五十四年度から助成しておりまして、今後も続けていきたいと思っております。たとえばファクシミリ等の初度備品費でございますとか、あるいは資料の購入費、あるいはまたニュースの発行費等々につきまして助成をしていきたいというふうに考えております。 なお、お尋ねの職員の育成でございますが、これにつきましては情報担当者の資質の向上を図るということが大切でございますので、振興事業団におきまして情報収集とか情報提供の方法等に関する研修を実施しておりまして、こういった地方の情報センターの職員につきましても研修を行っております。これは今後ともますます充実していきたいというふうに考えております。
○中川(嘉)委員 現在は各種の情報というものが大変に入り乱れているわけで、これらの中から中小企業のニーズに見合った情報を提供することは大変にむずかしいこととは言っても、重要なことではないかと思います。また、各地域に見合った情報というものをどう提供するかという問題であろうと思いますけれども、これらの情報の多様化に対してはそれじゃどのように対処されるのか、この点はいかがでしょうか。
○植田政府委員 情報につきましては、これからますます複雑な情報が要求されるわけでございますが、もちろんユーザーのニーズに合ったものを提供しなければならない、そういうことでございます。そういった観点に立ちまして、ただいま振興事業団におきましては、たとえば都道府県とか中小企業の関係団体の職員等から、モニターといたしましていろいろな情報をキャッチするというふうなこと、あるいはまた全国的に情報の推進研究会というものを設置いたしまして、ブロック別あるいは全国別に連絡会等を開きましてその辺のニーズを獲得するように努めております。さらに情報のニーズの調査ということも実施しておりまして、助成をいたしまして、たとえば各県段階におきましてそれぞれの県で情報の活用の実態調査でございますとか、あるいはニーズ調査というふうなものを行っております。そういう中から、現実に現場の中小企業がどういう情報のニーズを感じているかということをいろいろな角度から調査、あるいはまたお互いに話し合いの中から検討いたしまして、そういったものから出てくるニーズを踏まえた情報を収集し、かつ分析いたしまして提供するように努めているところでございます。
○中川(嘉)委員 今後、中小企業が海外へ進出していく機会というものが増大していくと思いますけれども、海外情報入手について中小企業は非常に困難なことも多いわけで、この中小企業の海外進出のネックというものを解消することがいま要請をされておるのじゃないかと思います。事業団においては、海外情報の収集また提供体制について今後どう強化しようとしておられるのか、具体的なところをひとつお聞かせいただきたいと思います。
○植田政府委員 御指摘のようにこれからますます国際化の中に入っていくわけでございますから、海外情報の収集ということが非常に重要なことだと思っております。 現在、振興事業団におきましては海外情報の収集専門機関、たとえばジェトロでございますとか、アジア経済研究所あるいは世界経済情報サービス機関等と提携いたしまして、こういったところにつきましてはいわゆる会員として加入いたしまして、そういった形で提携いたしまして一般海外情報の提供を受けているというふうな形になっております。こういったものを事業団において整理いたしまして、それをたとえば目録化するというふうな形をとっております。あるいはまた海外の科学技術関係の情報につきましては、日本科学技術情報センターと提携いたしまして、その提供を受けた情報を抄録、カード化するとか、その他デザイン関係の情報等も重要でございますので、そういったものにつきましては、財団法人の日本産業デザイン振興会と提携いたしておりますし、そういったようないろいろな方面との提携を踏まえまして情報を収集しているということでございます。こういった情報が都道府県の担当部局でございますとか地方のセンター等に配付されまして、そういったところからさらに各中小企業者に流れるということになっております。 今後は、現地の事情の委託調査等も予算化してやっていきたいというふうに考えておりまして、たとえばジェトロ等がすでに持っております情報を収集することは先ほど申したとおりでございますが、さらに必要に応じましてテーマあるいは業種等を指定いたしまして、現地事情の委託調査を積極的に行っていくというふうな方向にも行きまして、一層の充実を図っていきたいというふうに考えております。
○中川(嘉)委員 中小企業の海外進出ということをいい意味で助けるという立場から、海外情報の収集あるいは提供体制、こういったことの強化に努めていただきたいと思います。 さらに、技術面についての御答弁もあったわけですが、技術面の情報またはアドバイスというものも大変重要なことなので、実は五十五年度から技術アドバイザー制度が創設されますけれども、いつからスタートするのか、内容については具体的にどんなものか、また都道府県側の反応あるいは同制度への対応状況、こういったものはどうなっているのか、これらの点についてお答えをいただきたいと思います。
○植田政府委員 お尋ねの技術アドバイザー制度につきましては、私どもの予定といたしましては七月一日あたりから発足させたいと思いまして、現在いろいろ準備をしているところでございます。 この技術アドバイザー制度は、内容についてはすでに御承知かと思いますが、長年技術関係で経験をお持ちの専門家を県で登録いたします。そして中小企業、特に零細企業が多いかと思いますが、自分でアイデアは持っておりますけれども、それを製品化するのに困難を感じておるというときにアドバイスを受けるために、県の公設試験場を主として窓口に考えておりますが、そこへ申し込むことによりまして県から適当な人をあっせんしてあげる、そして長年の経験を積んでいらっしゃいます方、登録されておりますアドバイザーにいろいろと技術上の問題を相談し、またそのアイデアを製品化することについてのアドバイスを受けるという制度でございます。現在、主として公設試験場を窓口とすることを考えておりますけれども、ユーザーの便宜を考えまして中小企業の団体、たとえば商工会でございますとか中央会でございますとかあるいは下請企業振興協会等々に出向けばそこであっせんしてもらえるという形で、できるだけ利用しやすいようにしていきたいと考えております。
○中川(嘉)委員 最後に、もう一点関連をして伺いますが、いわゆる公設試験研究機関についていまお話がありましたけれども、中小企業の技術開発を促進するためには、中小企業が自由に利用できるところの開放試験室の充実が非常に重要だと思います。現在公設の試験研究機関に開放試験室が設置されている状況は一体どのようになっているのか。中小企業者が利用しやすいようにするために、すべての公設試験研究機関に開放試験室を設置すべきではないか、また取り扱い業務も拡大すべきではないかと私は思いますけれども、この点はどんなものか。この点を伺って私の質問を終えたいと思います。
○植田政府委員 開放試験室は、検査設備でございますとかそういったものが中小企業者単独ではなかなか負担が重いという場合あるいは使用の頻度数が非常に少ない、自分で設置するのは効率的でないという場合を考えまして、そういった機器を公設試験場に設置いたしまして中小企業者に自由に活用していただく、そういう制度でございます。現在これにつきましては助成をいたしましてその普及を図っているところでございますが、現在のところでは四十一都道府県七十四の機関においてこの開放試験室が設置されております。これにつきましては、先ほど御説明いたしました技術アドバイザー制度の活用と相まちまして、こういった試験室は一層利用の価値が高まるわけでございますから、私どもといたしましては今後一層その設置を進めていく、そういう観点で考えていきたいと思っております。 なお、現在の予算案におきましては、五十五年度では昨年度の二〇%増しの五千八百万円の予算を組みまして助成をしていくことを考えているところでございます。
○塩川委員長 近江巳記夫君。
○近江委員 中川委員の残された時間があと十数分でございますので、何点かお聞きしたいと思います。 各委員からもいろいろ質問が出ておるわけでございますが、もう一度重ねてお聞きしておきたいと思います。 両事業団のいわゆる統合の積極的なメリット、これは一体何であるのか。また、統合に伴って振興事業団、共済事業団等において行われておりました業務内容につきましてどういう見通しが行われるか、簡潔にひとつ要点をお述べいただきたいと思います。
○佐々木国務大臣 先ほどもお答えしたとおりでございますが、行革のさなかでございまして、エネルギー総合開発機構をつくるためには、反面ほかのものの整理統合等が必要だということでございますのでこういう結末になったわけでございますけれども、先ほど申しましたように、実際に両機関を統合するということになってきますと、いままで考えた以上に、かえって両方一緒にして中小企業事業団ということで中核的存在として育てること自体が大変有意義じゃないかという感じがしてございます。 そのメリットと申しますものは、先ほど来くどいようでございますけれども、両機関で持っておりましたその機能を強化することはもちろんでございますが、同時に両機関の持っているそれぞれの知識等の統合もございましょうし、情報交換等もいままで以上に親密になると思いますし、あるいはいままでなかった新しい試みであります人づくりとか技術開発とかあるいは市場の新しい開発とかいったような問題も、そのことによって促進されるのじゃなかろうかというようなことを考えますと、ばらばらでやっているよりは統合した方がはるかにいいのじゃないか、実はそういう感じもしてございます。
○近江委員 それで、先ほどちょっと申し上げましたが、業務内容につきまして今後見直しを徹底的にやりまして、この制度の改正をやっていかなければならぬと思うわけです。その辺の要点、どの辺に根っこを入れておるか、これについてお聞きしたいと思います。
○左近政府委員 事業団の事務につきましては、今後の時代の進展に伴いまして逐次見直してまいりたいと思っておりますが、八〇年代を見通しまして、やはりこれからは新技術あるいは新商品の開発、人材養成というようなソフト面での中小企業の資質向上というのが大切であろうと思いますので、現に中小企業大学校をことしから始めますけれども、さらにそういう面での施策の発展をわれわれは期待しておるわけでございます。
○近江委員 この事業団の中でいろいろな事業をなさるわけですが、やはり高度化事業というのは大きな事業だと思っております。そして、いままでこの振興事業団ができる前の高度化事業というのは何かもたもたしておった。この振興事業団ができることによりましてかなり進んだということは私は言えると思うのですね。その点は評価できると思うのです。しかしながら、高度化事業の今日までの経過を見てまいりますと、いろいろな問題があったことも確かであります。たとえば本委員会におきまして、私が以前追及いたしました福井染色団地、これなどはいわゆる政府が莫大な投資をし、用地は買収した、ところが立ち行かなくなって伊藤忠が肩がわりをする、これは当時大企業の土地の買い占めが盛んになってきたときです。これはおかしいじゃないかということで私が追及をいたしまして、今後はこういうばかなことは二度と行いません、十分な厳重な診断、監督をいたします、こういうことで、かなりその後是正がされてきたように思うわけです。 しかし、いろいろなケースを見てまいりますと、たとえば昭和四十四年度におきましては焼津市で食料品、衣料品等の小売商業店舗共同化事業、これはつぶれていますね。四十九年には長崎の大島町、衣料品、雑貨等の組合がつぶれています。また四十四年には宮城県仙台市の金属製品製造の工場共同化事業、これもつぶれております。四十九年には岩手県の久慈市で製材関係の共同施設事業、これもつぶれております。四十六年には千葉県の佐倉市で企業合同、これは鋳物でございますが、オイルショック等の関係もあったと思うのですが、これも倒産しておる、こういうように幾つもの事例があるわけであります。 これはいろいろなケースがあるとは思いますけれども、何と言いましてもいわゆる企業診断、また後のアフターケアといいますか、そういうものを十分にやらないと、これは国民の血税を使っておるわけですから、またいわゆる力の弱い中小企業が寄り集まってやっておるわけですから、そういう点今後十分力を入れていく必要があると思うのです。こういうようなことを考えまして、どういう点を反省しておられるか、また今後どういう面で改善をし、力を入れていこうとなさっておられるか、この点についてひとつ率直な御感想をお述べいただきたいと思います。
○左近政府委員 高度化事業を有効にかつ厳正に実施するためには、やはりまず最初に高度化事業の融資の前提となります診断というものを厳格にやる必要がございます。それからまたもう一つは、貸し付けをした後のアフターケアが非常に重大であろうということでございまして、実は診断自身は制度としてやっておりますので、これを毎年厳格にやるようにだんだん改善をしてまいっておりますが、アフターケアの体制につきましては、昭和四十二年発足以来逐次改善をしてまいりまして、現在の状態を申し上げますと、まず建設の後で起こってまいります団地の運営上の諸問題については、診断をし勧告を行うという運営診断というものを実施することにしております。それで、この運営診断とそれからまた診断勧告を受けた後、またその事後指導というものをやっておるということでございまして、これが設立当初以降に新しくやり始めたものでございまして、五十三年度をとってみますと運営診断を七十四件もやっておりますし、事後指導は大体三百七十件というような実施をいたしております。 それから、高度化融資の対象となりました組合に対しまして監査を常時やっておく必要があるということで、これはこの高度化事業の実際の窓口でございます都道府県の監査体制を強化する必要があるということで、逐次都道府県にも強化を要請しておりますが、これは毎年中小企業庁とか通産局の職員が都道府県に行きましてそういう監査体制の指導に当たっております。 それから、事業団そのものの高度化事業の融資対象に対する監査体制を強化するということで、五十四年度に新しく監理室というのを設けまして、ここで貸しつけた後の貸付対象の組合に対しまして監視をしていくという体制を整えたわけでございます。 以上によりまして団地の運営の改善が図られるわけでございますし、また具体的に業績が不振というようなことが出てまいりますと、都道府県とか事業団の関係者が連絡を取り合いまして再建策を指導していくということで問題の解決を図っておりますが、運悪く団地の組合員の一部の人が倒産ということになりました場合には、従来は手当てがなかったわけでございますが、五十四年度から、こういう倒産等で組合員が離脱するという場合に、その土地、建物というようなものを後継者ができるまで都道府県が一時的に保有をしておいて、新しく組合員が加入すればそれに譲り渡すということにいたしまして、団地の組合の結束が乱れないようにするというふうな事業をやることにいたしました。こういうふうな事業の改善というものも図りまして高度化事業のアフターケアに支障のないようにいたしておりますが、今後とも十分注意をいたしまして、御指摘のとおり貴重な財源でございますかち、これを有効に利用するように努めてまいりたいと思います。
○近江委員 確かにそういう改善をなさっておることはわかるわけであります。しかし、何といいましても運用するのは人ですから、幾らいい制度をし、監査制度をし、監理室をつくり、そういうように改善を図ったとしても、人が運用するわけです。こういう点、やはり何といいましても、いつも私は言っておりますが、綱紀粛正ということがよく言われておるわけですが、たとえば、私の地元の大阪におきましても、大阪南港中古自動車協同組合あるいは新大阪貨物流通センター等に関係しまして事業団の職員がいわゆる贈収賄事件を起こしておる、起訴されておる、こういう事件も起きているのですね。こういう点については非常に私は遺憾であると思うのです。どのように反省されておられるか、今後の決意をお伺いしたいと思います。
○左近政府委員 大阪の事件に関しましては私どもも大変遺憾に存じておるわけでございます。今後こういう事件が起こらないように措置をするということで、問題が起こりまして直ちに中小企業庁といたしましても事業団の理事長に対しまして厳重な注意を与えまして、しかも今後こういうふうな事態が生じないような職員の服務規律の維持というふうなものについて所要の措置をするようにということで通達をいたしました。事業団といたしましては、その通達によりまして、本人の処分、それから監督責任者に対する処分というふうなものをやりました。それから監察委員会というものを設置いたしまして、今後こういうことが起こらないように絶えず取り締まっていくというふうな体制を整備いたしました。そういう点での報告もわれわれ受け取っております。 こういうことでございますので、事業団といたしましても体制を整えておりますが、先生御指摘のようにこれは人の問題でございますので、やっぱり常時そういう点を戒心をして事に当たらなければ、気を緩めますとこういう問題が起こりますので、そういう体制をとりましたが、今後も常に心を新たにしてこういう問題が起こらないように十分注意をしてまいりたいというふうに考えております。
○近江委員 時間がもうありませんので、あと一点だけ聞いて終わります。 共済事業団の事業である倒産防止共済制度、これは昭和五十二年度に発足したわけですが、当初予想した、初年度十万件加入を見込んでおったわけですが、大幅に下回る一万六千四百十三件、このように加入者が当初見込みから非常に少ないわけですね。こういう点がございます。また、共済事業団のもう一つの事業でございます小規模企業共済制度につきましても、その加入につきましては十分に徹底されてないように思うわけでございます。今後PRをうんとやり、この加入の促進、さらには中身の充実した制度というものをやっていかなければいけない、このように思うわけですが、最後にこの点につきましてお伺いをして終わりたいと思います。
○左近政府委員 小規模企業共済制度につきましては、制度創設以来累次改正を重ねまして、しかもまたPRに努めまして、現在では相当な加入件数になりまして健全な運営になっておりますけれども、これは法律でも五年ごとに見直すという制度になっております。したがいまして、絶えず検討いたしまして制度の改善を期してまいりたいということでございます。 それから倒産防止共済でございますが、これはまことに申しわけないわけでございまして、制度の創設のとき予定した件数にはなかなか達しないというのが現状でございます。そこで、一面PRに努めますとともに、やはり制度自身の改善ということによってこの加入者を増加するということにいたしたいということで、これも法律では五年ごとに見直すという規定でございますが、それにこだわらずになるべく早く改正をしようということで、実は今回改正案を提案したわけでございます。そういうことでございますので、倒産防止共済については、制度の改善とそれからPRの促進ということでいままでの予期に達しないという事態を早急に改善してまいりたいというふうに考えております。
○近江委員 終わります。
○塩川委員長 これにて中川嘉美君並びに近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。 引き続き、神崎敏雄君の質疑に入ります。神崎敏雄君。
○神崎委員 昨日に引き続きまして事業団運営の今後のあり方について質問をいたします。 高度化事業を小零細業者が最も利用しやすいようにするために補助金制度の充実が必要ではないか、こう思っております。農業への施策と中小企業施策との大きな差は、農業の構造改善は補助金が多いのに比べて中小企業の構造改善はほとんど融資です。計画作成過程の指導、援助はほとんど都道府県の負担になっております。この点への改善を強めなければならないと思うのですが、いかがでございましょう。
○左近政府委員 高度化関係の事業を円滑実施するために補助金制度を導入すべきじゃないかという御趣旨でございます。確かに高度化事業を円滑実施する上においていろんな手間もかかり経費もかかりますので、そういう点も考慮しなければならぬかということでございます。そういう点で、実は従来も零細企業者の計画しますいわゆる工場アパートとかあるいは商店アパートというようなときには地方公共団体が計画実施段階をかわって実施するというふうな制度も導入したわけでございます。こういうことでございますので、国といたしましてもそういう部分について極力効果を上げるようにするのにどうしたらいいかということを絶えず検討しているところでございます。御提案もございましたのでわれわれとしても十分その点も検討させていただきたいというふうに思っております。
○神崎委員 ひとつ前向きに検討していただくように希望しておきます。 次に、制度上の大きな問題として、現状は同業種を主体にしたグループによる事業になっております。今後異なる業種の業者が共同してある事業を行う場合も対象にすべきだと思います。不況地域対策、過疎地対策も含めて業種の枠を超えた地域経済振興の高度化事業もあり得ると考えるものであります。この点広げる考えはないでしょうか。
○中澤政府委員 先生ただいま御指摘のとおり、高度化融資事業の原則は同一業種に属する中小企業者が組合によりまして事業の共同化を図っていくということを対象としております。ただ、例外的に、公害発生施設を有する中小企業者の集団化事業あるいは産地におきます集団化事業等につきましては、この同一業種要件を現在緩和して、異業種による高度化事業も認めております。ただ、先生御指摘のように、過疎地問題の場合、あるいは最近におきまして都市の過密地域の中の中小企業の対応といたしましては、最近移転する場合の適地がなかなか確保が困難であるというような事情とか、あるいは取引先との関係から移転がむずかしいということ、あるいは工場の再配置の促進が必要であるというような、いわゆる都市再開発に絡みます問題が出てきております。したがいましてこのような都市型の中小企業の実態等の状況から考えますと、同一業種の要件を緩和いたしまして、異業種間の地域ぐるみの高度化事業が必要ではないかということも言われております。したがいまして私どもといたしましては、一般的には同一業種原則というものを維持する必要があるかと思いますけれども、このようなケースに着目いたしまして異業種間の異業種ぐるみの高度化事業の検討ということも、今後も制度改善の一環といたしまして検討してまいりたい、かように考えております。
○神崎委員 では、次に小売商業対策に的をしぼって伺いますが、借り店舗で営業している小売業者は全国でどれくらいの数あるでしょうか、掌握されておりますか。
○廣瀬政府委員 昭和五十一年度の商業統計によりますと、全国の小売商業者は百六十万程度となっております。このうちテナント形式による貸し店舗で営業を行っているものが何社あるかということにつきましては、目下のところ資料はございません。しかしながら、社団法人日本ショッピングセンターに加入しております、ショッピングセンターに入居しているテナントの数は五十三年末現在で四千四百店となっております。
○神崎委員 国鉄や私鉄の高架下の商店も含めて考えますと、店舗を借りて営業している小売業者も相当の数に達すると思うのであります。ところで、こうした業者が一つの組合をつくって共同で店舗を借りて営業するという場合、高度化事業の対象になり得るでしょうか。
○中澤政府委員 お答え申し上げます。 借り店舗での営業を行います場合に、共同店舗のテナントについて高度化資金の資金対象になり得るかという問題でございますが、小売業の共同化事業につきましては、個別の小売業者がテナントとして個別に入居するという方式よりも、やはり傘下の中小企業、小売商業者が集まりまして協業化をするという前提のもとに、主体的に店舗運営を行うということが共同化事業の本旨に合うのではないかということから、現在の店舗共同化事業の制度化におきましては、テナントとしての入居資金につきましてはその資金の対象にならないということでございます。もちろん金融面につきましては政府系の金融機関からの貸し付けの対象になるということは当然でございます。ただ、零細な小売商業者が店舗の共同化事業を行う場合に、なかなか共同化事業に乗りがたいという場合には、店舗共同利用事業、いわゆる商業アパートという制度でこれに乗り得るということにはなっております。
○神崎委員 では、もう一点聞きますが、倒産防止共済制度に関して伺いますけれども、テナント業者はこれに加入できるのでしょうか。
○廣瀬政府委員 テナント業者でも倒産防止共済制度には加入できることになっております。
○神崎委員 できるのですね。 オーナーがテナント業者の売り上げを十五日から三十日間とか、こういう形で預かるという型のテナント契約を結んでいる場合、こういうケースも多いようであります。その間にオーナーが倒産した場合のことを考えまして加入したいと申し込んだところ、オーナーの倒産は取引先企業の倒産とは言えない、こういう理由で加入できないとされた例があります。現在の制度ではこういうことになるんでしょうか。先ほどのお答えとの関連でいかがでしょうか。
○廣瀬政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、テナント業者でも倒産防止共済制度に加入できるわけでございます。しかし、ただいま御指摘の件は、そもそも中小企業倒産防止共済制度というものが、商取引の相手方たる取引先が倒産した場合にその取引先に有している回収困難額を掛金の十倍の範囲内で救済をするという制度でございます。御指摘の件は、店舗の貸し主がテナントとの間でテナントの売上金をしばらくの間預かる、預かっていたが、しかし店舗の持ち主が倒産したために預けた売上金が回収できない、こういうことになるわけでございます。ところが、法律が想定しておりますあるいは予定しております救済の事由といたしましては、倒産防止共済契約に加入した者の売掛金の回収困難だけでございますので、本件の場合は対象にならないということでございます。対象にならないということとテナントの小売業者が本制度すなわち倒産防止共済制度に加入できないということとは別の問題と理解しております。
○神崎委員 非常に明快な分析的答弁ですが、そこでならないということでもう切らないで、そこをひとつ今度の事業団法せっかくつくるのですから、そういうものも救済できるような方法というものがないであろうか、私もこれは少し無理だとは思いますよ。しかし、いまのままではそういうことがたくさんありますから、そういう場合にも救済してやるということが法のやはり精神でもあって、そういうことはできないだろうか、そういう立場で伺っているのですが、御配慮ができたらその余地的言質をにしきの御旗にして、これからどんどんとそういうことを並べていくわけじゃございませんが、そういうようなことができないだろうか、御検討願えないでしょうか、こういうことです。
○廣瀬政府委員 例産防止共済制度は、通常の商取引に基づく売掛金債権が相手先の倒産によって回収困難になった場合に適用されると先ほど御説明したとおりでございます。商品または役務の取引に基づかない貸付金債権、たとえば通常の金貸しや御指摘のいわゆる保管を頼んだ、こういった種類の債権と申しますか、金の引き渡し請求権などは、仮に相手方の倒産によっても救済できないということは再々御説明しているとおりでございます。なぜそうなっているかということでございますけれども、これはこの倒産防止共済制度が商品、役務の提供及びこれに対する代金支払いという双務的な関係において取引先が倒産するという場合に、被害をとどめて連鎖倒産を防止する、こういう趣旨でできているわけでございます。したがって売掛金債権に限定をしたということは、最も緊急を要し、かつ政策的にも救済の必要性が高い、このようにも判断したものでございます。御指摘のような件にまで本制度の対象を広げるということは被害の範囲を拡大することになるわけでございますが、本来かかるケースまで政策の対象に含めることが本当にいいかどうかという基本的な問題のほかに、被害の真実性と申しますか、その真実性の認定のむずかしさ等々がございまして非常にむずかしい、このように考えております。
○神崎委員 それは少し趣が違いますから、ひとつまた次の課題にしましょう。 店舗を借りて営業している小売業者はほとんどこの国の施策の対象外にされている、あるいは大幅に制限されている、いわば穴になっているということであります。私ども商店街の実態調査も行いましたが、たとえば横浜市などで、百二十店以上の大きな商店街を形成しているところでもその半分は借り店舗であるという事例もあります。当然こういう商店街は店舗の改装などもなかなか進まない、消費者の要求にこたえた高度化事業に取り組むことができないわけです。倒産防止共済制度にも加入できないというのは納得がいかないのですが、この点、施策の改善を至急行うよう求めたい。いかがでしょうか。
○左近政府委員 商業対策、ことに小売商業対策というのにわれわれ重点を置いてやっておりますけれども、率直に申しまして、小売商店というのは全国に非常に数も多いということから、なかなか政策がたとえば工業部門に比して行き渡っていないというのが現状でございます。ことに、御指摘のような店舗を借りて営業しておるというような人々に対して、国の政策がなかなか及んでいないということは残念ながら御指摘のとおりでございます。われわれといたしましては、やはり商業対策もだんだんきめ細かくやってまいりたいと考えておりますので、そういう店舗を借りて営業している方々にも国の政策が均てんするように努力をしてまいりたいと思います。 倒産防止共済につきましては、いま御説明しました法理論もございますので、いますぐこれを加えるというのははなはだむずかしいと思います。しかしながら、いまのような事例、つまり売上金を一時保管をしてもらっておるというような形で、そのときにオーナーが倒産すれば店舗を借りている方は売り上げがとれないわけですから、これは大変お困りになることも事実でございます。したがいまして、倒産防止共済に入れるかどうかということも含めまして、ほかの道で救済できればそれも一つの手でございますが、こういう店舗を借りて営業しておる方々は、御指摘のとおり現に相当あるわけでございます。それについて残念ながらいままで余り政策が行き渡っていなかったことの反省に立ちまして、そういう点についての今後の政策について少し勉強させていただきたいというふうに思っております。
○神崎委員 そもそも今度の事業団法が出されている一つの視点といいますか、これは行政機構の改革ということの一環でもありますが、われわれいつでも法律を改正する、改正というのは文字どおり正しくいい方に改めるのであって、悪い方に改めたらこれは改悪になりますね。そういう点から見て、中小企業、なかんずく零細商業者あるいは小売業者という常に弱い立場にあり、せっかく政府がものをつくってもそれに直接かかわり合いを持たしていただけない、悪い言葉で言えば日が当たらない人たちが、法律が改正されるたびに日の当たる方へ少しでも寄せてもらえる、また政府もやはり変えるたびにそれを抱えていく、こういう精神が法をつくる場合の精神だと私は思うのですね。したがいまして、いまの段階ではだめですが、今度法律を変えましたらそういう者も救済できますという形に変わっていくことが私は改正の精神だと思うのです。そういうことで、よく言われる言葉に、これは法になじまないとかあるいはこれは少しやりにくいとか、そういう言葉で常にそういう人たちは困っている、だから行政の立場から見てそれを改善していくようにしていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。きょうのお答えは、そういう弱い立場の方々を守っていこうとかよくしようとか、こういうことを思っていらっしゃるようなお答えも大分いただいておるので、その点では安心はしますけれども、なお一層その点をお願いしたい、こう思います。 そこで最後に、事業団役員の天下り問題について触れておきたいと思いますが、振興事業団において、現在の部長以上の常勤幹部十四名のうち、もともと振興事業団出身の幹部の方は何名おられるのでしょうか、理事長でおわかりでしたら、お答え願いたい。
○斎藤参考人 部長以上の中で出向者は一名でございます。
○神崎委員 いま一名だということを伺いましたが、実情は十四名中七名が天下りであります。総務部長が通産省の出向役員、経理部長が大蔵省出身、監事が自治省、理事のうち一人が大蔵省、別の一人が中小企業庁、副理事長が内閣法制局、理事長が元中小企業庁長官、こうなっております。指導部長も庶務部長も中小企業庁出身ですが、事業団結成時からの人です。また理事の一人は民間会社からの人です。結局、本当の事業団プロパーの幹部は四名だけ、理事以上の役員には一人もいないということです。 こういうような点は改善すべき点だと私は指摘しておきたいのですが、最後に大臣はどうお考えになっているか、御見解を聞いて質問を終わりたい。
○佐々木国務大臣 行政改革でただいま公団の役員等の人事をどうすべきかという問題がございまして、十人おれば民間側半分、官側半分でいいのか、いろいろそういうパリティーのようなものを、そのとおりやらぬでも大体の基準みたいなものを決めようということになっております。そういう点がはっきりいたしますればそれに従ってやりたいと思います。
○塩川委員長 これにて神崎敏雄君の質疑は終了いたしました。 引き続いて、渋沢利久君の質疑に入ります。渋沢利久君。
○渋沢委員 この法案は二つの事業団の統合のための法案であるわけですが、それぞれの事業団の事業内容に触れた部分についてはかなり長時間にわたって各委員から幅広く奥深く質疑がありましたので、私は最後でもありますから、本法案の主たる趣旨であります統合の問題に主として焦点をしぼって、若干のお尋ねをしたいというふうに思うわけであります。 最初に簡潔に、これはやはり大臣から、この法の二つの事業団を一つにすることの積極的な意味、そのメリットというものは端的に言うならばどういうことだろうかということから伺っておきたい。
○佐々木国務大臣 先ほども申し上げましたが、行政機構で特殊機関を整理統合しようというのが今度の行政機構改革の第一着手でございまして、去年新内閣ができまして早速その方針で始まりました。就任に際しまして、各大臣一人ずつ総理から呼ばれまして、この内閣では行政機構改革を思い切ってやるので、それに賛成するのであれば大臣に任命するけれども、不賛成の場合はそうはいきませんぞというきついお示しで、第一回の閣議でも繰り返し総理からその話がございましたというところから出発しておるわけでございます。その間にありまして、いまのエネルギー事情が非常に緊迫し、現状のままではとても世界のエネルギー事情に相呼応して日本の将来のために新しいエネルギーを創造していくというようなのはできない、何とかして財源も整備し、機構も整備したいということで通産省はかねて企図しておりましたけれども、幸い予算の方は御承知のように新財源がつきまして、この方は解決しました。残るのは機構の問題だけでございますので、これは何としてもこの際行政改革のただ中であってもこれだけは完遂したいというので、省を挙げまして努力もし、党の首脳部も賛意を表してくれましたのでこの方は無事通りました。しかし反面、行政機構で整理するものは整理する最中に新規のものをつくるとは何事か、それであるならば行革の本来の面目に返ってそれに相応するような犠牲を払ってもらいたいということがございまして、ただいまのような問題が生じたわけでございます。これがありていな真相でございます。 そこで、いまの二つの機関を一つにするようになったわけでございますけれども、初め私どもも性質の異なる二つの機関を、中小企業という範疇では同じ土俵でありますけれども、これを一緒にしてうまくいくものだろうかという危惧の念を持ったことは、御指摘のとおり事実でございます。しかし、だんだん冷静に考えてまいりますと、中小企業に対する対策というものは、ばらばらでいろいろな機関があるよりは、できますれば一つの強力なものにして、従来のそれぞれの機関の持っておる知識等も持ち寄ってあるいは情報交換等もさらに精密にできるようにやっていけば、それに付加するに今後いろいろな新しい任務が生まれてくるだろうから、そういう新任務も各機関に分けてやるよりはこういう統一機関に持たせた方がむしろ効率的でなかろうかというので、ことしから御承知のようにソフトウエア的な問題を中小企業の中心に据えていこうじゃないかという案を中小企業庁は持っておったものですから、それではそれをこの統一機関に持たせようというので、人材の養成とかあるいは先ほど来言いましたような情報交換とかあるいは新市場の開拓とか、新市場の開拓という問題は、今後非常に幅の広い、言うなれば世界にまたがった大きなものになろうと思います。そういう点も加味していけば、新しい機構に統合して、初めに考えたように消極的に考えぬでも、もっともっと積極的にそれを伸ばし得るものじゃなかろうかということで研究いたした結果、かえってこの方がいいじゃないかという議論になってまいりまして、ただいまのような案がでてきた次第でございます。
○渋沢委員 その前段の、いやそれが本音ですと言われた部分についてはまさに本音であろうと思うのだけれども、そんなことは聞かぬでも大体わかっておったことなのです。それがそのままだといたしますと、この法案で二つの事業団を一つに統合する積極的な意味というのは全くないわけであります。いま最後にちょっとつけ加えられたけれども、それとてもこの法律案の中にはどこにも積極的な意味はない。むしろ本音だとおっしゃった部分がまさに本音なのであって、つまり、これはどうしても必要があって二つを一つにするというのじゃなくて、あなたが大臣になる条件として、この機構の縮小をやらなければ大臣にさせませんよという条件を組閣のときに大平さんからつけられたので、しようがなくて二つを一つにする作業を通産の所管の中では選んだ、こういうことなんです。これはまさに本音でしょう。しかし言ってみると、ここだけじゃないけれども、今度の政府の行政改革という名のうつろなドラマがありますけれども、これの本音がまさに幾つ減らしましたということだけで形を整える行政改革になっていることの証左、そのことをあなたはいま率直に言っていただいたわけです。しかし大臣、政府が国会に法律案として出すもので、そんな情けない法の背景といいますか趣旨というものはありますか。そんなものではわれわれまじめに議論のしようがないですよ。しようがなくてやったのだ、数減らさにゃ大臣になれなかったのだ、総理との約束だから。そんなことは日本の中小企業にとっては関係のないことだ。まさに関係のないこと。私が問うたのは、二つの事業団はいずれも中小企業のためと称してつくられて、国の予算も国民の税金も投入されている。この貴重な事業団の二つを一つにする統合のための法律案にいかなるメリットがあるかというのを問うたのは、そのことによって日本の中小企業者、苦悩大きい日本の中小零細企業のためにこのささやかな法律案、事業団の統一、統合というものがいかなるメリットがあるか。メリットというのはあなたのメリットを聞いたんじゃないですよ。どういうメリットがあるかと聞いたのは、日本の中小企業者にとってこの法律はどんなメリットがあるかということを聞いたのです。あなたの率直な人柄は好きなんです。本音をおっしゃるところは大変好きなんです。 しかし、そのまま本音をもう一つ聞かせていただきたいのだが、この法律は、言ってみると、いまの経過でお話しになったように、二つの事業団をともかく形だけ一つにするものだ、こういうものでしょう。それ以外に残念ながら日本の中小企業のためのメリットとか行政上のメリットなんというものは、大臣がここで胸を張って言うほどのものはないというのが本当のことでしょう。それならそれでよろしい。とにかく伺いたい。
○佐々木国務大臣 皆様の合い言葉に一歩後退二歩前進ということがございますが、これはまさしくそれだと思います。災いを転じて福となすということで、もしそうでなかりせば両機関をそのまま強化すればそれでよかったのでしょう。しかし、両方合体することによりましてばらばらにやるよりはもっと大きい力になるという、何も毛利元就ではございませんけれども、もっと強く育てる、その方が中小企業のためだ、やってみますとそういう結論になってきましたので、むしろこの方がよかったのじゃなかろうかというただいまの考えでございます。
○渋沢委員 率直に言えばまさにこの法案、統合が災いの象徴であり、一歩後退の代名詞であるというところに何ともふがいない感じを免れないのですが、そこで念のために幾つか聞いておきましょう。 この二つの事業団の統合ということの中で、機構上それぞれの事業団がやや独自性のある仕事を抱えておりましたから、これが看板を一つにすることによって機構上、行政組織上、事実上の統合になるような部分はあるのか、これはないのか、行政組織の上ではこの二つの事業団はおおむね実態をそのまま残して既存のものを共存させていく、こういう構造ですね。
○左近政府委員 両事業団それぞれの業務をやっておりまして、これを統合するわけでございますので、当面の間はそれぞれの業務を実施するということでございまして、組織上大きな改編は出てこないというように考えております。ただ、もちろん役員等の中枢部は一体化いたします。そしてまた中枢部において一体的な運用を図らなければいけません。したがいましてその中枢部の機構は一体化いたしますが、管理の部門でも物理的ないろいろな管理問題、これはビルが別々にございますのでこれは若干残るかというふうに考えております。 ただ、将来の問題といたしましては、両事業団の統合というのがいま大臣のお話のようにやはり中小企業対策の大きな中核になるということで、一体的な運用が一番必要とされますので、将来についてはなるべく早く一体的な組織に持っていきたいというふうに考えております。
○渋沢委員 政府の言う当分の間というのはかなり世間の常識とはかけ離れた物差しがあるので、実態としてはかなりの期間いまのままでいくんだろうというふうにいまの説明を受けとめるわけですが、その中身としては、組織、機構の上だけじゃなしに、役員を別にして、たとえば職員の数、身分、待遇というのか、そういう諸条件等についてもそれぞれ既存の、現行の条件をそのまま踏襲する、こういうことですか。
○左近政府委員 職員の身分等につきましては、合併時には従来の両事業団をそのまま引き継ぎますが、先ほど言いました機構等の整備に伴いまして逐次統一化していく、それから人事の交流を図っていきまして、適材を適所に配置をして統合の実を上げたいというふうに考えております。
○渋沢委員 その事業はそれぞれの仕事をそのまま抱えていく、そして職員の身分も組織も給与も、あらゆる条件もそのまま抱えていく、こういう形ですね。ですから実態は、統合と言うけれども看板の統合であって、実態の統合では当分の間はない。当分の間を三年と読むか五年と見るかは別として、そういうふうにいまの説明と法案の内容から言えば受けとめざるを得ないというふうに思うわけですが、そういうことでよろしいですね。 その場合に尋ねたいことは、いまの長官の話で言うと指導部、役員だけは一体化していくんだ、こういう説明があったように思います。しかし事業は事実上看板を塗りかえただけで、従前の事業団が従前の仕事を継続していくわけですから、そういう組織機構上、指導責任、予算の配分、執行、その監督、検査を含めて、すべてそういう形で当分の間二つの事業団が実際は運営されていく、こういう構造の中で役員だけ完全に一本化して、その役員が二つの独自的な事業団の全体の責任を持ち得るような運営があり得るんだろうか。むしろ役員の方も、これは形は一本化だけれども、内容としては旧共済事業団、旧振興事業団のそれぞれの職務分掌が理事の間でもできてくるわけでしょうから、それぞれに協議をして執行についての運営についての責任を果たすということでないと、責任ある役員といいましても名ばかりのものになってくる。これはかえって有害じゃないですか。そういうことの運営上、細かいことを聞くようですが、これは本音で言うとどうなんですか。
○左近政府委員 この経過期間というのはなるべく短くやりたいというのがわれわれの本心からの願いでございまして、通常言う当分の間というようなこととはわれわれは違うべきだという観念がもともとございます。それで、実は昨年の暮れにこういう方針が決まりまして以来、統合を円滑にやり、いまのような事態をなるべく早くするために両事業団と私の方でそれぞれ委員を出しまして、統合についてのいろいろな検討を進めております。したがいまして、この法律が制定され、六カ月以内に施行ということになっておりますので、新事業団が発足されますれば、なるべく早く新たな事態に移りたいと考えております。したがいまして、まず役員は一体的運用をする、その一体的運用をするという役員をまずつくって、そこから逐次組織自身も一体化していくということで、そこをあいまいにしておきますと一体化がどうしてもおくれますので、むしろ一体化の第一歩として役員をまず一体化していくという形をわれわれはとりたいと思っております。 統合して一体化しないと、実はいままで両事業団が仕事上いろいろ接触しておりました中小企業の方々に大変御迷惑をかけることになります。この両事業団の統合でわれわれが一番気をつけなければいけないのは、やはり中小企業の方々に御迷惑をかけないということが一番大事だとわれわれは思っておりますので、そういう気持ちで極力早く実施してまいりたい。これは本当に偽りのない本音でございますので、われわれの方も一生懸命にやりますが、また先生方も御督励願いまして、われわれの考えておりますことをなるべく早く実施させていただきたいというように考えております。
○渋沢委員 何かずいぶん中小企業者の立場を考えてこの二つの事業団の統合に取り組んでいるようなおっしゃり方だけれども、これは本音はさっき大臣がおっしゃったとおりだし、実態はだれが考えたって二つの事業団が全く同じ仕事をするのに看板だけは一つになるのだ、まずパンフレットから、あなた方は形だけはばらばらの事業団のパンフレットを回収して、一本化した宣伝資料をつくらなければならないところからまずむだが始まるように、いままでそれぞれかかわっておった一般の国民は戸惑うわけですよ、看板は一つだけれども実態はどうなるのだ。これは現実には決してメリットも何もないのですね。これはマイナス要因だけが多いのですよ。役員の面では、縮小整理という点で言えば一定の進歩というかどうか知りませんけれども、変化はありますけれども、それ以外のものには何の変化もない。変化があるとすればむしろ中小企業の皆さんには不便をかけるという程度のものでしかないですね。 役員のことについて言うと、常勤が五人、六人、合計十一名というのが今度は九名ないしはそれ以下ということになるわけですから、常勤の役員が二人減るということになりますかな。これは現存のそれぞれ両事業団の理事長、理事、監事等の中から二名ないしそれ以上減らすというような配置で考えているのか、それともこの法によると、理事長、監事等が大臣の任命、あとは理事長が任命するということになっておりましょうか、すべてはこれはゼロから出発するというか、この法案の成立と同時に二つの事業団は解消されて、したがってその役員についても一たん白紙に立って九名の新役員を選ぶための手だてをする、こういうことなのかをまず聞いておきます。 それから、事のついでですから、このほかに実際にこの法案の中で中小企業の業者のために大変プラスになるような要因が、本気でおっしゃられるようなものがあるのなら言ってください。ぼくらどこにも見当たらないので先ほどからそう申し上げておるのです。
○左近政府委員 両事業団の常勤の役員は現在合計十一名でございまして、そのうち三名を削減いたしまして八名にするというのがこの改革の案でございます。それで役員の任命は、新事業団ができる際に旧事業団が解散になりまして、従来の役員は退職をいたします。そして新たにこの理事長と監事は通産大臣が任命する、副理事長及び理事については理事長が通産大臣の認可を受けて任命するということになっております。 どういうふうな形でやるかというのはこれからの問題でございまして、現在おる方が引き続いてやるのかあるいは新たに任命するのかということについては、適材適所という判断から今後考えてまいりたいというふうに考えております。 先ほども申しましたように、この統合というのが急に決まりましたものですから、事前の準備が不足をしておりますので、先ほども申しましたように、合併時直ちにいろいろなものをすぐに切りかえることができないということで、いまの御指摘のように中小企業の方々に御迷惑をかけることが多いと思いますが、われわれとしてはそういう御迷惑を極力少なくして、この合併の実を上げたいということでございまして、やはりわれわれとしてはこの事業団の今後の運営においてそういう事実をあらわすしかないというふうに考えております。そういう点でわれわれも一生懸命にやりたいと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
○渋沢委員 先ほど大臣は、この法案は一歩後退、福と災いで言えば災いという印象を述べられたのだけれども、中小企業関係分野についてこれ以上行政の後退などというものはあってはならないときなんですから、だから新エネルギー機構のように幾ら行政改革のあらしが吹こうと、その中でも国家国民のために必要なものはつくっていくのはあたりまえのこと、われわれも内容によってはそういうものも支持するわけです。不必要なものは、これは断固として整理をしていったらよろしい。統合したらよろしい。また、統合の中でさらに新しい相乗効果を生むような政策配置や行政措置が望ましい。われわれはいいものは積極的に賛成をしていきたいと思っておるのです。ほかは手をつけないで、通産の中で何か手をつけるということになると真っ先に中小の団体の方にだけぱっとくるところがどだい不思議なんですけれども、そのことは別として、たとえば大臣はこの機会にこの二つの事業団を一つにして、中小企業分野での政策の浸透についての一体化を図っていく、こういう積極的な意味があるんだとおっしゃった。それならそれで結構なんです。ところがそういうものはない。たとえば振興事業団の事業の三つのうちの一つの柱である中小企業のための情報提供ということの分野がありますけれども、しかし通産関連の国庫補助や委託費の関連の中で、たとえば社団法人中小企業情報センターあるいは財団法人の中小企業情報化促進協会等に対する補助や委託等の予算もありますね。やはり政府の行政機構改革ということの中で数合わせのため、余りにもそういう印象が強い。あなたは大臣がおっしゃるように、決してそうじゃなくてこれを機会に中小企業分野での政策上の整合化をいろいろ図るという前向きのものがあるんなら、やはりこういう分野についての一定の整理等も含めて検討するとかということがなければいけなかったのじゃないだろうか。あるいは中小企業分野だけじゃなくて、それ以外の面でもむしろこういう形だけの統合で事を糊塗するというようなことでない、積極的な冗費の節減というような行政改革の方向にこたえるような施策というものの究明がなぜされなかったんだろうかという疑念を私はどうしてもぬぐえないのです。それが証拠に、たとえば中小企業のための情報提供という部分で言うと、似たようなセンターに全く違った形で金を出してばらばら行政をやっておるじゃないですか。こういう検討なんかされておらなかったんでしょう。そういう分野が一つ、たとえば情報提供の分野などの検討なんて、それほど細かいことをやられたんじゃないでしょう。あるいはもっと別な分野で、通産全体の中での本来目をつけなければならぬところはどこかというような検討が本当にされたんじゃないでしょう。比較的統合しやすい二つの事業団を一つにするという数合わせだけでやられたんじゃないのかという印象をぬぐえない。どうですか、これは。もう一度答えてください。
○佐々木国務大臣 詳しくお話しすると何ですけれども、仮に国内的に見ましても、地域産業と申しますか、地域振興のための中小企業の持つ新しい役割りというものは、地方の時代にふさわしい任務があるはずでございます。また、先ほど先生おらなかったのですけれども、私この一月にインドネシア、シンガポールに参りまして、向こうでは日本の中小企業の移転と申しますか、進出と申しますか、大変歓迎しております。大統領初め大変なものでございます。これは考えてみますと、やはりいまの後進国の追い上げが順次日本の産業の構造改善に結びついてくるものだと思います。これは否もうとしても否めないいまの流れでございまして、そういう際に日本はこういう機運にどういうふうに乗っていくか、乗っていくそれ自体は決して大企業ばかりじゃございません。中小企業自体もそういう運命にもう来ているんじゃなかろうかという感じもいたします。 そうこう考えますと、国内的に見ましてもあるいは国際的に見ましても、従来と大変変わった一つの新市場開拓と申しますか、そういう時代に入ってきているんじゃないか。技術向上はもちろんのこと、人材養成もしかり、みんなそういうものに備えるための一つの準備だと私は思います。でございますから、こういう機関が新しくできた、その新しい器に新しい内容を盛って、いま文面にないと言うのですけれども、これからつくるのですからないのはあたりまえでありまして、しかし気持ちとしてはそういう気持ちで問題をクリエートしていくというのが大変重要なことだと考えておるのでございます。そういうふうに思いを改めてみますと、決してこういう統合機関というものはむだじゃなくて、むしろその後は強化されていくんじゃないかという感じがいたしますので、皆様に御提案をした次第でございます。
○渋沢委員 決意と意欲のほどは、言葉の上ではわかりますけれども、しかし、この法案自体にはそういうより強化していきたいというような決意は残念ながら出ていない性質のもので、これからの取り組みにそういう意味では大いに期待をしたいと思うのです。 私が言いたかったのを一つだけつけ加えて言えば、通産関連全体の国庫補助や委託費の中では、指摘をすれば限りがありませんけれども、たとえば特殊法人で言えば、民間輸送機開発何やら協会、いま資料がありませんけれども、たとえば日本の大手企業のアメリカのボーイング社でしたか、などとの提携による民間航空機開発という旗印に乗って、これは六十億か、たしかそれを上回るほどの年間国庫補助が、これは物の見方の違いかもしれませんけれども、まさに力のある民間の大手企業がみずからの責任と力で本来果たさなければならない分野を、その前身である航空機製造株式会社との絡みを含めて、戦後一貫して莫大な国費が投入されておるような分野などと対比してみるなら、わが国の中小企業分野に対する姿勢の弱さが歴然としておるんですよ。そういう通産行政全体の総がらみの中での行政改革というものの受けとめ方、冗費の節約という受けとめ方がなくて、一番先にとにかく整理しやすい中小企業へ目が向けられ、形ばかりの中身のない、二つの看板を一つにすりかえるだけの、そしてそのために余分な説明と仕事をしなければならぬだけで、中小商工業者にとっていささかもいまの段階ではメリットのあるようなものではない、こういう統合案が出されてくるところに問題があると思う。その辺をきちんとしないで、いろいろと言うけれどもこれからを見てください、ゼロから出発するんだ、いまはゼロだってというあなたの話だけでは心から拍手をするわけにはどうもいかないわけです。ぜひこの機会にひとつそういう意味での姿勢をきちっとしてもらう。特にこの中小企業分野の中でも、先ほど質疑もありましたが、小零細企業分野での取り組みなんていうのは全くおくれているのですね。二つの事業団の取り組みについても私どもたくさん問題を持っております。ですからこの数日間にわたる法案審議に当たって、この統合それ自体に質疑の焦点が向かないで事業の内容に触れて集中的に質疑があったというのも、言ってみれば二つの事業団の事業、わが国の中小企業施策の中身に国会が全体としてかなりの問題意識を持っておる、不満もあるということのあらわれだというふうにお受けとめいただくことが大事なのではないかというふうに思います。 ちょうど時間でありますので、最後にいま一度簡潔で結構ですから、これを機会に中小企業施策に向けての大臣の決意を伺って私の質問にしたいと思います。
○佐々木国務大臣 冷静な分析で御指導いただきましてありがとうございます。しかし、せっかくこういう機関をつくるのですから、どうぞひとつ一緒になって育てていくようにお願い申し上げまして、私の答弁にいたします。
○塩川委員長 これにて渋沢利久君の質疑は終わります。 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
○塩川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 中小企業事業団法案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○塩川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○塩川委員長 次に、本案に対し、堀内光雄君外四名から、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党・革新共同及び民社党・国民連合五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。近江巳記夫君。
○近江委員 提案者を代表いたしまして、附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 中小企業事業団法案に対する附帯決議(案) 政府は、本法施行にあたり、中小企業事業団を中小企業の振興、経営の安定等に一層貢献させるため、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一 新事業団の設立にあたっては、統合によるメリットを活かして効率的な事業団運営を図るとともに、統合に伴う職員の処遇に十分配慮し、また広く適材の活用に努めること。 二 中小企業倒産防止共済制度及び小規模企業共済制度についてのPR対策を強化して、加入の促進を図るとともに、制度の一層の充実に努めること。 三 高度化事業に対する事業団の助成内容の拡充強化を図るとともに、高度化事業の実施に関しては、きめ細かな診断指導を行うよう努めること。 四 中小企業大学校等による中小企業者等の人材養成事業の充実強化を図ること。 以上でございます。 附帯決議案の各項目につきましては、委員会審議及び案文を通じ御理解いただけるものと存じます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○塩川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○塩川委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付すことに決しました。 —————————————
○塩川委員長 お諮りいたします。 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○塩川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○塩川委員長 この際、佐々木通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。佐々木通商産業大臣。
○佐々木国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、中小企業対策の実施に万全を期する所存であります。 ————◇—————
○塩川委員長 次に、近江巳記夫君外四名提出、下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案、近江巳記夫君外四名提出、小規模事業者生業安定資金融通特別措置法案及び近江巳記夫君外四名提出、伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を議題といたします。 順次提出者より趣旨の説明を聴取いたします。近江巳記夫君。
○近江議員 ただいま議題となりました下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 本法は、取引関係で弱い立場にある下請事業者の利益の保護を図るため、下請代金の支払いの期間及び支払い条件等について基準を定めておりますが、実際には不況の深刻化等、経済変動の影響が下請事業者に著しくしわ寄せされ、親事業者から不当に不利な取引条件を押しつけられる場合が少なくないのであります。 たとえば不況により親事業者は減産に追い込まれると、下請事業者に対する発注量を大幅に減らすのみならず、自社の操業率の低下を食いとめるために、それまで外注に出していた仕事を社内生産に切りかえる内製化を進めることにより、下請事業者の一方的な切り捨て、あるいは自社生産の減少分をはるかに超える仕事量の削減を行うのであります。 さらに、親事業者は資金繰りが苦しくなると、下請代金の支払い条件についても現金比率を引き下げたり、納品から支払いまでの期間、さらには手形の決済期間を延長して下請事業者にその負担を転嫁することになります。 言うならば、親事業者は下請事業者を景気変動のクッションとして利用しており、景気がよいときは生産費の節減を図るために多くの外注を出す一方、不況時にはこれらを切り捨てて不況の影響を少しでもやわらげようとするのであります。 このように親事業者は下請事業者を利用して不況に対処することができますが、下請事業者にとっては、自己防衛の手段は全くありませんので、その利益を保護するためには法的に十分な措置が必要なのであります。 この点から見ますと、現行法は一部にざる法とも言われるように、下請事業者の保護対策としてはきわめて不十分な内容であります。 そこで、本改正案は下請事業者の置かれている現状にかんがみ、支払い条件について規制を強化して、親事業者と下請事業者との公正な取引を確保し、もって下請事業者の経済的利益の保護を図ろうとするものであります。 次に、改正案の内容について御説明申し上げます。 第一は、下請代金の支払い期日を現行の六十日以内から四十五日以内に短縮することであります。 本来、下請代金は給付受領後遅滞なく支払うべきものであります。しかしながら、現実は不況となり、資金繰りが苦しくなると代金の支払い期日を繰り延べる傾向が見られます。 この際、下請代金を速やかに支払い、下請事業者の保護を図るため、支払い期日を給付受領後四十五日以内に短縮することといたします。 第二は、下請代金のうち、現金支払い部分の比率を新たに定めることであります。 親事業者は資金繰りが苦しくなると、下請代金について現金支払いの比率を下げる傾向が見られます。手形の場合は金融機関で割り引くとき一定の割引料がかかりますし、また実際には金融機関により手形金額の百分の十五ないし百分の三十を歩積みとして強制的に預金させる場合が少なくありません。さらに、手形が不渡りになった場合には、下請事業者は金融機関からそれを買い戻さなければならず、それだけ危険負担を負うことになります。 このように、手形による支払いは下請事業者にとって相当不利な面がありますので、公正な取引を確保するため、親事業者は下請代金のうち親事業者の現金支払い比率の実態及び支払い能力を勘案して、百分の五十以上を現金または小切手で支払うよう努めなければならないことといたします。 第三は、都道府県知事に中小企業庁長官と同様に本法違反事実に関する立入検査、報告の要求、公正取引委員会に対する措置の請求の権限を与えることであります。 現行法ではこれらの権限は都道府県知事に与えられておりませんが、膨大な下請取引の実態について十分に把握し、それに関して必要な措置を講じて下請事業者の保護に遺憾なきを期すためには、これらの権限を都道府県知事にも付与することが必要であります。 第四は、親事業者は下請事業者との継続的な取引関係を維持するように努めるべき旨の規定を新たに設けることであります。 これは、経済変動により、親事業者の生産が縮小されると、外注部分を大幅に減らして一方的に下請事業者を切り捨ててしまう場合が少なくありませんので、下請事業者の立場を保護するために、親事業者は継続的な取引関係にある下請事業者に対しては引き続きその取引を維持するよう努めるべきことといたしました。 以上が本法律案の提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
○塩川委員長 次に、長田武士君。
○長田議員 ただいま議題となりました小規模事業者生業安定資金融通特別措置法案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 従来の政府の中小企業政策はともすれば小規模事業者対策が忘れがちであったと言えます。すなわち、従来の中小企業政策は、中小企業の中でも比較的力のあるものを近代化させて、その競争力の強化を図る一方、こうした政策には乗れないような小規模事業者はその陰で十分な対策もないままに切り捨てられてきた傾向が見られるのであります。しかしながら、本当に保護育成を図る必要があるのは大きな企業ではなくて、資本力が乏しい小規模事業者であるはずであります。 中小企業者を取り巻く環境は、景気の後退、インフレの進行などますます厳しいものになっております。こうした影響をまともに受けるのは中小企業の中でも小規模事業者であります。高度経済成長政策から国民福祉経済政策への転換が叫ばれながら、小規模事業者に対してほとんど施策らしいものが講じられなかったことにつきましては大きな反省がなされなければなりません。こうした中小企業のすそ野を形成する数多くの小規模事業者に対し、適切なきめ細かい施策の手が伸べられてこそ、国民経済の安定が図られると言えるのであります。政府においても、小規模事業対策として、小企業等経営改善資金融資制度を創設する等の措置を講じておりますが、現在の小規模事業者め置かれている環境を考えた場合、より抜本的な対策が必要であることは言うをまちません。ことに小規模事業の経営形態は、経営者自身の生活を目的とした生業的性格が強いことを考えた場合、これに対応したきめ細かい施策を用意する必要があります。 この観点から、一定の要件に該当する小規模事業者に対し、無利子の生業安定資金の融資制度を創設して、これを無担保、無保証で利用できる道を開くことといたしました。 次に、本法案の主な内容について御説明申し上げます。 まず、本法律の目的は、小規模事業者に対し、生業安定資金を無利子で貸し付ける事業を行う都道府県に対し、国が必要な助成を行う措置を定めることにより、小規模事業者の生業の安定を図ることであります。この場合、小規模事業者とは、常時使用する従業員が工業等の場合は五人以下、商業及びサービス業の場合は二人以下の事業者で、その所得が政令で定める額以下の者ということといたしております。 次に、都道府県が小規模事業者に対して行う生業安定資金の貸し付けの内容は、二百万円を限度で無利子とし、その償還期間は五年以内で、その貸し付けに当たっては、原則として担保または保証人を要することとしますが、これの困難なときでも償還の見込みがあると認められる場合は無担保、無保証でも貸し付けの道を開くことといたしております。 また事情により、償還の繰り上げまたは猶予及び償還免除等の措置をとることができることといたしております。 さらに、都道府県は生業安定資金の貸付事業を行うため特別会計を設けるものとし、国は、都道府県がこの特別会計に繰り入れる資金の二倍に相当する額を補助金として都道府県に交付するものといたしております。 以上が本法案の主な内容であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
○塩川委員長 次に、中川嘉美君。
○中川(嘉)議員 ただいま議題となりました伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 本法は、伝統的工芸品が民衆の生活の中ではぐくまれ受け継がれ、将来も存在し続けるために、伝統的工芸品の指定、振興事業に対する助成等を規定してありますが、ここ数年来伝統的工芸品の類似品が海外から輸入されることにより、国内の伝統的工芸品産業に被害をもたらす場合が少なくないのであります。 日本古来の伝統的工芸品に類似する商品が、海外から大量に輸入されることによって、日本固有の伝統的工芸品産業はその工芸品の売り上げの極減などにより倒産に陥るなど、伝統的産業自体の死活問題となっているのであります。しかも、伝統的工芸品と類似する外国製商品の原産地の表示に関する規制措置が欠けているため、輸入品に対する区別がほとんど不可能となり、消費者の判断を不当に紛らわすおそれすらあるのであります。 これらの点から見ましても、現行法は伝統的工芸品産業を振興する上にきわめて不十分な内容であります。 そこで、本改正案は、伝統的工芸品産業の置かれている現状にかんがみ、同産業の振興の一環として伝統的工芸品と類似する外国製商品の原産地の表示に関する規制措置及びその輸入に対する措置に関する規定を設けること等により、伝統的工芸品産業の保護を図ろうとするものであります。 次に、改正案の内容について御説明申し上げます。 第一は、伝統的工芸品と類似する外国製商品の原産地の表示に関する措置を新たに設けたことであります。 すなわち、伝統的工芸品と類似する商品で、外国において生産されたものが原産地の表示を付さないで輸入されることにより、伝統的工芸品産業が重大な損害を受ける場合に、類似商品を輸入する事業者に対して、その原産地を表示した商品でなければ輸入してはならないことを命令できるようにいたします。 第二に、類似品の輸入に対する措置を新たに設けたことであります。 現行法では、類似品の輸入に対して何ら対抗できない状態であります。したがって、本改正案では、伝統的工芸品の類似商品で外国において生産されたものの輸入が増加することにより、伝統的工芸品産業が重大な損害を受ける場合、政府が類似商品の輸入に関して輸入の制限、関税率の引き上げなどの措置を講ずることができるようにしております。 第三に、伝統工芸品産業振興協会の業務内容として、伝統的工芸品の表示についての指導、助言等を行うことができるようにいたします。 以上が本法律案の提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。 以上を持って提案理由の説明を終わります。
○塩川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 各案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 —————————————
○塩川委員長 次に、内閣提出、石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。佐々木通商産業大臣。
○佐々木国務大臣 石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 エネルギーは、申すまでもなく国民生活の安定と国民経済の円滑な運営に欠くことのできない要素であります。特に、エネルギー供給の大宗を石油に依存し、かつ石油のほぼ全量を海外からの輸入に依存せざるを得ないわが国にとりまして、エネルギーの安定的な供給を確保することは、国の将来を左右する最重要政策課題であります。 しかし、最近の石油をめぐる国際情勢は、一段と不安定化の様相を強めており、中長期的にも世界の石油需給はますます逼迫するものと見られますが、わが国のエネルギー事情もそれに応じて今後ますます厳しさを増すものと思われます。 かかる情勢下において、主要先進国中最も石油依存度が高く、きわめて脆弱なエネルギー供給構造を有するわが国といたしましては、省エネルギーの推進、石油の安定供給の確保に万全を期するとともに、石油代替エネルギーの開発及び導入を強力に推進し、石油依存度の低下を図ることがエネルギー・セキュリティーを確保し、あわせてわが国に課せられた国際的責務を果たす上で喫緊の課題となっているのであります。 かかる状況にかんがみ、昭和五十五年度を石油代替エネルギー元年と位置づけ、石油代替エネルギーの開発及び導入を促進するための体制を確立することといたしました。 この一環といたしまして、石油代替エネルギーの供給目標及び事業者に対する導入指針を策定し、あわせて石油代替エネルギーの開発のための推進母体として新エネルギー総合開発機構を設立するなど、石油代替エネルギーの開発及び導入を総合的に進めるために必要な措置を講ずることを内容といたしまして、この法律案を提出いたした次第であります。 次に、この法案の要旨につきまして御説明申し上げます。 第一は、石油代替エネルギーの供給目標の策定についてであります。 通商産業大臣は、総合的なエネルギーの供給の確保の見地から、開発及び導入を行うべき石油代替エネルギーに関する供給目標を閣議決定を経て定め、公表するものといたしております。 第二は、石油代替エネルギーの導入指針の策定についてであります。 通商産業大臣は、工場または事業場における石油代替エネルギーの導入を促進するため、石油代替エネルギーの供給の状況、石油代替エネルギーにかかる技術水準等の事情を勘案して、導入すべき石油代替エネルギーの種類及び導入の方法に関し、事業者に対する指針を定めることといたしております。 さらに、この導入指針に定める事項について、通商産業大臣及び当該工場にかかる事業所管大臣は、必要に応じ事業者に対して指導及び助言を行うこととしております。 第三は、石油代替エネルギーの開発及び導入の促進を図るために必要な財政上の措置等についてであります。 政府は、石油代替エネルギーの開発及び導入を促進するため、必要な財政上、金融上及び税制上の措置を講ずるとともに、広報活動等により国民の理解と協力を求めるよう努力することとしております。 さらに、石油代替エネルギーに関する試験研究を行う者に対して、国有の試験研究施設を時価よりも低い代価で使用させる等、石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に資する科学技術の振興を図るための措置を講ずることとしております。 第四は、新エネルギー総合開発機構についてであります。 新エネルギー総合開発機構は、本法に基づき、石油代替エネルギーの開発を推進するための中核的機関として設立される特殊法人であります。 この機構は、官民の能力を結集して石油代替エネルギーに関する技術の開発、地熱資源及び海外炭資源の開発に対する助成、その他石油代替エネルギーの開発等の促進のために必要な業務を総合的に行う法人であります。 なお、この機構の設立に伴い、石炭鉱業合理化事業団は解散いたしますが、現在、同事業団が行っている石炭鉱業の合理化及び安定のための業務は、すべて潰漏なきょう機構が承継することといたしており、本法案におきましてはそのための所要の規定を置くことといたしております。 以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○塩川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 次回は、来る八日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時三十六分散会 ————◇—————