商工委員会 第11号
- 発言数
- 229 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1980/03/28
会議録
○塩川委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。石野久男君。
○石野委員 大臣は非常に急いでお出かけになるようでございますから大臣にお尋ねしますが、去る二十三日の新聞に「通産省、原子力推進へ“ノロシ”安全性抜きで経済性強調」という大きな見出しが出ているのです。これはいろいろの新聞社の見方があると思うのですが、通産省の考え方としては、原発のコストは石油の半分ぐらいだということを強く強調することによって、安全性抜きでこれからどんどん原発を進めようという意図があるのですかどうですか、この点をひとつお聞かせ願いたい。
○佐々木国務大臣 原発の推進に関しましては、石野委員もよく御承知のように、かねがね安全性を十分確かめた上安全委員会等に図り、最近はダブルチェックをやっておるわけですけれども、その了承を得た上で慎重に進めることにしております。
○石野委員 政府の方針あるいは佐々木通産大臣の従来からの御意向なども私はよく知っておるつもりですから、まさかこういうことはないだろうと思うのですけれども、しかし最近、景気浮揚のための、いわゆるGNPへの貢献をするために原発が非常に有望であるということから、安全性抜きで経済性を強調すればと、こういうことがしばしば聞かれます。そして、これは新聞社の考え方ですから政府云々ということではないでしょうけれども、「通産省、原子力推進へ“ノロシ”」という形で、「安全性抜きで経済性強調」ということが言われることは、いわゆる通産省内部にそれなりの動きがあるからだろうと私は思うのですよ。かりそめにも原子力について、安全性を無視して経済性強調の形で原発推進ということがあってはならないんだ、こういうふうに私は思いますので、これは省内に対して大臣はこういうことが新聞などで書かれないように、原発に対する考え方の点では厳しく指示をし、方針をはっきりと打ち出して、おいてもらいたいと思いますが、いかがでございますか。
○佐々木国務大臣 これは何新聞ですか知りませんけれども、全紙にわたる新聞じゃもちろんなかろうと思います。ですから、新聞社がどういう意図で書いたか知りませんけれども、少なくとも安全性を無視してこの問題を進めるなんということはあり得ようがございませんので、私からもよく申しておきますけれども、その点は誤解のないように、御安心いただきたいと思います。
○石野委員 きょうはスリーマイルアイランドの事故があってちょうど一年目です。このときに、もう御承知だと思いますけれども、ゼネラル・パブリック・ユーティリティーズ社は原子炉メーカーのバブコック・アンド・ウイルコックス社を相手取って五億ドルの損害賠償を求める訴訟を起こしておる、こういう情報がありますが、大臣は御承知でございますか。
○佐々木国務大臣 新聞でちょっと拝見しただけで、中身はよく知りません。
○石野委員 こういう記事があるということについて、どういうように御所感をお持ちになられておりますか。
○佐々木国務大臣 それはアメリカ内部の企業間の問題でございますので、別にそう感想ということはございません。
○石野委員 アメリカの問題ではありますけれども、原子炉について、原発事故についてこういうようなことが起きるということは非常に重要なことです。そして私どもも、こういう問題は日本における今後の原発の問題について全然無視できないと思いますので、こういう点についてもっと、内容がどうなっているかということは私もはっきりわかりませんが、少なくともスリーマイルアイランドの問題はその後においても必ずしも安易な形で処理ができているように思われません。その間にあってこういう訴訟問題が起きているということは非常に重大だと思うのです。この点について政府は、やはり日本における原発の今後の問題について、単に開発推進だけではよくないと思いまするから、十分御検討をいただく必要があるんじゃないかと思います。 そこで、スリーマイルアイランドは事故後一年たっておりますが、われわれの聞くところでは炉内の汚染空気それから汚染水を何とかして抜きたい、それを抜かなければ修理の手当てもできないということで、ずいぶん会社は焦っているようでございますけれども、実情は幾らか修理の手だてができるような段取りになっているのでしょうかどうですか。
○児玉(勝)政府委員 スリーマイルアイランドのその後の状況につきましては、当方余り情報が入っておりませんけれども、相当高放射性の廃液がたまっておりまして、それを維持しておるという情報だけでございます。
○石野委員 大臣のお帰りの時間がありますから、この問題は後でまたお聞きしたいと思います。 大臣にお聞きしておきたいのですけれども、スリーマイルアイランドの問題はどの国でも非常に重要視している問題でございますし、また日本でももちろん重要視してまいりましたが、しかし、一年たちましても依然として修理の手がかりもつかないというような事情であることは異常なことだと思うのですよ。普通の産業の中でこういうようなことがあった場合には、もうとても会社は存続の命脈を絶たれることになるのではないかとさえ思われることでございます。それであるだけに、原子力については私どもやはりまだ実験研究の段階だと言っているのでございまするが、これらの点については十分当局としても日本における原子力政策の上におけるこういう問題を勘案する施策を樹立していただきたいと思います。 大臣は積極的な原子力発電の推進論者のお一人でございますから、そういうことを百も承知の上でいろいろな施策をやられると思いますけれども、ちょうど一年目のきょう、現にまだ事故時当時とちっとも変わらない。ただ一つあそこで何があるかと言えば、それはあの地域を見に来る観客が多いというだけなんだ、スリーマイルアイランドは。それ以外に何も変わっていない。こういうような事情を日本で起こすようなことがあってはいけないと思いまするので、原子力発電についての一年を振り返ってみての所見をこの際ひとつ簡単に聞かしておいてもらいたいと思います。
○佐々木国務大臣 スリーマイルアイランドに関する対応といいますか、これは原子力委員会並びに安全委員会で十分検討した結論を出しておりますし、またそれに基づいて今後のあるべき注意事項等も出しておるやに承知しておりますから、日本といたしましては十分反省に反省を加えまして、そういう事故のないようにさらに慎重な注意を払っていくもの、こういうふうに考えておるのでございます。
○石野委員 原子力問題については後でまたお聞きしたいと思いますが、大臣がおいでになる間にいま一つお聞きしておきたいのは中国貿易の問題でございます。 日本国際貿促で二十七日に中国との直接貿易を積極的にやろうという意思決定をなさったようでございます。新聞によりますと、決定の具体的ななには、「昨年から始まった中国の地方省、市との直接貿易を一層促進する」、「これまで華僑を通じて行ってきた広東、福建両省の経済特区との貿易推進の話し合いを、両省が最近香港に設けた窓口で直接行う」、「中国が工業化のための技術導入を円滑に進められるよう中国側の体制整備に協力する」、こういうようなことを決めて、「これまで中国中央レベルと進めてきた石油、石炭、綿花など基礎物資中心の貿易から、中国の各地方の特色を生かした産品へと拡大していく方針である。」こういう決め方をしたそうでございますが、こういうことについて政府はどういうように協力体制をしようとしておられるか、この際ひとつ所見を聞かしていただきたい。
○佐々木国務大臣 私はまだ詳細にその事実を聞いておりませんけれども、しかし重要資源のみならず、各ローカルの特色のある物資を日本にお出ししたいという意図でありますれば、大変歓迎すべきことではなかろうかと考えます。
○石野委員 この種の問題について、いま貿易の問題は国内の経済と海外事情とでいろいろ複雑な問題があると思います。ことに最近は国際収支の面では赤字がふえてきているというような実情もありますから、インフレとの関係でどういうふうにその海外貿易の問題を取り扱うかは政府の決定するところを待つことですけれども、私ども、やはり中国貿易は日本の経済の今日及び将来にわたって一層強化拡大しなければならないと思います。各社ともそれぞれの立場で中国貿易をやっておりますが、国際貿促がこういう方針を打ち出しておることに対して、政府は積極的に協力体制なり協議をし、協力する、援助するというような姿勢を示すことが望ましいのでないだろうか。従来どういうふうな対策をとってきていたかわかりませんけれども、今日段階でこういう問題についてむしろ積極的な政府の姿勢を示すといたしますならばどういうことをおやりになられるか、このことをちょっとお聞かせ願いたい。
○佐々木国務大臣 私はまだ大使館からもそういう正式な通知を受けていませんし、また役所の方からも聞いておりません。しかし、おっしゃるような御趣旨の点であれば大変結構なことでなかろうかと思います。ただ、それがいわゆる商品として取引の対象になるものかどうか、商売のことでございますからいろいろ吟味もしなければいかぬでしょうし、いろいろ考えますけれども、しかし、いずれにいたしましても中国との間に貿易を拡大しなければならぬということは否めない事実でありますから、そういう相手方の趣旨であればこちらも大いに協力するにやぶさかでございません。
○石野委員 国内経済の問題ですけれども、先般金融公庫法の一部改正等もありまして、金融の側面で積極的に中小企業に対する施策をしようという政府の方針はよくわかりますが、公定歩合が上がり、金融の総需要抑制から来る引き締めということが出てまいりますと、何といいましても中小企業のうちの零細企業の打撃は大きいと思います。 そこで私は二つほどお聞きしておきたいんです。 一つは、中小企業の金繰りの問題につきまして、たとえばいま現在で言いますと、四月一日からは金利もそれから引き締めの問題もぐっと上がってしまう。年度内に何とか有利な仕事をしたいとか商売したいとかいうような場合に、もうあと二日か三日だけれども、この期間に、特に中小企業の場合は年度末を控えて金融への強い要望が出てくる、こう思います。そういう問題に対して、やはり中小企業にそれが有利であるというような場合には便宜を図るという施策を、中小企業庁なりあるいは金融の側面でやられるということが非常に大事じゃないかということが一つ。 それからいま一つ、これは大蔵の問題になるかもわかりませんけれども、手形決済の問題で、私は地方でしばしば感じるのですが、中小企業は手形期日が参りましても金繰りがなかなかつかない。自分の受け取りになる代金回収が現に目の前にあるんだけれども、三日か四日どうしてもおくれるというときに金繰りがつかない。そこでどうしても不渡りを出してしまうという場合があるんですね。この手形の期日を証券取引の中で押さえるということは当然金融政策上やらなければならぬことなんだけれども、中小企業などでたとえばもう一日か二日で代金の回収がある、だけれどもほかでは借金ができない、返済の金ができない、もう三時になればぴしっとオンラインに乗せられてしまうものですからどうにもならないということで不渡りを出してしまうというような場合、こういう非常に細かい問題で、一日か二日くらいは何とかめんどうを見てやるというような方法はできないものだろうかどうだろうかということをしばしば感じているのです。特に今日段階のように景気の施策が一つの転換期に入っているときには一層このことが切実に感じられるのですが、そういう点について何か方法がないかどうか、ひとつお聞かせください。
○佐々木国務大臣 中小企業に対する金融問題での一般的な事項だけお話し申し上げまして、いまの具体的な事例に関しましては長官から答弁さしてもらいたいと思います。 このたびの公定歩合の引き上げ等で、そのしわ寄せが中小企業の方に集中的に行われたんではかないませんから、そういうことのないようにということで金融当局にはかねていろいろお願いしてございます。 それからまず金融のボリュームの問題でございますけれども、これは政府の金融三機関に対しましては資金の量は去年に比較しまして一〇%増にしてありまして、おととしから去年はたしか八%増でございました。それに比較いたしますと相当ゆったりと申しますか、持っておりますので、金に詰まるというようなことはなかろうと思いますし、もしあるんであればまた応急の措置を講じようと思っています。 それから公定歩合の引き上げに伴いまして金利、貸し出し条件等がどうなるかという問題がございますけれども、これは御承知のように長期のプライムレートにリンクすることになっておりますので、それにだんだん近寄っていくのはやむを得ないと思いますが、さればといって同次元に何もやらなければいかぬことはないわけですから、なるべく時期等おくらせまして、少しでも中小企業の方にフェーバーを与えたいというような考慮を払いつつただいま進めてございます。
○左近政府委員 御指摘の点について、まず第一の点でございますが、ちょうど年度末の資金について、第四・四半期の政府系の金融機関につきましては前年度対比大体二三%くらい多く枠を用意しておりまして、年度末の必要な資金を十分供給するようにいたしております。そしてまた、貸し付けにつきましてもなるべく決定を早くするようにということにしておりまして、十分この御趣旨に合うような政策をやるように指示しておりますので、そういう点では極力金融機関も配慮しておるというように思います。金利の点についてはいま大臣がおっしゃったとおりでございますが、零細企業につきまして、たとえばいわゆるマル経資金というようなものにつきましては、公定歩合なりその他の金利が相当上昇いたしましても、それにつれて比例的に上昇させるというのではなくて、余り上げないような措置を講ずるようにいま検討しておるところでございます。 これから第二の点でございますが、これについては手形の一般的な制度との関連がございましてなかなかむずかしいことだと思います。ただ、おっしゃるような事態がありまして、もう二、三日たてば返す資金が入るのにということは確かにあるわけでございます。これについてはわれわれもまずそういう簡易なつなぎ資金、しかも明白に金が入るという場合にどうやったらいいかという点はもちろん研究させていただきたいと思います。それを手形の方で操作するというのは、手形法上の問題その他があってなかなかむずかしいかと思います。ですからそういうものがあるときに、たとえば一週間かそのぐらいまでなら簡単につなぎができるような方法があればというように思いますが、いまのところまだちょっとわれわれの方もそれについて具体的な案がございませんが、御趣旨を体して研究してみたいと思います。
○石野委員 長官にもう一度その点でお聞きしておきたいのですが、実際経理の扱いを整備できるような専門屋がいる商店なり中小企業ならいいのですけれども、そうでない、どんぶり勘定ではないのだけれども、とにかくバランスシート貸借対照表になっているのだが、考え方はどんぶり勘定をやっているような商店が非常に多い。それで支払い手形を出しているわけですけれども、一週間か十日ぐらい前に銀行や何かと折衝するという、考え方なり着想がありまして、銀行へ話をしに行けばつなぎ資金なんかもうまく利用できると思うのです。ところが、一般の商店のおやじさんなどというのはその日が来るまで一生懸命金繰りをやるわけです。いよいよ二日か三日前になってどうにもならなくなって駆けつけるわけです。そうするとつなぎ資金どころではない。もう締め切りの時間へぴたっとはまってしまってどうにも動けません。こういうことになってしまうのです。この事情はなかなかわかったようでわかってもらえないのです。こういう人たちを何とかめんどうを見てやりませんと、幾ら資金繰りはうまくやるとかなんとか言いましても、実際はみんな一週間ぐらいのところの勝負なのです。そんなときには一週間前に相談に来なさいよと言っても、一般の商店のおやじさんというのはおっかなびっくりでなかなかできない。これは田舎などへ行くと特にそういう心情といいますか、何か借りたものを返すのはその日にならないと、現金を持っていかないとどうにも顔を合わす気持ちにならないということです。こういうようなときに、仮に二日か三日前に迫ってしまったけれども、どうも回収金は三日か四日後には確実にここにありますというときには、期日になったときに、それはちょっと翌日くらいまで待ってやるとか三日くらい待ってやるとか、そういうふうなことをやらない限りは中小企業、零細企業は絶対に救えないと思うのです。このことを出先機関でめんどうを見るような方法を何か考えてやってもらいませんと、本当の意味の中小企業のめんどうを見るということはできないように私は思うのです。一これはやはり長官のお仕事になるか、あるいは銀行局の方が厳しくて、皆さんはそういうつもりでやっても、大蔵がやかましくてどうにもならぬというなら、やはり大蔵との相談をしてもらわなければいけませんが、ただ逃げるというだけではなしに、事実そういうものがあるときには何とかしてやるという温かい気持ちをこの際考えてやってもらわなければいけない。特に四月一日というこの二、三日の間などというのは、ことさらこれが非常に複雑な形で地方の方々を苦しめていると思うのです。どういうふうになさいますか、ひとつ所見をもう一遍聞かせていただきたい。
○左近政府委員 確かに零細企業の方々については御指摘のような事例があることだろうと思うわけでございます。 そこで、これに対する対策でございますが、一つは現在商工会議所とか商工会に経営指導員というものがおりまして、常時経営の相談に当たっておるというようなものがございますので、そういうところでできれば少し早目にそういう見当をつけていただいて、金融機関に早目に相談するというふうにだんだん習慣づけていくというのも一つのやり方だろうと思いますが、しかしまた、当面そういう事態に至ったときに相談に乗ってやるというふうなところを、ことに商工会その他で十分考えて金融機関と連絡をするというふうな措置を考えてみたらどうかというふうに考えております。いまのお話を聞いても、こういう問題はやはり各市町村単位あるいはそれ以下ぐらいのところでそういうことの相談に乗れるようなところがないとうまくいかないように思うわけでございますが、そういうふうなことであればやはり商工会議所、商工会の組織をうまく活用するということと、金融機関とうまく連絡をするということであろうかと思いますが、実施に当たりましてはいろいろわれわれの方も検討させていただきたいというふうに考えております。
○石野委員 長官のいまのような気持ちは出先の機関の諸君にもあることはあるのですけれども、たとえば総需要の引き締めをするのだ、とにかく金融をここで締めつけなければならぬのだという指令が一つ出ますと、そういう気持ちは皆それで消されてしまうのですよ。全然役に立たない。私は、景気対策、特に物価との問題で引き締めをやっていく、その方針はそれなりに是といたしますけれども、そのことのために企業が不始末を起こして倒産に追い込まれていくというようなことが目に見えているようなときには、もうちょっと、引き締めは行われているけれども、ここで先ほどのお話のようなつなぎの資金をやるということがインフレへの悪影響を与えるか、そんなことは絶対にないのです。すぐに短期で入れかえができる資金でございますから。こういうところは大蔵からの指令があったとしても、出先の機関がもう少し大胆にそのくらいのことは融通をきかすような幅といいますか、貸し出し姿勢をとってやっていただきたい。これは特に長官からそういうふうなことを、内示になるのかどうか知りませんけれども、出先に対してよく徹底させてやっていただきたい。この時期になりますと金融の引き締めで打撃を受けるのは大手ではないのだ、やはり中小、特に零細なのです。それだけに、この時期における零細企業に対する対策を立てて、金融の面でしっかりと守ってやってもらいたいということを特にお願いしておきたいので、いま一度長官の所見を聞いておきたいと思います。
○左近政府委員 御指摘のとおり、物価対策としての金融引き締めというのは必要でありますけれども、その引き締めの効果が一部の中小企業にしわ寄せされるということでは引き締めの趣旨にも反することだろうとわれわれは考えております。実は先般の物価対策の閣僚会議の席におきましても、通産大臣から、こういうものの実行に当たって中小企業に対する影響というのは十分配慮してほしいという発言もしておられるわけでございまして、私たちはそういう精神にのっとりまして、引き締めは物価対策のためにやられるけれども、それが中小企業に適度の、ひどい影響にならないような配慮は十分やってまいりたいと思っておりますので、いまの御指摘の点なども十分検討していきたいというように考えております。
○石野委員 これはひとつよろしくお願いします。これはやはり本当にお願いしなければだめなんだな。皆さんの出先機関がそういうことを十分やってくださらない限り、零細企業のおやじさんたちはやはり自分で進んで行こうったって、ちょっとおっかなくてなかなか行けないというような形で抑えられっきりになってしまいますから、その点は十分配慮してくださるようにお願いしておきたいと思います。 原子力の問題でございますが、きょうは私ちょっと連絡が悪かったので、安全委員会の委員長においでいただけませんが、通産省は、先ほどもちょっと申しましたように、どうも原発のコストは水力や火力よりうんと安いんだという宣伝を盛んにされるようでございますが、本当にそうお考えなんでございましょうか、これはどなたですか、ひとつ……。
○児玉(勝)政府委員 原子力発電所のコストとそれから火力発電所のコストにつきまして比較したところ、約半分というのが二月現在の状況でございます。
○石野委員 これはコストの比較をするに当たって、最後までめんどうを見るということじゃなしに、めんどうくさいものは皆除いておいて、そして電気を起こしたところだけでということになるとそういうことになりますね。だけれども後始末を全部考えたりなんかするというと、これは大変なことになりますけれども、そのことについてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。
○児玉(勝)政府委員 最終の段階までの試算というのは、最終どういうかっこうになるかということについてまだ確定した計画ということがございませんので、計算はまだ進んでおりませんけれども、INFCEで行いました各国のそういう専門家によって試算されたところによりますと、現在のコストの約一〇%内外におきまして再処理並びに高放射性廃棄物の処理ができるのではないかという見通しもございますので、それほど違わないんじゃないか、こう思っております。
○石野委員 審議官、私は、こういうことを通産はどういうように考えておられるのだろうかとお聞きしたいのですが、高レベル廃棄物の処理、それから廃炉の処理、こういうようなものについて、いま原発は安い安いと言われておるんですが、発電会社はもうとことん最後までめんどうを見なければいけないのじゃないだろうか、こういうように私は思うのですよ。ところが、とことんめんどうを見るといいましても、原発から出てくる放射能、特に長期にわたる半減期を持っておる核種等の対策というものは、場合によれば一世代では処理できない長期にわたるものがある。そういうようなときに、炉やあるいは高レベル廃棄物の処理というものを、国がもうあとは全部めんどうを見るというふうに、国に肩がわりするとかあるいは地方自治体にめんどうを見させてしまうということを考えておられるのかどうだろうか、ここをちょっとはっきりしておいてもらいたいのですよ。というのは、私は東海村に近い勝田というところにおります。恐らく近いうちに東海の一号炉はもう廃炉になるだろうと思う。廃炉になった後、これを分解して全部処理してしまうことができればこれはまたそれなりの方策は出てくると思いますけれども、仮に分解をしたところで高レベル廃棄物の管理、保管という問題が出てくるのですが、それを茨城からよそのところへ持っていってくれればこれは問題ありませんけれども、また、それを持っていっただけでは問題は解決しないのです、実を言いますと。だからそういうようなところをどういうようにするのか。それは自治体の問題になるのか、国の問題として通産省や何かは関係しないで、電力会社からは隔絶してしまうという考え方なのかどうなのか、その考え方の基本になる観点をひとつ示しておいていただきたい。
○児玉(勝)政府委員 放射線のいわゆる安全に関しましては、これは現在も国が責任を負っておるわけでございますけれども、今後とも国が責任を負うということについては変わりないと思います。そして、ただいま先生おっしゃいますような高放射性廃棄物の保管問題というような問題につきましては、これは原因者負担といいますか、その企業が行うということがまず考えられますし、その後、その費用についての民間の負担というのは当然あるべきであろうと思います。ただ、いますぐにそれは民営で行うべきか、半官半民でやるべきかということについては、まだ具体的な問題もございませんので、これから検討していきたいと思いますが、原則といたしましてはその保管の問題については民間、原因者が負担すべきもの、それから保安の監督は国が永続的に行うということであろうかと思っております。
○石野委員 監督は国がやるにしましても、その経費負担は民間会社がそれを受け持つべきだということは、結局は電力料金へそれをやはり割り振っていかなければならぬことになりますから、電力料金の中には少なくともそれらのものに対する長期の見通しを入れていかなくちゃいけないし、それなくして電力料金が安いなどということは、私はちょっと問題があるんじゃないだろうかと思うのです。 たとえばスリーマイルアイランドの事故で、あのようにして原発か全然動かなくなった場合、あれは電力料金には全然関係なく会社で処理させるということになるのだろうかどうだろうか。日本で、たとえば原価主義でいく電力料金の中で、あのような場合ができたとき、やはりあの損失金というものは電力料金と全然関係なく処理できるのかどうか、どういうふうになるのですか。
○児玉(勝)政府委員 電気料金の原価の計算につきまして、私不明でございまして、ちょっと申し上げられませんが、しかし、スリーマイルアイランドのようにもうすでに電気事業設備としての機能を失ったというようなことであれば、これはもう電気事業の設備から除外しなければならない問題かとも思いますが、しかし修理中で、しかも稼働率が低いという問題については、その修理についての費用というのは電気料金の中にも入ろうかと思いますし、また、稼働率についても十分電気事業の用に供するだけの稼働率というものの向上というものを図ったところで算定をしないと、やはり有効に働く資産としての判定ではないのではないかというふうに思っております。
○石野委員 いずれにしてもそのものを会社の経営の中から外してしまうという場合には損失として出てくるものだと思うのです。いわゆるスクラップとしての値段だけは入るかもしれませんけれども、あとはみんな損失として出てくる。そういうことになれば、日本の場合で言うと、電事法によってこれは皆やはり電力料金のどこかへかかってくることだろうと私は思っております。 そこで、原発の電力料金は安いということについて、皆さんは非常に強くそれを主張されますが、この際、各電力会社における原子力発電オンリーの試算、バランスシートを出していただきたい。それの発電量と電力投下資本との関係、そしてそれがどの程度安くついていくのか、ペイするのか、どうするのか、そういうバランスシートを出していただきたいのですが、ひとつやってもらえませんか。
○児玉(勝)政府委員 ただいま先生がおっしゃいました問題については、発電所というのは非常に個々に分かれておりまして、そういう点ではなかなか火力発電所の比較というのもむずかしいわけでありまして、そういう意味では先ほど申し上げましたのは標準的な発電所の建設について、五十四年九月時点での試算ということでやったものの比較を申し上げたわけでございます。そういう意味での、どういうような前提でやったかということについては御説明できょうかと思います。
○石野委員 それでは私は、きょうは細かいものを見なければわかりませんから、各社ごとの原発のそれぞれの炉としてもよろしいし、各社の原子炉間で原発勘定という形でコストを、投下資本とそれから料金収入等計算を出していただいて、そして原発は本当に安いのかどうかを見たいのですよ。私は、どうもそう安いとは思わないのです、いまのような状態では。確かに燃料は安いのだけれどもあとの投下資本はずいぶんかかっておるし、稼動率が低いのだからそれほどの収入があるわけじゃないし、ずいぶんたくさんの利子の支払いをしているわけですから、そう安くついていると思わないのですが、漠然と言ったのじゃこれは論議になりませんから、一応各社ごとのそういうバランスシートを出してくださるようにお願いしますが、これは出していただけますか。
○児玉(勝)政府委員 原子力発電のコストについて十分先生の御納得がいくように御説明したいと思いますが、ただその場合に、各社の問題についてどこまでお話しできるかについては、各社の事情もございますので、その辺御理解いただきたいと思います。
○石野委員 資料としてどこかの社で出たら、各社みんな出ると思うのですよ。私どもも認識に誤りがあればこれは改めなければいけませんからね。私どもはどうも高いと思っているのですよ。燃料そのものは確かに安いことはわかります。石油が高くなっていく、片方は、ウランの燃料としての代金はそれほど上がってないんだということはわかりますけれども、しかし投下資本やその他のことを考えあるいは原発そのものによる収入ということを考えるというと、普通の経営の常識からいったらどうしたってこれはペイしないと私は思っているのですよ。いつごろにペイするのか、その算定はなかなかむずかしいのじゃないか。東電でも関西電力でもいいですが、仮に一個の電力会社として原子力だけの経営をこの十年間二十年間やっておったら、恐らく社長さんはみんな首だろうと思うのですよ。どの社長さんだって安全に取締役社長という形で残れないのじゃないかと思うのです。これは実際にそのバランスシートを見せてもらえませんと何とも言えませんからひとつそれを出してください。その上でまたもう一遍検討したいと思います。なぜ私がこういうことを言うかというと、原発は安いんだ、電力料金の中で原発を持っているところは料金の値上げ率は低いんだということを盛んに強調されるわけです。私はこれはどうも腑に落ちないんだ。ぜひひとつそれを出してくださるようにお願いしたいと思います。 それから資源エネルギー庁は、化学的な方法でウランの濃縮をしようということについて、旭化成に今回は予算的にも相当な援助をし、それを奨励するという方針で予算書は出ておりますが、この旭化成の化学交換ウラン濃縮技術のことについて、ひとつ若干の説明をしていただきたい。
○児玉(勝)政府委員 ただいま先生の御質問の化学法濃縮ウランについて若干御説明さしていただきたいと思います。 旭化成工業株式会社は、昭和四十七年以来、自社の開発研究といたしまして化学交換法の開発を進めてきたわけでございますが、これまでのところベンチスケール規模での運転試験が順調に進みまして、好結果を得ているわけでございます。この実積を踏まえまして、今後本技術の実用化見通しを得るため、モデルプラントの運転試験による工学的検討をしようというのが、最近新聞に出た問題でございます。 この濃縮技術と申しますのは、第一に、核拡散防止上の点ですぐれた点を持っております。それから第二に、最小採算規模が他の方法に比べまして小さいという特徴を持っておるわけでございます。そういうことで、国といたしましても動燃事業団において開発中の遠心分離法を補完するものとして位置づけたい、こう考えておりまして、昭和五十五年度の予算をお願いしておるわけでございます。
○石野委員 化学交換法によるウラン濃縮技術が核不拡散に有利な位置づけになるのだということを、もうちょっと詳しく御説明して下さい。
○児玉(勝)政府委員 私も実はこの濃縮ウランの詳しい内容についてはよくわかりませんけれども、これはウラン郷が、電荷の違う、要するに六価負荷のウランと四価のウランと二つございまして、それがある溶液の中で、ウラン郷が六価のウランの方に偏る、多く集まる、そういう非常に微小な現象をとりまして、徐々に徐々に濃縮をしていくということでございまして、非常に高濃縮のウランをつくる、たとえて申しますと原子爆弾に使えるような高濃縮という意味だと思いますが、それには十年くらいかかるというような非常に微小な現象を少しずつ取り出して、それを集大成していくということでございますので、非常に低濃縮ウランをつくるのには適しておるというものでございます。
○石野委員 政府は、こうして奨励のための予算措置もされているわけですが、この技術が成功しましたときに、国のかかわり合いというものは、たとえば動燃等でやっているようなものとはちょっとまた違うわけですよね。国のかかわり合いというのは、完全に奨励だけで終わるものなのか、国がこういうウランについて、若干の干渉と言っちゃ悪いんですけれども、何かかかわり合いを持つようにしていく方針なのか、その考え方はどういうふうになっているんですか。
○児玉(勝)政府委員 ただいまの段階におきましては、予算でお願いしておりますように三分の二の補助金ということで考えておりますが、この技術の進展状況によりましてどういうような政策をとるか、たとえば融資に切りかえるか、それともなお補助金としての政策として続けるかということは、その事業の発展動向によりまして判断さしていただきたいと思います。
○石野委員 この濃縮方法によりました場合には、環境に対する影響というようなものは余り心配しなくてもよろしいのでしょうか。
○児玉(勝)政府委員 今度旭化成が日向市につくりますモデルプラントというのは非常に小さいものでございまして、それに加えまして、ただいまおっしゃったようにその周辺の環境への配慮ということにつきましては、まず本プラントそのものが完全に密閉された建物の中に設置されまして、しかも水溶性のものでリサイクルするというか、循環するかっこうになっておりまして、そういう意味では大気への排出というのはちょっと考えられないわけでございます。 それから水質関係につきましては、ただいま申し上げましたようなクローズドシステムで運転いたしますので、ウラン溶液の排出というのは一切ございませんが、ただ点検等でもって抽出してその分析をするというようなことがございますが、それは非常に少量でございますし、また、それを分析した後の廃液につきましては十分にその処理をいたしまして、モニタリングをいたしまして、法令上の線量よりも低いということを確認した上放出するということで、これは一般のRI事業所等の問題と同じように安全を十分確保していきたい、こう考えております。
○石野委員 これは、大気とかあるいは周辺地に対する影響は、点検、分析というような作業以外にはまずないというふうに確言してよろしいものなんですか。作業の間そういうものは出ないのですか。
○児玉(勝)政府委員 先生御存じのとおり、このプラントができます際には原子炉等規制法によりまして十分な安全審査を受けます。したがいまして、そこでもって運転上の問題も審議されますので、その点どういうふうに規制されるかということは、そのときまた安全の審査もされるかと思いますが、われわれが考えておりますのは徐々にできてくる製品はタンクにためるということで、ウランを外に出すということはまず考えられないと考えております。
○石野委員 こういう新しいものができる場合、周辺地の住民の方は知らない間は全く無関心ですけれども、やはり濃縮などということになるとそれ自体やはり心配する面が出てくるわけですね。そのとき放射性物質に相当するようなものが、ウランの一部分的なものがどこかへ出るとか、あるいは管理監督の上からいって危険性をもたらすとか、材料として持ってくるウランの保管管理の問題等、そういうような問題で、もちろん安全規制のところでいろいろなことは注意されると思いますけれども、通産当局はこういう問題について地域住民に対してどういうようなことをやり、何が安全確保のために注意すべきことだとお考えになっていらっしゃるか、それをひとつ聞いておきたいと思う。
○児玉(勝)政府委員 まず通産省といたしましては、今回の計画につきましては、先ほど先生がおっしゃいましたようにほとんど安全上の問題はないと考えておりますが、これは科学技術庁の原子炉等規制法に基づきます安全審査を受けるということで安全上の問題はさらに確保される、こう考えておりますが、本モデルのプラントの建設に当たりまして、旭化成工業に対しまして十分地元に対して説明をするように言っております。また、県の関係部局に対しましても所要の説明を当方からもいたしたい、こう考えておりまして、住民の方々に十分な御理解と協力を得られるように努力したいと考えております。
○石野委員 きょうは先ほども申しましたようにスリーマイルアイランドの事故がありましてちょうど一年目なんです。全国ではこの一年目に相当する時期に、スリーマイルの炉が事故を起こした当時とまだちっとも変わらない状態で、何の手も加えることのできないような事態であることをやはり非常に憂えているわけですね。あれだけの事故を起こして修理一つできないのだということの中に原子力の問題がある、原発の問題があるのだ、こういう観点での心配をしているわけです。そして原発についての安全性を確保するための政府の施策というものを強く、要望しておる。しかし最近では、たびたび報道されるところでは、安全性もさることながらむしろ経済的にエネルギー問題から見て原発は必要だ、最近のスウェーデンの国民投票でもやはり国民は原発を支持しているじゃないかというような意見が強く出まして、そして施策の上から言ってもその方向が強く出されていると思うのです。このことに対して心配しておる多くの国民なり地域住民というのは、通産省に対してそういう安易な考え方じゃ困るのだというような意見を持っております。そういう意見を持っておる諸君が自分たちの考え方を通産省にもひとつ聞いてもらいたいというようなことで陳情などをしようとしておりますが、通産省はそういう陳情に対しては快く受けとめるだけの用意がございますか。
○児玉(勝)政府委員 スリーマイルアイランドの事故後一年でございまして、私たちもまた安全問題については初心に返って心を引き締めてやっていきたいと思っております。そういう意味で、その安全問題にいろいろ意見をお持ちの方々がいらっしゃれば快くわれわれも御意見を承りたいと思っております。
○石野委員 通産省はちょうどこの一年目に当たって、自分の監督下にある各現地の関係者あるいはまた原子力発電会社等に対して、特に何か指示を与えたりして注意を喚起するというようなことをやられる意図がありますか、あるいはまたやっておりますか。
○児玉(勝)政府委員 特に文書をもって通達するというようなことはいたしておりませんが、ちょうど四月から現地に運転管理専門官というものを発足させたいと思っております。これは予算の成立とともにひとつ発足させたいと思っておりますが、そういうことでわれわれの方の体制も改めてその運転と保安という問題について十分留意していきたい、こう考えております。
○石野委員 一般の国民はこういう事件がありますと、一年目とか何年目とかいうのを節にしまして注意を喚起しながら一層強く、やはりそういうことが再度起きないように努力するけじめをつけるための集まりをしたり、あるいはお互いに論議を交わしたりすることをやるわけですよ。通産省は少なくともこういうような問題について、関係者を集めるとかあるいは監督下にある会社に対して特に注意を喚起するというような熱意があってしかるべきだろうと私は思いますので、そのくらいのことはひとつやってしかるべきじゃないかというふうに思っているのですよ。もう済んでしまったことだからどうでもいいというようなことではない。ことにスリーマイルの事故炉は依然として事故のままの状態にあるということ自体を重視しなくちゃいけないと思いますので、一層関心を強めて、もらい、そのための安全性に対する政策を積極的に広げていただき、徹底させてもらうようにしてもらいたいと思います。これは大臣がいられませんけれども、あるいは長官とか関係者の方でひとつそれに対する考え方をしっかり聞かしておいてもらいたい。
○児玉(勝)政府委員 スリーマイルアイランドの教訓というのは決してそう短期に終わるものでもございませんし、いま先生がおっしゃいますようにスリーマイルアイランドの事故処理もまだ終わっておらない状況でございまして、私たちとしてもスリーマイルアイランドの事故そのものが終わったとはまだ思っておりませんし、またその教訓を生かすことが今後ずっと長年にわたっての問題であろうと思っております。そういう意味で、事あるごとにスリーマイルアイランドの教訓を心いたしましてやっていくように職員全体についてよく教育していきたい、こう考えております。
○石野委員 終わります。
○塩川委員長 これにて石野久男君の質疑は終わりました。 引き続いて渡部恒三君。
○渡部(恒)委員 大臣、私はゆうべから眠れないのですよ。国会に出て十一年になりますけれども、これほど腹が立っていることはないのです。これは大臣すでにお聞き及びと思いますけれども、三月十五日の読売新聞をきのう私は見せられたのです。生糸一元化輸入の問題で矢野次官がこういう発言をしているのです。「「せめて二年間、生産を全面ストップさせる。そうすれば養蚕農家は生糸が売れなくなり全滅する。その上で国際相場の中国生糸などを使って生産を再開したらどうか」との“荒療治法”を提案、」。今日わが国の農産物が国際価格に比べてかなり高いものになっておるなんということは国民常識です。そういう中で農業も栄え、商工業も栄え、日本の経済生活全体に調和ある繁栄をしていくというのが自由民主党の戦後一貫してきた政策でもあり、またかつて農村は民族の苗床であると言った大平内閣の今日の姿勢でもあると私は思っているのです。ところがこの矢野次官の発言は、農業はやめろということです。農家は死ねということなんですね。これが通産省のトップの官僚の発言である、これが通産官僚の考え方であるということになれば、これは自由民主党政府の考え方と全く相反する考え方なんですから、そういうものをそのままに大臣が放置しておくということであれば、これは通産省と自由民主党は真っ向から政策面で対決するということになるのです。大臣のお考えをまずお聞きします。
○佐々木国務大臣 渡部さんも御承知のように、私は自民党の農民議員であることは間違いございません。農村に対する理解はだれよりも持っているつもりでございます。したがいましていまの矢野さんの発言でございますけれども、私はまだ本人から詳しく発言の内容は聞いておりませんけれども、伝うるごとき内容でありますとこれはゆゆしい問題でございますから、私からもよく注意をいたしまして、今後そういう軽率な発言はせぬようにということでよく戒めたいと思います。しかしそういう発言をしたということ自体が、私は恐らくそんなことあるまいという感じがございますので一応事情を確かめたいとは思いますが、しかし通産省が省としてそういう考えを持っているということは、私大臣でございますからあり得ないわけでございまして、私自体が一番の統率者として、先ほど来お話し申し上げたようにそういう考えは毛頭ございません。あの法案はまた経過的に考えましても議員提案で非常に苦労してつくった法案でございますから、これはやはり尊重していかなければならぬのはあたりまえの話だと思っております。でございますから、皆様をお騒がせいたしましてまことに申しわけないと思いますけれども、私からもおわびいたしますが、通産省の本意はそういうことではございませんので、よろしく御理解、御了承のほどをお願い申し上げたいと存じます。
○渡部(恒)委員 いまそういうことはないという大臣の答弁で、私もそう願いたいと思っておったのです。実はこれは前にもあるのです。大臣、これもお聞き及びと思いますけれども、通産省の絹在庫の統計ミスが非常に養蚕農家の生糸の市況を低迷させて、苦労をさせて問題になった。これはもう純粋な統計ミスであるという説明であったわけです。しかし二度こういうことが起こると、やっぱりあの統計ミスも通産省が作為的にやったミスかというようなあらぬ勘ぐりも受けざるを得なくなってくるので、特にいま農産物、生糸、畜産物、こういうものの価格決定の非常に重大な時期で、これは全国の農民、農家が注目をしておる。そのときに通産省のトップ官僚である事務次官ともあろう者が真っ向から今日のわが国における農業を否定するような発言をされたということは、これは重大な問題です。私は、これは通産省は大臣を先頭にして、そういうことは絶対にないんだということをただ言葉だけでなくて具体的な政策で示して、なるほど矢野次官のああいう発言があったけれども通産省の考えはそうじゃないんだ、やはり三千年の民族の歴史を守ってき、また今後の民族の生命、安全保障にとって最も重大な食糧の自給というものを担っているところの農業と商工業を共存調和して繁栄させる政策なんだということをわからせるためには、これは具体的な政策で示していただく以外にこの汚名を晴らす方法はないと思う。これはわが党の野田議員がこの後具体的な問題について質問しますから、誠意ある答弁をしていただきたいと思いますけれども、これは天下の読売新聞の記事ですからね。全然ないことを書くはずはないと思うので、しかもこれは詳しく書かれておるわけなんですからね。私どももいま党の商工部会に所属して、産業政策、通産省のいまやっておられるエネルギー政策あるいは技術革新あるいは中小企業政策、これがいまわが国の経済にとってきわめて重大な問題であり、また戦後三十年間わが国の国民生活が今日まですばらしい繁栄をしてきた中で、これはわが国のような狭い国土で、資源のない国で、これだけアメリカに次ぐ生活水準に進めるために通産省がやってきた産業政策というものがいかに国家的な貢献が多かったか、また今後も大事だということは十分承知しておる。しかしそれはあくまでも農業を否定して商工業が発展するなんということでなくて、むしろ世界に向かって日本の産業政策が発展していくことが日本の国内の農業を守り、農村を繁栄させていくことであるということで進めておるわけですね。 よく地方なんかに行くと、何か農業と工業が相対立するものであるとか、通産省の政策が何か農業をいじめるものであるとかいう間違った宣伝等もなされて、そういうことはないのだということをわれわれは言ってきているのに、それを、通産官僚のトップが真っ向からわが国の農産物の生産を否定するような発言をされるということになれば、わが国の通産政策というものを根本から見直さなければならないということになって、これは単に一次官のちょっとした失言とかそういうことでない、わが国の産業政策の基本に関する問題であります。また、わが自由民主党の基本政策に関するものでありますから、きょうここでただ事実がどうかなどということでこれは終わるものではありません。大臣がやはりこれからの通産省の政策は決して矢野次官が言ったものでないと考えておる、農業を大事にして農村を繁栄させていく、その上に立ってわが国の工業を世界に向かって発展させていくのだということを、人事なり政策なりの面ではっきりとあらわしていただかない限り農民は納得しませんし、また農村の支持によって戦後三十年間多数をとって、今日わが国の政権を担当しておる自由民主党の農村に対する責任を果たせないので、これははっきりとそうでないのだということをわれわれが説明できる回答をできるだけ早く大臣にしていただくように要望して、同僚の野田君にかわります。
○塩川委員長 野田毅君。
○野田委員 いま渡部先生から基本的な問題について御質問あるいは意見が述べられたわけであります。 ただ私は、従来こういうものが何か事実関係が本当であるのかどうかということを調査します、それでいつの間にかうやむやになるという経緯が多いものですから、そういうパターンを恐れるものであります。こうした事柄は、やはり事実関係を的確に究明していただきたい。大の読売新聞が事実無根のことを書くわけがない。であるとするならば恐らく結果は明らかであろうとわれわれは思います。 そうすれば、やはりそのことに対する責任というものははっきりさせていただかなくちゃ困る。幾ら大平内閣が責任は残ることによって始まる、こういうようなことがあったかもしれないけれども、やはり事柄は違うのでありまして、まず大臣から最初に事実関係を究明して、そのことが事実であるならばはっきりと責任関係を明らかにするということをまずお答え願いたい。
○佐々木国務大臣 本人がおりませんので、いま出張中でございますから、帰ってまいりましたらよく事の真相を聞きたいと思っておりますけれども、しかし先ほども申し上げましたように、通産省が農村を低く見て、そして農村政策に対して批判を加えていくというようなことは万々あり得ようがないわけでありまして、あくまでも農工一体、農商一体というのがわが省、また日本民族の考えであることは間違いございませんから、そういう考えで今後とも政策を進めていきたいと思っております。 いまお話のように、帰ってまいりましたらよく話を聞きまして、厳重に自後の注意をしてみたいと思います。
○野田委員 語尾がよくわからなかったのですけれども、もしそういうことがはっきりすれば厳重に注意をするというような感じに受け取れたのですが、注意をするだけで果たして済むのかどうか。先ほど渡部先生が言われましたように、人事面においてもはっきりと意思を明らかにしていただきたい。これはこの場でお答えしにくいかもしれませんが、強くこのことは申し上げておきたいと思います。 それから、去年の夏過ぎからですか、約半年近くにかけて、単なる統計上のミスだ、業者の報告が間違っておったのだというような話でありますけれども、私どもはいままでそういうことを信じてあえて問題にはいたしませんでした。織物の在庫の統計がむちゃくちゃに過大に報告をされておるわけであります。そのことが大変な在庫圧迫感を業界に浸透させて糸価をいたずらに混迷低迷させてきたということは、これは否定のできない事実であります。特に本年の三月上旬過ぎあたりから、われわれが考えておって通常よりも相場がどうも百円以上おかしい、なぜ低迷しておるのだろうかということを調べていくと、実は今回の矢野発言ということが根底にあるわけであります。そういう点から言いますならば、現在の糸価低迷の元凶というものは一体何だ。意図せざることがあったかもしれぬけれども、少なくとも通産省の今日までのその姿勢が糸価低迷をもたらしておるのじゃないか、こう言われても私は否定できないと思う。しかもいよいよあしたは審議会であります。価格決定をしなければならぬ。その価格が、実勢相場が低いからといって、それに準拠をして低いままで据え置かれていいというものではないはずであります。そういった現在置かれている環境ということを十分お考えをいただきたい。そして通産御当局として恐らく農林省からも相談があることと思いますけれども、その節にぜひこういった責任というものを政策の上でもはっきりとさせていただきたい、これが第一点であります。 それから第二点は、私どもは何も養蚕農家だけがよければいい、織物業者がどうなってもいいということを申し上げるつもりはありません。また通産行政としても逆のことも言い得ると思います。伝統的な産業であることから言えば、少なくとも織物、製糸、養蚕農家いわば三位一体であります。それぞれもいま大変な苦しみにあえいでおります。機屋さんの中でも倒産しておるものもあるでしょう。養蚕農家も年々何万という人たちがある意味では倒産に追い込まれているのが現状であります。この苦境をどうやって自由貿易という旗印の中で守っていくのか。ここに一元化輸入の問題があったはずであります。また二国間協定ということあるいは織物についての事前確認制ということを政府・自民党としていろんな困難を排しながら強くやってきたのも、まさにそういった背景があったからであります。現在行われております協定というものは、私どもから考えますならばはるかに需要を超えた数量が入ってきている。私がいま申し上げましたような考え方からいくならば、輸入数量というものは少なくとも国内の需要というものを的確に予測して、そして不足分を輸入するというのが本来の姿でなければならぬはずであります。ところが現在は、輸入された過剰在庫が事業団でも十万俵以上、十二万俵近くになるそうです。そのほとんどが中国や韓国から入ってきておる糸でありまして、それが大変な過剰在庫となって市況を低迷させておるというのが現状じゃないですか。そういうことを考えますならば、私は今回の糸価の決定に当たってと同時に、今後行われます二国間協定、輸入数量についてもしかるべき反省と配慮がなければならぬと思うわけであります。この点について、大臣の御決意をお聞きしたいと思います。
○佐々木国務大臣 糸価の問題につきましては、これは農林大臣の所管でございますけれども、お話がございましたのでこの状況をよくお話ししておきます。 それから、いまの輸入量を的確にすべきではないかという御意見は、全くそのとおりでございまして、今後とも最大の努力を払いまして的確な輸入量に決めたいということで努力してみたいと思います。
○野田委員 もう時間もございません。まだまだ言いたいことはたくさんありますが、先ほど来渡部委員からも指摘をされました問題点、私がただいま申した、今後の政策に反映してもらいたいという問題点、十分念頭に置いてこれからの通産行政を指導していっていただきたい。強くお願いを申し上げる次第でございます。 重ねて申し上げますけれども、私ども自民党というものは確かに農村に基盤を置く政党でもあります。しかし、同時にまた、自由貿易体制の中でいかにして零細なそういった業者をも守り、生活を守ってやるかということでお互いに苦労しておるわけであります。そういった意味で、特にこの蚕糸絹業というものは三位一体なんだということ、伝統的なこの三位一体の産業をどうやって守り育ててやるのか。ほかの産業と違いまして、特に日本は世界最大の養蚕国であります。同時にまた世界最大の絹の消費国でもあるはずであります。これはほかの商品とは違うのです。ぜひともそういった基本的な認識をしていただきたい。そして、まかり間違っても二度とこういった、失言ではない、暴言であります。養蚕農家が全滅すればいいじゃないかというような、こういう暴言が通産省の少なくとも責任ある立場の人から二度と再び出ないように、しっかりと精神改造をしていただきたい。強くお願いを申し上げまして、質問を終わります。
○塩川委員長 午後二時から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午前十一時五十二分休憩 ――――◇――――― 午後二時二分開議
○塩川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。清水勇君。
○清水委員 まず大臣にお尋ねをするわけですけれども、先ほども発言のあった例の矢野事務次官の発言に関連して簡潔に質問をしておきたいと思います。 三月十四日の京都商工会議所における矢野次官の発言は、私は偶然のものだとは見ていない。特にこの会合で、生糸の一元輸入を撤廃してもらわなければ絹織物業界が成り立たない、死を待つのみだ、こういうことを業界から要望されたわけでありますが、これに対する矢野次官の発言は一定の政治的な背景があると私は見ているわけであります。まだ詳細に調べたわけではありませんが、ある程度調べたところでは、要望に対し矢野次官はこういうことを言っているのですね。全国の絹織物業界がせめて二年間生産を全面ストップすれば生糸は売れなくなり、十七万六千の養蚕農家、百社百七十工場、九千四百人の従業員を持つ製糸工場は全滅するだろう、そうすれば一元輸入制度は吹っ飛んでしまう、こういう趣旨の発言をされている。私はまず基本的に、こういう重大な内容の発言について、午前中はどうもよく事情がわからない、聞いてみなければわからぬと言われているわけでありますが、聞く聞かないにかかわらず、もしそういうことを言ったとすれば、大臣としてはどういうふうに受けとめておられるかお聞きをしたい。
○佐々木国務大臣 お騒がせ申しましてまことに相済まぬことだと思っております。事務次官はただいま出張中でございまして、まだ帰ってまいりません。したがいまして本人から直接詳しい事情は私聞いておりませんけれども、察するにそういう発言をしたとはとうてい考えられません。したがいまして、本人から話を聞く前に軽々に私から、もしそういうことであればという仮定で判断するのは大変問題だと思いますので、むしろ控えたいと思います。いずれにいたしましても、日本の農業なりあるいは議員提案の法案を無視してそういう発言をしたということはとうてい考えられないので、恐らくは新聞の報ずるところは若干誤解等があるのじゃなかろうかというふうな感じがいたしております。
○清水委員 大臣はどうも誤解があるのじゃないかというような言い方をいまなさったわけですけれども、私は誤解だとは思えないのです。ということはどういうことかというと、たとえば絹織物業界が二年間生産をストップする、その場合の従業員の休業補償についても通産省として考えてやってもいいというようなことまで触れられているのです。しかし私は、この種の休業補償というのは、たとえば労働省の例の雇用調整給付金、たとえば六カ月間に限って中小企業の場合には賃金の三分の二を見てやるといった程度のものしかないと思うわけです。にもかかわらず、これを超えて通産省で考えてやってもいいということまで言われているやに承知をしているわけでありますから、どうも単なる誤解ではないのではないか、こう思います。
○佐々木国務大臣 いずれにいたしましてもその新聞の記事をそのままうのみにしてどうこうというわけにもまいらぬ次第でございますので、お説のようなことであれば困ったことだと思いますけれども、本人には厳重に注意をいたしまして、自後慎重に自分の地位というものを考えて発言してもらいたいということをよく注意するつもりでございます。
○清水委員 これは塩川委員長にも関係がある――そういう関連の意味での関係じゃありませんが、関係のあることでありますが、たとえば先ほど私が紹介をした矢野次官の発言が仮にそのとおりであったということになりますと、御承知のような経過をたどって繭糸価格安定法の一部改正を行い、わが国の蚕糸業の経営の安定に資するという立場から、生糸の一元輸入制度というものを蚕糸事業団をして実施をせしめている、つまり立法府のそういう立法なりあるいは制度化なりというものに事務当局が真っ向から挑戦をするということになるのじゃないか。これはもう重大な問題と言わなければならないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○佐々木国務大臣 先ほども議運に参りまして、社会党の理事のお二方からも同じようなおしかりを受けました。立法府に対する一つの反逆じゃないか。あの法律の成立過程はよく知っているだろうということで、ゆめゆめ立法府に弓を引いて発言したとは私も考えられませんので、ただ平謝りに謝って、何とかこの場はということで帰ってまいりました。
○清水委員 どうも大臣にそう言われるとはなはだ困るのでありますけれども、もう一つは、たとえば次官の発言が意味するものを私なりに理解をする場合、矢野次官の発想の中には、たとえば絹織物業界さえ安定的に成り立っていけば、わが国の非常にすそ野の広い、しかも伝統的な民族産業とも言うべきたとえば蚕糸業、養蚕農家や製糸工場等がつぶれてもこれは仕方がないといったような発想につながるのじゃないかということを憂えるのです。もともとどうも国際分業政策等を通じてよく言われておりますのは、わが国政府、とりわけ通産行政においては工業優位政策が強調され、いささか農業を軽視をするというきらいがあるんではないか、こういうことがかねて指摘をされてきている。そういうものがあるだけに矢野次官の発言もその延長線上のものではないのか、こういうふうに受け取られるわけなんでして、ぼくはこういうことがあってはならないと思うわけですが、その点について、矢野さんが言った言わないは別の問題として、大臣としてはどういうふうにお考えになるのか。
○佐々木国務大臣 私は大臣でありますけれども、同時に国会議員でございまして、国会議員としては御承知のように秋田の田舎生まれでございまして農業しかございません。でございますから自民党の農業議員の一番中心みたいな存在でいままでやってきたわけでございまして、したがって農工一体、その間の軽重あるわけはなし、または農商一体でございまして、みんな力を合わせて繁栄していくというのが一番いいのでございまして、こちらが生きるためには相手は死んでもというばかなことを考えたのではこれは大変なことになります。ということで、いままでそういう信条で生きてまいりました。恐らく事務次官も国民としてその考えは変わりようがないと思いますので、推理をしていきますといかようにも立っていくわけでありますけれども、いかんせん本人もおらぬことでもございますし、まだよく話を聞いておりませんので、話を聞いた上で篤と本人には今後慎重に、言動を慎むようにということで申したいと思っております。
○清水委員 いま大臣いみじくも農村圏を基盤に国会に出てきている、こういう立場からも発言があったわけでありますから、そうであるとすれば職掌柄大臣に問うことは所管外なのかもしれませんが、実は私が先ほど矢野発言の政治的背景云々ということを申し上げたのは意味があるのです。実はかねて、他党のことを申し上げるのは失礼でありますけれども、言わざるを得ませんので触れさせていただきますと、自民党の繊維対策特別委員会、これが絹織物業界等の強い要請を受けていわゆる生糸の一元輸入制度の撤廃について言及されている。折も折、二十五日、ここに全文が、決議の内容がありますけれども「絹業の振興に関する決議」というものをなさっていて、その第三項目には「昭和五十一年法律改正の際の経緯にかんがみ、」云々と言いながら「生糸一元輸入制度の在り方について、その撤廃を含め抜本的な検討」をせよということを政府に申し入れておられる。矢野次官の発言と二十五日の自民党の繊維対策特別委員会の決議はまさに表裏一体のものではないか。そこからいわゆる私が心配するようなそういう農業軽視といったようなものが起こってきはしないか、こういうふうに思うわけでありますが、いかがですか。
○佐々木国務大臣 先ほど来申し上げましたように、本人がそういう農業軽視あるいは国会軽視というふうな気持ちで話したものじゃなかろうというふうに私信じておりますので、まさかそういう同じ立場で、おっしゃるような立場でそういう発言をしたとは考えておりません。
○清水委員 私の質問に対してどうもいま大臣ピントを合わせてお答えをいただいていないわけですけれども、矢野次官の発言を裏づけるような政治的な背景として、いま私が紹介をしたような自民党における繊維対策特別委員会の決議あるいは決議に至るまでの長いプロセス、こういうものがある。だからあながち矢野発言というものは偶然あるいは失言といったようなものでなしに、そういうものと気脈がつながっているんではないんだろうかということを実は私は懸念をして申し上げたのです。 私は、率直に言いますと、大臣も御存じかどうか知りませんが、現在日本蚕糸事業団の在庫する生糸の量は約九万俵と言われております。このうち国内糸は一万二千俵、輸入つまり外国の糸が七万八千俵、わが国の蚕糸業界が塗炭の苦しみに陥っているということは、そういう大量の外国からの輸入というものが一つのネックになっていることはもう自明のことなんです。だから、一元輸入を撤廃をするなどということではなしに、むしろ強化をするあるいは絹織物製品等の事前チェック制度などを通産でも心配をされておりますけれども、こういうものをもっと規制をするというようなことでなければ蚕糸業界の安定に資することはできないんじゃないか、こう思っているときに自民党さんの中でそういうお考えが示され、通産あるいは政府に要望される。となれば、政権党から言われるわけでありますからこれを無視するというわけになかなかいかない、いかないところからああいう発言が起こるんじゃないか、こういうふうにも思うわけでありますから、この辺については通産は工業の立場、農業のことは農林だなんというようなことではなしに、政府という機関の一体感からいって、ぼくはやはりきちっと通産大臣としてもあるいは通産省としても重大視をしてこういう問題について取り組んでもらいたい、こう思うのですがいかがですか。
○佐々木国務大臣 自由民主党と申しましてもその中には幾らも機関がございまして、それぞれの立場で決議をしたり立案をしたりすることがあることは否めません。したがいまして、私ども必ずしも一部会で決めたことをそのままちょうだいして施行するというふうには考えておりませんので、やはり正式には総務会等を通して党の決着ついた意見だということになりますと、これは当然また私どもといたしましてはこれを尊重せざるを得ませんけれどもということでございますから、いまのお話ですぐそれと同じ思想で矢野次官がああいう発言したんだろうというのはちょっと短絡過ぎるんじゃないかと思いますので、きょうのところはこのくらいでひとつ御勘弁のほどをお願い申し上げたいと思います。
○清水委員 いま隣で松浦委員が名古屋でも同じような発言をされている、こう言われておりますから、その真偽はまた明らかになれば申し上げますが、ひとまずこれはこれでとどめますが、最後に一点だけ、これは大臣なり生活産業局長なりにお聞きをいたします。 実は午前中も自民党の渡部委員からちょっと指摘をされておりましたが、通産省が織物統計について重大な誤報を行っているわけですね。五十三年の一月から五十四年の十一月、約二カ年間に及ぶわけでありますが、その誤報の与えた蚕糸業界への影響といいましょうか、損害というものは非常に甚大であると私は見ているのです。たとえば在庫が一億三百四十四万七千平米というように通産統計で報告をされておりますが、正しくはこれが後に修正をされて八千三百四十四万七千平米であった。実に二千万平米も水増しという形で報告をされている。この二千万平米というものを生糸に換算をいたしますと四万四千六百俵、生繭に換算をすると一万四千四百六トン、こういう数字が現実に五十四年生糸年度において、繭価を三・八%も下落をさしている。こういう損害というものを、ただ申しわけありませんでした、誤りでしたということだけでは済まされない。どういうふうに政府としてそういう被害、影響に対する賠償を考えるのかというふうに私は思うのでありますが、いかがですか。
○渡辺説明員 お答えいたします。 ただいま先生御指摘の統計上の誤りにつきましては、過去御指摘の期間におきます関係の一部の申告事業所の記入のけた違いのミスを根源といたしまして、私どもでこれに気づかずにきたわけでございます。関係方面等の問い合わせ等もございまして、私ども早急に検討いたしまして、統計法の趣旨にのっとりまして、先月これを訂正発表いたしたわけでございます。 御指摘のとおり二年ほどの期間にわたりまして数値の上に誤りがありましたことにつきましては、まことに遺憾に存じておる次第でございます。事態の発生と同時に直ちに上司の方にこれを報告をいたしたわけでございますが、内部的には大臣から厳重注意をお受けしたわけでございますが、また同時に、かかる事故の再発防止のための総点検あるいは対策の樹立ということにつきまして御指示をいただいたわけでございます。私ども関係の全職員にその趣旨をよく周知徹底をさせますとともに、対策等につきまして検討いたし、その実施の途についておるわけでございます。また、これらにつきましては、申告事業所あるいは関連都道府県もございますが、これらにつきましても私どもそれぞれしかるべく措置をとらせると同時に、厳重な注意をいたしたわけでございます。 なお、先生お尋ねのこれの及ぼす市況への影響でございますが、御案内のとおり統計の数値は一般的な社会経済生活上の基礎をなすデータで、きわめて大事なものだと思っております。しかしながら、今回のようなケースの場合に、生糸相場等との関連におきましてはいろいろ複雑な絡み合いが一般的にはあろうかと思っておりますので、私ども一般的にはあれこれと具体的に指摘はできないわけでございますが、先生の御指摘の趣旨を全部念頭に置きましてこのような事故が二度と起こりませんように十分万全を期してまいりたい、かように考えております。
○清水委員 終わりますけれども、いずれにしても複雑な絡み合いがあるという程度のことをおっしゃっているわけなんですけれども、いわゆる実勢糸価というものはそうした在庫の量の多寡というものによって敏感に動くわけですね。生糸相場が始終変動するというのはその辺に重大な原因があるわけです。二千万平米と言えばこれはもう大変な数字なんですね。ところが、しかるべく善処をするなどというようなことだけで相済まされたのでは問題であります。 きょうは時間がありませんから、私はこれ以上は言いませんが、大臣としてもこの問題の取り扱いについては、一部賠償請求の動きもありますから、ひとつ十分に検討しておいていただきたいということを要望して、終わります。
○塩川委員長 松浦利尚君。
○松浦委員 私は三つのことをお尋ねいたします。一つは、きょう御承知のように全国消費者物価指数の二月分、それから東京区部の速報三月分が総理府から発表されました。その問題をめぐっての質問。それからもう一点は、四月一日から電気、ガス料金が新料金に移ります。この関連について。さらに、こうした電気料金の値上げというものがこれからのわが国の経済に与える見通し、この三点についてお尋ねをいたします。 まず第一点でありますが、物価局長にお尋ねをいたします。きょうこの場に資料が出されておりませんからお答えをいただきたいのですが、全国の消費者総合物価指数で二月は対前年同月比で幾らになったのか、それから東京区部三月の速報は幾らになったのかを教えてください。
○藤井(直)政府委員 お答えを申し上げます。 二月の全国の確報でございますが、前月比〇.九%でございまして、前年同月比は八・〇%でございます。それから三月の東京都区部速報は、前月比〇・五%で、前年同月比は七・二%ということになっております。
○松浦委員 そこで物価局長にお尋ねをいたしますが、一月、二月が全国が横ばい、東京区部も横ばいに指数が出ておるのですが、仮に全国の消費者物価指数の三月期が東京区部の三月と同じになった場合、そういう場合には年平均の物価上昇率というのは想定して幾らになると見られますか。
○藤井(直)政府委員 全国と東京の物価の毎月の動きはかなり従来から異なっております。高いときもあれば低いときもあるということでございますので、三月の全国についてそれが東京と全く同じでいった場合にどうなるかということはきわめて推測の要素が多いものでございますから、そういう計算は私どもとしていたしませんが、いま先生御指摘の点につきまして、先生のおっしゃったとおりに〇・五%ということで計算して平均を出してみますと四・七六ということになります。
○松浦委員 いま物価局長が言われたことはきわめて重要だと思うのですが、私は昭和五十四年度の消費者物価指数の見通しが四・七にぜひおさまってもらいたい、そのことを願望として申し上げておるのでありますが、率直に申し上げて二月の全国の消費者物価指数が非常に期待をしておった割りには下がらなかった。特に光熱費等の値上がりが非常に大きかったために一月、二月と前月比で〇・九、〇・九と出てきておるわけでありますが、東京都区部の速報を見ましても、これはまだ四月一日からの電気、ガスがはね返っておりませんから、二月、三月〇・五、〇・五ときておるわけですが、全国で一月、二月が〇・九の対前月比で、三月の対前月比を二月に出た指数〇・九の約半分である〇・五に、東京区部と同じように〇・五に抑えたとすれば四・七六という平均数値が出るわけであります。これは通常の場合四捨五入しますから、四・七という見通しは、小数点二けた台を四捨五入いたしますと四・八ということになりますね。これはそういう扱いになっておるからそのとおりなんですね。ということは、四・七に五十四年度の消費者物価を抑えるのに非常に厳しい条件が出てきておるということが物価局長、言えるんじゃないですか。確かに四・七におさめるようにこれからも努力をしてもらいたいと思いますし、われわれもその願望を持っております。しかし、いま申し上げた数字でいきますと、五十四年度すら四・七に入るというのは非常にむずかしい数字になってきておるということが私は言えると思うのですが、その点どうですか。
○藤井(直)政府委員 三月まで出ておりますのは東京でございまして、それにつきましては私どもはっきり数字を申し上げられるわけでございます。ただ、これは三月の速報までですから、確報という段階がございますがこれは四一五%ということになります。そこで全国につきましては、いずれにいたしましても後一カ月間たたないと数字が出てまいりませんが、先ほど御指摘になりましたようななかなか厳しい状況にあるということはよくわかりますが、私どもとしては四・七%程度という見通しは達成できるものと考えております。
○松浦委員 大臣、閣議決定の昭和五十四年度の消費者物価指数というのは四・七%程度という御決定でございますか。国務大臣としてそれはどうですか。
○藤井(直)政府委員 経済見通しと経済運営の基本的態度ということで閣議決定されておりますが、その中で物価については次のようになっております。昭和五十四年度の物価については、消費者物価は前年度比四・七%程度にとどまるものと見込まれるという文章が入っております。
○松浦委員 そうしますと、四・七%程度というのは四・七四%までですか、四・七九%までが四一七%程度に入るのですか。大臣、統一見解は、どうですか。
○藤井(直)政府委員 四・七%程度ということの読み方につきましては、いま先生がおっしゃったようなことで、いま四・七四というふうにおっしゃったと思いますけれども、そういうところで見るということでなくても四・七%程度というものの解釈はできると思います。
○松浦委員 大臣、きょうたまたま発表になりましたから質問したのですが、いま申し上げましたように、仮に小数点二けた以下を切り上げるとすれば四・八になるのです、東京区部の〇・五が全国の消費者物価指数で出た場合、半分の〇・五に抑えた場合。ですから非常に厳しいということなんです。 これは笑い話じゃありませんが、大臣、十円の物が二十円に上がったら何%物価が上がったと言いますか。
○藤井(直)政府委員 まだ三月の全国の数字が出ておりませんので、出ておりません段階でいろいろ数字について、申し上げることは私ども非常にむずかしいということを御理解いただきたいのでございます。四・七%程度ということについての考えは先ほど申し上げたとおりでございます。 それでただいまの御質問でございますが、十円の物が二十円になったという場合でございますが、それは一〇〇%上がったということでございます。
○松浦委員 一〇〇%上がったことになるんですね。それじゃ二十円の物が十円に下がったら何%下がったですか。
○藤井(直)政府委員 五〇%下がったということになります。
○松浦委員 笑い話みたいな発想ですけれども、十円の物が二十円になったら一〇〇%上がったと出るわけですね。二十円の物が仮にもとの値段に下がっても物価は五〇%しか下がらないという数字になるんですよ。ですから、一遍上がった物価というのはもとに戻すということは非常にむずかしいんです。そういった意味で私はいま笑い話にもならぬことを言ったわけですが、物価を上げるということはこれからの政策運営には非常に重要な影響を与えるということをぜひ知っておいていただきたいと思うのですね。私は四・七というのは大平内閣の公約だと思いますね。ですから、いま私が言ったように、四月の最終の金曜日に全国消費者物価指数、東京区部の四月の速報が出ます。そうしますと四・七に入ったか入らなかったかということは必ずはっきりするわけですね。それが五十五年度の物価に非常に大きな影響を与える、その結果いかんが。三月はもうあとわずかですけれども、そのことを大臣、ぜひ理解をしていただきたいと思うのです。 その前提に立った上で今度の電気料金の値上げ査定についてお尋ねをさしていただきたいと思うのです。 これもいよいよ四月一日からですが、エネルギー庁長官以下非常に御努力いただいたんですが、いろいろな意味で消費者サイドから疑問が出されてきております。号の幾つかをお尋ねしたいんですが、その一つは、平均六四・四二%値上げ申請した会社側は、あくまでもこれは総原価主義で申請をした、こう言っておられるわけです。ところがエネ庁の方、通産の方は、査定は総原価主義をぎりぎり外れずに平均五〇・八三%に抑えることができた、こう言うのですね。どっちも総原価なんです。それじゃ、通産主導で査定されたんですから通産の査定が正しいと仮定をいたしますと、八電力会社の申請は水増しだったということになるわけですね。これは水増しだったんでしょうか水増しでなかったんでしょうか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
○森山(信)政府委員 まず私どもが査定をいたしましたときの一番大きなポイントは燃料費であったことを申し上げておきたいと思うわけでございます。もう松浦先生よく御承知のとおり、今回の値上げ申請の寄与率八三%が燃料費でございますので、燃料費の見方をどうするかというのが一番大きな分かれ目ではないかということでございます。そこで、八電力が申請いたしました燃料費につきましては、昭和五十五年度中に五%ないし一〇%の値上がりがあるという見方をいたしまして申請を出したものでございます。それに対しまして私どもの方は、世界の需給状況あるいは世界の備蓄状況等から判断いたしまして昭和五十五年度には値上がりはない、こういう前提で査定をしたわけでございますので、申請と査定側にはそれだけの考え方の相違があったということでございまして、これが松浦先生の御指摘になった水増し云々の議論になるのではないかと思うわけでございますが、私どもは燃料費についての見方が違っておったという考え方を持っているということだけ申し上げておきたいと思います。
○松浦委員 その燃料費のこれからの見通しについてはまた後からお尋ねをいたしますが、さらに原発の稼働率を申請では、平均五四・五%にしておったのですけれども、それを五五・八%に引き上げられました。ところが、御承知のように原発は安全性の問題をめぐりまして定期点検その他で稼働が抑えられております、定期点検のための運転休止等が義務づけられております。ですから、そういったこととそれから故障の多発ということを考えますと、会社側が申請した五四・五%でも過去のデータから見ますときわめて高い稼働率になるわけですけれども、それをさらに五五・八%に引き上げるということは、逆に言うと安全性の点検あるいはそういったものについて手かげんせよという意味ではありませんけれども、稼働率を上げるために一体どういうことを電力会社に指導なさろうとしておるのか、その点を簡単で結構ですからお答えいただきたいと思うのです。
○安田(佳)政府委員 原子力の稼働率につきましては、これは原子力の稼働率を上げますと料金が安くなるというような関係にございます。しかし、原子力の稼働率というものは、これはむやみやたらにさわれるものではございません。何と申しましてもやはり安全ということを第一に考えなければならないところでございます。 そこで、御質問の点でございますが、申請は八社中に含まれます原子力の稼働率は五四・五%で申請がなされたわけでございます。これを査定に当たりましては五五・八%と考えたわけでございますが、そういうふうに原子力の稼働率を上げました理由といたしましては、まず第一に、これまでの原子力発電所の運転実績あるいは定期検査の実績を考慮いたしまして、合理的な定期検査を実施するというのが一点でございます。それから第二点、これが大きな要素でございますが、運転実績を考慮いたしまして、法令で許される範囲での運転期間の延長、もっとわかりやすく申しますと、これは定期検査の時期を少し後にずらすということで、これが大きな理由でございますが、それを前提といたしまして稼働率の向上を図ったわけでございます。その際安全性の確保の観点からは、これは問題がないものと考えております。 なお、先生が御指摘になりました五五・八%の稼働率は非常に高いではないかという御指摘でございますが、これにつきましては、まだまだ理論的に考え得る稼働率よりは相当低い水準でございますけれども、五十四年度の実績はいまのところ大体五三%程度になろうかと思っております。関係者の一層の安全への努力を促しつつ、この数字は安全性を無視することなく達成することが可能な数字ではないだろうかというふうに考えております。
○松浦委員 稼働率を上げれば上げるほど電気料金にマイナスに作用するというのは理解ができますけれども、しかしこれは机上の計算で、ただ数字的に査定を合わせるためにということで稼働率を引き上げていきましても、逆にそのことによって国民の側が、先ほど言われましたように定期検査の手心とかあるいは手抜きというものが仮に行われておるとすれば大変な事態を招くと思うのです。ですから、そういうことが絶対にあってはならぬというふうに私は思います。これは事故があったら、極端に言うと大きな事故があったらもうおしまいなんですよね。ですから、そういった意味では稼働率を高めたということに対して納得はできませんけれども、しかし実質的に査定をした後ですから、これからの安全管理、安全運転についてぜひ御配慮いただきたい、厳重な監視を続けていただきたいということを要望として申し上げておきます。 それから、次に問題になりますのは減価償却の関係なんです。これは、定率法を採用したのは原子力、水力、石炭その他熱発電機の機械設備についての導入が行われておるのですが、東京、関西、中部のLNGの同じ発電については定額法が採用されておるわけですね。同じ発電機械でありながら、東京、関西、中部のLNGは定額法が採用されて、原子力とか水力とかあるいは石炭というのは定率法が採用されておる。なぜここに差異が出てきたのですか。 私が言いたいのは、LNGの発電について定額法が採用できるなら、すべての発電機器についてこれは定額法を採用すべきなんです。定率法というのは全部先に償却しますから非常に負担が過重になってきますけれども、定額法は平均されますから負担が軽くなります。ある新聞によりますと、関東、関西、中部――名古屋ですね、そういったところは人口が密集しておって消費者物価に影響を与えるから、ここはなるだけ定額法にしておこう、そうでないところは定率法にしておこうという、そういう配慮があったというふうに茶化して書いてある新聞もあったのですが、これは事実ですか。なぜ定額、定率の差異が出たのか、その点を教えてください。
○森山(信)政府委員 今回の電気料金の査定に当たりまして、一つの大きなポイントがいま松浦先生の御指摘になりました償却方法であったわけでございます。申請の段階におきましては、おおむね二分の一につきましての定率償却の導入の申請が行われたわけでございますけれども、私どもが査定をいたしました結果は、いま先生からお話しのございましたように、非石油、石油以外の代替エネルギーにつきまして、LNGを除きます部分につきましての機械について定率法の導入を査定上認めたわけでございまして、これは、考え方といたしますと、石油以外のいわゆる代替エネルギー関係の機械につきましては全部導入を認めたいというのが基本的な姿勢であったわけでございます。私どもが長年電気事業審議会の料金部会でいろいろ議論をしていただきました際にも、できるだけそういった方向で定率法の導入を図るべしという答申をいただいておる。こういう関係から見ましても、できるだけ定率法の導入をこの際一挙に行いたいという気持ちはあったわけでございますが、何分にも料金にはね返る影響というものもあわせて考える必要があるということから、非石油代替エネルギーのうちのLNG関係につきましては今回は見送りということでございまして、段階的に導入を促進していきたいということから今回は見送ったというのが現状でございます。
○松浦委員 私はその点非常に不満があるんですよね。同じ発電機械を持っておって、片一方は定額で片一方は定率だ、消費者の立場からすれば、なぜこの物価が急激に上がるようなエネルギー危機のときに定率法を採用していかなければならぬのかという批判があるのですね。LNGで定額法が採用できるなら、ほかの発電機器についてもやはり今回は見送って定額法でやるべきだった、そうすれば少しでも、その分だけでも佐々木通産大臣が物価で苦しまなくて済むわけです。見通しの中で非常に楽な政策対応ができるのですよ。これは、そういった意味では総原価という場合に取り組む姿勢の問題、物価に真剣に取り組むかどうかということが私はあらわれてきておると思うのですね。定率法なら定率法でやればいいです、みんな同じ発電機械だから。たまたまLNGだからこれは定額だ、これは原子力や水力だから定率だ、そういう発想では私は消費者は納得しないと思いますね。しかしこれも後追いですから、そんなことを言ってみたって四月一日ということですでに告示は終わっておるのですから、これからはぜひそういうアンバランスな考え方というのは整理しておいてもらいたい、そのことを申し上げておきたいと思うのです。 それから、資本費の事業報酬率の関係ですね、これは御承知のように料金値上げのときに各党から、これは与党も含めてだったと思うのですが、議論がありましたのは、真実かつ有効な資産、こういったものに対して事業報酬というのはかけられるべきだというふうに理解をしておるにかかわらず、この審議過程で大分議論になりました、ドル減らしのために政府の要請で買いましたウラン、あるいは現在全く稼働しておらない原子力発電所、こういったものまでも事業報酬の対象の中に含めて、しかも八%という高率をかけておる。どうしても国民は納得できないのですね。まだ真実かつ有効な資産じゃないわけですから。稼働しておらないものとか備蓄をしておるものとか、政府の要請で一方的にウランを買わされたものとか、こういったものは少なくとも事業報酬の査定からは、資本費からは除外をすべきであるというふうに考えておるのですけれども、それを結果的に加えられた。しかも八%という高い率をかけておられる。なぜ七・五にしてはいけないのですか。七・五ではいけなかったのでしょうか。がまんをしてもらうという意味では、物価が本当に緊急かつ重要な大平内閣の政策であるとすれば、事業報酬率というのは八%でなくて七・五%にすべきだった。現にガスなんかの場合は、八・二一の申請に対して八%に査定しておるわけですから、八・二一を八に落とすなら、申請のあった八%を七・八ぐらいに落とすことは可能ではなかったか、そういうふうに考えるのですが、その点はどうしても強行なさった、こだわった理由、簡潔にひとつ教えてください。
○森山(信)政府委員 事業報酬率八%につきましては、これはレートベース方式を採用して以来八%の考え方をとってきたわけでございまして、昭和三十五年にレートベース方式がとられたわけでございまして、一貫いたしましてそういう考え方で八%ということを堅持してまいったわけでございます。もちろんこの間、年によりましてはいわゆる金利水準が八%よりも高い時期もございましたし、逆に八%よりも安い時期もあったわけでございますけれども、こういったレートベース方式におきますいわゆるフェアリターン率というものは一定をするということが、やはり原価上の立場からは好ましいということもございまして、御指摘のように料金の申請の幅が非常に大きいときは七・五にしなければならぬとか、あるいは金利水準が少し動いたからこういうふうにしなければならないということになりますと、レートベース方式を採用するという意味がほとんどなくなってしまう。長年そういうものを一貫してやるところにレートベース方式の一つのよさといいましょうか、そういった考え方があるわけでございますので、そういった考え方に立ちますならば、やはり今回は同じルールに従って、同じ率で計算するのが原価上最も好ましいのではないか、こういう判断から八%をそのまま採用したというのがずばり申し上げた回答でなかろうかと思います。
○松浦委員 それから、これは大臣にお尋ねをいたしますが、経済企画庁長官と為替レートのことで大分やり合われたそうですが、昭和五十五年度の政府予算については一ドル二百三十七円、昨年策定されました経済見通しについてもレートは二百三十七円というふうに理解をしておるわけでありまして、北海道電力のレートも二百三十七円というふうに査定をされてこられたのですけれども、二百四十円の申請の為替レートに対して、少なくとも二百四十円に査定するというのは話はわかるのですけれども、二百四十二円というレートで査定をしておられる。そうすると北海道電力の二百三十七円と五円のレートの差があるのですね。査定で二百四十二円に為替レートを決定なさった根拠、これを経済企画庁長官がおられませんので、大臣からお聞かせください。
○佐々木国務大臣 私はそういう細かい議論はしません。
○松浦委員 細かいことじゃないのですよ。新聞で経済企画庁長官と大臣との間で相当論戦があった、こう書いてあったものですから。
○佐々木国務大臣 もっと大きい論戦でございました。
○松浦委員 それは細かいことなんですな。
○佐々木国務大臣 そういう細部のところまでは議論しなかったです。
○松浦委員 それじゃ、細かいことだそうですから事務局から答えてください。
○安田(佳)政府委員 事務的な算定根拠でございますから私からお答えさせていただきます。 まず北海道電力でございますが、北海道電力の査定をいたしました時点におきましては、為替レートは過去三カ月の平均でやるという通常のルールから見ますと二百四十円であったと思います。ただ、その時点におきます為替レートの動きを見ますと二百三十八、九円というところを動いておりまして、過去三カ月の実勢から見まして円高の状況でございました。その時点におきましては、二百四十円という過去三カ月の平均レートをそのままとることはいかがであろうかという観点から各種の試算をいたしまして、そのうち二百三十七円というレートを採用したわけでございます。 それから、電力八社についての査定の時点におきましては、過去三カ月の平均レートは二百四十三円に近い線でございました。そのときの実勢レートは二百四十九円ぐらいのところにございました。したがいまして、為替レートをいかに見るかという点につきましては、この際二百四十八、九円という現状のレートをそのままとるのではなくて、やはり従来のルールに従った二百四十二円もしくは三円をとるべきであるというふうに考えまして二百四十二円を採用したわけでございます。 なお、北海道電力と八電力の場合におきます差があるのがおかしいという点でございますが、これにつきましてはその査定の時点時点におきます情報をもととした想定原価を算定するわけでございますから、差が出てくることはあり得ることではなかろうかというふうに考えます。 なお、政府見通し等におきます採用レートは、これはマクロの数字を採用するレートでございますが、電気料金算定上におきますレートの想定は、現実にどのようなレートで入手可能であろうかという、そういう現実の問題についての想定でございますから、おのずから性格が異なってくるのではないかというふうに考えております。
○松浦委員 月例経済報告で見ますと一月のレートは平均レートで二百三十八円と出ていますね。これは経済企画庁からの発表ですよ。ですから二百四十二円というふうに見られることも結構ですけれども、大臣が細かいことだと言われたが、こだわるつもりはありませんけれども、円レートというのは非常に大切なことだと私は思うのですよ。円が不安定であるということがわが国の経済に重大な影響を与えるのですから、まず安定するということが円レートでは一番大切なことなんですよ、幾らということじゃなくてね。不安定であることがわが国の経済に非常に問題があるのですよ。細かいことというのは言葉じりだからあれですけれども、私は、このとり方によっては非常に大きな影響を与えると思うのですね。 そこで、これは大臣に聞いたらまた小さいことでしょうから、経済企画庁に聞きますが、大体この円レートの見通しはこれからますます円安の傾向を進むのかあるいは強くなる方向をとるのか、いままで大平内閣は、昭和五十五年度の後半においては円は強くなる、こういう見通しをずっと出されてきたのです、幾らということは別にいたしまして。佐々木通産大臣は、新聞で見る限りでは、二百二十円が妥当なレートであるということを通産大臣になられた当初言われたことを私は記憶しておるのですよ。それは別にいたしまして、これからの円レートというのはどういう方向をたどるのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
○井川政府委員 円レートでございますけれども、先ほどお話のございました来年度の経済見通しで二百三十七円と置いた根拠と申しますのは、実は深い根拠はございませんで、この円レートというのが見通しとして大変見通しにくい。したがって、恒例的に作業をやる前一カ月の平均をとる、こういうことになっておりまして、昨年の十二月、作業をやる前一カ月がちょうど平均いたしまして二百三十七円であった。したがって、そのレートで見通しを行った、こういうことでございます。 それから、先ほど先生が、一月のドルのレートが二百三十八円一銭というふうな数字を申されましたが、もう二月が出ておりまして、二月になりますとこれが上がって二百四十三円五十銭でございます。と申しますのは、御案内のように二月に入りましてから円安の傾向というふうなことで、二百四十数円あるいは二百五十円に張りつくというような状況でございまして、そのために二月平均が二百四十三円五十銭になっているということでございます。 いまのお尋ねの五十五年度全体としてどう見ているかという点に関しましても、実はわれわれとしては大変お答えしにくい問題でございますが、ただ、もしどうしても推測をということになりますと、御案内のように、本日も寄りつきは二百四十九円九十銭、要するに、二百五十円すれすれというところをいっておるわけでございますが、こういう二百五十円すれすれという状態が五十五年度全期間を通じて続くということにはならないんではないか。御案内のように物価が大変な時期でございますけれども、効率的な物価対策を講じる、さらには現在の経常収支赤字も恐らくここ一、二カ月が山ではないだろうか、そういたしますと、為替相場の上にそれがいつどのような時期にどういうように反応してくるかというのはわかりませんが、後半には少なくともいまの二百五十円ベースよりはより円高の方向に動いていくんではないか、またそうあってほしいというように考えておるわけでございます。
○松浦委員 いま調整局長がお話しになりましたように、円は後半強くなるということを前提に考えていきますと、この二百四十二円の査定というものについても申請どおりでよかったんじゃないか、しかも、見通しとしては非常にむずかしい見通しでありますから、会社側が二百四十円で将来一年間を見通してきておるわけですから、現在のレートがこうだからということで、二百四十二円という形で何もわざわざ高く見てやる必要は一つもなかった、むしろ申請どおりやるべきじゃなかったか、そういう批判が一般の人にはあるのですよ。申請してやったら、いや、申請が少ないからもっと高くしたらどうですかなんという、そういうことについて国民が了解をするという可能性は余りない。ですから、そういった意味では私は二百三十七円という昨年度決定をした経済見通しに対する円レートで作業してもらいたかった、あるいは申請どおりの二百四十円でやってもらいたかったと思うのですが、これもいま言ってはもう過去の繰り言であります。これからぜひそういうことのないように、これはお願いですね。国民の立場に立てば、これから査定をするときにはぜひそういうふうに考えてもらいたいということを、これは意見として申し上げておきたいと思うのです。 そこで、もう時間がありませんから、あと、値上げになった後の措置についてお尋ねをしたいのです。 物価対策についていろいろなことが言われておるのですが、電灯、電力及びガスの料金改定に伴う措置について、「コスト上昇については、極力合理化努力により吸収し、」とこう言った後で、「便乗値上げ等不当な価格形成を行わないよう関係業界に要請する」とこう言っておられるのですが、便乗値上げというのは幾らからを便乗値上げと言うんですか。電気料金の値上げした分をそのままストレートに価格に反映した場合には便乗値上げと言うんでしょうか、あるいは電気料金の値上がり以上に価格に転嫁した場合のことを便乗と言うんでしょうか。その便乗値上げという範疇はどの部分を言うのか、これをひとりお聞かせいただきたいと思うのです。
○神谷政府委員 御指摘のように便乗値上げという言葉は厳密な定義のない言葉でございますが、一般的に理解されておりますものは、ただいま先生御指摘の電気料金の引き上げに伴うコスト増あるいはその他のコスト増等を転嫁するというものの上に、さらに需給関係その他に便乗いたしまして、上乗せの価格形成をすることを便乗値上げというふうに考えられておるわけでございます。 ただ、私どもここでお願いしておりますことは、基本的にはいろいろなコスト増があっても、それを一〇〇%吸収するということは無理であっても、まさに一割でも一%でもできるだけ努力をして吸収してほしい、いわんや上積みをするようなことはこれはもってのほかなんで、そういうことは万々あるまいと思うが、慎んでいただきたい、こういうことをお願いしておるわけでございまして、厳密に幾ら幾らがどうこうというような価格介入を前提としたものではございませんで、基本的な企業の価格形成に関しての姿勢並びに努力を要請しておるものでございます。
○松浦委員 物価対策は、これは経済企画庁とのやりとりですから、また改めてしますが、通産当局にかかわりのある電灯、電力料金改定の問題をとってみましても、文章上は言えても、具体的にそれじゃどんなにやって取り締まりをするのかと言ったら、これはもう手がないですよ。 そこで大臣、お尋ねをいたしますが、電気料金、ガス料金が四月一日から上がるわけでありますが、通産省としては新たな価格体系というものを想定しておられるのかどうか、その点お聞かせいただきたいと思うのです。
○佐々木国務大臣 いまお話しございましたように、私どもとしては関係の百七十団体でございますか、文書を送りまして、できる限り電気、ガスの値上げ分はひとつ企業の努力によって吸収してもらいたい、それをそのままダイレクトにコストアップにつなげないで、ほかの合理化等であんばいして、そうしてやってもらいたいというお願いをしておるわけでございます。また近く四団体、経団連その他、一番大きい団体でございますけれども、そういう団体ともお会いしまして、同じようなお願いをしたいと存じます。きょうこれから、終わりますと地方から見えましたモニターの人たちもおりますので、話も聞きながらそういう点をお願いしたり監視をお願いしたりしたいと思っております。
○松浦委員 新価格体系に移る作業というのは全くしておられないのですね。新価格体系という言葉は別にいたしまして、そういう電気、ガス料金が上がったことによって新たな価格体系がつくられていくということについては、通産省の方はどういうふうに考えておられるのですか、そういう指導をなさるのですか。
○佐々木国務大臣 いま申しましたように、価格は本質的には需給関係で決まるわけでございますから、コストが上がったからすぐそれが価格に転嫁していくというわけには、物によってはいかぬと思います。そうでございますから、できるだけコストの値上げを経営の合理化等の企業努力によりまして、電力値上げ等は吸収するように努めてもらいたい、こういうお願いをしておるわけでございます。
○松浦委員 月例経済報告の製造工業の稼働率を見ますと、一月は五十年を一〇〇として一二二・五の稼働率になっておるのです。これに産業連関表による率七・三%を掛けますと、この経済指標でいく限り製造工業の稼働率は九〇%を超えるわけですね。ということは、逆に言うと、この計数から言えばもうフル操業に入っておる。そのことが一つ言えると思います。 それからもう一つは、労働者に対する分配率、これはもうすでに前々から予算委員会でも私が申し上げましたように、一%ないし二%というふうに非常に低下をしてきておる。さらに人員合理化についても、市場に百万人近くの失業者が依然としておる。そしてまた、省エネ問題をいろいろ議論されますけれども、野村総研の財界観測の中で、エネルギー消費と経済成長の年率、GNPの弾性値に対する年率を調べてまいりますと、GNPが一に対してエネルギーは〇・一という対置になるのですね。フランスが〇・三、西ドイツが〇・一、オーストラリアが二・〇、カナダが〇・八、アメリカが〇・四というのを見ますと、日本はもうGNPを一上げるのに対して〇・一しかエネルギーを使わぬという、大変に省エネは各企業では行われておるわけですね。もうすでに行われておる。ということになりますと、ここで言う企業側の合理化する余地というのはどこにもないわけです。ですから、結局電力、ガスの上がった分は価格に転嫁する以外に逃げ道がないところまで現実に来ておるわけです。それをただ単に極力合理化に努力して吸収しなさいという言葉で言われてみても、最終的には製品価格に転嫁する以外に逃げ道がないという状況が生まれてくると私は思うのです。 そういう点について大臣はどのようにお考えになるのかをお尋ねいたしまして、私の時間がもう来たようですから、また改めて質問をさせていただくことにして、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
○佐々木国務大臣 お説ごもっともでございますけれども、経済でございますから、需給関係の推移とか景気変動の推移とかいろいろございまして、そのほか企業として幾らでもまた努力しようと思えば努力する余地もあるかもしれません。また、努力する余地のない企業もあるかもしれません。それは一様には言えぬわけでございまして、私どもといたしましては何企業は企業努力の余力がないほどやっておるから、ここにはお願いせぬでもいいというわけにはいきませんので、広く各団体にひとつ合理化の線でできるだけ電気、ガスの値上げ分は吸収してもらいたい、努めてもらいたいというお願いをしておる次第でございます。
○松浦委員 大臣が言われたようになることを期待いたしますが、非常にむずかしいと思います。 また議論させていただくことにいたしまして、私の質問を終わります。
○塩川委員長 これにて松浦利尚君の質疑は終了いたしました。 引き続いて森田景一君。
○森田委員 最初に電力料金値上げの問題についてお尋ねしたいと思います。 平均六四・四二%という八電力会社の大幅値上げ申請に対しまして、通産大臣は三月二十一日、平均で五〇・八%の認可決定を行ったわけでありますが、この値上げ幅の決定につきましては通産省と経企庁との間で調整が難航した、このように報道されておりますけれども、この点どうであったのか、両大臣にお答えいただきたいと思うのです。経済企画庁の方は長官がいらっしゃいませんが、通産大臣の方からまずお願いしたいと思います。
○佐々木国務大臣 役所同士のことでございますから、それぞれ議論を闘わす場合もあるのは当然でございまして、確かにいろいろ議論しましたし、また私どもよりももっと、さっきのお話のように細部にわたって議論を進めたようでございます。さればといって最後には完全に意見が一致して決まったわけでございますから、現在に至って振り返って、当時の細部にわたる議論はこうでございますと細々申し上げるのもこれまたいかがかと存じますので、そういう点は差し控えさせていただきたいと思います。
○森田委員 経企庁の方はどなたがやっていただけるのですか。
○藤井(直)政府委員 電気、ガス料金につきまして、私どもは物価の関係で協議を受ける立場にあるわけでございます。そういう意味で対応してまいったわけでございますが、電力料金、ガス料金の国民生活等に与える影響は非常に大きいものでございますし、当面非常に重要な物価情勢を控えておるわけでございますので、ぎりぎりのものにしていく必要があるのではないかということで、総括原価の中の各項目につきまして通産省の方といろいろ意見の交換をしてまいったわけでございますが、最終的に五〇・八%という形で電気料金を決めることに合意をいたしたわけでございます。いろいろ過程においての意見の交換その他について十分いたしたつもりでございますが、最終的な案として、私どももこの数字でいくことについてはやむを得ないものであると理解をいたしております。
○森田委員 通産大臣は細かいことのやりとりはあったようだ、ようだとおっしゃったですね。このようだというのはどういう意味なんですか。
○佐々木国務大臣 私は、そういう場にはいなかったという意味でございます。
○森田委員 この電力料金値上げというのは内閣でも大きな問題であったわけでありますけれども、国民全体の関心の的だったはずです。それで、先ほども聞いておりましたけれども、一つ一つについてはいろいろ細かい問題があったかもしれませんけれども、そういう問題を積み上げてたとえば五〇・八なら五〇・八に落ちついたという、こういう決着がついたはずじゃありませんか。そういう決着をつけるためにはやはり大臣が、少なくとも日本の経済を大きく左右すると言われる電力料金値上げについて、そういう細かいことは知りません、そんなことでいいのですか。
○佐々木国務大臣 知らないとは申しておりません。そうじゃなくて、どういう議論の次第があったかというお話でございましたから、細部と言った方が正確かと思いますけれども、微に入り細をうがっての議論のときには私は立ち会っておりませんので、そういう細かい議論の道行きは知りません。もちろん責任者でございますから、結果並びに決めるとき等は自分の決断であることは間違いございません。
○森田委員 やはりこういう大きな問題を決めるときには、細かいところまで配慮があって、そして決めていくというのが私は責任者のとるべき態度であろう、こう思いますので、いろいろと今後の問題もありますから、ひとつ大臣は、ただ座っていればいい、盲判を押せばいい、こんなことであってはならないと私は思うのですね。そんなことはなさらないかもしれませんけれども、十分ひとつ今後しっかり対応していただきたいと思います。 通産省は、原価主義に基づきまして値上げ申請の査定を行った結果、五四%から五五%が妥当である、このようになさっていたようでありますが、この値上げ率を政府自民党の関係機関に図ったと言われております。この点については間違いございませんか。
○森山(信)政府委員 一月二十三日だったと思いますが、申請がございまして以来、鋭意私どもは査定作業をしてまいったわけでございまして、その仕上げのやや前の段階で私どもの考え方を、いま森田先生御指摘のとおりのような数字で、一応の中間的な感触といたしまして御報告したようなことはございます。 〔委員長退席、堀内委員長代理着席〕
○森田委員 これに対しまして政府自民党は五一%台へ減算して、そして政治決着を図ろうとしたようでありますけれども、これには経済企画庁が反対した。それで、伝えられるところによりますと、五〇%を切っても原価主義は貫ける、このようにいたしまして通産省と正面から対決する姿勢を示した、このように言われているわけでございます。この点はいかがでございましょうか。
○藤井(直)政府委員 電気料金についてのただいまの御指摘ですが、これはその当時、経済企画庁の事務次官が発言されたことについて新聞紙上で取り上げられたことでございますが、申し上げております真意は、要するに電気料金のような重要な料金については、原価主義に立って厳正に査定すべきものであるという前提に立ちまして、あらかじめ数字を決めておきまして、その数字以上であれば原価主義は貫かれている、そしてそれ以下であれば原価主義から外れているというようなことを言うのはそれはおかしい。やはり数字そのものに即してそれぞれの原価項目を厳正に査定していって、でき上がったものについてそれが適正であるかどうかということを判断すべきだということを申し上げたわけでございます。
○森田委員 そうしますと、そういう計算の過程といいますか、そういう中から経企庁の方では五〇%を切っても原価主義は貫ける、こういう判断に立ったわけでしょうか。
○藤井(直)政府委員 そういう原価主義のもとで通産省と協議をいたしまして、最終的に意見の一致を見たのが現在実行されようとしております料金体系であろうと思います。
○森田委員 その点はわかるわけです。一応、どういう形か知りませんが両方合意した、それで五〇・八というふうに決まったわけですから。その論議の段階では、経企庁の方では五〇%を割っても原価主義は貫ける、こういう判断で論戦なさったわけですか。
○藤井(直)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、各原価項目について何が適正かということを議論していく段階で最終的に決まったものが、現在認可をいたしました料金水準であるということでございます。
○森田委員 政府の方針で決まったことに後からとやかく文句つけたくない、そういうお気持ちだと思いますので、余り深くは申し上げません。 経企庁長官は、電力料金の大幅な値上げによる諸物価の値上がりを心配されまして、電力料金の値上げ幅に対しては極力低く抑えようと努力された、このように私どもは見ているわけでございますけれども、結局はいまのお話のように五〇%を切ることができずに終わってしまったわけでございます。五〇・八%という査定結果を、先ほど申し上げましたような諸物価の値上がり、こういう関連におきまして、どのように考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○藤井(直)政府委員 CPI、消費者物価に与える影響といたしましては、今回の八電力会社の料金値上げの影響は〇・七%というふうに想定をいたしております。
○森田委員 原価主義を貫いて査定を行った、こういうお話がさっきからございました。けれども、お話を伺っておりますと、どうも政治決着ではなかったか、このように思わざるを得ないわけでございます。また、国民が納得できる査定ではなかった、このように言わざるを得ないわけでございます。それは査定の内容を見ますと、燃料費、用地買収、原子力発電の資本費、修繕費などにつきましてどう押さえて査定したのか明らかにされておりませんし、また、公益事業の経営内容をガラス張りに公表することも、今回の査定では行われていなかったように思います。そういう観点から、今回大幅な値上げを行ったのを機会に経営の公表、これを義務づけて、需要者が常に電力会社の行動をつかめるようにすべきであると考えるわけでございますが、この点について通産大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○佐々木国務大臣 このたびの料金値上げに伴いましての資料は、あとう限り公開いたしました。許可をいたしましたときに、新聞記者の皆様にお集まりいただきまして、細部にわたって御説明申し上げて、資料もお渡しいたしました。 それから会社の経理公開の問題ですけれども、これは公共事業でございますから、当然皆様の疑惑を招かぬように経理を公開するのは大変重要なことでございますので、私どもも常々できるだけ公開するようにといって指導しておりますし、また、審議会等でもそうすべきだという中間報告でもございますので、できるだけ公開するように指導してございます。
○森田委員 大臣、一生懸命お答えいただくのはわかるのですけれども、どうもときどき何だかよくわからない発言がございますので、発言のときは少しゆっくりで構いませんから、はっきりひとつお話しいただきたいと思います。私も耳は悪くはないはずなんでございます。 それでは経済企画庁にお尋ねいたします。 電力料金の値上げが大幅になりましたから、諸物価に与える影響は当然大きい。先ほど〇・七というお話がございましたけれども、やはり影響は大きい。関連する影響というのは非常に大きく広がってくるだろうと思います。そこで、今後の消費者物価の高騰が必配になってくるわけでございますが、経済企画庁は、政府見通しの消費者物価六・四%達成ということについて、長官が毎日新聞のインタビューに応じておる記事がございました、御存じかどうかわかりませんが。この中で、「私のクビをかけても六・四%は守る。」こう断言されていらっしゃるわけです。長官いらっしゃいませんけれども、どのような対策を講じてこの六・四%を守ろうとされていらっしゃるのか、その辺を先にお答えいただきたいと思います。
○藤井(直)政府委員 最近卸売物価が非常に上昇しておりますが、その状況の中で電気、ガス料金の値上げが行われるということでございますので、物価情勢全体として非常に厳しい状況にあると思います。 そこで、電気料金、ガス料金を閣僚会議で決めると同時に、その同じ会議で当面の物価対策についての決定を行ったわけでございまして、私どもといたしましては、こういう情勢を控えまして全力を挙げて物価安定に取り組むということにいたしたわけでございます。 内容的に申し上げますと、一つは総需要の管理でございます。もう一つは個別的な対策、いわば便乗値上げ等を防止するということを中心とする個別対策でございまして、この二本の柱で対処していこうということでございます。特にその総需要の管理の方につきましては、この電気料金の引き上げ以後しばらくの間、これはいわば物価対策の正念場であるというふうに考えておりまして、その事態の中でいわば短期決戦型の需要管理ということを頭に置いて、公共事業、さらには金融政策につきまして抑制的な態度でやっていこうということを申し合わせているわけでございます。 それからもう一つは、便乗値上げ等の防止の問題でございますが、これは現在も続けております個別物資についての需給価格動向の調査、監視、そしてさらには電気料金の引き上げに伴いましての価格形成におきまして、できるだけ合理化努力によって吸収していただき、かつ便乗値上げ等不当な価格形成が行われないように各業界に要請するというようなことを中心にいたしまして、きめ細かな調査、監視を続けていくということを考えているわけでございますが、同時に生鮮食料品等の対策、さらには地価の投機的な取引の防止のための対策、さらには公共料金についての一部の料金、たとえば電電公社の夜間割引料金についての引き下げ、国際電信電話料金の引き下げ、そういうようなことを内容として、これから個別的な対策を実施していこうということにいたしているわけでございます。
○森田委員 非常に一生懸命取り組んでこの六・四%を守ろうという、こういう姿勢はよくわかります。その六・四%は、長官はいませんけれども、物価局長も守れる、こういう自信はお持ちなんでございますか。
○藤井(直)政府委員 ただいま申し上げましたような対策を徹底的に行うことによりまして、五十五年度の消費者物価の上昇率を六・四%の範囲にとどめるように努力をしてまいりたいと思います。
○森田委員 努力することはどなたもおやりになることはわかるわけです。実は長官に来てほしかったのですが、長官がいませんのでやむを得ませんけれども、首をかけても六・四%を守ると、こう長官が断言しているわけですよ。だから、長官がそれだけの自信を示すからには、担当の物価局長もそれは自信がある。常々長官とお話し合いをしているのじゃなかろうかと思うわけなんで、六・四%は局長も守る自信はおありですかと聞いているのですよ。
○藤井(直)政府委員 全力を傾けて努力をしていくということによりまして達成できると思っております。
○森田委員 達成できる、このように局長の方も断言していらっしゃるわけですから、それを私も信じてこれから一生懸命取り組んでもらうようにお願いしておきたいと思います。ただ、一つ長官に伝えておいていただきたいと思うのです。といいますのは、長官は新聞にきちんとインタビューで答えているのですから、これはもう公式に発表なさっているわけだ、こう思いますから、六・四%達成できなかったときは、経企庁長官は首をかけると言っているのですから、本当に責任をとるかどうか、これが委員会で論議になった、このことをはっきり長官にお伝えいただきたいと思うのです。よろしいでしょうか。
○藤井(直)政府委員 先生の御発言をよく大臣にお伝えいたします。
○森田委員 ただ、ことし一年間かかって進む問題ですから、途中で、ことしの暮れあたりに内閣改造があって、そのときに首が飛んじゃったなんということになるとちょっと張り合いがない話ですけれども、しかしこれはきちんと、国民生活を守るという立場から厳重にお伝えいただきたいと思います。そういうことで、特に経済企画庁が今後の物価対策に努力をされることをお願いしておきたいと思います。次に繊維産業の危機突破対策ということについてお尋ねしたいと思うのです。 日本の繊維産業が、設備廃棄とかあるいは人員合理化、労使の並々ならぬ構造改善の努力にもかかわりませず、海外諸国からの繊維製品輸入ラッシュ等いろいろな問題を抱えていま未曽有の危機に直面していると言われております。たとえば繊維の倒産件数は昨年一年間で千三百八十八件だったそうでありまして、これは史上第二位ということです。また負債額では史上第一位だ、こういう状況でございます。この現況を通産大臣はどのように認識しておられるのか、お答えいただきたいと思います。
○佐々木国務大臣 繊維産業はお話しのように後進国と申しますか、追い上げ等の問題もございまして未曽有の難局に立っているというふうに見ております。
○森田委員 それでは、この危機を突破するための通産省の対策といいますか、どのような対策を講じてこの繊維産業の危機を回避しようあるいは突破しよう、こういうお考えなのか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。 三つ大筋がございまして、一つは日本の繊維産業自身の体質改善ということでございまして、構造改善事業を鋭意進めておるわけでございますが、これにさらに努力してまいりたい、このように考えております。 第二は、海外との関係でございますが、これは二つございまして、一つは、繊維産業はやはり古くから輸出産業として立ってまいっておりますので、輸出産業としても衰えたりといえども現在相当の規模で行っておりますし、さらに品質の高度化等を進めることによりましてやはり輸出についても今後努力する必要がある、このように考えております。 それから第三点は、同じ海外面でございますが、輸入の点でございます。輸入の点につきましては秩序ある輸入を確立するということでございまして、急激な輸入の増加によりまして国内の繊維産業が危殆に瀕するということを極力避けるための措置ということを考えております。 以上、三つの点でございます。
○森田委員 日本の繊維産業界は、一つは綿糸、綿織物等の輸入対策ということで、ガット繊維製品国際貿易取り決め、MFA等に基づく二国間協定の早期締結を進めてほしい、それからそれが進むまでの間実効ある行政指導の拡大実施してほしい、二番目としては、さらにその他繊維品並びに二次製品の輸入急増に対する適切な対処方策を早期に実現してほしい、こういう点を要望しておるようでございますけれども、大臣はこの問題に対してどのように対処していかれるおつもりか、お聞かせいただきたいと思います。
○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。 第一のMFAの点でございますが、これは国際協定として日本も参加をいたしておりまして、必要な段階にその中の必要な手段につきまして、適時適切に日本としてもこれの運用に当たっていくという点では、そういう心構えを十分持っております。 それから第二の、それに至るまでの間の秩序ある輸入の行政指導ということでございますが、この点につきましては相当きめの細かい行政指導をやりませんと、ややもしますと輸入の急増等が起こりますので、国内の実際の被害が生じないような万全の行政指導措置を必要に応じ今後も考えていくということでございます。 それから第三の御指摘の、輸入急増に対して緊急にどういう措置をとるかということでございますが、これは従来もそうでございますけれども、いわゆる貿易管理令上の措置と行政指導、あらゆる手段の組み合わせ方式によりまして、その品目別あるいは地域別の観点も織り込みまして、輸入急増に対しましてはそういった事態をできるだけ未然に防止するというような措置で対処してまいりたい、このように考えております。
○森田委員 この繊維産業――繊維産業以外でも中小企業はいま非常な危機を迎えておるわけでございますが、せっかくの御努力をお願いしたいと思います。 この繊維産業の中で、私はまた大島つむぎについてお尋ねしたいと思っております。 ここ数年間、本場大島つむぎの生産状況は年々減少の一途をたどってきておりまして、私の調べたところでは、昭和五十一年に九十七万一千九十反であったものが、五十二年が八十二万六千三百反、五十三年が七十一万四千三百二十五反、五十四年が六十九万八千五百八十反、このように減ってまいりまして、五十一年の九十七万と五十四年の六十九万八千、この差は何と二十七万二千反も減っているということです。こうした状況が続いている原因は一体どこにあるのか、また今後の振興対策はどうするか、こういうことについてお伺いしたいと思います。
○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。 本場大島つむぎにつきましては、特に昭和四十年代に入りましてからつむぎブームが起こりまして、これを背景といたしまして昭和五十一年度までは年々生産量は増加の一途をたどったわけでございますが、その後つむぎブームの反動が見られまして若干減少傾向になってまいったわけでございます。かたがた国内の事情といたしまして、和装に対する消費需要の一般的な低下傾向が起こりまして、それが御指摘のように昭和五十二年度以降の減少に非常に拍車をかけております。したがいまして、私どもとしましては、最近の生産状況を十分見まして、そうして特に生産の主体でございます、同じ大島つむぎの中でもタテヨコガスリという高級品がございます。そういう高級品志向をできるだけ確立するということで、量の方はある程度伸びるというのは無理がございますので、付加価値の点で高いものをできるだけキープするということで、現在業界の努力を高く評価いたしまして、これに対する私どもの助成というものも傾注していきたい、このように考えております。 ちなみに、最近でございますが、出荷の価格も若干強含みになっておりまして、特に先ほど申しました高級品のタテヨコガスリというものについて若干悪くない面、いわば少し明るい面が出てきておる次第でございます。また、御指摘のような産地振興を十分図っていく必要がございますので、この辺についてもきめの細かい諸措置を講じてまいりたい、このように考えております。
○森田委員 特にこの大島つむぎに関連して韓国との問題がいろいろとあるようでございます。韓国における大島つむぎ等類似品の生産実態、それから生産数量につきまして、昭和五十四年の日韓生糸絹製品協議のときに政府の方から公式に韓国の統計資料の提出を要求なさった、このように聞いておりますけれども、そういう資料は政府の方に入手されているのでございましょうか。
○児玉(清)政府委員 まず結論から申し上げますと、現段階では先生の御指摘のような発表に値する数値を実は私どもまだ持ち合わせておりません。今後とも引き続きまして韓国政府に対して協力方を粘り強く要求していくということで対処したいと考えている次第でございます。 〔堀内委員長代理退席、中島(源)委員長代理着席〕 その背景といたしましては、まず第一に、どうしてそういったものをつかんでないかということでございますが、韓国におきますところの大島つむぎの実態につやまして通産省も直接韓国へ参りまして、そして調査をしたらどうかというような御意見も非常に強く何度も私ども聞かされておるわけでございまして、検討もしたわけでございますが、韓国には残念ながら信頼の置けるような調査機関が十分発達しておりませんで、政府が直接関与するような形で韓国内の調査を直接実施するということにつきまして、韓国政府側が非常に難色を示しております。これを強行いたしますと、かえって両国間の友好関係という観点から必ずしも好ましくない結果を招来するおそれがございますので、この点についても若干慎重にならざるを得ないという困難な事情がございますのが第一の点でございます。 それから第二の点でございますが、背景といたしまして先方のいろいろな数字がございますけれども、その中で特に大島つむぎというものを特掲して把握してないようでございまして、その点でも非常に難点がまずございます。 〔中島(源)委員長代理退席、堀内委員長代理着席〕 御指摘のように、昨年の十月、第二回の日韓絹交渉がございまして、その席上におきましても、当方から韓国政府に対しまして正式に韓国側の正確なデータを提出してくれるようにという要請を強く行ったわけでございますけれども、席上、向こうから、これはここ限りということで言われました数字も、たとえば先ほど御説明いたしました締め機によりますところのつむぎといった限定された、特掲された、私ども欲しい資料という点ではこれが不明になっておりまして、私どもとしては目的を達していないという事情でございます。したがいまして冒頭申し上げましたように、今後も少し粘り強くこういった数値の把握についての協力方を要請してまいりたい、このように考えております。
○森田委員 いろいろとトラブルといいますか問題があるようでございますが、時間の関係で省略いたしまして、大島つむぎの生産地であります鹿児島県では「新しい躍進のために」と題する活路開拓報告書をまとめて真剣に取り組んでいるということでございますけれども、今後大島つむぎの発展を期待するためには、言うまでもなく伝産法、すなわち伝統的工芸品産業の振興に関する法律、これに基づいて大島つむぎの振興を図らなければならない、このように考えておるわけでございます。そのためにこの鹿児島の大島つむぎの関係の方々から政府の方もたびたび陳情を受けていらっしゃると思います。特に伝産法の一部を改正してほしい、そして法律できちんと守れるようにしてほしい、こういう要望が出ておりますけれども、この点についてどうでしょうか。
○児玉(清)政府委員 ただいま御指摘いただきましたような強い要望を私どもも承知をいたしております。振興策といたしましてはやはり伝統的工芸品ということでございますので、産地育成の観点から特に力を入れていく、こういう点では全く私どもも同感でございまして、産地にできるだけのお手伝いをしていく、特に中小企業という形態が大半でございますので、そういった意味で中小企業の助成関係を総動員いたしまして、大島つむぎの発展のために尽くすということで御協力を申し上げたいというように考えております。 ただ、いまお話しございました伝産法の改正という点でございますが、現在ございます伝産法に定められました精神とその中の手段というものを完全に使うという実績期間としては、まだ制定以来私ども現在努力中でございまして、施行の経験にかんがみていますぐこういうふうに伝産法を改正したらという点まで到達はいたしておりません。したがいまして現在与えられております伝産法の枠組みの中で、しかもその後追加になりましたいろんなたとえば産地法の指定とか中小企業の活路開拓の振興計画といったものも、新しい手法も十分織り込みまして、そういった意味で総合的にかつ実質的な振興対策の結実を図りたい、このように考えておりまして、特にたとえば大島つむぎの振興を図りますためには虚偽表示その他がまず問題になることがございますので、こういった虚偽表示等が発生しないような防止手段につきましても努力をしてまいりますとともに、前向きの振興につきましても、特に五十五年度の予算案につきまして伝統的工芸品の振興協会補助、これを増額するとかあるいは後継者の育成、これも大島つむぎの場合相当問題がございますので、後継者の育成にも努力するあるいは伝産会館の建設補助とか、そういったことを助成策の根幹として展開してまいりたいということで考えております。 それから一般的にはやはり長期低利の融資ということが非常に有効でございますので、そういった点では伝産業者の作業場を中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫の特別融資という形で投入してまいりたい、今後もこういった産地の実態に最もミートします政策手段というものを強力に投入することによりまして、全体として大島つむぎの振興を図ってまいりたい、このように考えております。
○森田委員 お話の趣旨もわかりますし、非常に一生懸命取り組んでいらっしゃることも理解できますが、ひとつ私お話を訂正してほしいと思うのですね。といいますのは、ああいう現地の方々が当局に一部改正してほしいという、こういう要請が出ているからこれに対してどうかという質問をしたわけです。われわれ公明党はこの伝産法の一部改正を実はこの委員会で審議してもらうように提出しているんですね。この委員会で決まればこの内容が変わるんです。そういうことをやはり局長もよく承知しておいていただいて、そういう立場に立って話してもらわないと、何だか委員会なんかあってもなくてもいいような話になりかねません。その点十分ひとつ御注意いただきたいと思うのです。よろしゅうございましょうか。
○児玉(清)政府委員 十分勉強いたしましてやってみます。
○森田委員 大島つむぎはわが国の古代染色技法を今日に伝える唯一の織物として古い歴史を持っているわけでございます。その伝統をよりよく守るためにも、ぜひひとつ当局のこれからもより一層の努力を期待いたしまして質問を終わります。
○堀内委員長代理 これにて森田景一君の質疑は終了いたしました。 引き続いて木内良明君の質疑に移ります。木内良明君。
○木内委員 きょうは大臣もお見えでございますので、宝石に関する各種の問題について実はお聞きをしたいと思うのです。 私も実はきょうのこの質問に当たって従来の会議録というものをいろいろと見ました。宝石に関する問題が取り上げられたということが余りないんですね、国会では。かつて全体から見ればごく一部の消費者のものとされていた宝石が、今日幅広い消費者層の購買対象となっているのが実情ではなかろうかというふうに思うわけです。たとえば若い人の結婚指輪で使われたり、さらにまた宝石の持つ財産性ということから、一般庶民の庶民感覚からした蓄財の対象としての購買のケースというのが非常にふえている。いわば庶民の購買ケースにおける率というのが大変に高率になってきているわけでありまして、一般的な国民生活における消費者傾向が増大しているということが言えると思うのです。 ところが、ここ数年の例だけを取り上げてみましても、たとえばブラックオパール事件というのがある大手のデパートでつい最近ございました。あるいはまたアレキサンドライト事件などというのもやはりある大手のデパートを舞台に繰り広げられたようなことがあるわけでありまして、実はこうした売買ケースにおける事件というものが顕在化してきている。恐らくはかつてもいろいろあったんでしょうけれども、ここへきて非常に表に出てきているわけですね。したがって、こうした大きな、新聞に取り上げられたような事件というのは氷山の一角であろう、表に出ない事件の数というのは大変なものになるんじゃないかというふうに私は思うわけです。 そこでお聞きするわけですけれども、通産省としてはこうした被害の実態をどのように把握されておられるのか、初めに局長にお聞きします。
○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。 宝石類は一般の工業製品と異なりまして、その評価につきましてかなり専門的な知識を必要とするものでございます。また個人の好みという点、いわゆる主観的な要素が非常に入ってくるという特殊な性格を持っておりますので、その評価がきわめて個人的な主観的要素によって左右される場合がございます。そういった商品特性を背景といたしまして、これが売買に当たりましては、一般の消費者との間で時によりますと先ほど御指摘のようなブラックオパール事件等のいろんなトラブルが生ずる可能性が強いということは十分承知をいたしております。 第二に通産省としまして、宝石類の売買に伴うトラブルも含めまして、消費者からの苦情相談に対してどういう対応の体制をとっておるかという点からまず申し上げますと、消費者相談室というものを置いておりまして、たとえば昭和五十三年度中に消費者からこの相談室に寄せられました苦情等の総件数は五千百八十一件でございました。このうち宝石関係の苦情にかかわりますのが五十件でございまして、数はそれほど多いということは申せませんけれども、このトラブルの内容がいわゆる品質面、たとえばきず等の問題がございます。それから価格面にかかわるものがございまして、そういうものでも十二件ございます。 〔堀内委員長代理退席、中島(源)委員長代理着席〕 ほかは主として割賦販売あるいはマルチ商法等によります、いわゆる販売方法にかかわる苦情でございます。 これらの苦情のありましたケースにつきまして、業界側からの事情聴取を行うということがまず第一でございまして、それに応じまして必要な対応策を講じていく、このように個別処理を十分きめ細かに展開するという方法をとっております。 ただ、当省の消費者相談室に持ち込まれました苦情が御指摘のようなトラブルをすべてカバーしているかと申しますと、決してそう言えないわけでございまして、こうしたトラブルの実態について、私どもとしましても消費者相談室に持ち込まれるもの以外に、広くこういうものを実態的に把握するということについても努力を今後進めていきたい、このように事務当局として考えております。
○木内委員 いまいろいろ局長の方からお話がございました。確かに顕在化している事件あるいはまた見えない部分での事件というものも相当数あると思うのですね。こうした実態について、確かに特殊な商品だということもあるわけですけれども、ひとつ大臣の感懐といいますか、この状況に対するお気持ちをまずお伺いしたいと思います。
○佐々木国務大臣 宝石類の売買に関しましていろいろなトラブルがあるということはよく聞いております。きょうも実はこの会議が済みましてから消費者側との懇談会がございまして、いろいろなそういう場を通じまして、消費者の言うことも聞いてみたいと思っております。
○木内委員 ひとつきょうはいろいろとお聞きしたいと思いますので、新たな対応というものも今後検討いただきたいと思うわけですけれども、まずいま触れた被害に対して、通産省が今日まで具体的ないわゆる行政面での措置としてどう対応されてきたか、あるいはまた今後消費者保護という観点からどのように対応していかれようとしているのか、これをお示しいただきたいと思います。
○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。 消費者保護行政につきましては、通産省行政の中でも最も力を入れていかなければいけない行政分野、このような認識を私ども強く持っておりまして、今後におきましても最重点の分野の一つとして、これに私どもの努力を傾注してまいりたいと考えております。 その背景といたしまして、先ほど御指摘いただきましたようないろんなトラブルがございまして、そういったトラブルを通じて、あるいはそれを手がかりといたしまして、御指摘のような国民生活水準の向上の一つのシンボルとしての宝石につきまして、その価値と価格のバランスというものが十分確立されますように消費者の啓蒙等も行いまして、今後努力するつもりでございます。 また先ほど来私ども申し上げておりますように、消費者からの苦情というのが一つの契機になってまいりますので、そういった内容を十分にキャッチすると同時に、これを分析しまして、関係業界の意見も聞きましたり、あるいは学識経験者の意見というものも十分取り入れながら、事情の変化に即応してこういった宝石関係の指導行政というものも推進してまいりたい、このように考えております。
○木内委員 いま局長からも言われたように、確かにこういう転機といいますか、契機にあるというふうに私は思うわけです。 いま通産省の今後の宝石業界に対する基本的な考え方をお聞きしたわけですけれども、そこで実態面におけるこの業界の概況をどのように掌握されておりますか。
○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。 宝石産業というとらえ方でまいりますと、まずダイヤモンド等につきましては、原石をカットする部門あるいはこれを研摩する部門というのがございます。これをさらに指輪等にセッティングします部門というのがこの宝石産業に含まれるわけでございます。わが国におきましては原石が乏しいという事情がございまして、ほとんどの関係事業者が輸入された原石をいま申し上げたカッティングあるいは研摩等を行うということになるわけでございまして、原石は輸入されるというわが国における特殊性がございます。 宝石産業に関しますところの統計はまだ整備されておりませんので、これを貴金属製品の製造業ということでより大きな概念でとらえるしかいまのところ手だてがございませんが、それによって見てまいりますと、たとえば昭和五十二年の工業統計におきまして、事業所の数が約二千社でございます。それから出荷額でございますが、これが千四百四十億円というふうに承知いたしております。それから企業の形態でございますが、宝石産業のそれはすべて中小企業である、このように把握をいたしております。それから、いま申し上げましたメーカー段階のほかに、製品の卸、小売というものがございまして、こういう事業者について申し上げますと、まず製造・卸という段階では二十六の組合がございまして、これに所属しておりますのが二千三百社でございます。それから小売は非常に細かくなりますが四十八組合ございまして、これの傘下の紙数は一万九千七百というふうに聞いております。それから小売業につきましての形態でございますが、これは各町筋で見られますように、時計あるいはめがね等の販売と宝石販売とをあわせ行っている事業者が一般的である、こういうことが申し上げられようかと思います。 以上でございます。
○木内委員 いま御説明のように小売店の組合で四十八あるということ、これはまさに野放しの状態で、系列化されていないということが言えるというふうに思うわけであります。確かにデータとしてもほかの業界に比べてはなはだしくまだ掌握され切ってない部分があるということも指摘されるのではなかろうかというふうに思います。 いまるる数字の面についても御説明ございましたけれども、宝石類のいわゆる原石はほとんどが輸入に頼っているということです。この輸入の数量は、通関統計で結構ですけれども、どのくらいになっていますか。 〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕
○水野説明員 数字ですので、私の方から御説明申し上げます。 先生御指摘のとおり、わが国における宝石類の原石でございますが、このほとんどは海外からの輸入でございます。いまおっしゃられました通関統計の輸入数量によって見ますと、まずダイヤモンドから申し上げますと、ダイヤモンドの場合まず原石をカットして、そして輸入するケースが非常に多いわけでございますが、これが昭和五十四年で数量で申し上げますと六十八万カラット、輸入金額で申し上げますと千二百億円、ちなみに五十三年は七十四万カラット、こういった数字になっております。 国別にこの輸入の多いものを見ますと、イスラエル、インド、ベルギー、アメリカ、こういった国からの輸入が多うございまして、いまの数量で、五十四年のベースで比較してみますと、イスラエルがほぼ三四%、インドが三六%、ベルギーが一四%、アメリカが五%、こんな比率になっております。それから、カットをする前の全くの原石での輸入はこれに比べますと非常に少のうございますが、五十四年で三万九千カラット、五十三年で二万七千カラット、金額にいたしますと五十四年で十九億円程度と私どもの統計ではなっております。これも国別に見ますと、南アフリカが最も多くございまして、六八%ぐらいが南アフリカから入っております。そのほかガーナが一七%程度、アメリカが一三%程度ということになっております。 いま申し上げましたのはダイヤモンドでございますが、ダイヤモンド以外の宝石を貴石及び半貴石と呼んでおりますが、その輸入数量を通関統計で見ますと、同様にカット後のものですが、これは量が非常に多うございまして、昭和五十四年で一億二千九百万カラット、金額的にはダイヤモンドに比べて非常に小そうございまして、四百六十三億円といった数字でございます。そうして国別に見ますと、香港が一八%、タイが約二六%、スリランカが一三%、その他コロンビア、こういったところからの輸入が見られております。それから、貴石、半貴石についてのカット前の原石の輸入数量でございますが、ちょっと単位が違いますけれども、五十四年が六百二十トンということでございまして、金額にして十二億円ぐらいになっております。国別に見ますと、約半分近くがブラジルでございまして、そのほかオーストラリアとかザンビア、そういったところからの輸入がなされております。 以上でございます。
○木内委員 大変詳しく御説明いただいて恐縮しております。 それで後ほど問題にいたしますけれども、宝石の問題のポイントといいますのは、私は価格と鑑定の問題だというふうに思っております。わが国の業界における鑑定人の組織と人員についてどのように掌握されていますでしょうか、簡単で結構です。あるいは掌握がなければ形態についての掌握されている範囲での御説明で結構です。
○水野説明員 鑑別、鑑定を行う機関は、なかなかデータがございませんけれども、私どもの把握しておる限りでは全国に百社以上あるのではなかろうか、一説によりますと二、三百社とも言われております。これらは皆すべて任意団体でございますが、一社当たりどの程度の鑑定人がいるかにつきましては正確なデータがございません。ただ、大きなもので言いますと、鑑定人が十人あるいはそれ以上といったところもあろうかと思いますけれども、多くのところは鑑定人が非常に少ない、数人のところもある、こういうふうに把握しております。
○木内委員 実は先ほど通産省の今後の宝石業界に対する基本的な考え方を聞いたわけですけれども、その行政のベースとなるものはこうした実態の把握だというふうに思いまして私はお聞きしているわけであります。 さらに原石の輸入、研摩、デザイン、加工、こうしたプロセスが実際にあるわけですけれども、これらのプロセスを踏まえてのいわゆる価格の設定の仕方はいま一体どうなっているんでしょうか。
○児玉(清)政府委員 御指摘の販売価格の形成過程でございますが、いろいろ種類がございますので代表的な宝石でございますダイヤモンドを例にとって申し上げますと、まず第一段階で、原石につきましては自由世界のほぼ全量を一手購入販売しておりますところの国際的なシンジケートに南アフリカのデブラス社というのがございます。ここでまず国際的な価格が設定されるわけでございます。これを原点といたしまして、この原石が欧州を中心といたしました研摩加工業者に販売されまして、わが国にはこうした研摩加工業者によりまして研摩加工されたものが入ってくる、素材として輸入されるという形態をとっております。したがいまして、わが国への輸入価格というものは、原石の価格に第一次的な研摩加工の技術レベルに応じましたマージンが上乗せされて決まるということでございます。それから第三段階といたしまして、いま申し上げましたように輸入されましたダイヤモンドは、主として商社でございますが、輸入業者から製造卸業者、さらに小売業者等の経路を経まして加工され、宝石製品として消費者に販売される、これが原則的なルートでございます。したがいまして、いま申し上げました輸入価格に各段階で加工しました加工賃、それからデザイン料その他の技術料及びマージンというものが加算されまして、販売価格が最終的に形成されるということになってまいるわけでございます。
○木内委員 確かに価格設定のあり方についての一般的なお話はよくわかるわけですけれども、きょうは時間の関係で詳しくは事例を申し上げませんけれども、実際に宝石というのは販売価格が恐ろしくまちまちである。突っ込みという言葉が業界にございまして、業者同士がだまし合うんですね。非常に安い宝石をある業者が高く買ってだまされた、これをさらにまたほかの業者へだまし売りをする、これが通例この業界では行われているんです。商売人が商売人をだます。いわんや商売人が消費者をだますなんということはお茶の子さいさいなんです、この業界では。そういうことでいま価格設定の仕方というのを聞いたわけですけれども、今後消費者が安心して購入できるような適正な販売価格の設定ということで、何か具体的な対応策は考えられないかどうか、これをひとつお聞きしたい。
○児玉(清)政府委員 結論から申し上げますと、残念ながら現段階におきまして統一的な価格の決定ということは非常にむずかしい状況にあるというふうに言えるかと思います。 その理由なり背景といたしましては、先生御存じのように非常に主観的な要素が入る、あるいはその宝石の持つ機能性、それからそれがどういう手段に使われるかというようなこともございます。それから具体的にこれに鑑定書をつけましてその価値の外形標準を決めていくわけでございますが、その鑑定の機関が、先ほど御説明いたしましたように非常に多岐にわたっておりますし、そのやり方等についてもそれぞれ違ったニュアンスがございまして、必ずしも統一されていないという点がございます。したがいまして、これを購入する人がどういう主観的な価値観を持って購入するかという面と、それからこの価値について外形標準を与えるサイドの仕組みなり機関なり主体と申しますか、そういったものとの間に問題がある。それではそれを統一すればいいじゃないかということでもあるわけでございますけれども、その統一につきまして現段階では非常にむずかしい面がございまして、一挙に統一という方向にすぐいけるという状況には残念ながらないというような感じがいたしております。したがいまして、行政的にも何らかの基準を提示してこれを統一的に指導していくというような、表現は適切でないかもわかりませんが、いわゆる行政介入というようなこともいまの段階では少し踏み切りにくい状況にあるという事情でございます。
○木内委員 いま価格の問題についての話がありましたが、同時に鑑定基準を設定すること、これは大事なポイントだというふうに思うのです。実は、これはあえてデパートの名前は言わないんですけれども、おとといの夕刊の広告なのですね。名前の通った店です。鑑定書付というのがあるので、私、電話して聞いてみたのです。一つのデパートの一つの売り場で十通りの発行所による鑑定書がある。私も知り合いの女性に聞いてみたのです。これを見てどの鑑定書が一番正しいのか、その鑑定書の中で自分の購買意欲を満たすようなものが一目瞭然に見分けられるかと聞いたら、ほとんどわからないという。あるいは、こういう鑑定書というのがあるのですね。「公認 日本唯一宝石新鑑別書」。私はよく調べていませんから唯一かどうかわかりません。ただ、こういうものが至るところで好き勝手に発行されているのですね。麗々しく額に入れられたりして宝石という、ダイヤモンドという商品につけられて、鑑別書付ですということで売られているのです。そういう鑑別書をもとに買ったところが、例のブラックオパールであるとかアレキサンドライト事件などというふうなことが起こってきているわけです。したがって、この鑑定基準というものは急激には無理かもしれません。しかし、今後の健全な宝石業界の発展あるいはまた健全な業者のそうした誠意ある商売のやり方というのを守るためにも、やはり鑑定基準というものを設定するような方向に政府が考え方を改める必要があるのではないか。また、あえて申し上げれば、業界の中からそういうコンセンサスづくりが行われるような取り組み方が必要ではないかというふうに思うのです。ですから、いま国会で取り上げていることは、この業界にとって、また消費者の立場から見ても画期的なことであるというふうに思っているのです。どうか大臣の前向きの答弁をいただきたいと思うのです。
○佐々木国務大臣 お話しのように、消費者保護をしたりトラブルを除去するためには、鑑定基準についてのコンセンサスの形成が一番重要なことだと思います。業界内のルールづくり等によりまして、関係業界、学識経験者等の意見も十分聞きながら、前向きに対処してまいりたいというふうに考えます。
○木内委員 大臣、私、ちょっといまのところよく聞こえなかったのです、真ん中のあたりが。前向きに何ですか。
○佐々木国務大臣 前向きに対処してまいりたい。
○木内委員 何に対処するのですか。
○佐々木国務大臣 いまの鑑定基準をつくるのが一番いいわけですね。
○木内委員 そうです。おっしゃるとおりです。私は、いまの大臣のお答えを聞いて大変安心しました。 先ほどからいろいろ御指摘申し上げているように、確かにいろいろ行政のネットのかからない部分がこの業界にあって、そのために消費者保護というものにどうも穴があいていたということなのですが、今後学識経験者を初め業界の皆さんとのいろいろな話し合いの中で、対応策、コンセンサスづくりというものを進めていくようにしようといういまの大臣の御答弁だと思うのですが、確認の意味でひとつもう一回御返事ください。
○佐々木国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
○木内委員 そういうことで、いま申し上げたことはぜひとも今後前向きに取り組んでもらいたいというふうに思います。 販売額を決める大きな要素というのは、何回も申し上げるように鑑定にあるわけでございますけれども、いわゆる国際的な鑑定基準の実態というものはどうなっていますか。これは局長にひとつ。
○児玉(清)政府委員 先ほど来お話し申し上げましたように、国際的な状況も大変にまだ統一されていないということでございますが、国際的な状況を現状で見てまいりますと、ダイヤモンドにつきましては比較的に鑑定基準あるいは鑑定方法が進んでおりまして、これにつきましてはたとえばアメリカ式いわゆるGIAという方式、あるいはUK方式、イギリス式でございますが、それからスカンジナビア式、あるいはCIBJO方式、こういった複数のシステムがございまして、各国ともまちまちな現状でございます。したがいまして、鑑定内容といたしましてもいわゆる四C、カラット、カット、カラー、クラリティといったような基本要素がございますけれども、これもいま申し上げました幾つかの国際的なシステムの間で、四Cのグレーディングがきわめて微妙に食い違っておるのが現状でございます。
○木内委員 次に、品質表示ということでお聞きしたいと思います。 先ほど申し上げたブラックオパール事件というのは、デパートの売り場で定価二十万六千円で買った消費者が、よく調べてみたら、オパールではあるけれども、砂糖液と硫酸を利用して色を際立たせた、いわゆる処理された石であることがわかった。結局そのデパートは十万円とあと書類を持って示談解決したというものなのですね。私もいろいろデータを調べてみたのですけれども、実は宝石というものは熱処理をしたりあるいは加工したり、人工的に非常に変形、変質させやすい商品なんですね。そのために似通った、類似の呼称によって相当に混乱を来しているということが言えるわけです。私の手元にたまたまCIBJOの資料があるのですけれども、私は素人なりにこれを見ても大変正確に表現されているというふうに思って勉強材料にしたのですけれども、たとえば、水晶の種類でシトリンというのがあるのです。これは主要宝石の特性一覧表から見まして、いろいろな特徴を確認した上で品名ははっきりさせられるわけですけれども、たとえばこのシトリンがシトリントパーズというようなネーミングで売られているという実態がある。あるいはさっき申し上げたように、宝石というものは消費者にとっていろいろ紛らわしい印象を受けるような呼び方が行われているのです。まだ詳しくは調べておりませんけれども、ある会社が出している再結晶宝石というものも実は宝石ではない。いわば合成石とでもいうのでしょうか。ところが消費者が再結晶宝石という言葉を聞きますと、これは宝石あるいは準宝石、少なくともそういうジャンルのものであるというような印象を受けるわけです。枚挙にいとまがないほどそういう例はあるわけですけれども、こうした状況を勘案して、今後、すぐには無理でしょうけれども、まずいま大臣の言われたように、鑑定基準というものに対してもルールづくりにも前向きに取り組んでいかれる、その上でこうした品質表示というものがさらに必要ではないかというふうに考えるわけですが、時間がございませんので、この点だけお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
○児玉(清)政府委員 結論から申し上げますと、コンセンサスづくりというのが一番重要かと思う次第でございます。特にいま御指摘のような天然宝石と合成宝石、あるいは合成結晶宝石というようないろいろな分野がございますが、これの機能性あるいはこれに対するところの実際の客観的な評価と申しますか、いわゆる財産価値性というもの、こういったものについての統一的な概念の方向にできるだけ収斂させていくということが、業界を指導する上において非常に重要かと思いますので、私どもはいろいろ第三者の意見等も取り入れまして、今後対処してまいりたい、このように考えております。
○木内委員 一定の前進が先ほどの大臣答弁の中にもあったと思いますので、今後ともひとつ積極的な取り組みを要望いたしまして、質問を終わります。
○塩川委員長 これにて木内良明君の質疑は終わりました。 引き続いて安田純治君の質疑に入ります。安田純治君。
○安田(純)委員 私は、まず初めに大規模小売店舗法の問題について、主としてその運用についてお伺いしておきたいと思います。時間がございましたら、繊維の問題についても若干伺いたいのですが、その点は時間の都合でどうなるかわかりませんので、あらかじめ繊維問題でお願いしておった方々には御了解をいただきたいと思います。 そこで、昭和五十三年に大店法が改正になったわけでございますけれども、主要都市への大手スーパーの進出というものは人口の伸び率を上回っていると言われております。三年前の昭和五十一年二月に、人口五万以上の市のうちの主な百七十五市を調査しましたところが、売り場面積一平米当たりの人口が八人以下の都市というものは四十八あった。三年後、五十四年に調査をしたところが、今度、人口二十万以上の都市で見ましても、一平米当たり八人以下の人口のところが八十六都市にふえておるというのが日経流通新聞などの調査で出ておるわけであります。もちろんこれは大手スーパーだけではなくて、百貨店なども含んでおりますけれども、それにしても、人口もふえているけれどもそれでもこの数字になるということは、三年間で売り場面積が単純に比較しても二倍以上になっているわけです七こういう実態を把握されておるのかどうか、その点まず伺いたいと思います。
○神谷政府委員 先生御指摘の数字は手元に持参いたしておりませんが、大規模店舗の進出に伴います影響につきましては、特に最近におきましては、商工会地区等におきまして、それらに伴う影響あるいはそれに関連した近代化のあり方という調査の一環として五十四年度より始めておりますが、現時点ではその結果はまだまとまっておらないような状況にございます。
○安田(純)委員 調査をされた結果の細かい数字は出ていないとしても、異常な、つまり人口の伸び率といいますか、都市に集中する率よりも大きい伸びで小売の売り場面積が拡大しておるというような傾向はあると思うのですが、現在、細かい数字は出なくとも、傾向としてはそういうことは否定できないのじゃないかと思いますけれども、どうですか。
○神谷政府委員 特に本年度に入りましてからの大規模店舗の届け出の件数は、前年度までの実績に比べましてかなり大幅に上昇をいたしております。したがいまして、大規模店舗の進出の勢いというものは、勢いでとらえました場合には、近年強くなってきておると考えておりますが、別途、これは届け出の件数でございますので、調整は先生御指摘のような問題等も勘案しながら、各案件ごとに行っておる次第でございます。
○安田(純)委員 少なくともそういう非常に大きな拡大の勢いでありまして、私が先ほど述べましたような新聞社の調査の数字が正しいとすれば、これはまさに異常な拡大と言ってもいいのではないかと思います。このまま推移すれば流通経済秩序に大きな破壊が起きるのではないかということを心配するわけであります。 いま、第三次産業が非常に大きく伸びておるなんて言っておりますけれども、かつて高度成長時期に非常に生産設備がいろいろ伸びた。そして過剰生産になって例の安定法をつくって、いろいろ設備廃棄などを国の経費を使ってやらなければならぬ、雇用問題も起きるという、生産面においての高度成長の結果をわれわれはまともに浴びたわけでありますが、このまま小売の売り場面積の異常な拡大というものがありますと、やがてちょうどアルミや平電炉なんかが過剰生産で生産設備を廃棄したと同じようなことが小売段階の売り場面積の問題で起きるんじゃないか、われわれはこういう点で十分反省をしてかからなければならないと思うのであります。しかも、もし一たびそういうことが起きますれば、こうしたスーパー、百貨店などは都市の中心部やいろいろな枢要のところにありますので、都市機能自体にも重大な影響を与えるのではないか、消費者利益にもつながらないことになるというふうに思うわけでございます。 そこで、そういう重大な結果が生ずるかもしれないということを考えますと、改正大店舗法の運用については十分考えていただかなければならないんじゃないか。前回の大店法の改正の際に、私は、届け出受け付けの緩和や、調整期間の制限が大型店出店者と地元中小小売業者との誠意ある話し合いに支障になるんじゃないか、もう届け出はどんどん受け付ける、そうすると、ストップウオッチが押されて、八カ月といいますか、調整期間がコチコチ始まっちゃう、タイムリミットがあるということになりますと、誠意のある話し合いの障害になるんじゃないかということを指摘しておきました。改正後、このような憂えが現実の事例として発生しているかどうか、当局はつかんでいらっしゃるでしょうか、その点伺いたいと思います。
○神谷政府委員 御指摘のように、前回の法律改正に際しまして勧告期間の延長その他を行いましたが、それに伴いまして事前商調協、これは法律上のものではございませんけれども、事実上の地元の意見を吸い上げていくという事実上のメカニズム、これの従来のあり方について反省を行ったわけでございますが、どちらかと申しますと、一部にエンドレスに近いような形で、話し合いがつくまでは三条ないし五条の届け出が行われていないというような現実もございますし、他方におきましては、総体として見ますとおおむね八カ月程度のところで審議が順調に進む場合には終了をし、しかるべき意見がまとまってくる、こういう実情にございましたので、一応審議のめどを八カ月といたしまして、できるだけそれに合わせて効率的な審議を行っていただくよう、また、時間をかけてなかなか話のつかない場合には大店審等の場に上げていただきまして、法律の手続に基づいた調整を行っていただくようお願いをし、その旨の通達を出したわけでございます。 ただ、その改正後、ちょうどいまごろが八カ月になるわけでございますが、案件が持ち越しのものも非常に多うございましたし、また、第二種店舗がふえて検討案件も多くなったというようなこともございますので、現時点におきましてはその実情に合わせて当面二、三カ月はこれを延長しよう、こういうことで実態との調整を行っております。したがいまして、個別案件といたしましては、私ども、問題が起きておるものは毛ほどもないというようなことは申し上げませんが、総体としては私どもも実情に合わせながら、法律の趣旨に即した運用を行ってまいるように努めておりますので、現時点までのところ、法の目的とするところは大宗において達成されつつあるのではないかと考えております。
○安田(純)委員 私、幾つか例を挙げたいのですが、たとえば東京都の練馬区に、東映と西友が大泉学園コミュニティーセンターというのをつくるということで、これは売り場面積が一万五百二十六平米だそうでありますけれども、三条届け出が昨年の六月になされているようであります。このケースでは、届け出前のいわば根回しといいますか、こういう段階でこの出店に反対する地元小売業を中心とした反対協議会というものに対して、政治的団体や個人は入れないなどと称して、特定の団体、個人を排除する協定を結ぶというような動きがあったわけであります。届け出が受理された後でも、特定の団体、個人を排除するというようなことで、具体的にはここには二つ反対の団体があるようでして、一つはいま申し上げました反対協議会、もう一つが反対連絡会というのだそうでありますが、その反対連絡会は一切オミットということで押しつけてきておる。いわゆる窓口一本化といいますか、そういうふうに言ってもいいと思うのですが、そういうことを大泉学園コミュニティーセンター側でやってきた。反対連絡会の方の意見さえも商調協において協議さえしていないという問題が起きておるというふうに聞いております。大店法によれば、意見の申し立てある団体を特定して、この団体はだめだとかということになっていないと思いますが、その点はいかがですか。
○神谷政府委員 商調協で個別案件の審議の過程におきまして、特定の団体あるいは個人というものを、これは特定の政治団体であるから排除したというような申し合わせをしたことはわれわれ承知をいたしておりません。ただ、御承知のように商調協でございますので、商業関係の団体であり、それらの利益を代表する方々の意見をもっぱら伺う、ほかのものは一切耳を傾けないというわけではございませんが、そういう趣旨でございますので、実体のある意見は商調協では何らかの形で聞いておると思います。 大泉学園の件でただいま協議会、連絡会というお話がございまして、非常に申しわけないのですが、どちらが協議会か連絡会かはっきり存じ上げませんが、承知しておりますものは、先生のお話ですと協議会ということになるんでしょうか、協議会の方で一応反対の申し合わせその他をやっておるので、できるだけ一つの窓口を通じて話を上げてもらう方が審議が進めやすいというような話をしたということは承知しておりますが、その連絡会の意見の内容についても商調協の席上では意見書は提出され、説明はされたというふうに了解をいたしております。具体的な進め方についていろいろの問題があることは、こういうものでございますので否定はできませんが、個々のケースを伺いながら商調協の円滑な運営と、できるだけ地元の意見を幅広く取り入れていくということの調和を図るよう指導してまいりたいと考えております。
○安田(純)委員 この連絡会も協議会も、両方とも小売業者といいますか、直接の利害関係人が、構成比率は多少数字が違うかもしれませんけれども入っておりますので、そういう点ではまさにあなたのおっしゃる商業関係団体であるというふうに言ってもいいだろうと思うのですね。そういう点で、特定の団体、個人をだれが政治的団体と判断するかの問題も一つありますけれども、これは特定の者をあらかじめ排除するとか、あるいは窓口一本化というようなことをするのはもってのほかであるというように思いますので、その点ぜひもう一遍お調べをいただきたいと思うのです。 もう一つ伺いたいのは、仮に当該大型店のいわゆる商圏の範囲内の多数が出店に賛成であっても、周辺の中小小売業者の一部の人々、たった一人というのは問題かもしれませんけれども、複数の人たち、これが調整が必要であるとして申し立てが行われれば、商調協の中で調整をするということになっているのではないか。これはどこで多数決を諮るのかわかりませんけれども、多数決でその商圏の大部分の人が賛成なんだから、あと少数意見はいいやということにならないのではないかと思いますが、どうですか。
○神谷政府委員 商調協は、先ほど申し上げましたような実体的な組織でございますので、その議決がどうのこうのということを申し上げるよりは、できるだけ話し合いで皆さんの意見がまとまるあるいは歩み寄れる場を探していただくというのがわれわれの希望でございます。ただ、やはりどうしてもいろいろ意見が違う場合で、ある程度の話し合いをいたしましてもなかなか歩み寄りというのが望み得ないというようなケースは当然否定できませんので、そういう場合には、むしろ商調協といたしましてあるいは商工会議所、商工会といたしましては、その委員さんの多数何人が、どういう立場の方々がどういう意見であったか、どういう立場の少数意見があったかということをあわせて大店審の方に上げていただく、こういうことにいたしておりまして、少数意見であるからということで、その商調協において主張された意見がそのまま消え去ることはないと了解しております。
○安田(純)委員 私が問題にしているのは、一つは、いま御答弁ありましたように、少数意見でも商調協の中では議論されるということは当然だと思うんですよ。その事前の段階といいますか、窓口一本化と先ほど言いましたけれども、そういう形になって、あらかじめ排除されてしまうということがあるんではないかということなんですよ。しかも、これはもちろん法律上窓口一本化しなければならないなんということは何もないわけですから、問題は実際の力関係の中でそれが行われる。場合によっては地元中小小売業者の側から自粛する形で、自粛する形と言っちゃちょっと語弊があるかもしれませんが、窓口一本化を図らせる。大型店の方は高見の見物だ、一本化して持ってこいというような大変傲慢な立場から臨むということが起き得るのは、先ほど申し上げましたようにタイムリミットを定めたために、それが、どぎつい言葉を使えば脅迫材料になって、どうもそういう傾きが出てくるというふうなおそれがあるわけであります。たとえば先ほど申し上げました大泉学園コミュニティーセンターの場合ですけれども、商調協の調整の間にでも東映、西友側は盛んに調整期間をちらつかせて、もし期間内でやらないと地元小売業者さんとの話し合いが実らなくなるというようなことを言うんですね。結局、話し合いがあっても八カ月たったら終わりだよ、それまでにまとまらなければおまえらが損するんだよというようなことをちらつかせて、そうはっきりは言わぬけれども、地元小売業者さんとの話し合いが実らなくなるというような言い方ですな。そういう言い方で言われますと、中小小売業者としてはいろいろ不満があっても、まあ話を聞いてもらえないよりはいいやということになりますので、窓口一本化みたいなことが地元業者の内部で起きる。それをただ、タイムリミットがあるよとおどかして大店側があおっていればいい、こういう状態が起きるのじゃないか。この大泉学園コミュニティーセンターの場合などはまさにそういうことを言っておるわけでありますから、これはとんでもない話だ。 私が五十三年の法改正のときに心配したのはそういうことなんでありますが、まさにそれが起きつつあるということを認識していただきたいし、もしそういうことがもう一遍お調べになってあれば、これは厳に指導していただきたいというふうに思うわけです。もう終着時間が決まっておるんだということから、そういうふうにしておどかすというのはもってのほかである。誠意を持った話し合い、何とかして解決するという話し合いに進まなければならないはずなんで、そういう点で押しつけがあってはけしからぬと思いますので、ひとつもう一遍調査をしていただきたいというふうに思います。 それから、前回の大店法の改正のときに、私は昭和四十八年九月の大店法審議での、当時の中曽根通産大臣の答弁について質問いたしましたときに、当時の島田官房審議官が、「商調協における地元調整というのが非常に重要な役割りを果たしている」、「地元の関係者、具体的に言えば商調協で十分検討がなされることが必要であるという点につきましては、私どもは考え方が変わっているわけではございません」、つまり、昭和四十八年当時と変わってない、中曽根答弁と変わってない。「そういう意味で、前の大臣のおっしゃったのもそういう趣旨であろうかというふうに私ども思っております。」という御答弁をいただいているわけであります。しかし、いま申し上げました大泉学園のコミュニティーセンターの場合を例にとってみれば、どうもこの中曽根答弁や島田答弁とは全くかけ離れた事態になりつつあるのではないか。ですから、ぜひこういう点を注意していただきたいというふうに思うわけであります。時間がございませんので、それはひとつ厳しく調査指導されるようにお願い申し上げまして、大型店と地元小売業者との間の適切な調整というのは具体的にどのようなことを念頭に置いて指導されておるのか、この点を伺いたいと思います。
○神谷政府委員 御質問の問題は、いわゆる大店法の法目的そのものに関連する問題だろうというふうに考えます。基本的には憲法で保障された営業の自由というものが大前提としてございまして、特に商工業関係におきましては自由な競争を通じて経済の効率を高め、国民の福祉を確保していくというのが基本であるというふうに考えられますし、特に流通問題につきましては、先ほどの先生の御指摘もございますが、生産段階、製造工業段階に比べて合理化がおくれておるという点も指摘されておるわけでございますので、これは単に大店舗あるいはスーパーとかいう問題ではございませんが、いろいろな自由な新しい流通方式というものを導入しながら、この近代化、効率化を行いながら、消費者側にその利益というものを還元していくことが必要と考えておるわけでございます。 他方、その一環として大規模店舗の急激なラッシュというものが効率のみを目的として行われた場合には、周辺の中小小売業に予期せざる重大な影響を与える可能性がある。こういうことで、やはり効率一点張りという社会は日本の国民全体が望んでおるわけではない、こういうことでございますので、流通の近代化、効率化というものは目的としつつも、やはり中小小売業に与える影響というものをできるだけ軽減いたしまして両者の調和を図る。そのための個別ケースに応じての調整を図るというのがこの大店舗法の精神であると考えておりますので、そのような形で調和を図ってまいりたいと考えております。
○安田(純)委員 それでは、これまで大型店による影響によって地元小売業者が転廃業を余儀なくされた状況などがあるかどうか。もしあるとすればどういう程度の状況になっておるか、調査したことがございますか。
○神谷政府委員 先生御承知のように、転廃業の原因というのはなかなか一義的にはとらえがたい問題が多いわけでございまして、概して申し上げれば複合的な原因の結果としてあらわれるものでございますので、非常にすっきりした形というのはなかなか出てこないわけでございますが、先ほど触れさせていただきました商工会地域における地域小売商業近代化調査費ということで、補助事業として五十四年度から三百九十七商工会においての大店舗、大型店の進出に関連をした問題あるいはその他の要因を含めた近代化問題を総合的に調査研究をいたしており、五十五年度はこの対象地域を倍増することを考えておるわけでございます。 先ほど申し上げましたように、この結果は中小企業庁において取りまとめられることになっておるわけでございますが、私どもはその中からただいま御指摘のような問題も浮かび上がってくるということを期待しております。現時点では、ずばり大型店の影響でいつどれだけどういうふうに転廃業が行われたということを示すデータは残念ながら持ち合わせておりません。先ほど申し上げました調査の結果というものが有意な結果として出てまいりました場合には、これを今後の参考に活用させていただきたいと考えております。
○安田(純)委員 大店法の運用に関して、先ほど言ったようないろいろな適切な調整のための基準といいますか、いろいろお考えいただいておるようでありますけれども、調整後の実態も常に把握して運用の改善を図ることが必要ではないかと思うのですね。事前に十分調整を図ったから、やった後でどうなっているかはよくわからぬというのでは困るのですから。十分考えてやったけれどもこういうデメリットがあった、こういうメリットがあったということは常に把握しながら、調整の方法などについて反省を加えて運用を改善していただきたいわけですが、いま具体的な数字を持ってないということでございます。たとえば東京都の北区に浮間マルエツというのが昨年六月六日に出店したわけでありますが、ことしの二月二日までに同店の五百メートル以内で地元小売業が十一店転廃業に追い込まれたようであります。それから、昨年新宿区の下落合に進出したオリンピックストアーによってすでに三十軒以上が転廃業しておるというようなことも、これは民間の調べでありますが、数字が出されておるようであります。業種は肉、魚、食料品、総合食品などでありますけれども、地元小売業者にとって大型店の脅威は明白であると思います。確かにおっしゃるように、倒産なり転廃業の原因が一義的にははかりにくい。全くはかれないというものじゃないと思いますが、非常にむずかしいはかりにくい問題だということも事実だと思うのですね。ただ、大型店が出てきたからすぐ倒産したのかどうか、転廃業したのかどうか、同じような店でやっているところもあるということになりますから単純には答えは出てこないと思いますが、しかし努力をしてフォローしてみる必要があるだろうと思います。私が申し上げたこれらの実態から見て、大型店と地元小売業との間で適正な調整が行われていると考えられないのじゃないか。いまの浮間マルエツの状態、オリンピックストアーの影響を見ますと、そのときの調整はやはり適正ではなかったのじゃないかというふうに言わざるを得ないと思うわけであります。そういう点では今後の参考にするためにも十分調査をいただきたいというふうに思います。 そこで、商調協における調整や大臣の調整勧告ですね。こうしたものの公正さを担保する必要があると思うのです。この公正さの担保にはいろいろあると思うのですが、あなたも答弁されましたように、調整後の影響について一義的に転廃業の原因などはわかりにくいという面もございますので、そういう事柄の性質上、公正さの担保の中には手続の公正さといいますか、外形上の公正さというのが非常に強く要請される事案だと思うのです、こういう場合は。たとえば数学のようにだれがやっても同じ答えが出るというものでしたら、計算する人はだれであってもいいわけですけれども、その結果の判定がむずかしい事案であればあるほど判定する人、判定の仕方、こうしたものについての手続の公正さ、外形上の公正さが非常に強く出されちゃう。実質上公正であったかどうかという答えは見る人によって多少違う問題ですから、それであればあるほど公正さが担保されなければならない。それは外形上の公正さが非常に重要だと思う。 そこで、商調協の委員の選任について伺いたいわけでありますが、まず、反対派を締め出す人選は公正かどうかということであります。私も、広い商圏の中でたった一人反対しているからと言って、その人を委員にしなかったのはけしからぬなどということを言うつもりはありません。具体的に例を申し上げますと、岩手県に江釣子村というのがございますが、ここでいま中部ショッピングプラザというのですか、何かこの出店の問題が出ておりますね。実はこの江釣子村というのは小売店が九十戸くらいしかないのです。そのうちの四十六戸が反対しているわけです。半分ですね。それで、この反対を全部排除いたしまして賛成派の中から委員を選ぶということになれば、これは当該地域の小売商全体の意見が正しく反映されることが必要だとする商調協の運用についての通産局の通達ですね。これに違反するのではないかと思いますけれども、これはいかがでしょうかということが一つです。 もう一つは、選任権者といいますか、これは商工会議所の会頭あるいは商工会の会長になるわけですが、これが出店者ときわめて近い親族である場合、これは公正だと言えるかという問題がございます。いま申し上げました江釣子村の例で言いますと、商工会長は出店者の会社の代表者の父親である、こういうことになっておりますけれども、こういう場合どうか。それから今度は委員の中にテナント入居希望者の配偶者が入っておる。たまたま一人というのじゃなくて商業委員の中では五名中二名、それから学識経験者の中で一名、そういうのが入っているのですね。そこで配偶者というものについて、これは出店希望者それ自体ではありませんけれども、ほとんど一体と見ていいと思うですが、こういうのは公正な選び方であるかどうか、通産の通達の中身と合っておるかどうか、ひとつお答えいただきたいと思います。
○神谷政府委員 三点のうちまず第一点でございますが、反対派を締め出す商調協というのはおよそナンセンスでございまして、反対の意見も賛成の意見もいろいろ、要するにその地域の意見を集約してもらうわけでございますから、それはたまたま反対者が一人もいなければ反対がないということにはなりましょうが、反対であるから商調協に入れないとか、そういうようなことではなくして、むしろその地域の商業者をできるだけ代表するようなポジションにある方で、かつ公平な方を選ぶように、こういう指導をいたしております。江釣子村の件につきましては後ほど触れさせていただきますが、基本的にはそういう考え方でございます。 それから会頭がデベロッパーの関係者であるというようなケースというのは、特に地方の商工会地域等になりますと大いにあり得ることであろう。また、特にその周辺の中小企業者の近代化のためのセンター等をつくるような場合にはなおあり得ることではございますが、しかし、その場合におきましても商調協の委員等の任命は、商工会あるいは商工会議所の組織において選任をされるわけでございまして、会長の恣意的な選定が行われるようなことはないというふうに考えております。 それから、出店者の問題は、特に江釣子村で問題になっておることは承知をいたしております。 一からただいまの出店者まで含めまして、先生御承知のように江釣子村の案件につきましては通産大臣に異議の申し立てが現在なされております。したがいまして本件について私どもそれに関連する事項、現在慎重にいろいろ勉強、検討しておるところでございますので、それについての態度を異議の申し立て者に対しまして明らかに申し述べる前に、余り断定的に申し上げることは差し控えさせていただきたいというふうに考えますが、出店者についてわれわれがいままでのところ了解しておりますところでは、事前商調協結審までは必ずしも出店の意思を決めていなかった、事前商調協でございますね、事実上のものでございますが、一応そこで終わった段階で出店の意向というものをその後に示したということ、それから商調協の中で、そういう委員についてどのようにするかという話し合いも持たれたというような経緯はございますが、一応私どもの管区の通産局は事情は承知をしており、その上での審議会の意見あるいは勧告が行われたものと了解はいたしております。しかし、先ほども申し上げましたように、異議申し立てが出ておる案件でございますので、ここで断定的な物の言い方を避けて、できるだけその検討が終わってからいろいろな御説明を行わさせていただきたいと考えております。
○安田(純)委員 江釣子村、これは例に挙げたわけでありますから、江釣子村でどうこうということではなくてもいいのですが、いま申し上げましたように、出店者の配偶者がこんなに多く、こんなにというと江釣子村になりますが、一般的に五人のうちに二人とかというのは適当じゃないんじゃないかと思います。これは一般論として言えるのじゃないか。これは通達の中でも委員の選任については一応通産局、仙台通産局になると思いますが、ここで了承の上というように通達はなっていますね。しかも各項目を見ますと十分に中立性、学識経験者の中の中立性を注意しなければならないということになっておりますし、その点では外形上のといいますか、見かけ上の公正さというものが非常に重要なんだ。結論が正しければだれがやったっていいじゃないかというような数字の式みたいなものとは違うということなんですね。出店後の影響がうまくはかれないと先ほどおっしゃったですから、事柄の性質上、まさに手続の公正さが非常に重視されなければならぬ。 きょうここに同僚委員として御出席されております前の通産政務次官の中島源太郎先生も、そういう意味のことをおっしゃっておるようです。ちょっと言ってみますと、「商調協委員たる方で、進出大規模店と何らかの形で利害関係を持っておるような方は御遠慮願った方が明朗であろうということが根本にございます。」こう中島先生がおっしゃっているようであります。「最初なくても途中で進出店と利害関係が生まれるような場合も、」まさにあなたおっしゃったことになりますが、「その方々は商調協委員を御遠慮いただくということになると思います。」当時の法改正のころの通産政務次官である、いま御本人ここに御出席になっていますが、そういうふうに述べていられるわけであります。これはまことにそのとおりだと思うのですよ。ですからあなたが御答弁になったように、結審の段階でにわかにじゃおれ出店しようと決めたのだなんておっしゃいますけれども、その段階では一たん結審という形でやっておっても、それはメンバーチェンジして改めてやり直すくらいのことがなければ、これは手続上の公正さを保てない。したがって、出た結論についての疑念が起きる。しかもそれで出店された場合の影響についてはなかなかむずかしい。一義的に転廃業の原因がつかめないというような事柄ですから、これはゆゆしき問題だと思うのですよ。それをあなたのおっしゃるように途中からそんなこと決めたというのはおかしいのですよ。江釣子村というのは小売店九十戸しかないのですよ。小さな村ですよ。それは北上市や何か大きな商圏の中ではいろいろ影響を受けましょうけれども、この中で出店希望が腹の中であるかどうかなんてお互いわかっているわけですよ。これは正式には結審のときに表明したかどうか知りませんけれども、一体だれがどんなふうにして出るかくらいなことは、親戚関係もあるし、そんなことは資金の手当てとか自分らの営業方針とかいろいろあるわけですから、にわかにそのときになってから決心した、それじゃおれも出ようかなんということ初めてわかったなんというのはナンセンスなんですよ、実際問題としては。これは農村地域の田舎の商店街のお互いのつき合いから見たら明らかなんですよ。これは事実問題ですから、強弁されればそのときに決めたなんて言うかもしれませんけれども、実際はそうだ。ですから、ますますもってこういう委員構成で行われた結論が外形上の公正さを疑わせるということは事実だろうと思います。中島先生もおっしゃっているように、途中でもやはり遠慮するというくらいでなければいかぬのじゃないかと思うのですが、いかがですか、その点。
○神谷政府委員 審議の途中におきましても利害関係が出てきた場合に交代するのが適当であるという基本的な考え方は、中島先生のおっしゃるとおりだというふうに考えます。 ただ御理解いただきたいのは、中小企業等が、もちろん核の大規模店等がありましても集まりましてショッピングセンターその他という形での流通業の近代化を行うといった場合に、そこのテナント問題とその地域の商業者の意見を代表する者の問題というのは非常にむずかしい問題があるわけでございまして、ある段階でそういうものができるということが決まったならば、そこに参加するかしないかというようなことを改めて考えるというケースというのは当然あり得ると考えます。やはり生き物でございますので、実態を見ながら先ほど御指摘になりました中島元政務次官の考え方等、そういうものを踏まえて、そういうものができるだけ生きるような形で個別のケースに関しては対処してまいりたいというふうに考えております。
○安田(純)委員 私が強調したいのは、当時の中島政務次官がおっしゃっていたように途中でも遠慮してもらうというぐらいのことでなければ困るということなんですよ。地元の中小業者が近代化のために出るので、できるということになってからおれも入ろうと思った場合しようがないんじゃないかとおっしゃいますが、そこで手続の公正さの問題は、表明はしないけれども最初から腹の中で出たいと思っておった人が委員になって出る結論は決まっていると思うのですよ、一般の人は。だからそういう気持ちになったときにはやはり遠慮していただいて、その段階でもう一遍委員を選び直してやり直すということだってあり得るんじゃないか。裁判じゃあるまいし、一遍結審して判決があったら絶対既判力で動かないなんというそんな運用でありますか。その点についてはよほど考えていただきたいと思うのですよ。そのことをまず強調しておきたいと思うのです。 それから行政救済について時間がございませんので申し上げますけれども、まず調整行為という概念、よく答弁の中にも調整行為という言葉が出ますけれども、この調整行為というのはどこからどこまでが入りますか。
○神谷政府委員 調整行為としては勧告から最終的には変更命令あるいは営業停止命令まで入ると思います。
○安田(純)委員 そこで、実は調整行為について行政不服の申し立てができるかどうかという点であります。昭和四十八年の七月十一日の当委員会におきましてこの問題が議論をされておるわけでございますが、私どもの方の野間友一委員の調整行為について行政不服の申し立てができるかというような質問に対して、政府側の答弁はできるというふうに答弁されているように見ますけれども、いかがですか。
○神谷政府委員 御指摘の議事録は大事な議事録でございますので、私も何回か読み返させていただきましたが、その御問答の中では幾つかのことを言っております。一つはまず不作為の場合には対象にならない。それからはっきりしておりますことは、変更命令等があった場合にはこれは当然対象になり得る。当事者として周辺の中小小売商業者も入り得るということが議論の骨子ではないかと考えております。
○安田(純)委員 それ以外のことは議論されておらないのですかね。当時の中曽根通産大臣が野間委員の質問に対して、「これは行政処分としての勧告、変更命令があった場合にはもちろん訴訟の対象になりますけれども、届け出の段階ではまだならないのは、行政処分に対する異議申し立て、そのほかの法令の指示するところであると思います。」こういうふうに答弁されておりまして、勧告も訴訟の前段とも言っていい、必ずしも訴訟と結びつきませんけれども、前段とも言っていい行政不服審査の対象になるというようにお答えになっているようでありますが、いかがですか。
○神谷政府委員 実はここが今回の異議申し立ての案件に関連いたしまして議論の焦点になっておるところでございまして、結論を先に申し上げますと、現在政府関係方面といろいろ協議、研究をさせていただいておりまして、結論を出すということでございますが、変更命令が異議申し立てあるいは訴訟の対象になることに関しては異論のないところだろうというふうに考えておりますが、勧告が訴訟の対象あるいは異議申し立ての対象になる行政処分であるかどうかということに関しては現在研究中ということでございます。 ただ、中曽根大臣の議事録を読みますと、「勧告、変更命令があった場合には」、こういうふうに書いてございまして、議事録では「ヽ」がございますが言葉には「ヽ」ということは言っておりませんので、勧告変更命令があった場合、こういうふうに読めるわけでございますが、これは字句として勧告を前提とした変更命令というふうにも読めますし、勧告と変更命令を別々と読むことも可能かと思います。全体の論旨から言えばむしろ変更命令にウエートがある議論の討議の推移ではなかったかというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても慎重に検討いたしておるところでございます。
○安田(純)委員 私が聞いておるのは、この江釣子村で異議申し立てが出ておる、それができるかどうかということを聞いておるのじゃないのですよ。四十八年七月十一日の委員会において政府が答弁した、この答弁の中身を聞いておるのですよ。それが江釣子問題の異議申し立てにどういう影響があるかはその次の問題でして、当然影響があるかもしれませんけれども、私はそこまで聞いてない。あなたはいま中曽根大臣の答弁の速記録には「勧告、変更命令」、こう「ヽ」があるけれども、速記録には「ヽ」というものは後からつけたのだとおっしゃるけれども、そうなると勧告変更命令と一口に言ったのだというふうに読むべきなんですかね、これは。というのは、いいですか、先ほど御答弁いただいたように調整行為というものは勧告から変更命令まで入るわけですな。そしてこの議論の前の方で橋本政府委員が繰り返し言っておることは、調整行為については異議申し立てができるというふうな言葉を使っていますね。したがって調整行為というのは勧告も入る、変更命令も入るのが普通であります。その中で、特に変更命令だけしかできないのだということであれば、これは最後に中曽根大臣が締めくくり的に答弁をしておるのですが、調整行為のうちの変更命令はできるということを言うべきなんであって、「勧告、変更命令」だ。勧告と変更命令は違うでしょう。必ず一つのつながりになって、ペアになっておるものじゃありませんね。必ずペアになっておるならそれは確かにそういう言い方もあるかもしれませんよ、日本語の用語として。しかし全く違うものですわね。ただ、勧告があって言うことを聞かなかったら変更命令ということはある。じゃ勧告がなくて変更命令ということもあるのですか、頭から。そのことはどうです。
○神谷政府委員 勧告を前置して変更命令があるということでございまして、勧告がない場合には変更命令はないというふうに考えます。
○安田(純)委員 そうでしょう。ですから、勧告があって変更命令が出た場合と読むべきだなんというのはおかしいのであって、これは変更命令と言えば当然その前に前置行為として勧告があるわけですよ。だから勧告があった変更命令と、勧告がない変更命令と二つに分けるということはあり得ないので、変更命令と言えば勧告が前提になっておるでしょう。だから一口に読むなんということはおかしいですよ。しかも御注意いただきたいことは、その後に、届け出の段階ではまだならない、届け出、それから商調協における調整、そして勧告、命令、一連の手続がこうあります。そのうち届け出の段階ではまだなりませんと言ってまずそれを切っておるのですね。そして片っ方では勧告、命令という言葉を使っておる、「ヽ」があったかどうかは別として。大体言葉には「ヽ」なんてつきませんからね、しゃべるときは。これはニュアンスとしても当然「ヽ」がついたニュアンスでしゃべっているから「ヽ」が出たと思うのですが、それはそれとして、橋本政府委員は調整行為と使っておって、不作為の場合はできません。その他調整行為のときにはできますみたいな言い方でずっときていますわね。ですから、当然これは勧告も頭にあって議論を展開されてきたというふうに見なければならないはずであります。しかもその前の方では、わざわざ野間委員はいろいろ不作為の場合のことを議論しておる中で、「一体どうやって救うのですか。七条では麗々しく「変更勧告」と書いてある。」勧告ということをちゃんと出しておるのですね。これでどうなんだということを聞いて、ずっと議論してきた最後に、中曽根さんが「これは行政処分としての勧告、変更命令があった場合にはもちろん訴訟の対象になります」ということを言っておるのです。ですから素直に読めばこれはまさに勧告も行政不服の対象になるという御答弁と思いますが、いかがですか。
○神谷政府委員 まずこの変更命令は、先ほど先生御指摘のように勧告を前置いたしますことですから、勧告変更命令ということが、いわゆる法律的な物の言い方ではなくして、一般的な言い方としては当然あり得ることだというふうに考えますし、また別々に言うこともあり得ることだと考えております。ただ、一般的に申し上げまして、変更命令が異議申し立てあるいは行政訴訟の処分になることは間違いないというふうに考えますが、勧告というものに関しての処分性に関してはかなりいろいろ異議のあるところでございまして、この法律の勧告がこのようになるかどうかということに関しては解釈論としても検討をいたしておるところでございますが、別途立法者の意図というものがどうであったか、これがこの議論に出ておるということでございますし、特に関係委員、質問をされた野間委員その他の商工委員の方々が誤解をされるような形になっておるかどうかという点は大事な点でございますので、その点を十分われわれも読み返しておるわけでございますが、ただ、そこは必ずしも明確には浮かび上がっておりません。しかし、最後の中曽根大臣に野間委員が念を押されまして、大臣が、いま申し上げましたように「勧告、変更命令があった場合には」云々ということを言っておられますが、それに対して野間委員はだめ押し、どうも言葉は悪いのですが、最終的な結論といたしまして、「ですから、不作為の場合には訴訟の対象になりませんので、届け出があって、しかも変更命令がない場合には、これはそのままということになるわけですね。」こういうふうに言っておられますので、この問答の中から勧告と変更命令を切り離して、勧告のみであっても行政訴訟あるいは異議申し立ての対象になるというふうに、この問答で誤解をなさっておることはないというふうにわれわれは了解いたしておりますので、むしろこの問答を参考にしながら法律の解釈論として現在詰めさせていただいておるところでございます。
○安田(純)委員 時間が来ましたので。しかし、私その答弁納得できません。したがって引き続き当委員会において機会をいただいてお伺いしたいと思いますけれども、一言だけ聞き捨てならないことがあるのですが、野間委員が最後に変更命令云々と言った。これはまさにあなたのおっしゃるように、この文章を見ますと、不作為の場合には、何にもなかった場合訴訟の対象にならないということにつながっているのですよ。いいですか。勧告という作為があった場合のことを言ってやしませんよ。そう読むべきでしょう。あなたは、「勧告、変更命令があった」ときはという中曽根大臣の答弁のときは、これは勧告と変更命令はつながるのだと調子のいいことを言う。今度野間委員が不作為の場合はならないけれども変更命令の場合はなると言ったときには、これは不作為の方を削って変更命令だけ言ったのだと、こういう都合のいい読み方をするのはけしからぬと思うのですよ。私は江釣子村の異議申し立てがどうなるかという問題じゃなくて、もし中曽根大臣の言ったことが間違いであったとするならば、それはそれではっきりするのですよ。行政法上勧告が行政処分であるかどうかという理論的な詰めをいまやっておる、それじゃこの答弁ははっきりしないことをはっきりしたように言ったということになりますので、いわば法律の原案の提案者、政府が、悪い言葉で言えばわれわれ議員をだまして、いかにも勧告以下は全部訴訟の対象になって司法的あるいは準司法的救済が受けられますよと言わぬばかりのことを言ってこの法案を通さした、そういうことにつながるわけです。中曽根さんがそういうことを言ってないとすれば、これはこの議論をもう少し詰めないと、言っておるかどうかわかりませんけれども、これは重大な問題ですからね。ただ理論的に行政処分になるかどうかという行政法学上の議論をしているのじゃないのです。答弁がそうなっているかどうかということが非常に重要ですから、これは時間が来ましたのでこれでやめますけれども、私納得いたしません。よくお考えいただきたいと思います。 終わります。
○塩川委員長 これにて安田純治君の質疑は終了いたしました。 次回は、来る四月一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二十五分散会