商工委員会 第7号
- 発言数
- 55 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1980/03/18
会議録
○塩川委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。鴨田利太郎君。
○鴨田委員 初めに第一問といたしまして、今後の中小企業の金融政策につきまして、この金融公庫法の改正に対しましての私の質問をしたいと思います。 御存じのごとく、国民の経済をどのようにするべきか、これが国家経済政策の目標でありますならば、九九・五%の中小企業に生きていく目標を提示するのが国家の政策になります。しかし、現実をながめるときには本音とたてまえがありまして、わが国の経済政策の戦後から今日までを振り返りまして見たときに、国家意思はいわゆるアメリカの戦略的な必要性からか、わが国の国家目標でありましたそれまでの富国強兵主義をすっかり壊滅させてしまいまして、それのかわりといたしまして富国一本化、そして国際競争力の強化のために、国策的に巨大金融資本、巨大商社、巨大産業資本、そして政府から成るところの四位一体的な日本株式会社というようなものができてしまっておるのが現状でありまして、その本当の下積みの中でいわば存立が許されておるといいましょうか、なされてきたのが中小企業であると思います。その中小企業がわが日本の全企業のうちの九九%、従業員で八〇%を占めておりまして、この中小企業が常に大企業の力の論理、資本の論理に圧迫されながら、大企業の発達せるコンピューターの管理のもとに位置したのが現状であり、それに対しますところの今度の金融制度の見直しというものは非常に価値があるものでなければならないと私は思うわけであります。 その点につきまして、わが国の中小企業がこれから健全な発展をしていくために、中小企業政策は各種の振興政策の中にあって、その経営の安定、事業の発展を促すために基本となるものでありますので、大臣に今後のこの中小企業金融対策につきましてどのような抱負をお持ちであるかをお尋ねしたいわけでございます。それが第一問でございます。
○梶山政府委員 大臣が不在のために、私からかわってお答えを申し上げます。 鴨田委員御指摘のとおり、事業所数において九九%、従業員数において八〇%を占める中小企業の振興は、日本の産業政策の大きな問題点でございます。特にその中小企業対策の中での金融政策は大変大きな比重を占めるものであります。 最近の中小企業をめぐる経済環境というのは、貿易構造の変化やエネルギー問題、国民ニーズの多様化等を背景といたしまして、大きく変化をいたしておることは先生御指摘のとおりでございます。今後の中小企業の金融政策におきましてもこの点を踏まえまして、担保力、信用力の乏しさから資金調達面で種々の制約を受けている中小企業のために、金融の円滑化を引き続き図っていくと同時に、中小企業が新たな経済環境の変化に的確に対応するための資金の供給についても十分配慮をしていく必要があると考えております。 かかる観点から政府といたしましては、まず第一に、政府系の中小企業金融機関の貸し付けの資金量を十分に確保をし、中小企業の資金需要の伸びに安定的に対応するとともに、貸し付け条件面においても一層の拡充を図っていく所存であります。 第二に、中小企業者の担保力、信用力の不足を補い、民間金融機関からの融資の借り入れが円滑に行われるよう、信用補完制度の一層の拡充を図ってまいる所存でございます。 さらにこれらに加えて、地域の実情に即した融資制度の拡充に努めるとともに、民間金融機関においても中小企業向け貸し付けが円滑に行われるように指導していきたいと考えております。 こうしたきめ細かい中小企業金融政策の施策の拡充により、資金調達面で中小企業が抱える諸問題を克服をし、今後とも中小企業がわが国経済の成長の基盤として発展していくように努めていく所存であります。
○鴨田委員 それでは第二問に移りたいと思います。 中小公庫につきましては、中小企業金融政策の中核を担うべき重要な機関であるのに対しまして、昭和三十年以来、中小企業投資育成会社向けの出資を除きまして、実質的には全く出資がなされてこなかったのはいかなる理由であるか。ただいま聞くところによるときめ細やかな政策を行うと言いながら、今回二十五年ぶりに行うのはなぜであるかということをお聞きしたいのであります。
○左近政府委員 御指摘のとおり中小企業金融公庫につきましては、昭和二十八年、二十九年、三十年というふうに出資が行われましたけれども、その後は中小企業投資育成会社のための出資が行われて以来、実質的な追加出資は行われておりません。この理由でございますが、これは中小公庫が資本金をもとにいたしまして、設立以来非常に努力をいたしまして中小企業に対する資金供給の円滑化を図るとともに、経営の合理化にも非常に努めてまいりました。したがって、経営が安定的に推移いたしまして追加出資の必要がない、中小企業に対する資金供給を十分やっても資本金の増額が必要でなかったということでございます。 ただ、今回出資をした理由でございますけれども、今後中小企業の資金需要というのはますますふえていくということが考えられますし、政府系金融機関として、そういう中小企業の資金需要に対しまして機動的、弾力的に対処するという必要がございます。こういうことで、この際新しい時代を迎えまして公庫の経営基盤の強化を図るという意味から、二十五年ぶりに出資を行うということにしたわけでございます。
○鴨田委員 わかりました。 次に、中小公庫の収支は五十三年度に初めて実質的に赤字となったようでございますが、その原因については、どういうふうな要因があったのでしょうか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
○左近政府委員 五十二年までは、先ほども申しましたように利ざやも相当ございましたし、また経営面の節減というようなことも着実に実行してまいりましたので、収支は安定をしておったわけでございますが、五十三年度に入りますと、実は当時の不況、円高というものに対処するために、倒産対策あるいは円高対策ということで政策的な緊急融資をいたしました。これは相当な低利資金の融通をやったわけでございます。それからまた、当時は相当低金利時代になってまいりましたので、その前の昭和四十九年、五十年代の高い金利で借りました借入金の繰り上げ償還をしたいという中小企業の希望が相当あったわけでございます。これは一般の民間金融機関ではなかなかやらないことでございますけれども、政府系金融機関という責務にかんがみまして、非常貸出金利の引き下げとか繰り上げ償還というようなことを、経営の実態に応じて対応してきたということがございます。こういうことから収支状態が非常に悪くなりまして、実質の期間損益、これは実際は滞貸償却引当金を取り崩して充当したわけでございますが、実質の期間損益としては約八十八億の赤字が出たということでございます。五十四年度につきましても、これはまあこれからの決算でございますが、見込みとしてやはり赤字になるということが予測されておるわけでございます。
○鴨田委員 時代に即応して、五十二年、五十三年と緊急融資制度、金利軽減措置を政策的にしたために逆ざやになった、こういうことでございますね。わかりました。 次に、融資制度の拡充についてお尋ねいたします。 今後の経済変動の中で、中小公庫は中小企業者の資金需要に積極的にかつまた機動的にこたえていく必要があるとともに、融資制度の拡充につきましても努めていく必要があると思いますが、これについての見解をお尋ねいたします。具体的に言ってください。
○左近政府委員 中小公庫の融資の目的は、中小企業者の行います事業に必要な長期資金を安定的に供給するというのが目的でございまして、主として設備資金でございますが、長期の運転資金も供給するということになっております。ただ、この一般的な金融を図るほかに、中小企業の合理化というものに即するための政策金融という特利金融もやっておるわけでございます。政策金融につきましては、時代の要請に応じてその重点を変えてきております。公害が問題になったときには公害対策の融資というようなものが特利融資でやられております。現在ももちろん継続しておりますが、最近は省エネルギーの設備を取得するという必要がこういう時代で増加してまいりましたので、省エネルギーの特別貸し付けというものも創設したわけでございます。 このように政策金融は時代の要請に応じて変えていくわけでございますし、また一般の融資制度につきましても、貸付期間とか貸付額とか、そういういろんな条件につきまして年々改良を図っておりまして、時代の要請に即するようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○鴨田委員 次にお尋ねします。 現在中小公庫の貸し出し基準金利とその調達原資であるところの運用部の金利との金利差は、過去の水準に比較してきわめて低い水準にあり、ここ当分そうした状況は続くものと思われますが、中小企業者の資金需要に対する機動的、弾力的な対応、融資制度の拡充を図っていくためには、中小公庫の経営基盤の一層の拡充が必要と思います。このためにせっかく追加出資規定を設けたことでもあり、今後継続的に出資をしていくべきだと思いますが、この点についてはいかがお考えでありましょうか。
○左近政府委員 先ほど御説明したように、久しぶりでこの二十億の出資をいたしたわけでございます。これも先ほど申しましたように、中小企業の資金需要の新たな必要性というものも考えながら二十億の出資をしたわけでございますが、今後も中小企業の資金需要というものはいろいろな点でふえてまいります。また、その質のいいということが期待されるというふうになってまいりますので、今後の出資についても十分この状態を見ながら考えていきたいというふうに考えておるわけでございまして、これはそのときどきの公庫の経営の状態あるいは資金需要の状態というものを見なければわかりませんけれども、今後もそういう点について、われわれとしても必要な場合には出資をするという態度で考えていきたいというふうに考えております。
○鴨田委員 次の問題は債券の発行であります。 中小公庫が債券を発行する目的は何でありましょうか。また、今回その発行限度額を引き上げる理由は何でありましょうか。そしてまた、これを消化する方法また可能性、これについての見通しをひとつお答え願いたいと思います。
○左近政府委員 中小公庫が債券を発行する目的でございますが、従来この中小公庫の貸付金の原資の主なものはいわゆる財政資金でございます。資金運用部から借りる金でございますけれども、これだけに依存するということでは原資調達について弾力性を欠く場合が出てくる、やはり民間資金を導入するということで中小企業の資金需要に十分対応するということ、それからまた、民間資金を借りるということで資金源を多様化しておくということが、今後中小公庫か貸付資金を十分に確保するために必要であろうということでこの制度ができたわけでございまして、現在でもこういう資金調達の多様化という目的のために債券の発行を続けておるということでございます。 それで、現在の発行の状態を申し上げますと、五十四年度末でこの債券の発行残高が五千二十億という見込みになるわけでございます。そこで、現在の法律の規定では資本金の二十倍ということになっておりますので、発行限度額が五千四十二億ということになりまして、この五十四年度末の発行残高五千二十億との差が非常に僅少になってくるということになってきたわけでございます。さらに、五十五年度におきましては、この財投借り入れのほかに八百五十二億の債券発行をやろうという予定を組んでおるわけでございますけれども、先ほど申しましたように、債券は年々償還分がございますので、二百二十億ぐらい償還されるということになっております。それから、今回二十億の出資をいたしますので、これのまた二十倍というものの発行ができるということでございますけれども、そういう債券の償還と、それから増資による発行額の増というものを見ましても、実はこの八百五十二億というものを発行いたしますと、発行限度額を二百十億ぐらい上回るという予測になるわけでございますので、これはやはり発行倍率を上げなければいけないということで、今回二十倍を三十倍にいたしたということでございます。 それから、発行した債券の消化の問題でございますが、一つは、政府が引き受けるというものがございます。それは政府の財政によって引き受けていただけるので問題はないわけでございます。また、公募債につきましては、政府保証債ということで政府の保証がついておりますので、これについては金融機関その他の機関によって構成されますシンジケート団によって引き受け募集ということをやっております。従来とも円滑にやっておりますし、政府の保証もついておりますので信用価値も非常に高いということから、円滑な消化は従来もやってまいりましたし、今後もそれは十分期待されるというふうに考えておるわけでございます。
○鴨田委員 次に、中小企業者の資金需要の増大にこたえるために債券発行限度額の引き上げを行うという話でございましたが、調達コストの高い債券の発行は、中小公庫の収支を圧迫し、貸出金利の引き下げを阻害するのではないでしょうか。
○左近政府委員 いま申し上げましたように、この債券発行というのは、中小公庫の資金の調達の多様化ということで三十九年からやってきたわけでございます。しかし、おっしゃるようにこれが非常に大きくなりますと資金調達コストが高くなってくるという問題はございます。したがって、これはいわゆる財投資金と適切なバランスにおいて発行しなければならぬということをわれわれも常に考えておるわけでございますが、現在の発行のウエート、つまり調達原資に占める債券の割合は大体五%程度ということになっておりますし、今後もこの比率を大きく変えようというつもりはございません。したがいまして、中小公庫の貸出金利に大きな影響を与えない、しかも民間資金も活用できるというメリットも享受できるということで、このぐらいの比率で推移すれば問題はなかろうというふうに考えておるわけでございます。
○鴨田委員 次にお尋ねします。 債券発行限度額につきましては、民間では興長銀、政府系では北東公庫、商工中金がそれぞれ二十倍であり、今回の中小公庫の引き上げの三十倍はこれらの機関に先駆けて行うことになるわけでございますが、発行限度額の引き上げによりまして債券を増発して、先ほど言いましたように本当に円滑な消化ができるわけですか。
○左近政府委員 先ほど申し上げましたように、この公募債につきましてはシンジケート団の引き受けということで円滑にやっておりますが、さらにつけ加えて申しますと、このシンジケート団以外の機関投資家の引き受けというものもある程度進んでおりまして、いわゆる消化先の多様化というものも進んでまいっております。したがいまして、政府保証のついた信用の置ける債券ということで、そういう引き受けは十分図られるというふうに考えておるわけでございます。
○鴨田委員 安心いたしました。 次は、中小公庫の金利の問題でございます。 先ほど次官からも答弁いただきましたとおり、長期的、安定的な資金をこれからの民間需要に対しまして調達するということになっておりますけれども、この中小公庫の金利が、私の調べたところによりますと民間の金融機関よりも高い、これは一体どういうことになっておるのですか。ということは、一月末残の長期資金を見ますと、都市銀行は七・〇七六、地方銀行は七・一五七、信託銀行が六・八三五、長期信用銀行が七・八二六、相銀が七・四四七、信金の十二月末が七・七四五、これに対しまして中小公庫は八・二、国民公庫が八・二、こういうことになっておるわけであります。これにつきまして、どうしてこのような差があるのか、ひとつ説明していただきたいと思います。
○小田原説明員 お答え申し上げます。 中小公庫等の基準金利につきましては、民間の長期プライムレートと同水準ということを原則といたしております。その長期プライムレートは一部優良企業に対する最優遇金利でございまして、そういう意味におきまして中小企業者全般に対する民間金融機関の金利よりは優遇されているということを御理解いただきたいと思います。 ただいま先生のおっしゃいました数値でございますが、これは過去から今日までの長期、短期の総合の約定の平均でございますので、それぞれの民間金融機関の過去の累積分の計算でございますので、基準金利としております八・二%と申しますのは、その時点でのそれぞれの金融機関が行う長期の貸し出しとしますと、優遇されているということでございます。
○鴨田委員 実はいまお聞きしましたこの八・二の中には、代理貸しの場合の手数料も入っておるわけでしょう。手数料についてひとつ説明を願いたいと思います。
○小田原説明員 お答え申し上げます。 ただいまの八・二というのは基準金利でございまして、入れておりません。
○鴨田委員 それプラス手数料が加算されるわけですね。
○小田原説明員 実質的にはそういうことになります。
○鴨田委員 そうすると非常に高いものになってくるわけでございますけれども、それで果たして中小公庫の使命ということになりますと、これはどういうことなんですか。民間金融会社と比べましてどういうことになりますか。
○小田原説明員 申し上げますが、この手数料はそれぞれの民間の金融機関の方に参りますので、資金需要者の方の負担にはならない、こういうことを御理解いただきたいと思います。
○鴨田委員 そうすると、手数料というのは結局金融機関がもらうのであって、それがなくなった場合は、安くなった場合にはもっと安く貸せるわけですか。その手数料を出さなくなった場合、半分ぐらいになった場合にはまたその分だけ安く貸せるわけですか。
○小田原説明員 手数料は、たとえば代理貸しをしますと、相互銀行を通じてやりますと、相互銀行に参るわけでございまして、基準金利そのものは八・二であるということでございます。
○鴨田委員 その手数料は余り出さないで、基準金利をもっと安くする方法はないですか。
○梶山政府委員 私から利用者としてお答えを申し上げます。 御案内のとおり、金融の道は中小公庫の場合は財投の資金を利用しているわけでございまして、その財投の資金とそれから貸し付けの金利差がいわば一般経費に当たるわけであります。その経費の中で直貸しをやった方が安く上がるか、あるいは代理貸しをやった方が安く上がるかというのは、それぞれの金融機関のいわば合理化といいますか、内容で決まるわけでございまして、必ずしも代理貸しが経費が高くなるということではないかとも思えます。その枠内で考えておりますので、あるいはその代理貸しが多い場合には原則として上がるかもしれませんが、代理貸しであるから高くなる、直貸しであるから安くなるという、その合わせた両方のものが原価に入るというふうに御理解をいただければいいと思います。
○鴨田委員 このごろ政府系の金融機関ではなるたけ手数料を安くしてもらいたい、たとえば三百万円以下はいま一年間の金利の二五%というふうになっておりますけれども、それを安くしてもらいたいという要望があるのは一体どういうわけですか。私も金融機関の理事長としてこれをお聞きしたい。
○左近政府委員 中小公庫の場合の手数料と申しますのは、代理貸しをいたしまして、その代理貸しをした銀行に対しまして、信用金庫の場合もございますが、そういう金融機関に対しまして中小公庫が手数料としてお払いをするものでございますが、これについては借り入れる人は八・二という基準金利で借りるわけでございますので、借り入れる人については影響がないわけです。ただ問題は、中小公庫自体といたしましては、手数料を払いますとこれは支出になります。したがいまして、全体の経理には影響してまいるということでございます。したがいまして、われわれといたしましては中小公庫が金融機関と適正な手数料を設定いたしまして、中小公庫の経営の負担にならない、かつ、金融機関の実際の手数については手数料を払わなければいけないわけですから、適正な手数料を払っていくということに常に主務官庁としては指導しております。現在の手数料についても、公庫として絶えず検討して決めておるわけでございますが、いま申しましたように直接的には借り入れ者には影響は及ばないということでございます。
○鴨田委員 要望として申し上げますけれども、金融機関に払う手数料をまけてくれといってもしもまけられるものだったら、それでもってまた消費者に貸し出す金利を、それが差し引きされただけ安くなればもっともっと政府機関としての信用、また金融制度も要するに国民が使うのによくなっていくのじゃないかと思うので、そういうふうになりますことを要望いたします。
○左近政府委員 中小企業金融公庫の経理の内容がよくなるということは、とりもなおさず中小企業の金融を円滑にやれるということでもございますので、いまのような手数料の問題も含めて健全な経営になるように、しかも借り入れ者に対してなるべく有利になるようにというふうなことで、今後検討は続けたいというふうに考えております。
○鴨田委員 了解いたしました。 次に、他公庫との業務分担といいましょうか、調整といいましょうか、そのことにつきましてひとつお尋ねいたします。 中小公庫と他の政府系金融機関との事業分野の調整はどのようになっておりますか。
○左近政府委員 政府系の金融機関につきましてもいろいろな金融機関がございます。大きな企業を対象にします開発銀行というのがございますが、これは主として大企業を相手にしているわけでございます。それから中小企業の中の比較的小さい層を相手にする国民金融公庫というのがございます。したがいまして、中小公庫というのはちょうどその中間をねらうというふうな形でつくられたものでございますし、しかも、その内容は主として設備資金及び長期の運転資金ということでございまして、たとえば開発銀行は設備資金にほとんど限定されておりますし、それから国民金融公庫は設備、運転両方をやろうというふうになっております。そういう中小企業の設備資金を主として供給するという役割りを担っておるわけでございます。 ただ、この限界でございますけれども、重複するということは、借り手の立場からはなるべく利用し得る機関が多いということも便利な点もございますので、厳密に重複を排除するということでなくて、むしろ借り手の中小企業の便宜に応じた機関が対応するという方がいいということでございますので、この限界点、先ほど申しましたような区分はございますが、限界点はある程度相互乗り入れができるような場合もあるわけでございます。ただ、一つの貸付先、一つの貸付対象に政府機関が幾つも、いわば協調融資的に重なって貸すということは資金効率とか管理の面で適当でないと思いますので、主としてやはり最初に借り入れるときは中小企業の方の御選択になるべく任そうということに考えておりますが、実際に貸す場合に幾つかの政府機関が一緒になって貸すということは極力排除をするという趣旨でやっておるわけでございます。 なお、そのほかに特殊な業種別の貸付機関としまして、環衛公庫というのがございますが、環衛公庫については、設備資金は大体環衛公庫でやる、しかし運転資金、それから旅館等の一部の多額の資金を要する業種についての設備資金というようなものについては中小公庫が扱うというふうな業務分担をいたしておるわけでございます。したがいまして、今後もこの運営について、重複はまず差し支えないけれども、何といいますか両方がカバーできないような場所ができないように十分指導しながらやってまいりたいというふうに考えております。
○鴨田委員 内容は大体わかりました。 一つの例がございます。中小企業金融公庫の中に、これは環境衛生の分野に属するものと中小企業金融公庫の方の業務分野に属するのとダブる場合があります。その場合に、調査官が来まして、これは環境衛生の方なんだから早く償還してもらいたい、貸す方は一本化でもって大体同じだからいいだろうということで貸すと、検査官はみんな分類するわけです。だから、利用者の方は何も知らないで来るわけですから、なるたけ窓口を一本化してもらいたいというのが私の希望であります。 それからまた、きっとつくられた原因にもよると思いますけれども、こういうような中の勢力分野といいましょうか対立といいましょうか、そういうふうなものはなくしてもらいたいというのが一般消費者の気持ちであると私は思いますので、代弁して申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。 それから、次に質問いたします。 店舗が幾つかあるわけでございますけれども、その店舗の設置状況はいまどうなっておるか。それから、今後中小企業者の便宜を向上させるために店舗網の拡充が必要である、これについての見解はどうですか。
○左近政府委員 中小公庫は当初は支店というのが余りない形で発足をしたわけでございます。主として代理貸しを中心にやったわけでございますが、やはり直接貸しというものを拡充していきたいということで、創立以来店舗網の拡充に努めてきたわけでございまして、その結果、現在では支店が四十八カ所、出張所六カ所ということになっておりまして、各都道府県に最低一店舗あるというふうな形になってきておるわけでございます。しかしながら、中小企業の資金需要というのは地域的にもいろいろな拡大をしております。したがって、中小企業者の便宜を図るために店舗の拡充には今後も努めてまいりたいというふうに考えておりまして、五十五年度においても若干の拡充を計画をいたしております。
○鴨田委員 それから、拡充と同時に代理店の貸し付け業務の委託はこれから拡大するという気持ちはどうなんでしょう。いまのは支店ですね。代理店です。
○左近政府委員 代理店網といいますかにつきましては、銀行とか信用金庫についてはもうほとんどのところが扱っておるわけでございますが、信用組合につきましてはまだなかなか全部というわけにまいっておりません。これは、今後十分よく御相談をしながらなるべく代理店の数をふやしていくというふうに考えております。
○鴨田委員 ありがとうございました。よろしくどうぞお願いいたしたいと思います。 次に、担保の徴求についての質問をいたします。 中小公庫の担保の徴求は相当厳重に行っていると聞いております。そのためにせっかく借りてもすぐ貸さないで、二十五日、最終的には三十日まで延びてしまう。緊急資金には間に合わない、それですぐ民間の銀行に行ってしまうということなんですけれども、どのように厳重に行っておるのでございましょうか。
○左近政府委員 中小公庫の担保の徴求でございますが、これは業務方法書その他に定めるところでやっておるわけでございますが、実は最近まで引き続きました不況の時点で、中小企業者の借り入れがだんだん増加してまいりまして、担保が少なくなってきたというふうな事態が出てまいりました。そのときに、余りにも厳格なことを言っておっては中小企業の借り入れというものは円滑に進まないじゃないかというふうな御意見もございました。そういう御意見も踏まえまして、実は担保の徴求については弾力的に運用するというふうな措置をとっております。たとえて申しますと、たとえば担保物件にいたしましても土地、建物に限定いたしませんで、機械設備等を含めた事業用資産を対象にしているというようなこともございます。それから申し込み企業の所有の事業用資産が少なくて、それだけでは担保が不足するという場合には、経営者個人の所有する不動産とか有価証券というようなものも担保物件の範囲に入れるというようなことをいたしまして、担保の範囲を拡大をいたしまして担保不足ということで借り入れができないというようなことはなるべくしないというふうに考えております。また、担保物件の評価に当たりましても、売却処分価格によるのでなくて、担保物件の使用状態のままでの価格を算出して評価額にするというようなことも考えておりますので、これについて、担保徴求という事務がルーズになってはいけませんけれども、実際の設定についてはルールをつくりまして、中小企業の方に御便宜のように、極力担保がとれるような形で現在運営をしておるというのが現状でございます。
○鴨田委員 それはわかりました。期間がもっと短くなる方法はないのでしょうか。担保の調査期間が短くなって貸し出しが早く国民のもとに行くような方法はないのでしょうか。
○左近政府委員 貸し出しについては、中小企業の方々が一刻も早く借りたいという御希望が強いわけでございますので、極力短縮をしてやってまいりたいということでございます。それで、借り入れの申し込みから貸し付けの決定というふうな事務処理の状態を公庫について調べてみますと、従来は百十一日というふうな平均処理期間が昭和四十五年にはあったわけでございますけれども、五十三年にはそれが二十五日というふうに非常に公庫の方も努力をいたしまして短縮をいたしておるわけでございます。ただ、二十五日というのは借り入れの申し込みを受け付けてから決定まででございますけれども、実は中小公庫の貸し出しますものは、長期の設備資金や運転資金というふうに相当金額が多いというようなことがございますので、正式の申し込みをするまでにいろいろ事前の御相談をするという期間もございます。それからまた、貸し付け決定の後にも、いま先生がおっしゃいましたけれども、担保設定のための若干の時間が要るというふうなことでございますので、そういうものを合わせますと、やはり二十五日ではなくて相当期間がかかっておるというのが現実でございます。御指摘の担保の設定というのはきっちりやらなければいけませんけれども、しかし御便宜を図る意味において今後もなるべく短縮してやっていくということにわれわれも指導してまいりたいというふうに考えております。
○鴨田委員 次に、中小企業の現在、それから今後の動向と、中小公庫の対応について御質問申し上げます。 御存じのとおり、中小企業は現在非常に窮地に陥っておるということは、自己資本率が非常に低いということでございます。それは中小企業の動向に関する年次報告書にもありますとおり、大体自己資本比率が一五・七%ぐらい、そこへもってきて過度の競争に入ってまいります。過度の競争といいましても、どうしてもこれは競争しなければ食べていけなくなっちゃう、食べていけないということは、死ぬまで待たなくちゃならない、死んだときにはもう破産であるというのが中小企業の現状でございます。そこへもってまいりまして御存じの石油価格の高騰、外部要因、それからまた、いろいろこれから政府が決定なさいますところの公共料金の値上げの問題等が入ってまいりますと、そこで中小企業の資金繰りがまた非常に厳しくなってくると思うのでございますけれども、これに対してどういうふうに長官はお考えになっておるか。そしてまた、それに対する対応策としてはどういうふうな対応策をして日本の中小企業を支えていこう、こういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
○左近政府委員 中小企業にとりまして、昨年の前半は比較的状況がよかったわけでございますが、昨年の後半以来原材料価格の高騰というようなことが出てまいりました。それからまた、金融引き締めということもだんだん進んでまいります。そういうことから、資金繰りにつきましても、一方は原材料価格などが高騰いたしますので運転資金が増加するというふうなこともございます。一方、金融引き締めというようなことも出てくるというようなことでございますので、だんだん逼迫の度合いが強くなりつつございます。毎月中小企業の景況を調べておりますけれども、やはり月を追いまして資金繰りがだんだん苦しくなるということを訴える中小企業の数がふえてまいっておるわけでございます。また、最近は企業の倒産状況も相当な件数に上っておりまして、一昨年ほどではございませんけれども、やはり相当な高い水準にあるというようなことでございます。したがいまして、今後この中小企業の金融というものについて十分注意を払っていかなければならないということを考えておるわけでございます。 インフレ対策といたしまして金融の引き締め、公定歩合の引き上げということが逐次なされておりますけれども、こういうインフレ対策は必要ではございますが、この結果が中小企業にしわが寄るということになりますと、これまた問題でございます。したがいまして、中小企業にしわ寄せのないような対策をわれわれは考えていきたいということでございます。その中で、やはり政府系中小企業金融機関とか信用保証協会というものが活動いたしまして、中小企業に適時適切な資金供給ができるように今後も十分指導してまいりたいということでございます。
○鴨田委員 次に、中小企業の国民経済、国民生活における役割りはどういうふうに考えておるのだろう。ということは、これからの中小企業は知識集約化でいきなさい、ファッション化でいきなさい、こう言いますけれども、私はその意味がよくわからないのです。ひとつ、ぜひとも皆さん国民にわかるように説明していただきたいと思います。
○左近政府委員 中小企業のウエートは、冒頭先生もおっしゃったように企業数あるいは従業員数あるいは出荷額というようなところに非常に大きなウエートを占めております。したがいまして、日本経済が今後発展していくためには中小企業が健全に発展していく、伸びるということでなければ日本経済の発展も望めないというのがわれわれの認識でございます。したがいまして、こういう事態におきましても中小企業が今後発展をしていただかなければいけないわけでございますが、第一次の石油危機以降、不況あるいは円高というものを経験した過程で、われわれといたしましては中小企業が非常に厳しい国際環境の中で生き抜くためには、やはりそれぞれ特色のある生産品をつくらなければいけないということを痛感をしておるわけでございまして、円高の過程におきましても、他の産地のまねのできない生産物をつくりました産地については、円高の影響も比較的軽微で過ごし得たということがあります。したがいまして、そういう教訓をひとつ生かしまして、今後中小企業は独自に、個々の中小企業でも非常に特徴のある製品をつくる、あるいは産地につきましても他の産地、これは日本国内だけではなくて、発展途上国のほかの産地にもまねのできないようなものをつくっていくということが一番必要じゃないかというふうにわれわれ感じておるわけでございますので、そういうふうな形のいわばファッション化その他ということは、つづめて言えばつまり独自の製品をつくるということになろうかと思いますので、中小企業がそういう努力をするということについてわれわれ応援をしていきたいというふうに考えております。 ただ、中小企業はそういう努力をなさいましてもやはり大企業に比べていろいろ不利な点がございます。したがって、われわれの役目は、中小企業の方々の大企業に比して不利な点を補正をいたしまして、そして中小企業が積極的に努力をしたことが報われるというふうな方向に持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○鴨田委員 いま長官のおっしゃいました不利な点というのはどこなんですか。
○左近政府委員 不利な点いろいろございますが、金融もまさにその一つでございまして、やはり金融機関から借り入れる場合におきまして、大企業が借り入れる条件それから借り入れる可能性というようなことと比較いたしますと中小企業は非常に不利であるということから、これは従来とも中小企業政策の大きな柱といたしまして中小企業の金融を円滑にするという政策をとってきておるわけでございます。
○鴨田委員 自助努力をせよと、こういうふうにおっしゃるわけでございますね。私は、中小企業が大企業と比較して違うところは、効率性の追求だけではやっていけないのだということにあると思うのですよ。ここのところに、私は去る予算委員会でも質問したのですけれども、中小企業に経済政策だけではなくて保護政策的な意味の考え方を入れていったらどうなんだろうというふうなことでもってお聞きしましたところが、余りいい返事をいただけなかったのですけれども、中小企業が大企業と違うところは、どうしても非効率的な面においてのサービス、生産、そういうものを通してお客様の豊かな生活を守っていくという非常に重大な使命を持っている。大企業は効率性ばかりを追求しますけれども、中小企業は効率性ばかりを追求していくわけにいかない、ここに大きな相違があると思うのですけれども、その点はどうなんでしょうか。
○左近政府委員 中小企業というのは非常に数も多く、階層も非常に広範にわたっております。したがいまして、中小企業の中には独自の企業として効率性の追求のできるような、いわば中堅企業的なものもございます。あるいはまた協同組合その他共同化をいたしまして効率追求の可能な企業もございます。また零細企業ということで、なかなかそういうわけにはいかないというところもあるわけでございまして、われわれといたしましては、企業の実態に応じて先ほど申しましたような政策を実施してまいりたいというふうに考えております。したがいまして、零細企業につきましては、たとえば商工会議所を通じまして経営指導員というような制度で実際に経営指導に当たったり、またその経営指導の結果、いわゆるマル経資金というふうな非常に簡易に貸す、しかも低利なものを準備したりというようなことで、いわゆる経済原則以上の配慮をしておるわけでございます。したがいまして、この実態に応じた措置といたしまして、先生のおっしゃるようなポイントについても十分配慮をしてまいりたいというように考えております。
○鴨田委員 ぜひお願いしたいと思います。 何度も申しますけれども、中小企業の体質は、自己資本率の本当に少ない中で、借金が多くて人件費率は大企業と同じようにどんどん歩調を合わせなくちゃならない、上がっていかなくちゃならない、原価が高くなってくる、自然に経費率が高くなってきますから利益が悪化してまいります。そういう中小企業の実態をよく把握していただきまして、今後御指導願っていただくということに関しましては大いに感謝申し上げる次第であります。 次に、中小企業はどうしても過当競争に陥りがちであります。それはいま言ったような状態だから過当競争になるのです。ですから政府が六・四%で消費者物価を抑えろといいましても、もうすでに公共料金の値上げや何かが出てまいりますと、新聞でも何でもみんな十円ずつ上がってます。同じように中小企業もこれに便乗値上げをするという体質を持っております。でございますので、便乗値上げをしないようにするためにどうしたらいいだろう、これ、長官ひとつお聞きしたいと思います。
○左近政府委員 現在のこの原油値上げを端緒といたします海外物価の値上がり、それを受けまして国内の物価の値上がりというものも相当顕著なものがございます。したがいまして、この過程におきまして、おっしゃいますような便乗値上げというふうなものが出てまいりますと非常にインフレが進行いたしまして問題になるということでございます。 そこで、それの対策でございますが、原材料の値上がりというものをやはり製品価格に転嫁せざるを得ないという部面がございます。ただ、それを安易に転嫁をするのじゃなくて、生産性の向上でそれを吸収する必要もございます。しかし、そういうことをスムーズにやるためには、やはり競争というものが適正に行われることが一番必要であろうかと思います。競争も行き過ぎますとまた過当競争ということで問題でございますが、適切な競争が行われることによって便乗値上げというものを排除していくことが一番基本かと存じます。しかしながら現実問題といたしましては、やはり便乗値上げの起こりそうな事案につきましてはいろいろな行政指導もしなければいけないというふうに考えておりまして、われわれといたしましては、こういう電力料金等も値上がりをする時期でございますので、個々の業界につきまして十分注意を促しながら、もし個別に便乗値上げのような徴候が出てくれば、これは通産省全体といたしまして、中小企業庁のみならず、いろいろな物資を所管しておる局と共同いたしましていろいろな行政指導をやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○鴨田委員 体質がそのような体質でございますので、よろしくひとつ御指導のほどお願いします。 最後に、中小企業の今後の発展のためにはやはり共同化、組織化がもっともっと必要になってくると思います。しかしこれは余り追求しますと独禁法にまたひっかかってまいりますけれども、これについて長官に対しまして、ひとつぜひ協業化、組織化の指導をしていただきたい、こういうことでございます。 ここにございますのは十月の「エコノミスト」に大河内一男先生の書いておられました文章でありますけれども、「小売店舗の経営者も小さな自営農も、それぞれきまった生活の型をもっており、容易にそれが崩れるものではない。」ということを不確実の時代の中に生きる現実を見て教授が評しております。ファッション化、知識集約化といいましてもなかなか転換することができないと思います。これからの政府の使命、行政の使命というものは非常に厳しいものがあると私は思いますので、どうかその点よろしく御指導を賜らんことを願います。 中小企業の中にはすばらしい発見、すばらしい発明、すばらしい改良の能力を持った逸材がたくさん充満しております。これを生かす道こそが私は今後の中小企業、日本の発展につながるものだと思いまして私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○塩川委員長 これにて鴨田利太郎君の質疑は終了いたしました。 次回は、明十九日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十五分散会