社会労働委員会 第13号
- 発言数
- 150 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/04/17
会議録
○葉梨委員長 これより会議を開きます。 第九十回国会内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山富市君。
○村山(富)委員 先般の健康保険法改正の審議の際に、老人の保健医療について厚生省は社会保障制度審議会に白紙で諮問をいたしておりますけれども、この健保法の改正の中身と老人保健医療がどうなっていくかということは重要な関連があるわけでありますから、その老人保健医療に対する厚生省の考え方の大筋ぐらいが明らかにならないと健保法の審議はできないのではないか、こういう意味で私は質問をいたしましたけれども、その答弁が保留されておりますので、この際承りたいと思います。
○野呂国務大臣 この間の御質問の際に、私は老人保健医療制度に関しまして回答を保留いたしたわけでございます。その後いろいろ検討をいたしておるわけでございますが、まず、この高齢化社会に対応する老人保健医療対策のあり方の問題につきまして、私どもはいろいろな問題点を持っておりますが、その一つとして、制度の立て方について別建てとするかどうか、これが一つの大きな問題であると私は思います。もう一つは、保険事業のあり方についてその対象の範囲及びその内容をどうしていくかということも検討を要する一つの大きな柱である。さらにまた、費用負担のあり方でございますが、公費負担のほかに住民とかあるいは事業主からの拠出、あるいは年金給付費、それから医療保険の各制度からの拠出で賄うかどうか、またその他の税負担による財源措置を考えるべきであるかといったような意見があるわけでございます。こういう大きな問題の検討をいま続けておるというのが私どもの今日の実態でございます。
○村山(富)委員 いまお話がございましたような考え方を制度審に意見陳述をして、そうした意見を中心にこれから審議会で議論が始まると思うのですけれども、問題はやはり老人医療保健というものをいまの制度の中で調整をしていくのか、あるいは別建てにするのかということが大前提になる問題だと思うのです。そういう制度の立て方について大臣はいまどういうふうにお考えになっていますか。
○野呂国務大臣 制度の立て方の問題でございますが、厚生省としてはこの問題について、お話しのように、現在社会保障制度審議会に御審議をお願いしておるということでございますので、現時点において確たることを申し上げることは大変困るわけでございますが、私としては、厚生大臣としては、長期的にしっかりした制度という意味でもやはり別建ての方がより適当ではないか、こういう考え方を持っておるわけでございます。
○村山(富)委員 この制度化の時期についてでありますけれども、これは先般も御質問申し上げましたように、大変長い期間いろいろな角度から議論をされておるわけです。かつてこの委員会で大臣の方から、五十四年の秋には実施をしたいとかあるいは五十五年の一月から実施をしたいとか、それぞれそのときの状況によって御答弁があったわけですけれども、大分狂ってきております。今度は本気になって制度審にも諮問をして、やる決意だと思うのですが、大体その制度化の時期についてはどういうふうにお考えになっていますか。
○野呂国務大臣 制度化の時期でございますが、先般の社会保障制度審議会でのごあいさつの中でも私は明確にこの点を申し上げたわけでありますが、もはや模索のときではない、もうすでにいろいろな意見が出ておる、厚生省も現在までに十分検討してきておるわけでございますから、五十六年度からぜひこの制度を実施してまいりたい、こういう考えをその際述べたわけでございます。したがいまして、健保法のこの改正の結果も踏まえながら、ぜひとも五十六年度には所要の制度化を図ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、いままでの国会での御指摘に対しまして大変おくれてまいりましたが、いよいよ本格的に五十六年にこの制度化を図るという方向に向かって、鋭意審議会と並行して厚生省内部におきましてもその制度化のために検討をいたしておる、こういうことでございます。
○村山(富)委員 制度審の方にその諮問をしている関係もございますから、中身についてこれ以上せんさくすることはやめたいと思いますけれども、ただ、本年度の予算編成時に老人医療保健についての両大臣の覚書が交換されておる、その中身の問題や、あるいはいまお話がございましたような考え方等々、幾つかの問題点があろうかと思うのです。 ただ、私はこの際意見として申し上げておきたいのですけれども、老人医療保健の無料化制度というのはやはり社会保障制度の一環としてなされたことであって、保険制度で扱うにはなじまないのではないか、こういう考え方もあろうかと思うのです。そこで、私どもとしては、やはり別建てにして、国民が全体として公平に負担をし合う、そしてお年寄りの医療はしっかり見ていく、こういう制度が基本でなくちゃならぬと思いますので、こうした意見もこの際明確に申し上げておきまして、今後の審議の参考にしていただきたいということを特に申し上げて終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。
○葉梨委員長 次に、平石磨作太郎君。
○平石委員 まず、大臣にスモンについてお伺いをいたします。 スモンは、この前三月七日に地裁の方から、厚生省が待ちに待った勧告が出たわけですが、大臣はスモンに対していまどう考えておられるのか、思案投げ首じゃないか、このように思うのですが、大臣のお考えをまず簡単にお伺いしたい。
○野呂国務大臣 スモン病患者の救済ということは、私は福祉行政に携わる厚生大臣として、このお気の毒な方々に対して国は無限の責任がある。それは単に給付をどうするかということの限界でなくて、私どもとしては、お気の毒な方々をどう救済するかということに対しての責任は大きなものがある。したがいまして、それがために国は東京地裁の所見に従う、同時に製薬会社に対しましても、ぜひ国と同様に従うようにという説得を今日続けておる次第でございます。
○平石委員 いままで会社と何回お会いになりましたか。
○野呂国務大臣 あすあさって、三社そろって会うことになっております。過去においては、別々でございますが、一度お目にかかっております。ただし、事務当局でございます薬務局長は今日まで数回にわたって進めております。
○平石委員 会った感触はどうですか。
○野呂国務大臣 説得という言葉はたった二字でございますけれども、製薬会社の方はやはりそれぞれ意見を持っておるわけであります。なかなかそう簡単に私どもの主張を認めてくれることは至難のわざであるというふうに思っておりますが、しかし、漸次打開の方向に向かって進められるものだというふうに考えております。
○平石委員 会社の方にもいろいろとお話があろうと思いますが、それに理があると思いますか。
○野呂国務大臣 会社側の言い分に理があるかどうか、私はそういうことに対して大変お答えを申し上げにくいのでありますが、理があるとかないとかの問題ではないのでありまして、やはり裁判所の所見に従って和解を一日も早く進めるということでなければならないということでございます。向こうに理があるとかないとかということで論議すべき問題ではない。私どもは当然患者の立場に立って、一日も早く早期和解の方向に向かっていくべきである、こういう考え方を持っております。
○平石委員 理があるかどうかを判断すべきでない、それは当然です。したがって、会社の言い分を聞く必要はない。厚生省はちょっと弱腰じゃないか。いま大臣のお言葉にあったように、理のことについては触れないけれども、救済についてはやはり全力を挙げて救済すべきである、そのとおりなんでして、それがこのように百十九名という勧告の中で、向こうが応諾した者が七十六名。四十三名残った。この四十三名について残っておるわけですが、これに対して先方はどういう理由を言っておりますか。
○山崎政府委員 お答え申し上げます。 全体で百十九例の中で、結局裁判所はこれが証拠評価の問題といたしまして十分受諾すべき内容を持っている、こういう御判断で第一項の所見が示されたわけでございます。それに対して裁判上の問題として会社側が争っております主な争点は、要すれば神経症状が発症する前の薬の投与がなかったとかあるいはきわめて少ないとか、そういうことが中心でございまして、あるいはお医者さんの記憶による証明の程度が低いとかあるいは類推による証明であるとか、そういうことで個別について争っているといいますか、受けていない、これが理由の主たるものでございます。
○平石委員 いまのお言葉にありましたが、いわゆる投薬証明がないとかあるいは不十分であるとか、こういったことはすでに過去、裁判上あるいは和解あるいは和解条項におけるところの合意確認、こういうことで解決済みと考えておられるかどうですか。
○山崎政府委員 結局、その和解の個別事案についての煮詰めの問題と申しますか、双方主張の食い違う問題でございまして、私どもは和解は全面的に早く進めたいという気持ちでございますが、従来からこの投薬証明がないとかあるいは非常に薄いとか、こういうことで依然として会社側が和解を留保してきた、こういうことの最後の結果であろう、かように考えております。
○平石委員 そうすると、この東京地裁で行われた、和解そのものではありません、和解そのものではありませんけれども、共同被告である製薬会社が原告側と裁判上の和解条項についての合意が成立した、この和解条項と、それに基づいて和解が個々別々に進められていくといういまの段階において、この和解条項の合意というものをどのように認識しておられるか。
○山崎政府委員 私ども国の立場は被告の立場、行政の立場、両方持っておりますが、私どもといたしましては例の和解の確認書という線を進めてまいるということで一貫しておるわけでございます。
○平石委員 ここで和解条項が全く無に帰する、しかも、その和解条項の中にはそういった投薬証明のない者についても、あるいは確認書の和解におきましても投薬証明のない者についても連帯をして云々という条項が入っていますね。だから、この条項から見たときに私は会社がこれをもって和解に応じないといったようなことはできないんじゃないか、このように理解をするわけです。したがって、私、和解条項の効力はどうかわかりませんけれども、たとえて言えば労働協約の場合には、個々の組合員と会社との労働条件の契約をする場合にそれに従わねばならぬという覊絆的な効力があるはずです。したがって、和解条項の確認においてもそのことが言い得られると私は思うし、またこれは合意であって、会社そのものがこれに対して特別に約束をしたいわゆる特約事項になっておるわけであって、このことで長引く理由はない、このように私は認識をしておるわけです。したがって、それを説得もできない、そういう弱腰でもって解決はなかなかむずかしいんじゃないか。厚生省はもっと厚生大臣みずから説得に当たるべきだ。前の橋本大臣はそういう点、比較して悪いのですけれども、今日まで来るには相当な決意で、どろをかぶってやられたと私は見ております。だから、大臣も、国会で忙しいときではありますけれども、もっと積極的に大臣自身が腹を固めて会社を説得すべきだ、私はこのように思うのですが、大臣の決意をお伺いします。
○野呂国務大臣 いろいろ御鞭撻やらおしかりを受けておるわけでございますが、平石先生御承知のとおり、和解ということであり、しかも、それに対して裁判所は判決でなくて所見という形で問題の解決を進めていくということであります。したがって、和解ということについてのいろいろな条項の確認はできておりますが、しかし、一つ一つがやはり裁判で問題になっておるわけでありますから、したがいまして、その双方の理解、納得が得られなければそれは和解ということには相ならないわけでございます。そこに事が、問題の性格の上からも、また裁判所とのそうした関係から申しましても、必ずしも一方的に厚生省が英断をもってこれを下すんだといった性格のものでないことは御理解願っておる点でございます。 したがいまして、いよいよ実施の段階に入っておるわけでございまして、私どもは決してこれを放置しておるということではないのでございます。向こうの考え方をわれわれは情勢判断しながら、それに対してどう対応するかということを考えながら、私みずからがこの説得に当たっておるわけでございます。ただ、説得をもっとしっかりやれという激励に対しまして、毎日でも私は会いたいと思います。しかし、毎日会うことが説得をする最大の手段でもなければ、また長時間かけて厳しくしかってやればそれで応ずるというものではないのであります。問題が一つ一つ大変むずかしい問題を持っておると私は思いますけれども、要するに誠心誠意説得に当たるということにおいてはいま本当に力をいたしておるわけでございます。私は事務当局が体を壊しはせぬかというくらい心配しておるわけでございます。連日連夜、スモン対策、患者救済にどう当たるかということが、医務局長ほか当局の今日の日程のすべてであると申し上げてもいいかと私は思うのでございます。できるだけ早い時期に決着を見るように最善の努力をいたす覚悟でございます。どうぞ御理解を願いたいと思います。
○平石委員 ひとつ大臣の勇断と決断と行動力で解決を要望いたしておきます。 次に進ませていただきます。 ここに新聞記事がございます。「月に最高九百三万円」こういう新聞記事があるわけですが、これは健保組合連合会が医療費の調査をした資料から出た記事でございます。 これは局長にお伺いいたしますが、月に最高九百三万円という医療費を見たときに、どんな感じを持ちますか。
○石野政府委員 確かに、健保組合の方で調べた数字の中に一件九百万を超えるものがあるという報道もございました。よほど特殊のケースだと思うわけでございますけれども、中身によりましては、たとえば悪性腫瘍のような場合に、すでに死亡の時期が近づいた場合の医療費としてはそういうこともあり得るというふうに考えておるわけでございまして、年々この額がふえるということについて大変心配はいたしておるわけでございます。
○平石委員 私はこれを見たとき、えらい高いものだと思った。医療費が一月当たりこんなにかかって、これから先の医療費が一体どうなるかという心配が先に出てきました。この調査によりますと、二百万以上のものの前年比伸びが五一・四%あった。これは一部でしょうけれども、五百万以上が九十九件、二百万から三百万までが二千八百八十二件、三百万から四百万までが五百五十五件、四百万から五百万が百七十七件、このように非常に高額になってきた、そして、もうこれが常識になろうかといったような形になっておるのです。 この高額レセプトの診療行為別の点数割合がこの表の中に出ております。これを見てみますと、投薬、注射がパーセントで言いますと九七・八%になっておる。そして、一日に注射が七十本、こんなことが医療行為として——これはこの記事の中にも厚生省の方の見解が載っております。「新薬の使用、医学の進歩等の面から考えて、単に高額だからといって、必ずしも過剰診療とは断定できない」というような所見が載っております。 一日に七十本も注射をしなければならぬというようなことが常識としてどうか、もう一回お伺いします。
○石野政府委員 一日七十本の注射を打った例がどういうケースであったか、私も記憶をいたしておりませんけれども、先ほどお話し申し上げましたように、一件医療費が月五百万以上のものが九十七件ございます。そのうち調べてみますと三六%のものがいわばがんでございまして、恐らくがんの末期症状になりますと、御家族の非常に強い要請で何とか一日でも長く生き延びていただきたいという心情もございましょうし、お医者さんといたしましても、何とかこれを助けたいということから相当の注射が行われることも間々あり得ることだと思うわけでございます。したがいまして、そのコメントにございますように、一概に、高額なりあるいは注射が多いからといって医療行為として不当なものだというわけにはいかないのではないかというふうに考えられるわけでございます。
○平石委員 命は金にかえられませんから、一概にどうのこうのとは私は申しません。だが、常識的に判断したときに、このような高額な医療がもういわば常識になるというようなことであれば、医療行為といえどもやはりお金の面といったものとも関連を持ちながら医学の進歩というものを考えていかねばならぬ、このように考えるわけであります。 このことを今回の改正案で一応見てみますとどうなるかということですが、この投薬、注射で、私ここで計算を、これは単純計算でございますけれどもやって、二分の一の薬剤費負担を勘定してみますと四百四十一万七千五百五十円要るのです。薬剤費を患者さんに二分の一負担さすということになりますと、驚くなかれ四百四十一万七千円、これは架空の数字ではありません。現実のレセプトの上からの数字です。そして、これを少なくとも高額負担として後から償還をいたしますと、こうなっておるわけですが、そうしますと約三カ月かかる。したがって、患者さんはこれの三カ月分、三カ月このことがかかるとは私は申しませんけれども、この数字から単純に計算をしますと、これの三倍で一千三百二十五万二千六百五十円というお金を準備しないとお医者にかかれないということになる。どうですか。
○石野政府委員 いま御指摘のようなケースでございますとそういうことになるわけでございます。ただ、現行制度の中におきましても、家族の場合でございますと三割負担というのは現実に行われているわけでございまして、それと比較してどうのこうのということを申し上げるつもりはございませんけれども、現在の七割給付ということは三割が自己負担ということでございますので、もし御家族の場合でございますと、そういうケースは現在でも何百万の金を用意しなければならないという事態がございます。今度の改正法案では本人、家族同一給付ということでございまして、いまのようなケースが出てくるわけでございますけれども、ただ一つだけコメントをさせていただきますと、長期かつ高額の薬剤費につきましては全額保険で給付するということもございます。そういうことによって何百万をすぐ負担しなければならないかどうかにつきましてはそのケース、ケースによって違ってまいりますので一概に申し上げられませんけれども、そういうケースもたとえば長期にわたらないような場合についてはあり得るかもしれない。大変むずかしい問題であるなという感じがいたしております。
○平石委員 これは特異なケースとしての現実の問題ですが、私はこの数字の中で平均点をとってみました。平均をとりますと、一カ月の医療費が百十五万です。やはりこれを計算してみましても、今度の改正案による準備金というものが四十三万一千円ないとお医者にかかれない、こういう現実が出てまいります。したがって、これから見ましたら今度の改正案に言う二分の一薬剤費負担というのは余りにも酷である、このように考えるわけです。したがって、今回の改正案は、厚生省は、一部改正ではございません、将来の抜本改正に向かったものでございまして、一概に単なる部分改正とは理解しておらぬ、こういうことを言われておりますが、過去のたびたびの改正というものを見たときにどうも財政対策のみにかかってきておる。しかも、いままでの医療費の伸びというものを昭和四十年から五十二年まで約十三年間を調べてみますと、物すごく上がってきておる。医療費が一九%とか一五%、二〇%、二四・七%といったような形でほとんど二けた台。それから、国民所得の伸びを同年度でずっと拾ってみましても、やはり国民所得のときには二倍あるいは二・五倍の伸びを示しておる。この国民医療費はたとえどのような形式をとろうと国民が負担せねばなりません。そう見てみますと、医療費の伸びというものは四十年から五十二年までに七・六三倍伸びております。その間国民所得は五・八四倍伸びておる。ここに大きな差がある。 この間、医療小委員会において日本医師会の中山先生にこの点をお伺いいたしますと、国民所得以上に医療費が伸びるということは世界の趨勢であり、あたりまえのことでございます、こういうような御意見をいただきました。もちろん医学の進歩というものには際限がございません。これをどうのこうのと言うわけにはまいりませんけれども、やはりこれだけ格差を持って国民所得以上に伸びるということを考えたときに、この医療費に対する対策が欠けておる。したがって、厚生省はこの医療費と所得との比の差というものを考えたときに、ある人の計算によりますと、これから三十年先になりますと国民総生産がいま二百二十兆円、これが五%当たり伸びていくという勘定。それから、本年度の医療費が大体十一兆円、これはいままでの過去の平均値から見まして一五、六%の伸び。これを三十年計算いたしますと、国民総生産と国民医療費が同額になってくる、こういう心配の方もおられる。 このことを考えたときに、私がいま前段にお話をし、御答弁をいただいたように、診療抑制という形を考えていくよりも、むしろ適正な医療費、適正医療とは一体何なのか、そしてそれを賄う適正な医療費は一体幾らか、ここのめどをつけて抜本改正を求めていくべきじゃないか、私はこのように考えるわけですが、どのようなお考えかお聞かせいただきたい。
○石野政府委員 いま国民所得との対比で、医療費の伸びが大変大きなものであるじゃないかという御指摘がございました。確かに数字的に見ましても四十年代は少なくとも対国民所得比では四%台でございました。これが五十年度に至りまして五%になり、さらに五十三年度、五十四年度ぐらいになりますと六%台に達するのではないかという推計をいたしております。これが無制限に伸びるとは思っておりませんけれども、国民所得が相当の伸びを示さない間に国民医療費がどんどん伸びていくとなりますとこれは大変なことになるわけでございます。きわめて長期の推定はできませんけれども、少なくとも五年後におきまする対国民所得との対比で見ましても国民医療費が五十九年度で約二十兆円を超える、二十一兆円近くになるのではないかという推計をいたしておるのでございます。そういたしますと、その国民医療費をどうやって負担していくのかということになりますと、一つは、御指摘のように、適正な国民医療費はどうあるべきかということは、当然これは議論しなくちゃならない問題でございます。 同時に、その医療費の伸びの中には、やはり人口の老齢化とか医学、技術の進歩等もございますので、一概にこれを否定するわけにはいかぬわけでございますので、それとの絡み合いになりますけれども、少なくとも先生のおっしゃるように適正な医療費というものについでは常に関心を持ち、そしてわれわれが努力しなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○平石委員 そこで、医療需要が一体どうかということを私はまた一方で調べてみたわけです。この医療需要も同じく四十年から五十三年までを調べてみました。この医療費を調べてみますと、ほとんどふえてない、横ばいです。外来がちょっとふえてきました。外来がちょっとふえておりますけれども、五十三年は外来が落ちておる。入院に至ってはずっと落ちてきております。それから、受診日数も同じく調べてみますと、これも四十年以降今日に至るまで、入院においても落ちてきております。横ばいないし下降線をたどっておる。それから、入院外につきましても、同じく受診日数は横ばいないし下降線をずっとたどってきておる。したがって、この受診率と受診日数とを掛けた受診の量、いわゆる医療需要というものは全然伸びておりません。 確認できますか。
○此村政府委員 政府管掌健康保険について、これは四十九年以降の状況でただいま把握しているわけでございますが、受診率につきましては年々一般的には伸びてまいっております。ただし、いま先生御指摘のとおり、入院につきましては、本人は大体少しずつ漸減の傾向にございます。家族は、特に老人医療等の影響もあるかと思いますが、四十九年以降漸増をいたしております。ただ、入院外につきまして、本人入院外につきましては大体漸増の傾向でございますが、五十二年度は政管健保財政とも関係がございますけれども、受診率が落ちておるということが特徴でございます。家族につきましても入院外は落ちております。 それから、一件当たりの日数でございますが、これは本人の入院につきましては大体横ばい、入院外につきましてはこれもまず横ばいでございますが、少し減少ぎみでございます。それから、家族につきましては、入院については少し上向きの傾向がございます。入院外につきましては少しずつ下がってきておる。したがいまして、全般的に受診量といたしましては、家族の方はむしろややふえている傾向はございます。それから、本人につきましては、全般的には、達観いたしますと、トータルでいきますと、まだ掛け算はいたしておりませんけれども、傾向から考えるとそれほどふえてはいない、こういうような感じがいたします。
○平石委員 以上で裏づけができたわけです。 そうすると、やはりこの健保法を改正するということの観点は、最も大切なところは、保険法をいじることも大切なことでありますけれども、まず医療費についてどうするかが一番の関心事になってくるわけです。したがって、健保法を改正して受診抑制に走るような形をとっても、受診量がふえておるのならそれをせねばなりませんけれども、受診量がふえてない、医療費だけがふえておるという情勢から見たときには、いまのような改正には私はどうも賛成ができない。 そこで、医療費を落とすためにはいろいろな——落とすと言うと語弊がありますけれども、適正医療という問題は残りましたが、これは研究願うといたしまして、いま医療費について、医療費の通知あるいは領収証の発行といったことが、いわば苦肉の策と言えば語弊がありますけれども、特に心配をしておられる健保組合、こういったところではすでに実施に入っております。 この数字を見ましても、まことに顕著な情勢が生まれておる。このことについては厚生省はどうですか。今後これを取り入れていくという考え方は持っておりますか。簡単にお答え願いたい。
○此村政府委員 政府管掌健康保険について医療費通知を行うかどうかという御質問かと思いますが、これはすでに先生御承知のとおり、今回五十五年度予算におきまして、被保険者等の指導に要する経費といたしまして約四億八千万が計上されております。これに類する経費は五十四年度にもございましたが、五十四年度は一般的な資料を被保険者に配付するということで処理をいたしまして、今年度は被保険者に対し、被保険者の世帯における一月分の医療費の状況を通知する等の措置をとるべく、現在、どういうふうに実施をするか、通知の内容、それから通知対象の規模等につきまして鋭意検討を進めておるところでございます。
○平石委員 いまのお言葉で非常に意を強くしましたが、私が過去、まだ国会へ上がる前、昭和四十一年、医療通告制度をやったことがあります。このときには非常な反発を受けて結局つぶれましたけれども、そういうことのないようにしっかりやっていただきたい。 それから、この間の朝日新聞に「薬の「おまけ」「リベート」いぜん横行」こういう形で出ております。この総額は、国税庁の調査によりますと、五十一年七月から五十四年六月の三年間において大体百二十億円、そして対象の会社が二百社、メーカー、卸問屋、そして一社平均で大体四百三十件、こういう記事が出ております。そのほかにもまだ委託研究費とかいろいろな形において、薬づけ医療と言われる中において、いま薬剤費半額負担を改正法によってやろうとし、しかも一方、こういう薬が添付となり、あるいは現金リベートという形で、これは国税庁の発表ですから確かなことだと思うので取り上げさせていただきましたが、こういうことを厚生省は、ここに所見も載っておりますけれども、どのように対処していくのか、簡単にお答え願いたい。
○山崎政府委員 国税庁の税務調査におきまして、さような事実があったという報道がございました。早速に私ども国税庁当局にも照会いたしまして、その事実の確認をいたしたわけでございますが、国税庁当局としましては、税務調査の目的だけにしか使用できないということで、具体的な事実関係についての回答は得られなかったのでありますが、ただ従前から私どもは、このような添付、リベート等についての禁止につきましては、再三にわたり厳しい態度を示してきたつもりでございます。また、業界におきましても医薬品のプロモーションといいますか、販売についての倫理コードの策定等をやらせておりますし、また添付の具体的な事実が判明いたしますれば、薬価基準から削除するという三回にわたる措置もとってまいったわけでございます。今回の報道を機会にいたしまして、改めましてまた業界からも事情聴取を行いまして、報道のような事実確認なども急ぎやってまいりたいと、かように考えております。
○平石委員 そこで、これに関連をしてここに所見が出ております。「昨秋まで行ってきた薬価調査の結果に基づき、近く保険の薬価基準を全面改正し、市場価格に合うよう大幅に値下げする作業を進めている。」こういう形で厚生省の幹部が言っております。これは新聞に出ておる。 そこで、この前の予算委員会において、公明党の草川同僚議員が大臣にお伺いをしておりますが、薬価基準の改定については、大臣はそのときの答弁の中で、ここをちょっと読ませていただきますと、「野呂国務大臣 お説ごもっともでございまして、先ほど名前が野呂だから、こう言われましたが、名前は野呂でも仕事は速いと私は考えております。早急にやります。」こういう御答弁がなされておりますが、薬価基準の改定は、大臣が単独で中医協と関係なし、行政措置として行われるわけですから、いま新聞に出ておるようなこういったことを考えたときに、早急にやるべきだと思うが、どうです。
○野呂国務大臣 いままでにすでにお答え申し上げておりますとおり、薬価基準の改定は速やかに行うべきであるということで、すでに算定作業もほぼまとまりつつある段階でございます。したがいまして、その後続いて、基準をどの程度に置くのか、あるいは個々の品目についてどの程度の乖離があるからこれをどうしていくのかといったような問題につきまして作業を進めてまいるわけでございまして、そう遠くない時期に行い得るものと考えて作業を急がせておるわけでございます。いつかということについてはこの段階でまだお答え申し上げることはできませんが、そう遠くないということでございます。
○平石委員 大臣、この前の調査は五十三年の六月ですね。あれから数えてもう何月になりますか。ざっと二十カ月になります。この二十カ月の間調査をしてまだ発表しない、改定をしない。これは早急に、早くと大臣おっしゃいましたけれども、いま答弁を読ませていただいたように、「早急にやります。」というのが二十カ月かかっておるわけです。これでは早くやります、早くやりますとおっしゃられても信用できない。 論議を進めればこれにはいろいろと問題がありますが、このときに出ておることをちょっと一例だけ申し上げてみますと、セファレキシンカプセル、これが原価五十五円が基準で四百三十五円五十銭、差額が三百八十円五十銭、それからほかに、原価二十九円のものが三百四十三円九十銭、これも差額で三百十四円九十銭、こういうものがあるから、実勢価格といわゆる基準価格との間にこれだけの格差があるから、いま新聞に出たリベートだ、ほら何だというものが出てくるのです。したがって、薬問屋さんがおっしゃっておられるように、一三・一%今度はダウンするんじゃなかろうか、薬価基準は一三・一%ぐらいではないかといううわさが流れておる。大体その程度ですか。
○石野政府委員 いま大臣が申し上げましたように、大変作業がおくれているわけでございまして、実は私どももその数字についてはつかんでおりません。作業が終わった段階で初めて数字がわかるわけでございまして、ここで申し上げるわけにはいきませんので、御理解を願いたいと思うわけでございます。
○平石委員 国会では言えないけれども業界では流れておるというのはおかしな話ですよ。国会でこうして正式に聞くとそういう慎重なお答えになる、ところが業界では、まあ大体一三・一%だろうと言っておる。前の改定のときにもうわさが流れたとおりになったのです。そういうことから考えたときに、恐らく厚生省はその数字をめどにやっておるのではないか。私はこれをここではっきり示してもらいたい。よそへは流すがうちへは流さぬというのはおかしな話ですから、もう一回。
○野呂国務大臣 私、先般も業界の十四社の方々をお招きして、特にリベート問題等がございましたので、厳重に警告を発したわけでありまして、その機会にも私は私なりにいろいろ意見を聞いたわけでありますけれども、業界にそういったことが流れておるとは私どもは観測いたしておりません。私自体も、結果を見なければいまの段階で何も言うことはできない、全く承知いたしていないわけであります。したがいまして、今回の調査は、御承知のとおり、本調査のほかに特別調査及び五回にわたる経時変動調査等もやってきたわけでございまして、従来の調査と大分違っておるという関係で大変おくれておることは申しわけなく存じますけれども、決して、いま業界でいろいろ流れておる、国会では言えないのかということではございませんので、御了承願いたいと思います。
○平石委員 格差がそれだけあるというものが基準価格の中に含まれておる。むだと言ったらおかしいけれども、これがいま私が前段に申し上げた医療費が伸びる大きな原因の一つだと私は思うのです。医療費の通知だとか領収証だとかいったことも一つの原因ではありますけれども、この薬価について論議をすると長くなりますし、時間がありませんのでやめますが、いま自計調査をやっていますね。この自計調査にも問題があります。だから、これは厚生省があくまでも他計調査としての調査を実施すべきであり、それについては法的な一つの根拠を持たなくてはならない。調査を法的根拠を持った他計調査にし、そして実勢価格と薬価基準との格差を縮めることに努力すべきであると私は思うのです。これは要望しておきます。次に進む前にお答えを願います。
○山崎政府委員 お話のように、いわゆる自計調査ではいろいろな欠陥があるという御指摘もございまして、五十三年の六月分の対象の自計調査に合わせまして、前後の時期に、サンドイッチ方式と呼んでおりますが、われわれ職員自身が出向きましての他計調査の充実を初めて取り入れた、こういうこともやっておりますし、その後の五回にわたる経時変動調査は、すべて私どもの職員自身が出向きまして調査をした、こういうようなことでございます。御指摘のようなこともございますので、さらにこの他計調査の充実を図ってまいりたい、かように考えております。
○平石委員 他計調査の充実を図るだけではいけませんよ。法的にやるということを検討するかどうか、一言。
○山崎政府委員 お答え申し上げます。 五十三年六月からのいわゆる薬価調査につきましては、その結果については私ども現在作業中でございますが、従来の方式に増して充実を図ったと考えております。そういうことでございまして、先生御指摘のようなことも含めて、今後のあり方についてはさらに検討をしてまいりたい、かように考えております。
○平石委員 私の申したことを含めて検討するということは、法的な処置についても検討をしていくということに理解してよろしいですね。——では、そういうことに理解をいたします。 次に、保険外負担についてお伺いをしたい。 国民医療費が十一兆円、その外に保険外負担というものがあるのですが、この保険外負担は総トータルで大体どのくらいあると見込んでおりますか。
○石野政府委員 保険外負担の中には、室料差額の問題と付添看護関係のものとがございます。それで、付添看護の方につきましては、正直に申し上げまして実はなかなか実態がつかめないわけでございますので、その数字はどうもよくわからないというのが実情でございます。室料差額の方につきましては、これは本当の推計でございますけれども、五十三年の推計で一千百億という数字になっておるわけでございます。
○平石委員 この数字もやはり患者から出ておるわけで、国民医療費の上にそれだけの上積みがあるということです。私が先ほど申し上げましたように、三十年先には国民医療費が国民総生産と同額になろうかという心配の一方でこれがある。 それで、保険外負担というのは、私考えてみますと、健康保険法によって日本は皆保険である、そして皆保険制度下における医療が、いわゆるお医者さんでなしに保険医のお医者さんが保険患者さんに保険治療しておるのです。その上に保険外負担を取る根拠がありますか。
○石野政府委員 保険給付とのこれは法律的な論議になるわけでございますけれども、健康保険法の給付の問題と室料差額の関係になるわけでございます。現在、御案内のとおり、健康保険法の四十三条の一項におきまして「病院又ハ診療所ヘノ収容」というふうに書いてございます。したがいまして、入院に必要な経費については当然室料を含めて保険給付の対象になっていることは事実でございます。問題は、入院に必要な経費をどう見るかというふうになるわけでございますけれども、確かにその病院の室料に該当する分は含まれておりますけれども、それには病院の室料のすべてが含まれるというふうに私ども解釈いたしておりませんで、やはり医者が診療の必要性から認めた部分、それに相当するものが含まれておるというふうな解釈で運用してまいっておるわけでございます。それ以上の、たとえば個人的な要求に基づきます快適性とかあるいはその利便性に応じましたものにつきましては、これはむしろ診療上から必要と認められたものではございませんので、これは療養の給付の対象外というふうに解釈せざるを得ないわけでございます。 そういうことでございまして、したがいまして現在行われておりますのは保険外のいわゆる負担である室料差額ということでございますので、健康保険法との関連におきましては徴収は可能であるというふうになるわけでございます。問題は、これはどの程度までならば認められるのか、これは今度は当不当の問題になってくるわけでございますけれども、御案内のとおり、取れるからといって無制限に取ってまいりますと、療養の給付であります室料が含まれていると言いながらそれが無意味になってしまう、形骸化するおそれがあるわけでございます。そういう意味で行政措置になるわけでございますが、そういう解釈に基づきましてある程度の強い指導措置をとらなければならないということで四十九年にそれを取るべき分野について明確化いたしましてそれ以上取ってはならないというふうにいたしたわけでございます。 法律的な論議をいたしますればそういう考え方で私どもは整理をいたしておるわけでございます。
○平石委員 やはり健康保険法から考えても保険治療を患者が選択をしたんだ。自由診療と保険診療と選択権があるわけです。だから、選択をした以上は法に決められたとおりのことをせにゃならぬじゃないかという考え方を私は基本に持っているわけです。だから、実情においてそういう形で現在行われておる、そして厚生省からもいわゆる行政指導として通達が出ておるのですが、この通達を見てみますと、さも当然取れるようなことを前提にしての通達になっておる。これは前段に、保険法からいうと取れないものである、だが実情こういうことが行われておるので特別室については云々といったような基準を設けることは実情やむを得ぬかもわからぬ。だが、当然取れるんだが、こうしてください、このように特別室はやってくださいというようなことを行政指導する根拠はない、私はそのように理解をしております。したがって、この保険外負担が非常な患者負担になっておるわけでございますから、この数字を見ましてもこれがだんだんと厚生省の努力によって低下してきております。これは結構なことです。さらにさらに指導の徹底をしていただきたい、このことを要望するわけです。 それと、もう一つこの数字で見ますと、特に多いのが大学病院、私立大学病院が非常に数字的に多い記録を示しております。文部省、おいでいただいていますか。——文部省にお伺いいたしますが、ここに厚生省から文部省あてに「室料の差額徴収に関し改善方協力依頼」というのが管理局長あてに出ております。これを受けて文部省はどのような指導をしておられるか、お答えいただきたい。
○川村説明員 ただいま御指摘の私立医科大学の付属病院におきます差額病床の解消の問題につきましては、私ども日ごろから私立医科大学協会等を通じて接触をし、いろいろな形で指導しているわけでございますけれども、最近の実情が、ただいま御指摘のように、大変に私立医科大学の場合に高いということがございましたので、本年の一月に大学局長名をもって各大学の学長に対してその改善方について改めて文書をもって指導したということでございます。
○平石委員 文書をもっての指導だけでは私は徹底を期することはできぬと思う。もちろん文書も必要ですけれども、やはり立ち入って調査もしていくというような姿勢がないと、これはなかなか解消はむずかしいんじゃないか。国立大学についてはこれはやはり一〇%以内という厚生省の指導に従った行き方になっておるようですけれども、私立大学の場合に非常にこの数字が高い。四十何%、こういったような数字が出ておるわけです。もちろんこれについてはいろいろ理由はあろうと思います。研究のために必要だとかあるいは医学を進歩さすためにはといったような、そういう大学病院としての使命は当然あることでございますから、経費もかかるし、それからお医者の養成もせなければならない。いろいろ一般病院と違った大学病院の特殊性というものはよく理解できるわけでありますが、こういったものはやはり文部省の教育の予算でもってやるべきじゃないか。診療報酬の中から、しかも保険外という形の中でそのことが賄われておると断定はいたしませんが、そういうことがあるがために私立大学の場合に一般病院のようにこの比率が落ちてこないということが推察されるわけですが、特にそういう方面はいわゆる教育その他についての行政費としてやるべきだと考えるが、どうですか、お答えをいただきたい。
○川村説明員 ただいま先生御指摘いただきましたように、大学病院は本来臨床教育研究の場でございます。そういう特殊性があるわけでございますので、一般の医療機関と同様にこれを取り扱うというのはなかなかむずかしい問題があるわけでございます。私どもは私立大学の教育条件の維持向上という観点から、付属病院も含めまして、その経常的経費の一部について補助をするということで、昭和四十五年以来私立大学の経常費等の助成を行っているわけでございますが、これはあくまでも大学の教育条件の維持向上という観点に着目をした措置でございます。大学病院の機能は、一方においてそういう機能もあるし、他面においては保険医療機関として地域医療機関としての役割りも果たさなければいかぬ、あるいはさらにもう一歩踏み込んで高度な医療も実施する、いろいろな多面的な要求が大学病院には寄せられているわけでございますので、その辺のところをどの程度までこれを教育機関として位置づけてその経常費を補助するか、それ以上につきまして医療機関としての位置づけをするか、大変にむずかしい問題でございます。 いずれにいたしましても経常費の助成につきましては年々その増額に努力をしているところでございますし、今後ともその充実を図ってまいりたいと思いますが、なお保険医療機関としての兼ね合いのあり方につきましては今後とも厚生省とも十分御相談をしながらまた考えてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○平石委員 そういった面でひとつ文部省の努力を要望するわけですが、ここに一例がありますから参考までに申し上げてみます。 これはある私立大学の病院の入院診療費の請求書、これは患者さんの現物を焼いたものです。これを見てみますとどのくらい取っておるか、取っておるかと言うたら語弊がありますが、支払われておるかといいますと、一カ月間の請求額総額が、これは五十三年十一月から五十四年にかけてのことですが、二十六万四千三百五十三円、その中で室料差として取られておるものが、これは十日間ですが、十三万、大体そういった数字がずっと出ております。一カ月でざっと四十万、一日が一万三千円で、十日十日と勘定しておるわけです。それで、これを見てみますと、総医療費の七八%から八〇%ぐらいは室料差でいただいておる、こういう実態ですよ。このことをひとつ頭に入れていただいて、厚生省とも連携をとって、これが解消に全力を挙げていただきたいと思うわけです。これは要望をいたしておきます。 次に、老人医療についてお伺いをいたしますが、先ほども村山先生からお話がございました。老人医療についてはこれを別建てにするか、あるいは財政調整として行うかどうか。 ちょっとその前に私、厚生省に申し上げますが、いまの室料差についてですね。これはいま局長の答弁にありましたようにいろいろと実情はあろうと思うんで、これをする以上は私は保険診療へ繰り入れるべきだ。したがって、付添看護が特二類、そしていま要求があっております特三類、いわゆる加算措置をとって付添看護の解消に国は力を入れておる。それと同じように室料につきましてもやはり加算をつけていく、加算措置をとって特別室については云々だという形にしてこれは整理を図るべきじゃないか。それで、いままでの病院の建設状況、それから病院のふえた数、ベッドのふえた数、私これを過去ずっと調べてみますと、非常に構造が変わってきておる。そして、昔木造であったものがほとんどが永久建築物としてのコンクリート、そういった形になってきておる関係で、私はそこに歯どめなしに室料差というものが取られるおそれがある、そういった状況の中から考えたときに。そうなりますと、一応の基準としていま室料について医療点数が出ておりますように、特別室についても、個室についても特別加算措置をとって、一つの基準でもって示していく必要がある。そうしないと、いま私が文部省へ申し上げたように、約七割から八割の保険外負担でもって取られる、こういう形が出ておりますので、このことはどのように考えられるか、一言お答えいただきたい。
○石野政府委員 診療報酬点数の中で室料は現在百点というふうになっておるわけでございますけれども、これを先生のおっしゃるように幾つかのジャンルに分けて、ABCならABCと分けて、それでその基準額を決めるという考え方ももちろんないわけじゃございません。ただこの問題、非常にむずかしい問題でございまして、決めれば決めるだけ上の方に、上位にシフトしていくという問題がございます。それから、本当にその基準がつくれるのかどうかという技術的な問題もございまして、検討はいたしたいわけでございますけれども、この場におきましてわかりましたというわけにはなかなかいかない問題であると思います。ただ、私どもが一番心配いたしておりますのは、健康保険法上の療養の給付の中でございますので、医療上の必要性から個室に入れるという場合がございます。その場合も同じ室料で、千円の請求でいいのかどうか、これにつきましては確かに疑問もあるわけでございます。この辺は少し中心に検討してみなければならないなという感じは持っておりますけれども、全般についてその診療報酬点数の中に体系的に組み入れるということはなかなかむずかしい話だなという感じを持っておるわけでございます。
○平石委員 これは要望しておきます。 それから、先ほどの老人医療に入らせていただきますが、老人医療については前の小沢大臣が、五十四年秋には実施に踏み切ります、こういうスケジュールまで、別建て保険として行うという答弁がなされておるわけです。ところが、その以降、橋本大臣が試案を出す、小沢大臣が試案を出すといったような形で、全く厚生省自身の案というものがないわけです。小沢大臣の答弁の段階においては別建て保険として厚生当局もそれぞれ成案をつくりつつあったはずです。ところが、それが消えてしまった。そういうような状況で、いま国民健康保険は老人医療のために、これはもう言わなくても厚生省当局御存じのとおり、大変困難な状態に陥っておる。だから、そういった地方団体の皆さんもあるいは各党も、この老人だけは別建てにしてこれをすべきであるという意見が非常に強いわけです。そして、厚生省は、みずからの案なしに白紙でもって制度審に諮問をしておる。したがって、制度審の方もこれに対して、厚生省の案自身がわからないものを私たちでつくってあげましょうという御親切でやっていただけるかどうか、私は心配がそこにある。その見通しはどうですか、大臣にお伺いしたい。
○野呂国務大臣 いろいろ小沢試案あるいは橋本試案といったような所見がございまして、これは従来から厚生省として十分検討してきたわけでございます。しかしながら、五十六年にはこの制度化を図っていきたいという観点から、一日も早く社会保障制度審議会に答申を求めたいという立場に立ちまして急ぎ諮問をいたしたわけでございます。したがって、御指摘のように、白紙諮問ではないかというおしかりもございましたが、この諮問に当たりまして、単に今後のこの制度の基本的な方向を考えていただきたいという諮問でなくて、現行の老人保健医療対策の問題点、これまで検討してまいりましたいろいろな経過等も具体的に説明をいたしまして、そして高齢化社会に対応する老人保健医療対策に対する基本方針を求めるということでございまして、もうすでに具体的に制度化のために着手している、こういう歩みでなかろうかと御理解を願いたいわけでございます。 同時に、単に審議会の結果を待ってということでありませんので、答申を求めつつ、私たち厚生省自体としても、今後どういうふうな基本方針で進めるべきかということをいま検討しているわけでございます。その方向につきましては、先ほど村山議員のお尋ねに対しましてお答え申し上げたとおりでございます。
○平石委員 この健保法と老人医療とは、やはり両輪が一緒にならないと、別々というわけにはいかぬと私は思う。そして、いま大臣からお答えがありましたけれども、五十六年度の予算編成時までに間に合うかどうか。これが間に合わないと、大臣は覚書に判をついておるのですから、必ず大蔵その他は財政的な面のみでまた二太刀目がきますよ、来年は。それをしないためにも、あるいは大蔵を説得するためにも、もし制度審が間に合わないというときがあっても、厚生省自身がこれらを説得するような独自の案をつくることを強く望んでおきます。もし、そういうことがいろいろとむずかしいという段階であるのなら、私たちも案は持っております。そういうように早くこのことについて片をつけて、いま御答弁にあった五十六年度には実施に移る、この線でひとつさらに確認をして終わりたいと思いますので、一言お願いいたします。
○野呂国務大臣 すでに社会保障制度審議会には五十六年からぜひとも実施をいたしたい、制度化を図っていきたい、それがためには私どもも速やかに方向だけでも審議会の方にお答え申し上げる時期を考えておるということでございまして、先ほど御指摘のような概算要求の八月ということもいろいろ含めまして、五十六年に制度化を図るためにはどういう日程で御審議を願ったらいいか、また厚生省のそれに対する対応の仕方なども含めて申し上げておるわけでございます。かなり具体的に審議会とも話し合いを進めておるということを御理解願いたいと思います。
○平石委員 以上で終わります。
○葉梨委員長 次に、田中美智子君。
○田中(美)委員 きょうの健保の審議入りというのに、私たちはまずスモンの問題がまだ残っていますし、年金の問題もあるにもかかわらず、きょう健保の審議入りしたということにまず不満を申し上げたいと思いますが、そのときに最初に委員長にちょっと申し上げたいことは、こうした健保はいま国民が非常に心配している問題です。きょうもそういうたくさんの請願が来ている。そういう意味では本当に慎重にみんなで審議していかなければならないのに、自民党の議員が非常に出席が悪いということはどういうことなのか、これを一言抗議を申し上げて、委員長に申し上げて、質問に入りたいと思います。 五十三年度の政管健保の医療給付は当初二兆千二百九億円と見込んでいましたが、決算では三百十八億円減。保険財政全体でも二百四十七億円の赤字と見込まれていたわけですが、最終的には百二十六億円の黒字となり、合わせて三百七十三億円の見込み違いとなっています。この原因はどこにあるか、簡潔にお答え願いたいと思います。
○此村政府委員 ただいま御指摘のとおり、政管健保五十三年度決算は、結果的に三百七十三億の好転を見たわけでございます。 これは主として医療給付費の伸びが見込みよりも低かった。これは自然増で申し上げますと、当初見込みが六・七でございましたが、それが決算時においては五・六というふうに低かったことによるものでございます。この理由といたしましては、私どもは、インフルエンザがほとんど流行していなかったということが影響していると考えられる、かように考えておりますが、なおこのほかに、国民の、加入者の健康管理についての意識が若干最近高まってきているというようなことも影響しているのではないか、かように考えております。
○田中(美)委員 医療給付の伸びが少なくなったのは主にインフルエンザだ。国民の健康意識が高まっているということは、これは急に下がることはないわけですから、今後も国民の健康意識というのは高まっていくということを見れば、これには余り変動はない。大きい変動はインフルエンザだというふうになりますけれども、それではインフルエンザがなかった年というのはいつでしょうか。
○此村政府委員 インフルエンザがどの程度あるとかないとかというのは、いろいろ判断のむずかしいところかと思いますが、仮にこれは公衆衛生局の方で把握しております延べ患者数の規模から考えまして、大分前にさかのぼりまして恐縮でございますが、かなり少なかった年といいますのは、これは四十五年度、四十六年度が少なかった、かように考えております。
○田中(美)委員 インフルエンザの少なかったのは四十五、四十六。また四十九、五十もそうでありませんか。
○此村政府委員 いま申しました数字で申し上げますと、五十三年度は約三十万近くの延べ患者数が把握されております。その規模から考えますと、四十九年度は四十四、五万ございますので、これは中くらいといいますか、やや少ない方、確かにこれは少ない方ではございます。ただし、五十年度は、これは二百四十四万人おりますので、これはむしろインフルエンザの流行した、はやった、こういう年と考えております。
○田中(美)委員 そうすると、いままでのインフルエンザが、どこまでがインフルエンザがあったか、どうかがむずかしいと言われますけれども、そのむずかしいもので日本の医療の給付が伸びたり伸びなかったりしたというのは、非常にこれもいいかげんなことになると思うのですけれども、インフルエンザの少なかったと言われるときに、それでは医療費がいつでも今度のように減ってきているかというと、必ずしもそうではないのじゃないでしょうか。 この何年に起きたということは、インフルエンザの一番出るときは一、二、三月ですから、年度で言うと一年前になりますね。四十六年だとすれば四十五年度。これで見てみますと、インフルエンザがないと言われていながら、医療費の伸びというのは五十九億円これは伸びているわけですね。一・一%伸びているわけです。それから、四十九年、このときは、このインフルエンザがないと言われたときが、わずか二十一億ぐらいの赤字解消というか、医療費の伸びが減っているという程度ですので、今度のようにインフルエンザがなかったからといって三百何億円も赤字が解消されるということは、どういうことなんでしょうか。本当にこの医療給付が伸びなかったのはインフルエンザだけの影響日なんでしょうか。だけと言って、私は一〇〇%と言いません、ほかのものも多少あるでしょうけれども、あなたがおっしゃるようにインフルエンザが主なあれで伸びなかったのでしょうか。ほかのときと比較して、そういう実証はいままでにはないじゃないですか。
○此村政府委員 それは政管健保の収支の見込みにつきましては非常にむずかしい問題がございまして、全般的にこれは最近までの実績に基づきまして見込みを立て推計するわけでございますが、毎年、まあ私がこういうことを申し上げるのは問題かもしれませんが、ある程度の見込み違いが生ずることは避けられないというのが実情でございます。 見込み違いが生ずる理由としましては、特に医療給付費等につきましていろいろと予測しがたい変動が生ずる。インフルエンザということもありましょうし、いろいろある、こういうことでございます。そういう意味で、こういった見込み違いにつきましては、いろんな要因が複合しておるのが通常でございまして、過去においても、インフルエンザの流行それだけがたった一つの決め手ということはむずかしいかと思います。そういう意味で、いろんな要因も関連した結果が出てくるということは事実だと思うわけでございます。 ただ、ただいまおっしゃいました三百何億の好転といいますのは、これは収支全体の好転ということでございますので、そういうような観点から四十五年度を見てみますと、これは決算と最初の見込みとの差は百十七億ある。ただしこれは、先ほど申しましたように、いろいろな要素が絡まっておりますので、端的に言うことはむずかしかろうと思いますが、仮に四十五年度を見て計算してみますとそういう結果は出ておるということでございます。 さらに、それでは五十三年度はやや不分明な根拠で結論を出したのではないかという御指摘かと存じますが、私どもは一応の試算をいたしまして、非常に大ざっぱな数字でございますけれども、インフルエンザによる影響は五十三年度については大体百五十億程度ある、かように考えておるわけでございます。
○田中(美)委員 インフルエンザと健康管理だと言われていても、それのデータがはっきりしない、いろいろな要素が複合しているけれども、いままでにないような状態が出てきたんだ、こういうふうな言われ方だと思うのです。私はほかに原因があるのではないか、こういうふうに思うわけですけれども、そちらの方のおっしゃり方も非常にあいまいです。 それから、先ほどおっしゃったように、健康管理に対する国民の関心が高まった結果だ、こういうふうに言われているのですけれども、この三年くらい国民の健康管理が特に高まったというようなデータとか調査結果とか、何かそういうのがありますでしょうか。
○此村政府委員 健康管理がどの程度高まったかということをある程度何か計量して示すということは大変困難である、かように考えております。ただ、これは政府側が申しますと手前みそ的なことになるかもしれませんけれども、五十三年度からは政府といたしましては健康づくり施策というものを特に重点的に取り上げて、五十三年度は厚生省最重点施策といたしまして百億を計上し、それがいわば一つの健康づくり施策推進のきっかけと申しますか、そういうことはあったであろうということは言えるのではないか。 なお、ここ三年間ということとは別に、一般的に健康づくりについていろいろと医療費との関係で研究がなされておるということは事実でございます。
○田中(美)委員 いままでのお話を聞いておりますと、健康管理が進んだから医療給付が減ったとかインフルエンザが起きなかったから医療費が減ったとかというふうに、まるで日本の医療というものが非常に不安定な中で見込みをしている、そこで見込み違いが起きている。ですから、インフルエンザに対してもいまのお答えは非常にあいまいですし、健康管理もそうだろうというようなお答えです。 これは私は、この三年間に何か社会的に大きな構造変化が起きているのではないかというふうに思うわけですけれども、この分析というものはやはり厚生省がきちっと分析をして、その上に立って改めてこの見込みを立てていかなければならないのじゃないか、そういう時期に来ているのではないか。何かわからない変化が起きているんだ、それは一体何なんだ。ただ想像でインフルエンザじゃないだろうか、国民の健康に対する意識が高まったからじゃないだろうかとか、聞いても非常にあいまいなわけですね。確かにこうだ、確かにこうだというふうなことがない、分析が非常に不十分なわけですね。そうしてそこに非常に大きな見込み違いが来ている。ということは、そのときに、三年前から出されております今度の健康保険の、私たちは改悪と言っていますが、改悪案というものを出してくるということは非常に誤ってないかと私は思うのです。ことし初めて出してきたわけじゃないわけです。三年前から出してきている。その間に大きな構造変化が起きているのじゃないか、それを分析してもう一度いまの健康保険の、おたくから言えば改正案というものを考え直して、やはりこれでいいんだという形で分析の上に立って出してくるというのはわかりますけれども、またそのまま古い法律を出してくる。その中身というものは、背景の変化というものは分析しないでおいて、国民の負担増という形を制度化していこうというような法改正案なわけですから、これはどう考えても非常に無責任なやり方ではないかと思います。やはり法案を出すからには、こういう情勢になっているからこういう改正案がぴったりいくんだというそちらなりの理屈が立ってほしい。そういう理屈も立たないで全く机上の空論か、それこそ砂上の楼閣と言いますけれども、かぜ上の楼閣のような改悪案を出してくるということでは、国民は納得しないと私は思います。そういう意味で、今度の健保の改正案というものは私は撤回すべきものだというふうに思います。
○此村政府委員 ちょっと一言だけ。 何か構造的な変化が起こっているのじゃなかろうかという先生の御指摘、確かに一つの御意見かと思いますが、五十三年度の受診率の伸びの低下と申しますか鈍化、これはきわめて異例な現象でございまして、最近の全般の実績を見てみますとむしろ五十四年度はまた少し受診率が上がりつつある。そういう意味で、私どもは、政管健保の趨勢で見る限りにおきましては、構造的な変化が明らかにあると断定するのはいささか早計ではなかろうか、現在ではそういうふうに考えております。
○田中(美)委員 私自身は構造変化が何か起きているのではないか、起きていると断定してません、起きているのではないか、だから、おたくはそれをどう見ているかというのに対して、インフルエンザだとか国民の健康意識が高まったとか、非常にあいまいだ。インフルエンザも、どこまでがインフルエンザが起きたと言えるか、高か中か低かというような、そういうあいまいな分析の上に——特に三年前あたりから変化が起きていると私は思うわけです。それなのに、三年前に出した古い法案を相変わらず出すということ自体が、中身の問題を言う前にそういう態度自体が無責任ではないか、こう言っているのです。ですから、その点では私も、変化が起きているかどうかということは私自身が十分な調査をしているわけでありませんので、ただ起きているのではないか。だけれども、そちらの方も、いや起きていない、三年前と全く同じで、これからもこういくのだ、だから三年前に出した古い法案でもいま適当なんだということは理屈にならぬではないか、こう言っているわけです。 そういう点で、この法案というものは撤回して、そしてもう一度分析を十分にした上で、やはりこうだ、いやこうだというふうにするということが、立場は違っても国民に対する責任をとる態度ではないか、こう言っているわけです。
○野呂国務大臣 この医療給付の見込み違いにはいろいろな要因があると思います。御意見は御意見として承りますが、なかなかこれは、インフルエンザの立場からこの程度の見込み違いが出てきたのだとか、あるいはまた健康管理についての認識がこのように高まったからだとかいったように、明確にそれをお答え申し上げる材料を持ち合わせておりません。何か構造的変化があるのではないか、あるいはそういうふうな御認識も私決して間違っておるとは考えません。しかし、この種のものを数字をもって明確にその見込みを示すことは大変むずかしい問題であるという点は御理解をいただきたいと思うのでございます。こういう医療費の給付の伸びがどうなっていくのかという見込みについては慎重に検討をしなければならぬ問題だと思います。 しかしながら、先ほど御指摘になりました今国会でも御提案申し上げております健保法の改正につきましては、政府といたしまして決して古いのを延長しながら持ち込んでおるのだということでありませんので、政府としてはこの考え方が正しいのだということでございますから、これは国会で御審議を願うわけでございます。必ずしも私どもはこのことで一歩もいろいろの御意見を含めていこうとしないのだというがんこな姿勢は持っていないのでございます。やはり国民の合意を得るようなすばらしい健保法という法律改正が進められるべきものだ、いろいろな変化に対応する一つの見直しというものが必要であろう、こういう姿勢は持っておるわけでございます。したがいまして、今日の立場において撤回する意思はございません。
○田中(美)委員 撤回する意思はないというお言葉ですけれども、それに対する科学的な裏づけはない、やはりはっきりしていない。何か構造変化が起きているのではないかということもまだ十分には検討ができていない上で出ているということは明らかになったと思います。 次の質問に移ります。受診率の問題ですが、五十二年度と五十三年度の入院と外来、それから家族の入院と外来、この受診率がどうなっているかということをちょっと御説明願いたいと思います。
○此村政府委員 五十三年度と五十二年度の政管健保について、被保険者、被扶養者別に受診率の比率を見てみますと、五十三年度は五十二年度に対して、被保険者の入院外は〇・九六七になっております。それからまた、被扶養者につきましては、五十三年度は五十二年度の〇・九八六、こういうふうにいずれも下がっております。
○田中(美)委員 ちょっとわかりにくかったのですが、本人の入院と家族の入院、それから本人の外来と家族の外来、これの受診率を比較してみてください。いまちょっとわかりませんでした。
○此村政府委員 いま私が申し上げましたのは、入院外の件数でございます。 それで、入院について申し上げますと、政管健保の被保険者の入院の受診率は、五十三年度は五十二年度に比べまして〇・九八一になっておりまして、少し下がっています。それから、被扶養者については一・〇四五ということで、やや上昇いたしております。 入院外はただいま申し上げたところでございます。
○田中(美)委員 それはどういう計算になっているのか、いま言われたのもわかりません。ちょっとよくわからないのですけれども、おたくの数字で私がやったので見ますと、こういうふうになっていますね。 パーセンテージで言いますと、本人の入院は五十三年度に一・九、いま言われたのですが、下がっていますね。家族の入院はプラス四・五とふえていますね。それから、外来の方は、本人が三・三と減っていますね。家族の方も一・四と減っていますね。これでよろしいですね。
○此村政府委員 私が申し上げた数字とただいま先生のおっしゃいました数字とは全く一致いたしております。
○田中(美)委員 そうしますと、ここで私が不思議に思いますのは、本人の外来が非常にたくさん減っているということなんです。家族の方はそんなに減っていないわけですけれども、本人の外来が非常に減っているわけです。組合健保の方も、五十二年度と五十三年度を比べますと、本人の外来が四・二%減っています。それから、入院は二%減っているわけです。家族の方は入院は二・五%ふえている。それから、外来は一・一%減っている。これでよろしいですか。
○此村政府委員 いま先生のおっしゃいました数字のとおりでございます。
○田中(美)委員 そうしますと、非常に顕著にあらわれていますのは、本人の外来の受診率が減っていることが数字で非常にはっきり出ていると思います。 〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕 どうしてこんなふうに本人の外来ばかりが減っているのでしょうか、どのように分析しておられますか。
○此村政府委員 先ほどお話しいたしましたとおり、五十三年度におきます受診率の低下の原因は、インフルエンザが流行しなかったことと健康管理についての認識と私どもは考えているわけでございます。そういうような原因は、いずれも入院よりも入院外においてより顕著にあらわれるのではなかろうか。そういうようなことが被保険者の入院外の受診率に響いたのであろう。さらに、受診率の低下は、いま申しましたように、家族の入院外についても同じようになっておりますので、そういうようなことから言いまして、私はいま申し上げましたような理由が入院外の低下に及んでいると考えております。
○田中(美)委員 それはおかしいですよ。本人の入院外の受診率がうんと減っているということです。家族の減り方よりはるかに減っているということは、これはどう見ても初診時の一部負担が二百円から六百円に引き上げられた影響ではないかと私は見るわけです。 これはきょう時間がありませんので、そちらにお見せしたいと思ったのですけれども、私が計算をずっと一カ月一カ月受診をやってみました。五十一年の一月から初診時の負担が値上がりして六百円になったわけですからね。これで見ますと、五十一年の二月から受診率はずっと一以下になっていますね。それが、家族の方は大体そうじゃないのですね。月別で見ますとずっとそうなんです。 これを見ても明らかに、いまのこの数字もそうですし、私が月別にやったのを見ても、五十一年度から、二百円から六百円に上がったときから本人の受診率が、特に入院外がざあっと下がっているということは、どう考えてみても初診時一部負担が二百円から六百円になったからではないか。何でもインフルエンザ、インフルエンザと言うのはちょっとおかしいのじゃないですか。
○此村政府委員 本人と家族の下がり方の度合いは、多少本人の方が大きいのは事実でございますけれども、家族についてもその時期から受診率が若干下がってきております。 それからもう一つは、当該年度において調べてみると、年度前半よりも後半の方が受診率の下がり方が特に著しいということを考えますと、さらに被保険者だけではなくて一部負担金の引き上げの影響を受けない家族についても生じているということ等から見ましても、いまお示しのようなことであるということには断定しがたいのではなかろうかと考えております。
○田中(美)委員 断定しなくても、本人だけが、初診時の一部負担のかかるところだけが受診率の低下が激しいということは事実ですからね。それはどういうふうに思いますか。断定しなくてもいいですよ。断定しなくてもいいのですけれども、二百円から六百円になって、その被害を受けるところだけの受診率が際立って下がっているというのはどう解釈するか。本人だけがインフルエンザにかからないのですか、そういうことですか。
○此村政府委員 繰り返しになりますけれども、いまおっしゃいました一部負担金の引き上げの影響を受けない被扶養者についてもやはり下がっておるということから考えまして断定しがたい、こういうような感じを持っておるわけでございます。
○田中(美)委員 いまのお答えはふまじめですよ。私が下がっていると言っているだけじゃない。本人のところだけが急激に下がっているのはなぜかと言っている。こっちも下がっているから、同じじゃないでしょう、下がり方が強いわけです。被害を受けるところだけが強いということは受診抑制になっているのではないか、こう言っているわけです。 それ以上言ってもお答えにならないお答えですので、これがいかに受診抑制になっているか、私はそのように思うわけです。ですから、ここの初診時の一部負担を千円にでも上げれば、これはもっと受診抑制につながるということを言っているわけです。ですから、それに反論するおたくの方の論理はないわけです。私の方はこういうふうに言っているわけです。ですから、これを申し上げておきます。 次の質問に移りますが、診療報酬が上がれば医療費が伸びるのは当然のことですけれども、それ以外に医療費が伸びる場合、これは自然増と言っているようですが、この自然増と普通言っている中身はどういうものを言っているのか、簡単にお答え願いたい。
○石野政府委員 自然増の要因については幾つかございますが、一つは、年齢構成の変化、二番目は、疾病構造の変化、それから医学の進歩によります医療の高度化、薬学の進歩によります新薬の開発、それから医療供給体制の整備、あと細かい問題がたくさんございますが、その他の要因というふうに大体分類いたしておるわけでございます。
○田中(美)委員 自然増というのは、薬なども入れてやはり技術が進歩したり、また老齢化が進んでいることとか、また感染症が減って慢性疾患というようなものがふえていること、簡単に言えばこういうものを自然増と言っているわけですね。この自然増は従来大体一〇%とか九%とかというふうに厚生省の方から聞いております。五十年度から五十三年度までの自然増はどうなっていますでしょうか、ちょっとお答え願いたい。
○石野政府委員 代表的な政管健保と市町村国保で分けて申し上げたいと思いますが、五十年度で政管健保が一一・六%、市町村国保では一二・八%、五十一年度で政管健保では八・二%、市町村国保では一〇・一%、五十二年度では政管健保は九・四%、市町村国保は一一・二%、五十三年度につきましては政管健保が五・六%、市町村国保は九・九%という数字でございます。
○田中(美)委員 私は「週刊社会保障」に出ております社会保険庁の総務課数理室の加藤四郎さんという方の統計を見たわけですが、いまの数字と少し違っています、いろいろのとり方があるのかもわかりませんが。この加藤四郎さんの表によりますと、五十年度は、政管健保が七・三、五十一年度は六・七、五十二年度は八・五、五十三年度は六・八。いまあなたの言われたのは、五十三年度は五・六というふうに下がっていますね。いずれにしても、この自然増というのがちょっと下がってきているわけです。これも、先ほど言いましたように、五十年、五十一年ごろからいろいろな点で起きている構造変化の一つだと思うのです。さっきから私は、何かこの医療費の裏にいろいろな変化が起きているのではないかと言ったわけですけれども、そちらははっきりなさらない。その変化の一つに、やはり自然増が下がってきている。この自然増というのは、新しい薬が開発されるとか、器械が開発される、検査技術が進むとか、老齢化とか、慢性疾患がふえているとかというようなことを先ほど言われたわけですけれども、こういうものはますます進んできているのじゃないでしょうか。これがとまったわけじゃないですね。老齢化なんというのは全くとまっておりませんし、技術の進歩も、いろいろ高度の器械、素人では天文学的数字に及ぶような器械が入ってきておりますし、検査などでも、たまに病院に見せていただきに行きますと、昔の感覚では考えられないような、血液の検査一つにしてもすごい器械が入ってきていますし、慢性疾患が、特にお年寄りの成人病的なものが医療費を非常に大きくふやしているというようなこともますます伸びている。そうすると、自然増は当然伸びなければならないのに、どうしてこの数字がむしろ減ってきているのか、これは不思議な現象だと思うのですけれども、どのようにお考えになるのでしょうか。
○石野政府委員 この自然増の要因につきまして、いま申し上げましたように大変多くの要因がございまして、一つの要因が動いた場合どういう変化をするかということについていろいろ研究しているわけでございますけれども、はっきり申し上げまして、その絡み合いがなかなか複雑なものでございますから解明ができないというような実情がございます。 先ほど田中委員のおっしゃいましたように、その中の一つの問題として、何か構造的な変化が起こったのではないかという疑問を持っておられます。私もこの自然増の影響とかいうものをいろいろ考えてみますと、受診者側に何らかの心情の変化があったのか、あるいは国民の健康に対する意識の変化が起こったのではないかというようなことも実は考えられるわけでございまして、そういう意味で、国民の健康に対します意識の変化がどの程度出てきたのかということについてぜひ調べてみたいということでございまして、今年度は国民の健康に関する意識調査をぜひ実施したい。それによりまして、全部の究明にはなりませんけれども一つの究明をしていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○田中(美)委員 それは絶対に必要なことです。やらなければ健康保険の改正などできないわけですよ。 いま保険局長がおっしゃられた、国民の健康の意識に何か変化があったのではないかというのと、もう一つは、心情に変化があったのじゃないか、この心情の変化というのは何でしょう。私もちょっとそんなふうに思うのですけれども、心情という言葉は抽象的ですから、もう少し具体的に、どういう心情の変化でしょうか。
○石野政府委員 心情というのは、非常に抽象的に申し上げたわけでございますけれども、医師に対する信頼度とかいろいろな問題があるのだろうと思います。それは何をどうだということは言えませんものですから心情の変化があったのではなかろうかということを申し上げたわけでございます。
○田中(美)委員 厚生省としては、この自然増が減っているということは、医者に対する国民の信頼が薄れたから、余り薬をもらったり検査をしてもらったりすると大変なことになるかもしれないと思って受診抑制をしているということを言っていられるのだと思います。そうだとすれば、そういう感じを持っていらっしゃるなら、そこら辺のところはもう少し検討してきっちりとした対策をやっていただかなければならぬと思うのです。それを国民の負担でもってちょっとばんそうこうを張ろうというような、そのばんそうこうもすぐはげるようなこういう改正案ではやっていけないというふうに思います。その心情の変化の裏をもう少ししっかりと、国民が医者を信頼してやれるように、厚生省がそう思えるようにしていただきたいと思います。 次に、一件当たりの日数ですけれども、この日数が被保険者の場合減ってきています。この数字、簡単に読みますと、五十一年度三・四四八、五十二年度三・三九二、五十三年度三・三九一、五十四年度は見込みになっていますが三・二九三と多少日数が減ってきていますね。これでよろしいでしょうか。
○此村政府委員 ちょっといま途中で資料を見たものですからあるいは間違っているかもしれませんが、入院外につきまして政管健保について本人を見ますと、五十一年度は三・四四八、五十三年度は三・三九一、こういうような数字でございます。
○田中(美)委員 そうしますと、受診率は下がっている、自然増も下がっている、一件当たりの日数も下がっている。ということは、どう考えても、構造的な変化が起きているのではないか、そういうふうに思うような科学的なデータをおたくの方が出されているわけですよ。私が自分で調査をして構造的変化が起きているんじゃないかと言っているのではなくて、厚生省の方から出された資料でもって検討したところが構造的変化が数字できっちりと示されているし、あとは、そうでないというところは、そちらの方からただ、だろう、だろうということだけですね。こういうことでは私は今後の医療の検討というのはできないと思うのです。ですから、もう一度見直さない限りは、今度のような健保改正案のようなものは出すべきではない。全く砂上の楼閣どころか、いろいろなデータを出しているにもかかわらず、そんなことは無視して国民負担という形で、逆行するような医療改革をしようとしておるということは、何遍言っても言い足りないぐらい今度の改悪案は間違っている。そうした構造変化にもっとしっかりと目を向けていま出ているデータをまず大切にすることと、わからない面はもっと調査する、その上で抜本的な改正に一歩を踏み出すべきである。それをいままでと同じような形で国民に負担をさせるという形で、受診抑制という形で、何とか目の前の赤字対策をしよう、それは決して赤字対策にならない。すぐにまたそれはいろいろな意味で見込み違い、いろいろな問題が起きてくるのだというふうに思います。これは同じことを言っておりますので、次の質問に移ります。 次は、薬代の問題、薬価の問題ですが、今度の改正案の中で、ほとんどが悪いものばかりですけれども、その中で最も悪いというふうに国民に言われているのは薬代の半額負担というところです。 この薬価の問題ですが、「国際医薬品情報」というのがあります。そちらも御存じのはずですけれども、この情報によりますと、矢野嘉男さんという方がアメリカと日本の薬価を比較した論文を書かれています。この中の抗菌剤と抗生物質、これを日本と比べているのをちょっと申し上げますが、日本を一〇〇とした場合にアメリカは抗菌剤が四五・一八ということで、日本が二・二倍。それから、抗生物質は日本が一〇〇の場合にアメリカは四八・九四ということで、これも日本の薬価はアメリカの二倍です。どうしてこんなに日本の薬価が高いのかということ。それからもう一つ「レッドブック」というのがあります。これも御存じだと思いますが、アメリカの本です。これに出ておりますのでは、一ドルを二百五十円として、日本の塩野義という製薬会社が出しているケフリン一グラムは二千六百五十円。それがアメリカのリリーという製薬会社のケフリンは一グラムが七百二円ですね。どうして塩野義はアメリカの四倍もするのか。 〔越智(伊)委員長代理退席、委員長着席〕 もちろんいろいろ開発だとか、また輸入してくれば多少というようなことがあるので若干高いというならわかりますけれども、なぜ四倍も、同じものがこんなに高いのか。これを厚生省はどんなふうにお考えでしょうか。
○石野政府委員 診療報酬点数の中の薬価の問題でございますけれども、これは薬価基準の算定方法を申し上げないと御理解できないと思うわけでございますけれども、御存じのとおり、日本では市場価格に基づきます薬価算定方式、つまり市場価格主義というものをとっているわけでございます。しかも、その市場価格主義の中で大部分の医療機関が購入できるように、薬価調査の結果に基づきます九〇%バルクというものを引いて、そこで算定をしているということになります。一方、新薬につきましては、これは市場価格によって薬価が設定されております既収載品目がたくさんございますが、その価格と比較いたしまして割り高にならないように薬価を定めるために、その既収載医薬品のうちで一番近い、新薬と一番近い薬理作用なりあるいは臨床効果を持つものを選びまして、それを対照として価格を決める、こういうふうになっているわけでございます。 そういう仕組みが違いますので、一概にメーカーの価格だけで比較するのはどうかと私ども思いますけれども、そういう基準で基準を設定しているということだけ御理解願いたいと思うわけでございます。
○田中(美)委員 ですから、市場価格主義をとっているからそれを細かく説明しなければ薬価はわからないんだ、こういうお答えだと思いますけれども、この矢野さんの、御存じだと思いますけれども、これでもう六倍、七倍、ずいぶん薬が高い。ですから、日本の市場価格主義をとるとアメリカの四倍になり、六倍になりというふうになっているということは事実ですね。 それから、大臣すぐお帰りになると思いますけれども、日銀の統計局が出しております「主要企業経営分析」というので見てみますと、これは表が載っているわけです。この中で利益がいつもトップというのは昭和四十四年からずっと医薬品です、日本の企業の中で。一位です。どの産業よりも一位です。ですから、他の産業と比べるのは飛ばしまして、全産業と医薬品をちょっと比べてみますと、昭和四十九年には医薬品が一〇・一二%の利潤のときに全産業は一・九七%です。ということは五倍も医薬品産業というのが利潤を上げているということです。それから昭和五十年、七・一二%の医薬品のときには全産業は一・〇〇ですからちょうど七倍ですね。薬会社は七倍利益を上げている。五十一年度は八・〇六、そのとき全産業は二・〇〇、これは四倍。それから五十二年度、医薬品産業は九・五一、そのときに全産業は二・一一。四・五倍。五十三年、このとき、いま言われましたように市場価格主義でやっているこの薬価基準というものを引き下げているんです。引き下げているにもかかわらず、医薬産業では一一・七〇、全産業は二・三九。四・八倍ですよ。どうして日本の薬会社だけがこんなにぼろもうけができるのか、これを見ても不思義じゃありませんか。先ほど言いましたアメリカの薬と日本の薬と比べますと、薬価基準の決め方が違うんだから比較にならないと言うけれども、アメリカの薬の方が四倍も五倍も安い。日本の全産業の中では常に医薬産業がトップだ。それもトップが競り合っているというのではないですよ。全部、五倍、七倍、四倍、四・五倍。薬価基準を下げたときでも四・八倍ですから、あれを下げなかったら物すごくぼろもうけする。それをちょっと下げても五倍近く医薬産業が高い。特出をしているんです。これはどういうことでしょうか。この十年くらいの間に六十人も薬務局から製薬会社に天下りしているというようなことは前に私が国会で細かく取り上げましたけれども、そういうことが影響しているかどうだか知りません。しかし、なぜ医薬品産業がこんなに伸びるのですか。これはどう思われますか。
○石野政府委員 これは私がお答えするのが適当かどうかわかりませんが、薬務局長がおりませんので私からかわって答弁させていただきますが、医薬品製造業におきまする売上高の経常利益率というのは、確かにおっしゃいますように、全製造業の平均に比しまして高い水準にあることは事実でございます。この見方でございますけれども、これは医学なり薬学の進歩とかいろいろな問題がございます。少なくとも医療需要の増大に見合った医薬品の生産に支えられているというふうに私どもは理解しているわけでございます。しかしながら、これはやはり医薬産業といえどももうけたらいいというものではございませんで、適正な利潤を追求すべきものでございますので、非常に製薬産業そのものが国民の信頼にこたえられるような、そういう社会的な責任と使命を持たせるようにさらに指導していかなければならないというふうに考えているわけでございます。
○田中(美)委員 これは認めざるを得ない。日銀の調査ですからね。田中美智子の調査じゃありませんので認めざるを得ない。指導していかなければならないと言うけれども、十何年間の間に六十人も天下りしている。だからこそ国民が厚生省に対してまで、この製薬会社のぼろもうけが厚生省も手をかしているんじゃないか、こういう疑いを持つわけです。ですから、その疑いを持たれないように指導していかなければなりません、なりませんという言葉は上にあっても厚生省は指導いたしません。結局指導していないという事実がここへ出ていると私は思うんですね。医者に対して薬会社というのは薬価差益があるぞ、この薬価差益というものを武器にして大量に売り込んでいく。そして、ますますその陰で製薬会社がぼろもうけを伸ばしている。これが日本の厚生省によって、日本の自民党政府によって見逃されているとしか私には思えません。こういうものこそまず解決してから、薬代を国民に負担させるなどという、それを解決もしないうちに薬代を国民に負担させるなどということを言うということは、とんでもない逆転した考え方だ、国民のだれがそれを信用するでしょうか。いまあなたがおっしゃったように、生産に支えられて、こう言っていますが、そのことで申しましょう。 先ほども言いましたように、日本の疾病構造が変わってきていると言われました。それは感染症が減って慢性的な病気がふえているわけです。感染症が減っているということは、即抗生物質が減るという、即ではないにしても、抗生物質を非常に多量に使う病気というものが減ってきているわけですから、抗生物質というものも、減らないまでも横ばいかやや上昇というならわかります。しかし、薬事工業生産動態統計というので見てみますと、抗生物質は昭和三十五年を一とした場合に五十三年は三七という、十八年間に三十七倍に生産が上がった。薬会社は要らない薬を、全部要らないとは言いませんが、要らない薬を三十七倍にふやしている。この生産に支えられて、あなたがおっしゃるように、薬の製造会社はもうけているということです。あなたのおっしゃるとおりですよね。この抗生物質の使い方についても私はきょうやりたいと思いましたが、きょうの時間はありませんので、これはまだ時間が残っておりますので、こうした抗生物質の使い方についてこの次に質問を残しておきますが、いずれにしても、感染症が減っているにもかかわらず抗生物質が三十七倍に生産がふえておる。この生産に支えられている。生産だけじゃありませんが、これに支えられて日本の製薬会社がぼろもうけしている。この抗生物質の問題は、アメリカと比較してみますと、一九七三年の医療の中で使った薬の医療の中に占める率、薬代というのが非常に医療費の中に大きな比重を占めているわけですから、その薬の中の抗生物質の占める率を比較してみますと、アメリカは一〇・七%です。日本は一七・五%ですね。ということは、七割も、アメリカより日本は抗生物質をこんなにたくさん使っているのですね。アメリカに比べて日本の方がそれを使わなければならない理由がどこにあるのか。なぜこんなに日本は抗生物質を、日本の国民はあらゆるところから食べさせられている、病気のために飲んでいるのはほんのわずかで、食べさせられているとしか考えられないほどたくさん使っている。これは一体どう思われますか。
○石野政府委員 田中委員の方は何か感染症が減っているのに抗生物質がどんどん使われているのはおかしいではないかという御質問かと思いますけれども、確かに赤痢とか結核というような伝染病につきましては非常に減少しておりますけれども、その他の感染症は決して減っているわけではないわけでございまして、それは一つ誤解があると思います。ちなみに感染症には、御存じのとおり、幾つかの種類がございまして、たとえば気管支炎でございますとか大腸炎でございますとか、いろいろなものが全部感染症に入るわけでございます。そういうものにはやはりこういう抗生物質が非常に効くわけでございますので、それをもとにいたしまして、抗生物質が非常にふえておるのはおかしいという御議論は私は納得できません。特に抗生物質の使用につきましては、敗血症等の重症感染症に対します大量療法なり、あるいは手術におきます大量使用、最近行われております。また、耐性菌に対します各種の抗生物質も使用されることになっておるわけでございますので、そういう傾向にあることだけは否定できないと思うわけでございます。 また、ちなみに、抗生物質の最近の生産額、医薬品総生産額に対します比率につきましても、確かに五十一年ごろがピークでございましたけれども、最近は漸次その比率は減ってきておるわけでございます。
○田中(美)委員 納得いきませんと言われても、何で三十七倍にならなければならないか。確かに感染症は、おたくの方の出した数字をコピーしてきているわけですけれども、やや減っているということであって、決してふえていないのですよ。やや減っているのです。だから、抗生物質も即ではなくても、多少ふえるということは、確かにまたいろいろな新しい病気もありますから、それは認めています。それまで私否定していませんよ。なぜ三十七倍にもならなければならないか。こっちの方は多少減っているのに、なぜ抗生物質だけはこんなに多くならなければならないか、なぜアメリカの七割増も抗生物質を日本が使わなければならないかと言っている。それに対するお答えにはなっていないと思うのですね。 それで、さっき言いましたように、市場価格主義というのが最もいいやり方なんだということをいままで厚生省は言っていらしたし、あなたもいま日本は市場価格主義をとっているけれども、こういうふうに言われました。だから、ほかの国とは比べられないのだ、日本の薬会社が四倍も五倍ももうけようと、不必要だと思われる薬の生産がどんなにたくさん上がろうと、それに目をおつぶりになっていらっしゃるのかもしれませんが、西ドイツにしても、フランスにしても、原価主義でやっているのですよ。同じ資本主義国で原価主義でやっているのに、なぜ原価主義がとれないのか。根本問題を解決しないで受診抑制という形だけで医療費を少なくしていこうということは、本末転倒している。やはりすべての国民がいつでも医者にかかれるように、必要な薬がどんな薬でも飲めるようにするのが私は当然だと思うのですね。それが逆に医者にかかれなくなる、薬が飲めなくなるというような形で医療費を抑えていこうというようなことは、間違っていると私は思います。 それからもう一つですが、五割の負担を国民にさせるというのは、これはいかにもひどいから定額負担にしよう、たとえば百五十円一回に負担しようなどという考え方もあるというようなことが新聞などに報道されています。しかし、これも結局は受診抑制をしていこうという行き方の線路の上に乗っているものであって、私は数字が大きいか少ないかの違いであって、同じ誤りだというふうに思うのです。やっぱり薬価基準の決め方の根本が間違っているということから、いま私が示したような数字が出てきたのだと思います。ぜひこの薬価基準の決め方を原価主義にしていただきたいというふうに思いますが、その点、大臣にお答え願いたい。
○石野政府委員 薬価基準を原価主義によるべきではないかという御意見だと思います。私の方もフランスとかイギリス、西独、全部調べておるわけでございますけれども、イギリスにつきましては、これは原価主義をとっておりませんで、自由価格主義をとっております。西ドイツもイギリスと全く同じでございます。ただ、フランスだけが薬価基準につきましては原価計算方式によってやっておりますけれども、最近非常に問題が出てまいりまして、イギリス方式に変えるべきではないかという意見が政府なり業界の方に出ております。これについてもいま検討しているということでございまして、原価主義によります発想というのは、一つの考え方ではあると思いますけれども、たとえば開発に要しました経費でございますとか、設備費、人件費、品質管理費、そういう諸経費というものをどのように判定するのか、非常に技術的にむずかしい問題もございます。また、現在の自由経済体制の中で医薬品だけをそういう形で持っていくのが適当なのかどうかという問題等もございます。しかも、現在は御存じのとおり、薬価基準の収載品目だけでも一万五千という品目がございます。そういうものについて果たして現体制で実際上やることが物理的に可能かどうかということも考えなければいかぬ、こういうことでございまして、私どもは現在は市場価格主義をとっているわけでございます。
○田中(美)委員 あれもこれもだめ、これもできない、そして一番悪いやり方をとっている。よそが全部変わらなければ変わらないというのだったら、政治体制が政権交代にでもならない限りはできないと言われる御返事だと思います。 もう時間がありませんので、次の質問にしたいと思います。ただ、原価主義をとるように強く私たちは要求だけをしておきます。 日本の医療が治療中心の医療だということは、あらゆる人が言われているわけです。これはもう何とか一歩踏み出さなければならないことだというふうに思います。それは、先ほどあなたがおっしゃいましたように、やはり老齢化に伴い慢性の病気が出ている。そういうものが非常に医療費を増大させている面もあるわけですね。健康管理と予防というものをもっと日本の医療制度の中に入れていってほしいというのが私の意見です。それはお年寄りが医療費をたくさん使うということを私は文句を言っているのではなくて、予防や健康管理というものを十分に中年層から、もちろん若いときからしでいかなければならないわけですけれども、そうすればむしろ医療費が減るだけでなくて、お年寄りになっても健康で生活できるということは、国民にとって本当に幸せなことだと思います。なかなか医者にかからないで手おくれになっていくというような状態で、寝たきりになってから医療費をたくさん使うということは本人にとって幸せなことではないと思うのですね。 それで、この間医療小委員会のときにもちょっとそういう話が出ました。岩手県の沢内村とか長野県の八千穂村とか高知県の野市町とか、こういう事例が出されておりますが、この長野県の八千穂村の二十年の経験というので佐久総合病院長の若月俊一さんが論文を書いていられます。この中にずっと統計が出ているわけですけれども、これを見てみますと、ここでは徹底した検診事業をしていらっしゃる。全戸にわたっていろいろな組織をつくって、村の人たちに力もかりて、全村挙げて村民の健康管理というものを積極的にやっているわけです。これは診療所だけでなくて村挙げてやっていることはもう御存じだと思います。これによりますと、八千穂村は三十四年には全国の一人当たりの総医療費の一・五倍だったんですね、三十五年も横ばいで一・五倍ですけれども、それが三年目には〇・九七というふうに下がってきているんですね。それからというものは、ジグザグしておりますけれども、大体七〇%、八〇%というふうに全国の総医療費よりも少ないのです。ここは非常にお年寄りの多いところなわけですから、全国の総医療費よりも少し高くて普通なわけですけれども、それが八〇%ぐらいに下がっているわけですね。これは私は健康管理、予防というものがいかに医療費を少なくしているか、そして健康が保たれるということでお年寄りの幸せにもつながっていることだというふうに思うのです。一・五倍だったものが八〇%になるということは一つの社会的な実験だと思います。これを全国にすぐ当てはめるということは確かに暴論かもしれません。しかし、単純に当てはめてみますと、約十兆円の医療費が六兆円に減るということですね。これで若月先生が言われていることを、簡単ですのでちょっと読んでみますと、「村の有病率をみると、感染性疾患などは別にして、総体的には、案外に減っていない。」有病率は減っていないんですね。「減っているのは「手遅れ患者」なのである。恐らく、それに大きく原因しているであろう、村の国保の総医療費が著しく減ってきたのである。現在の健保財政ではとても「予防給付」などできない、と厚生省は言うが、八千穂村の一人当り総医療費が検診事業を始めてから「いかに低くなったか」を表でみると一目瞭然である。」この論文の表を私は写しまして、何%に減っているかということを自分で計算して表の横にずっとくっつけてみたわけです。そうすると、一・五倍が約八〇%ぐらいに減っているということですね。こういう考え方というものはもう実験としても出てきているわけです。ですから、これが国の医療としてどうかということを厚生省は考えるべきだと私は思うのです。こういうものを考えた上で健康保険をどうしていくかというふうに考えていかなければならない。もしあれならば、こういうものを取り入れることと改正と一緒に行くということもあるかもしれません。しかし、そういうことは何もやらないで国民負担だけでやっていこうというのはまさに逆行しているというふうに思います。また、新聞などによりますと、軽い病気は外来で、重い病気は入院で、確かに国民一人一人の心情からいきますと、自分の財布だけを見て、自分の人生設計だけ考えている国民にとっては、確かに重い病気になったときには自分の財政ではやっていけない、しかし軽い病気はせめて自分でやろうか、国民は非常にまじめなんですね。出せる範囲なら出そうか、こういう心情があることは事実です。そうしたまじめな心情というものを逆手にとって、軽い病気は七割給付にするとか八割にするとか、重い病気は十割でやっていこうというような形で国民に健康保険の改悪案を幾らかの修正をしてのませようとする。いまの沢内村を見ましても、これはおたくで聞いた数字ですけれども、受診率は上がっているんです。八千穂村だって受診率は上がっているんです。医者にかかりやすくなっている。若月先生のおっしゃるように、手おくれ患者が減っているんですね。それが医療費を減らしている。軽い病気は自分の負担でやれということは、手おくれ患者を出すということになると思います。ですから、入院と外来とを分けて、軽いときは外来で自分でやれというような発想というのは根本的に間違っている。そういう点で今度の健康保険の改正案というものは全く認められない、全く逆行している。大切なところからぐっと逆行している。それをちょっと修正したからといって、なぜこれが改正になるでしょうか。逆にこちら側に行かなければならない、ぐっとマイナスにいっているのがまだもとに戻ってこないわけですから、こういう健保の改正案というものは私たちは絶対に納得できないし、国民の大多数も納得できないと思います。 大臣、その点についてはどのようにお考えになりますか。
○野呂国務大臣 医療費が高騰する中で今後給付と負担について公正な扱いがなされるべきであることを初めとし、あるいは薬価の問題などについて御所見を承ったわけでありますが、私ども、今回の健保法の改正におきましてはいままで申し上げておりますとおり、従来の医療保障に偏り過ぎておる現行制度というものは見直していかなければならぬ。したがって、改正というよりも現時点においてなされる限りの見直しを図っていくことが将来へのまた新しいステップになるのではないか、こういう意味でいろいろ御意見を承っておる、こういうことでございます。 いずれにいたしましても、高騰する医療費に対して今後その負担をどのように適正化していくか、医療の適正化、この問題については根本的に進めていかなければならないときであろうと思います。現在の国会審議においてそういった将来の展望も含めていろいろ御指摘のある点につきましては政府としてはこれに対応してまいりたい、かように考えている次第でございます。今国会におきまする改正法を撤回する意思はございませんので、いろいろ御論議を願っていただきたいというふうに思うのでございます。
○田中(美)委員 お聞きするというんだったら、お聞きしてそれを検討してから出すべきだ。構造変化が起きているにもかかわらず古びた法案というものをそのまま出してくるなどというのは、最初の論議に戻りますが、実に無責任なやり方であるし、中身もマイナスの方向にどんどん行っているという問題だということをいま申し上げたわけです。大臣のお答えは、御意見は承ります、しかし撤回はいたしませんといういんぎん無礼な御回答だというふうに思います。江戸っ子はよくこんなことを言います。みそ汁で顔を洗ってあさって来い、こう言うそうです。私は江戸の人間ではありませんけれども、厚生省は顔を洗って出直してきてほしいということを最後に申し上げて、質問を終わります。
○葉梨委員長 次に、米沢隆君。
○米沢委員 すでに御案内のとおり、今日の医療保険を取り巻く情勢は、医療費の急増による財政不安、制度間の不均衡の顕在化、保険外負担の増高による保険機能の低下、医療資源配分の非効率性など基本的な問題が数多く噴出いたしておりまして、その上、一部医療の荒廃、退廃ぶりが指摘されるなど、きわめて深刻な状況にあります。それゆえ、国民のニーズに対応して公正かつ高度な医療保障制度を確立するためには、従来のようにその場しのぎの小手先だけの対応策であっては、今日の苦境に立つ医療保険制度の局面打開はきわめて困難であると言わねばなりません。しかるに、今回の健保改正法案は、本人と家族の医療給付の統一という方向は示されておりますものの、依然として患者の負担増によって財政収支のつじつまだけを合わせようという現状糊塗的な改正に終始しているところに私どもは大きな不満を持つものであります。それがまた本法案が長期間にわたり廃案、継続の憂き目に遭ってきた最大の理由であったと言っても過言ではないと存じます。 そこで大臣、あなたは今日のわが国の医療を取り巻く状況、医療保険を取り巻く状況をどのように理解をされて、今後どのような発想で抜本改正に取り組もうとされているのか、まずその所信をただしたいと存じます。
○野呂国務大臣 医療を取り巻くいろいろな情勢の大きな変化というものは、御指摘のような認識をいたしております。全く同感でございます。 特に今後の人口構成の老齢化あるいは医療の高度化によります医療費の著しい伸びが賃金を上回るような状況にあるものでございます。そういう意味で、政管健保の財政状況は依然として赤字基調にある。したがいまして、そういう意味から、今回の健保法改正案は、社会経済情勢の変化にどう対応していくか、将来を展望しながら、その一つのスタートとして、第一段階として、給付の平等、負担の公平、あるいは高額な家計負担の解消を実現する目的でございまして、単に政管健保の財政対策のみではないのでございまして、政府といたしましては、この第一段階を経て今後とも抜本的な医療保険制度の改正をさらに推し進めなきゃならないと思うのでございます。今日は緊要な国民課題としてまず第一段階としての制度改正に進みたいということであります。今国会でどうぞひとつ速やかなる御審議をいただきまして可決あらんことをお願いを申し上げたいと思うのであります。
○米沢委員 今回の健保法案の提出されましたのは昭和五十三年、その後廃案、継続のたなざらしになっておりますものの、中身については、提示内容については全然変わっていない、先ほどもそういう指摘がありました。そういう意味では、少なくともこの法案の改正項目の算定は、五十一年の保険財政の決算、五十二年の前半の実績を前提につくられたものであると思います。それも当時から五年間の先行きを見通した上での改正案というわけでありますから、もしこの法案がスムーズに通っておりますならば、もうすでに五十五年でありますから三年経過しておる。その後の保険を取り巻く情勢は私は大きく変化しておると思いますけれども、そのことを考慮しますと、改正の基本的な方針、考え方は同一でありましても、果たして現時点での保険財政の動向を正確に反映しているという点からは私は問題がある、現時点で計算し直すとかなりのずれがあるのではないか、そう思うわけであります。本来ならばこれは計算し直して中身を変えて再提案するようなかっこうで出てくるのが本当だと思うのでありますけれども、その点、気になりませんか。
○石野政府委員 ただいま大臣が申し上げましたように、今度の改正案は、単なる財政対策だけではございませんで、むしろ本人、家族の平等とかあるいはその他のいろんな負担の公平の問題とかいう、あらゆる問題について全部見直しをした上で御提案申し上げているわけでございます。 おっしゃるように、五十三年の五月に御提案申し上げました時点におきまする政管健保の財政というのは、確かに厳しい情勢であったわけでございます。その後の若干の、インフルエンザとかいろんな要素はございますけれども、そういうことによって、五十三年度につきましては若干の黒字になった、こういう事態はございます。しかしながら、その政管健保の財政問題だけを取り上げましても、実はそれは赤字基調であることは間違いないわけでございまして、これはたまたま五十四年には医療費改定もない、現在も医療費改定がないということも頭に入れなくてはならないわけでございまして、そういうバランスを考えてまいりますと、赤字基調であることはこれは事実でございます。 しかも、今後の国民医療費の推移を考えた場合には、先ほど申したわけでございますけれども、五十四年度につきましては約十一兆という数字が出ております。そうしますと、これを従来のベースで引き伸ばしただけでも五年後には約二十一兆になる、こういうことになるわけでございます。同時に、賃金とかそういうものの伸びにつきましては、御存じのとおりの経済情勢でございますので、なかなか追いつかない。こういうことでございますと、どうしても伸び行く医療費について適正な負担というものは、これは国民に求めざるを得ないというふうな考え方でございまして、その場合に、負担を求める際に、できるだけ本人、家族についてはその給付の平等を図る、それからその被保険者全体についてできるならば負担の公平を図っていくというような基本原則は貫いていかなければならない。 そういう意味で、そういう一時的な要素によって出し直すとかあるいは見直すとかということについては、私どもは考えてないわけでございます。
○米沢委員 私どもは、当面するこの健保改正につきまして、健康保険制度の中長期にわたる安定充実を図るとともに、それによって医療保険全体の適切な改善を誘導する、健保にかかわる諸制度の緊急課題を解決する、そういう認識に立ちまして、基本的にはいわゆる逆立ち保険を解消しなければならない。おっしゃるように給付の公平適正化に勇気をもって着手しなければならない。医療費の効率化を積極的に推進しなければならない。給付と負担の均衡をさせることがこれは必要である。そういう考えに立ちまして、これから質問をさせていただきたいと思うのであります。 まず第一にお伺いしたいことは、保険給付の改善についての基本的な考え方であります。 今回の法改正におきましては、家族について本人並みの給付水準に引き上げる措置を講じて、本人、家族の給付水準の格差を是正することと、分娩費や埋葬料等現金給付の若干の上積み、そのかわりに一部負担が増加されておる、増徴されるような状態になっておる、こういうものが提案されているわけでありますが、結果として給付水準は現行の八八%から八三%にダウンをしておる。政府は医療費の八割程度を保険で給付して二割程度は患者負担にするというのが基本的な考え方のようでありますが、その八割給付というのはどういうところから出てきたのか、まず御説明をいただきたいと思います。
○石野政府委員 医療費が今後増加してまいりますことはいま申し上げたとおりでございますが、その際に負担をどうするかと申しますと、その一定の国庫補助は別といたしまして、その残余につきましては保険料で賄うか、あるいはその被保険者なり家族がお医者さんへ行ったときに一部負担として支払うか、いずれにいたしましても、そういうどちらかの選択しかないわけでございます。数年先の問題を頭に描きながら今後とも伸びゆく医療費を負担する場合に、どの程度ならばそれは国民の方は負担が可能であろうか、こう考えてまいりますと、結局国庫補助につきましては現在医療保障について相当多額の金が出ておりますし、むしろ今後はまだ年金とかいろいろな問題に金を使わなければならない、そういうことから、国家財政については限度がある。そうしますと、その残りの問題を保険料で負担するか、いま申し上げましたように一部負担で賄うか、こういうことになるわけでございます。 保険料の問題を考えてまいりますと、現在千分の八十ということで政管健保についてやっておりますけれども、これはすでに、先ほど申しましたように赤字基調でございますので、累積赤字等考えてまいりますと、千分の八十ではこれは賄い切れないことは、これはもう事実でございます。そうしますと、今後の伸びを考えまして、これを千分の九十なり千分の百というものに持っていくことは社会保障全体の負担面で果たして可能かどうかというふうに考えてまいりますと、急激な負担増はできないではないか、そうなりますと、一定の保険料のもとに残された道というのは、結局その給付率をどうするかというふうにしか考えられないわけでございます。 そういうことを計算いたしまして数年後のことを考えますと、現在の時点で全体としての給付率は大体八割程度を目標にしなければできないのではないか、もしそれをもっと上げようとすれば、これは保険料なりその他のものでカバーしなければならない。その他のものといいますと国庫補助しかないわけでございますけれどもこれはなかなかむずかしいというふうな形になるわけでございまして、そういう意味で八割給付という問題についての大体の考え方で整理をいたしておるわけでございます。
○米沢委員 給付の水準の高い低いはあると思いますけれども、その給付の水準の確保の仕方にいろいろと考え方がありますね。たとえば、現行の保険制度は本人十割、ただし一部負担、初診、入院費等が取られますね。家族は七割ということでありますから、いわゆる個人に着目して給付率が設定されておる。今度の改正法案も本人、家族ともに給付率を統一して、ただし一部負担の増収によって賄うということでありますから、これもやはり本人とか家族とかいう個人に着目して給付率を決める、そのかわり一部負担がかなりふえてまいりますから、思想的にはかなり混乱をしてくる。もう一つは、入院、外来など医療形態に着目して給付率を設定する方法がありますね。あるいはこれを組み合わせることで給付率を設定する方法がある。これにはそれぞれいいところと悪いところがあると思いますけれども、私どもは本人、家族とも給付率水準を同一化すると同時に、特に入院患者等が出費が多いわけでありますから、入院、外来という療養形態に着目して給付率を決定するべきである、これが本来の姿であると思うのでありますけれども、厚生省の見解を述べていただきたいと思います。
○石野政府委員 米沢先生の御意見でございますと、恐らく政府で提案いたしておりまするこの法案の考え方を是認した上でなお一部負担が非常にきついではないか、したがって現実的にこれを直していくべきではないかという立論に立っておられるような感じがいたすわけでございます。 これはなかなかむずかしい問題でございまして、政府はそういう考え方で整理をいたしたわけでございます。確かにそれぞれ入院なり外来に着目する場合も理論的にあり得ますし、それがいいか悪いかというのは別問題としまして、それぞれの考え方があろうかと思います。私どもはいま先生のおっしゃったような方向で御提案申し上げておるわけでございますので、ひとつ十分ここで御審議を願って、どの方向であれば一番いいのか、その場合に国民の選択としまして、給付率を上げるという場合には当然それに伴いまする負担というものをどうするかということを十分御審議願って、ひとつりっぱな健康保険制度をつくっていただきたいというふうに考えるわけでございます。
○米沢委員 次に、大きな問題は保険外負担の解消、できればそのための保険給付を新設して保険外負担の解消を図るべきであるという問題について御質問申し上げたいと思います。 御承知のとおり、現在病気になりました場合、最も大きな負担となっているものは差額ベッド、付添看護料、歯科差額による患者負担だと存じます。これが結局逆立ち保険と言われる原因ともなっております。同時に、保険はあるけれども保険がない状態であると悪口を言われるような状態をつくっておるわけであります。したがって、この問題の解決なくしては私どもは国民医療の改善向上はあり得ない、そういう感じを持っておるわけであります。 そこで、この保険外負担の解消の問題について逐次御質問を申し上げたいと思うのでありますが、まず第一に、保険外負担の認識については私どもと厚生省とそう差異はないと思いますけれども、その認識の程度いかんがこの保険外負担を解消するかしないか、するにしてもどれくらい踏み込んでするかという熱意にもかかわりますから、まず最初に保険外負担の実態について当局はどういう認識に立っておられるのか、差額ベッド、付添看護料、別々にその実態について御説明をいただきたいと思うのであります。 私ども、その保険外負担については、たとえば一カ月入院いたしますと、差額ベッド料を二千円取られますと三十日掛けましたら六万円、三千円取られますと約九万円、付添看護料七千円取られますと二十一万円、五千円取られましても十五万円。いずれにしても差額ベッドと付添看護料で月に二、三十万という、保険では見てくれない出費が要るわけであります。現在、高額医療費の負担の上限が設定されておりまして、現在は三万九千円の頭打ちでありますが、確かに医療費は三万九千円しか払わなくてもいいかもしれない。しかし、総医療費にも計算されないような保険外負担が二、三十万も一カ月に要る、こういう状態を放置して医療の改善はあり得ないわけでありまして、そういう意味で的確な現状認識というものをどのようになされておるのか、まず聞かしていただきたいと思います。
○石野政府委員 保険外負担の問題につきまして、一つは室料差額の問題、一つは付添看護の問題、もう一つは歯科差額の問題というふうにお話があったわけでございます。 その第一の差額ベッドの問題でございますけれども、これにつきましては、特に四十九年以降精力的に差額ベッドの解消というものについてやってまいりました。しかし、その一番新しい数字におきましてもまだ全体としましては一四・七%程度の差額ベッドもございますし、一番問題になっておりまする三人室以上の差額ベッドがなかなか全廃できないという大きな問題がございます。私の方の基本的な政策といたしましては、とにかく三人以上の差額ベッドについてはこれを全廃するという強い姿勢でこれからも大いに努力をしてまいりたいと思うわけでございます。同時に、この問題についていろいろな手法があると思うわけでございますけれども、いろいろ御意見を承りながら、この差額ベッドの解消について本当に必要なもの以外は取れないという方針を貫いていきたいと思うわけでございます。 それから、付添看護の問題でございますが、これはなかなかその実態もつかみにくうございまして、明確なことを申し上げられないわけでございますけれども、少なくとも私どもは、基準看護病院においては付添看護を認めさせない、こういうことを大前提に進めてまいっておりまして、特にこれは診療報酬点数の改定と密接に結びついてまいりまするので、特に四十九年におきましては特二類の看護の設定をいたしましたし、さらに五十三年の改定におきましては大幅な引き上げを行ってまいったわけでございます。同時にまた、一般病棟の二類看護につきましては、特に重症で常時監視を要するような場合につきましては特別の加算をいたしまして、その解消を図るという努力をいたしてきたわけでございます。 しかしながら、いろいろ御意見を承ってまいりますると、付添看護に対しまする非難と申しますか、不満と申しますか、そういうのが非常に高いものがございます。これをどのように解決すれば一番いいのか、私ども十分知恵をしぼって一歩でも二歩でも前進させるような方向へ持っていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。 それから、歯科差額の問題でございますけれども、これは日本歯科医師会と十分議論いたしまして、最終的な姿で、三年度と言っていますけれども、実際には診療報酬改定が毎年行われた場合には三年度となりますが、三回に分けまして歯科差額の問題について解決を図っていくという方向で合意を見ているわけでございます。したがいまして、次の診療報酬改定は今度二回目になりまするので、その面においてまた解決を図っていきたい、こう思うわけでございます。 いずれにいたしましても、保険外負担というのは、これは多ければ多いほど医療保険制度全体のせっかくの保険給付というものを形骸化してしまうような形になりまするので、何としてもこの保険外負担の問題については全力を挙げて適正なものにしていきたいという非常に強い決意をいたしておるわけでございますので、いろいろ御意見を承って私どもも検討させていただきたいと思うわけでございます。
○米沢委員 保険外負担の各論に入りたいと思うのであります。 まず、差額ベッドの問題でありまして、いま御説明いただきましたように、従来から厚生省の方でも三人室以上の大部屋では差額を徴収してはならない、差額ベッドの割合は、国の医療機関で一〇%、一般では二割を超えてはならない、こういう方針で行政指導をなさってきました。かなり数字は減っておるというふうに評価をしたいとは思いますけれども、にもかかわらず五十四年には大部屋でまだ四・二%の差額ベッドが存在をする。この事実に着目しなければならぬ、私はそう思うのであります。今後かなり行政指導を強化をされましても、特に個室、二人室、この廃止は私は困難だろうと思いますね。 差額ベッドも、個人の希望によって入りたい、それは個人から取ればいい。治療上必要であるならばそういうところで差額を取るというのはちょっとかわいそうでありますから、それは保険で見てあげねばならない。しかし、問題は、本人の希望によらないにもかかわらず、病院に行ったら差額ベッドしかあいてない、不本意ながら差額ベッド料を払わないと入院が可能でない、そういうものは何らかの形で保険でめんどうを見ることによって解消するすべをとってやらない限り、依然として差額ベッドの存在は残るであろう、私はそういう感じがするわけでございます。 このごろ特にやかましくなりました関係で、病院でも個人の承諾書みたいなものをつくって、私はこの差額ベッドの部屋に入ることを了承しました。それは病院に行って入院せざるを得ない状況になって、お医者さんにすがるような気持ちで行ったら、そのときには差額ベッドで理屈を言うような気持ちになっておりませんわね、それは。そういうところを逆に利用して、差額ベッドに入ることを了承しますという判こをもらって、皆さんが行政指導をやってなぜ減らないのかと言うたら、ちゃんと個人からもらっておりますと、こういう言い逃れをする。そうせざるを得ない、そういう状況を何としても今回の改正で解消しなければ、ちょっと国民の負託にこたえられることにならないのではないか、そういうふうに私は思うわけでございます。 そこで、私どもはもう昨年からこの差額ベッドの解消策について御提案申し上げておりますように、現行の診療報酬点数では一律百点というベッド料を払っておる。一律適用ということにいたしておりますけれども、このあたりをちょっと改革して、室料の現状を再検討することによって、新たに診療報酬の室料に段階制を設け、段階的な室料を設定し、これを診療報酬として医療機関に支払うことによって、患者からの徴収を全面的に禁止すべきであるという考え方を私たちは持っておるわけでございます。 しかしながら、先ほど申しましたように、患者が特に希望してというものもありますから、そういうものまでなくすことはない。同時にまた、治療上、どうしても差額を取らざるを得ないような特別な部屋で治療を加えねばならない、そういう部屋までノーだということは、これは酷である。だから、そういうものはある程度確保する措置をとりながらも、その他については、先ほど申しましたような段階的な室料を設定して、それを支払うことによって即差額ベッドを解消すべきであると考えておるわけでありますが、厚生省はこの案についてどういうふうな見解を持たれ、特に具体的に、先ほどの答弁で、差額ベッドも何とか解消しなければならぬという御答弁はいただきましたけれども、その方法論について具体的に御提示がなければ、私はこれは判断のしようがありません。当局の御答弁をお願いします。
○石野政府委員 室料差額の問題につきましての基本的な解決の方策として、米沢先生おっしゃいますように、幾つかの段階を設けた室料というものを設定して、そこに入った場合には診療報酬の点数でも請求できるという考え方は、確かに私どもも否定できないわけでございます。 ただ、この問題の基本的な問題は、そういう基準をいろいろ見つけてやったにいたしましても、相当幾つかの問題点の出てくることも事実でございます。一つは、現在でも医療費の問題については効率的に使用しなくちゃならぬことになっているわけでございますけれども、室料の段階制を設けるとなりますと、どうしてもこれは高い方にシフトしていかざるを得なくなる、そういう情勢が一つございます。そこをどう歯どめをかけていくのかということも必要だと思うわけでございます。したがいまして、段階的に室料の額を診療報酬の点数で決めることは、一般的な問題としては非常にむずかしいかなという感じを持っております。 ただ問題は、先生最後の方におっしゃいましたように、現在の保険給付として、医療上必要な場合に個室に入れる場合、あるいは二人室に入れる場合がございます。その場合でも現在の体制では、それを差額を取ってはいけないということが、一つネックがあるわけでございます。本人の希望によらないで、本当に医療上必要な場合に個室に入れたときに、その個室の室料を現在の百点のままでいいのかどうか、これはやはり検討しなければならない問題かなという感じがいたすわけでございますけれども、ただ、何分これは診療報酬点数の問題でございますので、また中医協にいろいろ御議論願わなければならない問題もございますので、これはひとつ十分検討させていただきたいという気持ちでございます。
○米沢委員 確かに段階的に室料を設定いたしますと、高い方にシフトする、あるいはまた当局の本音は、いろいろと差額ベッド解消のために行政指導をやってきたにもかかわらず、いまだに差額ベッドを放置したままにある医療機関もある。結局現在の段階で段階的に室料を決めてそれを保険で払うということは、行政指導に従わずに差額ベッドを減らさなかった、そういうことを是認することになるから、ちょっとかっこうも悪いというところにも本音があるのじゃないかと私は思います。少なくともシフトの問題についても、部屋の数を規制すればいいわけですね。あるいはまた行政指導があったにもかかわらず差額ベッドをたくさん持っておるところも、量で規制をすれば、そんな問題は吹っ飛んでしまうわけです。 たとえば、個室で一日三千円、二人室で一日二千円、三人以上では一日千円、いまもうすでに一律に一日千円ずつあるわけですから、ふえるのは二人室で千円、一人部屋で二千円、そういうことで仮に計算をいたしましても、約一千億くらい金がかかる計算になります。医療小委員会で出されました資料によりましても、差額ベッドの総量が推計されて、五十三年度で約一千百二十四億という資料をいただいておりますから、ほぼ見合うんでありますけれども、あとは三人部屋はもう絶対に認めない、あるいは個室、二人室は、希望によって入りたいというのは保険から払わなくてもいい、治療上必要な部屋だけを数で設定する、そういういろいろな措置をとりますと、約七、八百億、政管健保だけで計算をしますと約三分の一で二、三百億で、ひょっとしたらこれ以下で抑えることができる。二、三百億円で差額ベッドはすべて解消する、こういうことでありますから、もう少し突っ込んだ御検討をいただいて、前向きな差額ベッド解消対策を具体的に数字をもって早目に御提示いただきたい、そう私は思うのでありますが、いかがですか。
○石野政府委員 いま申し上げましたように、全部の医療機関について段階制をとった室料の額を決めるということにつきましては、せっかくの御意見ではありますけれども、なかなかむずかしいということを申し上げたわけであります。 ただ、先生のおっしゃいますように、治療上必要な者が個室に入らざるを得ないという場合も間々ございます。そういう場合でも、医療機関側としては何か割り切れないものを持つわけでございまして、その辺の問題等もございますし、何よりも差額ベッドをできるだけ解消するという方向で検討する際に、思い切ったものを出すのか、あるいは漸進的にやるのかという一つの戦略もございます。できるだけ早く解消した方がいいわけでございますけれども、大きな混乱をもたらさないで、そういう問題について漸次解消していくということも必要なことではないかという意味で、先ほど申し上げたことについては真剣に取り組んで結論を出してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○米沢委員 問題は、いま厚生省が行政指導なさっておるその趣旨が、完全に徹底するような状況をつくればいいわけですから、いろいろと考えられる案が、果たして現在の差額ベッドでいろいろ問題を起こしておる、そのあたりのすべての問題を解消する案であれば、われわれも何も固執するわけではありません。そういう意味での御検討を私はぜひお願いを申し上げたいと思うのであります。 それから、付添看護料の問題であります。御案内のとおり、この基準看護病院では付添婦をつけなければ入院できないということがあってはならない、これが原則ですよね。にもかかわらず、実際はいろいろとあるわけでございます。政府の方も、特二類の看護病院の新設だとか、看護加算の引き上げとか、二類特別加算をつくったとか、基準看護病院でないところにも看護料を引き上げる措置を毎年とっておるという努力は認めますけれども、付添婦さんなんというのは、本当はちゃんと基準看護で守られておるから必要ないというところにおるという事実ですね。この実態をどういうふうに御認識なさっておるのか。一体なぜ、基準看護病院は付添婦は要らないということになっておるにもかかわらず、そんな者がおったら取り消すぞというところまで行政指導を高めておりながらも、こんな者が存在せざるを得ないのだろうか。どうでしょうか。
○石野政府委員 この付き添い問題、大変むずかしい問題もございまして、これは諸外国に見られない、日本独特と言えば独特の風習と申しますか、そういうのも関与しておるわけでございますけれども、本来ならば基準看護病院である以上は、当然与えられた体制の中で看護が行われるというのがたてまえであるわけでございます。しかしながら、個々のケースを見てまいりますると、かなり患者のわがままもありましょうし、看護婦さんの仕事の問題、特に看護体制の問題の中で、果たして看護婦さんがやらなければならないのか、あるいはそうでない補助者でも済むのかというようなふるい分けも、必ずしも明確にできてない面もございます。そういうことで、いろいろ見るに見かねて、どうしても付き添いをつけざるを得ないという家族側の心情もございましょうし、あるいは場合によっては病院側の方から強要と申しますか、勧奨してつけさせるという場合もあり得ると思うわけでございます。 しかしながら、この付き添い問題の解決となりますと、基本的には、現在の二類看護なり一類看護あるいは特二、特一そういうものの基準看護体制のあり方を見直さなければならないわけでございますが、これは同時に、看護婦さんの仕事とそうでない分野の仕事というものを、それぞれの病院の実態に合わせて考えなければならない問題もございますので、検討はいたしましても容易に結論が出にくい問題であるかと思うわけでございます。 そこで、そうなりますと、次の対策といたしましてはやはりそういう現在の看護体制の中で、特に重症患者等につきまして付き添いが行われる実態がございますので、それについて何らかの方策はとれないのかということについて、実は私どもも真剣に検討いたしておるわけでございます。
○米沢委員 こういう実態が出てくるという理由は、やっぱり基本的には、先ほどちょっと触れられましたように、看護基準に問題があるのかもしれない。あるいは看護婦さんが充足できないというところから、配置基準ですね、いま四対四対二というやつがもう少し弾力的に運用されたら、ひょっとしたら直る問題かもしれない。あるいは症状によっては特三類というものをつくることも検討に値する。あるいはこの看護基準の分類は、患者の病状の重さとか軽さなんというのは全然関係なく決めてありますから、先ほどおっしゃいましたように、重症者に限定をすることも考えられましょうし、あるいは診療科目、手の要る小児病院とかあるいは老人病院とかあるいは難病患者がたくさんおるとか、そういうように何か症状に応じた分類法もセットするということでも解消は可能かもしれない。それぞれいろいろと可能性はあると思うのですね。そういう意味で、ぜひ特三というものも考えてみたらどうか。特に看護婦等一人に対して患者二・五人という大体の大まかの基準が示されておりますけれども、これを定員に見るか、人間の数に見るかによってかなり違うわけですね。昨日も議論が出ておりましたように、看護婦さんでも週休率を入れたり出勤率を入れたり等々、計算し直してみますと、たとえば出勤率を厳しくして九五%くらいにして計算をしてみましても、看護婦一人に対して患者二・五人とありますけれども、実質的に看護婦さんは休んだりしてどんどん抜けますから、実際はこの特二類というものも、大体看護婦等一人に対して患者二・五とありますけれども、計算し直しますと、実際には一人に対して三人とか三・五人を見るという状況にあるわけです。だから、看護基準等についても、単にこれが人間の大まかな数の比なのか、それとも定員として見るかによってかなり違ってくるわけですね。大体一ランクずつみんな上がらないと実態には応じられないという状況がある、私はそう思うのです。そういう意味で、特三の新設とかあるいは看護基準の見直しとか、配置基準の弾力化とか、そういうものについてどういう御見解を持っておられるのかというのが一つ。 それから、これも私ども年来付添看護料の解消策として御提案申し上げておりますけれども、付添看護に要する職員を新たに配置する措置をとって、それを保険で見てあげる。その方法論については、たとえば二類加算の看護料の場合に特別加算というのがありますね。そういう特別加算方式ですべての基準看護病院にその必要度に応じて看護婦あるいは看護助手みたいなものをプールして、ベッド数でもいいし、患者数でもいいし、おっしゃるように重症患者の比でもいいと思いますが、その部分を新たに特別加算方式で点数を上げるか、あるいはまた遊軍を置く、そのものについて直接医療機関に保険で弁償するか、方法論はいろいろあると思うのですが、そういうかっこうでぜひこの付添看護料も今回の改正で全面的に解消する処置をとるべきである、そう思うのですね。厚生省の御見解を聞かしていただきたいと思います。 われわれの試算によりましても約四百億ぐらいの金があれば全部パーになります。政管健保だけで計算しますと、その三分の一といいますと、百億ぐらいの金でパーになるわけです。ですから、差額ベッドが二、三百億、これはまだ規制を厳しくすればもう少し安くつきますね。二百億でもいい。付添看護料が約百億。たった三百億で付添看護料あるいは差額ベッドを、少なくとも大きな前進として解消するめどが立つ。ここらで決意をしてもらわねばならぬ、そう思うのでありますが、いかがですか。
○石野政府委員 いま先生の方から具体的な対策として三つの御提案があったわけでございます。 一つは、四、四、二の配置基準というのを基本的に見直す方法はないかという御指摘でございました。確かに私どももこの四、四、二が未来永劫にこれでいいのかどうか、これにつきましてはいろいろな疑問も持っております。ただ、これにつきましては先ほどもちょっと触れましたように、看護婦と准看あるいは補助者のそういう任務分担というものがなかなか決めがたい要素もございますので、検討はいたしますけれども、即座にわかりましたというわけにはいかない。 それから、二番目の問題は、特三類をさらに設けて実質的に付添看護のないようにする方策もあるではないかという御提案でございました。確かに検討に値する問題だと思うわけでございますけれども、実際の病院の実態を見てまいりますると、昼間、夜間の看護体制の問題を見ますると、特に問題がございますのは重症者の場合の夜間の体制が大きな問題があるような気がいたします。ただ一律べたに、たとえば二・五対一を二対一にするとかいう形で果たして全体の個々の病院について妥当性があるかどうかにつきましては、これまた疑問もあるわけでございまして、検討に値するわけでございますけれども、実際的に果たして可能かどうかという感じがいたしております。 最後に御提案にございました第三番目の、現在行われておりまする二類の特別加算という方法で、重症者について特別の加算を設ける制度についての御提案があったわけでございます。私どももいろいろ付添看護問題を解決してまいります場合に、一番検討可能なものといたしましては、特別加算方式によってある一定のパーセントを示して、その範囲内において運用するということも一つ方法があると思いますし、その場合につきましても、特別の病院についてはさらに若干の、一般の基準とは違ったパーセントを考えるとかいう方法もあると思います。いろいろな組み合わせを考えることによって、少なくとも重症患者について付添看護が行われないような方向、そういうものについて解決する道としましては、第三番の御提案というのは非常に価値のある御提案、私どもも本当に真剣に検討しなければならない案であるというふうに考えるわけでございます。 ただ、この問題につきましては、先ほど申しましたように、中医協におきまして診療報酬点数の改定の際にやらなければならない問題でございますので、そういうことを踏まえまして中医協でも十分議論をしてもらいまして、真剣に対処してまいりたいと思うわけでございます。
○米沢委員 次は、一部負担の問題の考え方でございます。 一部負担というのは、私たち平素保険料拠出を行っていることから考えますと、なければない方がいい。あったとしても低負担であった方が望ましい、これはだれも考えることだと思います。しかしながら、今日のような医療費が増大をして保険財政が窮迫してまいりますと、保険料引き上げか、あるいは一部負担引き上げか、どうしても選択せざるを得ない。この場合、健康者との均衡上、やはり保険料引き上げのみに依存せずに、患者の一部負担引き上げをも考慮することは、私はわからぬわけではありません。保険財政は健康者によって維持されておるようなものでありますから。しかしながら、そうするにしましても、この一部負担が患者にとって過重負担とならないように配慮されねばならぬ。同時にまた、受診抑制を招かないようにしなければならない。このことは大事なことだと思いますね。 そういうことから考えますと、今回のこの改定内容等を見ておりますと、先ほどから何回も言いますように、給付率あたりが五%ぐらい下がる。給付率がちょっと下がり過ぎなんだ。そういう意味では現行水準をほぼ維持するというところに焦点を当ててこの一部負担というものを見直してみますと、一つ問題なのは、高額療養の上限額が、提案では現行よりも一・九万円くらい下がっておりますけれども、もっと引き下げる必要がある。われわれは約一万くらいの頭打ちでいいのではないか、そういうことを考えておるのでありますが、当局はどういう御見解でしょうか。
○石野政府委員 基本的に現在の保険給付費をどの程度にするかということが、今後の医療保険制度を維持していく場合の一番基本的なベースになるわけでございます。私どもは、先ほども申しましたように、医療費の適正な増大に対処していくためにもそれ相応の負担の増は図らざるを得ない。その場合に、今後の見通しを立てた場合に八三%程度の保険給付であれば財政的にも成り立つ、こういう前提をとったわけでございます。 そういたしますと、その場合の一部負担の取り方といたしまして、何に着目して取るかというふうになるわけでございますけれども、先生のおっしゃるように、現行水準八八%というふうになりますと、これはたちまち保険料の引き上げ等も行っていかなければならないということもございまして、私どもは八三%としているわけでございます。その際の着目の仕方につきましては、一番問題のあります薬剤の問題とかそういうものに着目して、実はその給付率について八三%程度にいたしておるわけでございます。同時に、相当の一部負担の増大になりますので、それとセットの形で高額医療費につきまして現在の三万九千円を二万円程度にする、特に低所得者については一万円にするという案まで考えたわけでございます。したがいまして、先生のおっしゃるように、二万円も低い、一万円にしろという形になってまいりますと、当然これは給付率に影響してまいるわけでございますので、それ相応の保険料の引き上げも考えざるを得ない、その辺をどう考えるのかという基本的な考え方になるわけでございますので、私どもはそれについていま直ちに結構でございますというふうには言えない問題でございまして、むしろ保険料の負担とそういう一部負担の強化をどう考えていくのかということに着目して御検討願いたい、こう思うわけでございます。
○米沢委員 次の問題は、薬剤費の負担の件です。 これは各党とも、あるいは各関係者ともども大変大きな反響を呼んでおる内容であります。特に医療費に占める割合が、薬剤に関しては諸外国に比べて高い状況にある。その是正を図る意図のもとに提案をされたと思っておるのだけれども、薬剤負担は、昭和四十二年ぐらいに何か一日一剤十五円というのがあったそうでありますが、それもなくなりまして、またここに登場してきた。この薬剤費半額負担制の導入を考えられた意図、理由等についてはっきり御見解を示していただきたい。
○石野政府委員 おっしゃるように、日本におきます薬剤費率が非常に高いことはもう否定し得ない事実でございます。問題は、現在の薬価基準そのものの取り扱いについて従来必ずしも十分な措置ができなかったということもございます。したがいまして、これについては早急に薬価基準の適正化を図ってまいらなければならぬわけでございますが、同時に、薬の問題につきましては、いまでも薬づけ医療とかいろいろな批判があるわけでございますので、それを解消するために、保険給付の面で薬剤問題についてある程度の対応の仕方をすることも一つの道ではないかということと、諸外国におきましても皆、薬剤問題についてはそれぞれの一部負担を取っておるわけでございます。やはり非常にわかりやすい話でございますし、患者にとっても非常に理解のしやすい問題ではないかということで一部負担の導入を図るという御提案を申し上げたわけでございます。
○米沢委員 今度の提案の中にも高額療養費を二万円ぐらいに引き上げるという制度はありますけれども、薬剤費を半分は患者が出せというのはちょっと過重負担のそしりを免れないと私は思います。いまおっしゃいましたように、確かに過剰投薬の是正になるかもしれない、あるいは積極的に意味を考えれば、いままでいただいた薬もどういう薬かわからない、不明、不安のままに飲んでおったものがある程度明確になるということのメリットはありましょうけれども、半額も負担をせよというのはちょっと現在の状況からして余りにも過重負担であろう、イコール受診率に響く問題である、かなり響くものであるということを考えざるを得ない。そうなったら、よく言われますように、早期発見、早期治療等に支障を来す。これは一つの冒険だったと思うのですね。そういう意味では、御提案の意図はわかりましたけれども、薬剤費の半分負担などというのは撤回すべき性質のものだ。しかしながら、医療費に占める薬剤費のシェアが大変大きい、何らかの形で患者自身も考えねばならぬということを考慮するならば、これはばさっと削った上で、少なくとも半分などと言わずに、やはり一日当たりの薬剤費の最低額ぐらいを定額にして取るという修正も考えられると私たちは思うわけでございます。特にこれは保険制度ですから、たくさん薬を使えばそれだけ負担がふえるというのは保険じゃありませんね。そういう意味からも、やはり取るとしたら定額でなければならないし、額としたら最低限の薬剤費でなければならないし、またそうすることによって事務的にもかなりの負担が減るという案を私は持っておるわけでありますが、当局の御見解を示していただきたい。
○石野政府委員 二分の一負担の導入を図りましたのは、御案内のとおり、健保法の抜本改正を制度審議会なりあるいは社会保険審議会でいろいろ御議論願いましたときに、薬剤問題についても給付面からの何らかの規制を図る意味で考えるべきであるという御意見もあったわけでございます。二分の一は非常にドラスチックではないかということでございますけれども、半面、このメリットと申しますのは、薬剤についての適正な使用という問題になった場合には、その額は二分の一、定率でございますので実際の負担は減ってまいるわけでございます。そういうメリットが一つございます。そういうこともあわせまして二分の一の薬剤負担を導入いたしたわけでございますけれども、先生のおっしゃるように定額負担で、一日たとえば二百円とか二百五十円とかいうある程度の限度を示してやることにつきましても、これは被保険者にとりましては支払いの限度があらかじめ明らかでございますので、その金を持っていけば診療を受けられるという意味では非常にメリットがあると思うわけでございます。そういうふうなこともございますので、定額がいいのかあるいは二分の一がいいのか、これにつきましてはいろいろな御議論があると思うわけでございます。そういう意味では、私の方は二分の一負担を提案いたしておりますけれども、先生の方の御意見も十分わかっているつもりでございます。ひとつ真剣な御論議を願って健康保険制度としてりっぱなものにしていきたいということでございます。
○米沢委員 次は、保険料の改定問題であります。 今回の政府案で考えられております保険料改定は、第一に保険料算定基礎の変更、第二に保険料率改定手続の変更、第三に標準報酬上限額改定手続の変更、この三つであります。今回のこの一連の保険料改定は、たとえば本法案が実施されれば平均医療給付率が実際は低下することでもおわかりのとおり、家族の医療給付の引き上げに関連して改定するというよりは、やはり財政対策というものがかなり前面に出ておるとわれわれは理解をしておるわけです。確かに政管健保は五十四年度末でも四十九年以降の累積赤字が約千四百十七億、この法律がまたパーになりますと五十五年見込みで累積は二千六十八億に達するということでありますから、この財政赤字対策を放置することはできないという認識もわれわれは持っております。しかしながら、だからこそ、よく大きな問題点として取り上げられます医療費増大を効率化する施策が今日ほど各方面から私は強く要請されておる時期はないと思うのですね。 そこで、薬価の構成の確実な調査、それに基づく薬価の改定、検査に対する厳重な指導、診療報酬出来高払い制の改正、請求書審査の厳重な実施、不正請求の徹底した取り締まりなど、総合的な観点からの効率化対策の策定とその実施体制が速やかに整えられることこそ緊急の課題だとわれわれは考えておるわけであります。こうした施策をさて置いて、医療費増大に安易に順応させようとする保険料改定の意図は、やはり片手落ちであると判断しなければなりません。 そこで、この保険医療費効率化の問題についてちょっと保険料に入る前に触れておきたいわけでありますけれども、一つは、薬価基準の問題であります。 実勢価格に合った薬価基準を適正化しようということで、当局でも銘柄別収載方式に変えるとか特別調査を実施するとか、あるいは経時変動調査を実施されるとか、御努力をいただいておることは認めます。そういう意味では従来よりも実勢価格の掌握には確実度が増したと思うのですね、もし効果があるならば。 そこで、近く行われますこの薬価基準の改正は五十三年、前回の改定のときよりも基準の引き下げは、いろいろ調査が進んで実勢を的確に把握されておるわけでありますから、大きく引き下げられるというふうに見てよろしいものでございましょうか。先ほども一三・何%説があったわけでありますけれども、今度は少なくとも実勢価格をうまく掌握されたというわけでありますから、従来なんかよりもかなり大きな薬価基準の改定というものをみんな期待をしておる。どういうふうになりますか。アバウトで結構でございます。
○石野政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、いまその作業をいたしておるわけでございます。その数字につきましては、大きいとも小さいともここで申し上げることは差し控えたいと思うわけでございますが、いずれにいたしましても実勢価格というものを正確に反映できるという自信は持っておるわけでございます。
○米沢委員 かなり正確度が増すわけですから、実勢価格にかなり近い形で薬価改定が行われるというふうに考えてよろしいわけですね。 次に、薬価基準の改定等につきましても、たとえば九〇%バルクライン方式、その算定方式等々、いろんな提案がありますけれども、もうすでに検討せざるを得ない状況ではないかとか、あるいは二倍の法則等の原則をちょっといじる必要があるんじゃなかろうかとか、各方面から、算定方式そのものを従来のままにしながらただ実勢価格だけを掌握するのに一生懸命になるというよりも、算定方式そのものにもかなりの検討が加えられる時期ではないかという御意見がたくさんある。その点についての御見解をちょっと伺っておきたいと思います。
○石野政府委員 確かにいまおっしゃるように、その九〇%バルクの問題あるいは二倍の法則等につきまして御批判のあることは十分承知いたしております。私どもの基本的な考え方は、何よりもいままでの実勢価格の把握というのが自計調査に基づいたものでございますので、これを全面的に前後にやって、他計調査も入れて実勢価格を完全に、一〇〇%とは申しませんけれども、相当正確に把握できるという状態がまず必要だと考えたわけでございます。その上でなおかついろいろやってまいりました場合に問題が出てくれば、当然この問題についても検討を加えなければならないわけでございますけれども、何分このバルクラインの問題につきまして中医協でいろいろ御議論願った経緯もございますけれども、大変な混乱が起きた実情もございます。また、その二倍の法則にいたしましても、実はこれは中医協とは関係なしに厚生大臣の一つの考え方に基づいて実施いたしておるわけでございますけれども、これもいわば妥協の産物のような形でございまして、どれが一番いいのか非常にむずかしい問題がございますので、直ちにこれについて着手するという御返事を申し上げるのは非常にむずかしいわけでございますけれども、このまま放置できない、いろいろな意味で検討を加えて中医協で御議論願った方がいいという判断をいたしておるわけでございます。
○米沢委員 そういうように薬価基準の改定というのが大変国民の関心を持つ問題になってきた。そして、いままさに薬価改定が行われる時期になってきたにもかかわらず、残念ながら、先ほど公明党の同僚議員が取り上げましたように、いまだにあってはならない、医薬品メーカーが医療機関に対して添付薬品あるいは現金リベート商法というものをやっている、依然としてそれが横行しておる。五十二年の七月から五十四年六月の二年間に総額百二十億の金が全国約四万三千の医院、病院に流された、それも氷山の一角である、こういうことが報道されますと、これはちょっと薬価基準そのものが、皆さんが一生懸命やられても、もう最初からそれは不信感で見られる。こういう事件はそういうたちのものですね。そういう意味で私は非常に残念なことだ、そう思うのです。禁止されておるものがいまだに公然と横行しておる、それを厚生省は余りつかまえていない、これは問題ですな。 そこで、きょうは国税庁の方に来ていただいておりますから、新聞報道ではまだ定かじゃありませんので、国税庁の調査によってわかった分について、この不公正取引の状況がどういうものであったのか、同時に、どれくらいの商社あるいは卸屋さんを対象にして出てきたものなのか、あるいはその中に国立病院なんかが関係しておるのかどうか、その三点を支障のない範囲内で御報告いただきたい。
○西内説明員 お答えいたします。 新聞報道された資料の点でございますが、あれは国税局の調査課所管の製薬会社が支出をいたしました特定のリベート等の費用につきまして課税が適正に行われているかどうかを検討いたしますために、五十二年の七月から五十四年六月までの二年間にわたりまして延べ約百五十の法人について通常の税務調査の中で把握をしたものでございます。 資料は約十一万五千枚でございまして、その内訳は、添付薬品について約二万四千枚、現金リベートについて約六万三千枚、委託研究費について約二万八千枚でございます。これらの資料に記載されております金額の合計額は、委託研究費を除きまして約百二十億円となっております。 なお、国立大学も入っているかという御質問でございましたが、一部入っておるということでございます。
○米沢委員 実態についてはいままだ定かにはわかりませんが、ほぼ新聞の報道が裏づけられたかっこうになりました。 そこで、御承知のとおり、厚生省は四十三年三月に薬務局長通知で、こういうことはするといかぬという通知を出されております。あるいは特に四十五年の十二月には、中医協の決定に基づいて、添付やそれに類似する販売方法が行われている医薬品は薬価基準から削除する、こういうきわめて強い措置がなされたと私は聞いております。ところが、依然としてこのような不公正取引みたいなものが横行しておる。先ほど申しましたように、薬務局はその点について余り承知していない。これはやはり大きな問題だと言わざるを得ないのですね。しかし、過去を責めてもどうしようもありませんが、少なくとも通知が通知として履行されていない、このことを厚生省として、指導に当たられる立場としてどういうふうな御感想を持っておられるのか。同時に、こういう事件が発覚したということは、今後こういう事件は決して起こってはならないという明確な指導方針が出されねばならぬ。そういう意味では今後の対処方針も伺いたい。さらに、先ほどの答弁では国立病院の中でもこういうものが行われておるということですが、もし国立病院の、たとえばお医者さんや職員がリベートをもらうというような実態が明らかになったら、どういうふうな対処をされるおつもりですか。三点お伺いしたいと思います。
○山崎政府委員 薬務行政の立場からお答え申し上げます。 まず、今回国税庁当局の御調査によりましてのただいま述べられましたような内容、こういう具体的な事実関係について、私どもとしてはそれが事実であればまことに遺憾なことであろうと考えております。 従来から私ども薬価の問題といたしまして、添付とかリベートとかいうものは実質的にいわば一種の値引きにかわるものである、薬価調査に真実が反映されない、こういうことで、不適正なものとして業界に対して厳重に指導を行ってまいりまして、先生御指摘のようなことで、とりわけて中医協決定に基づきまして、三件の事例がございますが、薬価基準収載品目から削除するというような思い切った措置もとってきたわけでございます。なおまた、業界自身におきましても、いわば倫理コードの策定等を指導してまいりまして、こういう具体的な事例が判明すれば厳しい措置をとってくる、こういうことを重ねてまいったわけでございまするが、今回のかような事実、報道等を機会にいたしまして、業界に対してはさらに一段と厳しい姿勢で臨みたい、かように考えております。
○田中(明)政府委員 この問題は、第一義的には販売者サイドの問題であると医務局としては考えておりますが、添付、リベート等をなくするということは厚生省の従来からの方針でございますので、医療機関の側でもこれに協力すべき問題であるというふうに考えております。 なお、国立病院におきましてこういうようなことが行われておったという御指摘があったわけでございますが、厚生省の所管の国立病院につきましては、従来から厚生省の方針としての添付、リベート等の禁止ということにつきましては厳正な指導を行っておりますので、こういうことは行われていないというふうに私どもは思っております。もし万一そういうようなことが行われているということがございましたら、当然慣例、法規に照らしまして厳正に対処いたしたいというふうに考えております。
○米沢委員 質問の途中で時間が来てしまいました。医療費効率化の問題、検査づけの問題、指導監査の問題、技術料重点への診療報酬体系の改善の問題、出来高払いの改正の問題等、本来の保険料の問題についてもほとんど触れておりませんので、また後日に質問を保留しまして、時間が参りましたのでこれで終わりたいと思います。
○葉梨委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後一時四十六分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕