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91回国会衆議院1980/03/18

社会労働委員会 第5号

発言数
264
登壇者
13
会派数
4
開催日
1980/03/18

会議録

葉梨信行自由民主党・自由国民会議

○葉梨委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧野隆守君。

牧野隆守自由民主党・自由国民会議

○牧野委員 日本経済が今日大きく発展した基礎といたしまして、中小企業並びにそこに一生懸命働いていらっしゃる皆さんの大変な御努力、御功績によって今日の繁栄がもたらされたことは、すでに皆さん御承知のとおりだと存じますが、このたび当委員会で検討されることになりました中小企業退職金共済法の一部改正、退職金という問題を考えるに際しまして、公務員あるいは大企業では退職金の制度も十二分に完備いたしておりますし、またその金額も、中小企業に従属する従業員の皆さんの立場から見ますと大変うらやましい額でございます。しかも、第一次石油ショック以降の経済情勢を見ますと、倒産も非常に多うございまして、そこに働いていらっしゃる従業員の皆さんの立場から考えますと、何かと非常に不安な状態にあるわけでございます。特に昨今の経済情勢を見ますと、石油を問題といたしまして、自分の勤めている会社はどうなるのかな、事業はどうなるのかなと、身分が不十分であるがゆえに、口に出しませんが、非常に心配いたしていることも皆さん御承知のとおりでございます。  そういうさなかにおきまして、彼らから見ますと、この退職金というのは金額が非常に少のうございますけれども、非常に大きな支えになっているわけでございまして、未組織の給与の安い従業員の立場に立ってこういう法律が相当以前に制定されたということは、一つの社会制度として彼らの立場から非常にアプリシエートいたしておると思いますが、やはりいまも申し上げましたとおりまだまだ不十分でございまして、日本経済を支える根幹でございますので、私といたしましてはぜひともこの制度の充実拡充を心からこいねがうものでございまして、今回もそういう観点からさまざまな改正が盛り込まれているわけですが、ひとつ大臣にお伺いいたしたいわけでございます。  今日まで本制度の果たしてまいりました役割りと申しますか、また中小企業の皆さん、従業員の皆さんがどういうようにこの制度を評価しておりますか、こういう点につきまして、大臣の知っておられる範囲で結構でございますが、御所感をひとつお聞かせいただきたい、このように考えます。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 先生御指摘のように、この制度は中小企業に働きます従業員の福祉の増進、また中小企業の振興に寄与することを目的としておりまして、中小企業では一般に単独で退職金制度を設けることが、ずいぶん御努力になってきておられますけれども、なかなか困難だというような中で、この退職金制度は事業主の相互共済の仕組みと国の援助とによりまして設けられたものでありますことは、御高承のとおりでございます。  いま御指摘がございましたように、日本の経済が大きく発展を遂げてまいりました中で、中小企業が果たしております役割りは非常に大きなものがございます。しかも、それぞれ特色を持って一つ一つの企業の運営に当たっておられるわけでありますけれども、企業自身の発展を図ってまいりますことと、それから同時に、経営者は常に労働者の方々のことを考えて、福祉の増進を考えながら企業の運営に当たってきた、その中で非常に心配な福祉の中の非常に大きな柱であります退職金の仕組みが、この退職金制度によりまして、国と力を合わせて進んでいくような構えで今日まで取り組んでくることができたことにつきまして、中小企業界からは高く評価をされてきておるところでございます。  したがいまして、労働省といたしましても、この仕組みを非常に大事に考えて、従来その普及や充実改善に取り組んできたところでございますが、今回の改善を機にさらに一層関係者の皆さん方とともに中小企業の発展を図り、労働者の福祉を増進していくということを念頭に置いてやってまいりたいと思いますので、本法改正の御審議をぜひお進めをいただきまして、そういった喜びがさらに大きくなっていくように、委員各位の御協力をぜひお願いをしたい、このように考える次第でございます。

牧野隆守自由民主党・自由国民会議

○牧野委員 ただいま大臣から大きな柱でありますので、さらに普及改善を図りたいという御意向を賜ったわけでございますが、確かに制度といたしましては本制度が大きな役割りを持っていることは私ども十分承知いたしているわけでございますが、しかし、政府の統計で見ましても、その加入状況を見ますと、現在三十人から九十九人規模の企業で約一〇%弱ということでございますし、また十人から二十九人規模の企業では約四分の一の二五%程度の企業がこの退職金制度を利用している、こういう状況を拝見いたしますと、大きな役割りであるがゆえに、もっともっと積極的に加入を促進することができないものであろうかと実は常日ごろ考えているわけでございます。  この加入促進に対しまして、現在県あるいは団体等を通じて促進いたしておるように承知いたしておりますが、直接中小企業の経営者を所管すると申しますか、彼らにいろいろな情報サービスを提供いたしております商工会議所あるいは商工会というものをもうちょっと御利用になったらよろしいのではないかというのが私の偽らざる気持ちでございます。と申しますのは、これは中小企業の経営者に、本当に従業員を大切にしなければいけないなという気持ちがあって初めて加入しようという気持ちになるわけでございまして、こういう経営者の集まっている団体で、これをしたらいい、あれをしたらいい、こうなったら、税制の面ではある程度の恩典があるし、政府の補助もあるんだ、これらの団体は地域ぐるみでございますから、隣がやったらわしも一緒にやらぬとちょっと体裁が悪い、田舎でございますからこういう気持ちもあります。こういう経済団体を積極的に利用するということをもっと考えられないであろうか。あるいはああいう団体が生命保険等をやっているわけですが、こういう団体を利用する場合に、もうちょっと手数料をやりますと、自分の団体としては手数料が入るのだからもっと積極的にみんな勧誘しようじゃないか、こういうこともあるわけでございまして、現在どういうチャンネルを通じて加入促進をしていらっしゃるか、この辺についてお伺いし、また地域のそういう商工団体を積極的にお使いになる意思があるかどうか、この辺についてお伺いいたしたいと思います。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 ただいま先生仰せになりましたように、現在、一般の中小企業退職金制度に加入している事業主は約二十一万企業、それから被共済者は百七十三万人に達しているわけでございます。これが全体の中でどのくらいのウエートになるかということでございますが、現在そういった企業規模別の企業者数とか労働者数に対する的確な統計はございませんので、正確には申し上げがたいのですが、総理府の事業所統計調査によりますと、全体の中小企業者の数がわかりますので、それと比較しますと、約一割程度ということでございます。  この制度への加入促進につきましては、従来から毎年十月は加入促進月間というふうにいたしまして、いろいろ広報活動、テレビ、ラジオ等を使ったりあるいは各種の説明会を開催したり、あるいはそれぞれの要所に相談員を設置しておりますので、そういった人の活用、あるいは都道府県の関係機関、事業主団体、それから業務委託をしている金融機関、こういったところとの連携強化のもとに、いろいろ強化を図ってきたところでございます。  ただいま先生御指摘の商工会議所等の事業主団体につきましては、本制度の加入について大変いろいろ御協力をお願いしているところでございますし、また大変小規模ではございますが、現在、地方、地域のそういった団体につきましても、加入についての意向調査といったようなこととあわせまして、普及促進のための業務委託を行っている、こういうような措置もとっております。  いずれにしましても、先生御指摘のような個々の事業主と密着しております各種事業を行っている事業主団体について、いろいろ活用を図っていくことは大変大事なことと思いますので、そういったことをぜひさらに進めてまいりたいというふうに思います。  そのほか、先生のおっしゃっているいろいろな方法につきましても、なおそういった点についていろいろ検討しながら、強力にPR、加入促進に当たってまいりたいというふうに考えております。

牧野隆守自由民主党・自由国民会議

○牧野委員 次に、本制度の普及促進につきまして、さらにもう一つお伺いいたしたいわけです。  現在、地方公共団体、都道府県等でプラスアルファいたしましてこの制度を促進しているというように聞いております。これは中小企業の立場から見ますと非常にありがたいことでございまして、しかも、それぞれの地域の中小企業の発展と申しますか、従業者の地位の保全と申しますか、こういう点から非常にありがたい制度をとっていただいているわけでございまして、こういう制度も本省といたしまして、中央といたしまして、さらに積極的に奨励していただきたい、こういう気持ちがあるわけでございますが、その点についてはどのように考えておられますか、お伺いいたしたいと思います。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 いま先生が御指摘になりました、地方公共団体が、この制度に入っております事業主に対して援助措置をしている例がございます。現在のところ、三県、九十九市、四十四町、四村、百五十の地方公共団体でこのような援助措置が行われているところでございます。措置の内容は、加入後一年ないし三年程度の期間につきまして掛金の補助をする、特に小規模の事業主などを重点にしながら補助をするという制度が多いわけでございます。このような補助の制度は制度の普及にとって望ましいことでございますので、現在中小企業事業団が地方債を引き受けますときには地方公共団体に加入促進の計画を提出していただくことになっております。その中にもこのような奨励金の導入について御検討いただくというようなことも含めて、その計画の策定をお願いしているところでございますので、そういう方途も通じながら、このような援助措置が各地方公共団体の実情に合わせながら、より多くの地方公共団体でとられるように努めてまいりたいと考えております。

牧野隆守自由民主党・自由国民会議

○牧野委員 次に、今回の法改正の内容について二、三お伺いいたしたいと思います。  第一に、今回の掛金月額の引き上げ問題でございますが、今回はその月額を一・五倍に引き上げる、このようにいたしておりますが、どうも最近の経済情勢を見ますと、従業員の立場から見ますと、不安定であるがゆえにより多くの退職金をこいねがうことは当然でございますし、片方事業主の立場から見ますと、公定歩合も上がるし、コストアップも激しいし、非常に迷うところだと考えられるわけでございまして、私自身も、どの程度が一番適当かという計算はなかなか出ないわけでございます。今回一・五倍とされたわけでございますが、この辺はどのようにお考えになって、こういう一・五という倍数をお出しになられたか。退職金負担、経営者の立場から見まして適当と御判断になったのかどうか。その辺の事情をひとつ御説明いただきたいと思います。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 この制度は、法律によりまして五年ごとに掛金、退職金の額等について見直しをすることになっております。前回この法律が改正されましたのが昭和五十年でございます。本年ちょうど五年目に当たるわけでございますが、前回の改正時点、昭和五十年当時の賃金、退職金の水準と現在の水準を比較いたしますと、双方とも約一・五倍ということに相なっております。そのような事情を勘案いたしまして、この法律で定めております掛金の最低額、最高額をそれぞれ一・五倍アップにしたというのが掛金引き上げの理由でございます。  ただ、中小企業者の負担といたしましては最低掛金の層につきましては今回の引き上げにおきまして千二百円に引き上げることになるわけでございますが、掛金の幅の中でどの金額を選択するかということは、各企業におきまして企業の負担能力等を勘案しながら選択をするということに相なってまいろうかと思います。前回の引き上げにおきましても、前回は四百円から八百円という、二倍の引き上げが行われたわけでございますけれども、その引き上げの状況を見ますと順調に推移をいたしております。今回におきましても引き上げは順調に行われていくと考えております。

牧野隆守自由民主党・自由国民会議

○牧野委員 現在のこういう財政のもとにおきまして国庫補助の大幅な増額はなかなかむずかしいという事情はよくわかるわけでございまして、そういう客観情勢から考えまして、事業主の共済事業という観点から、資産運用の効率化は非常に大切な問題だと考えられるわけでございます。特に給付改善に対して十二分の効率的な努力が必要と考えるわけでございますが、この点について具体的にどのようにされようとするのか、お伺いをいたしたいと思います。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 この制度は、事業主の掛金を基礎として退職金を給付するというのが基本的な仕組みでございます。掛金とその掛金を運用した利息に国庫補助をつけて給付をするということでございますので、資産の運用状況はこの中退制度の収支を健全にするかどうかというポイントでございます。この資産の運用につきましては、このような多くの人に退職金を公的な機関が支給するということでございますので、安全効率的な運用を原則としながら、できる限り中小企業者あるいは従業員の福祉に貢献するような資金の使い方をするようにというふうに法律でも定められておるところでございます。そのような観点から、資金の運用につきましては、商工債を中心とする金融債あるいは運用部資金への預託等あるいは事業主への還元融資というような形で運営をしておるところでございます。現在までのところ、この運用は順調にまいっておりまして、収支の状況はさしたる問題はないということでございます。

牧野隆守自由民主党・自由国民会議

○牧野委員 この資金の運用に関しまして、四十四条第一項第二号によりまして、健康、娯楽または教養のためのいろいろな施設の設置、運営等ができることになっておりますが、中小企業の経営者の立場から見ますと、やはり従業員のためにいろいろなレクリエーション設備その他もしたいということでございますし、従業員の皆さんも、おやじはこうやってくれるか、わしらも利用しようじゃないかということで、励みにもなるわけですが、この辺の設置、運営の状況はどのようになっておりますか、御説明を賜りたいと思います。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 四十四条の二号で、事業団の行う業務といたしまして、「保健、保養又は教養のための施設の設置及び運営を行うこと。」ということが規定されております。現在、中小企業退職金事業団におきましては、このような施設は特に持っておりません。

牧野隆守自由民主党・自由国民会議

○牧野委員 法律によりまして、そういう設備を設置して従業員の皆さんのために少しでもという形になっておるわけですが、聞き及ぶところによりますと、ほとんどやっていないということでございまして、それはいかなる理由によって実施されていないのでございましょうか。私どもあちこちへ参りますと、大きい会社だとか公務員はいっぱい寮だとか持っているわけですが、残念ながら中小企業の皆さんは普通の高いところへ行かなければならぬという状況でございます。何か特別な理由があって設置されていないのでございましょうか。もし、何か大きな問題があるとすれば直さなければならないと思いますが、その辺の御所見を伺いたいと思います。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 このような施設は現在持つに至っておりませんが、その理由は、これらを設置、運営いたしますもとは、やはり事業主から掛けていただきました掛金でございます。掛金の運用の一つの形としてこのような事業を行うことができるということでございますが、先ほども申し上げましたように、退職金給付の基礎となる原資の運用の形でございますので、このような施設を設置し運営することが共済の財政上適当であるかどうかという観点から見まして必ずしも自信が持ち得ないということで、現在のところはこのような施設は持っておらないということでございます。

牧野隆守自由民主党・自由国民会議

○牧野委員 こういうところが私自身も実はさみしいなと思っておるところでございます。中小企業に従事される皆さんは、学校を出て就職するときにはやはり役所だとか大きい会社に行きたいけれどもどこも行くところがないから、しょうがなく中小企業に勤めざるを得ない、類推いたしますところ、こんな気持ちで就職していらっしゃる方が非常に多いわけでございます。自分はどういう会社へ勤めてもここで一生懸命働いているのだと堂々と、晴れがましく主張してほしい、いかなる職業であろうともこれは神聖でございまして、しかも日本経済の大きな原動力になっていることを考えますと、どうしてもそういう皆さんに誇りを持って働いていただきたい。これが今後の日本の発展の大きな基礎になるわけでございまして、小さいことでございますが、こういう面におきましても、われわれの仲間にもこういうのはちゃんとあるのだ、何も大企業に遜色はないじゃないか、そういうところまで積極的に配慮していただけないか。これと同じような組織で、たとえば公務員の場合はいろいろなところに施設を持っておりますし、大会社にもあることは皆さん御承知のとおりでございまして、ぜひとも財政措置等も講じていただきたい。確かにいまの加入状況から見ますとなかなか大変だということはよく承知いたしておりますが、中小企業全体から入ってくる税金総額を考えますともう大変な額でございまして、その大きな力が従業員の皆さんでございますから、ぜひともそういう配慮をしていただきたい、これは私のお願いでございます。  次に、そういう観点からこの制度を考えますといろいろなところに波及してくるわけでございまして、あれもしてほしい、これもしてほしいといろいろ出てくるわけでございますが、今後人口構成の高齢化が急速に進展することを考えますと、本制度についても老後の生活安定の面での機能を充実するということを考える時期に来ているのではないか。もちろんほかの年金制度等といろいろ相互関係がございますが、本制度におきましても退職一時金のほかに年金を支給するというような基本的な性格の変更も検討すべき時期に来ているのではないかと考えるわけでございますが、これは基本的な問題でございますから、大臣から御所見をぜひ賜りたいと存じます。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 先生御指摘のように、中小企業退職金共済制度は、一般の退職金制度の動向に即しつつ、その内容をさらにいろいろ充実をしていくように努力をしていきたい。そしてさらに、関係者が魅力のある制度としてこの制度になじんでいくように、いまいろいろ御希望のございましたこと等も十分念頭に置いて今後取り組んでいかなければいかぬ。先ほどから御質疑をお伺いしておって、そんな感じに浸っておるところでございます。  御指摘の年金制度の導入等につきましては、非常に貴重な御提言でございますが、基本的な問題につきましては制度的、技術的にいろいろむずかしい問題もございます。しかし、審議会におきましても今後の検討課題としていくようにいろいろ建議等も受けていることでもありますので、物価スライドの問題や年金制度の導入の問題などにつきましては、御指摘のように基本的な問題でありますけれども、基本的な問題だけに今後どう構えていくか、少し時間をかけて検討を進めていきたい。しかし、ただ調査研究しているだけではなくて、前向きにほかの退職金制度等の動きも見ながら検討を進めていくようにいたしたい、このように考えておる次第でございます。

牧野隆守自由民主党・自由国民会議

○牧野委員 次に、特定業種退職金共済制度について一、二御質問いたしたいと思います。  労働大臣の指定する業種に働く期間雇用者を対象とする制度、現在は建設業と清酒製造業、この二業種にすぎませんが、労働大臣のこの業種指定はどのような場合に指定されておりますか、その辺の事情をお伺いいたしたいと思います。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 特定業種退職金共済制度は、いわば業界退職金制度でございます。そこで、特定業種とはどういうものを言うかということでございますが、その業種の従業員の相当数が期間雇用者で、常態としてそれらの業種内で多数の事業主の間を移動して就労する、そういうような業種を労働大臣が指定をするということになっております。この特定業種の指定は、そのような特定業種の事業を営む事業主などの相互協力体制というものが必要でございますので、その業種の相当数の事業主が特定業種退職金制度に加入をし、実効ある制度として円滑に運営されるということが必要になるわけでございます。  具体的には、その業種に属する事業を営む中小企業者の過半数がこの制度に加入する見込みがあるということのほか、この業種について本制度を適用することについて労働者の福祉対策、雇用対策等の観点から見た必要性というものを考慮しながら大臣が指定をするということになっております。

牧野隆守自由民主党・自由国民会議

○牧野委員 ところで、私の選挙区で、林業関係の皆さんからぜひこの制度を適用してほしいという要望が非常に強いわけでございます。  林業の実情を見ますと、確かに季節性が高いということもありますし、常用でないということもございます。そういう状況でございまして、他方、高年齢化が進んでおりまして、林業従業員で優秀な若い従業員を確保することは非常にむずかしいという状況でございまして、そういう観点からいま申し上げましたように、林業界におきましてもぜひこの共済制度を適用してほしいという希望が強く出されている次第でございます。林業の振興が大切だということは、これはもうどなたも御異存のないところでございまして、こういういろいろな観点から、その従業員の福祉対策といたしまして国の援助も求めましてこの制度の適用が行われるべきだと一応考えられるわけでございますが、労働当局ではこの林業につきましてどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いをいたしたいと思います。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 特定業種の退職金共済制度につきましては、先ほども申しましたように、短期間に職場を転々と移動する期間雇用者を対象としているわけでございまして、その当該業種に属する事業を営む大部分の事業主の方が熱意を持ち協力をする、こういうことが一つの前提となっているわけでございます。  現在、林業者の間にこの特例による退職金共済制度を設けようという先生のお話もございましたが、そういった機運のもとで、五十三年度から林野庁におきまして林業労働者にかかわります退職金共済制度の適用を促進するために、そういった環境整備、助成といったようなことでいま対策を行っているというふうに聞いております。したがいまして、そういった推移を見ながら、また先般の中小企業退職金共済審議会におきましても、林業を特定業種として追加することについて今後引き続き慎重に検討すべきである、こういうふうに言っておられますので、そういったことも考慮に入れながら、今後関係機関との連携を密にして慎重に検討してまいりたいと思っております。

牧野隆守自由民主党・自由国民会議

○牧野委員 最後になりますが、中小企業の従業者に対しましてどのような労働改善を望んでいるか。五十三年度の中小企業白書によりますと、何と言いましても賃金の引き上げ、これはもう七一%、お金をよけい欲しいということは当然でございますが、それに次ぎまして三八%の方々が積極的に退職金、年金制度の充実、これを強く求めているわけでございまして、ただいま審議されておりますこの退職金制度は、非常に大きな願いが中小企業の皆さんの中に込められておりますので、先ほど大臣から年金制度の検討についてもありがたいお約束を賜ったわけでございますが、ぜひともさらに充実をお願いいたしたい、このようにお願いをいたす次第でございます。  次に、直接この退職金制度と関連いたしませんが、一つ関連いたしまして御質問をさせていただきたいと思います。  それは、先ほども申し上げましたように、最初から中小企業に勤めたいという気持ちを持って勤める方が非常に少ないという実情でございます。これは大企業等と違いまして、六十まであるいは六十五まで勤めまして年金をもらって、それで自分の人生と申しますか、働く大半をその企業に勤めたいという気持ちはほとんどない方でございまして、何年勤めようか、何十年勤めようか、こう考えてお勤めになる方はほとんどないということでございます。他方、中小企業の特徴というのは、経営者と本当に一体でございまして、全官公とかあるいは同盟等々ありますが、ああいう労働組合をつくって経営者とやんやんやり合うというところでもない、それがなじまないところでもあるわけでございまして、そういう観点から言いますと、労働者の皆さんはいずれ自分の力と申しますか、技能と申しますか、これを五年、十年間みがいて、よしまた一人前になってやろう、これくらいの気概の方がいっぱいいらっしゃるわけでございまして、単に退職金だとか年金ということ以上に、職を学んでそこから独立していくという、こういう積極的な気概を制度的にもっと促進すべきじゃないか、これがまた一生懸命働くという彼らの支えにもなるのではないか。仕事のあり方につきましても、一つの大きな作業工程の一こまとして一生涯働くのじゃなくて、あらゆる分野を勉強して一人前になっていこう、こういう気持ちをぜひ促進しなければならない。また、そうすることが個人の創意に基づく個人事業者を積極的に育成いたしまして自由社会の基礎をつくる、こういう考え方、実は中小企業に働く従業員の皆さんにそういう気持ちを持って働いていただきたいというのが私の念願でございまして、現在労働省では、技能士と申しますか、いろいろ技能を判定いたしまして、あなたはこういう技能があります、これだけの技能があればどこにでも自分の職能と申しますか、技術を堂々と人に対して主張できるというすばらしい制度ができているわけですが、さらにそれを一歩推進いたしまして、そういう方が自主独立できるような経済的な支えと申しますか、中小企業に働く方々は資産がなくてやはり働かざるを得ないという立場にあるわけですから、そういう方々を支える制度、一部にのれん分け金融という制度が行われておりますが、まだまだでございまして、ぜひともこういう制度の確立を心から実はお願いする次第でございます。  たとえて申しますと、建築士の資格を持っていらっしゃる方は、自分で五年間勉強したら一人前になろう、あるいは自動車の整備におきまして整備士の資格を持ったら、資産はないけれども十年間働いたのだからちゃんと資金的に政府金融機関を通じて応援してくれる、いわゆる独立するための融資制度というものをぜひお考えいただきたい。現在の国民金融公庫を通じてのれん分け制度の融資制度が行われておりますが、あるいは所管が違うかもしれませんが、もしおわかりでございましたらどういう実情にあるかということを御説明賜り、融資の希望があっても融資できなかった、あなたはだめだという場合が非常に多かったかどうか、こういうこともお聞きいたしたいし、さらに、いま申し上げましたように、一般的に中小企業の従業者の方で本当に技能士制度等々で認められた方については、いまの単なる設備融資でございますと七年ということじゃなくて、もう少し十年ぐらいの融資期間、あるいは政策金利として低利長期の金融制度をぜひお考えいただきたい。これは日本の一つの社会制度としても基本的に大切なことでございまして、あわせて、こういう制度の新設につきまして、これは労働者の従業員の皆さんを助けるという立場から積極的に考えていただきたいのですが、当局の御意見を賜りたいと思います。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 先生御指摘のように、中小企業に働く従業員の方が将来に希望を持って仕事をしていただくということは大変重要なことであろうというふうに思うわけでございます。そこで、先生御指摘の国民金融公庫での融資の件でございますが、所管外のことではございますが、承知をしておるところを申し上げますと、中小企業の従業員で一定の条件を満たして独立開業しようとする者に対して独立開業貸し付けという制度がございます。融資額につきましては、運転資金につきましては千五百万、設備資金については千八百万以内ということでございます。利率は現在八・二%でございます。なお、五十三年は貸付枠五十億に対して四十三億五千九百万円の実績があるというふうに承知をいたしておるところでございます。  この融資制度の拡大充実等につきましては、私どもの方から先生の御意見の趣旨も含めて関係省庁の方に働きかけてまいりたいというふうに思っております。

牧野隆守自由民主党・自由国民会議

○牧野委員 これで時間が参りましたので、私の質問を終了させていただきますが、特に大臣にお願いいたしたいことは、先ほど申し上げましたとおり、賃金上昇のほかにこういう退職金、年金制度の整備拡充が中小企業従業員の最大の願いでございますので、今後経済がどのように変動するか、非常に不安な状態にございますが、安心して働くことができますようにこの制度拡充にぜひ御努力を心からお願いいたす次第でございます。また、最後に質問いたしましたように、どうしてもやはり独立して働こうというこの気持ちをぜひ尊重してやるためのいろんな制度をお考えいただきたい。二つお願いいたしまして私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。

葉梨信行自由民主党・自由国民会議

○葉梨委員長 次に、佐藤誼君。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 それでは、まず最初に、中小企業における中退金制度の普及状況はどうか、特に規模別、産業別にその内容をお聞きしたいと思います。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 中小企業退職金事業団に加入いたしております企業は現在二十一万企業でございます。この制度の対象になります全体の中小企業に対する割合で見ますと、約一割を若干切っておるというところでございます。  規模別、産業別の状況でございますが、加入率の基礎となります事業所全体の数を的確に把握する資料がございませんので、事業所センサスを基礎といたしまして推計した数を母数にしながら申し上げてみたいと思います。百人から二百九十九人のところでは、中退の加入企業数が千三百三十二、加入率九一五%、三十人から九十九人のところでは、加入企業数一万四千二百四十五、加入率一八・〇%、十人から二十九人のところで、加入企業数五万八千八百三十九、加入率二二・〇%、五−九人で加入企業五万七千五百三十五企業、加入率一五・三%、一−四人のところで、企業数七万八千二百七十六、加入率五・三%ということになっております。  また、産業別で見ますと、製造業等につきましては、企業数が十一万八千五百六十五、加入率一三・七%、小売業、卸売業合わせまして、加入企業数六万六千百七十四、加入率七・二%、サービス業につきましては、加入企業数二万五千四百八十八、加入率五・九%ということでございます。  総体といたしましては加入率九・五%ということでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 いま規模別、産業別とありましたけれども、全体で見ると加入率九・五%、つまり一割未満ですね。これは制度の趣旨から言うと加入率がきわめて低いと思いますが、どう考えますか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 かねてから中退制度に対する加入促進については各般の努力をいたしておるところでございます。対象の事業所における退職金の設置状況を見ますと、全体としては九二%の企業におきまして退職金制度を持っております。したがいまして、問題になりますのは、規模の小さいところ、あるいは業種といたしましては、卸売、小売、サービス等の業種が問題であろうと思っておりますが、それらについては、それらに即応したような加入促進対策を今後講じてまいりたいと考えております。結論といたしましては、決して満足すべき状態ではないと思っております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 決して満足すべき状態でない、そのとおりだと思うのですが、この制度は二十年以上たっていますね、二十一年ですか、二十一年たっているのですけれども、一割弱という状況ですね。これはいまも話があったように、加入状況がすこぶる悪い、しかも二十年たってこういう状態だということを考えますと、これはなにな言い方ですけれども、労働省は本気でこの制度の普及を考えているのかどうか疑問を抱かざるを得ないような状況だと思うのです。その点をどう考えるのか。さらに、いまも若干ありましたけれども、今後普及についてどのように具体的な施策を考えているのか、この辺をお聞きします。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 全体の普及率は先ほども申しましたような状態でございますが、角度を変えまして、一般の退職金制度の普及状況との関係でまいりますと、発足したのは三十四年でございますが、三十一年当時の調査におきますと、百人から四百九十九人の企業で八二・七%、三十人から九十九人の企業で五六・四%というように民間におきます退職金制度が普及しておったのでございますが、それが五十三年に、これはまた別な調査になりますが、やはり労働省で調査した退職金制度のある企業を見ますと、百人から二百九十九人の企業で九七・三%、それから三十人から九十九人の企業で八九・六%というようになっております。特に小規模の方の三十人から九十九人の層では、三十五ポイント、その間普及率が高まっている。そういった全体の退職金制度の普及の中で本制度に加入している三十人から九十九人の企業が一八%ということでございますので、決してそれほどよろしいというわけではございませんが、少なくとも全体の中で占めている割合から考えますと、かなりの役割りを果たしてきているのではないかと考えられるのではないかと思います。しかし、先ほど部長からも申しましたように、必ずしも満足すべき状態ではございませんので、それについての加入促進を図るべくいろいろ努力をしなければならぬと思いますし、また現在までの状況を見ますと、毎年十月には加入促進月間ということで全国的に集中的な加入促進運動を実施したり、あるいは加入促進功労者に対します表彰を通じて、そういった点のPRにも努めておる次第でございますし、また実際の出先としました地方公共団体の関係もございますので、地方公共団体がいろいろ各事業主団体等に対しまして掛金の一部助成をしたりあるいは加入相談、説明会等をやっておりますが、そういった点をさらに促進させていくとか、あるいは業務委託を行っております金融機関に対しましても計画的な加入促進を図って一つの目標を定めてやるような仕組みも考えてまいりたいというふうに思っておるような次第でございます。  いずれにしましても、十人未満の小零細企業あるいは商業、サービス業につきましては相対的には加入は低いわけでございますので、そういった点についてもいろいろ努力してまいりたい。また、今回の改正につきましても、従来からそういった層からいろいろ御要望のあった点を加味しまして取り入れた形をとっておりますので、こういったことを通じましてさらに促進していかなければならないというふうに感じている次第でございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 いままで努力をしてこなかったということは言いませんが、またいま具体的にこうするという抱負はもちろんあるでしょうけれども、しかしいま発表になった数字を見ると、規模別で見ると一人から四人、最も小さいところ、これが全体二百二十一万対象事業所のうち百四十七万九千事業所あって、半数以上ここに集中しているわけです。しかも、この加入率が五・三%ですね。この本来の制度の趣旨からいって、最も小さい規模のところが加入してもらわなければならぬと思うのですよ。ところが、・二十年たっても五・三%ということでは、いままで努力をしてこなかったなどとは言いませんけれども、それにしても効果が上がらぬのではないか。したがって、この辺のところを、業種で言うならば小売やサービスということになると思うのですけれども、この辺はこれから本気になって取り組まないと制度本来の制定した趣旨がどうなるのかという行方が危ぶまれると思うのです。したがって、その辺の対策を労働大臣からひとつ抱負をお聞かせ願いたい。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 一般的に加入率の低いことについていま御指摘がございまして、また政府委員からお答えをしたところでございます。特にその中でも、御指摘のありました十人未満の非常に規模の小さい企業につきましてはきわめて低い数字になっておりまして、今回正直なところ、改正するにつきましてそういったこと等も将来のいろいろな議論をいたしまして、今後強力に加入の勧誘に努めていかなければならぬ、そういった話し合いをいたしておるところでございます。特に小さい規模の事業につきますと企業数も非常に多うございますし、また経営の基盤も非常に不安定なものですから、長期の退職金の制度などということになかなか入りにくいといった事業主の側の事情もございます。しかし、こういった規模の小さい事業所で働いておられる方々の生涯にわたっての非常な安定をもたらしてまいりますための退職金の役割りというのは非常に大きなものがございますし、そういった生涯計画を立てていただいて、気持ちよく中小企業で働く。零細な企業、零細という言葉は余り私好みませんけれども、規模の小さい企業で働くという方々の気持ちというのはやはりこういった制度をどんどん活用してもらいたいという労働者の非常に強い御希望のあることもまた伺っているわけでありまして、そういったこと等を考えまして、先ほど来申し上げておりますように、いろいろな形を駆使いたしましてこの制度の周知徹底をまず図る、そしてそのことによって中小企業の労働者の福祉を増進する、そしてひいてはそれが中小企業の経営の安定に非常に大きく貢献をしていくんだ、また国の面から見ますると、そういった中小企業の真に経営の安定なくしてわが国の経済の安定も成長もないわけでございますから、日本の経済の根っこのところを固めていく、すそ野の広い根っこを固めていくという意味でも非常に大事な中小企業対策としてもっと打ち出していかなければいかぬ、このように考えておる次第でございまして、なお今後通産省などとも十分連携をいたしましてこの制度の普及に努め、加入を促進していくようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 いま大臣から答弁があったわけですが、重ねて私の方から要望しておきたいのですが、全体的に加入率が低いことももちろんですけれども、いま指摘しましたように、規模の小さいところが落ち込んでいるわけです。したがって、この点は格段の努力をしてもらいたいし、また全体的に加入率が低いといいますか、これは制度が幾らりっぱであり、改善されていったって普及しなければしようがないので、画竜点睛を欠くと思うのです。私は、この点は中退金制度の最もネックの問題であり、最大の課題ではないかという点を指摘しておきます。  それでは次に、この加入率が低いということはいろんな要因が考えられると思いますけれども、この制度そのものに魅力が乏しい点があるのじゃないかということ、それからもう一つは、いま大臣は宣伝普及に努めていると言いましたけれども、その普及のあり方にもやはり問題があるのじゃないか、こういうことを考えるわけなんでありまして、そういう観点から一、二お聞きしたいのです。  一つは、給付の点で中退金の平均掛金額、どのくらいになっておるかちょっとわかりませんけれども、平均掛金額による退職金と、それから民間三百人以下、高卒の退職金、これを比較した場合どうなるか、具体的金額で示してもらいたいのです。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 現在の掛金の平均は約三千五百円でございます。三千五百円の掛金を掛けました給付でございますが、十年のところで六十六万四千五百四十円、二十年で百九十二万二千円余、三十年で四百十三万という数字でございます。     〔委員長退席、山崎(拓)委員長代理着席〕  民間の退職金でございますが、五十三年の退職金制度調査におきますモデル退職金を見てみますと、規模では三十人から九十九人でございますが、高卒では十年で六十六万、二十年で二百二十三万、三十年で四百五十五万ということになっております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 中退金の方は現時点、改定された後の数字だと思うのですが、そうですか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 おっしゃるとおりでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 民間の三百人以下、高卒というのは五十二年ですね。そうしますと、比較をする場合にそれから約二年たっているわけです。そうしますと、この時点では中退金、それから民間の高卒、十年で六十六万ということですから大体合っていますけれども、二年間たっているとすると、たとえば五十四年の春闘で中小企業に働く労働者の賃上げが大体六・五%、それから今回の五十五年春闘でどのくらいになるかわかりませんけれども、まあ八%ぐらいと言われている。そうすると、五十三年から大体一五%近く賃金水準は上がる。そうなりますと、まだ計算していませんけれども、十年の部分についても二十年にしても三十年にしても、これはかなり額の差が出てくるということは同時点で比較されるのじゃないでしょうか、その点どうですか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 春闘におきますベースアップの状況が退職金にどのような率で反映をしていくか、これはなかなか推計のむずかしいところであろうかと思いますが、先ほど申し上げました数字につきまして、春闘の状況等を反映してモデル退職金が引き上げられることは予想されるところでございますので、三千五百円の掛金層と高卒のモデル退職金を比較いたしますと、現時点では三千五百円の掛金層というのは給付としては若干落ち込んでおるのではないかというふうに想像されるところでございますが、中卒層に見ますと、三千五百円層のところでおおむね民間の退職金に匹敵する給付が行われるということになるのではないかというふうに思っております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 そこで、いろいろな比較があると思いますが、いまの中退金の二十年ですと百九十二万、それから民間企業、三百人以下、高卒、二十年、これを仮に五十五年で推計してトータルで一五%としますと、大体二百五十六万に推計でなるのですよ。そうすると、片や百九十二万、片や二百五十六万。こうなりますと、やはり受け取る方は、学校を卒業して同じような勤務をしているわけですから、これは大変な違いということにならざるを得ないわけです。ですから、今回も給付の改善をされてきていることは、これはそのとおりなんですけれども、このように実態を比較するとまだまだ魅力ある制度にするためにはやはり給付を引き上げていかなければならぬということが実態の上から推定できるのじゃないか。したがって、改善については私もそれなりに評価をいたしますけれども、今後普及率を高め、魅力ある制度にするためには、しかも実効を上げるためには、この辺の給付の改善ということをもっとやっていかなければならぬのじゃないかというふうに考えますが、どうですか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 先生御指摘の観点から、今回の改正におきましては掛金の最低、最高額をそれぞれ五割アップし、それに対応いたしまして国庫補助の増額も図ったところでございます。  最低、最高につきましては以上のようなことでございますけれども、その幅の中におきます掛金の増額につきましては、現在の実績で見ますと、大体年一〇%程度掛金の増額措置というのが講じられておりますし、また中小企業退職金共済事業団の加入促進等の普及資料におきましても、民間の退職金の事情を説明しながら、このような掛金を掛けたらこれくらいの金額になるというようなPR資料もつくっておりますので、いろいろな方途を講じながら適正な掛金になり、できるだけ多くの退職金が中小企業の従業員に支払われるような形を今後努力してまいりたいというふうに考えております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 それじゃ、普及のあり方の問題で質問いたしますが、これはずばり労働大臣に私は考え方を聞きたいのです。  先ほど普及のあり方あるいはこうしたいということについてはそれなりの考えを出されたのですが、私は、いまの普及のあり方がやや事業団任せになっているのじゃないか。言うなれば、非常に不適切かもしれませんけれども、事務的な扱いの域を越えていないのじゃないか。したがって、これはもっと意欲的に関係者が努力していかないと改革できないのではないかと思うのですよ。したがって、その具体的な方策として、たとえばですが、加入達成の年次目標を立て、そして普及促進を行っていって審議会に定期的に報告するというようなシステムをとっていってはどうか。それからまた、事業団任せという言葉は不適切ですけれども、そういうやり方だけでは効果が上がらぬのではないか。関係者、つまり共済の契約者とかあるいは被共済者とか、当事者を含めてこの制度の普及宣伝を図るような、仮称ですが運営協議会を設けるとか、何か新たなる方途をこの辺で考えていく必要があるのじゃないかというふうに考えますが、その辺の考え方について労働大臣。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 普及について建設的な御提案をいただいたわけでありますが、年次計画を立てて普及に努めよというお話でございます。中退制度の加入の促進対策につきましては、中退事業団などはもとより、関係行政機関また業務委託金融機関、事業主団体などと協力連携をいたしまして、有効適切な方法によって従来も推進をしてきておるところでございますが、どうも私も率直に言ってやはり普及率は非常に低い、加入率が低い。それは普及を促進する段取りというか、やり方というか、非常に行き届かぬところがあるのではないか。受けとめる方の中小企業者の方にもいろいろ問題を抱えていることは事実でございますけれども、なおもっと親切にかつ強力に行政指導をしていくという姿勢をとらなければいかぬというふうに痛切に感じておるところでございます。  年次計画の策定につきましては、これらの加入促進等の活動を総合的にかつ効果的に行うという観点から、この際前向きに検討させていただきたい、このように考える次第でございます。  また、関係者の意見をもっとよく聞けということでございます。いろいろと関係機関の御意見も聴取しながら従来も進んできておるところでございますけれども、今後とも御趣旨に沿ってなお幅広く各方面の御意見を聞きながら進んでいくという姿勢を堅持して今後の努力を重ねていきたい、ごく一般的にはそのように考えておる次第でございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 大臣から前向きの答弁がありましたので、次に進みます。  次は、国庫補助の関係ですが、本制度で退職金の給付に対して国が補助しているという、その理由は。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 現在この制度におきましては、最低掛金に対応する給付について国庫補助を行っておるところでございますが、その考え方といたしましては、中小企業の従業員に対してできるだけ多くの退職金を支給し、この制度を魅力あるものにして加入の促進を図っていこうという趣旨に基づくものでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 いま答弁のあったことも含めて、実質五年に一度ですか、経過から見ると改定されているわけですね、これは率直に言って実情に合わないのではないか。この理由は言うまでもなく物価の上昇、賃金の上昇、いろいろ考えられますね。そういう言うなれば貨幣価値の変動のある中で制度だけが五年間改定が据え置きされているということになりますと、その中間に位して退職する人は不利な状態で退職金をいただかなければならぬということもあると思うのですね。ですから、この際退職金水準の実質的な低下を防ぐために、賃金あるいは物価のスライド制を検討する気持ちはないのかどうか。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 この中退制度は、御承知のように、任意加入の制度でございますし、いわば個別の被共済者ごとの積立制度、こういうふうになってございますので、給付について賃金や物価とスライドさせるという仕組みをとることは基本的になかなかむずかしいのではないかと思います。しかしながら、先生の御意見もございますし、また運用の中でいわゆる掛金月額の各段階がいろいろございますから、そういう選択もその事業主の側で取り込めることでございますから、そういった活用の仕方もあるのではないかというふうに思いますが、いずれにしましても、ただいまおっしゃったように、賃金なりそういった退職金の動向がいろいろ激しいということもあれば、そういった点でいろいろ検討しなければならぬということで、実は中小企業退職金共済審議会におきましてもこういった問題についてさらに検討するようにというような御指摘もいただいております。十分そういった点について検討をしてまいりたいというふうに思っております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 いまの点については審議会でも建議されているようですけれども、これは制度が任意加入ということやいろいろ特殊性はありますが、やはり民間の退職金との対比というものは非常に重要だと思うのですよ、これは魅力あるかどうかということにかかわってきますから。ところが、民間の場合ですと、御承知のとおり、賃金が上がれば当然退職金が上がるという制度になっていますから、その辺の対比を言いますと、五年間も据え置かれているという状況はちょっと不自然だと思うのです。したがって、その点はいまも答弁ありましたけれども、ひとつ十分御検討をいただきたい。  次に、掛金納付が長期にわたる者については、国庫補助が一定の率で支給されていますね。たとえば百二十カ月以上は百分の十ですか、そういうふうにずっとなっていますけれども、この掛金の期間をたとえば百二十カ月以上という区切りではなくて、それ以上のところに何か区切りをつけて、たとえば三百六十カ月とかそういう区切りをつけて補助の率をもっと上げる必要があるのではないか。百分の十というならしではなくて、途中から百分の十五にするとか二十にするとか、この辺の点についてはどうですか、具体的な点ですが。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 現在この制度におきましては、国庫補助は三年以上十年未満では五%、十年以上では一〇%の国庫補助を行っておるところでございます。退職金給付に対します国庫補助の割合を高めていくということは、労働者福祉の観点からは望ましいというふうに考えるところではございますが、この制度がそもそも任意加入の制度でございますし、たとえ奨励的な助成であるにいたしましても、その給付に国庫補助がつくということはかなり異例なものであるというふうに思っております。また、この事業を営みますために必要な事務費は全額国庫で賄われておるというような事情もございますので、給付に対する補助、特に先生が御指摘になりました長期の勤続者に対して補助率を引き上げるという問題はいろいろ困難な問題があろうかと思いますが、審議会におきましても今回の制度改善に当たっての建議におきまして、長期勤続者の退職金に対する国庫補助のあり方については検討するように御建議をちょうだいいたしておりますので、今後検討課題として取り組んでまいりたいというふうに思っております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 次に、それでは中退金制度の一環である建設業退職金共済制度について質問していきます。  まず最初に、中小企業である建設業で中退制度に加入している状況ですね。ですから、一般の中退金と建設業共済制度の両方に入っているのもあると思いますが、まずその点。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 建設業につきましては、いわば常用労働者につきましては中小企業退職金共済事業団に、期間雇用労働者につきましては特定業種退職金共済制度を運営いたしております建設業退職金共済組合に加入をする仕組みになっております。現在、双方合わせまして加入企業数は約十万八千企業でございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 そうすると、率で言うとどのぐらいですか、加入率。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 母数になります企業数が的確に把握し得ない面もございますが、事業所統計調査を基礎といたしまして推計をいたしまして、その母数を使いますと加入率は約四七%になるということでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 さらに細部を聞きますけれども、これはちょっとむずかしいかもしれませんが、建退共加入対象となる事業所のうちで建退共に加入している状況、建退共加入対象となる事業所のうちどのぐらいが建退共に加入しているか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 建退共加入対象事業所のうち建退共に現在入っております企業数は約九万企業でございます。加入率につきましては、先ほど申し上げましたと同じような推計をいたしますと約四〇%程度になろうと思っております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 先ほどの中退金九・五%、これに比べると高いようには思いますけれども、以下質問していきますが、建退共という期間雇用者、しかも証紙貼付という状況から見ると、この四、五〇%というのは非常に問題があると思うのです、これは制度の性格から見て。その辺について私まず最初に質問していきますが、とにかくそういう性格から見るとこのような加入状況では私はなかなか実効が上がらないと思うのです。  以下、それに関連して質問していきますけれども、まず第一に、建退共の脱退率はどのぐらいであるか。これは一年目どのぐらい、二年目どのぐらい、三年目どのぐらい、その辺あたりまでで結構ですけれども。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 建退共の脱退の状況でございますが、実数で見ますと、五十二年に八万二千九百六十人、五十三年に八万三千二百九十九人ということで、大体八万人台であります。御指摘の脱退率につきましては、一年未満の人では二〇%、一年から二年未満で一八・四%、二年以上三年未満のところで一二・〇%ということになっております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 そうすると、建退共に入って二年以内で脱退するというのが累計しますと三八・四%、こういうことですね。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 いま申し上げました脱退率は、一年未満のところでは二〇%そのままでございますが、一年以上二年未満の脱退率は、そのときに在籍をした人の割合で一八%ということでございますので、全体の累積の脱退率で見ますと、二年未満のところは三四・七%になるのではないかと思っております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 重ねて聞きますが、二年のところで区切って、一年目からずっと脱退してきたのは最初の母集団に比べると何%になりますか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 それが三四・七%でございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 そうすると、この三四・七%は、現在の制度では二年未満の場合には退職金が出ないのですね。どうですか、その点。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 現在では掛金納付月数が二十四月未満の方々については給付はないということでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 そうすると、端的に言うと三四・七%の人は二年間掛けた——掛けたといっても、これは証紙が二年分たまった、こういうことだと思うのですが、この人たち、三四・七%は事実上掛け捨てでもらえないじゃないですか、どうですか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 現在の共済制度の仕組みは、いわば短期の勤続者の給付を相対的に低くいたしまして、その原資でもって長期の勤続者に給付を厚くするという制度をとっております。建退制度につきましては、先生御指摘のように、勤続期間二年未満のところではいわゆる掛け捨てになるわけでございますので、三四・七%の人たちについては退職金給付はないということになるわけでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 いまの建退共の仕組みは、単なる勤続年数ではなくて証紙の枚数で換算するのですね。調べたところによれば・二年間として計算されるためには証紙が五百四枚、これで二年間。この数字は、簡単に言うと、毎日働いて毎日証紙を張ってもらって二年間でこの証紙が張られるわけです。こういう人はまれだと思うのです。いま申し上げたように、そういう人だけの集まりであっても三四%の人はこれをもらえない、こういうことだと思うのです。ところが、二年間かかってパーフェクトに五百四枚を集めることができるというのはまれだと思うのです。恐らく二年間分の証紙を集めるためには、二年間ではできないと思うのです。これは三年なり四年なり五年なりかかると思うのです。先ほどの建退共の加入率がどう見ても四、五〇%ですから、そうすると約半分入っていないでしょう。そうすると、ある会社に入って張ってもらった、次の会社に行ったら張ってもらえない、次の会社に行ったら張ってもらった、一つ置きになっている。そうすれば、大筋の推計だけれども、パーフェクトに全部建退共に対象業種が入っておったとすれば二年間で五百四枚張ってもらえるかもしれません。ところが、半分入っていないのですから、そうすると二年間分相当の五百四枚を張るためには倍の四年かかるということです、簡単な数字が。そうすると、この制度は四年間がんばって証紙を張ってもらっても、五百枚に満たなければパアになるということです。これはちょっと問題じゃないかと私は思うのです。この点がこの制度の非常に大きな問題点じゃないか。これは冒頭に言ったように、加入率は確かに中退金から見れば、四、五〇%ですから高いようですけれども、しかし、この証紙を張るという制度の特徴から言うと、この建退共に対する加入率の四、五〇%はきわめて低い、こういうふうに言わざるを得ないが、その点はどうですか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 この制度はいわば業界退職金制度でございますので、建設業を営む方の大部分がこの制度に加入していただき、また契約をちゃんと履行していただくということで初めてこの制度の所期の目的が十分に果たされるという制度であろうかと思います。そういう観点から見ましたときに、加入の状況が五〇%を割っておるという状況は必ずしも十分ではないというふうに思っておりますので、建設業の退職金共済組合への加入の促進につきましては、従来にも増して努力をしてまいりたいというふうに考えております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 関連して重ねて聞きますけれども、いまのは建退共に入っていないということでの問題が一つ出てきているわけですが、事実入っておっても、実態はかなり証紙が貼付されていない、こういう事情を聞いておりますけれども、事業主の方で張っていない。その点、実情を押さえておったらひとつ説明いただきたいと思う。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 証紙の貼付の件でございますが、私どもが調査をいたしましたところでも、この共済組合に入ってはいるけれども証紙を張っていないという例があるようでございます。したがいまして、この証紙をちゃんと張るという形で契約が十分履行されますように、今後とも十分力を注いでまいりたいというふうに考えております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 次に、私はいまのに関連して、具体的にひとつ数字を挙げて質問いたします。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 現在の建退共の一日の証紙が百二十四円、これは間違いありませんね。それからもう一つ、昭和五十三年度の証紙の売上高百五十四億円、この数字間違いありませんね。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 現在、建退共の掛金日額は百二十円でございます。したがいまして、証紙は百二十円で売られておるわけでございます。それから、証紙の売上高百五十四億というのは、そのとおりでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 百二十円ということにはなっておるけれども、四円が付加されているのじゃないですか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 日額は百二十円でございますから、証紙も百二十円で購入をしていただくということでございますが、先生御指摘の四円につきましては、建退共の支部経費に充当いたしますために付加金として徴収をしているのが四円あるわけでございます。したがいまして、一枚の証紙を買うときに、実際に事業主が負担するのは百二十四円ということに相なるわけでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 仮に次のような推計の数字なんですが、たとえば一カ月二十二日働いた、そうしますと一年間では二十二掛ける十二カ月ですから、二百六十四日になります。二百六十四日全部張ってもらったとすれば、百二十四円掛ける二百六十四日ですから、三万二千七百三十六円相当分がその被共済者の手帳に貼付されるわけですね。そうなりますと、たとえば五十三年の証紙の売上高が百五十四億円ですから、これを一人の手帳に張ってもらった証紙代三万二千七百三十六円で割りますと四十七万人になる。ところが、被共済者として手帳をもらった人は百二十九万人いるのです。これは数字で明らかです。そうすると、そのうち四十七万人は、先ほど申し上げたように、張ってもらっているのですが、差し引きしますと、八十二万人は張ってもらっていないわけです。個人差はありますよ。詰めていったときに、そういう数字が出てくるわけです。もちろん、この八十二万人という中には、季節労働者あるいは一年間二百六十四日働かない人もいますから、このままにはいきませんけれども、少なくとも五十万人相当ぐらいは、ざっと言いますと張ってもらっていない人がいるということですよ。これは重大な問題だと思う。ですから、手帳をもらいながら張ってもらえない、まだ張ってもらっていない、張っていない、これがかなりの数字あるわけです。これは先ほど言ったように、加入率が低い、あるところに行けば張ってもらうが、あるところは入っていないために張ってもらえない、あるいは入っておっても証紙を貼付しない事業主がいる、こういうことの具体的あらわれではないのか。  これは推計数字ですけれども、この辺どう思いますか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 いまお示しの例は、特定の方が年間フル稼働をすることを前提にして、残りの方はいわば働いていないと申しますか、証紙貼付の対象にならないということを前提にしての御数字のように理解をするわけでございますが、それはさておきまして、先生御指摘のように、この制度への加入状況が十分でない、あるいは証紙貼付が完全に履行されておらないというところは、私どもも大きな問題点であるというふうに承知をいたしておりますので、加入促進それから証紙貼付の履行という面については、今後一層十分な努力をしてまいりたいと考えております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 この建退共関係の質問はこれで終わります。  最後に、労働大臣にお聞きしますが、先ほど申し上げたように、中退金の場合には九・五%、それから建退共の場合は、母集団のとり方によって違いますが、大体四〇%から五〇%の範囲内、こういうことですね。そうすると、建退共の加入率は非常にいいようではあるが、先ほど言ったように、証紙を張って、二百五十二枚ですと一年というふうにまとめているし、五百四枚であれば二年間ということで、証紙をまとめて年数を計算していくわけですから、そういう点から言いますと、結局何年たっても証紙が集まらぬ。そして、三年、四年たって証紙を五百四枚ためても、二年未満ですからなおかつ退職金がもらえない。そういう状態や、あるいはがんばって働いても、加入率が低いために張ってもらえないところがいっぱいある。それからさらに、入っているところでも、いま申し上げたように、事実張ってないところもあるわけです。  そうすると、建退共の場合には、この加入率が単に五〇%、四〇%あるということではなくて、証紙を張ってためて、逆にその枚数で年数を計算するというたてまえから言うと、この四、五〇%という数字は建退共としては非常に低い。清酒製造業退職金共済組合は一〇〇%近いのですが、少なくとも八〇%、九〇%までいかないと、この制度のスタイルから見て実効が上がらぬと思うのです。  それからもう一つは、そういう点で制度の普及をどのように考えていったらいいのか、特にその中でも、証紙を張っていない事業者がかなりあるようですから、このあたりをどう指導していったらいいのか、まとめて労働大臣の所見を聞きたいと思います。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 従来から加入促進と証紙の貼付につきましては、各種の努力を続けておるところでございます。たとえて二、三申し上げてみますと、公共事業の入札参加者の資格審査に当たりまして建退制度の加入状況等を考慮する、あるいは工事の積算に当たりまして掛金相当額を含めること。それから、下請が大きな問題になろうかと思いますが、受注者が下請契約を締結する際には、掛金相当額を下請代金の中に算入するか、または下請業者に対して証紙を現物交付をすることを勧奨するというような措置等々、公共事業関係につきましてはそのような措置をとっております。また一般的には、加入促進月間を中心として全国的なキャンペーンを繰り広げる、あるいは出かせぎ労働者等につきましては、関係市町村の協力を得ましてこの制度の周知を図り、それらの労働者の意向も反映しながら、この建退制度への加入あるいは証紙貼付の履行というものがより一層進むようにということで措置をしてまいってきておるところでございますが、今後ともこれらのことを含め、さらに一層の努力を図ってまいりたいというふうに考えております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 端的に言えば、私が指摘したように、建退共には実施上いろんな問題点がある、したがって、それらの改善を含め、普及率の向上のために努力をしたい、このように理解していいですか。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 いろいろ今回の改正の御審議の中で建設的な御提案や御意見を承りまして、非常に感謝をしておるわけでございます。私も昨年の十一月に労働大臣に就任いたしまして、従来ずっと取り組んでまいりましたいろいろな仕組みがあって、それを動かしているわけでありますけれども、八〇年代の労働行政として新しい観点からもう一回見直してみる、それぞれの仕組みがどれぐらい効果を上げているのか、あるいは至らぬところは一体問題点はどこにあるのかといったような総ざらえの作業をいま省内挙げて進めさせていただいておりまして、職業安定の側にもいろんな給付金がずいぶん多過ぎるとかいろんなお話もあったりいたしまして、そういったことも点検もしなければいけませんし、また、真に労働者にとってどういう仕組みが一番ありがたくて、しかもそれが進まないとすればどこに問題があるのかというようなことにつきましても、思い切って見直しをするという取り組みをいまいたしておる最中でございます。  いま御指摘がございましたように、仕組みはあっても現実に問題があるというようなところについては、よほど思い切って手を打っていかなければいかぬ、仏さんだけつくって魂を入れぬようなことでは話にならぬわけでございますから、御指摘をいただきましたようなことにつきましては、具体的に前進をするようにあらゆる努力を進めさせていただきたい、このように考えておるところでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 ちょっと委員長に申し上げますが、私の質疑時間は十一時四十七分と予定されておりますけれども、社会党内の質問の時間の調整をいたしまして若干これが延びますから、あらかじめ御了承いただきたいと思います。よろしいですか。

山崎拓自由民主党・自由国民会議

○山崎(拓)委員長代理 よろしいです。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 次に、いまの建退共と絡んで、公共工事関係についてお尋ねします。  公的機関の、言うならば公共工事の発注に当たって、建退共制度への加入を発注の資格条件にしているやに聞いているのですが、その点どうですか。

青木保之建設大臣官房地方厚生課長

○青木説明員 建設省の地方厚生課長でございますが、建設省で地方建設局を使いまして行っております直轄工事におきましては、競争参加資格の審査というものをやっておりますけれども、その際、建設業退職金共済組合に加入しておられます建設業者に対しましては一定の点数を付与するということで、資格審査の際に優遇しているということを行っております。また、指名に当たりましても建設業退職金共済組合に入っておられるかどうかというような状況を考慮しておるところでございますが、建設省の直轄工事は比較的大きいものが多うございますので、現実にはほとんどの業者の方が共済組合に御加入になっているのではないかというふうに思っております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 一定の点数を付加して優遇する、指名に当たってはその点を考慮する、こういうことだと思うのですが、そうすると、入っていなくとも指名はすることはあり得るわけですね。

青木保之建設大臣官房地方厚生課長

○青木説明員 そういうケースはございますけれども、現実には大多数の業者が加入しておると思います。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 そうすると、指名をしたがその時点では入っていなかったという場合には、請け負った業者はその後入るということは義務づけているのですか。

青木保之建設大臣官房地方厚生課長

○青木説明員 特別に義務づけてはおりません。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 そうすると、入っていない場合には、それを勧めるとかあるいは要請するとか、何かの働きかけはするのですね。

青木保之建設大臣官房地方厚生課長

○青木説明員 指名をいたしまして現場で工事の説明をいたすわけでございますが、その際に、建設業退職金共済組合に入るように、あるいは証紙を購入するようにというような勧奨指導を行っております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 そこで、次にお伺いしますが、公共工事の発注段階には建退共証紙購入代金が積算されていると聞いていますが、その辺の事情と、もしそれに積算されているとすれば、当然その行方が追跡されなければならぬわけであるが、その辺はどうですか。

青木保之建設大臣官房地方厚生課長

○青木説明員 建設業退職金共済制度に基づきます事業主負担相当額につきましては、公共土木の請負工事の諸経費の実態調査を行っておりまして、それに基づきまして工事の種別ごとに大体どのくらいの率があるかということを調査いたしまして、それに基づき、現場管理費というのがございますが、現場管理費の中に入れて算定をしているところでございます。  なお、その行方の問題でございますけれども、これはあくまでも積算上の問題でございまして、その先の段階につきましては、現実に元請の方で購入いたしました証紙を発注者の方にいただくことにしておりまして、そういうかっこうでチェックをいたしております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 私が承知している限りでは、土木工事の場合には大体千分の三・五、それから建築工事の場合には大体二・五ぐらいと実態から推計される。そうすると、両工事の平均をとりますと千分の三で、それがいま言ったように積算単価の中に算入されている。それは交付するということですね。それは建退共証紙を当然買わなければならぬわけで、それを買ったかどうかということの証明というか、こういうものは報告することになっているのですか。

青木保之建設大臣官房地方厚生課長

○青木説明員 御承知のように、現場説明等におきまして、証紙の購入、それから証紙の貼付をすべきこと、それから工事請負契約締結後一カ月以内に発注者用掛金収納書を提出すべきことを説明いたしまして、工事を受注した建設業者がらその掛金収納書を提出させて履行の確保を図っておるということでございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 そうすると、その相当額を全部買ったかどうかということ、これが一つ、それからその証紙が下請の方にうまく流れているかどうか、その次に流れた証紙が具体的に手帳に張られているかどうか、その辺のチェックはどうなっているのです。

青木保之建設大臣官房地方厚生課長

○青木説明員 私どもの積算の方に入っている額があるということでございまして、現実に業者の方でそのとおりの額を使わなければならないというような制約はないわけでございます。請負契約は双務契約でございまして、総価で契約をいたしておりますものですから、その中で業者が私どもの積算しました単価どおり使っておらなくても、それは請負契約上やむを得ないことだというふうに思われるわけでございます。  それから、元請が買った証紙が下請なり現場の労働者の方まで行っているかどうかということでございますけれども、これも受注者側がどういうような下請関係をつくり、どの程度の労働者の方を使うかということは受注者内部の話でございまして、双務契約のたてまえから発注者がそこまで実は立ち入るわけにはなかなかいかないのではなかろうかということでございます。それで、私どもといたしましては、現場説明の際に、工事を受注した建設業者が下請を使われるときに下請契約を締結するわけでございますけれども、その際に掛金相当額を下請代金中に算入すること、あるいは受注者が受託による証紙の現物交付を行うことによりまして下請業者の共済組合への加入並びに証紙の購入及び貼付を促進するようにということを説明いたしまして御協力をお願いしているという状況でございます。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 なかなかこれはチェック、追跡はむずかしい点だと思うのですが、だからといって野放しにはできないと思うのです、これは公的なものを付加しているわけですから。いまの話ですと、業者が単価どおり使うかどうか、この辺は簡単に言えば任せてある、チェックなりその行方を追跡することは言うならばむずかしいという趣旨の話ですけれども、しかし、これはいまも話があったように、そういう状態なものですから、実態から見ると、本来これは元請から下請を通じて建退共被共済者の手帳に貼付するのだ、このことをねらっているわけなのだけれども、実際はかなり払っていないのではないか。これも推計の数字ですけれども、算定してみますと、昭和五十三年度ですけれども、公共工事請負総額九兆八千億、この数字は大体そのとおりだと思うのですが、そうしますと、九兆八千億の、先ほど言ったように千分の三・五、千分の二・五ありますけれども、中をとりますと千分の三にして二百九十四億円相当額がつまり証紙購入代金ですね、簡単に言うと。その相当額として積算されている。ところが、証紙の売上高は五十三年は百五十四億ですから、二百九十四億から百五十四億を引けば百四十億が買っていない。しかも、百五十四億というのは公共工事もあれば民間工事もあるのです、皆込みなのですから。これが半々だとすればまだ減るわけです。仮に百五十四億まるまる公共工事だとしても、二百九十四億の積算をされていながら実際は民間を入れても百五十四億の証紙しか買っていないのですから百四十億は証紙も買っていない、こういうことになるのだと思うのです。そうすると、この百四十億は元請のところでどこかに飛んでしまったか、元請のところで証紙を買わないか、下の方の下請にやったけれども下請が入っていないために具体的にそれが使われなかったか、下請にいったけれども張らなかったのか、この辺のところが私はつまびらかでないけれども、おおよその数字から言うと約百億近い金が追跡されないままどこかに飛んでいる、推計からですけれども。  こういう問題が、大筋のところ当たっている。その点どう考えますか。

青木保之建設大臣官房地方厚生課長

○青木説明員 先ほども申し上げましたように、請負契約は双務の契約でございますので、その範囲内で私どもの積算が適正であったかどうかということが会計検査上問題になるわけでございますが、積算上は実態調査に基づいてやっておりますので間違いはないと思っております。いま先生のおっしゃいました数字は公共工事全般のお話でございまして、都道府県あるいは市町村等のやられている工事も当然入っていると思います。     〔山崎(拓)委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 私どもの建設省の直轄工事におきましては、恐らく制度の趣旨が十分理解されていると思いますけれども、そういうほかの発注等に関しましても、いろいろな機会を通じてそういう制度の趣旨が徹底されますよう私どもも努力してまいりたいと考えております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 公共工事の具体的な所管は大づかみに言うと建設省になると思うのですが、これが建退共とのかかわりになりますと労働省になってくる。いま申し上げたように、建退共とのかかわり、とりわけ公共工事の関係ではいま申し上げたような問題点のチェック、追跡はなかなかむずかしいと思いますよ。しかし、百億近い金がどこに行ったかわからぬなどという追跡のできない状態は問題があると思う。したがって、その辺のところは可能な限りこれが有効適切に利用できるように、しかも最末端の被共済者がそのことによって享受できるように労働省としても建設省と協力して実効の上がるような施策を講じなければならぬと思うのですが、労働大臣どうですか。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 経営側にもいろいろ問題があると思いますけれども、やはりいまお話しのように、労働者、受益者が適切に受益されていくようにあらゆる努力をしていかなければいかぬ、労働省としてはそのように念願しておるわけでありまして、今後十分建設省と連携をいたしまして、共同作業をやるつもりでひとつ努力をさせていただきたい、このように考えております。

佐藤誼日本社会党

○佐藤(誼)委員 時間になりましたので、先ほどから幾多の点について質問申し上げましたが、その問題点をそれなりに適切に受けとめて今後の前向きの姿勢というものを示されておりますので、この辺は今後の皆さんの具体的な施策にまちたいというふうに思いますが、いずれにしても端的に言えば中退金、建退共含めてかなりいろいろ問題点があるが、とりわけ加入率が低いというこのことがきわめて、仏つくって魂入れずと労働大臣言われましたけれども、問題点だと思うのです。したがって、それを軸にしながら一層の改善、それは被共済者にそのメリットが具体的に波及するように今後一層の努力を私の方から要請いたしまして、質問を終わりたいと思います。

竹内黎一自由民主党・自由国民会議

○竹内(黎)委員長代理 次に、安田修三君。

安田修三日本社会党

○安田(修)委員 それでは、局長にまずお伺いいたします。  今度の法改正によって、規模別に新たに今度は資本金別による加入範囲の適用拡大がなされたわけでありますが、これによって大体従来の二百二十一万五千事業所からどの程度ふえるか、それからまた対象労働者数も一千七百万台からどの程度になりますか、ちょっと先にお伺いしたいと思います。     〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 今回御審議をお願いいたしております改正法案におきましては、中小企業者の範囲を拡大いたしますために、従来従業員規模だけ・で規定しておりましたのに加えまして、資本金規模を加味することにいたしております。このことによりまして広がります対象事業所の数は、事業所数で約六千、対象労働者数で百六十四万人の方がこの制度に入り得ることになるわけでございます。

安田修三日本社会党

○安田(修)委員 そこで、この制度ができてすでに二十年間になるわけですが、初めできました時分はやはり雇用主あるいは使われている労働者ともにかなりの批判がありまして、反対がありました。このことは一面あるいは普及が伸びなかった当初の原因かもしれませず、また当時はちょうど高度経済成長期に乗っかかっておるときでありましたから、労使ともに社内の退職積立金をした方がより合理性がある、社内運用もできるし、税金のメリットもあるけれども、何と言っても社内運用ができる。それからもう一つは、急テンポで賃金も上昇していくわけですし、業績も伸びておるわけですから、これよりもよほど実情的に合うという事情もありました。それからもう一つは、日本の雇用状態の中で大体学校を出て、特に高卒、中卒等の場合に三年程度でかなり事業所を変わる、大体三分の一は変わりますね。その次のめどは勤続して約十年目ごろ、大体三十前後で、人生もう一遍ここらあたりで考え直してみよう、これ以上中高年に入ってしまったらもう就職先はないからここら辺でひとつ見直して変わってみようということで、わりあいに統計上も退職の年数としては多いところです。ところが、この退職金制度のできた当時は、三年以下は三年で大体ちょうど、それから十年でもこの労働省の資料にもありますように、十年程度で、これは事業団の資料にモデルで支給率五・五、もちろん支給率には算定基礎額を基本給にするかあるいはまた所定内労働時間賃金にするか、あるいはいろんなとり方がありますが、いずれにしても支給率は五・五ということになりますと、十年勤めて仮に中小企業で、特に小企業あたりでも十五万程度もらったということになりますと、ここの掛金低いところではとてもじゃないが追いつかないということになってまいります。そういう点では、やはりそこら辺、労働者にしろあるいは事業者にしても余り感じがよくなかった。後ほど順次制度的にも充実されてきたし、資金運用の面でも利用性が出たということから、多少の伸びは出てまいりましたが、先ほども出ておりますように非常に普及率が悪い。  そこで私は、やはりこの制度の持つ、法の持つ理念といいますか、どうも余りはっきりしないのじゃないだろうか、ここにみんながそれ飛びつこう、あるいは育てようという機運の向くところがないのじゃないだろうか。その点局長から、一体この中退金制度はどういうところに一番理念があるのだろうか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 この中小企業退職金共済制度は、中小零細企業におきまして、一般的に個々の企業では独立で退職金制度というものをつくっていくことはなかなかむずかしいというような事情で、中小企業者が相互扶助、こういったような精神に基づきまして、退職金負担を事業主が相互に共済するというような制度で発足をしております。したがって、中小企業の従業員の福祉の増進を図るとともに、中小企業におきます優秀な労働力の確保といったようなことを通じまして中小企業の振興にも寄与していこう、こういうような基本で進めております。  そういうわけで、要するに中小企業の従業員の福祉増進というものの大きな柱の一つとしてこの中小企業退職金共済制度は存在しているというふうに理解しております。

安田修三日本社会党

○安田(修)委員 この事業団の資料にはこういうことが出ておるのですが、「制度のあらまし」という中に、これは法の精神と一緒なんですね。「この制度の退職金は、従業員の長期勤続を奨励し、定着を促進しようという趣旨から、」ということがあるのです。この後に続いているのが「加入期間の長い人に」という、いわゆる普通の、昔の日本流の終身雇用をするために大正年間から日本の退職金制度が普及してきた。昔、戦前でも退職金制度の要求というのはあったのです。その当時のいろんな資料では、事業主側に受けたというのは終身雇用制というところにまず眼目があったわけですね。加入期間の長い人に有利な仕組みというのは、あるいはそういう雇用の安定という意味合いは、その雇用にずっと定着をさせるということをいっておるわけですが、そういう意味で、後のいわゆるカーブが急上昇に上がっていくという曲線のやり方、こういう行き方にしたという意味合いなんでしょうが、さらに一ページには「退職金制度をもつことが困難な中小企業に、国の援助で、大企業と同じような退職金を支払うことができるように」、こういう内容もまた書いてある。いろんな目的が複合されておると思うのですが、ただそこで、一番本心は一体何だろうか、労働者の定着が本心なのか、それとも労働者の退職金の持つ意味合い、たとえば賃金の後払いであろうか、あるいはそうじゃない、これは単に労働者の老後設計を保障するためのものであろうかという本来の性格論はここですべき問題でもないですから、それは別にして、ただ退職金が持つ性格的なものを労働省がどういうぐあいに考えてこの中退金の中に盛り込んであるんだろうかということなんです。これが制度上の理念として非常に大きな影響を与えるのじゃないだろうかと私は思うのですが、その点どうなんでしょうか。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 退職金制度というのは、先生御指摘のように、退職後の生活費だとかあるいは住宅の取得費、教育費等として重要な役割りを果たしておるわけでございますし、また高齢化社会が進んでまいりますと定年延長も進んでくるということとの関連で、退職金制度の役割り、機能というものも変化するのではないかというふうにも考えられますし、また他方、企業経営にとっても退職金の支払いというものが増大して費用分担の問題が出るというようなことで、原資の保全自体が十分なし得るかといったような問題もあります。そういうように退職金の置かれている一つの機能というものがいろんな形で変わりつつあるのではないかというふうに私どもは思っておる次第でございます。  従来、この中小企業退職金共済制度は、先ほど先生御指摘のような内容でいろいろ仕組まれているわけでございますが、今後そういった点についてどうするかというようなあり方の問題になりますと、いろいろむずかしい問題がございまして、実は労働省におきます賃金研究会におきましても、こういった退職金制度のあり方そのものについて将来どのように考えていくかというようなことで御検討願っておる次第でございまして、そういったことの検討の結果を待っていろいろ考えてまいりたいというように思っております。

安田修三日本社会党

○安田(修)委員 とかく省庁関係というのは、すぐ研究——私たちも検討してもらいたいということはよく出しますが、研究あるいはあり方をどうのということで言われるのですが、この不十分なところは検討してもらっていいのですけれども、私は、議論としては一応労働省の考え方というのはこうだ、こうだけれどもこの辺についてはいろいろな議論があるから検討すべき課題だと思っておるという何か一応の柱がなければならぬと思うのですよ。いま局長がおっしゃいましたいろんな退職金の使い方、むしろその利用の仕方というものが出ておりましたが、皆さんの場合も局長以下、大臣は別にしてあとはみんな共済制度に入っておられるわけですから、退職一時金も与えられれば、年金も与えられる。退官後はその一時金はどのように使うかといった生活設計があると思うのです。もし、中退金が本当に労働者の福利あるいは福祉という観点から出て、この事業団の「制度のあらまし」に出ているように、退職金制度を持つことの困難な中小企業に国が補助をして大企業と同じような退職金を与えるという制度であれば、やはり標準労働者が三十年勤続したら、あるいは二十年勤続したらこれだけのものが与えられますよという一定のモデル的な退職金のあり方、そういう考えを労働省自身ひとつ持つ必要があるのじゃないか。本来はこの種のものは労使間で、労働者それから事業主で十分話し合って決めていけばそれでいいわけですけれども、日本の場合は、週休二日制でもあるいは時間外でも、とかく事業主自身も新しい時代の進展に適応してみずからを律して労働者の雇用なり福利なりを考えていくという考えに非常に乏しい。当然そこらに行政指導というものが待たれるということになってくるわけでありますが、退職金の場合はそれほどの強力なものでなくても一定の理念があって、こうあるべきだという一つのモデル的なものが必要なのじゃないだろうかという考えを私は持つわけでありますが、その点労働省の方のお考えはどうでしょうか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 先生お述べになりましたように、退職金は労働者の重要な労働条件でございますので、労使が十分話し合って決定をするというのが本来の筋であろうかと思います。そのような結果として、個々の企業の退職金の水準を見てみますとかなり区々の点がございます。また、現実に費用を負担いたします中小企業者の負担能力の問題もあるわけでございます。したがいまして、一般的にいわば標準的なモデルというものを示すことは必ずしも適当ではないのじゃないかというふうに思っておりますが、先ほど先生が御指摘になりました中小企業退職金共済事業団が出しております「制度のあらまし」の中におきましても、民間のモデル退職金を参考に、このような目標に到達するためにはこのような掛金の掛け方がございますというような例を出しながら、制度の普及促進の資料といたしておるわけでございます。このような資料などが十分労使で活用されて、その企業に即応した退職金制度あるいはこの制度の掛金額というものが決められることを期待するわけでございます。

安田修三日本社会党

○安田(修)委員 事業団からそういうものが普及資料として確かに出ております。規定のサンプルも出ておりますし、それから支給率なんというのは小企業が持っている支給率のあり方よりもカーブの描き方がまだ素直です。そういう点ではわりあいによくできている方だと私は思います。私、なぜそういうことを聞くかと言いますと、たとえば先ほど佐藤委員の質問に、中退金に入っている掛金の平均は大体三千五百円くらいじゃないだろうかという数値が出ておりました。そこで、労働省調査の規模別モデル退職金、その中でいきますと、たとえば百人から二百九十九人までのところは、大卒、十年、三十二歳で自己都合で八十一万、会社都合で百十一万。この人がもし中退金に入っていた場合にどのランクになるか。大体中程度、中退金にある適当なところ、九十三万のランクをとりますと五千円の掛金。それから、旧中あるいはいまの新しい高卒の人、この人たちに当てはめますと、十年で二十八歳、自己都合で六十九万、会社都合で九十四万ということになりまして、これまた大体五、六千円ということになってまいります。それから、三十人から九十九人の場合、大卒もそれから旧中、高卒の場合もやはり大体五、六千円、こういうことになってくるわけです。問題は、十年程度で計算してどうなるだろうか。事業団の出しておられるいろいろな数値からしてほぼ四千円程度が適合してくるわけですね。そうしますと、いま補助金は、非常にかっこうはいいのですよ。三年以下五%、それ以上は一〇%というふうに非常にかっこうがいいのですけれども、ところが実際は最低ランクに対する補助しかないわけですね。いまの場合は八百円、今度は千二百円に対する補助だけ。したがって、たとえば八百円納めているいまの最低の人が三十年勤めてあたる退職金が百一万七十円、これに対する補助金はわずかに十万ということになってまいります。これはそれでも一〇%ですからまだいいのですけれども、これが四千円加入で三十年の場合、先ほど言いました三千五百円程度が大体中間だと皆さんおっしゃるので私は四千円程度で計算しました。標準で入っている人が大体いまの中退金の退職金の標準の数値だ。大体平均の金額ですから、それが退職金の標準としてもいいでしょう。それから私がさっき計算したのは大体五、六千円。だから四千円程度というのはまだ低いのですが、これが三十年間加入してあたる退職金は四百六十四万九千円。これに対する補助金が十万一千七十円ということでしょう。八百円の補助金だけしか出ない。そうしますと、大臣、実に四百六十四万給付される退職金に十万しかあたらぬわけですから、わずかに二%ということになります。非常に低いわけですね。私は、何でもかんでも補助金というのもよくないと思うのです。そういう点で任意の加入制度でもありますし——ただ、この退職金の持つ性格、いわゆる理念がないと私が言うのはそこなんですが、事業団のリーフレットにあるように、これがもし大企業並みに、国が補助をして退職金を持つようにしてあげるんだ、あるいは先ほど局長がおっしゃるように、それは老後設計ではああなんだ、こうなんだ、しかもそれが中小の労働者に退職金というものが恵まれるという制度にするならば、最低のランクじゃなくて、少なくともその標準的なものに補助金を出すということが必要なんじゃないだろうか。それからまた、一万円なり一万六千円のところに補助金をつけるかどうか、これは私は自分でもそこまではどうか、こう思うのですが、ただ、いま標準的な、仮に三千五百円か四千円ラインか、それをモデルにしたラインに補助金をつけてやるというようなことは必要じゃないだろうか。いまのままでいきますと掛金はどんどん上がって今度は千二百円のラインにつくわけですが、補助金の総体としては微々たるものにしかならない。五十三年度支払い額二百八億四千九百八十三万円、これは解約手当等はつきませんから入っておりませんね。その中で国庫補助というのはわずかに六億八千七百十二万円です。わずかなものです。ですから、笛や太鼓で、国庫補助で皆さんに退職金をつけるようにできますよと言っても踊ってこないのは、そこら辺にもあるんじゃないだろうか。何でも補助金をたくさん出す必要はないけれども、それが制度に乗っかかってくる、制度が発展するという誘導策がなければ意味はないのじゃないか。その誘導策というのはどうすべきか。私はどの点が妥当かはわかりませんが、いま概算したところ四千円なり五千円なりという、いわゆる中退金に入っている標準のラインに見合った補助金をつける。そうしますと、多少下の方が厚くなって上が薄くなりますが、その場合にどういう調整の仕方をするかというのは制度の一つの運営の仕方にすればいいのであって、ただ補助金のあり方としては最低につけたのではまずいのではないか、この点事務的なことですから局長にも聞きたいし、根本的なことですから大臣にも答弁をお願いしたい、こう思うわけです。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 ただいま先生御指摘のように、いわゆる国庫補助のつけ方につきましては、こういった任意制度でございますのでなかなかむずかしいところに、要するに最低額のところについて奨励的な意味で付与してきておるというのが実態でございまして、それをさらにいろいろ拡充していくということについては、いままで最低額の引き上げという点についてすらいろいろむずかしい点もありましたが、そういった実態に即応してやってきたわけでございまして、ただいま先生御指摘のようないわゆるモデルの方、そうしたところを中心に置いて一つの国庫補助を考えたらどうか、大変貴重な御意見であろうかと思いますが、私どもの現在の状況におきましては、その点をすぐに採用するという点についてはなかなかむずかしいのではないかというふうに思っております。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 この制度、中小企業の労働者の福祉を増進するという先ほど来の先生からの御指摘もあり、また局長からお答えもいたしましたこの制度の理念から考えまして、どのようにして今後充実をさせていくのか。当然、他の退職金のいろいろな仕組み等も参考にしながら進んでいかなければなりませんけれども、要は、そのねらいとするところがどのようにして達成をされていくのか。たくさんの方々が加入をされて、しかも加入をされた方が仕組みに非常に魅力を感じて自分の生涯の設計も立てていくというような構えに持ってまいりますためにはいろいろなことをしていかなければならぬと思いますけれども、特に先生からお話のありましたように、わかりやすく一つの標準モデルを設定して、中小企業の経営者にも労働者にももっとわかりやすく呼びかけていくということ、そしてそのあたりの作業を非常に大事にしながらこの仕組み全体をもっと生き生きしたものに持っていく、そのために行政がもっと主導的な役割りを果たす、標準的なところに補助をつけて進んでいくのもその一法だ、こういう御指摘につきましては、非常に貴重な、私どもにとって示唆に富んだ御意見であるというふうに考えさせていただくわけでございます。  事務的には、局長からいま非常にむずかしいというような御答弁も申し上げましたけれども、先生の御主張のねらいとするところをさらに私ども十分そしゃくさせていただきまして、この制度をさらに充実をしていくように今後いろいろな角度から検討していく中で、有力な御意見として勉強させていただきたい、このように考えておる次第でございます。

安田修三日本社会党

○安田(修)委員 ちょっと誤解があっては困るのですけれども、私は標準的なところに補助というのは、今度の法改正で千二百円に対する補助金が全部の国庫補助金になってくる。私は、仮に四千円なり五千円なりが一つの中退金の平均的なモデルとすれば、それに対する補助金のランクをアップしていくわけですね、要するに補助金の額を上げろということです。ただ、これをたとえば一万円のものに対しては三十年には幾らの補助という意味ではなくして、つけ方はいまのでも要するに掛金月数でいくのですからいいのですが、それはいまのランクと違ったところで、高目のところで補助金を支出しなさい、こういう意味ですから。  そこで、自治体ではすでに加入初年度に補助金を出しているところもあるわけです。私は、これは思い切って転換していく。特に、先ほど零細企業の場合には五・三%というきわめて低率、それから百人前後の規模になれば、退職金の中身は別として、これはいろいろな退職金制度を持っております。労働省調査で九二・二%退職金制度がある。これは三十人以上で、先般の質問の中にも出ておりましたが、確かに制度はたくさんあります。     〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕 ところが、この制度の内容といいますと、各地でいろいろな商店会が指導したり商工会議所が指導したり、いろいろなものがありますけれども、余り中身としてはぱっとしたものはございません。もちろん率がよくても算定基礎額の基本給というのは非常に小さい。日本の賃金は大体八〇%が基本給ですけれども、そういう商店会あたりに行きますと、基本給というのは非常に小さくて、他の手当でふえておる。だから退職金も、率はいいけれども、見たら非常に小さいのがありますから、制度にはこの中退金から見るとずいぶん劣悪なのもまだたくさんあると私は思うのです。これらが中退金に入っていく。特に不況期をくぐって低成長期になってきたときに、非常に企業の倒産がふえてきた、そういうときに、この中退金の果たしてきた役割りというのが見直されてきた、これが一つの原因でもあると私は思います。これは企業が倒産しても国の方から直ちに本人に支払いが行きますから、絶対に間違いないということでは非常に見直されてきておる。そういう点で、従業員の方からも中退金にむしろ入れてもらいたいという声も高まってきたと私は思うのですね。  そこで、まず普及促進のために、この初年度の加入については何年か限定的に補助を出してみるというような、そういう思い切った措置ということも必要なのじゃないだろうか、こういう点で、何か皆さんで研究をしてあることはありますか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 先ほど来話が出ておりますように、この制度は最低掛金のところに国庫補助をつけております。また、国庫補助といたしましては、この制度を運営をいたします事業団あるいは組合の事務費というのも国庫で負担をいたしまして、掛金が全部給付に回るように、もちろん運用利益を付してでございますが、掛金がすべて給付に回るようにということで有利な仕組みもしておるところでございますし、今回の改正で、国庫補助額も最低掛金の引き上げに対応いたしまして一・五倍に引き上げるという措置もとっておるところでございますので、加入当初に特にまた新しい補助制度をつくるというのはなかなかむずかしい問題ではないかというふうに思っております。

安田修三日本社会党

○安田(修)委員 私は、皆さんに、特に中退金というのはそういう中小企業労働者、事業者に入ってもらって、そして普及することがこの制度の意義であるということが眼目であれば、やはり補助をずっと出す必要はないのですよ、それは限定的に三年なら三年の間に入った者は初年度補助を出すとか、それぐらいの考えがないとだめだと思うのです。  しかも、たとえばこの運用でも、労働省の運用状況の資料によりましても、金融債、政保債、地方債、国債、資金運用部資金、ほとんどそちらの方にこの資金が運用されているわけです。やはり国の財政投融資やその施策にずいぶんこの資金が使われているわけです。しかも、実際の補助金というのは、先ほど言いましたように、五十三年度の収入計が、これは掛金、運用収入その他入れまして八百八十二億三千九百四十四万円のうち、国庫補助金の占めるのがわずかに六億八千七百十二万円。皆さんが国庫補助、国庫補助とおっしゃるけれども、国は、いかに任意であれ、それを皆さんは本来一〇〇%普及したい、これ以上に上回る制度のあるところは別として、そうでないものに普及したいという目的で出発したのではないですか。オリンピックみたいにだれでも参加することに意義があるから、参加したい者はしなさい、うっちゃっておきますというものではないでしょう。本来は皆さんはこれを普及したいのだ。そうして、いまの日本の全企業に占める中小企業の比率約七五%、労働者数も約その程度、これらの人たちが、その目的にあるように雇用に定着する、福利の増進になるということで皆さんが考えた以上は、やはりそれぐらいの思い切った発想というものが必要なんじゃないですか。いままでの発想ではだめだ。だから、二十年間遅々として進まない。  私の県でも、初めは余りほっこりしないのがたくさんおりましたけれども、非常に熱心な労政事務当局の人たちもおりまして、初めは非常に普及が早かったのです。全国でも高率だったのです。いまは、各県の一覧を見ますと、同種規模の県から見るといいようですが、余り違っておりません。各県の状況を見ましても、非常に落ち込んでおるところもありますけれども、まあまあどこでも同じようなものだなと思うのですけれども、多少のアンバランスはあります。  ここで、多くの労働者がおりながらわずかしか入らなかったという原因を皆さんはもう少し突き詰めて、中退金の持つ意味合い、それから普及の仕方、国がそれだけの手を打つのなら打つような体制のあり方、これをやはり考えてみる必要があるのではないでしょうか。  その点、局長のお考えを聞きたいと思います。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 先生の御意見、大変貴重なものだと思います。また、現に地方公共団体でもそういった加入奨励のための援助措置を講じているようにも言っておられますので、私どもも、そういった点、どういう形でどんなぐあいにやっておるかということも検討すると同時に、いろいろ国としてそういった国庫補助につきましてはなかなかむずかしいと思いますが、いまおっしゃるような趣旨を考えながら、審議会等でも御検討願ってみたらどうかというふうに思っております。

安田修三日本社会党

○安田(修)委員 それから、実はこの資金運用につきまして、これはやはり入っている人にとっては、退職金の積み立てというのは労働者側からしますと実はちょっと危ないのです、これは内部留保でしょっちゅう使われているものですから。しかし、事業者にとっては、これはそれだけ資金運用できるものですから、なるべく内部留保でいきたい、退職積立金でいきたいという考えが強いものがあります。  そこで、ここら辺を何か制度的にもう少し調和できるものでないと進みにくい原因も一つあるのではないか。そうかといって、むやみにこの資金を中小企業の運転資金その他に全部貸し出すというわけにいきませんから、結局はいまの福利関係の施設資金等を拡大していく。  さらに私は、たとえばいろいろな中小企業の団地化とか、そういうのが進んでいます。中核団地とかいろんなのがあります。そこで、そういう場合に、共同施設に対する補助とかいろんなのは、これは通産行政の関係ですが、まだ非常に少ないのです。共同施設等に対する融資、たとえば従業員の運動場をつくるとかいろいろな施設つくりというのが出てくるわけですけれども、そういう場合にもう少し拡大して、先ほどの運用からいきますと三千七百十九億の運用の中に融資が六十五億、こういうことになっております。これはもっと運用の幅を広げてもいいんじゃないか。もちろん積立資金でありますから、安全性ということが皆さんにとっては一番大事なことであります。そこら辺を、運転資金でない以上はそう不安全ということはないわけですから、これをもっと拡大する方法、それから範囲、中身、こういうものをどういうぐあいに考えておられますか、お聞きしたいと思います。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 この制度は、事業主からの掛金を運用して従業員に退職金を支給するということでございますので、先生が冒頭御指摘になりましたように、いわゆる退職金の保全の面では大変確実な制度であるわけでございます。  御指摘の資産の運用の面でございますが、この制度は、その掛金を運用した利益を付して従業員に退職金として支給をするということでございますので、資産運用につきましても、まずは安全かつ効率的な運用というのが第一義になるわけでございます。この安全かつ効率的な運用を害しない範囲内で、できる限り中小企業の事業資金あるいは従業員の福祉を増進するための資金に融通されるような配慮をいたしております。直接事業団から融資をする制度あるいは商工債等を購入することによって、間接的に中小企業者の事業資金に流れていくというようなことがこの制度としては仕組まれておるわけでございます。  また先生、共同施設のお話がございましたけれども、現在事業団の行います融資につきましても、企業内施設に対しまして、事業主団体に対します融資については、融資枠も一億円ということで、企業内施設の倍にするというような措置をとっておりますし、今年度の融資の実績を見てみますと、まだ融資枠もあるようでございます。融資条件さえ満たせば、融資は現在のところ受けられるという状況にございます。

安田修三日本社会党

○安田(修)委員 そこで、この資金運用のあり方をもう少しオープンにやるために、これはもう審議会の中でも議論が出ておるわけでありますが、事業主、それから従業員、そういう各側の代表なんかを同数入れて審議会を改組してもらいたい、あるいはまた事業団役員にもそういう人たちを入れてもらいたいという議論があるのですが、これは審議会でも意見がまとまっておりません。それから中には、事業団役員の場合には適当でないんじゃないかという当局の意見も出ておりますが、こういう資金運用からいろいろな制度のあり方の中で、特にいま労働者関係も参加はしておりますけれども、もう少しこういう同数というような感じで、そしてじっくり煮詰めていく。そういう点ではその制度全般のそこらあたりもひっくるめた何か小委員会でもつくって——審議会でもちょいちょい小委員会でいままでも煮詰めておられますが、どうですか、審議会のそういう労使同数の参加あるいは事業団役員に労使双方の推薦者も入れて運営していく、そして公開していく、そういう行き方をひとつ図るために小委員会あたりを設けてやってみるということ、こういう点、大臣、政治的にどうでしょうか。何か労働省の方で考えていっていただきたいと私は思うのですが、どうでしょう。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 この中小企業退職金制度は、御承知のように任意の制度でございますし、その内容につきましても、掛金の出納、運用、退職金の支給といったようなことで、いわば定型的な仕事でございますので、そこにいろいろな労使の対立とかいったような事柄があるような性格のものではないということで、当初から学識経験者の委員でもって構成しているところでございます。しかし、実際の任用に当たりましては、最初からいわゆる公労使の各分野から委員になっていただいておりまして、実際上は三者構成という形で進んでおりますし、また、いままで運営につきましてもきわめてスムーズにいろいろな御議論をしていただいているところでございますし、また将来の問題につきましても、それぞれ各側代表の方が集まっていろいろな検討等に参画していただいている、こういうような実態でございますので、そういった審議会の運営をさらに進めてまいればよろしいのではないかというふうに私ども思っております。

安田修三日本社会党

○安田(修)委員 いまおっしゃったように、そういうぐあいに労働者の方も学識経験者も一応参加はしているのです。ただ、これが本当に本気でみんなが、事業主もそれから従業員も自分らのものとして制度と取り組んでいくということになると、やはり理屈と実際はかなり違うのです。ほかの学識経験者ということで実際現場のことをいじくっておらない人たちの意見と、それからまた、そういうものをそれぞれ各界代表でいじくった中から出てくる人と、運用面でいろいろあるのですね。こうすれば、もうひとつ制度に、たとえば、それはいろいろな飲み物と一緒で一味ちょっと塩を入れたら甘味が強くなるのと同じようなもので、制度にもちょっと付加したらすばらしいものに今度伸びていく、そういうようなわけですから、審議会でいろいろなことを検討してはおられるのだけれども、いま言ったそういう根本的な仕組みの変え方、審議会自身のあり方、それに事業団自身の構成のあり方というものをここら辺でやはり検討してみる価値があるのじゃないだろうかと私は思うのです。大臣、どうでしょうかね。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 具体的に先生から、審議会の中に小委員会を設けてという御提案をいただきましたが、いますぐに審議会の中に小委員会を設けて動き出していくかどうかということは、事務的にまたいろいろ問題があろうかと思いますが、先生の御意見のような方向で、やはりこの制度が生きていくためにはどうしたらいいか、ちょっと改善するということでも全体が生き生きしてくる場合だってあるわけでございますので、省内の検討課題として前向きに取り組ませていただきたい、このように考えております。

安田修三日本社会党

○安田(修)委員 そこで、今度、いろいろ制度的には順次変わってきて、ただこれは年金制度と違うものですから、これからまだまだ研究して解明しなければならぬむずかしい問題があります。たとえば目減り問題をどうするか。しかし、これは年金の積み立てとまた一味違うものですから、技術的にまだ未解決の問題がたくさん出るのですが、たまたま通算制ですね、退職した場合、次勤めるという通算の場合には、一応の改善策がなされてきたけれども、これにもやむを得ぬ自己都合退職ということで、このやむを得ぬ自己都合退職にいろいろな枠がはめられております。今日、いろいろな国庫補助の出る退職金制度ということからこういうものが出たのだろうと思うのですけれども、そこら辺もちょっとお聞きしたいわけであります。  さらに、今日、産業構造が非常に変化していっておる。そして、どちらかというと労働市場の転換あるいは流動化が促進されつつあるわけですね。というのは、転換法がすでにできておる。そのときにこれが通算制がないということは、逆にまたそれを締めていることになりますね。通算制があればわりあいに動きやすい。ですから、そういう点でこれはちょっと労働市場の関係からすると矛盾ではないだろうか。それから、補助金の関係から、通算制というものは抵抗があるということになれば、それほど抵抗すべきほどの補助金でもないし、こう思うのですけれども、これはどうなんでしょうか。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 企業間の通算の問題につきましては、いろいろ労働力の流動化の観点から、そういった制度も行われておりますが、通常退職金制度というものが個別企業限りのものでございまして、その企業を退職したことを退職金の支給事由としてそのときに退職金を支給する、こういうふうな原則になっておりますので、その原則を採用しておるというところでございます。しかしながら、中小企業者の連帯による共済制度でございますから、そういったところで、労働者の責めに帰すべき事由だとかあるいは一定のやむを得ない理由なく自己都合退職した場合、こういったものを除いたときに、一定の条件で前後の掛金の納付日数を通算するように現在しておるわけでございます。  そういうことで、基本的には個別企業限りのものでございますので、そういった制度に乗りつつも、ただいま先生のおっしゃるような趣旨からも一応通算できるような制度を開いてはおるわけでございます。

安田修三日本社会党

○安田(修)委員 そこで、それが限定されているものですから、私、もっと範囲を拡大して、というのは、これは普通の企業内退職金ならそれは企業内で終わりですけれども、この場合はどちらかというと複利計算でやっているわけでしょう。たまたま年功がたつと傾斜して上がっていく。それは下の方の分が上についているということなので、補助金そのものは年功がたっても年数の分しかつかないのです。そこで、別の企業に移って通算したってそんなに不自然でないと思うのは、前にやめた分、いわゆる持参金つきでほかに行った、のと一緒ですよ。国の方の制度になれば一緒ですが、今度逆の遡及制もいよいよできてきたわけですから、そうすれば、破廉恥その他というようなことでない、何か重大な、よほど問題にすべきことがあった場合はともかく、通常の自己都合退職で移動していく場合、これは別にもっと範囲を拡大していいのじゃないだろうかと思うのですが、それはまだ抵抗があるのでしょうか。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 ただいまのように、企業間の通算を原則とすることにつきましては、ただいま先生のおっしゃるような御意見もございますし、また審議会の建議におきましても、退職金の性格及び共済数理の仕組みの上からなかなかむずかしい点もあるけれども、やむを得ない事情の範囲の拡大について検討したらどうか、こういったような御意見もございます。そういうことで、私どももそういった線に沿いつつ今後検討してまいりたいと思います。

安田修三日本社会党

○安田(修)委員 私、審議会の記録を見ますと、退職金制度の持つ意味合いから、好ましくないという意見も確かにありますね。局長のおっしゃるとおりです。ただ、これを出した人たちは勘違いしたんじゃないだろうか。それは個別企業の制度ならそれでいいけれども、しかし国が事業団として包括してやっている以上は、当然そこに一本の退職金制度、事業団の退職金制度——個別企業は金を拠出して、そこの退職金であるけれども、本来は制度が一本になっておるのですから、私は当然それはあっていいと思う。ですから、何々会社が退職金制度を持っている、この場合には保険に掛けたりあるいは積立金にしたり、あくまで自分の内部資金で操作しておるわけですから、これはどうしようもないのですが、事業団の資金として扱っていく以上は、これは個別企業の退職金として位置づける必要はない。ですから、支払いは、退職の場合には事業団から直接行くわけですからね。そうでなければ、企業が本来事業団からいただいて支払いをすべきものだ。そうではなくして、直接給付されるというところにこの退職金制度の持つ従来の企業の枠を外れた退職金制度、どちらかというとそういう共済の意味合いというのは非常に強くなったわけですが、ここにこれのいわゆる優位性といいますか、制度上の持つ意味合いのすばらしいものがあるわけですから、それを生かした通算制というものに私は踏み切っていく必要があると思いますが、いまおっしゃったように、ぜひそういう御検討をしていただきたいと思います。  さて、もう時間がありませんので、最後に一つお伺いしたいわけでありますが、加入の場合に、もう少し労働者の意見が反映される方法はないだろうか。たとえば、ある五十人の事業所の労働者の半数以上が、おれは入りたいぞ、入れてもらいたい、そうした場合に、それがたとえばどこかの機関で取り上げられて、そうしてじゃすぐ事業主も入るようにという勧告を受けるとか、あるいはまた二、三年のうちに検討せいということを言うとか、そうして入っていくという、何かそういうような道というものはないだろうか。いまの場合ですと、事業主だけの判断、もちろんおれのふところから出すのだから、人に文句を言わせぬぞというような仕組みなんですけれども、労働基準法では、労使は対等で、お互いに労働条件を話し合うということになっているのだけれども、そうして組合のあるところは、退職金制度の中で中退金を支払いの担保にするかどうかという、いろいろなことをやっておりますけれども、恐らく組合のないところは、ほとんどこういうところが中退金に入ってくるわけですから、そういう場合に、おれは入りたい、事業主に入ってもらいたい、この声が何かどこかで調整されるような方法がとれないだろうか、こういう点ひとつ研究してもらえぬでしょうか。局長の方、どうでしょうか。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 この制度は中小企業の従業員の福祉の増進のために設けられてございますから、できるだけ中小企業者がこの制度に加入していることを期待することは言うまでもございません。  ただいま先生のおっしゃるように、従業員の労働者の側からいろいろ求めたときに、その点の措置をどうするかということでございますが、基本的にはやはり労使で話し合っていただくのが筋道ではないか。別に退職金がほかのものと異なるわけでもございませんので、そういった点でやはり考えていってしかるべきじゃないか。もちろん、いまおっしゃるような小さいところでありますと、組合のないところもあろうかと思いますが、その辺は事業主と労働者の話でもってできることも当然予想されます。またそれによる方が、今後の加入の点についても適切になっていくのではないかというふうに思っております。

安田修三日本社会党

○安田(修)委員 日本の実際の小企業というところに行きますと、労使間で話し合えるという状態が幾らあるでしょうか。もちろん小企業の社長さんあるいは個人事業主というのは、それこそ冬なら朝の暗がりから晩の暗がりまで陣頭指揮して、社長兼小使でいろいろなことをやっているだけに、また、いざというときには権威もあります。とてもじゃないが、従業員がこういう条件について話し合える雰囲気というのはまず少ないでしょう。かといって、家族的運営ということで、いろいろなことで危機をともにする程度の意味合いのこともあるけれども、しかし、何といっても最近は現代化しておりますし、あくまで事業主は事業主、従業員は従業員、しかも権威というのは、普通の中規模以上と違って、ほとんどこれはおやじの一喝のもとにということがほとんどですから、まず条件を話し合うということはない。だから、社長、入っていただきたいと言っても、じゃ話し合うかというものじゃないでしょう。それは金がないからだめだ、あるいはうちは退職金制度なんというのはまだ持つかい性はないよと言えばそれまで。問題は、もしそれをこの中退金の法の中で、過半数以上の労働者がそういう要求をした場合に、中退金に入らなければならぬという法律でもできれば一番いいのですけれども、現状そこまでは私は無理だと思うのです。  ですから、そういうものがあった場合に、それを事業主に中退金に入ることを勧告できるとか、あるいはまた、二、三年の待期間を置いて中退金に入りなさいという勧告をするとかというようなものが、強い基準法上の基準違反の勧告とは違いますから、そういうものではなくても何かそういう道はないだろうか。これもひとつ検討課題としてぜひ研究してもらいたいと私は思うのです。これも普及方法の一つではないだろうかと実は思っているわけです。  そうして最後に私は一それじゃ、時間が参ったそうでありますから、そういうことで、ひとつ最後に大臣に、そういう新しいいろいろな方法を加味してやってもらえるかどうか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 非常に前向きないろいろな御提案や御意見をいただきましてありがとうございました。中小企業、特に規模の小さい事業所で働いておられる方々の事業主と従業員との関係というのは、お話しのように、労使がいろいろ協議して進めるという形になかなかなっていないという実態も、私ども身の回りを見ましても痛切に感ずるわけでございます。しかし、この仕組みがあくまでも中小企業の従業員労働者の福祉を増進するということをねらいとしてつくった仕組みでございますから、できる限りそれが生きていくようにしなければいけない。私は、いろいろな御意見を伺いますと、すぐにそれに飛びつきたくなるような気がするのですけれども、なかなか乗り越えていかなければならぬところも事務的にはいろいろあるわけでございますが、半分以上が要求したら事業主は入ることに勧告するというような仕組みはなかなかいいと思うのですけれども、いいと思っても、すぐに局長さんが事務的にそれを動かしていけるかということになると、これまたいろいろ問題がある、労使がいろいろ話し合って進んでいくというたてまえのものでございますから。しかし、それらを全部乗り越えていくためには、やはり絶えず労働行政の中で、第一線でいろいろな団体の御協力もいただいて、絶えず中小企業にこの仕組みを呼びかけていく、そして事業主にも従業員の方にも絶えず呼びかけて、一緒にやりましょうという強い普及への努力をしていくことによってそういった問題を乗り越えていかなければいかぬ、こう考えるわけでございまして、今後、御指摘の点等を十分念頭に置いてあらゆる努力を進めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。

安田修三日本社会党

○安田(修)委員 じゃ、終わります。

竹内黎一自由民主党・自由国民会議

○竹内(黎)委員長代理 次に、伏屋修治君。

伏屋修治公明党

○伏屋委員 さきに質問せられました方と問題が重複した点がございましたら、お許しをいただきたいと思います。  まず最初に、この資料の冒頭に書いてありますけれども、「今回、五年ごとの掛金額等の再検討期にあたり、」云々という言葉がございますが、非常に経済状態が変動著しい今日、このような五年というのをもう少し短縮して見直すというような御意思があるのかないのか。この法案ができた趣旨といいますと、やはり先ほど大臣がお答えになりましたように、中小企業の従業員の福祉の増進と中小企業の振興にある。その背景には、大企業よりも余りにも低位に置かれた中小企業の待遇、そういう問題もありますし、また中小企業に対する優秀な人材の確保もできない、こういうような問題が背景にあり、この法案ができた、こういうことを考えていきますと、この五年間というのは、いまのような著しい変化のある経済情勢の中では余りにも悠長過ぎるのではないか、こういう感じを私は率直な印象として受けたわけでございますけれども、そのあたりからお答えをいただきたいと思います。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 現在の法律におきましては、先生御指摘のように、五年ごとに掛金、退職金の額を見直すようにということが規定をされております。その趣旨は、退職金、賃金の一般の動向に対応できるような制度になるようにというのがその規定の趣旨であろうかと思います。今回もその規定、趣旨にのっとりまして改正法案を提出し、御審議をお願いしておるところでございますが、この改正法案におきましても、前回の改正時からの賃金、退職金の事情を踏まえまして、最低掛金、最高掛金をそれぞれ五割アップをいたしておるところでございます。この制度は、最低と最高を決めまして、その中で事業主が掛金を選択し得るということでございますので、その幅の中で事業主が適切な対応をしていただければよろしいのではないか。したがって、五年というこの法律の原則をいまここで改正をするという必要は、そこまではないのではないかというふうに思っております。

伏屋修治公明党

○伏屋委員 一応変える意思がないということがわかったわけでございますけれども、一般の共済制度とは質的にも内容的にも違うわけでございますので、そういう特異性から考えて、そういうような期間というものが生まれたということは理解できるわけでございます。  いまの本案の改正の骨子に従って、一つ一つお尋ねをしていきたいと思いますが、この中で見ますと、約二十一万という加入数でございますが、三百人以下の、改正される以前の従業員規模における中退金の対象企業数というのは一体どれぐらいあったのですか、その辺。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 この制度の対象になります事業所数を規模別にということでございますが、規模別の企業数を的確に表章いたしました統計がございませんので、事業所センサスをもとにいたしまして推計をいたしますと、総数で二百二十一万五千企業でございます。規模別に見ますと、百人から二百九十九人のところが一万四千、三十人から九十九人が七万九千、十人から二十九人が二十六万七千、五人から九人が三十七万六千、四人以下が百四十七万九千企業ということになっております。

伏屋修治公明党

○伏屋委員 大体三百人以下の規模別に言っていただきましたけれども、三百人以下の企業数というのは二百万を超える企業数と聞いておりますけれども、それから言いますと、五十三年度の共済契約者数というのは二十一万ですから、一〇%ぐらいの加入数であるということであるわけでございますけれども、今回はその従業員規模からいわゆる資本金規模に拡大をして、そして加入を促進するということを考えておられるようですけれども、資本の額を拡大することによって、その増加対象企業数というのはどれぐらいふえるのですか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 これも先ほどと同じく、事業所センサスをもとに推計をいたしますと、企業数で約六千企業、従業員で約百六十万人が新しくこの制度の対象になるということでございます。

伏屋修治公明党

○伏屋委員 そこで、当局の方は、この中退金に加入する見込み数をどれぐらいに見込んでおられますか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 新しく適用対象になりました企業のうちのどの程度のものが中退制度に加入をしてくるか、推計はなかなかむずかしい面がございます。特に新しく適用対象になりますところは、規模的に見ましても、かなり大きいところが新しく適用になるわけでございますので、その推計はむずかしいわけでございますが、現在の中退制度への加入状況を考慮して考えてみますと、企業数では約六百、従業員で約十五万人程度がこの制度に加入をしてくるということになるのではないかというふうに思っております。

伏屋修治公明党

○伏屋委員 先ほども委員の方から御質問がございましたけれども、普及率が非常に低い、その普及率を高める意味においてこのように資本金の額にまで幅を広げてきた。そして、いま加入対象見込み数もおっしゃいましたけれども、具体的にその加入促進をどのような方途をもって進めていこうとされておるのか、その辺もお答え願いたい。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 本制度の加入対策につきましては、この中小企業退職金共済制度に関連しておりますいろいろな関係機関並びに事業主の団体、また業務委託を行っております金融機関、そういったようなところと密接な連携をとりましていろいろとやってきているわけでございますが、従来の点から申し上げますと、毎年十月には加入促進強化月間というものを設けまして、全国的に集中的な加入促進運動を実施しておりますし、加入促進の功労者に対します表彰なども行って、そういったことを通じて普及を図る、こういうこと、あるいは中小企業退職金事業団が全体を運用しておりますが、そこが中心となって資料の提供、加入相談、説明会、こういうことも頻繁にやってまいっておるわけでございます。また、いわゆる事業主団体、それから関係機関のいろいろな機関紙にPRをして、その点の活用を図っておるというような問題、それから、特にこの行政の面では、地方公共団体の労政課が主体になっておりますが、その労政課を中心としましていろいろな加入相談だとか説明会等も催す。また、地方公共団体によりましては一部掛金に対します助成をやっておるところもございます。そういった点を通じてさらに促進をさせるというような問題もございます。また、委託金融機関につきましても、いろいろこういった点について積極的な加入促進を図るような仕組みも今後さらに考えていきたいというふうに思っております。  こういったように、いろいろな角度からいろいろな方法でPRを全国各地で集中的に行っていかなければなかなか効果が上げられないんじゃないか、こういうように思っております。私どもこういった点についてできるだけPRをしていきたい。特に今回につきましては、従来からいろいろ要望のあった点につきましても改正をしておりますので、そういった点を通じてさらに積極的な加入促進を図ってまいりたいというふうに思っております。

伏屋修治公明党

○伏屋委員 いま加入促進についての方途をお聞きしたわけでございますが、さきの五年前の附帯決議の中の第四項の中の「普及率を高め、加入促進対策を強化すること。」ということに基づきましていまのような方途をとられたと思いますけれども、加入促進強化月間というのは年間にどれぐらいつくってやられるのですか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 加入促進月間は毎年十月をこの月間として定めて全国的なキャンペーンをやっております。また、金融機関におきましては、金融機関独自で加入促進月間を定めて加入促進の措置をいろいろ講じておられるところもあるようでございます。

伏屋修治公明党

○伏屋委員 その次にお尋ねしたいのは、今回過去勤務期間の通算制度というものが新設されておりますけれども、これによりますと、過去十年にさかのぼっての過去勤務というものが通算されるということになります。しかし、事業主はその五年間のうちに十年分の掛金を納めなければならない。それと同時に現行の中退金の掛金も納めなければならない。こういうことになってまいりますと、それでなくても中小企業は非常に苦しい中で事業主に大きな負担がかかるのではないか、こういうことを考えるわけですが、その点はどういうようにお考えですか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 今回かねてから要望が強く出されておりました過去勤務の通算制度を導入することにいたしております。過去勤務を通算いたしますためには、過去勤務通算月額を納付していただくということになるわけでございますけれども、そもそもこの制度は任意加入でございます。したがいまして、この制度を採用するかどうかということ自身が任意でございますし、また過去勤務に係る月額をどの月額で掛けるかということにつきましても事業主が自己の負担能力を勘案しながら決定される、もちろん法律の中で一定の幅は決めておりますけれども、その幅の中で事業主が任意に決定をされるということでございますので、そう大きな負担でなくてこの制度が実施され、加入も進んでくるのではないかというふうに思っております。

伏屋修治公明党

○伏屋委員 この中退金については国庫補助があるわけでございますけれども、過去の通算期間に対する国庫補助はないように私は聞いておるわけですけれども、この面について国庫補助をする考えがあるのかないのか、お答えいただきたいと思います。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 過去勤務の制度は、いわば過去の時日につきまして通算をし、通算のメリットを給付面で出そうということでございます。したがいまして、国庫補助のあり方といたしまして、過去の時日について補助をするということはいろいろむずかしい問題があるのではないかというふうに思っておりますし、早くからこの制度に入りまして営々として掛金を掛けてきたという方との均衡の問題もあるわけでございますので、この過去勤務期間につきまして国庫補助をつけるということはなかなかむずかしいのではないかというふうに思っております。

伏屋修治公明党

○伏屋委員 その次ですが、特定業種の退職金共済制度において今回枠が引き上げられました。百二十円から四百五十円以下に引き上げるということになるわけでございますけれども、毎月の証紙の掛金を見ますと、先回は建設業の方が百二十円ということで、清酒製造業が百五十円ということでございますが、これは共済組合の方で大体決められると聞いておりますけれども、今回のこの引き上げによってその枠がどのあたりにおさまるのか、その辺をお聞きしたいと思います。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 御指摘のように、今回の改正におきましては、特定業種退職金共済制度の掛金の幅を上げることにいたしております。その幅の中でそれぞれの組合が定款で定めるということになるわけでございます。建設業退職金共済組合につきましては、従来から制度改善が行われ、一般の掛金が引き上げられましたのに対応いたしまして掛金日額が引き上げられてきたという経緯がございます。今回におきましても、建設業においては掛金日額の引き上げが具体的な検討段階に入っておるように聞いておりますが、金額がどの程度になるかということまではまだ詰まっておらないように承知をいたしております。また、清酒製造業におきましても、掛金の引き上げの問題が問題として上がっておるようでございます。  いずれにいたしましても、両組合とも賃金の事情等を勘案しながら適正な掛金日額を決められるということになってこようというふうに思っております。

伏屋修治公明党

○伏屋委員 中小企業退職金共済の審議会小委員会の審議の経過がここに出ておるわけでございますけれども、その中でちょっとお尋ねしたいと思いますのは、特定業種の中に林業というものを追加指定をしてはどうかというような問題点が提起されまして、それを検討するというような形で終わっておるわけでございますが、当局はこの問題についてどういうふうに考えておみえになりますか。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 先生ただいま御指摘のように、昨年の六月十六日の中小企業退職金共済審議会におきまして「林業を特定業種として追加することについては、林野庁において特定業種退職金共済制度の適用を目途に実施を促進している林業退職金積立事業の進捗状況及び林業の就労実態をは握しつつ、今後引き続き慎重に検討すべきである。」というような建議をいただいております。特定業種退職金共済制度は、短期間に職場を転々と移動しております期間雇用者のために、各職場の勤続期間を通算いたして退職金を支給することを原則とする制度でございます。したがって、当該業種に属する事業を営んでいる大部分の事業主の熱意と協力体制の確立が前提条件として不可欠であるわけでございますが、現在林野庁が五十三年度から行っております林業労働者にかかわる退職金共済制度の適用を促進するための環境整備助成等の対策、こういうふうに申しておりますが、そういった林業退職金積立事業、これの進展の状況なり諸般の状況の変化を見ながら、関係機関と連絡を密にしまして、積極的にこの点についての検討をしてまいりたいというふうに思っております。

伏屋修治公明党

○伏屋委員 もう一つ、建設業の方でございますけれども、その論議の内容の中に付加金という問題があるわけでございます。さきの委員の方も御質問になったようでございますけれども、この付加金という問題について「支部経費については、国庫補助を行うか資産運用益の中から支出し付加金を撤廃すべきである。」というような論議がここには記載されておるわけでございますけれども、その方向はどちらの方向をとられるのか、国庫補助をつけるというような方向をこれからたどろうとするのか、そのあたりはどうですか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 建設業退職金共済制度の場合、共済制度の円滑な運営をいたしますためには、業界みずからがみずからの制度として事業を自主的に推進をしていただくという必要があるわけでございます。この制度発足以来、建設業協会の支部が建退共の支部を兼ねまして、制度の運営の一翼を担っていただいているわけでございます。ただ、建退共の組合員の中には、建設業協会に加入していない事業主も入っておられますので、費用負担の公平という観点から、現在付加金を証紙一枚当たり四円ということで取り、それを支部経費に充てておるところでございます。かねてから、この支部経費の解消につきましては御要望が強く、また審議会においてもいろいろ御議論があったところでございます。この制度は、本来的には業界退職金という制度でございますので、業界の協力が必要でございます。そういう意味におきまして、この支部経費を国庫で補助をするということは大変むずかしい問題であると思いますが、付加金の解消につきましてはなかなか一挙にというふうにはまいりませんけれども、段階的に解消をしてまいりたいということで、関係機関と現在協議を進めておるところでございます。

伏屋修治公明党

○伏屋委員 もう一点、この小委員会の中で賃金、物価スライド制の導入ということが論点になっておるようでございます。非常に困難なようなことが記載されておりますけれども、労働省の方としては、この賃金、物価スライド制の導入ということについて、今後の見通しをどのように持っておられますか。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 この中小企業退職金制度は、御承知のように、任意加入による制度でございまして、いわば個別の被共済者ごとの積立制度においてできておるわけでございます。そういう意味で、その給付を賃金や物価にスライドするような仕組みを設けることは、基本的にはちょっと問題であろうかと思います。また、本制度には掛金月額を増額するという制度もございますから、そういったところを有効に活用すれば足りる面もあるところでございます。  しかしながら、一般の退職金制度では、賃金の水準の動向だとか、そういったものに応じた退職金が支払われるというのが通例でございます。また、中小企業退職金共済審議会の場におきましても、この制度改善に当たりまして、物価スライド制についてなお今後検討課題として指摘をされているところでもございます。そういう意味で、今後こういった点については慎重に研究検討してまいりたいというふうに考えております。

伏屋修治公明党

○伏屋委員 七十五国会の附帯決議の第五項目の中にも「資金運用については、労働者福祉に役立つよう一層の改善に努めること。」ということがございます。また、この小委員会の論議の中でも「資産運用等に関する事項」の中で「融資制度の改善、その他」ということで、ここで論議がされておりますけれども、従来のこういう制度というのは、事業主に対する貸し付け、労働者の福祉事業というか、そういう関係で融資をしておるわけでございますが、もう少しこれの枠を広げて、労働者の生活そのものに恩恵が与えられるというような幅広い融資制度がとれないものかということでございます。進学に要する多額な費用、そういうものを補うような融資制度というようなものができないものか。この中退金というのは事業主がすべて掛金を持っております。そういう特異性から、なかなかそういう面がほかの共済制度とは違うという面はわかるわけでございますけれども、やはり先ほどもお話がございましたとおり、従業員に一つの明るい希望を持たせるという意味におきましても、そういう個々の融資制度というものをこれから拡大していくという方向をとった方がむしろ望ましいのではないか、このように考えるわけでございますが、このあたりはどうですか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 この制度におきましては、掛金とその運用利益を給付に回すという仕組みでございますので、資金の運用につきましては、安全かつ効率的な運用ということがまず第一義的な要請でございます。その範囲内において、できるだけ事業主あるいは労働者の福祉に役立つような資金の運用をするということが法律で明記をされておるところでございます。また、現にそのような形で資金運用がなされておるところでございますが、御指摘の、直接労働者に融資をする制度を設けてはどうかということでございます。  かねてからこの議論はございます。私どもとしていろいろ検討はいたしておるわけでございますけれども、個々の労働者に融資をするということになりますと、融資の恩典を受ける人の範囲がおのずから限定をされてくるということ、あるいは担保のとり方にいろいろむずかしい問題があるというようなことから、なかなか踏み切れないというのが現状でございます。

伏屋修治公明党

○伏屋委員 片面で非常に普及率が低いのを高めたいと言いながら、こういうような非常に魅力のある、先に明るい希望の持てるような融資制度の拡大も困難であるということになってまいりますと、その普及率を高めるということについて余り積極性が見られない、こういうふうに判断せざるを得ないわけでございますけれども、この中退金というのは退職金の金額も非常に低うございますし、また中小企業の特異性からいいましても、従業員の方々が非常に移動が多いわけでございます。そういう点での担保のとり方が困難である、そういうようなことで個人的な融資の方は困難であるというお考えでございますが、反面、逆に、そういうような融資制度というものをつくることにおいて、その短期間の移動というものをとめていくという方途もそこに見出せるのではないかと私は考えるわけでございますし、そういうものがあることによって普及率を高めるということに大きく貢献していくのではないか、こういうように考えるわけでございますが、再度お尋ねいたしたいと思います。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 先生御指摘の側面は確かにあろうかと思います。問題点は、先ほど申し上げましたようなところが私どもは問題点ではないかというふうに考えております。ただ、この事業主に対する融資制度は、労働者の福祉施設の設置に要する資金として事業主に融資をしておるということでございますので、事業主の融資を通じて労働者の福祉の増進に寄与しているという面があるわけでございます。それをさらに一歩進めて、労働者に直接融資をする制度の道を開き、そのことによって加入促進を図れという御趣旨でございますが、先ほど申し上げましたような問題点もございますので、今後十分検討をしてまいりたいというふうに思っております。

伏屋修治公明党

○伏屋委員 この中の資金運用を見てみましても、非常に多額な資金運用が行われていますし、そういうものの資金運用の利回り等によってもう少しそういうような融資幅を拡大する方向で一段の努力をお願いしたい、こういうふうに考えるわけでございます。そして、やはり中小企業に優秀な人材をとどめておくという方途を考えていかなければならないと思います。  それから、この中退金というのが、さきの委員も御質問ございましたとおり、事業主が掛金すべてを負担するということから、掛金額あるいは退職金というものが事業主によって決定されていくということにおいて、労働者の意思というものがそこに生かされておらないのではないか、このように私も思うわけでございます。やはり労基法の中にも、労使対等ということがございます。そういう面から考えましても、労働者の意思をもう少し尊重するというような一つの仕組みが必要でありますし、いま申し上げましたようないわゆる個人的な融資の枠を広げて、働く人たちに明るい希望を持たせる、魅力を持たせるということ、そういうようなことを兼ね合わせていく、それが中退金制度というものが今後魅力のあるものになるかならないかを決定してくるんではないか、このように考えるわけでありますが、そのあたりの労働者の意思をどういうふうな形でその中に生かしていくのかというようなことについてのお考えがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 お話のように労働条件は労働者と使用者の間で決定するのが原則でございますし、御指摘のように、本制度に加入し、本制度によって退職金が支払われるようにすることはまさに労働条件ということでございますから、使用者の恣意にならないように労使が自主的に対応するということがたてまえでありますし、またそれが期待されるわけでございます。本制度に加入するということは、いわば基準法上の就業規則に定めのある退職手当の定めということになりますので、これは当然就業規則に記載する事項になりますし、事業主はその場合当然作成に当たりまして労働者の意見を聞かなければならないというたてまえどおりになってこようかと思います。そういう意味で、本制度の加入につきましては、労働者の意見が反映されるようになっておるということでございます。  また、この中退法自体につきましても、本制度に加入する場合には被共済者となるべき者の意に反して行ってはならない、こういうふうになってございますから、そういう意味で従業員の意見書も提出するような手続をしているわけでございます。そういった点で、掛金月額を幾らにするかといったようなことも含めまして、従業員の意見は十分反映されることと考えております。  また、いままでこういった問題について従業員に対して不当な差別とかなんとかいろいろな問題が起きているということは、従来からちょっと聞いておりません。そういった意味で、現行の制度でそういった点で従業員の意思が反映されるような仕組みをとっておるということでございます。

伏屋修治公明党

○伏屋委員 そういう労働者の意思というのが余り反映されないということを取り上げまして、やはり労務管理、いわゆる事業規模一億円以下あるいは三百人以下の従業員という規模の中で、それもだんだんあると思います、その中で一つの組合をつくりながら労使の協調を図るというような企業であるならば、その中でおのずから働く人の意思というものも反映されてくると思うわけでございますけれども、その組合ができないような現状、十人以下とかあるいは十五人以下というような小規模ないわゆる零細企業の方々にとりますと、そういうように事業主の一方的な意思によって決められてしまう、そういう不満も普及率を低めておる一面ではないかと私は考えるわけでございます。しかも、悪く言えば労務管理にこれが使われるという可能性すらあるわけです。今後その事業規模が拡大していく企業の中で、その働く人たちが、われわれ労働者の福祉増進のためにもひとつ力を合わせて組合をつくろうではないか、こういうような動きが起こってきたときに、やはり事業主がそれにブレーキをかけるようなことが起こらないとも限らないわけです。だから、やはり常に労働者の意思がそういうような制度の中に生かされてくるということが、いろいろな問題を未然に防いでいくことになるのではないか、私はこのように考えるわけでございますので、そのあたり本当に働く人たちの意思を、本当にこの職場で働いてよかったという、そういう明るい、希望に満ちた、そういう意思に転換するためにも、やはりこの制度の中で精いっぱいそういう働く人の意思を生かす方向、そういうものを真剣に考えていただきたい、このように私は思うわけでございます。  それから、資金運用、いろいろございますけれども、時間もございませんので、これは省略させていただきたいと思います。  それから、特定業種の退職金制度の中で、やはり建設業あたりになりますと、大企業がかなりその中にくちばしをはさんできて、中小企業の方々が犠牲にされないとも限らない。下請という特異性からいっても、大企業の声がそこに大きく反映されることによって、下請の企業の方々が自分の意思を殺されるというような面も出てくると私は思うわけです。そのあたりについては、どのようにそれを防止することを考えておられますか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 建設業の関係につきましては、元請、下請の関係というのが、この制度だけではなくて、広く一般的に問題になると思っております。この制度を零細な建設業にまで適正に浸透していきますためには、やはり元請の力に負うところが多いわけでございます。そういう意味で、元請の力をかりながら下請の方にこの制度が普及し、かっ先ほど来御議論がございます証紙の貼付についても、ちゃんと履行されるようにという指導をしてまいりたいというふうに思っておりますが、その関係が変な形で下請の方に圧力がかかるということがあってはならないと思いますので、その点につきましては元請企業の方に十分注意をするように、関係行政機関とも協力をしながら指導してまいりたいというふうに思っております。

伏屋修治公明党

○伏屋委員 いまの件は、そういう特定業種の共済組合の中での評議員会という中で、やはり大企業の思いのままにそれをやっていこうとすることにブレーキを今後とも考えていただきたい、こういう趣旨から申し上げたわけでございます。  それから、先ほど大臣がおっしゃいましたように、本当に中退金制度というのが仏つくって魂入れずではいけない、こういうことでございますので、最後になりますが、この中退金制度が本当に魅力に満ちて、そして優秀な人材を確保でき、そして徐々に業績を上げる中で希望を持ってやっていける、そういうような制度にしていかなければならない、そういう意味におきまして、この制度の範囲内における精いっぱいの努力を当局に要望を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

竹内黎一自由民主党・自由国民会議

○竹内(黎)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十分休憩      ————◇—————     午後四時二十六分開議

竹内黎一自由民主党・自由国民会議

○竹内(黎)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長所用のため、暫時私が委員長の職務を行います。  中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。田中美智子君。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 今度の中退金の改正の一番大きな目的というのは、適用の拡大を図っているという点で、一応評価できるというふうに思います。人数だけでなくて、資本金も入れてできるだけ拡大しようということはわかるわけですけれども、果たしてそれで拡大できるかということをいろいろ考えるわけです。そういう観点から次々と質問をしていきたいと思います。  まず、適用にならない労働者は除外規定をされているわけです。それはたとえば「期間を定めて雇用される者」というふうに、パートのような人たちが適用されていない。しかし、こうしたパートの中には、二カ月とか三カ月とか半年とかという形で契約して働いているわけですけれども、実際には現場を見てみますと、契約は三カ月であってもまたその時期が来るとすぐに更新する、反復更新して三年、四年、五年と同じ企業に、身分はパートかもしれませんけれども、ずっと同じところに働いている人たちが非常にたくさんいるというふうに思うわけです。  こういう人たちも適用の対象にしてほしいというふうに思うわけですけれども、その点はどのようにお考えになるでしょうか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 いま先生御指摘の「期間を定めて雇用される者」「季節的業務に雇用される者」等々は、この法律の適用を受けないということではなくて、適用はございますわけで、いわゆる包括加入の原則から外れておる人たちでございます。したがって、事業主がこれらの人たちを被共済者とするということであればもちろん被共済者になり得る。そういう意味では適用があるというふうに思っているわけですが、御質問は、これらの人たちについて包括加入の適用を外しておる理由はどういう理由であるかという御趣旨かと思います。  これらの人たちにつきましては、一般の従業員に比べましてその勤務形態、内容が著しく異なっておることから本来退職金制度になじまない人たちではないかという趣旨から、包括加入の例外の人たちというふうに定められておるわけでございます。  問題のいま御指摘のパートの方でございますけれども、パートの方々につきましては、これらの包括加入の例外の適用といたしましては、多分「所定労働時間の特に短い者」というものに該当するとして包括加入の原則から外れるということに相なろうかと思いますが、この「所定労働時間の特に短い者」というものはどういう人たちをいうか。私どもの解釈といたしましては、通常の所定労働時間の大体三分の二程度の方々を特に所定労働時間が短い者というふうに考えておるわけでございます。したがいまして、御指摘の三カ月更新でパートをやっていくという方が実態的に見てどのような形であるのか、その実態に即して、先ほど申し上げましたように、特に所定労働時間が短いというものに該当すれば包括加入の原則から外れるわけでございますけれども、そうでなければ包括加入の原則の中には入ってくる。したがって、就労実態に即して、包括加入の原則というものに照らしながらこの法律を運用してまいりたいというふうに考えております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 何かいまのお答えは要領を得なくて、ちょっとわけがわからない。御自分でもどの程度おわかりなのか、私の方がわからないのか、非常にわかりにくい答弁でしたけれども、いま企業主の意思でというふうなことも言われたわけですが、所定内の時間が短いということですか。パートというのは一日の中で六時間働くとか七時間という約束をしているパートもありますし、また、これはパートと言うかどうかわかりませんが、三カ月の契約を切って雇われているという場合もあるわけですね。そういうのが更新されていった場合、これはどういうふうになるわけですか。もう少し具体的に、こういう場合対象になるのかならないのかと聞いているわけです。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 通常の意味におきますパートというのは一般の労働者よりか所定労働時間が短いという観点でパートと称するということでいまの御質問にお答えしたわけでございますけれども、所定労働時間が一般の従業員と同じで、ただ雇用期間が三カ月で更新をしていくという方々につきましては、その実態を見まして、それが本当にずっと三カ月で更新をされていくということであれば包括加入の原則の中に入ってくるというふうに理解をしております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 それでは、三カ月はきちっと一般労働者と同じように働いていて、三カ月、三カ月で反復して更新された場合には、これは入れるということですね。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 「期間を定めて雇用される者」に該当するかどうかという判断基準といたしましては、特別の場合を除きまして、一、二年、六カ月、三カ月あるいは二週間等の契約期間で雇用される者であり、日々雇い入れられる者も含まれる。契約期間は特別の場合を除いて一年以内であることが必要である。また、雇用期間が短期であっても契約を更新することによって一年を超えて雇用される者は適用除外者でない者として取り扱うということでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 簡単におっしゃってください、わかりますので、一言でわかることですから。そういう場合は三カ月でも二カ月でも反復して一年以上ならばいいということですね。  それからもう一つは、一日の勤務時間が短い人がいるわけですね。六時間とか四時間とかという契約をしている、こういう人たちがずっと一年以上いた場合にはどうなるのですか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 そういう人たちは先ほど申し上げましたように「所定労働時間の特に短い者」に当たるかどうかということになるわけですが、所定労働時間が特に短いかどうかということは、一般の従業員に比しまして労働時間が三分の二以内であるかどうかということを判断基準にして取り扱っていくということでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 そうすると、労働時間が三分の二以上のパートが一年以上続いていれば加入の対象になるということですね。     〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 そのとおりでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 その次の質問にいきますが、加入している企業で働いている資格のある労働者が全員入っているでしょうか。現状としては全員加入しているでしょうか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 この法律におきましては、先ほど申し上げましたように「期間を定めて雇用される者」「季節的業務に雇用される者」それから「所定労働時間の特に短い者」等々、一般の従業員と違う勤務形態にあり、したがって退職金制度になじまない人たちは包括加入の原則から外れておるわけでございます。それ以外の人たちについては原則として全部加入をするというのが法律のたてまえでございますが、加入企業の実態が包括加入の原則に合っておるかどうかという実態については正確な材料を持ち合わせておりません。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 法律では対象者は一〇〇%入ることになっているというんだけれども、その実態を労働省が知らないというのはどういうことですか。大臣、全部入ることになっているのに入っているか入っていないか労働省が知らないというのはどういうことですか。おかしいじゃないですか。特にこれは中小零細企業の人たちですから、それは全部入らなければならないことになっているのに、入っているか入っていないかわからないというのはどういうことですか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 包括加入の原則がそのまま全くの形で実現しておるかどうかということについてはわからないというふうに申し上げたわけでございますけれども、加入企業について全部所定の者が入っておるかというと、そうでない企業もあり得るというふうに思っております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 それじゃ、わからないのではなくて、初めから入ってない人もいるというふうに答えなければいかぬです。もっと正直に話さなければいけないですよ、わかりませんなんて言わないで。追及されると、そういうところもある、こういうのでしょう。私も——私が調べるのは、それは労働省のような力はありません。ですから、私の住んでいるところの企業をずっといろいろ調べてみました。そうしますと、加入した企業で男の労働者は八〇%ぐらい入っている。二〇%ぐらいは入っていないのですね。それは男の中での八〇%ですね。それから今度は女の労働者、婦人労働者の中の六〇%ぐらいしか入ってないですね。あと四〇%は入っていない。この四〇%、二〇%というのは推測です。私が当たったところでやっているわけですから全体がそうなっているかどうかはわかりませんが、こういうことはおたくの方では調べたことはありますか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 先ほど包括加入の実態がわからないと申し上げましたのは、加入企業のうちで全従業員に対する加入者の割合というものを承知しておらない、調べておらないという趣旨で申し上げたわけでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 そうすると、法律では全部入ることになっているのになぜ入れてないか。おかしいでしょう。企業主が怠慢をしているのか。どうしてそれは入らないのか。非常におかしいですね。婦人が半分弱ぐらいの人が入っていないということは大問題だというふうに思うのです。  それで、規則の第二条の四号で「被共済者となることに反対する意思を表明した者」というのは除外になっていますね。そうすると、この四〇%とか二〇%という人たちは被共済者になることに反対の意思を表明している人なんでしょうか。これも全くわからないというのですか。わからないならわからないと答えてください。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 当該企業において被共済者になっておらない方が、この被共済契約者になりたくないという結果入っておらないという人が全員であるとは思っておりません。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 そういう人はいるでしょうか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 そういう点についても実態を調べたことがございませんので、的確には申し上げられません。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 ですから、何もおわかりになっていらっしゃらないですね。  大臣、いまお聞きと思いますけれども、小さな企業の労働者、特に退職金制度をつくれない小さな企業、そのためにこの中退金というのをやっているわけですね。それで、おたくの方からいただいている資料によると、これはまだ九・五%しか入っていないというのですね。ですから、その九・五%の中の話を私はしているわけですから、本当にわずかなんです。せっかくいい制度があっても、それを活用しているのは九・五%。九・五%の企業の中で、女は半分弱ぐらい入ってない、男も二〇%ぐらい入ってない、これは法律では入るべきだとなっているのに入ってない。こういうものを全く労働省は御存じない。どうなっているか、どうして入らないのか。それは入らないというのは、これは業者が払うわけですから、労働者は一銭も払わないわけです。退職金をやるというのに要らぬという人はこの世の中にはいないと思うのです。それは一億もいれば狂った人が中にはあるかもしれません。KDDからの金は要らぬという人はいます、共産党だけのようですけれども、また革新共同もいますけれども、退職金を要らぬという人は私はいないと思うのですね。  ですから、この規則の二条四号というのは要らぬのじゃないですか。これは削除してしまった方がいいのじゃないかと私は思うのです。この法律ができたときにはどういう状態があったかわかりません。しかし、少なくともいまこういうものは要らないのじゃないですか。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 「被共済者となることに反対する意思を表明した者」という条項ですか。(田中(美)委員「はい」と呼ぶ)全部入ることになっているわけです。しかし、あくまでもこれは労使で決めていくこと、労働条件の中の一つでございますから、その労使の労の中で、いや私はそんなことはいやだという者があるとしたら、その人は入らないように事業主が手続から省くということになりましょうから、変わった人とかなんとかという表現をするのはおかしいので、いろいろなことがあり得るとしてこの条項を入れたものだと思いますから、あって邪魔になるものでもないような気もいたしますけれども。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 大臣はこれはわからぬわけでしょう。退職金は要らぬという人がないというのはこれは常識ですよ。そのないという人のために条文をつくっておくということは、あっても邪魔ではないといったって、中には大臣——ちょっと大臣、よく聞いていてください。(藤波国務大臣「ちょっといま何のためにこれを入れたのか調べていますから」と呼ぶ)そんなこと、ちゃんと質問のときに言っておるじゃないですか。質問を取りに来たときに全部言っているのです。私がきょう何をやるかというのは御存じじゃないですか。——それでは、ちょっと休みますよ。どうぞお調べください。委員長、休ませてください。だって、そうじゃないですか。こんなに時間を食って、話にならぬじゃないですか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 この法律は、先ほど来申し上げておりますように、包括加入の原則を定めておるわけでございますけれども、労働条件でございますから、その人の意思に反してそのような労働条件を設定するということは好ましくないことでございます。したがいまして、意に反してこの共済制度に乗せてはいけないということで、念のために規定をしておるということでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 退職金を要らぬという人がいますか。大きな企業の中でも退職金制度がありますね。公務員のあなた方だってあるでしょう。要らぬという人がいるから、要らぬという人にはやらないという項目をつくっていますか。なぜ中退金だけにつくるのかということを聞きたいのですよ。こんな要らぬものは、結局企業主が——大臣はいま、こういうものがあるということは余り邪魔にならぬじゃないか、こう言われるけれども、実際には全部入らなければならない、全部入れなければいけないわけですよ。企業主が一人千円とか二千円とか四千円とか、平均四千円と言っておりますけれども、払わなければならないわけでしょう。全部払うのは企業主はしんどい。だから、六〇%だけ払って、あとのは入れないというふうに悪用されるのですよ。そうして本人に、あなたはいいんだろうとか、あなたは余りまじめに働かない、病気で休んだりもしているしというようなことを言う一そう言われれば、雇われているわけですから、そうして労使といったって組合なんかきちっとあるところじゃないでしょう、退職制度もできないようなところ、五人とか九人とかというようなところが多いわけでしょう、少し大きい中小企業もありますけれども。そういうところで労使といったって、おやじさんに、君はちょっと病気で休んだり何かしているから入れぬよ、こう言われれば、本人は、いいですと、こう言わざるを得なくなるわけですよ。そうなった場合には、これがあるから、企業主は本人が意思の表明をしたのだ、こう言えばいいことになってしまうでしょう。  だから、こんなものは大臣の腹一つで、ある方が邪魔であって、なくたってどうということはないじゃないか。  私の調べた中で、なぜ男が二〇%、女が四〇%も入ってないのかということが、労働省の方にも理由がわからぬわけでしょう。私もわからぬわけです。それで聞いてみると、結局おやじさんが四千円ずつ払うのが大変だからというのでけちるわけです。これでは労働者はかわいそうじゃないかというのです。せっかくこの法律で決められているのだから、法律を守ることの方が大事でしょう。だから、こういう言いわけに使われるような規則というのはなくしてしまったらどうか、こう私は言っているのです。大臣の腹一つです。それは審議会に聞いたりいろいろあると思います。しかし、大臣がそうせよと、退職金を要らぬなんという人はいないのだから、いないといっていいのだから、こんなものは本人が意思表明をするということはあり得ないのですよ。ですから、企業主がどうしてもやりたくないと言えば、企業主の場合は任意加入ですから、入らないで一切やらなくてもいいわけなんです。しかし、入った以上は、資格のある者は全員がきちっと入るようにする、そうなればこういうものは要らないのじゃないか。これは大臣の腹一つで、金がかかるわけじゃないから、これくらい直してくださいよ。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 先生の御質問の意味がよくわかりました。  やはりこういう場合にでも一人一人の労働者の意思を大事にする。一般的にはそんなことはないだろう、金を事業主がつけてやると言えば、それはいつの日にか来ることをだれだって期待するので、私はそんなものは要りませんという人はないだろうということですけれども、なおやはりこういった労働者の福祉の充実ということを眼目にして成り立っている法律でございますから、やはりいろいろなことを想定をして労働者の意思を確認する、こういう意味で、本人がいやだという者は入れないという条項を入れたのであろうというふうに思います。  ただ問題は、そのことが、先生が御指摘になりますように、あなたはいいだろう、じゃあもういいなというようなことで、いいなという方の弁解の材料にこの条項が使われるということだとすれば、これはまさに労働者の意思に反した事業主の方の勝手な判断であり、取り扱いである、こういうことになるわけでございますので、条項を削ったらどうかという御提案でございますけれども、私どもの考えでは、やはり労働者の意思を大事にするという意味でこの条項があるというふうに考えて、むしろその一つの事業所の中で事業主がこの条項を振り回して、入らなくともいいというような形に持っていくことを防ぐために、いろいろな行政指導をしていくということに力点を置いていくことが非常に大事ではないかというふうにいま考えているところでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 大臣、五年前にこの法案のあれが出たときに、やはり共産党の寺前委員が質問しているのですよ。これとよく似た、この条項を言っているわけではないですけれども、指摘をしているのですよ。その後五年たっても全然改善されてないのです。  いま、行政指導する、こう言われますけれども、行政指導すると言ってもどうやってするのだ、大臣が二十一万件もあるようなところへ一々行って行政指導できないわけでしょう。第一、相談員もいないわけでしょう。口だけで、する、すると言ったってできない。それはもうリップサービスです、いまここで言うだけで。  実際に私の調べた企業では、大体男二〇%、女四〇%ぐらいが入ってないんですね。これを行政指導します、こういうことでは困るわけですね。この条項をなくせばそれがよくなるか、それは私もちょっとわかりません。しかし、こんな古いものはなるたけなくす方向で検討してほしいわけですね。そして、行政指導をきちっとやってほしいわけです。  その行政指導の仕方なんですけれども、いま、御存じのように、県の労政事務所に中退金からの相談員が派遣されているのは、全国九人ですよ。ですから、どこで行政指導をするのか。いま大臣、行政指導とおっしゃったけれども、どうやって行政指導をするのか。行政指導にはたくさんありますね。たくさん入るように業者を、九・五%じゃ少ない、もっと多くせよ、こういうこともありますけれども、いま言ったように、企業の中できちっと一〇〇%入るように行政指導をする、どうやってするのですか。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 事務的にまた後で補足を担当官からいたしますが、私の感じでは、こういう仕組みがあることを全国の中小企業者や中小企業の従業員の方々に広く周知徹底するように従来も努力をしてきておりますけれども、なおやはり労働行政のいろいろな仕組みがなかなかうまくPRされていないといううらみがありますから、そういったことをもっとわかりやすく、広くPRをすることが行政としては非常に大事なことだということでいま周知徹底するように努力をいたしておりますが、そんな中でも、少し具体的にきめ細かく、事業所の中で全部お入りいただくのですというようなことも含めてPRしていくというのも一つの方法だと思います。  それから、中小企業のいろいろな団体であるとか、あるいは地域の商工会議所や商工会であるとか、あるいは地方自治体の中の中小企業対策でありますとか、こういった労働者の福祉の中で、特に中小企業、規模の小さい企業の労働者にとって非常に大きな問題はやはり退職金であるということは、問題意識としては事業主の方も労働者の方も持っていると思うのです。しかし、なかなか思うようにこういういい仕組みの——自分でいい仕組みと言うのはおかしいですけれども、われわれとすれば、中小企業の退職金としてはこういう仕組みにぜひ乗っかってくださいというようなことでうまくひざ元まで行けば、なおこういったことが周知徹底されて、では私のところもやりましょうというような運びに持っていっていただけるのではないか。そういう意味では、ただ労働省の本省で呼びかけているだけではなくていろいろな団体にも御協力を願う。そういうときには、いま御指摘がありましたように、入っていただいている従業員の方みんな加入してもらうのですよというようなことも含めて、それぞれの事業団体あるいは地域団体等でぜひ呼びかけてもらうようにお願いをしているということが具体的には行政指導の一つのやり方ではないか。しかも、きめ細かく、中央で呼びかけているだけでなしに、中小企業のひざ元まで行って呼びかけていくには、そういうふうにお願いしていく以外にないのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 大臣、口ではそういうふうにおっしゃるけれども、ではだれが呼びかけるのか。大臣、できるわけじゃないでしょう。それで、事務費一銭も出してないじゃないですか。事務費一銭も出してなくて、きめ細かく中小零細企業のおやじさんのところまで周知徹底するようにと、金も出さぬ、何も出さぬで、ここだけでそんなことを言っていたって実際にはだめなんですね。小さな企業で労働者が退職するときに争いが起きるわけですよ。おやじさんに、退職金をよこせと、こうやる。そうするとおやじさんは、そんな金あるか、こういうことですね。それですれ違う。そういう中で、中退金というのがあるんだということがあって、入っていたのかというと、おやじが入ってない。そのおやじさんも知らなかった、こういうわけです。労働者も知らなかった。それで、私の事務所に聞きに来るわけです。  それで私は、労働省から一銭も金もらっていませんけれども、一生懸命、中退金というのがある、だからこういうのはちゃんと労働者の方も要求して、おやじさんに入っていてもらいなさいというふうに私はずいぶんやっているんです。あなたはいま、商工会とか地方の中小企業とかと言っていますけれども、こんなところでは事務費や何かやらぬわけです。中退金から派遣されている人が全国九人ですよ。これが労政事務所か何かにいて、そしてパンフレットか何か、こんなものを持って走ってどこかへ配っているだけです。これではいま大臣が言った、きめ細かくひざ元になんというのはできないのですよ。労働省よりもむしろ私の方が、数は少ないですけれども、私のつかまえた小さいところにはきめ細かく中退金を教えているわけですよ。ですから、それをするためにはやはり事務費を出さないと。事務費を出して、地方自治体では、わずかですけれども、いろいろやっています。愛知でも京都の方でもやっています。それは地方自治体でやっても焼け石に水のようなものかもしれませんけれども、それが刺激にもなるし、PRにもなるわけですよ。ですから、たとえば労働保険事務組合だとか事業協同組合だとか労政事務所の職員をもうちょっとふやすとか、そういうふうなところに事務費なり何かをつけて、そしてきめ細かくできるようにしない限りは、幾ら大臣がきめ細かくやりますと言ったって、一銭も金を出さないでここで言っているだけでは、これはいかぬと思うのです。ですから、いま私が言っているのは、話としては、入っている企業の労働者が全部入るようにという話だけしたわけですけれども、加入促進をするというときに、幅広くやっていくということも、やはりそれをやるところがない。  それから、今度の法改正を見ましても、過去分の計算というのは物すごく複雑でしょう。掛金によってみんな違うわけでしょう、過去、それを五年間に払うだとかなんとか。理解するにも、ちょっとわからぬぐらいですよね。そういうふうなことではとても企業主がわからないわけです。大企業のあれだったらいいですけれども、小さいところのおやじさんというのは、専任の経理担当者もいないわけですから、ひとりが何から何までやっているわけでしょう。そういう人たちが駆け込んで相談するようなものをつくらない限りは、きめ細かくと大臣が幾ら言われたって、できないですね。  それから、もう一つあるわけですけれども、五十三年に、加入者で退職した人が何人いますか。おわかりだと思いますけれども。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 約十七万人でございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 そうすると、その中で退職金をもらった人、加入していてもらった人は何人いますか。

佐藤仁彦労働省労働基準局賃金福祉部福祉課長

○佐藤説明員 統計数字に関することでございますので、私からお答え申し上げます。  ただいま部長が申し上げましたように、退職した者の数は十七万三千でございます。そのうち、退職金を受けた者は約十二万八千でございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 そうですね、中退金のこれにちゃんと出ていますからね。  そうすると、約四万五千人というのは、おやじさんが掛金を掛けてくれていながら、もらっていないのですよ。こういうのは、聞いてみますと、私のところへ相談に来て退職金も何も出ないというので、中退金に入っていないのか、それで、会社か企業に行って、入っていたか、入っているという。それで初めて知った人がいるのですよ。ですから、おやじさんが掛けてくれているかどうかということさえ知らない労働者もいるのですね。いかにこの中退金が不徹底かということです。大臣はいまいい制度と言われました。全面的にすべてがいいとは言いません。しかし、これは小さな企業のおやじさんにしてみれば、毎月きちっと掛けていれば退職金を払えるわけですね。ちょうど私たちが貯金するときに、毎月ちゃんと郵便局なり何なりが取りに来てくれたり、給料から差し引かれたりしていれば何となく貯金はたまっていく。しかし、それがないとついつい何となく使ってしまうわけですね。ですから、大きな企業はもう事務系統はきちっとしていますからあれですけれども、小さいところにはきめ細かくというのは、そういうおやじさん、まあ社長さんですけれども、そういう人の立場というのを理解して、その人がやりやすいようにしてあげるのがきめ細かいということなんです。そうでしょう。日商岩井の社長さんとか、そういうのと違うわけですから。ですから、四万五千人がもらっていない。これは全部五年もすれば時効になってしまうし、たまっていく一方というと変ですけれども、それはまた還元していると言いますけれども、本人が小さいところで働いている人がもらっていないということです。これを周知徹底するということは、駆け込んで相談するところがなければだめだということです。  ですから、もう一度繰り返しますと、企業主に入りなさいという指導をするということと、入った場合には一〇〇%ちゃんと入れなさいよ、こういうふうに指導することや、また法改正があったときの、ごちゃごちゃむずかしい、こういうものの相談をするところ、それからいま言ったように、退職した場合に一年間に四万五千人もがもらわない。掛金を掛けていながらもらわない人がいる。これはほとんどが知らないのですよ。知らないためにもらっていない。これを知らせるためには、いま大臣が言われたようなきめ細かく周知徹底させるために、事務費というのをつける、それを検討してほしいわけです。どこへつけてどういうふうにしたら効果があるかということ、私自身もよくわかりません。だから、あなたの方が、労働省の方がやっているわけですから、たとえば私がいま言っているのは、事業協同組合だとか労政事務所だとか労働保険事務組合だとか、これは大臣が言った中小企業の対策をしているところとか、そういうところに、何らかきめ細かくやるということは、事務費をつけて、そしてそれをきめ細かく、少しでもできるようにやってほしいというふうに思うのですけれども、それはいかがでしょうか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 現在この中退法の周知徹底業務は都道府県が中心になってやっていただいておるわけでございますが、都道府県に対しましては、十分ではございませんけれども、中退事業の実施に関する補助金を流しております。  また、相談員のお話もございましたが、現在相談員十三人全国に置いております。五十五年度でなお二名増員をして十五人にいたしたいというふうに思っておりますし、また事業主団体についての委託でございますが、これも予算措置を講じまして、事業主団体が中退制度への加入の意向があるかどうかということの調査にあわせまして、加入促進をやっておるということでございます。  また、何せ対象が多い、しかも小さいところでございますので、マスコミを動員してのPRということも必要でございます。そういう観点に立ちまして、毎年十月に中退への加入促進月間というものを設けまして、全国的なPR、加入促進事業をやっておるというのが現状でございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 いまやっているとおっしゃったけれども、実際にはほとんど周知徹底していないわけですので、この点をより大きく前進させていただきたいというふうに思います。  大臣よろしいでしょうか。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 私も痛感をしておるところでございますので、さらにひとつ前進するように努力をいたします。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 それから、次の問題は、掛金の納入の問題なんですけれども、いま言いましたように、小さな企業のおやじさんが手帳を持って指定の金融機関に毎月掛金を納めに行くわけですね。どうしても忙しかったり何かで忘れたりというようなことで、これが欠納になる。支払われないということ。そうしますと、これはおくれた場合には後から追徴金か何か払わなければならないのじゃないですか。どれぐらい払わなければならないのですか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 延滞いたしましたときに割り増し金をいただくことになっております。割り増し金の率は法律では一四・六%というふうに書いてございますが、事業団で定めておりますのは一〇%強の率で割り増し金を払っていただくということになっております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 割り増し金というのは、結局自分の当然掛ける分の一〇%を、罰金みたいなものですね。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 いわば納めなかった期間に対する遅延利子相当としていただいておるわけでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 結局、特に零細企業の場合は、三十人以下というところは大変です。その企業主にしたって労働者と同じですからね。こういう人たちは専任の経理担当なんかなかなか置けないですね。ですから、電気代とかガス代と同じように、自動振り込みができないだろうか。おくれた場合には、悪意で滞納しているわけじゃないですから、それが一〇%も一四%も取られるということでは気の毒じゃないか。そういう立場を理解して、何とか自動振り込みができるようにできないだろうかと思うのですけれども、その点は改善していただけないでしょうか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 現在は、掛金の納付状況が明確になるという観点から、共済手帳を中心にこの事業を実際上運営いたしております。現実には、先生おっしゃいましたように、中小企業の方が金融機関まで毎月納めに来るということもございますし、金融機関の手数の問題もございます。また、掛金を未納のないように収納するという観点もございまして、いわゆる自動振り込み制につきまして現在試行をやっておるところでございます。試行は五十四年からやっております。この試行の結果を見まして、また問題点は問題点として整理をしながら、試行の状況を見ながらこの問題については対拠してまいりたいというふうに考えております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 試行というのはどんなふうにやっているのですか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 規模といたしましては、四千四百の事業所、被共済者三万四千六百人を対象に五十四年度はやっております。五十五年度はそれを増しまして、事業所の数が九千二百、被共済者の数が七万二千八百人、これを対象に試行をいたしたいというふうに思っております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 試行というのは、試してみてどうか、そういうことですね。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 そういうことでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 そんな毎年毎年、試行試行と、第一いまのところ二十一万くらいあるでしょう。加入はどれくらいありますか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 加入企業数は約二十一万企業でございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 二十一万企業のうち五十五年度、来年度やったって一万足らずですよ。二十分の一ですよね。それで毎年、試行試行——試行というのはどうだろうか、やってみてよかったらぱっとやるのが普通、試行じゃないですか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 現在は手帳制度を中心に運用いたしております。したがいまして、毎月事業主が金融機関の窓口に見える、そこで金融機関と事業主の接触のチャンスがございます。それを一つの機会として、新しく採用された方の中退制度への加入の勧奨という機会もあるわけでございます。また、現在の仕組みは手帳制度でやっておりますために、掛金の納付状況というのが毎月はっきりわかるという形になっておりますが、自動振り込み制にいたしますと、金融機関と事業主との接触のチャンスというのがそれだけ回数が減るということでございますので、普及の面について問題がないかどうかという問題が一つございますし、また、振り込み制にしましたために、共済手帳制度を具体的にどういうような形でやれば掛金の納付状況がわかるような制度として立ち得るかということもございます。いずれにしましても、簡素で効率的な運営を図るために、しかも事業主あるいは被共済者の利益なり便宜を損なわないような形がどういうものであろうかということで現在は試行しておるわけでございますが、その試行の結果を踏まえて、本格実施の問題については検討してまいりたいというふうに思っております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 いま確かに金融機関とその企業主とが接触するわけですね。それのチャンスが失われるということ、そこがやはり労働省側の人頼みなんです。確かに、いま金融機関の方がいろいろ言ってくれるわけですからね。教えてくれる。そこのところが、本来はやはり労働省がちゃんとPRし、それをしなければならないことを、金融機関は金を集めたいから、だからそれに任せていくという、いまのところはそれも一つのメリットになっているかもしれません、実際には。普及になっているかもしれない。そんなところに普及のあれを見つけるというところがこそくなんです。ですから、やはり欠納するということは、これは大きいわけですし、そのままめんどうくさいからやめてしまうというようなことになってしまったら大変なわけですので、やはりこれは自動振り込みに切りかえていって、そして企業主との接触というのは中退金なり労政事務所なり、そういうところがもっと接触を持っていく。大臣が言われたように、きめ細かくやってほしい。金融機関に任せておくというような形にしないでいただきたいと思います。  いまおっしゃった九千二百とかという数は商工中金だけの話ですね。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 御指摘のとおりでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 やはり民間の金融機関でもそれができるような御指導というか、試行をぜひしていただきたいわけです。どうでしょうか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 五十五年度の計画は、五十四年度と同様、商工中金を対象としてやりたいということでございますが、その実績も見ながら、広げていくということも考えてみたいというふうに思っております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 広げていきたいということは、民間の方も検討してみたいということにとってよろしいですね。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 そういうことでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 次の質問に移ります。  国庫補助の増額の問題なんですけれども、十年以上というのが一律一〇%になっています。二十年以上の人も全部一律一〇%ですね。ここら辺はちょっと少ないんじゃないかというふうに思うのです。というのは、あくまでも対象の人たちの立場を考えて労働省に検討してほしいんですよ。小さな企業に二十年勤めるということは、大臣、大変なことです。特に、三十人以下の小さなところというのは、ここに二十年勤めるというのは大変なことです。日本の特徴というのは、御存じだと思いますが、こうした中小零細企業というのが日本の経済の相当大きな部分というのを持っているという特徴があるわけですね。ここで働いている労働者の退職金が非常に少ない。二十年以上働いたということは、これは大きく社会に貢献したということだと思います。大きな企業ですと、海の家があるとか山の家があるとかいうようないろいろな福祉施設があるわけです。そういう恩恵というのがあるわけですね。ですから、夏休みには家族を連れて安いところに泊まれる。しかし、こういう小さいところに働いている労働者というのは、そういう使うところはないわけですよ。これは一つの海の家、山の家だけのことですけれども、スポーツ施設にしても何にしても、ない。こういうところで二十年も働いている。その上に、こういうところは景気の動きによっては休日の出勤があったり、それから長時間働かなければならなかったり、また専門以外の仕事も、雑用といいますか、そういうものが非常に多いわけですね。そういう中で二十年以上黙々と働いてきた労働者、この人たちには一律一〇%というのではなくて、せめて倍ぐらいの国庫補助をつけて、多少とも労をねぎらうというきめ細かいやり方はあっていいのじゃないでしょうか、その点。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 退職金給付に対します国庫補助の割合を高めるということは、労働福祉の観点から、先生おっしゃるように大変望ましいところでございます。ただ、本制度が、そもそも任意加入ということも前提になっておりますから、こういう奨励的な助成にしましても国庫補助がついているということがむしろ珍しい方の例でございますけれども、それにしても、こういった国庫補助がついているわけでございます。したがって、さらにこれに補助率を高く、長期になるからということで引き上げるということについては、なかなか困難な問題が多いというふうに理解しておりまして、この点については、実現するのはなかなかむずかしいのではないかというふうに思っております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 困難なことが多いというのは、何が困難なんですか。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 要するに、給付に対する補助率を、ただいまおっしゃいますように、十年以上は現在一〇%でございますが……

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 二十年。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 二十年たったときにさらに二〇%に引き上げるという点については、なかなかむずかしいのではないかということでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 そのむずかしいというのは、金がないということですか、考え方として不当だということですか、もっと具体的に言ってほしいのです。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 考え方から申しますと、先ほど申しましたようなことでございまして、いわゆる福祉の観点から申せば大変いいのでございますけれども、こういった国庫補助のこの制度についての事柄からいきますとむずかしいのではないかということでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 もっとはっきり答えてください。はっきり言ったらいいじゃないですか。経済的に金は出せないというのか、それとも、そんなことをするのは理屈に合わない、こういうのか、どっちなんですか。むずかしい、むずかしいって何がむずかしいのですか。お金がないからむずかしいというなら、またわかります。だけれども、そんなことは、二十年働いたって特別に金をやる必要はないのだ、そういう妥当性はないのだ、こういうことですか。むずかしいというのはどっちですか。

吉本実労働省労働基準局長

○吉本(実)政府委員 経費の問題についてそれだけの裏打ちがなされないというのが実態でございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 結局金がないということですね。金があればいいわけですね。それじゃ、検討してみたらいかがですか、そんなたくさんのお金じゃないんですから。納得がいかないというなら見解の相違になりますけれども、金がないというのだったら、大臣、二十年も小さいところで営々と、福祉施設も何にもなしで働いた人たちがやめるときに、私はいま二倍にしなさい、こう言っていますけれども、多少多くしたっていいじゃないんですか。大した金じゃないじゃないですか。大臣、ちょっと努力していただけませんか。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 局長からお答えをいたしましたように、労働者の福祉を増進するという目的でつくってあるものでございますから、補助は多いほどいい、率は高いほどいいと労働省は考えているわけです。そこで、いままでもいろいろ検討もし、努力もしてきておるわけでありますけれども、形としては、他の仕組みとのいろいろなバランスだとか、それは任意加入であるとかいろいろ形容詞がつきましたのはそういう意味でありますが、実態としては金がないということで、今日まで実現しないできているということでございますから、今後とも努力はしていきたいと思いますけれども、なかなかむずかしいものですから、少し控え目の局長答弁を申し上げた、こういうことでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 局長が控え目では困るわね。大臣は控え目ではもっと困りますよね。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 気持ちはぐんと前へ出ておりますけれども、表現だけ控え目に申し上げた、こういうわけです。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 大臣、私はいま労働省を激励しているわけですからね。そんな控え目に言わないで、小さなところでも二十年も働いた人には多少色をつけるというのは大した金額じゃないので、大臣はがんばっていただきたいと思います。  その次に、建設の人たちの場合ですけれども、証紙を張りますね。これは月でなくて毎日なものですから、働いたときに証紙を張られておる一この証紙の行方は、大臣、これが非常に摩詞不思議なんですね。証紙がどこへ行くかわからないわけです。それで、いま証紙の流れというのはどの程度労働省としてはっかんでいるでしょうか。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 証紙の五十三年の売上高は百五十四億でございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 答えになってないじゃないですか。建設省と労働省両方にお聞きしたいのですけれども、五十三年度は百五十四億証紙が買われた、その証紙がきちっと労働者の手に入っているかということです。その流れをどの程度つかんでいるかということ。つかんでないか、つかんでいるのか、ここら辺まではわかりますというのか、それを聞いているのです。両方から聞かしていただきたいのです。大臣、この証紙は御存じだと思いますけれども、これが毎日働いている人の退職金なわけです。それがきちっといっているかということなんです。それをどこら辺までつかんでいらっしゃるかと聞いているのです。幾らかと聞いていませんよ。

佐藤仁彦労働省労働基準局賃金福祉部福祉課長

○佐藤説明員 ただいま部長からお答え申し上げましたように、単年度で見まして五十三年度百五十四億円ほどの売り上げがございます。この証紙がいつ労働者の手元にある手帳に張られるかということになりますと若干の時間的な経過がありまして、五十四年度に入りましたりあるいはさらにその後におくれることもあろうかと思いますが、私どもが承知しております限りではそう多額の証紙を手元に置いておくということはない。手元に置いております証紙の数もパーセントに直しますと一けた台にとどまっているように承知いたしております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 手元ってどこですか。

佐藤仁彦労働省労働基準局賃金福祉部福祉課長

○佐藤説明員 それは共済契約者、すなわち事業主の手元でございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 その事業主というのは元請のことでしょう。

佐藤仁彦労働省労働基準局賃金福祉部福祉課長

○佐藤説明員 百五十四億円の証紙を買い上げました方、それが元請事業主に限られているとは申し上げられないと思います。より多くの事業主の方、下請でありますとか、そういう方々からも購入をいただいておると思います。ただ、後ほどまた話題になるかもしれませんけれども、公共事業の発注と関係いたしまして元請の方が一括購入し、下請に分けてやるというようなこともございますから、元請のところの手元に残っているものの比率が高いかとは思いますけれども、そればかりではないと思います。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 非常にあいまいな答弁ですけれども、建設省はどうでしょうか。

青木保之建設大臣官房地方厚生課長

○青木説明員 発注者の方といたしましては、請負契約の現場説明におきまして、工事を受注した建設業者が請負契約締結後一カ月以内に建退共の掛金収納書を発注機関に提出すべきこと、制度の対象となる労働者の手帳に証紙を貼付すべきことを説明しておりまして、これを履行しておりますので、まず元請段階で掛金収納書が参りますので、元請段階では確実に入っているというふうに思っております。  ただ、これが下請業者にどのように行くかということに関しましては受注者側——発注者と受注者は対等の双務契約ということになっておりますので、受注者側の内部でその証紙がどのように動いているかという点についてまではなかなか立ち入ることができないということがございますので、現場説明の際に、元請事業者が証紙を購入し、これを下請業者に交付するよう十分指導をしておるという段階でございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 結局わからないわけですね。元請は持っているがどこへ行ったかわからない。そう長々とおっしゃらないでわからないとおっしゃったらいいわけですけれども、公共事業費の中で大体何%ぐらいが証紙分なんですか。

青木保之建設大臣官房地方厚生課長

○青木説明員 公共土木の請負工事の諸経費を実態調査いたしまして、それに基づきまして現場管理費の中に算入いたしてございますけれども、いろいろ工事によりまして非常に差異がございます。純工事費に対しまして千分の二・五から千分の三前後であろうということでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 多分そういうふうに言われるだろうと思いました。千分の三というのは、結局調査したときに、この加入しているもの、加入していないもの、これを全部合わして割った平均ですからね。ですから、実際には加入しているだけで考えると千分の五くらいになるのじゃないか。専門の人たちに聞いた話では大体千分の五くらいじゃないか。そうすると、公共事業費がことしの予算のこれで見ますと、約五兆四千五百億ぐらいですね。これでやりますと、これの証紙分というのが千分の五ということになりますと、約二百七十億ぐらいじゃないですか。だけれども、この二百七十億ぐらいの証紙が買われているはずなのに実際には百五十四億しかない。ということは、さっき確実にと言われました、工事を発注した場合に確実に証紙を買っている、それが下請、孫請に行く段階はわからないんだ、こういうふうに言われたけれども、確実に買ってないじゃないですか。ここで金額が大分違う。  それから、こう見てみますと、保育所とかそういうものはないです、同じ公共事業費でも。そうしますと、公共事業費というのをどこまで見るかということになりますけれども、公共事業費十兆ということになれば、千分の五といえば五百億ぐらいになるわけでしょう。五百億円くらい分の証紙がある。そのうちの百五十四億しかない。  この百五十四億の中には公共事業費だけではなくて民間も入っているんじゃないですか。答弁願います。

寺園成章労働省労働基準局賃金福祉部長

○寺園政府委員 証紙売り上げの百五十四億は、公共事業も入りますけれども、その他の建設事業に伴う証紙の方も当然入っておるわけでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 そうでしょう。そうすると、いま言ったのは公共事業というものを五兆円と見るか十兆円と見るか、これは十兆円と見た方がいいんじゃないかと思いますけれども、そうすると、証紙分というのは千分の五ということになれば、大臣、五百億です。これは日雇い建設労働者の退職金です。一枚百二十円とかというふうにして張られていくわけです。それで、やめるときはそれでもらえるわけですね。ですから、それが約五百億あったとして、そのうち証紙が買われたのは百五十四億。それも公共事業費だけじゃないのですから、半分としても、大ざっぱに計算して何百億という金、三百億か四百億か二百億かわかりませんが、一応は何百億という金がどこかへ蒸発しているのですよ。建設の現場というのは非常に複雑ですから指導もむずかしいということはわかります。しかし、国の予算としていま仮に五百億としますね、十兆円で千分の五が証紙分だとして、その五百億のお金というもののほぼ四百億くらいというのはどこかへ行っちゃっているわけですね。労働者の手に入らないわけです、証紙が買われていないということ。ということは、国のお金を、何百億という金を業界が横領していると言ってもいいんじゃないですか。そうだったら、それをほうっておくわけにはいかないのですよ。国民は納得しないですよ。むずかしいのはわかります。ですから、一〇〇%きちっといくような、いかなければいけないと私は言っているのじゃない。余りにも大きな金額が摩詞不思議にどこかへ行ってしまっている、労働者の手に入っていない、これは何とかしなければいけないじゃないかと言っているのです。

青木保之建設大臣官房地方厚生課長

○青木説明員 先ほど申し上げましたのは、公共事業の積算の中で、大体千分の三ということを申し上げております。契約自体はお互いの双務契約で、総額で契約するということになっておりますので、その額そのものがいかように使われているかということは、その総価の中で使えばよろしいわけでございますので、発注者側としてはタッチしない。したがって、私どもの方の問題としては、積算自体が正しいかどうかという点が問題になるわけでございますが、これは実態調査に基づいてやっておりますので、その点は問題がないというふうに申し上げたわけでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 ちょっとあなた、よくわかってないのじゃないですか。問題がないことはない。私がいま言っているのは、建設省から質問を取りに来られたときに、天下国家は論じていない、こう言われたけれども、国会というところは天下国家を論じなければいけないところです。国の予算が、五百億かそれとも三百億かわかりませんが、一応証紙分、それは確かに正確には出せないということは私もわかりますけれども、大ざっぱに大体目安としてその辺だ。これはいまのあなたの千分の三にしても、千分の三というのは加入してないのも入っているわけですから、大体千分の五というのが専門家の意見です。それでやっていけば、十兆円ならば五百億、五兆円ならば二百七十億くらいという数字が出るわけですよ、大臣。実際にはそのほとんどに近い金額がどこかへ行ってしまっている。あなたは間違いありませんと言うけれども、間違いはないかもしれないが、その金がどこへ流れていっているかわからない。  大臣、この流れをはっきり検討してほしいのです。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 ちょっと私、頭が悪いものですから、気づいたところを先生に申し上げますから、先生の頭のいいところで計算してみてほしいのでございますが、建設業界にも、自分のところで退職金の仕組みを持ってやっている大きな企業もありますし、それから中小企業の建設業界もありますけれども、それも業界全部がこの仕組みに参加しているわけではないわけですから、この総額は幾らという中で、単純に千分の五という計算はちょっと無理なのじゃないかと思います。それはどうでしょうか。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 調べた結果、千分の三になっているというのですよ。これを建設省は隠すのですよ、大臣。企業の秘密だといって隠すのですよ。これはある程度はきっちりわかっていると思うのですよ。けれども、それを企業秘密だといってきっちり言わない。千分の一や二、三くらい隠してどうするのだというのですよ。日雇いの建設現場の労働者はいろいろいます。非常に大変な人たちがいっぱいいるわけですよ。この人たちに、せめて政府が、公共事業費の中に千分の五ぐらいは組んでいるわけですから、それに近い金額の退職金がちゃんと労働者の手に渡るようにしてほしいわけです。それが行っていないということは、これはなかなかむずかしくてできないようなことを言っていらっしゃるのですね。もう時間がありませんが、この点は質問を取りに来たときもいろいろ聞いたのです。非常にむずかしくてわかりにくいというのですけれども、わかりにくいでは済まされないのです。国民から見たら、これだけ国の予算がない、ないと言っているときに、労働者の生活が苦しい、苦しいと言っているときに、何百億かの金がどこへ流れたのかということを労働省がつかみ切れないということは、それだけ複雑だということはよくわかります。しかし、それの努力が必要なんですよ。ただぽんと計算して、そして企業にぽんと渡して、後はどうなったか知らぬということではだめだ。もう少しそれを追跡するようにしてほしいのです。そのためには、まずもう度調査をしてほしいわけです。範囲はどうであろうと、できる範囲で労働省は検討して調査してほしいわけですね。そして、建設省は元請が証紙をきちっと買っているかどうか、私は全部買っているとは思いません、どう見たって数字が合わないのだから。まず、きちっと買わせる。そして、買ったらその証紙を下請や孫請やひ孫請や、そういうところにきちっと証紙が渡るような指導を建設省はちゃんとしてほしいのです。それがきちっと労働者の手に渡るかどうかということは、やはり建設省と労働省が手を組んで、実態調査をして、どこに隘路があるか、質問を取りに来たときに聞いたけれども、どこに隘路があるかがわかっていないのです。ですから、実態調査をしなければわからないのです。さっき言った実態調査は五年前でしょう。ですから、もう一度その調査をして、どこに隘路があるか、その隘路が調査の結果わかれば、それに対しての抜本的な対策を立ててほしい。そうしないと国民は納得しませんよ。それは一千万、二千万の金だって納得しませんけれども、何百億という金がどこへ行ったかわからなくて蒸発しているわけですから、その点をぜひ調査をして、抜本的対策を立てていただきたい。  それを大臣、お願いしたいと思います。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 一つの仕組みをころがしてまいりますためには、絶えず実態を把握して進んでいくことが大事でございますし、それがうまく推進されていけないような問題点があるなら、それを解明して解決して対策を立てて進んでいくようにしなければいけない、このように考えます。今後とも先生の御指摘をいただきましたことにつきましては、建設省とよく連絡をとり合いまして、実態の把握に努め、対策を講じていくようにいたしたい、こう考えます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 調査していただけますか。

藤波孝生自由民主党・自由国民会議労働大臣

○藤波国務大臣 実態を把握するために、当然調査をいたしてまいります。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 質問を終わります。      ————◇—————

葉梨信行自由民主党・自由国民会議

○葉梨委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  内閣提出、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、来る二十七日午前十時、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨信行自由民主党・自由国民会議

○葉梨委員長 御異議なしと認めさよう決しました。  なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨信行自由民主党・自由国民会議

○葉梨委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十八分散会

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