社会労働委員会 第3号
- 発言数
- 267 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1980/03/04
会議録
○葉梨委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。丹羽雄哉君。
○丹羽(雄)委員 労働大臣の所信について若干のお尋ねをいたしたいと思います。 大臣は先般述べられました所信の中で、八〇年代の最大の課題として高齢者の雇用対策を取り上げていらっしゃいますけれども、わが国の人口高齢化のスピードは、御案内のように、欧米の三倍ないし四倍で、急ピッチで進んでいると言われています。総理府がさきに発表いたしました高齢者白書では、二十一世紀になりますと、このわが日本が世界で一番の高齢化社会になるというようなショッキングなデータが明らかにされております。 そこで、まずお尋ねしたいと思いますが、この高齢化社会の国民の雇用不安というものは非常に右回まっているわけでございますけれども、このような時代に対しましてどのような展望を持ち、具体的な施策をお示しになるのか、お尋ねしたいと思います。
○藤波国務大臣 先生御指摘のように、八〇年代から二十一世紀へ向けてのわが国のいろいろな問題が、政治課題がありますけれども、その中で最も具体的に解決をしていかなければならない大きな課題は、・高齢化に対処してどういうふうに取り組んでいくかということであろうと思います。一人一人の国民の一生、生涯を考えてみまするときに、労働、働くということでとらえていかなければならぬ時間というものは最も長いわけでありまして、そういう意味で、八〇年代の労働行政の最も大きな課題として高齢者問題というのをとらえて対策を講じていかなければいけない、このように考えておるところでございます。 そこで、少し最近の情勢などをお話を申し上げますと、高年齢者の雇用失業情勢は、景気回復を反映をいたしまして徐々には改善はしてきておりますけれども、一般的にはなお非常に厳しい、こういうふうに申し上げなければならぬと思うのでございます。 具体的に申し上げますと、昭和五十四年十月現在の五十五歳以上の有効求人倍率は〇・一七倍、これは前年よりも改善はいたしておりますけれども、なお大幅な求職超過が続いているという現状でございます。昭和五十四年平均の完全失業者数は百十七万人でありまして、そのうち高年齢者は二十三万人となっております。また、失業率も全体で二・一%であるのに対しまして高年齢者につきましては二・六%、非常に高い水準にございます。 この最近の情勢を考えてみましても、今日のように雇用情勢が非常に改善されてきているという中におきましても、やはり高年齢者の求職状況というものは非常に高まっていて、非常に就職しにくいという状態にあるわけでございまして、これは今後高齢者社会ということになってまいりましたときに、よほど思い切って対策を講じてまいりませんと、とても高年齢者の雇用に対する要求にこたえ切れない、こういうことになることは必至だというふうに私どもとしては非常に深刻に考えているわけでございます。 こんな中で、今後人口の動向などから考えまして、昭和七十年ごろまでは五十五歳から六十四歳層の高齢労働者が急増する、その後も増加のテンポは鈍化するものの、引き続き高齢化が進展する、こういうふうに人口構造の動向が見込まれているわけでございます。昭和六十年までは五十五歳から五十九歳層を中心に増加いたしまして、六十年以降はその波が六十歳から六十四歳層に移行するものというふうに予測をせられておるわけでございます。 このような状況から、急増する高年齢者に雇用の場を確保し、雇用の安定を図ってまいりますことが雇用政策上の最も重要な政策課題でありますので、定年の延長が当面最大の課題であるというふうに行政としては考えまして、いまの第四次の雇用対策基本計画におきまして打ち出しておりますように、昭和六十年度に六十歳定年を一般化するという目標に向かいましてあらゆる努力をしていきたい、このように考えておるところでございます。 同時に、日本の社会は終身雇用の社会でございますので、定年延長というものをどうしても一番大きな柱に据えてまいらなければなりませんけれども、同時に高齢者を労働の場に迎えていくためのいろいろな一連の施策を講じまして、先生御指摘のように、高齢者に対しまして、働いていきたい、しかも働く能力のある方々には働く場が与えられるというふうな構えをつくってまいりますために最善の努力をしていきたい、このように考えておるところでございます。
○丹羽(雄)委員 いま大臣は柱として定年制を六十歳まで延長するということをおっしゃって、大変結構なことで、これからも大いに努力していただきたいわけでございますが、ただ残念ながら、いままでかけ声倒れに終わっているのではないかというきらいがあるわけでございます。ここに第一次から第四次までの労働省の発表いたしました雇用対策基本計画がございますが、四十八年の一月に閣議決定しました第二次計画で初めて六十歳を目標としてその延長を推進するものであるということを明らかにしているわけでございます。それから第三次、第四次と出ているわけですけれども、これを読んでみますと、ずっと同じ文言を繰り返しているだけで、なかなか実際のところ進歩が見られないような気がするわけでございます。聞くところによりますと、いま民間では六十歳を延長実施しているのはぜいぜい四〇%足らず、五十五歳というのは大分延びてきて五十七、八歳が多いということを聞いておりますけれども、まだ四〇%ぐらいであるということ、これでは何か労働省の、ちょっと生意気なようで恐縮でございますけれども、施策が必ずしも十分に発揮できているとは言えないんじゃないかというような気がするわけでございます。 大臣はいまはっきりと昭和六十年までに六十歳定年を実現するようにしたいということですけれども、この調子でいくと、どうも何か私どもは疑いといいますか、ちょっと不安な感じがするのですが、確信をお持ちでいらっしゃいますでしょうか。こうやっている間にどんどん高齢化社会というものが急ピッチで進んでくるということなんですけれども、この点についてお尋ねします。
○藤波国務大臣 少し具体的に進んできておるぐあいなど政府委員から答弁をさせますが、第一次の基本計画以来、定年制の延長を打ち出してまいりましたことは先生御指摘のとおりでございます。しかし、徐々に労使のいろいろな話し合いが積み上げられてまいりまして、どれぐらいに労働省が考えてきたかというのを、いままでの経緯はそのときそのとき最善の努力をしてきた、こう申し上げる以外にないわけでございますけれども、行政指導を進めてまいりまして、特にこの第四次の計画では強くそのことを前面に押し出しまして、どうしても昭和六十年度までに六十歳定年を実現をしたい、こういう強い姿勢で臨んできております。特に今後労働省がやっていかなければならぬのは、いろいろな業種の労使会議などに出向いて、定年延長がなかなか進まない業界などに対しまして積極的に行政指導を進めていくというような強い姿勢を、しかもきめ細かく打ち出していくことによりまして、いま看板として打ち上げております昭和六十年の六十歳定年をぜひ実現をするようにしたい、このように考えておる次第でございます。確信を持ってひとつ行政指導を進めていきたい、こう考えております。 若干、従来の経緯等につきまして、担当局長から御説明を申し上げたいと思います。
○関(英)政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおりに、雇用対策基本計画におきましては、第一次の計画で定年延長に触れまして、第二次で目標の年齢として六十歳というものを掲げ、第三次そして今度の第四次と引き続いてきたわけでございます。 ただ、今度の第四次計画におきましては、昭和六十年に六十歳定年を一般化するということを非常にはっきりうたって行政としての決意を明らかにしたところにいままでとの違いがあろうかと思いますが、その間の定年延長の実現が非常に遅々として進まないではないかという御指摘でございますが、ちょっと数字を申し上げますと、五十五歳の定年年齢を採用する企業が昭和四十三年には六三%ございました。十年後の五十三年には四一%まで減ってきました。もっとも、現在ですらまだ四一%の企業が五十五歳だというところに問題があるという御指摘だと思いますが、この間そこまで減少してきたわけでございます。一方、六十歳以上という定年年齢を採用する企業は、昭和四十三年の二二%から昭和五十三年の三九%まで増加してきたわけでございます。 実際の推移はそういうことでございますが、大臣もお答えいたしましたように、私どもとしては、今度の第四次の雇用基本計画の昭和六十年六十歳定年一般化に向けて最大限の努力を続けてまいりたいと思っております。
○丹羽(雄)委員 いま大臣の方からかたい決意を表明なさったわけでございますけれども、具体的に行政指導としてどのようなことをいままでおやりになって、そしてこれからおやりになるのかということについてお聞きしたいと思います。
○関(英)政府委員 定年延長につきましては、まずわが国の定年制が、企業におきます終身雇用慣行あるいは年功序列の賃金、あるいは年功とともにふえる退職金制度、そういったものと密接に結びついてできておるわけでございますので、何と申しましても、やはり労使間で定年延長に関して十分な話し合いの上で合意が得られることが必要でございます。そういう意味で、労使のコンセンサスの形成に向けての行政指導ということがまず柱になるわけでございますが、業種別の定年延長推進の懇談会といったものを開催して、定年延長の機運を高めるとか、あるいは中高年齢者雇用促進法に基づきます高齢者の雇用率の制度がございます。これの達成指導といったことを通じまして、個別企業におきまして高齢者の雇用を進めるその一つといいますか、一番重要な方策としては定年延長であるということで、個別企業に対して定年延長を進める。一方で定年延長奨励金というような助成制度を企業に活用していただく。あるいはまた最近では、財界の自主的な組織でございます協会を通じて、事業主の相談指導に応ずる、そういう協会の活動を助成していく、こんなような形で行政指導を進めているところでございます。
○丹羽(雄)委員 いま局長は、定年延長の一つの柱として定年延長奨励金というものを挙げられたわけでございます。これは来年から引き上げられまして、中小企業で一人四十万円ですか、大企業で三十万円ということで大変結構なことでございますけれども、これまでの実績の対象件数をちょっとお示しいただきたいと思います。
○関(英)政府委員 定年延長奨励金の対象となった実績対象数ということでございますが、昭和五十年では制度発足のときでございまして、人員として五百八人、五十一年が三千七百三十六人、五十二年が二千六百十四人、五十三年が三千八百六十三人、こういった対象人員になっております。
○丹羽(雄)委員 五十二年が三千八百六十二人ということでございますが、これは額にして大体どのくらいであるかということと、労働省が当初見込んだ定年延長奨励金に関する予算はどのぐらいなのか、お示しいただきたいと思います。
○関(英)政府委員 五十三年の定年延長奨励金の予算額は約五十億でございます。それに対しまして三千八百六十三人を対象として支給した実績は五億八千六百万でございます。
○丹羽(雄)委員 いまお聞きして非常にがっかりしたのですけれども、五十億円の予算を組んで六億円しか使ってないということは、これは予算を消化してないということです。これでは全然お話にならないということで、極端なことを言えば、この定年延長奨励金というものが余り効果がないということを天下に証明しているようなものではないかというような感じがするわけでございまして、労働省はこれまで定年延長といいますと、決まって奨励金制度を目玉として持ち出しておりますけれども、全然予算も消化できないような制度では、労働省が胸を張って定年延長に大きな力となっているというようなことは余り言えないんじゃないでしょうか。 大臣、これについてどうお思いになるか、ちょっと一日所感をお聞きします。
○関(英)政府委員 大臣のお答えの前にちょっと事務的に説明させていただきたいと思いますが、一つには、制度発足時の定年延長奨励金の額というものは、その後の急速な増額がございましたけれども、余り魅力がない金額であったということが一つあろうかと思います。 もう一つは、昭和五十年からこの制度をやってまいりましたけれども、ちょうどオイルショック後の非常に長期の深刻な不況下に入って、企業としてなかなか定年延長どころではないといいますか、あるいは減量経営にちょうど入ってきた時代に相当しておったということで、定年延長が現実に余り進まなかったということも一つの原因かと考えられます。 また私どもも、こういった奨励金制度の活用に関しますPRなり、あるいは第一線におきます企業への相談指導に当たって、こういったものを十分活用するといったようなことが足らなかったというような反省もいたしております。そういったような反省に基づきまして、先生も御指摘になりましたけれども、五十三年から五十四年に向けまして金額もふやす、あるいは五十四年から支給の対象者を拡大するといいますか、たとえば五年定年を延長しますと五年間を対象にするように、非常に制度の魅力も持たせたつもりでございます。そういう意味で、五十四年に入りますと、まだ実績は出ておりませんが、五十三年よりは相当支給額はふえていくのではなかろうかというふうに考えております。
○藤波国務大臣 少し反省をいたしますところは、いろんな仕組みをつくりましても、その仕組みがよくPRが行き届きませんとなかなか活用することにならないという一面はございます。せっかく行政の中で新しい仕組みをこしらえ、かつ国会のいろんな御論議も踏まえて行政を進めてまいります中で、それらが十二分に活用されていくように今後も努力をしていかなければいかぬというふうに考えます。 しかし、いま局長から御説明を申し上げましたように、定年の延長を考えてみまするときに、非常にわが国の経済の厳しい時代にこのことが特に前面に打ち出されてきて、これをぜひ達成をしていこうということで進められてきたわけでございますが、そういう非常に不景気の中ででも、労使が着実な話し合いを進めて、徐々に定年延長の機運というものが盛り上がってまいりまして、昨年からことしへかけましては労使がいろんな話し合いを行われる中で、定年の延長という問題は最も大事な話し合いの課題になって今日を迎えておるわけでありまして、したがいまして、今後また高度成長の時代が来るとは思いませんけれども、非常に低成長の時代でありましても、定年の延長というのが労使の話し合いの中の非常に大事な課題としてはもう定着をしてきたのではないかというふうに考えますので、この機運に乗じていろんな仕組み等につきましてもさらに労働省としても積極的にPRもしていくというふうに努力を重ねていけば着実に前進をしていくことができるのではないか、このように考えておる次第でございます。
○丹羽(雄)委員 去年十分の一しか定年延長奨励金は使ってないわけですけれども、これはちょっと基礎的なことで恐縮ですけれども、余った金はお返しするわけですか。非常に財源が厳しい時代でございますけれども、その辺どうなっておりますか。
○関(英)政府委員 この制度は雇用保険の中の事業の一つでございます。そこで、この財源は事業主の負担による保険料、事業主のみの保険料の負担を財源としてこういう事業をいたしておるわけでございますが、その事業につきましては、剰余が生じた場合には雇用安定資金として積み立てる、それはまた景気が非常に悪くなりまして雇用安定のために必要な施策には引き出して使うという形で、剰余はすべて積み立てる、そして資金として持っておく、不景気に備える、こういう形になっております。
○丹羽(雄)委員 先ほどからお話をお聞きしておりますと、基本的には労使の自主的な努力に任せるというようなことが基本になっているわけでございますけれども、どうもその定年延長奨励金を見ましても、そのほかもろもろの施策を見ましても、なかなか効果が上がらないというのが実情じゃないかと思いますが、この辺で法制化について前向きに検討する用意はございませんでしょうか。
○関(英)政府委員 先ほどもちょっとお答えしたわけでございますが、わが国の定年制度といいますものはちょっと諸外国に例のない制度でございまして、わが国独特の雇用慣行のもとででき上がっております。従業員を、学校を卒業した学卒者を雇って終身雇用をしていく、そして年功とともに賃金も上がり、あるいは人事上の処遇も上がっていく、そして年功とともに退職金も増加していく、こういった賃金慣行、終身雇用慣行、こういうものと結びついて定年制ができております。そういう意味で、この定年制を、そういった長い期間をかけて日本の雇用賃金慣行として労使が十分話し合って築き上げられてきたものと切り離しまして、年齢だけを法律上一定の強制をするということについては非常な困難があるのではないかというふうに私ども考えておりますが、この問題は先生も御承知のように、昨年の国会で与野党間でいろんな議論がございました。そして、この立法化問題も含めまして政府の審議会で十分な検討をせよということで合意がなされたわけでございます。私どもとしては、その合意に基づきまして、昨年の六月に、総理府に置かれております雇用審議会に対しまして、この定年延長の実効ある方策につきまして立法化問題を含めまして御諮問を申し上げたところでございます。現在、雇用審議会でこの問題についての審議が続けられておるところでございますので、政府といたしましてはその雇用審議会の答申を待って対処いたしたい、こんなふうに考えておるところでございます。
○丹羽(雄)委員 民間の方はそれで結構でございますけれども、現在、国家公務員法を改正して国家公務員に定年制を導入するということが検討されているというふうに聞いているわけでございますけれども、労働省としては公務員の定年制の導入についてどのようなお考えをお持ちになっているのか、お尋ねしたいと思います。
○細野政府委員 公務員の定年制の問題でございますが、先生御存じのように、昨年の八月に人事院の総裁から書簡という形で、公務員の定年制に関する見解が示されているわけであります。政府としまして、現在その人事院の見解の基本的な線に沿いまして法案を作成中という状況でございます。 労働省としましても、公務員に定年制を導入するとなれば、やはり民間の動向を十分踏まえましてそれとのバランスも十分考えた上での定年というものであることが望ましい、こういうように考えているわけでありまして、人事院の見解自体がそういう点についても十分踏まえて御検討の上での御見解であるというふうに私どもも考えておりますので、この趣旨に沿ってこれを尊重して行われるべきものじゃないか、こういうふうに考えている次第でございます。
○丹羽(雄)委員 五十五歳以上の高齢者の雇用については、御案内のように、中高年齢者雇用促進法で百分の六を雇い入れるというふうに義務づけられておりますけれども、実態はどういうふうになっておりますか。できれば会社の規模別、業種別に、大まかで結構でございますけれども、お示しいただければ幸いと思います。 〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕
○関(英)政府委員 高齢者の雇用率の業種別なり規模別の実態という御質問でございますが、私どもで昨年の六月一日現在の高齢者の雇用状況を調査した結果について申し上げますと、法定の雇用率は六%でございますが、調査結果としては、全規模、全業種でございますが、実際の雇用率は五・八%ということになっております。そして、まだ六%の法定雇用率を達成していない企業の割合が全体で五三・九%となっております。一昨年の五十三年六月一日、一年前と比較いたしますとやや改善されている状況にございます。 規模別に見ますと、企業の規模が大きくなるに従いまして実際の雇用率が悪くなっている、低下している、また雇用率を達成してない企業の割合が高くなる、そういう傾向にございます。また、どの規模の企業でも、一昨年と比較しますと改善はされてきているということも言えます。たとえて申しますと、百人から三百人未満の規模では、実際の雇用率は法定雇用率六%を上回りまして八・五%になっております。これは前年より〇・二ポイント上昇しております。それから、未達成企業の割合は、五〇%を初めて下回っております。逆に一千人以上の大きな規模の実雇用率はまだ四・二%でございます。ただ、前年に比べますと〇・三ポイントの上昇でございます。 それから、業種別というお話でございますが、産業別でちょっと申し上げますと、実雇用率が高い産業は、サービス業で一二・九%、建設業で九・八%、農林漁業の七・八%というようなのが高い方でございます。逆に実雇用率の低い産業は、卸売・小売業の四・〇%、それから製造業の四・二%、金融・保険・不動産業の四・九%、こんな状況になっております。
○丹羽(雄)委員 お話をお聞きしておりますと、大企業の方が中小企業に比べまして高齢者を雇用してないという実情が明らかでございます。先ほどからお話ししておるわけでございますけれども、労使の自主的努力に任せておけないような実情でございまして、これは野党の皆さん方が大分前から提案なさっていることなんでございますけれども、アメリカでも雇用差別禁止法というものを制定いたしまして、一昨年から、六十五歳から七十歳まで対象を上げているわけでございます。ここに資料があるのでございますけれども、スウェーデンなど外国では、高齢者に対しまして解雇の予告期間を一般より長くしているというわけでございます。たとえば、二十五歳以上の者が二カ月なのに対しまして、四十歳以上の者になりますと六カ月間というふうに長くなっておるわけでございます。また、イギリスとか西ドイツでもすべてそういうわけでございます。高齢者になるに従いまして解雇の予告期間が長くなって、その間に職を探せということなわけでございますけれども、残念ながらわが国の場合は、労働基準法第二十条でございますか、若年齢者も中高年齢者も一律に解雇予告期間が一カ月間しかないということでございますが、これではちょっと余りにも中高年齢者に対して手厚い保護をしているというふうに思えないわけでございますが、この点についていかがでございますでしょうか。
○吉本(実)政府委員 ただいま先生から御指摘いただきました西欧諸国の法制によりますと、予告期間の長さにつきまして、勤続年数の長さとか年齢に応じて差をつけておるということは先生の御指摘のとおりでございます。こういった西欧諸国の制度は、わが国とは異なります雇用慣行、たとえば終身雇用制でないといったようなことを前提として設けられていると考えられますので、わが国の雇用慣行に根差した制度といたしましては、これは法律でやるのは適当ではないんじゃないかと思います。 いずれにしましても、解雇につきましては労働条件として労使が話し合うべき事項でございますので、高齢労働者を今後一層保護するために、いま御指摘のように、高齢労働者の解雇予告期間をより長くするということを労使間で工夫し、いろいろ検討していくということは、今後の求職期間を長期化することによって円滑な再就職を可能にする、こういうような観点から申しましても大変有意義なことだというように考えておる次第でございます。
○丹羽(雄)委員 ここに労働省の基準局がつくりました「労働基準法研究会報告」というのがあるんですけれども、これは大臣の諮問機関になっておるわけです。この中でも、大量解雇に対します労働者の保護対策としては、解雇予告期間の延長が必要であるということをはっきり言っているわけなものですから、ひとつ大臣、これは前向きに検討するということを御答弁いただければ幸いだと思いますけれども、どうですか。
○藤波国務大臣 いま局長からお答えをいたしましたように、わが国の労働慣行を中心にいたしまして、いまの労働基準法を、日本的な形で一つ一つ解決をしていくために法律をつくって施行しておるわけでございまして、法律そのものを手直しをしていくかということについての検討というのは、ちょっといまの段階では考えてないというふうにお答えをしなければならぬと思います。ただ、いろんな角度から絶えずいろんな検討をしていく、そういう一般的な意味でいろいろ新しい角度から絶えず考えてみるということは大事なことでございますから、そういう意味では労働基準法研究会等でいろいろ御議論をいただいておるということにつきましては、十分に私どもも耳を傾けて考えていきたいというふうにいま考えておるところでございます。
○丹羽(雄)委員 この問題につきましては、今後大臣が前向きに検討してくださるということで了承をしたいと思います。 次に、厚生年金の支給開始年齢と雇用対策との関連について若干のお尋ねをしたいと思います。 厚生省はさきに、御案内のように、厚生年金の支給開始年齢を、現行の六十歳から六十五歳まで二十年かけておくらせるという方針を出しましたけれども、いろいろ反対が強いということでことしはちょっと引っ込めた形でございますけれども、なお聞きますところによりますと、これはあくまでも今後の目標として、訓示規定として残しておくんだというようなことを言っておるわけでございます。年金問題というのは雇用問題ともう不離一体の問題で、切り離せない問題ということでございますけれども、何か新聞報道なんかによりますと、この問題は一方的に厚生省が独走して、労働大臣に一言も連絡がないというようなことをちょっと見たわけでございますが、これは事実でございますでしょうか。
○藤波国務大臣 政府の中でございますから、みんな絶えずいろんな連絡をとり合いながら、事務的にも政治的にも話を取りまとめていくようにいたしておるわけでございます。特に予算折衝の中で、厚生省としては一つの方針を打ち出すというふうな発表をなさったわけでありますが、非常に大事なことは、一人一人の国民の生涯を考えますときに、いろんなところで行政がいろんな対応をしてまいらなければなりませんけれども、特に高齢者になって行政としてどう対応するかということを考えますときに、雇用と年金との関係は非常に深い関係があるというようなことから、ずいぶん前々から厚生、労働両省ではいろいろな話し合いをしてきておるというふうに考えておりますので、必ずしも労働省にあいさつなしに唐突に厚生省が走ったというふうには考えておりません。いろいろ事務的にふだんから連携をとり合いながら来ているというふうに御理解をいただきたいと思います。
○丹羽(雄)委員 年金問題で欠かすことができない問題は、非常に基礎的な問題でございますけれども、一体どのくらいの年齢まで働くことができるのか。これは非常にむずかしい問題で、ライフサイクルの問題なんかも関連してくるわけでございますけれども、これをお示しにならないと、なかなか雇用問題と年金問題という問題は、窓口で立ちどまってしまって中に進まないと思うんです。 大臣、ひとつこの辺で、一体どのくらいまで、これは人の健康状態とかによっていろいろ違うと思いますけれども、これをお示しになる必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○藤波国務大臣 労働者の引退の時期というのがどのくらいの時期になるのかということについては、いろいろな角度からいろんな調査や検討が行われておるところでございます。一般的には、六十歳代に入って徐々に引退の時期を考える、あるいは肉体的にももう引退の時期だと考えるということで動いていくのであろうと思いますが、実態として見ますると、労働省の調査では労働力率というのがございますが、これでいきますと大体六十五歳になりますと、これは本人が引退の意思を持つのか、あるいは周りから引退を余儀なくされるのか、その辺も実態をつかんでみないとわかりませんが、大体六十五歳ぐらいをピークにがたっと落ちる。ピークにというか、その辺からがたっと落ちるという実態は示されておるわけでございます。しかし、全くこれ、人によっていろいろでございますので、一概に、だから六十五歳が引退時期であるというふうに申し上げるのも、これまた少し性急なことであろうというふうにも思うわけでございますが、しかし先生御指摘のように、その辺をしっかりつかむことが非常に大事である。これは労働大臣が何歳が引退時期でありますなんて言う話ではなくて、現実にどの辺が実態として引退をしていくということになっているのか、あるいはそれは御本人の意思も含めて、というふうなことをよく調査することが大事であるというふうに考えまして、五十五年度の予算の執行の中で高齢者がいわゆる引退の時期というものをどういうふうに考えているか、実態はどうなっているかということについて少し突っ込んだ調査をしたい、このように考えておるところでございまして、そういった調査ももとにいたしまして、今後さらに先生御指摘の年齢等についての少しまとまった考え方を持っていくようにいたしたい、こう思っているところでございます。 いずれにいたしましても、一人一人によって相当違いますので、違った方々が六十歳代前半層から後半層へかけてどういうふうに動いていくか、それにきめ細かく対応できるように労働省としては行政を進めていかなければいかぬというふうに考えておりまして、それはもう調査しなければ進みませんということではなくて、それはそれでやっぱり対策は講じていきたいというふうに考えておるところでございます。 いずれにいたしましても、先ほど来御指摘をいただいておりますように、労働引退の時期と生活安定をしながら老後を過ごしていくということの意味で、年金との兼ね合いというのは非常に大きなかかわり合いを持っておりますので、これは厚生省の方もいろいろ調査をしながら進んでいくと思いますので、厚生省と十分連携をしながらこういった調査等も進め、かつ対策も講じていくようにいたしたい、このように考えておるところでございます。
○丹羽(雄)委員 そうすると、いまのところ一概には言えないけれども六十五歳ぐらいまでは働く、その後は年金によって老後を暮らすというような一つの目安が示されたというふうに理解してよろしゅうございますね。 次に、身障者の雇用対策について若干のお尋ねをしたいと思います。 雇用問題が深刻化いたしますと、必ず中高年齢者の雇用問題等、波をもろにかぶるのが身障者であるというふうに言われているわけでございます。身障者雇用促進法でございますか、それによりますと民間が一・五%、あるいは公務員が一・八%から、特殊法人なんかもありますけれども一・九%ぐらい雇い入れなければならないというような義務づけがされているわけでございますけれども、どのような実態になっているのか、お示しいただきたいと思います。
○関(英)政府委員 身体障害者の雇用率の現状でございますが、昨年の六月一日現在の雇用状況の調査結果を申し上げますと、一般の民間企業、御指摘の法定雇用率一・五%のところでございますが、そこでは実雇用率が一・一二%、一昨年六月一日、一年前に比較しまして〇・〇一の上昇になっております。それから、法定雇用率を未達成の企業の割合は四八%ということでございます。大体一年前に比べて、ほぼ横ばいというような状況でございます。 それから、その状態を企業規模別に見ますと、大企業ほど雇用率が低く、未達成企業の割合も高くなる傾向にございます。ただ、新しく雇い入れた身体障害者について見ますと、三百人以上の規模の企業では全体の六〇%を占め、中でも千人以上の大きな規模の企業で四三%を占めておりまして、最近大企業における身障者の雇用に対する姿勢が積極化した面が見られるように思います。 それから、御指摘の一定の特殊法人、これは法定雇用率が一・八%ということになっておりますが、そこでは実際の雇用率が一・二八%ということで、法定雇用率未達成の法人の割合は六四・一%ということになっております。 それから、官公庁で申し上げますと非現業機関、法定雇用率が一・九%でございますが、その実雇用率は一・八三%。それから、現業的機関は法定雇用率一・八%になっておりますが、実雇用率一・八五%ということで、現業的機関では雇用率を達成しております。 全体的に見まして、一昨年と比べまして微増ないし横ばいというような状況でございます。
○丹羽(雄)委員 身障者雇用促進法で、達成をしていない企業におきましては納付金を払うという制度があるというふうに聞いておりますけれども、どうも納付金を払えば身障者を雇い入れなくてもいいというのは、ちょっと何か身障者の雇用を促進するという意味から筋違いのような感じがするんですけれども、この点についてお聞きします。
○関(英)政府委員 身体障害者雇用促進法におきましては、法定雇用率未達成の三百人以上の企業につきましては納付金を納めていただくということになっておりますが、これは身体障害者を雇用する企業はそれだけコストがよけいかかる、雇わない企業との間で経済的に見て負担がどうも公平でないということから、雇わない企業から納付金を納めていただいて、たくさん雇った企業に対しまして雇用調整金、身体障害者を雇用することについての負担を調整するという意味での調整金、あるいは中小企業につきましては報奨金という形で納付金を差し上げて企業間の負担の公平を図ろう、こういう趣旨でできているわけでございまして、雇わなくても納付金さえ払えばそれでいいんだというわけではございません。 それで、身体障害者雇用促進法の上では、未達成の企業についての達成計画をつくらせたり、それが不備な場合には改善を勧告し、改善に従わないような場合には公表するというような一連の雇用率を達成するための促進の方策もうたわれておりまして、納付金さえ納めればそれで社会的責任は果たされたんだということではないわけでございまして、私どももそういう立場で行政指導を強めているところでございます。
○丹羽(雄)委員 ちょっとお尋ねしますけれども、この身障者の納付金というものは、これはどこの事業団か、どういうところが集めていらっしゃるのですか。
○関(英)政府委員 雇用促進事業団が徴収するということになっております。
○丹羽(雄)委員 それでは、その納付金を事業に使うところはどこでいらっしゃいますか、集めているのは雇用促進事業団ということですけれども。
○関(英)政府委員 納付金を報奨金あるいは雇用調整金それから身障者の雇用を促進するための助成金として支給決定するのも雇用促進事業団でございますが、その実際の支給決定に当たりましての調査その他は、身体障害者雇用促進協会に委託してやっております。
○丹羽(雄)委員 金を集めるのが雇用促進事業団、金を使うのが身障者雇用促進協会ということなんでございますけれども、何かこれではまるで事業団が身障者雇用促進協会をまる抱えしているような感じがするわけでございます。現在、行政改革というものが非常に国民から批判を浴びているわけでございますけれども、何か非常にむだなことをやっているような気がするわけでございます。特に、非常に貴重な身障者の雇用対策という点ですから、この点から、行政改革からいってもちょっと逆行しているような、果たしてこういうような雇用促進事業団と身障者雇用促進協会と二本立てで分けてやるような必然性があるのかどうか、その点についてお聞きします。
○関(英)政府委員 この身障法を抜本的に改正いたしまして納付金制度を設ける、その納付金によりますいろんな助成制度をつくります場合に一私ども国の機関ではもちろんそんな新しい膨大な業務は定員増でもしない限りちょっとできないということで、特殊法人としての事業団の設立を考えておったわけでございますが、その当時新たな事業団の設立というのは一切認めないという政府の方針がございまして、そこで認可法人としての身障者雇用促進協会ならばよろしいというような経緯がございまして、当初構想の事業団が協会に変わっていったということがございます。ただ、この納付金は、これは強制徴収をかける、そういうたぐいの性質のお金でございます。そこで、認可法人に強制徴収させるのはどうかということがございまして、そこで既存の雇用促進事業団をかりて、徴収権限といいますか、強制徴収の権限まで持たせるには、これは特殊法人でないといかぬということで、雇用促進事業団をかりましてそういう面の解決を図り、当初構想の事業団に変えて協会をつくった経緯があるというふうに私は承知いたしております。
○丹羽(雄)委員 時間がないものですから簡単にいたしますけれども、雇用促進事業団で金を集めているわけですけれども、そこでこの身障者に対する金を使うということをやることは不可能なのでしょうか。
○関(英)政府委員 雇用促進事業団自体の業務が、非常に幾種類もの性質の異なった事業をたくさんやっておりまして、非常に大きな組織になっております。そういう意味でこの身障協会が現在行なっております仕事も、そこでやってやれないことはないかもしれませんが、ますます組織が膨大になって、かえって効率的でないというようなことがございまして、当初構想としてこれは一つの団体としてつくった方がより効率的だということで特殊法人構想があったわけでございます。そういうようなことから、特殊法人でなく協会ができましたけれども、強制徴収の形だけ雇用促進事業団をかりているというのが現実の姿であろうというふうに承知しております。
○丹羽(雄)委員 時間が来たのでこの辺でやめたいと思いますけれども、先ほどから大変御丁寧な答弁をいただきましてまことにありがとうございます。ただ残念ながら、高齢者の問題とか身障者の問題なんかをお話聞いておりますと、なかなか決め手がなくて、いずれも呼び水的な行政施策しかやっていらっしゃらないということでございます。大臣は非常にお若くて有能な大臣ということで、大変尊敬申し上げておるわけでございますので、ひとつ思い切ってこれからも藤波行政らしいものをどんどんやっていただきたいというふうに期待して質問を終わらしていただきます。 ありがとうございました。
○越智(伊)委員長代理 次に、安田修三君。
○安田(修)委員 私は雇用問題等これから幾つかお聞きするわけでありますが、先に、現在の日本の雇用構造の中で常用の労働者が余りふえない、景気が回復基調にあってもふえない、そしていわゆるパート、臨時等の臨時的雇用の人たちだけがふえていくという傾向にあるわけでありますが、そういう中で、これは業務量との関係で以前から問題になってきたところでありますが、郵政省の繁忙期におけるアルバイト雇用の問題であります。 〔越智(伊)委員長代理退席、住委員長代 理着席〕 これは年末年始にかけまして、年間百二十億枚ほど運ぶ郵便物のうち、二十七億五千万枚ほどもごく短期間に運ぶということで、大量のアルバイトが雇用されるわけでありますけれども、しかもそのほとんどは高校生等の年少労働者によってこれが賄われておる。こういう実態の中で、まず一昨年、そして昨年の春まで三百九十八万人のアルバイト雇用がなされ、そしてまた昨年末から今年の一月中旬にかけまして二百五十万人もの大量のアルバイトが郵政省によって雇用されてきた。 こうした実態の中で、実は社会問題となってまいったことでありますが、たとえば一月の十八日の朝日新聞でも報道されましたように、東京の和田悌司君という高校二年生が死亡するという事件が起き、あるいは愛知県の知立市においても配達の途中において事故死するという死亡事件が、新聞報道されただけでも三件、その他死傷者等を含む大量のそれらに類する届け出のない事件等もあるということを私たち、地域その他で実は入手するわけでありますけれども、そうしたことにつきまして、一体これらは日本のこれからの雇用問題についての労働政策上どういうような位置づけをもってみなされなきゃならぬのか、いわゆるこの雇用形態あるいは労働条件等、あるいは安全対策等、重大な問題を実は含んでおるわけであります。 そこで、十年前はいわゆる郵政本務員がこれらの業務量の六〇%を占めておりましたものが、今日ではアルバイトが逆に六〇%を占めるという、まさに主客転倒がなされてまいっております。このことは単に合理化という一事だけでは片づけられない、対応し切れない労働安全、衛生上の問題等出てまいっておりますから、そういう点で私は、郵政省もお見えでありますから、まず郵政省の方からこの雇用数、それから事故数をどのように把握しておられるか、これをお聞きしたいと思います。
○林政府委員 お答え申し上げます。 ただいま先生からも御指摘いただきましたように、年末年始の郵便業務につきましては、平常時に数倍する作業量ということに相なります関係から、本務者によりますところの超過勤務手当等、超過勤務等によってカバーするだけでは不十分でもございますので、アルバイトによっておりまして、非常勤職員によりましてその繁忙業務を乗り切っていかなければならぬというような状況になっておるわけでございます。昭和五十四年度におきますところの非常勤職員の雇用数、これは単人員ではまとめておりませんが、延べ人員であれしますと約二百十五万労働日に相なっておるわけでございます。また、このように大量に雇用いたします非常勤職員につきましての労働安全面につきまして、あるいは衛生面につきましての配慮といたしましても、私どもも常々、このような高校生が主体を占め、また作業の内容から非常に繁閑といいますか、忙しいときあるいは暇なときの波の激しいという作業形態に合わせた形の中で、特に安全面、衛生面、さらには郵便業務の取り扱いという点での事故防止の点に配意をいたしておるところでございまして、採用に当たりましてはそのパンフレットを示すとか、あるいは特に講習会を開いて説明をするとか、あるいは場合によりましては交通関係の警察官等にもおいでいただいて、交通安全面についての講習会を開催するような措置をとっておるわけでございます。 そのような中から、この災害の発生の状況でございますけれども、過去五年間におきまして、公務災害といたしましては、死亡事故が五十二年に一件、それから、まことに残念でございますが、昨年一件ございました。また、通勤災害は、この五年間は通勤災害としての死亡事故は発生を見ておらないわけでありますけれども、まことに残念でありますけれども、昨年二件の発生を見たということでまことに残念なことと考え、また遺族の方々にもおわびを申し上げ、今後さらにこれらの対策について対処してまいりたいというように考えておるところでございます。
○安田(修)委員 ちょっと人事局長に、重軽傷等の事故件数全体を聞いておるわけでして、死亡事故だけおっしゃいましたが、それをちょっとあらかじめ聞いておきたいと思います。
○林政府委員 お答え申し上げます。 昨年の五十四年度でございますけれども、公務災害といたしまして死亡事故が一件、それから交通事故が八十三件、その他七十八件で百六十二件でございます。また、通勤災害は死亡事故二件、負傷が三十九件、合計四十一件という数字に相なっております。
○安田(修)委員 そこで、労働省の方にお尋ねするわけでありますけれども、労働大臣もお聞きのように、実はにわか仕立ての雇用関係ということで、人事局長がいろいろ安全対策その他やっておるとおっしゃいましたけれども、具体的に後ほど実態は申し上げて、労働省並びに郵政の見解をお聞きするわけでありますけれども、いまざっと聞かれただけでもこのように実に昨年は死亡事故が業務上一件、そしてまた通勤途上で二件、この通勤途上も私たちは業務上であると思っておるわけでありますが、これも後ほど提起したいと思うわけでありますけれども、八十三件プラス七十八件、合計百六十一件ですか、昨年だけでもこれだけ多くの業務上の事故があった。しかも、通勤途上は、いま話がありましたように実に四十一件ですか、これは死亡を抜きまして三十九件、こういうぐあいに非常に大量の事故が発生しておるわけです。 〔住委員長代理退席、委員長着席〕 こういう雇用状態が、しかも民間の中小企業のおやじが三時、五時、朝の暗がりから晩まで働いて、労働法規もわからぬ、手も回らぬといった中で起きておるならともかく、少なくとも国の機関がこういう雇用状態をなしておるということは、労働政策を預かる労働省として一言ないというのは、私はおかしいと思っているわけです。 まず、総括的に労働大臣は、こうしたことは社会問題化されておるだけに、どのようにお考えであるかをお聞きしたいと思います。
○藤波国務大臣 仕事の中身として、いま郵政省から答弁がありましたように、非常にいっときにわっと仕事をこなせなきゃいかぬ、そういう意味では繁閑の差が非常に大きいわけでありまして、そのときに急にお願いをしなきゃいかぬという事情はよくわかるわけであります。しかし、いまのいろいろな数字をお伺いをいたしておりまして、特に年少労働者、十八歳未満の方々もたくさんに入っているということでありますから、いろんな意味で十二分に配慮されていかなければいかぬなというふうに実感として感じておるわけでございます。 ただ労働基準法上、労働の中身でありますとかあるいは賃金であるとか休暇であるとかいろいろな問題については、労働基準法などに違反をしていない限り、労働省として労働基準監督の立場から何か物を言っていくということではないわけでありますけれども、一人の政治家として、二百万人にも上るそういった特にばあっと忙しい時期を迎えるという方の労働の条件につきましては、できる限りの配慮がなされていくようにお願いをしたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
○安田(修)委員 それでは、郵政の人事局長にお尋ねいたしますが、まず皆さんの対応される労使間の中では一番大きいのでは全逓、それからアルバイト雇用関係では全国一般と、それぞれ関係組合があるわけでありますが、組合から勤務条件あるいは安全衛生対策等についての申し入れを受けられたことはなかったか、またあった場合に、それに対してどういう対応をせられたか、このことをちょっと先にお聞きしたいと思います。
○林政府委員 お答えを申し上げます。 全国一般労組からの非常勤職員の労働条件等につきましての改善申し入れ、交渉申し入れを受けたことはございます。一昨年から昨年にかけまして、また昨年からことしの正月にかげましていろいろお話を申し上げたわけでございますが、特に昨年からことしの正月にかけての際には、昨年の十一月二十日でございましたけれども、全国一般の委員長お見えになりまして、私のところでこの問題についての取り扱いも含めて種々お話を申し上げ、実質的に郵政局段階における交渉の中で事態の解決を図っていこうというようなことで取り進めたところでございます。
○安田(修)委員 それで、一応の申し入れがあって、郵政局段階でという話があったということでありますが、とにかくこの申し入れを受けられて、しかもそれは局長、おたくの方では昨年、しかも秋のことをおっしゃっているわけでありますけれども、一昨年、実際皆さんの方では雇用主は、当事者は郵便局長になっておりますね。その段階で、すでに労使間の関係で、しかもこういう労働条件関係等の交渉の申し入れや話し合いがあったということについては、排日さんはどういうぐあいに掌握しておられますか。
○林政府委員 お答え申し上げます。 確かに、郵便局段階におきますところの組合側からの交渉申し入れがございましたが、私ども郵政省側といたしましては、年末年始におきますところの非常勤職員の雇用関係につきましては、郵政局からの指導等に基づきまして郵便局がその措置を行っておるわけでございますので、実質的な問題の解決ということを考えました場合には、郵政局段階で話を進めることが、また実質的な意味のある解決方策だというように考え、昨年、全国一般労組の方にもその点をお話しする中で、一昨年の場合には確かに郵便局段階でのそういった事態はございましたけれども、昨年の段階におきましては、郵政局段階における話を中心に解決を図ってまいったということでございます。
○安田(修)委員 それでは、労使関係は後ほど聞きますから。 そこで、実は昨年、一例を申し上げておきますと、先ほども局長から報告ありましたように、東京葛飾局の向島工業高校二年生の和田悌司君というのが死亡事故を起こしております。先ほど通勤途上二件という話がありましたが、和田君の場合も通勤途上という取り扱いになっておりますけれども、郵便局の業務内容の実態として、昼は食堂が狭過ぎて食べられないから自宅へ行って食べなさいという実は指示が出ております。しかも、拘束時間中そういう指示に基づいて近くの自宅まで食べに行っておるという実態からしますと、これは明らかに業務上ではないかと私たちは断ぜざるを得ないところなんです。しかし局の方では、通勤途上ということでこのことが処理されております。さらにまた愛知県知立市で、知立郵便局の津田政信君、これも大同工業高校の一年生でありますけれども、昨年一万枚の郵便物を持って配達途上、電車事故に遭って死んでおります。 これらの安全対策はさらにこれから引き続きお聞きしていきますけれども、まず人間の命なんです。これは労働大臣にも聞いていただきたいわけであります。たとえば東京の場合に、一時間五百十五円のアルバイト料、外勤の場合に。内勤はまた百円安いわけであります。国家公務員災害補償法に基づいて一業務上で六百四十一万五百三十円。和田君の場合は、かわいそうにも、郵便局の指示で、郵便局で食堂が狭くて食べられないからうちへ食べに行ってこいと言われて、入ったときからそういう指導を受けて、そして食べに行った。そのために通勤途上の扱いを受けて、遺族の特別援護金が、百万円が適用を受けないために、わずかに五百四十一万五百三十円という補償なんです。いま交通事故でふらふらと突き当たっても、二千万が最低なんです。仕事をして、しかもこれから十七歳、十八歳という、高校を出たら直ちに一人前の労働者、金の卵の労働者が、学業の途中に、しかも余り芳しくない勧誘によってアルバイトに来て、死んだ事故がわずかの五百四十一万。一体こういうことがしゃばじゅう聞いて——このことはまだ私たちも知らなかったですよ。十八歳、十七歳の命がたった五百四十一万。一体これはどういうことなんですか。 まずこれは私、郵政省にお聞きしたいし、それから労働大臣にもお聞きしたいです。
○林政府委員 お答え申し上げます。 葛飾の和田さんの件でございますけれども、十二月の二十三日に、昼の休憩時間に自宅で昼食をとるためにバイクで帰宅をされます途中で交通事故に遭われたわけで、まことに残念、申しわけないと存ずるわけでございますけれども、当局の措置といたしましては、郵便局に設置いたしております食堂の利用、また希望者につきましては自宅に帰っての昼食というものを認めておったわけでございまして、和田君の場合には自宅も郵便局から近いということで、バイクで帰宅する途中で交通事故に遭われたということでございます。 また、知立の津田君の場合には、自転車で配達途中で電車にはねられたという、まことに申しわけないことでございます。この方に対します措置といたしましては、私どもとしては、国家公務員災害補償法に基づく措置といたしまして、これは本務者と非常勤の場合も全く同一の法令によりまして措置をすることになっておるわけでございまして、確かに平均給与額という点で、本務者の場合と比べまして、ただいま先生がお話しされましたような額にとどまらざるを得ないわけでございますが、やはり法令に基づいた上でなければこういった支出をすることも許されないわけでございますので、どうか御理解を賜りたいと考えるわけでございます。
○安田(修)委員 労働省の答弁を求める前に、ちょっといまの点、局長に聞いておきますけれども、アルバイトの人が、希望があれば自宅に食べに行ってもいい、そんなうそついてもだめですよ。これはあなた、参考人呼んで、みんな現場で働いた人に来てもらえばわかることで、局の指導はそうじゃないのだ、狭隘だからうちへ食べに行ってくれと言っているんだから。だから、そういう変なことを言ってもらっちゃ困るんですよ。これは参考人呼んで目の前でしゃべってもらえばわかることですからね。そういう指導がなされておるんですよ。そうでなければ、いまごろ何もうちに食べに行く人ないんですよ。 それからもう一つ。本務員と取り扱いは一緒だと言うが、確かに国家公務員災害補償法からいけばそうだ。だが、本務員の場合は年金があるんじゃないですか。そういう一連の身分保障等は、不十分でもなされているんです。アルバイトの場合は、死んだらたったこれだけ。交通事故の方がましなんですよ、四倍なんですよ。そうしたら皆さんは命に対してどういう評価をして安全対策をやっておるかということですよ。本務員の場合はそのために年金制度もある。じゃ、アルバイトが事故に遭った、そういう場合に、人命にはかえられないけれども、金銭で補償する場合は、それじゃ本務員並みにする場合はどの程度の補償をすべきかということ、大量のアルバイトを使われる郵政当局あたりが、国家公務員災害補償法のほかにどうすべきかということを、当然対策を立てておくべきじゃないですか。そのことをちょっと聞いておきますが、どうですか。
○林政府委員 お答え申し上げます。 まず、和田君の場合の件でございますけれども、郵便局におきまして、特に昼食をとるための食堂の利用を禁じておったというふうには報告を受けておりませんけれども、確かに先生御指摘のように、大量に統一雇用する非常勤職員の食事のために、近いところからおいでになっておる非常勤につきましては自宅で食事をとるというような状況があったことにつきましては、否定するといいますか、そのような状況があったというように考えておるわけでございます。 その次の公務災害の補償の件でございますけれども、確かに御指摘のようなことはいろいろ考えられるわけでございますけれども、やはり私どもといたしましては、現に定められております法令の中で措置せざるを得ないわけでございまして、それを超えての私どもの便宜的な扱いということにつきましては、できる立場でもございませんので、その点をひとつ御理解賜りたいと考えるわけでございます。
○安田(修)委員 その法令というのは、社会状態と無関係で法令があるものじゃないんですよ。法令がもし社会的な環境に順応しなければ、法改正をやらなきゃならぬ。またアルバイトの皆さんが、本来の法からはみ出た労働雇用状態を持っている場合は、それに対応したものをつくっていかなきゃならぬ。交通事故死はかつての五百万から一千万、一千五百万、二千万、強制賠償だけでなっている。そのほかにみんな任意で三千万とか、中には一億かげておる人もある。仕事上でぽかりと死んで、そしていまのように皆さんが指導しておりながら、通勤途上だと言って百万円まで削っておるのですよ。業務上だったらわずかでも六百四十一万だというのに、かわいそうに五百四十一万にしておる。そして、法があるからどうだ。皆さんがこういう大量のアルバイトを使って、安全対策も十分やれないで、絶えず災害が起き得るということを予見し得るうちにこうやっておるなら、これはまさに刑法上から言ったら未必の故意にかかりますよ。まさに犯罪者ですよ。ですから、皆さんはそういうことに対する対策というのは何も考えていないのですか。まして、五十四年の十二月二十一日に東京郵政局と労働組合の交渉においては、各勤務労働条件の改善の中でこう言っておるのですね。五百十五円時給で一日勤務して罹災した場合の災害補償は幾らか、こう言って回答を迫っておるのに対して、東郵の当局では、不勉強なので後からお答えしたい、全然安全対策も、災害が起きた場合どうだ、何も考えていないのですね。麗々しく先ほど、いや安全対策やってますとかなんとかおっしゃるけれども、全くふざけておる実態なんですよ。そういう中に、その二日後ですか、和田君の事故が起きたんですよ。それをそういう麗々しくおっしゃるなんて、私、一体心臓にどれぐらいの毛が生えておるかと不思議でならないのですよ。 局長どうなんですか。
○林政府委員 お答え申し上げます。 東京郵政局の回答の件につきましては、そういうようなことでございましたならばまことに残念なことというふうに考えざるを得ないわけでございますが、当日は交渉過程の中で担当者、それからまた具体的な事例としてのお話でもございましたので、改めてその点についてお答えするという趣旨ではなかったかと考えるわけでございます。 先生の先ほど来からのお話でございました。御指摘は痛いほどよくわかるわけでございますけれども、現時点におきましては、定められた法令に基づいて措置をせざるを得ないわけでございますが、今回のこのような事態の発生にもかんがみまして、今後ともこういった事実について人事院にもいろいろお話を申し上げ、意見を交換する中で、人事院との接触を深めてまいりたいというように考えておる次第でございます。
○安田(修)委員 人事院と接触を深めるということは、こうしたことに対応して改善策を考えると、こういうことですか。
○林政府委員 お答え申し上げます。 現にこういった非常に残念な事態が発生しておるわけでございますので、そういった事実関係というものを人事院にもお話し申し上げ、どのようなことが今後の手だてとして現在の制度の中で考えられるか、また制度の中で考え得ないとするならばどういうようなことを行うか等々につきまして、接触を深めてまいりたいというふうに考えておるものでございます。
○安田(修)委員 そこで、労働省の方にお尋ねするわけでありますが、こういう実態でありますから、アルバイト雇用ということについて事故が起きればわずかこれだけの補償、これは私は労働者を保護する、その代弁者として行政をしていかなければならぬ労働省としては、この実態について改善策を当然出していかなきゃならぬと思うのです。どういうお考えでしょうか。
○藤波国務大臣 アルバイトという形で労働を進めることについてのいろいろな問題点は、一般的に申し上げまして、やはり労働省としてもさらに検討を加えていかなければいかぬ、そしていろいろな問題点につきましては、それぞれ行政指導も進めていくようにしなければいけない、このように考えておるわけでございます。 いま先生御指摘の事件につきまして、どういうふうに考えるかということでございますれば、これはもうまことにお気の毒な事件であるというふうに感想を申し上げますけれども、具体的にはやはり労働をお願いする側と労働する側との、いろいろな事故の場合のことも含めた労働条件についての話し合いによって進められることでございますので、具体的にはそのことについての労働省の意見を申し上げることは控えさせていただきたいと思いますが、一般的にいま先生御指摘がございましたようなことも含めて、アルバイトのいろいろな形があるけれども、それにどう対応するかということにつきましては、今後さらに実態等もよく把握するようにし、対策も講じていくようにいたしたい、こう考えておるところでございます。
○安田(修)委員 郵政の方にお尋ねしますけれども、皆さんの方ではこのアルバイト雇用の場合に、学校やあるいは保護者に連絡しなくてもいいという、局段階で見解を持ってやっていらっしゃる。事実また交渉の議事録を見ますとそういう話が出ております。 たとえば、先ほどの死んだ和田悌司君の場合、向島工業高校というのはアルバイトを禁止している学校なんですね。しかし、実態は、皆さんの方では採用方法として個人の方に勧誘のはがき、手紙等を出しておられて、親も高校も知らない。そのために、中にはトラブルの起きておるところがたくさんあるわけです。 また、先ほどの死んだ津田政信君の場合は愛知県知立市の場合、愛知県の教育委員会では公立高校のアルバイト問題について見解を出しておるわけですね。したがって、公立高校の方では、たとえばこういうのがあります。これは後から労働省の方にもお尋ねするので聞いておいていただきたいわけでありますけれども、昨年の十二月二十八日、中日新聞によりますと、「高校生のアルバイトは学校や保護者の同意を得た上で、というのがこれまでも原則になっていたが、年末年始には大量のアルバイトが必要なため、郵便局側が人集めに懸命なあまり、原則が守られないケースが目立っていた。」として、愛知県の公立高校は郵便局側から雇用名簿を出させ、アルバイトの適否をチェックすることにしたと報じておるのです。そこで、生徒の学業という本分と家庭の経済事情などを考慮しながら生徒指導ということが、実は愛知の場合にここにも出ておるように、いろいろと話し合いをしておっても原則どおりやらぬじゃないかということで、もう教育当局側もかなり腹が煮えくり返って、こういうぐあいな見解を発表しながら対応しておるところもあるわけです。東京都の場合も、アルバイトを禁止している高校が結構あるわけです。死んだ和田君の向島工業高校も、そういう点ではアルバイトを禁止している。だが、郵政当局は、学校、親にも連絡しないで実はアルバイトの募集をやっている。いま読んだように、愛知県の場合は、そういういろんなルールをつくってさえ原則を破っておるじゃないか、こういう報道がされておるわけです。 そこで人事局長に、こういうアルバイト採用等についての現在の実態、考え方をひとつお聞きしたいと思います。
○林政府委員 お答え申し上げます。 年末におきますところのアルバイトの雇用でございますけれども、各郵便局の作業内容、また規模、さらにはその地域の状況等がいろいろ異なっておりますので、一律な形はとっておりませんで、その郵便局郵便局に応じた措置ということをいたしておるわけでございますけれども、大体一般的な姿と申しましては、局内、局前におきますところの周知によりまして、郵便局の職員の子弟等一あるいは近隣の方々につきまして郵便局員の紹介をいただいたり、あるいはその周知文をごらんになって直接郵便局に来られたりするアルバイトも結構あるわけでございますが、やはりまた学校関係にも私ども局の責任者が参りまして、アルバイトにつきましてのお願い、さらには郵便局としてとりますところの雇用の条件なりあるいはいろいろな措置等につきまして学校当局にも御説明を申し上げ、御了承いただいてアルバイトを雇用するというような方法をとっておりますが、必ずしも全国一律なものとしては行っておりませんで、各郵便局郵便局における置かれた条件に応じての措置ということをいたしておるわけでございます。
○安田(修)委員 各学校にも説明してという話があって、後になりますと各郵便局によってと——皆さんの場合は他の民間の企業と違って、これは役所でありますから、行政官庁でありますから、各部門によって取り扱いが違うということはまずあり得ぬことです。したがって、勤務態様でも、皆さんのいろんな運用方針その他には、東京の中郵局はどうだ、名古屋の中郵はどうだ、三段階ぐらいに分けていろいろ規定されております。決して個別の取り扱いは許されておるわけはないはずです。これはだれが考えたって、素人が考えたって役所はそう。あなたがさっきおっしゃったように、公務災害の場合は法がありますから、これがありますからできません、全然それ以上言えないわけでしょう。役所はそういう非常に窮屈なところがある。だから、取り扱いも、都合のいいときは局によっては違うかもしれないということは、それはあり得ぬことなんです。だから、皆さんの場合に、アルバイトの採用について東京の郵政局は学校や親に連絡しなくてもいいと交渉の中で言うておるんですね。まずこれが実態になっている以上は、あなたは厳粛にそれを受けとめなきゃならぬ。それについてどうなのか、適切さを欠いてないかどうか、まず適切さを私は欠いておると思うけれども、どうかということです。 そこで、さらに時間の関係もありますから、引き続いて一緒に答弁を求めますけれども、問題は、アルバイトといえども一般職の国家公務員にしておるんでしょう。まず、皆さんのいわゆるアルバイトに出しておられる非常勤職員必携によれば、郵便法の違反関係を厳しく書いてある。郵便物を開くなどの罪、たとえば受取人がいないにもかかわらず他の人に渡した場合には三年以下の懲役だとか、まさに民間の企業であれば物を落としても何にもならぬというようなことでも、皆さんの場合には、郵便物の場合は郵便法によって厳しく罰せられる、これだけは一人前に書いてあるんです。本務員と一緒のことを実は負わされておるし、またそうでなければ、私は、業務上は国の仕事でありますから当然だと思います。しかし、実際は内容は、罪は重く、労働条件は低い。しかも、死んでもわずかに六百四十一万、通勤途上だといえば五百四十一万、そして募集するときには親あるいは学校にも言ってない。だれが一体社会で責任をとるかということですね。この募集方法は適切を欠いてませんか、こういういろんな仕事の実態等からしても。どうなんですか。
○林政府委員 お答え申し上げます。 先ほども申しましたように、非常勤職員の採用の実態が非常に多様でございますので、そういったことを考慮せざるを得ないわけでございますけれども、少なくとも家庭に対しましては、そのアルバイトにおいでになっておるということについては御連絡をするようにいたしております。また、学校の関係でございますけれども、地域の実態に基づきまして、学校関係につきましても事前にいろいろお話を申し上げることは私どもも好ましいというふうに考えており、そのように指導いたしておりますけれども、全国一律にまたそのような措置をとるかということにつきましては、やはりその地域地域の事情もあるし、また従前からの経緯もあるわけでございますので、その点につきましてはその当該郵便局の実情により措置しておるということでございます。
○安田(修)委員 じゃ、私お聞きしますけれども、たとえば学校によって先ほど言ったようにアルバイトは禁止しておる。それから、かなりの学校はオートバイの通学を禁止しております。東京都の場合もそうです。私の富山県の場合もそうです。公立高校は全部禁止しておりますし、私学の場合もほとんど禁止しております。そこで、これは郵便局によっては、学校が禁止されておるにもかかわらず、バイク通勤やバイク配達をさしていますね。これもあなたの言うように、局の実態判断から出ておることなんですか。
○林政府委員 お答え申し上げます。 業務上のバイクの利用等につきましては、やはり全国一律の措置はとってはおりませんが、郵政局によりましてはバイクの使用を避けるというような指導をいたしておる郵政局もございます。ただ、その郵便局の置かれておる地況によりまして、どうしてもバイクを利用しなければならないような非常に急な坂があるとか、あるいは相当の配達の距離があるというような状況の郵便局につきましては、やはりバイクの利用もいたさざるを得ないというようなことで、その郵便局の状況に応じて措置をとっておるということでございます。
○安田(修)委員 これは私、非常に重大なことをお聞きしました。学校がバイク通学さえ未成年者として禁止しておる、禁止の意味にはいろんなことがあります。事故、それからあるいは集団的ないろんな群集心理をかりての遊び等に走っちゃならぬとかいろんな理由がありますが、しかし安全対策が第一番です。そうした学業を本務として、そういう学校で禁止されておるにもかかわらず、郵便局のアルバイトに入ったら、坂道その他業務上必要だからオートバイに乗せてもいいということが本省の見解であるとしたら、学校の教育方針と学生アルバイトという問題について皆さんは一体どう考えておるのですか、これは。
○林政府委員 私の答弁が不十分でございましたので、若干追加さしていただきたいと思いますが、先ほど申しましたように、学校当局ともその地域の状況によりましていろいろお話をさせていただく中で、そのような学校側からする郵便局に対する要望事項といいますか、条件と申しますものにつきましては、これをそれに沿った姿の中で措置をいたしておるわけでございますけれども、仮にバイクにつきましての使用を禁止しておりますような学校の場合には、当然郵便局においてもその利用を避けていくということをいたしておるわけでございます。
○安田(修)委員 そうでしょう。そうしたら当然おたくのおっしゃるように業務がどうのこうのということを言っておるわけにはいかぬじゃないですか。 そこで、先ほどに戻るわけですけれども、高等学校という後期中等教育、これは人間形成の大事な時期です。社会に出るかあるいは大学に進学するか、ここでいわゆる教育の基礎は全部終わるんです。後は大学は、御存じのように、二年の教養科目というのは、今度は高等学校教育の繰り返しなんですね。後期中等教育の人間形成の大事なときに、学業を本務としておる学生を使って、しかもその使い方が親にも学校当局にも、皆さんがどうおっしゃろうとも、実際は東京関係では言う必要はないじゃないかといって、はがき通知ですね。そうされて、しかも何らか郵便物を落としさえすれば三年以下の懲役という厳しい業務に従事させられて、しかも学校が禁止しているバイク通学、まあほかの例はともかく東京都下をとってもいいのです、これは全部禁止ですから。それをたとえば東京の場合、具体的に言いますと、三多摩地区なんかさせているわけです。それを本省は、いまおっしゃったように、全くとらまえどころのないようなことを言って逃れておられるけれども、私は事こういう問題に関しては、明らかに郵政当局は適切さを欠いておるということを認めざるを得ないと思うんですよ。皆さんがそうでない、そうでないと幾らおっしゃっても、適切じゃないんじゃないですか。どうですか、そこら辺は。和田君が死に、愛知でも死に、しかもこういう実態、適切だと思われますか、どうですか局長。
○林政府委員 お答え申し上げます。 一昨年また昨年の年末におきますところのアルバイトの雇用の問題をめぐりまして、いろいろ御指摘をいただいたような交渉が組合との間にも行われたわけでございまして、私どもといたしましては、御指摘をいただいておりますような点について十分留意した上で労働組合とも話をしてまいるということで、ことしの正月に至りまして話をいたしておりまして、今後労働組合との間にもそれらの問題を取り上げながら、どのような措置を講じていくかということにつきまして考えてまいりたいと思っておる次第でございます。
○安田(修)委員 さて、私、大臣にも途中見解を聞きたいのですが、はしょって先にちょっとここで聞いておきますが、実態はいまお聞きのとおりなんです。郵政局も否定はできない、こういう状態なんですが、私はここで、わずかの二万や三万というアルバイトじゃなくして、延べ人員にして、一昨年のようにまさに三百万になんなんとする数字、昨年末か今年でも郵政では二百十五万、私たちは二百五十万と言っていますが、郵政当局のおっしゃるとおり信じますと二百十五万という大量のアルバイトが使われておる。しかも、これは年末年始、デパートその他の大量に使われるアルバイト等の実は軸として、労働条件その他雇用法についても他から、政府が雇っておるだけに注目を受けておるところです。 そこで、学校のそういう学業を本務とする生徒、しかも学校ではアルバイトについて、たとえばいろんな問題が起きないかということで配慮しながらやっているわけですね。そうした中に郵政省のやり方は、たとえばこのアルバイト、先ほど言ったようにバイク通学は禁止されておるにもかかわらず、バイクで通勤やあるいは配達までさせておるという実態があり、いろんなことがあるわけでありますが、私は特にそうした教育を本務として受けている者、それがアルバイトに使われる場合、一体労働政策上その間の調和をどのように保つかということは、日本の将来を背負って立つ青少年のこれからの育成上も、労働政策として非常に重大な問題です。 まず、大臣にここら辺の、先ほどからのアルバイト採用問題について労働省のお考えをお聞きしたいと思います。
○藤波国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたように、具体的にはやはり労使のいろいろな話し合いの中で決めていくべきもの、こういうふうに考えますが、特に先生からのお話のございます学校に現に通っている生徒のアルバイトをどう考えるかということにつきましては、一人一人いろいろな事情があるのでございましょうから、一人一人の事情を私の方で勝手に憶測して物を申し上げることは控えなければなりませんけれども、アルバイトに出るためのいろいろな事情があるわけでございましょうから、ただ、教育を受けておる方がアルバイトに出ます場合に、義務教育ではないといたしましても、やはり本人、特に家庭、学校そして職場といった十分な連携のもとに充実した話し合いが行われて就労するということでなければならないと思います。特にやはり学校との連絡というのは非常に大事なことではないかというふうに思いますので、そういう場合には、繰り返しますけれども、職場、学校、家庭と本人を中心にいたしまして、十分ないろいろな話し合いが行われた上で労働につくというふうな方向にぜひお願いをしたい、こういうふうに思っておるところでございます。
○安田(修)委員 そこで、労働省にさらにお尋ねするわけでありますが、さてその勤務条件なんですけれども、一日に八時間以上実は勤務をさせておる。全部じゃありませんが、させておるところが、繁忙期だということで出るわけです。郵政は、御存じのように、本務員は七時間、七時間二十五分以上は超勤扱いになっております。しかし年少者は、これは八時間以上ということになりますと、明らかに労働基準法違反になってまいります。 まず、政府機関が労働基準法の違反を犯してやっておるということ、それから時間がありませんから立て続けに何点か基準法違反関係を申し上げておきますと、一昨年から昨年までは労働基準法三十四条に基づく——三十四条には命令によりまして、たとえば施行規則第十五条の届け出をしなければなりません、許可を受けなければなりません。それは一斉休憩の除外の適用です。これすらしていなかったんですね。ようやく組合からつつかれて昨年からこれの一斉休憩の適用除外の申請を受けるということになっております。しかし、郵政の運用方針を見ますと、そういうことをしなさいということが書いてあるんです。一体郵政の管理職というのは、国家公務員でありながら法律を知らないのでしょうかね。私はゆゆしい問題だと思うのです。法だけで動いている官庁というのは、すべて先ほど局長の言うように、国家公務員災害も法が、法がとおっしゃる。法がとおっしゃるところが法全部無視しておって、一体これはどういうことなのかということですね。 さらに休日、これは明らかに労働基準法第三十五条の脱法行為、知能犯だと思うのです。というのは、一昨年までは休みを与えずにやってきた、つつかれた、そしたら今度はこういうやり方をしてきた。これは具体例がないとわかりませんので、労働省側にも聞いていただきたいわけでありますが、たとえば、私ここに勤務表を持っておりますので、その中から幾つか拾いますと、昨年の十二月十九日休日とする、その次の休日はいつか。普通だったら一週間後、ところが次の休日は一月の二日、そうしますとその間十三日間働くわけです。約二週間働くわけです。そこで、解釈の仕方は、いわゆる一週に一回の休日が与えられればいいじゃないか、要するに初めとしっぽだけを押さえるわけですね。十三日間働きっ放し、こういうことです、年少者は。こうなりますと、確かに一週一回の休日ということは、行政解釈上も一週に一回与えればいいということでいろいろな解釈が出ております。しかし、二十二年、二十三年の労働省の行政通達によれば、休日を特定するか、あるいは明らかにそれに類する休日の与え方をしなければだめだ、労基法違反だということで、その指導強化を通達しておるわけですね。そうしますと、政府がみずから労働基準法違反を、脱法行為をやっておる。一体これはどういうことなんだろうかということです。 時間がありませんから、連続してここでお聞きしておくわけでありますけれども、まず、これは労働基準法違反でないか、そのために労働省はどういうようなこの実態把握をなしてきておられるのか。 それから、労働基準局長は、これは監督指導方法についてどういう運用調整をなしておられるのか、運用調整というのは皆さんの職務権限の中でありますけれども、どうなされるのか。 その後、私は、婦人少年局長にも、いわゆる年少者の特殊なこの勤務形態について、おたくは非常に大きな任務を持っておられるわけなんです。勧告もできますし、いろんなことができるわけでありますが、一体この取り扱いについてどういうような立場に立って見ておられるか。 さらにまた、児童福祉法第二条、児童育成の責任からしますと「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」国及び地方公共団体が負わなければならぬ。そり国が踏みにじっておるという実態について、婦人少年局長は怒りを持って郵政当局に指導してもらわなければならぬと私は思うのですよ。 私は、まず労働省の方から順次見解をお聞きしたいと思います。
○吉本(実)政府委員 お答えします。 まず第一点の一週四十八時間の問題でございますけれども、この点についてもし問題があるとすれば、それはまさしく法の違反でございます。 それから、一斉休憩の取り扱いにつきましても、そういった事実がありますれば、それも基準法の違反になろうかと思います。 それから、休日の問題でございますけれども、これは実は基準法の六十条で除外規定等がございまして、いまの休日の関係につきましての三十五条関係については適用があるわけでございますから、したがって、毎週一回、四週間四回というふうに休日を与えれば、その点については法違反にはならないと思います。実際の問題は、労働時間の長さが四十八時間を超えればもちろんいけないわけですけれども、アルバイトでございますので一日六時間というような形で、その辺のところを全体として考慮すればよろしいのではないかというふうに思いますが、郵政省の方にもそういった点についてはいろいろ相談をしているところでございます。
○安田(修)委員 それは私が言ったように、休日の問題は、局長さん、これは脱法行為じゃないのですか。皆さんの二十二年、二十三年の行政通達からしますと脱法行為じゃないのですか。 そこで、それはさらに聞くとして、まず郵政の人事局長に聞きたいのですけれども、八時間以上勤務させている実態、それから一昨年からそういう労基法三十四条に基づく届け出をしなかったという実態、それから私が先ほど言った十二月十九日に休んだら次は一月二日という十三日間連続勤務というような実態、あなた、これは事実なのですから、そういう勤務態様について、ひとつお答えいただきたいと思います。
○林政府委員 お答え申し上げます。 まず、週休の関係でございますけれども、二十五年の五月の通達によりまして、一日六時間制のように一週間を通算して四十八時間に満たない事業にございましては、四十八時間に達するまでの時間につきまして三十五条第二項の規定による週休制の例外というような形で通達されておりまして、その点につきましては法に違反しないというふうに考えておるわけでございます。すなわち、郵便局の年末の非常勤の場合には大体時間制の形態をとっておりまして、一日の雇用時間が大体四時間から六時間というような形をとっておりますので、法に違反しない形になると考えておるわけでございます。では、それだからもういいのだというふうに私どもは考えておるかということにつきましては、やはり改善をすべきものというように考えておりまして、週休日の付与方法のあり方につきましては、連続労働日を極力短くするようにその運用につきまして配慮してまいりたいと考えておるわけでございます。 それから、一日の勤務時間が八時間を超えておるという御指摘でございますけれども、私どもは八時間を超えるようなことはないというふうに考えておるわけでございまして、もしもそのようなことがございましたならば、それにつきましては今後とも十分指導をしてまいりたいというように考えておるわけでございます。 一斉休憩の関係でございます。年少者につきまして休憩時間を一斉に付与するかということでございますけれども、この点につきましては、付与できない場合に、法三十四条二項に基づきまして労働基準監督署に届け出をいたしまして除外認定の許可をいただくようにいたしておりまして、そのような措置の中で、一斉の休憩の付与につきましても除外をしていただいておるということでございます。(安田(修)委員「去年からやっているのでしょう。イエスかノーか、その事実だけ聞けばいいです」と呼ぶ)確かに、従前これらの許可を受けます手続で一部の郵便局につきまして不備な点があったかというふうに考えておるわけでございまして、その点はまことに遺憾でございますけれども、昨年以降そのようなことがないように指導もしてまいっておるところでございます。
○安田(修)委員 日本全国広しといえども、東京都は日本の人口の一〇%、一千二百万人がおるのですよ。そこでやっていないことを一部とおっしゃっては実際困ります、それが全国あっちこっちへ波及しておるのですから。 基準局長、あなたはさっきおかしいことをおっしゃったのだけれども、六時間働いておったら四十八時間云々とおっしゃった。労働基準法六十条では十五歳以上十八歳未満は四時間じゃないですか。あなた自身がそんな解釈をしてもらっては、労働省は一体何をしておるのですか。六十条にちゃんと書いてあるじゃないですか。
○岡部説明員 六十条の規定でございますが、これは三十二条の二項、それから三十六条の規定を適用除外いたしておるわけでございます。したがいまして、一日八時間以上の労働は、変形を規定いたします三十二条二項の規定の適用を前提といたします結果、これはできないということは先生御指摘のとおりでございます。六十条の三項に規定しておりますのは、一日に四時間以内に短縮する場合においてはほかの日に十時間まで延長することができるというきわめて特殊な事例でございまして、本件の郵政のアルバイトの問題では恐らくこういう実態にはないというふうに私ども承っておるところでございます。
○安田(修)委員 わかりました。いまおっしゃったように、そういうことで事実は非常にはっきりしておるわけです。法違反であるということはいまの答弁で明らかなとおりであります。これは後ほど総括して言っていただきます。 さてそこで、基準局長は、こういう実態なんだから労働省としてこれを一体どのようにされていくかということ。 続いて、婦人少年局長からも、先ほど言いましたように、どのように対処していかれるか、これをお聞きしておきたいと思います。
○吉本(実)政府委員 労働条件の具体的な取り決めにつきましては、先ほど労働大臣が申し上げたとおり、労使でそれぞれ決めるべきことだと思います。しかしながら、私どもの労働基準局といたしましては、法定の労働条件の履行を確保するという点から、こういった問題についての監督指導は常々行っておりますし、この点についても強力にやってまいりたいというふうに思っております。 また、郵政当局に対しましても、そういった点のないように、今後とも連絡をとりながら、きちっとさせるようにしてまいりたいと思っております。
○高橋(久)政府委員 先生先ほどから御指摘のように、学生のアルバイトが最近大変ふえておりまして、その労働条件にいろいろ問題があるということが指摘されております。婦人少年局では五十二年に学生アルバイトの実態調査をいたしまして、それに基づいて指導をしているところでございますけれども、アルバイトの学生につきましては、学校それから保護者等がその契約の締結に当たって十分に関与し、必要な労働条件が確保されるようにすべきものと考えております。 私どもはこれまでも指導を続けてまいりましたけれども、なお今後とも十分な指導をいたしまして、学業半ばにある学生がアルバイトをするに当たって十分な労働条件が確保され、健全に育っていくように配慮をしてまいりたい、このように考えております。
○安田(修)委員 形式論からすれば、婦人少年局長の答弁はまことに整うた答弁でありますが、問題は、実態はそうなっていないのです。だから私は、皆さんはいまそういう答弁で、そして実態は放置されておるということについては、では何もやってないのか、こういうことになるわけですね。ですから、やってもらわぬと困るのですよ。局長さんも新しくかわられましたから、ぜひひとつこれはやっていただきたい。 そこで、私は労政局にもお聞きしたいことがあります。 さて、こういう実態の中で労使間がいろいろ健全化しようと思っておるけれども、郵政では、いや団体交渉はやりませんとか、いや話し合いならやりますとかと言ってなかなか進まない。人事局長が昨年全逓やあるいは全国一般と話し合った。ところが、話し合っていろいろ交渉しておるけれども、安全対策等申し入れておる直後に事故が起きたりしておるのですね。だから、もう手おくれ、手おくれになっておるのですよ。しかも、不当労働行為等がありまして、いろいろな事例も私持っておりますが、むしろここでは私は労政局の労使間の啓蒙、行政指導ということを、不当労働行為そのものは、これは公労委で当然かかる問題がありますから、時間的にもありませず、また昨年もうちの村山委員からもそれらについてはすでに質問しておりますので、いろいろ細かいことは述べませんが、さて一体労政局は、郵政の方ではたとえば団体交渉あるいは労働協約の締結ということを非常に何か抵抗しておられる。先ほどの個別労働関係からしますと、きわめて前近代的な雇用状態、それから集団的な労働関係からすると、交渉やそういう話し合いをやって実態を積み上げていくということからしますと、まさにきわめて未熟で、これも時間があれば私は詳しく聞きたいと思っておったのでありますけれども、たとえば郵政には、内部の決めておられる郵政事業職員勤務時間、休憩、休日および休暇規程並びに同運用方針という非常に長ったらしいことで、いろいろと勤務条件とか書いてあります。しかし、現地の局長が少しもそれを守っていない。守っていないからこそ、先ほど言ったように、八時間労働をオーバーしてやっておるじゃないかとかいろいろなことが出るわけですよ。だから、こういう実態を考えましたときに、郵政の労働者に対する関係というのは、まさに未熟というべきか幼稚というべきか、五人、三人しか使っていない中小企業の、小学校しか出なくて何もわからぬというおやじたちの、本当に法も何も知らぬで、違反しようとも思わないでただやっておったことが違反だ、こういう人たちならわかるけれども、まさに公務員といって管理職にある人たちがこういうように未熟であり、幼稚な労使関係や個別労働関係の状態でなれておるということになると、本当にこういうことがいままでよう社会的に打っちゃっておられた、こう私は思うわけです。 さて、労政局長は、こうした未熟な郵政の使用者概念やあるいは労働者に対する問題について、健全な労使関係の確立という問題からどのような啓蒙をしていかれるか、聞きたいと思います。
○細野政府委員 先生の御指摘のように、先ほど来いろいろな問題で労使間で問題を抱えておられるという状況を承ったわけでございますが、先ほど来人事局長からもお答えがございましたように、まず内容的な問題については労使で詰めていただき、かつそれを第一線の管理者によく徹底していただくという問題でございますので、その点については人事局長も今後ともそういうふうに指導してまいりたいということでございますから、私どももよく郵政省とも御連絡をとりながらそれが実行されるように図ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
○安田(修)委員 私はこの問題の最後として総括的に労働大臣にお伺いしたいわけでありますが、いま言いましたように、実は労使間でも不当労働行為も続いております。交渉も、団体交渉としてれっきとした交渉もなかなか持たれない、話し合いならやるというような実態です。もちろん労働協約の締結なんかもあり得ない。労使間の関係が非常に未熟と言わなければならぬということはいま申し上げたとおりです。これからのこういう雇用構造の中で、郵政の場合は年末年始に実に年間郵便物の二十数%も集中するということでは、アルバイトをなくするというわけにはいかないだろうと私は思うのです。ただ、どういうアルバイトを求め、あるいは学生アルバイトを求めるためには、そういう年少者の労働でありますから、学業と調和できるような行き方をどうするか、そのためには学校当局あるいは両親とも連絡をとりながら、しかも労働基準法に違反しないで、しかも賃金その他についてもそれらに相応なものをしながらということが必要だろうと思います。 いろいろ調べますと、いままでは冬、雨の中に出るときでも、薄いビニールみたいなかっぱしかなかった。話し合いの結果、ようやく昨年からちょっとした、しっかりした雨がっぱも出るようになったという実態のようでありますし、また昨年は仮庁舎が壊れてけが人も出ております。そういう実態で安全対策も非常に抜けておった。したがって、こういうことはもし、いや、これだったら学校は全部アルバイトを出しません、アルバイトはやりません、こうなったらまさに大変なことにもなってまいります。 そういう点でそれらの調和性があって、労働者の権利が守られ、そして身分も守られる、そうした中にあってこそ初めてアルバイトの労働形態も社会的に是認されるかもしれない。それがなければ、これは当然私は否定しなければならぬです。私たちもこれは絶対反対をしていかなければなりませんが、そこで、労働省としてはこうしたことに対して、いろいろ問題がたくさん出ておるわけでありますので、大臣として総括的に最後に所信をひとつお聞きしたいと思います。
○藤波国務大臣 郵便事業におけるアルバイト労働の実態について、きょうはいろいろ先生から御指摘をいただき、御指導いただきましてありがとうございました。 郵政事業が緊急かつ正確に国民にサービスしていかなければならぬという問題、しかも非常に偏った時期に労働を必要とするというような性格から、いろいろな無理な点もあるのではないかという点をさっきから想像していたところでございますけれども、しかし、だからといって労働基準法等の違反にかかるようなことが万が一にもあってはならないと思いますし、労働者の権利が守られるように十分労使話し合いが進められることを心から期待をいたしておるものでございます。 なお、私どもも実態をしっかりつかんでないところもございますので、よく調査をいたしまして、法律違反等の事項があれば、あるいは年少労働者等についていろいろ不備なところがあるとするならば、早速に改善をするように労働省として勧告をしていかなければいかぬというふうに思いますし、いずれにいたしましても郵政省とよく話し合いをいたしまして、先生の御指摘のようなことが何回も起こらないように十分配慮していくことが大切である、このように考えておるところでございます。そのように行政指導を進めてまいりたいと思います。
○安田(修)委員 時間が参りましたので、そこでいまのことに関連して最後一点だけ質問して終わります。 というのは、たとえばこの郵政のいろんな労働基準法違反も出ておる。繁忙期に特に出ておる。私は本当はきょうは質問の通告の中で時間外労働から有給休暇の取得について質問する予定をしておりましたが、その中で特に述べたいと思っておりましたのは、景気浮揚対策として公共事業が一斉に出てきた。そのために建設業を中心としてたくさんの仕事があちこち行われた。その後今度景気回復過程という中で機械産業や輸送関係がずっと仕事がふえてきた。そこで、これは労働省実態調査の中にも、それらの産業というのは時間外が非常にふえてきておる。そこで、基準法違反がじゃんじゃん出ておるわけです。もう割り増しなんというのはどこ吹く風、深夜やっておっても残業のプラス、十時から二割五分プラス二割五分、五割なんか払っていたいところ、ずいぶんあるんですね。 それで、そういう実態ということは、私はいまの労働省の監督官の数ではとてもじゃないがやり切れぬだろうとは思います。ただ問題は、いわゆるそうした産業の変化あるいは経済の状態に応じてどの業種をどういうぐあいに実態把握をしていくかという労働省の対応策と、さらに労働省は以前から企業がずいぶんふえたのだから第一線監督官も当然ふやしていかなければならぬ、こういうことをぜひ図ってもらわなければならぬ。こういうこともきょう質問したかったわけですが、最後にそのことを大臣からお聞きして終わります。
○藤波国務大臣 労働監督の仕事は非常に大事でございまして、特に第一線が機動的に対応していくように努力していかなければいかぬ。一方、職業安定の方もまた同じことが言えるわけでございまして、労働省としては出先として労働基準監督の機関、そして職業安定の機関、それでできる限り現状に対応する行政体制を整えるようにあらゆる努力をしてきておるところでございます。しかし、今日は行政改革と定員整理の話ばかり前に出てくる時代でございますので、人員をふやすということはなかなかむずかしいわけでございますが、きょうはそういう意味では先生に御指摘をいただきまして百万の味方を得た思いでございますけれども、皆様方の御指摘をちょうだいいたしまして第一線をさらに充実強化して努力を重ねていくようにいたしたい、こう考えておりますので、今後とも御指導をいただきますようにお願いいたします。
○安田(修)委員 それでは、終わります。
○葉梨委員長 午後一時再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時十四分休憩 ————◇————— 午後一時二分開議
○葉梨委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。藤波労働大臣。 ————————————— 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○藤波国務大臣 ただいま議題となりました中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 中小企業退職金共済法は、中小企業の労働者の福祉の増進と中小企業の振興に寄与するため、昭和三十四年に制定されたものであります。この法律に基づきまして、現在、中小企業の常用労働者を対象とする一般退職金共済制度と、建設業及び清酒製造業に期間を定めて雇用される労働者を対象とする特定業種退職金共済制度の二種類の制度が設けられております。 これらの制度に加入している事業主の数は約三十一万、加入労働者数は約三百十万人に達しており、本制度は、中小企業労働福祉対策の主要な柱の一つとなっております。 ところで、中小企業における退職金制度の現状を見ますに、その普及状況及び内容は、いまだ必ずしも十分なものとは言いがたい実情にあります。このため、本制度をさらに充実強化し、中小企業にとってより魅力あるものとすることによって、その積極的な普及を図ることが要請されております。特に本制度における掛金及び退職金等の額については、昭和五十年の法律改正以降の一般の賃金及び退職金の水準の動向に対応して改善を図る必要があるものと考えております。 政府は、このような観点から、本制度について所要の改善を行うこととし、先般中小企業退職金共済審議会に諮問し、その答申をいただきましたので、ここに中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。 次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。 第一は、本制度の対象となる中小企業者の範囲の拡大であります。 現行制度では、本制度の対象となる中小企業者の範囲は、その雇用する従業員の数が三百人以下であること等従業員規模によって定められておりますが、中小企業施策としての整合性を高めるため、中小企業基本法等に合わせ、これに資本金規模を加味し、本制度の対象となる事業主の範囲を拡大することとしております。 第二は、一般退職金共済制度における掛金月額の引き上げ、国庫補助の増額等による退職金給付の引き上げであります。 その一は、掛金月額の引き上げであります。 現行制度では、掛金月額の最低額は八百円、最高額は一万円となっておりますが、賃金の上昇等に合わせ、掛金月額の最低額を千二百円、最高額を一万六千円にそれぞれ引き上げることとしております。 その二は、退職金給付に対する国庫補助の増額であります。 現行制度では、退職金給付に関し、掛金月額の最低額である八百円に対応する退職金について掛金納付月数に応じ一定率の国庫補助を行っておりますが、掛金月額の最低額の引き上げに対応して、この国庫補助の対象を掛金月額千二百円に対応する退職金に引き上げることとしております。 その三は、掛金月額が増加された場合のいわゆる掛け捨て、掛け損の解消であります。 現行制度では、加入後に掛金月額を増額した場合に、被共済者が増額後二年未満で退職したときは、増額部分に対応する退職金は、その年数に応じ不支給または掛金総額を下回る額の支給となっておりますが、このような掛け捨て、掛け損の解消を図るため、原則としてそのような場合にも掛金に相当する額を支給することとしております。 なお、これに伴い退職金給付について所要の調整を行うこととしております。 第三は、一般退職金共済制度における加入前の勤務期間の通算制度の新設であります。 現行制度では、事業主が本制度に加入した後の勤務期間のみを対象として退職金が支給されることとなっておりますが、実際の勤務期間に応じた退職金を確保できるようにするため、新規に本制度に加入する事業主が、その雇用する従業員の加入前の勤務期間について所定の過去勤務掛金を納付した場合には、十年を限度として加入前の勤務期間を加入後の掛金納付月数に通算して所定の退職金が支給されるようにすることとしております。 第四は、特定業種退職金共済制度における掛金日額の範囲の引き上げであります。 特定業種退職金共済組合が定款で定め得る掛金日額の範囲は、現行制度では六十円以上三百円以下となっておりますが、賃金等の上昇に合わせて、これを百二十円以上四百五十円以下に引き上げることとしております。 この法律案の主たる改正内容は以上のとおりでありますが、この法律の附則におきましては、この法律の施行の際被共済者である者に関して、最低掛金月額までの掛金月額の引き上げについて一定の猶予期間を置くこと、本制度加入前の勤務期間を加入後の掛金納付月数に通算することができることとすること、退職金についての国庫補助の引き上げは施行日以後の期間について行うこととすること等の経過措置を定めるとともに、その他これらの改正が円滑に実施されるよう所要の経過措置を規定しております。 以上、この法律案の提案理由及びその内容につきまして御説明申し上げました。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○葉梨委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 ————◇—————
○葉梨委員長 労働関係の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。村山富市君。
○村山(富)委員 きょうは午前中から質疑が行われまして、主として雇用問題とりわけ高年齢者の雇用問題についての質疑が行われてきたのでありますが、私もそうした問題に関連をして若干お尋ねをいたしたいと思います。同時に、先般行われました労働大臣の所信表明に基づいて若干の質問を行いたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。 大分、雇用状況は好転をしたというふうにも言われておりまするけれども、政府の来年度の経済見通し等々と関連をして考えた場合に、そう楽観は許されないのではないかというように思われますが、まず四・八%の経済見通しの中で失業者の数はどの程度見込んでおるのか、雇用状況はどういうふうに考えておるのか等について冒頭にお尋ねしたいと思うのです。
○関(英)政府委員 お答え申し上げます。 来年度の経済見通しにつきましては、ただいま御指摘ございましたように、政府といたしましては四・八%程度の経済成長を見込んでおります。これは五十四年度から見ると低くなりますし、また経済社会七カ年計画を去年の夏決定いたしました。その七カ年計画の中で想定している平均的なものよりも低くなっております。そういう意味で私どもも雇用に対する影響を十分配慮をしていかにゃいかぬと思っておりますが、五十四年度の雇用関係が、経済計画で想定したものよりも、失業者数にいたしましても失業率にいたしましても思ったより改善を見て、いわば出発点が高くなりましたので、これからの七カ年計画の中で十分想定した雇用情勢は実現できるんじゃなかろうか、こういうふうに思っておりますし、来年度につきまして直接的に失業者数を考えてみますと、労働力人口も伸び就業者数も伸びます中で、差し引き失業者数は本年度と同程度の約百二十万人程度ではなかろうか、本年度とほぼ横ばいではなかろうか、こういう見通しを立てているわけでございます。
○村山(富)委員 いまお話がございましたように、四・八%の経済成長率ではそれほど雇用状況の好転は見られない。まあ推定、本年度と同じ程度、百二十万程度は見込まれるというお話でございましたが、こうした雇用情勢の中で、とりわけ政府は第四次の雇用対策基本計画を出しておりますけれども、それによりますと、労働力を供給の面では五十年から六十年にかけて十五歳から二十九歳の層が二百八十万人減少する、逆に五十五歳以上が六百四十万人ふえる、こういう背景がございますし、急速に高齢化社会がやってくるということから考えてみて、高齢者の雇用対策というものは緊急のきわめて大きな課題になっておるというのは明らかだと思うのです。 そこで、若干、高齢者に対する雇用対策についてこの際お尋ねをしたいと思うのですが、午前中の質疑にもございましたように、高齢者の雇用率の現状を見ますと、一千人以上の比較的規模の大きい企業がきわめて悪い、こういうふうになっておりますが、その大企業の雇用率を達成させるためにどういう手だてを講じておるのか。私どもは以前の機会で、そういう企業については会社の名前を公表してやるべきではないか、新制度と同じようにペナルティを何か考えるべきではないか、こういう意見もあったようでございますけれども、こうした大企業の高年齢者の雇用率の悪い現状に対して、どういう手だてを考えておるのか、その点についてまずお尋ねいたします。
○関(英)政府委員 御指摘ございましたように、昨年の六月一日の高齢者の雇用率の調査におきましても、午前中もお答え申し上げましたけれども、企業規模が大きくなるほど高齢者の雇用率が悪いという実態にございます。そこで私ども、中高年齢者雇用促進法に基づきまして、高齢者雇用率が非常に低く、規模の大きいところに、高齢者の雇用率を達成するための計画の作成を命じまして、その計画の提出を求めました。すでに五百社以上の社からそういった雇用計画が出てきております。今後は、その雇用計画に沿った雇用の実施を個別企業ごとに行政指導を強めていくという形でこの雇用率の達成指導に努めてまいりたい、こんなふうに考えております。
○村山(富)委員 午前中にも数字の発表がありましたからお尋ねしないのですけれども、この労働省が調査をしました各企業の高年齢者の雇用率の現状ですね。現状の数字はいつか私がこの委員会で質問したことがあるのですけれども、元請と下請の関係ですね。たとえば、元請の企業が下請の企業に半分以上出資をしている、資本金を持っているというような場合や、その企業の元請に対する依存率が大変高い、こういう状況にある場合に、その高年齢者の雇用率の調査の仕方が、同一企業とみなして、その下請の企業をうんと抱えておればその元請の企業の雇用率が非常に軽くなる。それで全体として六%に達しておれば六%、こういう計算をされる、こういう状況になっておるように聞いたのですけれども、その点はどうなっていますか。
○関(英)政府委員 高齢者の雇用を進めるために、企業においてはいろいろな工夫をいたしております。たとえば、帝人におきまして、帝人興産とか帝人エンジニアリングというような形をつくりまして、子会社でございますが、そこで社内の福祉関係の仕事を引き受けるというような形で高齢者の雇用を進めているとか、いろいろな形がございます。それも高齢者の雇用を進める一つの手段であろうと思うわけでございます。もとより一貫した雇用が継続していって定年年齢が延長されていくことが一番望ましいわけでございますけれども、いろいろな事情から直ちに定年延長ができない場合に、そのような工夫をこらすということも一つの当面の対策であろうかと思うわけでございます。 そこで、高齢者の雇用率を算定します場合に、先生御指摘のように、半分以上の出資をしているとかいうような形で、会社の子会社的な形でそこに高齢者をあっせんして雇っていただくというようなことをしている場合には、それを元請の企業の算定の場合にカウントして率をはじくということをいたしております。
○村山(富)委員 元請、下請を問わず、大企業、中小企業を問わず、高年齢者の雇用率が高まっていけば結構なことですから、それをとやかく言うわけじゃないのです。ただ、この種の調査をされる場合に、いまお話がございましたように、大手元請の企業と下請子会社との関係で同一企業とみなして、個々の企業はこれを含めて雇用率が達成されている、こういう調査をされていると思うのですけれども、その関係にはいまお話がありましたように、たとえば出資金の半分以上親会社が持っているというような場合とか何か一定の基準があって、その基準に合致するものについてはそういうふうにみなして調査されているのか、その点についてはどうですか。 〔委員長退席、山崎(拓)委員長代理着席〕
○若林説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生がおっしゃいました子会社の取り扱いの基準でございますけれども、ただいま局長が申し上げましたように、子会社の株式につきまして出資の割合が五〇%を超えるものであること、これが一点でございます。それから、常用の高齢者を多数雇用する事業場であることということでございまして、常用労働者に占める高齢者の割合が三〇%を超えるものであることというのが第二の要件でございます。第三の要件といたしましては、ただいま申し上げましたように、親会社との経済的、組織的な関連性が緊密であることということでございまして、これは二つございまして、一つは、子会社の役員のうち少なくとも一名以上は親会社の役員または従業員が選任されているというようなこと、あるいは子会社の従業員のうちの相当数が親会社から派遣されているというような形で、親会社、子会社が人的交流がきわめて深い、こういうことが要件になっております。それからもう一つは、子会社に対しまして親会社から常時相当量の発注が行われているということによりまして、子会社の経営の安定のために親会社が十分な措置を講じているということが必要でございます。 以上が要件でございます。
○村山(富)委員 そういうものも含めて実態を調査して把握した場合に、依然として大企業の方が悪いわけですから、ですから、よほど大企業の場合はやはり雇用率について悪いと思うのですね。この点は、先ほどお話がございましたように、計画書を出させてその計画が達成されるようにこれからも指導されていくと思うのですけれども、いろいろな条件を考えた場合に、私はまだまだ困難な問題があるのじゃないかと思うのです。 そこで、身障者の場合は、雇用率に達成しない場合は、いい悪いは別にして、一応納付金を取っているわけですね。そういう制度を考える、考えないは別にして、私は、むしろ大企業の方がこのような情勢の中で社会的責任も感じてもらって、もう少し率先して高齢者を雇う、こういう対策を講じてもらいたいと思うのです。そういう一念から申し上げるのですけれども、この際やはり、こういう企業については一定の段階に来た場合に企業名を公表するとか、そういう措置を講ずべきではないかというふうに思うのですが、その点はどうですか。
○関(英)政府委員 先生の御趣旨はよくわかるわけでございますが、身体障害者の場合は身体障害者雇用促進法に雇用率の定め、そして未達成企業に対する達成計画の命令、あるいはその計画が不適切な場合の勧告、勧告が十分行われない場合の公表という一連の措置といいますか、制度が法定されておるわけでございますが、中高年雇用促進法の場合には努力義務としての雇用率とそれから達成のための計画、そういうところでございまして、公表制度まで法律上規定はございません。そういう意味で、身体障害者の場合と比べまして、法律規定がないことも考えますと、個別企業名の公表ということを直ちに行うかどうかは非常に慎重に考えなければならない問題ではないか、こんなふうに考えておりますが、いずれにしても、高齢者の雇用が大企業で進んでいない。現実に私どもそういう実態に着目して、その雇用の達成のための計画を出させているわけでございますので、特に定年延長という手段による雇用率の達成、こういう行政指導を中心に強力に指導していきたい。特に、昨年秋の鉄鋼あるいは私鉄の労使の合意というようなものを踏まえまして、いまや定年延長あるいは高齢者の雇用ということは、社会的にもうコンセンサスはできてきたというふうに私ども思っておりますので、これからまた先、春闘等を通じまして労使間でも十分話し合いが行われると思いますが、私どももいままで以上に強力に行政指導に当たっていきたい、こういうふうに考えております。
○村山(富)委員 そういう調査も踏まえた上で、なお就業の実態について総合的に調査をされるというふうに聞いておるのですけれども、その調査をされる具体的な内容はどういうものであるか、御説明をいただきたいと思うのです。
○田中説明員 ただいまいろいろ御質問ございましたように、高年齢者の場合には他の年齢層と違いまして就業の実態、雇用の実態が非常に複雑なものがございます。従来の統計的な調査ではなかなかきめの細かい実情の把握が困難であるということで、来年度新たに高齢者の就業等に関する総合的な実態調査をやりたいというふうに考えておるわけでございます。 その中身は、対象者として五十五歳以上七十歳までの高年齢者約三万人を対象にして調査をするということで、内容的には年齢別に見ました就業、不就業の比率、あるいは就業している場合の仕事の内容、それから就労の特性、たとえば労働時間がどういうぐあいになっているかとか、あるいは通勤事情がどうなっているかとか、そういう就業、雇用をめぐる具体的な条件についての実情、それから就労に関連しまして高齢者の健康状態がどうなっているか、あるいは高齢者の世帯の家計上の実情がどうなっているか、あるいは高年齢者が働く場合の理由、あるいは就業希望の中身、仕事に関するもろもろの意識というような意識面の調査を含めてやりたい。さらに、この五十五歳以上の高年齢層の場合には、徐々に引退の過程に入る方も多いわけでございます。そういう引退のプロセスがどういうぐあいになっているかというような、引退過程に関連した実情の把握をしていきたい。さらに、年齢が高まるに従って、あるいは定年退職後どういう過程を通って仕事が変わっていくかという変わり方の経過を見るというようなことで、ただいま申し上げましたように三万人を対象に、そういう就業、雇用をめぐる実情の把握をしたいということと、それからもう一つは、ただいま申し上げましたのは世帯調査という形で実施するわけでございますが、もう一つは、規模三十人以上の一万事業所を対象に、企業を通じて、雇用されている高齢者の実態を同様な調査項目について把握したいということで、新年度早々できるだけ早い機会に実施を図りたいというふうに考えておるわけでございます。
○村山(富)委員 やはり、一つの政策を実行するためには的確に現状を把握することが大事ですから、そういう調査をきめ細かくやられて、そのきめ細かい調査の上にきめ細かな施策を講じていくことが大事だと思うのです。その調査の結果を期待して見守っていきたいと思います。 次にお尋ねを申し上げたいのは、先ほど来雇用率の問題と定年制の問題等についても御答弁がございましたけれども、労働省は、六十年を目途に六十歳の定年を実現したい、こういう見通しでいま準備をいたしておるようでございます。そこで、この定年制の現状がどうなっておるか、と同時に、労働省が目標とされております六十年六十歳定年という問題についての実現の見通し、その手だて、手段等についてお尋ねしたいと思うのです。
○関(英)政府委員 定年制の実情についてのお尋ねでございますが、現在ありますものはちょっと古い資料で申しわけございませんが、昭和五十三年の実態でございます。昭和五十三年の定年制の実態につきましては、五十五歳定年というものがまだ四一%ございます。それから、六十歳定年というのは三三・七%でございます。そういうようなことでございまして、あと六十歳まで、あるいは六十一歳以上にもわずかずつばらつきのある数字はございますけれども、一番問題のところを申し上げますとそういうことになっております。この数字は、昭和四十三年からの十年間から見ますと、五十五歳定年はたとえば六三・二%から四一・三%まで減ってきておりますし、六十歳定年は二〇・六%から三三・七%までふえてきたわけではございますけれども、先ほど来先生の御指摘のような今後の急速な高齢化というようなことを考えてみますと、五十五歳定年がまだ五十三年時点で四一・三%あるということは非常に問題があるわけでございます。 そこで、労働省といたしましては、御指摘のありましたように、昭和六十年に何とか六十歳定年を一般化したい、こういうことで行政指導いたしているわけでございますが、具体的には、まずこの問題は労使間で十分な合意をしていく必要がある、そういうような考え方から、あらゆる機会を通じまして、こういう問題を労使間で十分論議してほしいという機運の醸成を図っております。従来は特に定年の低い業種、そういった業界の集まりを持ちまして、私ども定年延長推進会議ということを業種別にやってまいりました。これからはそれを使用者側だけでなく組合側にも入っていただきまして、労使会議というような形で定年延長の阻害要因、そういうものをどうやって克服していったらいいかというようなことを業種別の会議で論議していただいて、定年延長を推進していきたいと思います。 もう一つは、私どもの高齢者の雇用率に関します指導を通じて、定年延長を進めていきたいということでございます。先ほどちょっと申し上げましたように、高齢者の雇用率の低い企業につきまして雇用率達成計画を出していただきまして、その中にはいろんな手段で高齢者の雇用率を達成しようとしておりますけれども、一番有力な手段は定年延長だろうと思うわけでございます。定年延長はしないで再雇用しますとか勤務延長するというような形で雇用率を達成していくという計画ももちろんありますし、あるいは中途採用するというようなものもございますけれども、一番必要なのは定年延長をして高齢者の雇用率を高めていく、こういうことが一番大事だろうと思いますので、この高齢者の雇用率達成のための計画の具体的な実行の指導として、個別企業に定年延長でできる限りそれをやってもらいたいという行政指導をこれから強めていきたいと思っております。また、そういういろいろな折に、非常に消化が悪いということでおしかりを受けております定年延長奨励金につきましても充実を図ったり、支給対象の人たちを大幅にふやすような改善措置を講じましたので、そういった定年延長奨励金を活用して定年延長を推進していくというようなことによって行政指導を進めていきたいと考えております。 〔山崎(拓)委員長代理退席、委員長着席〕
○村山(富)委員 高齢者の雇用対策は、いまもお話ございましたように、定年延長がやはり一番基本になると思うのですね。ただ、現状を見ますと、定年延長を理由にして高齢者の賃金が切り下げられたり、あるいはその他の労働条件が切り下げられたり、そういうような事例があるというふうに私どもは各組合の調査あたりで聞いておるのですけれども、そうした問題に対しては定年延長の問題と関連をしてどのような指導をされていますか、また現状を把握されていますか。
○吉本(実)政府委員 定年延長の促進につきましては先ほど来いろいろ御議論のあるところでございまして、私どもとしましても積極的に取り組んでいかなければならぬ、こういうように考えておりますが、その際に、わが国で広く行われております年功的な賃金、退職金制度などがやはり定年延長の阻害要因の一つだ、こういうように指摘されております。それで、先生のそれに便乗してというようなお話でございますが、結果的には要するに労使で自主的な話し合いによるべきでございましょうが、定年延長のために賃金、退職金その他の労働条件が改定が行われる場合、その改定とそれから定年延長によって労働者が受ける利益と、これとの比較考量ということが基本になってくるんじゃないかというように思いますが、私どもは、先ほど申しましたように、一つの阻害要因として出てくる点については排除するように行政指導していったらいいんではないか、このような基本で進んでおる次第でございます。
○村山(富)委員 日本の場合には、よく言われますように、終身雇用型で年功序列型の賃金になっていますから、ですから定年延長しますと、その年功序列型の賃金をそのまま踏襲していきますと、年齢が高くなるに従って賃金が高くなる、こういうことになりますから、したがって、それでは企業の方では負担が重くなるので、逆に、たとえば五十五歳を過ぎれば昇給をストップするとか、あるいは賃金を下げるとか、こういうことが間々あるように私どもは聞いているわけです。これはそういういろんな条件がやはり問題になると思うのですけれども、しかし定年制を延長する限りにおいては、いろいろな労働条件を考えてみて、極端にそのために賃金を下げたり労働条件を悪くしたりなんかするというようなことが行われることは決して好ましいことではないと思いますので、そういう問題についてどのような指導をされておるか、考え方を聞きたいと思うのです。
○吉本(実)政府委員 ただいま先生申しますように、年功的な賃金、退職金の問題ということの基本には、やはり年功的、つまり生活給的な部分、まあ年齢給とかあるいは勤続給とかいったようなものが基本になって、それがだんだんと年齢の度合いに応じて高くなってくるということでございまして、それだけを見ますと、先ほど申しましたように、定年延長をするという場合の一つの阻害の要因になるわけでございます。しかし、その際に、仕事とかあるいは能力に応じた昇給システム、こういうこともひとつ考えてしかるべきではないか。つまり、いろいろ言われております基本は、年功的な自動昇給というものは、四十五歳から五十歳ぐらいがピークだから、その辺でもってそこを考えて、その上はあるいは緩和するかあるいは停止して横ばいにする、こういうことでございますが、その際に、そういった生活給的なところはそういうふうに考えますけれども、その年齢層について仕事とか能力に応じたいわゆる昇給システムということもあわせ考えてしかるべきではないか、そういうことも考えながら、先ほどの基本にあります定年延長の方向に向かっていろいろ指導していく、そういうふうに考えている次第でございます。
○村山(富)委員 定年制を延長するために阻害されるような条件がやはり幾らかあると思うのですね。企業の立場から見れば、いま申しましたように、年功序列型の賃金も一つの阻害要因になっていると思うのです。ですから、そういう問題すべてを総合してみてどういうふうにすることが一番いいのかという労働省の考え方がなければ、延長しよう、延長しようと言っているだけではなかなかうまくいかぬと思いますし、さっき言いましたような定年延長のための資金も用意してあるけれども活用がなかなかなされないというところにも問題があるわけですから、そういう点も十分検討して、総合的に労使が前向きに協定ができて定年制が延長されるような方向に行政指導が向いていかないとなかなか実現はむずかしいと思いますから、そういう点もひとつきめ細かな施策を期待しておきたいと思うのです。 さらに、離職者とりわけ中高年の離職者が再就職する場合に、再就職した実態を見てみますと、再就職をされた労働者の四六・四%ぐらいは臨時採用になっている。きわめて不安定な雇用の関係に置かれているわけですよ。こういう実態があるわけです。同時に、労働時間等を見ましても、九時間以上の労働時間で働いておる労働者の数も一五%ぐらいある。したがいまして、単に定年延長によって条件が悪くなるという場合と、一応企業を離れてさらに再就職をする場合に、そういう労働条件の不安定な条件あるいはきわめてその他の労働条件が悪い、こういう状況に置かれているような再雇用の労働者が多いというように私は聞いているのですけれども、それらの実態はどうなっておるか、どのような指導をされておるか等についてお尋ねします。
○関(英)政府委員 ただいま先生お話しの離職者の再就職の実態は、政策推進労組会議が離職者に対して調査した結果として私どもが同会議の方からいただいているその数字のお話だろうと思います。その調査結果によりますと、確かに雇用形態として臨時のものが多かったり、あるいは労働時間が九時間以上のところが一五%あるとかいうような数字がいろいろ挙がっております。ただ、まことに申しわけございませんが、私ども、全体としての再就職した場合の雇用形態とか労働時間とかいったようなものについてきちっとした調査がございません。それで、全体的な問題をここで御説明することができませんが、先ほど統計情報部の方で、来年度の調査として、高齢者の就業実態あるいは再就職に対する意識等、総合的な調査が行われますれば、そういった高齢者の現状の実態も明らかになると思うわけでございます。 いずれにいたしましても、一般的に考えまして、日本の雇用慣行から見ますと、学卒の新しい従業員を雇用して自社の中で訓練をしながらずっと定年まで抱えていくという雇用が、大企業を中心に支配的でございます。そういう中では、横断的に職種別に労働市場ができているというような外国と比べますと、離職者にとっては非常に再就職しにくい雇用慣行になっているわけでございます。たとえば、定年までずっと一つの会社で非常に知識経験を積み、技能も向上した労働者が、定年後どこかに再就職しようといたしましても、そういう労働者を求める市場は少なく、学卒を採用していくということでございますので、どうしても定年前の職業から見ますと非常に条件の悪い求人口しかないというのが日本の雇用の特徴だろう、こういうふうに思われますので、政策推進労組会議の調査結果そのものの数字が全国的にそのまま妥当するかどうかは別といたしまして、先生の御指摘のように、高齢者の再就職の場合には、就業形態にいたしましてもその他の労働条件にいたしましても、再就職前よりは相当劣るものになるというふうに考えられるわけでございます。そういうことからも、私ども労働省といたしましては、でき得るならば従来続けた仕事をその同一の会社で、一同一の企業でずっと続けることが望ましい、そういう意味で定年延長がまず施策の第一でございますし、どうしても定年延長できないときは、少なくとも再雇用なり勤務延長という形で、その人の従来の経験技能といったものを同一企業内で活用していくことに行政指導の重点を置きたいと思います。 しかし、そうは言いましても、それは直ちにできるわけではございませんし、現実に定年退職者が職を求めるということもあるわけでございます。そういった場合に、ただいまの御指摘のありましたような求人が多いわけでございますけれども、私ども公共職業安定所で求人を受け付けます場合に、できるだけその求人条件の緩和を指導する。その際に、たとえば中高年雇用開発給付金制度、これは現在緊急雇用対策としてやっております。中小企業においては一年間は賃金の五分の四、その後六カ月は三分の二というような大幅な助成をするわけでございますから、そういうものを活用して、そうしてできる限り条件のいい職種に変更していただくといいますか、求人条件を緩和していただく、そういうような指導によって少しでも条件のよい再就職のお世話に努力いたしたい、こういうふうに考えております。
○村山(富)委員 いまお話もございましたように、いろいろな手だてを講じていくような対策も考えておるわけですね。また、つくられておるわけですね。ところが、現状はなかなか好転をしていかないという壁もあると思うのですね。その壁の一つに、同じくこの政策推進会議が調査をした資料を見ますと、離職をした人が再就職をする場合、公共職業安定所の窓口を通って再就職をした率というのはわずかに一〇%ぐらいしかない。あとは、たとえば親戚、知人の紹介が二三%、新聞の求人広告が八・五%、同僚のあっせん、紹介が八・二%、もとの労働組合のあっせん、紹介五・六%、もとの会社のあっせん、紹介が三六・二%。ですから、言うならば、再就職をされる場合の紹介のルートで公共職業安定所の持つ機能とウエートが非常に低いわけですね。したがって、やみ雇用といいますか、陰に隠れて就職していく、こういうことになってまいりますと、公的に労働条件も保障されない、こういう状況になっていく場合が比較的多くなるのではないか。私は、やはり労働省がこれだけの施策を考えて持っておる、その施策を実行していくためには、この職業あっせんもルートに乗っていかないとなかなか軌道に乗っていかないのではないか、その関連が十分あると思うのですね。しかし、現状は残念ながらこういうことだ。私は、やはりもう少し公共職業安定所の機能を強化していって、労働省が考えておる施策が具体的に軌道に乗るようなことを十分考える必要があるのではないかと思うのですが、その点はどうお考えですか。
○関(英)政府委員 ただいま先生の御指摘になりました政策推進労組会議の再就職に当たっての経路といいますか、そういうものの比率は御指摘のあったとおりになっております。ただ、大量に離職者が出ますような場合には、離職者は必ず安定所の方に求職申し込みもし、雇用保険の手続もするわけでございますが、そういった場合のあっせんにつきましては、会社と組合と私ども安定所が一体になっていわば委員会みたいな形でできる限りお世話をする。会社にも会社関係を通じてできる限りあっせんをしてもらう、組合にも組合のルートを通じての口があればあっせんをしていただく、それから職業安定所も、中高年でございますと求人が非常に少のうございますが特別の求人開拓をするというような形で努力をする、三者が一緒になってやっていこうというような体制もとっております。そういうような関係で、この政策推進労組会議の職業紹介の比率で安定所のみのものが一〇%程度になっておりますけれども、もっと多くのものに安定所が関与してやっておるのが現実ではなかろうかと私は思います。しかし、ここで胸を張ってお答えできるほどそれじゃ安定所が十分な求人口を持っていてお世話できるかというと、まだまだ不十分な状態にあることは先生の御指摘のとおりだと思います。たまたま五十四年度の四月から十二月までの四十五歳以上の新規求職申込件数が九十一万ぐらいございますが、就職件数が三十二万になりますと、その辺での就職率は三五・九%というような数字になっております。そういう意味でもう少し安定所も活動しているのではないかというふうにも思います。しかし、これで十分とは決して申せないと思います。その辺で、最近公共職業安定所の内部組織の再編整備ということを実験的にやってまいりまして、来年度からそれを全国の安定所で実施しようと実は考えておるわけでございます。 この再編整備の内容をごく簡単に申し上げますと、一つは、雇用保険の業務と職業紹介の業務を切り離す、これが一番大きなことでございます。従来は、雇用保険の業務は職業紹介の業務と非常に密接な関係がある、たとえば離職者が一人出ればそれだけあきが出ているかもしれない、それだったらその求人に対して紹介をする、あるいは資格取得届が出てくるとすれば、そこの会社は安定所に求人を申し込まずに資格取得届が出てきているなら、どこかで求人して採用したに違いない、ぜひ求人は安定所にというような形で、雇用保険の業務と職業紹介の業務を密接に関連させてやることが行政が進む道だと思って、いままでそういう体制でやっておったわけでございますが、雇用保険の業務も非常に膨大な数に上りますし、定員削減の中にあって業務量は次々ふえてまいりますので、これから先は雇用保険の業務と職業紹介関係の業務を切り離そう、そうして職業紹介関係業務は求職者の態様に応じて、求職者のニーズに応じた職業紹介をしてみたらどうだろうか。安定所のやる求人はできる限り展示をしておく。そして、自主選択でどんどん就職できるような若い人たちもおります。そういうような人たちには、別段の手間暇かけた相談指導なしにどんどん就職していただく。しかし、安定所の職員が十分な時間をかけて職業相談をせなければならぬ場合もあるだろう。特に高齢者や身障者の場合はそうだろうと思います。そういう場合には専門官がそれに専門に当たって、十分時間をかけてやるというような形で職業紹介をやっていこう、簡単に申し上げますとそういうような形でございますけれども、こういう形で全国の安定所を再編整備して、もう少し求職者の要望に沿った行政運営をして職業紹介の実を上げていきたい、こういうことに来年度から全国的に取り組むところでございます。
○村山(富)委員 局長の説明を聞いていますと、何でもかんでもうまくいくようでありますけれども、実際にはなかなかそうはいかないところに問題があるので、いろいろやり方について検討を加えて反映していくことも大事だと思うのですよ。ですけれども、これは本質的には扱い件数と予算、人員の関係を見ますと、もう比較にならぬぐらい安定所の内容はいまの方が悪くなっておるわけですから、やはり予算もふやし人もふやすということでないと、いま御説明になったような政策の効果は期待し得ないのではないかというふうに思いますから、これはひとつ大臣にも聞いておきたいと思うのですけれども、きょうはもう数字を挙げませんが、ずっといままで各年ごとの仕事の量と定員との関係の一覧表がありますよ。そんなものを見ても、これは明確です。それは定員の関係もあると思いますけれども、窓口で実際に業務をされる、その業務の関係がどういうふうに効果を上げていくかということが労働省の行政というので一番大事なところですから、ここはもう少し人もふやして力を入れて、効果の上がるような行政を考えていく必要があるのではないかと思いますから、その点はひとつ大臣の見解も聞いておきたいと思います。
○藤波国務大臣 先生御指摘のように、第一線で積極的に職業安定の活動を進めていくということは非常に大事でございます。職業安定所を訪ねてきてくださる方々に、一人一人に親切に対応するということはもう当然でございます。その人その人皆条件が違うわけでありますから、その人その人に対応できるような親切な行政を進めることは大事でありますけれども、さらに各地方において新たに雇用開発をしていく。わけても中高年向きの仕事をどんどんつくっていくというぐらいの構えでないと、なかなか求職者に対応する構えができないわけでございますから、そういう意味ではできる限り機動力を発揮をして、いままでのように守っている労働行政でなしに、どんどんと積極的に攻める労働行政といいますか、開発していく労働行政という姿勢でやっていこうということを省内に呼びかけておるわけでございます。 同時に、いま局長から御説明申し上げましたように、職業安定所の機能別にいろいろ対応できるような構えも、従来のような役所型からもっと一人一人に対応できるような構えをつくろう、窓口をつくろうということで、課長が第一線の窓口の一番の受付係になりましたり、いろいろ工夫してみて少し研究もしてまいりましたので、五十五年度からは全国的にそれを積極的に取り入れよう、こういうようなことで進めていくことにしておるわけでございますが、しかし、依然として非常に定員が窮屈で人手不足の観は覆いがたいものがございます。したがって、いろいろやってみますけれども、やってみるのはみな精鋭主義の上に立って数は少ないけれども、ひとつみんなでがんばろうという少し悲壮な構えで取り組んでいこうとしておるわけでございますので、できる限り大蔵省や行管庁とも予算のときにも積極的な接触を重ねてきておるわけでございますけれども、今後ともその努力を重ねまして、これから非常に厳しくなってまいります雇用情勢に対応していくように努力を重ねていきたい、このように考えておるところでございます。
○村山(富)委員 関連をしてお尋ねをしたいと思うのですが、労働組合が戦後発展をしてまいりまして、その労働組合の力で労働条件の改善なり、社会的、全体的に労働者の地位を高めていく大きな効果を上げていると思うのです。ところが、最近の雇用情勢を見ますと、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、高齢者、中高年、若い者を問わず、雇用率が伸びておるのは第三次産業部門が多いのですね。サービス業等が多いわけですよ。しかも、その雇用条件を見ますと、さっき申し上げたように、臨時、パート、日雇い、こういう労働条件のもとに雇用されておる部面がだんだんふえていっているわけです。こういう層というのは労働組合の結成も見られないし、なかなか労働組合の手も及ばない。したがって、労働条件はきわめて悪いし、同時に労働組合関係の法令の適用もなかなか目が届かないという状況に置かれる層がだんだんふえていく傾向にあるのではないか。 ですから、この八〇年代のこれからの労働政策の重点は、そういう層がふえていく、その層に対してどのように労働法規を守ってもらい、労働条件を改善し、そうした労働者の保護をやっていくのかということが一つの課題になっていくと思うのです。そういうものに対してどういうふうにお考えですか。
○吉本(実)政府委員 ただいまの第三次産業は雇用の面でも吸収力が多い分野でございまして、先生御指摘のように、いろいろ問題をはらんでおります。私どもも先生のおっしゃるような問題意識で今後対処していきたいと思いますが、労働基準法のたてまえなりそういった点につきましては、私ども、そういったところで法定労働権を守らないでは困りますから、そういった点についての監督指導も重点にしながら現在やっておる次第でございます。そういったことを通じて、先生のおっしゃるような形での今後の方向も十分検討しながら研究してまいりたいというように思っております。
○村山(富)委員 これはもちろん労働組合をどんどん結成して、そして労使が協定してお互いの立場を守っていくということが一番いいわけですけれども、しかし、なかなか労働組合の結成もできない、またしにくい、こういう条件に置かれておりますし、社会保険にも入っていない。どうかすると就業規則のらち外にも置かれている、こういう状況にある者がだんだんふえていっておる現状ではないかと思うのです。したがって、きょうは答弁はいいですが、もう少しそういう部面にまでこれからの労働政策というものを考えていく必要があるのではないかというように思いますから、その点も含めてひとつ意見として申し上げておきたいと思うのです。 それから、そういう問題に関連をして、今度新しくシルバー人材センターというものがつくられるというふうになっておりますが、このシルバー人材センターの趣旨やらあるいは具体的にどういうことをされるのか、ちょっと御説明を願いたいと思うのです。
○加藤(孝)政府委員 近年におきまして高齢化社会の進展に伴いまして、定年退職後等におきまして、常用雇用ではなくとも何らかの就業を通じて自分の持っている労働能力を活用していきたい、それによってみずからの生きがいの充実を図り、あるいはまた社会参加をしていきたい、こういう高齢者が増加しつつあるわけでございます。他方におきまして、大都市などにおきましては核家族化が進んでいく、あるいはまた共働きというようなものも増加していく、こういうようなことによりまして、地域住民の日常生活に関連した仕事、そういった補助的なあるいは短期的な仕事が、そういう大都市等において増加しつつあるという現象もあるわけでございます。このために、今般労働省としましてこういうような地域社会の日常生活に密着した補助的、短期的な仕事を把握をいたしまして、そしてそれを地域の高齢者に提供していく、そういうことを目的といたしますシルバー人材センターというものの育成援助を図ることとしたわけでございまして、来年度におきましては、全国の主要都市におきまして百団体の助成を行っていこう、こういうことを予定しておるわけでございます。 補助の内容といたしましては、この事業を運営していきますに要します事務職員の人件費であるとか、あるいは事務所の借り上げ料であるとか、あるいは備品とか、そういったようなものを補助対象にしまして、国が二分の一、地方自治体が二分の一ということで、総額、初年度千二百万円というものの補助をしていこう、平年度ベースにいたしますと千四百万円の半分ずつ、七百万円ずつ、こういうものを予定をしておるわけでございます。 また、こういう補助金を新設いたします考え方としまして、こういう財政の事情の中でございますので、新設する場合には最大五年間の補助期間、一応期間を設ける、その後において、本当に必要、存続がやむを得ないものかどうかという検討をしまして、延長するかどうかを決める、こういうような趣旨におきまして、補助対象期間は五年間、こういうことになっております。 大体考えられます仕事の内容といたしましては、いままで同種のことが東京都等で行われておりますので、頻度の高いのを事例で申し上げますと、たとえば庭園の整備だとか校正とかタイプとか、そういったよらな技能関係の仕事であるとか、あるいは書類の清書だとかあて名書き、こういったような事務整理の仕事であるとか、あるいは入場券の販売とか店番とか配達、そういったような販売、配達関係の仕事、あるいは除草といった単純な作業、さらにはまた病弱者の付き添いとか子守とか留守番、そういったようなサービス関係の仕事、また学校の警備であるとか公園の管理であるとか自転車置き場の整理、こういったような管理、監視の仕事、さらには公民館とか図書館あるいは青少年などの活動の補佐、こういったような社会教育活動関係の仕事、あるいは成人教室とか学習教室等の教育指導の業務、こういったようなものが一応予定をされておるわけでございまして、こういったような地域社会の仕事を地域の高齢者が結成した団体においてこなしていく、それを国、地方自治体で補助していこう、こういうような考え方のもとに仕組んだものでございます。
○村山(富)委員 いま御説明を聞きますと、この人材センターというのは主として補助的な仕事といいますか、言うならばもっと生きがいを持って老後を送りたい、こういう求めに対してこたえていこう、こういうところに主たるねらいがあるのではないかと思うのですね。ところが、高齢者のいろいろな希望を聞いてみますと、やはり生活のために働かなければならぬ、こういう人もたくさんおるわけですよ。この人材センターは、生活のために職を求める、こういう者に対しては、ちょっとなじみにくいのではないか、あるいは対応しにくいのではないかというふうに思います。そういうことから考えた場合に、この人材センターももちろん私は結構だと思いますけれども、この際、中高年法の附則の第二条を撤廃して、そして失業事業にも道を開くようなことも考えていいんじゃないか、また考えるべきではないかというふうに思うのですが、その点はどうでしょうか。
○加藤(孝)政府委員 御指摘のように、シルバー人材センターは地域社会における補助的、短期的な仕事に、定年退職後等の高齢者がみずからの社会参加も希望する、生きがいを望む、さらにまた追加的な収入も得たい、こういうような形でその会員として参加をしていく、こういうものでございまして、率直に言いましてこのセンターの会員という形の中での生活の維持を図っていく、これによって生活の維持を図るということは考えておりません。それでは無理だと思います。そういう面につきましては、やはり公共職業安定所を中心といたします職業安定機関において、そういう常用雇用を中心とする職業のあっせんというようなものを図っていくものでございまして、そういう意味で、このセンターはそういった常用雇用希望者あるいはその生活の維持を図っていかなければならぬという人の対策としては考えていない、あるいはそういう人のためのものではないということを御理解いただきたいと思います。 御指摘の、ならば、そういう失対事業というようなものについて中高法の附則を撤廃して、失対に新しく入っていくことを考えないか、こういうことでございますが、これはもう先生も御承知のように、失業対策としてこういう特別の事業を起こして失業者を吸収するという方式につきましては、これまでいろいろな経緯、歴史の中で、これが必ずしも再就職の促進につながらない、滞留の問題が生ずる、いろいろ問題があったわけでございます。このために、中高年齢者雇用促進法の制定によりまして、事業吸収方式から、現在行われておりますようないろいろな手当を支給しながら適時適切に職業指導あるいは職業訓練を行いまして、常用雇用への復帰を図っていく、こういう方式に切りかえました経緯があるわけでございます。したがいまして、現在ではむしろこういう中高年齢者の雇用開発給付金制度であるとか、こういう雇用促進のための諸制度を活用いたしまして、民間の活力を生かした雇用促進に努めているというところでございまして、そういう観点からいたしまして、ここで新たにそういう失業対策事業の窓口を開いてそれを拡大していくということは考えていないところでございます。
○村山(富)委員 先ほど来高齢者の雇用率の実態や、あるいは定年制の現状や、あるいは延長された後の労働者の労働条件や、あるいはまた離職して再就職した場合の労働者の条件等々幾つか問題にしてきたわけでございますが、そうしたものを総体的に考えた場合、先ほど来答弁もありますように、やはり正常な形で安定した雇用条件を確保するというためには、定年延長が一番いいことはよくわかっているわけですね。 そこで、定年延長を具体的に実現をしていくためには、いろいろな指導も考えておられるようですけれども、しかしこの際、社会党を初め野党の各党が出しておりますように、年齢による雇用の差別を禁止するといったような法律もこしらえて法制的に措置をすることがやはり当面必要ではないかというように思うのですが、その点はどういうようにお考えか、これはひとつ大臣にお答えいただきます。
○藤波国務大臣 たびたびお答えをいたしておりますように、これからの高齢化社会にどう対応していくか、いろいろな手を打っていかなければなりませんけれども、その中心の施策はやはり定年の延長であるということは御指摘のとおりでございます。そこで、今後とも強力に行政指導をしていきたいと思いますけれども、日本の終身雇用的な慣行の中で定年の延長を図っていくということを考えます場合に、あくまでも従来の年功序列型のそれぞれの構えをどのようにしてその中で定年を延長していくか、やはりいろいろな工夫をしていかなければならぬだろうというふうに思うのです。したがいまして、法律で定年の延長を何歳にする、あるいは年齢によって差別されないという構えをつくりましても、それぞれの企業の中で労使の積み上げてまいりました年功の労働慣行というものをいろいろと見直したり新しい工夫をする。引き続いてやはり労使双方の努力によって初めて定年の延長というものがまた実質的に実現をしていくというふうに私どもとしては考えているわけでございます。したがいまして、法律でぴしっと決めていくというのも一つの方法でございますけれども、労使の良識のある話し合いを積み上げていくということをさらに努力をするということによって、真の意味での定年の延長が実現をしていくというふうに考えておりますので、今後ともその線で努力をしてまいりたい、こう思います。しかし、ただいま雇用審議会で実効のある定年延長へのいろいろな施策を御議論をいただいておるところでございますので、その中には法制化の問題も含まれて御議論をいただいておることでございますので、そういった御議論の方向も踏まえながら、今後検討していきたい、このように考えておるところでございます。
○村山(富)委員 最後に、定年と年金の問題について、ちょっと考え方だけを聞いておきたいと思うのですが、厚生省はことしの予算編成の過程で厚生年金の現行の六十歳を六十五歳にしたい、こういう考え方でそれぞれ審議会に諮問をしたわけです。もちろん審議会はノーという答申が出ました。そういう情勢もあって政府はその点は引っ込めたわけですけれども、附則に訓示条項を加えて、そして五年後の財政再計算期にもう一遍見直しをする、考える、こういう問題を残したままいま動きつつあるわけです。こういう問題が議論されているときに、これは新聞報道ですからわかりませんが、厚生年金繰り下げるな 労働省がクレーム、こういう見出しで新聞報道が、これは一月の五日ですが、なされているわけですよ。これは多分に記者の見解も出ていますから、それがそのまま労働省の見解とは思えませんけれども、しかしたとえばこの問題で労働大臣に事前の通知がなかったとか、こういう問題もいろいろあったと思うのです。 私は、ある意味からしますと、労働省が年金の問題について、とりわけ支給開始年齢の扱いについて、これだけ真剣に定年問題等を考えている状況の中で相談なしにやるなんというのはもってのほかだと思いますから、むしろ当然だと思うのですけれども。そして同時に、やはり年金という問題は、定年と年金とがどういう関係に分かれることが一番いいのかということも含めて、やはり議論をしてもらう必要があるのではないか、こう思うのですね。 そこで、この際承っておきたいと思うのですが、これは五年後にはまたもう一遍問題になるわけですから、したがって、そうした問題について労働大臣は現在どのように考えておられるのか、その見解をお聞きしておきたいと思うのです。
○藤波国務大臣 非常に大事なことは、役所があって国民生活のどの部分を担当する、これはもう行政ですから当然分け合って行政を担当していくわけでございますけれども、国民の一人一人になった場合に、その生涯の中で、やはり勝手に行政の側から細切れにして、おれのところはこの部分だけ扱うよというようなことではいけないので、行政全体が一人一人の国民の生涯に対応する。そこには細切れでなしに一人の人間が生涯を通じてどんな気持ちで生活をしていくか、どんなふうにして生活の安定を図っていくか、あるいはどのようにして老後を送っていくかということについて、やはり一連の一人一人の生涯設計があるわけでございますから、それに対応する行政でなければいけない、こういうふうに思うわけです。そういう意味では、従来よりももっともっとその観点に立って、たとえば労働省が文部省と相互乗り入れをするとか、あるいは労働省が厚生省ともっともっといろんな話し合いをするとかというようなことを積極的に努力を重ねていくようにしなければその対応はできないというふうに私ども考えておるわけであります。 そういう意味では、年金の受給年齢が何歳になるかということは、特に雇用という立場で考えてみますると、よほどうまくリンクしていくように工夫をし、努力をしていきませんと、一人一人の国民生活の老後が非常に不安なものになる、このように私どもは心配をしておるわけでございます。労働生涯がもう終わる、労働の場から引退をしていくというときには、やはり年金が準備されているとか、それから一生働いてきて蓄えがあって年金とともにとにかく老後が送れるというような安定感がありませんというと気持ちよく引退をしていくことにならない。そこらあたりは特に人生の非常に終わりの部分でございますから、一生をどういう気持ちで生きていくかという、これは老後だけの話ではなくて一人一人にとって非常に重大な関心を持っておられる問題であるというふうに思うわけでありまして、そういう意味では従来も厚生省、労働省は十分話し合いをしながら来ておるわけでございます。 今後財政上の理由などから、なかなか年金財政も大変でございますから、受給年齢の引き上げ問題等いろいろ御検討をいただくことになろうと思いますが、労働省としてはいま申し上げてまいりましたようなことを十分念頭に置いて、今後とも政府全体として一人一人の国民生活、一人一人の生涯に整合性を持たすことができるような行政を展開するということに一層協議を重ねてまいりたい、このように思っておるところでございますが、労働省として非常に大事なことは、定年の延長を中心にいたしまして、働く意思をお持ちであり、また能力を持っておられる方々がいつまでも元気で働いていくことができるように、できる限り雇用の場を確保していくように努力していくことが非常に大事なことでございますから、他の省庁といろいろと相談をしてまいりますけれども、できる限り高年齢に達しても働いていくことができるように労働省としてあらゆる努力をしていきたい、このように考えておるところでございます。
○村山(富)委員 年金は厚生大臣の所管ですからここで突っ込んだ議論はできないのですけれども、ただ私は、やはり年金というのは老後の必要に応じて支給される、給付されるというのがたてまえであると思うのですよ。これは厚生年金の場合も、いまの労働の雇用と定年の状況等を考えた場合に、先ほど来お話がありますように、まだ五十五歳定年が四一%を占めている、そういう状況でありますし、同時に労働の質によってはあるいは労働環境によっては、五十五歳以上の就労は無理だというような職場だってたくさんあるわけですよ。ですから、厚生年金なんというものも雇用と定年の現状等を踏まえて考えた場合に、仮に現行は六十歳、こうした場合に、共済と同じように希望によっては五十五歳から減額で支給される、あるいは六十五歳まで働ける職場については、希望によっては六十五歳から支給する、そのかわりプレミアムつけますよ、この程度の弾力性のある、やはり実情に対応した年金制度というものを考えることが、むしろ雇用と定年と年金といったようなものを総合的に考えた場合にいいのではないか、私はそう思うのですよ。これはどんなに考えたってやはり質と労働環境によってはそれ以上働けない職場もあるわけですから、したがって、そういうものが現在は六十歳、行く行くは六十五歳になるかもしれませんけれども、そうしますと相当なブランクができますから、むしろそういう対応の仕方で年金を考えた方が合理的ではないかというふうに思うのですけれども、これはさっき申しましたように、年金は厚生省の所管ですから、労働大臣がどうこうすることはできませんけれども、しかし労働省の立場を考えた場合、年金はどうあるべきかといったような意見も積極的に出していただけると思うので、そういう意味から若干いま申し上げましたような点について大臣の見解も聞いておきたいと思うのです。
○藤波国務大臣 いま先生、五十五歳という年齢をおっしゃいましたが、全く五十五歳と申し上げていいかと思いますが、中年の終わりごろから高年へかけましては、労働の質によって、あるいは労働の場所によって、あるいは一人一人の労働者の健康状態等によりまして、全く一人一人の条件が違うというふうに思うわけです。したがいまして、いろいろな条件を持っておられる方々にいろいろにきめ細かく対応していくということが行政の姿勢としては非常に大事なことであるというふうに、前提としては申し上げたいと思います。 しかし、その辺を一般的にまずとらえまして、労働省としては現在、定年延長を六十歳まで持っていきたい、六十年度までにはぜひ実現をしたい、こう思って全力を挙げて取り組んでいるところでございますので、当面、今後とも労働省としては、六十歳定年を実現をいたしますためにあらゆる努力をしてまいりたい。そして、一般化して、あるいは一般化する前にでも、できるならば六十五歳までいろいろな形で働くことができるようなきめの細かい対応がさらにできたら、こういうふうに考えながら努力をしていきたいと思っておるところでございますが、年金をどのようにするかということは厚生省の所管のことでございますので、ここで意見を申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
○村山(富)委員 もう時間も来ましたのでこれでやめたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、第一次石油ショック以降企業がほとんど減量経営に徹している。その減量経営のしわ寄せを受けているのは、やはり中高年が一番受けておる。そういう意味で、中高年の雇用対策が大きな問題になっておる。同時に、社会の年齢層の変化、高齢化社会といったようなものも背景にあって、高年齢者の雇用対策というものが緊急の課題になってきておる、そういう状況にあると思うのです。しかも、先ほど来申し上げておりますように、そうした社会状況の変遷の中で、比較的日雇い、臨時、パートといったような労働条件に置かれておる労働者層がふえてきておる。こういう現状に対応して労働省の政策も変わっていかなければならないと思うのです。そういう意味で、これからいろいろな問題、課題を抱えていくわけですから、十分ひとつそうした社会の情勢に対応できるようなきめ細かな施策を講じていく必要があるのではないか。そして、せっかくやられる行政ですからね、より効果の上がるような方向を考えていく必要があるのではないか。そのためには人員も金も必要であろうというふうに思いますので、そういう全般の政策についてもっと積極的な姿勢をやはり強化していくという方向でがんばっていただきますように心から要請をいたしまして、私の質問を終わります。
○葉梨委員長 次に、大橋敏雄君。
○大橋委員 私は、初めに労働大臣にお尋ねをしたいと思います。 御案内のとおりに、先般、衆議院の予算委員会が開かれているさなかにもかかわりませず、日本銀行が公定歩合を一%引き上げました。これはまことに異例な措置ではありますけれども、それなりの評価といいますか、がなされているところでございますけれども、今日の経済情勢が深刻な状態にあるのをそのまま象徴している現象ではないかと私は見ているわけであります。その一%の引き上げが行われた翌日でしたか、新聞にこういう記事が出ておりました。インフレの火の手が広がらないうちに早目に引き締めを強化するのはやむを得ぬところだが、これで円安に歯どめがかかることを期待したいが、アメリカも公定歩合を一%引き上げたため内外金利差に変わりはなく、当面は余り大きな効果はないだろう。引き締めの強化と長期化によって企業倒産がさらにふえるおそれがある。倒産による社会不安の増大を防ぐ措置を政府はいまから準備すべきだと、いわゆる産業界は景気の落ち込みを懸念したという記事であるわけでございますが、先般労働大臣の所信表明を伺ったわけでございますが、その中にもこういう言葉が出てきました。「一九八〇年代は、内外の経済環境の変化が激しく、先の見通しのつけがたい不透明な時代でありますが、その中にあって確実にやってくるのは社会の高齢化であります。」と、まさに手探り状態の不透明な世の中なんだけれども高齢化社会は間違いなくやってくるということを述べていらっしゃるわけでございますが、私は、もう一つ確実にやってくることは、この金融政策の引き締めの強化と長期化によって、企業の倒産、これは間違いなく増加してくるであろう。企業が倒産すれば当然失業者が出てくるわけでございますが、大臣はこの点どのようなお気持ちでいらっしゃるのか、まず大臣の所信を伺っておきたいと思います。
○藤波国務大臣 最近の経済は総じて着実な拡大を続けてきておりまして、こういう中で雇用失業情勢が、部分的にはいろいろ問題がありますけれども緩やかな改善傾向を続けて今日まで来たということは、労働行政を担当しておる者としては非常に明るい気持ちで年々努力を重ねてきておったところでございます。しかし、御指摘のように、五十四年の後半から、いろいろデータを見ましても企業倒産が増加をしてきている。しかも、今後物価問題などを非常に重視して取り組んでいくことになりますと、引き締め、その結果は企業にとっては非常につらい状態になるというようなことから、特にこの石油問題の行方などがいろいろ議論をされておりますけれども、今後雇用失業情勢も決して楽観を許さないものがある、このように私どもとしては気分を引き締めて取り組んでいかなければいかぬと思っているところでございます。 このために、政府といたしましては、雇用情勢が再び悪化することのないような適正な経済運営をしていくことに十分配慮する、特に雇用の面から行き届いた配慮をしていく経済運営、こういうことを絶えず政府全体の中で呼びかけておりまして、経済企画庁などとも頻繁に連携を図りながら経済運営に当たっていくようにしなければいけない、このように考えているところでございます。特に、労働省といたしましても雇用安定資金制度などいろいろな雇用助成措置を持っておるわけでございますから、そういった措置をできる限り、雇用失業情勢の推移を見守りながら機動的に活用するなどいたしまして積極的に雇用対策を推進をしていくことによりまして、この非常に厳しい雇用失業情勢をとにかく乗り越えていくという努力を重ねていきたい、具体的な施策は臨機応変にそのときそのときで講じていかなければならぬと思いますけれども、決意としてはそんなふうに考えて取り組んでいきたいと思っているところでございます。
○大橋委員 大臣は今度新しく就任されたわけですから決意も新たであろうとは思いますが、私はむしろ労働省の役人の皆さんに忠告をしておきたいと思うのですが、それは、いままで長期不況の中で雇用失業情勢が大変な問題になりまして、その都度労働省の役人の皆さんは大変な苦労をしてきた、いろいろと手を打ってきたということで、もう今日ではなれがきているのではないか。不況なれ、これは私は恐ろしいことではないかと思うのです。いままでのあれほどの不況の中を乗り越えてきたのだから今後どんなことがあっても大したことないやと、こういう気持ちがもしあったとすれば、その心のすきから大変な手落ちが出てくるのではないかということを私は御忠告を申し上げておきます。中高年齢者の失業者の再就職というものは言うまでもなく非常に困難になるわけでございますので、特にお願いしておきたいというところであります。 また、御承知のとおりに、社公民の三党共同修正の交渉が非常に長引いてきたのでございますが、先般やっとそれが解決しまして、こうして委員会も動くようになったわけでございますけれども、当然のことながら労働省関係の問題にも触れているわけです。雇用対策が重要な柱となるのは当然のことでありまして、地方雇用開発委員会の増設の問題、あるいは中高年齢者雇用開発給付金の期間指定の基準の緩和とか、あるいは指定期間の延長、あるいはまたその他高年齢者労働能力活用事業補助についても今後の実施状況を見ながら拡充していこうというようなことがその修正の内容に盛り込まれているはずです。当然労働省の皆さんに直接この問題の詰めが来ると思いますので、それこそ先ほど申し上げましたような気持ちで真剣に取り組んでいただきたいことを要望しておきます。
○関(英)政府委員 私ども労働省の人間に対します、これから先の何が起こるかわからぬ八〇年代に際しての特に重要な雇用問題についての心構え、先生の御指摘のとおりでございますので、従来もその都度その都度いろんな制度を考え、あるいは臨時の立法をし、対処してまいりましたけれども、これからも一層心を引き締めて行政に取り組んでいきたいと思います。 また、お話のございました与野党間のお話、私どもも承っております。具体的にはまだこれからということでございますが、地方雇用開発委員会の増設、あるいは中高年雇用開発給付金の指定期間の延長、高年齢者能力活用事業の円滑な運営といったような趣旨のお話し合いが行われているところでございますので、与野党間の合意、これは最大限に尊重いたしまして、私ども誠意を持ってその実現に対処していきたいというふうに考えております。
○大橋委員 ところで、労働大臣、昭和五十五年度は失対事業の見直しの年である、こうなっているわけでございますが、関係者の皆さんの気持ちが再び動揺してきております。大変不安を感じているようでございます。なぜならば、今回失対事業が打ち切られるのではないだろうかというようなことでございまして、私はこの問題については、昭和四十六年に同じような失対事業の見直しの問題で大変苦労した一人でございますけれども、まず初めに失対事業の現状を説明していただきたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 失対事業の就労者の現状につきましては、五十四年の九月末現在で申し上げてみますと、就労者数が約十万人でございます。平均年齢が六十三・六歳になっておりまして、六十五歳以上の方の割合が四八%となっております。また、特に七十歳以上という方も相当おられるわけでございまして、七十歳以上の方の割合が二五%という状況でございます。また、女性の割合がふえてきておりまして、全体の六七%が女性、こういう構成になっております。また、大分滞留問題が出てきておりまして、失対の就労者になられましてからの期間が平均で二十年六カ月という失対就労者期間になっております。また、賃金の状況でございますが、五十五年度の予算案におきましては、一人平均一日当たり三千三百八十八円となっておりまして、前年比七・八%のアップというものを予定をいたしております。また、この失対事業の運営のために、五十五年度予算案では六百九十九億円を計上いたしております。前年度六百八十四億円でございまして、若干のアップになっております。この六百九十九億円に事業主体の負担を加えますと、年間一千億を超えるような事業になっておる、こういう現状でございます。
○大橋委員 いまの説明を聞いておりますと、まだ就労者の皆さんは十万人おられるという話でございます。また、その年齢等を見てまいりますと、かなりお年を召された方もふえてきているようでございますし、本当に失対で働いていらっしゃる方々は大変なことだろうと思います。ただ、賃金は七・八鬼の引き上げだというのですけれども、御承知のとおりに大変な物価の上昇が見込まれているし、こういうことでは当然不足していく状況になろうかと思いまして、将来、大臣にこれは特にお願いしたいのですが、物価上昇に対応して失対賃金を見直すときがあると——見直していただきたいということをぼくは言いたいわけですけれども、将来の実態に即応して賃金を見直していくこともあり得るかどうか、これをお尋ねしておきます。
○藤波国務大臣 失対賃金につきましては、先生御理解をいただいておりますように、同じような民間のいろんなレベル等を十分参考にしながら審議会で御審議をいただいて、その結果を踏まえて労働大臣として決めていくということにいたしておりますので、今後とも審議会の意見を十分拝聴いたしまして考えていくようにいたしたい、こう考えておるところでございます。
○大橋委員 大臣、いま失対事業の実態がるる説明されたわけでございますが、これはやはり何とか手を差し伸べねばならぬと私は思うのですね。労働省としまして、こういう実情を踏まえましていかに今後の対策をなさろうとしていくのか、そのお考えを聞いておきたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 失対事業の制度そのものにつきまして、法律によりまして最低五年ごとに見直しを行うことになっておるわけでございます。五十五年度がその五年目に当たるわけでございます。そういうことから、五十五年度におきましては、従来の例にならいまして、雇用失業問題等に造詣の深い学識経験者の方々によります研究会を設置いたしまして、その中でいろいろ制度の見直しについての調査研究をお願いすることを予定しておるわけでございまして、労働省としましては、その結果を踏まえまして今後の失業対策事業制度のあり方を決めていきたい、こういうことでございます。研究会に対しまして労働省としての方針とか考え方、そういったものを示して意見を求めると、こういうことではなく、労働省の方針そのものはそういう研究会の研究成果が出ました結果を踏まえて決めていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○大橋委員 いまの説明によれば、専門家によって研究会をつくり、その中で調査研究を進めていって失対に対する結論を出そうということのようでございますが、その研究会というのはいつごろ発足させて、大体その調査研究のまとめといいますか、結論というのはいつごろにそれをさせるつもりなのか、そのスケジュールを説明していただきたい。
○加藤(孝)政府委員 現在の予定といたしましては、本年の四月下旬ないし五月上旬ぐらいのところで設置をいたしまして検討を開始していただく。その間いろいろ現地視察等もやっていただく、あるいはまた就労者団体であるとかあるいは事業主体であるとか、そういったところの意見もいろいろお伺いをするということを行いまして、五十五年度末には検討の結果を出される、こういうことを期待をいたしておるというところでございます。
○大橋委員 先ほど、研究会に対する労働省の姿勢としては白紙で臨むんだというようなお話がございましたが、研究会にゆだねるのですから、そこの専門家の自由なオープンな検討は当然のことではございますけれども、だからといってこれまでの経過とかあるいはわれわれと約束したことなどが、これまでも白紙になるようなことになっては大変だと私は思うのですね。失対事業に働く就労者の皆さんの高齢化あるいは女性化、よく話題になるわけでございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、昭和四十六年の中高年齢者法案の審議の結果、そのときから失対事業には新規流入は認めないということが決定したために高齢化になりあるいは女性化になってきたことは当然だと私は思うのですね。 その四十六年の中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の制定に当たりましては、私も本会議で代表質問をし、また委員会でもかなり厳しく質問をした一人でございまして、附則第二条が非常に問題になったわけであります。委員会では三回にわたって審議が行われたと思うのでございますけれども、延べ十一人の委員が質問したはずでございます。最終的には自、社、公、民の四党による共同修正案が出されまして、そして結果的には全会一致、共産党さんは棄権なさったわけでございますが、全会一致でこれが可決された。もともとこの法案は与野党対決のいわゆる重要法案であって、あるいはこれは成立はむずかしいのではないかと危ぶまれていたわけでございますけれども、一部の修正があったとはいえ全会一致の姿で可決されたということは画期的なことだといって、当時大きな評価を得たわけでございますけれども、そのことはいわゆる雇用失業情勢のあり方あるいはまた諸情勢の変化が大きくなってきたんだ、そのあらわれではなかっただろうかと私は思うのであります。 そういうことで、先ほど申し上げましたように、研究会に白紙で臨むというお考えのようでございましたけれども、いま申し上げましたような経緯あるいは約束、これまでも白紙にするつもりはないと思いますけれども、これを確認しておきたいと思うのです。どうでしょうか。
○加藤(孝)政府委員 おっしゃいましたように、労働省としては、この研究会には労働省としての具体的な意見を示すことではなく、いわゆる白紙の形で研究をお願いをいたしまして、その研究結果が出ましたところで労働省としての方針を決めていく、こういう手順で考えておるわけでございまして、この研究結果が出まして労働省の方針を決めます際に、御指摘の四十六年の国会の附帯決議というものも十分に尊重いたしまして労働省の方針を出していく、こういうことを考えておるところでございます。
○大橋委員 この際改めて言っておきますが、附帯決議をつけたわけでございますけれども、それには「現在失業対策事業に就労している者については、社会保障対策や高年齢者の仕事に関する対策が充実されるまでの間は、同事業に就労し得るよう配慮すること。」それから「現在失業対策事業に就労している者のうち自立を希望する者に対する就職支度金等の自立援護措置をさらに充実するように努めること。」これがそのときの附帯決議の中に示した失対事業に対する内容でございます。こういうことは十分踏まえられるはずでございます。また、修正案の中にも失対事業に関する言葉がありますから、これも確認のために申し上げておきます。修正案の第二の中に「現在の失業対策事業就労者の実態にかんがみ、緊急失業対策法が効力を有する期間を特に定めないこととしたことであります。」また「失業対策事業就労者に対し夏季または年末に臨時に支払われる賃金は、従来の経緯等にかんがみ、これを支払うこととしたことであります。」こういうことは十分尊重されてしかるべきだと思います。 また、こうして制度の検討に当たり研究会が発足されるということになれば、当然就労者の皆さんはそれなりの言い分といいますか、要望、要請等がいろいろとあろうかと思うわけであります。たてまえとしては失対事業に働く皆さんは日々雇用といいますか、ということになっているわけでございますけれども、先ほどの説明にありましたように、もう二十年以上も失対で働いている人方が多いわけでありまして、そういう人々が仮にやめたいというようなときには、ある程度まとまったいわゆる退職金みたいなものを与えてほしいという要求は当然出てくるのではないかと私は思うのです。したがいまして、この研究会に就労者の皆さんの意見が十分反映されるような、また主張の場が与えられるような、そういう場所、機会をつくっていただきたいということを私、強く要望するものでございますが、この点いかがですか。
○加藤(孝)政府委員 先ほども申し上げましたように、研究会の研究の過程におきまして現地の視察であるとか、あるいはそういう就労者の皆さん方等の御意見をいろいろお伺いをする、こういうようなことを予定をしておるわけでございまして、そういう中で恐らく御指摘のようにそういう就職支度金と申しますか、自立奨励金といいますか、そういったようなものにつきましてもいろいろ要望はあるかと存じますが、そういったことで要望のございました事項につきましては当然研究会の研究の場においていろいろ御検討がなされる、こういうふうに考えておるところでございます。
○大橋委員 やはりかなり年を召された方がいるわけでして、就労には限界がありますから、その方々がやめるときには、いわゆるやめやすいように、退職金というわけにはいきませんでしょうけれども、それにかわるもの、まとまった額が支給されることを強く私は要望するものであります。研究会の適切な結論を期待することといたしまして、失対問題に関して私、もう一度確認しておきたいわけでございますが、研究会の結論を踏まえて今後の方針を決めるに際しまして、先ほど申し上げました四十六年の附帯決議等は十分尊重されて、一律に打ち切るようなことがないように、あるいはまた強制的に排除することがないように私は強く要望もしますし、また、そういうことはなされない、このように理解したいのでございますが、いかがでございましょうか。
○関(英)政府委員 四十六年の中高年齢者の雇用の促進に関する特別措置法案の審議の際に、当時私担当でもございまして、ただいま大橋先生御指摘になりました修正問題あるいは附帯決議、私自身も非常に鮮やかに記憶に残っているところでございます。五十五年度は再検討の年でございまして、先ほど来お答えいたしておりますように、研究会の研究が進められるわけでございますが、研究成果が出た暁におきまして労働省としての方針を決めます場合に、先ほど来先生からお話のございます四十六年の改正時の経緯を十分踏まえまして、その趣旨に沿った結論、それから就労者団体あるいは市町村の事業主体の御意向、そういうものも十分踏まえた上での結論というものを出していきたいと思っております。
○大橋委員 その点については大臣の意見も一言述べていただきたいと思う。私自身研究会の推移を十分見守っていきたいという気持ちでございますが、これは大事なことですから、大臣からも一言お気持ちを述べていただきたいと思います。
○藤波国務大臣 失対部長並びにいま安定局長から御答弁申し上げましたように、研究会を予算成立後のしかるべき時期に出発をしていただきまして議論を重ねていただくように段取りをしていくことになっておるわけでございます。労働省から意見を持ち込んで、それに対して研究会の答申をもらうというのではなくて、研究会のいろいろな御議論をちょうだいをして、それを労働省としては受けとめて見直しの手を打っていくということにしたいと思っているわけでございます。いま先生の御指摘がございましたように、四十六年の国会の附帯決議等十分頭の中に入れて研究会の議論が進められるものと思いますし、また、それを受けとめる労働省といたしましても、附帯決議等を、国会の御議論を十分踏まえて、その次の問題をどうするかということに取り組んでいくことになろう、こう考えておるところでございます。
○大橋委員 それでは、質問を次に移します。 昭和五十二年六月の二十三日に「労働時間短縮の行政指導について」という労働基準局長の通達が出ております。私、これを拝見しましたけれども、非常に適切な内容の通達だと思っております。また、これを見た関係者の方、特に労働者は、本当にこういうふうになっていきたいものだ、大変な期待と感謝を込めるくらいな思いでこの通達を見ておいでではなかったかと思うわけでございます。 そこで、きょうの昼のテレビで放送されていたのですが、きょう、公務員の週休二日制に対する関係閣僚会議の何か決定がなされたということでございます。その点についてちょっとお伺いしたいのですが、どうでしょうか。
○藤波国務大臣 けさ八時半から週休二日制に関する閣僚懇談会が開かれまして、いろいろな議論が闘わされたところでございます。きょうの会議の結果、本日、政府から国会に対しまして、国会提出の予定法案の調べを提出をいたしておりますが、その提出予定の法案の中に公務員の週休二日制に関する改正案を提出するということを取り決めたわけでございます。具体的には今後総理府が中心になりまして、どのようにして改正案をまとめるかという作業に入っていくわけでございますが、人事院からの勧告では、四週五休といったような具体的な意見が付されて政府に書簡が届いておるわけでございますから、それを踏まえて、当然総理府としては作業を急ぐ、こういうことになろうかと思っております。
○大橋委員 こうして週休二日制の問題が具体的に日程に上ってきたことは非常にうれしいことだと思います。初め公務員の方から入っていくわけでございますが、当然これは民間の方にもその手が差し伸べられていくと思うわけでございますが、民間の場合は、まず第一に銀行がそれを実施していくようにぜひとも指導してもらいたいと思うのです。なぜならば、地域経済の中心というか、そのポイントになっているのが銀行でございますので、銀行がまず二日制を実施していくように積極的な行政指導をお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
○吉本(実)政府委員 週休二日制の推進につきましては、先ほど先生から御指摘ございました通達等に根拠を求めながら指導しておるものでございますが、昨年の第四次雇用対策基本計画におきましても、六十年度までに欧米先進国並みに、週休二日制を含めて労働時間がそういった水準に達するよう政府として努力する、こうなっておりまして、それに基づいて私ども、積極的にこの点についての推進を図ろうとしているわけでございます。 また、ただいま御指摘の銀行の週休二日制の問題でございますが、これにつきましても、大蔵省並びに関係者の方でそういった点について御努力なさると聞いておりますので、そういった線をさらに推進していただくようにお願いしたいと思っている次第でございます。
○大橋委員 先ほど申し上げました六月二十三日の通達は、これを本当に積極的に推進してもらいたいことを改めて要望しておきます。 実はことしの二月十四日付で、全国自動車教習所労働共同センター代表世話人三浦利男さんという方から私のところに手紙が届いたのです。それは「御要請」という内容で、自動車教習所労働条件の改善に関する問題でございました。ここに勤めているいわゆる指導員あるいは検定員ですか、こういう方々の労働条件はきわめて劣悪である、地域格差もあり、他企業に類を見ないほどの内容であるということになっております。 それで、私はこの問題をあちらこちらと調べてみたわけでございますが、その通達の出たすぐ後の五十三年十月十八日に、参議院の交通安全対策特別委員会でこの問題が審議されております。参考人まで呼んでこの問題が議論されております。そして、皆さんが述べたいろいろな問題点を、労働省の方もその説明を理解して、まことにこれは問題である、通達で指摘しているような内容に該当します、ですから実態調査をいたしますということを約束をしているわけでございます。それからもう一年半たったわけですが、実態調査をなされたのかどうか。 〔委員長退席、山崎(拓)委員長代理着席〕
○吉本(実)政府委員 自動車教習所に対する監督指導につきましては、先生ただいま御指摘のとおりでございましたので、昨年の一月から三月にかけまして、全国二百十二事業場を対象にいたしまして監督指導を実施したところでございます。その結果、何らかの法違反が認められたものは百七十事業場でございまして、違反率は八〇・二%ということで大変高い率でございました。また、その違反の内容につきましては、就業規則とか割り増し賃金、労働時間、健康診断といったようなところが高いところでございます。 これらの違反事業場につきましては、個別に是正の指導を行いましたし、また集団指導も十六回にわたって実施した次第でございます。また、その後におきましても、やはり事業主団体にいろいろ要請する必要があろうということで、全国指定自動車教習所連合会を通じまして指導を行っております。また、五十四年度に引き続き来年度におきましても、その重点として監督指導を実施していく方針でございます。
○大橋委員 実態調査をなさったということでございますが、まだ現場ではほとんど変わらないわけですよ。こういう問題が国会で議論されたにもかかわらず余り改善が図られないということなんですよ。ですから、調査をしてもそれが実行に移されなければ何の意味もないわけでございますから、今度は行政指導を徹底していただきたいということを私は強く要求します。いかがですか。
○吉本(実)政府委員 先ほどのような実態でございますし、先生御指摘の点もあろうかと思いますが、ただいま各都道府県基準局を中心にいたしまして、自動車教習所関係についての業種別会議等も行っております。そういった会議を通じてさらにそれの徹底を期していきたいというふうに思います。
○大橋委員 もう私の時間が迫ってきたのですが、あと定年延長の問題もお願いしてみたいと思ったのですけれども、いまの教習所の問題でございますが、労働条件の劣悪の中から職業病と思われるような病気がたくさん出ていることも報告されておりました。これもあわせて教習所についての健康状態、それをアンケートに従って手を入れていってもらいたい。これは厚生省の問題にも絡むわけでございますが、労働省の方からその点実態を明らかにして、善処してもらいたいと思います。 それでは、最後にもう一つだけお尋ねしておきたいのですが、労働省は定年延長、昭和六十年に六十歳を一般化したい、こういう方向でいま進んでいらっしゃるわけでございますが、経営者の方の受け取り方は、昭和六十年に六十歳ということを、たとえば現在定年五十五歳だったら、六十年から一歳、そしてまた一歳、こう入り口にしていくんだというような考えを持っているのがかなりいるということを聞くのですけれども、そういう点は労働省は頭に入れていますか。
○関(英)政府委員 私ども昭和六十年には制度として六十歳定年になっておればいいので、実際問題として六十歳定年が現実に実現するのはずっと後になるということではなく、できるならば昭和六十年までに六十歳定年を実際上も実現してもらいたいという形での行政指導を強めております。業種業態によりましては従業員の年齢構成が非常に高くていま直ちに六十歳定年を一挙に実現するわけにはなかなかいかない、一歳ずつ引き上げていくというようなところもあるわけでございまして、必ずしもすべてが昭和六十年に画一的に六十歳定年を実現できるというわけにはまいりませんけれども、指導といたしましては六十年には六十歳定年が現実に実現するように行政指導を強めておるところでございます。業種別の会議等におきましてもそういう方針で御説明を申し上げておりますし、また昨年来いろいろなところで六十歳定年に踏み切るところが出てまいりましたけれども、一部には一歳ずつ引き上げるところもございます。いままでのところは、六十年までに六十歳定年を実現する、そういう定年延長の方が大勢を占めているということだと認識しております。一部にはそうでないものもございますが、これからも六十年までに六十歳定年が実現するように行政指導を強めていきたいと思っております。
○大橋委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、後、平石先生の方から特にこの定年延長の問題について質疑があろうかと思います。 終わります。
○山崎(拓)委員長代理 平石磨作太郎君。
○平石委員 先ほどからも論議が重ねられましたが、私は、定年延長について大臣にお伺いをしてまいりたいと思うわけであります。 いま定年延長については労働省も昭和四十二年、第一次の雇用基本計画以来ずっと取り組んできた、精力的な行政指導というものがだんだん強化され、さらに予算的な措置、施策もそれに並行してだんだんと強化されてきておるということはわかるのです。だが、この経過を見てみますと、これがそう進捗してない。これは先ほどの論議にもございました。そういう観点から、ひとつ法制化という問題に入ってお伺いをしてみたい、こう思うわけです。 そこで、お伺いをいたしますが、日本の平均寿命は何歳になっておるか、お答えをいただきたい。
○関(英)政府委員 お答え申し上げます。 わが国の平均寿命は、戦争直後の昭和二十二年のころには男で五十一歳、女子で五十四歳、こういうような状態でございましたが、昭和五十三年で申し上げますと男で七十三歳、女で七十八歳というところまで大幅に延びてきておりまして、世界的に見ても長寿の国になってきたということでございます。
○平石委員 このように平均寿命が非常に急速にしかも急激に延びてきたわけですが、これは大変結構なことですが、これに伴って労働可能能力、可能性というものについてはどのように考えておられるか、あわせお答えいただきたい。
○関(英)政府委員 平均寿命が七十三歳あるいは七十八歳まで延びるということは、先生御指摘のように、それだけ体が丈夫で、労働しようと思えばできるという年齢も延びてきたということだろうと思うのです。ただ、実際に働く意思があって働くかどうか、労働力率といいますか、労働力として実際に働く、あるいは現在働く場はないけれども、働く意思を持っており、働く能力もあるという労働力率から見ますと、これは所得の伸びその他いろいろな面からの影響があるわけでございますが、平均寿命の延びとは逆に高齢層で下回ってまいりまして、たとえば五十五−五十九歳層では横ばいでございますが、六十−六十四歳層では低下する、あるいは六十五歳以上では長期的に見て労働力率がずっと低下傾向にある。平均寿命が延びますと高齢者の労働力率がどんどん上がるかといいますと一必ずしもそうでないということでございます。ただ、先生の御指摘の可能な体力といいますか、そういう面は確かにあろうかと思いますが、現実の労働力率の推移を見ますといま申し上げたようなことになっております。
○平石委員 いまの御答弁にございましたが、確かに高齢になるに従って労働力が低下する、これは否めない事実であろうと思うのです。 いまおっしゃったように、六十四歳を境にして労働力は急激に落ちてくるとお答えをいただきましたが、これから見ましても、働く意思があって、行きたい、こういう人は六十四歳ごろまでは一応働き得るのじゃないか。それから、政府の各種統計等を見てみましても、大体生産年齢人口は十五歳以上という形で諸統計がとられておる。こういったようなことを考えたときに、政府自身も、六十歳代はまだまだ現役で働けるんだと一応の認識をしておられる、このように思うわけでして、この年齢が延びるということが、いま個人的に考えたときに、非常に将来の不安といったようなもの、いわゆる長生きをしてきた、この長生きをすることによって、いまの情勢を考えたときには、この長く命が延びたこと、いわゆる伸長されてきたこの年齢というものについて、個人の生活サイクルから考えたときに、これは先行きどうなるんだろうかと、私は非常に不安を持っておると思う。これに個人として対応していくについては、どのようにして生活を確立するか、生活を安定させていくか、こういったことが非常な悩みになっておる。この延びた年次について、社会的なそれに対応するルールとか、一つの国家的な制度といったようなものがそれに対応していかないと個人の悩みは解消しない、私はこのように考えるわけですが、その点、大臣のお答えをお願いしたいと思います。
○藤波国務大臣 先生御指摘のように、一人一人の国民の皆さん方が、自分の人生をどのように計画を立て、どのように生活を進めていくか。特に非常に心配なのは老後の不安ということでありますから、何歳ごろまで自分が健康で働けて、その後どのようにして生活をしていくかということは、いろいろな人生の設計の中でも一番心配のところであろうと思います。 そういう意味では、まさに雇用の問題と年金の問題、これは午前中からのいろいろな御質疑もあったところでございますけれども、どのようにリンクさせていくか、そして、本当に労働の第一線を引くときに、年金が準備されていて、しかも若干の蓄えがあって、生活は安心してやっていけるというような構えができていくことは非常に大事なところであろうと思うのであります。それはどのあたりに年齢の照準を当てるかということと、いま先生御指摘のように、一連の行政の仕組みがそれにどう対応するかということと両方考えていかなければならぬというふうに思います。 いま安定局長から御答弁申し上げましたように、六十までは現役の気分で働いていけるという数字、それから六十歳を超えますと少し下降線をたどってくる。これは人によっていろいろだということだろうと思うのです。そして六十五になると、少なくとも今日の段階では、平均寿命がまた延びてもっと健康に老後が送れるということになればまた延びるんでしょうけれども、今日のところでは、大体六十までが現役気分、それから人によっていろいろで、六十五歳からまず引退ということになるのかなと、こんな感じを実態としてとらえることができるわけであります。 そこで、労働省としては、とにかく六十歳定年ということを一般化することが非常に大事だというふうに考えまして、これは労働省としての側から見た仕組みでございますけれども、六十歳の定年化を一般化するようにあらゆる努力をする、こういうところにいま努力の焦点を当ててがんばっているところでございます。
○平石委員 いまのお答えで大体理解できるのですが、おっしゃったように、日本の人口構造からいったときに、ずっと状況が変化してきた。 それで、いま局長の答弁がありましたが、定年制が実施された当時に、日本の平均寿命は何歳であったか、そのことの御答弁はなかったのですが、いずれにしろ、二十五年に平均寿命が四十一歳であった。定年制が日本に施行されたときに四十三歳と私は見ておるのですが、ちょっとそこでずれがありますけれども、そのような形になって、そのことから考えてみましても、四十三歳あるいは四十一歳の平均寿命のときに、五十五歳という定年ができた。これを平口に言えば、働けるのなら死んでも働いて結構ですよというように、いわば人生サイクルにおいて満度その点については満たされておったと思うのです。 ところが、このようにずっと年齢が延びてまいりまして、実態がぐっと動いてきた、だが、法律や社会の対応する制度というものはそのまま座っておる。こうなりますと、もう五十五歳定年というものを平均寿命がはるかに超えて、七十三歳という、いわば二十年という命がそこに延びてきたと思う。この命の延びてきたところを、いま大臣のお答えにありましたように、やはり政治、行政において社会の仕組みというものをこれに対応するようにやっていかねばならぬ、これはもう当然のことなんです。それが遅々として進んでいないから、私がきょうここであの法制の問題を進めることについてお問いしたい、こう思っているわけです。 それから、労働力人口というものを、労働省が出しております今回の第四次の雇用対策基本計画、これの資料によって見ますと、日本の労働力というのがどのように推移するかというのが二十八ページに出ております。これを見てみますと、昭和五十年から昭和六十年までに、男女の計になりますが、十五歳から十九歳までは〇・七落ち込む、こうなっております。減になっておる。それから、二十歳から二十九歳、まさにこれから働こうというような若い活力のある方々が二・三%ダウン、こう出ております。やはりこれも減ってくる。若年労働者が減ってくる、こういうことです。それから、三十歳から五十四歳までが一・六%ふえる。五十五歳から六十四歳までが三・七%増加する。 この数字から見てみますと、いまの出生率がだんだんと低下をしてきたというように、労働力におきましても若年労働はだんだんとこのように減ってくる。そして、いわば高齢者、中高年、三十歳から五十四歳、五十五歳から六十四歳というところがざっと五%近くふえてくるということです。こうなりますと、日本の労働人口というものが、年齢的にずっと座標が高い年齢へ移っていくということです。 そのように高齢化が進み労働人口の高齢化が進んでくる、こういう事態を考えたときに、いま労働省が進めておるようなそういう行政指導だけでこれが対応できるかどうか、ここは判断してみなければならぬと思うのです。そして、このように五十五歳の定年を迎えてから二十歳も生きていかねばならぬということになれば、これに対応するものはやはり労働か年金かということになってきます。 労働の面をきょうは大臣にお聞きをするわけなんですが、この労働で対応するか、年金でいわゆる生活を安定していくかというのは、政府としてこれに対応せねばならぬ。労働担当である労働大臣は、そこでこれに対応するようなことを早く整備をしていただかないと、個人としても、国家的に考えてみた場合にも、労働力、いわゆる労働経済から考えたときに、こういった中高年の方々を労働に従事させるということは、私は、国の利益につながるんじゃないか、このように考えるわけです。 そういうことで、いま私たちが、日本が急速に高齢化に進むことに対応がおくれておりますが、外国の例は一体どうなっておるかということをお尋ねをしてみたいわけです。いわゆる退職年齢、平口で言ったら定年ということですが、外国の状態はどのようになっておるか、お答えをいただきたい。
○関(英)政府委員 外国の定年制についてのお尋ねでございますが、その前に一言、先ほどわが国の定年制が実施されたころの平均余命がどうなっていたかというお話について答弁漏れがございましたわけですが、わが国で定年制がいつごろ一般的に確立してきたか、そこをどう見るかということはいろいろ学者によって違いもございますが、一部の大企業では明治末年ごろには定年制を導入したというようなこともございますが、大体大正末期ごろ大企業に普及してまいりまして、全般的な雇用慣行として定年制が本格的に一般化したのは第二次大戦後、昭和二十年以降のことだろうと思います。二十年ごろの平均寿命として先ほど男子五十一歳ぐらいのお話を申し上げたわけでございます。 次に、お尋ねの諸外国の定年制の問題でございますが、日本のような意味での定年制というのはむしろ外国にはないといった方があるいはよろしいのかもしれません。日本のように学卒者を新規雇用いたしまして企業内でずっと教育訓練をし、昇進をしていってある一定年齢で退職というような雇用慣行は、むしろ日本独特の雇用慣行でございます。諸外国においては雇用慣行が異なっておりますので、そういう意味の日本のような定年制はないと言っていいのかと思います。 それでは、諸外国に全然強制的な退職の制度がないかと言えばそうではございませんで、たとえば米国について見ますと強制的な退職条項を持っている企業もございます。労使協定等でそういうものを決めているわけでございますが、私的年金制度を有する企業でそういった強制的な退職年齢をおおよそ六十五歳というようなところに決めている企業も多うございます。ただ、米国におきましては、昨年、先生御承知のとおりに、年齢による雇用差別禁止法というものがございまして、これが改正されまして、いろいろ経過措置がございますが、退職年齢といいますか、年齢差別の禁止の上限が七十歳になりましたので、この個別企業で私的年金制度を有する企業における退職条項の適用を受ける年齢も次第に上がっていくことが予想されますけれども、現状ではまだおおむね六十五歳ということになっております。 ただ、そういった退職条項があるから全員がそこまで勤めておってそれでやめるかというと、必ずしもそういうふうになっておるとは限りません。たとえば、減額年金の受給が可能な六十二歳ごろから、逆に遅い人は六十七、八歳まで勤めるというような例もあるわけでございます。 それから、イギリスにつきましてもその辺の明確な調査はございませんけれども、実際に退職状況に関します調査を見ますと、ちょっと古くて恐縮でございますが、一九五三年の調査では六十五歳以上で就業継続することを希望している者が六割ぐらいあったけれども、一九六六年の調査では四割に縮小しているというようなことがございます。 また、フランスでも、私的年金制度を有する三六%の企業において強制的な年齢限界制度を設けておりますが、その年齢はおおむね六十五歳というようなことになっております。ただ、実際の退職年齢は、最近それよりも早まるような動きもあるいはあるやに聞いておるわけでございます。 西ドイツにおきましては、民間部門では強制的退職年齢というのは余り設けられておらないけれども、年金受給年齢の六十五歳になれば退職するというのが社会的慣行となっておるというふうに聞いております。 非常にまちまちでございまして、日本ほど一般化した明確な定年年齢はむしろない。しかし、大体六十五歳ぐらいが退職即引退の年齢であるというふうに見ていいのではないかと思います。
○平石委員 いまお答えいただいたように、大体諸外国は退職年次は六十五歳前後、これが一般化されておるわけです。それから、局長答弁にございましたように、もっと二、三年早くもう第一線からおりたい。これは年金制度が充実されておるから、日本のように強制退職、しかも強制退職をさせられると五十五歳でさあ年金生活に入れるかといいますと、年金生活に入れない。そこには現在においてすら六年、五年のブランクがある。さらに厚生省はこれを六十五歳まで十年のブランクをつくってやろうという、まことに整合性のない政府のいままでの考え方でありました。私は、いま局長答弁にございましたように、諸外国の年齢を見たときに、アメリカ、スウェーデン、スイスランド、イギリス、フランスを見てみますと、平均年齢が、昭和三十五年から四十三年、五十三年というようにずっと統計を見てみますと、日本と同じようにぐっと延びておる。ぐっと延びておりますけれども、日本ほど延びておりません。そして、現在アメリカにおいては六十九歳、ざっと七十歳、イギリスにおいても六十九・六歳、フランスにおいて六十九・七五歳、日本は七十二・九七歳、男の方で。スウェーデンが七十二・三七、アイスランドが七十三。これから見てみますと、日本は世界でアイスランドの次に二番目なんです。このように延びてきておる。そして一方、労働に従事するというのがいま御答弁にございましたように大体六十五歳あるいは六十歳、ここら付近、そしてアメリカにおいては雇用差別禁止法という法律で、御答弁いただいたように七十歳に引き上、げた。そして、アメリカの年齢と合わしたときに、アメリカは平均で男の方が六十九・七歳、それで働いてよろしいよというのが七十歳に引き上げられた、こうなりますと、もう人生満度働いて結構ですよ、それからは退職になりますよ、このようにちゃんと国が構えてくれている。 このことを考えたときに日本は立ちおくれておる。年齢も七十三歳というように世界有数の長寿国である。世界でいま二番目の長寿国になっておりながらここの点が欠落しておる、このことを御認識いただきたいわけです。そして、いま十分に御答弁がございませんでしたが、アメリカの退職ということの状況は、アメリカ労働省の調査によるものをちょっと御披露いたしますと、普通退職というのは六十五歳が九四・一%です。それから、使用者が退職を強制し得る強制退職が六十五歳で六四・五%。それから、自動退職というのは三四・三%。そして、この状況を見てみますと、五十五歳や六十歳というところでの普通退職、自動退職というのは数字に出ておりません。したがって普通退職にしろ強制退職にしろ自動退職にしましても、ほとんど六十五歳以上ですね。そして、六十八歳あるいは七十歳、このように数字を見ることができるわけですが、このことから見たときに、世界のそういう長寿国、そして働く、さらに引退をしたときに年金にリンクしていくということが国の制度として、社会の制度としてばしっとここに確立をしておる、このことに早く日本も追いつかねばならぬじゃないか、このように考えるわけです。 〔山崎(拓)委員長代理退席、住委員長代 理着席〕 そこで、私どもは前国会において定年延長法案というものを提出をいたしました。これは定年制及び中高年齢者の雇入れの拒否の制限等に関する法律案を提出したわけですが、これに対しては、私どももあくまでも法制化によって進めて、早くその体制を整えねばならぬというのを趣旨として出したわけです。それで、いま労働大臣の諮問機関としてありますところの中期労働政策に関する基本問題研究グループが出しておりますが、この先生方の提言の中、いわゆる労働政策研究グループの提言、隅谷先生の提言ですが、これを見ましても、「高齢労働者の引退年齢という概念を導入し、諸般の見地より六十五歳を原則的な引退年齢とすることが適当である。」このように提言がなされております。 そういうことを考えますと、私はやはりこの法制化ということについて積極的、前向きに検討していただきたいと思うわけですが、これは大臣のお答えをお願いしたいと思います。
○藤波国務大臣 さっき職業安定局長から世界各国のいろいろな実情について御説明申し上げたわけでありますが、その中で申し上げましたように、日本のように高等学校を卒業したり、大学を卒業したり、あるいは中学校を卒業したり、そしてすぐに企業に入る。そうすると、そこでずっと終身雇用の中で一生を送る。労働者が一人歩きするというのじゃなしに、労働者が入った企業の中で仲間で一緒に生きていくというような構えになっている国というのは非常に珍しいわけでありまして、しかも労働したことに対するたとえば賃金であるとか退職金の計算であるとか、あるいは役職のポストについていくとかという人事管理上の問題も、全部その企業の中で年功を積み上げていくことによって、一つの形がその人その人に整えられていく、こういう形になっているわけです。したがって、その中で、それらの一連のものとして定年制の問題も労使のいろいろな話し合い、積み上げの中で今日まで来ている、こう申し上げていいと思うのでございます。それを何歳ぐらいに持っていくかということについては強力に行政指導をしていくというたてまえで、昭和六十年度六十歳定年を目指しましてあらゆる努力をしているわけでございますけれども、やり方といたしましては、その企業企業の中で労使が積極的に良識をもって話し合いが進められて、その結果、年功による賃金慣行などを一緒にいろいろと話し合い、工夫され、努力された上に立ってその企業の定年の時期を決める、どういう積み上げがありませんと、形だけ定年延長しましたといっても、何か非常に不安定な、ある年齢以後は非常に不安定な形で職域におらなければいけない。まあ形はできたけれどもおるになかなかおりづらくて結局やめていくということになったのでは、実質的な意味での定年の延長にはならないわけであります。したがいまして、あくまでも労使の話し合いの上に立って定年の延長が進められるようにぜひお願いをしたい、こういうふうな姿勢で今日まで取り組んできておるところでございます。六十年度までにどうしてもこれを達成したいと思っております。なかなかむずかしいとおっしゃる見方もありますけれども、しかし、ちょうど高度成長の時期から高齢化社会に入っていく対策を急がなければいかぬ、こういうふうなことでいろいろ叫ばれてまいりまして、その柱として定年延長というふうなことが、これは第一次の基本計画から言われてきたわけでありますけれども、ちょうど時期が四十八年以後の不景気の時期に入っていったというようなことから、企業も、どのようにしてこの不景気から脱却をしていくか、どのようにして減量経営したり合理化したりしながらこの不景気をくぐり抜けていくかという努力をしておる最中、ちょうどそんな最中でここ四、五年来ておるものですから、非常に厳しかったと思いますけれども、それでも年々その空気はできてきて、特に昨年は私鉄であるとか鉄鋼であるとかといったような非常に注目すべき業界で定年延長の問題が決定をしているということになってきておりますので、やはり昨年からことしへかけて相当に労使の話し合いのムードは高まってきている、このように私どもとしては期待をいたしておるわけでございます。 そこで、先生のお話しの法制化の問題につきましては、そういった努力も全部踏まえて雇用審議会でひとつぜひ御議論を闘わせていただきたい、最も効果のある、高齢化社会に突入していく中での定年延長の方策等を中心にいたしまして御議論をしてもらう、それには法制化の問題も含めまして雇用審議会で御議論をいただいてきておるところでございまして、なおその意見が闘わされていく経過を踏まえまして政府としてその法制化の問題をどうするかということについての態度を決めていかなければいかぬというふうに思うわけでありますが、いまのところは審議会の御意見が、いろいろ御議論が闘わされておるのを勉強さしていただいておる、こういうふうな時期に当たっておりますことを御理解をいただきたいと思います。しかし、先ほど来申し上げてきておりますように、あくまでも六十年六十歳定年、そして六十歳になった企業はさらにできれば六十五歳までを目指しまして、ひとつできる限り、働く意思を持ち、働く能力を持った方には、先生さっきからの御指摘のように、働く場所があるということが保障されていくようにあらゆる努力をしていきたい、このように努力を積み上げておるところでございます。
○平石委員 いまの御答弁で、まあ待つと、何というか、主導的に積極的に法制化へ行政指導を進めていくというよりも、むしろ企業側のそういった対応というものを早くつくり上げていこう、こういう姿勢にあるわけですが、この状況を見たときに、これは労働省からいただいた「定年年齢の推移」という資料を見てみますと、さっきの答弁にも出ておりましたが、四十三年から五十三年までの十一年間を見てみましても、二二・一から三八・五と、この間二八・四と、一年に割っていきますと一・四九%、まあ一・五%ぐらいしか進んでないわけです。そして、いま大臣の答弁にありましたように、昨年は非常に大きな労働組合等労使の間でそういった交渉がなされて六十年定年というものについて非常な動きがあったこと、これはまた事実なんです。そのようにいわば労使にお任せ、お任せというたら言葉が言い過ぎかもわかりませんけれども、形の上からいいますと、労使で話し合ってその対応を早くつくってくださいというような、労働省のいわば消極姿勢というものが見えるわけなんです。成果を見ましても、いま言ったように、年間大体単年度で一・五%ぐらいしか進んできてない。そういうことから見てみましたときに、私は、大臣はもっと勇断をもって、いま雇用審議会に諮問はしておりますけれども、やはり法制化ということに相当積極的に取り組んでいただきたい。これは要望を含めての話なんです。 それで、一方で政府は、この間の予算委員会の質問等を見てみますと、公務員については定年の法制化といったものを準備するやに聞いております。公務員については、いま大臣の答弁の中にあったような心配な点は比較的ないのかもわかりませんけれども、同じ労働者として働いておる中で、一方公務員の方は、自治相も地方公務員についても定年制を今国会に出したい、それから小渕総務長官も国家公務員についてはできれば今国会に出したい、こういうことの答弁がなされているようです。そういうことから考えましたときに、いまの民間の会社におけるところの労働事情というものは、長い慣行の中で、年功序列型という一つのパターンの中で一刀両断的にいくことはいろいろそこに矛盾が出てくるからという配慮はあってよろしいけれども、その部面から考えても早く法制化に踏み切っていくべきである、このように私は認識するわけです。 そういう面から考えて、これはちょっとややこしい話になりますが、憲法の二十七条に勤労権というのがあって、「賃金、就業時間、休息その他の勤勞條件に関する基準は、法律でこれを定める。」こういうことが規定されております。この定年、職場を確保するということは、法律で決めるという勤務条件になるのじゃないか、このように思いますが、その点はいかがでしょうか。
○関(英)政府委員 憲法のお話の前に、ちょっと大臣のお答えの補足として申し上げたいのでございますが、私ども法制化問題については昨年の国会の経緯を踏まえまして雇用審議会に諮問をいたしておりまして、その際に公明党のお出しになりました法案についても資料として雇用審議会の場にお配りをして、御意見を交換する場の参考として御議論をいただいております。そういうことをちょっとつげ加えさせていただきたいと思います。 それから、ただいま公務員についてのお話がございましたが、公務員の場合は税金からその給与が賄われるというような関係もございまして、いろいろな労働条件が法定されております。賃金につきましても、人事院勧告を受けて給与法で決めていく、また身分保障ということも行われております。そういう関係から、定年制については法律で決めませんと実施できないということがございまして、法律問題になるわけでございます。 民間企業につきましては、賃金その他を法定するということはできません。労使交渉の一番の柱でございます。そういうこととの関連から、民間の定年の法制化については、いろいろわが国の賃金慣行からして一律に法律で決めるにはいろいろの問題があるということを私ども申し上げておるわけでございますが、いずれにいたしましても、この問題は雇用審議会の御議論を十分踏まえて考えていきたいと思っておるところでございます。 なお、憲法の関係で労働条件の基準としての定年問題のお尋ねがございました。労働条件についての最低基準は労働基準法でいろいろ定めておるわけでございます。それと同様に、定年問題も定めて、純法律的に言いまして、定めようと思えば憲法の規定に基づきまして定め得るわけでございますけれども、先ほど来申し上げておるようなわが国の雇用賃金慣行、諸外国にない雇用賃金慣行との関係から、これを一律に定めることにはいろいろ問題があるのではなかろうかということを私ども従来申し上げていたわけでございます。繰り返しになりますが、いずれにいたしましてもこの問題は現在審議会に諮問いたしておりますので、政府といたしましてはその結論を待って検討いたしたいと思っております。
○平石委員 そうすると、憲法の上からは、この問題についての法制化については状況としては非常にむずかしいのだけれども、立法は可能だ、こういうことなんですね。国家公務員の場合は、いま御答弁があったように、これは了解できるわけです。それで、民間についてはいままで行政指導がなされたのだが、定年制を法制化するということは憲法の上では差し支えはない、合憲だ、こういうことなんですね。!はい、わかりました。 ところで、この雇用審議会ですが、雇用審議会へ諮問されたのが去年の六月ですか、去年の六月から諮問されておるわけですが、その後の審議の状況についてお伺いをいたしたいと思います。
○関(英)政府委員 雇用審議会につきましては、昨年の六月二十五日に定年延長の実効ある推進策について、立法化問題も含めて諮問いたしたところでございます。その後七月十九日の総会、ここで定年延長に関しましては専門の部会を設けて検討することはどうかということを決定したわけでございますが、なおこの七月十九日のときは第四次の雇用対策基本計画の論議がほとんどでございまして、定年問題についてはこの部会の設置だけでございます。 一方、専門委員会というのが従来から雇用審議会には設けられておりまして、昨年の九月二十七日には専門委員会で定年延長をめぐる従来の経緯等を検討しておったわけでございますが、十月に入りまして委員の任期が参りまして改選問題がございまして、この間総会がしばらく開けなかったわけでございますが、十二月七日に総会を開きまして、定年延長部会の委員の人選を決めたりあるいは今後の進め方を決定したり定年制の現状の概要について検討をいたしました。続きまして、ことしに入りまして、一月十八日の総会で定年制に関する阻害要因その他いろいろな問題につきまして、資料に基づく分析と問題点の検討をした上で、ことしの二月八日には定年延長部会が開かれまして、今後業種別にヒヤリングをやっていこう、それでどういう業種について取り上げていくか、あるいはどういうことを業種別に聞いていこうかというようなヒヤリング項目の決定等々をやりまして、三月以降業種別に労使からヒヤリングを中心に検討して、ことしの秋には総会に報告をしようというようなところまで部会で決めているところでございます。
○平石委員 はい、わかりました。 そういうような精力的な審議が進んでおるようですが、労働大臣おっしゃったように、挙げてこの審議会の結論待ち、こういうような態度のようです。この審議を早く進めていただいて、今年の秋口ごろには総会に報告というようなスケジュールのようですが、そういった審議を進めていくについて、労働省が法制化を含めた諮問をかけておるのだから、法制化で対応していかねばならぬということについては、これは委員会をどうのこうのといったことは直接にはできなくとも、反映できるような一つのこともやっていただきたい、このように思うわけです。私ども野党の方は、この問題については公明党としても提出をし、あるいは公民両党としてもこれについての提案もした。それから、いま社公民でもってこの法制化について話し合いを持っておるわけですよ。この社公民の話し合いがついて差別禁止法が提案される、こういう運びになろうかと思うのです。そうなったときに、一方ではそのように審議会において政府は進めておるわけですが、今国会へ提出するといったようなところまで作業が進むかどうかはわかりませんけれども、そういった社公民三党で一応合意のできたものが出てきたら大臣はどう対応するか、ひとつ所見をお伺いしておきたい。
○藤波国務大臣 野党の各党が差別禁止法案について非常に御熱意を持っておられることについては私どもも承っておるところでございます。ただ、政府といたしましては行政指導を強力に展開をする、そして昭和六十年度六十歳定年を一般化するということを目標にいたしまして、第四次の雇用対策基本計画などでもうたい上げて努力を重ねておるところでございます。一方、雇用審議会に諮問を申し上げまして、法制化も含めて実効のある定年延長の方策をいろいろ議論もしていただいているというところでございます。野党から法案が出てまいりましてそれをどう考えるかということにつきましては、これは国会がどのようにお取り扱いになり、国会でどのように議論が展開され、どのように推移をするかという問題でございまして、政府といたしましては従来の方針どおり、六十年六十歳定年を目指してあらゆる努力をしていくようにいたしたい、このように考えているところでございます。
○平石委員 先ほどの御答弁の中にもございましたが、結局個人のサイクルとしては、いまの社会制度、そういったものが働けるのか年金なのかということについていま双方皆ないということですね。だから、高年齢になってきたときに、いま五十五歳という定年の段階ではローンの問題や子供の教育の問題、いろいろな家庭的な責任をまだまだ果たさねばならない非常に大事な時期なんです。その大事な時期にそういう形になってしまって年金生活に入る間十年もブランクが出てくる。こういった欠陥のある整合性のないことは、これは許すわけにいかぬわけですね。大臣御自身でもそうだと思います。 〔住委員長代理退席、委員長着席〕 そうなりますと、いま大臣が進めておられる雇用審議会でもって答申が出、その答申がどう出るかわかりませんけれども、少なくとも法制化でもして早くこれに対応していかねばならぬといったような答申が出、そして一方で引退をしたときに安心をして年金生活に入れる、こういうことを、これは大臣の所管ではございませんけれども、やはり厚生省とその面については十分な話し合いを持っておたくの進めるそれと、そして年金受給できる、よそで言う退職年次と合った、リンクされたものに政府として整合性のある制度をつくるということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○葉梨委員長 次に、梅田勝君。
○梅田委員 日本共産党・革新共同の梅田勝でございます。 きょうは、過日行われた労働大臣の所信表明につきまして若干質問を申し上げたいと思うわけでありますが、労働行政全般にわたってお話しになっておりますので、できればそうしたいのでありますが、時間がとうていございませんので、きょうは高齢者雇用対策にしぼりましてお尋ねをしてまいりたいと思います。 昨年の十二月十八日に労働省が発表されました「昭和五十四年十月における年齢別常用職業紹介状況」を拝見いたしますと、「求人倍率、就職率の推移」というのが出ておりますが、非常に深刻な内容が出ております。二十四歳以下が一・四倍、二十五歳から四十四歳までが一・〇三倍、四十五歳から五十四歳までが〇・六倍、五十五歳以上が〇・一七倍、かようになっておりますね。また、就職率におきましては五十五歳以上は三・四%でありまして、中高年齢者の雇用状況というものが非常に深刻だということがこの数字によりましても明らかになっておるかと思います。 大臣も、所信表明の冒頭において高齢化社会対策というのが非常に大事だということを強調されましたが、私どもも八〇年代の最大の国民的課題の一つはこの老人問題、高齢化社会への対応の問題だというように考えているわけであります。実際問題、六十歳以上の人が千五百万人近い、六十五歳以上になると一千万を超えているということでございますし、しかもこれが八〇年代の終わりごろ、今後十年を推移いたしますと二千万に達するだろう、こう言われておるわけでありますから、この対策をいまの段階において強化していくということはまことに重要だというように思うわけであります。 しかも、これらのお年寄りは、御案内のように、戦争の犠牲を一番受けた年代でありますし、それから戦後の復興、さらには高度成長期において最も重要な責任を持って社会に貢献をしてきた人々であるわけであります。ところが、先ほど来議論されておりますように、さて職場をやめてみると老後の生活保障というものがきわめて不安定である、いわゆる社会保障が貧弱だということになるわけであります。年金あるいは医療、こういった問題は厚生省の所管ではありますけれども、これは御案内のように、これまた今後現行制度よりも改悪していこう、こういう動きが出ております。そうすると、より老人問題が深刻になる。そこで、労働省の立場から見ると、それはとりもなおさず高齢者の雇用対策というものがよりむずかしくなる、その責任が非常に大きくなるということになるわけでありまして、そこで、この問題に取り組む基本姿勢ですね。前提の問題としてはいわゆる低福祉高負担、これを現在の政府として進められておるわけでありますが、われわれとしてはこの老後保障制度の反動的再編というものは絶対に許してはならぬということを強調したいわけでありますが、労働省としても今後常用雇用対策というものがきわめて大切になる、それらの点において大臣の決意をまず最初にお伺いしておきたいと思うわけであります。
○藤波国務大臣 先生御指摘のように、今日以後のわが国の政治にとって最大の課題はいろいろありますけれども、やはり国内的には人口構造が一挙に高齢化してくるということだと思います。そのために政府としてもいろいろな計画を立てて今日に至っておるわけでありますけれども、労働省といたしましても、一人一人の国民の生涯を考えましたときに、やはり食っていけるということと、それから生涯を通じて元気で働こうという御意思をお持ちの方には仕事を準備していくということは、これは最も大事な課題でございますから、これを解決するためにいろいろな一連の高齢者対策を打ち出して努力をしていきたい、このように考えておるところでございます。 人口の構造がそのように変化をしてくるわけでございまして、これは人口政策をどうするかという問題はまた別といたしまして、少なくともそういうふうに動いてくる。そこで、高齢化してくるので何か非常につらいことだというような暗い面ばかりとらえていたのではいけないんで、寿命が延びて皆いつまでも元気で働けるというのは一番いいことですから、そのことを一人一人がいいことだと思っていただけるような構えをつくって対応するのが行政の責任だろうというふうに思います。高齢化してきて社会全体が年齢がぐっと上がるわけですけれども、そうするとどうしても活力を失いがちだというふうに心配をなさる方もありますけれども、しかし考えようによっては、長い間人生を生きてきて、いろいろな経験を持ったり、いろいろな知恵を持っている人が大ぜいいるというのは、これは最も活力に富んだ話でありますから、その活力に富んだ一人一人を全体として活力のみなぎった社会として維持発展をさせていくことができるような構えをつくる、このことを労働行政の非常に大事な課題にしていかなければいかぬ。泣きごとを言うつもりはありません。積極的にそのことをつくっていこう、こういう気持ちで八〇年代の労働行政を打ち出してがんばっていこうとしておるわけでございます。 当面は、やはりいつまでも元気な方は働けるという構えをつくるためには、日本の経済社会の仕組みとして終身雇用の労働慣行の中におりますので、とにかく定年の延長ということが一番大黒柱だ、こういうふうに考えまして、昭和六十年度までに六十歳定年が一般化するようにあらゆる努力をしていきたい、こう考えているところでございます。 さらに、先般来の質疑でもお答えをいたしておりますように、六十歳代の前半層につきましても、新しくシルバー人材センターへの補助といった仕組みも五十五年度から出発をさせまして、六十歳までで終わりだというのではなくて、さらに六十歳以後もできるならば定年の延長もお願いをしたいし、またシルバー人材センターのような仕組みも活用しながら、さあ元気で働こうという方には働く場所を準備をするというような需給関係のシステムをつくっていくようにしなければいかぬ、こんな努力も重ねているところでございます。 どういうのが高福祉で、どれぐらいが高負担であるのか、これはいろいろ意見の分かれるところでございますけれども、だんだんと福祉も前進をしてまいりまして、それだけに高齢化してまいりますと、負担の方もなかなか大変なことになる。そこの財政上の問題をいろいろ心配をして、政府としてもいろいろなことを考えながら今後対応していかなければいかぬと考えておるわけでありますけれども、政府全体の仕組みとして、一人一人が、いま申し上げてきたような意味で気持ちよく生涯を送るということについて対応する行政が後ろに退いてしまうという形にならないように、積極的に一人一人のでき上がっていく生活の状態に対応する、国民の御希望にこたえる、こういうふうな方向で前進をしていくようにしなければいけない。従来よりももっともっと各省庁の連絡をとり合って、一人一人の国民のお気持ちに十分対応するような政府全体の構えをつくっていくように、労働省としては労働行政を展開しつつ、政府全体に向かって働きかけをしていきたい、このように決意をいたしておるところでございます。
○梅田委員 先ほども議論されておりましたけれども、わが国憲法は国民に対しまして勤労権というものを保障しているわけであります。したがって、国はこれらの働きたいという国民に対しましては、年齢のいかんを問わずこれを保障していくという責任があろうかと思うのであります。先ほど言われましたように、昭和六十年度までに六十歳定年が一般化することを目標に対策を強めるというように所信表明でも言われ、いままた言われたわけでありますけれども、本来は、幾つになっても働く能力がある場合はその働き場所を保障していくというのが国の責任であろうかと思うわけであります。 それを前提にいたしましてちょっとお尋ねをしたいわけでありますが、定年延長奨励金というのがございますね。これの支給状況を見ますと、五十三年度におきましては受給人員が三千八百六十三人ということになっております。非常に少ないわけですね。しかも、内訳を見てみますと、大企業が人員におきましては二千四百二十人ということで、全体の六二・六%を大企業が取っているわけであります。金額で申しますと三億二千六百七十万円ということで、五五・七%、大企業がこの奨励金をもらっているということであります。 そこで、中小企業ももらってはいるわけでありますけれども、大企業に対しては非常に数が少ない。どこに問題点があるのかということをお尋ねしたいわけでありますが、中小企業は終身雇用制の伝統がありますので、定年を定めてないところが多いんじゃないかというように推察をするわけでありますけれども、もしそういうことが実態であるならば、これは改善策を講ずる必要があるんじゃないかということをお伺いしたいわけであります。
○関(英)政府委員 お答え申し上げます。 定年延長奨励金といいますものは、労働協約あるいは就業規則で定年を定めて、その年齢が五十五歳であった場合にそれを五十六歳以上に引き上げる、そういう制度的にできている定年年齢を引き上げる企業に対して、その引き上げによって雇用が継続する、延長される、そういう恩恵を受ける労働者一人一人について幾らという形で支給することになっております。したがいまして、実績を見ますと先生の御指摘のとおり、五十三年度は金額にいたしまして大企業が五五・七%、中小企業が四四・三%ということになっておりますが、これはやはり対象となる定年延長を実施する企業の割合が、大企業に多くて中小企業の方に少ない。そもそも大企業の方が定年を五十五歳に定めているところが多いということがその背後にございますけれども、したがって、たまたま五十五歳以上に引き上げるのが大企業に多いということでございます。それは確かに大企業に偏しているではないかということになります。その点だけとりますとそうなりますが、もう一つ、たとえば労働省では継続雇用奨励金制度という制度もつくっておりまして、これは六十歳定年でそれ以上に継続雇用をした場合に支給するということになっておりますが、その実績は中小企業の方が多くなっております。それからまた、大企業から定年退職した人を中小企業が雇うという場合が実際問題として非常に多かろうと思いますが、いま緊急雇用対策として実施しております中高年雇用開発給付金は、中小企業には特に手厚い助成措置として中小企業の利用を進めているところでございまして、できる限り私ども中小企業に手厚く措置をしていくということは常に念頭に置いて配慮しているつもりでございます。
○梅田委員 この時期に五十五歳以上の仕事を求めている人の数は、あなた方の資料によりますと三十三万九千人ほどおるということでありまして、言うなればそれだけの数の人が仕事にあぶれているわけですね。わが国経済において大企業の持っている役割りあるいは社会的責任ということを考えると、そこらあたりは率先して高齢者の雇用を進めなければならぬ。言うなればいままで怠っていた企業に対してお金をばらまいておるというような印象を受けるわけですね。本来ならばもっと率先してやらなければならぬ。中小企業は終身雇用制でずっと死ぬまで雇うというところがたくさんあるわけですね。そういうところは奨励金は全然つかないというのでは、それは六十歳以上はまた別ですよ。五十五歳から六十歳までの延長奨励金をいただける対象の年齢を抱えている中小企業においては、営々と努力をしているのにその恩恵を受けられないということでは、いま、ほかにもいろいろ対策を講じておるということでありますけれども、もう少し改善策を考えてもいいんじゃないか。これからだんだん大企業がやり出しますと、わが国財政から大企業へ相当金を出さなければならぬということになる。大企業に対してもっと厳しい対応で中高年齢層の雇用というものを義務づけていくようなことも当然考えてしかるべきだというように思うわけであります。 次に、雇用率の確保の問題についてお尋ねしたいわけであります。 これも労働省がやっと重い腰を上げまして低い企業に対して改善計画の提出命令を出されたわけであります。いただいた資料を読ませていただいたわけでございますけれども、五百三十二の企業が今後おおむね五年間の期間をかけて高年齢者雇用率六%の達成ということで改善計画が出たようでありますが、一つは、まだ出していないところがあるわけですね。計算によりますと十六社ありますが、それはその後出されたのかどうかという点。 それから、この提出された五百三十二社の雇用率は現在わずか一・四%だということなんですね。最初指示されたときに雇用率二%以下のところに対してやられたということでありますが、本来ならば雇用率六%以上というように言っているわけですから、六%以下のところに対して全部改善を迫るべきではなかったかということであります。 三つ目に、この数字を見ておりますと、今後いろいろ努力をするということでございますけれども、常用の労働者の数が差し引きいたしますと約四万三千減るんですね。年がいった方々の採用も若干していってふやしていくのだけれども、いわゆる減量経営で、もとの数が減るわけです。分母がそのままであった場合は六%を割るということになる。たとえば、五千人以上のところについては現在一・三%だ、それが人を減らして六%にするということになりますが、もしこれを分母がそのままでいきますと五・七八%になる。大企業も厳しい減量経営でいろいろ事情もあるということを言っているのでしょうけれども、労働省の指導する立場として、こういう現象はどのようにお考えになっておるのか、お伺いしたいわけであります。 それから、規模別あるいは企業別の内容も拝見いたしますと、千人未満は一・五%、千人から五千人未満のところは一・六%、五千人以上は一・三%というように、大企業がやはり悪いわけです。企業の種別で考えましても、金融、保険、不動産業というところが現在一・三%だ。これも六%にするという計画ではございますけれども、総人員を減らしますから、もし分母がそのままだとすると五・八六%ということになる。現状から見ると六%達成ということにならぬ。そういう点で問題があると思うのですが、いかがですか。
○関(英)政府委員 お答え申し上げます。 まず、私どもが高齢者の雇用率達成計画の作成命令を出しまして、まだ出されていないところが十六社ある、どうなっておるかという第一の点でございますが、確かに命令を出しましたもののうち、まだ十六社が出ておりません。これは定年延長について現在労使交渉中であるので計画を出すのをもう少し待ってほしい、労使交渉の結果を反映した上で計画を出したい、こういうお話でございますので、現在適切な計画を作成して出すように指導を行っているところでございます。 それから二番目に、命令を出す基準が、二%未満というような雇用率の非常に悪いところに計画作成命令を出したわけでございますが、六%未満全部に出すべきではないかという第二の御指摘でございます。確かに法律の決めております努力目標は六%でございますから、六%未満のところは全部計画を出させればいいわけでございますが、私どもの能力の問題もございまして、現実に計画を出していただきまして、その計画に沿って今後個別企業について行政指導を進めていくことが必要でございますので、まずもって非常に悪いところを改善を図っていく必要があるので、非常に悪いところで大企業についてまず命令を出しまして、それについて行政指導を強めていきたい。もちろん、これで足れりとするわけではございませんので、六%未満のところは自主的に計画をつくって努力していくように行政指導をしているところでございます。 それからなお、昨年の六月一日現在の雇用率の調査において一昨年と比べて四万三千ほど減っているではないか。御指摘のとおりだと思うのです。ただ、全体の常用労働者数に対しまして四万三千というのは非常に小そうございますから、先生の御計算でも雇用率に与えます影響はコンマ以下でございますので、そう大きな影響があるとは思いませんが、これはやはりこれからの先行き経済情勢に対する企業の厳しい判断から雇用計画をこういうことにしているのだろうと思います。全体の常用労働者数が減っていけばそれだけ楽になるではないかというのは確かにそうでございますけれども、わが国の終身雇用の慣行のもとで高齢者を雇用してもらって六%にするということは大変な困難を伴うわけでございますが、それを計画的にやってもらうように、私どもは出された計画に即しまして行政指導を強めていきたいというふうに思っております。 それから、産業別に見ますと、金融、保険、不動産、そういったところが特に低い、おっしゃるとおりでございます。それで、私ども、業種別の定年延長推進のための会議、そういうものを開きまして、どこに隘路があるのか、そういうことを突っ込んで話し合いをいたしまして、定年延長を促進していきたい。また、特にこういった関係につきましては、所管官庁でございます大蔵省も、関係業界に対して労働省と一緒になって指導していくというふうに言っていただいているところでございますので、そういった関係各省とも連携をとりながら進めていきたい、こんなふうに考えております。
○梅田委員 非常になまぬるいと私は思うのですね。こういうところに対しましてはびしびし行政指導をやるべきだと思うのです。 大臣にお伺いしたいのですけれども、未達成企業、これは名前を公表する、相当思い切った指導をやるべきではないかと思うのです。また、障害者雇用率制度のように、実行しないところにつきましては課徴金を取るというようなことを考えていくべきではないかと思うのでありますが、ちょっと大臣の方からその点についての決意をお聞きしたいと思うのです。
○藤波国務大臣 雇用率を達成させていくようにもつと厳しい態度で臨め、こういう御指摘でございます。私どもも雇用率を明示いたしまして、数字を出してお願いをしております以上、これは決してやわらかくとかきつくとかというのではなしに、あくまでも守ってもらう、こういう非常に強い行政の姿勢で従来も臨んできておるところでございます。ただ、高年齢者の雇用率の未達成企業の名前を公表したらどうかというような御指摘につきましては、身体障害者雇用促進法の場合のような明文の規定がありませんので、そういった形で公表して、ある意味では社会的に恥をかかすとか、あるいはおどかすとかというようなことでいくというのではなくて、あくまでも雇用率を達成して、これからの時代の動き、その中で生きていく企業のあり方ということを、しっかりと腹をくくって臨んでもらうということが中心なわけでございますから、そういう意味では、今後とも従来よりもなお雇用率達成については厳しい行政の姿勢を堅持して、目的を達成するように努力していきたい、このように考えておるところでございます。
○梅田委員 非常に不十分な答弁だと思うのですね。だから、もっと厳しい態度で、制度検討も含めて今後考えていただきたいというように要望しておきたいと思います。 それから次に、高齢者事業団というのが各地にできております。政府の対応策というものが高齢者に対しまして非常におくれておりますので、それぞれの地域におきまして、自治体の援助等も受けて、積極的に高齢者によって何か仕事をやっていこう、こういうことで進められております。これは御存じかと思うのです。私は京都市におりますが、昭和四十七年に京都市におきましてもこの高齢者事業団というものが結成されまして、そして年間約九百万円ほどの仕事を京都府から受けて、有益な仕事もしているということがございます。問題は、今度シルバー人材センターというのが労働省の一つの目玉商品として考えられて、特に大臣はこれを積極的に推進しているということでございますが、これは先ほど来質疑がございましたので繰り返しませんけれども、常用雇用対策でないという点ですね。確かに高齢者の生きがいとして何らかの社会的に有益な仕事、老人に向いた仕事をやっていきたい、そういう希望に沿ったものをあっせんしていく、そういうセンターがつくられるということはいいことではあろうかと思いますけれども、しかし現状は、社会保障の乏しい状況でありますので、恒常的に収入を得たいというのが非常に強いわけであります。そういう点で、現在あります高齢者事業団に対して国が今後どう積極的な助成策をとっていくか非常に注目されておるところでありますので、この点について一点伺いたいということであります。 それから、シルバー人材センターが全国百ほどの都市につくられるということでありますが、聞くところによりますと、人口二十万以上の都市だということになっているようであります。これはたとえば京都は、綾部とか舞鶴とか宇治等々ですでに高齢者事業団というものが自主的に組織されてやられておりますけれども、そういうところはいずれも二十万以下の都市になるわけでありますけれども、何が何でも二十万にこだわってそれ以上でなければならないというようなことでやられるのか、それとも実情に即した方向でこのセンターをつくっていこうというようにされておるのか、そういった点をただしていきたいと思うわけであります。 年齢につきましても、六十歳から六十五歳ということが対象年齢ということになっておりますけれども、この点につきましても、余り機械的にやるというのは問題があろうかと思うわけであります。 それから、公益法人の扱い、これは実際つくっていくということになると、非常にむずかしい問題が出てくるんじゃないかと思うのです。そちらの方で考えられている問題点、これがスムーズに公益法人としてつくられてやられていくという、今年度、新しい年度において発足するわけでありますから、その点の見通し、これを若干承っておきたいと思います。
○加藤(孝)政府委員 まず、シルバー人材センターについての御評価はいただきながら、こういう常用雇用を希望する人たちのやっておられる団体についてどう助成するか、こういうようなことでございますが、率直に申しまして、高齢者で常用雇用を希望する方々につきまして、これは基本的には安定所を中心とする職業紹介あるいはまた定年延長であるとか継続雇用奨励であるとか、こういうような形において現在施策を進めよう、こうしておるわけでございます。そういう意味で、こういう団体についていま具体的にどうこうということでの助成策は持ち合わせておりません。 このシルバー人材センターは、そういう常用雇用は希望しないが、何らかの形で地域社会のいろいろ就業を通じてお役に立っていきたい、こういうあれでございますので、その点についての御理解を賜りたいと思うわけでございます。 それから、人口が二十万以上という点についてでございますが、これはおおむね二十万以上、こういうことで考えております。その考え方は、何せ初めてやるものでございますので、おおむね各県平均二程度のところをモデル的に育成をして、そしてやっていこう。その場合に、ある程度の会員数、参加が予測される、またある程度地域社会のそういう仕事の集積がある、こういうようなところでまず始めよう、こういうことでおおむね二十万程度、こういうことでいっておるわけでございます。 それからまた、具体的な市の名前を挙げてのお話もございましたけれども、もともとこういうものでございますので、常用雇用を希望する人たちを会員にしておる、こういう団体は基本的な枠組みが違いますので、少なくともセンターではそういったものを補助対象には考えていないという点も御理解を賜りたいと思うわけでございます。 それからまた、六十歳−六十五歳という層を主といたしておりますが、これは何も六十五歳以上を拒否するということではなくて、健康で能力があるということであれば、そういう方々を積極的に排除するという考え方は持っておりません。 それからまた、公益法人という考え方を出しておりますが、これは、そういう高齢者の団体が地域社会の仕事を引き受けていこう、そしてまた活力ある地域社会づくりに貢献していこうということ、あるいはそういう国の補助金を扱うということでありますために、われわれとしては公益法人ということでこの辺のところはやっていきたい。特に初めてのことでございまして、そういった基盤のしっかりしたものについてまずモデル的にやっていこう、こういう観点からもそういったものを考えておるということでございます。
○梅田委員 先ほど来求人倍率の問題あるいは雇用率の引き上げ計画の問題、それからシルバー人材センターの対策という問題を聞いてきたわけでありますけれども、結局、高齢者に対する労働省としての対策というものは、現状におきましてはきわめて貧弱だ。ですから、今後の経済情勢のいかんによりまして雇用失業情勢というものはますます深刻になる可能性が強いわけであります。こういうときにこそやはり公共事業においてこれらの失業者を吸収していく、こういう積極的な対策というものが講じられる必要があるのじゃないかというように私は思うわけであります。 先日、全日自労の中西五洲委員長と労働大臣はお話し合いをされたようでございますけれども、全日自労は、御承知のように、三十年間失対事業をやってきた現場の体験を通じて貴重な改善策というものを今日提起されておるわけでありまして、労働大臣も六項目の提案という、いわゆる事業内容を多面化する、技能訓練を重視し滞留を防ぐ、事業効果の高いものにする、高齢者の問題、超過負担の解消、事業規模を適正にするという、現在の失対事業の民主的再確立ということについて非常に具体的な提案をなされておるわけでありますけれども、私自身も昔一時失対事業で働いたことがありますので、まだ若かったものですから、幹線下水道だとか側溝だとか非常に有益な、その地域社会において喜ばれるような建設事業に従事したことがあるのです。お若い人がどんどんと失業であぶれた人が失対事業に入ってきているような場合にはいろいろな事業ができるわけなのです。 ですから、私どもに言わせますと、先ほど来議論がありましたが、中高年雇用促進法においていわゆる附則二条で緊急失対法を事実上凍結したということの誤りが今日非常に明確になってきているというふうに思うのです。全体の失対の再検討期に来ておるわけでありますから、先ほど来労働省、労働大臣として、六十五国会における衆参両院の社会労働委員会の附帯決議は尊重する立場で生首は切らぬという点で言われておりますが、今日こういう状況のもとにおいてもっと前向きで民主的再確立の方向でこの問題を再検討すべきじゃないか、これをひとつ大臣に承りたいと思います。
○藤波国務大臣 先般も失業対策事業のいろいろはらんでおる問題等につきましては、先生いまお話がありましたように、中西委員長からもいろいろ伺いました。勉強させていただいたところでございます。 先ほど来お答えいたしておりますように、とにかく元気で働こうという意思と能力を持った人には仕事をつくるということは、国民のニーズに対応する政府の姿勢として行政の責任として非常に重いものがある、このように考えておるわけでありまして、今後とも労働行政のいろいろなきめ細かな展開を通じまして、その目的が達成されるように努力してまいりたいと思います。 ただ、いまお話がございました衆参両院の席上でいろいろな議論が重ねられ、附帯決議が付帯されておりますことの内容につきましてもよく承知をいたしておるところでございますけれども、失業対策事業そのものにつきましてはちょうど見直しの時期に当たりますので、この予算が成立いたしました後ぐらいに出発いたします研究会のいろいろな御審議を踏まえまして見直しをするようにいたしたい、このように考えておりますので、今後ともいろいろ御指導いただきますようにお願い申し上げたいと思います。
○梅田委員 前の田村労働大臣もあなたも中西さんの後輩だそうですけれども、自民党の中にも失対を理解する会というのをつくろうかという意見もあるくらいで、本当に失対事業は社会的に有益な仕事をたくさんしてきているわけです。そういう点で、いま答弁がございましたけれども、より前向きでこの問題に対して取り組んでいただくようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○葉梨委員長 次に、浦井洋君。
○浦井委員 まず最初に、ダンプカー運転者の問題についてお尋ねしたいわけでありますが、このダンプカー運転者の、端的に言えば労働者性の問題でありますが、これはすでに昭和五十三年の八月に労働省はその結果を発表されておるわけであります。一方総理府の方も五十三年十月に一定の結果を発表されておるわけでありますが、この総理府の資料を見てみますと前書きの中に、「行政が今後できる限り速やかに応えてくれることを期待するものであります」ということをつけ加えておるわけであります。ところが、大臣も御承知のように、最近の険しい経済状況の中で、ダンプカー運転者の実態というものはこの五十三年当時に比べるともっとひどくなってきておるわけであります。燃費は上がるし、あるいは逆に単価は下がる。必然的に長時間労働をしなくてはならぬ。過積載、過積みがひどくなる。そういう中で四年間にダンプカーを償却するということでありますから、無理をして交通事故を起こしたりあるいは健康の破壊を促進したりということが起こっておるわけであります。これはもう政府としては早く手を打つべき事柄だろうと思うわけであります。この問題の根本は、言うまでもなくわが国の建設業界、大手ゼネコンを頂点にいたしまして有名な重層下請構造にある。その中で末端の労働者がこういう形で前近代的な就労状態を強いられておる。それがますます悪循環をしてきておるということであるわけでありますけれども、やはり政府としては早く手を打つべきだというふうに私は思うわけであります。 そこで、時間が余りございませんので、ポイント、ポイントを聞いていきたいと思うのですが、この労働省なり総理府がやられた実態調査の結果としてこういうことが言えると思うわけなんです。ダンプカーの中の九割が白ナンバーでありますけれども、この白ナンバーのダンプカーの運転者がすべて一人一車の自営業者であるとは言えないと思うわけであります。逆に言えば、この九〇%の白ナンバーのダンプカーの運転者の中には使用従属性といいますか、非常に労働者性の強い人たちもかなり存在しておるのではないか、私はこのように思うわけでありますけれども、これは労働省当局の端的な御返答を求めたいと思うのです。
○吉本(実)政府委員 ただいまの一人一車のダンプカーの運転者についての労働者性の問題でございますが、なかなかむずかしい実態にございますので、私ども十分実態を踏まえた上で考えたいと思いますが、確かにおっしゃるような労働者性のある部面もあるというふうに思います。
○浦井委員 局長にもう一遍お尋ねしたいのですが、そういう労働者性の強い人たちもかなり存在するということは言えると思いますか。
○吉本(実)政府委員 ただいまのどの程度の数かということでございますが、この辺もまだ十分調査しないとわからないと思います。
○浦井委員 労働者性の強い人、使用従属性の強い関係にある白ナンバーのダンプカー運転者がおられるということは間違いないですね。 そこで、そういう人たちは当然労働基準法であるとかあるいは労働組合法というような法規に基づいて労働者としての権利を保障されなければならぬわけでありますけれども、これがいまの特別措置法、ダンプカー規制法による届け出だけでは不十分であることもこれは間違いないわけです。だから、そういうことも受けて労働省としてはみずからが十分調査をされたり、あるいは総理府が提言をしておるように、ダンプ労働者手帳を発給するということを検討しておられるようであるけれども、その内容についてはどういうことを検討しておられるのか、ひとつお尋ねをしておきたいと思う。
○吉本(実)政府委員 ただいま御指摘の土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法に基づきまして、ダンプカーの使用者の届け出のことも関連ございまして、いわゆる労働者手帳の採否、届け出制度を採用するかどうか、またはその発給の条件、こういったものについて運輸省との間で検討を進めておるところでございます。したがって、現在の段階で内容をちょっと申し上げるわけにはいかないのでございますが、少なくとも労働基準法等の関係諸法規が確実に遵守されるべきものであるという観点から、発給条件としては契約上においてこれらの諸法規の適用が明確にされるような内容のものにいたしたい、こういうふうに考えております。
○浦井委員 労働基準法等の労働法規にのっとって労働者としての要件なり基準なりを検討するというふうな御発言であったように思うわけです、それで運輸省と相談をするということなんですね。大体一応の詰めなり結論はいつごろ出ますか。
○吉本(実)政府委員 まだその点について確実には申し上げられませんが、少なくとも運輸省の方でいわゆるダンプカーに関連する協業化の問題とかあるいは届け出制度の履行ということから考えまして五月一日を目途にそういったことを考えておりますので、私どももそれとの関連で研究をしているところでございます。
○浦井委員 運輸省の場合はそういう届け出の問題あるいは協業化の問題というようなことを言われておるようでありますが、労働省としてはダンプカー運転者の労働者性というものを端的に浮き彫りにできるような方向で努力をしていっていただきたい、こういうふうに私は要望しておきたいと思うわけです。 これは労働省当局もよく御承知のように、採石業、砂利採取業、砂利販売業、建設業、その他、それから青ナンバー、マル営という形で六種類の分類が一応あるわけですけれども、これが全く形式的になっておるわけです。だからここに、もちろんいままでの経過を見ておりますと、マル営、マル石、マル砂、マル販、マル建、マル他ですか、という中にマル労を加えるというような話が当然出てくるわけでありますが、まだこれだけではきわめてあいまいであるわけなんです。 大体いまのお話を聞きますと、使用者が認めたものについてだけマル労にするというのも、これまたどうかとも思うわけです。その辺は非常にむずかしいだろうと思うのです、労働省当局として判断するのも。しかし、いずれにいたしましても、労働省関係の基準局、監督署、あるいは労働委員会であるとか労働保険審査会などではいろんな係争があって、実態上雇用関係にあるということで、使用者に対して労働条件の改善であるとかあるいは労働組合としての団結権とか団体行動権、こういうようなものを認める指導をしておるというのがいままでの経過であるわけなんですから、やろうと思えば、根を詰めてやればやれるというふうに私は思うわけであります。だから、そういう点でひとつこれからも努力をして、五月一日というお話でありますけれども、早く労働者性を浮き彫りにするような形で結論を出していただきたい、このことを要望したいと思うのですが、ひとつこの辺でお答えを願いたい。
○吉本(実)政府委員 先ほど申しましたような経緯でありますので、もちろん先生のおっしゃることもよくわかりますが、その辺の期日をいつということをいまここでお答えするわけにはちょっといかないと思いますが、御要望の趣旨はよくわかります。
○浦井委員 だから、少なくとも労働省として、先ほど申し上げたように、大手ゼネコンを頂点にしてずっと重層下請構造があって、その末端でダンプカー運転者というのは働かざるを得ない、そしてまた、そういう人たちがなければ全体が動かないという存在でありますから、そういう末端で働く人々の就労の実態をよく把握をしていただいて、そして車持ち労働者としての立場を確保できるような指導を事業主に対して強化していっていただきたい、このように私は要望したいのですが、大臣、何か御意見ありますか。
○吉本(実)政府委員 私どもも先生方の御要望の趣旨はよくわかりますが、何分実態をきちんとして、その上で判断しないといけませんので、その点をひとつ御了承願いたいと思います。
○浦井委員 大臣も大体はおわかりになっていただけると思うのですが、問題の所在を。やはり非常にひどい状態であるわけなんですよ。その中からいろいろな事故も多発をしておるわけなんで、過積載はやらなくても済むように、長時間労働をやらなくても済むように、しかも九百万、一千万という値段でありますから、それを償却しなければならぬわけなんです。その辺で、いま基準局長と議論をしたようなことを十分に踏まえていただいて、行政当局を指導していただきたい、このように思いますが、一言。
○藤波国務大臣 御指摘の点はよく理解ができますので、今後実態等もよく調査を進めつつ、従来の経緯もあることでございますから、担当者とよく検討してまいりたいと思います。
○浦井委員 ダンプカー運転者の問題はその辺にいたします。 そこで大臣に、この間、所信表明をお聞きしたわけでありますけれども、その中に、「次に、労働時間対策の推進でありますが、労働時間の短縮、週休二日制の推進につきましては、労働者の福祉の向上という観点のみならず国際的な協調の推進、長期的な雇用確保という観点からもその必要性は一層高まるものと考えられます。このため新しい雇用対策基本計画に示しておりますように、労働時間の水準を昭和六十年度までに欧米先進国並みに近づけるという目標に向けて、産業別労使会議等による行政指導を強化してまいる所存であります。」こういうことを言っておられるわけであります。 大臣もよく御承知のように、わが国の労働者というのは、諸外国に比べると概して長時間働いておるということは間違いのない事実だと思う。だから、こういうことを言われた。長時間働いておる理由、働かざるを得ない理由というのは一体なんでしょう。
○藤波国務大臣 一般的にいままで非常に長い労働時間で来ておりますから、その仕組みの中で働き、かつ生活してきた、こういうことだと思うのです。しかし、個々にはいろいろな理由がある。長い時間働いてかぜがなければ食っていけぬという人もあるでしょうし、長時間労働というようなことで企業が伸びてきたというようなところもありましょうし、いろいろな理由が一人一人によってあるというふうに思いますけれども、いまも申し上げましたように、勤労者の生活の質を高める、福祉を増進する、そして経済が非常に国際化しておりますから、国際競争をいろいろやっていくについて、労働時間であるとかそういったことについては、同じベースで相撲をとるということは、各国とも日本に対する非常にむずかしい要求になってきているというようなことも含めて、労働時間というものは世界的に通用するような構えでいかなければいかぬというようなことも国際的に考えることもこれからの国際的な非常に重大な一つの課題である。それやこれやで、六十年度にはぜひとも先進諸国並みの労働時間に持っていくようにしたい、こういうふうに申し上げているわけでございます。
○浦井委員 それは一般的なお話で、労働行政のサイドからいきますと、やはり週休二日制の立ちおくれであるとか、あるいは年次有給休暇の日数が少ないとか、しかもこれが完全に消化をされておらないとか、あるいは長時間の残業が常態化しておるというようなことが、やはり全体としての数字の上で西欧先進国よりも長時間労働者が働いておるという原因だろうと私は思うわけであります。だから、そういう点で、いま大臣の所信表明を読みましたけれども、「行政指導を強化してまいる所存であります。」というようなことで済ましておれないような状態ではないか。むしろこの際、いま言われておりますように、週休二日制であるとかあるいは賃下げなしの労働時間週四十時間制、こういうものの法制化に踏み切っていく、そういう前向きの決意を新進の若手の大臣としてされるべきではないか、私はこのように思うのですが、どうですか。
○藤波国務大臣 これは行政指導で進めていく性格のものもありますし、また法律改正をしなければいかぬということに至る筋のものもございますし、いろいろでございますけれども、姿勢といたしましては、いま申し上げましたように、昭和六十年度に先進国並みの労働時間というふうに持っていくようにあらゆる努力をしていくということをお答えいたしたいと思います。
○浦井委員 やはりきちんとした週休二日制あるいは賃下げなしの週四十時間制というものの法制化がいまこそ必要ではないかと私は思いますので^大臣に要望をしておきたいと思います。 そこで、それに関連をして一つの事例を取り上げてみたいわけでありますけれども、大臣も御承知のように、景気が回復をしたというようなことで日本の大企業はかなり利潤が上がってきておるといいますか、決算でかなり収益が上がってきておるわけなんです。これはいわゆる不況時代に、不況だということを名目にして人減らし合理化をやって、強引に減量経営をやったということが一つの大きな原因になっておるわけでありますけれども、たとえばこういう数字があります。 日本屈指の大企業であります三菱重工の神戸造船所でどれくらい人が減っておるか。一九七六年四月一日、実在人員が九千七百五人、これが去年の七月には七千三百六十一人、二千三百四十四人減っておるわけです。売り上げなり収益なりはふえておるわけなんです。さらに、三菱重工神戸造船所は八〇年十月一日の予定として、人員を、この七千三百六十一人から六千五百五十人にしようということなんです。そういう中で千三百七十五人の出向者がいまだに三菱という企業に帰れずに、非常に残酷な労働を強いられておる。これは省略いたしますけれども、いままで全然経験のなかったような、しかも非常に粗雑な労働施設の中で働かされておる。ところが最近、大臣も御承知のように、三菱の場合には造船部門というのは二五%ぐらいになっておるわけですね。あともう重機であるとかあるいは原子力、こういうもので、多角経営で非常に安定した企業収益が上げられるような仕組みになってきておるわけでありますが、全体としては受注量が急増して、その少ない従業員は残業が慢性化してきておる。出向者を引き戻そうということでなしに、いまの少ない人員で、残業をやらして、それで賄おうというようなことであります。だからこういう点、早く労働省として傾向を見抜いて、労働者の健康を破壊するような、休養も十分にとれないような、そういうやり方をやめて、出向者を戻すなり、あるいは解雇規制するなり、こういう指導なり、あるいは法的規制なりをすべきだ。私は、時間がないので質問を省略しますけれども、やるべきだと思うのです。最近は非常にひどいのです。ずっと人が減ってしまって、その減ったままの人間で今度は前よりも大きな受注量をこなしていかなければならない。 そういう中でどんなことが起こっておるかといいますと、原則代休という現象が起こってきておる。これは、仕事があるので労働者に休日に出勤しなさい、休日出勤をさせると、今度は八週間以内に無給で代休をとらせる、こういうかっこうなんです。これが一九七八年四月から労使協定で決められて、実施されてきておるわけです。そこで、たとえば昨年六月の実態を見てみますと、休日出勤三日の人が二百四十六人、四日の人が八十三人、五日の人が二十五人、延べ日数が千百九十五日というような休日出勤をさせられて、そしてそれに見合う代休をとらされておる。だから、こういう人たちは必然的に、自分たちが自由にとれる年次有給休暇があっても、原則代休を押しつけられるものですから、なかなかとれないというような状況であるわけです。これに対して、私は、去年の七月だったと思うのですけれども、基準局に対してこの実態を調査するようにということを言ったはずでありますけれども、この実態は労働省として把握をされておるのかどうか、ちょっと聞いておきたい。
○吉本(実)政府委員 ただいまのは昨年のお話でございますが、昨年の九月に、いま先生のおっしゃったようなお話がございまして、九月十二日に監督調査をいたしまして、その結果口頭で指示をしたというような経過がございます。
○浦井委員 口頭で指示をしたということですが、その後直っているのですか。
○吉本(実)政府委員 その後の実態につきましてはさらに調査をしておる次第でございますが、現在のところ、その点についてはまだ変わってないように思っております。
○浦井委員 大臣、口頭で指示をした結果、まだ直っておらぬということなんですよ。大臣も御承知だと思うのですけれども、五十三年五月の労働時間対策の推進についてという次官通達では、当面の対策の重点として、一、過重な所定外労働時間の削減、二、年次有給休暇の消化の促進、三、週休二日制の推進、こういうことが言われているわけでしょう。この次官通達を日本屈指の大企業が公然と踏みにじっておると言わざるを得ないと思うわけです。どうですか。これはもっと厳重に指導しますか。
○藤波国務大臣 先生から御指摘のありました、非常に不景気の時代に減量経営に踏み切って、不景気の時代をくぐり抜けてまいりましただけに、常雇いの方々には非常に過重な形になっているとか労働条件がいろいろ厳しいことになっている、労働者の側から見ていろいろ問題があるというような事例は耳にするところでございます。先ほど労働時間のところで申し上げましたように、これからなおさら分かち合う時代ということを考えれは、ごく限られた人が無理な労働をして生きていくという時代ではなくて、できる限りみんなが分かち合うことを考えていかなければいかぬ、一般的にはそんなふうに思います。 いま御指摘の問題につきましては、労働基準法等の法律に違反をするという事例ではありませんので、好ましくない事例として指導してきたというふうに聞いておるのでございますが、改善されていないといたしますならば、好ましくない状態が改善されるようにさらに行政指導をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○浦井委員 基準法に違反はしておらないけれども好ましくないというお話でありますが、私は、この制度をずっと調べてみますと、労基法の三十九条、年次有給休暇取得の権利を侵害する、この疑いが非常に濃いと思います。それからさらに、代休ですから休業手当なしで無給です。だから、労基法二十六条の休業手当の支給の規定にも違反をする疑いが非常に強いと私は思うわけです。そういう点で、企業に対する思い切った指導をやっていただきたい。 大臣にもう一つ申し上げておきますけれども、この三菱重工神戸造船所では、原則代休の制度のほかに調整代休というのを、やはり不況で減量経営をやる際にやった。これは残業をやらして、その残業時間が八時間たまると、八週間以内に一日代休をとって休めというやり方でやった。これはさすがに労働組合も反対をいたしまして、この調整代休という制度はもうなくなったわけなんです。しかし、いま申し上げた原則代休、休日出勤を指示して、それで出てきたら、その分だけ後で代休をとって休め、そうしたら労働者の方はどうなるか。年次有給休暇がとれないようになるわけです、原則代休が先行しますから。それから、給料がどれだけ入るかわからぬわけです、その月の休日出勤の日にちによってずっと上がったり下がったりしますから。計画が立てられないわけなんです。それよりも何よりも休めないわけなんです。だから、こういう状況をほっておいてはならぬと思うわけです。先ほど私申し上げましたように、幸か不幸か、その後企業の方は仕事量もふえて、残業もふえてきておるという状況でありますから、これは早速実態を調査して、企業に対して、原則代休制度というような基準法違反まがいのことはやめておけというような指導をしていただきたいと思いますが、どうですか。
○吉本(実)政府委員 ただいまの先生の御指摘でございますが、ことしの二月二十一日に、先生も御承知のように、所轄の監督署に対しまして申告事件として出ておりますので、その調査を現在やっておるところであります。先月の末にも実施に入っておりますし、その調査結果を待って対処することといたしますけれども、先生のおっしゃるように、いわゆる原則代休それ自体は法律違反ではないと思いますが、それを理由にして有給休暇の取得を阻害するようなことであってはならぬと思いますので、その点についてもなおいろいろ調査をした上で指導してまいりたいと思います。
○浦井委員 基準局長からそういうお話がありましたが、こういう実態を私から聞かれて、大臣、ひとつ決意のほどを最後に聞かせていただきたい。
○藤波国務大臣 いま局長から申し上げましたように、調査中のようでございますので、調査を急ぎまして、調査の結果に基づきまして対処いたしたい、こう考えております。
○浦井委員 終わります。
○葉梨委員長 次に、小渕正義君。
○小渕(正)委員 予定の質問の前に、ただいまの質疑の関係から緊急に御質問申し上げます。 ただいま質疑が交わされた中で、三菱重工神戸造船所での代休制度は好ましくないと労働基準局長は答弁されましたが、いかなる根拠でそのようなことを言われて曲るのか。私も同じく労働組合の役員をしてきた立場から申し上げますならば、労働者としては生活設計上、休日出勤してそのまま引き続き代休をとりたくない気持ちもあることもあります。しかし私たちは、どちらかというと長時間労働を避けるということから極力代休を活用することを指導することもその状況の中ではあり得るわけです。しかるにまた、基準法の中にも代休を与えなければならないということもあるわけです。そういう中で、好ましくないということは、どういうことでそういうことを言われたのか、これはきわめて重大な発言でありますから、その点いま少しはっきりしていただきたいと思います。
○吉本(実)政府委員 お答えいたします。 私は、原則代休自体は法違反ではないという前提で、それを理由にして年休の取得が困難になるようなことであってはいかぬ、そういう意味で申し上げたわけでございます。
○小渕(正)委員 最初のあなたの答弁ではそういうふうじゃなかったわけですよ。先ほどの答弁で初めてその点が触れられたわけです。だから、その点だけはっきりしてください。私たちも恐らくそうだと思います。代休を有給休暇に振りかえる運用は当然されていると私は思います。だから、こういう公開の席上で、誤った見方でそういう質疑が交わされることは場合によっては非常に問題ですから、当事者たる者、もっとしっかりした状況をつかみながら明確な答弁をすることを特に要望しておきたいと思います。特にこういう公開の場における質疑の内容は非常に重大ですから、当局はくれぐれも慎重な発言をお願いいたします。 その点ひとつ大臣から見解をお伺いします。
○藤波国務大臣 ただいま局長がお答えをしたとおりでございます。
○小渕(正)委員 時間がないので、それ以上は申し上げません。 先般、労働大臣の労働行政全般にわたる説明がありましたが、それに関連して御質問申し上げたいと思います。 まず、大臣にお尋ねいたします。 現在、わが国はILO条約の批准をどれくらいして、加盟国の中で大体どの程度の位置にあるか、大臣は御承知ですか。
○藤波国務大臣 現在三十六のILO条約を批准いたしておりまして、これは加盟国の平均の三十三をやや上回る数字である、このように心得ております。
○小渕(正)委員 いま大臣から御答弁がありましたが、わが国が加盟国百四十カ国の中で三十三位、これは七八年のときの資料でございますけれども、要するに百五十三の条約の中でわが国が批准した条約は三十六でありますね。そういったことで、まだかなり未批准のものがあるわけでありますが、労働省として、これらのILO条約の批准についてのこれからの方針というか考え方というか、そういうものについてお尋ねしたいと思います。
○藤波国務大臣 わが国はILO条約の批准に当たりましては、条約の細部にわたりまして国内法令との非常にきめの細かな厳密な整合性を確認することにいたしております。したがいまして、国内法もきちっと整合性が整っている、こういう形になった場合に批准をするということになって今日まで来ておるわけでございます。したがいまして、批准までの検討にそれぞれ多少の時間を要して今日まで来ておるところでございますが、一たん批准した条約につきましては、いま申し上げたような意味で、国内法とも整合されて非常に厳格に遵守してきておるというふうに私どもとしては理解をいたしておるわけでございますし、またそのために努力をいたしてきておるわけでございます。 しかし、ILO条約は労働分野におきます基本的な国際基準を設定するものでありまして、世界の中での先進国として積極的に批准の促進を図っていくべき必要性があるというふうに考えております。先般ILOのブランシャール事務局長が来日いたしました節にも、時間をかけていろいろ話をいたしましたが、日本としてもさらにそういった姿勢が望ましいというような話もございましたし、また労働省としてもそんなふうに考えておるわけでございまして、今後ともこういった方針にのっとりまして、ILO条約の批准につきましては建設的に、前向きに検討を進めていくようにいたしたい、このように考えておるところでございます。
○小渕(正)委員 建設的に、前向きにという言葉はきわめて抽象的であります。具体的に御質問いたします。 主要条約十七のうち、わが国は未批准の分が九条約ございます。これに対しては、労働省としてはどのような考え方を持っておられるのですか。
○谷口(隆)政府委員 ただいま大臣から答弁ございましたように、できるだけ積極的に批准するという立場で、省内で、あるいは関係各省と関連するものにつきましては十分連携をとりながら検討いたしておるわけでございますけれども、いまお話のありましたように、批准したものは厳格に、誠実に守るという観点から、国内の法律との整合性について十分詰めていく必要があるということで、現在そういう主要な条約については特に慎重に検討いたしておる状況でございます。
○小渕(正)委員 そうすると具体的に、たとえば来年度いっぱいぐらいにはこの条約については何とか批准できるような作業を進めたいとか、そういった一つの目標を設定した作業は進められておるのかどうか、そこらあたりを御質問します。
○谷口(隆)政府委員 御指摘の主要な条約につきましては、特に批准を進めるという観点で慎重に検討いたしておるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、批准した条約は厳格、誠実に守るということで、国内法制を整備した上で批准するという立場を政府としてとっておりますので、物によりましては時間のかかるものもございますし、この時点でいつまでということは必ずしも申し上げられないわけでございます。その点を御理解いただきたいと思います。
○小渕(正)委員 いまの御答弁からいくと、まさにやみくもな感じがいたしました。少なくとも労働行政として一つの目標を設けながら、それに対して批准を促進するということがやはり好ましいのではないかと思うのです。ただ、いろいろな関係での整合性を求めるための作業が手間がかかるかもわかりませんが、少なくとも何か年次計画かなんかを立てながらやらないことには一つも進歩がないのじゃないかと私は思います。 ちなみに、現在までの状況を見ますと、わが国は三十六条約批准したと言っておりますが、そのうちの十四は戦前に批准したものです。しかも戦後、三十年までに批准したものが七つであります。それを考えますと、三十年以後十五条約だけしかやっていないということになるわけですね。そんなことを考えますと、特に今度の労働大臣の所信表明の中には「婦人少年対策の強化」という項をうたわれながら、婦人就業援助対策の充実強化を図っていきますとかなんとかいうことも言われておるわけでありますが、先ほど私が質問いたしました主要条約、百三号母性保護に関する条約の批准、この点はそういった労働行政の面、こういうテーマからいくならば当然真っ先に批准されてしかるべきものではないかと思いますが、この点についての当局の見解をお尋ねいたします。
○谷口(隆)政府委員 百三号の母性保護に関します条約は、母性保護のために、女子の権利といたしまして産後の強制的休暇期間を含む少なくとも十二週間の出産休暇とか、育児時間につきまして労働時間として計算され、かつ報酬が支払われなければならないというような内容でございますけれども、出産休暇の期間につきましては、現在の基準法で産前産後六週間とはなっておりますけれども、医師の許可を条件として五週間とすることができるとか、あるいは出産休暇中の給付につきましても健康保険法で出産手当金が標準報酬日額の百分の六十であるとか、そういう点で法制上この条約に該当しているかどうかという点につきましてなお問題もございますので、そういうものの検討、あるいは内容によっては改正をいたさなければ批准をできないのじゃないかということもあろうかと思います。そういうことを含めて検討を進めていかなければならぬと思っておるわけでございます。
○小渕(正)委員 先ほど申し上げましたように、戦後は二十二の条約しか批准していない。しかも、現在までわが国がGNP世界第二位だとか経済大国だとかいろいろ言われ、先進六カ国の主要メンバーである、そういうことでいろいろ言われておるわけでありますが、事ILO条約の批准という面から見るならば、まさにわが国はまだまだ後進国並みであります。日本人が働きバチだとかウサギ小屋だとか、国際世論の中でいろいろととかくの批判を受けておることの一つとして、私はやはりこういった問題を見逃すわけにはいかないと思うわけであります。少なくとも国際社会の一員としてその責任をわが国も果たしていくためには、こういったILO条約に対する積極的な熱意を持ってもっと早急に批准を進めるということがわが国の労働行政の基本でなければならないと私は思うわけであります。いままでの質疑応答の中からは、そういう意味での労働行政の積極性というものが聞かれなかったのを非常に残念に思います。少なくとも先進主要国並みぐらいは、いかにわが国の国情がいろいろあるにいたしましても、ここまでわが国が国際社会の一員として重要な地位を占めておるわけでありますから、こういった問題を見てみましてもやはりそれに近づくという努力をするべきだと思いますが、そういう意味でひとつ労働大臣のこれに対する決意のほどをお尋ねいたします。
○藤波国務大臣 非常に貴重な御指摘をいただきまして感謝をいたします。国内法としっかり整合させて厳格に見守っていくということにおいては先進国だと思いますけれども、批准しておる数の上では中進国だ、こういうふうに考えなければいかぬかと思うのであります。日本の場合には、国内法との関係を整備してから批准にかかるということはほかの国よりもずっと厳格なようでございまして、そのことは非常にいいことだと思うのでありますけれども、そのことによって、本数が非常に少ない、国際的に見ても先進国であるはずの日本がどうだということになりますと、そのことがやはり問われてくるというふうにも思います。そういう意味で、一本一本検討してきておるわけでありますけれども、さらに批准の方向に向かって前進をいたしますように作業を進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
○小渕(正)委員 ぜひ労働行政の大きな柱の一つとしてこの問題を積極的に推進されることを特に要望しておきたいと思います。 次に、高齢者の労働者対策の総合推進という問題でございます。 大臣も初めに、わが国のこれからの社会構成上、高齢者社会へ大きく移行するということから、中高年齢者に対する対策がきわめて重大であるということを言われたわけであります。そういう意味で、私は労働省の予算その他方針書を見ながらいろいろ感じておるわけであります。 まず一つは、財団法人高年齢者雇用開発協会の活動の充実強化また助成、こういう一つの項目がありますが、これは具体的に一体どういうことをやろうとしておられるのか。それからあと一つ、中央、地方の業種別労使会議、これは中央の六業種と地方の三業種です。それから、地域別定年延長研究会、こういったものとの兼ね合い。労使会議をやるとか地域別定年延長研究会をやるとかということ等がいろいろ出ておるわけでありますが、業種別労使会議の場合における中央の六業種と地方の三業種というものは、一体どの業種を考えておられるのかということと、地域別の定年延長研究会というのは一体どういう形のものなのかということ、以上三点について御質問いたします。
○関(英)政府委員 最初の高年齢者雇用開発協会でございますが、これは高年齢者の雇用安定、適正な労働条件の確保等、高年齢労働者をめぐる問題について調査研究、情報資料の収集提供、事業主に対する相談指導、そういうことを行うことによりまして高齢者問題の解決に資し、高齢化社会への円滑な移行に寄与することを目的として、事業主団体の発意のもとに、五十三年九月に設立された財団法人でございます。この協会は、政府の施策に対応しながら事業主の自主的活動として高年齢者の雇用問題に取り組んでいるところでございまして、労働省としても、この協会の活動を積極的に助成して高齢者対策を進めていきたいと考えております。 具体的に何をやっているかということでございますが、五十四年度約二億円の業務委託を労働省からいたしております。内容といたしましては、高年齢労働者の問題に関する情報資料の収集整備あるいは高年齢者の雇用開発のための効果的な措置を講じている企業を対象とした事例調査を実施する、それから高齢者の雇用開発に関して講じられている対策を概観するためのアンケート調査を実施する、それから実践的なマニュアルづくり、高齢者の雇用開発のための手引きをつくる、そういうことのための事例研究あるいは資料の作成をして配付をする、それから雇用開発に関する実務講習会の開催、そういうようなことをやっているところでございます。来年度は三億円の助成を図りまして、特に定年延長に伴う賃金、退職金等のコストアップをシミュレーションで計算して、どういうふうにしたらどのくらいのコストアップになるかというような個別企業の相談にも応じられる体制をとってもらうとかいうようなことでいろいろ活動を広げていってもらいたいというふうに考えております。 それから、二番目にお尋ねの定年延長についての中央、地方の業種別労使会議はどんなことを考えているかという点でございます。 対象となる業種につきましては、来年度に入って具体的に決めるわけでございますが、考え方といたしましては、平均的に見て定年年齢が低く、定年延長の取り組みがほかから見ておくれている業種を選びまして、中央、地方において業種別の労使会議を開催していきたいと思っております。地方におきましてはそのほか、その地方の事情といったものも勘案して業種を決めることになりますが、考え方としてはそういったことを考えております。 地域別定年延長会議とどう関連するかということでございますが、この地域別の定年延長研究会は、地場産業の事業主に対しまして、定年延長に伴う賃金、退職金あるいは人事管理といった問題についての具体的改善の方法につきまして、地方の労働基準局が指導援助することを目的とした研究会でございます。
○小渕(正)委員 先ほどの質疑の中でも、シルバー人材センターの育成援助の中身についての一応のお話が出ておりましたので、この点については省略いたしますが、いろいろ労働省から出された資料を見てみますと、中高年齢労働者職業福祉センターとか人材銀行の増設、高年齢者職業相談室、そういう盛りたくさんなものを設けられて取り組まれている、その姿勢については十分理解できるわけでありますが、そういうものの業務の関連性、一貫性というのは一体どのようになされているのか、私は不勉強かもしれませんがちょっと疑問に思うわけであります。 特に、これは前回、別の機会にも申し上げましたが、中高年者雇用対策、離職者雇用対策、いろいろな項目にわたって労働省が労働行政のいろいろな施策をされているわけでありますが、余りにも複雑で、しかも繁雑なこともありますし、わかりにくいこともあって、余り活用されてないという一面があるということで、いまこういうふうにたくさんの項目を挙げて取り組まれようとしているのでありますが、結果的にはまたああいう形になるのではないかという懸念を持つのであります。 そういう意味で、簡単に言いますが、そういうそれぞれの業務の流れというか、一貫性というものが、果たしてどのような形でとられているのか、お尋ねしたいと思います。
○関(英)政府委員 高齢者対策についての業務のやり方を簡単に申し上げますと、まず第一線機関としては、公共職業安定所において高齢者の雇用促進あるいは定年延長の指導、こういったものをまとめてやるわけでございます。 その安定所の一部ではございますが、人材銀行という名前で、特に専門的な技術を持っている人、専門的な管理能力を持っている人につきまして、特別の窓口といいますか、別のところに人材銀行という名前で安定所の出先を置きまして、そこでそういった専門的技術者、管理者のあっせんをいたすとか、あるいはターミナル職業相談室というような形で、人の一番よく集まるところで、パートタイムの雇用まで含めてあっせんをするとかいうような形で、できるだけ手足を広げまして求職者のお役に立つようにするというのが基本でございます。 それからもう一つ、高齢者に関しましては、市町村の窓口に高齢者がよく相談に参ります。これは生活相談から結婚相談からいろいろなことを相談に参ります。その中にやはり職業相談もある。そこで、市町村の重立ったところに高齢者の職業相談室というのを、安定所のいわば出先と言うとおかしいのですが、市町村の窓口を借りまして、そこに職員を置きまして、生活相談の中の一環としての職業相談をやるというようなこともいたしております。 それから、お話にございました中高年齢労働者の福祉センターと申しますのは、中高年齢労働者の職業講習とか職業相談とか、あるいは職業情報の提供を行う、それだけではなく、また健康保持のため、あるいは教養とか趣味とか、そういうものの生きがいのための場、そういうものを総合的に提供して、中高年労働者の活力ある活躍を願うといった意味での福祉施設として、中高年労働者福祉センターを建設しているところでございます。
○小渕(正)委員 次にお尋ねしますが、五十四年度初めての試みだと思いますが、雇用開発委員会をとりあえず全国五つの地区を指定して設けられたと思いますが、まだこれは期間的には余り時間を経ておりませんけれども、一応労働省としてつかんでおるところで、これらの雇用開発委員会の活動状況を大体どのように把握されておるか、把握されておる状況についてひとつ御説明いただきたいと思います。
○関(英)政府委員 お尋ねの趣旨は、昨年の国会で特に御要望があり、地方に雇用開発委員会を五つ設置することが決まった、その地方におきます雇用開発委員会の活動状況のことだろうと思いますが、中央にも雇用開発委員会というのを置きまして、中央でも実はやっておるわけでございます。 中央の方から申し上げますと、中央は、これまで六回にわたって委員会を開催しまして、第三次産業の実態や雇用増加の内容がどんなものであるか、あるいは特に必要とされる職業情報の作成、これをどんな内容でどんなものをつくっていったらいいか、将来の雇用職業構造の見通し、そういうものに関します研究ということを積み重ねておりまして、今後そういう将来見通しの上に立って、特にこれから雇用増が見込まれる三次産業を中心に、どういう職種は将来どのくらい雇用増が見込まれるか、その職種につくためにはどこで職業訓練を受けたらいいか、あるいはどこで講習を受けたらいいか、あるいはどんな資格を取ったらいいか、そして、そういう資格なり訓練を受ければ、現在の労働市場のもとでは労働条件はどうか、将来見通しまで含めての職業情報を作成していくということを大きなねらいとして、今後さらに研究を続けていただくように考えておるところでございます。 また、地方につきましては、五道県に開発委員会を設置したわけでございます。現在まで大体数回程度会合を重ねております。構成は、地方の場合には、行政側のほか公労使、いわば四者構成の委員会となっております。具体的に申しますと、まずその地方におきます雇用失業情勢がどう推移してきたか、あるいは産業構造がその県ではどういうふうに変わってきたか、あるいは特に雇用増が見込まれます三次産業がどんなふうに変化してきたか、そこの雇用実態はどうであるかというようなこと等を種々検討をいたしました。これから、今後どんな産業構造が見込まれるか、あるいはどんな方面に雇用増が見込まれるか、三次産業の雇用がどんなふうになっていくかというようなところに、さらに検討を伸ばしていこうといいますか、検討を続けていこう、概括的に申しますとこういうことになっております。
○小渕(正)委員 高年齢者層対策の中には、一つは、定年延長問題があると思いますし、一つは、いままでいろいろ質問いたしましたそういう姿勢、いろいろなものを利用しての活用という問題があろうと思うのでありますが、先ほどからの質疑を伺っておりましたけれども、定年延長問題については、労働省としては雇用審議会の結論待ちというような感じがしておるわけであります。もちろん、この定年延長問題は非常に複雑多岐にわたる問題でありますから、そういう点の慎重さはわかりますが、ただ雇用審議会の結論待ちだけではやはりいかぬのじゃないか。労働行政上、定年延長をいかに促進するかということでの環境づくりという立場で、もっといろいろ取り組むことがあっていいんじゃないかという感じをわれわれは持っておるわけであります。もちろん現在、定年延長した場合における給付金といいますか、奨励金ですか、そういう制度もありますが、必ずしもそういう制度だけで万全じゃないと思いますし、特に定年延長という場合における問題は、かなりこれはどちらかというと労使ということに限られた問題でありますから、そういう意味では、ひとつそれぞれの産業別にそういった、一概に定年延長をただ六十歳までやるということでは、必ずしもそのまま受け入れられないような業種、業態等いろいろあるわけでありますから、そういう点でもっとこれは、先ほど業種別労使会議ですか、中央でも六業種くらいと言っておられたようですが、もっと幅を広げた、そういう意味での労使会議等を労働省の肝いりで設置して、もっともっと環境づくりを促進する、こういうことが必要でないかというふうに思うわけであります。いまの計画では中央の六業種くらいということだけでありますが、そこらあたり、もう少し幅を広げて、もっと広範な中でこういう問題が議論されるような、そういう点についてはどうお考えですか。
○関(英)政府委員 先ほど労使会議についてお答え申し上げたわけでございますが、たとえば中央に雇用問題政策会議というようなものを設けまして、事業主側、組合側、それぞれの側を代表する代表的な方々にもお入りいただいておりまして、そういうところでいわば雇用問題の産業労働懇話会、産労懇版としてそういうものも活用いたしまして、全体的な機運を盛り上げていきたい、こういうふうに思っております。六業種の定年延長推進の労使会議だけが労使のコンセンサスを進めていく場だとは思いませんし、いろんな場を活用して進めていきたいと思っております。 また、昨年秋の鉄鋼なりあるいは私鉄の労使の合意、こういったものが非常に大きな波及効果を持っておると思いますが、ことしの春闘におきましても、大きな産業において賃上げはもとより重要な問題でございますが、同時に定年延長の問題が春闘における非常に大きな課題として取り上げられてきております。私どもとして、そういう動きも十分注目しながら、時に応じて行政指導を強めていきたいというふうに考えております。
○小渕(正)委員 先ほども申しましたように、定年延長問題は、どちらかというとわが国の社会慣習を大きく変えなければいかぬような問題も含まれておりますし、従来までの年功序列型の賃金体系も変えていかなければいかぬような問題もありますし、非常に多岐にわたる問題を含んでおるだけに複雑でありますから、それだけにまたむずかしい面もありますけれども、そういう点では、これからもぜひ——それぞれの産業形態の中では、六十歳定年、六十歳定年と言っても、やはり配置転換して仕事を変えなくては、六十歳で就業できないような立場の業種もありますし、いままでのとうとい経験をそのまま生かしていかれるような業種もあるわけでありますから、そういう意味では、ただ定年延長だけ論じても、非常にむずかしい問題があります。それだけに、そういったそれぞれの業種、業態に合った定年延長というのはどういうふうにあるべきか、こういうものを、もっとひとつ専門的な、ここでは先ほどいろいろ言われたようなことで取り組んでおられると思いますけれども、そこらあたりをもっと考えながら取り組んでいただきたいと思います。 特にいま定年延長の奨励金でも、果たしてこれをどれだけの企業が承知されておるかということを聞いた場合に、私は疑問なしとしません。ああ、そんな制度があるのかという企業の人は非常に多うございます。また、ただこういうお金をこういう形でやることが定年延長につながるかというと、それぞれの産業、業種の置かれておる実態から、必ずしもそれだけでは解決できない問題がたくさんあると私は思いますから、そういう点では、この問題については積極的に環境づくりのためにいま一段の労働行政としての努力をお願いしておきたいと思います。 それからあと一つ、高齢者雇用対策の中で、確かに高齢者としても、これは社会の宝ですから、でき得るならばいままでの経験を生かせるような仕事におつきになるのが一番好ましいわけですが、必ずしもそういうことだけにはいかないと思いますが、高齢者に向くような仕事もまたいろいろあると思います。そういう意味で、いろいろな機関の中で取り組みもされておりますが、政府関係機関の中で、たとえば道路公団なんかのああいった作業は、少なくも六十歳以上の人たちでやらせなければいかぬとか、高齢者に対して新しい職場を開拓するために、法的まではいきませんが行政指導なりそういうものを率先して、政府関係部内の中にもそういう目で見たらいろいろな仕事があるのじゃないか、そこらあたりを政府自身は現在どのように取り組まれておるか、具体的な例があればひとつお示しいただきたいと思います。
○関(英)政府委員 先生御指摘のとおり、定年延長に当たりまして非常にむずかしい問題は、一つは賃金、退職金といった年功的なものをどういうふうに見直していくか、労使で十分話し合うことが重要でございます。 賃金、退職金のみがよく言われますけれども、もう一つ非常にむずかしいことは、人事配置上の問題でございまして、高齢者に本当に適した職場があるか、あるいは高齢者になった場合の人事上の処遇をどうしていったらいいのか、これは先生御指摘のとおり、業種、業態によって本当に非常に違うわけでございまして、そういう意味で、定年延長を推進していくに当たりまして、ジョブリデザインといいますか、職場の再設計というようなことを考えて高齢者に合ったようにしていくとか、新しい高齢者向けの職場を開発していくとか、処遇制度を改善していくとか、専門職制度を導入するとか、いろいろなことが考えられますけれども、抽象的にそういうふうに言っていても解決するわけではございませんので、やはりその業種、業態に合ったものを進めていかなければならない。そういう意味で、先ほどちょっと高年齢者雇用開発協会のところで申し上げましたように、私どもいろいろな事例を収集いたしまして、そういった職場の問題のノーハウというものを蓄積しましてお役に立てていくことが非常に重要だろうと思います。業種別の会議におきましてもそういう問題を十分論議していくようにしたいと考えておるわけでございます。 その点に関連いたしまして、政府機関でそういった高齢者に適した職種があるのではないかという御指摘でございますが、政府関係機関での高齢者の雇用の促進につきましては三十三の職種につきまして高齢者の雇用率を決めております。全部申し上げると時間がかかりますので一、二申し上げますと、たとえば守衛とか管理人につきましては中高年齢者を七五%雇わなければならない、こういうことにいたしております。それから、小使さんとか雑役、清掃、寮の使用人、そういったものは七〇%、あるいは配車の係とか倉庫の作業員とかいうのは六〇%とかいろいろ率は変わってまいりますが、三十三の職種について雇用率を決めております。その実際の雇用率を毎年十月一日現在で調査しておりますが、守衛については七五%というふうに法定雇用率とちょうどの実雇用率になっております。管理人につきましては七九%というふうに法定の雇用率を上回っているというようなことでございまして、政府機関としては率先してそういった職種の高齢者の雇用を進めていかなければならないと思っております。 また、道路公団の御指摘がございました。かつて労働省が道路公団の職員についてもっと中高年齢者を活用してもらいたいということを言ったときには、ちょっと時勢が早かったせいか、いろいろな論議もございましたけれども、公団の非常な御努力で、あの料金徴収所の職員にもずいぶん中高年齢者を活用していただくようになってまいりました。 あらゆる機会をとらえて中高年齢者向けの職種について中高年齢者をもっとたくさん雇ってもらうように第一線の窓口を通じて行政指導を強めていきたいと思っております。
○小渕(正)委員 時間がございませんので意見だけ申し上げておきます。 今度の労働省予算の中で特定求職者雇用奨励金、これは雇用情勢が反映したと思いますが、前年度よりかなり減額されております。それと逆に中高年齢者雇用開発給付金は今回かなり大幅な増額を計上されております。それだけ中高年者の雇用情勢が厳しいことを物語っていると思うわけであります。 いずれにいたしましても、こういった制度が手続が非常に繁雑である。だから、これだけに限りませんが、中小零細企業の中では専門の事務員を別にあと一人雇わないことにはこういういろいろなものに適応できないような非常に事務的な繁雑さがあるのですよ。それが一つの大きな難点だと私は思っております。それと、先ほど申しましたように、これはもう少しわかりやすく、だれでも利用できるように項目をもっと整理するような、そういう前向きの努力をお願いしておきたいと思います。 次に、あと、時間がございませんが、今回の労働大臣の施政方針の中で労働者の生活の質の向上ということでいろいろなテーマを言われておって、時間短縮その他生活充実という項目に触れられておりましたが、そういう面でちょっとながめてみますと、勤労者財形制度の活用状況について、広範囲にわたりますので、特に私は住宅対策だけちょっと見てみたわけであります。 昭和五十三年度、五十四年度の実績、予算に対する利用状況等を見ますと、分譲住宅関係では五十三年度は二百億に対して七十八億、五十四年度は三百億の予算に対してわずかに二十五億しか使われてない。転貸融資についても五十三年度四百億に対してわずか四億三千万、五十四年度は五百億の予算に対して約十一億円。これはいろいろ条件のむずかしさはありますけれども、しかし厚生年金の住宅の転貸資金については一〇〇%活用されているという実績を見ますと、お互いの勤労者の持ち家政策から言ったらこれは本当はもっと十分活用されていい状況にあるわけなんですが、これがあえてこういう形でしか利用されてないことを労働省当局としてどのように理解されておるか、その要因はどういうふうにつかまれておるかということであります。 また、先ほど申しました進学融資制度についても、これなんか本当に、そういうのがあるということさえ知らない、余り徹底されてない関係で一般にこれを知らない関係があります。だからこれも、数字はもう申し上げませんが、実績から見ますならば、せっかくこういう制度があるのにかかわらず余り利用されてない、こういう点がございます。 そういった、いま申し上げました点について、なぜせっかくそういう制度があるのにかかわらずこんな低率な状態でしか利用されてないかということの要因について、ひとつ当局の見解をお尋ねしたいと思います。
○関(英)政府委員 前段の雇用関係に関します各種の助成制度が活用されないということにつきましての先生の御提言、そのとおりでございますので、現在プロジェクトチームを設けまして抜本的に検討して、御指摘のような点の改善を図っていきたいということで取り組んでいるところでございます。
○寺園政府委員 勤労者が財形貯蓄をいたしました貯蓄を原資といたしまして三種類の還元融資制度を持っておるわけでございますが、貯蓄の伸びに比べまして還元融資の実績がまだ十分でないということは先生御指摘のとおりというふうに承知をいたしております。 その理由はどういうことかということでございますが、持ち家融資に二つございます。 その一つの分譲融資につきましては、この制度は四十八年に発足をいたしましてその後金利が上がってきたということ、それから大都会地を中心といたしまして土地の手当てがむずかしい、特に大都会の勤労者を対象にいたしまして事業主団体がこの融資を利用しておったわけでございますが、その事業主団体の融資の申し込みが手控えぎみであるということから現在のような状態になっておるところでございます。 また、個人融資、なかんずく個人融資の中の転貸融資につきましては、この制度は五十二年に発足をいたしております。そういう意味で、この制度そのものがまだ十分に周知されておらないという面もございますし、企業内の持ち家援助措置との調整が企業内でまだ十分に進んでおらないというのがこの融資の伸びない一つの理由ではないかというふうに思っております。 また、進学融資につきましては、一昨年の十二月に受け付けを開始したものでございます。今年につきましては、これからが進学融資の申し込み時期に当たろうと思っております。 いずれにいたしましても、この財形の融資制度について十分関係の労使が周知をし、この利用が促進されますように、周知方につきまして私ども十分努力をしてまいりたいというふうに思っておりますし、手続面でなお改善の余地があるとすれば、その面についても十分検討してまいりたいと思っております。
○小渕(正)委員 いま実態は御報告を受けたわけでありますが、いずれにいたしましても、せっかくのこういういい制度が余り活用されないというのはいろいろ要因はあるでしょう。土地問題その他ありますけれども、一つは、貸付条件の中の金利問題だと思いますね。ほかのものに比べてこれがちょっと高いわけですから、そういう意味では、欲しいと思いながらもちょっと金利が高いので利用できないという面が恐らくたくさんあるんじゃないかと思いますし、そういう点では貸付の枠をたくさんふやすということもですけれども、それよりも、金利が高いからせっかくのそういう制度が利用されていないということ等に関する別の角度からの補助策といいますか、そういうものをやはり考える必要があるのではないかという気がするのです。 それと、先ほど言いましたように、進学融資制度なんかはできてまだ間がない、歴史が浅いということ等もあって周知徹底されていないということのようであります。労働省も宣伝は下手かもしれませんが、お役人の言う宣伝というのはどうしてもかた苦しくなるからわかりにくくなって、何を言っているのかわからぬようになってしまうと思いますけれども、やはり専門的なところに任せてもう少し周知を図らないと、せっかくこういった制度があっても対象になる勤労者にほとんど知られていないということがあります。もちろんこれは事業主もありますけれどもね。だから、せっかくの制度をもう少しこういうふうに改善すればもっと活用できるというように、お互いに意思疎通が図られるようなそういう機会もいまないと思いますから、そういった点をこれからの課題としてひとつ早急に取り組んでいただきたいということを意見として申し上げておきます。 次に四番目ですが、もう時間がありませんが、八〇年代の労使関係に関する諸テーマをいろいろときれいに言われておりまして、「我が国の労使慣行に立脚した労使の意思疎通の拡大と相互理解の促進に関する研究」と、いろいろとりっぱな言葉が出ておるわけであります。特にこの中で、「中小企業等における労使関係の安定促進」として「中小企業集団に対する指導、助成の推進」を実は言われておるわけでありまして、そのための予算として七億六千七百万ほど計上されておりますが、これは具体的にどういうことをしようとしているのか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
○細野政府委員 お答えいたします。 御指摘ございました中小企業の集団の育成事業でございますが、中小企業の労使関係を改善するということになりますと、どうしても雇用管理とかあるいは安全衛生管理とか、そういういろいろな問題にまで広くさかのぼりまして、労務管理全般について改善をするということが必要になってくる。そうしますと、中小企業の場合には専門のそういう人事担当者がなかなかいらっしゃらないというような問題もございますので、そこで、そういう労務改善関係を自主的にやっていただくとなると、これは集団的にとらえて、その中で専門の方をつかまえて、その集団全体がよくなっていくというふうな方向で改善をやっていく必要があるのではなかろうか。こういう考え方に立ちまして、まず都道府県が中心になってそういう集団を育成していただく、そしてその集団に対して助成をする、あるいは集団に対する都道府県の指導そのものについて労働省の方でまた助成をする。つまり、集団そのものに対する助成と集団に対する都道府県の指導に対する助成と、この二つの側面から指導、助成をやっているというのが中身でございます。 やや具体的に申し上げますと、四百二十の集団をつかまえまして、これに対しまして一集団当たり国と府県から合わせて九十万、それからその集団独自で九十万、合計百八十万という形、つまり二分の一補助という形で集団自体に対する育成、指導をする。それから、先ほど申しました府県がこの集団に対して助成をやるという場合につきましても、国からは一集団当たり三十万、それから都道府県が自前で三十万持っていただいて、六十万という規模で一集団に対する助成をやる。 そういうふうな形で、先ほど申しましたような四百二十集団に対する総計が約三億強になっておりまして、その他もろもろの、教育関係その他のものを含めまして、先ほど先生御指摘の七億という予算になっておるわけでございます。
○小渕(正)委員 これは五十三年度の中労委発行の資料でありますが、全国の労働委員会等でそれぞれ取り扱われた調整件数の数字を見てみましても、規模別にいきますと、三十人未満の企業が年間で三百四十四件、三十人から百人未満が二百七十五件、調整関係全体で一千百三十七件扱われておるわけでありますから、中小企業の規模別の一番小さいところが労使関係の問題でその半数以上を占めておるわけですね。いまのお話はそういうことも含めた指導、助成ということでしょうけれども、それではその中身が具体的にはどうなのか。私は本日はその中身についてはあえて申し上げませんが、そういう実態にありますから、特にその点はもっともっと力を入れていただきたいということを申し上げたいと思います。 あわせて、やはり昨年発行された中労委のその資料によりますと、全国の労働委員会に持ち込まれる件数からいきまして、これは五十一年からの数字ですが、五十一年に前年度から持ち越されたのが千四百十七件、そうして次年度に持ち越したのがやはり千四百六十九件。要するに、五十一年から五十三年までだけを見ましても、一年間かなりの件数は消化しながらも、千三百件から千四百件近くの労働関係の件数をそのままずっと持ち越している、こういう数字が出ておるわけであります。 これはまた具体的にいろいろな数字を申し上げればありますけれども、もう時間がないので申し上げませんが、要するに、現在いかに労使関係が安定したと言いながらも、これだけのものが毎年毎年逐次持ち越されていく。しかも、処理件数の中身を見ますと、はなはだしいのは三年ぐらいかかる。短いのでも、特に不当労働行為関係では一年半か二年が普通であります。 そういうたくさんの案件を抱えたいまの地労委の機能に対して労働省はどのような見解をお持ちなのか。こういう数字から見ていまのままでいいとはちょっと言えぬのじゃないか。戦後三十年の歴史の中で培われてきた運営の実態の中からふぐあい点がたくさん出てきて、労、使、公益委員それぞれの側からの問題提起がされておると思いますが、労働省としてはこの問題をどのようにとらえておられるのか、そこらあたりの考え方を聞きたいと思います。
○細野政府委員 御指摘のように、労働委員会は主として最近は不当労働行為の申し立ての件数が多うございまして、その件数を全体として処理できずに翌年に繰り越す、あるいは審査の期間自体が長期化する、そういう問題があるのは御指摘のとおりでございます。 これに対しまして、従来、委員の増員の問題とかあるいは事務局体制の強化の問題あるいは審査手続の改善等いろいろ工夫をしてきているわけでございますけれども、御指摘のように、抜本的な解決がなかなかできないという点はあるわけでございます。最近は、その不当労働行為の審査の促進ということが非常に重要な問題になってきておりますので、御承知かと思いますけれども、労働大臣の私的な諮問機関でございますが、労使関係法研究会というものがございます。そこで、学者の方、それから弁護士その他の実務家の方等で構成されているわけでありますけれども、そういう方々によって、不当労働行為の審査を促進し、実効を確保するために、どこに問題があってどうしたらいいかという点を学問的、実務的両面からいま検討していただいているわけであります。それで、そういう学識経験者だけの検討ではなくて、最近では労使の団体の御意見もいまヒヤリングをやるというようなかっこうでやりまして、そういう面で実務的な面も十分取り入れて問題の検討を進めていただいているという状況でございまして、この結論を得まして、それを踏まえて、私ども、制度的なあるいは手続的な問題についての対応をしてまいりたい、こういうふうに考えて、いま鋭意検討をお願いしている最中というのが現状でございます。
○小渕(正)委員 鋭意検討を進められているということでありますが、もちろん現在までにそれぞれの県においては委員定数を増加するとか、特に事務局の強化等が言われているわけでありますが、これについてはまだまだたくさん問題があると思います。そういう点では戦後もう三十年の歴史の中で運営されているわけでありますから、まだ当時わが国における労使関係かどのようなものであるか余り予知ができない状況の中でこういったものがスタートして、そして三十年からの歴史を積んできているわけですから、法自体をどうこうということでなしに、運営面でもっと行政的に指導して改革していくべきものがたくさん私はあると思います、具体的な例は申し上げませんけれども。これだけたくさんの件数のある中には、確かに労働委員会制度というものが本当は労使の自主的解決を促進さすためにあるのが、ともかく何でも問題を持ち込めばいいというような感覚で利用され、持ってこられるということとか、また労働組合側から見てもともかく自分たちの運動の戦術にこれを大いに利用しようという問題とか、いろいろたくさん要因があると思いますが、そういうものについても日常的な指導をもっと強化するような機能を事務局に持たせるようなことが私は必要じゃないかという気がするのです。したがって、そういった点では特に各都道府県の事務局というのは専門的な方は余りおらぬのですよ。皆もう二年か三年したらかわっていくわけですよ。特定の人を除けばほとんどのところが私はそうだと思います。やはり労働委員会の事務局にはそういう専門職的な機能を持った人たちがおって、そういう案件が出されたときはすぐ、余りこういうものにならないでも双方にどんどん体を動かして、それぞれの意見を聞きながらうまく問題をここまで来ないように、また持ち込んでこられてもすぐそれが解決できるような、そういうのがいまの機能の中ではできませんから、やはり正式なきちっとした形の中でいかなければなりませんし、どう見ましても私は一つは事務局の機能を強化する。しかも、その場合に専門職といいますか、そういう人たちをもっと育成していく。そういう人たちについては、やはり専門的立場に立つとか、またはたとえば労働者、公益側、使用者側の三者の中で推薦をし、だれか専任のこういう問題に対する担当として、もう専従してこういう問題を扱うとかいうようなところまでならないと、私はますますこういう案件は解消されていかぬのじゃないかと思うのです。 そういう意味でもっともっとせっかくの労働委員会の機能を発揮させるために、もう時間ございませんので、私は特にそういった意味でもっと労働行政の立場から、わが国の経済の発展のためには労使関係の安定というのが不可欠の条件ですから、そういう点で特に中小手を中心にしたそういうものに対する労働行政にもっともっと力を入れていただきたい。そのことについての大臣の御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
○藤波国務大臣 全く御指摘のとおりでございまして、そんなふうに進んでいったら本当にいいがなと思っていま聞かせていただいていたところでございます。具体的に翌年に持ち越す件数がどんどんふえているということは非常に問題だと思います。しかも、持ち込まれてきて非常に審査が長く時間がかかるということも、これまた非常によくないというふうに考えまして、事務局の強化でありますとかいろんな角度からひとつ検討してみようということで鋭意努力をしてきておるところでございます。 特にいま御指摘のありました中に、地方の労働委員会の中に専門家を置いて、そして中小企業などを中心にいたしましてよく指導体制を整えるということもこれは非常に大事なことだ、それはこれまでもっともっと積み上げられてこなければならなかったところだろうと思うのですけれども、非常に大事な分野であるというふうに理解をいたします。ただ、事務局の強化と言いますけれども、なかなかこれがいまの時節柄、非常に機構の収縮でありますとかあるいは人員の整理とかという方向でむしろ議論が非常に高くなっておる時期でございまして、全国の労働委員会の会議のときに、全国大会、総会に私出まして、もっと事務局を強化して人員をふやせ、こういうような御提案がございましたので、私全くそのとおりだと思う、努力いたしますと言ったら、また別の委員から、労働大臣は行政改革に対する考え方が甘い、もっとぴしっとやれなんておしかりをいただいたというような経緯も、私就任いたしました後でもございます。ですから、なかなかこの強化もむずかしいけれども、ひとつ充実をして、そして具体的にあらわれておる、件数がふえていく、滞っている件数がふえているというようなことを解消していくようにあらゆる努力をしていきたい。御提言に対しまして、心からお礼を申し上げたいと思います。
○小渕(正)委員 大臣の前向きな姿勢にひとつ期待いたします。 私どもも行政改革については熱心にやれと言っていますけれども、必要なところはどんどんやはり機能を強化するためにふやす、しかしむだな要らぬところはどんどん減らせ、これがわれわれの主張ですからね。ところが、どうしてもお役所は画一的にならざるを得ない面があるでしょうけれども、私どももそういう方針でひとつこれから臨みますので、ぜひ大臣の御健闘を期待いたしまして、私の質問を終わります。
○葉梨委員長 次回は、来る六日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時八分散会 ————◇—————