社会労働委員会 第2号
- 発言数
- 395 件
- 登壇者
- 29 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1980/02/21
会議録
○葉梨委員長 これより会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。船田元君。
○船田委員 ただいまから私の質問を始めたいと思います。 まず、質問に先立ちまして、社会労働委員会の諸先輩の先生方に対し、私のような若輩者に質問の機会を与えていただきまして、深く感謝を申し上げたいと思います。また、委員長初め委員各位の皆様の御指導、御鞭撻をどうぞ今後ともよろしくお願いいたしたいと思います。 さて、厚生大臣並びに厚生政務次官におかれましては、御就任以来厚生行政の先頭に立ちまして御活躍されておられることに対して深く敬意を表する次第であります。 厚生行政は大変広い分野を扱っておりますので、経験の浅い私のような者にとりましては、なかなかわかりにくい面があるように思われますし、また私のような若い者にとっては将来の厚生行政というものが一体どう展開されていくのか大変関心もあり、また心配もしているところであります。そして、厚生行政というのは国民一人一人に直接関係するものである以上、やはり私も含めてだれにもわかりやすく、まただれもが納得できるものでなければならない、そういうふうに考えておるわけであります。本日は、このような観点から幾つかの点についてお尋ねをしてみたいと思います。 最近は高齢化社会ということが盛んに言われております。わが国が社会保障のお手本としてまいりました西欧の諸国におきましても、社会保障の今後のあり方についていろいろと苦心をしておるようでございますが、これらの国々にも例を見ないほどの非常に速いスピードでこういった高齢化社会に突入しつつある、そういうわが国におきましては、これからが非常に大変な、そして大切な時代になっていくんじゃないか、そういうことであります。そして、この辺で高齢化社会に急速に入りつつある、あるいはそういった高齢化社会というものを迎えて、わが国が社会保障のあり方について、先を見越した長期的なビジョンというもの、それを持つことが非常に大切なのではないでしょうか。また、国民の合意を得ていくための何らかの工夫といったものが非常に必要になってくるのではないか。 そういうことにつきまして、まず政務次官にお尋ねをしてみたいと思います。
○今井政府委員 昨年の暮れ、内閣の改造に伴いまして政務次官を拝命いたしました今井でございます。不慣れでございますが、先生方の御指導を得まして、その職務に邁進をいたしたいと思っております。よろしくどうぞお願いをいたします。 ただいまの船田委員の厚生行政についての、特に長期ビジョンの問題でございますが、先生お説のとおり、今後高齢化社会を迎えまして国民生活の中で社会保障の役割りというのは非常に大きくなってまいります。一方また、人口の高齢化に伴いまして、社会保障の給付費、それが一層増大してまいりますことはお説のとおりでございます。したがいまして、今後はどうしても社会保障全般につきまして長期的な展望を明らかにしながら、各制度の有機的な連携、たとえば年金と雇用の問題等々、体系的あるいは効率的にそういった面を図っていかなければならないと思います。そして、給付と負担の両面にわたりまして社会的な公平を図ることが最も大事なものだろうと思っております。 これらの長期ビジョンを立てるに当たりまして、またそれを推進するに当たりましても、先生お説のとおり、国民の合意がなければできないわけでございますから、厚生省といたしましてもそういったビジョンを鋭意研究いたしますとともに、そういうビジョンにつきまして国民の御理解、御納得をいただくような一層のPRを進めてまいりたいと考えております。
○船田委員 次に、より具体的な問題に入っていきたいと思いますけれども、たしか昨年の暮れ、十二月の二十八日だったと思います、昭和五十五年度の予算編成に際しまして厚生大臣とそれから大蔵大臣が、自民党の三役も含めまして覚書を交わしたということを聞いております。これにつきましては、ややもすると単なる財政的な見地のみからの社会福祉の見直しである、そしてその覚書というものが福祉の後退につながるのではないか、そういう印象をどうしても与えがちであります。もし、この覚書というものが、単にいま申し上げました財政的な見地のみからのものである、そうするならば私はこれには反対をせざるを得ないわけです。社会保障制度というのは本来的に財政事情が悪化したからといってこれを安易に縮小してよいというものではなくて、むしろそういった財政の苦しいときにこそそれが維持されて本当の社会保障である、そういうふうに私は考えております。 そこで、この覚書ということにつきまして幾つか伺いたいと思います。 一つは、この覚書の経緯でございます。交わされた経緯というものについて事務当局の方から簡単に御説明を願いたいと思います。
○今井政府委員 ちょうど私、予算編成時に覚書を結びましたその場に立ち会っておりましたので、私から御答弁を申し上げたいと思います。 五十五年の予算編成につきましては、先生御案内のとおり、サマーレビューと言いまして夏以来ずっとすべての問題について見直しをしてまいりました。厚生省の中でも児童手当あるいは老人保健医療制度などのあり方についても政府部内で検討してまいったことは事実でございます。ところが、昨年末の予算編成の大詰め、大臣折衝の節に、党三役を交えましてこういった児童手当、老人保健医療制度につきましては、国民各層あるいは関係者の理解を深めると同時に十分な検討を重ねることがさらに必要であるという判断から、五十五年度は現行どおりといたしまして、こういった問題についてさらに見直しをしていこうじゃないかということで、五十六年度予算編成に向けて引き続き見直し作業をするという意味の覚書を取り交わしたものでございまして、先生御懸念の財政的な見地のみではございません。
○船田委員 ただいまの御答弁によりますと、単なる財政的な見直しではないということをお伺いいたしましたが、それでは一体どういうところにより重要なねらいというものがあるのでしょうか、お伺いいたします。
○今井政府委員 児童手当の問題あるいは老人保健医療の問題等につきましては、先ほど申し上げましたように、これから本格的な老齢化社会を迎える、そういうことで従来にも増して長期的なビジョンというのが必要になってまいるわけであります。そこで、やはり将来を見越した、しっかりしたビジョンを立てませんと、その場限りのものではなかなかこれをしのいでいくことができないということのために、見直しのための確認の覚書をしたわけでございます。そこで、単に財政的な見地からではなくて、長期的に、将来にわたって社会保障制度を安定的かつ効率的に運営していくことができるように総合的な見地からやるべきであろう、このように考えております。
○船田委員 ただいまの御説明によりますと、単なる短期的な財政の上での見直しということではなくて、やはり長期的な展望に立って社会保障、社会福祉といったものを安定的に発展させる、そういうような目標があるのだということをお伺いしました。確かに日本はこれからどんどん高齢化社会になってまいりまして、社会の人口の構成というものが変わっていくのに、社会保障制度の仕組みだけが従来のとおりであるということはできない、これはまさにそのとおりであると思います。また、社会保障だけの分野ではなくて、高齢化社会に突入するということは、やはり雇用の問題あるいは住宅問題、そういった広範な分野にわたってその対応策が迫られるものである。それをもっと広げますれば、日本人全体の生き方、ライフスタイルというのでしょうか、それからわが国の社会のあり方全体、そういったものをどうとらえるか、そういう点にまで波及する問題じゃないかな、そう考えております。 こういった視点に立ちまして、今度は覚書の具体的な内容について少し伺いたいと思います。 まず、その覚書の中にありました老人医療についてでございますけれども、現在の老人医療費の無料化制度というものを一体どのように評価されておるでしょうか、お伺いいたします。
○今井政府委員 お年寄りは若い者に比べまして病気になる率が多い、またお年寄りの疾病といいますのは複数の病気が同時にある、しかもそういったものが慢性化しやすいなどの特徴を持っておるわけであります。また一方、老人の収入というのは、一般的には稼働能力の低下などによりまして少なくなってきておるわけであります。このため、老人医療費の支給制度というものは、お年寄りが医者にかかります医療費の負担の軽減を図るということによりまして、安心して医療が受けられるというようなことを目的といたしまして、昭和四十八年一月から実施いたしておりますことは御案内のとおりであります。そこで、その後のお年寄りの受療率の推移を見てまいりますと、ここ数年ほとんど横ばいの状況でございます。ということは、この制度がお年寄りに安心して医療を受けていただくという所期の目的の効果を上げているものであろうと私どもは考えております。
○船田委員 確かに、高齢化社会の到来を控えて、これからまたより本格的な老人保健医療制度というものをつくるべく事務当局では検討中である、そういうことを私も聞いておりますけれども、これからの本格的な制度についての基本的な考え方というものは一体どこにあるわけでしょうか、お伺いいたします。
○今井政府委員 先ほど申し上げましたとおり、老人医療の問題は、老人の医療費の負担の軽減を図るということが主目的であります。そこで、老人の健康医療対策を全体として見ました場合には、まず医療費保障へ偏っておるという点、それから保健サービスの一貫性というものがどちらかといいますと欠けておる点、さらに老人医療費の負担の不均衡、具体的に申しますと国民健康保険に偏っておるといった問題が指摘されようかと思います。このため、本格的な高齢化社会の到来を控えまして、健康な老後を保障して老人医療費の負担の公平を図るという見地から、まず制度のあり方、それから費用負担のあり方、こういったものを含めまして基本的な見直しを進めることが緊急の課題であろうと考えておりまして、今後関係審議会の意見等も聞きながら検討を進めて、所要の改正を図ってまいりたいと考えております。
○船田委員 先ほどの御答弁におきまして、財政の調整あるいは費用の負担のあり方について、これからその議論が煮詰まってくると思いますけれども、より適切な老人医療費についての改善が図られますように慎重に議論を煮詰めていただきたい、そのように考えております。もう一つ、やはり覚書の中にありました児童手当ということにつきまして若干お伺いいたします。私事で大変恐縮なんですが、実はこの七月に私の赤ん坊が生まれる予定であります。ところが、男親というのはなかなか薄情なものでありまして、子供が生まれるといいましてもなかなか実感がわいてこないわけであります。そういうことですから、当然、児童手当ということにつきましても、私にとりましてぴんとこないところがあるわけであります。ただ、こういった児童手当という制度につきましてはさまざまな意見があるということについては伺っております。しかし、このような児童手当という制度を見直す場合、確かに目先の事情にとらわれることがあってはいけないのではないか。いわば、これから高齢化社会に向かっていくその高齢化時代の担い手というもの、これをどう育成していくかという問題でありますから、非常に長い目で見た展望のもとで検討されていかなければならないのではないかと思います。詳しい資料は手元にはございませんが、聞くところによりますと、最近出生率というものが大変目立って低下してきているということであります。この辺の事情を踏まえましてこの問題は十分に検討されていかなければならない。覚書の文章の中には制度の存廃も含めて見直すという言葉がありますけれども、少なくとも廃止されることがあっては決してならない。 そこで伺いたいのですが、児童手当制度の見直しを進めるに当たって、基本的な考え方は一体どういうものなのでしょうか。
○今井政府委員 児童手当制度は、御案内のとおり、昭和四十六年五月に法律ができたわけでありますが、制度発足以来常に議論になっております問題は三つあろうかと思います。一つは、児童手当制度は、第三番の子供以降支給するということであります。第二番目は、わが国の賃金体系というものは年功序列型でありまして、その中で家族手当が支給されておるというのが一般であります。第三番目は、税制におきましても扶養控除という制度があります。そういうことからこの児童手当制度というものについていろいろ御意見があったわけであります。また、その費用の負担につきましても、御案内のとおり、被用者と自営業者の間では負担の不均衡があるわけであります。そういうことで、今回の大蔵大臣との覚書におきましては、こういった制度のいままでいろいろ議論された問題の根本的な見直しをしていこうじゃないかということでございます。 この制度の基本的なあり方につきましては、すでに昭和五十二年七月以来、中央児童福祉審議会におきまして検討をされております。また、諸外国の例等も十分に参酌しながら、国民の理解を得られるような形で所要の制度の改正を図ってまいりたいと考えておりまして、より前進をいたしたいという決意でございます。
○船田委員 どうもありがとうございました。 当然、いまは物を言わない子供でありますけれども、将来の高齢化社会にあってはその高齢化社会を担っていく者でありまして、大変大きく物を言う子供たちである、どうかそういうことをじっくりとお考えの上で慎重な御検討をお願いいたしたいと思います。 以上で覚書についてのことを終わりにいたしまして、次に移らせていただきます。 来年度の予算につきましては、老人ホームの入所者からの費用徴収基準の改定ということが盛り込まれている、そのようにお聞きしております。これについて二、三伺いたいと思います。 まず最初に、老人ホームの数とその入所者の数の最近の動向につきまして、簡単にお尋ねしたいと思います。
○山下政府委員 統計的に確定いたしております一番最近の数字といたしましては、五十三年十月の数字で申し上げますと、特別養護老人ホームは七百九十九カ所、養護老人ホームが九百三十九カ所。入所者の数字で申し上げますと、特別養護老人ホームが六万一千五百十五、養護老人ホームが七万一千六十という収容定員になっております。その後実は特養がふえ、養護は横ばいという状況でございますので、現時点では特養の方が養護を上回る数字になっておるわけでございます。 御質問にございました最近の動向ということでございますが、一応四十八年ごろから最近五十三、四年までの動向を見ますと、入所者数、施設数、いずれをとりましても、特別養護老人ホーム、いわゆる寝たきりの濃厚な介護を要する方を対象といたします特養の方の増加が大変顕著でございまして、特別養護老人ホームにつきましては五年間で五百施設、年百施設のペースで増加をいたしております。一方、養護老人ホームにつきましては、大体数としては足りてきておる状況でございまして、年々十程度ふえてきている状態でございますけれども、最近はその数はほほ横ばい状態にある、こういう状況にあります。
○船田委員 要するに、低所得者を中心としたのが養護老人ホームということだと思いますけれども一、そういった養護老人ホームが中心であった従来の形から、どうも最近は所得の別なく入所ができる特別養護老人ホームというものが急激に増大している。お話ですと、一年間に大体百施設ぐらいずつふえている、そういうことを伺いました。 次に、老人ホームに入所している人の所得の状況、これについてちょっとお伺いいたします。
○山下政府委員 全体につきまして的確に調査したというものではございませんが、五十三年の十一月に抽出をいたしまして調査いたしたものに、その後の年金のスライドアップ等を勘案いたしまして現在私どもが推計をいたしております大まかな数字を申し上げますと、大体年収二十五万円以下ぐらいの収入の方が入所者のほぼ六九・一%ぐらいを占める、こう見ております。それから、二十五万円から五十万円の間ぐらいの年収のあられる方が約一九・七%程度と見ております。五十万円を超え百万円までの間という方につきましては約九・四%程度、百万円を超えるような年収のあられる入所者の方は少のうございまして、全体の約一・八%程度にとどまるのではないかという推計をいたしております。
○船田委員 わかりました。 以上のようなデータを踏まえまして政務次官にお伺いしたいのですが、以前からこの費用徴収基準の改定については検討されてきているということをお聞きしております。この背景とその趣旨というものを明らかにしていただきたいと思います。
○今井政府委員 この問題につきましては、昨年十一月、中央社会福祉審議会からも御意見をいただいておるわけであります。その意見書にもありますように、現在の費用徴収の基準といいますものは、もっぱら入所者の負担能力というものを所得税の課税状況に基づいて認定しておる。もう一つは、本人が若干でも費用負担をされた場合には扶養義務者から別途にいただくことをしていないというふうなことがございまして、必ずしも十分に負担能力というものが反映されていないのじゃないかという問題が生じております。こういった問題は、今後年金制度がだんだん成熟するに伴いましてますます拡大する傾向があるでありましょう。そこで、社会的公正という意味の見地からもどうしても早急に是正することが必要であろうと思っておるわけであります。また、入所者に応分の負担を求めるということは、その自立意識を醸成いたしまして施設を生活の場として高めるという方途からも有効であろう、こう考えておりまして、今回の基準改定が必要だろうと結論をしたものでございます。
○船田委員 それでは、その徴収基準改定の具体案というものが現在できておるのでしょうか。それについて要点だけお伺いいたします。
○山下政府委員 ただいま政務次官から御説明申し上げましたように、現在の徴収基準というものは、税を納めておるか否か、あるいは幾ら納めておるかということで判定しておる。その欠陥といたしまして、御承知のように、老齢年金につきましても相当額が課税免除になって実態を反映していない。そういうことを踏まえまして、入所者本人につきまして新たな費用徴収基準をつくる。その場合には、課税状況ではございませんで、本人が総収入をどのぐらい持っておられるかということをまずあれさせていただきまして、その場合も収入から——収入といいますのは臨時的な収入やそういうものは一切除きます。年金でありますとか定期的な収入、そういうものを収入と見まして、その収入から必要な経費は一切控除する。国民健康保険料を払っておればもちろん控除いたしますし、医療費を払ったという事実がございますればそれも控除いたします。場合によりましては、入所しておられる方の年金で外におられる奥さん等の生活を一部見ておられる方もあるかもしれません。そういう仕送りをしておられる方もあるかもしれません。そういうものも一切必要経費として除外してしまう。そういうあらゆる必要な経費を除外いたしました後の所得、それに着目をいたしまして費用徴収の基準をつくるというのがまず前提でございます。 その場合におきまして、施設に入所いたしておられますと、食費、生活費、寝具等基本的、共通的なものはすべて施設でめんどうを見て差し上げるわけでございます。私ども個別的日常費、こういうふうに言っておるわけでございますが、たとえばたばこ代でございますとか、あるいは音楽が好きだからレコードがちょっと欲しい、そういう個個人の特性に応じた必要経費というものがあるはずだ、それをどの程度と見るかということで、一応昭和五十年の調査等をもとにしまして、その後のスライドアップ等も勘案して、年二十五万円の自由になる所得、それについては負担を求めません。そして、この二十五万円を超える自由になる金がありました場合に、その超える部分につきまして一部負担をしていただく。その負担をしていただきます考え方といたしましては、二十五万円に近いところの低い層の方からはできるだけ軽い負担にとどめまして、所得がだんだん上がりますと少し多く出していただくというようなことで、いわば累進方式ということで考えておる次第でございます。
○船田委員 大体、以上の御説明でその内容と趣旨というものはわかりました。 先ほど政務次官おっしゃいましたように、自立意識の向上あるいは在宅の者との公平さ、さらに老人ホームというものを一つの生活の場としたい、そういう観点は非常に妥当であろうと私も考えます。ただ、これは一般的に言って所得の余り多くない老人が負担していくものでありますから、理論的な面だけから負担というものを強いるものであってはならない。やはり負担のできにくいようなケースについて何か配慮しなければいけないと思いますけれども、そういった配慮について何かお考えはございますでしょうか。
○山下政府委員 ただいま申し上げましたようなことでございまして、考え方といたしまして、無理な負担にならないようにということには十分配慮をいたしてまいりたいと思っております。率直に申し上げまして、負担する力がないという者については負担を求めるということはいたさない、こういう考え方を基本に持っておるわけでございます。 例を申し上げますが、ただいま御説明したのと重複いたすわけでございますが、おおむね全体の七割の方は負担をされないで従来どおり無料で入所されることになると思うのでございます。二十五万を超える方は大体三割弱という数字になるわけでございますが、その新たに負担をされることになるような三割弱の方につきましても、そのほぼ六割は五十万円以下の、先ほどのような計算をしました後の所得になると思うのでございますが、そういう方々につきましては、大体負担していただく金がその所得の一割程度におさまるようにしたい、そういう考え方で案を作成をいたしております。
○船田委員 いまの一連の老人ホームの費用についての質問の中で明らかになりましたが、老人の自立意識、そういったことが述べられておりました。これは大変大切なことであろうと思います。政府の新経済社会七カ年計画というものがございまして、そこに述べられておりますように、個人の自立心、それと家庭の安定というものを基礎として、その上に立った近隣社会等を中心とした連帯の輪が形成されて初めて真の福祉社会ができるんだ、そういうことを私も考えております。俗にばらまきの福祉、そういうことが言われておりますけれども、やはり福祉につきましても、これまで物やお金の観点からとらえる、そういう見方がどうしても国民の間になかったとは申せないと思います。また、逆に行政の側としても、お金さえばらまけばいいんだ、あるいは施設さえつくっていればいいんだ、そういうような安易な発想があったとすれば、これはどんどん直していかなければいけないものだ。多くの良識ある国民は自分でやれることまで他人に頼っていこうとは考えていませんし、また何とか自分の力でやれることは自分でやって、そして暮らしていこう、そういうふうにしているわけだと思います。その上で、もし他の人が苦労しているならばお互いに助け合っていこう、そういったことがまさに自立意識とそれから社会連帯の精神、そういうことではないかと思うわけですが、一言で結構ですが、このような考え方について政務次官はどうお考えになりますでしょうか。
○今井政府委員 全く同感でございます。船田委員のおっしゃるとおりでございます。
○船田委員 それでは次に、いま申し上げましたような福祉の考え方を念頭に置きながら、少々具体的な点について伺いたいと思います。 先日の予算の説明の中に、先ほど申し上げた老人ホームなども含めた社会福祉施設のオープン化対策という項目がございました。これはいままでどちらかというと社会に閉ざされていたそういった社会福祉施設の門を開いて、いわゆる地域福祉と申しますか、コミュニティーケア、そういう考え方の一つのあらわれではないか、そのように考えておりますけれども、この施設のオープン化対策、これについての御趣旨をお開きしたいと思います。
○今井政府委員 御案内のとおり、いままでの施設といいますと、一つの閉鎖社会をつくりまして、そこに皆さんをお入れして福祉行政を進めていくという考え方が強かったのでありますが、最近の世界の風潮はそうではなくて、そういった施設というものが存在する地域社会、そういうところと一緒になりまして、溶け込んでいって施設をみんなのものにするという感じのものにだんだんと変わってきておると思います。それが言ってみればオープン化とでも言うのであろうと思います。具体的に申しますならば、施設のありますその場所あるいは施設の機能、そういったものを地域のお年寄りの方々にも利用していただくということ、あるいはまた施施に入っておられる方と施設の外におられる一般の方との交流をどんどん図っていくということがオープン化の趣旨であろうと私は考えております。
○船田委員 そのオープン化対策、もっと早くからやるべきじゃなかったかなというような感じもしますし、強いて言うならば、施設のオープンな状態というのがむしろ本来の施設のあり方なんじゃないか、姿じゃないのか、そういう考え方もいたします。 しかし、施設と一言に申し上げましても、先ほどの老人ホームもあり、あるいは障害児、障害者のための施設もあるし、保育所というものもあるわけで、大変さまざまな施設があると思います。大体で結構ですので、そういった施設の種類ごとにもし具体的なオープン化対策というものがございますれば、その内容を明らかにしていただきたいと思います。
○山下政府委員 従来から行ってきております福祉施設のオープン化対策の具体的な例を一、二御紹介申し上げたいと思います。 まず、老人関係でございます。寝たきり老人の短期保護事業というのが一つございます。これは在宅の寝たきり老人の方に対しまして、それを介護しておられます家族の方が、あるいはその家族の方自体が一時病気をされますとか、あるいはどうしても必要な旅行をしなければならない、そういう事情が生じましたとき、短期的に、おおむね一週間程度でございますが、施設でお預かりをしまして、それで家族の方の介護を解放してあげる、そういう仕組みの仕事をいたしているのが第一であります。寝たきり老人短期保護事業と申しております。 第二番目が、やはり老人関係ではデーサービス事業というのを持っております。これは特養なり養護の老人ホームに一定の設備を設けまして、そこに地域の在宅の老人の方を車でお連れ申し上げまして、入浴のサービスをして差し上げましたり、あるいは一日昼間、デーサービスでお預かりして、その間に生活指導や日常動作訓練をしながら昼食の食事サービスをして差し上げる、そういったたぐいのデーサービス事業というのが第二の事業でございます。 それからもう一つは、特別養護老人ホームや老人福祉センターを使っておるわけですが、在宅老人の機能回復訓練事業というのをいたしております。脳卒中等の後遺症によりまして体が不自由な方に対しまして、その施設にOT、PT等のリハビリの専門家がおりますので、お連れをいたしまして機能回復訓練をして差し上げるというようなこともやっております。 そのほか、身体障害者につきましても、同様の趣旨で在宅障害者のデーサービス事業あるいは短期保護事業、これは心身障害児者——児童局長がおられるわけでございますが、児童局と一緒になりまして、広く短期保護事業やデーサービスを行うというような事業をいたしておる。二、三の例でございますが、そういう状況でございます。
○船田委員 どうもありがとうございました。 要するに、この施策につきましては、福祉の施設とそれから地域社会がお互いに交流をするということが一つの大きなポイントになるんじゃないかと思います。そう考えてみますと、施設が設けられる場所についてもよく考えてみなければならないと思うわけです。たとえば、山奥に設けられている老人ホームがあるとします。そうすると、確かに空気は澄んでおりますし、雑踏を避けた本当に静かな環境の方がお年寄りには本当は好ましいかもしれませんし、また土地の値段も非常に割り安である。その分、設備の方にお金をかけることができる、そういうメリットがあろうかと思います。ただ、逆に申し上げれば、非常に不便な場所であるために、親類やあるいは知人あるいは隣人、そういった訪問も大変遠のきがちですし、老人自身が町に出かけていって買い物を楽しんだり、あるいはその老人たちが地域社会のために何か役立つことができないかな、そう考えてもなかなかむずかしい情勢になってくるわけです。そして、こういったことが積み重なって、ひいてはお年寄りに対する無関心さあるいは思いやりの喪失、そういったものが社会の中に生まれていってしまうのではないかな、そういう心配を持つわけであります。老人ホームに限らず、社会福祉施設全般について、その設置場所そのものの選定に当たりまして、なるべく地域に溶け込みやすいような、そういう場所を選んでいくべきではないかな、そういう考え方を私としては持っておるわけであります。確かに便利のいいところは土地も大変高くて、そのほかの費用も大変割り高になるということは事実でありますけれども、そういったオープン化対策を徹底する意味でも、やはりこの際こうした割り高につく経費についても何か思い切った施設に対する助成の措置ができないだろうか、そういうことを要望したいと思いますが、そのことについてどうお考えでしょうか。
○今井政府委員 まさに船田委員のおっしゃるとおりでありまして、いままでやろうとしてもできなかったゆえんのものは土地の取得難であったろうと思います。 そこで、土地というものを平面的に使おうと思うからむずかしいのでありますから、今後はやはり土地利用を高度化していくということで解決をせざるを得ないだろう。しかしながら、高度化すると申しましても、二十階も三十階ものものをつくるということは、お入りになる方々がそれぞれの障害がある方が多いわけでありますから、それもかないませんが、少なくも四、五階ぐらいなものまではつくってまいりまして、土地は高いけれども、高度化することによってある程度の許容の費用になるようにしようという物の考え方から、昭和五十五年度の予算におきましては、大都市内でそういった施設を整備する、そういうモデルの施設に対して補助をしていこうということを考えております。 ただ、その場合心配なのは、お年寄りであり、あるいはまた体の御不自由な方等でありましょうから、エマージェンシーのときにどうするか、そういったことを十分配慮をしなければならないと思うわけでありまして、そういった困難を克服しながら、地域社会の中に溶け込む本当の意味のオープン化をするための万全の努力を厚生省といたしましてもしてまいりたいと考えております。
○船田委員 この問題については、私が申し上げるまでもなく、もうすでに厚生省の方である程度具体的な話が進んでいるということをお聞きいたしまして、私も大変安心をしているわけであります。 次に、地域福祉との関連におきまして、家庭の役割りとそれから社会福祉について二、三お尋ねしたいと思います。 これにはいろいろと異論があると思いますが、私が考えますに、戦後いわゆる家の制度というものが崩壊して個人個人の自立ということが図られたわけでありますけれども、それはそれで一つの歴史の進歩であろうと思います。他面、そういった家の制度が崩壊するその過程の中で、核家族化ということが進行いたしました。従来家庭が持っていたさまざまな機能というものが、逆に今度は低下をしてしまいました。そして、それまで家庭のレベルで何とか解決できた問題、お年寄りの問題にしても子供の問題にしてもそうでしょうけれども、家庭のレベルで解決し得たことを何か社会のレベルで解決しなければならなくなった、そういう状況が戦後においてあらわれてきたと思います。社会保障の御専門の皆様方の前でこういった素人議論かもしれませんけれども、この家庭の機能、それのよい面というものをもう一度振り返ってみる必要があるのではないか。特に大平総理もよく家庭基盤の充実、そういう言葉を使って演説をされております。 政務次官はこの家庭と社会福祉のかかわり、これについてどういう御見解をお持ちでしょうか。
○今井政府委員 先ほども船田委員が御所見を申し述べられまして、私も同感の意を表したのでありますが、物の考え方ばまさにそのとおりであろうと思います。家庭の中で家族が同居をいたしましてできるだけのことをいたしまして、そしてその足らざるところを公的な福祉で補っていくという物の考え方が今後の大事なポイントであろうと私は思います。したがいまして、先ほど局長が答弁いたしました今度のオープン化施設の中で、たとえば寝たきり老人の短期保護事業であるとかあるいはまたデーサービス事業、そういったものが具体的なあらわれであろうと思いまして、家庭とそれから公的な福祉とを組み合わせることによって今後の社会福祉の充実に努めてまいりたいと考えております。
○船田委員 それでは、来年度の厚生省の予算の中に家庭基盤の充実といったことが具体的にどういうふうに図られているか、具体的に要点だけでよろしいのですが、ちょっと御説明願いたいと思います。
○新津説明員 厚生省の予算は、広い意味で申し上げますと、年金でも医療でも家庭の基盤を充実するということになるわけでございますが、ことに家庭基盤の充実ということで直接それを意識してやりました予算をまとめて申し上げますと、一つは、家庭生活のもとになります健康をいかにして守るかということで健康づくり対策、その中には知識の普及啓蒙でございますとか、あるいは施設をつくって関係者が相談をすることでございますとか、中心になります健康診断等をいろいろな形でいろいろな階層の方に普及することとかあるわけでございますが、大きくまとめてその家庭の健康を守り増進するという関連の予算を重点的に編成しております。 それから二つ目が、ただいま政務次官からも申し上げましたように、家庭の機能が相対的に少し弱くなってきていることも踏まえまして、老人とか心身障害者を抱えたような家庭に対して、家庭の機能を補う意味の在宅の福祉対策等を中心にした予算を大幅に、重点的に伸ばしておるつもりでございます。 それから三番目といたしまして、家庭基盤の強化のためには住宅を初めとする生活環境の整備も非常に重要でございますが、その中で簡易水道あるいは水道関係とか廃棄物の処理関係とか、そういう広い意味の生活環境の一部を厚生省で所管しておりまして、その点についても十分配慮しております。
○船田委員 どうもありがとうございました。 私は家庭基盤の充実と申し上げましたけれども、もちろんこれを家庭にすべて押しつけてしまうのだ、そういうふうに言っているわけではないわけでありまして、寝たきり老人あるいは重度の障害を持った方などの場合には、当然その専門の施設に入所した方が適当な場合もあるでしょうし、また家庭にいる寝たきり老人方のところには、ホームヘルパーとかそれから訪問看護、そういうきめの細かい手を差し伸べまして、そして地域のきめの細かい保健福祉サービスというものを行っていかなければならないと思います。 そこでお伺いしますが、いまのホームヘルパー、それから老人の訪問看護ということにつきましてこれからどのように充実をしていくか、それについて何かお考えがございますれば御説明願いたいと思います。
○今井政府委員 いまのお尋ねは、ホームヘルパーや訪問看護のことであろうと思いますが、分けましてお答えをいたしたいと思います。 まずホームヘルパー、家庭奉仕員と言っておるわけでありますが、これは非常に皆さん方から喜ばれております。また、その必要性が非常に強くなっておりますので、今後とも必要な増員あるいは処遇の改善などを行いまして、一層の充実強化を進めてまいりたいと思っております。 それから二番目の家庭の看護訪問指導事業、二つあろうと思いますが、要するに訪問をしていろいろその御家庭の方々に寝たきり老人の介護についての指導をするという事業が一つあります。これは五十三年度から実施をいたしておりまして、五十五年度にも拡充を図ろうとしております。もう一つが先生のお尋ねのいわゆる訪問看護制度であります。これはたとえば保健婦さんとか看護婦さんなどが訪問をいたしまして、そしていろいろお世話をやくわけでございますが、この問題は実は地域の保健医療対策とのかかわり合いあるいは医療技術者の確保などの実施体制上の問題がまだ若干ございまして、したがいまして、今後はこの事業をどうやって進めていこうかということで慎重に検討を進めながら事業の実施を図ってまいりたいと考えております。
○船田委員 そういった寝たきり老人あるいは障害者などの場合、ホームヘルパーというものだけではなくて、そういった訪問看護というものも必要である。さらには保健衛生上の指導サービスといったことも大変必要ではないかと思います。 先日予算の説明の中で、市町村保健センター、こういう制度がある、このように伺いましたけれども、ここがこのようなきめ細かな保健衛生サービスの一つのセンターになるのだろう、そのように私は解釈しております。この市町村保健センターの役割り、それからそれの今後の設置の計画についてお尋ねしたいと思います。
○大谷政府委員 成人病予防あるいは老人保健、母子保健、こういった問題が市町村の重要な役割りになってきております。そういった市町村の保健活動を推進するための拠点といたしまして、また地域住民みずからが保健活動を実施する場といたしまして私どもは市町村保健センターというものを昭和五十三年度から建設を始めているわけでございます。すでに現実には母子健診や予防接種あるいは保健婦さんによる健康相談等、だんだんと多角的な活動が行われつつあるわけでございます。 この整備につきましては、将来構想といたしましては全国すべての市町村にこれを設置しよう、こういうことで、五十三年度、五十四年度の二カ年におきましてすでに百九十二カ所の整備をいたしました。五十五年度でも新設百七十カ所、増設三十カ所、一応こういうふうな予算上の考え方をいたしておる次第でございます。
○船田委員 実はこの市町村立の保健センターにつきまして私の地元におきましても設置の計画が幾つかあるようでございます。何せ新しい制度ですし、どうももう一つ末端の自治体にはその役割りがなかなか理解されていない。特にこれからつくる市町村の保健センターと現在あるところの都道府県立の保健所、この二つの機能の分化あるいは協力体制というものには何か若干とまどっているような面が見られます。したがいまして、今後保健所と保健センターとの兼ね合いあるいは機能分化、そういったものについてその趣旨の徹底をこれからも積極的に御指導をいただきたいと思うわけであります。 最後の質問になりますけれども、特に私の県では今度、産業廃棄物の処理につきまして環境保全公社、そういう構想があるわけであります。いわゆる第三セクターというものを設けまして産業廃棄物の処理の円滑化、そして直接的には不法投棄を減らそうという動きがあるわけです。これもまた一つの新しい行政分野でありますし、むずかしい問題も少なくないわけでありますけれども、こういった産業廃棄物の処理に関する第三セクターのあり方あるいはかかわり方ということについて厚生省の方で何か指導の方針というものがあれば、それをお聞きしたいと思います。
○今井政府委員 産廃処理につきましては、いずれにしましても、その廃棄物を出す主体がはっきりしているわけでありますから、そういった主体がやることが原則でございます。しかしながら、範囲が非常に広く、また多方面からの産廃処理につきましては公共団体が関与しないでできるものばかりでもないわけであります。したがいまして、公共団体が直接関与する場合もありますし、船田委員御指摘の第三セクターをつくるという場合も両方あるわけでございまして、それはケース・バイ・ケースでございますが、実態から申しますれば、やはり第三セクターというものをつくって産廃処理する方がはるかに多いわけでございまして、今後もそういった基本的な原則を踏まえながらそのケース、ケースに応じて指導してまいりたいと考えております。
○船田委員 どうもありがとうございました。 もうちょっと時間がございますので、最後の質問といたしまして、地域社会というものから今度は目を外に転じてみますと、昨年度は国際児童年ということでありました。これを契機にさまざまな施策あるいは行事というものが各地で行われる。ただ、これを昨年一年限りのお祭り騒ぎに終わらせることなく、今後一層の児童福祉行政が推進されますようにお願いをしたいと思います。 それと、来年度はちょうど国際障害者年である、そういうことをお聞きいたしましたが、これに対する厚生省としての取り組みの方針について何かございますれば最後に伺いたいと思います。
○山下政府委員 御指摘のとおり、明年が国際障害者年ということで国連で決議をされておるわけでございます。障害者年のテーマといたしましては完全参加と平等ということが取り上げられておるわけでございます。その趣旨は、障害者の方が家族や家庭やあるいは地域におきまして健常者と申しますか、一般の健全者と全く同じような日常生活が営めるような、そういう社会を実現するということを趣旨といたしておると理解をいたしておるわけでございます。 厚生省といたしましては、そういった趣旨を踏まえながら明五十六年度障害者年を身体障害者福祉対策の飛躍的な前進の年にいたしたい、こういう気持ちを持っておりまして、今後関係省庁とも十分連絡をとりながらその対策の充実に努めてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
○船田委員 どうもありがとうございました。 以上で私の質問を終わりにしたいと思います。
○葉梨委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○葉梨委員長 では、速記を起こしてください。 次に、森井忠良君。
○森井委員 厚生大臣は、御就任になられましてその最初の記者会見のときに、これは各紙とも同じだと思うのでございますが、福祉の後退はあり得ない、こうおっしゃいました。そのとおりですか。
○野呂国務大臣 そうあるべきものだと考えております。
○森井委員 それから、まことに失礼な言い方でございますが、大臣は、実際はそうじゃないのでございますが、私は素人でございますから、したがって、過去の経緯に余りとらわれないで、あるべき社会保障等の姿をこれから模索していくという意味の御発言をなさいました。これも変わっておりませんか。
○野呂国務大臣 変わっておりません。
○森井委員 私も、大臣が御就任になりまして、早速懸案の事項につきましてある日話し合いをさせていただきました。いま御答弁がありましたとおりでございまして、大臣は厚生省所管の行政につきまして非常に積極的な姿勢をお示しになりました。 その一つは、原爆被爆者援護法の制定にかかわる問題でございます。私どもは、現在、原爆被爆者対策基本問題懇談会におきまして七人の先生方によりまして審議が続いておるわけでございますが、そういった中で一日も早く被爆者援護法をつくっていただきたい、こう申し上げましたら、もちろん、いま申し上げました基本懇の答申を待たなければならないという前提はあったろうと思いますが、一日も早く国家補償の姿勢を明らかにしなければならない、こうおっしゃいました。 それからもう一回も感激したわけでございますが、ある日、全建総連の労働組合の皆さんと一緒に大臣にお会いをいたしました。趣旨は、その当時大蔵省筋からどんどん流れてきておりました各種補助金、交付金のぶった切りに関連をいたしました建設国保等の臨時財政調整交付金の打ち切りがあるのではないか、ぜひとも打ち切らないでほしい、そういう趣旨の陳情でございました。これにつきましても、大臣は、絶対に打ち切ることはさせない、一緒にがんばりましょう。さらに感激をいたしましたのは、そのときに、なるほど政府予算案は場合によっては十二月二十八日にできるかもしれないが、私は二十九日まで予算をつくるつもりで大蔵省に粘りますよ、こうおっしゃいました。 この姿勢は、私といたしましては高く評価をいたしますし、またこれから大臣に期待をしたいと思うわけでございます。まことに恐縮でございますが、この点につきましても、いまももちろんお変わりになっていらっしゃらない、こう理解してよろしゅうございますか。
○野呂国務大臣 原爆被爆者対策につきましては、やはり基本理念が明確にされない限りは、現状から進展をさせることはなかなかできないのではないかということは、関係団体、とりわけ先生の平素から私どもに対する御指摘、御指導でございますので、私どももそのことがまず基本でなかろうかということで基本懇に答申を求めておるわけでございます。その結果をわれわれは参酌いたしまして、原爆被爆者に対しては、唯一の被爆国としての日本が犠牲を受けられた方々に現段階においてあらゆる手厚い対策を講ずることは当然であり、私は国の責任であるという気持ちにおいては変わりはございません。したがって、さらに一層この対策を推し進めてまいりたいということでございます。
○森井委員 原爆の問題については後でお聞きをするといたしまして、大臣の姿勢は私も十分理解をいたしました。 そこで、歴代の厚生大臣が御就任になりますと、これも表現が適当でありませんけれども頭の痛い問題があるわけであります。それは日本医師会との関係でございます。私どもが公式、非公式に承っております範囲でも、厚生大臣に御就任になりますと、早速日本医師会の門をたたく。当然形式的な社会的なあいさつをされる場合もありますが、私、昨年の本委員会におきます大臣の所信表明に対しまして質問をいたしましたときは、事もあろうに当時の厚生大臣は武見太郎会長の自宅にまでお邪魔をいたしまして、話の内容はいわゆる私的なものでなくて公的な内部にまで立ち至ったということがございました。私の理解をいたしております範囲では、世間のひんしゅくを買ったわけでございます。もちろんお医者さんの団体でございますから、厚生省と密接な関係がなければなりませんが、少なくともそういった一連の動きというのは行き過ぎではないか、私は率直にこう思うわけでございます。 まず、日本医師会に対します厚生大臣のこれからの基本的なあり方、考え方、そういったものについて御披瀝いただければありがたいと思います。
○野呂国務大臣 厚生行政、なかんずく医療行政は医師の適切な御協力を必要とすることは言うまでもないことでございます。したがいまして、私といたしましては、日本医師会の正しい理解と誠意ある協力を得まして厚生行政の円滑な推進を進めてまいりたい、かように考えます。
○森井委員 日本医師会は、お医者さんの団体として、もちろん日本の国内におきまして一定の分野で大きな役割りを果たしていらっしゃることは私も当然認めているわけでございます。しかし、一番新しい日医ニュースでございますが、二月五日号を見ますと、健保連に対する考え方が出されています。その中の一節に「日本の医療福祉を最もおくらせているのは健保連である」あるいはもっとひどい表現は「二十一世紀の老人福祉は組合健保の存在によって著しく妨げられている」、まさに敵対矛盾をする言葉でございますけれども、これは日医ニュースによりまして武見太郎会長のあいさつの一節が機関紙に載せられているわけでございます。ここまでいきますと、まるまる一定の評価を差し上げるわけにいかない場合が出てまいります。従来とも厚生省と日本医師会との関係でぎくしゃくした関係がございました。最も一ひどいときには、ある意味で診療拒否とかあるいはまた投薬の拒否とか、そういった具体的な動きが出てまいりました。繰り返し申し上げますとおり、しばしば日本医師会と厚生省との関係につきましても、私はこれでいいのかと思うようなことがあるわけでございます。 そういった場合に、厚生大臣としてどういう立場で医師会にお臨みになるのか。ちょっと質問がむずかしゅうございますが、たとえば健保連と日本医師会というのは、言うなれば非常に仲が悪い、特に日本医師会の場合は、いま申し上げましたように、健保連を解体してなくしていこうという発想であります。くどいようでございますが、健康保険組合は、御承知のとおり、健康保険法にきちっと定められてある団体でございます。しかも、国の医療保険行政の一翼を担っている、言うなれば公的な法人でございます。そういった場合に、率直なところ日本医師会の行き過ぎが出てくるきらいがある。こういった場合にどういう態度をおとりになるのか、お伺いをしておきたいと思うのです。
○野呂国務大臣 医療行政を推進いたしますについて一番大きな問題でございます。具体的にどうするか、その問題ごとに解決策を考えていくべきであると思うのでございまして、一般的には、先ほど申し上げましたとおり、日本医師会の正しい御理解と医療行政に対する誠意ある御協力を私は求めなければならないと考えるわけでございます。二つの対立しておる団体、これをどう調整するかという問題も、厚生行政の実態としては、今日までの経過を考えますと大事な問題だと思いますけれども、いずれも厚生行政に対しての正しい理解、常に国民の側に立った誠意ある御協力をいただきますならば、私は円満に進行できるのではないかというふうに考えておるものでございます。
○森井委員 立ち入ったことを聞くようで大変恐縮でございますが、厚生大臣は御就任になりまして日本医師会にごあいさつに行かれましたか。もし、お行きになったとすれば、当面する医療保険行政等につきまして、あるいは大きく国民の健康というふうな問題につきまして、腹を割ってお話しになりましたか。
○野呂国務大臣 厚生大臣は就任すると、単に医師会だけでございませんので、関係機関に表敬の就任のあいさつをするということが前例であったようでございます。したがいまして、私も医師会にも表敬のあいさつをいたしました。しかしその際も、あるいはその後の機会にも改めてお目にかかったことはございません。いろんな会合ではお目にかかってはおりますが、今日まで医療行政、厚生行政等について突っ込んだ話し合いは一切いたしておりません。
○森井委員 きのう日医は大会をおやりになりまして、その決議の一つに健康保険法の改正案に強く反対するという態度を打ち出していらっしゃいます。もちろん健保につきましてはこれから国会でも審議日程に上るわけでございますが、単に健保の問題だけでなくて、すでにこの通常国会が再開されまして医療保険行政に関しまして予算委員会でも数々の議論が出ております。しかも、日医と切っても切り離せない意見も数々出されているわけでございます。いずれかの時期にというよりも、できるだけ早い時期に厚生大臣は腹を割って日医の皆さんと話をされる必要があるのじゃないか。何も私は日医の肩を持つわけではありません。しかし、いま申し上げましたような観点からいけば、そういった機会をお持ちになる必要があるのではないか、こう考えますが、その点についていかがかということと、時間の関係がございますので、もう一つ質問させていただきます。 これもやはり御就任後のマスコミの報道によりますと、大臣は、日本医師会とも十分話し合いをしなければならない、いい関係を保たなければいけないという意味だったのだろうと思いますけれども、ただ日本医師会だけが厚生行政あるいは医療保険行政のすべてではない、いろいろな団体とも話し合いをしなければならぬという意味のこともおっしゃいました。これは歴代の厚生大臣のこれからの姿勢を占う意味できわめて関心の高い問題でございますので、その点についてもお答えをいただいておきたいと思います。
○野呂国務大臣 今後医師会と突っ込んだ話し合いの場をやる気があるのかどうか、必要があればそういう機会も持たなければならないかと思いますが、必ずしも私と武見会長との間で話をしなければならない問題であるとは考えておりません。厚生行政の一つの場面でございます。また、健保改正につきましてもこれはすでに国会に提出をいたしておることでございます。国会の御審議をいただきまして速やかに成立されることを私どもはお願いを申し上げておるわけでございます。 なお、医師会だけでなくて健保の組合との話も必要であればしなければならないと思いますが、いずれにしても厚生行政、とりわけ医療行政を推進する関係各団体とは適切な関係を保ちながら、国民の期待にこたえるような方向に努力を進めてまいりたい、かように考えております。
○森井委員 率直に申し上げまして、日本医師会というのは学術団体と称していらっしゃいますが、俗っぽい言葉で恐縮ですが、むしろ業界の圧力団体だというきらいがしてなりません。これは私の見解でございますから厚生大臣にそれを押しつけるつもりはありませんが、私が早急に話をする必要があると申し上げたのは、先ほど申し上げました、そうは言うものの日本の医療保険行政の大きな一翼を担っていらっしゃることは間違いないのですよ。それから、末端で苦労していらっしゃいますりっぱなお医者さんが日本じゅうにたくさんあるわけですから、私はその視点を忘れてはいないのです。ただ、そういった視点と、もう一つはどうしても医師会に考え直してもらわなければならない、これはある意味で厚生省の姿勢そのものにも影響してくると思うのでありますが、たとえば指導、監査の問題です。これはもう保険局長では手に負えない問題だと私は思うのです。御案内のとおり、三十五年から指導、監査に当たっては医師会の立ち会いを必要とするということになっておりまして、いまそれがずっと続いているわけでございます。後で順次御質問申し上げるわけでございますけれども、やはりあれだけ天下に悪徳医師が——全部とは言いません、たくさんの良心的なお医者さんから見れば一部ですけれども、いわゆる悪徳医師というのが具体的に指摘をされてまいりました。そういった状態の中で厚生行政を預かる厚生省が積極的に医師の指導監督がなぜできないのかという国民の大きな不満がございます。御案内のとおりでございます。したがって、三十五年のあの日本医師会との申し合わせについてはこの際そろそろ考える必要があるのではないか。ずばり申し上げればもう破棄をすべき時期が来ている。法的には何ら問題がないのですから、ちゃんと健康保険法の四十三条ノ七あるいは四十三条ノ十といったところをごらんをいただけばおわかりのとおりなんです。できるのです。ところが、日本医師会が立ち会わなければ指導、監査ができない、これは最大のネックだと思うわけでございます。虫のいいかどうかわかりませんけれども、いま日本医師会は診療報酬の引き上げを要求されようとしております。すでに私どものところへ各県の医師会の方が陳情に見えています。しかし、そういった中で一番問題になりますのは、医療費にむだがあるじゃないか。今度の健康保険法の改正案につきましても私どもも素直に法案の審議に乗る気になれないのは、その原因の一つにそういったところがございます。破棄をしたらどうかと思いますが、大臣の所見と、そうなりますと、そうは言いますもののやはりこれは協定でございます。したがって、いまただ一つの例を申し上げましたけれども、積極的に入っておいきになって、武見さんその他ともお会いになって、腹を割って、この際厚生省は国民の要望にこたえて、積極的に指導、監査をさしてもらいたい。できるだけ協力を得るが、もし協力が得られなかった場合は、厚生省あるいは都道府県知事独自でもやりますよというくらいのことは私はおやりになるべきだと思う。いかがでしょうか。
○野呂国務大臣 御指摘の昭和三十五年の日本医師会との申し合わせの件につきましては予算委員会でもたびたび御指摘をされたわけでございます。しかし、健康保険法によります指導、監査の執行を妨げるものではない、むしろ円滑に推進するものであって、そういう立場で今後具体的な問題について日本医師会と話し合う必要はあろうかと思いますが、どこまでも円滑に行っていく、医師側の適正な協力を求めて、そして指導、監査を充実していくというためのものであると私どもは解釈しておるのでございます。しかしながら、政府といたしましては、この指導、監査はきわめて重大な問題でございますので、この強化を推し進め、さらに府県の方とも十分な連携をとっていきたい。あえてこの申し合わせについて破棄するとかどうとかといったようないま問題ではないのではないかという認識に立っておるわけでございます。
○森井委員 それは困りますね。ちょっと事前にお伺いをしておきたいのですが、保険局長、この申し合わせというのは法的にはどういうことなんですか。
○幸田政府委員 申し合わせの法的な意味合い、こういうお尋ねでございますが、もちろん森井先生御承知のとおり、これは法律上のものではございません。あくまでも医療保険行政を円滑に遂行していきますために厚生省と日本医師会、日本歯科医師会とが申し合わせ、話し合いをした、こういうものでございます。
○森井委員 そうすると、法的な効果も、それから強制力もないわけですか。
○幸田政府委員 法律上の問題としましては先生御指摘のとおりでございますが、日本の医療保険行政を進めるに当たりまして医師会、歯科医師会の協力なくしては円滑に事が運ばないということも当然でございまして、そういった意味合いで現在まで私どもその線に沿って実施をしておる、こういうことでございます。
○森井委員 昭和五十四年の一月二十五日、保発第四号、これは保険局長から都道府県知事あての「保険診療適正化のための指導、監査の推進について」という文書を出していますね。指導、監査を推進をするという中身になっておるわけですけれども、なまぬるい中身できわめて不満ですけれども、しかし、その本文の末尾に「なお、本件については、日本医師会との間で合意に達しているので、念のため申し添える。」これは一例ですけれども、厚生省が出す通達類にしばしば出てくる言葉ですけれども、そうすると、一体医師会というのは何ですか。これは役所の一つですか。医師会の性格についてもぼくは明らかにしてもらいたいと思うのです。
○田中(明)政府委員 先生御案内のとおり、医師会は公益法人でございまして、その定款に定めるところによりますと、事業といたしまして、医道の高揚、医学、医術の発展普及、公衆衛生の向上を図って社会福祉を増進することを目的とするというふうにうたわれております。
○森井委員 医療費のむだを省けというのは、大臣、二年前の中医協でも出ているんですね。診療報酬の引き上げに関しましてやはり出ています。そして、私どももしばしば指摘をしてまいりました。また、各種審議会の中でも、たとえば社保審の中でも、やはり答申の中で医療費のむだを省けというのが出ています。そういうふうに見ますと、私はせめて指導、監査ぐらいはいつでも厚生省が思うときにできる、あるいは都道府県知事が思うときにできる、いまこの態度が必要じゃないかと思うわけです。相手のあることでもありますから、あしたからやめるというわけにはいかないかもしれませんが、私は先ほど法的な地位をこの申し合わせについてお伺いしましたけれども、それはともかくとして、一定の合意には違いないと思いますから、わからなくはないですが、やはりこの際、あの申し合わせば申し合わせとして仮におくにしても、しかし医師会が協力をしない場合はどうなるのか。現にあったわけですから、部分的には。あれは表に出ない場合だけでして、具体的に指導、監査をしようというときに立ち会ってもらえなかった、そういった例も私は幾つか耳にしております。したがって、もし聞いてもらえなかった場合、申し合わせに従って立ち会ってもらえなかった場合、少なくとも厚生省が独自で判断をして指導、監査ができるというふうにはなりませんか。 私はこの際、やはり一番大切なことでもございますし、厚生省の姿勢を占う非常に大切な問題でございますので、まず申し合わせば破棄していただきたいと思いますが、破棄できにくいというのならせめて申し合わせば置いておいて、なるほど波風が立たないから立ち会ってもらった方がいい場合もあるでしょう。しかし、協力が得られなかった場合は独自にやることができる、これはぜひ必要だと思います。いかがでしょうか。
○野呂国務大臣 申し合わせば、いずれにしても昭和三十五年、あの情勢のもとで行われたものでございます。しかも、その目的は指導、監査をより適正に行うための協力というものでございまして、円滑にこれを運営していくことが大変大事でございますから、私は申し合わせ自体は決して指導、監査を拘束したり妨害したりするものではない、そういうふうに考えておるわけでございますから、あえてその申し合わせを破棄するというようなことをいまする必要もないのではないか。しかし、指導、監査の実態においていまのような医師側の協力を得られないというような問題が起こったときはどうするか、これは当然国民の期待する医療行政が適正に行われるためには厚生省は責任を持たなければならないわけでございますから、申し合わせ事項にもしあるような事項でございましても、そのことについて話し合いを進めながら、最初に申し上げましたように、いわゆる誠意ある協力のもとに指導行政を進めてまいりたい、指導、監査をやってまいりたい。これはもう責任を持って厚生省がやっていくことであると考えておるわけでございます。
○森井委員 ちょっと最後の方が、私は頭が悪いものですからわかりにくかったのですけれども、申し合わせば一応そのまま置いておく、ここまでは大臣のお気持ちはわかりました。 ずばり聞きますが、協力が得られなかった場合は厚生省独自でおやりになることもあるのですか。
○野呂国務大臣 私は協力が得られるものであると考えておるわけでございます。
○森井委員 私が先ほども申し上げましたように、しばしば実質的な協力が得られなかった場合があるのですよ。そういった場合はどうなさるのか。私は先ほど武見医師会の話を申し上げましたけれども、ちょっと個性の強い団体ですからね、必ずしも大臣が言われる御期待のとおりにいかない場合があり得る。なぜ言われないのですか、申し合わせばそのまま置いておくとおっしゃるんだから。私は、のけろという議論ですよ。それは一歩譲るとしても、申し合わせに基づいて協力をしてもらいたいと言ったけれども協力がしてもらえないという場合は、厚生省あるいは都道府県知事は、独自の立場で、法律に基づいて、これは厚生省は法律を破るわけにはいかないのですから、健康保険法に基づいて指導、監査を独自の立場でする、そういうことじゃないでしょうか。
○野呂国務大臣 そのとおりだと思います。ただ、申し合わせのことについて、これは指導、監査を円滑に進めるためであるとわれわれは解釈をいたしておりますので、もしそういう事態が起こった場合には、その申し合わせについても話し合いを進めて、円滑に推進するということも大事でございます。もし、それが理解を得られないとするならば、当然法律に基づく指導、監査は充実し、徹底していくということは必要であることは言うまでもございません。
○森井委員 大分はっきりしてまいりましたからこれぐらいにしておきましょう。それで、一番最後の法律に基づいてというところにアクセントがついておりましたから、当面納得をいたします。 そこでついでに、時間がないので大変恐縮ですけれども、先ほど申し上げました「指導、監査の推進について」という通達ですね。これを見ますと、ややこしいことが書いてあるのですよ。「学術的基盤を重視し、医学の進歩に従って適確な診断、治療が行われる必要がある。」これはとりようによっては検査づけ医療を認めたように見えたり、これはいろいろあるわけだけれども、そういった前提がついておるかどうかということが一つ。 それから二つ目は、どういう場合に指導、監査を推進するかというのが三つ、四つ書いてあるのですね。その中に「極端に診療点数が高いもの」、たとえば十から二十の診断名をつけておるようなもの、非常に病名の多いものですね。それから「漫然と長期にわたって診療を続けているもの」。これは大臣、死んだ人をまだ治療してたというのがありましたね。「漫然と長期にわたって診療を続けているもの」というのはそういうようなことも入るのかもしれませんが、そういうふうなもの等々、むしろ限定的に書いてあるわけです。私がいま欲しいのは、医療費のむだをなくしようとすれば、極端に言いますと、やはり常時、問題のないようなお医者でも、問題があるお医者もすぐわかりますね、たとえば所得が異常に高いものとかあるわけですから、ファクターは、本気でやる気になれば幾らでもあるんですけれども、そういったものについて常時、早く言うと巡回をして指導、監査をするような体制がとれないものか。今度も監査官を二名を四名になさるようですけれども、これは二名が四名になったところで、四十七都道府県ございまして、とにかく焼け石に水と申しますか、二階から目薬と申しますか、ほとんどこたえないというような形になっていますが、人間というのはおかしいものでございまして、やはり常時、国民のあるいはそれを代弁をする、代表をする役所の監査があるんだということを頭に入れていただくと、うんと違ってくると思うのですね。ですから、そういった点について通達を変えるつもりはないか。 それから、政管健保のレセプトの点検調査結果というのが社会保険庁から出ているわけですけれども、これを見ますと事務上のミスだけでもずいぶんな数に上るのですね。これはちょっと調査が古いのですが、五十二年度だけ見ましても百六十五億六千一百万円、レセプトの事務上のミスだけでもそれぐらいになっているのですね。これは全部の医療費から見ますと、診療報酬から見ますと一%弱になっています。こういった事務上のミス等もあるわけですから、私はそういった点も含めて、この際もう少し指導、監査のあり方、あるいはレセプトの点検、そういったものの具体的な改善の方策はないのか。健康保険法を審議をしてくれ、審議をしてくれと言われますが、われわれが指摘をしております問題についてはほとんどいままで耳をかしていないと言っても過言ではない。申し上げました通達でも、去年出したまま出しっぱなし。その後追跡調査したのかどうなのか、実績はどの程度上がったのか、答えてください。
○幸田政府委員 昨年の一月に保険局長から都道府県知事に通達をいたしました「保険診療適正化のための指導、監査の推進について」でございますが、これは先生御指摘のような今日の保険医療の実態に着目をいたしまして指導、監査の一層の推進を図る、こういう見地から通達をいたしたものでございます。この中に四つほど例示をいたしまして、「医学常識からみて極端に診療点数が高いもの」あるいは「漫然と長期にわたって診療を続けているもの」等を掲げてございますけれども、これはこの通達に記載されておりますとおり「重点的に指導、監査を実施すること。」ということでございます。 通達を若干引用いたしますと、「医学常識から極端にはずれた診療であってはならないので、以下のようなものについては、重点的に指導、監査を実施すること。」ということで、以下の一つに「医学常識からみて極端に診療点数が高いもの」、二番目に「漫然と長期にわたって診療を続けているもの」等々を掲げているわけでございまして、私ども指導、監査の実施につきましては、こういったものを重点的に実施をしろ、こういうことを示したものでございます。 御指摘のとおり、私どももできますならば指導、監査を十分実施をいたしたい気持ちでございますけれども、何分にも現在のところ各都道府県の医療関係技官でございますが、一般の医科で四十五名、それから歯科で三十二名といったような充足状況でございますし、また御指摘のとおり、医療監査官の増員を昭和五十五年度においても二名図るといったようなことを考えておりますけれども、それにいたしましても何分に体制が整わないということでございます。そういったことから、やはり指導、監査はどうしましても重点的に実施をせざるを得ない、こういうことで先ほど引用いたしました五十四年の一月の通達を出したのでございます。 それから、レセプトの点検等において非常に事務上の過誤のもの等が多いのではないか、こういう御指摘でございますけれども、これは医療機関に対します一般的な集団的な指導、こういうかっこうで随時各都道府県で実施をいたしております。相当数の保険医療機関あるいは新しく指定を受けました保険医療機関等を対象にいたしまして実施をいたしております。その結果かなりの効果が上がっている面もあると私ども考えておるわけでございます。具体的な例といたしましては、一カ月の請求についての事務上の問題がかなり改善をされたケース等もございますけれども、こういった問題につきましても今後指導の一環といたしまして十分に注意をし、各都道府県で徹底をさせるようにさらに努力をいたしたいと考えております。
○森井委員 どうも中身のない答弁で納得できません。しかし、与えられた時間もありますから次に入りますが、ちょっと私、口が悪いものですからお許しをいただきたいのですが、いまのままのんべんだらりと指導、監査について、あるいはレセプトの点検について放置をする限り、政管健保の赤字も含めて、これは直りませんよ。 次に、健保が出されておるわけでありますけれども、健保法案についてはいずれ審議の場があると思いますので法案の中身等については触れませんけれども、もう一つ周辺の問題についてお伺いしたいわけでありますが、厚生省はけしからぬのですよ。政管健保の財政収支、これは五十三年度も五十四年度も大見込み違いです。よくしゃあしゃあとそこに座っていますね、これだけの間違いを犯して。いいですか。最初に健保法案をお出しになったときには、とにかく千六百億の累積赤字で四十九年以降大変だという説明だった。そうじゃないわけです。改めて申し上げませんけれども、これは見込み違いも一はなはだしい。こんなひどい中身をお出しになって、それで健保法案を審議してくれという。当初は五十三年度で言えば単年度だけで赤字が二百四十七億出るようになっていました。そして、四十九年度以降の累積赤字につきましても、千六百四十一億という説明でありました。現実には単年度黒になったわけでしょう。それからまた一年たって、今度は五十五年度の予算を組む前の五十四年度の中間の見込みですけれども一、これも単年度九百四億円の赤字、こういうことでしたけれども、現実の問題としてはたった百五十億の赤字で済んだ。もちろんこれは予備費の二百二十億が入っていますから実質的には五百億くらいの見込み違いでしょう。五百億の見込み違いですよ。さあオオカミが出ると言って大騒ぎをさせておいて、赤字は思ったよりは少ないじゃないですか。どこに原因があったのですか。
○此村政府委員 政管健保の五十三年度の決算が百二十六億円の黒字になったわけでございますが、これは先生よく御案内のとおり、主として医療給付費の伸びが見込みより鈍化したことによるものでございます。この理由といたしましては、昨年決算をまとめましたときに私どもが公表しましたとおり、インフルエンザもほとんど流行しなかった、こういうことが相当影響しておる、かように考えております。このほかに国民の健康管理についての認識が最近高まってきているというようなことも影響しているのじゃないか、かように考えたわけでございます。 それから第二番目に、五十四年につきましてはやはり好転をいたしました。これも主として医療給付費の鈍化によるものでございますが、五十三年度の決算がまだこのときはまとまっておりませんでしたので、いわばその発射台が少し下がったというような問題もございます。
○森井委員 たくさんのことを聞こうと思うので、答弁は簡潔で結構です。 それで、五十三年度を見ますと、結局一人当たりの医療給付費が見込み違いが大きいのですね。五十三年度で言えば、途中省きますが、一人当たりの医療給付費が千七百十八円安くついているのですね。五十四年度の場合は四千六百二十六円、大方五千円近い見込み違いがある。端的に言えば安くついているのですね。五十三年度、五十四年度と二年立て続けに一人当たりの医療給付費が減っているということは、やはり医療給付費の伸びが皆さんが考えていらっしゃるよりも——伸びというよりもむしろ下がる傾向にあるのではないか、こう私は考えるわけです。その分析はしていますか。インフルエンザがどうのこうのじゃ済みませんよ。やはりこの際、徹底的に一人当たりの医療給付費が減ったことについて追跡調査をする必要がある。健保を審議してくれと言っても、こんなに財政的に、何十兆の予算でこれだけ違うのじゃないわけですから、細かく分析していく必要がある。これから健保を審議するわけですけれども、本当に金が要るのか要らないのかというきわめて重要なキーポイントになるわけですからね。分析をしましたか。あるいは早急にいたしますか。
○此村政府委員 五十三年度の医療給付費の伸びが非常に縮まったと申しますのは、大きく響いておりますのは受診率の減でございます。最近受診率はかなり伸びてまいりましたが、五十三年度において、実額と申しますか、実際の値が前年度よりも下がりました。そういうような状況でございましたが、最近の動向を見ますと、五十四年度におきましては五十三年度よりもやや上向きかけておる、ただ、それより二、三年前の趨勢までにはまだいっていない、こういう状況でございます。 なお、先生御承知と思いますが、このたび政府が提案をいたしております健保法改正による現行制度を改正しない場合の財政効果は、五十三年度、五十四年度の状況を考慮に入れて推計をしたものでございます。
○森井委員 それでは、私の勘だけ申し上げておきますから、その意見を取り入れてやってほしいと思います。 たとえば、健保組合の医療費通知運動、これはかなり行き届いていますよ。皆さんはわざわざ通達までお出しになって穏当じゃないというようなことを言っておられましたけれども、そういった厚生省からの弾圧をはねのけて健康保険組合は医療費通知運動をやっています。着々と成果を上げています。週刊誌であれテレビであれあるいは新聞であれ、最近悪徳医師のことが次から次へと明るみに出てまいりました。何といいましてもそういった社会的な抑止力といいますか、そういったものもあずかって大きな力があった。したがって、こういったことを中心にして医療費が減ったものと私は思う。いずれにしても減った原因をもう少し細かくシビアに分析をして、いつかの機会に報告をしていただきたいと思います。いかがですか。
○此村政府委員 受診率の動きその他の要素の分析につきましてはなおよく検討し、十分努力いたしたい、かように考えます。
○森井委員 細かく分析をして報告をしてくれますね。
○此村政府委員 ある程度まとまりまして十分御説明できる段階で御報告いたしたいと思います。
○森井委員 それは困るよ。健保財政の行方を占う問題でしょう。健保審議をしろと言いながら一人当たりの医療費が、見込みよりも五十四年度の場合は大方一人当たり五千円も食い違っているのですよ。金額も大きい。それは健保審議しないならいいですけれども、私どもなるべくしたくありませんけれども、しなければならぬ点もあるから、それまでに間に合うように分析をして出してくれますか。
○此村政府委員 承知いたしました。
○森井委員 それから、これもまた健保と関係があるわけでございますが、野呂厚生大臣、歴代と言いましてもここ二代、厚生大臣がおやめになる寸前に老人医療の問題につきまして試案を出していらっしゃいますね。野呂大臣はまさかおやめになる前にまたお出しになるのじゃないと思うのでありますが、橋本さんと小沢さんではかなりの違いがあります。老人医療についてそういうふうに二つも試案が出されてお困りじゃないかと思うのですね。橋本さんに言わせると、それで選択の幅を広げるのだとおっしゃるのですが、これもあなたにとっては御迷惑な話で、私には私の考え方があるとおっしゃっていいわけですからね。一体これをどのように扱うつもりですか。
○野呂国務大臣 すでに橋本試案あるいは小沢試案が出されておるわけであります。私はこれは老人医療制度に対する一つの見識であると考えます。したがって、そのお二人の方の見識を踏まえながら関係審議会にも意見を聞き、少なくも昭和五十六年には老人医療制度の新しい方向を見出していきたいと考えておるわけであります。
○森井委員 これは所信表明にも書いてありましたから私もそのまま信用したいと思いますが、大臣、橋本さんの試案は私どもが国会でいままで認識をしているのと違うのですよ。というのは、橋本試案は現行の各保険制度を認めた上で、その中で措置をするというわけです。私どもは、費用の問題をどういうふうにするか問題はもちろんありますが、別建てだという点はしばしば国会でも確認をしてきておるわけでございます。この点はいかがでしょうか、一言伺っておきたいと思うのです。
○野呂国務大臣 できるならば別建てで確立する必要があるのではないか、少なくも老齢化社会を本格的に迎えておるわけでありますから。ただし、それにしてもまたいろいろ問題点があろうかと思います。いずれにしても高齢化社会を迎えてのこれからの老人医療に対しては、制度においても慎重に、しかも将来に問題の起こらないような方向に、私どもはいろいろな意見を踏まえて進めていきたいと考えているわけでございます。
○森井委員 それから、先ほど予算委員会でも問題になりました薬価基準ですね。これは厚生大臣もお答えになりましたように、薬づけ、検査づけ医療ということからいけば抜本的な解決を図らなければならないものでございます。したがって、本委員会としても、予算委員会でお答えになりましたように、それ以上のことを言うと予算委員会に失礼になりますから申し上げませんけれども、医療経済等の資料も含めて当然私どものところへも届けていただきたい。 それから、私は九〇%バルクラインというのに問題があると思うのです。これは昭和二十年代にできたわけですね。あちこちで問題になっておりますように、現行の薬価基準は実勢価格よりもかなり高い。私どもの調査でも五割ないし七割くらい実勢価格より高い。これも医療費高騰の大きな原因の一つになっているわけです。したがって、薬価基準の算定の仕方についても問題がある。九〇%バルクラインなんということは国民は納得しませんよ。徹底的なメスをお入れになる御意思があるのかどうか、この際、健保法の改正の案ともにらみ合わせながら御質問しておきたいと思うのです。
○幸田政府委員 薬価基準の問題につきましては、従来から、たとえば銘柄別収載を採用いたしますとかあるいは薬価調査方法の改善等の改善措置を進めてまいっております。しかしながら、いま御指摘のようないろいろな問題があることが指摘をされておりますので、私どもといたしましては、実はこの薬価基準の改善方策は中医協で御審議をいただくということになっておりますので、できるだけ速やかに中医協で御審議を願いまして、それを通じて適正化に努めてまいりたい、かように考えております。
○森井委員 九〇%バルクラインについても中医協で審議をしてもらうのですね。
○幸田政府委員 従来の中医協の審議の経過から、そういった問題も当然に含まれるものというふうに私どもは考えております。
○森井委員 そのほか、医療供給体制でありますとか保険外負担の解消の問題でありますとか、たくさんお聞きしたいことがございますけれども、時間がなくなりました。 そこで、年金について簡単にお尋ねをしたいと思うわけでございます。 大臣、冒頭に御質問申し上げましたが、非常にいいお答えが出てきたわけです、最初、所信としては。ただ、六十五歳にするという分だけはどうもいただけないわけでございます。往生際が悪いのですね。もう六十五歳は引っ込められたのですから、ついでに附則の四十六条なんというのをおつけにならなければいい。(「修正、修正」と呼ぶ者あり)いま修正、修正という声も出ていますけれども、これを取っ払ってもらえませんか。 時間の関係で申し上げますと、統一見解を予算・委員会でもお出しになったようですけれども、年齢以外に官民格差の問題も勘案する、雇用の問題も勘案するとおっしゃいました。これは労働省のサイドから見ても時期尚早じゃないかという意見が出ていますし、何といいましても官の方が、もうすでに少なくとも五十五歳を六十歳に引き上げていくのに二十年かかるという、これはコンクリートになっているわけでございます。この附則によりますと、次期再計算期、こうなっておるものですから、常識的に言えば長くて五年、今回の場合四年がありましたから、四、五年の間ということでしょう。官民格差を考慮しろといったって、官の方は少なくとも向こう二十年間は六十歳を六十五歳にすることがないわけですから、この際、引っ込めろと申し上げたのでは引っ込められぬと申されましょうから、各党で話し合いをすることについて、厚生大臣としても十分対応するというおつもりがあるのかないのか、お伺いをしたいと思うのです。
○野呂国務大臣 すべて国会がお決めいただくことでございます。したがいまして、それに対して反論するとかどうとかという権限も何ももちろんございません。国会の御意思どおりで結構でございます。 ただ、私どもは決して往生際が悪いというわけではございませんので、往生際が一番よかったんじゃないだろうか。いわゆる両審議会の意見を十分尊重さしていただいて政府案を出したいということを前もって申し上げたわけでございまして、したがって、いままで審議会の意見を十分尊重したのはこれが一番最大のことであったのではないか、こういう意味では大変往生際はよかったのではないかと私は判断をいたしておるわけでございます。
○森井委員 含蓄のある言葉で、特に「ただ」とおっしゃったその前が、非常に国会の意思を尊重するというお言葉でございますから、それを尊重したいと思います。 最後に、先ほどちょっと冒頭にお伺いしました原爆援護法のことでございます。 もう時間がありませんから一言お答えをいただけばいいわけですが、遅くとも六月までには答申が出るものと思うわけでございますけれども、そのとおり理解をしていいかどうか。そういたしますと、その後の立法作業についても、予算編成に間に合うように立法作業をお始めになる必要があるのではないか、私はこう考えますが、この点がいかがかということが一つ。 それからもう一つは、韓国人被爆者に対して、もとは自由民主党と韓国の与党との間の話し合いのようでございますけれども、結論から申し上げますと、医師の往復でございますとか、あるいは患者さんを日本に呼んで治療するとかいうことにつきましてはすでに話し合いがついておるやに聞いておるわけでございますが、問題はそれじゃ足りないわけでございます。日本で治療しても、帰りますとまたどこで見てくれるのか、せっかく病気が治りかけたけれども、また韓国へ帰ったら病状が重くなる、見てくれるところもないという点からいけば、私はやはり何といいましても病院が欲しい、それから日本にあるような医療器材が欲しいということになると思うわけでございます。これは外務省が注文をつけておるようでございますけれども、確かに外交上の問題がいろいろあるようでございますが、厚生省とされては中身の充実について、いま申し上げましたように、単に人的な往来だけではなくて、病院あるいは医療器材の問題につきましても、今後可能なところから手をつけていただく御意思があるのかないのか、この点をお伺いをいたしまして質問を終わります。
○野呂国務大臣 原爆被爆者対策基本問題懇談会の結論が出されましたならば、当然十分尊重いたしまして速やかにこれに対処してまいりたい。 なお、在韓被爆者の治療の問題でございますが、いろいろ話し合いが進められておるわけでございます。この実態につきましては、近く医師及び事務官を韓国に派遣いたしまして、こういう問題も含めましてさらに積極的な検討をしてまいりたいと考えております。
○森井委員 終わります。 ————◇—————
○葉梨委員長 第九十回国会内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。野呂厚生大臣。 ———————————— 健康保険法等の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ————————————
○野呂国務大臣 ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 医療保険制度の基本的改革は、かねてから重要な課題となっておるところでありますが、医療保険をめぐる諸情勢は、近年厳しさを加えております。 かつてのような高度経済成長が期待できない情勢のもとにおいては、人口構成の老齢化や医療の高度化等により医療費の伸びが賃金の伸びを上回る状況が続くものと考えられます。また、医療費問題のみならず、救急医療などの医療体制の整備、老人保健医療制度の整備等、早急に解決を図るべき諸問題が山積しており、昭和五十二年度の健康保険改正法案の国会審議の際、これらのもろもろの課題の解決に取り組むことをお約束いたしたわけでございます。 したがいまして、医療保険制度の基本的改革に当たりましては、医療保険制度のみにとどまらず、医療制度、薬事制度、健康管理対策等、関連各分野においても逐次改善を図ってまいる考えであり、昨年の第八十八回国会におきましては、医薬品副作用被害救済制度の創設、薬事法の改正が実現したところであります。医療保険制度の改革につきましてはその第一段階として、給付の平等、負担の公平、物と技術との分離、家計の高額な負担の解消、医療費審査の改善の五つの原則を柱として策定した健康保険法等の一部を改正する法律案を第八十四回国会に提出し、その後第八十八回国会まで御審議を煩わしたのでありますが、成立を見るに至りませんでした。 しかしながら、医療保険制度の改革は緊急の国民的課題であり、一刻も早くその実現を図る必要があることから、さきの第九十回国会にこの法律案も提案し、今国会におきまして引き続き御審議を煩わすこととなった次第であります。 以下この法律案の内容について概要を御説明申し上げます。 まず、健康保険法の改正につきまして申し上げます。 第一は、医療給付に関する改正でありますが、被保険者と被扶養者との医療給付の格差を是正して、同一水準の給付を確保することを基本とし、このため患者負担を適正なものにするとともに、高額療養費の支給等により、真に医療費負担による家計の破綻を防止しようとするものであります。 患者負担につきましては、初診時の負担を千円とし、投薬、注射に係る薬剤または歯科材料に要する費用の二分の一を新たに負担願うことといたしております。ただし、高価かつ長期間連続して投与される薬剤や、検査、麻酔に使用される薬剤は、負担の対象としないこととしております。さらに、入院の場合には一日につき給食料に相当する額を負担していただくことにいたしております。 これらの患者負担の額が著しく高額となったときは、高額療養費を支給することといたしており、患者負担の限度額は、現行被扶養者に対する高額療養費制度では月額三万九千円となっておりますが、今回は、その約半分の月額二万円程度にする予定であります。 また、療養費の支給要件を緩和し、保険医療機関または保険薬局以外の医療機関等で療養を受けた場合でありましても、やむを得ない場合には療養費を支給することといたしております。 第二は、分娩費等の給付に関する改正でありますが、分娩費等の最低保障額や配偶者分娩費等の額を実情に即して改定できるものとするため、政令で定めることといたしております。 第三は、保険料に関する改正でありますが、保険料負担の公平を図るため、賞与等についても保険料を徴収することとし、賞与等の支払いを受けた月においては、その月の保険料額は、標準報酬月額と賞与等の額を合算した額に保険料率を乗じて算定することといたしております。 なお、保険料徴収の対象となる賞与等の額は、その月に受ける賞与等の額につき、各被保険者の標準報酬月額の二倍に相当する額を限度とすることといたしております。 次に、給与の実態に即して標準報酬等級の上限を調整できることとするため、上限に該当する被保険者の割合が百分の三を超えた場合には、社会保険審議会の意見を聞いて政令をもって上限を改定できることといたしております。 また、政府管掌健康保険の保険料率は、厚生大臣が社会保険審議会の議を経て千分の八十を超えない範囲内において定めることができることといたしております。健康保険組合の保険料率も同じく千分の八十を超えない範囲内において決定するものといたしております。 第四は、国庫補助に関する改正でありますが、政府管掌健康保険についての保険料率の調整に連動した国庫補助率の調整規定を廃止し、国庫補助率は、主要な保険給付に要する費用の現行の千分の百六十四から千分の二百の範囲内において政令で定めることといたしております。 第五は、財政調整についてであります。今後、全被用者医療保険間において財政調整措置を講ずることといたしておりますが、その措置が講じられるまでの間、健康保険組合間の財政を調整するため、健康保険組合連合会は、政令の定めるところにより健康保険組合からの拠出をもって一定の健康保険組合に対し、交付金の交付事業を行うこととするものであります。 第六は、保険医療機関等の登録・指定等に関する改正でありますが、個人開業医については保険医の登録があった場合、保険医療機関の指定があったものとみなすものとして手続の簡素化を図る規定、保険医療機関等の指定を拒否できる事由を法定する規定、未払いの一部負担金について、保険者が保険医療機関等の請求により徴収処分をすることができるものとする規定を設けることといたしております。 その他、給付の平等を図る見地から健康保険組合の付加給付を規制する規定を設けるほか、海外にある被保険者等に対する保険給付の実施と保険料の徴収を行うための規定その他の規定の整備を行うこととしております。 次に、船員保険法の改正について申し上げます。 船員保険の疾病部門につきましても医療給付、分娩費等の給付などについてさきに述べました健康保険の改正に準じて所要の改正を行うものであります。 次に、社会保険診療報酬支払基金法の改正について申し上げます。 社会保険診療報酬支払基金における審査について再審査に関する規定を整備するものであります。 なお、この法律の実施時期につきましては、公布の日から起算して六カ月を超えない範囲において政令で定める日から施行することといたしております。 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○葉梨委員長 これにて健康保険法等の一部を改正する法律案の提案理由の説明は終わりました。 ————◇—————
○葉梨委員長 次に、内閣提出、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。野呂厚生大臣。 ————————————— 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す る法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○野呂国務大臣 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、年金の支給を初め各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところでありますが、今回、年金等の支給額を引き上げるほか、障害年金、遺族年金、戦没者の父母等に対する特別給付金の支給対象範囲を拡大するなど一層の改善を図ることとし、関係の法律を改正しようとするものであります。 以下この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。 第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正であります。 改正の第一点は、障害年金、遺族年金等の額を恩給法に準じて引き上げるものであります。 改正の第二点は、障害年金の支給対象の範囲を拡大し、勤務に関連して負傷し、または疾病にかかり、爾後重症により、一定時点以後に第五款症以上の障害者になった軍人、軍属または準軍属であった者に対し、障害年金を支給するものであります。 改正の第三点は、遺族年金、遺族給与金の支給対象範囲を拡大し、勤務に関連して負傷し、または疾病にかかり、一定期間内に他の疾病を併発して死亡した軍人、軍属または準軍属の遺族に対し、遺族年金または遺族給与金を支給するものであります。 第二は、未帰還者留守家族等援護法の一部改正であります。 これは、未帰還者の留守家族に支給される留守家族手当の月額を遺族年金に準じて引き上げるものであります。 第三は、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正であります。 これは、昭和五十四年の遺族援護法の改正により遺族年金等を受ける権利を有するに至った戦没者の妻に、特別給付金を支給するものであります。 第四は、戦没者の父母等に対する特別給付金支給法の一部を改正することであります。 これは、昭和五十四年の遺族援護法の改正により遺族年金等を受ける権利を有するに至った戦没者の父母等及び戦没者の死亡後他の子や孫が改氏婚したこと等により戦没者の戸籍抹消時点に他に氏を同じくする子や孫がいない戦没者の父母等に、特別給付金を支給するものであります。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
○葉梨委員長 これにて戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案の提案理由の説明は終わりました。 この際、暫時休憩いたします。 午後零時四十九分休憩 ————◇————— 午後二時二十五分開議
○葉梨委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。安田修三君。
○安田(修)委員 それでは、初めての質問でありますので、初めに厚生大臣に、きわめて原則的なことでありますが、一点だけお伺いしたいと存じます。 先般の大臣の所信表明の中にこういうことがあるわけであります。「ますます多様化する国民の社会保障のニーズにこたえていくためには、厚生行政の面においてもいままで以上に長期的かつ総合的観点に立った検討を行うとともに、効率化、重点化といった観点からの対応がどうしても必要になってまいります。そしてそのためには、高い社会連帯の意識、同時に力強い自立自助の精神などわが国社会の特性を十分生かしつつ、財政、税制、財投などの手段を有機的に行使してこれらの課題に取り組むことが肝要であると思う」という趣旨が述べられておるわけであります。 そこで、厚生省の立場から、いま年金、健保など多くの社会福祉の課題があることは、この前段に出ているわけでありますけれども、財政、税制、財投という関連の中で、特に税制が出てまいるわけでありますけれども、私は、高福祉という言葉がありますが、むしろ最近は低福祉の方向にあるのではないか。そして、高負担の考えだけが依然として高く掲げられておるのではないか。そのことがこの大臣の所信表明の中に出ておるのではないかと思うわけでありますが、ここらあたりの見解につきまして、この使っておられる中身から大臣の考えをお聞きしたいと思います。
○野呂国務大臣 所信表明の中で、今日の厚生行政をめぐる環境や条件が大きく変化する中で、国民の求める福祉というものに対して、私どもといたしましては社会保障の役割りは大変重要になってくるわけでございます。したがいまして、給付費がどんどん増大いたしていきます将来を展望いたしまして、関係の制度の有機的な連携を図りながら、効率的また体系的な進め方をしなければならない。また、給付におきましても、給付と負担の両面から社会的な公平を図っていくということが、基本的な立場においてどうしても大事なことでないかというふうに考えるわけでございます。 なお、それらを具体的に申し上げますならば、財政の問題におきましては補助金の財政支出、さらには税制上の措置、さらにまた財政投融資なども効果的に用いていくことが大変大事であるということを申し上げたわけでございます。 なお、社会保障の水準はむしろ後退していくのではないかという御心配でございますが、西欧諸国と比べて、今日ではその水準においては決して劣るものではない、そこまでに発展してきておるのである、むしろその負担面においては、今後社会保障費が増大するために当然増大が見込まれていくということについては十分考えていかなければならないということに対して申し上げたわけでございます。 今後とも、この社会保障がこれからの国民の大きな期待にこたえるものとして、これらに積極的に取り組んで、福祉が後退しているではないかという御指摘を受けないように努力を続けてまいりたいと考える次第でございます。
○安田(修)委員 社会保障の水準が西欧並みに進んできたかどうか、これは私たちは進んでいないと考えますが、これはこれからのいろいろな法案審議なりその都度いろいろと申し述べていくわけでありますけれども、ただ一点ここで申し上げておきたいのは、たとえば非消費支出の推移というのはここ累年上がってきておることは、これは大臣もお認めだろうと思いますし、それから所得、実収入の対前年増加率からしましても、たとえば税金あるいは社会保障費関係の料金等の占める非消費支出の割合というものは上がっているわけであります。こうなりますと、厚生省はやはり国民の生活保障、あるいは医療あるいは健康を守る立場からしますと、そうした非消費支出はなるべく生活実態に即しながら余り上げない、このことをむしろ関係省庁の中に税制面等の改正のたびに厚生省はアピールしていかれるという立場にあるのではないかと私は思うわけであります。そういう点で大臣のお考えをひとつお聞きしておきたいと思います。
○野呂国務大臣 税制上の問題におきましても、そういう面において私どもはいろいろ工夫をいたしてまいっておるわけでございます。特に高齢化社会ということにおきましては、在宅老人の福祉の向上を図っていくといったようなこと、そういう認識に立ちまして予算措置もこれに対して重点を入れておるわけでございます。融資の問題についても十分考えておるし、また税制の問題におきましても、これらに対しての所得税に引き続きまして住民税に対しても、同居の老親などの扶養控除制度を創設するなど意を用いて、御指摘の福祉の実態の向上というものに対して努めてまいっておるわけでございます。
○安田(修)委員 そこで、次に私は、午前中わが党の森井委員から健康保険の周辺にあるいろいろな重要問題について実は大臣に質問がございました。時間の関係でその際多少漏れましたので、関連してこの際先にお伺いしておきたいと存じます。 私たちの聞くところによりますと、健康保険組合連合会からこの健保法改正案につきまして修正案が発表されておるわけであります。この内容につきまして、給付水準などでいろいろと問題もあるかとは私たちも思いますが、現行医療保険制度を改革するという熱意と、それからまた午前中もいろいろと議論がありましたが、医療費のむだをどのように効率的に省くかという点からの建設的な提案もあると思うのでありますが、厚生大臣は各般のいろいろな意見を十分しんしゃくしながら将来の健保の大綱等進めていきたいということで、午前中は、健保法の修正については国会の意思は受けとめたいという御返答もありました。 さて、先ほど言いました健保連の提案、これをどのように受けとめておられますか。そしてさらに、そうした動きに対して、健保修正に対しての考え方というものをこの際午前中の質問に関連してお聞きしておきたいと存じます。
○石野政府委員 健保連からの御提案につきましては私どもいろいろと検討させていただいておりますが、基本的な流れといたしましては、やはり医療費の効率的な使用というのを大前提に考えなければならない。そのためには、薬価基準の問題でありますとか、あるいは保険外負担の問題を含めた幅広い論議が必要ではないか。そういう問題について厚生省としてしかるべき行政措置を考えなきゃならないという点が第一点。 それから第二点は、それと並行いたしまして、今度の健康保険法の改正につきましては、確かに健康保険組合にとってはマイナスの面もございますけれども、同時に、健康保険を扱っている組合として、一部負担の強化の問題でございますとかその他につきましてはやはり保険者としても当然賛成しなきゃならないものがあって、それについては賛成と、あるいは一部を修正すべきであるというような御意見だったと思います。 これにつきましてはいろいろな考え方があろうと思いますので、私どもは政府提案が一番いいという判断はいたしておりますけれども、やはりいろいろな角度から御検討願って、国民的なコンセンサスを得られるような内容でぜひまとめていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
○安田(修)委員 まとめていただきたいということは、国会の場でいろいろなそういう意見等がまとまってきた場合に、皆さん方が受けられるという意味合いですか。
○石野政府委員 国会が最優先でございますので、国会の意思に従うことが一番最適だと考えております。
○安田(修)委員 そうしますと、もう一点、しつこいようですが、確認しておきます。健保連のその考え方等が当然そういうまとめの中に入ることについて行政の皆さんの方では、こっちがまとめるかどうかは別として、その考え方そのものは、皆さんは政府案がいいとは思っておるけれども、その考え方も捨てがたいものであるという考えはお持ちですか。
○石野政府委員 健保連の修正意見をそのまま試算してまいりますと給付率の面でもかなり高くなってまいります。そうしますと、現在の政府管掌健康保険という立場をとりますと、財政構造から見ますととうていそれでは賄い切れないという面もございます。かたがた、一部負担について、余り過酷な問題になった場合に国民感情としてどうかという御判断もあろうかと思います。そういうもろもろの要素を加味して考えなきゃなりませんので、一概にこれがいい、これが悪いというわけにはいかないというふうに考えておるわけでございます。
○安田(修)委員 それでは次に、保育行政についてお伺いしたいと思います。 まず、幼保懇が行われておるわけでございますが、これはいまの進行状態と、大体どういうめどでいつごろまとまっていくのだろうか、この点についてお聞きします。
○竹内政府委員 幼稚園及び保育所に関する懇談会、俗に幼保懇と申しております。五十二年の十月以来、幼稚園及び保育所に関する共通の問題について鋭意協議を続けてまいっております。私どものいま承知しております限りではかなり議論も煮詰まってまいりましたので、結論が出る時期は、私どもの事務当局の立場でいつごろとまではちょっと即断はできませんが、もうそう遠くない時期ではなかろうかというふうに理解をいたしております。
○安田(修)委員 そう遠くないということは、まあまあ今年はというような意味にとってもいいですか。
○竹内政府委員 私どももそういうふうに理解をいたしております。
○安田(修)委員 そこで、今度は少し大臣に聞きたいわけです。 この保育行政につきまして、これは保育だけじゃなくしていろいろな母親等の関連も出てくるわけでありますが、大臣の所属しておられる自民党の方で昨年の九月に、乳幼児の保育に関する基本法制定の基本構想案というのが実は出されておるわけであります。その中に「家計が成り立っているのに乳幼児を保育所に預けて働きに出ていく母親、職場をやめても保育所が親の育児放棄の道具にされる事例がふえてきている」「日本の場合、母親の不存在に次いで母親の居宅内・居宅外労働が最優先されているために、一部において保護者の育児放棄と、より楽をしたい、より余裕ある生活をしたいという甘えを助長している」、こういうことが述べられておるわけであります。 この中に指摘されていることは、現状の母親と育児という問題につきまして社会上きわめて大切なことが指摘されております。たとえば、育児の放棄、それから、より楽をしたい、より余裕ある生活をしたいということが甘えを助長している。だから、子供は保育所に預けっ放しだという意味合いが出てくるわけでありますが、こうした傾向ということについて大臣は、政府はどういうぐあいに考えておられるか。自民党も私の方も一緒でございますというお考えであるかどうか、お尋ねしたいと思います。
○竹内政府委員 私どももそういう議論が自民党の幼児問題調査会というところで議論されておるということについては承っております、仕事の関係上当然に情報としては私どもは承知いたしております。ただ、その調査会の方から厚生省、あるいは文部省に対してもそうでありますけれども、具体的に案を示して意見を聞かれるという段階でもなく、かつ幼児の保育に関する基本法案の制定に関する試案要綱というような形が出ているわけです。いまお述べいただきましたのも、その試案要綱の中に述べられた部分でございます。 私どもとして、そのこと自体について考え方のよしあしを公式の場で論ずる立場にはございませんけれども、少なくとも厚生省といたしましては、基本的には子供、特に乳幼児の場合にはやはり両親の手元でというのが基本論であることは間違いないだろう。しかしながら、現実の社会情勢の中で、婦人労働の進出等に見られますように、保育所の保育に欠ける児童に対して家庭における保育と同様、場合によっては単なるその補完ではなくて、乳幼児の養育というものについての理想像を追求する意味でも、その保育所の保育内容というものについての質の向上なり水準の向上というものが求められるわけでありますし、私どもとしても、少なくとも保育に欠けるという実態が社会構造の中で必然的に生じている限りは、保育所というものが依然として私どもとしてはやはり堅持していくべき部分であって、単に幼児教育という観点での一本化、一元化という形で処理される、あるいはそういった議論が突き進まれることについてはいささか疑問を呈せざるを得ない、こういう認識でございます。
○安田(修)委員 ちょっと局長の考えは私、厚生省のいまやっている保育行政ということになれば——保育に欠ける子ということが後から出ましたが、先ほどの一つの基本構想案というのは、これは皆さん御承知ない、当然これは構想案でありますから。そこで私、大臣にお聞きしたいということを申し述べたのでありまして、与党の方でこれは政策上重大な変更を迫ってくるわけなんです。こういうことがもし具体案として案がまとまって政府に突きつけられるということになりますと、保育行政の重大な変更になってくる。同時に、私たちも現状の保育行政については、たとえばいま局長からいみじくも出ましたが、保育に欠けるという概念そのものが今日の保育行政の中では転換していく時期に来ているのじゃないだろうか。たとえば、地域社会の場で行われる体系的な養育、教育というものが今日保育の中に必要であって、単に保育に欠けるかどうかということだけが保育の中に定義づけられていいだろうか。これは今日の行政の中では発想の転換をしていかなければならぬ時期も来るのじゃないか。ここに幼保一元化の一つの課題もあると思うのです。ただ、たまたまそれとは逆の考え方がいま自民党の基本法制定の基本構想案の中に出ておるものですから、私はお尋ねしておるわけであります。 それはやはり現状の日本の家庭がお父さんも働き、奥さんも働き、一年でも早く住宅ローンを返済をしたい。人並みな生活、中流という言葉が最近はやっております。どこら辺が中流かは、今日四百万円以下の所得収入者が八五・六%もいる段階ではなかなか判断しかねますけれども、ただ、そうして今日働かなければならぬという日本の家庭の状況を厚生省が把握して、そしてそれが保育行政とどういうぐあいに連動していくか、ここに新しい問題が追及されると思うのです。 そこで私は、その考え方、大臣が、自民党の方はこういう考え方がいろいろたたき台とされるとしましても、私はそうでないとか、あるいはこう考えておるということを私は基本的な原則としてお聞きしたいわけなんです。大臣にお願いします。
○野呂国務大臣 御指摘の乳幼児の保育に関する基本法、仮称でございますが、制定に対しまして、幼児問題に関する小委員会、石川委員長試案なるものが出されたことは承知いたしております。その内容について、厚生省としてまだこれを検討するという場が与えられていないわけでありますが、御指摘のように、保育所というものは母親の就労などの増加によりまして現実的に社会的なニーズにこたえるものでございます。もし、保育所があるから家庭における保育を怠るようなことになるのだという見方がありとするならば、これは保育所に対する理解を欠くものであって、私は当を得てない考え方であるというふうに考えるわけでございます。
○安田(修)委員 大臣は明快におっしゃいましたが、自民党の方針の中に、ゼロ歳から四歳未満は家庭保育でという点を実は強調しておるわけです。私は、家庭保育というものを一律にどの家庭にも押しつけるべきではないので、これは本来家庭保育を選択するか、また選択する者にはいま労働省等も奨励しております育児休暇制度を拡大していく、また働きに出る人には保育施設をより充実していくという、これは国民の生活上の選択をより広く可能にするということの条件整備というものが施策の中に出てきて当然じゃないだろうかと思うわけです。その点、私は政府のお考えをお聞きしたいと思います。
○竹内政府委員 私どもも、いま御指摘いただきましたように、現実の要請もそうでございまするし、これからの社会の動きも当然にやはり婦人の職場進出と申しますか、婦人の活動というものが社会的にもいろいろと要求されてくる、そういった過程の中で私どもが、特にだんだん子供の出生率も低下している、こういった中で老齢化社会に対応するとすれば、やはり乳幼児の資質の向上というものに意を用いなければならないと思います。しかし私どもは、現在の保育所という仕組みはあくまでもやはり児童福祉法の中で福祉という観点からその保育に欠ける状態を埋めていくという役割りは依然として保っていくべきであり、その線は堅持をしていきたい。しかしながら、現在の児童福祉法の中にも児童厚生施設として児童館、児童センター等の方式も示しておるわけであります。また、私どもも現実にここ数年来、働く婦人の育児という問題にできるだけ対応していきたいという意味で、これは児童手当の福祉施設の形でございますけれども、事業所内における保育施設の整備ということ、あるいはまた明年度は職域における俗に言う青空保育的な形も公的な援助を行いながらカバーしていきたい。そういう形で、俗に保育の多様化と言われているものに対しては各種の方式で対応していきたい。また、そのためには地域ごとの差というものもございます。あるいはまた俗に企業の城下町と言われるような地域と一般的な農村地域、あるいは大都会、それぞれによってニーズも異なってまいります。私どもとしては、できるだけこうした一般論としてある保育に対する需要というものについては、繰り返しますが、保育に欠けるということに関する限りは、まず児童福祉法の原則に基づいて保育所で対応すると同時に、いわゆる職場での保育というものの面を補う、そういう意味では、先ほど申しましたように、児童館、児童センター、あるいはまた事業所内の保育施設、さらには職域における児童の育成対策といいますか、青空保育的なものについても体制を整備する、こんな形で幅広く対応していきたい、かように考えているわけであります。
○安田(修)委員 これからのそういう多様化した中に幅広く考えていきたいということでありますので、そうしますと、これからの保育ということを考えたときに、子供たちの生活実態をぜひいろいろと分析をして対処してもらいたい。たとえば、最近、遊べない子供、それから仲間をつくれない子供がずいぶんふえておるのは事実であります。 NHKの調査では「あまり遊ばないほうだ」と答えた東京の子供たちにその理由を尋ねますと、塾やけいこごとのため二六%、友達がいないから二八%、そして注目すべきことには、遊ぶ気がしないからというのが三九%もいます。皆さんの出しておられる厚生白書五十四年版もこれを重視しまして、「子供の無気力化とも言える意識の変化があるのではないだろうか」ということも指摘しておられます。 また、同じ白書では、子供たちから遊びや遊び仲間を奪った原因として五つ挙げておりますね。すなわち、一つは都市化による安全な遊び場所の減少、これはいま言われました児童遊園、文部省の場合は児童公園、この一元化も一つ問題になってくると思いますが、二はテレビの普及、三は塾や自宅での勉強、けいこごと、四は親たちの近隣関係の弱体化、コミュニティーが崩れてきておる、五は家族内での兄弟の減少。厚生省が分析してまいったこの白書でのこのような環境のもとで個々の親や家庭がどんなに努力しても、その効果というのはきわめて小さいものであると思います。何も全部行政に頼ろうという気はございませんが、国民生活白書五十四年版も言っておりますように、問題を解決するためには、家庭そのもののあり方を考えることも重要だが、核家族の機能にはやはり限界がある。 そこで、関係省庁の協力を得て、やはり何といっても子供の問題でありますから、厚生省がその核になって、たとえば保育環境総合整備計画をつくる、そうした中に地域社会全体の保育機能と少いうものをどういうぐあいに高めていくか、それに基づいて体系立って行政を進めていく。いまの場合ですと、やはりその場その場で何かこう大変だと言っては手当てをしているという場面が多かったと私は思うのです。局長の多様化した中にこれから多く広げるという意味合いも、いま私の述べたことの中に含まれるんではないかと思いますけれども、その点ひとつお聞きしたいと思います。
○竹内政府委員 私どもも先生と全く同じ印象を持っておるわけであります。 ただ、私ども自身、ただ単に施設ということだけでなくて、たとえば児童館、児童センター等におきましては母親クラブというもののクラブ結成によって親と子供とのつながり、それもただ単に一つの家庭内における親子のつながりというだけでなくて、御指摘ありましたように、たとえば遊び友達がいないとか、あるいは近隣にしかるべき場所も得にくいとか、いろいろな隘路が示されておるわけであります。そういったものを解決していく。特に大都市についてはその辺が非常に大きな問題点であるということは十分認識をしており、そういったものについての努力というものを積み重ねていかなければならぬと思います。 先生が御指摘のように、保育に関する総合整備計画的なもの、たとえば、そういうことになりますれば建設なり文部なりにも協力を得ながらということに当然なろうと思います。私ども、その問題自体については、現在の大平内閣ができましたときに、家庭基盤の整備という問題の中で、一環として、この問題についてもあわせて検討していこうという意識を持ったわけであります。 ただ、現実の問題としていきますと、子供と、こう一言に申しましても、いわゆる就学前の子供の場合、それから小学生でも低学年と中以上の学年、あるいは中学生、子供のとらえ方自身も多種多様でございまして、なかなか思うように、いわば私ども自身が子供と、こういう言葉で概括的にとらえた対象というものをうまく機能さしていくことが非常にむずかしい。そういった意味で基本的な環境整備で遊び場、あるいは児童公園、児童遊園の整備ということについては、これまでも計画的な整備というものは進めてみたわけでございますけれども、ただ単に物をつくりっ放しで済むということでないように、せっかくあるもの、あるいは小学校の校庭開放というものも文部省に御協力をいただいてやっておるわけであります。ただ、開放された校庭をどのように有効に利用していくか。どうもソフトウェアの面に私どもとしてはまだ至らなかった点があるのではなかろうか。その辺を、先ほど申しましたように、母親クラブ的なもの、あるいは上からの押しつけ的な組織ではなくて、自然発生的にできていくものをどうやって行政、特に児童福祉行政というものが援助していくと申しますか、育てていくかということを考えなければならぬのじゃなかろうか。率直に申しまして、現在、生活環境全般に及ぶ保育を中心とした総合整備計画という形については、角度が非常に広く、かつ関連する面も非常に多く、しかも対象それ自体が非常にとらえづらい問題もございますので、直ちに私どもとしても、そのようなことがあればいいなとは思いますけれども、現実にそれをつくり上げていくということについての問題点は、家庭基盤の整備という問題のときに検討したことがありますだけに、ちょっと申しわけございませんが、しばらく時間をかしていただいて、私どももその御趣旨を踏まえながら検討をさしていただきたいと思います。
○安田(修)委員 そこで、次の質問の時間の配分もありますので、これで最後ですが、保育所でもう一点だけ聞いておきます。 保母さんの配置基準ですけれども、たしか三歳児以下は六名に一名、三、四歳が二十名に一名、それ以上は三十名に一名、これが適正であるかどうかいつも議論のあるところで、私たちは適正でないじゃないか。私、いろいろな理屈よりも、実際に保育所へ行って、もしたとえば地震があった、火事があったといった場合に、保母さんがいつも退避訓練、避難訓練をやっておられますけれども、そうして確かに十分以内で避難するとかいろいろ言っておられます。それはあくまで正常な場合。まあ小さい子供六人、あるいは四歳ぐらいになりますと結構ついて走りますけれども、小さいお子さんの場合にはこれはとても大変。それから、たとえば私たちの国の事情、雪国の方からしますと、保育所の窓以上に、周辺に雪が積もります。冬場の場合ですと、避難経路が詰まっておりまして、火事があった場合は全部焼き鳥と一緒になります。雪を登って逃げるということができないのです。これは現場へ行きますと、どの保母さんに聞いても、もう必ず、私たちは絶対避難はできませんと言っております。 ですから、私はそういう点で保母さんの配置基準、それから施設も、こういう天気のいいところと雪国等の場合の設置基準等も、そういう多様化の時代に備えて厚生省は検討していく時期じゃないかと私は思いますが、どうでしょうか。
○竹内政府委員 現行の保母の配置基準は、昭和四十四年に現在の体制が整いまして現在に至っているわけであります。 保母の配置基準につきましては、中央児童福祉審議会の中の施設部会におきまして、子供たちの遊びの状態、それから日常の訓練、教育、あるいは養護、いろいろな活動分野から専門家に御検討いただいて、現在の三十対一、二十対一、あるいは六対一といったような仕組みができたわけであります。ただ、御指摘のように、現実に幾つか運営の過程では問題がございますので、実は措置費予算の毎年の過程の中で、定数外に保育所に保母を加配するといいますか、定数外の保母を置くということに予算的にもその後努力をしてきたわけであります。現在、常勤の保母を通常一人は確保できるというような形をとり、そのほかに調理員、事務員等も整備をするという形で、保育所の職員の配置というものにはそれなりに意を用いてきたつもりでございます。もちろん、一番最初の御質問で問題提起がありましたように、保育それ自体については非常に社会的な風潮の中で保育所というものに対する社会の要請自体にも変化が来ております。そういった観点からすれば、実は十年前に定められました保育所の保母の定数というものが今後ともそのままでいいのかどうか、これは当然私どもももう一度再検討する時期にもうぼちぼち来たのではなかろうかというふうに理解をいたしております。そういう意味で、現実には一挙にということはなかなかむずかしいかもしれませんが、私どもとしては保母の定数のあり方論につきましては、これまでも定数外の保母をプラスアルファで置くという予算上の努力をしてきたことからも御理解いただけますように、十分理解をしておるつもりでございますので、審議会等にも、また専門家のお集まりでございまして、寄り寄りその問題についての御発言あるいは審議の促進等についての御意見交換等もございますので、それらを踏まえまして対応してまいりたい、かように考えております。
○安田(修)委員 それでは、私は次の問題に移りまして、食品衛生の関係で少し質問したいと思います。 輸入の不良大豆が食品加工に使用されていたという事件でありまして、これは環境衛生局の方にお聞きするわけでありますが、大臣にも厚生行政の総括責任者として途中に答弁を求めますので、こういう実態についてひとつよく前段聞いておいていただきたいと思うわけであります。 この輸入の食用大豆は、御承知のように、中国産、それから米国産の場合はIOM、産出する州によって大体決まっておりまして、ここいらの産が取引に出されまして、年間約四百三十万トン日本にも入ってまいっております。 そこで、輸入大豆は、陸揚げに際しまして、厚生省の食品衛生監視員がチェックいたします。これはほとんど冠水があるようでありまして、冠水などでカビが生えたもの、あるいは変色、変敗したものは、当然食品衛生法の第四条、販売を禁止される食品及び添加物として食品衛生法違反品、食用外として、工業用油脂や肥料など食品以外に加工されるか、あるいはまた廃棄されるということが定められておるわけでありますね。 さて、私がこれから皆さんにお尋ねするのは、厚生省の方はすでに昨年調査されて御承知のことでありますけれども、茨城県の明糖油脂工業、地方におけるこういう製油関係ではトップメーカーでありますが、明糖油脂工業株式会社が昨年一月、日興、丸紅、伊藤忠、トーメンなど六商社が輸入した米国産大豆一万九千トンのうち、輸送途中に海水をかぶりまして検査で不良となった四千二百二十一トンを買い入れて、これを東京都江東区の富士商事株式会社に一千二百トン売却したわけであります。これ以外にも、あるいはその後にもそれらしきことは私たちもつかんでおるわけでありますが、ただ、事食品の関係でありますので、事実関係をつかんだもの以外はいかに国会の場といえどもちょっと言いにくいものでありますから、きょうはそのつかんだものだけを申し上げますと、一千二百トン売却。これが食用加工に回りまして、いわゆるみそ、豆腐、納豆に化けてすでに人のおなかの中に入って、出てしまったわけでありますけれども、この事件につきまして厚生省ではどのように追跡調査されて、どの段階まで実態把握して、どのように処置されてきたか、このことをまずお尋ねしたいと思います。
○榊政府委員 御指摘の点につきましては、これは昨年の六月に一部の新聞報道があった件と思われるわけでございます。これはお話ございましたように、五十三年の初めごろ、水ぬれ等によりましてカビが発生した輸入大豆、これを工業用油脂原料として輸入通関したわけでございますが、それをその後食用として転用したのではないかというふうな情報があったものでございます。 厚生省といたしましては、当時直ちに関係の都県に連絡をとりまして、事実関係の調査を指示いたしたわけでございます。その結果、それにつきましては実は明確な事実を確認するに至らなかったというのが事実でございます。
○安田(修)委員 この事件のいまの局長の答弁からしますと、私はきわめてずさんだと実は思うのです。これは大臣もよく聞いておいていただきたいと思うのでありますが、たとえば大豆に発生する青カビ、これは腎臓障害を起こすところのアフラトキシンという有害物質が含まれている。世界保健機構、いわゆるWHOの有害物質としてすでに指定されている。また、最近は発がん物質だと言われるオクラトキシンというものも大豆の青カビの中に含まれていると言われているわけであります。それぞれ輸入されるときに冠水するものが少なくとも百トンなり二百トンなりというものは出るんじゃないかと言われて、それらがほとんど明糖油脂工業が一手のように引き受けて廃棄したということになっている。たまたま今回掌握したのは四千二百二十一トンという大量。それもこれだけならいいが、その前後にも、今日も続いておるということが私たち見れるわけだけれども、証拠を出すわけにいかぬものだから証拠をつかんだものだけをきょうは申し上げておるわけでありまして、それがたまたま一部の小さい新聞に出た。厚生省が調べてみた、わからなかった。皆さんは臨検調査をする権限も持っているわけです。どこまで真剣にそのことを食品を預かる所管省としてやられたのか、明細に言っていただきたいと思います。
○榊政府委員 先ほども申し上げましたように、この事故大豆の食品への転用問題につきまして、その事実関係の有無につきましては、実は食品衛生監視員の立ち入り調査等いろいろできるわけでございますけれども、その事実関係を調べたわけでございますが、御承知のとおり、一年ほど前の事実であったわけでございます。そういうようなことで、関係の都県の調査そのものが非常に難航したことは事実のようでございます。そういう過程で、先ほど申し上げましたような、食品衛生法違反というふうな事実関係の十分な把握ができなかったというのは事実でございます。そのような報告を関係の県から得ているわけでございます。
○安田(修)委員 普通の食品中毒その他で事件が起きた場合に、都道府県の保健所が食品衛生監視員にいろんなことを臨検させた、そこで厚生省が掌握しにくいというなら私はまだわかるのです。今回の場合は、販売を禁止される食品にした場合、その取り扱いについては、処理施設を明記した誓約書だとか輸送計画書というのを厚生省に出さなければならぬわけでしょう。輸入食品に対してのこの種の処分についてはきわめて厳重な法的な拘束をしているわけですよ。それを皆さんが臨検したのかどうか。とにかく調べてみたけれどもわからなかった。各会社には必ず輸送関係の台帳から、在庫、仕入れ関係の伝票その他はあるもの。それがなければ大体税務署に太刀打ちできないじゃないですか。この富士商事も、五十三年、五十四年ともに非常に収益上げてごまかすのに苦労したと聞いておるのです。だから、皆さん方はどこまで真剣に指揮監督をしてそれらの検査をせられたか、私きわめて疑問に思っておるのです。遺憾なことには、政治的な絡みがあってもみ消したのじゃないかと言われておるのです。茨城県や東京都の調査をどの程度までやったのか、具体的に言ってくださいよ。
○榊政府委員 いま先生から御指摘がございましたように、輸入違反大豆があった場合の処置については、これは食品衛生法違反物資であるというふうなものを貼付いたしまして、お話しのように確実にそういうものには使わないという誓約書もとります。さらに、輸送計画等をとりまして、それを関係の県に連絡をとりまして、その確認をさせるということを実際には行っているわけでございます。
○安田(修)委員 行っているものがどうしてわからない。これはほかの品物と違うのです。青カビという有害物質として指定されているものが含まれている。それが輸送計画まで出したものがわからなくなってしまうのはおかしいじゃないですか。 大臣、見てください。こういうのが、「食品衛生法違反品(食用外) 厚生省」厚生省という名前が入っておるのです。これが張られてきて、工場で穀物に選別されていったとき袋に張ったものです。現物があるのです。これが川崎の鈴江の倉庫から運ばれてきた品物についておったものです。 皆さんが臨検調査を法に基づいて本当にやる気があったら、会社はごまかすにも限度があるのですよ。先ほど言いましたように、会社運営上、どこでも全部帳面を破棄するわけにいかぬです。皆さんの中に、世上伝えられるように、政治的手心を加えたかどうかは、私も軽率には言えません。ただ、真剣にやる姿勢がなかったということだけは事実だと私は思います。会社は伝票をごまかしようがないでしょう。皆さんに幾らでも見せてあげます。会社の伝票全部あります。輸送計画、誓約書まであります。どうしてわからなかったのですか。そこまで、末端にまで皆さんは指示をされたのですか。 私は、わずかなほかのことだったらそんなに文句を言わない。こういう輸入大豆で、しかも冠水されたものが、廃棄処分にさるべきものが、厚生省に輸送計画を出してさえおけば、それを選別してまた優良品に突っ込んで売る。なぜかと言えば、安いのですよ。トン当たり六万五千円だ。それだけ会社はぼろもうけです。それを国民の納豆や——しかも納豆は、配達した行き先を見ますと、一流メーカーにまで流れておるじゃないですか。こういうことを皆さんがやっている。 じゃ、輸送計画といったものが、皆さんが、どういうぐあいに処分されたかを、大体日常追跡調査をしていないということ自身がずさんじゃないですか。一体これはどういうことなんですか。
○榊政府委員 この確認については、運び込まれる工場の県に連絡をとりまして、そこの食品衛生監視員が定期的な監視をするという形で監視が行われているわけでございます。しかし、搬入その他について、常時それを監視していることがなかなか困難な問題もございます。しかし、その受け入れその他については、そういった伝票その他のところから確認いたしまして、それを厚生省の方に確かに確認をしたという報告を受ける、こういうふうな形でやっております。 それで、いまお話がありましたような輸入検査の結果、食用として不適当であるという判断を受けましたものを作為的に食用として転売することは、これは明らかに違法行為でございますし、そういった観点から、私どもとしてもさらにそういった意味での監視、指導を強化していきたいと考えております。
○安田(修)委員 私は、時間が詰まってきましたから何点か先に聞いておきます。 まず、これはもう過去に食べられてしまった品物だ、しかし現にまだ行われている。ただ、実際に伝票をつかむのが困難だから私たちは言わないだけ。いまもやっている。やらぬと言われると名誉棄損になるから、業界にダメージを与えたら大変な問題でありますので軽率に言えないだけですが、行われている形跡はある。 そこで、この現実に私が事実をつかんでいるもの、皆さんも調査したけれどもわからなかったもの、これはまず厚生省としてこの調査をやる必要があると思う。やった結果、もうこれは逃れようのない——局長にはどの程度まで報告書が上がっているのかお聞かせ願いたいと思うのだけれども、アナンゲルフォーチュン号が一万九千トン積んできた。荷揚げの問題から全部一連の伝票が、捜査されているのはコピーでありますけれども、まずこの事実を確かめて、その結果——どういう系統で入ってきたか全部突き合わせるとそうなってきますので間違いないが、皆さんも事実であるということが確認されたら、厚生省として、この明糖油脂と富士商事に対してどうしますか。
○榊政府委員 先ほど申し上げましたような従前の調査では違法行為を確認するに至っていなかったわけでございますが、いまお話しのように新たな事実関係が明確になりますれば、その時点で関係方面とも協議の上、しかるべき行政措置をとってまいりたいと思っております。
○安田(修)委員 これは食品衛生法四条違反と、それからあとはまた別の問題で、有害物を故意に売ったという刑法上の問題が出ると思うのです。 そこで、皆さんは行政措置と一緒に食品衛生法四条違反で当然告発しなければならぬ。事実であればそういうことをやりますか。
○榊政府委員 先ほども申し上げましたように、事実関係が明確になりますればそのような措置をとってまいりたいと思います。
○安田(修)委員 そこで、こうしたたとえば廃棄すべきもの、あるいは工業用油脂に当然回さなければならぬとして、「食用外」として先ほどのこういう赤ラベルが張られたもの、これは大臣、大切なことですが、これは輸送計画書を出せば業者の恣意のままに、何ら最終処分が確認されないということですね。これは問題ですよ。そうしますと、食品衛生法なり施行令等の中に、これらの最終処分も検知しなければならぬというところまで法的な拘束をしなければ、私たち安心して納豆もしょうゆもみそも食べられない世の中です。 ですから、厚生省として、そこらの一連の今後の業者の指導監督なりそれに伴う法改正等についてどのように考えられておるか。
○榊政府委員 先ほども申し上げたわけですが、その確認につきましては現在監視員等でいろいろ手を尽くしているわけですが、仮にこういうことが起きたということが明らかになりますれば、そういった意味での行政措置についてもいろいろ改善を図っていくべきだと考えておりますので、その辺は十分検討させていただきたいと思っております。
○安田(修)委員 私、最後に大臣に答弁を求めますから、行政の局長として具体論がわかっているわけですから局長にちょっと……。 いろいろな改善をしていくというそれは指導監督等の改善ですね。ところが、指導監督だけではどうしても掌握し切れない盲点があると私は思うのです。たとえば、あなたの初めの答弁でいくと、輸送計画書、伝票を見ましたというのでしょう。それでオーケーになっているのでしょう。ところが、それは空伝票だったかもしれぬ。恐らく明糖油脂を指しておられるのだと思いますが、空伝票だったのかもしれない。実際は富士商事の方が、埠頭の倉庫からちゃんと入ってきておるわけですね。 そこで私は、そうであれば当然法改正等も伴って何らかの拘束を持たなければ、このしろものについて確認できないと思うのです。それらについて皆さんの言う単なる行政指導じゃ私は信用できないのですよ。現在だってできるものがうっちゃられておるわけですから、これを強化すると言ったって、とてもじゃないが信用し切れないのです。そうすれば、最終処分まで見届ける一連のそうした手順について、行政上の措置について、私は当然法改正をすべきじゃないかと思う。 これは局長に答弁を求めますとともに、大臣にその点の見解をお伺いしたいと思います。
○野呂国務大臣 御指摘になっております輸入食品の陸揚げの際の検査体制をさらに一層強化するということも大変大事であると考えます。さらに、廃棄されるべき食品の最終処分がどのようになされておるかというような実態も十分掌握しなければならない責任が厚生省にあると思います。同時に、そういうような事態が起こらないように、御指摘のような食品衛生法をさらに検討し、改正する必要があるかどうか、この点については十分検討させていただきたい、かように思うのでございます。何と申しましても、事食品である限りにおいては、食品衛生の観点において十分なこれに対する対応をしなければならないと考えておるわけでございます。
○安田(修)委員 そこで、これに関連しまして、もう時間がありませんのでもう一点だけ。 というのは、今度は、食品衛生法の第四条即違反にはならないわけでありますけれども、先ほど言いましたように、たとえば食品用の大豆は中国産とアメリカのIOM、この種類だけに限られておるわけでありますが、たまたまそれらはみそ、しょうゆ、納豆という加工関係を回っている。ところが、食用油、油の場合には、これらに使われないところのいわゆる小粒の大豆が実は入ってきております。俗称オルディナリー、こう言われているようでありますが、入ってまいっております。これは通常われわれの食ぜんに上がるしょうゆ、みそ、納豆等には使えないのだけれども、そしてそれが全部食用の油用に精製されていくのだけれども、たまたまそれらが納豆、しょうゆ、みそ、あるいは日常のお菓子等の加工用大豆に混合されて売られている事実がある。これもまた全部証拠がそろっているのです。ただ、これは即食品衛生法違反であるかというと、食用油になるわけですから食用に供してもいい。ただ品質とか規格の問題では、これは今日そういう基準がありませんので、そこでたまたまそういうことになっているわけでありますが、食品衛生上はやはり問題があると思うのです。こうしたものもこれは農産物でありますから、農林省、関係省庁等といろいろ連携されながら、そうしたずさんなにせ食品が今日まかり通っておるということ、このことについて厚生省は篤と研究されまして、そしてひとつ善後策を講じてもらいたい、こういうことを大臣に要望し、大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○野呂国務大臣 御指摘の問題につきましても十分調査をし、それに対して的確な対応をしてまいりたいと考えます。
○安田(修)委員 それでは時間が参りましたので、以上で終わります。
○葉梨委員長 次に山本政弘君。
○山本(政)委員 老人ホーム及び特別養護老人ホームにかかわる費用徴収基準の改善、つまりアップの問題についてお伺いしたいと思うのです。 〔委員長退席、山崎(拓)委員長代理着席〕 この費用徴収基準の引き上げの問題については、老齢福祉年金が、私の記憶に間違いがなければ、たしか一万二千円に増額されるようになってきたころから、養護老人ホームの利用者に費用を負担させるという問題が出てきた、こういうようにぼくは理解しているわけでありますけれども、どうも今度の答申、そしてそれに引き続く厚生省の態度を見ておりますと、何といいますか、時流に抗するというのか、つまり高福祉・高負担、行政改革というようなものに便乗したような形の中で出てきているのではなかろうか、そのような気がするわけであります。 ここでお断りをしておきますけれども、私は利用者がある程度の費用負担をするということは、これはあり得ることだろうと思うのです。つまり、施設からホームへ、文字どおり発展をさせるという意味では、私は否定をいたしません。ただ問題は、中央社会福祉審議会の昨年十一月二十日の答申がありました。これはもちろん厚生省の諮問にこたえたのだということで答申があったわけでありますけれども、それに呼応するかのごとく、すぐ費用徴収の引き上げの問題が出てきている。その辺、私は大変奇異な感じがする、と言ったら言葉として語弊があるかもしれませんけれども、五十二年の十一月二十一日に、「今後の老人ホームのあり方について」という答申がありました。それから、四十七年の十二月に、「「老人ホームのあり方」に関する中間意見」ということで答申があった。そういう答申については、率直に申し上げますけれども、厚生省は余りアクションをおとりにならなかったというような気がいたしてならぬわけです。 そこで、いま費用負担の引き上げということが出ておりますけれども、四十七年、五十二年の答申の、老人ホームを収容の場から生活の場へ高めていく、こういうことに対して、四十七年といえば、もう八年たちますね。一体どういうふうに具体化をされているのかを私は簡単に聞かしていただきたいと思うのです。
○山下政府委員 四十七年並びに五十二年の意見、一つの基本的な問題といたしましては、老人ホームの体系の問題につきまして、御承知のとおり、現在は介護を要する程度によって特別養護あるいは軽費というような分類もありますし、それと合わさりまして、経済的状況と申しますか、所得の状況をかみ合わせておるわけでございます。軽費並びに養護につきましては、経済的な低所得者を重点とした施設としてやっていく。 それで、両意見を通じまして、基本的な考え方としましては、今後非常に多数の老人が、所得保障の充実なり年金制度の充実等によりまして、一つの所得保障体系が確立されていくのを将来展望するならば、この際老人ホームの体系につきまして、いわば経済的な要件、所得が多いか少ないかというような問題は払拭をして、むしろ濃厚な介護を要するか、通常の介護程度を要するか、あるいは介護なしでやっていけるかというようなお世話の必要性と申しますか、そういう観点から分類し直すことを検討したらどうかというのが一つの基本的な体系に関する御提案であったと思うのでございます。 将来の方向として、そのように進むべき方向であろうということは、私どもそのように考えておりますが、なお現段階におきましては、先生の方がよく御承知のとおりに、年金制度は必ずしも一まだ成熟段階に完全には到達していない、そういう状況におきましては、やはり優先的には所得の低い方々のお世話を申し上げるという考え方をなお捨て切るわけにはまいらぬのじゃないか、そういう考え方もございまして、今後の検討課題ということで、基本的体系につきましてはなお検討中という状態であるわけでございます。 なお、御指摘のその他の具体的問題といたしまして、収容の場から生活の場へ移行するという考え方から、居室の個室化なり改善という御指摘がなされておるわけでございます。 その状況につきまして数字を御報告申し上げますと、まず養護老人ホームにつきましては、昭和三十八年当時におきましては、一人当たり居室が大体十五平米程度、四十八年当時におきましては十九・八平米程度であったのでございますが、現在二十二・六平米まで改善をいたしてきております。昭和五十五年度におきましては、さらにこれを広くいたしまして二十四・六平米ということで改善をいたしたいと考えておるわけでございます。 それから、特別養護老人ホームにつきましては、三十八年当時は十九・八平米でございました。それが四十九年に二十平米まで改善されたわけでございますが、現在すでに二四・三平米というところにまで到達をいたしております。明年度五十五年度におきましては二十四・六平米というところまでこれを改善いたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。 なお、その他の主要な御指摘の問題といたしましては、両答申を通じまして、いわゆる短期保護事業、ショートステー、あるいは食事サービス事業、機能回復訓練事業、入浴サービス事業、こういった施設の持っております機能を地域に開放するということを指摘いたしてきておるわけでございますが、この点先生よく御承知のとおり、五十一、二年からそういう事業を開始いたしておりまして、現在いずれの事業につきましても、まだ完全に全国に行き渡るという状態にまでは到達をいたしておりませんが、年々非常な改善を努力をいたしておる次第でございます。
○山本(政)委員 養護老人ホームで、昭和三十八年に十五平米、四十八年に十九・八平米、五十四年に二十二・六平米。特養が三十八年に十九・八、四十九年に二十、五十四年に二十四・三平米ですね。 では、ちょっとお聞きしますけれども、昭和五十四年の八月の調査です。東京都民生局老人福祉部施設整備基準、特別養護老人ホーム、一人当たり面積八・二五平方メートルです。養護老人ホーム一人当たり七・四二五平米。はるかに違うじゃありませんか。どうしてこんな結果になるのです。
○山下政府委員 御説明申し上げます。 先生がいま御指摘いただきました数字は——私が申し上げましたのは施設全体の規模として一人当たりの、共用部分も含めました平米数でございます。先生おっしゃいましたのは、一人当たりの居室部分に限った部分の数字であろうかと存じます。
○山本(政)委員 だから、そういうごまかしをやっちゃいけないと言うのですよ。昭和四十七年と五十二年の中央社会福祉審議会の答申はどう言っているのです。個室について言っているのじゃないのですか。共用面積から何から含めてのことを言っているのですか。そういう冗談を言っちゃいけませんよ。居室の部分ですよ。そんなことあたりまえなことじゃありませんか。それをなぜ共用部分を含めるのですか。共用部分というと食堂も入るでしょうし、お手洗いも入るでしょう。そんなことを言っているんじゃありませんよ。数字のごまかしですよ、それは。だから、居室部分でどれだけ改善されたのです、聞かしてください。
○山下政府委員 手元にちょうど一人当たりの総面積の改善状況の表を持っておりましたので、それを申し上げた次第でございますが、居室部分に限った数字の推移につきましては、ただいま調べますので、ちょっとお待ちをいただきたいと存じます。
○山本(政)委員 四十七年の中間意見の、ここにありますけれども、この一ページにこう書いているのです。「老人ホームの整備は、向上する国民生活水準、変化する老人福祉の思想、多様化する老人のニードに対応するものでなければならない。」老人ホームは「新しい姿が指向されるべきである」として幾つかの項目を挙げられておる。その中にいま申し上げた個室の問題も含まれるのです。 それじゃ、もう一つお伺いしましょう。 「現在、老人ホームの約三割強を占める生活保護法から移管された木造施設は、特に改築を急ぎ、今なお残る養老院的残滓を早急に払拭すべきである。」こう答申は書いているのですね。四十七年です。ことしは五十五年。八年間たっておりますが、一体どれだけ改善されておるか、御指摘いただければありがたいと思います。
○山下政府委員 養護老人ホームの全体の総面積に対しまする木造の面積の推移でございますが、四十八年十月一日現在では一五・六%が木造でございます。それが五十一年十月一日現在では九・六%という数字になってきております。 なお、蛇足でございますが、先生御承知のとおりに、社会福祉施設の整備の際、特に老人ホームにつきましては、特別養護老人ホームについては非常に不足をいたしておりますので、どんどん新設ということで補助をいたしておりますが、養護老人ホームは、数におきましては大体において需要を満たし得る状態になっております。したがいまして、養護につきましての施設整備は老朽施設の改築、これを建て直すということに最重点を置いて補助をいたしてきておるわけでございます。
○山本(政)委員 いまさっき話をしましたけれども、老人ホームというのは「「収容の場」から「生活の場」へと高め、福祉ケアーとしての老人の心身機能に応じた内容と、個人のプライバシーを重んずる」ということで、ぼくは先ほど一人当たりの面積をお伺いしたわけですけれども、それじゃ一居室にどれだけの老人の方々がお入りになっておるのか、ちょっとお知らせいただけますか。
○山下政府委員 一人部屋から六人部屋まで、部屋の規模別の数字を申し上げたいと思います。パーセントで申し上げます。これはいずれも五十四年三月の調査でございます。養護老人ホームにつきましては、一人部屋が〇・五%でございます。二人部屋が三一・三%でございます。三人部屋が九・二%でございます。最も多いのが四人部屋でございまして五四・一%でございます。あと五人部屋が二・三%、それから六人部屋以上が二・六%、そういう状況に相なっております。
○山本(政)委員 これはあるいは私の方の間違いかもわかりませんが、間違いであったら指摘をしてください。 全国社会福祉協議会、老人福祉施設協議会で調査をした昭和五十一年の実態調査、これで六人部屋が四三・九%、四人部屋が一六・三%、二人部屋が一二・七%。ところが八人部屋があって、八人部屋が一二・一%、かなり数字の食い違いがありますね。これはどういうことでしょう、教えていただきたいのです。
○山下政府委員 先ほど私が申し上げましたのはいわゆる寝たきりではない、養護老人ホームの方の数字でございます。恐らく、私数字を確かめておりませんが、先生がおっしゃいました数字は、当時における特別養護老人ホームも含めた数字であろうと思うのでございます。 私ども、現在養護老人ホームにつきましてはできるだけ個室化、一人ないし二人部屋でやるように補助をいたしておるわけでございますが、特別養護老人ホームにつきましては、御承知のような寝たきりの方でございますし、一人部屋ではかえって不都合な面もございますものですから、個室化を必ずしも推進しているわけでもございません。改善に努めておるという状態でございます。
○山本(政)委員 それでは、いまのは特別養護老人ホームだということであれば、養護老人ホームも同じように「老人ホームにおける老人処遇と職員労働条件」、五十一年の実態調査で、一人部屋が七・四%、二人部屋が三八・九%、三人部屋が一一・七%、四人部屋が三八・四%、あとは五人、六人とずっとダウンしておりますけれども、二人部屋が三八・九%、それから四人部屋が三八・四%、これはどういうことでしょう。 つまり、あなたのおっしゃり方から言うならば、要するに五十一年の実態調査当時に、四人部屋が三八・四%であるにもかかわらず、あなたの報告では、いま四人部屋が五四・一%ということですから、パーセンテージだけから言えば条件が非常に悪くなってきているわけですね。そうでしょう。つまり、中間答申が、なるべく個室というものをつくりなさいと言っているにもかかわらず、昭和五十一年度と五十四年度を比べたら、五十四年度の方が四人部屋がふえている勘定になるのです、いまの報告から言えば。これもあなた方の報告、あなた方の資料をいただいているのですよ。幾ら頭を傾けたって、そうなるじゃありませんか。
○山下政府委員 先ほど私が養護老人ホームのことにつきまして申し上げました五十四年三月の数字、まず間違いないものと思っておるのでございますが、あるいは先生がおっしゃいましたのは、東京都なら東京都という地域に限られたものではないかと思います。傾向といたしまして、多人数部屋がふえて少人数部屋が減っておるという傾向ではございませんで、むしろ私どもとしては、養護老人ホームにつきましては個室か二人部屋という少人数化を推進をいたし、国庫補助もそういうことでやっておりますので、傾向といたしましてはむしろ一人、二人というような少人数のところがふえて、多人数の部屋は漸次解消の方向にあると理解をいたしておるわけであります。
○山本(政)委員 いいですか、これは正確に言えば一九七六年実態調査ですから五十一年ですね、「老人ホームにおける老人処遇と職員労働条件、統計編」なんですよ。全国社会福祉協議会、老人福祉施設協議会の調査なんです。だから、東京都じゃないのです。先ほど申し上げたのは東京都なんです。今度申し上げたのは全国のやつです。だから、ぼくがどうもわからないのは、四人部屋だけとって失礼ですけれども、五十一年に三八・四%なのがなぜ昭和五十四年に五四・一%になっているのか、それがどうも不思議でなりません。とすれば、これは四十七年の中間の意見、五十二年の答申に逆行するのではないだろうかという気がするのですが、いかがでしょう。
○山下政府委員 後ほど先生のその数字もいただきまして私どもの方でよく検証いたしますが、重ねて申し上げますように、実は四十八、九年以来、養護老人ホームにつきましては個室か二人部屋を中心に助成をする、そういう方向にいきなさいということで指導もし、助成もいたしてきているわけでございます。私どもの感じといたしましては少人数部屋がふえて多人数部屋が減るという傾向に間違いないのではないかという理解をいたしているわけでございますが、後ほど数字をよく検証させていただきたいと存じます。
○山本(政)委員 それじゃ、一つだけ聞きましょう。 四十七年、五十二年の答申が出たけれども、その答申の具体化が着々と進んでおるとホームの人たちに向かっても私どもに向かっても断言できますか、具体的に。
○山下政府委員 すべての事項が解決に至っておるというふうに申し上げることはできないかと思うのでございますが、ここ数年間を通しまして老人福祉施設の施設面あるいはそこに処遇されるために配置される職員の配置という面、あるいは中の生活費の一人当たりの事業費の面、そのいずれをとりましても相当の改善と努力が払われてきておることはお認めいただけるのじゃないかと思うのでございます。 ちなみに、現在八十人規模の老人ホームで見ますれば、特別養護老人ホームの場合は三十二名の職員を配置いたしております、施設長以下でございます。養護老人ホームの場合につきましては八十人規模で十九名の職員を配置いたしているわけでございます。これは四十七、八年当時に比べますと、時系列の数字をいま手元に持っておりませんけれども、年々増員と処遇の充実を図ってきているわけでございまして、まだ完全というふうに申し上げることはできないと思いますけれども、相当の前進を見ておるというふうに御理解いただいて差し支えないのではないかと思います。
○山本(政)委員 私は、質問を申し上げる前に人を通して施設の方々の意見も聞きましたし、いろいろなことも多少調べてみたつもりです。しかし、少なくとも局長がおっしゃるように着々と前進はしてないですよ。依然として雨漏りするところもあるだろう。 ぼくが申し上げたいことは、四十七年の十二月に答申が出、五十二年の十一月に答申が出ている。その間に数年たっているわけですね。四十七年に中間意見が出てからは七、八年たっているわけです。そこではっきりと、要するに収容されているお年寄りのある程度満足すべき状態というものはまだまだ遠い、まだ改善の余地は大変ある、こういう段階の中で、今度は五十四年の十一月には費用徴収基準のアップ、これは厚生省の対応が非常に早いのです。去年の十一月に出てことしの四月一日から実施するというのですね。だけれども、いろいろな話を聞いてみて、長期的な近代化とか何とか、あるいは収容の場から生活の場へというようなことについては、私をして言わしむるならば遅々として進んでないというふうに理解せざるを得ないのです。 繰り返し申し上げるようですが、私はアップすることにはやぶさかではございません。しかし、その前に厚生省としておやりになることがたくさんあるのじゃないでしょうか。つまり、収容の場からいわゆる老後の生活の場へというのだったら、その生活の場というものが、ああできたな、こういうことを、収容されているといいますか、施設に入っている方々がお考えになるような段階になったときに費用徴収というものはさしてほしいという者が出てしかるべきだとぼくは思うのです。しかし、そういうことが満たされないままに費用徴収のアップというものが半年足らずの間にやられていいんだろうかどうだろうか。そして、十分な合意というものも見ないでやっていいんだろうかどうだろうか。ぼくはそこには大変不可解な感じを持つのです。審議会の人たちはそういうお考えを持っているかもわからぬ。だけれども、現実に住んでいる人たちあるいはホームでめんどうを見ている人々の意見というのが十分反映されているだろうかどうだろうかというと、大変問題があるんじゃありませんか。そういう意味では審議会の人たちの意見を聞くのも結構でしょう。だけれども、同時に、施設にお住まいになっている人あるいは施設を経営なすっている人、そういう人たちの意見を聞くというのだって私は必要だと思うのです。そうじゃありませんか。 大臣、いかがでしょう、予算委員会にお立ちになるそうですから。
○野呂国務大臣 このたび老人ホーム等の費用徴収基準の改定につきましては、何か唐突の感じがするのではないか。十二分にその施設の内容を整備して徴収基準の改定に値する、そういう場をつくり上げることの方が、入所者の理解をより高めることになるのではないかという御指摘、私はごもっともであると思うのでございます。 しかしながら、審議会の答申によりましても、すでに御承知のとおり、入所者の負担能力というものが実態に合っているのかどうか、所得税の課税状況だけに基づいて認定しておる、実際の負担の能力が十分に反映されていないという御指摘はいままでにずいぶんあったわけでございます。将来の年金制度の成熟などを展望いたしますときに、ますます拡大するであろうこの問題に対して、これにどう対応するかということについては、むしろ遅きに失した感もないわけではございません。 しかし、私もこの問題を省内で討議いたしました際に、いままで負担しなくてよかった人が突然、いずれにしても徴収されるというのはこれは老人いじめではないか、お年寄りにとっての大変な打撃でなかろうか、この徴収基準を改定するにしても、入所者に対するより理解を何とか取りつける、そしてまたそれに対して何か工夫がないだろうかというふうに実は苦慮をいたしておるわけでございます。したがいまして、予算の範囲内で何とかよりよき理解と、あるいは高過ぎるという批判がもしありますれば、それらに対して十分工夫できる方途をいま実は検討したいと思っておるわけでございます。徴収基準の改定は御理解をいただきながら、よりよき理解と、そして高過ぎるという批判に対して何か予算内においての工夫の道がないだろうか。実は私自身も入所者の立場に立って苦慮をしておるというところでございます。何とかひとつ今後も工夫することについて御理解をいただきたい、かように思うのでございます。
○山本(政)委員 この中間答申三つ出ているんですよ、五十四年は別といたしまして。なるほど徴収料というものはアップするという意見はここに出ているのです。それを私否定するのじゃないのです。それから福祉というのは何でも金を出せばいいというものでもないだろうし、それから無料であるということが人の心を傷つける場合もあるだろう、ぼくはこう思うのです。だから、必要なものは出すことにやぶさかではない、ぼくはこう思うのですけれども、しかし大臣のおっしゃるように遅きに失しているんじゃないのですよ。中間答申読んでごらんなさいよ。遅きに失しているのは、要するにホームの近代化が著しくおくれておるということが最大のテーマになって、これは四十七年、五十二年に出ているんですよ。そして、その中に一つ費用徴収の問題が入っているだけで、あとはそうじゃありませんよ。費用徴収のアップをすることが遅きに失しているなんという大臣の見識は、ぼくは非常に不愉快ですよ、そういう言葉を聞くことは。そうじゃないのです。遅きに失しているのは近代化が遅きに失しているんじゃありませんか。ひとつそれだけ御意見を聞かしてください。それで後、向こうへ行かれてください。
○野呂国務大臣 御指摘の点は私の不用意な言葉であると考えますので、訂正をいたします。
○山本(政)委員 昭和五十年八月十九日、社会福祉法人東京老人ホームというところで調査をしたのがあるのです。百六十一名の人に調査票を配って、百四十四名の方から回答があった。結果は、費用負担をしたくないというのが九十三名、六四・六%です。負担してもいいという人が四十六名、三一・九%、その費用を負担してもいいという人たちのうちの四十名の人、つまりパーセンテージで言えば二七・八%の人は、ただであるよりも一部でも負担した方が気が楽になる、こうおっしゃっておるのです。つまりこれは、施設にお入りになっている人たちのプライドにかかわる問題だというようにお考えになったのかもしれませんね。負担をしたくない人たちの理由、六十名の人たちは、入院に備え、積み立てておかねばならないからだと言う。これは入院料とか差額ベッドの問題があるでしょう。十四名の人は、無料だという約束であったからと、こういうことだそうです。十二名の人は、大部屋などいまのホームの設備では負担したくない、こう言っているのです。七名の人は、いまの年金は小遣いとしては足りないから出したくないのだ、こうおっしゃっているのです。 皆さん方はそういう意見というものをお聞きになったのですか。お聞きになった上で徴収料の基準というものを上げるとおっしゃっているのですか。審議会の人たちの声だけを聞くのでなくて、なぜその人たちの声をお聞きにならないのです。厚生省じゃありませんか。大蔵省と違うのですよ。つまり、そういう人たちの意見とか、あるいは調査ということをなさらないという理由をぼくはお聞かせいただきたいと思うのです。
○山下政府委員 実は現在の費用徴収基準につきましての問題意識というものは相当早く出ておりまして、昭和四十五年当時の社会福祉審議会の社会福祉全般に関する意見答申の中でもすでに指摘をされておるわけでございます。 その理由となりますのは、もう先生よくお調べの上での御質問だとは思うのでございますけれども、現在の費用徴収基準が課税状況だけによって判断をする、こういう仕組みになっているわけでございます。現在の費用徴収基準は昭和三十二年後半にできたわけでございますが、当時といたしましては、年金制度というものは福祉年金以外にはほとんど成熟をしていないという状態でございましたので、ほとんどの所得というものは税でとらえれば十分それで判断ができるというような、入所される方御本人に所得があるケースというものを想定いたしますよりも、むしろそれを扶養しておられる御長男でありますとか、そういう扶養義務者の方の所得状況というものが課税状況で把握されるから、それで判断して徴収をしていけばいいじゃないかという考え方でできておったところに原因があるわけでございます。 その後、御承知のとおり、次第に所得保障、年金制度というものは成熟をいたしてきております。現段階でもまだ十分ではございませんが、今後、将来ということを考えますならば、年金制度、老人に対する所得保障というものは相当成熟をしていくことになる。そう相なりますると、やはりそこに入所しておられるお年寄りの方自身が所得、収入をお持ちになるというケースが生じてくるであろう、そういう事態を予想してつくっておけばよかったものがつくられていなかった、そういう事情に基づくものでございます。 なお、この費用徴収基準の改定問題につきまして、受けられる方につきまして先生の御指摘のような事情もあろうかと思うのでございますが、厚生省といたしましても種々研究もいたし、調査もいたして、この問題を審議いたします審議会自身にも施設代表者を相当多数入れて御審議を願うということを積み重ねてまいりまして、なおここに至りますまでには、老人福祉施設の経営者の集まりでもございます協議会等とも一不断の連絡をとって協議を重ねて今日に至っておる、こういうことでございます。
○山本(政)委員 局長のお話を聞いていますと、ぼくはなるほどな、そういう裏づけを福祉課長がおっしゃっておったなという感じがするのです。在宅老人に比べてホームの入所者だけ年金が残るのは不公平だ、その格差を縮めるのが目的だというようなことをぼくは新聞記事でちらっと見た記憶があるのです。つい最近ですよ。なるほど数字だけから言えば在宅老人の方が不利かもわかりません。しかし、それでは局長にお伺いいたしますけれども、老人ホームの入所者だけが優雅な生活を送っているのだろうかどうだろうか。なぜ在宅でおるという人たちがおるのだろうか。施設の数が少ない県もあるかもわからぬけれども、みずからの意思によって在宅する人たちもおるかもわかりません。そして、在宅老人に比べてホームの入所者だけが年金が残るのは不公平だという言い方があるのだったら、それはぼくは厚生省としては非常にゆがんだ考え方だろうと思うのです。それならば厚生省のとるべき施策としては、在宅者の人たちをなぜ、底上げをすると言ったら言葉として正しいかどうか、在宅者の人たちのめんどうを見る方向に施策をやっていかないのだ。ぼくは本来の厚生省のあり方というのは、政策的にはそれが本当のあり方であろうと思うのですよ。片一方が年金が残る、だからそれからいただくのだという考えよりは、在宅者が不利になったらその不利な在宅者に対して政策上どういう手当てをしていくのだろうか、それが本来のあり方ではないのでしょうか。 もう一つは、先ほど申し上げた、答申に言っている前提条件というものを満たすということがあるのではありませんか。私はそれが本当のあり方だと思うのですよ。今度の予算で在宅老人関係として、在宅老人福祉事業費というものを六十三億円ですか組んでおると思うのです。それでは、在宅老人というのは一体どれだけおるのでしょう。百四十五万人おるわけですね。間違っておったら指摘してください。百四十五万人の内訳、寝たきり老人三十九万人、一人暮らしの老人が百六万人ですよ。それで百四十五万人でしょう。六十三億を百四十五万人で割ってごらんなさい、四千三百四十八円にしかなりませんよ。四千三百四十八円を三百六十五で割ってごらんなさい、・その人たちは計算としては一日十二円しかいただいてないのですよ。それが在宅老人の人たちに対するあなた方の施策ですか。なぜそこを底上げしようとしないのです。なぜその人たちをもっと手厚く保護するということをしないのです。たくさん持っている人たちから取り上げればいいのだ、そこで不公平が直るんだというのは全く逆立ちをした政策としか言えないじゃありませんか。それが老人の福祉行政でしょうか。次官、お答えください。
○今井政府委員 お説お伺いいたしておりましてごもっともな点が確かにございます。しかし、一面また考えてみますと、施設に入っておられる方の中でも不公平を受けている、あるいはまた先ほどの御指摘にありましたように、若干でも納めた方が気楽になるというお気持ちの方のあることもまた事実でございます。言ってみるならば車の両輪と申しますか、片やそういった負担の公平を図ると同時に、在宅の方々の底上げを図ろうという車の二輪であろうと私は思います。それを並行していきますわけでありますが、片や何と申しましても大変な数でございますので、なすことが少しずつおくれていくということであろうと思います。これは政府といたしましても心して今後行政を進める覚悟でございます。
○山本(政)委員 車の両輪ではないのです。片一方の車が小さいのです、小さ過ぎるのですよ。先ほど私が申し上げたように、六四・六%の人たちが費用を負担したくない、その費用を負担したくないという理由は、入院に備えて積み立てておかなければならない、こう言っているのですよ。 厚生省の皆さん方が協議会の皆さんたちと一緒に話し合いをしたでしょう。そのときにこういう質問が出ているはずなのです。「入院時のベッド料、付添料等の負担をどう手当するのか。」という話が出ているのですよ。そのときの厚生省のお答えは「必要経費として控除できる方途を検討したい。」こう言っているのです。値上げをするなら、あなた方はこのことに対してはっきりとした態度を先に示すべきじゃありませんか。「養護老人ホームの居室整備の推進方策を示してほしい。」あなた方の答えは「養護の近代化については、当面五十五年度は優先的に扱い、五十六年度以降は各県の実情を把握し計画化できるようにしたい。」こう言っているのです。中間報告はもう四十七年に出ているのですよ。そのことに対して実際に取り上げる段になったら、質問に答えては五十六年度からだ。来年度からでしょう。計画的にやってみたい、こういうことが出ているのですよ。「養護の大部屋対策について。」問われて初めて「それなりの減額措置はぜひともやりたい。」こんなふざけたことがありますか、一体。値上げをするならばするで、あなた方がこういうことに対してきちんとした計画なり方針なりをお出しになってやるべきじゃありませんか。問われてするものじゃないですよ、そういうことは。 〔山崎(拓)委員長代理退席、委員長着席〕 いいですか。「従来の扶養義務者プラス本人の支払いだと措置費を上まわることにならないか。」「両方をあわせて措置費の範囲内とする。」こう答えている。「そうすると養護の入所者で、軽費より高い負担のものもでてこないか。」あなた方のお答えは、実態としてどれくらいの対象、つまり軽費を上回る対象の人たちがいるか不明だけれども、詰めていきたいというふうなことを言っている。 方針なり青写真なりというものを全然おつくりにならないで、そして取るべきものは取るんだ、それがあなた方のお考えになっていることじゃありませんか。だから、在宅の人たちが一日十二円ぐらいで能事終われりとしているのが厚生省の態度なんですよ。その人たちの処遇をどう考えていくかというのが本来のあり方だとぼくは思うのだけれども、すべてが逆立ちした考え方から出ているのです。そしてそれは、いまの緊縮財政になるべく合わせていこうという、そういう背景がありありと見えていると私は思うのです。だから、こういうことはおやめなさいよ。やめることができなければ少なくとも期間を延ばして、もっと十分な意思の疎通をし、いま申し上げたような点についてもあなた方が明確な、きちんとしたことを出し、納得をする、そうしておやりになったらいいじゃありませんか。これは不備だらけじゃありませんか。どうなのですか。
○山下政府委員 最初に、政務次官からも申し上げたところでございますが、在宅者との均衡、不均衡という問題、一つの議論、一部の意見として審議会の中でも出ておりましたことは事実でございますが、私どもが考えておりますことは、御指摘のように、在宅者は少しの公費しか使っておらない、それに比べて施設収容者については多額の公費が使われておる、その不均衡を是正するためだ、そういう気持ちで行うものではございません。将来の高齢化社会、老人も所得保障が行き渡って自立した老人が一般的になる、そういう事態を頭に置きながら、現在ではまだ負担し得る方が多数おられるとは思っておりませんが、一部はおられるわけでございます。負担ができる者にはやはり負担していただく、これは何も財政的見地と申しますよりも、そういう考え方で私どもはこの措置に踏み切っておるわけでございます。 それから、在宅対策につきましては御指摘のとおりでございます。ことしの五十五年度予算におきましても、厳しい中でございましたけれども、在宅対策、ショートステーでありますとかデーサービス——ショートステーはほぼ五倍の増にいたしております、デーサトビスは倍の増にいたしております。それから、施設というものにつきましてもけさほども議論をいたしたわけでございますが、かつてのように隔離をして収容する、そういう施設ではなくて、ともに生きると申しますか、地域と一緒に溶け合ってやっていく、そういう方向を目指してやっていかなければならぬということは肝に銘じておるわけでございます。 なお、ただいま御質問のございました点、その会議の席におきまして明確な答弁ができなかった点もあるかと思いますが、実はけさほどの御質問でもお答えを申し上げたわけでございますけれども、年金が十万円あればすなわちそれに十万円の負担をしていただくというのではございません。私どもといたしましては税によっておるということの不公平、不穏当と申しますか、実態を把握してないというところを是正いたすわけでございまして、年金収入を中心にいたしまして、収入がございましたら、その収入から実際の必要経費はこれを控除する。税金はもちろんでございます。医療費も控除いたします。それから、そういうケースは少ないと思いますけれども、老人ホームに入所しておられる老人の方が、自分は五万円の年金を持っておる。その五万円の年金のうち三万円は家庭に残った孫なり嫁の生活のめんどうを見なければならぬ、仮にそういうことでありますならば、その経費も控除いたします。そうして、真の意味におきまして自分が自由に使えるお金、そのお金に着目いたしまして、それを所得といたしまして、そこに負担をお願いをいたす、こういう考え方に立っておるわけでございます。もちろん付添料でありますとかそういう事態が生じますれば、医療費としてこれは控除されることは当然のことでございます。 なお、私どもの努力が必ずしも十分でございませんので、全体につきまして細部まで細かく御理解をいただくという状況になお立ち至っておらないという御指摘があろうかと思いますが、鋭意私どもも努力をいたし、十分その趣旨と細部につきましての周知徹底に全力を挙げましてこの円滑な施行に努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○山本(政)委員 そうすると、年金に限ってということなんですか。
○山下政府委員 年金及び年金に類します定期的収入、こういうものを対象にいたします。臨時的な収入、たとえば親戚がお見舞いに来られて小遣いを置いていかれるとか、そういうものは一切除外をいたします。人によりましては、財産収入、利子収入というのがあろうかと思います。こういうものはなかなか把握がむずかしゅうございますので、利子収入、財産収入につきましては、税金の対象になるというようなはっきりした所得の場合にこれを把握をいたす、そういう考え方でございまして、私どもとしては何も税金屋ではございません、やはり社会福祉を担当するものでございますから、苛斂誅求というような気持ちは全くないわけでございまして、真に支払う能力がない者からこれを支払っていただく、費用を負担していただく、そういう考え方は全く持っておりませんので、そのことを申し上げておきたいと思います。
○山本(政)委員 大臣、予算委員会の方に御出席のときに私は申し上げたのですけれども、一つは、費用徴収をアップすることについての前提条件が整ってない。ですから、そのことについてまず前提条件を整えるべきじゃないか、これが第一 第二点は、費用徴収の話が出たときにこういう話がありました。これは新聞の記事をぼくはとってありますからお見せしてもいいのですけれども、在宅老人に比べてホームの入所者だけ年金が残るのは不公平だ、その格差を縮めるのが目的だ、そういうことが出ておる。厚生省の談話です。私は、そういう考え方は間違いじゃないかと言うのです。というのは、たとえば今度の予算の中で在宅の人たちに対して予算が組まれておるけれども、百四十五万の在宅の寝たきりの老人、一人暮らしの老人にこれを分けてみると、一日十二円にしかならないのです。ということは、つまりその人たちの処遇を考えてやるということがむしろ政治じゃないか。片一方がよ過ぎるからそこからふんだくるというのじゃなくて、低い方の人たちを上げていくということが、ぼくはまさしくいまの政治じゃないだろうか、こう申し上げたのです。 そこで、答申にも書かれておるのです。昭和五十年代の前半に近代化を完了したいと書かれておるのです。そのことについてはぼくはまだお答えをいただいてないのです。利用料をお上げになるということについては、ぼくは冒頭に申し上げたように反対をいたしておりません。しかし、先ほど申し上げたように、前提条件を昭和五十年代の前半にきちんと整えたいというのだったら、その整える青写真というものを出していただきたいというのです。そのことがお約束いただけるかということが第一点。 第二点は、いま申し上げたように、前提条件の中で進めるというのだけれども、幾つかを私は指摘を申し上げました。入院時のベッド料、付添料の負担をどう手当てをするのか。それから、いま申し上げました養護老人ホームの居室の整備について五十年代の前半にしたいと言っているのだけれども、厚生省のお答えは、五十六年度以降各県の実情を把握して計画化したい、こう言っている。まさしくこれは五年から十年ぐらいずれているのじゃないかという感じがするのです、五十年代の前半と、五十六年以降と言うのですから。養護の大部屋対策について、これだって私は減額の必要があるだろうと思うのです。 そして、収入すべてを把握するのは困難だろうと思うのです。と同時に、資産の扱いをどうするのか。資産を売ってしまったら、それは施設にいただく——施設というよりか、徴収の費用アップの方に使うなんということはおかしいと思うのですけれども、そういう点は一体どうなるのか。あるいは扶養義務者と本人の支払い、これを合わせると措置費を上回ることになるが、一体どうなるだろうか、こういう質問もあるのです。そしてその場合に、場合によっては軽費より高い負担になりかねないのじゃないかということに対しても、理論的には詰めてないという答えが出てきているのです。そして入所者の間に、費用徴収、いただく者といただかない者との間の要するに感情的なものが生まれることを心配する。とすると、四月一日からおやりになるということに対して、私はもっと十分なる準備をする必要があるのではないか、こう思うのです。四月一日ということを多少でも延期をして、そしてもっといま申し上げたようなことについて十分なブループリントを出しながら、そして施設にお入りになっている人たちの理解も得ながらするというお気持ちがないかどうか、私はそれを最後に御質問を申し上げて——いや、ちょっと待ってください。大臣に申し上げているのです。
○野呂国務大臣 いろいろ問題を御指摘いただいて、私も厚生省としても反省しなければならぬ問題が多々あると考えます。したがいまして、施設の改善を含めまして、今後どういうふうに老人ホームに入所されるお年寄りのそういう環境、あるいは与えられる福祉の各面にわたっての検討、これを早期にどういう方向で進めていくかということについては、御理解を得られるような計画を立ててみたいと思います。 また同時に、この費用徴収の改定におきまして四月から実施するということについてやはり御理解いただく準備、それからいろいろな問題点、そういうものも含めまして少し検討する時間が必要ではないかという点について、もう一度私の方も省内で十分工夫する方法を検討さしていただきたい。四月に強行するというようなことでなくて、いろいろ御指摘の点も配慮しながら理解を得られる方向はないかということについて多少の時間的な猶予を考えるべきではないか、私はかように考えます。
○山本(政)委員 ぜひひとつ、不十分な説明とそれからいまの不十分な、ぼくにあえて言わせてもらえば不十分な検討の中で実施するのは少し早過ぎるのではないかと思いますので、ぜひそのことについて御勘考いただきたいと思います。 終わります。ありがとうございました。
○葉梨委員長 次に、平石磨作太郎君。
○平石委員 老人保健制度のことにつきまして午前中論議がございました。その中で大臣がお答えになったことではどうも不十分ではないか、どうも納得がいかない、このように感じたわけです。 午前中にもお話がありましたように、それぞれ、小沢大臣のときは小沢大臣が厚生省を去る際に試案を発表された、それから橋本大臣が厚生省を去る際にまた試案が出された。その試案はそれぞれ違った角度からの試案になっておりますが、小沢大臣の当時は、国会もあるいは厚生大臣も老人保健制度の創設ということについて大体合意ができておった。そういうことを踏まえて、いま大臣が就任をされて、過日、一月の二十八日に準備室をつくっておられます。すなわち、厚生省が前向きにこれに取り組もうという姿勢はそれで見えるわけですが、その保健制度の創設ということを考えておられるのか、あるいは財政調整といったような形になるのか、非常に危惧しておるわけですが、もう一つ大臣の考え方をお聞きしたいと思います。
○野呂国務大臣 老人保健医療制度の基本的な見直しにおきまして、本格的な高齢化社会を迎えたわけでございまして、これに対しまして、御指摘のように、橋本試案あるいは小沢試案などいろいろの考え方が提起されたわけであります。私どもといたしましては、この二つの試案に対しまして十分これをいま検討いたしているわけです。その御意見を踏まえ、かつまた関係審議会の答申も求めたい、そうしてその結果を踏まえ、さらにまた国会でのいろいろの御意見等についても十分耳を傾けて、どういう方向でこれを進めていくのかということについていま検討をいたしておるわけでございます。そうして五十六年には、ぜひこの老人医療制度というものを国民の理解、合意を得られるような形において発足させてまいりたいと考えておるわけでございます。
○平石委員 そういう抽象的なお答えでは、どうも私納得できぬのですが、これは五十三年の六月一日、社労委員会における質疑の中で小沢厚生大臣が当時答えておるわけです。そのときの質問に「老人保健については老人懇の答申もありますけれども、国民的な大多数の合意は、現在のばらばらの保険制度から老人保険は抜き出して、そして老人の総合保健対策を基礎にした制度をつくるべきであるという考え方ですが、それに対する簡単な見解と、これから厚生大臣が考えておる日程、スケジュール、こういう点について明快にひとつ答弁をいただきたい。」こういう質問に対して、小沢大臣は「老人保健についての考え方は、基本的に全く同意見でございます。日程については、再三申し上げておりますように来年の通常国会といいますか、今年の十二月に召集になります」——これは五十四年度の通常国会です。「十二月に召集になります通常国会に御提案申し上げまして、準備の若干の期間を置いて、少なくとも来年の秋には実施に入る、こういう日程をつくりまして、老人保険制度の、先ほど大原委員もおっしゃいましたような考え方に基づいた制度をつくるためのプロジェクトチームを省内に置きまして、いま鋭意検討をいたさせておる最中でございます。」これが社会党の大原先生に対する答弁です。 だから、行政の継続性から考えたときに、いまのような答弁は出ぬはずです。そして、五十二年の十一月一日に衆議院の社会労働委員会において、それから五十二年の十二月八日に参議院の社会労働委員会において、それぞれ「老人保健医療制度の創設の準備に直ちに着手する」、こういう決議がなされておる。 〔委員長退席、住委員長代理着席〕 だから、国会の決議においても、別建てでやるということ、それからいま申し上げました小沢大臣の答弁の中にもスケジュールまではっきり答弁しておられるのです。 そういうことから考えたときに、多くの意見を聞きましてどうするかというようないまの答弁では私納得できない。だから、特に国保の問題等、いろいろ老人をたくさん抱えておる市町村の段階における国保事業等は、この老人の医療の問題で大変四苦八苦しておられることは御存じだと思う。そういう意味からも、この老人保健の別建て制度については非常に渇望しておるわけです。私のところへもたびたび陳情が参りますが、ひとつ大臣、勇断をもって別建て保健をやるんだということで御答弁いただきたい。
○野呂国務大臣 小沢前々厚生大臣の国会におきまする答弁については私も承知をいたしております。また同時に、橋本前厚生大臣の考え方も国会でいろいろ明らかにされておるわけでございまして、これらの意見を踏まえて慎重に対応いたしませんと、老人医療問題というのは大変これからの大きな課題でございますので、その取り組み方が非常におくれておるではないか、約束を果たしていないではないかというおしかりを受けてまことに恐縮をいたしますけれども、いよいよ五十六年にはぜひこの制度の抜本的な見直しを図りながら進めてまいりたいという気持ちにおいては非常に私どもは強く心の中に銘記いたしておるわけでございまして、その老人医療制度を別建てのものにしていくのがいいのかどうか、あるいは財政調整をもそこに加味しながら進めていくべきかどうか、いま本当に真剣に取り組んでおるわけでございます。ぜひこの制度が本当に基本的な見直しになるような方向で進めてまいりたいというふうに申し上げるわけでございます。
○平石委員 大臣のそういう御答弁とやりとりしておると時間とりますが、いずれにしましてもいま私申し上げましたように、そういったいままでの経過というものを十分踏まえながらやはり別建て保健をつくっていくという方向でひとつ大臣は取り組んでいただきたい。特に準備室もできたことですからそういう方向で特に御尽力を願いたい。そして、五十六年には少なくともこれが実施の段階に入りますようにひとつ強く要望してこの問題は終わりたいと思います。 次に、スモンの問題について御質問を申し上げます。 このスモンの問題につきましては非常な社会問題となって、これが救済のためにいろいろと前の国会等でも薬事二法その他成立をしたわけでございます。 ところで、このスモンの患者さん方が、長い間のそういった非常な苦しい生活の中でみずからこういった薬害被害についての救済を裁判所に訴えられた。そして、全国で二十八カ所の裁判が進められ、中で九つの言い渡しがなされて現在控訴が行われておるという段階。そして、それを踏まえての一方で和解ということも順次進行をしておるわけですが、特に東京地裁におけるところの可部和解というのが大きな転機となって全面一括解決というような、そういう明るい見通しも仕上がったわけです。そのように厚生省の積極的な取り組みというものは高く私も評価をするわけですが、そういった解決への条件が整いながら現在和解の状況が余り芳しく進んでいないということをお聞きするわけです。現在この解決に当たって厚生省はめどをどの辺に持っておるか、お聞かせをいただきたい。 〔住委員長代理退席、委員長着席〕
○山崎政府委員 お尋ねの点につきましてお答え申し上げますが、仰せのとおり、昨年の九月十五日にいわゆる判決派と言われる患者さんの方々との間で確認書が取り結ばれたわけでございまして、その確認書を転機といたしまして私どもこのスモンの問題を解決するためにはこの和解というものを強力に進めていきたい、こういうことで現在鋭意努力をしておるわけでございますが、現在のところ患者さんの数で提訴患者が五千二十六名おりまして、いまのところ和解を取り結べることができました患者さんの数が二千四百二名、かようなことになっております。やっとまだ過半数に及ばないというようなことでございますが、主に現在どういう点がこういう早期和解のいわば障害になっておるかと申しますか、どういう点が残されている問題かということを申し上げますと、一つは、服用したキノホルム剤の証明が不十分であって、そしてそういうことを理由に関係の製薬会社が和解を和解の席で留保しているという事例が一つあるかと存じます。それから第二点は、もう少し狭い意味で服用したキノホルム剤の証明ができない、いわゆる投薬証明のない患者さんの問題でございます。こういうことが二つ目としてございます。それから三つ目といたしましては、いま御指摘のとおり、九つの地方裁判所で判決をすでに受けておられる、そして六つの高等裁判所でそれが控訴審という形で係属しておられる、こういう方々とも和解を進めておりまするが、そのすでに判決を受けた患者さんの取り扱い。この三つの点がいま残されている大きな課題である、かように考えておりまして、いずれにいたしましてもそれらを積極的に和解に進めていきたい、かように存じておるところでございます。
○平石委員 私の問いに答えてもらわなければいけません。いつを解決のめどにしておるかということを聞いているんです。
○山崎政府委員 私どもはもうできるだけ早く一日でも早く和解に乗せたいということでございます。
○平石委員 ところで、一日でも早いことは結構なことですが、一応裁判が終わり、和解が行われ、さらに和解事項の確認ができ、確認書が取り交わされたという経過ですが、去年の七月二十六日「スモンの会全国連絡協議会、関連弁護団と厚生省、製薬三社との間の交渉において、提訴ずみ原告の年内解決の実現をめざす協議に関し、つぎの事項を議事録に留めて確認することにする。」これは「提訴ずみ原告の年内解決の実現をめざす協議に関する議事録確認」というのです。これが昨年の七月の二十六日。この中で中野薬務局長は「政府の基本方針は、スモン問題をすみやかに全面解決して、和解手続によりスモン患者の早期救済を年内にも実現することである。」こういうようになっておる。これが確認事項です。これは五十四年の十二月に解決をしていく、こういう確認事項なんです。これは御存じですかね。
○野呂国務大臣 五十四年の七月のこのスモン問題の解決に対する確認書は承知いたしております。
○平石委員 そのことから言いますと、まことにおくれた現在の状況と言わねばなりません。したがって、厚生省は早期に解決するといういまの局長の答弁、ひとつ誠意を持ってきわめて早く可及的速やかに解決をしていただきたい、このように要望するわけです。 ところで、いま答弁の中にもございました、解決がおくれておる原因等についていま局長から一部お話がございましたが、こういったようなことが出てくると、これはもちろんそれにはそれなりの理由はあろうかと思うのですが、そういったことが出てきたことに厚生省はどう対処しておりますか、お聞かせをいただきたい。
○山崎政府委員 一つは、投薬証明のないと言われる患者さんについての問題でございますが、この問題につきましては大変重要な問題であると考えておりまして、これは現在、東京地方裁判所の意見を私ども求めているところでございます。 そういうことでございまして、東京地方裁判所の判断が示される、こういうことを期待しておりまして、その判断が示された段階におきまして、その判断を十分尊重いたして国の方針を決定してまいりたい、そしてそれによって和解、解決に入ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
○平石委員 東京地裁の判断を仰ぐといういまのお答えのようですが、これは私は筋違いじゃないかと思う。どうして東京地裁に持っていかねばならぬのか、私は理解に苦しみます。裁判がなされて、しかも国並びに製薬企業三社は法的な責任があるという判断が出たわけです。これは言い渡しであって、国はこれに対して控訴を行っておりますから、現在訴訟は係属中とはいえども、第一審の裁判所の判断は、一応国、製薬三社の法的責任を判断された。そして残る、いままで行われた九つの裁判所もすべてこのことを認めておるわけです。これはもういまさら責任がございませんとは言えないはずですが、どうですか、お答えいただきます。
○山崎政府委員 国の基本方針は、製薬会社と一緒に負担もしというようなことで、製薬会社とともに解決を図っていく、こういうことが基本方針でございまして、投薬証明のない患者さんにつきましては、その司法的判断につきまして各地方裁判所の御判断が多少違うというような面もございまして、いわば司法的判断が必ずしもその点では確立していないような、そういうむずかしい問題をはらんでいるのではないか、かように考えておるわけでございます。 そういう事柄でもありますので、その司法部の判断というものが早期にこの問題の決着をつける場合でも必要ではないか、かように考えておりまして、しからばなぜ東京地方裁判所の判断を求めたのか、かようなことではございますが、それは何と申しましてもスモン訴訟原告の過半数が係属していた裁判所でもございますし、それからいわば可部和解を中心にしましてスモン和解を積極的に進めてきた、こういう経緯もございますので、東京地方裁判所の判断を尊重して国としての方針を固めてまいる、そして誠心誠意製薬会社の説得にも当たる、こういうことがこの問題の結局は迅速な処理あるいは公平な処理、こういうことを図り得るのではないか、かように考えたわけでございます。
○平石委員 いまの御答弁を聞いてみますと、もちろん責任それ自体を否定した答弁ではなかった。だから、答弁はやはり国に責任があり、しかも製薬企業三社にも責任があるということをお認めの上で、いわゆる個々の患者について云々という問題だと思う。 そこで私が言いたいことは、個々の患者に対して責任をそれぞれ負うべきだという、これは当然のことですが、そこでその個々の患者に対してどうするかということについては、これ以上の地裁の判断を求めるということは、一体どの場で求めておるのですか。 私の理解から言いますと、東京地裁で裁判が行われて、言い渡しが済んだ。それから、それを前提にしての可部和解ができ上がった。いわゆる和解条項についての和解ができ上がった。「原告らおよび被告らは、本件において裁判所が示した昭和五二年一月十七日付別紙和解案提示についての所見および同年三月二二日付別紙和解案提示についての所見を前提として、以下述べるところに従い、和解により訴訟を終了させることの合意に達した。」こうなっておるのです。だから、そのことに基づいてそういうことが行われた以上は、これを忠実に履行していくということが私は責任だと思う。そして、厚生省との間に結ばれました確認書、これは昨年の九月十五日に確認されております。「スモンの会全国連絡協議会及びこれに加入する各地スモンの会並びに各地スモン弁護団と厚生大臣、日本チバガイギー株式会社、武田薬品工業株式会社とは、スモン訴訟の解決にあたり、訴訟が係属する裁判所毎に、次の条項による和解により訴訟を終らせる基本方針について合意に達したことを相互に確認する。」こういう形で確認書が厚生大臣との間に仕上がっておるわけです、両当事者間に。そうしたら、これを忠実に履行する。責任があるかないかの問題を裁判所に判断さすのじゃない。やはり責任区分の問題だと私は思うのですが、どうですか。
○山崎政府委員 私ども東京地方裁判所に求めております判断の内容は、つまり、いわゆる投薬証明のない人たちにつきまして、ケースごとにどういう事例がそういう投薬証明のないものとしてふるい分けられるのだろうか、それ以前のものとして処理することもできるのではないかというような、その区分の問題が一つあります。それからもう一つは、患者の救済を行います、私どもが和解に応じます場合に、どういう割合で製薬会社とその費用分担を図っていくか、この二つが中心課題でございまして、そういう判断を東京地裁に求めている、かようなことでございます。 と申しますのも、投薬証明のないと一義的に申しましても、つまりはキノホルム剤を飲んだという事実がわかっているけれども、どのキノホルム剤、つまり田辺系統の薬かあるいはチバガイギー系統の薬か、それがわからないという、ブランドが不特定という問題がございます。それからもう一つは、服用の事実そのものが多少疑問がある、同時にまたブランドの方についても疑問がある、こういうようなものもございます。あるいはまた、服用の事実は相当程度はっきりしているけれども、その特定性、キノホルム剤の特定性という意味で全くブランド名がないというようないろいろな様態がございまして、それらの様態を、つまりは狭い意味での投薬証明のないグループとして考え方を決める場合でも、どういうものがそういうものにはまるか、もっと、裁判上における和解の席におきます証拠価値といいますか、そういうものとして東京地方裁判所自身の席で決めていけるものもあろう。最後にむずかしいものとして、狭い意味での投薬証明のないもの、こういうものを限定していく、こういうことを通じまして、最後に残された問題をどういう分担割合で決めていくか、こういうことを求めているわけでございます。
○平石委員 そうすると、これを救済する場合に、鑑定が行われておりますね。鑑定した患者さんはどのくらいおりますか。
○山崎政府委員 先ほど申しました提訴患者数が五千二十六名でございますが、その中で三千四百十一名の方がいわゆる鑑定を了しております。
○平石委員 そういった鑑定を終えた患者さんというのは、これはどういう患者さんですか。
○山崎政府委員 鑑定は医学的な見地からする鑑定でございまして、一つはキノホルムによるスモン症であるかどうかの鑑定でございます。それと症度でございます。重症度でございます。この二つでございます。したがいまして、その鑑定の先生方はどのブランドのお薬を飲んだかまでは鑑定の内容に入っていない、そういうふうに理解しております。
○平石委員 そういたしますと、いま鑑定を済んだ患者さんについては、キノホルムを飲んだ患者である、そして重症度はどうかということは確認ができるわけですね。そうしますと、一応キノホルム剤を飲んで患者になって、救済対象患者である、和解対象患者である、こういうことが確定するわけですね。そして、そういったような、いまるる御答弁がありましたようにいろんな問題が出てきて、そこへひっつけていく、いわゆる賠償責任について、当該企業に結びつけるというような、そういう作業がいろいろお話の中にありましたが、そういったようなことは、先ほど年内解決というように、一応九月の十五日からわずか三カ月、これを薬務局長は年内には少なくとも解決をしたいといったような期限を切るということ、私はそこには見通しがあったと思うのです。見通しがあったからこそ三カ月のわずかの余裕の期間に一挙に解決を図ろう、その予定があったからこそ年内解決ということを確認したのだ。ところが、現実にやってみると、いま答弁にありましたようないろいろなことが出てき始めた、だから結局解決に至ってない、私はこれが実態だと思うのです。 そうすると、いま申し上げたような年内解決ということを厚生省も予想し、製薬企業三社もおよそそのことについては、よしこれでいけると、予想してなかったことですか、予想しておったのですか、どうです。
○山崎政府委員 まことに見通しが甘かったと申しますか、精いっぱい努力したつもりでございますが、現実にはすべての方とのというか、半数の方の和解がまだ済んでいない、この現状は認めざるを得ません。申しわけなく思っております。
○平石委員 こうなることを、年内解決の確認をする際に予想しておりましたか、おりませんでしたか。
○山崎政府委員 当時は年内解決したい、こういうことで、そのとおり見通したのだと思います。
○平石委員 そういたしますと、製薬企業三社、そして国、この被告間において、年内解決ということをおよそ一およそじゃない、確認書に出ておるのですから、そういうような短期間のうちに片がつくということの合意がなされておったということです。見通しを持っておったということですよ。そうすると、私はいまるる出てきたようなことが製薬企業から普通なら出てくるかもわかりませんが、最前私が申し上げたように、裁判でもって法的責任は認めておる。それに基づいて和解条項の合意ができた。そして、誠意を持って解決をいたします、そして厚生省の中で九月の十五日に確認書が交わされた。もう二重にも三重にも条件は整ってきたのです。だから患者さんは、みんながこれで解決がつける、当時の橋本厚生大臣も全面一括解決の見通しがついた、このように言っておられたのです。そのように、もうこれ以上すべきことは本当はないのです。すべて尽くしてしまったのです。すべて仕上がってしまったのです。最後の詰めの段階でいまの問題が出てきた。だから、最後の詰めの段階でその問題が出るということは、確認書を交わしたこと、年内解決をいたしますという確認までしたことをほごにするということです、製薬企業は。私がいま申し上げたような形でみんなが誠意を持ってやるのであるなら、この問題が出るはずがない。そして、いま製薬企業が言っておる、答弁の中にありました発症時の投薬証明がない、これは信頼性がございません、後から飲んだ薬の証明ではスモンにかかった発症時のものでないからこれもだめでございます、それからカルテがなくなったからお医者さんが記憶によって証明を出した、この証明は信頼性がありません、これもペケ、そういった推定による証明は一切受け付けませんというような態度をとっておる。それから、患者さんを診たお医者さんがよその病院へ転勤をした、そうしたら出て行った後の病院で証明書を書いたものも信頼性がございませんというようなことを言われる。そういったようなことが出てきて、厚生省としてもこれは非常に困ったというのがいまの局長の答弁だと思うのですよ。 私は最前申し上げたように、もう二重にも三重にもちゃんとやるべきことは仕上がった、これ以上患者さんもやるべきことがなくなった、もうすべて手は打ち尽くしてしまって確認書まで交わされたという段階でこんなものが出てきたということは、私はほごにするという意思が企業にあるのじゃないか。そういうことから考えて、これでは信用に足らないからさらに信頼性のある証明書を持ってきなさい、この証明では不十分だ、こう言われる。お医者さんが何を患者さんに——私に言わせたら、これは不可能なものを強いることですよ。私がスモン患者として、お医者さんはもう亡くなっておるが、そこの病院で書いてくれたというもの以上のものが、患者さんに要求してとれますか。不能を強いるものだと私は言いたい。 それをあくまでも要求するのであるなら、私は大臣にお聞きしたい。国は薬務行政の立場から、これだけの二重、三重の責任が確認をされてきたんだから、もしこういったことを製薬企業が言いたいのなら、製薬企業が免れたかったら、飲ましてないという証明を企業さんが持ってきなさい、製薬企業が私のところの薬は飲んでおりませんという証明を持ってきてくださいと言えますか、お答えを願いたい。
○山崎政府委員 仰せの趣旨は十分にわかるのでございまするけれども、私どもやはり服用したキノホルム剤の特定が十分でないというようなことで製薬会社が和解を留保しているものにつきましては、全力を挙げて和解の進捗を図るという観点から、和解の場におきまして十分協議していく、そして最終的にはそこでの裁判所の判断を尊重して円満に解決していく、こういうことを私どもは製薬会社に対して強く要望もし、強く要請をしているところでございます。
○平石委員 それが弱腰ですよ。責任はあるのですよ。責任があるかないかは判断が終わっておるのですよ。その責任を履行するについての問題ですよ。責任区分の問題ですよ。被告者同士の間の問題ですよ。あるないの問題じゃないのですよ。それはやはり被告としての国の立場もある。だが、薬務行政の立場から、そのことを国が指導として言えぬのかということですよ。薬務行政の立場から、患者さんに不可能なものを強いるようなものなら、あなたの方が飲ましてない、うちの薬はこの人は飲んでおりませんと言ってきなさい、そうしたらあんたら免れますよ、この指導が私は必要だと思うのです。これは不能のことを言っているのですから、片がつきませんよ。年内解決、早期解決できませんよ、さっきの答弁のようには。それがもし言えないとするのなら、厚生大臣は、こういったようなことについて、企業がそれぞれはねかけ合いをしてしまうということであるのなら、共同負担をしなさい。あなたたちがはっきりそこで自分のところの会社のものではないということを、疑いがあるというのであるのなら、お互いに共同負担をしたらどうですか。負担方式を厚生省は指導できると私は思うのですが、どうですか。
○山崎政府委員 まさしく先生御指摘の点につきまして私どもがとってきた道が、たまたま東京地方裁判所というものが和解に積極的に私ども進めてまいりましたところでもあり、かつまた過半数の患者さん方が係属していたというようなところでもありますので、そこの案件、ケースの解決ということを通じまして、私どもそれをてこに、その負担関係なりそのケースの確定なり、こういうものをやってまいりたい。こういう気持ちで東京地方裁判所にお願いをしておる、そしてその御判断を近々いただけるのではないかと強く期待をしておりますので、それを待って国の方針を固めていきたい、これが私どもの考え方でございます。
○平石委員 やはりそこへいく。私さっきから言うて御理解いただかなければならぬと思っていますが、責任があるかないかの問題でないのですよ。それと、東京地裁に御判断を願うというのであったら、両当事者が出ていて判断願うのが裁判所の仕事ですよ。私はこのスモンの弁護団に聞いたのです、厚生省は地裁の判断を願うと言っているが、あなた方も言っていますかと。いや、私たちは言っておりません。理屈がないのですよ、被告の中の問題だから、被告と被告の相互間の問題ですから。そこまで裁判所が親切にやってくれますか。やってくれるのであるなら争点がなければいけません、両当事者の間に。当事者の間の争点じゃないのですから、私は国は言い逃れにすぎないと見る。だから、私がいま提言したように、裁判所にお願いしますという他人ごとじゃないのですよ。国はいわゆる法的責任を持った被告であると同時に、国の薬務行政をつかさどる機関なんです。だから、共同負担をしなさい。こういったものを選別をして、それがどうしても選別がつかないのであるのなら、確認書も交わしておることだし、判もついておることだし、ここで共同負担しなければいかぬじゃないですか。これくらいのことが言えぬですか。もう一回御答弁願いたい。
○山崎政府委員 たびたびで恐縮でございますが、私ども東京地方裁判所に判断をお願いしておりますのは、どういうケースがいわゆる投薬証明のない人たちのケースになるのか、あるいはそこにならないまでも解決できるケースなら解決できるのではないかという点と、もう一つは、まさしく先生いま被告同士の間ではないかと申されましたが、その被告同士の間の分担関係、負担関係の考え方をお示しいただくようにお願いしているところでございます。
○平石委員 そこまで親切に裁判所がやってくれますかね。私は裁判所の判断は出ぬと思いますよ。出る理屈がないのですよ。そこまで国が裁判所に御迷惑をかけたらいかぬ。 それと、去年の二月二十二日の社労委員会の議事録ですが、これも大原先生がお聞きしておることです。この中で、投薬証明のない患者の救済ということについて中野局長がお答えになっております。「しかしながら、一方において、明確にキノホルムを服用しながらも投薬証明書が得られないということが当然あり得るということは事実でございますので、そのような問題につきましては、われわれといたしましては、この件の処理をどのようにすべきかということについての判断を東京地裁に求めているわけでございます。これはすでに早い時期に、東京地方裁判所にそういう判断をお示しいただくようにお願いをいたしておるところでございまして、近い将来にその判断が示されるところでございまして、近々にその判断が示され得るものというふうに考えておるところでございます。」という答弁が、去年の二月ですよ、これは。近々、近々言うて一年たちましたね。裁判所は判断しますか。近々、近々、ありまして、ありまして、これは言い逃れにすぎぬと私は思うのですよ、もうこれだけ経過しているのだから。それから判断しても、私は、年内解決をあそこで薬務局長あるいは厚生大臣が、しかも約束をしたということについて、去年の二月の段階でこういうことを言うておるのです。 そして、確認書の中あるいは確認されたことでこういうことが出ております。時間がないから急いでいきますが、「投薬証明書のない患者の取扱い及び未提訴患者の救済についての確認事項」これは去年の九月十五日、確認書を交わされたときに同じく確認事項として確認されたものです。 この確認事項のところで、橋本厚生大臣は、いわゆるいままでの議事録とかそういったものを確認事項にしておるわけですが、その中で、「投薬証明のあるなしにかかわらず、差別できないのは当然である。」こう言っておる。これは社会党の安恒議員が質問したのに対してのお言葉です。 それから、片山議員が「投薬証明のない患者をどうするか。」これに中野薬務局長が「投薬証明の有無によって差別があってはならず、平等に救済が行われなければならないというのが厚生省の基本方針である。ただ、財源負担をどうするか、全面的早期解決に置きざりにされることのないよう万全の努力をする。」こうなっております。これが確認されておるのですよ。これも確認事項です。 こういう確認事項が次から次へできて、大臣までが、投薬証明のない——私は、いまは投薬証明の不十分な者を言っておる。だから、この投薬証明の不十分な者を共同負担さすということになれば、投薬証明のない者もそれで話が一切ついてしまうのです。不十分な者については共同負担するというような指導を、厚生省は責任の立場からやらにゃならぬと思います。それが解決つけば、残った投薬証明のない者についても、橋本大臣のお答えがあるように解決はさっとつくと思うのです。もう一回御答弁を大臣にお願いしたいです。
○野呂国務大臣 担当と平石先生とのいろいろの話の中で私が感じますことは、本当にこのスモンの和解を一挙に解決しなければならぬ。私は厚生行政を担当する者として、就任以来いろいろの問題がございますが、とりわけこのスモンを速やかに解決する方法はないかということで、事務当局に厳しくきのうも申しました。その前も申しております。会うごとに早く解決をしようではないか、いろいろ関係のむずかしい問題もあることは私も承知いたしておるわけでございますが、しかしこれは製薬会社と同時に国の責任であるという責任を感じますときに、和解がまだ保留されておる者に対する取り扱い、さらにまた投薬証明のない患者の取り扱い、あるいはすでに判決を受けた患者の取り扱い、これら三点が大きなスモン解決の問題点でなかろうかと考えておるわけでございます。したがいまして、スモン患者に対しまする恒久対策を除いてこうした一連の問題を一挙に私は解決したいということでございます。しかし、特に投薬証明のない患者の扱いについては東京地裁の判決を尊重しなければなりませんので、このことに対して早く結論を出していただきたいということをむしろ厚生省としても東京地裁に要請をしておるわけでございます。決してこれが長引くものではないと考えます。 また、負担のあり方につきましても何らかの結論が示されるものだということを期待いたしているわけでございますので、もう少し時間をいただきたい、誠心誠意この問題の解決に当たりたいと考える次第でございます。
○平石委員 大臣も同じようなことをお答えになりましたが、私は大臣の苦衷もわかりますけれども、最後に申し上げておきましょう。そして、大臣に御答弁をいただきたいのです。 いま製薬企業があんなことを言っておることは、不能を患者さんに言うものです。できぬことを言うものです。だから、できぬことを言うんであるんなら、私が先ほど申し上げたように、飲ましてないという証明を持ってきなさい。不能なこと、そのことをも強いられる以上は、同じようにあなたも持ってきなさいよと、局長さんはこのことも言えないと言うんだから、それであったら、それもよう言わぬのであったら、投薬証明不十分な者についてもそんなことを言うな、患者に不能を強いては困る、これ以上患者さんが何ができますか、それをばっしりとめさせなさいよ。そうなったら東京地裁の判断は要らぬですよ。それもよう言いません、こんなことを言うことをやめろともよう言いません。あなた持ってきなさい、これもよう言わぬ。こんなもの解決つきますか。それで早期解決、誠意を持ってと言ったっておかしいですよ。だから、あくまでも製薬企業に、薬務行政の立場から、飲ましてないという証明をあなたが明らかにしなさい、こう言うたら片がつきますよ。そしたら向こうも患者さんに言うことがとまります、言えなくなってきますよ。そしたら一挙に解決がつくと私は思うのです。 この問題はこれで一応終わらしていただきますが、大臣、このことは強い決意で当たってください、私たちも応援をしますから。私は、ただ厚生省をなじるつもりで言うておるのではありませんので、ひとつ十分対処していただきたいと思うのです。 それから、老齢福祉年金について、これは予算修正の問題等も絡んでおりますが、大臣は、この間の予算委員会の竹下大蔵大臣の答弁の中で、担当省と協議検討したいと言われておりましたが、何か話があっておりますか、ちょっとお聞かせいただきたい。
○野呂国務大臣 まだお話を承っておりません。
○平石委員 これは大蔵大臣前向きのようですから、ひとつ大臣の御努力をお願いしておきたいと思います。 あと残りましたけれども、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○野呂国務大臣 二月十八日の国会におきまする大蔵大臣の御答弁は、老齢福祉年金の問題を含めて真剣に検討をするという一般論を述べたものだ、私そこにおりましたので、そういうふうに感じておるわけでございます。
○葉梨委員長 次に、谷口是巨君。
○谷口委員 大臣が途中で中座されるそうでございますから、大臣に最初に一つ、二つ聞いておきたいと思います。 五十五年度の予算編成はいわゆる財政難の中で非常に苦労をされたということは私は承知をしております。厚生省にとっては試練の予算編成であったと評価をしているわけでありますが、その際に大蔵大臣と厚生大臣の間にいわゆる覚書が結ばれたわけであります。これは多くの問題が結局この中に含まれるわけでございますが、その解決については非常に急がれているわけでございます。幸いなるかな、いわゆる参議院が目前に控えておりますから、相当手ぬるくされたという印象を持っておるわけです。 そこで、いわゆる今後の厚生行政、特に福祉行政に対する基本的な姿勢をまず冒頭に伺っておきたいと思います。
○野呂国務大臣 先ほどもお答え申し上げておりましたが、厚生行政、福祉行政というものは社会経済情勢の変化に伴っていろいろ財政的見地から云々されることもあろうかと思いますが、本格的な高齢化社会を迎えて大きな変化にどう対応していくか、その場合において国民の大きな期待にこたえて、少なくとも福祉行政が財政的見地からだけで後退をさせられたということのないように私どもは十分留意をしながら、むしろ今後いろいろの新しい課題を迎えてこれに積極的に取り組んでいく必要があると考えておるわけでございます。 なお、覚書の問題を御指摘になられたのでございますが、なるほど党三役、そして大蔵大臣あるいは官房長官を交えて、これからの福祉行政のうちで問題になりますたとえば老人医療制度の問題、さらに児童手当制度の問題あるいは所得制限の問題、三つにつきましてお互いに認識を確認し合ったということでございまして、冒頭に覚書とは記していないわけでございます。しかし、そういう認識で今後いろいろな情勢を勘案しながら見直しをしていかなければならないという認識を私どもは持っておりますが、それはすべて財政的見地から後退を意味しておるものではないと私は考えておるわけでございます。
○谷口委員 予算委員会でこれは問題になりましたね。そのときに結局答弁として、いわゆる努力目標である、こういうふうに発言をされたと私は聞いておるのですが、これは単なる努力目標なのかあるいは拘束力を持つのか、明確にひとつお願いをしたいと思います。
○野呂国務大臣 速記録を調べなければ私も一々答弁申し上げた記憶をいまよみがえらすわけにはまいりませんが、努力目標だという言葉は申し上げた記憶はございません。覚書と御指摘をいただいておりますことは、政府、与党間におきます将来の長期的な展望に立った問題点について認識を確認したというものでございます。私どもは、福祉行政はいろいろな形で検討しなければならぬ問題がたくさんあるではないか、その中でとりわけこうした問題についてはお互いにいろいろ見直しも考えていかなければならぬではないかという認識をああいう形で確認をした、こういうことでございます。
○谷口委員 重ねてお聞きしますけれども、単なるお互いの認識を結局改めたというだけであって、これは来年度の予算については拘束力は何ら一持たないと判断してよろしいのですか。
○野呂国務大臣 もちろんこれは法律でも何でもございませんし、単なる認識をお互いに話したということでございますから、拘束するものでは私どもはない。これは内輪での問題でございまして、ましてや国会の御審議に対して拘束する何物もないということでございます。今後ともわれわれは、その時点その時点における情勢の変化に対応しながら、国民の期待にこたえられる福祉行政を展開してまいりたいと考えております。
○谷口委員 大臣の話を聞いておりまして、非常に心強く感じますが、大臣、言うだけじゃだめなんですよ。現実に来年度の予算を折衝するときに、大蔵大臣がだれになっておるかしらぬが、あなたがもし大臣としておって、本当にそれだけのことを言う決意があれば見上げたものだ。現実になるとなかなかそうはいかぬというおそれを表明して、大臣、おいでになって結構です、時間でございますから。そのかわり、早く戻ってきてください。 では、質問を続けます。 まず、具体的にお伺いいたしますけれども、児童手当制度について、児童手当支給対象児童数がいままで過去にどれだけであったのか、その実績並びにその児童全体に占める割合はどのようになっておりますか。
○竹内政府委員 支給児童数について見ますと、昭和五十二年度に二百八十四万、それから昭和五十三年度で二百八十一万人、五十四年度では二百七十五万人でございます。児童全体の中で申しますと、約一六%というふうに私どもは理解をいたしております。
○谷口委員 人数にしてもだんだん少しずつ減少してきていることが数字の上でもわかるわけでございますけれども、これは発足して九年になりますね。近年の出生率が残念ながら減少傾向にあるわけでありますけれども、その中で児童手当の対象となる割合、やはり児童数というものは減少していくのじゃないかと思いますが、今後の見通しについてどのように立てておられるか、伺っておきたいと思います。
○竹内政府委員 出生数について見ますと、確かに昭和五十年ぐらいをピークにいたしまして毎年減っております。特に昨年、昭和五十四年は百六十四万九千人、人口千人当たり一四・三という出生率でございます。御承知かと思いますが、昭和四十一年のひのえうまの年に出生率が一三・七というのが大正九年以来の最低記録でございます。それに近づきつつありますし、また恐らく、学者の推計等について私どもがお話を伺っている限りでは、この出生数は人口千人当たり日本では十一ぐらいまでは落ち込むのではなかろうかというふうな、半ば危惧を含めた御意見などもときどき承って、対応策についていろいろと検討しなければならぬ、こういうふうに理解をいたしておるところでございます。
○谷口委員 この制度は過去に要するに拡充されなかった。第三子から始まって第二子、第一子と拡充されるべきはずであったと思うのだけれども、これは拡充されなかったこと、また第三子まで子供を持つ世帯がだんだん減ってきた。結局われわれもいろいろなところで聞いてみますと、二人は多い方にだんだん入ってきましたね。一人しかいない方もたくさんある。三人おりますと、おっと言うぐらいに、だんだんそういう傾向になってきた。しかもまた、所得制限が据え置きされてきた。ということは、こんなものを総合しますと、何もしないで結論としてこの児童手当制度はしりすぼみになっていって、うやむやのうちに形骸化してしまうことになるおそれがあると私は思うのです。 厚生省の認識を伺っておきます。
○竹内政府委員 おっしゃるとおり所得制限も据え置いておりますし、また給付額につきましても、昨年度、低所得階層について六千円を六千五百円というふうに引き上げはいたしましたけれども、そういった意味では、基本的な改善ということについては、後で申し上げますけれども、私どもとしては、基本的な見直しということに取りかかっておりましたので、現在のところ、制度それ自体についての構成ファクターといいますか、要素それ自体をいまいじることによって、基本的な問題の整理を惑わすということは避けたいという気持ちがあったわけでございます。もちろん、いま御指摘のように、制度ができましたときにも、将来の発展を要請をされ、決して十分なものではないという御指摘を受け、その後当委員会におきましても、しばしば附帯決議等で御指摘もいただいてきたわけであります。 そんなことを踏まえまして、もともと、俗に覚書などでいろいろ言われておりますけれども、私どもとしては、そういうことを抜きにいたしまして、もう昭和五十二年からこの問題について基本的に見直していきたい、率直に言えばいわば前向きの姿勢でこの問題に取り組んできたということでございます。
○谷口委員 時間の関係がありますので、簡潔にひとつお願いしたいと思います。 では、この児童手当制度の発足について、当初から非常に不完全な形であった。それは児童手当審議会の中間答申でも明確に述べてあるわけですね。その中には「この制度を最も必要としている家庭における現下の要請にこたえるとともに、将来において児童手当の内容の充実、発展をめざす基礎を設けたことの意義は大きい。」また「次代のにない手である児童の健全な育成と資質の向上とを期することは、緊急に講じなければならない重要課題だ。児童手当制度は、この課題にこたえるひとつの大きな施策である。」と述べておるわけです。 これは現在も同じような認識に立っておるのかどうか、変化したのか、簡単にひとつ。
○竹内政府委員 そのとおりの認識で現在も検討を進めさせていただいております。
○谷口委員 そのとおりだということの返事をいただいたわけですけれども、社会保障制度審議会の答申を見ますと、いろいろあるのですけれども、「憲法における義務教育無償の大原則も、制度の創設によって、その基盤を培う。」それから、曲がりなりにも、またきわめて貧弱な内容であるにせよ——きわめて貧弱な内容であるにせよですよ、制度の発足は国民の要望にこたえたものとして評価ができる。また「社会保障の最低基準に関する国際条約中、唯一つブランクであった部門も、形式的にはこれによって埋められ、ILO常任理事国としての面目の維持にも、若干寄与した」、こういう評価がしてあるわけです。そして最後、「本制度は、将来飛躍的に発展させなければ本来の目的を達成できない。」と述べられているわけですけれども、これはいま私どもが考えたら、この趣旨の方向に運用が向けられてないように私は思うわけです。逆の方向に向かっているというのが国民の偽らざるこれは認識であろう、評価であろうと思う。 そうなってくると、厚生大臣が予算編成の——いらっしゃらないから申しわけないのだけれども、どなたが答えますか。次官答えますか。——人のことだから、正直に答えてくださいよ。 厚生大臣が予算編成の折に、「存廃」というこの「廃」の字を一字入れたということは、私は重大な、将来大きな影響があると思うのです。私は大臣の黒星だと思うけれども、その評価を伺っておきます。
○今井政府委員 先ほども大臣が御答弁いたしましたが、これは決して廃止を予定をしたつもりの文言ではございません。先ほどからしばしば申し上げておりますように、現在あります制度そのものの持っております幾つかの欠陥があります。それあたりを見直して、より発展させようという趣旨のものでございます。
○谷口委員 では、大蔵大臣のいろんな発言から見ても、あるいはいろんな予算編成のニュースから見ても、予算を削減しようという気持ちで五十五年度の予算を当たったわけですね。それを何とかことし持ちこたえて、次にということで、この覚書ができたのだとわれわれは思っているのです。先ほどからお話を聞いていると、そんなものじゃなくてただ認識だけだった。「存廃」は「廃」がないのだ、「存」だというのであれば、はっきりしておきたいことは、来年度はこれを拡充するつもりなのですか、減少するつもりなのですか、明確に答えてください。
○今井政府委員 大蔵当局が財政の面からいろいろな制度を見直すことは当然のことだろうと思います。また、厚生省は福祉行政につきまして全責任を持つ省でございますから、この拡充を図ることもまた当然のことであろうと思います。そこで、両省の意見が最後の予算折衝のときにかみ合わなかったために、五十五年度ではこの問題について一年間抜本的な見直しをしようというのが先ほどからの大臣の答弁でございました。私もそのつもりでおります。
○谷口委員 先ほど大臣にも言いましたけれども、言うだけじゃだめですぞ。問題は、どんな結果を出すかでありまして、ただ言うだけじゃだめだということは百も御承知だと思いますが、特によく銘記しておいていただきたい。 次に移ります。 老人保健医療制度について伺いたいのですけれども、老人医療費の無料化制度というのは、老人にとって非常に意義のある制度だと私は思っております。また、国民の間に深く定着してきたという認識を私は持っているのでありますけれども、行政管理庁がいわゆるこの調査をしまして、ここに勧告が出ているわけでありますが、老人が必要とする医療を安心して受けられるようになっている、国民に密着した好ましい制度であるという認識のもとに評価をされたのか、あるいは財政上問題があって、これはもう見直さなければいかぬという考えがあって勧告をされたのか、どちらかを明確にお答えいただきたい。
○米倉説明員 御説明を申し上げます。 私たち、公費負担医療全体の調査をいたしました。御指摘の老人医療につきましても、その一環で調査をいたしたわけでございます。したがいまして、逆に申し上げますと、関連施策全体を含めて調べたというわけではなく、老人医療そのものを調べたわけであります。したがいまして、いろいろな調査結果が出たわけでございます。たとえば、実態調査の結果、無料化の直後には受診率も上がり、医療費も上がる。しかし、翌年になればそれが横ばいになるというようなことから考えますと、まさにこの制度の直接的な効果として、老人が安心してかかれるような制度であるということは、積極的な評価としていたしておるわけでございます。
○谷口委員 非常に積極的な評価が出ましたが、それとあわせて厚生省の御意見を伺っておきます。
○竹中(浩)政府委員 行政管理庁から今回勧告があったわけでございますが、私どもも現在の老人医療費の無料化制度と申しますのは、老人が安心して医療を受けられるという観点から非常に効果のあったものだというふうに評価をいたしております。
○谷口委員 いろいろと答弁いただきましたけれども、行管庁が九項目にわたっていろいろ調査結果を出されているわけですけれども、老人医療費の無料化が過度に医療費増をもたらしているというふうなイメージが若干出ているように私たち感ずるわけです。したがいまして、いろいろとずっと中を見ていきますと、特に同一人による複数の医療機関での受診云々の点は、世間に言われている老人による、そうして医療費の無料化による病院のサロン化、こういうふうにいま伝えられておりますけれども、そういう感が若干する面はあるのですけれども、制度のよしあしということは言わないにしても、ごく一部分のそうした件数の存在が医療費の増にそれほど多く寄与するとは私たちには考えられないわけです。そうした問題を乗り越えて、老人医療の無料化の必要性を行管庁は強く評価していると私は思うのだけれども、その辺のところはもう一度簡単に行管庁の評価を伺っておきます。
○米倉説明員 御説明申し上げます。 いま先生からおっしゃられました点につきましては、われわれは関連施策そのものを十分見ておらないものでございますから、はっきりした評価を申し上げることはなかなかできないのでございますけれども、われわれの調査結果によりますと、七割程度の方は通常の月に五日以内というふうな受診でございますが、中にはごく一部でございますけれども、多受診、何日か行く、あるいは複数の医院に行くというような例もございます。そういうことから考えますと、現在のような医療費の無料化ということだけではなくて、それに加えて総合的な対策として保健指導でございますね、特に先ほど申し上げた、直後にはね上がるということは、その前後における保健指導等もきわめて重要ではないか、かように考えております。ただ、関連施策につきましては十分な調査をしておらないものでございますから、これ以上の評価はわれわれにはできないということでございます。
○谷口委員 九項目の中で七番目に注目すべきことがあるわけです。それは老人保健指導事業の積極的な運営が、一人当たりの総医療費を低くしているという指摘が出てきているわけです。厚生省は従来から老人健康教育とか老人健康診査、あるいはまた五十四年度からは老人保健医療総合対策開発事業、いろいろなことをやってきているわけですけれども、これについては行管庁にも簡単に所感を伺いたいのですが、いままでの厚生省のやり方がもっと地についておれば、この医療費はもっと安く済んだというふうに私たちには受け取られるのですが、そういうふうに感じられましたか。
○米倉説明員 先ほど来申し上げますとおり、必ずしもその周辺部分を完全な調査をいたしておりません。ただ調査の過程で、われわれが選びました市町村の中で、一人当たり老人医療費がどうしてこんなに低いのだろうか、特に低いところはなぜだろうかというようなことで、いろいろと調べてみましたところ、そういう市町におきましては相当いろいろな工夫をしながら保健指導事業をやっておりました。こういう事実がございましたことを考えますれば、もっといろいろな工夫があってしかるべきではないかというところまで申し上げたいと思います。
○谷口委員 では、厚生省に伺いますが、いまのような行管庁の調査結果が出ておりますし、行管庁がいろいろなもので指摘しておるわけです。第一には、施策が医療費保障に偏重しておるということ、それから一貫した保健サービスが欠除しておるということ、それから老人医療費が増加し、国保財政を圧迫して不均衡が生じているという、この三つの指摘があるわけですけれども、先ほどのいわゆる保健対策を重点的にやったところについては、偶然かどうかわからぬが、よそのところはわからぬからはっきりとは言えないが、そういう結果が出たといまおっしゃっているわけですが、一人当たり医療費がぐっと下がってきている。このことについてはいままでの厚生省の対策が実際に地についていなかった面があるのではないか、実際に効果が出ていないのではないかと私たちは思うわけですが、厚生省の意見はどうですか。
○竹中(浩)政府委員 従来の老人保健医療対策が、どちらかといいますと医療費保障の方に偏っておった、必ずしも一貫した保健サービス、ヘルスサービスが十分ではなかったという点につきましては、老人保健医療問題懇談会の意見書におきましても指摘されておるところでございまして、私ども従来からいろいろの保健対策を進めておるわけでございますが、そういった御指摘も受けまして、今後老人保健医療対策全体の見直しをしていきたい、その中の一環として、ヘルスサービスにつきましても十分検討していきたいということでございます。
○谷口委員 私はヘルスセンターというか、あるいはそういうものを中心として健康教育というものに力を注いでいかないと、いまの医療費だけの問題ではこれは片づかないものだと思いますね。だから、それは一環は一環だけれども、本当に力を入れてやっていただきたいと思います。 老人医療に問題がいろいろあるわけですけれども、たとえばお年寄りの方の自殺の件数、そしてその自殺の動機というものがどういう問題が一番多かったか、ひとつ結果を答弁願いたいと思います。
○竹中(浩)政府委員 自殺の特に動機の問題につきましては大変むずかしいわけでございますが、たしか昭和四十九年でございましたか、厚生省が人口動態調査の中で自殺の動機について調査をいたしております。その結果によりますと、老人の場合、特にこの場合六十歳以上という年齢区分でございますが、六十歳以上の場合、自殺の動機の約七割が傷病のためであるというような結果が出ております。
○谷口委員 時間が乏しくなってきましたから。 ここに皆さん方からもらったいろいろなデータがありますが、現在の老人医療費の無料化という現状においてすらも、要するに病気という問題について失望して自殺者がかなり出ているということが数字の上で如実に出ているわけですね。この問題について考えれば、今後ますます老人医療の無料化あるいは健康教育、いろいろな問題について力を注がなければならぬと思いますが、これはひとつ次官の答弁をいただいて次に進みたいと思います。
○今井政府委員 先ほどからいろいろ御質問を聞いておりまして、私どもも今回の制度を一年かかって見直そうというのもまさにそこにあるわけでありまして、現在の持っておりますいろいろな矛盾を解決し、さらに老人医療の無料化の健全な発展を図ろうという趣旨でございまして、その旨でがんばってまいりたいと思います。
○谷口委員 大臣は早く戻ってみえるはずだけれども、時間がずいぶん過ぎていますね。私に全部留守のしわ寄せが来ているようであります。 じゃ、次に進みます。 実は先日、朝日新聞にでかでかと出た問題がございますね。これは日本医師会が意見広告ということで掲載されたようであります。「健保改悪の必要はなくなった。」という見出しであります。中身をよく読んでみましたけれども、私もよくわからぬところがあります。理解できにくいところがある。したがいまして、これは国民が見ても相当混乱する面もあるのじゃないか。 したがいまして、この日医の意見について全般的に厚生省としてはどういう認識をお持ちなのか、伺っておきたいと思います。
○石野政府委員 私も朝日新聞のこの広告欄につきまして十分見せていただきました。全体の底流といたしましては、現在の健康保険をもとにした改正というのはナンセンスではないか、こういう御主張が底流にあると思います。 〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕 一つ一つのことにつきましてはここで申し上げませんけれども、明らかにそういうことではないという面もあるように私はこの新聞広告を見まして感じたわけでございます。
○谷口委員 幾つかありますけれども、時間の関係がありますからしぼります。 その中で、診療報酬の決め方が医療を曲げていると主張がなされておるようでありますけれども、厚生省はこの問題についてどう認識なさいますか。
○石野政府委員 診療報酬につきましては、御案内のとおり、従来から中央社会保険医療協議会という場におきまして国民の経済力なりあるいは賃金、物価の動向あるいは医療経営の状況等を十分反映いたしまして御審議願い、適正化に努めてまいったところでございますし、中医協の審議におきましては、診療報酬の決め方につきましては各側のそれぞれの十分なコンセンサスを得られてやってきたものだと私ども確信いたしておりまして、この主張のように、一番低い政管健保の財政状況を基準として改定を行っているということは全くございません。
○谷口委員 コンセンサスが十分に得られて行われたというその言葉の裏にこういうものが出てくることからいけば、コンセンサスが得られてないという反論が成り立つわけですね。 それからまた次ですが、五十三年度の政管健保の黒字化、それの動きについて分析もなされているわけです。日本医師会の健康教育活動の成果である、それから新しい組合を認めなかったことによるんだ、したがって将来ともに組合化が行われなければ政管健保の赤字は完全に解消する、こううたってあるわけです。これはどう認識なさいますか。
○此村政府委員 五十三年度の政管健保の決算が百二十六億円の黒字になりましたのは、再々御説明なり発表しておりますとおり、主に医療給付費の伸びが見込みよりも鈍化したことにあるわけでございますが、その理由といたしましては、五十三年度におけるインフルエンザの流行がほとんどなかったということがかなり影響していると考えております。ただこのほかに、国民の健康管理に関する認識が高まっているというようなことも影響しているんじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。 それからもう一つ、いまおっしゃいました健保組合の認可の件でございますが、これは従来の健保組合設立の傾向から推計いたしますと、五十三年度では財政影響として五億円ぐらい、五十四年度では十億円ぐらい、こういうふうな程度でございまして、私どもとしてはそれほどのものではないと考えております。
○谷口委員 私は自分の意見はきょうは述べないで厚生省の意見だけ聞いておきますが、次に、指導、監査は学術的でなければならない、しかし現在の健保法が旧軍閥官僚の遺物であり、指導、監査が学術的でなく権力的であり、旧警察的なものであると認識しているように書いてあるわけです。 これについて厚生省の認識を伺っておきたいのですが、要するに先般来からの大臣の答弁では、三十五年の日医立ち会いのもとで指導、監査をするということについては、厚生側の独自の甘い、玉虫色の解釈をなさっているように私たちは思います。スムーズにいくために申し合わせをしたんだと言うけれども、現在スムーズにいってないのが現状じゃないですか。恐らくそういうことをやったためにぎくしゃくして、実際それはできてないように私は考えるのですが、これは大臣に後で聞きますから当局から答えてください。
○石野政府委員 指導、監査につきまして特に私どもの考え方は、国民医療の確保という観点からいたしまして、やはり学術的な基盤に立脚いたしまして、医学の進歩に即応した的確な治療なり診断が行われているということは当然だと思うわけでございます。ただそれは当、不当の場合の議論が一つあると思いますが、不正の場合の監査のような場合に、そういう医学的な見地というのは比較的少ないわけでございまして、むしろ不正は不正としてやはり的確に取り締まっていかなきゃならぬわけでございますので、そういう意味では、受ける方にいたしますとあるいは権力的というふうに受けるのかもしれませんが、私どもは医療行政を適正に行っていくためには当然のことではないかというふうに考えておるわけでございます。
○谷口委員 それじゃ、指導、監査によっていわゆる返還を実際に行った件数と金額を簡単にお述べください。
○石野政府委員 年次別に申しますと、五十一年からでよろしゅうございましょうか。——五十一年度では返還額が二億三千百四十二万六千円、それから五十二年度が三億八千五十二万二千円、それから五十三年度が五億七千四百四十一万七千円という数字になっております。
○谷口委員 件数が漏れていますね。
○石野政府委員 失礼いたしました。 集団指導、個別指導、監査、こう分かれるわけでございますが、五十三年度の数字で申しますと、集団指導の、保険医療機関に対します集団指導でございますが、これが三万二千四百四十五件、それから個別指導が五千八百三十一件、さらに監査を行いましたものが四十九件、こういうふうになっております。
○谷口委員 それじゃ、医師会の協力が得られなくて実際に指導、監査ができなかったもの、あるいは現在も解決ができないで交渉中というのを含めて、何件ございますか。
○石野政府委員 その数字は、私ども把握いたしておりません。
○谷口委員 それはあるのかないのか、伺いたい。
○石野政府委員 現実の問題といたしましては、いま医師会の協力を得られないために指導、監査が行われないということは、現実にはございません。過去にはございましたけれども、現時点では少なくともないと思います。
○谷口委員 過去にあった分は解決したんですか。
○石野政府委員 これは五十三年度から五十四年度の初期にかけまして厚生省と日医との断絶がございまして、そのために各都道府県の医師会がこれに対して協力をしないということがございました。それにつきましては、五十四年の時点で解決いたしましたので、そういうことは現実にはない、こう申し上げておるわけでございます。
○谷口委員 大臣に伺いますが、先ほどほかの委員の方々の質問に対して、初めは非常に何かもたもたされておりましたけれども、最後は少し聞きよい返事になりましたね。しかし一あれでもまだなかなかはっきりしません。だから、もし協力が得られなくて、そして実際に混乱があったときはやるんですね。厚生省だけでぱっとやるんですね。明確に言ってください。もう弁は要りませんから、やるのかやらぬのか。
○野呂国務大臣 やらざるを得ないと思います。
○谷口委員 すっきりしないけれども、やるということに受け取られますね、やらざるを得ないということは。非常に渋々で、あなた方、強い者には非常に弱過ぎる。本当の話、世間でどんなうわさしているか知っていますか。ここでは公の場だからやめますけれども、大変なものですよ。厚生省、何しているんだ、飼われてる身じゃないかということだってあるんですからね。大臣、しっかりしてくださいよ。 大臣にもう一つ伺いたいのは、新任の儀礼的なあいさつをされたとあなたはおっしゃる。あるでしょう。これは団体だけでよろしいですから、後で文書で、どこどこに行かれたものか、ください。儀礼的なあいさつにどこどこに行かれたのか。団体ですね。 いろいろ話したいことがあるんですけれども、だんだん時間が迫ってまいりました。 最後の問題、途中省いて薬価基準の問題に触れますけれども、いまの薬価基準と実勢価格との実際の差益、差額というのは、薬価基準に対して平均して大体何割くらいあるとお思いですか。
○石野政府委員 大変むずかしい御質問でございまして、いま私どもが得られておる数字で推計した額で申し上げたいと思います。 社会医療調査の数値を用いて推計いたしました薬剤費の額、それからさらに薬事工業生産動態統計でございますが、その医療用医薬品生産金額、これを差し引いた額の差額を推計してまいりますと、五十二年度で約七千四百億程度だと思います。 ただ問題は、この差額には医薬品の流通部門の流通コストとかマージン等が含まれておりまして、差額全部がその医療機関の収入というわけではございませんので、この数字そのもので果たして医療機関がマージンを取っているかどうかについては確定いたしません。
○谷口委員 大ざっぱに言うと、あなた方はせいぜい二割ぐらいだというふうに恐らく考えておられるのかもしれない。私は、先般予算委員会で問題になりましたけれども、これはすでに資料は当局お持ちですね、これを見ると、あなた方のおっしゃることはちょっとうなずけない。たとえば、これはあるところの流通価格表であって、印刷されておりまして、これ以下なら買いますということです。具体的にずっと載っておるわけですけれども、たとえばシンクル錠なんというのは四百三十五円五十銭、その四百三十五円五十銭の中で利益金が三百六十八円五十銭、利益率は八四・六%、原価いわゆる実勢価格の占める比率は一五・四%になるのですよ。それから、セファレキシンカプセルにしても四百三十五円五十銭です。それが三百八十五円五十銭の利益であって、利益率八八・五、いわゆる原価率というのはわずか一一・五%ですよ。ずっとやっていまして原価率が二〇とか三〇%とかやっているのは非常に多いのです。ということは、残りは利潤だということですね。一番最高のやつを一生懸命探してみたら、わずかにここに六八%というのがあります。だから、いかにいまの薬価基準は検査がお粗末か。しかも一、私が言いたいのは、厚生省はやる気がない。本当にやる気があるなら、これは法制化して立ち入り検査しなければだめだ。たとえば、いまおっしゃった五十二年度の七千四百三十億円のいわゆる薬価差益が出てきた。この中の恐らく何割かが完全な利益になるでしょう。たとえ三割と踏んでみても二千何百億円、四割と踏んだら、計算すると三千億円くらいありますな、時間がないからこっちが言いますけれども。 そうなりますと、それを本気でやるなら、たとえばあなた方からいただきました「日本の医療費」という資料の中でいきますと、政管健保が五十三年度に累積赤字が千六百四十億円ですよ。そうすると、これは一年間でぱっと赤字が消えますな。それから、健保の累積赤字が五十三年度三千七百九十三億円あります。これもぼやぼやすると一年で消えるんですよ。だから、いままでどんな会合でも指摘されたのはこの薬価基準です。薬価基準の調査法に問題がある、計算法に問題がある。それをあなた方はやろうとしないのです。 以前に中医協で問題になったと思いますが、この薬価差によって浮いてきたお金はいわゆる技術料の中に入れ込むという話がありました。それはいまでも生きているのですか。
○石野政府委員 四十七年の中医協の意見具申の中に、当分の間、薬価基準の引き下げによる余裕分を技術料に振り向ける、上積みする、こういう建議がございまして、その思想はいまでも生きておると思います。
○谷口委員 まだ生きているということですね。ということは、国民の立場から見ると一生懸命調査したって何にもならぬ。結局技術料に入り込んでいくのだから、薬価差という目に見えないもので結局文句を言わさないでおこう、そういうふうにも一面解釈できるわけですね。だから、あなた方がいつも言うように、技術料というものが低いのだというのであれば、この技術料は幾らが正しいのだ、これはこうだと明確に出しなさい。いつでもどこかから足らぬ足らぬ、低い低いと言われているんでしょう。そういう状態だから、いつまでたったってこの価格がうまくいかないんですよ。本当に真剣にやる気があるなら一緒にやりましょうよ。資料だってどんどん出してあげましょう。あなた方、やる気がない。その証拠には、たとえば、何の問題でもいい、一つの薬品をとって九〇バルクラインまでずっと持ってきたまでの経過を出してごらんなさい、資料を。私は、予想でありますけれども、恐らく調査した値段の大半は薬価基準に近い値段が出てきているはずです。その次正直なのは、伝票の値段が出ているはずです。一番少ないのは伝票が、値引きが出た分が出ているかもしれないが、これはほとんど出ないでしょう。大臣、それをやる気がないからいつまでたったって日本の医療はよくなりませんよ。 どうですか大臣、最後に大臣の決意を——その前に局長答えてください。
○石野政府委員 薬価基準の問題でございますけれども、実は五十三年に行いました調査、その後の経時変動調査を踏まえて、いま本当に精力的に補正作業をやっております。あと二カ月程度の日数がどうしても必要なわけでございますが、その時点で、出た際には即それを薬価基準の改定の資料に使う、こういう考え方でございまして、その問題は出た時点でひとつ御評価を願いたいと思うわけでございます。
○谷口委員 私があなた方にやる気がないと言う一つの理由は、たとえば立入検査をやりなさいといままでずいぶん言ってきたけれども、やる気が全くない。人間をふやしてやっても、出てくるいわゆる差益は、相当な人間をふやしてもこれは補ってなお余りがあるのです。だから、本当にあなたがやる気があるなら資料を出してください。あとで文書でいい。ある一点の品目をしぼってこうこう、こうこう、こういう調査が出てきました、九〇バルクラインでやったらこうなりました、したがって、やむを得ずこういう薬価基準になったんですという資料を出してください。出せますか、局長。
○石野政府委員 五十三年の調査につきましては、いま補正作業をやっておりますので、全部これは各品目ごとに出しますので、それが出た時点で、企業の秘密とかそういうものに差し支えない範囲で、もし出せるものがあれば出したいと思っております。
○谷口委員 最後に大臣、いま聞かれたとおりです。本当にやる気なら私たち協力しましょう、どんな資料でも手に入る限り。だけれども、あなた方はやる気がないから、もうこれはだめだと、私たちはそういう評価をせざるを得ない面もあるんですよ。本当にやる気かどうか、大臣、最後にお答えを聞いて私の質問を終わりましょう。
○野呂国務大臣 大変な御熱意を込めての激励、感謝をいたします。やる気がないという御指摘は、私どもは大変心さびしい気持ちでございます。 薬価基準の改定につきましても、この調査の結果を早く公表すると同時に鋭意基準の改定に取り組みたいということでございますが、御承知のように、若干時間がおくれておることは大変申しわけないことでございます。近くこの薬価基準の改定をいたしまして、そして医療の将来においてもよりよき成果をおさめたい、かように考えておる次第でございます。
○谷口委員 これは希望でありますけれども、そんなことじゃだめです、そんなへっぴり腰じゃ。断固やるという決意が出ない限り全然だめですよ。あなた、どうせ大臣かわれば何もできないでしょう、本当の話。大臣、もっとぱっちりしたような姿勢を示してほしい、これを私の要望事項としてとどめて、私、質問を終わります。
○越智(伊)委員長代理 次に、梅田勝君。
○梅田委員 日本共産党・革新共同の梅田勝でございます。私は、先日行われました厚生大臣の所信表明に対しまして、厚生行政における基本姿勢並びに若干の問題につきまして御質問申し上げたいと思います。 すでに予算委員会等々でかなり問題点を突っ込んだ議論も行われておりますので、きょうは時間も余りございませんので、ひとつ御答弁の方は的確にお願いを申し上げたいと思います。 〔越智(伊)委員長代理退席、委員長着席〕 まず、予算の問題でございますけれども、厚生省予算の、新年度を含めまして最近の十年間の推移を見てまいりますと、昭和四十九年がピークでありまして、御案内のように三七%の伸び率でございます。対前年度比におきまして、この時点を頂点にいたしまして歴年下がってまいっております。五十年が三六・二%、五十一年が二一・三%、五十二年が一八・七%、五十三年度が一六・二%、五十四年度が一二・六%、そして昭和五十五年の新しい予算におきましては、ついに七・九%というように一けた台に落ち込んだ。これは重大な問題であろうと思うわけであります。とりわけ、予算の構成比におきましても一九・一%というように、対前年度比を下回るという結果になっているわけであります。 いま大事なことは、財政危機だということを理由にして、福祉に携わる厚生省が、まあしょうがない、予算がないということで後退的な姿勢を示すことが非常に問題でありまして、私どもに言わせますと、対米従属、大企業本位の財政運営が今日の財政危機を生み出しているわけでありまして、これは国民の責任ではないわけであります。それが健保だとか年金の改悪とか、いわゆる福祉の切り捨てということになりますと国民が犠牲になる。これではたまったものではないわけであります。何よりも厚生行政の基本ということになりますとやはり憲法でありまして、国に対して社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めることを課しているわけでありますが、こういう予算の推移を見て、大臣がいかにして厚生行政を推進さしていくかということの御決意をまず最初に承っておきたいと思います。
○野呂国務大臣 厚生省予算の推移について、最近の数字をお述べになって、私どもの努力が足りないのではないかというおしかりでございます。御承知のとおり、なるほど五十五年度予算はおよそ八兆一千五百億、前年度対比では七・九%の伸びにとどまったわけでございますが、この伸び率は、国債費と地方交付税交付金を除いた一般歳出の五・一%という率を大きく上回っておるという事実はお認めいただけるのではないか。したがいまして、財政的見地から一部福祉の切り捨て、あるいは後退といったようないろいろの動きが他からいろいろ指摘されたわけでございますが、今回の大蔵省との予算編成の過程において私が感じますことは、大臣折衝も三回にわたって行われたこと、そして事務的につくられた、そういう形式的なベースでなくて、真剣にこの国民の御心配に対してこたえなければならぬということで対応いたしたわけでございます。私は、決して福祉が後退をいたしておるとは考えておりません。 ただ、パーセンテージの問題は別といたしましても、何と申しましても一般会計の中で厚生行政、福祉行政が八兆一千五百億というこの数字自体は、農林水産省及び建設省合わせた予算よりもさらに上回っておるという事態、しかし、そういうことでもまだまだ十分であるとは私どもは考えておりませんが、内容におきましても年金の大幅な改正あるいはまた在宅福祉対策などの充実に十分留意いたしまして、国民福祉の一層の推進を図り得る内容を確保したものだというふうに考えておるわけでございます。
○梅田委員 厚生費が一般会計歳出の平均の伸びよりも高い、これは私ども十分承知をしておるわけであります。ただ、赤字公債の発行がどんどん進みまして利払い等が非常に大きな比重を占めている。そういう点におきましてわが国財政全体を見ますと、非常に重大な時点に立っている。これはこれから先大変なことになるわけでありまして、もし厚生省があくまでも国民の福祉を守るという立場に立ち切らないと、将来は重大な問題になるという点で申し上げているわけであります。 特に予算編成過程におきまして、大蔵省がいわゆる十四項目の節減合理化等を押しつけてまいりまして、これは言うなれば低福祉・高負担の路線でありまして、絶対に許すことはできない。結核患者までが復活折衝等で厚生省前に座り込むというような大変激しい国民の反発を招いたことは御承知のとおりであります。皆さん方も、厚生省の関係の方々は相当の御努力をなさったということはわれわれも知っておりますが、しかしこれはもう大変な問題だ。とりわけ厚生大臣として、議論されてきたところではありますけれども、いわゆる覚書問題なるものにおきまして、児童手当制度、老人保健医療制度並びに所得制限の問題について大蔵大臣と約束を交わす、これは将来に対して法的拘束力がないという議論が先ほどございましたけれども、そんなことは重々承知しておるわけでございますが、翌々年のことまで約束せざるを得ないということは全く異常な事態であって、これをどう切り抜けていくか、よほどの決意がなければやっていけない。大臣は就任されましたときに、福祉の後退というのは許さない、大平総理からむずかしい行政だがしっかりやれ、このように言われたというように発言されておりますけれども、どういう決意で福祉を守り抜いていくかということにつきまして、もう一度はっきりとした御決意を承りたい。 また、わが党が昨日予算組み替え問題につきまして、福祉、減税などで暮らしを守るということで、老齢福祉年金を二万五千円にしろ、あるいは社会福祉施設の整備その他等々でかなりの予算を配分しろということでもって、健康保険の改悪を撤回することも含めまして、全体といたしまして三兆六千億円の組み替え要求をしたことは御承知のとおりであります。問題はこういう方向でやるかどうか。これなしには、大臣、口先で後退は許さぬと言いましてもなかなかうまくいかないという点で、率直なところをお伺い申し上げたいと思います。
○野呂国務大臣 まず、昨年大蔵省が示しました十四項目の節減合理化、こういう財政のもとでこれからの厚生行政をどういうふうに進展させていくのか、その基本的な姿勢について再びお尋ねがございました。 さきにも触れましたとおり、低成長経済のもとで、しかも国の財政が今日のような現状でございます。五十六年もそれならば五十五年よりもよくなるかという期待も明確にされないのではないか。そういうときでございますから、やはり制度全体を見直しながら、工夫すべきものは工夫して、そして福祉行政、社会保障というものを重点化していく、大事なものは一体何かということに工夫をしていく必要がある。ただ、財政的見地だけからこの制約を受けるということは断じて排除しなければならない問題だ。私は福祉は国民の合意がなされずに何も前進ができないと考えるからでございます。この点はいろいろ御指摘をいただいた点に十分留意しながら、厚生省は国民のいろいろのニーズにこたえる強い決意で進んでまいりたいと考えておる次第でございます。 第二点は、御提示になっていられまする予算の修正に関しての問題でございますが、政府といたしましては今日出しております予算、福祉関係について、もちろん老齢福祉年金等におきましても私どもはこれが適当であろうという判断の上に立ったものでございます。しかし、これは国会での問題でございますので、政府としては適当であろう、こう考えて提案をさせていただいておるものでございます。
○梅田委員 そういうことではできないということを申し上げておきたいと思います。ただ、財政的な理由だけで後退はさせないという点につきましては篤と覚えていただきたいと思うわけであります。 時間がございませんので若干の問題に入りたいと思いますが、乳児健診と小児がん対策の強化につきまして申し上げたいと思います。 昨年は、御承知のように、国際児童年、明年は国際障害者年ということで、大臣の所信表明におきましてもこれらの対策を充実するように述べられております。 そこで、乳幼児健診についてお伺いしたいわけでありますが、御承知のように、母子保健法によりまして国と地方自治体によります責務が明確にされまして、乳幼児の健康の保持増進対策というものは進んでいるととはよく知られております。子供が生まれるのは少なくなっておりますので、死亡率の低下ということは一概に単純には評価できないと思いますけれども一、確かに死亡率の低下がある。しかし、現在行われております健康診査におきまして、生後三カ月から一年半の間にないわけであります。この間は離乳期等もありまして非常に大事な時期でありますから、一部の地方公共団体等におきましては積極的に七カ月ないし八カ月ごろにやられているところもございます。後で述べます小児がん対策の強化の上におきましても、六カ月以降七、八カ月、その間に健診をもっと積極的にふやされたらどうかという点についてお伺いしたいわけであります。
○竹内政府委員 ただいま乳幼児の健康診査につきましては、法律上は三歳児につきまして保健所でこれは義務制として実施をしておることは御承知のとおりでございます。そのほかには、就学前に教育委員会が健康診査を行う。そのほかに、一歳半の段階では、これは市町村でございますけれども健康診査を行うとともに、都道府県の段階で、これは予算措置でございますけれども、新生児につきましても乳児の健康診査を行うとともに、保健婦等によります新生児の訪問指導という形で、生まれた赤ちゃんの健康の指導、管理、そして特に問題がありそうなときには早急に各種の検査を受けていただく、こういう形で対策を講じているところでございます。
○梅田委員 この受診率は相当高いようでございますけれども、一歳六カ月においてはまだ半分程度でございますね。どうですか。
○竹内政府委員 先ほど申しましたように、一歳半の場合、正直申しまして、予算措置として行っておりますので、その限りでは、全国的に見て必ずしも十分な実施体制とはいえませんけれども、かなりの実績を上げてきておりまして、実は予算に不足を来して、大蔵省といつもやり合っている、こういう状態でございます。 数字その他は、いま先生おっしゃいますように、確かに全数を対象数、分母にする限り、おっしゃるとおりでございます。
○梅田委員 これをやりますと、最近は相当熱心な親御さんが多いわけでありますから、赤ちゃんを抱いてくるわけであります。だから、保健所の体制を十分に強化する、また間に、半年ぐらいのところで一度赤ちゃんに来てもらってとっくりと診ていただく、こういうような体制が国の予算措置によりましてやれるようになれば、一層よくなるのじゃないかと思うわけであります。 そこで、小児がんの問題をお尋ねしたいわけでございます。 これは子供の死亡の中におきましては、不慮の事故に続いて多いわけであります。病死の順位におきましては第一位を占めている。毎年二千人余りの幼い子供が命を失っているということでありまして、幼いだけに親の苦労あるいは悲しみは非常に大きいものがございます。こういう点は、大臣においてもよく御理解を得られるかと思います。 そこで、小児がんの場合でありますが、これは早期発見が第一であります。国の予算補助もつけておりますが、先天性代謝異常においては、検査をやって早期発見に努めるということでやられておりますけれども、これによってかなり救われるケースが出てきているということであります。 先日、京都市の衛生局長にお会いをいたしましたときに、神経芽細胞腫の早期発見の検診について、京都市においては注目すべき成果を上げておるということを伺ったわけであります。これは御承知かと思いますが、京都府立医大の小児科の澤田助教授らの研究によりまして、尿の簡単な検査で発見できる。聞くところによりますと、八万人近く検診いたしまして、すでに四人発見しているわけであります。これは成功をおさめているというように聞いているわけであります。この状況を聞きまして、そういう検査方法があるのだったらぜひ教えてほしいということで、すでに大阪府と名古屋市においてもこの集団検査法の予備実験が行われているようでございます。わずか一滴の尿の検査によりまして救うことが可能だということになりましたならば、これはいま先進的にやられている地方公共団体のそういった事業に対して予算の補助を考えたり、また国自身も全国的に見て非常に大事だということで、何らかの取り上げをしていくということをひとつやっていただきたいと思うのでありますが、大臣、いかがなものでしょうか。
○竹内政府委員 恐縮でございますが、私からお答えさせていただきます。 澤田助教授の発表につきましては、昨年の十二月の初めに、経団連会館で私どもも参加をいたしまして、国際的な小児がんのシンポジウムが開かれて、その第一日目の午前中の最後の発言者として、この件について発表がされました。私も実はそれを横で一緒に拝聴いたしまして、その成果についての発表をいただきました。 なお、私どもとしては、非常にユニークな研究成果ということで、その点についての評価はただいまの先生と全く同様でございますが、いまのお話につきまして二点ほど申し上げさせていただきます。 一つは、私どものこの点についての助成でございますけれども、すでに五十二年、五十三年それから本年度の五十四年と、毎年約一千万円余りのこのための研究費をがん助成金の中で——主任研究員は筑波大学の小児科の沢口教授でございますが、この澤田さんもそれに入って、この神経芽細胞腫のマススクリーニングについての研究を続けていただいておりまして、かつ明年度も同じように研究費を交付して続けていただく予定にいたしております。 ところで、実はこれが直ちに全国どこでもやれるかということになりますと、ろ紙に検査液をスプレーでかけまして、その変化を見て読み取るわけでございますけれども、実はこの読み取りはかなりの経験と技術とを要しまして、要するに一定のろ紙なり何なりをやりさえすればだれが見ても簡単にその判断ができるという状況にまではこの研究がまだ進んでいない。それだけに私どもの方も、先ほど申しましたように、研究費をここ一二年間毎年継続して出すと同時に、明年も引き続いて、これが早く、いま先生が御指摘のように、そういうことが希望する市だけではなくて、厚生省としても積極的に全国的に一つの体制として取り上げられるような形に研究成果を、俗に言う言葉で言えば実用化の方向を期待をして研究成果を待っておる。また、そういうことを期待して私どもも激励もし、そのために必要なものについては、研究費等の配分どきにも御相談いただこうという考え方で進んでおりますので、ただ単に先駆者をなおざりにしておるというつもりは毛頭ございません。それだけは申し上げておきます。
○梅田委員 研究費がつけられていることは非常に結構でありますが、大阪とか名古屋の方々は積極的に大学に行きまして、その技術を習得している、非常に熱心な研究グループができておるということなんですね。そして一現実にこの小児がんの発生割合は白血病が一番多いわけでございまして、小児がんの中におきましては一一%ですか、非常に高い発生率を占めておるということでありますから、数としては年間約二百人ぐらいかかっておるのではないかということになるわけでございますけれども、それだけの赤ちゃんが、これはゼロ歳から一歳ぐらいにかかって亡くなるということでありますが、これは対策としてやられて十分なものではないかと思うのです。 それで、昨年の九月十八日の読売新聞に「征ガン最前線」という記事が出たのですけれども、これにかなり詳しく紹介されております。大臣、これをごらんになったことがありますか。
○野呂国務大臣 まだ見せていただいておりません。しかし、いま御指摘になりましたことにつきましては、局長からお答え申し上げましたとおり、こういう問題について研究成果を期待し、積極的に厚生省としても取り組んでいきたい、かように思います。
○梅田委員 これは非常に簡単な検査方法だということでありますから、その大まかな集団検査方法としては非常に乗りやすいものではないかと思いますので、ひとつ前向きにこれは取り組みを進めていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。 それから、このような重い病気にかかりますと、非常に金がかかってしようがないわけでございますが、御承知のように、小児慢性特定疾患治療研究事業ということで対策が講じられておるわけでございますけれども、いま一つお尋ねしておきたいわけでありますが、重い心臓病の子供、この場合には短期間の入院を繰り返す、あるいは通院しなければならない、こういう場合には補助対象になっていないということで、患者さんの方からは強く要望が出ておるということを聞いておるわけでありますが、慢性心疾患というものについて、そう簡単に治らないという事情を考慮した場合に、これは何とか対策の講じようがないものか、お伺いしたいと思います。
○竹内政府委員 慢性の心疾患につきましては、心疾患という表現で一括してございまして、中の疾病といいますか、病名になりますと、非常に多岐に分かれております。しかし、それは別といたしまして、それだけに治療の対応の仕方も非常に異なっているわけであります。現在のところ、特に先天性の心疾患につきましては、外科的な手術については児童福祉法によります育成医療で公費負担というかっこうで対処しております。 問題は、後天性の場合と、それから発作が起きた内科的なケースになるわけであります。それで、慢性心疾患の場合、発作が起きましたときには、いわゆる通院が可能だという事態ではございませんで、これは当然入院になる。したがって、入院した場合については、私どもとしては治療研究費の対象としているわけでございます。いま先生がおっしゃいますように、ある程度安定をいたしますと退院させる、そしてときどき通院をしていただいて状況を診てもらうという形になるわけであります。したがって、小児慢性特定疾患の中で、現在でも通院治療についても公費負担をいたしておりますときには、通院治療のみで十分効果が期待できる場合と、それからもう一つは、通院治療を要する場合に医療費が相当高額だというときに対応しておるわけであります。実は、慢性心疾患の通院治療という場合には、通院による治療それ自体というのは、医療費としてはそれほど高くなくて、どちらかと言うと、むしろ様子を見るための通院ということで、もちろん病名によってもそれぞれ異なりますけれども、大部分がそういう形になっております。 そういうことのために、いわば慢性心疾患につきまして私どもが取り上げましたのは、対象年齢を延長するということについては、実はすでに取り上げたわけであります。通院治療分については、いま申し上げたような慢性心疾患の症状の特有性と、それから基本的な原則にしておりました通院治療に要する医療費が非常に高額であるという二つの点に、まだ必ずしも即応するとは思えないので、それよりもさらにもつと優先させるべき他の疾患の方を財政当局と折衝しながら、こういった問題についての小児難病と言われるものについての医療対策というものを拡充していきたいという形で進んできたわけでございます。
○梅田委員 一カ月以内の入院の場合に特に不満が出ておるわけでありまして、これは将来検討していただきたいと思うわけでありますが、時間がありませんので、次の問題を申し上げたいと思います。 過酸化水素の問題でございますけれども、食品公害、薬品公害と並びまして非常に重要な問題でございます。ようやく使用基準についての改定が告示されまして、十月一日から実施ということになったわけであります。 そこで、お尋ねしたいのでありますが、それ以前に製造されたものは、十月一日以降でも、表示さえすれば売れるのかどうかという問題が一つと、それからもしそれが可能だということになりますと、例の三菱商事なんかがやりました買い占めによりまして、あれは大変な高値を生んだわけでありますけれども、同時に消費者から厳しい反発を受けまして、全体として二千トンないし三千トン滞貨しているんじゃないかというように言われておりますけれども、こういうものが年末あたりに再び過酸化水素づけになって出回ってくる可能性はないのかどうかということでございます。けさの新聞にも三菱商事が真っ青になったという記事が出ておりましたけれども、これがいわゆるつけものにまぜたり、あるいは百円ずしにのっけたりして出てきたらわからないという点で、そこらあたりの対処はどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
○榊政府委員 まず初めの、いわゆる在庫品的なものだろうと思いますが、そういうものについてのお尋ねでございますけれども、食品添加物としての過酸化水素の使用基準を改正したわけでございますが、法的には、これを改正前にさかのぼって強制するということはむずかしい問題でございます。しかし、このように新しい措置がとられた以上、やはり可能な限り過酸化水素を分解除去して流通させることが望ましいというふうに私ども考えておりますので、そういった意味での指導というのは極力進めてまいりたい、こういうふうに思っております。 それから、いまお話し申し上げたような問題で第二点の、在庫品のかずのこの問題でございますけれども、これにつきましても、法律上拘束することはなかなかむずかしい問題でございますけれども、使っておりますものにつきましては、過酸化水素の使用あるいは合成殺菌料使用というふうな表示義務が課せられておりますので、やはり私どもとしては、先ほど申し上げたような、できるだけ除去しようというふうなことで積極的な行政指導を進めたい、こういうふうに思っております。
○梅田委員 いろいろ詰めたいことがございますけれども、時間がありませんので、残念ながらやめなければなりませんけれども、すしの上にのっけて出てきてもわからぬですよね、これは。だから、ああいう悪徳商法でぼろもうけをして、いま失敗をしておるわけですけれども、そういうものに対しましては、食品管理の点におきまして、監視員を動員して徹底的に取り締まるということをひとつやってもらいたいと思うわけであります。 最後に、時間がありませんので一つだけ質問して終わりたいと思うのですけれども、その前に、こういったことは全体として保健所がやっておることでありまして、乳幼児健診にいたしましてもあるいは食品衛生の監視にいたしましても、保健所はやはり重要な役割りを果たしておるわけでありますから、これを補助金を打ち切るだとかいじめないできちっとやるということで、厚生大臣、がんばってもらいたいと思うわけであります。 最後に、スモンの問題について一言だけお伺いしたいと思うのです。これも先ほど来相当言われておりましたけれども、要するに確認書の実行がやられていないということだと思うのです。提訴済みの原告の年内解決の実現を目指す協議に関する議事録確認、こういう約束をしたわけでありますから、絶対に許されないわけでありまして、これは厚生大臣、あなたではないのですよ、前の大臣がやったわけでありますけれども、国を代表する厚生大臣がはっきりと約束をして、投薬証明書のない患者につきましても投薬証明書のある患者者と金額、時期を差別することなく平等に救済する、こういうことを約束したわけでありますから、誠実に実行する義務がある。問題は、製薬会社が何だかんだと難癖をつけるということでありますから、やはりこの際、地方裁判所に判断を求めるというようなこそくな手段ではなくて、国が一時立てかえてでもこれは解決する、そういう点で大臣の明確な御答弁をお願い申し上げまして私の質問を終わります。
○野呂国務大臣 スモンの問題につきましては、先ほども私からもお答え申し上げ、さらに予算委員会でもたびたびお答え申し上げておるわけでございます。前橋本厚生大臣との間に取り交わしました確認書、これは忠実に実行してまいりたい。しかも、いま東京地裁に判断を求めておりますが、これはいろいろ処理の問題についての具体的なやはり一つの判断でございまして、決してこれによって回避しようという姿勢はございません。私は、このスモン問題の解決こそ、厚生省にとっては当面する最重要課題であるという認識において、十分早く問題の処理を図ってまいりたいということを御理解賜りたいと思います。
○梅田委員 ちょっと時間が来たようでありますが、いま最重要課題とおっしゃいましたが、厚生大臣の所信表明を読ませていただきましたけれども、これには最後の方に薬事法の問題が書かれまして、「医薬品の副作用による被害の迅速な救済」云々と書かれていますね。スモンという言葉はないのですね。全国の衛生主管部長、局長会議における厚生大臣あいさつ要旨というのを読ませていただきましたけれども、この中にはスモンの問題は、「和解によるスモン問題の全面解決の促進など、ここ数年来の懸案の解決に向かって大きく前進いたしました」と自画自賛しているわけです。ここではそのように言って、当委員会におきますあなたの大臣所信表明においては、スモンという字はないのですね。何ぼ探してもスモンは出てこないわけだ。最重点課題とおっしゃっているが、そうではないんじゃないですか。その点もう一遍確認をしてください。
○野呂国務大臣 所信表明は、一定のいろいろの問題を数多く取り上げておるわけでございますが、所信表明にスモンの対応策について述べられていないのは、最重点課題と考えていない証左ではないかという御指摘でございますが、そういうことではございません。これは、私は毎日のように事務当局を督励いたしながら、とにかくこれに早く取り組んで、そして期待にこたえていかなきゃならぬということを申し上げておるのでございます。近く具体的な対応策も明らかにすることができると私は考えております。
○梅田委員 終わります。
○葉梨委員長 次に、田中美智子君。
○田中(美)委員 昨年の十二月十七日に、国際障害者年を八一年に開くということが国連総会で採択されました。この中には、各国のとるべき方針が具体的に決められていますし、テーマとして、障害者の完全参加と平等ということで、向こう十年間に向けての行動計画を立てていくということが言われているわけです。大臣によく聞いていただきたいのですが、これに対する障害者の期待というのは、私たちが本当に胸が痛むほど大きな期待をしています。婦人年のときにも大きなあれになりましたけれども、特に障害者の切実な願いというのは、この障害者年に対して本当に涙の出るほど大きな期待を持っているわけです。その点を十分まず大臣が胸に入れていただきたいというふうに思います。 それで、いま障害者は、八〇年から準備をせよというふうに書いてありますので、ことしから準備が始まるのだという形で厚生省に出かけていっているわけですね。しかし、どこへ行っても、ここはこの仕事だ、これはあっちだ、こういうふうに言って障害者が行くところがないわけです。これは各省にまたがっていることですから、障害者、厚生省だけの問題ではありませんけれども、やはりどこか閣僚が本気になってやらない限りは、よそだよそだと言っていればこれはできないのですね。やはり婦人年のとき以上に厚生省の役割り、特に厚生大臣が中心にならなければならない問題だと私は思っています。 そういう点で大臣が何とかして、障害者がどこへ行っていいかわからないというのではなくて、障害者年に向けての窓口というものを早急につくっていただきたいというふうに思いますが、簡単にお答え願いたいと思います。
○野呂国務大臣 国際障害者年を迎えまして、その準備体制を政府としても整えていかなければならぬわけでございます。すでに御承知のとおり、政府部内で中央心身障害者対策協議会、これは総理府にございますが、しかしその事務的な責任は厚生省にあるわけでございますから、したがいまして、窓口を一体どこにするか、一応総理府ということに相なっておりますけれども、実態的には厚生省がその中心になって進めていかなければならぬと思います。したがいまして、体制の整備につきましては関係各省と十分話し合いまして、すっきりした体制を整えるようにいたしたいと思います。
○田中(美)委員 御決意は大変いいと思いますけれども、もう八〇年に入って二カ月になるわけですから、早くすっきりとしていただきたいわけです。いまおっしゃいました中央心身協は総理府ということですけれども、総理府には一人も専従職員がいないわけですし、厚生省の中に事務局があるわけですから、やはり国際婦人年のときにはこういうものではなくて、各次官クラスが各省連絡会議というのをつくって、事務次官が集まって協議をしていく、それを母体にして、国際婦人年の婦人の企画推進本部というものをつくり、そしてきちっとした事務局を、婦人担当室というものを総理府につくっているわけですね。ですから、いままでできていた心身障害者対策基本法に基づいた中央心身協、それをそんなものにかえるということはできないことです。ですから、やはりきちっと事務次官レベルで行動計画をつくるにはどうするのか、そういう意味での窓口というものをつくる。窓口をつくるということは、まず連絡協議会のようなものをつくって、これを総理府に置き、そしてその中心になって、いま大臣もお認めになったように厚生省が推進役になっていく、これがすっきりですので、中央心身協などで振りかえるような形でごまかしてもらっては困る。本当にすっきりしていただきたいと思います。大臣、お願いします。
○野呂国務大臣 御意見のことについては十分検討させていただきまして、すっきりした体制を整えるようにいたしたいと思います。
○田中(美)委員 それでは、一日も早く障害者の切実な心にこたえていただきたい。厚生省は全力を挙げてやっていただきたいと思います。 次の質問に移ります。 まず、子宮がんの検診が最近はあちこちでやられておりますが、この成果というものはどのようになっているでしょうか、簡単にお答え願いたいと思います。簡潔にお願いします、私の持ち時間がありませんので。
○大谷政府委員 子宮がんの検診につきましては、昭和四十二年度から補助を行っておりますけれども、当時、十七万二千九百六十八人の検診数であったものが五十三年度では百二十五万人、十倍近い検診数の伸びを示しております。また、当時は患者さんの発見率が二・二七、二・二五というふうに非常に高い発見率でありましたけれども、だんだんと普及してまいりまして、最近では精度が向上しているにもかかわらず、発見率が丁三二というぐあいに非常に早期発見の実を上げてきているように私どもは考えている次第でございます。
○田中(美)委員 子宮がんに対するPRも大分できてきておりますし、いま言われたような成果も上がっている。私が名古屋市の実施状態を見てきたわけですけれども、二万七千五百四十三人検査したところが四千四百三十二人に異常があった。これはがんだけではありませんが、いろいろな異常があった。それは一六・一%という率です。自分は何も知らなかったのにそういう病気が発見されているということは、予防という点からして、早期発見、早期治療という点では私は非常にすばらしいことだと思っているわけです。 こういうことを進めていくことは、個人個人の健康につながるだけではなくて、国としても医療費を大きく節約することです。 こういう点で今後どのような決意でいられるか、大臣にお伺いしたいと思います。
○大谷政府委員 先ほども申し上げましたように、子宮がんにつきましては、早期発見の効果が非常に上がっておりますので、私どもといたしましてはできる限り各婦人団体等の御協力も得まして、これを普及することにいたしたいと考えている次第でございます。
○田中(美)委員 やるためにはお金がかかるわけですよ。そこのところを言ってもらわないと困る。お金が少ないわけでしょう。一体一人当たり幾ら補助していますか。
○大谷政府委員 五十四年度で、一人当たり一日五百五十五円でございます。
○田中(美)委員 五百五十五円ですか、その計算、どうやって出ましたか。
○大谷政府委員 昭和四十二年度に検診車の補助を始めましたときに積算いたしまして、当時、自動車一台百四十日稼働、こういうことで、自動車の検診の年間単価ということで積算いたしました。その後、先生御承知のように、私どもは予算折衝ということで予算も伸ばしてまいるわけでございますが、物価の上昇に伴いましてその増額を年々図ってきたわけでございます。結果的には、現在五十五年度の予算で、自動車一台当たり年間単価が七百九十一・三万円、こういうふうになっているわけでございます。その積算基礎と申しますものは、一日百人の検診をいたしまして百四十日稼働、こういう計算になっておりまして、それを割り返しますと五百五十五円、こういう計算になっているわけでございます。
○田中(美)委員 そして、その三分の一ですね。
○大谷政府委員 そのとおりでございます。
○田中(美)委員 そういうインチキを言ったらいかぬですね。黙っていれば、五百五十五円出ている、こう思うでしょう。知らなければそのままで、ああそうですかということになってしまう。そういうインチキ答弁を国会でやったらだめですよ。三分の一しか出ないのでしょう。百八十円程度しか出ないじゃないですか。 そして、まだインチキがありますよ。指定都市は自動車要らないでしょう、施設でやっているのですから。私はいま名古屋市の事例で言っているのですよ。それはあなた、自動車で巡回していくのでやっているわけでしょう。施設でやっているときにはこちらから電車に乗って、車に乗って施設に行っているのですね。ですから、第一そんな計算の仕方自体がもう時代おくれもひどい。よくそれ御存じでしょう。御存じでけろっとしているのはだめですよ。わかった時点で直していただきたいと思います。もうちょっとまじめに答えてほしい。大臣、あなたの公衆衛生局長、ああいうインチキ答弁をするのですよ。もっとちゃんとまじめに答えてもらわなければだめですよ。私は名古屋市の事例で言っているわけでしょう。
○大谷政府委員 私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、この四十二年度から始めました集団検診が非常な普及を見ておりまして、総額の予算としては相当高い伸びをしているわけでございます。したがいまして、単価の方も、先生御指摘のように、確かにあるいは低いのではありますでしょうが、私どもとしてはそれなりに毎年予算の増額を図ってきておる、単価と全体の増ということでやってきているわけでございます。
○田中(美)委員 私がいま言っているのは、インチキ答弁をしてはいけないと言っていることですよね。あなたのインチキが全部ばれているわけです。 じゃ、もう一つ聞きますけれども、胃がんの検診をするときには大体どれぐらい金がかかるのか、子宮がんを検診するときには大体どれぐらいのお金がかかるのか、それを金額だけ、大ざっぱでいいですからお願いします。
○大谷政府委員 先生のおっしゃる意味は積算でございますか。私どもの方では一応、先ほども申しましたように、集団検診の方では全体の人員とかそういうふうなことで計算いたしましてそれを割り返しているという形をとっているわけでございますが、医療費の方ではこれは全く別の計算になっているわけでございます。
○田中(美)委員 医療費です。
○大谷政府委員 保険点数では、たとえば胃がんの検診は六千二百八十円、子宮がんの診断につきましては五千五百六十円、こういうふうになっているわけでございます。
○田中(美)委員 ですから結局、さっき言われた五百五十五円の三分の一、百八十円くらいというものは運営費のことであるし、それも自動車で巡回するのであって、こういう計算を指定都市にまで当てはめているというところにまず第一問題があります。これをぜひきちっと実情に合ったようにしていただくということをまず要求しておきたいと思います。大臣、いいですね。——うなずいていらっしゃるので、この点をぜひ検討事項というふうにしていただきたい。実情に合ったようにしていただきたい。 それで、いま子宮がんと胃がんを見ますと、ほぼ同じぐらいですね。少し子宮がんが安いのですよ。これに対して国の補助は、指定都市で少しずつ違いますけれども大体似たようなものだと思うのですが、名古屋市の場合には、胃がんについては総事業費に占める国庫補助の額の割合は一六・一%になっています。しかし、子宮がん検診のときには五・一%なんですね。なぜ子宮がんだけがこんなに少ないのかというのが私の一番腹が立っているところなんですよ。男の方たちは女に比べてまだ働く数は多いわけですね。家庭の主婦はどうしてもなかなか検診はできないのですよ。ですから、これに対する国の補助というのはむしろ多くしていかなければならないのに、胃がんの三分の一しか補助金が出ていない。それも運営費補助のインチキな形の補助金ですね。こういうことはどうしてですか。胃と子宮と、どうしてですか。胃は男にも女にもあるけれども子宮は女にしかないから、こんなことで男女差別というのはおかしいじゃないですか。
○大谷政府委員 これは胃と子宮の方の診断の相違でございますので、私どもは技術力の違いというふうに考えるわけでございます。
○田中(美)委員 何の違いですか。
○大谷政府委員 たとえば、胃がんの方でございますと、フィルムをとりまして、レントゲンで診断するわけでございますね。子宮がんの方は子宮を擦過いたしましてそれを顕微鏡で見るというぐあいに、技術は全く違うわけでございます。それを点数として算定しているわけでございますから、金額に当然差が出てくるわけでございます。
○田中(美)委員 そうじゃないでしょう。あなた言われたように、いま保険の点数でいけばむしろ子宮がんの方が安いぐらいなわけでしょう。ほぼ同じぐらいかかっているわけでしょう。それだったらパーセンテージだって、胃がんに一六%の補助がつくならば子宮がんだって一五、六%の補助を出したらいいじゃないか、これをなぜ少なくしているのかということです。あなたはとんちんかんな答えで答えていらっしゃる。ということは答えられないということです。これはやはりきちっとふやしていただきたい。そうしないと、いま言ったように、名古屋市の場合には、いままでは国庫補助が少ないのですけれども、全部市が持っていたわけですよ。ですから、二万七千人も検診した。しかし、これは膨大な金になるんですね、国は何にも出していないわけですから。百八十円くらいちょこっと運営費を出しているだけですから、全部が市の負担になるわけです。それで、とてもやっていけないから、今度は自己負担をしてもらおうということになりますと、いまあなたは効果が上がっていると言うけれども、実際にはもう急激に行かなくなります。自覚症状がなければもう行かなくなりますよね。そういうことを私は言っているわけです。ですから、もっとこの補助金というものを、国も国民の健康に責任を持たなければならないわけですから、自治体が持つと同時に国がもうちょっと一たった百八十円なんという、保険点数でいけば六千円近くかかるものをたった百八十円というのでは恥ずかしいではないか。 それで、これは一つの例として、ぜひこの子宮がんの国庫補助率をまず上げていただきたいという要求と、それからもう一つ、大臣、今年度の成人病の予防対策、これはもう私読みまして驚いてしまいました、どうしてこんなに予算が削られているのかと。 いま国民が一番何を願っているかということは、やはり健康でありたい。ぽっくり寺などがものすごく繁盛しているということは、医学が進んだから長生きはできる。しかし寝たきり、こうなりたくない。だから、成人病をできるだけ予防して、長生きするならば生きている間は元気で生きていたいというのが国民の一番の願いです。ですから、これから老人がますますふえていく社会になる、盛んにこれからは老人がふえるんだ、ふえるんだと言っているときに、その成人病対策というものがものすごく厚生省の中でも、最もとは言えないかもしれませんが、非常に後退しているということは、これはどうしてなんですか、大臣。こんなに後退しているということを大臣御存じですか。
○大谷政府委員 私どもとしては、巡回検診につきましては地区数の拡大等、充実を図ったところでございますけれども、受益者負担の制度を導入いたしましたために、その分で予算が減額になっております。五十五年度予算では十七億三千九百二十九万円で四%程度の減となっているわけでございます。しかし、これは対象数につきましては増加、こういうふうになっているわけでございますけれども、受益者負担の制度を入れたために総額としては減になっておる、こういうふうになっているわけでございます。
○田中(美)委員 あなた、対象者の数をふやしている、それはあなた方が机の上で数をふやしただけのことであって、実際に自己負担を五百円も九百円も、こういうふうに取られたら行きたくてもなかなか行けないんですよ。電車賃も上がるし、ガスも電気も上がるし、学校の授業料も上がるというときに、一番がまんするのは主婦なんですよ。働いている人たちはまだ職場で強制的な検診があったりいたしますと、ついやります。主婦はそれをやらないんですね。ですから、やれないんですよ。どうしたってそのお金を節約するわけです。ですから、自己負担だけはふやしたけれども、いやそれで対象はたくさんにするんだといって国の補助はちっともふやさない、こんなおかしな理屈というのはありません。これは厚生省の成人病対策の非常に大きなミスだというふうに私は思いますので、十分な検討をしていただきたい。いまこういうふうにせい、ああいうふうにせいと言ってもすぐには答えられないと思いますけれども、ただそういう公衆衛生局長のように、対象はふやしました、結果的には対象がぐっと減りましたということになる可能性は十分なわけですから、そういう机上の、官僚的な考え方はやめていただいて、庶民の立場に立って本当にこの効果のある子宮がん検診を進めるにはどうしたらいいか。それはPRも大事だし、いろいろなことが大事かもしれませんけれども、国もある程度そこで責任をとっていくという姿勢を全く抜きにしてやることはできないと思います。その点を強く要求して次の質問に移りたいと思います。 その次は、政令指定都市の中での国立大学の付属病院の窓口の問題ですが、この問題は、老人医療を初め乳児医療、障害者医療、いまはまた母子家庭の医療、こういうものの無料化を国がやり、また自治体がやっている。こういうことをせっかくやっているにもかかわらず、名古屋大学の付属病院では窓口で療養費払いになっているわけです。その上に領収証をもらって市に金を取りに行け、こう言うわけですね。その領収証を発行するときに五百円のお金を取っているわけです。そうすると、老人医療が無料化と言いながら、領収証をもらうのに五百円取っている。こういう書類が出ていることは御存じだと思います。老人医療証、乳児医療証あるいは障害者医療証をお持ちの患者さんへという、こういうのが出ています。これは多少古いものだと思いますが、その後訂正したものは出ていないのですね。これにはちゃんと、当院発行の領収証、これは明細書、領収証明ですね、一枚五百円をいただきますというふうに書いてあるわけです。私は、きのうの時点でどうなっているかということをずっとかかった人たちに伺ったりして大体調べてみました。そうしましたら、ある人は取られなかった、ある人は取られたというような形で実態が非常にめちゃくちゃなんですね。ということは、労働組合、ここで働く人たちがこれは余りひどいじゃないか、取るべきじゃないというような考え方から、取らないようにしようということになった。このことはちゃんと文部省側がはっきり指導しないものですから、こういう書類があるから、あるときは間違って窓口で取っているということで、めちゃくちゃに混線しているということがきのうの時点で正確にわかったわけです。 その点でまず文部省にお願いしたいことは、この五百円は絶対取るべきものではない。政令指定都市ではどこでもやってないことですので、これは絶対取るべきではない。このことについて、取らない指導をするということをはっきり言っていただきたいと思います。
○川村説明員 ただいま先生御指摘のこの証明領収証の件でございますけれども、名古屋大学の医学部の病院では、御指摘のとおり、老人医療につきましていわゆる現物給付でございませんで現金方式をとっておる。それに関連をいたしまして、一たんお金を払っていただいて払い戻しはそれぞれの市町村でと、こうなっておるわけでございます。 そこで、一たん納付をしていただきます自己負担分の領収証は無料で——この領収証自体は無料で発行しているわけでございますけれども、先生御指摘のように、老人医療費の払い戻しを受けるためにはその領収証だけで足りない場合がある。たとえば、名古屋市の場合は、この病院の発行しました無料の領収証だけで給付のあった証明書にかえるということでございますから特段のことは要らないわけですが、それ以外の市町村におきましては、また別途市町村でそれぞれその証明書の様式をつくっておる。その証明書の様式がそれぞれ市町村によって違うものでございますから、その様式について証明をするということをしておるわけでございます。この証明をする場合に、いま先生御指摘のように、一枚五百円という手数料を取っておるというのが実態でございます。でございますから……
○田中(美)委員 大臣、こういうところがあるのですよ。老人医療の無料化を国がやっておきながら、実際には、お年寄りはその証明書をもらうのに五百円取られているということです。これは絶対にやめていただきたいということです。 その次に、療養費払いをやめてほしい。市と契約すれば、これはただでできるではないか。しかし、問題は人が足らないということなのですよ。ですから、人員を至急ふやして療養費払いをやめれば、この領収証の五百円の問題も自動的になくなるわけですね。ですから、人員を至急ふやして療養費払いをやめさせる御指導をしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○川村説明員 御指摘のように、基本的に、現在の現金給付方式を現物給付方式に変えればこういう問題はなくなるわけでございます。私ども従前から国立大学付属病院の人員の整備につきまして努力をしているところでございますが、現在の厳しい国家財政の状況もございまして、特に定員事情というのは大変厳しいことは先生御承知のとおりでございます。ただ、こういうふうな老人医療の制度の趣旨が結果的に損なわれるようなことがあるということは、私どもも大変問題だと思っておりますので、できるだけ早い機会に現物給付方式に切りかえるように大学の方を指導してまいりたいと思っております。
○田中(美)委員 できる限り早くと言われましたが、いつごろの見通しになるでしょうか。
○川村説明員 これは院内のいろいろな体制の整備もございますので、私どもとしては五十五年度のなるべく早い機会にというふうに思っております。
○田中(美)委員 お金が大変だということを言われますけれども、困るからお年寄りから金を取るということは、これは逆転した考え方ですよ。厳しいのは御存じでしょうと言われますけれども、私は御存じじゃないですね。共産党・革新共同が出しているような予算の組み替えをやれば、決して厳しいとは私は思いません。自分たちでおかしな予算を組んでおいて、厳しいからといってお年寄りから金を取る。そして、お年寄りですから行ったり来たりの労力も大変でしょう。電車賃も自動車賃もかかります。 それで、五十五年の早い時期というのは一体いつですか。何も何月何日と言わなくてもいいですけれども、大体何月ごろでしょうか。早い時期というのはちょっとあいまいですね。もう少し本気になってやると言えば、名古屋市と契約すればできるわけでしょう。ですから、もう少し具体的に言っていただきたい。
○川村説明員 先ほど御説明申し上げましたように、本来、老人福祉法に基づく領収証というのは無料で発行しているわけでございまして、市町村の方でその領収証をもって療養の給付の証明にしていただければ、現に名古屋市はそうしていただいているわけで、その場合にはその五百円の問題は起こらないわけでございます。ですけれども、その基本になっております現物給付方式に変えるという点、これは基本的には私どももそのとおりだと思っておりますので、大学の院内の体制の整備も必要でございますから、五十五年度の少なくとも上半期のうちには現物給付方式に切りかえるようにぜひ取り組んでまいりたいと思っております。
○田中(美)委員 それでは、早速に人をふやしていただきたいと思う。それぐらいの金は予算をちょっと直せば、軍備なんかにうんと使っているわけですから、そんなものをちょっと削ればお年寄りを助けることができるわけでしょう。簡単にできることです。それを文部省がいままでほっちゃらかしているということは、本当にけしからぬことだと思いますので、できるだけ早くやっていただきたいと思います。 それでは、質問を終わります。
○葉梨委員長 この際、三十分間休憩いたします。 午後七時十四分休憩 ————◇————— 午後七時四十六分開議
○葉梨委員長 これより再開いたします。 厚生関係の基本施策に関する件について調査を続行いたします。 この際、お諮りいたします。 本件調査のため、本日、参考人として年金福祉事業団理事出原孝夫君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○葉梨委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 —————————————
○葉梨委員長 質疑を続けます。塩田晋君。
○塩田委員 民社党の塩田晋でございます。厚生行政の重要な問題点につきまして、民社党政策路線の上に立ちまして野呂厚生大臣並びに関係政府委員、参考人に対しまして質問を申し上げます。 言うまでもなく、民主主義の要諦は話し合いであります。それを通じての相互理解と協力によって人々の幸せを築いていくことにあるものと考えております。したがって、ここで大臣は国民のすべてに対してわかりやすく明確に、そして一人一人に話しかけるというおつもりで親切に御答弁をいただきますよう、まず最初にお願いを申し上げておきます。私は、大臣の御回答をそのまま必ず正確に選挙区内の人たちにもお伝えいたします。 その意味におきまして、先般問題になっておりました厚生年金の支給開始年齢の六十五歳への引き上げについて、厚生大臣は各方面の御意見を聞かれましてきっぱりとおやめになりました。この大臣の御英断、御決意に対しまして深く敬意を表します。とともに、一たん決定されましたからには、いかに未練が残りましょうとも、いろいろと余りおっしゃらずに大臣の任期中はこれを貫いていただきたい。できればさらにこれを姿、形の上であらわしていただくよう、そのことをお考えいただきたいと切に要望するものでございます。 さて、先般本委員会におきまして大臣が行われました所信表明につきましてお伺いいたします。 厚生大臣はその所信表明の冒頭で、国民の英知と努力の結果、わが国は経済力の増大と国民生活の向上をなし遂げ、「社会保障の面におきましても、医療保険、年金保険制度を初め、いずれも西欧先進諸国に比して遜色のない水準に達しております。」と高らかに述べられたわけでございます。過去の大臣の所信表明を調べてみますと、野呂大臣初めて西欧水準に達したということを言明されたわけでございます。 大臣の御心境、現在もこれが確信かどうか、どのような認識のもとにどのような比較をして西欧水準に遜色がないと、こう確信しておられるのか、この点についてまず大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○野呂国務大臣 私の所信表明におきまして、私はわが国の社会保障はいろいろの経過をたどりながら今日やっと欧米先進国に遜色のない水準に達したものであるということを申し上げたわけでございます。これは社会保障の給付費の国民所得に占める割合を考えてまいりましても、昭和五十二年度で約一一%でございます。現在の欧米諸国に比して低いわけではございますが、これはわが国の老齢人口が相対的に少ない、もう一つは年金などの成熟度がまだ至っていない、その低さというものを反映しておるからでございます。これを置きかえて推計いたしますならば、欧米諸国並みの約二〇%程度の水準に達しておるというふうに申し上げたわけでございます。 いろいろ国民各位の御努力、そして御理解を受けながら、わが国が国際水準に遜色のない程度まで向上することができたというように思っておるわけでございます。
○塩田委員 大臣の西欧水準に日本は遜色がないということは、今後の人口の高齢化ということを頭に置いて、そのことの危惧のために言われておるのではないかという感じがするわけでございます。いまの水準におきましても、今後の人口高齢化によりまして負担が増大し、相当な財政的な需要が生ずるということについてはわからぬわけではないのでございますけれども、個々の給付内容をとってみますと、まだまだ西欧水準に達しないものがたくさんあるわけでございます。特に最低生活保障という面におきまして、年金給付額におきましてはとうてい西欧に及ばないというものが多いかと思うのでございます。 いまも言われましたように、国民所得との対比におきまして、社会保障給付費は五十二年度で一一%でございます。ちなみに、西ドイツにおきましては三一%、フランスは二四%、イギリスは二〇%、スウェーデンは三〇%、アメリカでも一四%というふうにかなり高いわけでございます。もちろん給付が高ければそれだけ高負担になるということは当然でございまして、そのようにも各国の例はなっておるわけでございます。わが国はそのままそれにならっていいというものではございませんけれども、そういう傾向になることは否めない事実であろうと思います。 大臣、余り西欧水準に達しておるということを言われますと、今後の給付改善に支障を来すんではないか。あるいは財政当局との折衝におきましても、もう西欧水準になっておるじゃないか、だからそうがんばる必要ないじゃないかということにつながらないかというおそれを感ずる次第でございますが、その点についていかがでございましょうか。
○野呂国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、私は水準が、西欧諸国と比較するならばもうすでにそのところまで到達したと申し上げたのでございます。絶対額の問題とかあるいはまだ年金が成熟度が高まっていない、あるいは老齢人口もいまのヨーロッパの状況にまで至っていない、したがいまして、それらを置きかえて考えてまいりますと、水準がすでに遜色のない程度になっておるということでございます。 なお、個々の問題につきましては、たとえば年金の給付水準はどうか、あるいは医療費関係はどうかといったようなものにつきましては、事務当局の方から説明をさせたいと思います。
○新津説明員 細かい点まではいかがかと思いますが、たとえば年金の給付水準で申し上げますと、日本の場合、厚生年金のモデル年金が今度の改正案では月額十三万六千円、実際に今年度受け取る方の、これはまだ加入年数の短い方も入っておりますので、その平均でも十万円には達する見込みでございますが、これに対しまして、アメリカの場合夫婦で八万三千円、イギリスの場合夫婦で五万五千円、西ドイツの場合九万二千円、フランスの場合五万一千円、あるいはスウェーデンの場合七万六千円というように、一例でございますが、そういうことで、制度自体の一般の水準としては一応西欧水準並みに達していると考えておるわけでございます。
○塩田委員 時間が余りありませんので、先をはしょりたいと思います。 大臣のいまの御発言によりまして、西欧水準と比較して必ずしも内容的には、物によってはなおさら水準は同程度のものでない、低いということを言われたと思います。余り全体の水準が同じレベルだということはかえってまずい、社会保障の前進のため、充実のためにはよくないという感じがいたします。余りそれを言われますと、バターは満たされた、だからもうそろそろ大砲だというような布石につながりかねない。そういった大変な遠謀深慮をされておるのじゃないかということすら感ずるわけでございまして、そういうことのないように、やはり社会福祉というものはもっともっと前進をしなければならない。西欧水準に比べまして特におくれている面が多い。 年金はいかがでございましょうか。給付内容等につきましてはおくれているというふうに認識はされておられませんか。
○正木政府委員 わが国の年金制度の水準についてでございますが、先ほど企画室長も御答弁申し上げましたように、わが国の場合には、年金の成熟化というのは、西欧先進諸国に比べてまだおくれておるわけでございますが、現時点で比較いたしましても、かなりの水準に達しているというふうに考えております。 ちなみに、主要諸国と平均賃金に対する老齢年金額のパーセントというものを比較してみますと、西ドイツでは四三・四%、フランスでは三七・四%、スウェーデンでは四一・九%というような数字が示されておりますが、わが国の場合には大体現在四〇・一%というところまで来ておるわけでございます。
○塩田委員 大臣にお伺いいたします。 社会保障の充実前進につきまして、大臣はどのような意欲をお待ちかということについてお伺いします。
○野呂国務大臣 社会保障の問題につきましては、国際的な水準に、ようやく欧米諸国に追いついた、あるいは物によってはそれを追い越そうというような実態になりつつあることは大変うれしいことでありますが、しかし社会保障は、これくらい私は内政の上において大事な問題はないと考えております。したがいまして、今日その主たる責任の衝に当たりまする厚生省の予算総額をごらんいただきましてもおわかりのとおり、一般会計におきまして政府全体の五分の一を占めるという八兆一千五百億ということでございます。しかし、それでもなおかつまだ十分であるとは私は考えないのでございます。国の財政の問題もございますけれども、それらを越えて国民の期待にこたえるべく、この社会保障万般の問題につきまして積極的な推進を図ってまいる所存でございます。
○塩田委員 社会保障全般の内容充実、そして前進のために大臣はがんばられるというお気持ちをお聞きしたわけでございます。 その上に立ちまして、昭和五十五年度の予算に対する民社党・国民連合、公明党・国民会議、日本社会党の予算の共同修正を申し入れておりますが、この中で特に福祉予算の充実を七百五十億五千万円といたしております。財源措置も中に入れて要求しておるわけでございます。 その主なものは、老齢福祉年金月額、政府案の二万一千五百円に対しまして千五百円アップの二万三千円、それから障害福祉年金、母子、準母子年金の引き上げ、それから救急医療充実のための救急センターの新増設、保育所、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム等の充実、こういったとろでございます。これは国民のミニマムの要求であり、実現可能と考えられる財源措置もしての要求でございますが、これにつきまして大臣は前向きに御検討をいただく御用意があるかどうか、この点についてお伺いいたします。
○野呂国務大臣 昭和五十五年度予算に対しまする社会党、公明党・国民会議、それから民社党・国民連合の三党で共同修正に対する大綱が明らかにされ、私どもはその点について承っておるわけでございます。 しかし、政府といたしましては、これらの問題については現在提出をいたしております予算において十二分に対応できるものだという判断の上に立ちまして、財政当局と大いにこの問題については検討した結果でございます。 一例を挙げますならば、たとえば老齢福祉年金の額を二万一千五百円、前年度対比千五百円引き上げましたことにつきましても、かなり財政当局と活発な検討をいたした結果でございまして、これに比較されるべき十年年金とも勘案いたしまして、七・三%の引き上げに対しまして老齢福祉年金は七・五の引き上げをいたすことにおいて、前年度対比千五百円の引き上げをいたしたわけでございます。 私どもはむしろこの財政の厳しいときでありましたけれども、きわめて前向きに検討してそういう成果を得たものだと実は考えておるわけでございます。政府の考えておりますことは妥当なものだ、私は今日そういう気持ちでございます。
○塩田委員 現在国会に提出されております予算案というものが検討の結果、政府として決定をされたものであることは承知しておるわけでございますが、その上に立ちまして、最初に申し上げましたように、話し合いによって、そして議会の運営を円滑にするという観点もございますけれども、特にこういった福祉の問題につきましては前にも修正に応じていただいた経緯もございますし・、今回も野呂大臣によりまして、温かいお気持ちでこれをひとつ前向きに御検討いただくということを私はぜひともお考えいただきたい。 ここでだめですという回答では窓が閉ざされますから、ひとつそういった気持ちで十分に前向きに検討するというお約束をいただきたいわけでございます。いかがでございますか。
○野呂国務大臣 国会修正は、最高機関であるこの国会の決定がすべてを決めることでございまして、政府側がそれに対して意見を差しはさむべきものではないと考えるのでございます。 ただ、私どもは政府案としては、少なくも現在の財政下におきまして最善の検討の結果であるということを申し上げるわけでありまして、国会で国会の立場において御決定されることであれば、これは私どもが応ずるとか応じないと言うべきものではないというふうに判断をいたしております。
○塩田委員 大臣、もう少し胸襟を開いて温かい気持ちで、多くの人々が注目をしておるわけでございますから、政府案はその時点におきまして最善であるということは承知しておる上に立ちまして申し上げておるわけでございまして、厚生行政を預かる最高責任者としての厚生大臣がどういう気持ちでこの問題に当たられるか。もちろん国会で決めることであると言ってしまえばそれまででございますけれども、やはりそういった問題につきましては当然行政の最高責任者として考慮をされる、あるいは検討を真剣にされるということは当然あってしかるべきじゃないかと思います。この点、なおお願いします。
○野呂国務大臣 政府としていまのお気持ちは、特に厚生大臣としてそのお気持ちは大変ありがたいものだと考えますが、政府側としてそのことに対して申し上げる段階では今日ないと御理解を願いたいと思います。
○塩田委員 この問題につきましては、なかなかいまの時点で厚生大臣が再検討するということは言えないお立場を苦しい中で言っておられると思いますが、お気持ちとしては先ほど来の御答弁によりまして、福祉、社会保障の充実前進、これについては意欲的に取り組んでいくというお考えの上に立ちまして、しかるべきときにおきましては十分にこれを検討し、こなしていただきたいというふうに要望いたします。 続きまして、健康保険の問題でございます。 健康保険の問題につきましては、いずれこの財政収支の問題等も含めましていろいろなむずかしい問題がたくさん出ております。抜本改正をしなければならない課題であると思います。それだけにまた慎重にこの問題を進めなければならないと思いますが、これをまたいつまでも検討ばかりしておるだけでは事態は進まないということもあります。慎重であるとともに、また必要があれば勇気を持って断行すべきものもあるということが考えられなければならないと思います。すでに厚生省、政府におきましていろいろと検討され、また国会の意向も反映して実施されたものもございます。本人、家族の給付水準の格差是正とか給付改善あるいは一部負担の合理化、適正化、こういったことを進めてこられましたが、なお強力に検討を進めていっていただきたい、また現に検討されつつあるものもあろうかと思いますが、その中にはやはり実勢価格に見合った薬価基準の適正化あるいは技術料の適正評価といった問題、それから医療費の適正支出対策、乱診と言われていることの問題に対しまして、こたえるべき対策がございます。それから、老人保健医療制度の整備の問題、また医療関係者の養成確保の問題、また援護施設制度の問題等がございますし、もっと前向きな健康づくり対策あるいは疾病予防といった問題がございます。こういったものを、やはり一体となって真剣に取り組んで検討を進めていくべきものと考えます。そして、当面問題になっております初診料、入院費、薬剤費の負担等、改正案の個個の問題点につきましては、いろいろと問題がございますから、政府側におきまして、かたくなでなく弾力的に対処して、十分にわれわれの意見、各方面の意見を取り入れて話し合いに応じてもらいたいということを要望いたします。われわれもいたずらに反対のための反対ということでなくして、しかるべきものは胸を開いて語る用意が十分にありますから、ひとつこの面につきまして弾力的に対処をしていただきたいと思う次第でございます。 これらの問題につきまして大臣の御所見を伺います。
○野呂国務大臣 健康保険法一部改正に当たりまして、いま塩田先生の大変温かい、しかも御理解あるお考えに対しまして、心から敬意と感謝をささげたいと思います。 私どもはかたくなな姿勢ではなくて、この問題に取り組むいろいろな条件整備というものもあわせ並行しながら工夫をこらし、懸命にこの問題の解決に努力をいたしたいと思いますので、何とぞ提案いたしております健康保険改正につきましては十分国会で論議をされまして、一日も早く成立できますように格別の御協力を切にお願いを申し上げておく次第でございます。
○塩田委員 大臣の前向きな姿勢を了とするものでございますけれども、先ほどの議論と同じように、その時点において最もいいものとして決めたから案として提出しておるのであって、これをできるだけ早くということをかたくなに言われますと、それは問題をこじらすだけだ。先ほど申し上げましたような問題につきまして、十分に胸襟を開いて、直すべきところは勇断をもって修正に応ずるという態度を私は迫っておるわけでございます。その点につきまして、再度御決意をお聞きしたいと思います。
○野呂国務大臣 私どもが国会修正云々という言葉を申し上げる立場にはございませんが、十分国会で論議を重ねられまして適切な結論を出されることは当然のことであると考えておる次第でございます。どうか十分議論を重ねられまして、国民の合意を得る立場において、一日も早くこの法律が成立いたしますよう切にお願いを重ねて申し上げる次第であります。
○塩田委員 この健康保険制度の改革の問題につきましては、いずれ時間をとりまして十分に審議をし、これを建設的に解決する方途を見出さなければならないと思います。 この際、ぜひとも解決する上におきまして取り上げておきたい問題が二つございます。 一つは、従来から問題になっております差額ベッドの問題でございますが、この現状、従来からの対策によりましてどのような改善が行われて今日に至っているか、そして現状においての問題点は何か、その対策はどう考えておられるか、どういう時間的な経過において解決をしていくと考えておられるか、この点につきまして御説明願います。
○石野政府委員 保険外負担のうちでいま室料差額の問題についての御質問があったわけでございます。 この室料差額の問題につきましては、四十九年から年次推移を見てまいりまして、四十九年当時でも全国平均で大体一九・二%の差額ベッドがございました。五十四年の時点におきましては、それが一四・七%というふうに減ってまいったわけでございます。 私どもの基本的な考え方は、国立の機関につきましては一〇%以下、一般の医療機関については二〇%以下という基準を設けまして、できるだけその方向に持っていっているわけでございまして、そういう意味では、全国平均が一四・七%という数字になりましたことはおおむね私どもの考えております基準にマッチしてきている、こういうふうに考えるわけでございます。 問題は、やはり三人室以上で差額をとるということがございます。これが現在一番大きな問題になっているわけでございまして、この三人部屋以上の室をゼロにするということでいままでやってまいりました。これにつきましても四十九年には約一〇%近いものがございましたけれども、これは五十四年になりましてようやく四・二%という、約三分の一程度まで下がってきたということでございまして、今後はこの三人室以上の差額ベッドの解消に全力を挙げるということで指導いたしておるわけでございます。 ただ、この中で一番問題になりますのは、実は私立大学の病院、付属病院が一番問題になるわけでございまして、これが解消いたしますと、この三人部屋以上の室の大部分が解消するということでございまして、幸いに、私ども文部省と再三の交渉を行いまして、ようやくことしの一月二十三日でございましたか、大学局長の方からそれぞれの私立大学の学長に対しまして、少なくとも三人室以上の差額ベッドの廃止について強い要請を行われておるわけでございまして、これによって相当進んでいくのではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。
○塩田委員 ぜひともこれは早急に全廃という状況をつくり出していただくように、なお一層の御努力をお願いします。 それから次に、問題になっております付添看護の問題でございます。これにつきまして、現状、問題点、そしてその対策をお伺いいたします。
○石野政府委員 保険外負担のうちで、差額ベッド問題につきましては順調に進んでまいったわけでございますけれども、この付添看護の問題につきましては大変むずかしい問題を抱えておりまして、なかなか私ども考えているような線に進んでいかないということは大変遺憾に思っているわけでございます。 私どもは、付添看護の問題につきまして、少なくとも基準看護の承認を受けた病院につきましては付き添いを認めないという方向で指導してまいったわけでございます。ところが現実には、その基準看護の承認を受けた病院におきましても、患者の家族の看護という形で御本人の方から希望するような場合もございます。それから、その一部でございましょうけれども、病院側からその看護体制の不備から付き添いを求めるという例もないことはございません。少なくとも私どもの方は、基準看護病院につきましては病院みずからの手で看護する、看護婦の手で看護するということが一番望ましいわけでございますので、もしそういう基準看護病院の承認を受けたものでなおかつその付き添いを強制するというようなことになりました場合には、基準看護の承認を取り消すという非常に強い姿勢で臨んでいるわけでございます。 そういうことでやってまいりますけれども、同時にこの問題につきましては、基準看護制度のあり方の問題でございますとか、あるいは看護婦の確保というマンパワーの問題とも絡みますので、そう物理的にどんどんやっていくというわけにはいかない面もございます。私ども、せっかくでございますので、さらにこの問題については指導強化をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○塩田委員 この二つの問題、すなわち差額ベッドと付添看護の問題につきましてはいろいろな問題がたくさんあるわけでございまして、ここでなお詳しく聞き込みたいわけでございますが、時間がございません。これが非常に国民的な関心の的であり、低所得者層のみならず中堅所得層におきましても非常に重圧になっておるということにおきまして非常に重大な問題でございますので、ぜひとも早期の解消、全廃、そうして付添看護につきましても、マンパワーを含めまして十分な対策をとるように、そういう体制ができ上がるようにひとつ急速にこれに手を打っていただきたいと要望いたします。 次に、厚生年金の関係でございます。 先般、厚生大臣は保険料率の引き上げ、これは限度といたしまして一八%が適当であるという言明をされましたが、その根拠は何かということにつきましてお尋ねいたします。
○正木政府委員 厚生年金保険の保険料率は、現在男子の場合九・一%でございます。先生のお尋ねの保険料率の限度というものをどう考えていくかということでございますが、先ほど先生からのお話もございましたように、去る予算委員会で厚生大臣が一八%程度をめどにしたいということをおっしゃいましたのは、この保険料率の限界というのは、やはり給付との兼ね合いという面もありましてなかなかむずかしい問題でございます。 これはひとつ経験的に考えまして、諸外国の保険料率がどういう推移をたどっておるのかというのを見ますと、西ドイツにおきまして現在一八%という料率が設定されております。これを近く一八・五%にしようというような話もあるようでございますが、これまでドイツの場合には給付費の増に見合って料率をだんだん上げてまいりましたが、かなり順調にと言うと言葉がおかしいですが、上がってまいりましたが、一八%というところで料率アップというものが非常に難航をしてきておる、むしろ給付のスライドの方をずらすべきではないかというような話も出てまいりました。 そこで私どもとしても、将来の年金の料率の限界をどこに求めるのかということにつきましては、やはりこういう西欧先進国の趨勢というものもひとつ参考になるのではないかというふうに考えておるわけでございます。大臣の御答弁の趣旨も恐らくそういうことだったというふうに私ども理解をいたしております。
○塩田委員 大臣も恐らくそうでなかろうかということでございますが、大臣はいかがでございますか。
○野呂国務大臣 お答え申し上げたとおりでございます。
○塩田委員 将来の保険給付と収入との財政上のバランスの観点からはこれを考えられなかったのでございましょうか。
○正木政府委員 これは厚生年金保険の収支の長期的な見通しというものを考えなければならないわけでございますが、先生御案内のように、わが国の年金制度というものは西欧諸国に比べて成熟度が低いわけでございます。西欧諸国は成熟度は大体二〇%というところまで来ておるわけでございます。日本の厚生年金保険は現在成熟度八・一%という程度でございます。しかし、高齢化の進行度合いというものは急速でございまして、今後年金受給者の増というものは相当量見込まれるわけでございます。さらに、年金における加入期間の増大というものも相まちまして、給付費の急増が相当に見込まれます。ちなみに、五十五年度での厚生年金保険の給付費は大体三兆二千億程度でございますが、これを今世紀末の昭和七十五年度で見ますと、これは五十五年度の価額で推計したものでございますが、現在の五倍を超える十七兆円ぐらい、さらに昭和八十五年度、三十年後になりますと二十六兆円、五十五年度の約八倍にもなるということでございます。一方、それを支える被保険者の伸びというものはどうなるかということを見てみますと、二十年、三十年かかりましても約三割ぐらいの増加というものしか見込めないわけでございます。私どもとしては、やはり老後の支えになる年金水準というものを確保していくためには、過重な負担というものを避けることはもちろん配慮しなければなりませんが、段階的に保険料の引き上げというものを図っていく必要があるんではないかというふうに考えておるわけでございます。今回御提案申し上げております年金法の改正案におきましても、男子で申しますと現在の九・一%を一・八%アップをお願いするということで、今後段階的に保険料率のアップを考えていきたいというふうに考えております。
○塩田委員 いま審議官が述べられました給付と保険料収入の見通し、二十年、三十年先を計算するのはかなりの前提、仮定が置かれての計算だと思いますが、これの根拠につきましてまた議論する場もあろうかと思いますけれども、いろいろな見方があろうかと思います。仮定を変えれば当然変わってくるという問題だと思いますが、いずれにいたしましても人口の高齢化によりまして給付費が飛躍的に伸びていくということ、またその中でなお給付の内容改善を行わなければならないことを考えますと、かなりの財政面のアンバランスが出てくる、またアンバランスを生じさせないために保険料を上げたりあるいは財政的な補てんをするということを考えなければならないわけでございますが、この一八%というのは何年ぐらいで一八%になるのでございましょうか。
○正木政府委員 先ほど申しましたように、男子で申しまして九・一%を段階的に五年ごとに一・八%ずつ引き上げるということで考えますと、昭和七十五、六年ごろが大体一八%というようなことになろうかと思います。
○塩田委員 厚生年金におきまして一八%が七十五年ということでございますが、これは厚生省の所管だけで見ましても厚生年金のほかに健康保険もあるわけでございますし、そしてまた労働保険の関係では雇用保険が被用者負担分がございますから、これもありましょうし、租税負担あるいは国税、地方税合わせますと相当なものになると思うのです。これはかかってくるのが全部各個人にかかってくるわけであります。ヨーロッパがこうであるからこの程度、あるいは財政的に将来こうなるから一八%、こういうことをおっしゃるわけでございますが、それぞれの財政収支なりあるいは制度、西欧諸国の例を持ってきてやりましても、かかってくるのは個人個人でございますから、全部トータルすると大変な負担率になると思うのです。 大臣、このあたりで一八%ということを言われたときには、全体の標準世帯あるいは勤労者の公租公課、保険料を含めましての負担は、こういう負担をどれくらいという上に立ってこの一八%をおっしゃったのでございますか。
○正木政府委員 国民の負担というものを考えます場合に、先生おっしゃいますように、やはり社会保障の負担と合わせて租税負担というものを加味して考えなければならないと思います。 それで、これは対国民所得比で主要国の租税負担と社会保障負担がどういったような状況になるかというものを考えてみますと、昭和五十二年で申しますと、租税負担率というのが日本の場合には一九・二、アメリカの場合には二八・九、イギリスの場合には三七・三、西ドイツの場合には三二・三と、租税負担と社会保障負担を合算して考えました場合にはどういったような評価ができるかといったようなことはまた別問題ではないかというふうに考えております。
○塩田委員 この問題、議論いたしますと幾らでもあるわけでございますけれども、このあたりでとどめさせていただきます。 厚生年金につきましては、今度の改正の中に四十歳未満の子なしの寡婦に対する遺族年金支給の廃止というのがございますが、こういった問題につきましても、余り短兵急に事を運び過ぎるのじゃないかと思いますし、もっともっと審議を尽くしてやれば知恵が出るのじゃないか。一時停止とか復活とかといったことも考えてこの制度を考える必要があったのではないかと思います。こういったことにつきましても今後また検討、追及をしたいと思います。 いまの厚生年金関係の議論を聞いておりまして、やはり国民の負担というものが社会保険各方面からかかってくる、そして恐らく租税もかかってくるでございましょうが、そういった個人の観点から見ますと、やはり今後、将来時点におきましてどれぐらいの負担がかかるかというめどを持つ必要がございますし、そしてまたその給付の内容につきましても、ある程度のめどが、目標がなければならないと思います。 そういった観点から厚生年金を、特に厚生年金それから福祉年金含めまして、この社会保障の計画的な推進というものが必要かと思います。そして、年金というものと雇用対策、これとのドッキングが必要でございますし、給付内容の充実前進という中に、制度間の格差の是正、そしてまた官民格差の解消、こういったことが努力目標として今後あるべきだと思うわけでございますが、そういっためど、見通し、目標というものを持つ必要があるのではないか。そのためには、社会保障の計画化といいますか、ある程度のプランを持つ、見通しを持つ。計画といいますと非常にシビアなものから見通し的なものまであるわけでございますが、ある程度のそういったものを持ち、国民に示す必要があるのではないかと思いますが、大臣、いかがでございますか。
○野呂国務大臣 私は社会保障は何としても国民の合意を得られるものでなければならない、福祉というものは決して単に厚生省あるいはまた政府だけの見解で独走すべきものでないことは言うまでもないことでございます。したがいまして、今回の年金制度の改正に当たりましても、給付の水準をなお続けてまいりますについては、いろいろの関係審議会の意見も十分に尊重いたしますとともに、長期的な展望に立ってこの問題の解決をしなければならないという観点に立って進めていこうといたしておるわけでございます。この長期計画については、個別の問題として数量的にこうあるべきだという目標を示すことは実際問題として大変むずかしいと思いますが、本格的な高齢化社会を迎えて、社会保障が長期的に安定的に機能を果たしていくためには、その長期的な展望というものを国民の前に示しながら、そして具体的に国民の合意を取りつけていく必要があるかと考えております。 そういう意味から、厚生省といたしましては、社会保障の中核をなす年金と医療について、まずその長期的展望を明らかにしなければならないという立場に立ちまして、その第一段階として、今回国会に提出をいたしております健康保険法等の一部を改正する法律案及び厚生年金保険法等の一部を改正する法律案の御審議をお願いいたしておるわけでございます。御指摘の点については十分留意しながら、将来の均衡ある社会保障の発展、そして国民の合意を得られるような、そういう方向に向かって前進を続けなければならないと考えております。
○塩田委員 社会保障につきまして、中長期の計画あるいは見通しを持って進めるということにつきましては、ぜひともそのようにお願いします。具体的な問題としてそれを提示をしていただく機会ができますことを希望いたします。 次に、厚生年金保険法の第七十九条の福祉施設につきまして御質問いたします。 この福祉施設の必要性、そして種類、それから本年度、来年度の予算額、そしていま進められつつある大型、中型、小型のプロジェクトがございましたら、それも示していただきたいと思います。そして、そういった福祉施設の規模、ボリュームを決める、あるいは個所を決める原理原則はどのようなものと考えておられるか、このことについてお伺いしたいわけでございますが、時間がございませんので、この資料を出していただきたいと思います。 で、いまこの福祉施設についての大臣のお考えをお聞きしたいと思います、どういう原理原則でこの施設を設置していっておるかと。
○持永政府委員 厚生年金保険法に福祉施設に関する規定があるわけでございますが、これは被保険者、受給権者あるいはその家族の方々、そういった方々に対しまして、現物でいろいろな施設をつくりましたり、あるいは福祉サービスをすることによりまして、そういった人たちの現実の福祉の増進を図ろうというような趣旨でその規定が設けられておりまして、これに基づいて社会保険庁でいろいろな福祉施設をやっております。また、片一方で年金福祉事業団が大規模年金保養基地を整備しているというような状況でございます。
○塩田委員 各種の給付と並びまして、現に被保険者である方々へのサービスとして、このような体育あるいは教養文化の施設が行われることは私は結構だと思っておりますが、保険財政あるいは給付との関連を受けましてそれにも一定の限度があると思います。その点につきましては、この資料を出していただきました段階で改めてお尋ねいたします。 その中に、大規模年金保養基地というのがあるはずでございますが、その事業の進捗状況についてお伺いいたします。
○出原参考人 大規模年金保養基地の事業につきましては、昭和四十八年度に事業の開始をいたしまして以来、用地の取得、基本計画の策定それから設計等の作業を順次進めてまいったところでございますが、このうちの用地の取得につきましては、昭和五十一年度末をもちまして十一基地、全基地について完了の運びとなっております。 次に、基本計画の策定につきましては、十一基地のうち八基地についてはすでに厚生大臣の承認をいただいておりまして、一基地については、現在、基本計画の原案の作成を終えまして大臣承認の申請の準備をいたしておるところでございます。さらに一基地につきましては、現在、原案の作成中でございます。 基地の建設につきましては、昭和五十三年の一月に兵庫県の三木基地について建設を開始いたしました。さらに、昭和五十三年九月に北海道の大沼基地について建設に着手をいたしましたが、いずれも工事は順調に進んでおりまして、それぞれことしの夏にはオープンできる予定で工事を進めております。なお、昨年八月に新潟県の津南基地についても、土木を中心にした基盤整備工事に着手したところでございます。 こういった大規模年金保養基地につきましては、施設の規模、内容等から見まして、ほかに類を見ないものでございまして、また各地の需要の見込みも、当初予想いたしておりましたのと比べまして、社会情勢の変化などで楽観を許されないものがございます。このために、今後の基地建設については、各基地の立地条件であるとか需要の状況、開発の難易度等をさらに総合的に判断しながら慎重に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○塩田委員 一基地二百億円という相当な金額を投じてのせっかくの施設でございますが、運営主体並びに組織機構はどのようになっておるか、お聞きいたします。
○出原参考人 運営の主体につきましては、いま申し上げましたように、施設の規模、内容から見て他に類を見ない大きなものでございます。したがいまして、こういったものの運営に当たりましては民間の専門的な知識経験を活用し、効果的な運営が必要であるというように考えております。したがいまして、私どもといたしましては、この運営は大規模年金保養基地については年金福祉事業団直接行うのではなく、民間の最も適切な団体に委託したいと考えております。
○塩田委員 これは独立採算制でございますか。収支のバランスは十分とれるかどうかということと、それから宿泊施設としては収容人員が四百二十名というようなことを聞いておりますが、収支の点を考えますと、この運営は十分にやっていけるかどうか、赤字補てんということが将来起こるのではないかと思うのでございますが、いかがでございますか。
○出原参考人 先ほども申し上げましたように、いままでに余り例のない施設でございますので、予測を立てるのは非常にむずかしゅうございます。しかし私どもは、この種の施設は利用される方から適正な料金をいただきながら、独立採算的に収支のバランスはとれるように努力をいたしてまいりたいというように考えております。 なお、宿泊人員四百二十名は、その意味におきまして一応の規模であるというように考えております。
○塩田委員 最後の質問をいたします。 こういった施設につきましては、そこを利用する方の利便を考えまして、十分な交通事情の整備が、山の中であればあるほど非常に問題でございます。国鉄も赤字路線で廃止になるようなところ、それから道路は南北道路が非常に混雑いたしております。こういったところに一日九千人もの人が集中した場合、どういった事態が起こるかといったことが憂慮されるわけでございます。またこれは体育、教養文化あるいは結婚式場等もあるようでございますが、老人ホームの施設がない、あるいは老人医療あるいは身障者等の施設がないわけでございますが、百万坪もある大きな敷地で緑に囲まれたいい施設ができておるわけでございますが、老人対策としてのそういった施設の設置を将来考えられてはいかがかと思います。 この施設の周辺をめぐる環境整備の問題、交通等を含めての問題と、老人あるいは身障者に対する施設、こういったものを将来御検討いただける用意があるかどうか、これについてお伺いいたします。これは厚生省の方から。
○出原参考人 私から先に事務的な事情だけお答え申し上げておきます。 交通事情につきましては、私どもの抱えております十一の基地は、交通事情についてはかなり条件のよくないところが多いわけでございますが、その中で三木基地は最も便利のいい方でございます。私どもはこれにつきましては乗用車と、それから大量の輸送機関につきましてはバス等につきまして現地で十分配慮いたしたいということで、地元の兵庫県等の応援も得ながら、具体的な計画を立て、折衝をいたしておる最中でございます。できるだけ利便を図るようにいたしたいと考えております。 なお、老人ホームにつきましては、私どもがこの施設を計画いたしましたときの当初の事情から申し上げまして、特定の人たちが長く利用されるという施設にすることはむずかしいであろうということから、総合的な保養施設としては短期の御利用を願うということを中心に考えておりますので、老人ホームについてはこの計画には乗っかっていないという事情を御了察いただきたいと思います。
○塩田委員 将来の問題を大臣、一言。
○野呂国務大臣 大規模保養基地の問題につきましては、基地の立地条件と申しますか、それに伴います交通事情をどう整備していくか、さらにまた将来の運営の問題を考えた場合におきまして、老人専用の施設、たとえば老人ホームといったような問題についてはいろいろ困難な問題があると思いますけれども、将来の課題として慎重に検討してまいりたいと考えております。
○塩田委員 ありがとうございました。終わります。
○葉梨委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後八時五十分散会 ————◇—————