建設委員会 第11号
- 発言数
- 168 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1980/04/09
会議録
○北側委員長 これより会議を開きます。 明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木間章君。
○木間委員 おはようございます。 明日香保存法案の審議もきょうで三日目を迎えたわけでありますが、先日は憲法、文化財保護、そういった諸問題について学者の方々からの貴重な御意見も伺いました。これまでの委員会審議を伺っておりまして、私は、明日香村の遺跡や遺構などの保存には住民の方々の自主性を尊重し、その発意で保存をすることがきわめて重要だと思いました。そこで、この法案の目的でもある住民対策、強力できめ細かい住民の生活安定とその向上のための施策が実施される必要があると思っております。その必要性については昭和四十五年九月に出された歴史的風土審議会の答申やその後の答申の中にもしばしば指摘されていますので、この法案立法技術上からも、また今後の法運営にも生かされなければなりませんが、不十分だと言わざるを得ないのであります。そこで私の意見を交えながら若干の質問を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。 まず第一番に法一般原則の問題についてでありますが、法律体系としては、まず目的を明らかにし、そして定義あるいは国、県、市町村の責務といいますか、任務分担が明記をされ、そして国民の協力事項へと続くのが常識ですが、この法案には重要なポイントを握っております国、県、市町村の責務あるいは任務分担が欠落をしておると思っております。まず、どういった判断からこれが抜けておるのか、お答えをいただきたいのであります。
○清水政府委員 お答えを申し上げます。 ただいまの御質問につきましては最初に申し上げたい点がございます。今度お願いをいたしておりますこの特別措置法は、すでにございますところのいわゆる古都保存法、これをベースにいたしましてその指定の手続というあたり、つまり古都保存法で申しますれば第四条から五条及び六条までの部分につきまして特例を定めていただきたいということが一つございます。それともう一つはもちろん住民対策でございますが、そのようにつまりこの法律は古都保存法を土台にして考えているということでございます。そういう意味におきましてこの法律におきましては、第一条では当然のことながらこの特別措置法の目的を明示いたしておるわけでございますが、ただいまの御質問の定義あるいは国なり公共団体等の責務についてはどうかという点になりますと、それはいま申しましたベースになっております古都保存法自身の中におきまして歴史的風土の定義あるいは国、地方公共団体それから住民の協力ということを規定いたしております。定義は古都保存法の第二条でございますし、協力の規定の方は同法の第三条でございます。その第二条、第三条は、いずれもこの特別措置法の前提として一緒に働いているわけでございます。そのような意味合いにおきまして、特に二重にこの法律の中に規定する必要はございませんし、それはかえっておかしいということでもございます。この法律は、形の上では第一条の目的は当然書かなければなりませんから書いてございますけれども、おっしゃいますように、いわゆる定義とか協力の責務規定というようなものはここにあらわれてきてないということでございますので、御理解を賜りたいと思います。
○木間委員 親法がある、古都保存法を受けて特例法としてこの法案を設けたい、こういう御答弁であったと思います。私はけしからぬと言わざるを得ないと思います。それは昨年昭和五十四年七月の答申にも明らかにこのことを明記しておるのであります。「明日香村における歴史的風土の保存に当たっては、特別の立法措置をもって、国及び地方公共団体の責務を明確にしつつ、次のような措置をすみやかに講ずるよう要望するものである。」このように歴史的風土審議会では重ねて明らかにしておるところでございます。いまの御答弁からいきますと、この歴史的風土審議会というのは一体どこの諮問機関なのか、付属機関なのか、私はいまの答弁では納得できないのでありますが、いま一度明らかにしていただきたいと思います。
○清水政府委員 歴史的風土審議会は、申すまでもないことと思いますが、内閣総理大臣の諮問に応ずるということでございまして、昨年の七月に内閣総理大臣の諮問に対して答申をしていただいております。いま御引用になりました答申の中にもちろんそのような表現があることはよく承知をいたしております。当時の審議会の模様にも多少触れさせていただきたいと思いますが、その審議会の答申におきまして「特別の立法措置」というふうな表現を使っておりますのは、当時議論が現に出ておったわけでございますが、それはたとえば全く新しい別の法律ということも予想されるけれども、たとえて言えば現在の古都保存法の一部改正ということも十分考えられる。そのような場合どういう形をとるかは、これは政府が立法技術の問題として、内閣法制局とも十分相談をしてその辺は決めたらよろしかろうというような御議論が実はあったわけでございます。今度の法律は、いま申し上げた例示的な言い方との関係で言えばちょうどその中間のような結果に相なっておりますけれども、したがいまして私どもとしては、当時議論も現にされておりましたし、審議会の意向の範囲内でこのような法律を御提案申し上げておるということは申せるかと思います。 それからまた、その審議会の答申の中で、政府としての責務を明らかにしてと申しますか、それはまさにこの法律の各条文におきまして政府はこういう措置を講ずるんだ、あるいは講じなければならないんだということを規定いたしておりますので、私どもとしては十分にその審議会の答申を尊重もいたしておるように考えておりますし、それから、そのような形だけではございませんで、規定しております措置の内容自体につきましては先般も申し上げましたが審議会の答申をそのままそっくり生かしていると申しますか、尊重しているということは申し上げられると思いますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。
○木間委員 どうも私は納得できないのであります。今日の諮問機関なり付属機関は政府の隠れみのだ、このようにも言われておるゆえんもただいまの答弁の中にひそんでおるかと私は感ずるところであります。四十五年に第一回の諮問があり、そして十年間置いて昨年諮問がなされ、その九年、十年の経験の中で、さらに、それぞれの行政分野の責任を明確にしていかなければ、このきわめて重要な明日香村の保存というのは達成し切れないだろう、このような判断からこれらの分析がなされ、答申を行われたものと私は思うわけであります。ですから、せっかく政府が行政を執行していこう、そういった中で広く国民の英知を集めよう、こういったことで諮問機関なり付属機関が設けられて今日審議をお願いしてきているところでありますが、その答申が守られないといいますか、生かされないといいますか、私はただいまの御答弁では納得しかねるのであります。 もっとも、その答申文案の作成過程でも皆さんが参加をされたかもしれませんし、あるいはまたおつくりになったかもしれませんが、だからそれはそれ、これはこれという考え方がもしあるとすれば、私はまさに何をか言わんやであります。もっとも、またもしそういったものを文章化する、うがった見方かもしれませんけれども、すでに論議を呼んできましたこの特別立法と憲法九十五条との関連が出てくるんではないだろうか。そういった中で明日香村で住民投票を行ったら果たしてどうなるのだろうか。こういったものが余りにも先走り過ぎて、苦肉の策としてこのような措置形態をたどったのではないだろうか。 私は、それはそれとして、これはこれとして対応しなければならなかったと申し上げたいのでありますが、委員長、どうも私はこのような答弁の中では納得できないと思っております。ひとつよろしく取り計らってください。
○清水政府委員 審議会の答申につきましては、私どもとしましてはこの審議会の答申を十分に尊重いたしましてこの法案を立案させていただいたというふうに申し上げたいと思います。 内容を一々ここで比較して申し上げることは省略させていただきますけれども、この審議会の答申の二つの大きな眼目は、一方ではこの特殊な価値のある明日香村全域にわたる風土を良好な状態で将来にわたっても保存し続けていくことが大事であるということをうたっていると同時に、そのためには村及び住民に対する配慮をかくかくしかじか講ずべきであるというととを答申をいただいておるわけでございまして、その答申を受けてこのような立法をお願いしようということでございます。 ただいま、先ほどの説明に対して御納得いただけないということでございましたけれども、この審議会の議論の中で、先ほど申しましたように立法の形式と申しますか、そのようなことにつきましてはいま申したような内容的な趣旨が十分に生かされるようなこと、そうしてこれは沿革的に申し上げれば昭和四十五年の閣議決定で飛鳥の地に対して特別な配慮をするという方針を打ち出して以来、地元からも、要するにここについてはほかのこととは違うのだということを何か法律のレベルで、つまり国の名においてはっきりさせて、そうして特別のめんどうを見てほしいというような趣旨の御要望があったわけでございます。そのようなことが沿革的な背景としてこのような答申になり、立法措置を見るに至ったということでございますので、先ほど申しましたように、審議会自身の御答申の中では、その辺は、立法の形式等につきましては幅のある御議論があったところでございます。したがいまして、先ほど来申し上げておりますとおり、古都法を基本とした上で特別に特例的に扱うことがどうしても必要だという部分についての手続を別につくるということ、それから、村対策及び住民対策はこの法律で十分に規定しなければなりませんので、その部分の規定を盛らしていただいたということでございます。
○木間委員 どうも納得ができないのです。 飛鳥保存については地元の要請もあったから特別の配慮をしたのだ、あるいは地元の要請があったからするんだ、このようにただいまの答弁から私は察するわけであります。私は飛鳥保存のそもそもの流れはむしろ地元よりも皆さん方の方にあったのじゃなかろうかとさえ思って今日まで見てきたわけであります。本当に地元の皆さんの総意を受けて立つと言えば、もっともっとこの文案の中にも、またいま住民の皆さんが抱えておいでになる諸問題についても、それこそきめ細かく対応されなければならなかったはずだと思うのですが、いまの言葉はどうも詭弁のように私は感ぜられて仕方がないわけであります。この問題につきましては委員長、私はどうも理解ができませんので、結論は少し保留させていただきたいと思います。 では、次の質問に移らせていただきたいのでありますが、明日香保存法のねらいは、飛鳥時代の遺跡、遺構の保存と、あわせて住民の協力を得て良好な状態で保存をしていこうというきめ細かい住民対策を行うものとされていると思いますが、そのような理解でいいでしょうか。
○小渕国務大臣 委員御指摘のように、本法案のねらいの一つは、飛鳥時代の遺跡、遺構等が周囲の環境と一体をなして、わが国の律令国家体制が初めて形成された時代においてこの地が政治及び文化の中心的地域であったことをしのばせる歴史的風土を、住民の理解と協力のもとに保存させることが一つの大きなねらいになっておるわけでございます。遺跡とか遺構とかの保存は直接的には文化財保護法によりますけれども、明日香村における歴史的風土を保存することは、間接的には飛鳥時代の遺跡、遺構等の保存に大きく寄与することと考えております。したがいまして、ただ遺跡、遺構だけの保存ということでなくして、いま申し上げましたように、そのものを含む歴史的風土ということであろうかと思います。こうした意味で文化財保護法の適用を超えたものであると理解しております。 一方、本法案のねらいの一つが住民対策にあることは目的で指摘をしておるところでございまして、種々の特別な措置を定めておりまして、この点につきましては古都保存法がございますが、それ以上にこの法律をもって補助を定めるということでありますし、また基金をつくるというようなことはまさに住民対策として新しい考え方にのっとっての法律のつくり方だ、こういうふうに考えておる次第でございます。
○木間委員 それでは次に移らしていただきたいと思います。 飛鳥財団の昭和四十六年から五十四年までの歳入、歳出の状況を一読さしていただいたわけでございますが、その累計額は二十八億七千五百八十二万円余であります。この財団が行った村または地域住民に対する助成の実績は七千五百八十一万円、この七千五百八十一万円の中でさらにきめ細かな住民対策といいますか、地域住民生活の向上に関する事業、たとえば遠距離通学のための交通費助成、公民館建設、テレビ共同アンテナ設置などに支出されているものはわずかに二千四百二十八万円余となっているのであります。 飛鳥財団設立の経緯は、昭和四十五年九月の審議会の答申を受けて、同年十二月、佐藤内閣時代の閣議決定を受けて、翌年昭和四十六年四月に飛鳥保存財団が設立をされてまいりました。その目的はいま長官から御説明があったように、保存達成のためには民間の協力で財団法人をつくり、きめ細かい住民対策を講ずるよう配慮しようとされてきました。つまり、行政ではなかなかできないきめ細かなものを民間ベースでやった方がよいというもので、国もまたこの趣旨を体してこの財団に対して十一億三千二百五十二万円の補助金の支出を見ていますが、これでは住民対策が万全だったと評価できるかどうか、また、その間この財団に対して政府は指導または助言をされてきたかどうか、お伺いしたいのであります。
○関(通)政府委員 飛鳥保存財団の事業の概略について初めに御説明させていただきたいと存じます。 ただいま先生御指摘ございましたように、四十六年発足以来五十四年度までの決算額を累計いたしますと二十八億七千万円になるわけでございます。この二十八億の中には、現在財団は基本財産の積み立てもいたしておりまして、実は二十八億のうち九億円は基本財産の積み立てに回しております。残りの経費で事業をいたしているわけでございます。 飛鳥財団発足以来、明日香村に幾つかの施設をつくりまして、その運営をいたしておりますが、その施設の建設、運営に十四億の経費が入っております。施設としましては、総合案内所、研修宿泊所、高松塚の壁画館等でございます。 一般事業費としましては一億二千五百万円を支出いたしておりますが、このうち、飛鳥の文化財の知識の普及向上、シンポジウムを開催するとかいうような経費に四千九百万円を支出いたしておりまして、残りの七千五百八十万円が、ただいま先生御指摘のございました地元の助成に支出されているわけでございます。 助成の事業の主なものをちょっと御報告さしていただきますと、村道の舗装の住民負担の軽減、公民館建設の助成、小規模土地改良の助成、それから先生御指摘のございました遠距離通学の助成、わら屋根のふきかえの助成、無住社寺の修復の助成、古代民家の保存の助成、防虫害の助成、史跡の清掃事業に対します助成等でございます。 これらの助成をきめ細かくやってはおりますが、総額で申しますと、先生御指摘のございましたように、七千五百万円であるということでございます。 この一つは、財団が助成いたしておりますのは、どちらかといいますと、通常の行政のベースに乗らない事業、たとえて申しますと、土地改良について財団が助成いたしておりますのは二ヘクタール以下の小規模のものでございます。二ヘクタール以上のものになりますと、国あるいは県の補助金等の事業で行われるわけでございますが、そういう補助金に乗らない小規模のものもできるだけ拾って地元の方の御要望にこたえるように助成している、かようなことでございますが、金額的に申しますと、やはり施設の建設等にかなりの金額が支出されているということは事実でございます。国といたしましても、財団設立の目的の重要な一つが住民生活の向上でございますので、その事業に効果を上げるよう指導はいたしてまいったつもりでございます。
○木間委員 ここでもちょっとひっかかるのでありますが、私も質問の中で申し上げましたが、確かに村または地域住民に行った財団の助成総額は七千五百八十万余であります。しかし、数次にわたる答申の中でも、また今日までの長官初め皆さんの御答弁の中でも、今日まで良好な状況で保存できたのは一にも二にも住民の協力だったんだ、さらに、村の発展のためにはきめ細かな住民対策が必要なんだ、こういうことで述べられておりますが、いま七千五百八十万余の中でも三項目に実は分けられておると思います。 その一つは、歴史的風土及び文化財の保存に関する事業、総額四千四百九十一万円です。二つ目には、歴史的風土及び文化財の保存に関する調査研究事業、六百六十一万円です。そしてきめ細かなといいますか、今日まで機会あるごとにお互いに論じてきた住民対策、地域住民の生活の向上に関する事業として二千四百二十八万円です。二十八億、二十九億の事業量の中でこの数字では、本当に飛鳥財団を地域住民の声に基づいてやっていくんだという皆さんの誠意が全くあらわれていないと私は言わざるを得ないのです。ですから、本当にどのように指導されたか、もっと年次別にきめ細かに質問を申し上げたいのでありますが、いずれかの機会に譲りまして、質問を次に移らせていただきたいと思うのであります。 質問の第四点は、これも行政ベースよりも民間ベースでいこうということで、財団法人を設立をして運営をされてきたのですが、いまの討論の中にも示されるように、どうもこの財団の運営そのものも住民の意向が反映されていない、端的に言いますと住民の参加が開かれていないと私は言わざるを得ないのです。 ここに総理府からいただいた役員の方々の名簿も持っております。考古学に大変造詣の深い、そういった学者先生もたくさん参加をされております。また、寄附行為との関連があったのでしょうか、財界の方々が大変多く参加をされておりますが、審議委員の中に残念ながも村の代表はないと言わざるを得ないのであります。もっとも、運営委員の中に若干ですが、村長さんだとかあるいは村議会議長さんが入っておる程度であります。こういった中で、本当に民間ベースでやったらかゆいところに手が届くんだ、そして飛鳥の保存は完璧なんだと私は言い切れないと思います。 そういった意味で、この審議会なり運営委員会に住民代表を参加さすべきだと思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。
○関(通)政府委員 飛鳥保存財団の運営は、寄附行為によりまして、決定機関といたしましては理事会、さらに理事会の中に運営委員会というのを設けて事業の運営の方針を決めているわけでございます。 具体的に事業計画等の決め方をちょっと申し上げますと、具体的な各年度の事業計画につきましては、あらかじめ運営委員会でお諮りして検討されております。この運営委員会といいますのは、大体地元の方、村長さんあるいは村議会の議長さん、それから橿原考古博物館の館長さん、あるいは奈良の文化財研究所の所長さん、それから県当局の方々等で構成されておりまして、会議も大体原則として地元でやることになっております。そこで事業計画あるいは予算の概略等が決められまして、これが理事会に諮られて決定される、かような運営をいたしているわけでございます。 飛鳥保存財団としましては、この運営委員会でできるだけ地元の方々の御要望を伺って、これが事業計画に反映するようにというぐあいに努力はいたしているようでございますが、先生の御指摘もございますように、運営につきましては、一層その地元の御要望が反映するように私どもも指導していかなければならない、かように感じております。
○木間委員 長官、要望を申し上げておきたいと思います。 先ほどから幾つかの事例を申し上げましたが、実は住民の皆さんと懇談をした中でも、切実に生活の実態からくる悩みを訴えられておるわけです。ですから、確かに財団運営は地域の、あるいは関係のある皆さんでの自主的な運営だとおっしゃっておいでる、運営は本来そうでなければならぬと思いますが、しかし、今日までの皆さんの努力が本当に住民の皆さんに喜ばれておるかどうか、評価されておるかどうか。私も先般社会党の調査団の一員として参加をしたわけでありますが、どうも皆さんの受けとめておいでることと逆のような実態が間々見受けられるわけであります。 したがいまして、これからも国は大きくこれらにかかわりをお持ちになるわけでありますから、まあ指導という言葉がきつければ、助言という立場で、切実に日々の生活をその中で余儀なくされておる皆さんの意見を吸収するといいますか、より広範な村民の要望を実現するといいますか、そういった中での意見吸収の場を広めていただくように助言をお願いをしたいと思っております。 次に移らせていただきます。 飛鳥文化遺産を存続するには、先ほども言っておりますように、一にも二にも明日香村民の協力が必要です。昭和五十四年七月の答申にもこのことが明記をされております。いま一度紹介してみたいと思いますが、「今日まで明日香村の歴史的風土がおおむね良好な状態で保存されてきたのは」「多年にわたる明日香村及び村民の理解と協力によるところが大きいといわなければならない。」「しかしながら、一方、これがため現在明日香村においては、村の区域の約九〇%にわたり広く各種の土地利用の規制が加えられており、大阪−市域までわずか三十分余りという地理的条件によって潜在的な開発のポテンシャルが高いにもかかわらず、周辺の市町村に比較して、村の発展の阻害、経済活動の停滞、地価の著しい格差、村財政の脆弱さによる行政サービスの低下等をもたらし、ひいては住民生活の向上発展を阻害することになっている。このため、村民は将来に向って不安を抱くに至っており、このまま放置すれば、これまでのように村民がすすんで歴史的風土保存のため協力することを期待することは困難となりつつある。」と分析し、過日参考人として出席された明日香村の村長の証言にもありました。近隣市町村の平均年所得は百九十万円に及んでおる、明日香村は百六十万の収入で現状でもすでに三十万円余の格差が生じており、新法施行後はこの格差は拡大されると大変悲痛な報告がされておるのであります。第一種、第二種保存地区の範囲及びその地区内の居住、生業等に対する規制については、これから行われるのでありましょうが、慎重に対処していただきたいと同時に、これら所得減少に対する損失補償といいますか、それらを行う方途を見出したいのでありますが、いかがか、お尋ねを申し上げたいと思います。
○升本政府委員 第一種保存地区内及び第二種保存地区内におきます住居、生業等に対する規制につきましては、先生の御指摘のとおり、居住者あるいは業を現に営んでおられる方々の活動に支障のないように、十分配慮しながら、必要な規制措置を講じてまいらなければならないということは、私ども当然に心に留意をして検討をさせていただかなければならないことと考えております。この検討に当たりましては、法律制度上、歴史的風土審議会の御意見を伺いながら、いろいろ検討を進めてまいりたいというふうに考えております。 それから、一般的に損失の補償につきましては、この保存地区内の規制によりまして、行為の許可が受けられないというような場合には、古都保存法の規定によりまして、通常生ずべき損失は補償し、またその不許可処分によりまして、土地の利用に著しい支障を生ずる場合には、同じく同法の規定によりまして、土地を買い入れるというような措置も講じさせていただいておりますので、この規制に伴う補償問題については、一応相応の補償措置がとられているというふうに御報告を申し上げられると思います。一般的ないまのおただしの、地価の上昇が妨げられるというような損失につきましては、これは今回御提案申し上げております法案の中の基金制度あるいは補助率の差額制度というようなものをもって村全体の利益に資するように、運用上も配慮をいたしてまいるべきことかというふうに考えている次第でございます。
○木間委員 損失補償については、いま予定されております国、県、合わせて三十億円の基金を財源にしたその利子といいますか、村長のお言葉で言いますと、果実で補償の道が開かれておるやに承ったわけでありますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○中嶋説明員 基金によります運用益の使途でございますが、この中で、住民個々に規制を受けることによりまして、いろんな形で制約を受けるわけでございますけれども、個々人に対する給付といったようなものは、事業の中によりますと、たとえば規制を受けることによりまして、建物を建てます場合に、意匠、形態等につきまして、工事費が増高するという分について助成するような場合は、これは建築主である個人に助成金額を付されるといったようなことはあり得るわけでございますが、一般的に、個人に対して補償するというようなことは予定いたしておりませんで、ただ、規制を受ける中におきまして、村民の方々がいろいろな形で生活をしていかれるわけでございますので、その生活をしていかれるに当たりまして、農業を中心とする生業が成り立つように、また、一般の村民の方々が日常生活をするに当たりましての身近な生活環境、道路の舗装でございますとかあるいは集排水路の整備でございますとか、そういったごく細かい生活施設を整備をするとかといったようなことによりまして、規制の中でも、村民が安心して生活できるような環境づくりをいたしたい、そういうものに基金の運用益でお手伝いをいたしたいというように考えております。
○木間委員 先ほどの建設省の御答弁と全く百八十度違ういまの答弁であったわけですが、私は要望申し上げておきたいと思います。 質問の前段で、昨年の答申案を引用さしていただきました。引用というよりも、そのものずばりここで再確認の意味で朗読をさせていただいたわけであります。また、先般の明日香村長の証言もここで再確認の意味で申し上げたのでありますが、明日香村の農家の皆さんの収入は、他地区との農家収入とすでに大きな格差を生じておる。今後ともそういったものはぬぐい切れないだろう、大変悲痛な叫びの中からの証言であったということを申し上げたのであります。したがいまして、これは一個人の問題というよりも、明日香村全体の問題だと私は申し上げたいと思います。 また、この次の質問にも申し上げるのでありますが、すでに今日まで明日香村長は、明日香村のこれからの形態は、観光村といいますか、そういったものではないのだ、今日までも、これからも農業立村でいくのだ、こういう村是を明確にされて村民の信任を得ておるところでもあります。ですから、この保存上から来るいろいろの規制、それから来る生活上の圧迫、一個人の問題として判断をするのは、この法の精神そのものの中に、第一条の目的から申し上げてきておりますが、どうも皆さんのお考えが、言っておいでのことと、やっておいでのこととの大きな隔たりが出ておると私は申し上げたいのであります。 そういった意味で、御要望申し上げておきますが、今後の運営の中で、十分に住民の御意見を吸収いただく、そういった中で住民の皆さんの納得のいくといいますか、これからも住民の皆さんが毎日遺跡と同居するわけでありますから、そういった皆さんの生活の安定といいますか、そういった意味での道が切り開いていかれなければならないと思いますが、ぜひそういったことの配慮についての御要望を重ねて申し上げておきたいと思うのであります。 次の質問に入らしていただきます。 明日香村整備十カ年計画と、その予定投資額を、年次的に示していただきたいと思います。
○中嶋説明員 今回御審議いただいております明日香の特別立法、これの第四条によりますと、明日香村民の生活環境を整備するという意味におきまして、明日香村における歴史的風土の保存と住民の生活との調和を図るために総理大臣が基本方針を示しまして、それに基づいて奈良県知事がつくるわけでございますが、奈良県知事は、明日香村における生活環境及び産業基盤の整備等に関する計画を作成するということになってございます。それで、このつくりました計画につきまして、内閣総理大臣の承認を申請することができるということにいたしまして、内閣総理大臣の承認を受けますと、この計画を明日香村整備計画と呼ぶということにいたしております。 決めようといたしております内容は、四条の三項に列記されておりますが、明日香村におきまして村民の方々が日常生活するに当たりまして必要とされる各種の公共施設でございますとか、あるいは農業を主体とします産業にかかわりますところの整備計画でございますとか、そういったことが定められる予定でございます。 この計画につきましては、法律上は何年間の計画ということはございませんで、何年間にするかということはこれからの運用になるわけでございますけれども、この明日香村整備計画に基づきまして施行されます事業につきまして、次の第五条で、そのうちの特定のものにつきましては国が特別の助成をするということにいたしております。その特別の助成が昭和五十五年度から昭和六十四年度までの間において行われるということから、明日香村整備計画も応五十五年度から六十四年度までの十年間を作成の期間といたしまして作成されるのが適当なのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。ただ、事業の内容によりまして、十年間で切るよりは、もう少し短くしましたりあるいは多少長くした方が事業としてのまとまりがいいというような事業がございますれば、必ずしも十年ということで切らなくてもいいので、そこは多少短くなりましたりあるいは長くなったりする事業があってもよろしいかと思います、そういう計画でございます。 それで、この計画は奈良県知事が定めるわけでございますけれども、事柄の性格からいいまして、明日香村の意見をよく聞きまして、言うなれば明日香村の要望を素材として、奈良県知事がいろいろな状況を勘案して決めていくということになろうかと思います。それで、村の方では現在幾つかの腹案のようなものを持っておられるように承知いたしておりますが、その案をもとにいたしまして、奈良県の方で、周辺市町村におきます同種の事業の整備の見通しでございますとか、あるいは明日香村が実施します事業につきましては明日香村の財政状態の今後の見通しとの兼ね合いでございますとか、そういったことを種々勘案いたしまして現在素案を練っておられる、その案の原案と申しますか、そういったものを現在鋭意作業しておられるという状況でございます。 それで、本案を制定していただきまして、公布、施行されましたときは、できるだけ早い機会にこの計画を作成いたしまして、一般村民の方々にもお示しできるように、奈良県でも鋭意作業を急いでいるという状態でございます。したがいまして、現在のところ、事業の全体計画でございますとか、ましてその年次割り、年度別の計画といったところまではまだ確定されていない、まだ作業中という段階でございます。
○木間委員 この第四条は、基本方針の策定順序を書いておるわけでありますが、第四条は、内閣総理大臣は関係行政機関の長と協議をして基本方針を定めて知事に示す、こうなっておるのであります。ですから、いまの答弁では、明日香村が計画を練っておるとかなんとかかんとか言っておられますが、この法案ではそうなっていない。総理大臣がまず計画をお立てになる、こういうことになっておるのであります。また、この明日香村の指定はいま始まったことではなくて、すでに十年前から政府も本腰を入れて幾つかの事業もやり、今日まで推移をしてきておるわけでありますから、いまの御答弁に言われるように、これからなんだと、いうことは、私はどうも理解がいきません。確かに法文上は、この法律が発効いたしましてから手続としてはなされていくのが当然でありましょうけれども、どうもただいまの御答弁にもひっかかるわけであります。そういった面で、正直なところ、恐らく古都保存法を適用してきたこの十カ年の中で、明日香村のすみからすみまで、それこそ各分野にわたっての調査が終わっていると私は判断をしておりますから、大まかな目安でもあればお聞かせ願いたいと思うのです。 というのは、この法案を審議をするときに、明日香村の中には賛成の方もおいでになるでしょう。反対の方もおいでになるでしょう。また、近郷近在の住民の方々と同じように、これからも明日香村の個々人もその生活の向上を願っておるわけでありますから、全体計画が明らかにならなければ、この法案をどうながめていいのか。白紙委任をしなさいといういまの御答弁では、審議上、大変住民の皆さんに申しわけない、私はこう言わざるを得ないのであります。ですから、そういった目安などでもありましたら、ひとつお示しを願いたいと思いますが、もしここでできなければ、この法案の審議が完了するころまでにひとつ出していただきたいと思います。要望を申し上げておきたいと思います。 次の質問に入らせていただきます。 明日香村の保存については、先ほどからも言われておりますように、古都法の適用を全面的に行ってきておるのであります。その結果、建築物、特に住居やそれに類するデザイン、色彩の規制が行われてきました。私は、飛鳥保存は、他の古都保存の例とは違って、地下埋蔵物が中心ではないだろうか、このように思っております。今日までの古都法の適用は、京都、奈良、鎌倉などで、その大半は地上建築物が中心だったと思います。たとえば、明日香村の周囲の山や川は、確かに千三、四百年以前の飛鳥時代からのものだったでしょうが、しかし今日見られる明日香村の風景は、後世つくられてきたものではないでしょうか。なぜ明日香の場合に建造物のデザインや色彩の規制が歴史的保存につながるのか、お尋ねをしたいのであります。
○升本政府委員 この法案におきまして保存しようといたしております歴史的風土は、先ほど冒頭に総務長官からお答えがございましたように、明日香村における歴史的、文化的遺産がその周囲の環境と一体をなして、わが国の律令国家体制が初めて形成された時代における政治、文化の中心地であったことをしのばせる土地の状況であるというふうに考えております。したがいまして、この土地の状況でございます歴史的風土を保全いたしますためには、やはり周囲の環境を保全するという観点から、建築等についても規制をする必要があるというのが、私どもの規制に当たりましての基本的な考え方でございまして、この考え方に従いまして、この区域内の土地に建築される建築物等のデザイン、色彩についても何らかの規制が必要ではないかというふうに考えております。この場合、おただしのように、確かにいま予定されあるいは検討の過程にありますような色彩、デザインが直ちにその時代における色彩、デザインを模するものであるかどうかということについてはいろいろな御議論があるところと思いますけれども、当初、冒頭に申し上げましたそういった土地の状況、歴史的風土を保存するという考え方から何らかの、少なくとも現時代の全く放任されたようなデザイン、色彩というようなこととは違った角度からの、いわばこういった歴史的風土のイメージを妨げることのないような程度の規制措置ということは必要ではなかろうかというふうに私ども考えている次第でございます。この点につきましては、先ほど来先生からお話が出ております昨年の歴史的風土審議会の答申におきましても同様な観点から同じような御意見が示されておるわけでございます。 現在、建築物のデザイン、色彩について考えております規制はもっぱら外側からの、外面の規制という範囲にとどまっておるわけでございまして、建築物の内部についても規制するという意思はございませんので、住民の方々にそういう面から御不便をかけるということはないものというふうに考えております。
○木間委員 歴史的イメージを壊さないようにと、いうことのようでありますし、また昨年の答申にもあった、この点だけを強調されても答申は生きてこないと私は思いますが、それはそれといたしましても、飛鳥郷にカラートタンの屋根や近代的なデザインの住宅があるのは歴史的風土上よくない、あるいは景観上情緒を損なうということではないかと思うのです。そうしますと千三百年前、千四百年前は、私もそのときいなかったのですからわかりませんけれども、いまの建物、建造物すべてが全く異質なものであったんじゃなかろうかと思っておるのです。 つまり、電柱もなかったでしょうし、また道路も曲がりくねっておったと思いますし、また自動車の通行はもちろん、往来する私たちの服飾だってそうだったでありましょうし。というのは、私は、私自身よくわからないのですけれども、そういった規制が、違った中でのやり方がどうも強いられているような気がしてならぬわけであります。確かに町並み保存などというのは明らかに明確になるわけでありますけれども。ですから私は、たとえば石舞台古墳のような石室を原形のまま保存しよう、こういうことであればよくわかるのですよ。しかし町並みを守ろうという古都法本来のやつを全面適用して、どうも村民の方々に必要以上の規制を加えて不要な負担増だとかあるいは犠牲を与えておるところに今日の飛鳥保存の実態があるように見受けられるわけです。 もっとも、村全体がこれから観光でやっていこう、こういったことで割り切って生計を立てていくという方向であれば、私は、情緒的な景観をつくり出していくというのもむしろ賛成するものでありますが、しかし、村長も、これからも営農作業を続けていくんだ、農業立村でやっていくんだ、こういうことをおっしゃっておいでになるわけです。同じ農業でも観光農業ということになれば以前のようなすきやくわでやるということにもなっていくでしょう。だから、どうも飛鳥保存の場合は他の保存実態とは異なっていいんじゃなかろうか、私はこのように思われてならないわけです。 大臣、飛鳥の遺跡の保存というのは景観とは違うと私は思うのです。そういった意味で今後の保存計画の中にもっともっと住民の皆さんの意見を取り入れていく、弾力的にこれらの規制措置についてもやっていく、こういう御決意をひとつお示し願いたいと思うのですけれども、あるいは今日の規制をそういった意味で皆さんの意見を取り上げて前向きでやっていくんだということをお聞かせ願いたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
○小渕国務大臣 委員の御指摘されておるお気持ちも理解するところでありますが、私は、遺跡、遺構のみがあの地域で保存されるべきものだという考え方に立たないのです。まれに見るあの風致景観というものがそれこそ歴史的な重みを持って今後とも残されていくべきだという立場に立ってこの法律を提案しておるわけでございまして、甘樫丘に立って北東を望めば橿原市、それこそマッチ箱のような林立した建物が広がりを持つ、一方南東を望めば田園風景がそこに存しておるということでありまして、そこにおける建物その他が万葉の時代そのものであると私も存じませんけれども、しかし、それぞれの建物に若干の規制を加えながら、現状をある程度固定しながらそのままの姿で保存できることを多くの国民は望んでおると私は理解をしておるわけでございます。 しかし一方、現代に住まいする明日香民の生存をいかに確保するかというこのテーマも大きな課題でございまして、したがってそのことについては村当局も、過去も大変な御努力を積み重ねてまいりましたけれども、今日この法律で示すように基金等を基とし、また全国民的な規模での理解と協力を得ながら、同時にまた、村民の皆さんの英知によってみずからの生計をつくり上げていくということであろうというふうに私どもは考えておるわけでございます。 前回も申し上げましたが、そのままの風致景観ということになりますと、どうしても次産業に頼らざるを得ないということでございますので、今後その農業の形態等につきましてもいろいろ工夫の余地があり、また国、県としても手を差し伸べなければならぬ多くの点があろうかと思いますが、しかし村民の皆さんの賢明な御判断によりまして種々現代に生きていく考え方をつくり上げていただけるんではないかというふうに考えておるわけでございます。 観光農業というようなお話もありましたが、いわゆる観光農業というような言葉が、農業を離れて農村魂を失ってお金もうけに走るというような印象がややありますのでちょっと世間的にはよろしくありませんけれども、しかし日本全国の方々があの地に訪れて文化豊かな風土というものを十分味わいながら、また村民の皆さんの生活のためにも資するということでありますればこれは決して否定されるべきものではないというふうに私は考えるわけでございまして、委員の御指摘も理解しないところではありませんけれども、私どもの法律を提案した意思というものはその辺にありますことをぜひ御理解をいただきたいと存じます。
○木間委員 要望を申し上げて終わりたいと思いますが、全国民が期待をしておるからといって、明日香村の村民の皆さんのこれからも発展を遂げたいという気持ちを逆なでをしてはいけないと思うのです。全国民が期待をしておればしておるだけ、国民の皆さんは明日香村の皆さんにこれからも良好な形で保存にがんばってもらいたい、そのためには国も国民も明日香村民のこれからの生業が成り立つようにお互いに協力し合おうという気持ちがよりほとばしってくると私は思うものであります。ですから、先ほどから約一時間私の考えを申し上げ、皆さんの考えもお聞きしたわけでありますが、そういった中に流れてくる国民的なほとばしりといいますか、明日香村民の皆さんは他地区の皆さんと同じように、これからも伝来の農業をやっていこう、そして生活の維持向上、発展を遂げていこう、こういうことを願っておいでだし、また飛鳥文化を保存したいという国民の皆さんの気持ちもそこに帰結をするだろうと私は考えております。ですから、そういった意味で、これからの運用につきましても、ぜひ意のあるところをおくみいただきまして万全を期していただくことを重ねて皆さんに御要望申し上げまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。 どうも御苦労さまでした。
○北側委員長 竹内猛君。
○竹内(猛)委員 四月二日に私は明日香の法案について一定の質疑をいたしましたが、なお多くの問題が残っております。この問題について一つ一つただしながら進みたいと思いますが、まず最初に、社会党としては過般の理事会に本法案に関する幾つかの問題点を指摘をして、修正あるいは要望を出しておりますが、その中で第一条の「国を愛する心の涵養(かんよう)」という問題に関しては、何としてもこれを削除してほしい、こういう要求をいたしました。理事会においては一定のお話がございますが、長官としてはこれに対してどのようなお考えか、まずお伺いいたします。
○小渕国務大臣 お答えいたします。 政府といたしましては、種々検討をいたしました結果、本法案を御審議を賜っておる次第でございますので、御指摘ではございまするけれども、削除する意思はないわけであります。 前回も申し上げましたが、この法案は、私どもといたしまするとまさに京都大学の上田教授の言ではありませんけれども、六世紀、七世紀、八世紀、この飛鳥時代というものは、日本の国号というものが対外的に認められた時代、いわば日本というもののまず第一歩である。その昔は倭という国号でありましたのが、この時代、日本となった。また律令国家発祥の地である。あるいは仏教文化が結実した文化日本としての原点でもありますし、万葉一、二期と言われる、万葉のふるさとと言われる時代でありまして、そういう意味合いにおいて私どもとしてはこの時代が——日本の起源についてはいろいろのお考えがあろうかと思いますけれども、歴史的にはここをもって一つの大きな花開いた時代だということを考えますと、この法律は後段で明日香村の村民に対する対策をうたっておりますが、同時にその前提といたしましては、この地区が歴史的風土として大きな役割りを果たしておる。多くの方々がその保存を心がけるという日本人の心はすなわち日本を思う気持ちであるし、日本を愛する気持ちである、こういう考え方なのであります。 古都保存法で実は国土愛をうたっての目的意識をもって法律が制定されておりまして、御案内のようにこの法律は古都保存法を根っこにしてでき上がった法律でございます。これも前回私申し上げましたが、私が一議員としてこの問題に関心を寄せておった時代から考えますと、いわば明日香村のための法律でありますが、同時に飛鳥地方、飛鳥時代を思い起こすための文化的立法の一つである、戦後、二十年、三十年時代には考えられなかった国民的コンセンサスが得られる意味での法律だ、こう考えておるわけでありまして、国土愛も一つの目的でありますが、同時に国土愛に出発した古都保存法に根っこを持っているとすれば、それから派生してきたこの法律がやや一般的、普遍的言葉として、「国土愛」から「国を愛する心」になっても差し支えないものではないか。しかもそのことはすなわち日本を愛する心というものが、前回も申し上げましたが、それ自体が実はこの法律の目的になっておるのでありませんで、そのことを十分配意し、すなわち念頭に置いて考えて以下のことを目的とする、こう書かれておるわけでありまして、古都保存法が国土愛そのものを目的としていることにかんがみますと、もっと素朴に、素直に、普遍的にお考えいただいてもよろしいのではないか、こういうことでこの法律を提出をいたしたわけでございます。 せっかくの委員の御指摘でありますが、私どもとしては最良のものとして心がけてはおりますが、まあしかし、今日こうして御審議をいただいておりますように、憲法四十一条の規定によりまして唯一の立法機関でございますので、諸先生方のお考えの存することも十分理解をするところではありますが、私どもとしては最良のものとして提出をいたしておりますので、願わくば本法案このままの姿でひとつぜひお通しいただくように心からお願いをいたす次第でございます。
○竹内(猛)委員 前段の方は、それは提出者の主張として理解はできるけれども、後の方の問題については国会審議にゆだねる、委員会にゆだねる、その結論に従うということでありますから、理事会でこの問題については一定の問題処理をしていきたい、こういうふうに思っておりますので、この点についてはいまの憲法四十一条、この線に沿ってひとつ取り扱いをするように、これは委員長の方にお願いしたい、こう思います。委員長、よろしく取り扱いを願います。 そこで次の質問でありますけれども、憲法の第九十五条に関連をする問題でありますが、住民投票に関する問題に関して先般林参考人並びに一円参考人の御意見をいただきました。いずれもそれぞれの御主張がございましたが、最終的には委員会で審議をしてそれにゆだねる、こういうことでございます。私ども社会党といたしましては、一円一億先生の御主張が正しいというふうに考えております。 そこで委員長にお願いしたいのは、この種の問題に関しては、いままで長崎あるいは広島の問題に関しても、困難な問題は議院運営委員会に手続をとって、そこで判断をしてもらうという筋がありました。その前に、法制局の長官等々の意見も聞いてここで一つの判断の基礎を固めていきたい、こういうふうに思っておりますので、この時間中に法制局長官に来てもらってこれについての見解を聞ける時間をとっていただくことをお願いしたいと思います。この点について、委員長、どうでしょう。
○北側委員長 この問題につきましては、できたら昼の休憩時間に理事の方に少し寄っていただいて検討したい、こう思いますので……。
○竹内(猛)委員 それじゃそのような方向で、九十五条に関する問題については、私どもも特に憲法の十三条の問題あるいは二十九条に関する問題等々いろいろの疑義の出ているところでありますから、その点を整理をして一つの方向を与えてもらうという意味においてぜひそのことを取り扱っていただきたいと思います。 そこで、次の質問になりますが、保存計画あるいは整備計画の策定に当たって国及び奈良県は明日香村の村民の意見というものをどういう形でくみ取るかという問題です。この点は先ほどもいろいろ質疑がありましたが、前のときにもそうですけれども、一種の規制、二種の規制というものが行われる、そういうときにその規制される側の意見を——規制する方の意見じゃなくて、規制される側の意見をどう聞くか、この点を明確にお答えをいただきたい。どういう方法で、どういう機関でやるか。
○中嶋説明員 明日香村の歴史的風土保存計画を定めるに当たりまして、保存計画は内閣総理大臣が定めるわけでございますが、あるいはまた奈良県知事が明日香村における生活環境と産業基盤の整備等に関する計画を定めるに当たりまして、それぞれ明日香村の意見を聞くということにいたしております。これらの計画は内閣総理大臣なりあるいは奈良県知事なりが定めるわけではございますけれども、明日香村の住民の生活に直接間接に非常にかかわりの深いものであるということから明日香村の住民の意向を反映しようということで、明日香村の意見を聞くということにいたしたわけでございます。 したがいまして、明日香村の意見に住民の意向が十分に反映されるということはもちろん望ましいことでございまして、ぜひ住民の意向を受けて明日香村が意見をお取りまとめいただきたいと考えておるわけでございます。ただ、明日香村が住民の意向をどのような形で把握をいたしまして、どのような形でこの意見に反映させるかというようなことにつきましては、明日香村が一つの自治能力を持ちました完全な地方公共団体でございますので、国の方でどういう手続、どういう方法によれということを一々決めまして、その手続によれと言うよりは、明日香村の自主的な判断にゆだねる方が適当であろうというふうに考えております。 明日香村には村議会もございますし、また、私ども聞いておりますところでは村議会とは別に大字というのが三十七ございまして、これは言うならば都市で言うところの町内会のようなものだそうでございますが、その大字ごとに大字の総代、言うならば町内会長に当たるようなものでございますか、そういう方々がおられまして、その総代の方々で構成される総代会というものも、これはもちろん村の正式の機関ではございませんけれども、住民を代表する一つの会議として現実には存在しているということも聞いております。したがいまして、村議会に相談するあるいは大字の総代をお集めになりまして、そういう方々の意見を聞かれる、あるいは住民の代表を選ばれて住民の代表と懇談をし、その意見を吸収される。いろいろな方法があろうかと思いますが、どういう方法によるかは村の自主的な判断にゆだねまして、その判断によりお決めいただけば結構だと思います。いずれかの方法によりまして、何らかの形でその明日香村の意見というものに住民の意向が十分に反映するように御指示いただければよろしいんじゃないかというふうに考えております。 もともと明日香村というのは村民が七千人程度の小さな村でございますので、村民の意向というものが直接村政に反映されているものと私ども推測するわけでございますが、なお先生御指摘のように、こういう問題につきましては村民の意向を十分尊重することが大切だろうと思いますので、私どもも地方自治の精神に反しない限りにおきまして——地方公共団体でございますので余り国がとやかく口をさしはさむわけにはまいらぬかと思いますけれども、地方自治の本旨に反しない限りにおいて明日香村とよく意見の交換をしながら、そのように運んでまいりたいというふうに考えております。
○竹内(猛)委員 地方自治に反しないように住民の意見を聞くということはよくわかるけれども、この法律が成立をすれば、これは直ちに効力を発していくのでしょう。そうしますと、今日までのこの法律がなかった段階までの状況と、この法律が成立をしてから、村の中にどういう変化が起こりますか。かなり厳しい規制が起こるのではないか、こういうふうに思うけれども、この点についてはどうですか。
○升本政府委員 ただいまの御質問のお答えの前に、先ほどの御質問の中で第一種歴史的風土保存地区、第二種歴史的風土保存地区の決定の手続はどうかというおただしも含まれておったかと思いますので、そのことをちょっと付言させていただきます。 第一種、第二種歴史的風土保存地区は都市計画の地域地区の一つということで決めさせていただきますので、奈良県の知事が都市計画法に基づきます都市計画決定の手続によって決めるということにいたしております。都市計画決定の手続は先生よく御承知のとおりでございますけれども、知事が都市計画案をつくって明日香村の意見を聴取して、その案を一般の縦覧に供する、さらに知事から都市計画地方審議会へ付議をされる、建設大臣の認可を得て知事が都市計画として決定される、されたものは告示し縦覧に供される、こういう一連の手続でございまして、この縦覧の手続を主要なプロセスといたしまして、その間に住民の方々の直接的な意見も十分伺えるような形で手続を進めさせていただくことになります。 それから、ただいまの御質問でございますけれども、このような手続によって定められました第一種、第二種の歴史的風土保存地区内の規制がかなり現実と変わってくるのではないかというおただしかと存じますが、第一種保存地区におきましては、現在の古都法に基づきます特別保存地区と地域的範囲もほぼ一致いたしておりますし、また規制の内容もほぼ同じというふうにお考えいただいて結構かと思います。ただこの場合に、現在の特別保存地区として古都法による直接的規制のほかに行政指導をもちまして御協力をいただいている点がございます。たとえばビニールハウス等の設置につきましての規制等に御協力をいただいている面がございますが、その現実の行政措置によって御協力をいただいておる面の一部については、この際この第一種の歴史的風土保存地区内の規制の内容として取り込ませていただきます。しかしながら現実態の規制とは隔たりのあるものにはならないというふうに申し上げられると思います。 それから、第二種の保存地区でございますが、この地区につきましては、現在並行的に風致地区の規制——一種、二種、三種とございますけれども——が課せられておりまして、規制の内容、度合いは、この二種風致地区の規制の度合いとほぼ並行的な度合いで決めさせていただくというふうに考えておりまして、特に歴史的風土との調和を妨げるものでない限りにおいては、その建築行為等が許可されないということにはならないというめどで制限を考えさせていただきたいというふうに考えております。 なお、建築物の意匠、形態につきましては、一種地区、二種地区を通じまして、先ほど来御議論ございましたところでございますけれども、勾配屋根にするとかあるいは黒色の日本がわらにするとかというようなたぐいの最小限の外観の規制を存置したいというふうに考えている次第でございます。 おおむね以上でございます。
○竹内(猛)委員 そこまで住民の意思を丁寧に聞くというならば、この法律の中に、住民のある機関と十分に協議をして物を決めていくという項目を加えてもいいじゃないですか。それはどうですか。これは意見を聞いてというふうにさっと言っているけれども、住民の機関と協議をするというようにやったらいいんじゃないですか。
○升本政府委員 先ほど御説明申し上げました都市計画の決定手続という過程におきまして、案そのものが縦覧という形で公開されるわけでございまして、二週間の期間は自由にその案について御理解をいただき、御意見をいただくという手続になっておりますので、個々の御意見はそういう形で十分反映させていただけるものというふうに考えております。 なお、集合的な村の御意見というようなことになりますと、先ほど審議官からの御答弁がございましたけれども、村の現状、存立の実態というところからかんがみましても、村御当局を中心に御意見をおまとめいただくことは十分可能であろうと思いますし、また都市計画の決定に当たりまして、先ほど申し上げました法定手続に入ります前段階には、当然県当局と村当局との間に下打ち合わせが何回となく繰り返されるわけでございまして、その過程において、実質的に村で集約された御意見は反映させていただけるものというふうに考えております。
○竹内(猛)委員 この点は、なお住民投票との関係の問題も前からるるやってきたことでありますし、後日の段階でその点についても触れたいと思いますから、そこは省略をして……。 そうするとこの法律が通りますと、いままでと違った部分は、今度は許可制をとるのでしょう。認可と許可という形をとって、届け出から許可制に変わるということになる。それはそういうふうになるのでしょう。
○升本政府委員 さようでございます。
○竹内(猛)委員 ここが問題のところですね。たとえば家を建てる場合においても、その家の高さ、広さ、それから農業の場合にはビニールの大きさ、あるいは水田の場合においては地下を掘ることが許されない。したがって、土地改良はそのままということになるし、それから商店街の場合には、看板も出すことは困難になる。つまり外部に対する広告、掲示、こういうものが困難になるだろうということで、規制がかなり厳しいということになりませんか。
○升本政府委員 個々具体の規制のあり方につきましては、政令をもって決めさせていただくことになります。その政令は、決めさしていただく前提といたしまして、歴史的風土審議会の御意見を十分拝聴しながらつくらせていただくという過程が今後の過程として残っておるわけでございますけれども、このような過程を通じて、委員、先生方を通じての各般の御意見を十分伺わせていただいて、検討させていただきたいと思っておりますが、現時点で私ども考えております規制の内容は、先ほど概括申し上げましたとおりでございますが、要約的に申し上げますと、建築物の建築にいたしましても、あるいは宅地造成等の行為にいたしましても、さらに土石類の採取等の土地をいじる行為におきましても、原則として周辺の歴史的風土に著しく不調和でないものについては許可をするというたてまえを前提として諸般の規制措置を考えさせていただきたいと思っておりますので、非常識な行為に近いような極端なことで周辺と不調和なことになるというようなことを抑えることを目途としているというふうに御理解をいただきたいと思います。
○竹内(猛)委員 歴風審の議を経てということになるけれども、先ほどもわが党の木間委員からも質問があったように、歴風審のメンバーの中にあるいは明日香部会というようなものをつくって、その中で地元の代表も加えてほしい。これは他の党からもそういう意見がありますが、地元の委員が入って、地元の要求というものを出していくということは当然なことだと思うけれども、これについてはどうですか。
○升本政府委員 歴風審の委員には奈良県知事と、また同時に明日香村長にお入りをいただいております。したがいまして、先ほど来御説明申し上げましたように、団体としての県、村の御意見は十分に反映させていただけるものと考えております。 ただいまおただしのように、具体の個々の住民の意見等の吸い上げについてもうひとついろいろ配慮されるべきではないかという御意見かと存じますけれども、歴風審の委員構成の中には専門委員というような構成もございます。現に各般の方々に専門委員にお入りいただいております。そのような制度を活用いたしまして、しかるべき方にお入りいただき御意見をいただくということは今後の運営として十分考えられるところというふうに考えております。
○竹内(猛)委員 現在、特別規制を受けているところの明日香村の中の四つの大字、飛鳥、川原、岡、奥山の四つの大字は、明日香村全体の世帯の千六百四十七世帯のうち、三十七の大字がありますが、その四つで世帯数は四百七十三、約三〇%以上を占めており、それが特別規制地区になっている。ここでたとえば分家や家の建てかえをする場合に、いままででさえ届け出をしてから二年かかった、これからはどうなのか。なぜこんなに時間がかかっていたのか。これからはさらに時間がかかるであろう。建築基準法などによると、届け出をしてから三カ月以内には何らかの答えを出さなければならないと言われているのに、どうしてこんなに時間がかかるか。その点はどうなりますか。
○升本政府委員 許可申請の手続の簡素化、迅速化を図らなければならないことは私ども十分留意をいたしておるつもりでございますけれども、御指摘のような実態があるとすれば、さらに迅速化について十分趣旨の徹底が図られるように私どもの関係の行政については十分留意をさせたいと思っております。 なお、この手続関係につきましては、現在でも歴史的風土特別保存地区の規制についての申請と、それから、先ほど申し上げました条例をもって規制されております風致地区の規制とが重複しているような場合におきましての申請の方法におきましては、この申請書を統一いたしまして同一窓口で同時的に受け付け処理をさせていただくというように現在もやっておるところでございまして、第二種に許可制度がしかれることになりましても、今後とも同様な措置を講じながら御不便のないように配慮をいたしてまいりたいと考えております。
○竹内(猛)委員 やはりいろいろな意味の規制の方だけをあれやこれや重ね合って重層的な規制が来ている。これはもっと単純化して、明日香村の役場の窓口等にこういう建築の問題などを取り扱うところをつくって、建築の申請あるいはその他の手続等については村がむしろ責任を持って取り上げてやるべきだ、こういう指導をやるべきだと思う、この点について指導をしてもらいたいと思うけれども、これはどうですか。
○升本政府委員 建築の申請につきましては、現に村当局の企画課を窓口として取り扱わせていただいておりますし、これからの新しい規制措置の徹底につきましても、そのような窓口を通じて十分趣旨徹底が図られるように私どもとしても努力をいたしてまいりたいと思います。
○竹内(猛)委員 関連する地域、いわゆる規制のない地域においてはスムーズに物事が運んでいるのに、規制のためにこういうおくれがあり、そのために資材が値上がりする、手間暇がかかるということでありますから、これは当然この規制による損失という形になる。これの損失は個人の損失であります。家を建てようという者あるいは一定の時期が来て家が壊れた、建てかえをしなければならない、これも個人だ、こういう場合の取り扱いについては後で触れますが、ひとつ考慮をしてもらいたいということであります。 それから、今度は土地の売買の問題であります。 土地の売買の問題については二つあるだろうと思うのです。一つは自分の土地を他の者に売る。それからもう一つは、文化財を発掘するために土地の売買が行われる。こういう場合におけるところの価格の決め方についてはどういう基準で価格を決めるか。これは二つ違うと思うのです。目的によって違う。前の方の問題は一般に売買する、後の方は文化財を発掘をする目的のためにその土地が売買をされる、そういう価格の決め方はどういうふうになるか。
○升本政府委員 古都保存法に基づきます規制区域内で許可が得られなかったことを前提といたします土地の買い入れの場合の価格の決定法でございますが、これは法律の規定では時価を基準とするということにいたしておりまして、具体的には政令の規定をもちまして不動産鑑定士等の公正な鑑定評価を経まして、近傍類地の正常な取引価格等を考慮して、一般的には宅地見込み地として算定した相当な価格により買い入れを行うということにいたしておりまして、これからもこの趣旨に沿って実施してまいりたいというふうに考えております。
○竹内(猛)委員 これは文化庁の場合でも同様ですね。
○山中説明員 史跡などで整備をするために地方公共団体が国から補助を受けて公有化するという場合がございます。その場合に買い上げます土地の価格については、その史跡の外にあります近傍の土地の取引価格などを参考にいたしまして、不動産鑑定士が評価する適正な土地鑑定価格による、こういうことにいたしております。
○竹内(猛)委員 これは現地の話ですが、明日香の土地と隣の橿原の土地との関係では四対一というように四分の一になっているということですが、その点についてはどうですか。そういうふうになっているというふうに当事者は考えておりますか。そうではないということですか、どっちですか。
○升本政府委員 現地の村の状況、現実の地価の状況につきまして私ども把握できる立場にございませんので、現時点でいたしておりませんけれども、私、いろいろ御意見、御議論を伺っている過程において考えさせていただきますと、あるいは若干はその村域と他地域との間で地価の差もあり得ることかという感じはいたします。
○竹内(猛)委員 これは完全にあるんですね。明日香が五万円のとき橿原が二十万円である。これはついこの間の話なんです。一緒に行った人たちはお聞きになったと思います。こういうように規制されたところは大変犠牲になっているということも、先ほども言った手続と同じように損失のうちの一つだ。 そこで、次の問題は、土地の売買において税法上の特例を認めてきたということが言われておるけれども、これは認めておるのですか、税金上の問題については。
○升本政府委員 特別保存地区内の土地の買い取りにつきましては、租税特別措置法によりまして二千万円の特別控除が現在でも適用されておるわけでございます。今回の法改正に当たりまして同様な措置をとるように講ぜられ、措置されております。
○竹内(猛)委員 これは当然のこととしてともかく地価を安く切り下げられ、その上に税金を取られたんではかなわない、もっと特別措置をとるべきではないか、こういうふうに私は思いますから、さらにこれは考慮すべきだ。 次に、文化庁にお尋ねしますが、発掘については文化庁関係の予算というものはどうなっていて、人員はどういうような配置をしているのかということについてまずお尋ねをします。
○山中説明員 発掘の体制について申し上げますと、直接こういう発掘事業に当たりますのは、県なり市町村なりの考古の専門職員でございます。これを養成いたしますために現在国立の奈良の文化財研究所におきまして研修コースを設けてその充実を図っておりますが、現在までに各県、市町村に置かれました専門職員は約千七百名でございます。その財源措置につきましては、自治省の協力を得まして地方交付税による財源措置という形で充実に努めてまいりまして、昨年も、またことしもそれぞれ一名ずつの増員が認められるという状況で着々と充実されておりますので、今後もその体制について努めてまいりたいと思います。 なお、明日香村の関係で申しますと、国立の奈良文化財研究所のスタッフが全面的に協力いたしておりますので、その分だけ特に飛鳥地区については体制としては力が入れられているかと考えております。なお予算的には、調査を行いますその事業の、公共事業でございますと公共事業の主体、それから民間の会社などでございますと民間の方々がそれぞれ調査の経費を負担するわけでございますが、個人の住宅建築等そういう方々に負担させたのでは問題であるというものにつきましては、地方公共団体がその負担において調査いたします。これにつきまして国は全額補助するということでございますが、その補助金総額は、今予算で申し上げますと十五億でございます。
○竹内(猛)委員 全国に三千三百の市町村がある。そういう中で千七百三名こういう文化財関係の専門家がいる。一町村に一名という形にはなっていない状態ですね。奈良の関係では二十五名と言われます。そこで大変発掘がおくれる、あるいは下調べがおくれる。このことが建築許可がおくれる根本になっている。その地域に埋蔵物があるのかないのかということがわからないためにおくれているという、これが大きな理由である。もう一つは価格の問題で折り合いのつかない場合もあるでしょう。ですから、これは予算の問題に関係をするから、これからも強く要求をしなければなりませんが、私どもの考えでは、いま公民館の建設運動というものがやや全国的に終了したように感じます。その後図書館をつくろうという運動に入ってきている。各県、市町村が郷土史を研究して、郷土の村史等々をつくっているところが非常に多い。そこで、古い自分の郷里の歴史をいろいろと尋ねる。そこに考古学が必要となってくるところが多い。そこで、最近の新聞を見てもたくさんそういうことが出ておりますが、これらに対するいわゆる指導者あるいは発掘者等をつくるためには、どうしても定の数が必要じゃないかと思うのですね。そういう点で、文化庁の方でも鋭意これについては努力をしていくということでひとつがんばってもらいたいと思います。 特に明日香を中心としては、これは奈良県の仕事でもあるし、国の仕事でもあるが、奈良文化財研究所あるいは橿原考古学研究所等々ができております。あるいはその他センターもあるようですが、これらを総合してもう少し大がかりなそういうものを、文化的遺跡というものを背景にしてつくっていく必要があるのではないか、こういうふうに考えます。この点についてはそう急なことではないけれども、一つの提案として、私はぜひこの機会にもっと考古学、つまり、埋蔵物をもう少し早く掘って、たとえば農民に対しても、いつまでもこの下には何かあるということで土地改良をおくらせたり、家を建ててもいいところに家が建てられないようなことのないようにするためには、予算上ももっとがんばっていく必要がある。この点については責任者である総務長官にこの点についての感想と努力をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○小渕国務大臣 全くお説に賛成するところでございます。 ただ、私の方は埋まっておる埋蔵文化財の保護を直接担当いたしておりませんので、これは文部省の方が直接の予算要求する官庁かと存じますけれども、私もこの飛鳥の問題の取り扱いをさしていただくことにかんがみまして、今後とも文化財を保護するために、人員その他いろいろの必要なものは、当然文化国として必要だと思いますので、私みずからも努力をさしていただきたいと思います。
○竹内(猛)委員 これも文化庁の方にお尋ねをしますが、発掘の目的に二つのものがあると思います。その一つは、文字どおり学術的に文化財を発掘をしてこれを保存をしていくということと、もう一つは、そうではなくて開発の必要からやむを得ずに掘る。これは住宅建設、道路あるいは産業関係、こういうのがあると思いますが、今日どれくらいの埋蔵物を発掘をして、どういうような保存の形をとっておるのか。これについては文化庁どうですか。
○山中説明員 いま御指摘のございました調査の動機として、学術調査の場合と工事等に伴う緊急な発掘調査の場合と、この二つがございます。学術調査の場合は、これはきわめて数が少のうございますが、工事等に伴います緊急に発掘調査を必要とするケースは全国で、昭和五十三年度現在の実績で申し上げますと、約七千件でございます。その七千件のうち大体三二%近くが住宅建設に伴うものでございます。それ以外の建物が約一〇%、それから水道、ガス、電話線、こういった敷設工事のための地下埋設その他の工事のためが約一九%、それから道路建設が九%、大体こういった形になっております。それぞれの件数は、住宅その他が個人の場合がいろいろございますので数が多うございますし、水道、ガス等非常に小さなものの届け出がございますので、件数からするとその数はたくさんございますが、今度費用別に見ますと、一番大がかりな調査を必要といたしますのがやはり道路でございまして、これが金額的に見ると、総額的には三三%を占めておりますし、それからまた住宅が一四%、工場などが一二%、大体こういったところが大きな工事発掘の状況でございます。
○竹内(猛)委員 その七千件の文化財というものは、掘ったのはそれはどういうふうに扱っていますか。
○山中説明員 届け出がございましたものが七千件でございまして、七千件のうち県の専門職員の立ち会いのもとにやっていただければまず大丈夫であろうということで工事を進めておりますのが、大体六〇%ぐらいであろうと思います。ここにおいては、後世に残すべきものというものはほとんど出てまいりません。発掘調査いたしましたのは大体三分の一ぐらいになろうかと思っております。 そのうち後世に残す重要な遺構が出てくるというものについては史跡に指定していくという形で保存してまいりますが、史跡に指定してまいる数は大体年々二十件から四十件ぐらいの間で、その年によって変化がございますが、大体そういったぐらいの数でございます。また、こういう遺構そのものの保存ということを離れまして、出土遺物の保存ということが今度は大事になってまいります。出土遺物につきましては、これは全部分類整理いたしまして、化学処理を行って、接合したり復元したりして、そして報告書をつくりまして全部集めております。その出土遺物のうち特に学術上、芸術上きわめて重要なものにつきましては国が直接保有することにいたしまして、そういうもの以外は原則として地方公共団体が保有するという形にいたしております。 地方公共団体では、それぞれ博物館とか歴史民族資料館あるいは公民館、こういったところで広く展示いたしまして活用するというようなことをいたしております。
○竹内(猛)委員 去る三月三日の毎日新聞大阪版では「「朱雀大路」復元へ一歩」という大見出しで次のような記事を掲載しております。 奈良時代の都、平城京のメーンストリート、朱雀大路を復元するため建設、農林水産両省、文化、国土両庁、総理府と奈良県、奈良市は四月早々にも「朱雀大路復元懇談会」(仮称)を組織、十年越しの計画実現への第一歩を踏み出す。三日、発表された奈良市の新年度予算案に、懇談会運営費と基本計画策定調査費が計上されたもので、延長三・七キロ、幅九十メートルの都大路が現代によみがえる日も近い。 こう書いてありますね。このための予算が三百四十二億とあるが、事実はどうなっているのか。 〔委員長退席、渡辺(武)委員長代理着席〕
○山中説明員 奈良市の平城宮跡につきましてはいま国の方で直接整備をいたしておりますが、その平城宮跡の外にいわば大通りとして朱雀大路というようなのがかつてあったわけでございます。その朱雀大路の整備は、いま国の直接整備の中から外れておりまして、まだ史跡にも指定されておりませんが、この中で国の史跡として指定することができる、あるいは買収可能であるという余地があるならば、私どもは検討してまいりましょうということを奈良の市長さんに申し上げております。奈良市長といたしましては、そこの点非常に情熱を燃やしておられまして、少なくとも可能な面だけでもそういう方向で進みたいというようなことで前々から努力しておられますので、恐らくその記事になったものと推察いたします。 ただこの問題につきましては、朱雀大路という形でちょうどメーンストリートみたいな形になろうかと思います。そうすると、ただ史跡として保存するというだけで済まなくて、道路が交差する問題をどうするか、あるいはそれをどう活用していくかという研究が進みませんと、史跡として買収することができるかどうかという問題がその前提にあるわけでございますので、いま奈良市において関係の各方面の協力を得ながら研究を進めているものと思います。私どももそういう点につきましては専門的な立場から、御要請があれば幾らでも技術的な意見を申し上げ、御指導申し上げたいと思っております。
○竹内(猛)委員 きょうはこの議論をする時間ではありませんが、ここに「平城遺跡博物館基本構想資料 一九七七年 文化庁」こう出ていますね。この資料をひとつ後で届けてもらいたいが、いずれにしてもこういうものがいま飛鳥の保存に関連をして、後でこれはまた私は問題を出しますけれども、三十億の基金によって二億一千万ぐらいの果実によって多くの規制されたものを運営していく中で、いろいろ問題が出ているときに、一方においては四百二十何億というような金であたかも奈良市の真ん中にもう一つ大きなものができるというような印象を与えて大宣伝をされるということは、これは非常にどういうことかと思うのですね。だからこれは宣伝なのか実行性があるのかどうなのか、この点をもう一度確かめたい。
○山中説明員 奈良市長さんの強い御希望として前々から承っております。そのうちどの部分が現実に可能かという問題につきまして詳細まだ私どもも具体的な計画を承っておりませんので、ちょっといまの場ではお答え申し上げにくいわけでございます。
○竹内(猛)委員 ここで農業との関係についてお尋ねをしたいと思いますが、前回も農林水産省から答えがあったわけだけれども、私はこの答えをだめだと言って突っ返したわけだ。きょうはちょっと時間があるから、もう少し親切な答えをしてもらわなければ困る。 飛鳥の問題が登場して以来、少なくとも心ある新聞の論説の中では明日香においての今後の文化財を保護していくということと、それを守ってきた明日香の村の人々、これは農業経営をした方々、それから町に働いている勤労者の皆さん、こういう方々が守ってきたわけでありますから、特に農業の未来像というものをもっとしっかり考えろということはあらゆる新聞が、あるいは世論が確かめているところなんです。それをひとり明日香の村長に任せて、法律が通れば村で何とかする、こういうことでは余りにも不親切だということで、まず明日香村に対する農林水産省のあれ以降の考え方が変わったかどうか、ひとつ答えてもらいたい。
○川村説明員 明日香村における農業振興につきましては、前回も御答弁申し上げましたとおり、明日香村の歴史的風土を保存する上で農業が果たす重要な役割りがございますし、また今後明日香村における民生安定の上で農業振興ということが非常に大事な課題である、そういう基本的観点から、農林水産省といたしましては明日香村の農業振興のために今後積極的な支援あるいは助言等をしてまいるつもりでございます。特にそういう観点から、今回この明日香法案におきましても大都市圏の財政特例法にない農業の基盤整備さらには農村環境の整備につきましての特別の助成も明日香村の特性にかんがみまして織り込んでございますし、また農業振興についてのいろいろな事業の採択、実施につきましても優先的に配慮してまいるつもりでございます。 明日香村の農業振興のやや具体的な方向ということでございますけれども、これは従来からも奈良県及び明日香村のいろいろなお考え方を伺いながら農林省としても検討してまいっておりますが、本法案に基づきます明日香村整備の基本方針、さらには整備計画をつくる過程におきまして、十分われわれも県あるいは村のお考えも伺いながら煮詰めてまいるつもりでございます。 その際、特に農業の振興といいましても明日香村の場合に第一種地区の場合、第二種地区の場合、大分性格が違ってまいります。第一種地区の場合には現状を維持するということが農業振興の点からも歴史的風土の保存上大事な要因になってございますので、やはり稲作を中心にしながら、そこで農業としての生産性の向上あるいはコストダウンを図るための対策というものを講じていくということが中心になろうかと思います。 第二種地区におきましては、山間部等の特殊な地帯とそれから一般の畑地あるいは果樹地帯がございますが、果樹あるいは野菜につきましてそれぞれいろいろな問題がございますけれども、やはりその地区の特性に応じて、その特徴を生かしながら都市近郊農業として成り立つあり方ということを十分考えてまいりたい。その意味におきまして農業振興というのは地域としての基本的な考え方、農家を中心にした住民の方々のお考えというものを尊重していくということがあくまで基本でございますが、しかし農林省といたしましてもできる限り専門的な立場からいろいろ御助言を差し上げるということも大事な課題でございますので、今後整備の基本方針あるいは整備計画をつくるに際しましては本省あるいは農政局を通じまして現地にお伺いをして、十分適切な御指導、御助言は申し上げるつもりでございます。 〔渡辺(武)委員長代理退席、委員長着席〕
○竹内(猛)委員 前回も質問したわけですが、四十六年十二月十五日に県の企画部長と明日香の村長との間に覚書が交わされた。その中に特別保存地区内の農業振興対策、それから特別保存地区の米作の減反は行わないものとする、こういうことがありましたが、このことついて知っているかどうか。
○川村説明員 ただいま御指摘の覚書につきまして、結ばれる時点ではもちろん農林省も承知しておりませんでしたが、飛鳥問題がいろいろ起きまして以降、たとえば農振制度を適用するというような問題に関連いたしまして、県としてもこういう考え方で地元とのお話し合いもあり、農振制度を適用し、さらに農振計画をつくっていくというような観点で事業的にはわれわれも配慮をした経緯がございます。
○竹内(猛)委員 せっかく結ばれたこの計画、約束が今日まで実行されていなかったということは、これは明確なんですね。だからそのことも含めてこれからの明日香の村づくりについて一つの方向性を示してもらいたいと思います。 先日、明日香村長の愛水さんからお話がありましたが、昭和四十年のときには第一次産業が千五百五十六人あった。ところが、五十四年になりますと九百九十人と激減をした。逆に第三次産業が九百八十四人から千六百二十三人と、ちょうどこれは第一次産業が減った分、第三次産業、サービス業がふえてきた。その間に第二次産業が六百四十から八百五十六とこれも増加をしておるという状態であります。にもかかわらず耕地面積というものは、若干は減っておりますけれども人間が減るほど激減はしていない。こういう状態の中で、農業立村ということの姿が強く求められているわけなんです。保存すべき遺構というものを調和がとれるような形で守っていきたいということがありますが、まさにこの問題は先ほど川村課長から御説明があったように、ぜひ明日香村のこれからの方向というものに対してしっかりした柱と展望を立ててもらいたい。農業関係からは十一の作目を柱にして、そしてこれに対していろいろ考慮しようという話にもなっているし、また、先般の村長の報告にも関連をいたしますが、隣の橿原市と明日香村とでは住民の所得が三十万違う。それから奈良県全体の所得を見ると、範囲にも若干の違いはあるけれども、明日香の方がかなり農業所得が低い、こういうことが明らかになっておるわけでありますから、この点を高めていくためにぜひ柱を立てて将来の展望を明らかにしてもらいたい。 そこで、先般の奈良県の県議会で社会党の堀田議員の質問の中で、副知事が野菜の安定基金制度をつくろうということを提案をされている。そしてこれに基づいて明日香の助役が野菜の安定基金制度はぜひやってもらいたいという要求をしておりますが、これらも含めて、農林水産省として将来の農業の問題についてもう一歩進んで努力をしてほしいということを重ねて要求をしたいと思いますが、いかがですか。
○鎭西説明員 お答えいたします。 現在、キャベツ、大根、タマネギ、キュウリ、トマト等の重要な野菜につきましては、国が野菜供給安定基金を通じまして直接価格安定の対象にしております。明日香村につきましては、夏秋キュウリ、夏秋ナスにつきまして価格安定制度をやっております。それからそれ以外に、たとえばイチゴとかスイカ、生シイタケ等でございますけれども、これにつきましては、各県にございます県の価格安定協会、基金等を通じまして間接的に補助する、こういう仕組みをとっておりまして、明日香村の場合はイチゴ、生シイタケが対象になっております。いま先生おっしゃいましたように、明日香村の基金を使いまして、これらのすでに制度の対象になっている品目についての生産者負担金の軽減、あるいは対象になっていない品目について村独自で価格安定制度をつくられるということについてもこの基金が活用できるというように私ども理解しておりますので、その際は十分奈良県、明日香村当局と調整、打ち合わせをいたしまして、私どもとしてもできる限り御支援いたしたい、かように考えております。
○竹内(猛)委員 これは土地の面積は大きくふえる可能性はないのですから、与えられた条件の中で必要な生活費を生み出すということは、やはり中心の作目を置いて、それに勤労所得なりその他の賃収入を入れていくという形でプラスアルファ方式をとって、それでわかりやすい指導をしていくということが必要だと思うのです。そういう点で農業立村というイメージを崩さないように、そして各世論にもこたえるようにぜひしてもらいたいということを重ねて要望します。 そこで次の問題は、明日香整備基金の運用についてお尋ねします。 相当な財産が規制をされることは先ほど言われたとおりだし、農業についても多くの差損があることもこれは事実であります。そういう場合に、主権者としての住民の受忍の限度というものがある。一体、受忍というのはどこまでがまんをしたらいいのか。この受忍の範囲という点はどうなんですか。
○升本政府委員 都市計画による制限一般の根本的な考え方でございますが、憲法の規定に基づきまして権利行使の範囲は法律で定めることになっております。その考え方に基づいて現行の都市計画法の諸規制が形成されておりますし、それとの比較権衡におきまして古都保存法その他の特別法に基づく制限が行われているという状況にございます。 今回御提案いたしております法律も古都保存法の種別の特例を開くということでございまして、制限の内容については古都保存法の制限から特に大きく踏み出すという性質のものではございませんので、制限の態様からいいまして、現行の法制による受忍の範囲というものを逸脱してない範囲で制限を定めさせていただけるものというふうに理解をいたしているわけでございます。
○竹内(猛)委員 これは部落全体あるいはある企業全体が抑えられることもあるし、個人が抑えられることもある。前の答弁では、個人には補償とか弁済をしない、こういうことですね。これはいまでもそういうことですか、個人には渡さない。
○升本政府委員 一種、二種の保存地区内の許可の制限にかかりまして、その許可が得られないために損失を生ずるというような場合もあり得るわけでございますが、その場合には古都保存法本法の規定によりまして、通常生ずべき損失は補償する。つまり、制限に伴って直接生ずる不利益については、通常生ずべき損失は補償するというたてまえになっておりますけれども、一般的に規制が行われる、あるいは村全体の不利益が生じているということに伴います不利益につきまして損失を補償するという手だては講じておらないということでございます。
○竹内(猛)委員 これは長官にお尋ねしますが、三十億という基金を決めたのは、どういう根拠によって三十億というものを決められたか。
○中嶋説明員 この経過でございますが、地元からの御要望がございまして、では基金をつくろうかということで検討いたしたわけでございますが、その際に、基金でどのような事業を行いまして、それによりまして基金の規模がどれくらいのものを要望するかということで、まず地元の要望を聞いたわけでございます。 当初、地元の方からは、毎年の事業費にいたしまして三億ぐらいのものというような話で、これを資本還元いたしまして、当時いまよりはもう少し金利水準が低かったものでございますから、資本還元をいたしましてまとまった数字、これは基金でもございますのでそう端数のついた基金というわけにもまいりませんので、切りのいいところということで五十億という数字が出たことは事実でございますが、その内容を私ども奈良県あるいは明日香村といろいろ相談をいたしまして、たとえば電線を地下に埋設するための事業とか、そういう、やるにこしたことはないけれども、国家財政もこれだけ窮迫している折から、いまの時点ではそこまでやらなくてもと思われる事業は御遠慮いただくとか、あるいは個々の事業内容につきましても、私どもの方からしまして、この辺でいかがだろうかというようなことで御相談をいたしまして、年間二億前後のものということで、まあ妥当な規模ではなかろうか、私どもといたしましては、これが精いっぱいの規模ではなかろうかということで、精いっぱいの努力をいたしましてそれぐらいのもの、それを資本還元いたしまして三十億ということでございます。 その時点では、この基金によりましてどのような事業を行うかというようなことをいろいろ検討はいたしましたけれども、最終的に基金がいま三十億ということで予定いたしておるわけでございますが、三十億になりますと、基金の性格といたしまして、毎年使います運用益につきましては、そのときの金利水準によりまして変動いたします。当時考えておりました金利水準よりは現在かなり高くなってきておりますので、当時は七・三%といたしますと三十億で二億一千九百万という数字が出てくるわけでございますが、現在の金利水準では運用益はもう少し多く見込めるであろうと思われるわけでございます。 そのような運用益につきまして、どのように使うか、どういう事業に実際充当していくかということにつきましては、これは形式的には村の条例によって決め、毎年の事業計画につきましては村の歳入歳出予算に計上いたしまして、村議会の審議を経てお決めになるということでございます。もちろんその段階におきまして、私ども十分明日香村と意思の疎通を図りまして、必要な助言もし、また指導もいたしたいということは考えてございますが、第一次的には、明日香村が毎年村議会にお諮りになって運用益の使途をお決めになるということでございまして、現在、明日香村におきまして、三十億という基金の規模が決まりましたものですから、それに基づきまして運用益を実際にどういう事業に、どう充当していくかという計画を練っておられるということでございます。
○竹内(猛)委員 先般の質疑の中で小渕総務長官は、この基金については必ずしも十分ではないかもしれないが、将来物価が値上がりをし、そしてまたインフレが進行した場合においては考慮の余地がある、こういうような答弁をされていたと思います。いまでもそのことについては変わりはないと思いますけれども、もう一度それを確かめたいと思います。
○小渕国務大臣 この基金を法律によってスタートさせていただければ、この三十億円で五カ年で積み上げていく、こういうことでございます。 現在、スタートの緒に立とうという段階でございますので、いまの時点で今後の見通しを申し上げることは差し控えるべきだろうと存じますが、しかし、予断をしないような経済変動というものも全く起こらないということも言えないわけでございますので、前回も申し上げましたが、ちょうど積み上がる時点あたりで経済状況というものを見直すこともあり得るのではないかと御答弁申し上げたわけでございまして、大きな変動が起こった場合には、当然この基金の額というものについても見直すべきこともあり得るのではないか、こう考えております。
○竹内(猛)委員 私どもは基金というものに関しては、基金そのことには賛成ですが、その積算の基礎というものは、規制をされるさまざまの業種があって、その被害というものを補償するということで積み上げてきて、それをその基金でカバーをしていく、こういうふうに考えなければならないように思っていた。だから、あるときには八十億という数字も出たし、あるときには五十億という数字も出ました。これが多いか少ないかという問題は、その規制におけるところの差損、それから住民の精神的、物質的な圧迫感を除くために、ぜひ周辺の仲間と同じ気持ちで生活ができるようにするためにはどうしてもかなりの財政が必要だ、こういうぐあいに考えて、われわれは県会においてもあるいはまたこの委員会においても意見を出してまいりました。しかし、予算が通っておりますが、いずれにしても、いまのお答えのように、景気が変動し、インフレが進む中ではどうしても三十億では不十分だと思いますから、ぜひこれはその時点にはなお改めて検討するということをとってもらいたいと思います。 次の問題は、観光公害ということが言われております。この前の現地の調査に行ったときにも、飛鳥財団、あるいは百億円ほどの投資をしていろいろなものをつくった、そうして観光者が大変ふえる、こういうことで空きびんや紙やかん詰めの空が至るところに散らばっていて、けがをする人もいるし、その他いろいろな好ましくないことがある、こういうものについてどうこれを善導するかという問題、それから、現に便所や休息所や駐車場やあるいは食堂等が足りないように思います。だから、一挙にたくさん来たときには恐らくやむを得ないこととなるかもしれないが、そういうものについてどのような手当てをされるか、指導をするか、この点はどうですか。
○中嶋説明員 明日香村の歴史的風土を尋ねまして明日香村を訪ねる人たちが年間非常に多うございまして、百万人とか百五十万人とか言われておりますが、これらの人たちが明日香村に参りまして落とすごみの量だけでも相当な量に達する、量に達するだけではございませんで、農地の中に空きびんでございますとかあるいは空きかんを捨てるといったようなことによりまして農耕作業に非常な支障を来すといったようなことにつきましては、現地の住民の方々もその被害を大変に声を大にして訴えておられますし、私どももよく理解できるところでございます。 ただ、これに対する対策でございますけれども、なかなか抜本的な対策というのはないのが実情でございまして、ごみ箱を設けるとかごみ箱の数をふやすとか、あるいはそういう人たちの自粛を求めるような掲示をするとかいったようなことによりまして、徐々にではあるけれども、公害の根を絶つように努力をしてまいりたい。そのためには村あるいは飛鳥保存財団などとも御協力をいただきまして、そういう作業を進めてまいりたいというふうに考えております。
○竹内(猛)委員 時間が参りましたからこれで終わりますが、これは文化庁にお尋ねですけれども、明日香村に存在するあらゆる文化的遺構というものを発掘をして、これを研究調査の対象にするということについてはどうですか。
○山中説明員 明日香村関係で、いわば国の史跡に指定されるというような重要な遺跡としては、たとえば高松塚古墳、石舞台古墳、川原寺、飛鳥寺、大官大寺あるいは飛鳥板蓋宮跡と言われているところとか飛鳥稲淵宮殿、それからまた飛鳥水落遺跡など、十四の遺跡が国の史跡に指定されております。こういうもののうち、まだ調査が済んでいない、今後まだ相当かかるものもございます。そういうものの調査が済み、また土地所有者の方の御了解も得られて、公有化することができて、史跡として整備されますならば、こういうものを一般の利用に公開できるように整備してまいりたい、このように考えております。 なお、これ以外でも埋蔵文化財包蔵地とされているところがまだもっと広くございます。こういうところで工事なんかが行われますと、なお重要な遺跡が出てくる可能性もございますので、そういう重要な遺跡が出てきました場合には、十分調査の上整備して、史跡として保存し、一般の人々に長く公開してまいる、このようにいたしたいと思っております。
○竹内(猛)委員 最後に二点だけお尋ねしますが、文化庁にもう一つ。 宮内庁が関係している遺跡についてもやはり研究の対象にすべきだと思うけれども、その点が第一点、それからもう一つは、もしいろいろ意見があって、この法律が守れなかったという場合においてはどういう処置をとられるかということ、この二点を最後にお尋ねして、終わります。
○山中説明員 陵墓につきましては宮内庁の所管になっておりまして、文化財保護法の対象に現在いたしておりません。宮内庁では、これを皇室の祭祀の対象として管理しているわけでございまして、歴代天皇の墓所であるということから、国民感情なども十分配慮して、慎重に対応すべき問題と考えていると聞いております。
○升本政府委員 守れない場合にはというおただしでございましたけれども、第一種地区、第二種地区の規制とも都市計画法に基づく規制でございますので、十分に御理解を得て、その実効を確保するように図ってまいりたいと考えております。法律の規定としては、その違反については罰則等の定めもございますし、制度として定められたものである以上は、お守りいただくようにわれわれとしても努力をいたしますし、御理解を得ていきたいというふうに考えております。
○竹内(猛)委員 終わります。
○北側委員長 午後一時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時三十三分休憩 ————◇————— 午後一時三十二分開議
○北側委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前の竹内委員の質疑中、憲法第九十五条の解釈に関し、委員長に対して内閣法制局長官の出席要求がございましたので、先刻の理事会において協議を願いました結果、先般この問題について参考人から意見を聴取いたしましたが、この際、内閣法制局長官からも見解を明らかにしておいていただくため、私からお尋ねいたします。 本案は憲法第九十五条の特別法に該当するものか否かについて御見解を明らかにしておいていただきたいと存じます。
○角田政府委員 この問題につきましてはたびたびお答えを申し上げておりますが、最初にお断りをいたしておきますが、ある法律案が憲法第九十五条のいわゆる地方自治特別法に該当するかどうかにつきましては、現在の憲法なり法律のたてまえとしては、これは国会が御認定になる問題ということになっておるわけでございます。ただ、ただいま委員長から、政府提案として私どもが審議した関係もあるということだろうと思いますが、内閣法制局の見解を求められましたので、私どもの見解を申し上げたいと思います。 憲法第九十五条にある「一の地方公共團體のみに適用される特別法」とは、特定の地方公共団体の組織、運営、権能、権利、義務について特例を定める法律を指すものと解すべきであるというふうに考えております。 ところで、この法律案はそのような意味の特別法に該当するものとは考えられませんので、私どもとしては、結論として九十五条には該当しないというふうに考えております。
○北側委員長 質疑を続行いたします。瀬崎博義君。
○瀬崎委員 まず長官に伺うのでありますが、先般の審議の中で、村と名のついたこの法律を国民が理解して国民が全体となって明日香を守っていくようにしたいという趣旨の長官の御答弁があったと思うのです。国民がそういう気持ちになるかどうかは、まさに直接の当事者である明日香の住民がこの法律を心から歓迎するかどうかここにかかっていると思うのですが、いかがでしょうか。
○小渕国務大臣 明日香村の住民の皆さんの理解と協力を得てこの法律を施行していくことになるだろうと思います。当然のことだろうと思います。そのことと国民全体がそのことを喜び、かつ国民自体が村に対する種々の施策について、その税負担も含めてそれに耐え得るという形が最も望ましい姿だろうと思います。
○瀬崎委員 明日香特別法はできたけれども、しかし、これをいろいろ実行に移したら、最終的に村民としては納得できないという事態が起こった、結果的には文化財の保存もうまくいかなかったし、さらに村民の生活も犠牲になりっ放しであった、こういうふうな実績がもし仮に残ったとすると、今後、たとえば古都法に基づくいろいろな文化財保護の問題、あるいはまた例はないかもしれませんが、一つの村、町を指定して文化財の保護を行うというケース、あるいはそこまでいかなくても個別に文化財の発掘その他で住民の協力を得なければならない場合も多いのですが、そういう場合住民の理解を得ることは非常に困難になる。まさにこの注目を浴びている明日香法が施行された場合の成否は、全国的に文化財保存に対して地域住民の理解が得られるかどうか、その試金石になってくるのではないかと思います。 〔委員長退席、伏木委員長代理着席〕 私どもはそういう意味できわめて重要な位置づけをこの法案に行っておるのでありますが、その点長官の見解も伺っておきたいと思います。
○小渕国務大臣 この法律を提案するに至るまでに明日香村民には大変な御負担と御苦労の中での生活を余儀なくされてこられました。しかしながら明日香村民におかれましては、ただその地域が自分たちの行政区域であるということのみならず、その地域が日本の祖先の最も原点であるという立場と同時に、貴重な文化財がその地域に存しておるということに対して、あらゆる犠牲を顧みずそれを守り抜いてきた崇高な精神が存しておると思います。したがって、御指摘ではありますけれども、今回の法律を施行することによって、そうした方々がいままでのお気持ちを捨て去るということはないと私は確信をいたしておりますし、国、県、地方自治団体、それぞれ力を合わせて明日香村を守っていき、明日香村民の方々の生活もできる限り高めていこうという趣旨の法律でございますので、私は御指摘のようなことは万々なかろうかと考えております。しかし、なおいろいろな御不満その他が存するということで将来とも考えられますれば、その時点に立って全力を挙げてそれが解消のために努めていくことも務めだろうと思っております。
○瀬崎委員 いま長官は、この法律の施行によって文化財の保全もまた村民の生活も両立してよくなるという自信のほどを示されたのですし、今後またいろいろ要望があればそれを取り入れるのにやぶさかでないという趣旨の御発言だったと思うのです。 そのためにも、一つは、ただいまこの法案の審議が行われている最中にも、一方で、当委員会ではよりよい法律にするためのいろいろな努力が払われているわけでありますが、こういうよりよい法律にする努力に対して政府は寛容であってほしい。それから二つ目は、法案が成立いたしました後においても、この法律の運用については、先ほど長官が言われた趣旨を生かすように十分配慮した運用をやってもらいたい。それから第三は、今後において、いまも発言がありましたが、内容を改善してほしいという切実な要望が出た場合には、法律改正にやぶさかではない、こういう態度をとることをはっきりさせておいていただきたい、こう思うのであります。いかがでしょうか。
○小渕国務大臣 この施行に当たっての心構えでございますが、至極当然なことだろうと思います。 それから、今後の措置につきましては、これは法律を施行するに当たってこれまた当然の心構えだろうと思います。 なお、第一の法律の取り扱いにつきましては、まさに立法府に存することでございまして、私どもはこの法律が最善だという気持ちで提案をいたしておりますが、申すまでもないことでございますが、立法権を有するところの国会での御議論というものも常々政府としては踏まえておることも過去例があることでございます。
○瀬崎委員 昭和四十五年十二月の「飛鳥地方における歴史的風土および文化財の保存等に関する方策について」と題する閣議決定で、一応飛鳥に関係する文化財の保存及び環境整備の措置が講じられたことになっているわけですが、このとき、四十五年時点で直ちに特別立法を政府が意図しなかった理由は何かあったのですか。
○中嶋説明員 四十五年に明日香村の歴史的風土の保存ということが大変に問題になりまして、御指摘のとおり、閣議決定をいたしましてその保存のための方策とそれに伴いますところの住民生活の安定のための環境整備を行うということを決めたわけでございます。 このときの状況といたしましては、隣接いたします橿原市で大規模に宅地開発が進みまして、そのままに放置しておきますと明日香村の中にも宅地開発の波がどっと押し寄せてくるのではなかろうかという状況にあったわけでございます。それで、審議会におきましていろいろ議論をされたわけでございますが、そのときにも、とりあえず当面の方策としてこの宅地開発の波から飛鳥の歴史的風土を守るということを第一義的に考えるべきであろうという議論がございまして、そこで特別立法という話も当時あったわけでございますけれども、とにかくそれよりは対策が急がれるという状況にあったものでございますから、法律という形をとるよりは、すぐに実行に移せる閣議決定、当時、既存の法律でやれる方策によりましてやれることをやっていこうという方策をとったわけでございます。 閣議決定をいたしまして、一応それで宅地開発の波から飛鳥の歴史的風土というものを守り、また住民のためにも応環境整備の方策をとるということにいたしたものでございますから、その成果を見守りまして、その実効が上がった段階において次の方策を考えるのが適当であろうということで、直ちに特別立法という段階には移らなかったということでございます。
○瀬崎委員 いまの答弁では、実効が上がった段階で特別立法を考えようということだったという話ですが、その実効というのは具体的に言えばどういう実際的効果が上がったという意味なんですか。 先般参考人として見えられました愛水村長さんも、閣議決定に基づく措置がもし十分であったなら何も新しく特別立法をという村民の強い要求は生まれなかったのではないかという質問をしたのに対しては、これを肯定されているわけであります。だから、いま実効が上がったと言われるけれども、それは政府の勝手な理解であって、地元から見て必ずしも実効が上がったとは理解されていないのではないですか。
○中嶋説明員 四十五年の閣議決定に基づきまして諸般の施策を進めてまいったわけでございますが、その進めております中におきましても、地元の方におきましては引き続きその特別立法に対する期待、要望というものが強うございまして、それが年を追って盛り上がってきたことは事実でございます。 そのような経過を踏まえまして、今日、明日香村で実際十年近くをやってきました成果と、それから地元がそれをどう受け取っているか、また現時点において何が必要であろうかというようなことを踏まえまして、昨年の三月、歴史的風土審議会に明日香村における歴史的風土の保存と住民生活との調和を図るためにはいかなる方策を講ずべきかといった趣旨の諮問をいたしまして、七月にその答申をいただきました。その答申の中でも、特別の立法措置を講ずることにより、保存と、一方ではまた住民の生活対策としてこういうことをやるべきであろうという御提言をいただいておりましたので、それを実行に移すべく今回法案を提出した次第でございます。
○瀬崎委員 私は何も手続を聞いているのではない、それはもうわかり切ったことなんです。 閣議決定後十年を振り返って、政府みずからやってきたことを十分だったと考えているのかどうか、この点を聞いたわけであります。 そのときの閣議決定に基づいて飛鳥保存財団の設立も見ているわけでございますが、この財団の基金に対して、当初政府として、出資といいましょうか補助といいましょうか、これを考えていなかったようでありますが、その理由はどこにあるのですか。
○関(通)政府委員 昭和四十六年に飛鳥保存財団が発足いたしておりますが、この財団をつくりました趣旨は、先生もいまお触れになりましたように、四十五年の方針の中で、国、地方公共団体、民間が協力して事業を行う組織体として財団をつくろう、こういう趣旨だったわけでございます。 当初は、民間からの寄付金、それから事業に対しましては直接その事業に対する国からの補助金というようなことで、五億円の寄付金を集めることを目標にいたしまして、それで財団が発足したわけでございます。昭和四十六年から五十年までそのような形で、たとえば総合案内所をつくる場合、あるいは宿泊所をつくる場合は国が補助金を出し、また寄付金を集めて財団を運営してまいったわけでございます。 しかし、昭和五十年ごろ、石油ショックの影響を受けまして寄付金の募集の見通しが立たなくなりまして、その時点で新たに十億円の基本財産の積み立てを行う、これに国も五億円を出資する、こういう方針に切りかわったわけでございます。
○瀬崎委員 そうすると、国の方針は、もともとはできれば国は財政負担をしないで、できるだけ民間、つまり、財界の金で飛鳥文化財の保存なり住民対策ができればと、こう考えておったけれども、民間が出してくれなくなったので、やむを得ず国が五十一年以後この基金を出さざるを得なくなったのだ、歴史的に見ればこういうことになるのではないかと思うのです。いまの答弁をわかりやすく言えばそういうことじゃないのですか。
○小渕国務大臣 お言葉ですが、財界からのお金というのでなくて、広く民間からの財団の出指金を集めたい、こういうことだっただろうと思いますが、先ほど御答弁申し上げましたように、経済情勢も変化してまいりましたので、そうした国民一人一人の気持ちをお集めになることと同時に、国としても国民の税金という形でお預かりしておるわけでございますので、一方国としてもお手伝いをしよう、こういうことでなったのだろうと思いますので、たまたまそういうことで両者の考え方が一致した、こういうことだろうと思います。
○瀬崎委員 それは、民間という言葉を使うか財界という言葉を使うかはこれはまた別といたしまして、いずれにしても実際役立ったかどうかは別として、財団の掲げた文化財の保存あるいは環境整備という事業に対して、当初政府は金を出す予定は持っていなかった。経済情勢の変動から出さざるを得なくなった。この事実は事実ですね。 では五十一年以後政府が毎年一億ずつ基金に出捐をしているわけでございますが、これは何か法的根拠を持っているのでしょうか。
○関(通)政府委員 毎年の予算措置として補助金を出しておるわけでございます。
○瀬崎委員 民間の寄付といいましょうか、あるいは出資といいましょうか、特にまとまった支出あるいは寄付をしている団体あるいは個人もあるでしょうか。
○関(通)政府委員 設立以来現在まで約九億円の寄付金あるいは特別会費というのがございますが、というものが集められております。寄付金を出していただいているのは現在二百二十七の民間の会社が会員になっておりまして、その会社が寄付金を出している。寄付金の額は五十万、三十万、二十万の三通りでございまして、大体二百二十七社から毎年そのくらい集めている、こういうことでございます。
○瀬崎委員 先般建設委員会の委員派遣で現地を訪れた際、住民の大半の方々、特にこれは総代会、つまり区長さんの方の代表の二、三人の方から相当厳しい批判が出ておったわけであります。これは政府関係者も同行しておられたので、大臣の耳には達していると思います。なぜそういう批判が財団に出るのだろうか。 一つは、この財団が駅前広場を占有している。これは村で言えば一等地ではないか。そこに国際の家をつくっている。村人も使ってくれと言っているが、あそこまで行って集会が開けるか。ただし自分の在所には集会所一つない。総合案内所はずいぶんりっぱなものができている。果たしてこれが村民の生活にどのように役立ったのだろうか。また、飛鳥の文化財の保存とどう結びつくのだろうか。こういう疑問が提起されておりました。政府はこういうふうな財団の事業に対してはどういう見解を持っていますか。
○関(通)政府委員 財団が設立以来実施してまいりました事業の中で、施設の建設ないしは整備したものは、ただいま先生おっしゃいました総合案内所、駅前の広場の整備、それから研修宿泊所、高松塚の壁画館等が主なものでございます。このうち総合案内所と研修宿泊所につきましては、昭和四十五年明日香の整備の方針を決めましたとき、すでに総合案内所と研修所はぜひ必要だということが決められております。その時点ですでに外部から明日香を訪れる人たちのために飛鳥の意義をわかっていただくような形で明日香に来ていただきたい、そういうための施設が必要だということだったのではないかと存じます。財団が設立されまして最初に着手したのがその二つの施設でございます。 それから、駅前の整備につきましては、特に高松塚が発見されまして以来、来訪者が著しくふえまして、地元の方々からも、駐車場もなくて車が至るところに駐車するというような御不満があったようでございます。来訪者に対する受け入れの設備をつくれという御要望にこたえることも一つだったと存じております。 それから、国際の家の建設計画でございますが、これも沿革的には、やはり高松塚が発見されました以降、外国からの来訪者も含めまして、急激に外部からの来訪者がふえて、これに対応する施設として考えられたものでございます。
○瀬崎委員 長官に伺いますが、いま御説明を聞かれましたように、つくられましたこういう国際の家とか、総合案内所とかあるいは駐車場等、いずれも、国内であるか国外であるかの違いで、村外からやってくる来訪者のための施設なんですね。一方、村民の直接の生活向上のためにこの財団が助成を行った事業、項目にしますと、この間も私、参考人に申し上げたのですが、総理府から聞いただけでも、村道舗装の住民負担軽減とか公民館建設とか水路改修とか小規模土地改良の助成等、十三項目ほどあるのですが、出した金は総額で七千六百万円、十年間ですから、年間に直して、一種類の事業当たりにしますと、せいぜい数十万程度になってしまうわけです。こういうことだから、結局村民から見れば、この財団のやってくれた事業というのは、観光客の対策が中心であって、決して村民中心の事業ではなかった、こういう批判が出てくるのは当然ではないかと私は思うのですが、長官は、こういう村民の批判をどう受けとめていらっしゃいますか。
○小渕国務大臣 飛鳥財団が果たしてきた役割りは、それなりに大変大きいものがありますし、また、先ほど御説明申し上げたように、幾多の施設を建設したということでありまして、これはほかから来られた方々に対してということでありますが、ひっきょうは、必要とせられる施設そのものが存在しないことによって、村にアトランダムに入ってこられる方々が、より村の秩序を壊すようなことになるということに対しては、それなりの役割りを果たしてきたと私も思いますが、しかし、御指摘のように、直接的に村民に対する補助の金額が、全体の財団が扱ってきたお金に比べますと小さいということは、これはやはり確かなことだろうと思います。その間、金額もさることながら、財団と村当局あるいは村民との間の意思の疎通というようなものも若干欠けておったのかなという印象を実は私もするのでありますが、向後は、この基金と財団というものが二つの大きな柱になってくるわけでございますので、今後とも、どういう役割り、分担をするかということも含めて考えていかなければなりませんし、財団としても、いままで以上に村民のためにせっかくの財団が働き得るようなお働きを願いたいということで、われわれも十分財団と話し合ってみたいというふうに思っております。
○瀬崎委員 この財団の役員構成を見ますと、理事長が松下幸之助さん、常務理事が花村経団連副会長、それから小川松下電器常任顧問、二人が二人とも財界人ですね。常任理事が七人いらっしゃるわけでありますが、その中には佐伯大阪商工会議所会頭で近鉄の会長です。それから土光経団連会長、永野日本商工会議所会頭、まさに五人までが財界の有名人なんですね。それから理事が十五人いらっしゃるわけですが、このうち六人が同じく財界人、監事二人は二人とも財界人、こういう役員構成になっているのです。果たしてこれでいわゆる飛鳥の文化財を保存しこの生活環境を整備するというのにふさわしい構成だろうか、私は非常に疑問を感ずるし、村民もまたこの辺に疑問を感じているんではないかと思うのです。大臣いかがでしょう。
○小渕国務大臣 財団がいろいろつくられるときにはどうしても出指していただくお金がなければなりませんので、そういった点で日本のそれぞれの財団というのは背景にかなり大きな会社とかそういうものが存在しております。率直に申し上げればよくぞこれだけの財界人が——とかくお金もうけには走る人たちが財界人だとよく言われますが、ここにおられる人を言っておるわけではありませんが、そういう中にあって日本の文化を見直そう、こういうことでこれだけのそうそうたるお方に財団をつくっていただいてがんばっていただくということは大変ありがたいと実は思っておるわけでございます。 ただ、財団をつくる場合にはお歴々のお名前もずっと並びますが、実際これを運営していくということになりますと、理事会とかあるいは運営委員会、こういうところで詳細な議論が積み上げられるんだろうと思います。そういった点ではそれぞれのところに地元住民を代表される方々も入っていただいて、恐らく貴重な御意見を御提供いただいて十分な御検討をされた上でそれぞれの事業が今日までもなされてきただろうと思いますので、私はここに、財団のメンバーそのものがこれで不十分だという気持ちは率直にいたさないわけでございます。
○瀬崎委員 よくぞ財界人が理解を示してくれた、こうおっしゃっているわけなんですが、先ほども、昭和四十五年急遽閣議で決めて明日香村を守ろうという話が出た、その原因はすぐ隣の橿原まで開発の波が押し寄せている、宅造が進んでいる、これからは守らなければいかぬ、これが動機だったとおっしゃっているのでしょう。ではその橿原まで宅造の波が押し寄せてきた張本人は一体だれか。近鉄などはその最たるものですよ。その会長が今度は飛鳥の文化を守ります。そうして常任理事におさまるわけでしょう。これはほんの一例であります。これで住民は納得するでしょうか。私はその点政府の考え方を反省してもらいたいと思います。 さらに、実際の運営は理事会がやっているようなお話でしたが、役員会の開催状況を見ますと、その理事会というのは五十四年度は二回開かれているだけなんです。常任理事会に至っては一回も開かれておりません。これは五十三年度もそうなんです。この理事会の出席状況等も聞いてみたいと思うのですが、余り掘り下げるのはこの際差し控えようかと思います。一体この財団の本当の運営責任というのはどこが担っているのですか。
○関(通)政府委員 具体的な事業計画、予算計画のつくり方でございますが、例年(瀬崎委員「経営の責任はどこが持っているんですか」と呼ぶ)理事会でございます。
○瀬崎委員 となると、改めてたった年二回しか開かれなかった理事会の出席状況を聞かざるを得ませんね。どうでした。
○関(通)政府委員 二回の理事会は計画の作成と決算が主でございます。いま手元に具体的な出席状況の資料がございませんが、最近の例で申し上げますと、三月に東京で理事会を開催いたしております。現在二十五名理事がおいででございますけれども、二十名近く御出席だったように私は記憶いたしております。
○瀬崎委員 この飛鳥の財団の理事会を東京で開くというのはどういう理由ですか。
○関(通)政府委員 理事会は通常東京で開催いたしておりますが、これは格別な理由はないと申し上げた方がいいかと思います。なお、運営委員会というのがございまして、これが事業計画を検討しているわけでございますが、これは毎回地元で開催いたしております。
○瀬崎委員 財界のトップクラスの人たちを集めて果たして本当に責任の持てる理事会が開けるだろうかと私は疑問を一点持ちます。 〔伏木委員長代理退席、委員長着席〕 同時に、名前は飛鳥財団だけれども、きわめて飛鳥離れしていますね。こういう点から考えても、本当に地元住民の理解を得て、これもやはり基金とともに柱として飛鳥保存あるいは村民の生活に役立てようというなら考え直さないと、このままではいかぬと思いますが、いかがでしょう。
○関(通)政府委員 財団の運営に関しましては、私どもも監督官庁として十分意を用いてきたつもりでございますが、特に五十五年度以降の事業につきましては、今度新しい特別立法によりまして新しい展開をするわけでございます。先生の御意見も十分考慮いたしまして指導に当たりたい、かように考えております。
○瀬崎委員 続いて、国がこれまでの事業の中では特に大きな国費を投入しているのに国営飛鳥歴史公園がありますね。これは建設省になります。聞きますと、公園に投入された国費の総額は用地買収費として三十七億六千万、上物つまり施設整備費として十七億六千万というふうに聞きました。この施設整備費の中で重立ったものはどういうものですか。
○升本政府委員 祝戸地区、石舞台地区、甘樫丘地区、高松塚周辺地区と分かれておりますけれども、祝戸地区におきましては研修宿泊所、展望広場、芝生広場等、石舞台地区におきましては、石舞台古墳の整備、芝生広場、休憩所、駐車場、甘樫丘地区につきましても、集合広場、展望広場、休憩所等、高松塚周辺地区におきましても、広場、休憩所、そういったものでございます。
○瀬崎委員 その問題の芝生広場なんですが、石舞台古墳の周辺というのはもともとたんぼだったんですね。飛鳥では現状保存が非常にやかましく言われているのですが、なぜここを芝生に変えたんですか。
○升本政府委員 石舞台周辺は直接に公園の施設として管理をいたしてまいらなければなりません。国有地として取得をし、整備をしていくわけでございますので、現状のたんぼのままにしておくことは管理上の問題もいかがかという問題がございます。そこで管理の面も含めまして検討いたしまして、結論といたしまして芝生という形で保存する、管理をしていくのが適当であろうという判断になったものというふうに理解をいたしております。
○瀬崎委員 先般お招きをいたしました参考人の先生方、たしか末永先生それから嶋田先生の意見陳述にあったと思うのですが、土地を国が買い上げてくれることは非常に結構だ、しかしもともとたんぼであったところはわざわざ芝生を入れることはないではないか。農民にたとえば貸すという方法もある、そして稲をつくってもらえば管理を含めてうまくいくんではないか。そして、飛鳥の歴史的風土とまさに調和するではないか、こういう見解を述べられたわけでありますが、私は耳を傾けるべき御意見だと思ったわけです。建設省いかがです。
○升本政府委員 国営公園の設計、どういう形でどういうものを、植栽等をするかということにつきましては、国営公園ごとに建設大臣の諮問機関といたしまして設計委員会を設けて御検討をいただいております。この飛鳥国営公園につきましても同断でございまして、今回のこの飛鳥公園の設計委員会といたしましては、先日参考人として御意見を披露されました末永先生を委員長といたしまして、他六人の先生方、この中には造園の御専門の方もおられますし、また奈良県の副知事さん、明日香村長さんといった地元代表の方もお入りいただいております。こういった方々で構成されました設計委員会で十分御討議の末の結論といたしまして、現状のような植栽、施設整備を行っておる次第でございます。
○瀬崎委員 いま言われた飛鳥国営公園設計委員会の答申を見ますと、「既存の環境に十分留意し急激な変化を与えず、周辺の歴史的風土と調和した公園とすること。」それから「建築物および工作物の設計にあたっては、周囲との景観構成上細部にわたり慎重に検討すること。」ちゃんと書かれているわけです。具体的な設計がそのとおりになっているかどうか、先生方のチェックを得ているのかということについて言えば、そもそもいわゆる設計委員会は基本的な設計について答申を出した後は事実上解散状態になっている、こういう話でしたね。そういう点では、必ずしもこの基本設計についての答申の線に沿っていないと思われる場合もあるんじゃないか。改めてそういう点をよく検討しなければならぬのじゃないですか。
○升本政府委員 御指摘のように、委員会そのものは恒常的に開かれているという性質のものではございませんが、必要に応じまして必要な先生方にお集まりをいただきまして、御意見をいただいておるという運営をいたしております。 それから、ただいま御意見をいただきましたこの設計委員会の御答申の中では、確かに基本的な事項としていま述べられたようなことが述べられておるわけでございますけれども、具体のこの石舞台地区に関する御答申の内容の中には、これはたまたま一例でございますけれども、「特別史蹟石舞台古墳の整備および条里の保存との斉合を図ること。」というようなことも項目御答申の中に御意見としていただいております。芝生という植栽はまさに古代の植生ということではないかもしれませんけれども、芝生がよかろうという結論に至ります思考の過程におきましては、従来の昔からの条里、区画でございますね、条里を保存するというような意図、保全するという意味合いも含めて整理をさせていただいたというふうにお答えいたします。
○瀬崎委員 この国営公園が、一方で現状保全を言いながら、実際は国の手で現状を変えているじゃないか、こういう厳しい批判も現地へお邪魔したときに住民から出ておった。こういうことはひとつ大臣も記憶にとどめておいていただきたいと思うのです。 現在、甘樫丘の地区で工事が進行中であります。ここに非常にこじんまりとはしているけれども、目立つ建物がありますね。便所、休憩所なんです。この便所の建物、浄化槽、休憩所の建物等の予算を建設省に伺いますと、便所の建物が二千二百万円、浄化槽が三千五百万円、それから休憩所の建物が二千百万円と伺ったのです。そのとおりですね。この便所の建物及び休憩所の建物の面積は幾らですか。
○升本政府委員 それぞれ便所が平家建てで八十七平米、それから休憩所が平家建てで九十一平米でございます。
○瀬崎委員 平米で言うとわかりにくいのでこれを坪に直しますと、便所の建物が約二十五坪になりますね。休憩所の建物が二十七坪ほどだと思います。そうしますと、総額が二千二百万円ですから、何とこの便所は坪単価約九十万、それから休憩所の方は坪単価約八十万、こういう高いものにつくわけですね。ちょっと全国探しても、こんな高価な便所は珍しいと思うのです。なぜこの便所にこんなに高くついてきたのですか。
○升本政府委員 御参考に申し上げますと、こういった公園内施設のこの種の施設の標準的な坪単価が、こちらは平米でございますけれども、便所、休憩所とも平米十七万円、したがいまして、坪で言われましたから坪に直しますと、大体五十万というのが平均的な単価になっております。これに対しましてそれぞれかなり上回っておることは御指摘のとおりでございますが、これは特にこの地区につきましては身体障害者用の施設を考慮して設計に取り組んでおるということが一つと、それからやはりこの土地柄にかんがみまして、周囲の景観との調和等を十分考慮させていただいた分の増分が含まれておるということでございます。
○瀬崎委員 われわれ建設委員はすべてこの便所や休憩所を見てきております。たしか屋根は銅板ぶきにしてあったようにも思います。本当にあれを便所と見ろと言う方が無理で、建設省に言わせれば格調の高い便所という表現を使われた。私は冗談じゃないと言いたいわけです。そこらにこの明日香村の住民たちが批判をするわけです。こういう便所と休憩所に、実に建物だけで四千三百万つぎ込まれているのですが、一方、じゃこれだけの広い面積の国営公園の管理費がどれだけかと聞きますと、年間平均で低い年で五千万、高い年で八千万じゃないですか。余りにもこういうものと比べてアンバランス過ぎると私は思うのです。そう思いませんか、局長。
○升本政府委員 おただしの管理費でございますが、五十三年度、五十四年度が五千三百万ないし五百万、それから五十五年度におきまして八千万という数字でございます。管理費といたしましては、他の国営公園等の管理費と比較いたしまして、特段にこれが限定されているというふうには私ども考えておりません。
○瀬崎委員 これは大臣に伺いたいのです。所管であるとかないとかということは別にいたしまして、あれだけ広い歴史公園を主として村の人が管理なさっているわけですね。その人の身分の安定ということも、この間現地をお邪魔したときにはわれわれは聞かされたわけです。ところが実際には、管理費が十分でないからということで、臨時的な雇用関係しかないわけです。ところが一方便所は、いまお聞きのようなことですね。こういう住民感情から見て、これは逆だ。もっと管理を十分にやる方がいいし、そのために大いに村民も活用してもらいたいという希望なんです。そちらに私はお金を回すべきだ。また、いまやられている国営公園は、実際主として観光客向けの施設ばかりなんです。村民向けにはほとんどこの公園が還元されていない。こういう状況ですから、そういう便所一つに何千万も金をつぎ込むのじゃなくて、それを観光公害をなくすための自然と調和したごみ箱をたくさん備えつけるとか、あるいは観光客に美化を呼びかけるような自然とマッチした立て札を立てる、そういうふうに使った方が何ぼか有効じゃないかと思うのです。これは一例ですが。そういう点では、この歴史公園のあり方についても度政府として検討してほしい。 これは極端な話かもしれませんが、ある村の方は、確かに建設省の国営公園でやってもらうと、まとめて土地を早く買ってくれる、これはありがたい。だから、上物はつくらないで、あと管理費だけもらえばなおよい、こういう話も出ておったくらいなんです。これは極端な話といたしまして、そういう感情のあることもお伝えしておきたいと思います。大臣の見解をひとつ求めたいと思います。
○小渕国務大臣 具体的な施設についての御見解がありましたが、建設省が御答弁申し上げましたように、向後かなりの期間にわたって十分その施設としての用に足りるという趣旨でかなりお金もかけてつくったんだろうと思います。そういうことからいいますと、他のそれぞれの諸点と比べてアンバランスがなかったかと言われますと、いささかぎくしゃくしたものがあるかもしれませんけれども、さりとてこのお金を節約した余りに数年してまたこれを建てかえるというようなことのむだもまた省いていかなければならぬ、それぞれを考えた上で当局としては十分対応したんだろうと私は考えておりますが、しかしせっかくの御意見でございますので、あらゆる点にわたって、住民の皆さんも御納得いくというような形も十分考慮しなければならないことだろうと思いますので、検討してみたいと思います。
○瀬崎委員 こういう国営公園を結ぶ周遊歩道というんですか、これは全額国庫補助で現在まで二億五千万ほどつぎ込んでいる、これはいいことだと思います。しかし村道であるということで維持管理費については一切国としてはめんどう見ていないということのようでありますが、まさにこういう維持管理費にこそ国の温かい配慮をすべきではないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
○升本政府委員 おただしの遊歩道でございますが、全延長十五・三キロメートルに及んでおります。その管理については村道ということで明日香村が管理をいたしておるわけでございまして、管理費は年間約百七十万円でございます。これを国として十分めんどう見るべきではないかという御指摘でございますけれども、これは財源としては地方交付税として国としてもめんどうを見させていただいているものの一部でございますので御了承いただきたいと思います。
○瀬崎委員 次に、こういうこれまで政府がいろいろやってきたことをわれわれは総合的に検討しながら、やはり法律の施行で実の上がるようにしていかなくちゃいけないと思うのですね。だから先ほどの答弁の中に、過去やったことが全部正しいような、そういう上に立って今後法律の施行に当たられたとすれば間違いを犯す、私はそのことをまず言って、特に先般現地調査に伺ったときの村民の心配に積極的にこたえていくという意味で若干の質問をしておきたいと思うのです。 村民の方からいろいろな御意見が出たわけでありますが、特に心配をされている点を整理いたしますと二点あったと思います。第一点は、現状以上に規制が厳しくならないかという御心配だったと思います。もう一つは、こういう厳しい規制を受ける見返り、言葉は余りよくないのですが、見返りとしての生活対策が不十分ではないか、こういう御心配だったと思います。私なりにそういう心配の生まれてくる原因も整理しました。 この現状以上に規制が厳しくなるのではないかという心配の原因としては、一つは、保存すべき明日香における歴史的風土と文化財とはそもそも何なのか、この基準が不明確である、こういう点から一つ不安が生まれてくる。いま一つは、計画や方針の策定手続に住民の意見が十分反映されないのではないか、こういう心配から生まれてくるのではないか、こう考えたわけであります。 それからもう一つの住民の心配であります生活対策が不十分だという問題の根源は、第一に農業以外には生活の道が見出せない。ところがこの農業が思うようにできない、かつ転作もかかってくる、こういう点の将来に対する不安。第二は、明日香にとっては観光が村民の収入にも村の財政にも全く潤ってこない、これはこの間村長さんがきっぱりとこの場で言われたことであります。逆に観光公害の被害がひどくなる一方で、この解決のめどが立っていない、これに対する不安。第三が、これまでの過去長い間にわたって受けた規制の経験からその厳しさ、不便さ、犠牲というものは村民の方々は身にしみていらっしゃるわけですね。それが果たして基金三十億の果実で十分償い得られるんだろうか、こういうふうに整理ができるんではないかと思ったわけであります。 そこで、全部をとてもお伺いする時間はないのでありますが、まず最初の保存すべき明日香における歴史的風土と文化財とは何か、この基準の問題であります。私どもも、現地に行って各方面の方々から伺っただけでも相当意見に差があるなと思いました。たとえば奈良県の風致保全課長は、地上の景観を中心に現状を保全するのがその基準、こうおっしゃっています。ところが、先ほど来議論いたしました国営飛鳥歴史公園の方では盛んに地上の景観を変更しているわけであります。村民には少なくともそう映っている。それから、飛鳥に関係の深い学者の方々は、明日香において保存すべき文化財は地下遺跡が中心であるから、地上の現状を凍結的に残しても余り意味がないのではないか、したがって一種地域でも地下遺構に直接影響を与えないような一定のビニールハウス等は認めてもよいのではないか、こういう意見も出されております。そういう点から私ども共産党としては、やはりこの法案に定義というものを設けて、明日香において保存すべき歴史的風土並びに文化財とは何か、地下遺跡が中心なら中心であるということをはっきりさせた方がよいのではないか、こう思って提起をしているわけでありますが、政府としてもこの際、住民にわかりやすくこの基本的な考えを示しておく必要があろうと思うのです。先ほど、事務的にはいろいろと局長が建築基準法の問題等で説明しておられました。そういうことではなしに、この明日香において保存すべき文化財とはそもそも体何なのか、歴史的風土とは何なのか、ここを一遍政府の方から見解を示しておいていただく必要があるのではないかと思います。いかがでしょう。時間が余りないので、できるだけ簡単に。
○清水政府委員 要約的な申し上げ方をさしていただきますれば、この法律は第一条におきましてまさにこの法が主眼としておるものを表現しておると思います。したがいましてその当時の時代の遺跡等を、これは主として地下にあるわけでございますが、しかしそういうものを含めまして、さらにそれが現在の地上の山河等の環境とも体となってその時代をしのばせる、そういう歴史的風土だというふうにとらえられておるわけでございますので、先生御指摘の点について言えばもちろん地下の遺跡、遺構等も保存の対象として十分考えられているところでございます。ただそれは、けさほどもございましたように具体的個々のものとして考えれば文化財保護法の方がより直接的にそこに働くということがございますけれども、それを保存していくという全体の趣旨はこの法に含まれているということでございます。逆に言えば一方の地上の景観だけということではない、あるいは地下の遺構だけというわけではなくて、その双方を含めて考えていくというのがこの法のねらいであろうかと思います。 そこで、たとえば地上の問題について言えば、けさほども基準の問題がございましたけれども、たとえばいま御例示のビニールハウスのような問題はよく地元の考えも聞き、しかしいまの保全をしていくことの重要さということも御説明申し上げて、そこでよく納得のいく線で具体的な線を決めていくというのが一番大事な考え方ではなかろうかというふうに思っております。
○瀬崎委員 それが本当に住民の納得のいくように手続も制度も含めて実行されれば私は非常にいいと思うのですが、その点が今後の大きな宿題だと思うのです。と同時に、これは携わる人の主観も相当入ると思うのです。だからこの問題の関連で言えば、今後いろいろな規制が許可制に移っていくということと関連して、村民の不安を解消するためには重要な課題があると思うのです。それは、ここに地下の遺構があるであろうということがわかったときに、その発掘調査がおくれないようにという希望がありますね。それから建築確認に当たって歴史的風土との調和がとれているのかどうかという審査を特殊にやらなければならないわけですね。ここでのおくれが過去出ているという指摘は何回も聞かされているわけです。こういうものが迅速に行われなければ、住民は規制を受けた上に、自分の建てようとする家が果たして基準に合格するのかしないのか、ここでまた長い間不安を持って待たされるという二重の気の毒な状態になるわけでしょう。これはこの審議の中で解決するとはおっしゃっておりますが、言葉だけでは解決しないと思うのです。やはり人が要ります、体制が要ります、金が要ります。そういう点では県、村だけでは対応し切れない部分について国が十分相談に乗れるように、あるいはまた応援ができるように、まず人が確保され、配置されていなければならないと思います。それから、必要な人材の養成の手だてが講じられなければならないと思います。そうして現在ある研究機関、奈良国立文化財研究所とか県立の橿原考古学研究所等もいろいろと強い要望を国に持っております。こういうものを十分聞いてその体制の充実に努めるということがきめ細かく具体的に行われなければ、住民のいろいろな不安には対応できないと思うのですね。こういう点で今後この法律の施行とともに政府として実際に現在の体制を強化していく用意があるかどうか、はっきり伺っておきたいと思います。
○山中説明員 遺跡の保護は重要な問題でございますので、それを専門的に行います国、県あるいは市町村の専門の職員の充実という問題について、今後とも最大の努力を傾けてまいりたいと考えております。 なお、先生の御質問と関連いたしまして、実は午前中竹内先生から調査体制とその予算の御質問を受けた際、予算の面におきまして地方公共団体の発掘調査について半額助成と申し上げるところを全額助成と申し上げて言い間違いましたので御訂正させていただきたいと存じます。
○瀬崎委員 遺跡の発掘面だけではなしに、よく出てくる建築確認の審査等々最も住民生活に密着する部分ですが、そういうものも含めてきちっと国の方で、体制ができるような援助をしなければならない、こういう点、大臣いかがですか。
○升本政府委員 御指摘のように、諸般の規制を具体の運用に当たって十分に趣旨を徹底いたさなければならぬわけでございますので、まず制度の趣旨の徹底、それから具体の許可、建築確認行為に当たっての処理の円滑化という点につきましては御指摘のように十分配慮いたしまして、それぞれ県、村当局担当窓口等を通じて十分な徹底が図られるように、私どもとしても入念な指導をしていきたいというふうに考えております。
○瀬崎委員 二つ目の歴史的風土保存計画とか整備基本方針、さらには整備計画等の作成に当たって、できるだけ住民の意見が反映するようにという問題なんですが、さらに政令づくりの段階でも歴史的風土審議会の意見を聞くとおっしゃっておりますね。問題は、歴史的風土審議会が明日香の住民の意見を十分そこにあらわしてくるかどうかというのが問題だと思います。 そこで、そういう制度上の保障として、私どもは修正案要綱で提起しているのですが、複数以上の住民の代表と複数以上の系統的に飛鳥の文化遺産の保存研究に携わっている専門家を入れた明日香特別保存部会、こういうものをこの法律に対応してつくっておいてはどうかと思っているわけです。これは一遍長官にぜひ検討していただくに値する私どもの提案だと思っておるのです。御意見を聞きたいと思います。 あわせまして、整備計画の作成に当たっては公聴会を開くというふうなこともやるべき方策ではないか、こう私は思っております。こういう点で住民の意見が十分反映して計画、方針がつくられるということになるならば、現地の住民の方々も相当安心されるのではないかと思うのです。いかがでしょう。
○升本政府委員 おただしの初めの方に、この規制内容を政令で定める場合に審議会の意見を聞くというお話がございましたので、その点に関しまして私の方からお答えをさせていただきたいと思います。 審議会の構成は、御説明申し上げておりますように、県知事それから市町村長もお入りいただいておりますので、地元の住民の御意見をこういった規制の内容に反映させるということについては、十分御意見を承れる体制に現状でもあるのではないかと私ども思っております。ただ意匠、デザイン等の技術的な問題につきましては、あるいは専門家の御意見がさらに補足されなければならないという点もあろうかと思います。そういった面につきましては、専門委員の拡充等によりまして御意見を補っていただければよろしいかというふうに考えておりますが、この点につきましてはなお総理府ともよく御相談をいたしてまいりたいと思っております。
○瀬崎委員 私の時間が来ておりますので、最後にまとめて長官の答弁をいただいて終わろうと思います。 そのいまの特別部会をつくってはどうかというふうな私どもの提案に対する長官の御意見も一つは承りたい。 それから、生活対策に対する住民の方々の不安の一つは農業の保障の問題です。農林省からいろいろ振興策の実務的な説明はあるのですけれども。問題ははっきりしていると思うのです。まず第一に、明日香に限っては、観光客が増加したからといって村民の収入もふえないし村財政も潤わない、このことははっきりしているわけです。第二点は、地場の産業として農業以外に適切な生業があるのかと言えば、これはないわけであります。農業にほぼ限られてくる。あとは通勤の勤労者の方があるわけでありますが、これはまあ全国共通ですね。それから第三は、その農業において、奈良で盛んなイチゴのハウス栽培など施設園芸が厳しい制限を受けて思うようにできない。では稲作が十分できるかというと、これまた転作は同じようにかぶってくる。多少県が配慮しているという程度なんでしょう。ここに村民としては生活の基盤が揺らいで不安が出てくるわけです。第四は、しかも、この間私もこの点を村長さんにただしたところ、村長さんは、黄金の稲穂こそが明日香の歴史的風土と最も調和するんだ、こういう答弁をされているわけです。まさにこの法律の趣旨を生かすためにも稲作の保障ということが一番いいわけなんですね。 そこで長官にぜひ決意をしていただきたいのですが、国のいろいろな施策についてこの法律で特例を設けていこうというのに、農業だけはその特例の体系の中に入れないで、全国共通の割合で転作率を奈良県に示して、あとは奈良県内でやってくださいというわけでしょう。狭い奈良県内でこの明日香を特別に何とかしてあげようと思ってもやりにくいと思いますよ。やはりこれも特例としてきちっとこの法律の延長線上で、明日香はこういう特別な任務を負っているところなんだから転作は除外します。こういう方向を一度検討されるべきだろうと私は思うのです。これは政府全体で一遍御議論いただきたい点であります。 それからもう一つは、観光公害防止の問題です。そのための即効薬はないと私は思うのですが、この法律ができる機会に政府自身も、この法律の趣旨が広く国民に理解されて、明日香を訪れる観光客が自発的に観光公害防止に協力するよう努力する責任があると思うのです。これは単純なPRという意味ではなしに、教育的見地も含めた手だてというものが考えればあろうと思うのです。こういうことを政府自身がやる、一方で、批判のある国営公園で国みずからが地上の景観を保存しようと言いながら変えていくというふうなことについても反省してもらう、こういうことが観光公害防止にとって大事ではないかと思うのです。 以上、お答えをいただいて終わります。
○小渕国務大臣 歴風審において、それぞれの施策を施行するときの考え方を聞くのに当たって現行で十分かということでございますが、先ほど建設省当局からお話ししたことでございます。まあしかし万遺漏なきを期していかなければなりませんので、今後とも、特段の不祥事がありますれば、これは組織内を、あるいは人的構成等につきましても検討していただきたいと思いますが、私は現行の中で十分配慮し得るものだと考えております。 それから、観光における収入の問題でございますが、委員は断定的に、一切合財村には利益がない、こうおっしゃっておりますが、この辺はあえて観光立村を心がける必要はなかろうと思いますけれども、産業の移動などを見ましても、一次産業から三次産業に移っているというような傾向も、これは若干そういった点で、村民の中で所得を得る手段としてこの問題についての意識もあるのではないかと思います。したがって、観光地化していくということについては、望ましいことではありませんけれども、全く村に利益をもたらさないものでもない。したがって、よき意味でこの観光における収入というものも、住民の生活に資することとして、賢明な村民が具体的にいろいろ御検討いただいてもよかろう、私はそう考えるわけであります。 しかしながら、村長さんが申し上げているように、やはり原則は第一次産業、農業立村だ、こう言っておられるわけでございますので、その面の施策につきましては、先刻来農林省初め全面的に御協力していくということでございますので、これからの具体的な施策と農家の皆さんのお力と合わせて、ぜひその目標が達成できるようにお願いしたいと思います。 そこで、稲作の問題が出ました。これは先般来農林省事務当局からもここでも答弁されておりましたが、この問題につきましては、ここで御答弁するのにそれ以上のことは正直申し上げて言い得ないだろうと思うのです。しかし、私といたしましては、あえてこの日本全国の市町村の中でただ一つの村の名前をかぶせた——実は前回そう答弁したのですが、調べてみましたらもう一つありましたが、それは除くといたしましても、まれに見る法律でございまして、それをまさに御審議していただいて施行しようということでございますので、この問題については、従来の枠を超えられないものかどうかということについては、関係大臣等とも政治的な意味合いで話し合ってもみたい、正直そう思っております。 しかし、一つの特例中の特例を認めるということになりますと、アリの一穴というようなことになりまして、すべて例外であるということで、現在政府が行っておる減反政策そのものが破綻を来すということでありますと政府の目指すことにもなりませんので、この辺は十分慎重であらなければならぬかと思いますが、しかし、私、総務長官としての気持ちを率直に申し上げるとすれば、そういうことで努力もしてみたいというふうに思っております。 それから、観光公害の問題につきましては、これも大変住民に御迷惑をかけておるわけでありまして、諸施設等をつくり、合理的に村内をめぐれるようにいろいろ工夫をしながら、いたずらな公害を発生するようなことについては避けるようにしていかなければなりませんが、委員も御指摘のように、これはそれぞれ訪れる百万人の個々の方々のモラルの問題に帰属する問題でございまして、まことにむずかしい問題であると思いますけれども、しかし、回り道にはなるかと思いますけれども、先ほど来の、ごみ箱を十分設置をして投げ捨てのできないようなことをするとかいうことも具体的な施策としてやらなければならぬと思いますし、あわせて、やはりこの明日香を訪れた方々が、それこそ枝葉を折ることも草木を汚すこともいけないという気持ちを起こさせるような明日香であってほしい。極端に言えば、明日香を訪れた方々がみずから心を洗って、公徳心の高い人間になって帰るということになれば、もって瞑すべきことではないかと思いますので、そういうことができるように、いろいろなPR等も訪れる方々に対しては十分やっていかなければならぬ、私、こういうふうに考えます。
○北側委員長 井上敦君。
○井上(敦)委員 飛鳥の文化財は、歴史的風土、景観あるいは建造物の保存も重要でありますが、より重要なのは、地下に埋もれた文化財、埋蔵文化財の確保が最大の課題の一つであるというふうに思うわけであります。 昭和四十五年九月十一日付の歴風審の答申の中でも、「前書き」の「保存の方法」の中でも「遺跡の発掘調査を進め、史跡の指定を行うとともに、その活用を配慮すること。」あるいは五十四年七月五日の歴風審答申の中でも、その「基本方針」の中に「埋蔵文化財等の歴史的文化遺産が数多く存在し、これが周囲の自然的・人文的環境と一体となって我が国の律令国家体制がはじめて形成された地域である」云々とあります。 建設省自身も調査しているかと思うわけですが、どれぐらいの数のものがあるのか、その調査の結果についてまず最初にお聞きしておきたいと思います。
○升本政府委員 ただいまの御質問は、埋蔵文化財の調査でございますか。——私どもの方は埋蔵文化財の方につきましては、調査という形で結果を把握いたしておりません。
○井上(敦)委員 国立奈良の研究所の鬼頭清明氏が「文化財保護の実務(上)」に載せている論文によりますと、 現在、飛鳥地方にあると文献史料上に残されている宮殿遺跡の数は、二十一カ所、七世紀代の文献、遺跡両方から知られる寺院跡の二十七カ所、古墳が約百基、また石造遺物が十カ所存在している。ただ、これらの遺跡は当然のことではあるが、地上にその痕跡をとどめているものは極めて少なく、ほとんどすべてのものは、地下遺構として往時の姿を大地の下に眠らせている。 というように書いております。また、 飛鳥地域の遺跡の特色を考えてみると まず第一には、飛鳥地域の文化遺産は、そのほとんどが地下に埋もれているものであって、地上からはなかなか推測の予断を許さないことである。このことは、一つ一つの遺跡の範囲についても、不確定な要素を今日でも持っており、つい近年の発掘で、飛鳥寺の北辺が北方へさらに広がったこともそのよい例であろう。 云々とあります。 この点で、飛鳥地方における埋蔵文化財の重要性をどのようにとらえておるのか、御見解を最初にお伺いしたいと思います。
○山中説明員 先生がいま御指摘なさいました論文の中に述べられておりますのは、過去のさまざまな文献史料の中から推測できるものとしてこういうものがあるはずだ、そういう研究の論文であろうかと思っております。実は、そのあるはずだというのがどこにあるのか、果たしていまあるのかどうかということは、なかなかわからないというのが現状でございます。 現在までのところ、明日香村に関係するもので申し上げますと、たとえば高松塚古墳とか石舞台古墳、川原寺跡、飛鳥寺跡、大官大寺跡、飛鳥板蓋宮と伝えられる宮跡、それから、飛鳥浄御原宮跡推定地の一部ではないかと言われている飛鳥水落遺跡とか飛鳥稲淵宮殿など十四件の相当重要な遺跡が、中には部分的でございますけれども出てきておりまして、これらは国の史跡に指定され、そのうち高松塚古墳と石舞台古墳につきましては、特別史跡になっております。
○井上(敦)委員 先ほども瀬崎議員が言われましたが、わが党は、法文上、明日香村における歴史的風土について、「わが国の律令国家体制が初めて形成された時代の歴史的意義を有する地下遺跡」埋蔵文化財「を含む文化財が周辺の自然環境と一体をなしている明日香の土地、風土」そういうような定義にすべきだと考えていますけれども、今後、飛鳥の文化財の性格から見て、法の運用上、埋蔵文化財の調査、保存、活用に特段の人的あるいは財政上、体制上の配慮をしなければならないのではないかというように考えるわけですが、その見解をお伺いしたいと思います。 三月八日に文化財保存全国協議会が声明を発表しております。その中で「遺跡の保存と活用のためには文化財保護法にもとづく史跡指定と公有地化をさらに進めることが必要である。そして住民の充分な理解をえて、遺跡の範囲確認や研究課題を解決するための先行的な学術調査が必要である。」というように指摘をしております。ことし二月の、これは朝日新聞の論説ですが、 歴史的風土としての明日香村の重要性は、往時をしのばせるたたずまいとともに、全村にわたり地下に貴重な古代遺跡が、分布していることである。従って、遺跡範囲の確認調査を急いでほしい。 道路の整備や住宅の新増築などで、遺跡が発見されるつど、調査を行うよりは、少なくとも遺跡分布が明確で重要なものについては、その範囲をあらかじめ確認しておいた方が、これから村の整備事業もスムーズに進められるのではないか。 というような主張も出しております。こういう点で、先行的に学術調査を行う、遺跡範囲の確認調査を急ぐという点についてどう考えておられるのか、見解をお伺いしたいと思います。
○山中説明員 埋蔵文化財の発掘調査体制の充実につきましては、まず、直接この発掘調査の仕事に当たります地方公共団体の考古の専門職員の充実ということが大事でございます。これにつきましては、私どもも自治省の協力を得て、財政的な援助とか、あるいは国立の奈良の文化財研究所に埋蔵文化財センターを設けまして、地方公共団体のそういう方々の専門研修を行って技術水準を上げていくというようなことで鋭意努力しております。いま、国も地方公共団体も定員は削減される一方でございまして、非常に苦しい中でございますけれども、おかげさまでこの面については、各自治体とも非常に力を入れてきてくれまして、十年前の昭和四十五年にはこういう専門職員が百七十三名にしかすぎないで、事業が非常に滞るという問題があったわけでございますが、非常な勢いで充実いたしまして、現在、昭和五十四年では約千七百名にまで充実されております。この方向をさらに充実を続けていくということが大事であろうかというふうに考えております。 なお、明日香村につきましては特に重要なものがございます。これは工事が行われる場合の発掘調査というものを待って行うというだけでは必ずしも十分ではないということで、幸い奈良の国立の文化財研究所あるいは奈良県立の橿原考古学研究所もございますし、それから、明日香村御自身においても大学の協力を得まして、たとえば高松塚とかマルコ山古墳とか檜前宮跡の伝承地の発掘とかという形で行っております。奈良の県立の研究所では、飛鳥板蓋宮跡とかあるいは島宮跡、こういうものの学術調査も続けております。もちろん国立の研究所におきましては、大官大寺跡、川原寺跡、さまざまなところの学術調査を続けているわけでございます。 新聞にございましたように、重要な遺跡があると思われるというところをずっと先に調査できれば一番よろしいわけでございますが、調査いたしますときに、たとえばそこに家が建っております場合に、その改築等の機会でないとなかなかどいていただくというわけにもまいりません。農地でございましても、そこに本当にあるということがわからないとなかなか同意していただけないものでございます。そういうものがあると濃厚に推定される場合につきましては、所有者の方々にいろいろお話ししてそういう調査を続けておりますし、たとえば明日香で申しますと、大官大寺のところは農地でございます。特別の建築届け出もございませんが、冬場などの農閑期に土地をお借りして、毎年毎年調査を続けてきて、相当程度明らかになってきている。今後もそういう方向で続けるというような形で、並行して重要なものの保存に遺漏のないように努力してまいりたいと思っております。
○井上(敦)委員 その具体的なケースにどう対応するかというのではなくて、整備の基本計画を立てるに当たって、遺跡の範囲の確認の先行的な調査というものを基本的に据えるのかどうなのか、そのことを尋ねているわけであります。重ねて御見解をお伺いしたいと思います。
○山中説明員 ただいまの御説明の中でもちょっと申し上げたわけでございますが、ここに史跡があるはずだというだけで、文献上の問題だけで所有者に調査をお願いしましても、なかなか調査を許していただけないというのが現実でございまして、相当程度はっきりしている、たとえば現在ある飛鳥板蓋宮跡と推定されている土地、いま指定されている土地の外にお医者さんの建物が建つということで発掘されましたところ、重要な遺構が出てまいった、そういうようにはっきりあるということがわかりますと、地主の方も調査に同意してくださるわけでございます。私どもの現実の経験から申し上げますと、これは過去にもすでにあったわけでございますが、建物の遺構が半分明らかになって、そのこちらにも地続きの遺構があるということがはっきりしておりましても、やはり掘ることについてはなかなか同意していただけない。そこが掘られてはっきりしたときでないとなかなか御承認いただけない、こういう現実の問題がございます。 したがいまして、いまも御説明申し上げましたように、そういうことがはっきりして地主の方々の御同意も得られるものについては取り上げていく。一つ一つきめ細かくやっていくことが大切であろうと考えております。
○井上(敦)委員 この間、わが党の調査が行われた際に、現地の学者、研究者との懇談会に参加された奈良文化財研究所の発掘調査部長、あるいは先ほど紹介した鬼頭清明氏、あるいは飛鳥資料館学芸室長とか県立橿原考古学研究所の調査課長、あるいは奈良文化財保存連絡会議の方々がこれに参加されておるわけですが、研究者の体制の弱いこと、現在の研究者、職員が一生懸命掘っても年間ベースで約十万平米である。藤原宮だけでも百万平米あるし、飛鳥を入れるとその五倍ないし六倍はある。つまり藤原、飛鳥を全部掘るには百年かかる。宅地造成に伴う緊急発掘もあり、いまの発掘体制では弱体だというのが指摘をされております。こういう点で、重ねてお伺いしますが、研究体制の充実を今後どのように進めていくのか、この点について方針を聞かしていただきたいと思います。
○山中説明員 発掘調査に当たりますのは考古学の専門調査を行える専門家でございますので、その養成というのはなかなかむずかしゅうございます。大学で専攻した方が直ちにその職員になってもそれだけでは技量水準がなかなかである。いまお話に出ました研究所の部長、これは最高級のベテランでございますから、こういう方から見れば、その専門家といえどもまだ水準が低い、これはこの間末永先生もおっしゃっておられましたけれども、大先生から見られると水準が低いと言われる方もございますが、考古学会の会員となって正式に考古学の第一線を担っている方がこの千七百名は大部分でございます。 そういう意味において、決して水準が低いままでいいということではございませんで、今後ともあらゆるものを総合分析して、またこの奈良の研究所においても埋蔵文化財センターというものをいま集中的に強化して研修課程を充実しておりますが、そういう方向の充実を図ってまいりたいと思っております。また、自治省にも協力を得まして、地方交付税の財源措置等も、非常に地方公共団体いま定員削減やっております中にもかかわらず、昨年もことしもその定員の充実の予算が配慮されておりますので、今後とも私どもはそういう方向で質ないし量の充実という面で力を注いでまいりたいと思っております。
○井上(敦)委員 明日香の新しい保存事業は、全国的に関心も受けています。特に古都保存法の指定を受けている京都、鎌倉等でも強い関心が持たれているようであります。現行の古都保存法では、歴史的風土保存地区に指定されると、規制だけが強化され、住民に大きな犠牲を強いる結果になっている。明日香法で行う住民に対する営業上、生活上の配慮を古都法の指定地域住民にも行うべきではないか。明日香法をそのまま対象地域を広げようという意味ではありません。こういう点について検討する用意はないかどうか、お伺いしたいと思っているわけです。 これは国会でも取り上げられてきたようですけれども、京都市の嵯峨野では、営農を続ける農民が同法による規制のため、地価の抑制、土地や家屋の処分の制限、ビニールハウス園芸など農業近代化まで抑えられる。指定地域の土地を売却したい場合に、国が買い取る制度を利用した際の買い取り価格の引き上げなどは若干改善されたというような措置も聞いております。たとえばこれは一九七一年の例ですけれども、買い上げに当たり評価を調整区域から市街化区域並みに引き上げるとか、水路や道路の改修に市の単費が管理費として計上されたとか、用排水の分離が予算面で措置されたとか、先行買収を国が認めたとかというような例もあるようでして、市の要望として、指定地域全体に国の方で買い上げ地のみの管理費を予算化してほしいというような要望などもあるようであります。こういう点で、先ほど申し上げた古都法の指定地域住民に対する配慮の問題についてどういう意向を持っておるのか、検討する用意があるのかどうか、この点お尋ねしたいと思います。
○清水政府委員 今回の御提案申し上げておりますこの特別措置法は、具体的に言えば明日香村という名前でもおわかりいただけますように、一つの行政単位というもののその地域を全体としてとらえまして、その良好に保存されている風土を将来にわたって確保していきたい、そういうことを主眼に考えて、そうしてそのためにはいまの古都法よりも特別的な、特例的な手続がひとつ必要になりましょうし、また、いまの古都法ですでに講じている措置以上の措置を講ずることが望まれているということから、御案内のような住民対策あるいは村に対する対策というような構成になっているわけでございます。したがいまして、この古都法自体七条の二で改正をいたしておりますけれども、そのような行政区画、行政単位の地域全体についてそういうような基準に該当するようなものがあれば、それはこの古都法の改正後の条文によって特にまた別に法律をつくって対応していくという道はあるわけでございますが、現実のいま言われておりますような、他のいわゆる古都として特別保存地区の指定を受けているようないま先生のお挙げになりました地域、そういうところについては、この例のようなことになるようには考えられないわけでございます。 一方で、いまの古都法自体でも、これは多少蛇足で恐縮でございますが、通損補償の規定とか土地の買い入れの規定自体は持っておるわけでございますが、そういうこととは別に、さらに個々の事情に応じて何かそこにおける、これは例でございますが公共事業を優先的に採択するような配慮をしていくことができる場合とか、そういうようなことの配慮というものは、できるだけその事情に応じて努力をしていくことが望ましいだろうと思いますけれども、これと同じような法律の形で及ぼしていくということはいまのところ考えられないということでございます。
○井上(敦)委員 これと同じ形のものを古都保存法に指定されている住民に直接的に適用せよというように言っているのではないわけであります。営業上あるいは生活上の配慮についても引き続き格段の御検討をいただくことを重ねて要望しておきたいと思います。 もともと文化財保護法自体にも問題があるのではないかと思いますが、「史跡指定 まっぴら地権者ソッポ、答申宙に」というような見出しで新聞報道されて、日光山は二十六年越しになっている、あるいは春日大社とか佐渡金山は十数年に及んでおるというわけですね。いわゆる指定、規制ばかりが強く、関係者に大きな犠牲を強いているところに一つの問題があろうかと思うわけです。こういう点で関係者の協力が得られるような施策を今後講ずべきではないか、こういう点について検討する意向があるかどうか、その見解をお伺いしたいというように思います。
○山中説明員 ただいま先生からお話がございましたのは、先般たしか新聞の記事に出た問題であろうかと思います。ここを史跡に指定して後世まで残したいということがありましても、なかなかそれができない事情が、個々ばらばらでございますけれどもございます。日光の場合についても、どうも現状を変えられなくなるのは余り望ましくない、それはそんな心配はないのですと申し上げても、なかなか御理解いただくのに時間がかかる。決して反対ではないけれども、理解いただくまでに時間がかかるという問題がございます。佐渡の金山の場合につきましても、いま廃坑になっておりますけれども、いつまた金の価格の高騰から再開するということがあるかもしれない、そのとき史跡に指定されていると実は困るんだと言って、なかなか同意いただけないという問題もございます。私どもとしては、早くそれは史跡に指定して整備したいのはやまやまでございますけれども、すぐ破壊されるという状態がないものにつきましては、やはりすぱっとやってしまうというよりは、根気強く御納得いただくように、時間をかけてもやるという方向で進めておりますので、何件かそういう問題がございまして新聞にも取り上げられたことは十分承知しておりますが、一段と理解を得る努力を強めるという方向で対処してまいりたいと思っておりますので、御理解をお願いしたいと思います。
○井上(敦)委員 新しい明日香村の保存事業を契機として、全国の古都保存の、あるいは文化財保護の上で、住民の皆さんの納得と協力を受けて進めるというのが基本的な課題であろうかと思います。大きな論議も関心も呼んでいるわけですが、それらに対して政府自身もきめ細かい措置を、また、新しい段階に対応した配慮を重ねて検討されることを要望して、私の質問を終わります。
○北側委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 次回は、来る十一日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時十四分散会