決算委員会 第19号
- 発言数
- 216 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/05/07
会議録
○高田委員長 これより会議を開きます。 昭和五十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、昭和五十三年度特別会計予備費使用総調再及び各省各庁所管使用調書(その2)、昭和五十三年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)、以上三件の承諾を求めるの件、及び昭和五十四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、昭和五十四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、昭和五十四年度特別会計予算総則第十条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)、以上三件の承諾を求めるの件、並びに昭和五十三年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)及び昭和五十四年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その1)、以上の各件を一括して議題といたします。 まず、大蔵大臣から各件について趣旨の説明を求めます。竹下大蔵大臣。
○竹下国務大臣 ただいま議題となりました昭和五十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外二件、並びに昭和五十四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)外二件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。 まず、昭和五十二年度一般会計予備費につきましては、その予算額は二千五百五十億円であり、このうち、財政法第三十五条(予備費の管理及び使用)の規定により、昭和五十三年四月十八日から同年十二月二十二日までの間において使用を決定いたしました金額は一千三百四十五億一千九百三十五万円余であり、すでに第八十七回国会において御承諾を得たところでありますが、その後、昭和五十四年一月五日から同年三月三十日までの間において使用を決定いたしました金額は六百六十億一千四百十六万円余であります。 その内訳は、災害対策費として、干害対策に必要な経費等の八件、その他の経費として、国民健康保険事業に対する国庫負担金の不足を補うために必要な経費等の十五件であります。 次に、昭和五十三年度各特別会計予備費につきましては、その予算総額は二兆九千五百億四千二百三十七万円余であり、このうち、昭和五十三年九月一日から同年十二月二十五日までの間において使用を決定いたしました金額は六百四十六億五千八百十九万円余であり、すでに第八十七回国会において御承諾を得たところでありますが、その後、昭和五十四年一月二十六日から同年三月三十日までの間において使用を決定いたしました金額は九百九十七億一千五十六万円余であります。 その内訳は、食糧管理特別会計輸入食糧管理勘定における調整勘定へ繰入れに必要な経費、郵便貯金特別会計における支払利子に必要な経費等五特別会計の九件であります。 次に、昭和五十三年度特別会計予算総則第十一条(歳入歳出予算の弾力条項)の規定により、昭和五十三年六月二十三日から同年十二月十五日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は百七十一億四千四百九万円であり、すでに第八十七回国会において御承諾を得たところでありますが、その後、昭和五十四年三月六日から同年三月三十日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は六百四十九億五千七百九十九万円余であります。 その内訳は、郵便貯金特別会計における支払利子に必要な経費の増額、国立学校特別会計における医療費等に必要な経費の増額等四特別会計の四件であります。 次に、昭和五十四年度一般会計予備費につきましては、その予算額は三千五百億円であり、このうち、財政法第三十五条(予備費の管理及び使用)の規定により、昭和五十四年四月十七日から同年十二月二十一日までの間において使用を決定いたしました金額は二千百二億五千六百十一万円余であります。 その内訳は、災害対策費として、河川等災害復旧事業に必要な経費等の十二件、その他の経費として、水田利用再編対策に必要な経費等の三十四件であります。 次に、昭和五十四年度各特別会計予備費につきましては、その当初予算総額は三兆四千七十二億四千五百二十六万円余でありましたが、補正予算(特第1号)により、四千三百三十九億三千四百五十三万円余を修正減少いたしましたので、改予算総額は二兆九千七百三十三億一千七十二万円余となっております。 このうち、昭和五十四年八月七日から同年十月十九日までの間において使用を決定いたしました金額は四百五十七億四千四百六十七万円余であります。 その内訳は、食糧管理特別会計輸入食糧管理勘定における輸入食糧の買い入れに必要な経費等三特別会計の五件であります。 次に、昭和五十四年度特別会計予算総則第十条(歳入歳出予算の弾力条項)の規定により、昭和五十四年八月七日から同年十二月十四日までの間において経費の増額を決定いたしました金額は六百九十八億六千七百十八万円余であります。 その内訳は、国民年金特別会計福祉年金勘定における福祉年金給付費の支払いに必要な経費の増額等五特別会計の十一件であります。 以上が、昭和五十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調査(その2)外二件、並びに昭和五十四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)外二件の事後承諾を求める件の概要であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。 次に、昭和五十三年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)、及び昭和五十四年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その1)の報告に関する件につきまして、その概要を御説明申し上げます。 まず、昭和五十三年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定により、災害復旧その他緊急の必要がある場合に国が債務を負担する行為をすることができる限度額は一千億円であり、このうち、昭和五十三年十一月十七日の閣議の決定を経て、総額四億三千四百三十一万円余の範囲内で債務を負担する行為をすることとしたものについては、すでに第八十七回国会に御報告したところでありますが、その後、昭和五十四年二月二十七日の閣議の決定を経て、総額九十五億九千四百万円の範囲内で債務を負担する行為をすることといたしました。 その内訳は、昭和五十三年発生河川等災害復旧事業費補助等の四件であります。 次に、昭和五十四年度一般会計におきまして、財政法第十五条第二項の規定により、災害復旧その他緊急の必要がある場合に国が債務を負担する行為をすることができる限度額は一千億円であり、このうち、昭和五十四年発生直轄河川等災害復旧費につきまして、昭和五十四年十二月十四日の閣議の決定を経て、総額百億八千七十四万円余の範囲内で債務を負担する行為をすることといたしました。 以上が、昭和五十三年度一般会計国庫債務負担行為総調査(その2)、及び昭和五十四年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その1)の報告に関する件の概要であります。
○高田委員長 これにて説明の聴取を終わります。 —————————————
○高田委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村勝雄君。
○新村(勝)委員 最初に大臣にお伺いをいたしますが、国の財政は、言うまでもなく国民の貴重な税金を使って行われるわけでありまして、これは原則的に必ず事前に国会の承認を得て行う。しかもその使途を明示をして事前に承認を得るというのが原則でありますが、予備費については、その例外として認めておる方法であります。ところが、最近の一連の財政執行の状況を見てみますと、予備費の使用について必ずしもその精神に合っていないと思われる面があるわけであります。その一つは、予備費を当初予算で多目に計上をして、それを補正の財源に充てているというような、こういう場合がしばしば見受けられるわけであります。これでは財政法の精神に合わないし、憲法の精神にも合わないわけでありまして、そういう面での大臣のお考え、それから、毎年行われておる財政の運営が果たして予備費の使用について法の精神にかなった方法で行われているのかどうかということについてのお考えを伺いたいと思います。
○竹下国務大臣 御指摘のように、財政民主主義のたてまえからいたしまして、予算というものは、その編成の時点において予見できるあらゆることを念頭に置いて編成さるべき性格のものであることは申すまでもありません。しかしながら、予備費というものが置かれておることそのものは、予見しがたい問題が発生した場合という意味において、これはそういうことが法の上で許されておるわけでございます。しかしながら、私どもがその編成に当たりまして、あらかじめ予備費を、言ってみれば常識を超した範囲の金額を計上し、御協賛をいただいておいて、そうして、それが実質上使用することなくして補正予算の財源に組み入れられておるというような経緯も現在までにもとよりございます。しかしながら、いままでのところ予備費の額そのものが著しく常識を逸脱するものではない、従来のいろいろな経過からいたしまして、それなりに適正なものであるというふうに理解をしていただきたいと私は常々思っておるところでございます。 予備費につきましては、もとより、できるだけそのものが総額としても厳正な査定の範疇の中に置かるべきことが当然のことであるという意味においては、精神としては委員の御指摘と私どもの認識とに相違はございません。
○新村(勝)委員 試みに昭和四十八年以降の予備費の計上額、それから使用額を比較をしてみますと、四十八年では二千三百億に対してわずかに六百五十億、四十九年では二千六百億に対して八百二十九億、五十年は三千億に対して千七百八十四億、五十一年は三千億に対して八百三十七億というように、これは結果的に見るからそうなるのだとおっしゃるかもしれませんけれども、少し予備費の計上が放漫過ぎるという印象がどうしてもぬぐえない。逐年そういう傾向があるわけでありますけれども、これについては、予備費というのは、財政上全く例外的に認められておる政府のいわば財政上の特権にすぎないわけでありまして、予算というのは事前に承認を受けるということが原則でありまして、その原則を極力守るというのが執行部の責任であると思いますが、もう一回、ひとつ伺いたいと思います。
○吉野政府委員 御指摘のように、予備費はその性格上、予見しがたい予算の不足に充てるものでございますが、当初予算におきまして、どの程度の金額を予備費として計上さしていただくことが妥当であるか、これは格別に法令上の基準があるわけではないわけでございますけれども、従来から私どもは、一般会計に占めます予備費の計上の割合あるいは従来におきます各年度のいわゆる追加財政需要が毎年度どの程度あったかというような経験等も踏まえまして妥当な金額を計上するように努めているわけでございます。 試みに計数を挙げて申し上げさせていただきますと、たとえば最近十カ年の平均をとってみますと、当初予算編成後に生じてまいりました追加財政需要の規模は、一般会計の当初の予算規模に対しましておおむね平均五%ぐらいの追加財政需要が発生をしたというような経験的な数値もあるわけでございます。それに対しまして、たとえば五十三年度あるいは五十四年度におきましては、これは公共事業等予備費も含めましたところでございますが、いずれも当初予算全体の規模に対しましては一・四%程度、それから五十五年度予算でございますが、五十五年度予算は公共事業等予備費を組んでいないというようなこともございまして一般予備費だけでございますが、これは〇・八%というような比率になってございます。こういったあたりから見ましても、私どもといたしましては当初予算における予備費の計上の仕方が過大であるというふうには考えられないのではないか、かように考えている次第でございます。 それから、先ほど、たとえば五十一年度につきまして計数を御援用になりましての御指摘がございました。当初予算におきまして五十一年度におきましては一般の予備費を三千億円組んでいたわけでございますが、御指摘のように予備費としての使用実績は八百三十七億でございます。この三千億とただいまの八百三十七億との対比だけからいたしますと、確かに三千億というのは使用実績に比べまして著しく大きいということは言えるわけでございます。しかし、実は、これもあるいは御議論があるところかとも存じますけれども、もともと予備費は予見しがたい追加財政需要に充てるものでございまして、たとえば五十一年度におきましては、もろもろの追加財政需要に対処いたしますために補正予算を組んでございます。この補正予算を組みます時点におきまして、これは五十一年度に限らないわけでございますが、補正予算編成時点におきまして現に確定をいたしました追加財政需要につきましては、これは極力補正予算にきちんと歳出予算として改めて組ましていただきまして国会の御審議を仰ぐ、それが筋道であろうというような考え方で、当初予算編成後補正予算の編成までに生じまして補正予算に計上いたすことは妥当だと思われます経費につきましては、改めて補正予算に計上さしていただいているわけでございます。それとのいわば見合いにおきまして、その時点であくまで予備費を当初予算どおり確保しておく必要はない。補正予算編成時点以後年度末までになお予見しがたい予算の不足に充てるために予備費として保留をしておくべき金額がどの程度必要であるかということを改めて見直しをいたしまして、そこでなお予備費として残しておくべき金額だけを補正後の予算におきまして留保をする。したがいまして、補正予算では、予備費の減額の措置を、現に五十一年度におきましても措置をいたしているわけでございます。たとえば、五十一年度におきましては、補正予算におきまして予備費を千四百五十億円減額させていただいております。したがいまして、補正後の予備費といたしましては、差し引き千五百五十億円ということに相なるわけでございます。この千五百五十億円のうち現に使用をされた予備費の金額が八百三十七億円であったというようなことでございます。そういう比較からいたしますと、先ほど御指摘になりました三千億と八百三十七億という数字との比較ほどには使用実績と予算額とは開いてはいないというようなこともございます。今後とも私どもは当初予算におきます予備費の金額の計上につきまして十分注意をしてまいりますと同時に、できるだけ補正を組みます場合にも、真に年度末までに必要になるであろうと見込まれます金額の見積もりについて十分注意をいたしまして、御指摘のような問題が起こらないように努力をいたしてまいりたい、かように考えます。
○新村(勝)委員 毎年の予算編成の過程を見ますと、いま説明があったような事態が繰り返し行われている。要するに当初予算で大き目に予備費を取っておいて、それを補正の財源に充てておる、こういうことがあるわけであります。結果的にはこれは有効に使われているということになる場合もあるでしょうけれども、当初予算で予備費の適正な額を確保して、あとは国民のニーズがたくさんあるわけでありますから、それらを当初予算にきちっと計上して国会の承認を求めるということが筋だと思います。特に五十三、五十四年では公共事業の予備費というものが計上されておるようでありますが、この公共事業の予備費ということ自体が予備費の概念から外れるのではないかと思うのですね。予備費というのは、予見しがたい経費に充てるわけでありまして、最初から公共事業に使う予備費ということは財政上どういうものか大変議論のあるところではないかと思います。そして、この五十三、五十四年度の当初予算で公共事業の予備費おのおの二千億計上されておりますけれども、これはいずれも補正予算で全額減額をされて、本来の公共事業の予備費としては使われていないという事実があるわけでありますけれども、これはまさに財政のルールを乱すものであって、財政法の精神から言ってもこれは明らかに逸脱あるいは違法の疑いさえもあるのではないかと思いますけれども、大臣、このやり方についてどうお考えですか。
○竹下国務大臣 公共事業予備費で五十一年千五百億円、そういう予備費を計上したわけでございますが、これは率直に申しまして委員御指摘のように、私、五十一年は建設大臣をしておりましたので、特に私どもは、俗に色づき予備費とこれを呼んだわけでございます。少なくともこの公共事業という色がついておるということだけでも予見の中に入るのではないかという議論をずいぶんいたしまして、最終的に閣議で統一的な見解を示して法制局長官が整理をいたしまして、この違法性はないということでお願いをして可決をしていただいた経緯があるわけであります。そのときにどういうふうな使用をしていくかという議論もいたしました。災害というものは確かに予見しがたいものの一つである。しかしながら災害というものについても、されば公共事業等予備費の中からこれは使うべきものか、あるいは色のつかない予備費の方から使うべきものかというような議論もずいぶんいたしまして、そのときは私どもといたしましては、やはり災害復旧といえども公共事業であるから公共事業の方から使うべきではないかというような議論もずいぶんいたした経緯があるわけでございます。そこで、そのときの考え方の中には、いわゆる景気の着実な回復に資するというようなことを念頭に置きながらの予見しがたい事情というようなことで、それらの合理性というものを結局打ち出したわけでございます。したがって、私どもは、当時の経緯からいたしまして、私、法律の専門家でございませんから事務当局へら補足して正確にお答えした方がより正確であろうと思いますけれども、いろいろ議論の末に設けられたものでありまして、その段階においては野党の皆さん方に対しても、公共事業予備費ということに限っての説明やら議論をして一応の御理解をいただいて、それがその後一人歩きをしてきた、こういう事情でございますので、これだけ経済が国内だけでなく国際環境全般の中に非常な影響を受ける状態になった場合、そのものの合理性、そして法律的な裏づけと一応御了解をいただいた上で、それがことし、五十五年度予算はございませんけれども、そういうことが今日まで継続をしてきておるということでございます。私も正確な法制局長官の統一見解をいま記憶いたしておりませんので、それらにつきましては事務当局からお答えをさすことで御容赦をお願いします。
○吉野政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございまして、御指摘のように、憲法上あるいは財政法上も予備費は予見しがたい予算の不足に充てるために認められているものでございますが、公共事業等予備費、これもまさしく予見しがたい予算の不足に充てるものでございます。ただ、一般の予備費が全く何らの使途の制限なしに予見しがたい予算の不足に充てるための経費でありますのに対しまして、いわゆる公共事業等予備費は、その使途につきまして公共事業等に限定をしている。つまり広い意味での予備費の中で、一部使途について公共事業等に限定をする。しかし、その性格はあくまで予見しがたい予算の不足に充てるものであるということで、憲法上もまた財政法上もその限りにおきまして何ら問題はないというふうに考えているわけでございます。
○新村(勝)委員 しかし、予備費は「予見し難い予算の不足に充てるため、」と明らかに法律で規定をされておるわけでありますし、それを特定の目的、具体的ではありませんけれども、一定の範疇に含まれるものはすべて公共事業という概念に含まれるものの予備費ということでありますから、明らかにこれは拡大解釈というか、法をかなり曲げて解釈をしておると言われてもやむを得ないのじゃないかと思います。そうしてさらに、これで公共事業という予備費をとって、これを全然使わずに、補正の財源に全額充ててしまったということでありまして、これは運用上からして大変遺憾だと思います。これからもこういうことをおやりになりますかどうですか、大臣、それをお伺いしたい。
○竹下国務大臣 憲法上、財政法上はいろいろな議論がございましたが、お許しをいただいてこのようなことをさしていただいたわけでございますが、五十二年と、それから先般御審議していただきまして成立いたしてすでに執行いたしております五十五年度予算にはこれをとらなかったというのは、これは法制上の問題ではなくして、いわば経済情勢の推移の中で、この公共事業等の抑制型とかそれから推進型とかという予算が組まれます、そういう段階においてなお経済情勢上不安があるという場合に、この公共事業予備費というのを使用したわけでございますが、これからと、こうおっしゃいますと、未来永劫にわたってこれを組みませんと申すわけには私自身まいりませんけれども、今日の財政事情の実態を考えますと、いわば財政がそういうようなものによって景気のてこ入れをするだけの対応力がなくなっておるというような角度から考えてみますと、私は、非常に短期的に見た場合は、いわば年度内補正とかそういうようなときにこれらのそういう性格のものが考えられる状態にはないと思っております。だから、新村委員の御説には必ずしも合わないお答えでございますが、法制上これを今後ともやめるというのではなく、いまの状態の中ではそれだけ財政が景気の下支えをしなければならないという情勢が発生しても、それに対応するいわばこっちに、財政力自体に体力がないということでもってこれを組む考えは今日ないというふうに御理解をいただきたいと思います。
○新村(勝)委員 大臣は、このやり方は決して不当ではないのだということを強弁をされておるわけでありまして、これは議論が十分あると思いますけれども、次の点に移りたいと思います。 五十四年度の厚生省の予備費使用調書の中に、福祉手当給付費等補助金あるいは児童扶養手当給付費あるいは国民年金特別会計へ繰入というようなものがありますけれども、こういうことをせざるを得なかった由来については、これは多分、当初予算の審議のときに、予算修正という議論が起こりまして、修正されたわけでありますね。その修正の部分ではないかと思いますけれども、間違いございませんか。
○吉野政府委員 御指摘は、厚生省の福祉年金受給者等に対する臨時福祉給付金等に必要な経費といたしまして五十三年六月二十三日閣議決定によりまして予備費使用を決定いたしました約三百十九億五千万円に係る御指摘かと存じますが、御指摘のように、これは昭和五十三年度予算の審議の過程におきまして問題になりましたいわゆる減税問題、昭和五十二年分の所得税につきまして特別減税が行われることになったわけでございますが、それに対応いたしまして、いわば減税の恩典を受けることができない福祉年金の受給者等に対しまして、いわば特別減税に見合うものとしての特別の臨時生活福祉給付金等を支給することになったことに伴いまして、予備費使用をお願いをしたものでございます。
○新村(勝)委員 これは予算審議のときに予算修正ということで決着がついたわけですね。ところが形式修正をするか実質修正をするかということで議論がありまして、結局実質修正、予算書は書きかえないということで決着がついたと思います。その実行の段階でこういうことを政府はなさったわけでありますけれども、これがまた予算執行上不当——違法とまでは言えないにしても、きわめて不当じゃないか。これは予算の修正がありまして、政府もこれは予算修正を認めたわけでありますから、その後の過程の中で当然これは予備費の使用ではなくて補正予算を提出すべきではないかと思うわけであります。それは財政法の二十九条からいたしましても「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費」云々とありますが、まさにこれに該当するわけでありまして、これを予備費すなわちこの「予見し難い予算の不足」ということには該当しない。明らかにこれは補正予算で処理をすべき案件でありますけれども、その点については大臣はどうお考えですか。
○吉野政府委員 法律上の解釈の問題がございますので、大臣からお答えする前に私から御説明をさせていただきたいと存じます。 先ほど御援用になりました五十三年度の例もそうでございますが、私どもは財政法第二十四条に予備費の規定がございまして「予見し難い予算の不足に充てるため、」予備費が計上されているわけでございますが、この二十四条の趣旨は、やはり政府が予算を作成しました後に生じた事由による予見しがたい予算の不足について予備費を使用することができるというふうに考えているわけでございます。 それからまた、一方、先生御指摘になりましたように、財政法の第二十九条におきましても、予算作成後に生じた事由に基づきまして予算の追加あるいはその他の変更を行う場合には補正予算を作成することができるというふうな規定があるわけでございまして、これは先ほど申し上げました予備費の規定と並びまして予算作成後に、予算作成時点におきましては予見し得なかった事態に対応するための道が開かれているわけでございます。私どもは、この二十九条にございますように、「国会に提出することができる。」というふうに書いてございますことからいたしましても、必ず補正予算によらなければならないというものではございませんで、法律上は予備費の使用によるか、あるいは補正予算の編成によるか、これは政府の判断にかからしめられているというふうに法律上の解釈としてはいたしているわけでございます。 五十三年度の例によりましても、補正予算の編成によって対処をすることも法律上はもちろん可能でございますけれども、特別減税との見合いにおきましてできるだけ速やかに特別の給付金を支給する必要もあった事情もございまして、予備費使用という措置によって対処することが最も適当であるというふうに判断をしたわけでございます。
○竹下国務大臣 これは新村委員御指摘のとおり、いつも議論になるところでございまして、今年度、五十五年度予算それから五十四年度予算——五十四年度予算のときには私が本院の予算委員長でございましたので、その形式修正論、実質修正論ということの調整役をさせていただいたわけであります。これは林法制局長官当時の統一見解というものが一応ございまして、それによって、これはいま吉野次長から説明いたしましたが、いわゆる財政法二十九条というものはいわば補正予算を組む要件と予備費を支出する要件を並行的要件として考えておるという理解の仕方で、予備費使用ということも可能である、また補正予算を組むということも可能であるということになったわけでございますが、これは現実の場合それぞれに即応してやるべきことであろうと実際は私も思っております。それ以上の御議論というものは、むしろ、修正権の及ぶ範囲はどこであるとか、目までとか項までとか、そういうような議論がまた一つ別な意味において残っております。それから、一応三党の御提案に対して自由民主党が合意されて四党合意、こういうことに特に五十五年度予算なんかはなっておりますだけに、当然の議論としていわば予算の政府修正をやってこい、いわゆる書き直し、形式修正でございますが、そういう議論もございました。しかし、その議論を進めてみますと、二週間の印刷の期間がかかるとか、単価を下から積み直してこなければならぬとか、いろいろな議論の上、そういうものをも合意の範囲の中で実質修正、こういうことで今年度予算が成立しておるわけであります。したがって今度は、その予見せざる、生じた不足に対しては予備費をもって充当すべきであるか、あるいは補正予算をもって行うべきであるかというのは今後の検討課題ではなかろうかというふうに私は考えておるところでございます。
○新村(勝)委員 これは検討課題なんてものじゃないですよ。これは二十四条と二十九条を読み比べてみれば、なぜ両方にこういう規定をしたのかということですよ。二十四条は「予見し難い予算の不足」、一方は「予算作成後に生じた事由に基づき」、これは明らかに違うわけですから、それをひとつ混同されないようにお願いをしたいわけです。 それから何よりも問題は、国会の議決あるいは意思に基づいて政府が謙虚に財政を執行する、あるいは行政を執行する、そういう謙虚なお気持ちがあるのかどうかということですよ、分かれるところは。ですからこれからは、予算審議の際にはいろいろな事情があって予算の書きかえができないというのならば、少なくとも補正の段階で国会の決定をきちっと補正という形で執行する、こういう謙虚なお気持ちをぜひお持ちをいただきたいわけでありまして、法律の拡大解釈あるいは歪曲というようなことはぜひ慎んでいただきたいと思うわけであります。これは五十五年度にも早速こういう問題が起こるでしょう。その場合には大臣、どうなさいますか。時間がありませんので、その点だけを。
○竹下国務大臣 今年度予算の実質修正、こう言われております、われわれのとり方としては四党合意に基づく内容、こういうふうに理解をしておるわけでございますが、これにつきましては、率直に申しましていまこれを予備費をもって充てるべきか補正予算を組むべきかというようなことにつきまして、予算上の措置をどうするかという問題も、不足したその時点で適切に対応してまいろうということに部内は一応統一をいたしておるところであります。したがって、四党申し合わせの会合に私が出かけるわけでございますけれども、私もそのような答弁で今日まで通さしていただいておる。どのようなことになるかと言えば、これは専門家でございますから新村さんの方でおよその予測を立てていらっしゃるであろうかとも思いますけれども、現時点において予算の措置をどうするかについては、その時点で適切に対応してまいりたいと私どもは考えております。こういうことで通さしていただいておるというように、実態を素直にお答えをいたします。
○新村(勝)委員 時間がありませんのでこれ以上の議論をいたしませんが、政府は国会の意思を体して——法律を読むにもこれはいろいろな読み方があるわけです。素直に読む場合と拡大解釈あるいは歪曲をしたらかなりの幅が出てくるわけでありますから、素直に謙虚な気持ちでこれから財政の運営に当たっていただきたいということを特に要望を申し上げて、終わりたいと思います。 なお、厚生省と警察庁は、せっかくおいでいただいておりますけれども、時間がありませんので済みませんでした。これで終わります。
○高田委員長 井上一成君。
○井上(一)委員 予備費について、補正の原資にそれが充てられている。当初予算編成に当たって当然予算化をしなければいけない支出項目を省いて、むしろ補正で予備費から流用していく。このことはいわば予備費の性格から逸脱をしておるし、予算編成それ自体の取り組む認識の度合いを一つとらえても私は誤っていると思うのです。具体的には五十三年度なり五十四年度では、当初二千億組まれた公共事業予算等で予備費について全額が補正で減額をされている。その全額が予備費から全く消えていく。ただ、経済情勢の推移だとか、いまの答弁を聞いておっても、補正予算の中で国会の議決を得る、これは当然のことであって、そういうのを一つの理由づけにしているけれども、むしろ予算編成に当たっての認識の誤りを率直に認めるべきである。本来ならそういうものは剰余金で処理すべきではないのか。地方自治体に対する国からの指導というものはそういう指導をしながら、一方、国においてはそれを指導する姿勢から全くかけ離れたそういう実態をさらけ出しているということは非常に恥ずかしい、大蔵省としてこんな予算編成というものは大変みっともない話だ、私はこういうことを指摘をしたいわけです。とりわけ行政執行をより効率化していこうというためには、やはりいろいろな意味で現段階での予算編成については見直すべきではないだろうか、こういうふうに思うのですが、この点について大蔵大臣から、ごく簡単で結構ですから、その真意をまず最初に問うておきたいと思います。
○竹下国務大臣 たまたま新村先生も井上先生も地方自治体の経験者でございますだけに、いろいろ国の行政指導の中にある問題についての体験をも交えた御指摘であろうかと思います。私どもも予備費というものにつきましては、少なくとも厳正であるべきであるということは当然のことであろうと思っております。しかし、法律に認めておるということはやはりそれなりの御認識を賜りたいと思います。そして、従来とも可能な限り、補正予算が組まれる機会があった場合には、予見せざるその後生じたものにつきまして必ず補正予算において議了をしていただいておる。そういう姿勢は貫いていかなければならない課題であるというふうに思います。ただ、ことしの場合は、たとえて申しますと予算編成の際に、俗称給与予備費、俗称で申しわけありませんが、そういうものとのかね合い等も私も全く念頭にないわけではございませんでしたが、確かに御指摘の思想は私どもも貫くべきものである、そういうふうな認識であります。
○井上(一)委員 このことについてはもう多くを問いません。とまれ大蔵の姿勢それ自体を私は見直すべきである、取り組みを変えるべきである、こういうふうに思うのです。限られた時間ですので、できるだけ重複を避けて私の質問に対する要点のみを答えていただきたいと思います。 わが国が対米基軸の全方位外交、濃淡をそこに持つということは十分に理解をしながら、あえてアメリカ、イランの関係から、イランに対するいわゆる経済制裁をわが国はアメリカの要請によってEC諸国と歩調を合わせながらとろうとしておる。経済制裁を加える、そういう姿勢を政府が持つということについて、大蔵大臣としてはどういうお考えを持っていらっしゃるか、私はまずそれを聞いておきたいと思います。
○竹下国務大臣 イラン問題というのは大変複雑な問題でございますので、これらの問題に対しまして私も関係閣僚の一人といたしまして、経済企画庁長官、通産大臣、官房長官、そして私とで、そのつかさつかさによって協議しておりますから、私なりの見解はその都度述べておるところでございますが、いまのところ私は、イランに対する制裁措置という問題について現実問題として何が行われておるかということになりますと、原油がストップしたということは、むしろ二ドル五十セントの値上げ要求をこちらが拒否して、それが結果として原油の出荷ストップになっておって、制裁のために行われた原油のストップではないというふうにそれなりには理解しておるわけであります。そうして、総体的に申しますと、私も先般IMFの暫定委員会へ参りまして各国の大蔵大臣ともお会いする機会があったわけでございますが、人質問題そのものに対する国際法上も許されない問題について、イランに対してさらに積極的にこれが解放のための要請の努力を続け、一方、アメリカに対しても自重を求めようというところまでは本当の意味における合意ということになっておるのではないかというふうに私は理解をしております。
○井上(一)委員 大臣、できるだけ私の質問に対して、そのポイントだけで結構ですから……。 いま経済制裁は実質的にはわが国はとってないというふうな理解でよろしゅうございますか。
○竹下国務大臣 その理解で私はいいと思います。
○井上(一)委員 さらに、経済制裁は人質解放につながる、そういうふうにお考えですか、大臣。
○竹下国務大臣 反省を求める手段としては、私はそういうこともあろうかというふうな理解をいたしております。 ただし、この問題は政府の統一見解ではございません。私が井上さんの質問に対してとっさに感じた考え方を申し述べただけであります。
○井上(一)委員 経済制裁をとった場合に起こり得る波及的効果は何なのか。
○竹下国務大臣 これはいろいろなことが予見されてまいります。それは、国民生活全体に対する影響、あるいはそれぞれの輸出入業務に対する保険、保証等々の問題が考えられます。
○井上(一)委員 輸出保険に実は入っていくわけですけれども、それに入るまでの質問の過程で、大蔵大臣の見解では、いまわが国は経済制裁を実質的にはとってない。私は、その波及効果というものは人質解放にはつながらぬ、むしろわが国の貿易関係、そういう経済関係に及ぼす影響の方がより大である、こういうふうに思うのですよ。 大臣、ぼくは率直な大臣の見解を聞いておりますので、むしろお考えになっていらっしゃる点だけお答えをいただけば、時間が余りありませんから、私はそういうふうに思うけれども、大臣はどうだ、こういうことなんです。
○竹下国務大臣 私どもの考え方は、経済措置と経済制裁と私は違うと思うのであります。が、経済制裁というものも、あらゆる外交の手段の中の反省を求める一つの手段としてはあり得る。しかし、いまこれが解放問題に直ちにどれだけ効果を持つかということに対しては、私自身がこれを評価する立場にはないというふうに御理解をいただきたいと思います。
○井上(一)委員 そのことは、むしろわが国の貿易関係、経済交流の中にデメリットをもたらすという認識を私は持っているのです。大臣はいかがですか。
○竹下国務大臣 対二国間貿易そのものを見た場合にはデメリットをもたらす、これは私も同じ認識であります。
○井上(一)委員 そこで、イランに対する経済情勢の分析を現在大蔵大臣はどのようにとらえていらっしゃるか、この点についても聞いておきたいと思います。
○竹下国務大臣 当面の問題として、値上げ交渉にこちらが応じないがゆえに出荷拒否をされておるということは、その数字そのものがそのまま日本経済に影響をもたらすものである、これがGNPの何ぼになるかというような議論もしたことがございますが、これはちょっと私いま記憶いたしておりません。
○井上(一)委員 さらに、そういうことにかかわって、いわゆるイラン石化、IJPCに及ぼす影響、これは大蔵の見解として、いわゆる政府出資をしてナショナルプロジェクトに格上げをしたイラン石化、それに対する対応。去年の十月、政府出資を決めたわけですが、今日でもやはり、一時は凍結の方針だとか、あるいは約束実行を疑問視しているのではないかという大蔵省の見解が報じられたわけです。私は、山下社長がイランへ行き——これはあるいは前の委員会で私自身が通産省に尋ねれば、イラン石化についてはアメリカもこれは別枠として了解済みだということなんですね。いわゆる今回の経済制裁等の中には含まれない別枠としてアメリカは了解しておる、こういう通産の答弁があったわけなんです。そういうふうに通産はとらえ、そしてわが国の出資が決定されたそういう企業でも、今日のイランとの外交情勢あるいは世界情勢、そういう中から大蔵省は、このイラン石化に対する取り組みは、十月の時点で政府出資を決められたときの考えと変わりはございませんかと、こういうことなんです。
○竹下国務大臣 政府出資を決めました。そしてその後、ある意味における、表現が適切であるかどうかは別といたしまして、人質問題についてある種の、環境が解放の方向に整うではなかろうかという観測の上に立っておったことも事実であります。今日におきましては、この出資の問題については慎重に検討するべき対象にあるというふうに理解しております。 ただ、どうも通産そのものではございませんので、私の答弁が歯切れの悪い点が数あろうかと思います。
○井上(一)委員 いや大蔵大臣、非常に歯切れのよい答弁だと思いますよ。私は、国家の財政を預かる大臣として、やはり国民の税金というものは本当に国益に沿った形あるいは国民生活に密着した形で執行されていくべきである、こういう認識を持っているわけです。 さらに、それでは私は対イラン経済に対して尋ねていきますが、イランに向けてのわが国からの輸出保険というものがあるわけですね。これはむしろ通産からお答えをいただいても結構でございますが、今日までのいわゆるイラン向け輸出、しかしこれからのイラン向け輸出に対する保険の引き受け方針というものは変わっているのか、変わるのか、あるいは変わったとするならばどう変わったのか、あるいは変わらないのか、この点についてひとつ聞いておきます。
○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。 従来からイラン向けの輸出保険の引き受けにつきましては、すべて個別審査によりまして、ケース・バイ・ケースに検討の上、引き受けの可否を決定いたしておるところでございますが、現時点におきましては、四月二十四日の閣僚協議会の決定の趣旨に沿いまして一段と慎重な審査を行うことといたしております。
○井上(一)委員 大蔵大臣、これからのイランに対する輸出保険については非常に慎重に取り組んでいくという通産のお答えです。 輸出保険の推移を見てまいりますと、五十一年、五十二年——五十三年は最終的につかんでおりませんけれども、四十八年、四十九年、五十年までの保険金充当の額は非常に少なかったわけです。五十一年、五十二年、五十三年、これは私の調べで、百億からの予算金額に対して、五十一年ではほとんどそれを執行している。五十二年でも全く同じぐらい執行している。ところが、四十八年から五十年までについては、半分以上、六〇%から七〇%近い額を不用額にしているわけなんです。これは一体何を物語っているか。端的に言えばそれだけ経済情勢が厳しくなった、貿易関係が厳しくなったというふうに受けとめられるわけですけれども、大蔵大臣もそういう認識でこの決算上の数字をとらえられますか。
○花岡(宗)政府委員 ただいまの先生の御質問でございますが、結局一九七三年の石油危機以降、発展途上国の債務累積問題が深刻化してきたということで、発展途上国の経済開発自体にもいろいろ困難があるということ、あるいは原油価格の上昇による代金の増大による先進国の景気後退、こういったことが原因になりまして、輸出保険金の保険事故というものがその時点ごろから変わってきたというふうに私どもは考えております。
○井上(一)委員 大蔵大臣、輸出保険特別会計の中で、この会計がもし黒字になれば、それは繰り越しになっていくわけですが、これはいまも申し上げるように、対イラン向けの経済情勢が非常に厳しい状態になっている、そんな中で、今後起こり得るであろう予測的なことをここで、必ずこれだけの額は保険で救済をしていかなきゃいけないという数字はわかりませんけれども、赤字になった場合には、大蔵省としては一般会計からでも繰り出しをして、その特別会計に繰り入れをしていくのか、そんなお考えは持っていらっしゃるのか、この点についても聞いておきたいと思うのです。
○竹下国務大臣 イラン問題につきましては、現在いろいろな仮定の中にあるわけでございます。したがいまして、イラン向け輸出保険の現況とか、そしてその影響とかいう問題につきましては、もとより政府でございますから、部内でいろいろな検討や勉強をするのは当然のことでございますけれども、それを公の場で仮定の事実に基づいての発言というものは差し控えさしていただいておるわけであります。 したがって、一般論ということに相なってしまうわけでございますが、輸出保険特別会計において多額の保険金の支払いを必要とするような事態が生じた場合には、その時点において収支予算の執行状況等を勘案しながらどのように対応するかということは十分検討をしていくこととなろうという一般論をいま申し上げることにとどめさしていただきたい。
○井上(一)委員 それでは、具体的にIJPCの現在の工事中断、このことは保険事故の事由、保険の対象となるのかならないのか、これは大蔵大臣と通産と両方から聞いておきたいと思います。
○竹下国務大臣 この問題につきましては、個別問題でございますので、私どもとしては、その個別問題についての大蔵大臣としての見解を申し述べるという立場にはございません。
○花岡(宗)政府委員 昨年の三月下旬に工事を中断されましたけれども、これは従来から問題になっておりました不足建設資金の調達問題とか工事の遂行体制の組み直し等、プロジェクト全体の見直しということで、その確実な実施を図るために一時的に企業の判断によりまして工事を中断することとしたものであるというふうに私ども考えております。したがいまして、本件につきましては、革命後に工事の中断というものがあったわけではないということで、保険の事故事由には該当しないというふうに考えております。
○井上(一)委員 いま通産から、保険の事由には現時点では該当しない、こういうことなんです。直接の所管でないということにもなりますけれども、やはり決算審査、とりわけ予備費の中で、後でも数字を申し上げますけれども、こういう輸出保険に対して予備費からどんと出ているわけですね。いままでに比較してうんとまたそれが出ている、さっき申し上げたように。予備費がほとんど全額に近い。そういう情勢から考えて、IJPCが現時点でそれに該当するのかしないのか、こういうことを聞いたのです。これはいま通産省から、該当しないということで答えがありました。大臣もそうお考えですか、どうですか。
○竹下国務大臣 通産の局長が申し上げたとおりであります。 お断りいたしますのは、私は将来のことを少し念頭に置き過ぎた考え方で、表現が非常に慎重になって、すべてが一般論になった、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○井上(一)委員 さらに、数字は、すでに四十二億が承認されて、今回は四十五億ですから、八十七億が当初予算より増額をされたわけなんです。これはすべてがイラン関係だとは思いませんけれども、念のために、いままでの輸出保険の中で占めるイラン関係の度合い、概算で結構ですが、どれくらいでございましょうか。
○花岡(宗)政府委員 五十四年度におきます保険金支払いの総額のうちのイランに対する支払い額は約一〇%でございます。それから五十三年度は約〇・一%ということでございます。
○井上(一)委員 今後さらにその比率が増していく、これは当然推測されるわけなんです。それで一〇%ということですが、今度はひとつ通産に尋ねておきます。 IJPCに関連して新聞等で、代金支払い停止が行われているというふうに報道されているのですが、この点についてはどうなんでしょうか。
○花岡(宗)政府委員 IJPCに関連いたしまして、現在のところはまだその輸出代金が未払いになったため保険事故が発生したという報告は受けておりません。保険の場合に、輸出代金保険の損失の発生通知というものは、相手方に六カ月以上債務の履行遅滞があった場合、そういった事故の発生の事実を知ったときには遅滞なく報告をすることになっておるわけでございますけれども、こういったような信用危険については直ちに報告することは義務づけられていないのが現状でございます。
○井上(一)委員 これはことしの一月に報道されている、いわゆるイラン関係の取引全体が実質上とまった場合、もしそういう事態が起これば保険金支払いというものは相当な額になると思うのです。そういう状態になれば、大蔵省の資産という形で、これは私の方から申し上げます。「わが国が貿易管理令などによる法的手段で対イラン向け輸出を禁止した場合、約二千億円」「イラン側が対日債務の全面不払いなどの措置をとった場合、約二千五百億円」「イランがIJPCなどの国有化を実施した場合、約千二百億円」。いわゆる保険事故発生がもたらす影響は莫大なものなんです。この特別会計はまさにパンクをしてしまう、こういうふうに報じられているのです。あくまでも仮定の試算であると言えばそれまでなんですけれども、もともと予算というものはある程度一定の予見をして組むものですから、大蔵大臣、私がいま指摘した数字が大蔵の試算だということになっているのですが、概算においては間違いございませんか。
○竹下国務大臣 ただいまお申し述べになりました試算の数字は、大蔵省として責任を持って大蔵省の試算でありますと言える数字ではありません。
○井上(一)委員 それじゃ、もしそういうことになればどれだけの保険金の支払いを余儀なくされるか、大蔵省が責任持って公表できるのはどのくらいなんですか。
○竹下国務大臣 いろいろな勉強はいたしました。しかし、大蔵省としてその種の試算はいたしておりませんということが正確なお答えになると思います。
○井上(一)委員 大臣、あなたがそんなことを答えておったら——具体的に、この輸出保険について、五十五年度の予算編成では五十四年度の予算より減額をしているのですよ。これはやはり何らかの積算の基礎があって予算編成がされるわけなんです。積算の基礎がなければ、これはそんなでたらめな数字か、こういうことになるのです。私は、対イラン向けの、非常に限られた範囲での取り組みを申し上げているので、それはできないはずがないのです。イラン制裁をすれば日本は非常に大きな損失を受けるということを具体的な数字で私は申し上げたのでありまして、そのことについて大蔵大臣からもう一度お答えをいただきたいと思います。
○竹下国務大臣 今日まで私大蔵大臣としてお答えいたしておりますことは、イラン向けという前提の上に立った保険の現況、そして将来の見通し等についてはお答えすることを差し控えさせて、ただきたい、そして輸出保険特会の一般論のみをお答えすることで御寛恕をいただいておるとい、ことであります。
○井上(一)委員 いま私が申し上げたように、五十四年度予算と五十五年度予算の減額、五十一年度以降は、さっきも数字を挙げて申し上げたように非常に厳しい状態になっている、そういう現実が予算の上であらわれているということなんですよ。これは国際的に非常に事故発生がふえているということ、そのこと自体が何を物語るかといえば、国際的な経済貿易関係が非常に厳しい状態であるということなんです。だから、そういうことなのになぜ減額というものが起こり得るのであろうか、あるいは常に予備費から流用して、いままでのいわゆる繰越金、累積原資が十分であるという認識なのか。私のさっき申し上げた数字ではこの輸出保険の特別会計はパンク寸前、もしくはパンクしてしまう、そんな場合に一般財源から繰り出しをしては本当に困るのですよということで指摘をしているわけなんです。大臣、どうなんですか。
○竹下国務大臣 きょうたまたま突然のことでございまして、輸出特会担当の主計局次長が来ておりません。吉野次長も担当でございませんので、二人相談してみましてもさっぱり答えが出ぬわけでございますが、少なくともその時点でイランというようなものを念頭に置いていなかったということだけは言えるではなかろうかと思います。
○井上(一)委員 そこなんですよ。政府が統一した見解だといいながらばらばらである。口では行政改革だとかあるいは効率のいい行政をやるのだといいながら、全くもってそういうことは少しつじつまが合わぬじゃないか。でたらめとまで私は気が弱いから言い切りませんけれども、そういう予算編成あるいは予算執行、そういうものは全くもってけしからぬ、こういうことですよ、大臣。そういうことについて十分な反省を大蔵大臣に求めておきたい、こういうことなんです。
○竹下国務大臣 特に、特別会計につきましては保険料をもとにしてそれぞれ積算するわけでございますので、所管の通産と私の方でその予算の調整を行いました担当が出かければ正確にすり合わせのできた答えができるであろうと思いますが、一般論として申し上げれば、予算というものは厳正に、査定権という言葉は私は使っておりませんが調整されるべきものであるというふうには思っております。個別問題でございますならば通産省からお答えをさしていただいた方がはるかに正確であります。率直に言って、私では正確ではございません。
○井上(一)委員 大臣がそういうお答えですから、さらに私は通産にごく簡単に要領よくお答えをいただければありがたいと思うのです。 いま現在はIJPCは保険の該当にはならない。それじゃどんな場合にはこれは該当するのか。さらにその場合に、私がさっきから指摘をしている輸出保険の特別会計への影響はどういうふうになるのか、その点について、まず聞いておきましょう。
○花岡(宗)政府委員 まず、IJPCはどういう場合に保険事故になるのかという御質問でございますが、私ども政府といたしましては、このIJPCプロジェクトについてはこれを継続していくという方針でございます。それからまた、被保険者から危険発生通知等も出されていないという現段階では、本来この保険事故を云々する段階ではないというふうに考えております。 しかしながら、一般論として海外投資保険の事故というのはどういう場合かと申しますと、三つに大別されるわけでございます。一つは、外国の政府によりまして本邦人の所有する株式とか貸付金債権、配当金請求権、利子請求権、不動産、設備に関する権利等を没収されたり強制譲渡させられたりした場合。それから第二番目には、革命とか内乱によりまして工場施設が破壊されたり軍隊、暴徒等によって工場が占拠されたような事情によりまして損害を受けたようなとき、こういったことによりまして事業の継続が不能になったり破産したり、銀行による取引が停止して六カ月以上の事業の休止、こういったいずれかの事態に陥った場合には、現地の会社を整理しまして、あるいは株式等の持ち分を売却したことによって取得した金額を本邦に送金しようとしたけれども、それが為替管理の強化によって二カ月以上送金できない、こういった場合が対象になるわけでございます。 それで、第二のIJPCが事故になった場合の輸出保険特別会計への影響はどうかということでございますが、IJPCが仮に事故になりました場合、保険約款の定めるところによって保険金を支払うということになるわけでございます。しかし先ほど申しましたように、いまそういったような危険発生通知等も出されておりません段階で、輸出保険会計にどの程度影響があるかということについて明確なことは申し上げられないわけでございますが、仮に事故が発生いたしました場合でございましても、相手国による補償等が行われました場合、適切な補償が行われた場合には保険金請求には当たらないということでございまして、こういった事情でさまざまな態様があり得ますので、現段階ではどの程度の影響ということは差し控えたいと思います。
○井上(一)委員 さらに、これは大蔵大臣に念のために聞いておきたいのですが、オリンピックの参加の問題で政府は統一見解を出されたわけなんです。予算にはちゃんと派遣費というものが計上されているわけなんです。そういうことから考えて、JOCが自主的に判断をし、その決定があった場合——これは参加、不参加はまだ原則論だけしか意思表示されておりませんけれども、そういう場合には、本来国会がそのことにおいて、そういう目的で予算を議決しているのですから、そういう意味で執行停止というようなことはあり得ないでしょうね。大臣、いわゆる一般論としてでも結構ですけれども、その款項の中で目的がちゃんと明記され、かつそれが議決された場合は、その趣旨に沿って予算というものは執行すべきである、こういうふうに思うのです。いかがですか。
○竹下国務大臣 これまた一般論として申し上げますと、支出権限は、この国会で御審議をいただいた上でちょうだいしておるわけでございますので、その支出権限については、私は、一般論として申し上げますならば、支出をしないこともあり得るという考え方であります。
○井上(一)委員 大臣、予算というものは、いま私が指摘したように、その目的が、支出が明確にされているわけなんです。それを議決しているわけなんです。だから一般論としては、そういうことを停止するということは本来あり得ないわけなんですね、よっぽどの例外でない限り。だからあえて私は一般論としてどうなのだと言っている。それでは国会の議決に対して執行機関である政府、行政それ自身はこれを尊重していないということになるのですよ。その点についてはどうですか。
○竹下国務大臣 私がいわば一般論としてと申し上げましたのは、モスクワ・オリンピック参加のための体育協会に対する国庫補助金というようなものについてではなく、まさに歳出権を授権された立場の政府として支出することが適当でないと考えることはあり得る、こう申し上げたのでありまして、モスクワ・オリンピックそのものについて、現下の情勢にかんがみて選手派遣が望ましいものでないというようなところから、支出することは適当でないというふうに言えるのではなかろうかというふうに思います。
○井上(一)委員 大臣にちょっと確認をしておきますが、予算執行というものは、ちゃんと国会で議決され、かつ、それが正当であるという認識、その場合にこそ予算執行される。一般論としては、未執行で置くということは本来はおかしいと私は思うのですよ。未執行で置くというのは、よほど特別なことがない限りおかしいわけなんですよ。だから一般論としては執行する、オリンピック参加の問題については政府の統一見解があるので、その点については、政府の見解のもとでその執行については見合わす、こういう理解でよろしいのですか。
○竹下国務大臣 その理解で適当だと思います。
○井上(一)委員 これは、国会の議決に対しての意思尊重というものが非常に薄らいでいると私は思うのです。だから、派遣の決定はJOCが最終的に決めるべきでありますが、それの派遣費用として予算が承認され、国会が認めたのですから、それに対する目的がそれであれば当然執行すべきである。そういう意味で、それをとめる大きな理由は何なのかということになって、これは論議が尽きませんが、大臣、ひとつそういう点については、予算執行については心して当たってもらわなければいけない、参加の意思が決定されたらその予算は執行すべきであるということを、私はここで強く訴えておきたいと思います。 さらにもう一点、いま、国会の選挙、国政選挙あるいはその他国にかわって行う地方自治体の事務経費負担が実態に合わない、そういうものこそ予備費から一それは予見しにくい人件費もあろうし、あるいは突発的な選挙というものもあろうし、そういう意味で国は超過負担を地方自治体にかぶせてはいけないということなんです。もう一点、本年国勢調査があるわけですが、そういうことについては地方自治体に対して余分な負担を押しつけない、あるいは実態に即した予算をしているというふうにお考えなのかどうか、この点について質問をしておきたいと思います。
○竹下国務大臣 今年度のいわゆる新設補助金と申しますか、去年はなかったという意味で新設補助金と申し上げるわけですが、その大きなものが国勢調査と参議院選挙であります。それらの内容につきましては、適正な姿で計上され、議決をいただいたものであるという認識に立っております。
○高田委員長 春田重昭君。
○春田委員 きょうは非常に短い質問時間しかないわけでございます。しかし、私は相当多くの質問を用意しておりますので、まずお断りしておきますけれども、答弁者の方は要領よく御答弁いただきたい、このように思う次第でございます。 まず、財政再建問題に絡む諸問題についてお伺いしたいと思いますが、これはむしろ確認ということで大臣の方にお尋ねしてまいりたいと思います。 最初に、いわゆる福祉の後退の問題でございます。政府は昨年、財政再建という大義名分のもとに老人医療の無料制度、児童手当の支給制度、その他社会保障全般の見直し、また、覚書にはございませんでしたけれども、教科書の無償配付制度の見直しを企てられたわけでございますけれども、国民の強い反対で五十五年度予算にはそれが実現しなかったわけでございます。この問題について、現段階における大臣のお考えをまず最初にお尋ねしたいと思います。
○竹下国務大臣 いわゆる五十五年度予算編成時におきますところの福祉見直し論、そしてある意味においては委員の御指摘は、私どもと厚生大臣とのメモということについてもお触れになっておるかとも思います。確かに財政全般の見直しということが必要であって、歳出の節減合理化というところから、ことしは本格的な税目による増税というようなことなくして、歳出の削減というものを主体として予算編成をいたしたわけであります。その際におきまして、わが国の社会保障制度というものも制度的には国際的に見てもすでに遜色のない水準に達しておるという前提の上に立って、いま一つ、八〇年代が不確実性、不透明性の時代と言われるが、きわめて確実なことは老齢化社会が訪れてくるということだけは確実であるというような基本認識に立って考えてみますと、現行の給付水準を維持していくだけでも大変な費用負担の増大というものが予想される。そこで、長期的観点に立って制度の体系あるいは効率化、給付の適正化、負担の公平化というようなものを図っていこうという考え方でもって臨んだわけであります。そうして五十六年度におきましては、厳しい財政事情のもとにおいて恐らくまた予算編成等がなされていかなければならないということに眼をいたしますならば、児童手当、老人保健医療、社会保障施策の所得制限全般というような問題はやはり検討の対象に置かなければならない問題ではなかろうか、これを聖域として避けて通るわけにはまいらない課題である。特に所得制限問題ということについて、そのような認識をお互いが確認し合ったという意味においてあのメモが存在をいたしておるわけであります。そうして教科書無償給与制度という問題につきまして、これは継続することといたしたわけでございますが、今後については、やはり財政審等々の意見もこれあり、各方面の意見を聞いて、絶えず各方面の意見に耳を傾けていかなければならない課題であるというふうに考えます。これは具体的に申しますといろいろな議論があるのです。仮に無償をやったにいたしましても、それは義務教育の国庫負担法と同じように地方と半々にすべきであるとか、いろいろな議論がございますので、そういうことも含めて絶えず耳を傾けておかなければならぬというふうに考えておるところであります。
○春田委員 昨年の十二月二十八日、自民党三役とそれから政府側が野呂厚生大臣、竹下大蔵大臣が立ち会いのもとで覚書が交わされたと聞いておるわけでありますけれども、ただいまの御答弁では、いずれにしても五十六年度は見直していく、五十五年はいわゆる歳出の見合わせをやったし、自然増収がかなりあったからそれでいけたのだ、五十六年度はさらに厳しくなるから見直す。要するにこの覚書の撤回の意思はない、こう確認をしていいわけですか。
○竹下国務大臣 お互いがそのような認識を確認したという意味においては、予算委員会等を通じましても、これを撤回する考え方はございませんと明瞭にお答えし続けて今日に至っておるところであります。
○春田委員 次に同じく確認しておきたいことは、一般消費税の導入の問題でございますが、これについてはどうお考えになっていますか。
○竹下国務大臣 この問題につきまして一番適切な答えというものはどこにあるかと申しますならば、やはり五十四年十二月二十一日の国会、本院においての決議というものが一番私はこれが背景としてしっかりしておるものであると思うのであります。すなわち、いわゆる一般消費税というような特定の仕組みに限定するのではなくして、消費支出一般に着目するという意味における一般的な消費税を今後一切否定するという考え方だけは——ずいぶんこれは専門家の方々にお願いをいたしまして、このいわゆる一般消費税(仮称)、私は必ずそこまで言うことにしておるのであります。というのは、消費一般に係る税制そのものが日本の税制あるいは税体系の学問の筋の中からも消えうせてしまうということだけは、私どもやはり財政をお預かりする者としてそれだけは避けなければならぬ。で、御理解をいただいて、いわゆる一般消費税(仮称)の手法によることなく、国民各界各層の意見に耳を傾けて財政再建を図れ、こういう御決議をいただいておるわけでございますから、その御決議の趣旨に沿って私どもはこのいわゆる一般消費税(仮称)の問題については対応していきたいという考え方であります。
○春田委員 ということは、要するに一般的な商品にはかけないけれども、特定のいわゆる品目にはかけていきたい、いわゆる間接税の枠を広げていきたい、こういうお考えですか。
○竹下国務大臣 ある意味においていわゆる一般消費税(仮称)というのは、直接税、間接税とに分けた場合はもとより間接税の中のワン・オブ・ゼムであるということは言えると思うのであります。しかしながら、今日直間比率が一体どうでありましょうかというようなことをいろいろな機会に国民の皆さん方と、なかんずく国会等を通じながら問答しておるわけです。その問答の中でどのような理解をしていただけるかということが問題でありますだけに、いま、五十六年度は間接税の範囲を広げていきますというようなところまで話が詰まっておる状態にはございません。
○春田委員 さらに第三点目は補助金の整理合理化の問題でございます。 これは予算修正の段階におきまして四党合意でなされているわけでございますけれども、いわゆる四党合意の中では、補助金の整理合理化についてはサマーレビューを行って、その線に従って合理化していきたい、こういうことでございます。ところが五十五年の補助金の整理合理化、この問題につきましては、いろんな論議がございましたけれども、件数は減っているわけでございますが、金額的には約一兆円の増加になっているわけですね。こうして件数そのものは確かに減っているけれども金額がふえているという点は、これは昨年の十二月ですか、閣議決定が行われておりますけれども、この精神に違反するのではないか、こう思うのでございますけれども、大臣の御見解はどうでございましょう。
○竹下国務大臣 これは春田さん、お答えをいたしますが、確かに整理計画を立てまして年々その数を減していこう、そうして今年度の四党合意の中におきましても、サマーレビューから早速取りかかれ、こういうむしろ御指示をいただいておるというわけでございますが、補助金そのものが額としてふえたということは、これはやはり何としても御理解をいただかなければなりませんのは、補助金で一番大きいものといえばまずは義務教育費国庫負担金一兆九千七百二十一億円。それらは給与費等の二分の一等がこれに含まれるわけでございますが、給与が上がってまいりますと、これはどうしてもいわば当然増的経費と言わざるを得ないわけでございます。 それから療養給付費補助金、国民健康保険等の問題でありますが、これが一兆六千九百四十四億、あるいは老人医療費でも二千九百億とか、それから私立大学の経常費の二千六百億とか、国有鉄道の再建の利子補給が三千四百億、財政調整交付金の二千億とか、そういう大変に大きいものがあるわけでございますね。それが当然増的経費ともいうべきものでございまして、増加額の代表的に大きいものは、千億台でふえますのは国鉄の利子と、そうして療養給付補助金でございますが、その他七百億災害復旧の補助金がふえておりますとか、あるいは児童保護費等の補助金が二百七十四億ふえますとか、老人医療費が二百十二億、生活保護が三百三十五億、そういういわば当然増的とでも申しましょうか、減らすことのできない増加分というようなものが大宗を占めておる、こういうふうに御理解をいただければ幸いであります。
○春田委員 確かに大臣の言われるのはわからないことはないのですよ。補助金全体の七割から八割までが公共事業とか社会保障、また文教関係の補助金だということはわかっているのです。しかし、どうしても全体的な感じで補助金を論ずるのではなくして、やはり各論を見た場合、一つ一つ見た場合、本当にそれが補助金の性格として必要なのかどうかという問題が、今後の補助金合理化の最大の課題じゃないかと思うのです。そういう面で、確かに五十五年度におきましては閣議決定で四年間で四分の一を減らしていく、件数を減らしていくという形で、三百二十八件整理合理化されておりますけれども、反対に新規補助金が三百二件ふえているわけですね。合理化した数と同じぐらいの数が出てきているわけですよ。これで本当の合理化と言えるかどうかという問題です。この点、大臣どうですか。
○竹下国務大臣 正確に申し上げます。 三千八百三十三件あったので、廃止が四百三、新規補助金が三百二、それから既定補助金等で統合をいたしまして減にいたしましたのが二十五、そして差し引きの増加はマイナス百二十六件、こういうことになるわけでございます。したがいまして、今後も、ことしのサマーレビューはもとよりでありますが、今後四年間で四分の一というようなものにメスを入れていこう、これにつきましては四党合意の中でも大変具体的な指摘をしていただいておりますので、私どももそういう線に沿って作業をしやすい環境にあります。
○春田委員 大臣、いま廃止が四百三と言われたでしょう。そのうちの整理合理化が三百二十八なんです。したがって、残り約八十件というのは自然廃止なんですね。要するに大蔵省が中心となって整理合理化したのが三百二十八件である。しかし、新規補助金が三百二件ふえてきているわけですよ。本当にこれで整理合理化と言えるかという点を私は言っているわけでございまして、全体的にはそういう自然廃止とか自然統合がありますから、実は百二十六減っておりますけれども、いわゆる新規補助金が相当ふえてきている。せっかく大蔵省が努力なさって三百二十八件の整理合理化をやったけれども、三百二件が新しく浮き上がってきている、こういうことなんです。 そういう点で、確かにそういう整理合理化をやったと言いながら、看板だけと言いますか、厚化粧して、違う形で出てきている補助金だってあるわけですよね。そういう点で、既定補助金につきましては、いま大臣がおっしゃったように四分の一を四年間で減らしていく、新規補助金につきましては極力減らしていくという閣議決定があるわけです。五年後にそれを見直していくという形になっておりますけれども、この新規補助金がやはり今後の大きな問題じゃないかと私は思うのですよ。そういう点で、非常に抽象的になっております。新規補助金については極力抑制していく、五年後には見直していくとなっておりますけれども、この新規補助金につきまして、私は、明確な、具体的な数字を出して、新規補助金も認めないという形にしなかったら本当の整理合理化にならないという主張なんです。どうでしょうか。
○竹下国務大臣 いま御指摘にございましたとおり、補助金の新設については、厳しい財政事情にかんがみ、厳に抑制することとし、行政需要の変化等に即応して真にやむを得ず認める場合には、見合いに既定の補助金等の廃止を図り、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドの原則を徹底する、こういう方針で対応するわけでございます。 ただ、そこのところで一つだけ私もいまごろ非常に慎重な表現にしておりますのは、とかく補助金性悪説にわれわれも流れやすいのです。補助金というのは政策遂行上の偉大なる手段であって、これは性悪説というものではない。ただ、破直化したり、まさに不要不急になっておるものが残っておることは、これはまことに好ましくないことでございますが、新設された補助金等の事例を私がずっと調べてみましてもなるほどと思われるのは、たとえば国際科学技術博覧会が行われますところの事業費補助とか、あるいはインドシナ難民の、外務省、文部省、それぞれあります。あるいは厚生省の重症スモン病の介護事業の手当てでございますとか、労働省の高年齢者労働能力活用事業補助金でありますとか、そのほか新設という中へ入れておりますが御理解のいただけるのは、先ほどもございました昭和五十五年国勢調査委託費と参議院議員通常選挙執行委託費、これらは理解をしていただけるものではないか。だから、一概に性悪説はとらないながら、四党合意の線でこれからも作業を鋭意進めさせていただきたい、このように考えております。
○春田委員 さらにもう一点、予備費に入る前にお尋ねしたい問題がございます。いわゆる防衛費の問題でございます。きょうは防衛庁の方、お見えになっておると思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。 五月一日、日米首脳会談が行われまして、大平総理はカーター大統領との会見で、防衛力強化につきましてできるだけの努力を続けたい、こういう表現でおっしゃっておるわけでございます。この発言は、中業見積もりの一年繰り上げとかGNP一%早期達成の決意をされたものである、このように内外とも受けとめられておりますけれども、防衛庁の御見解はどうですか。
○池田説明員 大平・カーター会談の内容につきまして私からお話しする資格もございませんし、本来ならば外務省がお話しするところだと思います。しかし、われわれが伺っている点について申し上げますと、先般の会談におきましては、カーター大統領から概略次のようにお話があったそうであります。 米国としては、今後とも日本が防衛努力を強めてくれることを望む、すでに政府部内にある計画を早目に達成できればよいのだがという発言がございまして、これに対して総理は、防衛力整備の必要性、特に現在の国際情勢のもとではこれがなお必要なことは理解している、これまで精いっぱい努力しており、また今後とも真剣に努力したい旨述べられたと聞いております。 次のどう思うかという点でございますけれども、日米首脳会談がどのような雰囲気のもとで具体的にいかなる会談がなされたかにつきましては、総理一行が帰国をされて、その上でなければ承知いたしておりません。したがいまして、いまの段階で防衛庁として具体的にコメントをする立場にはありません。総理は、厳しさを増しつつある現下の国際情勢にかんがみ、今後とも真剣に努力したい旨述べられているということでございますので、防衛庁としても今後とも努力を続けてまいりたい所存でございます。
○春田委員 再三論議になっておりますけれども、この中業見積もりの一年繰り上げ、前倒し、これについては防衛庁としてはどういう御見解ですか。
○池田説明員 中業の一年繰り上げとか、そういう点について首脳会談でお話が出たかどうかは、先ほど申し上げましたように、われわれの了知していないところでございます。しかし、われわれとしては、昭和五十五年度から五十九年度の防衛庁の長期的な見通しとして中期業務見積もりをつくっておりまして、これは年々手直しをする必要がございます。五十五年度は、その見積もりのいわば初年度として予算をお願いしておりましたけれども、物によりましてはわれわれの予定したとおりいかないものもございましたし、そういうものは今後の段階で何とか処理していきたいという希望を持っておりますし、また今後に予定される事業につきましても、われわれとしては、すでに五十一年度に決まりました防衛計画の大綱のあくまでも内数でございますので、なるべく早く信頼のできる防衛体制をつくろうと思っておりますので、現在見直しをしているところでございます。
○春田委員 その見直し作業というのは大体いつごろ出てくるのですか。
○池田説明員 これは、いま申し上げたように年年見直しておりますし、また来年度予算が終わればまた見直しするという性質のものであります。御指摘の点は、来年度の予算に備えてということだと思いますけれども、われわれとしては、大体一カ月程度あれば何とか作業が済むのではないだろうかと現在考えております。
○春田委員 一カ月ということは五月いっぱいですか、六月いっぱいですか、いつごろですか。
○池田説明員 関係の機関が非常に多角的に連携をとって仕事をいたしますので、きっぱりと申し上げるわけにいきませんけれども、大体今月いっぱいくらいになればある程度の計画ができるのではないかと思っておりますが、これも作業をやってみないことには何とも申し上げかねます。
○春田委員 昨日、大平総理はオタワの記者会見で、アメリカの防衛力強化要請につきましては五十六年度予算でこたえていきたい、こういう発言をなさっておりますね。これについては五十六年度予算はいま見直し作業をやっているということで、今月いっぱいでできそうだということでございますけれども、そう理解していいわけですか。それとも中業の全体の計画そのものが五月いっぱいで、それを受けて来年度予算については作業していく、こういうことですか。
○池田説明員 大平総理がオタワでそういう記者会見をされたということは新聞で伺っておりますけれども、正確にどのように申されたのかはわれわれは了知しておりません。 それから、先ほど一カ月くらいで作業ができると申し上げましたのは、五十五年からスタートしていますいわゆる中期業務見積りを五十六年度用にどうやって手直しするかという作業でございまして、中期業務見積りというのは御承知のように、防衛費全体について触れているものでもございませんで、その中の正面事業といいますか主要な事業についてどう考えるかというものでございまして、それについては一カ月くらいで見通しができます。予算の問題はかなり時間がかかりますので御了承いただきたい。
○春田委員 この来年度予算の問題につきましては、大平総理が訪米しなくてもかなり前から高まっているわけですね。要するに、五十六年度予算でこたえていきたいというのは前々から言われているわけでしょう。そういう点でこの五十六年度予算でございますけれども、五十五年度では対前年度伸び率が六・五%ですか、これよりもかなり高い率で組まれるのか、その点どうですか。
○池田説明員 まさに私の方からお答えするのに最も不適当な御質問だと思いますけれども、われわれとしては、来年度以降につきましてもできるだけ早く日本の防衛力が信頼できるリライアブルなものに、そしてそれによって国民が安心して生活が営めるようなそういうものにしたいと思っております。
○春田委員 そこで、大蔵大臣にお尋ねしますけれども、最近防衛費の増加の問題が非常に高まっておるわけでございます。大平総理の訪米によりましてさらにそれが増幅された形で返ってきておるわけですね。そういう点で、五十六年度予算でこたえていきたいという総理の発言があったと聞いておるわけでございますけれども、五十五年度は六・五%の伸び率なんです。五十六年度はさらにそれを上回った形で防衛庁側は要求してくると思うのですけれども、いわゆる財政当局の大蔵省としてはどういうお考えですか。
○竹下国務大臣 これは内閣の一員たる国務大臣であり、財政を担当する大蔵大臣である限りにおきまして今時点でお答えすることはおのずから制限されるものであると思います。したがって、昭和三十二年五月二十日の国防会議及び閣議決定によりますところの「国力国情に応じ自衛のため必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する。」その次が五十一年の十月二十九日の国防会議、閣議決定の趣旨に基づきまして「質的な充実向上に配意しつつこれらを維持することを基本とし、その具体的実施に際しては、そのときどきにおける経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、次の諸点に留意してこれを行うものとする。」云々、そうして次は五十一年の十一月五日の国防会議決定「防衛力整備の実施に当たっては、当面、各年度の防衛関係経費の総額が当該年度の国民総生産の百分の一に相当する額を超えないことをめどとしてこれを行うものとする。」財政当局から方針を述べろとおっしゃいますならば、いままでの方針というものをここで反復してお答えするというのが今日の私どもの立場であります。
○春田委員 そこで防衛庁の方がせっかくおいでになっていますからもう一点確認いたしますけれども、この中業の見積もりでは正面装備五年間で二兆七千から八千億の計画を立てているわけですね。ところが正面装備の費用しか出てないわけです。いわゆる後方支援体制それから食糧人件費等を含めた防衛費の全体額、こういうものが出ていないわけですよ。しかし私は、正面装備が二兆七千億から八千億と出すためには全体の防衛費がどれだけで正面装備がこれだけという形の、その枠が出てくるのじゃないかと思うのですね。そういう点で、いわゆる五十九年までの防衛費全体の構想というか枠組みというものはお考えになっていないのですか、試算されていないのですか。
○池田説明員 防衛庁が作成しております中期業務見積りはあくまでも主要な事業につきましてわれわれの基本的な考え方を整理したものでございまして、われわれはそれを今後の防衛費の中で何とか達成していきたいという考え方でございますので、今後の全体の防衛費の見通しについては計算をしておりません。
○春田委員 計算してない、試算をしてないというのはおかしいのじゃないですか。これは防衛庁も御存じだと思いますけれども、大蔵省が試算しましたGNP一%とした場合の防衛費の伸び率を出しているものがありますね。これと同じように、正面装備が二兆七千億から八千億かかるのですから、五十五年が約四千億でしょう、だから五十五年がこれだけという形で出して、全体のそういう計画も大蔵省が出しているような形で出すべきじゃないですか。そうしなかったら、どうも正面装備の頭だけ歩いちゃって体全体がついていかないような感じがするわけですよ。どうなんでしょうか。
○池田説明員 防衛力整備の方法につきましてはいろいろな方法があろうと思いますが、われわれが現在採用しております中期業務見積りは、主要な事業についてのみ見通しを立てまして何とかこれを達成していけるのではないかと考えて作業を進めております。
○春田委員 防衛を論ずる場合、正面装備だけを論じて防衛費全体を論議しないというのはおかしいと思うのですよ。構想そのものが、それは積算しているけれども公表できないという問題で明らかにしていないのかどうかわかりませんけれども、どうも頭だけを示して体全体を示さないというのはおかしいのじゃないかと思うのです。いま、前倒しも含めて五月いっぱい中業の見積もりをなさっていますね。それも正面装備だけの見直し作業なんですか。
○池田説明員 中業で正面装備の主要なものについて計算していると申し上げましたが、これは決してわれわれがその他の機能について軽視しているということではございません。われわれは今後ともそういう分野についても力をいたそうと考えております。ただ、われわれがつくっております中業見積もりでは、正面装備の主要なものについて行っているわけでございまして、見直しもその範囲で、実施する予定でございます。
○春田委員 時間がございませんので、ここではこれ以上論議しても答えが出てこないみたいでございますから、次の機会に譲りたいと思います。防衛庁の方、結構でございます。 さて、本題に入ります。 いわゆる予備費の問題でございますが、昭和五十四年度一般会計予備費使用調書(その1)の中で、これは運輸省所管のシンガポール海峡通航安全対策に必要な経費として四億九千八百五十一万九千円が予備費として使用されております。これの使用目的と、どこの協会に出されたのか、また、いかなる法的根拠があったのか、運輸省の方から最初に御答弁いただきたいと思います。
○宮本説明員 お答えいたします。 ただいまお話のございましたマラッカ・シンガポール海峡の浅瀬除去のための予備費でございますが、これはマラッカ・シンガポール海峡の船舶の通航の安全を図るために、当該海峡のシンガポール領海内にあります浅瀬の除去をする必要がありまして、そのためのシンガポール政府とのいろいろな話し合いを続けておったわけでございますけれども、五十四年八月に至りまして両国政府間の合意が成り立ったので、そのための事業に必要な補助金として約五億円を支出するということにしたわけでございます。この補助金と民間の経費と合わせまして、約十億円の規模でシンガポール政府側におきまして当該浅瀬の除去事業を行う。その結果、シンガポール海峡の通航をより安全にするために当該海峡におきまして分離通航方式、トラフィック・セパレーション・スキームと言っておりますけれども、そういうものを早急に実施したいということを沿岸三国は意図しているわけでございます。それに日本政府も基本的には同意しているわけであります。 それから本補助金をどこに交付したかという話がございましたが、それにつきましては、昭和四十四年にすでに設立されておりまして、従来からマラッカ・シンガポール海峡のいろいろな事業について沿岸三国に協力しておりましたマラッカ・シンガポール協議会という財団法人がございますが、そこに政府の補助金を支出しまして、民間の金と合わせまして基金を造成してシンガポール側にそれを供与するという形で実施しておるものであります。 以上でございます。
○春田委員 マラッカ海峡協議会ですか、これは公益法人ですか。
○宮本説明員 公益法人でございます。
○春田委員 このマラッカ海峡の浅瀬除去の工事でございますけれども、構想は昭和五十二年国際機関でございますIMCOにおいて決議をされたと聞いておるわけでございますが、この決議に基づいて施行するとすれば、当然これまでの各年度の当初予算でこれは計上すべきじゃないかと思っておるわけでございまして、予備費から使用されておるわけでございますけれども、どうして当初予算で措置しなかったのですか。
○宮本説明員 御説明いたします。 本来自分の領海内におきます浅瀬の除去、航路の安全を図るということは、当該領海に主権を持っております国の本質的な仕事でありまして、日本におきましても海上保安庁が灯台の整備とかそういう航路の仕事を行っておるわけでありまして、本来のたてまえから言えば、シンガポール領海内の浅瀬除去というのはシンガポール政府が行うというたてまえがあるわけであります。ところが、それによりまして受益をしますのは、日本に石油を運ぶとかその他の物資を運ぶ日本関係の船舶がほとんどである、現地はほとんど受益しない、しかも相当な経費がかかる、そういう状況でありますので、そういう主権国のたてまえの問題と実質的な経費負担をどうするかという問題がございまして、その点につきまして沿岸三国側、特にシンガポール政府とわが国との間で種々交渉が行われていたわけでございますけれども、当該年度の予算編成時におきましては、それがどういう結果になるか、日本がどのくらい負担することになるか、そういうことについては必ずしも明らかにできる段階ではございませんでしたので、そういう話し合いが成立するのを待って口上書の交換を待って予備費でお願いした、しかもそれは航行の安全の確保の問題でございますから、緊急を要する問題でございまして、次年度まで待っておれないという状況でございますので、御了解いただけると思います。
○春田委員 その口上書をお互いに交換したのは、大体いつなのですか。
○宮本説明員 お答えいたします。 昭和五十四年八月二十九日であると記憶しております。
○春田委員 そこで、工事の進捗状態はどうなっているのですか。
○宮本説明員 シンガポール政府の港湾当局におきまして業者と契約いたしまして、現在工事中であると聞いております。たしかオランダの業者であると聞いております。
○春田委員 いつから工事にかかっているのですか。
○宮本説明員 正確には離遠地のことでございますので……。事前に調査したことまで工事と言えば、昨年、昭和五十四年十二月ごろからいろいろな調査を行っておるようでありますが、実際に浅瀬の除去工事を開始したのは本年の三月ごろと聞いております。
○春田委員 この予備費の閣議決定は昭和五十四年九月十四日であるわけですね。したがって、工事が本格的に行われたのは三月ということでございまして、約半年間、これは調査にかかったかもしれませんけれども、工事そのものにはかかっていなかったわけでございます。そういう点で結果的には五十五年の二月に補正を組んでいるわけです。そういう点では別に予備費から出さなくてもよかったということになるわけでございますけれども、この点どうでしょうか。
○宮本説明員 お答えいたします。 ただいまお答え申し上げましたとおり、実際に現地でそういう浅瀬の除去事業といいますか、そういうものを開始いたしましたのは後でございますけれども、当該オランダの会社とシンガポールの港湾当局が契約を了しましたのは昨年十月でございますか、と理解しておりますので、そういう意味ではその契約を行いますためには、資金的裏づけが確保される必要があるわけでありまして、緊急を要したものであると理解いたします。
○春田委員 大蔵大臣にお尋ねしますけれども、こうした予備費というものは当初予算で総枠として計上されて承認されるわけでございます。承認されたらその使途等については政府に一任されるわけですね。そういう点で、こうした公益法人への今回は補助金ですね、補助金といった性格のものは当然当初予算や補正予算で十分論議していくべき性格のものである、このように私は思うのでありますけれども、大蔵大臣の御見解をいただきたいと思います。
○吉野政府委員 一般論として申し上げますならば、財政支出でございますから、できるだけ当初予算の形で国会での御審議をいただくということが望ましいことは言うまでもないわけでございますが、本件の場合のように、ただいま運輸省から御答弁がございましたように、予算編成時点におきましてはなかなか予算化するだけの事情にない。一方、国際間の話し合いの結果、支出が緊急に必要であるというような場合には、これは相手方がたとえば公益法人でございます場合もあろうかと存じますが、相手方の対象が何であるかは別といたしまして、それが予算上支出することが適当であるということが判断されます限りにおきましては、これを予備費から支出することもやむを得ないというような性質のものではないか、かように考えております。
○春田委員 時期の問題とともに、こうした公益法人への補助金のいわゆる交付の問題でございますけれども、公益法人は国の統廃合の強制ができない、また、会計検査院も全部の検査ができないようになっているわけです。そういう点で、公益法人に補助金をどんどん出していくというのは今日までもいろいろな論議があるわけでございますけれども、要するに特殊法人ばかり目がいって公益法人にそういう形で補助金がいけば、結局行政改革のしり抜けになってしまうわけですよ、看板だけ変えていわゆる公益法人にしていったらいいわけでございますから。そういう点では本当の行政改革をやるためにはこうした公益法人の補助金についても厳しい査定といいますかやり方をしなかったらいけないのじゃないか。特に五十四年、この当時は大平総理がチープガバメントですか、行政改革を断行すると言われた年でもございますし、そういう背景があるわけでございますけれども、こうしたいわゆる基本的な公益法人の補助金の交付の問題については、大蔵大臣、どう思いますか。
○竹下国務大臣 ただいま直接委員が御指摘になりましたマラッカ海峡の財団法人でございましたか、これは予備費の支出はきわめてやむを得ざるもの、ある意味においては法的な角度から見れば至当なものであったというふうに私は思っておる課題でございますが、一般論としていま御指摘になりましたところの公社、公団までは、われわれもやいやい言うから政府も一生懸命になってそれなりの対応策を講じて、あるいは法律の改正とかあるいは削減とかいろいろな計画を立てた、しかしさらに認可法人等々についてはその目が及んでいないじゃないか、こういう御趣旨であろうと思うのであります。これも予算委員会等でたびたび行政管理庁等がお答え申し上げておるわけでございますが、特に公明党の委員の各位から具体的な事例を挙げてたくさんの御指摘がございました。それを受けて、結局宇野行政管理庁長官と官房長官と私どもとでやっております、閣僚会議という名称を打っておるわけではございませんが、その中で、各省にあるそういう法人の補助金とかそれの経理とかいうようなものについても、直接われわれの監督権限が及ばないものであっても、所管の省庁に対して厳しい指導をしてもらいたいということを要請をいたしまして、現にその中ですでにこのような解決を行いましたとか廃止をいたしましたとか、役員はこのように入れかえましたとかいうような報告が出ておる具体例もありますので、その御指摘の線にはこれからも不断の監視の眼を持って政府全体として対応していかなければならない課題である、このように考えております。
○春田委員 また同じく昭和五十四年度一般会計予備費使用総調書(その1)で、これも運輸省所管でございますけれども、運輸本省と海上保安庁に同じく予備費十億九千七百六十五万七千円が使われております。その中でも特に海上保安庁でございますけれども、海上保安庁で九億三千四百九十六万六千円が使われておるわけでございます。理由といたしましては燃料の価格上昇分をカバーするためであると書かれておりますけれども、具体的にどういう燃料が上がったのか。要するに大幅に上がったものだけ御説明いただきたいと思います。
○堀木説明員 お答えいたします。 燃料費の値上がりでございますが、これは特に海上保安庁で使います巡視船艇、航空機の重油、軽油につきましてはOPECによります値上げの問題、それからさらに為替レートによります円安の問題等が重なりまして大幅な値上げになったわけでございますが、私どもの推計では五十四年度当初と比べまして大体四二%程度、重油につきまして四二%程度、軽油につきまして四一%程度の値上がりということで、予備費及び補正による増額をお願いした次第でございます。
○春田委員 この重油、軽油の基準単価を決めるところはどこなんですか、運輸省で決めてしまうのですか。
○堀木説明員 お答えいたします。 その点につきまして、私ども使用者側といたしましても、ただいま申しましたような考え方で推計をいたしておりますけれども、最終的には大蔵省の方で査定をしていただくというかっこうになります。特に燃料の使用につきましては海上保安庁だけじゃございませんで、運輸省、それから防衛庁、その他のところでも使っておるということがその理由だと思います。
○春田委員 これを大蔵省が査定した時期はいつなんですか。
○吉野政府委員 ただいま御指摘がございました運輸省関係の予備費使用に当たりましての燃料油の単価でございますが、この単価の査定に用いましたのは五十四年九月、つまり予備費使用あるいは一般的には補正予算で措置をしたものもかなりあるわけでございますが、その直近時点で得られました五十四年九月の日銀の卸売物価指数を用いまして各種の燃料油関係につきましての単価の計算をいたしてございます。
○春田委員 当初予算で組んだときのいわゆる査定した時期なんですよ。それは予備費を支出したときの年月日でしょう。だから、当初予算でどれだけ組んで、そして重油、軽油の相当な値上がりによってこれだけの予備費を流用といいますか使用したことになるわけですから、いわゆる当初予算で組んだ時期ですね。
○吉野政府委員 たとえてA重油の例をとってみますと、五十四年度の当初予算におきましてはキロリットル当たり二万八千六百九十二円、これは運輸省だけではございませんで、各省庁共通の予算単価として用いたわけでございますが、先ほど御指摘の予備費使用あるいは五十四年度の補正予算で用いました単価はキロリットル当たり四万七百四十三円という計数によっているわけでございます。五十四年度の当初予算に用いました二万八千六百九十二円とただいまの四万七百四十三円とを比較いたしますと四二%アップというようなことになっております。
○春田委員 答えが出ないみたいですね。これはきのうお聞きした段階では五十三年の十二月に決めたということを聞いているわけでございますけれども、それは結構です。 これは運輸省だけが一応予備費から流用されているわけですね。他の省庁でも使っているわけでしょう。他の省庁では全然予備費は出ていませんけれども、それはどういう理由なんですか。
○吉野政府委員 燃料その他に用います油の類でございますが、御指摘のようにこれは運輸省だけではございませんで、ほかの省庁にもそれぞれ予算上必要な経費が織り込まれておるわけでこざいますが、五十四年度におきましては、先ほど運輸省からもお話がございましたが、海外における原油の値上がりあるいは為替レートの変動等がございまして、いずれも相当な値上がりによりまして予算の執行が困難になるというような状況があったわけでございます。そこで一般的には五十四年度補正予算でそれぞれ所要の措置をしたわけでございます。 ただ、海上保安庁等運輸省につきましては、すでに補正予算を待ってはおられないという緊急の事情がございました。たとえば海上保安庁について申しますと、五十四年度の当初予算で約四十六億三千五百万円の予算を組んでいたわけでございますが、年初来の原料油の高騰によりまして、年末までには残高が約三億円程度しか残らないというような状況にございました。そこで、海上保安庁の場合は警備、救難というような業務が中心になってございまして、その執行を円滑にするため特に緊急に措置をする必要があるということで、運輸省につきましては特に予備費で措置をさせていただいたわけでございます。 一般的には補正予算で措置をいたしてございます。
○春田委員 要するに、重油でキロリットル当たり約四二%ですか、軽油で約四一%アップした、したがってこの分だけ予備費を使用した、こういうことでございますけれども、油の年度内の価格上昇というのは一つの常識みたいになっているのですね。だから、査定されたのが五十三年の十二月と聞きますけれども、査定時の基準単価といいますか、それの設定が適正でなかったのではないか、非常に読みが甘かったのではないかということを考えます。要するに毎年毎年油が上がっているわけです。それが予備費を流用しなければならないような状態になってきたのは、基準単価を設定した時点の問題にさかのぼって考える必要があるのではないかと思うのです。この点どうお考えになりますか。
○吉野政府委員 油に限りませんで、いろいろな物の単価でございますので、経済情勢あるいは物価の状況によりまして著しい値上がりが結果的に生ずる物もあるわけでございます。予算を組みます場合に、将来にわたっての値上がりを何らかの形で想定して予算上に組んでしまうということは予算編成の仕方としてはいかがなものかということで、私どもはやはり直近の時点で得られますデータを基礎にいたしまして予算を組んでまいる、そういたしまして、予算でございますから、その中でともかく執行上できるだけやりくりをしていただく、万が一価格の高騰によりまして既定の予算の中でどうしてもやりくりができないというような場合には、その他の既定の予算の流用等で措置ができないかどうかをまず考えまして、それでもどうしても足りないというような場合には改めて補正予算でお願いをするとか、あるいは緊急な場合に予備費を使用するとか、そういった対応をしていくのが予算執行の筋道ではなかろうか、かように考えております。
○春田委員 それが筋論かもしれませんけれども、近年海上保安庁の責務は非常に重要になってきているわけです。御存じのとおり、スラッジの不法投棄に見られる公害のたれ流しの問題、また領海侵犯も年々相当多くなってきておりますし、また二百海里経済水域の監視等の問題にしても非常に海上保安庁の重要度は高まっているわけです。それが油の値上がりで走れないというのは大変な問題でございますし、海上保安庁は節約できないのです。そういう点で、海上保安庁の船舶や航空の燃料を確保するためにも、当初予算から当然ある程度余裕を持って組むべきである、予備費を使用するなんて厳に慎むべきである、そちらの方が筋じゃないか、私はこう思いますけれども、最後にこの問題につきまして御答弁をいただきまして、私の質問を終わります。
○吉野政府委員 考え方といたしましては、やはり予算でございますから、その会計年度間その予算によって賄うに足るものを組むのが本来の形であろうと思います。ただ、物の価格でございますから、ある程度アローアンスを見て組むと申しましても、このアローアンスの見方につきましてまたいろいろな御議論もあるわけでございますし、場合によりましてはそのこと自体についてまた御批判をいただくというようなこともあろうかと存じます。したがいまして、やはりできるだけ予算編成時に将来の状況も見通した上で適正な単価で組むということが一般的には最も適切だと思いますけれども、具体的にいかなるデータで最も適正な単価をとるかということになりますと技術的に非常にむずかしい面もございます。今後できるだけ最も適切な単価を取り入れるようにいろいろな工夫はしてまいりたいと存じます。
○春田委員 もう一分間あるみたいでございますので最後に国税庁の方にお尋ねします。 先月の二十五日に銀座で起こった一億円の拾得事件ですね。これはまだ落とした人が出てきてないわけでございまして、どういう性格のものかはっきりとわからないわけでございます。一部、いわゆる法人や個人の大口者の脱税にも関係するのじゃないか、こういうことも騒がれているわけでございますけれども、国税当局の御見解をいただきたいと思います。
○矢島政府委員 お答え申し上げます。 先生お尋ねのとおり、新聞紙上いろいろ報道されておりまして、その点は承知しておるわけでございますが、何分脱税のものであるのかあるいは正当なものであるのか、法人のものであるのか個人のものであるのかということも含めまして、落とし主もわかりません、したがって金の性格も全くわからないという現段階におきましては、税務の面からは何らかの措置を講ずるというような状況ではないというふうに考えておるわけでございます。ただ、高額な遺失物であるということで、落とし主があらわれないということは常識的に見ましても何だかちょっと不自然な感じもするわけでございまして、新聞紙上では警察当局がいろいろ照会しているというような話も伺っているわけでございますが、今後とも税務当局といたしましても関心を持って推移を見守ってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○春田委員 終わります。
○高田委員長 岩佐恵美君。
○岩佐委員 きょう私は、大蔵省が先日行われました保税地域における輸入品の実態調査について質問をしたいと思いますけれども、それに先立ちまして、最初に農水省の方にちょっとお伺いをしておきたいと思います。 最近新聞報道や商社筋の話では、サケなどの冷凍魚の値下がりが出てきているということであります。 原因は、大手の商社や水産会社の過剰在庫で、一九七七年、昭和五十二年の二百海里問題以降魚が思うようにとれなくなる、いま手当てしておけばがっぽりもうかる、そういうことで思惑買いに走った、そういうとがめが出てきたからだと言われています。消費者から見れば値下がりすることはそれはそれで結構なことであるわけですが、マグロなどは高値につり上げられたままの高値安定だとも言われていますし、それからサケの値下がりにしても、商社などの海外での買いあさりで輸入価格が大幅につり上げられて、すでに必要以上に高い値段のサケを買わされてきた私ども消費者にとって素直に喜んでばかりはいられない、そういう心境でございます。また、買い占めで抱えている在庫品はひねとかひねひねあるいは大ひねとか言われる二年から三年も前の魚で、これがいまごろ放出されて売られているということが新聞にも書かれておりますけれども、ウイスキーやブランデーならばいざ知らず、業者の勝手な思惑で品質の落ちたいわゆる年代物を私ども消費者が食べさせられる、これは大変な迷惑だと思います。 そこで、農水省に伺いたいのですが、サケ・マス、マグロ、エビ、イカ、こういうものについて、二百海里問題を契機に輸入量、輸入価格及び在庫量がどのように推移しているのか、その特徴について述べていただきたいと思います。
○渡邉説明員 お答えを申し上げます。 前段御指摘ございましたサケ・マス等につきましてのお話でございますが、先生も特に御案内のように五十二年に二百海里が突然引かれまして、従来十万トンあるいは八万トンの日ソのサケ・マスの漁獲が可能であったものがその後六万トンあるいは四万トンに減ったというようなことがございまして、ある程度の思惑輸入が当時あったということは否定できないと思います。その後、今年度も先般の日ソのサケ・マスで四万トン台を確保することができたわけでございますが、一方国内のふ化放流事業が順調に進んでおりまして、内地におきます回遊量がかなりふえたということも重なりまして若干荷もだれぎみになっておりまして、最近値段が下がっておるというようなことはあろうかと思います。 後段の御質問のエビ、サケ・マス、イカ等につきましての最近の輸入状況あるいは需給状況等につきまして、個別に御報告を申し上げたいと思います。 まず、エビでございますが、全体の需給は御承知のように国内の生産と輸入の総体で決まるわけでございますが、生産は数年前約七万トン前後ございましたものが五万トン台に落ちている。一方、需要が非常に堅調であるということがございまして、輸入量は、昭和五十年の数字で申し上げますと十一万トン台だったものが現在十六万トン余にふえております。 それの価格動向は、小売価格について言えば堅調な需要を反映したということもございまして、五十一年の平均が約五百円でございましたが、五十三年には六百二十九円というふうになっております。最近の月別の数字は、小売物価指数の調査対象品目を変更したこともございまして連続いたさないわけでございますが、昨年一年間の動きを見ますと、年初三百八十円ぐらいでございましたものが年央には四百二、三十円になっております。年末に三百八十円台に落ちておりますが、ことしに入りましてから四百円台ということで堅調に推移しておるような状態でございます。 一方、在庫量は、エビ全体の在庫量という調査はございませんでして、農林水産省が統計調査部で独自に調査しております全国の主要な産地六十数港と十ばかりの大都市の主として水産物を扱っている冷蔵庫の調査の結果を御報告いたしますと、五十四年で言えば一月が二万トン台でありましたものがその後二万三千、多い月で二万五千トンぐらいになっておりますが、現在は、ことしの一月の調査結果では二万四千トンということで、在庫量にはさほど大きな変動はないようでございます。 次にサケ・マスでございますが、これは先ほど若干触れましたように、生産量が大きく変わっております。国内の生産で申しますと、昭和五十年が約十六万トンの国内生産がございました。五十四年の統計がまだ出ておりませんが、五十三年度の統計で申しますと十万二千トンというふうに激減をいたしております。それを反映いたしまして輸入量は昭和五十年が六千八百トン台だったものが、五十二年には一万九千トン、五十三年には四万九千トン、五十四年には五万四千六百トンというふうに、ここ一、二年激増をいたしております。 一方、価格の方でございますが、小売価格を例にとって申し上げますと、五十二年では年平均百九十一円でございましたが、五十三年が二百十三円、五十四年を見ますと、一月ごろが二百二十円台でございましたが、五、六月ごろには二百三十円を超しまして、これが去年の秋以降かなり下がってきておりまして十月が二百十五円、十一月が二百六円、ことしに入りまして一月が二百二十一円、二月が二百二十円、三月が二百十三円というように下がってきております。サケ・マスの在庫の調査は特にやっておりませんので、申しわけありませんが、御容赦いただきたいと思います。 イカの関係でございますが、これも最近の食生活の動向を反映いたしまして、調理が簡便であるということで非常に需要がふえております。ただ、イカには大きく分けまして二種類ございまして、スルメイカというのが私どもよくお刺身に食べるイカなわけでございますが、これは日本海側と太平洋側で従来とっているわけでございますが、これの生産が激減をいたしております。ちなみにスルメイカにつきまして申し上げますと、四十三年、四十四年ごろは六十万トンあるいは四十万トンを超しておったわけでございますが、五十三年は二十五万七千トンというふうに激減をいたしております。一方、そういうことを反映いたしまして価格がここ数年非常に上がってまいりましたので、輸入の方の割り当てを大分ふやしてまいりました。輸入の数字で申し上げますと、モンゴーイカを自由化したということもございますが、五十年の五万八千トンから五十四年では十五万五千トンということに輸入量は約三倍にふえております。 価格動向を小売価格で申し上げますと、昭和五十二年の百十三円、五十三年の百三十一円、五十四年の年初は百五十円台でございましたが、年央には百十円台に下がりまして、年末にまた百五十円台に戻しまして、ことしに入ってからの数字を申し上げますと、百五十六、百二十八、百六十円といったことで、やや高値安定的な様相があるわけでございます。在庫量の方も、先ほど申しました意味での限定された調査ではございますが、さほど大きな変動はございませんでして、農林水産省の調査対象だけで言いますと約六万トン台で前後しております。 それからマグロでございますが、これは生産は全体的に言いますと資源の枯渇を反映いたしまして少しずつ微減傾向でございます。輸入量は大体横ばいでございますが、生産量について申しますと、昭和五十年三十一万トン、その後三十六万トンあるいは三十三万トンというふうに三十万トンを維持してございます。輸入量は、同じく昭和五十年の十万トンから、その後多い年で五十二年の十二万四千トン、昨年一年間で見ますと十一万四千トンということでございます。これを在庫量で見ますと、これも限定された調査対象、冷蔵庫ではございますが、五十三年が年暦平靖二万九千トンございましたが、ことしで申し上げますと、一月の二万トン、以後は一万九千トンあるいは一万六千トン、ごく最近の十二月で一万七千トンというようなことになっております。 以上でございます。
○岩佐委員 二百海里問題を契機に無価がどんどん高騰してきた原因の一つに、商社がお金の力に物を言わせて海外で何でもかんでも魚をということで買いあさって、みずから価格を必要以上につり上げてきたことがあるのではないかと思うわけですが、農水省はどう思っておられるのか、それに対してどういう対処をされておられるのか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
○渡邉説明員 先生御案内のように、魚につきましても小売価格につきましては、一般的に言いまして需給関係で値が決まるということだと思います。この需給動向は、先ほども物に即しまして申し上げたようなことでございますが、国内生産の状況あるいは在庫の水準あるいは競争品目の価格の動き等、各種の要因によって左右されるわけでございまして、率直に申し上げまして、単に海外におきます買い付け競争の結果、その影響があってこういうことになった、高水準にあるというふうには私ども考えておりません。同じ魚の中でも、たとえばマグロならマグロが非常に極端な高値を維持するということは、魚の中に消費における代替関係があるわけでございますから、マグロが異常に高ければほかの魚に走るということもござまますし、魚種間の代替関係というものの存在、あるいは、同じマグロでありましても、遠洋でとってくるマグロは冷凍マグロでございますし、輸入されるマグロも同様に冷凍でございますが、近海でとれます生鮮のマグロも結構数量がございます。そういった意味で、冷凍品であるということで冷凍品だけの価格形成力があるというふうにも思えないわけでございます。 簡単にということでございますので、一つだけ例を申し上げてみたいと思いますが、エビについて申し上げますと、先ほど申しましたように、国内生産が五十年以降若干停滞ぎみでございまして、輸入量の方が、需要を反映いたしまして、数年前の十一万トンから、最近では十六万四千トンと非常にふえてきておるということは先ほど申し上げたわけでございますが、輸入価格を円で見てみますと、五十二年がキログラム当たり千七百十七円、五十三年には千四百八十九円、五十四年には千九百十円というようなことで、これは円高、円安ということを反映して必ずしも平板的に比較することはなかなかできないかと思いますが、ドルベースで見ますと、五十二年が六・四ドル、五十三年が七・二ドル、五十四年は八・八ドルというようなことで、それほど大きく、過当競争の結果非常に上がったというふうな数字でもないのではなかろうかと思っております。 ただ、御指摘は、恐らく一部のもので、たとえば昨年のかずのこ騒動のように、一部の魚卵等につきまして生産地が非常に限定されておるような場合に、買い付け競争があって不当に買い付け段階で価格の値上がりがあって、国内にあるいは消費者の反発を買うような事件を起こしたということも、一部の商品についてあることも事実でございます。
○岩佐委員 いまの農林水産省の考え方を聞いていると、だからやはり魚は下がらないんだなというふうに思わざるを得ないような、非常に的を外れた回答じゃないかというふうに思うのです。たとえば、一番最初に長々とエビ、サケ・マス、マグロあるいはイカ、生産量、在庫あるいは価格、いろいろ御答弁いただきましたけれども、聞いていて、肝心かなめのサケ・マスについて、かずのこと同じようにかなり海外での買い付けが行われて大変な事態になって、私どもサケが高値になったり、あるいは買えなくなったり、そういうような思いをしているわけですね。こういう肝心かなめな商品について在庫は調べておりません、全くずいぶんとんちんかんな行政だなというふうに思わざるを得ないわけです。そして、一部の商品と言いますけれども、かずのこやサケ・マス、これはかなりほかの魚に対する心理的な影響が大きいと思います。そういう意味では、私は農林水産省のこういう行政というのは非常に問題があるというふうに思います。 それからもう一つ、私は、海外の買いあさり、同時に魚転がしが魚価を必要以上につり上げてきている、そういうふうに思うわけですが、これについて農水省の考え方を伺いたいし、また、これに対してどういうふうに対処をされてこられたのか、これも簡潔にお答えをいただきたいと思います。
○渡邉説明員 数字をもう一度繰り返すようで大変恐縮でございますが、ただいま御指摘のございましたサケ・マスについての輸入価格を先ほど申し落としましたが、五十一年度の輸入価格がキロ当たりで言いますと三ドル十五、十六でございます。五十二年が四ドル十六、それから五十三年度が五ドル四十一、五十四年は四ドル八十七というふうに、また若干でございますが下がっておるわけでございまして、サケ・マスにつきましても、二百海里を迎えまして、それから日ソのサケ・マス交渉の結果幾ら日本がとれるかわからないというようなこともございまして、若干の思惑輸入があった、それが現在の荷もたれの原因になっているということは、先ほども私は否定はしなかったわけでございます。しかしサケ・マスの値段は、先ほど申しましたようなことで、ごく最近では弱含みに転じておりますことも事実でございます。 それから、御指摘のございました魚転がし的なものについての農林省の指導がどうなっているかということでございますが、いわゆる魚転がしというものは、非常に魚価が上がる段階、たとえば昭和五十二年に二百海里がございまして、かなりの御指摘のような事態があったことは事実でございますが、魚が上がる事態におきましては、社会的な非難を受けるような意味での魚転がしということがあったことも事実でございますし、そういったことが世の批判を受けたということも事実だろうと思いますが、最近のように一般的に水産物の価格が横ばいないしやや停滞ぎみである、それから別な観点でございますが、私どもの率直な感じは、国内生産の立場から言いますと、一年ほど前から大変燃油が高騰しておりますために、漁業者の生産面でのコストは十数%上がっているというのが私どものデータにございますが、そういう意味では、やはりコストプッシュといいますか、そういった生産費の高騰というものが適正に魚価に反映されるということが私どもの方は基本的にはやはり望ましいことではないかというふうには考えておるわけでございます。 しかし、御指摘のような意味での人為的な魚転がしあるいは魚隠しというようなものがあるとすれば、あるいは先ほども御指摘がありましたような、かずのこのような非常に思惑的な輸入あるいはそれに伴って消費者の批判を受けるような価格動向があるとすれば、これは大変遺憾なことでございまして、先ほども申しましたように、まだ不十分でございますが、数年前から始めました在庫の調査、品目も全部覆っているわけではございませんが、そういう在庫の動きと魚価の動きというものをにらみながら、たとえば在庫がふえているにもかかわらず魚価が上がっているということであれば、御指摘のように大変不適切なことだというふうに考えておりますし、そういうものをにらみながら、適時、不適切な現象が起こった場合には、関係業者を呼んで指導するということは、いままでもやってまいりましたし、これからもできるだけ心がけてまいりたいというふうに考えております。
○岩佐委員 具体的にサケ・マスの問題について最近商社関係者から聞いているわけですが、一時期キロ当たり千四百円ぐらいしたものが、いま半値ぐらいに下がっている。もとの段階では大変な暴落が起こっている、だけれども末端では下がっていない、そういう実態があるわけですけれども、具体的に農水省としてはこれをどう見ておられるのか、一体どういうふうにされていかれるのか、お答えをいただきたいと思います。
○渡邉説明員 お答え申し上げます。 一昨年と昨年との関係を見てみますと、一昨年は国内の回遊量が約五万数千トンでございました。それから、日ソのサケ・マス交渉で認められた漁獲量が四万二千五百トンでございます。それから、輸入が約五万トンでございますから、約十五万トン。それに対しまして、昨年は、回遊量が八万トンを超したはずでございます。そういうために、昨年の出来秋に、おっしゃいましたような……(岩佐委員「質問に端的に答えてください」と呼ぶ)御指摘のように千数百円であったものが非常に下がったということは御指摘のとおりでございまして……(岩佐委員「それをどうされるのか」と呼ぶ)その結果、小売価格について言いますと、先ほども若干触れましたように、そのとおりになかなか下がってはおりませんが、昨年の四月ごろ二百三十円あるいは二百三十二円しておりましたものが、下がり方が少ないという御指摘があるかもしれませんが、最近では二百十三円ということで、一割以上下がっているということは御指摘のようなことの反映ではないかというように考えております。
○岩佐委員 何か答弁が私が聞きたいことをすぱっと答えていただけてないわけですけれども、もとで半値に下がっているものが一割で、それで農水省は満足されるのかどうか。これは国民の立場から見れば、消費者にとっては大変頼りない官庁だというふうに思わざるを得ないわけですね。ここで余り議論をしていると本題に入れなくなってしまいますので先に行かせていただきますけれども、もう一点だけ農水省にお伺いしたいというか、要望しておきたいのです。 先ほど申し上げたように、ひねとかひねひね、大ひねですか、そういう古いものをいま私ども食べさせられる羽目に陥っているわけですね。サケなどの場合にはお刺身で食べるという風習がある地域もあるし、またそれが非常に味がいいということで好まれているわけです。取り扱い業者はひねだとかひねひねというのはわかるわけですけれども、食べる側にとってみればわからないわけで、この辺、消費者にもわかるように表示するとか、あるいは何らかの手だてをするべきだというふうに思うわけですけれども、この点いかがでしょうか。これもできるとかできないとか端的に方法だけお答えをいただきたいと思います。
○渡邉説明員 御承知のようにサケ・マスの場合には、端的に申し上げますと、末端で切り身で売られているために、流通の最初の段階、産地の卸の段階で、これは本年とれた秋ザケであるあるいはトキザケであるということを箱ごとにもし仮に表示したといたしましても、途中市場で競られ、末端に並ぶときには切り身で塩引きで売られているものが大部分でございますので、そのときの表示の仕方とまた逆に、とかく不適切な、適正を欠くような表示をする業者もあるいは出てくるかもわかりませんので、なかなかむずかしいことではないかというふうに考えております。
○岩佐委員 なかなかむずかしいという、先がないわけでこれまた困るのですけれども、きょうは大蔵省にいろいろ伺いたいので、また機会を改めてこの問題については聞きたいと思いますが、要望だけ、その先のことを具体的にどうされるか、少し考えておいていただきたいと思います。 本題の大蔵省の問題ですけれども、保税地域における輸入品実態調査を行われたというふうに伺っています。大蔵省はこの調査をどういう目的でなされ、どういう調査を行い、また、その結果どういうことがわかったのか、これも簡潔に説明していただきたいと思います。
○米山政府委員 この調査の目的でございますが、保税地域における貨物の搬出入、またその貨物の蔵置状況がどうなっているか、こういうことを調べまして、保税行政の参考に資するという目的で行ったわけでございまして、その調査の具体的内容は、昨年の十一月五日から十日までの間に保税地域から外に搬出された貨物の追跡調査でございます。その品目は冷凍貨物、これは魚介類と肉でございますが、それと木材につきまして、在庫の状況、蔵置期間、それから転売の回数等について全国の税関で調査を行ったわけでございます。 その結果でございますが、ごく簡単に申しますと、在庫の状況、いわゆる在庫率でございますが、冷凍貨物が大体六三%、木材が約六〇%でございます。それから、保税地域でどのくらいこれが寝ていたか、こういう蔵置期間でございますが、これは一カ月以内、二カ月から三カ月、四カ月から六カ月、六カ月超というふうに分けております。魚介類で見ますと大体一カ月以内というのが約三割、二カ月から三カ月含めまして三カ月以内で六五%くらい、六カ月以内ですと八八%、六カ月超というのが一割ちょっとございます。これは魚介類でございますが、肉、木材につきましても同様な調査をしております。 それから保税地域における転売回数でございますが、魚介類を例にとってみますと、ほとんど転売なしにそのまま出ているのが約五割、半分でございます。一回転売されたのが三三%。ですから、ここまでで大体八割でございます。大体こんなことでございますが、品物によりまして非常に極端に十二回とか十五回というのも、ごくまれでございますがあります。 とりあえずごく簡単に御報告いたします。
○岩佐委員 全国の冷凍倉庫の収容能力が営業用、自家用合わせて昭和五十三年十二月末で全体で六百五十四万トンと聞いています。保税地域の冷凍倉庫が、これは五十四年ですか百五十万トンあるわけで、ここでの冷凍物資の動きというのが市場での価格や在庫に大きな影響を与えるということは明らかだと思います。保税地域は本来はあくまでも通関のための便宜を与える、そういう場所の指定であって、本来の目的と違う利用、いわゆる転売を商社や大手水産会社がするということ自体に問題があるわけです。私は、その意味では今回の調査というのは大変重要であったと思うし、今後もやってほしい調査だと思うのですが、ただ、なぜこの調査の結果を公表されなかったのか、この点について伺いたいと思います。
○米山政府委員 最初に御説明いたしましたように、この調査は保税行政を円滑にするための内部的な資料調査ということでやったわけでございます。執務のためにやったもので、特に公表するようなものじゃないということでしていないわけでございます。
○岩佐委員 関係筋では、私もちょっと歩いて聞いたところでは、すでにこの調査のことについては知っているわけですけれども、一般の国民は、四月二十三日付の読売新聞にだけでしたけれども大蔵省の今回の調査が紹介されて、私も初めてそれでこういう調査が行われたということを知ったわけです。聞くところによると、この調査が行われましたという新聞記事が報道された後、蔵置貨物がかなり減ったというふうなことが関係者からも言われているわけですが、もしそうだとすると、今回の調査は公表によってずいぶん役に立ったのじゃないかというふうにも思われるのですけれども、その点はいかがでしょうか。
○米山政府委員 先ほどの御質問の中で、保税地域、すなわち保税上屋、保税倉庫でございますが、その目的のところにそう長く置くのはおかしいのじゃないか、目的と違うのじゃないかというふうな御質問が一つありましたので、その点につきましてちょっと御説明しておきたいと思いますが、保税地域なり保税倉庫というものがそのままそういう目的で存在するということでなくて、物を入れる倉庫があってそれに保税という機能も加わっているのだ、こういうふうに御理解していただいた方が物事の正確な判断になるのじゃないかと思います。ですから、保税のまま置ける。しかしそれは輸入申告され、その後でそこへ置いても何ら差し支えないわけでございます。ただ、私どもとしましては保税という機能がありますので、それが非常にいっぱいになって保税機能が十分でなければ困るので、そういう意味で調査した、こういう点だけちょっと御説明さしていただきます。 それから、いまの、このことが新聞記事に載ってから在庫量が減った、こういうふうなことでございます。確かに後、引き続き減っております。一月、二月減っておりますが、これはこの調査のためかどうか、その辺の関連は私ども十分解明できておりません。
○岩佐委員 先ほど農水省との議論で、私自身は、あるいはこれはもう常識的にも商社の海外での魚介類の買いあさりあるいは国内での転がし、そういうことが必要以上に魚の価格をつり上げている、これは肉類とか木材についても同じようなことが言えると思うのです。今回の調査でも六三%の在庫率というのは、これは聞くところによると大体満杯、これ以上はもう通路も十分利用できない、そういう程度であるというふうに伺っているわけです。そういう状況の中で、では国民としては、何とかこういう転がしとか海外での買いあさりというのをやめてほしい、何とか必要以上の値上がりを食いとめてほしいというように思うわけですけれども、私ども、そういう実態を知り得る立場になかなかないわけです。ですから、まさにそういう意味で、この情報の一端をつかみ得る税関が今回のような調査を行った、それは国民にとってもずいぶんプラスになる。税関業務上必要であっておやりになったかどうかは知りませんけれども、結果的には、国民にとって非常に重要なことであるというふうに思います。こういう調査の結果が国民にわかりやすく公表されたら、消費者の正しい判断の基準となるし、また同時に、商社、大手水産会社が国民の利益に反する行動をしようと思ってもそれが規制されていく、こういうことにもなると思います。 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、私は、今度のような調査を大蔵省が定期的に行っていって、しかもその結果を今回のようにどこかの新聞だけがちょっと書くということだけではなくて、きちんと国民に知らせていく、そういうようなことこそが望まれていると思うし、また大事だというように思うわけです。そういう点について、大蔵省が今後どういうふうに対応されていかれるのか伺いたいと思います。
○米山政府委員 在庫の状況につきましては、四十八年の非常に物価高騰があった以後、毎月月末の在庫率の報告を求めて、私どもとしてはデータとして持っているわけでございます。ただ、それぞれの蔵置期間がどのくらいであるとか、転がしが何回であるというようなことは調査するにもなかなか——これも一月かかりました。税関の事務量としては相当のものでございますので、定期的にするのはむずかしいのでありますが、必要があれば、その必要性に応じてやっていきたいと思います。 なお、この問題につきましては、特に隠しているとかなんとかということでなくて、先ほど御説明しましたように、執務の必要上やったもので、私ども個別に余り細かい資料は出せませんが、必要があればいつでも出しておるわけでございます。これを定期的に外へ公表するかどうか、そういう性質のものであるかどうかという点については検討させていただきたいと思います。
○岩佐委員 先ほど農水省といろいろ話をしていて、やはり農水省だけに任せておけないという問題だってずいぶんあるだろうし、税関そのものが側面的に、いまの物価高騰の折にこういう調査をおやりになる。そしてそれは一カ月かかるとしても、国民のためであれば当然国の仕事としてやるべきだと思うし、公表についても、私は別に隠しているというふうに申しているわけではなくて、こういうせっかくいい調査なのだから、そういう場合にはどんどん公表することが非常にいい結果を生んでいくのではないかということで申し上げているわけです。同時に、税関が輸入量、たとえば国民生活にとってかなり重要な物資を今度は十一品目お調べになったようですけれども、こういう十一品目、あるいはそれが十五になるか二十になるか、そこら辺の問題はあると思いますけれども、こうした国民生活に大変密着した重要な物資について輸入数量がどのくらいで、輸入価格が平均価格で、CIFでどのくらいになっているのかということが知り得るし、また発表することについて何ら差し支えないというふうに思われるわけです。それから在庫についても、たとえば保税倉庫内の在庫が品目別に一体どの程度データをお持ちになっているのかよくわかりませんけれども、できるだけ詳しい品目別のデータをお持ちになっておられればそれを一体として公表される、これは国民にとって、事がもし起こったらやりますということではなくて、もうすでに事が起こっていても何もされなくて、かずのことかサケ・マスの問題については、国民の賢い行動力もあったかもしれないけれども、実際にはそれ以前に高いものを買わされていたという被害も受けているわけですから、むしろ商社のいろいろな行動によってそういうことが起こったのだというふうに私どもは思いますし、その辺について今後大蔵省としてどういうふうにされていかれるのか、やっていってほしいという私の要望でございますけれども、お答えいただきたいと思います。
○米山政府委員 輸入品の毎月の数量、価格につきましては、一応毎月詳細な貿易統計で発表しているわけでございます。 それから在庫でございますが、在庫を、ある品物ごとにどのくらいあるかということを出すということはなかなか大変なことでございますし、またこういう私どもの調査が国民生活に非常に関連ある物資で、それが価格高騰を抑えるのに役に立つということは私どもとしては非常に喜ばしいことでございますが、しかし私どもの税関行政にはそれなりのまた限界がございまして、保税地域の機能の円滑化を図るというのが私どもの機能でございますので、その範囲において役に立ちますればと思いまして、こういうデータにつきましては農水省等にもお届けして、そちらの方で十分いろいろの検討をしていただく。私どもは私どもなりにやりますが、限界があるということをお考えいただきたいと思います。
○岩佐委員 最後に大臣にお願いしたいと思いますけれども、税関と言うと麻薬の取り締まりだとか、何か国民にとっては大変縁の薄い存在であるわけですけれども、今回の調査を見ていて、税関というのは私ども庶民の生活にとって大変大事な役割りを果たそうと思えば果たせる機関なのだということが、国民の前にもかなり明らかにされたと思うのです。いま言われたように、毎月の、ある品目について、平均価格であればCIFの価格の統計も出るわけですし、また在庫についても、これからいざやるとなると大変むずかしい点もあるかもしれないけれども、すでにあるグループ別にはやっておられる。そういうこともあると思いますし、これを農水省にデータを差し上げているということではなくて、もうちょっと大蔵省として国民の役に立つ、転がしの実態を定期的に調べてそういうものを公表するとか——転がしと言うと、何か本来の税関業務の趣旨に反するみたいに聞こえるわけですけれども、保税倉庫が適正に利用されているかどうかの実態調査をやられてそれを公表されるとか、あるいはいま申し上げた一連の調査を国民のためにぜひ積極的に取り組んでいただきたい。大臣のお考えを伺いたいと思います。
○竹下国務大臣 委員の御指摘は、大蔵省関税局が保税地域の調査を関税局なりの目的意識を持ってやった、が、それが結果として物価対策上に一つの効果をあらしめた、したがいまして、これを物価対策の観点から行ったり公表したらどうか、こういうことでございますが、確かに関税局としての調査にはそれなりの限界がございます。したがって、私も意見を聞きながら感じましたのは、資料等を担当の農水省へお渡しいたしますとかいうようなことは当然のことでありましょうが、いまのような御意見は、恐らく物価対策閣僚会議でありますとか対策本部でありますとか、これは経企庁の方でおやりいただいておるのでありますが、そのようなところで物価対策上からそのような資料の提出を求められるという方向に私どもが誘導するような発言をすれば、結果として御趣旨に沿えるようになるのではなかろうか、このように理解をいたしました。
○岩佐委員 ちょっと時間が来てしまったのですけれども、最後に一点だけお伺いしたいと思います。 予備費の問題で、水田利用再編推進等交付金について、本来転作の条件整備にもっと根本的な施策が必要なものですけれども、前年度も類似の交付金を一年限りのものとして補正予算で新設して、また、当初予算に計上しないまま予備費で措置をする、こういうことが行われているわけですけれども、これは予備費制度の乱用、そういうふうに言わざるを得ないもので、その点を今後改めていただきたい。どうされるのかということについて、最後にお伺いをしたいと思います。
○吉野政府委員 ただいま御指摘がございましたのは、水田利用再編推進等特別交付金の件かと存じます。 これは先生も御承知かと存じますが、五十三年度から政府が始めております、いわゆる水田利用再編推進事業でございますが、五十四年度におきましては、農業をやっていらっしゃる方々のいわば自主的な努力によりまして三十九万一千ヘクタール、これが当初の目標であったわけでございますが、皆さま方の御努力の結果、実績見込みといたしましては大幅に目標を上回りまして四十七万四千ヘクタールというような実績を上げるというようなことになりましたために、その点を特に考えまして、五十四年産のいわゆる生産者米価を決定いたしました際に特別に市町村に交付をするということが、このときに決まったものでございます。したがいまして、五十四年度の予算を組みます場合にはもちろん予見し得なかった性質のものでございまして、予備費使用をさせていただきましたのは、私どもといたしましては問題はなかったというふうに考えております。 今後どうするかということでございますが、先ほども申しましたように、これは生産者米価を決定いたしました際の一環といたしまして決めれらたという性質のものでございますので、五十五年度どうなりますか。これは、これから五十五年産の生産者米価の問題がいろいろ御論議があろうかと存じますけれども、生産者米価の決定の際にどうなりますか、そのときの結論に従って措置をしていくという性質のものであろうと存じます。
○高田委員長 中野寛成君。
○中野(寛)委員 私は、きょうは輸出保険と難民問題についてお尋ねをしたいと思います。 輸出保険は先ほど同僚議員からのお尋ねもございましたので、二、三点にしぼってお尋ねをいたします。 輸出保険、最近の国際情勢がこれだけ厳しい状態になりますと、大変大きな効果を発揮しますし、意味も大きいと思うわけであります。先ほど来指摘されましたように、その今日までの経緯を見ますと、昭和四十八年以後三年間ほどは不用額も多く出てまいりまして予算も徐々に減らしておった。しかし五十一年以後は予算をふやし、かつ不用額も出ないという状態があったわけであります。それはやはり国際情勢を明らかに反映している、このように思うわけでございますけれども、それが五十四年度から五十五年度の予算の内容を見ますと、これも指摘がありましたように、減っているわけであります。たとえばイラン情勢一つ見ても、軍事行動を抑えるように要望をしながら、そしてかつ、そうなりますときに人質問題が今日の状況ではますます長引くと見られている情勢から考えればおのずから行く先は経済制裁のエスカレートということになるのではないか、こういうことになりますと、これまた輸出貿易問題では大変不安定な状態が続いていく、こういうことになるだろうと思います。こういうときに、この輸出保険に対する政府の基本的な考え方はどういうことなんでしょうか、お尋ねをいたします。
○花岡(宗)政府委員 イランに対します輸出保険の運用でございますが、先ほどもお答えいたしたのでございますが、現在ケース・バイ・ケースで運用されておるという状態でございまして、現在は、その後四月二十三日の関係閣僚会議の決定がございますので、その線に従いましてより慎重な運営をいたしておるという状況でございます。
○中野(寛)委員 そういうことを聞いたのじゃないのです。 時間の関係で、次の問題とあわせて指摘しますが、私は、たとえば予備費を使用するということについて、それほどそれが不適確だとは思わない。文字どおり予備費もそして保険も予見しがたい事態が起こったときに使われるのでありますから、この輸出保険に予備費が使用されること、決してそのこと自体を非難しようとは思いませんが、しかしながら、少なくとも保険金の額が去年よりことし減額をされるとかという事態ではないのではないか。予備費があるから、または資金運用部資金としてその予備費を活用することの絡みを考えれば、それはそれに置いておくことの意味もなきにしもあらずでありますけれども、しかし、本来は事態に即した予算というものがしっかりと組まれるというのが当然でありますし、そのことがどうも欠けているように私は思うわけでありますけれども、その事態に対する認識と輸出保険の予算のあり方というものをどう考えておられるかとお聞きしたわけです。
○花岡(宗)政府委員 毎年の予算の組み方でございますが、輸出保険は特別会計で運用いたしておりまして、その場合の歳出の見積もりでございますが、それは大体その年の輸出額がどのくらいに伸びるであろうか、それと過去の平均の事故率というものを掛けて積算して大蔵省に要求をするということで従来からやっております。最近、五十三年くらいから円高のために輸出の伸びが低くなってまいりまして落ちてまいりましたために、この五十五年度の予算につきましては、五十四年度よりもその時点においては輸出の伸びが減るのではないかということで下がったというのが実情でございます。
○中野(寛)委員 最近の貿易に対する零細企業に至るまで中小企業の取り組みというのは大変積極的でもあるわけですし、またそのことが日本の経済の生き延びる道でもあるわけです。ときには危険を冒さなければいけないことも出てくるだろうと思います。そういう意味では私は、通産省としてもこれからより一層貿易振興策というものを図られなければいけないでしょうし、そのための危険負担というものはきちんと裏づけをしておくということが必要なのではないかということを申し上げておるわけですし、私はそういう方向が望ましい、このように思います。 同時にもう一点、この問題は、保険金が支払われたからそれで終わりという問題ではない。あとの事後処理というのが大変大切であります。最近の保険事故等がどういう国々を中心にして発生をしているのか。また、この五十三年度の予備費の利用も——これは予備費という形で出てきているわけです。三月九日に大蔵大臣決定、間もなく新年度が始まろうとしているときに、こういう支出をしなければならなかったところに緊急性が出てきていると思うわけです。そう考えますと、私たちはこれからの事態をますます深刻に受けとめなければいけませんし、同時にまた、これに対しては国民のお金が使われるわけでもありますから、保険料は保険料として受け取りはするけれども、そのことも考え合わせますと、私たちはその事後処理というものを——たとえばトルコなんかでは、債権国会議が開かれたというケースもありますが、そういう実態はいまどうなっておりますか。
○本郷説明員 ただいまの御質問の点につきまして御説明いたします。 五十三年度の保険金の支払い額は、三百四十億ばかりございましたが、その中で三分の二近くのお金は、トルコの関係で発生した事故でございます。そのほかザイール、ガーナ等発展途上国の債務累積問題から発生しました債務救済の問題のためにかなりの保険金が支払われたわけでございます。 そうして、事後処理の問題でございますが、こういう債務救済の関係につきましては、その国と日本との間で債務救済のための協定を結びまして、他方で国内において保険金を支払いながら、その国から繰り延べた約束に従いましてその資金を回収するというふうにいたしております。それ以外の案件で、相手国の企業が信用不安になったために資金が回収できなくなったという事故につきましては、私どもといたしましても、そういう企業から回収を実際に図るため、そういう担当の部局を設けて、輸出業者と一緒になって回収を図るようにいたしております。
○中野(寛)委員 それでは、いわゆる北朝鮮との関係も時折報道されたりするわけでありますが、こういう国交のない国の問題については、この保険金が支払われたケースはありませんか。そして、そういう場合、事後処理はどうするのですか。
○花岡(宗)政府委員 わが国の対外取引は民間企業の自由にゆだねられておるわけでございまして、これらの対外取引は、国内の取引と違いまして、いろいろのリスクを伴う、これを除去して海外の貿易の健全な発展を図るというのが輸出保除法の目的でございますので、この法目的に従いまして輸出保険の運用におきましても、国交のない国との取引につきましても、その取引の程度に応じまして輸出保険の面から支持をするということにいたしておるわけでございます。しかし、国交がないということからのリスクカバーの上で、おのずから輸出保険の運用について一応の限度もあるということは当然であろうと思われます。
○本郷説明員 補足して事後処理につきましてお話しいたしたいと思います。 北朝鮮の関係でございますが、昨年夏ごろ、わが国の北朝鮮に対して輸出債権を持っている輸出業者の集まりと北朝鮮の貿易銀行との間に、その累積した債権をどのようにして回収するかという話し合いが行われたわけでございます。そうして、その結果は、昨年の十月に、基本合意書という形になりまして、日本側の債権者団体と北朝鮮の貿易銀行との間で合意が結ばれたというふうに承知しております。
○中野(寛)委員 明確な処置をとっていただくことを要望しておきたいと思います。 最後に、大臣にお尋ねをしたいのですが、通産省としては本来担当が違うとはいえ、通産省という役所そのものは、貿易の促進、これはやはり大きな仕事の一つだと思います。そしていま日本の場合には、国際収支の悪化、そして赤字という問題を二方で抱えている。輸出の問題というのは、そういう中で大変重要な要素を占めてくる。こういうときに、輸出の見通しに合わせてこの輸出保険にしても保険金の予算をつくるという御答弁でありますが、同じ通産省の中で、一方では大変消極的な措置がなされているわけであります。経済担当大臣のトップとして、むしろこれからの日本の経済の運営や、日本のこれからのあり方等の根幹にさえかかわるような問題、こういうものについてどう判断をされますか。
○竹下国務大臣 基本的な認識といたしまして、いわゆる貿易摩擦等が起こりがちでございますので、貿易立国という言葉が適切であるかどうかは別といたしまして、認識そのものは、私も委員の認識と一緒であります。 ただ、いわゆる輸出保険特別会計の予算編成に際しましては、先ほど通産省から御答弁がありました線に沿って、およその見積もりを立てて、言ってみれば要求予算に対する調整権を持つわけでございますので、そういう姿勢でこれに臨んでおるということのようでございます。
○中野(寛)委員 大臣のせっかくの御答弁ですが、貿易立国という言葉がどうであるにしろ、私と同じ認識を持っておられるというお答えですが、そのためには、こういう一つ一つの前提条件というもの、貿易を進めていけば危険負担というものが当然必要になってくる。そのために、やはり通産省としての一つの基本姿勢として、こういうところにも消極性といいますか、及び腰といいますか、そういうものがあらわれているのではないか、こういうことを感じるわけでありまして、もっと積極性というものが大いに必要ではないのか。たとえば貿易摩擦を指摘されたからといって、それで及び腰になっておったのでは日本は成り立っていかないわけです。もっと、その摩擦をどう最小限にとどめるか、相手の国の理解をどう求めるかの積極的な経済外交とともに日本はこれから歩んでいかなければならぬのではないか、このことを私は強く指摘したいわけです。その基本的な態度について、もう一度お答えをいただいて、終わりたいと思います。
○竹下国務大臣 ただいまの御指摘の、わが国のよって立つ基本が貿易立国でありますとかあるいは輸出に大いに依存をするとかということにおきまして、いろいろな経済摩擦を呼んだ際に、それにさらに理解を求めていく努力、そしてまた輸出等に伴いますところのある種のリスク、そういうものに対してリスクカバーを政府の政策の中で行っていくというような基本的認識は私も全く同感でございます。したがって、通産省のお答えを聞いておりましても、私自身は決して消極的とは受け取らなかった。通産省、日本のMITIといえば大変な役所でございますので、そのMITIの活力ある貿易政策に対して、私どもはそれに呼応した姿勢で絶えずヘルプしていかなければならぬ課題であるというふうに認識をいたしております。
○中野(寛)委員 その基本認識の中で、これからも大変むずかしい時代を迎える、それに対応し得る体制を常に留意して組んでいただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。 インドシナ難民の問題であります。 ちょうどいま審議をいたしております昭和五十四年度の予備費の中から難民対策費が支出をし始められたわけであります。これは国際的な人道上の問題でありますから、日本としても積極的な対応策を講じていただきたいということを、私ども今日まで常々要望をしてきたところであります。しかしながら、せっかく組みました難民関係の予算、不用額と言えばおかしいので、本当は不用になるはずがないわけですが、何らかの事情で執行率が大変低くなっている。こういう事態をどのように考えておられるのか、なぜそういう不用額が出てきたのか、この点について、まず第一点お聞きしたいと思います。
○竹下国務大臣 いわゆる難民対策の問題につきましては、五十五年度予算では新規な補助金、こういうふうにして計上し、先般審議していただいて成立を見たところであります。が、五十四年度におきましては、当初そのことが予見なされざる問題でございましたので、これに対して予備費を支出いたしております。それにつきましては、一つは、国連難民高等弁務官事務所の行う難民援護活動経費が増加した等によるわが国の追加拠出、二番目には、難民のわが国への定住を促進するための経費に予備費を支出したわけであります。 それがいま御指摘の不用が立ったというような具体的な問題につきましては、正確を期するために事務当局から補足してお答えを申し上げます。
○吉野政府委員 大筋はただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、御指摘のございました不用の点は、五十四年十月十二日に閣議決定をいたしましたいわゆる定住促進経費にかかる問題かと存じます。 これは外務省所管分と文部省所管分と、二つにまたがっているわけでございますが、御案内のとおり、外務省所管分につきましては一億六千六百十六万三千円の予備費使用の閣議決定をさせていただきまして、そのとおりに執行されているというふうに私どもは承知いたしております。 問題は、文部省所管分の三千七百七万三千円の予備費使用決定をいたしました案件でございます。これも御承知かと存じますけれども、わが国に定住をいたしましたいわゆるインドシナ難民に対しまして日本語教育をアジア福祉教育財団、こういう財団に委託をして実施しようというものであったわけでございますが、実はこの財団が実施をいたします定住促進センター二カ所、一カ所は五十四年の十一月、それからもう一カ所は五十五年の一月から開設をしてそれぞれ実施する予定であったわけでございますがこの開設がいろいろな事情でおくれましたこと、それからもう一つは定住の希望者が当初の見積もりよりも下回りまして、この日本語教育の受講希望者を当初は百九十六人と見込んでおりましたものが実際には六十二人しかなかったというような事情がございまして、残念ながら予備費使用の決定は三千七百七万三千円いたしたわけでございますが、使用の実績は二千五百五十四万九千円ということに相なりまして、差し引き千百五十二万四千円が不用になったわけでございます。私どもは非常に残念に存じておりますが、先ほど申し上げましたような事情があったということも御理解いただきたいと存じます。
○中野(寛)委員 国連難民高等弁務官の援助計画に対しての拠出金等については、これはこれで一つのわが国の役割りを果たしたものとして、私は別に異論がないわけであります。 ただ、こういう問題については、私は二つ問題があると思うのです。 対外的には、金だけ日本が出せばいいということになってはいないかという批判が一つはあると思うのです。今日までの開発途上国への援助その他にいたしましても、日本は金はくれるけれども、または貸してくれるけれども、貸してくれた金は利息が高いとか、またはくれたものはどこかへ消えてしまうみたいな批判がややもすると聞かれるわけであります。むしろ、もっと行き届いた援助の仕方をするために、金だけではなくて、たとえば特にこういう難民問題なんかですと、人の派遣、こういうものももっと積極的にやっていく。たとえば医療でせっかく派遣をしたけれども、結局向こうの方で戦闘状態が起こったといって日本人が真っ先に逃げ出したなどというようなことを書かれて不名誉な思いをしてみたり、そういうことではなくて、心底人権を守る立場から、日本人としての役割りを果たすための措置が一方で必要だ、このように思うわけであります。 そして内に対しては、いま日本語教育の希望者が少なかったという御答弁がありましたが、難民なんだからちょっとでも手を差し伸べてやればいいんだという上からの感じではなくて、本当に日本を理解して日本に定住するという気持ちを持ってもらわなければならない。日本というのは窮屈な国だ、日本に定住したって、後、何にも保証がない、こういうことになりますと、やはりアメリカの方へ行こうか。まだ外国にいる人たちには日本へ行こうかという希望者があって、いま日本に住んでいる難民の皆さんの中にはこの後も日本に定住したいという希望者がほとんどいないという実態が報道されているわけであります。このように、日本の国を知れば、また日本の国のシステムを知り難民に対する対策を知っているほど日本への定住を望まないという事態がいろいろな数字になってさえあらわれている。私たちはそういうことを考えますときに、もっと心の込もった対策が必要なのではないか、まず総論的に基本的にそう思いますが、このことについていかがお考えですか。
○村角説明員 お答えいたします。 インドシナ難民対策と申しますのはいろいろな側面がございまして、資金協力というのもきわめて大切な側面でございます。日本の資金協力というのは各国から高く評価されるところでございます。また、先生御指摘のとおり、それだけでは十分とせず、たとえばカンボジア難民に対する医療チームの派遣あるいは水資源調査団の派遣という各種の施策を行っております。 また、本邦に対するインドシナ難民の定住につきましても、昨年四月に五百人の定住枠を設けまして、それから昨年の七月に定住条件の緩和を行い、一連の定住促進の事業を、先ほども御説明のありましたアジア福祉教育財団に委託する、そして財団の方で、難民の方が日本に住むに当たっては、まず日本語の教育それから職業紹介あるいは職業訓練の委託、こういう一連の仕事を行って、なるべく難民の方が円滑に日本の社会に溶け込んでいけるような仕組みをこしらえて、これが動き始めた次第でございます。難民の中には必ずしもその趣旨が、特に本邦に一時滞在している難民の方々には、米国に親戚がいるとか、あるいはとにかくそこを希望するとかいうことはございますけれども、日本に定住した場合にはこうこう、こういうふうな措置がある、あるいはこういうふうになるということを私どもの方でもわかりやすい説明資料をこしらえ、ベトナム語に直し、そして必要に応じては出かけていきということをして、希望される方には正しい知識が与えられるようにできる限り努力している次第でございます。 このような一連の努力の結果、幸いこの定住促進事業というのは順調に進行いたしておりまして、本日現在で申しますと、許可ベースで四百三十五人に達しております。五百人の定住枠までもう一息というところまで達しております。
○中野(寛)委員 そういう事態の中で、この定住促進センターなんですが、大和定住促進センターの場合百四十七名、姫路が百六名、収容能力の限度を超えた許可数が実は出ているのではないかという一つの疑問があります。これをどうこなすのか。 それから、たとえば先ほど日本語指導の問題もありましたが、日本語の基礎教育、生活指導を三カ月行った後ということですが、果たして三カ月でそれができるのか。三カ月でおっぽり出されて不安を感じるという方々の声も聞かれるわけであります。ですから日本に住み、そして永住をする——定住と永住とは違うという表現、解釈もあります。永住という言葉を使いたくないという難民もいるかもしれません。自分の国が再び自分たちの住める国として解放されることを望んでいればそうなるかもしれません。しかしながら実際上は、永住ということになれば、その彼らの立場を保障するものがなければならぬと思うわけであります。 それから、今日宗教団体が多くの難民の皆さんを収容してくださっております。宗教団体への補助というのは、ストレートな宗教目的であれば、これは明らかに憲法違反であることは百も承知いたしております。しかし、こういう形で収容していただいているところに対する政府の補助が、たとえば目的を決めて、目的補助というような形でその対応策はできないのか、こういうことも私どもとしては気になる一つの大きな問題でございます。政府の行き届いた措置としてのあり方についてお聞きをいたします。
○村角説明員 お答えいたします。 まず、キャパシティーの問題でございます。姫路の定住促進センターと大和の定住促進センターのある一時点を限って申し上げれば、先生御指摘のとおり合計して約二百五十名でございまして、他方定住許可数は四百三十五で、現実に入っている数が百四十数名でございますから、二百数十名の人に対して許可はおりているけれどもまだ定住がされていないということがありますので、果たしてキャパシティーとしてどうなるかという御指摘はごもっともだと思います。 ところで、実は私どものいままでの経験によりますと、定住の許可を出しましてもこれらの難民の方々は、たとえばタイで申しますればウドンとかノンカイとか、かなり奥地の方におりまして、その人が今度は国連の知らせでもってバンコクのトランジットセンターに来まして、その上で必要な身体検査を受け、いろいろ手配を受けてくるのに実は相当の時間がかかります。本当は、理想的には月々少しずつ入ってきてくださるのが一番いいのですけれども、現在のところは、姫路と大和と両方合わせまして約八十数名でございますから、一時に仮に百名程度の人が来たとしても、あるいは百名超える方が来たとしても収容は可能でございます。果たしてそれだけ人が来てくれないのではないかということで、むしろ、早く来てほしいというふうに外務省を通じて積極的に言っている次第でございます。 次に、三カ月の日本語教育では不十分ではないか、この御指摘は確かにいろいろな人からいただき、私どもが当初この仕事を始める前にもあったのでございますが、それではどれだけやればいいかということになりますと、これは個人の能力差もありまして、何カ月ならば絶対大丈夫ということを確言できる人は実はいなかったわけでございます。ただ、いろいろな専門家の意見を聞いてみますと、しょせん日本語というのは、日本で働き、生活しながら覚えていっていただくわけですが、それにいく前の一応の基礎というのは三カ月集中してやればできる、こういうお話でございましたので、実はいつまでもセンターに置いておくわけにもいかないものですから、三カ月という期間で始めたわけでございます。結果は私どもの心配していたよりもむしろ良好でございまして、三カ月一生懸命勉強すれば、とにかく何とか仕事に従事して片言で話をしていくという程度のところまでいっておるという現状でございます。 それから、今度は定住した後の身分ということでございます。確かにこれは、一般外国人の規則に従いまして法務大臣によって在留を許可されるわけで、定住の当初には一年の在留期間でございます。ただし、この一年は、その切れる前に申請すれば必ず更新できるということですから、実際問題としては不便がないわけでございまして、その点は、このようにしてこういうふうにすればちっとも不便がないのですよということを、具体的に、できるだけわかりやすく難民の方に説明し、また対外的PRの際にも努めております。その他、日本の社会に住んでからどのような実際的な措置が与えられるか、これらも、すでに定住が始まっているわけでございますから、関係省と常に接触をいたしておりまして、なるべく難民の方々が不利にならないように私どもも努めている次第でございます。 最後に宗教団体の問題、これは定住と違いまして、つまりボートピープルズで海上にいて、それが船に救助されて日本に連れてこられた人たちに対して一時収容の施設を提供しているわけでございますが、このうちの約半分が日本赤十字社、その他の半分が宗教団体ということになっております。日本赤十字社の分については、御案内のように、厚生省から施設については補助が出ておりますが、宗教団体の方につきましては憲法の第八十九条「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは團體の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に對し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」というくだりがございまして、この点については残念ながら補助金を支出することができないということだそうでございます。ただし、これは施設でございまして、実際の難民の方方が生活をしていくに当たって必要な食費、これは大人一人一日九百円、子供一人一日五百円という割りで支出する。それから医療費も、これは国連の難民高等弁務官の方から宗教団体の施設であろうと赤十字の施設であろうと一律に供与しておりまして、この分については日本の資金協力というものが大きなパーセンテージを占めているということは御案内のとおりでございます。
○中野(寛)委員 より一層きめ細かな御配慮をお願いしたいのと、やはり不用額が生ずる、それが結局難民が日本に対する不信感なり、また、よその国の方がいいというようなことから、思っていたより希望者が少なかったというようなことで不用額が生ずるというような恥ずかしいことがないように、やはり十分内容を吟味しての配慮をこれからも望みたいと強くお願い申し上げておきたいと思います。 時間が参りましたので、申しわけありませんが最後に二点だけまとめてお尋ねいたします。 インドシナからの元留学生もしくは現在も勉強している留学生、日本に六百人ほどいると言われております。特にこの人たちは望んで日本に勉強しに来たくらいですから、むしろ帰る国がなくなっている、ゆえに日本に永住を希望している。こういう人たちが一年ごとに入管令による許可申請で不安定な状態に置かれているわけです。就職もできない状態です。これを救う方法がありませんか。これが第一点。 もう一つ、難民条約、今国会提出は断念と報道されておりますけれども、四月中旬、法務委員会においてわが党の同僚議員が質問いたしましたときに、外務大臣は明確に今国会に提出すると御発言になっておられますが、これはどうなさるおつもりですか、お尋ねをいたします。 お尋ねは以上で終わります。
○村角説明員 前半の部分につきまして私からお答えさせていただきます。 インドシナ政変前から日本に来ていましたインドシナ三国からの留学生、元留学生等は、昨年四月三日付の閣議了解におきまして、その定住の枠とは別に、当面帰国できない者について定住の実現に努めるということが了解されておりまして、それに基づいて、その留学生の身分が終わった人の分については逐次その定住化、すなわち先ほど御指摘がありました滞在期間が一年というふうに切りかわっております。また中にはこれが三年になっている人、あるいはさらに永住の許可を受けている人もこの中にはおります。この一年につきましては、先ほども申しましたように、一年住んだから出ていけというのでは決してございませんで、普通の善良な市民として生活している限りにおいては一年は期限が来れば更新されていくわけでございます。したがって、就職ができないとか、そういうことはございません。 前半についてはそれだけでございます。
○小西説明員 難民条約の取り扱いについてお答え申し上げます。 難民条約はそのカバーする分野がかなり多岐にわたっておるのでございますが、昨年来鋭意関係省庁と協議を続けてまいりまして、そのほとんどの分野につきましては実質的に解決がついてございます。ただ一つ、社会保障の関係につきまして、これは具体的には国民年金それから児童関係の諸手当、さらには生活保護及び国民健康保険、こういう四つの社会保障制度につきまして、現在のわが国の法制ではこれを日本国民に限るということになっておりまして、このままでは難民には適用がないという状況になってございます。この点につきまして関係省庁と鋭意協議を続けまして、特に難民を受け入れるという以上、たとえば年金の問題でございますけれども、老後になって日本人の場合は年金という形で老後の保障がある。ところが受け入れられた難民についてはその老後の保障がない、こういう形というのは、やはりはなはだ問題である、そういうことがございまして、私どもといたしましては、そういう日本国民に限るという国籍要件を外しまして、難民についてもやはりその老後を気持ちよく日本で送れるとか、あるいは母子家庭になったら日本人と同じように母子年金が受けられるという体制をつくるべきだということで鋭意協議を続けてまいったのですけれども、残念ながらいまの時点でまだ関係省の御理解を得るところに至っておりませんで、他方国会の期日も迫ってまいりまして、まことに遺憾でございますけれども、時間的にははなはだむずかしい状況になってきておるわけでございます。私どもとしましては、いま申し上げました社会保障という問題につきまして、ほかの先進国もほとんど全部の国が難民につきまして内国民待遇ということで受け入れておりますので、日本だけがそういう社会保障制度について難民には適用できないという状況では、そういう形で難民条約に入るということは適当ではないという考えでございますので、そういう留保を付した形で出すということは私どもとしてはできない。したがって、その問題を解決した上でできるだけ早急に国会に提出したい。ただ今度の国会に限って申し上げれば、時間的に非常に困難になってきておるということでございます。
○中野(寛)委員 これで終わりますが、ただいまの難民条約のネックになっております国民年金、児童手当等の問題、これは一つは在日韓国人との比較の問題等も絡んでいるように聞いております。同時にまた、在日韓国人もその適用を大変強く望んでいるわけであります。難民は難民独自の対処の仕方、これは大いに努めていただきたいと私は思いますが、あわせてこの際、財政当局としても——厚生大臣にこの春の予算委員会で私も質問をしたわけであります。国際人権規約も批准したことであって、このような問題について抵抗を示す法的根拠はもうなくなった、しかし財政上の問題がいまの日本にはある、こういう答弁が当時厚生大臣から返ってきたことも記憶をいたしております。財政当局としてのやはり思い切った決断というものがいまここに最終的に望まれていると私は強く思うわけでありまして、そのことを強く要望して、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○高田委員長 これにて質疑は終了いたしました。 —————————————
○高田委員長 これより昭和五十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外二件及び昭和五十四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)外二件の承諾を求めるの件について、討論に入ります。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
○原田委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書等の承諾を求めるの件について、賛成の意を表したいと存じます。 予算は、歳入、歳出の見積もりであり、いかに正確になされても、実際に予算を実行するに当たっては、予見しがたい過不足の生ずることはやむを得ないと思われます。 歳出に見積もった経費に不足を生じた場合、または全然見積もられなかった経費を必要とするに至った場合には、その金額が大きくかつ重要なものであれば補正予算を提出して措置すべきであるが、国会の会期中ならともかく、国会を召集してまでもする必要のないようなものについては、その不足を補うために、憲法、財政法上、予備費を予算に計上して、内閣の責任において支出できる制度が定められていることは申すまでもありません。 すなわち、昭和五十三年度一般会計予備費使用総調書(その2)の使用総額は六百六十億千四百十六万三千円で、その主なものは、義務教育費国庫負担金の不足を補うために必要な経費百三十一億四千六百万円、スモン訴訟における和解の履行に必要な経費四十九億二千九百五十九万円、干害対策に必要な経費十九億八千四百六十二万三千円等となっております。 また、特別会計予備費使用総調書(その2)の使用総額は、輸出保険特別会計等九百九十七億一千五十六万九千円となっております。 さらに、特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書(その2)の経費増額総額は、郵便貯金特別会計等六百四十九億五千七百九十九万五千円となっております。 次に、昭和五十四年度一般会計予価費使用総調書(その1)の使用総額は二千百二億五千六百十一万七千円で、その主なものは、国民年金国庫負担金の不足を補うために必要な経費三百四十九億三千八百五十八万六千円、水田利用再編対策に必要な経費六百八億七千七百二十五万二千円、河川等災害復旧事業に必要な経費三百六十七億五千七十二万七千円等となっております。 また、特別会計予備費使用総調書(その1)の使用総額は、食糧管理特別会計等四百五十七億四千四百六十七万七千円となっております。 さらに、特別会計予算総則第十条に基づく経費増額総調書(その1)の経費増額総額は、治水特別会計等六百九十八億六千七百十八万四千円となっております。 これら予備費の使用は、いずれも予見しがたい予算の不足を補うための経費と認められます。 ただし、訟務費等の不足を補うために必要な経費、郵便貯金の増加に伴い支払い利子に必要な経費等については、過去数カ年にわたり恒常的に予備費を使用しております。 今後このような恒常的な予備費の使用については、できる限り当初予算に計上されるよう、なお一層適切な配慮を望みます。 以上、一言希望を申し上げまして、賛成の討論といたします。(拍手)
○高田委員長 井上一成君。
○井上(一)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、昭和五十三年度及び五十四年度の予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書等の承諾を求める案件について、反対の意を表明いたします。 予備費の大方は、災害復旧など国民生活に必要なものに使用されていますが、以下のように、わが党として同意できないもの、適切でない運用、実効に乏しいもの、抜本的解決を要する点があり、遺憾であります。 たとえば、今日の防衛費の対GNP一%への引き上げ要求の一つの要因ともなっている昨年の総理の訪米についても、予算編成の時期にすでにそれらは予測されたもので、当然既定経費に計上されるべきであり、予見しがたい予算の不足に充てるための予備費を使用することは不適切であります。 輸出保険に対する予備費の使用は、国際情勢への対応のまずさ、日米基軸の外交方針の誤りを物語っているものであります。とりわけ対イラン政策についても、ただ単にアメリカの要請にこたえ、アメリカに追随するのみではなく、わが国とイランとの友好を損ねない、そしてまた人質が解放されることへの最善の努力をわが国としては払わなければなりません。 水田利用再編推進等特別対策に三百億余及び水田利用再編対策に六百億余が使用されていますが、農業再建の明確な方針のないまま減反を強行する自民党農政は、農業を衰退させ、財政負担をふやすものにほかなりません。また、このような歳出は、予備費より支出する性格のものではなく、政策的な支出であるから、当然当初予算に計上されるべきものであります。 インドシナ難民の定住促進のための経費の支出についても、せっかく予価費より支出がなされたのに、実効が少なく、その財政的効果は上がっていないし、わが国が国際社会において人道的立場で積極的役割りを果たしていることにつながらないと思います。本来これらの予算も当然当初予算に計上されるべきであります。 さらに、スモン訴訟の和解、損害賠償に必要な経費、当然予見されるこのような経費は、あらかじめ予算に計上するとともに、投薬証明のない患者、被害者にも賠償を進めるなど、補償を充実することを強く要望いたします。 療養給付費の増大に伴う、五十三年度に国民健康保険事業に対する国庫負担金の不足を補う経費の予備費の支出についても、その必要は認めるものの、国保財政を健全化するための抜本的対策を早急に実施すべきであります。 さらに、多額の不用額を生じている特別会計の予備費予算については、現実に即した額を計上するように改め、財政の効率的運用を行うことを求めるものであります。 以上で討論を終わります。(拍手)
○高田委員長 春田重昭君。
○春田委員 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書等の承諾を求めるの件について、不承認の意思を表明するものであります。 わが党は、これまで予備費使用に関し、財政の国会議決主義の原則にかんがみ、予価費使用の分の不当事項等の有無の明確化を初めとして、数点にわたり予備費使用の基本的かつ重大な諸問題を指摘してきたのでございます。しかしながら、政府は従来の姿勢を改めようとはせず、きわめて遺憾と言わざるを得ません。 さらに、予備費使用に関して政府の姿勢を指摘しておきたい。 その第一は、昭和五十四年度一般会計予備費使用総調書(その1)におけるシンガポール海峡通航安全対策に必要な経費のうち、シンガポール海峡通航安全対策費補助金であります。これはマラッカ海峡拡張事業にかかわるもので、事業主体はシンガポール共和国政府にあり、その費用負担を日本側が負う形態をとっているのであります。 もとより、この事業はわが国における原油の安定供給に資することでもあり、評価するにやぶさかではございません。しかしながら、ここで指摘しなければならないのは、費用負担のため、既設の民間公益法人に基金を設け、それに対し予備費より補助金を交付している点であります。 従来、この種の事業は、企業体が輸銀などから融資を受け、卒業に参加するか、もしくは政府べースによる経済協力によるかのことであったのであります。何ゆえにこのような公益法人を介在させたのか問題を残すところであります。また、この事業の経費に係る補助については、この事業が昭和五十二年国際機関IMCOの決議に基づくものであり、予見しがたい事項とは言いがたく、予備貨より支出するのではなく当初予算もしくは補正予算に計上するべきであったと言うべきであります。 その第二は、巡視船艇等の運航に必要な経費のうち、航空機及び船舶運航費についてであります。 領海保全や海難救助など、きわめて重要な責務を負う海上保安庁が、巡視船艇等の燃料価格上昇とはいえ、約九億円に上る予備費支出を見たことは、予算査定時における基準に甘さがあったと言うべきであります。 その第三は、昭和五十三年度一般会計予備費の決算を見ると、五百四十四億余日の不用額が生じており、財政が逼迫している現今の予算編成として検討を加える必要があると思うのであります。これは予算編成のあり方と予備費使用のあり方の基本に関することとして承服できないところであります。 以上の理由から、予備費使用等を求めるこの案件につきましては、不承諾の意を表明いたしまして反対討論といたします。(拍手)
○高田委員長 岩佐恵美君。
○岩佐委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、議題となりました予備費等承諾案件のうち、昭和五十三年度一般会計予備費使用調書、同五十四年度一般会計予備費使用調書及び同年度特別会計経費増額調書の三件について、不承諾の意を表明いたします。 この理由として、これらの予備費使用の多くは、水田利用再編奨励補助金、社会保障関係費、災害関係費、総選挙経費、義務教育国庫負担金等であり、なお不十分な点や当初予算で十分措置しておくべきものなどの問題はありますが、いずれも必要な経費であり、予備費の使用目的は承諾できるものであります。 しかし、同時に本予備費使用調書中には、わが党が認めることのできないものが幾つか含まれています。たとえば、総理の訪米は日米安保条約を軸に政治、経済、軍事の各方面にわたって日本をカーター戦略に一段と深く組み込むものであり、訪中も米日中三国の事実上の同盟関係を促進し、アジアと世界の平和に逆行するもので、とうてい承諾できるものではありません。インドシナ難民援助計画に係る国連拠出金も、アメリカのインドシナ包囲戦略の重要な柱として展開された不当なキャンペーンにくみするものです。国の責任を回避したスモン訴訟控訴経費も認めることはできません。 また、予備費の執行上も幾つかの問題があります。たとえば、総理の外国訪問経費の恒例的な予備費使用の不当性は例年指摘しているところでありますが、一向に改められないのはきわめて遺憾であります。シンガポール海峡通航安全対策に必要な経費も、仮にそれが必要であるとしても、マラッカ海峡協議会に補助金として支出するやり方は不当であります。また、水田利用再編推進等特別交付金については、本来転作の条件整備にはもっと根本的な施策が必要でありますが、前年度も類似の交付金を一年限りのものとして補正予算で新設し、当初予算には計上しないまま再び予備費で措置することは、予備費制度の乱用と言わざるを得ません。予備費制度の厳格な運用を重ねて強く要求するものであります。 昭和五十四年度特別会計経費増額のうち、国土総合開発事業調整費は大企業本位の大規模開発推進の経費であるというだけでなく、当初予算には「目」未定で計上し、年度途中に配分するというやり方は国会の予算審議権を狭める不当なものであります。 残りの案件については、おおむね必要な経費あるいは予備費としてやむを得ないものと考えますが、しかし、五十三年度食管会計国内麦管理勘定や輸入食糧勘定では、年度末に予備費使用を決定しておきながら、予備費使用額を上回る繰り越しを行ったり、予備費使用額の七割近い不用額を出しているなどの事例があり、今後このようなずさんな運用を繰り返すことのないよう警告しておくものであります。 以上で私の討論を終わります。(拍手)
○高田委員長 中野寛成君。
○中野(寛)委員 私は、民社党・国民連合を代表し、ただいま議題となりました予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書等の承諾を求めるの件について賛成の意を表するものであります。 わが党は、各予備費の使用状況等についてそれぞれ検討いたしました結果、この範囲においては、いずれも必要と思われる経費であり、使用目的を特に逸脱しているとは認められませんでした。 なお、不用額が多額に上っていること、当初予算、補正予算に前もって計上できたのではないかと思われる部分が散見されることはきわめて残念でありますが、これも、承諾を与えるに差し支えるほどの致命的なものとは考えません。ただ、この点については今後十分に注意を払い、一層厳格な審査と調整が図られるよう、強く希望しておきたいと存じます。 以上、賛成の討論といたします。(拍手)
○高田委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○高田委員長 これより採決に入ります。 まず、昭和五十三年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)について採決いたします。 本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高田委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決しました。 次に、昭和五十三年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)及び昭和五十三年度特別会計予算総則第十一条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)、以上二件について採決いたします。 二件はそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高田委員長 起立多数。よって、二件は承諾を与えるべきものと決しました。 次に、昭和五十四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)及び昭和五十四年度特別会計予算総則第十条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その一)、以上二件について採決いたします。 二件はそれぞれ承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高田委員長 起立多数。よって、二件は承諾を与えるべきものと決しました。 次に、昭和五十四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その一)について採決いたします。 本件は承諾を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高田委員長 起立多数。よって、本件は承諾を与えるべきものと決しました。 次に、昭和五十三年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)及び昭和五十四年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その1)について討論に入るのでございますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決に入ります。 まず、昭和五十三年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その2)について採決いたします。 本件は異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高田委員長 起立総員。よって、本件は異議がないと決しました。 次に、昭和五十四年度一般会計国庫債務負担行為総調書(その1)について採決いたします。 本件は異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高田委員長 起立総員。よって、本件は異議がないと決しました。 なお、ただいま議決いたしました各件についての委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
○高田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時三十一分散会