決算委員会 第17号
- 発言数
- 380 件
- 登壇者
- 32 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/04/23
会議録
○高田委員長 これより会議を開きます。 昭和五十二年度決算外二件を一括して議題といたします。 本日は、総理府所管中警察庁、北海道開発庁、北海道東北開発公庫、自治省所管及び公営企業金融公庫について審査を行います。 それでは、順次概要説明を求めます。 まず、後藤田国務大臣から警察庁、北海道開発庁及び自治省所管について概要の説明を求めます。後藤田国務大臣。
○後藤田国務大臣 昭和五十二年度の警察庁関係の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。 昭和五十二年度の歳出予算現額は、千百三十三億九千八百二十三万八千円でありまして、支出済み歳出額は、千百二十五億二千九百十八万七千三百七十二円であります。この差額八億六千九百五万六百二十八円のうち翌年度へ繰り越した額は、二億六千九百四十万九千九百四円でありまして、これは兵庫県警察官待機宿舎の施設新築の際に地質調査の結果、設計変更したこと等のために年度内に支出を完了することができなかったものであります。 また、不用となった額は、五億九千九百六十四万七百二十四円であります。これは、退職者が少なかったので、退職手当を要することが少なかったこと等のためであります。 次に、支出済み歳出額の主な費途について、その大略を御説明申し上げますと、 第一に、警察庁の経費として六百九十七億八千四百八十四万四千七百八十三円を支出いたしました。これは、警察庁自体の経費及び都道府県警察に要する経費のうち警察法の規定に基づき国庫が支弁する経費として支出したものであります。 第二に、科学警察研究所の経費として六億二千百二十七万七百十二円を支出いたしました。これは、科学捜査、防犯及び交通についての研究、調査等のための経費として支出したものであります。 第三に、皇宮警察本部の経費として三十六億七千七百四十九万三千二百六十二円を支出いたしました。これは、皇宮警察の職員の給与その他皇居の警備、行幸啓の警衛等の経費として支出したものであります。 第四に、警察庁施設費として三十三億八千六百三十三万四千六百十五円を支出いたしました。これは、警察庁関係の施設を整備するための経費として支出したものであります。 第五に、都道府県警察費の補助として三百五十億三千七百四万七千円を支出いたしました。これは、警察法に定めるところにより、都道府県警察に要する経費の一部を補助する経費として支出したものであります。 第六に、他省庁から予算の移しかえを受けた経費は、科学技術庁からの国立機関原子力試験研究費として千二十八万二千円、環境庁からの国立機関公害防止等試験研究費として千百九十一万五千円を支出いたしました。 以上、警察庁関係の歳出決算について御説明申し上げました。 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。 次に、北海道開発庁決算の概要の御説明を申し上げます。 北海道開発庁は、北海道総合開発計画について調査、立案し、及びこれに基づく事業の実施に関する事務の調整、推進を主たる任務としております。 当庁に計上されている経費は、北海道開発事業費及び北海道開発計画費並びに一般行政費等でありますが、このうち開発事業費につきましては、総合開発の効果的な推進を期するため一括計上されているものでありまして、治山治水対策、道路整備、港湾空港整備、農業基盤整備等の事業費であります。 これら開発事業の執行に当たりましては、関係各省所管の一般会計への移しかえまたは特別会計への繰り入れの措置を講じ、直轄事業については北海道開発局が、補助事業については道、市町村などが実施に当たっているものであります。 昭和五十二年度の当初予算額は四千三百八十六億六千百三十六万円余でありましたが、これに予算補正追加額五百四十六億二千九百六十五万円余、予算補正修正減少額四千九十五万円余、予備費使用額三億七千六十八万円余、前年度繰越額三億千六百五十一万円余、予算移しかえ増加額千四十一万円余を増減いたしますと、昭和五十二年度の総額は四千九百三十九億四千七百六十八万円であります。 この総額のうち、前述のとおり開発事業の執行のため、関係各省所管への予算移しかえ減少額が千八百九十二億五千九百九十二万円余ありまして、昭和五十二年度北海道開発庁の歳出予算額は三千四十六億八千七百七十五万円余となります。 この歳出予算額に対し、支出済み歳出額は三千四十五億九千三百六十四万円余、翌年度繰越額七千四百万円でありまして、その差額二千十一万円余は不用額であります。 次に、各省所管別に移しかえ及び繰り入れの状況を申し上げますと、移しかえた額は厚生省所管へ二千四百三十二万円余、農林省所管へ千四百四十五億七千九百四十六万円余、運輸省所管へ三億八千四百万円、建設省所管へ四百四十二億千百十三万円余、通商産業省所管へ六千百万円、合計千八百九十二億五千九百九十二万円余であります。 また、特別会計への繰り入れとして支出した額は、農林省所管の国有林野事業特別会計へ九十二億六百五十三万円、運輸省所管の港湾整備特別会計へ三百二十一億七千二百十八万円余、運輸省所管の空港整備特別会計へ三十一億千五百十一万円余、建設省所管の治水特別会計へ六百四十五億三千八百十二万円余、建設省所管の道路整備特別会計へ千四百七十六億九千五百九十一万円、合計二千五百六十七億二千七百八十六万円余であります。 次に、その他の経費の支出につきましては、北海道開発庁の一般行政費八十一億八千八百十三万円余、北海道開発計画費一億二千七百三十三万円余、北海道開発事業指導監督費四億三千八百四十一万円余、北海道開発事業の各工事諸費三百九十億千五百二十七万円余、北海道特定開発事業推進調査費八千六百十九万円余、特別研究促進調整費千四十一万円余であります。 以上、北海道開発庁の決算の概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。 次に、昭和五十二年度自治省所管決算概要について御説明申し上げます。 一般会計の歳出決算につきましては、歳出予算現額は、当初予算額五兆八百四十九億四千五百五十八万円余、予算補正追加額十七億六千九百七十八万円余、予算補正修正減少額一千八十五億九千七百五十四万円余、総理府所管から移しかえを受けた額一千九十七万円余、前年度繰越額七億六千九百九十八万円余、予備費使用額十一億四千三百二十五万円余、合計四兆九千八百億四千二百三万円余でありまして、これに対し、支出済み歳出額は四兆九千七百四十二億九千二百六十九万円余で、差額五十七億四千九百三十三万円余を生じましたが、この差額のうち、翌年度繰越額は十三億六百三十七万円余、不用額は四十四億四千二百九十五万円余であります。 以下、支出済み歳出額の主なものにつきまして、御説明を申し上げます。 まず、地方交付税交付金でありますが、歳出予算現額は四兆五千二百六十億七千五十九万円余、支出済み歳出額は四兆五千二百六十億七千五十九万円余でありまして、全額支出済みであります。この経費は、交付税及び譲与税配付金特別会計法に基づき、昭和五十二年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額に昭和五十年度の地方交付税交付金の精算額及び過年度特例措置による調整額を加算した額を、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れたものであります。 次に、臨時地方特例交付金でありますが、歳出予算現額は一千五百五十七億円、支出済み歳出額は一千五百五十七億円でありまして、全額支出済みであります。この経費は、昭和五十二年度の地方財政の状況を考慮し、その健全な運営に資するための特例措置として、地方交付税法の一部を改正する法律に基づき、交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れたものであります、 次に、交付税及び譲与税配付金特別会計借入金等利子財源繰り入れでありますが、歳出予算現額は一千四百四十九億八千九百万円、支出済み歳出額は一千四百十九億一千七百七万円余、不用額は三十億七千百九十二万円余となっておりまして、この経費は、交付税及び譲与税配付金特別会計法に基づき、借入金及び一時借入金の利子の支払いに充てるために必要な金額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れたものであります。 不用額を生じましたのは、借入金利の引き下げに伴い、一時借入金の利子の支払いが少なかったこと等によるものであります。 次に、参議院議員通常選挙費でありますが、歳出予算現額は百七十六億二百五十五万円余、支出済み歳出額は百七十六億五十七万円余、不用額は百九十七万円余となっております。この経費は、参議院議員通常選挙の執行に要したものであります。 次に、交通安全対策特別交付金でありますが、歳出予算現額は六百七十七億九千九百三十八万円余、支出済み歳出額は六百七十七億九千九百三十八万円余でありまして、全額支出済みであります。この経費は、交通安全対策の一環として、反則令に係る収入額に相当する金額を、道路交通安全施設の設置に要する費用に充てさせるため、都道府県及び市町村に対し、交通安全対策特別交付金として交付したものであります。 次に、地方債元利助成費でありますが、歳出予算現額は八十億五千七百五十七万円余、支出済み歳出額は七十六億五千百五十二万円余、不用額は四億六百四万円余となっておりまして、この経費は、新産業都市の建設及び工業整備特別地域等の整備に係る地方債の特別調整分に対する利子補給金として、道府県に対し、交付したものであります。 次に、地方公営企業助成費でありますが、歳出予算現額は二百三十七億一千十六万円余、支出落済み歳出額は二百三十二億二千八百万円余、不用額は四億八千二百十六万円余となっておりまして、この経費は、公営地下鉄事業特例債の利子に係る助成金として、地方公共団体に対し、交付したもの等であります。 次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金でありますが、歳出予算現額は百二十七億円、支出済み歳出額は百二十七億円でありまして、全額支出済みであります。この経費は、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し交付したものであります。 次に、消防施設等整備費補助でありますが、歳出予算現額は百十億四百五十三万円余、支出済み歳出額は九十六億七千二百十七万円余、翌年度繰越額は十二億六千九百四十万円余、不用額は六千二百九十五万円余となっておりまして、この経費は、消防施設等の整備に要する経費の一部を関係地方公共団体に対し補助するために要したものであります。 以上が一般会計歳出決算の概要であります。 次に、交付税及び譲与税配付金特別会計の決算につきましては、歳入予算額は、当初予算額八兆七千九百億九千四百五万円余、予算補正追加額一千百五十一億五千二百八万円余、予算補正修正減少額一千七十五億九千九百万円、合計八兆七千九百七十六億四千七百十三万円余でありまして、これに対し収納済み歳入額は八兆七千九百五十一億六千四百四十三万円余で、差額二十四億八千二百六十九万円余を生じましたが、これは一時借入金の利子の支払いが予定より少なかったので一般会計からの受け入れが少なかったこと等によるものであります。 また、歳出予算現額は、当初予算額八兆七千九百億九千四百五万円余、予算補正追加額百九十一億五千二百八万円余、予算補正修正減少額百十五億九千九百万円、合計八兆七千九百七十六億四千七百十三万円余でありまして、これに対し支出済み歳出額は八兆七千九百二十六億五千八十八万円余、不用額は四十九億九千六百二十四万円余であります。 不用額を生じましたのは、借入金利の引き下げに伴い、一時借入金の利子の支払いが少なかったこと等によるものであります。 支出済み歳出額の主なものは、 第一に、地方交付税交付金五兆七千五十四億五千七百六十六万円余でありまして、これは、地方団体の基準財政需要額が基準財政収入額を超える場合にその財源不足額に応じて必要な財源を、また災害その他特別な財政需要等に対し必要な財源を、それぞれ地方団体に交付したものであります。 第二に、地方譲与税譲与金三千四百三十二億三千六百十四万円余でありますが、これは、地方道路譲与税譲与金、石油ガス譲与税譲与金、航空機燃料譲与税譲与金、自動車重量譲与税譲与金及び特別とん譲与税譲与金として、関係地方公共団体に譲与したものであります。 以上、昭和五十二年度自治省所管決算の概要を御説明申し上げました。 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○高田委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。藤井会計検査院第二局長
○藤井会計検査院説明員 昭和五十二年度警察庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
○高田委員長 次に、肥後会計検査院第三局長。
○肥後会計検査院説明員 昭和五十二年度北海道開発庁の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
○高田委員長 次に、岩井会計検査院第一局長。
○岩井会計検査院説明員 昭和五十二年度自治省の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
○高田委員長 次に、小野会計検査院第五局長。
○小野会計検査院説明員 昭和五十二年度北海道東北開発公庫及び公営企業金融公庫の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
○高田委員長 次に、北海道東北開発公庫当局から資金計画、事業計画等について説明を求めます。谷川北海道東北開発公庫総裁。
○谷川説明員 北海道東北開発公庫の昭和五十二年度決算について、概要を御説明申し上げます。 当公庫の昭和五十二年度の事業計画は、当初、総額千四百億円の出融資、うち貸付千三百九十億円、出資十億円を予定しておりました。 これに対し、貸し付け実績は千三百九億七千万円となり、出資については実行がなかったため、昭和五十二年度の出融資合計は千三百九億七千万円となりました。計画金額との差額九十億三千万円の出融資は翌年度に繰り延べられました。 これらの出融資の原資といたしましては、政府出資金十六億円、政府借入金五百八十三億円、債券発行五百九十八億九千七百二十五万円及び自己資金百十一億七千二百七十五万円、合計千三百九億七千万円をもってこれに充てました。 次に、昭和五十二年度の損益状況を御説明いたしますと、貸付金利息収入等の益金総額が七百九億七千二百二十八万円余となり、支払い利息、事務費等の損金総額五百七十六億九千十九万円余を差し引いた後の利益金は、百三十二億八千二百八万円余となりました。 このように多額の利益金が発生したのは、大蔵省通達に基づき、当該年度決算より滞貸償却引当金の繰り入れ基準の変更がなされたためでありまして、全額国庫に納付いたしております。 また、収入、支出の状況でございますが、収入済み額は、収入予算額四百十七億千五百六十一万円に対し四百九億五千二百三十七万円余、支出済み額は、支出予算額四百六億千七百九十七万円余に対し三百九十六億七千二百四万円余でありました。 かくいたしまして、昭和五十二年度末における主な資産の状況は、貸付金残高五千三百七十四億七千二百四十四万円余、出資金五十二億三千五十万円となり、これに対する政府出資金は百七十一億円、また主な負債の状況は、政府借入金残高二千八億八千四百七十八万円余、債券発行残高三千四百五億五千八百二十万円、滞貸償却引当金残高五十三億四千五十九万円余となりました。 なお、貸付金残高のうち弁済期限を六カ月以上経過したものが二十四億三千七百三十四万円余ありまして、これは貸付金残高に対して〇・五%になっております。 以上、昭和五十二年度北海道東北開発公庫の決算概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
○高田委員長 次に、公営企業金融公庫当局から資金計画、事業計画等について説明を求めます。柴田公営企業金融公庫総裁。
○柴田説明員 公営企業金融公庫の昭和五十二年度の業務概況について御説明申し上げます。 昭和五十二年度における貸し付け計画額は当初六千五百三十一億円でありました。 これに対し、貸し付け実行額は五千八百三十二億千四十万円であり、前年度と比較して一六%の増になっております。 一方、この原資としては、産業投資特別会計からの出資金十億円、公営企業の債券発行による収入五千七百九十八億千三百五十五万円及び貸し付け回収金等の資金二十三億九千六百八十五万円を充てたのでございます。 なお、当年度における元利金の回収額は二千三百二十億四千六百七十万円余でありまして延滞となっているものはございません。 貸し付け実行額の内訳は、地方公共団体の営む上水道事業、下水道事業等に対するもの五千六百五十五億五千百九十万円、地方道路公社及び土地開発公社に対するもの百七十六億五千八百五十方円となっております。 以上により、当年度末における貸付残高は二兆千三百二十三億七千二百九万円余になり、前年度末残高と比較して三〇%の増になったのでございます。 以上のほか、短期貸し付けとして千八百八十四億八百万円の貸し付けを行いました。 また、農林漁業金融公庫から委託を受けて公有林整備事業及び草地開発事業に対し二百四十四億円の貸し付けを実行いたしました。このため、受託貸し付けの当年度末における貸付残高は千百十四億四千六百一万円余になっております。 次に、当年度における公営企業債券の発行額は六千五百二十五億四千万円でありまして、このうち公募債が五千二十一億五千万円、縁故債が千五百三億九千万円であります。 なお、これらの債券の発行による収入のうち七百一億五千四百六十万円は、昭和四十五年度に発行した債券の満期償還に必要な資金に充てたものであります。また、縁故債のうち三百億七千万円は低利の債券を発行いたしました。 次に、公営企業健全化基金について申し上げますと、当年度における公営競技納付金の収入額二百五十四億四千百二十二万円余を基金に充て、当年度における基金の運用益から基金の管理費用及び利下げ所要額を差し引いた残額三億九百五十六万円余を基金に組み入れました結果、当年度末における基金総額は千百三十四億九十五万円余になりました。 次に、収入、支出の状況について申し上げますと、収入額は、収入予算額千四百九十五億六千五百二十五万円に対し千四百七十九億千七百九十三万円余、支出済み額は支出予算額千五百五十三億六千五百六十万円余に対し千五百二十八億四千八百九十一万円余でありました。 また、損益の状況でございますが、貸付金利息等の利益金総額千五百四十五億九千六百九十三万円余に対し、債券利息及び事務費等の損失金総額千五百三十七億九千二百十七万円余でありまして、差し引き八億四百七十六万円余を各種の償却に充当いたしましたので、利益金は生じておりません。 以上、昭和五十二年度公営企業金融公庫の業務の概況について御説明申し上げました。 何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
○高田委員長 これにて説明の聴取を終わります。 —————————————
○高田委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
○井上(一)委員 どうも大臣、御苦労さまです。 まず大臣に。いまオリンピック問題が非常に政治問題になっているわけです。日本としてはアメリカに協調して、アメリカのオリンピック委員会が不参加を表明し、政府としては二月の方針、あるいはそれ以後に、大平さんも訪米を前にして非常に心痛の状態だろう、私はそれは察し得るわけなんですが、この間から、オリンピックを目指して精進をしてきた地方自治体の職員だとか国家公務員だとか、大学の先生だとか、いろいろいらっしゃるわけですね。これらの、自治大臣が直接の管轄ではございませんから、自治大臣にどうだこうだとか、責任をどうだということは、私はここであえて聞こうという気はないわけでありますけれども、自治大臣の素直な気持ちをちょっと聞かせてもらいたい、こういうことなんです。 ということは、日夜精進をしている人たちは、やはり自治大臣の所管の中で一生懸命仕事にも励んでいらっしゃる方が多いわけです。そういう意味で、自治大臣として、個人的な見解になろうと思いますが、私は、ぜひそういう人たちの願いをかなえてあげたい、何とか参加のできるように、そういう方法はないだろうか。むしろ、不参加の方に理屈をつけるよりも、何とかオリンピックに参加できるように、何かいい方法、工夫はないだろうか、こういうふうに思うのです。大臣はどうお考えか、私のように考えていただければ非常にありがたいのだけれども、その辺の所見をちょっと最初に承っておきたい、こう思います。
○後藤田国務大臣 オリンピックの問題は、実は私の所管でございませんので大変お答えしにくいのですが、国務大臣という立場もございますので、せっかくの御質問でございますので率直にお答えをいたしたいと思います。 私も今日の事態、オリンピック関係者、ことにまた若い選手諸君が今日までオリンピック目指して努力、精進をしてきたわけでございますので、そういったことを考えますと、まことに今日の事態は残念に思います。 申し上げるまでもなく、オリンピックというのは本来政治の影響を受けないというのがたてまえです。しかし同時にまた、オリンピックというのは、若い人のいわば平和の祭典、それを通じて国際親善を進めていく、こういう基本的なオリンピックの行事についての考え方もあると思います。そういったことを踏まえて考えますと、今日のこの事態は、やはりそういった平和の祭典というものを行うんだという国際的な環境にないのではないか、私はこう思います。 しかし、いずれにいたしましても、この問題については、二月の初めに官房長官の談話等も出しまして、基本的にはIOCなりあるいはJOCというところで最終決定はせられるものと思いますけれども、第一は、JOCがどのような御決定をなさるかということですが、JOCは言うまでもなく政府なりあるいは関係方面の意見等も求めて良識のある決定を出されるのではなかろうか、私はかように実は考えているような次第でございます。
○井上(一)委員 いまはまあ大臣として、一応政府の中枢に位置する一員としての発言なんですが、その中でも、本当に残念な事態だということですね。 私はもっと現実的なことで、実際もう涙を流して、個人参加でもいい、ともあれ行かせてくれ、私たちがいままで精進をしてきた生きがいは何だったか、これはオリンピックに参加することだった。政治のフィールドではやはり国際緊張が続けられつつある、スポーツのフィールドではそんなこととはむしろ逆に、世界平和をつくろうじゃないかという、こういうようなことに役立つと思うのです。だからそのフィールドとこれとを一緒に重ね合わすとどうもぎこちなくなるし、それはいろいろ問題があろうと思うのだけれども、これは大臣、本当に率直な意見、その人たちの、いわゆるスポーツマンの気持ちがわからぬようでは政治家は政治をできぬと思うのです。とりわけ自治大臣はそういう所管の職域にスポーツマンのすぐれた人材を擁していらっしゃるわけで、その人たちの気持ちを少しでもかなえてあげたい、いまの状態は残念だ、だから、少しでもかなえてあげたいので自分としても何らかの努力をしたいのだ、それは努力しても成るか成らぬかわからぬですが、しかしそんな気持ちを持っていらっしゃるでしょう。ぼくはそう理解しているのですよ。大臣は、それはすかっと満たしてやりたいのだ、そういう腹は持っておるのだけれども、なかなか政府がアメリカとの交渉でうまいこといかへんので、大平さんがアメリカへ行くまでにそんなことを言うたらどえらいことになってしまう、そんな含みもあって非常に慎重だけれども、一言、やはりその人たちの気持ちを何とか実現させてあげたいという気持ちを持っていらっしゃいますか、そこだけです。
○後藤田国務大臣 いまお答えしましたように、オリンピック目指して今日まで努力、精進した若い人たちの気持ちをわからぬわけではございません。やはりオリンピックというものは盛大に平和のうちに行われることが望ましいことは言うまでもございません。 ただしかし、さればといって今日それが許されるような国際環境、平和な環境にあるかどうかということになりますと、そこはなかなかいまの段階、そこまで環境が熟しておるというふうにも思えない。ここらをどう判断するかという問題でございますが、これから先は、私は大平内閣の一員でございますから、ここで個人的な見解を述べてみてもこれはどうにもならぬことでございますし、そこらはJOCが最終決定はなさるのですから、良識のある御決定をなさるもの、かように期待をいたしておるような次第でございます。
○井上(一)委員 それではJOCの決定を尊重するということですね。そういうことですね。
○後藤田国務大臣 これは当然最終はJOCが決定なさること、かように考えております。
○井上(一)委員 私の推測で、別に統計をとったわけじゃありませんが、国民世論は七割以上が参加期待論、参加賛成論です。政治の中にスポーツが巻き込まれるということはオリンピック精神からも反するし、そんなことは論陣を交わさなくてもお互いに理解しています。もしJOCが参加を決定をしたり、あるいはきょう一番新しい情報で、キラニン会長は、きょうの段階では個人参加は認めないというような方針を出しているけれども、来月におけるエントリーを終えてその後にあるいは個人参加を認め得る状態が起こり得ると私は思うわけです。そんなときには、そういう形の中で意思を尊重する、こういうことでよろしゅうございますね。JOCの意思を尊重する。そして、JOCにはプレッシャーはかけない。もちろん政治的なそんなことはよくないことで、かけない。そして、IOCなりあるいはJOCの関係者、いわゆるオリンピック関係者の自主的な判断を尊重する、こういうことに理解してよろしゅうございますね。
○後藤田国務大臣 私は、JOCが良識のある御決定をなさるもの、ならばこれはJOCが御決定をせられるのがたてまえですからそれに従えばよろしい、かように考えております。
○井上(一)委員 これは余り深く追いませんけれども、良識のある決定というのは、政治からスポーツは分離されたものだということの基本原則、そして確かに日本とアメリカとの協調関係も認識はするけれども、スポーツを通してわが国が世界の平和で果たす役割り、そんなことを考えて、良識的にお決めになられる決め方というのは政治に左右されない判断を私は良識的だ、こういうふうに思っておりますし、大臣もそのような理解だと私は承知します。 では、オリンピックの話はこれくらいにしておきまして、次に私は、かねがね私自身が委員会で指摘をしてきました金大中氏の事件に対する以後の捜査状況、その中で何か新しい手がかりがつかめたのかどうか、もうずっとさきの話はいいですから、ごく限られた近い期間の状況を少し説明してください。
○後藤田国務大臣 私は、新事実はその後出たという報告は聞いておりませんけれども、捜査の中身でございますので、局長から答弁させます。
○鈴木(貞)政府委員 お答えいたします。 事件発生以来、警察としましては、特別捜査本部を設置いたしまして、鋭意捜査を現在も継続中であるわけでございますが、現在約二十名の捜査体制を維持しまして、新たな情報の掘り起こし、あるいは関係者の洗い直しの捜査、あるいは既存捜査資料の再検討、そしてまた補完捜査というふうなことを含めまして、事件解明に努力しておりますけれども、御承知のような長い間の捜査の過程で、その後国会の論議その他を通じまして、新たなものというものは出ておらない、こういうふうな状況でございます。
○井上(一)委員 念を押すまでもないと思うのですけれども、金大中氏自身は、この事件には余り言及しないのだというふうに報じられていますけれども、むしろその前段で、日韓両国政府が国際世論に恥ずかしくない解決をしてくれるであろうという期待を反面持っているわけなんです。 そういう意味で、伊東官房長官も、政治的には決着済みの問題だが、今後も究明の努力をする必要がある、金大中氏が来日して、究明に協力する意向なら話を聞きたいのだというようなことも述べているわけなんです。 当局はいま捜査を続行し、解明に努力をしているということであるならば、もう少し金大中氏自身に対するアプローチに積極的であってもいいのじゃないか。そういう意味で、この事件解明捜査の中で、金大中氏に来日を要請する、そういうような考えを持ち、あるいはそういう積極的な取り組みをしようというお考えがあるのかどうか。
○鈴木(貞)政府委員 三月一日でございますか、金大中氏が記者会見におきまして、いまおっしゃったような、報道によれば、事件に関連したすべての人たちを許し、これ以上問題にしないつもりであるというふうな趣旨の意思を表明したというふうなことを新聞紙上で私たちも承知しているところでございます。しかし、この事件は言うまでもなく被害者の処罰を求める意思、これが訴追の絶対要件ではございません。要件になってはおらないということもございますので、警察といたしましては、これまでの基本的な捜査方針に変わりはないということでございまして、しかも、捜査に当たっては何よりもまず被害者である人の協力というものが捜査の前提でございます。そういう意味で、金大中氏がもし日本に来るようなことがあれば、そういう際は私たちとしては事情をお伺いするということで考えておるわけでございます。
○井上(一)委員 金大中氏がもし来ればということよりも、むしろ積極的にわが方から金大中氏に対して事情を聞かしていただく、そういうアプローチをなぜしないのだ、私はこういうことを言っているのです。いままでやっていらっしゃらないのだけれども、そういう意思を持っていらっしゃるかどうか。来てくれと言ったって、来るか来ないかまだわかりませんし、あるいは政府間を通して韓国で金大中氏に事情を聞かしていただくというようなことも、あえて方法の一つとしてあるじゃないか。そういうことでもとって積極的にやらなければ、国際世論に恥ずかしい思いをしますよ、こういうことなんです。どうなんですか。
○鈴木(貞)政府委員 御承知のように、この事件捜査のために金大中氏の来日を韓国側に求める、こういった行為でございますが、これはいままでの複雑ないろいろのいきさつがあるわけでございまして、問題は国と国との問題に関する事柄であろう、こう思います。したがって、捜査当局の一存ではこの問題はいかない。要するに国と国との関係ということもあるということでございまして、そういう過程の中で、将来金大中氏が日本に来るようなチャンスがあれば、警察当局としては、その機会をとらえて事情聴取をしたいというのが率直ないまの段階での考えでございます。
○井上(一)委員 それじゃ政府間の話だということで、これは大臣にもあるいは政府の中にも、そういう捜査当局の意思というものは通じてあるでしょうね。韓国にまで出向く、そういうお気持ちを持っていらっしゃいますか。
○鈴木(貞)政府委員 御承知のとおり、四十八年八月八日、この事件が発生いたしましてから、各種の複雑な経緯があるわけでございまして、二度にわたる国と国としての政治的決着というふうな経緯もあるわけでございます。そういう点を含めますと、警察が韓国に出かけて金大中氏からいろいろ事情を聞くと言いましても、これは国と国の立場あるいは相互主義の立場、さらにまた、被害者である金大中氏のそれに対する同意、いろいろの問題があるわけでございまして、そういう面々含めまして、まず警察としましては、先ほど言いました、日本国内における各種の面につきまして捜査を進めるというのが現在のとり得る最善の方法であろうと思いますし、また警察官が韓国に出かけて金大中氏から事情を聞くというのは果たして最善の捜査の方法であるかは、いまの状況では問題ではなかろうか、率直にそういう感じを持っております。
○井上(一)委員 少し政府間のなにがありますから、何も警察官がじゃなく外交官が、向こうにおる日本の大使館からこのことについての事情を聞かれた、あるいは聞く、そういうようなことの連絡はまだとっていらっしゃらないわけですか。
○鈴木(貞)政府委員 これは捜査でございますので、もとより金大中氏の供述、御承知のとおり韓国側からもすでに来ておるわけでございますし、そういう金大中氏の供述、そういったものに基づいての捜査というものも日本警察としてはやっているというふうなことでございます。
○井上(一)委員 金大中氏事件は、誘拐事件として捜査したわけですね。もう一度確認しますが、それは間違いありませんね。
○鈴木(貞)政府委員 この罪種を何で問擬するかということは、捜査の全容が解明した結果最終的に明らかになるだろうと思うわけでございますが、いまの段階で警察当局としては一応逮捕監禁あるいは略取事件ということで問擬して捜査を進めているというふうなのが現状でございます。
○井上(一)委員 逮捕監禁、誘拐事件、そういうふうな事件としてその調査を発足して、じゃ調査をしているある段階に来て監禁された者が、誘拐された者が出てきた、あらわれた、あの事件は忘れました、そういうことを言ってしまった。金大中さんはそうじゃないのですよ。自分がみずからどうだこうだ言わなくたって、必ず両国政府が、国際世論が合意をできる賢明な措置を講じてくれるであろうという、むしろ日本の政府あるいは韓国の政府あるいは国際世論、そういうものにやはり期待をしているわけなんですよ。 しかし、あらわれた、それならもうそのことについては私は触れたくないのだ、こう言ったら、じゃ日本の警察は、はいそうですか、これはもう置いておくのです、こういうようなことにはならぬわけですね。いまのさっきの話では、捜査をやっておりますと言うているけれども、何をやっているのだ、何をしたのだということは具体的にまだおっしゃっていただいていないわけです。それで私がぽろっと、向こうとの接触をしているかと言ったら、それは二回の政治決着がついたのだ、こういうことなんです。本当に捜査をやっているのか、やろうとするのか、もうただ時間を費やしているのだというのか、あるいは捜査中だからしゃべれないのか。そこらの点について当局は、やはり法治国家であり世界でもすぐれたわが国の警察の機構というものを、そういう意味でやはり金大中氏自身から事情を参考聴取するというのは私は一番大事だと思うのですよ。そういうことに対する努力はなされているのか、あるいはなぜしないのだ、そういうことなんですが、うやむやに今度もしてしまうのだということでないという、あってはいけないので、ないという意思確認と、それから私はちょっと言いましたけれども、ほかにまた当局が取り組みを考えていらっしゃる、あるいは取り組んできた具体的な事例があれば、ここでお答えをいただきたいと思うわけです。
○鈴木(貞)政府委員 仰せのとおり、警察としては継続捜査ということでございまして、警視庁におきまして特別捜査本部ということで約二十名の体制を持ちまして、情勢の変化あるいはいろいろの新聞記事、そういったものが出るたびにその裏づけなり捜査なりを続行しておるということでございまして、確かに三月一日の金大中氏の意思、これは真意が定かでございませんけれども、被害者としての心中というものを一応吐露しているように見えるわけです。しかし、それによって警察としては捜査をやめるとかそういうことを全然思っておりませんで、引き続いて継続して捜査を進める、こういうことでやっておるわけでございます。 また、新たな状況という件につきましては、御承知の金東雲の指紋による被疑者としての割り出し、これが一つの大きな成果でございますが、それ以外は現在確たる捜査上の裏づけのある新しい事実は出ておらないということでございます。そういう面で出国ルート等につきましても、日本海説であるとかあるいは遠州灘ルートであるとか、あるいは関西方面の瀬戸内海ルートであるとか、いろいろ記事等にも出ているわけでありますが、そういう面を含めまして幅広く、推測を排しまして客観的事実を積み上げるというような捜査を日々続けておる、こういうかっこうでございます。
○井上(一)委員 では具体的に尋ねます。 私の受けとめ方では、全然進展がないように思うのです。私はもうすでに五十三年の四月十二日の外務委員会でも金東雲氏については一定の質問をして、もうそのときすでに金東雲が連行犯人グループの一人であるということを当局は言っているのですよ。そんなこと別に新しい事実じゃないわけなんです。きょうここで説明する、そんなことを求めているのじゃありませんよ。金東雲氏の所在を調べられたのかどうか。いま現在どこに金東雲が住んでいるのか、どういう仕事を現在しているのか、そういうことは情報として入っているでしょう。それは確かめなければいけない。そういうことをやったのかやらないのか。もうすでに五十三年に日米犯罪人引渡条約が審議された段階でも、このことについては、日米犯罪人引渡条約が締結されたらどうなるのだという質問に対して、条件が満たされれば請求の対象になり得る、もしアメリカに金東雲氏が住んでいれば。当時としてはアメリカに住んでいるその確証が高かったわけですけれども。一つずつ尋ねます。いま言ったように、金東雲の所在を調べたかどうか、現在どこにいるとつかんでいるのか。現在の地位、立場、これについてまず聞かしてください。
○鈴木(貞)政府委員 金東雲の所在等につきましては、残念ながらその後警察としては、いまどこにいるのかということについて全然情報をキャッチしておりません。また、先生からかつてそういう面での御質疑があったことは十分国会議事録その他を通じまして承知しておりますけれども、金東雲氏が現在どこでどういう状況で勤務している、そういう面を含めまして一切当方としてはどうも情報がないというのが現状でございます。
○井上(一)委員 金東雲氏が来日したという情報があるわけなんですね。事件後仮に一時的にでもあるいは通過したのかあるいは立ち寄ったのか、そういうことがあったのかどうか、あるいはその際に事情を聴取をしたのかどうか。
○鈴木(貞)政府委員 金東雲につきまして、日本に来日したそういう事実は一切警察としては承知いたしておりません。
○井上(一)委員 これはもう別に秘密文書でも何でもないのだけれども、金東雲の本名、そしていまどういう状態であるというのが、これはもうあなた方の手元に入っているでしょう。こういうのは入っているでしょう。それを知って知らぬふりしているのか、もう調べようとしないのか、一生懸命やろうというまさにそういう意欲があるのかないのか私は非常に疑問だ、こういうふうに思うのですよ。だから、今後この金東雲、これはもう犯行グループの一員であるということは当局でも説明しているのだし、この金東雲に対して犯罪人であるという位置づけで今後韓国政府に対応しますか。
○鈴木(貞)政府委員 金東雲についてはこれまた御承知のとおり、事件発生後指紋による六人のうちの一人の被疑者といたしまして出頭を要請したのは御承知のとおりでございます。それは拒否されております。そういう経緯で来ているということです。
○井上(一)委員 一度拒否をされたけれども、また改めて、やはりこれはクロなんだということでさらに強い要請をするお考えは持っていらっしゃるか。韓国におればそれはやるべきだとぼくは思うけれども、あるいはアメリカにおるかもわからない。アメリカにおれば、さっき言ったように、わが国との条約が締結されて、この三月二十六日、大分時間がかかったけれどもその条約は発効しているのです。そこまで積極的に取り組みますかと いうことです。
○鈴木(貞)政府委員 仰せの金東雲がどこにいるか、このこと自体が日本警察としては把握しておらないわけでございまして、一部記事等に、米国に滞在しているのじゃないかとか、そういうあれがございますが、それにつきましての、どんな立場でどういうのか、具体的事実、そういうことについては、いわば情報ということだけでございまして、具体的な捜査の手がかりになるものとしてのものはないというのが現状でございます。
○井上(一)委員 アメリカに対してそういう、これは犯罪人を国際的に捜査をする機構もあるわけなんだから、私の言っているのは、それはいまどこにおるかわからないと言ってしまえばそれまでだけれども、それを捜すのが捜査の役割りであるし、それが問題の解決につながるのですから、そういう意味でアメリカに対して金東雲、これはすぐわかることだから、偽名で入っておるかもわからないけれども。そういう意味でアメリカ政府に対しても、そして韓国政府に対しても、韓国政府に対しては再度そういうことで要求をするか、こういう私の質問なんです。要求をされますか。
○鈴木(貞)政府委員 金東雲の来日問題、あるいは日本の来日要請、そういった問題についても、この事件の過去のいろいろの経緯から、要請もして断わられたということは先ほど申したわけでございますが、大変むずかしい問題であろうかと思うわけであります。いずれにしましても、被害者としての金大中氏につきましても、日本に来てもらうというようなことについては、これは国と国との問題ということがあるわけでございますが、被疑者としての立場にある金東雲、これをどうするかということにつきましても、やはり国と国との関係でそれぞれ詰めるべき問題もあろうかと思うわけでありまして、そういう意味で、この点も将来とも警察としては関係当局ともいろいろ協議しながら、事件の進展に応じて考えていく、こういうつもりでおります。
○井上(一)委員 それじゃさらに、その拉致事件に使われた自動車の持ち主、これはもう前々から氏名が出ておるわけですが、前の横浜副領事劉永福氏、この人がたびたび出入国を繰り返しているということですが、それは承知しているのか、あるいはその記録はちゃんと持っていらっしゃるのかどうか。
○鈴木(貞)政府委員 劉永福氏がたびたび日本に入国しているといういまの仰せでございますが、事件後劉永福氏が出国以来日本に来たという事実は承知しておりません。その後来たという事実は一切関知していませんし、承知しておりません。
○井上(一)委員 たしか七七年の六月でしたか、アメリカで金炯旭氏の証言で、実行グループのリストが発表されたわけです。そのリストに発表された人たちも日本に立ち寄ったり、または通過をするときに日本に寄港したり、そういうことで本名、あるいは偽名、ペンネーム、いろいろありますけれども、そういうことはつかんでいらっしゃいますか。
○鈴木(貞)政府委員 非常に一般的な御質疑でございますが、警察としては、当初申し上げましたようにいろいろの報道なりあるいは社会党の方からいろいろ提供いただいた資料、こういったものにつきましてもそれぞれ裏づけをとるというふうな捜査努力をいままで続けてきたわけでございますけれども、そういったものについて確たる、いわゆる容疑事実を裏づける具体的なものはいまの段階では出ておらない、こういうことでございます。
○井上(一)委員 じゃ、容疑事実は裏づけられなかったけれども、調べられたという事実はあるわけですね。
○鈴木(貞)政府委員 調べるということは、調査を含めましてそういう努力を続けておる、こういうことでございます。
○井上(一)委員 ここで個人名を明らかにしてくれと言ったって、あなたの方ではいま捜査の段階だから個人名は出せない、こういうことになるでしょうけれども、一応肩書き、役職、あるいはいつごろそういう事情聴取というのか、あるいは参考に意見を聞かしてもらったというのか、そこらのなには別として、具体的にその人たちの立場と、いつごろであるかということをここで聞かしてください。
○鈴木(貞)政府委員 まさに現在継続捜査中というふうな事件でございますので、個々具体的にいつの段階でどなたからどういうことを聞いたとかということはひとつ言うのを差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、いろいろのケースをとらえて、警察としては聞ける状況、そういった段階ではそれを逃すことなく、その都度その都度手を打って捜査を進めているというのが実情でございます。
○井上(一)委員 去年の十一月に参事官として着任した尹英老氏、これは御承知ですね。米国の議会のフレイザー委員会では金大中氏事件の現場責任者と指摘された人なんです。政府は十二月二十四日に韓国側に尹氏に事情聴取をしたいと申し出て、ことしの一月五日でしたか、拒否されたわけですね。拒否されて、私はさっきも少し話をしたのですけれども、わかりました、はいそうですかという、それぐらいで引き下がってきたのか、そんなことは非常に遺憾である、両国間の友好と連帯を薄める、あるいは障害になる、非常に遺憾である、それぐらいのきつい意思表示を、断わられたときにしましたか、どうなんですか。
○鈴木(貞)政府委員 尹英老氏の日本への入国、これはいまおっしゃったように、昨年日本に参ったわけでございますが、実はこれは警察としまして入っているという情報を入手いたしまして、これが十二月五日でございます。そういった情報に基づいて入管当局に照会すると、その結果、外交官として十一月の八日段階で日本に入国しておる、こういう事実を把握いたしましたので、さらに外務省に対しまして十二月の初旬でございますが、現実に在任しているかどうかという確認方の要請をしまして、それに対して尹英老は確かにいるという確認の回答があり、それに基づきまして警察庁としましては外務省を通じて事情聴取に関する申し入れを要請した。それに対して先生おっしゃったように、ことしの一月五日、拒否という回答があったということでございます。したがって、外交官として来ているわけでございますから、そういう意味で外交ルートでこういう手続をとったということでございまして、拒否されたということは、率直に言って遺憾でございますけれども、それ以上何ともしようがないということでございます。
○井上(一)委員 外務省を通しての話で、だから捜査当局は何も手も足も出ないのだということじゃないわけですね。あらゆる政府機関の機能を発揮してこの問題を解決せないかぬ、捜査当局は拒否されたことは非常に遺憾であるということを韓国政府に意思表示されたのか、外務省を通してでも。そういうことを韓国側に断られっ放しで何も意思表示をしなかったのかどうか、こういうことを聞いているわけです。それはどうなんですか。
○鈴木(貞)政府委員 この尹英老、参事官として参ったわけでございますが、これは社会党から提供を受けました犯行者リスト、こういったものにもあるわけでございまして、そういう意味から警察としては捜査的観点からこれはもちろん検討したわけでございます。しかし尹英老氏を被疑者として問擬するというふうな具体的事実は何ら出ておらないわけでございまして、今回も外務省を通じて要請したということは、いわば参考人的な立場で状況をお伺いしたい、こういう立場での要請でございました。具体的に尹英老氏がどういう役割りであったか、いろいろ報道あるいは記事等にはありますけれども、捜査の段階では、被疑者としてのとかいう具体的なものは何も持っておらないというのが実情であるわけでございます。
○井上(一)委員 尹英老氏はその後出国してしもうたわけですね。昨年十一月に着任して一カ月ぐらいで帰国してしもうた。これは離任を意味しているのかどうか、これは当局のとらえ方ですよ。いろいろ外務省との協議があっただろうと思いますけれども、それとも一時帰国をしているのだ、こういうことなのか、どちらにとられているのですか。
○鈴木(貞)政府委員 もう再び入国しないという離任なのかあるいは一時帰国なのか、どちらであるか、その点、当方としてもはっきり判断する素材もございませんし、いまのところ断定できる具体的な事実を何らつかんでおりません。ただ外交官でございますから、これは後任者が云々とかいうことで、それぞれお互いに外交ルートで、もし後任者が来れば帰任というふうに判断できる、こういうふうなことであろうと思いますが、いまの段階ではどうもはっきりしたそういう状況は把握しておりません。
○井上(一)委員 それじゃ再着任をしたら、あるいは現在しているのかどうか、それはまあわかりませんが、再着任をするならば参考人として事情聴取をされますね。
○鈴木(貞)政府委員 一回拒否されましたが、また入国するということであれば警察としては再び要請したい、こう思います。
○井上(一)委員 ほかに事件関係者で外交官として着任している人はいらっしゃいませんか。
○鈴木(貞)政府委員 いま承知しておりません。
○井上(一)委員 いや、いま承知してないということですが、私の言っておるのは、その犯罪を構成した、あるいはそれに直接かかわったということの被疑者的な立場の位置づけでなく、何らかの形でもっとアウトサイダーでいわゆる金大中氏事件に関係がある、もっと中へ入っておった人もおるかもわからぬけれども、そういう意味も含めて、外交官として今回の金大中氏の事件関係者でこちらへ来ている者はつかんでおるかということです。
○鈴木(貞)政府委員 そういう方は外交官として来ていることは全然つかんでおりません。
○井上(一)委員 それじゃ尹英老さんのことにこりずに、関係者と言われる人物が日本に立ち寄ったりあるいは一時通過する際には事情聴取をするということは約束をしていただけますか。
○鈴木(貞)政府委員 そのときの状況状況に応じて最善の努力をしていくということでございます。
○井上(一)委員 ちょっとここで言葉の定義を説明してほしいのですが、セーフハウスとは一体何なのか、ひとつその定義を聞かしてもらいたい、こう思うのです。
○鈴木(貞)政府委員 セーフハウス、何かこれは前の国会で秦先生等からそういう言葉が出たと思うわけでございますが、別に国際的、国内的にもセーフハウスがどういう定義といいましてもちょっと、そのまま安全な家といいましょうか、直訳すればそういうことになろうかと思いますが、あるいは安全な家というのは秘密の家、アジトというふうなものにもつながるかもしれませんが、とにかく人それぞれ使いようでございまして、必ずしも確定した、セーフハウスがこういう言葉だ、こういう意味だというはっきりしたものがあるということは承知いたしておりません。
○井上(一)委員 これは警備局長、あなたが言っているのですよ。だれも言ってないのですよ。あなたが「そういう「アンの家」というのはセーフハウスといいますか、アジトといいますか、そういう意味も含めまして幅広くやっておるということでございます。」あなた自身が、国会の中にセーフハウスなんという言葉を持ち出したのはあなたなんですよ。だれも国会議員がセーフハウスを持ち出したことはないのですよ。セーフハウスというのはいわゆるある機関の、いわばCIA、KCIA、そういう機関のよく使われる言葉で、二十四時間ぐっすり安心して眠れる逃げ込み部屋的なもので、これはアメリカが持っておる。アメリカが持っておったのをカーターになってそれを縮小した。韓国はアメリカに見習うて、CIAに見習うてKCIAも日本につくりよった。そういう意味でセーフハウスというのはいままでも何カ所かあったわけです。いままでの「アンの家」というのはまさにこれは関西における、たとえば関西でいろいろ指摘をされたそういうのは、いわゆるあなたが言うセーフハウス、アジト、逃げ込み部屋、こういうことなんですよ。あなたが言っているのでしょう、五十五年三月十七日。国会の中にセーフハウスという言葉を持ち出したのはあなたなんですよ。
○鈴木(貞)政府委員 私が持ち出したか、それは私が言っていることにつきましては私自身責任を持ちますけれども、固まった言葉としてセーフハウスというのは私自身も実はいまの段階で承知しておりません。ただ週刊誌その他を含めましてそういう言葉が使われていることをどこかで読んだような記憶はあるわけでございますが、そういうことで恐らくそれは秦先生からの質疑の際の内容だと思いますけれども「アンの家」ということに関連しましていろいろ幅広くやっておる、「アン」という姓だけに限らず、秦先生の御質疑の中でアジト、隠れ家、そういう意味を含めていろいろ御指摘ございましたので、そういうものを含めて幅広くやっております、こういう答弁をしたと記憶いたしております。
○井上(一)委員 当局はいわゆるセーフハウスを、KCIAいわゆる韓国の諜報機関が持っているセーフハウスは何カ所ぐらい把握しているのですか。それに対してどれほど調査の対象にされたのですか。
○鈴木(貞)政府委員 御承知のとおり、金大中事件につきましては、出国ルートも残念ながら判明しておらないわけでございます。しかしやはり関西方面というふうなにおいが非常に強いということは金大中氏の供述からうかがわれるわけでございますが、捜査当局としては関西ルートであるということをきめつけてもおりません。一部日本海あるいは遠州灘説というような記事もあるわけでございまして、そういう意味で幅広く、推断を排しまして具体的な事実をとにかく積み重ねるということで、そういう面についても網を張りまして、裏づけ捜査をしているわけでございます。いま御質疑の韓国のアジトといいましょうか、そういうものは何カ所あるかということはわかりません。 ただ、金大中事件につきまして「アン」の姓あるいは金大中氏の供述にございまするいろいろの状況、すなわちエレベーターがついておるマンション的なもの、こういったものにつきましては約六千軒ほど捜査をいたしまして、シラミつぶしに容疑性というものをつぶしていったということでございますが、残念ながらこの家だというふうな特定までには至っておらないというのが実情でございます。
○井上(一)委員 セーフハウスと呼ばれるべきアジト約六千軒を調べて何も出なかったのですか。
○鈴木(貞)政府委員 何も出なかったかという意味がちょっと理解できないのですが、とにかくいろいろやったけれども、金大中氏が拉致されてそこへ行った場所として特定するものは出ておらないということでございます。
○井上(一)委員 何もないのに、疑いもなくて六千軒も調べるということはないわけですね。たとえ一軒であろうとも疑いもないのに調べるわけにはいかぬわけですから、何かの疑いがあってそこに入るわけです。そうでしょう。疑いがあって関連があると思って調べに入って六千軒行って何もありませんでしたというのじゃ、これはちょっとお粗末過ぎるね。そうでしょう。金大中氏の事件には直接関係なかったけれども、こんなことがありましたとか、捜査としてはいろいろな思わぬ情報なり実情が把握できました——六千軒調べて何もありませんということではお粗末きわまりない。だから私の聞きたいのは、六千軒調べたのだから何かあったでしょう、こういうことです。
○鈴木(貞)政府委員 出国ルートに関連しまして、韓国に連れ出されるまでの状況について金大中氏の供述があるわけでございます。ここで自動車に乗せられてUターンをして高速道路から出て、多分大津インターチェンジかと思われるようなインターチェンジから約一時間ぐらい走って、地下駐車場からエレベーターに乗れるマンションの何階か上がったところにある部屋で云々、こういうふうな金大中氏の供述があるわけでございます。 そういう線からエレベーターのついたマンションというふうなことを含めて、地理的なものを含め、さらにまた焼津あるいは日本海ルートというふうなものを含めて、そういう建物はないかどうかということでやったわけでございまして、全然白紙のところを全国至るところをやっておるというわけではございません。一つの的をしぼったかっこうの範囲内においてそういう建物について裏づけをとったけれども、具体的に金大中氏が監禁された場所というものは特定に至っておらない、こういうかっこうでございます。
○井上(一)委員 それは無差別にばんばん行ったのじゃなくて、竜金号を一つのポイントに据えて関西周辺をやったのだ、それで六千軒。関西では何軒ほど行かれたのですか。まずいま聞きますけれども、神戸、大阪、京都も含めて、北陸とか遠州灘、敦賀はやめて、関西周辺で何軒のアジト、セーフハウスを調べられたのですか。
○鈴木(貞)政府委員 約六千軒、ほとんどもうこれは関西と申してよろしゅうございます。
○井上(一)委員 そうでしょう、関西六千軒。いろいろのルートがあるけれども、私自身は関西ルートだと思っているわけだ。当時の三井警備局長も、断定はできないけれどもほぼその線に固めているという、六千軒も関西であるという。それはいろいろ固有名詞のマンションがあるだろうけれども、私はここで固有名詞を出そうと思いません。あなたの方の当局の方でやはり何かの疑いがあるからこそそこを調べられたものですから、たとえばその建物の所有権は韓国人の所有権であった、あるいは韓国の公的機関の所有物であった、私はそういうことを聞きたいわけです。金大中がここへ監禁されたという事実はどうもわかりませんでした、それはそうでしょう。わかっておったらもういまはこんな答弁では済まされぬからね。だから、六千軒の中で所有者が韓国人の所有者か、あるいは韓国の公的機関の所有物か。
○鈴木(貞)政府委員 もうそれはおっしゃるとおりいろいろだと思います。いろいろあるわけでございます。それが何軒が韓国関係の所有物であり、あるいは公的な所有であるか、具体的な内容はちょっと私も申すべき内容でもないと思いますが、もうとにかく六千軒の内容はいろいろであるということは御理解願えると思います。
○井上(一)委員 余り時間がありませんので、このことについてはまたさらに次回にいたしますけれども、関西で「アンの家」というふうに固有名詞がいままでは使われてきたわけですけれども、今日の時点ではセーフハウスである。それはKCIAのアジトであった。しかしそこで金大中氏が監禁されたかどうかはわからない。しかしそれはKCIAのアジトであった、そのことはお互いに確認できますね。関西で六千軒も調べられた、その中で、前々から指摘をしている神戸の「アンの家」、あたかも「アン」という姓の人の家のように受けとめられてきたけれども、それはそうじゃなくてセーフハウスというKCIAのアジトであったということはここで確認できますね、そのアジトが金大中氏の拉致事件あるいは監禁の場所であったかどうかは別にして。
○鈴木(貞)政府委員 具体的に韓国関係のアジトというふうにきめつける、具体的にそれを裏づける、そういったものは、六千軒いろいろやりましたけれどもつかんでおらないということでございます。
○井上(一)委員 それではちょっと振り出しに戻りますが、セーフハウスというものはアメリカだって持っておるわけです。KCIAも持っているのですよ、何カ所か。そんなものはつかんでいるでしょう。六千軒が全部セーフハウスだと私は本当は思いたくないのだけれども、六千軒が関西だということで、これで何も聞かなくても当局の見通しとしてはルートは関西だ、これは推測ができるわけなんだけれども、それはKCIAのアジト、セーフハウス——アジトという言葉がまた定義づけされると困るけれども、あなたが言われたセーフハウス、それはKCIAのアジトであるという認識を持っている、それでいいのでしょうと言っているのです。何もむずかしいことを聞いているわけじゃない。いまアメリカの話をちょっと出しましたけれども、アメリカもそういうセーフハウスは持っていますよ。それはあなた方は知っていらっしゃるわけですね。しかし、それを聞いているのじゃなく、いま関西のセーフハウスはKCIAのアジトである、こういうことを確認しているわけです。
○鈴木(貞)政府委員 まことに私、何かセーフハウスで混淆した印象を与えて申しわけございませんが、普通、常識で言えば、アジトといいましょうか、アジト、隠れ家、こういうことで理解いたしますけれども、これはもう千変万化であろうと思います。その隠れ家だけで使っておるという、一般的に、抽象的に考えましても、いろいろの形態のものが考えられるわけでございまして、いずれにしましても、はっきり言えることは、出国ルートが確定しておらないということ、それから金大中氏が監禁されたというマンション等についての具体的な裏づけが出ておらないということでございまして、御質疑の、その韓国のアジトが何カ所あるか、また韓国系のアジトで金大中氏がそこに監禁されておったのかどうかということについても具体的な裏づけその他が出ておらない、こういうことでございますので、御了承を願いたいと思います。
○井上(一)委員 時間が参りましたので、最後に一つ、柴田総裁にお伺いをしますが、あなたは特定の政治家を推薦したり後援したり、そういうことをなされたことはおありでしょうか。
○柴田説明員 私も政府機関の一員でございますので、さようなことはございません。
○井上(一)委員 そういうことはありませんか。それはきっちりとここでお約束できますね。
○柴田説明員 そういうことをしたことはございません。
○井上(一)委員 わかりました。 いま政府機関の総裁ですし、私は、そういうことはあってはならない、こういうふうに思うのです。あなたの意思もそうですね。もう一度確認します。
○柴田説明員 特定の政治家を推薦するというようなことはございません。
○井上(一)委員 私の持ち時間が参りました。しかし、柴田総裁、あなたはある特定の政治家に対して後援をし、支持し、推薦をし、そういうことを現実に行ってきているわけなんです。だから、いまの答弁とその事実関係——向こうが勝手にあなたの名前を使ったのか、これはわかりませんけれども、具体的な事例を出して午後の質問で確認をしましょう。 とりあえず私の質問はこれで終わります。
○高田委員長 新村勝雄君。
○新村(勝)委員 私は、大臣にまずお伺いをいたしますが、大臣は、最近、国と地方団体との話し合いの場をつくりたい、こういうことをおっしゃったということが伝えられております。この問題については、わが党あるいはまた革新市長会、御承知だと思いますが、そこでもかねてから主張いたしておりますように、現在のように、自治省さんが地方自治を発展させようということで努力はされておりますけれども、国と地方団体との対等の立場における話し合いの場がない、これではまずいのではないかということで、かねてから、これは仮称でありますけれども、地方自治委員会というようなものをつくって、国と地方団体とが、そこで支配、被支配ということではなく、対等の立場で話し合いをすべきであるということを提唱してまいったわけでありますが、幸い今回大臣がそういう構想を発表なされたわけでありますが、この国、地方首脳会議というものの性格なり、あるいはどういうメンバーで、そしてどういうふうな運用をされるのか、その概要をひとつお話しを願いたいと思います。
○後藤田国務大臣 現在の国と地方の関係、仰せのとおりこれは上下、支配の関係ではございません。お互いに協力して、そして住民福祉の向上に努めるというのが基本的な今日のたてまえでございます。 そこで、政府は従来から、全国の知事会議、これが一つ、これは東京にお集まりをいただいて総理初め各省大臣と意見の交換をしていただく、こういう場をつくっております。もう一つは、地方連絡協議会というのがございます。これはブロックごとの知事と国の出先機関の長、これとの会合の制度を持っておるわけです。それともう一つは、ブロック機関の代表の知事と総理との懇談の場ということでやっておるわけです。しかしそれだけでは必ずしも十分とは私も思いません。 そこで、私ども自治省というものは、地方団体の意向を受けて、それを政府各省に要求もし、要望もし、地方の意思を反映させるというのが自治省の役割りでございますから、そこで、そういった場を通じての御意見等も十分私どもとしては腹に置きながら行政を進める、同時に、御案内の地方六団体がございます。この地方六団体とは絶えざる接触を図りながら御要望を聞いておる。 こういうことですが、いま御質問の中にありましたように、今度の国会での予算委員会の分科会でしたか、あるいはまた地方行政委員会等で、野党の方から、もう少し地方の意見を国政に反映させるようなことを考えなければいかぬじゃないか、こういう御要望がございます。私はこれは当然だと思います。 もう一点は、昨年の何月ごろでしたか、第一次の大平内閣の当時でございますが、先ほど申しましたブロック機関の知事と総理との会合の際に、東京へ来るのもいいけれども、ひとつ各閣僚が少し地方へ出てきて、そうして隔意のない意見の交換をしてもらいたいという御要望があって、総理から、それについて前向きに検討いたしましょうと、こういう経緯があったわけです。 ここらを踏まえまして、私は、いまやはりいろいろな国の行政をやる場合にももう少し地方団体の責任者の意見をしっかりと、直接現場へ出ていって、そうして聞き取ってもらいたいというのが私の念願なんです。 そこで、つい先般、数日前でございますが、準備はしておりましたけれども、ともかくこの際、閣僚も忙しいけれども、ぜひそういう地方の要望を受け入れて、そして全国の各地域に出かけてもらいたい。その際には、いまブロックに分ければ九つぐらいになりますか、八つぐらいになりますか、それではちょっと閣僚の都合がつかぬかもしらぬから、北海道は東北と合わせる、それから四国は中国と合わせるということで、六ブロックに分けまして、そしていま一番要望の強かったのは、地方の方としては近畿地区から強い要望がございました。それから中部からもそういう御要望がございましたので、とりあえず五月の末と六月の初めに近畿と中部を開く。それ以外の四ブロックは選挙等が済まなければできませんので、八月以降大体毎月一回ぐらい、できれば閣僚に出てもらいたい。ついてはこういった会合は閣議了解をとらなければいけませんので、閣議了解を昨日でしたか一昨日でしたかとりまして、了承を得ましたので、そういった計画で閣僚に出てもらおう。それぞれの議題に応じまして、これは地方の御要望を事前にどういう議題だということをとって、内政関係ばかりでございますけれども、関係閣僚はこういう人だからということを事前に各閣僚にお願いをして、その日の予定をとってもらって、できる限り万難を排して現地へ出かけて会議をやってもらいたい。 さらに、とかく会議というと紋切り型になりまして実りが少ない場合があるわけですから、私はそれはいけないと思う。これはもう自由な論議の場として、率直な意見交換と、場合によれば、私は速記なんというのはとらない方がよろしい。しかし、要点だけはわかるわけですから、そういったような自由な雰囲気のもとで地方の要望を聞いてもらい、同時にその際に、各省大臣から自分はこう考えるといったようなことをやることによって、一歩でも二歩でも従来よりは前進した地方の意見というものが国政の場に反映をすることができるのではなかろうかということで、つい最近こういうようなことを決めた次第でございます。
○新村(勝)委員 大臣のお考え、これは大変一歩進めたもので評価できると思うのですけれども、従来、そして現在の国と地方の関係は決して上下はないというようなものではないわけですよ。地方に対する財政的な支配あるいは場合によっては締めつけ、あらゆる面での国の強力な統制のもとにあることは事実であります。そしてまた、知事会を初めとする地方六団体あるいはまた大臣が言われたような地方ごとの協議会があるでございましょうけれども、それは決していままでは対等の立場で地方自治の基本方針をそこで議論するというような場ではないですね。あくまでこれは上下の関係で、六団体から政府にお願いをする、あるいは地域ごとの協議会にしても、国の方針をいわゆる上意下達の場としてしか機能しなかったわけです。 そうではなくて、国と地方は、車の両輪のごとくでなければならないと言われるとおり、支配、被支配ということでなくて、同じ立場で協議し、そこから地方自治の基本的な方針を生み出していく、こういう場が欲しいということをわれわれは前から要請をし、また提唱してきたわけですけれども、そういう方向に向かってひとつ今回の大臣の構想を進めていただきたいわけであります。これは地方ごとにそういう話し合いの場を持って政府の方針をPRする、大変結構でありますけれども、これが参議院選挙の前だけに終わってしまったのでは大変困るわけでありまして、そうではなくて、われわれが提唱しておる地方自治委員会、正式の制度としてのものを確立する一つの前段階でも結構でありますから、この構想をひとつそういう方向へ向けていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○後藤田国務大臣 私もこの閣議の了解を得た直後に記者会見で発表したのですが、そのときにある社の方から、いま御質問のような参議院選挙というような話がございまして、私はびっくりしたのです。一体そこまで斜めから物を見なければいかぬのかな、もう少し正面から物を見てもらいたい。もし参議院選挙を考えるのでしたら、参議院選挙の前に全部やらなければだめなのですから、そんなことは全く考えておりません。そうでなしに、地方の自治制度というものは、御案内のように、いまの法律が昭和二十二年でしたか、私は実はこの立案には参画したのです。率直に言いまして、制度としてはよくできていると思います。また、それなりに今日地方自治も定着してきたと思うのです。 ただ、その中身を見ますと、おっしゃるように、財政力というか、端的な例を言えば補助金です。こういったものを通じて国の過剰関与が行われているということは、私、否定できないと思うのです。もう少しここらの点は改革をする必要があるのだ。その改革をする際には、何よりも肝心なのは相互の信頼関係だ。国の方から見れば、地方に自由にやらせると何をやるかわからぬ、放漫財政になりはせぬのか、自分たちの思うような仕事をやってくれないのじゃないかという不信感が、率直に言ってないと言えばうそになると私は思うのです。ところが、地方の方から見れば、何でもかんでもともかく中央にやってくれ、ああしてくれという依頼心が生まれているのですね。ここらを払拭しなければならないということを、私自身率直に考えているのです。しかし、これはなかなか容易な事業ではありません。しかしながら、容易な事業でないからといって、努力を怠ったのじゃどうにもならないというようなことを基本に置きながら、今度のような、ともかく各県の知事と、それから指定市の長も入っております。ここらの方に集まっていただいて、お互いにフランクな気持ちでぶつけ合って、その中から今日の地方自治制度、さらには国全体の統治機構、これがどこに一体欠点があるのだ、ここに手を入れなければいかぬのじゃないかといったようなこと、そういう点で解決の前進策を見つけたいというのが私の念願でございまするので、この点をぜひ御理解を賜りたい、かように思います。
○新村(勝)委員 大臣のお考え、確かに一歩進めたものであって、これは評価をすべきものであると思います。 そこで、さらに繰り返しますけれども、これは一時的な政府の地方巡業ということだけではなくて、制度として、国と地方団体とが対等の立場で話し合う場をつくるべきではないか、これを制度化する必要があるのではないかと思うわけです。 それから、いま大臣のお話によりますと、政府とそれから都道府県知事あるいは指定市の長だというわけであります。それも結構でありますけれども、実際に地方自治を担当しているのは第一線の市町村でありますから、市町村の代表を排除しては地方自治を語ることはできないと思うのです。 そういう意味で、自治省、そして都道府県知事、市町村長、これらが常識的には段階があって、国が一番偉くて、次に都道府県が偉い。市町村は一番下で、実際には一番苦労し、努力しているのですけれども、そのわりに評価をされないという面があるわけです。そうじゃなくて、やはり市町村に至るまで全く同じ立場で政策論議を交わす、そういう場を制度として、参議院選挙のことは意識されていないと思いますけれども、そういうことは別にしても、制度として確立をする必要があると思うのです。そういった点でひとつ大臣のこれから特段の御努力をいただきたいと思います。 それから次に、地方財政の問題でありますが、現在地方財政は依然としてまだかなり赤字でございます。地方交付税法に言う基準財政収入額と基準財政需要額とのギャップがまだかなりあるわけですね。これについては地方交付税法の精神から言いますと六条の三第二項、よく言われるのですけれどもこの六条の三第二項によって税率を引き上げる、三二%を引き上げるかあるいは新しい制度をつくるべきであるということが規定をされております。引き続きこの不足を生ずる場合には制度の改正か税率を引き上げる、こういうことになっております。引き続きというのは何年だということもしばしば議論をされまして、これは三年だということも当時回答があったわけであります。これに対して、政府は制度の改正をしたのだということで御説明をされておりますね。確かにこれは制度の改正と言えば言えるのですけれども、交付税特会に借り入れをしてある程度、半分ですか国が責任を持って将来この返済をするという、これが制度だということで政府は強弁をされておりますけれども、これは制度と言えるようなものではないのですね。全く臨時的な措置であって政府として苦しい答弁だとは思いますけれども、やはりたてまえとして三二%を引き上げる、そして地方団体に財政の保障をすると同時に安定感を与える、安心感を与えるということが必要であると思いますけれども、これが依然としてなされていないわけですね。従来の自治省さんあるいは政府の答弁によりますと、経済が安定をして税財政が安定をした後にこの三二%の引き上げをするかどうかについては検討する、こういうことであったわけでありますけれども、どういう状態が経済の安定であるか、これはいろいろ議論があるわけでありまして、なかなかむずかしいと思いますが、現在に至るまでまだ税率のアップもなされておりませんし、抜本的な制度の改正もなされていないわけでありますけれども、大臣はこの問題についてはどういうお考えでございますか。
○後藤田国務大臣 私は、基本は交付税率というものを根本的に地方に必要なだけ交付できるような制度にしなければならぬということはよくわかるのですが、そこで問題は、五十三年の改正を政府は制度である、こういうことで御答弁をしておるようですね。まさにこれは制度だと私は思います。しかしながらそれはあくまでも暫定の制度である、恒久的な制度とは私は理解をいたしておりません。やはり恒久的にはおっしゃるように税率の引き上げ。税率の引き上げができなければ、いまは国税三税にリンクしておりまするけれども、別の税目にまたリンクをするといったようなことによって交付税の根本的な改革はやらなければならないということは、私自身もさように考えます。 ただ問題は、一体それが可能かどうかということでございます。今日御案内のように、石油ショック以来経済の変動がいかにも激し過ぎる。私は経済全体がそう安定した状態とは見ておりません。そういった際でもあるし、同時にまた、今日国は特例公債に依存して、もう借金財政でどうにもならぬといったような状況にあるわけです。ここらを踏まえて考えた場合に、なるほど交付税率の引き上げの必要性は私も感じまするけれども、それが一体可能なりや否やということになれば、これはなかなかそう容易なこととは私自身考えておりません。こういった赤字の状況というのは地方だけでなしに、国、地方ともにいま借金財政、そこで私の基本の考え方は、いまのような時期は国も地方もともに痛みをともにするというやり方で当面を乗り切っていく以外にないのじゃないか。そして先行きどうせ国、地方を通ずる行財政の改革ということをやらなければならぬ時期がくるだろう。そういった際にこういった根本的な問題には取り組まざるを得ないのだ、これが私はやむを得ない今日の状況ではなかろうかな、こう思います。しかし、私どもとして交付税率引き上げの旗をおろすわけにはまいりません。この旗は私どもは掲げ続けたいと思いまするけれども、いま直ちにどうこうというのはいささか言うべくして実現困難であろう、そういった状況も踏まえながら先行きの基本的な課題として取り組んでいきたい、かように考えております。
○新村(勝)委員 そうしますと、交付税率の改正については税財政の抜本的な検討の時期ということになりますか。
○後藤田国務大臣 経済の安定、そして国、地方を通じた行財政の改革、こういった時期が来るであろう、その際に根本的な問題には取り組みたい、かように考えております。
○新村(勝)委員 税財政の中でいま地方は国の強力な統制支配のもとにあるわけですけれども、ぜひ自治体の立場から税財源の確保、それから自主性を回復していただくように、特に大臣にお願いしておきたいと思います。 それから、やはりこれに関連するわけですが、最近自治省はむしろ地方団体に対する財政の締めつけ強化を進めておるような印象を受けるわけですね。その一つの例は、特別交付税の配分において、国の方針に従わない団体についてはペナルティーを科しておる。そしてまた、現在は期末手当の上積み分についてはペナルティーを科すると いうことのようでありますけれども、さらにその範囲を拡大をしてラスの不当に高い団体であるとかあるいは時間外を出し過ぎる団体であるとか、そういったところについてまでペナルティーを拡大しようという意図がおありだというようなことを聞いておるわけでありますけれども、この問題については大臣のお考えはいかがですか。
○後藤田国務大臣 私どもは、今日の地方財政の現状は、財政再建に努力をすべき時期である、こう理解をしております。そこで、その再建をやらなければならない、しかしながら同時に私どもがいま一つ考えておりますことは、何としてでも地方の必要な財源だけは確保したいというのが私の基本の考え方でございます。したがって、いわんや私どもとしては、お言葉にあった締めつけなんということを考えておるわけではございません。同時にまたペナルティーというお話もございましたが、ペナルティーという意味合いで私どもはやるつもりはないのです。しかしながら、同時にこういった厳しい財政の現状を踏まえました場合に、給与等について、条例によらざる給与を支給しておるならば、交付税というのは申し上げるまでもなく地方の団体すべて三千数百の団体の共通の一般財源でございますから、そういったことをおやりになるだけの財政的余裕ありと認めざるを得ない。ならばそういう意味合いにおいて特別交付税の配分の際には自治省としては配慮せざるを得ないのではないのか。こういうような基本的な考え方から特別交付税配分の際に配慮をしている、このように理解をしていただきたいと思います。 なお、どういうやり方を具体的にやっているのかということにつきましては、局長の方から御答弁をさせたい、かように思います。
○土屋政府委員 ただいま大臣からあらましのお話があったわけでございますが、私ども、国の支給率を上回って支給された期末、勤勉手当については特交で減額措置をとっておりますが、それ以外には、実質的に期末、勤勉手当に相当する給付、いわゆるプラスアルファについて算定上減額しておるわけでございます。これは、もとより全地方団体の共有の財源でございます特別交付税の配分に当たりまして、地方団体相互間の実質的な公平を図る、そういった見地から行っておるわけでございまして、プラスアルファの支給団体は財源に余裕があるといった見地から、減額対象としておるわけでございます。したがいまして、その団体に対しますペナルティーといった性格を持つものではなく、いわゆる制裁的な見地から行っておるわけではございません。 それで、今後そういったものについてどういうことを考えておるのだということでございますが、例として、たとえばラスの高いところ等を言われましたが、そこまで考えておるわけではございません。現実の規定に従って、ただいま申し上げたことを従来からやっておるわけでございます。一般的にプラスアルファ以外のいわゆるやみ給与、これは定義がはっきりいたしておりませんけれども、そういったことについて世間でもいろいろ言われておりますが、形態はきわめてまちまちでもございます。その性格上、私どもすべてを詳細に把握することはきわめてむずかしいと存じますが、そういったことについても、いろいろと実態把握に努めておる際でございます。そういった結果を見て、ただいま申し上げました特交算定の上において公平を期す上から、必要なものについては全般的に今後も検討したいと思っておりますが、現在やっておるもの以外についてどうするというところまでただいま決めておるわけではございません。
○新村(勝)委員 大臣は、いま条例によらざる支給とおっしゃいましたけれども、各団体は条例をつくっているわけですね。条例によってやっているわけです。そういう点では違法性はないわけです。そういう思想の中に、地方団体を支配し、いわゆる締めつけをしていくという思想があらわれてくるのじゃないかと思いますね。地方団体といえども、これは議会もあれば、また住民に対する基本的な責任を負って運営されているわけですから、それぞれの自治体の自律性というか、それに信頼をして、指導をするのは結構でしょうけれども、そういう権力的な形で財政の運営が行われるということは問題ではないかと思うのです。自治体の良識あるいは自主性、これに信頼をして、地方団体の財政の再建を進めるように国が助言をする、あるいは勧告をするということにとどめるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○後藤田国務大臣 自治行政の基本は、当該自治団体が自主的、自律的にすべてを律していく、われわれ自治省としてはそれを尊重するということは当然のことだろうと思います。これは従来からやっておったのですが、御質問は、恐らく最近のいわゆるやみ給与についての処置であろうと思います。しかし、この際、自主性、自律性を尊重しなければならぬけれども、各自治体も、財源の状況その他も十分お考え願わなければならない。ことに、自治体職員の給与というものは住民の税金であるということだけはしっかり踏まえてやっていただかなければならない。そして給与というものは、法律によって国家公務員との横並び、同時にまた民間団体との横並びの問題、それらを踏まえながらきちんとしたことをやるべしというのは、国家意思として法律で決まっているわけです。それを受けての条例でございますから、そこらは十分良識をもってやっていただきたい、かように思います。 そこで、自治省が特別交付税等でとっておる措置というのは、いま局長からもお話ししましたように、これは共通の財源である、したがって、それだけの余裕があるならば、特別交付税というものの趣旨から見て、その分は他の団体に配賦すべき筋合いのものであろう、こういうような観点でやっておるのだということをひとつ御理解をいただきたい、かように思います。決して私どもは制裁だ何だということでこういった措置をやっておるつもりはないのだということも御理解を賜りたい、かように思います。
○新村(勝)委員 要するに、地方自治の精神に基づいて、地方団体がもっと自覚を持って自律的にやっていく、そのかわり国も不当な圧迫、容喙をしない、こういう自治のルールを確立をしていかなければいけない、そういう意味で申し上げるわけでありますから、その点を特に今後御配慮をいただきたいわけであります。 それから次に、現在建設資材の急な値上がりによって、公共事業の完全な遂行が非常に不安に思われている、こういう事態があるわけであります。特に地方団体は国の財政方針なり国の方針に依存する部面が多いわけでございます。建設資材の値上がりによっても、地方団体が行う公共事業が完全に遂行されるように、この問題を解決をしていただかなければならないと思うのですけれども、まずその前に、文部省としては、地方団体として一番仕事の量が多いと思うのです。特に義務制の学校等がありまして多いと思いますが、その建設資材の値上がりの部分、今後の状況はまだ確定はしませんけれども、仮にある程度の値上がりをした場合に、公共事業の執行を確保するためにどういう対策、お考えをお持ちであるか、伺いたいと思います。
○横瀬説明員 お答え申し上げます。 最近におきます石油価格の高騰に伴いまして、一部の建設資材の価格の上昇が予想されるということに伴いまして、過日建設省の方から各都道府県知事あてに、特約条項を設定するというような方向の通達が出されたわけでございます。これにつきましては、公立文教施設、いわゆる小中学校の校舎の建設というようなことが主な事業でございますが、それらは実態といたしまして大体七月以降に契約がなされるところがほとんどでございます。したがいまして、まだ若干時間がございますので、この建設省の方針について私どもの方に適用するかどうかにつきまして現在検討中でございますが、その時期に間に合うように通達を出す方向で検討しておるところでございます。 それから、そのほかの建設資材の高騰につきましても予想されないわけでもないのでございますが、これらにつきましては今後の問題でございます。五十五年度予算における単価アップにつきましては六・六%の増を計上しておりまして、これで五十五年度予算編成当時における物価上昇率は織り込んでいるつもりでございますけれども、今後この実態が変わってまいるというような状況がございます場合には、それ相応の措置をその都度に考えていかなければならないだろうというように思います。現在のところ、そういった資材の値上がり等の趨勢については非常に重大な関心を私ども持っておりますが、慎重に見守っていきたいというふうに考えております。
○新村(勝)委員 厚生省もやはり地方団体との関係が深いわけですけれども、どんなお考えですか。
○石原説明員 ただいま文部省の方からお話がございましたように、私どもの省所管の公共事業につきましては、ただいまお話に出ましたように、建設省の方から、請負契約上の特別な約定を設けてこれが変動に対応してほしいという要請を受けておりますので、私どもといたしましても、地方の負担の軽減につきましては、そういう方向で対応してまいりたいということを現在考えて検討しておるところでございます。
○新村(勝)委員 建設省からはすでにこの基本的な方針について通達が出ているようであります。しかし、厚生、文部、あるいはその他の省も関係あるでしょうが、地方団体が、特に市町村が関係しておる公共事業についての値上がりに関する措置がまだ明確でないわけでありまして、一日も早く自治省としても各省庁と協議をされて、この点についての不安を一掃していただきたいと思うわけでありますけれども、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○後藤田国務大臣 建設資材の値上がりに伴う公共事業の施行、大変私は地方団体の立場に立って心配をしております。さなきだに文部省、厚生省等の関係は超過負担の多い役所でございます。それだけにこういった際になれば、なおさら、こういった時代を迎えて先行きを心配しているのです。土木関係はまあ何とかやりようがあるなと思います。しかしながら、箱物についてはよほどしっかりした対策を立ててもらわぬことには、これはまたうっかりすると超過負担になるおそれがございます。同時にまた、地方団体も仕事をやりたい。建設資材は値上がりはしたのだ、しかし考えておっただけの事業はぜひやりたいということになると、これはどうしても超過負担になるのですね。そこらが私は心配なんです。それだけに、先般私の方の局長にもこの点についてのきちっとした処理を各省と話し合いを詰めるように、こう言ってございますが、その成り行きは自治大臣としては十分見ていきたい、かように考えています。
○新村(勝)委員 おっしゃるように、箱物については適当にここで切るというわけにはいかないわけでありまして、そしてまた学校の施設等については文部省の基準があってやっておるわけでありますから、各自治体は自分の考えだけではいかない。一定の基準がございます。厚生省についても同じであります。そうなってまいりますと、よほどしっかりとした財政的な措置をとっていただかないと、これは今年度、値上がりをしなければ幸いでありますけれども、仮にある程度の値上がりをした場合、今年度予定どおりの仕事ができないという事態が考えられますけれども、それについては具体的にどう対処をされるお考えであるのか。それから、いつごろまでにその方針をお示しになるのか、伺いたいと思います。
○土屋政府委員 建設資材、特に石油関連建設資材価格が値上がりを示しておることは御指摘のとおりでございますが、こういった資材の価格変動に伴いまして今後公共工事の請負契約の変更がなされた場合の措置につきましては、国においては予算の流用あるいは当該工事内容の変更を行うといったようなことで、既定予算の範囲内で対処をするということに基本的にはされておるわけでございます。したがいまして自治省としては、まず関係省庁に対しまして、公共事業の執行に当たりまして地方財政負担の増大、いわゆる超過負担等が生じないように補助金の取り扱い等につきまして善処方をすでに申し入れをしておるところでございます。また、この地方公共団体に対しましては、あらかじめ関係省庁と国庫補助負担金の取り扱い等について十分協議をいたしまして、具体的な工事の進め方について遺漏のないように、また財政負担の増大を招かないように指導してまいりたいと思っておるところでございます。具体的にはそれぞれの省庁との関連でございますから、ただ、いま申し上げましたような基本方針に従って工事が円滑に進むようにということを期待しておるところでございます。
○新村(勝)委員 善処と言われますけれども、財政の問題ですから、抽象的な表現では安心できないわけであります。どういうような措置をとられるのか、補助金の増額になるのか、あるいは起債で賄うのか、その方針を伺いたいのです。
○土屋政府委員 ただいま申し上げましたように、国においては基本的には予算の流用、あるいは工事内容の変更を行うといったようなことで既定予算の範囲内で対処する、こういうことでございますから、補助金の増額ということは考えられない。したがって、それぞれの具体的な事例に即して判定をしていくということにならざるを得ないと思うのでございます。したがいまして、地方団体においても関係省庁と相談をして、超過負担を生じない形でどういうやり方をするかといったことは、やはり既定予算の全体の問題あるいは工事内容の問題を含めて十分相談をしていく以外にはない。新たな国の予算が追加になって出てくるということになればこれはまた格別でございますが、いまのところそういった方針にはなってないと聞いておるわけでございますから、やはりそれに対応した進め方をせざるを得ないだろうと思っておるわけでございます。
○新村(勝)委員 まだはっきりしませんが、時間が参りましたので、最後に一問。 それは、地方団体特に都道府県に多いのですけれども、有権者数と議員定数とのはなはだしいアンバランスが発生をいたしております。この問題については、国の段階では昭和五十一年四月の最高裁判決によりまして明確になっておるわけです。そしてそのときの判決では、「千葉第一区における選挙は、違法である。」というふうに判示をされて、「右規定による各選挙区間の議員一人あたりの有権者分布差比率は最大四・九九対一に及んでおり、これは、明らかに、なんらの合理的根拠に基づかないで、住所のいかんにより一部の国民を不平等に取り扱ったものであるから、憲法一四条一項に違反する、」こういうような判示がされておるわけです。ところが、これは国ではありませんけれども、地方団体でありますが、これは千葉県の一例であります。千葉県の海上郡というところがありますが、ここは議員一人当たりの有権者数が二万百八十七名であります。これは五十年の国調であります。これに対して同じ千葉県内の八千代市という市がありますけれども、ここの人口は議員一人に対して有権者数は十一万三千二百六十二、その格差は最高裁の判例をはるかに上回った格差を生じておるという事実があるわけであります。しかも現在の地方団体の選挙制度は、都道府県の場合には原則として国と同じように中選挙区を予想しておると思うのです。郡市の単位でやっておるということでありますから、一人区ではなくて、中選挙区を予想しておるのです。ところが町村合併等によりまして、あるいは市に昇格をしたというような事情もありまして、東京あるいは大都市周辺の都道府県では一人区が非常にふえておるという事実があるわけでありまして、そういう面からも多くの問題があります。一つの問題は、いま議員定数が有権者に対して比率が非常に極端に格差があるという問題、それから当初中選挙区を予想してつくられた選挙区が、現実の問題としては小選挙区制に近い形になっておる。一人区が非常にふえておるというような問題がありまして、地方団体特に都道府県の選挙制度、特に議員定数でありますけれども、議員定数の決め方については抜本的な再検討の時期に来ておるのではないかと思うのですが、大臣はどうお考えでしょうか。
○後藤田国務大臣 私も国の段階のは従来からよくわかっておるのですが、府県の問題の点につきましては、まず所管の部長から御答弁をさせたいと思いますので御理解願いたいと思います。
○大林政府委員 御質問の状況をちょっと現在存じないわけでありますが、都道府県の県会議員の選挙区ごとの議員定数につきましては「人口に比例して、条例で定めなければならない。」となっております。ただ、町村合併後のいろいろな事情がその時点その時点で政治的にあるようでありまして、特別の事情があるときには、この人口比例というのはおおむねの基準として、地域間の均衡を考慮し定めることができるということになっております。ただ、国の選挙区ごとの定数よりも県議会議員の選挙区ごとの定数というものは非常に格差が低いと私どもは一般的に承知いたしておりますので、いま御質問の地域の実情がよくわかりませんので、後刻調べておきたいと思います。
○新村(勝)委員 あと一問だけ。 最高裁の判示では「なんらの合理的根拠に基づかないで、住所のいかんにより一部の国民を不平等に」扱っているということを言っております。そうしますと、地方団体においてもそういう不合理があるということは、これは何らの合理的な根拠に基づかない差別であるというふうにお認めになりますか。大臣、お認めになりますか。
○後藤田国務大臣 国の選挙の場合の一票の価値についてのアンバランスについてそういった判決があることは承知しておりますが、判決それ自身も分かれているのじゃありませんか。いろいろな判決があるように私は記憶しておるのです。ただ、基本的に、人口割合が完全に各選挙区とも平等になるというのは実際問題むずかしいと思いますが、極端なアンバランスは私よくないと思います。直すべきところは直さなければならぬ、かように思いますが、何といいましても、申すまでもないのでありますが、これはすぐれて政治的な問題外でございますので、国の場合もできれば各党で十分、私は責任回避するつもりはありませんけれども、御論議を願いたいな、こう思います。それから地方の場合は、私の理解が間違っておれば後で部長から訂正させますけれども、いまの自治法のもとでは条例によって増減できるのじゃないかな、こう理解しておるのでございます。だから、各県の状況によって知事なりが提案をして県会の了承を得られれば変えられるようになっておるのではなかろうか、かように思います。ただ、それが国の場合も言うべくしてなかなか改正がやっかいだ、地方もまた同じような事情があるのじゃなかろうか、これはすぐれて政治的な問題だから、こういうことでしょうが、これは日本だけでありません。私、実は一昨年、選挙制度の調査で東欧圏と西欧圏を見に行ったのですが、フランス等の状況を聞きましても大変苦しんでおるのが実情のようでございます。だから、ここらはもう少しそれぞれの段階の議会等で十分話し合いをすれば合理的な解決に近づくことができるのじゃなかろうか、こういうように私率直に思っております。いずれにしても基本的には極端なアンバランスはよくない、私はさように考えております。
○新村(勝)委員 これは最高裁の判決もありますので、その趣旨に沿って極端なアンバランスは直すように、法的な改正も必要でありますが、時間がありませんので、改めて御検討をいただくように特にお願いをしておきます。 終わります。
○高田委員長 この際、午後一時四十分まで休憩をいたします。 午後一時十四分休憩 ————◇————— 午後一時四十二分開議
○高田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。沢田広君。
○沢田委員 きょうは自治省関係が主体でありますが、それぞれ関係する機関も多いので、大変恐縮でありますが、それぞれ関係する分野については明確にお答えをいただきたいと思います。 最初に、現在地方団体及び国が許可をして行っておりまするギャンブル、いわゆる競馬、競輪、オートレースがありますけれども、今日のような財政再建ということ、あるいは日本のこれからの経済の運営あるいは地方団体における民力といいますか、一般的に言う国民生活のシビルミニマムといいますか、そういうような分野から考えまして非常にアンバランスな状況にあると考えます。過密過疎ばかりではございませんが、まず第一には、ギャンブルのあり方を考える前に、各都道府県、各市町村、それにそれぞれのいろいろな分野の格差というものがきわめて多い状況にある。その実態の把握についてはどういうふうにお考えになっておられるのか。これは決算でありますから、結果としてどういう点におくれがあり、どういう点にこれから考えなければならない点があるのか。これはたくさん挙げられるとそれで終わってしまいますから、重要な点だけ三つぐらい挙げてひとつお答えをいただきたい、このように思います。
○土屋政府委員 大臣のお答えの前に私から申し上げますが、いま過密過疎の問題を初めとしてわが国が抱えておりますいろいろな問題を挙げられまして、これに対してどういうふうに対応していくかということでございます。 その点につきましては、基本的には財政問題以外に政策といたしまして、いわば国土の均衡ある発展を図るということで、それぞれの地域の実態に応じた地域づくりができるような総合的な政策を国の全体の計画として進めていかなければならないということが基本だと思っております。と同時に、地方財政という面から考えますれば、富裕団体とそうでない団体というのがございますし、人口の減少地域もございますので、一方では地方税としての税源の充実ということ、なかなか容易ではございませんが、引き続いて図っていくと同時に、その格差を是正する意味において交付税制度の充実強化を図っていかなければならないと思っております。 そういった中で全般的な、各府県なり市町村ごとのいろいろな格差を解消しつつ、先ほどおっしゃいましたナショナルミニマムなりあるいはシビルミニマムといったような点で一定の標準的な仕事ができるように、いまの税と交付税あるいは地方債等を交え、そういった制度をそれぞれ相互に関連づけながら運営をしてまいりたい、大ざっぱに申し上げますとそういうふうに考えておる次第でございます。
○沢田委員 では私が具体的に一、二挙げますが、たとえば下水道の進捗ぐあいあるいはまた公園の人口一人当たりの面積割合あるいは医師の配置数、これは民間的なものが多いですから、自治省がどうこうというだけにはいかないと思いますけれども、一応、そういうようなものの点について、いまの自治省の行政の見方としては格差があると認められるのか、格差はないと見ておられるのか。格差があることは間違いないのですから、たくさんあると見るか、少なく見るかという解釈になると思うのであります。私たちは非常な格差があると判断をするわけなんですが、その点の見解はいかがでしょうか。
○土屋政府委員 私ども、いまお示しのような事業内容すべて知悉しておるわけではございませんが、下水道なり公園なり、いわゆる都市的な施設というもの、これはそれぞれの地方団体がいままで団体としてどういう方を選好していくかということ等によってもいろいろ格差は出てくるのだろうと思います。しかし、今日、下水道あたりは当然都市的な施設としてみんなそれぞれの地方団体が力を入れておるわけでございますが、早くから始めたところ、そうでないところ、いろいろな点で格差があると私どもも認識はしております。ただそれは、先ほど申しました政策的な意味での選択の前後ということもあったのだろうと思っております。公園についても、地方団体の実情がそれぞれ異なりますし、面積の非常に広い地方団体あり、狭い地方団体あり、非常に過密化したところとそうでないところ、いろいろと事情の差がございますから、一人当たりの面積あたりも違っておるということは私どもも承知をいたしております。 ただ、いま申しましたように、一律にただ同じ平面で多い少ないというだけで論じられるものかどうかということにつきましては、私も専門家でもございませんのでよくわかりませんが、いろいろな地方団体による差はあるであろうということを考えておるわけでございます。
○沢田委員 自治省は各自治体に対して最低限度、たとえば自動車の交通公害もありますが、大気汚染の防止については、一市町村だけでこれはなかなか阻止するわけにいかないですね。下水道も、一市町村だけで進めても、終末ができなければだめなわけですね。公園は、これは都市計画審議会にかけてやっていくことですから、これまた一市町村の発想だけではいかないですね。ですから、当然自治省がやはりそれぞれの市町村の環境あるいは地域的な条件、産業構造あるいは人口構造、過密過疎、こういう諸条件を勘案して、一つのモデル的なもの、それぞれの市町村のモデル的なものにどういう発想を考えていったらいいか。自治体は自治体で、地方自治ですから自主権がおりますから、考えるにしても、いわゆる公益的な立場に立ってどういう物の考え方が必要なのかという指導というものは全然行っていないわけですか。また、そういうことの措置は、お役人さんたくさんお抱えになっておられるけれども、そういうことは全然考えていないのでしょうか。たとえば、ある市では下水道が一〇〇%だけれども、片方は一三%にしかいっていない。そういうことが一方の市民からは政治不信としてあらわれてくる。そういうことに対して調整をするのが自治省の役割りじゃないでしょうか。いかがですか。
○土屋政府委員 いまおっしゃいましたようなことは、財政的面だけでは対応し切れない余りにも広範な問題だと存じますが、それぞれの府県なり市町村なりが、それぞれの実態に即応した総合的な計画を立てて、いわゆる三全総あたりの定住構想、そういったことも頭に置きながらいろいろと計画を立てて進めていただく、それは一つの地方団体としての長中期的な立場に立った財政なり市町村の行政の運営の方向だろうと思うのでございます。 そういった中で、先ほど申し上げましたが、いろいろな、下水道から先行したところもあれば、ほかの施設から先行したところもあり、いろいろ地方団体の選択もございます。その結果、お示しのように、団体によっては下水道のかなり進んだところとそうでないところと出てきているわけでございます。これからぜひそういう下水道の方へ力を入れたいというところは、それについての計画を持って、そして関係省庁とも終末処理の問題とかいろいろ相談をされて計画を立てられる。そうなってきた場合に、全般的な財政としてこういう隘路がある、これを進めるためにはこうだといったようなことは、市町村であれば府県を通じて、府県であれば直接いろいろと御相談もあるわけですから、私どもとしては、そういう全般的な計画の中でどういうことをしていかれたら最も住民のニーズにも合い、その都市の発展あるいは地方団体の発展にも役立つかという観点からよく検討いたしまして、できるだけの協力、援助ということは、これは交付税なりあるいは地方債の配分なり、そういったことを通じまして、できる範囲のことは努力をするという立場におるわけでございます。
○沢田委員 ここで時間をとりたくないのでありますが、これは決算ですから、五十二年度の実績に基づいて自治省はどういう役割りを果たしたかということが問われている問題だと思うのですね。これからこうしようとかああしようというのは、これはまた予算なりそれぞれの法律審議でいいわけです。五十二年度の結果と、あらわれた国民のナショナルミニマムでも結構ですが、それから落ちている市町村あるいは都道府県、そういうものをどうかさ上げしていったらいいかという反省がなければならぬというのがいま私が言おうとしていることなんです。そこが的確に顕在化されない限り、抽象的な応答で終わってしまうわけですね。 だから、五十二年度の決算の結果、自治省としてはどう把握したか、それを大蔵省にどう予算要求する、あるいはどう対処するか、こういうことが自治省の仕事じゃないのでしょうか。これからの問題ということは私は聞きたくない。五十二年度の決算としてどういうように把握をしているか。それで国民が平等であると考えているのか、あるいは国民はそれで納得していると思っておられるのか、その点だけお答えいただきたいと思う。
○土屋政府委員 地方団体が行っておる仕事は、申し上げるまでもなく、これは万般にわたっておるわけでございまして、公園にしても下水道にしてもすべて所管省がございまして、そういったものを通じ、国費を通じて地方団体を指導し、専門的な立場で進めておられ、国全体としてどういうあり方に持っていくのがいいかということを検討されておるわけで、その中身について私どもが一々知悉しておるわけではございません。 ただ、いまおっしゃいましたように、そういったいろいろな国全体の計画の中で出てきた姿は、地方団体に顕在化してくるわけでございます。その姿がお示しのようにいろいろ上下の格差があったりするということになりますと、そういった形では住民のニーズにこたえられぬということがあるかもしれません。 私ども自治省としては、そういう全般的な地方団体の姿というものを見ながら、一々の個々の事業について全部知悉し、指導するわけにはまいりませんけれども、総体的なそういった財政運営なり行政の運営が円滑に行くような努力はしなければなりませんし、いままでのあり方についても、私どもなりにすべてがうまくいって住民のニーズが満たされたとは思っておりません。いろんなひずみ等もあるわけでございますから、過去のことはそういう認識でありますが、今後のことも言わなければなりませんので、やはりそういうものを踏まえて、今後地方団体の運営が円滑にいくように努力してまいりたい、そういう意味で将来のことを申し上げた次第でございます。
○沢田委員 その問題は触れません。これは朝日新聞で出している七九年の各都道府県の民力資料というのがある。たくさんのいろいろな資料がありますね。東洋経済で出しているものもある。こういうもので、それぞれの都道府県における人口構成から産業構造からそれぞれ載っているわけです。 それらを見ますると非常にアンバランスがある。医師の数にいたしましても、非常に不便なところ、救急医療体制の全然ないところと充実したところ、そういうものをあなたの方では把握をして、それぞれの市町村にサゼスチョンを与える、アドバイスをする、それが自治省としての重要な一つの仕事じゃないでしょうか。幾ら自治権があるにしても、やはりヨシの髄から天井をのぞく、こういうことになりがちなんであります。自分のところではそれが一番いいと思っているかもしれない。第三者の意見を聞くということも必要ですし、こういうものがたくさん出ているのですから、それぞれの都道府県なり市町村も見ているのだと思います。思いますけれども、自治省としては、あなたのところではこれが不足しているのじゃないでしょうか、そういうような指導というものが、これは七九年でありますから、若干後になってきておりますけれども、それを見ましても、そういうことが言えると思うのです。だから、そういう点に対して、これ見ろと言ったって、そうは簡単にはいかぬと思いますから、これは大臣も、地方行政のベテランなんでしょうから、どうぞそういう意味において、適切な指導と、適切な財源措置を講じるよう、ひとつまずお願いをしておきます。 続いて、さっき申し上げたように、ギャンブル収入のあり方なんでありますが、オートレース、競馬、自転車、これのギャンブルのあり方、現在の状況でどういうふうに御判断になっておりますか。現在のままの状態でいいと思っておられますか。 これは自治省ばかりじゃない。大臣に聞くのは酷ですか。勘弁してくれというような顔をしていますね。では、もう少し詰めて言いますと、ギャンブルは当初出発した当時は非常にお客が入らなかった。それからまた高度成長を経て非常にお客がふえた。そうして、この五十二年度の決算でいくと、実に十一兆くらいの収入になってきているという状況ですね。これは競馬だけをとらえてみましてもそういうような金額になっているわけですね。四、五年前から比べますと相当な伸び率になっている。同じ比率でこの交付金を出すことが果たして正しいのかどうかというふうに感じます。やはりうんとふえたならば、ふえただけ努力したのだからということでふえていくのなら、それでも考え方は一つだと思いますが、今日の財政再建のような状況になっているときに、この一般管理費を見ましても五百五十四億というふうに、三十万都市まではいかないでしょうが、二十万都市並みの予算ですよ。そういう財政が果たして競馬会などに必要なのかどうか。これは自転車振興会も同じですね。あるいはオートレース、船舶振興会についても同じことが言えるわけなんでありますが、今日、国は火の車で、赤字国債を出してやっている。ギャンブルそのものを廃止すべきかどうかという議論は一応私は置いているのです、現実の問題としてあるのですから。そういう状況の中においては、もう少し国なり地方行政なりの問題として、新たに見直す時期に来ているのじゃないか、こういうふうに感じるのですが、その点はいかがでしょうか。
○土屋政府委員 いまお話しのございましたように、公営競技をやっておるところと、そうでないところと、確かにそれは財政的に潤うところと、そうでないところとあるわけでございます。そういった意味で、この収益金の均てん化ということはずいぶん前から問題になっておりますし、最近でもずっと公営企業金融公庫納付金の納付率の引き上げを私どもは行ってきたわけでございますが、そのほかにも、特別交付税の減額調整的なこともやっておりますし、また、地方債の許可予定額の調整も行っておるということで、そこらの均衡を図るようにできるだけ努力はしておるつもりでございます。また、この納付金のような全国レベルの均てん化のほかにも、私どもとしては、都道府県レベルでの均てん化ということについて、各地方団体にかなり強く働きかけまして推進を図ってきておるわけでございまして、たとえば全市町村が使うような自治体の拠出とか、あるいは県と一緒になって県の市町村振興基金に支出をして、そしてその基金を利用して各地方団体が恩恵にあずかると申しますか、そういった方式とか、かなり今回はそういった努力を地方団体ごとに進めてもらったわけでございまして、実績も上がっております。 一方また、御承知のように昨年の六月二十一日に学識経験者をメンバーとします公営競技問題懇談会というのが総理府にできておりまして「公営競技の適正な運営について」という意見書を総務長官に提出されておるわけでございます。そういった趣旨を踏まえまして、政府といたしましても公営競技運営の改善策を検討するために関係省庁連絡会議も発足させまして、以来ずっと具体的な検討を重ねておるところでございます。ただ、この収益均てん化という問題が現段階で全部うまくいっておるとは私どもも思っておりません。こういった関係省庁との連絡会議を通じまして論議を重ねながらさらに合理的な方向へ持っていくべきであろうというふうに考えておる次第でございます。
○沢田委員 決算の委員会で聞くと大体そういう答えなんです。うまくいっておると言うわけにはなかなかいかない。ところが、今度は予算案の審議なり法案の審議になりますとパーフェクトな返事をするのです。決算だから、結果的に悪いことはわかっているから、そう表立って言えないからなのかもわかりませんけれども、そういう意味において、いま私が聞かないことをあなたは答えられたのだが、そこまでまだ言ってない。実はギャンブルの全体的なあり方というものを見直す時期に来たのじゃないか、全体的な問題として。そのことを言っているのです。市町村の配分までまだ言ってない。それをいまお答えになったのだが、いわゆるギャンブルそれ自体を見直さなければならない、そういう時期に来ているのじゃないか。そこの時点に立てるのかどうかということをまず一つ聞いたわけです。 五十二年の決算や各競馬会や船舶振興会でやっていることが余りにも高度成長の一つの流れの中に動いているような、まだ現状も——五十二年度の決算を全部やる時間がないので残念なことなのでありますが、各決算書を見ましても若干高度成長のそのままの残滓が残っている。言うなら国の今日のような状況の中においては改めるべきものがたくさんあるじゃないか、こういうふうに思うのですが、そういう点について全体的にどう直していったらいいか。言うならば全部国なら国で——開催県、開催市というものは別ですよ。そういうものの被害はまた別にありますから、当該該当者は別として、それ以外の全般的なあり方というものを再検討するべき時期じゃないか、まずそのことからお答えいただきたい。
○土屋政府委員 先ほど申し上げました公営競技問題懇談会での意見書につきましても、いまおっしゃいましたようなことで、現在のような公営競技のあり方、またその収益の帰属のあり方というものはいろいろ問題があるということで、収益の全国均てん化を初めといたしまして全般的に見直すべきであるといった形での意見書になっておるわけでございます。また、それを踏まえまして私ども検討しておるわけで、その意味では、おっしゃいますように、十分見直すべき時期に来ておるというふうに考えております。
○沢田委員 じゃ二、三具体的な問題でお伺いしますが、各受け取り利息が、競馬会も船舶振興会も自転車振興会もそうですが、貸借対照表等から見た積立金に基づく利息としては非常に膨大な受け取り利息が入っているのですが、その中身は何なのですか。それぞれお答えいただきたいと思います。
○三堀説明員 ただいま御質問ございました地方競馬につきまして申しますと、預金の利子それから有価証券の果実それから金銭信託の果実というぐあいになっております。
○三野説明員 お答え申し上げます。 日本自転車振興会及び日本小型自動車振興会の利息収入でございますけれども、これは競輪の資金が途絶える場合等もございますものですから、一応運営準備金的なものをつくっておりまして、それ以外もございますけれども、それらの預金利息及び債券の利息、それからもう一つ、私ども自転車関係と中小企業の研究開発方の企業に対しまして融資制度を持っておりますけれども、それの利息分というのが大体利息の内訳でございます。
○中島説明員 日本船舶振興会について申し上げますと、利息の中で大きなものといたしましては、関連産業に対しますところの貸付金というものがございます。これは法律に定められました業務として行われておりまして、造船所あるいは造船関連工業に対して設備の近代化の資金あるいは運転資金の貸し付けを行っております。造船不況の時期におきましても、非常に効果的に使われたわけでございますけれども、これらの利息、それから基本財産がございますので、その基本財産についての受け取り利息、それがその内容となっております。
○沢田委員 これ、逆算をいたしますと、利息がそれぞれに違うのでありますが、入ってきた金額で利息を見ますると、現金及び預金、有価証券、そういうものの金額に、当時五十二年ですから五%と見ましても、それは膨大な金額がないとこの利息にはならないのであります。五分と計算すると二千億程度にならなければならないような利息が受け取られているわけでありますが、どこからそういう利息が生み出されたのか、その点ちょっと数字で解明していただけませんか。競馬の方だけでいいです。
○三堀説明員 お答え申し上げます。 競馬につきましては、地方競馬でございますが、金銭信託が約二十億、それから預金並びに有価証券合わせまして九十四億程度になっておりまして、合わせますと百十四億でございます。これに対しまして、受け入れ利息がトータルいたしまして約六億七千余というようなことでございますので、おおむね見合っておるというふうに見てよろしいかと考えております。
○沢田委員 次に、人件費、管理費の割合でありますが、この適正な割合は何%と考えておられるのでしょうか、これは競馬の方でいいです。
○三堀説明員 人件費の関係につきましては、地方競馬につきまして、御高承のとおり特殊法人の形でございますので、特殊法人の性格に応じた給与体系と申しますかそういう形で運営されているわけでございます。
○沢田委員 いや私の言うのは、こういう総経費の中で人件費の占める割合というのは大体どの程度の経費が妥当なものとしてあなたの方では考えておられるのか、こういうことを聞いているわけです。
○三堀説明員 ちょっと私の理解が違ったかもしれませんが、競馬に要します開催経費の方でまいりますと、競馬の場合、生きた馬を競技の媒体に使用するということもございまして、関係する者の範囲が広いわけでございます。たとえて申せば厩舎関係者、騎手、調教師それから厩務員、そしてまた、馬券の販売に当たります臨時従事員等々ございまして、こうした関係者に対します人件費は、競馬の場合どうしても他の競技に比較しますと割り高になるというような状況でございまして、こうした人件費を中心にいたしました開催経費というものが、総売り上げ高からまいりますと最近おおむね一九%程度というふうな形になっております。
○沢田委員 これも一般の企業あるいは一般の公益法人等から見ますると非常に高額である、こういうふうに感じますので、これはひとつ改めるよう切に要望しておきたいと思います。 次に、船舶の補助団体というのは合計三百五十八団体あるわけでありますが、この前の大臣は船舶の問題で笹川さんに御引退をお勧めになったようであります。きょう後藤田さんおいでになっていますが、担当なんでしょうかどうかわかりませんが、船舶だから関係ないと言われるかもしれぬが、代表して大臣として……。この前の大臣は、笹川さんもそろそろ御隠居なさったらどうですかということで、いろいろうわさもあるし、いろいろ問題も起きているのだからいかがでしょうかと言ったら大臣の首が飛ばされたような話も聞かないでもないのですが、いずれにしてもそういうことがあります。船舶については、われわれも見てきわめて醜いと思いますのは、テレビでそらぞらしくやっていることがうらはらになっていることなんです。一方ではこういうギャンブルでたくさん金を、庶民を苦しめながら、一方では世界はきれいに仲よくとか、そらぞらしいにもほどがあると思うのでありまして、こういう点については自粛をしてもらうことがまず第一必要だと思うのでありますが、その点はいかがでしょうか。 それからもう一つは、この三百何団体に出されている中で、大多数が、笹川さんがまた同時に兼務の会長をしている、兼務会長。この補助団体と同じように会長をなさっておられる団体が三分の一も占めている。これも余り望ましい姿ではないですね。後藤田さんが、たとえば大臣をやりながら大臣の職場に関係する会社の社長をやっているということはいいことではないのです。だから、そういうことから考えると望ましいものではない、社会道義的なものとして。そういうことについては船舶の関係としていろいろ言われているわけでありますが、改めていただける考えはないのかどうか、この点ひとつお答えをいただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 船舶振興会の問題でいろいろ御批判のあることはかねがね承知をしておりますが、人事の問題等は私の口から言うべきではないので、これはやはりそれぞれの所管の大臣ございますから、その大臣からお答えすべき問題であろう、かように考えます。 また、ギャンブル収入を得て、負けた人は大変苦しんでおる、そのお金の収益で世界は一つとか言っているのはおかしいじゃないか、こうおっしゃる。しかし、まさにギャンブルの収入だからこそ、世の中のため人のためにやらなければならないということでやっているのじゃないですか。これは変なところへ使われたのじゃ困る。それは現在、船舶振興会のみならず、すべて一定の収益の中から決められた公益的な事業に全部あれは金を出さなければならぬということになっておるわけですから、そういう意味合いでおやりになっているものであろう、かように理解をいたします。 ただ、こういったものの運営そのものについては、よほど私は自粛して慎重にやらなければならぬということは考えております。もともと私は、これは多少言い過ぎになるかなと思いますけれども、いまそういった公益的事業に金を使わなければならぬ。使っていますね。同時に、地方団体の財政の金にも使っているわけです。これは、私は本来こういったギャンブルなんというもので財政の不足を補うなんというのは、正道じゃありませんよ。こんなものは権道。したがって、言葉は適切かどうかしらぬけれども、必要悪としてどうにか認められる程度のものだな、だから、できればやめた方がよろしい。私はそう思うのです。しかし、そんなことを書生論議言ったってしようがないので、いま現にあるわけですから、あるものについては金の使い方、それから競技のやり方、とかくいろいろな問題を起こしがちな仕事ですから、そういう点については十分注意をして適正に運営をしていくべき筋合いのものだな、かように私は考えております。
○沢田委員 そういう気持ちで今後ひとつ進めていただきたいと思います。 次に、時間の関係で、ラスパイレス方式というのを自治省はたくさん使われて発表しております。このラスパイレス方式を再検討すべきではないか。いわゆる地方団体の給与を判断をする場合にラスパイレス方式を採用しているということについては、きわめて矛盾が多い。先般人事委員会の委員長にも質問いたしましたけれども、委員長もいみじくも現在の人口構成、そういう状況の中でラスパイレス方式で給与水準を比較をすることは言うならば妥当ではない、こういうふうに言っておりましたが、自治省としては、この決算の上で、どうですか。そういうふうにお考えになりませんか。
○宮尾政府委員 給与水準を比較する方法といたしまして、自治省といたしましてはかねてからラスパイレス指数というものを用いまして、国家公務員との給与水準の比較というものを行っているわけでございます。もちろんこういう統計的な処理をする方法としましては、このほかにも他の方法が幾つかあるわけでございますけれども、実はこのラスパイレス指数を用いて給与比較をしておりますのは、人事院もこれは官民較差といいますか、いわゆる民間の給与水準との比較等を行う場合にもずっとこの方法を用いてきておるわけでございます。私どもとしましてはいろいろこのラスパイレス指数だけが絶対的な給与水準を示す数値であるというふうには考えておりませんけれども、いろいろな統計的な処理をして給与水準等比較する場合に、これは比較的長い間定着をしておるものでございますし、また他の方法によってもいろいろチェックの方法も試みて、大体こういうもので給与水準がおおむね比較できる、こういうことで使っておるわけでございます。したがいまして、いまこれを違った方法に改めるという考え方は持っておりません。
○沢田委員 これも議論すると長くなりますが、ラスパイレス方式でいきますと、勤続年数と年齢と学歴が同じ率で、XYZという三次方程式の中には同率で加わってくるわけです。人事院総裁も、大学卒は初任給のときに差をつけてあるから、それをラスパイレス方式で生涯に三割を加えていくことについては矛盾があります、そういうふうに答えているわけです。ですから、この給与の標準を考える場合には、勤続年数なり年齢なりいわゆる日本の年功序列賃金、こういうふうに言われているわけでありますが、それが一応その中に一割とか一割五分とかこういう比率で学歴が考慮されることまで私はいま当面否定しようとは思いません。しかも、じゃ上級試験通った者だけが大学卒ということになるのかというと、そうじゃない。大学卒で初級試験をとって入っておっても、大学卒としてラスパイレス方式には入れている。じゃその矛盾はどう解決しますか。
○宮尾政府委員 私どもが給与水準を比較する場合に用いておりますラスパイレス指数の算出方法でございますけれども、これは御承知のように、それぞれの団体の職員構成を見まして、それを学歴別それから経験年数別に振り分けておるわけでございます。ですから、学歴だけでやっておるわけではございませんで、経験年数というものも加味した方法で職員のいろいろな経歴を区分をいたしまして、そしてそこにおける給与というものがどうなっているかということを見まして相対的な比較をする、こういうやり方をしておるわけでございます。この考え方というのは、給与決定の考え方は御承知のように職務給の原則というものに立ちまして、標準職務表というものに当てはめて給与を決定していく、こういう仕組みを考慮してやっておるわけでございまして、国の給与の決定方式も地方の給与の決定方式も全く同じ考え方に立っておるわけです。ですから、こういうやり方で給与水準を比較をするということにつきましては、私どもそこに職務給の原則という考え方に立った給与決定方式と何ら矛盾する問題はないというふうに考えております。 また一般的に、総体的な職員全体のラスパイレス指数というものを使いまして当該団体の給与水準をいろいろ言っておるわけでございますが、それをさらに中身を分けて、たとえば課長クラスとかあるいは課長補佐クラスとか係長とか吏員とかいうようなところで同じこういう方法をやってみましても、そういう経験年数なり職歴なりというものが加味された形で比較ができますけれども、これも全体の傾向値と全く同じ方向になっております。そういう意味で私どもは、これはある意味ではいろいろ細かい議論はありましょうけれども、ラスパイレス指数というものを用いて給与水準を比較することはいまの段階では一番いい方法ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○沢田委員 とにかく学歴をそこまで考慮しなければならない時代は去ったということを私は言いたいわけです。大学卒の初任給は十二万なら十二万と決めて採用されていくわけですから、それで昇給昇格をしていくわけですから、その中には学歴は考慮しなくてもいいのじゃないか、こういうことを結論的に私は言いたいわけです。それを生涯にわたって、学校を出たからといったって能力のあるやつばかりいるとは限らぬのだから、東大出たって灯台守の灯台みたい、どろぼうするやつだっているのですからね。だからそういうことだけで物を判断するというわけにはいかない時代だ。だからその中には学歴を考慮することは避けなさい、こう言っているわけだ。あなたは正しいと言っているのだけれども、それを改めるような方向をしなさい、こういうことを、上級試験なりあれを通ってくればそのコースになるんだから、それをラスパイレス方式で比較することは妥当ではないというふうに言っているのですが、あなたはそれを最後までがんばりますか。
○宮尾政府委員 ただいまの御指摘がありましたことは、職員の任用上の問題も絡んでいる問題だと思います。というのは、必ずしも大学を卒業した人間が地方庁に採用されてところてん式に上までどんどん上がっていく、こういうシステムというものはやはり公務員の任用制度といたしまして妥当ではないと私ども考えております。学歴がなくても力がある人は課長でも部長でもどんどん上がっていくという実態もありますし、またそういう姿でなければならないというふうに私どもは考えているわけであります。 ただ、その給与の決定の仕組みといたしまして、国の場合にもまずスタートはどういう学歴を持ってスタートをするか、それからどういう経験を踏んでいくか、この両要素を考えておりますので、私どもは個々の職員の給与なり等級の格づけを問題にしているのではなくて、その団体全体の給与水準をどうするかということをこういう処理をしながらやっておるということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○沢田委員 理解はしませんが、時間がないから、とにかく改めるまでこれは私もがんばってみますよ。 最後に、大東水害の訴訟判決というのが出ております。大東水害はこれは大阪の方のことなんでありますけれども、このことはあと残された時間五分の中でどういうふうにやるか苦労するのですけれども、現在、建設側、都市サイドではどんどん乱開発で都市を開発していく。ところがその排水なりは、河川の場合は河川法がある。ところが農業水路の場合はそういう管理規則がない。そのために農業水路関係については湛水を起こし、床下浸水を起こし、こういうことになる。 これは私の方の県のある新聞がシリーズで出しているわけでありますが、詰まった排水路とか、排水路のなぞであるとか、あるいは料金の徴収方法に問題があるとか、江戸時代からの管理だとか、しかも土地改良二人きりいないとか、こういうようなことでシリーズに載っております。この問題について自治省としては、地方の住民の生命と財産を守るという地方自治体の本質的な役割りから見て、大東水害の判決の判例とそれぞれの首長の責任、それから河川管理者の責任、農業水路管理者の責任、これが平等、対等の立場に立ってそれぞれがその責任を果たしていけるような仕組みをつくっていくべきではないか、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○久世政府委員 ただいまお尋ねの大東市の問題でございますが、私どもまだ事件の詳細については詳しく存じ上げない次第でございますが、概略知りましたところによりますと、この地域は御承知のごとく人口の急増地帯でございまして、都市の基盤の整備がなかなか追いつかない。したがいまして、市長初め地方団体におきましては非常にその対策に苦慮しているのが現状でございます。もともと、必要な都市基盤の整備というものにつきましては、人口増加というものと見合って行われなければならないことは当然でございます。しかしながら、現状におきましては、必ずしも地方自治体が主体性をもって町づくりをできるという体制になっておりません。これはいろいろな問題がございますが、一つにはやはりそのための権限、権能というものが十分に地方団体に与えられていないというところに起因するのではなかろうかと思います。もちろん財政の問題もあろうかと思います。したがいまして、こういうような状況を解決してまいりますためには、何よりも、地方団体が計画的かつ総合的な地域づくりが推進できるような体制というものを整えることが先決ではなかろうかと思います。この点につきましては、かねて地方制度調査会等におきまして事務配分等の答申でこの点を主張しているわけでございますが、昨年の九月十日の第十七次地方制度調査会の答申におきましても、地方団体は計画的かつ総合的な地域づくりを推進することが求められている、したがいまして、地方団体が地域の振興整備のために必要な事項につきましてはその自主性と責任において総合的に対応できるだけの権能を速やかに有するようにすべきである、こういう見地から事務配分というものを行うべきであるという趣旨の答申を行いまして、具体的にもこれに係る二十一の項目、特にこの大東問題にも関連いたしますことにつきましては、たとえば都市計画の決定及びこれに係る認可あるいは建築規制問題、下水道に係る問題、そういうようなものにつきましての許認可権の配分等につきまして答申を出しているわけでございます。自治省といたしましては、今後とも、こういうような地方制度調査会の答申の趣旨を踏まえた地方分権の推進に努力をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○沢田委員 もう時間がありませんが、これからのことを言っているのではない。大東水害の判決その他にこういうふうになっているが、その結果についてどう責任を負って、対等、平等の立場をどう確保するか、イエスかノーかで、もう時間がないから答えてください。これからは建設の許可もあるいは乱開発も、そういうものは地方自治体なりあるいは担当の河川管理者なりあるいは水路管理者なり、そういうものが対等、平等の立場で協議し、ときには拒否できる、こういうことの権能を与えたいという答弁でしょう。そのとおりと理解していいですね。
○久世政府委員 現状は必ずしもそうなっておりませんが、自治省といたしましてはそういう線に従って努力をしてまいりたい、このように考えております。
○沢田委員 そういう立場でとることは自治省の方としては了承をする、そういうことですね。
○久世政府委員 ただいま申し上げましたような基本線に沿って努力をしてまいりたいと思っております。
○沢田委員 以上で終わります。
○高田委員長 井上一成君。
○井上(一)委員 私はけさほど公営企業金融公庫総裁の柴田さんに、特定の政治家に支持をしていない、そういうことはないのだというお答えをいただいたのです。それで、いま休憩中に私なりに調べてまいりました。四国愛媛県の選挙区は第一区、森清さん、御存じですね。この方の、五十四年九月一日、昨年の総選挙の告示約半月前ですね。国政だよりということで、「国政向上に欠かせぬ男森さんは大変勇ましい男です。これからの国会にはこういう男が要るのです。持って生まれた天分と長年の修練によって彼の政治家としての素質にますますみがきがかかってきました。ぜひ再び彼が議政壇上に立って、日本の政治向上のために全力を振るう機会を与えてくださるよう心からお願いする次第です。」公営企業金融公庫総裁という現職の肩書きを持って柴田さんは推薦をしているわけです。それに朝の答弁では、そういうことはあり得ないということでしたが、これは一体どういうことなんですか。
○柴田説明員 私に、公庫の総裁として特定の候補者云々というお話がございましたから、さようなことはございませんということを申し上げました。いまのお話は、そういうパンフレットが出ておるということは、私は全然知らぬことでございます。いま初めて伺います。ただ、森さんとは長い間の友達でございますし、またがって同じ職場で仕事をしたこともございます。したがって、彼の励ます会がありましたときに出向いたことはございます。私が公職にありますために、いろいろ影響を与えるということがないように私といたしましては行動してきたつもりであります。ただそこで、友人としてあいさつをした記憶が私にはございます。恐らくそれが勝手に記事になって出たのではないかというふうに私は推測いたしますが、午前中にお答えいたしましたように、公庫の総裁という立場がございますので、その立場における行動は従来からも現在も厳に慎んでおるつもりでございます。 ただ、さようなパンフレットが出たということでありますれば、あるいは影響があったかもしれません。私はいまそういうふうに伺いまして判断するわけでございますが、そのこと自身は私は知らぬことでございますので、森さんには抗議をしたいと思います。ただ、自今さようなこともあるかもしれませんので、自今の行動はなお一層慎んでまいりたい、かように存じます。
○井上(一)委員 柴田総裁、午前中は特定の政治家に支援も後援も推薦もしたことはないという。いま何か演説会に出ましたということを言っているわけだね。そうでしょう。その答弁はけしからぬと思う、朝の答弁がそういうことを言っておって、事実そういうことをやっているのだったら。それはそれでさらにまた問題にしたいと思います。いま私が読み上げたこの事実を全く知らぬ間にいわばでっち上げられた、だから抗議をする。もう一回確認します。森さんに抗議をしますね。これは全く知らないのですね。
○柴田説明員 さようなパンフレットが出たことは、私は承知いたしておりません。 ただ、先ほど申し上げましたように、彼の励ます会があって友人として呼ばれて行きました。これは私は個人として友人として自然の情だと思います。それをそういう形でパンフレットにされることは、私としては迷惑でございます。したがって、しかるべき措置をとります。
○井上(一)委員 抗議をするということですが、大臣に少しこれは伺っておきますが、選挙を受ける者は別として、とりわけ国家公務員に準ずる人たちが特定の政治家を支持したり支援したり、あるいはそういう名前を勝手に使われているのかそれはわかりませんが、このことは公選法に照らしてもよくないことだということは自明の理なんです。特殊法人的な外郭団体の役員ということではなく、本省の、いわゆる自治省なら自治省の役人が、今後起こり得るかもわからぬのですが、選挙法ということで、国家公務員としてそういうことをやれば、これは処分の対象になりますね。いま具体的な事例は持ち出しておりませんけれども、これは念のために聞いておきたいと思うのです。
○後藤田国務大臣 もちろん国家公務員は選挙運動をやってはいかぬことになっておりますから、仰せのとおりであります。
○井上(一)委員 では最後に。今後具体的な事例を挙げてそのことについては追及します。 さらに柴田総裁については、その森さんに対する抗議をするということについても、どのような方法でどういうようなことをやられるか、その出方を待って機会を改めて問うことにいたします。
○高田委員長 春田重昭君。
○春田委員 何点かにわたって質問を展開してまいりますが、まず最初に、苫小牧東部大規模工業基地開発というのがあります。この開発の基本計画が策定された時期、それから内容について、簡潔にお答えいただきたいと思います。
○大西政府委員 苫東の工業基地開発構想は、昭和四十五年七月に閣議決定をいたしました第三期北海道総合開発計画の中で北海道の長期的、飛躍的な発展を先導するプロジェクトとして位置づけたわけでございます。 この計画に基づきまして、翌年の四十六年の八月に私ども北海道開発庁としまして苫小牧東部大規模工業基地開発の基本構想、全体構想というべき基本計画案を策定いたしまして、開発庁長官の諮問機関であります北海道開発審議会の了承を得て一応私どもとしては決定をいたしたつもりでおります。 この計画は、一万ヘクタールの苫小牧東部に広がります原野を中心とする土地に、大型港湾を核といたしまして、鉄鋼、石油精製、石油化学というふうな基幹資源型工業を配するというわが国で例のないような大規模な計画を当時いたしたわけでございます。 それで内容としましては、いま大体申し上げましたが、当時考えましたマスタープランでは、鉄鋼年産二千万トン、石油精製日量百万バレル、石油化学年産百六十万トン、それからアルミ、銅、鉛、亜鉛というふうな非鉄金属の製錬等も見込んでおりました。そのほかに基幹工業といたしまして自動車年産五十万台、関連工業あるいはその基地の中で必要となる電力というふうなもので、四十三年の価格でございますが当時最終規模出荷額三兆三千億というふうな構想を全体構想として持ったわけでございます。
○春田委員 そこで、第一段階の工業開発計画すなわち基本方針がその後発表されておりますけれども、その時期と内容について……。
○大西政府委員 ただいま御説明を申し上げました基本構想に従いまして、実はこの基本構想の段階ですでに、非常に長期にわたる計画であろうということで、これは段階的、中間的な目標を設定して進めるのが妥当であろうというようなことをうたっておりまして、そんなことで区切って段階的に進めようというふうなことでおりましたけれども、四十八年になりまして、この間二年ばかり経過いたしておりますが、地元苫小牧市におきましてこの基本構想の線に沿いまして五年程度の中間的な段階計画をもって進める方がよろしかろうというふうなことになりまして、これは当時いろいろ環境問題等からする経緯がございましたけれども、苫小牧市議会におきまして、苫小牧東部開発を進める基本方針というふうなものを議決をいたしました。これが四十八年十一月でございます。 その中に、五十三年を目標としまして、石油精製日量三十万バレル、石油化学年四十万トン、自動車十八万台、電力三十五万キロワット、全体の工業生産額、これは四十五年価格でございますが、四千三百億というふうなことで、一応五十三年を目標とする段階的な工業開発規模を苫小牧市で議決をいたしまして、これを受けまして、私ども、北海道庁を含む関係機関が寄りまして、第一段階と後ほど言いましたが、この段階計画の規模はおおむね適当だろうというふうなことで了承いたしました。 それを、さらに私どもが窓口になりまして、関係省庁で構成いたしております苫東の政府部内の連絡会、これは四十八年の十二月でございますが、十二月におおむねこの線は妥当だろうというふうなことで、今後これに向かって開発を進めていこうということで決まったものでございます。
○春田委員 さらに、その基本方針の見直しがきれておりますけれども、その時期と内容について、
○大西政府委員 この段階計画は、一応五十三年までということで決めておりまして、この間、先ほど、冒頭申し上げました第三期北海道総合開発計画というのは、四十八年に始まります資源エネルギーの著しい国際環境の変化の中で計画の見直しが必要となってまいりまして、実は五十三年二月に第三期総合開発計画にかわる新北海道総合開発計画を閣議決定をいたしました。 この中では、第三期計画の方針を踏襲いたしまして、苫小牧東部を中心として基幹資源型工業の誘致を図るという構想を引き継いで、この新計画の中に持ち込んでおります。 片や、先ほど申しました第一段階の計画は五十三年で切れる関係から、次の段階計画をつくる必要が、新計画を閣議決定した時点であったわけでございます そんな関係で、いろいろ準備を進めておりましたが、五十三年の中ほどから、石油の共同備蓄というのが石油の安定供給の観点からぜひ必要だというふうなエネルギー政策からの要請がございまして、国からの要請でこの苫小牧東部基地に石油の共同備蓄基地を付加するというふうなことがございまして、これは五十二年十二月に第一段階計画の中に五百万キロリッターの石油共同備蓄を付加するというふうなことを、地元も含めまして合意を見ております。 そういうことをやりながら、五十四年以降の次の段階計画をどうするかというふうなことをいろいろ検討いたしておりましたが、たまたま石油情勢等から発電の燃料の転換というふうなことも迫られてまいりまして、北海道電力におきまして三十五万キロの発電に引き続きまして、六十万キロワットの主として海外炭を燃料といたします石炭専焼火力発電所の構想が、どうも次の段階計画の中に入ってきそうだというふうなことがございまして、それの煮詰まりぐあいを見ながら、実は第一段階に続く次の段階計画を検討いたしておったわけでございます。 環境アセスメントの問題でありますとか、いろいろな手続等から若干おくれましたけれども、大体第一段階の開発目標を踏襲いたしまして、ただ、付加いたしましたのは、火力発電の六十万キロを第一段階に追加するというふうなことで、われわれは第一段階改定計画と呼んでおりますが、おおむね五十八年を目途といたします第一段階改定計画を、五十四年十一月に、これも所要の手続を経まして、政府部内で了承をとったところでございます。
○春田委員 若干おくれている、おくれているけれどもその目標に向かっているという答弁がございましたけれども、私はそう認識してないわけでございます。 現在までの答弁を私なりにまとめてみますと、すなわち、この苫東の工業開発、いわゆる北海道の第三期総合計画を受けて昭和四十六年の八月に基本計画を打ち出した、昭和五十五年時点で生産高で一兆三千億、六十年代で三兆三千億を見込む、さらに二年おくれて昭和四十八年に基本方針としてこれを若干縮小、また鉄鋼や非鉄を削除して打ち出したわけでございます。その後この基本方針をまた見直されまして、昨年の十月ですか、五十三年完成がおくれるということで五年延長した、こういうことでございまして、マスタープランから見れば、事実上二回見直されているわけでございます。 そういう点で、いまの答弁では五十八年に向かって努力している、こういう話でございますけれども、開発庁として、五十八年完成に向かって進んでいると自信を持って言えますか。
○大西政府委員 昨今の経済情勢、まことに流動的でございまして、私どもとしては、地元も含めて合意をした開発目標でございますので、ぜひ五十八年に、まあ完成というのはあれかと思いますが、第一段階改定計画に見込んだものは何とか立地のめどが立つというところまで最大の努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
○春田委員 開発庁が発表されました生産規模というのが昭和五十八年代で載っていますね。これはどう理解したらいいのですか。いま立地ということでございますけれども、ただ誘致するのが五十八年度であって、実はその稼働する、生産する、これは認めないような話でございますけれども、開発庁としては、五十八年度に石油精製三十万バレル、石油化学四十万トン、自動車十八万台、電力が三十五万でございますが、その後六十万加わって九十五万キロワット、石油備蓄が五百万キロリットル、関連企業が一千億円、こういう計画が出ておりますけれども、これはどう理解したらいいのですか。
○大西政府委員 段階計画の目標というのは、実は先ほど申しましたマスタープランそのものが全部連続いたしておりまして、たとえば、おおむね五年を切った断面のことを申し上げておりますので、非常にその辺、これは五十八年にこういうふうな生産が現に行われるのか、あるいはこれは手をつけただけでいいというのかという先生のお尋ねであろうと思いますが、私どもとしましては、基盤整備をする関係からいたしまして、これが五十八年に全部煙を吐いて稼働するというふうなことでは必ずしもありませんで、少なくともその前段階で、港湾にいたしましても道路にいたしましても手をつけます。そうすると、上物としてどんなものが立地をしてどういう生産活動をするのだというふうなことが決まらなければなかなか基盤の整備に具体的に手がつけられないこともございまして、私どもとしては、一応この五十八年の目標は何だと、こういうお尋ねに対しましては、まあそういう連続しているものをある断面で切る関係ですから、私どもとしては一応ここに掲げられた業種なり規模のものについて、少なくとも建設に手がつくというふうな段階でとらえてもそう間違いではないのではないか、また計画を運営していく上でそう支障は来さないであろうというふうに考えております。
○春田委員 それはちょっと監理官ごまかしじゃないですか。マスタープランを受けての第一段階の計画でしょう。マスタープランにはちゃんと昭和五十五年には一兆三千億の生産高を見込むとなっているじゃないですか、六十年代には三兆三千億となっているじゃないですか。マスタープランと第一段階のこの工業開発というのは関連性があるわけでしょう。いまの答弁はおかしいですよ。五十三年に完成するのをさらに五年も延長して五十八年にし、その五十八年の操業開始が見込まれない、ただ工業立地、いわゆる企業が立地してくるだけがこの五十八年度というような印象の答弁でありますが、それはごまかしじゃないですか。おかしいのじゃないですか。
○大西政府委員 先生御指摘の基本計画案は、確かに中間段階で一兆三千億というふうな目標を当時基本計画案の段階で考えておりました。それが片方、いま申し上げました五十五年を越える五十八年でまだそんな話で、それはごまかしじゃないかという御指摘でございますが、実は四十六年に立てました基本計画案と申しますのは、冒頭に私もお断り申し上げましたように、あくまでも基地全体のマスタープランと申しますか、全体構想はどういうふうな基地づくりを考えているのだろうかという、開発の方向を示すことに主眼がございまして、一応中間的に五十五年に掲げておりましたけれども、これをリジッドに何年にどうというふうに、五十五年の一兆三千億をこのとおりに動かしていくというふうには、この基本構想をつくったときにも私どもそれほどリジッドに実は考えておりませんでした。しかし、つくったからにはこういう目標に向かって最大の努力をすべきであるという御指摘もまことに御説のとおりだと思いますが、たまたまこの基本計画案をつくりましてから、四十八年の第一次石油ショックに始まるわが国の著しい経済情勢の変化というふうなことがございまして、五十年以降でございますが、私どももこの石油危機以後の情勢を受けまして、一体この基地の全体構想をどう考えるべきかというふうなことを、学識経験者の意見等も踏まえて、いろいろ検討いたして今日まで来ております。 それらの中で、この基地開発、当初考えました基幹資源型港湾を核とする、そういう基幹資源型工業を配置する工業基地の性格は変えなければいかぬのかどうかというふうなことに実は私どもも最大の関心を払っていろいろ意見を伺ってまいったわけでございますが、わが国の将来の発展を考えた場合に、基幹資源型工業の立地の可能なところと言えば、苫東の立地条件からいたしますと、わが国に残された数少ない基地であるというふうなことから、そういう基幹資源型工業を中心とする工業基地の性格は変えなくてもよかろうというふうな御意見を承っております。そんな関係で、私どもとしては基地そのものの性格を変えて見直しをしなければいかぬというふうには考えておりませんが、しかし、何分にも六十年代完成を目指すという四十六年当時立てました基本構想は、経済情勢の変化で非常におくれておるというふうなことで、その分だけは先へ延びていかざるを得ないということは、先生御指摘のとおりであろうかと思います。
○春田委員 要するに、昭和四十八年の石油ショックで五十三年完成が五年延長されたということになっているのでしょう。その五十八年もどうも操業開始ができないような答弁では、何のための計画かわからないじゃないですか。これから実態を明らかにしてまいりますけれども、五十八年これこれの企業が来るという形で計画なさっておりますけれども、その自信はありますか。
○大西政府委員 五十八年の先ほど申しました改定計画の目標につきまして、一応石油化学につきましては、今年三月苫小牧総合化学、これは三井グループが中心になりまして……
○春田委員 いいですよ、自信があるかどうか、それだけでいいです。時間がないから簡単に言ってください。
○大西政府委員 私どもとしては自信を持って取り組みたいというふうに考えております。
○春田委員 そこで、土地の問題についてお聞きしてまいりますけれども、この開発に必要な全体の土地面積、これは幾らか。
○富士野政府委員 お答え申し上げます。 苫小牧東部工業基地の土地の関係でございますが、全体として必要な土地の面積は一万一千二百五十ヘクタールでございます。
○春田委員 この一万一千二百五十ヘクタールのうち公園緑地、道路、河川、鉄道等が含まれると思いますけれども、要するに工業用の基地だけに必要な土地面積はどれだけか。
○富士野政府委員 買収対象といたします面積は九千二百二十四ヘクタールでございます。
○春田委員 違うのですよ。ぼくが言っているのは、一万一千二百五十ヘクタールのうち、工業基地はどれくらい必要なのかと聞いているのです。
○富士野政府委員 五千六百八十ヘクタールでございます。
○春田委員 五千六百八十ヘクタールが工業基地のいわゆる用地、こういうことですね。そこで、先ほどお話のございました買収に要する面積は九千二百二十四ヘクタールでございますが、そのうち現在買収されている土地は幾らなんですか。
○富士野政府委員 買収済みの土地は七千三百九十四ヘクタールでございます。
○春田委員 この買収作業は北海道と、それから苫東いわゆる第三セクターの会社の直買い、二通りで行われておりますけれども、この買収の基本的な態度、これはどういう形でおやりになっておるのか、お聞きしたいと思います。
○富士野政府委員 土地の買収につきましては、基本的な考え方は、北海道が買収をしてまいりまして、その買収した土地の造成あるいは分譲等については、民間資金を有効に使うというような意味で、苫東開発株式会社と申しております第三セクターが役割りを持つというような形を基本として進んでおりますが、一部苫東開発株式会社が買収をするようになっております土地もございます。
○春田委員 この苫東会社が現在取得している土地はどれくらいなんですか。
○富士野政府委員 苫東会社の用地取得面積でございますが、現在、五十四年までの計で申しますと四千五百十三・六ヘクタールでございます。
○春田委員 北海道が多く買収しているわけでございます。その一部が苫東に譲渡されているわけでございますけれども、現在北海道が持っている土地はどのくらいか。北海道の保有している土地は、最終全部苫東の第三セクターの方に譲渡されるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○大西政府委員 現在、道が先行買収して持っております土地が二千八百八十ヘクタールでございます。それから、先ほどの、道が先行買収をするという基本方針がございますので、道がこれから買収を予定いたしております面積が千八百三十ヘクタールございます。合わせますと、約四千四百ヘクタールが道が——国公有地等が残っておりますので、それで道が持つ面積としては、今後残されておるのが四千四百ヘクタールくらいであろうかと思います。このうち、お尋ねの苫東会社が何ぼ譲り受けることになるのかということでございますが、その点につきましては、緑地、公園緑地あるいは道路計画等、都市施設計画がまだ確定いたしておりませんので、かっちりした数字はいまのところ明確ではありませんが、概算といたしまして私どもは、おおむね三千ヘクタールぐらいが道に留保されるであろう、緑地並びに道路、公園等に。したがいまして、千四百ヘクタールぐらいが今後苫東会社に譲渡をされることになるであろうというふうなことでございますが、これは都市施設計画の確定したところで正確な数字が確定するものと考えております。
○春田委員 最終的に道から苫東の方に移譲される時期というのはいつなんですか。
○大西政府委員 これは昭和四十七年苫東会社が、第三セクターができましたときに道と苫東会社の間で土地の分譲に関する基本協定を結んでおります。これでまいりますと、一応五十五年度までに道が取得して、道が自分で持つ土地以外は全部五十五年までに譲渡するというふうな構想で両者の間で基本協定が結ばれておりますが、先ほどまだ千八百ばかり道が買収すべき土地が残っておると申し上げましたが、その中で買収で難航しておる点があったりあるいは第一次買収、第二次買収という二段階に分けて道が先行買収しておりました第二次買収の方が昨年秋にようやく地元と合意を見たという関係から、道が予定しております買収が非常におくれております。こんな関係から、当初基本協定で結んだ五十五年までに苫東会社に道の持った土地を移すということはちょっと不可能になってまいりまして、恐らくはまだ数年はかかるであろうというふうに思いますが、この点はいま両者の間で相談中でございます。
○春田委員 これから買収する土地は別といたしましても、現在北海道が保有している土地が二千八百八十ヘクタールあるわけですね。五十五年までに全部引き取ると言いながら引き取ってないわけです。そういう点で北海道は相当大変な金利負担もあるだろうし相当な投資をしているわけです。五十四年までこの土地の買収について北海道が投資した額は二百四十一億五千万のお金を投資しております。御存じだと思います。そういう点で、北海道単独でこれだけの大きな投資をしながら五十五年、要するに苫東会社に移譲されない、買ってくれないということになれば大変な負担になるわけでございますけれども、こうした点で政府としては北海道に対する何らかの手厚い保護といいますか援助をしているのですか。
○大西政府委員 先生にも資料を差し上げてあると思いますが、先ほど御指摘のように、道が先行買収に使った金は二百四十一億でございます。この中でそれぞれ起債によるものが百八十六億あるいは一般会計からの借り入れが三十三億とか土地開発基金が二十億というふうに原資別にお示しをしてあるかと思いますけれども、道の場合に一審問題になりますのは起債発行、これの償還期限が参りますと、それに見合うものを苫東会社が道から土地を譲り受けなければ道は一般会計から持ち出して起債の償還をしなければいかぬというふうな問題が生じてまいります。そういうことを来さない範囲で——これは苫東会社自身もなかなか膨大な借り入れを抱えて苦しんでおる関係から、道に迷惑をかけない最小限といたしまして、起債によって先行取得をしたその起債の償還額に見合うもの、これは最低限土地を苫東会社が買うというふうな形で来ておりますので、特別国として道に財政援助をいたしておりませんが、道自身も決して楽じゃないと思いますが、起債の償還を一般財源を持ち出してやるというふうなことは起こさないようになってやっておるわけでございます。
○春田委員 土地の買収はいつごろから始めたのですか。
○大西政府委員 昭和四十四年、道が工業団地条例という条例を制定いたしまして苫小牧東部の先行取得を始めたわけでございます。
○春田委員 第一段階の工業計画で企業の誘致が正式に決まったのはいつですか。
○大西政府委員 第一号の企業の立地が決まったのはいつかということでございますね。現在建設中、ことしの秋から営業運転に入りますが、北海道電力の三十五万キロの石炭火発でございまして、決定いたしましたのが五十二年三月でございます。
○春田委員 正式契約したのは五十三年十二月の二十五日ということでいいですね。そこで第二号として決まったのが北海道の石油備蓄、これが五十四年五月十五日、三番手が苫小牧の総合化学開発これが五十五年の三月三十一日、いまこの三社だけが一応決まっているわけですね。間違いないですか。
○大西政府委員 御指摘のとおりでございます。
○春田委員 したがって、四十四年に土地を買収したわけでございまして、九年たってやっと第一号の企業誘致が決まった、こういうことでございます。土地を買収する場合には当然先行取得をした方が安く買えるという原則でお買いになったと思いますけれども、こうして大幅におくれてきている、結果的に大きな金利負担等もかかって実勢価格以上になっているのではないかと思いますけれども、この点どう受けとめますか。
○大西政府委員 確かに道の段階でも四十四年からで、起債の中には利子が当然かなり入ってまいります。それから、今度はそれを苫東会社に譲渡いたしましても、会社はこれを抱えておるわけですから、金利がかさんでまいりまして、そういう意味ではできるだけ早く企業に分譲できるということなしには問題の解決はなかなか進まないだろうというふうに考えておりますが、現在のところ先行取得のあれがございまして金利がかさんでおりますけれども、今後工業立地の障害になるというふうな負担にはまだならないで済むだろうというふうに私は考えております。
○春田委員 買収されたものが有効的に利用されていればいいわけでございますが、五十五年の三月末現在で買収した土地が七千三百九十四ヘクタールあるわけでございます。要はこのうちどれだけ利用されるか、これが今後の問題になるわけですね。そこで土地を一応買収した、その後この土地を造成する必要があるわけでございますが、苫東会社がこれはやっていると聞いておりますけれども、現在その土地の造成の現況、これを御説明いただきたいと思います。
○大西政府委員 現在、先生先ほど御指摘のとおりに、苫東会社が道から譲り受けあるいは直買いをして保育しておる面積は四千五百十四ヘクタールでございます。このうち造成済みが四百五十二ヘクタール、造成中が三百七十七ヘクタール、合わせて八百二十九ヘクタールでございます。
○春田委員 造成中の三百七十七ヘクタールでございますけれども、いつまでに完成するのですか。
○大西政府委員 三百七十七ヘクタールは五十七年に完成でございます。
○春田委員 第一段階の工業開発計画で、企業に必要な土地の面積は大体幾らぐらいと見ているのですか。
○大西政府委員 第一段階に必要な工業用地といたしましては、約千二十ヘクタールというふうに見込んでおります。
○春田委員 いまの説明では、先ほどの造成中と造成済みのもので八百二十九ヘクタールでしょう。足りませんね。これはどうするのですか。
○大西政府委員 確かに足らないわけでございますが、これは関連工業等、われわれE地区と言っておりますが、基地のちょうど北の方のものでございます。土地の造成は比較的短期間で造成ができますので、立地の動向を見ながら——来るであろうということを見込んで造成を余り先にやってしまいますと、造成をしたものは二、三年金利が寝るという関係がございまして、なるべく立地の近い時点で造成をしたいという考えでおります。
○春田委員 第一段階の工業開発計画では千二十九ヘクタール必要である。五十七年までに完成するのが八百二十九ヘクタールでございます。そこで、現在明確に企業進出が三社決まっておりますが、その企業が必要とする用地面積は幾らと見ていますか。
○大西政府委員 三社で二百九十四ヘクタールでございます。
○春田委員 ただいままでの説明からしてまとめてみますと、工業用地に必要な土地面積は五千六百八十ヘクタール。先ほど説明がありましたね。そのうちのいわゆる二百九十四ヘクタールしか現時点では企業誘致が決まってないわけです。したがって、全体の約五%しか決まってないのです。残り九五%が結局遊んでいる、こういう状態ですね。また、その取得した土地の造成状態でございますけれども、八百二十九ヘクタールをいま造成している。これも満杯になる予定もないと私は見ておるわけでございますけれども、これは五十八年段階で全部満杯になると見ているのですか。
○大西政府委員 そのように最大の努力をいたしたいというふうに考えております。
○春田委員 最大の努力をされるというのはわかりますけれども、現在要するに工業用地が必要なのが五%しか埋まってないわけですね。残り九五%、五十八年まで、大丈夫ですか。 そこで企業の進出状態を聞いてまいりたいと思いますけれども、現在どういう企業が進出するかは、先ほど御説明ございました三社ですね。そこで当初基本計画では鉄鋼と非鉄企業がその中心をなしていたわけでございますけれども、第一段階の計画ではそれが削除されております。これはどういう理由なんですか。
○大西政府委員 鉄鋼、非鉄につきましては、やはりこれも基本計画の段階では、当時全国で粗鋼生産ベースとして四億トンとか五億トンとかいうかなりでかい数字をわれわれ念頭に置いて基本計画をつくったわけでございますが、御案内のとおり石油危機を契機といたしまして、大体当初のというか、ここ一年ばかりは鉄鋼の需要が伸びておりますけれども、ほとんど横ばいというふうな状況でございます。そういうことを背景といたしまして、今度の改定計画をつくる際にも鉄鋼、非鉄金属につきましては、需要の動向からいたしまして、新しい基地を建設するという見込みがまだちょっと向こう五年程度では立ちにくいというふうなことで外したわけでございます。
○春田委員 基本計画にはこの鉄鋼、非鉄が入っているわけでございますけれども、恐らく第二段階、第三段階の計画がなされていくと思いますけれども、その段階では入ってくるのですか。
○大西政府委員 これも今後の経済動向、特にわが国の産業構造がどうなるかというふうなことと非常に密接な関連がございますが、私どもとしては、少なくとも第三段階ぐらいからは鉄鋼の問題等は真正面に取り組んでいくようにいたしたいというふうに考えております。
○春田委員 第一二段階という話がございましたけれども、マスタープランでは昭和六十年度完成ということになっていますね。この第二段階、第三段階の計画というのは、ある程度開発庁としては構想を持っているわけですか。
○大西政府委員 現在のところ、特に第三、第四という構想は固めてはおりません。固めてはおりませんが、先ほど先生ちょっと、四十六年のマスタープランは実は六十年代というふうな表現にいたしておりまして、六十年よりはもう少し幅があるというふうに私ども考えております。それはどうでもよろしいのですが、その具体的な第三、第四の段階計画をいま持っているわけじゃございませんが、一応その下敷きといたしまして、先ほど私御説明申し上げましたが、五十三年二月に閣議決定いたしました新北海道総合開発計画がございます。これは五十三年から六十二年までの十カ年の北海道全体の総合開発計画でございます。この中で明確には出しておりませんけれども、もちろんその内容的には苫東も入ってまいります。したがって、六十二年に大体苫東でどのようなことをこの全体の計画をまとめる際に考えておったのかというふうなことはある程度私ども内部としては持っております。こういうことと勘案いたしますと、先ほど私ちょっと申し上げましたように、第三段階の段階計画ぐらいからは鉄鋼の問題等は正面に据えて検討してまいらなければいかぬと申し上げましたのは、実は下敷きといたしまして六十二年までの新北海道総合開発計画の中でそういう検討をいたしたものですから、実はそういうふうにお答え申し上げたわけでございます。
○春田委員 ということは、その六十年代にはほぼマスタープランの計画は生産規模、生産高はいける、こう見ていいわけですか。
○大西政府委員 マスタープランといいますか基本計画のことについてちょっと私、途中、学識経験者に意見を聞いて、五十年、五十一年と検討いたしましたと、こう申し上げましたが、そのときに基地の基本的な性格、基幹資源型工業を軸とする基地の基本的性格は変えなくてもいいだろう、しかし六十年代にこのマスタープランは完成するというのは大変困難な話であるというふうな御意見がございまして、当時の検討の諸先生方の意見としては、恐らく昭和七十年代に完成はかかるだろうというふうな感じでございまして、これは正式に私ども外にこういう意見がございましたということは申し上げておりませんが、重ねての御質問でございますので、私どもとしてはそういう学識経験者諸先生方の意見等も聞いてみますと、当初考えました六十年代にマスタープランを完成するということは非常に困難であろうというふうに考えております。
○春田委員 この苫東の開発につきましては、基本計画では、国家的大事業である、世界に類を見ない事業である、相当大きなふろしきを広げられたわけでございますけれども、ただいまの話では相当おくれるというような感じがするわけでございます。 そこで、第一段階で自動車企業が入っておりますけれども、先ほどのお話では、明確な企業誘致が決まってないわけでございます。昭和五十八年度いわゆる自動車年間十八万台、こういう計画が出ておりますけれども、この見通しはどうですか。
○大西政府委員 いまなかなかここでお答え申し上げるのは、いろいろな関係がございまして、別に日米自動車戦争というほど大きなあれではございませんが、自動車の立地は国際的にもいろいろ関心が非常に強うございましてなかなかお答えしにくいのでございますが、水面下ではいろいろ、いまこの自動車の誘致についての問題をネゴを非常にやっておる最中であるということで御勘弁をいただきたいと思います。
○春田委員 時間がございませんので先に進みたいと思いますけれども、この企業誘致とともに関連の公共事業が進められております。港湾事業とかダムとか道路それから水道事業が行われておりますが、進捗状態はどのようになっておりますか。簡単で結構でございますから御説明いただきたいと思います。
○大西政府委員 段階計画で見込んだ基盤整備の事業に対して現在どの程度仕事が進んでおるかというふうなお尋ねであろうかと思いますが、港湾等は非常に明確に段階計画に見合う港の姿あるいはバースはこの程度要るというふうなことが概定できますので、現在それに対してどの程度いっておるというお答えはできるのですが、たとえば道路でありますとか街路、公園緑地のたぐいになりますと、段階計画以降の問題を含んで手をつける関係がございまして、段階計画に見合う基盤の整備として全体的にどの程度進んでおるかという数字でお示しすることがなかなかむずかしゅうございましてあれですが、私どもとしてはおおむね五十八年を目途とする段階計画に支障がないように関連港湾を初め関連事業を積極的に進めていくというふうに考えておりまして、この基盤整備のおくれが立地のおくれを来すということを決して起こさないようにというふうに考えております。
○春田委員 この事業にはどれだけの事業費が使われているのか、その中でどれくらいの国費が投資されているのか。
○大西政府委員 関連事業費といたしまして、港湾あるいは工業用水の水源を確保するという多目的ダムあるいは道路事業、工業用水道という関連事業がございますが、今日、五十四年度まででございますけれども、事業費で五百十一億、そのうち国費は四百七十二億というふうなものを投下いたしております。
○春田委員 五百十一億という中で四百七十二億の膨大な国費が使われておる、こういうことでございます。これらの四事業は、工業地区基盤整備に必要なものばかりでございますけれども、それ以外に、たとえば住宅の整備とか交通通信の整備、鉄道、こういうものも必要になってくるわけでございますけれども、五十八年操業開始のとき、こうしたものも全部間に合うのかどうか、並行して行われているのかどうか、この辺のところをお伺いしたいと思います。
○大西政府委員 五十八年の段階計画の目標年次でいま申し上げました四事業、これはいずれも間に合わせるようにと思っておりますが、このうち多目的ダム事業につきましては、これはかなり、日高の方でございますけれども、ダムの建設に時間がかかります。その間の泳ぎといたしまして立地に支障がないように、現在のあの地区内を流れております河川に余裕水源がございますので、それを使うというふうなことで五十八年工業用水については支障がないだろうというふうに考えております。 それから鉄道、道路につきましては、あの基地の海岸側を国道、それから国鉄日高線が走っております。これを、支障がないようにするためにちょうど基地の真ん中へ、十数キロ北へ迂回させなければいけないというかなり大きな事業がございます。これにつきましても現在鋭意実地調査を進めておりまして、五十八年時点に間に合うようにこれを進めてまいりたいというふうに考えております。
○春田委員 それから、第三セクターの苫東の会社でございますけれども、この会社に対する政府の責任はどう考えておりますか。
○大西政府委員 第三セクターについての責任、これはなかなかむずかしい問題でございまして、正直言って私どもいろいろ行政指導といいますか、行政指導というのはややおこがましいかもしれませんが、行政指導はいたしておりますけれども、それじゃ正式に言うたとえば政府の特殊法人のような監督権限があるかと聞かれますと、商法上の株式会社でございまして、資本の過半が公的資本であるというふうなこと以外に特段普通の株式会社と変わった点はないわけでございます。したがいまして、それだけになかなか事業団、公団というものと違いまして、政府が積極的にそれに肩入れをするというふうなこともある程度限界があるわけでございますけれども、苫東開発にとって第三セクターの果たす役割りは非常に重要なわけでございますので、商法上の株式会社ではありますが、現在われわれが行財政上とり得る措置として最大の支援をしてまいりたいというふうに考えております。 現在やっておりますものとしましては、先ほども触れましたように、できるだけ第三セクターが用地の造成、分譲を行う際に先行的に基盤施設の整備ができておるというふうなことが会社にとって、会社の運営上プラスになるわけですから、そういうことをやるほか、工業団地の造成に対する利子補給でありますとか、あるいは北海道東北開発公庫が出融資をいたしておりますが、その融資について特別金利を適用するとか等、できるだけ、あるいはそのほかにも若干ではございますが税法上の優遇措置も現在行えるものについてはやっておるつもりでございますが、私どもこれで決して十分とは考えておりませんので、今後関係機関とも十分連携をとりながら、できるだけ将来の工業誘致に支障にならないよう、造成された工業用地が高くならないような手だてを考えていかなければいかぬだろうというふうに考えております。
○春田委員 そこで苫東の借入金の問題でございますけれども、昭和五十二年、五十三年、五十四年、その借入金の額の累計を数字をもってお示しいただきたいと思います。
○大西政府委員 五十四年末の累計でよろしゅうございましょうか——第三セクターの苫東会社の借入金、五十四年末までの総額は九百七十九億円でございます。このうち北海道東北公庫からの借り入れが三百八十七億、それから市中からの借り入れが五百九十二億ということで、全体で九百七十九億の借り入れをいたしております。ところがそのうち、市中が主でございますが、償還年限が来て償還をいたしておるものが百九十五億ございますので、現在、五十四年三月末の借り入れ残と申しますと七百八十四億ぐらいになろうかと思います。
○春田委員 償還額と支払い利息を同じく累計でもって、北東と市中銀行に分けて御説明いただきたいと思います。
○大西政府委員 先ほど申しましたように九百七十億という膨大な借り入れでございますので金利の支払い利息の累計も多うございまして、全体で二百六十億、このうち北東公庫の支払い利息が百一億、それから市中に対する支払い利息が百五十八億でございます。この二百六十億の支払い利息に対しまして、先ほど申しました工配法に基づきます工業団地造成利子補給金をこの第三セクターが二十五億もらっておりますので、一割程度は補給金で埋めておるというかっこうでございます。
○春田委員 いまの数字を御説明聞いて、本当に苫東会社というものは大変な状態になっているわけですね。これは大臣、よく聞いていただきたいのですけれども、年度ごとに御説明申し上げますと、五十二年度に借り入れしたのが百二十八億一千八百万です。その年度の償還金額は二十五億五千五百万、支払い利息が四十七億二千八百万です。したがって償還額と支払い利息と合わしたら合計七十二億八千三百万でございまして、差し引き苫東株式会社に残る額は五十五億三千五百万です。これが五十三年度になりますと百五十七億五千七百万借り入れた。元本と利息で合計百二十五億六千百万になります。したがって差し引き手元に残る額は三十一億九千六百万です。五十四年度は百七十二億一千三百万借り入れて、元本と利息で百五十億四千二百万、差し引き二十一億七千一百万となります。年を追うごとに借金額がふえてくる。ところが手元に残る金は全然少ない。要するに利子を払うためにお金を借りているようなものでございまして、民間企業で言ったら倒産寸前の会社と言っても決して過言ではないわけでございまして、この実態をどう見ますか。
○大西政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、私どもも日夜、こういう状態からどうやったら脱却するかということに頭を痛めておるわけでございます。 先ほどもちょっと触れましたように、こういう状態を脱却するためには、これはまた道にしわが寄りますが、道から譲り受ける土地をできるだけおくらして道に持っておってもらって会社が引き受けるということが一つ。それからもう一つは、分譲する際には造成をいたさなければいかぬわけですが、できるだけ分譲の近い時点で造成をして金利をかけないようにするというふうなことがございます。そんなことをやっても、実はいま御指摘のような状態はなかなか脱却できません。結局は分譲できるような立地企業をいかに早く誘致するかということしかなかなか道はないのであろうというふうに思います。 実は、五十二年から五十四年までは先生いま御指摘のとおりの状態でございましたけれども、これは長期ではございませんが、五十五、六、七年あたりは先ほど申しました三件の企業の二百九十ヘクタールばかりの分譲をいたしました関係からそれの代金、これも年賦で入ってまいりますが、その分がありますので若干借り入れについて小康を得るという状態であろうかと思います。これは長期的には、それの金がみんな入ってしまえば終わりになりますので、そこから先をまたそれに続く買い手を早く見つけなければいかぬというようなことだと思います。 いずれにいたしましても、長期的に考えますと、何らかの意味で政府は本気になってこの問題に取り組むという場面を考えなければいかぬのではないかと思いますが、御案内のとおり国家財政も大変多端でございまして、これはなかなか名案が出にくくておるわけでございますけれども、最低限いまあります行財政上の諸制度をできるだけ手厚く考えるというふうな方向が、入り口としてはまず入りやすい方法であろうかというふうに考えております。
○春田委員 こういう実態を大蔵省が知ったら本当にどうなるかということなんです。 そこで、きょうは北東公庫の総裁がお見えになっておりますけれども、苫東の会社の約四分の一、資本金の六十億の四分の一ですから十五億円を出資なさっております。総裁はこの実態をどう見ておられますか。
○谷川説明員 いま仰せのとおりでございます。四分の一の十五億円を出資いたしております。この出資の総額六十億が事業規模に比べて適正かどうかという点につきましてはいろいろ御意見もございますので、関係の向きとも相談をし、会社とも今後詰めてまいりたいと思っております。 なお、公庫からの貸付金につきましては、いま御説明ございましたように三百八十七億の貸し出しの残がございます。今後公庫からは毎年、いまの計画によりまするとここ当分の間五十億程度貸し出しの増が見込まれます。出資及び貸付金につきましては今後土地の売却を通じまして、できるだけ計画どおり返済あるいは配当ができますよう、会社ともども努力してまいりたい、かように考えております。
○春田委員 先ほど五十五年度、六年度、七年度ぐらいに企業誘致でその売却費が若干入ってくるという話がございましたけれども、いわゆる償還計画はちゃんと明確におつくりになっているのですか。
○大西政府委員 公庫の総裁が御出席でございますので、むしろ私からよりも公庫の総裁からお答えいただいた方がいいのかと思いますが、公庫並びに市中とも、融資を受ける際にそういう条件で契約をいたしておりますので、その計画に従って返済するというふうなことでございますが、その中には、こういうふうなものが売れるであろうというふうなことで計画をいたしておる部分がなかなか見込みどおりに売れないということになりますと、当初融資を受けるときの計画どおりに返済が不可能になるという事態も起こり得るわけでございます。そういう場合については、これは決して望ましい話じゃございませんが、貸し付け条件の一部変更で返済猶予をするというふうなことも、公庫並びに市中ともども要請しておるというふうなこともあったようでございますので、返済計画はあるかと聞かれますと、返済計画は持っておりますが、返済計画どおりに償還に充てる金が入ってこないという場合もないわけではないという状況でございます。
○春田委員 このやりくり状態を直していこうと思って、先ほどおっしゃったように、何といっても企業誘致が最大の条件になってくると思いますけれども、それ以外に出資金の増加とか、また、これは通産省の所管でございますけれども利子補給金の増加とか、この辺の問題も一応対応として考えていく必要があるのではないかと思っておりますけれども、この点どうお考えになりますか。
○大西政府委員 先ほども私、抽象的にはお答え申し上げたかと思いますが、やはり現在あります行財政上の措置を手厚くするというのが一番手っ取り早い対策であろうというふうに考えますので、御指摘の工業団地利子補給等につきましては、これはどの問題だけをやれば苫東会社が抱える問題を打開できるということではございませんで、全体的にいろいろな総合的な対策を考えなければいかぬと思いますが、中でも、その一環といたしまして、いま御指摘の工業団地造成利子補給金の現在ありますものをもう少し手厚くしてもらうというふうなこと等は、私どもも関係機関、通産でございますが、通産とも御相談しながら、できるだけそういう方向に持っていきたいというふうに考えております。また出資の増額につきましては、先ほど公庫の総裁から御答弁があったようなことでございます。
○春田委員 現在この開発計画に対してどれだけの国費が投入されているかという問題でございますが、関連の公共事業も含めて・それから利子補給とか第三セクターに対する出資、融資も含めて、現在までにどれくらいのお金が投入されておりますか。
○大西政府委員 先ほどの基盤整備で五百十一億と申し上げましたが、その他いま先生御指摘の融資も含めて全部で何ぼ国費を出しておるかということになりますと、総計で八百八十五億円ということになります。
○春田委員 これは大臣にお尋ねします。 このように八百八十余億円という膨大な資本投下がされておりますけれども、これでどれだけの経済効果があるかということでございますけれども、大臣、どうですか。
○後藤田国務大臣 まあ苫東の開発計画というのは、もともとが国全体の経済の安定、発展、同時にまた北海道開発の主導的な役割りということであれだけの大計画を立てられたと思います。こういった非常に規模の大きな事業というものは骨太い物の考え方でいくべき筋合いであるということは、基本的に私はそう思うのです。ただ、しかしながら経済の変動その他が、ずっと長い年月かかるわけですから当然あるわけです。ならば、それに対応して、その都度その都度の柔軟な対応策ということも考えなければなるまい。私も苫東の現場も見せていただきましたが、なるほどこれは大変な計画であるが、また大変事業がおくれているということは事実でございます。しかし、やはり当初の基本の計画というものに柔軟に対応しながらも、骨太いやり方で所期の目的達成のためには全力を挙げなければなるまい、こう思うのです。 ところで、現地を見ますと、一番の問題点は、御質問の中にあった第三セクターが大変な利子負担で閉口している、これは何とかせねばならぬということが一点。しかし、さらにその基本は、とにもかくにも企業の誘致、これに全力を挙げて、そして土地を売却していくということが基本だ。ならば、企業誘致の問題ですが、今日の経済情勢ですから、なかなか環境方面、すべてが大変な努力をしておりますが、思うに任せておりません。しかし、やはり企業には企業の資本の論理があるわけですから、それがけしからぬといってもしようがない。やはりそれなりのインセンティブといいますか、与えなければどうにもならぬ。ならば、国としても、あの事業は国家的な事業であるだけに、財政上の問題、税制上の問題、あるいは金融政策の問題各般の問題を考えながら、あの開発の事業に支援を与えていく、そして当面一番困っている問題にメスを入れていくという以外には方法があるまい、私自身はさように考えておるわけでございます。 そういうような意味合いから、何とか企業誘致を急がねばならぬ。幸い、ことしの三月でございましたか、三井関係の、石油の関係の企業がようやく誘致が決まったというわけでございます。同時にまた、あの計画の中にある自動車等についても、明言はできませんけれども、水面下でいろいろな動きもあるといったようなことでございますので、こういった企業誘致にともかく全力を挙げようというのが今日の私自身の考え方でございます。
○春田委員 この問題につきましては、私は昭和四十九年の決算のときも質問しております。その後、五十一年の決算でも指摘がありまして、いずれも議決案として出されているわけです。内閣の責任ある態度を求めて、それに対する内閣の措置が表明されておるわけでございますけれども、今日に至ってまでも一向に前進していないということは、厳しい言い方でございますけれども、開発庁の基本的な姿勢にあるのではないか。今回のこの計画につきましても、当初目標より大幅におくれて五年延長したわけでしょう。その延長された五十八年度の規模も決して明るい見通しではないわけですね。 その間、今日まで七千三百九十四ヘクタールという膨大な土地を買収している。ところが、現時点では工業用地の五%しか土地が売れていない状態で、まことに非効率きわまりない状態と言っても過言ではないわけです。その間、国として八百八十四億円の資本投下を行って、遊んでいる土地の金利がますますふくらんで、そしてその償還計画も定かでない。 こうした、何といいますか、確かに大変なことはわかりますけれども、一向に進んでないこの現況に対して、国民はどう考えるか。非常に物価高で、公共料金のいわゆるラッシュで大変な生活をやっている国民にとって、こうした事業というのは、本当に親方日の丸的な事業であるという見方がされてもこれはいたし方がないと思うのです。 そういう点で、私は、会計検査院の方がきょうはお見えになっておりますので、財政資金の効率的な運用の観点から、これをどう見ているのか、どうとらえるのか、御意見をいただきたいと思うのです。
○小野会計検査院説明員 この問題につきまして、第五局の担当しております北海道東北開発公庫の問題を中心にお答えをさせていただきます。 この苫小牧東部の開発というのは、ただいまお話がございましたように膨大な開発でございます。そしてこの開発につきましては、用地の取得、造成は苫小牧東部開発株式会社が担当しておりますのはお話しのとおりでございます。この用地の取得については、現在まで相当部分はすでに取得済みでございます。 この会社に対しましては、先ほどお話がございましたように、北海道東北開発公庫から五十五年三月末現在十五億円の出資金がございます。それから、私どもの調査での貸付金の残高が三百七十二億円に上るわけでございますが、そういう貸し付けが行われております。 このようにして造成された土地というのは、先ほど御指摘がございましたように、第一次の事業計画におきましては、昭和六十年代にこれを操業を開始するというふうに基本計画はなっております。 こういうふうな基本計画のもとにこの事業が進められているわけでございますが、現在までの用地の分譲を見ますと、火力発電所の用地として約五十ヘクタール、それから石油備蓄基地用地として約二百ヘクタール、それから最近になりまして石油化学コンビナート用地が五十ヘクタール分譲できますので、計三百ヘクタールの分譲予定の面積にすぎない状況でございます。これは先ほどの御指摘のように、計画面積の約五%にすぎないというところでございます。 本院といたしましては、このような状況のまま推移いたしますと、支払い利息の累増によりまして用地の販売原価の上昇は避けられません。このことは用地分譲の促進を阻害する要因にもなるのではないかということを心配しております。 それから、工業を再配分いたしまして地元経済を拡大いたして雇用の促進を図るという目的につきましても、投下した財政資金がその効果の発現が著しく遅延している状況でございます。 したがいまして、このような事態が長期間継続することになりますと非常に問題でございますので、会計検査院といたしましては、今後も十分この成り行きを注目してまいりまして対処してまいりたい、こう考えている次第でございます。
○春田委員 最後に、私はいままで相当厳しい話をしてきたわけでございますけれども、頭からこの開発を否定するわけではございませんし、日本の将来の経済の発展を展望したときも、ある程度必要ではないかと思っております。 立地的にもまた、広大な土地と港を有している苫小牧に誘致されるということはわからないこともないわけです。また、長期計画の困難性もわからないこともございません。しかし、この計画は余りにも実現性に乏しい計画であり、その計画だけがひとり歩きして土地の買収とかが行われているというような感じがしてなりませんし、そういう面では、もっと経済効果を上げるためにも、計画段階で二重三重の検討が必要である、こう思うわけでございます。 そういう点で、財政が厳しい今日、この計画が本当にスムーズに進むように開発庁の一層の御奮闘を願うわけでございまして、最後に大臣の決意を聞いて終わりたいと思います。
○後藤田国務大臣 春田さんの先ほど来の御意見、よくわかります。 そういった点を十分踏まえながら、間違いのない開発を進めていきたい、かように考えます。
○春田委員 続きまして、誘拐殺人事件についてお尋ねしたいと思います。 公庫の総裁もう結構でございます。 時間がございませんので走って聞いていきたいと思いますけれども、今回の長野の寺沢由美子さん、富山の長岡陽子さんの誘拐殺人事件ですが、世界一優秀な日本の警察としては、非常に厳しい注文、批判というのが出ているわけでございますけれども、その批判の一つに、広域捜査の問題が出ております。今回の事件は長野、富山、岐阜を中心に一都六県にまたがった広範囲のものであったと聞いておりますけれども、この広域捜査に対する各県警のセクト主義といいますか、なわ張り根性というものが非常にマスコミからの報道でも指摘されているわけでございますけれども、どのようにお考えになりますか。
○中平政府委員 この事件につきましては、ただいま御指摘のありましたように、非常に広域的な事件であり、現在犯人を検挙いたしまして、捜査は鋭意いま進めておるわけでございますが、しかしその過程におきまして、犯人が非常に動きの速い事件でもありましたし、相次いで二つの事件を犯している、そういうことで、ややその辺において立ちおくれがあったのではないか、こういう御批判をいただいていることも重々承知いたしております。しかし、各県警がそれぞれ全力を出し切って捜査をした、こういうことについては、ひとつお認め願いたいと思うわけでございます。こういう非常に重要な大きな事件になりますと、現在の警察は都道府県警察という単位で動いておりますから、どうしても自分の手で事件を解決したい、こういう気持ちがどうかすると、外から見ているとセクト主義じゃないか、こういう御批判をいただいている点は、この事件もそういう例の一つだと考えておりまして、この教訓は、今後ますます広域化する犯罪に対応していくための貴重な教訓として生かしてまいりたい、こういうように考えております。
○春田委員 長岡陽子さんと寺田由美子さんが殺されたのはいつなんですか。
○中平政府委員 前段の富山県の事件につきましては現在捜査中でございます。ある程度わかっておりますが、これは現在捜査中でございますから、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。もう一人の寺沢さんという方は、誘拐が三月五日の日に行われ、三月六日の朝には殺されていた、こういう状況になっております。
○春田委員 犯人の宮崎と北野に最初に事情聴取したのはどこの県警ですか。
○中平政府委員 事情聴取しましたのは富山県警と岐阜県警でございます。
○春田委員 それはいつの日ですか。
○中平政府委員 三月の八日、九日、十日でございます。
○春田委員 その前に長岡陽子さんの両親ですか、富山署の係員に北陸企画の方へ一緒に行ってほしいということで、その係員の方が二月二十六日、この宮崎と北野に事情聴取したと聞いておりますけれども、その点はどうですか。
○中平政府委員 私が先ほど申し上げましたが、ある程度捜査的感覚で聞いたのが八、九、十日だ。これもいわゆるまだ参考人でございまして、本格的に犯人と決めているわけじゃございません。その前の二月二十六日の段階では、二月二十三日の日に、被害者になられました長岡さんという方が家を出まして、金沢の方へ行って、一応いまから帰りますと言って帰ってこなかった。翌日になって北陸企画というところにアルバイトの口があってゆうべ泊まったんだと言ってその日も帰ってこない。その翌日また、ゆうべ帰る予定だったんだけれども、実は都合があって帰れなかった、こういう電話があったのが二月二十五日でございます。 娘さんが三晩も帰ってこないものですから、一応二月二十六日の日に北陸企画というのを両親が訪ねて行って捜し当ててみたところが、いやそんな人が来た覚えはない、こういうことですから、一応警察の方に届け出といいますか、相談に来たわけでございます。警察はその段階で一応どういういきさつでこの娘さんがいなくなったかという事情を、これは外勤の係あるいは防犯の係の方で一応家出人という感覚で聞いております。
○春田委員 マスコミではこの初動捜査のミスと甘さというのが指摘されているわけでございまして、二月二十六日の最初に会った富山の係員の方がその辺がはっきりわかっていれば、長岡さんがいつ殺されたかわかりませんけれども、この由美子さんと陽子さんの事件はなかったのじゃないかということが言われているわけでございます。その点どうですか。
○中平政府委員 最初の長岡さんは、死体の所見から言うと、かなり早い時点で殺害されている疑いはかなり濃いわけでございます。 それから、ただいまの状況ですが、私も結果的に大変反省しているわけでございますが、私どもの中の事情から若干御説明を申し上げますと、二月の二十六日に御両親から話があったときに、富山署の外勤の係あるいは防犯の係で事情を聞きましたところが、卒業前の娘だからひとつ内分にしてもらいたい、こういうことを御両親から一応頼まれて、新聞報道等には出さずにやっているわけでございます。それから、そのときに、娘さんが日ごろいままで外泊したことがありますかとか、いろいろな事情も聞いているわけでございます。 それで、大体どういうところをこれから重点的に家出人という感覚で捜せばいいか、こういうことで、翌日から六人くらいかけまして、一応駅だとかあるいは娘さんがいままで出入した友人の関係とか、そういうところを一生懸命捜していることは捜しているのです。結果的に言うと、そのときにもう一つ、捜査官はプロだから、警察はプロだから、娘さんがいないというのはひょっとしたら誘拐されて殺害されているかもしれぬ、こういう勘を働かせるべきだ。これは私どもさらにそういう注意をしなければいかぬと思うわけでございますが、現実には、いまの世の中は大変家出人が多いわけでございます。したがいまして、日ごろ防犯の人たちは、そういう家出人の処理について、通常いろいろ話を聞いてルートに乗せることを平素の仕事にしているわけでございまして、そこでもう一つ突っ込むというのは、結果論で大変これは私どもそういうことにさらに気をつけなければいかぬと思っておりますが、なかなかむずかしい問題だというふうにひとつ御理解願いたいと思います。
○春田委員 時間がございませんので、突っ込んだ話はできませんけれども、岐阜と富山と長野県警がそれぞれ犯人の宮崎と北野に疑いを持ったのは大体いつごろなんですか。
○中平政府委員 これは岐阜県で実は死体が発見されたわけでございます、三月六日の日でございますか。それで岐阜県の方で、富山県の方から家出人の手配が来ておりますから、これはひょっとしたら富山の家出人になっている人ではないか、こういうことで、富山県警に照会すると、どうも写真なんかと合致する、そういうことで、翌日両親に来ていただきまして確認をしたわけでございます。そういういきさつで一応わかったわけでございまして、御質問の趣旨をちょっと途中で……。
○春田委員 要するに犯人の宮崎と北野に事情を聴取したのは三県警ですね。いつだったかということです。
○中平政府委員 三月の九日の日に富山と岐阜は合同の捜査会議を開いたわけでございます。合同の捜査会議を開いたときに、先ほど申しましたように、三月の八日に初めて一応北陸企画にいたらしいということがあったわけですから、北陸企画しかつながりがないわけでございますから、この二人に事情を聞いたときに、おまえたち一体いままでの行動はどうだということで、二月二十三日以降のこの二人の行動を聞いたわけです。聞きますと、いや、私どもは長野とか東京の方に旅行しておりました、こういう話が出てきたわけです。したがいまして、これはもしかしたら、長野県でいま報道協定を結んでやっている事件とつながるかもしれない、こういうことで、急拠中部管区警察局から私どもを通じて、私どもの方から長野県警に、もしかしたらこの事件は同一犯人かもしれないぞという連絡をしたわけでございます。同時に、富山県警の方からも、二人を調べた状況をすぐに長野県警の方に連絡しております。この間の連絡は大変うまくいっている、私はこういうふうに考えております。
○春田委員 連絡したのはいつですか。
○中平政府委員 即日でございます。
○春田委員 即日というのは三月九日ですか。
○中平政府委員 さようでございます。
○春田委員 富山と岐阜県の合同捜査本部ができたのはいつですか。
○中平政府委員 三月の九日でございます。
○春田委員 さらに長野を含めた三県の合同本部ができたのはいつですか。
○中平政府委員 合同本部ができたのは——合同本部というのは最終的にはつくっておりません。それは長野県は報道協定を結びまして、報道機関に協力を求めつつ、極秘での捜査をしておったわけでございますから、あくまでも、外向けに合同捜査本部という形はとれないわけでございます。しかしながら、内部的には、三回にわたって私どものところに両県警を招致いたしまして、検討会をやっております。
○春田委員 形の上だけかもしれませんけれども、三県の合同本部らしいものができたのは三月三十日だというふうに報道されておりますけれども、三月九日、長野の方に通知しながら相当、二週間ぐらいあいているわけですね。その辺のものがどうもお互いのなわ張りといいますか、セクトといいますか、その辺があるのじゃないかという形で見られているわけでございますけれども、いずれにいたしましても、時間がございませんので、先ほど、今回の事件では大きな教訓であるということはおっしゃいましたので、それ以上質問は控えたいと思っております。 最後に、今回、特に長野県警の対応が、富山や岐阜に比べて非常におかしかったのではないか。たとえば張り込みですね。高崎駅とか長野駅、喫茶店の張り込みが、事前に犯人にわかっていたとか、そういうことが報道されておりますけれども、警察庁としては、特殊訓練をなさっているみたいでございますけれども、どうも第一線部隊の地元では、年一回ぐらいしかやられていないと聞いているんですね。こうした誘拐事件というのは今後やはりふえてくるのではなかろうかと予想するわけでございまして、こうしたいわゆる特殊訓練といいますか、これはやはり第一線部隊のそういう人たちを対象に、もっともっと回数をふやしていく必要があるのではないか、こう思いますけれども、この点をお答えいただきまして、質問を終わりたいと思います。
○中平政府委員 この種の事件は、大変捜査の困難な、失敗するとこれは人命にかかわる事件でございます。しかも数から言いますと、年間にそうたくさん、各県がそれぞれ毎年経験しておるのではございません。これは率直に申し上げますと、一般の国民の方から見ると、警察は、しょっちゅうあっちこっちで誘拐事件があって、それぞれベテランばかりじゃないか、こういう御印象ですが、現実に捜査をやる人たちは、何年かに一遍ぶっかかるわけでございます。そこには、国民の方々の期待と現実に捜査をやる者との間に明らかなギャップがあるわけでございます。それを埋めるのはやはり教養ということでございまして、警察大学校で、こうした特殊事件の捜査につきまして、各県の指揮官の、大体警部でございますが、これの教育を毎年毎年六十人ぐらい、各都道府県から必ず一人は入ってやっております。 それから、それを受けまして、各県警ではさらにその下の方の教育、私どもの報告では、各県、年に平均して大体五、六回、それぞれ各県警で本部主催でブロック署ごとにやるとかいうことにして、その辺の教育訓練はやっておるつもりでございますが、さらにそういうものを徹底をしてまいりたい、こういうように思っております。
○春田委員 私は、きょうは、そのほかに事業所税の拡大の問題、さらに開発庁の備品の高価買い入れの問題をそれぞれ質問する予定でございましたが、どうも時間が来たみたいでございますので、この問題は次の機会に譲るといたしまして、私の質問を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○高田委員長 岩佐恵美君。
○岩佐委員 私は、きょう、超人口急増地域の問題につきまして質問をしたいと思います。人口急増地域の範疇に入らないほどひどい地域があるわけで、その問題について伺ってまいりたいと思います。 昭和四十年代、首都圏、近畿、中部などで、いわゆるドーナツ化現象、大都市周辺部の人口急増が特徴的にあらわれました。これらの現象は、高度経済成長、列島改造の政策が生み出したものだと考えています。こうした人口急増の結果、それぞれの地方公共団体の財政状況に大きな影響を与えたと思いますけれども、自治省として、この点についてどう考えておられるか、最初に見解を求めたいと思います。
○土屋政府委員 人口急増市町村におきましては、小中学校の整備を初めとする多額の財政需要があることは御指摘のとおりでございまして、先ほどお示しの時期から、これは市町村だけじゃなくて、そういった市町村を抱える県でもそうでございますが、多額の財政需要を抱えて、いろいろな問題が出てきておるということは事実でございます。
○岩佐委員 先ほど、私、超人口急増地域と申し上げましたけれども、人口急増市町村とは、昭和五十年の国調人口が昭和四十五年の国調人口と比べて一〇%以上増加している市町村を言うというふうになっておりますが、たとえば東京の町田市の場合に、同じ期間をとりますと一・二六倍になっています。それから日野市の場合には一・二九倍、それから八王子の場合には一・二七倍というふうに大変な増加率になっています。これを昭和四十年から五十年まで十年間を見てみますと、同じ町田の場合には二・二〇倍、これはもう大変な数になると思いますが、それから日野の場合には一・八七倍、八王子は一・五五倍というふうになっています。この現象は五十年代に入っても毎年続いております。大体三%から五%の割合でふえております。たとえば八王子を取り上げますと、四十八年が一年間で四・七%、これは住民基本台帳で見ているわけですが、四十九年の場合には五・一%、五十年四・九%、五十一年五・四%、五十二年四・八%、五十三年三・八%というふうな事態になっております。こうした人口急増市町村に対して国がいろいろな措置をとっているわけですけれども、この措置について説明をお願いしたいと思います。
○土屋政府委員 ただいまお話のあったような人口急増現象が見えましたことから、国においてはいろいろな人口急増地域対策を講じておるわけでございますが、若干長くなりますが、いまお尋ねでございますので、どういったものがあるかということを一通り申し上げたいと存じます。 一つには、過去三年間の児童の増加数が、小学校の場合は、三百人以上でかつ増加率が一五%以上、五百人以上かつ一〇%以上、千人以上かつ五%以上、こういった形の場合。それから中学校の場合は、生徒増加数が過去三年間で百五十人以上の、増加数で、かつ増加率が一五%以上、二百五十人以上の増加でかつ一〇%以上、五百人以上でかつ五%以上、こういった市町村、いわゆる児童生徒急増市町村と言っておりますが、これに対しまして、一つは公立の小中学校の校舎建築費に対する国庫負担の特例が設けてございまして、通常は二分の一でございますが、三分の二の国庫負担率になっております。 それからもう一つは、公立小中学校の用地取得費に対する国庫補助制度が設けられております。他の地域でございますと、これは国庫補助は、土地についてはございませんけれども、三分の一の用地取得費に対する補助がございます。 それから三番目には、幼稚園の園舎建築費に対する国庫補助の特例といたしまして、要件は、先ほど申し上げた小学校と同じ要件でございますが、通常の三分の一を二分の一という負担率にいたしております。 それからまた、過去五年間の人口の増加数が五千人以上で、かつ増加率が一〇%以上の市町村に対します消防施設の国庫補助の特例、これが通常は三分の一でございますが、この地域では二分の一ということにかさ上げになっております。 さらに、大規模な宅地開発等に伴う関連公共公益施設についての日本住宅公団等の立てかえ施行の制度というものが導入されております。 それから、住宅宅地関連公共施設整備促進事業、これは住宅宅地業に関連する公共施設について別枠で交付されるものでございますが、それが五十五年度予算では、国費で九百億円になっておりますけれども、そういった制度がございます。さらに自治省におきましても、こういった制度とあわせまして地方債なり地方交付税においてそれに対応する所要の措置を講じておる。ざっと申し上げまして以上のような対策を講じておるわけでございます。
○岩佐委員 高校建設費の補助、これもあるのではないですか。
○土屋政府委員 失礼いたしました。高校建設に対しましても、予算補助でございますが補助制度がございます。抜かしまして恐縮でございます。
○岩佐委員 いまの説明を伺っていて一つ気がつくわけですが、たとえば補助の仕方が児童生徒数の増加あるいは消防事業あるいは交付税の補正という基準のとり方、そういうことで補助が出る基準というものが大変ばらばらであるということに気がつくわけですが、なぜ自治省は人口急増地域ということで一つの統一した基準をつくらないのかということについてお伺いしたいと思います。
○土屋政府委員 いまおっしゃるように小中学校の場合と消防の場合とは基準が違っておりますが、結局はその実態に応じた施策のとり方をしようということでございまして、小中学校の場合でございますと、児童生徒ということが基準でございます。消防でございますと、児童生徒というより全般的な人口ということに基準を当てて考えた方が適切である。そういったことからそれぞれの実態に応じた基準のとり方をしておるわけでございます。
○岩佐委員 こういう基準のとり方をばらばらにして日野市に当てはめてみますと、人口増加率で見ると、たとえば児童生徒急増の基準で五十年から三年間を見ると一二%になります。消防事業並みの五年間で見ると二二%増になります。地方交付税の補正の基準で見ると三九%になって、それから地方財政白書のように国勢調査で見ると四五%増になるというふうに、とり方によってかなりばらばらになってくるわけです。いずれにしても非常に高い増加率を示しております。 特に問題なのは、年度内に急増が起きたときに非常に問題が大きく起こってきます。たとえば児童が急にふえるというようなそういうことが起こる場合ですね。そういう場合には、さっき伺ったような基準で措置をされると間に合わない、そういう実態があらわれてくるわけです。特別の地域で特別の条件というのが、先ほどから強調しているように超人口急増地域では突発事故みたいな形でこういうことが起こってくるわけです。ですから、特別交付税の対象としてもいいのではないかというふうにも考えられるわけですが、その点いかがでしょうか。
○土屋政府委員 人口急増地域におきましては、各関係省庁でそれぞれに適切な基準を設けて対応されておるわけでございまして、その点についてはいろいろと、たとえば文部省でございますと文部省の立場から基準は実態に応じて改善をしながら今日に来られたわけでございますので、私どもとしてもそういった基準に従って考える以外にはないと思っております。 ただ、おっしゃいますように、三年間でとっておるが、急にある年に急増してきたというときには間に合わぬじゃないかという御意見では、やっぱりそのとおりだという点もございます。そういった場合はどうするかということになりますと、いまのような制度には乗っておりませんけれども、私どもとしては地方団体全体の財政運営が円滑にいくように措置する立場にございますので、それぞれの地方団体の状況等に応じまして、先ほど特別交付税の話が出ましたけれども、直ちにいまそれでやると申し上げるわけではございませんが、いろいろな手段を講じて、対応する方法は講じていきたいというふうに考えております。
○岩佐委員 先ほどの特別交付税の問題について、これが算定される場合の基礎というものが市町村には示されないということでございます。それが非常に市町村にとっては問題だというふうなとらえ方がありますけれども、繰り返し言うようですけれども、超急増というような深刻な事態であればこそこうした特別交付税というのを活用していく、そういうものではないかというふうに思われるわけで、ぜひともこの点について、交付税の活用という視点で考えられたいということを要請をしたいと思います。
○土屋政府委員 いまおっしゃいました超人口急増というような例もあろうかと思いますが、その需要の中身がいろいろな点で出てくると思うのでございます。多いので急に学校の増築が必要だとかどうとかということになってくるのか、学校だけでなくてその他の一般的な需要が出てくる場合もございます。中身に応じてこれは考えるべきことで、たとえば校舎が至急要るという場合にそれが特別交付税の対象かというと、必ずしもそういうわけにもまいらぬように思いますし、それはそれぞれの団体においてそれぞれの各省とも相談しながら施策を考えていかなければならないと思いますが、思いがけない年度中途に起こったような特別な財政需要については、いろいろな形態に応じて私ども対応できるものがあれば対応したいと思います。ただ、何か施設的なものを直ちに特別交付税で対応するというのは、なかなかルールに乗りにくい面もあるのではないかという気がしておるのでございます。
○岩佐委員 地方公共団体にとって義務教育施設、これはどんなときにもおくらせることができない、これは当然のことでございます。人口急増に対応してどうしてもこのことだけはやっていかなくてはならない。その中でも用地の取得費、これは土地の入手難とあわせて深刻な問題です。人口急増地域であればあるほど地価の急騰、そういうことで大変深刻な事態が生まれております。この深刻な事態に対して用地の取得費の補助が出ているわけですけれども、交付率がつけられて、人口増の最も激しい時期たとえば四十六年には四四%、五十年に六五%、現在は七五%になっておりますけれども、人口急増の激しい時期に交付率が低かった、これは自治体の負担を大変重いものにしたというふうな結果になると思いますけれども、この点、自治省としてどう考えておられるか、御意見を伺いたいと思います。
○土屋政府委員 公立小中学校用地取得費に対します国庫補助につきましては、お説のような交付率の変遷がございます。これは、私どもが直接こういった制度を扱っておるわけではございませんけれども、われわれの立場から申しますと、交付率についてはできるならこれを廃止してもらいたいということを毎年申し入れをしておることでございますので、改善方は当時から思っておりましたし、いまもそういうふうに考えておるわけでございます。
○岩佐委員 そこで文部省に伺いたいのですが、交付率を設けた理由、これは何でございましょうか。
○横瀬説明員 児童生徒急増市町村の用地取得費に対します国庫補助制度は、ただいま御説明がございましたように、昭和四十六年度から時限的な、臨時的な措置として行われておるわけでございます。 この補助制度の設定されましたときの趣旨でございますが、児童生徒急増市町村は、学校用地を一時に大量のものを取得しなければならないというところが一般の市町村と違うところでございますが、そこで一般の市町村に対しては補助制度がない、そういう状態のところでございますので、児童生徒が急増しておる市町村が一般の市町村の負担分を超えて一度に必要になってくる財政需要、これに対して補助をやろうというような趣旨で設定されたものでございます。したがいまして、交付率というのは、一般市町村との均衡を考慮いたしまして、一般市町村の負担分を超えた分というものを算定いたしまして、それを交付率というふうに形にあらわしまして、補助基本事業費に掛けていくというやり方をとっておるわけでございます。
○岩佐委員 人口急増というのは、最初に私が申し上げたように、地方自治体が別に好んで人口急増を導いているというわけではなくて、国の政策の結果生まれてきているものです。だから、他の自治体とのバランスをとってそうしなければならないという意味はないというふうに私は思いますし、大体、交付率そのものをつける意味は何にもないというふうに思います。これは自治省もそういう見解だというふうに先ほど伺っているわけですが、これに対して自治省は、いままで廃止をするためにどんな行動をされてこられたのか、また今後どうされていくのか、そして関係省庁はこれにどんな対応をしてきているのか、その点について説明をしていただきたいと思います。
○土屋政府委員 こういった問題は、政府部内で総合的な施策の中で判定されるわけでございます。それぞれの立場で意見は申し述べます。私どもといたしましては、地方団体の立場に立ちまして、交付率は廃止してもらいたいということで、毎年二回、最近も引き続いて申し入れをしておるわけでございますが、直接の所管ではございませんで、文部省は文部省の立場もございます。そういった中で、総体的な予算編成時期までにいろいろと議論をして決まっていくわけでございますが、残念ながら、私どもが主張しておったことはまだ解決しておりませんが、それは政府の内部で十分議論した結果でございまして、私どもとしては、今後ともいまのような考え方は、文部省のみならずその他の関係当局にもぜひ要請をしてまいりたいというふうに考えております。
○岩佐委員 用地の取得費補助では、三年分割払いになっているわけですが、これはつなぎ資金を必要とすることになります。一時借り入れや起債など地方自治体に非常に負担になっているというふうに思いますけれども、その点、自治省としていかが考えておられますか。
○土屋政府委員 ただいまの用地費に対する補助金につきましては、三年分割交付方式がとられておりますが、その方式が継続される場合におきますつなぎ資金に対する利子補給について、利子補給措置を講ずるように私どもは関係の省庁に要請をしておるところでございます。できるだけそういうことが実現すればありがたいというふうに考えておるわけでございます。
○岩佐委員 その点について、文部省の方はいかがでしょうか。私は、三年分割払いということはやめるべきだし、またそれが続いている間は、一時借り入れに対する利子補給はすべきだというふうに思いますけれども、その点はどうでしょうか。
○横瀬説明員 この用地取得補助金は、先ほど申しましたように、昭和四十六年度に設けられまして、これは五年を一応時限にいたしまして、五十一年度に一度更新をして現在に至っておるわけでございます。この補助金は、そういった非常に児童生徒の急増期が切迫しているようなときに設けられた制度でございまして、特例中の特例だというような形でつくられたものでございます。最初の四十六年に設定されましたときに、学校整備の実態がございまして、最初の年度は買収を行うわけでございますが、最終的に学校用地として確定するまでにはいろいろなトラブルがあるというようなことで、相当長期間かけてやらないと最終的な確定ができないだろうというような見地もございまして、三年分割制度というものをつくられたわけでございます。当時は予算の面も非常に少なかったものでございますので、最初のそういった事情も恐らく加味されてつくられたものだと思いますけれども、それで現在に至っているわけでございます。これは三年を変更するということになりますと、一時にたくさんの予算が要るということは当然でございます。そういったことから、現実にはなかなかむずかしい。そしてこういった学校の施設に対する補助金の要請、改善の要請というものがほかにもいろいろございますので、なかなか達成することはむずかしいというのが実情でございます。
○岩佐委員 日野市の例を申し上げますと——私がちょうど日野市に住んでいるものですから、日野市の例ばかり引かせていただいておりますけれども、五十二年度三校分の用地を取得して、用地費に対して国からは二一%しか来ない。七二%を地方債で賄っています。三年分割払いとそれから交付率とで負担は二重になってくるわけです。また、将来の社会増を見込んだ児童数で見ていないために、たとえば来年度以降必ず学校の新増設が必要だというふうにわかっていながら、補助がつかないから当年度にプレハブを建てておくなどの二重投資もしばしば見受けられます。児童生徒数は社会増を予測して補助を与えるべきだと思いますけれども、その点、文部省の考えを伺わせていただきたいと思います。
○横瀬説明員 用地取得費の補助につきましては、その学校が建てられる時期の前々年度まで補助対象になるという形をとっておりまして、そして現在のところは、補助金の金額の面では市町村の計画に十分耐えられる程度の規模になっていると私は承知をしております。したがいまして、計画を行います市町村の側でそういう時期を見通して計画されますれば、補助金の面では、現在の時点では十分対応できるというふうに考えております。
○岩佐委員 そのことは、三年間の増加を見て、それを考えに入れているから大丈夫だということですか。三年先を見ているということですか。
○横瀬説明員 さようでございます。
○岩佐委員 それから建設費でも、対象差、単価差、数量差がまだかなりございます。先日二十三区の特別区政調査特別委員会、通称特特と言われているわけですが、この委員会の方々が陳情に来られて、たとえば練馬区では五十二年度の小学校校舎建設費にかかる超過負担比率が対象差で四・二%、単価差で四・六%、数量差では一八八・七%だというふうに言っております。それから世田谷でも、公立保育所施設整備費で超過負担率が数量差で二七・三%、対象差で二七・九%、単価差が一〇〇・八%というふうに言われています。人口急増地では、こうした超過負担が財政を大変圧迫している割合が高いわけです。思い切った改善が必要だと思いますが、文部省の方としてはどうお考えですか。
○横瀬説明員 私の方で担当しております公立立教施設の整備事業に係りますいわゆる超過負担の問題につきましては、大体昭和四十九年以来からずっとその解消に努力を払ってきておりまして、これによって補助単価とかあるいは補助面積を年々拡充をしてきているつもりでございます。単価につきましては毎年物価上昇に見合う改定を行っておりまして、ことしの場合には前年度に比べて六・六%の増であった。それから建築面積につきましては、五十三年度に小中学校の補助基準面積を約一六%引き上げました。その後特殊教育学校にこれを行いまして、ことしは小中学校の屋内体育館について、小規模のものについてでございますが引き上げを行っております。このようにやりました結果、私どもの把握しておるところでは、補助対象面積について、あるいは単価の面についてはほぼ実情に合った情勢になっているというふうに考えております。 それから補助対象、対象差とおっしゃいました対象の問題でございますが、この補助金は義務教育諸学校施設費国庫負担法という法律に基づいて負担をしているわけでございますが、この制度の中では、建築費にかかる分についての補助を行うというたてまえになっておりますので、建築費に入るものについてはできるだけ対象にするという方針で臨んできておりまして、昭和五十二年度に門あるいはさくとか渡り廊下、そういうものを含めたわけでございまして、現在のところそういう制度上の対象になり得るものについてはほぼ対象に取り込んできたというふうに私どもは理解しております。 なお、今後ともいろいろな御要望がございますので、そういった面について十分検討してまいりたい、このように考えております。
○岩佐委員 人口急増市町村では、地方財政中に占める地方債の比率が高まる傾向にあると思いますけれども、その点いかがでしょうか。
○土屋政府委員 過去の例を見ましても、急増地域では特にこの小中学校等の増設等の必要性がございますために、国庫補助がある分につきましても裏負担ではどうしても起債ということに相なりますので、そういった傾向はございます。
○岩佐委員 資料によりますと、一般市町村に比べて人口急増市町村の地方債の現在高の割合、これは五十三年度で見た場合高くなっているわけですけれども、超急増のところではもっと深刻だというふうに思います。たとえば八王子市の例を見ますと、同じ五十三年度ですけれども、八三%になっているわけです。こういうデータを自治省として、急増地域の具体的な事例を持っていらっしゃるのかどうか。もし持っておられれば出してほしいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○土屋政府委員 私どもといたしましては、地方団体の財政が円滑に運用されるようにということで、いろいろと地方団体の財政状況には気を使っておるつもりでございまして、中には起債制限団体ということも出てくるわけでございますので、そういった意味では、それぞれの府県を通じて常に情勢は把握いたしております。ただ、いまおっしゃいました数字がすぐ出るかどうかについては、ちょっと私確認ができませんでしたので、もし具体的な問題でございましたら、後ほどでも言っていただきましたら、私どもができるものはできるだけ準備をいたします。
○岩佐委員 そうすると、自治省としては全体は、人口急増市町村について、これは五百十団体あるようですが、平均値としては出てきておりますけれども、個々についてもデータをつかんでおられる、それは見られているということですね。
○土屋政府委員 先ほども申し上げましたようなことで、一通り私どもの方としては資料をとって、特にこのいまの起債制限団体になるかならぬか、そこらは非常に大きな問題でございますので、そういった公債費比率の高いところとかどうとかというものは全部把握はしております。
○岩佐委員 そして、必要があればその資料はいただけるということですね。
○土屋政府委員 資料はございますので、必要なものでございましたらおっしゃっていただきたいと存じます。
○岩佐委員 先ほども申し上げましたけれども、義務教育施設は待ったなしでございます。財政上、これが大きな比重になっていることも繰り返し確認をされてきているところですけれども、地方債の中で、たとえば資料によりますと、五十二年度末の地方債現在高の目的別構成比の中で、義務教育施設整備事業債は平均値一二%です。これがたとえば超人口急増の日野市では約六〇%にもなるわけです。七〇%のところもあるというふうに聞いています。これは言いかえれば、義務教育費以外の、たとえば下水道、道路、保育所、あるいは集会所、都市施設、社会施設、そういうものが起債によってもなお不十分であるということを逆に示しているのではないかというふうに私ども数字から思うわけです。旧市街からいろいろな事情でドーナツ地帯に移り住んでいく人々にとって、転居をするということがサービスの低下になってしまう。下水道や道路や、あるいは文化施設、あるいは保育所、集会所、そういうものの恩恵は受けられないわけですから、生活が低下をしていく。国民はひとしく最低の文化的生活を営む権利がある、そういうことから見ても、この起債の中で特に義務教育施設、そういうものが非常に全体を圧迫しているというところについては問題があるし、それから、この点については抜本的に改善をしていくべきではないかというふうに思うわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
○土屋政府委員 人口急増地域は、まさにいまおっしゃいましたように、急激に人口がふえることから、いろいろな施設の準備が間に合わないということがあるわけでございまして、それはその都市サービスが低下したところへ行くことになるのだということでございますけれども、いろいろな要素によって、人口が先ほどおっしゃいましたようにドーナツ現象で周辺に散らばっていく、その過程でおっしゃるような急増地域というものが出てくる。その場合における需要に全般的に直ちに対応するということはなかなか容易ではないわけでございます。これはもう小中学校だけの問題ではなくて、その他のいろいろな都市施設においてももうすべてそういったことになるわけでございます。そういった意味から、先ほどから申し上げておりますように、いろいろな施設での国庫補助負担のかさ上げとか立てかえ施行制度の拡充強化とか、地方債の拡充等も含めまして、またその地方債の返還に当たっての元利償還費は交付税で見るとかといったようなことで、ほかの地域と異なった特別な措置というものを講じておるわけでございます。それでもなかなか追っつかぬという場合もあることはこれはやむを得ない点がございます。私どもとしては、今後ともそういった点についてはできるだけの措置を講じて対応していかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
○岩佐委員 人口急増市町村では、地方債の現在高が一般会計当初予算の規模に匹敵するほどにふくれ上がってきています。日野市の五十三年度ではこの比率はおよそ八〇%、八王子市では先ほど申し上げたように八三%となっています。長期にわたるスタグフレーションのもとで税収の伸びがとまって、地方交付税補助金も伸びていないわけで、支出がふえるという状況のもとで地方債の比率が年々高まって財政が一層悪化する、そういう現実の問題の中で自治体は大変不安な状況に置かれているわけです。こういう自治体に対して一体どうしたらいいというふうに考えておられるのか、ひとつ方針というものをお示しいただきたいと思います。
○土屋政府委員 ただいま人口急増地域のお話でございますが、全般的に見れば御承知のように国、地方を通じての非常に収支の不均衡という状況になっておりまして、全般的に地方債の現債高というものが非常にふえてまいっております。普通会計だけでも五十五年度末には二十九兆にもなろうということでございますから、現債高自体で見ればかなりの地方団体が相当な額に達していることはやむを得ない。また、御承知のように最近では、交付税が不足したために暫定的な措置として財源対策債等も発行しておることもございまして、全体として現債高が高まっておるということは否めない事実でございます。そういった中で人口急増地域においては義務教育施設等の準備のためにかなり現債高が高まっておる、これもまた事実でございます。私どもとしては、全体としての地方財政対策、いまの地方財政の収支の不均衡の状態というものを早く直すということ、これが基本的な姿でございますが、そういった中で特にこの人口急増地域における特別な措置というもの、それはたびたび申し上げましたように、いままでも講じてきておりますし、先ほどちょっと、詳しくは申し上げませんでしたが、元利償還金の六〇%、これは交付税で措置をしておるというかなり手厚い見方などもしておるわけでございますから、できるだけの対応はしておるつもりでございます。 今後どういうふうにということになりますと、国庫補助制度の充実ということはまず一つの方法でございましょうが、必要な地方債資金について長期、低利の政府資金を優先配分するということにしたい。たとえばいまの義務教育の用地費あたりにつきましては、国庫補助の残りの地方債は全部政府資金で充てるようにいましております。今後ともそういう措置を講じなければなりませんし、あわせてその団体の実態に即した計画的な財政運営を行いますように、関係都道府県を通じまして十分指導してまいりたいと思っておるわけでございます。そういったことで、人口急増という要因によっていろいろな問題を引き起こすということのないようにできるだけ努力をしてまいりたいと思っております。何せ最初に申し上げましたように、全体がいま、いわば巨額の赤字の穴埋めのために借金をしておるという地方財政の状況でございますから、根本的にそこから改善していかなければなりませんけれども、人口急増地域につきましてはいま申し上げましたようないろいろな方法を講じまして検討してまいりたい。特に、さっきおっしゃいましたように、同じ人口急増地域でも条件がそれぞれ非常に違って、そこの地域の独特な条件によってこういう事態になっておるといったようなものもございます。そういったことは、私どもはできるだけ問題が大きくならないように、関係府県の意見を聞いて、個別にも相談に応ずるように実は努力はしておるつもりでございます。今後ともそういったことについては十分配意をしてまいらなければならないというふうに考えております。
○岩佐委員 歳出中に占める公債費の割合、つまり過去の地方債の元利償還あるいは一時借入利子などの比率も高まっていることは、これは事実を確認しているところですけれども、日野市では四十八年に三・八%だったのが五十三年には七・三%にふえております。八王子では三・八%から一〇・六%へと増加しております。こうした増加傾向を見ていると、公債費比率が著しく高くなって地方債制限が現実に問題になろうとしている高槻市やあるいは交野市の例があるようですけれども、今後こうした例が増加していくのではないだろうかというふうに危惧をされるわけです。それに債務負担行為もあるから、結局当年度事業に財源不足を生じて再び地方債を起こす結果を招くというふうになっています。日野市の五十二年度決算の一七%、五十三年度決算の二〇%、これは前年までの地方債の償還あるいは債務負担行為の処理というふうに、過去への支払いになっています。このような状況を生み出したのは、冒頭にも確認をしているように、人口急増を生み出す政策をとってきた政府の責任であろうというふうに思いますし、また適切な時期に適切な対策を持たなかった結果ではないかというふうに私ども考えております。ですけれども、政府はいまからでも手を打って負担を軽減すべき責任が当然あると思いますし、自治省としてこの点どう考えておられるのかということをお伺いしたいと思います。
○土屋政府委員 確かに仰せのように、高度成長期に集積の利益を求めて非常に大都市へ集中してきた、そのために過密過疎問題というのが出てまいりまして地域によっては大変な人口急増現象というのが出てまいりました。先ほどからたびたび御指摘のような状態がございました。そういったことで、私どもとしてはできるだけそれに対応するということで、通常にないような国庫補助負担のかさ上げを関係省庁にお願いをして、かなり実行に移してもらっておりますし、立てかえ制度の拡充強化とか地方債の拡充等の措置を講じておるほかに、すでに発行いたしております地方債の償還について、義務教育施設整備事業債の元利償還金の六〇%相当額を算入する、義務教育の用地費についても元利償還の六〇%を算入するといったようなことで、私どもとしては対策としてはかなり手厚い措置をとってきたつもりでございます。 しかしながら、いろいろなそういったことがあったにいたしましても、いわゆる起債制限比率が二〇%以上になって一部の地方債の発行を制限されるといったところも事実出ておるわけでございます。それは先ほど申しましたように、それぞれ独特のあるいは固有の事情がございまして地方債の制限を受けるということになっておるわけでございますけれども、私どもとしては、いまのような制度をさらにできるだけ拡充してまいりたい。今後、その用地に係る国庫補助制度等についても、先ほど交付率等の問題もございましたが、できるだけそういったことも充実を図るということにしてもらいたいし、地方債資金についても長期、低利の政府資金を優先配分するといった措置も講じたり、それぞれの団体の財政運営についても関係府県を通じて個々に適切に対応してまいりたいと思っておるわけでございまして、今後人口急増という要因によってそういうことになったのだということがないように十分配慮したいと思っておるわけでございます。 たとえば、日野のことは私ちょっと詳細には資料を見ておりませんが、高槻市とか交野市あたりが二〇%以上になっておりますが、いまのようないろいろな手段を講じました結果、きわめて近い将来にこういうところも起債制限団体でなくなるであろうと私どもは見通しを立てておるわけでございます。何せ人口が急にふえていきますといろいろな手段を講じましてもなかなか一挙に対応できないという事態が起こっておったことはもう事実でございまして、その点は遺憾に思っておりますけれども、私どもとしては、いままでの措置をさらに拡充することによってより適切に対応できるような体制に持っていきたいと心から念願しておるわけでございます。
○岩佐委員 地方債に対する利子補給とか縁故債の政府による肩がわりだとかあるいは償還期限の繰り述べ、こういうことを積極的にしていかれるべきだというふうに思いますけれども、その点いかがでしょうか。
○土屋政府委員 おっしゃいましたことも含めていろいろ検討いたしまして、できるものはやっていきたいと思っております。それぞれの団体で借りかえ債の問題が起こる場合もございますし、いろいろあろうと思います。そういった点につきましては、実態に応じまして十分相談に乗っていきたいと私どもは思っております。ただ、いろいろな条件がございますので、やれることやれぬこといろいろあろうかと思っておりますが、私どもとしてはできるだけの応援ということはいたしたいと思っております。
○岩佐委員 あと細かい点についてちょっと伺っておきたいと思います。 公立小中学校用地取得費補助、これは五十五年に切れるわけですけれども、五十六年度以降実施すべきだと思いますが、この点についてのお答えをいただきたい。 それから、この用地取得費補助に対する交付率、先ほどからいろいろ議論をしてきたところですが、一〇〇%にすべきだということを要望したいと思います。 それから、現在分割して補助している過程にあるところには新しい交付率を適用して最終年度に精算すべきである、この点について伺いたいと思います。 それから、急増指定から外れた地方公共団体に対する公立小中学校施設に対する特別助成制度の経過措置を一年間でとどめるのではなくて、対象が完成するまで続けるべきであるというふうに思います。その点についてのお答えをいただきたいと思います。 それから高校建設補助も五十五年度までになっておりますが、今後も続けるべきであると思いますが、この点いかがでしょう。 それから、用地については現在対象になっておりません。この点もあわせてお答えをいただきたいと思います。 この点についてそれぞれ、文部省関係もあると思いますので、分けてお答えいただきたいと思います。
○横瀬説明員 ただいまの御質問に対しまして順次お答えいたします。 用地の取得費の補助の今後の継続の問題でございますが、これは先ほどから申し上げておりますように、昭和五十一年度から五年間の措置ということで予算補助をやってきております。五十六年度以降の取り扱いにつきましては、これは今後児童生徒の全国的な趨勢は、小中学校の合計で申しますと五十七年度がピークになるというようなことがございまして、今後この急増市町村の増高がどのようになるかということが一つ大きな問題でございます。それと教室不足の解消の状況、それから国、市町村の財政状況、そういうものを勘案していくことになるかと思いますが、いずれにいたしましても五十六年度の予算要求の重要な課題でございますので、私ども事務当局といたしましてはこの辺を十分調査の上態度を決めていきたい、そういうふうに思っております。 それから交付率の問題これは先ほど申しましたように、交付率というものに対する考え方が一つございまして、事務的にはその制約を受けておりますので、一般市町村との均衡を数字的に把握いたしまして決定していくということになるわけでございますけれども、市町村からの要望が非常に強いという実情は重々承知しておりまして、できる限りその交付率の引き上げが可能な場合には努力をしていきたいと考えております。 それから高等学校の新増築の補助金につきましては、これも昭和五十一年度に創設されまして五年間の時限措置で実施されてきたものでございます。これも用地の場合と同じように五十六年度の予算要求の重要な課題でございますので、同じような検討をいたしまして今後の結論を得ていきたいと考えているところでございます。 最後に高等学校の用地の問題でございますが、これは用地が非償却財産であるというようなことから、一般的に国庫補助の対象になかなかなりにくい面がございます。小中学校にいたしましても、急増市町村についてのみ、それに限って実施しているというような実情もございますので、高等学校の場合、設置者が都道府県であるというのが原則でございますし、非義務制であるというようなこともございまして、なかなか市町村の場合と同じように考えることがむずかしいわけでございまして、この点は国庫補助の対象にするということはきわめて困難なことだというふうに事務的には考えております。 指定有効年限の問題でございますが、これは先ほど申しましたように、児童生徒の急増現象の傾向というものが今後だんだんに変わってまいりますので、これまで急増市町村であったものがそうでなくなるというようなケースがだんだんふえてくるわけでございます。それで急増市町村である間に本来整備すべき学校の整備がいろいろな面で、土地の取得とかそういった複雑な面でおくれがちになるというような実態を考慮いたしまして、これを延ばしてほしいという強い御要望があるところでございましたので、本年度から一年その有効期間を延長したというわけでございまして、先ごろ政令でそれを公布したところでございます。これにつきましては、ことしそういう措置をとったわけでございまして、今後どういうふうにその効果があらわれてまいりますか、十分事態を見守りながら考えていかなければならない問題だと思いますが、本年度とにかく一年延ばしたというようなことで措置をしたつもりでございます。
○岩佐委員 最後に大臣にお答えをいただきたいと思いますけれども、人口急増地対策、これは非常に重要であるということで私ども以前から強く主張してきて、そして人口急増地対策の法制化をすべきだというような主張をしてまいりました。先ほど申し上げたように、超人口急増地域では大変深刻な状態が生まれてきているわけです。ところが政府は、最も立法化が必要なときに統一的な取り組みをしないでばらばらの対策に任せていた。ですから現在のような問題が発生をしてきたというふうに思います。 現在の人口急増にかかわる財政危機、これは繰り返し申し上げておりますけれども、自治体がみずから招いたというよりも国策の結果、国の政治の結果生じたことであるというふうに言えるわけで、先ほど、過去にさかのぼっても自治体の窮状を見て救済すべきだというような私の提案に対して、お答えとしては、できるものとできないものとあるので取捨選択してというふうなお話でありましたけれども、それは確かにできないものをどうしてもやれということはむずかしい場合もあるでしょうけれども、私は、基本的にはすべて国の責任であるのだからやるのだというところに立脚をして、そしてこの問題について自治省が積極的に解決をしていくべきである、とりわけ超人口急増地域の深刻な実情については認識を改めて、確認をしていただいて、積極的な対策を心から希望したいと思いますけれども、その点についてのお考えを最後に伺いたいと思います。
○後藤田国務大臣 人口急増市町村、今日財政的に非常にお困りになっているということはよく承知いたしております。ことにその中身を見れば、やはり小中学校の問題、幼稚園の問題、つまり文部省関係の経費ですね。それからもう一つは社会福祉関係の施設があると思うのです。それともう一つは、やはり生活環境をよくするための公共施設の整備、こういったようなことで人口急増市町村としては大変お困りになっておる。そこで政府としましては、従来からそれぞれ各種の法律の改正であるとかあるいは自治省関係の交付税あるいは起債の措置といったようなことで今日まで対応してきておるわけです。私は必ずしもそれで十分とは思っておりません。したがって、それらを踏まえまして、できる限り今後の人口急増市町村の財政対策、これの施策の推進を図っていきたいと思います。 ただ、法律をつくれということですけれども、これは一つの御提案だと思います。傾聴すべき御意見だと思いますが、実は私は最近のいろいろな法律を見てみまして、人口急増市町村が出ると法律をつくれ、それから過疎対策になると法律をつくれ、その真ん中の地域は何かといえば、やはり広域市町村圏であるとかモデル定住圏でこれまた法律をつくれ、結局よくよく考えてみれば日本全体が平均化してしまったというような傾きがあるのですね。私は、これも一つの方法だと思うけれども、やはりもう少し実態に即した財政措置というものをやることが一番肝心なのではなかろうかと思うのです。 たとえば、いま文部省からいろいろ御答弁申しておられた、こういったような問題、超過負担等の問題とも絡みまして、それぞれの省にはそれぞれの立場がある。そしてまた改善措置を講じておる。それはよくわかるのだけれども、たとえば義務教育の諸学校について、従来用地費というものはどこの町村の学校にも出しておらぬのだ、それが基本の原則だ。ならば、それとの関連において、交付率は七五%です、国庫補助は三分の一です、よくよく計算してみれば二五%、それならば初めから四分の一としたらいいじゃないかという議論だってできるわけですね。しかも根本の考え方がおかしいのです。私は率直に言いましてそう思う。用地費を出さないというのは、学校それから警察がそうですよ。これはどういうことかというと、日本の市町村というのは本来はゲマインシャフトなんですよ。だからわれわれの村の治安は自分でやろうじゃないか、われわれの子供の教育はわれわれの手でやろうじゃないか、これで明治時代から来たわけです。それがずっと流れておる。今日、それじゃ一体、人口急増市町村にしろ、田舎の市町村だって、本当にゲマインシャフトの考え方があるかというとそうじゃない。ならば、やはり義務教育というのは国が半分負担をする、同時に市町村も半分負担をするというのならば、学校を建てるのに一番金がかかるのは土地代なんですよ。こんなものあたりまえですよ、土地代を出すのは。(笑声)皆さんお笑いになるけれども、これはもう二十年も前から争っているのですよ。これは大蔵省が絶対引かない。文部省じゃありませんよ。しかし私はこういうようなところにこそ本当のなにをやりたい、私はそう思っている。 そこで一番の問題点は、人口急増市町村の学校の問題で、四十人学級があるのです。それが一番困る。そこで私は、四十人学級というのは教育のためによろしい、財政当局は反対があるけれども賛成しましょう、しかし条件があります、それは人口急増市町村のこういった学校については、土地代がいまの補助ではできませんよ、これが条件ですよということで、私は閣議で発言してあるのですよ。そういったような基本の問題がございますから、そこらを踏まえまして、あなたのおっしゃることはよくわかる、よくわかるだけに大変むずかしい仕事ではありますけれども、自治省としてはそういう考え方で臨んでいきたい、こういうように考えております。
○岩佐委員 終わります。
○高田委員長 中野寛成君。
○中野(寛)委員 自治省に関する決算審査でございますから、窓口はきわめて大きく、地方財政から行政改革、そしてまたその他事務の再配分等々論議をしていけば切りがないわけでございますが、ただいままでの論議の中でそれらの問題についても触れられておりますので、あえて論議を繰り返すことは避けたいと思います。ただ、そういう問題意識を持っている中で、やはり財政負担に関連をいたしますけれども、消防の関係のことで具体的な問題として一点だけ触れておきたいと思います。 さて、昭和三十六年に消防力の基準というものが設けられております。この消防力の基準とはどういう趣旨で、そしてどういう決意をもって設けられたのか、端的にお答えをいただきたいと思います。
○近藤(隆)政府委員 御承知のように、現在の消防は市町村消防でございます。それぞれの市町村が自分のところの町に住んでおられる方の生命、財産を守るためにはどの程度の消防力を持つのがいいかということは一番よく知っておるわけでございます。しかし、国といたしましても一定の基準を定め、それを基礎といたしまして各市町村が実態に合わせて自分の町のあるべき姿を描くのが適当ではないかということで、三十六年に国として消防力の基準をつくったわけでございます。具体的には、それを基礎といたしましてそれぞれの地方公共団体が自分の町の消防力の基準というのをつくっておりまして、私どもその基準を達成すべく年々努力しておるということでございます。
○中野(寛)委員 確かにこの消防力の基準第一条を見ましても、「この基準は、市町村が火災の予防、警戒及び鎮圧並びに救急業務等を行なうために必要な最少限度の施設及び人員について定めるものとする。」こう書いてあります。「最少限度」ということでありますから、少なくともこれは基準が一〇〇%満たされませんとその目的を十分に発揮することができないということを意味するのだろうと思うわけであります。消防庁からこの基準と照らし合わせて現有数、そして充足率についての資料をいただきました。もう一々読み上げるのはやめます。五〇%台あり六〇%台あり、正直言って惨たんたるものです。そしてまた、私どもも地方議会の経験もございますから、折に触れて地方自治体等に、その基準に照らし合わせて充足率が低いではないかということをここ何年間にもわたって要望してきたことも事実です。そのたびに自治体の担当者なり関係者の皆さんはどういう表情をするかといえば、ああ、あの基準ね、あれはどうにもならぬですわとお答えになるのが大体最近の傾向であります。むしろもう笑い話化してしまっている。その充足率の数字を見るだけでそれは笑い話化してしまうというか、もうあきらめに近い。結局何のための基準なのかさっぱりわからぬ、これが実態ではないか。確かに御努力の成果を得て、その充足率が遅々としてではあるけれども上がりつつあることは事実です。それは認めますが、しかし何のための基準であり、そして何のための充足率であるのか、本当にさっぱりわからぬというのが現実ではないか、こう思うわけでございます。 そこで、御答弁の中にもございましたように、自治体消防、市町村消防、しかしそのことが国の責任を回避する口実に少なくとも使われてはならぬ、私はこのように思います。少なくとも国が基準を設けて、そしてそれが最低限度の基準だとするなら、その充実に向かって国も協力をしていく姿勢というものが当然必要ではないか。 幾つかのことを事例として申し上げたいと思います。 最近の町の形態は、高層ビルが立ち並び、危険物施設の増加が目に見えて大きくなっているわけであります。しかし、いまの市町村の財政は、先ほど来の御指摘もありますように、大変厳しい。まして、財政規模の小さい町においても、最近の化学車だとかはしご車だとか、きわめて機能の高いものを用意しなければならぬ、しかしそれは高い、こうなりますと、なかなかそれは即座に用意ができるというものではないわけであります。そのためには、これまた補助率のアップだとか補助基準の基準額の引き上げだとか、そういう希望が当然出てくるわけであります。そのあげくには、たとえば防火水槽について市町村負担の軽減を図るために用地取得費についてもこれまた補助対象とされたいという要望が出てまいります。また防火水槽について、結局、市街地用と道路用の区分けがあるようでありますけれども、これとても市街地に置くからといっていいかげんなものを置くわけにはいかぬ、むしろ道路用はかなり強固なものを置かなければいかぬ、そういう判断が出てくる。そうすると高い。そして基準額と補助対象経費との著しい差が出てくる。こういうものが次々に指摘されるわけであります。こういう問題についてどうお考えか。 それからもう一つは、ちょうどいまの時期は消防庁舎、消防団員詰め所等々、こういう施設が建てかえの時期に来ている。戦後ばあっと建てました、用意しました。ちょうどいま建てかえの時期に来ている。別にこれについて用地取得費を出せとは急には申しません。自治大臣のお考えは先ほどわかりました。しかしながら、せめて施設の老朽化が激しく、消防職団員の環境改善を図る上からもこれらの施設に対して補助対象とする措置ぐらいは必要なのではないだろうか、強く要望したいし、私ども心からそう思うものであります。 それからもう一つ、先ほどのはしご車等々の問題とも関連しますが、安全確保のために定期点検、オーバーホールが必要であります。ところが買い入れるのも高いですけれども、このオーバーホールがべらぼうに金を食うわけであります。一台一回一千万なんというような話が出てくるわけであります。こういうものにつきましても補助対象になっていないわけであります。いろいろの問題がいま起こっておるわけでありますが、いかがお考えでしょうか。
○近藤(隆)政府委員 個々の問題にお答えする前に、消防力の基準について少し弁明させていただきたいと思います。 現在私ども、消防力の基準についてそれぞれの消防施設何パーセント充足しておるかという場合に、各地方公共団体がそれぞれの町の消防力の基準と言っておるものを集計いたしまして、それに対する充当率を実は申し上げておるわけでございます。私どものつくっております全国一律的な消防力の基準というのは、人口であるとか人口密集地区、そういったものを基準といたしまして標準的につくっておりますので、機械的にそれに当てはめますと、充当率というのは非常に上がってくるわけでございます。ただ、御承知のように個々の地方公共団体それぞれみんな形が違っておるわけでございまして、私どもの基準のままで直ちに適用いたしますと実態に合わないことになる。したがって、その基準を参考といたしまして、基準では消防署の数はたとえば三つでいいけれども五つ要るとか、そういうことを前提としてそれぞれの地方公共団体が消防力の基準をつくり、五カ年計画でもってこれを達成すべく努力しておるわけでございます。ここ数年来、地方公共団体が要望しております消防施設につきましてはほとんど満額と言っていい形で国庫補助金を確保し、充当いたしております。したがいまして、国としても責任を果たしてないわけではございません。 それからなお、消防力の基準につきまして、それぞれの地方公共団体が自分の町のあるべき消防力の基準をつくり、それを目指して整備していくということは決して悪いことではないと思います。ただ私ども反省しなければならないのは、現在の消防力の基準というものが市街地を中心としてつくられておりますので、農山漁村を多数抱えておるようなところでは若干実態にそぐわない点があるという感じはいたしております。したがって、この点については私ども、消防力の基準の見直しについて現在鋭意努力しておるところでございます。 さて、幾つかの御質問がございましたが、御指摘のように、高層ビルや危険物施設がどんどん出てまいりまして、はしご車を買うということになりますと、御承知のように大きなものだと一台七千万ぐらいいたします。化学消防車だと二千万ぐらいいたします。したがいましてこういうものに対して地方団体の財政力が追いつかないのじゃないかという御指摘でございます。御承知のように、消防施設につきましては昭和二十八年以来消防施設強化促進法によりまして三分の一の補助ということになっておりますが、これまた御承知のように、人口急増地区でございますとか大地震対策特別措置法に基づく強化地区であるとか、そういったところは二分の一、あるいは過疎地域、沖繩といったような特殊な財政力の比較的弱いところには三分の二というような補助をいたしております。さらに地元負担につきましては、財政事情に応じて地方債の措置もしておりますので、それによって、地方団体が必要だと認める場合は財政的に行き詰まるというようなことがないようにはいたしておるつもりでございますが、個々の問題につきましても、今後とも地方団体の実情を見ながら起債措置その他を勘案いたしてまいりたいと思っております。 それから、基準額と現実に請け負わせた場合の経費との差額の問題、超過負担の問題になるかと思いますが、消防施設関係につきましては、これは御承知と思いますが、毎年毎年、前年実績で見直しておりまして、本年も五%程度の単価アップをしております。したがって標準指標から比較いたしますとほとんど乖離はないのじゃないかと思います。ただ消防の場合にはいろいろな付属設備がつきますので、したがって結果的には超過負担みたいな形になっておるものが多々あるのじゃないかと思います。ただ、水槽の場合でございますけれども、これは地域によって非常に地質が違うものですから、高いの安いの、それから市街地につくる場合と公園等の広場につくる場合、みんな単価が違ってくるわけでございます。私ども、市街地補正あるいは道路補正といったようなことで若干の補正はいたしておりますけれども、この点についてはなお今後ともきめ細かい操作が必要であろうかと思います。水槽の問題につきましては、私ども特に留意いたしまして、実態にできるだけ近づけるべく毎年補助単価の引き上げを図っておるところでございます。 それから水槽についての用地の問題、これは国庫補助対象といってもなかなかむずかしい問題でございますが、都会地におきまして水槽を整備するのは急務でございますので、まず学校であるとか公園であるとか、現在大都会などは小公園等も多いようでございますので、そういったところへぜひ据えつけてほしいということで、建設省あるいは文部省の方とも交渉して、市によりましては非常に成果を上げておるところがございます。 それから、消防の庁舎等の関係でございますけれども、消防関係につきましては、消防の施設の水準を高めるということでわざわざ法律をつくって、特に消防施設に関しては国庫補助対象にしておるわけでございますが、それも消防に直接役立つ水槽であるとかポンプというものに限定しておりまして庁舎等に及んでおりません。これは一つの考え方でございますけれども、庁舎等は市役所、町役場、その他一般的な行政事務を行うところの庁舎と一律に考えておるわけでございまして、必要に応じて地方債等によって措置するわけでございます。ただ、消防の特殊事情を勘案いたしまして、自治省の方とも話し合いまして、一般の庁舎などの場合には七割の起債充当率でございますが、七五%に引き上げていただいておるというような状況でございます。 それから、はしご車でございますが、これはオーバーホールに非常に金がかかるということ、まさにそのとおりでございます。消防の経費の性格といたしまして、私どもこれについては地方交付税で措置しておるわけでございますが、いままでの実績等を勘案いたしまして、地方交付税の積算の基礎には六百万円で八年に一回ということで計算しております。はしご車の場合には耐用年数が八年程度であるということを聞いておりますのでこうしておりますが、六百万が妥当であるのか、八年が妥当であるのか、この点は実績を見つつ改善していきたいと思っております。以上でございます。
○中野(寛)委員 実は、地方自治体、地方財政に関する論議をいたしますと、必ず起債枠を認めているという答えが一つ、もう一つは、地方交付税の算定基準の中に入れておりますという答えが返ってくるのです。しかし、これは実際に言って、起債枠といえば地方自治体の借金です。返さなければいけないのです。そして、地方交付税の問題も、これは算定基準に幾ら算入したって国が負担する枠がふえるわけではないのです。自治体同士が結局取ったり取られたり、それだけのことなんです。だから、それを算入したって、たとえば消防よりもとりあえずは義務教育経費に金がかかると言えばそっちの方に金が使われている、これは当然あり得るわけであります。そういう自治体の独自の判断によって使われるお金が、たとえ地方交付税という名前であろうと交付されること、または独自の財源が拡充することに決して反対するものではない、私はむしろそう望みたい、強く要望をしてきているところであります。 しかしながら、私どもが申し上げたいのは、そういう日本の財政の独特のやり方の中での論議ではなくて、本当に実質上身になる補助のあり方——補助制度そのものにだって私どもは異議がありますけれども、しかし、現行制度の中ではその土俵で論じるしかないとするならば、その補助のあり方についてもっと前向きの措置というものがとれないか、御答弁の現状説明のことは重々承知した上でお尋ねをしているわけであります。いかがでしょうか、大臣。
○近藤(隆)政府委員 これは消防というものをどう考えるかということでございますが、私ども消防行政というのは市町村本来の事務であると考えております。したがいまして、税あるいは税が足りない場合には交付税といった一般財源で行うのが筋ではないか、基本的にはそうではないかという考え方をとっております。ただ、それだけでは消防施設につきまして急速に整備しなければならない場合には間に合わない、その場合に国庫補助制度を導入しておる、そういった基本的な考え方からいたしますならば、消防費の中のほとんどの部分というものは地方交付税の積算を通じてその基準財政需要額に組み込むことによりまして地方公共団体に財源保障をするというのが通常の考え方ではないかと思うわけでございます。ただ、一度に大きな事業をやるという場合にはこれは起債で措置する。庁舎などの場合にはまさにその例ではないかと思います。 それ以外に、国庫補助制度をどこまで拡充するかという問題が別途政策判断としてあるかと思いますが、現況から申しますと、消防施設の現状が.地方公共団体が定めておるところの水準に対しまして御承知のようにまだまだ足りないわけでございますので、その額を確保するのがまず第一義であるというふうに私ども考えてその方面に努力をしておるわけでございます。
○中野(寛)委員 これ以上しつこくは申し上げませんけれども、消防庁の方からいただいた「消防施設整備状況」そしてこの数字、充足率、これらもすべてそちらから出ている資料であります。これを見て私は先ほど来論じているわけですが、自治体の方へ行きまして、そして自治体のつくった基準とを比べればもう一つひどいものが出てくることも承知しております。私は、今日の都市形態その他から考えて、より一層の努力がなされることがなお大切であることを重ねて要望しておきたいと思います。 消防については以上で終わります。 〔委員長退席、井上(一)委員長代理着席〕 さて、続きまして、いま五十二年度決算を審査しているわけでありますが、昭和五十二年といえば、沖繩、愛媛、大阪等々、全国各地で狂暴な対立抗争事件が暴力団関係者によって行われるというふうなことから、いろいろな施策がとられた年でもあったと思います。しかし、その後も暴力団の問題は鎮静されるというよりも、いろいろ手をかえ品をかえ種類をかえて暴力団の抗争事件というものはなお一層続いているわけであります。まして、これはそれ以前のできごとではあるけれども、最近のロッキード事件絡みの話でもラスベガスへの賭博ツアーに政治家が参加している、その同じチームに暴力団の幹部も参加しているというようなことが出てくる。こういうことになりますと、日本の政治土壌の中にさえ暴力団を容認する土壌というものがある、こういうことを考えるときに、私はそれだけに警察の御苦労も大変だと思いますが、なお一層市民の安全を守るためにも暴力団に対する対策というものが講じられなければならぬ、こう思うわけでありまして、現在の暴力団の活動の実態、そしてそれに対する対応等々についてどのようにお考えでございましょうか、お聞きしたいと思います。
○中平政府委員 まず暴力団の現状でございますが、現在私どもが把握しておる暴力団の数は二千五百二十七団体で十万六千七百人、こういうことになっておるわけでございます。この暴力団の取り締まりの歴史につきましては、これは警察制度が現在の都道府県警察になった大体昭和三十五年ごろから本格的に警察の最大の重点目標の一つとして私ども取り組んでまいっておるわけでございます。それでその後、高度経済成長の時代、暴力団はだんだん肥大化いたしまして、昭和三十八年、これがいわゆるピークでございますが、大体五千二百団体、十八万四千人おったわけでございます。それを現在までかかって、現在は先ほど申し上げましたように約十一万足らず、そこまで数は減らしてまいったわけでございます。 ところが、そういうふうに暴力団の数はなるほどだんだん減ってまいったわけでございますが、その暴力団の中でだんだん系列化といいますか、山口組だとか、大きな暴力団がむしろ昔より相当根強い力で現在存在をしておる。しかも、犯行の手段、方法たるや大変知能化しあるいは広域化してまいっておる。昨年、私どもの方で、暴力団に一体どれだけの金が流れているかということを全国的に学者等の協力を得て調査したわけでございますが、約一兆円以上の金が暴力団の組織に流れておる、こういうことでございまして、せっかくわれわれが努力して暴力団の数は相当減らしたつもりでありますが、なお根強く残っておって、ただいま先生の御指摘のありましたような各般のところに暴力団の手が及びつつある、こういう状況であるわけであります。 したがいまして、この問題につきましては、これはやはり何と言いましても私どもが今後ともども警察の総力を挙げて不断の努力を築き上げる、できるだけ多くの暴力団をまず検挙するということ、暴力団の資金源を断つということ、それから暴力団の持っている戦闘力である拳銃その他の武器をできるだけ押さえ込んでしまうということ、そして暴力団に入り込んでいくようないわゆる少年予備軍、これを広い視野で押さえ込んでいくということ、そうした警察内部の対策と相まって暴力団についてこれを減らすこともできましょうし、国民の支持、理解も私は得られるだろうと思います。 ところが、残念ながら、現在暴力団を許す社会の土壌があるわけでございます。暴力団、やくざ社会を、一部でございましょうが、極端に言えば礼賛するような者、あるいは債権取り立てに暴力団を使うような人、あるいは企業でいえば総会屋のごとき者もやはり企業がある程度、これは癒着といいますか、お使いになっておる、そういうふうに暴力団を許す社会的な土壌というものがあるわけでございます。 したがいまして、警察が正面から暴力団を取り締まると同時に、暴力団を孤立化させていく、社会の中で浮き上がらせていくという作業を息長く続けてまいること、こういうふうに考えておりまして、まず私どもが最善の努力を今後とも続けていくことと同時に、広く社会のそうした暴力排除の機運を各行政機関、各団体の協力を得つつやってまいる、そういう方向で今後とも努力してまいりたい、こういうふうに思っております。
○中野(寛)委員 いまの御答弁の中で、孤立化させるということ、それから根を断っていく、資金を断つ、武器を断つ、三つの柱を立てて努力をされているわけでありますけれども、そういう中で一つは予備軍としての暴走族の問題があると私は思うのです。一昨年道路交通法を改正いたしました。それもやはり暴走族に対する対策であったと思います。 しかしながら、私自身が最近見かける、また新聞等で報道される彼らのやっていることというのは、なおさら凶悪化している。そして、たとえばタクシーを壊してみたり、民家に押し込んでみたり、その果てはパトカーを傷めたり、交番所へ乗り込んだり、まさにこれは警察に対する挑戦、またはわれわれが守ろうとしている民主主義に対する挑戦、そういうことが行われ、それがまさに暴力団以上の暴力団、こういう様相を呈するという状態もあるわけであります。数も決して減っていない。これらの実態について、どう考え、そして今後、あの道路交通法の改正だけではどうにもならぬというときに、何かやはり手が打たれなければならぬ、このことについてどのようにお考えであるのか。 それからもう一つ、暴力団の問題でありますが、たとえば、日本の場合には、拳銃等を所持してはならぬという、世界でも有数の厳しい法律があるわけであります。これを有効に活用することによって暴力団の取り締まりの一つの大きな、それこそ武器になるという気も私はするわけであります。最近のいわゆる暴力行為、犯罪行為の機動化、車等々を使っての機動化、広域化、そしてまた、何か事件が起これば必ず拳銃を初めとして武器が使われている。こういう、国民にとってはなお一層恐ろしい実態に発展をしているわけでありますから、これに対してどのような対策を講じられるべきなのか、または、法律的に制度的にもし何か新しいものが望まれるとするならば、何を警察は考えられているのか、お答えをいただきたいと思います。
○池田政府委員 暴走族の現状でございますけれども、昨年末現在で、全国で四百七十二グループ、約二万五千人を把握いたしております。 いま御指摘ございましたとおり、一昨年の十二月、改正道路交通法によりまして、共同危険行為等の禁止規定が施行されましたために、取り締まりと相まちまして、昨年の蝟集回数は約二千回、十三万四千人が出ておりまして、一昨年の二千七百回、二十九万一千人が出ました時期に比べますと量的には若干減ったという感じがしたわけでございますけれども、昨年の九月ごろからは再び活発に動き始めておりますし、暴走行為だけでなく、仲間間の対立抗争事案、あるいは一般の市民を巻き込みました暴力事犯、あるいは取り締まり警察官に対します公務執行妨害事案等を引き起こしておりまして、粗暴化、悪質化の度合いを深めておるのが現状でございます。 昨年一年間の検挙の状況でございますが、一万八千六百四十五件、二万二千二百五十二人を検挙いたしておりますけれども、道交法違反は一万六千四百四十一件でございまして、二六・三%減になっておりますけれども、逆に、刑法犯につきましては、千百三十七件で三四・四%の増加、暴力行為処罰法違反につきましては、三百三十三件で八五%の増、特別法犯につきましては、七百三十四件で四三・六%、こういったような悪質化の傾向が見られるわけでございますし、また、ことしに入りましてからの三月までの状況を見ますと、すでに婿集回数が五百一回、三万二千人が参加いたしておりまして、昨年同期に比べますと三倍ないし四倍、こういう数字になっておるわけでございます。 したがいまして、警察といたしましては、警察の全体制を挙げましてこれに取り組みまして、粗暴化、悪質化しております暴走族の根絶を図りますために、共同危険行為はもちろん、刑法を初めあらゆる関係法令を積極的に適用いたしまして、不法事案の取り締まりを強化してグループの解散に努めているわけでございますけれども、御指摘のございましたような対策ということも大事でございますので、暴走族の周辺といいますか、地域あるいは職域に対しまして、暴走はしないのだ、させないのだ、また見にいかないのだといったような「三ない運動」を起こしておりますし、民間の有識者等によります二輪車を中心といたしました安全運転の講習を実施いたしておりますほか、家庭、職場、学校等につきましては、緊密な連絡を保ちながら、家庭ぐるみ、地域ぐるみによります追放の機運を盛り上げて、これが絶滅を期しておるところでございます。
○中野(寛)委員 時間が来ましたから、武器対策等も含めまして、むしろ政治的な判断や総合的な判断等々もあると思いますから、最後に総合的にまとめて長官から、警察については専門家でいらっしゃいますから、お聞きして、終わりたいと思います。
○後藤田国務大臣 暴力団の問題は、警察としてもずっと長い間全力を挙げてやっているわけです。やはり組織の解体と資金源を断つということに全力を置いているわけですけれども、なるほど人数は確かに多少減ってきております。しかし、寡占化といいますか系列化といいますか、かえって悪質化している面があるし、知能犯化もしております。 そういったことでございますので、この問題は、やはり私は率直に言って、繰り返し巻き返し警察としては取り締まりをやっていくということ以外に、実際問題としては根絶というのは非常にむずかしいというのが実態でございます。 そこで、私どもとしては、こういった暴力団の存在を許さないのだといったような社会的な論議を巻き起こすような運動もしていきたい、同時に、警察は本来の取り締まりに重点を向けて徹底していくというやり方でやっていきたい、かように考えております。 暴走族の問題は、一時減りましたけれども、最近またふえてきつつある、しかも凶悪化しておりますし、中身が、どうも少し年齢が若くなりつつあるのではないかという心配もございます。しかも、暴走族は有職少年が案外多いのです。しかし、さればといって、高等学校の生徒というものもたくさんいますから、やはりこれは家庭と学校、職場、ここらと警察とよく連絡をしまして、そして何といってもグループの解体、これをやるのが一番いいのではなかろうか。 ただ、私は率直に言って、この暴走族は暴力団なんかとは違うのだ、ほっておけばそれに入っていくのですけれども、根がそんなに深いものとは思えない事態ではなかろうかな、したがって、これはもう少し警察としても各方面との連絡をとりながら粘り強くやれば、だんだん何とかなるのではなかろうかな、こう私は率直に思っているのです。 そういうような意味合いで、さしあたりは警察としては取り締まりをやる、同時に、何といっても子供ですから、そこを頭に置いておきませんといかぬものですから、そこらはやはり学校、職場、家庭との連絡を十分とってこういった環境をなくしたい。学校へ連絡しますと、それを待っておってすぐ退校にしてしまうのです。そうすると、これはいよいよまたデスパレートになってしまうというような面がありまして、そこらは十分踏まえて幅広いやり方でやっていきたい、かように考えております。
○中野(寛)委員 終わります。
○井上(一)委員長代理 神田厚君。
○神田委員 御質問申し上げます。 富山、長野の連続殺人事件、これらに見られるように、失踪女性が犯罪に巻き込まれるというケースが大変多くなっております。そういう中で、若い看護婦が失踪した甲府の事件、さらには長野県内のパス停で女子高校生が誘われ、横浜で売春をしていたという横浜事件、こういう失踪女性の犯罪の問題がいま社会的に大きな関心を持たれているわけであります。 そこで私は、去る二月二十一日、現代の神隠しとも言われ、あるいはなぞの宗教集団とも言われております、若い女性を十人引き連れて集団失踪しましたイエスの方舟の問題につきまして、予算委員会でこの事件を取り上げて関係機関に御質問を申し上げたわけでございます。そのとき、後藤田国家公安委員長におかれましては、捜索体制の強化と事件の早期解決につきまして御答弁をいただいたわけでありますが、それから約二カ月たっております。そしてマスコミ等も連日この問題について報道していると言ってもよいし、本日も、大変心配をして家族の方も傍聴に見えておりますけれども、御家族の御心配も大変大きいものがあります。それで、何とも不可解な事件でありますけれども、大臣はいまこの問題についてどういうふうに御感想をお持ちでございますか。
○後藤田国務大臣 非常に関心を持ちまして、警察としても、警視庁を中心ですけれども、全力を挙げましてともかく実態を解明して——これはやはり背後に犯罪の疑いがある。後で答えさせますけれども、現在の時点では犯罪捜査という段階にまで行きかねる面があるのですが、そういうことを腹に置いて、全国組織を動員してやるようにということで、今日、警察としては鋭意調査に当たっている、こういう段階でございます。
○神田委員 失踪女性の問題等を考えていきますと、後で御質問申し上げますが、その構成員の中からは、生死が全部確認されているかどうかもわからない。いま長官が御答弁になりましたように、背後に犯罪の可能性が非常に濃厚だ。こういうふうなことを私どもも大変心配をしているわけであります。 ところで、その後の捜索の進展状況につきましてどういうふうなことになっておりますか。
○塩飽政府委員 先般、予算委員会で御質問いただきましたけれども、その後警察としましては、二月二十五日に、捜索願の出ている七人の方はもちろんですけれども、イエスの方舟の関係者全員につきまして詳細な全国手配を行いました。 一つは、イエスの方舟の関係者の所在あるいは就職等に関する情報の入手でありますとか、また各管区警察局の担当の課長を通じまして、関係向きに捜索活動の強化をするようにという指示もいたしました。また、各府県警察からいろいろと情報が参っております。そういったことから、有力な情報につきましては、警視庁の方から直接その県へ出向きまして調査をするというふうなことを行っております。また、警視庁防犯部自体では特別捜査班というものを置きまして、情報の入手あるいは分析その他に努めておる次第でございまして、また実際に現在までこういった捜査班が直接行きました県も、大分あるいは石川県あるいはまた大阪、京都さらには茨城県といったところで、関連した情報が出てまいります都度確かめに行くというふうな活動をしておる次第でございます。
○神田委員 そういう捜索の中からこのイエスの方舟という集団がどういう性格を持った集団か、この性格規定といいますか、どんなふうなものなのか判明してまいりましたでしょうか。
○塩飽政府委員 このイエスの方舟につきましては、表向きは宗教活動ということで活動しているということになっておりますけれども、私どもから見まして大変異常な点が多いように思います。 一つは、信者と称して実際に集め、布教活動をやるとは言うのですけれども、信者の中から、若い女性が家出をしてしまう。しかも、家出をした後親にも会わせない。また、居所も明らかにしない。集団生活を送る。そして転々として所在を変えるというふうなことから、どうも通常の布教活動、宗教活動とは違った奇妙な、理解しがたい点がたくさんあるように思います。 そういったことから、先ほども大臣から御答弁がありましたように、これは通常の家出人という観念だけでは足りない、何かひょっとしたら異常なもの、あるいは何らかの犯罪の被害というふうなこともあるのではないかということで、いろいろと事情を調べておるわけでございますが、いまのところ、直接犯罪に結びつくというふうな情報は入っておりませんけれども、常に頭に入れながら捜索を続けている状態でございます。
○神田委員 この問題は、現在から見ますと成人にも達しているし、あるいは普通の成人した女性だ、そういうことでありますけれども、これが起こった原点を見ますと、当時やはり十七、八歳の未成年だということから考えますと、そういうことの積み重ねが結局そういう一つの集団をつくり上げてしまった、こういうふうなことだと思うのです。それで、いまマスコミを初め、長官のところなんかへもレター作戦といいまして手紙がたくさん来ている。こういうふうに、一つのことを言いますと反響がばあっと来る。その反響が来ている人は大体確認がされているわけですね、いるということ。ところが、捜索願が出ている七人の若い女性のうちから、私どもがいろいろ調べたところでは、何人かの女性については手紙の反応もないし、連絡もない、こういうふうなことが言われておりますが、そういう事実はございますか。
○塩飽政府委員 捜索願の出ている方が七人おられるわけですけれども、その中で、現在いろいろなところへ手紙を出しておりますけれども、来ているのが大体五人おります。ただ、その中で、筆跡などを警視庁で鑑定をいたしまして、恐らくこれは本人の筆跡に間違いないという者が四人おります。一人はまだ確認しておりません。ただ、残りの二人の方が、これは最近手紙も全然来ないということで、その方については全く手がかりがございません。
○神田委員 大体、この集団のやり方というのは、何か反応があればすぐに反応をしてくるということでありますが、そうしますと、七人いるうちの二人ないし三人について、いわゆるいるのかどうかが反応が出ていない、確認できてない、こういうことになりますと、私はこの点を非常に心配するのであります。その中の一人の人は、家出をしてからもうすでに十五年ぐらいたっておるはずでありますから、この十五年の中に、やはりいろいろな形で生死がわからないような状況になっているかもしれない。それからもう一人の人は、まだ二、三年でありますけれども、こういう新しいにもかかわらず全然反応が来ないということにつきましては、これまた心配なところがある。 いずれにしましても、失踪女性の事件が大変大きな社会的な問題になっているときに、そういうふうに集団として蒸発しながら、しかも生きているかどうかについての確認も全然とれないような状況があるということは、私は大変心配だし、先ほど御答弁いただきましたような、背後に犯罪の可能性があるということについて、不幸にもこういうことと結びつけたくないのでありますけれども、そういう可能性も否定できない、こういうふうなことを考えているわけであります。 したがいまして、この事件というのが家出人捜索とはいいながら、大変特別な捜索体制をとっていただいておりますけれども、構成員を含めました犯罪的な容疑というものについて、それをよく検討していただきまして、強制捜査に切りかえられる体制をとっていく必要があるのではないか、こういうふうなことを考えますが、長官、いかがでございますか。
○塩飽政府委員 現在警視庁が鋭意努力しておりますし、また各県警察もそれぞれ協力してやっておりますが、何はともあれ、所在を発見する、早く見つけるということが第一だろうと思います。それでいろいろ情報も収集したりしておりますけれども、その中で、犯罪の容疑ありというふうな事実が仮に出てまいりますれば、それは即座に捜査を開始することにしておりますが、とりあえずは、とにかく一刻も早く所在というものを明らかにしたいということで、努力をしている次第でございます。
○神田委員 足取りの問題ですけれども、そうしますと、金沢とか岡山とか、その辺までは足取りはとれている。しかし、その後につきましては、なかなかはっきりしないようでありますが、その辺はどうでございますか。
○塩飽政府委員 岡山、大阪、金沢、一部長野というようなことで、それぞれ若干足取りのわかったところもありますけれども、たとえば金沢につきましても、実は古い事実が判明しております。千石剛賢といういわゆるイエスの責任者の養女になっております千石千鶴さんという方が昭和五十三年ごろしばらく住んでいたというふうな事実もわかってまいりまして、そういったことで金沢も調査しております。それからあと何件かいろいろ情報がありますけれども、いまのところ直ちに所在に結びつくような有力な情報というのがなかなかとれなくて苦労しているようでございます。
○神田委員 新聞等の報道によりますと、新たに、女性ばかりでなくて失踪した若い男性がそこの集団に加わっていた、こういうふうに報道されておりますが、この辺の確認はとれておりますか。
○塩飽政府委員 これは、一人の男性が実は家出をして一緒に加わっていたということについては警視庁も承知しております。現在その人についてもいろいろと捜索をやっております。
○神田委員 そうしますと、新しい事実がこの集団について少しずつまたつけ加えられてきておるわけでありますね。そういうことを考えますと、どうして千石イエス、イエスの方舟というのが世間に姿をあらわさないのか、何にもしていないならば堂々と出て教義の説明でも何でもすればいいし、話をすればいい。ところが、呼びかけても一切出てこないし、何をしているかわからない、非常に不思議なんですね。この辺のところについては警視庁の方ではどのような御判断を持っておりますか。
○塩飽政府委員 まことに不思議な集団といいますか、千石剛賢が中心になって、これが責任者ということでいろいろな活動をしているわけですが、実はあれこれいろいろな推測はできますけれども、ただ、実はこうだろうというふうな推測を裏づけるようなところまでまだ十分わかりませんので、ここでは推測も申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思います。
○神田委員 この問題は非常に社会的に大きな問題で、関心も非常に高いようであります。そういう意味で、法務省の方も来ていただいておりますけれども、地検としてもこの問題についての対応というのをそれなりにとられているかと思うのでありますが、法務省の関係者はどうでございますか。
○根來説明員 ただいま御指摘の件は、大きな社会問題になっていることはよく承知しておるわけでございますが、具体的な前提となる事実関係につきましては、なお解明を要する点があり、どういう犯罪が成立するかどうかという点についても若干問題があろうと思います。しかしながら、検察当局といたしましては、警察と十分な連絡をとりまして、そこに犯罪が伏在するとしますれば当然厳正かつ適切な対処の仕方をするであろう、われわれもそういうふうに確信しておるわけでございます。
○神田委員 家出人捜索の対象になっている何人かの方の生死が現在確認をされていない、このことは大変大事なことであります。 さらに、この集団がどういう資金源を持って、どういう生活をしているのか、あるいは納税等の義務も果たしていないというようなこともあり、反社会的な行為に走っている傾向もあるわけです。こういうふうなものにつきまして、一日も早くこの所在を突きとめて、そうして捜索されているものについてはその家族のもとにお返しする、あるいは集団の反社会的な行為があれば、それについては厳しくそれらのものについて是正をさしていく、こういうふうな形をとらなければならないと私どもは思っております。 最後に、警視庁の方でも大変な御努力をなさって鋭意捜査をなされていると思っておりますが、今後の見通し等も含めまして、長官に御答弁をいただきたいと思います。
○後藤田国務大臣 事柄がきわめて社会的に重要なことでございますので、警察としましては全力を挙げまして解明に努力をいたしたい、かように考えます。
○神田委員 終わります。
○井上(一)委員長代理 次回は、明後二十五日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時五十六分散会