決算委員会 第16号
- 発言数
- 346 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/04/18
会議録
○高田委員長 これより会議を開きます。 昭和五十二年度決算外二件を一括して議題といたします。 本日は、文部省所管について審査を行います。 まず、文部大臣から概要の説明を求めます。谷垣文部大臣。
○谷垣国務大臣 昭和五十二年度文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算の概要を御説明申し上げます。 まず、文部省所管一般会計の歳入につきましては、歳入予算額七億一千百三十六万円余に対しまして、収納済み歳入額は八億二千二百五十五万円余であり、差し引き一億一千百十八万円余の増加となっております。 次に、文部省所管一般会計の歳出につきましては、歳出予算額三兆二千二百八十億三百十七万円余、前年度からの繰越額百十九億八千四百四十二万円余、予備費使用額五億八千九百万円余を合わせた歳出予算現額三兆二千四百五億七千六百六十万円余に対しまして、支出済み歳出額は三兆二千七十七億八千二百六十五万円余であり、その差額は三百二十七億九千三百九十四万円余となっております。 このうち、翌年度へ繰り越した額は五十七億七百三十五万円余で、不用額は二百七十億八千六百五十九万円余であります。 支出済み歳出額のうち主な事項は、義務教育費国庫負担金、国立学校特別会計へ繰り入れ、科学技術振興費、文教施設費、教育振興助成費及び育英事業費であります。 次に、これらの事項の概要を御説明申し上げます。 第一に、義務教育費国庫負担金の支出済み歳出額は一兆六千二百七十七億七十一万円余であり、これは、公立の義務教育諸学校の教職員の給与費等及び教材費の二分の一を国が負担するために要した経費であります。 第二に、国立学校特別会計へ繰り入れの支出済み歳出額は七千五百五億一千四百三十九万円余であり、これは、国立学校、大学付属病院及び研究所の管理運営等に必要な経費に充てるため、その財源の一部を一般会計から国立学校特別会計へ繰り入れるために要した経費であります。 第三に、科学技術振興費の支出済み歳出額は三百十三億二百三十五万円余であり、これは、科学研究費補助金、日本学術振興会補助金、文部本省所轄研究所及び文化庁付属研究所の運営等のために要した経費であります。 第四に、文教施設費の支出済み歳出額は三千三百九十一億九千九百十九万円余であり、これは、公立の小学校、中学校、特殊教育諸学校、高等学校及び幼稚園の校舎等の整備並びに公立の学校施設等の災害復旧に必要な経費の一部を国が負担または補助するために要した経費であります。 第五に、教育振興助成費の支出済み歳出額は三千百九十八億九百二万円余であり、これは、養護学校教育費国庫負担金、義務教育教科書費、初等中等教育助成費、産業教育振興費、公立大学等助成費、学校給食費及び私立学校助成費に要した経費であります。 第六に、育英事業費の支出済み歳出額は四百五十九億四千四百八万円余であり、これは、日本育英会に対する奨学資金の原資の貸し付け及び事務費の一部補助等のために要した経費であります。次に、翌年度繰越額五十七億七百三十五万円余についてでありますが、その主なものは文教施設費で、事業の実施に不測の日数を要したこと等のため、年度内に支出を終わらなかったものであります。 次に、不用額二百七十億八千六百五十九万円余についてでありますが、その主なものは、義務教育費国庫負担金で、給与費の国庫預担を要することが少なかったこと等のため、不要となったものであります。 次に、文部省におきまして、一般会計の予備費として使用いたしました五億八千九百万円余についてでありますが、その主なものは、文教施設費で、公立文教施設災害復旧費に要した経費等であります。 次に、文部省所管国立学校特別会計の決算について御説明申し上げます。 国立学校特別会計の収納済み歳入額は九千九百七十四億七千十八万円余、支出済み歳出額は九千八百二十八億三千六百七十一万円余であり、差し引き百四十六億三千三百四十七万円余の剰余を生じました。 この剰余金は、国立学校特別会計法第十二条第一項の規定により二十四億三千四十五万円余を積立金として積み立て、残額百二十二億三百一万円余を翌年度の歳入に繰り入れることとして、決算を結了いたしました。 次に、歳入につきましては、歳入予算額九千七百六十二億二千三百三十九万円に対しまして、収納済み歳入額は九千九百七十四億七千十八万円余であり、差し引き二百十二億四千六百七十九万円余の増加となっております。 次に、歳出につきましては、歳出予算額九千七百六十二億二千三百三十九万円、前年度からの繰越額八十四億三千六百三十六万円余、昭和五十二年度特別会計予算総則第十一条第一項及び同条第四項の規定による経費増額五十五億九千百六十七万円余を合わせた歳出予算現額九千九百二億五千百四十三万円余に対しまして、支出済み歳出額は九千八百二十八億三千六百七十一万円余であり、その差額は七十四億一千四百七十二万円余となっております。 このうち、翌年度へ繰り越した額は三十九億七千九百二十三万円余で、不用額は三十四億三千五百四十九万円余であります。 支出済み歳出額のうち主な事項は、国立学校、大学附属病院、研究所及び施設整備費であります。 次に、これらの事項の概要を御説明申し上げます。 第一に、国立学校の支出済み歳出額は五千六百十六億八百五十七万円余であり、これは、国立学校の管理運営、研究教育等に要した経費であります。 第二に、大学附属病院の支出済み歳出額は一千八百九十三億八千二百三十一万円余であり、これは、大学附属病院の管理運営、研究教育、診療等に要した経費であります。 第三に、研究所の支出済み歳出額は六百七十四億二千三十九万円余であり、これは、研究所の管理運営、学術研究等に要した経費であります。 第四に、施設整備費の支出済み歳出額は一千五百三十七億四千九百五十六万円余であり、これは、国立学校、大学附属病院及び研究所の施設の整備に要した経費であります。 次に、翌年度繰越額三十九億七千九百二十三万円余についてでありますが、これは、施設整備費で、事業の実施に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものであります。 次に、不用額三十四億三千五百四十九万円余についてでありますが、その主なものは、国立学校で、職員諸手当を要することが少なかったこと等のため、不用となったものであります。 なお、昭和五十二年度予算の執行に当たりましては、予算の効率的な使用と経理事務の厳正な処理に努力したのでありますが、会計検査院から不当事項七件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。 指摘を受けました事項につきましては、適切な措置を講ずるとともに、今後、この種の事例の発生を未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図ることとし、また、東京大学医学部附属病院精神神経科の管理運営に関して受けた処置要求についても、事態の解決に一層の努力をいたす所存であります。 以上、昭和五十二年度の文部省所管一般会計及び国立学校特別会計の決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。 何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
○高田委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。藤井会計検査院第二局長。
○藤井会計検査院説明員 昭和五十二年度文部省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明申し上げます。 検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項七件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件及び本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項一件でございます。 まず、不当事項について説明いたします。 検査報告番号六号は、移転統合のため購入した用地が、校舎等諸施設の建設の目途も立たないまま遊休しているものでございます。 大阪教育大学において、校舎を移転統合するため用地を購入し、敷地造成工事等の一部を実施していましたが、その後学内の意思不統一から移転統合関係の予算の要求をすることができなかったため、校舎等諸施設の建設の目途も立たず、用地等がその効用を発揮する見込みもないままになっていたものでございます。 検査報告番号七号は、施設等の管理が適切でなく、かつ、国有財産及び物品が損害を受けたものでございます。 東京大学において、一部学生によって占拠されるに任せていたため文学部長室等の施設及び物品が良好な状態において管理されていなかったばかりでなく、同室付近から発生した火災により国有財産及び物品が損害を受けたものでございます。 また、検査報告番号八号から一二号までの五件は、いずれも補助事業の実施及び経理が不当と認められるもので、このうち八号は、学校給食施設整備事業におきまして、補助の対象とは認められないものを含めて事業を実施しているものでございます。そして、九号から一二号までの四件は、公立文教施設整備事業におきまして、補助の対象とは認められないものを含めて事業を実施したり、補助事業の種目の適用を誤って事業を実施したりしているものでございます。 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。 これは、東京大学医学部附属病院精神神経科の管理運営について処置を要求したものでございます。 東京大学医学部附属病院精神神経科では、四十四年九月以来、同科病棟の一部を同大学所属の新官一名及び多数の部外の医師等により占拠されてきたため外来患者の入院、学生の臨床実習及び新官の研究のための施設等が正常に使用されていないなど、精神神経科としての管理運営が適切に行われていないと認められました。 したがいまして、速やかにこのような異常な重態を解消して、外来部門と病棟部門が一体となって精神神経科本来の管理運営ができるよう適切な処置を講ずる要があると認められたものでございます。 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について説明いたします。 これは、合板型枠費等の積算に関するものでございます。 文部省及び東北大学ほか十大学等が国立学校の文教施設を整備充実するため五十二年度に実施した長岡技術科学大学機械建設係研究棟新営工事等二十二工事について検査いたしましたところ、文部省が定めた積算指針及びこれに基づいて算出した複合単価を適用して工事費を積算していましたが、合板型枠費、合板型枠運搬費及び内壁モルタル塗り金こて仕上げ費の積算がいずれも施工の実態に即したものとなっておらず、工事費の積算が適切でないと認められましたので、当局の見解をただしたところ、文部省では、五十三年十月に積算指針を改め、同年十一月以降契約を締結する工事から適用するよう処置を講じたものでございます。 以上、簡単でございますが説明を終わります。
○高田委員長 これにて説明の聴取を終わります。 —————————————
○高田委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
○原田委員 まず私は、つい二、三日前の春闘によるストライキについてお伺いしたいと思います。 ことしもいわゆる春闘と称しまして、ストライキを禁止されている公務員が違法なストライキに参加したように聞いておりますけれども、日教組等が行ったストライキの実施状況はどのようになっているか、お伺いしたいと思います。
○谷垣国務大臣 お答えをいたします。 日教組等は、今春闘におきまして、賃金の引き上げ、定年制の導入阻止、退職手当法改悪阻止等の要求実現を掲げまして、四月十六日に早朝一時間及び同三十分のストライキを実施いたしました。このストライキの参加者は、目下把握しておりますところでは三十四都道府県、約二十四万四千人でございます。言うまでもなく、公務員である教職員については、ストライキを行うことは法律で厳に禁止されておりまして、特に今回のストライキが新学期の重要な時期に児童生徒を犠牲にして実施されましたことはきわめて遺憾でありまして、断じて許すことはできないと考えております。文部省としましては一層教職員の自覚を求めてまいりたい、かように考えておる次第であります。
○原田委員 いまの文部大臣のお話、まことに残念ながら相当大ぜいの先生方が参加しておられるということでございます。勤務時間開始後最高一時間にわたるというような実態もあるようですが、当然教育に影響を与えたと思うのです。これに対していま大臣のお話では、文部省としてはこのような違法ストライキについて断固たる処置をとりたい、こういうお話でございますので、ぜひともしっかりした処置をとっていただきたいと思います。私は、特に教育に携わる者がストライキをやって教育が果たしてできるのかという点を本当に心配するものでございまして、若い純情な生徒がそれによってどれだけスポイルされるかということを考えた場合に、きわめて深刻な影響を与えるのではないかと思います。この点について再度、文部省の断固たる姿勢を要望しておきます。
○谷垣国務大臣 再三にわたりまして警告を発したわけでありますが、このような状況になりましたことは大変に残念でございますし、遺憾に存じております。今後、厳正な態度で各県の教育委員会にも強く指導してまいりたい、かように考えております。
○原田委員 どうも最近の日教組の動向なんですが、私は、時間外の授業を拒否するということを言っておるということをけさ聞いたのですが、それは本当ですか。
○諸澤政府委員 御質問の趣旨が的確につかめませんけれども、教員も一週四十四時間の勤務時間があるわけでございますから、もちろんその勤務時間は当然やっていただかなければならないし、また数年前に教職調整額という制度を設けまして、事実上一週間数時間の超勤に該当する手当てを別途すべての教員に支給するということにいたしておるわけでございますから、御指摘のような事実があるとしますならば、また十分に注意をしなければならぬ、かように思うわけでございます。
○原田委員 子供を持っている親としましては、どうもみんなについていけないような生徒について時間外で教えてやろうというような自主的な、非常に子供のためを思ってやってくださる先生がおられるということについては、非常に感謝し、また信頼しておるわけです。そして、それがやはり乱塾とか何かを阻止する一つの一番大事なことだと思うのですが、先生がそういう自主的な判断で、じゃもう少し教えてやろうかというのを、時間外だということで、日教組がそれはいかぬと一律に決めて組合員である先生に押しつけるということがあってはならないと思うのですが、いかがですか。
○諸澤政府委員 ただいまお話し申し上げましたように、一定の勤務時間が制度づけられ、特別の手当が支給されるということでございますが、一方、教員に超過勤務を命令し得る場合というのは、これまた制度上たとえば職員会議で遅くなった場合とかというふうに決まっておりますので、無制限に居残りをして子供の補習授業をやれというようなことは制度上できないわけでありますが、いま御指摘のように、特定の教員が積極的にそういう意欲を持って生徒の指導に当たろう、そういう場合に、集団的にそういうことはやめろというような働きかけをすることは、私はきわめて好ましくないというふうに思いますので、十分指導してまいりたいと思います。
○原田委員 その点ひとつ文部当局のしっかりした姿勢をお願いしたいと思います。 それでは次に、オリンピックの参加問題についてお伺いしたい。 私は、本年夏のモスクワにおけるオリンピック大会について、率直に申し上げましてわが国が参加すべきではないと考えております。本来オリンピックというのは、スポーツを通じてより平和な世界の建設に協力して国際親善をつくり出すということを目的として開催されるのではないかと思うのですが、このように平和と友好のもとで挙行されなければならないオリンピックの開催国が、すなわちソ連がアフガニスタンへの軍事介入を依然として続けておる。このことについては、すでに国連においても即時無条件撤退ということを決議しておりますし、わが国の国会におきましてもわれわれは決議をしたわけでございます。国際的に厳しい非難を受けているにもかかわらず、ソ連軍の撤退はおろか、むしろ長期駐留の兆しさえ見えていると伝えられております。五月中旬ぐらいまでには撤退する気配は全然ないという状況であります。すでにアメリカ・オリンピック委員会は、国内世論の動向や政府の意向を受けましてモスクワ・オリンピックの不参加を決定しておりまして、また中国やマレーシア等アジア諸国も不参加の方向を打ち出しておると報ぜられております。したがって、世界の平和と安定を目指すわが国としましては、自由諸国が足並みをそろえて参加するものでない限り参加すべきじゃないと思うのです。早急に不参加を決定すべきだと私は思いますけれども、まずこの点について率直な見解を伺いたいと思います。
○谷垣国務大臣 お答えをいたします。 オリンピックの問題に関しましては、去る二月一日にレークプラシッドにおきますIOCの総会に出発いたします際に政府の意向を表明いたしまして日本オリンピック委員会の方に連絡をいたしたところでございますが、この趣旨は、オリンピック憲章等で定めておりますように、各国の人たちが平和な状況のもとで世界平和を促進するために相集まる、そういうオリンピックの掲げております目的を遂行するための雰囲気としては、ソ連のアフガニスタン進入に伴いまして起きました状況というものは非常に重大な関心を政府としては持たざるを得ないということ、最終的にオリンピックに参加するか否かという決断をいたします機関としてはJOCがやるわけでございますけれども、そういう重大な関心を政府は持たざるを得ないということを表明いたしまして、IOC並びにJOCが各国のNOCともよく連絡をとって本来の望ましい状況でオリンピックが開催されるように努力をされたいということを表明したわけでございます。この考え方は現在においても私たちは変わってはいないわけでございますが、その後事態の推移を見ておりますと、先般アメリカ・オリンピック委員会、USOCが不参加の表明をいたしました。もちろん五月二十四日のエントリー、その前の五月二十日ぐらいまでに何らかの、アメリカ政府自体の、国の安全その他を脅かすおそれがないという表明があった場合は参加をするけれどもという条件をつけておりますけれども、そういう表明をいたしたわけでございます。 このことは今次のオリンピックに対しまして非常に重大な、深刻な事態を来すものだと私たちは受け取っておるわけでございます。そういう状況でございますので、内外におきます世論あるいは状況というものを十分見きわめていかなければなりませんと思いますし、まだいろいろな状況がかなり厳しい状況で流動的な面も考えられないわけじゃございませんしいたしますので、目下のところ政府の態度といたしましては、重大な関心を持って深刻な事態が生じてきているということを踏まえながら、世論あるいは世界的な反響、状況等を見守ってJOCが適切な措置をとられることを連絡をとりながらやってまいりたい、こういうことでございます。
○原田委員 政府として慎重に対処されなければならないことはよくわかりますけれども、この際お伺いしておきたいのですが、オリンピックと政治の問題です。 オリンピックに政治が介入することについて国民の間でいろいろ議論があると思うのです。私は、スポーツと政治を厳然と分離しなければならぬということはたてまえとしてきわめて望ましいことだと思います。またそうでなければいかぬ。しかしオリンピックは違うのだと思うのです。モスクワ・オリンピックはすでに大きな国際政治問題になっており、国際外交問題になっておると思います。その現実を直視しなければいかぬ。古代オリンピックならいざ知らず、イスラエルにしましても南アフリカ共和国の参加問題にいたしましても、すでに今日のオリンピックは政治と密接に関係しておるではないですか。この点について文部大臣の見解を伺いたいと思います。
○谷垣国務大臣 私は、政治とスポーツというものはいわば分離されて行っていかれることが望ましいと思いますけれども、現実に起きております今次のオリンピックの状況を判断いたしますと、参加いたしますのも参加しない状況も、このソ連のアフガニスタン進入という事態が起きまして以来の状況というものはきわめて政治的な色彩を帯びておって、本来のスポーツそのもの、裸のスポーツと政治というものを切り離すことのできない状況になってきておる、こう考えざるを得ない状況でございますし、ソ連の方もアメリカの方も、一番大きな立て役者のところがすでにそういうような状況になっておる、こういうことは残念ながら認めざるを得ないのではないか、こういうふうに考えます。
○原田委員 政治と密接な関係のあるということでございます。そのとおりだと思います。 私は最後にお伺いしたいのは、ここ数日間の新聞報道によりますと、IOCが四月二十一日から何かローザンヌかどこかで理事会を開催してモスクワ・オリンピックに個人参加の手段を検討するということが伝えられております。しかし、オリンピック憲章ではオリンピックヘの参加に関するすべての権限は国内オリンピック委員会にあると私は承知しております。こういうことから考えると、オリンピック憲章を改正しない限り個人参加はあり得ないと思われますけれども、この点についてお伺いしたい。また、仮にこれに個人参加が認められて日本も参加するというようなことになった場合にそれに対する文部省の見解、文部大臣としての見解を承っておきたいと思います。
○谷垣国務大臣 いまのオリンピック憲章では、各国のオリンピック委員会、NOCがこれに参加をいたしますことの決定の唯一の機関であるということを言っておるわけでございまして、私たちもそういう仕組みになっておると考えております。問題は、このたびのローザンヌのIOCの会合でございますが、これにどういう案件が議題になるかということは私は正確には存じませんけれども、しかし外電の報ずるところでも、あるいは日本の方からもI0Cの副会長等が出ていっておられるわけでありますが、そういう状況からのいろいろな情報等を考えてみますと、いまのいわゆる個人参加の問題等も議論されるやにうわさとして聞いております。それがどういう結論が出るのか、またどういう形態なのか、あるいは現在の憲章の解釈の中でそういうことができるのか、これは実はI0C自身の問題でございますので、私たちがどういう成り行きになるかということを予測することはまだちょっとできかねる段階だと思います。いずれにいたしましても、しかし二十一日から数日かかると思いますが、ここでの会合というものがどういう経緯になるか、私たちも注意をしてその結論の出るのを見なければいけないというふうに考えております。 したがいまして、個人参加と申しましても、いままで私たち余り個人参加の問題を研究や議論したことは実はございませんけれども、いろいろな対応もあるのではないかとも考えられますし、第一それがどういうふうに決定されるのか、あるいはまた、その案件の議論がそこで本当にあるのかないのかということも含めましてきわめて未確定な状況でございます。先ほど委員から、その問題について決まったとすれば文部省としてはどういうふうに対処するかという御質問がございましたが、かなりいろいろな予測が立てがたい状況でございますし、事がかなり重大なことでもございますので、いまのこの段階で私が、これはこうだ、あれはこうだという予断を持った意見を申し上げるのは差し控えさせていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
○原田委員 政府のお立場としてはそういう御答弁になると思いますけれども、しかし私は、このオリンピック問題についてはよく国民の理解と協力を得るように、正確な情勢判断をしていただけるように情報を提供しなければいかぬと思うのです。単に感じでスポーツと政治は別だ、だからオリンピックも別だろう、こういうような感じが横行しておるのではないんだ、実態はもっと違う。ともかく相手はソ連が開催国になって、片手で殺戮をしアフガニスタンで血を流しているわけです。そして片手で平和の祭典をやろう、いらっしゃい、こういう実態なんですね。そしてわれわれ国連で非難をし、国会で非難をしても相手に抗議をする手段がない、やめさせる手だてがない。ささやかではあるけれども、こういうことによって、少なくとも相手に痛い目をさせるということはわれわれとして当然やるべきことだと思うのです。そういう意味でぜひこれは国民の皆さんにもとの辺の状況をよく知らせて判断していただき、正確な、正当な決断ができるようにするように御努力いただきたいと存じます。 続いて御質問いたしますが、私はスポーツのことについて、体育施設、これはいまスポーツ活動に対する国民の欲求が非常に増大しておると思うのですね。スポーツ人口も著しく増加を遂げております。私の方の例で恐縮ですが、例のソフトボールなんというのは各町にチームができまして、大変大ぜいの人が参加してやっておるという状況でございます。しかしながら、このような国民の欲求にこたえるための日常的なスポーツ活動の場となる施設、広場とかあるいは体育施設といったようなものがどうも未整備でして、やりたいのだけれども場所がないというのが一般的ではないかと思うのですね。したがって、体育施設の充実については非常に要望が強いと思いますけれども、今後体育施設の整備充実策についてぜひお骨折り願いたい。文部大臣の御見解をこの際承っておきたいと思います。
○谷垣国務大臣 御指摘のように、非常に急速にスポーツに対しまする要望が強くなっておりますことは事実でございます。私たちが考えております以上に、たとえば少年の野球いわゆる草野球がもう日曜日の朝早くから、プレーのできますような場所とりのために懸命になっておるというようなことも私たちよく目にいたしまして、一面では大変に喜んでおりますが、一面ではこれに対応するだけの場所、施設が伴ってないことに責任を感じておるというのが正直な現状でございます。施設の増加等も近年かなりスピードを上げてやっておるつもりでおりますけれども、まだまだ要望に十分こたえ得るのには、これからもっとそれに馬力をかけなければいかぬ、こういうことを痛感をいたしております。今後ともに努力をする決心でございます。
○原田委員 大学入試センターの運営についてお伺いしたい。 共通一次試験というのは試験地獄の解消に役に立っておるのですか、率直にお答えいただきたい。
○加藤説明員 大学入試センター所長の加藤でございます。 大学の入学試験制度の改革がそのまま受験地獄の解消に役立つかという御指摘でございますが、受験地獄というものの考え方が幾らかあろうかと思っております。私どもが大学入学試験を今度の新しい制度に改善いたしましたことは、従来の大学の入学試験のあり方が高等学校の正常な教育をゆがめているのではないか、その原因の非常に重要なことは、入学試験の問題自体が高等学校の教育のレベルを非常に超えてしまう、あるいはそれの範囲から逸脱してしまっている、難問奇問が出るというような批判が強く受けられたわけでございまして、そういう意味における問題。もう一つは、従来ありましたのは一期校、二期校に関連しまして大学というものの格差感が非常にゆがめられている面もありまして、そういうことに対する改善を加えよう。ですからそういう問題にかかわりのある面における受験地獄というものの解消ということは、私どもとしては具体的に対応していきたいというふうに考えております。 ただ、現在、大学を志向する人口が同じゼネレーションの全人口の大多数の者になっているということで、従来の数%だった時代とその点の社会の様子、背景が非常に違っておりまして、入試そのものに対する関心が非常に強くなってきているということに伴う問題は制度の上からは直接的にはタッチできないで、この点は社会全般が教育という立場に立ってそういうものをお考えいただきたいなという気持ちを持っております。 いま申しましたように、問題自体から起こってまいります従来の批判、そういうものに対する改善は私どもとしてはいまここで具体的にはちょっと申し上げてよろしいかどうかわかりませんが、改善の方法をとっておるというふうに考えておるわけでございます。
○原田委員 いままで大変御苦労されて、制度をつくり出してから三年目だと思いますけれども、だんだん定着しつつあるということを率直に評価いたします。ただその中で、受験の機会が一回しかないということ、これは入試センターとはちょっと関係ないのですけれども、大学が一斉、一回にしたために、受験生によっては機会がなくなっちゃうということを聞いております。それから足切りですね。いわゆる足切りが行われる、これは受験の機会が奪われてしまうというようなことで、教育基本法の教育均等の趣旨に照らして果たしてどうかという意見があるのですけれども、いかがですか。
○加藤説明員 いま御指摘いただきましたことは、一期校、二期校という点で受験の機会が従来国立大学に対して二度あったということとの関連性の御発言だというふうに考えますが、実は一期校、二期校という点で国立大学に対してまさに二回の受験の機会があったという点については、非常なメリットもあったというふうに存じております。しかし一方では、一期校、二期校があったために逆に、一期校の試験を受けて二期校の試験をまた受ける、同じ人間がかなりダブって受けているということから、選抜試験でございますので合格する人間が非常にダブってしまうということの結果として、大学における入学式当時の登録の面で欠員が非常に多く出ておったということ、これは受験者自身の相互排除の現象ということにもなりまして、そういう点の弊害が非常に強かったわけでして、従来それの欠員の総数を見ますと、一大学分の定員数をオーバーするというような現象があったわけでございます。 そういう点を私どもとしてはやはり改善する必要があろうということで、今回の場合、御指摘のように一度の試験でいたします、それに対して、いまのような趣旨というものを生かすべきであるという点がやはり議論になりまして、御承知と存じますけれども、二次募集というのをやっております。二次募集というのは、共通一次試験、二次試験をやるときにあらかじめ定員を留保しておいて、一次試験、二次試験を受けて各国公立大学に失敗をされた方、そういう方に限って二次募集をするという方式を導入したわけでございまして、この方式は今後かなり広まっていくのではないかと思いますが、昨年とことしにわたりまして、それをやっておる大学がふえてきております。そうなりますと、いまのように相互排除という問題が完全になくなるわけでございますし、さらに入学のときにおいてはその区別なしの合格処置をするということになっておりますので、心理的な問題も解消するに違いないというふうに考えております。 それからもう一つは、その趣旨に関連があることなのですが、御承知のように一次試験と二次試験の間があいております。その際に一次試験の正解を発表する、それから平均点も発表する。つまり二回の機会があるということは志を一つにしぼっていく一つのプロセスであろうという考え方、内容がございますので、一次試験に問題も出す、正解も発表する、平均点も出すということで、自己評価をする、そして自分の志を一本に決めて二次試験を出願するというところに、具体的に受ける数ではございませんけれども、一つの大学を目指す志を一つにしていこうという道程を入れておるわけでございます。 そういうことが一つと、もう一つ——よろしゅうございますか。
○原田委員 少し簡単にやってください。
○加藤説明員 足切りの問題でございますが、足切りは本来的には、いまの趣旨から言いますとないはずの筋でございます。しかし、一方これは制度を決めた当座から一つの現象的な矛盾をはらんでおります。というのは、一次試験、二次試験をやりましたのは、ただ一度のペーパーテストだけでなくて丁寧な試験をやるという趣旨が含まれております。二次試験では御承知のように論述試験、面接、そういうものがありますので、二次試験の際の志願者が非常に多いという場合には、丁寧にやるという趣旨からやむを得ない現象として認めざるを得ない面がございます。しかし、実際問題といたしますと、昨年からことしと非常に減ってきておりまして、今度の新しい制度の趣旨なお互いに理解をすれば、その点は現実の形として減っていく方向をたどるというふうには考えております。
○原田委員 いまの足切りの話は、私は具体的に父兄から聞いたのですが、ある大学が前年やさしかったのでそこへ行ったところが、定員の三倍しか採らないということで、一次試験の成績は自己で評価して、この大学なら大丈夫と行ったところがはみ出て、足切りになって、二次試験を受けさしてもらえなかったという話なんです。これは何かちょっと改善の余地があるのじゃないかという気がします。機会均等という趣旨からいっても、少なくとも自分の能力に応じて、一次試験で評価してもらったのですから、適当な大学に行って受けられるということが望ましいと思うのですね。 いまのお話で、二次募集をやるというのは非常に結構だと思うので、これはひとつしっかり、ほとんどの大学がやれるようなことをお考えいただいたらどうかと思うのです。 いずれにいたしましても、大学の都合だけで入試制度を考えるというのじゃぐあいが悪いと思うのですよ。どうもいままでいろいろ御説明を聞いてみると、確かに大学の都合はこの方がいい。一期校、二期校と分けられると、二期校は大学としては一段下のグレードのような大学でおもしろくない、だから一緒にしようじゃないか。これも大学の論理なんです。しかし受験生の側、父兄の側の感じ方では、ひとつどこか受けさしたい、その能力に応じて受けさしたい、能力を判定してくれる一次試験は非常に結構だ、しかし多少能力が落ちてもどこかに入れたいという気持ちは大いに尊重しなければいかぬのじゃないかと思うのです。そういう観点から、大学関係者だけでなくて——試験問題の話じゃないです。手続、やり方のことについて民間有識者の意見をひとつ入試制度の運用について反映するような仕組みをぜひひとつ考えていただけないかということなんです。いかがですか。
○佐野政府委員 御指摘のとおり、入試改善を進めていく場合に広く各界、各層の御理解と御協力を得ることが必要でございます。入試制度につきましても、民間有識者を含めまして広く関係者の意見を反映させることが大変大事なことだと考えております。具体的には、文部省に入試制度の改善につきまして各界の関係者から成る大学入学者選抜方法の改善に関する調査研究会というのが設けられております。いわゆる入試改善会議と称しておりますが、ここで国公私立大学の方々だけではなくて高等学校なりあるいは教育委員会なりその他一般の有識者の方の御参加を得まして、その御審議に基づいて、各大学が入学者選抜を行うに当たつての指針となる大学入学者選抜実施要項を定めて、毎年各大学にそれによっての試験の実施をお願いしているところでございます。 共通入試を取り入れた入試制度の改善については、特に各界の御意見を十分に承って一つ一つ改善を図っていくことが必要でございますし、大学入試センターにおきましてもその運営において、こういった趣旨で広く高等学校その他の御意見を聞く仕組みなりあるいは機会を設けているところでございます。
○原田委員 大学についてもう一つお伺いしたい点は、大学の地方分散を私は図るべきじゃないかと思うのですよ。特に文化の大都市集中というのは非常に著しい。特に東京への文化の集中は、大学だけでなくて、出版とかいろいろな面で集中度が一番強い部門だと思うのです。諸外国に行きましても、地方に特色のある大学があって、学生が伸び伸びとやれるという環境で育ってくる、こういうことは非常にうらやましいと思っているのですが、大都市所在大学の地方移転が促進されるような施策をもうすでに文部省においても考えられて、大都市の大学の新増設の抑制と地方大学の整備に重点を置くという方針を打ち出しておられると聞いております。これをさらに効果あらしめるには、私学の助成制度がありますね、これについても少しその線に沿った助成を考えていったらどうかと思うのですが、いかがですか。時間がないから簡単に御答弁願います。
○三角政府委員 私立大学の場合には、移転でございますとか、地方へ大学を新設するというようなことは、当然教育研究体制の問題もございますが、それ以上に経営上の基本にかかわる問題になるわけでございますので、どうしても当該私学の自主的な判断というものが基本でございまして、先決でございます。 文部省といたしましては、私学の地方移転につきましては、本年度予算におきましても、日本私学振興財団からの資金の貸し付けで対応することにいたしまして、それなりの手当てをしておる次第でございます。 それから、いまちょっと御示唆のございました私学助成の内容ないしは方法について、地方対都会というような意味合いで地域という観点で何らかの取り扱いの差を設けるというようなことも一つの考え方としてはあるかと存じますけれども、現行の私学振興助成法の体系から、いまやっておりますような助成措置では、そういう要素を導入することにはなお問題があろうかというふうに考えますし、また私学側からもそういった取り扱いについての御意見はこれまで聞いておりません次第でございますので、私どもとしては、いま先生のおっしゃいましたような観点からの考え方はただいまのところはないわけでございます。御意見として十分承っておくことかと思う次第でございます。
○原田委員 結局私学の方が多いのでしょう。国立の方だけそういうことを考えたって効果が上がらないのですよ。私学から要望がないからやらないというのはおかしいのじゃないですか。私はそれを考えろと言っているのだ。
○三角政府委員 私学の設置の認可に当たりましても、これは国立大学の場合とほぼ同様の観点から、大都市における新設は抑制をする、そして地方における新設につきましては、これはそれなりに意味のあるものについては認可をしていく、こういう方針をとっておるわけでございますが、この助成につきまして地域によって異なる扱いをするということについては、いまの私学助成の考え方からは、これはひとしく教育研究を実施しており、それに対して国としても援助をするという考え方でございますので、問題があろうかというふうに申し上げた次第でございます。
○原田委員 そこで、私学助成をするんだけれども、授業料なり入学金は依然としてこんなに差があるのですね。もう少し何とかならないかということが一つ。 それから、これは落ちこぼれの問題なんですが、高校への進学率は九四%にもなって、身障者以外はほとんど高校に行くのだということになってきたのですけれども、それに伴って落ちこぼれというのはうんと出てくるのですね。これは画一教育がいいのか、その人の能力に応じたきめ細かい教育ができないかという問題ではないかと思うのですが、これにどういうように対処したらいいのか、ひとつ御意見を伺わしていただきたいと思うのです。
○谷垣国務大臣 私学振興の問題に先にちょっと答えさしていただきたいと思います。 御存じのとおり大都市に教育施設が集中しておることは少し考え直さなければいかぬ、そういう方針で、科目でありますとか新増設の問題はやっておるわけでございまして、地方の大学も急速にふえておりますから、そちらの方を充実さそう、こうやっております。しかし、先ほどお話がございましたが、私学振興財団等での若干の融資はやっておりますけれども、また一般的な経常費の助成というものはやっておりますけれども、地方へ行った、あるいは地方へ行く場合の私学に対して、特別の、たとえば工場誘致の税法上の恩典だとかいうようなことがプラスアルファで考えられるかという問題になりますと、いまのところは税法上の関係も、向こうは税は関係ございませんし、なかなか問題かあってやりにくいという点を先ほど申し上げたと思います それから、落ちこぼれの問題でございますが、これは落ちこぼれという表現もおかしいのですけれども、ことに高校教育の問題のときに生徒たちのそういう心情のいろいろな成長過程で問題が大きいと思います。それで、指導要領を今度改めてやるわけでありますが、この数年来、まあ言ってみますと、習熟度に応じた教育をやったらどうか。落ちこぼれという表現はおかしい点もありますが、学科的に見ますと、数学と外国語なんですね。英語なんですね。そういうものに特に習熟度に応じた仕組みでやってみたらどうか。初めは若干の抵抗がございましたし、いまでも問題があると思いますけれども、大分そういうものに対しましてやろうという空気になってきていただいております。やり方はいろいろ問題があろうと思うのです。わからぬ仕組みをずっと恒久的にやってしまうということになると問題がある。したがいまして、やり方は考えていかなければならぬ。少しそういう問題についてそれぞれの工夫をして始めつつある、こういうことでございます。私たち心配しておりますのは、そのことによって全部解決するかどうか、それは別といたしまして、一つの進歩、解決の一つにはなるのではないか、こういうふうに思って、進めていきたいと考えております。
○原田委員 それでは、時間がありませんので簡単に御答弁いただきたいのですが、教科書を取り寄せていまここへ持ってきたのですが、教科書の記述について私は若干疑問を持ってきたのです。 たとえば日露戦争の記述には、日本の兵士がたくさん戦場で祖国の栄光を確信して死んでいった、そういう崇高な自己犠牲の精神については一言も記述がない。私、二、三年前、東南アジアを旅行したときに、シンガポールの新聞に東郷大将の話が書いてあって、帝政ロシアの東方侵略に対してバルチック艦隊をやっつけたんだ、これはアジアとして大変誇るべき人物だというようなことが書いてある。ところが、東郷元帥の写真もない。もちろん記事も何もない。それに反して幸徳秋水や堺利彦さん、これは書いてもちろん結構だと思いますけれども、あるいは与謝野晶子さんのこととか、そういう戦争反対の側のことが書いてあって、そういう関係ではバランスを失しておるのではないかというような感じを受けておるのです。そういう点についてどう考えておられますか。私は、やはり事実に即してバランスのとれた記述がなければいけないのじゃないかと思います。さらにもう一つ申し上げると、祖国のために自分を犠牲にして戦場で亡くなった方に対する冥福を祈るとか感謝の気持ちというのが多少出るようなことがなければ、それは愛国心を養成しようといったって無意味ですよ、効果がない。私はどうもちょっとバランスがとれない記述ではないかと思っておりますけれども、いかがですか。
○谷垣国務大臣 いま御指摘の問題は現在の教科書の採択の問題あるいはどういうふうにしてそれをあれするかというところに問題点があるのだろうと思っておりますが、具体的に教科書の中にどのような歴史上の人物を取り上げるかという問題につきましては、教科書検定制度の趣旨に照らしまして著者の創意工夫を尊重していく、こういうことで適切な記述になるようにその意見を付しておるところでございまして、先ほどちょっとお触れがございましたけれども、たとえば愛国心の問題等につきまして御指摘がございましたが、教科書全体の記述の中でどのように取り扱われておるかということも考えなければならない問題だと思います。たとえば先ほど御指摘がございました日露戦争に関します記述等でございますが、明治時代全体についての記述を見ておりますと、たとえば大日本帝国憲法というものが当時のアジアの状況の中でわが国が先駆けてこれを制定してやっていったというような記述があるわけでございまして、これはこれなりの、現在の憲法とは違いますけれども、そういう意味の記述は出てきておるわけで、高く評価しておる、こういうことになると思います。先ほど具体的な事実がございましたけれども、そのほかの諸君、たとえば北里先生であるとかあるいは音楽の滝廉太郎というようなものの記述はあるわけでございまして、全体としての記述がわが国の歴史に対してどういうような触れをしておるか、こういうところで国土に対します理解、愛情というものを育てていくということになるだろうと思うのです。これは現在の教科書の採択制度の中に、要するに国定教科書じゃございませんので、まあ国定教科書にいたしましても終始いろいろな記述の方法というものの議論はまたおのずから出てまいりますけれども、そういうところでの教科書ということになりますので、今後一層いろいろな記述等につきましての公平な記述を期待はいたしますが、そういう事情でございますことも御理解を願いたい、こういうことでございます。
○原田委員 事情はよくわかりますけれども、私は何もこちらの考え方を押しつけろということじゃなくて、史実に正確で公正な記述をやったらどうか、こういうことを申し上げておるわけで、ぜひ御検討いただきたいと思います。 それから最後に、東大の不法占拠問題について、総長がお見えでございますので、これは森下先生が主としておやりになりますので、私は前座として一言申し上げたいのです。 文学部長室の火災、発火事件が起こりましたね。その当時占拠していた学生は全然処分されないで、管理責任者である文学部長だけが処分されたというのはわれわれ世間常識では全然納得できないのです。この点はどういうようにお考えになっておられるのか。 それから、精神病棟では外来が来てもまだ依然として入院ができない。普通、病院に行くには、外来に行きまして診てもらって、そしてそこでこれは入院加療を要するということで入院をする、こういうのが普通だと思うのですが、東大に関しては、行ったら、入院が要りますよ、じゃよその病院をお世話しましょう、こういうことになるのだそうですな。これで正常化ができたのか。もちろん前からいえばずいぶんよくなったと言えるのですけれども。関係者の方が精神病棟に入っていただかなければならぬじゃないかと思うくらいちょっとおかしいのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○向坊説明員 文学部で火災事件など起こしまして社会、国家に大変御迷惑をかけてまことに申しわけないと思っております。また、病院の精神神経科の問題につきまして会計検査院から措置の要求を受け、また国会でもいろいろ御心配いただいておることについてもまことに申しわけないと思っております。 文学部の学生の処分問題でございますが、これは文学部を中心にいたしまして全学的に評議会で慎重に検討いたしました結果ああいう措置をとったわけでございまして、詳しく申し上げる時間ございませんけれども、火事そのものについては警察でさえも原因や責任者を断定できないという状況でございまして、火事自体についての処分はできないわけでございます。ただ、そういう事態を起こしたということに対して、学部長室を占拠しておったということに対して、学生諸君の一部の人を処分すべきではないかということで慎重な検討が行われたわけでございます。大学では総長がその処分の責任者でございますけれども、総長の考えで処分するわけではございませんで、担当部局の上申に基づいて評議会でこれを決定しなければならないわけでございます。評議会で世間の常識では御理解しにくいような結論を出して学生の処分をしなかったわけでございますけれども、それは大学の紛争以来のいろいろの経緯がございまして、学内で教官でさえも学生の処分制度というのはたな上げと申しますか、留保の状態にあるのではないか、そういうように考えておる人が相当おりまして、私自身は処分制度は生きていると考えておりましたけれども、学内では必ずしもそちではない、そういう状態で、簡単に申しますと処分はできなかったということでございます。 それで、処分はできるのであるということを紛争以来大学としてははっきりと明示したことが実はなかったのでございますね。それで私はその機会に、処分はできるのであるということを明示すると同時に、処分制度検討委員会というものを発足いたしまして、ただいま学内を教育研究の場としてふさわしいものにする、規律をどう保つべきかということについてこの委員会で鋭意検討中でございます。 それから精神神経科の問題でございますが、長年空席でありました教授、助教授の席が昨年任命されまして、その方々を中心とする関係者の努力によりましてかなり正常化の方向に向かって進展は見ているわけでございます。たとえば学生の教育実習とか研修医の受け入れ、それから患者の教授、助教授による把握でございますね、これは診療会議とか教授回診等によって十分把握しております。そういう方は非常に進展いたしましたが、御指摘のございましたように、外来側と病棟側とを総合的に運営する、外来で診た患者をすぐ病棟に入れられる、そういう状況は遅々としてなかなか進んでおりません点はまことに申しわけないと思っております。 実は、教授が外来で診療した患者を病床に受け入れることはできるようになりました。これからもその例はふえていくだろうと期待しておりますが、なかなか一体として運営されておるというところまではいっておらないというのが実情でございます。 こういう状況がございますのは、外来におります医師と病床におります医師との間に、診療、治療に関する基本的な学問的な考え方の違いがございまして、それが長年の間に感情的な対立にまで発展いたしましたものでございまして、その解消に相当時間がかかるという状況でございます。 いま東京大学にカナダから非常に著名な精神神経科の教授が招聘教授として来ておられまして、その先生と私、二度ほど会って、長時間にわたってこの問題について御意見を伺ったわけでございます。その先生は両方の医師とも親しくしておられまして、事情をよく了解しておられますけれども、現在の教授、助教授による努力は非常に高く評価しておられますと同時に、全体としての解決にはまだ若干時間がかかるだろうということはその教授も申しておられます。 私どもとしては、御指摘の点を解消いたしますようにこれからもあらゆる努力をいたしますけれども、まだしばらくその点はお時間をかしていただきたい、そういうふうに存ずる次第でございます。
○原田委員 時間でございますので、これでバトンタッチをしたいと思いますが、いずれにいたしましても、この問題は非常に長くかかっております。国民も、最高学府において一体どういうことなんだろうということを非常に遺憾に思っておるわけでございまして、ぜひとも早急な解決策を強力に推進していただきたいと思う次第でございます。
○高田委員長 森下元晴君。
○森下委員 東京大学の神経科の不正常の問題につきましては、当委員会でたびたび論議をされました。五十三年には本委員会の決算議決でこの問題を取り上げられまして、文部省の方からも、また大学当局の方からも正常化のために全力を挙げる、こういうようなお言葉があり、また報告があったわけでございますけれども、本日の決算委員会では、会計検査院よりは御指摘があり、また大臣からも、全力を挙げて事態の収拾また正常化のために一層の努力をする、こういうような概要報告があったわけであります。 そこで、会計検査院の方にまずお聞きしたいわけでございますけれども、二年前に私どもが東大に国政調査に参ったときには、いわゆる日本一、世界一と言われるかもわからないような標本、それから文献類、この検査もできない状況であって、会計検査院からはまことに遺憾であるというような報告が出されたわけでありますけれども、その点につきまして、この管理運営につきましてどういうふうに会計検査院の方で今日現在見られておるのか、この状況をまずお聞きしたいと思います。
○藤井会計検査院説明員 お答えいたします。 昨年九月の会計実地検査におきましては、先生おっしゃいましたこの精神神経科の病棟内に支障なく立ち入りまして、物品、図書あるいは施設等について検査を実施いたしております。 なお、先ほど原田先生もおっしゃいましたけれども、病院の運営につきましては、昨年五月から学生の臨時実習を行っておりますが、現在なお、外来患者のうち入院を必要とすると診断された患者を入院させることができないというような状態でございまして、教育、研究、診療一体としての管理運営が行われていないというふうに認められ、完全に正常化したというふうには考えておりません。
○森下委員 東京大学は最高学府の中でも象徴的な存在でございまして、われわれ決算委員会があえてこの問題を取り上げておるのは、やはり象徴的な存在としてのこの医学部内の神経科の問題、それから先ほど原田委員が御質問いたしました文学部の問題、こういうことでございまして、こういう問題は決して東大のみではございません。私はきょうは、徳島大学のやはり医学部の人事問題に絡みまして不正常な状況になっておる、この問題も後で質問しますけれども、向坊学長さんが御用事があるようでございますので、いまの問題につきまして、簡単で結構でございますけれども、今後この神経科の問題を、かなり占拠状況から脱却をして不正常な状況であるけれども努力をせられておる、これについては私どもも認めておりますけれども、今後早急にこの解決をしていただいて、そして正常な管理運営が行われるようにわれわれは要望したいと思うのです。学長さんからひとつ御答弁を願いたいと思います。
○向坊説明員 いろいろ御心配をかけまして申しわけございません。 先ほども申し上げましたように、東京大学といたしましては全力を挙げて正常化の努力をしておりまして、病院長及びその精神科の担当教授等とも私しばしば会いまして進行状況を聞きながら努力を進めておりますので、どうか私どもの努力を見守っていただきたいと存じます。 先ほど申し上げました招聘教授はリンという方でございまして、世界精神科学会の副会長をしておられる方でございますが、その先生も全面的に私どもに協力して正常化に向かっていろいろ相談に乗ってくださっておりますので、そういう努力を、これからも早急に解決へ向かって努力いたしますので、どうぞ御了承を得たいと思います。
○森下委員 それでは、もうお帰りください。 そこで、文部大臣に御質問申し上げたいと思うのは、大学の自治と、社会の倫理、常識とどちらが優先するかということでございますけれども、まずその問題から大臣に御質問したいと思います。
○谷垣国務大臣 これは非常にむずかしい問題だと思いますが、日本の大学の長い歴史の中でおのずからに出てきたものが、いわゆる大学の自治あるいは学問の自由の限度と申しますか、そういうものだと思います。大学というものの存在意義は、単に現在だけでなく、将来に対しましてもいろいろな意味の可能性を含むものを見込んで、そして学問研究をする、あるいは学生を養育するということでございまするから、これはやはり少し余裕のあるところでの教育、また学問の自由が必要だと私は思うわけであります。御指摘の問題は、世間的な常識とこういうものとの間のいわば分界点と申しますか、そういうものの御質問のように私は承ってお答えをしておるわけでありますが、これは大学の歴史の長い間におのずと一つのルールと申しますか、範囲の判定と申しますか、そういうものができてきたということ、またそれを尊重していく必要があるのではないかということ、こういうところだと実は思っております。これは具体的な事例等によって考えなければならぬことでございますが、なかなかむずかしい問題もございまして、きちっとこの線はもうあれだということの言いにくい——言いにくいと申しますよりも、つまりそれが形成されるまでのいろいろな経過、経緯の上からでき上がっているということを尊重することが基本的には大切なことではないかと考えてやっているわけであります。
○森下委員 この自治という言葉は非常にきれいな言葉で、特に大学の教育運営等につきましては当然われわれも認めますけれども、最近はこの自治が乱用されまして、いわゆる自治の下請、孫請になりまして、総長の自治の権限、またその下の何々部長の権限、それから科長の権限、だんだん自治を下請、孫請に出すようなかっこうで、結局だれも責任をとり得ないという、民主主義のルールの本質的な問題からかけ離れたような、まことに秩序のない自治という問題が、特に学校問題に起こっておる。 これから私が質問いたします徳島大学の問題にしても、もうすでに新聞等で出されておりますけれども、人事問題のもつれが結局いわゆる派閥坑争と申しますか、三年間も大崎教授が授業また診療活動をボイコットされまして、最後に人事院に対して、仕事をさしてほしいというような泣き込みがあったわけでございます。人事院としても、恐らくこういう扱いは初めてであったのじゃないかと思うのです。いろいろと調査いたしまして結論を出された。そして、大学当局は重大なる決意をもろて学内の秩序を回復し、教授が本務を遂行できるよう適切な措置を講ずべきだ、こういうような判定を下しておる。しかし、この判定に対して、なかなかぴしっと秩序が戻っておらない。しかも徳島大学の場合は、耳鼻咽喉科の大崎教授だけの問題ではなしに、ほかにまだ四人の教授のポストが欠員になっておる、こういうふうに言われておるわけなんですね。 そういうことで、東大の場合は十年余のいろいろ不正常、またときには選挙という問題がございましたけれども、徳大は三年間でございまして、これがどういうふうに推移していくか。われわれは、早く解決して、そして地域の方々、また学生の方に御迷惑をかけないようにしてもらいたいと思っておるわけなんですが、私は、初めに人事院から簡単にこの経緯、そしてこの判定に至る経緯と判定を出された拘束力、これについてお尋ねをしたいと思います。
○山田説明員 最初に、本件徳島大学事案の背景あるいは概要等についてでありますけれども、御承知のように、本件事案は、昭和五十一年の五月に徳島大学医学部の耳鼻科教授が他の大学に転出したことに伴いまして、その後任教授選考をめぐって問題が提起されたわけでございます。教授候補者は五名でありましたけれども、最終的には、この申請者である大崎さんとそれから日根徳島大学助教授との間の決選投票になりまして、それで同年の十月二十八日の教授会において、申請者が一票差で教授予定者として選出された。そしてその後申請者は、同年の十二月一日、文部大臣から同大学の教授に発令されたということでございます。 ところが、その前後から申請者の教授就任反対運動が起こりまして、学内では、耳鼻科の医局員らがその先頭に立って、申請者に履歴詐称の疑いがあるなどと主張して、学内掲示あるいはビラ等を通じて学生にこれを強く訴えるなどいたしました。このため申請者は、着任しても自分の教授室に入ることもできず、その後も、これら医局員からその職務を妨害される等排斥を受けまして、学生も、このような反対運動に刺激されて申請者の授業をボイコットするに至り、申請者は、教授就任以来現在に至るまでの間、その本務である学生に対する授業、付属病院における診療等が行われない状態であります。 そこで、この申請者であります大崎教授は、行政措置の要求といたしまして、まず第一に学生に対する耳鼻科の授業及び試験を実施させること、それから医学部附属病院における診療及び研究を実施させることを人事院に求めてまいったわけでございます。 そこで、人事院といたしましては調査を行いまして、その結果、判定をもって判断を出したわけでございますが、その要旨は、本件教授選考は、法律上適正な手続を踏んで行われたものであり、また、文部大臣の発令があった後までも、これを不服として、新任の教授に対しその適格性について批判し、その教授就任に反対するようなことは許されるものではない。ところで医学部当局は、これら医局員らの教授就任反対行動に対し何らの抑制措置もとらず、また学生対策とはいえ申請者に授業を行わせないようにして事態の収拾を図り、さらに、医局員らの申請者に対する職務妨害に対し何ら抑制する措置をとらなかったことは、きわめて不適当であると判断する。したがって、徳島大学当局は、良識をもって事の理非を明らかにし、申請者の本務の遂行を阻んでいる障害を除去して学内の秩序を回復し、申請者が速やかに本務を遂行できるよう適切な措置を講ずべきである、こういう旨の判定を出したわけでございます。 それから二番目の御質問の、この行政措置要求の拘束力についてでございます。これにつきましては、法律上直接的な拘束力を持っているかというおっしゃられようでございますと、これは法律上の直接の拘束力はございませんと申し上げるほかございません。しかしながら、従来からこの行政措置要求の判定につきましては、第三者機関であり、かつ中央人事機関である人事院の公正な判断としてそれぞれの当局によって尊重されておりまして、関係機関においてその趣旨が十分生かされて実行されているということが実情でございます。
○森下委員 そこで、大臣にお聞きする前に、もう一点あるのですが、徳島県議会から文部大臣に実は意見書が出されております。それは三月の二十六日に、県議会本会議でこういうような意見書を満場一致で可決しております。それは「徳島大学医学部紛争の早期解決を求める意見書」ということでございまして、内容は、大学の自治に属する問題とはいえ、同学部と附属病院の存在の意義と県民の期待を考えるとき、県の公益に少なからざる影響があるというような厳しい内容で、県議会は文部大臣に提出する一方、県選出の国会議員にも送って協力を要望した。われわれも実は要望を受け取りました。だから、地方議会の方でも、大学の自治とは言いながらも、地域の問題にしても余りにも影響力が大きい、県の公益に少なからざる影響を与えるということで、大臣の手元にも要望書が参っておると思うのです。 〔委員長退席、井上(一)委員長代理着席〕 そこで、大臣からこの問題につきまして、御意見、今後どういうふうに御措置と申しますか御指示されるか、ぜひお伺いをしたいと思います。
○谷垣国務大臣 県議会からの意見書、三月二十六日付の意見書を拝見をいたしておりますし、徳島大学に対しましての従来の経緯、それぞれ承知をいたしておりまして、大変に申しわけなく遺憾に思っておるところでございます。 ただ、先ほどもお話がありますように、このこと自体、大学が決定をするのがまず第一であろうと私は思います。大学がどうしても決定できないとすれば、当然任命権者であります、また大学の監督をいたしております文部省もそれに対応する措置を考えなければならぬと思いますけれども、学長その他に対しまして、文部省の方からも強く指導をいたしておりますが、大学自体といたしましても、こういう人事院からの勧告もある事態を踏まえまして、何らかの解決を図る努力をする決心を持っておると私は見ております。大変に残念なことでございまして、人事の問題、しかもそれがいろいろの経緯はあったことと思いますけれども、大学の教授会自体でもそれを決定をいたしまして、そして発令を文部大臣としてもいたしましたものが、三年有余にわたりまして本来任命をいたしました機能が喪失をして動かないということ自体、これは非常に遺憾な申しわけないことでございまして、その事態を踏まえ、また人事院からの勧告あるいは先ほどの地元としての見解自体が一致した、こういう意見をいただいておるという事態を踏まえまして、さらに強く大学当局自体が一層努力をして解決すべきであるということを指導してまいりたいと考えて、すでに私の方も学長その他に対しまして強い注意を促しているというのが現在の段階でございます。
○森下委員 大学局長にちょっとお伺いしたいのですが、先ほど私がちょっと申し上げましたけれども、ほか四名教授ポストに欠員がある。それもやはり大崎問題に絡んでなかなか決めにくいというように聞いておるわけなんです。 その問題と、もう一つは、なぜこういうような感情問題が高じて人事に大きな問題が起こったかということの内容、いわゆる派閥と申しますか、地元の徳大系と東大糸が一緒になって徳東連合、それに対して、阪大と九州大学と岡山大学出身者の阪九連合の教授争奪戦が起こったものだ、地元の新聞にはこう書いてあるのですが、そういう点までお調べになっているのかどうか、局長さんから、さきの問題も含めまして御答弁を願いたいと思います。
○佐野政府委員 御指摘のとおり、現在徳島大学の医学部におきましては、大崎教授の問題とは別個に、長期にわたる教授の欠員の状況がございます。私どもは、この教授の早急な補充人事を実施をするということが、大崎教授の問題に対する医学部教授会の正しい対応というものをこれから進めていく上にも欠くことのできない一つのステップであろうと考えておりますし、医学部長に対しまして、早急にこれら欠員教官の補充を進めるように、その選考手続を進めるように求めているところでございます。このことは医学部も十分に意識をしております。できるだけ早く選考手続に入る、そして、その選考自体を正しく行うことによって、医学部の教授会のあり方というものを正常なものにしていく、そうした努力をまた一般にも理解をしていただくことができるであろうというような角度で真剣な対応を考えているところでございます。 そうした状況のもとで、こういった欠員が起こっている、そのこと自体がいま先生御指摘のような、医学部の中におけるいわゆる派閥と言われているようなものの存在というものがあることをうかがわせるわけであります。もちろん必ずしも徳島大学に限らずに、各地の大学の医学部にいろいろな形で出身の大学の違う人たちがいることは事実でございますけれども、しかし、そのことが直ちに教授の選考を困難にしたり、あるいは選考された教授の職務執行がおかしくなったりすることにはほかの大学ではなっていないわけでございます。やはり徳島大学の場合には、事柄がいわゆる大学の自治を担う教授会の機能自体がその真意を問われているということについて、教授会が十分なる自覚と責任をもって対応していただきたいと考えております。
○森下委員 よろしくお願いしたいと思います。 なお、最後に大臣に一言御答弁願いたいと思うのは、この問題は東大、徳大の問題だけではなしに、たとえば私立の金沢医大なんかも、裏口入学以来、新学長をめぐりまして非常に紛争が起こっておりますね。それから、医学部だけではなしに、全国の国立、公立、私立の大学の学内の紛争、不正常、これもまだかなり残っておるように聞いておりまして、自治という解釈問題が余りにも得手勝手に解釈されまして、先ほど申しましたように、自治が次々下請、孫請まで伸びていって、そうして結局は秩序が乱されておるというようなこともございますので、この自治という問題を、やはり目的は倫理の問題であり、また先ほど大臣から御答弁になっていただいたような社会秩序の問題、また特に医療という問題は人間の一番幸せの根源である健康につながるわけでございますから、派閥争いがあったり、また、学内紛争があったりして、この目的が失われないように、強力な御指導を文部大臣としておとり願いたい、覚悟のほどを、ひとつ大臣から最後に簡明に発言をお願いしたいと思います。
○谷垣国務大臣 きょう、この国会のこの席で、いま申されましたような案件が、しかも具体的な人名を付して議論をされましたということにつきましては、私は非常に重大に、重く受けとめておるわけであります。したがいまして、この案件がなるたけ早く、速やかに解決をされなければならぬと考えますし、努力を今後もっとさらに強くしていかなければならない、かように考えております。 なお、大学の自治一般の問題につきましては、歴史のわりあい新しい形で新設をいたされましたそういう大学につきましても、というよりも、そういうところにおきますまだ草々の間のいわゆる問題がそれに付加されまして、いろいろと問題を生じておる点がございます。これは大学の自治という問題の本質と若干違った形のものも中には見受けられないこともないと思います。そこらをよく弁別して指導をしてまいらなければならない、かように考えておるところでございます。
○森下委員 終わります。
○井上(一)委員長代理 高田富之君。
○高田委員 私は、日本学術会議に関する問題だけにしぼりまして、簡潔に二、三お尋ねをしたいと思うのであります。と申しますのは、当委員会で四年前、昭和五十一年四月二十八日でございますが、日本学術会議に関連いたしまして、私が若干の質問をいたしておるのでございます。もっともそのときは、決算委員会の総理府所管事項の審査の際でございました。本日は文部省所管の審査が行われておりますけれども、内容的には各省中最も関係が深いし、いろいろの御見解をお持ちであろうと思いますので、本日、私が日本学術会議につきまして二、三お尋ねをいたしますので、最後までお聞き取りをいただきまして、最後に文部大臣から、本件に関する、私の質問内容に関連いたしまして御所見を伺いたい、かように存ずる次第でございます。 それで、四年前に私が御指摘を申し上げましたこととの関連があるものですから、あえて私、また再び取り上げさせていただいたわけでございます。 実は、日本学術会議、申すまでもなく政府機関でございますので、学術会議の行います事業につきましては、当然、国費をもってすべて支弁されることは規定にもありますし、また当然のことでもございます。しかるに当時、四年前に私が指摘いたしましたのは、予算に計上されていない事業を計画され、あるいは予算に計上されておりましてもそれ以上にはみ出す事業を行われまして、予算の何倍あるいは十何倍というような多額の経費のかかる仕事をなさる、その経費を民間から寄付金で仰いでいたといったような事例を挙げまして、御所見を承ったわけでありますが、当時、総理府の副長官からも、このような過ちが将来ないように厳重にやっていくという御決意の表明がありましたし、学術会議御当局からも、今後はもう二度と再びこのようなことがないようにするというようなことでございまして、会計検査院当局からも御注意があったようでありますし、会計検査院としましても、その後も厳重にそれらの点については調査を続けておられたことと思うわけであります。私も、そういうことで恐らく改善されたものと信用をいたしまして、今日まで特に調査をすることもなかったのですが、つい最近、実は非常に残念なんでございますが、四年前に私が指摘いたしましたのと本質的には変わらないような事実を一、二知ったものでございますので、あえて調査をいたしましたところ、どうしてもこれはもう一遍事情を確かめておく必要がある、かように思いましたので御質問を申し上げる次第でございます。 そこで、その前に一つお聞きしておきたいのは、四年前私が指摘いたしました幾つかの事実のうちの一つに、日本学術会議の中に国際学術会議基金という名称で若干の金が積み立ててあった、これはもちろん公金ではないわけでありまして、本来そういうものが積み立ててあるべき性質のものでないので、これはどうしたものかという質問をいたしましたところ、やはりこれはまずいので、何とか処置をするし、今後こういうことはしないのだという御答弁をいただいておったわけですが、今度改めていろいろなことを調べておりましたうちに、その処理はついたのはついたらしいのでございますが、あれから四年近くたって、最近になってから何らかの処置がついているというふうに承っておるのですが、これはどういうふうに処置されたか、そのことを、まず第一点だけ最初に伺いたいと思います。
○大濱説明員 お答えします。 たしか昭和五十一年、いま先生の仰せられたとおりに、四月に本委員会で先生から、この件についての御指摘をいただいたわけでございます。以来、会計検査院等の指導も得まして、関係の管理委員会で鋭意この問題につきまして検討を加えられたというふうに聞いております。 この結果、昨年の十一月でございますが、日本学術会議同友会というのがございます。これにこの管理事務を引き継いでもらいまして、ここで厳正に管理運営されることになったと聞いておるわけでございます。ちなみに、この学術会議同友会と申しますのは昭和五十二年につくられたわけでございまして、学術会議の元会員を中心にして組織される団体でございまして、会長は茅誠司さんがやっておられるわけでございます。
○高田委員 そうしますと、一応処理がついたというふうに了解いたしますが、腑に落ちないのは、あのときあれだけ、かなり強く私が指摘いたしまして、すぐにもそういうふうなことについては処理がつくものと期待しておったのですが、いまお答えにありますように、つい最近になって、あれから三年半か四年近くもたってからようやくそういうところへ移管したというようなことは、これは私ちょっと了解しがたいのですが、何かそういう事情があったのですか、むずかしかったのですか。
○大濱説明員 何しろこの問題は非常に経緯もございまして、また、関係者が多忙な方ばかりでございますので、いま先生のおっしゃられるとおりに、検討に三年半有余を費やしたわけでございまして、また、当時のこの基金を設立する経緯とそれから趣旨をどのようにさらに生かすかということにつきましても、いろいろ御議論があったやに聞いておりまして、この点ひとつ御了解いただきたいわけでございます。 なお、結果的にこのように事務がおくれたということにつきましては、われわれとしても大変遺憾に存じておる次第でございます。
○高田委員 それから、やはりあのときに御答弁の中で、たしか総理府の副長官の御答弁だったと思うのでありますが、日本学術会議の中に、改革構想委員会とかいうものがつくられておるということでございまして、この改革構想委員会でひとつ十分検討をして、運営、機構その他について改革をするということに着手をするのでというような御答弁をいただいておるのでありますが、その後、この改革構想委員会なるものは実際に活動され、どのような改革案を立てられ、あるいは実行されましたか、御報告いただきたいと思います。
○大濱説明員 内部におきまして改革構想委員会というのがございまして、その委員会の設立の趣旨と申しますのは、これのみにとどまりませんで、組織あるいは学術会議のあり方等全般につきまして今後の学術会議の問題について種々検討が行われる委員会でございます。 ただ、基金の管理委員会といいますものは、制度的には学術会議の組織そのものではございませんで、内部的な問題というよりはむしろ学術会議の外にあって、関係者はもちろん学術会議の当時の役員の方々が関係なさっておる、この点につきまして多分に誤解といろいろ御批判のあるところでございますけれども、改革構想委員会そのものとこの基金をどうするかという問題は必ずしも結びつきません。しかしながら、五十一年当時から先生のこういう御指摘の件も含めまして、予算の執行等全般につきまして、会議のあり方等につきましても公私混同しないように、あるいは国際会議を開催するについてはどういうふうな手順でどういう組織をつくってやるべきであるかということは慎重にしかも真剣に討議が重ねられたわけでございまして、その後たとえば国際会議の開催基準等も改正するに至っておる次第でございます。
○高田委員 いろいろと改善のために御努力をなすっていることとは思うのでありますけれども、つい最近私が知りました事柄でこういうことがございますので、これについてひとつ明らかにしていただきたいと思います。 第一点は、昨年の五月十五日から二十九日まで日本学術会議訪ソ代表団というものを組織されて訪ソされたわけでございます。団長が会長の伏見さん、団員が石谷大阪大学工学部教授と第三部会員の木原京都大学経済学部教授の二人、それぞれ婦人を同伴されての訪ソであったそうでございますが、この訪ソは政府機関である学術会議としての正規の手続をとり、国家予算に基づく経費によって行われた、そういう意味での正規の訪ソでございましたか、それとも私的なものでございましたか。
○大濱説明員 ただいまの御質問のお三方につきましては、全くの私費による個人的な資格でございました。学術会議とは直接のそういう関係はございません。
○高田委員 そうすると、私の調査したとおりなんでありますが、私は不思議に思ったのでございます。私的な自費で訪ソされたと言うのでございますが、訪ソされまして行ってこられました一番大事な仕事は、ソビエトの科学アカデミーの総裁、それから副総裁などに会いまして、そして日ソ間の学術、科学技術交流についてかなり大事な会談をなされておるようでございます。しかも協定書のような文書、覚書を交換されて、それには日本学術会議会長としての署名、ソ連科学アカデミー総裁の署名ということでございまして、非常に大事な外交上の文書の交換などもおやりになっておるのですね。この事実には相違ございませんか。
○伏見説明員 ソビエトを訪問いたしましたこと、御指摘のとおり事実でございます。学術会議会長個人といたしましては、国際学術交流を非常に大切なことだと考えまして、チャンスがある限りいろいろと国際的な交流のきっかけをつくろうと絶えず努力をしているわけでございますが、たまたま昨年の一月に日本学士院の百年祭がありました際にソ連アカデミーの副総裁でありますベリコフ氏が来日されまして、その方といろいろ日ソ間の学術交流についてお話し合いを日本でいたしました。その中から、一遍ソビエトを訪問したらどうかというお話がございまして、アレクサンドロフ総裁からの招待状を私にいただいたわけでございます。 ベリコフさんは、私の専門でございます核融合分野での専門家でもございまして、ふだんから親しくしている仲でございます。その先生からのいわば口ききで招待を受けまして、私はそのチャンスを喜んで参ったわけでございます。ただ、いわゆるソフトカレンシーの国でございますので、その招待と申しますのは、モスクワの空港をおりてから先の話でございます。それまでの往復の飛行機代というものは、私たちの自分のポケットマネーで参ったわけでございます。また、石谷、木原両氏を伴いましたのは、ベリコフさんとのお話しの中で何人かお友達を連れていらっしゃいというお話がございましたので、その言葉に甘えまして、二、三の専門の違った方をお連れしたわけでございます。 そして、私の参りました主要な目的は、元来日ソ間の学術交流の地盤固めをいろいろな点でするということにございますので、先方でいろいろの研究所を見学し、それから研究者といろいろ意見の交流をするという以外に、そのアカデミーでどういう分野での学術交流が適当であるかといったようなことのお話し合いをいたしました。そして御指摘の覚書と申しますのは、そのお話し合いの中でややまとまったと思われる点をお互いの記憶のために議事録的にしたためたものでございまして、それ以上の意味を持ったものではございません。
○高田委員 そうしますと、先方は、ソ連側としましては、私的な訪ソ団を受け入れたのだというふうに受け取っておるのでしょうか。それとも、公式の学術会議の代表ということで向こうの国家機関であるソ連科学アカデミーとこちらの国家機関である学術会議との話し合いというふうに先方は受け取っておるのでしょうか、どういうふうに受け取っておるのでしょうか。
○伏見説明員 先方には、私たちは公式な代表ではないということを申し上げて接触しております。ただ、私は、学術会議の会長として日本の学術のいろいろな面に接触しているということを先方は承知しておりまして、私と意見を交換することによって多くの事情を知ることができると考えていたと思います。
○高田委員 余り細かいことは別にしますが、ちよっと拝見いたしましたのですが、その覚書の中に、ソ連科学アカデミーと学術会議の両者によって科学技術協力委員会を設置するというようなことがあります。それから、交流に関しましてはこういうふうになっていますね。「交換実現の基礎は、一九七三年十月十日付政府間協定、またはソ連科学アカデミーとしかるべき日本側機関とが直接に締結する科学協力協定とし、その交換割当は双方から年々各々百二十人・月、人員制限はないものとする。」というようなことでございまして「日本学術会議代表団は、ソ連科学アカデミーの提案を考慮し、日本のしかるべき機関と審議し、その結果をソ連科学アカデミーに通報する用意のあることを表明した。」こうなっておるわけでがざいますが、そのことにつきましては、今日までに何かしかるべき機関と相談をするとかいうことで、先方に返事をするとか、そういうことは行われたのですか、まだですか。
○伏見説明員 私がその文書の中で約束的なことを申しておりますのは、国へ帰りましてからそれぞれ関係のある諸機関に実情をお話しいたしまして、学術交流が少しでも促進するように努力するという意味のことをお約束してまいり、かつその結果を御報告するということをお約束してまいったわけでございます。その約束に従いまして、御関係のありますいろいろな研究機関等に、どういう御事情になっているのか、日ソ間の学術交流としてはどういうことをやっておられるかといったことを私個人の力でいろいろお尋ねして、二、三の情報は得ておりますが、いまだアカデミーに正式に回答するといったまとまった段階には至っておりません。
○高田委員 そこでこの中に、ただいまちょっと読みましたように「一九七三年十月十日付政府間協定」という言葉が使ってございますが、その政府間協定というのを調べてみたのですが、このときにソビエトと日本との間で文化交流についてのきちっとした取り決めが行われておるわけでございます。もちろん、その後時間的にはたっておりますから、発展させるという趣旨もありますので、発展させるのは当然いいことだと思うのですが、このときの中身は、交流については、双方は毎年それぞれ合計十名を超えない範囲内で、そして滞在期間十カ月を超えない範囲内というようなことが書いてございます。それで、経費のことなどもきちっと書いた正式の両国政府間の協定ができておるわけでございます。こういうものが基礎になるのだということをうたってあるわけですけれども、こういうふうに非常に大幅に拡大する新たな協定を結ぶような話し合いになっておるわけです。もちろん、私は中身のいい悪いを言おうとしているのではないのですが、こういうふうなかなり重大なことを、両国関係の上で外交上も非常に重要なことですが、私費で旅行というような形でおいでになって、それを代表者が署名捺印されるということはいかがなものかと私は思う。 ひとつ外務省に見解をお尋ねしたいのですが、これだけのことをおやりになるのに、事前に外務省にその旨の相談があったかどうか、お伺いしたいと思います。
○平岡説明員 事前には一切御相談はございませんでした。
○高田委員 そこで、外務省にちょっと見解を聞きたいのですが、相談がなかったということになりますと、私はこれは大変なことじゃないかと思うのです。これだけ重要な両国政府機関の代表者が、外交的なこと、しかも前に結ばれておる協定に基づいて、これはちゃんと文句も書いてあるのですからね。しかも、その中身を十倍にも拡大するような話し合いをして、署名捺印までしてきているのですからね。これをどうお考えになりますか。いいことだと思いますか。
○平岡説明員 このような覚書ができましたことは、確かに非常に意外な出来事でございました。もしこれが公的なものでございますれば、もちろんしかるべき手続をとるべきものだったと存じますが、先ほど関係者から御説明がございましたように、私どもこれを私的なものであるというふうに了解いたしましたので、そのようなものとして処理、つまり私どもそういうぐあいに了承しているわけでございます。
○高田委員 四年前に私が指摘しましたのも、そういうことを指摘したわけなんです。国家機関でありますから、必要な行動は予算に組まれております。いずれにしましても、民間の学術団体であれば自由にどんどん活動され、金が足らなければ寄付金を集めても自費でやられてもそれはいいのですけれども、政府の機関ですから、法的にもちゃんと学術会議法の中に、経費は全部国庫負担ということが書いてある。そういう大事な国家機関が、余りにも自由奔放に動き過ぎて、その中身は非常に善意なものであり、いいものであるにせよ、これはまかり間違うと大変な誤解を外国にも与えますし、いまのこれで言いますと外交上の問題なんですから、これは単に私的な旅行だといって不問に付しておこうという性質の問題ではないと私は思うのです。そのことを四年前に私は指摘をしたはずなんですよ。それがまた行われているというので、非常に私は心外に思ったのです。 それからもう一つ、やはり同じような旅行を中国へもされておられるのですね。これもごく最近でございますが、これは本年の三月十二日から二十六日まで二週間、日本学術会議中国派遣代表団でございます。これはかなりの人数で行っておるようでございますが、これも日本学術会議中国派遣代表団として部内でもずっと準備され、会議なども開かれ、あちらへもそういう名称でおいでになっておるのですが、その経費がやはりどこから集められたのですか、やはり寄付金じゃなかろうかと私は思うのですが、寄付金を集めて、しかも正々堂々と日本学術会議中国派遣代表団と称してあちらで行動されてくるということ、これはまた同じようなケースじゃないかと思うのですが、この事実関係もちょっと御説明ください。
○大濱説明員 中国側からの招待といいますか、訪中の要請につきましては、かねがね正式に学術会議にあったわけでございまして、また滞在費一切についても当方で負担するということがはっきりと招待状の中に明記されているわけでございます。ただ、旅費等につきましては、予算措置が講じられておりませんので、これをどうするかということについて内部でも検討していたわけでございますが、たまたま関係の学協会の方に対しても、中国側からもいろいろお誘いのお話もあったということもございまして、学術交流と申しますか、いろいろ中国と日本との今後の学問的な交流ということにつきまして、関係の学協会も多大な関心を持っておりました。できればぜひわれわれの方も行きたいというのが学協会の強い意向でもございました。したがいまして、こういう学術会議に対する中国側の招請と、それから学協会の希望とが一応マッチしまして、そこで旅費は学協会の方で見るから、ひとつ学術会議に対してぜひ出かけていってもらいたいというような、むしろ学協会側からの強い要請に基づいて旅費は支出していただいたわけでございまして、そういうことがありましたので、特段われわれの方から学協会側に対して積極的に旅費の支出方を要請したというようなことではございません。
○高田委員 そして、その団員の中に日本学術会議事務局学術部調査課長酒井忠敏さんという方が一緒に行っておられるわけでございますが、申すまでもなく酒井課長さんは一般職職員であり、総理府事務官でございます。そういう立場の人も一緒に行っておりまして、しかもその旅費はいまおっしゃられた学会からの寄付というようなことで出張しているわけなんです。私は、やはりこれがかなり大きな団を編成して、かなりの日時中国で行動される、しかもそういう堂々たる名称で行動されているわけなんですから、こういうふうな行動は国家機関としての名称をそのまま用いられておやりになる、これは政府の金で行ったのじゃないから、いわば私的な旅行ですと言われればそうかもしれませんが、しかしそうは通用しませんから、公的なりっぱな派遣団として行動されておるし、向こうもそういうつもりで接したと思うのでございます。そういうふうなことで、行動自体悪いとは私は思いません、それはいいと思いますが、政府機関であるということを忘れてしまっているのかなにか。民間団体ならば私は結構だと思うのです。しかし、いやしくも政府機関でありまして、その行います事業、行動は国の予算によって国費で賄われるということになっておるわけでございます。それをどんどん気軽に会の名前を使って、私費で行動されるとか、そういうふうなことは、私は四年前に指摘したのと全く同じことなので、公私混清といいますか、国家機関としての立場としてはあるまじきことではないのではないか、こう思うのですが、いかがですか。
○大濱説明員 実は、ただいまも御説明申し上げましたが、このたびのいわゆる訪中の代表団の派遣は、公のいわゆる公務による出張でございます。経費につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、先方での、中国での滞在費は先方で持っていただく、向こうがはっきりとそういうことでこちらにお申し越しがあったわけでございます。旅費につきましては、関係の学協会の方ですべて見るからぜひ行ってほしいということでございました。いわば俗に言う依頼出張というような関係でございますので、出張そのものは公務出張ということでございます。
○高田委員 総理府の方から副長官お見えになっていますが、いまソ連旅行と中国旅行のことを指摘したのですが、総理府としてのいま特に総理府の事務官の課長さんが一緒に行っておるということもございますが、総理府としての御見解はいかがですか。
○愛野政府委員 総理府としては、日本学術会議が自主的に健全な運営をしていただくことを望んでおるわけでありますけれども、五十一年四月に当時の森副長官のときに先生から御指摘があったような点が、また本日いろいろと御指摘があったことは非常に遺憾に存じておるわけであります。日本学術会議の内部でひとつ十分御検討いただいて、今後そういうことがないように健全な運営を図っていただくよう、私どもも学術会議にお願い申し上げますと同時に、私ども総理府の監督等々も十分先生の意を受けて今後よくしていかなければいかぬ、こういうふうに考えておるところであります。
○高田委員 りっぱな学者さん方の会議でございますので、ややもしますと、普通の政府のお役所と違いますものですから、監督と言っても特別の目で見るということになりがちじゃなかろうかと思うのです。そういうようなところから次第次第に、普通の政府機関であればやれないようなことでも何でもやれるのだといったような風潮が出てくるのじゃないか、こう思うのです。私は、おやりになっていること自体を問題にしているわけじゃないのです。そういうことをどんどん活発におやりになるためには、それにふさわしい財団法人なり何なりをおつくりになって民間で自由濶達に活動されることは大いにいいと思うのですが、学術会議というものをそもそも政府機関としてきちっとつくった目的、意味というものはそういうものではないと思うのです。ですから、そこら辺をはき違えると大変なことになるのではないか。 そこでお聞きしますが、この学術会議に対して、ここ最近数年間ぐらいの間に政府から重要事項について諮問をし、学術会議が慎重に研究の結果、政府に対して意味のある大事な答申をしたというような事例がございましたら、具体的に挙げていただきたいのです。
○大濱説明員 学術会議に対しましては、過去にもいろいろな諮問は受けておるわけでございますが、最近主なものといたしましては、研究の振興あるいは研究体制に関するもの、文部省予算のうち科学研究の振興に必要な経費の配分に関するもの、現在は民間学術研究機関の補助金の交付に関する件について毎年諮問を受け、これに対してお答えを申し上げている次第でございます。
○高田委員 研究費の補助や何かの配分については、それに対して意見を述べるとかあるいは配分委員を推薦するとか、重要な役目を学術会議が担っておられるわけですね。いまのことはそれに関連した仕事だと思うのですが、そうではなくて、一般的に日本の学術についてこれを行政面で生かすための重要な諮問というものがあって、それに対して答申をしたというような例はないのですか。
○大濱説明員 さかのぼりますと、二十四年に学術会議が設立されて以来今日まで、一応諮問件数にいたしますと八十三件ございますが、最近この五カ年間と申しますと、ほぼ二件程度に一応なっておるわけでございます。
○高田委員 そこで私、最後にこれは文部大臣の方から御見解を承りたいと思うのですが、あるいは総理府からもあわせて御見解をいただきたいと思うのですが、学術会議ができたときは終戦直後でございますので、あの状況の中では、いまのような形の選挙によって選ばれた民間から出てくる学者のああいう組織をつくり、これが国内においてもまた国外に対しても日本を代表する最高の学界の権威ある会議であるというふうな形で、政府機関として相当な役割りを果たしたのじゃないかと思います。しかし、それからもう長い年月が過ぎまして、そしていろいろと似たような機関、もうそれぞれ必要に応じてできてきたでございましょうし、世の中の情勢も非常に変わってまいりました。それにまた、ああいう形での選挙制度というものは現在では相当弊害を生んでいるのじゃないか。優秀なりっぱな学者の方が当選しないで落っこちちゃうというような例もずいぶん聞くのです。そしてまた、特殊な組織の上に乗っかるとかいろいろな方法でもって当選をしてくるというようなこともあるでしょう。ですから、いまの状況のもとではこの会自体の権威というものについても相当問題が生じているのじゃなかろうかと思いますし、いまの御答弁でも明らかなように、政府自体が重要な諮問をしなくなっている、こういう事実にもあらわれておると私は思うのです。いまは行政機構改革の大事なときでございますので、こういう長い年月を経ておりますので、学術会議のあり方を、本来、あのつくったときの原点に戻って考え直してみる、それにはどうしたらいいか。あるいは、ほかにいろいろかわるべき機関もできていることだから要らないというのなら廃止して民間に同じようなものをつくって活動される方がかえっていいのじゃないか。これはいろいろと抜本的な考え直しをしないと、いつまでも、偉い先生方の会合だから見て見ないふりしてやらせておけばいいだろうなんというようなことは、いやしくも国家機関として存置せしめておく以上はそういう態度は許されないと私は思うのです。そういうことで私は非常に心配するのですが、四年前に指摘しましたことと同じようなことがいまでもやられているのかなと思って実は情けなく思っているのですが、これは何とかしなければいかぬと思うのです。ひとつ文部大臣並びに総理府副長官のそれぞれの御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
○谷垣国務大臣 お答えをいたします。 学術会議はその発足のときの状況、周辺の状況がいまと若干変わっておるという御指摘がございました。私たちの方では、民間の科学者の諸君の意見を行政に反映させる、そういう仕組みのものであるというふうに了解をいたしておりまして、先ほど学術会議の方からも御説明がございましたが、その二、三のものに関しましては法律的なところで意見を聞くというようなことにもなっておるようであります。そういうことでございまして、科研費の問題等につきましても御意見等があるわけでございましていたしますが、私の方の現状から申しますと、文部大臣の諮問機関であります学術審議会というものがございまして、そこがそれぞれの問題につきましての諮問を受けるという形になっておるわけでございます。したがいまして、学術会議の問題をどうするか、ことに高田先生御指摘ありましたように今日の行政整理の問題をどうするかという問題につきましては、まだちょっと私の方から口を出す筋道のものでもないように考えておるわけでございまして、それぞれの場合におきましての御意見を拝聴しておる、こういうところでございます。
○愛野政府委員 日本学術会議の制度の運用の問題でありますから、まず日本学術会議自体で先生の言われた御意見も十分踏まえて御検討願わなければならぬ、総理府が直接介入をすることは差し控えなければならぬのではなかろうか。先生の御意見自体は十分理解をいたすところであります。
○高田委員 総理府が直接監督をしておるわけでございますが、ただいまの御答弁でもわかりますので、何かはれものにさわるようなところがあるのじゃないかと思うのですが、私はそれではいかぬと思うのです。ですからこの際、学術会議の先生方とも積極的にいろいろ御相談なさっていただかなければなりませんが、同時に、政府として行政管理庁やなんかも交えて徹底的に洗い直してみる必要があるのじゃなかろうかと私は思うのです。そういうことを特にきょうは強く要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○井上(一)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 本会議散会後直ちに再開いたします。 午後零時四十五分休憩 ————◇————— 午後三時二分開議
○高田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。井上一成君。
○井上(一)委員 まず私は文部大臣に、オリンピック参加の問題で若干質問をいたしたいと思います。 一昨日外務大臣の、オリンピック参加については外交上好ましくない、そして個人参加には程度の差がある、こういう国会での意思表明があったわけです。文部大臣は別に外交上云々、何もございませんから、スポーツ振興、その施策をより広めていくという意味ではこれは当然賛成でございましょうね。
○谷垣国務大臣 午前中も御質問があったわけでございますが、政治とスポーツがかかわりのない形で行われていきますことは私も望んでおるところでございますけれども、今次のオリンピックの問題につきましては、二月一日に政府の意向を表明してJOCにも伝えたわけでございますが、ああいうソ連のアフガニスタン進入という事態がございまして、政府としてはそのことによって起きましたいろいろな非難その他の状況、それに重大な関心を持たざるを得ないということを申し上げて、そしてオリンピックの目的から見て、世界平和のために皆が平和裏に相集ってやっていく、そういう状況でもあるので、JOCが各国のNOCあるいはI0Cの会合のところでもそういうことの実現するような努力を期待するということを申し上げたわけでございます。当然文部省といたしましてはスポーツ振興の立場をとっておるわけでございますが、オリンピックの問題につきまして、その後アメリカのUSOCがオリンピック不参加の状況を結論いたしました。非常に重要な選手団を持っておりますアメリカがそういう状況になりましたこと、これは一つの展開として大変深刻な状況がオリンピックとしても起きてきておる、こういうふうに思っておるところでございます。
○井上(一)委員 大臣、質問の趣旨をきっちりとらまえて——あなた何を答弁しているのやらわからない。文部大臣は、スポーツ振興法第一条、ずっとあるわけですけれども、このスポーツ振興法の精神を尊重し、それに沿って行政を進められる、こういうことでございますね。いかがなんですか。
○谷垣国務大臣 文部省としてはそういうふうに考えております。
○井上(一)委員 これはもう明確に政治とスポーツの分離の原則を法制化したものですね。大臣、確認をする意味で、もう一問一答の形式でしましょう。いかがですか。
○谷垣国務大臣 政治とスポーツの問題を切り離したというふうに、あの条文をそこまでは解釈をいたしておりません。スポーツを振興するということが大切だということは十分承知しております。
○井上(一)委員 いわゆる第一条で定められた目的とその制約、たとえばスポーツを目的以外の他の目的のために利用することがあってはいけない。むしろ政治的にこういうものが作用されてはいけないということがあるのですよ、大臣。いかかなんですか。
○谷垣国務大臣 「この法律の運用に当たっては、スポーツをすることを国民に強制し、又はスポーツを前項の目的以外の目的のために利用することがあってはならない。」こういうふうに書いてあるわけですね。そのとおりだと思います。
○井上(一)委員 大臣、そのとおりだということは、スポーツを政治の中に埋没してはいけない、スポーツに政治が介入してはいけない、こういういわゆる分離が明確にされているのですよ。そうでしょう。
○谷垣国務大臣 第一条は「この法律は、スポーツの振興に関する施策の基本を明らかにし、もって国民の心身の健全な発達と明るく豊かな国民生活の形成に寄与することを目的とする。」こういうふうに書いてあるわけでございます。
○井上(一)委員 そのとおりなんですよ。それで、私が尋ねているのは、このことは明確に政治とスポーツの分離の原則を法制化したものだ、だからこのスポーツ振興法に、その精神、その趣旨に沿って、オリンピック不参加というものは、これはもう文部大臣としては職務、職責上その法に反するのではないか、法を遵守する精神がないじゃないか、こういうことなんですよ。どうなんですか。
○谷垣国務大臣 先生のおっしゃるように、この法律では、そのオリンピックの問題のところまで具体的にうたってないわけでございますから、ここで政治とスポーツの分離が明確になっておるというのとはちょっと違っておるのではないかと思っております。
○井上(一)委員 スポーツは政治とは切り離して、分離して考えるべきものですね。
○谷垣国務大臣 そういうことが望ましいと思います。
○井上(一)委員 望ましいのとそうであるというのとは日本語、違うわけなんです。どちらなんですか。
○谷垣国務大臣 政治というのはどういう意味であるか、はっきりそこでいたしかねるわけでございます。
○井上(一)委員 大臣何を言っているのだよ。政治がわからずで大臣務めてなさるのですか、あなたは。望ましいって、そういうところまで言って、本音をよう言わぬ。スポーツと政治、これはもう区分されたものだ、こういうことなんですよ。
○谷垣国務大臣 スポーツの関係につきましては、確かにこれを振興いたしますことについて地方公共団体及び国がやってまいる、こういうことになっておるわけでございます。政治の問題といたしまして確かに振興いたしまする施策はやっていかなければならぬ、この限りにおきましてこれはもちろん関係があろう、こういうふうに考えております。
○井上(一)委員 もうなんでしょう、オリンピック精神の基本精神もそうだったのだし、本来政治とスポーツは分離されて原則をきっちりと守っていくべきだと言っている、そういうことであったのが、もう今日では政治の中に埋没されて、参加することも政治問題なら参加しないことも政治問題だ、こういうふうにあなたはお考えなんでしょう。いかがなんですか。
○谷垣国務大臣 オリンピック、しかも今次のオリンピックの現状はだんだんと残念ながらそういう状況になっておると思います。
○井上(一)委員 そういうことは好ましい状態ではありませんね。
○谷垣国務大臣 そのとおりと思います。
○井上(一)委員 好ましくない状態をいわゆる当初の目的、趣旨、精神に戻すこと、これもまた政治ですね。
○谷垣国務大臣 そういうことだと思いますね。
○井上(一)委員 突き詰めて大臣の腹を読み切ってしまうということも私としては非常に僭越だと思うし、少し具体的に、今回のオリンピックボイコットは、いま指摘をしたスポーツ振興法という法律の精神、その趣旨から言っても外れている。あるいけその中には第十四条で、国際的にもその水準の向上を図るための措置を講じなければいけないという精神からも反する。あるいは第四条にも、文部大臣として、特別の大臣の職務としてもこれは反するのじゃないか。さらに先ほど申し上げましたスポーツ振興法の精神、もっと大きな意味では、スポーツをすることは国民の基本的な権利である、そういうことまでが制約を受ける、このことはむしろ大げさな言い方というとなんでございますけれども、憲法の精神からも本当は反してくるのじゃないか、こういうように思うのです。 そこで私は、外務大臣と文部大臣の考え、意見が違って当然だと思ったのです。外務大臣は外交上、国政を預かる大平さんは、全般的な国際情勢の中でにらんだら、やはりこれは不参加の方がより望ましいのだと言う。しかし文部大臣だけは違うと思っているのです。文部大臣はむしろそういうものを奨励育成する立場ですから、文部大臣は胸を張って堂々と、参加すべきだと、それが心身ともに健全な国民のための施策だ。しかし決定権はだれが持つか、JOCである。あるいは政府の見解というのは閣内で議論があって、閣議で決定された。しかし少なくとも文部大臣だけは、私はオリンピックボイコット反対、ぜひモスクワに——アフガンヘの進入、これはよくないことですよ。だからそれを肯定するものではない。しかしいま言うようにスポーツ振興あるいは国民のスポーツを享受する権利、いろいろな意味から私は、文部大臣だけは、行ってほしいのだ、行くことが望ましいのだ、そういうお考えを持っていらっしゃると思うのですよ、ただ、ここで言いにくいだけの話だ。だから大臣、もう多くをお答えいただく必要はありません。いま私が推測をして、大臣の腹の中をこうでしょうということを申し上げた。大臣、どうですか、そうあってほしいとお思いになりませんか。
○谷垣国務大臣 スポーツの振興を担当しております私の気持ちは、いま井上先生よくお察しをいただいておるわけでございまして、オリンピックをめぐります状況が初期のオリンピック精神にのっとるような環境がつくられることを大変望んでおるわけであります。
○井上(一)委員 JOCが参加するというふうに決定したら、まさか大臣はとめやせぬでしょうね。やめとけと言うような、そんなことはないでしょうね。これは念のために申し上げておく。いかがですか。
○谷垣国務大臣 御存じのとおりに、JOCがオリンピックに参加するかしないかという決定をいたしますことはJOCにその権限があるわけでございます。政府の方といたしましてそれを推薦し得る行動であるかどうかという問題は、それは残ると思います。政府がこの問題を、オリンピックに参加し得る状況であるかどうか、好ましいかどうかという問題に対しては、政府はまた一つの見.解を持つだろうと思います。
○井上(一)委員 私の聞いておるのは、政府はそれは政府独自の判断で見解を持たれる。JOCが参加を決定したら、まさか文部大臣は——いま私は文部大臣として質問をしているのですよ。何も大平さんにかわっての、総理の代理じゃございませんからね。文部大臣としてはJOCが決定をした場合に、まさかやめとけとは言わぬでしょうね、こういうふうに言っているだけですよ。言うのか言わないのか、それだけです。
○谷垣国務大臣 ここで政府一体論を持ち出すつもりはございませんけれども、いま大変重要な時期でございますので、政府といたしましては、ずっと様子、状況を見ておる、こういうのが今日の現状でございます。
○井上(一)委員 いや、大臣、私が尋ねているのはあなたの見解です。政府の見解というのはいまあなたに——もちろん政府を構成する一員であるということ、国務大臣であるということは十分私も認識した上でこの質問をしているわけなんです。JOCが参加を決定したそのときに、文部大臣としては、それはやめとけとか、あるいはどうぞどうぞ、うんとがんばってと言われるのか。本来はそうあるべきなんです、しっかりがんばってきてくださいよ、これは言わないかぬのだけれども、いまいろいろな情勢の中で政府は、アメリカから要請されて、アメリカが不参加だと言えばわが日本の国もそれに協調していこうという、何か政治だけの風潮がこう揺らついておる。そういう中で私は、JOCが独自の自主的な判断の中で参加を決定した、そんなときに、まさか文部大臣としてやめとけとは言わぬでしょうな、こういうことなんですよ。政府の見解はひょっとしたらそのとき出るかもわかりません、そんなこと聞いておりません。文部大臣として、JOCが参加を決定したらそれはそれで尊重しますとか、いやそれは困るのですとか、どっちやねんというその話を問うているわけなんです。
○谷垣国務大臣 いまはそこが非常にデリケートな問題になってきておりますので、先ほど来先生からも何を言っているかわからぬというおしかりを受けましたけれども、政府の意向は先ほど示しました二月一日のもので、その後の状況の変化というものはだんだん出てきております。したがいまして、JOCがどういう決定をするかまだわからない状況でございますので、先生の御質問でございますが、いまここで私の口からそれをあらかじめ明確に意思表示をいたしますことは避けさせていただきたいと思います。
○井上(一)委員 もう間近に迫っているのです。そして二十六日の総会でJOCは参加決定をする可能性大なんです。国会というところは先を見通して、政治というものはそういうものでなければいかぬと思うのです。いま起こりつつある問題に対して、いや決定がまだなされていない、私から言えば、そんなことでは大臣務まりません。こんな折だからこそ、JOCの意思を最大限尊重します、これでいいじゃないのですか。そういうふうに私は受けとめてよろしゅうございますか。 文部大臣は、さっきから私となかなか通ずるところがたくさんあると思うのです。あるのだけれども、いろいろ波及することをおそれている。潜在的にあなたはそういう脅威感を持っている。だからちょっと遠慮なさっていらっしゃるのだけれども、私がいま申し上げたJOCの決定というものについては、その意思を尊重します、私はそうあるべきだと思うのです。大臣もそうでしょう。そういうことに受けとめてよろしゅうございますね。これだけです。
○谷垣国務大臣 大変井上先生よくおわかりになって御質問をしていただいておりますが、いま非常に重要な時期でございますので、私の口からは、もう少し様子を見させていただきたい、かように申し上げる以外にございません。
○井上(一)委員 これはもう三カ月も半年も先ということじゃないのですよ。一週間を待たずしてそういうことが起こり得る現象である。そのときに、もう少しもう少し、そんなことでは文部大臣、本当に失敬だけれども、大臣として十分職責を全う——他の面ではしていらっしゃいますけれども、このことについては歯切れがよくないですね。 それではもう一度、私の理解をしていることにあなたは理解をしてくれますか。そういうふうに私が理解していること、それはよくわかる、そしてそういう理解をする、それぐらいのことは言えるでしょう。
○谷垣国務大臣 大変どうもむずかしい御質問していただいておりまして恐縮しておりますが、非常にいまの時期が大切であるという認識は井上先生と私、一緒だと思います。そういうことで先生は、文部大臣として務めておる以上は早く言えとおっしゃっておりますが、私はもうちょっと諸般の状況その他を見させていただきたい、こういうふうに申し上げておるわけで、大変どうも申しわけございません。
○井上(一)委員 スポーツというのは諸般の情勢、いわゆる世界情勢というものに左右されてはいけないと私は思うのです。しかし、現実にいま左右されているという実態も否定いたしませんということなんです。それだからこそよけいに文部大臣としては、総理だとか外務大臣とはちょっと立場が違うし、スポーツ関係のすべてを所管する大臣ですから、それぞれの競技種目の団体がありますが、そういう人たちの意思は最大限尊重してほしい。尊重してくれますか。それではこれだけ答えてください。尊重しますかしませんか。
○谷垣国務大臣 スポーツを振興させることを大切に考えなければならぬ文部省でございますから、スポーツ関係の諸君の気持ちは私は十分に推測できるし、いたしておるところでございます。
○井上(一)委員 尊重は。大臣、答弁をちゃんときっちりしてくれぬと。尊重するのかしないのか。
○谷垣国務大臣 十分にその気持ちをわかって行動するつもりでございます。
○井上(一)委員 尊重しますね。わかって行動するということは、尊重することですね。——尊重するかせぬか。
○谷垣国務大臣 オリンピックに行くかどうかということについての議論にすぐこれがひっついてくるわけでございますので、その点で慎重に言葉を選ばしていただいておって大変申しわけないと思いますが、オリンピックの関係の諸君、スポーツをやっておる諸君の気持ちは痛いほどよくわかっております。
○井上(一)委員 私の言うのはオリンピックだけじゃありませんけれども、オリンピックは別にJOCが決定するわけです。それについてはさっき、まあまあ玉虫色の答えだった。JOCの構成メンバー、たくさんあるそういう人たちは、スポーツをこよなく愛する。大げさな言い方をすればスポーツに生きがいを持っている。それくらい皆さんはスポーツを愛好している。そういう人たちの心を踏みにじりませんね。そういう人たちの意思というものを尊重しますね。この二つですよ。いかがですか。もう時間がないから早く答えてください。
○谷垣国務大臣 十分によくわかって行動したいと思っております。
○井上(一)委員 それらの人々の意思を尊重する、私はそのことを強く要望しておきます。まあ腹のうちは大体そうだろうと私の方は理解をいたします。 時間がありませんが、さらに私は、教育の機会均等を保障していくべきである、本来教育というものは、生涯を通じて受けられる権利があるわけですから、いつでもだれもが教育を受けられる、そういう教育でなければいけない、こう思うのです。この点については大臣いかがでしょうか。
○谷垣国務大臣 就学の機会が開かれていなければならないということは当然のことでございます。
○井上(一)委員 そのために何らかの制度的な補完というものを現在検討なさっていらっしゃるでしょうか。あるいは現状をどう御認識になっていらっしゃるでしょうか。
○谷垣国務大臣 ちょっと先生の御趣旨をつかみかねておるわけでございますが、できるだけの努力を、そういう機会を与えられるようにするためにいたしておるつもりでございます。具体的な問題でひとつお答えをさしていただきたいと思います。
○井上(一)委員 現在の教育は、学歴社会の中で、入試に合格することがどうも優先している観があるわけです。そういう意味で機会の均等をいまここで私があえて再確認をしたわけです。何を学びたい、何を学ぼうとするかは個人個人によって違うわけですね。あるいは目的も違う。あるいは経済状態によっても教育を受けられる範囲というものは限られてくる。あるいは、たとえば若い間ぐっと伸びたけれども晩年は伸び悩んだ、あるいは若い間はそう伸びなかったけれども、晩年に伸びる、いわゆる大器晩成型とか、そういういろいろなケースがある。 そのために、いろいろなそういうことを踏まえて、仮に何らかの家庭の事情、経済的な事情で大学なり高等学校を中退をした、しかし中退後、二年、三年働いた後もやはりそういう再入学の機会がなければいけないと思う。年齢的な制限を飛び超えるかもわかりませんね。十八歳で中途退学をした、そして五年間働いた、二十三歳になった、そして再入学という、そういう再入学の制度もひとつ自由にすべきではないか。 あるいは国立大学で夜間部、昼働いて夜勉強する、その夜間部あるいは通信教育、これはもう必置要因にしたらどうか、必ずそういうものは国立大学に設置するということ。 あるいは、それぞれの大学は、勤労者、いわゆる働いている青年たちが進学するために一定の、別枠というのでしょうか、何らかの形でそういう人たちのフィールドをつくってあげる必要があるのではないかということ。 あるいは、ときには勤労それ自体を、修得する科目の一定の、職業訓練校だとかそれに準ずる職業校についてはそういうことをやっていますけれども、勤労というものに対する一定の単位取得制度を設置する必要もあるのではないか。 あるいは公開講座というものを義務づけたらどうか。とりわけ中小都市によって、住民参加だとか、いろいろな市民が、あるいは家庭の主婦が、この先生のこういう講義が聞きたい、そういうときにそういうカリキュラムを組んでおくということも一つの案ではないだろうか。 こういうことを考えれば、まだまだ教育の機会というものが消失をしておって、もっともっと機会を拡大していく必要があるのではないか、こういうことです。 それからもう一点は、これは総理府の統計で私は承知をしたのですけれども、大学生の出身家庭の所得区分比というものがあるわけですね。最低所得者を第一区分として、最高所得者を第五区分、こういうふうにして、昭和三十六年では第一区分、最低の所得者層は一三%、最高所得者層は四〇%。ところが昭和四十九年では、最高所得者の第五区分に入る者が五〇・一%、恐らく五十三年、五十四年はもうこれを上回ります。昭和四十九年の最低所得者の第一区分にはたった八%だ。これは何を物語るかといえば、教育費の負担増というものがここにあらわれてくるわけなんです。だから、所得によっては、勉学はしたい、学校へ入りたいけれども、教育費の負担にたえられないから働かざるを得ない、こういうことが起こり得るわけです。 そういう意味で私は、所得税から教育費を控除したらどうだ、こういうことの提案もしたい。 あるいは育英会の貸与の私立大学の枠を大幅にふやす、いわゆる低所得層への高額な貸与制度を設けていったらどうだろうか。 いま私はこういう幾つかの提案をしたわけです。そういうことに取り組んでくれるのなら、もう一括して取り組みますと、あるいはそんなことできないというのか、あるいはこういう論理がやはり教育の機会均等を保障していくことであるということなんですが、大臣、いかがでございますか。
○谷垣国務大臣 いまかなり広範な御提案をいただいたわけでありますが、機会均等の問題、公開講座の問題あるいは通信教育の問題等々、その第一段目の御提案の問題でございますが、これは私たちは非常に大切に考えております。いわゆる生涯教育というような名前をつけておりますが、あらゆる時期にそういう機会を与えるようにしなければならないし、大学におきましても公開講座の制度を勇敢にとっていかなければならないということで、先生のいま御指摘になりましたようなスピードはなかなか大変なことでありますが、すでにかなりの範囲におきましてそういう動きが出てまいっております。いま国会の方に提案をしてお願いをいたしております放送大学の構想も、放送という問題について、それを大学制度の中に取り入れて、開かれた形の大学をつくっていきたいという一つの具体的な提案としてお願いしておりますしいたしますので、第一段の先生の御提案に対しましては、できるだけの努力をさせていただかなければならない問題だし、取り組ませていただいておるところだと思います。 それから第二段目の御提案の問題は、いわゆる育英資金その他の奨学金と申しますか、そういうものに対しての増額、このことだと思います。これは予算を伴うことでございますが、逐年実は増加をしてまいってきております。ただ、それを非常に段階別に分けるというようなところでの細かい決めはまだ十分にはいっておりませんけれども、努力をさせていただいておるところでございますし、将来ともこれはやらなければならぬ問題と思います。 それから、税の方の問題につきましては、私、まだ十分な結論のところまでいっておりませんけれども、だんだん教育費が高くつくという問題につきましてどういう対応をするかということ、これはこれからの問題といたしましても非常に大きく私たちは考えて対策を考えていかなければならぬ点だと思っておりまして、私学助成その他につきましては、こういう状況でございますが、かなり増額をしております。まだ完全な形にはなりませんが、そういう努力を続けてまいっておるわけでございます。 いろいろと問題があろうかと思いますが、詳しくはまた必要があれば担当の局長からお答えをさせますけれども、努力をさせていただいておるところでございます。
○井上(一)委員 私は、育英会の奨学資金一つをとらえても、国立大学ではその貸与率が二九・七%、私立大学では五・九%と非常に低いわけなんです。こういう現実の中にどう取り組んでいくべきなのかを指摘してきたわけです。 放送大学云々ということがいま出ましたけれども、放送大学については、また別な見解を私は持っております。だから、私がいま何点か指摘をしたことについての、機会均等というところに放送大学は入るものではないと私は思う、むしろいま何点か指摘をしたことについて、きょうは時間がありませんけれども、改めて文部省の、文書ででも結構ですから、ひとつ取り組みを書いて私あてに下さい。よろしいですね。 それでは続いて、いま教育費の問題が出たわけでありますけれども、就学援助対策、いわゆる生活保護の対象から外れたボーダーライン層、そういう層に対する就学助成をして当然なんですが、その実態は一体どうなのかということを私は申し上げておきたいと思うのです。 国はいま児童生徒の七%程度を対象としているわけなんです。平均七%ぐらい。大阪府下の実態としては一番高いところで二〇%です。一番低いところで七%を上回っています。そういうことを考えれば、国の施策、いわゆる国の助成というものは十分でないということがうかがえるわけですね。本来二分の一の補助になっているのに、実態から言うと、それはまさに低い数字を示している。 私は非常に身近な例を申し上げるのですけれども、大阪の摂津市、これは私が以前市長をやっておった市ですけれども、五十一年の実績で四六・六%、五十二年で四三・八%、五十三年で四三・一%、五十四年で三八・三%の見込み、これは五〇をいずれも割っているわけなんです。年々実際の補助率が低下をしている、こういう実態から何が必要になるか。これは予算の範囲内でということになりますけれども、もっと悪いというか、低い率の自治体があるわけなんですね。それは皆それぞれの自治体が負担をしている。国家的な助成措置であるのですから、国がこういうことについては十分に財政措置を講じなければいけないと私は思うのです。大臣、いかがですか。
○谷垣国務大臣 地方的に若干ばらつきがあるようでございます。これはまたいろんな事情があってのことと思いますが、御指摘のような問題、少し数字が入りまして、私、少し暗いところがございますので、局長から答弁をさしていただきたいと思います。
○諸澤政府委員 この点は昨年の予算委員会でしたか、先生から御指摘がございまして、前大臣も検討するという御答弁を申し上げているわけでございますが、私ども調べますと、確かに全国的に見ますと、学用品だけで言いますと、市町村の負担に対し、国費の助成額が四六%ぐらいになっておるという事実はございます。 ただ、この問題は、生活扶助対象者とのボーダーラインの問題で、具体的にどういう基準でやるかということを、かつては生活保護基準の一・何倍ぐらいとか、あるいは市町村民税所得割非課税の限度とかいうような具体的な水準を設けてやったこともあるわけですけれども、必ずしも現実的でないということで、いま御承知のように、一般的、抽象的な基準になっておりますので、したがって、各団体の対象範囲がかなりまちまちになっておる。ただいま御指摘の大阪の場合など、各市を見ますと、非常に対象率の高くなっておるところとそうでないところとございますものですから、私はその辺を考えなければならない課題であろうというふうに思いまして、御指摘以来、一般的な基準につきましても、もう少し検討したいということでやっておるわけでございまして、一方でそういうことを考えながら、御指摘のように、できるだけ予算を増額する方向で努力したい、かように考えてまいりますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
○井上(一)委員 さらに私は、理学療法士、この養成機関が全国で十校程度だと把握しております。年間の卒業者が二百人程度、障害児の養育訓練をする上で、これぐらいの施設では大変不十分なわけであります。それで、いわゆる自治体も含めて公立のそういう施設を持っている施設の中で、理学療法士の確保が非常に困難で困っているという、だから、実際リハビリも含めてそういう障害児の機能回復訓練に献身的に取り組んでくれるそういう人たちの養成が非常に手ぬるいというのでしょうか、おくれている。こういう意味で、理学療法士等の養成機関をもっと充実したらどうだ、そういうお考えを持っていらっしゃるかどうか。この点について聞いておきたいと思います。
○谷垣国務大臣 その分野は御指摘のように、やはりちょっとまだ不足しておると私は思っているのです。具体的な数字の点は局長からお答えをさせたいと思います。
○佐野政府委員 御指摘のとおり、理学療法士、作業療法士の養成がきわめておくれているとわれわれも考えております。昭和五十四年度にわが国の大学で最初の理学療法学科と作業療法学科を金沢大学の医療技術短大に設置をいたしまして、さらに五十五年度に、弘前大学の医療技術短期大学部に、同じく二つの学科を設置することといたしております。さらに今年度、神戸大学で医療技術短大の設置に関する調査を進めますが、その際にも、リハビリテーションの関係学科を含む調査を行うということを考えております。このような形で当面医療技術短大における関係学科の整備に力を入れてまいりたいと考えております。
○井上(一)委員 時間がありませんので、もう一問尋ねて最後にいたします。 同和教育問題についてであります。教職員の同和教育についての資質を高める施策の一つとして、国立の教員養成機関で同和教育の科目を一部設置しているところがあるわけであります。まだ不十分で、しかも、それは選択科目になっているわけなんですね。そこで、国立大学で同和教育の科目を設置している大学は現在どれだけあるのか。それから、それは必須科目になっているのか、選択科目になっているのか。さらに、選択科目に位置づけたのはなぜなのか。私はすべて必須科目にすべきではないかという考え方ですが、大臣からひとつ答えてください。
○谷垣国務大臣 私も詳しくわかりませんが、恐らく大阪教育大学ではその科目を持っておったと思います。ほかの大学の状況は、ちょっと私わかりかねておりますが、詳しくは局長に、かわって答弁をさしていただきたいと思います。
○佐野政府委員 国立の教員養成大学学部におきまして、同和教育に関する授業科目を開設いたしております大学は、五十四年度で二十二大学でございます。これは逐年増加をいたしてきております。 もとより大学でどのような教育課程を編成するかというのは、大学の自治の原則から申しまして、各大学の自主的な判断によって決定されるべきことではございますけれども、文部省といたしましては、教員養成大学に対しまして、昭和二十七年あるいは四十四年の二度にわたりまして、同和教育について教員養成上も遺憾のないように配慮をしてほしいということを要請をしてきております。そういう趣旨で、さらに国立の教員養成大学学部に対する指導というものを重ねてまいりたいと思います。 なお、これらの大学における授業科目は、いずれも現在の時点では選択という形で開設をされていると考えております。 それから、科目をどのような形で置いていくかということについては、これは大学がその教育内容として定めていくところでございます。当面そういうことで、大学の自主的な対応というものをわれわれは積極的に求めてまいりたいと考えておるわけでございます。
○井上(一)委員 大学の自主性というのは最大限尊重していくべきである、同和問題というのは一つの国民的課題だ、こういう中で、文部省の指導方針としては必須科目にして、先生になろうとする人、なる人すべてが正しい認識を持つということがより望ましい、私はこう思うのです。大臣はいかがですか。
○谷垣国務大臣 これは御指摘のとおりその認識を持ってやっていかなければならぬことはもう当然のことだと思っております。ただ、局長が先ほど御答弁いたしましたように、大学自体においてそういう動きが出てまいりまするように私たちも指導はいたしたいと考えておりますが、大学の方での判定を待ってやっていきたいと考えております。
○井上(一)委員 最後に、会計検査院から指摘された積算の不備な工事業者、そういう企業について、後ほどで結構ですから当局の方から私あてまで御報告をいただきたい、このことをお願いして私の質問を終えます。
○高田委員長 新村勝雄君。
○新村(勝)委員 オリンピックの問題についてはすでに議論がありましたけれども、重複しないように、その問題についてさらに何点かをお伺いしたいと思います。 大臣は、スポーツというものについてどういう概念を持っていらっしゃいますか。
○谷垣国務大臣 私自身もスポーツをやってまいりましたので、スポーツというものは教育の上からも非常に大切なものだ、あるいは教育を除きましても国民全体のレクリエーションの意味も含めまして非常に大切なものだ、こういうふうに考えております。
○新村(勝)委員 スポーツ、特にアマチュアスポーツは根源的には生命の表現であり、生きるあかしであるというふうに考えるわけであります。そういう意味で、これは程度の差はあってもすべての人にスポーツをする権利があるし、また能力があるし、現に実践をしておるということですね。そういう意味から言って、スポーツの原理的なところから言ってオリンピックというのはアマチュアスポーツの一つの成果であり、またその精神の表現であるというふうに考えますけれども、大臣はそう思いませんか。
○谷垣国務大臣 オリンピックがスポーツの上に持っております役割りは非常に大きいものがあると思います。またオリンピックの精神にうたっておりますように、それがアマチュアリズムに徹し得ることができますれば大変にありがたいことだと考えております。
○新村(勝)委員 そういう意味でスポーツというのは、生きておる人間、私ども一人一人にとってやはり生きるあかしであり、生命の表現であるという原理的なところから出発しているはずですよね。そういう意味で、これはある意味では生命の表現であり、人間存在の表現である、こういう側面が、側面というか基本的な性格があるということで、生命の表現の自由という点から把握すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○谷垣国務大臣 生命の自由からつかまえるかどうかということでございますが、人間が生きている以上肉体の問題、精神の問題はあるわけでございますので、私は、スポーツというものが人間存在の上に非常に大きな意味を持っていることは先生のおっしゃっているとおりだと思っております。
○新村(勝)委員 そういう点でオリンピックはアマチュアリズムを非常に高く評価をしておる。高く評価というよりは、そこに基礎を置いておるわけです。ところが、アマチュアリズムというのは言うまでもなく、まず商業主義、経済からの解放、独立、これが絶対の要件ですね。それからもう一つは、権力からの独立、これがアマチュアリズムの絶対の要件だと思いますね。大臣はそう思いませんか。
○谷垣国務大臣 私もそのように思います。
○新村(勝)委員 そうしますと、このアマチュアリズムを最も高度にしかも集約的に表現をしておるのはオリンピックである、そういう点で大臣御異議はございませんか。
○谷垣国務大臣 その点はいろいろと御議論の出ておるところだと思うのですね。現実のオリンピックというものが商業主義に災いされていないか、あるいはアマチュアリズムのあれよりももっと職業的なところまで一種の養成をせざるを得ないような形になっておるのではないか等々の議論が、アマチュアリズムを非常に大切にするがためにそういうような傾向に対して非常な不安と申しますか、心配な問題を持っておる、こういうことが、オリンピックを愛します者から見ますと議論が出てきておるところがあると私は思っております。
○新村(勝)委員 私どもの生命の表現、そしてそのアマチュアリズムの一つの拠点、原点を目指すものがオリンピックであるということは言えると思います。現実にそれが純粋の形で体現をされているか、表現をされているかどうかは別として、その一つの拠点であり、オリンピックを中心としてそれを推進していかなければいけないというスポーツを愛する世界じゅうの人たちの志向があると思いますね、それはお認めになりますか。
○谷垣国務大臣 アマチュアリズムが貫けるようなオリンピックであってほしいと思っております。
○新村(勝)委員 大臣は、それを貫こうとするお考えがございますか。
○谷垣国務大臣 オリンピック自体は、現在のところは先生も御存じのとおりIOCがひとつ中心になって進めてまいります。各国のオリンピック委員会がIOCと相呼応してやってまいります。こういうシステムになっておるわけであります。そういう意味におきましては、私たちはオリンピックが、うまく本来のアマチュアリズムが生きていくような形において伸びていただきたい、こういうふうに願望しておるわけであります。政府その他あるいは各国ともそういうことになると思いますが、そういうものに対しましての協力関係もそのアマチュアリズムを毒さない程度においてやらなければならぬ、こういうことも考えながら、一方、競技の振興のために協力をしていく、こういうことだと考えております。
○新村(勝)委員 われわれの社会で、あるいは国際社会でも同じでありますけれども、犯してはならないものがあるのですね。ソ連は確かに犯してはならないことをしましたね。これについては世界じゅうが糾弾、指弾をしておる。同時にまたアメリカも、オリンピックを権力の力によって抑えるという犯してはならないことをしたと大臣はお考えになりませんか。
○谷垣国務大臣 本来なら平穏に開かれるべきオリンピックが、こういう政治の問題、アフガンに対するソ連の進入というものを機縁にして一種の混乱状況に入っておりますことは、大変残念なことだと考えております。
○新村(勝)委員 ソ連の侵略は指弾されるべきであると思います。しかし、スポーツというのはそれとは全く次元が違うわけですよ。その全く次元が違うスポーツをアメリカは人質にしたわけですよ。これはイランが大使館員を人質にしたのと、次元は違いますけれども、原理的には同じですよ。そう思いませんか。
○谷垣国務大臣 いろいろな議論があろうと思いますが、現実にオリンピックが平穏な状況のもとで開かれないような形になっておることは、もちろん非常に遺憾に思っております。そういうことが早く解決できないかなという願望を持っておるわけであります。
○新村(勝)委員 大臣、オリンピックの属性には本来そういうものはないのです。これは政治とか国際紛争に利用されるべきものでもないし、本来はそういう属性、性格もないのです。ないものに対して不当な攻撃をかけた、攻撃というとおかしいですが、扱いをしておるというところに問題があるわけですよ。オリンピックそのものは、きわめて平和的に開催されるはずですよ。開催できるわけです。それをさせないのはどういう力ですか。もともとオリンピックはきわめて平和のうちにモスクワで、それは確かにモスクワはソ連の国土の中ですけれども、平和に開催されるはずなのです。それを平和に開催させないという力は何なのでしょうか。それはスポーツとは絶対に相入れない権力というものですね。その矛盾を大臣はどうお考えですか。
○谷垣国務大臣 そういうものを利用しようという両方の形が、今日のような状況を来しているのだと思います。
○新村(勝)委員 利用しているわけですね。アメリカは明らかに利用しているわけです。しかも、それは本来的に利用してはいけないものですね。本来的にそれをやってはいけないものに対して手を出している、こういう事実があるわけです。それに対して、日本政府なりあるいは大臣なりが、アメリカに要請なり説得なり、あるいはその方針を平和的な方向に変えてもらうような努力をなさいましたか。
○谷垣国務大臣 先生はアメリカのことを言っておられますが、もともとこの問題は、ソ連のアフガニスタン進入という事件がなければ、平穏な形でモスクワで予定どおり開かれるべきものであるし、私たちもそれを皆期待をしておったと思います。そのことによっていろいろな状況が起きたことは、本来のオリンピックとは別だという議論も確かに成り立つかと思いますけれども、現実に参加するかしないかというものが、そのことを機縁といたしまして問題になってきておる、私は、非常に残念ながらこれが現実だと思います。そういう状況でございますので、私たちは、オリンピック問題はIOCが決めるべきことであり、参加するかいなかはNOCが決めることでございますので、レークプラシッドで開かれまするIOCの総会に日本の諸君も出席する方がございますし、いたします、その前に、何とかこういう状況を解決できる方法はないものか、そういう努力をしてもらいたいという意向を含めまして、JOCの方に意向を伝えたわけでございます。私は、IOCはIOCなりに、あるいはJOCはJOCなりに、心配もし努力もしてこられたと思いますが、現状はまだなかなかそういうことにいかない状況にあることは大変残念に思っております。
○新村(勝)委員 大臣、これはたかがスポーツだというふうに軽くお考えにならないでいただきたいのですよ。確かに軍事、経済に比較すれば世上の評価は軽いでしょう。しかし、根源的にはそうではない。これはやはり人間の自由に関する問題です。表現の自由に関するものであるし、すぐれてこれは基本的人権に関する問題だと思います。そういった問題について、アメリカがそこに手を出した。出さなければ、これはもともと平和にいくはずでありますから、それに手を出したということが基本的に間違いのもとであるわけです。そうなってくると、これは単なるスポーツの問題だけではなくて、緊急の事態が発生した場合には、次々に基本的な人権が侵されていくという方向だと思いますね。そう思いませんか。
○谷垣国務大臣 これはここで行ったり来たりのキャッチボールになっては失礼でございますけれども、アメリカのそういう態度を惹起させました原因の大きなものは、私はソ連のアフガニスタン進入というあの事件だったと思います。ですから、ああいう状況が何とかオリンピックに支障のない形で解消されれば、これは一番私たちもありがたいことだと思っておりますが、現実にそういう渦の中に巻き込まれておることを私は大変残念に思っております。
○新村(勝)委員 アフガン侵略の問題は、これは軍事の問題であり外交の問題ですよ。これはすぐれて権力の問題ですね。ところが、それとは次元の違うものをその中に巻き込んだということは、これは明らかにアメリカの政策の間違いだと思います。しかも、それを自分の判断だけではなくて、外国にまで同調を求めているということについては、われわれは厳しく批判せざるを得ない。同時に、そのアメリカの考え方に日本政府は明らかに同調していますね。そういう日本政府の不見識というか、無定見さと私は申し上げたいのですけれども、大変残念だと思います。その点はいかかでしょうか。
○谷垣国務大臣 二月一日の政府の意向は、先生がよく存じていただいておると思っておりますが、オリンピック憲章の第一条には、オリンピックそのものが世界平和を招来するため、平和な雰囲気でやれることをうたっておるわけであります。世界の平和のためにオリンピックの集いができてくるような雰囲気、そういう雰囲気をぜひつくっていただきたい、こういうふうに私たちの政府としては意向を言っておるわけでございます。 繰り返して申し上げるようでありますが、そういう状況になってオリンピックが開催されるのは、私たちは一番ありがたいことだと考えております。
○新村(勝)委員 議論が進展しませんので、特に大臣のさらに深い御考慮をお願いしたいのですが、平和というのは単に願望だけでは維持できない、あるいは実現できないものじゃないかと思います。そういう意味で、オリンピックが平和の象徴であれば、平和を招来するような方向に世界じゅうが努力をする、特に政府は努力をしていただくということが必要だと思います。そういう意味で、単に他に同調するということではなくて、スポーツの原理あるいはオリンピックの原点を、政府としても理解をされているのだと思いますけれども、この際さらによく理解をされて、世界の平和に貢献をするというか、世界の平和を推進するような方向でひとつこの問題に対処をしていただきたい、特にお願いをいたします。 それからまた、スポーツ人は何も世界情勢やあるいは政治というようなものを、もちろん考えてはいるでしょう、日本国民ですから考えてはいるでしょうけれども、より根源的な自分の命のあかし、アマチュアスポーツというのは銭金でやっているのではないですからね。商業主義ではない。商業主義、あるいは権力から完全に解放された一つの命のあかしとしての、生命の表現としての実践、そういうものとしてのアマチュアスポーツ人の、選挙がそれに代表されておるわけですけれども、スポーツ人の気持ちをひとつよく察していただきたい。これを特にお願いをいたします。 次に、全く別の問題になりますが、大臣は日本の教育、文化行政の最高の責任者でいらっしゃるわけでありまして、文部省というのは単に学校教育を進めるというだけではなくて、日本の文化を守り、さらにこれを発展をさせる、あるいは大きく言えば世界の文化を推進する、人類の普遍の文化を推進させるという使命があると思いますが、それについて、国内の学校教育を推進するということのほかに、特に対外的に文化政策、あるいは文化の構想、これをお持ちであればひとつ教えていただきたいと思います。
○谷垣国務大臣 文化という言葉によって表現される問題は、非常に多岐にわたって広範だと思います。もちろん諸外国との文化の交流ということは大切なことでございますし、また私たちも努力をしておるわけでございますが、日本自体の持っておる文化というものが世界の文化の中でどういう位置にあるか、また日本の文化そのものを外国に紹介をしてわかってもらうということ、これは単に文化の問題だけでなく、世界の交流の上でも私は非常に大切なことだと思っております。いろいろなそういう意味におきましての交流関係も進めてまいっておるところでございます。
○新村(勝)委員 日本はすでに世界的な経済大国になりまして、特に外国に対しても経済的な進出がかなり目立っております。外国に工場をつくる、平和的な産業の外国進出は決して反対すべきものではないと思います。同時にまた、日本が文化的に世界に進出をするという手だては何かないものでしょうか。
○谷垣国務大臣 海外からも実は日本の文化の紹介のためにいろいろな御提案もいただいております。そういう御提案の中で、私たちが応じ得るものに対してはできるだけの努力をして実現をさせてきておるわけでございまして、古くからの日本の美術品その他に対しての展示の要望もございますれば、あるいは現代の日本の芸術とか、あるいはその他のものに対しましての要望もございます。それぞれのところでそういう努力をしておるわけでございます。
○新村(勝)委員 たとえば、これは決して日本文化を押しつけるとか、あるいはそういうことではなくて、その国の伝統なり文化を尊重しながら人類普遍の文化を育てるというような立場で、たとえば外国に大学を設置をするとか、こういった具体的な構想はございませんか。
○谷垣国務大臣 いま大学を外国で設置をするという形のものまではまだございませんが、交流の関係から申しますと、これは文化という段階に入りますかどうか、たとえばメキシコでこの数年前から日本の学校をやっております。これはメキシコの方々も入っていただき、現地におきます日本人も教育しておるというものでございますが、しかしこれは大学とかもっと高い段階のものではございませんが、そういうものも、もし文化という言葉を広くすればあるわけでございます。また、御存じのとおり日本にはいま国連大学というものがございます。これも外国に日本が築いたものではございませんで、むしろ国連大学として日本に設置することについて日本政府も努力をして東京でそれをやっておるわけでございますが、この大学の講習その他講義のために世界各国からそれぞれの学者がおいでになっておる、こういうこと等の事例はあるわけでございます。
○新村(勝)委員 経済進出ばかりではなく、やはりその国の文化を高めるという立場から、ひとつ文化的な進出、と言っては誤解を受けますかもしれませんが、そういう面での文化の推進についての協力を海外においてもやるべきではないかと思いますが、そういう点についてひとつ大臣のこれからの御健闘をお願いしておきます。 次に、具体的な問題になりまして、高等学校の整備であります。わが国の教育施設、大学、高校、義務制と三段階に分かれるわけでありますけれども、従来、私立は別ですが、大学はすべて国が全額を出して経営もやる。高校は都道府県の段階で、都道府県でやらせる。それから義務制については市町村に任せるということになっておるようですが、大学の段階では、これは全額国がやります。義務制についてもかなり高い補助率。それからその補助裏の起債充当によって当面は余り金を出さなくても市町村は義務制の学校はできるということです。ところがその中間の高校になりますと、従来財源措置がきわめて不十分であって、都道府県にその大部分の財政負担をさせておるわけですね。こういう体系について、これは大臣、どうお考えですか。大学、高校、義務制と三つに分けた場合に、国の財制的な負担の度合いあるいは財政的な面から見ると、責任の度合いが大変違うように思うのですけれども、いかがでしょう。
○谷垣国務大臣 現在の学制から申しますと、御指摘のとおり小学校、中学校というのは義務制でございますから、これは国としての責任を持った形をとっておるわけであります。高校の方は、進学率が高くなっておりますけれども、これはまだ義務制をとっていないわけでございますので、その間おのずから差が生じておるわけであります。大学の方は、これはもちろん私立、国立比べまして私立の方が数は多いわけでございますけれども、国立の方の数から申しますと、これは高校なんかに比べてもちろんずっと数は少なくなっておるわけでございまして、国立の大学に関しましては、国が全部支弁をしておる、こういうことでございます。先生はよく地方で実際仕事をやってきておられますので御存じだと思いますが、もちろん高校に関しましても、国といたしましては実質的な助成はかなりやってきておるわけでございます。私立の問題に関しましても、まだ公立の保護に比べますと不十分でございますけれども、私立学校に対しましての助成の中に高校を入れてやっておる、こういう体制でやっておるわけでございます。
○新村(勝)委員 高校についても国が全く無為であるというふうには申し上げませんけれども、三段階に分けて見た場合に高校に対する国の財政負担が非常に少ないということは事実だと思います。たとえば五十二年の決算で申し上げましても、高校新増設の補助が百八億、高校の危険建物の改築が四十一億、これだけのようです。確かに昭和二十八年に公立高等学校危険建物改築促進臨時措置法というようなものができましたし、その後、公立一局校の整備補助金交付要綱なるものができておりますけれども、これでは、いま九五、六%までいっておると思いますが、その進学率に達した高校教育を円満にというか、十分な施設をつくることはとてもできないというのは事実だと思うのです。そういう面で、若干改善はされましたけれども、末端の市町村における超過負担——超過負担というよりこれは不当な負担ですね、がかなりあるということでありますけれども、そういった点についてどう認識をされておりますか。また、どういうふうにこれからなさるお考えでしょうか。
○谷垣国務大臣 高校に関しましては御指摘のとおり、進学率が九十数%というふうにかなり高いものになっておりますので、高校問題は非常に重要な問題であることは御指摘のとおりだと思います。国の方といたしましては、公立高校の場合は府県立になっておりますので交付税の措置で賄ってやっておる、こういうことでございます。高校の場合は私立の高校の比率がかなり高うございます。これは、先ほど申しましたような私立高校に対する助成措置というものをとっておりまして、それで賄ってきておるわけであります。 それで、高校の増設その他の地方からの要望はほとんどフルに充足をしておるわけでございます。問題は、人口急増地帯の高校等が一番問題が集約されておりまして、そこが敷地の手当てその他の問題が非常に困難な状況で苦労しておられることはよく承知をいたしておりますが、地方からの要望のものについては、現在の既定の問題についてはおこたえができておる。ただ、御指摘のように、助成その他交付率をもう小し高くするかどうかという問題、これは残っておると思います。そういう状況でございます。
○新村(勝)委員 繰り返し申しますように、三段階に分けた場合に、大学については問題ない、義務教育についても、これは法律がありまして国の負担が決まっております。ところが高等学校については財政的な負担措置についての立法措置もまだなされていない。確かにこれはございますけれども、危険校舎については臨時措置法ということになっております。まだ生きているとは思いますけれども、臨時措置法。それからもう一つは、これは私立まで入っておりますが、公私立高等学校新増設建物整備費補助金交付要綱。これは法律ではなくて要綱ですね。こういうふうなきわめて不安定な状況にあるわけです。しかも、この要綱そのものも五十五年度で一応終わる、こういうことになっておるようですが、こういう現状を改め、さらに強化をして、一つの立法に統一をするなりして国の高等学校に対する財政的な責任を明らかにすべきではないかと思いますけれども、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○谷垣国務大臣 急増地帯の高校の、先ほど申されました五十五年度限りになっておる、これは五十六年度に以後どういうふうに対処するかというのはこれからの問題でございまして、五十六年度の予算編成のときの大きな財政当局との折衝事項に私たちも考えております。高校問題はいろいろな問題がございまして、単に財政上の問題だけじゃなしにいろいろと考えていかなければならぬ点がございますことは御指摘のとおりでありまして、ひとつ十分に検討をしたいと考えております。
○新村(勝)委員 来年の方針はこれからお考えになるということでありますけれども、これではちょっと心もとないような気がするわけですね。国においても来年度の財政の検討はもうそろそろお始めになるでありましょうし、特に地方団体の場合には翌年どうなるかわからないということでは、これは大変不安なわけですが、いつごろまでに基本的な方針をお決めになりますか。
○谷垣国務大臣 これは予算を裏づけにしなければならぬ問題でございますから、五十五年度の予算、この間お認めを願いましていま出発をしたところでもございます。五十六年度の予算編成に対してどういう態度で臨むかということは、この八月ぐらいまでにははっきりしたもの、具体的な数字をまとめて交渉に入ることになるわけでございますので、その時点におきまして五十六年度の問題を手始めにした問題を解決していかなければならぬ、かように考えております。
○新村(勝)委員 次に、時間もございませんけれども、別の問題に移りまして、大臣は日教組と会談をなさいましたか。
○谷垣国務大臣 まだお会いしておりません。
○新村(勝)委員 これから申し入れがあればお会いになりますか。
○谷垣国務大臣 問題がございまして必要があれば会ってしかるべきものだと考えております。
○新村(勝)委員 いろいろ教育行政の中で問題があると思いますが、その中で主任手当なるものが先般実施をされ——実施をされないところもまだ若干あるようですけれども、実施をされたわけでありますが、この主任手当が所期の目的どおりに機能しておるとお考えですか。
○諸澤政府委員 主任の制度化というのは五十年の暮れに学校教育法の施行規則を改正しまして、小中高等学校に置かれる学年主任、教務主任あるいは生徒指導主事、進路指導主事といったような方につきましては、その仕事が当該学校において関係教員等との連絡調整、指導助言をするという立場において過重の負担がある、こういうことで、いわばその御苦労の代として手当を支給するということをいたしたわけでございまして、この手当の支給は五十二年度から発足いたしました。そうしまして五十二、五十三、五十四年度までに支給されました手当の総額は約百八十億でございます。というのは、東京、大阪等四都府県ではまだ実施されておりませんから四十三道県になるわけですが、そこでその百八十億のうち、言うところの組合が徴収をして保管しておるような形の金が約三十億ほどですから六分の一くらいになるわけで、その点があるいは御指摘の機能しているかどうかという御質問の点だろうと思いますけれども、私どもは、いま申しましたような数字でございますから、一般的に申せばそのお仕事に対する報酬として有効に使われておると言うてよろしかろうと思うわけでございまして、ただ、その組合がこれを徴収しておる分については、組合としては、教育に関する仕事あるいは学校施設等にこれを寄付したいんだ、こういうお考えのようでございますが、私どもは、この手当はもともと主任という仕事に対する報酬でありますから、それの一部を組織的、継続的に徴収をして学校施設の改善等に向けようというふうに言われましても、都道府県の教育委員会に対しては、それは本来の趣旨に合うものではないからそういう寄付を受けないで、もっと積極的に自分自身の財政によって学校の条件整備に努力しなさい、こういうふうな指導をしているわけでございます。
○新村(勝)委員 いまの御説明では組合が徴収しているというお話でありましたけれども、われわれが聞いておるところでは、これは徴収ではなくて、こういう手当は本来の教育現場の空気からしても、あるいはまた教育の精神からしても好ましくない、そういう見解があることは事実ですよね。そういうことのために組合員が返上というか一時お返しをする、お預けをするというような形で蓄積をされておる、その金が約三十億ぐらいあるというふうに聞いております。しかもこれは組合員だけではなくて非組合員もかなりその趣旨に賛同して同じ行動をとっておるというふうに聞いておりますが、こういうふうにせっかく国が予算を通して貴重な税金を支給いたしましても、それが現場で混乱を起こし、またそういう解釈をされておる、文部省とは全く逆の解釈を先生方がしておるということについては、これはそれなりにやはり大きな問題がそこに伏在しておると言わざるを得ないわけでありますけれども、この事実に対して大臣はどうお感じになっていますか。
○谷垣国務大臣 いろいろな御議論があったと思いますし、主任制度をとりますときに議論のあったことは先生も御存じのとおりだと思います。私たちは、当初の主任手当をいたしました趣旨が生かされて運用されることを期待しております。
○新村(勝)委員 大臣ひとつこの問題も含めて、やはり現場の先生方イコール日教組ということではないかもしれませんけれども、日教組も少なくとも現場の先生方の意向を代表する組織であることは間違いない、こういう点で、この問題も含めて組合とも、あるいはまた現場の先生方とも十分話し合いをしていただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
○谷垣国務大臣 いろいろな問題があればそれぞれお話し合いをすることにやぶさかではございませんけれども、この問題に関しましては、すでにもうずっと経緯がございまして、こういう制度でお願いをすることに決定してやっておるわけでございますので、この問題に関しましては従来の考え方を変えようとは考えておりません。
○新村(勝)委員 変える変えないではなくて、できる限りのお互いの交流と話し合いを深めていただきたいということをお願いするわけなんですよ。別にこれをいますぐ廃止しろと言ったってそれはできないでしょう、大臣も。できれば一番いいのでしょうけれどもね。そういうことも含めて現場との交流を深めていただきたいということなんですけれども、その趣旨に御賛成なさいますか。
○谷垣国務大臣 どうせいろいろな問題があろうと思います。この問題に関してだけということではこれは別にお話をすることもないと思っておりますが、いろいろな問題があろうと思います。
○新村(勝)委員 この問題とこだわりますけれども、この問題も含めてすべての問題についてひとつお互いの交流を深めていただきたい、そして日本の教育の発展に御努力をいただきたいということですよ。これをお願いします。 終わります。
○高田委員長 林孝矩君。
○林(孝)委員 まず最初に、先ほど来オリンピックに関連して議論がございましたが、重複を避けて質問したいと思います。 最初に、政府として公式にオリンピックに対する態度を決定する時期はいつでございますか。
○谷垣国務大臣 繰り返して申し上げておりますが、二月一日に政府の意向を表明をいたしましてJOCにも連絡をしてきたわけでございまして、今日その意向は別に変わっておりません。したがいまして、改めて政府の意向をどうするかという問題を現在まだ決めておるわけではございません。先生の御指摘の、いっそういう表明をするのだということでございますけれども、こちらの意見を何らかの形で表明するような形をとるかどうか、そこまでまだ結論を持っておりません。ただ、JOCとは海外の状況等の連絡もございますしいろいろなこともございますから、連絡は強めていかなければならぬと思っております。こういうふうにだんだんと状況が激しく動こうとしておりますから、連絡はせなければならぬと思っておりますが、先生のおっしゃる意味の改めての問題につきましては、そういう必要があるかどうかということも含めましていま決めておるわけではございません。
○林(孝)委員 来週、総理を中心にして関係閣僚会議が開かれて、そしてそこで公式な態度を表明するということを漏れ伺っておるわけでございますが、そういう考え方も持ち合わせていない、こういうことでよろしいでしょうか。
○谷垣国務大臣 これは関係閣僚がございますので私一人の考え方ではいかぬわけでございますが、そういう意味の、正式に閣僚会議をやろうじゃないかというような連絡を実はまだ受けておりません。ただ常識的に、総理がアメリカへ訪米されることがございますから、それまでの状況で整理をして総理のところに状況の報告その他持っていかなければならぬというようなことがあるかもしれませんけれども、三閣僚会議を開いてそこで政府の意向をきちっと表明するような形をとるかどうかということは、いつやるかということも含めましてまだ実は連絡を私は受けていない状況でございます。
○林(孝)委員 大臣が連絡を受けてないことをこちらが申し上げるのもなにかと思いますが、タイミングといいますか総理の訪米、これは一つのこのオリンピック問題に対する日本政府としての見解を持っていかざるを得ないであろう、これは常識的に考えましても当然のことだと私は推測するわけです。そうしますと、そういう時期に閣僚会議が開かれて、日本としてはこういう考え方だということでなければ、総理がアメリカに行ってたちまち、その問題に対して意見を求められても答えられないというような状況が生まれますね。そういうことで、文部大臣が連絡を受けていないという現時点での御説明でございますから私はそれ以上のことは申し上げませんけれども、この問題の起こった遠因といいますか近因といいますか、この背景、これも先ほど来議論がありました。文部大臣としても所管は文部省ということで、スポーツ振興という立場にあって、しかし国際情勢というものが絡み合っているということをやはり考えざるを得ない、考慮の中に入れざるを得ない、こういうことでありますが、今回政府の意向として、オリンピックに参加することは好ましくないという意向を持っておる、これはもう委員会において表明されておるわけです。こういう環境が整えば参加するという可能性が生まれてくるであろうという文部大臣としての見解、こういうものは考えられておりますか。
○谷垣国務大臣 先ほどもお答えいたしましたが、二月一日政府意向を表明しました、その政府の意向と今日も変わっていないということを申し上げたわけでありますが、あのときの政府の意向は、オリンピック憲章の目的から考えてみても、アフガンにソ連が進入してきたという事実から巻き起こっておる今日の国際世論の状況というものに対して重大な関心を払わざるを得ないという表現をとっておるわけでございます。かなり間接話法でございますが、そういう表現をとっておるわけであります。その重大な関心事が解消すれば、そこに対しまする問題点は解消するということになるわけでございます。ただ、JOCが主体的に決めるべきいまのオリンピックの憲章の条項になっておりますので、明瞭な明確な形じゃなくて、いわばそういう状況判断での政府の意向という表現をとっておるわけでございます。
○林(孝)委員 エントリーにはタイムリミットがあるわけでございます。外務省に伺いますけれども、いま大臣が、起こってきた原因がなくなればという前提の話をされたわけですけれども、アフガン情勢の見通し、これがエントリーのタイムリミットということを前提として考えた場合にどういう情勢になるであろうという見通しといいますか、分析をされておりますか。
○兵藤説明員 お答え申し上げます。 オリンピックが開催されます七月の時点におけるアフガン情勢、ソ連軍の状況というものを現時点で正確に……
○林(孝)委員 七月じゃなしに、エントリーの締め切りです。
○兵藤説明員 五月でございますね。見通すことは困難かと思いますけれども、ソ連軍がアフガンに入りまして以降の事態の推移、それから一番問題の核心でございますアフガンの国内情勢、さらには最近ソ連がアフガンと結びました、内容はまだ明らかにされておりませんけれども、ソ連軍の駐留に関する取り決めというものが結ばれたという事実だけが発表されております。そういう事態をいろいろ考えますと、事態はソ連軍の長期駐留の方向に向けて推移しておるやに見受けられる感じがいたします。
○林(孝)委員 そうしますと、この環境というものがよくなるということは非常に厳しいと見なければいかぬといういまの外務省のあれだ。そうしますと、これは参加が非常にむずかしくなるのではないかという、政府はそういう決定をするであろうと私は思うのです。JOCが、たとえばそういう状況のもとに、個別参加に対してもし拘束されることがあるとするならばこれは人権侵害であるということをこの前表明しております。大臣は御存じであるかないか知りませんけれども、表明しておる。個別参加ということでJOCが考え、決定した場合、また、政府の意向とは別に独自にJOCが参加するという決定をした場合、いろいろ考えられるわけですね。そういう事態になった場合に、政府としてこれに対して物理的な行政措置、たとえば渡航に関することであるとか、予算の執行に関することであるとかいうところまでの判断といいますか、考え方の検討をされておるかどうか、その点を確認しておきたいと思います。
○谷垣国務大臣 先ほどもそのような点について御質問があったわけでございますが、この問題は現在の憲章等の決めから見ますと、そういう仕組みにはなっていないように私たちは憲章を読んでおるわけでございます。しかし、問題はIOCの問題でございますので、二十一日から開かれるというスイスのローザンヌの会合等でそういうことも含めて議論が行われるというようなうわさも、私は確認をしておりませんけれども出ておるようであります。そういう問題がどんな決定になるかというようなこともこれは非常に重要な問題ではないかと思っております。 そういうことをいろいろ予測をいたしましてどうだという林先生としての御質問でございますけれども、まだ状況が動いておるところでございますしいたしますので、いまのこの段階でいろいろな仮定をとっての——そのケースがいろいろあろうと思いますしいたしますので、ちょっとそのお答えは、その時期になって判断をさせていただきたい、こういうふうに考えるわけであります。
○林(孝)委員 外務省の方はこういうことに関してはどういう見解をお持ちでしょうか。
○青木説明員 お答えいたします。 ただいま文部大臣から申し上げたとおりでございます。
○林(孝)委員 外務大臣は先日の委員会で、個別参加も好ましくないという表明をされたわけでありますけれども、JOCは、個別参加が拘束さ、れることに対しては、先ほど申し上げましたように人権侵害であるということを言っておるわけです。こうして意見が現実に食い違っておるという状態、こういう状態に対して、当然その実態を踏まえて将来的な展望といいますか、考えていかなければならないと思うわけです。それに対して、対応は非常にむずかしい、また、いろいろ波及的効果というものを考えると軽々に論評できない、意見を表明できないということはわかるのでけすけれども、JOCの役員とかいうことでなく、現役の選手、オリンピックに参加する側の人たちにしてみますと非常な不安を抱いておるわけです。そういう実態というものを考えたならば、あいまいな状態で様子を見るのは、文部省としても政府としても立場上そうせざるを得ないという状況にあるかもわからないけれども、そういう現役の人たちに対して何らかの表明といいますか、そういうものを政府の立場でする時期がなくてはならないのではないか、最終的に参加、不参加というところまでの過程でですよ。こういう点についてはどのようにお考えでしょう。
○谷垣国務大臣 オリンピックを目指しまして出場の予定されている選手の諸君を中心にして非常な精進をしていただいております。その諸君の心情は、いま林先生がおっしゃったように、私たちもそんたくをするのによくわかるところでございます。JOC自体、選手強化と申しますか、こういう二月一日以降の状況におきましても、いまの選手強化練習の継続と申しますか、オリンピックを目指してのものは強めていくべきである、こういう指導をしておるわけでございます。それは私たちもよく承知をいたしております。しかし、こういう状況が、外部から来たと言ったらそれまでのことでございますが、選手のことを考えれば、早く何らかの決定をされなければならぬ。しかし、エントリーの時期もそう長い先のことではございません。できるだけそういう状況も十分に考えましてJOCも決定するでしょうし、私たちもまたそれを見守っていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
○林(孝)委員 オリンピック関係予算はどうなっておりますか。項目、金額。
○柳川(覺)政府委員 直接にはモスクワオリンピック大会への選手の派遣費に対する国の補助金がございます。これが六千百四十万円組まれております。
○林(孝)委員 体協に対しての補助、それが実際オリンピックを目標にして、たとえば選手強化費用であるとかいろいろな形の項目で予算化されておるわけでありますが、その実態について把握されておりますか。
○柳川(覺)政府委員 財団法人日本体育協会に対します国庫補助金は十五億八千万円でございます。このうち国際競技力の向上を目指しました選手強化事業費が七億六千万円計上されております。
○林(孝)委員 そうしますと、この七億の予算プラス先ほどの選手渡航に関する六千百四十万ですか、これのトータルがオリンピックに関する費用、こういうふうに理解していいですか。
○柳川(覺)政府委員 いま申し上げました七億六千万円の中に派遣費補助が含まれておりますので、選手強化事業、派遣費含めまして七億六千万円ということでございます。
○林(孝)委員 もしオリンピックに不参加ということになりますと、結局参加するためにもうすでに執行された金額、それから不参加で不用額といいますか、そういうものが出てきますね。これはどういう処理をされることになりますか。これから先のことになりますけれども、参考のために伺っておきたいと思います。
○柳川(覺)政府委員 国際競技力の向上ということで選手強化事業を歴年行ってきておるわけでございまして、すでに今年度に入りましても合宿訓練等の事業を進めておりますし、あるいはコーチの方に対する謝金等の支出をすでに体協は行ってきておりますから、そういうものは計画どおりの経費として処理していくということに当然なろうと思いますが、なお今後派遣費等どのように対応していくのかということにつきましては、参加不参加の問題はこれからの問題でございますので、その時点で判断さしていただきたいというように考えております。
○林(孝)委員 オリンピックの問題に対しての最後の質問になりますが、総理がアメリカに行かれる前に日本としての考え方を決めなければならない。その段階で選手諸君に対して政府としての考え方を公式表明されることが、政治的な意味よりもむしろ一つの精神的な意味になりますが、よろしいかと思うのですけれども、その点に対して考慮する考え方があるかどうか伺って、この問題を終えたいと思います。
○谷垣国務大臣 そこは非常にむずかしいところでして、激励するに足るようなことになるのかどうかということも含めまして問題もあるだろうと思います。しかし総理の訪米というのは一つの時期であることは、そう私たちも思いますけれども、先ほど来大変煮え切らぬ返事をして恐縮でございますが、手順その他、それをやろうという呼びかけもまだ来ておりませんし、しかし、総理が行かれる前に何らか総理に対しましての整理したことは当然しなければいかぬだろう、これは常識的にそういう感じはいたしております。いまその程度のところでございます。
○林(孝)委員 文部大臣から呼びかけられたらいかがでしょうか。
○谷垣国務大臣 そのことも考えなければならぬかと思います。
○林(孝)委員 それでは次の問題に入ります。 五十四年十二月二十八日の閣議決定におきまして五十五年度以降の行政改革計画を政府は打ち出したわけであります。その中で、特殊法人の整理合理化について伺いたいと思っておりますが、日本学校給食会と日本学校安全会とを、昭和五十五年十月に予定される放送大学学園設置のときに統合する、そのように特殊法人の整理合理化について述べられております。これは現在どういう方向で進んでおりますか。
○谷垣国務大臣 今度の国会に法案をお願いせなければならぬわけであります。法案審議の状況が、まだその前になっております放送学園法案のところまで行っていない状況でございますが、今国会にお願いをしてやってまいりたい、かように考えております。
○林(孝)委員 仮称日本学校健康会について、これに二法人を統合した場合の役員の数、また、民間からの登用についてはどのようになっておりますか。
○宮地政府委員 お答えいたします。 日本学校健康会に統合することによりまして常勤役員については二名の減を図ることにいたしております。
○林(孝)委員 それから、この決定の中にこういうことがありますね。以上の「措置の完了後、文部省主管の特殊法人を一法人減ずることとし、」とあります。これは他の特殊法人の内容とことさら異なって、これについてはいつごろにどういう内容にするかということが述べられていない。これについてもタイムリミットがあるわけでありますから、どのように減ずるのか、お伺いしたいと思います。
○谷垣国務大臣 文部省としましては、タイムリミットのあるいまの一法人の削減ということをやらなければならぬと思っておりますが、この間からのあれであります第一号のオリンピックセンターをよすということをきのうようやく決めていただいて、この次は放送学園の法案と、さらに先ほど御指摘がございました、仮称でありますが、健康会法の問題にまず取り組んで、これを早く実現したい、こういう考え方でいま全力を尽くしております。もう一法人をどうするかということは、期限がございますのでいずれ考えていかなければなりませんしいたしますが、当面国会にこれの御審議をお願いして通過をぜひ早めたい、ここに全力を尽くしておる、こういうような現状でございます。
○林(孝)委員 次に、特殊法人の「役員選考基準の運用方針」ということで五十四年十二月十八日に閣議了解がなされているわけですね。「全特殊法人の常勤役員については、国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者を」いわゆる天下りを「半数以内にとどめることを目標とする。」このようにあります。文部省所管では現在十の特殊法人で四十人の常勧役員がいることになっておりますが、このうち天下りは国立大学教授等からの就任を除いて二十九人おります。たとえば日本学校安全会は三名中三名全員が天下り、国立競技場役員四名中四名全員、こういう状況であるわけですね。こういう実態を大臣はどのようにお考えですか。
○谷垣国務大臣 お答えいたします。 先ほど林先生御指摘になりましたほかに、特殊法人の役員一割削減というのが実はつけ加わって、そしてあとの役員構成は先ほど御指摘がございましたように、いわゆる天下りを二分の一以下にする、こういうことが決まっておるわけでございます。数字その他ちょっと私詳しいことを控えかねておりますので、事務当局の方からお答えさせていただきたいと思いますが、これはそれなりの理由があってのことだと思います。ということを申し上げますのは、文部省、文教関係の外郭団体はかなり文教の、一種の専門的な形の経験なりなんなりを要求される場合が多いわけでございます。そういうこともありまして、その比率がいま言われておりますようなものから比べますと若干高い比率になっている、こういう事情があろうかと思います。しかし、この閣議決定で決められましたことは必ず実現するようにやってまいりたい、こういうふうに思っております。ちょっと数字的な問題がありますので、事務当局から……。
○宮地政府委員 お答え申し上げます。 先生御指摘の役員の数でございますが、文部省所管の特殊法人は全体で十法人でございまして、その常勤役員数の現在員は三十九名でございます。四月一日でさらに一名減になりまして三十九名でございまして、そのうち公務員出身者は二十八名ということになっているのが現状でございます。閣議了解の趣旨に沿いまして、今後三年間を目途に特殊法人の役員数の一割縮減を実施するということになっておるわけでございます。この線に沿いまして、文部省所管の特殊法人の役員につきましては、今後三年間に順次役員の任期が参りました者につきまして、定められた、全体で申しますと四名の減員をするということになるわけでございます。さらに国家公務員からの直接の就任者の制限等につきましては、法人の特殊性等もございまして全体の法人の中で考慮するということになっておりますが、先ほど御説明申し上げましたような役員縮減後の常勤役員数は文部省関係では三十六人ということになるわけでございます。国家公務員からの直接の就任者等は二十六人ということになっておりまして、これも相当数を民間人に切りかえるという方向で検討を進めているところでございます。
○林(孝)委員 相当数を切りかえるということでありますけれども、役員数の減員計画、また官民比率の改善計画、これはまだ具体的に決定をしておらぬのでしょうか。
○宮地政府委員 具体的な特殊法人のどこにおいて削減するかということについては内部において検討いたしておるところでございますが、具体的な人事にかかわる問題でもございますので、それらについては、それぞれ役員の任期の参りました時点で具体的な実現を図っていくというぐあいに考えております。
○林(孝)委員 具体的に申し上げますけれども、日本私学振興財団、これについて見ますと、常勤役員七名中四名が天下り。これについて役員の縮減あるいは天下り率の削減ということはどのように考えられておりますか。
○宮地政府委員 お答え申し上げます。 日本私学振興財団の役員は、定員としては常勤役員の数は御指摘のとおり七名でございます。文部省の所管の特殊法人十の中で比較的役員数の多い方に属するかと思いますので、全体の計画の中では今後三年間に縮減するものの中の一つとして考えております。したがいまして、将来の計画としては、これらの役員の縮減の中で私学振興財団についても御相談を申し上げていくということになろうかと思います。
○林(孝)委員 財団の補助金業務について伺いますが、五十一年度から五十三年度までの三年間の交付額、それから対象法人別件数、これはどれほどあるかということが一点。この補助金交付の目的はどういうことになっているか。それから配賦に当たっての基準はどうなっておるか、まずこれだけお伺いします。
○三角政府委員 日本私学振興財団を通じて私立大学等に交付した経常費補助金でございますが、五十一年度につきましては、補助対象学校法人数は五百二十七法人、学校数が六百九十九校でございまして、補助金額にいたしまして千二百八十五億四千五百六十二万五千円でございます。それから五十二年度につきまして申し上げますと、補助対象学校法人数は五百三十一法人、学校数七百二校、補助金額にいたしまして千五百九十九億六千五百五十三万八千円となっております。それから五十三年度でございますが、補助対象学校法人数が五百三十六法人、七百八校、金額が千九百七十億一千二百七十九万円ということでございます。五十四年度につきましてはまだ確定をいたしておらない次第でございます。 それから、補助金の配分の方針と申しますか、基準でございますが、これは、簡単に申しまして、経常費でございますので、給与費等につきましては教職員の数、それから教育、研究にかかるいわゆる物件費につきましては教員の数、学生の数、そういったものが配分の要素の基本になりますが、その間に、たとえばどの程度定員を超過して学生をとっておるかとか、あるいは教員一人当たりで担当しております平均の学生数が、学部等の種別ごとで非常にたくさんの学生を抱えておる状況になっておるかとか、あるいは一人で少ない学生数を丹念な教育をやっておるかとか、そういった諸要素を、一つの基準を設けまして、その基準に照らしまして点数を配分いたしまして、いわゆる傾斜配分というようなことを加味して配分をしておる次第でございます。
○林(孝)委員 これらの業務は文部大臣の承認を受けて行っているわけです。大臣が承認されておるわけですね。これは間違いないですね。大臣の承認事項でしょう。
○三角政府委員 さようでございます。
○林(孝)委員 私立大学等経常費補助金について検査院の指摘した不当事項、これはいままで何件ございましたでしょうか。それから金額はどれぐらいありますか。
○藤井会計検査院説明員 お答えいたします。 この補助金につきましては四十五年度から交付されておるわけでございます。私どもといたしましては、四十五年度分から検査をいたしております。 四十五年度につきましては、一応検査いたしました結果、財団に学校法人から提出されております資料でございますが、こういったものに専任教職員の数とかあるいは学生現員の数が載っているわけでございますが、この把握が十分でなかったということもございましたので、この適正を期するという意味におきまして、審査を十分にする、あるいは指導監督をするように改善の意見を表示しております。 その後、四十六年度以降五十三年度までの間に、二十学校法人、補助金額にいたしまして六億一千五百九十九万余円を不当事項として掲げておるわけでございます。 以上でございます。
○林(孝)委員 大臣、四十六年から不当事項を毎年指摘されているわけですが、どうしてこういうことになるかという原因について、どのようにお考えになりますか。
○谷垣国務大臣 不当事項が指摘されましたことは大変残念に思っておりますが、やはり学生の数の把握とかいうようなものについて、それが不正確であった、あるいは学校自体の事務の扱い方その他において不十分なところがあったというようなところに原因があるだろうというふうに考えて、それらの是正、あるいは具体的には会計検査院の方からの具体的な案件についての指摘がございますので、そういうものについて是正をして指導してまいっていく、こういうことでやっておるわけであります。
○林(孝)委員 それはやはり大臣として——大臣のときにこれが全部起こったのではありません、四十六年という時代からのことですが、これはやはり、いま二つの、学生の数が不正確であるとか事務が不十分であるとかという理由を挙げられましたけれども、こういうことは、改善することについては別に困難なことではないですね。言いへえれば、改善する項目としては非常に改善しやすいと私は思うのですけれども、大臣いかがですか。
○谷垣国務大臣 私もそういうふうに思います。詳しいことは局長から答えさせますけれども、そういうふうに思っております。
○三角政府委員 毎年不当事項の指摘を受けているという事例がありまして、はなはだ遺憾に思っている次第でございます。 それで、やはりこれはどうしても改善してもらわなければならないわけでございますので、これまでも私ども文部省といたしましては、この業務を執行しております私学振興財団とともに学校法人に対して不当事項の指摘内容というものをすべての学校法人に周知をいたしまして、こういった誤りを犯さないようにという説明をいたしております。 たとえば私学振興財団におきまして毎月「私学振興」というパンフレットを出しておりますけれども、学校法人に対するそういった周知、指導、それにそのパンフレットを活用いたしておるわけでございます。 それからもう一つは、毎年私学振興財団が学校法人に対しまして業務の説明会というのを行っておりまして、ここで会計検査院の不当事項としての指摘内容につきまして周知いたしますとともに、補助金の配分の基礎として、先ほどもちょっと申し上げましたように、学生の現員数あるいは定員数あるいは教職員の数とか、その他どの程度教育、研究の経費に充当しておるかといったような資料もとっておるわけでございますが、そういった基礎となる資料の作成についてミスがないようにという指導もあわせて行っておるというようなことでございますが、今後とも丹念な指導をいたしまして、こういった事態がより改善いたしますように努力をいたしたいというふうに思っておる次第でございます。
○林(孝)委員 非常に改善しやすいという項目、大臣もそのとおりということで、これはきちっとしていただきたい。 福岡歯科大学、これは五十年度は法人の管理運営が不適切であるということで交付がされていない。五十一年度は補助金相当額の七〇%が交付された。五十二年度は全額が交付されておる。この二カ年の補助金の全額が不当だ、こういう指摘がされておるわけですね。これはどういうようになっているのですか。
○三角政府委員 これは五十一年と五十二年度にただいま林委員御指摘のような交付を行ったわけでございますが、五十三年度におきまして、この学校につきまして、事由といたしましては法令違反の事態がわかりました。それからもう一つは、事務処理の不適正ということでございます。法令違反と申しますのは、入学者の選抜あるいは成績考査に関する表簿を消却したというようなことがございまして、これは学校教育法の施行規則の明らかな違反ということになっております。 ただ、私どもの補助金の交付要綱にも書いてございますが、入学に関する寄付金の収受によりまして入学者選抜の公正を著しく害したというようなことが基本にあるわけでございまして、これはやはり事務処理不適正の一番根にある事柄でございますので、交付要綱にも反することでございますので、全額を返還してもらったということでございます。
○林(孝)委員 大臣、いま出ましたこういうふうなのはとにかく札つきですね。そういうことで、簡単なのだけれどもこういうところはまだあるわけですね。よほどしっかりして指導して、こういうことが起こらないようにしないとこうした紊乱が起こる。私は憂える者の一人として申し上げるわけですけれども、大臣の決意を伺っておきたいと思うのです。
○谷垣国務大臣 新しくつくられました大学等につきまして、ことに当初の設立なり経費のかなりかかる、端的に申しますれば医学関係あるいは歯科も入れまして、そういうところの新設の学校には、いま言いましたような問題が間々起こってきました。それを是正しなければならぬ、こういうことでございます。これは単なる事務的な問題よりもう少し根のある問題でございまして、しかし、これは新設のときのある時期を越しますれば、その点はかなり改善されていかなければなりませんし、改善されるものだと思います。まだ少しそういう心配があるところもありますけれども、そういうものだと思っております。あとは、いま申しましたような事務的な経理の体制をきちっとさせるということでなければならぬと思います。 先ほど局長がお答えをいたしましたような手順を踏んでやっておる、こういうのが現状でございます。 御指摘の点がございましたのは大変残念に思っております。この改革を考えていかなければならぬ、実際にしていかなければならぬ、かように考えております。
○林(孝)委員 大阪教育大学の問題に入りますけれども、検査院は五十二年度の決算検査報告で大阪教育大学移転統合問題を不当事項として掲載をしておるわけです。この不当金額三十四億八千七百万円。この不当事項の指摘はどのような角度から検討し、どのような点で国損があると判断したのか、お答え願いたいと思います。
○藤井会計検査院説明員 お答えいたします。 大阪教育大学におきましては、校舎を移転統合するための用地を購入いたしまして、敷地造成工事等一部を実施いたしましたが、その後学内の意思不統一、そういった点から、移転統合問題の関係の予算を要求することができなくなった。そこで、校舎等の諸施設の建設のめども立たない。用地等がその効用を発揮する見込みもない。そのまま遊休している。これが適正じゃないということで指摘したものでございます。言いかえますと、本件は大学自体が移転統合を決定して購入したにもかかわりませず、外的要因に基づかないで、単なる学内の事情によりまして、購入した用地が遊休しているということで、財政資金の効率的な使用が阻害されるというふうに認めたものでございます。 ただいま先生が、国損というふうにおっしゃいましたが、実は国損というのは全部むだというふうに承るわけなんですが、そうじゃございませんで、経理が適切に行われなかった、法令、予算どおりに行われなかったということでございまして、全部むだ金というふうには考えておらないわけでございます。その点御了解願いたいと思います。
○林(孝)委員 会計検査院が財政効果までを含めた判断で不当という判断をされたということを評価しますけれども、それだけの三十四億八千七百万という金額が、全く遊休化してしまっておるということは、財政難の折から、国にとっては非常に益ではない、益の反対は損だ、こう私は思うわけであります。この指摘に対して文部省は、八十七国会で、「今後、速やかに、移転統合についての大学内の意思統一を図り、用地の早期使用に努める所存である。」こういう説明を提出しているわけでありますけれども、大臣はいまこの問題に対してどのように取り組んでおられますか。
○谷垣国務大臣 御指摘の問題は、単なる経理とかそういう問題ではございませんで、大学の自治能力と申しますか、そういう問題にあるわけでございまして、いろいろな経緯がございましたが、重大に考えております。いろいろ指導してまいりまして、ようやくごく最近結論が出たという段階でございますが、詳しいことは局長から御報告させていただきます。
○佐野政府委員 五十二年度以降、移転統合事業が学内の意思不統一によって中断をしている、非常に申しわけない状態であったわけでございます。その後文部省としましては、当初の大学の意思決定に基づいて速やかに移転統合を進めるようにということで、強く大学を指導をいたしたわけであります。 まことに遺憾なことでございますけれども、大学の対応に時日を要したわけでございますが、五十四年二月に、学内に統合特別委員会が設置されまして、移転統合に伴う諸問題についてようやく学内の意思統一の回復を図る努力が積極的に続けられました。その結果、ことしの三月十六日の教授会におきまして、柏原地区への移転統合に関する今後の基本的方針というものが決定されるに至ったわけであります。 この基本方針におきまして、大学は五十五年以降、敷地の造成あるいは校舎建築等の移転統合事業を推進するということを明らかにいたしております。大学は今後この基本方針に基づきまして具体的な計画を立てて、柏原地区への移転統合を進めるということになるわけでありますが、文部省としましても、大学の対応姿勢に応じまして、適切に事柄を進めてまいりたいと思っております。
○林(孝)委員 それで解決したということにはならないと私は思うのです。といいますのは、たとえば大阪府あるいは関係市町村で周辺の整備事業、補助事業を計画しておる、これが、本体がそういう状態でありますから、当然この補助金が流れてしまっておるという実態がありますね。こういうことも含めて考えますと、周辺の整備事業の予算の見通しというものも関連してくるわけです。したがってこれは、この大学が基本方針を決定して、その基本方針に基づいていよいよ事業を開始するというふうに決まっただけでは問題の解決ではない。したがって、これに対してやはり漫然としてこれでよしというわけにはいかないと私は思うのですが、大臣はその辺はどのように判断されておりますか。
○谷垣国務大臣 御指摘がありましたように、一つの大きな施設が移るわけでありますので、関連しての公共事業その他の問題が必要になってくるわけでございます。ただ、大学の本体そのものが未決定な状況が、ようやくでございますけれども方針を決定したということでございますので、今後それだけで進むわけではもちろんございませんが、まず動き出して、周辺の問題もしたがって進めていかなければならぬ、こういうふうに考えます。
○林(孝)委員 それから、この移転用地の取得についてお伺いしておきたいのですが、取得面積、金額はどれほどか、支払いはいつごろに行われたか、こういう点と、この取得は土地収用の手続をかけて行われたのかどうか、こういう点をまず伺っておきたいと思います。
○植木政府委員 お答え申し上げます。 大阪教育大学の移転統合用地の購入につきましては、昭和五十年の三月に、六十六ヘクタールの用地を二十九億九千六百万円で購入いたしました。この購入に当たりましては、もちろん通常の統合移転用地の購入に必要な手続を踏んでおります。たとえば、正当な所有権利者の確認あるいは面積の実測、さらには購入価格についての評価を外部の専門家の方に鑑定を依頼する等々の手続を踏みまして購入をいたしたものでございます。
○林(孝)委員 この土地取得費用の財源は何で賄われたか。もし借入金だとすると、その法的根拠を言っていただきたいと思います。 それから、借り入れ及び償還計画はいつ決定されたのか、元利合計は幾らになるか。また、元金の償還期限がいつ来るのか。
○植木政府委員 お答え申し上げます。 この購入の財源につきましては、国立学校の特別会計法に基づきまして、資金運用部資金からの、いわゆる財政投融資からの借入金をもって充当いたしたものでございます。この借入金を行う場合に償還計画を立てるわけでございますが、その計画といたしましては、昭和五十二年度、さらに昭和五十五年度に、それぞれ統合移転に絡みます、現在持っております大学の土地を売却をしてこれを償還する、こういう計画になっておったわけでございます。ただ、先ほど来御説明申し上げておりますとおりに、一部の土地につきましては、これを売却してこれに充てておるわけでございますが、予定がまだ進んでおりませんので、この計画どおりには進んでいないということでございます。 それで、借り入れ金額は、昭和五十年の三月二十五日に約三十億借りたわけでございますが、これを五十三年さらには五十六年にわたりまして、元金を償還する、さらに利子は毎年これを返済していく、こういう計画になっておるわけでございます。 ただ、予定しておりました土地が全部売れておりませんので、その分につきましては、その他の学校財産の処分の収入をもって充てて、これを返還してきておる、こういう状況に相なっております。
○林(孝)委員 この処分、移転に伴い不用となる財産の処分、この売却予定の土地というのは四カ所あるというふうに聞いておりますが、答弁願いたい。 それから、五十三年三月の元金返済期限のときには、この四カ所のうち、どこを処分して償還に充てる計画であったのか、そのときの償還金額とともにお答え願いたいと思います。
○植木政府委員 お答え申し上げます。 四カ所とございますのは、天王寺の農場実習地、それから池田分校の寄宿舎の跡地、それから池田寄宿舎予定地、そして池田分校でございます。で、五十二年度に天王寺の農場実習地と池田分校寄宿舎跡地と池田寄宿舎予定地をそれぞれ売却をいたしまして、その収入によりまして財投の借入金を償還することになっておりましたが、そのうち池田寄宿舎予定地のみが売却をされて、残りが売却をされなかったということになっておりますので、その残りの分につきましては、先ほど申し上げましたように、その他の学校財産の収入をもってこれをカバーをいたしたということになっております。 〔委員長退席、井上(一)委員長代理着席〕
○林(孝)委員 ということは、学校財産でこの不足分、それから半期ごとの金利支払い、これは全部行われたというふうに理解していいのですね。
○植木政府委員 さようでございます。
○林(孝)委員 特会法の規定によりますと、移転用地取得費支弁のための借入金は「その移転に要する用地の取得費を支弁するため必要があり、かつ、当該移転に伴い不用となる財産の処分収入をもつて償還することができる見込みがあるとき」と、このように厳しく借り入れの措置のできるケースがしぼられておる。この場合も、大阪教育大学の移転に伴って不用となる同大学の財産の処分収入をもって返済に充てなければならない、そのように解釈すべきであると私は思います。この点に対して、いまの当局の見解、これを確認しておきたいことが一点。それから他の大学の財産処分収入でこれに充当した、こういう措置は、これは少なくともこの特別会計法附則第九項の趣旨とする精神に反する、このように私は思うわけです。この二点について、これは前例となる場合を考えなければいけませんので、明確にしておきたいと思うのですよ。
○植木政府委員 ただいま先生おっしゃいました国立学校特別会計法の附則九項では、そのとおり規定がございます。この趣旨は、財投の借り入れを国立学校特別会計でいたします場合に、その見込みといたしまして、いま先生がおっしゃったように「当該移転に伴い不用となる財産の処分収入をもって償還することができる」、そういう見込みがある場合に財投から借り入れをするということに相なっておりまして、趣旨はこういうことでございます。実際には、ここにございますように、その見込みどおり、その跡地等を処分いたしまして、それで当該学校の分を、当該新しい移転用地を財投の借入金等で買って、それを償還するということでございますが、たまたまこの場合には、先ほど来申し上げておりますような事情でそれができなかったということでございまして、これは通常の例ではないわけでございます。この場合には一よその大学でたまたま予定より高く売れました財産があって、それでカバーができたのでやりくりができたということでございますが、先生がおっしゃいますように、これは決して通例ではないということでございますが、法律に違反をしているというところまでは私どもとしては考えておりません。
○林(孝)委員 会計検査院はこの措置はどのような判断をされておりますか。
○藤井会計検査院説明員 法律の趣旨になりますと、恐らく特別会計の健全な運営ということの趣旨になるかと思いますが、実は私どもの指摘しているのは結局移転計画が進まないということでございまして、その結果派生する利子あるいはその計画が進まないということにつきましても当然その中に含まれて批難している、指摘しているというふうに考えているわけでございます。
○林(孝)委員 それで大臣、いま事情は大体おわかりになったと思いますが、五十六年三月に最後の償還期限が来るわけです。この償還期限が来るときに計画されている池田分校の処分ができるのかどうか、非常に心配があるわけです。五十六年三月以前に移転が完了していなければ処分ができないはずですね。処分ができなければ償還計画そのものも崩れてしまうわけです。そうなってきますとこの償還計画が遂行されないということで大きな問題が起こってくる。一つの法律違反という問題が起こってくるわけですね。この点に対してはどのように考えられておりますか。
○植木政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、五十六年の三月二十五日に最後の償還期間が来るわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど来御説明いたしておりますように、大学としての意思統一が行われ、早く当初予定の跡地処分が行われるということを強く期待をしておるものでございますし、今後そういう方向でさらに大学とも連絡をとり、またお願いをするわけでございますが、もし跡地処分ができない場合にはどうなるか、こういう仮定の御質問でございますが、その場合には、先ほどから申し上げておりますような国立学校特会全体の負担といいますか、具体的には他の学校の財産の処分が仮に上回っているような場合にはそれを充てるとか、その他の方法を考えなければいけない事態になろうかと思います。
○林(孝)委員 私、時間が来ましたので、はしょって質問をしますけれども、大学設置の基準、こういう規則もあり、それからいま申し上げましたような特別会計の法則もあるわけですね。そういういろんな取り決めがある。また、その運用という面から考えますとちょっとちぐはぐで、なぜこういうことが起こってきたかという面から考えますと、教授会がそういう土地収入に関する取り決めを別につくることになっている、ここから始まっておるわけですね。文部省、国の方では一つの取り決めのルールというものを決めている、しかし大学においてはまた独自にルールを決める。この面積が果たしてそれだけ必要なのかどうかという判断であるとかというものは大学当局がやる。しかし、国の方から言うと、決められるように上限が定められていないからそういう余地がある。土地を購入するということと大学の経営というものとちょっと異質なものが教授会というところに全部かぶさっているわけですね。そういうようなことが今回のこの問題のネックになっておるのではないかというような気が私してならないわけであります。 そこで、この大学の移転統合は全国各地で進められているわけです。それには施設建設費の負担、また用地買収費の負担、非常に膨大なものだ。八百八十ヘクタールという数字が出ておりますが、これは大臣の考えが反映しているわけでありますから非常に大きな問題だと思うのですが、こうした移転統合というものが、この教育大学の例に限らずあるわけでございますから、この辺について一つの考え方というものを洗い直して確立しなければいかぬのじゃないか。教育大学の問題は非常に大きな教訓といいますか、示唆を現実に与えているわけですね。そういう項目が幾つも出てくると思うのです。こういう点も考えなければいかぬ、こういう点も今後考えていかなければならぬというような形で文部省として移転統合という問題をいままで分析して、そしてそうした結論というものをお持ちになっておるのかどうかお伺いしたいと思います。
○谷垣国務大臣 移転統合の問題は、大阪の教育大学だけにとどまりませず、各地に出てくる例があるわけでございます。これは普通の問題とは違いまして、多くの場合、従来それぞれ独立をして経緯を持っております、歴史を持っておりますようなキャンパスが一つのところに統合する、こういうこともかなりあるわけでございます。いろいろな思いがその中に出てまいりまして、しかも具体的な土地の問題も出てくるわけでございますので、各地の状況は必ずしも一律に型にはめて考えるわけにはいかない点が多いようでございます。もちろん統合する土地等の問題がある、たとえば校舎とキャンパスの広さというような問題については一つの基準がなければなりません。そういう問題について応用問題はもちろん各個の地域によって違うわけでございますけれども、十分に意思が統一されてやっていかなければならないという点は、御指摘がございましたが、当然のことだと思います。大学の自治の問題から言いますと、教授会が諸般の状況を考えながら決定すべき問題でございます。言い切ってしまえばそういうことでございますけれども、統合の問題というのは、各教授さんもそれぞれの分散しておるキャンパスに関係もあり、長い歴史を持っておるようなところであれば、よけいにいろいろな問題が入ってまいりまして問題を複雑にしております。したがいまして、そういうような問題も十分にこなしながら、しかも具体的な問題としては、土地問題の買収等について文部省と現地の実際やってまいりますものとの間に意思の疎通を十分していかなければ、お互いに思惑が違ってしまって、後では違ったというようなことがあってはならないことだと思いますので、御指摘のありますように、大阪の教育大学の事例も十分にこれからのほかの事例に対しての参考に資してやってまいりたい、こういうふうに考えております。
○林(孝)委員 大阪教育大学の移転統合問題に関して、まだ内容多々質問をしたいことがございますが、時間の関係で他の機会にまた移して、本日は終わりたいと思います。
○柳川(覺)政府委員 先ほど先生の御指摘の、オリンピックへの派遣費六千百四十万円を、強化事業費七億六千万円内数と申し上げましたが、外数でございますので改めて訂正させていただきます。
○井上(一)委員長代理 庄司幸助君。
○庄司委員 最初に、私もオリンピック問題で一問質問したいと思います。 オリンピックに参加するかどうか、これはスポーツ団体が自主的に決定すべきことだ、わが党は十四日の宮本委員長の記者会見でもこの点は明確にしたわけです。この記者会見で、政治の立場からこういう問題についていいとか悪いとか当否を言うこと自体が不当な介入だという立場を明らかにしたわけです。これはいずれの国にしても同じようなことだと思うのです。ところが、政府は、先ほど来お話があったとおり、二月一日に事実上モスクワ・オリンピック不参加の態度表明をしたわけです。その後伊東官房長官が、これも再々寸話があったとおり、大平さんの訪米前に政府の態度決定をするという御発言をなさっております。それから大来外相も、個人参加は望ましくないという国会答弁をなすったわけです。こういう点で、私はやはりカーター政権に代表されるアメリカの力の政策に屈したものだという考えを持つているわけです。といって、わが党はアフガンに対するソ連の進入にも強く反対しているわけです。そういう点で、参加の問題というのはやはりJOCが決定すべきことだと思います。ところが、これに対して政府としての不参加の態度を決定するということは、実際にはスポーツ団体の自主性を著しく侵害する不当なものだというふうに私は考えるのですが、大臣はこの点どうお考えなのか、一言お願いします。
○谷垣国務大臣 きょうは午前中からその議論が多く出ておりまして、申し上げてきたところでございますが、オリンピック憲章その他によりまして、現在のオリンピックに参加するかどうかという決定をいたしますものは各国のNOC、こういうことに決まっておるわけでございます。その点は日本におきましても変わらないところだと思います。ただ、オリンピックに参加するかどうかということが、それを好むか好まないかは別といたしまして、非常に政治的なものに変化をしてきておることに対しましては、原因がどうであるかこうであるかという問題を抜きにしまして、大変残念なことだと思いますが、その現実はやはり認めざるを得ないのではないか、こういう気がいたしておるところでございます。 私たちとしましては、今後どういうふうに二月一日の意向表明を考えるか、いまのところはあの意向表明に別に変わったことはない、ただ周辺の状況が変わったということかと思いますが、その点につきまして伊東官房長官の発言その他いま御指摘がございました。これは当然私も同官房長官とも連絡をとってその意思を確かめていかなければならぬ、こういうことには思っております。
○庄司委員 ですから、純粋なスポーツの問題であるオリンピックの問題に、いろいろな政治情勢で、覇権主義の問題、いずれの国にしろこういうものが押しつけられるようなことは決して好ましくない。 それで少し具体の問題でお伺いしたいのですが、本年度予算で体協に十五億八千万円が補助をされております。それからなお、体協にはいわゆる公営競技関係、これは公営ギャンブル競技というと語弊があるかもしれませんけれども、こういう団体から国庫補助とは違いますけれども七億九千六百万円の補助が出ております。これは体協予算の五三%ぐらいに相当するわけです。こういう中から合わせてオリンピックの派遣費が出されるわけですね。体協のオリンピック派遣費は六千百四十万円で、これは選手強化費も含めれば七億六千万円になるという御説明がありました。そこで、この補助をとめられてしまいますと、事実上参加できなくなるわけです。そこで日本オリンピック委員会、JOCが自主的に決定すべきだというのが本当だったら、政府はこれらの補助金を必ず予定どおり執行しなければならない、私はこう思うのですが、この点予定どおり御執行なさるのかどうか、これはひとつ確約していただきたいと思うのですが、いかがですか。
○谷垣国務大臣 オリンピックに対しまして派遣費を予算に組んでおることは事実御指摘のとおりでございます。それをいまここの段階で、政府の方はどういう条件があっても出すというふうに決めるかどうかということでございますけれども、これはまだその段階ではない、もう少したちまして状況がどういうふうに変化いたしますか、そのときに決定すべきではないかと思っておりますが、先ほど政府委員の方からお答えをいたしましたように、問題はすでにいろいろな準備と申しますか、練習の過程でいろいろ仕事が進んできておるわけでございまして、それらの経費の問題がここで問題になるわけではない。御指摘の問題は、渡航費と申しますか派遣の費用の問題ということになるかと思います。そういう問題につきましては、諸般の状況を十分考えていかなければならないと私は思っております。いまの段階におきましては、そのことにつきましてここで明言をすることは避けたいと考えております。 〔井上(一)委員長代理退席、委員長着席〕
○庄司委員 JOCが自主的に参加を決定するということが、予算が執行されなければ、事実上不可能になるわけですね。ですから、JOCの自主性を尊重すると言いながら、特に私が申し上げたいのは、やはりオリンピックの問題では、金は出すが口は出すなというのが私は一つの原則だと思っているのですが、結局は口を出すことになってしまうのではないか。ですから、自主性を尊重すると言いながら、それが何らかの政治的判断で不可能になるということになれば、これは明らかにペテンじゃないか、こういうふうに思うのです。時間もありませんから、これ以上押し問答になりますから言いませんけれども、ぜひこれは自主性を尊重して、補助金を予定どおり執行していただきたいということを強く要望しておきます。 それからもう一つの問題は、前回のモントリオール・オリンピックのときに派遣されたのが二百六十八名ですが、そのうちたしか三十五人ぐらいが公務員だったと思います。これは自衛官もあれば警察官もあれば、あるいは教員なんかもあったと思うのですが、そういう中には、例の柔道の遠藤選手なんかも含まれていたわけです。こういう方々の派遣については、公務出張扱いをなさってきたわけですね。JOCが自主的に決定すべき問題だ、こう言っても、政府が不参加の態度を決定いたしますと、これらの公務員の参加は著しく困難になるのじゃないかという心配があるわけです。これは、参加すれば何か政府の方針に反することになる。それから各官庁も、たとえば自衛隊にしろ警察にしろあるいは学校にしろ、JOCの申し入れに対して公務出張の許可ができなくなる心配もあるわけです。そうなりますと、これらの選手諸君は、自分の将来をかけないと参加できないことになる。だから、そういう点でもしJOCが自主的に参加決定した場合、これらのオリンピック選手として派遣される公務員は従来どおり参加してよいという保証をしていただけますかどうか。これは文部省関係だけではないと思いますけれども、ひとつ閣僚の一人としての文部大臣からお伺いしておきたいのです。
○谷垣国務大臣 私、うかつでモントリオールのときに何名の公務員が行かれたかというような事実をよく承知をいたしておりませんからあれでございますけれども、オリンピック憲章に書いてありますことは、オリンピックに参加するかどうかということはNOCが決める、ということを書いておるわけでございます。私が申し上げているのはそのことを申し上げているわけでございます。公務員がそれに出場できるかどうか、どういう形における決定になるのかということによって、これはずいぶん状況が違うだろうと思います。したがいまして、公務員を必ず出場させるということのお約束をいま私がここで申し上げるのはいささか時期が適当でない、こういうふうに私は思います。
○庄司委員 前回のモントリオールで、これはお調べになればわかると思いますが、私どもの調べでは、三十五人ぐらい参加しているはずです。その中に自衛隊の人もいれば警察の人もいれば、学校の人もいるのです。今度もそういう方々が当然含まれているだろうと思うのです。そういう方々は、いままで再々論じられたように、今度のオリンピックが最後の機会だ、あるいはあそこへ参加してひとつがんばってこようと非常に一生懸命訓練や何かやってこられた。これは公務員であろうと、あるいは企業の人間であろうと同じ意味合いだろうと思うのですよ。だから、こういう方々の意思を十分尊重して、JOCが自主的に参加を決定した場合は、ぜひこういう方々の参加を保証していただきたい。これはひとつ、スポーツ担当の大臣としては文部大臣ですから、これは閣議の中でも私の申し上げるような点も含めてひとつ十分に主張していただいてやっていただきたい。これを強く要望しておきます。オリンピック関係これで終わります。 私は次に大学院の問題、なかんずくいわゆるオーバードクターという言葉がありますが、この定義については後で申し上げますけれども、この問題に絡めて、わが国の基礎的な科学をどう振興するかの問題も含めてひとつ御質問したいと思うのです。 実は文部省から出された、文部省の学術国際局が出した昭和五十年八月の文書ですが「我が国の学術」という本があります。この中でこういうことを書いてあります。 「第十二図は、我が国がいかに先進国技術を導入する受動的タイプの国であるかを示している。」これは図は申し上げませんけれども、さらに「我が国は、技術貿易の輸出は輸入の一割強にすぎず、アメリカは、逆に輸出が輸入の十倍になっている。この意味では、我が国は未だに発展途上国型の研究開発の段階にとどまっているといわざるを得ない。」という指摘をしております。これは文部省が指摘しているわけですね。「さらに、学術の最高賞であるノーベル自然科学賞受賞数をみると我が国は僅か三名にすぎず、日本が学術研究の面において、未だ後進国的様相を示している事実を否定しえない状況である。」こういう指摘がございます。この技術貿易額の収支の比率、これは七七年ですから、昭和五十二年で見ますと二二・七%ぐらいです。これをもって、文部省のおっしゃるようにきわめて後進国型です。そして文部省が出した「我が国の学術」は別なところでこういう指摘もしているわけです。 「もちろん、技術開発と関連基礎研究との調和点をどこに置くかは、極めて重要な問題である。特に我が国の場合、速効的な開発を急ぐあまり、基盤の形成を待たず、外国の技術や製品を安易に導入する傾向が強く、これが我が国の科学技術の着実な発達を阻害するばかりでなく、予想しない開発上の支障をもたらすことになることに十分留意しなくてはならない。この視点に立つとき、国家的科学技術計画の策定と推進に際しては、基礎科学の重要性の認識に立って、学術研究部門への充実を図っていくことが、国家的な見地から極めて重要である。」こういう指摘をやっています。 私は、過日この決算委員会で例の宇宙衛星「あやめ」の失敗の問題を申し上げたことがあるのです。その際も科学技術庁長官にこの点を強く指摘をしたわけです。 文部大臣は農林畑を歩んでこられた方ですからこういう例を言うとおわかりになるかもしれませんが、やはりいい作物をとるためには土壌が大切ですね。これは速効性の肥料だけ入れていたのではやはりだめになるのです。現在の日本のたんぼもそういう点で堆肥なんかをいま見直して入れつつありますけれどもね。そういう点で私、やはり基礎科学の問題というのが日本のこれからの科学技術にとってきわめて重要な、しかも立ちおくれた分野だ、こういう認識を持っておりますが、文部大臣、その点はいかがでございますか。
○谷垣国務大臣 その点は賛成でございます。
○庄司委員 そこで、基礎研究といいますか、基礎科学の占める割合が年々歳々低下している状況が実は科学技術白書に出ているわけです。これは昭和五十年と五十二年を比較しておりますが、五十年には基礎研究は全体の一四・二%を占めていたものが五十一年は二・七%、それから五十二年は二・五%に減ってきている、こういう数字がございます。それで、おたくの「我が国の学術」これを拝見しますとこういう指摘がございます。「我が国の研究水準の維持向上を図るために、各分野の優れた研究後継者を育成することは、科学政策の最も重要な課題の一つである。」、そしてその後の方で「大学における教育・研究の基本的単位である学部」の問題に触れております。その点で、大学の研究体制の整備、ここが非常に大事な点になってきている、この基礎研究の中心は大学だということは文部省も御異議ないだろうと私は思います。これは文部省自身の文書にも出ておりますし、それから過日の国会における答弁でも大学局長がそれをお認めになったようでありますから。その点で特に大学での後継者養成ですね、これが非常に大事だと思うわけです。しかも、研究者の後継者を養成する場合大学院が果たす役割りというのは非常に重要じゃないか。これは実はついこの間出たばかりの本ですが「現代の大学院」という本があります。これは早稲田で出した本ですが、こういうことを言っています。「わが国で研究者養成を主目的として掲げている組織は大学院博士課程だけである。大学院はまた、その教員を中心として研究を行っている機関でもある。この点から、大学院は研究者養成にとって不可欠の機関である。」こういう位置づけをやっておりますが、この点ひとつ、大臣でなくても結構ですから——大臣ならなおいいんですよ、どうお考えなのか御答弁、簡単にお願いします。
○佐野政府委員 大学院の特に博士課程が研究者養成の上に非常に重要な役割りを果たす機関であるということは御指摘のとおりでございます。ただ、博士課程の機能のあり方それ自身については、従来の経緯もあって、逆に言うと、博士課程が研究者養成ということを非常に強く意識し過ぎて、より広い社会的な対応ということを視野の中に入れることにおいて欠けるところがあったのではないか、そういった問題もあろうかと思います。
○庄司委員 それは、大臣の私的諮問機関である大学問題懇談会ですか、その論議の中にあったことは私も記憶しております。しかしそれは肯定するものではありません、これは後で時間があれば少し論議したいと思いますが。 そこで、大学院の博士課程の中にオーバードクターと称せられる方々がふえている問題、この点少し論議してみたいと思うのです。 オーバードクターとは何ぞやという定義の問題になりますけれども、これは文部省の御見解では、大学局長の国会答弁から引っ張り出したのですが、一つは、ドクターの課程を終了し学位を取得してなお学内において研究を継続している者。それから二番目は、ドクターコースにおいて所定の年限と単位を修得し、学位を取得しないでそういう状態で一遍退学をして、なおかつ学内において研究を継続している者、つまり所定の年限と単位は修得した、そうやって学内で研究継続している者、そういう人々で現に定職を得ておられない方、こう言っておられます。それからもう一つ、文部省からちょうだいした資料を見ますと、これは広義の意味になると思いますけれども、所定の年限は経過したが単位不足で留年している方々も入ると思うのです。オーバードクターの方々なんかはこういうふうな定義もなさっているわけです。オーバードクターとは大学院博士課程に三年以上在学した後、就職の意思を持ちながら定職が得られないまま研究を続けている人を指す。大体広義の分まで含めばこれは一致すると思うのですが、こういうオーバードクターの問題で、文部省の調査によりますと、広義の意味の方々も含めて数字を挙げますと、昭和五十年には三千七十九名だったわけです。それが五十四年には、昨年ですが、三千九百九十五名、つまり九百十六名ふえているのですね。約三〇%ぐらいです。それから学術会議の報告の図表なんか見てもやはりふえている。その点、ふえていると見ておられるのか、あるいは横ばいと見ておられるのか、その辺ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○佐野政府委員 五十年以降の推移を見ますと、先生御指摘の狭義の方のオーバードクターの数は、五十年、五十一年は千二百人台であったものが五十二年に千四百人台になって、五十二、五十三、五十四と横ばいという状況にございます。広義の方の、所定の修業年限を超えて在学している者の数も、やはり五十年度以降五十四年にかけて漸増の傾向にあるということは言えると思います。
○庄司委員 いわゆるこの広義の方の、単位をまだとっておらないで所定年限以上になっている方方についての評価の問題が一つあるだろうと思うのですが、これは特に文科系に多いんですね。この点で、少し大学院生の皆さんにはお気にさわるかもしれませんけれども、こういう方々は卒業しちゃうと身分が不安定になるため、わざと単位を残している事例もあるわけですね。そういう点で、このオーバードクターの発生率が伸び続けている問題、これは大変な問題じゃないかな、特にわが国の基礎研究をもっと発展させるという立場に立った場合、私は非常に大事な問題じゃないかと思うのです。 それから、こういう単位をとらないで留年なさる方もありますけれども、もう一つ、やはりわが国の頭脳の流出、いわゆる海外に行かれる方々がふえている問題があると思うのですよ。こういう海外に行かれる方々は、わが国のいまの大学やあるいは社会の中でなかなか定職を得られないため、少しオーバーな言葉かもしれませんが決死の覚悟で、別な言葉で言えば捨て身になって海外の行かれる。海外に一年二年行って帰ってこられても定職を得られる当てもない、こういう方々もいらっしゃると思うのです。そういうことを考えますと、わが国の頭脳の流出という問題もあるし、相当の能力がありながら、特に学位をとった方なんかはもちろんですが、そういう方々が定職を得ないでそのままになっているという問題、私は非常に憂うるべき現状じゃないかと思うのです。 しかもこのオーバードクターの問題というのは一年間では解消しないのですね。だんだん長期化している傾向があります。いわゆる規定の年限を過ぎて一年になっている方が五〇%ぐらいある。それから二年になった方が二五%もいらっしゃる。三年の方が二〇%もいる。これは学術会議の中間報告にも出ているわけですね。それから、私の地元の東北大学の理学部の追跡調査なんかやってみてもやはりそういう数字を示してます。少し詳しく申し上げますと、五十一年にドクターコースに進学した方、こういう方はつまり五十四年の春にはドクターコースの三年になった方ですが、この方々のうちの六一・三%が新しいオーバードクターになった。中にはそういう方が一〇〇%の学科もあるのです。たとえば天文学なんかそうなんですね。さらに、五十年にドクターコースに進学した方を見ますと、三〇%ぐらいが依然としてオーバードクターになっている。そういう点で私は、先ほど局長が社会への進出が少ないという問題を指摘されましたけれども、問題はそれだけだろうかという感じがするのですね。 そこで、オーバードクターの解消は文部省も鋭意検討されているところでしょうけれども、その辺についての具体的な方策、それからオーバードクター問題についての認識、この認識の問題をひとつ大臣からも御答弁をお願いしたいと思うのですけれども、解消策の問題ですね、この辺ひとつお聞かせ願いたいと思うのですよ。
○谷垣国務大臣 御指摘がありますように、これはこれから注目をして対策その他を考えていかなければならぬ重要な点だと思っております。単に世の中へ出るのが少しゆとうて、そしてドクターコースに入っているというような方も中には全然ないわけじゃない、若干あるかもしれませんが、やはり将来の研究者としての自覚を持っておる方が大部分だと思っております。これは普通のいわゆる需給関係という表現も不適当でございますけれども、やはりある程度そういうものをにらんだ養成の仕方をしなければならぬと思いますが、また中には大学院コースを修了した諸君よりも大学院コース以前の諸君をむしろ採用して、そして自分のところの研究所なり何なりでずっとやってもらって伸ばしていきたい、こういう受け答えの仕方をまだ持っておる、そういう民間の気持ちもかなりあるだろうと思います。そこらも両方にらみながら、どういうふうにしてやっていったらいいのか。せっかくそういう学問の、次の研究者としてのコースを選んだ方々でございまするから、それが生きていくようにやっていかなければならぬというふうに基本的に考えております。 ただ具体的な案をどうするかということになりますと、まだ実ははっきりとした、こういう対策でいこうというところまで結論が到達していなくて、審議会その他関係のそういう問題について関心を持っておられる方々に意見を議論をしていただいて検討していただいている、こういうのがいまの現状でございます。御指摘がございましたが、一つの問題意識としては十分に持っておる、そういうことでございます。
○庄司委員 それで、審議会の御意見も私非常に大事だと思います。それはそれでおやりになりながら、いまそういうオーバードクターになっておられる方々、そういう方々も院生協議会ですか、そういう組織もあるやに聞いておりますし、そういう方々の声もじかに聞く機会があったら聞いていただきたいと思うのですが、大臣、いかがでしょうかね。
○谷垣国務大臣 まだ私も十分検討していない問題でございまして、そこに一つ問題としてあるのだという、そういう気がいたしておりまして、事務局の方にも実情その他をよく調べろということを申しておる段階でございますので、お話がありましたようなことも十分頭の中に入れたいと思っております。
○庄司委員 それで、きょうは時間がございませんから、全面的な展開をするとなると三時間やっても足りないような問題ですから、当面考えられる点で私なりの御提案を申し上げてみたいと思うのです。 一つは、こういう数字があるのです。昭和五十二年度でございますけれども、国立大学と短期大学の教員定員、これが四万七千六百九十六人ある。これに対して現員が四万四千九百三十三人だ。差し引き欠員が二千七百六十三人いらっしゃる、こういう数字がございます。それからもう一つの資料、これは京都大学の調査でありますが、これは国立九大学十研究科と、公立四大学六研究科を調査対象にしてお調べになってみたら、国立の場合は定員の充足状況が、教授で七八・九%、助教授で五〇%、講師が一〇%。オーバーですね。助手が一〇八・九%で、加重平均しますと七六・一%の充足率だという数字が一つございます。それから公立は一つ一つ言いませんけれども、これは講師が非常に多いのですけれども大体八〇%の充足率だ、こういう御調査もあるわけです。 そこで、前段で私御指摘申し上げたわけですが、やはり基礎研究を発展させるために大学の充実が必要だ、さらに大学院も含めてでありますが、そういう点で大学の定員の欠員を埋めるだけでも、オーバードクターの人が一足飛びに教授になったり助教授になるわけにはまいらないと思いますけれども、助手なりあるいはそういった程度の職に相当吸収できるのじゃないかと思うのですが、この辺はどうでしょうか。
○佐野政府委員 御指摘のように、国立大学の教員については、一つの時点でとればやはり二千人程度の欠員は全体としては常にございます。これは御案内のように、欠員が生じたものについて大学側が慎重な後任の選考手続をとっておりますから、それをある断面にとればその程度の欠員が生ずるということはこれは当然と申しますか、やむを得ない事態であると思います。したがって、その数を直ちに欠員を埋めるというような形で充当することが可能だというような数字ではないと私たちは考えております。
○庄司委員 それは私もわかるのです。つまり教授になるためには、相当の底辺の、下から積み上げていった学歴なりいろいろ必要です。だから直ちには埋まらないだろうと思いますけれども、やはりいまの教授の年齢層の問題を考えると、この点も後継者問題がひとつ私大変心配になるのです。停年退職をなさる方がどんどん出てまいりますから、そういう方々がやめっばなしになれば結局中断する状況も心配されるわけです。その辺で底辺を厚くしておいて、これは時間的にはかかろと思いますけれども、そういう配慮をいまからやっておくのが日本の基礎研究にとって国家百年の大計じゃないか。そういう観点でも私はオーバードクター活用の問題を含めてひとつお考えいたがきたい、こう思うのです。これはひとつ強く御要望申し上げておきます。 それから当面の問題として私申し上げてみたいのは、現在の学術振興会の奨励研究員制度の問題です。これは大学局長からも国会答弁が若干あったようでありますが、たとえば日本生化学会の要望を見ますと、奨励研究員、これは昭和五十三年度は千四百二十五名応募したそうです。それから五十四年度は千五百二十五名応募した。ところが実際採用になったのは、予算の枠もあるのでしょうけれども、三百五十くらいだった。ここに乖離があるのですね。だから、そういう点で日本生化学会では、この奨励研究員を当面千名から千五百名にしたらどうなんだ、こういう要望があるのです。それから給費額の問題、どれだけ研究員に与えるか。現行では百十五万円ですが、これを百八十万円にしてもらいたい。それから一年間じゃなくて二年間継続にしてもらいたい、こういう要望が出ております。これは別の日本生物物理学会でも同じ趣旨の要望を日本学術会議にやっておりますが、少なくともこの奨励研究員、これは実際採用されているのが三百五十程度だとすればきわめて足りない。これをもっとふやす措置はおとりになれないかどうか、額の問題も含めて、ひとつこの点伺っておきます。
○篠澤政府委員 お答えいたします。 先生すでに御案内のことと存じますが、奨励研究員の制度は若手の研究者の養成ということできわめて重要な意義を持っておるというふうに存じております。 それで、これをふやす問題につきましては、お言葉を返すようで大変恐縮でございますけれども、私どもの考えといたしましては、オーバードクター解消ということが本則ではなくて、あくまでもすぐれた研究者を養成するということでございますので、そういう観点からその増員は当然必要であろうというふうに理解しております それから、あえてオーバードクターの問題と関連して申し上げますならば、そのためにどの程度の期間奨励金を出したらよろしいかという問題が一つございます。現在では一年が原則でございまして、継続して二年、それから特定領域の奨励研究につきましては三年が限度ということを一応決めているわけでございますが、金額の問題も含めてこの充実に今後とも努めてまいりたいと考えております。
○庄司委員 そのほかもう一つ声が強いのは、ポストドクトラル・フェローシップの制度ですか、こういう呼び声もあるわけです。そういうものもあわせてひとつ御検討願いたい、こう要望しておきたいのです。ひとつ大臣からも、その点での御答弁をいただきたい。
○篠澤政府委員 私どもの理解では、ポストドクトラル・フェローシップを日本語に当てはめて考えますと奨励研究員ということに考えてございます。したがいまして、先生のお話はいわゆる研究員制度というものではなかろうかと思うわけでございますが、その点につきましては、かつて学術審議会からも御意見をいただいております。しかし、新しい制度を創設するということはなかなか困難でございます。現在の研究者、少なくとも大学におきますそれぞれの教授、助教授、助手のほかに何か新しいものが考えられるかどうかということは、国立大学の場合におきましては国家公務員制度全般にかかわる問題になってくるということで、問題点は意識しておりますけれども、検討は非常に困難であろうというふうに考えておるわけでございます。
○庄司委員 それからもう一つは奨学金の問題なんですけれども、実はオーバードクターになって大学で引き続き研究している場合の猶予期間の特別措置の問題なんです。現在は最大限五年まで特別猶予措置があるわけです。これを過ぎますと年間十万から二十万ぐらい返還しなければならない。これはいまのオーバードクターの方にとっては大変な負担になるのですね。ちょっと調べてみましたら、未婚者と既婚者の問題もありますけれども、いずれも非常に困難な事情にある。特に既婚者の場合、年齢も三十歳過ぎている方もいますから、そういう方々は子供をおんぶしながらねんねこ着て自転車に乗って駆けずり回っている。これが将来の日本の学術研究の中枢部隊になる方々かと思うと本当に涙が出る思いがするのですが、こういう方々について特別猶予措置の問題をひとつ考えていただきたい。と同時に、返還が始まりますと、教員などの免除職に就職しても全額返還の義務があるという問題があるわけです。免除職について若干の期間経過して全額返還の義務があるのを何とか解除できるような法令の改正といいますか、あるいは制度的な改正といいますか、その辺も御検討いただきたいと思うのですが、どうでしょうね。
○佐野政府委員 いわゆるオーバードクターの状態にある者に対しても奨学金の貸与を行うかどうかという問題が一つございます。この点は御案内のように、育英会の貸与金の原資というのは一般会計からの借入金、それから卒業した奨学生からの返還金で賄っているわけでございます。これをできるだけ多くの学生に効率的に使っていただく、そのためにも奨学金の貸与期間というのは正規の修業期間中とすべきである、そう考えておりますので、留年者等を対象とするという考え方は私どもはとりがたいわけであります。 もう一つ、いま御指摘の免除職につくまでの猶予期間、いまは原則二年でございますが、これをもう少し延長することはどうかという問題がございます。これもいま問題となっておりました学術振興会の奨励研究員になっているときであるとか、外国の大学に留学中である場合であるとか、大学の教務職員等で直接研究を補助する職務に従事している場合であるとか、ごく限られた場合については五年までの延長措置はいたしておりますけれども、そもそもこの猶予期間を認めている趣旨というのは、優秀な教育研究者を特に必要とする分野について、できるだけ速やかに確保したい、また、奨学金の貸与を受けた者が卒業後早期に返還して、これをできるだけ多くの後進の育成のための資金として充当したい、そういう観点から決めているものでございますから、返還免除職への就職期限を延長するということはきわめて慎重な対応を要するわけであって、これを軽々に延長するということは、私どもとしてはとりがたいと考えているわけでございます。
○庄司委員 その点になりますと、奨学金の全体の枠の問題も私は問題だと思うのですよ。たとえば「あやめ」の失敗で二百五十億円もぽんと飛んでしまうのですね。ああいうむだをなくするためにも基礎研究は大事だ、そういう点で後で損して払うより前もって投資しておくという観点で、奨学金はいまの枠では非常に少ない。一人当たりの金額は物価の上昇に見合って若干ふえています。しかし人員の枠は大体同じなんですね。だから奨学金をもらいたい人はきわめて制限される、こういう現状があると私は思うのです。 文部大臣、これは奨学金は全体としてもっと金額もふやす、それから人数もふやす、これがいま非常に強い要望ですから、ぜひひとつ御検討願いたいと私は思うのですが、どうですか。
○谷垣国務大臣 努力をせなければならぬと考えております。
○庄司委員 時間も参ったようでありますが、もう一問、ちょっとだけお伺いしたいと思うのです ドクターコースを終わりますと国鉄の定期の割引がなくなってしまうのですね。これもまた彼らの苦難の種なんです。学会もありますし、研究調査に行く場合もありますが、これも切れてしまう。この辺ひとつ文部省の方から現状をよくお話しいただいて、国鉄当局に何とかかけ合ってもらいたいと思うのです。その辺どうでしょう。
○佐野政府委員 学生であるという身分のゆえにいわゆる学生割引の制度があるわけでございます。学生の身分でなくなった者について、もちろん御指摘になっている事情は十分理解できますけれども、学割の制度を適用することはきわめて困難であろうと思います。検討はさしていただきますけれども、非常にむずかしかろうと思います。
○庄司委員 これで終わりますけれども、ぜひその点も含めて御検討いただきたいし、ひとつ奨励研究員の増員と金額のアップ、こういう問題は今度の概算要求に向けて、文部当局、特に大臣、大いにがんばってもらいたいと思うのです。その点ひとつ大臣からの御決意のほどを最後に承って、質問を終わります。
○谷垣国務大臣 オーバードクター問題に関連しましての御所見は承りました。 奨学金等の問題につきましても、努力をせなければならぬと考えております。
○庄司委員 終わります。
○高田委員長 中野寛成君。
○中野(寛)委員 私はきょうは、何とか勉強をしたいという意欲がある人たちが本当に安心して勉強ができる、そのためにいかにあるべきか、幾つかの具体的な、かつ、じみではありますが大変大切だと思う問題をお伺いしたいと思います。 その前に冒頭、先ほど来同僚委員からの質問の中で出ておりましたが、御答弁をお願いしておりました問題ではありませんけれども、一、二点伺いをしておきたいと思います。 その一つは主任制度の問題でございます。 先般来違法なストライキの問題もありましたが、毅然たる態度で臨んでいただきたい、日本の教育を守るために文部省がぜひそうあっていただきたい、心から要望をいたします。同時に、主任制度の問題につきましても、先ほどの御答弁また御質問をお聞きいたしますと、実施いたしておりますところにおいても必ずしも一〇〇%それが所期の目的どおりに使われないで、支給はするけれども、実際には組合の方でそれを組織的、継続的に集めて別の目的で使う、こういうことが実態としてあるわけでありますが、私はそのことが大変残念でならないわけであります。ましてそれを組織的、継続的に、しかも、それはそれに協力する一部の先生方の自主的な意思によって行われているように言われたりしておりますけれども、すべてがすべてそれは自由意思に基づいてやっているのではない。組合の強引とも思えるような説得があったり、そしてまた、その職場の雰囲気の中でそうせざるを得ない状態に追い込まれている実態というものがありますし、同時にまた主任についても、昨年でしたか、文教委員会で私自身が兵庫県の例を引いて御指摘申し上げましたけれども、本来選ばれておられる主任が主任手当を受け取り得ないままになって、そして組合からの校長に対する強い圧力のもとで別の人が主任として別に登録されて、そしてその人の名前で主任手当が支給をされる、それがそのまま組合へいく、こういうふうなきわめて強引なやり方でもってこの主任制度の実体をなし崩しにしようという行為が行われている、そういう訴えがあって、その事例を具体的に取り上げて御指摘申し上げたわけであります。その際には調査をする旨の御答弁もあったわけでありますけれども、まだ主任制度が実施されていないところへのけじめ、そして実施されているけれども、そのことが所期の目的どおりに行われていないということ。ここは決算委員会でありますから、言うならば主任手当そのものが、われわれがまた文部省が本当の教育の充実のために、そして御苦労されている先生方への御苦労に本当に報いるためにその気持ちを込めてつくられた主任制度というものが意図的に崩されるということに対しては、私どもは決算を審議する立場から見ても大変残念でならないと思うわけでありまして、本来の質問に入ります前に文部省の確たる姿勢についてお尋ねをしたいと思います。
○谷垣国務大臣 お答えいたします。 主任制度及び主任手当の問題につきまして、先生が御指摘になりましたような雰囲気のもとで行われるということは大変遺憾なことであって、残念なことだと思っております。主任制度本来の趣旨が生きていくように、今後ともにそれを強く指導してまいる必要がある、かように考えております。
○中野(寛)委員 それでは本題に入ります。 まず、義務教育就学援助制度についてであります。今日の物価高、インフレの進行するわが国の現状でありますから、就学援助を必要とする要保護、準要保護の対象児童生徒の認定率というものは非常に増加をしているわけであります。とりわけ倒産、失業によるものが少なくありません。ある日突然にそういう事態に追い込まれたときのその家庭の子供たちの問題、実情というものは大変なものがあると思います。そういう中で、文部省の就学援助予算による対象児童生徒数の全児童生徒数に占める割合が昭和四十八年度は四・八%、これが昭和五十一年度以降は四・六五%と低下をしているわけであります。該当する児童の数が減ったという意味では決してありません。予算的な問題として私どもはこのことを指摘したいわけであります。このことがあわせまして地方公共団体の超過負担を余儀なくしているわけであります。就学援助制度の現状は、文部省の予算の範囲内で都道府県ごとに配分された児童生徒の数の割り当て内に抑えられながら各市町村に配分されることになっているわけであります。こういう制度では、就学援助が必要であっても受けることができないという人たちが生ずるおそれが多分にあります。また、市町村の独自の経費負担ということも問題になってまいります。こういうことについて私どもは、この市町村の実情等々を勘案しつつ、認定申請の全部について補助ができるように予算措置をすべきではないのか、このことを強く感じるわけであります。私は必ずしも薄く広くやってもいいということを申し上げるわけではありません。でき得る限り充実をする、場合によっては、本当に困った子供たちに手厚い補助がなされる、そのことのために少々焦点がしぼられるということがあったとしても私はやむを得ないと思います。本当に困っている人を助けてあげる、そのことが政治だと思います。 私ごとで恐縮ですが、私はこのような問題を考えるときに、正直言って自分自身の子供のころを思い出すわけであります。私の妹たちも実は修学旅行へ行けませんでした。担任の先生の御配慮によってこの就学援助制度の適用を受けたのだろうと思いますが、新学期になりますと、学用品を学校でいただいたと言って本当ににこにこしながらうれしそうに帰ってくる妹たちの顔を見たことを思い出します。また、修学旅行へ行けないと言って泣き出した妹、困り果てた顔をしている母の顔も思い出しますし、私自身まだ学生でありましたけれども、学校をやめて何とか働きに出なければいけないのではないかというふうにずいぶんと迷ったものであります。 こういうことを考えますときに、本当の就学援助制度というのはいかにあるべきか、いつも考えさせられ続けてまいりました。予算の範囲とか、そういう形で、本当に困っている子供たちが適用を受けられないことがあるとするならば、これは大変です。また一方、市町村等々の人気取り的なばらまき福祉制度の中で、こんな人がと思えるような人のところへ、おたくもこの援助制度の適用を受けられますよという通知が来るなんという話もときどき聞きます。この辺につきましてはもっと整理をして、この制度が有効に生かされるようにされるべきではないかと思うわけでありますが、いかがでありましょう。
○谷垣国務大臣 就学援助制度がその本来の目的のためにうまく使われておるということでなければならないと思います。いろいろな問題がありますことも私たちの方にも報告があったり連絡があったりいたしておりますが、本来の就学援助制度が実現をして、それが必要なところに確実に働いていくということが大切だと思います。実情等の問題がございますので、政府委員の方から答弁をさせていただきます。
○諸澤政府委員 御指摘のように、この就学援助というのは、個々の市町村が就学困難と認めた者の父兄に対して財政援助をする場合に国が予算の範囲内で補助をする、こういうたてまえでございますから、第一義的には市町村の判断によるわけですけれども、ここで、従来から一つ論議されておりますのは、市町村がそのような場合にどういう基準で就学困難と判断するかという、その基準の問題がございます。ございますが、これはさておきまして、実態を見ました場合に、先ほど先生御指摘のように、近年は市町村の認定範囲がかなり広がってきておるという事実はございます。 ただ、これが、端的に申しますと、東京と大阪は非常に率が高くなっておるわけです。全国的に見ますと、そこにかなり率の違いがある。さらに、たとえば大阪府下のある特定の市などを見ますと、昭和五十年度は全児童に対して認定率が一一%程度であったものが、五十三年度にはこれが一〇%ふえて二一%になっているというようなところもございますと、これはそれぞれの地域の実情等もありますから、認定する側の立場をまず尊重すべきではありましょうけれども、かなり他とのバランスを失しているというようなこともございます。また、ただいま先生御指摘のように、東京などでは、収入か四百万近いような家庭でも、あなたのところは申請すれば補助が受けられますよ、こういう通知が来ておりますというようなことを私も聞いております。 そこで、われわれとしましては、今後何とかして、ある程度、地域によって画一的な基準はむずかしいと思いますけれども、やはり目安になるような判断の基準でございますね、そういうものをもう少し具体化できないであろうかということで研究をしておるというのが実態でございます。
○中野(寛)委員 その認定基準も本当にむずかしいことはよく私もわかります。ですから、その認定基準につきましても、昭和三十八年に文部省通知が出されているわけですが、そういう理由もあって結局非常に漠然としているわけですね。ですから自治体自身も困っている。いろいろな要求、要望もありますから、自治体は自治体なりの苦労の中でつくるわけですけれども、これなんかも、地域によっての生活費等の実態が異なるという事情もありますし、そして、それに基づいて各市町村の認定基準が異なってくるというふうなことについても、教育の機会均等というふうな面から見ると、やはりいろいろと問題があるのではないか。そしてまた、所得基準等によって全国一律の基準を設けるということも確かに議論がある。しかしながら、もう少し具体的な新しい認定基準を設けてほしいというのも、これは逆に追い詰められた自治体から出ている声でもあると思うわけであります。 そういう意味で、もう少しこういうものは、地域の実情に照らし合わせて個々具体的にやるということが、確かに上っ面で聞きますと正しいことのように思われがちですけれども、しかし、こういうものや、それから御担当は違いますが、生活保護費等々、もう少し行政改革の面等から考えても、事務の整理といいますか、そういうことから考えましても、この認定基準なんというものはいろいろな工夫、御努力をなさって、やはりこれというものをお決めになられた方がいいのではないか。これは自治体にとってもその方が大変助かるという実態もありますし、そしてまた財政を効率的に使っていくという面からも意味があるのではないかという気がするわけでありますが、やはりむずかしい、どうしてもできないということでございましょうか。
○諸澤政府委員 かつては生活保護基準の基準生活費の額に丁三とか一・五を掛けた程度を一つの目安にするとか、あるいは市町村民税の課税最低限度のところの収入を目安にするとかいうようなことを一つの目安として指導したこともあったわけでございますが、それでやりますと、結局その家族構成なりその他の事情で、必ずしもその生活保護を受けている人等のボーダーラインの人が的確につかめるということにならないという実態があったものですから、そこで、いま御指摘のように、かなり一般的な基準とは言いがたいような、たとえば国民年金の掛金の減免を受けているとか、あるいはPTA会費なり学校経費を納められない人とか、あるいは日雇い、失対労務者であるとかいうような実態に着目して判断してくださいというようなことでやってきているのがいまの実情でございます。 ところが、先生御指摘のように、やってみますと今度はかなり市町村間にアンバランスが生じてくる。そこで、特定の市町村では住民の側の強い御要望等もあって、かなり対象範囲を広げるということは、その地域にとっては非常な恩恵かもしれませんけれども、国の予算全体から考えました場合には、予算にも限度があるわけでございますから、私どもとしては何とかこれはもう少し妥当な基準がなければいかぬのじゃなかろうかということで、先ほども申し上げましたように、従来のそういう考え方の上に立って何かひとつ考えられないだろうかというので、これはいま具体的にこういう案がありますということは実は申し上げられないのですけれども、ずっと検討を続けておるということでございますので、いま少し時間をかしていただきたい、かように思うわけでございます。
○中野(寛)委員 大変強く問題意識を持っていただいているようでありますから、これ以上申し上げません。この制度の運用というものが、本当に実態に合い、かつ自治体も自信を持って、かつ、やりがいを覚えながらやれるような体制ができるように、なお一層御尽力をいただきたいと思います。そして、その御検討が早くでき上がって実施に移されることをお願いしたいと思うのです。 次に、義務教育学用品費等に要する経費の税の控除、教育控除または教育減税の問題になりますが、一時これは文部省としてもお取り上げになられたことがあったわけです。 憲法、教育基本法を取り上げるまでもなく、義務教育無償の精神の趣旨から見ても、学用品費等を含めて完全な無償制度というものが実施されるということが理想だと私は思うわけであります。しかし、今日の日本の財政事情を考えても、そのことが即座にできるというふうに思えませんし、また、どこまでを公の負担でやるべきかということの線引きのむずかしいことも百も承知をいたしております。しかしながら、そういう完全な無償制度への道を努力して進んでいくということ、これは忘れてはならぬことだと思うわけであります。 たとえば、その完全なものがむずかしいとしても、義務教育の小中学校の学用品費等に要する経費について、所得税、住民税の控除対象とするというふうなことができないものか、また、やる場合にその額については、たとえば生命保険料控除というもののように、一定の枠を設けて配慮をするというふうなことによって不公平感というものを是正することができるのではないだろうか、このようにも思うわけであります。 もし、もう一歩譲って、小中学校のすべての生徒児童を対象とすることができないとしても、まず出発点として、出費の多い小中学校の新入学児童生徒にかかる経費について控除の対象とするというふうなことで、一つの足がかりをつくって前向きにそれを検討していくというふうなことができないものだろうか。これは大体私の世代ぐらいが一番困るのでありまして、子供が生まれる、しかし必ずしも十分な所得があるわけではない。人生の中で一番厳しい中年といいますか、そういう人たちにとっては大変強い要望のあるところでありますが、いかがでございますか。
○宮地政府委員 ただいま先生から具体的な御示唆があったわけでございますが、従来御指摘のように、いわゆる就学費控除について文部省から大蔵省に対して種々要望してきた経緯はあるわけでございますが、教育に対して、父兄の教育負担の軽減という観点から、積極的に歳出面で、たとえば教科書無償制度あるいは低所得層の児童生徒のための学用品費等の補助など、そういう教育については積極的に歳出面で措置をしていく、あるいは私学助成であるとか育英奨学というような観点で対応をしていくべきであろうという考え方で、五十三年度以降においては、税制面でのそういう具体的な要望ということはしていないというのが従来の経緯でございます。 御指摘のような措置をとりますことについては、財政当局においても、財政再建というようなことと関連する問題でもありますので、慎重な検討を要する課題ではあろうかと思いますが、御示唆のありました御意見についてはなお検討さしていただきたい、かように考えております。
○中野(寛)委員 私はぜひ前向きにお考え願いたいと思います。 国の財政事情、そしてその年々の児童や生徒の数、いろんなことを勘案しながら、いわゆる今度の四十人学級の問題でもそうでありますが、結局取りかかりやすい時期に取りかかりやすい方法でやっていく、大変その辺は工夫といいますか、能力に富んだ文部省の皆様方が多いわけでございますから、ひとつせっかくの御努力をお願いをしたいと思います。 さて次に、入学一時金の貸し付け制度の問題でございます。 文部省の行っております奨学制度、これと日本育英会が行っております学資の貸与、それから日本私学振興財団貸し付け事業の一つとして私立大学奨学事業による貸し付けがあるわけでありますが、私立大学による入学一時金の貸し付け制度、これにつきましては、利息を取られるとか事務の繁雑さがあるとかいうふうな理由でなかなか実施してくれない。今日全国で三十校程度の大学でやっていただいているわけでありますが、私は大変すばらしい制度だと思うのです。しかし、せっかくの制度が生かされないのでは何にもならぬわけでありまして、より一層の充実を図っていただきたいと思うわけであります。 そこで、その問題点と幾つかの対案でありますけれども、貸し付けの対象となるものは入学一時金の四分の一、または医科系、歯科系の場合には六分の一を初年度で用意しなければいけないわけでありますし、あとの残りは翌年度から分割納入をするわけでありますけれども、そこにひっかかりがあるわけであります。最近の私大の学費というのは高額でございますし、特に医科系、歯科系と言えば、これは入学一時金なんというのは本当に一般家庭ではとても負担し切れないという高額のものであります。そこで、入学一時金が多額なために支払いが不能だ、入学できない、また悩んでおられるという方々を救済する、そのことのためにも、私は日本育英会法等々の趣旨にのっとって、何らかの措置をとる必要があるのではないか。 実は、これも私は少々身につまされるわけでありまして、私自身も大学に入るときに、入学金とともに一年間の授業料を前期、後期に分けまして、そしてその入学手続の中で前期の授業料も一緒に納めなさいという制度だったわけです。それを両方納めなければ入学は認められない。先ほど申し上げましたように、とてもじゃないですけれども、そんな負担ができる事情ではありませんでしたし、どうにもしようがないものですから、知人のところを駆け回って、奇特な人があって貸してくださったので、締め切り五分前にすべり込んでやっと手続をとったのですが、そういう人がいなかったら、私の場合全く人生が変わっていたと思うくらいに、いまでも冷や汗をかくことがありますが、今日でも大変重要な問題ではないか、また、要望の多い問題だというふうに思うわけであります。 そこで、現在の育英会法に基づく制度なんですけれども、これは毎月の学資の貸与を意図してつくられているわけでありまして、入学一時金のような、一時的に多額なものの貸し付けを考えていないように思うわけであります。入学一時金のような臨時的なものの貸し付け制度というのが、むしろいまは一般家庭にとって大変必要だ、そのことのために実は教育ローンの制度というものも生まれた。しかし、これとても、やはりそのローンの制度というのは大変短期間に返さなければいけないとか、また、手続がむずかしいとか、いろんな問題がいま指摘されているわけでありまして、この辺御検討いただく余地はないものだろうかと思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
○谷垣国務大臣 先生すでに問題の所在を十分御承知の上で御質問していただいているようでありますが、ことしの育英資金九百二十五億、人員にいたしまして約三十八万人の方々というふうに実は大きくなっております。 そこで、最後の段でお話がございました、月々の奨学金の形をこの制度のいわば基本的な考え方にしております。それを一歩進めて、今日的な要望が非常にあるから、そこまで広げるかどうかという、一時金の問題が出てきておるわけで、御指摘があったわけでございますが、この金額の問題、それから、制度の本来から一歩思い切って足を進めなければならぬということでございますので、これはひとつ十分に検討さしていただかないと、ここで軽々に実はお答えのしにくい性格の問題になっておると思います。問題が、だんだんそういうところに巨額の資金を必要とする必要性というものは重々承知をいたしておりますけれども、育英資金の問題にそれをつけ加えることは適当であるかどうか、もう少し検討さしていただきたい、かように思います。
○中野(寛)委員 再び検討という御答弁が返ってまいりましたけれども、決して御検討いただくことが悪いことではないと思いますが、私この機会に申し上げておきたいと思いますが、日本育英会法そのものを一回洗い直してみたらいかがかという気がするのです。この法律はかたかなで書いてありまして、私なんか読むとなかなか苦手なんで、私が小学校に入学したときにはひらがなから教えられたものですから、かたかなを読むのはなかなかむずかしいのでありますが、本当にいまの実情に合うのだろうか。あの文章を読みますと、さっきもちょっと読んでいたのですが、優秀なる学生で家計収入が、こう出てくるのですね。適用される優秀なる学生とはいかなる人をもって優秀なる、こう言うのか。だって、いまごろこういうのを表でと言うか、皆さん知ったら、いまの時代にそぐいませんよ。育英制度、この育英という言葉の意味はどういうことなんですか。まさか英才教育をひっくり返したわけじゃないのだろうと思うのですが、その法の精神、それはたまたまぼくは言葉だとかそういうものにあらわされているような気がするのです。いまの時代に本当にそぐわないのではないかという感じがするわけでありまして、こういうことも含めまして、本当の奨学金制度または奨学制度というものはいかにあるべきか。もし大臣が御検討をなさるというのであれば、そういうことを含めて抜本的に、そしていまの時代に合った制度に直すための御検討があってしかるべきではないか、そういう気がするのですが、いかがでしょうか。
○佐野政府委員 育英会法につきましては、たとえば第一条に規定をいたしております目的それ自体につきまして、衆議院文教委員会でも、それが育英奨学の関係を必ずしも適切に表現をしていない、現在の時代では再検討あってしかるべきではないかというような御指摘もいただいているところでございます。また、奨学制度のあり方自体について、ここまで高等教育の規模が大きくなってまいりました場合に、奨学生の規模、いわゆる対象率をどの程度のものにしたらいいのか、給付の水準をどのようにしたらいいのか、あるいはそれに充てるべき原資をいまのように一般会計にのみゆだねていることで足りるのかどうかというような具体的な問題に、私どもも現在当面をいたしているわけでございます。そういう意味で、育英制度それ自体についての検討ということがまさにわれわれとしては懸案になっているわけでございますので、そうした育英奨学制度のあり方についての検討をさらに私ども深めながら、御指摘の育英会法自体の見直しの問題についても検討いたしたいと考えております。
○中野(寛)委員 検討したいというお言葉でありますが、いつまでも検討されておったのでは、これはかなわないわけでありまして、本当にその問題意識をお持ちになれば、やはり早急に検討をして結論を出そうという意欲も当然出てくると思うわけであります。国会用語というのは、慎重に検討するとか、検討するとか、前向きに検討するとか、私どもではその違いがとてもわからないような言葉が次々に出てくるわけでありますが、わからないなりにでも、せめてその辺のニュアンスというものは、問題意識をきちんとお持ちになって、本当に本気で検討して、何とかしなければという気持ちで検討するのか、言われたからまあ検討してみようかというのか、その辺を含めて、基本的に大臣にもう一回お聞きしたいと思います。
○谷垣国務大臣 いま局長から御答弁をいたしましたように、問題意識として十分持っておるわけでございます。検討という言葉はいろいろ使われるようでありますが、まじめにひとつ取り組んでまいりたいと考えております。
○中野(寛)委員 それでは次に進みます。 私立大学等の経常費の補助の問題であります。 かなり進んできたことは私も評価するにやぶさかではありません。ちなみに、私立大学の一人当たり学生納付金の額が、昭和四十六年度を一〇〇として換算をいたしますと昭和五十三年度は二七四・五と、こういうふうに実は納付金の方も大きさくなっているわけであります。ことし、またこの数字はべらぼうに大きいものになっております。一方、この間の消費者物価指数はどうなっているかといいますと、昭和四十六年度の一〇〇に対して五十三年度は一九九・三、かなり実は学生納付金の額の方が急激に大きくなっているわけであります。これに対しまして、私立大学等の経常費補助金の予算総額は、昭和四十六年度の一〇〇に対して昭和五十三年度は九九五・四、約一〇〇〇、約十倍になっているわけでありまして、学生一人当たりに換算をいたしますと十八万五千円、こうなっているわけであります。いろいろと御努力をいただいていることはここの数字であらわれているとも私は思いますが、しかし、にもかかわらず、補助金につきましてはかなり基本的な心構えが変わって、こうして大幅にふやしたのだけれども、しかしその経常費補助金が必ずしも学生納付金の値上がり抑制に効果を上げているということは言えない。ほとんど何か無視されているのではないかという気がするわけであります。私立学校振興助成法の目的が、その私立学校の教育条件の維持向上を図ることのほか、修学上の経済的負担の軽減を図る、こうしているわけであります。いろいろなところでいろいろな機会にこの辺については指摘をされているだろうと思うわけでありますけれども、何かこの補助の出し方、計算の仕方、こういうことについては、この際、学生納付金の値上がり抑制について努力をすればその努力した学校法人には報われる、そういうふうな補助の制度というものが工夫できないものか。私は、もう少し政治的なといいますか、教育的な配慮がなされるべきではないか、こう思いますが、いかがでございましょうか。
○三角政府委員 ただいま中野委員からの御提案と申しますか、御意見の御趣旨は、私もわかります。 ただ、私学の授業料でございますので、これはどの程度の金額が適当であるかとか、たとえば標準がどの辺であるかということは、なかなか一律には考えにくい問題でございまして、それぞれの私学が独自に教育研究の計画を執行いたしますし、それから独立して経営の責任を持っておるということでございますので、いわば教育研究の質と申しますか、内容とその学校の予算というものが絡まってまいりまして、その予算と関連して、一番主な財源であります授業料その他の学生納付金というものの額が決まってくる、そういった面があるわけでございます。したがいまして、私ども、現在の補助金の配分に当たりましては、やはりこの私学の自主的な教育研究条件の整備というのを促進する観点から、いわゆる傾斜配分というものを設けまして、標準的な計算よりも教育条件の整備状況がよければ、最高三割まで傾斜をかける、積み増しをする、それから教育研究条件が低ければ、最低五割までカットする、こういうような傾斜の方式をとっているのですが、これは中野委員がおっしゃいますような授業料と学生納付金収入それ自体の多寡と直結した措置ではございません。ただ、授業料等の収入に対して、どの程度、教育研究経費支出でございますとか図書設備支出でございますとか、そういうものの支出の割合が高いかということを、この傾斜配分の一つのかぎに使っている。そういう形で、ただ授業料を高くして、いわば内部蓄積のようなものを図って、それで余裕を生じているというふうなところは補助金が、先ほどの傾斜配分の上では、どちらかと言えば減額の方に回るというようなことをいたしておるわけでございます。そういうふうなことでやっておるわけでございます。それからもう一つは、私どもは、経常収入と経常支出のバランスも一つのかぎにいたしております。ですから、いまのやり方は、やはり一つの完結した体系をつくっていると思っておりますが、ただ、今後この配分基準について検討いたします場合に、委員のおっしゃいましたような形で抑制を誘導する、これはじかに誘導できるような方法が果たしてあるかどうか。そしてそれが適切であるかどうかですね。さっきちょっと申しましたように、余裕があるような学校には若干遠慮してもらう、そういう考え方が導入できるかどうかにつきましては、その際の一つの課題であるというふうに考えておるのでございます。
○中野(寛)委員 最近、やはり私立大学はかなり新しい学校もできているわけです。大臣も関西の方ですからおわかりだと思いますが、本当にじみちに努力している歴史のある大学があるかと思えば、そしてまたそういう大学はその大学の歴史と今日までの実績、伝統というふうなものでその大学を目指す学生数というものも、そこそこ質のいい学生がいらっしゃるということもあるわけですが、結局、特に新しくできた大学等では外見で勝負するという感じで、厚生施設みたいなものをやたらとつくってみたり、そしてでっかい装飾を施してみたり、こういうことで、一方親の方は子供のためならばという気持ちはなお強うございますから、そうなりますと結局、悪い言い方をすれば見た目でごまかして親に吹っかけるという感じがなきにしもあらずといいますか、どうも目につくわけです。 いま局長からの御答弁がありましたけれども、この辺については傾斜措置を講じていらっしゃるようでありますけれども、もっと実効の上がる、そして本当に大学本来のあり方、私は、少々授業料が高くたって、この大学はすばらしい勉強ができる、この大学は大変時代にマッチした、また将来の見通しを立てた勉強ができるとか、大学本来の趣旨というものが生かされておれば、魅力のある大学には学生は集まってくるわけですし、そしてまた、そういうところには大いに傾斜の度合いを高めて、そして積極的な助成をするということがあっていいと思うわけであります。そのことにつきましては、単に事務的な、また硬直化した制度ということではなくて、補助のやり方等につきましてもっと配慮があっていい、思い切ってやっていいのじゃないか、こう思うわけでありますが、いかがでございますか。
○谷垣国務大臣 先ほど御指摘がありましたような、私の言葉が少し悪いかとも思いますが、誇大広告をしてという形に出しちゃいけないということはもう御指摘のとおりだと思います。ただ、そういう問題を先ほどの傾斜配分のときに具体的にどういうふうに入れておるかということは若干まだ私勉強が足りません。しかし新しい学校の場合に特にはっきり出てきますことは、確かに最初、校舎も大切ですし環境、雰囲気も十分考えなければならぬのでありますが、学校経営の中全体に、学校の雰囲気の中に一つの何と申しますか気魄が盛り上がっているようなものが学校を始めますときは必要であります。そして伸びていきますときには必ずそれがあるものでございます。それが片一方、経営のためでございましょうけれども、よく間々世間で言われましたように、学校を始めましたところが、まず入学のときに寄付金の多寡によって決めるというような、そういうところに出してしまったところでは、そういう一種の気魄がなかなかないものでございます。そういうことも十分考えながら指導していかなければなりませんが、気魂であるとか何とか私いま妙なことを言いましたが、これを傾斜配分の中にどういうふうに入れるかというのは非常にむずかしい問題でございまして、そこらの学校の判定する場合にかなり重要な要因ではございますけれども、傾斜配分の中に計算をどうするかという、私も実はまだ事務当局の諸君もその点の計算をよく勉強もしておりませんので言いかねると思いますが、伸び得る学校というものは何とか陰に陽に重点的なものをやれれば一番ありがたいことだと思っております。
○中野(寛)委員 大臣のおっしゃるお気持ちはわかります。気魂は確かに必要だと思います。しかし、金もうけの気魂では困るのでありまして、教育的な気魄を持ってもらわないとどうにもならぬわけであります。どうも最近その辺を履き違えているケースが続々出てくるものですから、私はどうしても憤りを覚えてならぬわけであります。そこに文部省としてのその補助制度等の適用に対しての確たる信念と、そして態度、姿勢というものがそこに望まれると思うのです。ああいう問題が出てくるというのは、一面では、こういう言い方もそれこそ悪いかもしれませんが、文部省がなめられているのだ、極論をすれば言えるんじゃないかという気もします。ぜひとも御配慮をいただきたいと思います。 大変済みません。時間が来ましたが、もう一点だけ遅くなりついでに質問させていただきたいと思いますが、学校、体育施設の開放の問題でございます。これも以前、私、文教委員会で御指摘をいたしましたので、何を言いたいかはわかっていただけると思います。 学校開放の実施状況なんですけれども、たとえば公立小学校の開放率ですが、七七・六%、中学校七二・一%、公立高校がところが五一%、いまのは屋外運動場です。そして屋体にいたしましても似たり寄ったりの数字が出てくる。水泳プールは同じような数字ですが、若干全体的に低い。高校に至っては二五%、こういう数字が、昭和五十年の調査で若干古いのですが出ておるわけであります。ですから、第一点は、特に学校開放のときに、特に社会人にとっては高校の施設というのは一番合う施設ではないかと思うわけです。ですから、これはクラブ活動で遅くなるとかいろいろなことがあると思いますが、もう少し高校に対する協力、この開放率を高める努力をしていただく必要があるのじゃないか。社会人が利用する場合等については、特に高校の施設というのはむしろ社会人の体の大きさ、いろいろなことを含めて一番合う施設であるはずでありますから、その辺についてはいかがかということ。 それから、文部省からの自治体、学校への補助の問題なんですけれども、たとえば、昭和五十四年度の補助金で見ますと、管理、指導員手当、一学校について六万円、それからフェンスについては二十六万円の国庫補助金、付属施設、クラブハウス等につきましては百九十三万円、これが実は私が住んでいる町の学校への補助金です。これをちょっと比較をしたいのですが、実際に運用いたしております内容は、専任管理員手当と指導員手当、いわゆる人件費として実は百三十万円ぐらいかかっています。国から出ているのは六万円。次にフェンスですが、国から出ているのが二十六万円、しかし実際に自治体でやっておりますのは運動場のフェンス五百万円、校舎側のフェンス二百万円かかっています。それからクラブハウスですが、文部省の補助は百九十三万円、実際に自治体でかかっておりますのが六百六十万円、大変な差が出てくるわけであります。学校施設の開放事業、大変文部省としては力こぶを入れて協力要請等をなさっておるようでありますが、その言葉の割りにはこの補助制度等々については少々貧弱過ぎるのではないか、このように思うわけでありますが、その後いかが相なっておりますでしょうか。時間の都合もありますので、簡単にお願いしたいと思います。
○柳川(覺)政府委員 学校開放に伴います文部省の施策につきましては、先生かねがね御熱心な御指摘をいただいているところでございまして、たとえば五十四年度におきまして、いま御指摘のような管理、指導員の謝金に対する補助また開放のための施設の補助につきましては、夜間照明施設あるいは境界さく、いわゆるフェンスに対する補助、クラブハウスの設置補助等を行っておりますが、先生の御指摘もございましたので、五十四年度フェンスの補助につきましては、従来長さでしてまいりましたけれども、これを高さも加味した平米で積算していくということで、実態に合うような改善措置も図ってきたというところでございます。 五十年度の実態に基づきまして、五十一年に事務次官通達を出しまして開放事業の推進を図ってまいっておりまして、社会体育、スポーツの実態調査を行いまして、いまこれの集計をいたしておるところでございます。この一環におきまして、学校開放の実態を把握してまいりたいということを進めておるところでございまして、これらの実態に沿いました分析をいたしまして、この面の施策について十分検討してまいりたいと考えておるところでございます。
○中野(寛)委員 遅くなりまして申しわけありませんでした。今日まで、特に教育の問題につきましては、大平総理自身も大変熱意を込めて折に触れて語られるようでありますし、谷垣文部大臣に期待するところも、私どもも大きいわけでありますが、先ほど来のお話の中で、一見しますと大変前向きに御検討いただくような御回答が返ってくるわけであります。しかし、私は、これからの日本内外の厳しい諸情勢の中で、科学技術の振興、それを支える教育、または国民の精神的な問題、エゴイズムの克服、何を考えても教育の重要さが結論にはくっついてくるわけであります。そういう意味で、あらゆる制度について、またあらゆる施策について、勇気をもって大いに進めていただきたい、このことを強く要望いたしておきたいと思います。 ありがとうございました。
○高田委員長 次回は、来る二十三日水曜日、午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時四十二分散会