外務委員会 第18号
- 発言数
- 318 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1980/04/25
会議録
○中尾委員長 これより会議を開きます。 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカナダ政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件及び廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の紛争の解決に関する改正の受諾について承認を求めるの件の三件を議題といたします。 政府より順次提案理由の説明を聴取いたします。大来外務大国。
○大来国務大臣 ただいま議題となりました原子力の平和的利用における協力のための日本国政府とカナダ政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 現在、わが国とカナダとの間には、昭和三十四年に署名され、その翌年に発効した原子力の平和的利用における協力のための協定が締結されております。わが国は、この協定の発効以来、わが国の原子力発電に必要な天然ウランの大半をカナダから購入しておりますが、カナダは、昭和四十九年五月のインドの核実験を契機として、自国産のウラン等に対する規制を強化する政策をとり、わが国等の諸国に対して原子力協定の改正を申し入れてまいりました。政府は、カナダのこの新政策を勘案しつつ、わが国の原子力の開発と利用を促進し、また、天然ウラン等の核物質供給に関する両国の協力関係を維持し、さらにこれを拡大するとの基本方針で、カナダと交渉を行いました。その結果、昭和五十三年八月二十二日に東京において、園田外務大臣とカナダ側ホーナー通産大臣との間で現行協定を改正する議定書の署名を行った次第であります。 この議定書は、第八十七回国会及び第八十八回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。 この議定書は、本文七カ条から成り、これによる主な改正内容は、次のとおりであります。すなわち、現在規制の対象となっている核物質、原子炉等に加えて、濃縮、再処理等に関する情報をも第三国移転に関する規制の対象としたこと、ウランの二〇%を超える濃縮及び一定の核物質の長期にわたる貯蔵を供給国の事前同意の対象としたこと、協定の対象核物質を盗難、不法な奪取等から防護するための措置をとることとしたこと、いわゆる平和目的の核爆発に使用するものを含め、協定の対象核物質をいかなる核爆発装置の製造にも使用してはならないことを明示的に規定したこと、核拡散防止条約に基づく保障措置協定による保障措置が適用されることを明示したこと等であります。 この議定書の締結によって日加両国が原子力に関する協力関係をさらに発展させるための基礎の整備をすることは、核拡散防止のための国際的努力に協力しつつ、わが国の原子力平和利用推進に必要な天然ウラン資源を確保するとの観点より、きわめて大きな意義を有するものと考える次第であります。 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。 次に、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 海洋環境保全の必要性なかんずく産業活動等の活発化に伴って生ずる海洋汚染を防止することの必要性は、つとに認識されてきたところでありましたが、海洋の汚染原因の一つである海洋投棄の規制に関する条約を作成することにつきましては、昭和四十七年六月にスウェーデンのストックホルムにおいて開催されました第一回国連人間環境会議におきましてもその重要性が強調されました。この条約は、昭和四十七年十一月にロンドンにおいて開催されました条約作成会議において採択され、わが国は、昭和四十八年六月にこの条約に署名いたしました。 この条約は、昭和五十年八月に効力を生じ、現在フランス、ドイツ連邦共和国、ソビエト連邦、連合王国、アメリカ合衆国を含め四十を超える国が締約国となっております。 この条約は、第八十七回国会及び第八十八回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。 この条約は、人の健康に危険をもたらし、生物資源及び海洋生物に害を与え、海洋の快適性を損ないまたは他の適法な海洋の利用を妨げるおそれがある廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染を防止することを目的とし、海洋投棄の禁止及び規制、違反行為を防止するための措置等締約国がとるべき措置について規定するとともに、地域的取り決めの締結、技術等の分野での援助等国際的な協力についても定めております。 わが国がこの条約を締結することは、わが国の沿岸海域を含むすべての海洋の環境の保全に資することになるとともに、この分野における国際協力の推進のためにも望ましいと考えます。 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。 最後に、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の紛争の解決に関する改正の受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約は、その締約国協議会議において、同条約の解釈及び適用に関する紛争の解決のための手続について検討する旨規定しております。この改正は、以上の規定に基づく検討の結果昭和五十三年十月にロンドンにおいて採択されたものであります。この改正は、条約の締約国の三分の二がこの改正の受諾書を機関に寄託した後六十日目の日に、この改正を受諾した締約国について効力を生ずることとなっており、まだ発効いたしておりません。 この改正の受諾につきましては、第八十七回国会及び第八十八回国会に提出されましたが、審議未了となったものであります。 この改正は、条約の解釈または適用に関する締約国間の紛争であって交渉その他の方法によって解決することができなかったものについて、紛争当事国間の合意により国際司法裁判所に付託しまたは一方の紛争当事国の要請により仲裁に付託すると定めております。また、その仲裁の手続については、紛争当事国が別段の合意をしない限り、新たに追加された付録に定める規則に従うと定めており、付録において仲裁裁判所の構成、費用の負担、裁判手続等について規定しております。 わが国は、従来から、条約の解釈または適用に関して発生することが予想される紛争が公平かつ確実に解決されることが望ましいとの見地から、これらの紛争が最終的に国際司法裁判所または仲裁裁判に付託されるべきであるとの立場をとってきておりますが、この改正の内容は、このようなわが国の立場に合致するものであります。 よって、ここに、この改正の受諾について御承認を求める次第であります。 以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
○中尾委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。 ――――◇―――――
○中尾委員長 次に、日本国とポーランド人民共和国との間の通商及び航海に関する条約の締結について承認を求めるの件、日本国政府とフィンランド共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税の回避のための日本国とドイツ連邦共和国との間の協定を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約の締結について承認を求めるの件、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書の締結について承認を求めるの件、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約の締結について承認を求めるの件及び南極のあざらしの保存に関する条約の締結について承認を求めるの件の七件を議題といたします。 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
○高沢委員 私はきょうは、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約、それから千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書、この二件について御質問をいたしたいと思います。大変長い表題になりますので、七四年の人命の安全のための国際条約は以後七四年のSOLAS、七八年の議定書は七八年のSOLASというような呼び方でいたしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。 初めにお尋ねいたしたいことは、七四年のSOLASの前に締結されました六〇年のSOLASがあるわけでありますが、この六〇年のSOLASは締約国が百カ国、こういうふうにお聞きをいたしております。それに対して今度の七四年のSOLASは、その採択の会議に参加した国が六十七カ国、それからいままでに七九年十二月十日現在締約した国が三十カ国、こういうふうになっているわけです。今度わが国もその締約国になろうということでいまこの審議をしているわけでありますが、六〇年のSOLASの百カ国というのに比べて、七四年の今度のSOLASはその採択の会議に参加した国が六十七、いままでに締約した国が三十、国の数においてずいぶん少ないという感じがするのですが、これはどういう事情があるのか、初めにお尋ねをしたいと思います。
○関説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、まことに申しわけございませんけれども、私もそのあたり、なぜ今度締約国の数がそれほどふえていないのか事情を必ずしも正確には把握しておりませんけれども、主要海運国はほとんど同じように今度の条約にも締約国になりますし、今後もふえる見込みでございますものですから、条約の適用範囲といいますか、国際協力という観点からは特に問題はなかろうかと思うわけでございます。
○高沢委員 それとまた関連するのですが、七四年SOLASが採択されて、いまが八〇年ですから、いま国会にその承認を求める手続をとられるその間六年たっております。少し時間がたち過ぎているのじゃないかと感ずるのですが、これはどういう理由によるものでしょうか。
○大来国務大臣 確かに時間を要しておりますが、わが国といたしましては以下に述べますような国際的な動向を見きわめる必要がありましたため、本条約締結の意向を決定するまでに時日を要し、昨年の四月に第八十七回国会に提出した次第でございます。 その理由といたしましては、この条約の目的は海上における人命の安全を増進することでありますが、この目的を有効に達成するためには主要国を含む多数の国が締約国となることが必要でございます。このため、わが国といたしましては、英国、米国等主要国の動向を見きわめる必要がございました。この点については、昨年春までに英国、米国ともこの条約を批准し、また昨年中にはこの条約が発効要件を満たす見込みとなっておりました。これが第一の理由でございます。 第二にまた、海洋汚染の防止及び人命の安全の確保の観点から、特にタンカーの安全規制を中心として、これを強化する目的から、この条約の内容の一部を追加、修正する動きがあり、その成り行きも見定める必要がありました。このような動きを受けまして、昭和五十三年二月にIMCOの主催により会議が開催されまして、主としてタンカーの安全基準を強化する一九七八年の議定書が採択されたわけでございまして、以上のような理由によりましてやや長期間を要したわけでございます。
○高沢委員 その事情はいまの御説明でわかりましたが、同時にこういうこともありますね。きのうの本院の本会議で承認されました一九六九年の船舶トン数測度条約、これも政府間海事協議機関、IMCOの会議で作成されてからこの国会へ出されるまで十一年間の時間が経過しております。そういたしますと、これもこれでなぜ十一年もたったかというような事情があろうかと思います。それをお聞きしたいと思うのですが、同時に、全体としてわが国は世界有数の非常な海運国であるわけですが、この海運関係の条約の取り扱いが何か消極的な感じがするわけですが、そういうことは一体ないのかどうか。 このトン数条約の十一年もかかったという理由、それからいま言ったわが国の海運国としての姿勢、こういうものについて御説明を願いたいと思います。
○関説明員 ただいま先生が御引用されましたトン数条約につきましては、このトン数といいますのは、先生御承知のとおり安全基準とかその他港湾におけるいわゆる各種のチャージの基準になるものでございまして、非常に重要な一つの基準でございますけれども、このトン数をはかります基準を改正する場合には、国内的にも影響が及ぶ範囲が非常に広いわけでございまして、特に小型あるいは中型の船舶にその影響が大きく出る傾向がございます。そういうことで、国内的な資料の収集とか、関係水産業界あるいは海運業界、造船業界との意見の調整等に相当時間を要したわけでございます。 それから、第二のお尋ねの点の、このように時間がかかるということは、日本が南北問題の観点からこの海運問題の分野で消極的ではないかということでございますが、政府といたしましては、技術、資本援助、あらゆる分野で開発途上国の願望にこたえるべくこれまで種々の施策は講じてきておりますし、今後ともそのように努力を続けてまいりたいと思っております。
○高沢委員 六〇年のSOLASがあって、今度七四年のSOLASに移行するわけですが、このことによって大きく海運の関係でどういう変化が出るのかということを、まず概略御説明をいただきたいと思います。
○野口説明員 一九七四年のSOLAS条約で新しく入ってきます主な規制条項を申し上げますと、まず航海用具等の義務の強化がございます。これはレーダーとかジャイロコンパスというようなものを設置するという義務でございます。それからもう一つ大きなのは、タンカーに対しまして甲板にあわ消火装置あるいはイナートガス消火装置というようなものを設けまして、タンカーの火災防護というようなことを図るというのが大きな点でございます。 それから七八年の議定書の方でございますが、こちらの方は主としてタンカーに対する規制の強化でございまして、大きなものは操舵装置の強化、これは船を動かすかじというのがついてございますが、そのかじを動かす装置の強化、それから先ほど申し上げました消火装置の強化、あるいはレーダーを二台備えるように航海用具を強化するというようなことで、主としてタンカーに対する規制の強化でございます。
○高沢委員 いまの御説明の中にあった甲板のあわ装置あるいはイナートガス、それについてまた、どういう効用を果たすものであるか、ちょっと御説明を願いたいと思います。
○野口説明員 甲板のあわ消火装置と申しますのは、御承知かと思いますけれども、消火装置であわを噴き出す消火装置というのがございますが、これの非常に大型なものと思っていただければ御理解いただけるかと思いますが、タンカーの甲板に油が噴き出したような場合、火災を防ぐために、甲板の上にこういうあわを噴き出しまして甲板を上から被覆するようにする装置でございます。 それからイナートガスと申しますのは、たとえばエンジンから出てきます排気ガスというのがございますが、これは余り酸素を含んでおらない不活性のガスでございますけれども、こういうものを冷却したり清浄しましてこれをタンカーのタンクの中に送り込みます。タンカーのタンクの中は御承知のように油が入っておりまして、油の蒸気が出てきますと非常に爆発しやすい状態になりますので、そこにそういうガスを送り込んで爆発するのを防ぐというような考え方の装置でございます。
○高沢委員 そういう七四年のSOLASが発効してわが国もその締約国になりますと、そうするとわが国の海運政策としてそういうものに対応したまたいろいろな新しい体制も必要になる、こういうふうに考えますが、そういう点についてはどういう体制を準備されているか、御説明を願いたいと思います。
○野口説明員 二つの点があると思います。一つは、こういう規制が強化された場合に、それにどういうふうに対処するかという問題だと思いますが、これにつきましては、この条約がことしの五月二十五日に発効する予定になっておりますので、この条約の発効日に実施できるように国内法の整備を進めてまいっております。 それから実際に検査する検査体制でございますが、これは全国に約二百四十人ほどの船舶検査官というのを配置してございまして、いつでも検査ができるような体制になってございます。 それからもう一つ、こういう規制の強化をやりますと海運界に経済的負担が相当かかるのではないかというふうな問題があるかと思いますが、これにつきましてもいろいろ試算をしておりますが、船価から比べまして非常に少ないということで、海運界関係界も十分納得しておる状況でございます。
○高沢委員 いま御説明のようなそういう安全の設備をするということは、造船の技術としては何か特別な変化が出るのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○野口説明員 ただいまのような機器はすでに十分に開発されておりまして、特にこの規制を強化するのに不都合だというようなことはございません。
○高沢委員 次にお尋ねしたいことは、七四年のUNCTADの会議で、発展途上国から海運の問題について要求があり、それを受けて定期船同盟行動憲章条約が結ばれた、こう言われております。この憲章条約というのは、一言で言うとどういう内容か、何を目指すものであるのか、御説明を願いたいと思います。
○関説明員 内容を簡単に申し上げますと、この条約は、定期船同盟に対する加入を原則として公開、オープンにするということ、第二に、運賃、配船等につきましてプール協定を行う場合に、国別の積み取り比率を設定するということ、それから第三点といたしまして、運賃値上げ等につきまして荷主との間に事前協議を行うことを船主に義務づける、そういう規定がございます。第四点といたしまして、運賃値上げ等に関しまして実質的な凍結期間を設けておるということでございます。
○高沢委員 発展途上国からの要求でそういうものができたということになりますと、いま先進国を含むお互いの海運の関係の中で、できるだけ自国船の積み取りをふやしたいとか、いろいろ海運上の途上国の要望が当然あると思いますが、それとの関連において今度のこの同盟条約というのはどういう役割りを果たすものであるか、それをひとつお聞きしたいと思います。 同時に、それとの関係で、この憲章条約に対してわが国はどういう対応をしているか、どういう態度をとっておるか、これもひとつお尋ねしたいと思います。
○関説明員 お答え申し上げます。 この七四年SOLASと定期船同盟行動憲章条約との間には直接の関連はございませんけれども、開発途上国が願望しております自国海運の育成という見地から、やはり海上人命の安全ということは非常に重要なことでございますものですから、SOLAS条約は開発途上国にとりましてもきわめて重要なものではなかろうかと思うわけでございます。 それから、この定期船同盟行動憲章条約に対します日本政府の考え方でございますが、これはすでに日本政府も早期に加入をするという基本的な態度を明らかにいたしておりまして、開発途上国との間に海運問題で摩擦ができるだけ生じないようにするという見地からも、この条約に加盟することは非常に重要なことであろうかと思うわけでございます。
○高沢委員 この条約は発効がいつごろ、どういうふうになるのか、また、わが国のこの条約に対する締約のための国会の承認手続等はどういうふうになるのか、ちょっとそれをお尋ねしたいと思います。
○関説明員 先生お尋ねの条約は同盟条約と思いますが、これの加入につきましては、現在政府部内、関係各省庁間で検討中でございまして、できるだけ早期に加入をするということで鋭意やっております。
○高沢委員 この同盟行動憲章条約の発効の関係にもなるのですが、何か聞いたところでは、アメリカやイギリスなどの先進国側ではこれに対して反対の態度であったということでありますが、その理由、それから、その後反対の態度が何か変化があったのか、この条約の発効との関係において、アメリカやイギリスの態度、その経過、これをお尋ねしたいと思います。
○宮本説明員 お答えいたします。 UNCTADで採択されました定期船同盟憲章条約の発効要件は、加盟国の数とその船舶の量ということで一定の要件がついておりますが、現在はまだそれを満たすに至っておりませんので、発効するに至っておりません。 その中で、いまお尋ねのありました米国、英国等の態度はどうかということでございますが、米国は終始、この条約に対しましては現在も反対の態度をとっております。しかし、英国を初め欧州諸国は、当初この条約に反対の態度をとっておりましたが、EC諸国の中で討議を行いまして、最終的には一定の留保を付してこの条約に入るという方向で見解を統一いたしまして、賛成の方向に変わったというふうに理解しております。
○高沢委員 もう一度お尋ねいたしますが、するとアメリカはいまでも反対なわけですね。その場合に、トン数とかの関係からいって、アメリカの反対が続く状態で発効できるのかどうか、ほかにわが国が入るとかイギリスが入るとかいうふうになった場合に発効ができるのかどうか、それをちょっと説明してください。
○宮本説明員 あと船のトン数の条件で言いますと、正確には覚えておりませんが、八%程度の船舶を保有する国が条約に加わることになれば発効するというふうに理解しております。ですから日本国が本条約に加入いたしますれば発効いたします。それから英国あるいはECの中の数カ国が本条約に加盟することになれば発効することになります。米国が加盟いたしませんでも発効することになるわけであります。
○高沢委員 この際、またあわせてお尋ねしたいのです。 先ほどもちょっと触れました発展途上国の、自国の海運は強化したい、自国船主義を推進したい、こういう根本的な立場があるわけですが、わが国としては、先ほど来の定期船同盟行動憲章条約に対する対応の仕方をお聞きすれば、こうした途上国の要望にできるだけ積極的にこたえていこう、こういう態度だ。私もそれでいい、そうあるべきだ、こう思うわけです。 ただそうなった場合といえども、今度は日本の海運としての独自の立場とそういう途上国との間に、また利害の対立が出る面も避けられない。そうすると、協力しなければならぬということと利害が対立するという矛盾した関係はどう調整をされるお考えか、お尋ねしたいと思います。
○大来国務大臣 御承知のように途上国は自国の商船隊の増強を望んでおりまして、UNCTADの会議等でしばしばその主張を行っておるわけでございます。途上国のそういう要求が、それぞれの国の貿易の拡大、国際収支の改善に役立つということを日本といたしましても十分認識しておりまして、途上国の海運振興に関する適切な要求、たとえば経済、技術援助などについては、可能な範囲でできる限り前向きに取り組むことにいたしております。 ただ開発途上国は、国際海運へのより一層の参加を達成するなどの目的のために、経済性を無視した主張をする場合がしばしばございます。たとえば不定期船分野におきまして、国別に荷物、貨物のシェアを決めることを主張するような場合は、経済性に反する場合が出てまいりますので、わが国を含む先進諸国は、このような主張に対しては一致して反対しているというのが従来の立場でございます。
○高沢委員 それと、途上国の関係になるのですが、今度のこの七四年SOLASができますと、そういう船舶の安全の確保にいろいろな措置をしなければいかぬ。また、その措置ができたかどうかをそれぞれの国の政府が確認する、証書を発行する、こうなりますが、一言で言って、途上国の多くの国に、それだけの安全確認をする、証書を、つまり信頼性のある証書を発行するような体制があるのかどうか、もし体制がある国がないとしたら、その場合どういう措置をとることになるのか、その御説明を願いたいと思います。
○野口説明員 発展途上国は最近、非常に船舶に対して関心が高うなってきておりまして、こういう海上における船舶の安全の確保に関する法制の整備あるいは検査体制の整備というのも少しずつ充実してきていると私どもは見ております。 なお、中には自国において十分に検査体制の整備ができておらない国もあるわけでございますが、こういう国におきましては、たとえばロイド船級協会あるいはアメリカの船級協会というような国際的に名の通った船級協会に検査を委託しておりまして、こういうところがその国の代行をしておるというところがございます。それからさらに、余り船舶の数の多くない国では、外国に船が寄航した際にそこの国の政府に依頼して検査をしてもらうというような国も中にはございます。
○高沢委員 いまの点に関連しますが、わが国に対してそういうふうな検査を委託してくるような国がどの程度あるのか、また逆に、わが国が何かの事情で他の国に対してそういうふうな検査を委託するというふうなケースがあるのかどうか、その辺の御説明を願いたいと思うのです。
○野口説明員 わが国に対して依頼してくる国も、きわめて数は少ないのですけれどもあることはございます。 それからわが国の船舶が海外でどういう検査を受けるかということでございますが、これにつきましては、日本の船舶安全法の適用を受けるということで、海外に、現在ラスパルマス、シンガポール、ニューヨークに船舶検査官の駐在がございまして、こういう船舶検査官が外地で日本の船舶検査をする、あるいは日本の国内から船舶検査官が出張していきまして船舶検査をするというようなことで処理してございます。
○高沢委員 わが国に委託する国というのはたとえばどんな国がありますか。
○野口説明員 たとえばインドとかあの辺の国でございますが、これは非常に数は少数でございます。
○高沢委員 アジアの国ですね。 次に、結局それと似た問題になるのですが、よく便宜置籍船、こういうことが言われますね。実質上は日本の船であったりアメリカの船であったり、しかし船籍としてはギリシャの船籍を持っておる、リベリアの船籍を持っておる、そういうような場合に、ギリシャなりリベリアなり、そういうところはSOLAS条約に基づく安全確認あるいは証書の発行というふうなことをちゃんとできているのかどうか、その辺の実態はいかがでしょうか。
○野口説明員 便宜置籍船、便宜置籍国と言われております、たとえばライベリアとかパナマとかいう国におきましては、先ほど御説明申し上げましたように世界的に実績のあります船級協会、たとえばロイドとかABとかいうところに委託して検査を実施しておるというところでございます。
○高沢委員 これは海上の人命安全に関することとして、最近のわが国の周辺の海域で海難の事故があったというようなその件数、それから特徴的にどういう性格の海難事故が見られたか、そういう実態の御説明を願いたいと思います。
○佐々木説明員 お答えいたします。 昨年、五十四年におきまして一年間で日本の周辺において発生いたしました海難は二千百四十五隻となっております。これによりまして死亡、行方不明となっておりますのが三百三十九人でございます。 この海難の種別でございますが、大きい順から申し上げまして、乗り上げ三百九十八隻、機関故障三百七十三隻、衝突三百十五隻、以下転覆、浸水というような海難が発生いたしております。 海難の非常に多い状況といたしましては、乗り上げ、衝突というような海難がやはり多くなっております。
○高沢委員 いまお聞きいたしまして、私も、非常に数が多い、また死亡なり行方不明の人員が三百三十九名と大変大きいのに実は驚いているわけですが、これはそういう航路の錯綜の状態等から見て、言うならば通常やむを得ざる事故の件数と見ていいのか、あるいは何かこれは異常に多い事故だ、こう見るべきなのか、その辺の判断はどうでしょうか。
○佐々木説明員 お答えいたします。 ただいま申し上げましたような海難の八〇%以上、約八五%までが大体わが国周辺の十二海里の範囲内において発生をいたしております。(高沢委員「領海内ですね」と呼ぶ)領海内でございます。 こういう水域におきましては交通量も非常に多いということもございまして海難の発生率が非常に高くなっておるわけでございますが、最近の傾向といたしまして、横ばい、若干減るというような状況が海難隻数としては出ておるわけでございます。
○高沢委員 そういう状況に対してわが国からの海難救助の体制はどういうふうな体制がとられているのか、それを御説明願います。
○佐々木説明員 海難が発生いたしました場合にそれに即応するために、私どもは、早期、迅速、的確な情報の把握がまず第一に必要でございまして、続いてこれに対して早急に救助体制をとることを救助の鉄則として業務を実施いたしております。 まず情報の収集につきましては、海上保安庁といたしましては、陸上の通信所並びに行動中の船艇が常時遭難に対する情報を聴取いたしておりますし、特に遭難船が発生し、それが遭難通信を出した場合には、その場所を確定するための方位測定局を全国二十四カ所に設置いたしまして、これの聴守体制を実施いたしております。 それから救助体制でございますが、全国に配置いたしております巡視船艇三百三十隻、航空機四十八機によりましてこれに対する即応体制をとっておるわけでございまして、特にいま申し上げましたように、交通量の多いところとか季節的に海難が発生しやすいところとか漁業等で漁船が集中しているような場所、こういったところには巡視船を前進配備させまして、その遭難状況に即応できるような体制をとっているわけでございます。
○高沢委員 次にお尋ねしたいのは、七四年のSOLAS、それからあと七八年の議定書によるSOLAS、こうなっていますが、この両者の関係、先ほどの御説明では、七四年SOLASの国会承認を六年もかかったのは、その間議定書のできるのを一応見定める必要があった、こういう御説明ですが、この両者の重なる関係とか両者の相互関係を御説明願いたいと思います。
○関説明員 お答え申し上げます。 この七四年のSOLASと先生御指摘のいまの議定書、これは双方一体をなすという考え方に立っておりまして、議定書の方は、七四年SOLASの中に規定されております各種の安全基準の中で特にタンカーを中心といたしました安全基準をさらに強化するという観点から締約されたわけでございまして、この条約と議定書は一体をなすという見地に立っております。
○高沢委員 最後のお尋ねになるわけですが、今度の七四年SOLASではこの条約の将来の改定のための手続が非常に、何と言いますか簡素化された、こういうふうに聞いておりますが、そのねらいなり、また具体的にはどういうふうに簡素化されたという、そういう点の御説明を願いたいと思います。
○関説明員 お答え申し上げます。 現在有効なのは一九六〇年のSOLASでございますが、IMCOにおきまして新しい技術の発展に見合ってこの条約を改正しようという試みが前後六回ぐらいにわたって行われたのでございますが、改正のための規定が余りにも条件が厳し過ぎて、いずれも改正が実現いたしておりません。そのような経験にかんがみまして、この現在御審議をお願いしておりますSOLAS条約では、特に附属書の第二章以下で、技術革新が非常に早く行われている事項につきましては改正をできるだけ簡単な条件で実現できるようにという趣旨で規定されておりまして、それが主な改正点でございます。
○高沢委員 六〇年SOLASの改正のやりにくい条件を今度の七四年SOLASではやりやすくした、それはどういうふうな違いが出たか、ちょっと説明してください。
○関説明員 お答え申し上げます。 現行条約では全締約国の三分の二が受諾することが必要であるということになっておりますけれども、この新しい七四年SOLASでは、特に附属書の第二章以下の規定についてでございますが、改正が採択されて受諾のために各締約国政府に送付された日から一定の期間内に、その改正について全締約国政府の三分の一を超える締約国政府によって、あるいはまた商船船腹量の合計が総トン数で五〇%以上となる締約国政府によって改正に反対するという通知が行われない限りは、その期間が経過した日に発効するというふうに、ずっと緩和された要件になっております。 〔委員長退席、志賀委員長代理着席〕
○高沢委員 わかりました。 以上で、私の質問を終わりたいと思います。
○志賀委員長代理 玉城栄一君。
○玉城委員 千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約並びに千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書、両方について若干御質疑をいたしたいと思います。 まず第一点目に、これは全体的な問題としまして、現在の世界全体の海上輸送量は総トン数どのくらいになっているのか、お伺いをいたします。
○宮本説明員 お答えいたします。 昭和五十四年の世界の海上輸送量は、石油類が十七億八千万トン、ドライカーゴ、乾貨物といいますけれども、それが十八億七千七百万トン、合計三十六億五千七百万トンと理解しております。これは、海運統計について世界的に権威のございますノルウェーのファンレー・イーガース社の調査でございます。
○玉城委員 そこで、途上国から輸出される第一次産品の量はどのくらいで、全体の何%ぐらいになるのか、お伺いいたします。
○宮本説明員 お答えいたします。 発展途上国の海運がどの程度の貨物を輸送しているかということは、これは必ずしも明らかにできないわけでございますけれども、一九七九年のロイドの統計によりますと、発展途上国の商船の船腹量というのがわかります。これは三千七百三十万総トンでございまして、世界の船腹量四億七百六十万総トンに対しまして、約九・一五%に当たります。 したがいまして、このような船腹の保有量から見まして、大体発展途上国は一次産品を三億トン程度海上輸送しておるんじゃないか、そのように推定しております。
○玉城委員 途上国の第一次産品の量というものは相当あるわけですね。しかしながら、その船腹の保有量というものはそれに見合っていないということであります。そこでほとんど先進海運国に途上国は依存をしているという状況のようでありますけれども、わが国としてこのような途上国の一次産品の輸送問題の解決について、どのような考え方あるいは取り組みを持っていらっしゃるのか、その辺を伺いたいと思います。
○関説明員 お答え申し上げます。 政府といたしましては、この開発途上国ができるだけ一次産品を自国船腹で運びたいという願望が強いという事実を十分認識しているつもりでございます。したがいまして、そのような願望にこたえるという見地から、経済協力基金あるいは国際協力事業団等を通ずる各種の経済協力の中でも、このような海運振興という観点からの援助、協力を行うという方針で前向きに取り組んでいるわけでございます。
○玉城委員 海運振興の援助、協力をしたい、前向きに取り組んでいるということでありますが、これは具体的に言いまして、今後、前向きとおっしゃいますけれども、たとえば来年はどうするとか、再来年はどうするとか、その援助の額をふやしていくとか、そういうもう少し具体的な御説明をいただけませんか。
○関説明員 過去二、三年の実績をちょっと申し上げさせていただきたいと思いますが、たとえば開発途上国に対する海運、造船、それから港湾行、政等の分野におきます技術協力でございますが、たとえば開発途上国からの海運関係の研修員の受け入れは、五十三年度まで累計で七百一名に達しております。それから専門家の派遣、これは海運の専門家でございますが、累計で九十八名というように相当の数に達しております。 それから輸出船舶に対する輸銀資金の供与でございますが、これも相当の数に達しておりまして、供与実績は五十三年度で三百億円になっております。 それからアジアにおきましては、国際連合の地域機関といたしましてESCAPというのがバンコクにございますが、このESCAPの中にも海運部局がございますので、これに対するセミナーの開催とか専門家の派遣というようなことで協力をやっておりますし、他方IMCOに対しましても、分担金を政府は昭和五十五年度におきまして約九十万ドル分担いたしておりまして、そういう形で協力をいたしております。
○玉城委員 そういう技術援助とか資金援助とかあるいは人的なもろもろの援助について拡大していくんだというお考えのようでありますが、次に海運関係の南北問題を討議するためにUNCTADに海運委員会が設立をされ、すでに八回会合が開かれたようでありますけれども、いままで討議されてきた事項の概要及びマニラのUNCTADではどのような討議がされたのか、その討議の内容について御説明をいただきたいと思います。
○大来国務大臣 UNCTADには海運問題を扱う常設委員会として海運委員会が活動しておりますほか、昨年五月にはマニラ総会が開催されまして、その主要議題の一つとして海運問題が取り上げられております。 これらの場におきましては、開発途上国は一貫して自国商船隊の開発、国際海運への参加増大等を求めております。これらの要求に対しまして、わが国を含む先進国は、自由競争の利点を損なわず、かつ開発途上国の利益をも反映した世界海運秩序の実現を図る立場から、討議に応じてきております。マニラ総会におきましては、定期船同盟憲章条約早期発効決議、開発途上国のための船舶取得融資制度拡充決議等が採択されております。
○玉城委員 そこで質疑はちょっとダブるかもしれませんけれども、七四年SOLASが今回国会に提出され、議定書の見きわめとの関連でおくれたというふうに先ほど承ったわけでありますが、そのように理解してよろしゅうございますか。
○関説明員 七四年のSOLAS条約が作成、締結されましてから、カーター大統領の声明等でタンカーの安全ということが非常に論議の対象になってまいりまして、それで政府といたしましては、タンカーの安全基準につきまして新しい基準をつくろうという国際的な動きを見定めた上で、この七四年のSOLAS条約に加入することにつきましても早期締結が望ましいわけでございますけれども、そちらの新しい安全基準、特にタンカーを中心とする安全基準をめぐる規定の改正の動きを見定めた上でということが一つの原因でございました。
○玉城委員 一つの原因ということは、またほかにも提出のおくれた理由があるということであれば、その理由も御一緒に御説明いただければ幸いと思います。
○関説明員 先ほど大臣からの高沢先生に対する御答弁の中にもございましたように、この条約の目的は、船舶の構造、設備等について統一的な規則を設定することにより海上における人命の安全を増進するということで、非常に望ましい条約でございます。できるだけ主要海運国を含む多くの国が締約国となることが必要なわけでございます。このような動向が果たして定着するかどうかということで、主として英国、米国、フランス等の主要先進海運国の動向を見定めた上で、わが国としてもこの条約に対する最終的な加入決定を行いたいということで、検討していたわけでございます。
○玉城委員 この第八条の改正に関する条文が現行の条約よりかなり長い条文に改正をされているわけでありますけれども、その改正の主な点について御説明をいただきたいと思います。
○関説明員 現行の条約、これは一九六〇年のSOLAS条約でございますが、作成された後に政府間海事協議機関、IMCOにおきまして、この条約を新たな技術発展に見合った観点から見直しが行われ、改正の努力が行われたわけでございまして、これが前後六回にわたって行われたわけでございますが、いずれも必要な締約国政府の受諾が実現しないで、その結果改正の努力が流れてしまったわけでございます。そのようなことが将来起こらないようにという見地から、特に航海の安全を確保する観点から、技術的な事項を主として規定しておりますこの附属書の第二章以下の事項につきましては、日進月歩の技術の進展、科学の発展に対応して安全基準を見直し、必要な改正を行える、それをできるだけ簡易な手続で行えるようにという見地から、改正が行われているわけでございます。
○玉城委員 これは外務省か運輸省か、その辺ちょっとお聞きになってからどちらからでもお答えいただきたいのですが、漁船関係はこの条約の対象に入っていないように伺ったわけでありますが、そういう漁船関係の国際的な安全についてはどういう状況になっているのか、御説明いただきたいと思います。
○関説明員 現在御審議をお願いしておりますSOLAS条約は五番目のSOLAS条約でございますが、この条約は、もともと外洋を航行する旅客船を対象にしている条約でございまして、漁船を入れるか入れないかにつきまして過去においていろいろ議論があったことはございますけれども、現在この五番目の、ただいま御審議をお願いしております条約に至るまで、漁船は対象から外されているわけでございます。 ただし、この漁船につきましてもやはり安全を確保する観点から、IMCOにおきましてはかなり技術的な検討、論議が行われているわけでございまして、IMCOは国連のFAOと協力いたしまして、漁船の安全、特に復元性を確保する見地からの研究を行うということで、各種のプロジェクト、努力が行われております。 国内的な対策につきましては、漁船の安全確保という見地から、船舶安全法等によりまして、旅客船及び貨物船に準じまして従来から安全対策がとられてきております。
○玉城委員 いまの御説明の中に、漁船関係の安全の確保という問題について、過去においてこの条約との関係において議論もあったということでありますが、こういう条約の中にそういう外航漁船についても入れるべきであるとか入れるべきではないとか、いろいろな御議論があったわけでしょうけれども、どういう議論があったのか、その辺を伺いたいと思います。
○関説明員 お答え申し上げます。 先ほどの私の説明をちょっと補足させていただきたいのでございますが、海上での安全確保についての規定が設けられておりますこの第五章は、漁船にも適用されるわけでございまして、IMCOで漁船を入れるか入れないかにつきましてはかなり検討が行われたわけでございますけれども、結局対象としないという結論に落ちついたわけでございまして、恐らくSOLAS条約が、そもそも例の有名なタイタニック号という大惨事の後を受けまして、旅客船の安全確保ということを主に取り上げてきたという歴史的な背景があったためにそのようなことになったのではなかろうかと推察されるわけでございます。 しかし、IMCOにおきましては漁船の安全が決して軽視されているわけでございませんで、先ほども申し上げましたように、漁船の安全、特に復元性の問題につきまして、FAOとIMCOとの間でこれまでいろいろ検討されているわけでございます。
○玉城委員 そこでこの七四年のSOLAS条約、先ほどの御説明等から日進月歩の技術革新と申しますか、そういうことで、各種の構造的な設備、そういう技術的な改善がされなくては安全確保ができない、こういうことであるようでありますけれども、現行条約の全般的な改正を伴う新しいSOLAS条約によって相当な技術的改善が要求されると思うわけですが、この条約の対象となるわが国の船舶隻数はおよそどれぐらいあるのか、その辺を伺いたいと思います。
○石井説明員 条約が適用になります船舶の数でございますが、旅客船が六隻、それから貨物船が約千七百隻でございます。
○玉城委員 客船が六隻、貨物船が千七百隻という御説明でございますが、これは技術的なことは私もよくわかりませんけれども、この条約に伴う設備改善が相当要求されるわけですね。考えられますことは、全体として金額でどれぐらいの費用がかかるのか。ちょっといきなり大変でしょうけれども。私が心配しますのは、資本力のある会社あるいは個人所有の船舶についてはそれに対応でき得ると思うわけでありますけれども、弱小の会社及び個人の所有する船舶についてこの条約が発効して適用されていろんな技術改善が要求されてきたときに、ちょっとこれは大変じゃないかなという感じもするわけですが、その辺については政府としてはどういう対応策を考えておられるのか、その辺を御説明いただきたいと思います。
○野口説明員 この一九七〇年の条約とそれから七八年の議定書によりまして船舶に対して規制の強化が行われるわけでございますが、まず第一点、小さな船主に対して相当負担がかかるのではないかという点でございますが、この条約はただいま申し上げましたような規定とか規制の強化というのはほとんどがたとえば千六百総トン以上の大型船というようなことでございまして、いわゆる弱小と言われるいま御指摘のような余り小さな船には適用にはなりませんので、その点は小さな船に対する大きな負担はないのではないかというふうに思います。 それから大型船について、それでは規定が強化された場合どの程度の負担になるのかということでございますが、ここに試算したものが一つございますが、大体十万トンクラスのタンカーに対しましてこの規制によりますイナートガス装置とかあるいは航海用具とかを含めて要求いたしますと、大体二億弱ぐらいの金がかかるという計算になってございます。船価が大体八十数億というようなことでございますから、パーセントにいたしまして二%ぐらいの負担の増加になるというような計算がございます。
○玉城委員 いずれにしても設備の改善、そういう技術改善が要求されるわけですから、それ相応の対応をしなくてはいけないわけですね。いまちょっと大型タンカーについての金額の話もありましたけれども、これは政府としては特別な融資制度とかあるいは何かそういうお考えもあるんですか。
○宮本説明員 お答えいたします。 ただいま試算が示されましたように、大きな船に対して主として適用される。しかもそれは数%の経費増になるのではないかということでございます。それはそれなりに負担増になるわけでございますから、この条約の問題につきましては、関係する海運関係の業界と政府とにおきまして調整を図って、何といっても安全の確保を図るためにはこの条約に入らなければいかぬということで、十分業界が了解しております。 なお、船舶の建造につきましては、御案内のとおり計画造船とかそういうことを行っておりまして、開発銀行からの融資あるいは一部につきましては政府の利子補給、そういうことを行っておりますので、そういう中で十分に安全措置が講ぜられるように対処してまいりたいと考えております。
○玉城委員 最後に、いまの問題と関連しまして、外国の貨客船、商船の改善のための発注といいますか、わが国におけるそういうものが予想されますか、されませんか。
○野口説明員 正確な数字はつかんでおりませんけれども、やはりこういうような改造なりあるいは新しい規制強化が行われますと、建造発注が増加すると考えております。
○玉城委員 以上です。
○志賀委員長代理 林保夫君。
○林(保)委員 一九七四年の海上人命安全条約及び同条約の議定書につきまして、若干の御質問をいたしたいと思います。 一つは、海上人命安全条約は、先ほど来御説明がありましたように、すでに発効条件が満たされ、本年五月二十五日に発効する。これを直前にいたしまして、御承知のように関係業界、海運あるいはまた海員、さらには港湾関係大騒ぎしておるような実情もございます。 言うまでもなく、このようなことがあってはならないと思うのでございますが、昭和四十九年十一月にロンドンで作成されて以来、もちろんいろいろな愚見調整そのほかあったのだろうと思うのでありますが、どうしてこのようにおくれたのか、ひとつお聞きしておきたいと思います。 技術的な面で運輸省の方から御説明いただけたらと思います。
○野口説明員 新しい規制が出てまいりますと、いろいろ経済的な負担の増加がございます。また反面、当然のことながら安全の向上があるわけでございまして、そういう面でいろいろな関係者とのすり合わせに若干時間をとられるのはやむを得ないことではなかろうかというふうに考えております。
○林(保)委員 その中で一番対立のありました日本側が困るという点はどういうところでございましょうか。議定書のタンカーの面を含めましてお答えいただきたいと思います。
○野口説明員 特にこの部分は困るということで非常に強い反対があったというところはございません。
○林(保)委員 特に困ることがなくておくれたというのは、何か行政上の怠慢みたいに聞こえるのでありますが、それはさておきまして、六〇年の条約と今回の七四年の条約、これはIMCOにおいて新技術の進歩などに適応させる目的でもって新しい条約をつくった、こういうことになっておりますが、その言われるところの新しい技術を取り入れた部分、項目だけでも結構ですから、個条読みしていただきたいと思います。
○野口説明員 新しく入りました点につきましては非常に細かいことがたくさんございますが、主要点だけ申し上げますと、一つは、レーダーとかジャイロコンパスというような航海用具の設備の強化が行われたということでございます。それから第二点は、タンカーの防火構造が非常に厳重になりまして、タンカーの甲板の上にあわを噴き出すような固定式のあわ消火装置、それからタンカーのタンクの中に不活性のガスと申しまして酸素を余り含んでないような、物が燃え広がらないようなことになるようなガスを噴き出すような装置、固定式イナートガス装置と申しておりますが、そういうものを要求するというのがこの七四年のSOLAS条約の主要な技術上の改正点でございます。 それから七八年の議定書の方でございますが、これは主としてタンカーに対する規制の強化でございまして、操舵装置、船を動かすかじというものがございますが、そのかじをとる機械に対する規制の強化、それから先ほど申し上げましたタンカーの消火関係で、七四年のSOLAS条約では十万トン以上のタンカーに要求されていたのが、この議定書ではそれを二万トン以上のタンカーに強化するというような、タンカーに対する規制の強化がございました。
○林(保)委員 こういう新しい技術ができて人命の安全を一層厳重に確保していくという、大変結構なことだと思いますが、なお各国のアンバランスもあろうかと思います。とりあえず日本ではこれらの新しい要求を完全に満たされる状態で今日採択をあれされているのかどうか、その点いかがでしょうか。
○野口説明員 こういう条約を実施しますためにはいろいろな点の整備が必要だと思いますが、まず第一点の法制の整備でございますが、これにつきましてはこの条約が発効する五月二十五日に実施する目途で関係者令の整備を進めておるところでございます。 それから実際にこれを実施するのは船舶検査官というものがおるわけでございますが、これにつきましては全国に約二百四十人の人間を配置してございまして、現に船舶検査を実施しておるわけでございます。この船舶検査官によって十分実施できる体制にございます。 それから第三点、こういう新しく規制される機器の開発が十分行われておるかどうかという点でございますが、これにつきましてはすでに十分準備されておりまして、この条約を実施するという段階になっても混乱が起こるようなことはないように措置してございます。
○林(保)委員 日本はそうでございましょうが、よその国はどういう状況でございましょうか。
○野口説明員 外国の事情が全部わかっているわけではございませんけれども、主要な先進海運国というのはこの条約に参加しておりますし、またそういう機器の開発は概して申し上げましてそういう主要な先進海運国の機械工業が供給しているというような事情にございますので、この条約が実施された場合でも各国でそう大きな混乱が起こるというふうには考えておらない次第でございます。
○林(保)委員 そのことの結果といたしまして、当然運航採算の面そのほかにも影響が出てくると思いますが、わが国の場合どういう問題があろうと運輸省はお考えになっておられますか。
○野口説明員 新しい機器を装備いたしますと、先ほど御説明申し上げましたように、試算でございますけれども、十万トンクラスのタンカーで約二億円程度のプラスということになりますので、若干の負担増にはなるかと思いますが、これは安全の問題でもございますし、海運界から特にこの問題に対して非常に困るというような反対というようなものはございません。
○林(保)委員 どうかその辺をしっかり運輸省としても指導もしていただきたいし、チェックすることも法的、行政的にぜひお願いしておきたいと思います。 先ほど来も御質問が出ておりましたが、議定書の方で、この説明書によりますと、五十三年二月十七日ロンドンにおいて作成され、これまたおくれているわけでございますが、現在未発効でございますね。署名国がここには十一カ国、締結国が五カ国となっておりますが、この発効の条件、十五カ国、五〇%と説明されておりますが、いつごろこの条件を満たす情勢になるのか、見通しをお聞きしたいと思います。
○関説明員 お答え申し上げます。 三月末日現在で七カ国が締結いたしておりまして、船腹の数は一二%に達しております。これが最近の数字でございます。 発効要件を満たすのにまだ大分差がございますけれども、政府といたしましては、この議定書ができるだけ早く発効することが望ましいという見地から、IMCO等を通じまして、できるだけ他の国にもいろいろな観点から働きかけてまいり、できるだけ早くこの議定書が発効できる見通しをつけたいというふうに考えております。
○林(保)委員 時間がございませんので先へ急ぎたいと思うのでございますが、私ども海洋国の立場といたしまして、しかも大きな船を運航している日本の国として、余りにもこういう問題をほっておいたのはどういうわけだろうかと大変疑念に思う次第でございますが、同じような形で本日も条約三件を大臣から御説明いただきまして、これから急遽討議していかなければならぬ、こういうことでございます。もちろんこれは国益にかなうことでございますので、できるだけ審議を促進し、そしてまた対外的にも日本がぎくしゃくすることのないようにぜひやるべきものはやる、こういうことで構えていかなければならぬと思いますが、現在未締結の多数国間の条約というのが一体どのくらい外務省にたまっておるのでしょうか、御説明いただければと思います。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 すでに作成されております多数国間条約の数でございますが、これは理論的に日本として入ることが可能である、入るべきであるということではございませんでその条約の形式からいって入ることが可能であるという条約の概数は、約百四十程度でございます。そのうちの約半分がILO関係の条約でございます。この件数につきまして見直しをやっておるわけでございますが、そのうちの約六十件につきましてはわが国として入ることを検討する必要はないのではないかと一応考えておりますので、今後検討を続けていかなくてはならないのが約八十件でございます。 〔志賀委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、この八十件につきましてすべてわが国として加入、締結すべきものということではございませんが、一応締結する可能性を検討していくべきものというのは約八十件でございます。
○林(保)委員 もちろん一応条約を結びましても、これを批准、採択しない方がいいというようなものも国益上あろうかと思いますが、八十件の主なものはどんなものなんでございましょうか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 八十件のうち約半分がILO関係でございます。そのほかの案件といたしましては、たとえば人権関係でございますと難民条約でございますとか、昨年末採択されました婦人差別の撤廃条約でございますとか、国際法規関係では条約法条約でございますとか、領事関係ウィーン条約、それから宇宙関係の条約が三件ございます。海事関係では、先ほども御議論がございました定期船同盟行動条約がございます。郵便関係で万国郵便連合関係の条約が昨年採択されております。例示いたしますれば以上のようなものでございます。
○林(保)委員 私も実は資料をちょうだいしておりますが、なお詳細いろいろ見せていただいた結果、先ほども申し上げましたように、やはり国益上やらぬでもいいじゃないかというようなものもあることもわかると思いますし、また御説明によりますと古いものの後に新しいものが出てきて意味のなくなったものとか、いろいろなカテゴリーに分かれると思います。しかし、日本が国際社会の中において外圧を余り受けないで自立的な外交努力をしていくことが日本にとって大事だということであれば、なお国内的な問題でこれをいつまでもほっておけない、このようにも考えられます。 したがいまして、委員長にひとつお願いしたいのでございますが、それがどういうふうになっておりますか、一応条約、協定、そのほかの資料をさっき御説明のありました百四十件、そしてまたそのうち八十件はぜひ早くやらなければならぬという、このような御意見であったかと思いますが、御説明を後の機会にひとつぜひお願いすることを要望しておきたいと思います。
○中尾委員長 わかりました。
○林(保)委員 これにつきまして最後に大臣に、これからどのようにしてこれらの条約、案件に対して対処していかれるのか、通常国会も五月十八日までの時日になっておりますが、なお先ほど来皆さんと一緒に勉強させていただきましたABCDグループのうちCグループが残っておりますし、Dグループも本日御提起になって残っておりますが、御所見と、それをどうするかということを承って、私の質問を終わりたいと思います。
○大来国務大臣 ただいまの御質問と事務当局の御返事の中で、まだ非常にたくさんの条約等が残っておるわけでございますが、今回の国会は従来に例を見ない、もし順調にまいりますと四十三の条約を御承認いただけるということで、外務省としても非常に喜んでおるわけでございますが、一つには昨年余り審議が順調にいかなかった積み残しというのもございまして、そういうことでわれわれとしてはできるだけ御審議をお願いしまして、まだ審議の終わっておらないものを今後も片づけてまいりたいと考えておるわけでございます。
○林(保)委員 多いことがいいばかりじゃございませんけれども、なおやはり審議期間を十分置いていただいて、ぴっちり詰めるところは詰めさせていただくよう要望いたしまして、本日は終わりたいと思います。ありがとうございました。
○中尾委員長 ただいま議題となっております七件中、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約の締結について承認を求めるの件及び千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書の締結について承認を求めるの件の両件の質疑はこれにて終了いたしました。
○中尾委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 両件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中尾委員長 起立総員。よって、両件は承認すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○中尾委員長 午後二時三十分委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時三十七分休憩 ――――◇――――― 午後二時五十三分開議
○中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 国際情勢に関する件につきまして調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
○高沢委員 大臣、また総理と一緒に訪米される、そのことに関連してきょうはお尋ねをいたしたいと思います。 これはけさの朝日新聞の朝刊が伝えていることでありますが、アメリカの上院議員の人たちが連名によって、日本に対する要望、こういう手紙を総理のもとへ届けられた、こういうことが報道されております。これはワシントンの方からの通信で載っているわけでありますが、こういう手紙が届いたということの事実の関係、まず、そういう事実が確認されるかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
○大来国務大臣 パーシー議員ほか三十七名の上院議員からの総理あての手紙が参りましたことは事実でございます。
○高沢委員 従来、たとえば日本の総理大臣が訪米して首脳会談をされるのに対して、アメリカの議会側からこうしたまとまった形の手紙による要望というふうなものが来る、こういうふうなことは前例としてあったでございましょうか、いかがでしょうか。
○大来国務大臣 特になかったように存じます。
○高沢委員 そういたしますと、これはいわば一種の異例な措置をアメリカの議会としてもとられた。まあ議会というよりは、これは議会の議員の人たちですね。そういういままでになかった異例の措置をとられた、こういうことになると思います。 そうすると、この手紙の中に書かれている内容の問題になってきますが、非常に強い日本に対する要望である、こういうふうにこれは受けとめるべきだと思いますが、内容論に入ります前に、そうした認識を、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○大来国務大臣 一部新聞の報道には、その書簡に全然書かれていないことが幾つか出ております点はございます。それから全体のトーンは、日本に対してかなり日本の事情を理解しておるという調子であるように存じます。
○高沢委員 この手紙は、アメリカ側の事情としてはどうでしょうか、カーター大統領、それと議会、こういう向こうの行政の代表としての大統領、それから議会、この間において、一種の合意というか協議というか、というようなものに基づいたもの、こう受け取っていいのかどうか、その辺の御判断はいかがでしょうか。
○大来国務大臣 米国におきましても、議会と行政府の間で常時いろいろな話し合いが行われておると思いますが、特に相談してこういう書簡を出したというふうには受け取っておらないわけでございます。
○高沢委員 それでは、内容はこういうことがあった、ごう新聞に報道されております。今度はその内容の問題に入ってまいりたいと思います。 けさのその朝日新聞の報道によれば、第一は、日本の対潜能力、潜水艦に対する能力を強化して、日本の近海の海峡封鎖のための機雷敷設能力を向上するように、こういうこと。第二には、親米的なペルシャ湾岸の諸国に対して日本の経済援助を行うように、こういうこと。第三には、アメリカがソ連に対して輸出停止をして宙に浮いたアメリカの穀物を日本がもっと買い入れるように、こういうこと。それから第四には、カンボジアの難民向けに十万トンの米を無償援助してほしい、こういうこと。こういうふうな内容がこの書簡の中には含まれていたというふうに伝えられておりますが、内容の点ではこういうふうなことであったのかどうか、これをお尋ねをしたいと思います。
○大来国務大臣 内容につきましては、わが国の防衛努力の増強とわが国の対外経済協力の拡大、それから難民に対する援助の継続及び増加等についての議会の方の意見を伝えてまいったものと判断いたしておりますが、ただ、いま御指摘がありました項目の中で対潜能力及び海峡封鎖のための機雷敷設能力の向上、ソマリア、ケニア、オーマン等ペルシャ湾沿岸諸国への援助、これは全然書かれておりませんので、これは新聞の誤報だと思います。
○高沢委員 じゃ、誤報と思われる点は後へ回しましょう。 そうすると、そのほかの対ソ禁輸で浮いた穀物をもっと日本が買ってくれ、じゃこれはあったと見ていいわけでしょうか。それからまた、カンボジアの難民に対する無償の十万トンの米の援助、こういうものをやってくれというのも書簡の中にはあったというふうに受けとめてよろしいでしょうか。
○大来国務大臣 ただいま御指摘の点は、あったとお考えいただいて結構です。
○高沢委員 それから、大臣の承知されるところでは、そのほかに何か内容にさらにこういうポイントがあったということがございましょうか。ありましたらひとつ教えていただきたいと思います。
○大来国務大臣 いますでに高沢委員から御指摘があったことでもう大体尽きるわけでございますが、イラン人質解放のために日本が行っている努力への謝意表明というようなことは一般的にはございます。 それから、先ほど御指摘の中のインドシナ難民への援助、これと十万トンの余剰米、ユニセフに対する援助の増大、米国穀物の買い付け増加、それらは大体御指摘のとおりでございます。
○高沢委員 この上院議員三十五人余に上る人たちの手紙が、必ずしもカーター大統領との協議によってなされたものでもないようだ、こういうお話でありますが、しかし、こういうことがすでに報道されている以上、あるいはもちろんアメリカでも当然そういうことはもう周知のことになっていると思いますが、そうすると、これは今度の大平総理、大来外務大臣のアメリカへ行かれた際の会談の中のテーマにどうしても上がってくる、私はやはりこう見るべきだと思いますが、そういたしますと、アメリカの対ソ禁輸で浮いた穀物をもっと日本が買うようにということに対して、これは今度は日本の農業問題とも大変関連がしてくるわけです。先般の東京サミットの条約の審議の中でも、特に日本の農業との関連でそういう問題の議論も行われましたが、これには大臣あるいはまた総理としてどういうふうに対応されるお考えか。まあ、これから行って会談をすることだから余り内容は言えませんというふうなことではなくて、ひとつできるだけ具体的に御説明をいただきたい、こう思います。
○大来国務大臣 パーシー議員その他三十七名、議会からの手紙でございまして、ここに挙がっている項目を大統領が取り上げるかどうかはわからないと存じます。ただ、総理の上院及び下院議員との懇談が五月一日の午前中に予定されておりますので、特に上院との懇談の場合には、この書簡に含まれたような問題が取り上げられる可能性は大きいかと存じます。 それから食糧の買い付けにつきましては、対ソ穀物千七百万トンをストップするという措置がとられたわけでありますが、日本としてはこれまでに二十万ないし三十万トンの買い付けを考えておるということで、三月に私がワシントンに参りましたときに先方にその意向を伝えたわけでございますが、当面それ以上にということについては、政府内部ではいまのところ考えておらないわけでございます。ただ、そういう買い付けを控えた中にトウモロコシがかなり多いわけでございますから、トウモロコシはえさとして使われるわけで、日本の国内の農業生産と直接競合する関係には余りならないのではないか。むしろ、いろいろ不安定な世界情勢のもとで、日本の国内備蓄もある程度ふえることが望ましい事情もあるかもしれないということでございますので、これは今後まだ検討すべき余地があるかとは思います炉、当面、いまの二十数万トンを超えてという計画はございません。
○高沢委員 そういたしますと、そういう点われわれの気持ちといたしましては、特にアメリカと日本との第二次大戦後のいろんな関係の中において、ややともするとアメリカから言われることは御無理ごもっともというふうな形できたことが非常に多かったわけでありまして、自主外交という立場に立てば、相手に対してはっきりノーと言うべきことは言うべきだ、こういう立場でありますが、いまのお話によれば、穀物の関係でも、二十万トンそこらの日本として必要な枠を超えての要求がもしあった場合には、それははっきりノーと言うというお立場だと私は考えますし、またノーと言うべきものははっきり言ってもらいたい、こう考えるわけですが、それでよろしいでしょうか。
○大来国務大臣 それはそこまで具体的な話になるかどうかはいまのところわかりませんが、ただ、日本の食糧、穀物輸入の七割ぐらいが対米依存になっておりまして、日本の食糧の安全保障という見地から言えば、逆にアメリカの対日供給を保証といいますか、確実にやってもらいたいという面も一面ございますので、これは日本の国内の備蓄状況、需給状況、あるいは農業に対する影響等を考慮して、日本自身のために役立つというような面があれば、そういう場合には考慮してもよろしいのではないかと存じます。
○高沢委員 その問題と関連いたしまして、むしろその前提として、私は、もし日米関係が本当にパートナーという関係であるとすれば、アメリカに対して忠告すべきことははっきり忠告するということが必要だと思います。 そうすると、穀物の輸出を一つの外交上の武器に使うというようなやり方は、まずそれ自体決して公正なやり方ではありませんし、同時に、いま対ソ制裁措置にこれをアメリカはやっているわけですが、効果があるかないかといえば効果がないという評価もあるわけであって、効果がないとすると、今度は輸出を禁止したその分だけ自分が滞貨になった農産物を抱え込んでそのために大きなマイナスを受けるというようなことにもなるわけであって、そういう点はむしろこちらの方から、総理なりあるいは外務大臣の方から、まあ皆さんから見ればまだカーターという人は政治的に余り練達な人とも思われませんので、そういう人には十分よく教えてやる、そういうことはおやめになった方がいいということをよく忠告するという立場も必要ではないかと思いますが、これはいかがでしょうか。
○大来国務大臣 まあ問題にもよると思いますが、たとえば対イランに武力行使というようなことについてはぜひとも自制をしていただきたいというようなことは申し上げる必要があるかと思いますが、対ソの食糧禁輸問題について日本としてどこまで、いまのお話のような立場で意見が言えるかどうか、多少疑問に感ずるわけでございます。つまり、そもそもアフガンへの武力介入ということが依然として続いておりますし、むしろ兵力増強ということも伝えられておる状況のもとでございますので、いまの点については私どもからそういう形で申し上げるのが適当かどうか、ちょっとその辺は疑わしく思っておるわけでございます。
○高沢委員 これは私の考えとして申し上げたわけでありますが、そういうふうなことをこれからは特に対アメリカの関係でははっきり言うことは言うということが必要ではないか、こういうことで申し上げたわけであります。 今回ヨーロッパの外相理事会へ行っていらっしゃった。私の理解するところでは、ヨーロッパの国々の、やはりアメリカとの同盟の関係とか友人の関係にあるというふうな関係にあって、協力する点はする、しかしまた言うことは言うという点、その点においてはヨーロッパの国々はかなり割り切っているんじゃないのか、こう思います。そういう点においては日本も少なくもヨーロッパの国々の程度までは言うべきことは言う、こういう対米関係を持つべきではないか、私はこういう気持ちでいまのことを申し上げたわけでありますが、これは認識の問題ということもありましょうけれども、ともかく食糧というふうな重要な問題、農産物というふうなものを武器に使うということはやはり国際的な原則としてはやめるべきだ、こういうふうに私は思うということを申し上げたいと思います。 その次に、カンボジアの難民に対する米(こめ)の援助が書簡の中に出ているわけですが、これはカンボジア難民の実態論ということにもかなり関連するのですが、これも報道によるところですが、タイとカンボジアの国境の周辺地帯にカンボジアからずっと難民が出てきておる、キャンプができておる。そこへいろいろな援助の物資が、日本も含めて世界の各国から行っている。ところが、カンボジア難民の中にかつての自由クメールの勢力であるとかあるいはポル・ポト軍の勢力であるとか、そういうカンボジア側のいろいろな勢力の中の対立がそこに絡んできて、本来難民のための援助ということで行くそういう物資や資金なりというものの争奪戦が行われておるというふうなことも報道されているわけであります。そういうことになりますと、難民援助というものはまた別な性格を持つようなことにもなってくるわけですが、そういう実態というものはどういうふうに認識をされているのか、ひとつお尋ねをしたいと思います。
○大来国務大臣 ただいま御指摘のようなうわさは耳にしておるわけでございますけれども、ただ現実に難民がおるわけでございますし、またカンボジア内の食糧事情も非常に悪いということで、国際的にユニセフ、FAO等を通しての援助が行われておるわけでございまして、そういううわさがあるから援助しないのだという立場もなかなかとりにくいかと考えます。
○高沢委員 それと、いま実態として、カンボジアの難民に対するそうした援助というのは、つまりタイにあるそういうところへ送る送り方と、それから、いまのヘン・サムリンの政権のもとにあるカンボジアの民衆もこれまたがってのポル・ポト政権のために大変な被害を受けた、こういう難民である性格は同じようにあるわけですが、そういう方面に対する緊急的な食糧なり医薬品なりがそういうルートを通じて行っているのかどうか。これは日本の物というだけではなくて、たとえば国連の物とかも含めてそういう援助の実態というのはどうなっているのか、それを御説明願いたいと思います。
○大来国務大臣 国連の援助の中には、プノンペンを通じてヘン・サムリン、ベトナム軍という支配地域に対して渡されている援助もあると承知しております。それが十分に本当に食糧不足の人たちに届いているかどうかということについても、多少いろいろ情報もあるようでございますが、しかし、この方も難民救済の一部として国際的な援助が行われているわけでございます。
○高沢委員 そうすると、いまの外務大臣の御説明のプノンペンのもとにおけるそういう方へ、わが国からの何かというのは行っているのでしょうか、どうでしょうか。
○坂本説明員 御説明いたします。 行っております。
○高沢委員 どういうものが、どういう程度に行っているでしょうか。
○坂本説明員 日本の余剰米がまずカンボジア領内の方に行っております。それから、WFP、世界食糧計画を通じますかん詰めの一部がやはりカンボジア領内に行っておると了承しております。
○高沢委員 ここで難民問題とは多少ずれて、結局カンボジアの政権の関係のことに若干触れてくるわけでありますが、これはいずれ将来、必ずそういう問題が出てくることとして、この機会にお尋ねをしておきたいと思うのです。 最近、新聞などの報道、日本のジャーナリズムの特派員が行った報道とかあるいは外国のジャーナリズムの報道等々で、最近の報道によれば、かなりプノンペンのヘン・サムリンの政権も、通貨の発行を行う、それが次第に国民生活の中に定着をしてきているとか、あるいはプノンペンの町やその他のそういうところにおける通常の市民生活のルールが次第に回復をしてきているとか等々のことが伝えられております。そういう点において、いわゆるポル・ポトの政権の関係とヘン・サムリンの政権の関係と、実際上カンボジアにはいま政権と称するものは二つある、こういう状態になっているわけですが、その二つの実態的な支配関係というものが、私が見るところでは、次第にヘン・サムリンの政権の支配関係というものが、そのよしあしの評価は別として、実態的に次第に安定するというか定着するというか、という方向へ向かいつつあるんではないのか、こう私は実は考えております。それに対してポル・ポト政権と呼ばれるものは、確かにタイとの国境に近い地帯の山岳地帯というのかジャングルというのか、そういうところにまだいるということではあるけれども、これがカンボジアの全体の支配政権に戻るという可能性があるかどうかと言えば、私はそういう可能性はもう全くない、こういうふうに考えるわけでありますが、その承認関係がどうかということまでまだ行きませんけれども、二つあると言われる政権の、実際のカンボジアにおける有効な統治という関係においては、わが国外務省はどういう認識を持っておられるか、また、それの将来への展望という点も含めてどういう認識を持っておられるか、この機会にお聞きしたいと思います。
○三宅政府委員 お答えいたします。 実はわれわれ、直接現地の情勢を把握する立場にないものでございますが、諸般の情報――これも情報によりましていろいろとまちまちでございまして、私の申し上げるのは、そういう情報は多いということしか、われわれとして有権的に判断する立場にないわけでございます。 まず第一点でございますが、いわゆるプノンペンの状況というものは、特に食糧事情を含めまして従来よりはよくなってきているというのが国際機関その他の皆さんの情報でございます。通貨の発行も近く行うのではないかということで準備しておるということも聞いております。片や民主カンボジアの勢力は、依然として、単なるタイ国境のみならず東北部の方にも展開しておりまして、ゲリラ活動、戦闘を続けているという状況でございます。結論から申しますならば、両方とも有効な支配をしていないというのが現実ではなかろうかと思います。 そこで第二の点でございますが、将来の展望でございます。われわれとしてもなかなか断定的に申しにくいことでございますが、一つは、事実といたしまして、プノンペンにおけるいわゆるヘン・サムリン政権の方の支持も高まっていると一概に言えないということも多く言われておりますし、またいわゆる民主カンボジア、ポル・ポト政権側のゲリラ戦も決してじり貧にはなっていない。まして雨季に入りますとますます戦闘状態が硬直化する、ある程度停滞するわけでございますので、当分現在のような状況が続いていくというのが一般的な見方でございます。
○高沢委員 いまの点に関連いたしますが、先般この外務委員会で日比郵便小包約定の審議がありまして、その際、いまわが国で、万国郵便連盟に加盟している国であって郵便小包の取り扱いを停止している国はどこかと聞いたら、カンボジアに対しては郵便小包の取り扱いを停止している、こういう答えでした。しかし、それを再開するめどというものはどうかと聞いたところが、ベトナムを通じてプノンペンの当局に対して小包取り扱いの再開の可能性を打診しておるという郵政当局のお答えがあったわけです。行政実務という面においてそういう動きもすでにある。これは全く実務的なものだと思うわけですが、そういうふうに見ますと、私としては、実際上カンボジアの民衆との関係をわが国としてつけようとすれば、そういう方向というものが結局今後の方向になるのじゃないかと考えるわけです。 いまの三宅さんのお答えでは、まだそこまでの評価は出さずにきょうのところは終わろうというお考えのようでありますが、もう一度、その点については大臣の御判断をひとつ聞かせていただきたいと考えるわけです。
○大来国務大臣 大体事務当局から御報告申し上げたような情勢がございます。やや膠着状況。それから、周りの国のASEAN諸国は、現在一致してヘン・サムリン政権を認めることに反対しておるわけでございます。あの辺の、インドシナ半島からASEAN全般の情勢をしばらく注意深く見ていくというのがいまの段階ではないかと考えております。
○高沢委員 それは確かに、ウォッチ・アンド・ウエイトですか、それもそれでいいと思いますが、私の親しい、外交問題を非常に研究している人がいるのですが、その人から、最近ASEAN諸国とベトナム、あるいはASEAN諸国とカンボジアのプノンペン政権、その間にかなり対話というか事態打開の動きが兆し始めてきているのじゃないかというような評価を聞いたのです。今度タイの新しい内閣ができましたね。その新しい総理大臣の対ベトナムのそうしたアプローチもあるやに伝えられておるということを、私、聞いております。 そういたしますと、ウエイト・アンド・シーという段階においても、その中で一つの方向を見ておくということは、わが国外務省としては当然必要な観点ではないかと思うわけですが、そういうASEAN諸国の動きがいまや兆しつつあるという評価に対してどういう判断をお持ちか、重ねて聞かせていただきたいと思います。
○三宅政府委員 お答えします。 一つは、ASEAN諸国とベトナムとの関係でございますが、先生御指摘のように、たとえばグェン・コ・タック外務大臣が近く、多分五月の上旬だと思いますが、タイを訪問する、その後マレーシアに行く、場合によってはそれ以外のASEANの国を訪問する。それから、これは情報でございますが、ファン・バン・ドン首相がタイを訪問するという情報もございます。前のクリアンサク内閣もそうでございますが、やはりベトナムとの対話を維持したいということで、この点につきましては現在のプレム内閣も前のクリアンサク内閣も変わっておりません。それから、前にマレーシアの外務大臣がベトナムを訪問していろいろな対話を進めたという点におきましても、これまた変わっておりません。ただ、最近、より対話を促進しようという実際の場が、この五月から六月にかけてふえてくるということは事実でございます。 第二点の、いわゆるヘン・サムリンとの関係につきましては、ASEANとしては現在態度を全く変えていない。すなわち、外国軍隊の撤退がすべての問題のかぎである、カンボジア問題はカンボジア人の手でみずから解決すべきであるという基本的な線におきましては、この前のASEAN・EC共同声明にも明確に出ておりますが、この点につきましてASEANの態度は変わっていない、そう私たちは承知しております。
○高沢委員 もう土井委員と交代をいたしますが、最後に一つ。 ベトナム日本友好協会という団体がベトナム側にありますが、それの会長をしているチャン・ザイン・トゥエンという人が団長のベトナムの代表団が先般日本へ参りまして、私たちは、こちらでは日本ベトナム友好議員連盟というものをやっておりますのでお会いしたわけです。その関連でお尋ねしたいのは、昭和五十四年度の日本からベトナムへの援助の約束がなされていて、これはまだ実施されていない、保留されている、こういう経過があります。この援助の実施は、どういう状態になったら、どういうタイミングになったら、あるいはどういう条件になったら、そういう展望をこの機会にお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○三宅政府委員 御承知のように、昨年度のべトナム援助につきましては、一昨年グエン・ズイ・チン外務大臣が来ましたときに意図表明をしております。しかしながら、諸般の国際情勢、特にインドシナ情勢というものを総合的に考えまして、援助を続けるという基本方針は変えておりませんけれども、実際の執行のタイミングは、われわれとしては慎重に判断しているということでございます。 しからば、いかなる条件で、いかなるタイミングでということでございますが、私たちといたしましては、インドシナ情勢を中心とする諸般の情勢を総合的に検討いたしまして、やるという基本方針は変えませんけれども、執行のタイミングにつきましては、諸般の状況を見ながら慎重に検討していくということでございまして、具体的に、では、いつとか、どういう条件とかというのは、われわれとしては総合的に考えておるものでございますから、その点まではこの場で申し上げられないということでございますので、御了承いただきたいと思います。
○高沢委員 あとは土井委員と交代をいたしたいと思います。
○中尾委員長 土井たか子君。
○土井委員 先ほど同僚の高沢議員の方から、先日米議会の有力議員が連名で大平総理並びに大来外務大臣の訪米に先立って届けられた日本への要望について、確認をされたようでございますが、その中で、新聞のそれは報道の誤報であったというふうにここの御答弁の中でお出しになった部分、すなわちそれは、一つは日本の対潜能力、日本近海の海峡封鎖のための機雷敷設能力の向上という問題や、またペルシャ湾岸諸国への経済援助についてこれを求めるというふうな内容などが、実は要望の中にはなかったということがきっぱり言い切れるような文面になっているのかどうか、さっぱりその文面自身がわかりませんので、もう一度そのあたりを確認させていただきたいと思うのですが、何らかそれに触れて書かれているような内容の部分というのは全くないわけでございますか。それとも、考えてみればそういうふうに考えられるというふうな向きでの表現がその内容としてあったのかなかったのか、この辺いかがなんでございますか。
○栗山説明員 書簡の細部にわたる御質問でございますので、私からお答えさせていただきます。 防衛問題につきましては、パーシー議員等の書簡は、一般的に日本の憲法上の制約というものを超えた日本の防衛上の役割りというものを要請するものではないということを基本的に断りながら、先般外務大臣がワシントンに行かれましたときにブラウン長官から話がありました、日本の防衛努力の着実、顕著な増大という要請について自分たちもこれを支持したい、こういう趣旨のことを申しております。したがいまして、いかなる点から見ましても、先ほど先生御質問ありましたような海峡封鎖でありますとか機雷でありますとか、そういう言及は文字どおり一切ございません。 それから他方、経済協力につきましても、一般的に日本の経済協力、援助の増強というものを期待しておるということを述べておるにとどまりまして、先ほどおっしゃいましたような特定の地域につきましての援助をふやしてくれというような言及は一切ございません。
○土井委員 それは文書としてこちらに参ったわけですね。しかも、向こうの議会筋だけの話ではなくて、米大使館を通じてこちらに届けられるというかっこうになったわけですね。そしてしかも、伝えられるところによりますと、議会筋が申し入れられる要望の内容に対しては、アメリカ政府当局もこれについては御承認をなすっていらっしゃるというふうなことも伝えられているわけですね。したがいまして、そういうことからすると、政府とそして議会が一体となって日本に対してこういう要望の向きを伝えられているというふうにも理解できるわけでありますが、この辺の認識はどのように持っていらっしゃいますか。
○栗山説明員 この書簡を総理に対して発出するにつきまして、パーシー議員等がアメリカの行政府とどのようにあらかじめ相談したかということにつきましてはつまびらかにしておりません。私ども承知しておりません。 ただ、先ほど大臣からもお話がありましたように、当然のことながら、立法府あるいは個々の議員とアメリカの行政府との間は常日ごろからいろいろ意見交換の機会場があろうかと思いますので、そういう機会にいろいろ自分たちの考え方について行政府に話をしたというようなことは、これはあろうかと思いますが、いずれにしましても、今回の総理あての書簡につきまして議員連がどのように行政府と相談したかということについては、承知しておりません。
○土井委員 ただしかし、現実の問題として、アメリカの大使館を通じて届けられたというふうなことは事実でございますか。いかがなんです。
○栗山説明員 外交経路を通じまして、ここの在京米大使館から届けられたものであります。
○土井委員 そうすると、これは常識的に判断をいたしまして、米議会と政府が共同で日本に対してこういう要望を親書の形で持ってこられたというふうに理解することができるわけですが、この点は外務大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○大来国務大臣 その書簡を届けるルートとして外交チャネルを利用することもあり得るわけでございまして、必ずしも大使館を通じてきたから議会と行政府が完全に内容を検討して一致して出してきたということでもないと思います。大きな筋としては、先ほど申しましたように、議会と行政府の対話が常に行われておるわけでございますから、議会の方も行政府の考えを大体承知の上で出したのだろうと思いますけれども、今回の場合に特に両者が打ち合わせして出したかどうかはわからないわけでございます。
○土井委員 そうすると、この親書の内容はどのように大臣は受けとめていらっしゃるわけでありますか。純粋に、ここに名前を連ねておられるアメリカ議会の有力議員のアメリカ側から日本に対する要望事項であるというふうに理解をされているわけですか。
○大来国務大臣 そのように理解しております。
○土井委員 しかし、形式が親書の形なんですね。そうすると、本来はこういうふうな親書の形で出されますと、これに対しての返書が必要だろうというふうに考えられるのですが、今回は総理と外務大臣がアメリカにいらっしゃるわけですから、その節文書によるのか口頭によるのかはいずれとして、やはりこれに対する返事というふうな意味での話し合いを具体的になさるというかっこうに当然なっていこうと思うのですが、この辺はいかがでございますか。
○大来国務大臣 先ほども申し上げたことですけれども、五月一日のワシントンの日程の中に、上院と下院の議員とそれぞれ別個に大平総理の懇談の機会がございますので、それも一つの場かと考えます。
○土井委員 そういたしますと、今回のは文書化されているものとしては、その意図、含められているところ、これは具体化されていないということになるかもしれませんけれども、しかしながら、先ほど来確認をいたしましたところ、そういう向きのことは文章の上ではないと言われている部分、つまり日本の対潜能力であるとか、日本近海の封鎖のための機雷敷設ということに対してその能力を向上させるべく、向こうからそういう要望事項というのが具体的な話し合いの中で出てくる可能性は十分にあるというふうに考えておいていいんじゃないかと思うのですね。 そういう話し合いの中で、少なくとも防衛上の日本の役割りというのは、憲法上の制約があるからそれを超えることはないということを十分理解するというふうな前提でもって向こうは今回この要望の中身を持ってこられているようであります。 そうといたしますと、わが国といたしましては、この海峡封鎖の問題は、先ごろ私が当委員会で質問いたしました節にも伊達条約局長の方から、専守防衛ということがわが国としては考えられなければならないから、攻撃を受けたというふうなときに対してこの問題は考えられるわけであって、専守防衛という立場からすると、平時においてはこういう問題に対してとやかく言う問題ではないというふうな向きの御答弁があったわけです。再度そこで私はこのことについて確認をさせておいていただきたいということなんです。 わが国として、海上封鎖の問題は、専守防衛という立場からすると、わが国が何も攻撃を受けていないのに、何事も起こっていないときに、ただアメリカの戦略のために機雷を敷設するなんということは全くないということをひとつ確認させておいていただきたいと思いますが、大臣、この点はよろしゅうございますね。
○大来国務大臣 条約の解釈の問題でもございますから、まず条約局長から説明をさせます。
○土井委員 私は条約の解釈を尋ねているんじゃないんですよ。三つの海峡というのはわが国の海峡なんですよ。これについての問題をいま私は大臣にお尋ねしているんですから、条約解釈じゃないですよ。
○大来国務大臣 日本の自衛隊は、憲法上も、自衛隊法から言っても、領土、領海の武力攻撃を受けた場合にしか動かないわけでございますから、いまの点は、自衛隊がそういうことをやるということは、攻撃を受けた場合以外はできないと考えております。
○土井委員 三つの海峡というのは、日本がこの海峡封鎖をやるかどうかという問題なんであって、しかも日本という国は御承知のとおりに平和憲法を持っている国でありますから、アメリカからその憲法の制約下にあるということを十分承知しているという旨の今回の要望であるならば、こういう話し合いが出た節、日本としては日本の立傷から、何事も起こっていないときに、わが国が攻撃を受けていないのにこの海上封鎖に対して協力をするということはできないということを、きっぱり言わなければならないと私は思うのです。 こういうことを大臣、ひとつ確定的な問題として承ってよろしゅうございますね。
○大来国務大臣 状況はいろいろな場合があり得るわけで、日本の自衛隊が攻撃を受けてないのに武力を行使するということはできないと思いますけれども、その具体的なケースはやはりいろいろ検討する必要があると思います。
○土井委員 どうも外務大臣というのはおかしい御答弁をなさるんですね。自衛隊、自衛隊とおっしゃいますが、文民統制というのをどう考えていらっしゃるんですか。これについては外務大臣に大変な責任がありますよ。このことについてはきっぱりおっしゃることが大切な問題だと私は思うのです。もう一度外務大臣、御答弁ください。――後の方からいろいろと、こちらが聞いている答弁に先立って邪魔をしないでくださいよ。大臣、どうですか。
○大来国務大臣 いまのお尋ねが機雷の問題であれば、先ほどお答えしたことになるわけでございますし、文民統制ということは、従来から基本的な方向として自衛隊の問題についてもとられてきておる政策で、それには変化がないと考えております。
○土井委員 変化がないで済まないのです。アメリカ側からこういう向きのことが言われたときには、外務大臣としてはきっぱりとおっしゃってくださらなければ困るのです。従来とは変わりはないとか、いろいろな場合を想定しなければいけないけれども自衛隊はまさかそういうことはやらないだろうとか、そんな頼りないような物の言い方はやめていただきたい。こういうことはきっぱりおっしゃることが私は大切だと思うのです。日本の国益を考えていただきたいと思います。大臣、よろしゅうございますか。はっきりしてください。
○大来国務大臣 この問題は、安全保障特別委員会もございまして、あした朝から夕方までいろいろ御審議もあるわけでございますし……
○土井委員 外務大臣は外務委員会では答えられないが、よその委員会に行って言おうというおつもりですか。いまここで質問していることに対してきっぱりお答えくださいよ。まず外務大臣は外務委員会を尊重していただかなければ困ります。いつもその態度なんです、外務大臣は。
○大来国務大臣 いま申し上げましたのは、問題の性質が防衛の内容に関する問題がございますので、本日は外務省の者だけしか出ておりませんので、この場で……
○土井委員 外務大臣、何をおっしゃっているのですか。安保条約というのは当外務委員会において主なる、大変重要な案件ですよ。事、防衛問題です、これ自身。防衛関係の人が出てなければこのことについては答えられないとおっしゃるのですか。そんなばかな話があっていいものでしょうか。これはやはり外務大臣の権限の内容ですよ。外務大臣としてどうお考えになるかということが非常にこのことを左右するのです。しっかり責任を持ってお答えください。
○大来国務大臣 先ほど申し上げましたように、日本の自衛隊が出動するのは、日本の領土、領海を武力攻撃を受けた場合に限る、そういうふうにはっきり申し上げておるわけでございます。
○土井委員 それではまだ私の質問に対してのきっぱりしたお答えにはなってないのです。したがいまして、わが国が攻撃を見ていないのに、何事も起こっていないときに、ただアメリカの要求や戦略のために機雷を敷設することはないということを確認しておきたいと言っているんですよ。このことは確認させていただいてよろしゅうございますね。
○大来国務大臣 何事も起こっていないときにはやることはないと思います。
○土井委員 先ほど経済援助の問題に対して一般的な表現しかここには述べていないというふうなことを御答弁の中でおっしゃいましたが、さて、いろいろ話し合いの中で恐らくアメリカ側が非常に気にしているであろうと思われるペルシャ湾周辺の地域、これを考えてまいりますと、特に経済援助の中でも気になる地域がここにあるわけでございます。日本はソマリアというところに対して経済援助をいままでやってきておりますか、どうでございますか。
○坂本説明員 お答えいたします。 ソマリアに対しましては、若干の技術協力を除きましては、経済技術協力はやっておりません。
○土井委員 これはいまからやるというおつもりがおありになるのですか、どうなんですか。
○坂本説明員 先般、ソマリアの外務大臣が日本に参りまして、その際に難民救済関係の援助をしてもらいたいという話がございましたけれども、その時点におきましては若干むずかしい問題もございましたが、現在われわれとしては難民という援助から具体的に検討を開始しております。
○土井委員 ただ、今回伝えられるところによりますと、大変気にかかることは、アメリカはソマリアに対して基地を設置するということをいろいろ打診を進められる中で、アメリカの経済援助が少ないからこの地において基地を持つことができ得ないというふうな実情も動いていっているようでございます。したがいまして、そういうことからすると、少なくとも日本に対してソマリアへの経済援助というものをアメリカ側が要求するときには、やはりアメリカの基地をこのソマリアにおいて持ち得るか持ち得ないかというふうなことに、非常に客観的に見た場合に、かかわり合いが出てくるという可能性が十分に考えられるわけであります。 日本が経済援助をやるのは、やはり独自の立場で考えてやるべきであって、アメリカの肩がわりやアメリカのいろいろな要求を受けた形でこういうことに対していろいろ進めるということは決して好ましい姿、形ではない、これは言うまでもない話でありますが。特にソマリアを初めとするこの地域はいつ何どき反米ということにならないという保証はございません。そうなってまいりますと、日本が、今回アメリカ側がこういう問題を持ってくることに対して受けたような形で援助を開始するということは、決してよろしくないという結果も考えておいていい問題をはらんでいると私は思うわけであります。 この地域に対しての経済援助に対して、大臣、どういうふうなお考えをいまお持ちになっていらっしゃいますか。
○大来国務大臣 ただいま援助は技術援助しかやっておりませんので、今後の問題については、これはこの前ハートリングという国連難民高等弁務官が来ましたときに、アフリカの難民ということとの関連でも触れておったわけでありますが、目下のところは、それ以上のことは考えておらないわけでございます。
○土井委員 アメリカから、いま申し上げたようなことが客観的に考えられるような時期にこういうことに対しての要求を受けて、そういう上での援助と思われるような、そういうふうな向きにも考えられるような方向で、日本としてはソマリアを初めかの地における援助に踏み出さない、こういうふうなことを一つははっきりさせておいていただく必要があると思うのであります。 大臣、それはよろしゅうございますね。
○大来国務大臣 これはやはりその問題と関連づけて援助を与えるということはやらないということは申してよろしいと思います。
○土井委員 そういうことからすると、しっかりそれに対しての何らかの担保と申しますか、客観的に考えて誤解を招かないようなあり方での問題に対する処置の仕方というのが大切になってまいります。アメリカにいらっしゃった節こういうことが話題になったら、その点に対しては、第三者から見まして誤解を招かないような方向でのびちっとした歯どめを大臣としてはおかけになるという自信がおありになりますか、どうですか。この点はいかがですか。
○大来国務大臣 私としてはそういう方向で対処してまいりたいと思います。
○土井委員 先日、二十三日の当外務委員会で、ECからお帰りになって大変大臣お疲れのところ、イランの問題についてここで種々各党の議員が質問を申し上げたわけでございますが、その後、日本といたしまして、イラン大使館の人員削減という問題が出てまいりました。これ自身はイラン制裁と見てよいのでございますか。制裁としてこのことは効果があるというふうにお考えになっていらっしゃるのか、それともアメリカに対してのいろいろの対策ということが、この節、片やでは必要でございますから、アメリカ向けのためにもこれは意味があるというふうにお考えになっていらっしゃるのでございますか。いかがですか。
○大来国務大臣 ルクセンブルグのEC外相会議の決定文の中には、いまの五月十七日以前にとられる措置は、制裁と呼んでおらないわけでございます。措置と言っておるわけで、そういう当面の措置ということで言っておるわけでございまして、政府としてはこのECの対イランの対策に協調するという方針をとっておるわけでございますので、可能な限りそういう措置もできるものはやるという方向で考えておるわけでございます。
○土井委員 それは事実をお述べになっただけであって、私がお伺いした肝心のところ、これがやはりイランに対して一定の効果を発揮するというふうに大臣御自身は認識をしていらっしゃるか、それともアメリカに対して、この節やはり一つの大事な時期であるということも考えまして、そっちに対する意味もあるというふうにお考えになっていらっしゃるのか、その辺いかがですか。
○大来国務大臣 これは対EC協力の基本的な考え方でございまして、一昨日帰ってからも申し上げたと思いますけれども、一方においてEC諸国との共同でイランに対して人質の早期解放を要求するということと、他方において米国に対しては武力行使等の行動の自制を求める、その場合にアメリカの国内にございます異常ないら立ちというもの、これは半年近く人質がやはり帰ってこないということもございますから、対米の協力を西側の諸国が打ち出すことによって、反面対イラン措置のエスカレーションを防いでいくという、全体的な考え方をとっておるわけでございます。
○土井委員 これは閣議でお決めになったんですね。そうですね。閣議でお決めになっただけのことなのか、それともイランにこういう向きのことを通告されたのか、この辺はいかがでございますか。
○大来国務大臣 イラン政府に対しましては、ECのテヘランにおります八カ国の大使とわが国の和田大使とが共同でバニサドル大統領に会いまして人質解放についての要請を行ったわけでございます。それ以上のことはいままでやっておらないわけでございます。
○土井委員 しかし、第一弾については、これは日本もすでに踏み出されたわけですね。したがいまして、五月の十七日後、いわば第二弾と申しますか、全面的な経済制裁という方向に踏み出すという時期に、これは日本としてはもう一歩踏み出しておるわけですから、五月の十七日に向かっても効果がそれまでに出ないという場合には、さらに第二弾についても十分に日本としては決意を固めて踏み出すというふうな、そういうお心づもりですでに事を始めていらっしゃるのかどうか、その辺はどうなんですか。
○大来国務大臣 EC諸国の大使もこの二、三日中に大体戻るようでございますし、日本の和田大使も一両日中に帰任いたします。その上での再び共同申し入れになるかどうか、この形式はわかりませんけれども、実質的にはルクセンブルグの会議の決定をイラン政府に伝えるということになると思います。それに同時に、日本としてはECと協力して対策をとっていくということでございますから、第二段階、五月十七日までに人質の釈放について何らかの前進が見られない場合には、第二弾と申しますか、国連安保理事会の決議案の線に沿っての措置に移行するというたてまえになると考えております。
○土井委員 このイラン問題というのは、制裁をやることが目的ではないんで、やはり人質解放のための努力をするということが一番肝要な問題であるということは言うまでもないのですね。 二十三日のあの質疑の節、私は、EC各国の外相と大臣はお会いになって、この人質解放のためのお話し合いをされた節、日本としては一体何を具体的に人質解放のために努力をしようというお心づもりでお話しになったのかという向きを質問させていたださましたら、それはまあ教えるわけにはいかないというふうな御答弁だったわけであります。私は非常におかしい御答弁だなというふうに承ったわけですが、これはやはり外務大臣お一人が外交をやっていらっしゃるんじゃないので、外に向かって日本としてはこういう努力を払いたいというふうなお心づもりをおっしゃったことを、やはり国民に対して外務大臣も同調を得るという形で、外に向かっての日本としての姿勢というのは迫力を持つわけでございます。 また民主国家ですから、そういうことからすれば、外交問題は秘密外交であってはならない。この点日本としてどういうふうなお心づもりで具体策などをお持ちになってお話し合いになったかということが、これはまだ言えないとか、それは言うことができないとか、教えるわけにはいかないとおっしゃる、その御答弁自身が、だから私はおかしいと思っているのです。 たとえばECの外相ともども日本の外務大臣もイランに行って話し合いを進めてみるということも一案であるだろうと私は考えたりするのですが、いろいろな御提案をなすったことを国民に理解ができるような方向で、この場所はすなわち国民に対して問いかけられる外務大臣の提案される場所でありますから、また報告をされる場所でありますから、そういう意味も含めて、先日私が質問申し上げたことについて、私は再度繰り返しの意味も含めて質問をさせていただきたいと思います。この点どうですか。
○大来国務大臣 先日は、政府の方針についてまだ主要閣僚との協議をする前でございまして、その翌朝、総理、それから関係閣僚集まりまして大体の方針を協議して、これを新聞にも官房長官から発表したわけでございまして、やはり閣僚の一員としてその手続を一応踏まなければならないという点もあったわけでございます。 これは昨日の朝になりますか、朝刊に出たかと思いますが、非軍事的といいますか非経済的措置として、在テヘランの日本大使館の人員の縮小という問題、それから査証免除の取り決めが相互にございますが、これの部分的な停止、在日イラン大使館につきましては館員四名という小規模なものでございますから、これは当面特にその縮小を求めることはしない、そういうようなことを政府として決めたわけでございます。それから経済面におきましては、差しあたりの新規の輸出及び役務の契約を差し控えるということ、それから武器の禁輸、これはもともと日本がとってきている方策でございます。今度のルクセンブルグのECの決定には含まれておりますが、日本は当然それと、あるいはそれ以上の従来からの武器禁輸をやっておるわけでございます。 さらに、その他の措置についてECの各国のとるべき政策を勘案しながら検討してまいるという方針を明らかにしたわけでございまして、私がルクセンブルグで話し合ったことは、さきに申しましたように、ヨーロッパ及び日本の立場にある程度共通するものがある、対イラン問題について、一つには力を合わせてイラン側に人質の早期解放を求める、他方米国に対しても先ほど申しましたように武力行使というようなことは自制を求めるということが日本としての考え方だという話をいたしたわけでございまして、それは私の会いましたヨーロッパの主要外相、全く同意見であるということを確認したわけでございます。
○土井委員 これで終わりますけれども、そこまではお互いがお互いの考え方は同様であったということが確認されたわけですが、さてそれを具体的に実行するいろいろな具体策として、大臣は何らかを御提案になったということではないのですか。
○大来国務大臣 具体策についてまで入ることではございませんでした。もともとECの会議というのがよそのお座敷でありまして、その会議の合間を縫って外相と個別的に話し合ったわけでございまして、基本的な考え方の確認が大事だと考えておりまして、個別的な政策について立ち入った話し合いをいたしたわけではございません。
○土井委員 終わります。
○中尾委員長 玉城栄一君。
○玉城委員 最初にちょっとお伺いしておきたいのですが、モスクワオリンピックの参加問題についてなんですが、きょうですか関係閣僚会議が開かれるということも聞いておるわけです。 そこで最初に、去る四月二十三日のJOC常任委員会の申し合わせ文によれば、「原則としてこれに参加することを確認する。」と明記されているわけでありますが、これに対する外務大臣の見解を伺いたいと思います。
○大来国務大臣 最近のJOCの決定は、その「原則としてこれに参加することを確認する。」という前に、国際情勢の好転を期待しつつ、というくだりが前についておると承知いたしております。そういう意味では二月一日の政府の見解と特別に変わっていないという判断でございます。
○玉城委員 そうしますと、きょう開かれます関係閣僚会議のこの問題についての政府の目的というのはどういうことでしょうか。
○大来国務大臣 閣僚会議がこの後五時半から開かれる予定になっておりまして、関係閣僚で、政府としてこの際何かまた意見を言う必要があるかどうかということを協議するはずになっております。
○玉城委員 意見を言う必要があるかどうかを協議するわけですね。そうしますと、従来の政府の考え方を特別に変えようとか、あるいは一歩進めるとか、そういうことではないわけですね。
○大来国務大臣 基本的には余り変わることはないと思いますが、もしも何か政府として見解を出す場合に、多少の変化はあるかもしれないと思います。これから協議をいたすわけでございますから、いまの段階ではちょっと申し上げにくいわけでございますが……。
○玉城委員 多少変わるとおっしゃいましたので、いつも委員会でそういうさわりになりますとおっしゃらないのですが、当然わかりますよ、これから協議することですからそれは重々承知ですが、せっかく大臣がこの委員会にいらっしゃっていろいろと御答弁していらっしゃるわけですから、どういうところが変わるのか、あるいはJOCに対する圧力をかける意味で協議しようとするのか、その辺はいかがですか。
○大来国務大臣 政府側の認識としては、アフガニスタン事件以来、国際情勢、国際環境はこの平和な祭典に必ずしもふさわしい状況ではない、現在に至ってもその状況は変わっていないという再認識になるかと思います。変わると言えば、そういう二月一日から現在まで約三カ月近くの時期がたっておるという点、その後アフガニスタン情勢は変わっていないという点は加わると思います。
○玉城委員 そうしますと、結局JOCに対する何らかの影響性を考慮して政府で再び物を言おうか言うまいかということになるわけですか。
○大来国務大臣 決定権はJOCにあるわけでございますから、政府としては自分の見解を述べる、決定はJOCだということに、これは二月一日の立場と変わっていないと思います。
○玉城委員 そうしますと、政府の意向というのは当初から不参加が望ましいという考え方であるわけですが、JOCが参加の意向を表明した場合、これは政府としては尊重されるお考えであるのか。もし尊重されるとしました場合に、補助金は出すのか、あるいは旅券は発給するかどうか。その辺はいかがでしょうか。
○大来国務大臣 これは決定はJOCでございますが、その場合に政府の仕事に関係した部分についてどうなるかということは、まだ関係閣僚の間で意見統一といいますか話し合いをいたしておりませんので、いまの段階では何とも申し上げられないわけでございます。きょうこれからの話し合いでそのことが出るか出ないか、まだ承知いたしておりません。
○玉城委員 そうしますと、補助金を出すとかパスポートを出すとかという問題は、きょうの関係閣僚協議会でそういう問題も含めて話し合うということになるわけですね。
○大来国務大臣 どうもまだいまそこまでいくかどうかわかりませんで、この際の政府の考え方を意見で出すか出さないか、出す場合の文面はどうかということの話し合いになると思っております。
○中尾委員長 ただいま大臣から緊急の発言があるようです。これを許します。
○大来国務大臣 ただいま緊急な情報が入りましたので、未確認の情報でございますけれども、ただいま入りました外電による情報によりますと、人質解放のためにイランに向かった米国機が、二十五日未明イラン国内で衝突し、乗組員八名が死亡した由であります。詳細は情報が入り次第また報告いたします。
○玉城委員 ただいま大変心配な情報が入った由御報告を承ったわけでありますが、これは未確認情報ということでありますが、人質解放のために向かった米国機が撃ち落とされた、そして八名ですか……(「衝突したんだ」と呼ぶ者あり)衝突したわけですか。その辺はっきり。
○大来国務大臣 まだ未確認情報でございますが、もう一つのニュースによりますと、未確認の外電報告によれば、本日未明、米国は航空機による人質救出を計画したが、テヘランから相当遠隔の砂漠において事故のため八名の死亡者を出し、計画は大統領の命により中止された、こういうニュースでございます。
○玉城委員 これは米国が、非常に懸念していたような行動を起こした感じがするわけですが、いまの未確認情報ということを前提にして、いまの件について大臣はどのような、とっさのことでありますけれども非常に心配になる事件だと思いますので、大臣としての見解を一言承りたいと思います。
○大来国務大臣 これは確認してみなければ、事は重大でございますから何とも申し上げがたいわけでございますが、私どもいままでEC諸国とも話し合って努力してまいりましたことは、直接の軍事的な行動に至らないようにということを強く期待してきたからでございます。もう少し情勢をよく、正確な情報をつかみたいと考えます。
○玉城委員 この問題はこれから私たちも情報を確認しながらいろいろと検討もしていきたいと思います。 先ほどの質疑の続きですが、JOCがモスクワオリンピックに参加するのだということになりましたときには、補助金とかパスポートとかそういうものは、政府としては、大臣としては、それを尊重してそういった具体的なことについてはされるかされないのか、した方がいいのかしない方がいいのか、大臣としてはどのようにお考えなんでしょうか。
○大来国務大臣 ただいまの御質問にお答えする前に、もう一つ先ほどのニュースについて補足いたしたいと思いますが、米側ではこれは作戦行動ではない、人質救出のための企てだということを申しておるそうでございます。いずれにしても、この問題もうちょっと情勢が明らかになりませんとコメントはいたしかねるわけでございます。 それから、ただいまの御質問のパスポートその他の問題については、やはり政府全体としての方針の問題にかかわりますので、やはり政府内部で話し合いがあるまで私から申し上げることは御勘弁願いたいと思います。
○玉城委員 それではイランの問題について伺いたいのですが、いよいよ政府はイランに対する第一段階の制裁行動といいますか、あるいは意思表示といいますか、きのうされておるわけです。先ほども大臣の御説明で三項目ございました。いまの事件とも関係してくるわけですけれども、その前にちょっと具体的な問題で伺っておきたいわけですが、その三つ決められた項目の一つの、在イラン日本大使館員を数名削減するのだということでありますが、何名削減されるのですか。
○堤説明員 ただいま数名ということになっておりまして、具体的にはまだ数は決めておりませんのでございますけれども、大体考えておりますのは四、正名の程度でございます。
○玉城委員 四、五名ということですが、その四、五名の大使館員の方々というのは、クラスという言い方はちょっとおかしいかもしれませんが、下級の職員といいますか、あるいはたとえば大使の次の方々とか、どういう方々が四、五名の中に含まれるわけですか。
○堤説明員 具体的にまだ館員の中でだれを削減するかということは決めておりませんけれども、ただいままで検討の対象といたしましたのはほぼ中位の館員でございます。上の方でもなく下の方でもございません。
○玉城委員 四、五名の中位の方々は、いわゆる本国、日本に引き揚げさせるのですか、それともイランの周辺、近隣諸国に一時待機という形でなさるのか、どっちなんですか。
○堤説明員 これもまだ決定に至っておりませんけれども、ただいま考えておりますのは、本国、すなわち日本に帰ってくるという形で考えております。
○玉城委員 イランには在留邦人は大体どれくらいいらっしゃるのですか。
○堤説明員 四月十日現在の調査で九百七名でございます。うち婦女子百四十一名でございます。
○玉城委員 たしかイランの大使館員の方々は十六名いらっしゃるというふうに伺っておりますが、そのうち四、五名本国に引き揚げる。在留邦人の方々に対する保護体制は、それで差し支えないという判断があるのかどうか、伺います。
○大来国務大臣 これは差し支えないという判断でやっております。
○玉城委員 そうしますと、先ほどお答えもございましたけれども、きょうの先ほどの情報等を踏まえ、あるいは第二次制裁を五月十七日以降ECと共同してやるんだ、いわゆる国連安保理事会の決議のそういう趣旨にのっとってやるんだというようなことでありますが、五月十七日と言いますと、もう一カ月もないわけですから、この九百数名の在留法人の方々について、外務省としては何らかの考えをお持ちであるのか。全然差し支えないということで、そのままでいいというふうに理解していいのか。その辺はいかがでしょうか。
○大来国務大臣 先ほど御報告いたしましたような未確認情報が確認されたような場合とか、情勢に大きな変化があるような場合は早急に対策が必要になるかもしれませんが、現状におきましては、いろいろな対策については従来から準備をいたしておるわけでございますけれども、ただこの問題は情勢いかんによりますし、また余り過度のことになりますとかえって混乱にもなりますので、情勢を注意深く見ながら、一方で対策を一応準備しておくという形でやってきておるわけでございます。
○土井委員 この節、ちょっと申し上げたいことがあります。 いま外務省には、重大な未確認情報と言われるニュースが徐々に入りつつあるようでありますから、入り次第ここで御報告していただくという方法もあるかもしれませんが、質問が一巡いたしまして終わった段階で、ひとつまとめて当委員会で大臣から改めて御報告を承るということにさせていただくことを提案したいと思いますが、委員長いかがでございますか。
○中尾委員長 そのように取り計らいたいと思っております。
○玉城委員 そこで、大臣、わが国も対イラン制裁に踏み切ったわけですね。そのように理解してよろしゅうございますか。
○大来国務大臣 五月十七日までは制裁とは呼んでいないわけでございますが、五月十七日までに人質解放について何ら前進が見られない場合には、EC諸国と共同して対イラン制裁に踏み切るということになるかと思います。
○玉城委員 そうしますと、従来わが国とイランとは友好関係ですね。五月の十七日まではそのような友好関係が続き、十七日以降、何らかの反応がなかった場合にはおっしゃるようなことでやっていくということで、そういう友好関係はさらに日本とイランとは続くのかどうか。もうすでに大使館員の削減とか、そういう意思表示をされた以上、私は、非常に非友好的なことをイランに対してもしているのではないかという感じがするわけですが、わが国とイランとの友好関係についてどのようにお考えですか。
○大来国務大臣 これは日本政府といたしましても、また現地の大使のイラン政府に対する申し入れにおきましても再三繰り返し言っておりますことは、日本は従来からイランに友好的だ、新しい政府になりましても友好関係を維持し、また維持したいと努力してきている、ただ、人質問題が解決しないと日本の立場は困難なものになるということ、また逆に人質問題が解決されれば、日本とイランの友好関係には何ら障害がないと日本側は考えておりますということを、再三申し入れしておるわけでございます。今後の態度もその点は変わりがないわけでございます。
○玉城委員 しかし、長期的に今後のわが国とイランとの関係を考えますときに、いまわが国としては友好関係を持続したいと言っても、相手はそうは受け取らないと思うのです。 そこで、ちょっと伺っておきたいのですが、モインファル石油相が、イランに敵対行動をとる国に対しては永久に石油を供給しないと革命評議会で決定していると述べているわけですが、わが国はその対象になるおそれはないという御判断であるのか。政府の見解はいかがでしょうか。
○大来国務大臣 これは、イラン側の対応にもよるわけでございます。それからまた敵対行動というのがどういう内容を持つものかということもわかりませんし、人質問題が未来永劫続くことはないと思うわけでございまして、いずれの日にか解決される、そうすれば日本としてはイランとの友好関係に特別な障害はなくなるわけでございます。その場合に、イラン政府がどういう態度をとるか、これはちょっといまから予測しかねるわけでございますが、国際関係で未来永劫ということは現実問題としてはなかなか予測がむずかしいことだと思います。
○玉城委員 そうしますと、いま私が申し上げました、モインファル石油相の言っている、いわゆる敵対行動をとる国に対しては永久に石油を供給しないという向こうの革命評議会のそういう決定に対して、わが国はそれに該当しないというふうに受け取っている、大臣はそのように考えているというふうに考えてよろしいわけですね。
○大来国務大臣 これは、先方の考え方もあることでございますが、少なくともEC諸国と大体似たような立場にあるということは言えるかと思います。
○玉城委員 EC諸国と似たような立場にあるということはおっしゃいますが、ECと日本とは対イランについては立場も違えばいろんな関係も違うわけですね。ですからECはEC、わが国はわが国ということで、わが国は向こうさんが言っているようなことには入らないというふうに外務大臣は考えているというふうに考えていいわけですね。
○大来国務大臣 ECと日本とが対イランで共同的な対策をとるということになりますと、もしもそれをイラン側が敵対行動だととるのであれば、これは日本だけじゃなくてEC諸国全部同じ措置をとるわけですから、同じことであろうかと思います。
○玉城委員 そこで、事態は非常に拡大の方向といいますか危険な方向といいますか、そういう感じがしてならないわけです。この五月十七日まではイランに対する制裁行為ではないということを大臣はおっしゃいましたので、少なくともこの五月十七日までに、これはECとの共同行為等もあることはわかりますが、日本は日本としてイランに対する立場は非常に違うわけですから、ECと一緒にやっていくということは、逆から見れば、日本がむしろ一歩出ているというふうに受けとめられる危険性もあるわけですね。ですから、五月十七日までということでありますならば、どうでしょうか、最高指導者ホメイニ師あるいはバニサドル大統領に大臣あるいはわが国の総理の親書か何かを出して、早くこの事態の解決を促すようなことを検討されることはないのかどうか。その辺いかがでしょうか。
○大来国務大臣 当面は、先ほど申しましたように、日本の大使も現地に帰任いたしまして、EC諸国の大使と再度の申し入れをすることになる可能性がございます。やはり共同的な対策をとることに決めたわけでございますので、まずその共同的な対策の反応を見るということが必要かと思うわけでございますし、私どもの判断としては、そういう共同措置の方が、ばらばらに一国ずつやるよりはより効果があるのではないかという判断をしてまいったわけでございますので、今後これもイラン側の対応を見ながら、さらに次にどういう手が打てるか考えていかなきゃならないと思っております。
○玉城委員 ですから、親書を出すとかそういうこともいま必要ないというお考えになるわけですね。ECと共同でとる方が効果があるということなんですが、本当に大臣、五月十七日までに人質解放の何らかの手がかりがつかめるという感触か何かお持ちなんですか。その辺いかがですか。
○大来国務大臣 私もルクセンブルグで各国の外相と話し合いました限りにおきましては、だれも確実な自信を持っておる人はなかったと思いますが、同時に、ある程度の期待を持っている。現段階においてとり得る一つの重要な措置だと。同時に、西側のデモクラシーといいますか各国の間の連帯性、ソリダリティーを崩すことは、西側諸国全体の立場が非常に弱体化するだろう。そういう意味からいって、アメリカに対してもEC諸国と日本との協力関係がある程度の影響力を持ち得るのではないか。そういうことで話し合ってまいった。また、それが余り性急ないわゆる武力措置というものを防ぐためにも必要なんじゃないかということが考え方でございまして、きょうの事件がどういう性質か、そういう意味からも、よく至急に情報をつかまなければならないと思っております。
○玉城委員 最後に、非常に新しい事態の発生ということですから、当然その新しい事態によって、従来政府の考えておられる、きのうも発表されたいわゆる第一段階のあの三項目の問題、あるいはECとわが国との問題、あるいは五月十七日以降の第二段階の問題等々も、このきょう急に飛び込んできましたそういう新しい非常に憂慮される事態を踏まえて、政府としては当然修正もされ、検討もされていくというふうに理解をするわけですが、そのように理解してよろしゅうございますか。
○大来国務大臣 その点は、お話のとおりだと考えます。
○玉城委員 以上です。
○中尾委員長 中路雅弘君。
○中路委員 最初に、先ほどお話しのことですが、大臣はまだ未確認情報ということでお話しになっていますが、ホワイトハウスの発表になっているわけですね。AFPの報道ですと、ホワイトハウスは二十五日未明、テヘラン米大使館の人質救出作戦を実施したが失敗したと発表した。ホワイトハウスによると、この作戦には航空機二機が使用され、乗組員八人が死亡したほか負傷者を出したと言っていますし、またこれはロイター通信ですけれども、やはり、ホワイトハウスは二十五日未明、在テヘラン米大使館の人質作戦を実施しようとしたが、この作戦のために出動した米機二機がイラン領内の砂漠で衝突したため失敗したと発表したということになっていますが、すべて報道はホワイトハウスの発表ということになっているわけです。未確認情報という先ほどのお話ですが、これはアメリカ政府の正式な発表として確認していいのではないですか。
○大来国務大臣 先ほど未確認と申しましたのは、公電がまだ入っておらないので、外電によって申し上げたわけでございます。
○中路委員 外電はホワイトハウスの発表ということですでに報道されているわけですが、このことは明白な軍事行動であるということが第一番に言えると思うのですね。そして、いまイランとアメリカは断交の状態でありますから、フライトはできないわけです。イラン領内で衝突したため失敗したとありますけれども、明白に主権に対する侵害でもあります。また一歩誤ればこれは戦争にもつながる重要な問題ですが、まだ公電が入ってないというお話ですけれども、この外電の発表の中身は明白な軍事行動であり、イランに対する主権侵害であると思うのですが、大臣のお考えはいかがですか。
○大来国務大臣 イラン側におきます米国大使館の占拠、大使館員を人質にしておるということも明白な主権侵害でございますので、その辺の関係はもうちょっと実態を明らかにいたしませんと……。また明白な武力行動であるのか、人質救出の活動に限定されたものなのか、その辺ももうちょっとよく確かめてから判断いたしたいと思います。
○中路委員 先ほど言いましたように、いずれにしましても、これは一歩誤れば、軍事行動ですから大きな事態につながる重要な問題だと私は思うのです。いままで日本政府は、このイラン問題では、ある意味ではEC以上に対米協調ぶりを示してこられたわけですし、イランに対して措置あるいは人質解放その他の申し入れなどをやってこられましたけれども、一方、アメリカに対して、イランをここまで追い込んできた根本的な問題、つまり一九五三年モサデク政権を倒してパーレビ政権を樹立させ、中東の憲兵として支援してきた、いわゆるイランの民族自決や経済自立の権利をじゅうりんしてきたアメリカの過去、及び昨年のイランの人民革命以降も、中東は死活的な利益と公言して軍事脅迫政策を強めてきたアメリカの今日的な政策、こういうものに対してその誤りを指摘して、その上に立ってこの問題の平和的な解決を要求していくのが、日本の真の自主的な、また平和を求める国際的な態度ではないかと考えるのですが、大臣の御見解をお伺いしたいと思うのです。
○大来国務大臣 過去のイランの問題はいろいろな経過があったと承知しております。しかし、そういう事情があったからと申しまして、大使館を占拠し外交官を人質にとることが正当化されるということにはならない。それはそれとして別に分けて考えるべきものだと思います。また国連におきましても、大幅な多数によってイランに対する人質解放要請を可決したわけでございますし、ヘーグの国際司法裁判所では、ソ連の判事を含む十五人の判事が満場一致で人質解放をイラン政府に求めるという措置をとったわけでございまして、そのこと自体、当然国際的な批判の対象になると考えております。
○中路委員 確かに、人質問題というのは国際法からいっても不当な問題ですけれども、これはイラン政府が直接やった問題ではなくて、学生が起こした問題ですね。たとえば日本で、日本の学生がこうした問題を起こす、その場合に日本政府に対してこうした軍事的な脅迫を含めた不当な干渉が行われるといった場合に、やはりこれについてはそれなりの対応が必要だと思います。しかし、いまイランに加えられている、きょうの報道によりますとこうした軍事行動まで含めた脅迫という問題については、日本政府としては、これを改めていくように、この問題の平和的解決について明白に物を言う立場にあるのじゃないかと考えるわけです。 また日本の立場からいって、これもお伺いしたいのですが、先日のECの外相会議の対イラン措置をめぐる決定に、ある意味では日本がまとめ役といいますか説得役といいますか、いろいろそうした影響も与えたのではないかということさえ言われています。アメリカとそれに同調したこうした経済的な措置によって、大臣はこの問題の解決の見通しはあるというふうにお考えになっているのですか。
○大来国務大臣 特に日本が説得役を務めたということはないと思います。日本の考え方を申し述べたわけでございまして、それは、イランに対して早期人質解放を求めることと、アメリカに対して武力行動を自制してもらうこと、これがわれわれの考えだということを申したわけでございます。 人質解放の見通しということになりますと、ECの会議で五月十七日という日を決めた一つの原因は、次の九カ国外相会議が五月十七日にナポリで開かれる、そのときまでにということがあったのだろうと思いますが、もう一つは、五月九日にイランの第二次の選挙が行われるということも考慮に入れておったように思うわけでございまして、とにかくこういう動きがイランの方で人質解放について再考する一つのきっかけになるのではないか、そういう希望なり期待は持っておったように思います。
○中路委員 しかし、現実は、見通しがあるどころか、ますますエスカレートして危険な方向へ進みつつあるのがきょうの事態じゃないかと私は思うわけです。特に日本にとってみれば、たとえばイランからの対日原油の供給停止という問題も起きてくるわけですし、これは二十三日の当委員会でも外務大臣も認められていますけれども、日本の場合、EC諸国に比べて、たとえば国内エネルギー需要に占める輸入石油の比率が圧倒的に高い。七三%を占めていますし、そのうちイランが一一%。西ドイツが五一%、イギリスが二五%になっているのに比べれば、その打撃はやはりはかり知れないのじゃないかと思います。 朝日新聞の報道を見ますと、アメリカの消息筋として、イランの原油停止で最も打撃を受けるのは日本だ、消費量の一〇%に当たる日量五十三万バレルの原油を買う長期契約を結んでいるからだということを述べていますが、大平総理は、多少の犠牲はあってもというお話をされていますけれども、この問題はもっと深刻に受けとめていかなくてはならないのではないかと私は思うのです。 こうした日本の石油の需給状況から見て、日本の立場から言うと、今後このまま進めば大変深刻な事態もあるという認識を私たちはしているのですが、この問題について大臣はいかにお考えですか。
○大来国務大臣 これまでのイラン石油の輸入についての交渉は、価格問題を中心にしまして、イラン側が一バレル当たり二ドル半の値上げを求めて、日本側がその値上げは拒否する態度をとってまいりまして、それによって一部の石油積み込みが停止しておるというのが現状でございますが、私どもとしては、そういう状況は制裁ではなくて商業的な行動である。それからIEA、国際エネルギー機関を通じて、石油消費国は、シャープリーディファレントといいますか大幅に高い石油の買い付けをお互いに自制して世界の石油価格の上昇を防ぐという申し合わせのライン、そういうことでやってきておるわけでございます。 確かに日本の石油輸入の中に一〇%強のウエートを占めるわけでございますから、そのまま日本に到着する石油が減ればいろいろな影響も出てまいると思いますが、当面は九十五日を超える備蓄がございます。それから世界的にも石油需給の市場はかなり緩んでおるという状況もございますので、当面日本の経済ないし国民生活にそれほどの影響は出てこないだろうという判断でございます。
○中路委員 私は、日本国民の利益ということから考えても、いま外相は非常に甘い見通しを言っておられますが、こうした問題はもっと真剣に受けとめていかなければいけない事態だろうと思います。 私は、何よりも外務大臣に要求したいのは、アメリカのこういうような軍事脅迫、軍事行動には日本政府は反対だということを明確にすべきだ。首脳会談、総理の訪米を前にしておりますけれども、この訪米に当たっても、日本はアメリカの軍事行動には反対であり、また日本を基地にしてこうした中東、イラン干渉のそういった足場にするということには反対だということを明白にアメリカ政府に言うべきではないかと思いますが、大臣のお考えはいかがですか。
○大来国務大臣 この点は、日本の立場としてはアメリカに軍事行動の自制を求める、同時にソ連に対してアフガンからの撤兵を求める、これがやはり日本のとるべき方針であろうと思います。
○中路委員 もう一点お伺いしますが、総理が四月十七日の外人記者クラブでの演説の中でも、パキスタンやトルコに大幅な経済援助を行うことを表明しておられますが、その他いまアメリカが基地の使用協定、取り決めを対象にしている、軍事関係を強めてきている、ソマリアやオーマンなどへの大幅な経済援助を約束しているという報道もありますが、いままでこうした経済援助というのは、政府は、人道上あるいはその国の民生安定ということを主として主張されてきたわけでありますが、アメリカのいまの危険な中東干渉政策に、こういう方向をとればますます深く関与していくということになるのではないかと思うのです。こうした点でも私は日本のもっと自主的な外交が求められているときではないかと思いますが、この点についても外務大臣のお考えを一言お聞きしたいと思うのです。
○大来国務大臣 日本の援助で、トルコ、パキスタン、タイ等に対する援助を増加していることは事実でございます。日本はやはり言論の自由とか議会制度とか、こういう社会的な制度、政治のあり方において西欧諸国やアメリカと共通する面を持っておりまして、そういう制度を日本国民が守りたいという希望が国民の多数によって持たれているといたしますれば、そういう立場での国際関係というものも同時に考えてまいらなければならないと思うわけでございます。 そういう意味で、日本は軍事的な面での介入は絶対にやらない、これはあくまでも平和憲法のたてまえ、専守防衛のたてまえ、しかし、経済的な面での援助において自由な社会を守るという意味での役割りを果たすことは、日本人自身の将来の問題にもかかっておるというふうに考えるわけでございます。
○中路委員 この記者クラブの総理の演説の中でも、こうした問題が安全保障政策の一つとしてとらえられている個所があるわけですけれども、アメリカの戦略やあるいは安全保障政策と絡めてこうした援助が問題になってくる、こういう方向は絶対にとるべきではないということを私は強く要求していきたいと思います。 限られた時間ですからもう一点、今度の訪米とも関連しますけれども、防衛費の増強の問題ですが、やはり記者クラブの演説で総理が、七〇年代を通じてわが国の防衛支出は年平均実質伸び率で六-七%であり、これは米国の同盟国の中でも最高水準にあるという点を強調しておられますが、これはアメリカ側から安保ただ乗りとかいろいろ言われておりますけれども、いまも日本が大変な負担をしているのだということを事実上認めておられる発言ではないかと私は思うのです。今度の訪米に当たって軍事費の増強が強く要請されるということはしばしば報道されていますが、あるいは中期業務計画を繰り上げて実施するとか、いまでも負担の多い中でさらに地位協定を拡大解釈して防衛分担費も増強する、こうした問題については、軍事費の増強については明白に今度の訪米の中では拒否すると言うべきではないかと思いますが、この点も外務大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
○大来国務大臣 防衛費の実質的な伸び率は、確かに欧米よりは過去の実績においてある程度高い率にあったと思います、これも期間のとり方にもよるわけでございますが。ただ、それは日本の経済の成長率が欧米の大体二倍で伸びてきておりますので、防衛費のGNPに対する比率としてはふえておらない、大体〇・九ということになるわけでございまして、ヨーロッパ諸国が大体三・五ないし四%、アメリカがGNPの五ないし六%、ソ連がGNPの一二、三%を軍事費に使っておるという状況に比べれば、日本の防衛費の支出は国際的に見ればはるかに低い。これはやはり平和憲法を持った専守防衛というたてまえから来ておると考えるわけでございます。
○中路委員 きょうの事態が一層イランをめぐって深刻な事態になっておるということを証明しておるわけですが、ここでやはり日本の外交が本当に自主的な外交、日本国民の利益と、またイラン問題の真に平和的な解決をしていくためには、日本政府としていまどういう態度をとっていくべきなのか、アメリカの明白な軍事行動に、これははっきりと拒否をしなければなりませんし、反対をして、そしてこのイラン問題をどう解決するかについて私は真剣に考えていかなければならない時期だと思うのです。 この点で外務大臣に、私は日本の平和外交といいますか自主外交、このことをもう一度強く要請をしておきたいと思いますが、最後に別の問題で一問お聞きしたいので、この問題の終わりにもう一度この問題についての外務大臣の、特にアメリカの軍事行動については明白に反対の意思表示をしていただくということを確かめたいと思います。
○大来国務大臣 現在の情勢は、先ほど来申しますようにどういう形の行動であったか実態をつかまえたいと思います。たびたび申しておりますように、日本はあくまでも国際紛争の平和的解決、このイラン問題についても平和的な解決を求める立場をとっていくべきだと考えております。
○中路委員 あと一、二問で終わりますけれども、これも別な問題ですが、きょうの一般新聞に報道されていましたので、改めてお聞きをしますけれども、横須賀を母港にしているミッドウェーの問題ですが、ミッドウェーが七年間にわたって水質汚濁防止法だとか日本の法律に反して屎尿を全部たれ流していたということは、五十一年、これが発覚して以来大きな問題になってきて、国会でもしばしば取り上げられてきた問題です。これについて先日も、一カ月前ですか、衆議院の内閣委員会でも何人かの議員が取り上げまして、外務省は、アメリカは五十六年中にミッドウェーにこの汚水処理の装置をすることになっているという、これは数年前からおっしゃったことですが、お話をされていますし、その委員会で施設庁の森山施設部長は、この大型艦船の汚水処理の問題については米軍から来年までに処理する、処理槽を艦艇内につくるという公文書が来ているということまで答弁されているわけです。 しかし、きょうの新聞の報道によりますと、中東から帰ってきてミッドウェーがいま三年に一回の大改修を横須賀の六号ドックでやっていますけれども、約一カ月たっていますが、レーダーの新しい装置だとか、こうした近代的な装備の面の工事はやっているけれども、問題になっている屎尿の処理槽の設置は今度は含まれていないということが報道されていますが、これは明白な約束違反ではないですか。外務省もたびたび国会でも、アメリカはそれを約束しているんだ、だからそれまで待ってくれということをおっしゃっていたわけですが、現在、改修ではこれはついていないということを報道されていますが、これは事実ですか。
○栗山説明員 お答え申し上げます。 私どもの承知しておりますところは、先般先生の御質問にお答えしまして申し上げましたとおり、米軍は明年中に汚水の処理のための貯留タンクをミッドウェーに取りつけるということでございまして、先生御指摘の新聞記事の内容につきましては、私どもとしてこれに意見を申し述べることはできませんけれども、米軍がかねてから申しております、明年中に貯留タンクをミッドウェーに取りつけるという方針につきましては、これは変更ないというふうに承知しております。
○中路委員 時間ですのでこれで終わりますが、こういう報道がなされていますから、調査をしていただいて、これは約束どおりの期限に設置される。七七年にやるということは地元では要求が強かったのです。海外にある船からまずやってくれということが、横須賀市も市民団体も当時みんな要望をされていたわけです。現在もう八〇年なんですよ。しかもいまの三年に一回の大改修でやってなければ、約束のこれはできないわけです。だから事実を確かめていただいて、この問題について御報告をいただきたいと思います。 これで質問を終わりますが、いいですか。施設庁と外務省両方に、ひとつこの点は御報告をいただくように要請をしたいと思います。大臣にお聞きします。いかがですか。
○大来国務大臣 調査をして報告いたすようにしたいと思います。
○中路委員 では、時間ですので終わります。
○中尾委員長 林保夫君。
○林(保)委員 外務大臣に承りたいと思います。 ただいま未確認情報ということで、外務省からいわゆる公式に発表がございました。出所をいま調べてみますと、AFPあるいはロイター電報、しかもホワイトハウス発表という情報がついております。したがいまして、このことは未確認でなくて、もはや確認されたようなものと受け取っていいと思います。大変大事な時期に差しかかりましたので、大臣あるいは外務省の皆さん御苦労だと思いますが、ひとつ国の方向を誤らないようにがんばっていただくことをまず御要請いたしたいと思います。 ところで、このような救援機が出る場合に日本に事前通告のないはずはない、非公式にしろ何か情報があったに違いないと思いますが、その点あったかどうか、お答えいただきたいと思います。
○大来国務大臣 事前には聞いておりません。
○林(保)委員 あるいは霞が関と永田町と違ったという情報が出てくる場合もあろうかと思います。しかし、なおこれが、イランだって重要でございますけれどもちょっと遠うございます、もし近くでこういう問題があったとしたら、やはりこれは大変な問題だと思います。しかもわが国はもう総理の施政方針演説を待つまでもなく、どこを見ましても日米基軸の外交ということをうたっております。そして今度のイラン問題については、日本があえて踏みたくない道を踏まされたような結果になっておると私は思います。なのに、このような重大なことが日本を素通りしていくところに日本の今日の外交の弱さがある、国民はこれを心配しておる、このようにすら私は思う次第でございます。声を大きくして申しわけありませんが、これだけは申し上げたいと思います。 つきましては、このようなことの今後ないように、訪米されましたら大平総理以下、ぜひひとつ注文をつけていただきたいと思います。御所見を伺いたいと思います。
○大来国務大臣 最近のECとの協力も、そういう点でアメリカに対しても言うべきことを言う、その力を強めるという意味での考え方でございますので、このいまの状況については一体どういう動機でどういう形で行われたのか、その辺のところをまだつまびらかにいたしませんので、いずれにしても私どもは従来から念願し求めてきたのはそういう武力行使に至らないということでございますので、アメリカ側にもそういう点はぜひ申し入れしたいと考えておるわけでございます。
○林(保)委員 ぜひそういう御努力をお願いいたしたいと思いますが、先ほど大平総理がわざわざ私どもの党までお運びくださいまして、訪米のごあいさつをちょうだいいたしました。これは新しい情勢を踏まえてなお一層重要な会議になろうかと思います。時間が少ないやに聞いておりますけれども、どういったものがこの日米首脳会談の議題になりますのか。新聞報道ではいろいろ伝えられておりますが、この点、外務省側からあらかじめ承っておきたいと思います。
○大来国務大臣 議題の調整を外交チャネルを通して現在進めておるわけでございますが、大体の問題といたしましては、一つが世界情勢、これはイラン情勢が当然いまの状況のもとでは出てまいると思いますし、アフガニスタン情勢、それから六月のベニスサミットのテーマと申しますか、それに関してはインフレーションとか南北問題というものが予想されるわけでございます。それから日米の両国間の関係におきましては、一つは防衛問題、一つは経済関係での自動車、電電公社等が予想されるわけでございます。
○林(保)委員 大変幅広い問題を討議されますし、またそうしていただかなければならぬことでございますが、イラン問題を一応さておくといたしましても、なお二国間には多くの問題が山積しているように思います。特に防衛と絡んでおりますところの、もう絡んでおると言っていいと思うのでございますが、何か日本がフリーライダーで自己努力をやっていないという非難のもとに、かえって活力ある民間企業の仕事を何かディスターブされるような形で、かつて繊維、かつて鉄鋼、そして今日も自動車の問題、さらにはほかの問題が出ているような印象を国民は実は持っておるのでございますが、その中で自動車の問題、かなりうまく日米間で合意ができたという報道もございますし、そうでもないという報道もございます。この点について外務大臣の御認識をひとつ。 もう一つは、過般三月にワシントンに行かれましたときに、ほかの問題はさておいて、電電の政府調達の問題が出ておりました。これは大変向こうから強い要請となっており、しかも大平さんの訪米を期待するというところが強く出ておった。これをいろいろ考えてみますと、欧州各国のこの問題に対しまして、日本が極端に向こうから問題提起されているやの印象を国民としては受けざるを得ないと思います。この点についてどういう対応をなさるのか。 二点について、自動車の問題をどう判断されるのか、電電の政府調達についてこれはどこまで譲歩されるのか、こういうことにつきまして伺っておきたいと思います。
○大来国務大臣 自動車問題については、先般通産当局もワシントンに参りまして先方の担当者との話し合いが行われたようでございます。これは幾つかの問題がパッケージになっておるわけでございまして、日本の対米投資、自動車工場をつくるという問題、それからアメリカの車の日本への輸入をふやす、あるいは部品の輸入をふやすという問題、それから日本の外車輸入に対する検査基準等をもっと外車が入りやすいように手直しをしてほしいというスタンダードの問題、それから場合によれば、日本がアメリカに部品工場をつくる、そういう投資をしたらどうかというような意見等がいろいろございまして、そういう点をいま事務当局の間で話し合いをしておるわけでございますが、自動車工場の対米投資につきましては、アメリカ側にもいろいろな見方がございます。 日本車の売れ行きは、主としてアメリカの自動車工業が大型から小型への切りかえのタイミングがおくれた、その間石油情勢が急速に厳しくなる、消費者は小型車を求める、ところがアメリカの自動車工業は小型車を十分つくってない。昨年の実績でもアメリカで生産される小型車の売り上げが年間に四六%ふえた、それに対して日本車が三〇%ふえたと言われておるわけでございまして、とにかくアメリカの消費者が小型車を買いたい、ところがない、国産車の小型車は供給が間に合わないというような事情もございますので、二、三年後に本式に小型車への切りかえが行われた場合の需給がどうなるか、これもいろいろ日本のメーカーも問題にしておる点であるように聞いております。 いずれにしても、現状では一ころより多少風圧が下がっておる。いまのようないろいろな問題が絡み合っておるわけでございますので、さらに米国側の言い分があれば、それは承ってくるということになるかと思います。 電電と政府調達の問題は、やはりいろいろ事務的に話し合いが行われておりまして、五月の中ごろアスキュー通商代表が日本に参りますので、その際に話をさらに詰めるということで、今回総理の訪米の際には余り立ち入った話にはならないかと思っております。
○林(保)委員 経済はまさに大臣の御専門とするところで、ひとつぜひそういった問題を期待したいのでございますが、経済がどうだから防衛、防衛がどうだから経済というような、いつも一緒くたにされてしまっての外圧という形でないような処され方を総理が行かれました機会にぜひ御工夫願えたらと、このようなことを御要望申し上げる次第でございます。 イラン問題につきましては、それぞれ米国との関係でいろいろな対応があろうかと思いますが、なおどうか中東における軍事行動だけは避けるという、総理もたびたび言明しておられますし、大来外務大臣もたびたびこの席でお話しされたのを伺っておりますが、ぜひ善処されるよう要望いたしたいと思うのでございます。 このたびの大平訪米に当たりまして、共同声明をお出しになる予定を持って行かれますか、あるいはまた、どういう形で合意されたのを国民にお伝えになるのか。総理はお帰りになって、たしか五月九日の本会議で訪米成果を報告する、このように聞いておりますが、その辺のところを一つだけ伺っておきたいと思います。
○大来国務大臣 今回は、メキシコとカナダの訪問が公式訪問でございまして、その際にワシントンに寄るということでございますので、共同声明等は出ない予定になっておると承知しております。
○林(保)委員 共同声明がもし出ないのであれば、それでやむを得ないと思いますが、なおひとつしっかりしたコンセンサスを固められまして、国会でお話を十分していただくことを要望しておきまして、イラン問題に移りたいと思います。 先ほどのは未確認とこういうことでございますが、私はこれは事実に間違いない、重大な事態になったもんだなと、このように感ずるのでございます。とりあえず一番心配なのは、同僚議員が先ほども質問しておりましたように、在留邦人は一体どうするんだ。先ほども九百七名でございますか、婦女子も百四十人ばかりおる、こういうことでございます。どういう仕事に携っている人がおって、どういう商社活動――進出企業の中に働いている人もおりますし、なおまた田舎の方で技術指導に当たっておる人もおられると思いますが、その状況についてはもう少し詳しく外務省のどなたか御専門の方に御報告いただきたいと思います。
○堤説明員 九百七人の在留邦人のうち、先ほど申し上げましたように百四十一人が婦女子でございますが、男子のうち大部分は、進出企業関係の方たちでございます。進出企業数六十三、合弁事業あるいはプロジェクト等に従事されておられるわけであります。
○林(保)委員 もう一つ、商社なんかへどのくらい行っているのでしょうか。その人は行き帰りがわりと自由にできると思うのですが、田舎の方におる人もあろうかと思うのですが、どの程度把握されておりますか。
○堤説明員 商社関係の方々は比較的少のうございまして、百数十人でございます。主としてテヘランに滞在しておられます。テヘランと地方ではほぼ半々、そういうふうにお考えいただいていいと思います。
○林(保)委員 やはり九百人と言えば、もし万が一のことがあって、この人たちに日本に安全に帰ってきてもらうということなると、大変だろうと思います。したがいまして、たしか明日でございましたか、和田大使が帰任されるやに聞いておりますが、どういう御指示をしておられるのか、そしてまた、現地においてどういう指導をしておられるのか、事務的にひとつ、今日、指導している段階を――現地におられる方、遠くでございますので、えらく心配しているという話も聞いております。お答え願いたいと思います。
○大来国務大臣 二十六日の飛行機で帰る予定になっております。 このきょうの事件がどういうことになっておりますか、その状況は早急に見定めなければなりません。いままではこういう事態が緊急に起こると いう予想は立てておらなかったわけでございまして、在留邦人の安全については、しかし、従来から万一の場合の対策は検討してまいっておるわけでございますが、この新しい事態がどういう影響があるかを早急に検討して、その上での――大使は現地に戻りますので、現地でそれぞれ対応措置をとることになるかと思います。
○林(保)委員 大変大事な問題でございますので、しっかりした対応をしていただきたいと思います。 油の問題を聞きたいと思いましたり、またソ連とイランとの関係につきまして承りたいのでございますが、時間がもうございません。 そこで、一つだけ、先般の委員会で私の先輩議員の渡辺委員が質問いたしましたソ連・イラン間の一九二一年の条約、そしてまた二七年の条約、これについて、特に前のは修好条約という名でこの間話題になりましたけれども、ソ連・イラン間に対立があって、しかもその条約の中に破棄条項がなくて、主張が対立したままになっているということの御答弁もいただいたやに承知しておりますが、後の一九二七年のソ連・ペルシャ中立不可侵条約につきまして、条約局長さんがもう一度調べてみる、こういうような御返答であったと理解しております。どういう状況なのか、二つの条約について簡単で結構ですから、概況をお知らせいただきたい。
○伊達政府委員 お答え申し上げます。 二一年のソ連・イラン修好条約というものがございまして、これは特に第五条で「相手国に敵対することを目的とする団体または個人の自国領域内における組織または存在を許容しないこと」とか、あるいは第六条で「第三国がイラン領域内において武力干渉により侵略政策を実施し、またはイランの領土を反ソ軍事行動の基地としようと企図するような場合には、」そして 「これによりソ連の国境が脅威を受け、またソ連政府の警告の後にイラン政府がこのような危険を防止し得ないときには、ソ連政府は自衛上必要な軍事的措置をとるため、その軍隊をイラン領域内へ派遣する権利を有する。」というようなことが、五条、六条に書いてあるところでございます。 二七年の条約は保障・中立条約ということでございまして、それは第二条が最も中心をなすものでございまして、両方の国は他方の国に対する一切の攻撃及び一切の攻撃的行動を差し控えて、かつ他方の国の領域内に兵力を入れないということを言っているわけでございますが、この保障・中立条約は、一九二一年の修好条約の第六条はこの例外であるというふうに書いてあるわけでございます。したがって、そこに関連が出てくるわけでございます。 そしてなお、二一年の条約には廃棄条項がございませんが、保障・中立条約、二七年の条約には廃棄条項がございまして廃棄できるということになっておりますが、両方とも別に廃棄されたという事実は私ども聞き及んでおりません。 それから、先ほど先生の御質問の中にもございましたように、二一年の条約の有効性と申しますか効力につきまして、ソ連とイランとの間に意見の食い違いがあるということは事実でございまして、ソ連は全部有効であると言い、イランは――イランと申しましても前政権におきます、パーレビ皇帝時代におきましての議論でございますけれども、五条、六条はもはや無効になっているんだということを言っているわけでございまして、その点意見の食い違いがあるということでございます。
○林(保)委員 お調べありがとうございました。大事なポイントでございますので、また追ってこの辺は承りたいと思います。 時間がとうとう来てしまいましたけれども、冒頭申し上げましたように、日米間、本当に長い間のきずなになっているような外交でございます。その間において言わなければならぬことを言わないとかあるいはまた伝えられるべきものが伝わらぬというような片道外交にならないように、ぜひひとつ御要望しておきたいと思います。 たびたび大臣も御外遊が重なって御苦労でございますが、わが党も責任ある政党の立場といたしまして、五月早々佐々木委員長が西独へ参りまして、日本と西独の立場がイラン問題そのほか国際情勢下でほぼ同等の立場にあるような感じがするのでがんばってくるということで、体制づくりを今日やっております。 最後にひとつ大臣に、そういった今日の流動化に対しまして、従来の受け身あるいは固定と言ってはおかしゅうございますが、そうでなくて、多様、多元化の時代に対応するような外交努力をしていただく、御決意をちょっぴりお聞かせいただきまして、質問を終わりたいと思います。
○大来国務大臣 現在のような国際情勢のもとにおきまして超大国でない先進工業国、この果たすべき役割りはきわめて重要になってきているのじゃないか。世界の武力紛争、武力衝突をできるだけ防止するという立場でのたとえば東西関係における働きかけあるいはイランの問題等に関する働きかけ、これはなかなか一国だけでの国際的な影響力にはある程度の限度がございますが、大体において立場や思想といいますか哲学といいますか、同じくするような国々が力を合わせて世界の平和の維持に努力するということがこういう事態のもとできわめて重要だと存じますので、できるだけそういう面での努力をやってまいりたいと考えるわけでございます。
○林(保)委員 ありがとうございました。これで終わります。
○中尾委員長 土井たか子君。
○土井委員 先ほど委員会の途中でアメリカの飛行機がイランの上空で墜落したという第一報が入りましてから後、公電、声明含めましてアメリカ側の何らかの情報が入ったと存じますが、まずそれをお聞かせいただきたいと思います。
○大来国務大臣 在京のアメリカ大使館を通ずるとりあえずの米政府のわが方への通報内容は、次のとおりでございます。 昨夜、米国は人質問題解決のために人質の救出行動の準備を開始した。この計画の唯一の目的は人質の解放にあったが、行動は航空機の事故のために中止され、救出要員はイラン国内から引き揚げられた。米国が知る限り、イラン側の死傷者はなかったが、不幸にして米側に若干の死傷者が生じた。米国はイラン政府に対し、イラン政府が引き続き人質の安全について責任を有する旨、通報した。別途ホワイトハウスも同趣旨の発表を行った由であるということでございます。
○土井委員 二、三お尋ねを進めたいと思いますが、先日、大平総理がマンスフィールド大使に対しまして、イランに対するアメリカ側の武力行使を思いとどまるように申し入れられたその節、アメリカ側はこの申し入れを了解して、約一カ月の間、日本並びにECの対応を見守ると言われたやに私たちは聞き知っておりますが、これはアメリカ側の正式の意思表示というふうに考えてよろしゅうございますか。
○大来国務大臣 マンスフィールド大使と大平首相の会見は承知しておりますけれども、一月待つという話は聞いておりません。
○土井委員 しかし、いずれにいたしましても、マンスフィールド大使に対して大平総理が武力行使を思いとどまるように申し入れられたことと相前後して、むしろこれと並行してと申し上げてもいいと思いますが、わざわざ外務大臣がお出かけになって、ルクセンブルクにおいて、この二段構えの措置をとることに対して日本側も協力をするということは、こういう意味を踏まえてのことであると理解をしてよろしいですか。
○大来国務大臣 そのとおりでございます。
○土井委員 そういたしますと、きょう入りましたその公電を外務大臣としてどのようにお考えになりますか。
○大来国務大臣 先ほど読み上げましたように、米側は、この計画の唯一の目的は人質の解放にあったと言っておるわけでございまして、それが唯一の目的であれば、人質救出のための行動というふうに考えられるわけでございます。 ただ、こういう行動が将来の大規模な武力行動につながることは、従来私どもあるいは総理が再三申し上げていました日本としての考え方から見て、憂慮にたえない点でございます。いまの報道によりますと、イラン側には死傷者はなかった、米側に死傷者が出たということのようでございますが、わが国としては、人質が一日も早く平和的な話し合い、交渉によって解放されることを要望するという立場は変わらないと思います。
○土井委員 日本もECも人質の救出に対して努力は変わらない、言われるとおりなんですけれども、これは短兵急なやり方でありまして、どういう理由であれイランの領空を侵犯したというこの行為は、不法行為だということだけははっきり言えると思いますが、外務大臣、いかがでございますか。――外務大臣。
○大来国務大臣 人質の救出活動は、いわゆる軍事行動とは別であろうと思います。これも、条約的な解釈は条約局長から発言させた方がよろしいと思いますが、私が知っている限りでも、ドイツの飛行機あるいはイスラエルの飛行機が人質を飛行場から救出するというケースが過去においてもございましたが、それは一般には武力行動というふうにはとられなかったように記憶しております。
○伊達政府委員 なお補足させていただきたいと思うのでございますが、通常の場合の領空侵犯というものと違っておりまして、人質というものがとられているという、人質を行っているという違法な行為というものがありますので、その人質を救出するというために行動をとることの結果、それが確かに領空侵犯ということは、そのことだけをとらえれば違法性があるということになりましょうが、全体の状況というものを考えてみますときに、その違法性というのは阻却されることもあるわけでございまして、その点は、イランの政府が明瞭に加担をして人質をとらえているというところが本来の根本的なことなので、これをわれわれは視点として失ってはならないと考えるわけでございます。
○土井委員 いまのは非常に際どい御答弁だと思います。純法的に考えるとこれは違法行為である、不法行為であるということだけははっきり確認しておいていいと思いますよ。そのあたりの情勢判断というのはいろいろあります。そのことについて歩を進めて言ってしまえば、後々大変な問題を引き起こす原因をつくることにもなるわけでありまして、いまこれは単純に法的に、外務大臣、ひとつもう一度お答えください。領空侵犯というのは不法行為、違法行為だと思います。――いや、もう条約局長はいいですよ。――ああ純法的に……。
○伊達政府委員 純法的に申しまして、私の申し上げたことは、この場合、人質救出のための行動が領空侵犯だと言うのは正しいことではなくて、これは違法性は阻却される理由が十分あり得ることであろうということを申し上げたわけでございます。
○土井委員 これはイラン側からするとそうはならない。新たな火種をつくったようなかっこうになっているのですよ。そういうことを日本側が言うこと自身が、私は恐らく状況を円満に解決することに対して道を閉ざすことにもなりかねないと思います。私は、これは非常に重要な段階に重要な御発言だと思うのです。 外務大臣は三十日にアメリカに御出発をなさるという、それまでにはまだ時間があるわけですが、この間のアメリカ側の対応によっては訪米の条件も変わることも含めて慎重に検討されるかどうか。私は、これは種々非常に慎重に検討を要する時期だと思うのです。ただいま、事情としては非常に深刻に状況が展開していっているわけですから、一つ一つに対して日本は慎重な配慮を持って対応しなければならない、これは言うまでもないことなんですが、いま申し上げたとおり、アメリカに向かわれる三十旧までの間、アメリカ側の対応によっては訪米の条件も変わるということも含めて慎重に検討されるかどうか、いかがですか。
○大来国務大臣 ただいまの報道は深刻な事態だと認めております。しかし、さらに詳細な実態をつかむことが必要だと思いますし、そういうことも含めて慎重に考えたいと思います。
○土井委員 終わります。
○中尾委員長 次回は、来る三十日水曜日午前九時四十五分理事会、九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十九分散会