外務委員会 第15号
- 発言数
- 313 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1980/04/16
会議録
○中尾委員長 これより会議を開きます。 日本国とフィリピン共和国との間の友好通商航海条約の締結について承認を求めるの件、日本国政府とアルゼンティン共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とイタリア共和国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とハンガリー人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とポーランド人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィリピン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の締結について承認を求めるの件、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約の締結について承認を求めるの件、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約第十一条3(a)の改正の受諾について承認を求めるの件、以上十件を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。榊利夫君。
○榊委員 まず最初に、ワシントン条約の問題で質問させていただきます。 絶滅する危険のある野生動植物を保護するという条約の目的は、妥当なものだと考えます。留保されている九品目につきましては、関係業者の要望などから見ましても積極的な保護、育成策をとるべきだと思います。養殖の調査など今後の対策について、先般の質疑でも問題にされましたけれども、この点についてもう少し聞かせていただきたいわけであります。 一つは、外務省答弁で、トカゲ養殖の実態調査及び専門家育成を行うということが述べられておりましたけれども、どの省庁の責任で当面どれくらいの事業をお考えになっていらっしゃるか、これが第一点であります。
○関説明員 お答え申し上げます。 増養殖関係の予算につきましては、外務省のほかに農水産省及び通産省、この三省に分かれて予算が計上されております。 外務省関係につきましては、トカゲの増養殖の可能性を研究する予算といたしまして、三千七百万円が、五十五年度予算、本年度予算に計上されておりまして、この予算の計画といたしましては、FAOと協力いたしまして、FAOのプロジェクトの一つといたしまして、バングラデシュ、トカゲが一番生息しているところでございますが、このバングラデシュでトカゲの増養殖の可能性につきまして、FAOの専門家及び日本人の専門家を中心にいたしましてチームを編成いたしまして、この一年間トカゲの資源状況の調査と、それからその増養殖のための一番いい方法が何であるかということを目標にいたしまして研究をすることになっております。現在人選を進めているところでございまして、この邦人の専門家を補佐としてFAOの専門家に同伴させるということによりまして、日本人の専門家を育成していこうということも大きな一つのねらいとなっているわけでございます。
○榊委員 そうしますと、そういう専門家になりますと、外務省だけでは当然扱い切れない問題も出てまいりますので、他の省庁との協力関係ということが出てくると思いますが、そのことも当然考えていらっしゃるわけでしょうね。
○関説明員 先生御指摘のとおりでございまして、今後とも関係の省庁、特に通産省及び農水省と外務省は密接に情報交換に協力してまいりたいと思います。
○榊委員 通産省は、ワニ、タイマイの養殖のため調査団を送るということを答弁されておりますけれども、その努力の方向と見通しはどうでしょうか。
○水野説明員 御説明申し上げます。 先生いま御指摘のとおり、ワニ関係とタイマイ関係は、業界が爬虫類業界とタイマイべっこう業界、二つの産地業界がございますが、これらに対応するために、おっしゃられましたようにワニとタイマイの養殖を来年度事業として行いたいと考えておりまして、五十五年度の予算で一千四百万円ほどでございますが、新しく野生動物養殖試験事業費という形で私どもの経済協力関係の予算に計上いたしております。この予算を中心に活用いたしまして、ワニとタイマイの養殖事業を今後関係業界の専門的な知識も入れながら、学識経験者の意見も聞きながら推進してまいりたい、こういうふうに考えております。
○榊委員 農水省は、小笠原諸島でカメの養殖状況の調査を計画している、そういうふうに言われておりますが、どのような調査を行うのか、それからカメの養殖の見通しはどうか。さらに地元、小笠原村が地元に当たりますけれども、それとの協力関係はどうか。
○森川説明員 お答えいたします。 第一点のウミガメの調査のことでございますが、小笠原におきますいわゆるウミガメの増殖の歴史は大変古うございます。復帰後におきましは、昭和四十八年から東京都の小笠原の水産センターにおきまして、資源の調査の観点から主として標識放流を中心に、いわゆる人工ふ化放流試験を継続的に実施しております。また国といたしましても、ウミガメの増殖の観点から、東京都に対しまして五十五年度から、東京都の行っております同実験の中で特に種苗生産あるいは回帰率の向上のための研究に助成をいたすこととしております。 それから第二点の調査の見通しでございますが、アオウミガメの成ガメになるまでの期間といたしましては七、八年かかると言われております。そういうことになりますと、この実験の成果を見るまでにはまだ二ないし三年の期間が必要であると考えておりまして、成果を見るには至っておりません。 それから三番目の点でございますが、アオウミガメの放流試験の成果が得られるということになりますれば、まず第一に、小笠原におきます漁業振興上の観点からはもちろん、観光資源としても重要でございますので、地元の関係者としても意欲的に取り組んでいるところでございます。
○榊委員 総じまして、野生動植物の乱獲時代ということが言われてまいりましたけれども、これは過去のことになっておりまして、御承知のように栽培、養殖を重視する時代になってきております。各省庁の仕事が条約批准のときだけの調査研究に終わるのではなくて、この点で系統的に努力が求められていると考えます。そういう概括的な方向についての政府の見解を承りたいと思います。
○関説明員 お答え申し上げます。 九品目につきまして日本政府はこの条約について留保することになったのでございますが、この留保はできるだけ少ない方がいいわけでございます。もちろんこの留保には期限は付しておりませんけれども、先生ただいま御指摘のように、増養殖の計画を強力に推進いたしまして、もし資源の増殖ということが人工的に可能であるというような見通しが立ちますと、この留保の品目も当然少なくなるわけでございまして、国際的な日本のイメージアップという観点からもそれが望ましいわけでございますので、外務省といたしましても関係省庁と十分連絡をとりながら、今後とも先生御指摘のような方向で努力してまいりたいと思います。
○榊委員 関連しまして小笠原近海のサンゴの問題について一言お尋ねいたします。 昨年来、小笠原近海の良質のサンゴが、台湾漁船の密漁、連日四十隻から五十隻ぐらい出動してきているのでありますが、それによってずいぶん荒らされる。社会問題にもなりまして、ずいぶんマスコミでも大きく取り上げられました。私も一月十七日に外務省及び海上保安庁に対応策を要望したわけでございますが、最近はやや事態が改善されているように見受けられますけれども、台湾当局への外交措置はとってもらったのでしょうか。
○三宅政府委員 お答えいたします。 ことしの一月二十五日に交流協会を通じまして台湾当局の方に対しまして強く実情を説明し、善処方を要求いたしまして、その効果もあってかと思いますが、この一月の末以降海上保安庁の方からの連絡によりますと、一件もこのような事実がないということでございます。
○榊委員 次に、日比友好通商航海条約の方に移りたいと思います。 御存じのように、現行条約は一九六〇年の十二月に調印されまして、しかしフィリピン側が批准したのは一九七三年の十二月なんですね。実に十三年間批准されなかったといういわくつきの条約でございますが、その批准までの時間がずいぶんたったという理由はどういうふうに政府では解釈されておられるでしょうか。
○三宅政府委員 先生御指摘のとおり、十三年も批准に時間がかかったということは御指摘のとおりでございます。その理由といたしましては、まず条約内容についての誤解その他のことがあったかと思いますが、基本的には日本の経済支配というものに対するおそれがあったということでございます。そうやっているうちに新しい情勢の推移がありまして、ASEANの発展というようなことから新しい事態に即するような条約の締結の必要性ということで、事態が変わってきたという二つの面がございます。
○榊委員 以前は対日感情云々ということが強調されておりましたけれども、いま答弁がありましたように、やはり経済支配のおそれというものがその批准が長引いた背景にあったということは確かだろうと思います。その際、特に条約に免責条項、日本品の輸入制限など、これがないということから、フィリピン国内でも日本商権の確立をおそれたというふうに報道もなされてまいりました。七二年三月一日、私ども調査したところでは、確かにフィリピン上院の外交委員会で批准——これは全員一致で拒否しているわけです。その際、理由としまして領海権を規定する条項がない、それから日本製品の進出を拒否できる免責条項がない、こういったことが挙げられているわけであります。結局、マルコス大統領の権限で批准、こういう異常な経過ですけれども、国際条約としては、どうなんでしょうか、こういうのは非常に珍しい事例ではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 二国間条約の場合に、一方の批准が現行の日比通商航海条約のようにおくれるという例は、非常に珍しい例であろうと思います。
○榊委員 確かにこういう例は余り見ないわけでありますが、ところが、今回の条約改正につきましてはフィリピン側から提起をされたというふうに聞きます。 〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕 フィリピン政府は、現時点ではどういうふうに条項を評価しているのでしょうか。
○大来国務大臣 この新条約につきましては、近年の常北問題のいろいろな国際的な討議も踏まえて条約ができたということで、フィリピン側も今回の新条約は高く評価しておるというふうに聞いております。
○榊委員 新条約の第二条で、これは新しい規定としまして抑留者保護がうたわれております。締約国の国民が抑留された場合はその旨通報する云々とありますけれども、この抑留というのは、たとえばフィリピンに元日本兵がまだ残留しているということが伝えられます。たとえば四月四日のAFP電によりますと、元軍曹で中晴文夫さんという方、フィリピン中部のミンドロ島にあるハルコン山の山頂で小屋が見つかった。本人には、小屋に戻ってこないために接触できなかったらしいのですけれども、どうもその可能性が強いという報道があったわけでありますが、こういう場合にもつまりこの条約は関係するのでございましょうか。あるいはまた、あわせて、この問題につきましては報道があるのですが、現地へ問い合わせか何か、外務省としてやられましたか。
○山田(中)政府委員 お答えいたします。 いま先生御指摘ございました条約第二条の抑留された場合と申しますのは、相手国の国民を公権力によって身体の自由を拘束した場合でございますので、先生が御指摘になりましたようなケースはこの条約では考えておらないわけでございます。
○榊委員 現地へ問い合わせましたか。
○三宅政府委員 これはまだ現地に照会してございません。
○榊委員 これは条約とは直接関係ありませんけれども、旧日本兵がいるらしいという報道があるわけですから、しかも名前まで上がっているのですから、やはり外務省からは現地に問い合わせぐらいはしてほしいと思うのですね。そして、もし生きておられるならば、当然救出等々、やはり事情をよく調べたり対策を講じなくてはいけないわけですから、三十何年たちましても、一人の日本人の生存にかかわる問題でございますので、そういうことはひとつ手を打ってください。よろしゅうございますか。
○三宅政府委員 そういたしたいと思います。
○榊委員 条約の第四条にこういうくだりがございます。「いずれの一方の締約国の国民及び会社の財産も、他方の締約国の領域内において、不断の保護及び保障を受ける。」これは新しい規定でございます。フィリピン側はこの条項に不満だというふうに聞くのですけれども、どうでしょうか。
○三宅政府委員 この点につきましては、フィリピン側には一切不満がございませんので、この条項については特にもめたという経緯はございません。
○榊委員 御承知のように、二十九回国連総会で「諸国家の経済権利義務憲章」というものが採択をされております。その中に、第二条の第二項ですけれども、「いかなる国家も次の権利を有する。」ということで、(a)にこういう規定があるのです。「自国の法令に基づき、また自国の国家的目的と政策の優先順位に従い、自国の国家管轄権及び範囲内で、外国投資を規制し、それに対し権限を行使すること。」云々。外国投資についてそれぞれの国家が判断を持って対処できるという、場合によっては規制することができるという権利ですね、これにはフィリピンも賛成しているはずでございます。そういうこととの関連で、こういう条項と照らして不満ではないかということが報じられたことがあるわけであります。その点については公に触れたことはないわけですね。
○三宅政府委員 公のみならず、交渉の過程におきましても、この種の法というものが日比の経済交流のために、また投資促進のために必要であるという認識を持っておりまして、特にこの点につきましてはフィリピン側から不満が表明されたという経緯はございません。
○榊委員 それでは、第十条をちょっとお尋ねいたします。 第十条にこういうくだりがございます。「他方の締約国の資本又は技術を自国の領域内に導入することを妨げてはならない、」こういう条項ですが、原理的に言いまして、どのような技術、資本を受け入れるかどうかというのは、当事国が自主的に決めることであります。これについて「妨げてはならない」という規定がなされている。つまり、自生的に決めるということと「妨げてはならない」というこの規定と、矛盾があるんじゃないか、問題があるんじゃないか、こういう問題の立て方もできるわけでありますけれども、この点はどうでしょうか。 〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕
○三宅政府委員 その前段には、自立経済と、それからバランスのとれた経済の発展のためにということがございまして、もちろんその国の技術、それから資本の導入につきましては、その国の経済に役立つようなということで、フィリピンの場合につきましても投資奨励法その他の関連法律がございます。したがいまして、その条件におきまして技術、資本というものが入る、そういうことを妨げてはならないし、またフィリピン側としても、妨げるどころか大いに歓迎したいということで、この条項はつくられているということでございます。
○榊委員 実際問題としまして、投資の実績という点ではどうでしょうかね。日本の対フィリピン投資がやはり圧倒的ではないかというふうに思いますけれども、向こうからの例というのはございますか。
○三宅政府委員 日本からフィリピン向けの資本のいままでの累積は三億五千万ドルに達しておりまして、全体の約二〇%、アメリカに次ぎまして第二位という実績になっております。
○榊委員 第三位ではなくて、大体四百社くらいで第一ではありませんか。
○三宅政府委員 現在のところは日本の方がかなりふえてきておりますが、私が申しましたのは、累積につきましては、かつての米国との特殊関係もございましてアメリカは投資面につきましては一位でございます。貿易面につきましては日本が最近一位になっております。
○榊委員 そうしますと、この条項は、日本からのフィリピンへの投資を妨げてはならないという意味、これは大きいわけですね。 したがって、もう一回最初の問題に戻りますけれども、当事国が自主的に決めるということと「妨げてはならない」という規定との関係が、形式論じゃなくて実質論としてどうなのかという危惧ですね。これはどうでしょうか。
○三宅政府委員 実質論といたしまして、フィリピンは特に最近は日本からの外資の導入を歓迎しております。それは自国経済のために有益である、そういう自主的な判断のもとで歓迎したい、その限度においてはもちろん妨げないということでございます。
○榊委員 実はこういう情報があるわけです。これは一般紙で報じられたことですけれども、一九七七年八月十六日、三年前になりますが、フィリピンの情報省、これは政府機関です。それは、日本の技術協力は日本国内で公審産業として禁止している分野だ、つまり公害産業として日本で禁止されたものがいわば技術協力の名でどんどんフィリピンに入ってきている、こういうことですね。具体的には当時川鉄のミンダナオ進出の問題があったようであります。千葉県が総量規制をやりまして、それに引っかかってフィリピンに行ったということがその当時の新聞では報道されているわけであります。 改定条約ではこうした問題はどうなるのでしょうか、さっきの問題ともちょっと関連があるわけでありますけれども。
○三宅政府委員 フィリピン政府が、自国の経済の自立、バランスのとれた経済ということで第一義的な認定権を持っておりまして、外資の導入につきましても、これが本当に自分の国に有益であるかという点から特定の企業の進出について判断するということでございまして、フィリピン政府がこれを認可している限り日本政府としてはこれに対して問題提起をする立場にないということでございます。
○榊委員 いま聞きました具体例はその後どうなりましたか。解決されていますか。
○林説明員 お答えいたします。 先生御指摘の件につきましては、海外進出企業の公害問題は第一義的には受け入れ国の法制にゆだねられるわけでございますが、私どもが調べておるところでは、この問題は、川崎製鉄は、現地社会との間に問題を起こさないように公害防止対策も真剣に行っておりまして、同社の環境管理対策につきましてはフィリピンの国家環境管理委員会の承認も得ておりますし、フィリピンの環境基準にも十分合致しているということで、フィリピン政府が問題にしているということは聞いておりません。それで最近では住民との間につきましても大分理解が進んできているというふうに私どもは聞いております。
○榊委員 つまり、フィリピン情報省から私がさっき読み上げましたようなことが公式に、だろうと思うのですね、発表されてそれが報道された、この問題は解決したということですか。
○林説明員 フィリピン政府との間ではただいま問題になっておりませんし、住民につきましても、大部分の住民は十分理解しているということでございますけれども、今後具体的に問題があるようでございますれば現地大使館とも十分連絡をとりまして対処いたしたいと考えております。
○榊委員 それでは、次の質問ですが、フィリピン進出企業の中に、現地の低賃金雇用を広げる、そのかわり日本国内では人減らしをやって雇用不安の一因をつくっているものがあるのじゃないかということが言われているわけでありますが、この点は把握されておられますか。
○角南説明員 お答えいたします。 フィリピンを問わず海外における日本企業の状況につきましては、当省におきまして毎年調査をする、あるいは現地の大使館等のお手伝いもいただくということで、ある程度の実態を把握はしてございます。いま御質問の、フィリピンに出ている企業は当然現地の方に働いていただいているわけでございますが、現地のそれぞれの企業の雇っている人数はそれなりにわかりますが、その問題とそれぞれの企業の国内での雇用の増減の問題をストレートに結びつけることはなかなかむずかしい問題があるのではないかと考えております。
○榊委員 たとえば新日鉄、それから日立製作所でフィリピン進出とのかかわりで国内でどうも人減らしをやった、あるいはやっているらしい、こういう報道があったわけであります。そういう点についてはどうなのですか。つかまれておられますか、あるいは少なくとも調べてみられたことはあるのか。
○角南説明員 お答えいたします。 先ほども申し上げましたように、国内でいろいろな事情から企業が従業員を減らしているというケースもあろうかと思います。それから別途日本の企業が海外で子会社をつくる等の形で現地の方を雇っている場合ももちろんあるわけでございますが、こういう海外での子会社の設立と国内の雇用を直接に関連づけるのは必ずしも適当ではないのじゃないか。 幾つかの理由がございますが、たとえば進出先の国で、特に発展途上国等で国内の工業を育成するために関税その他の措置で輸入制限を行うというようなことになりますと、どうしても日本からの輸出ではなくて海外に企業を進出するというかっこうで対処しなくてはいけない、あるいは海外でのそういう子会社の雇用がむしろその国の新しい需要に見合うものであるという意味では、かえって関連する部品あるいは機械といったものの日本からの輸出という意味からもプラスになるというようなことで、国内の雇用の問題と海外の子会社の雇用の問題を結びつけて考えるのは必ずしも適当ではないのではないかとわれわれは考えております。 ただ、非常に大規模な海外への企業進出ということで、場合によりましては一部の業種、一部の地域に大きな摩擦を生ずるというようなことは十分考えられることでございまして、そういうような場合にはいろいろと国内の関連する企業、そういったもの等をひっくるめて十分に調整して出ていただくように、通産省としてもお願いをしていきたいと考えております。
○榊委員 御承知のように、日本の雇用問題というのはいろいろな不安要素を持っているわけでありまして、海外に企業が進出してそれと引きかえに日本の雇用不安が起こる、これはどうしても避けなければならない問題であります。 フィリピンとの関係では、私たちが調べた範囲内では、新日鉄だとか川鉄だとか日立、グンゼ、三井金属等々の例でどうもそういうことが考えられる、そういうふうに言われ、また私どもちょっとその点についてクエスチョンをつけざるを得ないような点があるわけであります。したがって、そういうことが起こらないような、それはやはり十分にこの条約との関係でも関係省庁でも見ていくということは必要ではないかと思うのであります。その点はどうでしょうか。
○野見山説明員 お答えいたします。 最近の雇用、失業情勢につきましては、御存じのとおり依然として厳しい状況でございますが、改善の基調にございます。今後の経済動向等につきましてもなお楽観を許さない状況でございますので、国内における雇用機会の拡大につきましては労働省といたしましても十分配慮しなければいけないというふうに考えております。 また、海外進出に伴う国内雇用への影響につきましては、進出の動機あるいは業態等によりまして複雑な要素もございますけれども、国内への雇用の影響につきましては引き続き私どもとしましても調査研究その他を進めたいと思いますし、また海外進出に伴って国内雇用に影響を及ぼすような場合には、関係省庁とも十分連絡をとりながら、関係使用者に対して国内における雇用の安定につきまして十分配慮していただくように要請してまいりたいというふうに考えております。
○榊委員 それから同じような問題ですが、国内産業を圧迫するものとしていわゆる逆輸入の問題というのが、あれこれ、これまで社会問題ともなってきたことも御承知のとおりであります。フィリピンの場合も進出企業から逆に製品が日本に逆輸入されている事例はあるかないか、あるいはこれからの可能性はどうか、御判断をお聞かせください。
○角南説明員 お答えいたします。 フィリピンに進出している日本の企業の子会社その他関連会社から日本への輸入ということで逆輸入を定義いたしますと、かなりございます。ただ、これはそのほとんどは銅の精錬したものでございますとか、紙パルプ、チップというようないわば資源の半製品でございまして、半製品ないしはそれよりやや中間製品と申しますか、つまり日本としてどうしても必要な資源というのをフィリピンで開発させていただく。それと同時に、現地の工業化の御要望に沿ってある程度の製品の付加価値を高めるというかっこうで日本が輸入しているもの、これがほとんどでございまして、これはあるいは先生が御質問の趣旨の逆輸入とはちょっと違うのではないか。 製品、いわゆる本当の意味での工業製品、これを日本にどの程度持ってきているかということでございますが、これはフィリピン自身について十分な統計はございませんが、アジア全体で、日本から出ております企業の製造業、これの子会社の売り上げのうち製品を日本に持ち帰るものは、そのうちの一〇%にも満たない量でございます。しかもこの製造業という中には、統計の分類上先ほどお話ししました紙パルプといった製造業というのか資源産業というのかわからないようなのも入っております。したがいまして、ほとんどの現地での売り上げは現地のマーケットあるいは第三国市場へ向けられるというのが現実でございます。 とりわけフィリピンに関連いたしましては、日本への工業製品のそういったかっこうでの持ち帰りというのは非常に限られてございまして、貿易統計をごらんになればおわかりでございますが、若干半導体製品、そういうものの持ち込みがございますが、これは大手企業の独占しているところの産業分野ということで御了解いただきたいと思います。 以上でございます。
○榊委員 いまの御答弁だと、主に半製品だという話でございますけれども、確かに私どもちょっと調べてみましたけれども、たとえばヤシ油であるとか、これは新日本理化ですが、あるいはバナナであるとか、こういったものは当然入ってきて、それはまた消費するわけですから、この逆輸入というカテゴリーに入らないわけでありますけれども、たとえば船舶修理——私はなぜこれを問題にするかというのは、つまり同じ製品を製造している中小企業はたくさんあるわけですよ、東京都でも日本全国でも。それが逆に圧迫をされるという例がいわゆる逆輸入問題として社会的に論議をされている問題で、それとの関連で質問しているわけであります。たとえば大洋技研のLPG用のコックであるとか、あるいはシリコンダイオードであるとか、それからビニールテープ、計器、こういったものは必ずしも半製品ではないのですね。進出することで逆にストレートに日本の雇用不安あるいは下請中小企業への圧迫が考えられるわけです。現にそういう市を聞く。 そういう点で質問申し上げているわけでありまして、この点はどう御認識でしょう。
○角南説明員 二つあると思いますが、一つは船舶修理業の問題でございますけれども、実は私、通産省は船舶は必ずしも所管しておりませんのではっきりしたことは申し上げられませんが、船舶修理業として出ていらっしゃる企業の主たる事業活動は、ちょうど自動車の車検工場みたいに船舶は定期的に修理、点検をしなければいけません。その関係で現地の港に寄航する、あるいは現地のフィリピンに所属する船籍の船のいわば定期点検、修理というような事業に主として携わっている、こういうぐあいに了解しております。 それから二番目に、御指摘のとおり工業製品につきましても若干進出した企業からの国内への持ち帰りというのはございます。ただ、いまのお話の品目が日本に持ち帰られているかどうか、われわれ実はよくつかんでおりません。 ただ、言えますことは、まだその量が非常にわずかであるということと、フィリピンの側から見ますと、いわばフィリピンの経済の工業化ということからできるだけ資源、それからそれの加工、さらに進んではできるだけ製造業というものを興し、それをできるだけ輸出したいというのがフィリピンの政府の経済開発に対する非常に強い熱意のあらわれでございまして、その辺の問題と日本の国内産業との調和というのをどうとるかというのは、おっしゃるとおりいろいろ議論がございますが、私は日本の国内産業構造が一方では高度化していくという過程の中で必ずやうまく調和されていくものというぐあいに考えております。 ただ、先生御指摘のとおり、場合によりましてはこれが非常に大規模に突然行われるということで関連産業に重要な問題が起きるという場合には、先ほど御答弁いたしましたように関係の方とよく御相談をして、そういう混乱のないようにしてまいりたい、こう考えております。
○榊委員 フィリピンの場合には、いろいろ、調味料の原料であるとかそういう非常に特殊な現地の特徴を生かしたものが入ってくる。これはあたりまえなんですけれども、先ほど申しましたように同じ品目、同じ製品をつくって、しかも安い労働力を基礎にして逆に入ってきますと、もろに影響を受けるわけであります。これはいまフィリピンの条約をやっているからフィリピンの問題を提起しているわけでありまして、フィリピンだけがすべてそうだと言っているわけでは決してございません。韓国との問題でもマレーシアとの関係でも、いろいろな場合にある。そういうことの一環として申し上げているわけであります。 投資をして現地の安い労働力を使って、その製品が逆輸入されてくる。結果的に、いままで伝統的にその業務に従っていた中小企業や零細企業がもろにその波をかぶって倒産に追い込まれる。御承知のように中小企業の場合、一千万円以上の借金を負った企業の倒産が一千件を超える月だけでももう五十数カ月連続しているという事態で、これは下降カーブをたどっていないでむしろ上昇カーブをたどっておるわけであります。そういう深刻な事態があるがゆえに同胞相はむ、こういう結果になる。それを国際条約が促進するようなことになれば泣き切れないという中小企業のそれがあるわけでありますので、そういう現実をしっかりと見据えて、一つ一つの問題についてもきちっとした対処をやっていく必要がある、こういうのが私の質問の問題意織であります。 したがいまして、このフィリピン条約の問題にしましても、そういうことが起こらないように、先ほど申しましたように十分に目を配っていく必要がある、こういうことであります。その点は恐らく御理解願えるだろうと思いますが、どうでしょう。
○三宅政府委員 先生の御指摘の点、それは確かにそういう問題も十分考慮しながら全般的な政策を進めていくということでございます。
○榊委員 第十四条に八項目の一般適用除外例が述べられております。かなり一般的な除外が多いわけでありますけれども、その際、国宝の保護などと並びまして核分裂性物質またはその原料となる物質武器、弾薬、軍事施設、こういったものが挙げられております。(a)から(h)までありますけれども、わざわざ適用除外例にしているのはどういうことでしょうか。
○渡辺説明員 お答えいたします。 条約十四条は先生御指摘のとおり本条約の規定の例外措置を規定しているわけでございますが、このような規定は一般の二国間通商航海条約に通常あらわれているものでございまして、たとえば多数国間条約の例で申しましても、ガットの規定にもこういう例外規定があるわけでございます。
○榊委員 それは私もよく知っているつもりでありますけれども、核分裂性物質とか武器、弾薬なんというのは、これは言うまでもなくわが国の場合には、憲法上から見ましても非核三原則から見ましても、こういうものを通商の対象にするということはあり得ないわけであります。またやってはならないことでありますけれども、それが項目としてわざわざ挙げられている。これはどういうことかということなんですね。
○渡辺説明員 先生御指摘の十四条(b)及び(c)の点でございますけれども、この点についても、核分裂性物質の問題あるいは武器、弾薬、軍需品の取引、軍事施設に供給するそのような関連の貨物等については、やはりガット三十一条の規定で例外にされている。それで二国間のフィリピンとの通商航海条約においてもガットの例外規定と平仄を合わせるためにこの規定を設けたということでございまして、特に取り立てた特別の理由がある、特別な背景があるということではございません。
○榊委員 そういう趣旨に解したいと思います。憲法や非核三原則に照らしまして、そういうものが通商貿易の対象になり得ないと、日本の場合ははっきりしているわけでありまして、手を縛られないという予防線かな、こう憶測されないように、やはり日本の平和と安全、国際的な本当の友好関係を発展させるという上から、こういう問題についても若干の質問をさせてもらったわけであります。 いままで幾つか質問をさせていただきましたけれども、そのこととの関連で、最後に条約のことで言わせていただきますと、この日比通商航海条約を含めまして、アジア太平洋地域の関係というのは、地理的にも非常に近しい関係があるだけに、相互にお互いの立場を尊重し合いながら、自主的でかつ平等互恵であってこそ有益なものになるだろうと思うわけであります。 そのことで、これはできたら大来外務大臣にお答え願いたいのでありますけれども、いわゆる環太平洋構想ですね。この中にはフィリピンも入っているのではないかと思いますが、これにつきまして、大平総理は一月のオーストラリア訪問の際、環太平洋構想は軍事にわたらず、排他的なブロックの形成を目指すものでなく、というふうに演説をされております。ところが他方、報道によりますと、アメリカのバンス国務長官が昨年七月に、アメリカはアジア太平洋、インド洋で全般的な軍事力を強め、ASEAN諸国への軍事援助を増強し加速していく、こういうふうな発言もあるわけであります。しかも、この二月に環太平洋合同演習、リムパックも行われた。そういう点で——ここを聞きたいのですが、いわゆる環太平洋構想が米国を軸にした政治的、軍事的な同盟づくりに利用されてはならないというふうに私は思うわけであります。この問題を深く研究あるいはまた携わってこられました外務大臣としてどういうふうにお考えなのか、お聞かせ願えればと思います。
○大来国務大臣 この構想は、まだ余り固まった段階ではございませんで、結局、太平洋地域の各国の意見、特に専門家の意見をだんだん集約して中身が固まっていくということになるのだろうと思います。ことしの秋にオーストラリアの国立大学で専門家会議が開催されることになりまして、その過程でもいろいろな議論が出るのではないかと考えております。日本としては、その環太平洋問題についての研究グループで中間報告を従来出しておるわけでございますが、その中でも強調しておりますことは、この地域協力というのが、とにかく太平洋をめぐる歴史も文化も産業も経済の発展段階もいろいろ違う国々の間の協力であって、そういう意味では緩い協力関係、外の世界に対しても開かれた地域協力、それから内容的には、政治、軍事の問題にかかわらずに、経済と文化を中心にした協力であるべきだというような点を申しておりまして、いま御指摘の点についての御心配は、この構想の方にはないと考えておるわけでございます。
○榊委員 フィリピンにつきましては、これは私が申すまでもなく、一般の新聞とかあるいは雑誌等々を見ましても、やはり独裁体制である、マルコス体制、独裁体制という呼び声が高いわけであります。それを含めましてのいろいろな条約であり、かつまた環太平洋構想なるものもそれを含めているわけでありまして、そういう点はあくまでも平和な友好関係、平等互恵のそれを目指すべきであって、いやしくもここで、先ほど説明しましたような政治的な、軍事的な新しい同盟体制、これが発表されたときに、一部では、同じアジア諸国の中からも、大東亜共栄圏ではないか、こういう批判が上がったことはもう御承知のとおりでありますし、そういうことになってはならない、こういうことを強調させていただきたい、こう思うわけであります。 最後に、そういうことは大来外相も考えておられないでしょうね。
○大来国務大臣 私どもそういうことにはなってはならないと考えております。
○榊委員 あと四、五分残っておりますので、一言だけお尋ねさせていただきます。 実は、せんだってここの委員会で私質問したことと関連いたしますが、けさの新聞によりますと、きのうですか、大来外相が衆議院の決算委員会で、オリンピック問題に関しまして、オリンピック、モスクワ五輪に参加することは好ましくないというふうに表明されたというふうに報道されております。しかし、四月二日、本委員会で私がちょっと質問したことに対しまして、大来外務大臣は、日本オリンピック委員会、JOCの態度、これが決まれば、そのJOCの態度に従うのが政府としてのたてまえだ、こういうふうに答弁されました。どうもこれと食い違うように思うわけであります。その点はやはり不可解であります。 従来政府はJOCの自主的な判断を見守るという態度ではなかったか、こう思うのであります。原理問題といたしましても、政府はスポーツ介入はすべきではありませんし、実際にオリンピックの参加費にいたしましても、政府が補助するのは四分の一程度であります。したがいまして、自主的な判断をJOCがするならばそれを見守っていくし、その態度決定に報復措置はとらない、こういうのが政府のこれまで国会で明らかにされてきた態度ではないかと思うわけであります。 今回これを変えられたのでしょうか。もし変えたとするならばこれは国会での答弁と違うわけでありまして、新しい問題が出てくるわけでありますけれども、この点御見解をお尋ねいたします。
○大来国務大臣 昨日、決算委員会で井上委員からこの問題について御質問がありまして、私の方からは、この問題は三月一日の政府の意向表明とその後変わっていない、この問題は、最終的には、オリンピックの担当は文部大臣でございますし、政府全体としての意思決定は総理、官房長官を含めてやる必要があることだということでお答えをしたわけでございますが、それはともかくとして、外務大臣として外交上の見地から望ましいか望ましくないかという重ねて御質問がありまして、それは二月一日の趣旨からいっても、オリンピックは平和の環境の中で行われるべきものでございまして、そもそもソ連のアフガニスタンに対する軍事介入ということからこの問題が起こってまいっておるので、この事態が変わらなければ、やはり外交上の見地から言えば望ましいとは言えないだろうというような答弁をいたしたわけでございまして、そういう質問と答えの前後の経緯から出ておるわけでございますので、基本的に政府の立場は二月一日から変わっておらないわけでございます。
○榊委員 変わっていないとすれば、あれですか、JOCの門主的な判断を見守る、その態度決定に外から政治的に報復措置をとるとかそういうことはない、こういうこれまでの政府答弁を確認してよろしゅうございますか。
○大来国務大臣 JOCが、自主的に判断すべきものだという立場も変わっておりませんで、そのように御解釈願って結構だと思います。
○榊委員 時間が参りましたからこれで終わります。
○中尾委員長 土井たか子君。
○土井委員 日本国とフィリピン共和国との間の友好通商航海条約について質問を申し上げたいと思うのですが、日本とフィリピンとの間においてございます現行の友好通商航海条約が昭和三十五年の十二月九日に署名、調印されております。ところが、その後昭和四十九年まで何とその間十四年の間フィリピン側の反対で凍結をされてきたという経緯があるわけでございますね。その条約が、昭和五十一年の六月になりまして、突然何の予告もなしにフィリピン側から終了通告が出てまいりまして、新たな友好通商航海条約の締結交渉の提案ということになってきたわけですが、この間のいきさつをずっと見ておりますと、どうも唐突の感を持つわけでございます。そういう印象は免れないと私は思うのですが、この間の事情についてまず御説明をいただきたいと思います。
○三宅政府委員 お答えいたします。 条約の署名ができましてから長い間批准されなかったという点は、御指摘のとおりでございます。 その理由といたしましては、やはり経済支配に対する誤解、不満、そういうようなものがありまして、片やASEANという新しい情勢の進展、それから南北問題の進展というような新しい情勢が出てまいったわけでございます。フィリピンは長い間いろいろないま言った経済的な支配に対する不安とかいうことで批准ができない状況になっていた、その間に新しい情勢が出てきたということで、新しい情勢に即応したかっこうで新しい条約をつくりたいということを申し入れてきたわけでございまして、確かに申し入れのときといたしましては急に出てきたことでございますが、背景的には新しい情勢が積み重なって出てきたというぐあいに私たちは認識しております。
○土井委員 新しい情勢が積み重なってという御説明でございますが、それにしても十四年間新しい情勢の積み重ねということをずっと待ち続けたという説明にはならないだろうと思うのです。十四年の間、調印があったにもかかわらずそれが批准されなかったという過去の事実はぬぐい切れない。そういうことに対しまして、突然予告なしにこれを終了したいという通皆を受けて、日本側はこの中身をいろいろ交渉するためにさらに一年延ばし一年延ばし一年延ばすという、こういうことに対して受けて立つ立場にあったわけでしょう。向こう側の要求を全面的に受け入れたと申し上げても私は過言じゃないと思うのですが、その間の日本の心づもりと申しますか日本の立場についての認識といいますか、どういうものがあったんですか。
○三宅政府委員 十三年間たなざらしになっていた。その間フィリピン政府といたしましては、批准をするための準備といたしまして国内立法その他の措置を急ぎまして、いわば体制づくりをやって批准できるような体制にしたいということで、日本企業の進出に対する不安というものを解消する措置を講ずべくいろいろ努力をしてきた。また、そのときの政治情勢、大統領その他上院における構成から見て批准できるような状況にないということで延ばし延ばしになったというのは事実でございます。 片や新しい条約の締結交渉の申し入れを受けまして、私たちとしては鋭意交渉いたしました。その間に新しい南北問題の要素を入れた交渉ということでございまして、フィリピンとの間では交渉が予想以上に難航いたしまして、その間に現行条約を切って無条約状態にしたくないという考慮から、現行条約を事実上延ばすという措置をフィリピン側から取りつけたということでございます。
○土井委員 いまフィリピン側の国内法についてこの整備が問題とされたといういきさつを御説明になりましたが、フィリピン側の立法権はだれにあるのですか。
○三宅政府委員 現在は戒厳令下にございまして、立法権は暫定議会とマルコス大統領双方にございます。
○土井委員 七三年九月にたしかフィリピンにおいては戒厳令というのが布告されたはずでございます。その後立法権は大統領が掌握する、こうなっているんでしょう。したがって、向こうの国内法とおっしゃるその立法の内容についても大統領の一存でこれは問題になるのですよ。したがいまして、それができなかったから十三年から十四年の間この批准が引っ張られたというのはどうもおかしいということにもなるのです。したがいまして、十三年から十四年の間日本においてはもうすでにこれについての万端の手続を済ませて批准についてはっきりした形をとっているにもかかわらず、かの地においてそういうことができなかったことについて、ただいまの御説明の国内法の整備という点も当たらない。いかがですか。
○三宅政府委員 実はこの十三年間に政権がかわりまして、まずガルシア大統領、その間における国内立法について、フィリピン産業の保護を目的とした国内立法というようなことを考えておりました。それからさらにその後マカパガル大統領になりまして、同じような考慮から問題の提起があった。また、当時上院における与党が条約の批准に必要な三分の三を、多数を占めていないというような状況があったわけでございます。 その後、マルコス大統領が就任いたしまして、外国企業活動制限法とか、銀行法の改正法というような国内立法を通したというようなことで、七三年に至りまして、新憲法下で大統領に付与された権限で本条約を批准するということになったわけであります。
○土井委員 万事一にも二にもフィリピンの国内事情による、向こうの国情によるということだと思うのですけれども、外務省のアジア局南東アジア第二課が昨年の三月に出していらっしゃる「最近のフィリピン事情と最近の日比関係」という刷り物がございます。この十五ページのところに「現行条約の効力は本年七月二十六日までで切れることとなっている。」というふうに記されているわけです。本年七月二十六日ということになりますと、この刷り物が出ておるのが昭和五十四年三月でございますから、五十四年の七月二十六日までで切れることとなっているというふうに考えなければならないわけですが、今回のこの条約の審議に当たりまして、説明書、日本国とフィリピン共和国との間の友好通商航海条約について外務省から出されておりますが、この説明書によると、「現行の友好通商航海条約は、昭和五十五年七月二十六日まで効力を有することとなっている。」と記されているのですね。この一年間の隔たりというのはいかなる経過に基づくわけでございますか。 〔委員長退席、志賀委員長代理着席〕
○渡辺説明員 先生御指摘のとおり、現行条約についてフィリピン政府は一九七六年、五十一年の六月に終了予告を出してきたわけでございます。その予告を受けまして、いま三宅政府委員から説明がありましたように、日比関係で無条約状態ということは何としても避けたいということで、新しい条約のための交渉を開始しようということで、一九七七年、昭和五十二年三月以来交渉を続けていたわけでございます。その間フィリピン政府から現行条約の終了予告の効果を延期するという申し入れがございまして、先生御指摘の昨年の時点におきましては、確かに昨年の七月で条約の終了ということになってございましたけれども、交渉がすでに妥結の見通しが立っているということもあって、第四回目の終了予告の延期を昨年行ったわけでございます。したがいまして、昨年説明書が書かれた時点においては、昨年の七月をもって現行条約の期限が切れるということであったわけでございます。その後終了予告の四たびの延長ということがあったわけでございます。
○土井委員 そうすると、この効力の期間が切れるということについてフィリピン側の日本に対しての要求を日本側が受けて延長したという過去の事実というのを認識してよろしゅうございますね。
○渡辺説明員 フィリピン側は現行条約について不満があって終了したいという予告をしてきたわけでございますが、事態を放置すれば多分無条約状態になるということで、そういう事態は何としても避けたいということで鋭意交渉してきて、交渉をしているのだから何とか無条約状態を避けてほしいという日本側の要望にこたえて先方は四たびにわたって終了予告を延期してきたということであります。
○土井委員 これはフィリピン側もこの条約を批准して、そして事実上発効したというのは一九七四年の一月二十七日ということでございますから、したがって効力有効期間というものを考えていくと本来は七七年の一月ということでなければならないはずなんです。一月という問題がいつの間にいまのように七月二十六日という日に変わったわけでありますか。
○渡辺説明員 正確な日時は覚えておりません、申しわけないのですが、終了予告四回のうち一回、半年終了予告の期間を延長するという措置がとられております。
○土井委員 そうすると、何回終了予告の延長というのがあったのですか。
○渡辺説明員 四回でございます。
○土井委員 それは延長に延長を重ねて、ずいぶん現行条約についての存続を努力しながら今日まで運んでこられた、こういう事情がまずはあることを一つ確認をして次に進みたいと思うのですが、マルコス大統領が七六年十二月にフィリピンの新しい外交基本方針を出しておられます。その中身を見ると、日本と有益な関係を続けるために依拠すべきガイドラインの明確化と近代化というのが一つございます。御承知のとおりです。それと同時に、この外交基本方針の一つとして、米国との新たな関係の設定というのもございます。さて、フィリピンのこの外交政策について、言うならば七六年の十二月以降ずっとこの新しい外交基本方針ということに従って事を進めていかれるということでございましょうが、フィリピンとアメリカとの間にかつてございましたラウレル・ラングレー協定、略してLL協定と申し上げていいと思うのですが、この協定がございまして、七四年の七月三日にすでにこれは失効をいたしております。このフィリピンの新しい外交基本方針の中で大きな目玉として取り上げられるくらいに、フィリピンについて言うならばアメリカは一次産品の重要な市場であるということは言うまでもございません。この重要な市場であるアメリカが、LL協定の失効と同時に事実上はもう失われているというかっこうで、このことが今日に推移しているということだろうと私は思います。 こういうことの経過から考えますと、七四年の七月三日にLL協定が失効しているわけでございますから、片や日本に対して、それ以前批准を放置しておりましたこの友好通商航海条約について、同じその七四年の一月にこの批准をフィリピンとしては急ぎ、そうして続いて七六年の六月に日本に対して事前の通告なしに終了予告をして、いろいろな記録によりますと合計八回にわたる交渉、しかもただいまの御答弁のとおり四回にわたる期限の延長を繰り返しながら今日に至って、本条約の署名を七九年の五月十日に行うというふうな経過があったということは客観的事実だと私は申し上げることができると思うのです。 こういう事情からすると、どうもフィリピンの立場からすれば、アメリカに対するバーゲニングパワーとしてこの日本との通商航海条約というものを今回使おうとしている気配がありはしないか、こういうふうに私には考えられるのですが、いかがですか。
○渡辺説明員 先生御指摘のとおり、アメリカとフィリピンとの間にありましたラウレル・ラングレー協定の効果は七四年七月七日をもって失効いたしました。その一年ぐらい前から、フィリピンとアメリカ政府との間でこれにかわる通商、投資、航海のための新しい通商協定の交渉が行われてきたわけでございますけれども、現在に至るも合意に至っていないということでございます。その間、七四年の一月になって長い問題案になっていた日比通商航海条約の効果が発生し、かつ七六年にその条約の終了予告をフィリピン政府が行ってきたという事実関係については先生御指摘のとおりでございますけれども、それをもって、日比条約を締結する交渉を開始することをもってアメリカとの交渉を有利にしたいというフィリピン側の意図があったかどうかということについては、想像の域を脱しませんけれどもそういうことは多分なかったのではないかというように考えております。 むしろ東南アジア情勢全体の展開に対して、フィリピン政府として日本との関係、アメリカとの関係をきちんとしたいということで外交政策が固まってきている。その端的なあらわれといたしまして、いま御審議いただいております日比通商航海条約、新条約の交渉妥結ということと、もう一つは、同じ年、去年の一月に、これも長い間懸案でございましたアメリカとフィリピンとの間の基地協定の交渉がまとまっているという事実を指摘したいと思います。
○土井委員 恐らくアメリカに対してのバーゲニングパワーとしてこれを使おうというふうな意図はなかったのじゃないかという推測とおぼしき御答弁でございますけれども、それはアメリカ側に対してそういうことをお確かめになった結果の御推測でございますか。
○渡辺説明員 新条約の交渉の過程において、随時アメリカ側と連絡をとって、どうだという話はいたしましたけれども、アメリカ側から、どうもフィリピン側が日比条約の交渉をもってアメリカとの交渉を有利にしたいというふうに考えているというような見方を聞いたことはございません。
○土井委員 アメリカ側の感触はあくまでそうでしょうね。しかし、このことに対して主導的に考え主導的に動いているのはやはりフィリピンなんですから、それはアメリカ側にそういうことを問いただしたところで答弁が返ってくるはずはない。したがいまして、この点は私たちは客観的に見た場合に、どうもアメリカ側に対してフィリピン側がただいまの日本との間の条約については意味あるものとして考えているのではないか、客観的に前後左右の動きを考えたときに、そういう考えをまずだれしも持つであろうと私は思うのです。これははっきり首を縦に振っていらっしゃいますから、恐らく心の奥底ではそういうふうな思いを秘めながら外務省当局もいろいろと事に当たられ、今条約についてもやはりいろいろとしんしゃくをされているであろうと私は考えて、さらに質問を進めます。 環太平洋構想というのがございますね。この環太平洋構想について今回の条約はどのような役割りを果たすのでございますか。 それから、せっかくアメリカ局長ここに御出席でございますから、日本とアメリカとの間にこういう点について何らかの話し合いがいままでにあったかどうか、あったとするならばどういうふうなことがその内容を占めていたか、その間の事情をもし御説明賜ることができれば聞かせてください。
○渡辺説明員 環太平洋構想については、大臣からお話がございましたように、まだ非常に初期的な段階で、かつ環太平洋、太平洋を取り巻く地域の諸国の協力関係をどういう関係で持っていくかというような段階ではないかというように承知しておりますけれども、ただその中で、いかなる環太平洋構想であろうとASEANの積極的な参加というのは不可欠であるという認識を関係者はすべて一様に持っていると思います。 いま御審議いただいている日比通商航海条約については環太平洋構想という概念は含まれておりませんけれども、ただ日本とASEANとの協力関係を強化していきたいという両国の気持ちというのは条約の規定にもあらわれているわけでございまして、条約交渉の一つの大きな課題でありました日本とフィリピンとの通商航海条約の中においていわゆるASEAN特恵の問題をどう位置づけるかという問題はかなりむずかしい問題であったわけでございますけれども、その問題についても日本としては、ASEANの重要性を認識して、ASEANの特恵については前向きに条約に規定したということでございます。したがいまして、環太平洋構想自身については触れておりませんけれども、環太平洋構想の中に重要な地位を占めるASEANというものを条約の中できちんと意義づけたという意味では、間接的に関係があるということが申し得るのではないかというように考えております。
○淺尾政府委員 ただいまのお尋ねの件、私ちょっとはっきりしなかった点がございますけれども、環太平洋構想について日本とアメリカの間で話し合われる、そういうことでございますね。この点につきましては恐らく当委員会でも大臣が何回か触れられたかと思いますけれども、アメリカ側はもちろん日本側の考えております環太平洋構想について関心を持っておりますし、特にアメリカの議会、議員の中でこの環太平洋構想について関心を持っておる人が多くおります。先般の大臣の訪米の際にも、環太平洋構想についてアメリカ側の議員と大臣との間で、先方からの質問、それからわが方から現在まだ構想として考えられている環太平洋構想あるいは総理の私設諮問機関でございますグループの中間報告等について、話し合った経緯がございます。
○土井委員 この環太平洋構想の問題は、また次回の別の質問の機会があるわけですから、そこでさらに質問を進めたいと思います。 〔志賀委員長代理退席、委員長着席〕 先ほど来御答弁の中で、フィリピン政府が現行条約に対しましてこれを終了したいというふうな通告を持ってこられた背景として、南北問題やそれから開発途上国のいろいろな状況の変遷ということを御答弁されました。フィリピン政府を見てみまして、南北問題を初めとする国際経済の新しい動向を日本とフィリピンとの間の両国間の条約に反映させたいというふうな意向が強かったということにも、したがってその結論としてはなるんだろうと思いますが、フィリピン政府が開発途上国グループのいわばリーダーの役割りを目指して、南の主張をこのような二国間条約に盛り込みたいというふうに考える意図というのはどういうところにあるというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○三宅政府委員 お答えいたします。 フィリピンといたしましては、とみに最近南北問題に対しまして大きな関心を示しまして、昨年のUNCTAD総会の開催に見られましたように、主導的な役割りを果たしてまいっております。それとの関連におきまして、従来の通商航海条約というものは一般論といたしましていわば形式的平等主義である、で、実際には南の国は経済的に弱いということで御承知のような南北問題というものが非常に出てまいっております。したがいまして、本件の新条約につきましても、いわば実質的な平等性を確保するというような観点から、たとえば航海条項における内国民待遇を削除するとか、それから対日供給のアクセスを交換公文の中で別途努力規定として織り込むというようなことで、実質的な日比関係というものを持っていきたい、そうすることが同時に南北問題の現在の大きな趨勢に合うのだという認識でございます。
○土井委員 まあこの条約については一日も早く国会での承認をということをお考えになっていらっしゃるお立場ですから、いろいろこれは聞いて非常に耳ざわりのいい御答弁しか出てこないわけですが、しかし、やはり外務省としては、お考えになっていらっしゃるところを率直に御答弁になることの方が国益にかなうだろうと私は思うのです。私もそういう立場で質問を展開しているわけですから……。 さて、フィリピンの対日貿易について少し見てまいりますと、先ほど取り上げましたアジア局の南東アジア第二課の方から出ております文書の中で、フィリピンの対日貿易推移の表を拝見しますと、一九七五年までのフィリピンから日本に対する輸出の伸びに比べますと、一九七六年から後はがたっとこれは減っているのですが、七五年、七六年、この間の大変な落ち込みというのは、理由はどの辺にあるのですか。
○三宅政府委員 急な御質問なものですから、いろいろ推測は可能でございますが、誤った答弁になっても困ると思いますので、調べまして正確な返事をいたしたいと思います。
○土井委員 それでは、ちょっとその点を調べられるまで待っていますわ。
○三宅政府委員 お答えいたします。 手持ちの資料によりますと、七五年の特に砂糖でございますが、砂糖の対日輸出が当時四億六千三百万ドルであったというのが、七六年に至りまして六千三百万ドルに激減しております。これは多分砂糖の低価の問題と輸出量の問題でございますが、砂糖の輸入が大幅に減ったということが全体の輸入を大幅に減らしたという最大の原因だと思います。
○土井委員 全体の対日貿易の対日輸出額、七五年から七六年というのはどういう額になっていますか。
○三宅政府委員 一九七五年の対日輸入が十億ドル、それが七六年につきましては十一億ドルになっておりますが、対日輸出の面につきましては、十一億ドルから日本への輸出が七億九千万ドルということで大幅に減っております。
○土井委員 これは理由としてはお砂糖の輸入が激減したというところにその理由があるということをいま御答弁の中でおっしゃったのですが、この砂糖の輸入の激減について、日本側に再三再四フィリピン側から減らすことを見合わせてもらいたい、従前どおり輸入を認めてもらいたいという申し入れがあったはずでありますが、この間のいきさつはいかがですか。
○渡辺説明員 フィリピン側から、砂糖の対日輸出が激減しているという状況に照らして、日本のフィリピン砂糖の輸入増大について要望があったことはございます。ただ、貿易自由化品目でございますので、業界等にその要望をつないだわけでございますが、業界自身が全体として非常に苦しい状況であったということもあって、フィリピン側の要望に必ずしもこたえ得なかったというように承知しております。
○土井委員 いろいろな書いてあるものによりますと、フィリピン側はこのときには相当強く日本に要求したけれどもそれが聞き入れられなかったという間の事情がいろいろと披瀝をされているようであります。 と同時に、ただいま私が問題にいたしております南東アジア第二課から出ております文書の中では、対日輸出についてフィリピン側の品目を見てまいりまして、銅鉱石について七五年から七六年あたり日本側がこの輸入量を減らしたという数字が出ていないことを、実は私は非常に不思議に思うのです。なぜ不思議に思うかといいますと、七六年の「国際経済」七月号、この雑誌を見ますと、トロアジオ・キアソン・ジュニア通商長官が口をきわめて言われているのは、実はフィリピンから日本に対する銅の輸出が予告なしに突然一五%もカットダウンされた、七五年に日本が銅の輸入をカットしたことによってフィリピンは大変な赤字を背負わざるを得なかったというふうなことが具体的に述べられているわけです。日本はフィリピンと同様に他の第三国に対しても銅の輸入を制限したかというと、それはそうじゃないといういきさつがある。スペックについて言うと全体で一〇%だけ日本はカットしている、それにもかかわらずフィリピンに対しては予告なしに一五%のカットダウンであった。フィリピン側からすれば銅というのは輸出品の中でも大変貴重なものであって、これに対して多大の期待をかけているということからすると、これは非常に大きな問題だったということが述べられているのですよ。 いま私が問題にしている外務省の南東アジア第二課の文書によると、その間の問題が数字の上では出てこないのは不思議だと思うのですが、これは一体どういうことなのでございますか。
○三宅政府委員 その間の経緯につきまして、なぜそういう重要な問題が紙に書かれていなかったかということにつきましてはいま正確に承知しておりませんが、先生御承知のように、銅の問題というのは国際相場が変動いたしまして、業界として当時フィリピンからの強い要請に対していろいろな形で検討した結果、なかなか応じにくいというような事情があったのではないかというぐあいに私たちは聞いております。銅鉱石についての輸入それ自体は余り減っておりません。
○土井委員 いまのような事情があって、フィリピン側とすれば、今回のこの条約の中で予告なしに急に輸入の量についてカットダウンされるようなことを未然に防止しよう、さらにまたそういう場合には何らかの措置を講ずべく条文の中で担保を用意しようという気配が当然あってしかるべきだっただろうと私たちは思うのです。 その点は、現行の条文と比べどういうふうに手心が加えられ、どういうふうに条文の上での変更が具体的にあったか、もしなければないで結構ですが、あったかということをひとつ御答弁いただきたいと思います。
○渡辺説明員 先生御指摘のように、フィリピンの対日主要輸出関心品目について日本側において輸入制限措置あるいは輸入が減るような場合には、それについて事前の通報をしてほしいということ、それを条文に書き込みたいという要望がフィリピン側からあったことは事実でございます。
○土井委員 その事実が具体的に、条文の何条にどのように具現されているのですか。
○渡辺説明員 お答えいたします。 条約交渉の結果、条約の第六条第2項に「いずれの一方の締約国も、他方の締約国が特別の関心を有する品目の産品の輸入又は輸出に対し量的な制限又は禁止をする場合には、事前に、可能なときはその制限又は禁止の効力発生の一箇月前までに、当該他方の締約国にその旨を通報する。」という規定がございます。 フィリピン側としては、こういう量的な制限以外についても何らかの事前通達の措置をとってほしいという要望がございまして、その点については、日本側としては、それを条約の法的義務として規定することについては日本の通商政策上のたてまえからいって困難があるということで説得をいたしました結果、御参考で提出してございます交換公文、すなわち貿易制限の事前通報等に関する交換公文において、いまの量的制限以外の制限についても可能な限り時間的な余裕を持って通報するように努めるという努力規定でまとめてあるというような状況でございます。
○土井委員 問題は二つあると思うのですね。一つは余裕を持って一カ月前に通告するよう努力をするという努力規定でありまして、義務規定でないというところが問題です。 もう一つは、たとえ一カ月前に通告したとしても、お互いの利害が一致しない、したがって、これに対してお互いが紛争を起こす場合だってあると思うのです。協議が一致しない、そういうふうな場合の取り扱いはさらにどうなるのですか。
○三宅政府委員 この問題につきましては、条約的には特に具体的な規定はございませんが、外交チャネルを通じて常時問題があれば協議するということでございます。
○土井委員 そうですが、この条約の中にそれに関係のある条文があるでしょう。
○三宅政府委員 先生御指摘のようにそういう条項はございますけれども、この条項自体が義務規定ではなしに努力規定であるという意味におきまして、直接条約上の義務としての問題が起きないということでございまして、そういう意味におきましては、努力規定が十分であるかないかということは外交チャネルを通じて協議するということになっております。
○土井委員 そこのところが万事外交チャネルだけにゆだねられているとは私は思わない。この条約の中にも、事この条約に関する運用であるとか、条約に基づいて考えられるいまのお互いの輸出、輸入の問題については、いろいろ交渉の上で紛争が起こったときにはこうするとか交渉のやり方はこうしようとかいうことを決めないのですか。決めてあるはずだと思いますよ。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 条約の運用に際しまして、一方が悪影響を及ぼしておるというふうに考えるときには、先ほどアジア局の方から答弁いたしましたように、通常、外交上の話し合いで処理するたてまえでございます。条約の条文で申しますれば、第十五条の1項の協議に当たるかと思います。したがいまして、この協議というのは政府間での外交チャネルを通じた協議であろうと思います。 それから、いまの事前通報の問題は、その通報いたしました実態について異議があるというものは、その条約の解釈とか適用の問題ではございませんので、十五条の2項にございます司法的解決の方にはいかない問題であろうと考えます。
○土井委員 いま御指摘のとおり十五条が関係してくると私は思うのです。外交チャネルで万事事を決するというふうな御答弁というのは、いまの条約審議に当たって、いわばまことに不親切ですよ。外交チャネルだったら、何にもこの条約についてこれ以上審議する必要はないのです。万事どうぞ外務省おやりくださいで終わってしまいます。条約の中身でわざわざ十五条という条文を設けている意味というのは私はあると思う。それはどうですか。十五条というのは関係するでしょう。いまこれは条約局の方からの御答弁でございますけれども、それはそうでしょう。——いや、もう条約局はおっしゃってくださったから結構ですよ。
○三宅政府委員 あるいは私どもの答弁が舌足らずで誤解を招いたと思いますが、外交チャネルで協議するということが十五条の1項で書かれておりまして、その際に運用の問題については先方の申し入れに対して好意的な考慮を払う。2項の場合は、それが交渉によって満足に調整されない場合には、いま言った条約の解釈その他につきまして国際司法裁判所に付託するということでございまして、先生御指摘のとおりでございます。
○土井委員 そこで、先ほど申し上げた砂糖の問題や銅の問題もこれあり、この十五条の問題についていろいろ協議されるときに、相当フィリピン側からの要求もあったのではないかと私たちは思うのです。内容がこうあってほしい、あああってほしい、もう一つこういうことはどうだろうというふうなことが、過去の交渉の経過の中で恐らくは出てきたに違いないと思われるのです。 ちょっとお尋ねしますが、コンサルテーションクローズというのとエスケーピングクローズというのはどういうふうに違うのですか。
○羽澄政府委員 ごく一般的に国際経済関係においてエスケープクローズとコンサルテーションクローズというのはどういうふうに概念的に分けられておるかという観点からに限ってでございますけれども、お答えいたしたいと思います。 コンサルテーションクローズということで普通言われておりますときには、協議ということを決めるだけで、その協議の結果どういうことをしなければいけないとか、協議がまとまらないときにはどういう措置をとってもいいとか悪いとか、そういうことは決めないのが普通でございます。 片やエスケープクローズというふうに厳格に言いました場合には、大抵の場合協議条項を伴っておるものでございまして、まず第一に協議をするということは書いてあるのが普通でございますけれども、その場合、協議が調わない場合とか、場合によっては協議をしている時間がなくて非常に緊急な措置を要するというような場合の措置が書いてございます。たとえば輸入が非常にたくさん入ってきて国内産業が困るというような場合には、ひとまず輸入制限的な措置をとっておいてから協議をするというように書いてあったり、あるいは協議が調わない場合には国際的な何か紛争処理機構に行くべきだとか、あるいは国際的な紛争処理機構がない場合には、これは輸入の場合にとってでございますけれども、輸入国側で適当に関税を上げるとか、数量制限とかを行う、しかし、その場合にもさらに協議を続けるとか、あるいはそういった措置をとった場合には何十日以内にその措置を続けるかどうかについて改めて協議をしなければいけないとか、大体そんなようなかっこうの規定がございます。
○土井委員 いまの御説明からすれば、この十五条の1項に言う「協議のための適当な機会を与える。」という文面の中に含まれている意味は、コンサルテーションクローズなんですか、エスケーピングクローズなんですか、いかがですか。
○山田(中)政府委員 ただいま経済局次長の方から御説明いたしましたカテゴリーでまいりまして、協議条項でございます。コンサルテーションクローズでございます。
○土井委員 フィリピン側は、これをコンサルテーションクローズとすることに対してエスケーピングクローズであってほしいということを執拗に言われたという過去の事実があるやにわれわれは聞いておりますけれども、そういうことであったのかなかったのか、いかがですか。
○渡辺説明員 お答えいたします。 先ほど申しましたとおり、フィリピン側は、日本に対する主要輸出品目についての日本側の輸入制限について非常に深い関心を表明したことは事実でございます。ただ、この十五条1項のコンサルテーションクローズをエスケープクローズにしてくれという要望が強かったということはございません。私、交渉させていただいた者としてその点ははっきり申し上げられると思います。 他方エスケープクローズについては、ガット十九条等の多国間の通商条約で規定されておりまして、フィリピンもつい最近ガットに加盟したということで、エスケープクローズを改めて設ける創設的な意味、というのは必ずしもないということで、エスケープクローズにはしなかったということでございます。 同時に、先生御指摘のとおり、日本の輸入制限、特にフィリピンの対日輸出品目に関する輸入制限については、先方は非常に強い関心を示したわけでございまして、先ほど御紹介させていただきました貿易制限の事前通報等に関する交換公文の第1項の(2)に、「いずれの政府も、適当と認める場合には、特別の関心を有する産品を他方の政府に通報することができる。」という規定がございます。フィリピンとしては、条約発効後そういう、日本にはこういう品目を今後も拡大して輸出したいんだというリストを提出してくる可能性がございます。それはとりもなおさず、たとえば銅とか砂糖というのがそのリストアップの対象になるのではないかというように考えております。
○土井委員 さらに今回の条約の中身からいうと、一番の焦点とも言うべき特恵措置の問題があるのですが、これについては時間を少しかけて私はやりたいと思っておりますから、きょうはひとまずこの辺で質問を終えまして、次回にこの日比の通商航海条約について、いよいよその本題に私は入りたいと思います。 しかし、きょうの御答弁を聞いた限りでは、外務省は、これはなかなか具体的に答えるべきことも答えていらっしゃらない感じがしますよ。この条約審議に対してもう少し真摯な答弁の態度で臨んでいただきたい、このことを最後に申し上げて、きょうはひとまず質問を終えたいと思います。ありがとうございました。
○中尾委員長 ただいま議題となっております十件中、日本国とフィリピン共和国との間の友好通商航海条約の締結について承認を求めるの件を除く九件に対する質疑はこれにて終了いたしました。 午後一時三十分委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時二十九分休憩 ————◇————— 午後一時四十二分開議
○中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 航空業務に関する日本国とニュー・ジーランドとの間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とバングラデシュ人民共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とフィジーとの間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とスペインとの間の協定の締結について承認を求めるの件、千九百六十九年の船舶のトン数の測度に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名された国際博覧会に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、千九百七十九年の国際天然ゴム協定の締結について承認を求めるの件、国際連合工業開発機関憲章の締結について承認を求めるの件、日本国とフィリピン共和国との間の小包郵便約定の締結について承認を求めるの件、以上九件を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
○高沢委員 私は、ただいま委員長から列挙されました案件の中で、国際連合工業開発機関憲章、国際天然ゴム協定、日本国とフィリピン共和国との間の小包郵便約定、この三つについて、その順番で御質問をいたしたいと思います。 初めに、国際連合工業開発機関の憲章についてでありますが、昭和四十一年の第二十一回国連総会でこの機関の設立が決められたわけであります。それを受けて今度は昭和五十年のいわゆるリマ宣言で、これを国連の専門機関として独立させるということを決めて、その専門機関として独立させることを五十四年四月のウィーンにおける会議で憲章を決める、こういうふうな形になったわけであります。 そこで、この憲章のいわば出発点となったリマ宣言というものに対して、当時日本の政府代表は棄権をするという態度であったわけですが、棄権の理由と申しますか立場と申しますか、これをまず御説明願いたいと思います。
○大来国務大臣 審議の過程におきまして、リマ宣言につきましては、全会一致という形に至る前に多数決による採決が行われまして、その内容についてわが国としても棄権をせざるを得ない部分があったわけでございます。たとえばUNIDOの問題につきましては……。大変失礼でございますが、いまの高沢先生の御質問はリマ宣言についてでございましたか、新国際経済秩序……(高沢委員「リマ宣言です」と呼ぶ)リマ宣言でございますね。この点につきましては、とりあえず政府委員から答弁をいたします。私、いま新国際経済秩序の問題だと思いまして、リマ宣言についてはそっちの方の準備がございませんので……。
○関説明員 ただいまお尋ねのリマ宣言でございますが、これは、主権の平等、相互依存という協力関係を新たに南北諸国間に打ち立てることを目指しておる次第でございます。この宣言には、何といいましても開発途上国の利益を、言葉はちょっと過ぎるかもしれませんが、一方的に考慮した経済秩序を打ち立てようという意向が強く反映されていたわけでございます。 内容的にちょっと申し上げますと、たとえば先進工業国の開発途上国からの輸入の拡大とか、世界工業生産に占めます開発途上国の工業生産の割合を今世紀末までに二五%まで増加するということでございます。これは現在は約九%でございますけれども、これをかなり急激なスピードで二五%まで今世紀末までに増加させるということでございます。他方、天然資源に対する開発途上国の恒久主権の確立あるいは資源の利用についての協議システムの確立等がうたわれているわけでございまして、政府といたしましては、このリマ宣言全体につきましていろいろ慎重に検討しました結果、必ずしも日本政府として同意できない点も幾多ございましたために、留保をいたしたわけでございます。
○高沢委員 要するに、南北の南の方の立場が余りに強く反映されていたということがその理由と理解してよろしいですね。 そういたしますと、これもあるいは同じことかもしれませんが、その後、一九七〇年十月の第二十五回国連総会で、第二次国際連合開発の十年戦略というものが採択されていますが、これに対しては日本政府は意見の表明をしておる、こう記録に残っております。それから、七四年五月の第六回国連特別総会で、新国際経済秩序の樹立に関する宣言、行動計画、この採択に当たってもやはり日本代表は意見の表明をしておる。それから、七五年九月の第七回国連特別総会で、開発と国際経済協力の諸措置が決定されていますが、これも日本代表は愚見の表明。これは一種の留保的な意見の表明をしたのじゃないかと思うわけです。留保的というのは、先ほど説明されましたリマ宣言に対する棄権というのと大体同じような立場や考え方ではないかと思いますが、そこの御説明もお願いをしたいと思います。
○関説明員 ただいま先生がお挙げになりました三つの中には、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、開発途上国の一方的な要求といいますか、現在の日本を含めました先進工業国といたしまして、必ずしも直ちに対応できない国内の産業構造とか貿易関係その他もろもろの観点から、やはりこれを直ちに受諾いたしますと非常に大きな影響があるということが懸念されまして、この三つのいずれにつきましても留保といいますか意見表明をいたしたわけでございまして、それぞれの先進国側、特に日本政府といたしまして問題があると考えられます事項につきましては、その際わが国の立場、考え方を表明いたした次第でございまして、一例として申し上げますと、たとえば天然資源恒久主権とか、生産者同盟の結成の問題であるとか、工業産品の輸出価格とそれから輸入原料の価格とを直ちに結びつけてこれが連動して動くようなシステムを導入するとか、いわゆる価格インデクセーションの問題でございますが、こういうような問題、それからIMFにおきます各種の決定権限、決定過程に開発途上国がさらに大きな声を持つというような問題につきまして、いろいろ日本政府として応じがたい点がございましたために、意見表明を行った次第でございます。
○高沢委員 この問題は、やはり歴史を振り返って考えてみるのに、ヨーロッパ諸国あるいはアメリカあるいは日本、日本の場合にはそんなに長いあれではありませんが、ともかく近代から現代に至る世界の歴史の中で植民地を所有して支配する側に立った国と、植民地あるいは従属国として支配される側に立った国と、その間三百年、三百年という、格差というものを生み出す歴史がずっと続いてきている。いまこの南北間を何とか対等、平等の形にしようというときに、南の側の主張に一見無理に思われるようなものも出てくることは当然私はやむを得ないものだ、こういうふうに考えるわけであります。 そうすると、わが国の立場としては、そういうものに対してもできる限り理解をし、あるいはそれに協力するという立場が必要ではないかと思いますが、そういうあれで考えますと、今度のこのUNIDOの憲章の前文の中にこういうふうな言葉があります。「国際連合総会がその第六回特別会期において新たな国際経済秩序の確立に関して採択した決議、国際連合工業開発機関第二回総会の工業開発及び工業協力に関するリマ宣言及び行動計画並びに国際連合総会の第七回特別会期の開発及び国際経済協力に関する決議に定める広範な目的に留意し、」そして以下何々何々でこの憲章を定める、こうなるわけですが、いまわれわれはこの憲章を受け入れる立場でこの審議をやっているわけですが、いま言われた、そういうわが国政府がずっと留保してきた、あるいは棄権をしてきたという立場と、この前文を含んだ憲章を受け入れてひとつ締結しようという立場との間には一体矛盾がないのでしょうか。その関係をちょっとお聞きしたいと思います。その後でひとつ大臣の見解をお願いします。
○関説明員 確かに先生ただいまおっしゃいましたように、開発途上国の現時点におきますいろいろな要求にはあるいは無理かと思われるような点があろうかと思います。ただし、しかしながら、世界経済、特に日本経済は非常に困難な問題を抱えながらも今後とも発展が期待されるわけでございまして、前外務大臣も言われましたけれども、国力を振りしぼって日本政府としては世界平和のために貢献するんだということをはっきりおっしゃっておられたわけでございまして、そういう観点から開発途上国の経済が健全に発展するということも、これも世界平和の確立のために一つの大きな条件ではなかろうかと思いますので、先生おっしゃいましたように、やはり日本政府といたしましては経済力が今後伸長するに従いまして、できるだけ開発途上国のそういう要望というものにこたえるように積極的な施策をとっていくべきではないか。そういう観点から、まさしく先生の御指摘のとおりだと思うのでございます。 この前文と、それから従来の日本政府がとってきた立場との関連でございますが、日本政府といたしましては、やはり開発途上国のそういう工業開発への大きな願望というものには理解できる点が多々あるわけでございますし、昨年五月のUNCTADの総会におきましても総理大臣からその趣旨の意図表明が行われているわけでございまして、日本政府といたしましては大きな観点から、大局的な観点から、開発途上国の経済開発、工業発展に貢献するという観点に立っているわけでございまして、そういう巨視的な観点からいきますと、この前文とそれから従来の日本政府が個々のいろいろな案件につきまして態度を留保したこととの間には、必ずしも大きな矛盾はないのではなかろうか。大きな流れといたしましては、日本政府としては前向きに南北問題に取り組んでまいりましたし、今後もそのような基本的な姿勢でまいりたいというふうに私ども考えております。
○大来国務大臣 いま政府委員から答弁いたしましたことに加えまして、先ほど高沢委員から御指摘のありました前文に引用されている諸決議の関係でございますが、これは前文自体は各締約国の権利義務関係を定めるものではなく、法的規範性はないという理解でございまして、「留意し」との表現はあくまでも意見ないし希望の表明にとどまるものと考えておるということで、そこには矛盾がないという解釈でございます。 私も、このUNIDO、工業開発機関の改革に関する専門家委員会が数年前にウィーンで数回にわたって開かれましたが、その専門委員を頼まれて会議に出席いたしましたり、その他ここに関連のある会議にも幾つか出たわけでございますが、私は政府の立場でなくて国際機関の方から頼まれた専門家として出てまいりましたので、多少日本の留保の点などについて先ほど直ちにお答えできませんでしたけれども、考え方としては、やはりこの南北問題の貧しい南側が経済開発を促進するという大きな政策の方向については、日本も比較的近い過去に近代化を達成したという経験もございますし、できるだけその方向で協力すべきだと考えるわけでございます ただ、国連の諸会議における諸決議、その採択等におきましては、低開発国のグループとか計画経済諸国のグループとかOECDのグループとかいろいろなグループもございまして、その問に必ずしも意見の一致を見ない。その際に意見の一致まで詰めないで、開発途上国が何と言っても国連機関で数が圧倒的に多いものですから、多数決で採決が行われる。その場合に、意見の違う国、先進工業国等はある程度の留保をするということが習慣のようでございまして、日本の立場も、基本的な方向としては賛成だけれども、個々の具体的な問題についての留保はつけておるということだと了解しております。
○高沢委員 先ほどの政府委員のお答えの中で、昨年の五月のマニラのUNCTADの総会での大平総理の発言にも触れられました.確かに大平総理は昨年、五月の演説の中で、「新しい国際経済秩序の樹立に向っての、開発途上国の願望と意欲には共感を覚えている次第であります。」こういうふうな演説をされているわけですが、ただ、いまのお答えを、私、全体として受け取る感じでは、要するにこれは、途上国に対してあなた方の気持ちはわかる、こういう程度の発言の性格になっているんじゃないか。気持ちはわかる、しかし実際の措置ではそうはいきませんよ、そういう一つの立場がどうしてもあるんじゃないのかという感じを私は禁じ得ないわけです。 いま大臣のお答えでは、その前文の部分というのは必ずしも法的拘束性はない、こうおっしゃったわけですが、それならば第一条目的を見ていただけば、この目的の中には「機関は、経済に関する新たな国際秩序の確立に資するため、」これこれこういうことをやる、こういうことになっているわけです。これだけ第一条目的ではっきり規定されているということは、この憲章の立場が、前文の中に列記されているもろもろの国連のそういう決定、決議を実際にやるんだという立場、そういう憲章の性格になっておるのです。これを今回承認して締結しようという日本政府の立場が、先ほど言ったようなまだいろいろ留保的なものを残しているということとの間にどうしても矛盾が出てくるのではないか、こう私は言わざるを得ないと思うのです。 そういう点で、リマ会議の中で確認された、先ほども説明がありましたが、今世紀末までにこの発展途上国の工業生産の比率を二五%まで引き上げていこう、これはきわめて具体的な目標です。現段階では九%だ、こういう御説明があったわけですが、発展途上国の人口が世界じゅうの人口に占める比率はどのくらいありますか、七〇%以上あるんじゃないですか、それだけの人口を持っているところが工業生産ではわずかに九%、これはどう見ても異常である、こう言わざるを得ないと思うのですね。それを二五%にあと二十年たったら持っていきたい、これは私はきわめて控え目な、ささやかな目標ではないかと思うのです。 こういうような具体目標に対しても、それではASEAN諸国等々のあるこのアジア地域において、日本として具体的にどうやるべきか。これはただ気持ちがわかるという程度では済まぬわけであって、そのための具体的な政策や提案というものを出さなければならぬ段階に来ているのじゃないか、こう思いますが、こういう点についての政府の具体論としてのお立場をもう一度お聞きしたいと思うのです。
○大来国務大臣 具体的な内容につきましては事務当局から申し上げますが、開発途上国のいろいろな提案の中に、先進工業国として簡単に同意できない事項と、まあ努力をすれば同意できるといいますか、いろいろなニュアンスのある問題が通常含まれておるわけでございます。 たとえばUNCTADの提案におきます共通基金の設立につきましては、日本も終始賛成の側に立ちまして、これはかなり気が進まない他の先進国があったわけでございますけれども、日本が常に前向きの態度をとってまいったというようなことは途上国からかなり評価を受けておるように思います。 そのほかの人づくり的な問題、技術協力、これなども日本に対する要望も相当強い。完全に要望を満たしていると言うわけにはいきませんけれども、日本の技術援助というものが比較的評価を受けておるということも、私、途上国各国を回りまして受けておる印象でございます。 なお、内容的に必要でございましたら、さらに政府委員から申し上げたいと思います。
○高沢委員 ちょっと具体的に一つお聞きしたいと思います。 マニラの大平総理の演説の中で非常に具体論にも触れておられます。一つは、日本としては一般特恵関税制度の改善に努める、その一環として後発開発途上国、開発途上国の中でもまたおくれてスタートしたところに対しては、特恵関税制度の特別措置を導入したいというふうなことを言っておられますが、これは具体的にどういう措置であるのか、御説明を願いたいと思います。
○関説明員 後発開発途上国、いわゆるLLDCと呼ばれておりますけれども、これは国連の定義によりますと、一人当たりのGDPが百二十五ドル以下でございまして、また第二の要件としてGDPに占める製造工業の割合が一〇%以下、その他いろいろな要件がございますけれども、このような特に大量貧困の度合いの激しいLLDCにおきましては、必ずしも現在の特恵制度を利用できないという状況に置かれていたわけでございます。そのため特恵制度上の特別の優遇惜置をとる必要があるということが国連のいろいろな会議の場で指摘されていたわけでございまして、わが国も昨年五月の第五回UNCTAD総会におきまして、ただいま先生おっしゃいましたように、大平総理からLLDCに対します特別措置の導入の検討の意図を表明いたしたわけでございます。 この特別措置の具体的な内容は、原則といたしまして特恵税率を一律に無税とするということ、それからシーリング枠という制限が現在ございますけれども、このシーリング枠のない特恵輸入を認める、こういうような内容になっておるわけでございます。
○高沢委員 それはわかりました。 あと、大臣も言われた一次産品の共通基金ですが、これについて大平総理のマニラ演説で、わが国は非常に積極的に貢献した、こう言われて、この合意は一応できているわけですが、この共通基金はいつごろ、どういうふうに発足をするか、またどのくらいの資金量を持つようになるか、これからそれが実現するまでにどういう問題点があるか、そういう御説明を願いたいと思います。
○関説明員 一次産品融資のための共通基金交渉は、現在協定づくりが行われている真っ最中でございまして、これまでに四回の会議が開かれております。現在第五回目の会議が行われておりまして、五月、来月になりますと、南北間で持ち寄りました統一の協定草案の作成のための会議が開かれる予定になっておりますけれども、現時点におきましては、この共通基金設立協定がいつごろ発足できるのか、五月の交渉の成り行きを見ませんと、まだはっきり申し上げることはむずかしかろうかと思うわけでございます。 この共通基金の資金の枠がどのぐらいになるかというお尋ねの点でございますが、これは先生御承知のように、第一の窓と第二の窓があるわけでございます。第一の窓が四億ドル、第二の窓が三億五千万ドル、計七億万千万ドルということになっております。
○高沢委員 それから、やはり大平総理の演説の中に、わが国の政府開発援助を七八年から三年間で倍増する、こういうことも約束されておりますが、この開発援助の七八年以降の実績、実際に倍増できる見通し、こういう点について説明を願いたいと思います。
○関説明員 開発援助の実績でございますが、一九七七年のドルベース政府開発援助実績を倍増するということになっているわけでございます。それで一九七七年の実績が十四億二千四百万ドル、七八年が二十二億一千五百万ドルでございます。一九八〇年が二十八億四千八百万ドルでございますが、為替レートの予想外の円安というようなことが発生しない限り、三年倍増という目標はほぼ達成されるのではなかろうかという見通しでございます。
○高沢委員 それから、これは先ほど大臣も触れられましたが、人づくりの問題ですね。大平総理の演説の中では、これは非常に重要性を強調されているわけです。確かに振り返ってみれば、百年ちょっと前の明治維新で日本が近代化のとびらの前に立って、その当時、ヨーロッパやアメリカから見れば日本は後進国であったわけです。それが今日のようなところまで来た、いろいろの要因はありましょうが、非常に大きな要素としては、明治維新の直後に行った義務教育制度ですね、国民皆教育の成功というものが非常に大きな力になっておる、こう私は思います。 そうすると、これから近代化の道をたどる途上国にもやはり同じような成功の道をひとつ進んでもらいたいということになるのは、これは当然でありまして、総理はそれを強調されたと思いますが、こうした人づくり、教育政策、こういう面についての具体的な展開ですね、非常に演説では強調されているわけですが、具体的な展開については構想をお持ちかどうか、ひとつ御説明願いたいと思います。
○大来国務大臣 具体的な内容につきましては、従来から専門技術者育成のための技術協力、それから教育面における協力、地域社会の発展への協力、人的、文化的国際交流、そういうような分野での要望が先方にあるわけでございまして、途上国側の要望にこたえてこういう面に協力を進めるということになるかと思います。 教育面につきましては、特に日本の従来の経験で途上国に役に立ちます点は、生産的な技術の能力、そういうものを途上国に移転するといいますか、そういう面で重要な役割りがあると存じます。教育一般につきましては、特に初等教育の内容等につきましては、これはそれぞれの国自身が自分の国の歴史的、社会的いろいろな条件に基づいて内容を考えていくべき性質のものでございまして、日本の協力としては、たとえば教材とか実験用品の提供とか、あるいは教科書等の印刷とか、そういうような面での協力が中心になるのであろうと思っております。その教育内容につきましては、やはりそれぞれの国が考えるべきものが多いと思うわけでございます。
○高沢委員 これは、先ほど言った明治の時代の教訓を考えても、それは幕末からそうだったわけですが、日本からイギリスとかオランダとかアメリカとかそれぞれ留学した人たちが、その学んだことそれ自体の知識だけじゃなくて、結局教育制度のあり方はどうあるべきかというような一つのコンセプションをつかんで帰ってきて、それを日本に具体的に適用するというようなことが非常な効果を上げたと私は思いますが、そういう点においては、また発展途上国からできるだけ多くの人を日本へ留学に受け入れて、その留学のテーマの問題だけではなくて、いま大臣の言われた、それぞれの国に適した教育制度のあり方をどうしたらいいかというものを、帰ってそれぞれやれるような、そういう人材養成、そういう能力の養成というような点については日本からも意識的に、これは決して相手に内政干渉になるわけではないので、大いに積極的にやられるべきではないか、こう思います。 以上のことを踏まえて、あと具体的な条約論に入りたいと思いますが、今度の憲章が発効いたしますと、UNIDOは国連の中の自主的機関から、今度は独立した専門機関になります。この独立した専門機関になるということは、現実にはどういう変化が出るのか、それをお尋ねしたいと思います。
○関説明員 お答え申し上げます。 一番大きな変化が起こります分野は二つございまして、一つは予算権の問題と、それから第三に人事権の問題でございまして、専門機関になりますと、この二つの面におきまして、財政面と人事面におきまして、いまより一層独立性が強くなるわけでございます。 具体的に申し上げますと、総会からの独立性ということでございます。予算面につきましては、予算編成に当たりまして国際連合全体の予算枠の制約から離れまして、機関独自の予算を編成する権限を持つわけでございます。そうすることによりまして、開発途上国の要請を勘案いたしました適切な事業計画を裏づけます予算を適時組むことができるわけでございます。また人事権の分野におきましては、実際の必要に応じまして従来以上に合理的な人員の採用とか配置を行うことが可能になるわけでございます。
○高沢委員 それからこの憲章は効力発生の定めが二十五条で行われておりますが、これによりますと、承認書を寄託した、締結した国のうち少なくとも八十カ国が協議して、この憲章を発効させることについて合意した旨を寄託者に通告した日に効力を発する、つまり何カ国が締結すればそれで効力発生ではなくて、その締結した国八十カ国が集まって、さあ効力を発生させようと合意して初めて効力発生、こういう特別な手続を決めた理由はどういうところにあるか、お尋ねしたいと思います。
○関説明員 ただいま先生がお挙げになりました特別の規定を置いた理由といたしましては、開発途上国の要望に応じて開発のための各種の事業をUNIDOが実施する際には、ただ単に単年度だけではなくて、かなり二年先あるいは三年先を見ながら計画を作成し、それを実施していくわけでございますので、資金的な裏づけを確保するということが非常に重要になってくるわけでございまして、単なる条約と違いまして、そのような予算面での裏づけというものが非常に重要な場合でございまして、UNIDOのこの憲章におきましては、ただ単に締約国の数だけがそろうのではなくて、ある一定、この場合は八十カ国でございますが、この八十カ国がそろいまして、そしてこれらの国が開発途上国の工業発展のためにさらに資金を拠出するという意図を改めてお互いに確認し合うということが非常に必要になってくるわけでございまして、このような規定を置いたということは、それなりの大きな意義があろうかと思うわけでございます。
○高沢委員 その点はわかりました。 それから十一条で事務局についての規定がされているわけですが、現在のUNIDOの事務局長あるいは事務局次長、また事務局のその他職員の人たちですね、どういう人が事務局長をやっておるか、どのくらいの職員がいるのか。何か日本人の職員が十三名いるというふうに聞いておりますが、どういう人たちか。 それから今度この憲章が発効した場合に、そういう事務局の人事や構成に何らかの変化が出るのかどうかというようなことをお尋ねしたいと思います。
○関説明員 現在事務局長は、アルジェリア国籍のアブデル・ラーマン・カーン、次長はエジプト人のアズミ・アフィフィという方でございまして、いずれも任期は昭和五十七年までとなっております。邦人職員の数は現在九名おりまして、二名が技術移転部長代行、さらに投資協力計画室長代行というポストをそれぞれ務めております。七名がいわゆるプロフェッショナル、専門職員としてUNIDOの国別調査部に勤務いたしております。 憲章が発効した後につきましては、このような人事構成については特に大きな変化が起こることは予想されておりません。
○高沢委員 日本人が十三名というのはどういうあれでしょうか。
○関説明員 補足させていただきます。 補助職員を入れますと十三名でございまして、プロフェッショナルは九名でございます。これは専門職員でございます。ですから、邦人の職員の全体の数は十三名でございますが、その中で専門職員が九名でございます。
○高沢委員 それから次は、十三条に機関の予算の構成が述べられております。分担金によって賄われる通常予算と任意拠出その他の収入で賄われる事業予算、そうして後の十七条には工業開発基金というものが定められておりますが、十三条で規定している事業予算というものと十七条の工業開発基金の関係はどういう関係か、御説明を願いたいと思います。
○関説明員 UNIDOにおきましては事業予算の大部分は、ただいま先生がおっしゃいました工業開発基金から賄われることになっておりまして、非常に密接な関係がございます。
○高沢委員 もう一回聞きますが、UNIDOでこのことでこういう事業予算を出そうと決めると、その分の金は工業開発基金から出る、こういうことになるのですか、いま言われた密接な関連というのはそういうことですか。
○関説明員 そのように御了解いただいて結構だと思います。
○高沢委員 そうすると、そこで分担金というものでは日本はどのくらいの分担になるのか、それから任意拠出という面においては、日本はどのくらいの拠出をするようになるのか。 その場合に任意拠出という言葉、これは任意にということだと思いますが、日本が拠出をする場合の金額はどういう物差しで決めるのかということ、あるいは任意という言葉の中にはこれは出さなくてもいいという意味もどうも含まれるような感じがしますが、任意拠出を出していない国が、何かアメリカやイギリスやカナダがあると聞いておりますが、それはなぜそういうふうになっているのか、この辺の関係を御説明いただきたいと思います。
○関説明員 任意拠出は、あくまでも加盟国政府の任意の決定に基づきまして拠出するものでございまして、ただ日本のように主要先進工業国といたしまして世界経済に大きな地位を占めます国といたしましては、やはり他の主要先進工業国、特にヨーロッパ諸国、アメリカ諸国との対比におきまして適当な金額を拠出するように現在まで努力いたしてきております。 わが国は、工業開発基金の方に対しましては、昭和五十四年度では総額一千六百万ドルのうちわが国は二十二万五千ドルを拠出いたしております。本年度におきましては、五十五年度予算におきまして七十二万ドルの拠出を行う予定にいたしております。 最後に、先生お尋ねの米国、カナダの拠出状況でございますが、なぜこれらの国が任意拠出を行っていないのか必ずしも明らかではございませんが、この米国、カナダは、一九七五年リマで開催されました第二回総会におきましてこの工業開発基金の設立には非常に消極的な態度をとったわけでございます。それで当面この基金の活動の成り行き、今後この工業開発基金が成長いたしまして活発な活動を行うに至るかどうかというような点についての見きわめをつけるために現在拠出を控えているのではなかろうかというふうに推定されます。
○高沢委員 分担金の方はどうなんですか。
○関説明員 分担金は、国際連合におきます日本の現在の分担金、大体九・八五%でございますが、これが専門機関であるUNIDOにも準用されることになっております。約一割を日本が負担するということでございます。
○高沢委員 このUNIDOの事務局が昨年の十月、これは日本経済新聞の報道ですが、途上国の工業育成のために一千億ドルという世界工業振興基金をつくろう、それからまた国際工業融資機関もつくろう、こういうふうな案を立案したと新聞の報道にはありましたが、このことはその後どうなったか、それを一つお聞きしたいと思います。
○関説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生御指摘の日本経済新聞の昨年十月の記事のもとになりましたものは、恐らくUNIDO事務局が発表いたしました「西暦三千年の工業・新しい展望」という報告書に基づいているのではなかろうかと思われます。この報告書の中でUNIDOの事務局は、ことしの一−二月にインドのニューデリーで開催されましたUNIDOの第三回総会に先立ちまして、UNIDOの一千億ドルの工業開発融資機関の創設構想ということをうたっているわけであります。しかし、この構想は、その後の第三回のインドにおきます総会におきまして特に取り上げられることはございませんでした。そのかわりといたしまして、三千億ドルの南北工業開発基金の設置提案が南側諸国から行われたわけでございます。
○高沢委員 その提案はどうなりましたか。
○関説明員 お答え申し上げます。 この提案につきましては、何分にも三千億ドルという途方もない巨額な金を今世紀末までに集める、そしてその資金によりまして工業開発を行うということでございますものですから、わが国といたしましてはこのような大規模な資金の規模の現実性、それから開発途上国側の資金が果たしてどのくらい要るのか、その具体的な見きわめをやった上でなければこの三千億ドルの基金の設立ににわかに賛成できないという立場から、他の先進工業国と並びましてこれに不賛成の態度をとったわけでございます。
○高沢委員 その経過はわかりましたが、これは私の年来の主張ですが、世界の先進工業国が一年間だけ防衛費をやめてそっちへ回せばたちどころに出るということだと思いますが、これはこの場ではそれだけにとどめておきます。 最後にお尋ねしたいことは、開発途上国が負っている累積債務の問題です。これは私の調べたあれでは七〇年末には開発途上国の対外債務の残高が七百五十一億ドルあった。それが七六年末、わずか六年間ですね、二千二百七十四億ドルになった、約三倍にふえておるというふうに聞いているわけですが、これは七六年末ですから、現段階はもっともっとふえているということだと思います。こういう開発途上国の対外債務というもの、これは下手をするとここから世界的な金融恐慌も起きてくるのじゃないかという説をなす人もいますが、ひとつその実態をお聞きしたいということと、それからもう一つは、今度は途上国の中のたとえば産油国、石油の出る国と出ない国、この両者の関係は資金面において非常に大きな違いがありますが、そういう途上国の中における、金のある、オイルダラーのある国とない国との間におけるこうした資金の再配分といいますか、というふうなものは一体どういう構想がとられておるのかということもあわせてひとつ御説明を願いたいと思います。
○関説明員 一九七九年末の開発途上国の債務の累積残高でございますが、これは約三千八百億ドル以上ということでございまして、四千億ドル近くに達しております。このような巨額の債務累積というもめは非常に大きな問題を提起しているわけでございまして、これが将来の世界経済にどのような影響を与えていくのか、あるいは先生おっしゃいましたように、世界恐慌というようなことにもつながっていくのか、なかなか見きわめはむずかしいわけでございますけれども、国連におきましてもこの問題の重要性、深刻さというものが十分認識されておりまして、そのための討議が現在においても行われております。 ただ、このような債務累積の結果どうなるかということにつきましては、昨年来の第二次石油価格の引き上げが、油を産出しない開発途上国にいかなる影響を与えることになるのかという点についての見通しが現時点では必ずしもはっきりいたしていないというようなことでございまして、見通しはなかなか立てがたいというふうに思われるわけでございます。 それから、オイルダラーのリサイクリングの問題でございますが、これはことしの八月の末から九月の初めにかけて行われます国連の経済特別総会におきましても、恐らく大きな問題点として取り上げられるのじゃなかろうか。先生御指摘のように、このオイルダラーを開発途上国へいかにリサイクルするかということはきわめて大きな問題でございまして、国連においても現在この問題が取り上げられ検討が続けられているわけでございますが、具体的にどうするかということについてはまだはっきりした対策は出てきておりません。
○高沢委員 国際連合工業開発機関憲章については以上で一応終わりにいたしまして、次に、国際天然ゴム協定の方へ移りたいと思います。 このゴム協定の前文にこういうふうな文章があります。 締約国は、 新たな国際経済秩序の確立に関する宣言及び新たな国際経済秩序の確立のための行動計画を想起し、 特に、国際連合貿易開発会議がその第四回会期及び第五回会期においてそれぞれ採択した一次産品総合計画に関する決議第九十三号及び第百二十四号の重要性を認識し、 云々でこの協定をつくるとこうなりますが、この一次産品総合計画、その決議九十三号あるいは決議百二十四号の内容がどういうものか、それとこの協定との関連は一体どういうふうに結びつくのか、それをまずお尋ねしたいと思います。
○国広説明員 一次産品総合計画と申しますのは、一九七六年の第四回UNCTAD総会で採択されました計画でございまして、この条約文で御指摘の決議第九十三号で決まったものでございます。その次の決議は後にレビューされましたときに行われた決議でございまして、内容的には同じものでございます。 その計画の内容について申し上げますと、開発途上国が特に輸出関心を有します一次産品の価格安定、輸出研得の改善等を目的としまして、第一に共通基金を設立するということ、第二に、十八品目の対象個別産品を選びまして、それらの産品につきまして国際緩衝在庫その他の価格対策、それから多角的長期供給買い付け約束、それから生産面での多様化、加工度の向上、それから補償融資スキーム等、こういうふうな国際的措置を単一あるいは幾つかの組み合わせによって適用することをその骨子とするものでございます。この計画は、従来個々ばらばらに商品協定交渉が行われておりましたのを、ほぼ合意した共通の枠組みにおいて本年末を目標に十八品目すべてにつきまして協定をつくっていこうということを目的としてスタートしたものでございます。 お尋ねの、この計画といま御審議願っております天然ゴム協定との関連でございますが、まずこの協定は、同計画によりまして成功裏に締結されました最初の協定でございます。それからこの協定は、一九七八年十一月以降合意されております様式、つまり予備協議からスタートしまして、合意されております手順を踏みまして四回にわたって会議を行いました結果、めでたく昨年の十月六日にすべての条文につきまして合意が成立したのでございます。したがいまして、私どもとしましては、これが初めて成功した協定であると同時に、またほかのものにつきましてもできるだけ円滑に協定が結ばれますように今後も努力したいと思っております。
○高沢委員 ゴムはこうやってうまくできた、しかし、その十八品目全体が今年末までにそういうようにそれぞれ協定ができる見通しはどうですか。
○国広説明員 実を申しますと、この合意がなされました段階ですでにできておる協定がございますが、恐らく三分の三くらいはこの年末の期限には積み残しになるおそれがございます。実はこれはどちらの責めというよりも、なかなか手順が定まらない品目がかなりありまして、すでに商品協定として締結されておりますものは、砂糖、コーヒー、小麦、オリーブ油の四つでございます。そのほかに、実はすでにココアがございましたけれども、これは昨年度末、つまり三月三十一日をもって新協定の合意ができませんで、旧協定がそのまま消滅いたしました。したがいまして、あとのものについてでございますが、そのうち、目下締結に努力してかなり進歩が見られておるものが三、四品目ございますが、そのほかのものについては正直申し上げて恐らく年内締結というのには相当の困難があるであろう。したがいまして、それをどうするかということにつきましては、この夏に貿易開発委員会というものが開かれまして、そこで対策を協議することになっております。
○高沢委員 いまココアのお話がありましたが、これからできてくるもののいわば運命にもかかわることですから、そのココアの協定がなぜ消滅するようになったのか、その原因なり経過をちょっと御説明願いたいと思います。
○国広説明員 国際ココア協定につきましては、去年の九月の理事会におきまして、その有効期限を本年三月までに六カ月間延長いたしまして、その間に何とか延長方、さらに新協定を円滑に締結方、努力をしたのでございますが、昨年三回にわたって行われました新協定のための交渉におきまして、主として価格帯の水準について合意ができませんで、わが国としましても相当の努力をしたのでございますが、ついに産消双方の合意ができなかったのでございます。 価格帯と申しますのは、緩衝在庫の買い入れ価格につきまして生産国側はポンド当たり百二十セントにしようという提案でございまして、これを終始一貫変えませんでした。他方、消費国側の方は最初九十セントでいいではないかという話で、その後かなり歩み寄りはしたのでございますけれども、どうしても最終的にまとまりませんで、ついに見送らざるを得なくなりました。
○高沢委員 その経過はわかりました。 天然ゴムの問題になりますが、まず最初に、天然ゴムの相場の建て方、あるいはそこにおける取引のやり方、あるいはそういう相場を建てたりする国際市場はどういうところにあるのか、またそういう国際市場にはどういう倉庫があって、後の緩衝在庫との関係もありますので、倉庫が現実に一体どういう機能を果たしているのか等々、いまの天然ゴムの取引の実態を総体としてまず御説明願いたいと思うのであります。
○篠島説明員 まず取引の建て方でございますが、これは国際的には、一般的にマレーシアのクアラルンプール、シンガポール、それからあとロンドン、ニューヨークにございまして、ここで国際的な取引相場が建てられております。 なお、日本につきましては、神戸、東京にそれぞれ取引所がございまして、これにつきましては、もっぱら日本の業者が取引を行っております。 倉庫でございますが、これは国際的な取引所での倉庫が現実にどうなっておるか、私、具体的に存じませんが、日本の場合でございますと、大体各港にそれぞれ営業倉庫がございまして、特に倉庫において供給能力上問題があるというふうには聞いておりません。
○高沢委員 現在あるそういう倉庫ですね、これはあれですか、輸入国側の日本が保持している倉庫ですね、いま言った神戸やあるいは東京にある倉庫は。こういう倉庫は輸入国側に有利なように利用されることに当然なろうかと思いますが、クアラルンプールなんかにある、あるいはシンガポールにあるそれは、輸出国側として当然その倉庫をその立場に立って運用しておるというふうに理解していいのですか。
○篠島説明員 一般的には実際の取引量、それからそのときの相場等によりまして在庫量がふえたり減ったりするわけでございますが、ゴムの場合も、そういった相場の変動あるいは需給の変動に見合う程度の倉庫のファシリティーというのは経験的にある程度問題のないようにできておりまして、したがって、倉庫の能力の多い少ない、あるいはどこに置かれておるかということが需要家側あるいは供給側に対して格別の利益、不利益を生ずるというふうには理解しておりません。
○高沢委員 その天然ゴムとの関係で合成ゴムがあるわけですが、これは特に消費側の立場で、合成ゴムの利用状況というものと、天然ゴムの価格形成の関係ですね、この関係においてどういうふうな相互関係があるのか。ことに日本なら日本の例でひとつ御説明願いたいと思います。
○篠島説明員 過去におきましては、合成ゴムが非常に伸びました時代に天然ゴムに比べて価格が総体的に安かったということで、天然ゴムの生産国の方から合成ゴムを抑えてくれというような要望があった時代もございましたけれども、最近では天然ゴム、合成ゴムについてはそれぞれの価格に対応いたしまして、価格は大体ほとんど同じ程度のレベルで動いておるようでございますが、天然ゴムの場合には相場商品であるためにかなりフラクチュエーションがございますし、合成ゴムの場合にはある程度大手のメーカー、ユーザーの取引でございますので、そんなに大きく動かないという違いがございますが、大体同じレベルになっております。 それから需要分野につきましては、合成ゴムが大体七割ぐらい、それから天然ゴムが三割ぐらいということで、それぞれほぼ定着しております。天然ゴムの場合にはいろいろ汎用性があるほか、特に熱に強いあるいは衝撃に強いというようなこともありまして、ゴムの全体の需要量の中で六割ぐらいを占めておるタイヤの場合ですと、トラック用あるいは航空機用のタイヤ、それから最近はやっておりますスチールラジアルのタイヤ等に使われております。
○高沢委員 この協定によれば、国際天然ゴム機関というものができる、その所在地は協定第三条で見ますとクアラルンプールに置くかあるいはロンドンに置くか、これはこの協定が発効した段階でその加盟国の協議あるいは採決で決める、こうなっていますが、これは日本としてはどちらにある方が望ましいと考えておられますか。
○国広説明員 わが国としましてはクアラルンプールの方にしたいと思っております。 一つは、ロンドンの方につきましては、ロンドンにはほかの国際商品協定の本部もあるので相互の関連性など考えて便利ではないかというのがロンドン派の理由でございます。 しかしながら、何にしましてもマレーシアが世界最大の生産国である、輸出国であるということは明らかなことでございまして、この商品協定そのものが、やはり生産国の輸出利益、輸出所得を守るということが目的でございますので、その生産国自身が希望する場合には特別のことがなければ何とか支持したいと私どもも思いまして、その考えで、この前のASEANの閣僚会議のときもこれを支持するという姿勢を示したものであります。そういう一連の考え方によりまして、本件が理事会で検討されるときはわれわれはクアラルンプールを支持したいと思っております。
○高沢委員 わかりました。 十三条では、この協定に基づいてやはり機関には事務局が置かれるわけですね。それで、機関の事務局長、それから緩衝在庫の運営を行うところの緩衝在庫管理官というものが理事会で任用される、こう決めてございますが、こういう任用の条件、またこれによって実際にどういう人が任用されるのか、そういう見通しはいかがでしょうか。
○国広説明員 同条文にもございますように、事務局長、マネージャーの任用は、理再会で定めます条件に従いまして理事会の特別多数票でもって決められます。職員につきましては、この条文上は定めはございませんが、理事会の定める規則に従いまして事務局長が指名いたしますが、その任命の方法につきましては特に定めはございませんけれども、ほかの商品協定と似たようなことが行われるというふうにわれわれも考えております。 事務局長及び緩衝在庫マネージャー、管理官は理事会に対して責任を負います。それで協定の運営上、実施につきまして有能で、人格的にも善良であり、かつ、特に重要なことは天然ゴムに関しまして十分な知識を持つ国際的な職員が選ばれるというふうにわれわれとしては期待しておりますが、これはいずれ詳細は理事会で規則として決められることになると思います。
○高沢委員 次に、緩衝在庫の問題に入りますが、二十七条によりますと通常用の在庫が四十万トン、それから緊急用の在庫が十五万トン、こうなっておりますが、この緊急用というものが発動される条件というのはどういう条件で発動されるのか、お尋ねしたいと思います。
○国広説明員 御提出申し上げました天然ゴム協定の説明書の六ページに表がございますので、それをごらんいただきたいと思います。 緩衝在庫につきまして緊急用に買う場合について申しますと、この表にございます下方介入義務価格というところまで来ないように通常のバッファーストックの四十万トン分を使って支えるわけでございますが、それを超えた場合には、緊急用の緩衝在庫を発動してまた値がもとに戻るように努力するわけでございます。 発動の要件はそうでございますが、御質問は恐らくどう動くかということも含めてであろうかと思いますのでつけ加えますと、実はそうなったときに、どの価格の時点、下から二番目の線、下方介入義務価格の下のどこに行ったら緊急用を発動するかということについては理事会を開いて早急に決めるわけですが、場合によっては理事会でも結論が出ないでそのまま市況が悪化するということも考えられます。そういう場合にはこの協定の約束に従いまして、この一番下の線と一番下から二番目の線の間、この中間点、真ん中の価格、そこに至ったら義務として緊急のストックも発動する、こういうことになってございます。
○高沢委員 この緩衝在庫は所在地はどこどこになるのか、それからまた緩衝在庫で買い入れた天然ゴムには何か特別な封印をするような手続をとるのかどうかということ、あるいはまた緩衝在庫で買ったり売ったりする、こういうことは先ほどの管理官がやるのか、あるいはどこか適当な商社に委託してやるのか、そういう緩衝在庫の運用の具体的な手続を御説明願いたいと思います。
○国広説明員 緩衝在庫の場所につきましては、条約にも「商業上の見地から経済的かつ効率的な運用を確保することのできる場所」というふうに表現してございますが、こういう要件を考慮しますと、在庫の品質の悪化を防止するために入れかえをするとか、それからこの協定に基づいて購入または放出をする、そういうことに容易な場所ということが当然考えられなければならないことでございます。そういうことを考慮しますと、この緩衝在庫は確立した商業市場またはその近接した場所に設定されるものというふうに予想されますが、具体的なことはこの協定発効の後に理事会において決定されます。 そして第二の御質問点の、だれがこれを運用するかということにつきましては、実際の買い入れ、放出、そのことの決定、指揮は、これは非常に重要な決定と行動でございますから管理官自身がやります。しかし、保管などの面につきましては民間会社に委託するというようなことは、ほかの商品協定でも行われておりますし、そのようなことは管理官自身ではなくて委託に出すことが可能であろうと思っております。
○高沢委員 それで二十九条を見ますと、緩衝在庫に対する当初拠出が総額七千万マレーシア・リンギット、こういうふうに出ていますが、これは日本円で言うとどのくらいの金になるのですか。それから、これは当初ですが、最終的に緩衝在庫のための拠出額は総額どのくらいになるか、日本はそのうちの持ち分がどのくらいになるか、これをお尋ねしたいと思います。
○国広説明員 御指摘の七千万マレーシア・リンギットは、日本円でいま換算しますと約八十億円でございます。そしてこれは、所定の計算方法でわが国の持ち分をこれから出してまいりますと約四億円強になります。 それから、全体が最終的にどのくらいになるかということにつきましては、附属書Cに議長評定額というのが出ておりますが、これが十億千六百四十万マレーシア・シンガポール・セントというように出ております。これを輸出国側と輸入国側で半分に割りまして、そしてまた所定の計算で輸入国側の方から来るわが方の持ち分を計算しますと、いまのところ六十七億円というふうに計算が出ております。
○高沢委員 わかりました。 この四十二条に、この国際天然ゴム機関と間もなくできるであろう一次産品の共通基金、この両者が提携して運用する、こういうようなことが出ていますが、この共通基金との提携のやり方というのはどんなふうなやり方をやるのか、御説明願いたいと思います。
○国広説明員 この提携のやり方の具体的な内容自身は、共通基金が発足した後にこの協定に従いまして協定自身が交渉するわけでございます。したがいまして、いまのところは私どもとしては予想といいますか、その程度のことしかできませんが、たとえばこの協定の中で予想されております技術の開発だとかそういうことに要する費用を共通基金の第二の窓からもらってやるというようなことも一案としては考えられますが、具体的なことは、この共通基金の成立を待ちまして、協定自身が自分で発案していくということでございます。
○高沢委員 それでは、このゴム協定の最後のお尋ねにいたしたいと思いますが、現在の天然ゴムの市況における実勢価格がどのくらいか、私がちょっとお聞きしたところでは、キロ当たり三百二十円あるいは三百三十円、さらにもうちょっと、何か三百五十円くらい行っているか、そういうふうな値段になっているとお聞きしているわけです。そういたしますと、この協定の説明書の、先ほど国広さん、あなたが説明された基準価格から上の方の上方指示価格とか下の方の下方指示価格というふうなものとの関係で見ますと、すでに現在実勢価格は上方指示価格よりさらにずっと高いところへ行っていますね。こういう状態では緩衝在庫の運営をやるといってもこれはなかなか運営がむずかしいのじゃないのか。この指示価格とそういう実勢価格との関係は一体どうなるのか、これをひとつ御説明を願いたいと思います。
○篠島説明員 ただいまの相場でございますが、先生のおっしゃいますように、国内で三百二十円前後の非常に高い相場になっております。したがいまして、基準価格あるいは上方指示価格よりも上回っておるわけでございまして、協定の発効いたしますのが、予定によりますとことしの十月になるわけですが、その時点でもしその中におさまってない場合に、上方指示価格の下におさまってない場合に一体どうなるかということでございますが、条約によりますと、発効の日から十八カ月たたないと再検討が原則としてできないということになっておりますので、この協定を形式的には一たん廃止して、新しく指示価格を現実の価格に置き直した内容のものとしてやりかえるということでなければ、事実上動かないということになるかと思います。五%あるいは三%程度の調整はできるわけでございますけれども、いまの価格水準ですと、発効後十八カ月ばかりは事実上いまの協定のままでは動かないという状態になるというふうに理解しております。
○高沢委員 せっかくできたら途端に動かないでは大変問題のような気がいたしますが、その場合協定をやりかえる、これも一つでしょうが、あるいは、いまの実勢価格がある程度異常な高値だ、これはしばらく時間がたてばまた下がるだろうというようなことが予想されれば、しばらく下がるのを待つ、こういう手もあろうかと思いますが、その点は私も何も確定的なことを言えるほどの知識もあるわけではないのですが、その辺の見通しはどうなんですか。
○篠島説明員 現在の天然ゴムの相場は、一つにはやはり国際的な緊張の要因によりまして相場商品は一般的にかなり上方へ価格が動いておりますが、そういう関係があるということと、それからもう一つは、やはり合成ゴムの価格が石油価格が上がりまして上がっておるというそちらの要因もございまして、果たして二百七十セントあたりまで下がってくるかどうか、ここら辺については簡単にはなかなか下がらないかというふうにも見ております。
○高沢委員 事情はわかりました。せっかくこの協定ができたら、また大いに生きるように使うための御努力を願いたいと思います。 それでは国際ゴム協定は終わりまして、最後に日比の小包郵便協定の方へ移りたいと思います。 まず、フィリピンが万国郵便連合に加盟している、しかし小包郵便約定には参加していないという、これはどういうわけかということをお尋ねしたいと思います。 なお、フィリピンだけではなくて、カナダとかアメリカとか南アフリカというようなところも同じように小包郵便約定には加入していない、こういうわけですが、あわせてそれはどういう事情かということを御説明を願いたいと思います。
○梶谷説明員 フィリピン共和国は、連合小包郵便約定が規定しております小包郵便物の亡失等に対します損害賠償責任を負う義務を受け入れがたいと考えております。そのために同約定には加入していないというふうに考えられます。 なお、フィリピンのほかにアメリカ、それからカナダ、南ア、これら三カ国との間にも別個に約定を締結しております。これら三国につきましても、やはりUPUの連合約定が決めております損害賠償を受け入れがたいと考えておるために連合の約定には入っていないものと考えられます。
○高沢委員 その理由はわかりました。 それで、いまの日本とフィリピンの間の小包郵便の往復は、実態としてどのくらいの数量があるのか。それから、それによって日本の郵政当局がどのくらいの料金の収入が上がっているのか、その中からフィリピン側へ渡している金額はどのくらいあるのか、まず実態を御説明願いたいと思います。
○梶谷説明員 本邦とフィリピン共和国との間に交換されております小包の物数は、ここ数年変動はございません。 昭和五十三年度の物数について申し上げますと、本邦差し出しフィリピンあてのものが約三万二千個でございます。それから本邦到着のものが七千個ございます。 それから収入の関係でございますが、五十三年度の日比の小包の料金収入は八千九百万円でございます。それから収得額の方でございますが、わが国がわが国の取り扱い経費としてフィリピンから収得しております金額が約百万円でございます。これに対しましてフィリピンがわが方から収得している金額は九百五十万円でございます。
○高沢委員 わかりました。 先ほどの損害賠償をしないというふうなことは、この協定の第十五条にも出ておりますが、そうすると、日本とフィリピンとの間の小包にそういう何らかの破損とかあるいは亡失というような事故があったときは、結局関係者はしようがないということになるのか、それをお尋ねしたいと思います。
○梶谷説明員 日本・フィリピン間で交換されております小包の亡失等につきましては、損害賠償は一切しないということになっております。これはフィリピン側の要請によるものでございまして、そういうことからいたしまして損害賠償は一切できないということになっております。
○高沢委員 それからUPUの加盟国で、いまわが国の郵政当局がこの国あての小包は引き受けできません、扱いません、こういう扱いになっているのはどこどこでしょうか。その理由。
○梶谷説明員 ただいまわが国から小包郵便が発送できない国、これは民主カンボジアのみでございます。これは昭和五十年七月から引き受けを停止しております。この理由は、カンボジアあての送達のルートがないためでございます。わが方といたしましては、その後も近辺諸国、ベトナムとかあるいはタイ、ラオス、それから中国、ソ連等に連絡をとりまして、継ぎ越しと申しておりますが継送方依頼をしておりますが、いままでこれらの諸国から回答が来ておらない現状です。しかしながら、本年度に入りましてからソ連とそれからベトナムから継送してもいいという回答が参ったのでありますが、カンボジアに照会いたしましたところ、まだ引き受けができないような状況のようでございます。そういうことで、まだカンボジアとは小包の交換ができておりません。
○高沢委員 いま言われたカンボジアに照会というのは、カンボジアのどこに照会したのですか。
○梶谷説明員 カンボジアの郵政省でございます。
○高沢委員 いやいや、私の聞いているのは、プノンペンにあるヘン・サムリン政権の方か、あるいはつまりタイの国境にいるポル・ポトの政権の方のあれですか。
○梶谷説明員 プノンペンにある政府でございます。
○高沢委員 次は、この協定の第四条あるいは第七条で、小包を送る航空の運送料とかあるいは通関料とかあるいは保管料、こういうふうなものはUPUの最高額と同一もしくはその最高額を超えない額にする、こうなっておりますが、このUPUの最高額というのはどういうふうな手続なり、どういう基準で改定されるのか、それを御説明ください。
○梶谷説明員 UPUが定めております航空運送料その他の特別料金は、これは五年に一回総会が開かれますその際に、決定をいたしております。
○高沢委員 第五条には禁制品についての定めがあるわけですが、麻薬とかその他のそういう送ってはならぬ品物を発見して防止する、その方法といいますか、あるいは体制はどういうふうになっておりましょうか。
○梶谷説明員 わが国に到着いたします郵便物につきましては、これは税関検査の際に発見されることになっております。 それからわが国発の郵便物の関係でございますが、これにつきましては、禁制品を包有している疑いがある場合には、引き受ける際に差出人に対しまして郵便物の内容品について申告を求める、このような方法で防止を図っております。 また、両国の郵便によります輸入禁止品につきましては、相互に通報をいたすことにいたしております。わが国につきましては、これらの通報は告示によりまして利用者あるいは郵便局で周知をしております。
○高沢委員 いま言われたような体制で、なおかつそういうものが発見された場合には、これはそれぞれの国内法令で処分する、こうなっておりますが、その処分の際に、今度それを送った人あるいは受領する人というような、人に対する責任の追及はどういうふうになるのか、お尋ねしたいと思います。
○梶谷説明員 わが国に到着いたしました小包の中から禁制品が発見された、こういう場合には、爆発性の物質等は棄却されます。それからそのほかの禁制品は差出人に返送されることになっております。したがいまして、受取人は処罰の対象にはなりません。 しかしながら、この処分につきましては、わが方からフィリピン郵政庁に対しまして通報することになっております。この通報に従いまして、フィリピン側ではフィリピンの国内法令に従って対処するということになっております。
○高沢委員 いま言われた返送する、爆発物は処分するけれども、そうでない物は返送する、これは当然それだけの経費がかかりますね。それはその相手に対して当然その負担をさせるということになるのですか。そういうあれはどうなりますか。
○梶谷説明員 返送する場合の返送料は相手郵政庁から徴収しております。
○高沢委員 これで最後です。 これは郵便小包とは別ですが、ただ類似のケースとしてお尋ねしたいわけですが、一昨年日本からマニラへ行ったある旅客の置いていった手荷物の中から武器の部品が出てきたという事件がありました。この事件の処理が結局どういうふうになされたかということをお尋ねして、そして小包の場合そういうケースがあってはならぬということになるわけですが、そういう教訓からいっても、いまの、小包ではないけれども、一昨年起きたこの事件についての処置が結局どういうふうにされたか、それをひとつ御説明願いたいと思います。
○坂倉説明員 お答えいたします。 いまの先生の御指摘の事件は、五十三年、マニラ空港で日本人乗客の持ち込みました手荷物を飛行場に忘れたという事件でございまして、その後、これは当時手りゅう弾の信管の部品ということが報道されたわけでございます。 それにつきまして政府といたしましては、フィリピン政府側にいろいろ調査を依頼したのですけれども、軍事秘密だということで、それに対する返事が得られませんで、したがいまして、国内でいろいろ調査をいたしました。 そうしたところ、この会社、フジ・インダストリアルという会社でございますけれども、この会社が昭和五十一年に国内から部品を調達し、コンポーネント・パーツ・フュージなる貨物をフィリピンに輸出した、こういうことが判明しました。たまたま、いろいろな状況的な書類から、これが手りゅう弾の部品ではないかということがわかりまして、会社側はそれは否定したのでございますけれども、こういうものは貿易為替管理法上輸出承認を求めなくてはいかぬというものでございますが、会社側はそれを偽って、普通の商品ということで輸出してしまったわけでございます。 したがいまして、当方としましては、十分な証拠といいますか、そういう心証が得られましたので、警視庁に対して告訴いたしまして、その後東京地方検察庁は五十三年に起訴いたしまして、東京地方裁判所は、五十四年三月十六日、同社を罰金八百万円、また被告人、金沢という社長でございますけれども、懲役一年六カ月、執行猶予三年ということで判決を下しました。その後被告人が控訴しなかったために、刑は確定をしております。 以上でございます。
○高沢委員 以上で私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○中尾委員長 玉城栄一君。
○玉城委員 最初に、航空業務に関する日本国とニュー・ジーランドとの間の協定並びに航空業務に関する日本国とフィジーとの間の協定並びに航空業務に関する日本国とバングラデシュ人民共和国との間の協定、同じく航空業務に関する日本国とスぺインとの間の協定、以上四つの航空協定についてお伺いをいたします。 まず、ニュージーランド、フィジーとの航空協定に関連をいたしまして、南太平洋地域の問題についてお伺いしたいわけであります。 南太平洋地域は平和裏に次々と独立国が誕生し、また近くニューヘブリデスが独立しようとしているわけであります。これらの諸国とわが国との関係は年々密接になってきており、わが国は今後とも政治、経済、文化等のあらゆる分野において協力関係を進めていかなければならないとも思いますし、また、国連外交を今後強力に展開する立場からも、これら南太平洋諸国とわが国の関係は、これから非常に重要視されなければならないと思うわけであります。 そこで、これら南太平洋諸国に対し、わが国はどのような外交方針をこれまでとってこられたのか、また今後とろうとしておられるのか、南太平洋諸国に対するわが国の外交の現状と今後の方針をお伺いしたいと思います。
○大来国務大臣 日本といたしましては、これらの地域は同じ太平洋に面してその中にございます国々でございまして、従来から友好的な関係をつくり上げる努力をいたしておるわけでございます。 先般、一月の半ば、大平総理の豪州、ニュージーランド訪問に私も随行しましたが、その帰途、短時間でございましたが、パプア・ニューギニアにも立ち寄ったわけでございます。 また、最近ではハワイで、南太平洋の島嶼の国々の元首あるいは首相等も集まりました南太平洋の国々の開発問題に関する国際会議がございまして、私どもの方にも出席の要請がありまして、齋藤元大使が出席されて、各国の開発に関するいろいろな要望等も聞いてこられたわけでございまして、また技術援助等も可能なものについては日本政府から提供いたしておるわけでございます。
○玉城委員 次に、ソ連が七六年にはトンガ、西サモアに、経済援助と引きかえに空港や漁業基地建設を要求したり、クック諸島に独占的入漁権を要求したことなどが伝えられているわけであります。そこで、ソ連の南太平洋地域への進出が目立っているようでありますけれども、周辺諸国は神経をとがらせておるとも聞いております。政府は、南太平洋地域に対するソ連の進出の状況をどのように認識をしておられるのか、またその意図についてお伺いします。
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。 先生御指摘のとおり、ソ連は南太平洋地域に関しまして最近目立ったいろいろな活躍を行っておりまして、特にソ連は世界でも有数の漁業国家でございますので、南太平洋地域の漁場に対しても関心を持っており、漁業資源に対して関心を持っておる、また、漁港の確保ということにも関心を持っておるというふうに見受けられます。 ただ、これまでのところ、ソ連は外交関係はPNGとか西サモア、フィジーなどと有しておりますけれども、実館はいまだに持っておりません。 また、ニュージーランド政府あたりは、このようなソ連の動きに対して非常に懸念を有している、特に現在の国民党のもとでは、従来よりも警戒心を高めているというふうに了解しております。
○玉城委員 どういうことで、どういうふうに警戒心を深めているわけですか。
○堂ノ脇説明員 これは一般的に申しまして、ソ連が太平洋地域にも海軍力を増強している、それから漁業活動などを通じてその存在を大きくさせているということに対する懸念かと存じます。
○玉城委員 次に、南太平洋諸国に対するわが国の援助の状況についてでありますけれども、今回航空協定を締結するフィジーは、独立して以来十年、経済社会開発に努力をしており、域外諸国に対しても協力を求めてきているわけであります。従来のわが国の南太平洋諸国に対する援助の実態についてお伺いをしたいと思います。
○堂ノ脇説明員 南太平洋の諸国は主として新興諸国でございますし、また島嶼諸国でございまして、これらの諸国はいずれも自助努力によって国家、社会開発ということに努めているわけでございます。そしてまた、その主な努力がインフラストラクチュアの強化、それから産業開発ということに向けられているわけでございまして、わが国としましては、これまでそのような南太平洋諸国の自助努力に対して、これに応分の協力をする、そしてできるだけこれを拡充していくということをやってまいりました。これまでのところは比較的技術協力の分野での協力が多うございまして、専門家の派遣とかそれから研修員の受け入れとかいうことを通じて援助を行ってまいりましたが、最近に至りまして先方のニーズもだんだん多様化してまいりまして、そして無償協力の分野でも若干新しい協力関係が始まりつつございまして、特にこの地域が必要としております水産資源の開発のための水産無償援助、たとえばフィジーに対する漁業訓練船の贈与、そういったことを行っておりますし、あるいはまた西サモアに対しましては食糧増産の援助、これは肥料などの提供でございますが、それからまた食糧の無償援助、これも最近西サモアに対していたしております。それからまた、島嶼諸国でございますので、それらの島々の間の輸送交通の便宜を計らうための貨客船の援助といったものも行ってきております。 それから他方また、円借の分野でもパプア・ニューギニアに対してこの話し合いが最近行われておりますし、また青年協力隊の派遣ということもフィジーとの間で話し合いが行われているという状況でございます。
○玉城委員 いろいろな形で細かく援助しておられるようでありますけれども、その援助が現実の実態に即応しないのではないかという批判が一部あるわけですね。それで、これらの国々はサンゴ礁の島国であり、小魚はいるが本格的操業は不向きであり、火山島の国では川がないので、プランクトンの不足、えさ用の小魚もとれない。それにもかかわらず、日本の援助は漁業リサーチセンターと調査訓練船をワンセットとして二、三億円から五億円の無償供与が主である。このような援助をするよりは、むしろ鮮魚を保存する冷蔵庫や製氷機、漁網、小型エンジンの方がどれだけ現地にとっては役立つかわからない。援助額の大きさをかせぐためとかく一点豪華主義の援助になりがちなのではないかという、わが国の援助のあり方についての実態に即さないという批判があるわけでありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。政府のお考えを承っておきます。
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。 確かに先生御指摘のような御批判もあると思いますが、南太平洋地域はわが国にとりましても地理的にも経済的にも非常に重要な地域でございまして、これらの地域に対する経済協力に関しましては各島嶼国の実際の開発ニーズといったものに十分留意して、そしてこれを実施していくべきである。そういう観点から今後とも十分に先方の諸国の自助努力の実態、それから要望というものを検討しながら、日本政府としましてもできるだけ援助の拡充ということに努めてまいりたいと存じております。
○玉城委員 これら南太平洋諸地域には、わが国の漁業関係で相当の実績があるわけですね。 そこで、この協定と関連してこういう機会にちょっとお伺いしておきたいわけでありますけれども、水産庁の方に伺っておきたいのですが、パプア・ニューギニア、ソロモン諸島、フィジー、ニュージーランド、こういう南太平洋におけるカツオ釣り、基地漁業の現状について、同時にまたマグロはえなわ漁業の実態について、あわせて概略状況を御説明いただきたいと思います。
○上田説明員 お答えいたします。 南太平洋におきますカツオの基地漁業は、現在パプア・ニューギニア、それからパラオ、ソロモン、フィジー、この四地区で行われております。これら四地域におきます操業隻数は、五十四年におきまして五十四隻、乗組員数は約七百名、総漁獲量は五十三年の集計で約六万トンという数字になっております。 なお、これら操業船及び乗組員の大部分は沖縄県によって占められておるというのが実態でございます。
○玉城委員 この地域における今後の見通しについてはいかがですか。
○上田説明員 今後の経営状態でございますか。
○玉城委員 わが国にとって大事な水産資源でありますし、いま五十三年度の実績で六万トンですね。今後の状況は衰微していくのですか、むしろ将来期待できるという感じなのですか。
○上田説明員 先ほど申し上げましたように、これらの漁業はほとんどが沖縄県の漁民によって実態的に営まれているということでございまして、沖縄県の場合には、カツオ・マグロ漁業を営むにつきましては、沖縄県を基地として操業する場合には沖縄県のカツオ・マグロの需要が非常に少ないということで、とった漁獲物をどうしても本州へ運ばなければならないという問題がございまして、そういった関係から南の島国に基地を求めて操業しているというのが現状でございます。したがいまして、沖縄県におけるカツオ・マグロ漁業を今後維持存続させるためには、やはりこれらの基地漁業をぜひ続けていかなければならない、こういうふうに考えております。 もう一つ、最近漁船燃油が非常に値上がりしておりますので、往復航海による漁船燃油の節約であるとかそういう観点からも、基地漁業の今後の問題というのはやはりある程度積極的に考えていかなければならない問題ではないかと考えております。
○玉城委員 簡単に言いまして、この辺の地域における漁獲量の増大というのは今後期待できるわけですか、現状のまま、あるいはちょっと漁業資源の関係でこれ以上期待できない、そういうことなのかどうかです。
○上田説明員 マグロにつきましては、資源はほぼ満限状態に利用されているのではないか、漁獲量の増大はマグロにつきましては余り期待できないのではないかと考えます。ただし、カツオについては、まだ未利用の分が相当ございますので、今後の資源活用の余地は十分あると考えております。
○玉城委員 どうもありがとうございました。以上でございます。 次に、わが国とニュージーランドとの関係について、航空協定に関連してこの機会に伺っておきたいわけであります。 両国は、数年前、わが国のニュージーランド産酪農品等の輸入をめぐって両国間の交渉は難航し、一時はニュージーランド二百海里水域からわが国の漁船が撤退を余儀なくされるという事態があったわけであります。長期にわたる交渉の末やっと合意を見たわけでありますけれども、またことしの一月に大平首相がニュージーランドを訪問した際にマルドーン首相との間で、両国関係は経済のみならず政治、文化の各分野で協力を一層発展させることで意見の一致を見ているわけでありますが、最近の両国関係はどのような状態であるのか、特にわが国とニュージーランドとの経済関係の現状を、概略御説明いただきたいと思います。
○堂ノ脇説明員 お答えいたします。 ニュージーランドとわが国の関係は、二、三年前には確かに酪農品の輸入問題あるいは漁業問題に関連しましていろいろ問題が生じたという時期がございました。これは一つには、ニュージーランドはかつては英連邦諸国の一国としてイギリスとの経済関係に頼ってきたわけでございますが、英国がECに加盟したりしまして次第にニュージーランドの農産物の輸出といったことを日本に求めるという傾向が出てきた、そういったことから起こったことかと思いますが、幸いにしまして一昨年来緊密な日・ニュージーランド間のいろいろな機会を通じまして、会合、会議などを通じまして、このような二国間の貿易問題が逐次改善されまして、今日では大きな懸案はほとんどないという状況になっております。 ちなみに昨年の貿易額は往復で十億ドルを超えておりますし、両国関係は非常に良好であるということを申し上げることができるかと思います。また、漁業問題につきましても一昨年の九月に漁業協定が署名されまして、わが国の漁船もニュージーランドの周辺水域で操業を行っているという状況でございます。 このような状況のもとで、大平総理がことしの一月ニュージーランドを訪問されまして、先方のマルドーン首相との間で会談されたわけですが、その際もマルドーン首相は、日本とニュージーランドの関係は太平洋における家族的な関係でなければならない、何か問題があるから両国首脳が会うということではなくて、問題がないときにこそ話し合う必要があるということを言っておられましたけれども、まさしくそういう関係になりつつあるというふうに考えております。そしてその首脳会談の際に合意されたところに従いまして、日本とニュージーランドの間でも経済事務レベル協議を設けてはどうかということになりまして、今月の十日と十一日でございますが、ニュージーランド政府からラフ大蔵次官、そのほか外務次官、貿易次官などが来られまして、日本側のカウンターパートとの間で経済問題につき広く一般的な意見交換をして相互理解を深めるということをいたしました。そういう比較的よい状況に最近ではあるというふうに私どもは認識しております。
○玉城委員 わが国とニュージーランドの関係。今度はお隣のオーストラリア、これはことしの二月にオーストラリア政府の招待によって衆参両議員団がオーストラリアを訪問したわけでありますけれども、わが党からも草野議員が参加をいたしました。その草野議員の報告によりますと、向こうでは連邦議会議長を初めとして行く先々で日豪間の航空運賃が高過ぎる、これが両国の人的交流を妨げている、一日も早くこの問題を解決する必要があるとの希望が関係者から強く述べられたということを伺ったわけであります。 そこで一月に大平総理がオーストラリアを訪問した際にも、低廉な航空運賃の導入がフレーザー首相との間に合意されて、今月の九日に合意に達したとのことであります。その新日豪間航空運賃の合意の内容を概略御説明をいただきたいと思います。これは運輸省の方からですね。
○寺嶋説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生おっしゃいましたように、一月の総理訪豪の際にフレーザー首相との共同声明に盛り込まれました両国間の航空運賃の低廉化を目指すという声明を受けまして、本年の二月末から三月にかけまして、東京におきまして、両国の航空当局間で低運賃の導入について協議をいたしました。その結果、最近に至りまして、豪州政府側の最終的な確認を得られましたので、十一日に新運賃体系について双方の政府から発表をいたしたところでございます。 その合意の内容の中で特に重点となるものは、事前購入個人回遊運賃という制度でございまして、俗称アペックスと申しておりますが、これは個人が往復旅行をする場合に、一定の条件のもとで普通、エコノミー運賃の半分程度の運賃で旅行ができるというような内容のものでございます。その他団体運賃につきましても、新しい種類の大幅な割引運賃を導入しております。 このような内容の新運賃の導入につきまして合意がなされまして、従来ありました日豪間の運賃が高過ぎるという批判も解消されるものと考えております。この新運賃は、今後両国の所要の手続を経まして、早ければ五月中にも実施できる見込みでございます。
○玉城委員 高過ぎるという批判が解消されるという合意の内容のようでありますけれども、個人が二週間以内に行ったり来たりする場合の航空運賃は、現行と新航空運賃とはどのように変わるのでしょうか。
○寺嶋説明員 お答え申し上げます。 現在、個人が普通運賃で往復の旅行をする場合に比べまして、新しいアペックス運賃によれば、いわゆるベーシックシーズンの場合で四八%引き、それからピークシーズンにおきまして四〇%引きということで、ほとんど半額に近い……(玉城委員「二週間以内でもですね」と呼ぶ)二週間以内の場合は、従来どおり個人の普通運賃の適用でございます。普通運賃につきましては、最近他の航空路線におきましては燃料の高騰のために数次にわたりまして値上げが行われておりますけれども、日豪路線につきましては、最近の二回の他の路線における値上がりにもかかわらず据え置くということになっておりまして、普通運賃につきましても、他の路線との格差はほとんど解消されるという見込みでございます。
○玉城委員 オーストラリア議員訪問団の中に加わったわが党の草野議員の報告でも、向こう側は、イギリスは東京よりはるかに遠いのにはるかに安いけれども、オーストラリアと日本間の航空運賃が高い。いまの合意されたものでも結局二週間以内——事前購入個人回遊運賃制といいましても、これは一カ月前の予約が必要であるとか、そういういろんな向こう側の言っている高過ぎるという問題解消にはなっておらないということなんですね。 先ほど外務省の御説明では、ニュージーランドの首相は家族的な関係ということをおっしゃった。オーストラリアも同じようなものだと思うのですね。そういうことで、これは外務省の方にお伺いしますが、本当に高いということがいまの合意によって解消されたという認識を外務省はお持ちであるのかどうか、簡単に御説明してください。
○堂ノ脇説明員 お答え申し上げます。 豪州側は、日本と豪州の間の運賃が高過ぎるということをかなり前から主張しておりまして、それで、これを低廉化するための交渉が必要だということを繰り返して申しておりました。これは確かに、日本と豪州の間の交流関係、友好関係を緊密化しようと思えば、人の往来に運賃がほかと比べて高過ぎるということは問題でございまして、私どもとしてもそのような豪州側の希望を踏まえて検討してまいったわけでございますが、今回の合意されました低廉化によりまして、豪州側も非常に満足している、特に石油の値上がりでほかの路線の運賃がむしろ値上げの傾向にある中で、豪州との間の運賃が、しかも非常に重要な部分について低廉化されたということについては、豪州側も満足しているというふうに了解しております。
○玉城委員 満足しているとおっしゃいますけれども、実態はそうではないのです。向こうがそうおっしゃって、そういう外務省の認識というのであれば、これ以上私が言う筋合いではない思いますが、いずれにしましても、日豪間の人的交流にそういうものが阻害要因になって、審議官がおっしゃったように、家族的な交流が実態的にできないというのであれば問題だと思うわけですから、よく御検討いただきたいと思います。 運輸省の方、どうもありがとうございました。 次は、国際博覧会に関する条約を改正する議定書。 まず、本議定書の締結について今国会の承認を得ることを必要とする理由について、簡単に御説明いただきたいと思います。
○国広説明員 お答え申し上げます。 この議定書は、第四条におきまして二十九カ国が締約国となったときに効力を発生することになっております。現在三十八カ国が締約国となっております。わが国が加入すれば発効するわけでございまして、すでに主要国の代表及び博覧会国際事務局の方から強い要請を受けております。したがいまして、国会の承認を早くいただきたいと希望するわけでございます。 それから同時に、わが国におきましては、昨年筑波博を昭和六十年に開催する計画が決まりまして、目下その準備をしておりますが、この博覧会を国際博として実行いたしますには、博覧会国際事務局の登録手続を進める必要がございます。そのためにも、日本がこの協定の締約国となることが好ましいと思うわけでございます。
○玉城委員 各国からの要請もあり、筑波博の開催も予定されている等、この条約を早くやってもらいたいということですけれども、皆さんの出されているこの議定書に対する説明書によりますと、一九二八年の国際博覧会条約を全面的に改正するため昭和四十七年十一月に条約改訂特別委員会で作成されているが、わが国はこの改訂委員会に出席していたのか、いなかったのか。
○国広説明員 わが国は、昭和四十七年十一月の改正審議会に在フランス大使館の館員が出席いたしました。
○玉城委員 署名状況一覧表を見ますと、この議定書には署名をしていないわけですが、その理由。
○国広説明員 この議定書の署名期間中に署名をいたしまして条約の受諾をしました国は十五カ国でございます。この数は協定の発効のために必要な二十九カ国とかなり幅がございまして、わが国としては各国の動向等も見ながら発効の見通しがつきそうな時点で加入するということで差し支えなかろうというので、署名はいたしませんでした。
○玉城委員 そこで、こういうことで、感じとしましては、外務省としてはこの条約にはもともと加盟する意思はなかった。といいますのは、一九二八年の国際博覧会条約には、日本は大阪万博開催のための必要から昭和四十年に加入しているわけですね。今回もまた、筑波特別博覧会開催のための必要が生じるまで、この新条約は四十七年に作成されていたにもかかわらず、いままで署名もせずに放置されていたということですね。しかも、改正会議に出席しながら議定書にも署名せず、ぎりぎりまで放置をしている。これは説明の中にもありますけれども、国際協調のためという、政府のおっしゃっていることとどうもちぐはぐのような感じがして、何かどろなわ式のような感じがして、一貫性がないような感じがして、あるいは場当たり的と申しますか、そんな感じがするのですが、いかがでしょうか。
○国広説明員 本条約の改正に際しまして、わが国がこれに署名しないという意思を持っていたのではございません。この改正の意義は私どもとしても認めていたのでございますが、最初の署名期間一年を過ぎましたら、後は加入の手続をとるわけでございます。したがいまして、一年たちますと加入の手続をとって署名するわけでございますから、私どもとしましては、一年を経た後に全然ほっておったわけではございませんで、先ほども申しましたように、よその国の動向等も見て実際にこれを動かしていくのに必要な時点まで少し時間が経過したということでございまして、故意におくらしたわけではございません。
○玉城委員 この問題、議論している時間がございませんので、そこで来年神戸市で開催が予定されているポートアイランド博覧会の概要について通産省の方から御説明してください。
○細川説明員 お尋ねの博覧会でございますが、神戸市に建設されます人工都市、通称ポートアイランドと言っておりますが、それの完成を記念いたしまして、神戸市、兵庫県などが母体となりまして開催をするものでございます。いまお話ございましたように、博覧会の開催期間は、五十六年三月二十日から百八十日間、こういう予定をされております。正式の名称を神戸ポートアイランド博覧会と称します。メーンテーマは、新しい海の文化都市の創造ということで考えられておるようでございます。 現在の準備状況でありますが、国内の参加者はすでに相当数決定をしている模様でございまして、外国につきましても、米国のワシントン州シアトル市あるいはフィンランドの政府観光局といったようなところがすでに意思を固めているようでございます。
○玉城委員 通産省、どうもありがとうございました。 このポートアイランド博覧会、まさかこの新条約で規制されるようなことはないですね。これははっきり簡単に言ってください。
○国広説明員 お答え申し上げます。 この神戸ポート博は、この条約の対象となる国際博覧会ではございません。したがいまして、本条約の五条、つまり開催頻度とか、それから第カ条にあります政府の後援、補助金交付禁止、そういうふうな制約を受けるものではございません。
○玉城委員 次に、日本国とフィリピン共和国との間の小包郵便約定について伺います。 時間がございませんので、先ほど高沢先生も御質疑がございまして、ダブりますので省きますが、ただこの際、小包郵便約定、それから通商協定も今回フィリピンとわが国とで結ばれようとしておるわけでありますから、これは大臣にお伺いしたいのですが、マルコス大統領が「二〇〇〇年の東南アジア」という小冊子を書かれて、いま外交界やビジネスマンの間で話題になっている。マルコス大統領の書かれたそういう冊子があることは御存じですね。その中で、日本は二〇〇〇年までに核兵器保有国になるというくだり、同時にまた、日本はその経済的拡大主義によってASEANの地域的協力の邪魔になることもあり得るというくだりがあるわけでありますけれども、大臣は、マルコス大統領のこの考え方についてどのように評価をしておられるのか、お伺いいたします。
○大来国務大臣 私自身もまだこの小冊子全体を読んだわけではございませんけれども、外務省の担当の方では全部を読んでみておるわけでございます。東南アジアの現状を踏まえまして、二〇〇〇年における同地域のあり方を論じたものでございまして、その一部で、わが国について御指摘のような言及を行っておるところがあるわけでございますけれども、あくまでも一つの可能性として述べているものでありまして、また同時に、日本は防衛力を当国領土の防衛を超えて用いることはあるまいというような述べ方もいたしておるわけでございます。ちなみに、同冊子の原稿執筆者と目されている比国高官によりますと、日本に関する記述は全体の脈絡の中で見るべきであって、日本の将来のあり方について、状況によってはこういうこともあり得るとの懸念を条件づきで述べたものでございまして、日本を非難したり批判したりする意図はない由でございます。 以上が小冊子の背景でありますが、政府としても、わが国に対する誤解や不当な見方が東南アジアにおいてなお残っていることを念頭に置きつつ、わが国の外交、防衛政策について正しい認識を醸成するようさらに努力してまいりたいと存じます。 私もマルコス大統領といままで数回面会いたしておりますけれども、過去においてはフィリピンでも日本のあり方に対する疑惑が非常に強かったと思うのでございますけれども、近年次第に変わりつつある。あるいは福田ドクトリンなどの影響もあると思いますが、日本が経済大国になれば軍事大国に当然なって、さらに核装備を持つ、これが東南アジア諸国に対する脅威になるという見方は、数年前まではフィリピン及び東南アジア各地でよく聞かれたのでございますけれども、最近そういう見方はかなり薄らいでおるというふうに、これは私の個人的な印象でございますけれども、感じておりますので、いまのようなことで、マルコス大統領の本に書かれておりますことも、かなり条件づきの書き方をしておるようにうかがえるわけでございます。
○玉城委員 結局、このように受け取ってよろしゅうございますか。マルコス大統領が「二〇〇〇年の東南アジア」という本の中に書いているように、二〇〇〇年までには日本は核兵器保有国になるであろう、あるいはその経済拡大主義によってASEAN地域の邪魔になるという懸念、この二つの点についてそういう懸念はないということですね。
○大来国務大臣 それは、先方の考え方の問題でございますが、全体のつながりで見てほしいというような向こうの考えもあるようでございますし、ただいまのような懸念が完全にゼロになっているかどうかということはまだ言い切れない。相対的に、以前よりはそういう懸念が薄らいできているのではないかというのが私の観察でございます。
○玉城委員 これは大事な問題ですね。外務大臣は、二〇〇〇年までにわが国は核保有国になり得るというお考えですか、ならないというお考えですか。
○大来国務大臣 日本は絶対そういうことにならないと私は思います。ただ、向こうがどう考えるかというのは統制するわけにもいかないことでございますから。
○玉城委員 以上でございます。
○中尾委員長 野間友一君。
○野間委員 きょう私は、国際博覧会に関する条約改正の議定書と天然ゴム、この二本についていまからお尋ねをしてみたいと思います。 〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕 まず初めに、国際博覧会に関する条約改正の議定書からお聞きをいたします。 端的に申し上げて第六条ですが、ここでは「国際事務局に対し、国際博覧会を開催するために準備している法令上及び財政上の措置を示して、国際博覧会の登録を受けるための申請を行う。」こういうふうになっておるわけですけれども、これは一体どういう意味なのか。わが国の立場から考えて「法令上及び財政上の措置を示して、」云々というのはどういうことになるのか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○国広説明員 第六条の一は、博覧会が行われる以上は国際的にも有意義な博覧会でなければいけませんので、一体どういう財政的、法令的準備をして博覧会を開く予定であるかという、その準備上用意してある措置をまず博覧会の事務局に説明しまして、正式に登録を得るというわけでございます。なぜ登録をするかということは、博覧会の乱立を防止するに必要な……(野間委員「そんなことは聞いてないよ」と呼ぶ)失礼しました。
○野間委員 では、具体的に聞きますけれども、たとえば筑波博を開くという場合、この六条の1項ですね、「法令上及び財政上の措置」というのはどういうふうになるのかということなんです。
○国広説明員 お答え申し上げます。 現行条約におきましても、登録申請を行う際には、申請国に対しまして類似の義務が課せられておりますが、わが国は過去三回開催された国際博覧会の登録に際しまして、とられることが予定されていた法令の整備措置の概要を示すことで足りまして、新条約の規定に対しても、登録の申請に際しまして、予定されている措置を説明すれば足りることでございます。したがいまして、いま現存するものを説明する必要はございません。
○野間委員 ちょっとわかりかねますのでもう一遍確認しますけれども、「法令と及び財政上の措置」という表現からすれば、何か国際博覧会を開催するためには、その一つ一つについて法令上の根拠を、法律をつくって、登録申請をする、そういうことが一つの要件になっておるように、この条約上私はうかがえるものですから聞いておるわけです。
○国広説明員 お答え申し上げます。 実は大阪博のときの前例がございまして、それに準じて説明をしております。そのときの前例としまして、たとえば日本万国博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律、万博政府代表の設置に関する臨時措置法、出入国管理及び外国人登録に関する措置、査証の付与、区分、有効期間に関する措置、関税に関する措置、外国為替及び外国貿易管理法上の取り扱い、国税に関する措置等をとりました、これと類似のことを政府としては考慮しております、こういう説明をしております。
○野間委員 そこで、いま申し上げた筑波博との関係で伺うわけですが、筑波博につきましては、昨年の十一月二十七日に閣議了解を得て登録申請をされておるというふうに聞いておりますが、これはそのとおりですか。
○国広説明員 御指摘のとおり、昨年十一月二十七日の閣議了解をもとにしまして、在仏大使より博覧会事務局長に対しまして書簡をもって特別博としての筑波博の開催希望通告を行いました。
○野間委員 そうしますと、それは現在生きておる条約に基づく登録の申請ということになるわけですか。
○国広説明員 この通告自身は、現行条約に基づいてわれわれは行いました。
○野間委員 それには法令上の措置を示してというのがあるのでしょうか、どうですか。
○国広説明員 ございます。
○野間委員 それでは具体的に、筑波博に関しても法令上の措置を示して申請したということになるわけですね。もしそうだとすれば、具体的にどういうものが措置として登録の際に示されたのですか。
○国広説明員 事務局と平素の連絡を通じまして概要の説明はしてございますが、条約的に申しますと、いま通告をしただけでございまして、この通告を受けてこれから手続が始まります。その過程においてより正式の説明を行います。
○野間委員 そうしますと、条約上の登録を受けるための申請にはならないわけですね。まだその前の段階ということですか。
○国広説明員 まさにそのとおりでございます。
○野間委員 私がなぜこういうことを聞くかといいますと、博覧会を開く場合に、一つ一つ独立した法令をつくる、そういう一つの手だてがなければ登録の申請ができないということになりますと、いろいろな複雑な手続が必要だと思いますのでお聞きするわけですが、筑波博の場合、法令上の措置を示して登録の申請を行うという場合には、具体的にどういうような想定をされるのでしょうか。
○国広説明員 示すという言葉でございますが、これは英語ですとインディケートでございまして、比較的軽い意味でございます。並べて証拠品として示すということじゃございませんで、意思表示みたいな、予定を説明するぐらいの程度で実際に行われております。 そこで、いま御指摘のあれは、先ほど幾つかの法律を例示申し上げましたが、大体そういう種類の国内措置をとるということを説明すれば足りるとわれわれは考えております。
○野間委員 それはまた後の問題として、いまはそういうふうにお聞きしておきます。 その次にお聞きしたいのは、この六条4項ですが、「登録が認められるのは、当該国際博覧会が、この条約に定める条件を満たし、かつ、国際事務局の定める規則に適合するものである場合に限る。」というふうにございます。この規則というのは現行条約ではどういうものなのか。たとえば中進国とか途上国がもし登録申請をする場合に一体障害があるのかないのかという点からの私のお尋ねなのです。現在の規則では、特徴だけでも結構ですけれども、どういうふうになっておるかということ。新しい条約が発効した場合には、さらにこの条約に基づく規則をつくるというふうに条約上はなると思うのですけれども、その点は間違いないわけでしょうか。
○国広説明員 お答え申し上げます。 この規則は、たとえば国際博覧会の一般的分類に関する規則とか国際事務局による登録を受けるための手続及び期限に関する規則、国際博覧会登録料に関する規則、現行の規則としてそういうものがございます。細かなものまで入れますと全部で五つあるのですが、こういうものが、新しい条約が発効になりますとその時点でやはり同じように規則として決められるとわれわれは予想しております。 御質問の開発途上国との関係ですが、博覧会というのは相当お金のかかる行事でございますので、その点の困難が博覧会の特質上どうしてもついてまいりますけれども、その点を除きましては、途上国と先進工業国との間に全くハンディはございません。
○野間委員 そうしますと、この規則というものは、たとえば申請なり登録に関する手続的なものを定めたものであって、具体的には、博覧会を開く資格なり要件、これは条約の本体でいくわけで、規則には関係ないということになるわけですね。
○国広説明員 そのとおりでございます。
○野間委員 それはよくわかりました。 次に、二十八条に関してお聞きします。二十八条の3項、表決に関する条文ですが、「次の事項については、三分の二以上の多数による議決で決定する。」その中で(f)、五条に定める国際博覧会の間隔の短縮、この場合には三分の二以上の多数による議決で決定する。こういう条文があるわけです。問題は、一定の間隔を置くということがこの条約改正の一つの目的になっておるわけですが、この(f)での間隔の短縮ということが逆に条約の趣旨との関係では何かしり抜けになるような感じがしないでもないのですけれども、これはどういう場合を想定してのものなのか、伺いたい。 〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕
○国広説明員 まさに御指摘のとおり、せっかく五条でしかるべく間隔を置くと決めておきながら、それを変更するということにつきましては、問題がございます。しかしながら、これを定めましたのは、これはやはり相当の年月をかけて手配することでございますので、状況の変化がその間に起こり得ますし、先ほど御指摘ありましたような開発途上国が特に希望するようなケースが起きたときとか、普通では予想されていないけれども特別に考えなければいけないというようなこともあろうかと思います。それにしても、乱用されないように特別多数の制度をとっておりまして、ここに乱用防止の趣旨は出ているように思われます。
○野間委員 科学技術庁に対してお聞きしたいと思います。 先ほど外務省の方からも話がありましたが、その筑波博について、開催するための登録の申請はしたのかまだなのか、まだとすればいつごろするのかということです。
○平野説明員 お答え申し上げます。 昨年十一月二十七日の閣議の了解に基づきまして、先ほどお話がありましたようにBIEに対しまして開催希望の通告を行ったわけでございます。 今後の手続につきましては、この十一月のときに、テーマ等につきましてBIEの理事会の方からの希望あるいはサゼスチョン等が若干あったわけでございますが、それにつきまして、六月に開催されますBIEの分類委員会、それから理事会に対しまして日本の案を提示する、それが受け入れられますと向こうの方から日本に対して調査団が来日するというふうな手続がございまして、その調査団が帰りまして、その報告を、多分この年の十一月ないし十二月ぐらいに開催されるでありましょうこの次のBIEの理事会等に諮るわけでございます。そこで正式に日本として登録の申請を行うというふうな手はずになる予定でございます。
○野間委員 そうしますと、六月の理事会、そして調査団が来る、そこでいろいろな調整があって、その後の理事会の時点で登録の申請をするということが大体いまからの見通しになるわけですか。そうすると、それはいつごろになるのですか。
○平野説明員 先ほど申し上げましたように、ことしの秋にその手続はできるであろうというふうに考えておるわけでございます。
○野間委員 そうしますと、事前の希望の通告という表現をあなたはしたわけですが、希望の通告から、調査に来るとかいろいろな折衝がありますね、そういうものがこの条約とは一体どういう関係にあるのか、これはどちらからでも結構です。
○国広説明員 お答え申し上げます。 この通告は、登録に関する事務局の内部規則の手続の第一歩でございまして、その後の手続が全部完結した時点で初めて登録が受理されたということになります。したがいまして、この登録の手続の内容はまた別途調べてはおりますが、やはりどうしましてもまだこの秋以降かなり時間がかかることだと思っております。
○野間委員 そうしますと、事前の根回し、準備活動のように思うのですが、それは言うてみれば、この改正条約の六条の4項の「国際事務局の定める規則」、これは改正内容を私よく知りませんが、これに基づく措置というか具体的な行為、手続になるわけですか。
○国広説明員 私どもとしてはそういうことになると思っております。
○野間委員 そうしますと、事前にほとんど調整がされて、登録申請前が一つの勝負のように私はいまの科学技術庁の話をいろいろ聞いておったりするのですけれども、そのあたりはどうなるのか、また改めて私も検討したいと思いますが……。 国際科学技術博覧会というのですか、仮称か何か知りませんが、これは筑波で予定されております、計画されております博覧会は、正式には国際科学技術博覧会というふうな名称でやられるわけですね。
○平野説明員 いま私どもはさような名称で呼んでおるわけでございます。それから、これの準備、運営に当たる財団法人を過日許可したわけでございますが、これも国際科学技術博覧会協会という名称にいたしております。
○野間委員 朝日新聞八〇年三月七日付で若干それに関する記事が出ておりますが、そのテーマは「人と地球の健康」というようなテーマだったけれども、BIEから抽象的過ぎるということで「二十一世紀の生活を創造する科学博」というふうに何かテーマが変えられたとか、いろいろな報道があります。あるいは政府が行います直接の支出が約七百五十億、こういうものが決められておるとかいろいろ書いてありますけれども、いま申し上げたことはそのとおり間違いないわけでしょうか。
○平野説明員 後の方からお答えいたしますが、政府の直接支出が約七百五十億ということは、これは政府直接と申しますよりも、政府及び民間、それから開催県、それぞれが応分の負担をするわけでございますが、それの直接経費が全体で七百五十億円という意味でございます。 それからテーマにつきましては、これはBIEの方からいろいろな注文と申しますかサゼスチョンがあったわけでございます。われわれの方としましては、当初「二十一世紀の生活を創造する科学技術」という仮の題をつけまして開催の希望の通告を行ったわけでございますが、なお具体的なイメージがわくようなテーマというふうなことにしぼるべく、現在その作業を進めておるという段階でございます。
○野間委員 この博覧会ですね、私は中身についてはよく知りませんし、またこの中身についてのいろいろな書いたものには余りお目にかかってないのですが、具体的にいつごろ、場所、内容、それから参加予定国ですとか、その際に土地の取得は一体どうなっておるのか、あるいは道路や交通機関の問題、入場料等々、そういうものも含めて一体公表しておるのかどうか。していないとすれば、いま私がお聞きしたことについてひとつお答えいただきたいと思います。
○平野説明員 国際科学技術博覧会は、一九八五年に筑波の研究学園都市で行うということでございます。 用地につきましては、過日の閣議の了解によりまして茨城県において取得していただく、それを博覧会の協会が貸与を受けるというかっこうでございまして、茨城県の当局の方はいろいろな下準備を済ませまして、目下その取得の作業に入っておられるというふうに承知しておるわけでございます。 それから交通等の問題につきましては、これは一応現在入場者数の想定が二千万人という数が出ておるわけでございますが、これは非常に大事な問題でございます。これは道路あるいは鉄道等で運ぶわけでございますが、これにつきましては、運輸省あるいは建設省を中心に、国鉄その他関係方面と現在いろいろ折衝を行っておるという段階でございます。
○野間委員 まだお聞きしておるのですが、参加予定国等々ですね。ただ問題は、余り時間をとりますので、これは資料として出していただけますか。
○平野説明員 失礼いたしました。 参加予定国につきましては、まだ正式に登録をされたものではございませんので、登録が済みましてからいろいろ招聘するという手続になりますので、まだどの国が参加するかということはわからないわけでございます。 それから資料等につきましては、できるだけの資料は御提出申し上げたいと考えております。
○野間委員 委員長、これの関連する資料ですね、いろいろな後の検討がございますので、いま科学技術庁も出すと言っておりますので、ぜひとも当委員会に出していただくようにひとつお願いいたしたいと思います。
○中尾委員長 取り計らいます。
○野間委員 それでは、もう一つこの博覧会に関連して聞きますけれども、いま万博等に比べまして特に地方財政が逼迫しておるというような事態の中で、国庫補助は一体その万博やあるいは沖縄の海洋博に比べてどうなるのかということです。地方自治体に対する財政の圧迫になりやせぬかという懸念を私は非常に持つのですけれども、それらの点について大方の説明をひとついただきたいと思います。
○平野説明員 仰せのごとく、国も地方も財政難であるということは事実でございます。したがいまして、できるだけコンパクトなものといいますか、できるだけ切り詰めてこれを行うということでございまして、過日の閣議の了解におきましても、そういうふうな趣旨で当初の予定されております規模を若干縮小しているというふうな事実もあるわけでございます。いずれにしろ、先ほどの七百五十億円というような数字も出ましたけれども、これもまだ完全にセットしたというわけではございませんが、余り無理のかからないように工夫してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○野間委員 いずれこの中身についてお出しをいただいて、その上でいろいろな点から検討させていただきたい、こう思っております。 それでは、時間の都合で、あとの質問は次回に私はやらしていただきたいと思います。きょうはこれで終わります。 ————◇—————
○中尾委員長 この際、日本国政府とアルゼンティン共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とイタリア共和国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とハンガリー人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とポーランド人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィリピン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の締結について承認を求めるの件、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約の締結について承認を求めるの件、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約第十一条3(a)の改正の受諾について承認を求めるの件、以上九件を議題といたします。 九件に対する質疑は、先ほど終了いたしております。 これより九件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 まず、日本国政府とアルゼンティン共和国政府との間の文化協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とハンガリー人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とポーランド人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の締結について承認を求めるの件、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約の締結について承認を求めるの件、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約第十一条3(a)の改正の受諾について承認を求めるの件、以上六件を一括して採決いたします。 各件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中尾委員長 起立総員。よって、各件はいずれも承認すべきものと決しました。 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とイタリア共和国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とフィリピン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して採決いたします。 各件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中尾委員長 起立多数。よって、各件はいずれも承認すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 〔報告書は附録に掲載〕
○中尾委員長 次回は、来る十八日金曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時三十六分散会