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91回国会衆議院1980/04/02

外務委員会 第12号

発言数
234
登壇者
17
会派数
5
開催日
1980/04/02

会議録

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 大来大臣、先日アメリカを訪問されてお帰りになったわけでありますが、その前後に、大臣の訪米に関する、またその中でも、訪米されればアメリカ側から日本の防衛費の増額についていろいろの要望が出るだろう、こういうようなことでいろいろな観測があったり、あるいはまたその観測に対して外務省の首脳の見解というものがしばしば新聞に報道されるというふうなことがあったわけであります。  それで、私考えてみますのに、その一連の前後の新聞をずっともう一度振り返ってみまして、この国会の論議の中で必ずしも明らかになっていないことまで含めてそうした外務省首脳の見解というようなものがしばしば新聞に報道される、また場合によればそれがまた後で否定されるというふうないろいろな経過があったわけでありますが、もちろん国民に事態を知らせるためにはそうしたいろいろの外務省首脳としての見解の表明も必要かと思いますが、同時に、国会との関係で言えば、やはりそうした見解表明の重要なポイントは少なくとも国会のやりとりの中ではきちんと押さえられていく、こういうことがなければいけないのじゃないか、こう思いまして、きょうはそういう経過について若干お尋ねをいたしたいと思うわけであります。  まず、これは大臣がアメリカへ行かれる前の新聞の記事であるわけですが、こういうふうな記事が出ているわけであります。  外務省の首脳は、アメリカがわが国に対してそうした防衛費の増加を要求するだろうということに対して、わが国は新経済社会七カ年計画で年率五・五%の経済成長を想定しており、防衛予算の伸びもこれに見合ったものにするとの考えを米側に説明したい、つまり大臣が訪米されればアメリカ側に対して、年率五・五%でわが国の経済が伸びていく、それに見合った防衛費の伸びを実現していくんだ、こういう態度をアメリカ側に対して説明をしたい、こういうふうなことが、これは大臣が訪米される前に外務省首脳の見解の表明ということであったわけであります。  この点は、アメリカ自体は年率五%で防衛費を伸ばしていくというふうな態度を表明しておりますし、また、いわゆるNATO、ヨーロッパ諸国は年率三%で防衛費を伸ばしていくというふうな態度の表明もなされている、そういう関連を見ますと、そうすると日本は年率何%で伸ばすのだというようなことは当然アメリカなどからは問題にされてくる、こういうことになってくると思うのですが、ここで五・五%の経済成長率、これに合わせてという表現をされたということは、防衛費もそういう五・五%というようなお考えを持って出されたものかどうか。  この外務省首脳というのがどなたかということは必ずしも明らかではありませんが、いずれにせよ大臣が責任を持たれる範囲の中のことではないか、こう思いますので、まずこのことについて大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 出発前の記者クラブとの懇談におきまして、五・五%という話が出た記憶がございます。その意味は、経済社会七カ年計画で改定見積もりが五・五%、改定前が五・七%であったと思いますが、そういう実質成長がもし実現されるならばGNP比率が変わらないでもそれだけで五・五%は伸びることになる計算であります、それはアメリカやヨーロッパの防衛費の伸び率よりも幾分高いという計算になりますという意味で申し上げたわけでございまして、それを目標にするとか、そういう計画だというようなことはもちろん私も言える立場ではございませんし、そういうことを申した記憶がないわけでございまして、そういうふうに成長率に見合うといいますか、同じにとればこういうことになるということがいまのような表現になっておるのじゃないかと思いますが……。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いまの大臣の御説明をお聞きすると、この記事の外務省首脳というのはどうも大臣らしいということはわかるのでありますが、そこで言われたことはそれじゃ、経済成長は五・五%で伸びることになっておる、こう言われたわけであって、防衛予算は五・五%で毎年伸びていく、こういう意味ではない、こう理解してよろしいですか、

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 そのとおりでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 じゃ、それはそれで一応押さえておいて、その次に、これもやっぱり新聞の報道なんですが、この場合にはっきりお名前が出ているわけなんです。これは二月二十一日の講演会で外務省の官房審議官の山崎さんが講演された、その中で、現在のわが国の防衛費は国民総生産に対して〇・九%である、少なくとも政府が上限として閣議決定している一%まで引き上げるように努力すべきであるということを発言をされておる、こういうことが新聞の報道であります。  この山崎審議官のお立場、お考えというものは外務大臣の御了解といいますか、外務大臣の判断の中においてなされたことであるかどうか、これをひとつお尋ねをいたしたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 山崎審議官の講演の前にあらかじめ私に了解を求めたということはございませんけれども、昭和五十一年の国防会議及び閣議決定におきまして当面一%を上回らない防衛支出をめどとするということが言われておりますので、これは外務省の者がそういう発言をいたしましてもその閣議決定の枠を超えていることにはならないかと存じますので、その点から言えば特別に従来の考え方を逸脱したとか踏み越えたということにはならないと存じております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いまのお答えに結局重なることになるかと思いますが、これも新聞報道で、これはまだ大臣がアメリカに行かれる前のやはり予測的な報道であるわけですが、大臣がアメリカを訪問された場合に、アメリカに対して「わが国の財政事情や国民世論の動向を見極めながら、防衛力の質的向上を高めるため、防衛予算を国民総生産比で一%に近づけるよう努力していく」という意向を表明する方針を固めた、こういうことなんです。これは二月二十八日の読売新聞の報道であるわけですが、つまりこれは外務大臣の訪米に向けての態度として外務省はそういう態度を決めた、こういうふうに出ているわけであります。  そうすると、一%に近づけるように努力する、こういう態度をアメリカに表明する、この方針を持って訪米をされたのかどうか、そのことを大臣にお尋ねをいたしたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 今回の訪米は交渉とか何か物事を決めてくるという目的ではございませんで、双方の意見交換ということが目的でございましたので、アメリカ側がどういう意向を持っているのか、希望を持っているのか、日本側のまたいろいろな国内の情勢、従来の経緯というようなものについてもこちら側から話をするということでございまして、あらかじめ一%どうこうということを用意してまいったわけではございません。ただ、説明の中に昭和五十一年にそういう閣議決定があるということは当然触れることもあるだろうということは考えておりましたけれども、ただいまお読み上げになったように、それを決めて交渉するという意向は全然なかったわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いまのことにまた関連するこれも新聞報道、もっとも新聞報道といっても、これは衆議院の予算委員会の経過であるわけですが、三月八日の、つまり予算委員会の最後の締めくくりの総括質問の中で、これは民社党の大内委員から、防衛費を今後三年以内に一%にする、こういうふうなことをどう考えるか、こういうことに対して、大蔵大臣は三年で一%にするのは大変むずかしい、こういう消極的なお答えであった。ところが、その後大来外務大臣が答えて、外務省の立場から考えると、国際情勢もあり、できるだけ早く一%に到達するのが望ましい、こういうふうに答弁をされた、この場合には積極的な答弁ということになるわけであります。  そうすると、先ほどの訪米に当たって一%へという態度をアメリカに答えよう、そういう態度の表明をしよう、こういうあれを持って訪米されたというこの報道と、この予算委員会における大臣のお答えは一致してくる、私はこういう感じがするのです。この辺は、外務省首脳あるいは外務大臣の判断として訪米前にそういうものがやはりあったのじゃないのか、こう考えられるわけでありますが、いかがでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 その大内さんの御質問は、結局大蔵大臣、防衛庁長官、私、それから総理、四人の閣僚にそれぞれの意見を言えという形での御質問でありまして、外務省としてはいまお読み上げになったような考え方をしているということでございますが、この点について政府全体としてまとまった意見はまだできておらない段階でございますので、その立場でアメリカ側とも話をしてまいったわけでございます。つまり、政府としての統一見解は、昭和五十一年の閣議決定はあるけれども、明確にこれを実現するという意思表示はまだないわけでございますから、そういう趣旨で向こうで話してまいったわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 これも新聞の報道であるわけですが、これはアメリカの方から共同通信が伝えてきた報道であるわけですが、今度は実際訪米をされたときのことです。それによると、外務省はアメリカとの話し合いのトーキングペーパーを用意されて会談に臨まれた、こういうことが共同通信の報道にあるわけですが、そういうトーキングペーパーを持って臨まれたということがあるのかどうか、これをまずお尋ねしたいと思います。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾(新)政府委員 ただいまお尋ねのトーキングペーパーというのは確かに共同通信がワシントンから出したものでございますけれども、今回の会談は意見の交換でございまして、特にトーキングペーパーというものは用意しておりませんので、ここに出ているトーキングペーパーが何かということは必ずしも正確にわかりませんけれども、担当官レベルでいろいろな資料を作成しておりまして、その資料を通信社がトーキングペーパーと呼んで報道したというふうに私たちは理解しております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そういたしますと、これはアメリカ側に提示したというふうなものではない、会談に臨むためにこちら側で部内で用意した、そういうメモといいますか、向こうとの話し合いの土台としてこちらの内部のものとして用意したもの、こういうふうに理解してよろしいですか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾(新)政府委員 そのとおりでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 それではそういうものとして理解をいたしますが、ただその中に、GNPの一%という閣議の了解、これは不動のものと受け取るべきではない、当面のめどであるというようなことがそのトーキングペーパーと伝えられたものの中にあったというふうに言われておるわけですが、そういうことであるかどうか。  もしそういうものがあったとすれば、この一%というのはあくまで当面のめどで、われわれの立場から考えればいずれは一%以上のものになることもあり得る、こういうふうな意味を含んだものではないか、こういう感じがするのですが、そういう一%は当面のめどであるということがあったのかどうか、あったとすれば、その意味するものは何か、こういうことをお尋ねしたいと思うのです。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾(新)政府委員 アメリカの議会の中で日本はGNPの一%を国防費の支出のめどにしているという議論がございまして、実際に議員の間で、この一%を変えるのは憲法の制約のもとにあって憲法を変えなければできないのだという議論がございました。そこで、今回渡米いたしました際に、アメリカ側の議員から恐らくそういう質問が出るであろうということで、一%というものは当面のめどであって、別に憲法を改正しなければできないものではないという趣旨で用意した資料でございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 大臣が訪米してブラウン国防長官とお会いになった、そのことはこの前にもこの委員会で大臣から御報告がありました。相手から要求されたことは、着実に、ステディリー、それからかつ顕著に、シグニフィカントリー、そういうことでもって日本は防衛費をふやすべきだということが要求された。それに対して大臣は、ステディリーは、そういうふうにやるけれども、シグニフィカントリーというのはお断りをしたいというふうな御説明であったように理解をいたしますが、もう一度、そういうことであったかどうか、お尋ねしたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 ブラウン長官は希望するということで、要求するというような形ではなかったわけでございます。それから私の答えは、日本政府としてはステディーな努力はやるべきだ、しかし、短期に大幅に増加するということは日本の国内の情勢等からいって困難だと思うというふうに申しまして、しかし、この問題は日本政府全体として意思決定すべき問題であるから、私は、帰ってから総理大臣、防衛庁長官その他関係方面に伝えます、そういうことを申したわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 その英語の、これは形容詞というのか副詞というのか、ステディリーとかシングニフィカントリーとか、その言葉はただ抽象的な感じのやりとり、フィーリングのやりとりというものなのか、ステディリーと言えばそれは何%を意味する、シグニフィカントリーと言えば何%を意味する、こういうふうな具体的なものを持った言葉のやりとりであったのかどうか、そこをお尋ねいたしたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 これは、初めは抽象的なもののようでございましたけれども、話し合いのある段階で米側としては、中期防衛計画を一年早く達成することができないものだろうかという希望といいますか発言がございましたので、それによりますと、アメリカが考えているステディー・アンド・シグニフィカント、着実にかつ顕著にというのは、中期業務見積もりの一年短縮というようなところをめどにしておるのではないか、これは私の方の想像でございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そうすると、大臣、そういうふうにアメリカ側の意図を想像された場合、あなたはシグニフィカントリーは断ったわけですね。ステディーにということは言った。それは大臣の腹づもりとしては、アメリカの一年短縮、そういう相手側の要望に対してこちらはどういうものを背景にしてそうお答えになったのか、それをお尋ねしたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 これは、短期に大幅なことはむずかしいという言い方で断ったわけでございます。従来アメリカの議会筋その他にもいろいろな意見がございますし、今回のブラウン長官の発言は、いまのようなことでやや具体性を帯びておるわけでございますけれども、日本側としては、財政上その他の問題もございますし、国内でいろいろ相談しなければならない問題だという意味で、このステディーといいますか着実なということはほぼ日本政府の考え方としては定着しておるけれども、いまのような顕著なということは困難だと思うということ、同時に、このことは帰ってよく相談しなければならぬ問題だというふうに答えたわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そういたしますと、これはけさの新聞報道なんですが、細田防衛庁長官は、アメリカ軍の司令官があいさつに来られた、それとのやりとりの中で、顕著に、シグニフィカントリー、こういう方向でやるんだということをあいさつの中で言われておるということですが、このことは、大臣と防衛庁長官の間ではそういうお話し合いや意思統一があったのかどうか、それをお尋ねしたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 ときどき防衛庁長官とも話し合っておりますし、事務当局の間でも連絡がございますが、きょうの新聞の発言についてあらかじめ打ち合わせがあったわけではございませんし、正確なところをまだ直接長官から伺っておりませんけれども、先ほど御質問のあった大内委員の質問の際にも、防衛庁長官はできるだけ早い時期にという答弁をされたと記憶しておりますので、そういう気持ちがあらわれたのじゃないかというふうに想像いたします。  この問題は、これはブラウン長官もはっきり言っておりましたが、日本国民、日本政府自体が決定すべきものだと思うがわれわれの希望はという形であったわけでございまして、この問題はあくまでも日本の政府が自主的に判断をして決めるべき問題だろうと考えます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 こちらが自主的にというのは当然のことだと思うのですが、ただ、先ほどの大臣のお答えの中にもあったように、アメリカの方ではステディリー、そしてシグニフィカントリーというこの言葉には、中期業務計画を一年繰り上げて一%に到達するようにしてもらいたい、相手はそういう具体的な意味をもう含めてきておる、こういうことを言われたわけです。すると、もちろん防衛庁長官もそういうことは知らないはずはないわけであって、それに対してけさの新聞のように、今度はステディリー、それからシグニフィカントリー、これでやりますとこう答えたということは、これはだれが見ても中期業務計画を一年繰り上げて五十八年度で一%やりますということを表明したととられてもやむを得ないことになるのではないか。  この防衛庁長官の答えをそういうふうに認識すること、このことについては大臣はどういうふうにお考えになりますか。私はそういうふうに認識いたしますが、どういうふうにお考えになりますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 この問題はやはり日本の政府の政策の基本に関する問題でございますし、それぞれ担当の立場での見解というものは各閣僚が持たれると思いますけれども、しかし、日本政府の統一的な立場というようなものはまだこの点について明確ではないわけでございまして、今後のいろいろな論議あるいは五十六年度予算編成の過程におきましてだんだん考え方が固まってくることであろうか、そういうふうに存じておるわけです。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私は、いま言いましたように、現在のアメリカと日本とのいろいろなそういう話し合いのやりとりの経過の中で特別な意味を持ってきている言葉を日本の防衛庁長官が使ってアメリカの司令官に答えたということは、アメリカ側からすれば、日本の防衛庁長官はそういうことを実質上約束をした、相手は当然そういうふうに受け取るだろうと思います。  そういたしますと、四月の末から五月の初旬にかけて大平総理が訪米される、外務大臣も同行されるわけでありますが、その段階においてはアメリカ側から、すでに防衛庁長官からこういう約束をもらっていますということを出されて、そしてそのとおりにひとつ実行してもらいたいということが当然出ると私は思います。そういう見通し、これは大臣、どのようにお考えになりますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 防衛庁長官は海兵隊の司令官にそういうことを言われたと、新聞報道によれば出ておったと記憶いたしますが、これはやはり、少なくとも先方は、両国政府間のこういう問題に対する正式の話し合いをする立場にある人ではないと思いますので、どういう経過でそういう発言を防衛庁長官がされたか、私もまだ詳しくわからないわけでございますが、必ずしもそれが政府レベルの約束ということには解釈されないと思います。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 しかし、国務大臣ですよ。国務大臣が外国の司令官に対してそういうごあいさつをされた、それは常識的に言って、その国の政府を代表する立場ではないといっても、いま日米間のいろいろなやりとりがなされている経過の中でそういうごあいさつをされた、これはどう見ても、日本政府の約束として向こうが受け取る、こういうふうになることは避けられないと私は思うのであります。  あなたが総理大臣であれば、直ちに防衛庁長官を呼びつけて、どういうことかということを究明されることに当然なると思うのでありますが、しかし、総理大臣と一緒に訪米されるときにその話が出る、当然総理大臣を補佐する立場の外務大臣として、それに対してどういうふうに答えるのか。あれは日本政府を代表する立場の発言ではありませんということでひとつはっきりと断ってもらいたいというのが私の立場でありますが、そういうふうにきちんとおやりになりますか、それをひとつお尋ねをしたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 先ほども申しましたように、私、けさの新聞で拝見しただけでございますので、もう少しその前後の関係とか、防衛庁長官の真意がどこにあるのか、そういうことをよく確かめた上でなければ、いまの御質問に答えるわけにはまいらないと思います。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 それではこの問題は、私としては、この防衛庁長官の言葉は政府を正式に代表するものではないということで、対アメリカの関係ではこれはなかったものにする、こういうお取り扱いをひとつお願いしたい。これは私の要望であります。  それで、その上に立ってお尋ねをしたいのでありますが、これも新聞の報道によれば、先ほど来問題になっている防衛庁の中期業務見積もり、これをやはり外務省の首脳はという形で新聞は伝えているわけですが、この中期業務見積もりを政府の政策として決定するものに格上げするというのが望ましい、こういうふうに外務省首脳が発言をされたということが新聞の報道に出ているわけであります。そして、一%というものを、中期業務見積もりでは五年間、こうなっていますから、五年間で達成するということが望ましいというようなことが、外務省首脳の発言、見解として新聞に報道されております。このことは大臣は、外務省首脳として、自分もそういう考えである、立場であるということであるのか、お尋ねしたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 その問題につきましては、実はこれは記者の側からの、防衛関係で中期の計画があることが望ましいと思いますか、どうですかという質問がありまして、まあそれはあった方が対外的な話し合いにもやりやすいかもしれないという答えをした記憶があるわけでございます。また同じときに、中期業務見積もりというのは防衛庁内部の案であって政府のものではない、それで、またいろいろな新しい情勢によって変更があるかもしれない、毎年見直していくという問題もあるんだということも同時に申した記憶がございますので、そういう前後の関係から出てまいったわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そういたしますと、このことを伝えた新聞報道は、つまり、この防衛費の拡大の問題について、最近外務省はきわめて積極的な姿勢になってきたということを書きながら報道しているわけですが、いまの大臣のお答えでは、そういうものじゃないんだ、こういうふうに理解していいのですか、御説明をお願いします。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 ただいま申しましたように、中業、中期業務見積もりというのはあくまで防衛庁限りのものでございまして、政府としての全体の見解にはなっておらないわけでございます。それに対して防衛庁以外の、外務省という立場でどうこう言うことは、役所の権限問題等を考えましても適当ではないわけでございまして、また防衛庁当局としても、いまの中業そのものが閣議決定になった方がいい、あるいは政府の正式の計画になった方がいいというふうに考えているかどうかもわからないわけでございます。  そういうことで、先ほどちょっと申しましたやりとりの中で、対外的に考えても何らかの中期の計画があれば都合がいいだろうということで申したわけでございまして、いまある中期の業務見積もりそのまま政府の正式のものにしたらいいだろうというふうに発言したわけではないわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いまのことにまた関連するのですが、これは三月三十日の新聞であるわけですが、この中では、大臣が訪米されたときのブラウン長官とのやりとりについて政府筋が説明した、こういうことで出ています。政府筋となりますと、これは大臣の方ではなくて恐らく官房長官あたりじゃないか、こう思うのでありますが、その政府筋が説明したという記事によりますと、ブラウン長官は、中期業務見積もりを、五カ年計画を一年短縮して五十八年度までに達成するように、一%へいくようにということを要望した、それに対して大来外務大臣は、中期業務見積もりは政府部内での意思統一もできておらず、五カ年計画での達成も困難であるという事情を説明した、こういうふうに、この記事によれば、ブラウン長官とのやりとりの中で、大来大臣のこの問題についての態度は非常に消極的な態度であったというふうに伝えられているわけでありますが、この政府筋が説明した状況というものはそういうものであった、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 私の答えでは、早期に大幅に増加することは困難だという趣旨で答えたわけでございまして、五年とか六年とかはっきりしたことは申さなかったと思います。私の記憶の限りでは、いまの早期に大幅にということはむずかしいということで答えたわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そういたしますと、いままでいろいろお尋ねをしたりしたわけですが、結局、中期業務見積もりという五十五年度から五十九年度までの五カ年間、それでGNPに対して〇・九から一%へとこういう業務見積もりの一応計画と呼ぶとすれば、それがあるのに対して、アメリカ側からはそれを一年短縮して達成するようにという、こういう要望があった、このことはアメリカ側の要望として。それに対して日本政府側では、ある大臣はきわめて積極的に大いにそういうふうにやるべきだというような見解の表明もされておる。あるいはまた外務大臣はそうはいつまでにというふうな約束はできないという、とり方によっては消極的な対応もされておるということであるわけですが、それを一応計画どおりに五十九年度で一%にいくというふうに仮に考えた場合、それは一体わが国のいまの財政事情の中でどういうふうな財政負担や経済負担になるのかということが、やはり私はこれ大問題だと思うのです。この点はエコノミストとしての大臣に今度はお尋ねをしたいと思うわけですが、まあ、私の計算いたしましたこれからの五カ年間のわが国のGNPの伸びの見通しですね、実質が五・五%、名目では年率一〇・六%というふうに企画庁の方でははじいておられるわけですが、これを前提にして見ますと、五十五年度のGNPは二百四十七兆八千億円ですね。それがずっと名目一〇・六で伸びていきますと、五十九年度のGNPは三百七十兆というような数字になるわけであります。この三百七十兆の一%と見れば、これは算術計算の問題で三兆七千億という防衛予算というものになってくる。五十五年度は御承知のとおり二兆二千三百億、それが五十九年度は三兆七千億、非常に大きな増額になってくる、こういうことになるわけでありますが、まずこうした現実の数字をとって考えてみた場合の、この大幅な増額というものを、いまの日本の財政事情の中で、これ一体できるものかどうか、これは大臣のお考えはいかがでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 これはまさに財政当局も含めまして政府全体として検討すべき問題だろうと思います。  ただ、いまのお挙げになった数字の半分は物価騰貴分でございまして、実質的増加ではないわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 毎年の予算の編成は確かにそのときの物価を織り込んだ、そういうものでなされるわけでありますが、だから数字が大きくなっても大したことはないということは、これはとうてい言えないわけです。ことしの予算の中でも国債の発行あるいは今度は国債の元利の償還、この予算というものは大変な負担になってきておるということは御承知のとおりです。そういたしますと、いま言った五十九年度に三兆七千億というような防衛費になってくるとすれば、これはその間に〇・九から一%へいくわけですから、たとえば五十六年度は〇・二というふうな刻み方になるでしょう。五十七年度は〇・九五というふうな刻み方になるでしょう。五十八年度は〇・九七、そして五十九年度に一というような刻み方になっていくと思うわけですが、そうすると途中の各年度においてもそれぞれの刻み方で防衛費はふえていくというものがあって、そして最終的に五十九年度に一%に到達するということになるわけで、この間の全体のそういう防衛予算の増加額というようなものを総計いたしますと、これは大変大きな財政支出ということになってくる、こういうふうに思われるわけですね。  これは当然のことですが、こういうことについていまの財政再建という最大の課題を抱えている日本の財政事情の中で、大臣はさっきそれは物価の上昇も織り込んだ数字だから、聞きようによっては大したことないというふうな意味にとれるお答えをされましたが、一体そういうことが今度は財政問題として、それは大蔵省当局の問題かもしれませんが、エコノミストとしてこういうこともおわかりのあなたの御見解をお聞きしたいと思うのですよ。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 この問題につきましては、財政当局あるいは特に総理大臣が国の政策全体における優先度というものの中で考えられる性格の問題だと思います。そういう意味で言えば、どういう支出に対して優先度を設けるか、これは非常に高度の政治判断の問題でございまして、全体の枠からいってはいまお挙げになった数年の増加分の半分は物価騰貴によるものでございますので、実質的な増加は大体半分というようなことから申しますと、非常に飛び離れた数字ということではないと思うのでございますが、しかし、御指摘のように財政の現実から見ると、この程度の増加につきましても特に財政当局としては非常に大きな困難を感じるのではないか。それは先般の大内委員に対する答弁で大蔵大臣が困難だと言われた背景にあるのではないかというふうに想像いたしております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私は、財政問題ということでついでに申し上げておきたいと思いますが、国債発行、これがいまのわが国の財政の最大の問題点であるわけですが、国債発行を自民党政府がずっと重ねてこられた。その中でいままでこういうふうなあれがあるのですね。昭和四十一年、国債の発行に踏み切った一番最初の段階ですね、そのときに政府としては国債の発行はあくまで建設国債の枠にとどめる、赤字国債は出さぬということを政府の大原則として確認をされている。ところが、それがいまでは赤字国債の発行になっていることは御承知のとおりです。  それから国債の発行の一般会計の中でのパーセント、これを当初の段階では一般会計の五%にとどめるということを、財政当局はこれは国民に対する約束として明らかにされている。ところが、それが時間のたつうちに今度は三〇%だ、これ以上はしない、こう言っていた。ところが、それはたちまち三〇%を超えて四〇%というような一般会計の中の国債発行の比率になってきている、こういう状態ですね。  それから、では赤字国債はいつまでにやめるのか、こういう問題についても、最初は五十五年度。これを財政当局が出されたのは昭和五十二年の話ですが、五十五年度には赤字国債はゼロにするのだということを言われた。ところが、それができない。今度は翌年になると何と言われたか、五十七年度は赤字国債はゼロにするのだ、こう言われた。しかし、これはいまの財政事情ではとてもできそうもない。その次は、今度は五十九年度にはゼロにするんだ、こう言われた。これも大変私はむずかしいと思いますが、こういういまの財政事情の中で、五十九年度に三兆七千億の防衛予算を組むのだというようなことは、一方においては国債問題についても財政当局が繰り返し国民に対してこれが歯どめだ、これ以上にはしない、こう言いながら、それが次々に崩されて、そこを踏み越えてきた。こういう背景の中でのいまの防衛費の問題を、私は大変重要だ、こう思うわけなんです。  そういう意味におきまして、外務大臣であり、同時にエコノミストである大来さんは、そういう点を一体どう考えるのか。この場合には、わが国の最大の課題としては財政の健全な確立ということをまず第一に考えるべきではないのか。こういう立場から、防衛予算の増加していくというこの問題についてのあなたの大きな抱負経綸としてのお考えをひとつお尋ねしたい、こう思うわけです。いかがでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 余り財政の問題に立ち入りますのは外務大臣の仕事の範囲を超えることになるかと思いますが、過去におきます赤字財政の、一つこれはケインズ政策的な考え方がございまして、民間の経済が非常に不況に陥っているときに、財政支出を増加することによって雇用をふやし失業を防止する、それから、そういう財政面での購買力の追加をやらないと不況が非常に深刻なものになって失業が多量に発生し、多数の企業が倒産するという危険がある場合に、財政の赤字によって購買力を補給して、雇用の維持を図り、経済の極端な落ち込みを防止するというのは、現在各国政府がとっておる政策としてほぼ常識化しておると思います。それはいつの段階でそういう赤字をとめて財政のバランスを回復するかというタイミングの問題はあるわけでございますけれども、実際過去、石油ショック以後、そういう財政のある程度赤字を出すことによって購買力の維持を図る、これが深刻な失業と倒産を防ぐのには非常に大きな役割りをいたしましたし、それをやらなければそれだけの労働力が生産力にならない、遊んでしまう、失業になってしまうという状況になるわけでございますので、問題は、その程度が適当であったか、タイミングはどうだったかという問題になるわけでございまして、ああいう状態のもとである程度の赤字公債を出すということは、現在の経済政策としては大体常識であると存じます。そしてまた政府も、来年度予算から赤字の幅を逐次縮小して、次第に公債発行を減らしていこう、これも無限にやってまいりますとインフレにつながってまいりますので、あるところでやはりめどをつけなければいけないという意味では妥当な方向だろうと思うわけでございます。  防衛費の問題につきましては、国の基本的な政策として、経済的な豊かさを求める、福祉の向上を図るということと同時に、やはり国民の安全を守るという二つの大きな目的が政府の責任といいますか役割りとしてあると存じますので、これはやはり一つだけやればいいということではない。そのときに置かれた国際情勢、国民の意向等を踏まえて、安全を守るということと福祉を高めていくという両者の大きな目的のバランスを考えていくというのが、政府の責任であろうと存ずるわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 それでは、土井委員に質問を交代しますから、これで私、終わりますが、しかし、最後に申し上げたいことは、いま言われた大臣の赤字国債についての御見解は、まさにそこからいまのスタグフレーションが生まれているんだということをひとつお考えいただきたいと思うのです。これがいまのわが国、またわが国だけじゃなくて世界の他の主要な資本主義国のいま最大の矛盾のもとであるスタグフレーションがそこから生まれているということを十分ひとつお考えをいただきたい。  それから、自分で国債の歯どめを決めて、自分でどんどんその歯どめを破ってきたというのが、率直に言っていままでの政府の行き方です。そうなりますと、この防衛予算というものも、〇・九、それを今度は一%だ、その次に自分で決めたものをまた踏み越えていくという、こういうことについての大変大きな不安を私は持たぎるを得ない。こういう点においてはぜひまた、それこそ節度あるしっかりとした歯どめというものをいつも腹の中に置いて、対米関係においてもあるいは日本の国内の政策運営においてもやっていただきたいということを最後に要望いたしまして、私、終わります。よろしくお願いします。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員長 土井たか子君。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ソビエトがアフガンに侵攻して、あれから三カ月でございます。このソビエトのアフガン出兵という行為が大変に高くつくものでなければならない、こう思うわけです。先日、大臣御承知のとおりに国会でもアフガニスタンからのソ連軍の撤退等を要求する決議というのを満場で決めたわけでありますが、政府としては、アフガン侵攻行為というのはソビエトにとって大変マイナスであった、高くつく行為であるというふうなことを具体的にしていかなければならないというふうにお考えになっていらっしゃるかどうか、この点いかがでございますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 その点は、やはり国際的な世論も踏まえまして、こういう他国に関する武力介入というものはコストが高くつくということであるべきだと考えるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 国際的に考えて大変高くつくというふうなことを考えるべきだというふうにおっしゃいましたが、日本としては、それではどのようなことでそれを具体的に示そうとお考えになっていらっしゃいますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 基本的な考え方は、総理大臣の今国会の初めの施政方針演説の中にも述べられておったと思うのでございますが、日本としては、たとえばココムを通じます西側諸国との協力によって、ある程度高度技術、ハイテクノロジーの分野の対ソ供給を抑制するというようなこととか、一部の人物交流についての抑制とか、それから新しいクレジットの提供についての検討、そういった幾つかの方法があると存じます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 検討について幾つかの問題があるというふうなことをここで大臣おっしゃったにとどまるのですが、たとえばココムについて日本は具体的に何かの措置を講じたという例がただいまございますか。

羽澄光彦外務省経済局次長

○羽澄政府委員 お答えいたします。  ココムに対しましては、長らくアメリカも検討しておったのですが、ようやくアメリカの案というものを出してまいりまして、先週でございますが、ココムの定例会議におきましてアメリカの提案が討議されたわけでございますけれども、まだ各国とも検討を終わっておりませんで、そのアメリカの今回のソ連のアフガン侵攻というものを踏まえた新たな提案に対しましては結論が出ませんで、引き続き検討を行うことになっております。  それで、わが国といたしましても、ココムの場において各国の合意が得られました場合には、もちろんその結論に従いましてそれを忠実に履行するということになるはずでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いろいろ御説明いただきますけれども、まだ日本としてはこれについて具体的措置をとっていないということなんですね。検討を重ねて外国との間でどういう意見調整ができるかなんというふうなことをいまおっしゃっているにすぎないので、そういうことだと思います。  あの国連の場でソビエト側は、今回は二国間条約に基づいての出兵であり、合法的であり合理的であるという抗弁をされているわけですが、いわゆる善隣友好条約というのが、そういうことで見てまいりますと大変こわいものだというふうに目に映ります。世界から見れば善隣友好条約というのは大変脅威の目で見られるということにもなってくると思うわけでありますが、外務大臣いかがですか。日本としても、善隣友好条約というのは、こういう条約ならばこわいものだなあというのがいま国民の率直な実感でありますが、これはそのように受けとめていらっしゃるかどうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 今度のアフガニスタン事件の発生は、そういう意味で勉強の種を提供しておるというふうに私ども考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 勉強ばかりをなすったんじゃ外交問題は一つもどうにもならないのです。それは大学の研究室ならいいでしょう。ここは政治の場でございますから、ひとつ外務大臣は政治家として御答弁いただかないと困るのです。研究室でもなければ、ここは学会報告の場でもございません。よろしゅうございますか。ひとつこのことについてどうお考えになるか、もう一度はっきり政治論として、政治家としての御意見を承りましょう。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 政治の立場から見れば、十分な検討をしてみないと、場合によると危険な要素を持っておるんではないかというふうに見ておるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 場合によるとなどというふうなことをおっしゃっておりますが、危険な要素を持っているということを一つは確認をされているようであります。  ところで、アメリカがいま穀物禁輸の問題を取り上げているわけですが、有効にこれは働いていると、制裁として有効な意味を発揮しているというふうに大臣としては受けとめていらっしゃいますか、どうですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 従来からハイテクノロジーの対共産圏輸出、これが軍事力に転化されるというような点の考慮がココムにあったと思うのでございますが、緊張緩和の時代におきましてはその例外措置をかなり認めていくという形で来たと思いますが、最近は例外措置をできるだけ認めないということになりつつあるわけでございまして、軍事力、軍事技術に転用のされるおそれがある技術の提供、供給を制限するという、そういう効果は持っておると思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それ、いまの発言、よろしゅうございますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 穀物と言われたのをココムと聞きましたので、大変失礼いたしました。  穀物の方は、アメリカは千七百万トンの穀物の対ソ輸出を取り消したわけでございますが、その後の状況、いろいろ情報を集めておりますが、アルゼンチン、ブラジル等の対ソ穀物供給等で、アメリカが抑えた分の相当部分が他の国からの輸出によって補われている面はあるように思いますが、しかし、それでも全体として数百万トンの対ソ穀物供給が抑制されるということに結果としてはなるのではないか。これはすぐにどうということはないと思いますけれども、昨年のソ連の穀物生産は約四千万トンくらいの減産になったという現実、食糧事情、特に家畜のえさの需給が非常に厳しいという状況からしますと、ある程度の影響が起こりつつあるのではないかというふうに判断しております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 さあそこで、先日外務大臣はアメリカにいらしたわけですが、アメリカでの話し合いの中で、いまのアメリカ側が穀物禁輸するということの結果、日本に対して穀物を輸入せよと、いわゆる肩がわりですね、ということの要求がアメリカ側から日本側に対して話し合いの中であったのかなかったのか。これが一つ。  もうあと一つは、シベリア開発問題についてどのような話し合いをこの訪米のときに外務大臣としてはなすったか。この二つのことについて、お話をひとつ承りたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 穀物につきましては、日本に肩がわりに輸入してくれという要望は、政府を通じては従来もございませんでした。アメリカの議会の議員、たとえばレスター・ウルフ議員が日本に参りましたときにそういう意見を出した例はございますし、その他非公式な意見はあったわけでございますけれども、正式に米国政府から日本政府に対しての要請はございませんでした。  ただ、日本が主体的に考えまして、こういう世界情勢のもとで食糧輸入を大量にいたしております日本といたしましても、ある程度前倒し輸入をするというようなことは、日本自身の食糧安全保障という面にもプラスになる面がございますし、また、米国のとろうとしておる政策に対する協力の一つのシンボルにもなるというような考慮もございまして、日本側から自発的に今回二十万ないし三十万トンぐらいの追加的な買い付けを政府ベースで行う用意があるということを先方に伝えたわけでございまして、これに対して先方は、それはアメリカ側としても高く評価するという返事があったわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 シベリア開発は……。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 シベリア開発問題につきましては、サハリンの石油開発等もございまして、やはり日本として資源の輸入に役立つ、あるいはすでに相当多額の投資も行っておるというようなケースもあるわけでございまして、ケース・バイ・ケースに対処していきたいという日本側の考えを述べまして、原則的にアメリカ側も了解、理解を示したわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そこで、先ほど来、ソビエトのアフガン侵攻に対して、これが高くつくということに対して具体的に日本としてはどういう意思表示をするかということについて、検討中、検討中ということは出てまいりますけれども、具体的に何をやった、何をやるのかということは、何ら定かでないわけなんですね。  先日、日本の記者の方がアメリカのホルブルック次官補と会見をされた節、ホルブルック次官補がこのインタビューの席で、対ソ制裁措置に日本がアメリカに協力している度合いをエクセレント、申し分ない、大変高く評価をされているということが伝えられています。一体、日本としては何を協力をしたのでしょう。国民も知らない間に特別の協力をしているのかどうか、ここの辺は非常に問題になるのです。申し分ないと向こうが言うぐらいにどういう協力をしていたか。また、どういう協力をするのか。このあたり、いかがなんですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 これは日本としては西欧諸国とも連絡をとりながら、余り日本だけが出過ぎたことをやることはまた日本の国益から見てどうかと思われますし、しかし、大きく自由陣営の共通の利害、共通の守るべき価値といいますか、そういうような立場からの自発的な協力も必要だと思われますので、アメリカ側がどう評価するか、ホルブルック氏がそういう評価をしているということであれば、これは日米外交関係にはプラスになっておると存じますけれども、実際の問題としてはいままで御説明申し上げたようなことでございまして、たとえば一部交流の繰り延ばしとか大きな新規のプロジェクトに対する話は進めないとか、そういうようなことはしておりますし、それからいまのココムの場での協力もいたしておるわけでございまして、そういう姿勢を評価しておると考えます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そういう姿勢を評価するということじゃないと思うんですね。アメリカ側から言うと、具体的にきちっと掌握できることがなければ、これはそれを期待するとか抽象的なことでは恐らくはないと思うので、これは今後自発的な協力をやるということにやぶさかでない趣旨の御発言が先ほどございましたが、それでは今後もっとどしどし制裁に対してアメリカ側と協力をしていくということをお考えになっているのですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 これはやはり、いわゆる自由陣営全体の、守るという問題と日本の国益の立場と両方踏まえて、さらにヨーロッパ諸国の動き等もにらみながら個々のケースで考えていくということになると思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 自由陣営と国益、安全の問題もおっしゃいましたが、その結果、ソビエトに対する制裁として、日本に対して防衛費増額というふうな要求の形になってアメリカ側から出てきたという一連の動きもあると私は思うわけでありますけれども、防衛費の増額という国民にとって非常に高いものにつく問題を、アメリカにいらした結果、一つは宿題として持って帰られたということになっているわけですが、これはアメリカ側からのそういう圧力として政治的な約束を大臣としてはなすっていらしたことになるのですか、どうですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 高くつくということの中には、経済的にはかる面もあるかと思いますが、たとえば国連の緊急総会における決議、百四の国がアフガニスタンからの即時撤退を求めるというようなこととか、回教諸国の外相会議で即時撤退を求めるという動きとか、そういう世界政策全体としてもやはりソ連にとって高くつくという面も同時に考えていく必要があると思います。  アメリカ側の、このほかの日本の防衛力についての期待といいますか希望というものが、その制裁の意味があるということにはならないと思うのでございまして、日本自身が日本国民の安全というものをどう考えるかということが一番基本になるわけでございまして、そういう問題について何も約束をしたことはございませんで、先ほど申しましたように意見の交換をしてまいったわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 大平首相はいつ訪米されますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 これは三つの国がございますので、日程、最終的な調整中で、まだ公表の段階に至っておらないようでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 しかし、もうそろそろ具体的に日程について出ているはずですよ。きょうは、大平首相の訪米について外務大臣が随行されるというふうなことも理事会の席で私たちも承っておりますし、日程についても何日から何日までくらいということがはっきり聞かされているわけです。外務大臣自身も一緒にいらっしゃるわけですから、そのことについてはおわかりになっていらっしゃるはずで、いつ御出発でいつ御帰国の御予定でございますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 やはりこれは旅行の主体は総理大臣でございますので、官邸の発表がある前にわれわれから詳細な内容について申しにくいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 詳細な内容を言っているのではない、いつごろにいらっしゃいますかということを申し上げているのであって、それも言えないのですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 四月三十日出発、八日帰国ということは決まっておるようでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そうしてアメリカにいらっしゃって、これは約束はしたわけじゃない、外務大臣としては話し合いをしてきたのだとおっしゃる中身である防衛費の増額問題について、向こうにいらっしゃって首相が今度はアメリカ側といろいろと具体的なお約束を取り決めてこられる、こういう手順になるわけでありますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 四月三十日に出発でございまして、もう余り日がないわけでございまして、それまでにいろいろ防衛の問題、国内的にも詰めるということは恐らくむずかしいのじゃないかと考えております。現実問題として詰まってくるのは、やはり何といっても五十六年度予算編成の過程で詰まっていくことになるのだろうと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それは国内的にはそういうことでしょう。しかし、対米ということについてはいろいろと取り決めという問題があるのだろうと思うのです。したがって、そのことについて避けて通るわけにはいかないという、この話し合いをすでに外務大臣はして帰ってこられているわけですから、今度は首相の訪米ということで、話し合いじゃない、いろいろ具体的に取り決めるということが内容としてある、これはいわば国民的常識だと思われるのですね。そのように考えてよろしゅうございますね。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 今度の総理の訪米はごく短時間でもございますし、そういう具体的な問題を取り決めるという性質のものではないと思います。ですから、もう少し時間をかけて、ただいま申しましたように日本側の国内でもいろいろな見方がこの点についてあるわけでございますし、五十六年度予算編成の過程と、またいろいろな場面におけるこの問題に対する論議等も踏まえた上で固まっていくことではないかと考えます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そこで、煮え切らないような御答弁でございますが、いろいろ防衛費の問題について、増額というのは国民生活から考えましても、国民のこれに対する合意を得るという上から言いましても、そうそうふえるということではないはずでありまして、これはなかなかむずかしい問題であるという国内事情があることはだれよりも外務大臣がよく御承知なんですが、ここに一つ、アメリカに対していろいろと話をしていく上でこういう視点があるということがございます。  それは、私がここに持ってまいりましたのは久保卓也氏の「国防論」という一冊の本でございますが、この中に述べてあるところが実はいろいろ大来外務大臣の発想からするとうなずけるように思われてならないところがございます。  その部分はどういうことかと言えば、簡単に言えば日本は世界の安定の上に乗って貿易でかせぎながら防衛費はGNPの一%以下しか支出をしていないということで、日米安保へのただ乗りだというふうなことが言われ続けてきたのですね。日米の経済関係の悪化につれてこういう批判がまた強くなるということが予想されるという前提で、この場合、日本側には幾つかのオプションがある、一つは防衛費の引き上げ、二つは輸出の規制と輸入の増加、そして三つ目は、いよいよ三つ目は、駐留米軍の経費の分担増の問題だ、こう書いてあるのです。  こういうふうなことからすると、さしずめいま日本のオプションとして一番考えられるのは、三つ目の選択の駐留米軍の経費の分担増という問題があるという、これは一つの考え方でございますが、外務大臣はこういうことについてどのようなお考えを持っていらっしゃいますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 ただいまの久保さんの三つのオプション、恐らくその三つをいずれも少しずつやらなければならないという状況ではないかと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 少しずつとおっしゃいますけれども、さしずめいま防衛費についてこれをふやすということが具体的な俎上に乗っている問題であります。そこで、このことについて先日大平首相は、アメリカ側から強く要請されておりますこの問題について、日米地位協定の枠内でどういうことが可能か検討してほしいというふうな具体的な指示をされたと言われておりますが、これはそのとおりでございますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 そのとおりでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 この地位協定の二十四条の一項に言うところの費用は、いま一体どのくらいあるわけですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 いまその数字を調べておりますが、手元にあればすぐお答えしますし、なければ後ほど取り寄せてお答えいたします。

土井たか子日本社会党

○土井委員 これは、手元にございましたらここで公式に言っていただきたいと思いますし、これは後で具体的に大変問題になってくる部分ですから、資料として要求をいたします。それを資料として提出をいただきたいと思います。よろしゅうございますね。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾(新)政府委員 ただいまお尋ねの件は、恐らく施設費及び労務費の分担分かと思いますけれども、その点については五十四年度、五十五年度分で概算したのがございますので、提出いたします。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ただ、一項の部分につきましては、これは本来「合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、」「日本国に負担をかけないで合衆国が負担することが合意される。」とございまして、この条文からすれば、本来は全額アメリカ負担ということが原則になっているのです。そうしますと、いまの内容は、幾ら大平首相が地位協定の枠内でというふうなことをおっしゃいましても、この二十四条一項の内容からしたら、はみ出る、踏み外す、許されないという部分が出てくるということが十分に懸念される。  アメリカ側とこういう問題について、二十四条一項のことについて話し合いになっていらっしゃいますか。そして、今回のこの防衛費増額の問題について、アメリカの駐留軍に対する日本側の負担の中身、これが二十四条一項についてどういうことになるかという話し合いがなされているはずであると思いますが、いかがでございますか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾(新)政府委員 二十四条一項については、まさに「合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費は、2に規定する」ものを除いてアメリカが負担する。2は例の施設の提供でございます。労務費につきましては、すでに二回にわたりまして、いわゆる思いやりということで、福利費あるいは格差給というものを支払い済みでございまして、今後地位協定の解釈によってさらに日本側が負担する分についてはもう余地がございません。このことはすでに再三にわたりましてアメリカ側に申し入れておりますし、アメリカ側もこの点は理解しておりまして、今回の訪米の際についても、労務費については地位協定の枠内で限度いっぱいである、さらに日本側としては地位協定の改定は考えていないということははっきり申しております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そうすると、これ以上二十四条一項のこの枠を踏み外さないで変える意思もなくやっていこうとすると、もう限度であるということだけははっきり言えるわけですね、いかがでございますか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾(新)政府委員 ただいま申し上げましたように、労務費についてはまさにそのとおりでございます。  施設費につきましては、さらにこの地位協定の枠内で支出し得る余地があるかどうかということを目下検討中でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それは本来無理というものだろうと、この条文解釈からしたらはっきり言える部分であろうと私自身は思うわけでありますが、その第二項の費用というのは一体どれくらいか、これは過去三年くらいのものについても資料要求いたします。これ出せますね。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾(新)政府委員 先ほど申し上げましたように、施設費についても出し得ると思います。ただし、非常に細かい部分につきましては施設庁の経費でございますので、外務省として出し得るのは全体の費用の労務費と施設費の大枠ということで御了承願いたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 一項、二項をめぐる地位協定二十四条の問題というのは、今後非常に大きな課題になってくる問題だと思います。順を追って他日、私はこれについてさらに深めた論議をすることのための用意として、きょうはこの一項、二項についての資料要求をいたしますが、これの早急な提出方を要求いたします。  二十四条の一項について条文解釈の上でやっていける、二十四条一項の条文をわざわざ変えなくともなおかつやっていける余地がある、このように外務大臣としてはお考えになっていらっしゃるのですか、いかがなんですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 これは防衛施設庁と特に打ち合わせてみなければならないことでございますが、従来の話し合いでは多少余地があるのではないか、検討してみようということになっております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 最後に、今度大平首相が訪米をされることについて、内容についてはまだこの場では言えないなどというふうな向きを先ほどの御答弁の中でおっしゃいましたが、私たちが聞くところによりますと、電電関係の例の政府調達についてこの場で話を決めてこられるのではないか、決着をつけるように努力をされるのではないかというふうなことでありますが、これはそういうふうな予定になっておりますか。そういう御用意が政府としてはおありになるわけですか。いかがです、外務大臣。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 総理の訪米の前にアスキュー通商代表が日本に参ります。この通商代表が電電問題も扱っておりますので、その訪日の際日本側とのいろいろな話し合いが行われることは予想されるわけですが、そこで決着するかどうかにつきましては、いまの段階ではまだはっきり申せないと思います。いずれにしても、総理の訪米の際の話題にはこの問題は上らないのではないかと私ども予想しております。  ただいまアスキュー代表は訪米の前と申しましたが、訪米の後になるようでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 最後に、今度は訪米をされるまでの間にまだ当外務委員会において質問の機会があるであろうとは思われますけれども、外務大臣とされて、先ほど来地位協定二十四条の一項についての問題をここで質問をいたしましたけれども、二十四条一項を変えてまでこのアメリカの駐留軍に対しての費用負担を日本としてはする気がおありになるのかどうか。つまり防衛費の増額ということについて、二十四条一項の中身を改定するところまで考えつつこれは用意しなければならないというふうなお気持ちを持っていらっしゃるのかどうか、そこのところはどうなんですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 条文の改定は考えておらないわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 どうも大臣は当分の間というのがお好きですね。いつも当分、当分と言っている。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 当分の間と言いませんで、条文の改定は考えてないと申し上げたわけです。

土井たか子日本社会党

○土井委員 条文の改定は考えないで、解釈の改定はお考えになるわけですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 解釈で可能な面については検討してみるということでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そうすると、解釈についていろいろ検討して、解釈の改定を条文を変えないでやっていこうということでありますけれども、これは大変ゆゆしい問題であろうと思うのですね。日米間でこういうことについての話し合いがどういうことを具体的になされているかということも非常に大事な問題になってまいります。これはさらに時を改めてひとつ質問を展開することにいたします。ありがとうございました。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 一項ということになりますと労務費の関係でございますから、これは政府委員から答弁いたしましたように、これを検討する余地はないというふうに考えております。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員長 玉城栄一君。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 外務大臣が訪米される直前に、十九日当委員会におきましてもいろいろ大臣にお伺いをいたしたわけでありますが、そのとき一貫して大臣は、米側のいろいろな話を聞いておくというような意味の御答弁もあったわけであります。そのときにもちょっと申し上げたわけでありますけれども、余り大きな荷物をしょってお帰りになっては大変困るということを申し上げたわけでありますが、やはり相当いろいろなお約束をされてこられているように感じられるわけですね。いまの防衛力増強の問題であるとか穀物の問題であるとか政府調達の問題であるとかあるいは自動車の問題であるとか等々、報道によりますと、まだ未公表の部分も相当あるやに報道もされております。ちらちらと一部出始めておりますけれども、その問題をお伺いいたしてまいりたいわけでありますが、その前にお伺いをしておきたいのであります。  当委員会、これからあと一カ月半で今国会は終わるわけでありますが、これから二十九件、条約、協定の審議をしていかなくてはならぬわけであります。その条約二十九件の中をずっと見ますと、私たちかねがね要求してまいりましたいわゆる難民条約が入っておりません。したがって、この条約につきましては、前外務大臣の園田外務大臣にも速やかに提出をしたいという約束までいただいておるわけでありますが、この難民条約について、大臣、今国会に出されるのか出されないのか、その点をまず最初にお伺いいたします。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 外務省としては今国会に出すためにいろいろ努力をいたしておるわけでございますが、まだ国内官庁と調整がつかない面がございまして、それが早急につけば、できるだけ出したいと考えておるわけでございまして、いまのところその方向で努力中ということしか申し上げられないわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 関係省庁と調整努力中であるということでございますが、いまその未調整の省ですね、たとえば法務省、前から言われておりましたけれども、法務省関係についての調整はどうなっておりますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 法務省につきましては大体調整を終わっておるわけでございます。残っておるのは厚生省との調整でございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 それでは、外務省の方から、その厚生省との調整の部分は何が問題になっているのか、概要をちょっと承りたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 厚生省との関係でございますが、外務省としては、先生も御高承のように、社会保障の関係で国民年金と児童関係諸手当、生活保護及び国民健康保険の四つの分野におきまして、難民とその他生活の本拠を有する外国人とにつきまして、日本人に対すると同様に、難民条約の条項に従ってこれを適用すべきであるという考えを強く抱いておりまして、この実現のために厚生省とお話し合いを続けておるという状況でございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 いま厚生省関係ということでその未調整の概要のお話がありましたけれども、そうしますと、その関係省庁も厚生省以外は、この難民条約の問題についてはほぼ調整は済んでいるというふうに理解してよろしゅうございますか。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 先ほど大臣からも御答弁があったのでございますが、法務省につきましてもほとんど問題が完了しておりますので、厳密に申しますとどういう表現になりますか、私どもとしては厚生省との関係が残っておるというふうにお答えするのが順当であろうかと思っております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 それじゃ、厚生省の方いらっしゃっていると思うのですが、厚生省、先ほどちょっと理由は外務省の方からもお答えがありましたけれども、どういうわけで突っ張っていらっしゃるのか、その辺を厚生省の考え方を御説明いただきたいと思います。

金田伸二厚生大臣官房国際課長

○金田説明員 お答えいたします。  まず、厚生省といたしまして、難民の保護を目的とするこの条約の趣旨には賛成でございまして、わが国として早期に批准することが望ましいというふうに考えておるわけでございます。  そこで、この条約の中で、社会保障関係につきまして、難民に対して自国民と同様の待遇を与えるべきことを規定しておりまして、厚生省所管の社会保障制度につきまして大部分はこの難民を含む一般外国人に対して社会保障制度の適用があるわけでございまして問題ないわけでございますけれども、その一部につきましてその取り扱いが問題となっておりまして、現在関係省と協議しておるということでございます。  先ほど国連局長からお話がありましたように、国民健康保険と生活保護につきましては、厚生省としては、わが国に定住する難民に対して一定の条件のもとで日本国民と同様な取り扱いをしようという考え方でございまして、したがいまして、難民の認定がどのようになされるか、難民認定の取り扱い、対象者の範囲、認定の時期といったものがこの制度の適用と密接に絡んでくるわけでございまして、そういった点で調整をしておる、調整を必要とするというふうに考えておるわけでございます。  次に、国民年金につきましては、わが国の国民年金制度というのが、最低二十五年間保険料を納めませんと年金に結びつかないというような、世界で例を見ないような非常に特殊な、特異な制度の仕組みをとっておるということから、現在外国人に適用することはいたしておりません。適用いたしますと保険料の掛け捨てというようなことになります。この国民年金制度は強制的な社会保険制度でございますので、制度に加入していただくと強制的に保険料徴収ということになりますので、そういったようなことから外国人には現在適用されていない、こういう状況でございます。  それからまた、国民年金を補完する制度といたしまして児童扶養手当その他諸手当があるわけでございますけれども、これも同様な考え方で外国人に適用されていないわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、これらの制度につきまして、難民が他の在日外国人と同じような状態にあるという以上、難民に対してこれらの制度を適用することは困難であるというふうに考えておるわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 困難であるということで最後におっしゃっておられますけれども、いまは厚生省の方ですね。厚生省のいまの問題で、この難民条約というものがわが国が締結をできないという状況にある、現在の状況はそのように理解をしているわけです。  御存じのとおり、難民問題についてわが国は非常に冷たいという国際的な非難もあるわけですね。  そこで、外務省の方にお伺いしたいのですが、先進国の中で難民条約に加盟していない国は一体どことどこですか、それを承りたいと思います。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 先生御承知であると存じますが、この条約は欧州の大量難民を対象として発足したものでございまして、どうしても欧州関係の批准が多いわけでございます。したがって、アジアからいまだに一カ国も批准が出ていないという状況でございます。  ただ、先生の御質問の、現在先進国でどこかというお話になりますと、先進国の基準いかんでございますが、中南米諸国あたりが、若干の国は批准をしておりますし、若干の国は批准をしていないということでございまして、欧州の諸国は、先ほど申し上げましたように、ほとんど批准をしておる、アメリカも批准をしておる、こういう状況でございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 それでは、これは大臣の方に伺いたいのですが、難民問題について、この条約ですら締結ができないという状況になりますと、これから国際的に難民問題を日本は言う資格はない、そういう非難を受けてもこれはまたやむを得ない、ある面では踏み絵みたいなものではないかと思うのですね。先ほども大臣がお聞きになって御存じのとおり、人権規約の段階で、内外人平等という思想はもうすでに定着しつつあるわけですね。同時にまた、すでに難民を受け入れ、定住も認めているわけですから。それで、いまの厚生省のお考えのような、社会保障の問題でいろいろな技術的な問題、これは克服可能だと思うのです。わが国の国際的な地位というものを、こういうことで難民条約が締結できないということで低下させるということを考えたら、これは非常に問題だと思うのです。  ですから、この際、大臣とされてどういうお考えを持っていらっしゃるのか、いまの状況の中でこの難民条約をどう推進されようとしているのか、その点を伺いたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 私も、外務大臣になる前でございましたけれども、昨年の秋、ある国際会議がございまして、その席にオーストラリアの前首相のホイットラム氏が出席しておりましたが、難民条約について日本がまだ調印をしていないということについて、直接かなり厳しい批判がございました。いわゆる先進諸国の中でまだこれを認めていないのは日本だけになってきたわけでございますし、私どもとしては、一日も早く国内の話し合いを終えてこの手続を進めたいと考えておるわけでございます。     〔委員長退席、志賀委員長代理着席〕

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 大臣もお聞きになられましたとおり、厚生省の先ほどの御説明のあった部分がいまネックになっているわけですから、そうしますと、今会期あと一カ月半ということからしますと、もうそろそろ、大臣がこの問題を政治的に厚生大臣と話し合う、話をつけるといいますか、それぐらい踏み込んで積極的に大臣自身が乗り込んでいかないと、この問題は解決しないまま、ずるずるだらだらといく感じがしてならないわけですが、いかがでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 できるだけ早い機会に厚生大臣と話し合ってみたいと存じます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 すでに四月、今月中には厚生省と両省の話し合い、そして大臣同士の話し合い、それで厚生大臣がだめだというのであれば、あるいは総理まで持ち上げていって、政治的な解決をきちっとつけるというところまで推進をされますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 できるだけそういたしたいと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 いまの問題は、最後に、そういう努力を積み重ねられて今会期中にこの難民条約を国会に出されるというふうに理解をしてよろしゅうございますね。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 そういう努力をいたしますので、閣内の問題でございますから、どうしても同意ができなければ今国会は間に合わないこともあり得ると思いますが、私としてはできるだけの努力をいたしたいと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 それでは次に、先ほどの土井委員の御質疑の中にもございましたが、十九日の外務大臣が訪米される日の本委員会で、例の米国の対ソ穀物輸出禁止に伴う余剰穀物のわが国への輸入問題についてお伺いいたしました。そのときに外務省のお答えは検討中であるということであったが、翌日のアメリカでの話し合いの報道が出ましたら、早速二十五万トンとかどうとか、そういうことを報道で知ったわけであります。  そこで、先ほどの大臣のお答えは、主体的に考えて、前倒し輸入、また、米国の政策に協力するシンボル的なものであるとか、二十万ないし三十万トン自発的にわが国が国内の食糧事情等を勘案して買い付ける用意があるというようなことをお約束をしてこられたわけですか。その辺をもう少し私たちにもわかりやすいように御説明いただきたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 これは訪米のぎりぎりまで、関係省庁、特に農林省との打ち合わせがございまして、出発直前に決まりましたものですから、委員会の当時はまだ検討中であったと存じますが、今回ワシントンでバンス長官に対しまして、日本政府としてはこういうことをする用意があるということを申したわけでございまして、この部分については政府資金で行うということにいたしております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そうしますと、これは政府が買い付けるわけですね。商社とは関係ないわけですね。

羽澄光彦外務省経済局次長

○羽澄政府委員 商社がやっておりますのは飼料穀物でございますが、今回大臣からお話が出ましたものは全部政府資金でございまして、商社のものとは関係はございません。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 大臣は穀物のこの問題について、少なくとも百万トン程度はわが国は買い付けてもいいんじゃないかというような意味の御発言もあったわけですが、二十万ないし三十万トンというこの数字は、どういう結果でこういう数字が出てきているのか、その辺をお伺いします。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 民間ベースの飼料穀物、特にトウモロコシなどについても前倒しということができれば百万トンぐらいの数字も可能ではないかというような考えがございましたが、この点農林省の所管でございまして、農林省側でいろいろ検討してまいって、そうなると民間ベースの問題でございますので、だれが金利を負担するかとかだれが倉敷料を負担するかとか、そういう問題がいろいろ出てまいりまして、今回の訪米までには具体的な話にならなかったわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、これはわが党の西中委員がこの間の予算委員会でこの問題について伺っているわけですが、農林省もそういう気持ちはないというような答弁があったやに承っているわけです。当然いまの二十万ないし三十万トンの買い付けということについては、農林省も調整されているというふうに理解していいわけですね。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 これは私の出発前に農林省と話し合いがつきまして、そういう言明をしたわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 この備蓄、これは備蓄体制等については全然問題ないわけですか。

羽澄光彦外務省経済局次長

○羽澄政府委員 これは備蓄として考えられておりますのは飼料穀物の備蓄が主でございますが、この点に関しましては、農林省の方も全然問題はないということでございます。  それから小麦の方に関しましては、一部はアメリカで買った小麦を開発途上国に援助として出すということで、これは備蓄の問題は起きませんが、前倒しの問題が若干まだあるわけでございますけれども、その方に関しましても、前倒しと申しましても備蓄というような点で倉庫とか何かに非常に大きな影響があるということではないので、この程度の規模であれば問題はないということで農林省から言葉を得ております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、これは先ほどの質疑にもあったわけでありますけれども、米国の対ソ穀物輸出、いわゆる制裁措置というものについての効果の問題ですね。一部効果は出てきているというようなお答えもあったわけでございますけれども、そういうことのために、先ほど前倒しで買い込むんだということですけれども、ちょっとやはり協力し過ぎではないかという感じもするのですね。その点はそういうふうに理解はされませんか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 この数量もわりあい少ないことでございますし、国内に対する影響もそれほど大きくない。えさの方は、これはいずれにしても輸入品でございます。それから途上国に輸出する部分も、これは日本の国内には入らないわけでございますし、実質的な前倒しというのは大体その三分の一程度でございますので、この程度で協力というのも少し気が引けるような程度のことかと思っております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 その二十万ないし三十万トンという数量は、これは農林省の意向ですか、外務省の意向ですか。どういうわけでそういう数字が出てきているわけですか。

羽澄光彦外務省経済局次長

○羽澄政府委員 お答えいたします。  実際には援助の面になりますと大蔵省も入りますので、大蔵省と農林省と外務省と三者で協力といいますか、意見調整した額でございます。特に援助の方は、主として大蔵省と外務省、それから穀物の備蓄につきましては農林省と外務省、それから小麦の前倒しにつきましてはやはり農林省と外務省というので意見が一致したということでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 この問題、最後に今度は総理が訪米されるわけですけれども、その際に、また新たに穀物問題についての話し合いが出るのかどうか、その辺いかがでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 恐らく出ないと考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 こういう問題に関連して、今回の米国の対ソ穀物輸出規制問題に関してこれ以上わが国としては米国の穀物を輸入することはないというふうに理解していいわけですね。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 先ほどちょっと申しましたけれども、飼料の輸入などで民間の採算ベースでということがあればこれは別でございますけれども、これは大体商業的行為だと見てよろしいかと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 この問題はこの程度で、次に、これは先月の二十二日、例の沖縄における米原子力艦船の放射能漏れの問題について、その後現地におきましては大変大きな県民問題になっておりまして、不安が大きい状況のままに置かれているわけです。確かに御説明等では全然危険度が少ないというようなことなんですけれども、わざわざ科学技術庁は記者会見をして発表もしているわけですが、これはどういうわけで、科学技術庁がこういうふうに危険はないと言いながら、ああいう記者会見をしてセンセーショナルにこれを取り上げて、非常に県民を不安に、そういう感じをかき立てるような状況にしているのか、外務省はどのように見ているのか、その辺お伺いいたします。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾(新)政府委員 原子力潜水艦あるいは水上艦艇の寄港につきましては、日米間に取り決めがございまして、その放射能測定についてはアメリカ側ももちろんやるし、日本側も科学技術庁が主としてやるという体制をとっておりまして、今回ホワイト・ビーチに寄港いたしましたロングビーチの入港中に二度にわたって科学技術庁の方が調査した結果、大体晴天でございますと九ないし十カウントというのが平常値でございますけれども、一回は十三カウント、一回は十四カウントという、平常値の範囲内でございますけれどもふだんよりも少し高いということがございましたので、科学技術庁はこの旨を現地で発表したというふうに私たちは了解しております。別に現地の不安感をあおるということでなくして、事実そのままを発表したというふうに理解しております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 それはそのとおりなんですが、外務省はやはり危険はないということでそういう判断に立っていらっしゃるわけですか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾(新)政府委員 私たちも科学技術庁からの説明を受けておりますし、この数値、すなわち十三ないし十四カウントであれば全く危険がないというふうに考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 米側に照会をされているはずですが、当然米側から回答は来ていると思うのですが、その後どうなっておりますか、アメリカ側の説明は。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾(新)政府委員 この事件が起きまして、三月の二十二日に、科学技術庁からの依頼もございましたので、在京アメリカ大使館について、こういう事件が起きた、その事情は何かということを調査してほしいということを申し入れております。もう回答が来てもいいというふうに私たち判断しておりますけれども、ただいまのところまだ回答が来ておりませんので、二、三日来わが方としてはアメリカ側に対して督促して、ぜひ早く回答をよこすようにということを現在アメリカ側と話し合っております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 アメリカと話し合いをしていらっしゃるということですが、何でこんなにおくれているわけですか。まだ調査中ということなんですか、その辺を……。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾(新)政府委員 先方の説明によれば、事柄の性質上慎重に調査したいということで時間が長引いているということでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そういうことで、外務省も危険はない、科学技術庁も危険はない、アメリカ側の回答はまだ来てないということですね。いま事柄の性質上慎重にということですが、そういうことでまだ不安は残ったままなんですね。その不安も、むしろ現地の方では一部にそういう米原子力艦船の出入については反対運動を起こそうというようなところまであるのですね。ですから、外務省としては早急に、日にちもたっているわけですから、米国の調査の結果はこうならこう、それについて外務省もこう思うならこう思うということを当然やるべきだと思うのですね。二、三日中に回答が来ると理解していいわけですか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾(新)政府委員 相手があることでございますので必ず二、三日中に来るという確約はできかねますけれども、私たちの得ている感じではそう遠くない将来必ず返事が来るということでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 次には、防衛増強の問題に関連をいたしてお伺いをしておきたいわけでありますが、アフガニスタンの情勢を契機としてカーター大統領が突如として危機感をかき立てて、わが国に対しても防衛力の増強を求めてきておるわけですね。今回外務大臣の訪米に当たりましてもわが国の防衛増強についての約束がされているわけでありますが、実際に大臣とされて中東地域に危機的情勢が存在している、このような御判断があるわけでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 現実問題としてアフガニスタンにソ連の軍隊が進駐しておるわけでございまして、その人数は七万ないし八万程度、国境のソ連側に約二万程度の軍隊が待機しておるということ、また、このアフガニスタンはパキスタン及びイランと国境を接しておりまして、インド洋にも非常に近いというような状況がございますので、あの地域に軍率的な緊張が存在しておるということは言えるかと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこでちょっと、そういうことからしまして、カーター・ドクトリンと言われている一連の政策についてASEAN諸国とかそれから非同盟諸国、あるいはNATO諸国はどういう反応を示しているのか、その点概略御説明いただきたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 このソ連軍のアフガニスタンに対する武力介入につきましては、いまお挙げになった地域の多数の国を含めまして国連における決議があったわけでございます。独立国に対して武力をもって介入するということは国際法上もあるいは国際平和の維持という点からも許されないことであって、無条件即時撤退を求めるという声はいまのASEAN諸国、それから中東イスラム諸国、その他一部アフリカ諸国等にもありまして、御承知のように一月初めの国連総会の決議では賛成百四票、反対十八票というような大きな差で、このソ連のアフガニスタン武力介入を非難し、即時撤退を求めるということであったわけでございまして、大体現在でもそういう世界的な考え方は変わっておらないと存じます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 先ほど大臣は、中近東にそういう軍事的な危険の存在はある、そして米側の日本に対する軍事増強要求、それに対するお約束というようなことなんですね、簡単に言いますと、  そこで政府は本来、いままでソ連に対して潜在的脅威論であったわけですね。しかし、ソ連との間のいわゆる日ソ友好関係もこれは推進していかなくてはならないという立場であったわけですね。今回のアフガニスタン問題を契機として、外務大臣の今回の訪米において防衛力増強を米国から押しつけられてくるということは、もうソ連に対して仮想敵国とみなした考え方でわが国の防衛力を増強しようという考え方なのか、従来とはもう考え方が違ったということなのか。最近特に外務省がこの問題についてハッスルをしていらっしゃるように感じられます。われわれの方から見た場合、政府がどう説明しようが、アメリカ戦略の中に日本が組み込まれた中での防衛力の増強としか考えられない。当然米国の政策というのは対ソであることは衆目の一致するところですから、そうならざるを得ない、日本の防衛増強問題も。それは違うというのであれば、違うということを明確におっしゃっていただきたいと思うのですね。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 第一に、日本の国のたてまえといたしまして、あくまでも専守防衛である、自分の国を守るために自衛隊を設けておる。防衛力というのは、文字どおりの防衛力でございまして、他に対する功撃的な性格は何ら持っていない。日米安保条約におきましても、日本の領土、領海が他から武力攻撃を受けた場合に発動するというたてまえでございまして、日本が自分の国の安全を守るというたてまえからできておるものと考えておるわけでございます。日本国民の安全を守る、本来ならば諸国の公正と信義に依存じて、日本は平和憲法のもとに暮らしていくというたてまえでございますが、不幸にして世界の情勢、この三十年ぐらいを見てまいりましても、他国に対する武力の行使が絶対に行われないという保証は必ずしもない。そういう具体的なケース、実例がいろいろ従来起こってまいっております。  そういう状況のもとで、特に極東におけるソ連の軍事力、ここ数年の間にかなり急激かつ大幅に行われておって、それが日本の北方領土に対する基地の建設を含め、あるいは極東における艦隊の増強、急激な増強を含めて行われておるという現実の事態がございまして、これに対して日本人は、われわれ自身の安全を守るという意味での対応をある程度していかなければならないという面があるわけでございます。これは必ずしもアメリカから言われるからやるということよりも、むしろわれわれ自身、日本人の生命、財産、領土保全という意味での防衛について、こういうことは万々ないとは思いますけれども、しかし、国民の運命に関する問題でございますから、そういう万一の事態に備えるだけのことはしておかなければならないということが基本にあるわけでございまして、アメリカから言われたからやむを得ずそういうことをやるんだということでは必ずしもないと思います。  私も、ブラウン長官との会談の際に、この点ははっきり申したわけでございまして、日本の専守防衛、平和憲法の大枠を崩すわけにいかない、その範囲の中でやれることしかやれないんだということは申したわけでございます。先方も、このことはよく承知しておる、しかし日本自身の安全を図るという意味で、純粋に防衛的な意味でまだある程度努力する余地があるのではないかということを申しておったわけでございますし、その後のバンス国務長宮のアメリカの上院の委員会における証言の中でも、われわれは日本の憲法のもとにおける制約といいますか条件を十分に承知している、その枠内での努力を期待したいんだという発言をしておるわけでございまして、これは、基本的には日本人自身が自分たちの安全ということをもとにして考えるべきことだと存ずるわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 時間が参りましたので、この問題はこれ以上議論する時間はございませんけれども、ただ、大臣がおっしゃいました、いろいろなことがいまの御説明の中にありましたけれども、そういう形で延長していきますと、わが国は非常に危険な方向にいく、エスカレートしていきますから、その点は、危険な方向にいくということだけは私率直に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

志賀節自由民主党・自由国民会議

○志賀委員長代理 榊利夫君。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 私は、きょうはたてまえ論ではなくて、少し突っ込んだ質問をさしていただきたいと思います。  けさの新聞でも、アメリカがイランの問題で制裁措置を延期するということが大きく報道されておりますけれども、この問題を含めまして、最近アメリカのカーター政権の力の政策、力の外交、その政治的な失敗、破綻が相次いでいるように感じます。イランのパーレビ政権の危機に対応した二年来のペルシャ湾への力の政策、これも行き詰まっていることは明らかでありますし、あるいはアフガン問題を契機といたしました、同盟国に軍事ブロックの再強化を求める策、これも、御存じのように、フランスその他西ヨーロッパ諸国は大変そっぽを向いているわけでありまして、米欧亀裂という言葉が生まれていることは御承知のとおりであります。  また、カーター政権のいわゆるスポーツ介入の問題、オリンピックボイコット策も、今日ではその孤立は明らかでありまして、IOC、西ヨーロッパ諸国のオリンピック委員会はもちろんのこと、足元のUSOCの場合にもボイコット協力という態度はとっていない、国内世論の動きも非常な変化を来しておる、こう伝えられております。  そういう最近のカーター外交の陥っている状態について、政府としてはどういうふうな御所見をお持ちなのか、これがまず第一点であります。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 カーター外交が行き詰まっているか、失敗しているかということについては、まだなかなか判断のむずかしい点がございます。この問題、やや長期的に見ていかなければならない面もあるわけでございます。  西欧諸国との関係も、これはそれぞれの立場がございますけれども、いずれの国も基本的にはいわゆる西側の社会制度といいますか、それを守る共通の利益があるということはいろいろな機会に発言されておるわけでございまして、具体的な手段について、場合によって意見の一致しないことも当然これはあり得るわけでございますけれども、基本的な点については認識がそれほど欧米の間では違っておらないように見受けておるわけでございます。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 認識の問題ではなくて、たとえばオリンピックボイコットの問題にいたしましても孤立しているという事実を申し上げているわけでありまして、要するに、日本の外交は日本の外交で世界を大きく見ながら進めていかないと、単眼で片一方だけ見て、それで従っていくということでは大変なことにもなりかねないということを申し上げているわけでございます。その点についてどうでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 私も外務省におりまして、いわゆる東側の方からもいろいろ訪ねてこられる方がございます。けさも東独の議会の議長、前首相が来られましたし、先般にはチェコスロバキア、ハンガリー等の外相、首相等の来訪もあったわけでございまして、そういう機会にできるだけ率直な意見交換をいたしております。日本の外交としては決して一方だけを見て他方に目をふさぐということではなくて、世界各国の動きに注目しながら、考え方も聞きながら判断をするということで努力してまいっておるわけでございます。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 オリンピックについては依然としてボイコット論の立場でございましょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 二月一日の政府の見解表明は別に現在まで変わっておらないわけでございます。最終的には五月二十四日がエントリーの期限でございますから、ぎりぎりそれまでに各国の情勢も決まっていくのではないかと存じます。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 というのは、これから態度を決めていく、こういうことですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 五月二十四日までには、これはしかし政府が決めるのではなくて、JOCが決めることになるわけでございます。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 そうすると、JOCの態度に従う、こういうことでございますね。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 そういうたてまえでございます。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 わかりました。  次に、いまの問題とも関連いたしますけれども、いかなる国も他国の内政問題に介入したり、干渉したりすることにつきましては、いま非常に多くの批判が出ていることは御承知のとおりであります。  そこで、外交官の問題についてですけれども、御存じの、外交関係に関するウィーン条約第四十一条は「接受国の国内問題に介入しない義務を有する。」ということが書かれておりますけれども、この「国内問題」というのはどういうことを指しているでしょうか。

伊達宗起外務省条約局長

○伊達政府委員 「国内問題」と申しますのは、まさにその外交官が派遣されました先の国におきますいろいろの内政の問題でございますとか、その他の国内問題でございます。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 内政その他の国内問題、それに外交官は口を、つまり介入してはならない、これは国際的にも常識でありますし、また条約でも明記されていることでありますけれども、私ここにアメリカ大使館から出ましたブレティンを持っております。米国繊維製造業者協会年次大会でマンスフィールド駐日大使が行った演説であります。三月二十七日。ここでこういうようなことを述べられているのです。日本の軍事的な役割りを大幅に拡大することへの制約がある、それは平和憲法の問題、非核三原則、それから兵器輸出禁止政策、この三つを挙げておられます。次いで、われわれは日本が防衛支出を着実かつ顕著に増額していくものと予想しているが、日本はこの点についてみずから決定すべきであり、またそうするであろう、こういうふうに述べているわけであります。これは現職の大使であります。このことは御存じでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 それはマンスフィールド大使のハワイにおける演説であるかと存じますが、承知しております。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 この中身についてはどうでしょうか。明らかにこれは軍備拡張の制約が憲法その他日本にあるということを知りながら、軍拡をみずから決定すべきである、またそうするであろう。これは明らかに憲法否定ないし憲法改定をも示唆する発言、こう見られてもいたし方ないものでありますけれども、この内容についてはどういうお考えでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 私どもはいまお話しのような根本的な問題を含んでいる発言とは考えませんので、日本が日本国民の安全を守るためにある程度の努力を期待するという意味での発言だととっております。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 つまりこの方は、日本の憲法がそういう軍備拡張あるいは軍事的な役割りを強める、そういったことを禁止しているということを御存じなのですよ。そのことを明言しながら、なおかつ防衛支出を着実かつ顕著に増額していくものと予想している、決定すべきである、そうするであろうと。これは通常外交官としては許されない、ウィーン条約でも禁止されている国内問題への介入、こういうふうに見られてもいたし方ないのじゃないでしょうか。どうでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 その大使の講演は、たしか聴衆は主としてアメリカ人だったのではないかと思いますが、そういう日本の持っておる制約ということをよく知らない一般の米国人もいるということで大使が言及されたのではないかと思います。  ウィーン条約の関係は条約局長から回答いたします。

伊達宗起外務省条約局長

○伊達政府委員 マンスフィールド大使のこの講演でございますけれども、そこにおいて述べられていますことがもし日本に対して憲法を改正しろとかいうような発言でございますれば、これはあるいは国内、内政問題への介入というようなことになり得るかもしれませんけれども、単に日本の状況というものを説明し、アメリカ側の願望と申しますか、こういうふうにしたらいいのではないかというような程度のものでございますれば、ここにウィーン条約に申します接受国の国内問題ということにはならないのではないかと思います。  と申しますのは、私どももこれは国際間で非常によく行われている日常茶飯事でございますけれども、たとえばアメリカの金融政策というようなものがございました場合に、その金融政策に対して日本の金融の担当の当局であるとかあるいはヨーロツパの金融担当当局であるとかいうものが批判を加えます。それは不適当であるとかと言うことは、もう国際的関心のある事項に関して国際間でいろいろのことが言われることは普通通常でございまして、これを国内専管事項に対する介入だということにはならないと思うわけでございます。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 これは一般論じゃなくて、こうしたらいいといった程度の発言でもなくて、現職の大使ですよ。東京にいらっしゃる大使その人が発言しているわけでありまして、ただ一介の政治家やあるいは一介の評論家が言っているわけじゃないのです。私はそこを言っている。みずから決定すベきであるとか、そうするだろうとか、しかも制約をよく知った上で明言していらっしやる。私はそういう事態が当然であるということは成り立たないと思うのです。どうでしょうか。

伊達宗起外務省条約局長

○伊達政府委員 先ほどのお答えの繰り返しになるようでございますけれども、マンスフィールド大使の発言の程度のものであれば、ウィーン条約に申します国内問題に介入しているというようなことにはならないと思います。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 それでは当然というお考えでしょうか、それとも好ましくはない、こういうお考えでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 これはアメリカ政府からも言われておることで、その希望を述べたことだと思います。好ましいか好ましくないかということは、これは日本人自体が独自に判断すべきことでございまして、日本人の中でもそういう発言が当然だという方もあるでしょうし、好ましくないとお考えになる方もあるのじゃないかと思います。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 憲法擁護義務を持っている政府閣僚としてどうお思いになりますか。結構なことだとお思いでしょうか、それとも好ましくないというお考えでしょうか。     〔志賀委員長代理退席、奥田委員長代理着席〕

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 この問題は全体の世界情勢ないし日米関係、日本の安全という面から総合的に判断するべき問題でございまして、しかも一般的な発言に対して好ましいとか好ましくないということを私の立場で言うべき筋のものではないと思います。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 私は、日本の政府として日本の憲法あるいは非核三原則、これを変えたという決定はないわけでありまして、兵器輸出禁止政策にしてもそうでありますけれども、それと違った立場から仮に希望でありましても現職の外交官が物を言う、それに対してやはりきっちりとした態度をとるということが必要なのであって、それを弁護するような態度をとったりあるいは黙っておくという態度では道を誤ることにもなりかねない、こう思うのでありますし、道理に反している、こう思うのです。そのことは政府が憲法の問題やこれまでの政策にどういう態度をとるか、このことに関してくると思うのであります。そのことの自己認識はいかがでしょう。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 いまのマンスフィールド大使の発言は、日本にそういう憲法を変えろとか、いまある制約を変えろということを言っておるのではなくて、アメリカ市民に対して、日本はこういう制約のある国なのだから、そのことを日本とつき合う上でよく理解すべきだという意味で発言しておると私どもは解釈しておるわけでございます。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 次の問題に移っていきたいと思いますけれども、やはりこういう問題については、日本の憲法の立場あるいは政府の立場、国民の立場、言うべきことははっきり言う、こういう態度をとっていただきたいと思うのであります。  二つ目の問題ですが、さきの訪米の際、ブラウン国防長官が防衛庁の中期業務見積もりの一年繰り上げ達成を主張し、外相は着実増強あるいは防衛力の質的向上を表明されたと伝えられております。対潜、対空等々の質的向上のことを述べておられるわけでありますけれども、中身はどういうものでございましょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 今度の場合には中身についての話はなかったわけでございますし、先方の話についても、たとえば防衛力の強化の問題につきましても、これは日本政府全体として考えるべきことであり、特に防衛当局の直接の問題でもあるから、東京に帰ってその米側の希望は伝えますということで、それ以上の話し合いはいたさなかったわけでございます。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 対潜能力と言う場合にP3Cは入っているのでしょうか。あるいは対空能力と言った場合にミサイル等々は入っているのでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 そこまでは私もわかりません。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 では、具体的には何をおっしゃっているのでしょう。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 対潜、対空に関する日本の防衛力を強めることが期待されるということでございますし、それ以上の話にはなりませんでした。これは当然双方の防衛当局が話し合われるべき問題だと存じます。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 その問題を含めまして、日本の軍専費について、いま増強の要求がアメリカからしきりに行われておりますが、仮に本年度のGNPの〇・九%の防衛費、こう前提をいたしまして、大蔵省の財政収支試算のようにGNPの伸び率が各年度実質一一・四%、大来外相の言われる五・五%、これでいった場合に、五年後の軍事費はどれくらいになりますか。

畠山蕃大蔵省主計局主計官

○畠山説明員 私どもが財政収支試算でGNPの伸び率を一一・四%ということで想定いたしまして計算しました六十年度におきます防衛関係費は、いわゆるGNP比〇・九%を前提といたしまして三兆八千二百六十二億円という形になります。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 私どももいろいろ試算をさせていただきました。御必要なら後でまたお渡しいたしますけれども、〇・九%でそのままいった場合でも三兆八千、これはことしのそれの約一・七倍でございます。  それでは〇・九%に着実に上乗せしていくということで〇・〇二%ずつ加算していった場合、五年後にはどうなりますか。

畠山蕃大蔵省主計局主計官

○畠山説明員 〇・〇二%ずつ加算いたしますと、五年後にGNP比で一・〇%ということになると思いますが、これを前提といたしますと、防衛関係費は四兆二千四百九十億円という計算になります。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 私どもの計算と完全に一致をいたします。四兆二千億円ですね。そうしますと約二倍ということになります。これはやはり大変な軍事費でございまして、各年度の防衛費の伸び率とその他の一般会計の歳出の伸びというものには大変差が出てくることになります。防衛費や国債費を除いた一般会計の歳出の伸びは大体九%から九・三%、こういうふうに見られておりますから。  この点では、御承知のように、竹下大蔵大臣の二年ないし五年がかりでGNP比一%に持っていくことはきわめて困難だという答弁があるわけでありますけれども、大来外相自身は、その可能性という問題についてはどういう御判断でございましょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 これはやはり国の基本的な政策に関する問題でございまして、財政当局、防衛当局、それから総理大臣、その他閣僚の間で相談すべき問題だろうと思います。  いま数字をお挙げになりましたけれども、これは先ほども高沢委員にお答えしたときに申し上げたのですが、その半分は物価のインフレ分だ、実質的増加ではないということでございます。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 仮にそういう若干の物価上昇分を考慮に入れたといたしましても、〇・九%でいっても三兆八千億、それに〇・〇二%ずつつけ加えていけば四兆二千億という膨大な軍事費になる。日本の財政力あるいは経済が困難の折に、これが、経済自体にとっても大きな問題を投げかけることは明らかであります。  あわせてちょっとお尋ねいたしますが、日本の国際収支の現状はどうでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 国際収支はかなり大幅な赤字になっておると存じます。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 いや、日銀の方がおられたら日銀当局にお伺いしたい。昨年度でも九十億ドルの赤字であります。ふえております。国債の累計はどうなておりますか。——時間がないから、それでは私の方から言わせていただきます。  一九七四年から一九七九年、この間だけでも約四十九兆円に上っていると思います。言いかえますと、日本の財政困難あるいは財政収支の状況というものは非常に危機的だということであります。これはやはり、私たちは共通の認識を持つことができるだろうと思います。いわゆるお金持ちの国ではございません。時間がないので、それに対して余り細々質問できませんけれども、在日米軍基地の施設あるいは労務費の負担あるいは借地代、そういう今日日本の一般社会で行われているようなものも、在日米軍基地等々では取られていないわけであります。日米安保条約による日本の対米協力、これは金額に直したら非常な巨額に達します。人的な面でもそうであります。  お尋ねいたしますけれども、改定安保後の駐留米軍による犯罪件数あるいは死者は、現在どうなっておりますか。

南雲彬防衛施設庁総務部補償課長

○南雲説明員 私どもは、いま御質問のありました犯罪件数というような意味での統計をとってございません。事故がありました際の損害賠償という民事面での把握でございます。  昭和三十五年から五十四年十二月まででございますが、当庁の統計としましては約七万七千件でございます。死亡者は三百八十名でございます。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 いまの数字をそのまま信用するといたしましても、やはり大変な数であります。私たちの調査でも、一九七九年十二月現在で駐留米軍の犯罪等々のために死んだ日本人の数が九百六十七名という数字が出ております。財政的に見ましても、あるいはそういう面から見ましても、主権という点から見ましても、やはり重大な問題を投げかけていることはもう明らかでございますけれども、日本が大変な負担をしているわけであります。普通安保ただ乗りだということが言われておりますけれども、私に言わせれば安保ただ乗りというのはアメリカの方です。これだけの負担をしている。  ところで、お尋ねいたしますけれども、アメリカ国防総省は沖繩海兵隊をペルシャ湾などの世界各地の緊急展開部隊として使うということを報道されております。これはもうすでにしばしばやられている。ところで、アメリカ政府自身は九月一日からの新予算でこの関係での予算は計上しているのでしょうか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾(新)政府委員 手元に数字がございませんので正確なことは申し上げられませんけれども、いわゆる緊急展開部隊については本年の国防白書の中に記入されておりまして、その司令部を設けるということでございますので、ある程度の経費は本年度のアメリカの国防費の中にも計上されているというふうに理解しておりますけれども、具体的な数字については、私いま手元に持っておりません。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 計上しているというふうに理解していると言われますけれども、計上してないのです。それがむしろアメリカでは問題になっている。ワシントン・ポストの二月十三日付でも、「カーターの国防ゲーム」という論文が載っておりまして、この中で、繁急部隊については、カーター政権の遊びじゃないか、この関係での兵員をふやすための予算は一セントも計上されてない、一セントも組んでない、こう言っているのです。ところが、日本にだけは協力を要求される、これは大変な矛盾であります。不当であります。だからそのことについては日本の外務省当局もリアルな理解を願いたい。北米局長が、予算を組んでいると理解している、そういうことじゃ困るのです。  したがって、いわゆる安保ただ乗り論、こういったことについては、日本の政府としてそういうことについてははっきりと否定する、打ち消す、これくらいの態度があってしかるべきだと私は思うのです。どうでしょう。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 予算の点は検討してみる必要があると思いますが、ただ、緊急部隊は、私どもも既存のいろいろな海兵隊から集めて編成するというふうに聞いておりましたので、あるいは御指摘のようなこともあるのかもしれません。実際は、給与は払われるし、給与も予算の中から出るのだろうと思います。  日本側の負担、ただ乗りではないということは、もちろん日本側もそれだけのいろいろな形で負担をしておるわけでございます。これは基本的に日本の安全というものを、日本政府としては自衛隊による防衛能力とそれから日米安保条約に基づく抑止力とそれから日本の平和外交の展開、こういう三つの柱の上に日本人の安全、生命、財産というものを保っていく。世界が理想的な状態で、全く他国に対する武力攻撃、武力侵入が行われないという世界であれば、いまのようないろいろな負担は不必要なことかもしれませんけれども、遺憾ながら、なかなか人間社会そこまでいってない点もあるように思うわけでございまして、万一ということについて日本の安全を考えるのは、これは政府の責任でありますし、また、日本国民の多数の願望でございます。生命の安全ということ、自国の安全ということはまず第一に守られなければならないことだろうと思いますので、これは一方的な負担ということにはならない。  つまり、安保条約に基づきまして、もし日本に他の国からの武力攻撃があった場合には米軍がこれを助ける、生命の犠牲を払っても日本の安全を守るという国際的義務を引き受けておるわけでございますし、日本側はアメリカの安全を守るという義務は、安保条約のもとにないわけでございまして、こういう点も含めてこの問題は総合的に考えるべき問題だろうと存じております。

榊利夫日本共産党・革新共同

○榊委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、要するに日本の本当の安全、独立、主権、利益、そういった点から日本の外交は展開すべきであって、いたずらにアメリカならアメリカの要求のままにいく、それはいろいろな面でそういう本当の方向からは、ずれてくる、そのことについて私たちはぜひひとつ国民の皆さんにも訴えていきたいし、政府としてもその点については、先ほど申しましたように冷厳な目で臨んでいく必要がある、このことを、いまの答弁を聞きながら、大変いろいろな点で不満を感じるものでありますし、そのことを一言つけ加えさしていただいて、質問を終わります。

奥田敬和自由民主党・自由国民会議

○奥田委員長代理 林保夫君。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 引き続いて御苦労さまでございますが、緊迫する国際情勢の問題につきまして御質問させていただきたいと存じます。  まず、情勢の認識でございますが、先ほど来種々防衛問題について、大変集中しての質問が出ておりますように、国論と申しますか国民の関心が急にこのことにきていることは、もう大臣御承知のとおりでございます。そのことと関連いたしまして、過般大臣が訪米なさいます前、たまたまアメリカヘ行く機会を得まして、ワシントンで四日間ほど官民の方々あるいは議会の方々の御意見を聞いたのでございますが、その間で私なりにいたく感じた問題がございます。いろいろ挙げればたくさんございますが、いわゆる日欧間の差の問題がございます。これは外交上の問題といたしまして、先進国間での日本、あるいは欧州との関係においての日本、同じ自由主義国家群の中にありながらもなお日本の立場がいささか違っておるような扱いを受けておるような報道、いっぱいあると思います。それらにつきまして、つまりワシントンから見まして私なりにそのことを、これから日本が国際社会の中において、そしてまた国の安全を守りながらがんばっていくという中においてどういう対応をしなければならぬか、解かなければならぬ問題の一つとして考えたような次第でもございますので、まず外交の側面から、大来外務大臣がこの日欧間のいわゆる差の問題についてどのように御認識になり、またそれを克服されてどういう御努力をされておられるか、またされようとしておられるか、承りたいと存じます。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 ただいまの林委員の御質問は、アメリカとの関係における日欧の違いという御趣旨かと思いますが、御承知のように米欧の間には歴史的、民族的にも非常に深いつながりがあるわけでございまして、それに比べれば日米間の関係というのは比較的浅いという点が一つあると思います。また、意思疎通の度合いも、やはり米欧間の方が日米間よりもより緊密な関係があることも否定できないかと思います。また、いろいろ社会制度の違いというもの、歴史的な背景も違いますし、制度も違う、文化も違うという事情もございまして、これは例として適当かどうかわかりませんけれども、例のイルカ問題なども日本人の受け取り方とアメリカ人の受け取り方に相当なギャップがある。アメリカの下院の外交委員会の方々との会談の際にイルカの問題の質問が出ましたけれども、社会、風俗、歴史、そういうものの背景の違いをお互いに認識すべきだということを私も申したわけでございますけれども、そういう意味では、日米間の方が欧米間よりも関係を円滑にするための努力がより大きく必要な面があると存じております。  ただ、日本の国際的地位というものも、十年、十五年前に比べますとだんだん上昇していることも事実でございまして、いろいろな場面で日本の意見が求められることも以前に比べて大分ふえてまいっておるように感じておりますので、日本人としては差別されているという意識を余り持たない方がいいのではないか。もし日本の考え方が世界全体を考えた中での正しいと思う意見であればこれを主張することが必要でありますし、そのことがまた相互の理解を一層進めることにもなるかと感じておるわけでございます。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 世界は一つになってきておりますし、国際社会における日本の立場は非常に大事なものになってきておると思いますので、差別意識でなくて、本当にそういうものを乗り越えていくような御努力を外交姿勢の面、あるいは実際の施策の面でもぜひお願いいたしたいと存じますが、これと関連いたしまして、やはり先ほど来出ておりましたように、日本の安保ただ乗り論、これは抜きがたいものがアメリカにあろうかと思います。そして昨年のイラン、アフガン情勢、その後における緊張した情勢の中で西欧のとった防衛努力と日本側のとった努力、これはかなりの差がまたあろうかと思いますが、それらにつきまして、防衛庁の方きょう来ていらっしゃいますでしょうか。——根本的に、集団安全保障体制をとるNATOと、日米安保によって日本は専守防衛の立場をとっておりますその違いはあろうかと思いますが、なおやはり外交上見逃しできない日欧間の差異がある、このようなことを感じますので、最近における日欧間の防衛、あるいはその努力の差を防衛庁の方からお述べいただけたら情勢認識に非常に助かると思いますが、よろしくお願いいたします。

池田久克防衛庁防衛局防衛課長

○池田説明員 御質問に正確にお答えできるかどうか自信がございませんけれども、NATO関係につきましては、私も何回かNATO軍の方へ参りましたし、また個別にドイツとかカナダの関係者ともいろいろ話をしておりまして、その限りにおいてお答えしたいと思います。  御承知のようにNATOにつきましては、一九七七年の五月にNATOの国防大臣クラスの会議がございまして、防衛費を実質的に三%ふやしていこうということが決まりました。翌年の一九七八年の五月にこれが首脳レベルで決まりまして、以後NATOはほとんどの国々がといいますか、若干の例外があるのかもしれません、たとえばアイスランドのように軍備を持っていないところもございますから一律に議論できないことだと思いますけれども、NATOの各国は実質三%ふやしていく。そしてふえた三%は人件費とかそういうところに投入しないで装備の近代化等に投入をしていく。ドイツなんかもかなりの防衛費を負担しておりますし、また現にドイツ本国にかなりの基地を展開しているという状況がございますけれども、経済、財政ともに非常に苦しい状況は変わっておりません。あの豊かなカナダといえども同じような状況でございます。にもかかわらず、これらの国々はこの三%を守りつつあります。アメリカはNATOのいわば指導的な地位にありますけれども、御承知のようにこの三%の水準をはるかに超えまして、来年度は五%、順次年度によって下がっていきますけれども、実質で四%程度のものをふやしていこうということを決心しているように聞いております。  なお、NATOにつきましては、御承知のように空軍と陸軍につきましては統合軍ができてございまして、それに各国が現実に参加して、司令部系統も整備しておりますし、それに対応します訓練も日々やっている状況でございます。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 ただいまお話しのように、NATO、カナダも含めまして大変防衛力の増強を決意して現在やっておるわけでございますが、そういう状況に際しまして、今日先ほど来議論になっておりますように、わが国に対する防衛力の増強につきまして、種々アメリカ側の要請が、中期業務見積もりの一年繰り上げそのほかの議論としてただいま出ておるわけですが、これらはまず外務大臣からお答えいただきたいのでございますが、安保条約の第三条にございます「締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。」こういうのがございます。これに基づいて要求が来ている、こういうふうに解釈してよろしいのでございましょうか。もしそうでございましたらいつの時期からそういう要諸が米側から来たか、外務大臣から……。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 後ほど条約局長から答弁させたいと思いますが、第三条は、一般的にそれぞれの武力攻撃に抵抗する能力を、憲法上の規定に従うことを条件にして維持し発展させるということでございまして、個々の具体的なケースが第三条によって行われておるというよりも、一般的な協力関係というふうに受け取っておりますが、なお念のために条約局長から答弁させたいと思います。

伊達宗起外務省条約局長

○伊達政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣から申し上げましたことが当然でございますけれども正しいことでありまして、この第三条は、一般的にそれぞれの能力を維持し発展させましょう、それぞれ自主的な立場から発展させましょうということを一般的な規定として定めたものでございまして、これに基づいて具体的な要請が出てくるというような規定ではないものだと考えております。     〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 詰めたいのでございますが、もう一つあらかじめ聞いておきたい問題がありますが、過日も新聞報道で、三月十七日でございますが各社出しておりますが、ホノルル発で「日本の防衛海域を拡大」という見出しで出ております。その中で私ども見逃せないというよりも、もうすでにそういう状況が来ているんじゃないだろうかということを心配しておったことが報道によって明らかにされておりますのは、日米間の、極東及び太平洋におけるいわゆるアメリカ海軍あるいは第七艦隊と言っていいんですが、そのプレゼンスの問題でございます。「中東情勢緊迫化を受けて米第七艦隊の大部分がインド洋にスイングされ、西太平洋の米海軍プレゼンスはゼロに等しい状態になっている。」という報道がございます。もちろんいままで政府側からこういった形における状況の説明は聞いたことはございませんが、この機会にひとつ防衛庁の方から、どういう状況に現在太平洋がなっておるのか、あるいは極東をめぐる米国の軍隊の配備がいわゆる極東の緊張、十二月二十七日以前と以後、その違いでも結構でございますが、御説明いただきたいと存じます。

池田久克防衛庁防衛局防衛課長

○池田説明員 極東地域、太平洋、インド洋を含めましてこの地域におきます米ソの軍事的な兵力推移につきましては十分御承知のことと存じまして概略を申し上げますと、このところアメリカの兵力は隻数とかトン数では横ばいもしくは減少という姿でございまして、それに対しましてソ連側が数的にもふえているということは言えると思います。ただ、これは単なる数だけで議論するということは非常にむずかしい問題が含まれていると思います。それなりのバランスが維持できているとわれわれは考えております。  御質問の、インド洋等に対する兵力の移動に関連してどうかということでございますが、まず移動の状況等を申し上げますと、これは本来インド洋というのは太平洋艦隊のいわば自分の責任範囲になっておりまして、別に移ったとか移らないという性質のものでございませんが、一応インド洋と西太平洋というものを分けて考えるといたしますと、御承知のように従来米海軍はインド洋に年三回程度のいわば巡回をしておったわけであります。それが昨年の七月以降、これはブラウン国防長官が声明しておられますけれども、その回数を四回程度にふやしまして航空母艦とかいわば機動部隊を展開するかっこうにしておりました。それが昨年の暮れから御承知のように常続的に現在艦隊レベルの兵力が展開されておりまして、現在は三十隻程度の船が展開されております。一方、こちらの太平洋地域につきましては三十五隻程度現在ございまして、西太平洋が空であるというような認識をわれわれ持っておりません。  さはさりながら、その海軍兵力が減っていることは否定できない事実でありますが、それに対しまして米側は、すでに御承知と思いますけれども、空軍につきましては沖縄やフィリピンの航空機を新しいF15とかあるいはF4の新しいG型とかそういうものを展開して補っております。また韓国には新しくF4の部隊を展開しておりますし、また近くA10という航空機を韓国に展開すると聞いております。また沖縄には御承知のように動くレーダーサイトといいますようなE3Aが配備されておると聞いておりまして、防空能力も非常に高まっております。  海軍兵力につきましては航空母艦の航空機が新しいF14に変わるということは実行中と聞いておりますけれども、艦艇につきまして、御承知のように新しいタイプの潜水艦、新しいタイプのフリゲート艦、駆逐艦、これがすでに展開しております。  陸上兵力につきましても、たとえば韓国では火砲の近代化が行われておりますし、ヘリコプター等の更新、近代化も行われると聞いておりまして、総合的に考えて、アフリカはこの地域に対するコミットメントの遵守に抜かりがないと考えております。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 関連しまして、その報道の中に、「ソロモン司令官代理はまた「空母ミンスクなどの極東配備によって、太平洋におけるソ連の脅威は急速に増大している」」日本人にとっては心寒くなるような報道がされておりますが、現在ミンスクがどういう行動をとっておるのか、わかる範囲で結構でございますが、そしてまたアメリカの第七艦隊の空母が二隻たしか西太平洋にはおったはずでございますが、それがどういう状況になっておるか、わかる範囲で御説明願いたいと思います。

池田久克防衛庁防衛局防衛課長

○池田説明員 ソ連のミンスクがどうなっておるか、定かではございませんけれども、われわれのいまの入手し得る情報で私自身が判断いたします限り、動いていないと思っております。  それから航空母艦のインド洋に対する展開は、御承知のように一時期ミッドウェー、コーラルシーとそれから地中海の方からニミッツという新しい航空母艦が参っておりまして三杯いたこともございますけれども、御承知のようにミッドウェーが帰りまして、横須賀で大変歓迎を受けて非常によかったと思っております。したがいまして、現在はコーラルシーとニミッツがいると考えております。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 ミンスクは動いてないということでございますが、どこにおるかということもわかりませんか、防衛庁の情報では。

池田久克防衛庁防衛局防衛課長

○池田説明員 われわれそこまで定かではございませんが、洋上にあることは間違いないわけですけれども、ということは、修理とか何とかという意味じゃないのでございますが、この近くにいるだろうと思いますけれども、どことまではわれわれ正確にわかる力を現在持っておりません。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 あれだけ大きな船がわからぬというんじゃ大変さびしい感じがいたしますが、率直にまた防衛庁にお伺いいたしたいのでございますが、つまり十二月二十七日、あのアフガンにソ連が進駐して以来米国も対応を急いでおりまして、スイングの気持ちもよくわかると思います。そしてまた、現実にハワイから中東へ部隊を移動したとかいう報道も出ておりますが、そのスイングの結果として、今日日本を取り巻く、極東周辺と申していいのですが、その軍事バランスが以前とかなり変わった、こういう御認識がおありかどうか。そしてまた、現在それで十分なのかどうか、防衛庁はどのようにお考えか、もう一つ聞いておきたいと思います。

池田久克防衛庁防衛局防衛課長

○池田説明員 スイング、スイングと最近議論されますけれども、実は海上兵力とか航空兵力は本来機動するところが価値でございまして、それができなければ意味がないわけでございますから、われわれ特別の戦略というふうに理解しておりません。いずれにいたしましても、インド洋にアメリカ、さらにはフランス、イギリスの兵力も展開されておりますけれども、こういう力がこの地域の安定に貢献をいたしまして、その最も利益を受けておる国の一つに日本があることは間違いないと思います。したがいまして、これはわが国の存立にとってかけがえのないこととわれわれは認識しております。  さらにそれでは、西太平洋も含めてバランスはどうなっておるのかという点でございますが、先ほど申し上げましたように、防衛にはパーフェクトというところはないと思います。しかし、われわれはわれわれなりに、米側とも連携をとりながら、この地域の安全保障に貢献しているつもりであります。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 少しわかりにくいのでございますが、もしそうであるとすれば、こういう人騒がせな新聞報道が出るわけもないと思いますし、またそうであるならば、国民としても安心して、防衛努力を余りしなくてもそれなりにもう十分なんではないだろうかという結論になりかねませんので、また、追って情報のあり次第、ひとつ国民にもよくわかるように、防衛庁、いろいろと御努力も願いたいし、外務省も御努力を願わなければ、せっかく先ほど来大臣お答えのように、ステディにいたしましても、日本は日本としてこれからみずからを守っていかなければならぬ、こういうことをいわゆる国策として打ち出そうとしていらっしゃいますのに、そういう条件がまるっきりわからぬようであっては、国民は何のための増強なのかということになってしまおうかと思います。  特に、戦後三十年間、こういう防衛問題に対しますアレルギーがきわめて強かったという日本でありますだけに、正確な情報あるいは正しい認識となるようなデータを、防衛庁並びに外務省の皆さん方から、どうかこれから積極的にお出しいただくよう、このことを特にお願いしておきたいと思います。でなければ、新しい国の安全に対応する、われわれのやっていかなければならぬ、防衛努力もその一つだろうと思いますし、そのほかの外交上の懸案の解決もその一つでございましょうが、できなくなってしまいますので、あえて注文さしていただきたいと存じます。  続きまして、けさの新聞報道にございますが、言うまでもございません、日本の外貨準備が二百億ドルを割るということで、かなり大きな見出しで出ておりました。GNPと同じように、外貨準備高によって国の力をはかること、そのことはどうかと思いますけれども、なおわれわれが非常に重要な経済指標としておりますこの外貨準備高が二百億ドルを割るという情勢でございますが、このことについて、大臣の御専門としての立場あるいは外務大臣のお立場から、こういう状況でいいのかどうか、ひとつ承りたいと存じます。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 この問題は大蔵省がお答えする方がよろしいのかとも思いますが、石油価格の第二次値上げと申しますか、これで年間石油代金支払いが倍になりまして、ことしは六百億ドル近くになるんではないか。増加分だけでも三百億ドル近くになるということでございまして、日本の全体の外貨準備なり貿易の規模から言っても非常に大きなものがございます。同じようなことが昭和四十八、九年に起こったわけでございますが、当時の経験を振り返ってみますと、しばらく国際収支の赤字は避けがたいと存じますが、次第にこれに対応して輸出が伸びる、あるいは石油の輸入の節約が行われるということで、ある時間たてば外貨準備、国際収支も回復に向かうことになるんではないかと一応考えておるわけでございます。  いま、短期的には、石油の輸入をドルで代金を支払うということもございまして、円とドルの関係でドルが非常に不足するというような点もございますが、これは外貨準備が為替相場にも響いておると思いますけれども、長期的に見れば、日本のインフレーションの度合いはアメリカよりはかなりまだ低いわけでございますし、また年々の生産性の上昇率も日本の方がはるかにアメリカより高いということを考えますと、長期的には外貨準備及び為替レートで悪くなり続けるということはどこかでとまるのではないか、反転するのではないかと一応見ておるわけでございます。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 大臣のおっしゃいましたような経済の実態あるいは生産性によって、日本国民の働きぶりを信じておれば、それほど心配はないというようなお感じの御答弁でございますが、なおこの上に外交努力を大いに国民としては要請いたしたいところでございます。  御承知のように、日本と西ドイツとの比較をしてみますと、ドイツは大変たくさんの外貨を持っております。しかもなお、その国には資源が地下に埋まっておるというようなぐらい、日本と違った経済的にも基礎のしっかりした国であろうかとも思います。日本の場合は、輸出入ともに大きな規模になっておって、なお二百ドルを割るような状態で、果たしてこれでやっていけるんだろうか、こういう心配が国民的な立場からいたしますと強く出ておるかと思いますが、日本は、今日の輸出入貿易を踏まえまして、どの程度の外貨準備をいたしておくべきか、またあるべきだろうか、大臣に承りたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 これも本来大蔵省の問題でございますから、私からお答えすることもどうかと思いますけれども、常識的に輸入額の三、四カ月分というようなことを申します。そういたしますと、最近では輸入額が月に百億ドルぐらいになりますか、あるいはそれを少し下回るかもしれませんが、そういうことから言えば、やや少ないということは言えるかもしれません。しかしこれは、最近では貸借勘定等もいろいろありますし、経済の基本的な健全性というようなことも条件に入ってまいりますので、いまの状態で特に不安だということでもないように思います。やはりその国の経済の持っております力というものの国際的な評価もあるわけでございますから、一時的な外貨の減少であれば、これはそれほど心配することではないと考えるわけでございます。

林保夫民社党・国民連合

○林(保)委員 やはり二百億ドルでは足りなくて、西ドイツ並みの水準までには持ってこなければいかぬのじゃないか。それが、三百億ドルがいいか、四百億ドルがいいかはまた別といたしまして、やはりこれから安心していけるような状況に持っていっていただく、そのための外交努力もぜひやっていただきたい。  また、過般この委員会の席でも申し上げたのでございますが、前回のエネルギー危機のときに二百億ドルが一挙に百億ドルになり、また今度は、三百四十億ドル近くなっていた外貨がまた一挙にこうなってしまう、こういう状況に日本が置かれますことは、これはまさに外交上ゆゆしい問題である。外交上と申しますよりも、国民の生活あるいは経済の基盤を奪うような状況になろうかと思います。この一点につきましても外交努力をぜひお願い申し上げておきたい。  特に今度はたまたま大平総理とともに再びアメリカに行かれるそうでございますが、そういう視点で、日本の国の対外的な関係、日本の安全、防衛、さらにはこういったものを、経済の問題を含めまして安定的な方向に日本の基礎が固まりますように御努力をお願いいたしまして、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。     —————————————

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員長 この際、航空業務に関する日本国とフィジーとの間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とスペインとの間の協定の締結について承認を求めるの件、千九百六十九年の船舶のトン数の測度に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名された国際博覧会に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の締結について承認を求めるの件、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約の締結について承認を求めるの件、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約第十一条3(a)の改正の受諾について承認を求めるの件、千九百七十九年の国際天然ゴム協定の締結について承認を求めるの件、国際連合工業開発機関憲章の締結について承認を求めるの件及び日本国とフィリピン共和国との間の小包郵便約定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。  政府より順次提案理由の説明を聴取いたします。大来外務大臣。     —————————————  航空業務に関する日本国とフィジーとの間の協定の締結について承認を求めるの件  航空業務に関する日本国とスペインとの間の協定の締結について承認を求めるの件  千九百六十九年の船舶のトン数の測度に関する国際条約の締結について承認を求めるの件  千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名された国際博覧会に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件  特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の締結について承認を求めるの件  絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約の締結について承認を求めるの件  絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約第十一条3(a)の改正の受諾について承認を求めるの件  千九百七十九年の国際天然ゴムの協定の締結について承認を求めるの件  国際連合工業開発機関憲章の締結について承認を求めるの件  日本国とフィリピン共和国との間の小包郵便約定の締結について承認を求めるの件     〔本号(その二)に掲載〕     —————————————

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 ただいま議題となりました航空業務に関する日本国とフィジーとの間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国とフィジーとの間の直通の航空業務の開設に関しましては、昭和四十九年三月にフィジー政府より航空協定締結についての希望が表明されました。これに対し、政府といたしましては、同国が南太平洋島嶼諸国を結ぶ航空路の要衝の一つであり、特にわが国とニュージーランド(オークランド)との航空路の中間地点としての同国の重要性にかんがみ、また、経済技術協力の分野を中心とした両国関係が着実に発展してきていることを考慮し、右交渉を行うこととし、本年二月東京においてフィジー政府との間で協定締結のための交渉を行いました。その結果、本件協定案文について最終的に合意に達しましたので、本年三月十日スヴァにおいて、わが方大鷹駐フィジー大使と先方ヴァカトラ観光・運輸・民間航空大臣との間で署名を行いました。  この協定は、わが国とフィジーとの間の定期航空業務を開設することを目的としておりまして、そのための権利を相互に許与すること、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。また、この協定は、わが国が署名した航空協定としては三十四番目のものでありまして、わが国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容においてほぼ同様のものであります。  この協定は、両国の友好協力関係の強化に資するとともに、両国間を直結する航空路を開設することによって、拡大しつつある貿易経済関係に伴って顕著な増大を見せている両国間の人的及び物的交流の一層の増進に役立つものと期待されます。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。  次に、航空業務に関する日本国とスペインとの間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国とスペインとの間の直通の航空業務の開設に関しましては、昭和四十四年以来、スペイン側より希望が表明されてまいりましたが、近年に至り、両国間の貿易、投資等の経済関係が緊密化し、また、両国間の往来も増加するに及び、政府は、協定締結交渉を行うこととし、昭和五十四年四月以降スペイン政府との間で本件交渉を行ってまいりました。その結果、本年一月協定案文につき最終的合意に達しましたので、本年三月十八日マドリッドにおいて、わが方横田駐スペイン大使と先方プーチ外務次官との間で署名を行いました。  この協定は、わが国とスペインとの間の定期航空業務を開設することを目的としておりまして、そのための権利を相互に許与すること、業務の開始及び運営についての手続及び条件等を取り決めるとともに、両国の指定航空企業がそれぞれの業務を行うことができる路線を定めるものであります。また、この協定は、わが国が署名した航空協定としては三十五番目のものでありまして、わが国が従来締結した多くの航空協定と形式、内容においてほぼ同様のものであります。  この協定は、両国の友好協力関係の強化に資するとともに、両国間を直結する航空路を開設することによって、拡大しつつある貿易経済関係に伴って顕著な増大を見せている両国間の人的及び物的交流の一層の増進に役立つものと期待されます。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。  次に、千九百六十九年の船舶のトン数の測度に関する国際条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  船舶のトン数は、船舶の安全規制の適用基準として、また、入港した船舶に対する課税及び手数料徴収の基準として用いられております。したがいまして、各国の船舶に対する公正な取り扱いを期するためにトン数の測度基準を国際的に統一する必要性については、古くから認識されてまいりました。この条約は、このような認識を背景として、昭和四十四年六月にロンドンにおいて採択されたものであり、締約国が自国の船舶のトン数の算定に関して用いるべき技術的規則を定めるとともに、条約に従ってトン数の算定が行われたことを証明する証書の発給及び証書の互認等について規定しております。  この条約には、本年二月二十日現在、四十一カ国が締約国となっておりますが、発効要件は満たされるに至っておりません。  わが国がこの条約を締結することは、船舶のトン数の測度基準の統一に関する国際協力を推進するため、また、証書の互認により船舶の運航上の不便を除去するために有意義であるとともに、海運及び造船の分野において国際的に重要な地位を占めるわが国に対する国際的な期待にこたえるためにもきわめて望ましいと考えられます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  次に、千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名された国際博覧会に関する条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  この議定書は、国際博覧会の秩序ある開催及び運営を確保する目的をもって作成されました千九百二十八年の国際博覧会条約の内容を今日の要請に応ずるように改正し、並びに整合性のある単一の文書を作成するために昭和四十七年十一月三十日にパリで作成されたものであります。この議定書は、現行の国際博覧会条約の締約国のうち二十九カ国が締結した日に効力を生ずることになっておりますが、昭和五十五年三月一日現在二十八カ国が締約国となっておりますので、あと一カ国の締結をもって発効することになります。  わが国は、昭和四十年に現行条約に加入して以来、現行条約のもとに二回の国際博覧会をわが国において開催し、他の締約国において開催されました国際博覧会にも積極的に参加してまいりました。また、今後筑波において特別博覧会を開催することが計画されておりますので、わが国がこの議定書を締結することは、わが国における今後の国際博覧会の開催について博覧会国際事務局及び各締約国の一層の協力を得るためにもきわめて望ましいと考えられます。  よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。  次に、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  近年における経済活動の国際的な緊密化及び技術交流の拡大という状況のもとにおきましては、創造的な研究開発の成果を一国においてばかりでなく複数国において保護する必要が痛感されるようになってきております。微生物に係る特許出願につきましては出願に際しわが国を含めて多くの国で、微生物を指定された寄託機関に寄託することとされているため、複数国で特許を取得しようとする出願人は、複数の寄託機関に微生物を寄託しなければならず、このことは、出願人にとってかなりの負担となっておりました。  この条約は、以上のごとき出願人の負担を軽減するために作成され、昭和五十二年四月二十八日にブダペストで採択されたものであり、一定の要件を満たした微生物の寄託機関を国際寄託当局とし、締約国は、いずれかの国際寄託当局に対して行った微生物の寄託を自国における特許手続上承認することを内容としております。  わが国がこの条約を締結することにより、わが国の出願人による微生物に係る外国特許の出願が容易になる結果、わが国の国民が行った研究開発の成果の保護、ひいては研究開発の発展に資することとなります。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  次に、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約の締結について承認を求めるの件及び絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約第十一条3(a)の改正の受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  野生動植物は、地球の自然のかけがえのない一部をなすものであり、また、人類にとって大きな価値を有するものでありますが、一部の野生動植物につきましては、過度に捕獲されまたは採取されましたため絶滅のおそれが生じているのが現状であります。絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約は、このような野生動植物を国際取引の規制という面から保護することを目的として昭和四十八年三月に作成されたものであり、本年二月末日現在、米国、英国、ソ連等五十九カ国が締約国となっております。  この条約は、野生動植物の一定の種の個体、部分等の輸出、輸入、再輸出及び海からの持ち込みについて規制するものであり、特に厳重な規制が必要とされます絶滅のおそれのある種につきましては、商業的目的のために輸入等を行うことを原則として禁止しております。なお、政府といたしましては、条約の規定に基づき、絶滅のおそれのある種として条約の附属書1に掲げられておりますナガスクジラ、ジャコウジカ、イリエワニ、ウミガメ科に属する三つの種及びオオトカゲ科に属する三つの種の計九つの種について留保を付することを予定しております。  絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約第十一条3(a)の改正は、昭和五十四年六月に西独のボンにおいて開催されました条約の締約国会議の特別会合において採択されたものであり、締約国会議に対し財政規則を採択する権限を付与することにより条約実施のための財政的基盤を確立することを目的といたしております。  わが国がこの条約を締結し及びこの条約の改正を受諾することは、野生動植物を保護し、野生動植物が有する価値を将来にわたり維持するための国際協力を推進する見地からきわめて望ましいと考えられます。  よって、ここに、この条約の締結及びこの条約の改正の受諾について御承認を求める次第であります。  次に、千九百七十九年の国際天然ゴム協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  昭和四十八年の石油危機を契機とした一次産品問題に対する国際的な関心の高まりを背景として昭和五十一年に開催された第四回国際連合貿易開発会議におきまして、一次産品価格の安定を目的とした一次産品総合計画が採択されました。  天然ゴムは、一次産品総合計画の対象である十八品目の一つでありまして、同計画のもとで交渉が行われた結果、昭和五十四年十月六日にこの協定が採択された次第であります。この協定は、本年十月一日を発効目標日としております。  この協定は、天然ゴムの価格が過度に変動することの回避、天然ゴムの輸出による収入の安定、天然ゴムの供給の確保等の目的を達成するために緩衝在庫を設置し、在庫の適切な運用を行うこと等について定めております。  この協定の締結により、天然ゴムの価格が安定し、加盟輸出国に生産の継続に必要な刺激を与え、もって、天然ゴムの継続的な供給が確保されれば、世界第二位の天然ゴムの輸入国たるわが国に対しても大きな利益をもたらすものと考えられます。さらに、この協定は、国際連合貿易開発会議の一次産品総合計画のもとで新規に成立した最初の協定でありまして、わが国がこの協定を締結することは、天然ゴムの主要生産国たるASEAN諸国とわが国との友好関係の維持及び増進に貢献することとなるばかりでなく、広くわが国の南北問題一般に対する積極的な協力姿勢を示す上においても重要な意義を有すると考えられます。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求めます。  次に、国際連合工業開発機関憲章の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  国際連合工業開発機関は、開発途上国の工業化を促進することを目的として国際連合総会が採択した決議に基づき、国際連合の自立的機関として昭和四十二年に設立されました。  昭和五十年に、ペルーの首都リマにおいて国際連合工業開発機関の第二回総会が開催されまして、新たな国際経済秩序を確立することを目的として、開発途上国の工業化の原則を確立し及び工業開発の分野における広範な活動を促進するための工業開発及び工業協力に関するリマ宣言及び行動計画が採択され、その中で同機関を専門機関に昇格させるべきことが定められました。これに従い憲章作成交渉が行われた結果、昭和五十四年四月八日にこの憲章が採択された次第であります。この憲章は、本年二月二十六日現在未発効でありますが、七十六カ国が署名を了し、うち七カ国が締結しております。  この憲章は、国際連合工業開発機関を専門機関に改組し、及びその活動を強化することを目的としており、機関の目的及び任務、内部機関の権限、予算の原則等国際機関の設立のための事項について定めております。  この憲章を締結することは、開発途上国の基本的課題である工業開発の分野における国際協力に貢献する上で、また、開発途上国に対するわが国の経済協力を一層積極的に推進する上で有意義であると認められます。  よって、ここに、この憲章の締結について御承認を求めます。  最後に、日本国とフィリピン共和国との間の小包郵便約定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  現行の日比小包郵便約定は、昭和三十八年に締結されて現在に至っております。  一方、わが国を含む世界の大多数の国が加入している万国郵便連合の連合小包郵便約定にはフィリピン共和国は未加入でありますが、この連合小包郵便約定は、現行の日比小包郵便約定の締結後、三回にわたって改正されました。このため、日比小包郵便約定と連合小包郵便約定との間には、小包郵便物の取り扱い等に関して不均衡が生じてきております。  以上の状況にかんがみ、政府といたしましては、昭和四十九年七月に新たな連合小包郵便約定が採択された機会をとらえ、現行日比小包郵便約定の全面的な改正を行い、両約定間の不均衡をなくすこととし、昭和五十年四月フィリピン側に対し予備的協議の開始を提案いたしました。その後昭和五十四年十一月から正式に改正交渉を行いました結果、約定の最終案文について合意を見るに至りましたので、本年三月二十四日にマニラにおいて、日本側田中駐比大使とフィリピン側タナベ郵政庁長官との間で、この約定の署名を行った次第であります。  この約定の主要な改正点は、現行約定を体系的に整理するとともに、継ぎ越しの権利を規定したこと、小包の航空運送料、通関料、保管料等の料金の額を万国郵便連合の定める最高限度額に結びつけたこと、取り調べ請求等に対する回答を電信によっても行い得るようにしたこと等でありまして、この改正により、現行日比小包郵便約定と連合小包郵便約定との間に従来見られた不均衡をなくし、もって、日比両国間の小包郵便物の交換業務の一層の円滑化を図りました。  したがいまして、この約定を締結することは、小包郵便の分野における日比両国の協力関係の一層の増進に資するものと考えられます。  よって、ここに、この約定の締結について御承認を求める次第であります。  以上十件につき何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  各件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、来る四日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時十一分散会

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