外務委員会 第10号
- 発言数
- 42 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1980/03/24
会議録
○中尾委員長 これより会議を開きます。 関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更に関する第四確認書の締結について承認を求めるの件等ガット東京ラウンド関係諸協定十件を一括して議題といたします。 質疑の申し出がありますので、これを許します。土井たか子君。
○土井委員 外務大臣、お疲れさまでございました。大変でいらしただろうと思います。 お疲れのところ早速でございますが、きょうは、いま委員長からございました東京ラウンドについての質疑を議了させるべく協力をするという意味で、ひとつ精力的にやりたいと思いますから、どうぞよろしくお願いをいたします。 この条約について、審議に協力をするというふうな気持ちから、実は十九日に大臣がアメリカに向けて御出発をなさいました後、私は質問をさせていただきました。ところが、その節、質問の過程で政府調達に関する数字の問題が出てまいったわけでございます。それは、交渉中でございまして国益上問題があるということで中身は一切聞かされずに、私は不本意ながら、不満ではございましたけれども先に質問を進めたわけでございます。しかし、ECの政府調達のオファー分は幾らかというふうなことについて質問をいたしまして、初めは答えていただけませんでした、しかし、衆議院の他の委員会で答弁しているではないかというふうなことを私がここで申し上げました結果、渋々約百億ドルでございますという答弁を聞くことができたわけです。ところが、さらにそのオファーの中で防衛関係費のオファー分はどれくらいかということを御質問いたしましたところ、それは秘密だという答弁がさらに返ってきたわけであります。 しかし、この答弁につきましては、私はここに議事録を持ってまいっておりますから、その部分について確かめる意味でここで読ませていただきたいと思うのですが、昨年の二月二十日の予算委員会で、ここに御出席の手島局長は答弁をされているわけであります。その部分を読ませていただきます。 お答え申し上げます。 ECの調達体の範囲は、先ほど申し上げまし たように主として中央省庁でございまして、ほ ぼ百億ドルの調達額ということになっておりま すけれども、そのうちで国防関係省庁の国防 費、国防調達というものの数字が約三十七から 三十八億ドルというふうに承知しております。ちゃんと答えておられるのですね。ところが、それについては国会で答えていないということで、秘密でございますと言って答弁を拒否されたわけであります。 私は、幾たびかに及ぶ答弁拒否に遭いまして、そもそも局長なり経済局なりの思想というものは、この条約が通りさえすればそれでいいのだという考えしかないのじゃないかというふうに思います。当外務委員会、国会を侮辱する以外の何物でもないとさえ私は思うわけであります。全く私は不快千万でございまして、これでは審議を続けることに支障を来すというふうにも考えているわけでありますが、十九日のこのやりとりは委員長御自身十分御存じのところでございますので、当外務委員会の名において、委員長御自身どうお考えになっていらっしゃるかというところからひとつお伺いをいたしたいと思うわけであります。
○中尾委員長 ただいま土井委員から、十九日の政府側の答弁につきまして御指摘がございました。 この際、委員長から特に申し上げておきます。 先日の委員会の質疑に関しましては、土井委員と全く同じ思いを感ぜざるを得ないことを指摘しておきたいと思います。今後、委員の質疑に対しましては、誠意を持って、明確なおかつ適切に答弁をされるように強く求めます。
○大来国務大臣 ただいま土井委員及び委員長からお話をいただきましたが、私も昨夜帰りまして、きょういろいろ十九日の模様を聴取いたしたわけでございます。 十九日の午後の当委員会におきます外務省の事務当局の答弁ぶりにつきましておしかりを受けたわけでございまして、また委員長からも御注意をいただいたわけで、大変申しわけなく存じております。 十九日の午後は、私、訪米のために欠席いたしたにもかかわらず、当委員会で御審議を願ったことは大変感謝いたしておるわけでございまして、その際の模様につきまして事務当局から聴取いたしまして、今後は十分注意するように、私から関係の政府委員に対して厳重に申し渡しますので、どうぞ御了承いただきたいと存じます。
○土井委員 外務大臣からのそういう御意見でございますから、いま外務大臣に引き続き質問をさせていただくことにしたいと存じますが、大体、条約、協定の内容については、私たちがその内容について十分に理解をし、そしてそのことについて納得ができるようなものでないと、実は条約に対して承認ということにはならないわけでございます。 そこで、具体的に、この「日本電信電話公社」の部分について、(i)項には「公衆電気通信設備は、含めない。」ということがございますけれども、その同じ項目の(iii)項で、例の「この協定は、千九百七十九年六月二日に公表された日本国政府及び合衆国政府の交渉者による共同発表の一(A)に照らし千九百八十年十二月三十一日までに電気通信の分野におけるこの協定の適用範囲に関する合意が得られた場合には、その合意の対象となった調達について適用する。」とございまして、この(i)項、(iii)項が一体として読まれなければならないという中身になっております。したがって、一体として読んだ場合には、この(i)項の中身が、いま交渉中でございますがゆえに全くよくわかりません。いわば、いまのままでよろしゅうございますと言ってしまえば、白紙委任状を外務省に対して、当外務委員会ひいては国会が出したようなかっこうになるというふうな結果を来します。 したがいまして、この(iii)項の内容については、これからの交渉でございますけれども、交渉の途次にその中間報告あるいは妥結する前夜における報告を、当外務委員会あるいは理事会において外務省からぜひ提示を求めたいと思うわけでありますが、これはよろしゅうございますね。
○大来国務大臣 ただいま御指摘の問題は日米間の懸案事項になっておりまして、牛場・ストラウスの共同声明にも出ておるわけでございます。これはできるだけ早くこの問題の解決に至りたいということで政府側も努力しておるわけでございますが、本委員会におきます審議の状況も踏まえまして、この問題につきましては、交渉妥結に至るまでの間に、適当な時期に当委員会または理事会に交渉状況の中間報告をいたすことといたしたいと思いますので、どうぞ御了承をお願いいたします。
○土井委員 それはしかと承りました。その約束はぜひ履行していただきたいと思います。 さて、しばしば、政府からのこれに対する説明を承っておりますと、いま問題になった第(iii)項は留保するというふうな表現を使われるのです。留保と言われるのですね。説明をされているのを承りまして、幾たびかこれを私自身も聞いているわけでございますが、留保というのは条約上の留保ではないと私は思うのです。条約上の留保ですか、どうですか。その辺は条約上の留保だとは思わない。九条の「最終規定」というところの2項を見ますと、「留保は、この協定のいかなる規定についても行うことができない。」と書いてございますから、ここに言うところの留保ではないと思うのですが、条約局、よろしゅうございますね。
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。 いま土井先生から御指摘がございましたように、答弁の過程におきまして、この政府調達協定の注釈の、特に5のところだと思いますが、そこに書いておる言葉につきまして留保という表現を政府委員が行ったのを私も記憶いたしております。 ただ、いま先生がおっしゃいましたように、留保という答弁は条約上の言葉としては正確ではない表現であったと思います。条約上の留保は、先生御指摘のように九条の2項に「この協定のいかなる規定についても行うことができない。」と書いてございまして、そのような意味での留保は一切いたしておらないわけでございまして、政府委員が留保という言葉を使ったのは、条件といいますか、そういうことを用語を誤って留保というふうに使ったと思います。
○土井委員 そこのところは答弁の中では正確に御説明をなざらないと、これは特に私は外務省の名誉のために申し上げたいと思うのですが、当委員会の議事録が翻訳されて、関係各国がこの内容についていろいろ調査をなさったり研究されたりするということがないとは限りません。だから、そこのところは誤解を生じないように、やはり正確な用語を用いてここで御答弁なさるように、外務省の名誉のためにこの点は特に、だめ押しのようなかっこうになったかもしれませんが、一言申し上げておきたいと思います。 それは外務大臣、よろしゅうございますね。これは確認しておきますよ。
○大来国務大臣 ただいま御指摘のとおり用語の誤りがあったようでございますので、十分注意させたいと思います。
○土井委員 そこで、政府調達の問題を考えてまいりますと、いままで日本の場合は、特に制度の上から考えまして内外無差別となっていたというのが実態でございます。しかし、実体的には指名入札や随意契約が圧倒的でございまして、実質的に外国の企業や外国の産品を締め出してきたということが過去の事実としてございます。これは動かすことのできない事実だと思うのです。しかし、今回のこの協定で、外国企業も入札を許すという約束が行われるわけですね。そして、その実施及び運用について毎年検討することになっているわけでございますね。この協定に基づいて外国企業の入札を形式的に許したものの、実際に外国企業の入札は一件もない、反対にわが方が多くの入札を得られたというふうな事態も当然そのことの結果として考えておかなければならない状況だと思うのです。 そういうふうな場合に、わが国に対しまして市場開放の努力が認められないというふうな抗議がその結果起きてくるということも考えておかなければならない。そうなれば協定の締結の意味がなくなるばかりか災いにすらなってしまうということもございますので、今後国際協調と国益を踏まえましてこの協定の運用というのが大変重要になってくると思います。今後の運用いかんによってはこの協定を生かしもすれば殺しもいたしますから、この協定の運用について大臣の御決意のほどを承っておきたいと思うのです。いかがでございますか。
○大来国務大臣 この点は、外国の企業が調達の機会を得るということでございますから、その応札をしたものが必ずしも発注者の満足を得る、あるいは他の競争者に対して競争力を持つということにはならない場合もあると思いますので、実績としては外国の企業は入札はするけれども入らないという場合もあるかと思います。 しかし、いま土井委員の御指摘のように、もしさっぱり外国のものが実績として入らない、一方日本の企業は海外でこの政府調達に相当食い込んでおるということになりますと、やはり日本の国際的な立場、信用から見て問題になると思いますので、この点はそれぞれの担当の官庁があると思いますので外務省としては国内の官庁ともそういう点についてf常に話し合いを続けるようにいたしたいと思います。
○土井委員 いまアメリカからお帰りになった外務大臣でございますが、アメリカにこういう関係のことが一件もないというのでは、今後いろいろ政治的な配慮であるとか行政指導が行われないとは限らないと私は思うのですね。そうなりますと、私どもからは予期をしない不透明なことが起こるおそれもなしとしないので、この点大変不安であると同時に気にかかります。このようなことも十分考えながらやっていかないといけないという点については、外務大臣どのようにその示しを御用意なすっていらっしゃるか、この辺いかがでございますか。
○大来国務大臣 今回向こうに参りましたときにも、米国側からも出たことでございますけれども、場合によるとことしの日米貿易は百六十億ドルくらいのアメリカ側の入超になるかもしれない、一昨年、非常に貿易のアンバランスが言われたときが百十六億ドルでございましたが、それよりも大きくなる可能性もあるということで、できるだけ日本の市場を開放してくれ、アメリカ側もできるだけ輸入制限はやらないでやっていきたいので日本の市場開放についても十分努力してほしいというアメリカ側の話もございまして、こういう国際的な約束の実行については、外務省としても国内の担当官庁とよく話し合ってまいりたいと思います。もちろん、いろいろな国内政策の状況から見てできないこととできることとがあると思いますけれども、こういう協定に示された国際的義務というものをできるだけ忠実に実行していくということは当然日本としてなすべきことだろうと考えておるわけでございます。
○土井委員 今回、訪米の席で向こう側から当然政府調達問題というのが議題として出たはずだと私たちは思っておりますし、また大臣もいろいろ御意見をそこで披瀝なすっただろうと思うわけですが、どんなことがそのとき議題になり話題になったわけでございますか。
○大来国務大臣 余り個々の問題に深く入ることはいたしませんでしたけれども、電電の問題、これは本年の十二月末までに解決するという牛場・ストラウスの共同声明の約束になっておりますが、この問題をなるべく早く具体的な解決に到達したいという希望の表明がございました。 それからスタンダードの問題について、どうもアメリカ側は日本の輸入についての規則、検査がやかまし過ぎるという印象を持っておるので、できるだけその緩和について具体的な措置をとってほしい。政府調達ということに限りますと、いまのような点が今回の話で出てきた主な点かと思います。
○土井委員 それからさらに、新聞などでは連日のように大臣が向こうでお話し合いになっていらっしゃる中身を報道いたしておりましたが、どうも新聞でいろいろ書かれております中身を見てまいりますと、防衛費の問題について着実かつ顕著に速やかに強化するというふうな表現があちらこちらで書いてございますが、防衛費については正確に一体どのようにアメリカ側は言われたのかというあたりはどうなんでございますか。
○大来国務大臣 防衛費につきましては、ブラウン長官から、最近の極東情勢あるいはアフガニスタン以後の中東、インド洋の情勢等に照らしまして、日本側が防衛計画を着実かつ顕著に、ステディ一・アンド・シグニフィカントに強化してほしいという話がございました。それに対して私は、従来の日本の国内の考え方、国会におけるこの問題に関するいろいろな御意見等を紹介いたしまして、ステディーということは確かに考えなければいけないと思うけれども、シグニフィカントというような形での急激な増強ということは日本の現状に照らして考えられない、それから日本の立場はあくまでも専守防衛という立場であって、そういう立場での努力ということの範囲を超えることはできないということを、ブラウン長官にもバンス長官にもはっきり申したわけでございます。
○土井委員 ステディーという英語、まあ米語ですね、それからシグニフィカントという英語、これは日本語で訳すと大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。これをどのように訳せばいいのですか。
○大来国務大臣 ステディーは着実と一応訳しでおります。シグニフィカントは顕著にという……。
○土井委員 そうすると、顕著にというのはだれでもが目で見て客観的に掌握できるような状況ということもその中には意として含まれているというふうに理解していいわけでございますか。
○大来国務大臣 ブラウン長官の言い方は、たとえば三月十五日のアメリカのインフレ緊急対策の中でも財政を大幅にカットすることを含めておるんだけれども、それにもかかわらず防衛費については実質で四ないし五%増加するということは変えないということになっておるわけであって、財政はアメリカも非常に苦しい状態にある、そういう意味で日本のステディー・アンド・シグニフィカントな増強を期待したいんだ、そういう言い方をいたしまして、余り具体的に数字で示すということはございませんでした。
○土井委員 その辺、わかりました。ただ、数字で具体的でなくとも、いま大臣からお伺いをして、シグニブィカントの中身というのは今後これが具体的に大変問題になるだろうと思うのですね。 そこで、ちょっと一言だけ私は承りたいのですが、これは日本における米軍のいわゆる駐留費というものを日本に対して肩がわりさせるということの意味も中に含めて、向こうとしては問題にしているのじゃないかという向きはいかがでございますか。
○大来国務大臣 そのことも含めて先方は申しておりました。ブラウン長官の立場では、自分は毎日議会あるいは言論界から同じ質問を受けている、アメリカがこれだけ努力をして税金を負担もしているのだが、ヨーロッパ及び日本の友好国は同様な努力をしているのかどうかという質問を受けておるので、その際、日本側が米軍の駐留費の一部について負担を増加しているというようなことが答えられれば自分も非常に助かるという言い方をいたしておったわけでございまして、私の方からは、従来もある程度在日米軍の経費負担を増加してまいっておるわけでございますけれども、地位協定を変えるという考えはありません、地位協定の解釈の範囲で負担できる労務費は限界に達しております、ただ、施設費の方で場合によればある程度負担を増加する余地があるかもしれない、そういう点は日本政府としても十分検討したいと思うという答えをいたしたわけでございます。
○土井委員 アメリカ側とのいろいろな話し合いというのが今後、今回問題になっている協定にもかかっておるような部面がございますから、関連するという意味であと一問だけお尋ねをしたいのは、アメリカ側が日本に対してこういうふうな防衛費の大幅増強というのを要求してまいります理由というのはどの辺なんでございますか。
○大来国務大臣 一つは、極東及び中東の情勢、たとえばアフガニスタン以後の情勢に対応してインド洋及び中東方面にアメリカの海軍力の相当な部分を張りつけなければならない。それに対して極東の日本防衛、自分たちも日本の憲法上の問題、従来の方針というものは十分理解しているつもりなので、日本の直接の防衛という点について、その範囲で、しかしまだいろいろ日本側がおやりになることがあると思うので、その面で努力をしてもらいたいんだ、そういうような言い方でございまして、主として世界情勢の変化、特に極東におけるソ連の大幅な軍備増強、あるいはソ連の極東における海上勢力の大幅な増強へその後におけるアフガンの新しい情勢、こういうものに対応して日本側もお考え願いたい、大体そういう趣旨だったと思います。
○土井委員 そうすると、その辺端的に言えば、アメリカの中東政策への協力であるとか、アメリカの世界的な東西軍事バランスの維持というふうな問題の両面から、日本に対して防衛費の大幅増強ということを期待されているというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
○大来国務大臣 もう一つ大事なことは、日本に非常に近い地域で非常に大きなソ連の軍事力の増強が行われている。北方領土における基地建設も含めて、直接日本に近い地域でそういう変化が起こっておるということも向こう側の話の一つになっておったわけでございます。
○土井委員 かつて外務委員会の席で大臣に対しまして、今回の軍備増強の問題というのは、好むと好まざるとにかかわらずアメリカの世界戦略体制ということに対して日本は協力することになるのではございませんかという質問を申し上げれば、大臣は、一時はそれを肯定なさり、やがてそれを否定なさるというふうな御答弁の順序だったと私は記憶をいたしておりますが、今回こういうふうなアメリカ側との話し合いというのを、いまもまたこれは十分ではございませんにしろ、承っている限りでは、やはりそういうアメリカの戦略体制に対しまして日本も組み込まれつつある、また組み込まれていきつつある、こういうことの気配を非常に私自身も感じざるを得ないのです。まことにこの点、問題が大きいわけでありますが、大臣、その点についでは一言だけお答えをいただいて……。
○大来国務大臣 私は現在の日本の立場、あくまでも日本の安全、日本国民の安全というものをどうすべきかという立場で対応していくべきだ。これは日本の、戦後の日本国民が選んだ選択というのは、日本国民の安全を、できるだけ少ない防衛力といいますか、自衛隊の力で専守防衛だ、それと日米安保条約というものによって、起こり得る外からの侵略に対する抑止力を期待する、この二つの柱の上に日本国民の平和と安全を守る、これが大きな筋であると思います。 これはやはり日本の安全というものが日本だけで守れるかどうか、これはいろいろな情勢の変化もございますし、やはり日米安保条約というものを一つの日本国民の安全のための重要な柱として、そういう選択をしてまいったわけでございます。日米安保というものも、仮にどこかから侵略があったときに直ちに日本の防衛をやるという体制が円滑に動くというか、そういう状態を維持しておかないと、日本国民の生命、財産の安全が本当に守れるかどうかという問題があるかと思いますので、アメリカの軍事体制に巻き込まれるということは、これは日本の平和憲法から申しましても、私も今回はっきり申したわけでございますが、たとえば中東における紛争あるいは軍事活動が何らかの形で起こる、これに日本は協力をすることは絶対できないんだということははっきり申し上げたわけでございます。
○土井委員 それではいよいよ東京ラウンドの採決に入る前に、この中身は考えれば考えるほど世紀におけるいろいろな外交の課題の上で大きな役割りを果たす条約であることは疑いの余地がございません。国民生活ということの立場に立って考えた国益という問題、それと今後の国際協調という問題を考えていった場合に、非常に大きな中身を抱えているそれぞれの協定であり、東京ラウンドであるということを私たちも十分にこれは自覚をして、この中身に対して今後の運用がいかに大事であるかということも考えるわけでありますが、大臣に、採決に入る前に、先ほどは政府調達の問題についてお尋ねをしたわけですが、東京ラウンド全体についての御決意のほどを承って、私の質問を終えたいと思います。
○大来国務大臣 東京ラウンドは、御承知のように七年の歳月を費やしまして、その間に石油ショックその他世界経済にもいろいろな大きな問題が起こったわけでございますが、しかし、とにかくこの条約が妥結に至ったということは、各国が保護主義に陥れば世界貿易全体が縮小し、各国は経済が停滞、貧困化するという自覚、拡大均衡を求めるということの決意を再確認したことになると思います。 また、日本のように、食糧もエネルギーもその他の資源も大量に海外からの供給に仰がなければならない、それに対してかせぐ外貨は工業製品が中心であるという貿易の構造から申しますと、やはり基本的に自由貿易の世界でありませんと、日本の貿易の拡大、したがって国民の生活水準の向上もなかなかうまくいかない。そういう日本自身の立場から申しましても、この東京ラウンドの成立は、これからの日本国民の生活の向上ということにも直接つながる問題だと考えます。 また、自由貿易が保護主義化に向かってまいりますと、単に経済面でマイナスの影響が出てくるだけでなくて、かつて一九三〇年代にも起こりましたように、経済がブロック化するとか、相互に経済的な交流が妨げられることが、政治的な対立、やがては軍事的な対立まで行くという危険もなきにしもあらずでございまして、そういう意味で、とにかく保護主義に行かない、できるだけ世界貿易の拡大均衡で各国が経済の将来を開拓していこう、こういう願いが込められておると思いますので、東京ラウンドの締結はそれなりに非常に大きな意味があると私は考えておるわけでございます。
○土井委員 終わります。
○中尾委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○中尾委員長 これより各件に対する討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。野間友一君。
○野間委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、いわゆる東京ラウンドの諸協定のうち、第四確認書、ジュネーブ議定書、補助金・相殺措置協定、スタンダード協定、政府調達協定、民間航空機協定の六案件について、反対討論を行います。 承認案件とされている諸協定は、八〇年代のわが国の対外貿易の枠組みに重大な影響を及ぼすものであります。 東京ラウンド交渉の動機は、ドル危機など世界経済での相対的地位の低下に悩むアメリカが、新たにアメリカ主導の貿易秩序の確立、各国の市場開放を求めることなどにありました。 調印された主要な協定は、わが国でも自動車、鉄鋼など、いわゆる国際競争力の強い分野の独占企業にとっては好都合な面があっても、中小企業や農業などには重大な影響を与えるものであります。その結果、日本経済のつり合いのとれた自主的、総合的な発展にとって、重大な否定的影響を及ぼすことになります。 第一に、政府調達協定、補助金・相殺措置協定などは、それでなくても苦しい中小企業、地場産業に追い打ちをかけるものとなります。これらはもともとアメリカが要求してきた問題ですが、大企業の関連下請業者や中小企業に犠牲を強い、労働者の多大な失業を生み出す現実的な危惧を感ぜずにはおれません。 第二に、今回の諸協定及び日米農産物交渉の合意内容などは、畜産、果樹農業初めわが国の農業にとって、さらに深刻な事態を招くことは必至であります。 特に農産品などの関税引き下げ、柑橘等の輸入枠の拡大などが輸入の増大をもたらし、食糧自給率を一層低下させるだけでなく、農家の経営困難、後継者不足などにさらに追い打ちをかけることになるであろうことは、火を見るより明らかであります。 第三に、政府調達協定、民間航空機協定などは、日本の科学技術、先端技術産業を、IBMのようなアメリカの多国籍企業の食い物にさせ、また、対米従属下に置かれている日本の航空機産業の現状をますます固定化させるものにほかなりません。 また、スタンダード協定は、国民の生命、健康、安全等にとって危惧すべき問題を含んでいるものであります。 さらに、発展途上国がこれらの諸協定に対して反発している原因も考えなければなりません。すなわち、根本的には、新国際経済秩序という途上国の新しい権利と要求を反映していないからなのであります。 以上、三点にわたる反対理由を述べまして、討論といたします。
○中尾委員長 これにて討論は終局いたしました。
○中尾委員長 これより採決に入ります。 まず、関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更に関する第四確認書の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書(千九百七十九年)の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第六条、第十六条及び第二十三条の解釈及び適用に関する協定の締結について承認を求めるの件、貿易の技術的障害に関する協定の締結について承認を求めるの件、民間航空機貿易に関する協定の締結について承認を求めるの件及び政府調達に関する協定の締結について承認を求めるの件以上六件を一括して採決いたします。 各件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中尾委員長 起立多数。よって、各件は承認すべきものと決しました。 次に、関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定の議定書の締結について承認を求めるの件及び輸入許可手続に関する協定の締結について承認を求めるの件の以上四件を一括して採決いたします。 各件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○中尾委員長 起立総員。よって、各件は承認すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○中尾委員長 次回は、来たる二十八日金曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時二十八分散会