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91回国会衆議院1980/03/19

外務委員会 第9号

発言数
325
登壇者
17
会派数
5
開催日
1980/03/19

会議録

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。

土井たか子日本社会党

○土井委員 まず、国際情勢の一般質問に入ります前に、二つばかり外務大臣に申し上げたいことがございます。  その一つは、ただいま東京ラウンド関係条約について審議が大詰めになっております。大臣の御帰国を待っていよいよこれについての採否を決定するということに当衆議院の外務委員会ではなるわけでございますが、この国会審議の大詰めに当たりまして大臣が訪米されるということは、いろいろ国際情勢に対応するという点からすると、それにはそれなりの重要な理由があるということでわれわれも国会という立場で了承したとはいえ、片やこの大事なときに政務次官までが留守になってしまうというのはいかがかと思うのです。私たちもずいぶん審議に対してはただいま集中的に精力的にしておる途中でございますけれども、こういう状況というのは国会の審議に対してまことに不穏当な政府としてのあり方ではないかと思われてならないのですが、外務大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 ただいま土井委員の御指摘の点でございますが、政務次官はいまバンコクでございますか、ESCAPの政府代表で行っておりまして、二十一日に帰る予定になっておりますが、ちょうど私、今晩出かけますので、御指摘のように大変申しわけないことになるのでございます。私も最小限の、きょうの夕方立ちまして、あしたは祭日でございますが金曜、土曜と暇をいただきまして、ワシントンを土曜の朝立って日曜日の夕方帰って月曜から出てまいりますので、いま御指摘のように大変申しわけないわけでございますけれども、対外的な問題についても最小限の接触を持っていかなければならない事情を御了承いただきたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 あと一つの問題は、大来外務大臣になりましてから、そう言っては大変なになんですが、新聞の紙面で外務省筋とか外務省首脳という発言の記事発表がやたら多くなっているのです。しかもそれぞれ大きな問題を提起しているわけですが、当外務委員会は言うまでもございません、予算委員会やその他でこの発言内容を質疑いたしますと、いろいろと新聞に対して言われている外務省筋、外務省首脳発言の内容とはかけ離れた答弁を出されるように思われてならないのですね。これまた国会軽視になるのじゃないか。こういう状況に対して大臣は一体どういうふうなお考えをお持ちでいらっしゃいますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 私、聞きますところでは、記者懇談というのを大体週に四回ぐらい、これは前大臣のときから、その前もそうだと存じますが、ずっとやっておられるようでございまして、私になりましてから別に回数をふやしたわけではございませんが、ただ、いろいろな国際情勢の関係で国民一般の外交問題に対する関心が非常に強くなってきたという背景もあるのではないかと存じます。その記者懇談の席でいろいろ質問も出ますが、私の方の従来の感触から言えば、その際の話と国会での答弁とそんなに食い違ってはいないと考えておるわけでございますが……。

土井たか子日本社会党

○土井委員 大臣御自身がそういうふうにお考えになっていらっしゃるにもかかわらず、客観的に見ればこれはずいぶん食い違いの点が種々あるのです。順を追いましてそういうことも質問の中で疑義をただしたいと考えておりますが、いよいよきょう大臣はアメリカに向かって御出発なんですけれども、外務大臣御自身は今回の訪米の大きな論点をどのように心づもりをお持ちになってお考えになっていらっしゃるか、ひとつ論点と思われるところは何かということをお尋ねしたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 ただいままでに外交チャネルを通じまして米国政府側との話し合いのテーマといいますか、これを詰めておる段階でございます。一般的には特に今回、交渉ということではございませんで、意見交換というたてまえで、なるべく広い分野についての意見交換をするということでございますので、議題もその場に応じて、向こうに参りましてからある程度変わることもあり得ると考えております。  大きく言って、一つは日米関係、日米関係は経済問題と安保防衛問題、それから国際情勢、国際情勢は世界的なイラン、アフガン情勢を背景にいたしました国際情勢の判断、それからアジア地域の国際情勢等も当然出てまいると思いますが、この日米関係とそれから国際情勢、これが大きなテーマになるかと思います。  経済問題につきましては、これもいまの段階では自動車問題とか電電公社問題とかあるいは過剰米の売却問題とか幾つかの問題が出てきておりますけれども、今回は予備的な意見交換程度で、特に話を詰めるという予定はございません。  それから、安保防衛問題につきましては、従来からアメリカ側からもいろいろな形で意見が出ておりまして、これは主としてアメリカの議会筋、ジャーナリズム、実業界、いろいろなところから出ております。正式には国防報告その他政府文書にも出ておる事項もございますが、こういうことについてアメリカから具体的な申し入ればまだ政府ベースでは来ていないわけであります。一方において向こうの真意を確かめるという点がございますし、また、日本の立場につきまして私の方から国会のいろいろな御意見、審議を通じて出てまいりました御意見、日本側の考え方というものを向こう側に伝える。それから中東などを含めての全般的な世界的な情勢、そういう問題についてもある程度の話し合いがあるのじゃないかと思っております。  国際情勢につきましては、特に中東地域の情勢あるいはインド、パキスタン、最近、園田特使が行ってこられましたので、直接、各国の指導者に会ってこられた、その結果もできるだけ米側に伝えたいと考えております。  なお、総理の訪米、四月の末ぐらいにできれば行きたいという希望を持っておられるようでございますが、その予備的な話し合い、さらに六月のサミットについての予備的な話し合い、これはどの程度可能かわかりませんが、南北問題の考え方についても、もし機会があれば意見を交換してみたいと考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 話を詰めるということではないということでございますけれども、自動車の問題にいたしましても、政府調達の電電の問題にいたしましても、安保防衛問題にいたしましても、何といってもそれぞれステップ・バイ・ステップ、それぞれ話し合いのステップになるわけですから、今回もそういう点からいったら中身は大事なことになっていくというのはもう当然でございますね。  そういうことからひとつお尋ねを進めたいのですが、五十二年の八月、当時の福田首相はマニラで、世にいわゆる福田ドクトリンを演説されております。それによりますと、「過去の歴史をみれば、経済的な大国は、常に同時に軍事的大国でもありました。しかし我が国は、諸国民の公正と信義に信頼してその安全と生存を保持しようという歴史上かつて例をみない理想を掲げ、軍事大国への道は選ばないことを決意いたしました。」とお述べになるとともに、「このような日本の選択こそはアジアの地域、ひいては世界全体の基本的な利益にも資するものである」というふうに述べられているわけです。これは大来外務大臣御存じのとおりだと思うのです。  しかし、それから二年半余りたちました今日、大平内閣からはこの平和国家宣言とも言われるような中身に逆らうような発言が、特に最近は次から次へと目についてきているということが言えるのじゃないか、こう思うわけです。大来外務大臣は、いま私が大体の要旨についてここで申し上げました世にいわゆる福田ドクトリンが、今日の国際情勢の中にあって一つの理想にすぎないというお考えにお立ちになっていらっしゃるかどうか、いかがでございますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 いわゆる福田ドクトリンは私も賛成でございます。いまも今後も適用されるべき性格のものだと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 福田ドクトリンそのものを大来外務大臣も引き継いで、それに全面的に賛成だということをおっしゃったわけですが、それなら軍事大国にならないというこのことと国防費との関係はどのように考えていらっしゃるわけでございますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 日本の防衛支出は、よく言われますようにGNPの〇・九%、世界の各国に比べまして比率の上で非常に低い、決して軍事大国と言われる状況にないと考えておるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いよいよきょう御出発で、アメリカにいらっしゃいますと、アメリカ側から当然わが国の防衛費増額の要求があるかと思います。外務大臣は、今回の訪米でもしその要求があったといたしまして、その要求に対して避けて通ることのできない政治環境にあるというふうにごらんになっていらっしゃるかどうか、この辺はいかがでございますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 これはいろいろな機会に申し上げておりますけれども、日本の防衛というのは平和憲法、専守防衛、非核三原則、こういう三つの大きな骨組みといいますか、これを変えるわけにはいかない。これは日本国民が第二次大戦後選んだ道でございます。その枠内でできる範囲のことを具体的には考えていくということになると思います。  いろいろな情勢の変化があるわけでございまして、極東におけるソ連軍の急速な軍事力の拡張、それから最近のアフガニスタンに対するソ連の軍事介入あるいは北方領土における基地建設、これはごくこの一年余りの間にいろいろ起こってまいった事態でございますし、こういう事態について全く考慮しないでいいという性質のものでもないと思っておるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いま、わかったようなわからないような御答弁なんですが、しかし、三つの原則というのを堅持すべきであるということを大前提にお述べになったのであろうと私は思います。  軍事大国にならないということを先ほどは明確に大臣自身がお認めになっていらっしゃるわけですから、そういたしますと、日本といたしまして防衛費の伸び率、防衛費の増額というのが一体どういうことになるのかというのは、当然問題になってまいります。  先ほど大臣は、GNP比〇・九%ということで軍事大国にまだなっていないというような御趣旨の御答弁をされたわけですが、それならまず防衛予算を国民総生産、つまりGNP比で一%に近づけようという努力をしていくというふうな意向をアメリカに行って表明なさるおつもりでいらっしゃるのかどうか。すでにそういう意向を表明されたという旨の報道が一部ございましたから、したがいまして大臣御自身がそのように努力されるのかどうかというのは大変気にかかるわけでございまして、少しその辺についてはっきり確かめさせていただきたいと思うのです。いかがでございますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 防衛費のGNP一%以内ということは、昭和五十一年の国防会議決定と同時に閣議決定もいたしておる当時の政府の方針でございまして、その範囲の中であれば従来政府の中のコンセンサスとしてでき上がっておるのではないかということで、そこまでは考えてもよろしいのではないかと私としては解釈しておるわけでございます。  ただ、それをいつまでにどういうテンポでやるかということは、まだ何もはっきりした方針は聞いておりませんし、そういうものが決まっておるということも聞いておらないわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それはいつまでにどういうテンポでということはおいておきまして、七六年十一月の閣議決定によって、防衛予算はGNP比一%を超えない、このような趣旨が確認されているのは大臣おっしゃったとおりだと思うのです。  そういたしますと、言葉をかえてお尋ねしたいと思うのですが、日本を軍事大国にしないためには防衛費というものをこれ以上ふやしてはならないというふうな目安が一応なければならないだろうと思うのです。青空天井であっては軍事大国にならないという保証はございません。したがって、この点についてはこれ以上ふやさないという上限をどのように考えるかということが私は一つのポイントになってくると思うのですね。それはGNP比一%を超えてはならないというふうにいまの御答弁からしたら伺えるわけでありますが、この点は大臣としてはどのように上限をお考えになっていらっしゃいますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 たしか、あの国防会議の決定は、当面という言葉が入っていたと思います。未来永劫ということにはなっておらないと存ずるわけでございまして、しかし、当面は一%を確かに下回って〇・九%くらいでございますので、その一%に到達するのにも財政上相当問題があるのだろうと考えておりますので、当面の目標として一%というものがある、しかしそれは未来永劫ということではない、いろいろな情勢の変化というものに対応し、ただ基本的な枠組みは、先ほど申した三つの柱を崩すべきではないというふうに考えておるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 どうも大臣、歯切れが悪いんですが、いまおっしゃった一%というのは当面いつ到達するかということは財政上明確に出すことは困難だという趣旨の御答弁なんですが、これはどうなんですか、GNP比一%というのは到達すべき目標じゃないんでしょう。GNP一%を超えてはならないという中身だったんじゃないですか。したがって、私がいまお尋ねをしているのは、軍事大国にしないために防衛費をこれ以上ふやしちゃならないという上限をどのようにお考えになっていらっしゃるか、こういう質問なんです。いかがでございますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 そういう固定的な上限を設けるということは適当ではないと思います。いろいろ変転する世界情勢に対応していく必要が出てくる可能性もあるわけでございますし、ただ、軍事大国ということになれば、ソ連がGNPの大体一二、三%を軍事力に使っており、これは明らかに軍事大国、アメリカがGNPの五、六%、これも軍事大国、ヨーロッパ各国は三%ないし四%、これは相対的に言えば軍事大国とは言えないけれども、まあこの辺が中庸のところかもしれませんが、日本は〇・九でございますので、そういう意味では軍事大国というのは当然日本は目指すべきでもないし、また現実問題としてそういうところにはいかないというふうに見てよろしいと思うのです。

土井たか子日本社会党

○土井委員 目指すべきでもないし、そういうふうにはなっていかないという御答弁ならば、やはりそれについて大臣は大臣としての一定の指針というものをお持ちになってしかるべきだと思うのです。軍事大国にしないために防衛費について一定の上限ということをある目安として持っていらっしゃってしかるべきだと思うのです。青空天井ではいまおっしゃったとおりの軍事大国にならないという保証はどこにもないというかっこうになりますから、したがって、それについて大体上限というのはこういうふうに考えているというところがおありになってしかるべきだと思います。どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 この問題は日本国民の世界の中に生きる生き方の根本に関する問題だと考えますので、一外務大臣の見解で申し上げるべきことではない、むしろ国民のコンセンサス、広い意味でのいろいろな論議を経て、もしめどができるのなら出てくる性質のものだと思いますので、私からどこが天井だということを申し上げる立場にはないと考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 しかし、いまからアメリカへいらっしゃるのですね。当面この問題というのはアメリカ側から打ち出されるであろうという予測は十二分にあるわけです。したがって、それに対して対応なさる大臣のお立場としたら、一大臣としてそういうことに対してとやかく言う問題ではないとおっしゃる問題でしょうか。その辺ははっきり大臣として不動の姿勢をお持ちになっていらっしゃらないと、いろいろな話の中では、国民の目から見たら実に不安ですよ。いかがでございますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 いままでの情報によりましても、アメリカ側もGNP何%ということはそれほど基本的な問題ではない、むしろどういう形の質的な改善を図るかというようなことが重要だというふうに私どもは聞いておるわけでございますが、この点は基本的には何%ということを先に決めるということではなくて、その置かれた情勢、特に極東の情勢において日本国民の安全を守る、その必要性はどの程度か、どこにあるか。そして日本国民の安全を守るというのは、いまのたてまえでは自主防衛という面と日米安保による抑止力、この二本の柱の上に立っておるわけでございまして、これはまた起こり得る日本の安全に対する侵害といいますか、その状況によっても、これに対応してどの程度のことをやれば本当に日本人が安全であり得るのか、日本国民が外敵に対して安全であり得るかという評価もその段階によって違ってまいると思いますので、余り機械的な天井を設けるということは意味がない。今回は、先ほども最初に申し上げましたように意見交換の段階でございまして、日本側から何%が上限だということを特に申し上げるような場面はないと考えておるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 具体的にそういう何%とか数字を幾らということを指示されるという場面があるかないかということはわかりませんけれども、そういう問題を私はお伺いしているわけじゃないのです。大臣としてこのいわゆる政治的な枠組みというものをどのようにお気持ちとしてはっきり持っていらっしゃるかという意味で私はお尋ねしているわけですよ。したがいまして、いま世界の情報というのは御承知のとおりに変わっていっておりますし、それに対応することも必要でしょう。しかし、そのために日本独自の、先ほど御答弁の中にもございました、他国とは違った三原則というのを厳然として持っておりますし、また何といっても平和憲法を持っております。国民のコンセンサスというのでも、いろいろ他国と違った国情の中での国民コンセンサスでございます。したがいまして、国民のコンセンサスを得なければ一大臣としてはとやかく言うべき問題ではないと大臣は先ほど御答弁になりましたけれども、その国民のコンセンサスを得んがためにも、大臣としてはしかとした御姿勢をお持ちになっていらっしゃらないと、国民のコンセンサスなんというのは具体的に得ることはできないですよ。  そういう意味も含めて大臣、もう一度この点についての御答弁をいただきたいのですが、軍事大国にならないという防衛費とはどんな程度を指してお考えになっていらっしゃるのですか。GNP比で結構、また一般会計予算に占める比率ということからお考えになっても結構です。大体大臣御自身のお心づもりと申しますか政治についての枠組みと申しますか、そういうものをどのように大臣としては念頭に置いてこの問題についてお考えになっていらっしゃるかということを私はお伺いしているのですよ。いかがでございますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 これはいままで申し上げましたように、何%ということはいまの段階ではちょっと決められないといいますか、具体的に申し上げるということはむずかしいように思うのでございまして、とにかく一%以下なのでございますから、さしあたり、当面その枠の中で質的改善を図れることをいろいろ、これは具体的内容は防衛庁当局の問題だと思いますが。  それから軍事大国ということには絶対なるべきでない。先ほどの三つの骨組みも崩すべきでない。その枠の中で考えていくべきだ。当面は一%という五十一年の閣議決定があるということで考えていくのが実際的だと思っておるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 非常にこだわるようでありますが、その当面はとおっしゃるのは一体どの辺までを当面というふうに大臣としては心づもりをお持ちになっていま御答弁になっていらっしゃるわけですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 一九八〇年代は不透明の年代だと申しますので、なかなか具体的に何年ということは申し上げにくいのですが、普通、当面というと数年じゃないのでしょうかしら。

土井たか子日本社会党

○土井委員 実に心もとない話なんですけれども、それで大臣、先ほどからのお話のとおりなんですが、数字は出さずに努力だけをアメリカに力説して、今回アメリカに対しては十分意味をなすというふうにお考えになっていらっしゃるのですね。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 アメリカの側もいろいろ考え方があるんだろうと思います。これはいろいろなデータも持っておる、情報も持っておるという面で、この程度の防衛をするためにはこの程度のものが必要だというような積み上げ的な考え方もあるいはあるかもしれませんが、そういうことについての説明もあるかもしれませんが、とにかくいまの段階では日本側としては先ほど来申し上げた大枠で対応していくということになる。それから向こう側からいろいろな情勢判断についての話があれば、それも聞いてまいるということであろうかと存じております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 先ほど来外務大臣の御答弁の中で当面、まあ数年というふうにも言いかえて言っていいのかもしれませんが、GNP比一%を超えてはならないというふうなことを念頭に置きながら、軍事大国になることは断じて日本としては許されない、そういうお立場で事に臨まれるということがここでよくわかっているわけですが、そういたしますと、そういう意味において、政治的には防衛費の伸び率に枠をはめるということにもなるわけでありまして、こういう基本姿勢を持って外務大臣とされてはアメリカに臨み、発言についても重々これを意識してなさるというふうなことになるであろうと思います。この国会での政治的な、いま大臣が御答弁をされた枠とも言えますようなただいまのいろいろな御発言を意識してひとつアメリカに臨まれるように、その辺はいかがですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 いまお話しのとおりでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 先ほど大臣御発言の中に、いろいろ情勢の変化が最近あって、防衛費の問題についてもそういうことを念頭に置く必要があるというふうな意味で、ソ連軍の軍事力の拡大の問題をお取り上げになりました。最近、大臣御承知のとおり、予算委員会の答弁で、防衛庁長官を初め防衛庁側はソ連軍の動向について、従来の潜在的な脅威から一歩踏み込んだとも言えるような認識を持っておられるようにうかがえるのです。日本へもろに脅威がかかっているということを認めるかというふうな趣旨の質問に対しまして、そのように認めている、対応するにはいろいろな方策を考えているというふうな旨を答弁としてお述べになっていらっしゃいますが、外務大臣も同じような御認識をお持ちになっていらっしゃいますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 先ほど申し上げましたように、やはり極東の軍事力の増強というのは最近相当顕著なものがある。これは一つの判断でございますが、ソ連の全軍事力の約三分の一が極東方面にあるというような問題とか、いわゆるSS20とかバックファイアの配置とか、いろいろな問題が伝えられておるわけでございまして、二、三年前の状況に比べましては——それから極東艦隊の増強という、海軍力の増強というようなことを含めまして、一ころよりはかなり、そういう意味での潜在的な脅威は高まってきておる。これは防衛庁の判断でございますが。本来防衛庁が判断することだと思いますが、私どもも大体そういう見解を一応了承しておるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 防衛庁の判断を一応外務省は了承しているというのは一体どういうことなんですか。防衛庁の判断を一応外務大臣は了承しているとおっしゃるのはどういうことなんですか。もろに脅威がかかっているということを外務大臣自身がお認めになるかどうかの問題なんですよ。いかがですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 もろにとは申しませんで、潜在的脅威が増加しているという点で一応了承しているということでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 防衛庁側は答弁の中では、対応するいろいろな方策を考えているというふうなところまで述べておられるようでありますが、外務省がそういう潜在的脅威というものが従来に増して強まっているというふうな御認識をお持ちになっているということになれば、対ソ外交姿勢というのが従来に比べまして変わってきているわけですね。この点は外務大臣、いかがでございますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 しかし、基本的には日本としてはソ連との話し合い、対話の道をつないでいくということから、北方領土について根気強く粘り強く主張していくということ、こういう点については余り変わりはないわけでございます。  アフガニスタンの軍事介入に対して即時撤兵を求めるという日本政府の見解を表明しておりまして、これはそういう事態が新たにつくり出されたことに対する日本側の対応でございます。これは昨年の十二月に始まった新しい事態でございます。その範囲においては変わったと言えないこともない、そういうのが現状かと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 非常に苦しい答弁なんですが、粘り強く話をする、糸はつないでおくというふうなことも言われながら、しかし十二月以降変わったと言えばそう言えなくもない。これは、従来当外務委員会において、ソビエトが日本に対しての脅威であるという発言はただの一度もいままで正面切ってなかったです。きょう初めて外務大臣はそのことをこの席で言われたわけですから、ソビエトに対する日本の外交姿勢がこれで変わったと言わざるを得ないような御答弁にもなるんですよ、この御答弁の中身というものは。したがいまして、そういうことからすれば、きょう十二月以降変わったと言えば変わったと言えるだろうというふうな趣旨のこの御答弁をされたということは、非常に画期的だと言わざるを得ません。よろしゅうございますね。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 何度も申し上げておりますように、脅威だということは絶対に私は言っておりません。潜在的脅威だと言っているわけでございまして、これは政府の統一見解もあることでございますし、この点は一つも変わってないわけでございます。  それから十二月以降変わったと言われますけれども、それはアフガンに対するソ連の軍事介入にプロテストしたということは新しいそれまでになかった事態であるということを申し上げたので、基本的態度が変わったということは申し上げておりません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 潜在的脅威ということについても、それが従来に比べると強まってきているというのはきょう初めて言われたことではありませんか。いかがです。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 防衛庁のそういう答弁があったので、一応了解しておるというふうに申し上げた限りでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 かつて園田外務大臣当時に、日本としては憲法の精神からしてまたNPTを締結している日本の立場からして、核兵器は持てないということを言明されたわけですが、大来外務大臣もその点はそのようにお考えになっていらっしゃいますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 そう考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そうすると、その基本姿勢というのをきょうは明確に、そう考えておりますと珍しくきっぱりおっしゃったわけですから、その基本姿勢というのを堅持されて、アメリカにいらしてもその基本姿勢をしっかりと貫き通していただくことがこの節非常に大切だろうと思います。それはよろしゅうございますね。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 私も、日本がなまじ核兵器を持つことは、日本の安全よりも危険を増大する可能性があるというふうに考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それで、アメリカにいらしたときに具体的な話の詰めにはならないであろうというふうな予測も含めておっしゃった話題の中に、自動車問題がございます。  日米自動車問題について、最近の情報では、マンスフィールド大使が自動車問題というのは爆弾の導火線に火がついたような状況だというように述べられて、全米自動車労組のフレーザー会長もトヨタ、日産は小型車輸出を通じて米国に失業を輸出しているというふうに言われるなど、自動車問題というのは政治問題化しようとしているのが現実のありさまであります。これに対しまして、大平総理は、日米経済関係悪化を懸念して、それを防止することのために何らかの措置が必要であるというようなことを述べられたのですけれども、何らかの措置というのはどのような措置をおとりになろうというふうな心づもりだと外務大臣としてはお考えになりますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 この自動車問題が起こってまいりました一番大きな原因は、アメリカの自動車メーカーが大型車から小型車への切りかえのタイミングを誤ったというか、いままでその対応策がきわめて手おくれになっておった。そのために一方でガソリン価格は上がりますし、エネルギー節約の政府の方針も次々に打ち出されて、アメリカの消費者が小型車に飛びつく状況になりまして、アメリカも自動車産業と申しますけれども、小型車をつくる方では幾らつくっても間に合わない。右から左に売れる。昨年一年で四六%アメリカの国内の小型車の売り上げがふえた。日本車の売り上げは三〇%ふえたわけでございます。つまりアメリカの国内の大型から小型自動車への転換のその影響が日本車輸出急増の一番大きな原因だと考えられますし、それに対してアメリカの自動車業界もようやく腰を上げまして、GMだけでも七百億ドルかの巨額の投資をして小型車生産に切りかえる仕事を始めておるわけでございます。  一つはアメリカの国内にもいろいろな意見がございまして、消費者の立場、エネルギー政策の立場から言えばむしろ日本車が入ってくるのは当然だ、アメリカの自動車業界を責めるという意見も新聞等にしばしば出てまいりますし、そういう点の状況がございますので、もう少しアメリカの国内情勢の動向を見きわめたい。ちょうど本日と明日、十八日が下院の貿易小委員会でございますか、パニック委員長のもとでの公聴会がございますし、十九日には上下両院経済合同委員会での公聴会が自動車問題についてあると聞いておりますので、私ちょうど十九日の晩に着くわけでありますから、そういう公聴会の模様も向こうでよく聞きたいと思っておるわけでございますが、対応策については、いまの段階ではどういう対応策が適当なのか、そういう情勢を踏まえた上での判断になるかと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 るるいろいろ感触も含めてのいまお話しをされたわけでございますが、一つにはアメリカに対してトヨタ、日産などを含めての工場進出の問題が具体的なテーマになっているようですが、フレーザー会長と会見されて大平総理が、工場の設置を世界的に考える時代になっている、そういうことはよく理解できるというふうなことをお述べになったことが報道されております。  大平総理大臣のこういうふうな御発言に対しまして大来外務大臣御自身は、トヨタ、日産の対米工場進出に対してどういうふうなお考えをお持ちになっていらっしゃるのですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 一般論といたしましては、日本は完成品をつくって海外に売るということだけではなくて、だんだん相手の国の中に工場をつくって現地の相手国の人たちと一緒に仕事をする、そういう形での将来の行き方を考える必要がある。これは私も二年ほど前にヨーロッパに参りましたときに、ヨーロッパ各国でも言われたわけでございますが、日本は完成品をつくって海外に輸出するということでいままで大きな成功をおさめたけれども、もうこれ以上その方針をやっていくと、だんだん各国の政府なり労働組合なり生産者なりの抵抗が強くなる、むしろ工場が現地に出てきて現地の人たちに雇用の機会を与える、そういう形での行き方を日本としても考えるべき時期に来ているのではないかということをいろいろ言われた記憶がございますが、そういう意味で大きな方針としては、日本の産業の次の段階の発展ということを考えますならば、製品輸出だけではなくて事業進出といいますか、相手の国の人々と一緒に仕事をしてその国のあるいは相手の社会の欠くべからざる一要因になっていくというような心構えが必要だろうというふうに考えておるわけでございます。  ただ、これは一般的な考え方なんでございまして、自動車の場合にそういう一般論が直ちに適用されるかどうか、これは基本的にはその事業の経営者の判断の問題だと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 最後におっしゃった、トヨタ、日産に対して、結局決めるのは事業者、経営者の判断だというところが問題ではあろうと思います。確かにそうだろうと思いますが、しかし、対米工場進出の問題は、最近聞くところによりますと、やはり政治的配慮というふうなことでしきりに政治の場所でも考えられているのではないか。この政治的な配慮というふうな圧力をかけて対米工場進出というものを促進するという向きがあるのではないか。そのことによって結果的にはアメリカのただいまのいら立ちというものを若干やわらげるというふうな効果を期待しているのではないか、そういうふうなことがしきりに聞こえてくるわけでありますが、これは採算面などを度外視してアメリカに対しての進出を決定いたしますと、将来に必ず禍根を残すことにもこういう問題についてはなりかねないと思うのですが、最後には経営者の判断であると大来外務大臣はおっしゃいましたけれども、いま私が申し上げたような点については大臣はどういうふうな御所信をお持ちでいらっしゃいますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 いまの点は土井委員のおっしゃったことに私も近い考え方をいたしております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いまアメリカでは具体的な話の詰めにならないかもしれません。しかし、少なくともこの自動車問題というのがもう火の粉をかぶっている具体的な問題になっていますから、相当このことについては突っ込んだ話も話題の中に出てぐるという可能性もあるように国民は見ております。そういうことでございますから、大体少なくともいま話題にいたしましたアメリカに対しての工場進出、それからもう一つはやはり輸出を抑制するというこの問題、二つですね。この二つの選択のうち一つだけを問題として片づけることが可能なのか、それとも二つともの問題について日本としては何とか配慮をしないとどうにもならないというふうな感触がいま現に動いていっているのか、その辺はいよいよアメリカに向かわれる大平外務大臣の御胸中にどのようなお考えが駆けめぐっているかというあたりをお聞かせいただければ結構です。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 その二つには限られないと思うのですが、工場進出の問題、それから日本側の輸出の自主規制の問題、アメリカ側が輸入制限をやるかどうかという問題、アメリカ側が立法して、ある数量以上の自動車を輸出してくる会社はアメリカ国内で工場をつくれという法律を立法するかどうかの問題、あるいはアメリカの自動車をもっと日本が輸入できないかどうか、あるいは自動車完成品でなくてせめて部品をもう少し輸入できないかどうか、いろいろな可能性があるわけでございまして、そういう問題全般について気を配っていく必要があるだろうと思っております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いろいろこれはいま時期的にお答えにくい時期でもございますから、さらに話を詰めてまいりましてもアメリカにいらっしゃる前にまだまだ予測しがたいこともございます。したがいまして、もう質問はその点でおかせていただきたいと思いますが、日本の防衛力の増強面の基本的な限界ということを、日本が非軍事面で国際的に果たし得る平和貢献の役割りというものをはっきり打ち出すことによって、ひとつ国民の真意というものをアメリカに伝えていただきたいと思うのです。  どうかそういうことを、今回非常に大事な時期に訪米という外務大臣のお役でございますから、そのことを心から私は念じまして、お元気でお帰りになることをひとつお祈りいたします。ありがとうございました。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員長 この際、午前十一時十五分まで休憩いたします。     午前十時四十八分休憩      ————◇—————     午前十一時三十四分開議

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。玉城栄一君。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 本日から五日間大臣は訪米なされるわけでございますけれども、大臣御就任後初めてだと伺っておるわけでございますが、大変御苦労さまでございます。時節柄おかぜなど召されないようにお元気でがんばっていただきたい、このように思います。  そこで、いろいろ報道等から見まして、大臣が訪米されることを米側としては待ち構えているという表現は少しなにでしょうけれども、そういう感じがしているわけであります。いまでも大変重たい荷物を背負っておられるわけでありますけれども、さらにまた重い荷物を背負われてお帰りになられてはこれは大変だというような立場から、意見も交えて御質疑を申し上げたいと思うわけであります。  そこで、先ほどの質疑にもございましたけれども重ねて、防衛費、いま問題になっております米側のわが国に対する防衛費の増強問題とか、あるいは経済問題等非常に難問題を抱えているわけでございますけれども、最近の、これは外務省も含めまして政府のお立場というものが何かしら防衛費増強というような土壌を一生懸命につくろうとしておられるように見えるわけであります。私は、国民は防衛費の増強というものを決して望んではいないと思います。先ほど大臣のお答えにもございましたけれども、これ以上軍事大国になるということは望んでいない、それが大方の国民のコンセンサスではないか、このように思います。したがいまして、大臣が訪米されましてわが国の防衛費の増強がされるがごときお考えを向こうで披瀝されるということは、私は間違いだと思うのですね。その辺で大臣の御所見を伺っておきたいわけであります。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 先ほど土井たか子委員の御質問に対してもお答えしたわけでございますけれども、私といたしましては、日本がこの第二次大戦後選んだ生き方といいますかコースといいますか、平和国家として世界の中に生きていくという基本を踏み外してはならないというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味でこの平和憲法あるいは専守防衛あるいは非核三原則、こういう大枠を外さない、外してはならない、そういう基本的な立場で米国側とも話し合ってまいりたいと考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、大臣もしばしばおっしゃっておられますように、最近安保ただ乗り論というものが米国内で大きく出てきて、それに伴ってわが国に対する防衛力の増強と申しますか、防衛費の増強という強い要請がなされているということは私たちも承知をしておるわけであります。  そこで、いま大臣がおっしゃいました平和憲法あるいは非核三原則あるいは軍事大国にならないということでしょうか、そういう大枠の中で、そして話は聞いてくるというようなお答えのように承っておりますけれども、果たしてそういうことで、説得と申しますか、ただその枠内でということで米側が納得するのかどうか。あるいは、むしろ逆に日本側の立場というものを説得できるような、そういうことでないと、どんどん覆いかぶさってくるのではないかという感じがしているわけでありますが、果たしてそういうことでやっていけるかどうか、その辺を伺いたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 ただ乗り論という考え方は、アメリカの国内に以前からあったように私感じております。ただ、以前は、時たまただ乗り論の火の手が上がるということであったわけでございますが、最近はその点では火がつきっ放しといいますか、継続的にそういう意見が出てくるように存じます。これはアメリカの議会筋の方々とか、あるいはジョージ・ボールのように、前に国務次官をやった評論家と申しますか、あるいは実業界、テキサスインスツルメントの会長のシェパードとか、いろいろな方々からただ乗り論、日本は経済力がかつてと違う、アメリカのGNPの半分にも近いところになってきて、その日本をアメリカのタックスペイヤーが高い税金の負担をして守ってやっているんじゃないか、日本がもう少しこれに対する負担をふやすのは当然ではないかというような言い方でございまして、さらにはアメリカにおける経済、財政上の困難がだんだん加わってまいる。インフレーションの問題もございますし、財政も、今回の一二月十五日の総合対策で、防衛と海外援助以外は予算の大幅な削減をやるというようなことを言っておるわけでございまして、そういうアメリカの国内の事情。他方におきまして、ソ連の軍備の増強、特に極東地域における軍事力の急速な強化、さらに最近のアフガニスタンに対する武力介入、そういう事態、中東における緊張というような事態、それから、日本に対しましては、北方領土における軍事基地の配置、さらにはSS20あるいはバックファイア等を極東に配備するというような事態が次々に起こってまいっておるわけでございます。こういう背景のもとで、日本に対して、日本自身の防衛努力をさらに強めると同時に、アメリカの防衛負担を一部分担するということがあってしかるべしとするような議論が次から次に出てまいっておるのが現状かと存じます。  ただ、アメリカの政府からは正式にこのようなことを、特に数量的な、具体的なものを含めて要請があったことはございません。この点は、政府当局としては、この問題は日本国民自身の決める問題だ、また日本は平和憲法というものを持っておる、そういう条件についての基本的な了解を持っておる点があるのだろうと思うわけでございます。  こういうような状況のもとにおきまして、日米の国民の安全をどうやって確保するか。これは、戦後の方向といたしましては、最小限の自衛力を持つということと日米安保による抑止力、この二つの柱によりまして、万一外からの武力攻撃があった場合に日本国民の安全を守る、専守防衛という立場で対応していくということ、こういう基本の方針があるわけでございますので、先ほど最初に申しましたように、日本の立場、これの大組みを変えることはできないし、変えるべきではないと考えるわけですが、同時に、いまのような米国に起こっておりますいろいろな意見というものをまた全然無視するというわけにはいかない。日本のたてまえを崩さない枠内でどの程度の対応ができるかということがこれからの具体的な問題だと考えておるわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そういう厳しい米側の判断というものもありますし、わが国に対する要求というものもありますし、そこで一点基本的な問題をお伺いしておきたいわけであります。  わが国の安全保障ということは、果たして防衛費だけをふやせばわが国の安全が保たれるというふうに大臣お考えになっておられるのかどうか、お伺いいたします。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 これはやはり外交努力というものが日本国民の安全を守るために非常に重要だと考えております。たとえば世界の貧しい国々に対する日本の援助を着実にふやしていくということも広い意味での安全につながることかと考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、先ほどの土井委員の御質疑の中でも、わが国の防衛費GNP一%の論議、上限当面一%というようなお話もあったわけでございますが、これは大臣のお答えにもあったわけでありますが、NATO方式からすれば一・五%であるとかというような、そういうことで数字的な議論というものが最近されておるわけですが、そこで、いま大臣がおっしゃいましたとおり、決してわが国の安全保障というものは防衛費だけの増強によって保たれるものではない。あるいは外交努力あるいは開発途上国等への経済援助等、いわゆる総合的な、そういうものが絡み合って国の安全は保たれているんだということからしますと、やはり総合安全保障ということをわが国としては米側にも理解を求める必要があるのではないか。その点いかがでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 私もそのように考えておりますので、総合安全保障という立場、考え方についてもできるだけ先方にも話してまいりたいと考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで、具体的に一%とか、あるいはそういう議論がされておりますので、わが国が、従来防衛庁関係予算それだけではないんだ、外交関係あるいは経済協力関係の予算等を含めてこういうふうないわゆる費用を使いながら、なおまたこれからもそういう形で国の安全を保っていきたいというような、数字的なものも当然はじき出しながら話し合いは進めていくべきではないかと私は思いますが、大臣もう一回いかがでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 総合安全保障ということについての考え方、いろいろございまして、どういう項目まで含むのか。一つの考え方によりますれば、科学技術の研究支出、ことに政府による支出を含めるべきだ、あるいは開発途上国に対する援助を含めるべきだ、あるいは石油、食糧等の備蓄のためのコストも含めるべきだ、この具体的な数字をはじくとなりますと、これはまだ十分に論議が尽くされておらないことでございますので、従来各種の試算はございますけれども、政府の考え方として統一的に示す段階ではないように思っております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そういうことで、米側からのわが国への防衛費増強のそういう強い要請に対して、わが国の総合安全保障という立場からいろいろお話し合いをされたいという先ほどのお答えも承りましたので、ぜひそういう角度からの、一%論議ではなくて、わが国が相応の努力をしているんだという点は強調すべきではないかと思うのです。  そこで、最近、ペルシャ湾問題で在沖米軍基地の自由使用の問題があります。これについても、むやみに自由使用してはならない、あるいは攻撃基地として在日米軍基地を使ってはならないというようなお考えは当然お持ちだと思いますが、もしそういう問題が議題として話し合いの場に出ましたときには、自由使用はしてはならぬ、むやみに使ってはならぬというようなお考えはお持ちであるのかどうか、お伺いします。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 この問題につきましては、先ほど申しました大枠の中で考えるべき問題、基本的なたてまえに基づいて考えるべき問題でございますし、国会におきましてこの問題をめぐってのいろいろな御意見、論議がございましたので、そういう点もできるだけ今回の機会に先方に伝えてまいりたいと考えておるわけでございます。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 そこで次は、問題になっております自動車問題も含めた経済問題で、アフガン問題に関係しまして、米国の対ソ経済制裁の一つとしての穀物問題をお伺いしたいのですが、その前に、防衛問題に関係しますので、在沖米軍基地の一つであります読谷補助飛行場の移設問題のその後の状況を簡単に伺いたいと思います。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾(新)政府委員 事実関係でございますので私から若干答弁させていただきます。  先生御承知のとおり、この問題については長く地元からの御要望もございまして、昨年の十二月十三日、読谷の村長から那覇の防衛施設局に対して、読谷補助飛行場の中における落下傘降下訓練場の移設要請がございました。那覇の防衛施設局で検討した結果、三月十八日、昨日でございますけれども、施設分科委員会において日本側からアメリカ側に対して読谷補助飛行場における落下傘降下訓練に関する提案が行われ、今後本件の進め方についてはその委員会で取り扱われるということになりました。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 いまの問題ですが、これから話し合いが進められていくわけですが、見通しを簡単に承りたいと思います。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾(新)政府委員 昨日提案が行われたばかりでございますので、いまの段階でどういうタイミングでどういう見通しになるか予測することは非常にむずかしゅうございますけれども、われわれとしてはできるだけ早く結論を出すように努力していきたいと思います。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 次は、先ほど申し上げました経済問題の一つである穀物——自動車の問題につきましては先ほど大臣のお答えがございましたが、話を聞いて私が申し上げておきたいことは、通産省関係は自動車工場の米国への進出を説得と申しますか、外務省も何かそういう方向のようでございますが、私はそうあってはならないと思うのです。例の穀物問題につきましては、大臣の本委員会における御答弁でも、きょうの訪米までには政府の考え方のめどを一応つけて行きたいというお答えもあったわけでございますが、その辺はいかがなものでしょうか。

羽澄光彦外務省経済局次長

○羽澄政府委員 お答えいたします。  アメリカの対ソ穀物禁輸によりましてアメリカでは初め大体千七百万トンと言われておりましたけれども、千五百万トン程度余剰の穀物ができまして、それをどういうふうに処理するかということで、アメリカ国内でも種々の困難な問題を抱えておるようでございます。それで、当方に対しまして政府レベルで正式に日本として何とか協力してほしいというような要請があったことはございませんけれども、非公式な立場でいろいろな人が日本の協力を望むというようなことを表明した点はございます。それから、わが方といたしましても、米国に非常に穀物の供給を依存しておるという点もございまして、その安定供給を確保するという見地からこれに何がしかの応分の協力をするのが好ましいことではないかということで政府部内で検討をしてきたわけでございます。  それで、まだ検討が続いておりまして具体的に正確な数字を決定するまでには至っておりませんけれども、大臣が訪米されましたときには、そういうことを検討中であるということでお答えいただきたいというふうにいま事務当局では考えております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 もう一点は、信用供与の問題ですが、これも日本側としてはまだ検討中であるということでございますが、そのままの状態であるのかどうか、結論はまだ出ていないのかどうか、お伺いしたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 この点につきましては、特にヨーロッパ諸国、たとえばドイツ、フランス等の似たような問題での対応の仕方とも非常に関係してまいりますので、私ども密接にヨーロッパとも連絡をとっております。この問題は、先般の西独のシュミット首相のワシントン訪問の際にもある程度論議されたようでございます。  日本の立場としては、ヨーロッパ諸国と大体足並みを合わせる方向でいくべきだという基本的な考え方でございまして、こういう立場から、シベリアにおける資源開発等については、従来進行中のものにつきましてある程度弾力的な考慮が必要になるというような点を話し合ってみたいと考えております。基本的にはヨーロッパ諸国と大体足並みを合わせてこの問題は処理していく方向でまいりたいと思っております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 次は、例のオリンピック参加問題についてでありますけれども、これは昨日の報道もあったわけでございますが、ジュネーブでモスクワ五輪ボイコット国の政府間会議が開かれて、わが国に開催地の提供を含めてボイコット方針をとるよう米側の特使が記者会見で言っておるわけです。いまのアフガン情勢を見ますと、この問題もどうなるのかなということなんですが、けさの新聞等でも、米側は対ソ輸出制限強化とか日本に対する最大限の努力を求めたいという考えがあるとかというようなこと等からしますと、この問題も話題に出てくるかと思うのでありますが、その点いかがでしょうか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 この問題も話題に出てくる可能性があると私どもも考えております。政府としての立場は、二月一日の意見表明とその後も変わっておりません。  ただ、アメリカ側に対しましても、日本の国内のJOCの関係等について十分説明をしてまいりたいと思っております。

玉城栄一公明党・国民会議

○玉城委員 今回の訪米に当たって、米側と話題になったときには従来どおりの方針でいく、こういうふうに理解していいわけですね。  それでは次に、関連しまして、これは訪米問題とは直接にはあれしないと思いますが、日中の貿易問題について、時間がございませんので最後にまとめて申し上げますので、まとめてお答えをいただきたいわけであります。  大平総理が訪中の折、七九年度分として五百億円の円借款を供与する約束を中国側としてきたことを承知しているわけでありますけれども、その対象プロジェクトは何か、これが一点。その実施時期はどうなっているか、これが二点目。三点目に、その貸付条件はどうなっているのか、ことにアンタイドを条件とするのか。これが一つの問題。  二番目の問題は、昨年九月、中国の谷牧副首相が来日され、大平総理に対し五十五億ドルに上る八項目の円借款の要請をされたと承っておるわけであります。そこで一点目は、どのようなプロジクェトであるのか。二番目に、政府は中国に対する経済協力についてどのような態度で臨むのか。三番目に、対中国経済協力を日本だけで引き受けられるのかどうか。四番目に、ヨーロッパとの協調についてどのように考えているのか。五番目に、ASEANとのバランスという点についてどう考えておるのか。大変盛りだくさんで申しわけございませんけれども、時間がございませんので。  それからもう一点は、中国近代化の六大プロジェクトについてでありますが、その六大プロジェクトについてわが国に対してどのような協力を要請されているのか、わが国としてどういう対応策を考えているのか。  以上の項目について、よろしくお願いします。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 ただいまの御質問につきまして、基本的には、昨年大平総理と御一緒に参りましたときにも、借款に関連いたしまして三つの原則、一つはASEAN諸国、他のアジア諸国と申しましたが、そのバランスを考える、二つには欧米諸国との協力のもとでやる、日本が独占する意思はない、第三には軍事に関係した援助は行わない、三つの原則と申しますか、こういうことを先方にはっきり申しまして、先方もこれを了解したわけでございます。  いまのお尋ねの中の内容に関する部分は、政府委員から申し上げることにいたします。

梁井新一外務省経済協力局長

○梁井政府委員 お答え申し上げます。  まず第一点の、五百億円の円借款の対象プロジェクトでございますが、全部で六つございまして、石臼所という場所の港の建設計画、兗州と石臼所の間の鉄道の建設計画、北京−秦皇島間の鉄道拡充計画、それから広州−衡陽間の鉄道拡充計画、秦皇島の港の拡充計画、五強渓の水力発電所建設計画、この六つでございます。この六つに対しまして、昨年十二月の大平総理の訪中の際に、五百億円までの円借款を供与する意図があるということを中国側に表明いたしました。  この円借款の条件の問題でございますが、条件は、金利年三%、償還期間は据え置き十年を含みます三十年でございます。それからアンタイドの問題につきましては、一応原則としてアンタイドということを向こうに表明しております。  この実施の問題でございますけれども、現在中国側との間に実施の細目につきまして話し合いを行っております。したがいまして、この話し合いがつきまして交換公文が締結され、さらに基金と中国側との間で借款協定が締結されますと実施の運びになるというふうに考えております。  それから、先生お尋ねの昨年九月谷牧副首相がお見えになりましたときの中国側が要請いたしました八つのプロジェクトでございますが、先ほど申し上げました日本側が協力の意図を表明いたしました六つのプロジェクトにつけ加えまして、二つの水力発電所、龍灘の水力発電所並びに水口の水力発電所の建設プロジェクト、これを加えました八つのプロジェクトにつきまして、中国側から総額約五十五億ドルに上る借款の要請があった次第でございます。(玉城委員「ASEAN諸国とのバランスの問題、ヨーロッパとの協調の問題」と呼ぶ)  先ほど大臣から申し上げましたとおり、日本が中国に借款を出すことによりまして従来のASEANに対する日本の経済協力の姿勢が変わるものではないということは、ASEAN諸国に通報してございますし、かつ、ASEAN諸国もその点は理解しておると考えております。  欧米との協力の問題につきましては、実は昨年の十一月に、日本政府はDACの統計委員会におきまして、今後中国に対する政府援助資金の流れをいわゆる政府開発援助、私どもはODAと言っておりますが、このODAに算入するようにとの提案をいたしました。DACの統計委員会におきます審議の結果、日本の提案が通りまして、今後中国に対します経済協力はいわゆるODAとして算入されることになったわけでございます。この結果、私どもといたしましては、単に日本からのみならず欧米諸国からも中国に政府開発援助が出ていくということを期待している次第でございます。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員長 金子満広君。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 外務大臣の訪米に関連して若干の質問をしたいと思います。  ごく常識的なことですけれども、今度の訪米の提案は米側からのものなのか日本側からのものなのか、その点を最初にお聞かせ願いたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 双方から出たもので、日程も双方で相談して決めたわけでございます。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 どちらか言い出しっぺがあったわけだと思いますけれども、それはそれとして、すり合わせがやられたということであれば、日本側は大来外務大臣のほかどのような主要メンバーが参加するのか、米側からどういうメンバーが会談に出席するのか、その点をお聞かせ願いたいと思うのです。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾(新)政府委員 日本側から外務大臣には、鹿取外務審議官、それと私、北米局長、経済局の羽澄次長等が同行いたします。  アメリカ側の大臣の会談の相手は、バンス国務長官、ブラウン国防長官、アスキューSTR代表。それから経済閣僚と朝食会を大臣はされます。その他マクナマラ世銀総裁、ほかに大臣は上下両院の議員の指導者と懇談される機会があります。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 日本側から防衛庁関係はどなたも出席されないのですか。

淺尾新一郎外務省北米局長

○淺尾(新)政府委員 今回は外務省だけでございます。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 そうしますと、メンバーがはっきりし、会談の相手もはっきりしたわけです。  そこで、日本政府の側、特に外務大臣が先ほどから、とにかく米側の意向を聞いてくる、それを中心にするという意味の御答弁がありましたが、御用聞きに行くわけじゃないのだと思いますから、日本側が会談に臨む以上抽象的でなくて、ただ防衛とか経済とか安保条約ということでなくて、もっと立ち入って、もういろいろの意味で外務省筋ということで報道はされているのですから、これとこれとこういう問題について米側の意向も聞く、それから、大来さんは言うべきことは言ってくるとよく言うのですから、そういう点でどういうテーマなのか、もう少し詳しく御説明願いたいと思うのです。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 大きく申しまして二つございます。一つは日米バイラテラルといいますか、日米両国間の問題、それから一つは世界情勢判断ということになると思います。  第一の日米間の問題は、一つは経済問題、それから一つは安全保障の問題、まあ大体はそういう項目になると思いますが、今回は交渉ではございません、意見交換でありますので、御用聞きのつもりはございませんで、こちら側の言うことも言ってまいるというつもりにいたしております。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 そこで、まず第一は、日本の防衛力の問題について、これを増強せよという意見が米側からあることはしばしば聞かされているわけですけれども、先ほどの大臣の答弁の中で、日本側の立場を向こうにも伝えるということを言われましたが、防衛力を増強するという点について、日本側の立場というものの内容はどういうことですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 これも先ほど来答弁いたしましたが、日本の戦後の基本的な立場がございます。平和憲法、専守防衛、非核三原則、こういうような基本的な枠組みが日本側の立場でございますし、同時に、国会におきまして今回いろいろ防衛問題に関する論議が行われたわけでございまして、そういうことについても先方に伝えたいと考えております。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 先方に伝えるその内容をもう少し詳しくお聞きしたいのですが、防衛力を増強せよというのが米側の要求である。日本側では、外務省筋という言葉ではあるのですが、GNP一%という問題をめぐって、今度の外務大臣の訪米に当たっては、一%という数字の約束はしないけれども、防衛力の着実な増強という点についてはこちらの意思を表明するとか伝えるとか、そのようにしたいとか、いろいろ言われているのですが、その点はどうですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 その点は大体そのようなことになるかと思います。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 その着実な増強の内容というのは、どういうものなんですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 内容については、まだ政府部内の数字的な形での意思統一は行われておらない段階でございますから、数字的に何%とかいうようなことは申し上げないことになると思います。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 私が言っているのは、数字は言わないということも言われていますから、問題は、防衛力の着実な増強という、その増強の内容ですね、数字ではなくて。たとえば装備の問題とか、あるいは何々施設をどうするとかいう増強の内容、傾向、そういうものをどう考えているか。増強すると言うのですから、何にもなくてただ言ってくるはずはないと私は思うのです。その辺をお聞きしたい、こういうことです。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 内容になりますと防衛庁所管の問題が多いわけでございますけれども、一般的には対潜、対空の防御能力を増大するということは、いまの防衛の基本的な考え方の一つだと存じますし、また、地位協定は変えないたてまえで、日本側がさらに防衛費の分担をふやし得る余地があれば、できるだけそういう努力をする、こういう点が主な内容かと存じます。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 そうしますと、大体輪郭は出てきたのです。つまり、装備の質の強化、装備の量の拡大というものになり、それが空と海だということは大体の推測はできるわけです。そうしますと、航空機とミサイル関係の増強ということになるわけですが、とにかく増強するということですから、防衛費、軍事費がかさんでいくことは当然だと思うのです。  そこで、数字を約束しようがしまいが、一%と〇・九%という問題が現実にあるわけですね。これを超えるという約束はするわけですね、増強をしていくという。そこで、先ほどの答弁の中にもありましたが、昭和五十一年十一月の閣議決定で、一%以内というのは当面ということだ、当面ということは数年という意味だということを外務大臣答えられましたが、防衛白書の中では、当面とあるのは、何らかの固定的な期間を予定したものではない、この決定は、必要に応じて改めて検討される、したがってその当面というのは数年である。数年ということは大体四、五年というのはもう常識なんですね。  そうしますと、これをやってからいまが四、五年目なんです。八〇年代に入ったいま、一%の枠内に閉じ込めておくことは、大来さんの考え方で言うともう無理だ、だからこの一%を超える場合も現状ではやむを得ない、そういうことをも頭に置きながら防衛力の増強を着実に進めたいということを、日本側の意見として米側に伝えるのかどうなのか、この辺の腹構えの問題をお聞きしたいと思うのです。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 一%を超えないということは、いま御指摘のように昭和五十一年の国防会議及び閣議決定になっておるわけでございますが、当面という言葉もございます。当面というのは、常識的に言えば数年だろうということを先ほどお答えいたしたわけでございますが、とにかくGNPも成長いたしておるわけでございますから、増強するということは一%を超えることだということには必ずしもならないと考えております。  仮に七カ年経済計画の見直しの成長率、年率五・五%、これはデフレーターとかそういう技術的な問題がございますけれども、実質経済成長五・五%と見込んでおるとすれば、GNPに見合った伸びだけでも、もし防衛費のGNPに対する比率が変わらないと仮定いたしましても、年々実質五・五%程度の増強はできるということになるわけでございます。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 そうしますと、一%を必ずしもという言葉がいまありましたが、超えることもあるし超えないこともある。もう一歩踏み込んでお聞きすれば、いまの情勢のもとでは一%という問題について見直しとか再検討をすべき時期でもある、こういうように考えますが、どうですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 まだ見直しすべき時期ではないというふうに考えておるわけでございます。まだ一%まで相当距離があるわけでございますし、財政上の問題もいろいろあると思いますし、まだ天井には来ておらないわけでございます。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 それでは、この問題についてよく言われることですが、大臣はできることとできないことははっきり言う、こういうことを常日ごろ言われておるわけですから、私は米側に対して、日本の防衛力の増強という問題がすでに提起をされ、話になっているのですから、増強はできないという立場を明確にしておくべきだ、このことを要請したいと思いますが、その点はいかがですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 増強はできるという立場でございますが、そんなに大幅な、急激な増強というのは困難だということになると思います。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 そのこととも関連しますが、先ほども質問で出ていたようですけれども、安保ただ乗り論という論が出たり入ったり、最近は出っ放しだという御意見もありましたが、その点について外務大臣の考え方、安保ただ乗りという問題についていまどうお考えになっていますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 やはり私ども日本人の立場として日本国民の安全というためにどうすればいいかという基本を考えることではないかと思っております。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 いや、考えるべきその考える内容をいま聞いておるわけですね。ただ乗りになっているのか、ただ乗りでないのか、そこをいま聞いているわけです。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 ただ乗りと言っておりますのはアメリカ人でございまして、日本側では必ずしもそうは言っていないわけでございます。しかし、先ほどいろいろ幾つかの問題を申し上げたわけでございまして、アメリカ側がただ乗りと感ずることは一概に否定できないと言いますか、向こう側としてはそういう考えが起こってくる背景はあるように考えております。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 そこのところへくるとなかなか歯切れが悪くなるのですけれども、日本側としては、大来国務大臣は、ただ乗りになっていない、ただ乗り論というのは正しくないということが言えますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 多少の着実な防衛力の強化ということをやれば、ただ乗りではない。まあ一つには日本の国際的に果たすべき役割りとして、先ほども玉城委員からも御質問ございましたけれども、単に軍事力の増強だけでない、もっと広い立場での日本の貢献、たとえばアジア地域の全般的な安定に対して経済面を通じる、あるいは外交面を通じる努力、貢献というようなことも同時に考慮に入れてよろしいと思いますので、この点についてはやはり広い立場からの日本の果たしておる役割りというものを米側に対しても説明する必要があると思っております。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 ただ乗り論の問題については、アメリカ側が言っていることについても一定の理解を示すという意味の答弁だと私は思うのです。これは大きな間違いだと思うのです。これは立場が違うから考えが違うのじゃなくて、一つの現実についてどう見るかということになると思うのです。  私は、ただ乗り論を言うのだったら次のことを指摘しなければならないと思うのです。アメリカは戦後三十五年、ずっとまだ日本にいるわけです。百を超える軍事基地があるわけです。これがアメリカのアジア、中東までの軍事侵略、軍事介入の根拠地にされていることはだれも否定できないと思うのです。その基地の中には憲法も日本の法律も適用しないことは御承知のとおりです。だから私は、そういう意味から言えば、米軍の基地というのは日本列島の中につくられたがん細胞のようなものだ。黙っていればやたらにこれが悪くなるわけです。  それから安保条約第二条に基づいた日米経済協力、その結果が、あの改定後二十年にしてどこまできているかという問題も問い直さなければならぬ時期だと思うのです。それは日米経済協力の中で、東京ラウンドの中でいろいろ議論、討論がありましたけれども、たとえば日本農業の自給率の物すごい低下、これはどう考えるか。  私は、そういう点から言えば、安保ただ乗り論どころの話じゃない、無礼千万な言い方だと思う。日本の国土に軍事基地を持ってそれを足場にして侵略を片方ではやる。そして日本の農業や中小企業をどんどん圧迫している。アメリカはそれで利益を上げているじゃないですか。  私は、こういうアメリカに外務大臣が、御用聞きではないと言いながらアメリカの意向を伺いにいくという中で、日本の立場を明確に述べられないということであったとすればとんでもないことだと思うのです。きのうの東京ラウンドの審議の中でも外務大臣はこういうような意味のことを言われたと思うのです。つまりアメリカは大きい、しかしそのアメリカと日本は対等の立場でのパートナーだ、そして日本がアメリカを助ける場合もあるんじゃないかというような意味の答弁をされたと私は思うのです。こういう中で本当に対等だと確信を持っているんなら、アメリカが日本の側に防衛力を増強してくれと言うことについては、現状ではできませんときっぱりと答える。同時に、安保ただ乗り論なんということを向こうから言われて、そういう面もあるとか、そういうように受け取られてもいたし方ない部面もあるとか、だから防衛力を少しずつふやしていけばそういう批判もかわせるんだとかいうような卑屈な態度はやめるべきで、大体米側が安保ただ乗り論なんと言うのはもってのほかだというのをずばり言うべきだと私は思いますね。沖縄その他日本に基地があってどれだけ多くの被害を受けているか、日本の農業がどれほどみじめな状況にあるかを、こういうときにこそ胸を張って堂々とやっていくべきだと私は思うのですが、その点はどうですか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 その点につきましてはかなり基本的な見解の相違もあるように思いますが、たとえば西ヨーロッパ、西独等に米軍が駐とんし、基地を設けておる。これは西ドイツは自国の安全のためにアメリカにいてもらうんだという解釈をしておると思います。日本もその点は共通した立場だと考えます。これは一つには自由な社会制度といいますか、民主的な選挙制度を持って、選ぶ権利、自由に政府を批判しあるいは自分の主張する言論の自由、こういうものを伴った社会制度をアメリカとヨーロッパ、日本は共有しておるわけでございまして、それぞれの国の多数の、こういう制度は守るに値するのだ、それ以外の制度は必ずしも好ましくないという合意がある。そういうもとでこの制度、またそういう制度が行われている国を守らなければならぬという意識が基本にあるのでございまして、そういう意味ではアメリカの日本の安全を守るという意味でミニマムの防衛力、それから日米安保という体制は、日本自身の多数の国民の要請と言いますか、こういういまの社会制度、いろいろな欠点もございますけれども、そういう自由な社会制度、議会民主制度を基本的に守っていきたいという願望の表現でもあるわけでございます。  他方におきまして、従来社会主義は平和勢力であって絶対に侵略行動あるいは軍事力によって他国の制圧をするというようなことはないのだという一つの考え方がございましたけれども、どうも第二次大戦後の状況を見てまいりまして、ことに最近のアフガニスタンに対する軍事介入というような現実の事態を見てまいりますと、必ずしもそう言っていられないという面もあるわけでございまして、そういう点から言えば、日本の安全、日本国民の安全、他国によって軍事占領されないという意味での安全、それから議会主義を守っていくという意味での要求というものを日本人としてどうして果たしていくか、これはやはり真剣に考えなければならない問題でございまして、そういう立場から日米間の問題を考えていく必要があると私は見ておるわけでございます。

金子満広日本共産党・革新共同

○金子(満)委員 答弁がだんだん変な方へ行ってしまうのですけれども、私が質問した中で答弁を求めたのは、ただ乗り論の問題について触れたわけです。立場の相違や考え方の違いでなくて、現実の問題についてどうかということで申し上げたわけですが、そういう点から言えば、私どもはソ連がアフガニスタンに軍事介入した、この点は堂堂と言っているし、したがって、これが主権侵害である、撤兵せよということも言っておるわけですから、問題は、そういうことを聞いているのではなくて、日本として、いまただ乗り論というアメリカから出ているものに対して、堂々とこちらから主張すべきことは主張せよということを申し上げているので、その点はまた帰ってきてから何か一つの答えがあるだろうと思いますから、その際に質問は続けさせていただきたいと思います。  時間だそうでありますから、これで私の質問は終わります。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員長 渡辺朗君。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 私、幾つか御質問をさせていただく前に、大臣の基本的なお考え方をお聞きしたいと思います。  それは前回の外務委員会でも申し上げたのですけれども、外務大臣はいまのような時代でございますからやはり問題があるというときにはどこにでも飛んでいってもらう、私はこれがやはり大事なことだと思います。先週でございましたが、西ドイツのマットヘーファー経済大臣が日本に来られて、日曜日に来て月曜日にはもう帰ってしまっておられるというようなことでもございます。よその国の閣僚というのは、もっともっとあっちこっちいま飛び回りながらいろいろな動きをキャッチし、かつまたそれを同時に閣議にも諮り、それからまた当然国会の方にもいろいろ問題も提起している、私はそういうことは非常に大事だと思うのです。その点について大臣、これからの大臣の行動のパターンでございますけれども、お考え、決意のほどを聞かせておいていただきたいと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 ただいまの渡辺委員のお話のように、こういう世界が狭くなりました時代、いろいろな問題で各国がかかわり合っております時代には、政府の首脳部が気軽に行き来するというようなことが必要だと存じますし、また電信電話等が非常に便利になりましたのですけれども、最近の一、二の例などを見ましても、電信電話の話し合いが時たま誤解を生ずる場合もある。  これは事実かどうかわかりませんが、たとえば最近ヨーロッパで外相会議をやろうとしたのがお流れになった。というのは、電話をお互いに余りかけ過ぎたために話が混線してしまったのだというようなニュースもあるわけでございます。これも最近のシュミット西独首相の訪米、やはり顔と顔を突き合わせて話し合うことによっていろいろな意味での相互の理解が深まるというような例も耳にしておるわけでございますので、私としても機会があればできるだけ出かけてまいりたいと思います。  しかし同時に、ただいま国会中でございまして、国会の審議に障害を及ぼすようなことがあってはならない。両方の板ばさみになっておるわけでございますが、できるだけ国会の重要な審議中は外へ出かけることはミニマムにいたしてまいりたい。絶対やむを得ないことの範囲で国会にお願いするということでまいりたいと考えております。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 これからぜひそのような行動様式をとっていただきたいことをまず要望いたします。  実は、今回アメリカに行かれるわけでございますけれども、もう一つ基本的なことでお聞きしたいと思いますのは、いまアメリカの国民世論というものはどういうふうに動いているのか、同時に日本の国民感情というものは日米関係に対してはいま何か動いているのか、変化してきているのか。大変大きな問題で、かつ抽象的な問題であります。  具体的には、たとえばアメリカの国民というものはベトナム戦争以来ずいぶんいろいろな変動をしてきているんじゃないかと私は思います。孤立主義の傾向を深めたこともあるでしょう。またアフガンの問題で世界に対する責任みたいなものを非常に強調するような動きも出てきているかもわからない。それに対応して日本側の方はどういうふうなことなのか。常にいつでも受け身で、何かアメリカから言われてそれで動いているのだとか、それはけしからぬとかという次元の受けとめ方でいいのかどうなのか。私は適切な言葉が見つかりませんけれども、日本国民の中にも大変変化が起こってきているように思います。大国意識だけではなくて、同時に世界に対して何かしなければならぬ、こういったものも出てきているでありましょう。また同時に、ナショナリスチックな面あるいは傾向が拡大しているかもわかりません。外務大臣でございます、日本の国民の代表としてどこかへ行かれた場合にはお話をされる。こちらの国民感情をどうつかまえていらっしゃるのか、アメリカならアメリカの国民感情をどういまつかまえていらっしゃるのか。所感のほどで結構であります、お考えを聞かしていただければと思います。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 アメリカの対日感情、いろいろな世論調査がございますけれども、二年ほど前に経済問題を中心にしてかなり激しい時期がございましたが、その後は改善に向かっておったと思います。そこへまたイランの事件が起こりまして、非常にアメリカの一般の人々の感情が高ぶっている時期でございましたので、これは一時的、比較的短期間に火が燃えて、その後はある程度おさまった状態になっておるかと思います。  アメリカにつきましては、日米関係で火がつきやすい条件は存在しておって、いろいろな折に触れ事に触れ、その火が燃え上がる。燃え上がると両国の責任者が鎮火に努力して、ある程度おさまるというような経過を繰り返しておる状況があると思います。  火がつきやすい原因として、日米関係のアンダーカレントと申しますか、一つには経済的には日米の貿易のアンバランス、二年前には特にこれが激しかったわけでございますが、大幅な日本の輸出超過、これは一般大衆については消費者の利益になる面もいろいろあるわけでございますけれども、アメリカが世界のナンバーワンと思っておったいろいろな分野、テレビ、鉄鋼あるいは最近は自動車、こういう面で次々に日本に追いかけられる、追い越されるというような感じが一つあると思います。  第二には、先ほど来議論のありましたフリーライダー、どうも日本は自分の果たすべきことを十分やってない。アメリカのタックスヘイヤーの負担で日本は楽をしているのではないかという感じが相当広い範囲にある。  第三には、エレクトロニクス、ICなどの分野であることでございますが、ハイテクノロジー、そういう分野で日本はだんだんアメリカの競争者になってきたのではないか、アメリカにとっては競争力があるのは農業とハイテクノロジーしか残されていない、そういうハイテクノロジーの分野に日本が競争者になって対米輸出も急激にふやしてくるのではないか、こういった心配とか、いろいろまじりあっておると思います。  また、アメリカの世界における役割り、十年、十五年前までは圧倒的な比重を持っておったわけでございますが、相対的な比重がだんだん下がってまいる。世界の問題についてアメリカの一存ではまいりかねるようなことがふえてきておる。これに対しては欧州及び日本の協力を求めなければならない。しかし、その協力が必ずしもアメリカが考えるように十分には行われない、それに対するいら立ちというようなもの、いろいろな面がまじりあっておると思うのでございますが、しかし、基本的には日米関係の重要性ということ、これは指導層から相当広い範囲に基本的な認識はあると思うのでございます。それだから、ときどき火がつくけれども、しかしその火がまたおさまってくるということになっているのではないか。  そういう意味では、日米関係というのは絶えず日米双方で気をつけて、この緊張が余り激しくならない努力が必要だと存じます。  日本側、日本国民の考え方、これは私が申し上げるよりも、いろいろな方々の御意見があると思うのですが、戦後三十年にわたりまして、戦争によって徹底的に貧困化したところから何とか経済の建て直しをやろうということで経済再建に一心不乱にやってまいった。しかし、自分たちは貧乏だし、世界の中で小さな役割りしか持っていないという気持ちが一般的だったと思うのでございますが、どうも一生懸命にやっているうちにGNPも相当なものになって、アメリカのGNPの半分に近いところになる。世界のうちでもアメリカに次ぐ。あるいはソ連、これは統計のとり方がむずかしいのですけれども、GNPということになると、いまの日本とソ連とほぼ同じくらいな水準かと思いますけれども、そういうようなことで、単に自分の国の経済の復興再建だけで役割りは済まない。何か世界に対しての役割り、責任というものを持たなければならないだろうという気持ちも出てまいったと思います。  そういう意味での役割りといいますか、意識の変化がございまして、対米関係におきましても、占領時代あるいはその惰性、日本がまだ経済的にも非常に貧しい時代の考え方と少しずつ最近は変化してきておるように私も感じておるわけでございます。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 いまおっしゃったように、日米関係というのは、よその国との関係でもそうでしょうけれども、条約があるから、協定があるからそれでいいのだ、ではなくて、そういうものにも血を通わせることが大事だし、そのことがまた同時に、国民同士の血の通った関係、したがって対立もあるだろうし、協調もあるだろうし、いろいろするけれども、いずれにせよ血の通ったものでなければいかぬということだろうと思います。  ついては、そういう立場から、今回訪米された際に、外務大臣、朝鮮半島問題についてはどのようなお考えを述べられるお気持ちでありますか。特にいま南北の総理級の会談もというような動きでございますけれども、これに対してはどのようなお考えで、またどのようにしたいとお考えでございますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 南北対話が始まるという状況のもとにおきまして、朝鮮半島の将来は非常に注目されるわけでございまして、とにかく朝鮮半島に大きな動乱が万一起こりますと、日本にとっても重大な影響があることでございますし、そういう点での紛争が起こらないということについては、できるだけ周りの国々も力をかす必要があるように思います。この点はアメリカも同じ考え方であろうかと思いますし、中国もまた同じ考え方をしておるように私どもは感じております。  それからさらに、韓国の側におきましていろいろ世の中の変化、政治情勢の変化も起こりつつあるこの情勢、これは他国の政治問題でございますから、外からとやかく言う性質のものではないことだと思いますが、十分に注意深くウォッチしていく必要があるし、全体として政治がより民主的な形に移行していく可能性も見られるわけでございまして、こういう情勢についてもアメリカも韓国の情勢とは深く関係しておるようでございますし、でき得れば意見の交換の機会を得たいと考えておるわけでございます。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 時間がありませんので、端的にあと一つだけ聞かせていただきたい。それは中東問題であります。  前回の委員会で私はECの外相会議がアフガニスタンの問題解決、ソ連軍の即時撤退、こういう問題の一つとして中立化という提案を行った、それについてのお考えを聞きました。そのときにはまだ情報が十分でないので検討をするということでございましたが、今日の時点においては、外務大臣はどのような姿勢でアフガニスタン問題に対して対処されようとしておられるのか。中立化問題については、もはやそういう案は考えておられないのか、むしろ積極的に進めようとしておられるのか、そこら辺聞かせていただきたい。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 中立化問題につきましては、その後ヨーロッパ、ECの中でいろいろ打ち合わせが行われておるようでございまして、まだEC全体として固まった案にはなっておらないようでございます。ただ、個別的にイギリス、フランス等からのモスクワへのアプローチが、サウンドといいますか、行われた形跡はあるようでございます。また、ヨーロッパの一部には、中立化構想はむしろアフガニスタン周辺の中東、南西アジアの国々がイニシアチブをとって考えた方が適当ではないかというような意見もございます。中国は、中立化構想をいまの段階で出すことはソ連のアフガニスタン軍事介入を正当化する種に利用される危険があるから自分達は反対だ、あくまでも即時撤兵を求めるという態度を貫くべきだという意見、見解を表明しておるわけでございます。  この中立化構想が比較的短期間に問題の解決に資するかどうか、現在の時点になってみますと必ずしも楽観できない。なお、モスクワの反響につきましては余り明確な形ではない、多少の含みを持たせながら賛成できないというような形の発言が行われておると見ておるわけでございますが、しかし、やや中期的な将来も含めて考えてまいります場合、やはり世界的な緊張を解きほぐすということのためにアフガンからのソ連軍の撤退というのは非常に重大な役割りを果たすと思いますので、この中立化構想というのはある程度気長な問題、方向としては非常に興味のある方向、重要な方向であると思いますので、直ちに短期間の効果が期待できないように思われますが、やや長期の立場に立ってこの構想を見守っていく必要があるし、同時にその過程において日本の果たすべき役割りがあれば果たすということではないかと考えておるわけでございます。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 残念ながら時間が参りましたので、最後に関連して一つだけお聞きしてやめたいと思います。  中東問題の包括的和平のかぎはPLO問題であると大平総理大臣も言っておられました。このたび新聞によりますと、特使として行かれました園田前外相はかぎではないという御意見であったように言われます。外務大臣としては、また政府としては、どのようなお考えでPLO問題に対しては対処されますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 まあPLO問題という場合とパレスチナ問題というのと多少違うわけでありますが、パレスチナ問題が中東和平の一つの重要なかぎであるということは私も考えております。園田さんがおっしゃいましたことは直接聞いておりませんので、どういうニュアンスで言われたのか私もつまびらかにしないわけでございますが、パレスチナ問題が中東和平の重要なかぎであるということは、それほど違った見解を持っておられるとは思っておらないわけでございます。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 PLO問題そのものについては外務大臣はどのようにお考えでございますか。

大来佐武郎外務大臣

○大来国務大臣 PLOはパレスチナを代表する組織であるということは、日本政府としても認めておるわけでありますし、パレスチナが自決の権利を持っておる。その自決の権利というのには、自分の国をつくる権利も持っておるということも認めておるわけでございます。同時に、日本の立場としてはイスラエルの独立国家としての存続を認める。これを否定する立場であればあの地域の安定が来ない。そういう意味で、PLOの立場には多少のリザーべーションがあるというのが現在の考え方だと思います。

渡辺朗民社党・国民連合

○渡辺(朗)委員 わかりました。またお帰りになってからいろいろお聞かせいただきたいと思います。ありがとうございました。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ————◇—————     午後一時四十五分開議

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の変更に関する第四確認書の締結について承認を求めるの件等ガット東京ラウンド関係諸協定十件を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。土井たか子君。

土井たか子日本社会党

○土井委員 十条約にわたる中身でございますから順不同になりますけれども、おおよそ総論からまず少し質問をさせていただくことにいたします。  一九四八年に実は国際貿易機関憲章、いわゆるハバナ憲章というのが考えられましたけれども、しかし、御承知のとおり流産に終わりました。そして、その後一九五五年にガットの運用を任務とする貿易協力機関に関する協定、OTCが成立いたしまして、わが国も第二十六回の国会で、昭和三十二年五月でございますか、この協定は衆参両院の承認を得ているわけでございますけれども、いまだに発効しておりません。この発効をいたしておりません理由はどういうところにございますのですか、ひとつこの辺からお聞かせいただきたいと思います。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 締約国といいますか、署名国の一部で、必要な受諾をしていない国があったからであるというふうに承知いたしております。その国はアメリカでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 その後、六四年から六七年にかけて五十四カ国が参加をして行われたいわゆるケネディ・ラウンド、七三年から七九年にかけて足かけ七年間にわたって行われた東京ラウンドと、非常に大規模な関税引き下げというのが交渉上行われてまいりまして、しかも一面、現在のガットは、国際機構として見てまいりますと、条約的に多くの不備な点を有しているということは、識者の指摘をされているところでございます。いろいろな文献に当たってみましても、その点は種々、ガットについてこの点が不備であるというふうなことがよく取り上げられて論じられているわけでございますが、現在のガットの事務局のスタッフで、今後ますます複雑化をしていくに違いないこの機構の運営を十分にやり遂げていくことができるかどうか、この点は外務省としてはどのように考えていらっしゃるのですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 先生御指摘のとおり、ガットの中にはその事務局等に関する規定も実はございませんで、ほかの国際機関に比較いたしましてわりに小さなスタッフをもって運用しております。現在三百人をちょっと欠ける程度ではないかと思いますけれども、しかし、従来のケネディ・ラウンド及び今回の東京ラウンドを通じまして必要なサービスは十分提供をしてまいりましたし、今後とも十分やっていけるであろうというふうに考えます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 非常に楽観的な見方を経済局長はされているのですが、必ずしもそのとおりではないというのを、一つの文献を御紹介をいたしましょう。  七九年六月号の「経済と外交」、牛場さんの「世界経済の動向と日本」という表題でお書きになっている一文、これは局長もお読みになりましたか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 私は読んでおりません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 牛場さんは非常にこの点経験豊富な人であるということは局長も御承知のとおりでございまして、いろいろな現場に臨んで実情がどういうふうになっているかということもみずからの目で確かめ、みずから感じ取って、そしてお書きになっている一文だということは想像にかたくないのです。  それからいたしますと、「GATTの事務局の果たす役割が非常に大事になりますから、この事務局を強化するということが必要となります。」というふうにお書きになっている部分から始まりまして、「日本が相当声を大にして提唱すべき問題であります。もちろんそのためには、お金も出さなければいけませんけれども、しかし有力な事務局長とか事務局員の選定に当たっても、日本が希望を述べてその実現を図っていくことによってGATTの事務局を強化し、そのGATTの事務局が日本に対して常に理解ある態度を示すように持っていくことが非常に大事だと思います。」というふうに書いてあるのです。「今後大いに力を入れて強化していかなければならない問題だと思います。現在GATTの事務局員は、たとえば月給も安いということが実はあるわけなのですが、そういうことにも力を入れて強化を図っていく必要がある。これはやはり八〇年代の一つの課題ではないかと思うのです。」この点、非常に力を込めて書いてあるのです。  いまのガットの事務局員で十分やりこなせるという局長の考えは、実情から見ればどうも甘いですよ。日本とすれば、この点は、今後このガットの事務局強化について具体的にどういうふうに提唱することをおやりになる御用意がおありになるか、お聞かせいただきたいと思うのです。いまのままであってはならない、これは国際的世論と考えてもいいと思います。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 お答えいたします。  私、最近までガット、ジュネーブに在勤いたしておりましたので、その辺の空気ははだで感じておりますので申し上げさせていただきたいと思います。  ただいま先生から御紹介がございました、私どもにとっては先輩の牛場氏の御指摘はまことにもっともだと思いますが、現に交渉が終わりました段階でガットの事務局強化という話が出まして、事務局は、非常に厳密な計算に基づきまして自分たちとしては約一割程度の人員の強化をいただければ実施を十分にやれる体制がとれるということで、新しい予算を組んでおります。この予算につきましては、日本が最大の支持者の一国でございます。  さらに、事務局のスタッフの強化ということは質的な側面でございますし、それから事務局長の任期がちょうど五月に切れることでございますので、いま内々次期事務局長の選定が進んでおりますが、これにつきましても日本としては十分に発言し、いい人を選ぶべくガットの中において活躍いたしております。  さらに、先生いま御指摘のとおり、ガットの事務局員の月給が安いというのは、主としてドル払いの給与になっておりますので、スイス・フランとドルの為替の変動から、むしろ退職金として積み上げておるドルが今後退職する場所であるスイスにおいて価値が減るという苦情がございまして、何回もガットの理事会で取り上げられております。その際に、これを効果的に処理をしろという最大の支持国はまた日本でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 局長と違って、非常に苦労されている参事官の方の答弁となると、少しその辺についても日本として努力をしていく必要があるという旨をお認めになっている、そういう答弁に空気が変わってきたのです。これは大分にいろいろ問題があると思いますけれども、現にガットの事務局というのはIMFとか世界銀行に比べると非常に弱いということは現実の問題でもありますから、やはりこの点、日本としては今後いまおっしゃったようなことを努力の初めとしていろいろな点で御配慮をされるということが非常に大切になってくるのじゃないかと思います。それはよろしゅうございますね。  さて、法律的、条約的に考えまして、ガットの運営というのは貿易協力機関協定を発効させてこの機関に引き継がせることが必要であるというふうに考えられておりますけれども、政府はOTC発足のためにガットの閣僚会議なんかの場合において積極的に発言をしてそういうことを推進していくというお考えがおありになるのかどうか、いかがでございますか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 現在ガットは有効に機能をしておりますし、また新しい国際機関をつくる方向へ持っていこうじゃないかというような国際的な環境も特に熟しておらない段階でございますので、現在のところはガットを中心にしていきたいと考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 どうも局長答弁というのはいつも消極的になるのですが、そういう場所に臨むときにあたりの様子ばかりうかがいにお出になるのですか。日本としてどう考えているかということの積極的な発言があってしかるべきだと思う。  参事官、どうです。ずっと苦労されていたから聞きましょう。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 お答えいたします。  私どもは、現場でやっておりました観点から申し上げさせていただきますと、確かにガットは発足以来かなり時間もたち、かつ文面その他で不備の面があるといういろいろの指摘があることは確かでございますが、非常に軟構造を持った機構でございまして、その条文の発展という形で、たとえば通貨体制につきましてはIMFの変更が行われたというような大変動がある中でもとの姿で現在まできっちり機能しておる。のみならず、今回御審議いただいております条約案件十本と申しますのはこのガットの延長線上にございますし、それから先ほど局長から御答弁がございましたアメリカ自身につきましても、今回の諸協定は全部国内法に移しかえた形で、しかも今度批准をしてまいったということで、その面からもガットの体制自体は強化されつつあると考えます。  かつ、その内容自身につきましても、非常に難解な書き方はしてございますが、特定の貿易案件が発生いたしました際に、常識的に判断して、こういうルールで処理するのがよかろうと逆に見当をつけまして条文に当たりますと、大体そう書いてあるという意味で、非常にバランスがとれたものかと存じます。  したがいまして、このガットの体制を強化しながらルールに基づいた貿易を進めてまいるというのが政府の方針だと了解いたしておりますし、そういう努力を中心的にやっていくということが重要かと考えます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 まだまだそういうふうな状況になっていないという現実に対しての認識であろうと思うのです。  予算書を見てまいりますと、ガットの分担金というのがそれぞれございますが、条文を見た限りでは予算とか分担金の条項がないのですね。ガットの分担金というのはどういう法律的根拠に基づいて決定されるのですか。日本の場合は、五十一年度からずっと五十五年度まで見てまいりますと、額は少しふえていっているということがあるのですが、どういう根拠で分担金というものが決定されるわけですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 先生御指摘のとおり、ガットの規定の中には分担金の支払いに関する条項はないわけでございます。他方、事務局の経費その他必要な経費が毎年必要となってまいりますので、このためにはガットの一般協定の二十五条に「締約国の共同行動」という条項がございます。この条項に基づきました締約国団の決定として分担金を定めております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 日本の場合は、それを決められる節、これに対して何らかの日本の立場を主張されるといういきさつが、過去にどういう例がございましたか、ひとつあったら。その主張されてきたことについて説明を求めたいと思います。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 お答えいたします。  ガットの分担金は、原則といたしまして各国頭割り、共同の金額をベースにいたしまして、それよりは高くなりますが、各国の貿易量を反映した形で毎年決まっていくということでございますので、先生御指摘のように毎年日本のはふえてきているということでございます。かつ、私どもとしても、政府の訓令に基づいて当然やったことでございますが、現場においては、ガットの機能を強化する必要があるので日本としてはさらに分担金をふやされる場合においてもこれを喜んで負担する用意がある、各国ともそういう態度で対処すべきであるということは、現実にガットでは予算委員会がつくられましてやられるわけですが、そういう主張を毎回展開してまいっております。  なお、局長の方からガットの事務局職員の数がかなり少ないということを申しましたが、これはほかの国際機関に比べまして、一般職でなく非常に訓練が重ねられた専門職が、かつ長年勤続しておるということで、数字だけからではなく質的には非常に高いサービスを得ておると考えます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 東京ラウンドに参加をした国は大体九十九カ国と言われています。ガットの加盟国、準加盟国、非締約国の数はそれぞれ何カ国でございますか。また、締約国で参加しなかった国は一体どことどこなのですか。なぜ参加しなかったということになっているのか、その理由もひとつ御説明いただければ。  矢継ぎ早に言いましたが、よろしいですか、わかりますか。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 まず、この交渉に参加した国の数え方でございますが、交渉に参加して関心がありと述べた国をすべて交渉参加国として計算する方式がとられました。したがいまして、一回でも会議に出席した国は交渉参加国ということでございまして、積極的な参加国と消極的な参加国がございます。延べ数でございますので、九十九カ国すべてが常時参加しておったわけではございません。  ガットの加盟国は、昨年フィリピンがふえましたので八十五になっております。仮加盟は二カ国でございます。  いま申しました交渉会合に直接出てきたということでは、ガット加盟国八十五カ国すべて参画したわけではございませんで、数字をいまチェックいたしますが、私の記憶では七十五カ国前後であったかと存じます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 東京ラウンドにはガットの非加盟国が二十数カ国参加したということに結論としてはなっているのじゃないですか。いかなる法律的な資格で東京ウランドにガットの非加盟国が参加したということになるのですか。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 東京で開催されました大臣会議において東京宣言が採択された際に、今回の交渉はガットのメンバー諸国のみでなく非メンバー諸国も入ってもらって交渉しようということが申し合わされました。かつ非メンバー国の参画につきましては、交渉終了の段階においてはガットのメンバーになるという期待を込めて呼びかけるという申し合わせでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 その期待を込めて呼びかけるという点で、少し気にかかることがございます。それは発展途上国、それから非加盟国の大部分は、東京ラウンドに参加したにもかかわらず、現在のところ東京ラウンド関係諸協定に署名していないと言われているのですね。これはどういうわけなんですか。それらの国は交渉に参加したことによってどういうふうなメリットがあるのですか。いかがです。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 まず、交渉の参加を通じまして、従来ガットとは独自の立場をとって加入しないということを明示しておりましたメキシコが加入手続を始めまして、あと細目を決めるというところまで行っております。  それから、交渉の結果に署名していない国があるのは事実でございますが、各国それぞれ内容を消化した上で参画したいということで、かなり積極的な検討が行われている国も幾つかあると思います。  さらに、今回の御審議を通じまして何遍か御説明いたしましたように、現在までに諸協定に何らかの形で参画する意思を表明した国があるわけでございます。総体として四十七カ国に及ぶわけでございますが、ガットにおきましては発足の当時は二十三加盟国であった、現在は八十五加盟国でございまして、理事会という大きな機構ではなかなか円滑に意思の決定が行い得ないということに着目いたしまして、十八カ国協議グループというのを設立いたしまして、これはIMFにおけるG10的な機能を果たすことが期待されておるわけでございますが、そこでより早いかっこうでかつ非公式、迅速にいろいろ物事を審議しておくという機構ができておるわけです。十八カ国プラスECメンバー諸国、それで二十六になりますが、さらに積極的に参加している国を出身の地域等をも勘案しまして準メンバーとして入れておりまして、これが総数において約四十カ国になるわけでございますが、先ほどの署名あるいは明確な意図表明国四十七カ国というのに対比していただけますと御理解いただけるかと思いますが、ガットを積極的に推進する母体になっておる国は、したがいまして参加の意思を明示的に表明しているというふうに御理解いただけるとよろしいかと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 どうも事情説明だけにとどまっていて、私の質問に対するお答えをまだお聞きしてないのです。  東京ラウンドの関係諸協定に署名をしていないというのはどういうわけかということが一つと、それらの国々が交渉に参加したということにメリットがございますかということ、これを伺っているのですが、このお答えはどこへ飛んだのですか。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 お答えいたします。  失礼いたしました。なぜ署名しておらないかということは、関係諸国の申し分をお伝えいたしますと、さらに検討の時間が欲しいということでございます。  それから交渉に参加したメリットは何かということは、交渉の内容に明るくなるということを通じて今後の参画体制を固め得るということでございますし、かつ将来参画する場合においては、その国が主張しておった諸点というのは協定の内容に相当程度反映されておるということかと存じます。  なお、この協定はすでに発効した形になっておりますが、署名国間で各協定が予定いたしております委員会がすでに発足されております。その委員会には、昨年のガット総会の決定に基づきまして、非署名国であっても参加を希望する国については広くこれを開放する、かつそういうオブザーバーとしての参加を通じて今後協定参加を期待するという呼びかけが行われております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ガットに対する非加盟国の問題についてはまずいまお伺いしたのですが、それじゃ肝心の、もうすでに加盟をしているガット加盟国の中で十何カ国かが東京ラウンドには参加をしていなかったと記憶しておりますが、これはどういうわけだというふうに御理解になっていらっしゃいますか。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 お答えいたします。  それぞれ国の事情があったのかと存じますが、詳細に国別に当たったわけではございません。多くの非参加国というのは、ガットに常駐しておる代表部といたしまして非常に機構が薄弱であり、かつ員数も少ない。加盟しております一部の国においてもジュネーブに常駐しておらないということもございまして、先ほど申しましたように、参加国の計算をやりました基準が会議に出席したかしないかということでございますので、会議に不出席ということでその国の意思は必ずしも即断はできないかと存じます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 非常に機械的な答弁ですね、これは。やはり、その辺はどういうわけかということは少しお調べになる必要があるのじゃないですか。これは知っておく必要がありますよ。どうですか。  いま国連局長はお見えになっていらっしゃいますか。国連局長、これをお聞きになっていてどうお思いになります。やはりこういうことはきちっと、どういうことか、実情に対して調べてみる必要がありはしませんか。いまの御答弁では余りにも機械的ですよ。それぞれの国の事情があると思うけれどもそんなことわからないというふうな答弁ですね。

賀陽治憲外務省国際連合局長

○賀陽政府委員 私は、ガットのことは余り精通しておらないのでございますが、いまのお話は、開発途上国がガットの交渉についてどれほどの関心を持ち、どれほどの参加のセンスを持っておったかということと関係すると思うのでございますが、やはり若干の国がガットの交渉というものに対しまして不参加であったということは、これはまた、これらの国々のかねてからの主張その他から見ると理解できるところがあるわけでございますから、そういうことで、全般的にはやはりそういう空気があり得るということだと思います。  個々の国の事情は、私担当でございませんので承知しておりません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 この東京ラウンドの審議に当たっても、余り事務的な答弁をやられますと、これはやはり内容に対して審議をするという意味合いがございません。よくその辺は配慮して答弁をなさるように、一音申し上げます。  東欧諸国のガットに対する態度というものがどういうことになっているか、東欧諸国のそれに対する反応というのを、これは大まかで結構ですから、大体考えていらっしゃるところ、理解していらっしゃるところを述べていただきたいと思うのですが、いかがですか。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 お答えいたします。  ガットには東欧諸国は現在四カ国参画をいたしております。それぞれ特殊な経済事情と申しますか、市場経済原理に即しない形でございますので、それを反映した特殊な規約を結んで参画しておりますが、これら諸国はガットの活動に積極的に参画いたしておりまして、先ほど私が申し上げました十八カ国協議グループにも、いまのうち二カ国がメンバー及びオブザーバーとして参画いたしております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 やっぱり実情についての説明以上にならないところが特徴なんですね。どうにもならないと思うのですが、ソ連、中国がなぜガットに加盟をしないのですか。これについてはどのように御理解なさっていらっしゃいますか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 ガットは基本的には関税の制度の運用がもとになっておるわけでございますけれども、主として社会主義国のかなりのものは、関税制度を持っている国もあり、持っていない国もありますけれども、それぞれその国の関税制度の運用に対する考え方の相違があるのではないかというふうに考えます。ソ連、中国に関しましては、現在までのところガットの活動に対して関心を有しているという情報はございません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 韓国はガット加盟国となっているわけですが、さて、北朝鮮はガット加盟の意思があるのかどうか、その辺はどのように認識されていますか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 北朝鮮の意思については明らかでございません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それについて、少しの動きについても、これはやはりいま明らかでないと一言で片づけてしまわれるような状況だというふうに理解しておいていいですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 先方から関心の表明がないわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 七八年度対韓国貿易というのは八十五億九千四百万ドルで、アメリカであるとかサウジアラビアに次いで第三位を実は占めているのですね。これに対しまして北朝鮮とは二億九千万ドルで、約三十分の一なんです。一方国交関係のない台湾との問を見てみますと五十三億三千五百万ドル、すでに国交のある中国のと問では五十億七千九百万ドル、このようになっておりますね。大体数字を挙げてみました。  従来からいろいろ経緯はあるにいたしましても、北朝鮮貿易が伸びない理由について一体政府としてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 ただいま担当の者をこちらへ呼びますので、答弁をそのときにさせていただきたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 これは少し政治的な問題もいやが応でも絡んでまいりますから、こういう問題について御質問を申し上げようとするとやっぱり大臣でなければならないという関係も出てこようかと思います。したがって、これは御帰国になってから後御質問申し上げるという中に一つは含めて、また再度質問申し上げるということに譲りたいと思います。まだほかにもありますから、そのときに譲りたいと思います。  これは経済局長でできるでしょう。三月に入りまして少し日がたったころ、円安対策、円防衛についての記事が各新聞社で一斉に取材をされて掲載をされておりましたが、かつてあれほど強かった円というものが落ち込んできた原因をどのように考えていらっしゃいますか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 通貨問題は大蔵省の方で専門に見ておるわけでございますけれども、私どもの考えておりますところは、基本的には、特に石油その他の一次産品の価格上昇に伴いまして日本の国際収支が従来の黒字から大きな赤字に変わってきたことが根本的な原因であろうというふうに考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 総輸入額の三分の一以上を、実はいまおっしゃった石油が占めているのですね。それで、原油が一バレル五十ドルになる日はそう遠くないというふうに予言をする専門家も現にございます。そういうことからいたしますと、一つは石油輸入の抑制、省エネルギーについて抜本的な対策というものがなければならないと思うのです。産業構造の変更だけではなくて、国民生活の変革もそういう意味では必要となってくるのではないかと思うのですね。年五%の節約、経済成長一に対してエネルギー需要を〇・八に抑制する、九十日分の備蓄をする、そういうことの実効はいま上がっているとお考えになっていらっしゃいますか、どうですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 政府はエネルギーの節約にいたしましても備蓄の増加にいたしましても最大限の努力をいたしておりますし、本年度五%の消費の節約の目標を立ててまいりまして、果たして五%までいっておりますかどうか私は確認をしておりませんが、相当程度成功いたしております。また、備蓄九十日の目標は達成をされたというふうに承知しております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 局長の答弁を聞いていると何でもいいことずくめになっちゃうんですが、実際面を具体的に細かく推し進めていくと必ずしもそうはなってないというのがとてもとても不安の原因であります。  さて、円防衛についてアメリカやECと協議するというスケジュールをお持ちになっていらっしゃるかどうか、その辺はどうですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 円の防衛という直接の通貨の問題につきましては大蔵省の方がやっておりますので、私どもは承知いたしておりません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 外務省としてはやはりECやアメリカとの間の折衝ということが、交渉ということが所管の仕事の第一でございますからね、そういうことについて関知していないし存じておりませんで済むことではないと思うのですよ。その辺の動きについては何にも局長御存じないですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 一般的に円の価値が安定をしていくということについては私どもも非常な関心を持っておるわけでございます。ただし、個々の具体的な措置につきましては私どもは十分承知しているとは言えない次第でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ほかにいろいろお伺いしたいことがありますが、二十四日に少し中身についても回すことにいたしまして、各論に入ります。  スタンダード協定、この協定の五条を見ますと、規格の検査方法が自国の検査方法と異なる場合でございましても、外国の検査結果とか証票を受け入れる、また、外国人の生産者による自己認証を信頼することに相なっております。この点は外国と相互関係になるわけでございますが、外国で採用している検査方法が本当に規格に適合しているかどうか、どうやって日本としては検証するんですか。消費者あるいは使用者からするとこの辺は非常に不安があるところです。いかがですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 外国の検査ないし規格の受け入れにつきましては、これが可能な場合、また、こちらとして調査の結果納得できるという結果が出た場合には、これを受け入れるというコードの規定になっております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 納得した場合にはといまおっしゃるのですが、具体的にだれがどこでどういう方法で納得するのですか。

村岡茂生通商産業省通商政策局国際経済部国際経済課長

○村岡説明員 御説明を申し上げます。  具体的には検査機関あるいは政府機関同士で検査の方法、検査設備その他を具体的に相互に詰め合って、納得し合ったら検査結果を受け入れる。多くの場合は、全体について受け入れるということもあろうかと思いますが、検査結果の一部について受け入れ、核心的な部分は日本側で検査をやり直すということもあり得ると考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ずいぶんいいかげんなことですね。これについては具体的にはいまから詰められるのですか。

村岡茂生通商産業省通商政策局国際経済部国際経済課長

○村岡説明員 個別の具体的商品に即してこれから詰めてまいるところでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それは手順としては個別のものを詰めていくということになるわけですから時間がかなりかかると思うのですが、先の見通しはどういうぐあいですか。

村岡茂生通商産業省通商政策局国際経済部国際経済課長

○村岡説明員 御指摘のように、時間はかなりかかろうかと思います。現在、具体的なスケジュールが個別商品については上がってきておりません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 個別商品について上がってきたら、その都度その問題について協議を始めるという段取りになるわけですね。そのように理解しておいてよろしゅうございますか。

村岡茂生通商産業省通商政策局国際経済部国際経済課長

○村岡説明員 さようでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 このスタンダード協定の二条、七条を見ますと、「討議の結果を考慮する。」という条文が何カ所か出てまいります。これはどういうことを意味しているのかよくわかりません。結果を考慮しただけでは仕方がないんじゃないかと思うのですね。したがって、このような条文というのはちょっとよく考えてみると、意味があるようでないようで、あるようで、しょせんないのではないかというふうな感じもするわけであります。  考慮した上で、具体的に何らかの行動なり措置なりを実際にとるということであって初めて意味を持つわけでありますが、この辺の説明をひとつしてください。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 お答えいたします。  「考慮する」という文言は、ガット本体二十二条、協議条項と言われておりますが、そこから持ってまいった表現でございまして、ガット加盟国あるいはこの協定加盟国同士においては、何らかの問題提起が行われた際は相手国の言い分について友誼的に聞く機会を与え、かつ、これを聞いてその言い分を考慮することということは事前に申し合わされておるものでございます。したがいまして、スタンダード協定の「考慮する」という表現も同内容で解釈していただくことになるかと思いますが、問題の提起があった場合にはこれに真剣に考慮を与えると、二十二条及びこの条文の規定はそこでとどまっておりまして、真剣に検討した結果どうするかは協議を求められた国の自主的判断であるということが、別途確保されておるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ではその都度、求められれば自主的に考えるか考えないか、具体的にどういう措置を講ずるかというのは、そのときに考えるということなんですね。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 そのとおりでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 スタンダードコードの十一条、十二条をごらんいただきたいと思うのですが、この十一条、十二条を見てまいりますと、開発途上国に対しまして「助言を与える」とか「援助を与える」とか「特別の必要を考慮する」とか「妥当な措置をとる」とかいうふうな文言が何カ所かに出てまいります。こういうふうな条文に盛られているような内容について、日本が助言、援助、また考慮、措置、そういうものをとるような具体例が生ずると思われる相手国として、どういうふうな国々をいま日本としては想定していらっしゃるのか、この辺いかがでございますか。

村岡茂生通商産業省通商政策局国際経済部国際経済課長

○村岡説明員 工業標準化法につきまして現在改正の手続が進められているのは御案内のとおりでございますが、このJISの国際的開放に関連いたしまして、具体的にはシンガポールが当該国に現在上がっておりますが、ここへ専門家を派遣いたしまして日本の制度の説明、これに対する適用の助言等を行う予定にしております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 じゃ、いまのところシンガポールだけですね。

村岡茂生通商産業省通商政策局国際経済部国際経済課長

○村岡説明員 要望が来ているのはシンガポールだけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 協定によって設置される委員会とか技術専門家部会とか小委員会には、わが国はどういうふうな資格、地位の人を委員として派遣しようというふうなお心づもりでいらっしゃいますか。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 お答えいたします。  最終的に態度を固めておるわけではございませんが、一般的なやり方としましては、委員会が開催される場合にはジュネーブの常駐代表部から担当官が当然出席する、それから委員会で行われます議論の内容いかんによりまして東京から出張するという形で出席するということでございまして、日本としては席が確保されておる、委員が特定で指名されているということではございません。本点については委員会と技術委員会双方について言えることでございまして、技術委員会についてはできるだけ専門知識を有した者を出すということで対処してまいることとなると思います。  なお、先生の言及がございました小委員会は、何らかの意味での紛争が発生して設立の必要性がある際に設置されるものでございまして、わが国はまだ登録いたしておりませんが、協定が発効する際には小委員会の委員の候補として求めがあればこの人員を提供する用意があるということで、ガット事務局へ登録することが申し合わされておりますので、そういう措置をとることになると思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 輸入許可手続協定の説明書、それから前文、それによりますと、輸入許可手続というのは運用いかんによっては貿易を阻害する効果を有することが一般に認識されている、こう書かれておりますが、この点をわかりやすくもうちょっと御説明賜れませんか。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 輸入許可を原則とする際に、輸入は許可するというたてまえになっておっても、手続上受理してから許可証を発行する際に時間がかかるとか、あるいは後進国の場合に多いかと思いますが、輸入割り当て規制をしておる際に十分の外貨の割り当てがない、あるいは割り当てが細切れに行われるというような事態を想定した文言だと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 どうもそれだけの御説明ではもう一つ釈然と私はいました気にはまだなりませんけれども、このライセンシング、輸入許可手続協定の条文の二条というところを見ますと、その二条のEによりまして見てまいりますと、自動輸入許可申請書というのは十日以内に承認されるようにしなければならなくなります。わが国において一体何日間で承認がおりているのですか。協定が発効いたしましてから後、この規定どおりに申請手続事務というのが実施されるという見通しが現に日本としてはございますか。この辺はどうですか。

村岡茂生通商産業省通商政策局国際経済部国際経済課長

○村岡説明員 現在日本にございます制度で自動許可、このコードに即する自動許可に該当するものはないと承知しております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そうすると、自動許可に該当するものがないというのが現在の実情だ。では、大体何日間で承認が現におりていますか。

村岡茂生通商産業省通商政策局国際経済部国際経済課長

○村岡説明員 通常の外貨割り当ての場合でございますと、一月以内というのが通常のケースでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そうすると、この協定が発効いたしましてから後、先ほど私ちょっとお尋ねしましたが、規定どおりに申請手続事務というのは実施されるという見通しがございますか、どうですか。

村岡茂生通商産業省通商政策局国際経済部国際経済課長

○村岡説明員 若干、先ほどの答弁を訂正させていただきます。  現在、この自動輸入許可に対応するものといたしまして、日本の制度では、輸入貿易管理令の第四条第一項の承認のうちで輸入公表というのがなされておりまして、その非常にいろいろな雑的なことを決めました必要な事項というのが公表されております。あるいは外国為替銀行に対する輸入の届け出という制度がございます、その他若干のものがこれに該当するものということになっておりますが、これらの特に外国為替公認銀行への届け出は一日、即日で処理しておりますし、必要な事項についてもほぼ一週間でやられておるという状況でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そうすると、先ほどの御答弁は一応全面的に訂正なさいますね。全面訂正なさいますね。

村岡茂生通商産業省通商政策局国際経済部国際経済課長

○村岡説明員 さようでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 協定の第五条によりますと、協定発効前に自分の国の法令及び行政上の手続を協定に適合したものにしなければならないということになっておりますね。この点いかがですか。

村岡茂生通商産業省通商政策局国際経済部国際経済課長

○村岡説明員 そのとおりでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 日本としてはどうですか。

村岡茂生通商産業省通商政策局国際経済部国際経済課長

○村岡説明員 このコードの規定どおりに運用いたしたいと考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 運用いたしたいと言って、発効前には大丈夫なんですね。

村岡茂生通商産業省通商政策局国際経済部国際経済課長

○村岡説明員 通産省といたしましては、四月一日からこのコードの規定どおりの運用をいたしたいと考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 これはいろいろ物品について言うと、コーヒーとかビール、ジン、ペニシリン、香水、カラーフィルム、毛織物、じゅうたん、ネクタイ。現行税率から今回東京ラウンドで約束した税率は大分引き下げられるわけですが、関税がどのように下がりましても消費者にとって少しも安くならないというのであってはメリットはございません。これまでの輸入商品の小売価格であった内容からいたしますと、いま私が申し上げた物品について、商品の関税の下がった分だけ、本当に消費者側からすれば価格が下がることが期待されるかどうか。この点はいかがですか。

内村俊一通商産業省通商政策局国際経済部通商関税課長

○内村説明員 お答えいたします。  流通の合理化は通産省の重要な施策でございまして、輸入商品につきましても流通の合理化を推進いたしまして、輸入価格の変動が直接消費者に直結するように努力をいたしておるところでございますので、関税の引き下げが効果があるものと期待しております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それはいつもむなしい期待になるんで、どうにもならないです。政府としては、行政官庁としては、期待なさるのが仕事ではないでしょう。やはり期待どおりに実現さすべく努力なさるのがお仕事ではないですか。期待ばかりなすっていたのではだめなんですね。今回具体的にどういう努力をその期待に向けてなさるのですか。そこを聞かせてください。

内村俊一通商産業省通商政策局国際経済部通商関税課長

○内村説明員 一般の輸入商品の流通の合理化につきましては、従来から関係の輸入業者その他に協力を求めておりますが、関税の引き下げの事情についても十分説明をして、そういった合理化に努めるよう要請してまいりたいと考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 合理化に努めるよう要請していくというのは、どうもそれはおもしろい表現だと思うのですが、具体的にそれでどれだけの効果が上がるかというのは実は見ものなんですね。これはどういう措置をお講じになるかというのは、やはりいろいろ流通機構に対しての改善ということもあるかと思いますけれども、今後これがいよいよ実現をして具体的に動き始めて実情について見た結果、また再度、必ずこれは問題として国会で取り上げるということをひとつ予告しておきましょう。よろしいですね。  さて、第四確認書というものに入ります。第二確認書及び第三確認書というのはあったはずですが、それは国会の承認を求めていますか、どうですか。

山田中正外務省条約局外務参事官

○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。  現在の新しいシステムになりまして番号がついておりますので、第二は国会の御承認を求めて入っております。第三確認書は、わが国の譲許と関連がございませんのでわが国が参加しておらないものでございますので、国会にも御提出いたしておりません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いま御答弁のとおり、第二確認書は国会の承認を求められたわけですね。第三確認書についてはわが国に関係がないので求められなかったということですね。  そうすると、今回第四確認書について、わが国に関係のある部分だけについての御承認を求めておられるということなんですか、いかがなんですか。

山田中正外務省条約局外務参事官

○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。  第四確認書は、わが国の譲許に関連する部分と他国の部分がございますが、いま先生御質問になりました点、実はガットの譲許表及び確認書につきまして国会の御承認を仰ぐ方法といたしまして、これは昭和三十一年に内閣が議院運営理事会の方にお諮りいたしましたものがございますが、譲許表に関しては現実にわが国が義務を負うのはわが国の譲許表のみでございますので、国会に御提出いたします和文のテキストについてはわが国に関するものだけでよろしいという御了承をいただきまして、譲許表及び確認書につきましては以後そのような手続を踏ませていただいておるものでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 要らぬところまで御答弁されて、まことに恐縮なんですが、すなわち、いまの御答弁からしましても、第四確認書についてはわが国に関係のある部分とそうでない部分とあるということで、それを一括して三十一年のその申し合わせで和文の分については全部を審議対象として提出する、こういうかっこうですね。たやすく言えばそういうことでしょう。

山田中正外務省条約局外務参事官

○山田(中)政府委員 和文のものについて御提出申し上げるのは、日本に関係のある部分だけということでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そうすると、英文の部分については全文を提出してくだすっているわけですか。

山田中正外務省条約局外務参事官

○山田(中)政府委員 先ほどの三十一年以来の御了解いただきました手続の一環といたしまして、英文については全部提出するようにということになっておりますので、今回も英文につきましては全部提出させていただいております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 これはあくまで便宜的措置と言われればそれまでかもしれませんが、第三確認書について、日本に関係がなかったからといって国会の承認を求めていらっしゃらないわけです。同じような論法でいけば、第四確認書につきましても日本に関係のない部分については便宜的措置として大分手間が省けるのではないか。膨大な資料をいただいて、日本に関係のない部分は余り読みません、日本に関係のある部分ですら読むと大変です。     〔委員長退席、佐野委員長代理着席〕  こういうことからすると、そういう措置というのは今後考えられてもしかるべきではないかと思ったりするんですが、いかがでしょうね。

山田中正外務省条約局外務参事官

○山田(中)政府委員 昭和三十一年当時お話しを申し上げましたときは、わが国のものにつきましても、よその国のものにつきましても、譲許の範囲がもっと狭うございまして、量がそうたくさんなかったということがあったかと思います。その後非常にふえてまいっておりますので、いま先生から御指摘いただきましたように合理化できるものでございましたら考えていくべきものだろうと思います。  ちなみに申し上げますと、今回の第四確認書の英文の国会に御提出申し上げます費用は約二百万近くかかっております。譲許表につきましてはもっとかかっております。大変ありがたい御示唆をいただきましたので、当委員会の先生方とも御相談し、何か合理化できる方向があるのか、御協議させていただきたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 さて、政府調達の中身に入りたいのですが、この政府調達に関する協定の一条の(C)に言う「締約国の直接の又は実質的な監督の下にある機関」つまり直接機関と実質的な監督のもとにある機関、さらに「指定された他の機関」、そういう機関に対しての分類があるわけでありますが、わが国のこの機関について「会計法の適用を受ける機関」というところをずっと見てまいりますと、これはずいぶんあるのですが、三公社、十公庫、二特殊銀行はどういう理由でここに含まれるのですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 この協定の適用を受ける機関の範囲については、ただいま先生の御指摘のありましたような書き方になっておりまして、それぞれどういう機関であるかということについての明確な定義というものはないわけでございます。ただ、日本がオファーをいたしました機関につきましては、この機関が全額政府の出資であること、あるいはその予算について国会の議決を経ること等の点を考慮して選択をしたものでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いまのもよくわからない御答弁ですね。  それでは具体的に聞きます。機関の分類からいうと、日本国有鉄道というのはどういう機関になるのですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 ただいま申し上げましたように、コードの上で書いてありますどの名称のものに該当するかということではございませんで、その中で書いてあるものに該当する性格を持っているものだということで提示をしたわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 該当する性格を持っているものでは、ようわかりませんね。やはり一条の(C)に言うところのこの機関であるということを言っていただかないことには釈然としませんよ。  日本国有鉄道というのはどういう機関なんですか。直接機関なのか、実質的な監督のもとにある機関なのか、指定された他の機関なのか、どうですか。

山田中正外務省条約局外務参事官

○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。  日本国有鉄道は、その設置について定めております法律におきまして主務大臣の監督権が規定されておる機関でございますので、本協定のどの機関かという点になりますと、直接または実質的に監督のもとにある機関と理解いたします。

土井たか子日本社会党

○土井委員 どうもしかし、この三公社、十公庫、二特殊銀行というのを見てまいりますと、中央官庁だけでしぼるとオファー額が少ないからこれを含めたのではないかという考えが出てくるわけでございます。そうでなければ、ひとつここで、断じてそうでないという反証を具体的にわかりやすく説明してもらいたいと思いますが、いかがですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 政府調達の態様につきましては、各国ともそれぞれの事情がございまして、また各政府ないし政府の関係の機関の仕事の仕方、組織が違っておるわけでございます。したがいまして、交渉の過程においてどういう機関を調達コードの対象にするかということにつきましての具体的な合意というものはございませんでした。  したがいまして、大体各国の政府直接あるいはそれに非常に近い機関が行っている調達をそれぞれ各国ともオファーし合い、できるだけ開放の度合いを広げるようにということで交渉をしてまいりまして、その場合先方からの要請の度合い、こちらと先方との間の開放の度合い等を含めまして総合的に判断をした上で決定したものでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 総合的に判断をしたものでと言われるところが大変くせ者なのです。何を総合的に判断したのですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 各国のオファーの内容、たとえば各国のGNPに対する比率でございますとか、あるいは政府関係の予算に占める比率でございますとか、そういったものを判断した上での総合的な相互主義と申しますかレシプロシティーを考慮したものでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いまの御説明からすると、聞いておりまして、中央官庁だけでしぼるとオファー額が少な過ぎるのでこれを含めたということを御説明されたような御答弁にしかどうも聞こえないのです。そうではないという御答弁じゃなかったのですね。したがってそうすると、中央官庁だけでしぼるとオファー額が少ないからこれを含めたというふうに考えてよろしゅうございますか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 先ほど申し上げましたように、この協定の目的を達成するために、いまできる限り貿易の拡大を目指すという視点から、各国とも適当な範囲で政府関係の機関にも対象を広げて交渉を行った結果、現在のようなことになっておるわけでございます。これで政府調達コードの交渉の全体のバランスももちろん考えまして、このために三公社、十公庫、二特殊銀行というものもオファーに入れた次第でございます。  ちなみに、政府の中央機関のみでないこのような例はほかの国にもございまして、私どもが各国の機関の中で政府機関でないと思われるものとしてちょっと気がつくものを挙げさせていただきますと、たとえばベルギーにつきましてはベルギー国冷凍公社、ノルウェーはノルウェー放送公社、スイスについては連邦アルコール公社、米国についてはパナマ運河会社、そういったようなものがございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 他国の例をお挙げになると同じように、他国から見れば日本のこの三公社、十公庫、二特殊銀行というのは大変に目ざわりな中身ではなかろうかと私は思います。同じように他国から見れば、先ほどから申し上げているように、中央官庁だけではオファー額が少ないということでこうなっているのではなかろうか、このようにも読まれるであろうと私は思うのです。  きょうの御答弁を承っていて、そうじゃないという論証を私は聞かしていただいておりませんので、その辺は釈然としないまま、政府としても外から言われたときにそう認めざるを得ないであろうと認識させていただいて、次に進みたいと思います。  「日本国有鉄道 運送における運転上の安全に関連する物資」、これは何ですか。具体的にどういうものかということをお尋ねしたいと思います。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 たとえば信号機とか車両などが含まれるとは思いますけれども、ただ具体的に日本側としてその内容を確定して他の関係国と話をしたという事実はございません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 これはこれから対外的にいろいろ問題になってまいりますよ。「含めない。」こう書いてある。一体どこまでを含め、どこまでを含めないのか、これをはっきりしておいていただきましょう。これはどういう中身ですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 含められておる対象となる物資としては、たとえばコンテナですとかフォークリフト、いろいろ機械等があるのではないかと思われますが、この注釈は、先ほども申し上げましたように物資を特定したものではございませんので、この解釈については協定上の協議の対象となり得ると考えますが、ただ日本側の考えを示すことは対外的な配慮からも得策でないと思われますので、個々の品物、どの範囲のものであるということへの言及は差し控えさせていただきたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 この条約審議というのは、これによって審議をお願いしますと外務省から提示されているこの条文に従って審議をやっているのです。条文の中身について明確にすることは差し控えさせていただきましょうという答弁をもらって、どうして審議できるのですか。具体的にどういう認識を持っていらっしゃるかくらいは明確にしておいていただかないと、条約審議になりませんよ。東京ラウンドについても審議することにならないのです。局長、よろしいか。     〔佐野委員長代理退席、委員長着席〕

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 この政府調達コードの対象になります機関の問題と、それからその先の調達物品の範囲ということになりますけれども、この範囲をどこまでカバーするかということにつきましては、これは必ずしも日本だけでなくて、ほかの国も明確でない場合もあるわけでございます。  たとえば、この協定の第八条におきまして、「この協定の適用除外」という項目で、「締約国が自国の安全保障上の重大な利益の保護のために必要と認める措置」は例外であるとかなどというような例外規定がございますし、またそれを踏まえまして、たとえばアメリカの留保の規定、二百十三ページにございますけれども、「第八条1の規定に基づいて別段の決定を行う場合は、この限りでない。」というふうに、品目は明示しながらもその内容については必ずしも厳格なコミットメントをしておらない場合がございます。そのほか、たとえばノルウェーでしたかデンマークでしたかにつきましても、注釈の中で留保がございまして、その留保の範囲というのは必ずしも明確に品目のカバレージと申しますか、その範囲についてははっきりしておらないわけでございます。  したがいまして、このような点がほかの国にもあります以上、日本の方といたしましても、全部明確に——いまの段階で申し上げますと、いずれにいたしましても、こういったものは今後の協定の運用の協議を通じて個々のケースとして具体化をしていくものである、そういうふうに思われますので、先ほどのような御答弁を申し上げた次第でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 今後運用の協議とおっしゃいますが、あらましそういうことについて、やはりどういうことを「運転上の安全に関連する物資」と認識しているかということについて、やはり外務省は外務省なりのお考えを披瀝されるぐらいでないと、この東京ラウンドの審議にならないと私は申し上げているのです。今後の運用に万事任せるのだったらこんな国会審議なんて不必要じゃありませんか。  これは強いて言うと、「運転上の安全に関連する物資」というのはどこからどこまで含めるかといったら、極端に言ったら何もかも全部だと言ったっていいんでしょう。範囲を広めようとしたらまくら木からレールから安全装置は言うに及ばず、何から何まで全部であって、まあまあ「運転上の安全に関連する物資」でないということが言えるのは、机であるとか一般事務用品という程度だろうなということは言えるのじゃないですか。これどうですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 仰せのとおりでございまして、また先ほど私も、たとえばコンテナとかフォークリフトのようなものは運転の安全に直接の関係はないだろうというふうに考えておるということは申し上げた次第でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それは答え方の問題であるだろうと私は思うのですが、さらに順を追って申しますと、いまのは「(a) 日本国有鉄道」ですね。その次の「(b)日本電信電話公社」、そこにいうところの「公衆電気通信設備」というのは一体何を指すのですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 電気通信の、まあ簡単に申しますと、電話機から電話機の間に含まれるものでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そうすると、電話機から電話機まで、これはすべて従来どおりの随意契約でできるということになりますね。それはお認めになりますね。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 現在この政府調達協定の対象として日本がオファーをしておりますのは、その電話機から電話機までの部分を除いた部分でございます。  ただ、その注釈のところでごらんになりますように、注釈のところの(iii)に書いてございますけれども、今後、昨年の牛場・ストラウスの合意に基づきましてアメリカ側と話をすることになっておりますが、その話の結果、この協定の対象にしようということで合意をしたものについては、さらにこの協定の対象とするということになります。

土井たか子日本社会党

○土井委員 さあそこで、合意の問題が実は焦点になってくるという関係をいまお答えの中でもお出しになったのですが、もう一度押さえておきましょう。  原則としてここにある、順を追って条文を読んでまいりますと、「公衆電気通信設備は、含めない。」と書いてあるわけですから、電話機から電話機まで、これは従来どおりの随意契約でまずできる、随意契約でいけるということを確認しているというのは、この点について言えますね。もう一度御答弁ください。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 お言葉を返すようでございますけれども、協定で規定している調達方式の対象にはしないと申し上げていますので、従来電電公社の調達が全部随意契約であるか、またどういうことになっているかというのは、私どもそこまでつまびらかにしておりませんので、従来どおりの手続が続けられるという意味におきましては、先年のおっしゃるとおりでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そうすると、これはだめ押しのようなかっこうになりますが、電話機、ケーブル類、交換機類、データ装置類、これは皆「公衆電気通信設備」に入るわけですが、これも従来どおりの契約で、この(b)の(i)項からいえば協定上はできるということに相なるかと思います。そのとおりでよろしゅうございますね。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 お答えいたします。  そこの注釈にある形で日米間で話がつけば、先生御指摘の形となります。

土井たか子日本社会党

○土井委員 さて、この政府調達は本来はガットの枠外でしょう。しかし、日本でいままでどれくらいの調達があったかということは押さえておかないと、これは合意の対象になっているわけですから、したがって、どうにも合意に臨むわけにはいかないだろうと思うのです。ここ数年どれくらいの調達が中央官庁関係であったのでしょう。十五万SDR以上のものがどれくらいあったのですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 昭和五十二年の数字でございますと、サービスも含めて六兆円ちょっとでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 昭和五十二年というのを特に言われるのには、何か根拠があるのですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 交渉をやるときに私どもが考えておりました年次の数字でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 五十二年後についてはどういうことに相なっていますか。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 恐縮でございますが、詳細は持ち合わせておりません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 これは政府調達について、やはり今回のこの合意の対象とする内容に関係する部分になってまいりますので、ひとつこの資料を提示するようにお願いをいたします。できますね。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 日本の政府の調達総額については、そのように取り計らわせていただきます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ところで、この日本電信電話公社、先ほどの問題ですが、この協定は一九七九年六月二日に公表された日本と合衆国政府の共同発表の中身にかかわってくるわけですね。この共同発表というのを見てみると、読みにくくてよくわからないのです。特に(A)の(2)というところを見ますと、「現在日本国が行っているオファーの範囲」というのが書いてあるのですが、「日本国が行っているオファーの範囲」というのは何ですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 それは昨年アメリカ及びヨーロッパ諸国と交渉をいたしましたときに、日本側が日本側の案として提示したオファーのことを指しております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 日本側が提示したそのオファーの内容というのはどういうことなのですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 この点につきましては、この共同発表の中でも書いてございますように、ことしの末までかかりまして米国と日本との間でさらに話し合いを続けまして、共同発表の(A)にございます「相互の市場への進出機会に関し相互主義が適用されるべきである」という目標に向かいまして交渉をいたすことになっておるわけでございます。この(A)の(2)のところにありますように、合衆国政府の方は日本のオファーの範囲を「相互主義実現のための前記のプログラムの枠内における具体的な措置とみなす。」というふうになっておりますが、現在相互主義に基づいた日米間の合意を達成するよう交渉を進めようとしている段階でございますので、恐縮でございますがその内容を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そうすると、この協定の(b)の日本電信電話公社の項目の(iii)で述べてある中身については、御勘弁、御勘弁と言われてわからないまま、目隠しをされてわれわれは審議するというかっこうになるのです。よろしゅうございますか、そういうかっこうになっているのです、いま。  その次の「相互主義実現のため」というのを念のためにもう一度押さえておきましょう。何ですか、「相互主義実現のため」というのは。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 最初のところに書いてございますように、日本とアメリカとの間で相互の市場への進出機会に関して相互主義を実現するというのが目標でございまして、この意味は、調達に参加する機会が供与されているかどうかということでございまして、その結果としてくる調達額は同じであるということは意味しておるわけではございません。  なお、アメリカの場合には、御高承のとおり多くの民間企業がございますけれども、その開放の度合いというのは、総体としてのアメリカ側の企業がわが国の製品を含む外国製品に対して供与する進出機会というものと、日本側の電電公社が供与する進出機会が相互的であるということを意味しております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 相互主義ということは必ずオファーの内容が同じであるということを意味しない、そういうことであるということをいま御答弁になったのでありますが、しかし、これはどうかと思いますね。これは一番大事な部分で、この点がわからないと、この日本電信電話公社の項目について書いてある調達の部分についてはさっぱり意味をなさない。その肝心の部分については御勘弁と言われるのですから、これは審議のしょうがないのですよ、本当のところ。その点を出していただかないと、今回東京ラウンドのこの部分に関しては審議をしていないに等しい、こう言わざるを得ません。それからいたしますと——幾ら押し問答をやったって、いまはお互いが折衝している最中であるから、日本側としては国益上出せないと言われるかもしれません。出したくないと先ほどからおっしゃっているわけですから、どれだけ押しても押しても大変かたい局長のことですからお出しにならないでしょう。  ここでひとつ条約局の参事官にお尋ねをしたいのですが、これはどうでしょうね。「公衆電気通信設備は、含めない。」ということがここの(i)項でございまして、ただこの(iii)項で、六月二日に公表された日米の交渉者による共同発表に照らして、十二月三十一日までに合意の対象となった調達については適用するとなっているでしょう。したがって、ここの内容の部分というのはやはり国会審議の対象にしていただかないと、この条約について審議をしたということにならないと思うのです。特にこの部分については肝心かなめのところがすっぽ抜けるかっこうになるわけですから、当然国会審議の対象にすべきである。つまり合意内容を国会審議にかけるべきである、このように思いますが、いかがでございますか。

山田中正外務省条約局外務参事官

○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。  いま先生御指摘になりました日本電信電話公社の問題につきましては、(i)と(iii)をあわせて読む必要があるかと思います。ただ、先生も御指摘になりましたように、(iii)の中に規定いたしております合意が現時点では行われておらないことは事実でございます。合意の内容が実質的にどのような内容になり、また形式的にどのような内容になるのか、私現時点においては明確に申し上げられませんので、最終的な判断を申し上げるわけにはまいりませんけれども、私が承知いたしておりますところでは、これから行われます話し合いにおきましては、電電が持っております権限と申しますか、それの範囲内でのことが行われるというふうに理解いたしております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 日本電信電話公社が国会に審議を依頼されているわけじゃないのですよ。この協定は、いま参事官が言われたとおり、(b)の(i)と(iii)が相まって(b)という項目の内容をなしているでしょう。いま(iii)の部分について言うならば白紙なんです。白紙だから審議することができないのですよ。具体的にこの内容が出てまいりましたら、国会の承認を求めるために提出をして、そういう手続をとって国会での審議を求めるというのがこの協定審議については当然ではないかということを言っているのです。もう一度、参事官、お答えください。

山田中正外務省条約局外務参事官

○山田(中)政府委員 先ほども申しましたことの繰り返しで恐縮でございますが、合意ができました場合に、その内容、形式が現時点ではわかりませんので、明確に申し上げる立場にないわけでございます。  ただ、先ほども申しましたように、ここの合意ということの中で予想されておりますことは、私、先ほどは少し言葉足らずであったかと思いますが、政府と電電と、両者の権限内でできることを考えておるのだろうと思います。しかし、いずれにいたしましても、その合意と申しますのは、御承認を仰いでおります協定の実施に関することでございますし、またこの件は審議の過程におきまして深く御検討をいただいておるものでもございますので、合意ができました暁には当委員会に御報告することになると思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 報告するということと審議の対象にするということは大分違うのですね。どういう形式になるかよくわからないからという前置きで言われていますから、形式のあり方によったら審議対象にすることにふさわしくない内容になるかもしれません。しかし、原則とすれば、一応これは条文の中身をなしている部分なんですからね。大事な中身なんですよ。ところが、その中身はいま白紙で何もないのです。われわれは政府に対して、外務省に対して白紙委任状を出して、何でもかんでもやってくださいと言うわけにいかない中身なんですよ。この内容については、この(b)の「日本電信電話公社」の内容として一体をなしているわけですから。  その内容をなしているある部分の、しかも非常に大事な部分がいま白紙のままで、ことしの年末に至るまで内容についてはよくわからない。しかし、その内容がわかった段階で、やはり当協定の一体として国会審議の対象にするというのが当然ではないかと私は思うのです。大事な部分ですからね。条約局の参事官、この辺についてもう一度御答弁をいただきたいと思います。

山田中正外務省条約局外務参事官

○山田(中)政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますが、私どもといたしましては国会の権限を侵すつもりは毛頭ございません。ただ、当初に申し上げましたように、どのような形のものになるか現時点でわかりませんので、先ほど申しましたような御答弁になる次第でございます。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 もう一度私の方から御説明させていただきたいと思いますが、先生も御高承のとおり、東京ラウンドの交渉は全体が一つのパッケージということで進行してまいりまして、この政府調達コードの発効は来年の一月一日ということになっております。しかしながら、主要国はもうすでに国内での必要な手続を終えておりまして、日本がどういうふうに出てくるか、日本が東京ラウンドを一つのパッケージとして成功させ、これを確保していく態度をいかに示すかということを見守っているわけでございます。他方、先生の御指摘もあるのでございますけれども、日本がつけましたこの(i)、(ii)、(iii)という電電公社に関する留保は、それとしてそのまま各国とも認めており、それを前提とした上で必要な措置をとっておりますので、私どもとしましては、やはり東京ラウンドの一環としての意味合いも御考慮いただいて、この協定に関する審議をお願いしておる次第でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 東京ラウンドの一環として認識をいたしておりますがゆえに、いま申し上げたようなことになるわけであります。局長、それはおわかりになるでしょう。したがって、これは国会審議の対象にするのが当然のことではないかと言うのです。それはどういう形式になるかわかりませんが、審議の対象にできなければ、先ほどの御答弁では報告を速やかにするというふうなことをおっしゃっています。したがって、この点はもう一度参事官に押さえておきたいと思います。  審議の対象にするということで臨むことがまず第一であるけれども、もしそれがよしんば形式的にできないという場合でも速やかに国会に対して報告する、これはお約束できますね。

山田中正外務省条約局外務参事官

○山田(中)政府委員 先ほど申し上げましたように、協定の実施にかかわる重要な事項であろうと思いますので、報告申し上げるようにいたしたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いかにして審議を逃れようかという姿勢が見えてならない。それじゃだめですよ。やはりこれは重要な部分ですから、国会審議を得る、国会承認を受けるということの方がよほど政府としても中身に対して責任ある姿勢で事に臨むことができると思うのです。その辺はよろしいですね。  局長も、何だか、あっちこっちいたずらにこう薬を張り回ったような、言いわけめいた答弁ばかりせずに、果敢に、こういうときにはこうするああするということを決断なさい。これは大事な部分ですよ。ふんふんと首ばかり振らないで。どうですか、局長。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 ただいま条約局の参事官の方から申し上げましたように、国会の方へも御報告をいたします。

土井たか子日本社会党

○土井委員 報告報告と言ってしまわれると、審議の対象にするかどうかということに対しておぼつかなくなるのですが、これはやはり審議対象にすべきであるという線を原則として崩すわけにいきません。だから、これははっきりそういう心づもりで臨んでいただくという必要があります。よろしいですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 本件はきわめて重大な問題があるという認識は、私も重々承知いたしておりますので、その心構えで交渉に臨むようにいたします。

土井たか子日本社会党

○土井委員 これは、先ほど相互主義のところを少しお尋ねしたときに、そのような意味ではないという御答弁をいただいておりますけれども、ただいま、アメリカの方のATTが約二〇%開放している、したがって日本も二〇%開放せよと言ってきているのではないかというふうにいろいろと懸念し、不安を持ち、心配をしておるという向きがあるわけでありますが、この点はどうなんですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 昨年六月の共同声明の発表以来、事務レベルで四回ばかり情報の交換及び相手に対する質問等を繰り返してまいりましたけれども、現在までのところ、相互の調達の方式とかそれぞれの機関の組織等につき理解を深めてきておる段階でございまして、いまだ具体的な交渉には入っておりません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 余り質問にないような答弁までいただくからときどき面食らうのですがね。  中央官庁のオファーのうちで防衛関係の調達は一体どれくらいあるのですか、そしてオファー額というのは一体どれくらいですか。同時に、それについては、EC、アメリカについておわかりでいらっしゃるはずでありますから、その点の御答弁をいただきたいと思います。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 ただいまの御質問につきましては、防衛庁の関係は総額で幾らかという御設問だと思いますが、協定の対象になるものは登録してございますが、防衛条項が協定本文にございまして、その結果、若干、相前後することになるかと思います。この点はアメリカ、ECについても同じでございまして、したがいまして、金額ベースでは具体的に幾らと押さえかねますので、そういうことでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 金額ベースでは押さえかねるとおっしゃいますが、すでにいろいろ答弁の中には出ているのじゃないですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 現在までのところ、各機関ないし総体の数字について御答弁を申し上げたことはないと記憶いたしております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いま私、手元に予算委員会の五十四年二月二十日の会議録を持って参っておりますが、手島さんはECに関係する部分については数字をちゃんとおっしゃっていますよ。どうしてここでおっしゃることを、外務委員会では言えないのですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 言葉足らずで失礼いたしました。  私の申しておりましたのは、日本側の数字でございます。ECにつきましては、最終的なオファーとして約百億ドルに相当する調達がオファーをされております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そのうちで国防のための費用としてはどういうことになりますか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 その百億ドルの内容につきましては明らかにされておりません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 局長、どういうわけですか。  予算委員会ではその点、ちゃんとあなた、数字まで挙げて答弁されているのですよ。どうして予算委員会で答弁して、外務委員会でそういうことを聞くと、これは言えませんの、やれ交渉中だからそれは御勘弁を、そういうことの一点張りなんですか。きちっと予算委員会で答えられている部分じゃないですか。いいかげんになさいよ、あなた。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 非常に恐縮でございますが、ECの中の積み上げにつきましては、私、当時も知りませんでしたし、総額についてはお答え申し上げたことがあるかと思いますけれども、中の積み上げについては申し上げた記憶がございません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ごまかすことはやめていただきたい。先ほどから私は、防衛のための費用として一体調達はどれくらいあるかということを聞いているのです。積み上げなんてただの一言も言っていませんよ。どういう勘違いをなすっているのですか。もういいかげんになさいよ。本当にまじめにこっちが質問しようとしても、一つもあなたの方は誠意を持って答弁しようとなさらないじゃないですか、局長。こんなことでは審議できません。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 申しわけございませんが、防衛のための費用ということについても、私は数字を持っておりませんし、昨年の予算委員会でも防衛のための費用ということで答弁をした記憶はございません。

土井たか子日本社会党

○土井委員 議事録を見せましょう。  委員長、もう審議をやめましょう。審議は本日やめます。これじゃとても審議する気にならない。まともな答弁何一つないじゃないですか。いいかげんに答弁しておけば済むなんという気分で御答弁なさるんだったら、こっちはもう質問やめますよ。委員長、やめます。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 私、すっかり記憶を喪失いたしておりまして、まことに申しわけないと存じます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 記憶を喪失じゃない。誠意を持って答えようという姿勢がないのです。だめですよ。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員長 継続していただけますか。どうも本当に忘れておったらしいから……。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 まことに申しわけございません。ECの方の数字につきましては、さらに確認をした上で改めて答弁をさせていただきたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 アメリカはどうですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 判明する限りにおいてお答えしたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 EC、アメリカは出せて、日本が出せないというのはどういうところに理由があるのですか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 それは牛場・ストラウスの共同コミュニケに従いまして、ことしの末までに電気通信関係の調達の内容につきまして交渉いたします。この交渉は政府調達コードの対象にするかしないかという面もございますので、その意味におきまして、現段階から日本側のオファーの内容について数字を出しますことは、先方との交渉上不利になるというふうに考えるからさように申しておるのでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 何でも、そういう相手に対して出していることを国会に対して言うことが交渉上不利になるという理由をつくれば、国会に何一つ知らさなくたって済むのです。何もかもそういうことで、これは不利になるから言うことができませんというかっこうでほおかむりをされてしまうと、われわれとしては一番大事な部分について知らないまま、御承認を、御承認をと言って外務省からせかされるだけの審議にしかならない。国会では審議を尽くすことにならないのですよ。これは再三再四当委員会においてこの点の要求が出、そしてそのたびごとに政府からは、外務省からはこれは出すことができないというふうな御答弁で今日まで来ておりますけれども、この点について、これは一番大事な部分でございますから、日本の政府のいままでのオファーの中身について、ひとつ関係資料を出していただくように、もう一度ここで強く要求したいと思うのです。よろしゅうございますか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 後ほど先生の方へ御説明に参上したいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 またそれはなぜ出せないかという理由についての説明だったら聞きたくないと思いますがね。さらにそれは質問として少し保留の形で残しておきましょう。  それではあと残った質問をきょうはさせていただくことにいたします。  関税評価の協定について、関税評価が非関税障害として用いられないための従来の国際条約としてガットがあるわけですが、そのガットの七条と、一九五〇年の関税協力理事会で採択されたこの恣意的な運用を禁止している内容でございます税関における物品の評価に関する条約、いわゆるブラッセル条約がございます。ところが、ブラッセル条約にはアメリカ、カナダという主要先進国が入っておりませんために、御存じのとおりに依然として世界的な統一した評価方法がとられておりません。特にアメリカのASP制度や関税法の四〇二A条項という非常に悪名の高い関税制度が最も大きな貿易障害要因であったと言われています。  なぜアメリカやカナダは、国際的には大部分の国が入っているにもかかわらず、ブラッセル評価条約に入っていなかったのですか。また、政府はアメリカにこの制度を改めさせるためにどういうふうな働きかけをいままでになすってこられたのか、この辺を聞かしてください。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 アメリカ、カナダの入っておらないという理由につきましては、違った関税分類を行っていることが主因であると考えます。  ASP及び四〇二A条の廃止につきましては、今回の東京ラウンドの前回になりましたケネディ・ラウンド当時においても日本からは強い主張を展開いたしまして、交渉国間では一応の合意を見たわけでございますが、アメリカの国会において否認されるという形で実現を見なかったという歴史がございます。したがいまして、今回の交渉におきましては、その点について十分踏まえて交渉をした結果、関税評価協定に基づきまして今後四〇二A条あるいはASP等の制度は採用できなくなるということでございまして、アメリカも、先ほど申し上げました七月成立の通商法においてこれを廃止することを決め、年末に実施に移っております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いままでわが国の関税評価というのは関税協力理事会の原則で行われてきたわけですね。そうでしょう。今回の新評価協定はガットの場においてつくられて、そのために非常に実情にうとい、理論に押されている、そういうふうなことを指摘している方もございます。先日の参考人意見の中にもそういう向きの御意見がございました。  評価方法の第一というのは取引価格で決めるわけですが、それが決まらない場合の運用は協定どおりには困難である、そういう声がございますが、この点、新しい協定の運用の上で問題はございませんか。いかがですか。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 交渉の途中経過におきましては、先生御指摘のような懸念が表明されたことは事実でございますが、今回協定を取り進めてまいりました結果、参加を予定をしておる各国におきましては、これは十二分に実施できる、かつそれだけに合理的な側面を持っておる。それからいまのブラッセルの理事会との関係におきましても、技術的な側面においてガットとの協力を行うということで話し合いが進んでおります。  なお、わが国自身の実施につきましては、大蔵省が中心となって準備を進めてまいられまして、私どもとしてはこの実施に何ら支障なしというふうに伺っております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 今回の協定の調印でアメリカのASP、それから四〇二のA条は廃止されましたけれども、アメリカと並んで国際的に評判が悪かった例のカナダのFMVですか、輸出国での公正市場価格を課税標準価格とするという、あのFMV制度というのは廃止されることになるのですか。いかがですか。

宇川秀幸外務省経済局外務参事官

○宇川説明員 若干細目について打ち合わせを要する側面はございますが、方向としては廃止する、そのためにカナダもこの条約に加盟してまいるという意思を明確にしております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 開発途上国に対する特恵関税の問題で、東京ラウンドと直接の関係ではございませんけれども、今度の関税引き下げで途上国が受けていた特恵税率の利点が相対的に少なくなって目減りがございますために、これらに対する配慮が足りないというふうな不満があることは事実でございます。この際、特恵制度について伺いたいのですが、日本の国としては開発途上国に特恵を供与するのに際して、どういう基準によって対象国を指定しているわけでございますか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 日本が関税特恵を与える相手といたしましては、国連貿易開発会議の参加国であり、先方から特恵の享受をしたいという申し出があり、日本が適当と考えた国でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 適当と考えるというところが大変問題なんで、何をもって適当と考えられるかというところはさらに詰めなければいけないわけですが、この開発途上国の要求に対して先進国側がどう対応するかというのは今後の課題になると思うのです。  それで、わが国が特恵関税の輸入枠の拡大などを含めて何らかの配慮をするつもりがあるのかどうか、特恵制度の適用の実情について、今後のあり方も含めて考え方を聞かしてください。

内村俊一通商産業省通商政策局国際経済部通商関税課長

○内村説明員 お答えいたします。  現在、特恵制度の改善につきまして国会で御審議をお願いいたしております。  第一点は、LLDC、後進国の中でも非常に開発のおくれた国に対する特別の優遇措置でございます。  第二点は、中国に特恵を供与することに伴う若干の法律上の調整でございます。  LLDC特恵と申しますのはわが国では初めてでございますけれども、低開発国から非常に要望の強い点でございまして、現在これは御審議いただいております。  以上でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いまの問題点もいろいろ残るところでありますけれども、あと民間航空機協定について二、三お尋ねをして、きょうは不本意ではありますが終えたいと思うのです。  この航空機の取引については、従来、ロッキード事件なんかに象徴されるように大変不明朗な取引になりがちだったという傾向が実はございます。飛行機のビジネスが、限られた巨大航空機メーカーと政府や航空会社との超大口商談の形をとって、そしてつい政治的な色合いがそれに絡んで飛行機ビジネスを複雑にしているわけなんですが、今回のこの協定が例のロッキード事件のような航空機汚職を一掃することがその趣旨ではございませんにしても、従来の不明朗な取引を何とか抑えて通常の健全な商取引が行われるような配慮というものがあってしかるべきだと思うのですが、そういうことについてどういう配慮が具体的にございますか。

手島れい志外務省経済局長

○手島政府委員 協定の四条の一にございますように、民間航空機の購入者が供給者を自由に選定できるという原則を定めております。そうしてその次の四条の二に、この原則に沿ってより具体的に、署名国の義務といたしまして、航空会社等に特定供給者からの購入を要求したり不当な圧力を加えることを禁止をいたしております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 この協定を見てまいりますと、軍事的な宇宙開発というものを基盤にした強大な航空機メーカーというものを持っておりまして圧倒的な規模を誇っておりますアメリカが、航空機市場の自由化によってアメリカ航空機産業のドル箱的存在というものを確保したいという、そういう意図を提案したというふうに言われているのです。そのためにアメリカというのはあらゆる機種の航空機の関税をゼロにするということ、航空機の開発や生産や販売に対する政府の補助金を一切禁止するというふうな要求を出して、これが政府調達問題と並びまして交渉が最後まで非常にむずかしかったところだというふうに私どもは聞き知っているわけでございますが、アメリカのこの交渉に対する態度というのはどういうものだったかというのをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。

畠山襄通商産業省機械情報産業局航空機武器課長

○畠山説明員 お答え申し上げます。  アメリカが本協定によって、いま御指摘のような利益を得るという面があることは事実でございます。アメリカの世界の民間機市場に占めるシェアというのは六割ぐらいございますので、いま一番強大であることは事実でございます。ですが、これは日本にとっても利益がございまして、と申しますのは、アメリカはいま五%の関税を航空機についてかけております。これをゼロにするということになりますると、たとえばこれから当面日本から、航空機の機体は無理でございますけれども、部品などは輸出ができるのではないか。その際に関税がゼロになる。いままで五%とられておったものがゼロになるという側面がございます。  それからもう一つは政府助成の話でございますけれども、アメリカも政府助成を実はいたしております。NASAを通じて基礎研究に政府助成をいたしておりまして、そういうものにつきましては、この協定でもやや間接的な表現ではございますが認めるという趣旨の考え方が入っておりますので、日本も大体それと軌を一にしたような政府助成を実施いたしておるものですから、わが国の政府助成制度も確保されるということで、確かに御指摘のようにアメリカが利益を受けるということもございますが、私どもも利益を受けるというふうに考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 私たちも利益を受けるという御答弁をされているのですが、いまわが国は次期民間ジェット旅客機のYX開発にもうすでに着手しているわけでしょう。将来国産民間航空機市場進出のためにようやく何とか力を持ち始めたというふうに業界でも見ておりますし、一般にもそういう認識がございます。そういう立場からすると、この協定が今後国産航空機業界の発展を阻害するような危険性というのを持つことにならないか、こういう懸念があるのですが、これは大丈夫ですか。

畠山襄通商産業省機械情報産業局航空機武器課長

○畠山説明員 YXが御指摘のようにいま順調に進んでおりまして、それで実はそのYXは機体を日本がつくるわけでございますけれども、その機体自身はどこで組み立てるかといいますと、アメリカで組み立てます。その組み立ての際に、たとえば関税が五%かかるということであったのがこの協定でなくなるわけでございます、もし実現すれば。そういうことで、近い将来も利益がございます。  御指摘の、その後の日本の純粋な国産機の開発というときに障害を及ぼさないかという話でございましたが、二つございまして、一つはマーケットの面、日本の国内のマーケットだけを考えまするとどうしても航空機というのは成り立ってまいりません。日本の航空機の保有機数で見まして、世界のシェアの三%ぐらいでございます。三%でございますと航空機工業として成り立ちません。ですから世界のマーケットを考えていかなければならぬ。そのときにアメリカの関税がゼロになり、あるいはECの関税がゼロになるということが保証されますことは、日本の国産航空機の将来にとって決してマイナスではないというふうにまず第一に考えるわけでございます。  それから第二には、先ほどの政府助成でございますが、政府助成につきましても、この協定にございますように政府助成それ自体は貿易をゆがめる問題ではないということはここでも確認をいたしておりますし、それからやや抽象的な表現でございますけれども、前文の方にも「世界的な規模における民間航空機産業の継続的な技術的発展を奨励することを希望し、」ということが入っておりまして、これは技術開発に対して政府が助成を行うことを否定するものではないという趣旨から日本が主張して入れたものでございまして、そういう意味で、私どもは将来の国産航空機の開発に本協定が支障になることは全くないというふうに考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 せっかく運輸省に御出席をいただいておるのですから、具体的なことを一つお伺いして、終えたいと思います。  実はいま関西新空港の建設が予定をされていて、その計画に従って具体的に事が進められつつあります。果たしていま予定をされている地域に空港が建設されるかどうかというのは未知数でありますけれども、しかし一応いままでにない、それがもし実現したとするならば陸上ではない、海上に日本では初めて空港を持ち得るという形になるわけです。  いままで日本はコンコルドという機種を輸入することを差し控えてまいりました。それにはいろいろな理由がございますけれども、何といっても陸上にあるいままでの日本の国際空港に適合し得ないということが問題であったわけです。今回もしも海上に空港が建設されるということになれば、改めてコンコルドの購入などということについて運輸省としたら考えられるのかどうか。その辺の運輸省の心づもりみたいなものがあれば、ひとつ聞かしておいていただきたいと思います。

米本恭二運輸省航空局技術部検査課長

○米本説明員 お答え申し上げます。  外国の航空機を日本に輸入しまして、それを航空会社が使用する際には、日本の航空法に基づきます耐空証明及び騒音基準適合証明を取得しなければなりません。  コンコルドという具体的な御質問に対しましてそれが適用されるかどうかということは、現在私明確に申し述べることはできませんけれども、一般論といたしまして、騒音あるいは耐空性の面で十分国際的に認められております基準、それに基づきまして航空法を引用しております運輸省令の基準に適合する限りにおきましては問題ないわけでございますけれども、今後の諸般の進展に伴いましてそのようなことは決定されていくものと承知いたしております。(土井委員「後の方よく聞こえないのです」と呼ぶ)航空機が使用できるかどうかという問題は、騒音に関する基準というものがございまして、それは国際民間航空条約の附属書によって定められておるわけでございますけれども、超音速機に関しての基準というようなものの適用方法等について、今後の進展によりましてどういうふうに判断されるかというようなことが決められていくことになるというふうに承知しておる次第でございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 それはここでお伺いしても無理かもしれません。いまの基準の問題がまだ具体的には御承知のとおりに十分に準備されていない段階ですからね。したがって、今後そういうことについての準備が恐らくは進められるということについて、これは予測できるだろうと思います。その折、また問題にすることにしましょう。いま聞いても無理でしょう。  終わります。

中尾栄一自由民主党・自由国民会議

○中尾委員長 次回は、来る二十四日月曜日午後五時理事会、五時四十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時散会

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