科学技術振興対策特別委員会 第4号
- 発言数
- 381 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1980/03/18
会議録
○瀬野委員長 これより会議を開きます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 科学技術振興に関する件、特にエネルギー研究開発問題について、参考人の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○瀬野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、参考人の人選、出頭の日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○瀬野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○瀬野委員長 次に、内閣提出、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、石野久男君外四名提出、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、及び内閣提出、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。 まず、政府及び提出者より順次趣旨の説明を聴取いたします。長田国務大臣。
○長田国務大臣 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。 この法律案は、廃棄物その他のものの投棄による海洋汚染の防止に関する条約の実施に伴い、核原料物質または核燃料物質によって汚染されたもの等の海洋投棄の制限について所要の規定の整備を図ろうとするものであります。 同条約は、海洋に投棄されるすべてのものを対象として、その投棄によって海洋汚染が生じないよう各国が相協力することを目的とする条約であり、環境の保全に関する国際協力の推進という見地からも、この条約の早期批准が望まれるところであります。 この条約においては、放射性物質の海洋投棄についても規定がなされており、放射性物質は、低レベルのものに限り、政府の特別の許しを得た場合等一定の場合にのみ海洋投棄をすることができるものとされています。 原子炉設置者等原子力事業者の行う海洋投棄に関しては、すでに十分安全を確保し得るような法規制の体系が整備されているところであります。 しかしながら、同条約は、原子力事業者に限らずすべての者によって行われる海洋投棄を規制の対象としております関係上、今般原子力関係の一つの法律を改正し、従来の法規制に加えて、原子力事業者が政府の確認を受けて海洋投棄をする場合等一定の場合以外は、何人による放射性物質の海洋投棄もすべて禁止することにより、条約上の要請にこたえようとするものであります。 以上、本法案を提出いたします理由につきまして御説明申し上げました。 次に、本法案の要旨を述べさせていただきます。 第一に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律につきましては、核原料物質、核燃料物質またはこれらによって汚染されたものは、原子炉設置者等が廃案に関する確認を受けて海洋投棄をする場合等一定の場合以外は、海洋投棄をしてはならないものといたしております。 第二に、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律につきましては、放射性同位元素または放射性同位元素によって汚染されたものは、使用者等が廃棄に関する確認を受けて海洋投棄をする場合等一定の場合以外は、海洋投棄をしてはならないものといたしますとともに、使用者等が工場または事業所の外において放射性同位元素または放射性同位元素によって汚染されたものを廃棄する場合においては、その廃棄が技術上の基準に適合することにつき、科学技術庁長官の確認を受けることを義務づけるものといたしております。 以上、この法律案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げました。 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○瀬野委員長 次に、石野久男君。
○石野議員 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま議題となりました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 日本の国民がたん白源の多くを依存している水産物は、いわゆる高度経済成長の中で、すでに重金属や合成化学物質等により深刻に汚染されております。水俣病のようにその影響が短期間に激しく顕在化した場合もありますが、問題はそればかりではありません。PCBが、南極でも検出されるほどになっている状態で、これから長期的に見て、私たちや子孫にどのような遺伝的影響があらわれようとしているか、またがんを初めとするさまざまな病気の発生率にどのように影響していくのか、解明はこれからの課題であります。 今日、日本の政治に課せられている重要な任務の一つは、海洋のこれ以上の汚染を確実に防止しなくてはならないということであります。 もしこの上に、放射性廃棄物が海に投棄されるようになれば、それを許した者は、後世の者から必ず強い非難を受けることとなるでしょう。 陸上の建屋に貯蔵、管理されている場合と違って、海洋に一たび投棄されてしまえば、どのような事態になろうとも、もはや人間の手を完全に離れてしまい、回収などは全く不可能となります。 政府は、廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約の批准を契機として、国内法を整備し、放射性廃棄物の海洋投棄を大々的に開始しようとしております。 しかし、その安全性評価の根拠として使われている一九七六年八月に科学技術庁から出された「試験的海洋処分の環境安全評価に関する報告書」を見ると、底層流の調査は最大二週間の記録にすぎません。しかも全体としてきわめて不十分な、欠陥の多い調査しかなされておりません。それをもとに、後は不正確な仮定を積み重ねて、放射能は広大な海洋に拡散し、希釈され、魚類にはほんのわずかしか吸収されず、人体に影響はないとされております。プランクトンから小さい魚へ、さらに大きい魚へという食物連鎖による濃縮汚染は軽視されております。この報告書の論理によると、あの有機水銀ももう少し深い所に捨てておけば、水俣病は発生しなかったことになります。 一九七九年一一月に安全審査をパスした「低レベル放射性廃棄物の試験的海洋処分に関する環境安全評価について」も、基本的には全く同様なことが言えます。 トンガ海溝等、世界の十二の海溝を詳しく調査したソ連のクレプス教授等によると、深海底の海水の動きはかなり速く、海溝の底に沈められた廃棄物は必ず海面に達することが確かめられ、海水中のこの放射性物質は遅かれ早かれ植物に吸収され、それをえさとする魚類の体内に入ることが報告されております。 前述の条約の第四条には、「この条約のいかなる規定も、締約国が廃棄物その他の物であって附属書1に掲げられていないものの投棄を自国について禁止することを妨げるものと解してはならない」と規定されております。日本が低レベル放射性廃棄物の海洋投棄を禁止するのは、この条約の精神と規定に反しないばかりか、むしろ公害先進国であり水産国である日本の世界に率先してとるべき道であると言わねばなりません。 日本社会党は、このような状況にかんがみ、この法律案を提案する次第であります。 この法律は、放射性物質またはそれによって汚染された物を、船舶、航空機もしくは人工海洋構築物から海洋に廃棄し、または船舶もしくは人工海洋構築物において廃棄する目的で燃焼させてはならないことといたしております。 なおこの法律は、公布の日から起算して一月を経過した日から施行することといたしております。 以上、この法律案の提案理由及びその内容につきまして、御説明申し上げました。 この法律案は、全国民にとっての、いや世界諸国民にとっての切実なる課題であることを十分に配慮され、御審議の上、速やかに御可決されんことを切望いたします。
○瀬野委員長 次に、長田国務大臣。
○長田国務大臣 放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。 放射性同位元素等による放射線障害の防止に閲する法律は、昭和三十二年に制定されて以来二十数年を経過しており、この間の放射性同位元素等の利用の普及は目覚ましいものがあります。 また、近年においては、大線量の放射性同位元素の使用、ガスクロマトグラフ装置等の放射性同位元素を装備した機器の普及等放射性同位元素等の利用形態の多様化が進んでおります。 一方、国際的にも、国際原子力機関における放射性物質安全輸送規則の改定等が行われており、これらの国際的基準の国内法への取り入れが求められつつあります。 このような放射線利用の最近における急速な拡大、その利用形態の多様化及び放射線防護に関する国際的基準の整備の進展状況にかんがみ、放射性同位元素等の利用に関する規制について、その合理化を図りつつ充実強化を期することが本法安を提出する理由であります。 以上、本法案を提出いたします理由につきまして御説明申し上げました。 次に、本法案の要旨を述べさせていただきます。 第一に、放射性同位元素装備機器に関する規制の充実、合理化であります。 放射性同位元素装備機器のうち、機器自体によって放射線の遮蔽等が十分行われ得る構造になっているガスクロマトグラフ装置等について、その放射線障害防止のための機構の設計の承認及び確認の制度を設け、確認を受けた機器については、従来の許可にかえて、届け出によって使用できことにいたしております。 第二に、放射性同位元素使用施設等に対する検査の充実であります。 一定量以上の放射性同位元素または放射線発生装置を使用する施設については、従来の書面審査による使用許可に加えて、使用開始前の施設検査及びその後の定期検査を受けなければならないことにいたしております。 第三に、安全な運搬のための規制の整備であります。 放射性同位元素等の運搬の安全の確保を図るため、運搬の技術上の基準を事業所の内と外とに分けて定めるとともに、国際原子力機関の安全輸送規則に沿って、事業所外において一定量以上の放射性同位元素を運搬する場合には、科学技術庁長官または運輸大臣の確認を受けなければならないことにいたしております。 第四に、放射線取扱主任者制度の改善であります。 放射線取扱主任者免状の交付に当たり、従来の国家試験に加えて、一定の講習の受講を義務づけるとともに、放射性同位元素の利用形態の多様化にかんがみ、新たな種類の主任者免状を設けることにいたしております。 第五に、検査等の実施体制の合理化であります。 以上に述べました放射性同位元素装備機器の放射線障害防止のための機構の確認、使用施設等の施設検査及び定期検査、放射性同位元素等の運搬の確認、放射線取扱主任者試験及び講習の業務について、その円滑な実施を図るため、国の厳重な監督のもとに、民間の指定機関にこれらの業務を実施させることができることにいたしております。 以上、この法律案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げました。 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○瀬野委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。 ————◇—————
○瀬野委員長 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 科学技術振興対策に関する件について、本日、参考人として宇宙開発事業団理事長松浦陽恵君及び同理事合田昌文君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○瀬野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○瀬野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。保利耕輔君。
○保利委員 私は、本日、科学技術の開発に関する問題について若干の御質問を申し上げたいと思うのであります。 日本は資源小国といわれておりますけれども、私は、日本には大変に大きな資源があると思うのであります。それは日本人の優秀な頭脳であると思います。したがいまして、この頭脳を使って科学技術を振興させることは、十年後、二十年後あるいは百年後の日本を考えるときに、大変に重要な事項ではないかと存じますし、当委員会の持つ意味、重要性というものは非常に大きいことを感ずるものであります。 私は、当委員会でいろいろ御質問、それから、その答弁を伺っております中で、原子力の利用と安全性の確保についての問題が非常に大きなテーマとして取り上げられているということを痛感いたしております。大変に重要な問題であると思いますが、私は、本日、あえてこのテーマではなく、ほかのテーマについて御質問を申し上げたいと思います。 まず第一に、先日、二月二十二日に打ち上げられましたECSbいわゆる「あやめ」二号の実験についてお尋ねをしたいと存じます。 この計画は、静止衛星打ち上げ技術をみがく上で非常に重要な実験であったと存じます。そしてNIロケットによって打ち上げられ、そのNIロケットは三段目まで完全に作動して、ロケットとしての所期の目的を達したように思うのであります。前回の不幸な失敗にもめげず研究を重ねられて、そして精魂を傾けて努力された関係者の方々に心から敬意を表したいと思うのであります。NIロケットの成功によって、いわゆるトランスファー軌道に乗った人工衛星を次のドリフト軌道に乗せるべくアポジモーターに点火した八秒後に電波がとだえて、衛星本体が静止軌道に乗ることができなかったということは、まことに残念なことでありました。 このことについて、科学技術庁は現在どのように考えておられるか、また今後、衛星打ち上げを進めていかれる場合の科学技術庁としての取り組み方についてのお考えを拝聴したいと存じます。
○長田国務大臣 先日、打ち上げまして失敗いたしました実験用通信衛星二号でございますが、あの打ち上げの目的は、衛星によりまして地上との間のミリ波通信の実験をやるということ、それからNロケットの打ち上げを確実にする、二つの目的を持って打ち上げたものでございます。 ただいまもお述べになりましたように、前回、昨年二月の際は、ロケット自体につきましても、三段目のロケットを切り離しました以後の措置が十分ではなかったというような事情から、追突をしてああいう事故になったというふうに考えられます。今回は、ロケットの方につきましては完全に作動をしまして、その面では一つの成功をおさめた、そのように考えております。今回のふぐあいが起きました事情は衛星の側にあった、そのように考えているわけでございまして、正確には今後なお詳細な検討を加えて、うまくいかなかった原因などを究明してまいらなければならないと存じます。 その面につきましては、十分検討いたしますが、全体として失敗いたしましたから、余り大きなことを申すことはできませんけれども、前回上り若干の進歩といいますか、そういうものはあったということを申させていただく次第でございます。
○保利委員 NIIロケットによって順次人工衛星が打ち上げられるわけでありますが、いま長官からお話のありましたような点を十分に御留意の上、ぜひ成功に結びつけていただきたい、私はかように存ずるのであります。 次に、先ごろ行われました科学技術庁長官の所信表明の中で、第六の「各般の重要な分野」というところに記載されておりますいわゆる短距離離着陸機についてお尋ねを申し上げたいと思います。 長官は、その所信表明の中で、これを引用させていただきますと「空港の敷地問題を解決するとともに航空機騒音の軽減に役立ち、将来のローカル路線用航空機の主力として期待されているファンジェット短距離離着陸機の実験機の製作の推進を図ります。」と言っておられます。私も、この短距離離着陸機、いわゆるSTOLというものが日本の空を飛ぶようになりますことを心から願っているものでありますが、先日もNHK等で報道され、国民の間にもすでに関心を呼ぶと同時に、国際的にもすでに一部の関係者には興味が出てきている問題ではないかと思うのであります。 そこで、翻って現在、日本の空を飛んでいる飛行機を見てみますと、いわゆるアメリカあるいは欧州でつくられた、大陸国でつくられたところのボーイングでありますとか、ロッキード、ダグラスあるいはエアバスというような機種が多く採用されているように思われますが、現在運航されている民間航空機の機種及び保有台数がどういうものであるか、お答えを願いたいと存じます。
○勝谷政府委員 お答えいたします。 現在わが国では、防衛庁に所属しておりますもの以外の航空機は、航空法第三条の規定によりまして運輸省に登録されておりますが、その総数は昭和五十五年二月末で千七百五十一機でございます。その内訳は次のとおりでございます。 いわゆるジャンボ、ボーイング747などの四発ジェット機が八十二機、DC10、トライスターなどの三発ジェット機が五十八機、ボーイング737、DC9などの双発ジェット機が四十四機、YS11などのターボプロップ機が百十二機、セスナ、ビーチクラフトなどの小型レシプロ機が単発、双発、三発合わせまして六百二十七機、ヘリコプター四百八十七機、グライダー三百四十機、飛行船一機でございまして、以上のほかに、防衛庁に所属します戦闘機、対潜哨戒機など千五百八十九機がございます。
○保利委員 いま、いろいろな機種について、その台数をお答えいただいたわけでありますが、それぞれの機種これは民間旅客機として使われておりますもので結構でございますが、この大きな機種が離着陸に要するいわゆる滑走距離あるいは所定の滑走路の距離というものがどのくらいのものを要するか、仕様書上どういうふうになっているかということについて、もしデータがございましたらお答えいただきたいと思います。
○勝谷政府委員 離陸に要します滑走距離は、同一の機種でございましても、気温とか風向き、風速等の気象条件とか滑走路の標高、路面状況及び離陸重量によって異なっているようでございますが、現在、わが国の航空機の就航状況によりますと、必要滑走路長は、原則として次のようになっているということが監督官庁から示されております。 第一に、ボーイング747、トライスター、DC10などは、二千五百メートル以上の滑走路が必要である、それからボーイング727は二千メートル以上の滑走路が必要である、ボーイング737、DC9は、千八百メートル以上の滑走路、YS11が千二百メートル以上でございまして、非常に用途が限られておりますが、カナダ製のツィンオターという特殊のものが八百メートル以上の滑走路でございますが、これはきわめて限られた仕様でございます。なお、ボーイング職とDC9の改良機が一部千五百メートルの滑走路の空港に就航している例がございます。
○保利委員 大体、滑走路の長さというものが、現在一番短いものでも、特殊な例を除けば千二百メートル以上の滑走路が要るというわけであります。しかし、日本という国は島国であり、かつ平地面積が非常に少ない、そこで大きな飛行場をとるということが非常に無理ではないかと思われます。ここに短距離離着陸飛行機の持つ大きな意味があると思うのであります。 そこで現在、日本の国内の飛行場の距離区分別の数、大体どのくらいの滑走路を持っている飛行場がどのくらいの数あるかということについて、もしデータがあればお答えを願いたいと存じます。
○勝谷政府委員 現在使用されておりますわが国の公共用の飛行場、これは自衛隊とか米軍との共用の飛行場を含むものでございますが、全国で七十六カ所ございます。滑走路長で分類いたしますと、次のとおりでございます。 三千メートル級、これは二千七百メートルから四千メートルのものでございますが、新東京国際空港等々十カ所でございます。次に二千五百メートル級のものが長崎空港等々四カ所でございます。次に二千メートル級、これは千八百メートルから二千メートルまでのものでございますが、仙台、新潟その他八カ所でございます。千五百メートル級、これは千二百メートルから千五百メートルでございますが、高松等四十二カ所ございます。八百メートル級のものが十二カ所で、千五百メートル級以下のものが五十四カ所、全体の七割を占めております。
○保利委員 いま飛行場の数を見てみますと、やはり日本という国は土地が狭いということがつくづく感じられるわけでありまして、とりわけ離島におきます飛行場の長さというものにはおのずと制限がある、そういうふうに感ずるわけであります。 ところで、日本の国産旅客機と言われております、かなり前に開発されましたYS11というものは、千二百メートル級の滑走路で飛び立つことができる旅客機でありますが、これの日本国内における就航状況あるいは外国における就航状況と、その代替時期が大体いつごろ来るものかということについてお尋ねをしたいと思います。もしデータがありますれば、それもお答え願いたいと存じます。
○勝谷政府委員 YS11の国内、国外での就航状況は、国内では現在、全日空三十機、東亜国内航空四十機、南西航空六機、日本近距離航空二機の計七十八機が定期路線に就航しておりまして、主としてジェット機を導入できない空港を使用する路線で活躍しております。このほかに、運輸省及び海上保安庁用に十機、防衛庁用に二十三機が使用されております。外国には七十六機が輸出されておりまして、現在でも米国を初めとする七カ国で四十九機が就航いたしております。 なお、YS11の寿命でございますが、YS11は昭和三十九年に運輸省の航空局の型式証明を取得いたしましたけれども、その設計年代は、わが国で広く使用されておりますダグラスDC8、ボーイング727等よりも新しいものでございます。これらDC8や727が今後も相当の期間運航されることが考えられますので、YS11の航空機としての寿命はまだまだ壮年期にあるのだということが監督官庁の御意見でございますが、さらに最近の航空実績から見ましても、他機種に比べまして劣るところはない、機体としては安定した状態にあり、定められた整備、点検を行う限り、機材の寿命について問題はなく、機体製造者及び部品製造者も、世界の定期航空で五機以上が就航している限りは、技術支援も部品補給も行うという決意でございますので、少なくとも今後、十年程度は機器の寿命によりましてその退役が早められることはないということで、私どもが考えているよりは監督官庁は若干強気の御意見のように伺っております。
○保利委員 YS11が大変に内外で好評で、非常に短い滑走路で飛び上がれるということで、いわゆる日本型の国、土地が狭く十分な飛行場がとれないというところで活躍しているありさまというものは、日本の航空工業にとって大変にありがたいことであると存ずる次第であります。 もしデータがございますれば、次に計画されておりますいわゆるYXという飛行機があると思いますが、これはボーイング社が七〇%、日本が一五%、イタリアが一五%の出資と申しますか、分担で開発を進めているわけでございますけれども、この飛行機の所要滑走距離というものはどのくらいかということについて、もしおわかりでございましたら、お答えいただきたいと思います。
○勝谷政府委員 私ども審議会の場等々での議論を聞いているところでございますと、必ずしもまだ最終の決定までに至っていないようでございますけれども、いま議論されておりますYXは、滑走路は二千メートル以上のものを予定しているようでございまして、短距離離着陸の構想ではないように聞いております。
○保利委員 そういたしますと、次に予定されている次期輸送機YX、いわゆるボーイング767と言われるものが二千メートル以上の滑走距離を要し、かつYS11が十年ぐらいで退役をしていくということになりますと、YS11が現在六十数名の定員でありますが、これに相当する飛行機の開発というのが非常に重要な意味を持ってくるのではないかと思うのであります。私の伺っているところでは、アメリカ及びヨーロッパにおいては、滑走路の距離が日本ほど問題ではないために、短距離離着陸飛行機の研究開発が若干停滞ぎみであるというふうに伺っております。 そこで、このいわゆるSTOLの持つ意味が非常に重要であると私は思うのであります。またSTOLは、いわゆる短距離離着陸飛行機は、空港周辺の騒音対策について十分な配慮がなされているとのことでありますが、騒音の被害面積というものが非常に小さくなるというふうに伺っております。現在の成田でありますとか伊丹でありますとかの騒音対策というのには、非常に政府も困られているわけでありますが、このSTOLをもし採用することになりました場合に、騒音被害面積というものがどのくらいに小さくなるものか、もしおわかりでございましたら、お答えいただきたいと思います。
○勝谷政府委員 急角度に離着陸いたしますので、われわれの試算では、従来のジェット機の約十分の一になるというふうに考えております。
○保利委員 ただいま急角度で離着陸するというお話がございましたが、現在の通常の旅客機の着陸時の進入角度あるいは離陸時の上昇角度というものがどのくらいであり、さらに考えられております短距離離着陸飛行機の進入角度と上昇角度がどのくらいのものであるか、もしデータがありますればお答えいただきたいと思います。
○勝谷政府委員 在来型では大体四度ないし十度の角度で離着陸いたしますが、私ども実験機を試作しておりますSTOL機では、最大十五度の離着陸角度になります。
○保利委員 大変に急角度で離着陸をするわけでございますので、騒音被害面積が十分の一になるということも十分理解できるわけであります。この進入の際の、いわゆる着陸時のスピードというものについてデータがございますれば、通常の旅客機と今度考えられておりますSTOLとの比較のデータについてお答えいただきたいと思います。
○勝谷政府委員 ファンジェットSTOL実験機の着陸進入速度は、着陸進入時の突風等の気象条件の急変とか突然のエンジン故障等に対する安全性を考慮いたしまして標準的な値を定めておりますが、これが七十二ノット、時間当たり百三十三キロメートルでございます。プロペラ機でございますYS11でも九十八ノット、時間当たり百八十一キロでございますので、それより小さくなっておりまして、在来のジェット輸送機の百三十ノット、二百四十一キロメートル程度の約半分でございます。 なお、角度につきましては、先ほどの数字は、民間機の約二倍ということになっております。
○保利委員 騒音被害面積が十分の一になり、進入速度が在来のYS11よりもさらにゆっくりした飛行機ということになりますと、大変に安全性の高い飛行機になってくるわけでありまして、パイロットの話によりますと、進入速度が遅いほど安全に着陸できるということでありますので、大いにこのSTOLの開発が急がれるわけであります。 次に、このSTOLというものは、もちろん私は実物を見たことはないわけでありますが、NHKのテレビ等で紹介されたものあるいは一部写真等で見ますと、外観上非常に大きなエンジンが翼の上部に四台びっしりと並べられた形に取りつけられてあります。そして、いわゆる排気ガス、ジェットエンジンから出てくる高温の排気ガスをそのまま翼に当てるアッパー・サーフェス・ブローダウン方式、USB方式というのを取り入れているようでございますが、この高温ガスによって主翼の損傷あるいは早期に寿命が来るというような問題が考えられないかどうか。十分な対策が講じられていると思いますが、どういうことをしておられるか、お答えいただきたいと思います。
○勝谷政府委員 御指摘のとおり、ファンジェットSTOL機は、構造上翼の上にエンジンが並んでおりまして、排気ガスが翼の上面に当たる特殊な高揚力発生方式をとっておりますが、高温排気ガスや音波による影響についてきわめて慎重な考慮が払われておるわけでございます。 この問題につきましては、種々対策を重ねまして、万全の注意を払っておりますが、まず排気の音響による疲労破壊対策といたしましては、排気の近接いたします主翼の上面や胴体の側面の外板強度を検討いたいまして、破壊のおそれのある個所は、これは原型機はCIという輸送機でございますが、それに比べまして板圧をふやし、あるいは材質を変更することによって対応する計画でございますし、また排気の温度が高うございますので、この対策といたしましては、主翼の上面及び先ほど御指摘のUSBフラップの上面に耐熱材料や遮熱材料を採用して損傷を防ぐことにしております。 以上のような対策の効果を確認いたしますために、すでに特殊な実験室内での試験とか実物のエンジンと実機相当の翼の模型による試験を計画して、その一部を実施済みでございます。
○保利委員 大変にいろいろと安全上配慮を払ってつくられていることでありますので、私がこの場でまたいろいろと申し上げることもないと思いますが、旅客機はいわゆる安全の問題というのが第一でありますので、これには念には念を入れるという形で研究を進められていくことを望むものであります。 次に、この飛行機は国産の実験機ということになっておりますが、国産化率というもの、これは計算が非常にむずかしいと思いますけれども、大体どのくらいのものなのか。もしできれば、エンジン、機体及び操縦機器等について、大体国産化率がどのくらいのものになっているかということについてお答えをいただきたいと思います。
○勝谷政府委員 ファンジェットSTOL実験機は、わが国初の国産ジェット輸送機CIを原型機といたしておりまして、一部設計変更して製作しました機体に通産省の工業技術院が開発中のファン・ジェット・エンジンを搭載するもので、わが国で初めての純国産ジェット輸送機でございます。実験機の開発に当たりましては、STOL技術の確立に不可欠な高揚カシステム、操綻システムに関連する部分は、すべて国産を前提としておりますけれども、先ほど申し上げましたCIと共通な部分は、開発費を抑えますために、そのまま使用することにいたしました。その結果、CIでボデーその他のほんの一部の部品を輸入しておりますので、計算上は完全一〇〇%にならないで九七%程度が国産化、輸入率が三%ということになっております。
○保利委員 いまお話を承りますと、ほとんどのものが国産ということでありますので、ほぼ純国産と言っていいのではないかと思いますが、部品の一つ一つについていろいろと取り上げてみますと、たとえばネジ一本でありますとかあるいはボルト一本に対しても、大変に重要な航空機でありますので、いろいろと検査がされて、厳格な安全性と耐久性を持った部品が使われているのではないかと思うのであります。航空宇宙工業というものは、最高度の技術水準を必要とするものであります。言いかえれば、その国の工業水準のバロメーターを示すものになると思います。したがって、関連する業界も多く、いわばすそ野の広い工業の分野ではないかと思うのであります。そうした分野に非常に厳密な安全性、耐久性が要求されるそういう部品が使われていくことが、日本の工業水準というものをぐんとレベルアップするわけでありまして、このSTOL開発の持つ意味というものは非常に大きいのではないかと思うのであります。 航空機部品メーカーにいろいろ話を聞いたりしてみますと、全体ではありませんが、一部では航空機の部品というものは開発に非常に手間がかかり、お金がかかって商売にはならぬというようなことを間々見受けるわけであります。非常に厳格なる仕様書に基づいて厳格な耐久テストを行うというようないろいろな検査の上採用されるものでありまして、実績を積み重ねていったものだけが採用される、いわば狭い門を突破していかなければ部品を航空機に取りつけてもらえないというような状態であります。これは当然のことでありますが、この検査の方法その他についてかなり民間にこれが任されている部分が多い、大変に金のかかる耐久テスト等が民間の部品メーカーに任されているということ、これは大きな負担を民間に課していると思います。日本の工業水準を上げていくために、こうした部品のテスト等について、政府がそれなりの助成措置を講じますことは、科学技術振興の意味から言って非常に重要なのではないかと思うわけであります。 時間がありませんので、最後に、はしょりましたけれども、STOL開発全体に関する長官の所信と、部品の国産化の促進に対する科学技術庁のお考えをお尋ねして、質問を終わりたいと思います。
○長田国務大臣 STOL機につきましては、ただいまお述べになりましたように、あるいは政府委員から申し上げましたように、きわめて日本の国土に適合した特徴のある飛行機でございます。日本より広い国土を持っております国が外国には多うございますけれども、やはりこれが完成いたしますと、これに対する海外からの需要も相当出るのではないか、そのようにも考えられるところであります。 市場が広くなりますと、ただいま御指摘になりましたようないろいろ御心配の点などもかなり解決していくわけでありますけれども、これが安全で実にいい飛行機だということを認識してもらうまでの間、いわば開発及び生産の途中の段階までは、そういう理解というものが広く行き渡るということは、なかなかむずかしいと思います。 私どもは、このSTOL機を、いやが上にも安全で確実な、しかも、その特徴が十分発揮できるような飛行機に仕立て上げまして、海外の理解を深めるような努力を一面いたしますとともに、ただいまの部品等につきましての精度の向上を要求してまいる相手の民間等につきましての対策は、所管の省庁もございますので、そういうところともよく相談をいたしまして、その面で余りに過重な負担のために耐えられなくなってこの開発が進まないということにならないようなことも十分に考慮して、これから検討してまいりたい、そのように考えているところでございます。
○保利委員 どうもありがとうございました。
○瀬野委員長 上坂昇君。
○上坂委員 宇宙開発の問題について質問をしたいと思います。 人工衛星の問題ですが、この打ち上げでは、世界的に見てソビエトとアメリカが圧倒的に数が多いと思いますけれども、これらの二国を含めて、先進諸国の人工衛星打ち上げの数は一体どのくらいあるものか。 〔委員長退席、貝沼委員長代理着席〕 これを科学衛星、実用衛星に分けてお答えをいただきたいと思います。
○勝谷政府委員 お答え申し上げます。 まず、米国でございますが、米国は、外国からの依頼によりまして打ち上げたものも含めまして、一九五八年から一九七八年末までに九百十八個の人工衛星の打ち上げに成功しております。この間、百四十四個の打ち上げに失敗しております。また、米国の人工衛星打ち上げの主力機種でございますデルタロケットの打ち上げ記録によりますと、一九七九年末までに、デルタロケットで百五十回の人工衛星の打ち上げを行っており、そのうち十六回の打ち上げに失敗し、成功率は約九〇%になっております。ソ連は、一九五七年から一九七九年末までに約千四百三十個の人工衛星を打ち上げておりますが、成功、失敗に関する情報は、残念ながら入手できておりません。西独は、独自の衛星打ち上げ機を持っておりませんので、一九七九年末までに、米国から五個、フランスから一個の衛星を打ち上げております。さらにフランスは、独自の打ち上げ機ディアマンによりまして、小型の科学衛星及び小型の測地衛星等十一個の衛星の打ち上げに成功しております。十二回の打ち上げのうち二回失敗、成功率は約八三%ということになっております。そのほか米国から二個、ソ連から四個の衛星を打ち上げております。イギリスは独自のブラックアローロケットによりまして三回の打ち上げを行いましたが、そのうち一回の打ち上げに成功いたしましたが、二回失敗いたしまして、現在中止しております。また、米国から十一個の衛星を打ち上げております。ヨーロッパの共同体で構成しておりますESAにつきましては、米国に十五個の衛星の打ち上げを依頼いたしまして、そのうち二個については一九七七年に打ち上げに失敗いたしました。十三個の衛星が打ち上げられております。また、昨年の十二月にアリアンロケットの打ち上げに成功いたしまして、今後はこの独自の打ち上げ機を保有することとなったわけでございます。カナダは独自の衛星打ち上げ機を有しておりませんので、一九七九年末までに米国から九個の衛星を打ち上げております。先進国と申しますか、中国は、独自の打ち上げ機によりまして、八個の衛星の打ち上げに成功しております。なお、一九七九年七月に第九号衛星の打ち上げを試みましたが、失敗したと伝えられております。 以上でございます。
○上坂委員 非常に多くの衛星が打ち上げられておりますが、主力は何といってもソビエトとアメリカになると思いますが、人工衛星を打ち上げるためにロケットの開発状況というものが非常に重要になってくるわけでありますが、このロケットのこれからの主流となるものは、液体燃料なのか固体燃料なのか、その辺をお伺いしたいと思います。 それから、安定度というのですか、成功度というのですか、そういうものはいずれがいいのか、また、いわゆる地上からのいろいろな操作についてもどちらが有利なものであるか、また、わが国としては今後どの方向に進んでいくお考えであるのか、お伺いいたします。
○勝谷政府委員 お答え申し上げます。 従来までは、御指摘のように、石油系の液体ロケットが多うございまして、米国のデルタ、日本のNI、NIIのように、三段目にのみ固体を用いるものが使用されておりますが、大体液体系、石油系でございます。 今後の動向につきましては、各国とも高性能の液酸・液水エンジンの開発に力を入れておりまして、シャトル、アリアンロケット、中国等もすべてこの方向でございますし、わが国のHIもこの方向の開発を進めております。ただ、わが国で行っております東大のミューシリーズとか米国のスカウトのようにごく小型なものは、前段の固体ロケットで、特殊な科学衛星を打ち上げているということでございます。
○上坂委員 この前「あやめ」通信衛星を打ち上げて失敗をしましたけれども、この通信衛星の失敗について、二機打ち上げて二百五十億円をむだにしたとかなんとか言われているわけですね。しかし、通信衛星というものは非常に利用度が高い。そういう意味でユーザーとの関係でどの点までユーザーがあるものか、もし実用の通信衛星を打ち上げることに成功したとするなら、そのときには年間にしてどのぐらいの使用料をユーザーから取れるものがあるのか、そうした採算面について検討しているならばお答えいただきたい。
○勝谷政府委員 通信衛星は、宇宙開発の中でも最も早期に実用化された分野でございます。国際通信におきましては、インテルサットが確立されておりまして、国際通信の幹線を構成するに至っておりますとともに、国内通信におきましても、すでにアメリカとかカナダ、インドネシア等の各国においては実用に供されております。わが国においてはいま実験中でございます。 通信衛星は、地上の災害の影響を受けにくいこと、さらには遠距離で広範囲の通信が容易に行えること、さらに通信量の時間的、場所的変動に対する対応性に富むことなどが特徴でございまして、特にわが国のような国におきましては、非常災害時の通信の確保、離島、辺地との通信回線の設定、平常時における臨時回線の設定等に有効でございます。このため、当面は行政機関等が人命、財産の保護等を目的として公共業務用通信に使いますし、また、電電公社等が非常時における通信、離島との通信の確保等を目的として国内の公衆通信に使用していくものと考えるわけでございます。したがいまして、この通信衛生が今後実用化されましても、しばらくはそのような政策的な面に使用されることが多いのではないかと考えるわけでございます。 なお将来は、衛生が大型化するに伴いまして、各種の衛星通信利用分野が拡大しますとともに、これをさらに船舶とか航空機、自動車等を対象とする移動体間の通信衛星の実現も可能になると予測されるわけでございます。そのようなことを考えますれば、遠き将来においては、当然、実用面で完全に採算がとれるということになりますが、当分の間、わが国においては政策的な面で使われるということになろうかと思います。 なお、アメリカの例等を見ますと、この衛星の耐用年数は五年ないし七年でございまして、その間、完全にコマーシャリズムで採算をとっておりますので、先生御指摘のように、商売に徹するようなことになりますれば採算はとれるということかと思います。わが国においては政策的な星になろうかと考えております。
○上坂委員 科学衛星と実用衛星の場合、やはり実用衛星の方が多いような感じがしますけれども、その点はいかがですか。
○勝谷政府委員 御存じのように、わが国では三十年代から東大の星を打ち上げまして、わが方の宇宙開発事業団は四十年代でございますので、打ち上げた星の数は、わが国では東大の方が多うございます。いわゆる科学衛星の方が多うございますが、世界的にはもうすでに実用化に入っておりますので、実用衛星の時代と考えております。
○上坂委員 それから、この通信衛星というのは、大体三個ぐらい打ち上げると全世界をカバーできるというふうに言われておりますが、そういう点はどうなんですか。物すごく各国がみんな上げるということになったら、そういう点は一体どうなるのかという点ですが……。
○長田国務大臣 先生御指摘の衛星は、恐らく静止通信衛星だろうと思いますが、御承知のように、静止衛星にいたしますためには、赤道上空約三万六千キロぐらいのところに上げますと、地球の自転とほぼ同じ角度で回りますので、地上から見れば静止しているというようなことになりまして、そのカバーされる地域からは絶えず使用できるということになりまして、ただいま御指摘のように、いまインテルサットで申しますれば、太平洋のハワイ南方に一個、それからインド洋に一個、大西洋に一個、その三個で世界じゅうが通信あるいはテレビ中継ができる、そのようになっている次第でございます。
○上坂委員 次に、アメリカとの技術提携についてお聞きいたしますが、世界的な様子を見ましても、なかなか独自にロケット開発ができないということで、自由国の中ではアメリカに打ち上げを依頼するというところが非常に多いわけでありますが、日本もいままで三個依頼をしているわけであります。ただ問題なのは、打ち上げだけじゃなくて、こちらが打ち上げようとするときも、アメリカの技術導入あるいは完成品の導入というようなものが行われているというふうに聞いております。 そこで、一九六九年の七月の三十一日に両国で交換をされました「宇宙開発に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協力に関する交換公文」、これはその後変更されていないで、十一年になりますか、ずっと生きていると思います。それからもう一つは、これに付属の「日米取極の附属書」があるわけですね、これももちろん生きているというふうに考えておりますが、その点はいかがですか。
○勝谷政府委員 そのとおりでございます。
○上坂委員 そうすると、生きているとすれば、現在のわが国の宇宙開発技術、打ち上げ技術、ロケットの製造、いろいろな面からいって、どうしてもやはりアメリカ合衆国からの協力を仰がなければならない、援助を受けなければならないと思うのです。 そこで、日本の人工衛星を打ち上げる場合には、日本で打ち上げるものであろうと何であろうと、アメリカとのいわゆるこの交換公文に基づいた協議の上に立って行われているものかどうかということですね、その点……。
○勝谷政府委員 実は、従来まで打ち上げました衛星、ロケットは、すべてその部品の一部にアメリカのもの、アメリカの技術が入っております。したがいまして、アメリカから導入いたしますこの種技術を、どのような計画で組み込み、いつ、どのロケット、どの衛星として打ち上げるかを事前に協議いたしまして、あらかじめ了承を得た上で進めることになります。その意味では、すべてアメリカ側が知っている計画でございます。
○上坂委員 いまの交換公文は、科学技術庁とアメリカと結ばれたものだ、それを宇宙開発事業団が引き継いで、これに基づいて実施をしている、こういうことになるだろうと思いますが、この交換公文の附属書のA項でありますが、ソフトウエアとハードウエアを含む技術及び機器が提供されるが、その場合、もし先方の技術の上に日本で開発したものがあったとするならば、それについては、やはりこの交換公文の取り決めで拘束をされるのかどうかということですね、いかがですか。
○勝谷政府委員 新たにつけ加えたものについて拘束をされるわけではございませんが、現時点では、残念ながらその根元も含めてすべて使わしてもらっておりますので、拘束をされておるわけでございます。いずれわれわれのHIの時代になりますれば、そういうことにはならないと思います。
○上坂委員 それから、B項に再突入技術というのがありますね。「再突入技術及びこれに関連する技術を除き、ソー・デルタ・ロケット・システムの水準までの秘密でない技術及び機器を対象とする。」、こうなっておりますが、この再突入技術というのは、ロケットの回収技術ではないかというふうに思いますが、「ソー・デルタ・ロケット・システムの水準まで」と、こう規定をされた意味はどういうところにあるのか、これをお答えいただきたいと思います。 この交換公文は、Qロケットと、それからNロケットについての交換公文ですから、Qロケットについては、もうこちらは計画をやめたということになっているわけですね。この「ソー・デルタ・ロケット・システムの水準まで」、ここのところをひとつお答えいただきます。 それからもう一つは、そこまでの秘密だとされる技術とか機器について、これは、たとえばどういうものが例として幾つか挙げられるのか、もし幾つか挙げられたら挙げていただきたい。
○勝谷政府委員 ソー・デルタといいますのは、現時点でアメリカが民間用に打ち上げておりますロケットの主力でございます。先ほど申し上げました百五十基打ち上げたという、ある程度完成したロケットでございまして、このロケット開発のために何十兆円という投資をしているわけでございますが、わが国にさしあたってその水準までのものを解除してくれるという意味でございます。それから先は目下開発しておりますシャトルの問題とかいうようなことになろうかと思います。それはまた次のことでございます。 それから現在、いわゆるブラックボックスでわれわれの方に入っておりますものの代表的なものを申し上げますと、NI用では誘導用のジャイロ、NII用では慣性誘導装置、これがロケットの分野でございます。衛星関係では三軸姿勢制御装置とアポジモーターでございます。
○上坂委員 そうすると、日本の技術水準では、いまアメリカで使用しておるソー・デルタロケットの水準までは、アメリカで使っている秘密のものについてはだめだ、こういう意味ですね。 それで、それ以後、日本で開発をされていったら、先ほどのHI時代までは、HIが実施に移されるまではこれに縛られる、こうなりますが、そこで、HIが開発されれば、そのときには新しい取り決めか何かを結んだりするのかどうか、その辺までちょっとお伺いしたいと思います。
○勝谷政府委員 私どもは、HI体制が確立しましたときは、先ほど申しましたいわゆるブラックボックス、アメリカの技術でわが国にその技術がない分野は、そのときまでに国産技術を開発しようと思っておりますので、その時点になりますれば、アメリカからもらわなければならない技術はなくなると思っております。 ただ、その時点でアメリカが戦略的に開発した非常に高度な素材があって、その素材が非常に安くて、わが国でその素材をつくれば非常に割り高につくときに、向こうから供給を受けれるような場合は、その部品をもらうために、その素材をもらうために何らかの取り決めをいたすかもしれませんけれども、現時点ではHIは国産体制を確立する方向で検討を進めておるところでございます。
○上坂委員 そうすると、その素材の問題が出てきて、昨年のHIロケットの素材としてのアルミ合金、いわゆるインゴットについての輸出ストップを食ったわけですね、いまお答えになったものが、もうそれに該当していると思いますが、これはその後、日本ではびっくりして審議官とか何かを派遣しているようでありますが、その交渉の経過は一体どうなっているのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
○勝谷政府委員 このアルミ鍛造材は、HIロケットの第二段の推進系の液酸・液水タンクの開発基礎試験用のために宇宙開発事業団が米国からの輸入を意図したものでございますけれども、五十四年の六月の輸出許可申請時において米国から、このものについては日本側でどういう計画を持っているのかあらかじめ聞いていないということでストップがかかったわけでございます。また一方で、私どもとアメリカとの間の話し合いが、このHI計画については必ずしもまだ完成していなかった、計画が最終的に決定していなかったために話し合いが進められていなかったものでございます。それで急遽、私どもの審議官が現地に赴き、事情の説明をいたしました。米側はこれを了としてくれまして、今後、その了解の上に立って新しい手続を定め、それに基づいてこのHIの試作が行われることになりました。したがいまして、近く行われます最後の了解案をもとに許可がおりることで大体の線が定まっております。
○上坂委員 先ほども御答弁の中で出ましたが、戦略的な問題が含まれてくるのじゃないかと言われておりますが、アメリカの宇宙開発の技術にしても、結局、航空機の発達と軍事戦略的な問題からここまで、ペンタゴンとNASAとの共同といいますか、並行した形で発達をしてきているのじゃないかという感じがします。 そこで、日本の日米安保体制の中では、こうした戦略的なものとどうしても切り離して考えることができないのではないかという感じがするわけで、そういう点で大きな制約が存在するような気が私にはするわけですが、そうなると、本当の日本独自の技術開発という形に何か支障を来すおそれがあるのではないかという感じがするのですが、その点についての将来の見通しというのはいかがですか。
○勝谷政府委員 先生のような心配も理論的には考えられるわけでございますが、現実の時点を反省してみますに、先ほど申し上げましたように、米ソ両国が圧倒的に多くの星を打ち上げ、その開発しております現在の技術水準には圧倒的な差がございます。したがいまして、わが国のいま鋭意開発しておりますNIIは三百五十キログラム、HIは五百キログラム、こうなりますと、すでにアメリカのソー・デルタは一トン以上のものを楽々と打ち上げているものでございますので、このソー・デルタ程度のものを教えてやると向こうは言っているわけですが、ソー・デルタ程度のものもわが国がマスターするのはしばらく先でございますし、いま世界的に争われておりますスペースシャトルのアメリカの状況、それに追いつこうとするソ連の状況等々は、技術的には私どもには高ねの花でございまして、着実にいたします現時点はソー・デルタの線だというように私どもは考えておりますので、御心配の線は、現時点では平和利用の面ではないのではないかと考えております。
○上坂委員 それでは、「あやめ」二号の打ち上げの問題に入ります。 まず一号の問題でありますが、昨年の二月六日に打ち上げられたわけでありますが、打ち上げてアポジモーターに点火後十二秒で行方不明になってしまったということであります。 報告によりますと、その前の三段目のモーターですか、言葉が覚えにくいのであれですが、ロケットモーターですか、この固体ロケットモーターと切り離す際に、モーターの方が角度が——ほかへ飛んでいくわけでありますが、それがそういかなくて、後を追いかけて追突をして、むち打ちになったのかどうかわかりませんが、そして、とんでもないところへ飛んでいって、アポジモーターに点火をしたところまでは確認されているけれども、その後がわからない、こういう報告であります。 問題なのは、このとき日本ではこれを見つけることができなかったのじゃないかと私は思いますが、その時点で、アメリカに対してそのサーチを依頼したのかどうか、この点についてお答えいただきたい。
○長田国務大臣 ただいまの昨年二月六日に打ち上げました「あやめ」一号のことでございますが、御指摘のような事故が起こりました後、宇宙開発事業団から米国の航空宇宙局、NASAのゴダード宇宙飛行センターに対しまして、「あやめ」に関する情報が入り次第、直ちに連絡してくれるよう依頼をいたしたところでございます。 また同日、東京大学の東京天文台を通じまして、米国のスミソニアン天文台に対しまして、光学観測による捜索も依頼いたしたわけでございます。その後、NASA発行の「サテライト・スイチュエーション・レポート」に、昨年八月三十一日時点での北米防空司令部、NORADと略称いたしますが、北米防空司令部による調査データとしまして「あやめ」の軌道要素が掲載され、科学技術庁としましては、昨年十二月にその資料を入手したところでございます。ところが、その間に、昨年九月に科学技術庁や宇宙開発事業団が入手します以前に、わが国のアマチュア天文観測グループが、アメリカの北米防空司令部から、そちらの筋から出ました情報での「あやめ」の軌道データを入手したということが報道されました。これはどうも宇宙開発事業団からアメリカのNASAに依頼をしたが、NASAから北米防空司令部の方への連絡がどうも十分ではなかったというふうに思われますので、今回の事故につきましては、外交ルートを通しまして、日本政府からアメリカの国務省を経由して北米防空司令部に捜索を依頼しておりますし、また、さらに宇宙開発事業団からは東京大学とアメリカのスミソニアン天文台に対しまして、光学観測による捜索を依頼しているところでございます。
○上坂委員 いま長官お答えになったのを聞いておりましても、こちらがきちんと依頼したのに見つかったのかどうか、そのことについて向こうから正式に知らせがなくて、そして日本のアマチュア無線士のところへ向こうのスペース・ウォッチ・サービスという民間の情報提供社から航空便で連絡があったということなものですから、非常に疑問に感じたわけです。その後、こちらから問い合わせて正確なものが行われて、この「宇宙開学委員会月報」の三十四号の十三ページに、第二段を上げるときには、こういうふうにしなきゃならぬということが書いてあるわけで、それはそれでいいと思いますが、何かばっぱっとした対応がしてもらえないというところに、なめられているところがあるのじゃないかという感じがしてしまうわけです。それではやはり困るので、今度は正式な外交ルートを通じてということでありますから、そういうことはないと思いますが、その辺のところがどうも疑問なものですから、質問をしたわけであります。 それで、NASAからなぜ知らせがこなかったのかということについては、疑問は解明されているわけですか。
○勝谷政府委員 なめられているのではなくて、つらつら反省をしてみますに、わが方の連絡の仕方が必ずしも十分筋々にはまっていなかったのじゃないかという反省がございます。 先ほど大臣が申し上げましたように、本来、外務省を通じてNORADに頼むべきであったものを、NASAに頼んで、NASAに頼んだときも、相互に技術者の行き来がございますから、国際電話であれ調べてくれよ、わかったと言っておって、そのNASAからずいぶん日にちがたってしまいましたので、十分連絡が来なかったということとか、正式の報告が出たにもかかわらず、その報告書のわが方入手が二カ月もおくれておったとかいろいろなことがございます。ここらをいま反省しているところでございまして、なめられたというよりは、わが方の態度が徹底を欠いていたという反省をいたしておるところでございます。
○上坂委員 そこで、今度の「あやめ」二号の問題になるわけでありますが、ちょうど二十二日の夕方打ち上げて、これがまた行方不明になってしまって、ちょうどその報道があった新聞に期せずしてこういう記事が出ているのです。「翔ばす女性」というのです。労働省の婦人少年局長の高橋さんが書いているわけです。女子の航空管制官が誕生した、いままでになかったのに、今度三十一人中女子が六人生まれた、これはすばらしいことだ、こう書いてあるのです。ところがこっちの方は、放蕩息子だかどうかわからないけれども、どこかへ行方不明になって飛んでいってしまったわけで、私は、これを見て、期せずして片っ方は「翔ばす女性」だなのに、こっちは飛ばさないのが出たものだ、こう感じたわけであります。 それはさておきまして、予備機の「あやめ」二号でありますが、一号の場合には、先ほど言ったように、角度がずれて追突された、しかし、アポジモーターには点火ができたわけですね。したがって、一号の場合には、私が素人的に考えますと、ぶつかったときの問題で行方不明になったという感じがするわけですね。ところが、二号機の場合には、アポジモーターに点火後八秒で通信が絶えたということは、追突とか何かその他の障害は起こらないで、非常に正常に一段、二段、三段のロケットは動いた、ところが、アポジモーター自体に今度は欠陥が生じて、それでどこかへ行ってしまった、こういうふうに思わざるを得ないわけですね。 そうなりますと、一号機のいわゆる原因というものが本当に究明をされているのかどうかということが疑問になりますね。一号のときにはぶつかったことが原因である、こうなっておる。しかし、そのときにはアポジモーターは完全に動いていた。ところが、二号機ではそうでなかったということになりますと、ここが非常に疑問なものですから、この辺のところの原因というのですか、それに対する見解をお聞かせいただきたい。
○勝谷政府委員 先生先ほど御指摘いただきましたように、第一回のときは、三段目と衛星を切り離しますときに、うまくヨーウェイトが作動しなくて追突したわけでございます。したがって、むち打ちのような状態でふらふらしながら回っていることは、その後の幾つかのデータではっきりしているわけです。ふらふらしていてちゃんとした回転をしておりません。それから第三段の通信が途絶いたしました等々むち打ち状態でふらふら回っていって、最後のアポジモーターを吹かしたときに、そのふらふらして体じゅう傷だらけのところを、アポジを吹かしたために大きな事故になって、そこで途絶したということでございます。 と申しますのが、一例を申し上げますと、その後のいろいろなデータで、アポジモーターに関する十二秒間のデータを入手したところによりますと、アポジモーター自体に異常を示す状況というのは入手されておりません。ところが、このたびは、三段と衛星とを切り離した後の三十時間ばかりの間回っているときには、全く正常な理論値の中を飛んでいるわけでございます。そして最後のアポジモーターを吹かしたときに、八秒後に途絶したわけです。しかも、その八秒間のアポジモーターに関するデータは、先回に比べても、また、その前のETSIIという試験機を打ちまして成功しました、このアポジモーターの関係データよりも異常なデータが二つばかり送られておるわけでございます。これは単に八秒くらいのデータでございますから、それによって一切を決めるわけにはいきませんけれども、現時点ではその意味で一回目と二回目は明らかに違う。しかも一回目は、もし追突がなければアポジモーターは正常に作動したのではないかという推定が下せるデータがあるわけでございます。したがいまして、前回のときアポジモーターの調査が不十分だったのじゃないかという点については、必ずしもそうじゃないのじゃないかという感じもいたします。しかし、このたびの原因究明においては、そこらの点も含めて大いにやらなくてはいかぬという点は深く反省をしておりますけれども、現時点では両者が違うということは言えるような気がいたします。
○上坂委員 今回の事故については、いま調査中でなかなかきちんとしたお答えをいただけないと思いますが、第一号については、アポジモーターの場合には非常に正常だったというふうなデータが出ておるということになりますと、せっかく正常なのに、また、それから一年たって技術がかなり進んでいると思うのに、今度はアポジモーターそのものでどこかへ行ってしまうということになりますと、これは一体どういうことなのか、ここのところに一つ疑問があるわけですね。 それからもう一つ、いわゆる日本で組み立て作業をやる、いわゆる取りつけ作業をやるときに、向こうの一流のエアロジェット・ソリッド・プロパルジョン社という、技術的には非常にすばらしいところだそうでありますが、ここの製品をFACCを通じて契約社としてこれを入れているわけですね。こちらで組み立てをする場合に、向こうの会社の技術者が一体こっちで立ち会っているのかどうかという問題が一つ出てくると思うのです。もし立ち会っていないでこっちだけでやるとすれば、いわゆる賠償の問題などでは請求権がなくなってしまうんですね。もっとも宇宙開発に対する国際賠償の問題については、いろいろ別な問題があって、複雑な賠償の規定があったりなんかするそうでありますが、その辺について私、非常に疑問に思うわけです。 去年、美浜の原発を視察に行きましたときに、部品のいわゆる管理の問題でも、一体どこにあるのかわからない、だれがどこへ入れて、こっちはとんでもないところへ一緒くたにしちゃって、肝心の使用する部品が間違えて使われているということであるとか、それから原発の事故についての賠償は、大体向こうのいろいろな部品とか装置とかいうものに原因があると思われていても賠償金を請求することができないのだ、こういうことを聞いたわけでありますが、そんなことと同じようなケースに考えられるものですから、疑問に思ってお伺いをするわけです。
○勝谷政府委員 この問題になりましたアポジモーターは、実は一度に六個鋳込んでいるわけでございます。その六個のうち二個の燃焼試験をいたしまして、完全に燃焼したことを確認いたしまして、そして一つは成功いたしましたETSIIというのに使っております。このETSIIにアポジモーターを取りつけますときは、エアロジェットの作業員一人を加えて、そのエアロジェットと三菱の間にありますFACCの監督者、作業員三名、計四名が立ち会っておりますが、このたびのECSbにつきましては、FACCの監督二名が立ち会っております。 しかし、この中の一人は、エアロジェット社から先回のETSIIのときに立ち会っていただいた人でございます。こういうこともございまして、同じ時期に鋳込んだ六機のうち二機は試験で成功しました。一機は日本で現に成功しました。その後の一機を持ってきまして「あやめ」の一号ではうまくいっておりますから、二号のときは、その人が立ち会うことで大体いいだろうという感じで立ち会ったようでございます。 それからさらに、この立ち会いいかんによって損害の賠償が成立するしないという問題はございません。これはあくまでも契約上の問題で、契約機関との関係で決まるものだと思っております。
○上坂委員 私が考えると、どうも宇宙開発というのは、これからも非常に長い期間がかかるし、日本のいまの技術水準ですと、かなり長期のいろんな計画がないとできないし、研究がないとできないと思うものですから、そこまでいくにはなかなか独自の開発というのがむずかしいので、アメリカの協力を仰がなければならないと思うわけです。科学技術庁の将来に対する見方として、日本の独自の国産のそういう技術なりなんなりが完成をして、いわゆる実用通信衛星の段階まで到達できるというのには、あと一体何年くらいかかったらできる、あとどのくらいの計画をしたらできるというふうに見通しておられるか、この点が一つ。 それからNIの計画、いわゆるECSシリーズというのは一応失敗をしてしまったわけでありますが、NIIシリーズというのがその後ずっと考えられていると思うのです。そして、その後で今度HIのシリーズに入ってくるのじゃないかと私は思っているわけでありますが、このNIの計画の再検討をする中でNIIの計画に対する見通しといいますか、そういうものの変更をする必要はないのかどうか、この辺についても疑問に思うのでお答えをいただきたいと思います。
○勝谷政府委員 国産化の時期でございますが、先ほども申しましたように、圧倒的に進んでおる技術の分野は幾ら追っかけていきましてもなかなかすべて国産化はできません。ただ、現在考えておりますわが国で通常打ち上げる程度の実用衛星をわが国の純国産のロケットで打ち上げる、そのときの衛星も使用技術はすべて国産のものにするという前提に立ちますならば、HIのロケットでMOS、AMES等を打ち上げる時期、すなわち六十年代の初頭、いまから約十年たつまでにその完成を見たいというのが現在のわれわれの気持ちでございます。 次に、NII計画との関係でございますが、二つの面が考えられます。一つは、ロケットの開発でございますが、NIロケットは、先ほども申し上げましたように、この間六発目を打ち上げまして、これは六発打ち上げたうち、先回の切り離し失敗ということでロケット失敗とカウントいたしますれば六分の五の成功率でございます。したがいまして、一応NIロケットで百三十キログラム程度のものを打ち上げるロケットの技術はある程度習得したという感じを持っております。そして、その次は三百五十キログラムの衛星を打ち上げるNIIロケットの開発でございます。これはその意味で予定の線で進めてもいいのではないかという感じを私どもは持っております。 さらに、静止軌道への投入の問題は、このたびは失敗をいたしましたが、この前のETSIIで成功いたしましたし、実用機の三機の衛星軌道への投入はすべて日本の手でいたしておりますので、その意味では四回の成功の前例もございますので、このたびの失敗の経験をそれに加味することによってNII計画へ移行することも不可能ではないのではないかと考えております。いずれにしても、このたびの事故の原因を究明いたしまして、その究明の結果、致命的なことがございますれば計画の修正をせざるを得ないと考えておりますが、現時点では従来の路線を進めさせていただいてよろしいのではないかという気がいたしております。
○上坂委員 ロケットの製造が非常に重要になってくると思いますね、だんだん大きなものを打ち上げていくことになりますと。現在のNIの計画では、アメリカからの製品購入といいますか、それからライセンス生産、そういうもので大体占められているのじゃないかと思うのですが、純国産の比率というのは一体どのくらいになっているのかということ、これが第一点です。 それから、アポジモーターの研究開発費として五十四年度に三億五千万円、五十五年度で四億円、これは国庫債務がついているわけでありますが、こういう予算が立てられている。そして国産化を目指しているというふうに言われておりますが、これはいまのNIが決まったからQロケットとNロケットということになりますと、NIIの計画についても四十四年の交換公文が生きてくると私は思うわけですね。そうなりますと、アポジモーターをもし日本が開発できたとしても、そのNIIの計画は制約をされてしまう、こういう感じがするわけです。これが第二点です。 もう一つは、アポジモーターの研究開発に非常に努力をされているわけでありますが、この開発は、いつごろその技術修得の見込みがあるのか。これができれば、大体打ち上げの方は大丈夫なのだから、実用衛星の段階にまで行くのが非常に早まってくるのじゃないか、静止衛星も成功するのじゃないか、こう思うものですから、その点をお聞きしたい。
○勝谷政府委員 国産化の率を申し上げますが、先ほど申し上げましたNIロケットのシリーズで申し上げますと、Nロケットの一号機は、国産化率五三%でございましたが、六号機に至りますと、これを六七%にまで引き上げております。NIIロケットにつきましては、一号機が五五%でございますが、これを最終的には六〇%以上にしたいと考えております。さらに、衛星関係につきましても、試験機につきましては、これは日本で試験的につくるものでございますから、当然高い比率でございますが、純実用のための実験機といたしまして気象衛星の一号は一一%の国産率でございますが、これを二号機につきましては三五%まで引き上げる、通信衛星は、一号機が二三%でございますが、二号機は六二%まで引き上げるというようなことになっております。 それから、アポジモーターの件でございますけれども、アポジモーターの国産化は、宇宙開発事業団が日産の固体技術を活用いたしまして進めておりますが、この完成は六十年の当初になろうかと思っております。 〔貝沼委員長代理退席、小沢(一)委員長代理着席〕 したがいまして、この六十年のものも、すべてHIのロケットの完成、衛星もMOSがある程度国産化されるという、すべての国産化路線に対応してアポジモーターも国産化される。先ほど申しましたように、ブラックボックスで輸入しておりますものの中に、アポジモーターのほかに液酸・液水の関係、慣性誘導等もございます。これはすべてその時点を目指して国産化を進めて、完成させたいと思っておるわけでございます。
○上坂委員 先行き非常に明るい希望の持てるお答えなものですから、安心するわけでありますが、最後に、保険の問題が大分出ておりまして、新聞でもどうしてやらなかったのだろうというようなことを言っておるわけであります。前に、NASAに依頼してケープケネディから打ち上げたのだと思いますが、静止気象衛星の「ひまわり」の場合、それから五十二年十二月の「さくら」の場合、これは実験用通信衛星、それぞれ七十二億円の保険を掛けた、それで大体七億二千万円ですか保険料として払ってしまったと言われておりますが、これの契約先はその当時どこだったのかということが一点。 それから、今回の「あやめ」一号、二号をとってみますと、一号の場合には二億八千万円の保険料を払って二十八億円の保険金がおりたということでありますが、この場合には、国内の十七の保険会社がシンジケートをつくってこれに対応した、こういうふうに言われておりますが、この辺の事情をもう一つお聞かせいただきたいと思います。 それから、今度の「あやめ」二号については、なぜ保険を掛けなかったのかという点についてもお答えをいただきたいと思います。「あやめ」一号の場合には、聞くところによりますと、やりくりして保険料を捻出した、こういうふうに聞いておるわけでありますが、やりくりが大変だったから掛けなかったのかどうか、そういうことも含めてお答えいただきたいと思います。
○勝谷政府委員 保険の引き受けグループでございますが、日本の同和火災以下約二十社の引受団がこれを引き受けておりまして、これをイギリスのロイドに再保険しておるわけでございます。 それから実は、このときが初めてわが国でわが国の衛星に保険を掛けるという例が始まったわけでございまして、NASAに行きまして、当時アメリカで実用衛星が次々に打ち上げられまして、アメリカでもスぺースの保険市場が形成されておりましたわけで、NASAに相談をいたしましたところ、NASAからアメリカの例にならって、これは一〇〇%国の予算の衛星ではございますけれども、実用面が相当強かったわけでございますので、打ち上げを確保するために保険を掛けたわけでございます。このときアメリカに行ってアメリカにその先例があった、それに従って日本の保険会社のグループが保険市場を初めて形成したわけでございます。したがいまして、この先例に基づきまして、次の「あやめ」の一号のとき、日本で打ち上げるときの例として出てきたわけでございます。 そこで、そのときには「あやめ」の実は二号に相当する予備機がございましたので、しかも、先ほど申し上げましたようなミリ波の実験等重要な実験がございまして、需要官庁も、失敗したときはぜひ予備機を打ち上げる必要があるという要望もございましたので、急遽保険を掛けた、保険市場が形成されていた上に予備機があったということで掛けたわけでございますけれども、今度の「あやめ」二号の場合は、すでに予備機がございません、したがいまして、この保険を掛けるといたしますと、さらに新しい衛星をつくり、新しいロケットをつくり、そして、これを打ち上げるための種々の費用をかけるということになりますと、これは大変な保険になりまして、この保険が果たしてできるかどうかも問題でございますけれども、予備機がないということでこのたびは掛けないという方針、しかも、実用機でないということで掛けないことにいたしたわけでございます。
○上坂委員 予備機があるかどうかで保険を掛けるということについても、これは実際問題としてお答えをいただいてもなかなか納得がいかないわけですが、予備機がないということは、この次の計画がないという意味にもし解するとすれば、NIの計画の後にはNIIの計画があるわけですね、ただ、それが来年打ち上げるのか、ことし打ち上げるのか、それはわかりませんけれども、しかし、早急に毎年とにかく一つぐらいずつ打ち上げていきたいというような計画のようですね、そうなりますと、どうも予備機がなかったからということは納得がなかなかいかない。 それはそれとして、私は、掛けなかったとか掛けるとかいうことよりも、やはり掛けていくべきではないか、現在の段階の技術水準からいけばそういうふうに思うわけです。したがって、ここ一、二年あるいは四、五年の間というものは、やはり打ち上げの計画がある限りにおいては、これはちゃんと予算化をしていくべきではないか、こういうように考えるわけです。 それで、これは前の場合もやりくりしてやったのだと思うのですが、そのやりくりをしながら今度は保険を掛けようか掛けまいかなんて心配しているのじゃなくて、やはり上げる以上は百億、今度は百五十億でしょう、この次三百五十キロあるいは五百キロというかっこうになってきますと、これがまた一・五倍なり二倍、三倍といった大きな費用が必要になってくるということになりますと、そうしたものを予算化しておくことが必要ではないか、こういうように思うのです。その点で長官の方からお答えをいただきたいと思うのです。
○長田国務大臣 「あやめ」二号につきまして保険をかけておかなかったということにつきましては、実は、次の予備機がなかったということを先ほど局長から申し上げました。損害を回収するという意味よりも、従来衛星関係の保険は次の打ち上げのための経費をできるだけ確保するといいますか、次のための負担を軽くすると申しますか、そういうような意味合いも込めてあったことだとか、あるいはまた予算折衝の際の枠と申しては何ですけれども、その分だけ上積みできやすい状況、できにくい状況等も私は若干あるのではないかと思います。 今後につきましてのただいまの御指摘並びに御意見につきましては、私どもも、深く一同心にとめまして、必ず保険がつけられるかどうかにつきまして、いまお答え申し上げる状況にございませんけれども、十分心にとめまして措置してまいりたい、そのように思っております。
○上坂委員 終わります。
○小沢(一)委員長代理 石野君。
○石野委員 私は、質問を原子力船等についてしたいのですが、その前に、つい最近、筑波学園都市で高エネルギー物理学研究所のストロンチウム90の一ミリキューリーのものが紛失しているという、そういうことがわかったのだそうですが、これはどういうふうになっておりますか。その説明をしてください。
○牧村政府委員 先生御指摘のストロンチウム、これは一ミリキューリーの機器の較正用線源でございますが、昨年十一月に取扱主任者である方が確認したときにはあったわけでございますが、その後何回か実験に使われておりまして、つい最近、さらに確認いたしましたところ、その線源が所定の収納庫に入れていないことが発見されたわけでございます。その報告が先週科学技術庁に参ったわけでございます。これは科学技術庁の水戸事務所が所管しておりまして、水戸事務所の方へ報告があったわけでございます。直ちに、水戸事務所の検査官が現地に行きまして、その状況並びにどういう状況でなくなったのかをいろいろ検討させましたが、その予想としては、焼却場を通じて廃棄物の処理場に運ばれた公算が非常に強いということが判明したわけでございます。直ちに研究所の職員がその経路をいろいろ調査したところでございます。その報告がございまして、翌々日だったかと思いますが、ごみの処理場の土の中に埋まっておるのが発見されたということで無事回収されたところでございます。 このような経過にかんがみまして、水戸事務所を通じまして、研究所当局に、線源の管理ということにつきまして今後さらに厳正な取り扱いをするように指示をいたしたところでございます。
○石野委員 ストロンチウム90というのは、非常に毒性も強いし、警戒しなくちゃならないものなんですが、簡単にごみの捨て場に捨てられてしまうというようなことについて、管理監督の面、これは大変問題があるように思いますけれども、なぜそういうように厳重に監視しなくちゃならぬものが捨て場へ入ってしまったのかというその経緯はどういうことなんですか。
○牧村政府委員 このストロンチウムの線源でございますが、いわゆる密封線源と言っておりまして、ストロンチウムが裸で出ておるものではございません。通常安全な容器の中に入っておって機器の較正等に使うというものでございます。 先生御指摘のように、いまのところ予想される経緯は、粗大ごみの中にごみと一緒にまず大学の構内の焼却場に運ばれ、そこで燃やされ、灰と一緒にごみ捨て場に運ばれてしまったということで、先生御指摘のとおり、こういうような線源の取り扱いにつきまして研究所当局の取り扱いの仕方、これは法律に基づきます取り扱いのマニュアルを各事業所で持っていなければいけないわけでございますが、そのマニュアル等を十分に守っておれば、こういうことがあるはずはないわけでございますが、そういう点の管理の不十分から、ごみと一緒に捨てられてしまったという、きわめてずさんな状態で紛失したということでございます。
○石野委員 従来われわれ素人でも、ストロンチウム90というものは、われわれの体の中に入れば血液やなんかみんな破壊してしまって、非常に弊害が大きいし、危険なものだということでしばしば問題になっているわけですから、研究所等でこういうものを使って、しかも、それがどういう形でごみ捨て場に入ってしまったのか知りませんけれども、この管理監督のマニュアルがあったのかなかったのか、ないとすれば、ないでなぜそういうものについての管理監督を十分にするような姿勢が整っていなかったのかという問題、これは大学にもありますけれども、科学技術庁にも当然問題あると思うのですが、いま局長からお話になったような簡単にごみ捨て場へ行ってしまったということよりも、むしろどういう経緯でだれがどういうふうにしたのかということをもう少し突き詰めないと、対策が出てこないのじゃないかと思うのです。実験研究の中でたまたまそれがごみ捨て場へぱっと行ってしまうというのか、処理してあったのが何かの形でそういうふうになってしまったのか、そこらのところをもう少し突き詰めなくちゃなりませんが、そういう点、実際はどういう形でどういうようになってしまったのかということをもう少ししさいに説明してもらいたい。
○牧村政府委員 まことに申しわけございませんが、ただいまその関係の資料を持ってきておりませんが、幸い見つかったわけではございますが、ただいま石野先生御指摘のように、これは学生実験等に使う機器でございまして、学生等が使った後、非常に小さなものでございますので、その取り扱いのまずさからその他のごみ類と一緒に捨てられたようでございます。 また、先生御指摘のだれが、いっこういうことになったのかということを含めまして、いま研究所でできるだけ可能な限り詳細に調査をしてもらうように依頼しております。 なお、先生の御指摘でもございますので、水戸事務所を通じまして、科学技術庁の検査官、立入検査等をする担当官にさらにフォローさせて、今後こういうことがないように十分注意をし、また、大学当局にもそれを行っていただくように監督をしてまいりたいというふうに考えております。
○石野委員 研究にこういう線源を使うということについて、われわれは、非常に新しい開発なり研究成果を上げるために必要なことですから、それは当然十分に使ってもらっていいと思いますけれども、やはり非常に粗雑な扱いのために、それが周辺の大衆に影響を与えるというようなことになってしまったのでは困る。原子力問題の基本的な扱いの姿勢として、やはりあくまでも周辺地の住民なり人類に悪い害を与えないようにということが基本になって、私たちはこれを常に皆さんに対しても要請をしておるわけですが、どうも原子力は安全なんだ、安全なんだという観念だけが先に立っちゃって、そのことがつい扱いの問題にまで安易な形になってしまい、しかも、紛失したものが発見されなきやそのままという弊害が続いていくわけですから、そういうようなことをおろそかにしてはいけないと思うのです。私は、やはり原子力の放射能障害なり放射線等による被害というものが、余りにも他のものよりも大きくわれわれに響いてくるということについて、もうちょっと厳重な管理監督の姿勢をとってもらいたい、こういうことを特に要請しておきたいと思います。 これは長官にも、特に文部当局等に対して、ただ科学技術庁だけじゃない、学校当局、文部省の問題でもあると思いますので、その点を特に要請しておきたいと思います。
○長田国務大臣 ただいまの御意見、私も全く同感でございます。これからわが庁関係はもとより、ほかの方の関係につきましても、再び繰り返すようなことのないように格別の留意を求めてまいるつもりでございます。
○石野委員 これはまたわかったらひとつ結果を教えていただきたいと思います。 原子力船「むつ」の問題で私はひとつ当局のお話をお聞きしたいのですが、その後原子力船「むつ」はどんなになっておるのか。きょうは事業団は来ていませんから、ひとつ科学技術庁から御説明いただきたいと思います。
○石渡政府委員 その後、一昨年十月佐世保に回航いたしまして、昨年ドック入りをし、現在、佐世保重工の甲岸壁に係留中という状況でございます。その間総点検の作業も進めておりますが、いわゆる係船契約、さらに、それに続きます遮蔽改修の契約の交渉が現在行われているという段階でございます。
○石野委員 いろいろ契約が行われようとしているようですけれども、この一年、まあやがて二年になってくるはずですけれども、佐世保へ行ってからどれだけの仕事をしたのか、そして事業団があの「むつ」に対してどのぐらい金を使ったのか、その点をちょっと……。
○石渡政府委員 「むつ」は五十三年十月、先ほど申し上げましたように、佐世保に回航されたわけでございますが、その後、五十四年一月から安全性総点検の一環といたしまして、原子炉プラント機器の点検を開始いたしました。また、先ほども申し上げましたが、五十四年七月には入渠をいたしまして、船底あるいは外板の点検、塗装等を実施したわけでございます。 それから、手続関係になりますけれども、遮蔽改修の実施に必要な原子炉設置変更許可の取得、これが昨年の十一月に行われました。以後、改修工事等の契約交渉を進めているというのは、先ほど御報告申し上げたとおりでございます。諸般の事情によりまして、まだ本格的な工事に着手できない状態になっていることにつきましては、非常に遺憾に存じておりまして、鋭意その促進方を図っているわけでございます。 なお、金額でございますが、遮蔽改修関係で五十四年度予算といたしまして、全体で四十一億円の支出を予定しておる次第でございます。
○石野委員 仕事は余りしてないで金はうんと食っている。そして、いま新しい仕事をしようとしても、なかなか手順がうまくいかない。仕事をしようとする場合、あそこで長崎県の当事者との問に佐世保入港についての契約がございますね、その契約の範囲内の仕事はどの程度やれたのか、それから、これからやる仕事というのは、どういうことをやろうとしているのか、その契約外に及ぶのかどうなのか、そしてまた、その仕事をするためにどういう手順を経なければいけないのかということについて……。
○石渡政府委員 佐世保に回航いたすにつきましてのいわゆる五者協定と俗称しておりますが、佐世保入港における修理に関する合意協定書というものがございます。その精神は、核封印方式と通称言われているわけでございますが、原子炉のふたをあけないで修理するということになっております。そういうお約束のもとに欠陥のございました遮蔽を改修するというのが主な目的でございます。なお、この間に総点検を行いまして、必要であればその機器の改修もさせていただくということになっているわけでございます。 この工事につきましては、施工者といたしまして三菱重工並びに石川島播磨造船を予定しておりまして、現在、その工事の内容と契約をその両社と交渉しているという段階でございまして、いわゆる合意協定書の中にその工事内容が明確に書いてあるわけではございませんで、その時点での概念、こういうことということについては、まだ手がついていないという状況でございます。
○石野委員 そうすると、これからふたをあけたいで修理をするのだということが現実にできるのかできないのか、ちょっとわかりませんけれども、そういうことがあるのかないのか。 それからまた、この仕事をするのは、いまお話の三菱重工とか石川島播磨というようなところを主契約者として話し合いをするのでしょうけれども、佐世保重工はやはり主契約者という立場には立たないのですか。
○石渡政府委員 当初、佐世保に回航いたします時点では、佐世保重工も主契約者としてお願いしたいということを考えておったわけでございますが、その後佐世保重工といたしましては、主契約者たることを辞退してまいりました。それではということで、佐世保重工に予定していた分を石川島播磨重工に振りかえたと申しますか、そういうことで作業の内容並びに契約の交渉を進めているということでございます。 なお、私どもといたしましては、主契約者ではないにしろ、現実に佐世保重工の岸壁で作業をやらせていただくわけでございますから、そういう意味での機器の提供あるいはいろいろな便宜の供与、できれば三菱あるいは石播の工事、作業への佐世保重工の実質的な参加ということを期待していろいろお話を進めているという状況でございます。
○石野委員 どういうふうに事業団の仕事が行われるかわかりませんが、一方では事業団の存立期限の問題もありまして、もうそう長いことないわけですね。その間に仕事をしようとする場合に、佐世保のドックで仕事をするのだが、佐世保重工は主契約者でない。下請になるのかどうか知りませんけれども、なぜ佐世保重工は主契約者になろうとしないのですか。
○石渡政府委員 その当時、佐世保重工も再建問題といったものがいろいろございまして、そういう絡みで主契約者になるのを御辞退されたというふうに理解しております。
○石野委員 佐世保重工が主契約者にならないということが県民の各位に対して非常に不信感をもたらした一つの原因でもありますが、率直に言って、仕事をしようとするときにこれから幾つ契約しなくちゃいけないのですか。
○石渡政府委員 契約の進め方だと思いますが、一つは、三菱及び石播との間に事業団が工事に関しての契約を結ぶ、それから佐世保重工との間には、先ほども申し上げました機器の提供あるいはいろいろな便宜の供与等につきましての契約ということがあると思います。現在、係船契約及び入渠の契約がまだ済んでおりませんので、この二つの契約が佐世保重工と事業団との間で結ばれるというのがその前提になると考えております。 〔小沢(一)委員長代理退席、貝沼委員長 代理着席〕
○石野委員 原子力船「むつ」の修理問題については、大湊からあそこへ回航するということについて非常に拙速なやり方が行われて今日に至ったわけですね。そして、あそこに船はあっても係船契約ができてないから、作業の場合、船をしっかりとつなぐことがなかなかできない。こういうことは、監督官庁である科学技術庁としてはこれでいいのかどうか、責任は実際にだれがとるのですか。また、こういうような情勢のもとで仕事をしようとしても、実際できるという見通しを持っておるのですか、どうなんですか。そこのところをひとつ聞かせてください。
○石渡政府委員 まず、佐世保に回航するにつきまして契約行為がしっかりしていなかったという点、おしかりでございますが、当時の事情をいろいろ調べてみますと、文書にはなかったにしろ、当時の佐世保重工といたしましては、この修理を引き受けるということは明快になっていたということのようでございます。しかしながら、その後経営陣が交代されたというような事情があったと理解しているわけでございます。いずれにいたしましても、その時点でもう少ししっかりやっておくべきだったという点については、われわれ深く反省しているわけでございますが、そうは申しましても、ここまで来ているわけでございますから、現在の状況で何とか諸般の情勢をしっかりやり直しまして、今後の修理に万全を期してまいりたいというのが私どもの気持ちでございます。
○石野委員 科学技術庁が去年の十一月三十日に長崎県や同県漁連に対して「「原子炉プラントの設計の再検討」及び(原子炉本体)改良のための改修、補修」を盛り込んだ「改修計画の内容変更」を示しておりますね。これは改修工事を遮蔽工事と並行して佐世保寄港中にやる方針だということが明らかになった、このことは五者協定をはみ出している、いわゆる核封印方式をも突き崩す重大な問題だ、こういうふうに地元民は受けとめております。事実上そういうことになってしまうと思いますが、いかがですか。
○石渡政府委員 佐世保回航に際しましてお約束いたしました核封印方式を破るという意思は毛頭ございませんで、その範囲内でもし必要であれば機器の改修もやらせていただきたいという御説明に参上したわけでございまして、この点ぜひ御理解を賜りたいと存じます。
○石野委員 これは受けとめ方がいろいろあって、私は、皆さんが改修計画の内容変更というものを明らかにした、内容がどういうものであるかいまここでは論議しませんが、しかし事実上、地元ではこれは五者協定の線を突き破っているものだという受けとめ方をしている者が実は多い。事実上そう見ているわけですよ。そうならなければ結構ですけれども、それで仕事ができるかどうか非常に問題があると思います。私は、地元の人たちが、いろいろ意見はあっても、少なくとも最大限でこの程度ならばということで認知し合った問題が途中で変更されたり、あるいはごまかしになったりするようなことのないようにひとつ希望しておきます。
○石渡政府委員 私どもも、お約束は守りたいと思っておりますので、ただいまの先生の御指摘は十分心にとめまして、今後の仕事を進めさしていただきたいと存じます。
○石野委員 改良のための改修とか補修とかいう問題がどういう点にあるかということについては、いろいろ問題がありますけれども、原子力船は——あれは事実上まだ船にはなってないわけですから、船ということで論議をするのには問題があるかもしれませんけれども、原子力船は一つの船体に炉が載っかっているということですね。きょうは運輸省からおいでいただいておりますが、改修とか補修の問題で、船の構造の面から見まして、あの事故以来何か手を加えなければならないというようなことが新たに出ておるのであろうか、あるいはまた、そういうものはなくともこういうことをやらなければならぬというような意見が何かありましたら、ひとつお聞かせいただきたい。
○栗山説明員 いまの石野先生の御質問ですが、「むつ」の遮蔽改修工事に関連しまして船体上の問題として考えられるのは、一つは、復元力がどうなんであろうかということがございます。これは遮蔽重量が若干ふえることは事実でございます。約三百五十トンから三百六十トンというふうに推算されます。それと重心につきましては、若干、十センチくらい高くなるということがわれわれの計算では明らかになっております。しかしながら、もともと初期の設計におきましても十分余裕のある復元力を持たすような船になっておりますので、私どもの積算した結果では静的な、つまり、造船学上スタティックな復元力とダイナミカルな復元力と両方満足させる、この船については、特に国際航海、つまり、外国に行く旅客船以上の基準を適用することにしておりまして、仮に深く浸水したときでも十分に安全性が保たれるような設計になっておりまして、この点は先生が御心配になるようなことはないと確信しております。 それから、構造上の強度でございますけれども、この点につきましては、改修後も船の満載排水量というもの、満載状態での喫水は変わらないという前提でございますので、いわゆる強度算として使われております中央断面での断面係数、そういう言葉を使っておりますけれども、これも世界的な国際基準を十分に上回るものというふうに理解しております。 最後に、衝突あるいは座礁に対して十分な安全性を保たれているかどうかということにつきましても、先ほどの喫水状態が最初の設計時点と変わらない、最悪の場合でも変わらないということが保障されておりますので、その点も心配はないものというふうに安全性を期しております。
○石野委員 船の構造の面から言いますれば、たとえば新たに遮蔽重量が数百トンふえていく、しかも重心が少し、十センチぐらい設計上高くなる、そういう点での不安はあるけれども、造船技術上の観点なりあるいは原子力船「むつ」を当初設計した段階での炉の重量、積載の位置、そういうところから見れば問題はなかった、ただ、遮蔽が多くなってきた、仕様変更ですか、そういうものが問題になる、こういうふうに受けとめていいわけですか。
○栗山説明員 石野先生がおっしゃいました不安があるという点は毛頭考えておりません。つまり、重心は高くなっても十分に安全であるというふうに申し上げているわけでございます。
○石野委員 そうしますと、原子力船については、船の建造上の問題としての設計やあるいは工事関係等については何も別に考える必要はない、こういうふうにわれわれ見てもいいわけですね。
○栗山説明員 私どもそのように思います。
○石野委員 「むつ」の改修工事については、船の方は余り問題はないのだということになると、炉の問題なんですね、やはり。炉の修理がどういうふうにやられるかということは、これからの問題でございましょうが、大山委員会の指摘を受けて、諸般のいろいろな準備をなさってきているわけですけれども、先ほど来の佐世保における工事関係等を通じて、具体的に工事に入り得るという見通しは、いまのところは全然めどは立っていないということですね。
○石渡政府委員 交渉でございますので、一方的に申し上げることはできないわけでございますが、そう遠くない時期にぜひ交渉を成立させたいというふうに考えている次第でございます。
○石野委員 やはり修理工事というものが、ほとんど一年数カ月の間、船体についたカキを落とすとか色を塗りかえするとかということだけで、本来の放射線漏れということに対する手当てを全然していないわけですよね。そして事業団の法律上の存続期間も追い追い迫ってきている。ことしの秋ごろまでに、そういうことの何か十分な修理、完成のできるめどは、スケジュールの上からいくとどういうふうに立てておられるのですか。
○石渡政府委員 事業団の存続期限は、先生御承知のように、ことしの十一月末でございまして、その期限内にという改修は不可能だと考えております。
○石野委員 そうすると、この事業団存続中に改修が不可能だということになった場合、もう改修は一応しないで済ますのか、どうするのか。
○石渡政府委員 私どもは、その意味も含めまして事業団法の改正をお願いしている次第でございまして、もし国会での御同意が得られれば、六十年末まで存続を延ばしていただきたい、その後はまた新たな措置を考えたい、こういう趣旨の法案を提出させていただいている次第でございまして、それを前提にいたしまして改修工事も進めさせていただきたい、かようにお願い申し上げている次第でございます。
○石野委員 法案の提出の問題は、これは別途に皆さん考えるべきことなんだけれども、原子力船「むつ」というものを見て、しかも、舶用炉というものにああいう事故が起きたということになりました場合に、この舶用炉という炉が、いわゆる発電所で使う炉と違うところというのは、われわれの見るところでは、船の動揺とか振動というものにどう耐え得るかということが一番大きい課題だろう、こう思うのです。同時にまた、普通の振動とか動揺だけじゃなしに、急激に船が航路変更するとかなんとかによるところのそういうようなことに耐え得るかどうかということが、陸上に置かれる炉との違いであろうと思いますけれども、そのほかにまだ何かいろいろ検討しなければならぬものが舶用炉というのにはあるのですか。
○石渡政府委員 先生ただいま御指摘になりましたように、まず動揺、振動に対してどういう挙動をとるか、それから急激な負荷の変動に対してどんな反応が出るかというのが、技術的な基本的な問題だと考えております。 なお、舶用炉の共通的に要求される性能と申しますか性質といたしまして、まず、できるだけ小型であること、そして軽量であることということが、基本的な事項として要求されるかと考えております。
○石野委員 原子力船「むつ」が事故を起こしてからもう五、六年になりますね。この間、ずいぶんとやはり予算も食ってきているし、仕事をしたようでしないような、変なかっこうでずっと過ぎてきたのですが、これから原子力船の問題を考えると、先ほど船の問題については大丈夫だという話もあり、私どもも、わが国の造船技術の上から言えば、どんな炉を積まれても日本の造船技術は十分耐えるだけのやはり研さんを積んできている、こういうふうに思います。そうすると、炉の問題でああいうストリーミングを起こしたのが、振動とか動揺とかという問題なのか、炉自体の問題なのかという、この問題が非常に大きい課題であろう、こう私は思うのですけれども、炉自体については、科学技術庁としてはどういう点に問題があるのだというふうにお考えでしょうか。大山委員会は簡単に遮蔽がどうだったというようなことだけで済ましておるのですけれども、それでもうよろしいのでしょうか、どうでしょうか。
○石渡政府委員 一義的には、やはり大山委員会の御指摘にございますように、遮蔽が不完全であったということかと思っております。炉につきましては、私どもは、現在までのところ特に問題はないと思っているわけでございますが、念のためソフト面あるいはハード面においての総点検を現在進めているという状況でございまして、根本的な問題があるとは考えておりませんが、もし部分的に必要であれば、できれば手直しを進めることを考えているという状況でございます。
○石野委員 事故がありまして以後、遮蔽問題だけだということで事は済んできておるのですが、これから後また法律案が出るのかどうか知りませんけれども、原子力船の開発という問題について、現在の原子力船「むつ」、まだ船にはなっていませんけれども、これは修理をした上でどれだけのものを運べるのかということになれば、一千トンとは積めないですよね。せいぜい三百トンか四百トンぐらいの荷物ぐらいしか積めないのでしょう。この船はどのくらい積めるのですか。
○石渡政府委員 たしか千トン余りの数字だったと記憶しております。——失礼いたしました。三千トン弱の貨物を積めるという設計になっている次第でございます。いずれにしましても、そう多いものではないということでございます。
○石野委員 これから原子力船の開発という問題は、どういうところに焦点を合わせてやるつもりでおりますか。
○石渡政府委員 やはり原子力船開発で基本的な問題になりますのは、先生も先ほど来御指摘なさっておられるように、安全性はもとよりといたしまして、まず経済性、信頼性のすぐれた炉の開発が基本である、このように考えている次第でございます。
○石野委員 私は、原子力船の事故の経緯をずっと見てみまして、これは何遍も言っていることですけれども、何とか船を動かしたいという気持ちはよくわかります、しかし、ああいうような状態になってしまったら、やはり原点に戻って考えるということになりませんと、幾ら金をつぎ込んでも、これは無理だろうと思うのです。いま局長が言われたように、原子力の舶用炉というものを、ああいう事故を起こさないために炉自体を健全に建造できるようにすることが非常に大切なんだ、「むつ」の放射線漏れということの教訓は、そういうところにあるのじゃないかと思うのです。それを外したままに事業団が仕事をじゃんじゃんやってみたって意味がない、こう思うのです。 いま局長から、そういうようなお話がありましたが、炉の研究という問題については、大山委員会の結論はそういうことは何もないんですね、遮蔽だけということなんですから。これは率直に言って、どうもあの時点で対世間体な結論を出したくらいにしか見ていない、あれが本当に日本の原子力船をもしつくる上で有効に動く結論であるのかどうかというと、私は疑問に思います。 科学技術庁は、もし大山委員会のあの路線の上でやるとするなら、もう今度はじゃんじゃん大きい炉をつくって大きい船に載っけていけば、それで事は済む。しかし、それはなかなかそうはいくまいと私は思うのです。 そこで、修理の問題がまだ時期がはっきりわからない、それから佐世保重工と市、県当局との間でも契約期限の問題もあると思うのです。そういうようなことを通じて、船がある限りは母港を考えにやならぬのだが、そういうことなども着々と、何か交渉を進めたり折衝を進めているという事情なんですか。それとも、それはいまのところ当分考えていないというような事情なんですか、どうなんですか。
○石渡政府委員 「むつ」の新碇係港につきましては、いろいろ作業もし、検討も進めている段階でございますけれども、先生御指摘のように、修理の面がまだ明らかなめどがたっていない状況でございますので、それをまず先行し、その後新碇係港の選定に急いで入りたい、こういうのが現在の私どもの立場でございます。
○石野委員 いずれにしましても、原子力船「むつ」の問題について、あれが置かれている長崎の県民諸君は、昨年の十一月に皆さんが県に示した改修計画というようなもので、やはりどうも約束違反になるのじゃないかという疑問を強く持ち続けておるわけなんですよ。ですから、そういうことがないということをはっきりする。と同時に、契約の中でまた新しく契約が積み重ねられていくいうようなことになりました場合には、やはり県民大衆の不信感というものは一層強くなってきて、仕事はうまくいかないだろうと思うので、そういう点については、大臣、これは安易に見過ごしてはいけないと思うのです。ことに佐世保重工は、坪内社長の経営方針等をめぐって労働者とのトラブルも非常に厳しく係争が続いてきている。どうにか話がついたようでございますけれども、ここでの仕事がうまくいくかどうかという問題は、契約の仕方にもよりましょうし、今後もやはり佐世保重工というものを主契約者ということでなくやっていった方がいいのか、もしやるとするなら主契約者としてやることがいいのかという問題についての科学技術庁の考え方というものをちょっと聞かしておいてもらいたいのです。
○長田国務大臣 「むつ」の問題が計画どおりにいかない、いろいろな事情のために御指摘のような現状になっておりますことは、もう大変私どもも残念に思っているところでございます。私も、昨年十一月着任して以来、一刻も早く少なくとも係船契約あるいは入渠契約などはまず結びたい、一番の前提でもございますし、そういうことにしたいと思っておりましたのですが、いろいろな事情がございまして今日に至っておりますし、また遮蔽改修の契約等につきましても、もうただいま局長からお答え申したような事情でございます。その間若干の進展、船底とか塗装とか、そういうような面の進展はございますけれども、まだ今日までも係船契約も入渠契約もできておらない。私どもとしましては、労使関係が一段落しましたこの時点で一刻も早く軌道に乗せますとともに、工事の契約などにつきましては、正式契約以前にもそれぞれ非公式に現在の相手方などともいろいろ話し合っているようでございまして、契約ができたらいかに後早く工事を仕上げるかということなどにつきましての努力なり工夫なりはそれぞれなされているようでございます。 しかし、ただいま御指摘の、工事の方の主契約者というものを再検討してみてはどうかということにつきましては、いままでの経緯は先ほどお答えしたとおりでございますけれども、そういうことの方が実情に適しているのか、あるいは全体を取り進める上で必要なのかどうか、そういうことにつきましても、さらに関係者と相談をしてみたいと思います。せっかくのそういう御指摘でございますし、十分相談もいたしまして、いずれにしましても、全体の事態が円満に早く進んでいき、そして一刻も早く実験航海なども終えまして所期の目的も達する、将来さらに、この船が動くようになりましたら、いろいろ試験、実験の対象としても、研究対象としても、これからその働きをしてもらわなければならない、そのように思っているわけでございますが、総体としまして、一刻も早く、また円滑にそのルートへ進みますことを私ども切望し、絶えず注意をこれからしてまいりたい、そのように思っております。
○石野委員 いま私が事態の実態というものはそうなければ仕事が進まないじゃないかということのお話を申し上げたところ、それに対するお答えはいまのようなお話ですが、その大臣の答弁をずっと聞いておりますと、長崎との間の契約期間は三年ですから、もうすでに一年半は大体過ぎていく、しかも、これから仕事に入って、ことしの秋までにはとても修理はうまくいきそうもないというようなことになりまして、だんだんだんだんあそこで期待された工事というものはやれないとすると、三年ではできないということになるだろうと私は思うのです。そうすると、また三年の期限を更改するため長崎県との折衝をするという構えを持っておるのですか。
○石渡政府委員 一昨年の十月十六日入港以降約三年の間にということが期限に関する協定の内容でございまして、先生御指摘のように、残された日にちが大分短くはなってきておりますが、その期限内で何とか工事を済ませたいということで、現在、契約内容を施工者と詰めているというのが現状でございます。 それから、もしお許しを得られますれば、ちょっと先ほどの大山委員会がらみのことにつきまして、多少御説明してよろしゅうございますか。——大山委員会は、確かに、あの放射線漏れ事故以降の基本的な方針をお示し願ったわけでございますけれども、私ども昨年一年間を費やしまして、原子力船研究開発専門部会という部会を原子力委員会のもとにつくりまして、今後の原子力船の進め方につきましてさらに基本的な検討を行ってもらったわけでございます。その結論といたしまして、私どもにとって従来の考え方を相当変えなくてはいけないという内容も盛られているわけでございまして、この点いずれさらに詳細に御報告させていただきたいと存じますが、そのポイントだけを申し上げますと、まず原子力船時代はいつごろ来るのかということにつきましての見通しが、恐らく来世紀に入るころというかなり先の時点を設定しておりまして、従来申し上げておりました一九八〇年代の中ごろという時期ではない、大分先になっているという御指摘をいただいているわけでございます。第二点といたしまして、先ほど来先生が強く御指摘しておられます経済性のある改良舶用炉のプラントの開発が今後の研究の中心であるべきであるという御指摘、そういうことを踏まえた上で「むつ」の開発を考えていくべきであるという御指摘になっているわけでございまして、私どもといたしましては、基本的には大山委員会報告を踏まえながら、こういう原子力船専門部会の御指摘も十分配慮しながら、今後の計画を考えてまいりたいというのが私どもの基本的な方向であるというふうに御理解を賜りたいと存じます。
○石野委員 とにかく原子力船「むつ」については、科学技術庁と長崎県との間の話し合いで事が進んでおるわけです。そして、あそこへ行くについても、船の係留契約とかなんとかというような、当然やっておくべきことまでもやらないで大急ぎで行った、そして期限はずっと迫ってきて、契約の期限も切れてしまうという段階で、今度はまた、船はそこにあるのだから仕方ないのだと言って、また契約更改をするというような不信行偽は避けるべきだと私は思うのです。とにかく契約の期限はもう変えないというようなたてまえを私は科学技術庁としてはとってもらいたいし、そうでなければ問題は紛糾するだろう、こう思うのです。やはり長官、期限の変更などというようなことはやるべきじゃない。それからまた、約束した内容の問題についても、やはり安易に当事者だけでやってしまって、県民や何か全然周囲の人がわからないままで強引なやり方をすると、必ず問題が紛糾すると思いますので、そういうことをすべきでないと考えておりますが、長官はどういうような決意でおられますか。
○長田国務大臣 先ほど申し上げましたような状況のもとで、私どもは、佐世保重工との契約、それから現在主契約者として予定しております二企業との契約、そういうものを一刻も早く締結しまして、定められた期間内に遮蔽改修工事を終了すべく全力を挙げて努力をする心構えでおります。当面はそれに向かって全力を尽くすということを申し上げまして、お答えとさせていただきます。
○石野委員 なお長官にお尋ねしますが、いま局長からの話で、大山委員会でのその後におけるところのいろいろな皆さんに対する御忠告や何かがあるようでございます。その中で舶用炉の研究開発の問題については、やはり海洋に出て経済的に役立ち得るような状態にしなければいけない、そういうような忠告は、私は、もしやるとするなら、それはまさに適切だと思うのです。だとしますると、いま原子力船「むつ」の持っている事件内容というものを徹底的に究明するということ、そして海洋に就航できるような原子力船、そういうようなものへ集中的にやはり炉の開発を行う、そういう基本的な原点に立った形での研究開発の道を歩むということでないと、原子力船「むつ」の教訓に学んだということにはならないだろう、こう思うのです。科学技術庁は特に運輸省なんかと違うのですから、もっと基本的に実験研究の中で事故が絶対に起きないのだというぐらいの自信を持って炉を運輸省に渡すという形、船を渡すということにならなければ、科学技術庁としての値打ちはないだろうと私は思うのです。向こうへ行ってから事故が起きたのだからおれは知らぬよというわけにはいかないだろう。科学技術庁は船になれば運輸省に渡すことにあなた方は法律を改正したのだから、それならばやはり自分の権限内におけるところの仕事だけは責任を持って十分にやるというような構えを示さない限りにおいては、また事故は何遍でも起きるだろうと思う。 だから、原子力船「むつ」の問題は、まさに船の問題というよりも舶用炉の問題なんですよ。この舶用炉の問題に対して徹底的に皆さんが姿勢を正した形で対応することが大事なんじゃないかと私は思うのですけれども、長官どうでしょう。
○長田国務大臣 基本的には、ただいまの御意見に私も賛成いたします。 なお、原子力船事業団の今後につきましては、この国会に法案を提出しまして御審議をお願いするわけでございますが、昭和五十九年度まで研究機能を合わせたものとして存続し、五十九年度の終わりの時点におきまして、研究機能を持ったほかのものと一緒にする、しかし、原子力船そのものの研究あるいは舶用炉の研究は続けるということにいたし、しかも、その研究対象としての「むつ」は依然として残す、そういうような構想でただいまおるところでございますし、また御審議をお願いして、ひとつ法案を通していただきたいと存じます。
○石野委員 原子力船「むつ」は、率直に言ってまだ船にはなっていないけれども、原子力船「むつ」そのものは経済的には使い物にならなくなっちゃったというのが実情だと思います。どんな弁解をしましても、そういう実情です。それならばそのような対応の仕方をすべきだというように私は思っております。 しかし、これは時間もございませんからこれでおきますが、時間の関係で、後はINFCEの問題でちょっとお聞きしたいと思いましたけれども、これももう後にさせていただきます。 通産の方からきょうおいでいただいておりますが、美浜の三号炉にまた何か故障だか事故だかがあったようでございますけれども、美浜だけでなく最近、炉の故障なり事故がいろいろ続いているようでございますが、主だったものについての説明をひとつしていただきたい。
○児玉(勝)政府委員 まず、美浜の三号の事故について御説明させていただきたいと思います。 関西電力の美浜発電所第三号機、これは出力が八十二万六千キロワットでございますが、三月の十五日の十八時四十分からタービンの弁の弁動作のいわゆる定期的チェックをするために出力を下げ始めたわけでございます。それで、三月の十六日の午前零時五十四分に、蒸気発生機水位高という信号が発信されまして、原子炉が自動停止いたしました。 それで、その原因を調査いたしましたところ、三つございます蒸気発生器のCという給水制御を行っております弁が不調だということが判明いたしております。そのために当該の弁と他の同種の弁とをいろいろチェックいたしましたところ、結局、その弁の開閉を行います部品が不調でございまして、その部品を、A、B、Cの弁を三つとも取りかえまして復旧いたしております。そうして三月十六日の二十一時三十三分に発電機を併列させて平常運転に入っております。ただいま出力上昇中ということでございます。
○石野委員 弁動作が不調になってしまったのだということですが、その弁が悪かったというのは、製作面で何か問題があったのですか、あるいはまた部品の取り違えというような問題なんですか。どういうところで不調が出たのですか。取りつけ作業が悪かったということですか。どういうことですか。
○児玉(勝)政府委員 これは蒸気発生器の水位と流量とをチェックいたしまして、そして弁の開閉をする、大きな空気の弁を動かすようにしておりますけれども、その調整をするところの微小な信号圧力を大きな信号圧力にかえます一種の増幅器になる弁がございまして、その小さな弁が不調であったということでございます。大きい弁を動かすための信号を出すところの空気系の小さな弁がついているわけでございますが、その小さい方の弁が不調であったということでございます。
○石野委員 部品が悪かったというわけですか。
○児玉(勝)政府委員 はい。それは部品が悪かったということでございます。
○石野委員 原子炉の事故の問題等についてまだいろいろお聞きしたいのですが、ちょうど制限時間がいっぱいでございますので、これで私は質問を終わりますが、INFCEの問題では、委員長、また後でその機会をいただきたいと思います。
○貝沼委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 本会議散会後、直ちに再開いたします。 午後一時三十三分休憩 ————◇————— 午後四時二十九分開議
○瀬野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。木内良明君。
○木内委員 私は、実験用静止衛星ECS、いわゆる「あやめ」二号の実験結果についてお聞きいたしますが、その前に、このたびの実験そのものが持つ意味というものは、具体的に何点かあると思うのですけれども、一体どういったことでありましたか、お聞きしたいと思うのです。 たとえばミリ波通信という電波の未開拓領域への挑戦でございますとか、幾つか挙げられると思うわけですが、この実験に限っての意味をお聞かせください。
○勝谷政府委員 お答え申し上げます。 このたびの打ち上げの目的は二つございまして、第一が静止衛星の打ち上げ技術、追跡管制技術、姿勢制御技術等の確立を図るという点でございます。第二は、静止衛星を利用したミリ波等の周波数における通信実験、電波伝搬特性の調査を行うということでございます。
○木内委員 今回の打ち上げのための関係予算は大体どのくらいであったか、さらにまた打ち上げそのものないしは衛星本体とを含めて項目別の予算をお聞かせください。
○勝谷政府委員 このたびの「あやめ」二号の関係経費は、ロケット製作費が四十八億円、衛星制作費五十七億円、打ち上げ経費二十一億円、追跡管制費十三億円、計百三十九億円でございます。
○木内委員 大変巨額な予算がこの実験には投下されたというふうになっているわけでありますが、今回の実験の意義そのものはきわめて重要なものがあると思います。すなわち、これまで行われてきた開発技術の中間的な集約ということが言えると私は思いますし、また、わが国における一連の宇宙開発計画の中できわめてエポックメーキンギな役割りを持っていたのが今回の実験ではないかと思うわけであります。 そこで、お聞きするわけでありますけれども、いまお聞きした実験そのものの意味に加えて、わが国の長い間の宇宙開発計画の中における実験の持つ意義といったものはどう定義されるのか、お聞きします。
○勝谷政府委員 わが国の宇宙開発は、宇宙開発委員会が毎年度策定いたします宇宙開発計画に基づきまして進められております。 同計画によりますと、このたびの実験用静止通信衛星プロジェクトは、先ほど申しましたような二つの点を目的として定められておるわけでございますが、これらの目的のうち第一は、Nロケットによる衛星の打ち上げにつきましては、静止軌道へ投入するための衛星に組み込まれましたアポジモーターに点火するまでは、このたびはすべて正常に作動されておりますところから、NIロケットそのものについては、一応所期の目的を達成したのではないかということを私どもはいま推定いたしておるところでございます。 第二の衛星の静止軌道への投入、そして、その追跡管制、姿勢制御等につきましては、このたび失敗をいたしまして、次の実験でございますミリ波の実験を行うことができなくなってしまいました。この静止軌道への投入につきましては、すでに「きく」二号と「さくら」「ゆり」等によりまして一応の実績を積んでおりますので、このたびの二度の実験と過去の成功例とを組み合わせまして、静止軌道への投入技術をどの点までマスターしたかということのおさらいが今後必要ではないかと思うわけでございますが、ミリ波の実験につきましては、とりあえずいま考えておりますのは、「きく」二号と「さくら」を利用いたしまして、不十分ながら一部の実験を行いたいと思っております。しかしながら、これは当初予定しておりますような十分な実験ができませんので、その重要性にかんがみまして、今後どのようにするかということを、このたびの原因究明と同時に、今後の対策に反映させなければならぬ、かように考えているところでございます。
○木内委員 Nロケットというのは、五十年九月に第一号機が技術試験衛星型ですか、「きく」を積んで打ち上げられた。その電離層観測衛星が二個ですね。「うめ」と「うめ」二号。さらに技術試験衛星II型「きく」二号、ずっと打ち上げられてきた。Nロケットは予定どおりいけば、この後五十六年度に技術試験衛星III型を打ち上げておしまいになる。そうですね。あとは、いま開発中のNIIロケットに切りかえられる。さらに六十年ごろには大型衛星打ち上げ可能な液体水素燃料ロケットに引き継がれることになっているわけです。いまも局長言われましたように、技術開発のスケジュールからいけば、今回の実験の持つ意義というのは、事ほどさようにきわめて重要であったということが言えるわけであります。 そこで、それほどの重要な意義を持つ打ち上げ実験が失敗してしまった、この点については当然厳しく指摘されなくてはいけないと思います。先ほども御説明あったように、百三十九億円、約百四十億円ですか、前年度と合わせて約二百五、六十億円というものが宇宙のかなたに消えてしまったということになるわけであります。今回の失敗の経過と、それから原因というものについて詳しくひとつお聞きしたいと思います。
○勝谷政府委員 このたびの「あやめ」二号につきましては、二月二十二日の金曜日十七時三十五分に種子島の宇宙センターから打ち上げられまして、トランスファー軌道までは順調に飛行を続けておりましたが、二十二日から二十五日まで経ました月曜日の十三時四十六分に、ドリフト軌道に投入するために、トランスファー軌道の遠地点におきまして、衛星に組み込まれておりますアポジモーターに点火いたしましたところ、約八秒後に衛星からの電波が途絶したわけでございます。宇宙開発事業団におきましては、直ちに衛星との通信を回復すべくコマンド送信に努めたわけでございますけれども、復旧に至らなかったというのが実情でございます。
○木内委員 私は、さっきも申し上げましたけれども、宇宙開発というビジョンから考えた場合、いまが一番大切な時期だと思うのです。したがって、前回の事故も含めて、今年度の「あやめ」二号の事故についても、徹底的な原因究明というものが行われなければいけないと思います。この原因究明を、昨年に続いてまた「うめ」二号についてもあやふやにしてしまったならば、いわばわが国の人工衛星あるいは宇宙開発に関する国民のコンセンサスというものもなくなってしまう、こういうことから、昨年の事故原因並びに今回の事故ということについて、いまいろいろとお聞きをしたいと思うわけであります。 まず、昨年の事故の原因でありますけれども、昨年二月の「あやめ」の失敗について、アポジモーター、推進装置が点火後約十二秒で電波の受信が不可能になっている、このときは衛星の回転数などに異常があって、ロケットと衛星が切り離しをされるときに、第三ロケットの軌道をそらすためのおもり装置が働かないで第三ロケットが衛星に追突したということが、昨年五月の事故調査の報告によって明らかになっているわけであります。いわばおもり装置が作動しなかったことが主な原因であるということになっているわけであります。 現在「あやめ」二号については、事故原因の究明が行われているわけでありますけれども、前回と今回二度とも同じタイミングとパターンで失敗している。いま申し上げた推進装置、おもり装置の事情といいますか、うまく作動しなかったということが主な原因だと言われておりますけれども、この点についてはいかがですか。
○勝谷政府委員 先生御指摘のとおり、第三段と衛星を切り離しますときヨーウエートの作動が十分行われなかった、そのために第三段のロケットが衛星に追突したということであろうかと思います。これにつきましては、昨年の原因調査で明らかになっております。その結果、このたびの「あやめ」二号につきましては、この点についてはヨーウエート・アセンブリーに関係する部品及びその組み立て方法につきましては、一層の信頼性を高めるための各種の見直しを行っておりますし、工場の検査、射場の検査等、項目、手順につきまして一層チェックを強化した結果、このたびは、打ち上げました結果、昨年失敗をいたしました点に つきましては完全に十分な作動が行われて、データそのものは予定どおりのデータで三段と衛星の切り離しが行われております。その後も約二日半にわたって十分なドリフト軌道における変更が行われているということでございます。
○木内委員 前回の失敗を生かして、今回の実験に対しては種々の改善、設計変更等が行われたということですが、たとえばこのおもり装置については具体的にどんな変更が行われたのですか。
○松浦参考人 今回の「あやめ」二号の失敗につきまして、関係各方面から御指導をちょうだいしておりながら、昨年に続きまして本年また再び失敗を繰り返しましたこと、大変遺憾でございまして、心から各方面の方々並びに国民におわびを申し上げる次第でございます。 ただいま御質問のございました件でございますが、第三段ロケットモーターの上部についておりますヨーウエート・アセンブリと申しますものがございまして、これが第三段ロケットと人工衛星を切り離しました後有効に作動しなかったということが失敗の原因でございますが、これにつきましては、実際に壊れ始めたところを目で見るということができない関係から、最も疑わしいという部分はもちろんのことでございますが、その他の部分につきましても、設計変更を数カ所行いまして、今回の二号機の打ち上げ用ロケットにしたわけでございます。
○木内委員 それじゃ理事長、いま御発言いただきましたので再度お聞きするわけですが、そのほかの設計変更の行われた個所というのは、具体的にどういうところでしょうか。
○松浦参考人 たとえばヨーウエートを引っ張っております鋼索がございますが、これがヨーウエートに穴があいておりまして、そこから出ているわけでございますが、そういうところのたとえば角を取りました。それから順序が逆になりましたが、最も疑わしいという点は、ヨーウエートと申しますおもりを振り回すことになるわけでありますが、その振り回しに使います鋼索がくっついておりまして、このくっついておりますところが、この端の金具がまだ働かない前に外れたということが最も疑わしいわけでございまして、これを十二分に、確実に、そこのところが抜けないというふうに設計変更をしたわけでございます。
○木内委員 確かに、いま理事長言われましたように、おもり装置が最も事故原因として疑わしいということですね。したがって、今後の実験に対するいわゆる取り組みの基本におもり装置さえ改善を行えば何とかうまくいくだろう、こういうように思い込んだ見通しを持っておられたというふうな一般的な見方があるわけですが、これについてはいかがですか。
○松浦参考人 私どもは、前回の事故を起こしました最も疑わしい部分の手当てはもちろんのこと、ロケットにつきましても、人工衛星につきましても、どちらかと申しますと、片っ端からと申し上げた方が的確かと思いますが、すべての性能、機能を確認するための作業を繰り返したわけでございます。特に人工衛星は予備がございまして、この予備につきましては、普通のリハビリテーションというのをやりまして次の打ち上げに臨むわけでございますが、特に念を入れまして、人工衛星に搭載されております機器を外しまして、個別的に点検を行い、十分な確認を行いまして、さらに搭載をするというような念の入った点検を行いました。その他ロケットの点検試験並びに射場における整備の手順その他につきましても、再検討を行いまして、十二分に細かいところまで配慮をして打ち上げたつもりでございます。
○木内委員 私がいまお聞きしていますのは、この事故の原因との関連においてお聞きしているわけで、いわば予備のこの本体について点検されることにはもう当然反対するものではございませんけれども、耐用年数等から考えまして、それはいわば派生的な問題として扱うべき問題であって、いま私がお聞きをしたのは、前回五月に発表されたおもり装置が作動しなかったということが主な原因であったという、そういう思い込みをただしているわけです。主な原因はおもり装置が作動しなかったことである、こういうふうになっているわけですね。いかがですか。簡単で結構です。
○松浦参考人 いま先生のおっしゃったようなことは全然ございません。ほかも再度細かく調べるということを実行いたしました。
○木内委員 いまお聞きしているのは、そうじやないんですよ。
○松浦参考人 そういうヨーウエートだけの原因じゃないというお話を……。
○木内委員 どうぞ打ち合わせをしてください、大事なところですから。
○松浦参考人 失礼いたしました。ちょっと意味を聞き違いまして……。 宇宙開発委員会で審議をされました前回の失敗の原因でございますが、ヨーウェート・アセンブリというものが最も疑わしいということで結論づけられましたので、私たちも、そこに重点を置きまして改善はいたしました。
○木内委員 いま理事長おっしゃいましたように、最も疑わしいという原因としては、おもり装置ということなんですね。それをまずお認めいただいた上でお聞きするわけですけれども、今回は第三ロケットから衛星への追突はあったのですか。
○松浦参考人 全然その徴候はございませんでした。特にクリスマス島で第三段のテレメーターデータをとっておりますし、それから人工衛星のその後の状態のテレメータデータもとっておりますが、これらから判断いたしまして、追突はなかったものと考えられます。
○木内委員 大分いろいろ細かな点がはりきりしてまいりましたので、私もありがたいのですが、まとめますと、前回の失敗を生かして一部設計変更等をされた、結果的にはまたまた同じパターンの失敗に終わってしまった、今回の「あやめ」二号は、おっしゃったように、衛星の回転あるいはおもり装置などはいずれも順調で、むしろアポジモーターの点火後に初めて異常が起きている、今回の第三ロケットから衛星への追突があったのかと聞いたらなかった、こういうわけですね。 そこで、前回は追突があったとされているのです。今回は申し上げたようにすべてが順調であった、追突がなかった、そしてアポジモーターの点火後に初めて異常が起きた。前回は点火後十二秒ですね。今回は点火後八秒で同じ形の電波通信不能の状態になっている、こういうわけですね。 そうしますと、たとえばこういう証言もあるんですよ。平木一さんという事業団理事の方です。この問題はきょうの午前中の質疑でもさあっと触れられたので、聞いていましたが、ちょっとおかしいと思うのです。この方が衛星の本体に問題があった可能性がある、昨年は追突したことが確実だが、今回の失敗を考えれば、仮に追突がなかったとしても、同じような電源の故障が起こっていたかもしれない、アポジモーターそのものか、それを支持している機構か、あるいは熱を防いでいる遮蔽部分に異常があった可能性もある、こう言うのです。こういう事業団役員の発言の事実も私は聞いているのです。 そうしますと、これでは前回の原因調査究明がきわめてずさんだった、いわば原因はおもりじゃなかったのだ、同じ結果の事故が起こっているけれども、前回はたまたま同じ事故に対しておもり装置と断定したけれども、実はそうじゃないのだということが当然考えられるわけで、事業団の理事自身も認めているんですよ。 したがって、私がお聞きするのは、前回の事故原因の究明のあり方というものが、もう一歩突っ込んだ究明が必要だったのじゃないか、甘かったのじゃないか、これを実はお聞きしたいわけです。
○松浦参考人 ただいま先生御指摘の平木理事の意見でございますが、幅広く考えて事故原因の探求をしなければならないということを考えて、失敗の事故が起こりました直後に新聞記者会見をいたしまして、そのときに平木理事を面接の担当にしたわけでございますが、そのときに新聞記者が言われたことを必ずしも否定しなかったということで、いま先生がおっしゃったようなことになったというふうに私は思います。
○木内委員 ですから、否定しなかったということは、その可能性については認めるという、新聞記者さんからの指摘に対しての対応であろうかというふうに私は思うわけです。これは理事長、大変大事なところでして、私は、何も細かな原因について云々じゃなくて、バックグラウンドを考えますと、二年連続で二百四十億あるいは三百億近い国家予算が投入されているわけですから、今後の調査開発のあり方を考える上にどうしてもこれは必要なんです。 いま申し上げたように、今回の失敗を考えれば、仮に追突がなかったとしても、そのほかの可能性が当然考えられた、それは前回の事故の例だけをとってみたらわからぬけれども、今回同じ形の事故が起こっているために初めて判明した事実なんですね、可能性として。したがって、平木六んもそう答えたわけです。 したがって、私が言うのは、前回の事故原因の究明については、もう一歩の究明が必要だったのにやないか、甘かったのじゃないかということをお認めください。それを認めないとこれは先に進めないのです。
○松浦参考人 事故原因の探求につきましては、幅の広い形から原因を究明していくのが常道でしざいまして、念には念を入れて再検討いたしたわけでございますけれども、人間がやることでございますから、どこかに手落ちがなかったか、見落としがなかったかということをやはり疑ってかかる必要があると思います。そういうことから平木理事がそういう発言をしたのだ、私はそう考えております。
○木内委員 ですから、平木さんがそう考えて恐らく発言したのだろうということじゃなくて、理事長として幅広い検討の視野があるわけでしょう、そこから判断して、前回の結果ならともかく、今回新たな、あるいは同じ原因だったかもしれないが、この原因について新たな判断材料というものが出てきたのだ、今回の二回目の事故によって。したがって、前回の調査は甘かったのじゃないかということを、いま理事長もちょっとおっしゃっていましたが、念には念を入れてさらにもう一回やる必要があるほど、あるいは甘かった面があるかもしれない、これをちょっと認めてくださいよ。一言認めていただけばいいんですから。
○松浦参考人 繰り返しまして大変恐縮でございますが、見落としがあったかもしらぬ、念には念を入れたけれども、見落としがあったかもしらぬということを疑ってかかりますのは、事故調査の常道でございまして、手前どもも幅広い検討をしろ、余りに単なる、わずかな現象にとらわれて探求がおろそかになるといけないということを、もちろん宇宙開発委員会の方でおやりになりますものにわれわれは全面的に協力をいたしておりますが、いま申し上げましたような趣旨で取り組んでおります。
○木内委員 余りこの問題で時間をとってしまってもしようがないのですけれども、いずれにしても、いま私が申し上げたようなことで、だれがどう考えたって、私の発言も理事長の発言も、考えればあるいは前回さらに指摘されるべき点があったかもしれない、したがって、前回にさかのぼってもう一回甘かった点がないかどうか検討してみる、その余地はある、あるいはそうかもしれない、もっと言えば、あるいはそうだったと、とにかく認めてください。
○松浦参考人 お答え申し上げます。 したがいまして、前回の事故の状況等も今回の事故原因の探求に入れまして、今回のみならず前回のも洗い直すというふうにわれわれは考えて進めておるわけでございます。
○木内委員 私も大変申しわけない気持ちなんですけれども、今回も前回も含めて洗い直すということは、あるいは前回手落ちがあったということですね。いかがでしょう、一言簡単でいいのです。
○松浦参考人 おっしゃるとおりにわれわれは考えて進めます。
○勝谷政府委員 実は、この原因究明は宇宙開発委員会の仕事でありますので、現在も宇宙開発委員会の第四部会で原因究明をいたしております。先回も宇宙開発委員会の第四部会で原因究明をいたしましたので、理事長としては越権になるので余り断定的な言葉を申されないのだと私どもは推察いたしておりますが、私どもといたしましては、最初に成功いたしましたETSIIと、それから先回失敗した「あやめ」一号とこのたびの「あやめ」二号のすべてのデータをもとにして、幅広く原因の究明をいたすつもりでございます。先生の御指摘のとおり、もとにさかのぼってあらゆる面の検討をすることになっておりますので、御了承いただきたいと思います。
○木内委員 研究調整局長がいまそうおっしゃいましたので、私も意を体してこれ以上申し上げませんけれども、ただ私がこれだけこだわるのは、一つは、やはり国民の皆さんは、事故原因はこうであったと昨年報道されて、そう受けとめておるわけですよ。信頼しておるわけですよ。ところが、今回はまた同じ事故になってしまった。前回の事故原因の究明が甘ければ甘かったでいいわけです、そこから先に進むわけですから。理事長としては当事者ですから私もお聞きしたわけですけれども、いずれにしても、今後への取り組みということで期待をしたいわけです。 いずれにしても、前回と同じ調査方法あるいは前回と同じ取り組みでは、結局同じ結果しか出てこない。もっと言えば、前回たまたまこういう事態が起こったけれども、思い過ごしだった、今回も同じ形態の事故だけれども、今度はアポジモーター本体だった、それで、また来年何か問題が起こると、また今度違う理由だ、再来年もそうだということになっては困るわけですよ。したがって、前回取り組んだ事故への姿勢よりさらに前進した事故原因の究明というものが行われなくてはいけないと思うのですが、その点局長どうでしょうか。
○勝谷政府委員 先回は主として三段の衛星切り離しのヨーウエート・アセンブリに問題があった点は明らかでございますが、その他の点につきましても、先ほど理事長の御説明のように、あらゆる面、衛星並びにロケットの各部について特別の点検をいたし、さらにはアポジモーターにつきましては、アメリカで十二月の初頭にアポジモーターの事故で失敗をいたしましたので、アポジモーターに対する特別の検査をいたす等々いたしましたけれども、同じように事故が起きたわけでございます。したがいまして、今後この原因究明をいたします際は、アポジモーターの点に重点を置いて検討いたしますけれども、先ほど先生の御指摘のあった衛星全体はできるだけ軽くしなければなりません。しかし、センサーはできるだけたくさん積まなければいけません。そのことで余分なものを積み込んでいったかどうかという一つの疑問点があるわけでございますが、その点あたりも見逃すことなく検討することになろうかと思います。いま八秒間のデータとして手元にあるのは、やはりアポジモーターが中心になっていることも明らかでございます。 したがいまして、議論としては、先回がヨーウエート・アセンブリ、このたびはアポジモーターということで議論がされておりますが、全体の点については、御指摘のように十分検討することにいたします。 〔委員長退席、貝沼委員長代理着席〕
○木内委員 先ほどの議論の中で、開発事業団の理事長が前回あるいは甘かったということをお認めいただいたので、私は大変前進だというふうに思うのです。 それから、いまの局長のお話でアメリカという話が出てきたのでお聞きするわけでございますけれども、具体的にまた個人名を挙げて恐縮ですが、吉識委員長代理の発言でこういうのがあるんですね。「アポジモーターは衛星本体に組み込まれているから、事故の原因はアメリカの技術にほとんどおんぶした衛星そのものにある」、こういうふうに言っているのです。確かに、同じ製品を使った米国の静止衛星が昨年十二月に打ち上げに失敗している事実はあるわけであります。さらに、そうしたアメリカの昨年度の事故原因というものをわが国の関係団体が十分に掌握をしていれば、あるいはこういう事故は起こらなかったかもしれないということも私は当然考えられると思うのです。 先ほどの吉識さんの発言がこういう時期に行われたということを私は問題にしたいわけですけれども、これじゃ全く責任を回避するために逃げの一手を打っているとしか思えないわけですよ。事故が起こればアメリカの責任だ、結局、アメリカの技術におんぶした衛星そのものに原因があると言う。これじゃ日本の宇宙開発あるいは事業団の主体性がどこにあるのか、こういうふうに私は言いたくなる。そういう姿勢が宇宙開発委員会のすべてだとは断定したくありません。先ほど理事長に私もいろいろお聞きしましたけれども、前回失敗したから今回こそは何とか成功させようということで筑波の現場まで乗り込んで現場で指揮をとっておられた、その涙ぐましいまでの努力は、私はこうした場に携わる者として心から尊敬をするわけであります。しかしながら、理事長のそういう意向とはうらはらに関係者の中でこういう軽率な発言をする者があるというのは許せないわけです。巨額な予算を使ってこうした実験を行っている、失敗したらアメリカの責任だ。結局、ブラックボックスの責任にしてしまう、これはどうかと思うのですが、大臣、この点はいかがでしょうか。
○長田国務大臣 私ども宇宙開発に取り組んでいろいろ進めてまいっております。軍事関係の面もありまして、米ソが非常に長い期間と巨額の金を注入しまして一番進んでいることも事実でございますし、私どもは、それを追うという形で、もちろん同じ目的ではありませんし、開発の度合いについても、わが国はわが国の一つの目標を掲げてやっているわけでございますけれども、その途中で先進国の技術を導入しながら、しかも、間違いなしに上げようとして計画を立て、それぞれ関係者が努力をし、工夫をしながらやっておったわけでございます。 あのことしの二月二十二日に打ち上げましたのも、やはりいろいろな面から検討をいたしまして、この時点でやってほぼいけるというような見通しのもとにやったわけでございます。ブラックボックスの部分もあったに違いはございませんけれども、われわれの判断でやはりやったわけでございますから、その結果が失敗したということにつきましては、私どもも大きな責任を感じている次第でございます。
○木内委員 いま聞いたのはそうじゃないのです。吉識委員長代理は、いわば長田大臣の片腕として中枢にある方でしょう、その方が「事故の原因はアメリカの技術にほとんどおんぶした衛星そのものにある」。こう言っているわけですよ。この姿勢はどうかと私は申し上げているのです。いいですか、悪いですか。
○長田国務大臣 その事故原因も実はこれから究明するということになっておりますから、即座にこれだということを断定するのはまだ早過ぎる、そのように思っております。それから国産化の比率も、現在どの程度に進んだかということについて、データは私自身いま把握しておりませんけれども、これも逐次国産化を進めてまいりまして、そのうちアポジモーターは国産ではございませんが、ほかの面などにつきましてだんだん進めてきたところでございます。そういうような中での早々とした一つの断定というものにつきましては、私、吉識委員長代理の意向などをまだよく聞いておりませんのであれですけれども、ただいま委員のおっしゃったようなことでございましたら、少し早過ぎる結論ではないかな、そのような感じがいたします。
○木内委員 早過ぎるということはまずいということですよ。要するに、これから二度連続の失敗を何とか挽回しようということで事故原因の究明に当たろうとしているまじめな学者さんも中にはいるわけです。ほとんどそうでしょう。そういう中で要職にある人が、幾ら事故原因を究明したって、結局は衛星本体にあるのだなんという発言をしちゃいますと、研究意欲といいますか事故原因に対する姿勢が損なわれるのじゃないですか。だから、まずいでしょうと申し上げているのです。どうですか。
○長田国務大臣 そのときの真意をまだ私よくわかっておりませんが、あるいはロケットの方はうまくいったという気持ちが片方にあって、それで今度は衛星の方に原因だ、前より若干進歩したのだ、そういう気持ちの表現であったのかもわからないなという気もしておりますが、なおよく吉識氏と話し合って真意を確かめてみたいと存じます。
○木内委員 局長から何かございますか。
○勝谷政府委員 私、その席に同席しておりましたので、ちょっと弁明をさしていただきますが、吉識先生のおっしゃいましたのは、けさほどから議論になっております、わが国の宇宙開発でいま問題になっておりますブラックボックスとしては、アポジモーターそれから三軸姿勢制御が人工衛星では最大の問題でございますが、この一つのブラックボックスでございますアポジモーターは、向こうの出荷の際も十分立ち会った、そして、こちらの宇宙開発事業団が受け入れるときにも、十分立ち会ったけれども、肝心の技術そのものがブラックボックスと言われるくらい向こうにしか技術がない点、ここに非常に問題があって先生としては残念だ、早くこれをわが国のものにしたい、このブラックボックスを日本の国産技術にしたい、そういう残念だという感じのあらわれとしておっしゃったわけで、私、同席しておりましたが、そういうことでございました。宇宙開発のために全身全霊をささげていらっしゃる先生でございますので、ちょっと弁明をさしていただきたいと思います。
○木内委員 研究調整局長、それは昔から言われております丸い卵も切りようで四角ですよ。物は言いようですよ、そういうふうに言えば。だけれども、これについてどうこうという気持ちは私はないのです。しかし、いずれにしても、衛星本体に問題があるかもしれない、だけれども、わが国としてできる範囲でとにかく原因究明も行おうじゃないか、あるいは技術提携先であるアメリカにも、積極的に出向いていくなり、あるいは現場に立ち入って、これだけの日本の国家予算を使った事業に対する原因究明を行うべきだという主張を申し上げるわけで、いたずらにかばうことはよくないというふうに私は思うわけで、これはこれ以上申し上げませんけれども、ぜひともひとつその点はお気をつけいただきたい、こういうふうに思うのです。 いまアメリカのブラックボックスの問題というのが出たわけでありますけれども、事業団としては、従来米国からの技術導入を行うことによって、わが国における研究開発能力をつけるという方向で進んできたわけであります。どうも今回の失敗についても、あるいはそのほかのケースを勘案しても、結局は主要な技術や重要な部分については中身を知らされない、その実態がブラックボックスという形で導入されているわけです。わが国における本当の意味での設計能力はいまの状態では期待され得ない、これではいつまでたっても自主技術の開発ということは肝心なところで壁に突き当たってしまうと思うのです。具体的にこの形態を今後どう改善されようとしているのか、この点お聞かせください。
○勝谷政府委員 人工衛星につきましては、先ほど申しましたように、ブラックボックスと言われるものにアポジモーターと三軸姿勢制御がございますが、その二つの点につきましては、すでに宇宙開発事業団が中心になりまして、アポジモーターにつきましては日産、その他の三軸姿勢制御につきましてはそれぞれの人工衛星開発メーカーと外国の技術との技術導入または技術の交換等によりまして開発すべく着手しているところでございまして、六十年代の前半には日本の国産技術で三軸姿勢制御とアポジモーターができ上がることを期待しているところでございます。
○木内委員 それは米国との提携の中でそういう前進が図られるというふうに受けとめていいでしょうか。
○勝谷政府委員 一部は米国、一部はヨーロッパのものをそれぞれ技術を導入いたしましたり、または技術の交換をいたしましたりしまして、六十年代初頭になりますれば完全にわが方のものとして……。
○木内委員 結局、国民はアメリカのそうした仕打ちといいますか、やり方に憤りをいま実は感じているのです。ですから、この三軸制御技術ですか、これにかかわらず、今後アメリカといまの状態を続けていくおつもりか、あるいはこれ以上の形態の前進がないならば、アメリカをけって、どこかほかの国との技術提携も考えておられるのか、その辺もお聞かせください。
○勝谷政府委員 残念ながら、先ほど大臣が申されましたように、アメリカはすでに二十六兆円の先行投資をいたしておりますし、ヨーロッパは三兆円の先行投資でございますから、われわれがいまマスターすべき多くの技術を持っているのは、やはり米国でございます。しかしながら、ヨーロッパにもその種の技術がございますので、広く世界にそのような先進技術を求めておるのが実情でございますが、結果としては、やはりアメリカ中心になろうかと思います。
○木内委員 次に、時間も余りなくなってきましたが、賠償請求ということでお聞きをします。 打ち上げ失敗による賠償請求の問題ということですけれども、前回の「あやめ」の打ち上げ失陥の際、賠償請求はされていますか、どうですか。
○合田参考人 お答えいたします。 先ほどからお話が出ましたように、「あやめ」一号につきましては、宇宙開発委員会で原因の究明が行われまして、昨年の五月ごろでありましたか、ようやくアセンブリーの部分に原因があるというふうに結論が出たわけでございます。私どもといたしましては、その究明の結果を待ちまして、契約上の責任をメーカーに追及するということで取り組んだわけでございますが、何分契約上の規定で、引き渡してから一年たてば普通の場合の責任追及はできない、ただし、故意または重大な過失がメーカーにある場合には責任追及ができるという規定がございますので、その方向で責任の所在を明確にし、追及をするということで検討を続けておるわけでございます。 ただし、実際問題といたしましては、故意または重大な過失の故意というのはともかくといたしまして、重大な過失というケースであるかどうか、それをどういうふうに探求するか、どういうふうに追及するかということで非常なむずかしい問題があるという感じがいたしますが、いま法律の専門家といろいろ御相談いたしまして、まだ期間がございますので、いま慎重に検討しておる最中でございます。
○木内委員 私が聞いたのは、前回のあの実験の直後、賠償請求がされましたか、されませんでしたかとお聞きしたのです。
○合田参考人 宇宙開発委員会におきます原因の究明というのが四月、そして五月に結論が出たわけでございますが、私ども経理担当者といたしましても、この原因究明とあわせまして、その間の状態であるとか、あるいは特にメーカーサイドにおきましてどういうことが行われ、どういうことが行われなかったかというようなことの究明もあわせてやっておったわけでございます。そして最後に、宇宙開発委員会におきましてはっきりした結論が出てから後、具体的に正式な措置を講ずるというような方向で検討をしておるわけでございますが、メーカーに対しましては、正式な請求というものはまだやっておりません。
○木内委員 引き渡し後、いわゆる担保期間というのですか、一年以上たった場合、故意または重大な過失云々というところがあると思うのですけれども、故意はともかくとして、重大な過失があった場合には、いまのお話ですと、賠償請求されますね、認定された場合は。
○合田参考人 先ほどからお答えいたしておりますように、私どもといたしましては、責任の所在を明確にして追及するという方向で努力をしておるわけでございます。
○木内委員 いま責任の所在ははっきりしているでしょう。開発事業団、メーカー、米メーカー、こうでしょう。この系列があるわけです。責任の所在ははっきりしているわけですよ。いまお聞きしているのは、この重大な過失があったと認定された場合は、一年は過ぎていますけれども、当然、賠償請求をされますねということを聞いているのです。
○合田参考人 責任の所在と申しましたのは、具体的に前回の事故の原因についてメーカー側にこれこれという状態で重大な過失があったということを明確にするという意味での責任のあり方を明確にするということで申し上げたわけでございますが、なお私どもといたしましては、メーカー側に重大な過失があるということがはっきりするという事態になった場合には、もちろん責任を追及するということに努める所存でございます。
○木内委員 責任を追及するということは、賠償請求というふうに受けとめていいですね。
○合田参考人 ただいま物がございませんので、普通の場合には修繕をするとか取りかえをするとかということでございますが、この場合には損害賠償の請求という道しか残っておりません。
○木内委員 それでは、先ほど言われた重大な過失として認定されるべき条件、状況とは、具体的にどんなものでしょうか。仮定で結構です。
○合田参考人 一般的に民法等で責任を追及するという場合に、故意はともかくといたしまして、過失、軽過失とか重過失とかいう概念がありまして、いろいろ論ぜられており、私どもも、契約条項で重大な過失という規定がございますので、これを現実に本件についてどういうふうに適用できるかということで、いろいろ法律の専門家等とも相談しながら検討を続けておるわけでございますが、何分、このケースが重大な過失である、この程度であれば重大な過失でないという点につきましては、学説あるいは判例等におきましても、そう単純に割り切れるというものではないというふうな印象を受けておりますので、そういう点を中心といたしまして、いま本件について私どもとしては検討をしている最中でございます。
○木内委員 先ほど、昨年の事故原因の究明よりもさらに立ち入った厳格な調査が行われるという答弁があったわけです。それから賠償責任ということについても、重大な過失というものがあれば、いま言われたように責任の追及をする、その責任の追及とは何かということを私が聞きましら、それは損害賠償請求だと言われました。いいですか、当然その可能性が出てくるわけですよ。したがって、いまたとえば、事故原因の究明なりメーカー側の責任というものがあった場合に、どんな程度の賠償請求をするのだということを聞いているのです。いまそれをはっきりしておきませんと、結論が出たときに、もともとはっきりしてない基準の上に立って、これは賠償請求の対象にならぬ、こうなってしまっては、巨額の予算がそのまま、賠償請求の対象にならないわけですから、国民の損となる、こういうことになるわけです。これを言っているわけです。どうですか。
○合田参考人 先ほどお話がございましたように、今回の事故の原因の究明の段階で、あわせまして前回の「あやめ」一号の問題につきましてもいろいろ検討されると思います。したがいまして、その過程で、新しく事故の原因というものが仮に発見された場合には、そのときから、もちろん私どもとしては、その部分につきましても責任を追及するということになるわけでございます。 それから、ただいま「あやめ」二号を含めまして、原因の探究、究明が行われておるわけでございまして、いろんなケースが可能性としてはあり得ると思います。したがいまして、その間にメーカーがどういう行為をしたか、あるいはしなかったかということで、類型的にこれは重大な過失であるというふうにいま簡単にちょっと想定できないような気がしておるわけでございます。
○木内委員 いずれにしても、調査結果によっては賠償請求をされるというお考えである、このように私は承りました。これは私、大きな前進だというふうに思います。どうか今後、この賠償請求への検討、対応、取り組みについては、私もしっかりと見守っていきますので、あだやおろそかにされないように要求をしておきます。 次に、開発計画の見直しということについてお聞きします。 先ほどるる、宇宙開発計画の中における今回の「あやめ」二号ないしは昨年の「あやめ」一号の実験の意義というものについて浮き彫りにしていただきました。どうしてもこのNII計画に至るまでに、この制御装置なり、あるいは自主的に静止衛星というものを打ち上げる技術は確立していなければいけなかった、これが挫折してしまった、したがって、この宇宙開発計画は当然見直さるべきだと思うのですが、どうでしょう。
○勝谷政府委員 このたびの原因の究明を待って、重大な問題点が発見されますれば、宇宙開発計画の見直しもあるべしということが現時点の宇宙開発委員会の決定でございます。したがいまして、原因のいかんにかかわらず当然やりますということには、にわかに賛同しがたいわけでございますけれども、宇宙開発委員会はきわめて慎重に本件に対処するということを決定しております。
○木内委員 事故原因によっては宇宙開発計画は見直さざるを得ない、こういう言質をいただきましたが、どういう結果が出た場合に見直しをされますか。
○勝谷政府委員 NII計画については、何年にどのような星を、どのロケットで打ち上げるか、一応開発計画が決まっておりますが、それらについて、そのテンポでそれぞれのロケット、衛星を打ち上げる開発計画をそのまま進めるには問題ありとするような原因がはっきりしたときでございます。したがいまして、いまの時点では、先ほど先生の壁頭の御質問にございましたように、ロケットの開発それから来年以降の衛星につきまして、スケジュールどおりに進めても一応いいのではないかという推定のもとに宇宙開発委員会は計画を立てております。したがいまして、原因究明の結果、決定的なことがございましたら、当然、委員会といたしましては、現時点では先ほど申したとおりの方向で進みたい、こう思っております。
○木内委員 どうも線をどこで引くかという御答弁が私は茫漠としておると思うのです。今回の事故原因を究明する際に、どういう事実が出れば宇宙開発計画を見直すのですか、それを聞いたのです。抽象的でなくお答えください。
○勝谷政府委員 どういうというのは、原因を究明しなければ原因がはっきりいたしません。
○木内委員 事故原因の内容によっては宇宙開発計画を見直さざるを得ないとさっきおっしゃったでしょう。それは、たとえばどんな場合ですかと聞いているのです、今回の事故に関連して。
○勝谷政府委員 たとえば、極端な例でございますけれども、ほかの委員会で御質問がありましたように、ブラックボックスについて決定的な欠陥がある、政策的な問題も含まれているというようなことになりますれば、基本的に変えなければならないということはあろうかと思います。これは全く仮定でございますが……。
○木内委員 ブラックボックスに原因を求めるとしますと、かなり可能性が高くなるというふうに私は思います。したがって、事故原因究明について言えば、今後かなり高い確度で宇宙開発計画が見直されるというふうに受けとめたいと思います。 時間がなくなってきましたので、この開発計画の路線の変更といいますか、姿勢の転換についてお聞きするわけでありますけれども、理事長、三月一日のある新聞に「衛星、自主開発へ転換」ということで出ておりました。「宇宙開発事業団は、衛星の打ち上げ失敗をこれ以上繰り返さないため、五十九年度に打ち上げを予定しているMOS−1(海洋観測衛星1号)から、自主技術化を図っていく方針を固めた。同事業団は、これまで米国からの技術導入をテコに、わが国衛星メーカーの開発能力を少しずつ高めていく方針をとってきたが、今回の「あやめ2号」の失敗などで限界があると判断、路線変更することにしたもの。」とあります。この主語は宇宙開発事業団ですが、この事実はありますか。
○松浦参考人 いま先生のおっしゃいました記事につきましては、私どもの全然関知しないところでございます。ただし、自主開発をやるという路線は従前から持っている方針でございまして、海洋観測衛星一号、これの開発研究に当たりまして、今回の「あやめ」二号の事故を契機にいたしまして自主開発路線に切りかえたというのじゃございません。
○木内委員 そうしますと、天下の公器たる新聞が間違いを書いているんですね。理事長、ごらんになってどうですか。
○松浦参考人 先生のおっしゃいました記事につきましては、われわれの全然関知しないことでございます。
○木内委員 これについて新聞社に抗議されていますか。三月七日に私は理事長とお会いしたんですよ。そのときに聞いた。理事長は、そういうアクションを起こしたと言われた。私はすぐに部長のところに電話したのです。そうしたら、やってませんと言うのです。これはどっちなんです。
○松浦参考人 私は先生の前で実は抗議を申してありませんと申し上げたのです。これは私のいつもの姿勢でございまして、なぜかと、こうお尋ねいただいても、実はお答えしにくい問題でございます。
○木内委員 この記事が報道された後、今回の衛星を担当したメーカーが関係者のところを釈明に歩いたということを、いろいろなところから私、聞いたのです。これは理事長や科技庁にお聞きするのは、ちょっと筋違いかもしれませんけれども、こういう事実があったのかどうか、また、なぜこのメーカーがそうして歩かざるを得なかったのか、これはどうでしょう。理事長、どんなふうに受けとめておられるかでも結構です。
○松浦参考人 私のところにはメーカーは参りませんでした。もしあるとすれば、現在のところ、私ども海洋観測衛星のことについて検討をしておる段階でございますので、何か不利な扱いをされては困るというようなことを考えたかもしれません。しかし、これは憶測でございまして、何とも申しかねます。
○木内委員 さらに、こういう報道もあるのです。「なお西独メーカーとは、」この企業、あえてこの企業と申し上げますけれども、この企業が「MBB社と三軸技術で提携する交渉を進めており、宇宙開発委員会が同事業団の意向を認めれば、自動的にMOS−1の開発メーカーは」この企業に「決まるものとみられている。」、これはかなり進んだ論評というか報道だと私は思うんですよ。 そこで、お聞きするのですけれども、西独のMBB社とわが国メーカーとで三軸技術に関する提携交渉は進んでいるのですか。
○松浦参考人 私どもは、現在、MOS−1につきまして、これの担当メーカーをどこにするかということについて、技術的な問題を中心にいたしまして検討いたしております。その場合に、一メーカーから西独のいまのMBB社と技術提携をしてこういうことをやりますという提案があったことはございます。それは三社のうちの一社でございます。
○木内委員 いわばMOS−1のメーカーについては白紙だというふうに受けとめていいでしょうか、どうでしょうか。
○松浦参考人 全く白紙でございます。
○木内委員 その点の確認が得られただけでも前進だと思うのです。といいますのは、こうした内容がもし事実だとすれば、大変問題だと私は思った。企業が企業主導の技術提携を独自に外国メーカーと行って、そうして環境づくりを企業が自分でやっちゃう、その上で自動的に開発メーカーとして事業団との関係の中に居座ってしまう、これは問題ですよ。これはいわば国主導型ではなくて企業主導型の宇宙開発になってしまうということから、いまMOS−1については全く白紙である、そのことを確認しましたので、それはそれで結構だというふうに思いますが、特に今後、こうしたメーカーの選別について大臣の御所見を伺います。
○長田国務大臣 御承知のように、このメーカーの選択等につきましては、宇宙開発事業団がやることになっておりまして、私どもは、これが厳正に行われることを期待しているわけであります。
○木内委員 実は、このほかにもいろいろとこの件について御質問申し上げたいと思って参りましたが、残念ながら与えられた時間がすでに来ました。しかし、この問題は、国民が注視をしておりますし、また、きょういろいろと厳しくお聞きもしましたけれども、事業団の皆さんの平素の御努力というものは身にしみて私どもはわかっておりますので、何とか宇宙開発を成功させたい、順調に発展させたいという考えから申し上げているのでありまして、どうか事業団の皆さんの熱意を損なうことなく、理事長を中心として、また新しい体制でひとつがんばっていただきたい、このことを要望申し上げまして、私の質問を終わります。
○貝沼委員長代理 瀬崎博義君。
○瀬崎委員 スリーマイルアイランドの事故が起こって間もなく一周年の記念日がやってくるわけです。そこで、このTMI事故の以前と以後を比較しまして、電力会社にやらせたことは別といたしまして、まず通産省に伺うのですが、通産省自身が原子力行政においてどういう点を強化する、あるいはまた何を改善したのか、お答えをいただきたいと思います。
○児玉(勝)政府委員 米国のスリーマイルアイランドの原子力発電所の事故が起きまして、それお教訓といたしまして、より一層の安全の強化を図ったわけでございますが、具体的に従来までにいたしました施策を申し上げますと、第一が、原子力発電所のサイトに国の運転管理専門官を配置いたしまして、運転中のいわゆる保安規定の遵守状況の監視ということをいたしております。さらに、五十五年度におきまして、本格的な制度として二名ずつの体制で常駐させるようにいたしたい、こう考えております。 それから、第二番目といたしまして、その後、高浜の発電所におきましても、問題が起きまして、品質保障問題が提起されたわけでありますが、それに対しても、現在、品質保障の委員会を設けまして、品質保障体制を強化するということを考えております。 それから第三番目には、安全審査の能力をもっと拡大するという意味で、安全解析のクロスチェックができるための強化対策ということで、実際にそれの安全コードを使いまして電力会社の安全解析をクロスチェックするというようなことをやっております。 一方、また安全委員会におきまして五十二項目の御指摘がございまして、その中で現在運転中の問題について、運転管理関係として十項目指摘されておりますが、これについては、早速できるものから逐次改良するなり、それからまた保安規定の改正をするとか、それから運転員の養成を行うとかいうようなことの強化をしております。運転員の問題につきましては、近々どういうような方法で運転員の責任者に対する資格制度を採用しようかというふうには考えておりますが、そういうことで逐次強化しているところでございます。
○瀬崎委員 その運転管理専門官というのは、当初、常駐検査官と呼ばれた制度だと思うのですが、現在のいわゆる常駐検査官の配置状況というのはどうなっていますか。
○児玉(勝)政府委員 現在はまだ定員化されておりませんので、出張形式で各サイトに一名という割合で出張させて、約二週間そこに常駐させるようにしております。
○瀬崎委員 これが運転管理専門官という恒常的な制度になった場合、その総定員は幾らになりますか。
○児玉(勝)政府委員 十名でございます。各サイトに二名ということになりますと二十名になりますが、いま国会に提出しております予算案におきましては十名認められておりますので、そういうことでございます。
○瀬崎委員 その十人を、サイト全部でというと、サイトは十サイトじゃないかと思うのです。そうすると、結局一サイト一人という配置じゃないのですか。
○児玉(勝)政府委員 認められましたのは十名でございますが、さらに十名、これは各省庁からの定員の配置転換ということで拡充することにいたしております。したがいまして、各サイト二名ずつというのが最終的な形になろうかと思います。
○瀬崎委員 私が聞いているのは、最終的にどうなるかではなくて、当面どうなるかですが、当面は一体その配置はどうなるのですか。
○児玉(勝)政府委員 当面一名でございます。
○瀬崎委員 今度の十人が定員化された場合、これは、つまり現地駐在の期間といいますか、交代等のサイクルはどうなっているのですか。
○児玉(勝)政府委員 ほとんどは常駐でございますので、二十四時間そこに住みつくということで、住宅だとか事務所とかを用意しております。
○瀬崎委員 現在の常駐検査官のいわゆる勤務場所といいますか、これは一体基本はどこになっているのですか。
○児玉(勝)政府委員 勤務場所は、発電所の中に一室、運転管理専門官室というのをつくりまして、そこで執務しております。
○瀬崎委員 その一日の標準的な勤務のスケジュールというのはどうなっていますか。
○児玉(勝)政府委員 いまちょっとその勤務状況の詳しいことを、資料がございませんのではっきり御説明できませんが、運転管理官室というのが当方にございまして、そこが執務要領を決めておりまして、その執務時間と執務時間内に行うべき問題ということを全部出しまして、それで執務さしております。 主にこの任務というのは、保安規定の遵守状況ということになっておりますので、まず発電所の中でどういうような点検が行われるか、本日どういう点検が行われるかということを調べまして、その点検に立ち会うということが一つございます。 それから、その点検によってどういう問題が指摘されて、どういうような改良をしたかということも逐一そこでわかるということになっております。 それから執務は、大体われわれが通常勤務する勤務帯と同じ通常の勤務時間としておりますので、その前の日に起こったいろいろなトラブル等についての報告を受けるということで、発電所長または主任技術者からいろいろな報告または相談を受けるということがあろうかと思います。
○瀬崎委員 それじゃ、その発電所内にある常駐検査官室には、その検査官以外にだれか補佐役的な人を何らかの方法で置いている、あるいは事務員を置いている、そんなことはあるのですか、ないのですか。
○児玉(勝)政府委員 いまのところございません。
○瀬崎委員 そうすると、検査官が点検等のために発電所内を回っているとき、外部から検査官に用件の連絡があったというふうな場合、あるいは問い合わせの連絡が入った、そういうときには、どういう処置をとっているのですか。
○児玉(勝)政府委員 そのとき検査官はいまどこにいるかということについては、中央制御室でわかることになっておりますので、中央制御室から検査官を呼び出すということができますし、また、夕方には本省と必ず定時連絡をすることになっております。
○瀬崎委員 私どもは、一月二十二日に不破書記局長らと一緒に大飯原子力発電所に現地調査に行ったわけですが、たまたま検査官室に立ち寄ったところ、検査官は留守だったわけです。現在どこにいらっしゃるのだろうかと関電側に聞いたら、行き先はわからない、特段の連絡を受けているわけではない、こういうことで、結局は所在がわからずじまいだったわけです。これでは実際問題として、何か用事があっても全く役に立たないと思ったのでありますが、事実はそういうことになっているのじゃないですか。
○児玉(勝)政府委員 緊急の場合には、これは専門官に連絡する、または専門官に連絡がつかないときは本省に対して連絡するというかっこうになっております。先ほど申し上げましたのは、一種の原則ということで御了解いただきたいと思いますが、何せ人数が一人しかおりませんので、先生がいらっしゃったときに、たまたまいなかったということがあったかと思います。
○瀬崎委員 その管理官事務室というのが本当にがらんとしておりまして、殺風景そのものなんですね。書類らしきものも見当たらないわけであります。あれだけ巨大で複雑な機構の原子力発電所を点検する、あるいは監督するために現地派遣をされているのだと思うのです。ですから少なくとも、運転状況を示すような資料といいましょうか、防災体制を示すような資料といいましょうか、あるいはいろいろな事態に対応して連絡先の一覧表が出ているとか、あるいはまた、まさに保安規定どおりの運転がされているかどうかの点検ですから、そういう保安規定とか運転マニュアルなども備えてあるのかと思えばそれもない。これで一体どんな仕事ができるのだろうか。全く空き家に等しいわけですね。少なくも執務に最低必要な書類とか掲示物とか資料というものは備えていなければならないのじゃないでしょうか。
○児玉(勝)政府委員 先ほど申し上げましたように、ただいまの運転管理専門官というのは、予算化も定員化もされておりませんで、先生おっしゃるとおり、まことに不十分なかっこうで発足していることは否めない事実でございます。現在ある限りの庁費を使いまして、何とかかっこうをつけておりますが、来年度につきましては、ただいま二週間の研修をやっておりますが、この専門官の研修をやりまして、今度はちゃんと庁費もつくと思いますので、それによって逐次整備していきたい、こう考えております。
○瀬崎委員 いかにもスリーマイルアイランドの教訓を学んだと言えば、聞こえはいいけれども、実際にはどろなわ的な感じがしますね。しかも、原子力発電所は通常時は二十四時間運転しているでしょう。もし夜間に検査官に連絡の必要が発電所内から、あるいは外から起こった場合は一体どうなるのですか。
○児玉(勝)政府委員 宿泊の場所を決めておりますので、そこへ直ちに連絡をとって検査官が発電所に駆けつける、こういう段取りになっております。
○瀬崎委員 ということは、検査官は二十四時間拘束という形になっておるのですか。
○児玉(勝)政府委員 形の上では拘束というかっこうにはなっておりませんが、実質上は、夜は宿泊施設以外には余り出られないというかっこうになっております。
○瀬崎委員 そういうあいまいさは困ると思います。非常に大事なということで現地にわざわざ派遣したと思うのです。夜間も公務中なら公務中、公務から外れているなら外れていると、ここをはっきりしないと、また責任問題というのが起こるのじゃないですか。どっちなんです。
○児玉(勝)政府委員 ただいまはっきりと二十四時間勤務という体制にはしておりませんが、そういう業務上の連絡があったときに所在がわからないようなことでは困るということで、そうしょっちゅうある話でもございませんけれども、連絡は必ずつくようにということにしてございます。はっきりした拘束にはなっていないということかと思います。
○瀬崎委員 まことにあいまいとしたことであって、しょっちゅうあっては困るけれども、もし万一あったときにはと、こういうあいまいさは必ず私は禍根を残すと思いますよ。 しかも、福井県が去年改定した原子力防災対策計画書を見ますと「環境条件の把握」の項では「異常な事態を察知したときは、常駐検査官に連絡のうえ所要の措置を求めるものとする。」、まず第一義的に常駐検査官に連絡することになり、かつまた、その指示を受けて所要の措置を講ずるというしかけをとっているわけでしょう。いまのような現地の体制だと、こういう地元福井県の要請あるいは福井県が求めている体制とは全くかみ合っていないのじゃないですか。
○児玉(勝)政府委員 常駐検査官だけがすべての判断をするということではないと思いますが、当然、そういう問題につきましては、東京におりますわれわれも責任を負わなければならない立場にございますし、私たちは、常駐の検査官と現場の状況を相談いたしまして、そして関係都道府県それから市町村と連絡をとり合うというかっこうにもなっておりますので、そういうところで常駐検査官というのは、いつも連絡がつかなければならないという立場にあるかと思いますが、常駐検査官だけの判断ですべていくということではないと思います。
○瀬崎委員 現在の常駐検査官は、二週間単位のサイクルの出張勤務だと言われたが、二週間でも、二十四時間を二週間べったり拘束するなんて、こんなことは不可能だし、また、それを期待するとすれば、している方がおかしいと思うのです。ところが、今度運転管理専門官になりますと、定員化されてくると、十人でこれが長期の現地滞在になるわけでしょう。しかも当面一人でしょう。この人にそんな長期間、祭日も日曜も含めて二十四時間勤務なんて、そんなことできるでしょうか。しかも聞けば、今度は新たに事務所を独立させるのはいいけれども、その独立した事務所は発電所の敷地の外へ置くということですね。そうなると、点検のためにしょっちゅう発電所の中へ行っておれば事務所はいつも留守、だれが実際の連絡に当たるのですか、どうするのですか。
○児玉(勝)政府委員 先ほど当面一人というふうに申し上げたわけですが、先生おっしゃるような御心配のとおり、私たちも、やはり一人では不十分であると思っておりますので、早急に二人にしなければいかぬと思っております。そういうことで、連絡が常時つくようなかっこうにいたしたいと考えております。
○瀬崎委員 大体電力会社そのものが四直三交代制で現在運転に当たっているわけでしょう。そういうところへ一人の検査官に、言葉は悪いけれども、出かせぎ監督みたいな形で管理点検に当たれというふうなこと自身が、私はむちゃだと思うのです。実態面から言えば、およそ与えられた任務を果たし得るような体制にはなっていない。もし本当に現地の住民に安心感を与え得る体制というのなら、最終的には二人——二人でも私は無理だと思いますよ。当然、休みの日に交代すれば一人になってしまうんですから。こういういいかげんなことは、ぼくはむしろ国民をごまかす制度じゃないかと思うのです。これじゃ検査官の人だってやる気が起こらないと私は思います。だから、すでに発足した制度ですから、多少とも実りあるものとするためには、少なくとも交代可能で、かついかなる場合でも連絡のとれるような体制は最低ないといかぬと思いますね。 それから、現在は専用の電話もないわけですから、全部電力会社経由でいかなければならぬわけでしょう。専用電話ぐらいはきちっと置いておかなければいかぬと思いますよ。 それから、先ほど言った必要な資料、書類、掲示物というものもなければならぬと思います。予算がないからといって、現在そういうものなしで人だけやっている、これでは現地に派遣されている人が本当に気の毒だという感じを私は持つぐらいです。また、その人がいてくれるから安心だと思っている地元の住民にも私は非常に失礼な話だと思います。そういう点では、ただただこういう名前の人が十人各サイトに張りついたということで、スリーマイルアイランドの教訓を生かしたなどと思ってもらっては大変困ると思うのです。 その上、科技庁の方は現在連絡調整官事務所を持っているわけですね、これともうまく連携をとり、整合性を保てば、もう少し有効に任務を果たし得ると私は思うのですが、いかがでしょう。安全全体に責任持つ大臣として、現在の常駐検査官、名前が変わりまして運転管理専門官になるのですが、こういうふうなやり方で果たしていいのでしょうか。
○長田国務大臣 確かに、あらゆる時点で最善の体制ということを考えますと、お説のようにもなるかもわかりませんが、従来から比べますと、やはり一大進歩であるには違いありませんし、そういう方向にだんだん向かっていっているということをひとつ御理解願いたいと存じます。
○瀬崎委員 私が申し上げましたように、少なくもこれを前進、進歩と言えるなら言えるように補強して最低の体制をとってもらえますね。大臣、それ責任を持ちますか。
○長田国務大臣 事故の発生の可能性ということなども——私どもは、事故がまず起こらないというようなことを一番の目標にしていろいろ努力をしているところでございますから、何重にもやります中のあらゆる点がいささかの申し分もないというようなところまでいくということは、その面から見れば望ましいことですけれども、他方から見れば、経費も非常にかかるということにもなったりいたしまして、私どもは、やはり安全性は無限に追求していかなければならないけれども、ほかの問題との調和を図りながら進めていく、そういうことにならざるを得ないだろう、そのように思っておるわけでございます。
○瀬崎委員 結局、先々は補強すると言われたけれども、いまの大臣の話を開いてもわかるように、本当に重大な決意を持って予算の裏づけもつけてという意思は余りないですね。とにかく人を一人派遣しておけばそれでよい、これが進歩だ、こういう認識なんです。これは事は重大だと思います。 あわせまして、先ほど児玉審議官の説明の中に、発電所の運転員について資格を制定するような話があったのですが、これは一体、国家試験的なものを考えているのか、どういうふうな資格制度というものを考えているのか、聞いておきたいと思います。
○児玉(勝)政府委員 スリーマイルアイランドの事故が起きました後、各電力会社に対しまして、運転員の資質の向上のために十分なる訓練を行うようにという通達を出したわけでございます。それによりまして、従来の運転よりはもっときめ細かい運転の、運転員に対する教育が行われるようになりましたけれども、何と申しましても、今度のスリーマイルの教訓では、運転責任者の判断というのが非常に重要な問題であったということでございますので、やはり運転責任者の総合判断の資質、判断ができる人を養成しなければいけないということと、そういう見識を持った、また知識を持った人が運転の責任者たるべきである、そういうことで、運転員の当直長または運転責任者にかかわる人の資格というものを決めるべきではないかというように考えております。 そこで現在、各会社に対してそういうような資質向上に対する対策を求めておりますので、それの原案が出たところで、われわれとしても、対応策を考えたいと思っております。
○瀬崎委員 どうもまだ資格制度をとるというだけで、その内容については詰めてない、こういうふうに理解しました。 次に、原子力船「むつ」の問題について若干お尋ねします。 佐世保重工、SSKの岸壁に係留中の「むつ」なんですが、政府、事業団が当初見積もっていた「むつ」の係船料は月幾らですか。
○石渡政府委員 原船事業団の警備費、係船費等を含めまして係船等関係費としておりますが、月額約一千百万円の予算を計上していた次第でございます。
○瀬崎委員 それに対して佐世保重工側が要求してきた係船料というのは幾らですか。
○石渡政府委員 佐世保重工は係船料等どいたしまして五十四年六月、月額六千万円の要求を事業団に言ってきたという経緯がございます。
○瀬崎委員 政府側が当初見積もり予定しておった額の約六倍近い係船料を出してきたわけですね。なぜこんな大きな開きが出てきたのですか。
○石渡政府委員 この二つを突き合わせてみますと、まず大きな違いといたしましては、甲岸壁の地区の使用料という要求があるわけでございます。この点につきましては、当初、事業団がああいう後背地の非常に広い岸壁を専有するということを予定しておりませんために、見積もっていなかったという金額が約二千四百万円ほど月額としてあったというのが一番大きな相違になっております。
○瀬崎委員 この月額六千万円というのは、年に直しますと何と七億二千万円になるんですね。すでに「むつ」を佐世保に入れて一年半たっちゃっているわけです。直ちに改修に手がついて三年かかります。四年半の係船料はどうなるか、三十二億四千万になるわけです。まさに改修費をあるいは上回ってしまうかもわからぬ。大体六千万円というSSKが出してきた係船料等、こういうものを一体あなた方は妥当と思っているのですか、むちゃだと思っているのですか、どうです。
○石渡政府委員 そういう金額の提示も希望としてございましたので、事業団としていろいろ見直しと申しますか……、(瀬崎委員「相手方の示した金額に対するあなた方の受け取り方を聞いているわけです」と呼ぶ)私どもは、少し高いというふうに受け取った次第であります。
○瀬崎委員 政府側として、こういう事態の起こり得ることは事前に予想しておったのですか。
○石渡政府委員 この事態は予想できておりませんでした。
○瀬崎委員 昨年八月に長崎県知事がこの問題のあっせんに入りましたね。本来、国が責任を持っている原子力船「むつ」の修理問題に関して、地方自治体の長にあっせんしてもらわなければならないこと自体が、まさしく政府自身の威信失墜だと思いますけれども、このときのあっせん案は月額幾らになっていますか。
○石渡政府委員 係船料等の契約交渉につきまして、SSKと原船事業団の考え方が大幅に食い違っていたことは、ただいま申し上げたとおりでございます。先生御指摘のように、このために長崎県知事に仲介の労をお願いしたわけでございまして、その結果、金額といたしましては、五十三、五十四年度には月額二千五百万円を支払う、三年間の総額として十四億四千万円、月額に直しまして四千万円相当にするということを内容とするあっせん案を双方に提示されたわけでございます。
○瀬崎委員 こういうあっせんを知事が出した根拠として、何か知事の方は示しているのですか。
○石渡政府委員 久保知事は、このあっせんをお出しになるに当たりまして、SSK並びに原船事業団双方の考え方を十分聴取された上で提示されたものと承知しております。
○瀬崎委員 結局、両方のを聞いて、いわば足して二で割ったような形じゃないかと思うのです。このあっせん案にしたって、つまり五十三、五十四年度で政府、事業団の見積もりの二・五倍、その後は三年間で約四倍、こうはね上がるわけでしょう。政府、事業団は、このあっせん案を受諾しているのですか、まだ保留しているのですか。回答は……。
○石渡政府委員 原船事業団といたしましては、久保あっせん案と呼ばしていただきますが、趣旨を尊重しつつSSKと契約交渉を進めているというのが現在のポジションでございます。
○瀬崎委員 SSK側は、このあっせん案に対しては、どういう態度をとっていますか。
○石渡政府委員 久保知事のあっせんにつきまして、現在、原船事業団及びSSK双方の事務当局が検討を進めているという段階でございます。今後、この折衝の過程におきまして、SSK側も原船事業団と同様に同あっせん案の趣旨は尊重して対応していくものというふうに期待しているわけでございます。
○瀬崎委員 こういう状況のもとで、実際の係船料はいま払っているのですか、払っていないのですか。
○石渡政府委員 まだ支払われておりません。
○瀬崎委員 いま局長は、SSKの側も理解を示してくれるであろうことを期待するという、まだ期待の段階なんですね。もうこの段階になって、まだ期待などと、のんびりし過ぎていると思うのですが、政府は一体、この知事あっせんの当面月額二千五百万、この線で話はつくという見通しを実際持っているのですか、どうなんですか。
○石渡政府委員 契約交渉が成立するものと期待しているわけでございます。
○瀬崎委員 はっきり聞きますけれども、政府としては、現在知事が示している五十三、五十四年は月額二千五百万、それ以降は四千万、これでどうでも決着をつけるのだという決意なのか、どうしてもこれで話がつかぬというならさらに上がっても仕方ない、こういう考え方なんですか、どっちですか。
○石渡政府委員 せっかくのごあっせん案でございますから、できる限りその趣旨でまとめていきたい、かように考えておるわけでございます。
○瀬崎委員 少なくとも国会の場でこの質問を受けて、どうでも知事のあっせん案で決着をつけるのだ、それ以上は応じない、そういう決意を示せないようだったら、私は、ますますSSKにつけ込まれるだけだと思うのですが、この点大臣はいかがですか。
○長田国務大臣 知事のあっせんが完全に終了してしまったという段階でもございません。私どもは、長崎県知事が非常に善意を持って熱心にやってくれていることを確信しておりますし、なお今後の知事の最終的な努力に期待しているところでございます。
○瀬崎委員 結局 大臣は、みずからどうするかという意思は持っていなくて、全部知事にげたを預けた、こういうことなんですか、原子力船「むつ」の責任は一体どこが持っているのですか。
○長田国務大臣 もちろん最終的責任は、事業団にもあり、私にも十分にあるわけでございます。従来の経緯などから、長崎県知事の非常に熱心な、また誠意のあるあっせんを期待しておった、そういういきさつは私も尊重してまいりたい、そのように思っております。
○瀬崎委員 私は、知事のあっせん案をのんだらいいとはちっとも言ってないのです。長崎県知事のあっせんで片がついたとしても、ざっといま私、計算してみると、もし五年間係船するとすれば、約十三億は政府の当初の見積もりよりも余分の金として出ていくわけですね。最近の資材高騰の中で、しばしば公共事業費の積算見積もりの問題が出てくるでしょう。わずかな値上げもなかなか認めない政府が、事この原子力船「むつ」になると、一挙に当初見積もりの二倍、三倍、四倍、こういう高値を認めていく、全く私は無責任だと思うのです。 つまり、こういうふうな予定外の大幅な支出増に対して、何だか最初の見積もりが違ったような話ですけれども、そんなことで政府の責任は済むでしょうか。大臣はそういう責任をどう考えていますか。
○長田国務大臣 当初の政府見積もり、これが完璧だったということではないという趣旨につきましては、先ほど局長も申し上げたとおりでございます。さりとて、先方の要求がそのままで妥当だとみんな思っているわけでも——私はいずれにしましても、その数字的な根拠についてまだ十分了解といいますか承知をし切っておりませんですけれども、従来の経緯などから見まして、知事のあっせんの熱意、その誠意、そういうものは高く評価しているところでござでます。できるだけそういうものを尊重して進んでまいりたい、そのように思っているわけでございます。
○瀬崎委員 聞けば、通常こういう係船料というものは、船を入港させる前に大体決まっているものだそうですね。なぜこの「むつ」については、そういう事前の交渉、事前の取り決めをしておかなかったのですか。
○石渡政府委員 昨年、一昨年の当時の事情を調べてみますと、昭和五十二年十一月にさかのぼりますが、当時のSSKの社長が運輸大臣に「むつ」の修理を引き受けるという口頭の回答をしたわけでございます。その後、SSKと事業団との協力関係というのは、非常に順調に進んでおりました。SSKの中にむつ改修工事室といったようなものを、五十三年の四月には設置をいたしまして、工事の実施体制を整えるというようなこと、あるいは六月ごろから「むつ」の回航に備えまして、「むつ」の係留の岸壁あるいは警備体制の整備をSSKとして着々と整えていただいたというような実態がございますので、政府並びに事業団側とSSK側との間には実質的な合意があったということは明らかに確認できるわけでございます。 その間SSKの経営危機といったような問題がございまして、経営陣が交代されたわけでございます。それを踏まえまして、事業団といたしましては、回航に先立って係船契約等契約を締結すべくいろいろ折衝を行ったということはございますが、当時の経営者の交代とSSKの社内事情も絡みまして、なかなか進展を見るに至らないまま「むつ」が回航されたという事情にあったわけでございます。 そういった事情はあるにしろ、事前にきちんとしていなかったということにつきましては、結果として現在の状態を生み出している原因となっているということは事実でございますので、その点きわめて遺憾である、かように存じているわけでございます。
○瀬崎委員 それは常識で考えればそのはずですよ。船を持っていくのに事前に合意なしにやるはずはないと思う。そうだとすると、少なくとも実質合意がSSKとの間にあったわけでしょう。ところが入れてみたら、経営者がかわっても会社がかわったわけではないですね、ところが、それがほごにされて、つり上げてこられた。それに対して局長の答弁は、いや政府側の見積もりが、甲岸壁全体を使用するような見積もりをしていなかったのだというふうなことで、政府側が何か間違ったような言い方をしているでしょう。そんな腰の弱さで、果たしていまの名だたるらつ腕の坪内社長と渡り合えますか。
○石渡政府委員 ただいまの御指摘でございますが、私が明らかにこれは欠落しておったなという点について、甲岸壁地区の四千五百平米にわたります後背地を専有するという事態は予想していなかった、この点はSSK側の見積もりによりますれば、月額二千四百万円という項目があるという一項目を申し上げたわけでございまして、全体が見積もりを誤っておったということを申し上げたわけではございません。
○瀬崎委員 この知事のあっせん案にしても、一般的に聞けば、これはやはり常識を超える額である、高い、こういうことが言われているわけです、たとえ甲岸壁を使用したとしてもですよ。特に、国会でも本委員会で宇野長官は「むつ」を佐世保に入れるにはSSKしかないわけですから、と明らかにSSKで修理するという前提に立ったことを示しているわけです。あなた方政府側としても、先ほど話があったように、一応、SSKの幹部と一定の合意のもとに「むつ」を移しているわけですね。しかし、実際にやはりSSKを対象にして改修を行おうとすれば、これは安全審査も受けなくちゃならない。その中には経理的基礎も一つの重要な基準になっているわけです。よほどこれは慎重に事前の調査をしておかなければならないということです。 それから、ほかの船ならいざ知らず、原子力船「むつ」です。いわくつきの船でしょう。一たんSSKに入れてしまったら、後になってこういう係船料等の契約がもめたときに、じゃ出ていって別の場所へ行きますわ、簡単にそうはいかないでしょう。その点からもよほど慎重でなければならぬ。 とすると、大臣、いかがでしょう。こういう先の見通しといったって、そう遠い先じゃない、わずか半年、一年先にSSKがこういう事態になるということ、が見抜けないまま、うかつにSSKに「むつ」を入れた、これは政府として非常に軽率だった、こういうことを大臣、感じませんか。
○長田国務大臣 私、当時のいきさつをよく存じませんが、これは行き先を早く手当てしなければならないという緊急な事情もあったのではないか、そのようなこと、一種の応急的な措置と言えるような事情もあったのではないか、そういうような感じもいたすわけでございます。
○瀬崎委員 行き先が緊急だとおっしゃいましたけれども、すでに「むつ」がSSKに入ってから今日まで一年半たっているんですよ。その間何をされてます。
○長田国務大臣 私は、「むつ」が佐世保港に入るときの事情のことを申し上げたわけです。緊急の事情があって行き先を早く手当てしなければならないという事情などがあったと、そういうことを申し上げたわけでございます。 その後の措置につきましては、私どもも、事業団も早く佐世保重工と係船契約、入居契約、そういうものを結ばなければならない事情にありましたことはもう十分承知もしておりますし、それなりの努力をいたしたわけですけれども、今日までそのような成果を得ることができなかった、そういう点はまことに遺憾だと、そのように思っております。
○瀬崎委員 いわゆる青森の、追い出しを食っておったことを言われていると思うのですが、しかし当然、原子力船「むつ」に対して国民の批判が強かったのは、ほかでもない、「むつ」に莫大な金をかけて修理して航海実験をしてみてもほとんど意味はない、この際、むしろそういう修理はやめた方がよい、あきらめた方がよい、ほかの活用の道を考えたらいい、こういう意見が非常に強かった。国会でもそういう意見が出ておった。それに耳をかさないであくまで修理しようとするから、早く出ていかなくちゃいけないという事態に追い込まれたわけなんです。 大体、当初の政府の改修計画でいきますと、五十二年四月からかかる予定だったのでしょう。これでいきますと、大体五十五年三月、つまり、もういまごろは改修の終わっている予定ではなかったのですか。
○石渡政府委員 安全性総点検並びに遮蔽改修工事といたしまして五十五年三月までというのが、十一年の延長をお願いした時点でのスケジュールでございましたので、おっしゃるとおりだと思います。
○瀬崎委員 本来、いまごろは修理が終わっていて出力上昇試験に入らなくちゃいけないのです、政府側のスケジュールからいけば。それがいまのところ何も手をつけられないわけでしょう。それどころかまだ改修の契約にも入っていないわけでしょう。われわれから見れば全く無為に過ごした、こう言わざるを得ないと思うのですが、こんなことになった原因、係船料も係船料だけれども、まだ改修の契約にも移れない、この原因はどこにあるのですか。
○石渡政府委員 いろいろ原因はあるかと存じます。しかし、実際の修理を引き受けていただくSSKとの折衝が今日までうまく進まなかったというのが直接的な原因となっていると考えております。
○瀬崎委員 では一体、いつごろ契約は成立する見通しを持っているのですか。
○石渡政府委員 SSKとの係船料あるいはドック料の契約、これは実態が生じてしまっている後の契約になりますが、昨年末からのいろいろな会社側の事情によりましておくれていたわけでございますが、そういう当面の懸案でございます労使問題も解決したことでもでございますので、この機にSSK側との契約を早急に結びたい、かように考えております。 また同時に、それを前提といたしまして遮蔽改修工事の工事契約もあわせて早急にいたしまして改修工事に着手したい、かように考えているわけでございます。
○瀬崎委員 その契約を結び得るめどはここで示せないのですか。
○石渡政府委員 私どもといたしましては、一日も早くという気持ちで接触しているわけでございますが、いろいろ先方の事情もあるわけでございますので、いまこの席でいつ幾日と言う段階には至っておりません。
○瀬崎委員 大臣、よく聞いてくださいよ。いろいろそういう批判の強かったこの原子力船「むつ」、当時の事情から言えば、強引に佐世保港に入れたものの、今度はこの係船料で知事が政府の考えていた二・五倍、それから先三年間は四倍、こういうあっせんを示してもなおSSKは承知しない、それから入港して一年半になっているけれども、改修の契約も現在できていない、いま、いつ契約ができるのかめどを示してくれと言ったら、これもいまは言えない、こういう見通しのなさでしょう。この間、血税は浪費される一方ですね。 ちなみに、当初政府は、五十二年四月から始めて五十五年三月には改修は終わっている予定なんですが、現在何にもしていない。そのことによって今日まで約五年近く空費しているのですが、原子力船「むつ」の係船料とは別にした維持費としてどのくらいかかっていますか。
○石渡政府委員 ただいま正確な数字が手元にございませんので、後ほど御報告させていいただきます。
○瀬崎委員 私は、これこそ全く血税の浪費だと思います。そして、なお先の見通しが国会ではっきり打ち出せない、こういう現状に「むつ」は置かれているわけですね。にもかかわらず、政府側は、そういう自分たちのしでかした責任というものを全くとろうとしないで、そして今度事業団法の延長法案をまた出しているわけですね。言えば政府の重大な手落ちのしりぬぐいをこの法律の延長に求めてきた、こういう事実関係になっているわけです。このままずるずる期限を延ばして、当てもないのに巨額の血税を浪費するという無責任な行為に対して、私ども国会までが加担するとかあるいは同罪を犯す、こういうわけにはいかぬ、そんなことは許されないと思っているのです。 そこで政府に対して、まず第一に、事業団の延長法案を撤回すること、それから第二には、政府自身の改修計画や係船料予算が完全に狂って、財政上大きなむだ遣いをつくり出していることに対する責任を明らかにすることを求める決議を当委員会で行うべきだと私は考えるのです。これはひとつ委員長においてぜひ御検討いただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
○貝沼委員長代理 理事会に諮って相談いたします。
○長田国務大臣 先ほど来いままでの経緯等も御説明いたしましたが、なお意を尽くしてない面もございますので、若干補足させていただきますが、私、昨年十一月着任いたしましたが、その際にいろいろ科学技術庁の当面しております問題点の説明を受けまして、この「むつ」問題も非常に重大な問題だというふうに当然のことながら考えた次第でございます。そしてその後、坪内社長にも東京で会ったこともございますし、いろいろ関係の筋の方からの説得等も依頼したりいたしました。長崎県知事に非常に熱心にやってもらっておりまして、私どもは、それを信頼し、相当お任せしてきたことも申し上げましたけれども、科学技術庁の方もあるいは事業団も、漫然手をこまねいていたわけではございません。その後労使関係の問題がある、さらに坪内社長が病気で松山へ引きこもっている事情もある、そういう状況のもとにおきましても、いろいろなルートを通しまして、早く係船契約、入渠契約等を結ぶべくいろいろ手を尽くしておりましたし、また遮蔽改修の工事をすることになっております企業等とも、契約でき次第、どうしたら早く工事が進められるか、そういうような工夫なども、当方側も、相手側にも要望してそれぞれやっておるわけでございます。 大変時期がおくれておりますが、私どもは、まだこれからでも、了承を得られれば、それこそ工事の面でもその他あらゆる面でも全力を挙げて急いで取りかかる、そして遮蔽改修工事を済ませ、実験航海なども済ませまして、あの「むつ」の開発に手をつけました目的を達しなければならない、そのように考えておりますし、今度国会に御提案申しております事業団法の改正も、そのような趣旨でお願いをいたしているところでございます。
○瀬崎委員 坪内氏が病気であったかどうかは知りませんけれども、会社にはほかにかわりの者もおるはずなんです。坪内氏一人だけの事情のために「むつ」が振り回されて、そして政府がなすすべもなく国民の血税を何億、何十億浪費するようなことについて、国会まで手をかすわけにはいきません。いまの大臣のそういう発言自身が、政府のこれまでやってきたことに対する反省が全くない。責任を全然感じていない。本来ならば、こういう事態になった責任がまず明らかにされて、それからしりぬぐいと言っては悪いけれども、こういう法案の延長が要るのだというのなら話はわかるけれども、その方はたなに上げておいて、結局、期間内に政府の計画が進まなかった、だから、法案を延ばしてくれ、こんなことのおつき合いは断じて国会はできない。 まあ、委員長のお言葉もありましたから、後ほど理事会で適切な協議が行われることを私は期待するわけであります。 ちょっと時間がないのですが、最後に取り急いで原子力研究所における安全研究の問題について質問をいたします。原研の実験用動力炉JPDRは、現在とまっているわけなんですが、これは一体いつから停止しているのですか。
○石渡政府委員 JPDRにつきましては、御指摘のように現在とまっております。昭和五十一年三月十八日に部品交換及び点検のために原子炉を停止いたしまして、その後停止の状態にあるということでございます。
○瀬崎委員 運転再開の準備はしているのですか、それともとめたままの見通しが強いのですか。
○石渡政府委員 現在、原研で内部的にいろいろ検討をしているようでございまして、これに手を入れて再稼働をするか、あるいは別のことを考えるかということで、所内的にあるいは所外の方も交えまして、いろいろ検討を進めているというふうに承知しております。
○瀬崎委員 このJPDRが運転を開始したのは、たしか三十八年だったと思うのですが、今日までの運転総時間、トータルの運転時間は幾らになっていますか。
○石渡政府委員 JPDRは、御指摘のように昭和三十八年に運転開始をいたしまして、以来延べ一万七千百時間の運転を行っております。このうち発電をしたのは一万四千二百時間でございます。
○瀬崎委員 だから結局、約十七年間のうち動いたのは二年足らずだ、こういうことなんですね。まあ実験炉という特殊性はありますが、きわめて稼働率は悪いものですね。このように非常に稼働率が悪い最大の理由は何ですか、一言で言ってください。
○石渡政府委員 これは最初の計画でございました原子力発電の建設、運転等の経験を得るという意味では、実験炉といいながら日本初めての原子炉であったわけでございますが、その目的は十分に達したとわれわれは判断しているわけでございます。その後、出力を倍増して高出力燃料の照射試験を行うといったような次の目的を考えて改造をしたわけでございますが、その改造後いろいろなトラブルが生じまして、その典型的なトラブルといたしましては、昭和四十七年八月にステンレス管にクラックが発生したということが始まりとなりまして、再度それを修繕して動かす、また、いろいろなトラブルが出てくるというようなことを繰り返しまして、現在停止の状態にある、こういうことでございまして、JPDRの第二期の計画に入っていろいろうまくいかなくなったというのが現実の姿でございます。
○瀬崎委員 小さな故障とかトラブル、ささいな前兆現象から大きな事故を予知する、あるいは事前に検知する方法を技術的に確立して、そのことによって逆に大きな事故を未然に防ぐ、こういう目的の研究、専門的には原子炉の異常診断に関する研究と言うのだそうですが、これもJPDRを利用して行われていたのではないですか。
○石渡政府委員 御指摘のように実施しておりました。
○瀬崎委員 なぜこの研究が途中で中止されているのですか。
○石渡政府委員 その原因につきましては、いまの時点で私、ちょっと承知しておりません。
○瀬崎委員 いま局長が、その任務を終わった、目的を十分達したなどと言われるからお聞きしたのですが、研究者は続けてやりたいと思っているのにこれが中止されている。 それから、このJPDRには、圧力容器にヘアクラックが発見されたこともありましたね。これらは最近問題になっている圧力容器や配管の材料上の欠陥のまさに適切な研究材料であったわけなんですが、原研ではこれが特に研究対象に選ばれなかった、その理由は何ですか。
○石渡政府委員 御指摘のように、昭和四十七年に発生いたしましたJPDRの炉心スプレー系の配管クラックについていろいろ検討がされたわけでございます。まあ、研究が進められまして、その結果として、溶接方法の改善とか水質管理の徹底といったことで応力腐食割れを減少し得るという成果を得たわけでございまして、研究がされなかったということではないと理解しております。
○瀬崎委員 このJPDRで最初にヘアクラックが発見されたのは四十一年でしょう。つまり、発電を開始する三年前の話なんですよ。いま言われたのは改造後の話ですね。これが最初に発見されたころには問題にされなかったということが研究者から報告されているわけです。そういうときに取り上げなかった、こういう事実があるわけであります。時間がないので、恐らくお答えできないだろうと思うし、指摘だけしておきたいと思います。 問題は、実験炉であるだけに、そこに起こってくる故障とかトラブルなどの異常現象は、生きた実験材料として、経済性にとらわれることなしに十分調査、研究されるべきだし、また研究し得る状況下にこのJPDRはあったわけでしょう。ところが、最近出ました原研労働組合の発行した「原子力自主開発のために」という冊子があるのですが、ここでは、せっかくのその生きた材料である故障、トラブル、異常現象が十分に研究されないまま葬られていると言っている。だから、とまっていること自身を責めるのではないが、いろいろ起こっているそういう事故、故障を十分研究対象にしていなかった、このことは責められてしかるべきだと思うのです。もっとそういう意味でのJPDRの活用が図られなければならないのではないですか。
○石渡政府委員 昭和四十一年でのクラックの発生ということは私、承知しておりませんでしたが、常識的な話といたしまして、ステンレスに応力腐食の結果クラックが入りやすいということは、一九二六年以来常識になっているわけでございますので、そういう意味では十分注意すべきテーマであったということは言えるかと思います。 それから、こういう状態にある炉を十分研究の対象にすべきではないかという御指摘については全く同感でございます。
○瀬崎委員 そういう応力腐食割れ現象というのは、国会でも問題になるくらい現実にあちこちの発電所で起こりましたね。これは専門家の意見によれば、溶接等で生ずる熱応力、材質、水質やヒドラジン、また高温といった使用環境、この三つの要素の重複で発生すると考えられているというんですね。だから、研究も相当複雑になってくる。その研究の一つとして、原研では応力腐食割れ破面の解析とか、ステンレス鋼の応力腐食割れ感受性の改善とか、応力容器鋼材の腐食疲労などの研究が行われているということを聞くのですが、これらはまだまだ研究の始まりであって、これからが本格的だと聞いております。政府はどう考えているのか、これが一点。 それから、少し規模が大きい研究としては、配管信頼性に関する試験研究も行われているようなのですが、これも五十年から五十三年にかけて約十八億円を投入して試験装置ができ上がったところで、これからが本格的な試験に入る段階だと聞いているのです。これに対する政府の見解。 それからさらに、応力、水環境、材質のさっき言いました三つの要素を考慮した実際規模に近い総合試験が行われなければ、現在実用化されている原子炉の現象にすぐに適用するわけにいかぬ、そういう点で原子力工学試験センターでも、溶接部等熱影響部信頼性実証試験の総合模擬試験が五十五年度から行われることになっているそうで、そういう点では、この重要な応力腐食割れ問題は、まさにこれからが本格的な実験段階だとわれわれ考えているのですが、そういう点を総合して一言科技庁の方の考えを聞きたいのです。
○石渡政府委員 いまの材質の問題につきまして、総合的にいろいろな規模で、また段階で研究すべきではないかという御指摘でございますが、たまたまこのJpDRがそれにどれだけ貢献できるのか、現時点でははっきりしておりません。ただ、このJPDRの今後の持っていき方について、原研なりの考え方を現在検討していることは承知していると申し上げましたが、現在、その考え方を聴取している段階でございまして、そういうことも含めまして、安全研究の中の材質研究のあり方、進め方についてもう少し全体として考えてみたい、こういうふうに考えているわけでございます。 〔貝沼委員長代理退席、委員長着席〕 ただいまの御質問がJPDRから始まりましたので、その中での位置づけもあわせて考えてみたい、かように考えている次第でございます。
○瀬崎委員 最後です。 いま局長の答弁をお聞きになりましたように、安全研究の中での材質問題の研究はこれからもう少し考えてみたい、こういう答弁なんです。ところが、この間一月二十九日の本会議で佐々木通産大臣は、ある党の質問に答えてこう言っているのです。「原研等が炉の安全性の研究開発にずいぶん長くかかりまして、ほとんど余すところないくらいただいま研究が進んでいる」、こういうふうに答えている。これに対して実は原研の研究者、技術者から、余すところなく研究が進んでいるどころか、これから始める、残っている部分の方が多いのだ、まさにいまの局長とその点は同一なんです。 そういう点で、大臣、原子力の安全研究の現状について、間違った認識のもとでの軽率な発言は慎んでもらいたい。改めて大臣、現在の安全研究の実態の正しい認識のもとに、今後とも政府としては、もっともっと幅広く残された研究をやるのだということをはっきりさせておいていただきたいと思うのです。
○長田国務大臣 安全の問題につきましては、私どもは、全般として見ますと、これでいいのだ、これで済んだのだということはあり得ないと思いますし、そのような観点から、総体の面あるいは個別の面、十分に配慮してまいりたい、そのように思っております。(瀬崎委員「通産大臣の答弁は……」と呼ぶ)その場におりませんでしたし、よく聞いておりませんでしたので、これで失礼いたします。(瀬崎委員「そんなことない。並んでいるはずだ」と呼ぶ)その場におりました、おったことはおりましたが、よくそこまであれいたしませんでしたし、さらに戻りまして、よく検討したいと存じます。
○瀬野委員長 吉田之久君。
○吉田委員 長官、七時に何か出られなければならぬようでございますので、その辺、時間のある限りでいろいろと御答弁をお願いいたします。 去る三月の四日から六日だと思うのですが、日本原子力産業会議が第十三回の年次大会をイイノホールで開催されております。その席で各国の代表も加わっていろいろな論議がなされたようでございますけれども、特に注目されるのは、日本大学の笹生教授が、一九九五年、昭和七十年の時点において七千八百万キロワットの原発の開発計画を樹立することは並み大抵ではないという報告をなさっております。同教授の説によりますと、まず原発をつくる場合に、地元への計画申し入れから電源開発調整審議会、電調審の決定まで、この段階を第一段階とし、そして今度は建設許可がおりるまでを第二段階とし、そして運転開始までを第三段階、こういうふうに想定するといたしますと、敦賀の原発の場合には、第一の段階で二年六カ月、第二の段階で一年九カ月、第三の段階で三年一カ月、計七年四カ月かかっているわけです。大飯の一号の場合には、一の場合が一年一カ月、二の場合が二年ぷっつり、三の場合が六年五カ月、計九年六カ月かかっております。それから福島の第二原発の第一号炉の場合は、一の場合が四年五カ月、二の場合が三年と二カ月、三の場合が七年、計十四年七カ月かかっております。 なお、女川、川内、柏崎・刈羽等、目下建設中のものを平均いたしますと、一で四年八カ月、二で四年十一カ月、三で五年十一カ月、計十五年六カ月かかる、こういう報告をなさっているわけなんです。 そういたしますと、だんだんだんだん原発をつくるのにかかるリードタイムが延びてきておる、まず二倍近くになっておるということが言い得ると思うのです。一体これはどういうことが原因になってこうなるのか、あるいは今後やはりこの傾向は避けることはできないだろうか、この辺のところにつきまして所見をお聞きしたいと思います。
○児玉(勝)政府委員 いま先生がおっしゃいますように、原子力発電所の工事の着手から完成までのリードタイムが非常に長くなってきておることは事実でございます。それには二、三の原因が考えられますが、やはり地元対策ということが非常にむずかしくなってきたことが第一かと思いますが、第二番目におきまして、安全を確保する意味で、また、その安全についてのパブリックアクセプタンスを得る意味で行政上のいわゆる手続を書いたのが昨年でございますけれども、そういうようなことで手続そのものが、ダブルチェックを安全委員会でやっていただくということもありまして、その意味ではますます長くなる。しかしながら、安全のために必要な時間というのはこれは必要な時間でございますが、それにいたしましても、環境の審査それから実際の安全の審査等々の手続がだんだん長くなってきているということであろうかと思います。
○吉田委員 いろいろ地元対策に特に気を使わなければならない状況に来ておる、あるいはダブルチェックなんかしてより安全を期していこう、その辺の御配慮は当然よくわかります。しかし、これが一向急がない、二十一世紀以降にでもできればいいわという原発であるならば、私は、その方法が正しいし、それでやむを得ないと思うのですが、目下、申し上げる必要もないほどにエネルギー事情は緊迫をしております。こういうピッチで進んでいって、果たして、長期需給暫定見通しを政府はお立てでございますけれども、それに見合うような原子力発電というものがわが国で実現可能であるか、こういう具体的な問題とやはりにらみ合わせてこの種の方法を検討していかなければならないと思うのです。その点で長官、御心配になりませんですか。
○長田国務大臣 五年先の三千万キロワットにつきましては、ただいま建設中のもの、あるいは計画中のものなどがありまして、ほぼその前後まで行き得るのではないかというふうに考えますけれども、十年先、十五年先になりますと、よほど安全性等につきましての国民の御理解と信頼、そういうものを得ていかなければならない、それからまた、エネルギー事情の逼迫度、窮迫度等につきましての御理解も得ていかなければならないのじゃないか、そのように考えております。
○吉田委員 そこで、いま長官がおっしゃったとおり、国民の理解と信頼を求めながら、かつ現状の逼迫した情勢に現実に対応していかなければならない、この問題を同時に解決する方法をわれわれはいま真剣に考えていかなければならないと思うのです。 そこで私、特にいま一つ心配なのは、この十年間かかりましてふえた立地県がわずかに三県でございますね。十年前は七県九地点であったのが、昨年末の時点で十県十四地点にしかなっていない。したがって、電源立地を受け入れてくれる県が三つしかふえなかった。このような情勢でいくとすれば、いま長官がおっしゃいましたように、昭和六十五年に五千三百万キロワット、七十年に七千八百万キロワットということを達成していくためには、現在受け入れてくれておる府県に集中的にぶち込んでいく以外に方法がないのではないか。しかし、それは非常にアンバランスなことだと思いますし、国民合意を得る点でも、いまおっしゃった理解を本当に全国民のものとするためにも、私はいい方法だとは思わないのです。 したがって、立地県が非常に遅々として拡大していかないという理由、あるいはこういう傾向に対して、政府としてお考えになっている現時点でのいろいろな方策、そういう点についてお聞かせいただきたい。
○児玉(勝)政府委員 原子力発電所の立地地点を確保するというのは、いま先生おっしゃいましたように、大変むずかしい問題になってきております。そういう意味で電力会社を初めといたしまして、また通産省といたしましても、何とかその立地地点について地方の御了解を得るということに全力を尽くしたいと考えております。 そういうことで、原子力発電立地促進対策の強化というのが、通産省の政策の中でも非常に大きな位置を占めておりますし、そういう意味でどういうような施策を行うかというようなことについては、しばしば議論をされているところでございますが、現在考えておりますのは、電源立地促進対策交付金制度の拡充ということで、いろいろなそういう大規模電源を開発することによりまして、地域の振興も同時にそれによって図るということで、一石二鳥というところをねらうための対策をもっと強化しなければいけない、こう思っております。そういうことで、これは今回の国会にお願いしております電源開発促進税法の中にも、それをお願いしておるところでもございます。 それからまた、地元地方公共団体によります広報それから安全対策の強化ということで、広報安全等対策交付金を新設いたしまして、従来の広報対策交付金は立地してから五年の間しかありませんでしたが、今回はその発電所が立地する間ずっと交付金がもらえるというかっこうにいたしたいと考えております。 それから、最もこれは大事だと思っておりますのは、原子力発電所を実際に稼働率よく動かしてみせる、安全でかつ高信頼性をやはり国民に示すということが、何といっても一番大事なことでありますし、それがくどくど言ったPRよりははるかに説得力のある実証ではないかというふうに考えております。そういう意味で原子力発電のいわゆる基盤の整備ということが考えられまして、それは現在の軽水炉の定着化ということに相なろうかと思います。 一つ考えておりますのが、改良標準化の推進をする、それからまた高性能燃料の実用化を図る、それから運転員、検査員等の負担軽減のための支援システムの改良をする、そういうようなことで軽水炉の改良をさらに進めるというようなことで、原子炉自身の問題、それから立地に対する国民の理解を得るための方策の問題、そういうことで打てる手はなるべくフルに使って打っていきたい、こう考えております。
○吉田委員 大体聞きたいと思っていますことを一度にお述べいただいたような気がするわけなんですけれども、受け入れてくれる県に対するいろんな反対給付と申しますか協力と申しますか、この増大というのは確かに一番具体的な一つの方法だと思うのですけれども、現にそういう対策によってかなり受け入れ姿勢が積極化してきたと見得る傾向にありますかどうか。
○児玉(勝)政府委員 こういうような施策と相まって各都道府県からいろいろな打診が来ていることは事実でございます。まだ顕在化して先生にこういう地点がその成果であるということをはっきり示すわけにはまいりませんけれども、関係市町村それから都道府県におきまして、そういう制度がどういうふうに今後考えられるか、どれぐらいのいわゆる魅力ある制度となり得るのかどうかというようなことについては、いろいろと打診が来ておりますので、そういう点についていろいろ考えておりますし、また原子力そのものの問題について十分理解をしていただくように考えております。 いずれにしろ、地方の方々の、地方公共団体のいわゆる理解というのが、何といっても大事でございまして、その方々がやはり地方の方々をリードするということになろうかと思いますので、地方公共団体の方々にエネルギーの実態を知っていただき、また原子力の必要性を説くということからやはり進んでいかなければならないのではないか、こう考えております。
○吉田委員 この問も福井県の方を視察に参りましたときにも、基本的に絶対反対だという方々の御意見ももちろんございますけれども、むしろどちらかと言えば、いわゆる地元に対するメリット、たとえて言うならば電源立地県とか、あるいはその周辺の地域に対しては特別に電気料金を割り引くとか安くするとかそういう方法はないのかという、そういう非常に現実的な向こう側の希望というもののあることもわれわれつくづく感じとめたわけでございます。 したがって、やはり日本はこういう現状の中で一刻も早く電源立地を進めていかなければならない、電気料金の原価主義や制度そのものとのすり合わせをどうするかということはなかなかむずかしい問題ではありますけれども、やはり政府としても、一つの重要な国策としてそういう対策を考えるために、一歩何か踏み出すべき時期に来ているのではないかというふうに私は思うわけであります。いずれにしても、七千八百万キロワットつくり出すためには、なお四千万近くの処女地を開発しなければ達成できないわけでございます。私は、そういう点で今後、長官並びに関係の要路の方々のかなり思い切った発想の転換というものをそろそろお考えいただくべき時期に来ているのではないかというふうに思います。 一つは、手続論でございますけれども、原子力発電をつくるためには、三十三の個々に独立した法律と六十六の許認可を必要とするのだというふうに私どもは聞いております。これは一口にそう申しましても、なかなか容易ならぬ作業だと思うのです。これだけのハードルを越えなければ許認可がおりないということ、それもそれぞれかなり大規模な習熟した民間企業が主体となってやっていることではありますけれども、やはり政府の許認可というもの、これがそう簡単なものではない。かついろいろ許認可の段階でも、どちらかと言えば役所の横のもたれ合いと申しますか、あるいはにらみ合いというのでしょうか、あちらの許可が出ればうちもするとか、うちが先んじてやることはないだろうとか、事が原子力の問題でありますだけに、その辺にかかってくるいろんな精神的な圧力とかいろいろの反対の懸念等もございまして、役所という仕組みはそうスピーディーにはやりにくい作業の一つではないか。特にこの原子力にかかわる許認可の問題、私は、やはりそういうことを厳に心配する一人でございます。 したがって、この辺の許認可の手続を私は何も簡略にしろとは言いません、地元の納得を得るために、あるいは将来不満を起こさないために十分な配慮が必要ではありますけれども、何かもう少しセットにして許可する方法はないだろうか、ないしは役所同士のにらみ合いやもたれ合いを除去するために、必ず順序はこうなんだ、これが出ればこういう順番で出さなければならない、そちらを先にということはいけないのだ、大体いままでかなりの経験を踏んでいるわけでございますから、その辺の何か順序づけというもの、あるいはこれが許可されれば、こういうことが完全であるならば、自動的にここまでは許可してもよろしいとか、何かその辺雑にしろと言うわけではございませんけれども、もう少し効率的に進める方法があるのではないだろうかと思うわけでございますが、いかがですか。
○児玉(勝)政府委員 先生の御指摘よくわかるわけでございますが、ただいま電源開発の進め方といたしまして、電源開発調整審議会というのがございまして、そこへ上程いたしまして、各省庁が、全部ではございませんが、主要な省庁の閣僚がメンバーになっておりますので、そこの地点が電源開発として必要であるということがオーソライズされますと、各省庁におきましては、そこの手続についておのおの前向きで考えてもらうということになっております。したがいまして、通産省としてそういう各省庁に説明し得るに足る資料をつくるというのが非常に大変な作業でございますが、それを環境審査と言っておりまして、いろんな厚生省なり環境庁なり農林省なり等々に説明するに足る資料をつくって、そこの場で、幹事会におきまして説明をいたしまして、各省庁の了承を得るということが電源開発の場合の最初のスタートになっておりますので、いま先生おっしゃいましたある程度の了解を得る場というのは、私たちとしては、その電源開発調整審議会においてオーソライズされるということが、まず電源開開発点として各省庁に認められる第一歩であろうかと考えております。そういう地点がどんどんふえるということが、まず第一であろうかと思っております。 それから、その後のいま先生のおっしゃった三十三の法律に基づいて、それから各省庁において手続が行われますけれども、それが電源開発としてどうして要るのかという問題については、もうことさらには問題にされませんが、個々の問題として処理されるということになりますので、基本的な問題は了解されておるということになろうかと思います。
○吉田委員 一つは、おっしゃるとおり、電調審ですね、ここで企画庁は窓口になって、いろいろ各省庁にわたる作業の調整とか促進をやっていただいているようでございますけれども、それにしても、やはり非常に急ぐべきプロジェクトでございますから、そういう電調審というものが、単に役所の寄り合い世帯で、ただ経企庁が当番幹事のようなことでやっていらっしゃるだけではなしに、そうだとは思いませんけれども、もっと一つの連動する完全な組織としてきわめて効率よく作業を進めていく一段のそういう工夫がなされていいのではないか。 それから、国の方のそういう電調審にかかるまでに、知事や市町村長がいろいろと許認可する部分がございますね、これも出先であるだけに、なかなか容易ならぬことだと思うのです。その辺のところで、この場で個々にこの作業をどうしてくれというようなことは、私は申しませんけれども、これは国家的に急がなければならない電源開発の事業でございますから、ひとつ科学技術庁長官や通産大臣あるいはエネ庁長官が本当に主体になって、もう一遍、いわゆる作業行程というものを見直しして、どこかで詰め得る余地はないか、もっと効率よく運ばせる方法、対策はないだろうかというふうなことを御努力いただくことは、わが国のエネルギー事情の問題を解決するためには非常に有効なことだと思うので、その辺の御検討をぜひ煩わしたいと思うわけでございます。 それからいま一つは、これはちょっとこの例をそのまま私は日本に導入しろと言っているわけではないのでございますけれども、アメリカの場合、エネルギー動員法というのがあるようでございまして、そしてここでも、やはり電源立地の許認可等については、州の知事が権限を持っているようではありますけれども、ある一定期間を経てもなお結論が出ない場合には、連邦政府がこの問題を全部引き上げて処理する、こういう仕組みになっているやに聞いております。 私は、いまのように、どこかの市町村長が非常に許可を渋る、あるいは許認可が当然、客観的ないろんな理由から見てさして問題はないし、他と比較してももう出てもいいと十分判断できるのになお出ないというふうな場合には、決して住民の意思を無視しろと言うわけではございませんけれども、何らかの促進する方法というのを講じていかないと、まさに百年河清を待つに等しい状況になってくると思うのでございます。どうしても原子力発電がその見通しどおりにできないとするならば、それにかわる石炭での発電というものの、もっとやはりピッチを進めていかなければならないとか、国の政策上いろいろ連動してくる諸問題が横たわってくるわけであります。 したがって私は、ただ手続を踏むまで待たなければならないという、きょうまでのそういう手法だけで今後の問題に対処できるだろうかという一つの疑問を感ずるわけなんですが、その点いかがでございますか。
○長田国務大臣 先ほどの三十三法、六十六許認可という点につきましては、許認可の整理、行政簡素化という観点からも見ておりますけれども、いろいろ検討はなされておりますが、原子力発電の立地という問題でございますので、それにも限度があろうかと思うわけでございまして、それらの点につきましては、先ほど御指摘のように、総合的に見、あるいは多くの関係官庁等が集まって取り進めるとか、そういうようなことも非常に有効な一つの手だと思いますし、昭和五十二年六月の総合エネルギー対策推進閣僚会議におきましても、了解がなされておりまして、関係手続の一層の円滑化、迅速化についての協力要請が通産大臣からなされますとともに、連絡会議を開いているということは、先ほども御説明申し上げましたが、そういうところにできるだけ多くの者が参加する、あるいは地方の方の手続を中央に一挙に引き上げるということなどが、日本の風土に合うかどうかという問題などもございますが、実質的になるべく多くの関係者が一挙に参加して合意を得ていくということだとか、あるいはたとえば中央官庁なら中央官庁のどこかの担当者というものが、一件について一人ついて、初めから終わりまでついて回るということなども、これは単なる思いつきでございますけれども、そういうことも一つのやり方かもわかりませんし、関係省庁とさらにこれを実質を充実させながら迅速に運ぶということにつきましての工夫を進めたい、そのように考える次第でございます。
○吉田委員 いま長官、集中して参加するとか、非常に進歩的ないろいろな発想をお述べいただきましたので、今後ひとつさらに長官が主体になって、いろいろ御検討を煩わすことに大きく期待を寄せたいと思います。 それから次に、先ほども質問が出ておりましたけれども、稼働率の問題について、稼働率と申しますか設備利用率と申しますか、どちらでも結構ですけれども、諸外国のデータですね、これが大体何%ぐらい稼働しているのか、わかる範囲で説明していただけませんか。
○児玉(勝)政府委員 海外の原子力発電所の設備利用率でございますが、これは年別になっておるようでございますので年で申し上げますと、五十三年は世界で六五・四%、それから米国が六五・七%、それから英国が五五・四%、フランスが七〇・五%、西ドイツが六〇・四%、それに対して日本は五四・八%でございます。
○吉田委員 この数字を見ましても、日本は、いろいろな事情があることは承知をいたしておりますけれども、まだまだ諸外国と比べて設備利用率がいいとは言えないと思うのです。この設備利用率と申しますか原子力発電の稼働率を上げるということは、これはまさに今日のエネルギー事情を解決する一番手近な、一番確かな一つのファクターになってくると思うのです。したがって、稼働率をもう少し上げる方法はないだろうかということなんでございますが、現在、通産省の検査官、定期検査をなさる検査官は何人いらっしゃいますか。今後何人になりますか。
○児玉(勝)政府委員 本省におきまして、検査官は、専任が十四名で併任が十八名、合わせまして三十二名でございます。
○吉田委員 この併任というのはどういうのですか。
○児玉(勝)政府委員 以前原子力関係の課におりまして原子炉の検査をやっていた者が一これは三年ごとに必ずかわる、三年以上は勤めないということになっておるものですから、それでほかの課に行っておりますが、その専任の検査官では手に余る場合には、よその課におる併任の検査官を使うということを考えておるわけでございます。
○吉田委員 いわばOBですね。経験者ですね。どうして三年以上は検査官をやってはいけないのですか。
○児玉(勝)政府委員 一カ所のポストに三年以上おりますと、いろいろその会社との間に癒着ができるとかいうようなこともございまして、行政管理庁等からの通達等によりまして、そういうことにしておるわけでございます。
○吉田委員 三年たてば癒着が起こるほど公務員というのは頼りないんですか。まあ私はわかりますよ、わかりますけれども、そういう旧来の習慣といいますか一つの考え方というのでいいのかどうか。やっぱり非常に高度な熟練とそういう知識とを必要とする専門職みたいなものでしょう、それが三年置きにローテーションで——もちろんお役人ですから、いろいろなポストにつき、まただんだん栄進していかなければならぬことはわかりますけれども、こういう国家的な事業の一番キーポイントを握る検査官であるだけに、私は、やっぱり国としてももう少し考え方を変えて、本当にその人の事情が許すならば何年でも打ち込んでいただくというふうなことをやって決しておかしいことではないと思うのです。もちろん、どんどん新しいそういう技術者、経験者をふやしていくということも大事ですが……。 それで、仮におっしゃる十四名プラス十八名合計三十二名といたしまして、これで現在幾らの容量にまで対応する人員であるのか。将来ずっと原子炉がふえていくわけですが、それに対応するためには、この人員をどのぐらいまで、何年度にはどのぐらいふやそうとお考えになっておるのか。何か最近四名ふやすとかちらっと聞きましたけれども、その程度で間に合うものかどうか。 それからいま一つは、これは安全管理課でやっていらっしゃるのですか。この検査官はそこから派遣されるわけですね。そうすると、課長という人がおられるわけですが、この課長はいま在任期間何年でいらっしゃいますか。歴代の課長は大体何年ぐらい課長を勤めていらっしゃるのか、その辺もちょっとついでに聞かしていただきたい。
○児玉(勝)政府委員 最初の検査官の方にお答えいたしますが、先ほどは本省の人数を申し上げましたが、通産局には専任、併任合わせまして五十二名おります。これは全部集めてしまっておりますので、原子力発電所がない通産局も実は入っておりますけれども、そこは北海道とそれから北陸でございますので、検査官の人数も少ないと思いますが、全体を知っていただくために申し上げたわけでございますが、そういうことで、三月一日に実は六十万キロワット未満の発電所につきましての検査の権限を委任いたしました。そういうわけで、二十一基のうちの九基は地方局権限ということに今度なるわけでございまして、一番検査官としてマンパワーの要りますのは定期検査でございますので、この定期検査の権限を渡したわけでございます。そういうことで、いままで本省でやっていました検査を地方通産局に大分任せるということと、先ほど先生がおっしゃいました検査官の四人の増員というのは、これは地方局についておりますので、これがさらに増強されるということになろうかと思います。 それで、今度は本省といたしましては、新規の発電所の工事認可にかかわります検査、要するに新設のための検査とそれから六十万キロワット以上の発電所の定期検査を含む検査ということになるわけでございますが、そういう意味では、いまのところはちょっと人数的には裕度がございますけれども、いずれはまた非常に苦しくなってくる可能性があります。これは基数と全く比例してどんどん検査官をふやすというわけにも実はまいりませんし、いま公務員の数をなるべく減らそうという場合でもございますので、実は私たちといたしましては、今後、増加すべき電源とそれから検査官との関係をどういうふうに考えるかということで、第三者検査協会のような問題の導入というのも考えなきゃならないのじゃないかというふうには考えております。しかし、それはまだ具体的に爼上に乗っておるわけではございませんけれども、そういうようなことを活用いたしまして、先ほど先生おっしゃいました三年ごとに検査官がかわるというようなことでは、なかなか技術的な蓄積というのが望めませんので、そういうところの専門的なグループによって、中立な機関によって検査が行われるということを実は期待したい、これは私個人の見解を申し述べてしまったわけでございますが、そのように考えております。 それから、検査官の統括をしておりますのは、原子力発電安全管理課というところでやっておりますが、その管理課長は、昨年の機構改革のときにその課ができましたので、それ以来ということでございますので、一年二カ月幾らになりますが、彼はその前に統括安全審査官を二年くらいやっておりますので、それを合わせますと相当なキャリアであるということが言えると思います。
○吉田委員 いろいろ機構ができていきますから、管理課長の在任期間だけが特に判断の基準にもなりがたいとは思うのですけれども、しかしやはり、そういう一番の責任者あるいはその責任ある検査官、こういう人たちの質と量をいかに完全に確保しておくかということが、これから非常に重要な問題だと私は思うのです。 そこで、特に行政改革が大事なときではありますけれども、やはり本末を転倒しちゃいけませんので、行政改革をしてお役人の数は減ったけれども、エネルギーもなくなったじゃ、これは国家的には大問題でございます。だから、そういう点は私どもも心得ておりますけれども、皆さん方自身としても、どうしても将来に向かって必要欠くべからざるポストや人材は十二分に確保していく、よしんばそれが、いまお話のとおり役所という機構の中では非常に困難であるとするならば、学者とか本当の専門家、それに生涯をぶち込みましょうというような人たちをやはり完全にいまから確保して、それがどういう権限を持ち、この検査とどう対応していくかということを考えていきませんと、やはり稼働率を高める工夫にはならないと思うのです。 同時に、西ドイツなんかでは、わずか二週間で定検を済ましているというようなことも聞きますが、私は、それがどういう定検なのかよくわかりませんけれども、先ほどの設備利用率とそれから諸外国で行っている定期検査の期間というもの、この辺はやはり関係あるものですか、ないものですか。
○児玉(勝)政府委員 定期検査のやり方でございますが、私たちといたしましては、確かに技術というのは、これはどこの国へ行っても同じ問題でございますので、点検とかその信頼性とかいうことで大きな開きはないと私たちは思っております。ですけれども、一方で安全という問題の伝統的な保安の確保のやり方というのは、非常に長い歴史を持って存在することに、逆に言えば意味があるわけでございまして、そういうことでやはり国民の理解というのがありまして、恐らくそういう検査を法律的にも認めていただいているわけであろうと思います。 そういう意味で、外国の技術的な例をそのまま右へならえでやるということは、もちろん私たちはやりませんし、また伝統あるそういう物の考え方の中で、そのものがどういうふうに理解されていくかということを慎重にやらないと、安全に対する信頼性また検査に対する信頼性というのは一遍にけし飛んでしまう場合もございますので、私たちは、非常に慎重にしなきゃいかぬ、こう思っております。 たとえて言いますと、私たちとしては、全数検査を現在基本といたしております。そういう意味で、検査官は非常に過大な労力をかけてやっておりますけれども、そういうことで全数検査ということをやっておりますが、しかし、実際に経験を踏んでまいりまして、その器械そのものの信頼性ということが実証されてまいりました暁には、そういうような全数検査ということから抜き取り検査というようなことに進んでもいいのではないか、こう考えております。そういうことで、逐次実際のデータとにらみ合わせながら、慎重に検査の合理化というのを進めていかなければいけない、こう考えております。
○吉田委員 確かにおっしゃるとおり、歴史的な経過あるいはその国のいろんな背景がかなり重要な問題だと思います。しかし同時に、われわれも新しく歴史をつくっていくわけですから、何もいますぐ急に定検の期間を圧縮しろと私は言っているわけではありませんけれども、いろいろな積み重ね、工夫をしながら、より確かな、より効率よき定検を進めていって、そのことに対して国民が完全な信頼を寄せる、また事実、その定検が完璧であって、単純なミスやトラブルがほとんど消えていく、こういうことにならなければならないわけでございますね。 そういう点で、むしろ全数検査から抜き取り検査、それがどの段階でどういうふうに移っていくものであるかは、皆さん方がいろいろ検討なさったらいいと思うのですけれども、一方やはり、そういう確かな効率よき点検によって稼働率が非常に高まった、先ほどの瀬崎さんの御質問の中にもいろいろやりとりがありましたけれども、そういう稼働率の高まりそのものがやはり国民に安全感を与えていく、これはきわめて心理的なものですから、未知の分野に入っていって、まだだれも死んだというような事故も起こっていないけれども、やはりこわいものだ、こわいと思えば幾らでもこわいものでございますね、しかし新幹線のように、絶えず順調に走っておれば、みんながそれを信頼していくわけでございますからね、私は、そういう意味では、やはり西ドイツその他アメリカなどがたどってきた過程、そういう歴史的な経過と背景というもののよりよき点を日本が積極的に研究しながら、やはり独自の実りある定検技術というものを進めていく一段の工夫が必要だと思います。 いま一つは、この軽水炉の場合に、どちらかと言えば、わが国の技術は輸入技術でございますけれども、西ドイツの場合なんかは、きわめて自主技術の高い水準に入り込んでいるのだと私どもは思います。そういう自主技術を高めることによって、その国独自の、そこの国民や技術に一番合った点検の仕方というものも生まれてくると思うのです。したがって保守、運営、管理の面での技術の研究ということも一層進められなければならない。あるいは将来、本当に日本独自の国産炉というものをつくって、日本人にぴったり合ういろんな操作、そして、それから出てくるいろんな点検の仕方、こういう点もやはりこれから大いに進められなければならないと思うのです。ですから、そういう諸点につきましても、ひとつ一層努力を払っていただきたいと思います。 同時に、私は、そういう定検というものが完全に確かにやられ、かつ少しでも効率よくやられることが大事でありますと同時に、そういう点検というものが、きちんと権威あるものがなされた以上は、どこの国でどんな事故が起こっても、それとうちとは直接関係があるわけはないのですから、何の動揺もせずに運転を進めていく、そして、しかるべき時期にまた完全な点検をする、こういうところに乗っていかないと、やはり国民は原子力を信用しないと思うのです。 そういう点で、もしもアメリカで今後何らかの事故が起こったとしても、そのことによって日本の原子炉を一時ストップさせるというふうなことは今後ないでしょうね。
○児玉(勝)政府委員 保安というのは、やはりわれわれの自信がある範囲内でもってやる、要するに、国民の安全の負託にこたえるという意味では、われわれは、非常にきざな言葉で言いますと、それに命をかけて仕事をしていると言っていいのではないかと思います。そういう意味で、輸入の器械ではございますけれども、その器械が事故を起こさないでどのように運転をするかということについては、非常に関心を持ってわれわれやっておりますし、事故を起こさせないようにやっておるつもりでございます。 そういう意味で、いまある運転中の二十一基につきましては、われわれとしても、一体どういう器械なのかということについて、非常に理解をしながらやっておりますので、アメリカに起きましたトラブルについて、それが日本の発電所にどういうふうに波及するかということは、われわれとしては、すぐわかる体制になっておるわけでございます。 ただ確かに、そういう意味で向こうのトラブルを理解し、それから日本の現状を、その状況を見まして、これは大したことはない、これは大変なものだという判断は直ちにできますが、向こうでやってもうちでは大丈夫だというふうに簡単に、とめないでできるかということは、ちょっとわれわれもできませんし、逆にそういう問題は、非常に謙虚に受けとめなければなりませんので、先生のお言葉ではございますが——軽水炉というのは、日本では二十一基しか動いていませんし、二百二十四基のうちの二十一基で、一割ぐらいの情報しか入りません。そういう意味では、軽水炉の保安というのは、いま先生がおっしゃった自信を持つということが一番大事なことでございますが、第二には、日本以外の九〇%の原子炉で何が起こっているかという情報をいち早くキャッチするということが非常に大事であるとわれわれは思っております。 そういう意味で、日本の国内で起こさせないために、外国の原子炉の状況を逐一把握するということにまた全力をふるわなければいけないのではないかと考えておりますので、日本では外国で起こるような事故は起こさせないということでわれわれはがんばっておるつもりでございます。
○吉田委員 次に、原子力の平和利用の一番の鉄則と申しますか、自主、民主、公開の原則がございますね、私は、これは非常に大事な原則だと思うのですけれども、しかし実際問題として、やはり公開と申しましても、一つの公開し得る限界と申しますか、そういうものが当然あると思うのです。たとえばPP、核物質防護、あるいはSG、保障措置等の問題につきましても、どこまでは公開すべきであるけれども、本当はこれ以上は公開できないという要素が当然残されてくる。原子力そのものが非常にデリケートな問題でありますから、そしてまた、その運搬経路等も一々全部説明しておったのでは、赤軍派に教えているようなことになりまして、それは果たして本当に国家、国民のためであるかどうかという問題にも突き当たるわけでございます。あるいは被曝の問題にしても、全体としてはどんな被曝の現状にあるか、これは非常に大事な、ゆるがせにできない問題ではありますけれども、個々のだれがどれだけ被曝しているかということを公開しろと言われたって、それはプライバシーの問題になってきまして、大変なことになると思うのです。その人の運命を左右することになります。そういう点で、公開はしなければならないけれども、どうしても公開できない一つの部分があるはずだ、あるいは企業秘密の問題も当然あると思います。そういう点について、政府は、この公開の原則とその一つの限界ということについて、きょうまでどのような御検討をなさっておられますか。
○石渡政府委員 公開の原則につきましては、先生も十分御承知のことでございますが、原子力の平和利用の担保ということで平和利用の目的に限られるべきである、このために原子力の研究開発利用が先行的に軍事利用等不当な目的に転換されることがないように、研究等の成果の公開によって抑制しようとしたというのが、そもそもの精神であると理解しておるわけでございます。わが国の原子力の開発利用に当たりましては、従来からこの成果の公開の原則にのっとりまして、できる限りその公開に努めてきたというのが基本的姿勢であるとわれわれ理解しておるわけでございます。 一方、先生ただいま御指摘のように、成果の公開の原則の適用に当たりましては、やはり財産権の保護であるとか核拡散の防止あるいは核物資の防護等の観点にも十分配慮する必要があるということも申し上げるまでもないことでございます。 具体的に申し上げますと、たとえば商業上のノーハウ等の企業秘密につきましては、財産権の保護という観点からその公開には慎重でなければならないということもございます。またウランの濃縮あるいは使用済み燃料の再処理等核拡散上の問題があるということにつきましては、これはむしろ国際的に非常に機密ということがうるさくなって、ますます厳重になってきているということでございますので、この面の情報の管理が、核不拡散という観点から非常に厳しい管理が要求されてきているということでございます。また、ただいま先生も御指摘ございました核物質の防護という点につきまして、これは当然非公開という範囲が出てくる状況にあるわけでございます。 このように成果の公開、原則は原則といたしまして、具体的状況に応じまして慎重に判断していかなければならない面があるわけでございまして、御指摘の公開の基準あるいは方法等については、なお具体的な運営の積み重ねによりまして、その上に立って慎重に検討してまいりたいと考えている次第でございます。
○吉田委員 なぜ私がこういうことを申し上げるかと申しますと、現に現場の方で——ときどき国会でいろいろ質問がある、これを説明しろ、これの資料を出せ、それは非常に重要な場合もありまして、また、それをしなければ、今後の平和利用のために寄与しない、非常に重要な資料の収集もあると思うのです。しかし実際、そういう指示がときにあり、あるいはなかったり、その都度答弁する側の判断とか、そのときの大臣の考え方とか局長の考え方によっていろいろ、そいつは知らせろという場合と、そこまではお知らせする必要はないとか、やはりむらがあると思うのです。そういう指示があれば、徹夜でもデータを探していろいろ報告はするそうですけれども、果たしてこんな報告をすることがいいのだろうか、たとえばプライバシーの問題なんかでやはり非常に悩むという現場の声を私どもは聞いているわけです。 さらに、いまのお説のとおり、いろいろと重要な機密も国際的にもあるはずでございますし、そういうことになってまいりますと、一方においては、平和利用のためにあくまでも公開の原則をとらなければならないけれども、しかし同時に、公開できない要素というものも当然確保されなければならない、そうなってまいりますと、その都度その都度の雰囲気やいろんな事情や判断によって絶えずむらがあるということはいかがなものかと私は思うのです。特にわが国の場合には、機密保護法というものもございませんし、その辺の尺度、基準というものがまだきちんと国民に合意されてない部分もあると思うのです。 したがって、公開はしなければならないけれども、どこまで公開するのかというその一つの基準とか手続、あるいは手法と申しますか、その辺をそろそろ皆さん方が中心になって検討してもらわなければならない。これは果たして政府主導型で検討すべき問題かどうかということもまた問題があると思うのです。できればこの際、ひとつ公正な学者たちの意見を集めて、この公開の一つの限界とか諸問題について、そろそろ検討されるべきではないか、ないしはそういうことを検討する機関をおつくりになる気持ちはないだろうか。きょうは長官がおられなくてちょっとお答えしにくいかと思いますけれども、その辺の私の考え方に対してどうお考えになりますか。
○石渡政府委員 先ほども申し上げましたように、もう少し具体的な事例等の積み重ねを見てというのが基本的な感じでございますけれども、たまたま昨年原子力産業会議という場で、主として法律関係の先生方がこの検討を始めたということを聞いておりますので、そういうことも大いに参考になるかと考えているわけでございます。 先ほどもいろいろ例を申し上げたわけでございますが、先生のその後の御指摘を拝聴しておりますと、やはりこの公開の原則が、原子力基本法制定当時の精神はそのままであるといたしましても、その後いわゆる安全問題についてのデータの公開という問題が新しい要素として加わってきておりますので、やや問題がむずかしいと申しますか、複雑化しているということも感じますので、そういうことも含めましてもう少し検討させていただきたいと存じます。
○吉田委員 時間がございませんので最後に、最近発表されましたINFCEの答申でございますが、これの解釈をめぐりまして、日本側から見れば大変評価できるものであるという見方もあるようですし、アメリカ側は必ずしもそうは見てないという問題もあるようでございます。 そういう問題と、それからプルトニウムの転換施設で日米が合意できた、これが将来の高速増殖炉や新型転換炉のプルトニウムの供給について確かな見通しになり得たのかどうか、この辺、一言御答弁願って私の質問を終わります。
○石渡政府委員 INFCEの結論と申しますか全体の流れにつきましては、特に日本にとって都合が悪いということがなく、むしろ結果的に世界の多くの国が日本の考え方と同じ考え方をとったという点で、今後のわが国の主として核燃料サイクルの確立に対して支障がないという論調になっているというふうに考えているわけでございます。 しかし御指摘のように、それじゃ世界のすべての国が同じ結論になったということでもないわけでございまして、これはあくまで技術的な、あるいは経済的な分析の結果ということにとどまるわけでございますから、少なくとも世界の主流を占めた考え方をバックにいたしまして、日本の国益を考え、主張しつつ、今後の多国間あるいは二国間交渉に対応していくというのが基本的なわれわれのとる姿勢であるかと考えております。 ただいま先生御指摘の、日米再処理交渉と言っておりますが、東海村の動燃の再処理施設を今年五月以降どういうふうに持っていくかということについては、まず第一の問題であるわけでございますが、基本的には、もう一年くらい現状をベースにして単純な延長を考えたらどうかという線で事務レベルで折衝を続けているというのが、今日現在の状況でございます。 ただ例外的に、転換施設につきましては、混合転換ということで日本は二年半前に約束した、すなわち混合転換には手をつけないという条項を外しまして早く建設に着手したいという希望を言っていることも事実でございまして、恐らく米国側の賛同も得られるのではないかという見込みを持っているわけでございます。 もしこの予定どおり着手ができるといたしますと、後、ATRあるいはさらに来年から建設を予定しております高速増殖炉等の燃料の状況が非常によくなると申しますかす供給が確保されるという状況になるとわれわれ期待しているところでございます。
○吉田委員 これで質問を終わります。
○瀬野委員長 次回は、来る二十六日水曜日午前九時五十分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後七時三十五分散会 ————◇—————