運輸委員会 第2号
- 発言数
- 5 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1980/03/04
会議録
○古屋委員長 これより会議を開きます。 陸運、海運、航空及び日本国有鉄道の経営に関する件等について調査を進めます。 この際、運輸大臣から運輸行政の基本施策について発言を求められておりますので、これを許します。地崎運輸大臣。
○地崎国務大臣 第九十一回国会に臨みまして、当面の運輸行政の諸問題に関し所信の一端を申し述べ、各位の御理解と御支援をお願いいたしたいと存じます。 わが国は、長期的不況を初めとする多くの難局を乗り越え、安定した経済成長の道を歩みつつありますが、一九八〇年代におきましても、一層この足取りを確かなものとしていかなければなりません。しかしながら、現下の内外の情勢は、国際石油情勢の流動化、財政事情の悪化等まことに厳しいものがあり、今後、政府の政策運営におきましては、重点的かつ効率的な施策の展開が強く要請されております。 このような情勢の中で、運輸行政の分野におきましては、エネルギー問題への対応が重要な課題となっております。運輸省におきましては、従来から、運輸は、国民生活と経済活動の基盤をなすものであるとの認識のもとに、都市及び地方における公共輸送の維持整備、幹線交通施設の充実等に努めてきたところでありますが、昨今のわが国のエネルギー問題は、運輸活動の基本に係る重要な問題であり、長期的観点に立ちつつ、早急にその対応策を確立する必要があります。 私は、エネルギー制約下における運輸行政の基本的課題は、運輸部門における省エネルギーを推進し、将来にわたって国民の求める安全で良質な輸送サービスを安定的に確保していくところにあると考えております。このため、輸送効率の改善や輸送用燃料の確保等を図るべきことはもちろんでありますが、さらに基本的には、エネルギー面で効率のよい輸送機関の利用を促進していくことが重要であり、これにあわせ、環境問題、限りある空間といった社会的制約条件にも配慮しながら、全体として合理的な交通体系を形成し、多様化、高度化する国民の要請に対応していくことが肝要であります。 私は、省エネルギー型社会への転換がわが国の緊要な課題となっていることにかんがみ、以上のような基本的考え方に立って、今後運輸行政を展開していく考えでありますが、当面する諸問題につきましては、次の方針により、積極的に施策を展開してまいる決意であります。 まず第一に、日本国有鉄道の再建であります。 国鉄財政は、昭和五十四年度末において、累積赤字が六兆円を超すことが見込まれるなど危機的な状況に陥っており、事態はまことに深刻であります。国鉄が、今後ともわが国の基幹的輸送機関としてその使命を果たしていくためには、健全経営の回復が不可欠であり、国鉄再建は、いまや国民的な課題となっております。 このため、政府といたしましては、昭和五十二年末の「日本国有鉄道の再建の基本方針」の趣旨に基づき、昨年十二月、新たな再建対策を策定し、国鉄再建のため国及び国鉄が当面緊急に実施すべき対策を決定したところであります。 この新たな再建対策におきましては、国鉄自身が、今後さらに一層の経営改善措置を実施することとし、まず、鉄道特性を発揮しがたい分野の減量化等により、経営の重点化を進め、特に地方交通線に関しては、地域住民の足の確保に十分配慮しながら徹底した合理化、特別運賃の設定、バス輸送等への転換など所要の措置を講ずることといたしております。また、要員の合理化を図り、昭和六十年度に職員三十五万人体制を実現するとともに、適時適切な運賃改定、設備投資の抑制その他の経営改善措置を進めていくことにいたしております。以上の措置を前提として、国におきましても、債務のたな上げを初めとする公的助成等、所要の行財政上の措置を講ずることとし、このような国及び国鉄の対策を確実に実施することにより、昭和六十年度までに国鉄の健全経営の基盤を確立し、可及的速やかに収支均衡の回復を図ろうとするものであります。 この新たな国鉄再建対策の実施のための法的措置として、日本国有鉄道経営再建特別措置法案を今国会に提出して御審議をお願いいたしております。 国鉄再建の道のりは、決して容易なものではありませんが、国鉄が将来においてもその使命を全うし得るか否かは、今回の対策の成否にかかっていると言っても過言ではありません。 私は、意を新たにして、国鉄再建に取り組んでまいる覚悟でありますので、よろしく御協力を賜りたいと存じます。 第二に、地域交通対策の推進であります。 運輸省におきましては、国民の円滑な日常生活に必要な輸送サービスを確保するため、従来から、地方公共団体と協力しつつ、地域における公共輸送の維持整備に努めてきたところであります。 すなわち、都市交通の分野におきましては、都市高速鉄道、都市バス等の質的、量的な整備充実を図ってまいりましたが、省エネルギーを初め、環境保全、空間の有効利用等の見地から、引き続きこれらの都市交通機関の整備を進め、輸送需要を私的な交通手段から効率的な公共輸送機関へ誘導し得るよう努力を重ねてまいりたいと考えております。 また、地方交通の分野におきましては、地方バス、中小民鉄、離島航路、離島航空路に対する助成を行い、地域住民の生活基盤として不可欠な公共輸送サービスの確保に努めてまいりましたが、これらの対策の一層の充実を図る観点から、今後さらに、助成措置の強化等所要の方策につき検討を進めるとともに、施策の展開に当たっては、地域の実情に応じきめ細かく配慮してまいる所存であります。 第三に、航空輸送網の整備であります。 航空輸送につきましては、近年経済社会の高度化に伴い著しい発達を見せてまいりましたが、今後とも国際、国内の両輸送分野においてその役割りは増大していくものと考えられます。 このため、将来の航空輸送需要に適切に対応できるよう、長期的観点に立って輸送網の整備を進める必要があり、その拠点としての国際空港及び国内空港の整備、安全で能率的な運航を確保するための航空保安システムの近代化等を強力、かつ、計画的に推進していかなければならないと考えております。 とりわけ、新東京国際空港につきましては、その円滑な運営と機能の充実を図るため、今後とも周辺対策を中心とする所要の措置を積極的に講じ、地元の理解と協力のもとで第二期計画の促進に努める所存であります。さらに、関西国際空港の建設や東京国際空港の沖合い展開につきましても、関係地方公共団体等の合意を得つつ、所要の準備を進め、早期に建設に着手できるよう鋭意取り組んでまいりたいと考えております。 第四に、海運業の経営基盤の強化、造船業の経営の安定化及び船員雇用対策の充実であります。 海運につきましては、外航海運では日本船の国際競争力を回復し、日本船を中核とするわが国商船隊の整備を図ることが緊急の課題となっております。このため、政府におきましては、引き続き利子補給を中心とする計画造船制度により、外航船舶の緊急整備を推進してまいります。なお、これに対応し、労使においてもわが国外航海運の国際競争力の回復のため、一層の努力を尽くすよう期待いたしております。また、内航海運につきましても、船腹過剰や老朽船の増加等に対処して、今後とも船舶の代替建造を推進し、その体質改善を図ることといたしております。 世界的な景気の後退と船腹の過剰により深刻な不況に直面した造船業につきましては、関係方面の御協力を得て各種の施策が効果的に展開され、ようやく立ち直りの兆しを見せつつありますが、なお本格的な回復に至ったとはいえない状況にあります。このため、政府といたしましては、過剰造船設備の買い上げを行っている特定船舶製造業安定事業協会に対し、引き続き助成を行うとともに、計画造船制度による新船建造と官公庁船の代替建造の促進を中心として造船需要の創出を図るなど各種の施策を講じ、わが国造船業の不況の克服と経営の安定化のため、さらに努力を重ねてまいる所存であります。 また、船員雇用対策につきましても、関係法令に基づく雇用促進対策の実施に加え、船員の資質の向上を図るための再教育訓練対策等所要の施策を進めてまいりたいと考えております。 第五に、運輸関係社会資本の長期的整備であります。 わが国経済及び国民生活の基盤である鉄道、港湾、空港等の運輸関係社会資本の整備につきましては、昨年八月に策定されました新経済社会七カ年計画等に沿いつつ、計画的、かつ、着実に推進してまいる所存であります。 まず、鉄道につきましては、東北・上越両新幹線の建設、大都市交通施設の増強等により、輸送力の整備充実を図ってまいります。なお、整備新幹線につきましては、引き続き、建設のための所要の調査を実施するほか、公的助成、財源措置等についての検討を進め、これが具体化した場合には、所要の手続を経て、工事に着手したいと考えております。 次に、港湾につきましては、都市臨海部の再編成にも配慮しつつ、引き続き流通拠点港湾等の整備を図るとともに、地方定住を促進する観点から、地方・離島港湾の重点的な整備を推進し、さらに資源・エネルギーの安定輸送、保管体制の充実に努めてまいります。 また、空港につきましても、すでに申し述べたとおり、輸送需要の増大に適切に対処し得るよう、国際空港及び国内空港の整備を計画的に進めてまいります。 第六に、交通安全の確保と災害の防止であります。 交通安全の確保は、運輸サービスの基本であり、運輸行政における最も重要な課題の一つであります。陸海空すべての分野において、交通事故の未然防止を図る観点から、今後とも、交通従事者の自覚と知識、技能の向上、安全管理体制の充実、交通安全関係施設の整備等の施策を総合的に推進し、交通安全の確保に万全を期してまいる所存であります。これにあわせ、海難救助体制の充実に努めるとともに、交通事故等の被害者の救済対策についてもきめ細かな配慮を払い、その充実を図ってまいる考えであります。 一方、自然災害を初め各種の災害が発生しやすい条件下にあるわが国におきましては、国民生活の安全を確保するため、防災対策の強化に努めることも重要な課題であります。このため、運輸省におきましては、地震・火山噴火予知体制及び台風・集中豪雨雪の観測、予報体制の強化、静止気象衛星の運用体制の整備等による気象業務の充実を図るほか、海岸保全施設の整備、海上防災対策の強化等の施策を推進してまいります。特に、東海地震問題に関しましては、昨年八月、同地域が大規模地震対策特別措置法に基づき、地震防災対策強化地域として指定されたことに応じ、観測、監視、連絡体制の充実を図るとともに、緊急時における輸送路を確保するため必要な施設の整備を進め、防災対策に遺漏なきを期してまいる所存であります。 第七に、運輸に関する環境対策の充実であります。 私は、わが国においては、いまや、潤いのある住みよい地域社会を形成することが重要な課題となっているとの認識のもとに、運輸行政の分野においても、良好な環境の維持、整備に特に配慮していかなければならないと痛感いたしております。すなわち、環境の保全にも配慮した交通体系の整備を進め、また、交通に起因する公害の防止対策に全力を尽くすことはもちろん、所管行政の範囲において、環境の浄化や自然環境の回復にも尽力し、国民のよりよい生活環境の形成に努めてまいりたいと考えております。 運輸、交通に係る公害問題は、航空機騒音、新幹線鉄道の騒音及び振動、自動車の排出ガス及び騒音等多岐にわたっておりますが、これらの防止対策としては、技術開発と適切な規制措置により、公害の発生自体の抑制に努めることがまず必要であります。また、これに加え、民家防音工事、土地利用の調整等の周辺対策を推進することにより、公害による被害の軽減を図ることも重要であります。これらの公害対策につきましては、従前にも増して所要の施策を積極的に推進し、問題の解決に鋭意取り組んでまいる所存であります。 また、海洋汚染の防止につきましては、従来より監視、取り締まり体制の強化、環境整備事業の推進等各般の施策を講じているところでありますが、さらに最近の国際的な動向を踏まえて、海洋汚染の防止に関する規制の強化を図るため、所要の法的措置を講じてまいる考えであります。 一方、近年、自然環境が損なわれてきている都市地域の臨海部におきましては、今後とも、緑地や人工海浜の造成を進め、周辺住民に手軽に利用できる憩いの場を確保していくとともに、国民の野外でのレクリエーション活動の活発化に対応して、必要な施設の整備を推進してまいる所存であります。 第八に、新海洋秩序への対応策の推進であります。 国際社会における新たな海洋秩序形成の動向に対応し、領海警備、二百海里漁業水域における外国漁船の監視、取り締まり等の業務を的確に遂行するため、引き続き海上保安体制の整備を進めてまいります。 さらに、海洋調査の充実、海洋利用技術の開発等を図り、わが国にとって重要な課題となっている海洋開発について、長期的観点から着実にその基盤整備に努めていきたいと考えております。 最後に、運輸に係る国際問題について申し上げます。 国際経済社会の拡大と多様化に伴い、運輸に係る国際問題も増大しております。 まず、海運につきましては、発展途上国の国旗差別政策や東欧圏諸国の活動により、国際海運秩序は少なからず混乱を来しており、このため、国際的動向を踏まえつつ、所要の方策を鋭意検討してまいる所存であります。また、航空につきましては、必要に応じ航空協定の締結及び改定を行い、国際航空網の充実に努めることといたしておりますが、特に、懸案となっております日米航空問題につきましては、両国間の航空権益の不均衡是正を達成すべく、引き続き尽力してまいりたいと考えております。さらに、外客誘致の促進及び日本人海外旅行者対策の実施により、国際観光の一層の振興を図るほか、発展途上国における運輸関係施設の整備に対する経済協力の強化等運輸における国際協力の推進に努めてまいる考えであります。 なお、以上の施策を進めるに当たりましては、国民の十分な理解と協力を得ることが必要不可欠でありますが、さらに、国の行政に対する国民の信頼を維持することが政策運営の基本であることは、改めて申すまでもありません。昨年、所管の政府関係機関におきまして、国民の疑惑を招く事態が明らかになりましたことは、その意味からいっても、まことに遺憾なことであります。私は、再び国民の指弾を受けることのないよう、綱紀の厳正な保持に重大な決意をもって臨んでまいる所存であります。 以上、運輸行政の当面の諸問題につき申し述べましたが、これらは申すまでもなく、委員各位の御理解と絶大なる御支援とを必要とする問題ばかりでございます。 終わりに当たりまして、重ねて皆様の御指導、御鞭撻をお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
○古屋委員長 次に、昭和五十五年度運輸省及び日本国有鉄道の予算について、運輸政務次官から説明を聴取いたします。楢橋運輸政務次官。
○楢橋政府委員 昭和五十五年度の運輸省関係の予算について御説明申し上げます。 まず一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は、二十億八千九百五十二万一千円であり、歳出予算総額は、他省所管計上分一千百八十六億九千九百十八万円を含め一兆四千八百二十一億六千三十五万円でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、比率で三・〇パーセントの増加になっております。 次に、特別会計について申し上げます。 自動車損害賠償責任再保険特別会計につきましては、歳入歳出予算額一兆四千九百十四億二千三百万円余、港湾整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額三千百六十九億九千二百万円余、自動車検査登録特別会計につきましては、歳入歳出予算額三百三十億四千万円余、空港整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額二千百九十一億三千二百万円余をそれぞれ計上いたしております。 また、昭和五十五年度財政投融資計画中には、当省関係の公社・公団等分として一兆六千四百三十三億円が予定されております。 運輸省といたしましては、以上の予算によりましてまず第一に、日本国有鉄道の再建を推進することといたしております。 国鉄の再建につきましては、国及び国鉄が当面緊急に実施すべき対策について昭和五十四年十二月二十九日に「日本国有鉄道の再建について」の閣議了解を行い、地方交通線対策を含め、経営の全般にわたって重点化を進めることとし、業務運営全般の効率化、機構・組織の簡素化等を徹底することにより昭和六十年度において職員三十五万人体制の実現を図るほか、物価動向等にも配慮しながら適時適切に運賃等の改定を行い、あわせて国鉄経営上の負担を軽減するため、いわゆる構造的問題等を中心に行財政上の措置を講ずることといたしております。 このため、昭和五十五年度において、総額六千八百六億円の助成を行うことといたしております。 第二に、交通基盤施設等の整備を促進し、国民生活の安定、向上を図るため、港湾、海岸及び空港の整備につきまして、それぞれの事業の重点的な推進を図ることといたしております。 また、東北・上越新幹線を初めとする鉄道の整備を推進するとともに、整備新幹線につきましては、引き続き建設のための所要の調査を行うほか建設の前提となる財源措置等についての検討を進め、公的助成及び財源措置等が具体化した場合には、所要の手続を経て、工事に着手できるよう措置しているところであります。 第三に、海運・造船対策といたしまして、日本海運の国際競争力の回復を図り、あわせて造船業の需要を確保するため、引き続き外航船舶のうち高度合理化船及びLNG船の建造融資について利子補給を行うとともに、造船業の過剰施設の処理を円滑に推進するための助成を行うことといたしております。 また、船員雇用対策も積極的に推進していくことといたしております。 第四に、新海洋秩序に対応し、領海警備、漁業水域監視取り締まり等の海上保安体制の充実を図るため、巡視船艇及び航空機の整備を引き続き推進することといたしております。 第五に、経営改善に努力している地方バス、中小民鉄、離島航路等に対し、地方公共団体と協力して助成を行い、国民の日常生活に不可欠な公共交通サービスの維持、確保に努めてまいります。 第六に、安全防災及び環境保全対策といたしましては、空港周辺対策、地震・火山対策、交通安全対策、交通被害者救済対策等の充実強化を図ることといたしております。 なお、運輸省関係予算の部門別の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十五年度運輸省予算の説明及び昭和五十五年度日本国有鉄道予算の説明によりまして御承知願いたいと存じます。 以上をもちまして、昭和五十五年度の運輸省関係の予算についての説明を終わります。
○古屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時十一分散会